【ドキドキ】新人職人がSSを書いてみる【ハラハラ】10
炒飯日記 プロローグ
ある日、俺が目を覚ますと見慣れない場所にいた。
部屋の景色が全然違う。
確かにプラントの自分の部屋にいたはずだが・・・
この部屋は木造の和風建築ってヤツだ。
趣味の日舞をやっていたときに写真で見た事がある。
カーテンを開けてみた。
どうやらここは2階の一部屋らしい。
なんらかの手がかりを求めて1階に下りてみる。
・・こんな木造の階段なんて歴史の写真でしか見たことがないぜ。
下に降りると、そこは厨房だった。
大きなコンロと中華鍋の他にはこれといったものがない。
俺はそこにあったいすに座って、昨日の記憶をたぐってみた。
・・・確か前の日、明日の観艦式に出るためにクリーニングから戻ってきた制服をハンガーに掛けて、
そして朝早いから早く寝なきゃと思ったけど、借りてきたビデオ見ていつの間にか寝てたんだっけな。
・・・で、なんでこうなってるんだ?
俺は外に出ていろいろと確かめてみた。
今日の日時、そしてここがどこであるのかを。
誰かのいたずらであって欲しい。ただそれだけ願っていた。
もう一つの恐ろしい可能性については考えたくなかった。
だが、その考えたくもない恐ろしい可能性の方が当たってしまっていた。
ここは経済特区日本と呼ばれる場所であり、今の年号はC.E.ではなく、西暦2307年という年号だという事だった。
そして、俺は近所でも有名な炒飯店の店主だと。
元に戻るすべは全く考えもつかない。
どうやら俺はここで生きていくしかないようだ・・・
第1話 ソレスタルビーイングって何だよ、それ
俺の炒飯店は今日も大忙しだ。
どうやら近くにオフィス街があるらしく、ランチタイムには店に入りきらないほどのサラリーマンのお客が来てくれる。
いつものように開店前に店のTVを付けるとニュースが流れた。
軌道エレベーター襲撃事件・・か。
この世界にもMSってヤツがあるんだな。
俺はアスランとイザークと組んでテロリスト達を迎撃したことを思い出していた。
そして・・・ニコルのことも。
TVを聞きながら朝の仕込みを始めていたら、妙な話が始まった。
俺はあわててTVの前に移動してボリュームを上げた。
ソレスタルビーイング?ガンダム?懐かしい名前だな。
バスターもそういわれていたっけな。
戦争根絶・・ね。あいつらもそんなこと言っていたっけ?
戦争への武力介入か・・俺たちフリーダムにはやられっぱなしだったよな。
まあ、いろいろとおもしろそうだけど、今の俺には関係ないな。
俺はただ、目の前にある中華鍋をふるうだけだ。
俺は店の鍵を開け、のれんを掲げると、今日の最高の炒飯を作るために仕込みを再開した。
まもなく一人目のお客が・・って、何だぁ?
そいつはスーツ姿にグラサンと明らかに怪しい格好をしていた。
そいつはいぶかしむ俺の事をよく知っているようだった。
ディアッカ・エルスマンさんですね?あなたのもう一つのお仕事をお願いしたい。
俺はどうやらただの炒飯屋じゃないようだぜ。