【相互】種死リリカルなのはSS【乗り入れ】16

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1通常の名無しさんの3倍
ここは種死&リリカルなのはクロスオーバー作品を取り扱う所です

シンが八神家やフェイトに餌付けされたり
レイがリリカルな魔法少年になったり
なのはさんが種死世界に行き、世直しをしたり
デバイス達がMS化したりその逆もあったり
キラがフルバーストでガジェットを一掃したり
アスランは相変わらず凸ていたり
他様々なIFが用意されています

・職人様はコテとトリ必須。
・職人様は荒れているときこそ投下強行。全裸wktkに勝る流れ変えなし。
・次スレ立ては950を踏んだ人が立てる事
・1000に達する前に容量オーバーになりそうな時は気づいた人が立ててください
・各作品の考察は該当スレにて宜しく頼みます
・スレは、sage進行。
・ID表示のageは基本的に荒らしなので徹底無視。反応している奴も徹底無視。
・煽り、荒らしは無視しましょう、反応した貴方も荒らしだ。

前スレ
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1189791664/

雑談スレ
【さらば】種vsリリカルなのは【ゼスト】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1190516265/

避難所
http://jbbs.livedoor.jp/school/12461/

まとめサイト
ガンダムクロスオーバーSS倉庫
http://wiki.livedoor.jp/arte5/d/FrontPage
2シンとヤマトの神隠しStriker'S ◆CmPRCdy5tY :2007/10/04(木) 00:32:24 ID:???
第20話 無限の欲望

「一番なって欲しくない状況に…なってしもうたんかな?」
はやてはモニターに写るカリムに問うた。
『教会の…私の不手際だわ…。予言の解釈が不十分だった。』
「未来なんて見えなくて当たり前や、カリムや教会の皆さんのせいとちゃう。」
しかし、どうしたものかと考え込むはやて。
『はやて、クロノだ。』
そこへクロノからの通信から割って入る。
『本局は巨大船を極めて危険度の高いロストロギアと判断した。
次元航行部隊の艦隊はもう動き出している。地上部隊も協力して事態に当たる。
機動六課…動けるか?』
クロノの言葉にはやては強く頷いた。

廃棄都市街上空。
ナンバーズのオットーが飛翔しているとウーノから通信が入った。
『聖王の器とゆりかごは安定状態に入った。
クアットロとディエチはゆりかご内部に…私と交代を…。
トーレとセイン、セッテ、ラウはラボでドクターの警護を
ノーべはディードとウェンディ、13番目と一緒に…。
ゆりかごが完全浮上して、主砲を撃てる位置に…。』
『あ〜んど、二つの月の魔力を受けられて、地上攻撃ができる軌道上の位置までたどり着ければゆりかごはまさに無敵…。』
『ミッドの地上全てが人質だ。その状態なら、本局の主力艦隊とも渡り合える。』
モニターのウーノが写る画面の隅にクアットロ、トーレが割り込む。
『そういや、一個疑問があるんスけど…。』
更に割り込んでくるのはウェンディ。
『あのゆりかごの中の女の子、聖王の器ってぶっちゃけ何?』
そして四人の顔が写るモニターの中心からスカリエッティが割り込んできた。
『ふっふっふ、それについては私から説明しようか。
今から、十年ばかり前になるかねぇ…。聖王教会にある司祭がいてねぇ…。』
3シンとヤマトの神隠しStriker'S ◆CmPRCdy5tY :2007/10/04(木) 00:35:42 ID:???
その司祭は敬虔な教徒にして高潔な人格者だった。
故に聖遺物管理をまかせれていたと言う。
ちなみに、聖遺物とは聖王教会の信仰の対象で、古代ベルカの聖なる王の持ち物や、遺骨の事を指す。
しかし、いくら敬虔、高潔な司祭と言えど人、ある女性への愛から、聖遺物へと手を出してしまった。
そして、ある符に不着した血液から、遺伝子情報がとりだされ、そしてその遺伝子情報は古代ベルカを統べた偉大な王、聖王の遺伝子データだった。
そしてそのデータは各地の研究期間にわたり、極秘裏に複製され、再生を待った。
『私たちの王様になるために…だろ?』
どこか不機嫌そうなノーヴェ。
「生きて動いている聖王は、あのゆりかごの起動キーなんだよ…、王といっても、ただの器さ。」
鼻で笑うスカリエッティ。
『ほい、ドクター、質問!』
六つに別れたモニター画面。セインが写る画面が拡大される。
「どうぞ、セイン。」
『レジアスのおっちゃんはまぁいいとしてさ、最高評議会だっけぇ?
あっちの方はいいの?』
罰の悪そうな顔をするセインに、他の姉妹たちが注目する。
『ガジェットの量産とか人造魔導士計画の支援してくれたのってあの人たちだよね?』
否定せず、肯定するスカリエッティ。
『ゼスト様やルーテシア様も評議会の発注で復活させたんでしょ?
評議会は評議会で何か、思惑とかプランがあったんじゃ?』
「レジアスも最高評議会も希望は一緒さぁ…
地上と次元世界の平和と安全…。その為にレジアスは計画を頓挫させられた戦闘機人にこだわり、最高評議会はレリックウエポンと人造魔導士にこだわった。
平和を守り、正義を貫く為なら罪のない人々を犠牲を出してもいいと…。
なかなか、傲慢な矛盾を抱えておいでだ。」
『ん〜〜、何かよく分かんないなぁ〜。
でも、スポンサーである評議会の言うことを無視してあんなでっかい玩具を呼び出したりしたら、怒られるんじゃないのって心配。』
不安げな表情を露にするセイン、しかし、スカリエッティは笑って答えた。
「ちゃぁんと怒られないようにしてあるさ。君達は何も気にせずに遊んでくるといい。
遊び終わったら、我等は新しい家にゆりかごに帰ろう。そうすれば、世界の全てが我々の遊び場だ。」
4シンとヤマトの神隠しStriker'S ◆CmPRCdy5tY :2007/10/04(木) 00:38:52 ID:???
通信が切れ、セインは念話でぼやく。
『ドクターの言うことは相変わらずわけわかんないなぁ〜…。』
『そうッスねぇ〜…。
まっ、私ら別に夢や希望があるわけでもないし言う通りに動くしかないっスけどねぇ〜。』
とウェンディ。それからセインが続ける。
『まぁねぇ〜、でもさっきの話でわからない事がもう一個、司祭様をだまくらかしたその女の人って何者?』

暗い暗室。
三つのモニターが淡く輝く。画面には管理局の紋章。
そして三つのモニターが囲む中央にはスカリエッティのモニター。
『ジェイルは少々やりすぎたな。』
『レジアスとて我等にとって自由な駒にすぎんというのに…』
『我等が聖王のゆりかごを奴は自分の玩具にしようとしている。とめねばならんな。』
変声機を使ったような声とともにモニターは光を失い、暗室は闇に包まれた。

場所は移って。
「だがジェイルは貴重な雇体だ。消去するにはまだ惜しい。」
「しかし、彼の人造魔導士計画もゼストは失敗。ルーテシアも成功にはいたらなかった。」
「聖王の器は完全なる成功のようだ、そろそろよいのではないか?」
「我等が求むる優れた指導者によって統べられる世界。我等がその主導者を選び、その影で世界を我等が導かねばならん。」
またもや暗室。ぼんやりとした淡い光を放つカプセルが三本。
そして中身は人の脳。
脳だけが保管され、恐らく声が聞こえるのは特別な機器を用いているせいなのだろう。
「その為の生命操作技術。その為のゆりかご。」
「旧暦の時代より、世界を見守る為に我が身を捨てて生きながらえたが…もうさほど長くは持たん。
だが、次元の海と管理局は今だ我等が見守って行かねばならぬ。」
すると、こんな暗室を訪ねる人。
「失礼します。」
女性の声、扉がスライドする音がしてその何者かは入ってくる。
「しかし、ゼストが五体満足であればな。」
「ジェイルの監視役として最適だったのだが…。」
構わず話続ける不気味な脳味噌三つ。
「皆さま、ポッドメンテナンスのお時間ですが…。」
「あぁ、お前か、会議中だ。手早く済ませてくれ。」
その女性の姿は司祭をだまくらかした女に酷似していた。
5シンとヤマトの神隠しStriker'S ◆CmPRCdy5tY :2007/10/04(木) 00:40:58 ID:???
女性は返事をし、空間モニター、パネルを叩き始める。
「あれは武人だ、我等には御せんよ。戦闘機人事件の追跡状況とルーテシアの安全を引き替えに辛うじて鎖をつけていただけだ。」
「奴がレジアスに頼みついてしまえば、そこで終りよ。」
不意にパネルを叩く女性が口を開いた。
「お悩みのようですね。」
「何、粗末な厄介ごとよ。お前が気にかけることでもない。」
返事をし、再び作業に戻る。
「レジアスや地上からは何の連絡もないのか?」
一つの脳が女に問う。
「えぇ、未だに…どなたからも。」
「そうか…。」
女はパネルを叩く手を止めた。
「しばらくは慌ただしくなりそうだ。お前にも苦労をかけるが…。」
「いいえ、私は望んでここにいるのですから…。」
女は優しげな顔を上げ、薄く微笑んだ。

旧暦の時代、ばらばらだった世界を閉廷したのは最高評議会の三人。
現役の場を次の世代に託してからも評議会体制を作って見守ってくれた。
レジアスもやり方が乱暴ではあるが地上の平和を守り続けてきた功労者。
彼等が今回の事件に関わっている。
そうは思いたくない。
それが今回、機動六課の後ろ建てをしている者たちの意見だ。
「理由はどうあれ、レジアス中将や最高評議会は偉業の天才犯罪者、ジェイル・スカリエッティを利用しようとした。
そやけど、逆に利用されて裏切られた。
どこから何処までが誰の計画で、何が誰の思惑なのか分かれへん。
そやけど今、巨大な船が空を飛んで、街中にガジェットと戦闘機人が現れて市民の安全を脅かしてる…。
これは事実…。
私たちはとめなあかん。」
アースラ、ブリーフィングルームに全員が集まっていた。
「ゆりかごには本局の艦隊が向かってるし、地上の戦闘機人たちや、ガジェットたちも各局と協力してあたる。」
フェイトが言う。
「だけど、高レベルなAMF戦闘ができる魔導士は少ない。私たちは三グループに分かれて各部署に協力することになる。」
なのはがまとめ、ブリーフィングは終了した。
6シンとヤマトの神隠しStriker'S ◆CmPRCdy5tY :2007/10/04(木) 00:43:01 ID:???
『第一グループ降下ポイントまで、あと三分です!』ブリーフィングを追えてから数分後。
艦内アナウンスが流れる。そしてシンたちはなのはたちの前に整列していた。
「今回の出動は今までで一番ハードになると思う。」
なのはが言う。
「そして今回はお前らがピンチでも私らは助けに行けねぇ。」
ヴィータが言う。
シン、スバル、ティアナ、キャロ、エリオは真剣な眼差しで、二人の視線を見る。
「だけど、ちょっと目を瞑って、今までの訓練のこと思い出してみて。」
なのはの指示で瞼を閉じる五人。
「ずっと繰り返してきた基礎スキル。磨きに磨いたそれぞれの得意技…。
痛い思いをした防御練習。」
あぁ〜、そう言えばタフって理由だけで何度もシグナムさんに模擬戦させられたっけ。
思い出すシン。防御練習は、ヴィータ副隊長に何度もぶっ叩かれたなぁ。
「いつもボロボロになるまで私達とした模擬戦。」
なのは隊長の砲撃で撃墜されたっけとシン。
「目、開けていいよ。」
作戦前に撃墜されたような気分を味わった五人は目を開ける。
「まぁ、私が言うのもなんだけど、きつかったよね?」
苦笑いの五人。するとヴィータが一歩前に出る。
「それでも五人ともよくここまでついてきた。」
「四人とも誰よりも強くなったとは言えないけど、だけど、どんな相手が来てもどんな状況に陥っても絶対に負けないように鍛えてきた。
守るべき者を守る力。救うべき者を救う力。絶望的な状況に立ち向かっていく力。
ここまでついてきたみんなにはそれがみについてる。
夢見て憧れて必死に積み重ねてきた時間。」
五人に向かって拳をつき出すなのは。
「どんなに辛くてもやめなかった努力の時間は絶対に自分を裏切らない。
それだけ忘れないで」
力強く、けれども最後は優しく微笑んでなのは握り拳に力を込める。
「キツい状況をビシッとこなせてのストライカーだからな。」
「それじゃ、機動六課フォワード隊、出動!」
なのはの出動命令に、力強く五人は敬礼した。
7通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 00:44:51 ID:???
支援
8シンとヤマトの神隠しStriker'S ◆CmPRCdy5tY :2007/10/04(木) 00:45:51 ID:???
スバルはなのはと話があるようで後でヘリにのるとのことだ。
暗いライトニングの二人。エリオもキャロもなんだか元気がない。
「どうしたんだよ。キャロ、エリオ。」
シンが聞く。
「いや、あの、本当ならキラさんもこの場にいたんだよねって」
「そう思うと…複雑で…。あのとき助けられたらって」
エリオとキャロがうつ向く。
(キラさん、あんた、こんな子どもを悲しませて…。見つけたら絶対に殴ってやる。)
二人の頭に手をおくシン。
「二人とも、過ぎたことをどうこういってもしかたないだろ?
過去は振り返っても囚われちゃ駄目だ。
こんなことしか言えないけど、キラさんは絶対に俺が目を醒まさせるから…なっ?」
「そう…ですよね、シンさんもがんばってください!僕もきっと」
「私もきっとがんばりますから!」
キュックル〜!
フリードも翼を羽ばたきなく。
「なぁ〜にカッコつけたこと言ってんのよ?スバルが来ちゃったじゃない!
ほら、早く行くわよ!」
ヘリに乗り込む四人、最後に泣きながらスバルが乗り込んだ。
そんなスバルを不思議そうに眺めるシン、エリオ、キャロ。
おえつを漏らしながらシンとティアナの間に座る。
「出動前に何泣いてんのよ。」
とティアナ。
「なのはさんにがんばってって言おうと思ったのに…っ…。」
「逆に励まされてきちゃった?」
ティアナに言葉を足され、頷くスバルにティアナは呆れた。
「馬鹿ねぇ〜、あんたがなのはさんを励ますなんて十年早いってことでしょ?
なのはさんを励ましたいのなら、今よりもずっと強くて立派にならなきゃさぁ…。」
スバルは頷く。
そして、ヘリはフォワードメンバーを乗せとびたち、それと同時に隊長陣にもはやてから出動命令がでた。
降下ハッチから飛び出す赤、金、桜、白の四色の光。
雲を突き破り降下するなのは、フェイト、はやて、ヴィータの四人。
そしてその四名の能力限定が聖王教会騎士団、騎士カリムによって解除される。
輝きを増す魔力光。
そして四色の光が一気に輝きを増し、増大爆散。光をつき抜ける光。
三色の光から遅れ、なのはレイジングハートとバリアジャケットをエクシードモードに変化させ、再び飛翔した。
9シンとヤマトの神隠しStriker'S ◆CmPRCdy5tY :2007/10/04(木) 00:49:12 ID:???
スカリエッティ、ラボ。
「おかえり、ウーノ」
「はい、ドーレとセイン、セッテ、ラウも戻りました。
迎撃準備完了です。
クアットロとディエチはゆりかご内部に、他の妹たちはそれぞれのミッションポイントと地上本部に向かっています。」
「ルーテシアにもお願いをしたよ。うまく動いてもらうとする。」
スカリエッティはモニターを眺めながら言う。
「ゼスト様も独自に動いております。予想外の動きをされては…。」
ウーノの不安をよそに、スカリエッティは心配ないと笑った。
「現在の任務を完了次第、ドゥーエが地上本部に向かってくれる。」
スカリエッティは歪に口の端を歪めた。

