このまま何もせず滅びの道を選ぶ方がどれだけ楽か。
でも、それでもシンは
「セツナ……俺は、行くよ!」
「……」
「俺にはまだ戦う理由があるし戦う力も残ってる」
「死にに行くのか…」
「違う、助けに行くんだ。ステラを、この世界を」
「可能性が0なのにか…?」
「可能性なんて知らない。俺はただ、助けたい人が、行きたい未来があるから戦う。それだけだ」
「……」
「セツナ……ありがとな。
俺が信じる心が足りなくて苦しんでる時、お前は何時も励ましてくれた。
俺が諦めかけた時、お前が居るんだって思うとすごく力が沸いた。
お前が居てくれて俺は『間違えないで』ここまで来れた。すごく感謝してる」
「俺の励ましに意味は無い…」
「意味があるかなんて言葉を貰った俺が決める事だ。俺はお前に助けられて今ここにいる。それだけは、それだけは絶対だ」
「…」
「……俺は行く。ステラを、世界を助けてくる。
戦いが終わったらまた会おうな……必ず!
それでその時は」
デスティニーインパルスが行く。
ただ一人ボロボロのままに、大切な人を、世界を助けるために。
運命を越えるために!
「また俺に笑いかけてくれよな!」
「そこっ!ちゃんと列に並んで下さい!」
「うっせーよバイトの癖にwぎゃははは!」
ビッグサイトの前はコミケ開場を待つオタク達で溢れかえっていた。係員の指示を無視したり勝手な行動をする者が目立つ。
なんちゃってオタクの増加によってモラルが著しく低下しているのだ。嘆かわしい!本当に嘆かわしい!くそめ!
転売屋も多すぎだ!団体で何冊も買い占めるな!純粋に楽しもうとしてる人達が居る事を忘れるな!蹴り飛ばすぞ!
「マスコミが来てる……あんな大きなカメラ入れたら他人にどれだけ迷惑かかるか分からないの?許せない!」
メイリンも怒ってるぞ。
シンの最終決戦と同時にコミケ最終日、ダブル最終決戦なのであった。
ビッグサイトから数キロ離れた所
「なんだ?クルジスのガキはリタイヤかよ?w
まあどっちみち、後で機体貰いに行くけどなぁ!」「悪い奴、今度こそ倒す!」
シンはマルキオが呼び戻したアリーとステラに行く手を阻まれていた。
デスティニーの修理は完了しておりOガンダムも今は問題が無いようで、マルキオ側二機は健在。
「ステラ……すぐに助けるから!」
インパルスはブーメランもビーム砲も無い。あるのはただ一つの…。
「今度こそ殺してやるよ!!」「悪いもの倒す!!」
「(俺は絶対に負けない!)シン・アスカ、インパルス、行きます!!」
世界をかけて運命を越える者が刃を振るう。
ゆりかもめ付近
「……」
セツナは動かず、何もせず、ただ破滅の時を持っていた。
待っていればいずれ…
「待っていれば………」
本当にいいのか?これで
心の中の自分が問いかける。
「俺は何も出来ない」
本当にそうなのか?
「俺は…」
本当にそうなのか!?
「…」
微かに辛そうな表情を受けべるセツナ。自分からは逃げられない、本心からは。
悩むセツナの元に遠くから次第に、数機のMSの陰が近づいてきた。あれは
「っ!?一人なのか、セツナ・F・セイエイ?」
「っ!!……トリニティ、無事だったのか」
刹那復活フラグ?
保守
大量部隊の放火から抜け出し見事駆けつけてくれたトリニティ。
最終決戦に加勢しに来たのだが、シンの姿は無くセツナ一人だけが居た。
「では、シン君一人がマルキオの所まで行ったというのか…」「あいつ……無茶しやがってっ」「ヨハン兄、早く追いかけないと!」
シンたった一人では無謀が過ぎる。トリニティ達は危機に陥っているであろうシンを助けに向かおうとするが
「急ぐぞお前達。セツナ君、君も一緒に来てくれ。
エクシアのダメージが大きすぎるのだろうが、それでも今は一人でも多くの加勢が必要だ」
「……俺はもう戦えない」
セツナは加勢を受けてくれない。
「んでだよ!!あいつがやべぇんだぞ!?」 ミハエルが声を荒げる。
「……」
「おい!聞いてんのかよ!!」
セツナは微かに顔をしかめながら顔を上げ、低い声で唸るようにしゃべり出す。
「俺も、お前達も、何のために戦う…」
「な、なに言ってやがる?そんなの」
「紛争根絶のためか?それなら無理だ……俺達はもうなにもできない」
「はぁ!?なに勝手にんな事言ってやがる!!おめぇ気でも狂ってっ
「ミハエル、よせ………セツナ君、何故そう思う?」 ミハエルを制しヨハンは理由を聞く。
セツナは軽く俯きながら、瞳だけをヨハンへと向けて言う。
「俺達はソレスタルビーイングの一人として、その計画によって紛争根絶のために戦うはずだった。
だが、それはマルキオの存在によって歪められ
今こうして別の世界で戦っている。だからだ」
「我々の行動はイオリアの計画から外れていて、
計画から外れてしまった時点で紛争根絶は無いと、そう言いたいのか?」
「既に計画は崩壊している……なら戦っても未来は無い。
仮に、今目の前にいる歪みの元凶を滅ぼしたとしても、それはその場限りの火消しにしかならない。
一度歪んだ計画は元には戻らない。
真の意味での紛争根絶がなされなければすべては無駄だ。また戦いが繰り返される世界のままだ…」
「……」
「俺の言っている事は間違っているか?」
「……間違って、いないのかもしれない。君の言う通りイオリアの計画は既に歪んでいる。
だが、それならば何故君は今までシン君と共に戦っていた?」
「っ!?」
「君は今までこの世界で、既に計画から外れた道を通っていると知りながら戦い続けていた。それは何故だ!?」
「それは…」
「信じていたから
自分達の力と思いを貫くことが出来れば
たとえ計画から外れていようとも紛争根絶は実現出来ると信じていたからではないのか!?」
「……」
「信じていたから戦えたのだろう!?」
「……そうだ、俺は信じていた。
たとえ計画が歪もうとも俺達の思いが、紛争根絶を願う心が、必ず世界を変えると」
「なら」
「違う!そんな話など関係無い!!俺は、俺はぁ!ガンダムを失ったんだ!!
