マッタリと八話目に突入しますた
このスレのルール
・職人を敬いましょう(指摘と言いがかりは別ものです)。
・イラスト大歓迎、もちろん文の方も新規職人受付中(恥ずかしがらずにチャレンジだ)
・荒らしはスルー(ってもみんな仲いいけど、基本中の基本ね) 。
・AAはあんまり貼らないようにしましょう(1000レスまで大事に使いましょう)。
・本編と出来るだけ異なる点が出ないようにしましょう(まぁ、出来る範囲で無理のないように)。
・他のSS系スレに喧嘩を売らないようにしましょう(皆、種世界を何とかしたいと思っている同志なのです)。
・スティング強杉は禁止(これ超重要)。
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l ミj```'"il
ヽ d`∀´) <過疎スレにゃ90日ルール厳しすぎるだろ
旧保管庫(更新停止)
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現在継続中の話
アフター・Aルート(41の者氏)
アフター・Bルート(連合兵氏、キリマンジャロ手前からの分岐。長期にわたって連絡なし…)
再構築(カコ氏)
初期は複数の職人によるリレー→放送終わって職人去る→Aルート単独→Bルート分岐、という流れ
三年に渡って続いております
Aルート簡易まとめ
間違いあったら訂正ヨロ↓
【REPAIR(リペア)】
強化人間と戦争被害者を救済する民間組織、らしい。リーダーはルヴィア・デイブリー博士。
『REPAIR』はRescue, protection, improvement, and return(救助と保護、改善、そして復帰)の頭文字を並べ替えたもので、
(RescueのRe、protectionのp、improvementのi、andのa、returnのr)同時に『修理』を意味する単語。
規模が想像しにくい組織だが、全世界にメンバーが散らばっている様子。スティング曰く「ビックリ箱」。
スティングを助けただけでなく、ダークネスの組み上げにも協力し、ディープフォビドゥン改やレセップス級陸上戦艦、
果てはボズゴロフ級潜水艦まで保有する。北アフリカのゲリラ組織との繋がりからか、同地に隠し施設が多いらしい。
◎パイロット
・スティング・オークレー(スレの主人公。記憶は全て戻っている。MSはダークネス)
・ヤヨイ・ホシナ(明るい姉御肌。世話焼き。MSは赤色グフイグナイテッド)
・バシム・ノルマンディ(通称髭もじゃ。悪人面。MSは深緑色ウィンダム)
・トッシュ・マクダネル(三人組のリーダー。MSは水色ディープホビ丼→ザクファントム)
・ムサシ・ミドウ(縁の下の力持ち。水色ディープホビ丼→ザクファントム)
・エヴァンス・コーダ(生意気。水色ディープホビ丼→ザクファントム)
◎その他
・ルヴィア・デイブリー(元連合ラボ関係者。専門は薬学。リペアのリーダーにしてレセップス級陸上戦艦“リベレート”艦長)
・ジル・グルニエ(役割は主に連絡担当、そしてルヴィアのお茶汲み?)
【円卓の騎士】
前大戦終結直前に連合で極秘裏に結成された組織。
相当の力を持っているらしく、連合やプラント(ザフト)にかなり根を伸ばしている。
それぞれの人事権すらもある程度は左右できる。主にザフトに対してその影響力が強い。
◎パイロット
・シュリンカー・センギア(激情家。ナチュ、コーディ、強化人間の三説あり。MSはムラマサ→スレイヤー)
・アシエル・ナバス(シュリンカーの副官的存在。MSはジンハイマニューバ2型。シュリンカーをかばって戦死)
・クリストファー・ブラックマン(メイの父親。スティングにやられ死亡。MSは灰色スラッシュザクファントム)
・メイ・ブラックマン(クリストファーの娘。義娘説も。コーディもしくは強化人間説あり。MSはダークダガーアサシン→カオスMkU)
・シュリンカーの部下(ザクファントム・ナイトウィザードのパイロットたち)
◎その他
・サングラスの男(円卓の騎士の長。正体は“ゼノ・アドミラル”とプラント国防委員長“ライアン・グローステスト”の二説あり)
・ジェフ・ロバートソン(元連合ラボ関係者。専門は脳神経学。生死は不明)
【アルトゥーロ独立軍】
円卓の騎士の一員であったアルトゥーロ・フェルディナンテスが組織を造反、立ち上げた。
かなりの戦力を保持しており、背後にどこかしらの国が関わっている可能性がある。
果たして、アルトゥーロの狙いは何なのか。
◎パイロット
・アルトゥーロ・フェルディナンテス(長身黒髪氷の微笑の陰謀家。コーディもしくは強化人間説あり。MSはブリリアント)
・サワムラ・ヒロキ(形の上ではまだ地球連合軍所属の少尉。直情傾向。MSは改造ゲイツR→ブレイバー)
・ウィンダム・クラウン部隊(特殊MSウィンダム・クラウンのパイロット達。アルトゥーロに忠実)
◎その他
・マーカス・イクナー(地球連合軍少佐。陸上戦艦“ダマスカス”艦長。アルトゥーロの意思を知って協力しているかは不明)
・ワット(地球連合軍大尉。イクナーの副官的存在。普段と戦闘時では人がかわる)
・アウルとステラ(二人のデータから作られた戦闘プログラム。いわゆる無人状態でMSを操る)
【イマズゲン】
北アフリカにおける地球連合の圧政打倒を目的に活動しているゲリラ組織。
なかなかの規模らしく、北アフリカ各地に拠点を持っている。イマズゲンとは、ベルベル語で「自由な人」の意味だとか。
他のゲリラ組織とダカールでの蜂起を計画していたが、ハザールに先手を打たれ致命的なダメージを受けた。
現在はリーダーの長老のもと、再編中。
・長老(名前未定。口癖は「ほっほほ」。結構クワセ者。しぶとい)
【ザフト】
74条約により、地球連合軍に対してかなり優位な立場にあると思われる。
北アフリカにおける現在の最大の拠点はチュニス。
・デ・ヨン(陸上戦艦“ヘカーテ”艦長。組織の一員ではない。どうやら円卓の騎士に気づいた?)