ガシャアン。
ビンやガラスが割れたようなけたたましい音。
飛び散る溶液に潰れる脳味噌。
「な、何故、何故だぁーッ!!!」
脳味噌が叫んだところで滑稽でしかない。
女は鋭い爪に溶液を滴らせその滑稽な光景を目前に据える。
「ご老体に無理をされてはいけませんからね。」
一歩、また一歩と近付いてくる。
右手の鋭くとがり、冷たく光を反射する鍵爪を
「そろそろお休みよ。」
舐めた。
先程の優しげな微笑みは何処にいったのか、向けられる視線は冷たいものだった。
「貴様ァ!!ジェイルの…ッ」
風を空を斬る音。
「貴方が産み出し、育てた異能の天才児…失われた世界の知恵と、限りない欲望をその身に秘めたアルハザードの異児。」
さらに音。
「開発コードネーム、アンリミテッド・デザイア…。
ジェイル・スカリエッティ…。彼を産み出し、力を与えてしまった日からこの運命は決まっていた。
どんな首輪をつけようとも、いかなる檻に閉じ込めようとも…扱いきれるはずもない力は必ず破滅を呼ぶものです。」
ドゥーエが狂喜に顔を歪ませる。
「馬鹿なッ!バカなぁー!!!」
「お休みなさい…。」
一際強い音を立て右手の爪は振るわれた。

巨大船、軌道上到達まで
後三時間。
10シンとヤマトの神隠しStriker'S ◆CmPRCdy5tY :2007/10/04(木) 00:56:02 ID:???
>1
スレ立てありがとうございました。

>望氏
GJです。寝てるフェイトを目の前にしたらプレシアさん怒りそうですけど…。
アスランはどんな魔法を使ってなだめたのかな?
アスランマジックに期待です。

と言うわけで、20話終了です。
何だか前作の神隠しでもありましたが、原作ほぼそのまんまですね。
実は書きながら初めて知った事実なんかもあったので読者の皆さんも新発見する部分があるかもしれません。
まぁ流し読みする程度で充分かと思います。

次回は決戦。
いよいよ戦い尽くしです。頑張りますのでよろしくです。
11通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 00:59:04 ID:???
>>1
   lヽ  ,、,、./    ,-、),-、   , '´ ⌒、ヽ
   <)' ~´ハバ    Y ;' A`) .  l(((!((("メi .    /゙Y /^ヘヘYヘ
   | イノリノハ)) : : : :`ヽ/´ ̄ ̄ 从^ヮ^ メij .刀.、/,ィjミノレハ从リヾ   .,'`》'´⌒`彡
  ノ.人l|゚ -゚ノl| .  : : : : : : : : : : : : : : :、:\/: : : く+ハ(!`Д´ノハ+>/ ,ィ∝ノノ)))))
     /:/.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:ヘ\: : : : : : : ∪: :∪ : : : : ( ( ゝ(l!゚ -゚ノ|l
    l://.:.:/.:./ .:./ .:l.:.:,'.:.:{:.:.:.:.l.:.:ヽ.:.:.Vl:/ , ミ ´.⌒.^ 、: : : : : : ,(_: :_:<(^!!つつ
      /.:.:/.:. l:.:.:.!>ト/{.:.ハ.:.:斗<:l:.:.:.l.:l. ⌒(((从从〉*⌒`7>f^⌒ヾY⌒>
.      l.:.:/.:.:.:.|:l.: レ仟圷ヽl ヽfチ圷 |.:.:l:|    |l゚ヮ ゚ノ|l ! xくけ从ハル=ト<
.      |:/!.:.:.: 从.:.{. V;;リ    V;;リ 'j.:.,' |    ⊂!卯(⊃t/: : : :.リ、∀`*リハヽ
....    j:ハ.:.:..・ト :.ゝ   '    /.:/レ| _ . 〈_|_ヽ.> /: : : : セ二/  ,-' ̄ ̄ ヽ
         '´.r===ミ彡  V 7   彡'.:.∠ =。= ヘ. し'ノ /: : : : /      ( ((ハル ヽ/ ̄ ̄⌒ヽ
       ノ !リノノ))))|ヽ.   ´ , イ! .:./i !!ノリノ))》.  ,': : : : /.       `ゝ^o ^ノ√i (《レノリノハ) )
.       (  |.|゚ ヮ゚,l|ゝ . ト≧≦ュ| リ/ ノi゚リ.゚ ヮ゚从  i: : : : {    、 _☆ミつ介》ヽ :: ヾ #`‐´ノ
..      ∪ ̄ ̄∪ /|, '´⌒"vヽ、_.(つ)Ψ(^つ  {:, -===、アヘヘ `ヘ___ノ: : : <( つ[!;つ
       /ヽ::::::::::::::::/⌒(从从-;*⌒:::::::::::::::: ̄ヽ    {7/^ー^ヘ.ノ八从ハ : : : :∠† _(†ヽ彡
       |:::: ヘ ̄ ̄ {___ ル-_-*リ|(_j ̄ ̄"メ:::::::::|    ∨ifノハヽhリ・ヮ・ノn : : : 又 !从从))))
       |::::{ \   /' ∪⌒∪ \   ./ l::::::::|     ルl| ゚ヮ゚ノル!弁{ ン ̄.〈y.リ(l|゚ -゚ノ|l!
     /ll::::}\ ∨ \  ,VCV  ∠ _∨ |::::/ハ      / ,_厂})){ヒつつ   〈y ⊂^)!†i(^つ
     { }}:::::ン  ̄}__/ ̄`^<_/ /,弖  l ::{{ }    / /_j_j>j       ¥ 《/、,、,、,ヘ¥
     V__/   / /   /:/`\r'〃ニフ   }::V/.    ん'(_ノノ、ノ         .`~じフ~
     {´ /了 ̄|l   /:/      ̄ ̄`ヽ ヽ:/
12通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 01:00:53 ID:???
>>10GJ!

エクストリーム・ブラストがいつ出るか楽しみだ
13通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 06:38:55 ID:???
>望氏
GJです。
後編も楽しみに待っています。
14通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 07:36:37 ID:???
>望氏
キラ達は管理局に接触しましたか。
これからどのようになっていくのか楽しみにしていますので頑張って下さい。
15通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 10:38:05 ID:???
神隠しさん2話投下乙です。
原作再現だからこそ読みやすく、呑み込みやすいですよ
そして、なのは世界を壊さない程度に種勢がいるのが良いと思います
シンはもっと目立てる子。

これからは戦闘多いみたいですね。描写とか特に大変そうですが頑張ってください!
16リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/04(木) 20:26:25 ID:???
お久しぶりです。
忘れられていると思いますが、リリカルクロスSEED A´sとして復活しました。
明日から定期にとはいかないものの投下していきたいと思います。
神隠し様やら望様のを見ると出すのを躊躇いました。(実は昨日投下予定でした)
やっぱりすごいですね〜GJです。
キラ一人はつまらないとおっしゃるかもしれませんが、ご勘弁をorz
A´sは色々な作品があるためこんなんじゃないというかもしれませんが原作通り進んでいます。
何か原作と違うアクションが起こせればよかったのですが、発想力が貧相なため断念しました。

と、いうわけで色々思うところはありますが、明日の12時に投下したいと思います。
投下してもよろしいでしょうか?
それでは、失礼します。
17通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 20:27:44 ID:???
はい。楽しみにしています。
18通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 20:28:36 ID:???
おお、神隠し氏2話連続投下乙であります。
なのははキラとヴィヴィオの2対1、フェイトは3対1になるのですか?だとしたら大変ですねえ。
しかもAMF下。勝てるのか不安になってきましたw
どうかお体にはご自愛を。最後まで応援しております。
19通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 20:41:29 ID:???
リリカルクロスSEED A´s氏に質問があります。
この先、A´sが終了したら、今度はStSも書かれるんですよね。
20通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 21:13:23 ID:???
神隠し氏、ルーテシアの召喚虫は「ジライオウ」ですよ

21神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/04(木) 21:21:31 ID:???
>18
大筋は決めてますが、実は各話ごとに話を考えてるのでまだ決まってなかったり……。

ただ今回、シン君、特にキラ君には頑張ってもらおうかと考えてます。
正直、クライマックスは作者暴走状態なオリジナル展開→最終回&伏線→劇場版→完結の予定です。
22神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/04(木) 21:27:18 ID:???
>20
そうですか、訂正に感謝です。
読者の皆さま、各自脳内保管よろしくです。
23通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 21:49:28 ID:???
保管でなく補完です。
何度もごめんなさい
24通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 22:12:28 ID:???
>>19
気持ちはわかるが、落ち着け。俺も書いてくれたらいいと思うが
職人さんにも都合があるかもしれん。
25通常の名無しさんの3倍:2007/10/04(木) 22:17:41 ID:???
劇場版!?
神隠し氏、待ってましたっつーの!
期待しまくってますからさらに応援してますよ!
26通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 00:11:19 ID:???
避難所に望氏の書き込みが…どうやらアクセス規制に引っかかったらしいな…。
27望氏代理人:2007/10/05(金) 00:27:32 ID:???
それでは第08話後半投下します。

魔法少女リリカルなのはクロスSEED
第08話「第三者の介入とそれぞれの思い、なの」


「なのは?」
何故そんなに驚いているの?といった表情で見るユーノ。(と思わしき少年)
「ユーノ君てユーノ君て、あのその、何?え?だ、だって、その、嘘?ふぇぇぇぇぇぇっ!!!」
首を振ったり、指を指したまま腕を上下させたりと。なのはは混乱していた。
「……君達の間で、何か見解の相違でも……?」
クロノが不思議そうな表情で見つめる。
「…………」
そしてキラは未だに開いた口が塞がっていない。
「えと、な、なのは?僕達が最初に出会った時って、僕はこの姿じゃ……」
「違う違う!最初からフェレットだったよ〜!!」
そう言われて頭の中の記憶を辿っていくユーノ。そして答えを導き出す。
「あーっ!!あ、そ、そうだそうだ!ごめんごめん、この姿を見せてなかった……」
「だよね!?そうだよね!?びっくりしたぁ……」
ゴホン。と咳き込む会話に割り込むクロノ。
「その、ちょっといいか」
「「ん?」」
「君達の事情はよく知らないが、艦長を待たせているので、出来れば早めに話を聞きたいんだが……」
「あ、はい」「すみません……」
「では、こちらへ……」
クロノの後を着いて行く二人。そこで気付く。
「あれ?キラ君?」
「……はっ!?」
呼ばれてようやく意識を取り戻したキラ。
「ご、ごめん」
タタッと三人に駆け寄るキラ。そして歩みを再会する。
「……僕、この世界に来て」
「?」
「魔法の存在にも驚いたけど……今さっきの事が一番驚いたよ……」
うんうんっとなのはが首を縦に振って激しく同意してくれていた。

そして一つのドアの前で止まるクロノ。
機械的な音と共に開くドア。
「艦長、来てもらいました」
その扉の向こうに広がる景色。それは余りにも異色過ぎた。
機械的な壁面とは裏腹に、並べられた盆栽。中央に置かれた茶具。そしてコトンと音を立てる竹の音。
そして中央に座る緑色の髪の女性が笑みを浮かべながら正座している。
「お疲れ様。まぁお三人ともどうぞどうぞ、楽にして」
「は、はぁ……」
今日これで一体何度驚いたことだろうか。あっけに取られた表情のまま返答するキラ。

でも驚くのはこれからであった。
28望氏代理人:2007/10/05(金) 00:30:07 ID:???
緑色の髪の女性、リンディさんとクロノという少年を交えた話で初めて知った事。
ロストロギアと呼ばれる失われた遺失世界の遺産の存在。ジュエルシードもそれに含まれる事。
そして……ジュエルシードの危険性も。
「ではこれよりロストロギア、ジュエルシードの回収については時空管理局が全権を持ちます」
「「「えっ!?」」」
「君達は今回の事は忘れて、それぞれの世界に戻って元通りに暮らすといい。」
突然の発言に表情が変わる面々。
「でも、そんな……」
「次元干渉に関わる事件だ。民間人に介入してもらうレベルの話じゃない」
「でも!」
それでも引き下がらないなのは。
「まぁ、急に言われても気持ちの整理がつかないでしょう。今夜一晩ゆっかり考えてみんなで話し合って、それから改めてお話をしましょう」
「送っていこう。元の場所でいいね」
クロノが立ち上がろうとする。
「待ってください」
それまで話を聞いていたキラが口を開く。
「何かしら?」
「あの、僕の話を聞いてもらえないでしょうか……」
「?」
そしてキラは話し始める。自分の事、元の世界の事を……。
「そう……それじゃあなたは元の世界からこの世界に転移してしまったという事ね」
「確かに何かの事故に巻き込まれて別の世界に転移することは稀にあることだ。君の元の世界の事もこちらで調べておこう」
「あ、はい……」
「……」

クロノに促され、元の公園に戻ってくる三人。
もう夕焼けが沈みかけ、暗くなってきている。
「とりあえず、帰ろうか」
「うん……」「そうですね」
キラの言葉に続くなのはとユーノ。やはり先程のこともあってか二人とも少し元気がない。
そして人間状態からフェレットへと戻る(?)ユーノ。
まあその姿でないと高町家に戻って、「実は僕がユーノなんです」っていうわけにいかないしね。
帰路に着く三人。
そして、これからを考えなくてはならない。自分達がどうするか……を……。
29望氏代理人:2007/10/05(金) 00:33:12 ID:???
同刻。
「ダメだよ、時空管理局まで出てきたんじゃもうどうにもならないよ……」
「……」
無言で俯くフェイト。
「逃げようよ……三人でどこかにさ……」
「それは……ダメだよ……」
顔を上げて否定するフェイト。
「だって!雑魚クラスならともかく、あいつ一流の魔導師だ……本気で捜査されたらここだっていつまでばれずにいられるか……」
重なる不安。
「あの鬼婆、あんたの母さんだってわけわかんないことばっか言うし……フェイトにだって……」
ひどいことをした。そう言おうとしたがその口をフェイトに止められる。
「母さんの事、悪く言わないで」
「言うよ!だってあたし……」
ガチャと開く扉。向こう側からアスランが入ってくる。
「どうした?電気も点けないで……」
カチとボタンを押すと天井の蛍光灯が光を帯び、部屋を包む。
「アスラン……」
「アスラン!フェイトを説得してやってくれ!!」
「説得?」
アルフは今自分達が置かれている状況を話す。
時空管理局。それは数多の次元世界を管理する司法機関のようなもので、
先程の戦闘に介入してきた少年。彼は時空管理局に所属する魔導師であるとの事。
30望氏代理人:2007/10/05(金) 00:36:40 ID:???
「だから、いっそ三人で」
「……フェイト、君はどうしたい?」
振り返り、フェイトへと視線を向ける。
「……私は、逃げたくない」
「フェイト!!」
「だって、私達が逃げちゃったら、母さんが一人になっちゃうから……」
「あたしは、フェイトに笑って、幸せになって欲しいだけなんだよ……なのに、なんでわかってくれないんだよぉ……」
いつのまにかアルフの両目から涙が零れていた。
そしてその涙を拭うフェイト。
「ありがとう、アルフ。でも私、母さんの願いを叶えてあげたいの……母さんの為だけじゃない、きっと、自分の為」
ポンとフェイトの頭に手を置くアスラン。
「……アスラン?」
「……約束、してくれないか?」
「?」
「君の母さんの、プレシアの為ではなく、君は君の為に、フェイトはフェイトの為に頑張る。と」
見開く目。真っ直ぐに見つめるその瞳はとても悲しいものに見えた。
「……」コクと首を縦に振る。
「なら、最後まで俺は君を護るから。だから、最後まで頑張れ」
「アスラン……」
アスランはフェイトの頭から手を離し、視線をアルフへと向ける。
「アルフ、すまない。俺は君の要望に答えられない」
「アス、ラン……」
「だけど、俺も約束する。フェイトは俺が必ず護る」
「……約束だよ」
「……ああ」
笑顔で答えるアスラン。
だが、フェイトは感じ取っていた。
その笑顔が、とても悲しげな笑顔だと……。
31望氏代理人:2007/10/05(金) 00:38:39 ID:???
夜。
高町家、なのはの自室。
「……だから、僕達もそちらに協力させて頂きたいと……」
レイジングハートへと語りかけるユーノ。その向こうはアースラとの通信が繋がっている。
「協力、ね……」
「僕はともかく、なのはとキラさんの魔力はそちらにとっても有効な戦力だと思います。
 ジュエルシードの回収、あの子達との戦闘……どちらにしてもそちらとしては便利に使える筈です」
「うん、なかなか考えてますね。それならまぁいいでしょう」
それまで聞いていたリンディが顔を上げ返答する。
「か、母さ、艦長!!」
思いも寄らない返答に思わず言葉を間違えそうになるクロノ。
「手伝ってもらいましょ、こちらとしても切り札は温存したいもの。ね?クロノ執務官」
「はい……」
渋々だが了承するクロノ。だが、リンディの言う事も間違ってはいない。
「条件は二つよ。三人共身柄を一時、時空管理局の預かりとすること。それから指示を必ず守る事。よくって?」
「……わかりました」

