演出家ふくだみつお時代の作品がいたらってスレ……
宇宙海賊ガイスターが羽鯨の化石を狙ってプラントに襲い掛かる。
即占拠されてガイスターの前線基地になるプラント
どこからか情報仕入れてきたホーンガイストがクライン派のファクトリーから色々と盗み出そうとする。
んでもって、盗むのに失敗して一緒に来ていたアーマーガイストが腹いせにファクトリーの施設を壊して逃亡。
世界中にファクトリーの存在が暴露する。
,'::.::l.:: |.::.::.:/.::.::.::/.::.:/-―.:/.::.::.::.:}.::.::.::.ヽ.::..::ヽ⌒`く´ !! ̄`丶ー‐- 、
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|.::.::!:く 八.::.: :/ィう刃!ヾ ////!:::/`ト.::.::/.::.!.:i| { { ヽ、 \ ヽ. ヽ
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\:.|〈: :ノ(::}l:| -, :::.:,'.::.:イ │∧从| \ ∨ 价f心Y l|コ 八
`7.〈.::.∨ ::| イ.:: {. | l │ly价、ヽ ヾ {ト::::r'ハ}| | ヽ
_入:_}_ .::.::.:|、\ _, <!::|.::. ヽ! ', Yハ:::r} 込少' ! ∧/l ヽ \
〃  ̄ `\|:::`く ̄`丶i:、::. !::| ::.::. |\{\ トゝj少, :.::::::.: / / ノ ! \ ヽ
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. / ∠ 三二ニ\ ヾ!、.::/ ゝ _ / _,|八 ヽ
/ / / `ヽ、 /,ニ二\ /个ト .__, イ 二ニ--┘\ \
/ / \ (7'´/⌒‐ヘ ヽ( \ </ ̄ ̄ ̄`丶/\ ト、
/ // } / (/⌒\ ', \( >'´ \. ヽ } \
このスレの趣旨って勇者シリーズの初期限定なの?
>>5 どうなんだろなその辺。
ガイスターにプラントとかそのへん襲わせる方が想像しやすいけどな
保守
保守
むしろC.E.の『人類の宝』であるラクスを攫うとか?
ただ、ジェイデッカーが絡んだ場合、ラクスの歌声がフォルツォイクロンにある
ハーメルンシステムを刺激して、超AIロボ全てを洗脳してしまいそうだがw
マイトガインとかはブレサガの乗りで登場しそうだな。
個人的にはガイスターがラクス攫ってくれた方がCEの世界的には平和になるんでわ?
下手こくと、ガイスターが洗脳されてラクシズ入りしかねん
>5
時期的にもただのおちょくりでしょ。軽く調べた程度の知識で書いて見ました的な。
NJ影響下の地球はエネルギー資源問題解決の為、移動・輸送手段はALL鉄道へ
クルーゼ< だからドリルはとれといったんだ
プテラガイスト辺りがフリーダムとかジャスティスとかを改造してくれないかな。
鉄橋とか見たいに。
そして、カイザーフラッシュで動けなくしてカイザーブレードでぶった切るとか。
>>15 アズラエル財閥が鉄道運営に手を出すんですね>< わかります。
保守
保守
保守
保守
保守
保守
個人的にはシャランラとラクス、どっちが無軌道っぷりが上か勝負を見たいな
つか、流石に連合もザフトもラクシズもワルザック協和帝国軍に勝てそうにない気がする
ソレスタルビーイング対カイザーズ対宇宙警備隊対伝説の勇者対勇者特急隊対ブレイブポリス対レジェンドラの勇者対ダグオン対GGG
保守
保守
保守
『となりのダイノガイスト』
ぴちゃぴちゃと音を立てる水滴に打たれ、ソレは目を覚ました。辺りは暗く、『薄暗く』さえない。目の前を誰かがよぎっても、気付く事はないだろう。ざあ、ざあ、と潮騒の音が大きく小さく引いては打ち寄せる音がする。海の近くなのだろう。
――どこだ? ここは。
ぴくりとも動かぬ四肢をもどかしく思いながら、ソレは視線を周囲に向けた。闇。闇。闇――そして一筋の光。
たった一筋の光が、ソレのいる闇を切り裂き、ニンゲンが素足で歩いたら血を噴きだしてしまいそうなほど鋭く尖った岩肌を照らし出していた。
どうやら岩盤と岩盤が折り重なって出来た空隙に、ソレは自分の体を横たえているようだった。光は、重なり合った岩盤に出来たわずかな罅から差し込む唯一の灯りのようだった。
――おそらく地下、だろう。
体内のエネルギーをわずかに消費して、差し込む陽光や大気、体の下の岩盤の成分を分析すると、彼がしばらく身を置いたあの星のモノと一致した結果が出る。
――動かん。身体も捨てられんか。
忌々しい。本来、有機物や無機物で構成された肉体をもたぬ筈のソレは、今は鋼の肉体と言う名の檻に捉われていた。一刻も早くエネルギーを補給し、この肉体を再構築するか、肉体から離れても行動が可能になるまで待つしかない。
口惜しい。宇宙にその名を限りない恐怖で知らしめたソレからすれば、ただこうして牢獄を思わせる地下で、ただ傷を癒す事の身に時を掛けるのは屈辱であった。
だが、事実体を休める以外に選択肢はあり得ず、心に湧き起こる怒りをそのままにソレはわずかに差し込む陽光からエネルギーを補充して周囲の岩盤や塵、イオン、浮遊分子などを集め、それらの物質の分子配列を変えて自らの肉体の傷を塞ぐ糧とする。
それは、蟻が巨城をその牙だけで崩そうとするような、途方も無い作業ではあったが、ソレは躊躇なく行う忍耐も兼ね備えていた。そして忍耐を支えるのは怒りであった。屈辱であった。誇りであった。矜持であった。
かつて宇宙最強を謳われた己が、このままどこともしれぬ地下で朽ちるなど、断じて有り得ぬ。例え千度生まれ変わろうとも一度として受け入れる事の出来ぬ無様であり、結末だ。
だから、ソレは気が遠くなり、思考さえも鬱陶しくなるような時間を覚悟して、自分の体を癒し始めた。ゆっくりゆっくりと、長い長い旅の様に。
自らも岩盤の一部となり果てたと錯覚するほどの時間がたち、ソレはこの闇と岩の牢獄の中にいる“命”が自分だけではない事を知った。
生命活動、というよりは肉体の復元作業に差しさわりの無い程度にエネルギーを使い、センサーを起動させれば岩壁をかさかさと走る小型の爬虫類や、蜘蛛の足が立てるか細い音も拾えるし、何日も聞いていた潮騒のわずかな違いを聞き取る事もできるようになっていた。
変化もわずかずつではあるが生じていた。普段、肉体の修復に使用するエネルギーの消費量が一定のラインを超えると強制的に眠りに着くように設定した肉体に流れ込むエネルギーの量が、わずかではあるが増したからだ。
麻痺しつつあった感性が刺激され、ソレはセンサーの感度をほんの少しずつ上げる。
――無数の生命反応。それに膨大な量のエネルギー……。これは、ニンゲン達か。
記憶の中に埋没していた虚弱な生命の名を思い出し、ソレは久しぶりに心が動くのを感じた。あの、ちっぽけで矮小で、何万人集まろうともソレに傷一つ付けられないだろう哀れな弱者達。
だが、ソレの求める宝をいくつも生み出した貴重な生き物でもあった。ソレとは違い、柔らかく脆い肉の体を持つニンゲン達。どうやら、ソレが眠りについている間に、地上の世界は大きく変わっていたらしい。
自分の体に流れ込むエネルギーがわずかに増したのも、ニンゲンの築き上げた文明が消費するエネルギーがわずかに零れ落ち、それをすくいあげたからの様だった。
ニンゲン達の恩恵に預かるような真似にはひどく抵抗を覚えたが、ソレは一時の事と感情を殺し、また緩慢に眠りにつき始めた。
太陽に身を投げた筈の体は、まだ十分に回復しているとは言い難かった。
――ニンゲン。憐れなほどに弱い、生き物。だが……
ソレの脳裏に浮かんだのは、この闇の時の中で何度も反芻した宿敵の言葉。
『大事なのはコウタだけではない!! この宇宙に生きるすべての命が大事なのだ!』
『どんなに小さくとも命は宝だ! たとえそれが貴様のような悪党の命であってもだ!!』
であるならば、命こそが宝であるならば、
――ニンゲンすべてもまた、宝か。
そして、ソレは再び眠りに着いた。
それからも何度か怠惰な覚醒と深い眠りを繰り返し、ソレはニンゲンの世界の変化を感じ続けた。時がたつほどにソレに流れ込むエネルギーは増え、ソレは遠くない日に、再び宇宙最強の強者として蘇る自分の雄姿を思い起こし、小さな感慨に耽った。
もっとも、ニンゲンに比べてかなり幅の広い限りある命を持つソレにとっての遠くない日というのは、ニンゲンからすればとてつもない数字になるが。
いずれ蘇った暁には捕らえられた部下達を救いだし、自分を打ち倒した宿敵と再び剣を交えるのだ。そして宿敵を倒し、敗北の屈辱を注ぐ事が出来た時こそ、真に自分は蘇る事が出来る。
そう、この■■■■■■■様の復活の時だ……。
ずっとそこに身を置くソレ以外には、微細な変化を感じ取る事が出来ない世界に、大きな変化が訪れたのは唐突だった。
眠りに着いている間稼働させていたセンサーの捉えた動体反応と熱源反応、生命反応にゆっくりと目を覚ましたそれは、長い事ねぐらにしていたこの牢獄に近づいてくる一人のニンゲンに気付いた。
子供、と呼ばれるニンゲンの幼態だ。子供と言う存在に、不意にソレは宿敵にコウタと呼ばれていたニンゲンの子供を思い出す。思えば、あの子供こそがソレと宿敵との戦いの鍵を握っていたのかもしれない。
――馬鹿な。ちっぽけなニンゲンの、更に弱々しい子供などが。
否定する自分と、しかし、と肯定する自分。あまりにも自分らしくない。迷いや躊躇などおよそソレの生において無縁のものだ。ソレは欲しいと思えば力づくで手にいれ、気に入らなければ思うがままに破壊してきた。
そしてソレの行いを阻める者など広大無辺な宇宙といえども居やしなかった。神とやらに救いを求める者もいた。自分達の知恵と技術で挑んできた者もいた。あるいは敗者同士で手を組みあい、挑んできた者達もいた。
すべて打ち倒した。すべて打ち砕いた。すべてさらなる敗北の泥に塗れさせた。ソレの向う所に敵は無く、阻める壁は無く、多少の困難はむしろそれを打ち破った時の快楽を得る為の刺激剤だった。
唯一、ソレをこのような境遇に追い落とした宿敵達を除いて。
――…………。
そこまで考え、ソレの思考は沈黙を選んだ。最初は、自分さえ姿を現わせばどうと言う事も無く倒せた相手であった。だが、戦いを重ねるにつれ力を増し、遂には自分と互角の力を持つになった宿敵。
宿敵が力を増していった理由の一つが、あのコウタという子供だったのではないかという思いがソレの思考の片隅に、ずっと長い事あり続けていた。
ソレの沈黙を破ったのは、刺し恵む陽光よりもさらに強烈な光を認めた時だった。人工の灯り。どうやらニンゲンの子供がこの牢獄の近くにまで来たらしい。
打ち寄せては砕ける波のしぶきでも浴びたのか、きゃ、という小さな声がした。ニンゲン同士なら可愛いと感じる幼子の声であった。ソレにはさしたる感慨も浮かばない。
――ニンゲンのメスか。少女、とかいう分類だな。
聞こえてきた声を分析し、収集し蓄積していたニンゲンのデータと照合し、そう判断する。地球周期でおおよそ十歳前後。性別雌。
久方ぶりに、自分以外に明確な知性と意識を持った生命の接近に、我知らずソレの思考も活発さを取り戻していた。
視覚センサーの彼方をライトの灯りが何度もよぎり、徐々にニンゲンの子供が近づいてくる。波の音にまぎれてしまう小さな足音も、ソレの聴覚に相当するセンサーが拾い上げていた。
凹凸の激しい足元に、かなり苦労しているらしいが、小さな冒険のつもりなのか零れる悲鳴は随分楽しげだ。
そして、そのニンゲンの子供が、ソレが体を横たえている牢獄に入った唯一の罅に気付き、体を乗り出して自分の足元を手に持ったライトで照らしだした。罅は最も太い所で幅六十センチ、長さは五メートル近い。
牢獄の中を白々と照らし出していた光が、ソレのちょうど視覚センサーに当てられた。陽光以外の灯りを、ソレは眩しいと感じた。おかしな話だ。自動的に光量を調節し、視覚センサーに異常を来たさない様にしていると言うのに。
「きゃあ!?」
ひときわ大きな声が、ソレが身を置く牢獄に反響した。ニンゲンの子供がソレに気付き、驚きの声を上げたのだ。ソレは、ニンゲンの子供を見た。ちょうどソレが体を横たえている位置から、数メートル上にニンゲンの子供がいるため、ソレが見上げる形になる。
つぶらな瞳に、長い茶色の髪をピンクの細いリボンで括った華奢な雌だ。赤いスカートに、白のブラウス。その上にジャケットを一枚羽織っていた。ニンゲンすべてがそうだが、特に子供と言うのは良くもあれで生きていけると思うほど小さく弱々しい。
「きゃあ!?」
ひときわ大きな声が、ソレが身を置く牢獄に反響した。ニンゲンの子供がソレに気付き、驚きの声を上げたのだ。ソレは、ニンゲンの子供を見た。ちょうどソレが体を横たえている位置から、数メートル上にニンゲンの子供がいるため、ソレが見上げる形になる。
つぶらな瞳に、長い茶色の髪をピンクの細いリボンで括った華奢な雌だ。赤いスカートに、白のブラウス。その上にジャケットを一枚羽織っていた。ニンゲンすべてがそうだが、特に子供と言うのは良くもあれで生きていけると思うほど小さく弱々しい。
「きょ、恐竜の……ロボット?」
おれの事か。とソレは思う。そういえば今の自分が三つある姿の内、アジトで長い事選んでいた恐竜の形態である事を、久しぶりにソレは思い出した。ニンゲンの子供が持つライトが、ソレの傷ついた体を順々に照らしだす。
ティラノサウルスよりは映画の中に出てくる二足歩行の怪獣に似た胴体と、胴体に比べれば小さな前足、頭部にある鶏冠か反り返った刃の様な金色の角。恐竜らしからぬ、なぜか背に負った――ひしゃげている――二門の砲身。
その体を横たえ、背を丸めているソレに、ニンゲンの子供は目をまんまるに見開き息を飲んでいた。そんなに自分が珍しいのか、それともよほど自分が傷ついた姿をしているのか。
どちらにせよ、まるで見世物の様でソレは不愉快だった。だからだろうか。自分が見世物などではないと主張する気になったのは。久方ぶりに言葉を発し、会話をしてみたいと言う欲求に駆られたとは微塵も思っていない。
『恐竜のロボットだと? それはおれの名前ではない』
「ひゃっ! しゃ、喋った!?」
びくりと、体を震わせるニンゲンの子供の様子がひどく愉快なものに見える。本来肉体を持たぬソレからすれば、有機物で構成された際に変化するニンゲンの表情の変化と言うものは判別するのが難しいが、目の前の子供の驚きの様子は手に取るように分かった。
『小娘、貴様名前は何と言う?』
「マ、マユ。マユ・アスカだよ? 貴方はなんて言うの? 恐竜さん」
『おれか? おれ様は、ダイノガイストだ!』
長い長い眠りに着いていたソレは、久方ぶりに口にする自らの名を、傷つきながらも変わらぬ威厳に満ちた声で、誇らしげに告げるのだった。
はじめましてこんばんわ。ここではこういったSSというのはOKなのでしょうか?
投下する前に聞くべきだったと、あとになって気付いたもので、事後承諾の形になって申し訳ないです。
>>29-31 おお、まさかダイノガイスト様とマユのコラボとは…GJ!
期待age
ダイノガイストの心情とかが見事に描かれてて久々にいいもの見させていただきました!
しかし、CE世界の人間(特にラクシズとか)を見た時のダイノガイストの反応も楽しみである…
何か、コウタとの落差を感じそうな気が…
ちなみにコレ書いた作者様は、現在スパロボinC,E板またはスパロボinC,E避難所にて連載中です。
我らが宝、ダイノガイスト様を追いかけて俺参上!
同士たちに出会えて感激だ!!
実は自分も最終回後のダイノ様が種死世界に現れるSSを考えた事がある。
そしてシンの壁となって、知らないうちにシンの成長を促す存在になるという
話だったんだが、文才が無い、どう考えてもラクシズ蹂躙、そして結局ダイノ様
をたたえるSSにしかならない為、お蔵入りにしてしまった。
本当、職人さん達がうらやましい。
ゴルドランをストフリ無双以上のレベルであっさり倒したウサリンの火力があればCEなんざ
シャランラ一人で十分だろう
さらにやりたい放題のウサリンMk-Uなら文句ない
基本性能考えたら、強化合体した勇者なら大抵のMSは倒せるだろうな。
つーか、∀とかXとかGとかWとか、スペオペレベルの技術持ちとか一能で最強とか、ヒーローがかってるのなら兎も角、その他のMS相手なら単体勇者で充分だろ。
下手すると、ダグテクターでも倒せそうだ。
>>41 とりあえず、ガインショットも普通に効くだろうな
子供の頃に見たという“思い入れ”のせいか、どうしても強過ぎるくらいの強さで捉えちゃうんだよな。
なので一歩踏み外すと即蹂躙SSになっちゃうという……。
毎度毎度最終回近くになるとボロボロになったり力尽きたりするのも見てたはずなんだけどな……。
けど、話にも拠るけど、勇者シリーズの宇宙からの侵略者と、ガンダムシリーズの技術とで比べると、
∀クラスでもない限り侵略者の技術レベルのほうが遥かに高いからね。
……ただ、初作のファイバードで刷り込まれているから、宇宙からの侵略者が大半なイメージがあるけど、
実際には地球圏の勢力と戦ってる話も多いんだよな。
ブレサガから公式最後の勇者バーンガーンでも持ってきてみるかな。
ガガガ除く勇者シリーズ全部入っているから上手く話を組み立てれれば面白いと思うんだが。
CE71なら勇者側、侵略者陣営、地球連合、ZAFT、オーブの5だい勢力のひしめき合う群像劇みたいなのになればいいんだが。
文才がなくて全然かけないけど。
谷田部三部作のときは子供向けと思ってみてなくて
アニメ雑誌で取り上げられるようになったマイトガインから見始めた俺は邪道ですか?
>>46 いんじゃね?
俺もリアルタイムではエクスカイザー〜マイトガインはたまにしか見ず、
ジェイデッカーから本格的に見始めたわけだし
エクスカイザー〜マイトガインも後々になってレンタルビデオや再放送、DVD-BOXで見たけど
>>48 いや、「俺」または「俺様」で合ってる
記憶してる限りではダイノガイストは自分の事を「儂」と言ってなかったと思う
ホノトだ最終回で「俺様」って言ってる
ワシはメガトロンだったな
>実際には地球圏の勢力と戦ってる話も多いんだよな。
マイトガイン、ジェイデッカー、ゴルドランあたりか。
マイトガイン勢(ガードダイバーはちょっと不安)とゴルドラン勢はガンダム相手でも余裕で勝てそうだけど
メイン武装がライフルと警棒なジェイデッカーはマックスキャノンが無いと厳しいかも知れんな。
デュークファイヤーとビルドタイガーは大丈夫そうだが。
シャドウ丸は…どうしよう?
>>51 ああ見えてジェイデッカーは初期装備だけで軍の最新兵器(可変戦闘機)を倒してたりするが
シャドウ丸は…たしかにきついよな
基本戦闘能力は低い方だし
あと、何気に航空(航宙)能力に関して言えば、ジェイデッカーは全勇者シリーズ中最高スペックを誇る
合体後はデフォルトで全員飛行できるし、(理論上は)補給無しで地球〜土星(木星だっけ?)を往復出来るし
ジェイデッカーは大気圏離脱できる推力あるぜ。
>>53 それを言っちゃ、大抵の勇者ロボは大気圏離脱出来る推力を普通に持ってるが
ただ、航宙能力に関して言えばブレイブポリスが異常なんだが
ガオガイガーでも、木星まで行くのにESミサイル使ったし
ダグオンは単独で大気圏離脱入出来るのってサンダーダグオン、ライアン、ガンキッドだけだったな
スーパーファイヤーダグオンも大気圏離脱したところでボロボロになっていったし
…ジェノサイドとやりあってたから、内部崩壊起こしてたのかもしれんが
まあ、それ以前に。あの心優しいブレイブポリスに戦争をやらせたくない
と思うのだが。
あいつら、人間と自分らの命比べたら、やっぱり人間のほうが重いとか
いってくれるやつらだし。うあ、思い出しただけで泣けてくる。
流れ読まずにすいません。『となりのダイノガイスト』なんですが、朝あたりに投下させてもらってもいいですか?
>>55 その意見はすごくわかる。ブレイブポリスに限らず勇者シリーズだからこそそうあってほしいというか。
やっぱり根本的に戦争の道具じゃないってのと人間よりも人間らしい心があるからかな。
カモン、カモン、カモーン。
『となりのダイノガイスト』 <2>
「ダイノ……ガイスト?」
『そうだ。忘れるなよ、小娘』
呆然と、マユは目の前の壊れかけた恐竜のロボットが告げた名を呟き返した。ダイノガイストにとっては、本当に長い事他者に言われる事の無かった自分の名であった。
思えば、常に自分の周りにいたプテラガイストやホーンガイスト、サンダーガイスト、アーマーガイスト、コウモリ達もおらず、たったひとりの孤独の中では自分と言う存在の定義さえも曖昧になりがちだった。
通常の生命体、たとえば人間なら百回発狂してもおかしくないほどの孤独と闇の中を、ダイノガイストは耐え続けてきたのだ。
ダイノガイスト、と何度も小さな唇を動かして呟くマユの様子に、とりあえずダイノガイストは満足した。
本当に他者と言葉を交わすのは久しぶりの事だ。本来なら取るに足らぬ筈の小娘を構う気になったのも、これまでの環境の影響だろう。
何度かダイノガイストの名前を呟いてから、マユは右手に持ったペンシルライトでダイノガイストの恐竜を模した体を照らし出し、何度もその姿を食い入るように見つめていた。
罅の入っていない所を探すのが難しいほど、ダイノガイストの装甲は傷つき、一部は太陽の熱によって融解し、赤と黒が混ざり合って溶けたチーズの様に固まっている。
長く伸びた尾も半ばほどまでしか無く、四本の足もきちんと指が揃っている物は一つとてない。ダイノガイスト自身は痛みを感じる事はないが、それは見る者からすれば例え無機物であっても痛々しさに目を背けても仕方の無い惨状であった。
じっと自分を見下ろすマユの瞳を、まっすぐに見返し、ダイノガイストは目の前の小娘が何を思っているのかと、少しだけ疑問に思った。
自分の素性を知る者ならば、宇宙最悪レベルの悪党を捕らえる絶好のチャンスとばかりに、宇宙警察や宇宙警備隊にでも通報する所だろうが、果たしてこの星ではどうなのだろうか?
そもそもこの星が、自分が思う地球であるのか? という疑問を、この時すでにダイノガイストの心は抱いていた。
ダイノガイストは宇宙最強を謳うになんら恥じる事無き強者であると同時に、戦闘能力に見合う豪胆さと、それなりの明晰さを持っている。
長すぎる眠りにいささか頭の回転は鈍っていたが、収集し続けているこの星の情報からは、かつてダイノガイストがいた頃に比べ――仮に地球だとして――自然環境の劣悪な汚染や、核分裂を抑制する人為的なジャミングの様な物が施されている事が分った。
少なくとも自分がいた間の地球はこんな状態ではなかった筈だ。
そもそも宇宙空間で自ら太陽に身を投げた筈の自分が、なぜ半死半生の状態とはいえ惑星の土の下に身を横たえていたのか。そんな現状の始まりの答えさえ得てはいない。
もっとも、奪われるくらいならばと自ら絶った命が、今まだ自分の手にある以上は、現状に甘んじるつもりなどダイノガイストには微塵も無かった。
どうして自分がこのような所で命を長らえたのか、と言う疑問を解決する気持ちもあるにはあったが、それ以上に捕らえられた部下達の安否と、全宇宙の宝を自らのものにすると言う目的を果たす意思の方がはるかに強かった。
生死の天秤が動くその時でさえも自らの信念を貫きとおす意思の強さこそが、ダイノガイストを最強たらしめている重要な要因なのだろう。
ともかく、ダイノガイストはあまり期待こそしてはいなかったが、目の前の少女から自分が身を休めているこの星の情報を聞き出すつもりにはなっていた、と言う事だ。いずれ完全に再起するその日までの、長い道のりの第一歩、という所であるだろうか。
そして、ダイノガイストの関心をこの時一心に集めていたマユは
「たいへん!」
と小さな口を大きく開け、可愛らしい声を洞窟の中一杯に響かせた。それはまあ、大変だろう。目の前に三十メートル近い、傷だらけとはいえ恐竜の姿をしたロボットがいるのだ。
これが大変でなくて何が大変であろうか。
一方でダイノガイストはマユの叫んだ『たいへん!』を、指名手配されている宇宙海賊ガイスターの御頭である自分を知っているからか、と考えた。
三〇〇年の活動期間で荒らした星の数は三百近い。銀河規模で高度に発達した文明の惑星国家もあったから、宇宙に進出し他天体の生命と交流を持つレベルの文明ならば宇宙海賊ガイスターの蛮名は広く知れ渡っているはず。
本来肉体を持たぬエネルギー生命体のダイノガイストの物理的な形状は、すぐに変えられるものである為に逮捕する事に関してはあまり意味を成さないが、その名はあまねく宇宙に知れ渡っている。
だが、この時のマユの言った『たいへん!』は大きくダイノガイストの予想を外れていた。
「恐竜さん、じゃなくてダイノガイスト、ひどい怪我してるよ!」
『なに?』
確かに、今の自分のダメージはこの肉体を得てから最も深刻なものだ。仮初の、しかも機械仕掛けの肉体ではあるが、痛覚や五感などといった有機生命体ならではの諸感覚も備えている。
今はメカニズム化した肉体構造を操作して、痛みを遮断している為、ダイノガイストには自身の体に対しては、意志に反してぴくりとも動かない事への苛立ちばかりがある。
だから、マユの口にしたひどい怪我してるよ、などと言われても言葉の意味の理解が数瞬遅れた。
この小娘、おれの体を心配しているのか? 訝しげな思いと同時に、マユが自分の名前に反応しなかった事を分析する自分もまたいた。とはいえ『ダイノガイスト』の名よりも、この姿の凄惨さに、マユの注意が言った可能性もある。
もう少し、ダイノガイストはマユを構う事にした。
岩盤の割れ目の縁で足を止めたマユは、くりくりと良く動く瞳でダイノガイストの体を何度も見返していた。
手に持ったライトは、その視線に合わせてダイノガイストの体の上を行き来する。それらの行為が、マユの異物の混じらぬ労り故とまでは分からぬが、少なくとも害意があっての事ではないと、ダイノガイストはマユのさせるがままにした。
「どうしよう、お医者さん呼んで来なくちゃ。あ、でもロボットなら人間のお医者さんじゃだめだ、どうしよう、ねえ、ダイノガイスト、痛くない? 平気?」
『一度に喋るな。お前の声は耳に響く』
厳密に言えばダイノガイストに耳に値する帰還は無いが、言葉のあやというものだ。
壊れたラジオかテレビの様にこちらが口を挟む隙の無い、早口で捲くし立て、一人で慌てて勝手にうろたえるマユの様子を、滑稽なものを見るのと煩わしく感じるのが半分ずつ。
とりあえずは煩わしく感じる方が勝り、ダイノガイストはいかにも億劫な調子でマユの言葉を止めた。
『医者など要らん。おれの体をニンゲンなぞに易々と触れさせるつもりはない』
「でも」
『ならば、よく見ろ。おれの体はおれが直しているのだ』
「?」
明滅する恐竜を模した頭部の目の輝きに誘われるように、マユの眼は一番自分の近くにあるダイノガイストの左前肢に注がれる。
周囲を支える岩盤と違い、細かなパウダー状の砂の上に力無く投げだされたダイノガイストの左前肢の周囲に、ほんのささやかな光が薄靄のように現れる。
すると、かろうじて目を凝らして見える程度ではあったが、ダイノガイストの装甲に刻まれていた罅が、傷ついた装甲から伸びた新たな装甲に、わずかばかり埋められた。
その代わりに周囲の砂も装甲に埋められたのと概ね同じ質量が消えていたが、そこまではマユの目には映らない。
はっきりと分ったのは、目の前の壊れかけ、いや壊れた恐竜ロボットの言う通り自分で自分の体を治しているらしい。
転んだりして出来た傷も、放っておけばもすぐに直るようなものなのかな? とマユは思った。
周囲の物質の分子配列を操作して自分の体の構造材として再構築している、などと言われても分るわけも無い。その辺はダイノガイストにも何となくさっしが着いたので、細かい説明はしなかった。
要するに傷は自分で治せるとマユに伝わればよいのである。
「でもでも、ほんのちょっとしか治ってないよ? 本当に大丈夫、痛いのは嫌じゃないの? マユだったらすごく嫌だよ」
お前と同じにするな、とダイノガイストは思ったが口にするつもりにはなれなかった。無垢な少女の気遣いも、話を進める上では邪魔物でしかない。
要らぬ気遣いよりもこちらの質問に早く答えさせようと言う意識の方が強い。
それに今マユがダイノガイストに向けているような、見返りを全く求める様子の無い、他者から向けられる労りと言うものは、これまでのダイノガイストの人生(?)に縁があったものではない。
エネルギー生命体と、炭素形生命体である人類との根本的に相容れぬ感性の差と言うのがある。
それに、ダイノガイストにとっては憐れみというものは弱者が、優位にある者から向けられる一種の恥辱という認識もある。己が弱者であると言う認識など、欠片ほどもないダイノガイストからすれば、マユの言葉も心地の良いものではなかった。
最も、今の自分が確かに第三者から見れば、強気の言葉など死に行く前の精一杯の自己満足を満たす為の虚勢としか映らぬ、というのもある程度は自覚していた。
そのような境遇に身を落す事への屈辱と怒りも。
地球人の子供と言うものは、非論理的でその場の自分の感情を優先し、後先を考えずに行動して周囲に不協和音をもたらす傾向にある。
何時だったかプテラガイスト辺りが仕入れてきた地球人の生態に関する知識を、埃に塗れた記憶の棚から引っ張り出して、ダイノガイストは徒労の様な気もする質問を始めた。
得られるものがあるのか、とダイノガイストには珍しく自信が無かった。なので質問は極めて単純なものにした。
――この星の名前は?
マユ:地球だよ。
――ガイスター、宇宙警察、ダイノガイスト、エクスカイザー、聞き覚えのあるモノはあるか?
マユ:宇宙警察ならお兄ちゃんの見てるテレビで言ってた。特撮ヒーローっていうんだって。
――地球では異星人との交流・接触はあるのか?
マユ:宇宙にコーディネイターの人達が住んでるプラントならあるよ。羽根クジラの化石ならあるけど……
――コーディネイター?
マユ:うんとねえ、お母さんのおなかから普通に生まれてきたらナチュラルで、おなかの中に居る時に、おまじないをかけてもらったらコーディネイターなんだって。マユはコーディネイターだよ。
――おなかの中から生まれてくる? どうやって子を作り生むのだ?
マユ:う〜んと、マユも分んない。ただ、コウノトリさんが赤ちゃんを運んできて、神様の選んだパパとママに赤ちゃんを預けるんだって。ママがそう言ってたよ。
価値の無い情報と判断したのか、理解が出来なかったのかダイノガイストはここでしばし沈黙した。
まあ、彼の宿敵も生命体に寄生する悪質な云々と、地球人の生態に関しては派手に誤解したので、ダイノガイストの反応も当然といえば当然であった。
ただ。命=宝、という言葉が常に頭の片隅にある様になったダイノガイストからすれば、自分自身で命を作り出し、育むと解釈できない事も無いマユの言葉に、おかあさんなる存在が、宝を生み出す者である、という間違ったとも言い切れない認識を芽生えさせていた。
命が宝であるなら、自分の命を持って子供を育む“おかあさん”は、確かに宝である事は間違いない。
ともかく、この様な一問一答形式で二人の話は進み、差し込む日差しが夕暮れの色を帯びて来た時、マユは帰りが遅くなるとお兄ちゃんに怒られると言い出した。
話をしている間、ダイノガイストが傷を痛む様子や気にする素振りを見せなかった為、マユはダイノガイストの言う通り、傷は問題ないらしいと認識したようだ。
「それじゃあね。また来るから!」
鈴を転がすような軽やかな声と差し込む夕陽よりも輝く笑みを残して、マユは家に帰って行った。
別に来なくていい、と喉まで出かかったが、折角の情報源をみすみす手放す事も無いと思いなおし、ダイノガイストは無言で翻るマユの背を見送った。
子供は誰もがあのように忙しないものなのか、と起き抜けで回転の鈍い頭にはやや答える相手に、ダイノガイストは疲れの様なものを感じていた。
マユから聞き出した情報を整理しながら、エネルギー節約の為の眠りに移行する。意識が暗黒に陥るまどろみの中で、ダイノガイストは、
――もし、次あの小娘が来たら、テレビを持って来させよう。それとダイノガイストではなくダイノガイスト『様』だと、教えてやらねば……
と思いながら、ゆっくりと眠りに着いた。
以上になります。お目汚し、失礼しました。
こんなアホみたいなスレじゃなくてもっと他の所に投下したら?
SRWスレで『外伝的にはいいが、本編に絡めるのはちょっと……』という読者の意見を尊重し、
総帥はこのスレに投下なされました。
……余計な心配かもしれないけど、2つも平行して大丈夫かなぁ。
まあこっちは息抜きみたいなもんだろう
ビアンSEEDほどキャラ数が多かったり、入り組んでる話じゃなさそうだし
勇者好きへの嫌がらせで建てたようなスレなんか使うなって意味かと。
初代
>>1が適当に立てた糞スレがいつの間にか
何代も続く良スレになるなんてよくある話で
次スレが建つとしたら『もし勇者シリーズがガンダムの世界に来たら』に変わってるだろうな。
とりあえずGJといっておく。ダイノガイスト様、順調に
人間に対してフラグを立てられていらっしゃる。
次はシンが登場するのだろうか。
君ん家に、宇宙海賊いる?
