種キャラをONEPIECEの世界に放り込んでみる・十人目
2
5 :
通常の名無しさんの3倍:2008/07/26(土) 09:44:02 ID:AoNdq/hC
よっしゃ!
誰かまとめのほうも更新してくれ!
せっかく原作が盛り上がりまくってるところだし、このスレにも活性化して欲しい
かってここにいた職人さんたちがスレができたことに気づいて戻ってきて欲しいところだがどうしたものやら
戻ってきても投下する前に落ちるなんてこともあるが
埋めればいい…と言いたい所だが、ソレだと埋め作業人しかいないスレになりかねんからな。
誰か新規職人になってみては?と言ってみるテスト。
ちなみに俺は無理。最近アニメも原作も見れてない…っていうかついて行けてない。
たまにアニメの作画がおかしいんだよ…サンジのグル眉ヒドスとかかなり多いからな。
アニメの作画がときどきおかしいのは同意
原作派の自分はあまり気にしてないが
11 :
9:2008/07/27(日) 22:56:01 ID:???
>>10 そうなのか。アニメから入った俺にはアレは結構ガックリだったぞ。
ま、アニメ批評はこの辺にして、俺は名無しに戻るよ。
六式使いのシンが活躍する話が面白かったな
少なくともロビン仲間入りするまでは見たかった
出来ればルッチ達との戦いも
>>12 同意だ。
他のもなかなかよかったしな…職人様の早い復帰を祈るばかりだ。
ワンピクロス最大の難点はやっぱ原作が異様に長い事だろうか
大半が戦闘のgdgdに費やされてるといっても、矢張り50巻以上ものストーリーは半端な長さではない
なので新規で、ある程度ワンピキャラと交流持たせようとする結構初期の段階から始めなきゃならないし、そうすると現在の時点に辿り着くまでに作者が力尽きてしまうといったところか
>>14 確かにソレは言えてるな。完結させようにも展開が、
⊃シン、元の世界へ。ルフィ達のその後は解らないが、上手くやってるだろう…
ってコトになっちまうよ((゚ロ゚;))ザクグフゲルググ
とりあえずアラバスタを超えられるかどうかが最初の難関だと思う
しかしまとめで見る限り意外と飛ばし飛ばしだぞ
原作キャラの活躍はカットしてるしね(当然だが)
なんにしてもあれだ、楽しくやれればそれにこしたこたぁない
>>15 一応このスレはシン救済のためだったはずだ、戻っちゃ駄目だろ(確かワンピならシンをかっこよく活躍させてくれるはず、て)
第一ラクスの下とルフィの下、どっちがいい?
18 :
15:2008/07/28(月) 17:05:43 ID:???
>>17 スマソ、そういやそうだな。ダンチでルフィのトコの方がいいに決まってるし。
ラクスは色々と惜しいんだよな。種ではまだマトモだった…と思う。やっぱし負債が1番の悪。
あ、ちなみに俺、種と種デス見てねぇから、ラクスがマトモなワケねぇとか言わんでくれ。
見てないあなたに朗報が、初登場時は頭のネジを絞め忘れただけのまともな天然娘。
君の言う通り、再登場時も最初はゆるキャラかと思わせる。
だが、キラが地球に帰ると言い出したら、工作員とキラをつれザフトの最高機密フリーダムを突然パクリ、キラにあげる。などと言う電波ゆんゆんのテロリストぶり。
それは種死最後までかわらない。ちなみに自由強奪で親は売国奴として射殺されたよ。
20 :
18:2008/07/29(火) 00:12:40 ID:???
>>19 補足dクス。おかげで彼女の電波たる由縁が痛い程理解出来た。
まぁ…ソレも要は負債の呪いなんだと勝手にこじつけてみるテスト。
「機動海賊ONEPIECE Destiny」なら、CP9編で終了できる可能性はあるな
シンが最後に六式を完成させて、まあ主人公補正ってことでここだけルフィの代わりにルッチを倒して、ロビンの問題が解決して、俺達の旅はまだこれからだ、だと綺麗に終われそうな気がする
勿論、できればその後の話も読んでみたいところではあるが
無理だと思う
シンがルッチにねぇ・・・どう考えても無理だと思う
当時のゾロを越えてなきゃいけないし、なにより主役補正はシンには絶対働かないだろアスランじゃあるまいし
あと個人的な意見だが種死ではシンって戦艦やデストロイバッサバッサ斬ってたからなんか六式って合わない気がするんだ
とは言っても職人様のssは楽しく読ませてもらってるが
まあワンピで強さ云々言い出しても絶対結論出ないから…
あいつら常に補正だけで勝ってるようなもんだし
>補正だけで勝ってる
それは作品に対する冒涜だ こんな事言ってるとフィクション物は全部駄目じゃん
以後スルーで職人madaー?
ワンピは基本的に好きだが、飛ぶ斬撃と燃えるキックが出てきたときは流石にジャンプを地面に叩きつけたくなった
これならシンがいきなり両手を十字に組んで破壊光線だしても驚かない
>>26 君は少年漫画読まない方がいいぞ
最近終わった某テニス漫画を読んだら死ぬかもしれん(他も似たり寄ったりだぜ)
ボンド砲はワンピの黒歴史だな確かに
あれを褒めてる奴だけはおよそ見たことがない
あれ、ボンドなん?
これまでずっとポンドだと思ってたよ
ゾロはアラバスタ篇の方向で突き詰めるんだと思っていた俺の予想を
どうしてくれるんだと空島篇でビックリしました
「ポンド」が正しい
俺もゾロは接近戦オンリーのキャラでいて欲しかったらあの技だけは許容しがたい
この先、仮にSS書くにしてもあれだけは封印するつもりでいる
個人的には阿修羅もどうかと思うけど
俺的にポンドはまだ許せたが…阿修羅が出た時、ちょっと引いた。お前はっちゃんに言ったコト自分で忘れてんじゃねぇよって…
あの瞬間だけゾロが、ひいてはオダッチが嫌いになったのを覚えてる。CP9編は所々残念だった。
救われたのはやっぱし、メリーの名場面だな。あれはかなり感動した。
俺はむしろゾロかっけぇぇぇ!と思ってたが
>>30 是非とも書いてくれ
保守
保守
保守乙。
保守
Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄
>>159 ほおそういうこと言うんだねw
だったらキミも喜久子さんみたいにこういうコスプレ堂々と出来るかね?
ttp://seikotei.net/uploads/photos/118.jpg
保守
シンがパシフィスタを見たらビビるだろうな
トンデモ自然現象やビックリ人間は見慣れても、よもや帆船にマスケット銃な技術レベルの世界でビーム発射する等身大兵器に出くわすなんて想像もつかんだろうし
>>39 せめてシンにとっての嫌な思い出が蘇らないように祈ろう…
シン「ビームなんざ見てからでも躱せる!」
ウソップ「そりゃお前だけだあ〜!」
となる訳ですね、分かります
>>39 ライフル銃やガトリング、迫撃砲に時限爆弾に潜水艦まであるから技術力はそこまで低くない
あの世界でマスケット銃なんて使う奴いないよ。ウイスキーピークの子供でも立派な銃持ってたし
>>41 そのくらいできないとあの世界では生きていけない気がするw
大砲の弾丸とかはいまだに球形だったりするけどな
何つか、ある意味CE以上に科学技術の進歩が歪な世界観だ
>>44 大砲なんだから球形じゃないと逆にダメなんジャマイカ?よく解らんが…
しかしフランキーがオーズに撃った迫撃砲は球型じゃなかった気がするが
47 :
601:2008/08/05(火) 20:09:26 ID:???
どうもお久しぶりです。まさかスレが復活してるとは思っていませんで、気づくのが遅くなりました。
48 :
601:2008/08/05(火) 20:10:48 ID:???
機動海賊 ONE PIECE Destiny 第28回
クロコダイルをぶっとばせば良い、そう言ったルフィの試みは、結論から言えば、失敗だっ
た。
超人系とも、動物系とも違う悪魔の実の能力。スモーカーやエースと同じ、自然の構成物そ
のものに体を変化させる、自然系悪魔の実のひとつ、スナスナの実の能力者であるクロコダイ
ルには、まともに攻撃が通用しなかったのだ。
結果、サンジとチョッパー、ビビを除く一味全員と――執拗にシンを追跡していたナタルは
レインベース地下の海楼石を仕込んだ檻に閉じ込められる結果となっていた。
「何故、貴様がこんな所にいる!」
同じ頃、地上でペルと言うアラバスタの衛士がミス・オールサンデーに向けてそう叫んだの
と同じ感想を、シンもまた、彼女に対して抱いた。
ペルをあしらい、遅れて現れたミス・オールサンデー、すなわちニコ・ロビンに対してでは
ない。
彼女に伴われて自分たちの前に現れたその女性、コードネーム「ミス・エイプリルフール」
に対してだ。
その女性の本名は――
「何でアンタがそんな所にいるんだよ! ミーアさんだろ、アンタ?!」
シンの叫びに、周りの皆は首をひねり、呼ばれた女性、キャンベル・ミーアはびくりと肩を
すくめた。
「待てシン君。彼女は、ラクス・クラインではないのか?」
「色々と、複雑なんですよ、その辺は」
「むう……」
ラクス・クラインならば面識もあるナタルではあったが、ミーアと言う名前には聞き覚えが
なかった。
「あなた達、知り合いだったの?」
「……知りません。私は、何も知りません」
だが、ニコ・ロビンに問われたミーアは、シンの方を見ようともせず、かたくなに首を振る
ばかりだった。
49 :
601:2008/08/05(火) 20:11:42 ID:???
「こう言ってるわよ、赤服君?」
「ミーアさん! 解ってんのかアンタ?! そいつらはなあ!」
「黙ってよ! 知らないわよアナタなんか! 知らない! 知らないわ!!!」
「ミーア……さん」
「何でよ? 何でアナタなの? 何でアナタなんかなのよ!! 何で、何でアスランじゃなか
ったの?!!」
「――!!!」
絶句するシンに、ロビンが「ふられちゃったみたいね?」と苦笑を漏らした。
「くだらねえ話はその辺にしとけ」
始終つまらなそうにしていたクロコダイルは、そううそぶくと、シン達に向かって死刑宣告
を下した。じき、この地下室は水没すると。
遅れてやってきたビビをあざ笑い、檻の鍵を巨大なバナナワニに飲み込ませ、何をしてもお
前たちは自分には勝てぬと宣言さえして見せた。
「お前らは無力だ」
そうあざ笑い、ロビンとミーアを伴って、クロコダイルは立ち去っていった。
−−−−−
「シン……さっきの人って、アンタの知り合いだったの?」
「ミーア、と言っていたな。見た目はほぼラクス・クラインその人だったが」
ナミとナタルの問いに、膝をついていたシンは、ゆっくりと立ち上がりながら答えた。
「彼女、影武者だったんだ」
「影武者ねえ……なんだ、その、ラクスとか言うののか?」
ゾロの言うのに、うなずいて続けた。
「俺のいた国にはさ、歌姫って呼ばれてる人がいたんだ。共和制だから本物のお姫様って訳
じゃないんだけど、偉いさんの娘でさ、歌手をやってて、国民にも大人気でさ」
「なるほど……でも待てよ? ただの歌手に影武者なんて用意するかあ?」
「ウソップがそう思うのも当然だ。実際、彼女はただの歌手じゃなかった。ギルバートさん、
覚えてるだろ? あの人が元首になる前、大きな戦争があったんだ。ラクスって人は、その
戦争で大きな役割を果たしたんだよ。カリスマって言うのかな、大勢の兵士がその人の掲げた
言葉に従った」
「確かに、彼女ほどカリスマと言う言葉が似合う存在も珍しかったな」
50 :
601:2008/08/05(火) 20:12:27 ID:???
「え、ちょっと待って。少佐さんも知ってるの?」
「まあ、私もその戦争に参加していたのでな。まだ、海軍に入る前だが」
「ところがだ。その戦争が終わった後、彼女は行方をくらましちまったんだ。これは、ナタル
さんも知らないだろうけど」
「……初耳だな、確かに」
「そりゃいくら何でも無責任じゃねえのか? カリスマって事は、旗頭に立ってたんだろ、そ
の歌姫とやらは」
「ゾロもそう思うよな。実際、当時のお偉方は皆困った。何しろ、国の精神的な柱になる筈の
人がいないんだから。いくら共和制だって言ってもさ。影響力がでかすぎた。だから――ギル
バートさんは、一計を案じたんだ。ラクスと良く似た声の持ち主を、手術で顔を変えて、ラク
スに仕立てよう。ラクスの役割を演じさせようって」
「それが、あのミーアって人なのね」
「けどよお、顔を変えるって、あのオカマ野郎じゃあるまいし、そんな簡単に」
「まあ、手術だからな。その辺の技術はあったんだ、あの国は」
「チョッパーが聞いたら血相変えて行きたがりそうな所ねえ」
「アスランってのは、何者なんだ?」
ゾロの問いに、ぴくりとシンの体が痙攣するような動きを見せた。
「ちょ、ちょっとゾロ!」
「そうだよお前少しは考えて発言しろよ!」
「あー、とりあえずお前らが思ってるような関係じゃあないから」
「アスラン・ザラ……ラクス・クラインの婚約者だったな? いや、婚約は解消したんだった
か?」
「解消ですね。実際、アスランは別の国のお姫様とねんごろになってますし」
「……それもまたどうかとは思うがな」
「アスランは、俺にとっては元上司で、裏切り者で、敵……と言うか、相棒の仇、そんなよう
なもんだな」
「穏やかじゃねえな、ずいぶんと」
「実際あの頃はそうとうトサカに来たよ。散々説教されたし、殴られもした相手が、いきなり
寝返ってアークエンジェルに行っちまったんだから」
いっそさばさばした表情で言うシンの言葉に、皆一様に首をひねった。
ナタル一人を除いて。
「待て。今なんと言った? アークエンジェルだと? あの艦が何故そこで出てくる!」
「何故って、そりゃあラクスのエターナルなんかと一緒に行動してたからですよ」
「連合に返還されていなかったのか?! 幾らなんでもそれは無茶だぞ!」
「いやあの、俺に怒鳴られても」
「誰だ。誰があの艦をそんな私物化まがいのまねをやらかした! どこの馬鹿だ!」
51 :
601:2008/08/05(火) 20:13:44 ID:???
「えーっと……確か、前の戦争と同じだったんじゃないかな。確か、マリューだかマニューだ
か、そういう名前の」
シンの言葉に、ナタルはぐらりと体をよろめかせた。
「と、だ、大丈夫すか? 海楼石の影響すか?」
「な……何をやっているのだ、貴女は……あの牛女が!」
周囲の皆を置いてけぼりなそんな会話の直後、一切合切を洗い流しかねない素っ頓狂な叫び
が響き渡った。
「ナミっすわぁ〜ん!!! アナタのプリンスが今助けに参りましたよ〜!! って、何やってんだお前ら。ああっ!! こちらにはいつぞやお見かけした美しいお姉たま!!」
珍妙眉毛プリンスのあまりにせわしない登場に、全員が返した反応はほぼ一致していた。
『良いからちったぁ落ち着けこの面白眉毛!!!』
To be continued...
−−−−−
あらためまして、お久しぶりです。
途中マシンの乗り換えなどがあり、作ってあった粗筋のテキストなどを紛失してしまった為、
このようなストーリーを飛ばす形での再開になってしまい申し訳ありません。
今のところ私案としてはアラバスタでひと段落、その後デッドエンドレースをはさんで空島、
からくり島を挟むかどうかは微妙ですが、デービーバックファイトは短めに流してW7へ、
と言う予定で考えてます。
まあどこまで続けられるか確証できないのが我ながら情けなくありますが。
最低でもW7まではシンを絡めたネタは考えてあるんですけどね。あ、ルッチとは戦わない
ですけど。
盟主王改め商人王の件もありますし、フェイスのバッジの件も残ってますし。
個人的には時代劇ワンピースにもシンをつっこんでみたいんですけどね。ロビンと同じ隠密役とかで。
では、またいずれ。
601氏乙GJ!
続きが気になります!
GJです。
そりゃナタルさんも怒鳴りたくもなるよなぁ……フレイがキラの現状聞いたらどうなってしまのやら
またお一人職人さんが帰ってきてくれた。こんなにうれしいことはないよ
うおお〜、再開キター!!
もう続き読めないんじゃないかと思ってたので、こんなに嬉しい事はない
確かにかなり話がブッ飛んでますが、まあそこらへんは原作と照らし合わせて脳内補完するか…と思ったら、そっちの内容も半ば忘れてる事に気付いた
久々にブクオフにでも立ち読みに行こう
飛ばすなよ
気になって眠れもしないじゃないかw
前のを読み返してみたら、シンがエースにフェイス徽章を渡されたところで終わってたのか
確かにこの間に何があったのかスゲー気になる
>「何でよ? 何でアナタなの? 何でアナタなんかなのよ!! 何で、何でアスランじゃなかったの?!!」
ミーアのウザさがパネェなw
最期の時だって碌に守ってもくれずに拳銃つきつけたりした禿の何処がそんなに良かったんだ
確かにな…
けどまぁ、こっちに来て救われれば、少しは彼女も変われるんじゃね?
こっちに来てから出会いに恵まれたシンと違って、ミーアの場合はひたすら虐げられ利用されてた状況な上に、凸以外に自分守ってくれそうな知り合いが碌にいないってのが人格に影響及ぼしてんじゃね
議長はミーア視点だと、むしろ自分を利用して斬り捨てた側だって認識だろうし、シンはその子飼だしな
ともあれ、普通ならこんな事言う女は見捨てるところだが、シンは助けようとしちまうんだろうなあ…
大丈夫!ルフィがいるから!
ああ、スモーカー大佐の見せ場が……
いや、なかったか?
バナナワニの唸り声の違いを見抜いた素敵な人は誰なんだろうか?
今週のアニメで棺桶に眠っていたシンドリーちゃんがステラに見えたのは俺だけか
>>62 その展開だと槍使いシンが発狂しちゃうよ…
あの職人様、戻って来ないかな。俺、あの話好きだったんだけど…
64 :
514:2008/08/09(土) 01:08:08 ID:???
ごぶさたしております。「『ONE PIECE』VS『SEED』!! 」の514です。
まだ全体の三分の一くらいの出来で、一週間以内には残りも完成すると思いますが、間を空けないためにも改訂版の第一話を投下してしまいます。ご勘弁を。
65 :
514:2008/08/09(土) 01:15:54 ID:???
イーストブルーの辺境のドーン島にフーシャ村という村がある。農業と漁業とわずかな交易でほそぼそと生活している、ありふれた田舎の港町
だ。
その名が示すとおり風車が多く、すべてが本当に使われているのかすこし首をひねりたくなる。
中でも特に用途不明なのが、村のはずれの高台に存在する、一回りどころではなく巨大な風車だろう。
本体の部分だけで三十メートルはあり、羽も十メートル以上のサイズがある。これだけ大きいとかなりの馬力を発揮できるのだが、粉引きをす
るなら他にもある並みの風車だけでも十分に間に合うし、周りに水場が無いので揚水用ともいえない。
なんでも大海賊時代が始まって少し経ったくらいにやってきた旅人たちが、ほんの数日程度で建てしまったらしい。さっさと作業を終わらせる
とさっさと帰っていってしまったため、村人たちもそれがなんなのか理解することができず、結局その状況がずっと続いているというわけだ。
最初のうちは取り壊すべきだという意見も出るには出たが、田舎ゆえの細かいことを気にしない気質のおかげで実行に移されることはなかった。
今ではすっかり「お化け風車」として親しまれており、地上数十メートルから見渡せる景色は住人からも好評で、中にはわざわざ危険冒して屋上
や羽の先といったより高いところに行こうとする輩もいる。
シンもそんな中の一人だ。一応村長からこの風車の住み込みでの管理を任されているので自然と登る機会も多くなり、気がつけば用もないのに
わざわざ一段と高いところにまで登るようになっていた。
別段そこから見える景色を綺麗だと思っているわけではないが、もしかしたら無意識のうちに、かつてMSのコックピットから見ていた風景と
それを重ね合わせているのかもしれない。
今日も今日とてシンは風車に登る。
真っすぐ上を向いた羽の先端、最頂点である。ただしそこにはいつもと違って、シン以外にもう一つの人影があった。
麦わらをかぶったいかにも快活そうな少年――ルフィだ。修繕用に取り付けてある足場につかまっているシンの下のほうで、手足を羽の骨に巻
きつけている。
夜が明けて数刻。村人たちもそろそろ起き出し、いつもと同じように一日が始まろうとしている。
「この景色を見るのもこれで最後か」
「なに言ってんだ。グランドライン一周すればまた見れるだろう」
「なんだお前、死なないつもりかよ」
「当然。俺は、海賊王になるんだからな。その前に死ぬわけねえさ。あ、もちろんお前も一緒だからな。勝手に死ぬなよ」
「はいはい、わかってるよ。……ったく、すげえ自信だな」
夜が明ける前から自分を迎えに来たルフィを誘って風車に登ったのは、シンにとって一種の照れ隠しのようなもので、人生最大の一大事を前に
して緊張しっぱなしの精神状態をルフィに悟られないようにしつつ、かつそれを静めるための選択だった。
もしかしたらルフィもいくらか緊張しているんじゃないかと淡い期待も抱いたが、もちろんそんなことはあろうはずもなく、相変わらずの大口
に思わずため息が出る。しかし、同じ状況でも自分よりずっと自然体でいられるルフィを心強く思うのも確かであり、そのおかげもあってシンは
すっかりリラックスすることができた。
「そろそろ行くか。マキノさんたちが待ってるかもしれない」
「おう、そうだな」
言うや否や二人は風車から飛び降りる。衝撃をものともしないルフィは直接地面まで自由落下をし、シンはところどころにあるくぼみや出っ張
りに手足を引っ掛けて速度を調節しながら着地した。普通の人間なら墜落死するところをこの二人はまったく問題としない。屈伸などして体の調
子を確かめるとそのまま港へと向かう。
少し行ったところでシンは一瞬だけ振り返り改めて風車を眺め、そしてまたすぐに歩き始めた。
66 :
514:2008/08/09(土) 01:34:07 ID:???
どうも自分は筆が滑っていらぬ事まで書こうとする癖があるようなので、なかなか前に進みません。
いや、遅筆の言い訳なのですが……精進します。
一応、ワンピースの最終回か必要があればそれ以後のストーリーまで書くつもりです。アニメ版や劇場版の話は飛ばして、あくまで原作に準拠する形にしたいと思います。
どのSEEDキャラがどうやってシンと絡むかは八割がた決めているので、あとは自分の情熱と実力しだいです。
がんばらせていただきます。
あと、自分はポンド砲好きですよ。
乙せざるを得ない
これからもがんぱって下さい
ついでにシンの戦闘スタイルも教えて欲しいです
職人様乙GJ!
いやぁ、どんどん戻って来てて嬉しい限りだ。マッタリ頑張って下くれ。
職人様、おかえりなさいませーー!!
全力で、保守!!
保守
保守
保守
量産型くまに勝てる量産型MSてあるかな。量産機じゃなくてもいいけど
75 :
514:2008/08/12(火) 13:28:56 ID:???
空飛んで狙い撃ちすればさすがに簡単に勝てる思いますが、それができないとなるときついものがあるかも。
接近戦で脚を潰されて後はたこ殴りという展開に持ち込まれればMSでも破壊される可能性が高い。
しかも物理攻撃だけでなくビーム攻撃まで標準装備でフェイズシフト装甲にも対応可能という充実振り。
防御力は言わずもがなだから、機動力によってはバクゥとかでも勝てないかもしれませんね。
つーか肉球の弾き攻撃でパイロットがやられると思う
保守
保守
保守
保守
保守
過疎ってるな…職人様からも投下ないし、規制かな?帰省かな?
…シャレた訳じゃないからスルーしてくれ…
肉球は量産型には着いてないぞ
保守保守保守〜♪
保守
保守
過疎ってるな
次の投下はいつだろう
保守
保守
そこの貴方、感染している(´・ω・) ス
ほ
保守
保守
保守代わりに思いついたネタ
ゾ「しかしふつう毛はそんなに抜けねェよな その歳でその頭って・・・」
凸「毛根 弱かったんです」 きっぱり!!
ゾ「まあ・・・何でもいいが・・・・・・」
凸「"髪"は・・・数年前 ある男に・・・奪われました」
サ「・・・奪われた?」
凸「俺の額 本っっ当に淋しかったんですよ!!! 淋しくて 薄くて・・・!!! 生やしたかった!!!」
マジすんませんorz 凸は大好きです
>>95 どうやって出会ったかは置くとして…凸の髪を奪った男、誰だよw
モジャモジャの実の能力者、とか
能力は各自で想像ー
保守
いつかは〜この場所で〜職人(あなた)を〜まあてるの〜♪(ミーア)
あのとき〜忘れた〜(作品の)続きを〜書きにきて〜♪
シン、誕生日おめ!
というわけで、小話。
ルフィ「めでてぇな!よし、宴会だ!」
シン「ただ食いたいだけじゃないか」(冷や汗)
ルフィ「にしし〜」
サンジ「今日は特別に、野郎のリクエストに答えてやる。さぁ、何が食いたい?」
シン「…珍しすぎて槍が降る! 退避だ、退避!」(青ざめて)
サンジ「失礼な野郎だな…」
シン「だって、裏がありそうで」
サンジ「あるか、そんなもん」
オチがつかないので強制終了。勝手に続けちゃってもいいです。
丸投げみたいですみません…
あぁ…文才が欲しい…
>>101 いや GJ ルフィやサンジとの絡みがらしくていい
103 :
101:2008/09/02(火) 10:54:32 ID:???
>>102 ありがとう!
いや、サンジがシンに交換条件を提供する方向も一瞬浮かんだんだが、らしくないと思ってやめて正解だったかw
なかなか乙
保守保守
職人様のおとおりだー♪
ほ
うわーん!
職人さま、帰ってきてよーーーーー!!!!!
保守
109 :
8:2008/09/11(木) 21:50:07 ID:???
お久し振りです。
スレたってたのに気付きませんでした。スミマセン。
では前々スレの続き投下いきます。
110 :
8:2008/09/11(木) 21:54:00 ID:???
ステラが店に入ると、コック達がクリークを囲んで対峙していた。見渡すと、ゾロとウソップが椅子に普通に座っていたので、そちらに向かった。
「ヘェ……さすがは海賊の墓場って呼ばれてるだけはあるな」
「おもしろそう」
「うおっステラ、いつの間に来てたんだ」
「今。早く行ってみたいな。"偉大なる航路"」
「あぁ。全く同意見だ」
「なに馬鹿な事言ってんだお前ら! さっきの話聞いてたろっ。あのクリークが渡れなかったんだぞ!? なっ、悪いことはいわねェよ、やめとこうぜあんなとこ行くの」
「うるせぇ。お前は黙ってろ」
3人で話し込んでいるうちにいつの間にか注目を浴びている事に気がついた。 ルフィもこっちを見ている。
「ルフィ、手をかそうか」
「ステラ、ゾロ、ウソップ、いたのかお前ら。いいよ、座ってて」
クリークはこっちをみて鼻で笑い、白い大袋をつかんだ。
「死にたくねぇ奴は今のうちに店を捨てて逃げるといい。死にてぇ奴ぁ面倒だが、オレが直に海に葬ってやる、そう思え」
クリークは去っていった。 コック達によるとクリークはガレオン船にいる手下達を復活させてこの店を襲う気だそうだ。
数はおよそ100、その実力は少なくともチンピラ以上。今までの奴らよりも期待してもいいかもしれない。
ステラに言わせれば、あの首領・クリークと戦ってみたい所なのだが。
数分後、外から海賊達の凶暴な雄叫びが聞こえてきた。コック達は武器を握り直している。
とその時、
ズ バ ン ! ! ! !
(太刀音!?)
そう確認出来た時には船が巨大な揺れに襲われていた。
「「「「なんだっ!!!!」」」」
巨大ガレオン船が3つに輪切りにされていた。 そうなった理由を考えるより先に、4人は外に出た。
「まずい!船にはナミ達が!!」
「くそっ!!もう手遅れかも知れねぇぞ!!」
外を見回す。 しかしメリー号の姿はない。 かわりにヨサクとジョニーが海にいた。 近くにナミの姿はない。
なにかあったのか…心配になった一同。 しかしヨサクとジョニーから出た言葉は最悪の結果ではなく、それ所か全く予想もしていなかったものだった。
「「スミマセン!! ナミの姉貴は!! 宝全部もって逃げちゃいました!!!!」」
「「「「な!!!! 何だってーーーー!!!!」」」」
突然のナミの裏切り。しかし一同は声を失う中、ルフィは冷静に水平線を見ていた。
「待て! まだ船は見えるぞ」
「ホントだ! まだ追いつける!」
「放っとけ、あんな女追いかけてなんになる」
「でも船は大事だろ! あの船は……」
111 :
8:2008/09/11(木) 21:55:07 ID:???
会話を断ち切る様にルフィは叫んだ。
「オレは、あいつが航海士じゃなきゃいやだ!!」
その口調には冗談が混じっているようには思えなかった。 よく見ると、ヨサク達に助けられているゾロの姿があった。
「プハッ!」
「アニキィ! 返事してくれ!!」
「おい、速く船に乗せろ!!」
「ゾロ!!?」
「ゾロォ!!!」
ゾロが生きている。 2人を安心させるには充分な材料だ。 今、ウソップたちが全力で処置をしている。
ミホークもそっちを向いて、ゾロに語りかけるように喋った。
「我が名はジュラキュール・ミホーク!! 貴様が死ぬにはまだ早い。 己を知り、世界を知り!強くなれロロノア!!!
おれは先、幾年月でもこの最強の座にて貴様を待つ!! このおれを超えてみよ!ロロノア!!!」
ミホークは真剣な顔を全く崩さず、高らかにそう宣言した。
その、あまりにも高い頂点にいる男の姿に気をとられていたが、すぐに気を取り直した。
「そうだ、ゾロはどうなの!?」
「ウソップ、ゾロは無事か!?」
「無事じゃねェよ! でも気ィ失ってるだけで死んじゃいねぇ!!」
すると突然ウソップ達の船から、一本の刀が天を向いた。 同時に今にも消えそうな弱々しい声が聞こえてきた。
「…ル…ルフィ…? 聞……こえ…るか……!?」
「ああ!」
「ゾ、ゾロ…!?」
「不安にさせたかよ…おれが……世界一の…剣豪にくらいならねェと…お前が困るんだよな……!!」
「………………」
「………………」
いつものゾロとはとても思えない声だったが、紛れもなくゾロの声だった。 ルフィとステラは黙ってゾロの声を聞き入った。
「俺はもう! 二度と敗けねェから! あいつに勝って大剣豪になる日まで、絶対にもう、俺は敗けねェ!!」
続いてきた声はほとんど涙声だったが、それは敗北を受け入れ、圧倒的な差を見せ付けられ、それでも前に進むことを誓う言葉だった。
「文句あるか。海賊王!!」
「しししし! ない!」
「ふふっ」
そうだ。 何の心配もない。 これでこそロロノア・ゾロだ。 もはや笑いすら込み上げて来る。
112 :
8:2008/09/11(木) 21:56:42 ID:???