俺の信じていた物が無い!無くなった!!
俺を救い、俺の全てだったOガンダムが奴に奪われた!!
だから戦えないんだ!!戦えるはずが無いんだ!!!俺はぁ!!俺はぁああぁあぁぁぁああ!!!!!」
両手で頭を抱えその絶望と悲しみを叫びに乗せて吐き出すセツナ。
瞳から大粒の涙を溢れさせ地べたへと崩れ落ち、声にならない声で泣きわめいた。
あまりにも絶望した姿にヨハンはしばらく何も声をかけられなかったが、
やがて何かを悟ったように頷き、セツナの肩へと手を置きながら語り出した。
「君の全てはガンダムか?」
「…ひっく………俺は…ガンダムしか」
「…」
「誰も助けてくれ……くて………ダムだけは……俺を」
「なら、我々は君の何だ?」
「!?」
「私は君達の事を仲間だと思っている。とても大切な、共に助け合う仲間だと。
でも、君は我々を同じようには思ってくれないのか?」
「それは……違う、俺も仲間だと………だけど俺の神は!」
「この世界に神などいない」
「っ」
「神がいる必要も無い。
必要なのは信じ合う心……信じ合う仲間ではないのか!?」
「!!」
「私は兄弟達を愛している!ああ!愛している!ラブラブ愛してる!
だから人は戦えるんだよ!」
「うぉぉ!!兄貴!俺も愛してるー!!!」「私も大好きだよヨハン兄!!」
「そして我々はセツナ君、君の事も愛してる!
それは、神をも越えるものではないのか!?」
「愛……!!神をも越えるもの、それが愛…!?」
「さあ行こう!もう一人の愛してる仲間の元へ!シン君の元へ!」
「愛……シン!愛する仲間、シン!」
だ、だが、俺のエクシアは……本当にぼろぼろで、セブンソードも失って」
「セツナ君、剣ならあるじゃないか……君の大切な友が残してくれたその剣が」
「……え?」
ヨハンが指さす方へと振り向くとそこには
デスティニーインパルスのエクスカリバー一本と対装甲ナイフ二本が地面に突き刺さっていた。
そして、地面に掘られた文字
『この三本置いてくぜ。セブンソードには足りないけど、少しでもお前の力になるなら、な。
ちゃんと笑えよ?セツナ!』
ビッグサイトからちょっと離れた所
「ちょこまか逃げてんじゃねー!!」「悪い奴!!悪い奴!!!」
二機のガンダムの猛攻を避け続け、反撃の隙をひたすら狙い続けるインパルス。
握られた武器はエクスカリバー一本のみ!それでもシンはあきらめない!
「たとえ残された武器がこの剣一つだけでも強い思いがあるなら世界を救えるはずだ!!
俺がそれを証明してみせる!セツナァ!!」
「シン……俺は馬鹿だっ!!」
絶望に目を覆われて気づけないでいた親友の優しさがセツナの胸に染み渡る。
自分もぼろぼろでどうにもならないというのにシンは、この三本の刃を自分へと残してくれた!!
「セツナ君、確かに君の大切な物は失われたのかもしれない。だが
もっと大切な物はまだ残っている!何よりも大切な思いはまだ生きている!」
「俺はっ、俺はぁー!!!うおーーーーー!!!!!」
「さあ、我々の剣も受け取るんだ。スローネのビームサーベルを一本ずつ…
GNソード、GNビームサーベル三本、対装甲ナイフ二本、エクスカリバー一本!
これでセブンソードだ!!絆の七本の剣だ!」
みんなの思いがエクシアを、セブンソードを復活させた!
「分かった……俺は分かった!俺は本当に望んでいたものが何か分かった!!」
「セツナ君!」「そうだ!それだぜセツナ!」「セツナ!」
「俺がガンダム、いや……ガンダムを越える!!
俺がOガンダムを倒し、神を超える!!そうだ、俺が」
「私が!」「俺がぁ!」「私がっ!」
「俺達が、神だ!」
「いや、セツナ君……俺達が神とか言うとアレだから『俺達がガンダムだ!』でいいよ」
「………そうか、すまない、ちょっと間違えた」
急げセツナ、トリニティ!新世界の神なんてどうでもいいから早く駆けつけろ!
「……セブンソード、持ちきれない。ビームサーベルは返す。あと対装甲ナイフもエクシアには収納できない、置いていく。
エクスカリバーだけ貰っていこう」
「そうか…」「お前…空気読めないって言われないか?」「しょうがないでしょ、これは」
「空気?存在が空気と言われた事ならある…」
トリニティが良い奴等になってるw
保守
「もらったぁー!!!」
ズバッ!
「ぐぅっ!!」
ひたすらチャンスを待ち飛び続けていたインパルスだったが
同じく光の翼を持つデスティニーの素早さの前にとうとう一撃を許してしまった。
強力なロングビームソード、アロンダイトの一撃がインパルスの右翼を斬り裂き爆散させた。
翼を失ったインパルスは急激に失速し、その機動力を失った。
「くっ…」
「ちまちま逃げ回りやがって。まっ、もうこれで終いだよなぁ?」「悪い奴、もう終わりだなっ!」
インパルスの前後をOガンダムとデスティニーが挟み込み最早逃げる事は叶わない。
「そうだな、逃げられない……逃げられないけど」
ブワッ!
インパルスがフルブースト、デスティニーに向かって猛進!
「終わりなんかじゃない!!」
「っ!!悪い奴っ!!」
ズガーーー!!!バババババァ!!!
インパルスとデスティニーがぶつかり合うようにビームソードを斬りつけた。
剣と剣がぶつかり火花が散り薄暗いその空間を閃光が一瞬、雷鳴の如く強烈に照らし出した。
二機は一瞬の輝きと共にすれ違い、背を向け合いながら空中で静止した。
「……」
「悪い奴…」
ジジジジジッ ドガンッ!!
エクスカリバーが、アロンダイトが、互いの剣が爆発した。
一瞬の激突は互いの剣を砕き去った。
互いに同じダメージ……いや
エクスカリバーしか武器を持たないインパルスにはこの痛手は致命傷、敗北へ繋がる損害。
「ひゃはははははwもうどうしようもねぇなぁ!!もう何も無ぇんだろ?」
「……ああ、もう武器は無い」
武器も無く、片翼も潰されて攻める事も逃げる事も出来ない。
「…撃てよ、お前達のそのビームで
俺を、インパルスをドロドロに溶かし尽くしてみろよ!!」
「言われなくったってなぁ!!おら嬢ちゃん、トドメ刺してやろうや!!」「うん!悪い奴、消えろ!!!」
ズビュー! ズギャーン!
