【IF系】もし種・種死の○○が××だったら【統合】
第三話「亡霊たち」
アーモリーワンから少し離れた宙域。
警備隊の網に引っかかるか引っかからないかの微妙なラインで。
『言っておくけど、俺はお前らなんかと協力するつもりはないからな』
「あぁ、それでかまわないさ。大切なのはお互いの利益を優先させることだしな」
『お互いの利益か、ふん……』
「気に食わないのは分かるがね。それじゃ、作戦開始ということで……」
だが、ネオが全てを言うより早く通信は切られて。
その態度に思わずネオは仮面の下で苦笑する。
どことなく、自分が受け持っている部隊の子達に似ていたからだ。
「……しかし、よくこちらの話に乗ってきましたな」
と、後ろに控えていたイアン・リーが声を掛けてくる。
寡黙で任務に忠実な生粋の軍人タイプの男だ。
「普通であるなら、とても信用できるものではありますまい」
その言葉の裏に、彼がブルーコスモスであることを窺わせる。
彼らにとってコーディネーターとの間に約束事など成立しないのだ。
「まぁ、彼にしてみれば渡りに舟だったろうからな」
「敵の敵は味方、ですか……」
「彼はそうは思ってないみたいだけどね」
「もちろん、我々もそうですが」
ただ、お互いに争って共倒れをするような馬鹿なことを避ける。
それが先程の少年と交わした約束だった。
しかし、考えようによってはこちらが少年を助けることになる。
だからだろう、イアンは腑に落ちない様子で尋ねてきた。
「ですが良いので?」
「何がだい?」
「あの機体……あれもセカンドシリーズの一種のようですがスティング達に捕獲させた方が……」
「別にいいだろう。元々こちらの予定にそれはないわけだし」
「ジブリール卿への報告はどうするおつもりで?」
「ありのままを話すさ。欲の皮を突っ張らせて良いことそうはない……ってのが俺のポリシーなんだが不満かい?」
「いえ。それがあなたの判断ならそれに従うのが私の役目ですから」
この“ガーティー・ルー”の艦長は実に理想的な部下と言えるだろう。
きちんと進言することはしておき、上の判断には大人しく従う。
共に仕事をするようになって日は浅かったが、ネオはこの男を信頼していた。
(まっ、誰かに似て少し小言が多いのが玉に瑕かな?)
と、その時ふと思い浮かんだ見覚えのない顔にネオは戸惑う。
まったく自分の記憶にない人物なのだ。
地球連合の制帽をしていることからして軍人になってから出会っているはずなのだが思い出せない。
ひどく、ひどく懐かしい気がするのに……
(……って、思い出すだけ無駄か……)
毎度の如く、そう言って自らを納得させる。
軍医によれば「酸素欠乏症」の後遺症らしい。
命が助かっただけでも儲けものだそうだ。
「よぉし、それじゃあこちらも動くとするか」
なら、やることはひとつだった。
頭のスイッチを切り換え、ネオは本来の任務に取りかかる。
「微速前進と共にミラージュコロイドを解除、後にミサイル発射管1番から16番まで発射」
「目標は?」
「何だっていい。ただし、コロニーには当てるなよ。敵さんの注意をこちらに引きつけるだけだ」
目標は、あくまでも「Z.A.F.Tの新型MSを奪う」こと。
非戦闘員を巻き込めという指令は頂戴してはいないのだ。
何より、「なにごともスマートに」、それもネオのポリシーのひとつだった。
無駄に戦火を広げる必要はない。
少なくとも「今」は。
「了解。微速前進、ミラージュコロイド解除。続いてミサイル発射管1番から16番まで開け」
ネオの指示をイアンが復唱し、一気にブリッジ内に緊張が走る。
「おそらく噂の新造戦艦が出てくるぞ。本艦は対艦戦の準備、MS隊もスタンバっておけ」
それは全くの予想だったが、ネオには確信があった。
優秀な艦長であるなら、この事態にはそう動くはずだ。
少なくとも自分なら、MSを強奪した者達を回収する母艦があると判断してそれを叩く。
「それと各宙域を哨戒中の船に何か異変がないかを調べさせてくれ」
その中でひとつ気がかりなのはあの少年の存在だった。
セオリーからすればこの付近に彼の仲間がいるはずなのだ。
だがその気配は今のところない。
(だからきな臭いんだよなぁ……)
そのために、少年を泳がせることに決めたのだ。
(さてさて……蛇が出るか鬼が出るか……)
* * *
『レイ・ザ・バレル機とシホ・ハーネンフース機、共に敵戦艦登載のMS部隊と交戦に入りました!』
『イザーク・ジュール機、ディアッカ・エルスマン機、カオス、アビス、ガイアとまもなく交戦に入ります!』
「まったく、いったい何だっていうのよ!!」
次々と入るリアルタイムの戦況報告に、ルナマリアは堪らず悪態をついた。
そんなに気負うほどの任務じゃなかったはずなのだ。
かなり退屈なぐらいの、平凡な任務。
それは新型MSと新造戦艦の単なるお披露目式になるはずだった。
もちろん、ルナマリアも馬鹿ではない。
このイベントが持つ軍事的・政治的な意味合いは分かっていた。
だとしても、こうなることを誰が予想しえただろうか。
四機もの新型MSの強奪。
合わせて、コロニーへの敵戦艦による強襲。
「こっちの都合なんてお構いなしに……!」