「いいチームだ。 また会いたいものだ、お前達とは……」
満足気味な笑みを浮かべたミホークはそう言って去って行った。 クリークの追撃を軽くあしらい、姿を消した。
「ウソップ、行ってくれ!」
「わかった! 俺とゾロで必ずナミを連れ戻す! お前はステラと一緒にしっかりコックを仲間に入れとけ! 六人ちゃんとそろったら、そんときゃ行こうぜ"偉大なる航路"!!」
「ああ!! 任せとけ!!」
「メリーとナミをよろしくね!!」
ウソップ達を乗せた小船はメリー号を追いかけ始めた。
「……やっと来るぜ、疫病神がよ」
サンジが言った。 ルフィが思い出したようにゼフに聞いてみた。
「なぁおっさん! あいつら追っ払ったらおれ雑用やめていいか?」
「……あぁ、好きにしろ」
ようやく海戦の始まりだ。 クリークの手下達がやっとこっちを向き、凶暴な雄叫びをあげた。ルフィとステラは無邪気に喜んでいる。
「うほーーー!! 向こうもやる気だ! なんだか燃えてきたぞ!!」
「ホントだ! ワクワクしてきた!! ……………ねぇルフィ」
「ん、何だ?」
ステラはクリークを指差しながらルフィに聞いてみた。
「私、あのクリークと戦ってみたいんだけど、いい?」
「んん、ダメだ。 あの恩知らずはオレがブっとばすって決めてるからな」
「む〜〜………じゃあ他は私がやるから」
東一の海賊と戦ってみたかったステラだったが、ルフィにそう言われたら従うしかない。
ルフィも、ステラの実力を侮っているわけではない。 これは夢への一歩だと思っているからだ。 簡単に言えばただの我が儘なのだが。
ルフィは早々と海賊達を巻き添えにしながらクリークの方に飛んでいった。 向こうの方でコック達が何やら叫んでいる。
「"ヒレ"開くぞぉーーーーーーーー!!」
すると間もなく、バラティエの周囲に足場が現れた。 コック達の戦場が出現したのだ。
「おっもしろ〜〜〜〜い!!」
店内を荒らされないように、店外で戦うためのシステム。 全く面白い船だ。
海賊達は遠慮なくヒレに上がってくる。 コック達はそれに対峙した。
113 :
8:2008/09/11(木) 21:58:11 ID:???
数分後―――
さすがに東一を名乗るだけあって、手下の力量もそれなりにあるようだ。 実力がチンピラ同然のコックでは及ばない。 しかもそんなのが100人。
――少しは楽しめるかな?
ステラは前に出た。 さっき気付いたことだが、ウソップ達が乗っていった船に得意のナイフを置いてきてしまった。 いつもの手慣れた感覚がなく、寂しく思う。
――まぁいいか
しかしステラは深く考えていなかった。 ナイフ使いのステラだが、ルフィ直伝の武術もかなり体得しているつもりだ。 丸腰でも何の問題もない。
その実力は並の武芸者なら束になったって適わない程だ。 前にいる海賊達に遅れをとるとは思えない。
……最も、ルフィには全く適わないが。
一方、ステラを見た海賊達は明らかに舐めきった目で言った。
「おい嬢ちゃん、ここは戦場だぜぇ。 良い子はおうちに帰りな」
「お、おい嬢ちゃん!あぶねぇ、逃げろ!!」
コック達が悲鳴を上げるが無視する。 1人の海賊が下卑た表情を浮かべながらステラに近づいていく。
「へっへっへ。 嬢ちゃん、なかなか良い身体してんじゃねえか。 俺がいいこと教えてやろうかぁ? はっはっはっ――」
言い終わる前に、ステラはその下卑た表情を浮かべた顔を無造作に殴り飛ばした。 そいつはクリークを飛び越し、水飛沫を上げて海に落ちた。
ルフィを除く全員が唖然とする中、ステラは海賊達に向かって言った。
「心配しなくても、私の帰る"家"はゾロ達が取り戻してくれる」
――……優しくて、暖かい世界に帰すって……約束してくれ!!――
まただ。また誰が言った言葉か覚えていない、古い言葉が蘇った。 そしてまた、ステラに力をくれた。
コックのサンジを仲間にして、6人揃ってあの"偉大なる航路"に入る。 そのためにこいつらを早く片付ける。 それだけを考えさせた。
海に落ちなければ問題ない。 "ある理由"によって泳げないステラはそれのみを注意した。
「私を舐めるな……。おまえたち全力でかかって来い!!」
挑発をかける。 コック達をいたぶっていた海賊達が全員ステラに視線を集中させた。
「ちっ……やっちまえ!!!」
「「「「「オォッ!!!!!」」」」」
サーベルや棍棒を持って走り出した。 ステラに向かって振り下ろす。 しかしそれは空気を薙いだだけだった。
「えっ………!?」
「…な……消えた…!?」
「"楼撃"!!」
跳躍し、5人程蹴りによって海に突き落とす。 ステラのもつ唯一の体術であり足技だ。
「て、てめェ……!」
離れた位置にいた海賊が銃をステラに向ける。 さすがに足は届かない。
――なら、距離を詰めればいい!
114 :
8:2008/09/11(木) 21:59:12 ID:???
ドン ドン ドンッ
「"狼歩"!」
弾丸は何にも当たらずに飛ぶ。 海賊はまたも目を見開く。
「まただ! どっどこだぁ!!」
「ここ」
背後にステラはいた。 目にも留まらぬ速さで回り込んだのだ。 そいつが振り向く前にステラは思いっきり殴った。
「「スキあり!!」」
「!! チッ!」
今度は背後から2人切りかかってくる。 思わず舌打ちして次の攻撃に移ろうとしたが、突然2人ともステラの視界から消えた。
「?」
「レディにばかり戦わせちゃぁ、男が廃る」
サンジだ。 倒れたコックから包丁を奪おうとする男に4・5人程巻き込むほどの蹴りを炸裂させた。
「包丁は料理人の魂。 クソ素人がやすやすとコックの包丁に手をかけてんじゃねェよ」
サンジはステラの方を見て、ウィンクした。
「ステラちゃん、休んでてもいいぜ。 あいつらはオレが片付けるから」
「いやだ。 私だって海賊だもの。 このくらい1人で充分」
気を取り直した海賊達がすごい勢いでこっちに向かってくる。
「なぁにが片付けるだァ!」
「なぁにが1人で充分だァ!!」
「たかがコックに小娘なんぞにおれ達がやられるかァ!!」
海賊達が一斉に手に持ったサーベルを振るう。 しかしまた同じように空を斬るだけだった。 2人はすぐに反撃に移り、蹴り飛ばした。
「……たかがコックだと…? オロすぞテメェら」
「さっき、舐めるなっていったはず」
―――それにしても
この男はすごい実力だ。 超人的な脚力、華麗な足技、俊敏な身のこなし、まだ隠しているであろう真の実力。
なるほど、ルフィが目をつけるだけのことはある。
たった今、わずかにだが共闘しただけでも、彼の実力がよくわかった。 恐らくそれはあのゾロにも劣らないだろう。 人間性にも問題ないし、自身の誇りも持っている。
おまけに一流のコックときたもんだ。 全ての実力がそろってる。
彼ならば是非とも一緒に航海したい、とステラは思った。
115 :
8:2008/09/11(木) 22:02:59 ID:???
「うらァ!!」
「!」
そこで思考を断った。まだ戦いは続いている。海からは変な盾男まで現れた。
まだ戦いは始まったばかりだ。
・ ・ ・
信念・夢・明日
それらは、前の世界ではステラにとって無縁のものであった。必要なかったからだ。
戦う事、敵を殺す事でしか生きることが許されなかったのだ。それ以外は全て失くしてしまった。邪魔だからだ。
そのステラが、この世界にきて、新しい生き方を、”信念”を知った。
ルフィだ。
身体能力、精神力ともに強く、大いなる夢をもち、それに怯える事のない男。
ステラはルフィに憧れ、ついていった。彼の様になりたかった。
ステラは初めて、強くなりたいと思った。そのために数多の壁にブチ当たり、あらゆる難題にも遭遇した。何度となく挫折しかけた。
それでもなお、前の世界までの自分を超越するために努力に努力を重ねた。
そしてステラはルフィと過ごしていくうちに、一つの野望ができた。
――この世界を見てみたい――
かなり限定的な環境で生涯を過ごしてきたステラにとって初めてもった明確な”夢”。
海賊王になるべく世界制覇を目指すルフィと供に航海すれば、この夢は叶うだろう。そして、これから見たこともない世界が待っているのだ。
―――そのためなら、死ぬのだって怖くない―――
・ ・ ・
「何でそこまで戦い抜くことができるんだ。そう思ったか」
「え……」
「………」
ルフィは今、首領・クリークと死闘を繰り広げている。槍の雨に真っ向から立ち向かい、剣山マントの上から素手でクリークを思い切り殴り飛ばし、クリーク最強の武装”大戦槍”をへし折り、爆撃にも怯まず突き進んで鋼の鎧をコナゴナにした。
それでもクリークは起死回生とばかりに鉄の網でルフィもろとも海に引きずり込もうとした。
誰の目にも勝敗は明らか。しかしルフィは諦めず動いた。死をも恐れず、ためらいもせず、ただ勝つためだけに動くルフィ。
そんなルフィを、ほとんどの人間は驚きの目で見ていた。ゼフとステラを除いて。
自分に”信念”を教えてくれた男がこの程度で折れるようなら、ステラは最初からついて行かない。
どれ程不利でも、「死」を目前にしても、諦めず、怯まず、憶さない。
そんなルフィが強く、美しく、そしてかっこいいと思う。
――だから、今度も……勝つ……!!――
「今度こそ終わりだ!!!”ゴムゴムの”おおおおお」
「ああああああああああああ―――」
「”大槌”!!!!」
ルフィの大技が炸裂した。海賊達の悲鳴とコック達の歓声が海を轟かせる。
「クリークのかき集めた艦隊も武力、百の武器も毒も武力なら、あの小僧の”槍”も…同じ武力ってわけだ」
「…槍……信念……」
116 :
8:2008/09/11(木) 22:05:21 ID:???
倒れたクリークとルフィが落ちた部分を見ながら言ったゼフの言葉に、サンジは呟いた。ステラはそれを聞いて、
「ルフィは海賊王になるって……そのためなら命も惜しくないって……だからルフィは戦い抜くことができるの」
「ステラちゃん……あいつ、そんなこと言ってんのか……。ったく…あの腹巻といい、どいつもこいつも……」
“あの腹巻”とは恐らくゾロのことを言っているのだろう。ステラは苦笑した。
そこでゼフは2人に声をかけた。
「何をしてる。さっさとあいつを助けてやれ。あいつは浮いちゃこねえぞ。能力者は海に嫌われカナヅチになるんだ」
「!! し、しまった! ルフィ!!」
「バカ野朗!! それを早く言えよクソジジイ!!」
即座にサンジは海に飛び込み、しばらくしてルフィを抱えて出てきた。それを見てステラは安堵し、同時に急な疲れが押し寄せてきた。
ステラはそのままあおむけに倒れ込み、意識を失った。その直後、何か大声で叫ぶ声が聞こえた気がしたが。
117 :
8:2008/09/11(木) 22:10:57 ID:???
投下終了です。
実は前々スレの投下中に規制にあって、しばらくすると埋め荒らしにあう始末。
とりあえずクリーク編は終了です。
次はシンサイドを書こうと思います。
P.S.
最近のワンピは息を呑む展開続きでハラハラすんぜ!!あ〜はやく偉大なる航路に突入させたい!
続ききたぁあああああ!!
他の職人さんたちの早期復帰を願いつつ保守
GJ!
職人さんが次々帰ってきてくれて、嬉しいよw
120 :
601:2008/09/13(土) 17:46:17 ID:???
514氏、8氏、お二方ともお久しぶりです。
この調子で続けていければ良いですなあ……。
と言うだけでもアレなので、29回目の投下をこれから開始します。
121 :
601:2008/09/13(土) 17:46:46 ID:???
機動海賊 ONE PIECE Destiny 第29回
「なあ、そいつに合鍵作らせりゃ良いんじゃねえか?」
珍妙眉毛プリンスの登場で脱出がかなうかと思われたものの、結局バナナワニからの鍵の
奪取はならず、最終的にウソップの機転により、何時の間にやら現れていたミスター3の蝋
を利用した麦わら一行+ナタル達だったのだが、もう一度、クロコダイルに挑むと言うルフィ
の主張により、彼らはまた二手に分かれる事となった。
ナタルは、この場では彼ら一味に手を出さぬ事を――更に、いずれCE世界であの後何が
起きたかシンに問う事を――確約し、クロコダイルの陰謀をスモーカーに伝えるべく去って
行った。
残った面子は、ビビはルフィを助けに行くべきと主張したものの、今何よりするべきは、
アルバーナで起こるだろう事態の収拾である事と、何よりも、ルフィは後から来ると言った
のだから、一味のものはそれを信じると言う言葉により、矛を収める形となった。
「まず俺達が考えなきゃなんねえのは、どうやってアルバーナにビビちゃんを送り込むかだ」
「そうね。当然、バロックワークスはそれを阻止に来るだろうから……」
「肝心なのはだ」
サンジとナミの言うのに、シンが口を挟んだ。
「こっちの勝利条件はつまり、ビビをアルバーナ市内中央までたどり着かせれば良いって事
だ。やつらは当然防衛線を張ろうとするだろうが、大人数は割けないだろう」
「何でそう言えんだ? 数で押すのが一番だろ?」
ウソップが首をひねり言うのに対し、サンジやナミはすぐにシンの言うことを理解したよ
うだった。
「そうか。やつらとしちゃあ、もっと肝心なのは、反乱が止まらないよう扇動しつづける事
だから」
「その為には、ビリオンズ達は反乱軍、あるいは国軍に潜入して暴れている必要がある…
…!」
「そういう事だ、ナミ。もちろん、それをたやすくする為に……ミーアさんが利用されるん
だろうけどな」
「となると、俺らが気にしなきゃなんねえのは、主にエージェントたちって訳だな」
サンジが言うのに、シンはうなずいた。
「ミスター1、ミスター2、ミスター4の3人に、それぞれのパートナー……ああ、あのオ
カマは相棒無しだったか。総勢5人。連中は基本的に二人一組で行動するから、かく乱しよ
うと思えば、出来ない人数じゃない」
「問題はまだあるだろ。ほれ、お前の知り合いの」
「……ああ」
122 :
601:2008/09/13(土) 17:47:49 ID:???
大前提となるのは、まずビビを王宮にたどり着かせる事。欲を言えば誰かがエスコートを
すべきであるのだが、エージェントに対するかく乱を考えれば人数を割くのは難しい。
そして、サンジが言う通り、ミス・エイプリルフール――ミーアの事も、懸案事項ではあ
るのだ。
そこから導き出される作戦は――
−−−−−
「んげげっ?! あいつら全員同じマントをっ!!」
首都アルバーナ西門前。
やがてレインベースから来るであろう麦わら一味とビビ王女を待ち受けていたエージェント
たちの一人、ミスター2は、その光景に対して過剰とも言える反応を示した。
それは、それぞれが超カルガモに乗った「六人」の姿と、常識を越えた速度で駆ける一人の
姿だった。
ただ1人超カルガモに乗っていない人物は、アラバスタの民族衣装の裾から、赤い服が見え
隠れしていた。
全員同じマントで身を包み、顔をうかがい知る事は出来なかった。
「あの一人走ってるヤツは、あれは『赤服』か」
「数が合わないよ。ミスター2のリストから麦わら一人消して、ビビ王女と赤服を加えても奴
らは五人のはず。あそこにいるのは七人だよ?!」
「ミスタープリンスとか言うのがいたはずよ。それも複数。この際、人数は大した問題じゃな
いわ」
ミスメリークリスマスとミスダブルフィンガーの言葉に、ミスター1がぽつりと漏らした。
「ああやってこっちの目をくらますつもりだ。だが、やる事は変わらん」
その間にも、ミスター4の砲撃を避けるように二人が南へ、更に残った五人も、西門へ直接
向かうグループと、南西門へ向かうグループの二手に分かれた。
「アルバーナにある五つの門の内、西から狙える門は三つ! そこからバラバラに入ろうって
わけね。同じよ……! 中で抹殺するわ!」
「逃がしゃしなァいわよォ〜〜〜う!!」
エージェントたちも三手に分かれ、それぞれ一味を追って門へと向かって行った。
−−−−−
123 :
601:2008/09/13(土) 17:48:46 ID:???
「よし、良いぞビビ」
ミスター1たちが動いてから数秒後、岩の後から「二つ」の人影が現れた。
シンと、カルーに乗ったビビだった。
「大丈夫かしら、皆……」
「安心しろ。サンジやゾロが言ってたろ、この作戦の目的は、ビビを王宮に送り届けることが
最優先なんだって。その為に一番適当な手段を講じたわけだからさ」
「でも、二人一組になる筈が、軽業師君がこっちにいたんじゃ」
彼らの立てた案は、おおむね次のようなものだった。
シンを除く一味の全員プラス、らくだのマツゲと急ごしらえの人形が超カルガモで二人一組
となって突入。これは待ち受けるだろうバロックワークス側の目をあざむく陽動とする。
彼らはわざと首都正面から向かい途中で分散、敵の目を引きその場から移動させるのが役割
だ。
エージェントらの動きを確認した時点で、後方に控えていたビビとシンが改めて突入。これ
は、シンの剃やフォースならば超カルガモにも追随可能な事と、救援に来てくれた超カルガモ
部隊の数が足りなかったことが影響している。
陽動部隊のチーム分けはくじびきによって決定した。その結果、サンジは人形を乗せた超カ
ルガモと行動する事となった。
この場合問題になるのは、シンはミスター2による顔のコピーはされていないが、レインベ
ースで正体がばれている上に、なぜかミスオールサンデーはシンのことを厳重に警戒している
らしい、と言うことだった。
赤服と言う目立つ特徴もあるシンが別働隊として動きまわるには、これは少なからぬ問題だ。
そこで、チョッパーがランブルボールで脚力を強化、首都へ突入するまでの間、シンの身代
わり役を務めると言う作戦が取られた。ちなみに、チョッパーがマントの下に着ている赤服は
シンのそれではなく、白い服をウソップが持っていた赤インキで染め上げたものだった。遠目
には、これで十分に誤魔化せる。
「サンジなら上手くやるさ。それに、言ったろ? アンタを送り届けるのが最優先だって。な
ら、超カルガモ無しでも追いつける俺が付いてった方が良い。それに、俺は俺で押さえなきゃ
いけないこともあるし」
「ローレライ……ミーアさんね」
「奴らが市内に潜伏して暴動を煽っているいるなら、探し出して止めないと。その点、一番自
在に動けるのが俺だからな」
不意に、シンは口元が笑みの形にゆがむのを感じた。胸の奥底から、笑いがこみ上げて来る
のを止めるのが、自分でも少し不思議だった。何故こんな時にと。
だが、すぐに理由はわかった。
レインベースでナタルと別れる直前、彼女が言った言葉が思い出されたのだ。
124 :
601:2008/09/13(土) 17:49:48 ID:???
『クロコダイルは、相当周到に策をめぐらしているようだな。あれを用意し、これに手を打ち、
こうなった場合の準備、ああなった時の対応策……確かに、緻密だ。だが、それだけに――無
駄だらけだ』
ナタルの言葉には、全員が首をひねったものだった。あれだけ周到な策を練るのならば、そ
こには無駄などないのではないか?
だが、ナタルはそうした疑問をあっさりと切って捨てた。
『そう考えたくなるのも解らんではない。だが見たまえ。我々は事実こうして脱出しているで
はないか。そして、この事態に対応する為に、またヤツは手を打たねばならない。何がしかの
修正や、即時の対応が後から後から幾らでも発生する。良いか、作戦と言うものは、発案者の
思い通りになど運ぶ筈はないんだ。不測の事態と言うヤツは常に起こる。スケジュールの遅延、
思わぬ伏兵、弾薬や食料の不足、細かなタイムテーブルを区切った計画ほど失敗や齟齬が起こ
りやすい。この世に完璧な計画や作戦などと言うものは存在しない。真の策士と言うものは、
目の前で起こる不随意な事態や混乱などを利用する事を見越し、作戦に余裕を持たせられるも
のなのだよ。その点では、ヤツは自分の計画を完璧などと悦に入る程度の――小物だ』
王下七武海をさして、小物と言い切るその態度は、ある意味ルフィをすら凌ぐかも知れない
大胆なものだった。そして、彼女はこうも言った。
『ヤツの計画――思う存分引っ掻き回してやれ。君たちなりのやり方でな』
完璧な計画は存在しない――それは、ビフに教わったことでもある。
それはそうだ。思い返せば、前の世界で、それを痛いほどしっかりと味わったのは、他なら
ぬ自分自身なのだ。
そうだ。今度は、こちらの番だ。
貴様らの振るう理不尽を、それを上回る理不尽と不条理で引っ掻き回して、貴様らの計画な
ど全て台無しにしてやる。
こちとら海賊――その場しのぎの行き当たりばったりなんざお手のものだ。
泣いてほえ面かきやがれ。
「行くぞ!」
「はい!」
「くわっ!」
内戦の狼煙が上がるアルバーナに向けて、二人と一羽は、駆け出した。
To be continued...
125 :
601:2008/09/13(土) 17:51:12 ID:???
今回は以上です。
さー、こっからのがっちりした構成にシンやミーアを混ぜ込むのがまた難しい……。
つくづく尾田っちはすげーと思わされる。
GJ!
確かに尾田っちは神だが貴殿のSSも素晴らしい
それはそうと空いた場面書いてくれないと気になって眠れんw
せめてシンとミーアの対面の場だけでも…
127 :
通常の名無しさんの3倍:2008/09/15(月) 21:29:04 ID:9aeXLCSL
保守!!
128 :
通常の名無しさんの3倍:2008/09/16(火) 19:08:15 ID:p+i/xYm1
捕獲
sageよう
そして感想書こう
感想は強要するものではない
乙、GJくらいは贈るべきだがな!
という訳でGJでした!
キラをまったく御することのできなかったナタルが、一から組織をつくって
国を乗っ取ろうとしているクロコダイルを小物と言うのが吹いたww
ナタルさんの胸の、どこが小物だァァァァァァ!!!!
8氏514氏共にGJ!
人いねェのな
居るぞおぉ〜ぉぉお!
シンが海賊王を目指す作品てないんだな
種死で墜ちたんだからワンピで主役に返り咲くってのはどうよ?
シン「海賊王に、俺はなる!!」
やべ、かなり無理があるなw
まあルフィとは別の道で大成すればいいんじゃないだろうか?
基本今までアップされたSSはシン主役が多いし。
138 :
8:2008/09/26(金) 01:37:56 ID:???
大変な事に気が付きました。
前投下した分に抜けている所(ゾロが斬られるシーン)が有りました。
具体的に言うと、
>>111の3行目からです
再投下してもよろしいのでしょうか、それとも抜けてた部分だけにしとくべきでしょうか?
誤植も直ってる完全版ですね、是非
>>138 再投下期待してます
ところで今の本誌の展開だと、シンは何処の島に飛ばされるんだろうか
まあルフィと同じところ行っても面白いけどさw
いや、くまが何か考えて飛ばしたからには同じ島は有り得んよ。
いっそC.Eに行ってまた戻るとかいいかも
ちなみに601氏のシンですが、あの長距離の砂漠を、足だけでしかも超カルガモ部隊に追随可能というのはどう考えてもオカシイと思います。
剃は元来戦闘用移動技なので長距離移動には向かないし、足場が砂にとられるから人の移動速度はかなり低くなるはずです。
なんだかこのシンが俺TUEEEEEEEE!キャラ化してる様な気がしてます。
まぁ何が言いたいかというと、ドラゴンボールの舞空術って鬼だよね。
剃をアレンジしていたから出来るんでしょ。アレンジ技名忘れたけど
143 :
8:2008/09/30(火) 19:49:57 ID:???
>>139-140 感謝痛み入ります。
では再投下いきます。
ついでに言うと、前の分は忘れてください…。
144 :
8:2008/09/30(火) 19:50:46 ID:???
ステラが店に入ると、コック達がクリークを囲んで対峙していた。見渡すと、ゾロとウソップが椅子に普通に座っていたので、そちらに向かった。
「ヘェ……さすがは海賊の墓場って呼ばれてるだけはあるな」
「おもしろそう」
「うおっステラ、いつの間に来てたんだ」
「今。早く行ってみたいな。"偉大なる航路"」
「あぁ。全く同意見だ」
「なに馬鹿な事言ってんだお前ら! さっきの話聞いてたろっ。あのクリークが渡れなかったんだぞ!? なっ、悪いことはいわねェよ、やめとこうぜあんなとこ行くの」
「うるせぇ。お前は黙ってろ」
3人で話し込んでいるうちにいつの間にか注目を浴びている事に気がついた。 ルフィもこっちを見ている。
「ルフィ、手をかそうか」
「ステラ、ゾロ、ウソップ、いたのかお前ら。いいよ、座ってて」
クリークはこっちをみて鼻で笑い、白い大袋をつかんだ。
「死にたくねぇ奴は今のうちに店を捨てて逃げるといい。死にてぇ奴ぁ面倒だが、オレが直に海に葬ってやる、そう思え」
クリークは去っていった。 コック達によるとクリークはガレオン船にいる手下達を復活させてこの店を襲う気だそうだ。
数はおよそ100、その実力は少なくともチンピラ以上。今までの奴らよりも期待してもいいかもしれない。
ステラに言わせれば、あの首領・クリークと戦ってみたい所なのだが。
数分後、外から海賊達の凶暴な雄叫びが聞こえてきた。コック達は武器を握り直している。
とその時、
ズ バ ン ! ! ! !
(太刀音!?)
そう確認出来た時には船が巨大な揺れに襲われていた。
「「「「なんだっ!!!!」」」」
巨大ガレオン船が3つに輪切りにされていた。 そうなった理由を考えるより先に、4人は外に出た。
「まずい!船にはナミ達が!!」
「くそっ!!もう手遅れかも知れねぇぞ!!」
外を見回す。 しかしメリー号の姿はない。 かわりにヨサクとジョニーが海にいた。 近くにナミの姿はない。
なにかあったのか…心配になった一同。 しかしヨサクとジョニーから出た言葉は最悪の結果ではなく、それ所か全く予想もしていなかったものだった。
「「スミマセン!! ナミの姉貴は!! 宝全部もって逃げちゃいました!!!!」」
「「「「な!!!! 何だってーーーー!!!!」」」」
突然のナミの裏切り。しかし一同は声を失う中、ルフィは冷静に水平線を見ていた。
「待て! まだ船は見えるぞ」
「ホントだ! まだ追いつける!」
「放っとけ、あんな女追いかけてなんになる」
「でも船は大事だろ! あの船は……」
145 :
8:2008/09/30(火) 19:51:32 ID:???
会話を断ち切る様にルフィは叫んだ。
「オレは、あいつが航海士じゃなきゃいやだ!!」
その言葉にはステラも同意だった。 ナミじゃなきゃ絶対にいやだ。 他の奴なんて考えられない。
ゾロもいやいやながらもルフィの命令に従おうとしたが、突然表情を変えた。 視線の先には海賊達が『鷹の目』と呼んでいる人物がいた。
念願の人物と会えたゾロの顔から笑みがこぼれている。 ゾロは『鷹の目』に一騎打ちを挑んだ。 『鷹の目』――ミホークはゾロを"弱き者"と呼び、蔑んだ目でゾロを見ている。
ゾロがそんな相手を斬りかかる。 しかしミホークはおもちゃの様な刃物でゾロの三刀を余裕でしのいでいく。
あんなゾロを見るのは初めてだ。 いつもものスゴい強さで相手をたたみかけるように圧倒していたゾロ。 それが今は全く手も足も出ない。 皆目を疑っている。
ミホークの刃がゾロを貫いた。
ステラは今すぐにでも飛び掛りたかったが、ゾロの野望を邪魔することになってはダメだと思って必死で衝動を抑えた。
「このまま心臓を貫かれたいか。なぜ退かん」
「さぁね……わからねぇ……ここを一歩でも退いちまったら、何か大事な今までの誓いとか約束とか、いろんなモンがヘシ折れてもう二度とこの場所には帰ってこれねぇような気がする」
「そう。それが敗北だ」
「へへっ、じゃなおさら退けねぇな」
「死んでもか」
「死んだ方がマシだ」
ゾロは確かにそう言った。 信念を一切曲げず、夢を諦めず、世界最強の剣豪相手にも全く怯まなかった心力。
「小僧、名乗ってみよ」
「ロロノア・ゾロ」
「憶えておく。久しく見ぬ『強き者』よ。そして剣士たる礼儀を持って世界最強のこの黒刀をもって沈めてやる」
ミホークは背中の黒刀を抜いた。 勝負をこれで終わらせるつもりなのか。
「三刀流奥義!!三・千・世・界!!!!」
それは一瞬の出来事だった。 気付いた時にはゾロの両手の2本の刀は無残な姿になっていた。
――……ゾロが……負け……た…?
ゾロは残った刀をしまい、ミホークの方に身体を向けた。 その顔には、さっきまでの燃える様な戦意が全く感じられなかった。
「何を」
「背中の傷は剣士の恥だ」
――やめて
「見事」
――やめてぇ!!!
黒刀は振り下ろされた。
鮮血が舞う。 ゾロの身体が海に堕ちていく。
――……ゾロが……死ん……だ……?
そこまでが、ステラの限界だった。
146 :
8:2008/09/30(火) 19:53:00 ID:???
「うわああああああああああああああああああああ!!!!」
「いやああああああああああああああああああああ!!!!」
何も考えていられなかった。 ただ、あそこの『ゾロの仇』に報復を、と本能的に身体が動いていくのだけは分かった。
ナイフは手にとってはいない。 そんなことはどうでもよかった。 そこまで頭が回っていなかった。
「チキショォーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「オマエェーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
ルフィとステラは供にミホークに向かって飛び掛った。
「「うおああああああああああああああああ!!!!」
「若き剣士の仲間か………。 貴様らもまた……よくぞ見届けた……!」
ミホークはひょいと避ける。 2人はガレキに勢いよく突っ込んだ。
「安心しろ。あの男はまだ生かしてある」
その口調には冗談が混じっているようには思えなかった。 よく見ると、ヨサク達に助けられているゾロの姿があった。
「プハッ!」
「アニキィ! 返事してくれ!!」
「おい、速く船に乗せろ!!」
「ゾロ!!?」
「ゾロォ!!!」
ゾロが生きている。 2人を安心させるには充分な材料だ。 今、ウソップたちが全力で処置をしている。
ミホークもそっちを向いて、ゾロに語りかけるように喋った。
「我が名はジュラキュール・ミホーク!! 貴様が死ぬにはまだ早い。 己を知り、世界を知り!強くなれロロノア!!!
おれは先、幾年月でもこの最強の座にて貴様を待つ!! このおれを超えてみよ!ロロノア!!!」
ミホークは真剣な顔を全く崩さず、高らかにそう宣言した。
その、あまりにも高い頂点にいる男の姿に気をとられていたが、すぐに気を取り直した。
「そうだ、ゾロはどうなの!?」
「ウソップ、ゾロは無事か!?」
「無事じゃねェよ! でも気ィ失ってるだけで死んじゃいねぇ!!」
すると突然ウソップ達の船から、一本の刀が天を向いた。 同時に今にも消えそうな弱々しい声が聞こえてきた。
「…ル…ルフィ…? 聞……こえ…るか……!?」
「ああ!」
「ゾ、ゾロ…!?」
「不安にさせたかよ…おれが……世界一の…剣豪にくらいならねェと…お前が困るんだよな……!!」
「………………」
「………………」
147 :
8:2008/09/30(火) 19:54:43 ID:???