Oガンダムのライフル、デスティニーの高エネルギービーム砲が唸りを上げる。
二つの閃光は真っ直ぐにインパルスへと撃ち放たれた。
避けようともせず空中で静止を続けるインパルス。もはや諦めたというのか? いや!
「……………今だ!!」
キュワーーーーーーーーヒュッ!
ビームが到達する寸前、シンの声と共にインパルスの周りに突如金色のオーラのような物が展開された。
オーラは一瞬でインパルスの周りを丸く囲い尽くし、金色のフィールドになる。
「ヤタノカガミフィールド!!」
バジューーーージュバーーーァ!
直撃した二つのビームが黄金のフィールドによって跳ね返された!
アスハより授かりしフィールド型ヤタノカガミが敵の攻撃を跳ね返したのだ!
跳ね返された攻撃はその攻撃を撃ち出した者の所へと一直線に舞い戻る!
「んなっ!!」「何だこれは何だ!!」
二つの光が二機を襲う。
ヒューン ズギャーーーン ドガーン!
Oガンダムはアリーの卓越した能力によってギリギリ回避
デスティニーは避けられず下半身に直撃、腰から下を大爆発させて失ってしまった。
「っ!!Oガンダムをやり損ねた!?」
アリーに避けられた事に戸惑うシン。
ヤタノカガミによる不意の一撃で二機に大ダメージを与えるつもりがOガンダムに避けられてしまった。
この一撃でこの場の戦いを終わらせるつもりだった。
なのに、この一度のチャンスが失敗に終わってしまったのだ。
「やべぇ…(どうする!?どうする!?)」
インパルスのディスプレイにはヤタノカガミの使用が不可である事を示すデータが表示されている。連続使用が不可能なシステムなのだ。
仮に連続で使えたとしても一度晒してしまったならば同じ相手には通用しないだろう。
「お前…お前はぁ!!!」
「っ、ステラ!!」
怒り狂ったステラが今度こそ完全に手詰まりのシンへと襲いかかる。
フラッシュエッジビームサーベルを両手に持ちデスティニーが
インパルスへと凄まじい勢いで斬りかかる。
ズバッ ズバッ グシャァ!
「ぐわあぁー!!」
「消えろ!消えちゃえ!!消えてしまえぇーぃ!!!」
休み無く繰り出される刃がインパルスの全身をズタズタに切り刻む。
強烈な激痛がシンの精神を弱らせ心を砕く。
「お前は消えるんずぁーーー!!!」
「やめっ…」
ズバッ グショッ ザクッ グシャ!
ステラの攻撃は止まらない。
すべての怒りをそそぎ込むかのように、何度も何度もインパルスに刃を斬りつける。
「お前みたいな奴がいるから、世界はぁー!!!」
「う…あ………ステ…ラ」
ズギャ ガシュッ バジュ!
「悪い奴は消えなくちゃだめぇーー!!!」
「もう……っ………やめ…て……ステラ」
「お前みたいな奴がぁ!!!」
「……」
どうしてこんな事になってしまったのだろう。
ステラを助けたかった、ステラが笑える世界が欲しかっただけなのに
何で今こんな事になっているんだろう。
……やっぱり駄目なのかな?
俺は誰も救えなくて、ステラも絶対に救われないのかな?
あの一番辛かった世界のように、俺はまた何も救えずステラにも突き放されたまま死ぬしか無いのかな?
俺は大事な人を守る立派なお兄ちゃんには、なれない…
身も心もズタズタにされてシンの命の炎が消えかかる。
もう叫ぶ力すら残っていない。
それでも、僅かに残った思いの力でステラへと優しく語りかける。せめて最後ぐらい、大切な人に大切な言葉を…
「ステ…ラ」
「悪い奴!悪い奴っ!!」
「君は俺が…」
「これで………終わりだぁあぁぁぁぁ!!!」
「君は俺が………守る…から」
「っ……!」
攻撃が、止んだ。
最後の一撃、トドメの一撃が斬りつけられる寸前、シンの言葉を聞いたステラが刃を止めた。
なぜ自分は今攻撃を止めているのかステラ自身が分からない。
「っ…?ぇ?あ、ぁあ?へ!?」
なぜ攻撃できない?なぜ悪い奴であるこの者にトドメを刺せない?
混乱するステラの心に、次第に忘れ去られていた記憶達が蘇る。
「………っ!!」
ステラがデストロイへと搭乗したある世界
死ぬのはいやぁ!!!
『大丈夫!!君は死なない!!君は俺が…俺が守るから!!』
だからちょっとだけ会いに来た
『ちょっとだけ?ちょっとだけなの?』
ステラ昨日を貰ったの 嬉しいの だから分かるの だから明日ね!明日!
『明日…』
ステラのためにシンが世界を滅ぼしたある世界
(やめて……シン)
『くくくくく、フリーダムは倒した……アスランの大切な仲間を………くひひひひひ』
(私はこんなことしてほしくないよ)
『次はプラントだ!アスランの大切なものなんて全部全部叩き潰してやる!!
ステラの仇をとってやる!!
待っててステラ、みんな殺して君が寂しくない世界にするからね!