ダイノ様を越える漢を見たことが無い俺は、世界が狭いのかな。
>>69 つーか勇者シリーズではそうそういないだろうな
神秘の力とかそういったのに一切頼らず、最終決戦に挑んだ悪役もこの方ぐらいだし
ドライアスもアレだけど部下思いなんだよな・・・ダ・ガーンのピオレッツェもいいと思うけど
つガルバトロン(ビーストウォーズU)
部下思いで弟想い、裏切りの代名詞であったスタースクリームですら感服
目的が力による宇宙平和
つメガトロン(マイクロン第1期)
スタースクリーム戦とかまじカッコヨス、最後がダイノガイストともろかぶる
ウルフガングがエグゼブに反乱する前に部下三人を逃がすシーンも良かった
イッヒ、リーベ、ディッヒのことか
懐かしすぎる
おお!!確かに彼らも芯の通った漢であった。こんなキャラがCEにもいたら・・・
ウォルフガングは最初は部下思いとは真逆に近い感じだったけど、
部下思いになるまでの過程ががっつり描かれてたからな
ドライアスも部下思いだけど、基本的に部下が有能だから、ダイノガイスト様ほどの印象は残らないんだよな…
逆に部下を平然と切り捨てる悪役はエグゼブ、フォルツォイク親子、トレジャー皇帝辺りか?
しかしエクスカイザーの演出見ると福田も悪くはないと思うんだ・・・
種のモモタロス戦はまぁよかった・・・しかし何で死は・・・
せめてアスランVSシンをエクスカイザーVSダイノガイスト戦みたいにしてくれれば
現実に疲れて磨耗していってしまうのさ、そして最後にかつて抱いた理想さえも見失うんだ。
演出では確かに良い腕をしている。しかし、性格が酷すぎる。
あちこちでさんざん言われてるな
一コンテマンで終わっていれば、もしく高橋良輔みたいな脚本畑出身の総監督の下
アニメーションディレクターに徹していれば腕のいいアニメ製作者として賞賛されて
生涯を終えられただろうにとw
野球ではよくあるよな
名選手を監督やコーチにしたらヘボだとか
あとは軍隊で優れた小隊〜大隊レベルの現場指揮官が昇進して
連隊や師団を率いたら駄目駄目とか
俺は『嫁と組んだ状態の監督』と『ビッグマウスっぷり』に対しては否定的だけど
『サイバーTV版の頃の監督』と『演出』としての腕はむしろちゃんと評価してる。
ただ日本のアニメ業界の出世コースは
演出→監督
作画→漫画家・監督
脚本→作家
こういう流れが出来上がってるからな
『となりのダイノガイスト』 <3>
どこまでも広がる闇の世界に、奇跡の如く存在する青い星から空を見上げれば、白い光が慎ましく、静かに降り注ぐ夜であった。
青く染まる星の大気と無窮の闇とを隔てた先にある、荒涼殺伐とした岩石ばかりの広がる世界――月。生命の息吹は無く、草木も花も水も動物も存在しない筈の世界で、虚空に吸い込まれては消えゆく音があった。
きぃいいん、と水晶の鈴を天上の音楽家が楚々と鳴らしたような、どこまでも高く澄んだ音。また、きぃいいん、きぃいいん、と聞く者のいない虚しい調べが重なる。
否。それは調べでは無かった。魂まで揺さぶるかの如き美しき音は、静謐な月の宮で、地上の人々に気付かれぬよう密やかに集った天上人達の開いた、演奏会の調べでは無かった。
見る者も無く、聞く者とていない世界で、三つの刃が打ち合される度に、その音は虚しく、銀河の果てまで届くように生まれては消えて行く。
刃の一つは巨大な、それを携えた鋼の巨人の身の丈にも届こうかという金色の両刃剣。
それと重なり合い、拒絶し合い、弾き合う二つの刃はさながら三日月の如く優雅に弧を描く長刀二本。
人類の手によって汚染された大気の存在しない月の地上で、限りなく明瞭に映る世界に、幾筋も剣の軌跡が描かれている。描かれた軌跡の数を数える者がいたならば、この戦いがもう随分と長い事続いていると、数える事に疲れを覚えるに違いない。
金色の剣を携えるのは、胸に勇ましき獅子の顔を持った鋼の巨人。右上段に構えたその姿は、大地に根を張ったかの如く不動。切っ先まで満ちた意思は澄んだ清水の如く清澄。戦いの場にあってなお、どこか優しさを感じさせる、そんな不思議な巨人だった。
対して銀に輝く二刀を魔鳥が翼を広げたように構えるのは、無骨な古めかしい戦甲冑を思わせる黒の巨人だった。両の側頭部から凶暴な角度で反り返る角。対峙するだけで恐怖に体が竦むほどの威圧感。
姿も滲む雰囲気もまるで正反対の二体の巨人が、この夜天に輝く月の園に鳴り響く音の演奏者達であった。
交わす言葉は無い。何よりも雄弁なのは両者の機体から陽炎の如く立ち昇る不可視の闘志であった。如何なる者も割って入る事を許さぬこの二体だけの為の戦場であり、神聖不可侵の決闘なのだ。
三十メートルを悠々と超える巨人達の対峙する距離はおよそ七十メートル。互いが一歩に全力を乗せれば、闘志を乗せた刃が交錯するのに必要な時間は刹那の単位だ。
両者の体がわずかに前傾し沈んだ。踏み出す一歩の為に必要な動作であった。痛々しいまでに地肌を晒す大地に足首まで沈め、大地を蹴った踏み込みは爆発にも似ていた。
風あらばそれを切る両者の剣の凄まじさが、烈風となって吹き荒れただろう。黒鎧の巨人――ダイノガイストの左胸部から右腰へと抜ける上段からの一撃。星達の見守る中、冷酷なまでに美しい輝きと共に描かれる、三日月の弧の鋭さよ。
獅子を胸に抱き、竜の力と一つになった偉大なる巨人――グレートエクスカイザーに襲いかかる二振りの銀刃。首狩り台の刃よりなお冴え冴えと輝く刃は、左右下方からグレートエクスカイザーの胴を斜めに横断し、四分割すべく迸った。
共に触れる者全て、有象無象の差別なく切って捨てる魔剣であった。
星の灯りが月の大地に落とした両者の影は、瞬間的に互いの位置を変えたかの様な唐突さで形を変えていた。グレートエクスカイザーが踏み込んだ位置にダイノガイストが。ダイノガイストが一歩を刻んだ位置にグレートエクスカイザーがいた。
あまりにも速く、当事者である二人をしても明確には理解しえぬ一瞬の攻防であった。初めて、二人が声を出した。共に苦悶の呻きを。
「くっ!」
「ぬう!」
見よ。グレートエクスカイザーの左上腕から肩までを裂いて奔る斬痕の鋭さを。あまりの斬撃の凄まじさに、切断面は鏡の如く研ぎ澄まされ、血潮の代わりに発する紫電を精妙に映し出していた。
そして今一度見よ。はるか月の大地の彼方に、旋回しながら深々と、その刀身の半ばまでを埋めたダイノガイストの愛刀を。グレートエクスカイザーの一撃はダイノガイストが右手に握ったダイノブレードを奪い、左腰から太腿にまで走る傷を与えていた。
背を向けあった二人は奇しくも全く同じタイミングで振り返り、己が宿敵を見据える。憎悪も怒りも悲しみも愛もなにも無く、二人は新たな構えに移行した。
見るも無残に左手をだらりと下げたグレートエクスカイザーは、右手一本で大剣を握り直し、必殺の大剣に肩をまたがせた。身体の捻りと右手の抜き打ちにも似た振り抜く動作で片手一本によって生じる、パワーとスピードの不足を補うつもりなのだろう。
左足の自由を奪われ、右足のみの踏み込みを強要されたダイノガイストは、左手に残った長刀を両手で握り直し、右下段後方に切っ先を流した。左肩を前に出し、体の姿勢を沈める。残された右足の踏み込みに全てを賭けた一刀限りの勝負。
陽炎の如く立ち昇っていた両者の闘志は、既に燃え盛る大火へと変わっていた。傷を負って尚激しさを増すのは、目の前の相手にだけは負けられぬと言う己の誇り、いや意地であろうか。
しかしその答えを出す思考を、既にこの時両者はしていなかった。それさえも、今この場では余計な不純物でしかなかった。
ダイノガイストの思考と感情をかろうじて言葉にするならば、
必ず斬る。
必ず殺す。
必ず倒す。
必斬、必殺、必倒。
プテラガイストもホーンガイストもアーマーガイストもサンダーガイストもコウモリも、ガイスターの部下たちでさえこの時ダイノガイストの思考からは取り除かれていた。
己の身さえ振り返らぬ絶対の、打倒の意志。それがダイノガイストの四肢を満たし、精神を満たし、有り余る闘志は両手に握り直した愛刀の切っ先、いや原子核にまで充溢する。
今この一時は金では代えられぬ、宝以上の宝。グレートエクスカイザーとの死闘は、それほどにダイノガイストを昂らせた。積年の怨念。敗北の屈辱。よぎるものは数多あった。
だが、それらは全て闘争の場に相応しくないと一瞬で切り捨てられ、ダイノガイストの精神から消え果てる。
この場に居合わせればあまりの重圧に人間ならその場に昏倒するか、息を荒げて膝を吐くほどの両者の集中の念の凄まじさよ。だが、何事にも終わりは来る。来るのだ。やはり、というべきか二人が踏み出した一歩は秒瞬の狂いなく同時。
「オオオオオオッ!!」
「ハアアアアアッ!!」
吠えた。人間がいくつも作り出した幻想の中の巨人達も、戦を前にすればかくの如く雄たけびを上げたのだろうか。震える大気が無い筈の月の世界はしかし怯えに震え、生命の息吹を感じさせぬ岩ばかりの大地は恐怖を糊塗するように地鳴りを立てた。
再びの踏み込み。両者の足が離れた月の大地は砂状にまで砕け陥没していた。一歩の為に凝縮された力の凄まじさを、小さなクレーターがなによりも証明しよう。
右足のみの一歩であるのにもかかわらず、ダイノガイストの速さは神がかったものだった。即ち神速。切っ先がかすかに月の大地を掠め、驚くほど鋭利な斬痕を残して走り、やがて虚空に躍り出て、勇壮な獅子を目掛け振われた。
グレートエクスカイザーの右手一本から振り下ろされた大剣は、その輝きの美しさと圧倒的な威力を思わせる凄絶さに、最初から生存を諦める他ないと悟らせる凄まじさで振われた。
――エクスカイザー、今度こそ、おれ様の……!!
勝利だ、と叫ぶダイノガイストの思考は、しかし三刃の協和音にも似た、澄みきった鈴の音の様な声に遮られた。
「遊びに来たよ、ダイノガイスト様!」
夢の終わりを悟ったダイノガイストは、メインカメラである二対の瞳に、にこにこと満面の笑顔を浮かべるマユ・アスカを映し出した。
長い眠りの間、幾千幾万と繰り返してきたシミュレーションの結果は、中断の影響で不明と出た。わずかな怒りを感じたが、それを吐き出す気力は無く、ダイノガイストは人間が良く着く溜息に似たものを胸の中に感じた。
ダイノガイストとマユ・アスカの邂逅から数日が経過していた。周囲の大人達か『お兄ちゃん』にダイノガイストの事を話すかと思われたマユであったが、自分とダイノガイストだけの秘密にしたい、という欲求を覚え誰にもダイノガイストとこの洞窟の事を内緒にしていた。
ダイノガイストからすれば、マユがこの場所を誰かに話したとしても、多少エネルギーを消費するが、洞窟の罅を分子操作で埋めるなり光学的な迷彩を施してなにも無いように見せる事は出来たから、あまり問題視していなかった。
一方のマユは、普段は学校があるし、また友達も多く毎日この秘密の洞窟に顔を出す事は出来なかったが、できるだけ時間を作って一人ぼっちの恐竜ロボットの所へと通っていた。
その内に、ダイノガイストに“様”を付けて呼べ、と言われた時も深く考えず簡単に了承した。
どことなく威厳や風格みたいなものを持っている相手だし、マユ自身の幼い感性が様を付けて呼ぶ事に抵抗を覚えなかったからだ。
今日が人間達の言う一週間という区切りの中で、休日にあたる事をダイノガイストは思い出し、マユの姿を眺めた。いつものブレザー姿ではなく、新緑の色彩が目にも鮮やかなワンピースとピンクのヘアリボンだ。足場の悪さを考慮し足元はスポーツシューズだった。
腰まで届く長い、若いを通り越して幼いマユの長髪は、ピンクのヘアリボンで後頭部で一つにまとめられている。いわゆるポニーテールだ。髪の毛の生え際の遅れ毛が、年に似合わぬ艶を醸し出していた。将来の成熟が危険なほどに約束された片鱗であった。
そのケの無い人達でも、百人中百人が思わず微笑む様な可愛らしい年相応の装いであったが、ダイノガイストに人間のファッションやそれに対する関心は備わっていない。ここら辺はやはり根本的な生命体としての在り方の違いによる。
鬱陶しいような、それでいて、姿を見ないとそれはそれで物足りないような、なんとも名状しがたい評価を、ダイノガイストはマユに与えていた。
大体決まった時間に姿を見せ、薬にも毒にもならないような話をしては帰って行くマユが、自分の生活(と言ってよいかは判断に困るが)の慣習の一部になりつつある事が、どうにも馴染めずにいた。
雌伏の時を孤独に耐え過ごす覚悟と忍耐は持っていたが、一度孤独から離れてみると折角の交流相手をみすみす手放すのは惜しい気もして、ダイノガイストは結局マユの来訪を拒みはしなかった。
えい、と小さな声を出してマユは洞窟の罅からダイノガイストの横たわる砂場に飛び降りた。途中までは危なっかしい足取りで岩場を歩き、一メートルほどの落差を飛び降りる。
一度、飛び降りてからよじ登るのにのろくさしているのを見かねたダイノガイストが、階段状になる様に岩場の分子を削り取ったから、今では上り下りは随分楽な筈だ。
差し込む陽の光だけでは人間のマユが視界を確保するのには不足だが、この秘密アジトに持ち込んだライトを手に取り、すぐにスイッチを入れた。
ライトに照らし出されるダイノガイストの体は、相変わらず傷だらけではあったが、良く見れば確かに罅は減り、欠け落ちた装甲は埋まりつつあった。内部の構造が露出している部分も減っている。
それから、丁度砂場に投げ出したダイノガイストの目と正面から向き合う位置に突き出た、四角い岩の上に家から持ってきたクッションを置いてマユは腰掛ける。
「今日はどんなお話をするの?」
ダイノガイストが自分がどれだけ宇宙中の文明に恐れられた存在であるかを、端的に語る為にこれまでの海賊行為を聞かせたのだが、かえってそれが裏目に出てしまいマユが会いに来る度に話をせがまれる様になってしまった。
五体が無事ならさっさとこの場から居なくなっている所なのだが。
一刻も早く体が治らないものかと、ダイノガイストは考えていた。まるで元気の塊のように休む事を知らないマユの相手は、眠りから目覚めたばかりの状態でするのは、いささか疲れを感じさせる。
なので話をずらした。別にマユの相手をするのが煩わしかったからではない。多分。
『それよりも言っておいたモノは持ってきたか?』
「え? うん、一応持ってきたけど、壊れてても本当にいいの? 映らないよ」
『構わん。見せろ』
ダイノガイストに促され、マユは肩から下げていたルーズバックの中身を取り出した。厚さ五ミリの20インチサイズのテレビである。
アスカ家が随分昔にお世話になっていた頃の品で、物置で眠っていたこれをダイノガイストの命令でテレビを探していたマユが発見し持ち寄ったのだ。
岩にもたれかかせるようにテレビを置かせ、マユに下がる様に告げる。
本来エネルギー生命体であるダイノガイストを始めとしたガイスターは、狙った宝が物理的に質量や体積が巨大なものになると、必然的に物理的干渉能力を求められる。こう言った場合に、今の様に無機物を媒体にしてその時々に応じた仮初の肉体を得てきた。
肉体は破棄すればいいわけだが、手に入れたお宝はそうはいかない。多くのモノは闇の商人たちや好事家達に売りさばき、貨幣に変えるなり、あるいは物々交換を行うなりするが、中にはガイスターのメンバーやダイノガイストが手放すのには惜しいと思うものも、当然ある。
そう言った品物は信用の置ける相手に預けるか、宇宙各所に持つアジトに保管する、あるいは、常に持ち歩くかという選択肢が発生する。携帯する事を選んだ場合エネルギー生命体である彼らでも収納と携帯が可能な入れ物やトランスポーターなどが必要とされる。
ダイノガイストの場合は、彼自身が発するある種の波動を感知して常に周囲の亜空間としてダイノガイストに追従する空間そのものだ。適当に取りだすものをイメージしてこれまた適当に虚空に腕を突っ込むなりすれば、望みのものを取り出せると言うわけである。
ダイノガイストは四肢を満足に動かせない為、収納空間に望みのモノを出すよう命じた。媒体は、空気の振動による音声では無く、エネルギー生命体の主な交感の為の機能である、テレパスだ。
はたして、マユとダイノガイストの中間程の空間から、ラグビーボールの形に似たメカニズムらしきものがドサリと砂場に落ちる。ダイノガイスト配下のプテラガイストの発明品エネルギーボックスである。
どこから出したんだろう? これってなあに? と顔に書いてあるマユを無視してダイノガイストはそれをマユが持ってきた壊れたテレビに取りつけるように告げた。といってもテレビの画面にぺたっと押し付けただけだったが。だが、それでもとりあえずは起動する筈だ。
エネルギーボックスはマユの目の前でまるで魔法のようにテレビを取りこみ、その姿を変えて行く。
うわあ、と感嘆のため息が零れ落ちた時には、画面が暗黒で満たしていたテレビは移動の為の、触手のような脚部と、間接の代わりである球体に棒を差し込んだ二本の腕を持ったロボットの出来損いの様な姿に変わっていた。
材料が壊れたテレビ一つだから、サイズも小さいままだ。ダイノガイストが見るにはいくらなんでも狭隘に過ぎた。そこらへんはおいおいなんとかしてゆくかと、ダイノガイストはとりあえず棚に上げておく。
以前にプテラガイストが作った試作品をコウモリ辺りが拾ってきて、気まぐれに放り込んでいたものだ。完全に機能はしないが、まあ、退屈を紛らわすのにはいいだろう。それに、ダイノガイストにもマユにテレビを購入するだけの資金力がない位は分かる。
すごーい、というマユの声を他所に、ダイノガイストはテレビロボに適当に電波を受信して画面に映すように命じた。
地上で流れるニュース番組の方が、マユよりは現実的な情報を手に入れられると踏んだからである。それに、秘密基地で設置した大型モニターを毎日飽きる事無く見つめていた四人の部下達の姿が、影法師の様にダイノガイストの思考の片隅でちらついていた。
だが、テレビに映し出されたのは、ダイノガイストが想像していたものとある意味でかけ離れ、しかし今後の行動に大きな影響を与えるものだった。マユが、映し出された光景に息を飲む。
それは、マユから聞かされたこの星で起きている戦争の光景であった。このオーブ首長連邦国の了解ギリギリで行われている戦争。ダイノガイストは知らなかったが、争う片方は宇宙に浮かぶ砂時計――プラントの人々が結成した自衛民兵組織ザフトのザラ隊。
ザラ隊の猛攻を受け、白亜の船体から黒煙を噴き上げているのは、オーブ所有のコロニーヘリオポリスで建造された最新鋭の戦艦アークエンジェル。
史実に置いてマユ・アスカが短い生涯を終える、ほんの数か月前の事であった。
深夜にこっそり投下。記憶が曖昧なところがあって、間違えてないか不安です。
傷の直し方やら、いろいろと捏造が多いです。不快に思われる方もいらっしゃるかなと思いますが、どうかご容赦を。
誤字報告「オーブ首長連邦国の了解ギリギリで〜〜」
→「オーブ首長国連邦の領海ギリギリで〜〜」でした。他にもあるかも……。
GJ! お疲れ様です。勇者シリーズなのにまるで剣豪小説のような描写。
すげぇ。ダイノガイスト様、まだツン状態。デレるのは何時なのかしら。
続き待ってます。
部下もアホだったよな・・・
栄養ドリンク飲んでパワーアップとか紙幣の価値知らず捨てたり
マネキンのズラはずれて仰天したり
このスレ、イイ!!!
ダイノガイスト様最高!!!!
まあ、俺は読まずにスクロールしてるんだけどな。
マユを守るため連合と戦うダイノ様か…結構絵になりそうだな
何でブレイブシリーズ復活しないんだろうなぁ
ク○ゲーだったから
タカラはとっととバンナムに版権売れよ
版権売ったって使われるのはガオガイガーだけってオチが見えてるからそんな事はしなくて良い。
ムゥさんがセブンチャンジャーに乗ってラウと相打ちになるのですね
違うぞ!
生き残ったラウとレイが、海賊船長に乗って実はラスボスだった生きていたアル・ダ・フラガに
『宇宙海賊!イーザックブラザーズ!』
いまだゴルドランがオレンジと同じ声優とは思えん
それを言ったら他にも色々・・・。
>>99 だったら殺生丸様はどうなるんじゃぁぁぁぁぁぁぁい!!
>>99 俺だってデッカードが某少コミの美形敵役(両刀)だって知った時には驚いた
あえて言おう。
気 に す る な。
それができないならその場のノリと己の気合で乗りきれ!!
良スレ発見。
ダイノ様が、CEで暴れまわるSSを待っているのは自分だけかな。
ダイノ様が、CEで暴れまわるSSを待っているのは自分だけかな。
あれ、2度もかきこんじゃった。失礼。
ダイノ様はアジトでどっしり構えててイザって時だけ出てくるのが良いから
あんまりウロチョロして欲しくないんだよな
突然だが、現在このスレで連載されているSSを倉庫に保管し、
このスレが落ちた後でも読めるようにしたいと願う読者はこのスレにはいるか?
保管に賛成か、反対か答えてほしい。
ちなみに自分は賛成だ。続きも読みたいと願っている。
私も賛成
マユが殺されそうになって「見てはおれぬわ(それドライアス)」って叫んで
乱入するんですね、そうですね・・・
そういやダイノ様の中の人結構な齢なんだね、しかしエクスカイザーが空気王か
私も保管を希望します
ダ・ガーンたちが復活したのが、原作の地球じゃなく
C.E.時代の地球だったら、間違いなく人類に絶望してたな
その上、コーディネイターの技術の結晶だとか
ナチュラルがコーディネーターを滅ぼすための切り札だとか誤解され
連合&ブルーコスモス、ザフト双方から攻撃される、と・・・
こんばんわ。『となりのダイノガイスト』を一時頃に投下してもよいでしょうか?
お待ちしております、総帥。
『となりのダイノガイスト』 <4>
オーブ首長国連邦の、とある島のとある住宅街のとある住宅にて――。
小鳥のさえずりが耳に心地よい、爽やかと言う他ない晴れ渡った青空の朝だった。
ねむい目をこすりこすりしながら、二階の自分の部屋から一階のダイニングに降りてきたこの家の長男坊――シン・アスカが鼻をくすぐるなんとも食欲をそそる匂いと、耳に聞こえる音に、はっきりと意識を覚醒させた。
包丁が刻む軽快なリズムは耳からそっと忍び入り、記憶野を刺激してシン少年の脳裏に朝ご飯のイメージを鮮明に描かせる。既に出来上がった汁物の香りは、色こそ付いていないが濃厚な香りでもって鼻の奥の粘膜を刺激し、少年の胃の腑に空腹を覚えさせた。
じゃあ、と弾ける油の音は狐色に焼き上がった肉類や魚類を想起させ、朝からたっぷりと用意された食事を約束している。
今日は何だろう? とこれだけで機嫌が良くなったシンは、台所で仲良く肩を並べている母と妹の姿を見た。
母はともかく妹が一緒に台所に並んでいるのは珍しい光景だ。カラフルなバンダナで髪をまとめ、デフォルメされたヒヨコのアップリケのエプロンを付けて、終始笑顔の母の指導を受けて、包丁片手に悪戦苦闘しているらしい。
今日はマユも一緒に作っているのか。年の離れた妹を可愛がる典型的な兄であるシンは、妹が自分の為に朝ご飯を用意してくれているのだと思うと、思わず鼻歌を歌いたくなるほど機嫌を良くした。訂正する、いささか平均的な『兄』より妹思いが強すぎるようだ。
「おはよう、母さん、マユ」
「おはよう、シン」
「おはよう、お兄ちゃん」
椅子を引き、自分の定位置に腰かけて、テーブルに両肘をつきながら料理を作る二人の姿を眺める。
昨日はこんがり狐色のトーストと新鮮さが一目で分かる生野菜のサラダに、コンビーフ入りのスクランブル・エッグと胡椒を効かせた分厚いハムステーキ。それにマスク・メロン半個と搾りたてのグレープフルーツジュースだった。
やや量はあるが、焼き加減、分量、温度と満点と分かる品々はどんな寝ぼスケや胃腸の弱い人間でも満足の舌鼓を打てる調理だった。
台所に並んだ食材や匂いからして、オーブに強く根付いた旧極東地域――日本系統の食事であるらしい事は察しがついた。オーブの公用語のひとつは日本語だ。
「今日はマユが母さんと一緒に作ってるのか。メニューはなに?」
「違うよ、お兄ちゃん。マユはお弁当作ってるの」
「弁当? どこか出掛けるのか」
「うん。お友達と一緒に」
期待が外れた失望を隠さないシンの声に、マユはそれとは正反対の、明るさに満ちた声で返した。こんな、他愛の無い、けれど当たり前の幸福に溢れた日々を送ってほしいと万人が思わずにはいられない声だった。
失望に彩られていたシンの表情も、愛すべき妹の嬉しさと期待が満ち溢れている声を聞いて、ま、仕方ないかと微苦笑に変わった。マユが楽しそうにしているなら朝ご飯くらいどうって事は無い。
「ほらシン。顔を洗って来なさい。貴方の分の食事はもう用意してあるから」
「は〜い」
母親にせっつかれ、シンはけだるい返事一つをしてから立ち上がり、洗面室に向かって歩き出した。
それにしても、あんなに嬉しそうなマユの声は今まで聞いた事が無いな。そう、心の中でぽつりと呟いた。マユの声や表情には、今までシンが目にした事、耳にした事の無い感情が含まれていた。その感情が何なのか、シンが理解するのは随分先の話になる。
四方を希薄な闇に覆われ、時が止まっているかの様に微動だにせず蹲っている、周囲の闇よりも深い漆黒の竜がいる。天に羽ばたく為の翼は無いが、大地を踏みしめ己こそが世界の覇者であると告げる為の足と頭と尾は健在だ。
今は力なく投げだされた足も、かつては踏破出来ぬ大地など無く、行く手を阻む者全てを踏み砕き、蹴散らしてきた凶悪な武器だった。
砂地にわずかに沈む両の前足の先端で、果てがないかと思われる闇に差し込む、たった一筋の陽光を反射し、仄白く輪郭を露にする鋭い爪は数多の獲物を手に掛け、肉を、骨を、鋼を、命を引き裂いてきたに違いない。
この世のありとあらゆる獣も、一度食いつかれれば抗う事など出来ぬと見える、歯の並びを見よ。一本一本が戦場に向かう直前の様に研ぎ澄まされた槍穂の様だ。触れれば、その手は瞬く間に血潮で朱に染まるだろう。
創造力の豊かなものならば、その歯の並びの煌めきに、肉の塊にまで切り刻まれ咀嚼される己を想起し、血の気を引かせて顔色を青い物に変えるだろう。
全身を奔る無数の罅から流れる血潮は無く、苦痛の呻きも無いが明らかに死の寸前まで傷ついたと見える鋼の恐竜――ダイノガイスト。
今の姿のモデルとした、数千万年前の地球の覇者である恐竜でさえも怖じ気づきそうな凶暴な並びの歯の間に、差し込まれるものがあった。そして、この場にそぐわぬ愛らしい声も。
「はい。ダイノガイスト様。あ〜ん」
『…………』
目下ダイノガイストの唯一の意志疎通相手である、現地の少女マユ・アスカだ。普段はピンクのヘアリボンで纏めた栗色の髪を編みあげ、袖無しの白い上衣と黒いジャンパースカート姿だった。
にこにこと言う言葉がまさしく似合いのマユの笑顔は、氷雪吹き荒ぶ厳冬に、思わず枯れきった花も咲き綻んでしまうような可愛らしさがあったが、それを惜しみなく向けられたダイノガイストは、もし人間だったら眉を八の字に寄せているに違いない苦い沈黙で答えていた。
二対の瞳は、マユが手に持った小さなフォークとその先にあるウィンナーを映していた。横半分に切り、斬り目を十字に切って焼き、まるでタコみたいに切り口を広げた赤いウィンナー、いわゆるタコさんウィンナーだ。
ダイノガイストの思考は、目の前、というか自分の歯の間に差し込まれている物体が人間の食物であると言う事は理解していたが、何故それが、自分に差し出されているのか。また、マユの言う『あ〜ん』という唸り声とも違う言葉の意味が分からない。
たぶん、これを食えという意思表示なのだろうが、それにしても『あ〜ん』とはいかなる表現か。頭を捻っても埒が明かないので、仕方なく聞く事にした。ちょっぴり嫌そうだ。
『何の真似だ?』
「なにって、こんな所じゃあ食べるものないでしょう? ダイノガイスト様はお腹空かないの?」
『空腹は感じん。おれに食事の必要はない』
「ダイノガイスト様は機械みたいだけど、この間自分で傷を治していたし、生き物みたいな所もあるからお腹がすいたりしないのかな? と思って持ってきたの」
『お前が作ったのか?』
「うん。お母さんと一緒に。今日友達と出掛けるって言って作ってもらったの。嘘吐いちゃったかなって思ったけど、ダイノガイスト様の所に行くんだから嘘でもないかな?」
つまりは自分(ダイノガイスト)=友達、という事か?
『……』
「ダイノガイスト様の分なんだよ? だから、あ〜ん」
また、ずい、と小さなマユの手に握られたフォークの先のタコさんウィンナーが差し込まれた。マユの右手首までがダイノガイストの口の、わずかな空隙に差し込まれている。
もし歯と歯とが噛み合ったら、達人の振るった日本刀の切れ味でもってマユの手首を切断してしまうだろう。
この場面だけを切り取って誰かに見せたら、百人中百人が危ない! と思うだろう。何人かは右手を噛みちぎられるかそのままパクリといかれるマユをイメージして、卒倒しそうだ。
マユの考えとパッと見のシュールさはまた別として、ダイノガイストが経口で人間などの生命体と同じ食事を取った場合、実の所問題は無かったりする。
それどころか食事によって得られるエネルギーを低効率でしか活かせない人間と違い、ほぼ百パーセントの効率で活用できる位だ。
もっとも、マユの用意した量ではさしたる、それこそ腹の足しにもならない。
『その“あ〜ん”というのはなんだ?』
「知らないの? こう、食べるときに口を開けるとあ〜ん、てなるでしょ? だから、『あ〜ん』」
「……」
まあ、食ってやっても良いか、とは思っていたのだが、なんというかマユの言う『あ〜ん』に対して決してそれをやってはいけないような気がした。それをしてしまったら自分の中の何かが崩壊してしまうような気がしたのだ。
威厳とか、尊厳とか、多分そういう迫力とか『格』に関係した何かが。
だから、ダイノガイストは頑なにマユの『あ〜ん』を拒んだ。さして意地になるような事でもないのではなかろうか? とも思うのだが、やはりこれだけはやってはいかん、という本能の警告が強い。
その内に、マユの語彙も強めになる。
「はい、あ〜ん」
『……』
「あ〜ん」
『…………』
「あ〜ん!!」
『……………………………………』
そのやりとりを、洞窟の片隅ですっかり忘れられているテレビロボが、やれやれだぜ、とばかりに触手みたいな腕を器用に竦めていた。
エネルギーボックスが試作品だったせいか、妙な個性か人格めいたものを手に入れてしまったらしかった。
で、
『…………』
ダイノガイストがちょっぴり口を開き、マユがそこに両掌位のちいさなちいさなお弁当箱から、フォークで突き刺したミートボールを落とした。型で作った花びらの形をしたおむすびもついでに落とす。
どでかい恐竜の口の中に片腕を突っ込む少女と言う、傍から見たら心臓に悪い光景が出来上がっていた。マユが腕を引っ込ませるのと同時にダイノガイストの口が傍目には分からない位上下左右に動く。
巨躯に比べればあまりにもちっぽけな量の食物を、一応噛んでいるのだ。どういうわけか、今の肉体を構築したダイノガイスト自身にも分からないが、この体の有する味覚に相当するセンサーは人間のモノと極めて近い。というかおんなじである。
大多数の人間が上手いと感じる食べ物ならダイノガイストにとっても美味であり、逆にまずいと感じる食べ物ならば、これまた等しく不味いと感じる理屈だ。
であるならば、マユの母親はなかなか料理上手であるらしく、ダイノガイストは口に入れた分を飲み込み終えると、黙って口を十数センチだけ開く。もっとよこせ、の合図だ。
それを見てマユはどういうわけか嬉しそうに、お弁当箱の中身を次々とダイノガイストの口の中に放り込んで行く。
「ねえ、ダイノガイスト様、美味しい?」
『不味くはないな』
「ええー、絶対美味しいよ。お母さんのお料理、マユ大好きだもん。お母さんと一緒に作ったんだから、美味しく出来てるよー」
『お前一人で作れるようになってから文句を言え』
「む〜」
ぷう、とマユの林檎色の頬が膨らみ、小さな造りの唇が突き出される。小鳥の啄みにも似た動作は、幼い少女の精一杯の反抗の証だったが、ダイノガイストはこれっぽっちも意に介した様子はなく、また口をちょっぴり開いた。
これでもマユの手を間違って噛んだりしないようそれなりに注意を払っていたりする。
結局、マユは目の前の銀の槍穂が開いて、その中の空洞が覗けばお弁当箱の中身を差し出すのだ。ある意味亭主関白的な関係を構築しつつある一体と一人だった。
『…………? どうした』
折角開いてやったと言うのに、マユはお弁当箱を両手で胸に抱えたまま動かない。訝しんだダイノガイストへの返答はこうだった。
「もうないもん!」
美味しいと言ってもらえなかったのが悔しくて、ちょっとだけ拗ねた調子でマユがそう言って、ぷい、と顔を背けた。ぷんすかとでも表すべきか、怒った様子はそれだけダイノガイストの賛辞を期待して居たのだろう。
面倒な奴だ、とダイノガイスト。そもそも何で自分がこんなちっぽけなニンゲンの子供の相手などしているのだろうか?