【地球連合軍】
大戦で疲弊した戦力を再編成した結果、以前より弱体化した様子。
北アフリカ(アフリカ共同体)には、アフリカ共同体、大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国の軍が混在している。
南アフリカ(南アフリカ統一機構)は、なんか色々と陰謀をめぐらしてる最中らしい。
・ハザール・バルタザール(甲高い声の皮肉屋。MSはワイルドダガー。なんか円卓の騎士を裏切った様子)
・ノミンダン・ホドネル(地球連合軍大佐。ヤな奴。ゲリラ掃討中にダークネスの攻撃を受け戦死。ザマミロ)
・ゲール・レイヴン(地球連合軍中将。 腹黒の策謀家。ハザールの正体に気づき、息子と娘を率いて介入を目論む)
・カミキ・レイヴン(科学者。 ゲールの元夫。色々とゲールに支援をしてきたようである)
・ティロード・レイヴン(地球連合軍大佐。ゲールの息子。元エクステンデットの候補生。MSはアウトレス)
・サラ・レイヴン(地球連合軍少佐。ティロードの妹。MSはゲルズゲー改)
【その他】
・カガリ・ユラ・アスハ(直接的には未登場。オーブ連合首長国の現代表首長)
・ラクス・クライン(直接的には未登場。テロにより負傷し、現在は療養中)
・ライアン・グローステスト(プラント国防委員会委員長。グラサン男と同一人物?)
・情報屋(本名フォール・レイティス?ケナフ・ルキーニ説もあり。とにかく謎の人物。契約中は裏切らない主義)
・ロディ・フロイト(連合ラボでのスティングの仲間。訓練中に死亡)
・ジャーメイン・チェスタトン(バナディーヤ駐在のジャーナリスト。調査活動中に拉致され失踪、もしくは死亡)
・ジェス・リブル(ジャーメインに写真を提供した。直接的には未登場)
・“イッシャムス”のパイロット(反連合組織イッシャムスのMSパイロット。ハサン、デバリ等名前持ちがいたが全員死亡)
・金髪の少女(スティングが潜伏していた街の女の子。MSの戦闘に巻き込まれて死亡)
・ケント・デザルモ(元スプラッシュ・オブ・カラー・インダストリーの第一設計室の副室長で、現在は南アフリカ統一機構の軍開発部顧問)
・レスター・ヴィゲット(南アフリカ統一機構軍の中央情報調査局長で、階級は少将)
・オリヴィエラ・ペリア(統一機構の上部議会の議長、過去に経済開発省や軍務分局を通過してきたエリートで、次期南アフリカのトップと目されている男
Bルート簡易まとめ
間違いあったら訂正ヨロ↓
スティング・オークレー ♂ 元強化人間
基本はAルートと同じ。
色々あってアーピスへ。
ダークネスからかつての愛機カオスへ乗り換わり。
アルトゥーロ・フェルディナンテス ♂
キリマンジャロ戦で死亡。
Bルートにおいてはかませ犬。
アウル・ニーダ&ステラ・ルーシェ ♂♀ 強化人間
スティングのかつての仲間。
そして、今も仲間。
レイサイト・クレメイ ♂ コーディネイター
元ザフトの科学者で、地球に投下されたグングニールの製作者の一人。
アーピスの重鎮であり、アーピス独自の戦力の大半は彼の私兵が占めている。
かなり腹の読めない人物。(腹が読めないというよりは、割と行き当たりばったりなだけ。)
オークションを営む富豪で、小規模な民間のMS工場のオーナーでもあり、彼の趣味で開発を行うことがある。
時折オークションに出品する為に作らせた特注の機体と称して軍の眼を欺き、傑作MSを横流しする事も。
バルナード・ベイディン ♀ コーディネイター
レイサイトのメイドの一人。2メートルを超える巨体を誇る女性。
我が子らがディスティニープランで自身の方向性を伸ばせればよいと思っている。
アーピスの主力の一人。
ダグリス・ウェーリル ♀ コーディネイター
同じくレイサイトのメイドの一人。
ディスティニープランを掲げるアーピスに従っていると言うより、主の命に従っているだけである。
戦闘力は高くない。
クドラク・シュベルガー コーディクローン ♂
記憶を調整する『ゆりかご』によって、ネオ・ロアノークの記憶を植えつけられた強化人間。
その記憶を“真似る”事でドラグーンやガンバレルを扱いこなせる。
だが、無茶な肉体・精神改造により長時間安定したコンディションを維持する事が出来ず、非常に脆弱な物である。
ファルナス・クレスティアン ハーフコーディ ♂ 62歳
円卓の騎士幹部で、過激派のブルーコスモス・『氷の花』を統括する人物。
愛機は円卓の騎士から横流しされたインパルスガンダム(デスティニーインパルス)。
本職は連合のMA開発の部品下請けで、ロゴスとも繋がっていた。
ブルーコスモス派であるゲールとも面識があるものの、思想的には相容れないものがある。
アルフレッド・クレスティアン クウォーターコーディ ♂ 31歳
ファルナスの息子。実際に戦場やブルーコスモスのテロを見た事があり、戦いに怯えている。
ノイ・クレストフ ♂ ナチュラル
大西洋連邦大尉(後に少佐に昇進)でMSパイロット。『初期の搭乗機はストライクダガー』
ひたすらに任務に忠実な人物であり、友軍には優しく、敵(裏切り者含む)には躊躇い無く行動する。
ハザール隊の中ではゲールの息のかかった人物で、ティロードが派遣される以前から円卓の騎士とハザールの関わりを追っており、
彼自身も諜報の為に、円卓の騎士の一員に加わっている。
ナッシュ・ロア ♂ ナチュラル
大西洋連邦少尉(後に中尉に昇進)。ノイの部下。
性格的には頭の足りないハザールと言ったところ。
ユメア・ガリングス ♀ ナチュラル
大西洋連邦少尉。メサイア攻略戦に参加したパイロットの一人。
フラガ家の親戚であり、ドラグーンやガンバレルへの適正がある。
コーディネイター抹殺派のブルーコスモスではあるが、強化人間に対しては同情的であり、
彼らの扱いに関して上官に食って掛かることも多い。
クマハチロー・サカモト ♂ コーディネイター