俺だけは君の事を大切に思い続けるからね!』
シンどうしてこんなことするの? 大嫌い
『ステラ……うああああああああああ!!!』
「シン……そうだ、ずっとシンは…いつだってシンは」
他の世界での悲しみも過ちもすべて心に蘇る。
全部思い出した。
シンはどの世界でも、いつだって自分のために戦ってくれていた。
ある世界ではデストロイに乗った自分を助けるために自らの身を危険に晒してまで説得し続けてくれた。
ある世界では自分の事を強く思うがゆえに世界を滅ぼしまでした。
罪を犯し過ちを繰り返しもしたけれど
いつだってシンはたった一人自分の事を救うためにボロボロになりながら頑張ってくれていたのだ。
「私は…私はぁ!うぅ、ひっく…私、は」
涙が溢れ出して止まらない。
シンが、その存在が愛おしくて仕方がない。
目の前の、自分でズタズタにしてしまったインパルスの姿が痛々しくて仕方がない。
シンに、今までのすべてを謝りたくて仕方がない。
「シン…私」
「ステラ……記憶が」
「今までごめんね!私のために、いつも…いつも!」
「ステ…………ううん、いいんだよ。俺が勝手にしたんだ。君を守りたかったんだ」
シンに、今までのすべてにありがとうを言いたくて仕方がない。
「シン、私に昨日をくれて……いつも私を思ってくれて、ありが
ズギューーーン
と………う」
「…ステラ?」
「シン………逃げ…て」
「へ?………っ!!ステラ!!」
デスティニーの体に出来た小さな穴。後ろからOガンダムによって空けられた絶望の虚無。
「お嬢ちゃん…電波解けたならさよならだ」
「嘘……だ」
光が消え崩れ落ちるデスティニー。
「ステ…ラ?ねえ?ステラ?返事……してくれよ?」
デスティニーは内部を何度か小爆発させ
「ステラ…?」
ドッ!!
最後に大きな爆発を起こしてバラバラに砕け散った。
「あ、ああ……ああああああああ!!!!!ステラァーーーーー!!!!!うあああああああ!!!!!」
デスティニーの爆発、核爆発はインパルスをも飲み込み、辺り一面を激しく吹き飛ばした。
盾で身を守り爆風を防いだOガンダム以外は残骸と化し、その場は死の瓦礫の街となった。
「お二人さんとも、ご臨終だ」
最後に残ったのはアリーただ一人。
思いは打ち砕かれ、欲望の強き者が勝者となったのか。
「さぁて、次はクルジスのガキからガンダムをかっさらって………ん?」
その場を去ろうとしたがよく見ると瓦礫の中に
原型を殆ど留めていないながらも辛うじて完全破壊を免れたインパルスの姿があった。
「はぁ〜しぶといねぇ。運が良いやら悪いやら…」
アリーはライフルの照準をインパルスにロックし、ゆっくりと引き金を絞る。
「あばよ、ヒーロー気取りの馬鹿なガキw」
「「「GNハイメガランチャー!!!」」」
ズギャーーーーーーーーーーーン!
「っんだと!?」
インパルスにトドメを刺す寸前、遙か後方から凄まじいエネルギーが飛来
Oガンダムの間近を空間を貫きながらかすめた。
「この粒子ビームは、ガンダムか!?」
「インパルスが……くっ、Oガンダム!」「てめぇよくも俺達の仲間を!!」「シン!返事してよ!シン!」
トリニティが駆けつけてくれた。
これが間に合ったと言えるのかどうかは分からない。だけど彼らは助けに来てくれた、仲間として!
「ちっ邪魔すんじゃねーよ!
ったく、これからクルジスのガキをお仕置きにでも行こうって思ってたのによ」
「俺ならここにいる!!」
「何っ!?」
Oガンダムの真上、薄暗い天上のその先
その遙か天空から分厚い雲を斬り払い舞い降りる一機のMS。
鋭い剣に輝きと思いを乗せて一直線にOガンダムへと斬りかかるその機体はガキィィィィン
「ガンダム!?ガンダムエクシア!!」
二機のガンダムの激突
とっさに抜かれたビームサーベルで耐えしのいだOガンダムは激しい衝撃によって後ろへと吹き飛ばされる。
「ぐあっ!ぐっ、てめぇ。クルジスのガキ!
馬鹿なっ、てめぇはOガンダムには刃向かえねぇはずじゃ」
「この世界に、神はいない!」
よろけた所にエクシアすかさず追撃、GNソードの連撃がOガンダムの四肢に叩き込まれる!
「この世界に確かにあるのは!!」
四肢切断!そしてトドメの縦一閃!!
「仲間への純粋な思いだ!!!!!」
ズバアアアアアァァァァァ!!!
エクシアの一撃がOガンダムを真っ二つに斬り倒す。セツナは神を、己の意志で打ち倒す!
「馬鹿な…っ」
「俺が、俺達がガンダムだっ!!」
ズッガアァァァァァァァァァァァァン
たった一つあればそれでいい。
たった一つ、仲間への純粋な思いこそが運命を越えるのに何よりも大切な物だ。
「倒した、か」
炎上するOガンダム。もう、神はいない。完全に。
「セツナ君、早くシン君を」「早く治療しねぇと…ネーナ、そっちに医療器具積んであるよな?」「うん!全部揃ってる!手術だって出来るよ!」
「シン、今コックピットから出して
ブワーーーーーーーー!!
「っ!?」
「何事だ!?」「な、なんじゃー!?」「まぶしい!何?この光」
シンを救出しようとした矢先、突如天空にまばゆい光が生まれ激しい衝撃が走った。
光は次第に晴れ、その中心に一機の謎のMSが姿を現した。
その機体は白く、背中に蒼き翼、全身の間接には金色が輝いてる。その機体は
「ふひゃひゃひゃひゃひゃ!!あんがとよぉマルキオさん!」
その機体より聞こえるその声、今倒したはずのアリーの物!?
「馬鹿な!?確かに倒したはず…!」
「甘ぇよ、こっちには電波が使えるマルキオさんがついてんのよ。
電波の力でやられても復活出来るんだよ!」
「くっ!アリー・アル・サーシェス!!」
「このCEの世界最強の機体、ストライクフリーダムガンダムでてめぇら纏めて灰にしてやんよっ!!」
最強の機体ストライクフリーダムが最強の敵として立ちはだかった。
シンの安否も分からぬまま、今はこの最強の敵を相手にするしか無いのか。
運命を越える者達の負けられないクライマックスバトルが今始まる。
「シン、すぐに奴を片づける……必ず、必ずみんなで運命を越えよう」
「行くぞみんな!敵は手強いぞ!」「シンを痛めつけた礼はさせてもらうぜ!」「みんな絶対勝つよ!」
「ああ!!
セツナ・F・セイエイ、エクシア、目標を駆逐する!行くぞ!!!」
完
シンとステラの安否が気になる
保守
保守
保守
ほしゅ
種死 運命を越える者 第十六話「繋がる思い」
遂に開始された最強の機体との戦い。
蒼い翼の絶対最強無敵凄い壮絶究極ハイパーウルトラなストライクフリーダムの強大な力が解放される。
「食らえぃ!スーパーフルバースト!!」
ゴヴァァァァァァ!!!
ラウフルが、腹ビームが、レールガンが唸り哮る!