高町家、台所。
夕食後の後片付けを桃子とキラと一緒にしているなのは。
(なのは、キラさん、決まったよ)
ユーノからの念話が飛んでくる。どうやら管理局との話がついたようだ。
(うん、ありがとう。ユーノ君)(ありがとう、ユーノ)
「それじゃ母さん、俺と美由希は裏山に出かけてくるよ」
恭也が冷蔵庫から水の入ったペットボトルを出す。
「今夜もまた練習?」
「うん」
体を解しながら返事する美由希。
「気をつけてね」「気をつけて」
なのはとキラに言われて二人は「ああ」「うん」と返答する。
そして二人は台所から出て、玄関を出て走っていく。
ちょうどそれと同じくらいに片付けが終わる。
「さ、これでおしまいっと」
最後のお皿を棚にしまい、ガラス戸を閉める桃子。
「それじゃ僕は道場に戻ります」
「あ、はーい」
キラも台所を後にする。そしてなのはとすれ違い様に
(頑張って)と念話を飛ばす。
バタンと閉まるドア。
「……さて、お母さんに大事なお話って何?」
「……うん」
言わなくてはならない、これからの事を。
心配をかけることになっても、決めた事だから……。
そして意を決し、口を開くなのは。
32通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 00:40:51 ID:???
さあ、ここらで支援だ
33望氏代理人:2007/10/05(金) 00:41:27 ID:???
ガラッ。と道場の扉を開けるキラ。
「すみません、お待たせしてしまって……」
「いや、構わないよ。それで、俺に話って何だい?」
キラは目の前の人物、士郎に話しを始める。
自分の失われた記憶。その手掛かりを見つけた事。そして、自分を知る人物の事を……。
魔法や自分の世界の事は話すわけにはいかなかったが、嘘と真実を混ぜた話を話す。
「なるほど、そのアスランって子は君の事を知っていると」
「はい、僕の友達だって言ってました……」
「ふむ……それで、どうするんだい?」
「……彼についていってみようと思います」
「……そうか」
「まだ僕自身はっきりとした記憶が戻っていないんですけど、でも何となく彼を知っている感じがするんです……」
「……」
「それで、もしついて行く事になったら、その……翠屋の仕事を……」
休まなくてはならない。それが一番苦しい事である。
だが、身柄を時空管理局で引き取られるということは、少なくともここにはいられないという事。
「……休まなくてはならないってことか」
「……はい」
自分勝手な我侭を言っているのは自分でも重々承知している。
でも、今ここで引き下がるわけにはいかないんだ。
「……キラ君」
「はい」
「君は、自分の過去について怖いと思ったことはあるか?」
「……」
思い出される戦争の日々、MSに乗って、ザフトの兵士を討つ日々。
正直、思い出したくもない過去である。
「……怖い、です」
キラはそんな自分が嫌で嫌でしょうがなかった。友達を護る為、クルーを護る為、アークエンジェルを護る為。
その為に敵を討ち、自分の手を血で染めていく。もうたくさんだと思うことは山程あった。
過去を思い出し、悲しみが支配しつつあるキラを士郎で両手で両肩をつかんだ。
「過去から、逃げたらいけない」
「……え?」
「どんなにつらい過去でも、それは君であることには間違いないんだ。過去からは逃げることはできない。
 それに例え過去に君がどんな人間だったとしても、」
34望氏代理人:2007/10/05(金) 00:43:43 ID:???

「今の君は、翠屋の店員、キラ・ヤマト君なんだから」

「士郎、さん……」
「だから、過去の自分の事で押し潰されそうになったら、俺達と過ごしたこの数週間を思い出してみてくれ。
 そうすれば、君は今のままでいられる。」
いつしかキラの目から涙が零れ落ちていた。
「ほらほら、男の子が泣くな!」
バシィッと背中を叩く士郎。
「それに、もう決めたことなんだろう?大丈夫、翠屋ならどうにかするさ」
「……すみません」
「でも、一つだけ約束してくれないかな」
「?」
「ちゃんと無事に帰ってくる事。君に何かあるとなのはやみんなが心配するからな。
 それに君はもうウチの家族の一員だと俺は思っている。多分俺だけじゃない。
 なのはや母さんや恭也や美由希も、みんな君の事を大事な家族だと思っているさ」
「……」
嬉しかった。素直にその言葉しか出てこなかった。
こんな自分を、家族の一員だと言ってくれたその言葉が。
とても、とても嬉しかった。

「はい……ありがとう……ございます……」
止まらない涙。だけど、その涙の感情は、とても心地よかった。

そして、同じく桃子に事情を説明し、準備が出来たなのは。
荷物を持ち、玄関へと出ると。そこには既に待っていたキラがいた。
視線を交わし、三人は夜の闇を掛けていく。




第08話・完。

35望氏代理人:2007/10/05(金) 00:45:10 ID:???
望氏GJ


ええっと、変に短かったりするのは改行制限に引っかかったからです
弄るのもいけないので、ぶつ切りにしました
36望氏代理人:2007/10/05(金) 00:46:38 ID:???
61 :望 ◆nTZWuJL8Pc:2007/10/05(金) 00:35:21 ID:dqFeE2C.
すいません、一つだけ訂正が……

前スレ706にて
×フェイトがあの女に、プレシアに酷い事をしなかったか。と
○フェイトがあの女に、プレシアに酷い事をされかったか。と

……フェイトがプレシアに酷いこと出来る訳ないじゃないかぁぁぁぁっ!!
すみませんすみません……初歩的なミスしてすみません……orz
37リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/05(金) 12:01:02 ID:???
それでは、12時になりましたので投下を開始します。
38リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/05(金) 12:06:39 ID:???
第一話「少年と戦い、再び」


「それでも・・・・・・守りたい世界があるんだーーーー!!」
彼女たちに教えてもらったことを無駄にしないためにも。
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」
彼女たちのいたあの平和な世界にするためにも。
フリーダムはプロヴィデンスにサーベルを構えて向かっていく。
顔が落とされた。関係ない、突き進む!
「!?」
フリーダムのサーベルがプロヴィデンスを貫く。
そして、ジェネシスの動力炉がジャスティスの核爆発で破壊される。
しかし、そのジェネシスの余波によりフリーダムは光に包まれる。
「!?・・・・・あれ、この感覚どこかで・・・・・」
キラが答えを導き出す前に彼を光が飲み込んだ。

「!?」
気がつくと肌寒く、そして浮遊感があった。
キラの目の前には綺麗な月と星々の輝き。ここが宇宙じゃないのは分かるが・・・・。
(浮遊感?)
その疑問を感じたときには重力を激しく感じる。
そう、落ちているような感覚だ。
(って、ほんとに落ちてる!?)
キラは焦った、機体からいつの間にか出ていて、しかも空の上。
下を見てみる、まだ高度があるためか少し考える時間がある。
(!?)
だが、考える時間は必要なかった。下を見ればここがどこだか判断がついた。
「フェイトちゃん!?それにアルフさんまで!」
下には懐かしい人たちがいた、一度だって忘れたことはなかった人たちだ。
どうやらキラはまたこの世界に来てしまったらしい。
だが、さらに驚く。
「何かと戦ってる?・・・・・押されているのか?」
状況を見れば、不利なのが良く分かる。加勢をしないといけない。
「デバイスは・・・・・」
キラの手にはいつの間にか白と青のクリスタルが収まっていた。
「ストライク」
『Yes, my master.』
久しぶりに魔法を使うことになるが、やるしかないのだ。
39リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/05(金) 12:08:09 ID:???
「いくよ!ストライク!」
『Yes, sir.』
「空中戦だ、エールでいく!」
『Aile mode. Set up.』
バリアジャケットに身を包み、シールドを前に向け結界にぶつかる。
「ぐうぅぅっ!」
結界が固い、このままでは中に入ることが出来ない。
その時、フェイトが吹き飛ばされるところが見える。
「フェイトちゃん!!くそっ、ストライク!」
『Yes, sir. Full power.』
赤い翼からの光が強くなり、キラは無理矢理にでも結界内に入り込むことが出来た。
「よし!行くぞ!」
キラはライフルを構えるとフェイトのほうに向かった。
だが、キラは気付かなかった。自分の動きが前と違っていることを・・・・・・。

「紫電一閃!」
女剣士は魔力が一気に集まった剣を振りかぶる。
それをバルディッシュで抑えるフェイトだが、斬り砕かれる。
フェイトの顔が驚愕し、動きが止まる。
女剣士はさらに剣を振りかぶる、その光景がスローモーションのように見えた。
(やられる!)
フェイトがそう思い、目を瞑った瞬間だった。
女剣士の剣に連続で青い魔力弾が当たり、剣の軌道が逸れる。
「何っ!?」
女剣士が空を見上げると魔力のサーベルを持った青年が急降下してきた。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
「ちぃっ!」
それを剣で受け止めるが、青年の方が勢いがあり、女剣士は後ろに下がる。
フェイトは瞑っていた目を開くとそこには赤い翼を広げる、青年の姿があった。
「キラ・・・?」
「フェイトちゃん、怪我はない?」
キラは女剣士から目を逸らさず、優しい声で聞いてくる。
「え?あ・・・だ、大丈夫。バルディッシュも・・・・本体は無事だから」
「分かった、少しそこにいて。僕がやるから」
「仲間か?」
キラはその言葉にサーベルを女剣士に向けると答えた。
「友達だ」
40リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/05(金) 12:11:16 ID:???
キラは直ぐにサーベルを構えると女剣士に突っ込んでいく。
(速い!?)
女剣士はキラのサーベルを受け止め、打ち合いとなる。
(くっ!このサーベルじゃ、あの剣に勝てない!?・・・・・なら!)
(・・・・・強い、だがデバイスはこちらが上!)
打ち合いから一転、キラは全速力で上に飛んでいく。
「!?」
キラの行動に驚き、反応が遅れる。
「でえぇぇぇぇぇい!」
キラはライフルを乱射しながら急降下してくる。
それを女剣士は障壁で軽々とガードする、だがこれはキラの予想通り。
シールドを取り出すと、障壁に向けて投げる。
それも障壁に押さえられ、ぶつかり合い火花を上げる。
「こんなもの」
(こちらの障壁のほうが強度がある、ヤケになったか?)
「これなら!・・・・・どうだ!!」
キラはさらにライフルを構える、狙いは相手の障壁ではなく・・・・・・。
引き金を引き、青い魔力弾がキラのシールドにぶつかり爆散する。
「何だと!?」
その爆発により障壁が破られる。
そして、その爆風の中からシュベルトゲベールを振りかぶったキラが落ちてきていた。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
「!?」
どうにか剣で受け止めるもさっきの爆発で重心が不安定だったため下に叩きつけられる。
3キラはそれを見届けることなくエールに換装するとフェイトのところに向かった。
「フェイトちゃん、バルディッシュは?」
「え?あ、うん。バルディッシュ」
先ほどまでの二人の戦いに見入っていたフェイトはバルディッシュの修復に入る。
『Recovery.』
バルディッシュは元に戻っていた。
「それよりキラ、何でここ・・・・・」
「アルフさんの援護にいってくる!」
フェイトの言葉が終わる前にキラは飛んでいってしまう。
「・・・・・・・」
一旦、キラを追いかけようと思ったが、フェイトは動きを止め、反対の方を向いた。
どうやらキラがあれだけ攻撃しても大きなダメージは与えられなかったようだ。
女剣士がこちらに向かってくるのが分かる。
フェイトはバルディッシュを構えると、迎え撃ちにいった。
しかし、フェイトはキラの戦いを見て思った。何か昔よりキレがなくなっていたようなそんな気がした。
41リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/05(金) 12:16:43 ID:???
アルフは内心焦っていた。
フェイトが気になるが、今のこの相手の強さにも焦りを感じる。
(こいつ・・・・強い。気を緩めるとやられそうだ)
同じ獣状態になっても強さは変わらない、あちらが上だ。
「まじやばいかも」
そう思った瞬間、横を青い何かが通り過ぎ相手の青い狼にぶつかっていった。
勢いが強いため青い影も一緒に近くの建物に突っ込む。
「何が・・・・?」
突っ込んで煙が上がっている中から影が浮かんできた。
それは赤い翼を展開するとアルフの近くまでやってきた。
「アルフさん、怪我は?」
「キ、キラ?何であんたが?」
「説明は後、この人たちは強過ぎる。一旦、転移して逃げないと・・・・」
「・・・・・・分かった、ユーノがいればどうにか・・・・」
(話は聞いたよ、僕も準備するからアルフも手伝って。キラも時間を稼いで!)
(分かった)
ユーノからの念話を受け取り転移の準備を始める。

(ヴィータ、ザフィーラ)
(何だよ、シグナム)
(青い服を着た男には気をつけろ)
(何でだよ?)
(強いからだろう、今の一撃は効いた)
その問いにザフィーラが答える。
(へぇ〜、二人が言うとは驚きだね)
(油断するな。我々と同じようにやつは戦いを熟知している)
(だけど、負けるつもりはないんだろ?シグナムもザフィーラも)
(無論だ)
(当たり前だ)
(((我らヴォルケンリッターは一対一では負けない)))
42リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/05(金) 12:20:30 ID:???
(まずはあの男から倒すぞ!)
((応っ!))
キラは三つの魔力が跳ね上がったことを感じる。
するとフェイトと相手をしていた女剣士、シグナムが飛び出してくる。
すぐにソードに換装。シュべルトゲベールで受け止める。
「レヴァンティン、カートリッジロード」
『Explosion.』
剣から薬莢のようなものが飛び出すとレヴァンテインの魔力が高まる。
「!?」
シュべルトゲベールが折られ、下に叩きつけられる。
地面にぶつかる前にエールに換装し、勢いを殺してどうにか着地。
すぐにランチャー換装し、空中のシグナムに狙いを定めようと構える。
しかし、その瞬間には青い狼、ザフィーラが目の前にいた。
とっさに爪をアグニで受け止めるが、吹き飛ばされてしまう。
『Sword mode and Launcher mode. unavailability.』
ストライクが二つのモードの使用不能警告を発する。
「くそっ!エールモード!」
『Aile mode. Set up.』
赤い翼を展開して距離を取る。しかし、赤い服の少女、ヴィータが向かってきていた。
「ラケーテンハンマー!!」
「!?」
シールドで受け止めるもすぐに打ち砕かれ、キラは近くの建物に突っ込んでいった。
(キラ!)
フェイトは悲痛な悲鳴を上げる。
(転送の準備は出来てるけど空間結界が破れない、アルフ!)
(こっちもやってんだけどこの結界、滅茶苦茶固いんだよ)
(急いで!早くしないとキラが!!)
フェイト、アルフ、ユーノはキラを庇うように三人の相手をする。