いつものゾロとはとても思えないくらい弱弱しい声だったが、それは紛れもなくゾロの声だった。 ルフィとステラは黙ってゾロの声を聞き入った。
「俺はもう! 二度と敗けねェから! あいつに勝って大剣豪になる日まで、絶対にもう、俺は敗けねェ!!」
続いてきた声はほとんど涙声だったが、それは敗北を受け入れ、圧倒的な差を見せ付けられ、それでも前に進むことを誓う言葉だった。
「文句あるか。海賊王!!」
「しししし! ない!」
「ふふっ」
そうだ。 何の心配もない。 これでこそロロノア・ゾロだ。 もはや笑いすら込み上げて来る。
「いいチームだ。 また会いたいものだ、お前達とは……」
満足気味な笑みを浮かべたミホークはそう言って去って行った。 クリークの追撃を軽くあしらい、姿を消した。
「ウソップ、行ってくれ!」
「わかった! 俺とゾロで必ずナミを連れ戻す! お前はステラと一緒にしっかりコックを仲間に入れとけ! 六人ちゃんとそろったら、そんときゃ行こうぜ"偉大なる航路"!!」
「ああ!! 任せとけ!!」
「メリーとナミをよろしくね!!」
ウソップ達を乗せた小船はメリー号を追いかけ始めた。
「……やっと来るぜ、疫病神がよ」
サンジが言った。 ルフィが思い出したようにゼフに聞いてみた。
「なぁおっさん! あいつら追っ払ったらおれ雑用やめていいか?」
「……あぁ、好きにしろ」
ようやく海戦の始まりだ。
クリークの手下達がやっとこっちを向き、凶暴な雄叫びをあげた。ルフィとステラは無邪気に喜んでいる。
「うほーーー!! 向こうもやる気だ! なんだか燃えてきたぞ!!」
「ホントだ! ワクワクしてきた!! ……………ねぇルフィ」
「ん、何だ?」
ステラはクリークを指差しながらルフィに聞いてみた。
「私、あのクリークと戦ってみたいんだけど、いい?」
「んん、ダメだ。 あの恩知らずはオレがブっとばすって決めてるからな」
「む〜〜………じゃあ他は私がやるから」
東一の海賊と戦ってみたかったステラだったが、ルフィにそう言われたら従うしかない。
ルフィも、ステラの実力を侮っているわけではない。 これは夢への一歩だと思っているからだ。 簡単に言えばただの我が儘なのだが。
ルフィは早々と海賊達を巻き添えにしながらクリークの方に飛んでいった。 向こうの方でコック達が何やら叫んでいる。
148 :
8:2008/09/30(火) 19:55:43 ID:???
「"ヒレ"開くぞぉーーーーーーーー!!」
すると間もなく、バラティエの周囲に足場が現れた。 コック達の戦場が出現したのだ。
「おっもしろ〜〜〜〜い!!」
店内を荒らされないように、店外で戦うためのシステム。 全く面白い船だ。
海賊達は遠慮なくヒレに上がってくる。 コック達はそれに対峙した。
数分後―――
さすがに東一を名乗るだけあって、手下の力量もそれなりにあるようだ。 実力がチンピラ同然のコックでは及ばない。 しかもそんなのが100人。
――少しは楽しめるかな?
ステラは前に出た。 さっき気付いたことだが、ウソップ達が乗っていった船に得意のナイフを置いてきてしまった。 いつもの手慣れた感覚がなく、寂しく思う。
――まぁいいか
しかしステラは深く考えていなかった。 ナイフ使いのステラだが、ルフィ直伝の武術もかなり体得しているつもりだ。 丸腰でも何の問題もない。
その実力は並の武芸者なら束になったって適わない程だ。 前にいる海賊達に遅れをとるとは思えない。
……最も、ルフィには全く適わないが。
一方、ステラを見た海賊達は明らかに舐めきった目で言った。
「おい嬢ちゃん、ここは戦場だぜぇ。 良い子はおうちに帰りな」
「お、おい嬢ちゃん!あぶねぇ、逃げろ!!」
コック達が悲鳴を上げるが無視する。 1人の海賊が下卑た表情を浮かべながらステラに近づいていく。
「へっへっへ。 嬢ちゃん、なかなか良い身体してんじゃねえか。 俺がいいこと教えてやろうかぁ? はっはっはっ――」
言い終わる前に、ステラはその下卑た表情を浮かべた顔を無造作に殴り飛ばした。 そいつはクリークを飛び越し、水飛沫を上げて海に落ちた。
ルフィを除く全員が唖然とする中、ステラは海賊達に向かって言った。
「心配しなくても、私の帰る"家"はゾロ達が取り戻してくれる」
――……優しくて、暖かい世界に帰すって……約束してくれ!!――
まただ。また誰が言った言葉か覚えていない、古い言葉が蘇った。 そしてまた、ステラに力をくれた。
コックのサンジを仲間にして、6人揃ってあの"偉大なる航路"に入る。 そのためにこいつらを早く片付ける。 それだけを考えさせた。
海に落ちなければ問題ない。 "ある理由"によって泳げないステラはそれのみを注意した。
「私を舐めるな……。おまえたち全力でかかって来い!!」
挑発をかける。 コック達をいたぶっていた海賊達が全員ステラに視線を集中させた。
「やっ……やっちまえ!!!」
「「「「「オォッ!!!!!」」」」」
サーベルや棍棒を持って走り出した。 ステラに向かって振り下ろす。 しかしそれは空気を薙いだだけだった。
149 :
8:2008/09/30(火) 19:56:31 ID:???
「えっ………!?」
「…な……消えた…!?」
「"楼撃"!!」
跳躍し、10人程蹴りによって海に突き落とす。 ステラのもつ唯一の体術であり足技だ。
「て、てめェ……!」
離れた位置にいた海賊が銃をステラに向ける。 さすがに足は届かない。
――なら、距離を詰めればいい
ドン ドン ドンッ
「"狼歩"!」
弾丸は何にも当たらずに飛ぶ。 海賊はまたも目を見開く。
「まただ! どっどこだぁ!!」
「ここ」
背後にステラはいた。 目にも留まらぬ速さで回り込んだのだ。 そいつが振り向く前にステラは思いっきり殴った。
「「スキあり!!」」
「!! チッ!」
今度は背後から2人切りかかってくる。 思わず舌打ちして次の攻撃に移ろうとしたが、突然2人ともステラの視界から消えた。
「?」
「レディにばかり戦わせちゃぁ、男が廃る」
サンジだ。 倒れたコックから包丁を奪おうとする男に4・5人程巻き込むほどの蹴りを炸裂させた。
「包丁は料理人の魂。 クソ素人がやすやすとコックの包丁に手をかけてんじゃねェよ」
サンジはステラの方を見て、ウィンクした。
「ステラちゃん、休んでてもいいぜ。 あいつらはオレが片付けるから」
「いやだ。 私だって海賊だもの。 このくらい1人で充分」
気を取り直した海賊達がすごい勢いでこっちに向かってくる。
「なぁにが片付けるだァ!」
「なぁにが1人で充分だァ!!」
「たかがコックに小娘なんぞにおれ達がやられるかァ!!」
150 :
8:2008/09/30(火) 19:57:08 ID:???
海賊達が一斉に手に持ったサーベルを振るう。 しかしまた同じように空を斬るだけだった。 2人はすぐに反撃に移り、蹴り飛ばした。
「……たかがコックだと…? オロすぞテメェら」
「さっき、舐めるなっていったはず」
―――それにしても
この男はすごい実力だ。 超人的な脚力、華麗な足技、俊敏な身のこなし、まだ隠しているであろう真の実力。
なるほど、ルフィが目をつけるだけのことはある。
たった今、わずかにだが共闘しただけでも、彼の実力がよくわかった。 恐らくそれはあのゾロにも劣らないだろう。 人間性にも問題ないし、自身の誇りも持っている。
おまけに一流のコックときたもんだ。 全ての実力がそろってる。
彼ならば是非とも一緒に航海したい、とステラは思った。
「うらァ!!」
「!」
そこで思考を断った。まだ戦いは続いている。海からは変な盾男まで現れた。
まだ戦いは始まったばかりだ。
・ ・ ・
信念・夢・明日
それらは、前の世界ではステラにとって無縁のものであった。必要なかったからだ。
戦う事、敵を殺す事でしか生きることが許されなかったのだ。それ以外は全て失くしてしまった。邪魔だからだ。
そのステラが、この世界にきて、新しい生き方を、”信念”を知った。
ルフィだ。
身体能力、精神力ともに強く、大いなる夢をもち、それに怯える事のない男。
ステラはルフィに憧れ、ついていった。彼の様になりたかった。
ステラは初めて、強くなりたいと思った。そのために数多の壁にブチ当たり、あらゆる難題にも遭遇した。何度となく挫折しかけた。
それでもなお、前の世界までの自分を超越するために努力に努力を重ねた。
そしてステラはルフィと過ごしていくうちに、一つの野望ができた。
――この世界を見てみたい――
かなり限定的な環境で生涯を過ごしてきたステラにとって初めてもった明確な”夢”。
海賊王になるべく世界制覇を目指すルフィと供に航海すれば、この夢は叶うだろう。そして、これから見たこともない世界が待っているのだ。
―――そのためなら、死ぬのだって怖くない―――
・ ・ ・
「何でそこまで戦い抜くことができるんだ。そう思ったか」
「え……」
「………」
151 :
8:2008/09/30(火) 20:04:50 ID:???
ルフィは今、首領・クリークと死闘を繰り広げている。槍の雨に真っ向から立ち向かい、剣山マントの上から素手でクリークを思い切り殴り飛ばし、クリーク最強の武装”大戦槍”をへし折り、爆撃にも怯まず突き進んで鋼の鎧をコナゴナにした。
それでもクリークは起死回生とばかりに鉄の網でルフィもろとも海に引きずり込もうとした。
誰の目にも勝敗は明らか。しかしルフィは諦めず動いた。死をも恐れず、ためらいもせず、ただ勝つためだけに動くルフィ。
そんなルフィを、ほとんどの人間は驚きの目で見ていた。ゼフとステラを除いて。
自分に”信念”を教えてくれた男がこの程度で折れるようなら、ステラは最初からついて行かない。
どれ程不利でも、「死」を目前にしても、諦めず、怯まず、憶さない。
そんなルフィが強く、美しく、そしてかっこいいと思う。
――だから、今度も……勝つ……!!――
「今度こそ終わりだ!!!”ゴムゴムの”おおおおお」
「ああああああああああああ―――」
「”大槌”!!!!」
ルフィの大技が炸裂した。海賊達の悲鳴とコック達の歓声が海を轟かせる。
「クリークのかき集めた艦隊も武力、百の武器も毒も武力なら、あの小僧の”槍”も…同じ武力ってわけだ」
「…槍……信念……」
倒れたクリークとルフィが落ちた部分を見ながら言ったゼフの言葉に、サンジは呟いた。ステラはそれを聞いて、
「ルフィは海賊王になるって……そのためなら命も惜しくないって……だからルフィは戦い抜くことができるの」
「ステラちゃん……あいつ、そんなこと言ってんのか……。ったくあの腹巻といい、どいつもこいつも……」
恐らくゾロのことを言っているのだろう。
そこでゼフは2人に声をかけた。
「何をしてる。さっさとあいつを助けてやれ。あいつは浮いちゃこねえぞ。能力者は海に嫌われカナヅチになるんだ」
「!! し、しまった! ルフィ!!」
「バカ野朗!! それを早く言えよクソジジイ!!」
即座にサンジは海に飛び込み、しばらくしてルフィを抱えて出てきた。それを見てステラは安堵し、同時に急な疲れが押し寄せてきた。
ステラはそのままあおむけに倒れ込み、意識を失った。その直後、何か大声で叫ぶ声が聞こえた気がしたが。
152 :
8:2008/09/30(火) 20:07:04 ID:???
今度こそ終わりです。
本気で顔から火が出そうだ……
次からはこのような迷惑をかけないようにします!!!
遅ればせながら、乙!
次も期待してます!
投下乙!そしてGJだぁ
GJ!!
保守
浮上するぞおぉぉぉぉ!!
ドラゴンボールのやつらには絶対無理だろうけどワンピースのやつらぐらいなら充分勝てそうだ。
自然系には無力でしょ、JK
種キャラのゾンビてどんなのがいいかな
保守
ほ
し
ゅ
保守保守のバズーカ!!
過疎りだしたな・・・
誰か投下プリーズ!
保守
ほ
し
ゅ
り
なんかマシェリみたいだな
hosyu
首を長くして投下を待ちつつ保守
タモツトマモル
「○○色の覇気」とかよく分からん設定が出てきたなあ
今までワンピ世界の覇気ってのは、一部の選ばれた強者だけが身につけられるオーラみたいなものだと思ってたのに、何か念みたいな概念になってきちまった
これならシンも修行次第で余裕で身につけられそうだな……その場合、何色の覇気になるのか分からんけど
「覇王色の覇気」は数百万人に一人っていわれてるじゃん
ついでに言うと、余裕で身につけられるわけねーだろ
石化しない種キャラってステラくらい?
既に名前も無いアマゾネス共ですら普通に使ってる時点で、質の違いはどうあれ最終的に麦わらのほぼ全員が修得するのは確実だと思う
そしてこの漫画は基本的に修行してるシーンが無いのに、ひたすら強くなっていくから、あっという間に覇気も基本技能になるな
ウソップですらシルバーズ・レイリーの覇気に耐えてたりしてるからね
流れぶったぎって悪いが、OOにゾロが出たってホントか!?
クソッOO見てねェからわかんね
て思ってたらwwwちょwwwハムかよwww
>>180 ナカーマwww
アラバスタ辺りを思い出したなwwwww
錨上げるぜぇ、出航だぁ!
ミスターブシドーwwwwwwwwww
184 :
8:2008/11/04(火) 19:42:21 ID:???
お久しぶりです。投下いきます。
185 :
8:2008/11/04(火) 19:42:57 ID:???
ある日のローグタウン
「……ったく」
ローグタウンの海軍基地で、スモーカー大佐はいらただしげに舌打ちをした。
本部から、一本の剣が届いたのだ。
最近、基地の武器が前線で使うのには心元ないと思い、本部に新装備を要請した。
ここはかつて海賊王が処刑された町であり、そして偉大なる航路の目と鼻の先である。当然、海賊がここを通るのは日常茶飯事だ。
そこの警備を任されている海軍の装備が貧相なものでは、示しがつかない。
なにより、舐められる。海賊達に。
基本的に海賊が嫌いなスモーカーにとって、これ程腹ただしいことはない。
ということだったが、なぜか一本のよく分からない剣が送られて来たのだ。頼みの品は数日後に届く、との手紙も添えられていた。
スモーカーは“それ”を手にしてみた。
「……なんだこりゃァ」
感想はそんな感じだった。
手にした瞬間、妙な違和感を感じた。
武器というより、まるで、何か……そう、例えれば、自分のような
一枚の説明書のようなものが添えられていた。
[グランドラインの新技術を搭載した剣だが、使い方がよくわからない。前線の兵士なら何かわかるかもしれない。有効活用してくれ]
偉大なる航路の新技術という言葉に、スモーカーは一つ頭によぎったものがあった。
たしか本部に、Dr.なんとかという科学者がやっているとか。
要するに。
使い方もわからん得体の知れない武器を、他人に押し付けた。そういうことだ。
―――ったく、面倒なものを送りつけやがって
使い方も分からない武装や、命令通りに動かない人間を、軍人は嫌う。役に立たないからだ。
それはスモーカーも同じである。
さて、どうしたものか。
本部から送られてきた品を、まさか捨てるわけにもいくまい。
「たしぎィ!!!」
本部のお偉いさん方を見習い、他人に押し付ける事にした。
・ ・ ・
186 :
8:2008/11/04(火) 19:43:42 ID:???
「スモーカーさん、どうしてこんなものを……」
――こいつを、あの“バカ”にくれてやれ。
スモーカーにそう言われたたしぎは、彼から押し付けられた一本の剣を抱えて“バカ”を探していた。
詳しい事情など何も知らないたしぎは、言われたとおりにひたすら歩いていた。
ドガシャァァァン!!
けたたましい音と激しく言い争う声が聞こえた。
「……」
たしぎは迷わずそちらに向かった。
・ ・ ・
「こっちは謝れっていってんだよコラァ!!」
「たかが肩かすっただけじゃねェか!そんな事でいちいちつっかかってくるんじゃねェよ!!」
「先輩が謝れっつってんだから、素直に頭下げりゃァいいんだよ!」
「ハァ?先輩ィ?階級はオレと同じだろ!後輩に追い着かれてるヘタレが何言ってんだよ!!」
「んだと〜〜〜!?」
例によっていつも通り喧嘩しているシン。
性格的な面もあり、あまり良く思われていない人に難癖をつけられていた。
両者共々胸倉をつかみ合って、殴り合いの一歩手前の状態だった。
その状況を見て、ふかぶかとため息をついたたしぎが現れた。
「こ、これは曹長殿」
「あ? たしぎ?」
たしぎは両者の反応を気にもせず、
ドゴッバキッ
目にも止まらぬ速さで、刀をつかって2人の頭を殴り、気絶させた。
・ ・ ・
187 :
8:2008/11/04(火) 19:45:38 ID:???
「ってェ……」
頭にでけェタンコブを作ったシンは恨めしげな瞳でたしぎを睨んでいた。
シンが気絶している間に、たしぎによって訓練場に連れてこられたようだ。
というか、引きずられてきた、だが。
「で、何の用だよ。何かあるからこんなとこに連れてきたんだろ?」
「そうよ。スモーカーさんがあなたに新しい武器を与えるって。それでこれを届けるように私が言われたの」
「へ〜、迷わずに来れたのか?」
「自分の軍の兵舎で迷いません!! 第一あなたは喧嘩していたでしょう! 居場所だってすぐにわかりました! …まあそれはともかく、はいこれ」
「それにしても、あの大佐が? 一体どういう風の吹き回しだってんだよ……っと」
たしぎから投げられたものをシンはキャッチした。
自分のことをあまりよく思っていない(と、シンは思っている)スモーカーが、自分に新しい武器を与えるとは、どういうことだろう、とシンは思った。
実は他人に押し付けただけだとは、たしぎはあえて言わなかった。
シンは改めてそれを見た。そして握ってみた。
――何だ? とても懐かしい、まるで遠い友達にでも逢ったような――
いや、そこまで遠い昔ではない。ついこないだまで一緒に戦った……
「……デスティニー……!?」
自然と、かつての自分の愛機の名が口から漏れた。
“それ”は青い大剣だった。かつてのアロンダイトにそっくりだった。
もしも、これがあの“デスティニーガンダム”ならば――
「“フォース”!!」
シンは叫んだ。
それと同時に青い大剣は2つに分かれ、紅いライフルとサーベルに変わった。たしぎも驚いた様な顔で固まっている。
軽い。すごく軽い。まるで羽毛の様な軽さだ。
剣が、ではない。“身体”がだ。
ためしに、訓練場に設置してある敵に見立てた人形に向かってサーベルを振るった。人形はたちまち3つに袈裟斬りにされる。
なるほど、さすが切れ味も悪くない。
続いて、ライフルの精度を確かめるため、ライフルを別の人形に狙いを定めて、撃った。
人形の胴に命中し、2つに折れて吹き飛んだ。
威力も素晴らしい。このタイプなら連射にも使えるだろう。
「“ブラスト”!!」
紅いサーベルとライフルが合体し、緑色の大型長距離砲に変わった。
今度のは、いや、今までの中で最も重量がある。
また別の人形に照準を合わせて撃った。
ドオォン!!!
188 :
8:2008/11/04(火) 19:46:19 ID:???
「うおっ!!!」
「きゃっ!!!」
撃った反動がでかすぎて、シンとたしぎは大きくバランスを崩して転んだ。
緑色の砲口から飛び出したのは、榴弾ではなく紅い粒子弾、いわゆるビーム弾だった。
それは人形を突き破り、鉄網をも貫いて、木を数本貫通し、兵舎の最上階の分厚い壁に大穴を空けた。
その威力のバカでかさに、シンはしばらくの間呆けてしまった。
高威力なので、その反動も必然的に大きくなる。使う時はちゃんと構えておくべきだとシンは思った。
「“ソード”!!」
緑色の長身砲は形を変え、最初の青い大剣に戻った。
手慣れた様に振り回し、シンは思いっきり地面に向けて振り下ろした。
ドゴォッ!!!
地が震えたと思うほどの音が響いた後、そこには大きなひびが地面をのたくっていた。
大剣を持ち上げたシンは、確信した。
――こいつはやはり、デスティニーだ!
デスティニーガンダム。
それはインパルスガンダムの全てのシルエットを1つにまとめ上げ、あらゆる戦況に対応できるように設計された自分の専用機。
あのインパルスガンダムの発展型にして、超パワーを持ち、自分の力を全て引き出せる次世代の最新鋭機。
そして、供に戦い、供に敗れた戦友……。
「すごい剣…姿を変えるなんて…シン、どう?その武器の使い勝手は」
「こいつは武器じゃない」
目を輝かさせている刀好きのたしぎの問いかけに、シンは断固として言った。
「こいつは、オレの戦友だ」
そして
「今から、こいつの名は“デスティニー”だ」
――ちなみに
兵舎の最上階を壊したことで、シンは一週間罰として便所掃除を命じられていた。
「くせっ……」
189 :
8:2008/11/04(火) 19:46:53 ID:???
X42S-デスティニー{デスデスの実の能力を持った剣}
原型は青い大剣。3つのシルエットをシンの意思で自由に変える事ができる。
なぜかシン以外が使っても能力が発動しないようになっている。水に浸かったり海楼石に触れると元の青い剣に戻り、能力が使えなくなる。
ソード:大型の剣。原型。破壊力バツグン。二基のカッターブーメランがついている。単純な近接戦闘では各シルエットの中で一番強い。
岩でも軽々と一刀両断出来るほどの強度。色は青。
フォース:サーベルとライフル。この状態で手にすると、動きやすくなる。これには質量は関係しないが、各シルエットの中で最も軽く、同時に攻撃力が最も低い。
ライフルは連射可能の実弾。近・中距離戦闘を主とする。色は赤。
ブラスト:大型長砲身の大口径ビーム砲。紅いビーム弾を吐き出す。スタングレネードが装填されている。各シルエットの中で一番重量がある。
弾切れをおこさない。反動が大きく、本来2・3人くらいの兵隊がいてやっと撃てるくらい。色は緑。
他にも…何かあるかも…?
デスデスの実w
適当すぎるネーミングに吹いたw
191 :
8:2008/11/04(火) 19:55:18 ID:???
投下終了です。
ようやくステラとシン以外の種キャラ(?)が出せた……
シンに大剣を使わせる時点でこの設定は決まってました。
ちなみにシンが次に出るのは麦わら一味がローグタウンに来るまではないです。
などと↑のようなことを言っておきながら言うのも何ですが、
大変申し訳ありません、リアルの方で忙しくなってしまい、当分ここには来れなくなってしまいます。
続きを書くのはかなりあとになるだろうと思います。ご迷惑おかけします。
192 :
8:2008/11/04(火) 19:57:21 ID:???
>>190 私のネーミングセンスではこれが限界だと(涙)
他にいいの思いつかなかったんだよぉーーー!!!!
乙です
そういえば「無機物に実を喰わせられる」というワンピ世界脅威のテクノロジーをすっかり忘れてた
しばらく投下無いの残念だけど気長に待ってます
194 :
601:2008/11/06(木) 23:03:41 ID:???
おお、8氏GJでした。
しかしそうか、悪魔の実を食べさせた無機物……その手があったんだよなあ。
ミスター4の大砲があったのに、すっかり忘れてた。これまたうっかり(ゲダツ様風に)。
さて、まただいぶ間が空いちゃいましたが、そろそろ続きを投下します。
と言っても、今回はまたちょっと違う場所の風景なんですが。
195 :
601:2008/11/06(木) 23:04:38 ID:???
機動海賊 ONE PIECE Destiny 第30回
シンたち麦わら一味とビビ、そしてカルーをはじめとする超カルガモ部隊がアラバスタの命
運を賭けてアルバーナを駆け抜けようとしていたその頃、グランドラインの洋上遠く離れた地
で、事態を察知していた者たちがいた。
彼らはみな一つのテーブルについていたが、それぞれの振る舞いはまるで異なっていた。
ある者は手にした文庫本をつまらなそうに、しかし、ページを繰る指は止めようともせずに
読みふけり、ある者は黙々とトランプのひとり遊びに興じ続け、またある者は、奇妙な柄のつ
いた巻貝を両の耳に当て、アイマスクをしてまるで眠りこけているかのように背もたれに身を
あずけて顔を上向かせていた。
だらしなく開いた口元からよだれが垂れているあたり、三人目は本当に眠っているのかも知
れない。
テーブルには、彼ら三人のほかにもう一つ、空の椅子があった。
部屋の奥、上座にあたるその席の背後の壁には大きな扁額がかけられており、額には墨痕く
ろぐろとした強い筆致で「海商一代」などと書かれていた。
額の両脇には一本づつ掛け軸までがぶら下がっており、それぞれ「目標千四百二十七店」だ
の「三割五割は当たり前」だのと、どこまでが本気でどこまでが冗談なのか判断に困る文言が
書かれていた。
天井ではゆっくりと回る大きな扇風機が室内の空気をかき混ぜていた。
三人は、しばし思い思いの時間の過ごし方を楽しんでいたが、やがていい加減じれたかのよ
うにトランプ遊びに興じていた赤毛の少年が他の二人に視線を向けた。
「なあ、いい加減オヤジ遅くね?」
それに対し、文庫本から視線を離さぬまま、金髪の青年が応じた。
「おおかたまた長電話だろ……いいじゃん、俺らも最近働きづめだったし、たまにゃのんびり
待たせてもらおうぜ」
「飽きた」
「お前ねえ」
「だってやっぱトランプじゃもりあがんねーもん。お前らは良いぜ。本なんざこっちだって手
に入るし、シャニの貝だって、数が少なすぎて売り物になんねーからってさあ……おいシャニ
!!」
赤毛の少年、クロトは片足でアイマスクの青年の椅子を蹴る。椅子ごとゆさぶられ、アイマ
スクの青年、シャニは上体を起こし、アイマスクをはずしてクロトの方に剣呑な視線を向けた。
196 :
601:2008/11/06(木) 23:05:07 ID:???
「あ? 今けっとばしたのお前?」
「いや、僕じゃないよ。やったのはオルガ」
「人になすりつけてんじゃねえよ! てかシャニもこっちにらむな! テーブル挟んだ俺がお
前の椅子なんか蹴れるわけねえだろ!」
「クロト、お前人なめてんの? 俺次男だよ? お前の兄貴よ?」
「うわ、いっこしかちがわねえ癖に兄貴風吹かすとか。ありえねえわ」
「んだコラ! いっこでも年上は年上だろうが!」
「そう言うシャニだってオルガの事兄貴あつかいしねーじゃん。オルガのがシャニよかいっこ
上だろ」
「それはそれだよ!」
「色々納得できねえけどとにかく落ち着けお前ら」
「んーだよ、ひとりだけ良い子ぶっちまってよ。何時からそんな日よったキャラんなったのよ」
「そうそう。オルガっつったらもっとこう、鉄球ぶん回して『滅殺!』とか叫んでねえと」
「そりゃお前だろうがこの中二病患者!」
「ははっ! そりゃあ良いや。クロトが中二病ならオルガは大二病だな」
「「そしたらお前高二病だわ」」
数秒の、痛々しい沈黙が流れた。
「ヤんかおおコラ!」
「こっちのセリフだオラァ!!」
「手前ェら誰に向かって上等コイてやがんだアァ?!!」
不良同士のいがみあいにしか聞こえない言葉と共に、三人は同時に席を立つ。と、同時に。
「いやいやいやいや、お待たせー。やーもう海軍さんとの交渉が長引いちゃって。まったく本
部の将官クラスとなれば下手な小国より動かせる予算は多いでしょうにシブちんで困ったもん
ですよお。君らもああいう大人になっちゃいけませんよ。お金ってのは必要なTPOなら迷わ
ずつぎ込まないと死に金になっちゃいますからねえ。軍人さんってのはその辺の理解がどうに
も……おや?」
扉を開けて、青年と呼ぶにはいささかとうのたった人物が、ほぼ息継ぎなしの長セリフと共
に現れた。
白いスーツ――と言っても半袖の省エネスーツだ――の下は極彩色のアロハシャツ、加えて
よれついたバミューダパンツにゴムぞうりと言う、外見だけで言うのならばダメな大人の見本
の如きその人物こそ、彼ら三人の養父にして上司、自称未来の海商王アズラエル・ムルタその
人であった。
アズラエルの登場に、一触即発と言う状態だった三人は、凍りついたかのように固まった。
「おや? おや? おやおやおや? もしかして、アレですか。皆これから一戦まじえようと
か、そういう所でした?」
197 :
601:2008/11/06(木) 23:05:38 ID:???
首をかしげてそう言うアズラエルに、オルガが上ずった声で答えた。
「や、やだなあオヤジ! そんな訳ないだろ! 俺ら喧嘩なんてするわけねえじゃん、なあお
前ら!!」
「え? あ、お、おう! なんたって俺ら仲良し義兄弟だもんな!」
「そ、そうそう! 僕なんかお兄ちゃんたちだーい好き!」
「あ、そうでしたか。いやあ僕はてっきり君らがまたぞろどつき合いでこないだ船の内装ぐっ
ちゃぐちゃにしてくれたのと同じでこの部屋も散らかし放題にしてくれるのかなーとか思った
んですけどねえ? いや、それなら良いんですよ。うん。仲良き事は美しき哉と言いますから
ね」
以前、度を越えた喧嘩で船を破損させてしまった時に、アズラエルがにっこりとした笑顔の
ままに加えた制裁の恐怖が、三人を支配していた。
制裁と言った所で、かつてのように習慣性の強い薬物などで苦しめているわけでもなく、商
会が保有する倉庫の整理だの、女性向けファンシーグッズを取り扱う専門店への出向だの、商
品開発部門への出張と言ったものばかりで、暴力性などかけらも無い仕事ばかりであったのだ
が。
しかし、整理する倉庫の規模が下手な軍の要塞をはるかにしのぐものであったり、あるいは
来る客全員十代未満のあどけない少女ばかりで店主はその客をそのまま年だけ取ったかのよう
な天然系の女性であったり、はたまた開発担当が親方以下全員そろって筋金入りのゲイであっ
たりと言う有様で、三人は皆一時期「いっそ殺せ」が口癖となるほどの苦役だったのだ。
「あ、そうそう。皆が行った先から『よければまた顔を出してくれ』と連絡来てましたよ。い
やあ、人の縁ってのは大事にしなきゃねえ!」
「「「どうかこの通り勘弁してください」」」
三人は、これ以上はないと言えるほどに心を一つに合わせ、揃って土下座してみせた。
−−−−−
「で、この報告書なんですけどね」
再度の訪問についてはとりあえず「前向きに考慮する」と言う玉虫色の結論を出し、アズラ
エルと三人は会議を始めた。会議と言っても、ほとんどは三人が海で集めてきた情報について、
アズラエルが考えをまとめ、あるいは次の指示を出し、あるいは保留にする、と言うやり取り
なのだが。
「解ってるよ。麦わら一味についてだろ?」
「ええ。つまり、詳しい事は解ってないって事ですよね、これ」
198 :
601:2008/11/06(木) 23:06:07 ID:???