虹色ビームがセツナ達を襲う!
「くっ!」
「回避!!」「あぶねぇ〜!!」「きゃっ!」
ギリギリ避けきるエクシアとスローネ。
通過した攻撃は遙か遠方、大阪まで到達し
大阪城やとらのあなを大爆破した。
経済に大損害だ!
「なんて威力だ…」
「二人とも、こっちも超パワーで反撃だ」「おっしゃっハイメガ!!」「おっけー!!」
スローネ三体合体攻撃で反撃!
「「「GNハイメガランチャー!!!!!」」」
バッギューーーーーーーーーーン!!!
超粒子エネルギーが大放射、ストフリを狙い撃つ!
「そんなもん効くかよぉ!!」
ぎゅじゅじゅじゅじゅ!!!
ストフリの両腕に搭載された二つのビームシールドが展開!
バッシューーーーーーーン!!
完全に防ぎ切った!?
「馬鹿なっ……なんて強力な防御ビーム装備だ」
その圧倒的性能に思わず口をぽかんと空けてしまうヨハン。
最強砲撃をああも簡単に防ぎ切ってしまうとは驚異。
「野郎…だったらこいつでどうだ!行けよファングゥ!!」
ミハエル、怖じ気づかずに更に攻撃。
ファングを射出して突撃させる。
「はん!そんなゴミ!
行けよドラギューン!!」
「何だと!?」
ストフリの翼から放たれたあれはファング?ドラギューン?
蒼い翼が空中を自在に飛び回る。
ミハエルの放ったファングが、ドラギューンから撃ち出されたビームによって全て破壊される!
「当たれえぇぇえい!!!」
アリーの吼孔と共にドラギューンが更に連続ビーム攻撃。
四機に向けて土砂降りのようなビーム連撃を浴びせてみせた。
ズガドガァズギョボコドガーン!!!
「ぐっ……な、なんて、強さなんだ。…ニティ、大丈夫か?トリニティ!?」
呼び掛けるセツナ。しかし返事が返って来ない。
「トリニ…………!!」
地面を見て絶句。
三機のスローネが地面に墜落してボロボロの姿で横たわっている。
今の攻撃で全身をズタズタにされてしまったのだ。
「うっ、ぐっ……すまないセツナくん」「あ、ぐはっ……痛ぇ」「お、お尻痛い…」
スローネは戦闘不能状態に落とされていた。
「くひゃひゃひゃひゃひゃ!!ざまぁねぇなぁ!この程度でもう終いか?w」
こんなに簡単にスローネがやられてしまうなんて、強すぎるんだストフリが!
ストフリの周りには空を飛び続けるドラギューンが健在。
ドラギューンもといドラグーンは本来地上では重力の影響で使えないが
マルキオ電波による超能力干渉でアリーは地上でも使う事が出来るのだ。
まさに常識を越えた強さ、力!
「ドラギューン……(なんて兵器だ)」
確かに、あの兵器は最強レベルで
おまけにビームシールドという強靱な防壁がある。しかし
「それでも俺は打ち破る!」
セツナは諦めない!仲間を愛する思いがある限り負けない!
GNソードを掲げてエクシアがストフリへと突っ込んでいく。
「馬鹿めっ!ドラギューン!!」
シュバババババ!!!
「……負けない!
斬り裂けGNソード!そして、打ち砕けエクスカリバー!!」
右腕にGNソード、左腕にエクスカリバー、二つの大剣が光を放つ。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ズバッ! ズシャァ! ズガァーーーン!!
機体を激しく捻らせながらの大剣二閃撃がドラグーンへと放たれる。
鋭きソードが両断し、強靱なエクスカリバーが叩きつぶす!二つの剣が蒼い翼を撃破する!
「まだまぁ!!あと六つあんだよぉ!!」
残りのドラグーンがエクシアをぐるりと取り囲む!
「くっ、囲まれた…!」
クルクル回りながら周りを囲むドラグーン。振り切ろうと動くが振り切れない!?
「出来るだけ傷つけるなって話だが
この際めんどくせぇから真ん中だけ残して砕けちまいなっ!!ドラギューン!!」
蒼い翼が再び砲口に光を灯す!
「させん!」
シュッシュッ!!
ドラグーンの砲撃 させるものか!
地面に倒れながらもアインが二本のビームサーベルを空へ向かって投合
ズバッズバッ ドッガァーー!!
二機のドラグーンを貫いてエクシアの退路を開いた!
エクシアは空いた空間からドラグーンの囲いの外へと退避、ビーム攻撃を何とか避け切った。
「助かる!(ありがとう、スローネボインヨハン)」
兄の見事なアシストに呼応してかミハエルとネーナもサーベルを抜き出し投合!
「ファングのパクリ死ね!」「カメラ内蔵したらリモート盗撮機になるっぽい兵器死ね!」
シュッシュッシュッシュッ! ズガガガガ ドガーーーーン!!!
やった!全てのドラグーンを破壊し尽くした!
トリニティの活躍によって凶悪な強さを誇るドラグーンを見事全滅してみせた。
「ざまぁみろファングのパクリ!
(カメラ内蔵でリモート盗撮………ファングにカメラ付ければネーナを盗撮できる!!)」
ミハエルの明日への希望も繋がった!
でも日頃からお風呂覗いたり布団に潜り込んでおっぱいモミモミしてるミハエルには
大して必要無いアイディアだった。
「アリー・アル・サーシェス!!」
ドラグーンが無ければ一気に斬りかかれる。
エクシア、二本の剣でストフリへと突撃!豪剣が唸りを上げて振り落とされる!
「ガキがっ!!調子に乗るよ!」
ビームシールドで攻撃を受ける。
激しいエネルギーのぶつかり合いが衝撃波を生み
遠くてドミノギネスチャレンジしていた小学生の妨害をする。ドミノが衝撃で倒れて全部やり直しになる。
「てめぇと俺とじゃ腕が違うって、ってんだろぉぅがぁ!!」
ストフリが右腕のビームシールドを切りレールガンの横に装備されたビームサーベルを振り抜いた。
ズバッ!!
素早い一閃がGNソードを基部から切断し破壊。
更にシールドを強引に押しがってエクシアを弾き飛ばし、仰け反った機体に向けてフルバーストを放つ。
「スーパーフルバースト!!!」
「っ………やられて、たまるかぁぁぁぁぁ!!!!!」
放射される凄まじい虹色のエネルギーを 負けない その一心で避ける!