(フェイトちゃん・・・・・キラくんがいるの?)
(え?あ、うん。でもこのままじゃ!)
なのはは三人の戦いを見ているうちに青い光が助けに入ってきたのが見ていた。
しかし、それがキラとは予想できなかった。
43リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/05(金) 12:22:39 ID:???
今のなのははヴィータにやられ、満身創痍。レイジングハートもボロボロだ。
そして、キラやフェイトたちも限界にきているのが遠くからでも分かる。
「助けなきゃ・・・・・私が・・・・」
『Master, Shooting Mode, acceleration.』
レイジングハートからピンクの翼が開く。
「レイジングハート?」
『Let's shoot it, Starlight Breaker.』
「そんな、無理だよ。そんな状態じゃ」
『I can be shot.』
「あんな負担の掛かる魔法、レイジングハートが壊れちゃうよ!」
『I believe master.』
なのははまだ決心できない。
『Trust me, my master.』
その言葉になのはは辛そうに決心をする。
「レイジングハートが私を信じてくれるなら、私も信じるよ」
そういうとなのはは結界にレイジングハートを向ける。
大きな魔方陣が現れ、魔力が集中していく。
(フェイトちゃん、ユーノ君、アルフさん。それにキラくん)
四人に念話で今からすることを告げるなのは。
(私が結界を壊すから、タイミングを合わせて転送を!)
(なのは?)
(なのは、大丈夫なのかい?)
ユーノとアルフが聞き、フェイトは心配そうになのはを見る。
(大丈夫、スターライトブレイカーで撃ち抜くから!)
「レイジングハート!カウントを!」
『All right. Count nine, eight, seven, six, five, four・・・』
巨大な魔力が集まっていく。
『Three, three, three・・・』
「レイジングハート、大丈夫?」
『No problem. Count three, two, one・・・』
そして、なのはは発射のためレイジングハートを振りかぶったその時だった。
「!?」
なのはは言いようのない気持ち悪さを感じた。
それを探って、自分の胸を見るとそこから手が生えていたのだ。
フェイトはすぐになのはの元に飛んでいこうとしてもシグナムに阻まれる。
なのはから生えた手は何か光るものを掴んでいた。それはなのはのリンカーコアだった。
44リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/05(金) 12:25:38 ID:???
なのはがいた場所から見える位置に緑の服の女性、シャマルは本を持ち喋る。
「リンカーコア、捕獲。蒐集開始」
『Sammlung.』
彼女が持った本が怪しく輝きだし、開いた白紙のページがどんどん埋まっていく。
なのはは自分の中から力が奪い取られていくのが分かる。
自分の胸から手が生えている恐怖感で動けないでいた。
しかし、なのははどうにか力が抜けていくのを堪えながらも構える。

「なの・・・・は・・・ちゃん・・・」
キラはなのはの光景を見て唖然とする。
すぐさまあの手の元凶を探し、なのはのビルの近くの屋上に人影がいた。
「・・・・・見え・・・た!」
キラはどうにかライフルを構えるとビルの上にいる人物へ向けてライフルを放つ。
その瞬間、ライフルも限界を超え砕け散った。

「もう少し・・・・」
シャマルは蒐集に集中していたため直ぐに気付かなかった。
すると、彼女のクラールヴィントの自動防御が働き、障壁を張る。
「きゃっ!?」
それに驚いたのかシャマルは腕を抜いてしまう。
「!?」
一瞬、気持ち悪さがなくなったことになのはは気付くと構えを固める。
『Count zero.』
「ス、スターライト・・・ブレイカーーー!!」
ピンクの大きな魔力の流れが天を突き、そして結界を破りさった。
だが、なのはは撃ち終わるとそのまま倒れてしまった。
45リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/05(金) 12:28:54 ID:???
(結界が破られた、離れるぞ)
(心得た)
(シャマルごめん、助かった。それに大丈夫?)
(うん、大丈夫。一旦、散っていつもの場所でまた集合)
その瞬間、4つの光が分散して去っていく。
その光をキラはただ見上げるしかなかった。
「負・・・け・・・・・た、守・・・れなかっ・・・・・た」
その瞬間ストライクは粉々に砕け散る。
そして、キラはそのまま倒れてしまった。
無理な連続換装による魔力消費、そして先ほどの戦闘での大きな傷。
キラの倒れたところから赤いものが広がっていった。
そんなキラを光が包むのを誰も見ていなかった。

「いけないわ。急いで向こうに医療班を2チーム飛ばして!」
モニターで現場を見たリンディはすぐに指令を出した。
「中継転送ポート開きます」
「それから、本局内の医療施設手配を!・・・・・って、え?」
モニターには倒れたなのはと、そしてキラが映っていた。
この前と同じように小さくなっているキラが・・・・・・。
46リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/05(金) 12:30:43 ID:???
投下終了です。
うぅ、改行制限引っかかりまくりましたorz
そして、変な数字が入っててさらに凹む・・・・。

ついに始めてしまいました。A´s投下開始です。
無印書き終わってA´sを最初から見ていきました。
SS一話書き終わったらアニメ一話見てと、終わらなきゃ続きが見れない状況にしました。
そのため自分にはStSについては全く知識がありません。
まぁ、まだ書くかどうかはA´sの反応を見てからになると思います。

それでは、長くなりましたがこれからリリカルクロスSEEDA´sをよろしく!
次回「再会、そして新たな生活」をお楽しみに!
47通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 12:42:40 ID:???
46
キラはまた小さくなってしまったんですね。
これからどうなっていくのか楽しみにしています。

あと個人的にはStS編も書いてもらいたいと思っています。
48通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 12:51:32 ID:PCZrOLEl
>>46
おかえりなさい 待ってました
キラの動きがおかしいのはフリーダムに慣れたせいですかね

自分としてはStSまでやってほしいですね。これからもガンバッテ。
49通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 13:06:23 ID:???
>>46
更新ご苦労様でした。
キラのデバイスはまだストライクのままなんですね。
そしてキラは、また子供の姿になってしまいましたか。

自分もStSまでやってほしいですね。そして、敵側にクルーゼを出したりしたりして。
これからも更新されるのを楽しみにしています。
50通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 15:34:58 ID:???
>>46
キラはこの世界に来てまた子供のときの姿に戻ってしまいましたか。
昔よりキレがなくなっていたのは、MSでの戦いだったとはいえ、ヤキンでの戦闘での精神的な疲労なども少なからずあってそれも影響したんですか。
ストライクが壊れてしまいましたか。これはフリーダムへのフラグみたいな感じですかね。
51望携帯 ◆nTZWuJL8Pc :2007/10/05(金) 16:34:06 ID:???
>>神隠し氏GJ!!
おお!劇場版ですか!?あの続きはとても気になるので楽しみにしてます〜。
あとアスランマジックについてですが、これは最終回かその手前ぐらいでないと明かされません。
これからは戦闘ばかりなので描写が大変だと思いますが、頑張ってください。

>>リリカルクロスSEED A's氏GJ!!
新作待ってました〜ついにA'sに突入ですね〜(それに比べて自分はまだ無印……orz
またもや幼少化したらキラも驚きでしょうねw
自分もwktkしながら次回を待っています。

>>望氏代理人
ありがとうございました!アクセス規制が早く解除されることを願ってます…。

あと、一応無印終了後、A's編を書くかどうか悩んでいます。
とりあえず住人の皆様の意見を聞こうと思うのですが、いかかでしょうか?
52通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 17:10:45 ID:???
キラの動きが鈍かったのは普通に子供化への伏線だと解釈してるのだが
53通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 17:59:18 ID:???
リリカルクロスSEED氏乙そしてGJです
やっぱりストライクすごい勢で壊れましたね\(^o^)/
前より動きにキレがないってのは、ヤキンの後すぐだからだと俺も思ってるんだが
フレイは死ぬし、ムウさんもいちお死ぬ扱いだし、クルーゼ戦と精神的にボロボロかと

子供化は無印でもなってたしなーここで鈍くなるのはおかしいような
54通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 18:01:07 ID:???
>>望氏
ぜひA's編、そしてStS編まで書いても欲しいです。
>>リリカルクロスSEED A's氏
本編とは関係ありませんが、このキラは、ヤキンでの最終決戦のときに原作通り出撃前のときにラクスから指輪は渡されているんですよね。

これからどうなっていくのか楽しみにしています。
StSは個人的には書いてもらいたいです。

55通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 20:16:43 ID:???
魔法使ってなかったブランクみたいなものじゃない?

神隠しのキラもシンも最初は弱体化してたみたいだし…。
56通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 21:44:32 ID:???
A,sのサブタイは種本編から引用しないのか
57通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 22:51:55 ID:???
相関図ジェネレータでの検索結果

なのは−[同志]−しん
なのは−[友達]−ふぇいと
なのは−[同志]−はやて
ふぇいと−[対立]−しん
はやて−[微妙]−しん
ふぇいと−[本気]−[遊び]−きら
はやて−[両想い]−きら
きら−[無視]−[放置プレイ]−しん
ふぇいと−[見せ合いっこ仲間]−はやて
なのは−[攻]−[攻]−きら

キラ自重しろwww
58通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 23:02:41 ID:???
第二回戦

きら−[親分]−[子分]−げぼこ
しぐなむ−[知り合い]−きら
しゃまる−[ライバル]−しん
しぐなむ−[友達]−げぼこ
しゃまる−[無関心]−げぼこ
しゃまる−[元恋人]−きら
きら−[無視]−[放置プレイ]−しん
げぼこ−[し放題]−[させ放題]−しん
しゃまる−[攻]−[受]−しぐなむ

シンお前って奴は…
59通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 23:18:57 ID:???
これで最後な。ティアナはなんか無理っぽい…

きら−[微妙]−すばる
きら−[知り合い]−きゃろ
きゃろ−[知り合い]−しん
きら−[無視]−[放置プレイ]−しん
きら−[コスプレ仲間]−えりお
えりお−[スク水大好き仲間]−すばる
きゃろ−[加害者]−[被害者]−すばる
えりお−[ロリコン同士]−しん
えりお−[肉体関係]−きゃろ
すばる−[攻]−[誘い受]−しん
60通常の名無しさんの3倍:2007/10/05(金) 23:25:50 ID:???
しつこくて悪いやっぱできたわ。これで本当に最後。

きら−[微妙]−すばる
きら−[知り合い]−きゃろ
きゃろ−[知り合い]−しん
てぃあな−[友達]−きゃろ
きら−[無視]−[放置プレイ]−しん
てぃあな−[加害者]−[被害者]−きら
てぃあな−[ツンデレ]−[萌え萌え]−しん
てぃあな−[いかがわしい]−すばる
きゃろ−[加害者]−[被害者]−すばる
すばる−[攻]−[誘い受]−しん
61通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 00:19:28 ID:???
エリオ酷すぎだろ常考wwwwwww
62通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 00:28:38 ID:???
>>57-60
よくわからんけど前スレで貼って欲しかったぜ
63通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 00:33:04 ID:???
まだ前スレ埋まってないのか?
64通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 00:37:29 ID:???
げぼこ−[し放題]−[させ放題]−しん
すばる−[攻]−[誘い受]−しん
えりお−[ロリコン同士]−しん
てぃあな−[ツンデレ]−[萌え萌え]−しん

流石、ラッキースケベ。てかシンひでぇwwwww
65通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 00:55:52 ID:???
まだ埋まってないよ。雑談な流れなら前スレでやってくれるとありがたい
66通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 01:08:08 ID:???
ぎんが−[親友]−しん


面白くないなぁ…
67通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 08:46:47 ID:???
個人的にはギンガとシンはシンフェイと並んで好きなカプ
68リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/06(土) 10:25:23 ID:???
おぉ、感想がこんなにいっぱいくるとは・・・・・。
そして、StSの希望してくださるのが多いのもびっくりです。
出来ればA´s見終わってからにしてください。

もしStSを書くとなると問題が・・・・・。
キラを帰すか、帰さないかです。
帰してしまうとミッドに行く時がまた死に掛けなきゃいけませんし
もしキラの世界が見つかれば時の流れが一緒ならキラは設定上26歳
帰らなかったら種デスが一体どうなるやら・・・・・。
あ、ラクスはキラがいなくなったらどうなるのかってのも関係しそうですね。

と、書くのに設定上色々問題が起こってしまって大変です。
自分、26のキラとか想像できないorz
この問題が解決すれば書こうと考えます。
69リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/06(土) 10:31:22 ID:???
あぁ、すいません
質問のお答えがまだでした。

キラの動きが鈍い件についてはちゃんと話に出てくるのでそれまで待っていてください。
あと、指輪の件ですが、自分の中ではラクスはキラに渡していません。
何故かって?多分、女性の勘が発動したんでしょうね〜。
キラがなのはたちのこと思い出してたりすると勘で分かりそうですもん、ラクスw

えっと、相関図は・・・・・自分のキラはこの結果にはしないように誓いましたw
色々、面白くてよかったと思います。
それでは、二つ合わせて長くなりましたが失礼します。
70通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 11:36:56 ID:???
>>68
次の機会はシンに撃墜されたときになるなw
71通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 11:41:38 ID:???
例えばキラやシンが最初に無印に飛ばされてプリシアサイドに着き
さらに続編で管理局と顔見知りでありながらもヴァルケンサイドに着いたら
やはり学習能力のない奴だなと思うだろうか?
72通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 11:46:36 ID:???
>>71
は?
73通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 12:36:15 ID:???
>>リリカルクロスSEED A´s氏
一応キラは種デスの時にシンに撃墜されましたけどね。
でもそうすると、ストフリはでてこないんですよね。
まあいざとなったら、種デスの原作終了後に飛ばされたなどとやれば何とかなるのでは。

キラの世界との時間の流れは別に一緒でなくってもいいと思います。

これからも楽しみにしています。

74通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 13:27:55 ID:???
リリカルクロスA's氏のキラは最終決戦でフルドライブ並の力を振るうとき以外は子供の姿な気がしてきたな…天上天下の姉のほうみたいだ
75通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 14:05:01 ID:T+Ab5YE+
リリカルクロスSEED氏GJです。
もしStSを書くときキラは元の世界に帰らなくてもいいんじゃないでしょうか。
キラ死んだと思えばラクスはたぶんプラントに帰りそうだし、そして出来上がるラクス帝国みたいな?
76通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 17:45:34 ID:???
まぁ、ないだろうけど一応、確認。
00の感想とか他のスレでな、あくまでもここSSスレだし、なのはとSEEDだし。
当然と叩かないでくれ、保険のつもりだから。
気を悪くしたらスマン。
77通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 20:23:03 ID:???
種世界に帰らず(帰れず)大人モードにも戻れずにSTSに…ってのは?
26歳キラもそれはそれでアリだとは思うけど。
78通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 20:29:28 ID:???
ちょっとSSで困ったことがある。
クルーゼを敵として出すにはクルーゼにとって戦う理由がないように見える。
ミッドはクルーゼが憎んだ世界ってわけじゃないし、クルーゼが管理局側をどうこうする気もないんじゃないかと
クルーゼがキラやなのはたちと戦う理由が欲しいんだが良い理由ってないかな?
79通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 20:34:21 ID:???
世界=人間という感じにしたら
人がいるところ全部が復讐の対象という感じにすればいいんじゃね?
80通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 20:50:27 ID:???
>>78
どういうSSなんですか。

確かクルーゼは、虚無的独我論者であり、いつしか人類そのものを憎悪するようになったという設定があったと思いますよ。
81通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 21:02:31 ID:???
嫁ワールドの説明だとクルーゼはそんなに悪役って訳じゃないみたいだから
敵にするのって難しいよね
久しぶりの投下、よろしいでしょうか?
83通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 21:06:10 ID:???
もちろん
84通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 21:10:27 ID:???
StSのこれから先のあれらの展開をどうするのか期待
85通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 21:11:00 ID:???
>>80
人類そのものを憎悪するようになった

というのは種の世界、遺伝子により変わる世界を恨んでいるのであってなのはたちの世界は恨まないのではないかと
クルーゼって自分を生んだ世界の人類を憎悪したんじゃないかと俺は思う
高い天を行く者から勇敢な者へ
   第十話・前編

・機動六課デバイス整備室

多少仄暗いデバイス整備室に3人の人物がいた。その内の一人、メガネをかけた女性がキーボードを操作し、
残りの二人の男女が映し出される映像を真剣な目で見ていた。
静かな部屋に鳴り響くキーボードを打つ音、音が止まった瞬間、エラーを表示するかのように鳴り響く電子音。
「・・・ふぅ・・・・やっぱり・・ダメみたい」
キーボードを打つ手を止め溜息を一つ、椅子を回転させ、後ろにいる男女に結果を報告するマリーと
「う〜ん」
結果を聞き、残念そうに眉を寄せるシャーリーと
「・・・・・そうか・・・・」
目を閉じ、軽くうなだれるカナード
そんな二人を小さく笑いながら見据えた後、二人の後ろに設置してある
デバイス整備用ポットに入っているハイペリオンとドレッドノートを見据えた。

カナードの固有能力ともいえる防御魔法「アルミューレ・リュミエール」は、高ランクレベルの防御力を誇るが
魔力消費が高いという欠点があった。
さらに最近では防御だけに止まらず、攻撃にも転用しているため魔力消費量は馬鹿にならず、カナードを困らせていた。
そこで目を付けたのがプレアのデバイス『ドレッドノート』である。このデバイスは『魔力を消費するたびに、デバイスから装備者に魔力が無限に補充される』
という特殊効果を持っており、魔力の消費に頭を悩ませているカナードには願っても無いアイテムであったが
「やっぱり、ドレッドノートの特殊効果をハイペリオンに移植するのは無理だね」
カナードの「スーパーハイペリオン化計画」はマリーの断言した言葉により脆くも崩れ去った。