大西洋連邦中佐。
新型MS、ワロスの設計者。
極度のラクスオタクで、暇さえあれば最大音量で彼女の曲を聴いている。
ブルーコスモスが跋扈する軍内ではコーディネイターであるだけで目の敵にされているが、
ゲールとその側近であるカミキが新型MS開発の名目で彼のパトロンになっているので、迂闊に手が出せない。
ジグルト・ベルンハルテ ♂ ブーステッドマン
連合の旧式ブーステッドマン(階級は大尉)。ゲールの手によって失脚した連合の中将の息子。
だいぶ人格崩壊が進んでいて非常に凶暴であり、時折暴走する事すらある。
元々はゲールに対する復讐を誓っていたが、薬にやられてもはや諦めている。
ヘダイル・バルザートン ナチュラル
元連合のエクステンデット。搭乗機は終始一貫してデストロイ。ブロックワードは家族。
リペアの処方した薬により、バックフラッシュ等の後遺症はあるものの、常人として生きる事が出来るようになりつつある。
現在は同期のエクステンデットであった、パルミールと結ばれており、
幸福の中にいる今ではブロックワードが機能せず、むしろパワーアップすらする有様である
その他
細かいところは差異があるが、基本的にはAルートと同じ。
ゲール・レイヴン、カミキ・レイヴン、ティロード・レイヴン、サラ・レイヴンに関しては、
正確に言うとBルートのほうがオリジナルでAルートがパラレルキャラクターになる。
Bルートはもともと「議長がMSパイロットだったら」スレの設定をもってきているらしい
今となってはもうわからん
以上、過疎スレなのに無駄に充実したテンプレ終了
前スレ最終投下は6月16日、再構築
Aルートと再構築に関しては更新速度は超まったりなれど継続の意思あり
Bルートは長期にわたって音信不通
オリ臭全開スレですが
初代スレが種死放送時代の怒涛期にでき、さらにSSリレーで混乱したことを考慮して
できるかぎりぬるいの目で斜め見るようにおすすめします
住人は多分職人とROMを含めても4、5人しかいません
なんせメインが種死で三年たってて今は00の時代ですので
1 :通常の名無しさんの3倍:2005/07/26(火) 21:47:41 ID:???
スティングは生きてるから
全てはここから始まりました。
艱難辛苦を経て、いまだ継続中。
なにぶん更新が超マッタリなスレ、
住人のみなさん、定期保守だけは忘れずによろしくお願いします。
スティング・遅れ
すんません。
では土曜か日曜に投下しに来ます……。
即
死
を
阻
止
って20レスで良かったんだっけかそれとも30レスだったっけか
保守
蟷螂の斧、という言葉がある。
強大な相手に僅かな力で挑むことの愚かさを言い表したもので、蟷螂とはすなわちカマキリのことである。
虫相手にとっては必殺の威力を発揮するそのカマも、自分より何十倍も大きな生き物には効果は薄い。
いかに振り下ろそうと掴みかかろうと、与えることが出来るダメージはほんの微々たるものだ。
この言葉は、逆境に置かれた人間が度々発するが、
それは強い敵に挑む自らの愚かさを嘆くためのものではなく、
言わば窮すれば通ず、死に物狂いで抵抗すれば何とかなるといったニュアンスで使われていることが多い。
意図的に意味を摩り替えているわけだ、「蟷螂の斧と言えど、当たり所が良ければ……」という具合に。
無論、大抵は逆転ならぬままに押し切られるわけだが、中には本当に6を9にひっくり返す者もいる。
最も、得てしてそういう場合は本人が思っている程「絶望的」な状況ではないことが多いのだが。
かつて、C.E.初期のとある識者はこう言ったものだ。
「蟷螂の斧でもアキレスの踵は斬れる」と。
アキレス(アキレウス)とはギリシャ神話に登場する、トロイア戦争で活躍した英雄のこと。
彼は幼き頃、母であるテティスによって冥府の川ステュクスの水を浴び、不死の肉体を手に入れた。
が、ただ一箇所踵だけは水に浸からなかったのために弱点となり、トロイア戦争ではそこを射抜かれて死んでしまう。
この識者の言葉はすなわち、弱い力でも“狙いどころ”によっては逆転に繋がる一撃を与えることが出来るという意味であり、
先述の当たり所云々を聞き触り良くした程度に過ぎない。
しかし以後、この言葉は挑む者には勇気を、挑まれる者には自戒を与える言葉として、数多の書物で引用されるようになった。
巨大なダムが針の一穴で決壊するように、清水が一滴の汚水で濁ってしまうように、
確かに僅かなきっかけでバランスが崩壊するということは現実にある。
それは、歴史上の数々の事例が確かに証明している、嘘ではない。
数百の兵士で数万の敵を散々に打ち破った将軍、
揺ぎ無い社会思想で多数の論敵を言い負かした政治家、
新発見で旧来の妄信を打ち破った科学者等々。
目の前に広がる事実に対し、『へそ曲がり』な彼らは、その弱き鎌を効果的に、また運を味方につけて振るい、事を成し遂げた。
……蟷螂の斧でも、アキレスの踵は斬れる。
なんのことはない、陳腐な合成故事である。
ローティーンでも多少の学がある者なら思いつく言葉であろう。
が、実はこの後に続く言葉がある。
それを紹介する者も少なく、ほとんど知られていないのだが、その識者は、続けてこう言っている。
「ただ、本当の勇者は蟷螂の斧ではなく、自らの力を蓄えるか相手を弱らせるかして、
対等以上の条件で“鋼鉄の斧”を振るうだろうし、わざわざ踵一本に狙いを絞ることもしないだろう」と。
得てして、最も言いたいこと、伝えたい皮肉、残したい思いは、
曲解されるか途中で切られるかはたまた修正されるかして、多くの人に届かないことが多い。
そうして時代の陰に飲み込まれていく「蟷螂の斧」たちはいったいどれ程いることか。
なお、この識者はこの言葉を残した後に事故でこの世を去った。
これ以外にさしたる事績もないままに。