アズラエルが何を言わんとしているのか、その報告書をかいたオルガには良く解っていた。
「メンバーの出自や経歴についてはある程度まとまったんだけどなあ。てえか、一味の頭は、
ありゃあどえらい有名人の血縁だし」
「ガープ中将のお孫さんねえ。まあアレの孫じゃあ似たりよったりなんでしょうね、多分」
「『海賊狩り』はもともとイーストブルーあたりじゃ結構名も知れてたみてえだ。が、他の面
子となると、まあどれもポっと出って感じだ」
「そして、肝心の赤服君についてはさっぱり皆目、と」
「野郎が合流したのはイーストブルーだってのは解ってる。てえか、姐さんらがあっちで野郎
と最初に出くわしてるからな」
「イーストブルーねえ……だとすると、一体彼、誰から『アレ』を習ったんですかね」
アレ――すなわち、赤服のシンが会得し使いこなしている体術、六式の事だ。
六式は、元来海軍本部内でしか学べない体術だ。その訓練は幼少期から始まり、それでも六
式全てを使いこなせる本当の意味での「六式使い」になるのは、決して簡単ではない。
だからこそ、本当の「六式使い」はCP9にしかいないのだ。
赤服のシンが六式を使いこなすらしい事は、すでに得ている情報から明らかだった。
最低でも、剃、月歩、鉄塊、嵐脚までは会得しているだろう。
残るは指銃と紙絵だが、ナタルの証言によるならば、それらとて、きっと遠くない未来に彼
はものにするだろう、との事だった。
しかし、大きな謎が一つある。
六式全てをシンがいずれ会得するかどうかと言うのは、大した話ではない。少なくとも、ア
ズラエル達にとってはどうでも良い事だ。シンが決してあの「プラントのコーディネイター」
と一線を画するのであるならば、たとえシンが悪魔の実の能力者だろうが、あるいは別の特殊
能力を得ようが、知ったことではないからだ。
だが。本当の意味での「六式使い」はCP9にしかおらず、また彼らがそれを正当な方法に
よらず他者に伝授する事など有り得ない以上、その出所は大きな問題だと言えた。
任務中にイーストブルーでシンと出会い、手ほどきをする事になったケースなども考えられ
なくはないが、そうした場合、普通CP9のメンバーならば、まずシンを始末する事を考える
だろう。
ならば、一体誰が。
「過去CP9から除名、あるいは脱走を試みた人物は皆無ってわけじゃありません。歴代の中
には、あそこの仕事に嫌気がさしたとか、我欲に走って土台が外れかけてる道を更に踏み外し
たような馬鹿もいますからね。とはいえ」
「そうした連中は、たいがい逃亡中に抹殺されてるもんな」
「そこなんですよ。まあね? CP9がメンツを守る為に始末しきれなかったのを始末したっ
て宣伝してる場合もあるかも知れませんが……まあ良い。これについては、僕の方で追います」
「あいよ」
「今、麦わら一味はどの辺です?」
199 :
601:2008/11/06(木) 23:06:47 ID:???
アズラエルの問いに答えたのは、シャニだった。
「えーっと、そろそろアラバスタだろ。奴等がたどった航路からすりゃあ、まず間違いない。
それに、今あの近海は本部大佐の二枚看板で絶賛封鎖中だからね」
「片方は白煙ですよね? 艦長さんがあっちにいるんだからそれは間違いないでしょうけど。
もう一人は?」
「報告書に書いてあんべ? 黒檻だよ黒檻」
「ああ。アレね」
「本部大佐つかまえてアレって言い方もどうよ」
だらしなくテーブルに顎を乗せたクロトがつまらなそうに言った。
「僕ぁねえ、自分の事を名前で呼ぶような女性ってのはあんまり好きになれないんです。彼女
支払い渋いですし」
「さいですか……けどよオヤジ。ホントになんか起こるのかね、アラバスタで」
「言ったでしょう、あそこを中心とした物や金の流れは異常も良い所なんです。少しでも知恵
が回る人間なら、市場を破壊しかねない取引は避けるもんなのに。現アラバスタ王はもちろん
クロコダイルだってそんな馬鹿な筈はない。アラバスタ王は、自分の王国に将来的に不利にな
るような経済政策は取れない。彼は暗愚な王ではないのだし。しかし、クロコダイルにはその
馬鹿をやらかすだけの野心はある。王下七武海なんて言っても、詰まる所は海賊ですからね」
「その野心ってのは、つまり……」
オルガがうんざりしたような顔で呟く。見えた結論があまりにばかばかしかったからだ。
「アラバスタの乗っ取り。そんな所でしょう。現政府に対する不満を煽り、そこに英雄として
現れ全てをかっさらう。まあそれが何でアラバスタなんて言う、グランドラインでも端っこに
なるような場所なのか、解りませんがね」
「王国一つってのは、十分な価値じゃねえの?」
「シャニ。君は海賊ってもんを未だ理解しきれてない。彼らは基本的に強欲なんです」
「だからさ、アラバスタはあくまでも手始めで、そこを土台に他も、とか」
「そうはいかないでしょう。対外侵攻なんてのを始めてごらんなさい。海軍本部が黙っちゃい
ない。あの辺りの海には、世界の敵と認定されてるような政府はありませんしね。最悪の場合
は……アラバスタは地図から消える事にもなりかねない」
「じゃあ、ホントにわかんねえな」
「まあ、何かがあるんでしょう。そういうリスクを支払っても欲しい何かがね。ま、アラバス
タに関しては、じゃあこの辺で良いでしょう。ああ、ローレライについても詳細はわかってな
いんですよね?」
「ああ。女だって事ぐれーだな。後、何かピンク色の髪だとか、そういうのは聞いたか」
「ピンク色……?」
200 :
601:2008/11/06(木) 23:07:19 ID:???
オルガの応えに、アズラエルの眉が跳ね上がった。ピンク。ピンク色の髪の毛をした、女。
無性に嫌な予感がむくむくとわきあがるのを、アズラエルは感じていた。
まさか、あの性悪がこっちに? しかし。
「あとさー、なんかすっげーおっぱいでっかいんだって。な」
「あー。言ってた言ってた。一味の生き残りがそんな事言ってたわ」
クロトとシャニの言葉に、予感はあっさりと、すっぱりと、そしてきっぱりと、雲が散り霧
が消える如く解消された。
「あ、じゃあ別人だ」
−−−−−
「で、えーと他にはっと……ああ、今年もやるんですね、デッドエンドレース」
報告書をめくるアズラエルに、オルガが応えた。
「ああ。ただ、今年は何か変だぜ」
「変、と言うと?」
「ほれ、デッドエンドっちゃあエターナルポースが馬鹿売れする機会だろ? そんで、話持ち
かけてみたんだけどよ、いらねえって来たんだわ。他に仕入れるツテがあるとかで」
「ふむ……? 今回のゴールは?」
「それが内緒と来た。ウチからはどうせ参加しねえから教えろっつったんだけどな」
「なるほど、においますねえ。色々と」
「で、少々かぎまわってみたんだけどさ、どうやら、今回はガスパーデが参加するらしい」
「ガスパーデって、あの大口親父の?」
「そう。元大佐のくせして将軍名乗ってるあの親父」
ガスパーデ。通称”将軍”。元海軍大佐の地位にありながら、新造の蒸気動力艦を奪い海軍
を脱走し、海賊に鞍替えした男だ。
手口は悪質で、略奪、放火、破壊行為に誘拐など、好き放題に暴れまわっている。加えて、
元海軍大佐だけあって、海軍の手口にも通じており、裏切り者として目を付けられながらも捕
まる事なく逃げおおせ続けている。
「ガスパーデがねえ……デッドエンドみたいなお祭りに興味しめすタイプじゃないのに。なる
ほど……こりゃあ臭いわ」
「どうする? 何なら俺ら潜り込むか?」
「んー……まあ他にも仕事はありますからねえ。レースまではまだ当分日もあるし、当座は保
留って事で」
201 :
601:2008/11/06(木) 23:07:52 ID:???
「ほいよ。じゃあ今日はこんなもんか?」
「オヤジ、僕らのこの後の仕事は?」
「んー、まあ今日明日ぐらいはゆっくりしてください。ひさびさの陸でしょ? 羽伸ばして、
明後日の朝、またオフィスに来てください。そこで指示しますから」
「りょーかーい。んじゃ僕は遊んでくるわ」
「はいはい。無駄遣いしないようにね」
「オカンかアンタ。じゃねー」
「じゃ俺も失礼すっか……おらクロト、お前いつの間に寝てやがったんだ。さっさと起きろ!」
「んあー? 何、飯ー?」
「飯ぐらいおごってやっからホレ、立てっつの」
「やりぃ! 僕ナポリタンね! 大盛りで!」
「おめーは遊び行ったんじゃねーのかよ! ったく……だから自分で立てってんだよお前は!」
賑やかな声が遠ざかり、部屋を出て行く。
それを背中で感じ取りながら、アズラエルは窓から商館の外、人でにぎわう表通りを眺めた。
ここに来て、色々な事があった。苦しい事もつらい事もあった。彼ら三人が今のように変わ
るのにも、様々な困難があったし、それは無論、自分自身の変化についても言えた。
あの三人に、それまでのかりそめのものではない自分のファミリーネームを与え、義理の息
子とした時も、それはもう散々な騒動があった。無理もない。彼らにとって、あの頃自分は到
底信頼に値する存在ではなかったのだから。
だが、経過はどうあれ、自分たちは今ここでこうしていられる。
あの表を歩く人々に混じり、荒削りで、暴力的で、しかし快活な生活と言うヤツを満喫でき
る。
それは、何と素晴らしいことなのだろうか。
それらを守る為ならば、自分はきっと何でもするだろう。あの世界に捨て去ってきた筈の邪
悪さとだって、自分はもう一度、喜んで手を取り合うだろう。
死の商人。金の亡者。呼びたいならば好きに呼べば良い。名を売って実を取るぐらいは、朝
飯前なのが商人と言うものなのだ。
「何であろうが、誰であろうが、構いませんよ」
ここを、彼らを守る為ならば。
次にアズラエルが口にした言葉は、翌日から、この部屋に新たな標語として飾られる事になっ
た。すなわち。
「いつ何時、誰の挑戦でも私は受ける」
To be continued...
202 :
601:2008/11/06(木) 23:08:29 ID:???
今回は以上です。さて、アルバーナの騒動に戻らんと……。
GJ彼らで和むとはw
8氏601氏GJ!
デスティニーの武器化・・・その手があったか
あと、ラwクwスww
601氏GJ!!
なんという綺麗なアズラエル
見分け方は、やはりそこで判断するんですねwwww
やっぱり戦闘モードは盟主王・アズライガーなんだろうかw
腕飛ばしたり壁作ったりって能力はもう使ってる人いるから、
ウソップパウンドと違って見掛倒しじゃない巨大なハンマーを振り回すのはアリかも。
オプションに海楼石仕込んだ杭なんかがあれば完璧だ。
何なら質量を持った残象でもw
今日はゾロの誕生日なんだぜ
おめでとう、ミスター・ブシドー
どっちのだwww
女島編で一番可愛い女キャラはサンダーソニアだと思う
ゾロの誕生日に乗り遅れた!orz
というわけで、誕生日ネタ。
シン「ゾロ、遅くなったけどおめでとう」
ゾロ「ん、ありがとうよ」
シン「しかしまぁ、あれだな? ゾロだからゾロ目ってのも面白いよな」
ゾロ「俺たちは大抵、名前に因んで誕生日が決まってるからな。その方が覚えや
すいってのもあるだろうが」
シン「ん〜……」
ゾロ「どうした?」
シン「いや……じゃあ何でルフィは5月6日じゃなかったのかと」
ゾロ「……子供っぽいからとか」
シン「おまっ、仮にも船長だぞ。それは言いっこなしだろ」
ゾロ「……実は誤植で、5月6日にするハズが、そのままになったとか」
シン「……やめてくれよ、笑えないから」
ゾロ「……すまん」
サンジ「クソ剣士、クソ赤服、飯だぞ〜」
オチがないのでサンジに強制終了させて貰った。なんという無駄遣い。とりあえ
ず羊肉ショット食らってくる…orz
ほしゅ
今週読んで思ったけど、尾田ってこの手の話好きだよな
ナミしかりロビンしかり
216 :
514:2008/11/15(土) 21:54:44 ID:???
601氏・8氏GJ!
お二人とも話がどんどん進んでうらやましい限りです。自分もがんばります。
>>215 どうしても女性を抑圧される対象として描いてしまうあたりが、ある意味での尾田栄一郎という漫画家の限界なんでしょう。
もちろんだからといって『ONE PIECE』という漫画が否定されることはないにしろ、批判されるべきポイントではあると思います。
チョッパーもだよね。でも一番悲惨なのはブルックだと思う。
フランキーも「おれがおまえなら命なんてとうに絶ってる」て言ってたし。
尾田先生は女性をうんぬんというより、天竜人のひどさを伝えたかったのだと思う。
シンなら100%キれるよあれ
あと、奴隷と聞いて思わずおっきしてしまった俺キメェw
天竜人はここ数年の漫画でも稀に見る、本当に胸糞悪さしか感じない本物の外道
219 :
514:2008/11/18(火) 17:54:31 ID:???
無自覚な悪意ほどたちが悪いものはないでしょう。
「権力者の純心に比べれば世の悪党のほうがマシ」というキッドの言葉は至言です。
ようやく第1話が書きあがりました。投下します。
220 :
514:2008/11/18(火) 17:55:28 ID:???
『ONE PIECE』 VS 『SEED』!! 第1話(その2)
パトリック・ザラを信奉する過激派のコーディネーターたちによるユニウス7の地球落下テロいわゆるブレ
イク・ザ・ワールド事件に端を発した戦争の最終局面において、シンはかつて自分の上司であった裏切り者の
アスラン・ザラと対峙していた。両者とも世界トップクラスの腕を持つパイロットであり実力は伯仲していた
といえる。しかし、シンの胸中にはアスランに対する怒りやザフトのエースとして絶対に負けられないという
義務感だけではなく、戦うことになってしまった生まれ故郷オーブへの複雑な想いとデュランダル議長の掲げ
るデスティニープランへの疑念が少しずつ渦巻き始めていた。
集中力を欠き焦りも露わにしだしたシンに、経験でも勝るアスランが遅れをとるわけがない。完全に主導権
を握ったアスランはシンが乗るデスティニーの武装のほとんどを破壊、機体そのものにも甚大なダメージを与
え、戦争不能とした。
パイロットを殺さずの決着。まさに完全勝利である。
しかし、誰にも予想できない事態が起こった。
アスランが乗るインフィニットジャスティスの猛攻にデスティニーが吹き飛ばされ月面に衝突したそのとき、
流れ弾だろうか、何かがデスティニーの機関部に命中。直前に受けた損傷とあわせて、瞬間的に限界を向かえ
た核エンジンが暴走を起こしたのだ。
何とかセーフティが作動し核爆発は防いだものの、発生したエネルギーに大破寸前の機体が耐えられるわけ
もなく、デスティニーはシンもろとも爆発四散した。
五感のすべてを埋め尽くす爆音、閃光、衝撃、身体がバラバラになって消滅していく感触。これらがシンの
『あちらの世界』での最後の記憶である。
そして気がついたときには、シンはフーシャ村にある病院の一室に眠っていた、というわけだ。
これが今から三年前のことである。
最初のうちこそ混乱したものの、こちらで過ごした日々は、シンにとっては久方ぶりの穏やかなものであっ
た。
港では予想を超える人数が二人を待ち構えていた。
皆、どこの骨とも分からない男を受け入れてくれた心優しい人たちだ。しかも、これから海賊になろうなど
というバカどもの門出を村総出で祝ってくれることにシンは感謝せずにはいられない。
ルフィが友人たちと騒いでいる横で、シンは見送りに来てくれた一人一人にお礼をして回る。
221 :
514:2008/11/18(火) 17:56:28 ID:???
もちろんその中にはマキノの姿もあった。
「こんな朝早くからすいません。……あいつ、ろくにあいさつもしないで騒ぎやがって」
「いいのよ、そのほうがあの子らしいんだから。それより、シン君はどう? 少しは緊張してる?」
「あいつにくらべれば少しは。でも思ったほどじゃないですね。これなら昨日の夜のほうがひどかったですよ」
「そう。なら心配ないわね」
こちらの世界に来て以来、一番世話になった人は誰かと聞かれれば、シンは間違いなくマキノの名を上げる
だろう。
村近くの海岸で打ち上げられていたシン。その第一発見者がマキノだった。
病院に運び込まれ極度の衰弱によりそのまま半月ほど入院生活を送った後、何のあてもないシンに住居を紹
介したり自分の経営する酒場で彼を雇ったりと、生活するうえでいろいろな便宜を図ってくれたのも彼女で、
シンにとってはいつかのオーブの優しい軍人さんと同じくらいの恩人だ。ルフィも幼い頃から迷惑をかけてき
たというし、いくら腕っ節があろうと二人そろって頭の上がらない相手である。
「あなたがしっかりしてるなら安心だわ。ルフィなら一人でも大丈夫だろうけどまだ子供だもの、頼りになる
仲間がいてくれてよかったわ」
「そんなこと言われても、俺だけであいつの面倒見るのは限界がありますって」
「フフ…それもそうよね」
こんな調子で二人は最後になるかもしれない談笑を交わす。
感謝の念を抱いているのはマキノも同じだった。
海賊王になるなどというルフィの夢を理解し応援することはできても、結局フーシャ村には彼に付き合って
やることができるものはいなかった。これでルフィが悪人だったならよかったのだが、あいにくルフィはどこ
までも気のいい男だ。彼を一人で旅立たせなければならないことに村人たちは後ろめたさのようなものを感じ
続けていた。
そこに現れたのがシンである。
ある日突然やってきた正体不明の少年はあれよあれよという間に村に溶け込み、ついにはルフィの仲間にな
るとまで言い出した。自分たちの身代わりにするようでそれはそれで申し訳ない気もしたが、ルフィにようや
く仲間ができたことを皆喜んだ。
あるいはマキノはこうなることを予感していたのかもしれない。なにしろ彼女が見つけたとき、シンは赤い
服を着ていたのだから。
そう、あの大海賊を思い出させるほどの鮮やかな深紅を。
だからマキノはできうる限りのことをシンにしてやろうと思うのだ。
「あと、これね。私からの最後の贈り物」
「ああ、すいません。えっと…何ですかこれ」
「ナイフよ。折りたたみ式で二本一組。よくは分からないけど、かなり良い物のはずだから役に立つと思うわ」
言われて早速シンは一本開いてみる。柄を握ると吸い付くように手のひらになじんだ。
なるほど、確かに存在感が違う。刀剣に関する知識はなくとも戦闘を生業とし死線をかいくぐってきたシン
のカンは、それがただのナイフではないことをただちに理解させた。インパルスやデスティニーと同じような、
命を任せるに足る相棒になってくれることは間違いなさそうだ。
222 :
514:2008/11/18(火) 17:57:12 ID:???
よく見ると刀身の表面に『レイザー』と銘がうってある。すなわちこのナイフはフォールディングレイザー
ナイフ、というわけだ。ますます自分にぴったりである。
「気に入ってくれたみたいね。どう? いいナイフでしょう」
「はい。でも、なんでマキノさんがこんな・・・?」
酒場の女店主にはどう考えても不釣合いなものだし、そもそもこんな田舎にあること事態がおかしいような、
一級品の兵器である。シンがいぶかしむのも無理はない。
「今から十年位前にね、貰ったのよ。『赤髪のシャンクス』からね」
「えっ…あの?」
かつてフーシャ村を訪れた大海賊、赤髪海賊団。その大頭がシャンクスである。海賊とは言っても略奪など
はまったく行わず、ただ村を拠点に周囲を冒険して回り、陸に上がっては宴をして盛り上がるという、粋でい
なせな冒険ヤローたちだったそうだ。そしてルフィを本格的に海賊王への夢を抱かせた張本人でもある。
彼らが特に騒ぎまくったのがマキノの酒場だったのだ。
「うん。それでね、この村からいなくなるときに、今までのお礼って言って船長さんからもらったのがそのナ
イフなの」
「そんな大事なものいただけませんよ。シャンクスって人がマキノさんにあげたものなんですから、俺が勝手
にもらうわけにはいきません」
「でもね、シン君。もともと海賊が持ってたナイフだもの、私なんかが持ってるより、あなた達といっしょに
また海にでたほうがこの子達もうれしいと思うわ」
そう言われればシンも悩んでしまう。目の前にあるナイフをみすみす見逃してしまうのもためらわれるが、
これ以上マキノに迷惑をかけてはさすがに申し訳ない。
どうしたものか。
「ならこうしましょう。ルフィが帽子を返すときに、あなたもこのナイフを自分が使っていいかあの人に聞い
てみる。それでお許しが出たら晴れてあなたのもので、それまでは私が貸してるだけ。それならいいでしょ」
「……わかりました。大切に使わせてもらいます」
なんだか押し切られるような形になってしまい、やっぱりこの人には勝てないということを再認識する。
「シーンッ、もういいかぁ?」
ルフィの大声が響く。船長が催促し始めた。すなわち出航である。
「あら、呼ばれたみたいね。それじゃあ、いってらっしゃい。がんばってきてね」
「ええ。いってきます」
シンにとってはこれで三度目の旅立ちである。一度目は焦土となった生まれ故郷を捨てるも同然、二度目は
非常事態のさなかだったということで、出発を見送られたり祝ってもらうというのは案外始めての経験だ。
もちろん、海賊になるために海に出るわけだから今回にしたって褒められたものではないだろう。三年前ま
で一軍のエースパイロットだったことを考えれば落ちぶれたといえるのかもしれない。ルフィのように確固た
る目的を持っているわけでもないし。
それでも今、この胸に抱いているワクワクは本物だ。オーブもプラントもザフトも連合もロゴスもアークエ
ンジェルもフリーダムも、何も関係ないただのシン・アスカにはそれだけで十分である。
先に待つは偉大なる航路『グランドライン』、ひとつなぎの大秘宝『ワンピース』。
今まさに大冒険の火蓋がきって下ろされたのである。
223 :
514:2008/11/18(火) 18:00:14 ID:???
次からはもっとはやか書けるようにがんばります…。
224 :
514:2008/11/18(火) 18:01:21 ID:???
「はやか」じゃなくて「早く」ですね。すいません。
お久しぶり乙。無事でなによりです。
19歳のシンの事楽しみにしとります。
本誌でかつてない展開が起こってるのだが…
gj!
GJ!!
乙
保守
今週の話読んだら、ますますシンだったら何処に飛ばされたか気になってきた
案外マジに宇宙に飛ばされるってのも、この世界観だとあり得るからなあ……生身のエネルが普通に宇宙空間で活動したりしてるし
真面目に考えると体が一種のエネルギー(電気)で体が構成されてるから
エネルギー摂取(食事)さえ出来れば
海の中以外生活できるとかそんな感じなのかもしれないな
232 :
514:2008/11/27(木) 18:35:34 ID:???
いやー、プロペラが主動力のマクシムで月までいけたことを考えると宇宙に空気ありますよ、あの世界。
エネルに限らず誰でも生きていける可能性は大いにあると思います。ましてやCEの技術があれば十分実現できるはず。
宇宙か……いつか使うかも。
>CEの技術があれば
なんか最近どっちのほうが技術力が上なのかわかんなくなってくるぜ
つーか偉大なる航路でAAやミネルバとか通れないんじゃね?
狂った磁場とか異常過ぎる天候とか海王類とか
>>230 ドラゴンボール(初期)なんて如意棒で月まで行ったぞ!あまつさえ餅までついてた!
NASA涙目www
アポロが着陸したのはただの「地球の衛星」であって「月」ではない
なぜならウサギがいなかったではないか
>>233 少なくともCEの技術じゃ熊みたいなサイボーグは作れないな
そんな技術があるなら、大気の流れなんぞ無視して突っ切れる程度の
性能持った飛行機くらい簡単に作れそうなもんだが・・・
>つーか偉大なる航路でAAやミネルバとか通れないんじゃね
航海士が有能とはいえ、ゴーイングメリー号が耐えられる程度の「異常すぎる天候」や
狂った磁場程度なら、宇宙に出れる戦艦なら余裕で耐えると思うぞ。
しかしコンパスがあんなにグルグル回る海だぜ?レーダーとかいかれるよね?ろくに地図もないのに
突発的に起こるハリケーンやノックアップストリームとかどーよ
肌で天候を感じとれる超有能な航海士がいなきゃ…てそりゃナミぐらいか
いや、海王類には手も足もでんだろうが
>ゴーイングメリー号が耐えられる程度の
メリー避けてるから!傷ついてはいるけど避けてるから!
まともに喰らったら木っ端微塵だから!
>>234 ちょwwwおまwww
>>234 月って言ったら、カグヤ姫だろう、jk
しかし、その発想は無かった。というか、何処かでアポロは偽物説が流れてたが、事実偽物だったのか
海王類はミサイルとかビーム兵器あれば十分殺せるだろ
これらが効かなかったら東宝怪獣並の戦闘力があることになるが、そこまでの描写は今のところ無いしな
にゃはは、ムリムリ
あそこの奴等死なないもん、ビームもミサイルもへっちゃらさ
ラブーンの何分の一だと思ってんだ?
240 :
ゼーゴック:2008/12/01(月) 17:04:37 ID:???
東方怪獣並みの体力は確実だろラブーンは100mは超えた巨体で山に体当たりしまくって平気で生きてんだぜ?
ローエングリンクラスの武装ならいざ知らず、機銃やミサイルじゃ死にそうに無いと思うぞ
241 :
8:2008/12/01(月) 21:02:11 ID:???
ヤベェw
本編の展開通りだとこのままじゃうちのシンが白髭海賊団と戦争する事になる!
まさか、ワンピでも戦争が起き掛かってるとはな…。
いつかのビビんとこの戦争どころじゃない。
本気で世界大戦ばりの一戦に……。
どうやら、シンも逃げられないらしいな。
戦争という名の敵とは。
この機に乗じてドラゴンも動くだろうし、とんでもない激動展開だよな
だがこの戦争だけで、単行本30巻ぐらいは軽く費やしそうだ…
ルフィがエース救出してとりあえずは戦争回避・・・ってことにはならないだろうなあ。
もうエース1人の問題じゃないからね
海軍が完璧に白髭に宣戦布告したに等しい形だから
戦争はアラバスタの時もそうだけど、あっちは内乱でしかも双方騙されての事だったけど、今回はガチで双方の威信がかかってる
あげ
保守
シンがAAに飛ばされました
>>248 とりあえず乗員全員拉致ってナタルさんの前の総土下座させるべきだな
保守
保守
過疎ってるので雑談ネタを一つ
エクシアちゃん(一期OPの刹那妄想キャラ)が来たら
保守
サイがコピコピの実のコピー人間になったようです。
サイシー!
保守
保守
あげ
260 :
514:2008/12/31(水) 22:31:03 ID:???
大晦日ぎりぎり滑り込み、というわけで今年最後の投下です。
来年はなんとか月一ペースを維持できるようがんばります。
261 :
514:2008/12/31(水) 22:40:05 ID:???
『ONE PIECE』VS『SEED』! 第2話
シンがルフィについて呆れつつも感心してしまうのは戦闘力というよりむしろ器の大き
さだろう。命さえ顧みず一途に夢を追うルフィの姿勢をシンは素直に尊敬している。しか
し、それがしばしば非常識な形で発揮される事に関しては、どうにかしてほしいとも思っ
ている。
例えばこんなふうに――
「こいつコビーってんだ。さっきまで海賊船で雑用やってたんだけど、今から海軍に入り
に行くんだ。俺たちも一緒についていくからな」
「あの…よろしくおねがいします」
「釣りに行こうとして間違えて海賊船に乗っちまったんだと。ドジでバカだよな〜!」
「ちちょっとルフィさん!」
どうやったら海賊王になりたい男と海兵志願者が友達になれるんだろうか?
思わずシンはため息をつく。
事の起こりは半日ほど前。多くの村人たちに見送られ意気揚々と出発して数日、シンと
ルフィは早速最初の危機を迎えていた。ろくな準備もせず酒樽ひとつ積んだだけの小船で
漕ぎ出し半ば漂流を続けていた二人の目の前にはまるでそこだけぽっかり穴が開いたかの
ような大渦が口をあけていた。
本来海図もコンパスもなく航海するなんて自殺するようなものであるが、特に海図など
は一種の戦略物資でもあり政府や海軍から認可をもらった店でないと扱っていないという
こともあって、いくらフーシャ村全体が二人に対して好意的だったとしても、さすがに海
賊になろうという人間が正当な手段でそれらを手に入れることは不可能だった。中には内
緒で譲ってくれるという人もいたが、変なところで律儀な二人はそれらの申し出をすべて
断っていたのだ。さらに運が悪いことに、この渦は何の前触れもなく穏やかなはずの海面
に突然現れるというなんとも質の悪さで、近隣の漁師や船乗りたちから恐れられていると
いう代物だった。
そんなわけで結局二人はなす術もなく渦に飲み込まれることとなった(できたこととい
えばシンが泳げないルフィを酒樽に押し込めたくらいだ)。
常人なら間違いなくアウトなのだが、もちろんこの二人がこの程度で死ぬわけもなく、
特に怪我をすることもなくそろってゴート島に流れ着いた。それでも同じ場所に漂着とは
いかず合流するまでに時間が空いてしまい、そして上の状況へとつながるわけだ。
いくら不可解だろうと船長がそうするといった以上は付き合うしかない。
「俺はシン、シン・アスカだ。どれくらいの付き合いになるかはわからないけどよろしく
な。あ、名前がシンで苗字がアスカだから間違えないように」
「はい、わかりました。お世話になります」
まあ犯罪はもちろん海賊旗すら揚げていないルフィとシンを海賊と呼べるかどうかは微
妙なところだろう。海軍基地についたとたん彼らを差し出すなんてまねをコビーがすると
も思えない。目的地までの航路も把握しているというし、同行するメリットはあってもデ
メリットはなさそうだ。
262 :
514:2008/12/31(水) 22:41:57 ID:???
「でも…お二人、“ワンピース”を目指すって事は…あの“グランドライン”へ入るって事
ですよね…!!」
「ああ」
「それ以外の航路があるって話なんて聞いたことないし」
「あそこは海賊の墓場とも呼ばれる場所で…」
「うん。だから強い仲間が要いるんだ」
「まあ、でもおまえの言うとおりヤバイところだからな、付き合ってれるくれるようなバカ
がどれだけいることか…」
信頼できる仲間の確保というのは非常に重要な問題である。ただ海賊になるというだけな
ら粗暴であとは少々腕力があれば十分であろうが、ワンピースを目指す過程においてそんな
有象無象ばかりがいたところで足を引っ張るだけだ。かといって能力が高ければいいという
ことでもない。平時は役に立たなくとも、ここぞという時に安心して命を預けることができ
る。そんな人間こそが必要だ。直属の上官に裏切られた経験のあるシンにはけっこう切実だ
ったりする(では、お前は良き仲間だったか聞かれれば閉口するだろうが)。
「それなら大丈夫だ」
「なんだ、心当たりでもあるのか」
「ああ。これからコビーが行く海軍基地に捕まってるって奴」
「えっー!! ロロノア・ゾロを仲間にするつもりなんですか!?」
「いい奴だったらな」
「ムリですよムリムリムリっ、あいつは魔獣のような奴なんですよ!?」
「ロロノアって…ああ、あの海賊狩り。たしかに実力は折り紙つきだろうけど……ハハッ、
それもおもしろいか」
『海賊狩り』ロロノア・ゾロ。
おそらくイースト・ブルーでもっとも有名な賞金稼ぎだ。この業界で有名になるというこ
とはそれに比例して危険度が増すということだが、相変わらずそんなことはお構いなしとば
かりに彼の名は轟きっぱなしである。海賊狩りを海賊にするなんておかしな話だが、海賊王
になるというならそれくらい型破りなほうが箔が付く。魔獣とすら形容される男をどうやっ
て引き込むか、キャプテンであるルフィの腕の見せ所といったところか。
しかし、
――なんで賞金稼ぎが海軍に捕まってるんだ?
シンが抱いた至極まっとうな疑問はなぜかこの場では話題にならなかった。
「ついた! 海軍基地の町!」
「はい! ついに!」
「シェルズタウンか。あるのはたしか第153支部だったか」
航海は何の支障もなく進み、三人はめでたく目的地に到着した。コビーに出会うまではた
だ海の上を漂うことしかできなかったシンとルフィにとっては、これが最初のまともな航海
だったわけだ。
263 :
514:2008/12/31(水) 22:44:05 ID:???