中身はサンダーガイストと同じ――いや、あちらの方が幼稚か? ――位だから適当にあしらうにしろ言い包めるにしろ、大した労力は要らないから気にはならないが。
普段、マユの来ない日などは朝・昼・夜と一日三回、テレビロボに重要と思える情報だけを記録させて確認して後は熟睡を貪るだけだから、余計にマユとの交流が印象深いのかもしれない。
あるいは、ひょっとしてひょっとしたら得難い時間だと、無意識に感じているのかもしれなかった。
それは、意志の交流と現地の生命体の慣習や情報を得られるという意味でカ、それとも?
とはいえ、こういう何故? という問答の答えはこのような境遇に陥った自分自身そのものであり、そうさせた宿敵となる。
地球を見下ろす世界で行った一騎打ちに敗れ、もはや逃げる事も抗う事も叶わずと悟った自分が、己れの矜持を貫きとおす為に自分自身の死を選んだのだ。
その果てに、地球によく似た星の地下で、半壊どころか九割がた壊れた状態で生を拾ったのも、真っ向から実力でぶつかり合い敗れた結果である以上、すべては自分自身が負うべき責任だ。
それ故にこの状況で感じる恥辱も、怒りも、復讐の念も、何もかもが自分自身の所為なのだ。それを理解するが故に、今のダイノガイストは誰よりも、宿敵エクスカイザーよりも敗れた自分自身が許せない。
そんな自分が、エクスカイザーの様にニンゲンの子供とこうして交流を持ち接しているのは、ダイノガイストでなくとも皮肉めいたものだと思うだろう。自分で自分の行動を理解できない。
それがもどかしくもありどこかくすぐったいのだ。おまけに、そう不愉快ではないときている。
(なんなのだ。まったく……)
結局、一度拗ねたマユはぷんすかぷんすかと頬を膨らませたまま、以前ダイノガイストが形を整えた階段をダンダン、と音を立てて登っていく。一応、怒ってるんだよ、というアピールである。
このまま放置した場合とここでフォローを入れた場合とを考え、ダイノガイストは後者を選んだ。
『マユ』
「……」
ぴた、と面白い位に階段を昇り切ったマユの足が、ダイノガイストに声を掛けられた途端停止する。よく訓練された軍隊の行進みたいに整然とした止まり方だった。実の所、声をかけてもらうのを今か今かと待っていたのだろう。
『どうせ食うなら美味いものがいい。次はもっと美味く作って持ってこい。そうしたら食ってやる』
「…………ふん、だ!」
マユは遂にダイノガイストを振り返る事無く、肩を怒らせたまま外に出て行ってしまった。振り返らないのは、その顔に浮かぶ抑えきれない笑顔を、ダイノガイストに見せない為だとはダイノガイスト本人には分からない。
どうしてこうも面倒なのだろうか、とダイノガイストが最近やたらと溜息を吐きだした。洞窟の片隅で、どこから拾ったのか真白いハンカチを片手で振りながらマユを見送っていたテレビロボが、こちらを向いた。
『なんだ?』
睨むダイノガイストに、テレビロボは自分の体のどこかにハンカチをしまってから、触手を器用に折り曲げて人間の肘関節を真似て、このこの、正直じゃないね、とばかりに突き出し始めた。
『…………』
何かムカついた。
流れ込むエネルギーは、地球の奥深くで滾る溶岩の流れの様に灼熱の感覚をダイノガイストに与えている。マユにテレビを持ってこさせる数日前から、先端に削岩機を取り付けた千分の一ミクロン単位のケーブルを、ある施設へと向けて伸ばしていた。
ダイノガイストのセンサーの索敵範囲内で最も大きなエネルギーが発生している地下施設だ。この国の電力を賄っている地熱発電施設が目標だった。
このオーブとか言う国の情勢をマユが持ち込んだテレビロボを通じて知るにつれて、ダイノガイストの経験と、歴戦と言う言葉も霞む戦士の直感が、目に見えず、鼻で嗅げず、耳で聞けぬ、肌に触れ得ぬ、闘争の気配を察知していた。
この島国に向けて生と死が肩を組みあい、暗い死の世界のぽっかりと空いた穴の上に渡された綱の上を歩きながら葬々曲を歌っている。
まもなくこの美しく平和を過信した島国を襲う、死神の列を迎える為の前祝いとばかりに暗く低く、呪うような旋律と共に。
生に選ばれた者は綱の上を無事渡る事が許され、死に愛された者は共に暗く冷たく深い冥府の穴へと落ちて行くのだ。
死の抱擁を受ける者と生の祝福を受ける者を分けるのはなんだろう。Fの名を持つ神の加護か。
もっとも、そんな繊細な感傷に浸る感性はダイノガイストにはない。身を捕らえられたこの岩とわずかな生命と晴れぬ暗闇、一筋だけの光明だけしかない牢屋に、まもなく戦火が及ぶとほとんど確信していた。
その時の為に、今はこの不自由な体を一刻も早く動くようにしなければならない。分からぬが分かる。エネルギー生命体故の超知覚か、それとも精神に刻んだ数多の破壊と闘争の記憶が、ダイノガイストに警告を発している。
再び雄々しくも禍々しく、手に刃を持って立ち上がらねばならぬ時が近いのだと。分るのだ。
何日も何日もかけ、いまや忍耐と言う言葉が常態かしているダイノガイストは、地熱発電施設に到着したケーブルを慎重に操る。
先端の削岩機――ドリルを四方に展開して発電機の一つに取り付け、電力供給が減っている事に気付かれぬよう、ほんのささやかな量を吸い取り始める。
花が長い事秘していた花弁を開くようにドリルの先端が、四方に開きその中にあった三つの鋭い針が覗く。発電機をまるで豆腐でも指す様に貫いた針から、徐々に地熱を利用して生み出された電力が千分の一ミクロンのケーブルを通じ、ダイノガイストの冷たい巨躯へと流れ込む。
これと似たような事を、たとえば街頭に通されたケーブルや風力発電施設、太陽光発電の設備などにも行い、半径数キロ以内にある電力をわずかずつ集めていた。塵も積もれば山となる。
それを行う為に浪費したエネルギー量は馬鹿にならなかったが数日で十分な見返りを得られるだろう。
ダイノガイストはわずかずつ力に満たされてゆく体に、久方ぶりの愉悦を感じ、低く唸りを上げた。天界の神々と雌雄を決する戦いを前にした魔界の軍団長の如く、異様なまでの威圧感を含んだ声だった。
幾年か幾十年か。時の流れさえ忘却しそうなほどの束縛からの解放と、破壊の渇望が、ダイノガイストの魂の鼓動を、少しずつ強く、熱いものへと変えていた。
電力奪取にも使ったケーブルを利用する形でこの国の軍事関係と思われるネットワークに介入し、介入の痕跡を決して残さぬよう臆病なほど慎重に、そして大胆にハッキングを行っている。
その結果この世界の主力兵器は今の所、ザフトとかいう宇宙に根拠地を置く人間勢力の作り出した人型の兵器であるらしい。
モビルスーツとかいうもので、サイズはホーンガイストやプテラガイストらと同じ位だ。人間が用いている武器と同じものをスケールアップしたものを装備しているようだ。
ダイノガイストも検知した、謎のジャミング――ニュートロン・ジャマーの影響で誘導兵器が使えなくなったため、モビルスーツの様な有視界戦闘を考慮した兵器が発展したらしい。
最初は自分の様に無機物にエネルギー生命体が取り憑きでもしたのかと思ったが、MSの数と実体を知るにつれてあくまでも人間が乗り込んで操縦するものだと分った。
性能はさして脅威と言えるものではない。MS自体歴史の浅い代物でダイノガイストの目から見てもまだまだ稚拙で、その分発展性のある兵器であったが、自分と比べれば取るに足らぬ代物だ。合体する前のエクスカイザー達の方がまだ歯応えがあるだろう。
だが、それもダイノガイストの体が完全な状態であったらの話。今のようやく四肢を動かし立ち上がれる程度になった状態では、その取るに足らぬ代物でさえもやっかいな強敵と成り得る。
ハッキングを繰り返すうちに、『ジン』や『シグー』と言う量産機よりも性能が飛び抜けたGAT−Xナンバーシリーズとかいう機体や、このオーブで開発・生産されているM1とかいうMSの存在も知った。
実体弾よりも強力なビーム兵器を装備したこれらの機体は、今のダイノガイストには無視できる相手ではなかった。最も、そのM1の量産の為に費やされるエネルギーが膨大であり、その内のいくらかはダイノガイストの体を癒す助けになっているのだが。
一刻も早くこの体を癒す。でなければ本来敵ではないような雑魚共にさえ手こずる歯がゆい思いをしなければなるまい。
ただ、ダイノガイスト自身がこの星の、ザフトとか地球連合とかいう勢力と争う必要性はないが、戦士としての本能か海賊としての気質故か、ダイノガイストはこの星の人類との戦闘も想定し、傷の癒しに専念していた。
傷を癒したら、まずは自分がこの宇宙のどこにいるかを確認しなければなるまい。星間文明の威光が届かぬ途方も無い未開拓の星系かもしれないが、宇宙には表には知られぬ未開の星で得た代物で富を築いた者達は腐るほどいる。
栽培禁止の麻薬、輸出入禁止の動植物、持ち出し禁止の極めて危険な鉱物、最も強く禁じられている生命体の奴隷売買などなど。
宇宙に燦然と輝く筈の法の拘束力が及ばぬ未開の暗黒世界で繰り広げられる欲と背徳と邪悪なネットワークは、光と正義を重んじる連中のそれとは比較にならぬほど広い。
前科は無いが宇宙最悪最強の宇宙海賊ガイスターの首領であるダイノガイストの顔が、そういった世界でどれほど効力を発揮するかはいうまでもない。ただし、宇宙の宝は全て自分のモノ、というスタンスである為、裏世界における敵もまた腐るほどいたが。
兎にも角にも、まずは傷を治し、部下達の居場所を突き止めて救出してやり、然る後に宿敵エクスカイザーと改めて剣を交わす。これを打ち破った暁にはかつてと同じ様に宇宙を荒らし回り、すべての宝をこの手にする。
これがダイノガイストの目下の行動方針であった。
装甲から装甲が生まれ、断ちきられたコードが蠢き繋がり合い、全身にくまなくエネルギーが満たされてゆく感触を心地よく感じるダイノガイストの脳裏に、ふとこの星で出会ったちっぽけな少女の姿思い浮かんだ。
自分がこの星を去る時、マユはどう反応するのだろう? 一度この星を去ればもう二度とある事はあるまい。もともと有り得ぬ出会いだったのだ。かつてのガイスター時代に戻れば、わざわざこの星に立ち寄るような用事もあるまい。
『くだらん』
小さく吐き捨て、ダイノガイストは肉体の修復に専念すべく強制的に眠りに落ちようとした。だが上手くは行かなかった。
メモリーにあるマユの姿が、電源を落としたカメラアイに焼きつけられた様に浮かんでは消え、浮かんでは消えていたからだ。その表れては消えゆく幻の中のマユは、眩いまでに輝く笑顔だった。
そんなダイノガイストの様子を、突き出した岩の一つに腰掛けていたテレビロボが、やれやれとばかりに肩を竦めて見守っていた。
以上です。あとちょっとで終わりにする予定です。よろしければお付き合いください。
それでは、お邪魔しました。
そういやガイスターってブレイブシリーズで珍しく宇宙からきたのに地球侵略する気ないんだよな
しかしGJ
宇宙から来たオーボスはただ地球を壊して遊びたかっただけ。
侵略よりタチが悪いぜ。
最後の台詞から考えると死にたかったみたいだが
この作品、中篇なんだ。ううむ、大暴れするダイノガイスト様を
見て見たいのに。オツです
乙、とダイノガイスト様がおっしゃっている!
続き期待してるよー
>>90 個人的に一番笑ったのが「獏は人間の夢を食う」という伝説を鵜呑みにして
動物園のマレーバクの餌をぶんどってきたアレ
ガオガイガーって結構異端視されているよな・・・
>>42 と言う事はホイコーローとかカトリーヌビトンやショーグンミフネ配下のロボットでさえ単体ではMSより強そうだな
でも勇者特急隊って宇宙適応が少ない以外はかなり厨設定的強さを持ってるんだよね
実在の鉄道をモチーフにして地球内の敵どころか基本的にヌーベルトキオシティで戦ってるのに
エネルギー資源が枯渇していて電力だけで戦ってる所なんかはCE世界に合いそうだ
マイトカイザーはマントル貫通して地球の裏側まで行った
マイトガインも一応宇宙に進出してはいるけどな。
ドリル特急とロコモライザーの重連のケツにブースター付けて無理矢理…
>>132 グレートマイトガインと轟龍は単独で大気圏を離脱できる
その代わり、物凄くエネルギーを消耗するが
>>52でも言われてるが、ジェイデッカー組の推力や航空能力は異常w
ジェイデッカーは警察ロボの癖して軍の最新鋭部隊蹴散らしているしな・・・
あれだけだろブレイブシリーズ唯一の純地球製の勇者ロボ、ブレサガではダグオンと並んで強かったわ
マイトガインの敵キャラも結構えげつない事やっているんだよね、ミフネとかカトリーヌとか
135 :
通常の名無しさんの3倍:2008/05/27(火) 10:15:11 ID:qwgWBup0
納豆風呂
>134
ブレサガ2ではマックスキャノンの威力が低いので使いづらかったと記憶している。
ドリル常備で必殺技も高威力なSライナーダグオンを代わりに使ってた。
>>129 ガガガは基本的に二号機ロボットの乗り換えやグレート合体がない(TV放送時)
弱くはないのだが相手がチートで圧倒的なパワーで粉砕!があまりない
勇気をエネルギーに変える
スポロボででしゃばり過ぎた
信者まじうぜぇ
大まかにこの五つが異端とされてる
俺はガガガ好きだけどまじ信者うぜぇ…
種厨とどっちがうざいの?
最初はメカ設定とかが細かくて逆転にもちゃんとした手順があって面白かったけど
途中からザ・パワーとか超展開で何でもアリになって萎えた
>138
一応シリーズ内での論争だから
どこにでも沸いてきて何にでも絡んで来るガノタよりははるかにマシだろ。
ガガガの場合、ガガガだけ好きって連中の他の勇者への無視っぷりが腹立つな。
>>139 スーパーロボット後半にはよくある事だ気にするな
でもそれがなきゃ勝てないチート敵だからなぁ
ザ・パワーも最終的に敵も使い出すし
ゾンダーメタルってストレスを力に変換するらしいが種キャラにおいて最もストレス抱えてるのは誰だろうか
まずラクスとキラは除外だな。
種の初期キラはある程度ストレス抱えてそうだがな
一般人からMS乗って友達のアスランと同胞のコーディと戦わなきゃいけなくなり、
必死に戦うもフレイのおとんは撃墜されシャトルがデュエルに打たれて爆散しトール死亡
フリーダム乗ったあたりから除外かな
アズラエルやジブリールみたいな野心家とか、執着心が強いと
ストレス溜まりそうだな。
パトリック・ザラも、妻の死やアスランの裏切りで
暴走気味だったし。
ガガガは敵ロボが揃ってショボイんだよなぁ・・・
ゴルドランまではライバル的ロボあったけど・・・
いまだ家にドライアスはあるんだぜ、ファイバードは捨てちゃったけど
ガオガイガーは勇者シリーズとして見た場合、超ツールが蛇足だ。これほど浮くものは無いと思う。
特にディバイディングドライバーとイレイザーヘッド。
市街地への被害を防ぐって名目は理解できるけど、正直超空間を形成してまでやる事か?って思う。
他の勇者だったら「住民避は難済み」って前提で済まされる事に対して、およそ子供番組にそぐわない専門用語を並べてまで拘る必要性を感じない。
龍兄弟の中国語での変形、技名とか竜姉妹のプライムローズの月とかも他から見たら浮いてるな。
GGGは裏でやってた3部作の人が監督で、ファイバードの声なゴエモンに視聴率で負けてるからのう。
>>146 そーか?むしろ未知の敵に対して何時何処で何をしてくるかわからん敵に専用バトルフィールド作るディバドラと
エネルギーを大気圏外に出すイレイザーは当時の俺はスゲーと思ってたが
イレイザーなかったら石油タンクのゾンダーで終わってたかもしれんし
たしかに技名とか浮いてたけどさ!
>>149 作中での話ならね
そのすごさは確かに純粋にロボットアニメとして見ればすごい面白いんだけど
SF的なアイテムや設定の濃さは勇者シリーズの他の作品に比べると浮いてるってことでしょ
むしろ竜姉妹は「少し・・・頭冷やそうか」をやるべきだった。
そういや竜シリーズって無双の島左近の人がやっていたんだ・・・すげぇな
エクスカイザーもファイバードもダ・ガーンも民間人がいる大都市のど真中でドンパチしていたような・・・
ところでエルドランシリーズはあり?
>>151 白の魔王の憑依ですね、わかります
てか時期的に無理だろwガガガ終わってからなのはシリーズだぞw
エルドランも勇者に入ってもいいんと思うがどうなんだろ
SF的な観点からするとむしろジェイデッカーの方が評価高いけどな
小難しい設定はなくとも、センス・オブ・ワンダーという点においては随一だろう
ダイノガイスト様・・・
ジェイデッカーは長官だったか司令官だったかが
やたら自分の趣味に走って楽しげだったのが
印象に残ってる。
警視総監な
趣味にも走ってるが職務にも全力なんだぜ
あんな親父になりたいようななりたくないような
とりあえず独身は貫く必要があるなw
ガオガイガー放送当時のホビージャパンを読んでたら
ガオガイガーの紹介ページがあって、こんな事が書かれてた。
放送開始当初から圧倒的な支持を受けてる本作品は
「勇者シリーズなんてどうせお子様向きだろ?」などという人にこそ見てもらいたい。
かつてTVの前で胸躍らされた『熱血ロボットアニメ』がそこにあるはずだ!
なんかガガガだけファンの言い分と、ガガガだけファンの嫌われる理由がこの3行に凝縮されてるな。
勇者に限らずアニメは大抵子供向け
それが分からないのが信者クオリティ
最近は減ってきた感があるけどね
勇者シリーズ特に初期三作は純粋な子供向けの作品としてすごく質の高いイメージだな
高松三部作は純粋に見ても良いし裏読み深読みできる感じ
>>146 ディバイディングドライバー使ったら背景描くのがスゲー楽になるだろ、あれはそのためのツール。
さて、たまにはスレタイに合った話でもしようか。
『もしガオガイガーがC.E.世界に来たら』、やっぱりベターマンもセットでついて来るんだよな。
それって何か嫌だな。
それは嫌だな、ベターマンが来るとキラがベストマン化しそう……。
或いは、キラもカナードたち同様失敗作として捨てられるか。
ただ、GGGが普通に来ただけだとベターマン関係ないぜ。
あれは、パピヨンがリミピッドチャンネルで繋がってただけだろ?
165 :
通常の名無しさんの3倍:2008/06/03(火) 18:27:02 ID:Eup4zdZc
マイトが好きだ
ベターマンとガガガは世界観が同じなだけでクロスとかはないしな
ガガガがCEに来ても勇者全般に言えることだが人間同士の戦争に手貸すと思えんしな
そもそもスーパーロボットだからリアル系のガンダムは勝てんし、共通の敵でもださないと難しい
ダイノ様のように第三者or悪役でないと話作るのは難しいわ
>>166 FINALのドラマCDや小説版にベターマンのキャラが何人か出てたり覚醒人凱号とガオガイゴーの設定があったりするのはクロスには値しないのかな?
矢張りCEとブレサガのクロスを考える時が来たか
そして運命は各世界のテクノロジーを取り入れて、本物の勇者となる
>>167 いくら勇者好きでもそこまでマニアなのは知ってるのは果たしているだろうか
>>168 運命はどっちかと言うとダークヒーロー的な位置にいてほしいな
いや、俺は167ではないが、
ベターマンの主人公達が在籍するクラスにオペレーターの牛山の弟がいるとか、
彼が兄の伝でミラーコーティングしたベニヤ板を大量に手に入れて学園祭にミラーハウスをやったとか、
アカマツの父が獅子王雷牙で、ベターマン最終回近辺で覚醒人が背負ってた透析機兼飛行ユニットは雷牙博士が作ったとか、
覚醒人凱号はその流れで作られたとか、主人公のケータとパピヨン・ノワールの母親にはとある関係があるとか、
ベターマンのドラマCD(だっけ?)で、その関連でパピヨンがアカマツを訪れているとか、
ベターマンにはガオガイガーでゾンダー化した人たちがモブで沢山出てきているとか、
ガオガイガーファイナルの最終回にアカマツ社員一同が出てきているとか、
そもそもTV版ガオガイガーファイナルにはベターマンが登場するとか、
……そのくらいだったら普通に知ってるぞ。
>>170 そりゃ設定が知りたい人や本気で勇者が好きな奴限定で勇者はある程度しか見たことない人にはわからねーよ!
…俺も知ってるけど
>>170-171 それでもクロスと言うより
サービスって感じがする、Z計画くらいになればクロスじゃない?
寧ろCE世界のガンダムやらに超AI搭載したらどうなるんだろ
ストフリと隠者はフォルツォイクロン&ハーメルンシステム搭載型で
擬人化スレの人格になるんじゃね
勇者シリーズの主人公達が身近にいれば勇者に目覚めそうだな
このスレ的にはトダカさんの代わりに絶望の化身をシンと接触させるのもありかも。
勇者聖戦の出演者って結構種死に出てるんだね、声違うけどステラもいるしw
ラクス陣営が勇者メカのコピー作成or強奪しても、
原作どおりのラクス陣営だったら脱走して戻ってきてくれそうなのが良いやな。
まあ、勇者世界なら、綺麗なラクスになりそうな気もするが。
しかし何を間違ったかシャランラみたいになってしまうのであったー!!
ひかりになれーですわー
>168
それってデスティニーが勇者に見えるって事?
失礼な言い方になるが。「どこが?」と真面目に問いたい気分。
ガオガイガーファイナルの後のJアークを羽クジラ的にして
ジョージ・グレンをつくったのはGGGのクルーの子孫とか
フラガ家は命の子孫とか
木星に行ったのはJアークの確保の為だとか
木星探査船に搭載した外骨格補助動力装備の宇宙服はガオガイガーとか勇者ロボの試作品とか
ガンダムにはGSライドが搭載されているとか
キラ・ヤマトには凱の細胞を解析して使われているとか(OSの書き換え楽勝)
ラクスがああなのは天然のゾンダーだからとか
とか、どうだろう?
>>179 169だが運命はどう足掻いても勇者系になりえんし勇者にも見えん
どっちかというと道化師に近い存在と俺は思う
ただの道化に終わるか物語を引っ掻き回す道化になるかは物語と乗り手次第ってことで
>>180 つまりキラは盟主王を差し置いて勇者王ボイスになり、原作のなよなよとした性格ではなく熱血バカに
そして仲間のためなら己を掛けてでも戦うわけですね
そしてラクスと敵対していくと…わかります
魔改造ってLvじゃねーぞ!
>>180 とうことはフレイが大天使のブリッジ要員になってキラの要請に応じて毎週ガラス割りスイッチを毎回押すんだな。
そしてマリュー熱い叫びとともに承認をやってくれるのか。
流れを切ってすいません。『となりのダイノガイスト』をあと一時間くらいで投下します。
お待ちしております。
マリュー「ファイナルフュージョン!承認っ!」
フレイ「行くわよ、キラ!プログラム、ドラァァイブ!!」
キラ「よっしゃあ!!!」
こうですか、わかりません!
となりのダイノガイスト <5>
マユの訪れと共に起き、他愛の無いおしゃべりに興じては持ってきた弁当やサンドイッチを平らげ、来た時と同じ笑顔で去って行くマユの背中を見送る日々が続いた。
テレビロボから得られる一般市民向けの情報と、ハッキングによって得られるオーブ首長国連邦の秘匿している情報との擦り合わせという範囲に収まるが、ダイノガイストは客観的に今いるこの地球(仮)で繰り広げられる人類の戦争が、佳境を迎えつつあると判断した。
宇宙の人造の植民地“プラント”の人間達が作ったモビルスーツを、地球側も開発に成功し、プラントをはるかに上回る生産力で数を揃え始めている。
対立する両者のどちらにも属さずに、中立を謳うオーブも、自国の保身のために情報収集には熱心で、お陰でダイノガイストの手元に入ってくる情報もまあまあの代物だった。
ニュートロンジャマーキャンセラーによって核に電力供給などの恩恵に預かれなくなった地球で、オーブは大きな被害を被らなかった数少ない国だ。
さらに希少な大規模なマスドライバーを備え、建造途中で計画中止になった軌道エレベーターを利用した低軌道ステーション『アメノミハシラ』とあいまって地球連合諸国家やプラントに対する武器・弾薬を始めとした諸々の物資の輸出入で多大な利潤を貪っている。
しかしオーブが富み栄える反面、ライフラインの壊滅による貧困や飢餓、疫病、社会レベルの衰退などで苦しむ近隣諸国からは羨望と嫉妬の感情を根強く持たれてもいた。
ある意味では、このまま戦争が続いてくれればより一層旨味を貪る事の出来る立ち位置にあると言っても良い。
もっとも、前代表であったウズミ某の掲げる国是や主張を鑑みるに、戦争継続を望む様な人物ではないらしい。
ウズミの代からか、それともオーブが建国より掲げた理念かは知らないが、この国は他国への侵略、他国からの侵略などを行わない事を国是としている。今まで戦火に晒されなかったのもそのスタンスを頑なに貫きとおしたからだろう。
と、ここまで考えてダイノガイストはどうでも良くなって、テレビロボにチャンネルを切り替えるように命じた。テレビ画面の中で声高々に演説していたウズミ氏は切り替わった娯楽番組に差し替えられて消えた。
別にウズミ氏の掲げるオーブの絶対的な中立維持の思想を蔑むわけでも、また逆に尊ぶつもりもない。
そも悪法善法によらず法と秩序によって成り立つ『国家』という枠組みそのものが、無法を働く宇宙海賊である彼にとっては敵以外の何物でもなかった。
それにダイノガイスト個人がこれと言った政治的思想を持ち合わせているわけでもない。
あるのは
『宇宙の宝は全ておれ様のもの』
あるいは
『宝こそわが人生』
と言った所か。
また、宇宙レベルで活動していたダイノガイストや、その宿敵であったエクスカイザー達からすれば、宇宙進出において後進の未開惑星の、とるに足らぬ小国の政治的思想など鼻にかける価値も無い。
エクスカイザーや宇宙警察、宇宙警備隊の面々ならばそれでも現地人たちの思想や歴史を尊重する事もあろうが、生憎とこちらは我欲のままに振舞い、自らを律するのは矜持のみの宇宙海賊ガイスターの首領様である。
オーブのみならず地球連合やプラントがそれぞれに主張する大義や、戦争行為を正当化する詭弁も、等しく価値が無い。それこそ歯に詰まった食べかすを掃除する爪楊枝にも劣るのだ。
聞いている分には暇つぶしにはなるが、という程度でもある。だから、というかやはりここで問題になるのはダイノガイストの肉体の修復状況である。
本来は単独で大気圏離脱・脱出どころか惑星間航行までやってのける、現行の地球圏の技術からすればオーバーテクノロジーにも程がある性能なのだが、生憎と完璧と呼べる状態になるまではいま暫く時間がかかりそうだ。
天井を分厚い岩盤に阻まれ、闇が重さを持ってそのまま押し潰してくるような錯覚を与える洞窟の中で、ダイノガイストは体が岩盤に当たらぬ程度に動かす。尾の先がわずかに左右に振られ、両前足の爪が開いては握りを繰り返す。
思ったよりも反応が鈍い。それでも動かす度に壊れるのではないかと心配しなければならなかった頃よりははるかにましだ。MSが相手なら一、二度位は戦闘にも耐えられるだろう。
オーブ製MSであるM1生産の為に費やされるエネルギーを少量ずつ喰らう事で飛躍的に肉体の修復は進んでいる。そのプラス要因もあって、ダイノガイストはこれまでつつしんできたアクティブな思考もするようになった。
例えば、これまでの臥薪嘗胆の日々で膿んだ鬱屈としたフラストレーションを爆発させたい、など。
修復とエネルギーの補充がすんだら、一度体の具合を見る為にザフトか連合の部隊に仕掛けるのも悪くはないかもしれない。そんな風にダイノガイストが思う事もあった。
ただ、何もかもする事は自分でやるしかないのが手間と言えば手間だ。自分の手足となるべきガイスターのメンバーはいないし、携帯空間に放り込んでいた試作型のエネルギーボックスも一個きりしかない。
エネルギーボックスの量産もプテラガイストが残したデータがあるから可能と言えば可能だが目下優先度は低い。必然的に、ダイノガイストは諸々の事を自分自身で行わなければならない。まったく面倒な事だ。
『…………戦争か』
今日もダイノガイストに会いに来たマユが、去り際にダイノガイストに向かって呟いた一言が、脳裏を過ぎった。
十歳にもならない小さな女の子は、幼いからこそ周囲の大人の不安を敏感に感じ取り、それを打ち明ける相手にダイノガイストを選んだ。マユは言った。
「戦争になるの? お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、誰も戦争なんてしたくないんだよ。……なのに。なんで戦争って、起きるの?」
答える言葉はダイノガイストにはいくらもあった。思考形態、生物としての根幹的な差異、外宇宙・異次元からの侵略などなど。無限に広がる宇宙の多く無数の争いの種を内包し、これまでもこれからもその種は花開いて争いを生み続ける。
この蒼い星とて弱肉強食の真理からは逃れられない。弱き者が強い者の糧になるのは、宇宙全般に通ずる真理だ。
だが、この星の住人達の争いはなお凄惨だ。宇宙の歴史を顧みれば互い歯止めを欠いて争い合い、母星を失い種として絶滅してしまった例が山ほどある。今のこの地球も、それらの星と生命達と同じ轍を踏もうとしている。
だが、いくらもある答えをダイノガイストは口にしなかった。ただ黙してマユを帰らせただけだ。
この星に住む人類の命運に口を挟む義理も理由も無い。それはエクスカイザー達も同じだろう。むしろ彼らの方こそ、あくまでもその星の住人達自身で命運を左右するような事態には首を突っ込む事はあるまい。
ダイノガイストにとって地球人たちの争いは関与するべくも無い対岸の火事の筈である。筈なのだ。だが、その戦火がマユの身に降りかかるのならば、交わし合う殺意の鉾がマユに向けられたとしたら?
その時、ダイノガイストはどうするのか? どうしたいのか?