彼もまた、歴史や学問、常識という強大な相手に蟷螂の斧を振るったへそ曲がりだったのかもしれない。
◆ ◆
「私たちに残された手段は少ない」
ルヴィア・デイブリーは紅茶の湯気を形の良い自分の顎に当てながら、目の前の連中に言った。
「……と、言えば悲観的に聞こえるが、なあに、見方を変えればいいだけのことさね」
「見方、ですか」
彼女のすぐ側には若い男、まだ少年と呼ぶ方がふさわしいような容姿の男が、ティーポットを大切そうに抱えて立っていた。
おかわりを要求されたらすぐに淹れることが出来るように、という彼なりの配慮なのだが、
こういう姿勢が周囲の人間から「お茶汲み」と半ば苦笑混じりに揶揄される原因になっている。
「あれこれ悩まなくていい、とね」
「程度の低い詭弁じゃねーか」
本当に科学者かよ、と続けてスティング・オークレーは毒づいた。
さて、この台詞を今までに何度ルヴィアに言ったことか。
ファントムペイン時代はアウルとステラの先導役として落ち着いた振舞いを要求されていた彼だが、
REPAIRに拾われて以来は様々な枷が外れ、かなり地が出てきた感がある。
アウルとステラと共に過ごした時間は彼にとって替え難い大切なものではあったが、
やはり戦争の道具としてしか扱われなかった頃と今では、気持ちの在り方が異なっているのであろう。
当時はアウルとステラ、そして指揮官であるネオ・ロアノークくらいしか心を開く相手がいなかった。
が、今は違う。
「あと数時間で決行って時によ、そんな程度の低い慰めは聞きたかねぇな」
「何言ってんだい、これが出来るか出来ないかで、成功率ってのはかなりかわってくるもんさ」
「スポーツやってんじゃねえんだぞ、俺たちは」
「内容は違えど、体動かすことに関しちゃ同じさ」
「で、考え付いたのが変装して潜入か。滅茶苦茶だな、おい……」
ルヴィア・デイブリーとスティング・オークレー。
喋り方を比較すればそれこそ老人と若者だが、実際は二人の間には十歳程の違いしかない。
スティングの実年齢が不明なので曖昧ではあるが、
スティングがもう少年とは呼べない容姿になっていることを考えると、
ルヴィアの年齢から計算してその差は十歳前後と見当がつけられるのだった。
「滅茶苦茶とはまた酷い言い草じゃないか、ええ?」
スティングはルヴィアを「クソババア」と呼ぶことが多いが、その理由の大半は彼女のやけに老成した口調にある。
ルヴィア本人からすれば、何も装ってこのような喋り方をしているわけではなく、自然と形成されたものなのだが……。
その外見にはそぐわない喋り方であるのは確かではあるが、不思議なことに彼女と付き合いを長くすると、
この口調以外の彼女を想像出来なくなるのが何とも不思議なところだった。
実際に女性っぽい喋り方をルヴィアにされたら、スティングをはじめヤヨイもバシムも悪寒を覚えるであろう。
「成すか成さぬか、全てはそこに行き着くのさ」
「そんなもん、なんだってそうだろうが」
偉そうにいちいち言うことじゃない、という匂いがスティングの表情から醸し出されている。
もちろん、そういう態度をとられたからと言って、そうそう簡単に怒るルヴィアでもない。
まあ、その時の機嫌次第でもあるけれども。
「そうは言うけどね、キリマンジャロでお前を助けたのは誰だい? スティング」
「それは……」
記憶に新しいキリマンジャロ麓の一件。
後に『キリマンジャロ・ラウンド』と呼ばれる局地的戦闘において、
アルトゥーロ陣営にこの時身を置いていたスティングは、そこから脱するにも脱せずに進退窮まった状態にあった。
秘密を探り出さんとあえてアルトゥーロの懐に飛び込んだスティングだったが、
謀に関してはやはりアルトゥーロが上で、二重三重の見えざるロープで縛り付けられてしまっていたのだ。
アルトゥーロの部隊と連合軍の部隊が複雑に絡み合ったキリマンジャロの戦場で、
彼を助けたのは、一度は袂を分かったREPAIRだった。
かっさらう、という表現がぴったりの電撃作戦でもって。
「あの時だって成功確率を数字で表せば、きっとたいしたもんになってただろうさ。並みの投資家なら鼻で笑うような」
「……」
「でも、今お前はちゃんとここにいる。そういうことさ、スティング」
「……ふん」
スティングは鼻を鳴らすと、ぐいっと一気にカップの紅茶をあおった。
ジルがスティングに紅茶を淹れた順番がルヴィアの次でなければ、おそらく喉を熱さで火傷していただろう。
「イチャモンもそこまでだな、スティング」
「口だけ元気でも仕方ないんだよ?」
バシム・ノルマンディとヤヨイ・ホシナの二人は、ニヤニヤといった感じの笑いでスティングに突っ込みを入れた。
二人の紅茶は順番的にまだ十分熱いので、スティングのように一気に飲むようはことはしない。
「うるせぇよ、ったく」
かつてはアウルとステラがスティングの最も信頼出来る仲間だった。
戦場においてもそれ以外の場所でも。
そして今は、この二人がそれに当たると言える。
無論、スティングは二人をアウルやステラと比べるつもりはない。
比べてもどうしようもないし、また比べるような問題でもないからだ。
背中を預けることが出来る、そしてこうやって壁を作らずに会話が出来る、それだけで彼にとっては十分だった。
「やることをやる、そして成す。それ以外に生きる道なんてないのさ。何ごともね」
「おおまか過ぎんだよ、ちっとも具体的じゃねー」
「ちゃんと計画は説明したじゃないか。何も私ゃ精神論だけで皆を送り出すつもりはないからね」
「綱渡りな計画だけどな」
「不満があるならお前が立てればいい、まだ数時間ほどあるけど、今からやってみるかい?」
「けっ」
ぐいっ、とスティングはジルに向かってカップを突き出した。
瞬時の迷いもなく、ジルはすたすたっとやって来てカップに紅茶を注ぐ。
この光景を見て、ヤヨイたちのさらに後ろ、