「すげーな! ちゃんと目的地に着いたよ」
「当たり前だろ。コビーはここに来るまでの航路を知ってたんだ、航海術をある程度知っ
てれば普通着くんだよ。知らないお前が異常なんだ」
「そうですよ。海に出る者の最低限の能力です!」
「ああ、そうだな! メシ食おう」
二人からいっせいに非難されるも、当のルフィはどこ吹く風とばかりにまるで応えてい
ない。
いったいどういう訳か、十年も前から海賊になると決めていたはずのルフィは、航海術
をはじめとした海に出るために必要な技術の一切を習得していなかった。最初は学ぶ気が
あったがどこかで挫折したのか、あるいはまったく考えてもいなかったのか、とにかくそ
んなものには目もくれずルフィは腕っ節を磨き続けていたのだ。
困ったのはシンである。当然ルフィはそういった心得を持っているだろうと思っていた
彼は、なら自分は戦闘員に徹しようと考えていたのだが、ルフィがケンカ以外でまったく
の役立たずと判明したため、戦闘訓練やマキノの手伝いなどを終えクタクタになった体で
さらに座学で知識を深めなければいけない羽目になったのだった。
「本当にわかってくれたんでしょうか…」
「はあ…キャプテンはあんな調子だし、俺も知識だけで経験なんてないし……早く腕のい
い航海士を仲間にして楽になりたい」
「おい! 何してんだ、置いてくぞ!」
大声でせかされた二人は方を落として歩き始めた。
ルフィの後を追って飯屋に入る。海にいる間はもっぱら魚介を生で食べるしかなかった
ので、久しぶりのまともな食事に三人はおおむね満足した。
食後、シンは海軍基地に用がある二人といったんわかれ、食料などの買出しに向かった。
資金はフーシャ村でためていた分に加えアルビダの海賊団からも戦利品ということでいく
らかぶんどってきたのでそれなりの額があるが、ルフィの食欲を考えると果たしていくら
あったところで足りるかどうか。店を回るなり値切るなりの時間も確保しておきたい。噂
のロロノア・ゾロを見てみてみたいという気持ちもあるものの、ルフィが海軍基地なんぞ
に行くとなれば騒ぎになるのはほぼ間違いなく、となれば買い物はさっさとすませておく
必要がある。
ついでに世間話がてらにでも聞いておきたいことがあった。
この町の住人たちは、ここの基地のトップである海軍大佐の名前になぜか異常なまでに
敏感になっている。町の治安を預かるものに対して、悪名高いあの海賊狩りと同じような
反応をするのはやはりおかしい。考えられるとすればその大佐――たしかモーガンとかい
ったか――が住民から無理やり税金を巻き上げたり不必要な労役を課したりとよほど好き
放題やっているのだろう。金のある都市部はともかく、海賊から身を守るためには海軍に
頼るしかなく、すると当然、つけあがる連中が出てくるわけだ。海軍に内部監査のシステ
ムがないわけではないが、二十二年前に大海賊時代が到来して以来、全世界の海をカバー
する巨大組織の隅々をチェックする余裕はなくなっているらしい。この手の話は地方に行
けば行くほどごろごろ転がっている。
元同業者からすれば複雑ではあるが、これでシンも抵抗なく海軍と戦えるわけだ。もし
モーガンがそういう男だったらおそらくシンは我慢なんてできないし、一発といわず気が
済むまで殴り倒してしまうところだろう。
264 :
514:2008/12/31(水) 22:51:08 ID:???
町の中心に向かって約十分。買い物の成果は上々、モーガンが思っていたとおりの人間
だということもわかった。なんでも基地の屋上に自分の銅像を建設中だというから筋金入
りだ。話を聞いた瞬間、ブチ切れて殴りこみに行こうかと思ったがなんとかぐっと押さえ
込んだ。
俺も成長したもんだなどと思いながらシンは荷物を置きに港へと向かう。
「おい、おまえ!」
「・・・・・・・・・」
「おい!」
「・・・・・・」
「こっちを見ろ!!」
「・・・俺?」
「そうだよ!」
振り向くと奇抜というかキモイ髪型の男が道の真ん中で偉そうにふんぞり返っていた。
おかしなことにこの男の両脇には海兵がひかえており、もっとおかしなことに道行く人は
皆ひざまずいている。
一瞬モーガンかとも思ったが即座に打ち消した。海軍大佐というには目の前の男はしょ
ぼすぎる。とするとこいつはその息子であろう。親父の権力をかさにきてすき放題やって
いるらしい。たしか名はヘルメッポだったか。
「俺に何か用でもあるのか」
「聞こえてなかったのか! 頭が高えって言ってんだよ!」
何ともムカつく言動。
ドスッ!
いつの間にかシンは男のどてっぱらを蹴飛ばしていた。モーガンのことでイライラして
いたとはいえ、まだまだ短気は直っていなかったようだ。
突然の凶行に周囲が一気にざわめく。
265 :
514:2008/12/31(水) 22:53:13 ID:???
「な何やってるんですかシンさん!」
「おうコビー。どうした、そんなに慌てて」
「殺されちゃいますよ! 海軍に逆らったらいくらシンさんでも無事じゃいられませんよ
ッ。ルフィさんからも笑ってないで何か行ってください、あなたならシンさんを止められ
たでしょ!?」
「かっはっはっはっはっ。いいじゃねえか別に、俺たち海賊なんだしよお」
「おお前ら海賊か! ならちょうどいい、磔にしてゾロの奴ともども死刑にしてやる!
三日後だ! 覚えてろ!!」
「なに? お前今、ゾロを死刑にするって言ったのか。一ヶ月の約束はどうした」
「そんなもんギャグに決まってるだろ! それを本気にする奴も魔獣的にアホってわけだ!
そんなことよりいいか、お前も頭が高え、その黒髪の仲間ってんなら一緒に死刑に……」
ドカッ!
「ギャー! ルフィさんまで〜!」
シンに続きルフィからは顔面を殴り飛ばされたヘルメッポはたまらずノックアウト。おつ
きの海兵に抱えられどこかに行ってしまった。
軽いパニック状態になっていた住人たちもかかわりあいたくないとばかりにそれぞれの家
に引っ込んでいく。お兄ちゃんたちすごい、胸がスッとしたと話しかけてくれた女の子も母
親に連れられていった。
「決めたぞ、シン、コビー。俺はゾロを仲間に引き込む」
周囲の喧騒とは正反対にシンは珍しく怒りをあらわにしたルフィを冷静に見つめた。
シンはまだロロノア・ゾロという男がどんな人間なのかをまったく知らないが、ルフィが
ここまで入れ込むとなれば十分信頼できそうである。
「了解。で、具体的にどうするよ」
「そんなこと言ってないで早く逃げましょう! やっぱりただじゃ済みそうにありません!
例の大佐が怒って、下手すれば海軍が動く恐れも…」
「その時はその時だ。シン、ゾロのところに行くぞ」
「じゃあ俺は荷物を船に置いてくる。お前は先に基地のほうに行ってろ」
「ああ」
ルフィはすたすたと基地に向かって歩いていく。
シンも港へ行こうとする。ふと見るとコビーが肩を震わせ、うつむいていた。
「シンさん…僕は、どうしたら…」
正しいと信じていたものが、実はそうではなかったことに気づく。同じような経験はシン
にもある。何か気の利いたアドバイスをしてやりたいところだが、生憎そんなものはシン自
身がしてほしいくらいのもので、ありきたりなことを言ってやる程度のことしかシンにはで
きない。
「やりたいことをやるしかないだろ。後悔のないようにさ」
言われなくても分かるような当然のことだし、結局それが実は一番難しかったりする。な
により言った本人ができていなかったことなわけだ。
「あんまり深刻になるなよ。肩の力抜いて、気楽にな」
「……はいっ」
半分は自分に対して言ったようなものだが、それでも幾分かコビーの気はまぎれたらしい。
改めてシンは港に向かった。
266 :
514:2008/12/31(水) 22:56:14 ID:???
それではみなさんよいお年を。
新年一発目からキタッー!
GJです!あぁ、いい物を見た…
これからも頑張って下さい!
GJ!!
保守
保守
ほ
し
ゅ
う
?
浮上
沈没
懸吊状態
ジンベエ格好良いな
シンが知ったら尊敬しそうな男だぜ
279 :
601:2009/01/20(火) 21:28:33 ID:???
お久しぶりです。またも間が空いてしまいましたが、これより投下します。
機動海賊 ONE PIECE Destiny 第31回
勢いこんで駆け出したシンとカルー、そしてビビだったが、その突進は、すぐにも中断
せざるを得なくなった。
砂漠からアルバーナの城門めがけて突進する、反乱軍に出くわしたのだ。
反乱軍は、そこにビビがいるとは到底気づいているようには見えなかった。彼らは咄嗟
にカルーの足を止めさせたビビの声はおろか姿にも気づかず、軍勢がいならぶ城壁を目指
して駆け抜けていった。
危うく彼らの蹄に踏み散らされそうになったビビとカルーだったが、シンが両者に覆い
かぶさるよう地に伏せ、鉄塊で身を鎧った事で、どうにかやり過ごすことが出来た。
「みんな……」
「急ぐぞビビ」
砂を掴み、唇を噛むビビに、先に立ち上がったシンが言った。その声の響きは、先ほど
シンがその身をもってやって見せた以上に、堅く、厚く、鎧われているように、ビビには
思えた。
「軽業師君、ケガは?」
「大したことはねえよ。少々蹴飛ばされたが、屁でもないさ」
確かに、そうなのだろう。あの体を鉄のように堅くする技を使ったシンが、剣や銃弾で
すらその身で弾いてみせたのを、ビビも目にしたことはある。しかし。
だとしたら、一体何が、彼をこんなにも苦しめているのだろう。体はおろか、心まで鋼
の鎧をまとわずにはいられないほどに。
−−−−−
アルバーナの城壁から離れること約1キロ、砂嵐によって出来た砂丘の頂上で、双眼鏡を片手にアルバーナを見つめる姿があった。
白い制帽に白いコート。コートの背には、正義の二文字。
海軍本部ドミニオン隊の隊長、バジルール・ナタル少佐だ。
「始まったか」
「少佐、点呼完了しました。欠員ありません」
ナタルの脇に来たキャノン中尉がナタルに敬礼と共に報告した。それを受け、ナタルは手にしたアルバーナの地図を広げ、キャノンに視線を向けた。
280 :
601:2009/01/20(火) 21:29:15 ID:???
「中尉。砲術参謀としての、君の意見を聞きたい」
「は。何でありましょうか」
「もし仮に――君がこのアルバーナに砲撃を仕掛けるなら、どこに砲台を設置する?」
「……砲撃の規模は?」
「大量虐殺レベルだ。そうだな、例えば――この王宮前の広場に集まった反乱軍と王国軍、その大半を鏖殺できる程度、だ」
「難しい、話ですな」
あまりと言えばあまりな想定状況に対して、しかし、そのつるりと禿げ上がった頭を撫でるだけで応じ、しばし目を閉じてから、ゆっくりと答えた。
「それほどの大規模砲撃となれば、相応の砲火力が必要となります。海軍で言えば、将軍座艦の主砲級は必須でしょう。しかし、それだけの砲を、現況でアルバーナ周辺地域に設置するのは難しいですから」
「水上からの艦砲射撃、と言うことか?」
「はい。しかし、もし仮に、おっしゃられた状況を実現することだけが必要なら、もう一つ手があります」
「ふむ?」
「街の中に、砲弾だけをセットすることです。そうですな、時限装置か何かで、炸裂させてしまえば良い」
「それは、可能な話なのか?」
「砲弾だけであれば、偽装して持ち込むことは不可能ではないでしょう。砲から発射する必要がないなら、なおのことです。炸薬と外殻、後は少々の部品を別々に運びこめば良いのです」
「その砲弾はどうする。むき出しでは置いておけんぞ」
「空き家なり、あるいは普段人が立ち入らぬ施設なり、適当な場所をアジト化してしまえば解決します。人を置いて監視すれば良い。資金が潤沢であるなら、その施設の権利から買い取ってしまえば、ことは済みます……しかし、少佐」
「何かね」
「現況において、そのような行動を取る勢力を、自分は想定できません。それだけの規模の破壊となると、王国側も反乱軍側も、もはや本末転倒ではないでしょうか」
「私も同感だよ。だが、もし目的を異にする第三者がいれば?」
「クロコダイルの目的は、王国乗っ取りではないと?」
レインベースで遭遇した事態については、ナタルもキャノンたちに既に教えてあった。
「単純に王国を乗っ取ろうと言うのなら、この騒動はいささか大げさにすぎる。そう思ったのだよ。ぎりぎりまで王族を生かしつつ、かつ、王国軍と、志ある国民の双方を吹き飛ばす、そこに一体どんな意味があるのかまでは解らんがな」
だがきっと、彼らなら――その最奥にまで迫れるのだろう。海軍将校としては、歯がゆいことこの上ない話ではあるが。
そこまで考え、ナタルは眦を決して部下に通達した。
「総員傾注! これより我等ドミニオン隊はアルバーナに突入する! 目的は――市内各所に潜入するバロックワークス構成員の捕縛である! バロックワークスの旗印を身に付ける者は相手が誰であろうと構わずふん縛れ!!」
『はっ!!!!』
ナタルの激に、フレイとキャノンを含めた総員が敬礼を返す。それに満足そうに頷き、ナタルは改めてアルバーナにつま先を向けた。
「ドミニオン隊、突入――!!!!」
−−−−−
「コックさん、大丈夫かしら……」
「前を向けビビ!! 今アンタがするべきは、振り向くことじゃないだろうが!!」
「……!! そうね」
281 :
601:2009/01/20(火) 21:34:28 ID:???
カルーとシンの身を挺した防御をもってしても、ウソップに扮したミスター2と手下の
包囲を抜けるのは容易ではなかった。
城壁を越える直前に現れたウソップが、ミスター2の能力による変装であることは、す
ぐに見抜けた。
仲間の印を見せろと言う二人に、ウソップの姿をしたそいつは、左腕に巻かれた包帯を
見せた。見せた、だけだったのだ。
何故見破られたかをいぶかしみながらも、ミスター2は即周囲にいたビリオンズに二人
の包囲を命じ、自らもビビを捕まえようと迫った。
ビリオンズだけであるならば、あるいは、ミスター2だけであるならば、シン一人でど
うにか出来ただろう。その場で食い止めつつ、ビビだけでも先行させることは出来たはず
だ。
だが、ビリオンズとミスター2を一度に相手取らねばならぬとなると、それも難しかっ
た。
そこに現れたのが、サンジだった。
シンがビリオンズを、サンジがミスター2を相手とし、ビリオンズが全員打ちのめされ
た直後、サンジはシンにビビを連れて先に進めと言った。
サンジらしからぬ申し出に、ビビとシンはそろって「まさか、こっちも偽者?!!」と
叫んで速攻ツッコまれたのだが、それはともかく。
お前の足なら、ビビちゃんかついで少しでもより早く先へ行けるだろうが――
そう言うサンジの言葉を受け、シンはビビを背負い、アルバーナの入り組んだ路地をビ
ビのナビゲートに従い、フォースで駆け抜けていた。だが。
「――?!!」
「きゃっ!!」
突如、シンの足が急ブレーキをかけ、背負われているビビは危うくつんのめりそうになっ
た。
「あ、悪ぃ」
「どうしたの? 一体……! あれは!!」
シンが見やる方向にビビが視線を向けると、ずっと遠くではあったが、民家の屋上に、
風にたなびくピンク色の髪が見えた。その周囲には、恐らくバロックワークスの手勢であ
ろう、武器を手にした一団と、陽光をきらりと反射させる磨きぬかれたトロンボーンを持
つ姿が見て取れた。
「ミーアさんね」
「ああ……けど、今は」
「降ろして、軽業師君」
282 :
601:2009/01/20(火) 21:35:02 ID:???
かぶりを振り、改めて駆け出そうとしたシンの背中で、ビビがはっきりとした声音で言っ
た。
「降ろしてって、まだ」
「良いから、降ろして」
その声には、決して逆らえぬ、逆らおうと思わせぬ力がこめられていた。シンは、いっそ
うやうやしく、ビビを背中から降ろした。
「ここから先は、私一人で良いわ。軽業師君は、ミーアさんを助けてあげて」
「アンタ、何言って」
「良いから!! 行ってあげて」
「ビビ……」
「元々、これは予定にあったことでしょう? それに、私はもう我慢できないの。この街で、
私が大好きなこの街で、これ以上不幸な涙なんか、流れてほしくはないの。それを全て止め
ることなんか出来ないのかも知れない。クロコダイルが言う通り、それはかなわない理想で
しかないのかも知れない。けど、今そこに、手の届くところにそれがあるなら」
「大丈夫なんだな」
「この街は、私にとって庭みたいなものよ。子供の頃から、路地裏抜け道、あちこち走りま
わって遊んだんだもの」
笑って言うビビに……シンは一秒にも満たぬ間ではあったが、目を閉じ、敬意を払って見
せた。
「解った。ただし、良いか。アンタも十分気をつけろよ。無茶や無理をするなとは言わない
けどな」
「ええ。まかせて」
どちらからともなく、包帯を巻きつけた左腕を差し出し合い、二人は拳を打ち合わせた。
直後――
「剃!!!」
砂埃を巻き上げ、シンの姿が掻き消える。到底目では追えぬはずの赤服の姿を追うように
空を仰ぎ、ビビはすぐに視線を王宮へと向け、路地を駆け出した。
−−−−−
「おーおー、まあ派手にやってやがんなあ」
「……」
「おやあ? どうしたよ、もうちょい喜んだらどうなんだよ。こんだけ派手に盛り上がって
るなら、お前が歌う必要はないのかも知れないんだぜぇ?」
283 :
601:2009/01/20(火) 21:35:27 ID:???
「!!……それ、は」
「ひでえ女だよなあ、ったくよぉ。自分の歌をこんなことに使いたくねえだなんてよ。お前
が歌わねえで済むってことはつまり、この反乱がお前の歌抜きでも治まらねえぐらい盛り上
がるってことだぜ?」
「くっ……!」
アルバーナのとある民家の屋上から見下ろす反乱の光景に、ミーアは湧き上がる叫びを飲
み込むのに精一杯だった。
この男の言う通りだ。私は、あなたたちが血で血を洗う争いに身を投じるのを見て、安堵
している。あなた達が争えば争うほど、争いに打ち込めば打ち込むほど、私は私の歌を歌わ
ずに済む。そのことを、私は喜んでしまっている。
だから、もうやめて。その刃は、その銃口は、ただ私に、私一人に向ければ良い。
たぶん、きっと、今この街で一番罪深いのは、この私なのだろうから。
そう、叫びたかった。そう、歌いたかった。しかし。
「まあ、それはそれとしてだ。このまんまだんまりでステージ降りるってのも、寂しいとは
思わねえか?」
「!!」
「おい、鍵」
「へい」
後ろに控えたビリオンズの一人から鍵を受け取り、トロンボーンの男、ミスター6はミー
アの首にかけられた首輪をはずした。
海楼石がはめ込まれたそれが、ごとりと落ちる。
「解ってんだろうけどな、変な気は起こすなよ? お前の歌は俺には通じねえし、俺の演奏
はお前の歌をかき消せるんだからな」
ミーアの肩に手を置き、ミスター6が嫌らしく嗤う。
彼の吹くトロンボーンの音色は、彼が言う通りミーアのウタウタの実の能力をかき消して
しまうのだ。
彼自身は能力者ではない。ただ、音楽を武器にのし上がってきたのだ。クロコダイルがミー
アの抑えに彼を配置したのは、その演奏あればこそだった。
「てぇことでだ。一丁景気よく奴等をあおってやるとしようや。騙されてるとも知らねえで、
殺し合いに血道挙げてる馬鹿どもをよ」
もはや、助けてとは、誰にも言えなかった。
一度は差し伸べられたはずの手を、払ってしまったのは自分なのだから。
284 :
601:2009/01/20(火) 21:36:01 ID:???
確かに、あのザフトの赤服を着た少年は、デュランダル議長の子飼いと言える存在で、
だから、自分にとってはむしろ忌まわしくさえあっただろう。
だが、その忌まわしさを選び取ったのは自分ではないか。忌まわしくしてしまったのは
自分ではないか。
ラクスを演じることを持ちかけられ、それを受け入れたのは自分だったはずだ。ラクス
で良い、ラクスが良いと言い切ったのは自分だったはずだ。
レインベースで出会った彼のあの声、あの視線、あそこに僅かでも打算があっただろう
か。自分を利用してやろうと言う、企みはあっただろうか。
なかった。そんなものは、微塵もなかった。彼はただ、自分の姿に驚き、自分が与して
いる相手について警告しようとしていたに過ぎない。
そして、それは――正しかった。
そして、それを無視し、耳をふさいだのは――やはり、自分だった。それどころか、彼
に対し、彼を打ちのめす侮辱を叩きつけた。
だから、もはや、助けてとは、誰にも言えなかった。
背後に立つミスター6の下卑た笑いに煽られ、喉を振るわせようと天を仰ぐミーアの脳
裏に浮かぶのは、ただ、謝罪の言葉だった。謝罪したいと言う思いだった。
彼に、謝りたかった。一言でも良い、彼に謝りたかった。
きっとそれは、決してかなわぬ願い――
その、はずだった。
「あ――」
遠い空の彼方にその姿があった。きっと幻だと、そう思った。そんなはずはない、そん
なことが、都合よく起こるはずなどない。そう、思った。だが。
「ス ラ ッ シ ュ エ ッ ジ ! ! ! !」
285 :
601:2009/01/20(火) 21:36:23 ID:???
ど ん っ ――と
その幻は、叫びと共に、回転する刃となって、ミーアとミスター6の間へと飛び込んで
来た。
すんでのところで飛び退ったミスター6が驚愕する。飛び散る真空波の余波を食らい、
ビリオンズどもが吹き飛ばされる。
「てっ 手前ぇ?!! 一体どうして?!!」
受身を取って起き上がったミスター6の問いを無視し、その幻は、ミーアに手を差し伸
べて言った。
「迎えに来たぜ、ミーアさん」
その姿、『赤服のシン』は、断じて幻などではなかった。
To be continued...
286 :
601:2009/01/20(火) 21:37:31 ID:???
今回は、以上です。
ジンベエは意外な登場の仕方でしたなー。まあ素直に海軍に従いそうにはなかったですが。
乙!
シンもワンピ的ヒーロー描写が板についてきたな
このシンは確実に主人公色の覇気を身に纏ってる
GJです。
シンもナタルさんも、やり方は違えど、真っ当な自分の道をを歩んでいて、
良かった良かったと。
ミーアもCEで、電波の影武者なんて貧乏くじを引いたんだから、
こっちでは幸せな歌を歌って暮らしてほしい。
その為にも、シン、頑張ってくれ。
乙、GJいっけー!シン
保守
291 :
通常の名無しさんの3倍:2009/01/27(火) 07:51:15 ID:VnY5C+EP
久し振りの更新 GJ いい展開だ
最近のワンピは、ちょうどMr.3とかクロコとか、アラバスタ篇に関係の深いキャラが再登場してるから、このスレと一緒に見ると非常に面白い
クロコと聞いてジャンプの新連載のバスケ漫画の主人公を思い出したぜ
保守
保守
ほし
ゅ
鬼保守
保守がわりの小話(時期遅れとか気にしない)
サンジ「野郎共がソワソワし始めるバレンタイン……そんな中、俺も追い出されちゃったりするんだな、キッチンから」
シン「イヤ、誰に喋ってるんだよ」
サンジ「マイフレンド、ぼかぁゆーつだよ」(棒読み)
シン「俺にか。色々言いたいがとりあえず、それ微妙に違う人のセリフな」
サンジ「だってよ〜、ラヴコックとしちゃこの行事は気が気じゃないわけよ。
あ〜、ナミさんもロビンちゃんも罪な女……」
シン「とりあえず、お前寝ろ。クマ出来てる。支離滅裂だし」
サンジ「マリモと一緒にすんなクソ赤服が!」
シン「はいはい、悪かったなー」(棒読み)
この後、ちゃんと貰って大喜びして、呆れられてればいい。しかし俺の文才はここまでのようだ……
慣れない事はするもんじゃない……ぜ……
保守
貴方にどうぞ
つ保守保守の実
上げ
保守的なおいら
保守保守のー保守!
……凄く保守っぽい技だ。
>>306 大事な事なので3回言ったんですね解りますwwwww
保守
羊肉(ムートン)ホッシュ!!
保守鬼切り!
……保守る刀ってのも悪くねぇな
飛ぶ保守を見たことがあるか?
三刀流……百八煩悩保守!!!
ちょっと話題を投下するか
キラ…ニトニトの実のニート人間
アスラン…ハゲハゲの実の全身ハゲ人間。頭部はもちろんハゲでありアソコもハゲ
サイ…コピコピの実のコピー人間。相手の技や動きをそのままコピーする
ステラ…イヌイヌの実、モデル“ドーベルマン”
アウル…ミズミズの実の水人間。
タリア…ンチャンチャの実のンチャ人間。ンチャ砲が出せる
ちなみに異論は認める
声優ネタだったら
イザーク…ネコネコの実モデル“豹”
バルドフェルド…ウシウシの実モデル“麒麟”
カガリ…アワアワの実の泡人間
カズィ…心綱、衝撃貝持ち
もしかしたら間違ってるかも
>>312 > キラ…ニトニトの実のニート人間
すごく…役立たずですwwwノロノロビームみたいなのが出るなら別だがwwwww
> アスラン…ハゲハゲの実の全身ハゲ人間。頭部はもちろんハゲでありアソコもハゲ
いくらなんでもあんまりな件www
> サイ…コピコピの実のコピー人間。相手の技や動きをそのままコピーする
マネマネの実と被ってねーか?
> アウル…ミズミズの実の水人間。
水なのに海に弱いとはこれいかに。
> タリア…ンチャンチャの実のンチャ人間。ンチャ砲が出せる
ある意味声ネタな件www言いづらいwwwww
> カガリ…アワアワの実の泡人間
ん?映画に出てきたあれか?だとしたらたぶん違うと思うが。
ミズミズの実については、映画「ねじまき島の冒険」でトロトロの実の能力者が既にいるな
体を液状化できるが、服までは出来ないので全裸にならなくちゃいけない
んちゃ砲は他の言葉でも出来るんだよな、ばいちゃとか
シン…ワキワキの実の脇役人間
名前だけの(最後にやられる)主役www
ルナマリア…アホアホの実のアホ毛人間
まんまwww
アンガ、海軍から抜け出した奴
ミーチ、猛獣使いは出てないから、ヘンテコな生物を+αに!
トール、ナゾナゾの実。ナゾ人間。
そういやシンのお父さんって怪僧ウルージ様と中の人一緒だっけ?
てゆーかシンの両親てモブキャラだろw
シンの親父さんがウルージだったら絶対あそこで死ななかったろうな
そのかわりシンとマユが名状し難いものになりそうだけどw
保守がわりの小話、1日遅れだが気にするな、ホワイトデーネタだぜっ!
サンジ「ってわけで、ラヴコックサンジのお料理教室!
マリモや脳みそゴムなうちの船長にも簡単にできる!愛情3倍ミルクミルフィーユだぜっ!」
シン「どういうわけだよ。っていうか、ルフィもゾロもいないよな?俺だけ?」
サンジ「今のは言葉のあやだ。マリモはともかく、うちの船長をここに入れたら最後、材料を素材のまま全然つまみ食いされちまうだろうが。
ちなみにマリモは、ウソップたちと一緒にルフィを抑えてる」
シン「ご丁寧に長々と解説どうも。で、何か?俺は助手か?」
サンジ「まぁ、そんな所だ。
さぁ、まずはそこの材料をだな…」
こうして作られたミルクミルフィーユは、結構評判が良かったとか。
…何やってんだろ、俺。ヤマもオチもない…!
ってゆーかクソまずいレーションをこさえたシンだと、大変な事になりそうだからいいかwwwww
空軍保守シュート!!!
323 :
通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 00:51:44 ID:CDI3cily
職人さん来ないなぁ
保守
保守
保守
覇気だっけ?
シンが使えるようになったら何色だろ?
英雄色とかww
なんか・・・薄そうだなぁ・・・シンの色
329 :
8:2009/04/10(金) 13:56:16 ID:???
お久ぶりです。
間が大分空いたけど投下いきます。
330 :
8:2009/04/10(金) 13:56:56 ID:???
「なんだこいつ」
「うぇ〜……」
「でけェ……」
「うわあああああああああああああああああ」
第八話
海上レストラン・バラティエからの死闘から数日。
新たな仲間、コックのサンジと共に彼の船でナミが向かったと思われるアーロンパークに向かっている。
王下七武海とかいうすげェ奴と肩を並べる海賊の所に向かう、とステラは認識している。
王下七武海とはよくわからないが、あのゾロを軽く圧倒した“鷹の目”がそうなのだ。
おそらく今の自分達では勝てる確率がほとんどない。
それはともかく、ステラは船の行く先の海をじいぃぃっと見つめた。
「よし、とにかくメシにしようぜ。何がいい?」
「骨のついた肉の奴!!!」
「あっしモヤシいため!!!」
「おにく〜!!」
「よしまかせろ!」
「いや〜やっぱコックがいるといいよな〜」
「おれはお前らなんかよりナミさんやステラちゃんのようなレディにだけ料理を作って差し上げてェよ」
そんな感じにのほほんとした空気が突然ブチ壊れた。
ザバァ、と海が盛り上がったかと思うと、そこにはでかい牛(のような生物)が現れた。
で、冒頭し戻る――
「海獣だァあああああああ」
明らかにヨサクはうろたえていた。
「牛だー!!でけー!!」
「牛さん……?」
「牛か?泳ぐか?フツー…カバだろ。どうひいきしても」
「何でこんな生物がこの東の海に!?考えられねェ!!
こりゃどう考えても“偉大なる航路”の生物ッスよ!!」
その“偉大なる航路”の生物なる牛(カバ?)はこちらの船に鼻を近づけてきた。
料理の香ばしいにおいが気になったのだろう。
その意図に気がついたヨサクはテーブルに乗っている料理を指差した。
「あいつの狙いはメシだ!!」
「何!?」
「早く渡してください!船をひっくり返されちまう!!」
ルフィは何を思ったのか、牛を見て、料理を見て、また牛を見て、
「“ゴムゴムの銃”!!」
牛の横っ面に思いっきり強烈な右ストレートをブチ込んだ。
巨体が吹き飛び、水しぶきをあげて海に落ちた。
「おれのメシに手ェ出すな!!!」
「やった!すげェ!さすがルフィの兄貴!!」
しばらくして牛は雄叫びを上げながら再び接近してきた。
もう一発いこうとしたルフィをステラが抑えた。
「ステラ?」
331 :
8:2009/04/10(金) 13:58:41 ID:???
「きっとあの牛さん、お腹すかしてるだけ」
皿を差し出すステラ。
「はいこれ……」
急に静かになった牛ががステラに接近する。
皿の香ばしいにおいがステラの鼻をくすぐる。その瞬間ステラは理性と本能が争いだした。
――私は、これを見ず知らずの牛にあたえるのか!?お腹すかしているという理由だけで!?
こっちだってお腹すいているというのに!?