『チッ』
こんな風に思い悩むのならば、マユとは出会わない方が良かったのかもしれない。ダイノガイストはそう思うようになっていた。
そして、その日はやってきた。ダイノガイストが常と変らぬ眠りを貪っていた中、超直感的な何かに突き動かされ、メインカメラである恐竜の目に光が灯る。闇色の岩盤の向こうになにかいる。悪意と破壊の意志を乗せた何かが。
戦争だ。マユと出会う前後から予感していた戦争の気配が実体を伴って遂に姿を見せたのだ。
――この塒ともオサラバする時が来たか。
流石に本格的な装備を備えた軍隊がこの島に上陸するとなれば、ここで眠っているだけではその内見つかってしまうだろう。力押しで脱出する事も出来なくはないだろうが、その後何かと面倒な事になりそうだ。
顎や手足を投げ出していた姿勢からわずかに身じろぎし、長い年月の間に層を成して降り積もった埃や灰をゆすり落とした。もうもうと立ち込める煙の中、長い時を費やして穿っていた海中に繋がる穴を分子配列の変換では無く自分の手足で行うべく動き始める。
穴はダイノガイストの前方、海に面した岩盤の真下だ。暗闇が最も濃い部分だ。何とかダイノガイストが身を潜り込ませる事が出来る最小限の穴があいている。
おそらく、オーブを取り囲んでいるのは地球連合軍だろう。テレビロボが傍受した通信にその名が挙がっていた。オーブ側は再三交渉の場を持とうとしているが連合側にその気はないらしい。
また逆に地球連合に与する事を選んでもオーストラリア大陸のカーペンタリア基地からザフトの部隊が出撃してオーブに攻撃を仕掛けてきただろう。どの道、オーブは戦火に見舞われる以外の選択肢は無かったのだろう。
戦火の被害を抑える選択肢もあったが、ダイノガイストの印象としてはあえてそういった選択肢をオーブの上層部は選ばなかったように思えた。
また適当に身を隠せる所を探さなければならぬかと考えていよいよ体を持ち上げようとした時、ダイノガイストはいつもより小走りでここに向かってくるマユの足音と熱紋を探知した。
既にオーブ全域で避難が始まっているはずだ。こんな所に顔を出す余裕などあるまいに。
「ダイノガイスト様!」
『避難は始まっているはずだ。なぜここに来た?』
ダイノガイストのやや冷淡とも言える声音の言葉に、家からずっと走りっぱなしで息を荒げたマユは、胸に手を当てて赤みの差した顔のまま、なんとか息を整えようとしている。その間も階段を降りてダイノガイストをまっすぐに見上げた。
大きく息を吸ってなんとか荒ぐ息を飲みこんだ。
「あのね、もうすぐ戦争だって! 地球連合の、人達がねっ」
『それを言いに来たのか?』
「だって、ダイノガイスト様ずっとここから動けなかったんでしょ? ここだって危ないかもしれないし、そしたらって思って!」
ああ、やはりそうか、そう呟く自分の声を、ダイノガイストは聞いた。マユはダイノガイストの身を案じてここまで走り続けてきたのだ。この少女にとって、ダイノガイストはそうまでする価値のある存在になっていたのだ。
『そうか。……安心しろ。その事はもう知っている。今からここを出る所だ』
「本当? 嘘なんかついたら嫌だよ」
『嘘ではない。お前こそ、家族と一緒にさっさと避難しろ。そろそろ、連合の連中が突き付けてきた時間の筈だ。家族とはぐれてしまったら、おれは問題ないが、お前には大問題だろう』
「そう、だけど。……ねえ、本当に大丈夫なの? ダイノガイスト様、ちゃんと動ける?」
『要らぬ心配だ。おれ様を誰だと思っている。宇宙海賊ガイスターの首領ダイノガイスト様だぞ』
有無を言わさぬ力強いダイノガイストの言葉に、マユも多少不安を和らげたか、不安げに寄せていた眉間をほぐし、つぶらな瞳でダイノガイストを見つめ直す。
「うん。そう、だよね。ダイノガイスト様だもんね。大丈夫だよね」
『ああ。だから早く家に戻れ』
「……うん。ねえ、ダイノガイスト様」
顔を伏せたマユが、揺れる瞳でダイノガイストを見上げ泣きそうな表情で口を開いた。
『なんだ』
「戦争が終わったらまた会える?」
その答えを得て、マユはこの洞窟を去っていった。ダイノガイストは、おそらく最後になるだろうマユの姿を見送ってから、海中へとつながる道の削岩に勤しみ始めた。最後の最後でマユがダイノガイストに向けたのは、大粒の涙を流しながらの笑顔だった。
ダイノガイストの答えが何だったのかは、言うまでもあるまい。
地球連合軍艦隊の攻撃が始まったのはそれからわずか数時間後の事だった。
国民の大部分は避難を済ませたようだが、ろくに猶予を与えられなかったオーブ政府からの通達や避難船の用意は遅れ、少数の国民がいまだ戦場となり果てたオノゴロ島やヤラファス島に取り残されていた。
国土が狭隘なオーブでは既に本土が戦場になった時点で軍事的な敗北は明らかだが、それでもオーブ軍は押し寄せる連合軍と銃火を交わす事を選んだ。
連合のストライクダガーに比べ、オーブのM1アストレイはより優れた性能を持った量産機と言えたが、その性能の差でカバーできる範囲を超えた物量で連合はオーブを攻め続けている。
オーブ側にはアラスカ基地での友軍を巻き込んだ凄惨な茶番劇によって、連合を離脱したアークエンジェルの姿があり、搭載されていたストライクや、アラスカで合流したフリーダムと言うザフトの最新鋭MSもオーブ軍と共に戦っていた。
特にこの時期、オンリーワンの決戦用MSとして開発された核動力のフリーダムの性能は圧倒的で、パイロットの超人的な戦闘能力と噛み合い単独で数十機以上のストライクダガーの戦闘能力を奪うほどだ。
だが揚陸艇から次々と姿を見せるストライクダガー達はまるで尽きる様子はなく、性能は上でもパイロットのレベルは等しく低い錬度のオーブ軍は、数に押されて敗北の報告が国防司令部に続けて送られてきている。
フリーダムやアークエンジェルの奮迅もあり、連合側は当初の予想を大きく裏切られる苦戦を強いられたが、やがて旗艦パウエルから出撃した三機の次世代GAT−Xナンバーが出撃し、戦線に加わると一挙に勝敗の天秤が傾いた。
全身に火器を仕込み、まさしくその名の如き暴威をふるうカラミティ。
MA形態からMS形態へと移行し、右手に持ったハンマーと言う特異な武器でM1を容易く砕くレイダー。
笠の様な特異な装甲を被り、手に持った大鎌でオーブ軍艦艇の艦橋を無残に斬り飛ばしているフォビドゥン。
それぞれに特化した性能を持ち、コーディネイターを超えるべくして生み出された生体CPU――強化人間達が操るこの三機は、ナチュラルの乗るM1アストレイなど全く歯牙にもかけず蹂躙を始める。
これに対処したのはフリーダムだ。核動力機の圧倒的なパワーと多対一を想定した機体コンセプトを最大限に活かし、クスフィアス・レールガン二門、バラエーナ収束プラズマ砲二門、ルプス・ビームライフルによる一斉射撃を行い、周囲のストライクダガーごと一挙に薙ぎ払う。
オーブの上空で、無数の凶火が生まれては消えた。
そんな彼らの眼下で逃げ惑う一組の家族の事など、知る由も無かった。マユとシンとその両親たち。アスカ家の四人だ。彼らもまた避難し遅れた組で、停泊している避難船めがけて必死に走っている。
一番幼いマユが、疲れを見せ始め後れを取るのを、母やシンが励まし、なんとか視界の彼方に避難船の姿を見る事の出来る所まで辿り着いた。
森と山に挟まれた道を父を先頭にして走り続けるマユ達の上空で、青い六枚の翼を広げた『自由』が、五つの砲身を展開した。それに応じて、六つの咆哮を青緑の『疫病神』が自由へと向ける。
ともに足元で必死にあがく四つの命に気付いてはいなかった。無意識に踏みつぶした蟻に、人間は何と謝ればいい? その存在に気付いていない以上、鋼の巨人を駆る彼らにとってマユ達は蟻と同じだ。
「マユ、頑張って!」
「船が見えたぞ」
父と母の声にわずかに元気づけられたマユは、こちらを振り向いた父母が光の中に飲み込まれるのを目撃した。同時に何か力強い手の様な物に、道を囲むなだらかな斜面に投げ飛ばされるのも。
投げ飛ばされたわずかな時間に感じた浮遊感と、叩きつける風、頬を焙る熱量にマユは咄嗟に顔を小さな手で覆い、背を丸めてごろごろと斜面を転がった。
体中が痛い。あちらこちらをぶつけ泥だらけになっている。ふらふらと思考が揺らぐ頭に冷や水をかけたのは家族の安否を案ずる心だった。
「お兄ちゃん、お父さん、お母さん!!」
「うっ、痛え。マユ、無事か! おれは大丈夫だ。誰かが急に引っ張って……」
ぼやける目を声のした方に向けると、マユよりも一、二メートル上の辺りでうつ伏せに倒れた兄の姿が見えた。取り敢えずシンの無事は確認できた。
「お兄ちゃん、お父さんとお母さんは?」
「あ……」
マユの言葉で両親の姿が無い事に気付いたシンは、突然の爆発があるまで自分達のいた場所に目を向け、そのまま凍りついた。吹き飛ばされた地盤。高熱で赤く燃えている地面。ぶすぶすと煙を立てているのは、真っ黒焦げになった、かつて人間だったモノだ。
「あ、ああ、あああああ」
かつて人間だったモノ。黒焦げの肉塊に変わり得るものはシンとマユの他には、二つ、いや二人しかいないじゃないか。だから、アレは。アレは。
「父さん、母さん」
がっくりと膝をつき、見開いた両眼から滝の涙をこぼすシンの姿に限りなく不安なものを見て、マユは斜面を駆け昇ろうと立ち上がる。
妹が何をしようとしているのか。そうしたら何を見てしまうのかに気付いたシンが、それでようやく正気を取り戻し、走り出したマユの体を抱きしめて止めた。
「駄目だ、マユ! 見ちゃいけない!!」
「離して、離してえ!! お父さんは!! お母さんは!? ねえ、なんで返事が無いの? お兄ちゃん、何を見たの!!??」
「ううっ」
自分を抱きしめる兄が泣き続けている事が、マユの脳裏に最悪の答えを想像させた。さっきの爆発で、お父さんとお母さんは、死……。
「あのMS!」
また上空で砲身を展開するフリーダムと、地上からそれを迎え撃つカラミティの姿をシンの瞳が捉えた。咄嗟にマユの体に覆いかぶさり、地面に伏せる。
あいつらだ。あいつらが父さんと母さんを。マユの身を守るという思いと同じ位強い憎悪が、シンの胸に湧き起こった。
シンに覆いかぶされながら、マユもまた上空で翼を広げる鋼鉄の天使を見た。あれだ。あの人達が戦争を運んできたのだ。あの人達が来なければ、こんな、こんな目に遭わずに済んだのだ。無垢なマユの心を、どす黒い物が染めていった。
支援
展開した砲口に灯る光が、一瞬の時間を置いて苛烈な光の槍と変わる――その一瞬よりもさらに短い時間にはるか彼方から巨大な物体が、超高速で迫っていた。
マユは、自分の背負ったバックの中からなにかが出てきてそこから誰かの声が聞こえた。目を向けたマユの目の前で、あのテレビロボがVサインを作っていた。何時からかマユの後を付け、先程の爆発の時にマユとシンを救ったのもこのテレビロボだ。
そしてマユは、そのテレビロボから聞こえてくる聞き覚えのある声に、はっとした。この声は
『見ては――』
あのヒト、いやロボットだ。来てくれたのだ。マユの事を心配してかは分からない。だが、まだ治りきっていない体で、今、この瞬間助けに来てくれたのだ。
『――おれぬわあ!!』
「ダイノガイスト様!!」
マユは涙さえ流しながら精一杯その名前を呼んだ。憎悪と悲しみは、喜びの感情に取って変わっていた。
青い空を切り裂いて黒い流星が飛翔する通常の戦闘機の二、三倍はある巨大な機体は、地球圏に存在する如何なる型の戦闘機やモビルアーマーとも異なる形だった。
ダイノガイストの三つの姿の一つ戦闘機形態である。超高速でレーダーのレンジ内に侵入し、こちらに向かってくるダイノガイストに気付いたフリーダムが、咄嗟に機体を捻り展開した砲身の照準を向け直す。
だがロックオンを告げるマークが生じた瞬間、更に加速し地上への影響を考慮しほんのわずかな時間だけ超音速を突破し、突然の急加速に反応が遅れたフリーダムのどてっ腹に機首を叩きつけた。
糸の切れた凧のように、フリーダムは激突のエネルギーをもろに受けて地面に猛スピードで衝突し、思い切りよく蹴られたサッカーボールの様にバウンドし、何度も大回転しては木々をなぎ倒し地面を抉りながらようやく止まる。
ダイノガイストの体当たりを食らってから実に七〇〇メートルも地面と熱烈なキスとハグを繰り返しながら、機体に大きな損傷が見られないのは装甲がフェイズシフト装甲を採用しているお陰だろう。
突然の乱入者に、カラミティの方も多少の狼狽を見せ、その隙に太陽を背にしたダイノガイストはカラミティ目掛けてほとんど垂直の急降下に移る。
舌打ちを一つ打ったカラミティのパイロット、オルガ・サブナックは遮光装置が太陽の光を調節するのを待たずに、白光を背にしたダイノガイストめがけてカラミティの全火器を放つ。
何だか知らないが味方の識別信号を出していない以上敵と同じだと判断したのだ。
だが、迸るエネルギーが目標に命中した兆候はなく、コンマ数秒の判断でオルガはカラミティを後退させ
「なにい!?」
予想だにしなかった存在が、太陽の光のカーテンから飛び出て来た事に驚愕の叫びを上げざるを得なかった。
オルガは見た。びっしりと生え揃った白銀の牙の並び。宇宙の闇を写し取った黒を主に赤や金の飾りを付けた巨大の暴竜ティラノサウルスの姿を!
カラミティとダイノガイストのサイズ差はおよそ二倍。人間と本物のティラノサウルスのサイズの違いに比べればはるかにましだ。
だが機械仕掛けの暴竜が放射する殺意は、投薬や脳内のインプラントによって『恐怖』という感情を抑制・削除されたオルガさえも戦慄させた。
人間の遺伝子の二重螺旋に、はるかな太古に刻まれた暴竜への恐怖が蘇っているのだ。原始的かつ遺伝子に刻まれた本能そのものの恐怖が、人の手で削除された筈のオルガの感情を大きく揺さぶる。
支援
「くそったれがあ!!」
カラミティの右手に握るプラズマサボット・バズーカと左手の盾に内蔵されたケーファー・ツヴァイの照準をまったく同時にダイノガイストに付ける。太陽を背に飛翔、ないしは降下するダイノガイストの顎がこれ以上ないほど大きく開かれた。
すんでの所でかわしたカラミティの砲撃が、ダイノガイストの右肩と背の砲身をかすめて一部の装甲を融解させる。折角治りかけていた装甲はまた元の無残な姿へと逆戻りだ。
だから、その代償は高くついた。
「うお!?」
思い切り開かれたダイノガイストの顎がバズーカごとカラミティの右腕を捉え、それを振りはらうべくオルガが胸部のスキュラを発射するよりも早く、ダイノガイストの頭が勢い良く上下に振られた。
地面に激突するほど強く下げられ、逆に仰け反るほど勢いよく上に振られ、カラミティはダイノガイストが食らいついた右腕を支点に、ほとんど半円の弧を描いて振り回される。
カラミティの装甲はトランスフェイズ装甲だ。PS装甲と同じく多大な電力を消耗する代わりに物理攻撃に大抵はほぼ無敵の防御能力を得る。
さしものダイノガイストの牙もこれを貫通する事は叶わなかったが、カラミティのフレームや内部構造が悲鳴を上げるのが先だった。
装甲こそ持ったが凄まじい衝突音にも似た音がするのと同時に、カラミティの右腕が付け根からもぎ取れ、過剰な負荷に千切られたフレームとコードやパイプが断裂面から覗く。
ダイノガイストの牙から自由になったカラミティは、高く頭上に放られ、さんざん上下に振り回された所為で脳をゆすられたオルガは、ぼやけた視界を埋め尽くすダイノガイストの尾を見たのを最後に気を失った。
落下してきたカラミティに回転して勢いを付けた尾の強烈な一撃を見舞い、その機影が地面に何度も叩きつけられバウンドしながらはるか彼方に吹き飛んで行くの確認し、ダイノガイストは咥えていたカラミティの右腕を落とし、その姿に相応しい咆哮を轟かせた。
GVOOOOOOOOOOOO!!!!
それはオーブ本島を揺るがす、暴竜ティラノレックス――ダイノガイストの怒りの叫びだった。
今回ここまでです。次あたりでエピローグみたいな感じで終わりにする予定です。本格的な戦闘も特になしの予定。
やっぱりダイノガイストびいきの内容になってしまうので難しいです。お邪魔しました。
支援
GJ!台詞が何気にドライアス様www
超乙!
マユの「また会える?」で泣きそうになった
GJ!!
何気なく宝を守った気がするよダイノガイスト様、無垢な瞳という宝を憎しみから守ったよ。
>>196 問いは同じだが、宿敵の方とは対照的な答え方だよな……。
ダイノガイスト様と聞いてカッ飛んできました。
最終回楽しみにしてますぜ。
ダイノ様活躍と聞いて
不調でカラミティを瞬殺tueeeeeee
さすがダイノ様だ!俺達の出来ないことを平気でやってのける!そこに痺れる憧れるぅ!
ダイノ様はとんでもない宝を盗んでいきました。
それは、少年少女の憧憬の心です
職人様GJです!
『となりのダイノガイスト』をクロスオーバーwikiのほうに載せようと思いますけど、完結してからのほうがよろしいでしょうか?
こんばんわ。となりのダイノガイストを投下させていただいている者です。
感想をくださった皆さんありがとうございます。感謝感激雨あられです。
>>201 もうすぐ完結の予定ですし、載せていただけるのでしたらそれはもうありがとうございますとしか言いようがありません。
誤字脱字が多くて本当にごめんなさい。次は誤字脱字なしを目指します。それでは、読んでくださった方、感想をくださった方に改めてありがとうございます。
ダイノガイスト様は相変わらずカッコよすぎる
そして何時だって少女の涙と笑顔は最高の宝ですよねw
204 :
201:2008/06/07(土) 02:10:24 ID:???
>>202さまへ
許諾のほうありがとうございます。 とりあえず最新話までを『その他作品集』の所に載せておきました。
メニューバーの クロス(他) ⇒ etc で。
>>204さまへ。
お疲れ様です。確認させていただきました。おまけに誤字脱字の修正まで。もうあなたに足を向けては寝れません。
感謝感謝です。ありがとうございます。
それでは、感謝の意もこめて、となりのダイノガイスト最終話投下します。
『となりのダイノガイスト』 <6> 最終話
苛立たしく腹立たしく、噴き出す時を今か今かと待つ赫怒が鋼の体に納められた心の中で、熱を昂らせ、唸りを挙げている。その感情を視覚化する事が出来たなら、太陽の表面でうねくるフレアやプロミネンスの様に暴れ狂う様を見る事が出来ただろう。
鋭い爪を備えた左足が、足元に落ちた337mmプラズマサボット・バズーカ“トーデス・ブロック”の砲身をあっという間に踏みつぶし、十数メートル近いバズーカ砲はちょうど真ん中あたりでVの字に折れ曲がった。
わずかに開かれた暴竜の牙から零れるのは、混じった大気を凍てつかせる、冷徹な吐息であった。地獄で燃え盛る業火と例えるに相応しい感情のうねりに反し、ダイノガイストの思考は機械的な冷静さを維持していた。
マユが涙を流しながら精一杯の笑顔を浮かべて、二人の秘密基地から去った後、テレビロボがマユの後を尾けて行ったのに気付かなかったのは、不覚という他なかった。
加えてテレビロボが随時、避難するために必死で走るマユの姿や声を強制的にダイノガイストに送り続けるのを止められなかったのは屈辱的だった。
テレビロボがダイノガイストの心中に押し込めたマユを助けろと叫ぶ自分の声に、正直になれと常に言い続けてきた様なものだ。
そして今テレビロボの思惑通りにマユを助けに、本来、ダイノガイストの目的には不必要な戦闘に介入してしまった事が、気に食わない。
あんなちっぽけな、ダイノガイストの気まぐれで容易く『命』を奪えるような、弱弱しい生き物の為に、今だ不完全なこの体で戦いを挑む事が気に食わない。
そして、なにより――
両親を失い、それを行ったMS達を見つめていたマユの、瞳。
無垢な、邪気の無い透き通った水晶の様な輝きをしていた瞳が、先ほどダイノガイストが叩きのめした二機のMSを見つめていた時、どす黒い暗黒の憎悪に染まりかけていた事が気に食わない。
マユにそんな瞳をさせた地球連合の連中が、オーブ首長国連邦の連中が、間に合わなかった自分が、気に食わない。
気に入らない。こんな茶番劇じみた見せしめの舞台に立ってしまった、道化じみた自分が。
気に食わない。宿敵に敗れ、傷を癒す事も叶わぬまま感情に流されて、自分の為では無く、初めて他人の為に戦おうとしている自分が。
苛立たしい。無限に広がる宇宙の暗黒の只中でまたたく月光の優しさと、太陽のぬくもりを持っていたマユの笑顔を、深い絶望と憎悪の淵に落としめんとした戦争が、それを防げ得なかった自分が。
認め難かった。ダイノガイストが今この場に居るのが、マユ・アスカというたった一人の少女の為である事が。
ああ、だが、だが、ダイノガイストは見てしまった。消し炭に変えられた両親を前に、兄に抱きしめられながら、涙を流しながら答える事の無い両親を求めるマユの姿を。
聞いてしまった。テレビロボを通じて、半狂乱になって泣き叫び、求め、答えを得られなかったマユの叫びを。天に浮かぶ青翼のMSに向けた怨嗟を。大地に立つ青緑のMSに向けた憎悪を。
それらがダイノガイストを突き動かす。怒りを滾らせる。心の中で燃え盛る激情の焔に、新たな薪をくべるのだ。
マユから大切なものを奪った者達を。マユを泣かせた者を。おれの『宝』を傷つけた者共を許すなと。鋼の体を中から壊す程に強い叫びがダイノガイストの魂を揺さぶるのだ。
そうだ。そうなのだ。マユ・アスカはもう、ダイノガイストにとって金では手に入らない、『宝』以上の『宝』になっていたのだ。
GWWOOOOOOOOOOO―――――――――――!!!
理解し難くも理解でき、また認め難くも認めざるをえぬ感情をさらけ出す様に、今一度、ダイノガイストは吼えた。
オーブ洋上に浮かぶ連合艦隊も、本土に展開した両陣営のMS達も、確かに数瞬動きを止めるほど壮絶な絶叫は、死したマユの両親たちへ送る葬送の叫びであった。
そして同時に、マユに自分が、ダイノガイストがここにいるぞと伝える為の叫びでもあった。兄以外の家族を目の前で失ってしまったばかりの、あまりに小さな女の子を安心させてやる為の、ダイノガイストなりのせめてもの気休めだった。
そして思考は現実へと移り変わる。オーブと地球連合の戦闘の真っただ中に突っ込んでしまった事はもうどうしようもない。ならば、マユとついでにその兄貴らしき個体をこの場から逃がす事がダイノガイストの第一目的となる。
先程右腕を引き千切り、尾の一撃を加えたMS――カラミティと言う名を知るのは後の事――は、とりあえず戦闘能力は奪えたようで、海岸にまで吹き飛ばされてうつ伏せになった機体に波が打ち寄せては砕けていた。
もう一機の空を飛んでいたMS――こちらはフリーダムだ――も、しばらく動く様子はない。ダイノガイストは、自分のセンサーがフリーダムだけバッテリー駆動ではない事を感知していたが、今はそれどころではないと放置する事にした。
フリーダムに隠された秘密を知っていたなら、もう少し違った反応をしたかもしれない。いやマユの命がかかっている以上、やはり放置しただろうか。
とりあえずは周囲のMSを所属を問わず排除する。マユ達はテレビロボが着いていればある程度の危険は回避するだろうし、避難船の方からオーブの軍人らしい人影が近づいてくるのにも気付いていた。
ダイノガイストは首を振り向けて道の上に立つマユ達を振りかえった。
一瞬だけ、マユとダイノガイストの瞳が交差する。マユはダイノガイストを見つめていた。すりむいて血の滲む小さな手を胸元で組み、土で汚れた愛らしい顔を、ダイノガイストを案じる気持ちで満たして。
まるで士地へ赴く愛しい人を見送る清純な乙女の様に。
その姿は美しい。神が人を善きモノとして作り出したのだと、思わず信じてしまいたくなるほどに。一人の少女の思いを、ダイノガイストは黙って一度だけ頷く事で答えとした。
交わす言葉は無く。しかし思いは通じる。
ダイノガイストはもうマユを振り返る事はせず、最も手近な所に居るMSの部隊へと足を向けた。
突如現れた巨大な戦闘機兼恐竜のロボットの名前を、絶対的な信頼とともに呼んだ妹の背を見つめ、シンは呆けた声を出した。
「マユ、あの恐竜……。知り合いなのか?」
父と母をほんの数分前に失い、自分達兄妹もすぐにその後を追うのかと覚悟した時に、唐突に現れた救い主と妹が関係あるという事実が、あまりに突然過ぎて理解できずにいた。
その衝撃が、両親の死の衝撃を多少なりとも忘れさせてくれたのは、不幸中の幸いと言うべきだろう。
マユは兄を振り返る事無く、離れ行くダイノガイストの姿を見つめながら、祈るように呟いた。
「うん。ダイノガイスト様っていうの。来てくれるなんて思わなかった。危ないから逃げてって何度も祈ってたのに……。なんでだろう?
お兄ちゃん、マユね。ダイノガイスト様が来てくれたって分かった時すごく嬉しかったの。すごく、あったかい気持ちになった。お父さんとお母さんが死んじゃったのに……。マユ、悪い子だね?」
シンは思わず息を飲んでマユの言葉を受け止めた。マユが父と母の死を悟ってしまった事。そして、今肩を震わせ、声を涙で震わせているのは、そのダイノガイストとやらを案じる気持ちの為だと分ったからだ。
マユはダイノガイストに来てほしくなかったのだ。あんな傷ついた体でこんな危ない場所に来てしまったら、もっと大きな怪我をするかもしれない。ひょっとしたら壊されてしまうかもしれない。
父と母の様に、目の前で居なくなってしまうかもしれない。
「ほんとに、ダイノガイスト様に助けてって、何度も言いそうになったけどずっと我慢したんだよ? だってダイノガイスト様、あんなに怪我してるんだもん。
危ない事して欲しくなかったの、危ない事、して欲しく、なかったのに。なのにマユ、助けてもらったらすごく嬉しかった。お父さんとお母さんともう会えなくなっちゃったのに、なのに……嬉しいって思っちゃったの」
マユはダイノガイストに来てほしくは無かった。
けれど、ダイノガイストがいざ助けに来てくれたと分った途端に、喜びを感じてしまった自分が、許せないのだ。父と母の死を悼む気持ちよりもその喜びを強く感じてしまっている自分が。
もちろん、マユだって大好きな父と母が死んでしまった事に悲しみと絶望を覚えていない筈がない。もう挨拶を交わす事も食卓を囲む事も、怒られる事も笑い合う事も出来なくなってしまったのだ。
十四歳のシンと九歳のマユは、永遠に両親を失ってしまったのだ。
シンは、マユの言葉に改めてその意味を思い起こされ、急に底の見えない真っ暗な穴に落とされたような、どうしようもない不安と恐怖と喪失感で心を一杯にしたが、それでも彼はまだ縋るモノ、そして支えなければいけないモノがあった。
シンはそっとマユの後ろまで歩み寄り、小さな胸を張り裂けそうなほどの悲しみや絶望と自責の念で一杯にしてしまった妹の肩に優しく手を置いた。
「大丈夫だよ。ダイノガイスト、だっけ? あの人はちゃんと戻ってくるさ。それに、父さんも母さんも、そんな風にマユが思ってるって知ったら、悲しむよ」
マユは声を出す事もできず、ぼろぼろと大粒の涙をこぼしながらシンの言葉に頷いた。
――悔しいな。マユの涙を止められるのはアンタだけなんだな。
シンはダイノガイストに対してはっきりと嫉妬を覚える自分を自覚した。そして理解もしていた。マユが最近いつもと違う雰囲気を醸し始めていた理由を。
あれはそう、きっと恋の所為だ。マユはダイノガイストの事が好きで、それはたぶん、“初恋”とか、そう言う風に呼ばれるものに違いなかった。
だから、シンに出来る事は、マユとはまた違った意味でダイノガイストが必ずここに、マユの所に戻ってくるよう祈る事だけだった。
「絶対、絶対戻ってこいよ。じゃなきゃ、おれはアンタをぜったい許さないぞ」
シンの声は遠く響く戦闘の爆発音にまぎれ、風に散った。
突如出現した謎の敵に中破させられたカラミティを回収すべく急行したストライクダガー小隊は、その瞬間この戦場で最も強大な暴力と遭遇してしまった。
沿岸部を走る道路に沿って生える木々を押し倒し、猛烈な勢いで姿を見せた鋼の暴竜ダイノガイストに襲われたからだ。
それぞれが手に持った57ミリビームライフルM703の銃口を向けるよりも早く、先頭のストライクダガーが右手と頭をがぶりと巨大な口の中に飲み込まれる。
金属を引き裂く耳障りな音が、あっという間に咀嚼する音に変わるや、ゆっくりと食われたストライクダガーが仰向けに倒れる。
どずん、と55.31トンの重量からいくらか引いたMSの巨体が海岸の砂地に倒れ込む重い音が響いた時、ダイノガイストは食いちぎったストライクダガーの頭部と右腕を吐き捨てた。ここまでジャスト一秒ほどの出来事である。
脳の処理速度を超える尋常ならざる事態に停滞していた残るストライクダガーのパイロット達が、理性を押しのけて込み上げる本能的な恐怖に突き動かさた。
トリガーに添えた指に力を込めた時、身をひるがえして回転し、勢いを付けたダイノガイストの尾が、風を千切る猛烈な音を立てて唸る。
残るMSはそのダイノガイストの尾に纏めて薙ぎ払われてはるか海面へと吹き飛ばした。
ダイノガイストは高々と上がる水柱に目もくれない。
やはり、想定した通りに体の反応が鈍い。だがとりあえずは予想の範囲を超えるレベルでは無かった。だが、思ったよりも厄介だったのがこの世界のMSの火力と自分自身の装甲の劣化具合であった。
先程カラミティの一斉砲撃がかすめた装甲は融解し、背に負った右の砲身がひしゃげて使い物にならなくなっている。直撃を受ければ、重大な損傷を負っていたのは間違いない。
このコズミック・イラの人型機動兵器モビルスーツは、今のダイノガイストを破壊しうる武器を持った油断すべからざる敵だと言う事だ。
今のストライクダガー達もそうだが、フリーダムとカラミティを、不意を突いて戦闘能力を奪えたのは僥倖だった。
テレビロボがマユの姿と声以外に伝えてきた戦場の様子から、この場で特に厄介な敵と見定めていたのがフリーダムと、カラミティ、レイダー、フォビドゥン、それに後からフリーダムの援護に姿を見せた赤いMS――ジャスティスだった。
この内の二機を、こちらの損害をほとんどゼロに抑えた状態で打破出来たのは嬉しい誤算と言っていい。
この五機はそれぞれに強力な火器や武器を持ち、パイロットの技量と相まって機動性や回避能力も高く、今のダイノガイストにとっては相手にしたくない手合いだったからだ。
今の内に出来るだけ派手に暴れ回り、連合とオーブの目を自分に向けさせて、マユ達を出来る限り早く、出来るだけ遠くに避難させてやらねばなるまい。
全く、自分らしからぬ行為に、ダイノガイストは人知れず重い溜息を吐いた。
一拍の間をおいて気を取り直したダイノガイストは恐竜形態のまま激戦区と思しい場所めがけて一気に全力で走り出した。
連合にとってもオーブにとっても両軍のトップエースを瞬時に戦闘不能にした謎のロボットは、否応にもその動向に注目せねばならぬ存在であり、必然的に部隊のいくつかを差し向ける事になった。
――エクスカイザーよ。この宇宙の全ての命が『宝』だと言ったおれの宿敵よ。
小高い山とその合間を縫って走る道路ばかりの場所で、ビームサーベルを抜き放ち斬りかかったストライクダガーは、自身の倍に相当する巨躯のダイノガイストが振り上げた前足に蹴りあげられ、上空を高々と舞った。
――お前はこいつらの『命』もまた宝だと言うのか? いや、お前ならばそう言うだろう。
そいつの僚機はダイノガイストの隙を突いたと思い、サーベルを突きこんだが鋼の鞭の如くしなったダイノガイストの尾に、右から横殴りに叩かれて山の斜面に激突してほどなく黒煙を全身から昇らせた。
――お前はこのおれの『命』をも宝だと言った。おれの『命』でさえ宝ならば、確かにこの宇宙の『命』もまた全て宝なのかも知れん。
すぐさま新たに姿を見せるストライクダガーやM1に向けて、ダイノガイストは自身の姿を最大限に利用した、いかにも凶暴そうな、常に飢えに狂い、殺戮を楽しむ暴君の如き咆哮を挙げて威嚇する。
――だが……。本当にそうなのか? 全ての『命』は果たして宝と言えるのか? こいつらの『命』は、本当に宝なのか?
連合兵士達にしてもオーブの兵士達にしても、こんなわけのわからない相手と戦い命を落とすのは嫌と見え、轟雷の如く轟く咆哮を聞くだけでMSの動きは止まり動揺と恐怖が蔓延する。
――己の利と理の為にいくらでも死を生む事を許容するこいつらの『命』は宝なのか? 宝である『命』を、何の価値も無い者の様に奪い、争い合うこいつらの『命』が? 百の『命』を奪う一つの『命』は、奪われた百よりも価値のある一なのか?