壁際に立っていたムサシ・ミドウ、エヴァンス・コーダ、トッシュ・マクダネルはほぼ同時に苦味半分甘味半分の小さい笑いを漏らした。
成る程、『お茶汲み』とは本当に良く言ったものだ、と。
この『お茶汲み』の少年はこの作戦において重要な役どころを担うわけだが、
この笑いは、それとこれとはまったく別の軸での感情のものだった。
「確かに本当の作戦ってもんは、もっと緻密で色んなパターンを考えておくもんだとは思うさ」
「……」
「でもキリマンジャロの時もそうだったけど、手元で使えるカードの数に限りがある」
「人員と資源と情報、か」
「そういうことさ、少ない手札でどれだけ最大限度枠を広げるかが私の仕事なんでね」
「ふん、半分バクチってことか」
「“スポンサー”に頭を下げまくれば、そりゃもっと楽になるかもしれないけど」
「何だそりゃ」
ルヴィアは本来、軍人でも何でもない。
反連合的な組織のリーダーとは言え、もともとは単に薬学が専門の一介の学者に過ぎない。
もちろん、ここまでREPAIRが戦い抜いてこれたのは彼女の統率によるところが大きいのは確かだが、
背後に控える存在の大きさがこの組織の生命線なのもまた事実ではあった。
天空より遥か上、虚空の闇に浮かぶ宇宙ステーション・アメノミハシラ……。
「キリマンジャロの一件でかなり迷惑かけちまったからねえ。度々無心をするってわけにもいかないのさ」
「だから何のことだよ?」
「独力で道を切り拓くこと、安易にゲタを他所に預けないこと。それが“スポンサー”のポリシーらしくてね」
「?」
スポンサー、つまりアメノミハシラのことについては、ルヴィアはスティングたちに語っていない。
REPAIRの中でもその存在を知っているのはごく少数に限られ、直接コンタクトを取れる者はさらに少なくなる。
単純にスポンサーと言っても、所謂プロスポーツ的な関係ではない。
物資と資金、そして情報の支援は受けることはあれど、
REPAIRはそれによってアメノミハシラの意思の代行者にはならないという“了解”を相互に交わしている。
REPAIRの存在意義と活動目的にアメノミハシラが協力の態度を取っている、
というレベルで見るのがもしかすると一番正しいのかもしれなかった。
「あっちが本格的に動くと、世界レベルの話になっちまうんからねぇ」
「あっちってどっちだよ、だから」
ルヴィアがアメノミハシラのことをスティングや他のメンバーに教えないのは、
あくまでREPAIRの立場、そして個人の意志で動いて欲しいためだった。
背後関係を知ると、どうしても素直に物事を見つめられなくなるものだ。
ルヴィアは無論、リーダーとして複雑な事情を背負い込みつつ、この世を泳いでいくつもりではあったが。
「ま、いざとなったら恥も外聞もなく巻き込ませてもらうけどさ」
ルヴィアは人差し指で眼鏡の位置を直すと、カップをテーブルの上に置いた。
アメノミハシラを、あるいはもっと大きなものを巻き込まざるを得ない事態かどうかは、あと数時間後にわかるはずだった。
南アフリカが、“円卓の騎士”が、そしてアルトゥーロ・フェルディナンテスが何を企んでいるのか。
全貌とまではいかなくとも、その取っ掛かりをつかんだとして、それが世界規模の陰謀に繋がっているとすれば……。
「いや……やっぱりそう簡単じゃないかもね」
「んん?」
「巻き込まなきゃどうにもならないって可能性も充分にある、か」
ふう、と溜め息をひとつ、ルヴィアはついた。
そもそもの始まりがどこかすら、まだハッキリとしていないのだ。
終わりがどこにあるかなんて、わかるはずがない。
「ま、悩んでても仕方ないか」
「一人でくっちゃべって一人で結論出すなよ」
「はいはい、お茶会は終わりだ。各自、決行まで短いけど休んでおくれ」
「結局何だったんだよ、何のために集まって茶なんぞ飲んだんだ」
「こうやってわざわざリラックスする時間を作ることは大切なのさ」
「今は深夜で、あと数時間で動かなきゃなんねーんだがな」
「それでも、余裕ないままに即決断即実行しなきゃならないよりはましだろう?」
「屁理屈だな」
立ち上がるスティングを見て、ルヴィアは微笑んだ。
精神状態に特に問題がないことを、この一連の会話で理解出来たからだ。
「切れ味鈍くちゃ使い物にならないからね、例え蟷螂の斧でもさ」
「何をまたわけのわかんねぇことを……」
「何でもないさ」
何が起こっているのか、何が始まろうとしているのか。
それを知るための“生身での戦い”がもうすぐ始まる。
その結果どう事態が転がっていくのか、スティングもルヴィアも、明確にはわかっていない。
が、仮に世界規模の事件だとすると、早いうちに手を打つことが大切になる。
船の底に開いた穴は、小さなうちに塞がねばならない。
広がってからでは遅いのだ、力が及ばなくなるから。
本当に振るうのが蟷螂の斧しかなくなったらおしまいなのだ。
「自分で蟷螂と認めちゃマズイ、かね……」
誰もいなくなった部屋で、ルヴィアは皆が出て行ったドアに向かって呟いた。
そしてジルが置いていったティーポットを取り上げると、カップに注ぎ、口をつけた。
「こりゃ……不味い」
紅茶は、すっかりぬるくなってしまっていた。
次回に続く。
……今年の年頭の時点では、今夏くらいには終わるつもりだったんです。
が、まだ、まだまだまだ続きます。
遅筆で申し訳ありません。
それと訂正があります、
>>23の
>その外見にはそぐわない喋り方であるのは確かではあるが、不思議なことに彼女と付き合いを長くすると、
>この口調以外の彼女を想像出来なくなるのが何とも不思議なところだった。
の
>外見にそぐわない喋り方であるのは確かではあるが、不思議なことに彼女と付き合いを長くすると、
>この口調以外の彼女を想像出来なくなるのだった。
に直します。
すんません。
では、またいずれ……。
おつううううううううううううううううう
カコ氏もカモォォォォン!