半舷上陸で浮かれていた気分もすっかり吹き飛んでいた。
しかも、こんな形での新型機による実戦。
Z.A.F.Tのエリートたる証、赤服のひとりとして新型MSのテストパイロットに選ばれた嬉しさも今はない。
『ルナマリア機、あと二十秒後ほどでセイバーと接触します』
「分かってるわよ、そんなこと!」
『ご、ごめんなさい……』
だから、ミネルバで通信士を務める妹に対してもつい当たってしまう。
『……でも、気をつけて下さい…………相手は既に駐屯部隊のMSを八機撃墜していますから……』
「……」
心配してくれる妹に、「ごめん」の一言を言う余裕もなくて。
「……まもなく敵MSと交戦に入ります。こちらかの通信は以上……」
意識を戦闘に集中させるために通信を切る。
なのに、身体は言うことを聞かない。
操縦桿を握る手には、いつになく力が入ってしまって。
「大丈夫よ……きっと大丈夫…………そうよ、模擬戦を思い出しなさい……」
こんな状態で、果たして自分は生き残れるのだろうか。
ついついそんなネガティブな疑問に支配されてしまう。
だけど、時は待ってはくれない。
「来たわね……!」
インパルスのカメラがついに“敵”を捉えた。
ひときわ目立つ赤い戦闘機が、徐々に大きくなっていく。
間違いない。
ZGMF−X23S“セイバー”。
カテゴライズ的に、その性能特性はフォースシルエットを装備したこのフォースインパルスと同じ機体だ。
いや、宇宙空間に限定すればこちらの方が機動性は僅かに上のはずである。
その証拠がこの会合なのだし、それを見越してのタリア艦長の判断だった。
「こんのぉおおおおお!!」
先に仕掛けたのはインパルスの方。
腰部にマウントさせていたビームライフルを右手に構え、四、五発撃ち込む。
射程は明らかにセイバーが上だから、牽制の意味を込めての先手だった。
だが緑の光は闇にむなしく吸い込まれて。
セイバーの方は全く意に介していないようで、そのままの加速を保ったままインパルスへと近付く。
そして二機はすれ違う。
インパルスは闇雲にビームをまき散らしながら。
セイバーは一発も弾を使うことなく。
傍目からすれば、その力の差は歴然だった。
機体の特性を上手く扱えているかどうかも大きい。
インパルスは、機体の反転にアポジやスラスターを使って一度動きを止めてしまう。
逆にセイバーの方はMA形態からMS形態への変形を上手く活かして一瞬で回頭を終える。
そうして生まれたタイムラグは、セイバーがインパルスの背後を取るのには十分過ぎて。
「きゃぁ!?」
パイロットスーツとシートで緩和されたとはいえ、それでも激しい衝撃にルナマリアは悲鳴を上げる。
セイバーがインパルスに組み付いたのだ。
『……勝負はついた。おとなしくコアスプレンダーに分離しろ』
と、いわゆる「お肌の触れ合い回線」でセイバーのパイロットの声がインパルスのコックピットに響く。
低く、ドスの効いた声だった。
だけども若い。それに……
「何よ、余裕のつもり? 変な哀れみなんかかけないでさっさと殺せばいいじゃない!」
が、今のルナマリアに僅かにわいた疑念を突き止める余裕などなかった。
あまりにもあっさりと着いてしまった決着。
その上、MSを奪った泥棒に情けをかけられたのだ。
エリートである赤服として、これ以上の辱めなどない。
『…………』
なのに、相手は中々動かなかった。
のど元にナイフを突きつけているというのに、あとほんの少しを動かさないのだ。
もちろん、敵パイロットのその態度にルナマリアは切れた。
「はん! あたしが女だからって躊躇ってるの!? そんな時代遅れの価値観持ってるなんて馬鹿じゃないの?」
死ぬのが怖くないわけじゃない。
ただ、プライドを傷付けられるのが我慢ならなかった。
特に「女だから、女のクセに」という理由を付けられるのが一番嫌いだった。
アカデミーにいた頃からそういった偏見は存在した。
今自分が乗艦しているタリア艦長に対しての悪口も聞いている。
だから精一杯努力した。
男なんかに負けないように、だけど女らしさを失わないように。
そうやって掴み取った赤服なのだ。
なのに、それが今壊されようとしている。
「ほら、さっさと殺さないとあたしがあんたを殺すわ!」
泣きたい気持ちだった。
泣けば認めてしまうようで嫌なのに、泣いてしまいそうで……
『…………ルナ?』
「え……」
聞き慣れた声。
それはさっき聞いた声と同じはずなのに、どこか懐かしい。
『その機体に乗っているのは、ルナマリア・ホークなのか……』
「……シン?」
そこで、初めて分かった。
消えていた疑念が蘇り、しかも一本の糸としてつながる。
「シン…………それに乗っているのはシン・アスカなの!?」
思い出す。
紅い瞳の少年。
人見知りで、全然明るくなくて、いつも斜に構えていた生意気な男の子。
いつも自分より成績が上で、模擬戦でも一回も勝ったことはなかった。
たまに笑った表情が可愛くて、でもそれ以上に垣間見せる深い憎しみが印象的だった奴……
『あぁ……俺だよ、シン・アスカだよ……』
「なんで……なんであんたがそんな……!」
あまりの衝撃に、言葉が上手く紡ぎ出せない。
MSを奪った犯人がシン?