怯えの見えるストライクダガーめがけ、ダイノガイストは太古の地球の覇者の姿を借りて一挙に跳躍した。死を約束する白銀の歯の並びが、また一つ、新たな犠牲者を生みだした。
――今こいつらに味あわせている恐怖、絶望、不安。それはマユの味わったものよりもはるかに軽く安いものだ。あいつはこんな戦争に巻き込まれる由縁等なかった。だがこいつらは自分達で戦場に身を置く事を選んだ兵士だ。軍人だ。
エクスカイザーよ。おれには思えぬ。おれには思えぬのだ。こやつらの『命』と、あのマユの命が等しく『宝』であるなどと。
掲げたシールドをせんべいみたいにあっさりと噛み砕いたダイノガイストに、頭部のイーゲルシュテルンの75ミリAP弾をばら撒きながら、ストライクダガーが後退する。
残る友軍機が咄嗟にライフルと銃身の下部に設置されたグレネードを向け、図ったように同じタイミングで撃ちこんだ。
この時彼らは一つの感情を強固なつながりとして共有し、それが統制された人形のような一斉射撃を行わせていた。絶対的な連帯感を生む一つの感情、それは“恐怖”という名を持っていた。
膨れ上がる黒い爆煙の子宮を食い破り、ダイノガイストがストライクダガーの群れへと襲い掛かった。だが黒く尾を引く炎と煙を纏わせて姿を見せたのは暴虐の竜にあらじ。優美な弧を描いて白銀に輝く二刀を携えた古めかしい甲冑を纏ったかのような戦巨人であった。
MSの倍のサイズと可動部が少ないと見える間接でありながら、名刀魔剣を振う達人さながらの斬撃が、ストライクダガーの群れの中で幾重にも弧月を描き、腕を落とされ、足を断たれ、首を斬られたストライクダガー達の歪な死骸が山を成した。
コックピットで何が起きた理解できなかったパイロット達は、地面に叩きつけられる凄まじい衝撃と共に、どうやら自分達が撃墜されたのだと気付くのは、斬られてのことだった。
――認めよう。マユはおれにとって『宝』以上の『宝』だ。だからこそ思うのだ、エクスカイザー。おれにとって全ての命は等しい価値を持った『宝』ではない。少なくとも、マユの『命』は他の『命』よりも、はるかに価値のあるものなのだと。
陽光をきらめかせて反射する白銀の刀身にこびり付いたオイルを振り落とし、ダイノガイストは胸中で宿敵へと語りかけていた。たとえ全ての『命』が『宝』だとしても、自分にとってその価値は決して等しくはないのだと。
層を成すストライクダガーの死骸の道を踏みしめ、ダイノガイストはマユを傷つけた者、自分の宝に手を出した全てに制裁を加えるべく、赤いバイザー状の瞳に、揺ぎ無い、強固な意志を輝かせた。
彼らは触れてはいけないモノに触れたのだ。ダイノガイストの逆鱗という、この戦場に置いて最も触れてはならぬ最上級の破滅に。
ダイノガイストの去りゆく背を見送っていたマユとシンは、駆け付けたオーブの軍人に保護され、避難船へと移っていた。
マユはここから離れたくないとしぶったが、あらかじめ、そうなったらマユ達を保護させるよう指示を受けていたテレビロボと、シンの説得もあり、駄々をこねつつも避難船に乗った。
なによりも、シンのマユが死んだら父さんと母さんが悲しむという言葉が、マユの心を揺さぶった。シン達を保護したのはトダカというオーブの軍人で誠実そうな顔つきに、暖かな人柄の滲む人だった。
駆け付けた現場の惨状を目にし、シン達の両親の最期に思い至ったトダカの、シンとマユだけでも助かってよかったと言う言葉に、こんな悲しくて苦しくて辛い思いをする位なら、助からない方が良かったと言うシンとマユに、トダカは優しく言った。
「君達だけでも助かってよかったと、ご両親は思っているよ」
心からの慈しみと優しさで。自分達だけが助かってしまった事を許す言葉に、シンとマユがどれだけ救われたか。まるで本当に父と母がそう言ってくれたようで、とくにダイノガイストが来てくれた事に喜んでしまった自分を責めていたマユは、本当に救われていた。
避難船に揺られ、遠く聞こえた戦場の喧騒も絶え間ない潮騒の中に飲み込まれる中、同じ様に避難の遅れた人々がひしめく船内で、シンは傍らのマユが先程からずっと手を組んで祈り続けているのを知っていた。
父と母に謝りながら、その祈りが両親とは違う誰かに捧げられている事も。
マユは避難した人々の不安の囁きや困惑の声が絶えない世界で、たった一人別の世界に放り出された様に目を瞑り、ずっとずっと願い続けていた。祈り続けていた。
「お願いです、神様。お父さんもお母さんも死んじゃいました。お願いだからもう誰も天国に連れて行かないでください。お願いだから、マユの大切な人達を連れて行かないでください。お願いします。お願いします……」
マユの祈りと思いを知るシンに出来るのは、妹のあまりに小さな肩に手を回し、そのまま消えてしまいそうなほど儚い姿を、この世界に引きとめる様に抱き締める事だった。
(神様、本当に居るんなら、もうマユを傷つけないでくれ! 父さんも母さんもぼく達から奪って、これ以上何も取らないでくれ。マユの代わりにぼくがいくら傷ついても良い。どれだけ辛い目にあったって、苦しい思いをしても良い。
だから、お願いだから、もうマユを泣かせないで! 傷つけないで! 一生のお願いだから、ダイノガイストを、ちゃんとマユの所に戻ってこさせてやってくれ。ぼくじゃあ、マユの涙を止められないんだ)
閉じた瞼から涙を流して祈り続けるマユを抱きしめるシンもまた、閉じた瞳から清らかな涙の筋を幾つも流していた。たった二人きりになってしまった兄妹達は、自分以外の誰かの為に祈り続けた。
マユはダイノガイストの為に。シンはマユの為に。
あまりに儚く、あまりに悲しく、あまりにちっぽけな二人の祈りは、天に通ずるか悪魔の嘲笑を受けるかは、いまだ分からぬままだった。
『マユ?』
ふと、自分を呼ぶ声を聞いた気がして、ダイノガイストは避難船の去っていった方角を見た。幻聴だろう。すでにテレビロボとの通信が可能な距離ではない。だが最後のテレビロボからの連絡でシンとマユが無事、オーブから離れたのは確認できた。
とりあえず最大の目的は果たせたわけだ。
唐突に足を止め、あらぬ方角を見やったダイノガイストの姿に隙を見出したストライクダガーの一機が、バーニアを全開にして背のウェポンラックのビームサーベルを抜き放ち、跳躍しざまに下弦の月を描いて金色の斬撃を放った。
それを、斜め下方から迸った銀の筋が迎え討ち、振りかぶった右腕を切り裂き、翻り飛燕の軌跡を描いて舞い戻った刃が、両の足を膝から切り裂いた。
例えコーディネイターといえど視認し得るとは思えぬ、神速の剣である。どっとその場に落下するストライクダガーを待っていたのは、母なる大地では無かった。
同じストライクダガーの鋼の機体か、M1アストレイの発泡金属の装甲であった。見よ、ダイノガイストを中心に大地を埋め尽くすストライクダガーとM1アストレイ達の骸を。
折り重なって山と成り、あるいはびっしりと大地を埋め尽くして鋼の層と成り、ダイノガイストに襲い掛かり、また襲いかかられた者達はたった一機の例外も無く地に伏し、骸と成り果てていた。
だが、その代償はダイノガイストが払っていた。物言わぬMSの骸の只中で佇むその姿を見れば、誰もが痛ましさを覚えるに違いない。
熟練の職人が精魂を込めて鍛造し磨き抜いた鎧の様だった装甲の各所には新たな罅が入り、左肩のアーマーは砕け果てて関節が剥き出しになっている。カラミティの砲撃でひしゃげた砲身は途中から折れて落ちてしまった。
治りきらぬ体で戦い続け、交わし切れぬ膨大な数のビームライフルや爆撃機の航空支援による絨毯爆撃を受け、治りかけていた全身のダメージが一斉に表出している。もはや立っている事さえ奇蹟にひとしい惨状であった。
人間で言えば全身の骨に亀裂が入り、筋肉や腱はことごとく断絶し、血管はかろうじて繋がりつつも何時流れる血潮に内側から破られるか分からず、鼓動する心臓が止まるのは最早時間の問題という状態にまで成り果てていた。
ダイノガイストは意識を戦場へと向け直し、自分を十重二十重と囲むストライクダガーの姿を認めた。二十までを数えて、意味の無い行為だと思って止める。どう意味がないのかは、ダイノガイストにしか分からない。
その全てを切り捨てるからか、それとも、その前に自身の『命』が失われると確信しているからか。ダイノガイストは、両手に構えたダイノブレードの柄尻を噛み合わせ、長大な双刃剣ツインダイノブレードを右手で握り直す。
すでに左手は肘から先の感覚がほとんどなかった。
しかし、自分も随分と甘くなったものだ。取るに足らぬ筈の人間の子供に入れ込み、本来の目的とは大きくかけ離れた行為に身を投じ、自身の生命を危ういものにしている。
ましてや、
『このおれが、敵の「命」を奪わぬとはな』
そう呟く声には自嘲の色が濃い。後に自軍の被害を確認したオーブと地球連合の両陣営が、機体の損害に比べ圧倒的に低い戦死者の数に首を捻ったのは、ダイノガイストに撃破されたMSが全てコックピットへの直撃だけは避けられていた為であった。
とはいってもコックピットへの直撃を避けるだけで、その後の後始末にまで気を回してはいられない。運が悪ければ死ぬ。まあ普通なら助かるだろう、程度に手心を加えたに過ぎない。
『すべての命は宝、か。エクスカイザーめ、厄介な言葉を言いおって』
マユの『命』を『宝』と認めながらも、宿敵エクスカイザーの言葉は、決してダイノガイストの魂から消えてはいなかった。その言葉が、ダイノガイストに直接的にMSのパイロットの命を奪う事への躊躇を与えていた。
だが、まあ、いい。少なくとも今の所一番価値のある『宝』は守れたのだ。
自分を囲むストライクダガー達の群れが、襲いかかる前の静寂に包まれるのを見て、ダイノガイストは右手に握った双刃剣を右手の中で回転させた。
嵐の如く凄まじい勢いで回転する剣車は、周囲の風を巻いて回り続け、あっという間に竜巻の如く周囲のMSの装甲の破片や土砂、木々を風の流れの中に飲み込んでしまう。
ダイノガイストが一歩、右足を出した。ストライクダガー達に、その中のパイロット達の生の恐怖が浮かび上がる。
『貴様らの不運は、このおれの宝に手を出した事』
唸りを上げて回転する双刃が、唐突にぴたりと制止する。天と地を指す刃から解き放たれた風は、巻き込んでいた土砂や装甲の破片を舞いあがらせ、紗幕の様にダイノガイストを覆った。
『そして、このおれが何者か知らなかった事だ』
ぐっと、踏み出したダイノガイストの足が大地に沈みこむ。それは肉食の猛獣、強大な恐竜の、獲物に襲い掛かる一瞬前の動作に似ていた。
次の瞬間、嵐さえも吹き飛ばすほどのダイノガイストの雄々しい宣言が、周囲を囲むストライクダガーの巨躯を揺らし、パイロット達の脳髄に叩き込まれた。
『聞けえ、おれはダイノガイスト! 宇宙海賊ガイスターの首領、ダイノガイストだ!!』
踏み込んだ大地に爆発が生じる。踏み込む一歩に凝縮された力の凄まじさよ。かつて完全な状態で行ったシミュレーションでのエクスカイザーとの死闘を上回る、不完全な体での踏み込みは、ダイノガイストに神速を約束していた。
降り注ぐ紗幕を裂き、迫るダイノガイストめがけて、四方八方からビームの光の雨が豪雨の如く降り注ぎ、グレネードが雹の礫のように飛来した。
無数のビームと溜弾を受けながら突き進むダイノガイストの大地に落とされた影は、勇ましく冥府の門を叩く死人の様だった。
護るべき『命』のために己の『命』を顧みぬ『勇者』を待ち受けるのは、深く暗く冷たい冥府の門のみであった。
そして翌日、オーブ首長国連邦は地球連合に降伏した。前代表ウズミを筆頭に、オーブを統括する五大氏族の人々と、モルゲンレーテ本社や工場設備、富の源泉たるマスドライバーの爆破と言う、国の再建を顧みぬ壮絶な国家的自殺と共に。
オーブでの蹂躙に近い戦いから数か月、プラントと地球連合との間で休戦条約が締結され、戦争はひとまずの終わりを迎えた。
シンとマユはあのトダカというオーブ軍人がなにくれとなく面倒を見てくれて、多少不便ではあるが幼い子供二人でもなんとか避難所で生活を続けられた。少しずつ二人は両親の死や焼かれた故郷への悲哀から立ち直りつつあった。
けれど。
ふと、洗濯物を取り込んでいる途中で手を止めて、空を見つめるマユに気付いてシンも手を止めた。声をかける事は無い。今、マユが誰を思い、何を思っているか知っているから。
マユとシンは待ち続けた。来る日も来る日も。でも、戦争が終わっても、平和になってもダイノガイストは戻ってこなかった。マユの所へと帰っては来なかった。
ダイノガイストは、今日も帰ってこない。
以上をもちまして『となりのダイノガイスト』閉幕となります。ここまでお付き合いくださった皆様方に、改めて感謝を。
それではまた、機会がありましたら、その時にお会いできます事を祈って。おやすみなさい。
超乙
ミラクル感動した
しかし、シンカワイソスw
GJ!
しかしダイノガイスト様がお亡くなりに……連合やオーブにその骸を辱められぬ事を祈るばかり也。
お疲れさんでした!
ダイノガイスト様……(´・ω;`)
GJ!
最近読んだSSの中で一番感動したかもしれない
敗れた悪が無垢なる少女と出会う、死亡フラグ全開だったダイノガイスト様
それでもその最後はきっと幸せだったに違いない……そう思わずにはいられません
久しぶりに多段変形で遊びたくなったw
カピアとヴィクティムが時空の捩れに迷い込んでCEの地球に辿り着いてしまう話という
ネタが考えついた
悲しいオチに涙…
種死編を妄想しブレサガ2のように復活するダイノガスト様を想います
超GJ&完結乙でした。ダイナガイスト様に涙…(つДT)
ハッピーEDのバージョンも見てみたかったなぁ
あの戦場を切り抜けた後で身寄りのないマユ&シンを
引き連れて宇宙海賊再開EDとかW
ひょっとして……
あっちの世界に行くんかな、ダイノガイスト様
なんか作ろうとしてる誰かさんがおったような……
魂はここのダイノガイスト様のだとか
あの、その、すごく、申し訳ないというか、ごめんなさいというか。
私は例えば『ポケットの中の戦争』というOVA作品が好きなのですが、悲劇よりもたとえ二流三流と言われても喜劇、あるいはハッピーエンドの方が好きなタイプで、
だから、その、こうなりますです。はい。
戦争が終わって、徐々に焼かれたオーブに戻り復興しようという人々が増えるなか、シンとマユはテレビロボと一緒の三人の生活をずっと続けていた。トダカからは二人ともコーディネイターであるから、プラントへ行ってはどうかと勧められていた。
戦争の終盤で危うく本土を焼かれかけたプラントだが、もともと人口が少なく、戦争によって社会を構成する年齢層のバランスが危ういものになる兆候が見られている。
そのため、ハーフやクォーター、第一世代、第二世代を問わずコーディネイター系難民の受け入れに積極的だったからだ。
トダカの善意はありがたかったが、シンとマユはもう少し待ってくれとトダカへの答えを先延ばしにしていた。明日は、明日こそはあの人が、いやロボットが戻ってくるかもしれない。そんな、甘い期待が、ずっと二人を縛りつけていた。
ブルーコスモス思想の蔓延した大西洋連邦が盟主である地球連合の支配は、割とそうコーディネイターを迫害する様なものでもなかった。
そういった末期的思想の持つ主たちがオーブ占領後すぐに、対プラント本国攻略に意識を向けた事や、地球連合の兵士だからと言って全員が全員、ブルーコスモスのメンバーと言うわけでもなかったからだ。
無論、国土を焼き尽くされたに等しい惨状で、オーブ国民が彼らに向ける感情は良いものではなく、治安も良いとは言い切れなかった。
秋の気配が冬の凍える空気を運んでくる頃――といっても南国のオーブではあまり季節感は無いが――、マユは与えられた簡素な家から出て、夜空を見上げていた。
海岸に面した避難所のはずれは、少し小高い崖になっていて、眼下では夜の暗闇を写し取った波が、岸壁にぶつかっては無数のしぶきへと砕けている。
万天の空を白みを帯びた明かりで煌かせる星達。そのどれもが、あの戦争で死んでしまった人々の命の輝きに見えて、マユは悲しみで胸を一杯にする。
潮の匂いを乗せた風が、マユの髪をなびかせ、やや細くなった頬を撫でる。悲しみに沈む愛し子を撫でる慈母の手の様に。
そして、また手を組んで祈りはじめた。あれから毎日、一度も欠かした事の無い虚しい行為であった。
そのマユの後姿を、家の窓越しに見つめていたシンは、マユが戻ってきたらプラントに行く事を本格的に妹に切り出そうと決意を固めていた。ダイノガイストを待ち続けるマユの姿は、シンの心にあまりに痛ましく映っていた。
新天地に希望があるとは信じ切れなかったが、父母とダイノガイストの思いが染みついたこのオーブから離れれば、少しはマユの心も変わるのではないかと、シン自身あまり信じていない可能性を考えたからだ。
最後に言葉を交わす事も無く、ただ視線だけを交わして自分達――いや、マユの前から姿を消したダイノガイストを、シンは強く恨んでいた。
そしてマユに戻らぬ人を待ち続ける辛さをこれ以上味わってほしくないと、シンの心は強く、強く思っていた。もう、あんなマユの姿は見ていられなかった。
年ごろの女の子らしい明るさや、代償を求めぬ無垢さが透き通って輝く笑みは常にどこか翳りを帯び、ひとりぽつんと立ち尽くす姿は、世界のすべてから拒絶され、憐れまれているようで、時折その姿を見かけた避難所の人々がもらい泣きしてしまうほどに儚い。
あんな、小さな女の子が背負っていい悲しみでも苦しみでもないと、誰もが分かるのだ。避難所の周囲を警備し、同時に監視する連合の屈強な兵士達が、何人も自分達で出来る事があるなら、とシンやマユに心からの同情を示すほど、その姿は悲しみに満ちている。
何時か、やがて何時かはと抱く甘い期待。捨てきれぬ影の様な希望。
それを抱く代償は繰り返される失望と喪失感であった。
大の大人とて一晩でも抱え込めば悲鳴をあげてしまいたくなるような重圧を、マユは小さな小さな肩に、もう何か月も背負い続けていた。
それをすこしも救ってやれぬ自分が何よりも呪わしく、肉らしく、シンはいたたまれない気持ちでマユの後姿に向ける視線を引き剝がし、込み上げてきた熱い思いを、瞼を閉じて閉じ込めた。
もう泣かない。泣かないと決めたのだ。マユがあの頃の笑みを取り戻すまで、ぼくは――“おれ”は絶対に泣かない。
この夜、少年の胸に壮絶なまでの決意を秘めた覚悟と言う名の楔が打ち込まれた。それは誓いの様であり、実質は呪いに等しかった。
胸の上で右手の拳を握りしめ、濾した血を固めたような色の瞳に、憎悪にも似た決意を宿らせたシンは、だが、すぐにその覚悟を捨てる羽目になった。
窓に背を向けたシンの耳に、ある音が聞こえて来たのである。それがなんであるかを理解したシンは我を忘れて家のドアを開けて外に出ようとした。だが、そのドアノブを握るシンの手を、金属の触手が止めた。
すっかり家族の一員になったあのテレビロボであった。少年らしさも少女らしさも欠片も無い、ただただ必要最低限の家具だけが置かれたリビングのテーブルの上で胡坐をかいていた。
なんだよ、と歯を剥くシンに、テレビロボは、もう片方の触手の先端を左右に動かす。チッチッチッ、まだまだ青いな坊主、と言う所か。
それからくいくい、と窓の外のマユを指して、肩を竦める。
“あれを邪魔するのは野暮ってもんだぜ?”
ジェスチャーの意味はたぶん、こんな所だろう。それを見たシンは、ドアノブを握る手から力を抜いた。確かに、言われて(?)見れば野暮以外の何物でもなかった。
人の恋路を邪魔する奴はなんとやら、か。シンはドアノブから手を離して、さっき心の中に誓った思いはなんだったんだろう、とちょっぴり虚しさを覚えた。でも、それはとっくに喜びに変わっていた。
だって、もうマユは昔の笑顔を取り戻しているだろうから。だから、シンは邪魔をして野暮な真似をする代わりに口で文句を言う事にした。
「馬鹿野郎。戻ってくるんなら、もっと早く戻って来いってんだ」
それでも、シンの口元に浮かぶのはこれ以上ない喜びの笑顔だった。
組んだ指をゆっくりと解きほぐして、マユは夜空へ向けて愛しい人を抱き迎える様に手を広げた。
後から後から溢れてきて、頬を流れる涙でくしゃくしゃになった顔に、なんとか笑みを浮かべようとして、何度も失敗していた。
ずっとずっとこの日を待っていたのだ。ずっとずっとこの日の為に取っておいたのだ。
大好きな人の為に浮かべるとびっきりの笑顔を。
今、マユの目の前に、ゆっくりと、夜の闇を圧し、星と月の光に祝福されて、上空から降りてくる巨大な戦闘機に向けて、マユは何度も失敗しながら、涙でぬれる笑顔を向けた。
ずっとずっと、こう言おうと決めていた。
「お帰りなさい、ダイノガイスト様!」
『となりのダイノガイスト』――裏エンディング・完。
C.E.七二、三月十日。
瓦解しかけた地球連合とアイリーン・カナーバを最高議長とするプラント臨時最高評議会との間で、終戦協定が結ばれた。
かつて二月十四日に核ミサイルによって破壊され、今は地球を取り巻くデブリベルトを漂う“ユニウスセブン”で結ばれたこの条約は、場所にちなみユニウス条約と呼ばれていた。
この条約によって、宇宙・地球上の領土はプラントの自衛組織ザフトと地球連合との戦争勃発以前の状態に戻され、大西洋連邦によって占領されていたオーブ連合首長国も再独立と復興の道を歩んでいた。
そしてC.E.73年。第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦より時は流れ、新たな時代の幕が上がった。
拝啓 父さん、母さん。
シンです。あの戦争からもう一年以上が経ちました。二人が死んでしまってから塞ぎがちだったマユも、今では元気にあちこちぼくと一緒に飛び回っています。
時には元気がありすぎて、手に負えない位です。めそ……
――中略
幸い、ぼくらを引き取ってくれる人……まあ、人もいたので、身寄りがないというわけではないので安心してください。
ただ、マユに関して申し訳ない報告があります。いや、ぼくも含めてかな?
ぼく達はどういうわけか、
「お兄ちゃん! はやくはやく、見つかったよ!!」
キンキンと耳の中で跳ねまわる妹の甲高い声に、シンは閉じていた目を開けて、小さく溜息をついた。それから両親への報告を再開する。
「父さん、母さん。ぼく達――おれ達は今日も元気に宇宙海賊をやっています……て言えないよなあ」
とびきり大きな溜息をついて、シンはゆっくりと目の前のコンソールを操作し始めた。落されていた火が灯り、鋼の体躯に電流が流れ細胞の目覚めを誘発する。
右手につけた自分達の所属を唯一明らかにするブレスレットに目をやり、そこから投影された立体スクリーンで、手筈通りこちらに向かって逃げているマユの位置を確認する。
「よし」
わが妹ながらどんぴしゃのタイミングだ。シンはそう呟いてから自分が身を預ける鋼の巨人ディンを起動させた。ザフトの開発した空戦能力を持つ旧式MSは、その姿を隠していた薄い絹の様な幕を肩の収納スペースに吸い込んだ。
この星の如何なる陣営も開発して居ない光学迷彩及びあらゆる探査機構を無力化する、ほぼ完璧なステルスシートだ。これを実用しているのは、エイリアン・テクノロジーを有するシン達だけである。
突き出した崖の下に身を潜めていたディンを数歩前へ歩かせ、崖の上にある巨大な屋敷の窓の一つを突き破り、月のさやけき晩に、砕けたガラスを宝石の雨の様に纏って落下する少女――愛妹マユ・アスカをディンの両手で極めて優しく、受け止める。
「ナイスキャッチ!」
シンの右手にあるブレスレットから、マユの明るい声が聞こえた。
「無事か?」
「うん!」
「よし、逃げるぞ!」
足の爪先から頭のてっぺんまですっぽりと黒いラバー素材に似たスウェットスーツを、ぐいと引き剝がし、マユのちょっぴり成長した顔がのぞく。
ディンのモノアイのメイン・カメラ越しに確認したシンは、目的のモノを奪取出来たことを確認し、コックピットにマユの小さな体をしまい込むと一気に背や脚部のバーニアを噴してその場を後にした。
みるみる内に遠ざかるディンに向かって、その屋敷の主らしきユニークな程に球形の中年男性が、手に持っていた黄金のステッキを振り上げて、唾をまき散らしながら怒鳴った。
「おのれ!! 宇宙海賊ガイスターめっ、我が家の家宝をまんまと盗みおって!!」
SEED DESTINY編 『子連れダイノガイスト』 第0話
宇宙海賊ガイスター。ユニウス条約締結前後に活動を始めた極めて小規模の宇宙海賊である。主に窃盗行為を行い、破壊活動を伴う強奪行為が罪状のほとんどを占める。
これまでに確認できた構成員は、十代半ば頃の少年と十歳前後と思しい少女の二人組。及びそのサポートを行っていると思しい自律型サポートメカ。
さらに、地球連合のオーブ戦に置いて初めて目撃されたという、恐竜・戦闘機・人型と三段階に分かれて変形するダイノガイストなる、巨大なロボットだけである。
上記の二人はおそらく専門の訓練を受けた特殊なコーディネイターと思われ、まだダイノガイストなる現行の地球圏では開発不可能とされるMSを所持している事から、巨大な組織のバックアップを受けていると、無責任なうわさが飛び交っている。
これまでにガイスターが奪ったとされる金品の一部を以下に列挙する。
徳川家康の元で佐渡の金山奉行を務めた大久保石見守長安が隠匿したという、およそ三百万両近い小金。
ナチス再建の為、ヒトラーが世界各地に分散秘匿させた三百兆円(二十世紀末当時)以上のナチスドイツの遺産、およそ十分の一。
メソポタミアの王妃の墓所から出土した、六〇カラットダイヤ十九個、三十カラット八個、ルビー三十個、エメラルドと翡翠を七個ずつ。繋ぐリングはすべて純金の首飾り。
古代ペルシアを祖とするゾロアスター教の善神アフラ・マズダを象った銀面。
ギリシャ文明の聖地アテネの山中から掘り起こされた純金製の五十分の一サイズのパルテノン神殿。
グーテンベルグが初めて印刷されたとされるラテン語聖書現存四十八部の内の第三十七部目。
エドガー・アラン・ポー十八歳の時の処女詩集『タマレーン、その他の詩』。などなど。
価値が付けられない途方も無い品から、国家が変えるとされる超ド級の品々、はては理解に苦しむ珍品までと手広く海賊行為を行う彼らの噂は、娯楽に飢える人々とジャーナリズムの無責任な尾鰭を付けて、地球圏に知れ渡っていた。
また彼らの華やかな成果以外にも、プラント、地球諸国家の軍部ではガイスターの保有する機動兵器ダイノガイストへ凄まじいまでの注目が浴びせられていた。
初めて姿を見せたオーブでの戦闘時、明らかに損傷を負ったと思しき状態で、当時最強のMSとして数えられたフリーダムと、新型GT−Xナンバーカラミティを瞬殺。
更に続けてストライクダガー三十八機、M1アストレイ十機余りを尽く撃墜ないしは戦闘不能に追い込み、たった一度の戦闘で五十に昇るMSを粉砕せしめた超異常戦闘能力に、目を付けない勢力はなかった。
そのダイノガイストを有する宇宙海賊ガイスターが活動を開始してから、各国の諜報部や軍事企業は持てる諜報能力の全てを用いて、ガイスターの捕縛・懐柔に血道を挙げているが、いまだ成果を上げた者達はいない。
これは、後に宇宙警察の最精鋭チーム『カイザーズ』と、飽くなき逮捕劇と闘争劇、宝の奪い合いを演じる新生・宇宙海賊ガイスターの活動の記録の、ごく初期の物語である。
というわけで第二部『子連れダイノガイスト』です。蛇足かもしれないと悩みましたし、ある意味でせっかくの第一部のラストをぶち壊してしまう内容です。
まとまった前回のラストの方がいいかな、という方は読まなかったことにしていただけるとありがたいです。こっちもそんなに長くはやる予定はないです。十話前後くらいかな?
そして、どうしてもここで言わねばらないことがあります。
>>219様
なぜわかったあ!? 心を読まれたか!? と一瞬マジで思うくらいドンピシャで言い当てられてしまった……。ぎゃふん。
……蛇足はやめた方が……人の作品に付け加えるのはなぁ……
って本人かいな!てっきり別人が付け加えたのかと
うはははw続編ktkr
イイヨイイヨー
金ぴかだからとアカツキを奪取しようとするダイノガイスト様が思いうかんだ
ダイノガイストの中の人リュウ・ホセイやドルチェノフだったんだ
いえ、むしろダイノガイスト様の名にふさわしい問題解決法です。
231 :
219:2008/06/09(月) 10:39:13 ID:???
あ、ありのままに今(ry
>>219を書き込んで数時間ぶりにスレを覗いてみたら俺の望んでいたアナザーEDは
おろか…続編まで始まっていやがった! テレパシーだとか赤い糸だとかそんな
チャチなもんじゃあねえ…もっと恐ろし(ry
続編ktkr!まさか自分もこうもドンピシャで当たるとは思ってもみなかったですがw
とにかくダイナ様の雄姿が再び見れて嬉しい限り。続きを楽しみにしてます
すみません…ダイ『ノ』ガイスト様でしたね
>>219でも間違えてるし。ナンテコッタイ…orz
続編=二作目ってこととダイノガイスト様の中の人繋がりで
シンとマユの乗るサポートメカと三獣合体して57m550tの究極ロボに・・・
なるわきゃないですねw
総帥、こっちでもトリップお願いします。
さておき。「となりの〜」シリーズ連載終了、新連載おつかれ様です。
いやあ、キレイにすっきりとしたエンディングでとてもよかったです。
最近こういう物語が少なくて。
新連載にも期待いたしますー。ところで冒頭でお宝盗まれた人、
誰だろう?
>>悲劇よりもたとえ二流三流と言われても喜劇、あるいはハッピーエンドの方が好きなタイプ
なるほど、となりのうp主とはいい酒が飲めそうだ
新たな宇宙海賊にgj!
GJ!!!続きが見たい!!!
うp主GJであります
ところで
>>223には
「『めそ』って何だ? 『めそ』って何だー!?」と
突っ込むべきなのだろうか
これは今後も全力で応援していかざるを得ない!GJ!
それだけの年月が経っていたらダイノ様も全快しているだろうか……
ファイバードで火鳥兄ちゃんがやった「追加メカにエネルギー流し込んで魔改造」
の応用でパワーアップパーツ化するCE世界MSを幻視した俺は落ち着くべきだ。
四将との絡みも見たいな
サンダーのブロックワードネタとか
>>238 ダイノガイスト様より大きなMAやデストロイにエネルギーボックス使って宿敵のごとく巨大合体
可変MSや小さ目のMAに使って武装合体なんて妄想が浮かんだではないですか
いっそシンとバイナリーボンドで(ry
>>234さま
『あっち』とおなじはずのトリップつけました。これで無問題でしょうか? お宝を盗まれた人は、実のところ名もないお金持ちAさんなので、あまりきにしないでください。
となりの〜がきれいに終われたので続けるのも無粋かと思いましたが、また中編規模で書かせていただければと思った次第です。
>>233さま,
>>238さま,
>>240さま
……ボクガンバッテミルヨ。というか別のスレでもそうなのですが、言われたことは大抵採用するのが私なので、たぶん、ヤルと思います。妄想と筆力が伴えばですけども。
>>220さま
…………その手があったかorz。それを使えばいろいろとやれたなあ……。う〜む。
ゴッツォシリーズを乗せたエクスカイザーもどきとか教官を乗せたジェイデッカーにもどきとか……
盟主王アズライガーもすでに出しておいたのになあ。いやでも流石にやりすぎですね。自粛自重せねば。
>>229さま
中の人つながりだと、プテラガイストが天敵になってしまいますね。プテラ=ギガノスの〜ですから。プテラガイストの反逆、とかはないか。ガイスターだし。
>>237さま
ファスナーの中に遊星からの物体Xを詰め込んだ青いヒゲのナマモノの事ではないですよ? キ〜テ○〜ツガ〜イ〜○ン〜〜♪
ちなみに『となりのダイノガイスト』はとなりのトトロを基にしたタイトルで、トトロ=ダイノガイスト、メイ、サツキ姉妹がシンとマユでした。トトロに助けられるのは一緒でしたし。
子連れダイノガイストは、子連れ狼をもじったものでした。
お寄せくださいましたご感想に感謝をこめて、ありがとうございました。そして結局誤字脱字をしてしまって、申し訳ありませんでした。
種世界の技術開発って一度着想があると集中して伸びていく印象がある。
ここはぜひ「対ダイノガイスト決戦用30m級MS」をセカンドステージシリーズにまぎれこませて(ry
しかし、CEに呼び込んでバトルさせるとしたら、勇者シリーズでは
ダイノガイスト様以外に適任いなさそうな気がする……
>>243 画面内をめまぐるしく動き回って格闘戦をおこなうデストロイ、か・・・・・・
>>243 チェストとレッグが異常にでかいインパルスか
>>243 外伝に登場したリジェネレイトは
・全高35.61mとダイノガイスト様と十分タメ張れるサイズ
・両肩両足に装備したビームサーベルで格闘戦もバリバリこなす
・人型、4本足MA、高速巡航形態の三段変形
なんで素質は十分にあると思うが
なぜかダイノブレードで細切れにされるラストしか思い浮かばない
>>246 だってあいつお世辞にも勇者じゃないし、ダイノガイスト様が勇者以外に負けるはずないし。
勇者、勇気ある者といえばドレッドノート
大河原デザインだし
とはいえプレアが生きているなら未だしもカナちゃんじゃちょっとな・・・
いやカナちゃんだからこそ美味しい展開になりうるか
確かに、命こそ宝を体現する話だったからな。
・・・・・・間違ってないよね?
カナちゃんが勇者になけばいいんだよ!
誤字った
×なけば
○なれば
プレアが少年とロボットの少年ポジションになる訳ですね?
わかりますん><
人格的によい子なのはいいけどちと能力的にも有能すぎて、っぽくはないかなぁ
でもプレアは寿命が短い
ストーリー中盤か最終回あたりに死亡フラグびんびんだな
これは勇者お得意のご都合主義で切り抜けるのかそれともあっさり死ぬのか…
最初は少年ポジで死後に宇宙警察や宇宙警備隊、聖勇者やダイノガイスト様のようなエネルギー生命体になってロボポジ
・・・一粒で二度美味しい(゚Д゚ )ウマー
ドレッドのノートに乗り移るのかwww
自縛霊じゃねーかw
実際、原作でもフォースと一体化してるからな>プレア
ダイノガイスト様といい勝負と言うか
蹂躙にならずに終われそうだしカナードもだけど傭兵のサーペントテールかな
お宝の争奪とか防衛を依頼されてダイノ様と勝負とかで破壊せずにすむし
急にガイ「人それを勇気と言う!」「お前に名乗る名前はない!」とか言い出すのはナシナ
それ凱兄ちゃんちゃう
ロム兄さんや!
それに凱兄ちゃんはそんなセリフは言わんと思う
ストレートな言葉が勇者クオリティ
今のダイマガイスト様ならマイナス思念と呼ぶものの尊さ素晴らしさを知ってるので無問題
あと三十分くらいで投下してもよいでしょう?