「この『ドレッドノート』自体、特殊効果からして立派なロストロギアだから、複製や機能の移し変えは無理だね」
マリーは立ち上がり、整備用ポットに入っているハイペリオンとドレッドノートを取り出し、カナードに渡す。
「そうか・・・・・すまなかったな。無理を言って」
二つのデバイスを受け取り、謝罪をするカナード。
「思ったんだけど、今度からデバイスをドレッドノートにしてみたら?そうすれば魔力の心配もないし、『アルミューレ・リュミエール』だっけ?
その防御魔法も、今じゃ発生装置を使わなくても出来るんでしょ?」
二つのデバイスを受け取ったばかりのカナードに、自分の考えを述べるシャーリー。
「いや、この『ドレッドノート』はプレアのような特殊スキルを持っている奴が使ってこそ、真の力を発揮する。確かに魔力切れの心配は無いが、
戦闘で使用するのならハイペリオンの方がいい。『アルミューレ・リュミエール』に関しても、発生装置が在るのと無いのとでは展開速度が全く違う」
シャーリーの意見を否定したカナードは、ハイペリオンをポケットに、ドレッドノートを懐に仕舞い、壁にかけてある時計を見る。
「そろそろか・・・・マリー、行くぞ」
「わかった。それじゃあ行って来るから留守番、お願いね」
マリーの言葉に
「はい!」
シャーリーは元気よく返事をし、
「・・・・・・珍しいな、いつのならここで土産を要求する筈なのにな」
驚いた顔をするカナードの言葉に
「そ・・そんなにがめつくありません!」
シャーリーは頬を膨らませて答えた。

途中でなのは達と合流し、ヘリに向かうカナード達、するとそこへアイナに連れられてヴィヴィオと久遠がやってきた。
久遠はアイナから離れ、カナードの元に駆け寄る。
「一体どうしたんだ?」
状況がわからないため、アイナに尋ねる
「ごめんなさいね、ヴィヴィオと同じで見送りたいって聞かなくて」
申し訳なさそうな顔をするアイナ。理由を聞いたカナードは微笑みながら久遠の頭に手を載せる
「そうか・・・・ありがとうな」
そう言い、多少乱暴に久遠の頭を撫でる。その行為を気持ちよさそうに受け入れる久遠。
「俺も向こうに行く。戻って来るのは明日になるが、ヴィヴィオと一緒に留守番を頼むぞ」
「うん・・・・わかった」
カナードを見据え、多少不安そうな顔をする久遠。
「そんな顔をするな。戻ってきたら・・・そうだな、どこかに行くか?」
微笑みながら尋ねるカナードに
「うん!」
久遠は満面の笑みで答えた。

・中央管理局 地上本部

深夜2時を過ぎ、普段なら静まり返る地上本部も、今日に限っては武装した局員や警備員達により物々しい雰囲気に包まれていた。
機動六課のメンバーもその中に加わり、警備部隊からの差し入れのお茶を飲みながら周辺の警備に当たっていた。
そして特に何事も無く時間は過ぎ、公開意見陳述会まで3時間を切り、
内部警備のため、なのは達隊長組が建物内に入ってからも何も起こることは無かった。
そして何事も無く、公開意見陳述会が始まった。
ヴィータはエリオ達に油断せずに警備を怠らないように指示し、なのはとカナードに念話で話しかける。
「(それにしてもだ、今一わからねぇ。予言通りに事が起こるとして、内部のクーデターって線は薄いんだろ?)」
「(アコース査察官が調査してくれた範囲ではね。)」
「(そうすると外部からのテロだ。目的は何だよ?)」
ヴィータの質問に黙り込む二人。そんな二人を気にせずにヴィータは話を続ける。
「(犯人が例のレリックを集めている連中、スカリエッティ一見だっけか?奴らだとしたら、さらに目的がわからねぇ。局を襲って何の得がある?)」
「(兵器開発者なら、自分の兵器の威力証明かな?管理局の本部を壊滅させられる兵器を用意できるって証明できれば、
欲しがる人はいくらでもいるだろうし。カナードはどう思う?)」
なのはが話をカナードに振る。数秒間を置いてカナードは話し始めた。
「(高町の意見とほぼ同意見だ。兵器の威力証明なら全国中継されているこの場所はもってこいだな。『私の開発した兵器は難攻不落の地上本部を壊滅させました』
これほどの宣伝はあるまい。それだけの自信がスカリエッティにはあるのだろう。)」
「(だが、管理局に正面から喧嘩を売る行為だ。リスクが高すぎる)」
ヴィータの疑問に、カナードは即座に答える。
「(そのリスクを物ともしない『隠し玉』を持っていたら?)」
カナードの意見にハッとする二人。
「(以前はやてが言っていた。奴は『違法研究者でなければ間違いなく歴史に残る天才』だと。
仮に奴が今回のテロを高町と俺が考えた目的で行なうとする。俺達から見てもリスクが高いとわかっている行為を後先考えずに行なうとは思えん)」
「(だけど・・・仮に『隠し玉』を持っていたとしても、あいつも管理局の強大さは知ってる筈だ。馬鹿としか言いようがねぇ)」
カナードの意見にヴィータが納得しないように呟く。
「(確かにな・・・・・スカリエッティが馬鹿でない事を祈ろう)」
そう言い、歩く足を止め、地上本部を見上げながら
「馬鹿というのは、自分の欲望のためになら賢者100人分の働きをするからな」
声を出し、小さく呟いた。

そして、開始から4時間が経過し、公開意見陳述会が終わりを迎えようとしていた頃。

・スカリエッティのラボ

「ナンバーズ、No.3トーレからNo.12ディードまで、配置完了」
多数のウィンドウを表示しながらウーノは端末を操作し、後ろで椅子に座っているスカリエッティに報告をする。
「お嬢とゼスト殿も所定の位置に着かれた」
「攻撃準備も全て万全。後はGOサインを待つだけですぅ〜」
トーレとクアットロの報告に満足したのか、笑顔で答えるウーノ。
「あっ、そうだ!ドクターにウーノ姉さま〜、一つ提案があるのですか〜」
ふと、何かを思いついたのか、クアットロが二人に話しかける。
「ん?何だね?」
スカリエッティがモニターに移るクアットロを見据え尋ねる。
「ここは一つ〜、皆の士気を上げる為にも、ヴェイアにドド〜ンと一言、言ってもらおうかと思いまして〜、どうでしょうか?」
突然のクアットロの発言に、セインと現場待機していたヴェイアは「へっ?!」と間の抜けた声を出し慌てる。
「ふふっ、いいアイデアだと思います。いかがでしょうか?」
ウーノがスカリエッティを見据え尋ねると
「確かに良いアイデアだよクアットロ。それじゃあヴェイア、よろしく頼むよ」
スカリエッティはニヤつきながら即決した。
「えっ!、ドクターまで!」
慌てるヴェイアをよそに、周りには多数のウィンドウが開かれる。そこには、
ある者はニヤつき、またある者は真剣な顔をし、またまたある者は『まぁ、がんばれ』と言いたそうな顔をしたスカリエッティ達が映し出されていた。
「(ゼストさんやルーテシアまで・・・・・)ああ・・それでは・・・・」
一つ咳払いをし、ヴェイアは話し始めた。
「これから、ドクターの夢にして最重要プランの達成に向けて、僕達は地上本部を、そして機動六課を襲撃します。
地上本部の防衛は鉄壁、オーバーSランクの魔道師も多数存在しますし、僕達は極力血を流さないようにしなければいけません」
ヴェイアは一息間を空ける。いつの間にかモニターに移る皆の顔は全員真剣な表情をしていた。
「ですけど、一致団結した皆さんなら、これらの障害を難なくクリア出来るはずです。一人でも強い力を皆で合わせる、
失敗するとは思えません。自分を信じて、仲間を信じて、姉妹を信じて、成功させましょう!・・・・ドクター、お願いします」
言い終えたヴェイアはスカリエッティを見据え、指示を仰ぐ。
スカリエッティは立ち上がり、ウーノとモニターに移るナンバーズを見据えながら
「ヴェイアの言う通りだ。スポンサー氏にとくと見せてやろう。我らの思いを、決意を、力を・・・・・・さぁ、始めよう!!!」
作戦開始の指示を出した。

・?????
「はじまったか・・・・・・・フフ・・・」
男が木で出来た人形を弄りながら呟いた。

「アスクレピオス・・・・限定解除」
ルーテシアが多重遠隔召喚を行なうためにリミッターを解除する。
突然のエネルギー反応に戸惑う地上本部のオペレーター達、だがすぐに
「通信管制システムに異常?・・・・・クラッキング!?」
管制室を含めたモニター全てが砂嵐に変わり、先ほど以上の混乱が局員を襲った。
「クアットロさんのISシルバーカーテン、電子が織成す嘘と幻、銀幕芝居をお楽しみあれ!」
通信管制システムに異常を起こしてる張本人、クアットロが楽しそうに呟く。

「こちらだけではないのか!?」
「通信システムそのものがおかしい!!」
システムそのもに異常が発生し、慌てふためく局員達、
「緊急防壁を展開!予備のサーチシステム、立ち上げ急げ!」
上官と思われる男性局員が大声で指示を出す。その光景を天上から生えている手が見つめていた。
その手は人差し指に付いている『ペリスコープ・アイ』で状況を見た後、手に持っていたハンドグレネードを手放す。
ハンドグレネードは空中で爆発し、大量の煙を巻き上げ、その場にいた指揮管制要員を昏倒させた。
全員が再起不能になったのを確認し、ディープダイバーで指揮管制室に入るNo.6セインと赤を強調したバリアジャケットを装着したヴェイア。その時
「いたぞ!侵入者だ!!」
非常時のために待機していた武装局員が部屋に流れ込んできた。
だが、室内がガスで満たされている事を知り、即座にバリアジャケットに対毒ガス用術式を施そうとするが
「スターレンゲホイル!!」
その隙に、アギトから教えてもらった魔法を局員達に向かった投げた後、自身とセインに防御魔法を展開、
その直後激しい音と光が局員を襲い、視覚・聴覚を奪う。そして
「眠っていてください」
眩しさと爆音により苦しむ局員に向かって、非殺傷設定の魔力弾を『76mm重突撃機銃』に似たアサルトライフル型のデバイスからフルオートで放つ。
ライフルの発射音、薬莢が落ちる音、武装局員の悲鳴が室内に響く。
「・・・・・・・・・」
局員の悲鳴を聞きながらも、顔の表情を変えず、撃つ事を止めないヴェイア。
数秒後には指揮管制要員同様、武装局員も昏倒し、室内は再び静まり返った。
「・・・・・別に倒さなくても、ディープダイバーで逃げちゃえば良かったのに」
ライフルのバナナマガジンを交換しているヴェイアに尋ねるセイン
「うん。そうだけど、ここに潜入しているのは僕達だけじゃないからね。チンクさん達の作戦の傷害になるかもしれないから。少しでも減らしておかないと」
「うあ〜・・・そこまで考えてなかった〜。さすがヴェイア先生!」
ヴェイアに近づき、背中を軽くはたきながら笑顔で言い放つセイン
「わかればよろしい(笑)。それじゃあ、次に行こうか」
セインの茶化しに笑顔で答えるヴェイア。その後、二人は床に溶ける様に消えていった。
一方、No.5チンクは動力室にいた。
両腕にスローイングナイフ『スティンガー』を構え、四方に投げる。そして
「IS発動、ランブルデトネイター」
呟いた跡に指を鳴らす。すると刺さったスティンガーは爆発し、動力室を炎が包んだ。
「・・・・・簡単すぎるな」
退屈そうにそう呟きながら、チンクはその場を後にした。

「防壁出力減少。もう、チンクったら仕事速すぎ。もっと手子摺りなさい」
ぼやきながらも、顔は嬉しそうに綻ぶクアットロ。
「ルーお嬢様〜お願いします〜」
クアットロの言葉を合図にルーテシアは遠隔召喚を開始、地上本部周辺に幾つもの召喚魔法陣が発生、
そこから何体ものガジェットが出現した。
ルーテシアによって召喚された多数のガジェットは地上本部を取り囲みAMFを発動、その結果
魔力が結合できなくなり、通信も使用不能。地上本部に閉じ込められてしまったなのは達
「・・・やられた・・・・・」
はやてが苦々しく呟いた。

地上本部から、いくらか離れて聳え立つ高層ビル。その屋上に独特の魔法陣を展開し、
イノーメスカノンを構えるNo.10ディエチがいた。
「ISヘビーバレル・・・・バレットイメージ・エアゾルシェル」
アイカメラで目標を確認、エネルギーのチャージ音が辺りに響く。
「発射」
発射されたエネルギー弾は地上本部に直撃、内部にガスを撒き散らし、局員達を昏倒させていった。
「・・・・・次」
特に表情を変えずに、次の攻撃目標に向かって攻撃をするためエネルギーのチャージを始めた。

地上本部の上空に展開している航空魔道師部隊。
彼らの前に二人の戦闘機人が立ちはだかる、No.3トーレとNo.7セッテである。
「セッテ、お前は初戦闘だが・・・・・」
実戦さながらの訓練は行なってきたが、やはり実戦とは違うため、気にかけるトーレ。
「心配御無用。伊達に遅く生まれていませんよ。それに今まで行なってきた戦闘訓練、ドクターが作り、
ヴェイア先生が調整したブーメランブレード、皆が行なっている陽動かく乱」
そう言い、トーレを見据え
「敗北する要素が全くありませんよ」
微笑みながら答えた。
「ふっ、そうか・・・そうだな」
同じく微笑みながら答えるトーレ。そして前方に展開する航空魔道師部隊を見据える。
「・・・・こんな時にすみません・・・・一つ、お願いがあります・・・・・」
「どうした急に?何だ?言ってみろ」
セッテが自分に頼みごとをするなど初めての事であるため、後回しにせずに尋ねるトーレ
「この作戦が終ったら・・・・『可愛い子猫の写真集』を・・・・・貸してほしいのですが・・・・・」
控えめに尋ねるセッテに一瞬ポカンとするが、すぐに笑いがこみ上げるトーレ
「ふふっ・・・・・ああ、いいだろう。『前編』『中篇』『後編』『番外編』『総集編』どれがいい?」
「全部お願いします!!」
セッテは即答し武器を構える。
「いきましょう。IS発動、スローターアームズ」
ブーメランブレードを構え、戦闘機人特有の魔法陣を発動させるセッテ。
「ああ、ライドインパルス!」
腿と足首付近からインパルスブレードを発生させ、攻撃態勢に入るトーレ
「「アクション!!」」
航空魔道師部隊目掛けて突撃を開始する二人。すぐに爆発音と悲鳴が空に響き渡った。

「ちっ!数だけは多い!」
愚痴りながらも次々に出てくるガジェットを蜂の巣にし、破壊するカナード。
周りでは武装局員達も応戦しているが、AMF戦闘になれていないのか苦戦する一方であった。
「(だが、あっけなさ過ぎる・・・・まるで警備内用などを知っていたかのようだ・・・・それに)」
考えながらもガジェットドローンIII型にロムテクニカを突刺し、密集しているI型目掛けて蹴り上げる。
「カートリッジロード!」『Burst』
III型の爆発に巻き込まれ、次々と破壊されるI型。
「(それに・・・・何かが引っかかる・・・・)」
自問しながらも、迫り来るガジェットを破壊し続けるカナード。その時、ヴィータから通信が入る。
「(カナード!大丈夫か!?)」
「(ああ、ガジェット相手に戦闘中だ。そっちの状況は)」
答えながらも、二体のIII型を蜂の巣にする。
「(今デバイスを届けるためにスバル達が中に入った。私は今からツヴァイと一緒に新たに現れた航空戦力を叩く。
・・・・・まったく、スカリエッティは本当に馬鹿だったな)」
ヴィータが『スカリエッティ』の名前を出した瞬間、カナードの脳裏にヴィータが数時間前に言った言葉が蘇る。

       犯人が例のレリックを集めている連中、スカリエッティ一見だっけか?