アーモリーワンの駐屯部隊を撃墜したのがシン?
さっき自分がその命を奪おうとしていた相手がシン?
が、
『ルナ、ごめん……!』
「えっ…………きゃっ!?」
再度の激しい衝撃にルナマリアの思考は停止させられる。
セイバーが組み付いていたのを解き、インパルスをその脚で蹴り飛ばしたのだ。
そのままセイバーは変形し、その場を離脱して。
「ちょっ……シン……!!」
何とかインパルスが体制を立て直した時には遅い。
モニターに映ったのは、既に遠く伸びたテールノズルからもれる光の尾。
「……いったい何なのよ……」
うつろな瞳でルナマリアは呟く。
まだ、頭が混乱していた。
こんな状態で追いかけることなど無理だった。
と―
『……こ、交戦中のMSは全機本艦へ帰投して下さい! 繰り返します……』
『ユニウスセブンが地球へ向け軌道を変化、これより本艦は……』
『……よってMS隊は速やかに帰投し補給を受けて下さい……』
……で、第三話は終わりです。
GJ!
アカデミーに通ってはいたのか…
いつ頃離反したのか、また同級生と過ごしても執念が和らぐまでには至らなかったのか
続きが楽しみです。
GJです。
セイバーに乗るシン強いな。
CSA氏の作品って分類的にはどれになるんだろう?SS倉庫にないみたいなんで気になったんですが
>>950 SEED-IF_1-735氏
どっかのバカが焦って1話の時に735(初回投下時レス番号)で登録して、
新しい名前を名乗ってもそのまま踏襲してるようだな。
訂正
>>950 >SS倉庫にないみたいなんで気になったんですが
既に分類SEED統合(IF), SEED-IF_1-735氏_(話数) で登録されてる。
改名が面倒なのはわかるが、CSA氏を名乗り始めた2話から SEED-IF_CSA氏_(話数) で登録すれば良かったのに。
チミタチ、もしシンが女だったと言うのはありかね?
梨
蟻
実は女スレがあるじゃんw
ぶっちゃけ男キャラとくっつけたいだけと違うんかと
全員の性別変えればいいさ
まぁ、エースをねらえ、トップをねらえなど一部スポ根系を除き
女主人公と言うのは苦難に直面した時歪むのが良い。
男の場合、うじうじしてないで気合や根性努力修行、後は友情とかで
何とかするがセオリーだが女だと色々寄り道出来て楽しいからの
っと大抵、エログロが混じってたSS書いてた俺が言ってみるテスト
なるほど、つまり種死をスポ根物ののりで改変すると……
凸がコーチ?
>>958 いーえ、女キャラとくっつけたいだけなのですが。
TSで百合とか腹壊しそうな食い合わせだな
魔改造か、別人オリキャラ化よりひでえ発想だな
>>962 そこまで来るとむしろ安心して読めそうだ
是非書いてみてくれ
百合がいいなら801もおkってことになる
ならねぇから、腐女子はどっか逝け
968 :
通常の名無しさんの3倍:2008/02/04(月) 05:34:52 ID:63BswCBN
古い話を引っ張ってしまって話の邪魔をしてしまいスイマセン。
>>941 はい。マジです。
私が記事に関して憶えているのは
『νやZ、F91等ガンダム系列の機体の(ジェネレーター)出力がその時代の他の同列機より
低い意味は、それだけの出力で起動状態を維持可能なエネルギー効率の良さと
その機体に於いて戦闘機動を低出力で表現出来ると言う事を表している』
…位です。
恐らく、C.E.系の、特にG系の武装はエネルギー効率はとても良いのではないか?