カオスガンダムはなんか色がいまいちだった気もするな
即死回避
浮上保守
過疎りすぎだろ
保守
保守
保守
ノシ
んが
スティング終電に間に合わず
終了。
スティング「走って帰るぜ!」
とく
保守
俺も保守だ。
ジェットスティングアタック
ヤーホイヤー
カコ氏と連合兵氏ー
まだ生きてたら書き込みをー
保守
あ
り
さ
ん
マ
ン
52 :
通常の名無しさんの3倍:2008/08/27(水) 16:59:25 ID:9r1QOFop
ク
の
引
越
社
キリンさんが好きです
でもぞうさんはもーっと好きです
保守
雨
生きてます!
近いうちに投下したいと思います
遅筆で申し訳ない
おー、お久!
カコ氏お久しぶりです!
投下お待ちしてます!
福田辞任保守
スパロボZのPVに兄さんが出てくるとは・・・
しかも、アウル&ステラと合体攻撃とは・・・
ほー
もー
67 :
通常の名無しさんの3倍:2008/09/07(日) 18:02:40 ID:uTxrlHzP
ほす
保守
よかったな!
出番があるだけでうれしいぜ
下の箱も1/100カオスだったら完璧だったのに
これは愛だな
☆
カオスって結構ごついよな
ほしゅ
カオスは個人的には色がな…
まああれはあれで渋くていいが
火悪朱
世界樹の迷宮むずい
崖の上のほしゅ
ほ
し
スパロボ、兄さんが仲間になるルートはありませんか?
nai
保守
お前もバカを待てよ、バカを
放送前日保守
89 :
通常の名無しさんの3倍:2008/10/05(日) 12:29:44 ID:GYAJN7gq
保守
保守
スッススステステ
きしめーん
テイルズオブジアビスおもしろいな
ふははは
保守
「まったく、あのクソ編集長め……」
ダグ・フォードは舌打ちをしつつ、冷めてしまったコーヒーを喉の奥に流し込んだ。
この喫茶店に来てから、さて何回目の舌打ちであるかは、もちろん彼は数えてはいない。
今、彼の目の前のテーブルには、、不味いコーヒーとニュース・カード(携帯型電子新聞)、
そして一つの小さなメモリー・スティックが乗っている。
「後で頭を抱えても知らんからな」
彼は今年で33歳になる、フリーのジャーナリストである。
フリーと言っても、文字通り完全に自由に活動出来るというわけではない。
それこそ業界で一目置かれる程の偉大なジャーナリストならともかく、
彼のような若手に毛が生えたような者は契約形式でそれぞれの雑誌や電子新聞に記事を“持ち込む”のである。
無論、持ち込みだけでなく依頼を受けて取材をすることもあるが、
まだまだ彼は大手のマスコミに注目されるようなやり手とは言えない存在だった。
「だがしかし、これからどうするか」
彼は政経情報誌『ワールド・ビジョン』に記事を持ち込み、編集長にダメ出しを食らって突っ返されたばかりであった。
つい一時間程前のことである。
彼は顎に手を当て、考え込んだ。
決して美形とは言えない容姿の彼だが、顎の形に関してはいささか自信を持っている。
かつて妻だった女性は、婚約当初よくそこを褒めてくれたものだった。
今にしてみればそこ以外褒めるべき場所がなかったのではないかとも思えるのだが。
「『フレアデイズ』は……多分ダメだろうな」
ダグ・フォードはコーヒーカップを手に取り、そしてまた戻した。
中身はほとんど残っていなかったからだ。
目敏くそれを見つけたウェイトレスが「おかわりはいりますか」と尋ねてきたが、
「結構」という最低限の言葉で彼はそれを拒絶した。
冷めると不味いが、温かくてもやはりおいしいとは言えないここのコーヒーだった。
料理の方は決してお粗末ではないのに、何年経っても進化しないこの喫茶店のコーヒーは彼の人生に数多くある不満の一つでもある。
ならば、と別の店に鞍替えしない辺りは、駆け出しの頃から利用させてもらっている義理と言えるかもしれない。
「くそっ、ちゃんと読んだのか、あの編集長」
舌打ちと同じくらいの頻度で、彼は『ワールド・ビジョン』の編集長に文句を言い続けている。
『ワールド・ビジョン』は一流の政経誌ではないが、だからと言って三流でもない。
業界内での信用度や影響力は無視出来ない程度にそこそこ、といった感じである。
もともと立ち上げた初代編集長の方向性が、「二流であっても三流にはなるな」というものだから、
ある意味初代編集長の意志を継いで、徹底しているとは言えるかもしれない。
もっとも、その「二流」というのは決して卑下したものではなく、一流と呼ばれるようになってしまうと色々と枷がつくから、という理由であるが。
「狙いは決して間違っていないと思うんだがな」
テーブルの上のメモリー・スティックを、彼は取り上げた。
その中には、彼の数カ月に及ぶ取材の成果が入っている。
すなわち、南アフリカ統一機構と、その裏にあると思われる軍需産業の関係についての記事が。
そもそも、彼がこの取材に取り組む発端となったのが、『ワールドワイド』誌に掲載されたとある記事だった。
ジャーメイン・チェスタトンという名前の記者が書いたそれは、南アフリカ統一機構が密かに開発を進めている、
もしくは南アフリカ統一機構が裏で結託している他の“何か”によって提供されたと思われるMSについて言及したものだった。
親連合派だった南アフリカ統一機構が隠密裏でMS開発を行っているというだけで十分火種であるのに、
当時はアフリカ一帯で反連合運動が活発化している時期でもあったため、業界では少なからず注目を集めた記事であった。
数点の写真とベテランらしい説得力のある文章で進められていた記事は、だが連載の途中で永遠に中断することになった。
執筆者であるジャーメイン・チェスタトンが取材活動中に謎の失踪を遂げたからだった。
『ワールドワイド』を発行しているイーストウエスト社はチェスタトンの意志を受け継ぎ、