「(・・・・しまった!ヴィータ!!)」
ツヴァイとユニゾンしようとした瞬間に大声でカナードから通信が入り、ユニゾンが中断されてしまう。
「(な・・なんだよ!?いきなり大声で・・・・・どうした?)」
ユニゾンを邪魔された事に怒ろうとするが、カナードの声から尋常ではない事だと知り、尋ねるヴィータ。
「(ロングアーチと連絡は取れるか?)」
「(連絡も何も、さっきまで連絡してたぞ・・・・・あれ?ツヴァイ!?)」
「(だめです!急に連絡が!)」
急に連絡が取れなくなった事に慌てる二人。
「(チッ、やはりな・・・連中は地上本部と同時に機動六課も目標にしていたんだ・・・くそっ、今更気付くとは・・・)」
顔を顰め、悔しそうに言い放つカナード。
「(なんで六課を襲う必要が・・・レリックは六課では保管してないぞ・・・・)」
「(ああ、だが六課がレリック専門の部隊だという事は知っている筈だ。レリックを保管していると思っているかもしれない。
それにヴィヴィオや久遠の事も気になる)」
カナードはザスタバ・スティグマトのマガジンの所持数を確認した後、数発弾が残っているマガジンを捨て、新しい物に取り替える。
「(主力が欠けてる状態では、そう長くは持たない筈だ。今から六課に向かう、ここは頼むぞ!)」
念話を切り、六課へ向かうため、飛行を開始するカナード。
「・・・・・・間に合うか・・・・・」
呟きながらスピードを上げ、六課を目指した。

カナードが六課に向かい移動を開始したと同時に、機動六課作戦司令室に鳴り響く警報
「そんな・・・・高エネルギー反応二体、高速で飛来、こっちに向かってます!」
叫ぶように報告をするシャーリー。モニターには高エネルギー体を示すマーカーが二つ、六課目掛けて迫っていた。
「待機部隊、迎撃用意!近隣部隊に応援要請!総員、最大警戒態勢!」
グリフィスの声が司令室に響いた。

一方、バックヤードスタッフも戦闘に備え避難を始めていた。それと同時に待機部隊は迎撃態勢に入る。
皆が慌しく動き出す中、迎撃に向かうため、持ち場に移動しようとするザフィーラとシャマルを
アイナとヴィヴィオと共に避難しようとした久遠が呼び止めた。そして、
「久遠も・・・・戦う」
二人を見据え、迎撃部隊に志願する。シャマルとアイナは驚き、ザフィーラは沈黙する。
「だめよ!バックヤードスタッフの皆と避難し(いいだろう」
シャマルは即座に否定するが、ザフィーラがシャマルの言葉を遮り、許可を出す。
「ザフィーラ!!」
シャマルがザフィーラを睨むが、ザフィーラは冷静に理由を話しだす。
「久遠が放つ雷は強力だ、AMFの影響も受けない。戦力が乏しい今の状況では一人でも戦える者が必要だ」
ザフィーラの説明を聞き、シャマルは不満な顔をしながらも納得をする。そんなシャマルに、今度は念話で話しかける。
「(・・・情けないが、この状況では久遠の力は必要不可欠だ。それに、いざとなれば私達が守ればいい・・・・)」
「(ザフィーラ・・・・・・そうね。御免なさい、睨んで)」
ザフィーラを見つめ念話で謝罪した後、シャマルはしゃがみ、少女の姿の久遠と同じ目線で尋ねる。
「わかったわ。だけど、絶対に無茶はしちゃ駄目よ・・・・・・約束して」
久遠の両肩に手を置き、瞳をしっかりと見据えるシャマルに
「わかった」
久遠は短く、しっかりと答えた。その時
「くーちゃん」
話の内容を聞いたのか、アイナに抱きかかえられているヴィヴィオが泣きそうな顔をする。
そんなヴィヴィオに近づき
「大丈夫、久遠達が悪い人たち、全部追っ払うから・・・・・終ったら、また遊ぼ」
笑顔でヴィヴィオに約束する久遠に
「・・・・うん」
ヴィヴィオは泣くのを我慢し、しっかりと答えた。
機動六課隊舎を襲撃するため、No.8オットーとNo.12ディードは飛行を続けていた。
「・・・・・お嬢様もこちらに向かっている。向こうは上手くいっているみたい・・・・どうしたの?」
何か考え事をしているような顔をしているオットーを、不思議に思ったディードが尋ねる。
「いや・・・なんでもない・・・・急ごう」
そう言い、スピードを上げるオットー。ディードもそれ以上は追求せずに、スピードを上げた。
「(・・・・おかしい・・・・・)」
ディードに嘘をついた事に罪悪感を感じつつも、オットーは自分の考えの違いに疑問を抱いていた。
「(そろそろ・・・・いや、もう既に管理局の近隣部隊と鉢合わせする筈だけど・・・・魔力反応どころか、生体反応すら無い。情報が間違ってた?)」
疑問に思いながらも、与えられた任務を遂行するために、頭を切り替えた。

ディード達が機動六課隊舎に向かっている頃、近隣部隊が待機『していた』上空で
「・・・・・来るな・・・・・楽しみだ・・・・」
数時間前まで、木で出来た人形を弄っていた男が呟く。
「だが・・・・歯ごたえが無さ過ぎる・・・無駄に棚のコレクションが増えるな・・・・」
地上を二秒ほど見据えた後、男は空間と同化するように消えていった。
誰もいなくなり、辺りを静けさが包んだ。
多数の近隣部隊員『だった物』を残して。

一方、なのは達にデバイスを渡すため、地上本部に突入したスバル達は途中襲ってきた
No.9ノーヴェとNo.11ウェンディと戦闘を開始していた。
当初は戦闘機人の戦闘力に苦戦を強いられるスバル達、だが戦闘機人戦を想定したティアナとキャロによる幻術によるかく乱や、
スバルの打撃やエリオの雷撃戦により、その場の撤退に成功。
ノーヴェとウェンディは迎撃を行なおうとするが、
「ノーヴェ、ウェンディ、二人とも、ちょっとこっちを手伝え」
チンクから通信が入る。
「もう一機のタイプゼロ・・・・・ファーストの方と戦闘中だ」

通信を終えた後、目の前で攻撃態勢を崩さないギンガに話しかける。
「・・・・・今、仲間を呼んだ。数分後にはこちらに来るだろう・・・・・・投降してくれないか?」
いつでもスティンガーを投擲できるように構えながら、優しく諭す。
「悪いけど、それはこちらの台詞よ。これ以上地上本部を破壊させる訳にはいかない。・・・・・投降してくれないかしら?」
ギンガも、投降するように優しく諭す。
だが、チンクは言葉を発せずギンガを見据えながら黙り、ギンガもまた、チンクを見据え沈黙する。
その間約10秒、二人の考えは決まった。

              「「(行動不能にして、取り押さえる)」」

その直後、チンクはバックステップで後ろに下がりながらスティンガーを投擲、ギンガもバックステップでその攻撃を回避する。
「(おそらく、相手はスローイングナイフを使った戦闘スタイルからして中距離戦を主体としてる、接近戦に持ち込めば)」
投げられたスティンガーが床に刺さり、爆発した瞬間、ギンガはリボルバーナックルのカートリッジをロード、
ナックルスピナーを回転させながらチンク目掛けて突撃を開始した。
自分描けて突撃してくるギンガに、チンクは特に慌てずに新たなスティンガーを取り出し、ギンガ目掛けて放った。
その攻撃を今度は避けようともせずに、前方にトライシールドを張り防ぎ、そのまま直進する。
元々、トライシールドは展開範囲がアルミューレ・リュミエール以上に狭い。そのため、スティンガーその物の攻撃は防げたが、
衝撃や爆風までは防げず、ギンガの体に押し寄せてきた。
「くっ・・・・・だけど・・・・・距離は稼いだ!」
苦痛に顔を歪めながらも、どうにか至近距離まで近づき、
『ストームトゥース』
強烈なパンチを放とうとした。だが爆煙が晴れチンクの顔が見えたとき、ギンガは不審に思った。
チンクは攻撃をする素振りを見せない所か、笑っていたのだ。
後2秒もすれば、ギンガの強烈なパンチが目の前の小柄な戦闘機人を吹き飛ばすだろう。
だが、ギンガはその笑みを見た瞬間、勝利の喜びよりも、何かあるという不安の方が勝った。そして
「・・・・・さすがだ、予定より3分早いぞ」
チンクが呟くと同時に、収束砲が真横からギンガを襲った。
攻撃態勢だったギンガは防御する事が出来ず、放たれた収束砲をまともに喰らい、吹き飛び、壁に叩き付けられた。
「が・・はぁ・・」
収束砲のダメージと、壁に叩き付けられたダメージの両方がギンガを襲う。チンクが収束砲が来た方を向くと
「いや〜ギリギリだったっスね〜」
ギンガに収束砲を放ったウェンディが右手にライディングボードを構えながら歩いてきた。
「チンク姉、大丈夫?」
そんなウェンディを追い越し、チンクの元に駆け寄るノーヴェ。
「ああ、姉なら大丈夫だ」
そう言い、安心させるように微笑むチンク。そして、ふらつきながらも立ちあがり、3人を見つめるギンガに話しかける。
「・・・・・これが最後だ、投降してくれないか。勝ち目は無いぞ」
先ほどと同じように、優しく諭すチンクにギンガは
「・・・・・ありがとう。貴方、親切ね・・・でも・・・・」
ファイティングポーズを取り、答えを見せ付けた。
「だったら容赦しねぇ・・・・・腕の一本くらい、覚悟しとけよ」
ジェットエッジのスピナーを回転させ、ギンガを睨むノーヴェ
「殺しはしないから安心してもいいっスよ〜・・・・・それなりに痛めつけるっスけど」
ニヤつきながらライディングボードを構えるウェンディ
だがチンクは参加せず、身近な壁に寄りかかり、腕を組んだ。
「姉はここで見ている。ダメージを負っているとはいえ、奴は強い。それに殺してはいけないのだ。
『殺してもいい』戦闘よりはるかに難しい。トーレに鍛えられた成果を見せてもらおうか。安心しろ、危なくなったら加勢する」
チンクの言葉にトーレとの訓練を思い出したのか、渋い顔する二人。だがすぐに嬉しそうにニヤつき
「悪いけど、チンク姉の出番は無いよ」
「そうっス。虐た・・じゃなかった、訓練の成果をご覧あれッス」
二体の戦闘機人が、ギンガに向かって攻撃を開始した。


こんばんわです。お久しぶりです。投下終了です。
感想をくださった皆様、ありがとうございました。
職人の皆様GJです。
今回も前編と後編にわけました。(もしかしたら中編が入るかな)
ここでは生存しているリインフォースTの階級を考えたり
ヴェイアの資料を探したり(今の所小説とWikiのみです)
ナンバーズ同士の呼び方が分からなかったり(ディードの場合「姉様」とつける事を最近知りました)
・・・・・・・色々あるなぁ〜。やることがorz
次はいつになるのやら・・・・orz
95通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 21:28:04 ID:???
78
クルーゼはヤキンの戦いで滅ぶ!人は!滅ぶべくしてなと言ってますけどね
96通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 21:43:40 ID:???
>>46
そういえばこの頃のキラはもうある程度自分の意思でSEEDを発動できるんですよね。
97通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 21:50:56 ID:???
>>78
フェイトやエリオの出生や戦闘機人の製造を知ってこの世界も、もといた世界と
変わらないからとかじゃ駄目ですかね?土壇場でゆりかご乗っ取るとか、
スーパークルーゼタイムが見たいです。
98通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 21:54:43 ID:???
クルーゼとレジアスは仲良くしてほしいなぁ・・・と思う
99通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 22:04:30 ID:???
>>97
所詮自分と無関係な世界だしなあ。
100通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 22:07:42 ID:???
失礼
GJ!!
スカ博士側の結束が強いッ!!それに木で出来た人形を弄っていた男はスカ博士側では
無いようなので気になります。戦闘終了後のスカ博士の演説が変わるのかどうか楽しみです。
もしや、ゆりかごはホ○イトベースに変わるとかは無いですよね?
101通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 22:08:20 ID:???
高天氏GJ!つーか登場早々殺し杉だろアッシュww
102通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 22:17:33 ID:???
>>94
高天氏お久しぶりです。GJ!!です。
仲間との絆を深めたスカ一味!そして、よもやの第三勢力になるのか「木の人形を弄ぶ男」!?
果たして、リインさんの活躍は如何に!?
そして我らが主人公、「ナイスアシスト」カナード・パルスの運命は!?
さらに興味がつきません。どうかがんばって下さい!
103通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 22:23:08 ID:???
>>リリカルクロスSEED A´s氏

遅くなりましたがGJでございました。
StS編をやるとしましたら、シンに撃墜された時が適当かとは思いますが、なのはたちに年齢で追い抜かれたというのも、他の方の作品と被ってしまいますね。
CE世界に戻れないまま年月を過ごして26歳になったものの、コーディネーターゆえかほとんど老けることなく、見た目は10代にしか見えないというのはどうでしょうか?
スバルやティアナがてっきり自分達と同年代だと思っていたら、隊長陣がキラ相手には年長者に向ける態度をとっており、本当の歳を知って驚愕、とかもありではないかとw
104通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 22:27:08 ID:???
ゆりかごはアニメじゃその真価を全く発揮しなかったヘボ戦艦だったがSSではどうなるか。
105通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 22:34:13 ID:sBBZEwT+
ゆりかごを超巨大MSに変形させていいかな?
106通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 22:44:24 ID:???
>>105
スバル「姉貴は死んだ!もういない!!」
107通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 22:53:14 ID:???
>>101
そういう人っすからwww
108lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/06(土) 23:06:08 ID:???
contact of Destiny6話、12時頃に投下予定です。


>高天氏
前回といい、ナンバーズの描写が細かい。そしてちゃっかり彼女らの中核に収まっているようなヴェイア(笑)
アッシュが登場ですか。どのような描写を見せてくれるのか、楽しみにしてます。

>神隠し氏

とうとう決戦ですね。シンは一体誰と戦うことになるやら…。EBの使用も非常に気になりますな。
本編以上の激しい戦闘に期待してます!

>望氏

暖かいなぁ高町家。士郎、いい漢や…
GJです。

>>リリカルクロスSEED A's氏
GJです。いきなり現れてシグナムとあそこまで戦えるとは、さすがと言ったところですなキラ。
ところで今回もキラ一人ですか? クルーゼが来てるってことは……?