「い、いやァああああああ!“楼撃”!!」
鼻っ面に凄まじい蹴りが炸裂した。巨体はのけぞりながら仰向けに倒れ込んだ。
「あんた何やってんスか!!」
「いや……ご飯を渡したくなくなって……」
「そうだよなァ、わかるわかる」
「わかるわかる、じゃねェッスよ!!」
牛がさっきとは比べものにならない凄まじい雄叫び上げながら怒りの表情で襲いかかってきた。
当然だけどね。
「ほら来たァ!完全に船沈める気でやすよ!!」
「おーしおれが」
「いや私が」
「二人ともどいてろ。おれがトドメさしてやる」
サンジが二人を押しとどめ、ふわっと跳び上がった。
「“首肉シュート”!!!!」
サンジの蹴りを首筋にくらい、ひとたまりもなく牛はひっくり返り、沈んだ。
四人はそれを見届け、何事もなくテーブルについた。あっヨサクは別であるが。
「さーメシだ」
「ご飯ご飯」
「あーいい運動になった」
「ムチャクチャだ…この人達」
その後、メシを片付けた後サンジが、海に浮かぶ牛を見つめて、口を開いた。
「さてと……こいつには働いてもらうか」
サンジは縄を取りに奥に引っ込んだ。
・ ・ ・
「いやっほーーー!!」
「はやーい!!」
「いけー!アーロンパークへ!!」
「いや、あんたら鬼か!!」
牛が頭にたんこぶを作りながら全力疾走せていた。
三人に痛めつけられた後、サンジによって縄に繫がれ、
「次のメシは、牛肉のステーキにでもすっか。一時間後に用意を始めるぞ」
とそれとなく言い、ルフィとステラを喜ばせた。
同時に、一時間で着かなかったら、お前はおれ達のの腹の中に収まると牛に意味(暗示)していた。
――こいつらならやりかねん!!
牛も必死の形相で泳いでいた。メシにされたくないなら当然といえば当然だが。
332 :
8:2009/04/10(金) 13:59:25 ID:???
「見えたぞ!!アーロンパークだ!!!」
「ほんとだ!!……あれ?」
見えたのは見えたが、進行方向が大きくずれている。
「おい牛!違うぞ!もっと左だ!!」
「あの建物だぞ!!」
サンジとルフィが叫ぶが、ダメージが思いの外でかかったのか牛の意識が朦朧としていて何も耳に入らない。
「「「「あああああああああああああああ」」」」
岸に全速力で激突し、船は勢い余って投げ出された。
「うほーーー、まるで空を飛んでいるみたいだーー」
「気持ちいーー」
「って飛んでんだよ馬鹿!!」
「落ちるーーーーー!!!」
四人とも必死にしがみついていたが、ステラが手を滑らせた。
「きゃァああああああああああ!!」
「おいステラァ!!」
「ヨサク!!舵戻せ!!ステラちゃん救出にいくぞ!!」
「いや無理言わんで下さい!!今あっしら飛んでんですぜ!!」
「とにかく死にはしないだろ。ステラの事だし。うわ!!林に突っ込むぞォ!!」
ステラが投げ出された方向から前に向き直した。
・ ・ ・
アーロンパーク
「アーロンさん、どっかの新顔の海軍が近づいてるって聞いたが」
十本の腕を滑らかにくねらせ、肌の白い大男が現れた。
「あぁ、あの三人に行かせた。ん?どうした?ジュウ」
「おい、そりゃないぜアーロンさん。おれだって幹部の一人だぜ?除けものにしないでくれよ」
ジュウと呼ばれた男は不服そうに顔を歪めた。チュウが呆れたように口を挟んだ。
「てめェがイカ焼き作りに没頭してるからだろうが」
「んだよ。新商品を絶えず作り続けねェと店がつぶれるんだよ!!
客に飽きられたら職人は終わりなんだよ!!
それより今新しい味付けを作り出したんだぜ!
史上初のマヨネーズ味とレッドペッパー味だ!!
絶妙だぜ!!塩をわずかにいれて砂糖をいつもの半分にしてやったんだ!!
焼き加減だって念入りにしてやったんだ!!!」
「あーわかったわかった。それはあとにしろ」
ジュウがイカ焼きを語るのをクロオビはうるさそうに遮った。
「ニュ〜、ジュウ早くしろ。さっさと行くぞ」
「あ。あぁわかったすまんはっちゃん。少し待ってくれ」
再び奥に引っ込んだジュウが戻ってきた。デカイはこを持って。
「じゃ、てめーらこれの試食頼むぜ。感想を聞かせろよ」
幹部四人が戦いに行くというのに、まるで近くに遊びにでも行くかのような軽さだった。
当然だ。四人にとってこれは戦いではなく、単なるお掃除なのだ。
勝ち負けなど最初から決まっているのだ。
「幹部四人とは…全く豪勢なケンカだぜ」
「あの船、三分もつのかァ?ぎょほ」
333 :
8:2009/04/10(金) 14:00:30 ID:???
・ ・ ・
「さてと…始めるか」
ジュウとチュウは海から飛び上がった。海兵が今まさに大砲を撃とうとしていた。
そいつをチュウは躊躇なく水鉄砲で撃ち、船にあがった。
船員が慌ただしく戦闘態勢に入ろうとしたとき、指揮官らしき男がゆったりとしながら前に出てきた。
「私は海軍題77支部准将プリンプリンだ。君達かね、アーロン一味というのは」
「あぁそうだ。アーロン一味幹部、ジュウだ」
プリンプリンの問いにジュウが律儀に答えた。プリンプリンは親しそうに握手を促そうとした。
「我々は多少なりに名の通った精鋭部隊……君らがもし大人しく投降するなら、処遇をこちらで取り計らおう、どうかね?」
「そりゃどうして?」
「いくら海賊とはいえ、無駄な血は流したくないのだよ。わかってくれないかな?」
「なるほど、立派なものだ。―――お断りだがな」
プリンプリンの腕をイカ特有の滑らかさをいかして絡め捕り、引き寄せた。
驚いたプリンプリンの見たものは、邪悪に歪むジュウの顔だった。
次の瞬間、プリンプリンの身体に一文字が描かれた。
呆然とする一同。それを見廻し、息絶え絶えのプリンプリンを踏みつけにして見下し、ジュウはせせら笑った。
「無駄な血は流したくない、か。政府の連中の言葉とは思えんな。
遠慮しなくていいぜ?こちらは暴力は嫌いではない。お前ら政府なら尚更だ」
ジュウは、もう一度見廻し、踏んでいたプリンプリンを蹴飛ばして、
「無駄な抵抗は、いつでも歓迎するぜェ?」
その言葉に反応したか、上司を傷つけたのか知らないが、海兵は一気にサーベルを抜いた。
同士討ちを恐れて銃を抜こうとはしてないのはさすが正規軍といったとこか。
――お前らはずるいよなァ、一人じゃ敵わないから兵力にものを言わせる、か。
ジュウはアーロンとは違い、人間を見下しているわけではない。
家族を、両親を、魚人というだけで守ってくれなかった政府が憎かった。
両親は奴隷にされた。自分は逃げ切れた。両親が必死に逃がしてくれた。
海賊でもなんでもない、ただの家庭であった。守られるべき存在だった。咎められることなど何もなかった。
それが、訳のわからない、誰が聞いても納得できない理由で勝手に家族を崩壊させられた。
取り返そうとした。裁判までした。
結果は大敗。しかも“魚人”という理由で。怒りにまかせて両親を奴隷にした奴らを襲った。
そこでも大敗。恐ろしく強い奴ら(後で海軍大将だとわかった)に殺されかけた。逃げられただけでも奇跡だった。
人間を憎んでなかったのは、その後、シャキーなる女性に手当てされ、その上匿ってもらったからだ。
人間全てが悪いのではなく、政府の腐った奴らが悪いのだ。そういう考えが出来上がった。
そして、イカの軟体を生かし、人間では決して届くことのないナイフ捌きを鍛え上げた。
数年後、海兵が両親の死体を送り届けにきた。
父は見る影もなく痩せ細り、母は多くの暴行の後が見られた。
ジュウはその海兵を音もなく殺して見せた。
人間には決して有り得ないイカの滑らかさを生かして手だれの海兵を、だ。
こうしてジュウは世間的に犯罪者になった。
その後、面と向かって政府とケンカできる海賊になった。
アーロンはいい人だし、アーロン帝国が建てば強大な力を得て、政府にも立ち向かえるかもしれない。
そう思ってアーロン一味に入った。
334 :
8:2009/04/10(金) 14:05:17 ID:???
そして今、政府の奴らと戦っていい理由がある。
――今の自分に、躊躇う理由がどこにある?海賊と海軍、それだけで戦う理由になるだろ?
違う。途惑ってなんかいない。政府の奴らを往来に殺せるなんて最高じゃねェか。
そう思いながら向かってくる海兵を見た。
どうせこいつらみんな、海底に沈むのだ。少しくらい遊んでもいいだろう。
二人まとめて引き裂く。背後にまわった奴はチュウに撃ち倒される。
ナイフは小回りが利く。ジュウの持つナイフは大型だが、サーベルより短い。
リーチでは劣るが、懐に潜り込めば勝つ。
間合いを取ろうとする奴らはチュウに撃たれ、もしくはジュウに間合いを瞬時に詰められる。
「おい、時間だ」
しばらく経ってチュウが言い出した。準備ができたようだ。この茶番劇はお終いだ。
「貴様ら一体何がしたいんだ!!」
プリンプリンが立ち上がり叫んだ。
――吠えるなよ。一人じゃなんにもできないクズの分際で。
「俺達の住む場所にご招待してやったのさ」
一同が一斉に青ざめた。
「ま……まさか」
「この船の、いやお前らの行く先は、深海だ。チュッ♡」
暴れ出す海兵。舵が利かなくなったことにようやく気がついたようだ。クロオビとはっちゃんがうまくやってくれたようだ。
渦潮まで発生している。こいつらの全滅までのシークエンスが始まった。
二人は慌てる海兵に目もくれず、船を下りた。
・ ・ ・
ステラはしばらくして目を覚ました。林の中で。
どうやら気を失っていたようだ。
普通は死ぬかもしれないはずだけどね。
近くに村でもないかと見回して、ふと気づいた。待ち望んだものに。
――これは、ナミのにおいだ!!!
走り出すステラ。そこには村があった。そして変な集団がいた。
帽子に風車を刺した男を先頭に、海兵がいた。
なぜ、海賊が支配している土地に、海軍が?
そう思ったステラは、近くに座る男に目が行った。
「ルフィ!!」
「ステラか!!やっぱ無事だったみてェだな!」
「何してるの?みんなは?」
「散歩の途中だ。みんな無事だぞ。それより聞いてくれ、さっきイカス帽子のおっさんがいてな――」
ルフィがアーロン一味にケンカを仕掛ける数時間前。
335 :
8:2009/04/10(金) 14:07:12 ID:???
終わりです。
オリキャラだしちゃいました。
さっさと闘って欲しいのでめんどいのはできるだけ省きました。
次回もよろしく。
336 :
8:2009/04/10(金) 20:44:24 ID:???
スンマセン。訂正があります。
>>332の所のは十本ではなく八本です。
申し訳ない。
投下キター!!乙です
ステラの相手はイカか
保守
GJ!!
保守
CEにイワさんが来たら恐ろしい事になりそうだと思った
保守アゲ!
343 :
601:2009/04/26(日) 10:02:27 ID:???
テスト
344 :
601:2009/04/26(日) 10:03:07 ID:???
鯖ごと規制で書き込めなかったんだけど、何とかなりまった。
と言う事でこれから投下します。
345 :
601:2009/04/26(日) 10:03:49 ID:???
機動海賊 ONE PIECE Destiny 第32回
「おいおい海軍さん、俺たちゃアラバスタの市民軍だぜ? バロックワークスなんて聞い
たこともねえよ」
スモーカー大佐の別名を受け、独自に動いていたナタルたちドミニオン隊とは別にアル
バーナに入城したたしぎ曹長だったが、明確な証拠なしに相手を捕縛する決断の苦しさに
惑っていた。
明らかに混乱を広げようと動いている者を見出しては問い詰めるものの、彼らは一様に
バロックワークスなど知らぬ存ぜぬとばかりに言葉をもてあそぶばかりであり、また、た
しぎの側にも彼らを明確に敵とするべきものがないのでは、うかつに動けない。
動かねばならないと、解っているのに。
「海軍は基本的に国の内政には口を出さないもんだろ? 俺たちゃこの国を変えるために
戦ってるんだからな!」
もし国民が心からそれを願いこの反乱を起こしているのなら、海軍は確かにそれに介入
する権利を――表向きでこそあっても――持たないし、持てない。
どうする。どうするべきなのだ。この反乱が仕組まれた茶番だと言うのは解っているの
に、わたしは、一体どうしたらいいの。
嘲笑うような男の表情に、唇を噛み、拳を握り締めながら、己の無力さを痛感するたし
ぎの目じりに、悔しさの涙が浮かぼうとしたその時だった。
「変える、か。それは、クロコダイルが支配する国に変える、と言う意味だな?」
そういう声が、男の背後から掛けられたのは。
「へ?」
「ああ、返答はいらん。どの道私は確信しているのだからな」
「ナ……ナタル少佐?!」
「な、何のこったよ? 俺たちゃ」
「市民軍だと、そう言いたいのだろう? ならば何故貴様は他の市民と同じように、同胞
を助け、あるいは国王軍へと殺到しない? 何故先ほどから後ろで市民軍を煽るようにし
か行動していない。いたずらに王国軍に攻撃し、反応があればすぐに他の市民の背後へ隠
れるような真似を、何故貴様らは繰り返してばかりいる? ああ、答える必要はない」
うろたえる男を尻目にまくしたてたナタルは、小さな盾を生じさせた右拳で男を殴り飛
ばし背後の部下に周辺の不審人物捕縛を命じた。
346 :
601:2009/04/26(日) 10:04:26 ID:???
「少佐……」
「曹長。君はここに何をしに来た?」
「何を、って。それは」
「解っているのなら、そうしたまえ。義務を果たせ。君が正しいと信ずるところを為せ」
「義務、を」
「そう。義務だ。あの旗に、秩序と正義の守り手たらんとすることを誓った者が等しく負
う義務だ。いや、それ以前に――不仁や不義に憤れる者ならば、誰しもが負う義務だ。そ
れを果たせ」
言うだけ言うと、ナタルはきびすを返して部下たちを引き連れて立ち去った。
残されたたしぎは、ナタルの言葉を脳裏に繰り返しながら、眼鏡をはずし、袖で目元を
ぬぐい、目の前に広がる騒乱へと目を開いた。
――そうだ。私は一体何を迷っていたのか。こんなことでは、到底彼らに顔向けなどでき
ないではないか。
−−−−−
「立てるか?」
突如上空から現れた赤い服の少年が、自分に右手を差し出してそう言うのを、ミーアは
半ば信じられずにいた。
その服よりもなお赤い視線は、ミスター6たちの方へと据えられたまま動かない。しか
し、ミーアには彼が今とても厳しい表情をしているだろうことがうかがえた。
「どうした。怪我してるのか?」
「い、いいえ」
促されるようにして、差し出された手を取る。あちこちにたこが出来た、無骨とも言え
るだろう感触は、しかし、今のミーアにとって、どんなぬくもりを持った手よりも、頼も
しく思えた。
そして同時に、これが、決して自分が作り出した都合の良い妄想などではないのだと、
理解した。
「てめぇ……あの海賊団のヤツか?! レインベースで捕まってたはずが、どうして?!」
「んなもん決まってるだろ。抜け出したんだよ。もちろん、俺だけじゃなく、全員な」
「なっ……!」
ミスター6同様、ミーアもシンの言葉に驚きを隠せなかった。
まさか、あの狡猾なクロコダイルの罠を噛み破って来るものがいるなどと、それも、あ
の場にいた全員が。
「ちっ……まあ良い。抜け出してきたんだろうがなんだろうが関係ねえ。この場でしとめ
りゃ同じことよ!」
号令一下、ミスター6の背後にいたビリオンズたちがめいめいに得物を手にする。
だが、二十に近い銃口が向けられてもなお、シンは微塵のひるみもうかがわせはしなか
った。
347 :
601:2009/04/26(日) 10:04:56 ID:???
「やれ!!」
銃口が火を噴き、鉛玉がシンめがけて殺到する。先ごめ式パーカッション銃の球形弾で
は舟形弾ほどの速度こそないが、むしろ口径が大きく弾自体も重いため、近距離では舟形
弾以上の脅威となりかねない。
そうしたことこそ知らぬミーアでも、とどろく銃声に絶望と共に身をすくませるより他
はない。だが。
「鉄 塊 ! !」
赤服の少年は、ミーアの前へと歩み出て両手を広げ、叫びと共に弾丸全てを受け止めて
見せた。
「あ……あ?」
ミスター6の間抜けな声にも、ミーアはいっそ共感を覚えていた。
「な、なんなんだてめえは?! 鉄砲玉くらってどうして!!」
「エ ク ス カ リ バ ー !!」
そして、シンはそうしたミスター6の叫びも意に介さず、背後のビリオンズとひとまと
めにして吹き飛ばさんと、長剣から斬撃を飛ばしてみせた。
「ちぃっ!!」
「へ? あ――ぐぁっ!!!」
ミスター6は、とっさに手近のビリオンズの一人を盾にして、斬撃をしのいだ。が、盾
にされた者も含め、刃の一振りでミスター6を除く全員が戦闘不能となっていた。
「えげつない真似するな、アンタ」
「てめえに言われたくねえな……なんだ、てめえ何かの能力者か?」
「鍛え方が違うだけさ。このまま引くなら、俺は追わないぞ」
切っ先を向けたまま言うシンの言葉に、ミスター6の目の色が変わった。
「てめえ……俺をなめてんのか?」
「そんな汚いつら誰がなめたがるか。俺は急いでるんだ。さっさと決めろ」
「……ん……の……ガキがぁぁぁあああっ!!!」
盾にしていたビリオンズを、片腕だけで振り回しシンの方へと投げつけた。膂力だけは、
少なくとも一人前ではあるらしいと、シンは思った。
「気にいらねえなあ……気にいらねえ気にいらねえ気にいらねえ!! 俺ぁなあ! 下に
見られんのが何より気にいらねえんだよ!! どいつもこいつも俺の事はそのアマの付け
足しみてえにあつかいやがって!! その上なんだぁ?!『逃げるなら見逃す』だぁぁあ
あ?! 調子こくのもたいがいにしやがれこのクソガキがぁぁああああっっ!!!」
叫び、トロンボーンに口をつける。
何かをさせる間も与えまいと、とっさにシンは剃でミスター6めがけて突進を――しよ
うとしたのだが、しかし。
「ぐっ……!!!」
まるで全身の血が沸騰したかのような熱と衝撃が、シンを襲った。踏み出そうとした一
歩は制御できず、シンはそのまま前のめりに倒れこんだ。
一体何が起こったのか、理解できぬシンの耳に、ミスター6の狂笑が響いた。
「たーっははははははははははははは!! どうよ! どうよ!! ああ?! なめてた
相手に一発くらって地べた舐める感想はよぉ?!!」
348 :
601:2009/04/26(日) 10:05:25 ID:???
「今のは……?」
「コレだよ、コレ。俺様の『音』さ」
「音、だと?」
嘲笑を浮かべたミスター6が誇らしげにかざすトロンボーンに、シンは疑問の視線を向
け――咄嗟に、思い至った。
「そうか……高周波振動か……!!」
「こまけえ理屈なんざどうでも良い。俺はな、こいつを相棒にしてこの海まで来たんだ。
これが俺の切り札。俺の力だ!! 手前ぇがどんだけ早かろうが、空飛ぼうがなんだろう
が、音にはかなうめえ」
「くそっ……この程度……っ!!」
歯を食いしばり、立ち上がろうとするも――
「あめぇってんだよ!!」
ミスター6の「演奏」が全身を責めさいなむ。頭蓋骨の中までが煮えたぎるかのような
耐え難い熱さと震えに、のたうつ以外の何も出来ない。
「俺ぁなあ、こいつでいつかあのクロコダイルだって下してやるんだ。あいつがスナスナ
の能力者だってのは、俺も知ってる。しかぁーし! この俺の『演奏』の前には、どんな
能力者だろうが関係ねえ!! どいつもこいつも、俺を見下すヤツらは全員手前ぇみてえ
にはいつくばらせてやる!!!」
「この……っ クソ野郎……っっっ!!!」
−−−−−
希望は、また絶望へと、塗り替えられようとしている。
降り立った赤服の少年は、ミスター6の音の攻撃にのたうち、地に倒れている。
終わりなのか。これでもう、全ては終わりなのか。あの世界で、苦痛と悲哀の狭間で倒
れた後から、ずっと自分は苦境にあり続けた。
海賊たちの手先として使われ、望まぬ歌を歌わされ、挙句人々を無為の死へと追いやる
陰謀の片棒をかつがされて。
また、あきらめるしかないのか。いや、それが正しいのか。
自分である事を否定し、自分以外の何かでありたいと願い、他人をうらやみ、その位置
に成り代わりたいと願い――そんな、浅ましいことを考えた自分だから。
だから、ここでこうして終わるのが正しいのか。
でも、だとしたら――あそこでああしている彼は。彼は、どうなるのだ。
脳裏で響く、そういう己の声に、ミーアは視線を上げた。そして、その視線がシンのそ
れとからみ合い――瞬時に、理解した。
彼は、この期におよんでなお、自分にこう言っている。
349 :
601:2009/04/26(日) 10:05:57 ID:???
逃げろ。ここは俺がなんとかする。だから、あんたは逃げろ。
言葉はない。ただ、赤い瞳の視線だけがそこにある。けれど、聞こえた。聞こえたよう
に思えてならなかった。
自分が罵り、拒絶した彼は、それでもなお、逃れようのない音の攻撃にさらされて、地
にのたうちながらもなお彼は、自分を、自分のことを案じている。
それに気づいた時、ミーアの脳裏で、何かがはじけた。
−−−−−
「ちっ……しぶてぇガキだなあ……」
勝ち誇り、嘲笑いつつも、ミスター6は次第にいらつき始めていた。
何度音を食らわそうとも、目の前の赤服はいつまでたっても立ち上がろうとする。
鼻、耳、爪の間などからは、すでに末端の血管が破れているのだろう、血がしたたって
いる。
それは眼窩にもおよび、文字通りの血涙が、両の頬に赤い筋を作っている。
にも、関わらず。
「くっ……まだ……まだだ……っっ!!」
赤服は、それでも屈しきらず、立ち上がろうとする。いや、それどころか、実際に震え
る膝を殴りつけ、身をおこしてさえいる。
「あーあーあー、たいしたもんだよ。認めてやろう。これだけ俺の音を食らってまだ死な
ねえその生き汚さだけはなあ。が、それもこれで終わりだ」
赤服がその背後にかばうミス・エイプリルフールにまで影響が及ぶことを考えて、これ
までは音にも多少の手加減をしていた。だが、ここまで抵抗されてはいい加減その我慢も
限界だった。
だから、ミスター6は大きく息を吸い込み、トロンボーンのマウスピースに口をつける
と、かなう限りの最大出力で、音を叩きつけようとした。
――あばよ赤服。水の詰まった風船みてえに、弾け飛べ
吸い込んだ大量の空気をそのまま、音へと変えて叩きつけた――はずだった。しかし。
「……あ?」
「…………?」
鳴らなかった。確かに、吹いた。それでも、鳴らなかった。
「な、何だ? くそっ!!」
もう一度、大きく息を吸い込んで吹き鳴らす。しかし。
「何だ?! いってえどうして?!!」
350 :
601:2009/04/26(日) 10:06:20 ID:???
相棒は、微塵の音も響かせない。確かに吹いた感覚はある。トロンボーンから確かに音
を飛ばしたその感触さえあった。だのに。
ふと、赤服の背後に座り込んだ姿が――否、立ち上がった姿が目に入った。
「手前ぇ……まさ、か」
うつむき加減の顔は、ピンク色の前髪が垂れ下がり、表情はうかがえない。だが、その
前髪の隙間から、確かに視線が、こちらを射抜いていた。
「ミーア、さん?」
赤服も背後の気配に気づいたのか、振り返って驚いていた。
この際、赤服はどうでも良かった。すでに死にかけの相手など、どうでも良い。だが、
これは。これだけは、何をおいても我慢がならない。
いつもびくびくとおびえていた女が、自分を恐れ、唯々諾々と従っていた女が、自分に
あんな視線を向けるなど、断じて許せなかった。
「手前ぇかぁ!! 手前ぇが邪魔しやがったのか!! 俺に逆らおうってのか、ええ?!!」
だから、いつものようにどやしつけてやる。脅し、睨み、怒鳴りつけて跪かせてやる。
「ミス・エイプリルフール!!!」
しかし。
「その名前であたしを呼ぶな!!!!」
帰ってきたのは、自分のそれを遥かに凌駕する怒声だった。怒声の主は、右手で星型の
髪飾りを掴み、毟り取るようにして投げ捨てた。
「このアマ……食らえぇぇぇえ!!」
もう一度、音の塊を二人めがけて叩き付ける。だが――今度こそはっきりと、彼女はそ
の喉から、ミスター6の音を完全に打ち消す対極の音を、「歌」を発していた。
「やっぱりか……手前ぇ、俺と同じ真似を」
「そうよ。あなたがそのトロンボーンで、あたしの歌を打ち消してしまうのと同じ。私に
だって同じ事ができる。私の歌が、単に人の心を操るだけだと思ったら大間違いよ」
「調子乗ってんじゃねえぞ、ミス・エイプリルフール!!!」
「黙れっっ!!! その名前であたしを呼ぶなと言ったでしょう。あたしを誰だと思って
るの。ミス・エイプリルフール? 違う!! ラクス・クライン? 違う!!!!」
最前まで、自分をかばってくれていた体をいたわるように、その前へと進み出ながら、
昂然と顔を上げて、彼女は宣言した。
「あたしはあたしよ!! ローレライ、ミーアよ!!!」
To be continued...
351 :
601:2009/04/26(日) 10:06:55 ID:???
今回は、以上です。
期変わりのゴタゴタなんかで長引いてしまってもうしわけなかったです。
ではー。
最近、更新されるだけで感動するようになってしまったw
601氏乙っす
ミーア覚醒した!
しかし、情景を想像するとやっぱり尾田絵で背後に「 ど ん ! 」の描き文字がある絵しか浮かばないw
ミーアのバストサイズなら尾田の女キャラとして違和感ないな。
ラクスさんでは小さすぎて想像が、あれ?なんだあのピンク色n(ry
よく考えたらシンってゾロよりも遥かに早く飛ぶ斬撃使ってることになるのか・・・スゲーw
GJ!!
601氏が更新している、乙です。
ついに、ミーアも覚醒したな
>>353確かに違和感無い、むしろアレぐらいがワンピの世界では並くらいじゃね
あの電波ピンクの胸は初期のナミより確実に小さいと思うw
今週のワンピ、展開がヤバ過ぎw
クロコがw
wktkが止まんないw
ちょやめ何をするこのぴんk
あqwsでrftgyふじこlp;
原作は海軍本部での戦争で麦わら海賊団全員再集結するのかね
しかし601氏のシンだと、宇宙から大気圏突破して戦場のド真ん中に落ちてきそうだw
クマに月まで飛ばされてゴロゴロの実の人たちとデスティニーを作り上げて
それ以降は巨人や海獣とやりあう破目になるシンとな?
ゴロゴロといえば、アラバスタ終わってもCP9編の前に空島あるんだよなあ
もっともシン的にあまり面白いエピソードがあるわけじゃないから、巨人島みたいにダイジェストでもいいかも知れないけど
いや、空島にはきっとニコルの墓と遺産が残ってる筈だ。
空島どころか月まで行ってしまった可能性もあるけどw
>>359 ソレダッ!
空島にはニコルネタが有るかもしれん
コンビニに置いてあった総集編読んだら、ちょうどデービーバックファイトのあたりだった
ここだけは間違いなく1レスぐらいで済まされるに8000万ベリー
アニメの様に内容が増える可能性はないのか
保守
保守
保守保守保守〜♪
プルプルの実を是非( ´∀`)
367 :
601:2009/05/15(金) 22:09:59 ID:???
今回は比較的早めにまとまりました。短めですけども。
ということで、これから投下します。
368 :
601:2009/05/15(金) 22:10:29 ID:???
機動海賊 ONE PIECE Destiny 第33回
「あたしはあたしよ!! ローレライ、ミーアよ!!!」
昂然と顔をあげて言い放つミーアの声に、その場の誰もがあっけに取られていた。
そして、その中で一番早く立ち直ったのは、ミスター6だった。
「この……アマぁぁぁああああ!!!」
その周囲では、事態を察知したのか、反乱軍に擬装したビリオンズたちが集まって
きていた。
「おい手前ぇら! あの女を狙え!!」
「ええっ?! で、でもアイツは」
「かまわねえ! アイツは裏切り者だ! バロックワークスを裏切った!!」
ミスター6の怒声に、立ち上がったビリオンズたちは戸惑いつつも銃をかかげ、そ
の銃口をミーアに定めようとした。
だが。
「元々疑いようのないことだったが、自己申告してくれるとはありがたい」
そういう、冷徹な声が、彼らを振り向かせた。
「なっ……かっ海軍?!」
「ナタルさん?!」
彼らの立つのとは別の建物の屋上に、バジルール・ナタル率いるドミニオン隊が、
そろってその銃口をビリオンズたちとミスター6に向けていた。
−−−−−
ゾロとミスター1、ナミとミス・ダブルフィンガー、サンジとミスター2、ウソッ
プ、チョッパーとミスター4ペア、めいめいがめいめいの戦いに、決着をつけようと
しているその頃、王宮にたどり着いたビビはクロコダイルと対峙し、その冷酷さを、
改めて認識させられていた。
広場全てを巻き込んだ爆破――王国の者はおろか、彼の部下までも巻き添えにした
大破壊を引き起こそうと言うその計画に、怒りを覚えるよりも、むしろ悔しさを感じ
ていた。
お前に国は救えない――そう嘲笑う言葉に、悔し涙がこぼれる。
そして、そのままビビは、クロコダイル自身の手によって王宮の城壁から遥か下方
の地面に向けて落とされ――かかった所、ついに駆けつけたペルーとルフィによって、
救出された。
369 :
601:2009/05/15(金) 22:10:52 ID:???
−−−−−
一方――
ナタル率いるドミニオン隊は、いつの間にかミスター6以下バロックワークスのメ
ンバーを、三方から取り囲むように配置されていた。正面の部隊はナタル、右はフレ
イ、左はキャノン中尉が、各々指揮を執っていた。
そして、唯一開いた後方には。
「シン君……と、ローレライ、ミーア嬢、だったな」
「ナタルさん、この人は」
「おいコラ手前ぇら」
「解っている……そもそも、彼女に対しては手配書がないからな。君とは違って」
「え? じゃあ、賞金掛かってないんだ」
「だからおい、手前ぇら!」
「少なくとも、今この時点ではな。どだい、ローレライについてはその正体すら解っ
ていなかったぐらいだ」
「無視してんじゃねぇぇぇぇぇええええっ!!!」
しばし、ミスター6たちの存在を失念したかのように言葉を交わすナタルとシンに、
ミスター6は怒声を張り上げた。その次の瞬間、ナタルとシンの視線が交錯する。
「剃!!」
「撃ぇっ!!」
シンはミーアを抱えて空中に飛び、ナタルは右手を振り下ろして自分の直卒の隊に
発砲を命じた。
間合いを外された形となったミスター6たちは、そのほとんどが銃撃を受けて倒れ
伏した。
ミーアを抱えたシンはキャノン中尉の脇に現れ、そこにミーアを降ろした。
「む」
「あ」
しばし、シンとキャノンの視線が交わる。
「あの、こないだはどうも……すんませんした」
「いや……まあ、君も義侠心から為したことだ。とやかくは言わん。それに、あれは
主にフレイ伍長が悪い」
「ぐお……こ……このクソがぁぁぁああっ!!」
370 :
601:2009/05/15(金) 22:11:13 ID:???