原作の一話に突入しようと思いましたが、皆さんの発言を見ていて、ちょっと間を置こうと思ったので原作本編突入前になります。
一か八かの賭けをしておきました。読まれたあと、よろしかったらありかなしかご意見ください。
すみません。
>>263 の『投下してもよいでしょう?』は『投下してもよいでしょうか?』でした。恥ずかしい……。
投下しますね。短めです。
『子連れダイノガイスト』 第一話 クルクルシュピンとガイスター
時に宇宙世紀0079――もといC.E.73年。地球と宇宙を騒がせる無法集団『宇宙海賊ガイスター』の活動が、地球圏に置いて最も活発になりはじめた時期とされている。
『宇宙』海賊と名乗ってはいるものの、実際彼らの活動範囲のほとんどは地球に留まっていた。これは人類の歴史のほとんどが地球上において築かれてきたものであり、その文明と社会の中で『宝』とされたモノが、やはり地球に多かった為である。
彼らガイスターの活動拠点は地球や宇宙の各所にあるとも、そもそも持ってはおらず常に移動し続けているなどの諸説が挙げられたが、その答えを得た者はいないままであった。
マユとシンを乗せたディンは悠悠と空を飛び、目に痛いほど鮮やかな青い海の中に浮かぶ孤島へと降り立った。長い年月で、風と波によってアーチ型に削られた岩盤の、幅四十メートル、高さ二十メートルほどの門をくぐる。
ざぶざぶとディンの脛の辺りまで海の中に沈めて歩き、白く細やかな砂浜に上陸し、ディンに膝をつかせてから二人はラダーを使って降りた。円形に抉れている窪地には簡単な造りの丸太小屋がぽつねんと建っている。
すっかり日の灯りが落ち、闇夜に冴え冴えと降り注ぐ月の光を頼りに、二人は小屋では無く岩壁に偽装した地下格納庫への入り口を開ける。分子密度の調整で本物の岩と同じ厚みと感触を持たせたホログラフが、密度を緩め、二人の通過を許可する。
すぐさま無音エレベーターで降下し、ガイスターの首領ダイノガイストが待つ格納庫へと向かう。いかんせん30メートル台のお体の持ち主である為に、人間のマユ達に比べて居場所を用意するのも一苦労である。
ほどなく、一辺100メートル、高さ50メートルほどの広大な空間に出る。その中央寄りに設えられた武骨な造りの玉座に、漆黒の暴竜が座していた。恐竜型の体に合わせられている為、多少人間用に比べて歪な玉座である。
格納庫は発光物質を含んでいるのか、照明か壁、床に照明は無くとも十分な光量が得られ、マユとシンの目にも優しい白い光が満ち満ちている。あんまりダイノガイストに似合った灯りではないのが玉に瑕である。
ダイノガイストの姿を見つけ、たちまち笑顔になったマユが小走りにその巨体に駆け寄る。手に持った堤の右手で高く掲げる。
「ただいまダイノガイスト様! とってきたよ、お宝!」
『うむ。ご苦労だったな』
ダイノガイストも重々しく頷き、労わりの響きを含んだ声で二人の苦労をねぎらった。かつての傷だらけ、特にオーブでの戦闘で九割――機体中枢まで破壊されかけた体は、一年以上を経た現在、傷一つなく、ピカピカに磨き上げられている。
白く煌く黒い装甲に笑顔のマユの姿が映る位だ。
一方のシンはやれやれ、と肩を叩きながらダイノガイストの方へ向かうマユを追った。
本来のガイスターの面々と比べてあまりにもサイズが小さいマユ達用に合わせた椅子とテーブルが、昇り降りの為のエスカレーターと足場を備え付けて地上十メートルの高みにそれぞれ置いてある。
かつてオーブ戦を斬り抜け、凄まじい戦果を上げたダイノガイストは、その足でマユ達の元には戻らずしばし傷を癒す為に潜伏し、その後宇宙に上がったという。
その後ヤキン・ドゥーエの攻防戦にも参加し、地球連合、ザフト、三隻同盟と呼ばれた者達とそれぞれ交戦し、三軍合わせて一個艦隊相当の被害を与えたという。マユ達の所に戻るのが遅れたのはその時に更に手傷を負った為だという。
何故ダイノガイストが宇宙に挙がったのかは、シンとマユがいくら口を酸っぱくしても教えてはくれなかったが、その実は、シン達から両親を奪ったMS――フリーダムを追っての事だった。
いわば敵討の為であったのだが、それをダイノガイストは口にする事を良しとしなかった。シンとマユ達も、待たされはしたものの、きちんと帰ってきてくれたダイノガイストを詰問する気にもならなかったので、追及する事をその内に忘れた。
仇として追ったフリーダムやジャスティス、ジェネシスや核ミサイルを巡る第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦において、ダイノガイストはいくつか拾いものをした。
その拾いものが、ダイノガイストとは別にシンとマユを迎える。
「やあ、御苦労だったね。まずはかけたまえ」
「二人とも怪我はしていないか?」
ダイノガイストの拾いものは、人間――しかも二人だった。目元を覆うサングラスで顔を隠した波打つ金髪の男と、紫がかった紺色のショートカットの髪に、首筋から左の眼元にまで走る火傷をした女性である。
ヤキン・ドゥーエ戦のどさくさに紛れて、ダイノガイストが今後のC.E.地球での活動に役に立つと判断し、命を救ったのだという。
ザフトの白い軍服を改造したロングコートを着込んでいる男はアルダ、連合軍の軍服を着て軍帽を目深に被っている女性は『艦長』と呼ばれていた。
ダイノガイストの目線に合わせて、地上十メートルの所に設置された特大サイズのテーブルの上に、昇降用のエスカレーターで上がり、二人の為に空けられた椅子に腰かけた。
それからテーブルの上に今回のお宝を置いた。ただの布の包みから零れた輝きに、アルダがほう、と溜息をついた。厭世的な所のある男もそれなりに感嘆したらしい。
マユとシンが今回奪ってきたのは、スミソニアン博物館から好事家が買い取った呪われたダイヤモンド――ホープ・ダイヤモンドだった。
十五世紀にインドのゴルゴンダで採掘されたホープ・ダイヤモンドは原石112.5カラットであり、現在は3分の1の44.5カラットしかない。
ヒンドゥー教の寺院に献納された後、1622年にフランスの宝石商ジャン・バプディスト・タバニエールの手に渡る。タバニエールはこれをフランス国王ルイ十四世に売りつけた後、ロシア旅行中に狼に食い殺された。
不幸な結末を迎えたタバニエールとは違い、太陽王と呼ばれたルイ十四世は72年の在位を全うし、このダイヤモンドを孫のルイ十六世に譲ったのだが……。
十六世とその妻マリー・アントワネットの結末は誰でも知っているだろう。ギロチンで首と胴が別々になったのだ。
その後ダイヤは1792年に王家の宝物庫から姿を消し、以後38年間行方不明になったのだがベルギー人のファールスがロンドンで競売にかけた。ファールスはその後原因不明の自殺を迎える。
ファールスの前にダイヤを買い取ったのが銀行家ヘンリー・フィリップ・ホープであったが、ホープ・ダイヤモンドが呪われたダイヤモンドと恐れられるのは、ひとえにこの一族に降りかかった不幸の凄まじさに由来する。
それだけにとどまらずホープ家から転々としたダイヤの持ち主たち――フランスの美術商、ギリシャの投資家、カトニフスキーというロシア貴族たちは全員自殺している。
それらの犠牲の後にシリアの商人モンサライズが入手し、トルコ皇帝アブドル・ハミット三世に売りつけた。
だが、モンサライズは代金四十万ドルを使う暇も無く、商談成立の翌週には女房子供と共に新車で出かけた先で崖から落ち、全員死亡の憂き目にあっている。
トルコ皇帝の方は1909年の革命で国外追放され、ダイヤは革命軍の手を通じてパリの宝石商ピエール・カルティエの手に渡る。
幸い、カルティエはダイヤの呪いが降りかかるよりも早く、ワシントン・ポストなどを支配する当時の新聞王エド・マクリーンの妻エバ・マクリーンに売却した。
マクリーン家はダイヤの呪いなど無いと公表した者の、実際には数々の不幸に見舞われて1947年にエバ・マクリーンが死去した際に他の宝石諸共ニューヨークの有名な宝石商ハリー・ウィンストンに引き取られた。
その後11年間ハリーは生命保険にも入れない生活を送ったものの、さしたる不幸には見舞われず、スミソニアン博物館にタダで寄贈した。
それから幾世紀を経て、あのまんまるい金持ちA氏の手に渡っていた。その果てに今回ガイスターの面々の手に渡ったわけである。
呪われたダイヤは、その輝きに覗きこむアルダと艦長、ダイノガイストの顔を映していた。シンとマユは活動当初の頃は失敗もあったが、今では成功するのが当たり前、と言うくらい上手くいくようになっていた。このダイヤもそれを証明している。
アルダが、白い手袋をはめた指を顎に添えた。サングラスで隠れた顔は二流の俳優位にならすぐなれる程度には整っている。
「では予定通りこのダイヤモンドは彼に引き取ってもらうとしよう」
「もう? もうちょっと見ていたいなあ、こんなにきれいなのに」
ホープ・ダイヤモンドの呪われた歴史を気にしないマユの無邪気な発言は、アルダの口元に微笑を刻んでいた。裏は無さそうだ。
「残念な気持ちは分かるが、これは下手をすれば握った手だけではなく全身を火傷しかねない代物だ。見るだけで止めておきたまえ」
「はーい」
とマユ。ここら辺の素直さは宇宙海賊になっても変わらないようだ。
「今日は疲れただろう。休むと良い」
柔和な艦長の勧めに従って、シンとマユはそのまま自分達用の個室に戻る事にした。いくらコーディネイターといえども、十歳前後のマユには負担が大きい。
後を尾けられないよう繊細に注意を払って、ここまで操縦してきたシンもなんだかんだで疲れていたので、これを受け入れる。
二人に続いて艦長も、食事の用意が出来ているぞ、と言いながら格納庫を後にした。普段は規律遵守の気まじめなお固い性格なのだが、子供であるマユとシンには、とくにマユには優しい。
三人が姿を消してから、アルダがダイノガイストを振り返った。
「二人とも良く働いてくれるな」
『うむ』
これは本心からの返事である。身寄りの無くなってしまったシンとマユを引き取り、ガイスターのメンバーに加えたものの、流石にここまで見事に働くとはダイノガイストの思慮の外の結果だった。
「それでボス、次の目標は決まっているので?」
『ああ。次はコレだ』
とダイノガイストの爪の一つが、正面にあるモニターに向けられて、そこに次のターゲットが映し出される。ダイノガイストは、自分が拾い、『命』を救ってやった男に答えを示した。
「家宝を守ってくれ? それが今回の依頼なのか、リード」
銀の髪だけでなくその顔立ちまでが美しい青年が、目の前の酒臭い男に聞いた。今も酒瓶片手の男は、赤らんだ顔のままで青年――イライジャに、おうと頷く。地球のとある国にあるホテルの最高級スイートルームの中での事だ。
この二人の他に褐色の肌に黒髪をポニーテールにした女性と、宇宙育ちの為にややひょろっとした印象を受ける聡明そうな女の子、それに色入りのサングラスをかけた東洋系の顔立ちをした二十代半ばほどの青年が一人いる。
女の子とザフトの緑の軍服を着たイライジャ以外は皆地球連合の軍服に手を加えたモノを身に付けていた。
普段はここに活動するが、依頼によっては集結し共同でミッションに当たる傭兵――サーペントテールのメンバー全員だ。青年がリーダーである叢雲劾、女性がロレッタ、女の子がロレッタの娘風花という名だ。
この時代でもっとも名の知れた最強の傭兵がサーペントテールであり、劾はこれまでこなしてきた依頼の過酷さと優れた戦闘能力から最高のコーディネイター――つまり最強のMSパイロットとの評判も高い。
「ああ、なんでも予告状が届いたそうだ。三日後の12時、家宝である『ヴァルデマール金貨』を頂くってな」
「ヴァルデマール金貨?」
首を捻るイライジャに、続けてリードが不出来な生徒によく聞かせる教師みたいに、教えた。といってもここにいるリード以外のメンバーは、イライジャ同様にヴァルデマール金貨ってなんだ? なのだが。
「1705年にアフリカの東海岸にあったヴァルデンて小国が鋳造した金貨さ。鋳造中に隣国に攻め滅ぼされた所為で14枚しかできなかった。今世にあるのは三分の一以下の4枚って話だ。依頼人のはその一枚らしいな」
「へえ、価値のあるモノなのか」
「値は付けられないな。国が買えてもおかしくはないって話だ。まあ、おれはタダでももらいたかないがね」
「なんでだ? リードならその金であの世に行っても飲み切れないくらい酒を買いこみそうだけどな」
「ジュリアス・シーザー、クレオパトラ、楊貴妃、織田信長、ナポレオン・ボナパルト、マリー・アントワネット、そしてアドルフ・ヒトラー……。
全員名前とその結末くらいは知っているよな? おれは彼らの二の舞はごめんだね。死ぬなら酒瓶に囲まれて死ぬと決めているんだ」
「リードがいらないっていう意味が分かったよ」
肩を竦めるイライジャによろしい、とリードは頷いて答える。まあ、歴史に名を残せる男にはなれるかもしれないが、イライジャもそんなのはお断りだ。今の傭兵稼業が性に合っているし、自分はそう言うタイプではないと自覚している。
ここで風花がんん? と疑問の声を挙げてリードに質問した。今度の生徒は風花だ。
「でもなんで傭兵を、しかもあたしたちを雇うの? MSを使った強盗団が相手なのかしら? そんな貴重な金貨を持っているお金持ちなら、MS込みで傭兵をたくさん雇えるでしょう?」
「今回の金貨の持ち主はよほどの強運の持ち主だったらしいが、今度の予告でそれも尽きたらしい」
「勿体ぶるなよ」
「……ガイスター、か」
イライジャと風花に答えを示したのはこれまで沈黙を守っていた劾だ。椅子の背もたれに体重を預けながら、リードの言葉からこれまで一度も戦った事の無い宇宙海賊の名を口に出した。
「ガイスターって、あの地球でばかり活動して居て、全然『宇宙』海賊じゃない宇宙海賊か?」
「そう、そのガイスターだ。あのダイノガイストとかいう巨大MSを持っている連中だ。おれの調べたところ、雇い主の方もそのダイノガイストを警戒して傭兵を二十人近く雇ったみたいだがどこまでやれるかね。
ヤキン・ドゥーエじゃ正規軍を相手に大暴れしたって言うじゃないか。所詮兵士崩れや素人モドキの傭兵連中だ。劾とおまけでイライジャも例外だが、二人が加わってもあんまり変わらんかも知れん」
リードの言葉は控えめな発言とは言えなかった。これまでに知られているダイノガイストの所業が話半分としても、入念な準備なしに戦うには手強く、またあえて戦うにはリスクが大きすぎる相手だ。
「どうする 劾?」
決めるのは劾、と暗黙のうちに決められた決まりに従い、イライジャが答えを求めた。果たして劾の答えは……?
「ヴァルデマール金貨? それが次の目標なの?」
『そうだ。予告状は既に出しておいた。三日後の十二時に頂く』
尚怪盗に相応しい夜の晩ではなく、お陽さまがぽかぽかと暖かいお昼時を選んだのは、成長期のマユに夜更かしさせない為である。夜更かしは美貌の天敵なのである。
元々予告状などは出さずにお宝を頂いていたのだが、最近たまに予告状を出す事がある。というのも旧世紀の漫画を読み漁っていたマユが、『キャッ○アイ』なる美人三姉妹怪盗の話を見て、自分達もやろうと言い出したからである。
まあ、いいんじゃない? 妹に弱いシンの言葉を筆頭に、これといって反対意見も出なかった為、三回に一回くらいは出している。
「今度もマユとお兄ちゃんで行けばいいの?」
「いや、今回は予告状の甲斐もあって向こうもMSで守りを固めているらしいのでね。我々も船で同行する」
とこれはアルダだった。ダイノガイストも頷き、すぐに出発するから所定の位置に着くよう言い渡される。言われた通り環境に向かったシンとマユは、一段高い艦長席の左右にある自分達の席に腰を下ろす。
アルダが艦長席横のオブザーバーシートに収まる。その反対側には下半身をコンソールに埋めたテレビロボがいる。この船の運用のほとんどはこのテレビロボのサポートありきだ。
テレビロボの画面で船に問題を確認した艦長が、厳かに出港を命じた。
「離水と同時にメインロケットエンジン点火、サンダルフォン、発進!」
南海の孤島の海底に眠っていた巨大な船体が、ゆっくりと海面を押し上げて黒い船が姿を見せる。特徴的な前方の突きでた二つの蹄鉄の様な船体は、不沈艦として知られたアークエンジェルの姉妹艦『ドミニオン』のもの。
その船尾にはアガメムノン級戦闘空母の後ろ半分がくっつき、アガメムノン級の両舷には船底部を向けたドレイク級二隻が、横半分にされた上部分がくっついている。それ以外にも船体各所に様々な勢力の艦船やMA、MSがめちゃくちゃに突き出ている。
ダイノガイストがヤキン・ドゥーエ宙域でした『拾いもの』に、少数量産したエネルギーボックスを用い、撃沈した戦艦を継ぎ接ぎにしたのが、このサンダルフォンだった。
フランス語で継ぎ接ぎを意味する『ラピエサージュ』とでも呼ぶべきだったかもしれない。
かつてドミニオンの艦長席に座り、ダイノガイストにアルダ同様拾われた『艦長』は、数奇な運命に翻弄されながらも、かつてと変わらない凛とした視線を正面モニターの向こうに向けていた。
その名前をある者達は驚きと共に呼ぶだろう。ナタル――と。
以上で終わりです。シンの出番が少ないものですなあ……。まあいいか、主人公じゃないし。
乙ー
アルダ……ヘルメットが浮いていた人なのかそれとも……。
むしろナタルの生存にGJを送りたいと思いました!
GJです。
ナタルさんが生きているとはしかもマユたちと一緒だなんて。
種における数少ないまともな常識を持った大人が側にいるならマユたちの心配はいらないな。
これはwktkせざる得ない
ダイノ様はCEでも変わらずだな!
まぁこの作品の主人公はダイノ様とマユだからしょうがないぜ、シン
この時期にヤキンで散った金髪の二人の内勇者シリーズに出たことのない方が来ましたか。
艦長さんもそうですがキャラとしても中の人を使ったネタを引っ張ってきても申し分ない人選ですな。
『命』を救ってやった、とはずいぶん含みのあるw
ナタルもダイノ様と共にいるとは、展開に凄くwktkしてきました!
GJ!
ありありありあり
妄想に応えてくれる職人にGJ!
えっと、アルダて。その口調に容姿にサングラスは……まさか!?
大丈夫かそんなもの拾って!?
ともあれGJでした!これは続きが楽しみだ……というかヤキンでの大暴れの詳細も知りたくなってきますねw
矢張りというか、こっちは雰囲気がよりエイリアンシリーズのノリだw
ちょい役でダイ・ヤガシラとかユキ・ダザイとか出てきてもおかしくないw
新生ガイスターズの新たなる力
金髪のアルダさんの駆る既存のMSをベースに赤鬼をイメージして創り上げた戦闘兵器レッドガイスト
・・・ってのはさすがにいろんな意味で違いますね
総帥、お疲れ様です。ああ、いいなぁ、今作は実に宝物ネタの多いこと。
話に味が出ますね。こういうものを使うと。
秘密基地はどうやって作ったんだろうなぁ。やっぱダイノガイスト様が
えっちらおっちらやったんだろうか。
とはいえ、食事だの生活用品だのは流石に作れないだろうし、
他にもスタッフがいるんだろうな。今回のポープダイヤの買取主とか。
買うのか?
次回まってまーっす。
GJです。ダイノガイスト様は実に魅力的だ。
しっかし、仇として追い回されたフリーダムとジャスティスは相当ビビッただろうなぁ。w
キラに新たなトラウマがまたひとつだな
トラウマが刻まれた代わりにまともになってるいいなぁ
そしてアスランは正史よりもストレスで髪が後退したわけだなw
GJ
なんかダイノガイスト様とシンは何だかんだで親友になるんじゃないか?
と思ったら
ダイノガイスト様とシンが殴り合って
「あんたにならマユを任せてもいい。絶対幸せにしろよ」
というのが浮かんだ。
……なんでだorz
>>282 ガードウイング「ウェイト差がありすぎる」
ダイノガイスト様と生身で殴り合える人間なんてサイヤ人ぐらいしかいないだろw
285 :
通常の名無しさんの3倍:2008/06/14(土) 00:36:49 ID:6gByEKny
>>284 噂を聞きつけてやってきたフリーザ一堂が
「ちなみに私の戦闘力は250000です。
ですが、フルパワーで戦うつもりはありませんからご心配なく。」
とか見栄張って全滅の憂き目に遭うのですね。わかります。
ホープダイヤにヴァルデマール金貨
不幸を呼ぶマイナスエネルギーに満ち溢れたアイテムを求めるお方は唯一人
あのお方しかいない…
ドライアス様
ダイノ様が人間型にマイクローン化するか、マユがトランスフォーム的な改造を受ければ問題ない
勇者的に考えると
1.ダイノガイスト様用アンドロイドボディを製作(火鳥兄ちゃん方式)
2.融合合体(ダグオン方式)
ということだな!
……まあダイノ様、マユを娘扱いしかしなさそうな気もするが。
>>288 シン「親父!」
マユ「お父さん!」
父親になったダイノ様こうですか、わかりません!
>「ガイスターって、あの地球でばかり活動して居て、全然『宇宙』海賊じゃない宇宙海賊か?」
何故かワロタw やってる事は原作と変わりないはずなんだけどなー。
>>291 実は原作でも、当初は地球人の認識では謎の恐竜ロボ軍団。
「ガイスター」という名称が判明」したのは、アイドルの回にてエクスカイザーがテレビ放送を利用して
ダイノガイストに「絶対に捕まえてやるから覚悟しやがれ!(意訳)」 という宣言をしたからだし。
マジでお宝以外には興味なかったんだよな、ガイスター。
お宝以外興味がないって逆に清清しいよな
そういえば、エクスカイザーが人間換算で二十歳らしいですが、ガイスターの面々は何歳くらいなんですかね?
公式の設定があるのかは知らないのですが、
>>288 を読んでいて、ふと人間の姿になったらどんな顔してんのかな? と思ってみたり。
個人的にはダイノガイストが、三十代半ば〜四十代はじめごろの、顎鬚を生やした筋骨隆々の男性でイメージしてます。
エクスカイザーの年齢を考えると、もっと若いでしょうかね?
>>226 ……ドライアスとダイノガイストで合体でもさせてみます? 合体後の名前は……なんだろう?
ダイノ様は一見ダンディズムだが筋骨隆々で頼りがいのある親父肌
インディ・ジョーンズみたいな感じか?
エクスガインは人のいい好青年なイメージが
でも仕事はきっかりとやる
エクスガインじゃなくてエクスカイザーだった
中の人がリュウ・ホセイさんなだけに、
俺はいかにも盗賊然とした悪相の巨漢を連想する>擬人化ダイノ様
なんかハート様の服着た総帥ってのが頭に浮かんだ
マクレーンとバルトフェルド、ドリルボーイとクロトの絡みが見てみたいw
>>294 プテラガイストが30代で最年少らしい
聞いた話だから信憑性薄いけど
ダ・ガーン、エクスカイザー、ファイバードって同じ世界らしいんだけど・・・
オーボスとガイスターってすんげぇ仲悪そう
オーボスから見たガイスター
→無視できないロボ勢力の癖に自分の軍門にいない
ガイスターから見たオーボス
→色んなお宝を生み出しうる惑星文明を破壊して回って迷惑この上ない
確かに仲は悪そうだな……
そう言えばCEガンダムの特徴のPS装甲は、実体兵器を無効化してビームには弱いって設定だけど
勇者シリーズってビームより強い実体攻撃バカスカ出てるよな……
特に勇者ロボの必殺斬り系はエネルギー纏った実体攻撃だしな。
つかいくら核エンジン積もうが展開分のエネルギーを上回る攻撃ぶつけて
局所的にPSダウン起こせば攻撃通るだろうし。ドリルで貫きゃいいんだよ。
ガガガに至っては光に還すしマイク13のソリトンなんて防御をしてもオーバーキルだな
相手も魔改造でもしないと勇者シリーズの主役ロボと満足に戦えんな
数で補うか?
機界新種化したラクスをキラがストライクで助けだしたら俺、種好きになるかも
スーパーロボット中でも勇者シリーズは話数とかにによって攻撃力上下しそうなイメージ
ご先祖さまのTFにいたっては木で銃撃防いでたりしたからなぁ
必殺技以外なら以外とどっこいどっこいな気がしないでもない
AI積み込みは無理なので他GAT機の手足を使うんだな?
頭と胴体ストライク、右腕ブリッツ、左腕イージス、右足デュエル、左足バスターとか
ゾヌーダ化はフレイだろう、ヒロイン的に考えて…
何か投下場所が分からなくて放置した勇者ネタがあった。
適当に書いてぐちゃぐちゃなやつだけど、勿体無いから投下しとく。
・文才なし
・何かみんな居る
・色々混ざってる
・時間軸無視
気に入らなかったりこういうの嫌いだったらスルーしてくれ
312 :
1/2:2008/06/17(火) 01:10:22 ID:???
某月某1日
そういえばアレがないよな?
と思いつきをレイに言ったら、近くにいたヨウランやヴィーノ、
なぜかマッドさんまでノリノリで乗ってきた。
そのまま話してたらそこに通りがかった(タイミング良すぎw仕事してんのか?)議長のあっさりOK
うはwwwwマヂかよwwww魔改造フラグktkrw
言ってみるもんだなw
――ってマッドさんはえぇ! いつもの五倍はイイ仕事してる! 超頑張ってる!
つーか整備班全員イキイキしすぎ!
何か明日にはできるとか言ってるし
どんだけ魔改造に飢えてるんだよw
313 :
2/2:2008/06/17(火) 01:11:05 ID:???
――翌日――
ミネルバ格納庫
アス「あああああああああああああああああああっ!!!!!??!」
シン「どうしたんですか? 隊長」
アス「どうしたもこうしたもないっ! なんで俺のセイバーに
ド リ ル が つ い て る ?
オイ、頼む! さっさとドリルを外してくれ!」
シン「ああ、パワーアップ計画って言ってましたよ? あとロマンとか。外すんですか?」
アス「ロマン?」
シン「はい、本当は頭に付けたかったみたいですけど、人類の危機になりそうでやめたとか。
その代わりにMA形態の機首に付けたって聞きましたよ。ちなみに変形すると展開して胸にドリルが……」
アス「なっ……いや、ちょっと待て。一体誰がこんな許可を出したんだ」
シン「議長ですよ? なんか面白そうだからって」
アス「……何でセイバー?」
シン「インパルスは合体であって変形じゃないし、ザクも変形しないから。それに……」
アス「――それに?」
シン「あんたどうせ自爆するんだからいいじゃないですか。
さっさと中ボスに特攻自爆して最終回まで出てこないでくださいよ。」
アス「おまっっ!!」
レイ「隊長、ここにいたんですか」
シン「どうしたんだ? レイ」
レイ「シン、この計画は一旦白紙に戻すそうだ。重大な欠点が見つかった」
アス「重大な欠点だと?」
レイ「はい、ただ戦闘には問題ないうえに、今すぐどうこうという話ではないので、
戻す準備が整うまでこれで出撃して欲しいということです」
アス「……本当に問題ないのか? 重大な欠点だというのに……とりあえずチェックを(ぶつぶつ)」
シン「(こそこそ)レイ、欠点ってなんだ?」
レイ「(ひそひそ)実はな、作って譲渡した…この場合は議長だが……に突っ込んでくる恐れがある」
シン「あー……そういうことか」
レイ「そうだ。だからこのデータは某所に流して正義に付けてもらうとギルが言っていた。」
シン「なるほど」
アス「武装がサッカーボール一つとはどういうことだあああああああああああああああ!!」
ギ長ならやりかねないイメージがあるなw
ともあれGJ
この場合クロトだろ中の人的に
運命の胸に何故かライオンの顔が付いてたりするのか
寧ろ鳥やユニコーンのエンブレムかドラゴンの顔だろう
羽的な意味で
運命素体に勇者ロボ作成って面白そうだな
でかい剣(アロンダイト)持ってるからエネルギー的な何かを纏わせて必殺剣
パルマの二つをあわせて天国&地獄
MSから別の人型ロボにチェンジ!
人型から人型って変形とは言わんだろw
装甲キャストオフかリューナイトみたいに進化するのか?
ダブルパンチとかカウンターパンチとか
トランスフォーマーにいたな
上下や前後がひっくり帰るってのは少なくないよね
あとはゲッターやタイムロボみたいに合体の順列組み合わせとか
プリテンダー形式で
キラの中から勇者ロボが出て来ると………………………
>>322 >ゲッターやタイムロボみたいに合体の順列組み合わせとか
つ セイバーヴァリオン
…勇者扱いじゃないけど
>317
運命とかにカイザーズが乗り移るのかと思った
ジェイデッカー終盤に登場した、自称銀河警察のハイジャス人がCEの世界を見たら、
問答無用で精神浄化しそうだな。
上下や前後がひっくり返るってゆーと、勇者シリーズではないが『ガラット』だな。
合体の順序組み合わせで思いつくのが、自分の場合『アルベガス』だ。
タカラな上下入れ替え合体ならTFスーパーリンクに出てきた奴の大半がそうだったような
ひっくり返るタイプなら凱号つながりでベターマンのニューロノイドとかもあるね
種世界で剣が必殺武器な巨大合体ロボといったらエターナルロボだろ
「みんな! いくよ!!」
「ああ!」
「承知しましたわ!」
「不可能を可能にしようぜ!」
「わかったわ!」
『究極合体!!』
エターナルにある二ヶ所のハッチが開きそれぞれにストライクフリーダムとインフィニティットジャスティスが収容される。
ハッチが閉じると同時にそれぞれの機体を固定具が覆い、ケーブルが繋がっていく。
固定と接続が完了し、二機と一隻のエネルギーが一つになったその時、エターナルの表面を光が走る。
そして光が末端まで達したとき、変形が始まった。
艦首が分離し、さらに中央で分割され腕となる。
残された船体は上部と下部にアタッチメントが現れ待機している。
エターナルの変形が始まった頃、アークエンジェルでも同様に合体の準備が進められていた。
アカツキが前部の脚の中央部分に格納され、固定、接続される。
「アカツキの固定確認!接続終了!問題ありません!」
「合体シークエンス、第二フェーズへ移項!船体分離開始!」
「了解!」
アークエンジェルの艦橋の前あたりで分離が始まった。
足つきの名の由来となった前部はその名の通りに脚へと変形していく。
艦橋のある後部は胸部へ変形した。
二隻の変形が完了し、バラバラになったパーツ達が動き始める。
エターナルの下部に脚部が接続され、その上部には胸部となったアークエンジェルが接続される。
そして分離していた腕部が胸部に接続され、それは完成した。
『完成!エターナルロボ!!』
「このスーパーミーティアソードで世界の未来を切り開く!!」
続きません
エターナルロボ
たねきゃら4コマに登場するラクスの最終兵器
AA・エターナル・ミネルバ・ガーティルーが合体変形することで完成する
必殺技は絶対無敵ソードによる「完全平和斬り」で、その威力は落下してきたコロニーを跡形もなく消滅させるほどである
なんていうジェネラルガンダム?
敵機体だけどイージスのMA形態は出せそうだな、なんか腕パーツにもなりそうだし
初期GATよりも三馬鹿の後期GATのほうが綺麗に合体しそう。
そして盟主王のメイライオンとファイナルフュージョンですねわかります
でも主役級ばかりじゃなくて量産の合体も見てみたいな
ザクレロもどきって合体とかに向きそうじゃね
00のヴァーチェみたいな体型のガンダムがいたら、速攻で足役決定なんだけどなぁ
デストロイMA形態が下半身
ザムザザーが上半身になればできる!
23時頃に投下させてください。
合体候補は、ザムザザー、ゲルズゲー、デストロイ、ユークリッド、ペルグランテあたりですかね?
よろしい、ならば支援だ
>>337 デストロイ=下半身 ザムザザー=上半身 隠者=右腕 自由+暁=左腕 天帝=背中 運命=頭
という蝶合体を妄想した
『子連れダイノガイスト』 第二話 お仕事の時間だよ
――撃てぇーーーー!! マリュー・ラミアス!!!