激しいエネルギーの圧力に弾かれながらも思い切り左腕を振り上げ、力一杯エクスカリバーを投げつけた!
ズグシャーーーー!!!
エクスカリバーがストフリの腹を突き破る!
「会場10分前でーす」
コミケ会場まで10分を切っていた。
オタクが溢れ、報道陣が偉そうに陣取り、変なパフォーマーがスタンバイしている。
不安、なんて不安なコミケ開始前なんだ。
オタク叩きのネタを探しに来た報道陣、目立ちたいだけのパフォーマー、転売屋。
不安ばかりが募る。
そんな中、会場の内部の一角に謎のディスプレイが設置されていた。
そこは誰もが最初に行きたがるブースなのだが今回は何か雰囲気が少し違う。何かある。
「今度こそ、やったか?」
エクスカリバーに串刺しにされてだらりと四肢を垂らしながら空中に浮かぶストフリ。
倒したのか?それとも
「行けよぉ光の翼ぁぁぁ!!!」
「なに!?」
ブワァァァァァァァァッ!!!!!
ストフリが、アリーの叫びと共に再び光りを解き放つ。
ドラグーンの無くなった翼から青い光、デスティニーの光の翼にどこか似た蝶の翼のようなものが吹き上がった。
「なぜだ………串刺しにしても駄目なのか!?」
「言っただろ?w俺はマルキオ電波の力で死なない!何度でも復活出来るってなぁ!!」
ストフリの腹に刺さっていたエクスカリバーが爆発、消滅し
ぽっかり空いた腹の穴はマルキオ電波で一瞬で修復された。
「まあ死なないとはいえ、串刺しにされて腹が立たねぇ訳も無ぇよなぁ?
今度は俺がてめぇの腹に剣突き立ててやるよ!クルジスのガキィ!!!」
「セツナッ!これを使え!!」
「!」
ツヴァイがエクシアに向けてGNバスターソードを投げつけた。
ガッ!
「ぐあっ!」
コントロールが悪くてエクシアの頭にソードがぶつかった。
「ちゃんと受け取ってくれよ!」
「……そう、だな」
エクシア、GNバスターソードを装備。
「そんなでかいエモノ一本でどこまでやれるかねぇ?w」
ストフリは光の翼を発動して高速機動形態となっている。
無敵かつ強大な破壊力を秘めたストフリ。果たして倒す手段はあるのか?
「行くぜ!クソガキィッ!!」
「たとえ一本の剣でも、それは強い力になると俺は知った!だから負けない!」
二機の激しい戦いが続く。
……
セツナとアリーが、コミケのオタクが、己が全てをかけて戦っている中
シンはぼろぼろのコックピットの中で気を失い、漆黒の暗闇の中にいた。
ステラを失い、果てしない絶望の牢獄の中に。
ステラ……ごめんよ
また君を助ける事が出来なかった
今まで何度も 何度も
君を助けるチャンスはあったはずなのに
なのに俺は君を一度も救う事が出来なかった
俺は……もう駄目だ
もう戦う事は出来ない もう一度立ち上がる事は出来ない
俺は 自分が無力過ぎて 自分が許せない
奪う事は得意なのに 救う事は出来ない自分が憎らしい
俺は ここで終わる………終わろう
『終わりになんてしないで、シン』
自分の全てを終わりにしよう、そう決めたシン。
だが、そんな彼を終わりから連れ戻そうとする優しい光があった。
君は ステラ!
『終わらないで、シン
全部を諦めたりしないで』
運命に屈し、身も心も闇へと染まり行くシンを
淡い光に包まれたステラの優しい手が彼を救いだそうと伸ばされる。
『全て諦めて、全部悲しいままで終わらせたりしないで、シン』
ステラ………分かってるさ こんな風に終わらせても駄目だって…
でも、俺はもう立ち上がれないんだ
君を助けたいのに助けられない自分が許せないんだ!
何度だって願って来たはずなのに、運命に打ち勝てないんだ!
俺は 君だけは絶対に助けたかったのに!!
なのに……なんで
君を助けられなければ 全部 意味が無いのに
『……』
俺は 君だけは…
『シン 私のためじゃなくて シンの未来のために もう一度立ち上がって』
ステラ……違う そうじゃないんだ
俺は結局 俺は君のためじゃなくて
俺がそうあってほしいって願ったから、俺は俺のために君を助けようとしてただけなんだ!
俺に君が必要だったから………
全部俺がした事は俺が俺を助けたくてしただけの事だったんだ!
俺は 自分の気持ちの事しか見てないんだ いつだって
『でも みんなそう』
ステラ…
『みんな シンと同じ みんな思いでいっぱい
でも 私はそれはとても優しい気持ちだと思う
シンはシンのためにがんばれる だから シンはシンの思いのまま誰かの事を大切にできる』
……
『シンは 大切なものを知ってる』
ズガッドガッガキィッ!!!
「おらぁどうしたどうしたガンダム!!w
紛争根絶のために頑張るのがソレスタルなんたらだろ?だったらもうちっとがんばれよ!w」
「貴様のような男が、ソレスタルビーイングを語るなど!!」
「てめぇの許可がいるのかよぉ!!ぇえ?」
二機は高速でひたすらぶつかり合い火花を散らす。
武装と性能差によってエクシアが一方的に機体を損傷しぼろぼろになって行く。
それでもセツナは諦めない!
5月12日。
盲腸になって「これでやっと死ねる」と思って、治療拒否したらそのまま拘束されて精神科強制入院。
友達からW-ZERO3借りて病院で少しづつ書いてます。
W-ZERO3はダブルシム抜けばただのWindowsモバイル5.0搭載PDA。
ただ、問題は電源の確保。バッテリーの持ちが悪くなったのとダブルシム挿したら動作不良起こす様になったから友達はW-ZERO3アドバンス[es]に変えました。
W-ZERO3のバッテリーの持ちは18時間充電で2時間稼働。
昨日から一時帰宅で今日また10時頃に病院戻る予定。
手持ちの資料が病院内では足りないので家でW-ZERO3をパソコンとアクティブシンクさせてデータ移動してから編集して投下します。
現在トンデモSSが出来上がって来てます。
叩かれるか心配…。
安心して投下スル
叩き以前に人が殆どいないから
保守
保守
死守
「あれが痛車って奴か?」「ほら、カメラさん撮って撮って!」
コミケ会場前は荒れている。
マスコミ、どこまでいい加減で身勝手なんだ、あんた達は!