109通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 23:31:02 ID:???
>>105
スカ「ドゥーエ…君の遺志は受け取った。クアットロ…変形だ!」
クア「その言葉…待っていましたわ!」

ファイパウアッ!
110通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 23:33:37 ID:???
アッシュは第3の勢力なのか?
111通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 23:34:55 ID:???
>>109
それ何て超銀河グレンゆりかごw
112通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 23:37:57 ID:???
みんなグレンラガン好きだなぁw
俺もだが
113通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 23:39:58 ID:???
実はミッドチルダにある二つの月は超巨大な船だったんだよ
114通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 23:48:10 ID:???
まあ300年前のベルカじゃ、あれが空を埋め尽くすぐらい大量に飛んでたらしいから、
StSとは比べ物にならんくらい派手な戦場をヴォルケンズは生きてきたようだ
115lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 00:00:04 ID:???
6話


1 


「んー、いい天気だなぁ」
 シンの頭上に広がる水色の空に輝く太陽。相変わらず日差しは強いが、昼を半ば過ぎた
今の時間と晩夏ということもあってほどよい日差しだ。
 首都クラナガンでアッシュとの戦いより一ヶ月あまり、その期間は大した事件も起きず
その戦いで怪我を負ったシンも回復し、こうして元気になっている。
「この時間帯だと日向ぼっこにちょうど良いなぁ? レイ」
 隣に座る親友に声をかける。腕を組んだ姿勢で目を閉じ座る彼はしばらくして目を開き、
「ああ。悪くない」
 頷き、再び目を閉じる。表情はいつも通りだが、だいぶリラックスしているのがシンに
は分かる。
 二人がいるのは病院の屋上だ。周りには自分と同じ入院患者やその世話をしている看護
師、またはその知り合いなどの姿もちらほら見える。
 最近の見舞いは病室内ではなく、屋上が多かった。軽い散歩ができる程度に回復してい
るという話なのだが、レイは変わらず病室におり魔導書を乱読しているらしい。それを訊
いたシンは見舞いに来る度にレイをこうして屋上や病院の庭に引っ張っている。
 涼しい風が吹き、心地よさにシンはうとうとし始める。
 その時、耳朶に聞こえる屋上の扉が開く音。うっすらと目を開けて見ればなのはとルナ
の姿がある。
「やっぱりここにいたんだ」
「シン、元気してる? レイも調子はどう?」
 気楽な様子で挨拶する二人。いつもどおりルナが会話のペースを握り、話は進む。
「さて、二人にいいお話があります。それも二つほど」
「いい話? なんだよ」
 互いの近況や雑談が一段落したところでかしこまって言うルナに、シンは眉を潜める。
「一つはレイの退院許可がそろそろ出る事よ。テロメラーゼ導入によって順調にテロメア
は延長していってるみたいで、あと2、3日様子を見て検査、それがクリアされれば許可
が出るって」
「本当か!?」
 思わず立ち上がるシン。それを見たなのはが微笑して言う。
「うん。今日朝方に連絡を受けて、ついさっき詳しい話を聞いたから。間違いないと思う
よ」
 微笑みながらなのはが言う。隣でルナが「まぁ当分の間は投薬や通院しなきゃいけない
けど……」と呟いているが、些細なことだ。
「そっか……。やったな! レイ」
 シンの声にレイは反応せず数秒ほど硬直する。それから自分の掌を見つめ、顔を上げる。
「……ああ」
 そこには隠しきれない喜びに溢れた笑みが浮かんでいる。感情をここまで面に出すレイ
を見て、シンはますます嬉しくなる。
「それで、もう一つのいい話はなんなんだよ」
「せっかちね。まぁいいけど。――六課の事よ。近日中に正式に機動六課設立が認可さ
れるそうよ」
116lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 00:01:18 ID:???
「…!?」
「本当か」
 喜びと驚き。二重の衝撃のあまりシンは声が出ない。レイの冷静な言葉が代弁する。
「ええ、昨日の地上本部での会議でそう言う結論になったってアスランが言ってたわ。ま
ぁ今までの成果を考えれば当然だわ」
 言ってルナはくるりとなのはへ向き直り、
「改めて言わせてもらうわね。六課設立おめでと、なのは」
「ありがとうございます。でもそれはルナマリアさんにシン君、レイさんの協力があった
おかげですよ」
「ルナやシンはともかく、俺は特に何もしていないと思うのだが」
 そんなことはありませんよ、と言葉を切ってなのはは視線を遠くに向ける。そこは修復
作業中の公道が見える。
「あそこでシン君やフェイトちゃん達がアッシュ・グレイを撃退できたのも、レイさんの
協力があってのことです」
 にこりと笑みを返すなのはにレイは何も言わない。照れている事が分かるシンは小さく
笑みを浮かべる。
「ところでシン、レイ。分かってるとは思うけど六課設立後は一度CEに帰ってきてもら
うわよ」
「わかってるよ」
「ならいいわ。――さて、ここからが本題。
 二人ともCEに帰った後、どうするのか考えてる?」
 斬り込むような問いかけに、思わずシンは黙ってしまう。
「単刀直入に言うわ。軍に戻ってきてほしいの。もちろん二人とも私と同じ”フェイス”
扱いよ」
「なんだと……!?」
 またアスランの下で戦わされるのか。大戦時、ミネルバでの様々な出来事を思い出し、
瞬間的に憤りが芽生えるシン。
 だがその反応は予想どおりだったのか、ルナは両手を前に出し、
「まぁ聞きなさい。先の大戦から3年経過してるけど、CEが平和と言ったらそうじゃな
いのよ」
「どういうことです?」
「以前CEで起きた二度の大戦について話したわよね。そうなった経緯や理由も」
 頷くなのは。それを見てルナは話を続ける。
「私達も色々頑張ってはいるんだけど、ブルーコスモスやら何やら、反抗勢力ってのがま
だいるの。
 私達が管理局や聖王教会のような組織と協定を結んだように、そいつらもCEの外に存
在するテロ組織なんかと手を組んでいるみたいなのよ」
「戦争が、起こりそうなのか……?」
「そこまで深刻じゃないわ。今はコーディネーター、ナチュラルの問題についても少しず
つではあるけど改善の兆しはあるし」
 言い、そこで初めてルナは深刻そうな色を表情に浮かべる。
「でもやっぱり小さいいざこざはあるのよね。個人から組織、大なり小なりとも。
今は私達が動いたり、管理局の協力もあって何とか平穏は保たれてるわ。アスハ代表やラ
クス・クラインも踏ん張ってるし」
 忘れられない名を聞き、シンは気が高ぶるのを感じる。
「けれどそれがいつ崩れるかは分からない。だから二人の力が欲しいわ。ザフトのエース
だった二人の力が」
117lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 00:02:28 ID:???
 普段の明るいのとは一変した真面目な声。それが事態の深刻さを否応なく感じさせる。
「悪いが俺は戻るつもりはない。やりたいことができたからな」
 レイの言葉にルナになのはだけではなく、シンも驚く。
「CEに戻った後、俺は管理局に所属しようと考えている」
「……レイ!?」
 予想もしなかった親友の言葉に、シンは叫びじみた声を発してしまう。
「すまないシン。勝手に決めてしまって。だが管理局には俺の目標とする人がいる。その
人と肩を並べられるようになるまでCEに帰るつもりはない」
 語るレイの声からは固い決意が強く感じられ、シンは何も言えなくなってしまう。
「誰よ、その目標とする人って」
「フェイト・T・ハラオウン執務官」
 きっぱりというレイにシン達は皆、固まる。
「ま、まぁ、そう言うなら無理強いはできないけど……。で、シンはどうなの? 今後ど
うするのか、考えてる?」
 いち早く硬直から復帰したルナは何故か頬を赤くして引きつった笑いを浮かべる。隣に
いるなのはもルナ同様頬を赤くし、そわそわと妙な素振りを見せている。
「俺は……」
「その様子じゃ、考えてなかったみたいね」
 言われ、シンは思わず言い返そうとするが、何故か言葉が出てこない。
 思い描いた未来。そのイメージが何故か浮かんでこないのだ。
「まぁ結論を急げとは言わないわよ。でも私達ももう少ししたらCEに帰るから、それま
でに答えをちょうだい。
 そうね、六課設立の認可が下りる頃までは、いると思うから」
 しばらくして二人が帰った後、ベンチの手すりにシンは拳を叩きつける。
――あれから三年も経っているというのに、あいつらは一体何をやっているんだ!?
 予想もしなかった故郷の惨状を知り、思わすシンは心中で己を撃ち倒した敵を罵った。
 

2 


 午後、シグナムからの訓練の誘いを断り、シンは一人部屋にいる。
 必要最低限の物品しかないがらんどうの部屋の隅、設置された机の椅子に体を預けるよ
うな体勢をしている。
 そんな彼の周りには無数のウィンドウが開いている。表示されているのはCEの情報と
映像だ。
「なんだよ、これ。ルナが言っていたよりも、酷いじゃないか」
 目の前に映っているウィンドウには魔導士同士が激しく打ち合うものや、戦闘により被
災した人達が嘆く姿がある。
 CEの情報を集められるだけ集めてみたが、その内容は予想以上に酷いものだった。
 終戦後、プラント議長となったラクス・クラインとアスハの呼びかけにより二分化され
ていた世界は一つになろうと動き始めた。ザフトと連合も統合されCE統合軍に。連合の
傘下だった国でコーディネーターが住まうことを禁止していた国にも、コーディネータの
移住を許可。また逆にプラントにもナチュラルが住むことも。
 コーディネーターを敵視していたブルーコスモスが壊滅的なこともあって、また戦後の
悲惨な状況、そして管理局の介入などが手伝ってか、ナチュラルとコーディネータの融和
政策は当初は上手くいっていた。
118lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 00:03:33 ID:???
 異変が起こり始めたのは戦後から一年半もの時が経ったときだった。鎖国を止め、他の
次元世界や管理局からの援助で連合の国々も力を取り戻しはじめたのか、徐々に発言力も
高まっていき、プラントやオーブ主体で出した政策に難癖をつけ始めてきた。そしてそれ
に呼応するかのようにブルーコスモスなどコーディネーターを敵視する組織のテロが散発
に起こるようになっていた。そしてその事件のいくつかにはCEとは別の世界の技術や兵
器があったらしい。
 そして事件で一番大きいのは五ヶ月前に起きた事件だ。大西洋連邦の一部がまたも大戦
時のような無茶苦茶な難癖をつけて現CEの三首都の一つ、アプリリウスを壊滅させよう
としたらしい。もっとも統合軍三大将キラ・ヤマト、モーガン・シュバリエ、エドワード
・ハレルソン三名が率いる軍によって半日と経たず犯行に関わった全ての人達が捕縛され
たそうだが。
 ルナの言うとおり、CEは平和の輪を結んでいる。しかしそれは何か大きな衝撃が起き
れば、あっさり壊れかけないほどの、脆いものだ。先の内乱以降管理局も三首都に武装隊
などを置いて、平和の維持への協力をしているそうだが、状況は思わしくない。小さな火
種は世界の、あちこちにある。
「こんな状況だってのに、アスランの奴、何でミッドなんかに来たりしてるんだ!」
 怒りを込めて名を呼ぶ。前大戦から幾度となくしてきたことだが、彼への怒りは微塵も
収まることはない。むしろ強まっているように思える。
『そんな力で、強制された平和で、本当に人は幸せになれるのか!?』
――あれだけ偉そうなことを言っておきながら――!
 メサイアでの、デスティニープランを否定するアスランの声。彼の言わんとすることも、
わからなくもないが今のCEを見ると、議長の示す道が本当に間違っていたのかと、強く
疑問に思う。
 デスティニープランが実行されれば混乱は起きただろう。しかし遺伝子の示すとおりに
生きていれば人々が争うことなどは、ないのではないか?
 そう思う一方で、やはりそれに反する気持ちもあるのだ。どうして反するのか、はっき
りとはわからないのだが。
 何が正しくて、何が間違っているのか――。相反する思いに、シンは悩む。
「レイ……」
 ふと、親友の名を呟き、もう一つの悩みが頭をもたげる。
 昨日、なのは達が帰った後、改めてシンはレイから話を聞いた。そして話を聞き終えた
後、シンは一つのことに気が付いた。
 今の自分には進むべき道がないことに。
 いつもの冷静な口調で、自分の進む道を語るレイは隠しきれない熱さ――情熱を感じた。
この二ヶ月の間に親友は己が進むべき道を見つけていたのだ。
 それを嬉しく思うと同時に、その事実に気付いてしまったのだ。自分には、それがない
と。
「俺は……どうしたら」
 進むべき道。そんなことを考えたことは一体何回あったのだろう。家族を失い、オーブ
を離れたこと。力を求めザフトに入隊したこと。このぐらいではないだろうか。
 改めて思うといかに自分が誰かが敷いた安易な道を走ってきたか、思い知らされる。そ
して自分が己が道も決められない子供だと言うことも。
 そのことに自己嫌悪するシン。しかしそう思い、己が進むべき道はなんなのかと考えて
みるが――
「わからないんだよな……」
 きっと他の人に尋ねれば大半がこう答えるだろう。その優れた魔法の力を生かした道に
進めばいいと。
119lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 00:04:54 ID:???
 しかしシンはそれを受け入れることはできない。シンにとって魔法とは”力”でありそ
れ以上の意味はないのだ。
 幼い頃から優れた魔法資質を持っていたシンだが、魔法のことが好きなわけではなかっ
た。もし家族を失わなかったら、プラントに渡っていたとしてもザフトに入ることはなか
っただろう。
 家族を失い、大切な者を守るための力を欲したために――自分の身近にあった”魔法”
を”力”にするためにザフトに入ったのだから。
 確かに自分は優れた魔法の才を持つ。それを生かした道に進めば間違いなく大成するだ
ろう。――だが、それは自分が望んでいる道ではない。
 そもそもシンは戦後の生活に特に不満はなかったのだ。アスラン達に発見されなければ
ああしてレイと共に静かに暮らしていくことも悪くないと思っていた。
 だからシンは六課設立の後CEに戻り、正式に軍を抜けて他の世界で平和に暮らすつも
りだった。――レイが心替えをしていなければ。
――CEに戻るべきだろうか? 未だ戦火が収まらぬ故郷へ。いや、しかしあそこは一度
捨てた世界、もう二度と戻らないと誓った場所。今更戻るなど……
「俺は……どこにいけばいい?」
 呟き、椅子にさらにもたれかかる。――と、その時ドアが誰にノックされ、一瞬動揺し
たシンはバランスを崩し、
「どわぁ!?」
 椅子から転げ落ちる。派手な転倒音がし、その一拍後、ドアがスライドする。
「シン、どないしたん!?」
「いつつ……なんだ、はやてか」
 転んだときにぶつけた頭をさすりつつ、シンは入ってきたはやてを見る。
 血相を変えていたのは一瞬、シンの様子を見るやほっとした表情になる。
「なんや、椅子から転げ落ちただけなんか。大きな音がしたから何事かと……」
「悪いな驚かせて。で、なんか用か?」
「あ、うん。今からミッド地上本部に行くんやけど一緒にどうや?」
 シンは眉を潜める。管理局のミッド地上本部にどうして自分が連れて行かれるのかが理
解できない。
「ちょうシンに会いたい人がおってな。シンの都合がよければって言ってたけど、ああ見
えても忙しい人やから」
「……アスランか」
 シンの言葉に前回の苦い記憶を思い出したのか、はやては首を振り、名を告げる。
「六課の後継人。リンディ・ハラオウン総務統括官とクロノ・ハラオウン提督や」