「ペンは剣よりも強し」を実行すべく追及に当たったが、今現在も目立った成果はあげられていない。
そこで、ならばと誰に許可を得るでもなく、勝手に、密かに名乗りを上げたのがダグ・フォードなのだった。
おそらく裏の事情で永遠の中断を強いられたその記事に対して、
独自視点の補完を行いたいという欲求や、ジャーナリストの端くれとして仇を討ちたいという義憤はあった。
しかし何より、世間に真相を発表して得られるであろう“名誉”に心動かされたのは否定出来ないところではある。
「一発当てる」ことを夢見るのは、どこの業界でも同じなのだ。
また、それ無くしてなんのジャーナリストか、とも言えるかもしれない。
とにかく、彼は先人の成果(と言っても、『ワールドワイド』誌に載った記事だけだが)を頂戴し、行動を起こしたのである。
そして彼独自の伝手を使って情報を集め、整理し、形にしたのがメモリー・スティックの中に入っている記事というわけだった。
「……すまないが、やっぱりおかわりをくれないか」
真横を通ろうとしたウェイトレスに、ダグ・フォードは声をかけた。
胸の奥にある憤りが主成分の感情は、美味しくないとはいえ熱いコーヒーを欲したのだ。
ウェイトレスは嫌な顔一つせず、カップに新しいコーヒーを注ぐ。
内心はともかく、露骨に態度に出さない辺りは、なかなかに店長の訓示が行き届いている結果と言えようか。
さて、彼の自信作であるその記事だが、『ワールド・ビジョン』の編集長は一晩それを預かった後、ダグ・フォードにこう言って突っ返してきた。
「残念だが、この記事は載せるに値しない」と。
誌面の事情があるから載せられないのではなく、載せるに値しないとはどういうことか。
彼は編集長に詰め寄ったが、返ってきた言葉はにべもないものだった。
「性急に過ぎて、公正な内容とは言えないね」
「何処が性急で、公正じゃないというんですか」
ダグ・フォードにしてみればそれは正当な抵抗ではあったが、編集長は揺るがなかった。
君もウチに長いこと寄稿しているんだ、わかるだろう、
情報と言っても裏付けが怪しい、推論も無理がある部分がある、何より結論が過激すぎる……。
三十分程押し問答をしたが、とうとう彼は編集長の意思を撤回させることが出来なかった。
「結局のところはね君、最初の部分がおかしいんだよ」
情報の裏付けが怪しいから、その後の文章展開が大きく狂ってくるのだ、というのが編集長の主張だった。
すなわち、情報自体が信用出来る程の量と質ではない、ということだった。
「そんなことありませんよ、私は信頼出来る伝手を頼ってですね」
「君が信頼していても、私は信頼しているわけではない」
これがトドメだった。
ダグ・フォードが編集長に対して出来たのは、メモリー・スティックを奪い返し、
肩をいからせて部屋から退出することだけだった。
「馬鹿にしないでくれ、俺だってこの世界で十年メシを食ってるんだ」
ダグ・フォードにも自負がある。
が、やはりそこは最終的な力関係がモノを言ったのだ。
「急ぎ過ぎた、ということはない……はずだ」
現在の『ワールド・ビジョン』の編集長が前代、前々代に比べて保守的というか穏健路線と言われている。
彼の代になって苦情が極端に減った、というのがそれを象徴しているが、
それゆえにダグ・フォードのような「ペンが鋭い」タイプは遠ざけられている面は確かにあった。
それでもこれまで上手くやってきたし、彼も『ワールド・ビジョン』を持ち込みの第一の札に選択していた。
が、前代の編集長の懐刀であった副編集長が異動したことで、決定的な何かが変わってしまった感じはあった。
「そりゃ、確かに強引な部分は無い、とはいえないかもしれないが」
メモリー・スティックの代わりにニュース・カードを手に取り、適当に操作しながらダグ・フォードは呟いた。
やや語気が弱くなってきたのは、編集長に指摘された点が全て的外れではない、という思いが胸の奥で湧き出してきたからである。
個人的には前代の編集長の方が付き合いやすかったのだが、かと言って現在の編集長の能力も過小評価はしていない彼だった。
「いや、まだだ、まだだ」
情報の質と量が足りない、と言うのであれば、それを増量すればいい。
それによって導かれる結論が変わってしまう可能性もあるが、公表するとなれば記事の信用性が第一である。
読み手に疑問を抱かれるよりも、納得してもらうのがジャーナリストの仕事のはずである。
「ペンは剣よりも強し」という格言を必ずしも信奉していない彼だったが、
「歴史には三つの種類がある、すなわち勝者が紡ぐ歴史、敗者が紡ぐ歴史、そして第三者が紡ぐ歴史」という言葉は強く信じている。
第三者によって紡がれる歴史こそが最も公正であるべきで、公正であるためには何より情報と冷静な視点が必要になってくる。
そして、それを出来るのが権力者にも会社にも首輪の鎖を預けていないフリーのジャーナリストというものだろう。
「よし」
熱くなり過ぎていたところが確かにあった、とダグ・フォードは思い直した。
今回は編集長によって良い冷水を浴びせてもらったのだ、と考えれば、十あるうちの八くらいは怒りを押さえこめる。
「……とは言え、これからどうしたもんか」
決意新たにした彼だったが、しょっぱなから壁にぶち当たることになってしまった。
再び取材活動をするには展望が必要だが、手札をほとんど使ってしまったために、今の彼にそれがない。
「いや……うん、そうか」
古来より、取材の基本は足、つまり歩くこととされる。
指先一つで最新情報が得られる現代だが、やはり現地に赴き生で聞く声は重たさが違う。
「……」
ダグ・フォードはしばらく無言でニュース・カードを操作した。
そして数分後、望みの答えを手に入れることが出来、頷いた。