「しかしオタクは本当に気持ち悪いな。汗だらけのデブがうようよいやがる。
エコキャンペーンやるより馬鹿なオタクを全滅させた方がよっぽど地球に優しそうだなw」
言い過ぎだ。
大声で言うものだから周りのオタク達がもの凄い不快そうな顔でマスコミを睨み付けている。
「おお怖っ!睨んでるよこいつらwさすが犯罪者予備群だなw」
だれかこいつを止めろ。
ステラ……でも、でも俺は
やっぱり君だけが 君がいなければ何も
『シン…目開けて』
!
『シンには大切な人達がちゃんといる
だから目を開けて、大切な人達をちゃんと見て』
大切な人達……………はっ!!
そう、ステラの言う通りだ。
シンには、まだ大切な物が残されている。
心を閉ざして瞳を閉じれば見えなくなってしまう
だけど瞳を開いてその存在を思い出せば思いが沸き上がる暖かな光。
そうだ……俺は 俺にはまだ
『シン…!』
仲間がいた…!!!
「GNバスターソード……濃縮粒子放出!!」
エクシアの手に握られたバスターソードの中心がスライドし
内部に貯蔵濃縮されていた赤いGN粒子が一気に溢れ出す。
「はぁっ!!」
ズシャァッ!!ババババババアバッ!!!
強大なビーム性質を得たソードがストフリのビームシールドに叩き込まれる。
溢れるエネルギーはあまりにも膨大で強力なビームシールドもその力に耐え切れず
バッシューーーン!!! バッガーーーーンズガラガンドゴッ!!!
シールドブレイク、ストフリは圧力に耐えきれず弾き飛ばされ
勢いよくエロアニメ制作会社の入っているビルに激突して小爆発を起こした。
「がっ!!ぐぅっ!!このやろ…」
「(貯蔵粒子には限りがある、一気に決める!)もう一撃っ!」
エクシアが再び剣を引っさげ飛びかかる。
そうだ 俺には仲間が セツナがいてくれた!!
『うん それに それだけじゃないよ 他にもシンの事を思って戦ってる人がいる
シンが目を開いてちゃんと見れば 大切な人はそこにいるよ』
ちくしょう!! 俺は 俺は何でこんな大切な事を一時でも忘れてたんだ!!
忘れちゃだめだろっ!!仲間なんだから!!!
大切な 仲間なんだから!!!
俺は!!…………馬鹿だっ
「はぁっ!」
「二度も当たるかよっ!!」
ヒュッ!!
降り下ろされたバスターソードが空を斬る。
回避に専念したストフリには当てるどころか掠りもしない。
「くそっ!」
それでも諦めず追撃!何度も何度も剣を振るう。しかし
ヒュンッヒュンッ ヒュッ!!
最早一切当たらない、完全に攻撃を読まれて軽くあしらわれている。
「ワンパターンなんだよ!w」
「くそっ!当たれっ当たれぇー!!」
「ま、そんなデカいエモノ一本じゃどうにもならねぇよ……なっ!!」
ドガッッッ!!!
「ぐはあぁぁぁぁ!!!」
斬りかかるために接近し過ぎていたのが仇となった。
ストフリのレールガンを間近で腹へと撃ち込まれエクシアは機体の破片を派手にばら撒きながら吹き飛び
バッグシャドッゴー!!!
エロゲ会社のビルに突っ込んでエロゲ製作用のPCがショックで爆発してそれによってその場は激しく燃え上がった。
「セツナ君!!」「ばっ!大丈夫か!?」「ちょっと!何かすごく燃えてるよ!?」
燃え上がるエロゲ。
トリニティもエロゲを、じゃなくてセツナを心配している。
正しくはミハエルだけエロゲも心配している。
燃え上がるエロゲ、その中からエクシアがゆっくりと立ち上がった。無事のようだ。
しかし機体の胴体部は派手に粉砕され、セツナのいるコックピット辺りもかなり破損している。
飛び散った破片の一部がセツナの体に突き刺さり全身から血が流れている。
「うっ…(体……が)」
スーーーーーッ
立ち上がったと同時にバスターソードの濃縮貯蔵エネルギーが切れ、その大剣から強大な力が失われた。
決定打を失いエクシアはさらに窮地へと落とされる。
「(バスターソード………くっ)まだだ、まだ、戦える!」
『立ち上がって シン
シンを大切に思ってくれる シンも大切に思ってる やさしい人達を守るために』
ステラ 俺…分かったよ 俺が今する事 したい事
立ち上がらなきゃ駄目な理由が!
『シン………うん!』
俺はあいつらを守りたい!大切な人達だから!
だから 俺はもう一度立ち上がるんだ 何度だって!
コミケ開場!
「危険ですので走らないで下さい!お願いします!」
係員が注意を呼びかける。しかし
「ぶっひゃっひゃーーー!!!新刊買いまくって転売!!」
「俺一番のりー!!」
「どけよお前ら!!」
係員の注意を無視した邪道横暴悪代官が扉が開くやいなや全力疾走した。
先頭が走れば後ろの人間も釣られて走る。
それが連鎖に連鎖を重ねて結局みんな走る事になる。
何度注意しても改善されない悲しい運命。
「(転売転売!!)」
転売屋、マナー守らないオタクを先頭に人の群はなだれ込んだ。
ボロボロでもう勝ち目などあるはずもないのにエクシアはストフリに挑む事を止めない!
斬りかかり、交わされ、反撃を喰らってそれを何度も何度も繰り返す。
「(俺は倒れない!シンを、トリニティを、俺が……俺が!)大切な仲間がいる限り俺は負けない!!!」
コミケ会場
一番の人気ブースにマナー違反を犯した者達が到着した。
息を荒くして目を真っ赤に血走らせた亡者達が押し寄せる。だが
「何だ?誰もいないぞ!?」
「どうなってんだ!?」
「責任者どこだよ!?ふざけんなよ!!」
「何だこのでかい画面?」
転売屋やオタク達がざわめいていたその時
そこに設置されていたモニターに光が灯り、そこにある人物の姿が映し出された。
【この場所に開園からこんな短時間で人がやってくるという事は、どうやら私の望んだコミケにはならなかったようだ】
画面に映し出された人物、それは
「あ、この人……伝説のエロゲーマーアーサー・トライン!!」
「え!?この人が!?」
「コミケ引退した後行方不明になってたあの人か!?」
「居なくなっても誰も捜索願い出さなかったっていう」
【オタクは未だ愚かで自分の得ばかりを考え、コミケを破滅に導こうとしている】
「おらぁっ!!」
「負けられない!負けられないんだぁー!!!」
グシャァ!!