ミスター6はトロンボーンを構えようとした――が
甲高い金属音と共に、トロンボーンはミスター6の手から跳ね飛ばされた。
「なぁっ?!」
「経験者から言わせてもらうと、こういう場合、周囲が見えなくなるぐらいヒスっちゃっ
ても、良いことないのよねー」
膝立ちにマスケットを構えたフレイが、あきれるように呟いた。
「こ……あ……」
「さて。わざわざ自分から申告してくれた以上、我々としては心おきなく君を捕縛で
きる訳だ。その点は、礼を言っておこう。ありがとう、そして――覚悟しろ」
「ふざっ……」
「けんなってのは、こっちの台詞だ」
「へ?」
背後から聞こえたシンの声に振り向く間もなく、数十キロの鉄の塊が高速で叩きつ
けられたような衝撃がミスター6を襲う。
「タンホイザぁぁぁぁあああっっ!!!」
「ゴットフリート!!!」
鉄塊で全身を鎧ったシンの体当たりが、炸裂する。ミスター6ごと飛ぶその先ある
のは、幾本ものスパイクを生やした壁の形を取る、ナタルの盾だった。
ど ん っ
鉄の塊と化したシンの体と、軍艦の砲撃すら防ぐナタルの盾と、両者に挟まれ押し
つぶされたミスター6は、悲鳴を挙げる間もなく、その意識を手放した。
−−−−−
「少佐、この場の者は全員捕縛完了しました」
「ご苦労。さて――」
ミスター6を撃退直後、ドミニオン隊がミスター6以下バロックワークスの構成員
たちを捕縛にかかった。
その間、シンとミーア、ナタルはにらみ合うようにして対峙し続けていた。
371 :
601:2009/05/15(金) 22:11:34 ID:???
「さて、シン君。そちらのミーア嬢の取り扱いなのだが」
「ナタルさん、この人は」
「解っている。私もあのレインベースの地下にいたのだぞ」
そもそも、と。ナタルはため息のように言葉を継いだ。
「キャンベル・ミーアと言う人物に対しては、賞金が掛かってもいない。『こちら』
に来て早々賞金首となった君とは違うのだ。ローレライについては、その正体はおろ
か実在すらあやぶまれていたしな」
「何だかすっごい詭弁に聞こえますけど」
脇からフレイが楽しげに言うのにも、ナタルはむしろ胸を張って応えた。
「そうとも。これは詭弁だ。だが、詭弁の一つも弄さずただ四角四面に行動し続けた
所で、願う正義が為せるわけでもないことぐらいは、私だって学んでいる。ならば、
詭弁ぐらいは使ってみせる」
「そういうこと、出来れば自分のいない所で言っていただきたいんですが」
「我慢しろ、中尉」
「賞金がかかっていないとしても、じゃあどうするつもりなんですか」
シンの問いに、ナタルはふむ、と一息ついて答えた。
「まあ、彼らの犯行について、証言はしてもらいたいな。あくまでも、彼らに脅迫さ
れていた人物、という立場でだがな。その上で、彼女の過去の行動については、不問
とする。司法取引と言えばわかるか」
「ミーアさん、どうする?」
「え?」
「アンタ次第だ。アンタが嫌だと言うなら、俺が連れて逃げる。まあ、あの人らに世
話になるのも、悪いことじゃないとは思うけどね、俺は」
「私は……」
「一応警告しておくが、彼は賞金首で、海賊だ。彼と共に逃げると言うのならば、そ
の時点で君も同じ扱いとなる」
「……」
「まあ、当座我々はあの馬鹿どもを捕縛する方が優先なので、すぐにどうこうとは言
わん。急がねばならんのでな」
「急ぐ……あっ!!」
迷いを見せていたミーアが、突然顔を挙げ悲鳴にも似た声を出した。
372 :
601:2009/05/15(金) 22:11:50 ID:???
「な、なんだよいきなり」
「シン君! そうよ、急がないと!」
「いや、だから」
「早くしないと、広場から皆を逃がさないと!!」
「……どういうことかね、ミーア嬢」
ナタルは、自分の予測の内最悪のケースが実現しつつあることを感じつつ、ミーア
に問うた。
はたして、ミーアの答えは――
「ミス・オールサンデーに聞いたんです……クロコダイルは、広場に砲撃を加えるつ
もりだって!」
「砲撃?! で、でも何処から?!!」
「あそこ――! あの時計台よ!!」
To be continued...
373 :
601:2009/05/15(金) 22:13:43 ID:???
今回は、以上です。
アラバスタ編もようやく終わりが見えてきました。長かったー。
アラバスタの後は、デッドエンドレースになると思います。
後、アズラエル商会がらみの話もあるし。
フレイ嬢もナタルお姉様も、ますますいい女ですな。
この極上素材を、犬もまたいで通る調理をした同人アニメって・・・
乙っす
デッドエンドレースって、映画の話もやるのか
原作しか読んだ事無いんで予習しとかなきゃならんな
職人さま乙!
デッドエンドレースやるなら、呪われた聖剣やオマツリ男爵もやるのかな?
誰も保守しねーのかよ!?
保守保守!!!!
378 :
通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 16:57:09 ID:MXbCRvNE
保守
続き楽しみなんだぜ
ハンコックの声優が真綾に決まってたということを今更知った
ほっしゅほっしゅ
保守
ええい、続きはまだかぁぁぁぁ!
383 :
601:2009/05/28(木) 14:35:54 ID:???
すんません。入院とかしてました。
とりあえず入院直前まで書いてた分を、ひとまず投下します。
すげー短いですけど。
384 :
601:2009/05/28(木) 14:36:28 ID:???
機動海賊 ONE PIECE Destiny 第34回
「くそっ!! 間に合えぇぇぇぇえええ!!!」
眼下で展開する反乱軍と国王軍の衝突も後目に、シンは月歩版のフォースで一路中央広
場の時計台を目指し、突き進んでいた。
クロコダイルによる広場砲撃の示唆――それは、ナタルの予測とぴたりと合致する話だ
った。
ナタルは即刻時計台前への突入を考えたが、もはや完全に混沌のるつぼと化した広場を
突破するのは、ナタルの盾を前面に押し出したとしても、たやすいことではなかった。
そこで、機動力と言う点では最も抜きん出たシンが、時計台へと向かうこととなった。
君一人が行ってどうする、と言うナタルの制止はあったが、しかし、シンには、きっと
あいつ等なら、あの船の仲間たちなら、同じように広場爆破の情報を嗅ぎ付けて動いてい
るだろう、と言う確信があった。
もちろん、根拠などない。ないが、それでも――
「ウチの連中、船長以下バカばっかりですけど、ハナは無駄に効くやつばっかりでもある
んですよ」
などと言い、後ろも見ずに文字通り飛び出して行った。
−−−−−
「ありゃー、見事に飛んでっちゃいましたね」
「まったく、目的以外は頭の外に放り出してるな、アレは。もう少し大局に立って……」
飛び去ったシンを見やりつつ言いかけたナタルだったが、即座に思い直し、頭を振った。
大局。大局にたった視座。ああ、まあそれが必要と言う立場も、無論存在する。しかし、
彼に、彼らに限って言うならば、そんなものはクソ食らえと言う所なのだろう。
そもそも、以前彼が語った夢からするならば、そんな視座など彼には微塵も必要はある
まい。
未来、将来、可能性――そうしたものを守るためならば、そうした視座も必要だろうが、
彼が願っているのは、そうしたことではない。
今そこにある幸せと、失われてしまった幸せの記憶をこそ、彼は守りたいのだ。
たとえ相手が悪人だろうと、誰かが理不尽に苦しむのなら、それが目の前にあるのなら。
近視眼的と言えば、正にその通りだろう。短慮と誹るならば反論も出来ない。
ガキめ、小僧めと罵り蔑むのも簡単だ。
だが、大局を見て細部を見捨てるぐらいならば、彼はずっと短慮で近視眼的な小僧のま
まで十分だと、胸を張って言うのだろう。
それはもはや、良いか悪いかではない。そうした生き方を彼は選んだのだ。
385 :
601:2009/05/28(木) 14:36:43 ID:???
「まあ、アレが彼らしい行動、と言うことなのだろうな」
「異論はないですね。馬鹿だなーとは思いますけど、中途半端に利口なのよりはマシで
しょう」
「君が言うと重みを感じるな、フレイ」
「そりゃあ、経験者は語るってヤツですよ……で、この人どうするんです?」
「ふむ」
フレイに言われて、ナタルは改めてローレライ――ミーアに向き直った。
ミーアは視線をシンが飛び去った方向へと向け続けていたが、その表情は、レインベー
スの地下で出会った時とは比べ物にならぬほどに、生気に満ちていた。
「事情は、大体先ほど言ったとおりだ。我々としては、君を犯罪者として捕縛する用意は
ない。ただ、彼らについて証言をして欲しい」
「その後は、どうなるんですか?」
ナタルの言葉に、ミーアは向き直って問うた。
「さて、それは君次第だ。君が我々に保護を求めるのならば応じるし、ここに腰を落ち着
けると言うのなら、我々が感知するところではない」
「…………」
「少佐、我々も急ぎませんと」
「ああ。さあ、どうする。我々は今すぐ行動せねばならんのだ」
「私は――」
−−−−−
その頃、時計台のもとには、すでにルフィとシンを除く麦わら海賊団のメンバーが集ま
りつつあった。
その補助をしたのは、ナタルの言と、ルフィたちの圧倒的な行動力とに意を決したたし
ぎ曹長の命を受けた、海兵たちだった。
シンも、また一路時計台を目指し、アルバーナ上空を駆け抜けて行く。
そして、王宮地下――
「お前は俺には勝てねえ」
「俺はお前を越えて行く」
クロコダイルとルフィ、二人の海賊の、最後の対決が迫っていた。
To be continued...
386 :
601:2009/05/28(木) 14:39:55 ID:???
まあこの後は大筋ではほぼ原作どおりになるんですけどね。
とりあえずなるたけ近いうちに続き書こうと思います。
お待ちいただいている方々はいつも申し訳ないっす。
映画版のネタですけど、呪われた聖剣は、あのゾロが船降りて戻って、と言う展開がちょっとなー、と。
オマツリの方は映画としては大好きなんですが、あれもやっぱそのまんまもってくんの難しいですし。
思案のしどころ。
乙
劇場版は全然見たことがないんで
何もいえない
乙です
確かにデットエンドでは、シンと絡みそうな兄妹ネタがあるからな・・・
かなり前にシンはロビンと戦うのかと思っていたが、この展開だともう無いかな?
まあ初期からの伏線の一つがいよいよ消化されそうなんで楽しみ
保守
今更かつ素朴な疑問なんだが、ウルージって何であんなに人気なの?
調べてみたらウルジストとかいう単語まで出てきて吹いた
392 :
601:2009/06/04(木) 22:25:18 ID:???
これから投下します。今回も短いですが、まあ一区切りと言う事で。
393 :
601:2009/06/04(木) 22:25:39 ID:???
機動海賊 ONE PIECE Destiny 第35回
アルバーナ市内、中央広場の時計台には、確かに、砲台が設置されていた。
ミスター7、ミス・ファザーズデイと言う狙撃に長けたコンビが配されたその砲台に
は、確かに、巨大な砲弾が設置されてもいた。
導火線によって発射が迫るなか、月歩版のフォースで駆けつけたシンと、ナミの発案
によって地上から皆の協力で一気に砲台めがけて駆け上るビビとが空中で合流、ビビの
クジャッキースラッシャーと、シンのエクスカリバーとがミスター7コンビ越しに砲台
の導火線を切り裂いた。
にも、かかわらず。
爆破の危機は変わらず迫り続ける。時限信管付きの砲弾は、明らかにミスター7たち
の事など、一切考慮していないに違いなかった。
付き従う者のことなど微塵も考慮しないその態度は、ビビたちアラバスタ王家のそれ
とはまったき対極と言えた。
だからこそなのだろう――王家親衛隊のペルーが、砲弾を携え上空へ飛び去るのを見
ながら、シンは、そう思わずにはいられなかった。
だからこそ、彼らのような人々が、この国には存在するのだろう。王家の臣下である
ことを誇りとし、その誇りを抱いて笑って死ねるような、そんな人々が。
そして、そうした気質は、何も彼らのみに限ったわけではないのだ。きっと。
だからこそ、反乱軍も、王国軍も、それらに参加する者たちは皆いちように、ああし
て必死の思いで戦っているのだろう。
それが、クロコダイルの策略によってなる、間違った対立だったとしても。
上空で起こった爆発にすら意識を向けず、彼らはひたすらに己の信じるもののために
剣や拳をふるい続けていた。
「戦いを! やめてください!!」
そういう、ビビの叫びも、そこには意味がない。
「もう、戦う必要なんてねえのに……」
「皆呑み込まれてるんだわ、戦いの空気に」
「なら、止めるだけだ。手当たりしだいに」
ウソップとナミの言葉に、シンは、かすかに自嘲めいた苦笑を漏らしつつ言った。
――まるで、戦場に介入してきたあいつ等みたいだな
そんな風に、思えたのだ。
「今出来るのは、それしかねえな」
「ああ、行くか」
394 :
601:2009/06/04(木) 22:26:00 ID:???
サンジとゾロが踏み出すのにつきあいながら、シンはかぶりを振った。
――まあ、確かに同じと言えば同じだ。しかし、これだけは言える。今ここには、間違
いなく吹き飛ばされちゃいけない花がある。
どこかで地響きが起こり、クロコダイルが地下から地上、はるか上空までめがけて吹
き飛ばされ、やがて地へと落ちた。
−−−−−
「しっかりしろ、コーザ!」
「おい」
乱闘の中、地に倒れたコーザは、その手のひらに、確かにその感触を感じ取った。
「ど、どうした?」
「わかるか……戦いが終わる……!」
「え?」
−−−−−
コーザだけではなかった。
その時、広場にいたもの全てが、やがてそれを感じ取った。
否、その時、アラバスタにいたものたち、そのほとんど全てがそれを感じ取った。
舞い上がる土煙を晴らし、ぽつぽつと、ぱらぱらと、まばらに、やがて濃密に、そ
れは空から舞い落ちてくる。
「狂気が……やんだ?」
「そのようだ、な」
「ナタル少佐……」
たしぎの背後に、いつの間にか、ナタルたちが来ていた。
「この雨は……いったい」
「まあ、間違ってもスモーカー大佐がパウダーを使ったと言うことではあるまい」
「なら」
「良いじゃないか、どうであろうが。降るべくして降り、終わるべくして終わった。
この国の混乱も、これで収まる」
「……」
395 :
601:2009/06/04(木) 22:26:21 ID:???
ナタルの言葉に、たしぎは俯いたまま沈黙を返した。それに対し、ナタルは小さく
ため息を漏らしたが、地に倒れ気絶しているクロコダイルの方へと、その背中を押し
やった。
「さあ。行ってきたまえ。君の仕事だ」
「でも」
「私の隊は先に捕縛した連中の連行やら何やらで手一杯なのでな。今動けるのは、君
の隊ぐらいしかない。アレを放っておくわけには、いくまい?」
「……わかりました」
たしぎは、いっそ沈痛な面持ちで横たわるクロコダイルに歩み寄ると、その罪状を
読み上げ、王下七武海としての特権を剥奪の上、逮捕の宣告を下した。
「何であんな落ち込んでるんですかね、たしぎさん」
「……思うところがあるのだろうさ。彼女にも」
「まあ、まじめすぎるからなあ、たしぎさん……と、そう言えば。どうするんです?
いつの間にかいなくなっちゃってますけど」
「ああ、まあ……当人があちらを選んだのなら、まあ仕方はあるまい。選択の権利と
機会は、誰にもあってしかるべきだ」
「はあ……まあ、良いですけどね。どうせ少佐の出世が遅れるだけですし」
「ふん」
鼻を鳴らし、きびすを返したナタルには、たしぎの気持ちが決して解らないと言う
わけではなかった。
同列であった筈の者達が、ふと目を離した隙に、自分よりもずっと遠い高みにいる、
その事が、彼女を苦しめているのだ。
この騒動に際して、ほとんど何もできなかった事が、悔しくてならないのだ。
だが、そう理解しつつも、ナタルはたしぎに何事かを言うつもりはなかった。
それは、スモーカーの役割だからだ。
そして、今のナタルには、より気になる問題があった。
――今回の一件、世界政府は完全に出し抜かれた形となったが、さて、どうやってか
たを付けるつもりだ?
−−−−−
クロコダイルの捕縛、バロックワークス暗躍の暴露、さまざまな衝撃が、いちどき
に襲い掛かるのに対し、アラバスタの民衆は、ほぼことごとくが戸惑い、後悔にさい
なまれていた。
そして、それをただし、再び彼らに顔を上げさせたのは、国王、コブラだった。
396 :
601:2009/06/04(木) 22:26:38 ID:???
「立ち直ってみせよ! アラバスタ王国よ!!!」
遠く、広場の方から響くその大音声と、それに応える歓声を耳にして、シンはよう
やくのこと、その場に腰を下ろした。
他のメンバーは、コブラが背負っていたルフィも含めて皆すでに疲れ果てた心身を、
降りしきる雨の下に休ませていた。
比較的ダメージの少ないシンは、彼らが倒れた後、その身を近くの軒下に運びこみ、
一人彼らを見守るように立ち続けていたのだが、ついに、その緊張を支えていた糸も
ぷつりと切れ、その場にあぐらをかいて、降り来る雨に、その身をさらした。
ないものねだりだとは解っているけれど、やっぱり、少しだけ、思わずにはいられ
ない。
もし仮に、あのウズミに、あの国王ほどの――いや、やはりそれは。
「言っても仕方のないこと、だよな」
首から下げた皮袋を軽く握りしめ、相棒に、そう語りかける。
それは、とうに過ぎ去ったことで、それらを踏まえたからこそ、今自分はここにい
る。それを、自分は理解したはずだ。だから、妹の形見は、お前のところに置いてき
たんだ。
だから、これは言っても仕方のないこと。
アレらは全て自分の根っこで、だからそれを忘れたりは決してしないけれど、でも、
それと、あの過去を無かったことにしたいとか、そういう考えとは、決して相容れる
ものじゃないはずだ。
だから、デスティニー、俺はもう、あいつ等のことを恨むのはやめにするよ。これ
きりにする。アスハ親子も、アスランも、キラ・ヤマトも、ラクス・クラインも、そ
の他の連中も、全部、ひっくるめて。
この雨で、俺の中に残っているあいつ等への感情全て、洗い流しちまおう。
それで、良いんだよな、なあ、デスティニー。
乾いた大地をいつくしむかのように降りしきる雨の中、シンは、改めて眠りの中へ
落ちていった。
To be continued...
397 :
601:2009/06/04(木) 22:27:47 ID:???
今回は、以上です。ようやくここまでこれました。
長かった……。
乙でした
流石にアラバスタはちょっとダイジェスト過ぎて消化不良な面もありましたが、
ミーアの覚醒と、シンの過去に対する完全な乗り越え描写は見事
さて次回はワンピース屈指の名シーンの、アラバスタ編最終回に加え、いよいよシンのストーリーにとって重要な存在となるロビン参入と期待高し
乙です
ルフィとクロコダイル決戦省略・・・には不満も残りましたが、
シンとミーア、それぞれ自分に踏ん切りをつけた描写は見ていて気持ちよかったです。
ミーアがナタルのもとから姿を消した、ということは
麦わら海賊団加入に決まり、かな。
ロビンも原作どおり加入するでしょうし、シンとミーアの反応も気になります。
ミーアが加入するかどうかはまた別だと思うけどなあ。
アラバスタで歌手になってるかもしれん
401 :
通常の名無しさんの3倍:2009/06/07(日) 17:17:02 ID:QlAntDMj
onepiece403話からyoutubeにあpされてないんですが、なにかあったんですかね?
そういや、ここでルフィが1億、ゾロが6000万の賞金首になるわけだが、シンの賞金も上がるんだろうか
それよりもこれからお風呂シーンじゃないか
入浴シーン
ラッキースケベのシンくんだからな……
うれしはずかしなイベントがあるに違いない!
お前らww
でも601氏のシンはこのまま行くと億越えのルーキーに仲間入りだな
賞金的には現段階で一味のNo.2だし、ルフィ達に会う前も色々やらかしてたから知名度もバッチリだ
406 :
601:2009/06/12(金) 23:39:15 ID:???
何だか知らん間にハードルがww
まあともあれ、まだ次の話が上がるまでは掛かりそうです。私事が色々重なってまして、すいませんです。
今月はちょっと忙しいんで、今月末ぐらいを目処にやってくつもりです。
クロコダイルとルフィの対決シーンについては悩んだんですが、まあ原作そのままな所ではあるし、
シンやミーア、ナタルなどの面子も絡まない所なので、割愛させていただきました。
ところで、一体サンジに何があったんだろうww
>>405 少なくともエニエス攻略後は確実に億超えるだろうなあ
サンジがいきなり7700万ついたぐらいの大事件だったし、今回で最低でも数千万単位まで上がるだろうことを考えると
ゾロについてはウイスキーピークの100人斬とダズを倒した事による功績で6000万からのスタートになったわけだから、賞金額抜かれそうな気はするけど
>>406 のんびり待ってるから焦らなくていいんだぜ
保守
ハンコックの声優は、三石さんだそうで。
ソースは本人ホームページのブログ。
保守
クルーゼが仮面海賊団を結成したようです
414 :
601:2009/07/01(水) 00:36:06 ID:???
何とかかんとか、仕上がりました。と言うわけで、これから投下します。
415 :
601:2009/07/01(水) 00:37:23 ID:???
機動海賊 ONE PIECE Destiny 第36回
英雄と信じられていた人物の策謀と、不審の的であった王族の捨て身の行動によるその
打破――ともすれば、そこに住む者たちの意気を根こそぎ破壊しかねないその事実は、し
かし、当の国王自身による叱咤により、再建へのばねとなった。
そのたくましさを、今ウソップとサンジは、目の当たりにしていた。
「あんだけの事があったのに、たいしたもんだなあ、この国は」
「王女がかわいいからな」
「関係あんのかそれ」
つい先日の戦いで破壊された市街地は、すでに再建が始まっていた。
各民家や商家は基本的にその家の者によって修繕が行われているが、母子家庭等人手が
不足している場合には、周囲の家の者が積極的に手伝い、また市内を巡回する王国軍兵士
もそうした家々への手伝いを惜しまず働いていた。
商家の軒先には臨時の天幕が広げられ、格安で、あるいは無料で、物資の提供、炊き出
しさえ行われている。
ついでに言うなら、海軍本部の将兵も行き来しているのだが、彼らはむしろ、この街の
中で浮いていさえいた。
ウソップとサンジは、いまだ賞金もかからず手配書も出回っていないので、彼らと出く
わしてもある程度はシラを切ってしまえば良い。
あくまでも、「ウソップとサンジは」である。
だから、もちろんのこと――
「次はこの樽の上で逆立ちしながらのお手玉だ、見てろよー」
「「よし、ちょっと待てそこの800万ベリー」」
ルフィに比べれば小額とは言え、紛う事なき賞金首「赤服のシン」こと、アスカ・シン
はその限りではない。
「なんだよ、俺はいまこの子たちに芸を」
「だから、少しは自分の立場ってもんを理解しろよこのアホは」
「ナミがいたらこの場がまず血の海になってたろうな」
−−−−
数分後、子供たちの親がめいめいに子供の面倒を見ていたシンに例を述べ、子供たちを
引き取っていった。
416 :
601:2009/07/01(水) 00:38:04 ID:???
「ったく、お前は手配書まで出回ってるんだから、ちったあ考えろ」
「どーも実感わかないんだよなあ」
「あのおっかねえ海軍少佐に追いかけられててまだ足りねえのか」
三人連れ立って王宮へ向かうと、丁度海兵が「麦わら一味を引き渡せ」と衛士隊長であ
るチャカに詰め寄っているところだった。
「ほれ見ろ。アレに出くわすと面倒だぞ」
「解った解った……んじゃ、俺は先行ってるな」
剃で一人姿を消したシンをよそに、二人は、知らぬ存ぜぬを通すチャカと挨拶を交わし
海兵の隣を通り過ぎて行った。
「その者たちがここにいると言う証拠は?!」
−−−−−
シンたちが戻ると、一行に割り当てられた部屋では、三日ぶりに目を覚ましたルフィが
空腹を訴えていた。
「三日……15食も食いそこねた!!」
「何で食事換算なのよ」
「それも一日五食計算だぞ」
あきれるシンたちの脇では――
「あゾロ! お前また修行してたな! 駄目だって言っただろ!!」
「良いじゃねえか、なまっちまうんだよ」
「それと包帯! まだ取っちゃ駄目だって言ったろ!」
「動きずれえんだよ、アレ」
重傷もかまわずまったく普段どおりに過ごすゾロに、船医であるチョッパーが文句を
言っていた。
「あっちもあっちで……」
「お前もだぞシン!!」
「うぇ、お、俺?」
「お前だって、全身の細かい血管やら内臓やら、あちこちボロボロだったんだぞ! まっ
たく、一体どうやったらあんな風になるんだか」
「おや、船長さんがお目覚めかい?」
417 :
601:2009/07/01(水) 00:39:48 ID:???
ルフィが目覚めたことで一気に喧騒を増した室内に、女装したイガラムにしか見えない
人物が入ってきた。
「ちくわのおっさん?! 生きてたのか!!」
「まさかホントにそういう趣味が?!!」
「あ、テラコッタさんはイガラムの奥さんなのよ」
「似たもの夫婦にもほどがあんぞ……」
テラコッタによれば、ルフィの目覚めを待って、宴会が催されることになっていたのだ
そうだ。
つまり、今夜にもその宴会が開かれるということだ。
「おばちゃん、俺は三日分は食うぞ!」
「任せときな、若いもんの胃袋にゃ負けないよ!! 腕によりかけて作ってやるから、思
う存分食いな!!」
−−−−−
そしてその夜――アルバーナ王宮の大広間では、国王親子、重臣一同、および、麦わら
海賊団一味全員集まっての会食が開かれた。
もっとも、「会食」などと言うさも上品げな言葉に似合いそうな空気など、ほんの数秒
ももちはしなかったのだが。
他人の皿であろうがかまわず手を――文字通り――伸ばすルフィ、それに業を煮やし、
自分の皿にこっそり大量のタバスコを仕込むウソップ、ルフィの真似をしようとしてたし
なめられるチョッパー、調理の方法や材料などを聞くサンジなどなど、船での食事になれ
ているビビ以外は、誰もが戸惑う光景が展開されていた。
「なんと品のない……」
「この大広間での晩餐はもっと静かなものであるべきなのに……」
室内に立ち控える儀仗兵たちも、そのあまりに野放図、あまりに野蛮、あまりに下品な
光景に眉をしかめ、つい、彼らの立場からすれば漏らしてはならぬ感想を漏らしてしまっ
た。
だが。
野放図で、野蛮で、下品で、しかし同時に、喜びと、生命力と、笑いに満ちたその食卓
は、たちまちのうちに、彼らをも巻き込んだ盛大な宴へと変化していく。
歌と、踊りと、冗談と、笑いと――雨と共に失われていたものが、戻ってきたのだった。
418 :
601:2009/07/01(水) 00:40:11 ID:???
−−−−−
宴の後、イガラム、ビビ、国王コブラを交えた一味の面々は、大浴場へと案内された。
その豪勢な浴場のつくりは、皆を感心させずにはおかぬだけのものだった。
ルフィ、ウソップ、チョッパーの三人がはしゃぎまわり、ゾロは湯船で船をこぎ始め、
そして。
「で、女湯はどっちなんだよ、おい」
「教えるかっ!!!」
サンジがイガラムに女湯の方向を聞いて怒鳴られ――
「あの壁の向こうだ!」
「おいコラ国王てめえ!!!」
コブラが誇らしげに女湯との間仕切り壁を指差し、イガラムに怒鳴られた。
その後、皆で女湯をのぞき、ナミの幸せパンチ――代金10万ベリー――を食らったり、
その際間違って女湯側に落っこちたシンがビビによって殴り飛ばされたりなどがあった。
やがて、喧騒が収まってから、コブラがぽつりとこぼした。
「……ありがとう」
「「「「エロオヤジ」」」」
「そっちじゃないわ!!」
起き上がったコブラは、浴場の床に手をつき、深々と頭をたれて見せた。
「国をだよ」
「おいおい、いいのかよアンタ……国王がそんなまねして」
その姿に、真っ先に反応したのは、覗き騒ぎにも参加していなかったゾロだった。
「これは……大事件ですぞ、一国の王が頭を下げるだなどと」
「イガラムよ、権威とは、衣の上から着るものだ。だが、ここは風呂場。裸の王などいるもの
か。私は一人の父として、この土地に住む民として、心より礼を言いたい――ありがとう」
その姿に対し、ルフィは、ただその白い歯を見せ、笑ってみせるばかりだった。
−−−−−
ルフィの目覚めは、そのまま、彼らの別れの時の到来でもある。
一味が今なおアラバスタにとどまっていたのは、一重に船長であるルフィが目覚めぬま
まだったからに他ならない。
その、ルフィが目を覚ました。で、あるならば。
419 :
601:2009/07/01(水) 00:40:35 ID:???
「今夜?!」
「まあ、俺も妥当だと思う。長居する理由がねえからな」
ルフィが驚くように言うのに、ゾロが肯いてみせた。
「海軍の動きも気になる所だしなあ……おいシン、その辺なんか聞いてねえか?」
「ああ。昼間芸見せてる時とかに耳に入ったんだけどな、今アラバスタには、スモーカー以外
にもう一人大佐が来てるらしくてな」
「海軍大佐がもう一人? 誰よ一体」
「黒檻、とか言ってたかな。まあ、ともかくそっちの兵隊はアルバーナには来てないらしい。
となれば」
「なるほど……おいルフィ、お前が決めろよ」
「よし、じゃあもう一回アラバスタ料理食ったら行こう!」
「「「「すぐ行くんだよバカ!!!」」」」
−−−−−
「あの、少佐……?」
高速フリゲート艦ドミニオン、その、船尾楼にある会議室で、不機嫌をにじませた表情の上
司に、おずおずとフレイは声を掛けた。
こういう表情の時には、成る丈なら話しかけない方が良いのは彼女も知っているのだが、今
後の行動方針を決めようと言う会議の場では、そうもいかない。
「とりあえず、お腹立ちなのは解りますけど……一応、会議中ですから、ホラ」
「解っている」
「やはり……お受けにはなられない、と」
困ったような表情でつるりと頭をなぜるキャノンに、ナタルはため息を一つ漏らした。
「ああ。とてもではないがね。手柄を上げなかった、とは私も言わん。だが、それが到底昇進
に繋がるほどのものでないことは、自覚している。結局、バロックワークスの主要メンバーに
ついて我々は何もしていないに等しいのだから」
「大佐らは、結局お受けになられるご様子ですが」
「地位を力と考えておられるのだろう。それが、彼らを追うのに妥当な力であると」
「……少佐は、違うんですか」
「そう、だな。確かに、それは一つの考え方と言うのは私にも解るよ、フレイ。しかし、まあ
そうだな。それが私の考えかと言われれば――違う」
「なら、一体どうなされるんですか」
420 :
601:2009/07/01(水) 00:41:46 ID:???
割って入ったキャノンに視線を移し、ナタルは続けた。
「地位は必要だろう。だが、それを得るのに、相応しい筋道を立てずにおくというのは、私に
とっては肯んじ得ない。大佐らのように、それをまげても彼らを追う為の地位を、と言うほど
地位に重きを置かない」
「ならば、何を?」
「決まっている。諸君だ。私と、諸君とが一つの力を為すこと。それこそが、軍と言う形での
最良にして最高の力のあり方だと、私は信じている」
「うっわ、真顔で言ったわこの人」
「何かね、伍長」
「いえ、何でも」
そっぽを向いて舌を出すフレイに苦笑し、ナタルは改めて机の上に広げられた3通の手配書
に視線を落とした。
「まあ、当座は大佐らと別行動で、彼らを追跡……と言いたい所だが、恐らく、何らかの任務
に一度割り当てられるだろう」
「懲罰、と言うところですか」
「諸君の経歴には傷とはならん。あくまでも、私だけの問題だ」
「今更気にする者はこの船には乗っておりません。しかし」
キャノンも、フレイも手配書に視線を向けた。
「えっらい大事になっちゃいましたねえ……まあ、七武海の一角が落ちたとなれば、仕方ない
かもですけど」
モンキー・D・ルフィ、一億ベリー。
ロロノア・ゾロ、6千万ベリー。
アスカ・シン、5千800万ベリー。
船員総額で、すでに2億以上――ルーキーの船としては、破格の賞金が、そこには記されて
いた。
To be continued...