と思われます。
そうでなければ核エンジン系MSのエネルギーがほぼ無限なんて設定は全く持って
成り立たない筈です。
フリーダムのバラエーナ砲も、その世界ではエネルギー転換効率が悪いとありますが
U.C.では良いと見られる可能性も無きにしも非ずですよね。
そんなC.E.の機体にU.C.のエンジンを積み込んだら、一体どんな事になるのやら。
そして、だからこそ
U.C.の安定した高出力の核融合エンジンは凄い!!
その出力で撃たれるビームは凄い!!!
…みたいに、余り細かな設定を考慮してない方々は思われるのではないでしょうか?
…なんて、スレ違いな長い文章で失礼しました。
自重します。
武器がまだ未発達だったためか、ファーストガンダムは攻撃を受けてもあまり破壊されなかったように思う。
Wのアナザーガンダムは材質による物か、むやみやたらと頑丈だったと思う。
SEEDは武器の性能が高いのか、それとも装甲が脆弱なのか、特殊装甲を使っていなければ一撃で落ちる事がままある。
種のPS装甲はガンダムを特殊な存在に仕立て上げるための『演出』に過ぎなかったのではないだろうか。
そして脚本家の頭の中が空想読本レベルだったのではないだろうか。
>>969 UCもCEもガンダリウム、ルナチタニウム、PS装甲は、戦車や航空機やMSが使えるレベルの実弾兵器にはある程度耐えられるけど
ビームには無力ってあたりで同じだろ。
何が言いたいかわからん。
あとWの機体は同じガンダニウムを使ってても装甲の堅さが天て地ほども違うから注意な
>>970 PSは後付けで、ビームにもある程度耐えられるようになってる
>>970 ガンダニウム合金は無茶苦茶種類があるから差があるのは当然だぞ、同じじゃない。
種はPS装甲のダウンやバッテリー切れなど、うまく扱えば燃える展開に出来る設定だったのに
ほとんど生かされなかったからなぁ・・・
装甲といえば00のガンダムも頑丈じゃないか?未だどのガンダムも小破すらしてないし
>>970 UCのはガンダリウム合金だけど、Wのはガンダニュウム合金だ。
結構別物で特性なんかが違ってるよ。
>>973 00のガンダムは、どうやらGN複合装甲とか言う物だそうで
00Fだかに話が出ていた様な
あれ?CSA氏の第1話って「うごめく宇宙」だよな?
Wiki見たらまったく別の話になってるんだが・・・
>>976 ちゃんと「うごめく宇宙」で中身もあってるけど
いや、第T話のタイトルが「シン、その瞳にうつして」になってるんだが…
PCの故障かな
>>978 それは逆シンスレのCSA氏ではないかと言ってみる
作者名だけで混同して2話以降をSCA-SeedのSCA ◆ZiprQ.wXH6氏ものとして登録した奴が居るようだな
981 :
通常の名無しさんの3倍:2008/02/04(月) 22:24:40 ID:Sr9aHGDk
いや、第U話からはちゃんとこっちのCSA氏の話になってんだよ
というか二人いるのかCSA氏
982 :
976:2008/02/04(月) 22:30:01 ID:Sr9aHGDk
>980
なるほど そういうことか
じゃあこっちのCSA氏の第T話は何処に?
983 :
976:2008/02/04(月) 22:36:50 ID:Sr9aHGDk
第T話みつかりました
すいませんでした
SCA ◆ZiprQ.wXH6氏は逆シンスレの作者、1話だけ。
2話以降は登録者の勘違い。1話を書き換えなかったのが唯一の救いといえる。
SCA氏はここの作者。
初回投下時735であったため、SEED-IF_1-735氏で登録されている。
それとそろそろ新スレだが、テンプレとかどうする?
どうしよう?
このままでいいんじゃねーの。
あとは連載中のSSと作者一覧なんかがあると便利だが。
988 :
979:2008/02/04(月) 22:59:40 ID:???
とりあえず俺がCSA氏とSCA氏を混同して考えてたって事はよくわかった
気のせいか、最近ヤフオク等でザクレロ玩具の落札率が上がってるような。
高機動ゲルググとセットのMIAはもともと高めの値段で推移しているが、
プライズのMAコレクションという大きめのソフビ版など回転寿司の
常連だったのに、同シリーズのビグロ、エルメス、ビグザムを放置する形で
ザクレロだけがどんどん見かけなくなりつつあるのだが…