ニュース・カードが表示した記事には、次のようにあった。
南アフリカ統一機構の都市ケープタウンにて来週、統一機構の経済振興協会のパーティが開催される、と。
「乗り込んで、この目で見て、この耳で聞く。なら……」
もしかしたら何か重大な情報が手に入るかもしれない。
手に入らなくとも、それに繋がる紐の端は掴むことが出来るかもしれない。
「これだな」
彼は席から立ち上がった。
再度、『ワールド・ビジョン』の編集長に会うために。
会って、このパーティに潜りこめるよう取材許可証を貰うために。
「すまん、会計を頼む。ああ、カードで払う」
さっきのウェイトレスに声をかけ、支払を終えると彼は店の入口の自動ドアへと向かった。
テーブルの上には結局手付かずのままの「おかわりされたコーヒー」が残され、虚しく湯気を天井へと昇らせていた。
ウェイトレスはそれを片付けながら、今度は明らかにムスッとした顔をしたが、
彼の背中には目がついていなかったので、それを見ることはなかった。
ダグ・フォード、33歳のフリー・ジャーナリスト。
この丁度一週間後、彼はケープタウンのシューメーカー・ホテルにて、『事件』に巻き込まれることになる―――
遅れまくっててすいません、今回はここまでです。
全然スティングが出てこなくて申し訳ありません。
時間的には前回がパーティ前夜ですので、そこから一週間前の話ということになります。
このジャーナリストのキャラはそれこそ二年以上前の初期の頃から出す機会を窺っていましたが、いままでずっと先伸ばしになっていました。
スティングが最終決戦を迎えるにあたって、重要な役割を果たしてもらうことになると思います。
一か月以上空けたくはないのですが、仕事が忙しくて……すいません、言い訳ですね。
頑張ります。
投下おーーつ!
いまからゆっくりと読ませてもらいますぜい。
オリ…
ラジ
武勇伝
そういや三ヶ月規制はどうなったん
105 :
通常の名無しさんの3倍:2008/10/26(日) 11:03:47 ID:ZZGGiVnV
チャーハンこいあげ
今度期限で落ちるのっていつ?
保守
ほしゅ
109 :
議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/01(土) 17:03:27 ID:JHvPRFZ7
保守
絶対
つかスティングって誰ですか?どのガンダム作品のキャラ?
…種死だよ
このスレは放送中から続いてる
前になってしまうんだなあ
リレー時代はまだ住人がいたんだけどな
過疎
浮上
フォウ「お休みなさい、スティング・・・もう貴方は戦わなくていいのよ」
スティング「やだよ」
保守
age
>>116 新生ファントムペインやめろwww思い出して泣けるじゃねーかwww
ファントムミサイル
炒飯は声がないというのに
イヤッフー!
生きてます
ですがまだかかりそうです
フーン
あげ
カコ氏は?
つうか本当に終われるのかねえ
hosyu
げ
種死も結構前になるよなあ
スパイラル氏はどうしてるだろう?
保守
スパロボでは活躍してんの?
スパロボではかなりいい扱いだよ。
出番はそんなに多くないけど内容が濃い。
シナリオやセリフが泣かせる。
あと原作よりも性格のよさが強調されてたと思う。
そうかー良かったなオクレ兄さん
ジージェネSEEDのオリジナルシナリオみたいな活躍?もあれはあれでオツだったが
保守
こんなペースでもここまでもってるこのスレの生命力は異常
種死はあの三人をもうちょっとうまく使えなかったもんかねー
ガンダムのデザインがなー
保守
141 :
通常の名無しさんの3倍:2008/12/08(月) 12:09:21 ID:NxpS7Cjo
保守
連合兵氏は
懐かしいなーオクレ兄さん
結構種死も昔だからな
145 :
通常の名無しさんの3倍:2008/12/14(日) 15:56:34 ID:o32APCWA
放送日保守
146 :
通常の名無しさんの3倍:2008/12/14(日) 23:20:42 ID:jaXnqhFR
スティングをもっと格上の中ボス的キャラにすればよかったのに
アスランでやっと善戦できるくらいの
で、他のライバル関係が
シン <>ステラ
ルナマリア<>アウル
レイ <>ネオ
キラは行方不明で。
なんのためにいたのかねえ、幻視痛
俺は信じてるぜ、このスレを
あいよ!
150 :
通常の名無しさんの3倍:2008/12/24(水) 07:38:47 ID:skncYwF6
ほしゅ
151 :
通常の名無しさんの3倍:2008/12/27(土) 09:35:40 ID:PpX3q2++
年越しすんぞおまえら
諦めんな
アウルの死に方はトラウマレベル
メット内に水が入ってきて次の瞬間には水に血が滲んで
目を見開いたまま体が浮き上がる描写は生々しすぎるだろ
もうこのスレ、ゴールしてもいいんじゃ
ドー
155 :
通常の名無しさんの3倍:2009/01/01(木) 00:31:18 ID:uP3yJ5S0
あけおめー
め
157 :
通常の名無しさんの3倍:2009/01/11(日) 17:13:05 ID:RM/p5Zen
保守
いよいよダメか
希望
160 :
通常の名無しさんの3倍:2009/01/25(日) 11:34:53 ID:OzAItPBo
絶望
ほしゅ
162 :
通常の名無しさんの3倍:2009/01/31(土) 12:43:47 ID:B9Tm0yE8
なんじゃああこりゃああ
ほしゅ
募集
165 :
通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 14:20:03 ID:CamTkv64
☆
なんか言えコラ
保守