あの優しい艦長がよくも決断できたものだと、その時ナタルは、迫りくる陽電子破城鎚『ローエングリン』の輝きを見つめながら思ったものだ。自分でも死微笑を浮かべているのが分かるほど、安らかな気持ちのまま。
これでいいのだ。軍人としての在り方を求めるあまりに、過ちを犯してしまった自分は、この争いに満ちた世界を生む要因となった男と共に、広い宇宙の中で繰り広げられる狭い世界での争いの中で命を落とす。それでいいのだ、と。
だが、何者かがナタルの命運がそこで尽きる事を許さなかった。生き恥を晒させるためか、それとも犯した過ちを償わせるためなのか。それは今もナタルには分からない。
この闇から死出の旅路へ向かうのか、と感傷めいたらしくない思いを抱いたのは、ぼんやりとする意識のまま開いた瞳に移ったのが、薄暗闇に閉ざされた世界だったからだ。罪を犯した自分が行くには相応しい、救いの光が射さぬ場所と思えた。
だから、その声が聞こえて来た時、自分が落ちた地獄からの責苦の担い手のものだと思った。
「どうやら、目を覚ましたようだな」
まだ若い人間の声だ。信じた事も無いあの世とやらの住人は人間とあまり変わらないらしい。そんな感慨を覚える余裕がある事が、ナタルには可笑しかった。
声に出ていたらしく、小人の笑い声にも似た小さな声を、若い男は聞き取ったらしかった。
「まだ意識は明瞭としていないようだが、安心したまえ。君はまだ生きているのだよ」
「なん、だと? 私が、生きている?」
「そうだとも。もっとも、その口調ではあまり嬉しくはなさそうだがね」
ナタルの驚きを揶揄する男の声は、ひどく耳障りだった。こいつはよほど根性がねじ曲がっているに違いない。なにか硬質の手術台か床に寝かされているらしい体を起こし、電流の様に走る痛みに眉を顰める。
自分が生きている。ひどく性質の悪い冗談としか思えなかった。戦艦の武装としては最強に位置するローエングリンの直撃を受けたのだ。
地球圏の如何なる技術がそれの直撃を防ぎうると言うのだ。まあ、たかがMSのアンチビームシールド一枚がやってのけたけれど。
どうやら裸にされていたらしく、水準並みの乳房の上まで掛けられていたシーツがずり落ちるのを抑え、ナタルは瞳の焦点を結ぼうと何度か瞬きをした。薄暗闇のあちこちに白い照明灯が灯されている。
その白い光を浴びて、体を起こしたナタルと向かい合う位置に先程までの声の主がいた。金色のかすかに波打った髪を首筋を隠すまで伸ばし、眼元をすっぽりと覆うサングラスをかけていた。
男の身に付けている衣服が、ナタルが所属していた地球連合の敵であるザフトの軍服――を改造したものと認識すると、ようやくナタルの心の中に警戒の意識が働く。咄嗟に腰のホルスターに差し込んだ拳銃に手を伸ばした。
とその指が空を掴む。そうだ、自分は裸にされている。銃などあるはずがない。きり、と奥歯を強く噛み締める音が自分の口内に響いた。ずれ落ちそうになるシーツを右手で首まで引き上げ、せめて強い眼差しで男を睨んだ。
くくっと、喉の奥で男が笑った。ナタルの意志を見透かしどこまで嘲笑っているかの様でより一層不快さが掻き立てられる。
「そう警戒しなくても良いだろう? 君も私もこの宇宙で数えるほどしかいない同類と成り果てたのだからね」
「何を言っている?」
「君も思ったろう? どうして自分が生きているのか? なぜ死んでいないのか、と?」
「……」
「私が君を同類と言ったのもそれが理由だよ。その疑問を抱いた事、抱かざるを得ない状況にされてしまった事。そして、命を救われた事が、ね」
「命を救われた? 誰に?」
「さっきからいるだろう? 私の後ろに、だよ」
「誰も……」
それまでの冷淡と陰湿さを合わせた嘲笑を、どこか子供のいたずらめいたものに変えた男が、右手で自分の後ろを示した。天井から降り注ぎ、男を照らす白い光の向こうに広がる闇の中になにかが居る事を、男に言われてようやくナタルは理解した。
いや、分かってはいたのだ。だが、それが、よもや自分の生命を救うとは、そもそもどのような存在かさえ分からずにいた。それは、ヤキン・ドゥーエでさんざんに地球連合、ザフト、三隻同盟に苦渋を飲ませた、名前しか分からぬ暴虐の機神であった。
言葉の無いナタルを、ロボット形態のまま見下ろしていたダイノガイストが、やがて言葉を発したのは、それから数秒後の事だった。
「艦長? どうしたの?」
「ん? ああ、なんでもない。すまないな。少しぼうっとしていた」
「珍しい事もあるんだね。艦長がぼんやりしてる所なんて、マユ初めて見たよ」
くすくすと笑うマユに、少しはにかんだ笑みを向け、ナタルは『ナタル・バジルール』から、宇宙海賊ガイスターの母艦サンダルフォンの『艦長』に戻る。それから、自分の周りを見渡し、しみじみと溜息をついた。
あのダイノガイストに救われたとアルダに告げられた時、同時にダイノガイストが外宇宙から、地球を訪れたエイリアン、しかも宇宙海賊と実にSF的な存在であると告げられ、自分もガイスターの一員に加えると、拒絶を許さぬ事実を告げられた時は――
「一度は死んだ身だ。堕ちる所まで堕ちるのも相応しいかと思ったが、そうでもなかったかな」
「どうしたの艦長? どこか調子悪いの?」
「いや、今日もおいしく出来ているなと思っていただけだ」
「ホント? それならよかったぁ」
途端に不安げな表情からにぱっと輝く笑みに変わるマユに、好もしげな笑みを向けてからナタルはもう一度溜息をついた。サンダルフォンの後部アガメムノン級戦闘空母部分に設けられたダイニングルームだ。
南海の孤島の地下にあった秘密基地の一角には及ばぬが、それでも人間用に比べると途方も無く広いのは、利用者の中にダイノガイストの名前があるからだ。
この巨大な部屋を設ける理由になった当のダイノガイストは、専用の馬鹿でかいテーブルの上に乗せられた直径二十メートルほどの大皿の上の、インドマグロの丸焼きを器用に口の中に放り込んでいた。
その隣では作業用のワークローダーを操ってダイノガイストの為に、合成牛のステーキ三トン分とガーリックライス二トンをよそっていた。ダイノガイスト用以外の分は無論通常サイズだ。
ダイノガイストとは別に用意された大理石のテーブルの上には、マユ手製のチンジャオロースーや、ピーマンの肉詰、四川風五目炒め、フカヒレの姿煮、くりぬいたメロンに梅の酸味を付けたスッポンの煮凝りを詰めた冷製スープなどが所狭しと並んでいた。
「ショーユを取ってくれんかね?」
「はいよ」
とシンが醤油を上手く発音できないアルダに醤油の瓶を手渡し、アルダはありがとうと小さく言って手元の小皿にとったポテト餃子に垂らしてぱくりと食べた。それからすぐにむ、と眉を顰める。かけすぎたらしい。
アルダのサングラスの下に隠された表情の変化には視線の一つも送らず、シンは口の中の牡蠣の青蒸を良く噛みながらぼんやりと、ワークローダーで器用にダイノガイストの為に料理を取り分けるマユの姿を見つめていた。
今度は満足の行く量の醤油を魚肉餃子に着け、ちょっぴりご満悦のアルダがそのシンの様子に気付く。
「シン、あまり自分の妹を舐めるように見回すのは傍から見て気分の良いものではないのだがね」
「え? ああ。……あのさ、マユってあのワークローダーでダイノガイスト用の料理をつくるじゃないか」
「ふむ? そうだな。特大包丁と特大鍋と特大蒸し器その他調理道具をよくもまあ、あのワークローダーで操れるものだ」
「正直な話……おれだと出来ないんだよ。あの料理。ひょっとしたら、マユの方がMSの操縦は上手いんじゃないかなあ、と。となるとおれのいる意味ってなんなのかなあ、と」
「なるほど。自分の存在意義が危ういことに危機感を覚えたと言うわけか。自己の存在意義に対する懐疑の念と言うものは、君くらいの年ごろなら遅かれ早かれ、また大なり小なり誰もが抱くものだよ。そう気にする事も……」
当たり障りのない口調で、柄に似合わぬ説教でもしてやるかと、アルダが口を開いたのだが、別段答えが欲しかったわけではないシンはふと浮かんだ疑問を口にした。
「なあ、アルダは出来るのか? ワークローダーで料理。千切りとか微塵切りとかその他諸々」
「……」
アルダの口はぴたりと閉ざされた。シンに言われた事を自分に置き換えてみたのだ。シンにザフト仕込みのMS操縦技能を叩きこんだのはアルダであるが、その自分が――
鼻歌を歌いながら直径八メートル、高さ十メートルもある超巨大鍋をかきまわし、器用に掬いあげた直径一メートルのオタマの端は、神業的なワークローダーの操作で、必要最低限の力でもって調理者の唇に運ばれて味の品評を待つ。
アーマーシュナイダーを改造した刃渡り三メートルに及ぶ特大包丁が、軽快なリズムと共に特大培養した巨大野菜たちを切り刻み、刻み残しの一つも無く全く同じ細さで刻まれた野菜の山。
直径十メートルに及ぶフライパンを器用に振い、乗せた合成家畜の肉や巨大野菜の最も適切な温度に火を調整しつつ、炒め、茹で、蒸し、揚げて行く。一切の停滞が無い調理過程は、その全てが計算されつくした行為である事を意味している。
調理台の後ろの台に並べられた『ダイノガイスト様用』とマユが愛を込めて書いた大皿に、出来上がった料理が一切零れる事無く盛りつけられ、それには一流のシェフと芸術家の感性に基づく盛り方、飾り方の工夫も成される。
と、ここまでコンマ一秒ほどで想像したアルダは沈黙を伴侶に選んだ。
自分にもできそうにないな、とかなり本気で思ったからである。サングラスの男と兄の二人は、自分達の存在意義を意味の無い物にしているかもしれない、この恐るべき少女――マユ・アスカを複雑そうな瞳で見つめた。
とそんなマヌケな危機感に襲われている二人の事など知らず、マユは『大埜牙威州頭』と筆で書かれた特大湯呑に梅昆布茶を注いでいた。実に幸せそうなニッコニコの笑顔であった。
これこそが、宇宙でも一、二を争う宝なのかも知れないな、と艦長ことナタル。それからもう一度、ダイニングルームでもぐもぐと一仕事前の食事を勧めるガイスターの面々を見てから嘆息した。
まあ、こういう二度目の人生なら悪くも無いか、とそう思っていたのだ。
自動航行で進むサンダルフォンを、目標のヴァルデマール金貨の持ち主である金持ちB氏の屋敷まで百キロメートルの距離で留めた。
屋敷は都市の郊外にあり、実に百平方キロメートルにわたって近隣の土地が、ヴァルデマール金貨の持ち主の所有になっている。
その土地をそっくり囲う高さ七メートルの強化コンクリートの壁の内側ではm品種改良によって主人お言いつけを忠実に守る知性と、侵入者の喉笛に容赦なく喰らい着く獰猛さを付与されたドーベルマン、それに短機関銃を堂々と晒すガード達が埋め尽くしている。
それが従来の警備のし方なのだろうが、今回の場合はそれらをMSが代行していた。多くて四機ほどで大小のグループを作り、さんさんと太陽の輝く時刻を、やがて来る宇宙海賊迎撃の為に浪費していた。
やがて停止したサンダルフォンの旧ドミニオン蹄鉄部にある格納庫で、ジン・アサルトシュラウドにシンは搭乗した。
ノーマルのジンに、複数のスラスターやバーニア、マシンキャノンやグレネードを内蔵した追加装甲を装着したものだ。すでに前大戦時旧式化しつつあったジンも、アサルトシュラウドの装備によって後の量産機や高級機とも互角に近い性能を獲得している。
既に艦橋に戻った『艦長』が、目標の屋敷の周囲に展開したMSの姿を手元のコンソールで確認した。
「シン、MSの数は二十三機。ジンタイプが十二、ザウートが三、ストライクダガーが四、それにM1が三とブルーフレームがいる」
「二十三機、ってどこの軍隊? ていうかブルーフレームってあのサーペントテールじゃないか!? おれじゃ太刀打ちできないですよ!」
『安心したまえ。シン。今回は数が数だからな、私も出よう』
「アルダが? じゃあアレ使うのか?」
『いや、アレを出すまでも無いさ。今回はゲイツで出る』
シンのジンASが搭載されている右蹄鉄部とは反対の左側の格納庫の中で、出撃の用意を整えたアルダが、これまで相手にした事のない数と強敵に慌てるシンを宥める。
こちらはよほどの修羅場をくぐってきたのか、ダイノガイストを含めても八倍近い戦力差を屁とも思っていないらしい。
ダイノガイスト印のエイリアン・テクノロジーで強化された機体は、従来の純地球製MSを上回るスペックを誇る。シンには勝つ戦い方よりも生き残る戦い方を叩き込んであるから、まあ、圧倒的な数の不利もしばらくはなんとかなるだろう。
いざとなればダイノガイストという最高最強の切り札がある。アルダは、その身で知るダイノガイストの戦闘能力を正確に評価していた。
現行のMSでは最高の性能を誇る核動力MS――フリーダム、ジャスティス、プロヴィデンスそれぞれを単体でははるかに上回る力を持った化けものなのだ。
支援?
「さて、我らのボスが戦うにふさわしい敵か、試させてもらおうか? サーペントテール」
そうなる事が愉しみで仕方ないと、アルダの唇の両端は吊り上がり笑みを刻んだ。
「来たみたいだぞ、劾」
「ああ」
75mm重突撃銃を構えたイライジャのジンからの通信に、同じく迫りくる敵機の反応を捉えた劾が、静かな声で答える。鉄の強さに凪ひとつない湖面を思わせる静かな声であった。男なら、一度はこうなりたいと思う男の声だ。
劾の乗機は以前、連合の造り出した戦闘用コーディネイター『ソキウス』との戦いで大破したブルーフレームを、知り合いのジャンク屋の手によって改修したブルーフレームセカンドLだ。
イライジャのジンと肩を並べて背のバックパック兼実体剣兼実体弾とビームを撃ち分けるタクティカルアームズを地面に突き刺して待つ。
二人の目的は宇宙海賊ガイスターの首領と同じ名を持つダイノガイストだ(今の所地球人に、ダイノガイストという機体が同時にガイスターの首領である、という認識はない)。
それ以外の手合いならば、ここに集められた傭兵連中で足止め位は出来るだろう。レーダーレンジに入り込んだ数は二機。真正面から堂々と戦いを挑むつもりらしい。
「AS履きのジンにゲイツか。二人子供のメンバーがいるらしいけど、どっちも乗り込んできたのか?」
「あるいは、知られている以上の人員を抱えているか、それとも依頼人同様傭兵を雇ったかだ」
ほどなく、屋敷の間近の二人のはるか前方で、ガイスターのマークを左胸に描いたジンASとシグーが、待ち構える傭兵達と交戦し始めた。
ザフトの飛行用トランスポーターである“グゥル”から飛び降りたジンASが、両手に持った重突撃銃から75mm弾をばらまく。こちらを見上げていた黄色いジンとノーマルカラーのジンの頭部と首の辺りに着弾し、その二機がどうっと仰向けに倒れた。
脚部のスラスターをふかして柔らかく着地し、シンはモニターの端から端まで映る敵機の影に、うへえ、と気弱な声を出した。これまで何度かMSで戦闘をこなした事はあったがこれほどの戦力差は初めてだ。
それでもどこか余裕が見えるのは、これまでの宇宙海賊暮らしが並ならぬものであった事を告げている。良くも悪くも肝が太くなるような暮らしだったらしい。
ザフトのパイロットスーツを着こんだシンに、こちらはいつもの普段着姿のアルダが通信を繋げた。
『シン、無理はするなよ。サンダルフォンの援護も無いしな。今は派手に囮の役をすれば良いだけだ』
「分かってるよ。でも、うわ、人が話してる時に撃ってくんな!」
とシンの文句を言う声の後に重突撃銃の銃声が重なり、それが二十発を数えてからシンが通信に意識を戻した。
「でも、この上サーペントテールまでいるんだろ? 叢雲劾って、最強の傭兵って言うし、大丈夫なのかな?」
『なに、彼らが出てきたとしてもそれに勝つのが我々の目的ではない。いざとなればゴッドフリートやローエングリンでも撃ち込んでもらって撤退すればいい』
「そりゃまあ」
『それよりもマユの安全を祈ったらどうかね? 彼女の方がある意味危険な仕事をしなければならないのだからな』
「言われなくたって」
シンは、三機目のジンに両肩のマシンキャノンを撃ちかけて牽制しながら、一人別行動のマユの安否を祈った。
「始まった始まった」
と小高い丘でシンとアルダを迎撃する傭兵達の戦闘を眺めていたマユが零した。サンダルフォンから一人降り、足の爪先から首筋までをピッチリとしたタイツと装甲板で埋めた黒い戦闘服姿だ。
厚さ五ミリのタイツの中にMSも裸足で逃げ出す超精密な機械を内蔵し、着用者の肉体の保護と強化を行う特注の機械仕掛けの品だ。
網膜投影型の、コンタクトレンズの形をした情報ツールからシン達の状況を逐次把握し、マユは望遠モードにしたレンズ越しに屋敷をつぶさに観察する。
ダイノガイストか、あるいはシンとアルダによって傭兵達が一掃され、屋敷から金貨の持ち主が逃げ出した際にそれを追撃するのがマユの役割だった。
その役割を忠実に果たすべく観察していると、何やら慌ただしく屋敷の中からガードらしき黒服と、年配の老人が乗り込んだリムジンが走り出てきた。よほど急いでいるらしく、いきなりアクセル全開で大理石を敷き詰めた道を走破しだす。
「あれ? もう逃げ出しちゃってる。もう少し待つと思ったんだけどなあ」
と可愛らしく小首をかしげて、後を追わなくちゃと跨っていた鋼の愛馬の手綱を握る。マユが跨っているのは子供のおもちゃで見掛ける小さな二輪バイクだ。ただし表面は黒く塗られた鋼の艶を持っている。
支援
携帯用バイク――全高四七センチ、全長八〇センチ、重量二〇キロ。搭乗者に合わせて百分の一ミリ単位でシートとレバーが微細に角度を変え、風防を務める半楕円形のフードがスライドしてマユの目の前に展開する。
搭載された小型バッテリーによって時速八〇キロで三六時間の連続走行を可能とし、最大時速三二〇キロを誇るミニ・モンスターだ。バッテリーのみで稼働する為排気音や排煙が発生しない点も注目すべきだろう。
マユの体格に相応しい鋼の暴れ馬は、乗り手を時速七〇キロに引き込んで勢いよくモーターを回転させて発進する。
マユは、望遠モードのツールが告げる状況を理解し、やばっと声を洩らす。ヴァルデマール金貨の持ち主が逃げ出したのはガイスターの襲来もあるが、それとは別の賊に狙われたからであった。
しかもあの慌ただしい逃げっぷりからして、金貨を手に入れる寸前までいっているらしい。マユはハンドルを握りしめてミニバイクを時速二百キロに加速させた。
「駆けよ、トロンベェ!」
遊園地のジェットコースターにでも乗っているようなノリで、マユは独逸語で「竜巻」を意味する言葉を口にして、一気にリムジンとその護衛の車両と、それを追う一台のジープ目掛けてミニバイクの機首を巡らした。
ジープとリムジンの護衛車両との間で盛大な銃火が応酬されているのを見て、マユは右太もものホルスターに収納した銃を意識した。
十六連発のオートマチックタイプの麻酔銃には、地球上のあらゆる生物に効果のある特製麻酔弾『スリーピング・ビューティー』を装填済みだ。
対人戦闘を想定したボディ・アーマーの分厚い生地も、問答無用で貫く特殊加工したタングステンの針から体内に投与される麻酔薬は、一切の副作用なしで安らかな眠りを十二時間ほど約束する。
ど、と地面に着地する衝撃は驚くほど少なく、マユは襟元にある通信機でサンダルフォンの艦長に連絡を入れた。
“自分達とは別の賊、たぶんトレジャー・ハンターがお宝を狙って持ち主を追っている”、と。
マユからの連絡を、艦長はそのままダイノガイストにつなげ、新たな指示を待った。マユには甘い傾向のあるダイノガイストがどう言った指示を出すか、多少興味はあった。
アガメムノン級部分の格納庫で、歪な玉座にかけたダイノガイストは、意外にもマユにそのまま金貨を追うように指示を出した。
『マユにはそのまま追わせろ。シンとアルダも傭兵共を黙らせるのだ』
「それで本当によろしいので?」
これは艦橋の艦長だ。万が一を考えてマユの援護を出さなくてよいのか? と暗に聞いている。
『構わん。今のマユならその程度はこなせる。追っているトレジャー・ハンターが例の奴らでなければ取り逃がしはせん』
「了解」
マユの事を信用しているのか、それとも失敗してもどうでもよいと考えているのか、艦長はモニターの向こうのダイノガイストをしばし見つめたが、やがて通信を切った。
一秒前までダイノガイストの恐竜顔が映っていたモニターを見てから、やがて艦長は小さく笑った。それを、隣のコンソールに下半身を埋めてサポート中のテレビロボが、画面に『?』マークを浮かべた。
なぜ笑ったのか? という意味だ。
「いや、なんなんだかんだ言って、あの娘の事が気になるのだなと思ってな」
艦長は見たのだ。ダイノガイストの尻尾が上下に振られて床を叩いているのを。それは苛立たしさを表す動作と言うよりは、マユの事を心配して無意識のうちに行った動作の様に思えた。
それに気付いてなんだか微笑ましい気持ちになり、つい笑みを浮かべてしまったのだ。
「思ったより宇宙海賊も悪くなかったな」
不意に、艦長――ナタル・バジルールにそう言われたテレビロボは、当たり前だ、とばかりに右の触手を左右に振った。
さて、現実の方で後問題なのは、宝を追っているのが『例の奴ら』かどうかと言う事だった。
「がんばれ、マユ」
艦長は、一人宝を追うマユに、せめてもの声援を送った。
――続く
支援
というわけで今回ここまでです。ん〜ちょっと短いかな。でもなんだか十話で終わる予定がもう覆りそうな予感が……。
別スレで投下させていただいているのと同じ匂いがしてきています。『長くなっちゃった症候群』に罹ってそうだな。
ではでは、ご感想・ご指摘・ご助言もろもろお待ちしております。楽しんでいただけたなら幸いでした。
ゲルズゲー+ザムザザーとかのキワモノ合体なら考えてました。どうやって合体するのか全くイメージできませんでしたけれども。
マユはそのうち伝説の厨具を探しに中国へ飛ぶと見た!
投下乙であります
この時期だとMSサイズの刀を鍛てるジャンク屋は火星ですかね?
マユ用の2種類の大きさの包丁を鍛え上げるのには最適な人物なんでしょうが・・・
そういや種死初期の5Gの合体ロボの絵あったな、後ジオンMA合体絵(頭部がザクレロ)
なにはともあれGJ
GJでございます。というか、マユがある意味すごいw
そして『例の奴ら』とは誰なのか!
ついでにトレーダー(二代目)とか出てこないかちょっと楽しみだったりします
果てしないGJを送るぜ!!
後、一カ所ゲイツのはずがシグーになってますよ
うおぉ、読んでてドキドキしてくるのは久しぶりだ!
作者様、GJです!!
新作オツかれっす。
ダイノガイスト様メシ食えるんだ。いや、分子変換か。それ以上に、
味わかるのかなー。すげぇなエイリアンテクノロジー。
ダイノガイスト様の食費とか、食料の量とか色々大変そうだなー。
船には、ほんの数日分ぐらいしか乗らないんじゃないだろうか。
食わない、という選択肢をとらんかぎり。
最近気がつきましたが、総帥は物に対する描写を多くやりますね。
今回なら食い物とマユのバイク。前回なら宝物。参考になります。
なぜか
>アルダは、その身で知るダイノガイストの戦闘能力を
のところで、
ダイノガイスト様に切り落とされるドラグーンが普通に浮かんだ。
『例の奴ら』;実写版Transformers。ジープが変形。
『例の奴ら』=ダイ・ヤガシラ&ユキ・ダザイ
……総帥だけに普通にあり得そうな罠。
>>355 おそらく基地には巨大な野菜や合成お肉を作るエイリアンテクノロジー製の食料工場があるんだ
>>359 自給自足か。なるほど、確かにあの物量は足がつく。外部に秘密基地の
場所を知られないためにも必要だ。おそらく、調味料の生産工場も
あるに違いない。マヨネーズは自家製だ。マユがあのパワーローダーで
作ってんだ。すごいぞ新生ガイスター。主に食料事情的な意味で。
たしかダイノ様酒飲んでいなかった?部下は栄養ドリンクガブガブ飲んでいたような
なんか部下が奪ってきたタバコ吸ってむせまくってるようなシーンがあったような気が。
>>362 部下は全員むせまくってたが、ダイノ様は煙草踏みつけて「価値無しか…」とぼやいていた
サンダーガイストが酒呑んで酔っ払ってたのは覚えてるぜ
えらく健康思考だな
ダ・ガーンは鬱多かったな・・・Jデッカーは救いあったけど
そうか? ジェイデッカーの方が鬱だったと思うが。カゲロウの時とか。
鬱っていうか、両方とも「考えさせられるシナリオ」が多かったな。
あと、ダグオンの箱とかネズミの回も。
ネズミの回か……。
ダグオンでとことん印象に残ってるんだよなぁ……。
今日すごい夢を見たぜ。
・種死後、キラの手を拒絶したシンであったがラクシズに捕まり洗脳(ゆりかご?)される。
記憶からなにまですべて改変され、最初からラクス陣営所属であったことにされた。
・ラクス親衛隊の一員として平和の敵と戦うシン、本編よりも表情は異様なほど明るく仮面を被ったような笑顔
・なんかの会議するホテルに護衛として張り付く。そこに殺し屋の兄弟が現れる。
弟は取り押さえるが兄がMSを出して暴れ始める。
・なぜかジェネシックガオガイガーに乗って現れるシン。
ただしガオーマシンが粗悪なレプリカ、そして電童の凰牙のように顔と胸のギャレオンがフェイスマスクに覆われていた。
・殺し屋兄のMSをタコ殴りしてるとステラが現れて記憶覚醒&フェイスマスクと偽ガオーマシンが砕けた。
シン怒りの咆哮をあげる。 そこでオレはめがさめてしまった。
嘘みたいだがマジでこんな夢見ました。
盟主王涙目
>>370 最後まで見終わったらSSにして投稿するんだ
>>370 ???「これは僕たちも出番があるということだね兄さん」
???「ああ、そうだな○○○よ」
>>370 私待ってる。待ってるから!
>>376 ブラザーズの方なのかカテゴリーの人たちなのかいまだに分からないです。
『子連れダイノガイスト』の方、今日か明日の深夜ごろ投下してもよいでせうか?
>>358 思いっきりやりました。場合によっては書き直します。
『子連れダイノガイスト』 第三話 お宝の行方
土砂を巻き上げて疾走するミニバイクは、周囲の光景を引き千切って行くような速さでマユをリムジンとジープの元へ届けるべく疾走していた。バッテリー式のミニバイクの走行音は風の唸りよりも小さい。
爪先から首元まで、マユの幼い肢体を保護する戦闘服から剥き出しになった顔も、顔が割れる事を防ぐのと保護の為のフードが、戦闘服の襟に空いた小さな穴からガスの様に噴出し、時速一〇〇キロの世界に吹き飛ばされぬうちに固定化する。
形上記憶合金の粒子は、たちまちそれぞれの粒子に内蔵された超マイクロコンピューターのプログラムに従い、あらゆる毒素を無効化するフィルターの他は、侵入する余地のないマスクへと形を変える。
ガスマスクみたいに武骨な造りで、マユの外見上の小ささばかりはカバーできないが、そのマスクの奥の顔がどんな造形なのか窺い知る事は出来ない。
リムジンの周囲の、SPが乗り込んだベンツから迫撃砲や折り畳み式のバズーカ、50mmモーターガンの雨が降り注ぐ中を、追撃するジープは息を飲むほど鮮やかなハンドル捌きでかわしながら追い続けている。
ハンドルを握っている二十歳前位の少年と、助手席と後部座席に女性が三人と男性が一人。ハンドルを握っている少年と後部座席の女性一人を除いた三人が手に持ったそれぞれの銃火器で応戦していた。
助手席にいる最年少と思しい16,7の少女は両手保持した自動拳銃をめったやたらと撃ちまくっている。
理性の吹っ飛んだ素人ががむしゃらに撃っているように見えるが、その実極めて正確な狙いである事は、揺れるジープの上からの射撃にもかかわらず、前方を行くリムジンの後部に次々と咲く火花が証明している。
見た目にそぐわぬ実に堂に入った射撃を行っている少女の後ろで、金髪に左目に眼帯を当てた青年は、左右に激しく振られるジープをものともせずに仁王立ちになっていた。
肩付けしたエレファント・ライフルの銃口は微塵も揺らがず道を阻むベンツに向けられている。
いっそ惚れぼれするまでの立ち姿だ。くっと引き金が引かれた。ほぼ同時に前を走るベンツの一台のタイヤが撃ち抜かれ、ハンドル操作を誤り、大理石の道の隣の雑木林へと突っ込んで行く。
更に続けて、鼓膜を乱打して腹に重いブローを叩きつけてくるような銃声が二度鳴った。
銃声の数だけ護衛のベンツがリタイアし、青年が手慣れた動作で弾倉を再装填していた。地上最大の動物である象さえも屠るライフルの最大装填数は三発こっきりだ。
残った最後のベンツは、まさか、というような時代錯誤の武器によってリタイアさせられた。女豹を思わせる引き締まりながらも芳醇に育った肢体が、オリンピック代表も唸りそうな見事な投擲姿勢から投げた、長さ一メートルほどの短い槍である。
樫の木か何かから削り出した先で太陽の光に鈍く光る槍穂が、リア・ウィンドウをぶち抜き、運転席と助手席の中間を貫いた結果、最後の護衛は左右に大きく蛇行したと思った次の瞬間には大理石の道の左右に配置されていた石像に激突して煙を上げだした。
それをコンタクトレンズ型のツールの、望遠モードで確認したマユは、これは急がないとまずいぞ、とハンドルを握り直し、一挙に加速させた。予告状を出した以上、他の連中にヴァルデマール金貨を取られるわけにはいかない。
時速三〇〇キロに加速した世界の負荷も、戦闘服の保護機能が相殺しマユにはこれっぽっちも感じられない。いよいよリムジンのタイヤが撃ち抜かれ、何度も回転しながら雪花石膏製の『自由の女神』の巨大レプリカに左側面を激突させて停まる。
十中八九金貨はリムジンに乗り込んだ持ち主の手の中だろう。間に合え、と強く念じてマユはミニバイクをさらに加速させた。
低速でゆっくりと交戦ポイントに向かう継ぎ接ぎ戦艦サンダルフォンの艦橋で、艦長はテレビロボが逐次伝える情報を読み取っていた。
ダイノガイストに救助される直前に負った火傷の影響で色素の抜け落ちた左目と、生来の輝きを留める瞳は、薄い青色を帯びた眼鏡の奥で光っている。
火傷を隠す為に絹の手袋をはめた左手で手元のパネルを操作して再びアガメムノン級の格納庫に居るダイノガイストに連絡を取る。
「マユからの二度目の通信です。やはり我々と別の連中は、彼らだと」
『なに? ……援護はいるか?』
「いえ、なんでも“一人でできるもん”だとか」
艦長ことナタルの言葉の語尾は少しばかり小さかった。子供扱いしないで、と言わんばかりのマユの台詞が微笑ましかったからだ。子供扱いされるのを嫌がる内は、まさしく子供なのだと気付くのは何時の事やら。
マユの発言を聞いたダイノガイストは一拍を置いてからこう返した。
『よし、艦をマユの所へ回せ。おれはシン達の所へ行く』
「マユの所ではなく?」
『サーペントテールとやらに興味がある。それに、少し体を動かさねばな。身体がなまってきている』
「了解。後部ハッチ開け! 発進シークエンス、レディ」
ナタルの指示を聞いたテレビロボがラジャ、と画面に映してせわしく触手の形をした両手を動かして行く。
ちょうどドミニオン部分とアガメムノン級の船体箇所が結合しているあたりの少し後ろの甲板が、左右に引き込まれ、内部から斜め上空にカタパルトのレーンが伸び出した。
船内の奥では戦闘機としては異様な巨体を誇る戦闘機形態に変形したダイノガイストが、リニアカタパルトの上で発進の時を待っていた。
テレビロボが進路上に障害物がない事を確認しダイノガイストに発進OKの合図を送る。
『行くぞ!』
重々しい声で出撃を告げ、後部のノズルから盛大な白煙を噴き出し、ダイノガイストは大空の暴君の姿でサンダルフォンから飛び立った。照らす陽光が飲み込まれてしまうような黒い機体は、急速な弧を描いてシン達の元へと機首を向けた。
撃ち尽くした脚部のミサイルポッドを両方ともパージし、シンはこれまた予備のマガジンも空になった重突撃銃を放り捨て、手甲にあたる増加装甲に仕込んだグレネードを目の前のストライクダガーの頭に叩きつけた。
「これで、六っつ!」
ドガン! と溢れる爆炎と轟音のカーテンの向こうで粉々に吹き飛ぶストライクダガーの頭部と、ゆっくりと仰向けに倒れる機体を確認する。両肩のマシンキャノン、脚部のミサイルポッド、両手のグレネードに重突撃銃も既に使い果たした。
デッドウェイトになった各アサルトシュラウドのパーツを外し、胸部と両肩や足首周りのスラスター箇所だけ残すハーフパージ形態にする。どすんどすんと重い音を立てて地面に落ちたASには目をくれず、シンは、二度ほど深呼吸をした。
初めて経験する大部隊との戦闘で、そのまま泥のように眠ってしまいそうなほどの疲労が、細胞の一つ一つにまで溜まっているように感じられた。事前に胃に入れておいた昂奮作用のある栄養剤がなかったら、四機目を撃破した時点で気絶していたかもしれない。
屋敷の防備を固めていた傭兵達も、こちらが予想をはるかに超える強敵と知って後退し、仕掛けて来ようとはしていない。すでに依頼主が逃げ出したという情報も入っているのだろう。
左眼の脇を流れた汗に気付き、ヘルメットのバイザーをおろして備え付けのハンカチで拭きとる。パイロットスーツを着こんだ指で拭っても、また流れ込む心配があった。戦闘中にそうなれば、文字通り致命的な隙を生むだろう。
アクティブ・ソナーや赤外線レーダー、振動感知式のレーダーを始めとした諸々のセンサー群に、敵機が屋敷に固まっているのを確認する。あいつらはもうとっくに逃げ出したくてたまらないだろうな、とシンは思った。
現在、ニュートロン・ジャマー・キャンセラーを用いずにニュートロン・ジャマーの効果を一切受けないガイスター特製のレーダーを始め、ガイスターが保有する未知の技術による強化を受けたMSは、各国の垂涎の的となるだろう。
並び立つ木立の向こうから、いくらか被弾したシンのジンASとは違って無傷のゲイツが姿を見せた。指揮官機を意味する白い機体には焦げ一つなく、それが彼我の実力の差をよく表していた。
アルダの乗ったゲイツは両腰のエクステンショナル・アレスターやシールドに内蔵された二連装ビームクローなど、ゲイツの標準装備と変わらない。ただ中身の方がガイスター謹製のメカニズムに取って代わられているだけだ。
前大戦では、配備がもっと早く進んでいればと悔まれた、間に合わなかった名機ゲイツは、二年が経過した現在では既に旧式化しマイナーチェンジ機も旧式の分類になりつつある。
それでもエイリアン・テクとアルダの卓越した操縦技術が機体の性能を完全に引き出し、大西洋連邦やザフトの最新の主力機ウィンダムやニューミレニアムシリーズにも劣らぬ力を発揮していた。
『無事かね?』
「ああ。こっちは全部で六機やっつけた。アルダは?」
『七機だ。二人合わせて十三機。約半数を無力化したわけだな。もっとも本命がそろそろご登場とくるだろうが』
「サーペントテール?」
『来るさ。気を付けたまえ。サーペントテールの叢雲劾とイライジャ・キールは、戦後にオーブの低軌道衛星アメノミハシラを襲った三十機のストライクダガーを、わずか二、三機で全滅させたパイロットに勝ったと言う話だ』
「つまり、三十機のMSを相手にするようなもん?」
『それ以上だよ』
「…………」
『重い』ではなく『重〜い』沈黙の向こうで、さぞやシンは苦い顔をしているだろうと、アルダは忍び笑いを洩らす。
シンは思ったよりも見所のある少年で、アルダが以前部下にしていたザフトのエリートである赤服の少年達と同等かそれ以上のパイロットとしての才能を持っている。
アルダの施した過酷な訓練も、マユの為にとなんだかんだでこなし、今やエースクラスとしては中の中位の実力は手に入れている。加えて機体の性能は純地球産を上回るものだし、サーペントテール相手でもそうそう引けは取るまいとアルダは評価していた。
『そう気を落す暇はないだろう? こちらを早く片付ければマユの援護にも向かえる』
「そうだな。マユが危ない目に会う前にこいつらぜんぶやっつけてやる!」
まあ、危ない目に、とはいうもののガイスターのメンバーとして活動している以上そういう危険はあって当たり前と覚悟しなければならないのだが、そこらへんはシンの脳味噌からは忘却されていた。
そもそもガイスターに参加させずにどこかの施設かなにかで、一緒に暮らせば良いのでは? と言われたら反論のはの字も無い。
ただ、こうしてダイノガイストの元に身を寄せる事が、一番マユの笑顔が増える道であったと言う事は確かだろう。
気を取り直したシンは、アルダがゲイツの腰にマウントさせていた予備のビームライフルを受け取った。この時代のビームライフルはアートリッジタイプのバッテリーなどは基本的になく、機体の動力から直接エネルギーの供給を受ける。
ジンASの右掌の接続端子とビームライフルのグリップの端子が接合し、エネルギーの供給がスムーズに行われた。同時に気合いを入れ直し、
「よっしゃ! どっからでも掛かって来い!!」
と勇ましく叫ぶ。だからと言うわけではないだろうが、木々の向こうに反応ありと各種レーダーが伝え、いきなりかよ!? と驚くシンめがけてビームと実弾の入り混じった弾丸の雨が横殴りに降ってきた。
左右に散開したアルダとシンのそれぞれの機体のメインディスプレイに、残った傭兵達の機体とは別にこちらへ接近してくる機影が映される。
オーブのM1とよく似た白い機体色に各所に青やオレンジのパーツが見える、ブレードアンテナとデュアルタイプのカメラアイが特徴的なブルーフレームセンカンドL。
機体の所々を赤くカラーリングし、頭頂部の鶏冠の様なセンサーが逆向きに付けられたバスターソードになっているジン。
『最強の傭兵』叢雲劾の愛機BFUは、ガトリングガンモードに変形させたタクティカル・アームズを構え、一部で『英雄殺し』の名で呼ばれるイライジャのジンは、右手に重突撃銃と左手に500mm無反動砲を握らせていた。
それ以外にも両脚部にはミサイルポッドに、左腰には重斬刀、右腰には予備の重突撃銃と無反動砲のマガジンが二つずつ。腰にはバックアップウェポンとしてどこぞの軍事企業が開発したMSサイズのサブ・マシンガンがマウントしてあった。
出やがった、と歯を向いて戦意を向上させるシンの事など露知らず、傭兵側としては最強のコンビであるサーペントテールの片方のイライジャが劾と通信を繋げていた。
『劾いいのか、依頼主は逃げ出したんだろう? 無理に戦う必要はないと思うけどな』
「確かにな。おれ達への依頼は白紙と判断する事も出来る。だが、この先別の依頼でガイスターと闘う機会もあるだろう。あの二機はこれまでの情報にはなかった連中だ。実力を確かめたい」
『それもそうか。だけどこいつら相手に消耗した所にあのダイノガイストとかいうのが来たら、面白くないんじゃないか?』
「ああ。ダイノガイストが出現した場合は状況を見て即座にここを離脱する」
『それならいいけどな。それにおれ達への依頼は、“ガイスターから家宝を守ってくれ”だからこいつらの足止め位はしないと違約になるかもしれないしな』
「行くぞ」
短く劾が告げ、イライジャも長年のコンビでピタリと息の合ったタイミングでシンとアルダに襲いかかった。
『シン、BFは私が相手をする。君はあちらのジンを抑えたまえ』
「分かった! でもあの機体強敵なんだろう、大丈夫なのかよ!?」
『なあに、フリーダムほどではないさ。それに、ここで強敵を君に任せたら私の大人と教官役としてのメンツは丸潰れではないかね?』
「好きに言ってろ!」
自分と違って余裕癪癪なアルダの声にシンは、八当たりめいた大声で怒鳴り返した。そう怒鳴っている間にもイライジャのジンは、脚部のミサイルポッドでこちらの足場を狙い、それを回避して跳び上がった所を左手の無反動砲で狙い撃ってきた。
左肩のバーニアを吹かして更に右に大きく飛んで回避し、アルダから借りたMA−M21Gビームライフルで撃ち返す。
障害となる粉塵や大気に事欠かない地球上では、ビームライフルの威力、射程ともに大きく減衰するが、それでもMSを破壊するには十分なショートレンジだ。当たれ当たれとシンは照準内に捉えたジンへとトリガーを引き絞る。
ASの大推力を活かして強引な軌道で攻撃を除けたシンのジンASを見て、イライジャは、フルウェポンの過重量状態では追い切れないと判断し、両手の火器を残してパージした。
拾えばまた使えるという意識もあった。動きを止めず動き回るジンASの動きに、イライジャはかなり戦い慣れたパイロットが乗っていると判断した。
「ちょこまかとよく動く。だけどな、おれだってサーペントテールなんだぜ!」
刹那の瞬間に捉えたジンASに目掛けて左手の無反動砲を撃ち、その射線軸から左にかわしたジンASめがけて、イライジャは重突撃銃を放ると同時に重斬刀を抜き放って突進した。
弾速の襲い無反動砲を先に撃ち、回避した敵に、時間差で止めとなる、狙い澄ました二撃目を叩きこむ。イライジャが体にいくつもの傷跡を刻みながら習得した必殺の攻撃方法だった。
無反動砲を避ける為のわずか挙動から回避方向を一瞬で判断し、此方に迫ってくるイライジャのジンに気付いて、シンは二段構えの攻撃だった事を悟る。回避――間に合うか!?