エクシアの頭部がひしゃげる!
ガッ!!
最後の武器のバスターソードも弾き飛ばされてしまう!
「例え…例え全ての剣を失っても、この命が尽きない限り希望はあるんだ!!!
俺に、仲間を思う強い気持ちがあるのなら、絶対に!!!うおぁーーーーー!!!!!」
【というか、走るなって言ってるだろう!!いい加減にしろマナー違反達!!
普段部屋に引きこもって禄に運動もしないデブかガリガリばかりのくせにコミケの時だけスタートダッシュするな!!
転んで倒れてドミノ倒しになって怪我人出たらどうする!!コミケ潰れたらどうする!!
ここは戦場なんだぞ!!運が悪いと本当に潰されたり体悪くして死ぬ事だって十分可能性があるんだぞ!!
分かっているのか!!??
軍人になった私を見習え!!
コミケで具合悪くならないよう体鍛えるためだけに軍人になった私を!!
お前達はコミケを舐めているのかぁぁぁkそあjぽふぁ;あかあああああああああ!!!!!?????
……………はぁ…はぁ】
ステラ……俺は 行く!
『うん』
この世界で……俺は君を救うことが出来なかった だけど
必ず俺は運命を打ち破る! マルキオの運命を越えて 必ず
君を救う世界にたどり着いてみせる!
『シン…私も 私が幸せに生きられる 怖くない世界に行きたいって思ってる 願ってる
だけど 「救う」なら もう私 シンにしてもらったよ?』
【……だが、私はまだオタクを信じ、力を託してみようと思う】
『生きられなかったけど 私の胸はやさしさでいっぱい
シンのくれた思いで 私の心は救われてるよ ずっと 前から』
ステラ……
【コミケは】
「おらぁおらおらおらぁっ!!!」
ズガドガガスズッガッドゴザギュッ!!!
サーベルで全身を滅多切りにされ、エクシアはもう完全にどうにもならない。
ただその身が砕かれ斬り裂かれて散り行くのみ。
「エクシア……だ……いやだ………俺は…負けたり…しな……ぐはぁ!」
「最高だな!ストフリの力は!
ガンダム、こいつはとんでもねぇ兵器だ。戦争のしがいがある!楽しくてたまんねぇよ!!w」
ズバッ!!
「があーっ!」
「てめぇらも本当は楽しくてたまんねぇから戦争してたんだろっ!?w」
「っ…違うっ!」
【オタクは】
ズシャ!!
「がっ!……絶対に、絶対に違う!」
ズバァッ!!
「がああああっ!!!…っ…くっぅ
お、俺の、俺達の戦いは!!!」
「はっ、いい加減耳障りなんだよぉ!!
こいつで、止めだっ!!!」
ストフリのフルバースト!全砲門が輝く!
ステラ………ステラァーーーーーーーーーーーーー!!!!!好きだぁーーーーうあーーーーー!!!!!!!
【変わらなければならないのだから!!】
ギュアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
カーーーーーーーーーー!!!!!
パァーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
「っ!?なっ、何だと!!???」
フルバーストが唸った瞬間
瓦礫に覆われたその場が突如目映く果てしない閃光に溢れかえった。
光は全てを包み込み、その場の全ての者の視界は白一色となった。
「ぐぁっ!なんだこりゃあ!!目が!目が見えねぇー!!」
美しく輝く光。
それはやがて一点へと集束され一つの光となる。
「ぐっ……何だあれは?よく見えねぇ………あん?あれは………っ!?」
集まり輝く一点の光。
そこから何かが飛び出し、一瞬でアリーのもとまで到達した!
ズバァーーーーー!!!
「なあぁぁぁぁぁぁ!?」
一瞬の、飛び出した物に反応した次の瞬間
ストフリの左腕が勢いよく斬り落とされた。
「な……くっ、何が起こった!?」
ドコドコドン チャッチャッチャラチャラ♪
ビュン!! ビュン!! ビュワーーーーッ!!!
ドコドコドン チャッチャッチャラチャラ♪
ヒュンヒュンヒュン!!! ギュアーーーーーン!!!
何かが、光輝く何かが
もの凄いスピードでストフリの周りを飛び回っている!
その早さは次元を越えている!肉眼でもレーダーでもその姿を捉える事が出来ない!
ドコドコドン チャッチャッチャラチャラ♪
「何だこの動きは!?……そこかっ!!」
放たれる一斉射撃。だが
チャラチャラチャラチャララーーーーーーーーーーーーーーーー♪♪♪
ヒュンヒュンヒュンッ!!!
全然当たらない!?掠りもしない!!
全く攻撃が効かず
ズバァー!!!
さらに後ろに周り込まれて左翼を一瞬の内に斬り落とされた!
「俺の背後をっ!!??」
ドガッ!!
「ぐあー!!!」
次元を超えし究極の閃光がストフリを地面へと叩き落とす!
次元を超えし光は溢れるその輝きを空に降らせながらスピードを落とし止まる。
静止して分かるその姿、その機体。
呆気に取られて呆然としていたセツナはその機体の姿を捉えるとその名を呟いた。
「デスティニー…!?」
その光の正体、それは デスティニー!
ステラと共にバラバラに散ったはずの機体。
「大丈夫か!?セツナ!トリニティ!」
「っ!シン………シンか!?」
「シン君!」「おま……そいつは一体」「すごい光…綺麗!」
「無事で、良かった…………本当に!!」
「ああ。それで、その機体は?」
「…俺にも何がどうなってんのか分からない。ただ俺は………!?これはっ」
ディスプレイを見るといつの間にか知らない映像データが無理矢理流されていた。
その映像に映っているのは
「副艦長!!!????」
かつてミネルバにいた時に副艦長だった
前のコミケバトルの時に助太刀してくれた
あの、アーサー副艦長だった。
【シスターコンプレックスを有する者達よ!】
アーサーの真意、その思いが今シンへと伝えられる!