421 :
601:2009/07/01(水) 00:42:26 ID:???
今回は、以上です。
次回はボンちゃんの花道か……。
422 :
七紙:2009/07/01(水) 17:07:01 ID:deprQiLR
お待ちしていました!!!
おお、賞金がプラス5千!!
ボンちゃんは今週もやってくれたからなぁ
間違いなくMVPだよ、ボンちゃん
投下乙そしてGJです!
さらっとシンがラッキースケベなことになってるw
乙です!
さすがラッキースケベのシンくん、期待を裏切らないw
賞金も上がったしwktkすぎるGJです!
種世界で最後まで裏切り続けられたシンにとって、ボンちゃんや麦わら一味のように情に熱い人ってのはどう映るんだろうって考えたら悲しくなった
保守
427 :
通常の名無しさんの3倍:2009/07/08(水) 04:39:53 ID:GrSMIG0z
さすがラッキースケベww
さり気なく女湯侵入ですかw
続き楽しみにしてます
保守
保守
430 :
通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 06:18:26 ID:8AeoRgV3
今日はメロメロの声聞けますね
メロメロの中の人がwwwwwww
保守
保守
保守
原作はついに白ひげが動いたか。
それにしても傘下の海賊どれくらいいるのでしょうね、あの人のところって?
一週間保守だ
ぶっちゃけ今やってるワンピの戦いのレベルって、CEどころか全ガンダム含めても大半の機体が太刀打ちできないんじゃないだろうか
438 :
通常の名無しさんの3倍:2009/08/12(水) 12:19:41 ID:RFTtZU76
つかあいつらGガンレベルだろ
白ひげとか生身だと師匠でも危なさそうだぜ
しかしヒゲかコロニーレーザーなら虐殺レベルのことができると言う
ヒゲはMSみたいな『機械で作った兵器』にしか効果ないからな
生身の人間にはあまり効果がない
ヒゲって機械をナノマシンで分解するんだったよな?
そのヒゲじゃねぇwww
保守
原作は半端無く盛り上がってるのに、こっちは過疎だなあ…
逆に考えるんだ!原作が盛り上がってるから執筆出来ないんだと!
反論しろ!職人w
しかしいよいよもってナンデモアリだな
これならガンダムに変身できる悪魔の実とかあっても全然不思議じゃない気がしてきたぜ
保守
保守
451 :
514:2009/09/05(土) 03:56:53 ID:???
みなさんお久しぶりです。半年振りの514です。
月一を目標にとか言ってたくせにこんな体たらくでどうもすいませんでした。
では早速投下します。
452 :
514:2009/09/05(土) 04:04:55 ID:???
『ONE PIECE』 VS 『SEED』!! 第002話「二人目」
シンが基地前に到着したのはルフィたちと別れて十五分以上経ってからだった。
海軍基地としてだけでなく行政府としての役割も帯びているため、153支部は普通の海軍基
地と比べて内陸部に存在している。近海では一番大きいといえるシェルズタウンのほぼ端から
端となるとけっして短い距離ではない。それを暴れるための余力を残しつつしかも前半は荷物
を抱えた状態で走ってこのタイムなのだからはっきりいって驚愕に値する。
しかしそんなプラントの陸上関係者すら青ざめさせる爆走ですら今のシンにとってはウォ
ーミングアップに過ぎなかった。
門の前まで来たシンは屈伸運動などで軽く息を整える。
すでにことは始まっていた。
話に聞いていたモーガン大佐の銅像の上半身が空から降ってきたのが数秒前。まず間違いな
くルフィの仕業であろう。
一瞬凍りついたように静まり返った基地の中は、今や混乱の坩堝だ。
ここから先は命のやり取りである。そう思うと背筋の下の方からピリピリとした感触が全身
に広がる。シンにとっては懐かしい感覚。
海賊シン・アスカとしてはこれが初陣である。しかし彼の中に緊張らしいものはまったくな
い。
まあシンにとっての戦場とはあちらのもの、すなわちMSかMAに乗り込みビーム兵器やミ
サイルを打ち合うものであって、生身の人間がサーベルを振り回すか火器にしたってせいぜい
フリントロック式の銃しかないようなこちらの戦場はどうにも命がけとか死と背中合わせと
いった意識が持てないものなのである。
もちろんここにとんでもなく強い海兵がいる可能性がないわけではない。例のモーガン大佐
かつて百計のクロという1600万ベリーという高額賞金首を捕らえその功績をきっかけに現在の
地位まで上り詰めたという。一対一で倒したわけではないし軍艦一隻で黒の海賊団に挑み彼以
外は全滅したというから単純にモーガン>クロという数式は成立ちはしないだろうが油断は命
取りだ。
だが、そこまでわかっていても、
(なんていってもルフィだしなあ……まあ大丈夫だろ)
どこか気楽に構えてしまうのは仲間への信頼ゆえか、一度死んだという経験からか。
(とりあえずルフィを探しつつ基地の中をうろついておくか。最悪見つからなくても相手の戦
力は半分にできるし混乱の隙を突けばモーガンも倒しやすくなるだろう)
行動方針を決定したシンは早速塀によじ登る。中を覗き込んでみると少し離れた広場のよう
なところに二つの人影が見えた。
一つは十字に組んだ丸太に縛り付けられた男――ゾロだ。頭に巻いた黒い手ぬぐいと腹巻と
いうトレードマークは聞いた通りだし、離れた所からでも分かる迫力はまさしく海賊狩りの異
名にふさわしい。ルフィと違ってシンは初対面なのだが一目で分かった。
もう一つは、これは見覚えがある。コビーだ。ゾロに近付いて行っているし特に怖がってい
る様子もないからゾロを開放するつもりなんだろう。
もとより戦闘力のかけらもないコビーに九日も磔にされていたゾロ、と何かあったら真っ先
に危険な目にあいかねない二人がひとまず無事であったことにシンはほっと息をつく。
453 :
514:2009/09/05(土) 04:11:47 ID:???
しかし、
「っ!」
声でもかけようかと息を吸い込んだシンの視界の片隅で何かがきらりと光った。
背筋の感触がより明確に暴力を志向したものへと変わる。
「コビー! 避けろっ!」
反射的にシンは叫んだが、遅かった。
基地屋上から発射された鉛の銃弾はコビーの左二の腕の外側をえぐり地面へ着弾した。
直撃は逃れたものの撃たれた衝撃で倒れこんだコビーは一瞬何が起こったのかわからない
という風に呆然としたが、とっさに傷口を押さえた右手のひらにべったりと自分の血がつい
ているのを見てついに悲鳴を上げた。
塀を乗り越えたシンはコビーに駆け寄り抱き起こす。
「おい、しっかりしろ」
「シンさんっ、血が、血が〜!」
「腕をかすって少し肉を持っていってだけだ。弾は貫通してるしちゃんと止血すればどうって
事ない」
「メガネ、おまえそいつに感謝しとけ。さっきの大声で振り向こうとしたから腕ですんだんだ。
あのまま直撃して胸にでも当たってりゃ即死だ」
「そ、即死!」
「落ち着けって。さっき言ったとおり大丈夫だから、心配するな」
「は、はい。ありがとうございます、シンさん」
「……おまえらもう動けるな。だったらすぐに逃げろ。あいつらが下りてくるぜ」
「そうだな、ならお前も一緒に行くぞ。今縄解くから」
「ボ、ボクも手伝いますッ」
「無理はするな。ナイフ貸してやる」
「おれはいいんだ。一か月耐えればたすかるんだから」
「助かりませんよ! あなたは三日後に処刑されるんです!!」
「何言ってやがる。ここで一ヶ月生きのびれば助けてやるとあのバカ息子と約束を・・・」
「そのバカ息子が約束なんて守る奴だと思うのか」
「なに?」
「そんな約束、はじめから守る気なんてなかったんです。だからルフィさんはあなたに代わっ
てあいつを殴った。真剣に生き抜こうとしていたあなたを踏みにじったから!」
「な…何だと……!?」
「もう海軍はあなた達の敵に回ってるんです。お願いです、この縄を解いたらシンさんといっ
しょにルフィさんを助けに行ってください! 海賊になれとまでは言いませんが、みなさんが
手を組めばこの街からだって逃げ出せる筈です。逃げてください!」
「そんな悠長なこと言ってられないみたいだぞ、コビー」
「え?」
「そこまでだ! モーガン大佐への反逆につき、お前たち三人を今この場で処刑する!!」
駆けつけた海兵たちが一斉に銃口をシンたちに向けた。
454 :
514:2009/09/05(土) 04:15:38 ID:???
有事のために訓練を重ねてきた彼らの動きは乱れのない見事なものだったが、その標的となっ
ている三人のうち本物の海賊は一人だけ、他の二人は賞金稼ぎに海兵志願者なのだから皮肉で
ある。
「基地を取り囲め! あの麦わら小僧は絶対に逃がすんじゃねえぞ!!」
海兵たちの後ろから一人の男が現れた。
筋骨隆々の巨躯と手首の代わりに斧が生えている右腕。この基地を統べる海軍大佐『斧手の
モーガン』その人である。
「面白ぇ事やってくれるじゃねえか。てめえら四人でクーデターでも起こそってのか? ロロ
ノア・ゾロ、てめえの評判は聞いてたがこの俺を甘くみるなよ。貴様の強さなど俺の権力の前
ではカス同然だ・・・! 構えろ!!」
まさしく絶対絶命である。コビーは顔面蒼白、ゾロの脳裏にはかつて共に最強を目指すと誓
いあった今は亡き少女が走馬燈の蘇る一方で、モーガンは自分の勝利を確信し、海兵たちはま
たも理不尽に奪われる命に後ろめたさを感じながら命令だからと自分を納得させる。
この場にいる誰もが同じ結末を思い浮かべていた。しかしそんな中、たった一人、シンだけ
は別だった。
「射殺しろ!」
全ての海兵たちが引き金を引いた。
轟く銃声。
発射された銃弾は全てが空気抵抗を受け僅かにブレながらもほぼ直線の軌道を描き、その先
にある三つの標的に着弾して筋肉や骨や内臓を抉り破壊しながら貫通、あるいは体内にとどま
ることで運動エネルギーの全てを標的へのダメージに変換し、これを完全に殺害する。
はずだった。
「誰が……カス同然だって?」
両手にナイフを構えゾロとコビーの前に立ちふさがるシン。彼らに襲い掛かるはずだった銃
弾はシンの足元で鉛の破片となって散らばっている。
シンの言葉に応えるものはいない。
皆、目の前の光景が意味するところを理解できずにいた。一見すれば明らかなのだが、それ
はあまりにも常識の範疇を超えていたのだ。
MSの高速機動戦闘において最強のパイロットの一人であったシンの反射速度は『こちら』に
おいてさえ最初から十分規格外のものだったのだ。その上、二年以上に及ぶ地獄のような訓練
を経てルフィの必殺技「ゴムゴムのガトリング」を零距離からでも捌ききることができる今の
シンにとって、弾道学などまったく考慮されていない『こちら』の拳銃など物の数ではない。
455 :
514:2009/09/05(土) 04:18:24 ID:???
つまり、
銃弾よりもなお速く踏み込んでゾロとコビーの前に立ちふさがり両手に構えたナイフで迫
る鉛球の全てをはじき落とす。
そいうことである。
言葉にすれば簡単だが、当然、とんでもない荒業に違いない。事実、あまりのことにモー
ガンやゾロでさえも言葉を失ったのだから。
また、付け加えるなら彼の持つナイフ『レイザー』の存在も忘れてはならない。高速で飛
来する鉛の塊とぶつかりながら刃こぼれどころか傷ひとつついていないのだから、ある意味
シン以上である。
「てめェ…一体何モンだ!?」
「海賊さ。一応ワンピースを目指してる。『海賊狩りのゾロ』がこれくらいで驚いてもらっち
ゃ困るな。それに…」
「お前らぼさっとしてねぇでもう一度構えろ! さっさと撃ち殺せ!」
モーガンが吼えた。呆然としていた海兵たちも慌てて銃を構えなおす。
「うちの船長はもっとバケモノだぜ」
「撃て!」
放たれる第二射。
しかし、またもや銃弾は目標を貫かなかった。
「お前っ!!」
「ルフィさん!」
「麦わら…」
どうやってか空から飛んできたルフィが三人の前に着地するとそのまま盾となって全てを
防いだ。
もちろんゴム人間のルフィに銃は効かず、それどころか逆に跳ね返してしまう。
「効かーん!! んなっはっはっは!!」
「遅いんだよ、バカ」
「わりい、わりい。でも、間に合ったからいいだろ」
「ま、こんな感じで見ての通りの悪魔の実の能力者さ。ゴムゴムの実を食べたゴム人間。バケ
モノだろ」
シンの言葉を聞いて海兵たちが目に見えて動揺し始めた。普通なら悪魔の実の能力者などと
名乗ったところでハッタリとしか思われないが実際に人間の身体が銃弾を跳ね返すのを見てしまった以上疑う余地はない。
456 :
514:2009/09/05(土) 04:21:17 ID:???
もちろんわざと彼らに聞こえるようにシンが言ったのである。
「ほら、お前の宝物どれだ。わかんねえから三本もって来たぞ」
「三本ともおれのさ。三刀流なんでな」
「ここでおれたちと一緒に海軍と戦えば政府にたてつく悪党だ。このまま死ぬのとどっちがい
い?」
「そんな勧誘の仕方があるかよ・・・・・・」
「テメエは悪魔の息子か。まあいい、ここでくたばるくらいなら、なってやろうじゃねえか、
海賊に」
「やったァ! 仲間になってくれんのかよ!!」
「悪いな、無理やりみたいで」
「わかったら、さっさとこの縄を解け」
「ああ。シン」
「了解」
そう答えると、シンはゾロの体に巻きついた縄を一瞬で切り裂いた。無造作にやったように
見えて、ゾロの肌や服には一切傷を残していない。
「たいした腕だ」
「そうか?」
「ああ。勝負したいくらいだ」
ゾロがニヤリと笑い、シンも釣られて苦笑する。
イーストブルー最高の剣士といっても過言ではない男に褒められれば悪い気はしない。シン
がレイザーを手にしてまだ数日。未だ完全に使いこなしているとはいいがたいが、性にあって
いるのも確かなのだろう。
「海賊にはなってやるよ。こいつらと戦るからにはおれも晴れて悪党ってわけだ。だが、いい
か、俺には野望がある!!」
ルフィから受け取った刀を両手とさらに口にくわえて構えたゾロは、手に持った二本をそれ
ぞれルフィとシンの喉元に突きつけた。
「世界一の剣豪になることだ! こうなったらもう名前の浄不浄も言ってられねえ。悪名だろ
うがなんだろうが、世界中におれの名をとどろかせてやる! 誘ったのはてめえらだ、もし野
望を断念するようなことがあったら、そのときは腹切っておれにわびろ!!」
否と答えれば、この場で首をはねんばかりの勢いである。気迫も殺気も間違いなく本物だ。
しかし怖気づくどころか二人の表情は満足気ですらあった。
「やっぱりあんたを仲間にして正解だったよ」
「いいねえ、世界一の剣豪。海賊王の仲間ならそれくらいなって貰わないとおれたちが困る」
「けっ、言うね」
457 :
514:2009/09/05(土) 04:24:15 ID:???
はっきり言えば、ゾロもこれくらいの返しがくることは予想していた。
魔獣と渾名されるこの男の嗅覚は、ほとんど初対面の二人から自分と同じ匂いを感じ取って
いた。
海賊になることを承諾したのはなにもこんな状況だからではない。
理屈ではなくゾロはルフィとシンを自分の命を預けるに足る相手だと認めたのだ。
「ゴ…ゴム人間にロロノア・ゾロ!?」
「銃弾をナイフではじき返すなんて…聞いたことない!」
「た…大佐、あいつら…我々の手にはおえません!」
「ムチャクチャだ。あんな奴らと戦えるわけがない…!」
ゾロの快諾はシンたちにとっては慶事だろうが、海兵たちからすればまさしく悪夢であろう。
シンの戦闘力は先ほどの離れ技で一目瞭然だしゾロは言わずもがな、唯一ルフィのみが未知
数ではあるものの悪魔の実の能力者ということを考えればお釣りが来る。イーストブルーの辺
境でこれだけの実力者に遭遇する確立なんて万が一程度。運が悪いといわざるをえない。
しかし彼らにとっての本当の不運はこの三人を敵に回したことではなく、モーガンが味方、
しかも上司であることの一点に尽きた。
「大佐命令だ。今弱音を吐いた奴はァ、頭撃って自害しろ。この俺の部下に弱卒はいらん」
無茶な命令にもほどがある。
戦場での敵前逃亡なら銃殺刑もありえないわけではなかろうが、弱音一つで自害を強要する
など狂気の沙汰だ。もちろん、海軍の軍規のどこを探したところでこのような行いを許すよう
な箇所が見つかることはない。
だが次の瞬間、海兵たちは本当に自分たちの頭に銃を当ててしまった。
シンはそのありえない光景に一瞬呆然としたが、即座に、
「やめろ!」
ありったけの大音声を放った。
あまりの迫力に海兵たちだけでなく、先に動きだしていたルフィとゾロも立ち止まってシン
を振り返る。
「そんな奴のいうことなんて聞く必要ない! あんたも、どうしてそんな命令平気で出せるん
だよ!」
「大佐のおれが部下であるこいつらに命令してどこがおかしい。この基地で一番偉い俺はここ
にいる誰より優れているんだ! よって誰にどんな命令を出そうと俺の勝手! 身分は低いし
称号もねえようなてめえらこそ、俺に逆らう権利すらないことを覚えておけ!!」
458 :
514:2009/09/05(土) 04:26:35 ID:???
なんて身勝手な言葉だろう。いくら上からの命令が絶対の軍隊とはいえ、これは明らかに限
度を超えている。
今のモーガンに海兵が持つべき信念や正義感など欠片も残っていない。下らぬ妄執に支配さ
れ、暴力を撒き散らす存在へ成り下がっている。
――こんな奴が。
「あんた、」
こんな奴らが、戦争を始めたのか。
「一体、」
こんな奴らが、オーブを攻め込んだり、エクステンデットを作り出したのか。
父さんも母さんもマユもステラも、みんな。
こんな奴らが……!
「なんなんだーっ!」
お決まりの台詞を叫んでシンは駆け出した。
「ルフィ、ゾロ、あいつはオレがぶっ飛ばす! 手ぇだすな!」
返事など、もちろん待たない。
トップスピードでモーガンに肉薄するとシンは勢いそのままとび蹴りを放つ。
その速度に一瞬たじろいだもののなんとか反応したモーガンが右手の斧を盾にしてその攻
撃を防いだが、それでもなお衝撃を殺しきることができず、モーガンは思わず数歩後ずさっ
た。
「シンさん! こんな海軍つぶしちゃえ!!」
「当然だ! こんなやり方で守れるものなんてない!」
コビーの声援にこたえるシン。
「俺は海軍大佐『斧手のモーガン』だ!! だれも俺に逆らうな!」
海軍ジャケットを脱ぎ捨てこれからが本番といわんばかりにモーガンがシンへと襲い掛か
る。
右から左へモーガン自慢の斧手が振りぬかれる。
彼の、おそらく渾身の力をこめたであろう一撃は、斧の重量によって発生した遠心力も加
わって確かに尋常ではない破壊力を有し、当たれば間違いなくシンの上半身と下半身はなき
分かれをしていたところである。
459 :
514:2009/09/05(土) 04:28:33 ID:???
が、もちろんそれは当たっていればの話。
「遅いよ」
シンは見切ったといわんばかりにヒョイと軽くかがむとそれだけで簡単にやり過ごしてし
まった。もとよりシンは反射神経やスピードを持ち味とした戦い方が売りである。この程度
の攻撃をよけるなど造作もない。
そしてさらに付け加えるなら、この瞬間、モーガンの命運は決まった。
ただでさえ大振りな攻撃というのはその後のスキが大きくなってしまうものである。斧によ
る加速は威力が増す分、重心もそちら側によってしまい体勢を戻すのに時間がかかる。つまり
モーガンの胴体は完全ながら空きとなってしまったのだ。
シンにとって、一人の人間を打ち倒すのに、あまりにも長すぎる『間』。
「ハッ」
短く息を吐き出すと、後は目にも止まらぬ一気呵成の連続攻撃。
金的、肝臓、横隔膜、胃、喉、顎、人中。かつてザフトの教練で教わった人体の代表的な急
所を全て打ち抜いた。
時間にしてせいぜい一秒弱。無論、反撃の余地などあろうはずもない。
長年にわたって街を支配し続けた暴君の、あっけなさ過ぎるほどの最期だった。
460 :
514:2009/09/05(土) 04:44:08 ID:???
モーガン編はこれで一応これで終了です。
改訂してみたら元の2倍近い量になってしまいました。コビーとの別れも書こうと思いましたが長くなりすぎるので今回はカットです。
次回からは途中になっていたアーロン編に戻って、改訂作業と並行しつつ、新作の方をメインにしようと思います。
今度こそもっと早く投下できますように。
>>447 メカメカの実モデルMSデスティニー、っていう感じでしょうか。
新作が来てたか
続き楽しみにしてます
お久〜
確か種の小説だと、種割れ時の反応速度って、亜光速ビームの粒子一粒一粒をスローモーションのように知覚できるとか書いてあんだよね
それがガチなら、鉛玉どころか、CP9やエネルの速度にすら余裕で対応できるレベルになってしまう
保守
保守
小説版を公式にしたらガンダムは大変なことになるからやめるべき
保守
保守
保守
ヒトヒトの実にもバリエーションってあるのかな?
ヒトヒトの実モデル「女性(フィーメイル)」によって擬人化&女性化
したデスティニーというのが浮かんだんだが…。
擬人化&女性化したディスティニーってどんな感じなんだ?
って言うか、そんな事になったらシンが大変な事にならないか?
確かに…まあ、サイズにもよるかな?
常人レベルにまで縮小されていればいいが,MS時とほぼ同じ大きさだったら…。
でも巨人よりは小さいから大丈夫だと思う。
保守
ヒトヒトの実?
某所でブラックサレナ人間化で使われてたな
最近更新してないけど
ところで
どうやって食わせる気だ、機械に
Mr.4の愛犬ラッスーという前例があるので問題はないかと。
>>473 食べなくても、成分が浸透すればおkなんでね?
保守保守の実
478 :
通常の名無しさんの3倍:2009/10/11(日) 23:02:52 ID:P72YRnJU
かなり久々に来た気がする。まだスレあったんだな……感動すら覚える。
保守するぜ!
ならば俺も保守らねばなるまいて!
そういやジャスティスがGGのジャス子さんなのがあったな
>>481 誤爆してないか?
違ったらスマン。最近原作を追えてないもんで……
ド 保守だ! ン
ウィーアー!
ほ
し
ゅ
保守
保守
いやな意味で話題になったな、糞OP
ほす
ホッシュート!
デデッデデッデー
保守
創ったひと
田中真弓
創ったヒト
十周年記念保守
実はワンピの映画どころかアニメを見るのが初めてだ
既にチケットも買ったし、土曜が楽しみだ
おお〜!……!?何故ここにいる!!
499 :
通常の名無しさんの3倍:2009/12/11(金) 22:21:16 ID:1l3x8pLa
>>497 おれもそうだ。
実は前売り券を持っているから普通に12/12に行っても座席券と引き換えて貰えるだろうと、
楽観視していた。しかし、現実は甘くないようだな。
昨日ネットで確認したら12/12は余裕で全回満席だった・・・・。
仕方ないから今日朝の8:00頃に映画館に行って12/13の9:30〜のやつの座席と引き換えてきた。
8:30〜引き換え開始なので8:00に行けば一番乗りかと思ったが全然だったwww
皆、凄いんだな〜。
アニメを舐めていた。
すまん。
500 :
497:2009/12/11(金) 23:16:49 ID:???
>>498 いや、「ワンピのアニメ」見るのが初めてってことよ
これまではワンピは原作しか読んでなかったから、それぞれのキャラがどんな声で喋ってるのかすら精々麦わら海賊団の連中、それもロビンあたりまでしか知らなかった
今回は尾田が直接関わってるのと、0巻に引かれた口
>>499 俺もネットで三日前から当日朝一の買おうとしたらなかなか繋がらなくてビビったわ…
結局買うのに30分ぐらいかかった
501 :
498:2009/12/12(土) 00:58:59 ID:???
そうか早とちりすまんかった。楽しんで来いよ。ちなみに12日は電気メータ交換で出かけられないorz
保守
保守
保守
保守アゲ!!!
保守
保守
保守
保守
510 :
通常の名無しさんの3倍:2010/02/08(月) 12:31:26 ID:neubpQDU
保守
ホシュホシュの実の能力者か
512 :
通常の名無しさんの3倍:2010/02/11(木) 12:20:54 ID:CNseXa5Q
捕手
513 :
通常の名無しさんの3倍:2010/02/15(月) 04:23:41 ID:NHZMXK01
保守
保守
半年くらい投下無いけど諦めないぜ保守
ネットではよくあること<半年くらい更新なし
517 :
通常の名無しさんの3倍:2010/03/11(木) 12:03:46 ID:NKXTxdKv
518 :
通常の名無しさんの3倍:2010/03/14(日) 19:45:55 ID:5CMK/lDt
519 :
通常の名無しさんの3倍:2010/03/15(月) 18:55:09 ID:s3T954om
職人様ー!
早く戻ってきてくださーい!
今日も今日とて保守
520 :
通常の名無しさんの3倍:2010/03/19(金) 22:33:25 ID:cxgmT1BL
521 :
通常の名無しさんの3倍:2010/03/23(火) 20:49:16 ID:d286I4+P
保守
522 :
通常の名無しさんの3倍:2010/03/29(月) 09:07:05 ID:xzmeQip6
保守
保守
保守
526 :
通常の名無しさんの3倍:2010/05/09(日) 02:36:37 ID:DlUTBhqk
527 :
通常の名無しさんの3倍:2010/05/27(木) 06:36:01 ID:PVD8g1HJ
この漫画、過去編に入ると週刊ペースで読む気が無くなるから困る
単行本で読むと面白いんだけど、正直ダラダラ長過ぎなんだよ
昔のジャンプ漫画……例えば北斗の拳の過去話なんて1話の三分の一程度で終わるのがほとんどだったけど、どれも印象強いのばっかだったものだがなあ
>>528 最近見てないけど禿同。というか、戦闘シーンも妙にダラダラ長くてなぁ……相手が今までより強いから仕方ないんだろうが、正直ガッカリ。
530 :
通常の名無しさんの3倍:2010/06/06(日) 00:57:17 ID:UvHVgh9p
531 :
通常の名無しさんの3倍:2010/06/06(日) 22:14:35 ID:7cvyrrJ/
ステラvs魚人海賊団が見たい
532 :
通常の名無しさんの3倍:2010/06/10(木) 19:28:16 ID:UHgLUWen
533 :
通常の名無しさんの3倍:2010/06/12(土) 01:52:45 ID:yj9ZGMy0
534 :
通常の名無しさんの3倍:2010/07/17(土) 14:07:27 ID:35IhDe57
535 :
通常の名無しさんの3倍:2010/07/19(月) 10:15:02 ID:f1ZS2dcc
保守
537 :
通常の名無しさんの3倍:2010/08/06(金) 00:22:29 ID:HA8arVtP
保守
538 :
通常の名無しさんの3倍:2010/08/20(金) 22:09:57 ID:yiJvTkU1
保守
540 :
通常の名無しさんの3倍:2010/10/06(水) 22:50:50 ID:uzvXNn/y
保守
もしシンが麦わらの他メンバーのように、空白の二年間で修行するとしたら何処かねえ
やっぱ宇宙が妥当かな
なんとなくシンは性格とは裏腹に、見聞色の覇気のが得意そうだ
544 :
通常の名無しさんの3倍:2010/10/31(日) 22:07:20 ID:dgMIKGgT
シン・アスカvs百計のクロの外道同士対決が見たい
保守
546 :
通常の名無しさんの3倍:2010/12/13(月) 13:39:29 ID:jKSgdQ2x
MSに乗っててもルフィやレイリーが覇気を放ったら終わりだな。
覇気に耐えられそうなパイロットはザフトにも連合にも見当たらん。
シンは耐えれそう。ステラは天然で受け流しそう
他は…クルーゼ?
追記
凸は物理的に髪が抜けそう
種における「KI」を覇気と同類と考えると、バリーや蘊奥はそれこそ達人級なので無問題
シンは対艦刀のビームを気合いで拡張したり、ミラコロで消えてる敵を勘だけで狙撃したりと、KIを使ってる描写はところどころにあるが、意識的に使えてないフシも見受けられるので、修行前のルフィより少しマシなレベルって感じかな
今日の映画ではどんな立ち位置になったのかな、シン
>>549 アニメや外伝見ると、既に武装色も見聞色も使えてるという……何気にヤバいなシン
保守
保守
保守
555 :
通常の名無しさんの3倍:2011/05/15(日) 10:04:03.87 ID:xDIm+FFS
あ
つ
い
ほす
559 :
通常の名無しさんの3倍:2011/08/10(水) 20:33:46.70 ID:/N1P+53o
洗濯物を
560 :
通常の名無しさんの3倍:2011/08/14(日) 18:06:02.63 ID:c+OzpfuH
またぬらす
保守
きは
tes
む?
565 :
通常の名無しさんの3倍:2012/01/17(火) 12:56:24.94 ID:HjwCFVWm
tes
ストフリ&隠者でも覚悟決めたウソップに秒殺されるな
関節に緑星か
粘着星でも可
569 :
通常の名無しさんの3倍:2012/04/03(火) 19:37:58.08 ID:OErEtEzQ
シンが絶対遵守のギアスと千本桜があれば「О・P」キャラでも生き残れる
570 :
通常の名無しさんの3倍:2012/06/24(日) 00:14:38.62 ID:mpfRyRYI
違う世界の能力やん
そっちの世界で何か為し遂げたん
571 :
通常の名無しさんの3倍:2012/08/14(火) 00:04:56.95 ID:gwAhZbYA
ルフィがシンに「お前は仲間を何だと思ってるんだ?」と説教する
572 :
通常の名無しさんの3倍:2012/08/15(水) 23:39:19.57 ID:6OamrqkC
ルフィがシンに「人は死ぬぞ」と説教したらどうなる?
hosu
まーだこんなキモいスレ残ってんのかよ
いい加減新シャアから出ていけゴミ種厨
575 :
通常の名無しさんの3倍:2013/02/23(土) 01:07:54.56 ID:SSB61JIQ
>>574 いや、むしろ種厨は新シャアに封じるべきだろWW
576 :
通常の名無しさんの3倍:2013/02/24(日) 18:18:58.72 ID:TrSiRwh4
seed厨は帰れ
天誅ネオジオン万歳wwwwwwwww
577 :
通常の名無しさんの3倍:2013/02/24(日) 18:26:33.37 ID:TrSiRwh4
種厨へ
シャアスレから居なくなれ
576も俺だけど
荒らしたらごめんなさい
579 :
通常の名無しさんの3倍:2013/02/24(日) 22:37:13.66 ID:TrSiRwh4
すまない
それは申し訳ない
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607 :
通常の名無しさんの3倍:2014/03/18(火) 20:04:15.71 ID:KPXPNBJH
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