「もらった!」
確かな手ごたえをイメージした一撃が、ジンASの左胸を切り裂くより早く、目の前の機体から爆発に似た大きな音と煙が溢れ出した。モニターを埋め尽くす白い煙に、言葉を口から突いて出るよりも短い時間だけ、イライジャの判断が遅れた。
パイロットの動揺が伝わったジンは、振り下ろした重斬刀にシンの乗るジンASを捉える事は出来なかった。
回避が間に合わないと悟った一瞬で、ASを強制パージし、仕込んでおいたスモーク弾と閃光弾を炸裂させたのだ。
その隙に、足周りにだけ残したASとジン本来のスラスターをふかして後方に大きく飛びのいたシンは、白い煙の中の影に向かってライフルを撃ちかける。
「いけえ!」
「ち、小細工を」
重斬刀が虚空を薙いだと悟った瞬間には、その場を動いていたジンは煙の向こうから放たれる光の矢に当たる事はなく、放り捨てた重突撃銃を拾い上げて光の矢の源めがけて弾幕を張った。
無数の爆炎の代わりに、濃度の濃い戦闘が繰り広げられ始めた屋敷の方を一瞥して、マユは前方の金持ちB氏とトレジャー・ハンターグループの戦闘を見つめた。
既に決着はつきつつあり、腕に大事そうに金貨を納めたケースを抱きしめる持ち主を囲む屈強な男たちの数は、リムジンから降りて来た時の半分ほどに減っていた。
いずれも身長一八〇センチ、体重八〇キロをクリアする鍛え抜いた肉体と戦闘術を血反吐を吐いて身に着けた戦闘のプロフェッショナルだったが、彼らの敵となった今回の相手は、それ以上のプロであった。
エンジンを撃ち抜かれて沈黙したリムジンを盾にして、両手にそれぞれサブ・マシンガンを持って弾幕を張っていた男が、両の肩をおおざっぱに木から削り出したと思しい矢で射ぬかれて、どう、と倒れた。
射手は、先ほど槍を投げてベンツをリタイアさせた精悍な美女だった。如何にも原始的な矢をやはり投げつけたらしい。弓は無い。ダーツの要領で投げてアレなのだろう。男との距離は二十メートルはある。
見た目の年齢にはあまりに不釣り合いな淫婦の如き肢体の日系らしい少女と、男でも惚れ惚れする位凛々しいドイツ系らしい青年が、自動拳銃とエレファント・ライフルで応戦する中を、残る美女とあのジープを運転していた少年が突っ込んだ。
美女は産まれる時代を間違えたらしく、王権華やかな中世ヨーロッパよりもやや古い、血まみれの戦争を繰り返していた時代の鎧を着こみ、手には両刃の剣を握っていた。
その剣を握る迫力の凄まじさや、鎧の重量をものともしない動きの敏捷さは、数百年前なら女性という性の差別をものともしない勇壮な騎士として称えられただろう。
少年の方は、一八〇センチの長身に無駄のない筋肉を貼り付け、小さい頃からの苦労で二、三歳は上に見える顔を適度な緊張と冷静さで埋めていた。右手に握った自動拳銃は、無薬莢の弾丸を次々と吐き出し、命中したSP達をその場に昏倒させていた。
着弾と同時に一〇〇〜一〇〇〇〇ボルトの電流を流すエレクトロニック・ビュレットだ。あれならライオンだって一撃で感電死させられる。命中したSP達の様子からして感電死する様な高出力の弾丸は装填していないらしい。
少年の援護もあいまってSP達の弾丸をものともしなかった女騎士が跳躍し、太陽を背にしてSP達のど真ん中へと踊り込み、いかにも古い骨董品と言うのが相応しい古式ゆかしい大剣を振り回した。
重い刃の旋風が一度吹き荒れるだけで、周囲に居た三人のSPが血潮をしぶいて倒れ伏す。ジンの重斬刀同様重さで斬る剣だけに、その重量は大の大人でも振うのは困難だ。
木切れでも振りまわすかの様に扱って見せるのは、この女騎士の技量プラス見た目からは想像もつかぬ実戦をくぐり抜けた経験によるものだろう。
残るSPが手に持ったリボルバーやアサルトライフルを女騎士に向けた連中の一人に、少年の達人顔負けの跳び蹴りがさく裂し、まず一人を昏倒させる。まだ体が空中にある内に身を捻り、右手の拳銃がたて続けに二度発砲。
ゴルゴなんとかいうこの時代最高の狙撃屋に匹敵する抜き撃ちの速さは伊達ではなく、最後のSP達がそれぞれどう、とその場に倒れ伏した。
全てのSPを片づけ、悪魔を目の前にした不信心者の様にひざまづいて振るえる持ち主目掛けて、右手の銃口をぴたりと合わせたまま少年が近づいた。世の酸いも甘いも知るには早い顔は、裏世界で生きる者でさえ瘧にかかったように震える凄味があった。
一桁の年齢の頃から荒事に関わっていた経験は十分に活かされている。何事か持ち主と言い合っている。一応“平和的な解決方法”を試みているらしい。
いよいよ金貨が手に入ると知って、確かフランス語のブラン=雪と同じ意味の日本名の少女が抜け駆けするような勢いで持ち主に小走りで近づいていた。
何しろ国が買えるやら、値が付けられないだの言われるようなお宝である、土壇場で味方同士の奪い合いに変わってもおかしくない。
どうなるかな? と見守るマユの目の前で、少女が豊満極まりない胸と、九二センチある尻を繋ぐくびれをクネクネやりだして、自分で自分の胸やら尻を揉みしだき始めた。
遠目にもはっきりと分かる。少女の頬は上気して桃色に息づき、吐息も同じ色に染まっている。
前にアルダに、何かの病気? と聞いた時に教えてもらった『金銭妄想欲情症』という病気(?)らしい。
患者それぞれによって度合いが変わるが、大きな金額を聞くと体が火照り出し欲情してしまう事らしい。ヨクジョウってなに? と聞いたマユに、アルダは沈黙で答えた。ここら辺の良識はあのサングラス男にもあるらしい。
少女は息をどんどん荒げて、ノーブラのタンクトップを押し上げる見事と言う他ない乳房を揉みしだきはじめた。大胆に動く指に合わせて柔らかくも若さゆえの張りを備えた乳房は、自在に形を変えていた。
思わずマユも頬が赤くなって、胸がドキドキするほどに妖しく淫らだった。性別も年齢も問わずに狂わせる少女の淫靡さよ。世界中の全ての娼婦の頂点に君臨するのは、ほんの数か月で事足りるだろう。
実にマユの性教育によろしくない少女であった。そのまま最後までイってしまいそうな少女に、拳銃片手の少年が歯を剥いて怒鳴ってなんとかその場は治まった。少女はまさしく欲求不満と言う顔をしていた。
だが、たちまちその場で怒りの顔を天使の様な無垢の笑顔に変えて、少年の肩にしなだれかかる。首から上はまさしく人間の思い描く理想の天使だが、繊細な指が太腿か首筋でも撫でれば、歴戦の女殺しもその場で腰砕けになりそうなほど妖艶なのはなぜなのか。
前の前の仕事で出くわした時に、少女のコレにシンが垂らし込まれて大失敗をやらかし、マユを始めとしたガイスターの面々は、丸二日ほどシンと口を利かなかった。それがよっぽど答えたのは、シンはこの少女をトラウマ扱いしている。
少年の肩にしなだれかかり、豊かな事極まりない胸を押しつけ、少年の手を自分の尻に回しながら少女がピーチクパーチクやりだした。するとたちまち少年の顔も怒りに染まってぎゃーぎゃーと言い返し始めた。
集音マイクを操作すると、どうやら分け前でモメているらしい。それも後から来たあの槍を投げつけた野性的な美女が、少女に刃の様に鋭く氷の様に冷たい視線を向けるまでの話だった。頭が上がらないのかなんなのか、少女はこの美女に頭が上がらないらしい。
「あ」
とマユが一言漏らした。平和的解決を再開したものの、それまでのうっ憤もあってか十数秒で平和的解決を放棄したらしい少年が持ち主に、一発かましたのだ。
といっても盆の窪辺りに人差し指をちょん、と押しつけてツボを刺激しただけだ。それで持ち主は気絶したが手に抱えたケースだけは離していない。マユには少年の舌打ちが聞こえた気がした。
今だ! ここしか強奪のチャンスはないとマユのまだ浅い経験が告げた。石像の影に隠れていたマユが一気にミニバイクを暴れさせ、持ち主の腕からケースを取り出そうと悪戦苦闘していた少年の手めがけて、右手の麻酔銃を向け、発砲。
コンタクトレンズよりもさらに薄い情報ツールと連動した戦闘服は、マユの視認した目標と、それを意識した脳内の電流を感知して、ターゲットに向けて照準の補正をする。戦闘服それ自体が超高性能超小型コンピューターに制御されたFCSとなる。
その機能のお陰で、マユは西部時代の射撃の名手たちに匹敵する神に愛された銃士へと変貌させてくれる。
“わずか三つで熊退治、撃たれる前にビーバーが両手を上げてギブアップ”と謳われたデイビー・クロケット。
バッファロー・ビルの“ワイルド・ウェスト・ショー”に加わり、ドイツ将軍カイゼルの咥えていた葉巻をライフルで吹き飛ばしたというアニー・オークレー。
疾走する馬上から飛んでいる蜂を撃ち落としたというベル・スター。
話半分と言われるアメリカ開拓時代の伝説の名手たちが、現在科学の生み出した銃器達と出会った時、まさしく今のマユと同等以上の銃の名手達となるだろう。
見事に麻酔弾スリーピング・ビューティーが、少年の手の中のケースを弾き飛ばし、ぐおん、と跳ね上がった鋼の仔馬の馬上でマユの左手がケースをキャッチ。手の中の確かな手ごたえを感じ、マユは一瞬だけ微笑。
マスク越しに、あ、という顔をした少女と少年と目があった。
ごめんね、と心の中で謝っておく。今まで仕事で何度でかちあった事のある彼らの事がマユは嫌いではなかった。いや、むしろ好いていた。
以前、プライベートで出会い、正体がばれてマユがガイスターの一員と知って尚人質に取るような真似はしなかったし――考えはしたらしい――まだまだちっこいマユに、さりげない気遣いはしてくれたし、なにより全員が根は善人と知っている。
着地の衝撃はほとんど殺され、マユには全く伝わらない。背後を振り返らず、マユはミニバイクに極めて小さいがとびきり凶暴な唸り声を挙げさせた。
振り下ろされた大剣を二連装ビームクローで受け、ラミネート装甲でできたTAの表面が赤熱化する。熱を吸収拡散させてビームを防ぐラミネート装甲だが、TAサイズではそう長く持ちこたえられないだろう。
ゲイツのカタログスペックを悠々と超える出力に、劾は舌打ちを一つ打って機体を下がらせた。そもそも、カタログスペック通りの性能を発揮する兵器は少ないというのに。特にザフト製のは。
BFUが下がるのとほとんど同時にゲイツの腰からワイヤーに繋がれたビームクロー“エクステンショナル・アレスター”が射出される。
BFUの両肩に装備されたスラスターが白火を噴き出して、インファイトボクサーの様に俊敏な動きでかわすや、ビームクローが繋がれたワイヤーをあっさりと両断する。
ワイヤーを斬りおとされ、デットウェイトになったエクステンショナル・アレスターをパージしたゲイツは、右手のライフルを撃ちかけてきた。
戦闘用コーディネイターとしての身体能力に加えてこれまで培ってきた、おそらくC.E.では最大の戦闘経験値が素早いゲイツからの連射を見切り、BFUに一発の被弾も許さない。
その腕前を認め、ゲイツの中のアルダが全周波チャンネルで呼びかけた。
『やるじゃないかね。ドレッドノートの相手に選ばれたと言うのも、最強の傭兵と呼ばれるのも伊達ではないな。流石メンデルの子供達の一人ということかな!? 叢雲劾!!』
「なんだと。貴様、何故それを知っている。……貴様もか?」
『さて。別段大した問題ではあるまい。どうやら君は世界を憎悪しているのでも、生まれに劣等感を抱いているわけでもなさそうだからな』
「貴様は?」
『ふふ、君に教える義理はないよ。ただ、同類としてのよしみだ。私達の骸の上に産み落とされた成功体の名前くらいは教えてあげても良いがね。どうだね? 君とて一度くらいは恨んだことがあるだろう。私達の様な歪な存在が産み落とされた原因が』
「スーパーコーディネイターの完成体の事か。生憎とそんな物に興味はない」
『ほう?』
やや意外、とアルダの口元の笑みが言っていた。彼は劾に告げたのと似たような言葉で、ある少年に完成体に対する執着心を植え付けた事がある。精神の成熟の違いもあるだろうが、興味はないと言い切る劾の言葉に嘘の響きは聞きとれなかった。
「今さらそんなものにかかずらった所で、何が変わるわけでもない。完成体が生きているにしろ、それに何の意味がある? おれにはもう価値も意味も無い存在だ」
『これはこれは、大した達観ぶりだな。それとも度し難い現実主義者と言う事かな? まあいい。お喋りはここまでだ』
決着を意識しての言葉かと、TAを青眼に構え直させた劾だったが、アルダの言葉が違うモノを指していた事にすぐさま気付いた。NJの影響でお粗末な効果示さないレーターに巨大な熱量とゆっくりと降下してくる物体が映っていた。
もっとも既に劾も、ソレがなにか察しを付けてBFUのメインカメラにそれを映していた。
『時間稼ぎはこれまでだ。さあ、叢雲劾、我々のボスの力、とくと味わってくれたまえよ』
「来たのか!」
アルダと交戦していた時とはまた別の緊張に満ちた劾の視線の先に、最大速度約マッハ13というふざけた数字を誇る巨大な戦闘機が滞空していた。
ソレは、劾がTAのビームと実弾を交互に連射するガトリングガンの砲口を向けるよりも早く、空中で姿を変える。
『チェエンンジ!! ダイノガイストォ!!』
見る間に人型へと姿を変えた戦闘機は、赤いバイザー状のカメラアイを鈍く輝かせ、三十メートルを超す鋼の巨神となってゆっくりと、スラスターを噴かしながら降りてきた。
敵国の英雄をはるか段上の玉座から、油断なく、それでいて重厚な威厳とゆるぎない自信で見下ろす帝王の様に。
ズウゥゥン、と圧倒的な質量が大地に降り立つ音と共にダイノガイストは降り立った。アルダはゲイツをダイノガイストの後方へと下げる。すでにこの場はアルダと劾の戦場ではなく、ダイノガイストと劾の決闘場であると理解している為だ。
『ふふふ、貴様がサーペントテールの叢雲劾だな? 噂に聞く貴様の力、このおれ直々に確かめてくれる!』
「……!」
言うが早いか、背で交差する冷たい白銀の刃を抜き放ち、二つの刃の切っ先は地を向く。夜空に冷え冷えと輝く三日月の先よりも鋭い刃は、太陽の光を等しい鋭さを持った陽光の刃に変えて反射している。
TAを両手で握り直し、右下段に移行した劾は、事前に入手した映像資料や交戦したパイロット達から収集したデータを脳裏に思い描いていた。噂が全て真実であるなら、いかに劾をもってしても勝利は容易ならざる強敵である。
連合製のパイロットスーツの中の手が、汗を握るのを、劾は感じた。声も無く一気にフットペダルとコントロールスティックを押し込み、通常のMSをはるかに凌駕するBFUの推進力をフルに発揮して真正面から突っ込む。
劾の目的は勝つ事ではない。負けなければそれでよいのだ。思い切りの良い行動に呆れ半分、期待半分でダイノガイストは両手の愛刀ダイノブレードを振り上げた。
振り降ろされる弧月二刀。振りかぶられた大剣一刃。
躊躇なく交差した三つの刃は、やはりというべきかダイノガイストの膂力が圧倒的に勝り、鍔ぜり合う間も、じりじりとBFUの頭部へと迫る。
「やはりパワーは上か。だが、機体のサイズと動力が核だとしてもこれは……」
『ふん、これならあのジャスティスとかいう機体の方がパワーは上だな』
予想通りの結果と、予想以上の結果の二つに訝しげに眉を寄せる劾。かつて追い回し、追い詰めたMSの名を呟くダイノガイスト。どちらとも慌てる様子は微塵も無い。歴戦の猛者二人――いや一人と一体――当たり前か。
『ぬうん!!』
交差した刃を押し開くようにしてパワーを叩きつけたダイノガイストに圧倒され、BFUが数十トンの重量を誇る機体ごと後方に吹き飛ばされる。
劾は、そのダイノガイストの動作に合わせてBFUを浮かし、また後方に下がる際に機体前方にあるスラスターをふかして大きく間を取った。見た目は足にあるキャノンくらいしか射撃兵装のないダイノガイストだが、実際は。
『ダイノブレードの刃圏から離れればとでも思ったか、馬鹿め!』
罵る声と同時にダイノガイストの古武者の様な頭部の両脇から伸びる長短の角四本が黒雷を帯び、それはそのまま横に走る強大な雷撃に変わる。話には聞いていた攻撃ではあったが聞くと見るとではやはり違う。
劾にしては珍しく、焦りを乗せた表情を浮かべて広範囲に網の目の様に広がる黒雷をすんでの所でかわす。黒い破壊に飲み込まれた木々は粉微塵に砕け、大地は禍々しい爪痕を残して引き裂かれ、風は悲鳴を上げて焼き尽くされる。
足を止めたダイノガイストめがけ、黒い雷の外を、半円を描いてBFUを突っ込ませた。高機動戦闘にあわせ、顔面の保護を行うマスクが現れる。左下段後方に流したTAの切っ先がMSとは思えぬ達人の太刀筋に変わる。
即座に反応したダイノガイストが、左のダイノブレードでそれを受ける。片手一刀のダイノブレードに対し、両手で振り上げたTAは、いとも容易く受け止められた。加えて反応も迅速だ。
機体そのものが肉体であるダイノガイストは、パイロットの操作が機体に伝わるまでのタイムラグがない分、反応が速いのは当たり前なのだが、それを考慮してなお敏捷なダイノガイストの動作であった。
TAを跳ね上げ、やや腰を落としたダイノガイストの右手の刃が横薙ぎに振われた。ここまで接近しての一刀とあっては、並のエースクラスでは回避など最初から考えずに死の腕に身を委ねるだろう。
故に、並のエースクラスなどではない劾は生き残った。バックパックとして使用していない以上、咄嗟の動作で足枷になるTAを放り捨てて、全力で機体後方に跳躍していた。サーペントテール1のエンブレムが施された胸部に走る横一門字の傷。
BFUの装甲の一部はTP装甲と同じ物が使われている。一介のジャンク屋が発案したものが、当時の連合の最新鋭の技術と同じ発想を得たのはさて、ジャンク屋を賞賛すべきか連合の技術陣を嘲笑うべきか。
とにかく、その着弾の瞬間相転移する装甲が、一助になったのは確かだった。後ろに跳び退いたBFUは動きを止めず、両肩と機体各所のスラスター、バーニアを細かく刻む様に点火し、ピーカブースタイルのボクサーの様に両拳を顔の両脇に上げて突っ込んだ。
反応は迅速ながら、機体の巨体さに加えてダイノブレードの刃渡りの長さ故に、MSを相手にするにはとり回しが悪い。加えて素手のまま懐に飛び込むなどというBFUの戦法は、こちら側に来てからは初めての体験であった。
両手とそれぞれの刃を左上方に流した姿勢のダイノガイストは、既に見下ろす位置にまで迫ったBFU目掛けて右膝蹴りを敢行した。それを状態を右に逸らし、髪一重で回避するBFU。
だが、その劾の目の前に、数十分の一秒の差で迫るダイノガイストの左膝! 右膝のみならず左膝も連続して放った二連撃! 脳から指へ、指から操縦桿へ、操縦桿から機体各所へと伝達される動作。
閃光の交差の様な一瞬。ダイノガイストの左膝はBFUの左肩をかすめて、発泡金属の装甲を薄氷の様に砕いていた。更に迫る左上方から振り下ろされる並んだ二筋の冷たい光よ。
斬り裂く風がまさしく死して地に倒れるような二太刀を、かろうじてかわしたBFUの姿はそのままダイノガイストの背後に移っていた。
「もらった!」
両手に構えていたアーマーシュナイダーを、ダイノガイストの装甲の継ぎ目目掛けて躊躇なく突き込む劾! いかなダイノガイストとて装甲の隙間を狙われ、内部に直接ダメージを与えられれば、無事とはいかぬ。
だが、迫るダイノガイストの漆黒の装甲を睨み据えていた劾に、何かが囁いた。甘い死の睦言を。死神の口が。
必勝とはいかずともそれなりのダメージは確実と言うこの状況にあってなお、劾には油断の二文字は縁無く、警戒は毛筋ほども緩んではいなかった。それが、かろうじて視界の片隅で輝いた銀光を捉えた。
「ちい!?」
無理やりBFUの右足を軸に機体に右回転をさせる。過剰な負荷がBFUの足首に紫電を走らせ、ディスプレイにエラーの文字が数行浮かび上がった。背を走る原始的な生存本能に従い、劾はその場を大きく離れる。
「イライジャ、退くぞ。目的は果たせた」
シンのジンASを相手に互角の戦いを演じていたイライジャは、劾の決定に反論を挟まず、首肯してBFUに続いた。
左手に握ったダイノブレードを咄嗟に逆手に持ちかえ、左脇腹のすぐ横を通過して背後に居るBFU目掛けて雷足の突きを放った姿勢から、ゆっくりとダイノガイストは両手のダイノブレードを背に戻す。
振りかえり、撤退するBFUを黙って見つめるダイノガイストに、アルダから通信が繋がった。
「サーペントテールの叢雲劾、見逃しても?」
『構わん。ふふ、場合によってはフリーダムやジャスティスよりも手強い奴。ここで決着を着けるにはいささか惜しい。見ろ』
と左側に居るアルダのゲイツに、ダイノガイストは自分の左手首を見せた。感心の溜息を突いたアルダの眼には、そこに浅く突き刺さるアーマーシュナイダーが映っていた。ダイノガイストはそれ右手で引き抜き、適当に放り捨てる。
あの咄嗟の一瞬で、劾が報いた一矢であった。その一矢=アーマーシュナイダーの傍らに、白い曲線を描く装甲が落ちていた。ダイノガイストの逆突きによって砕かれたBFUのマスクであった。
「お〜い、屋敷の傭兵達は皆逃げ出したみたいだぜ」
と、これはシンである。ジンASはあちこちに銃弾の痕があり、イライジャ相手にかなり苦戦を強いられた事が見て分かる。手持ちの武器は重斬刀と、残弾が二〇発しかない拾いものの重突撃銃一丁きりだ。
シンの言う通り残っていた十機以上のMSの姿はない。すでに依頼人が逃げ出した事と、劾とダイノガイストの戦いを前にして尻ごみして逃げ出したらしかった。
「では私は屋敷の中を見て来よう。君達ははやくマユの所に向いたまえ。なにしろ可愛らしい悲鳴が聞こえているからね」
「マユ!?」
どこか面白そうに告げるアルダの言葉通りに、シンが左手にはめているガイスターブレスから、きゃあ! というマユの悲鳴が聞こえてきたのだ。
息を切らし――もなにもジンでだが、現場に急行したシンが見たのは、あちこちに横転した車と、薙ぎ倒された石像群に、倒れ伏したSP達。そして
「マユ!」
「あ、お兄ちゃん」
簀巻きにされて転がるマユであった。先程の悲鳴はコレが理由らしい。ジンに膝をつかせてコックピットから飛び降り、時折転がっているSPの体をふんづけながら芋虫みたいに麻のロープで縛られたマユに近寄り、折りたたみナイフで妹を縛るけしからんロープを切った。
「大丈夫か? どこか怪我してないか」
「平気だよ。戦闘服着てたし、優しくしてくれたし」
どうやらマユの言葉通りで、とくに危害は加えられていない様子にほっと、特大の安堵の息をシンの唇から零れる。ケースを奪い、やったと内心で喝采を挙げたのが油断となり、あの色気過剰な少女以外からの猛烈な反撃を受けて、蓑虫になってしまったようだ。
マユが愛用していたミニバイクは十メートルほど向こうで横転していた。そこへ、ズシンズシンと重々しい足音と足跡を残して恐竜形態に変形したダイノガイストが姿を見せた。シンと違って慌てた様子のない、落ち着きはらった様子だ。マユの安全を確信していたのだろうか?
ちょうどSP達が転がっている辺りで足を止めて青いレンズの目が、マユとシンを見下ろした。その視線に、マユはしゅんと小さくなって縮こまった。
「ごめんなさい、ダイノガイスト様。お宝とられちゃった」
『例の奴らか?』
「うん」
『忌々しい奴らめ』
喉の奥で本物の恐竜さえたじろぎそうな唸り声を鳴らしながら、ダイノガイストは既にはるか遠くへと逃げた例の奴らの姿を求める様に首を巡らした。
宇宙海賊ガイスターが活動を始め、初期のマユとシンの未熟故の失敗以外の失敗のほとんどは、先ほどマユの遭遇した例の奴らと仕事がかち合った時が多い。
このC.E.地球において世界最高とされる五人組のトレジャー・ハンターグループが、目下宇宙海賊ガイスター最大の天敵であった。ごめんなさいとしょぼくれるマユに声はかけず、ダイノガイストは
『引き上げるぞ!』
と言った。
子連れダイノガイスト第三話、以上になります。
なお、
×→それがよっぽど答えたのは、シンはこの少女をトラウマ扱いしている。
○→それがよっぽど堪えたのか、シンはこの少女をトラウマ扱いしている。
と早速誤字が……。他にもあるかも。ご指摘、ご助言、ご感想お待ちしております。
ダグオンか・・・デカレンジャー見たとき、「何このダグオン」って思ってしまった
オツです。あー、総帥。あっちであんだけの文量書いておいて、ほぼ
日をおかずこんどはこれですか。どんだけ執筆早いんですか。
プロットとかどーやってるんですか。
今回ダイノガイスト様がご出陣でひゃっほう。一言一言かっこいい。
ライバルのエロイののモトネタがサッパリ分からない。
総帥GJ!
>>389 菊池秀行の初期作品っすよ。
……まあ、初期ってもここ二・三年くらいの間に新刊が一冊出てたと思うけどさ。
GJでございます。
やはりダイノ様はかっこよすぎて困るw
GJです
BFUのボクサーっぽい動きとか細かい設定活かしてて素晴らしいです
GJです。何と言うか、戦い方とかロジックとかがアストレイB風味でいいですね。
まさかこんな場所で
ダイノガイスト様分を補給できるとは。
マジ乙であります!
兵器に関する盗みが大好きなラクシズがガイスターに対してどう対応するかが気になるぜ
>>395 まあ、間違いなく狙ってるだろ。それでなくてもダイノガイスト様、
オーブ陥落から戦争終了までフリーダムを追い回していたようだし。
キラ、少なくとも一回負けてるし。ダイノガイスト様の恐ろしさを
一番理解しているのがラクシズ勢だろうし。……むしろストフリに
対ダイノガイスト様装備を追加オプションで搭載してもおかしくは無い。
ねんがんのダイノガイストをてにいれた。
……と思いきや、ダイノガイスト様には初めからパイロットなど居ない事を知らず、
逆に根こそぎ物資を奪われるラクシズ。
プラントの歌姫? 屑石など要らぬは!
「あのような強すぎる力は、この世界には不要なのです!」
とか言ってラクスならダイノガイスト様を思いきり敵視していそうな気はする。
無論自分のことは棚上げで!
奪取はどうだろうなぁ。むしろターミナルで対ダイノ様MS(要するにストフリ)を組む方面じゃないかと。
一応後々の整備補給を考えて、パイプの繋がりがあるザフトかオーブ方面から主に盗むのがラクシズ、という印象が個人的にあるので、
ダイノ様まで盗むかどうかは……微妙じゃないかな?
艦長の生存に慌てふためくAA組
フラガにトラウマを掘り返されるキラ
ここぞとばかりに(主にフリーダムに)攻撃をするアスカ兄妹
ダイノ様が手を出すまでもない気が……