「それじゃあ入るよ。失礼の無いように頼むな」
「わかってる」
 いつもとは多少元気のない様子でシンは答える。一瞬どうしたのかと思ったがその思い
は心の隅に置き、扉の前に一歩踏み出す。
 扉がスライドして、中に入る。室内に置かれている横長のソファーには友人と恩人の姿
がある。
「お久しぶりです。リンディ・ハラオウン統括官」
「ええ。お久しぶりね八神はやて二佐。いえ、はやてさん」
 敬礼をするこちらに対し、リンディは最初に対面したときと何も変わらない暖かな笑み
を浮かべる。
120lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 00:06:01 ID:???
「それとクロノ・ハラオウン提督も」
「僕の方はついこの間、会ったばかりじゃないかな」
「一ヶ月前の話ですよ? それだけ時間が経てば”お久しぶり”です」
「それもそうだな」
 苦笑を浮かべるクロノ。そしてその視線は隣のシンへ行く。
「時空管理局提督、クロノ・ハラオウンだ」
「本部総務統括官、リンディ・ハラオウンです。初めまして、シン・アスカさん。
 あなたのご活躍の程は八神二佐の報告書や伝聞で聞いています」
「……初めまして」
 いささか面食らった表情を浮かべつつも、シンは挨拶する。
 彼の視線はリンディに注がれている。おそらくは管理局本部の高官がこれほどまでに若
く、朗らかな様子に驚いているのだろう。
「性が同じですけれど、お二人はご姉弟ですか。八神二佐からは親子と聞いていましたが
……」
 二人と握手をかわしたシンはリンディのなごみの気に触れたせいかそんな頓珍漢なこと
を言ってしまう。
 二人は一瞬呆気になり、次の瞬間、
「あら、姉弟ですって! いやだわシンさん。お上手ですね」
「……とてもそうは見えないだろうが正真正銘、リンディ・ハラオウン統括官は僕の母親
だ」
 リンディは歓喜の、クロノはそんな母を見て何やら複雑なそうな表情になる。
「え……母、親。………って、ことは、親子??」
 こちらを向くシンはこれ以上ないほどに大きく目を見開いている。
「来る途中、説明した通りや。とてもそうは見えへんけど」
「…………」
 シンの発言で一気に場が和み、会話から警護や階級着きの呼び名が無くなる。
 シンもリラックスしたようでいつものような態度で二人に接している。
 六課の状況を細部まで説明し終えた後、湯飲みから手を離し、リンディは真剣な眼差し
でこちらを見る。
「時空管理局本局所属、特別捜査官八神はやて二佐」
 厳しさのみがつまった声に、思わずはやては身を固くする。つい先程まであった朗らか
な空気が一瞬で霧散する。
 内心の不安や動揺を必死に押さえ、はやてはリンディを直視する。立ち向かうように、
抗うように。
「かねてより設立が懸念されていた新部隊”機動六課”ですか、先日の本部議会において。
――正式に設立の認可がおりました」
「……え」
 こちらの呆けた言葉にリンディは険しさを消して、にこりと微笑む。
「リンディさん、それって――」
「はい。機動六課設立の正式な許可が降りました。地上、次元、空。全ての部門承諾の上
での認可です」
 いつもの声でそう言われ、はやては思わずほっとため息をつく。
「何驚いてるんだ。認可が下りるって話は聞いてたんだろ」
 呆れたようなシンの声にはやては思わずむっとする。と、そこへリンディの小さな笑い
声が。
「そういうシン君もはやてさんみたいな顔してたわよ」
「いや、俺は別に…。そんな」
121lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 00:07:06 ID:???
 狼狽えた声にリンディの言葉が真実と悟り、はやては半目を向ける。そっぽを向くシン。
「まぁ、良かったじゃないか。おめでとうはやて」
 苦笑を浮かべたクロノが割ってはいる。はやては姿勢を正し、二人に向き直る。
「ありがとうございます。リンディ・ハラオウン統括官、クロノ・ハラオウン提督。これ
からも六課の後継人として協力の程をお願いします」
 正式な機動六課の部隊長として、歓喜と感謝の意を込めてはやては頭を下げる。それに
やや遅れてシンも頭を下げる。
「一部隊を率いることは簡単なことではないわ。ましてあなたのように若輩の身なら尚の
こと」
「でも君ならきっと上手くいく。僕らはそう信じている。それは忘れないでくれ」
 微笑を浮かべ言う二人にはやてはもう一度深々と頭を垂れる。
「ところで話は変わるけど、シン・アスカ君」
「え? はい」
 唐突に話を振られ、シンは素っ頓狂な声を上げる。
「話によるとあなたは六課設立まではやてさん達に協力していると言うことらしいわね。
CEに戻った後のことは何か考えているの?」
 一瞬のうちにシンの表情が戸惑いと困惑に変わる。リンディから視線を逸らし、シンは
俯く。
「……いえ」
「そう。ならもしあなたが良ければ――」
「管理局への誘いなら、今は考えるつもりはありません。当然CEの統合軍への復帰も」
 絞り出すような、しかしはっきりとした声でシンは断定する。
「……統括官。相変わらず性急すぎますよ」
 気まずい沈黙を破ったのはクロノの呆れの声だ。
「すまないシン・アスカ。昔から統括官はどうも優秀な魔導士を見るとスカウトしたくな
るようで。今の話は忘れてくれていい」
「あ、ああ」
「まったく、物事には順序というものがあるでしょう。どうしてあなたはそう率直に――」
「ク、クロノ。あなただってさっきは勧誘してみるのも良いかもしれないって言ってくせ
に。母さん一人を悪者にするのね? ああ、なんて冷たい息子なの――」
 和やかに揉めるハラオウン親子を見てはやては苦笑。圧迫感から解放され、はやてはそ
の発生源に視線を向ける。
 シンは俯いたまま重苦しさを増した表情で黙っている。軽い冗談でも口にしようとした
はやてはその様子を見て思わす、
「シン……どないしたん?」
 声をかけるとはっとしたような表情になり、顔を上げる。
「いや、別に」
 短く答え、再び押し黙る。なんでもないようにはとても見えないがシンから漂う暗く、
危うい空気と雰囲気がそれを許さない。
「本当に、なんでもないから」
 視線に気が付いたのか、シンはそう言って大きく息を吐き出すと安心させるように笑み
を浮かべる。やはりどこか無理をしたような笑みだったが、はやては今はそれ以上の追求
を避ける事にした。

122lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 00:08:21 ID:???



「では予定通り、管理局地上本部の第一遺失物研究所へ行ってもらうわ」
 目の前に並ぶ者達、クローン魔導士にソキウス、そしてアッシュ・グレイを見渡し、ウ
ーノは言う。
 それぞれいつも通りの様子だ。イレブン、セブンは声をそろえて返事を返し、クローン
魔導士達はふて腐れた子供のように視線をどこかへ向けて、だらけた姿勢を取っている。
「指揮は私やクアットロするからその通りに動いてちょうだい。――いいわね?」
 そしてアッシュ・グレイ。昨日のように正気を欠いていない彼は小さく鼻を鳴らすだけ
だ。
 研究所の図面に警備体制、目的の物の場所、侵入、脱出経路。一通り説明し解散を告げ
る。
 彼らが去った後、斜め後ろにいたクアットロが、
「やれやれ。扱いにくそうな人達ですね〜」
 言葉の割に少しも困った表情を浮かべす言う妹。
「能力的には問題ないわ。先日のような暴走はもう起きないでしょうし」
 先日起こったアッシュ・グレイの暴走。シン・アスカより受けた傷が完治し目覚めた彼
は赤の色を目の前にした闘牛のように正気を欠いており、その衝動に突き動かされるよう
に研究所を飛び出していった。
 さすがにオーバーSクラスの魔導士だけあってその暴れっぷりも凄まじかった。止めよ
うとした妹たち――セッテ、ノーヴェ、チンク――をあっという間に行動不能にして飛び
出していったのだ。
 しかし驚いたのはそれだけではない。飛び出した彼を押さえるべくイレブン、セブン、
ガジェット。さらにはトーレに久方ぶりに帰還していたドゥーエを駆り出し、連れて帰っ
てきたときだ。
 アッシュは正気に戻っていた。それも管理局――敵の手によって。
 アスラン・ザラ。CEと呼ばれる世界出身の魔導士でその世界においては最強の一人と
目されている人物で、正気を欠いていたとはいえあのアッシュを捕縛寸前まで追い詰めた
男だ。
「今回は六課といえどこちらの動きを捕らえることはできないはず。施設の警備も不自然
でないように弱くしてあるわ。
 さすがにここまでお膳立てしたのだから、目的の物は取ってきてもらわないと」
 六課に関わりのあるアスランが相当の実力者であることは彼が六課に接触した時に調べ
ていたので知っていた。だがあれほどとは思いもしなかった。
「そうですねわ。これで失敗なんかしたら、あの人達」
 アスランが六課に加わってないことに、ウーノは安堵した。あれだけの実力者がもし六
課にいたらこちらの保有する戦力で止めるのは至難の業だ。
 シン・アスカとレイ・ザ・バレル。アッシュとの交戦映像を見る限り、シンはアスラン
と比べ各所に差があった。四年もの間実戦から離れていた者と、戦い続けていた者との差
なのだろう。この程度ならこちらが保有する人造魔導士達で何とかなるレベルだ。
 だからといって、決して油断できる相手ではない。これ以上手間取っていると最悪、ドクター
の研究や予定にも支障が出てくることも考えられる。
「あの人達、いらないと思います。ウーノ姉様は、どう思いますか?」
「同意見よ。帰ってきたと同時に始末するべきね」
123lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 00:09:40 ID:???
 クアットロの無邪気で残酷な問いに、ウーノは平然と返す。
「まぁそんなことはないから無用の心配よ。もう時間もないから私達も準備を始めましょ
う」
「はーい、わかりました」
 陽気に返事する妹を一瞥して、ウーノはモニタールームへ足を向けた。



 地上本部での会合の後、時間も時間だったので流れでシンとはやてはハラオウン親子と
一緒に地上本部地下のレストランで夕食をご馳走になった。リンディが言うには設立記念
と言うことらしい。
「ハラオウン提督はともかく、リンディさんはなんだか役職とは随分違う印象の人だな」
 二人と別れ、本部のヘリの発着場へ歩く最中、シンが言う。
「印象って?」
「本局の統括官、っていうぐらいだから。なんか、こう、びしっとって言うかきちっと言
うか…」
 シンの言いたいことが解り、はやては苦笑。確かにリンディの外見やその物腰を見れば
大抵の人はシンと同様の感想を抱くだろう。まぁ、リンディの仕事をしているところを見
れば、その印象も変わるだろうが。
「まぁ、何にせよ。六課設立の認可が下りて良かったな。いつ正式稼働する予定なんだ?」
「その辺はカリム達と話さなあかんから……準備やら、何やら入れて早くて来年の冬、い
や春かなぁ」
 現在六課メンバーは自分を含めフォワードチームの隊長、副隊長しかいない。他の主要
人員はさわり程度に話はしてあるが、彼らを所属させられるかは彼らが現在所属する部隊
や部署との話し合いが必要だ。
「まぁ、色々大変だろうが頑張れよ」
 投げるようにシンが言う。少しむっときたはやては思わず、
「そう言うならシンも六課に所属せえへん? どうせやることもないんやろうし。暇や
ろ?」
 言ってはやては自分の失言に気付く。機嫌のよさそうだったシンは瞬く間に仏頂面にな
る。
「……ゴメン」
「…別に。本当のことだしな」
 言ってシンは足を速め、前に出る。
 しばし無言のまま二人は歩く。しばらくすると何故かシンが足を止める。
「シン、どうし――」
「アスラン……!」
 はやては驚く。自分達の前で地上本部の高官と話すアスランをシンは怒りの形相で見つ
めていたからだ。さらに名を呼んだその言葉にはいつにないほど強い怒りと憎悪が感じら
れた。
 彼はそのままの表情でアスランに歩み寄る。唐突なシンの変化に驚き、後を追いつつ、
はやては念話でアスランに呼びかける。
<アスランさん! 目の前を! シンが!>
 こちらの念話に眉を動かすアスラン。シンに――その怒りの表情にも――気が付いたの
か、アスランは高官に「失礼」と告げてシンの方へ。
 対峙する二人。アスランが口を開こうとしたその時、シンが言う。
「あんた、何やってるんだ」
124lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 00:11:48 ID:???
「……いきなり何の話だ」
「CEの現状を、ルナから聞いた」
 シンが言うと、アスランが目を見開く。そしてすまなさそうな表情になる。
「シン――」
 口を開こうと下アスランを、またもシンが遮る。
「あれだけ言いたいこと言ってて。ラクス・クラインにアスハ、それにキラ・ヤマトまで
いて、あの有様かよ」
 一方的な非難にアスランは表情を歪めるだけだ。
「ホント、何やってるんだよあんた達。――なぁ!」
 俯くアスランの胸ぐらをシンが掴みかかる。はやてはさすがに慌てて二人を引きはがす。
「シン!」
 叱責をこめて名を呼ぶも、シンはこちらを見ようともせず、ただアスランを睨む。
 乱れた襟を正さず、アスランは悲しげな瞳でシンを見つめ、言う。
「……すまない、シン」
「っ! 謝るぐらいなら、さっさと何とかしろよ!」
 粛々としたアスランの謝罪にも、反発するようにシンは叫ぶ。
「シン、ええ加減にし! すみませんザラ中将、このお詫びはまた後日」
 強引にシンの手を引いて、はやてはその場を離れる。抵抗されると思ったが意外にすん
なりとシンは従う。
 騒ぎを聞きつけ、集まっていた人達の波をかき分け、発着場に着く。手を離し、はやて
はシンに向き直る。
「シン、一体何やっとるの! なんであないなことを……」
 シンは僅かに唇が尖っているも、先程のアスランのようにすまなそうな表情だ。
「……悪い」
 先程とは別人のような様子で謝り、彼はヘリの元へ歩き出す。
 そのしょぼくれた様子を見て、はやても叱責の言葉を噤んでしまう。
 ヘリに乗り込み、しばらくの間二人は無言。だがはやては意を決して話しかける。
「シン、一体どうしたん? さっきといい会合の時と言い、様子がおかしいよ」
 唖然となるシン。僅かに俯くも、小さく「そうだな」と呟く。
「CEの現状を聞いて、アスランがここにいることが無性に腹が立って、つい」
「アスランさんやって理由があって今ミッドにおるんよ。CEのことを気にかけていないわけじゃ」
「わかってる。さっきのは、俺が悪い。――わかってる」
 話を終わらせるようにシンは言い、黙り込む。しばらくしてぽつり、とシンは呟く。
「六課設立の後、どうするかについて考えてる」
 言ってシンはこの後どうするつもりだったのかを話す。
「レイもそうすると思ってた。だから管理局に所属するって聞いたとき、驚いた。でもレ
イから理由を聞いたとき、納得した。レイにとって、それはきっと一番良いことなんだっ
て思った。
 でも……俺には、それがないんだ……」
 シンは続ける。自分が他者に引きずられて、安易な道に乗っかっていることに。
 自分の未来を、進むべき道を、レイの体を理由にして決めていたことに。
「CEの状況については少し私も聞いてる。それは理由にはならんの?」
 しかしシンは首を振る。
「戦う理由にはなると思う。でも俺が望んでいる事じゃない、と思う」
「じゃあ、シンは何を望んどるの?」
「それが、わからないんだよ……」
125lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 00:14:02 ID:???
 強い苦悩の色を見せるシン。その時、眼前に”ALEAT”と表示された赤色のモニタ
ーが出現する。
「はやて!」
「シンは端末で情報を集めといて」
 言われたとおりシンは手元に端末を展開。コーディネータ特有の反射速度でコンソール
を叩き、情報を収集する。
 はやてはヘリの操縦者にハッチを開くよう指示し、さらに飛行許可を本部に求める。
「地上本部の第一遺失物研究所が襲撃にあっているだと!?」
 情報をまとめたシンは、車を停車させたはやてにウィンドウを渡す。ゆっくりと開くハ
ッチから入り込む風に煽られつつ、はやては渡された情報に目を通す。
「六課メンバーに本部への救援要請を。あと私らは本部に一番近い。現場に行くで」
 連絡からすぐに飛行許可がおり、二人はヘリから飛び出す。
 はやては白の光に、シンは真紅の光に包まれ騎士甲冑を装着。宵の空へ飛び立つ。
「シン、”インパルス”の様子は問題ないんか?」
 現在のシンのデバイスは以前使用していた”インパルス”だ。このデバイスはシンが”
デスティニー”を受領したときにルナに預けられ、今現在まで使用していたそうなのだが
先日の戦闘後、”デスティニー”が直るまでの間使用して良いと、ルナから渡されていた。
「別に問題ない。”インパルス”のことはルナを除けば誰よりもよく知ってるからな」
 言ってシンは前に出る。研究所のあたりから飛んできたガジェットを粉砕し、自分より
一足先に研究所が肉眼でも見える距離まで近づく。
 しかし何故か現場に降りない。
「シン、一体どうし」
「おかしいぞ、はやて」
 火や煙を吐き出す研究所。それだけを見れば違和感は感じない。
 隣に並ぶはやてはそれを見て、違和感を口にする。
「周辺への被害が、少なすぎる」
 遺失物第一研究所は管理局本局の保管庫に次ぐ多くのロストロギアを保管しているとい
う話だ。そんな場所に襲撃者が現れたのならば当然警備の局員達も激しく抵抗するはずだ。
周辺への被害もそれに応じて大きくなるし、この程度の被害ですむはずがない。
 よく考えれば先程のガジェットもおかしかった。あの程度の数では自分達はおろか、地
上本部に所属する魔導士達でさえ突破することは難しくないはずだ。
 不意打ちを受けないよう警戒しつつはやては研究所の前に降り立つ。近くに倒れている
――襲撃者と戦ったのだろう――傷ついた女の魔導士をシンが抱き起こし、
「おい、しっかりしろ。一体何があったんだ?」
 声をかけるとその局員は身じろぎしては目を開く。
「わ、かりま、せん……。なんの前触れもなく不審者が現れて……止める間もなく、ぐっ」
 呻き、全身から弛緩する局員。再び気を失ってしまったようだ。
「襲撃があってまだ数分。まだ犯人は中におるはずや。逃がさんようにしとかな」
 言い、はやては結界を発動。ベルカの強固結界、ゲフェングニス・デア・マギーだ。
 他の負傷者を一カ所に集め、治療を施していると念話が届く。
<はやて、シン。今到着したよ>
 フェイトだ。続いてなのは達に地上本部からの救援部隊からも到着の報告が入る。
「はやて、結界を」
「わかってる。シン、犯人の動きに注意してや」
 はやては結界を解除、地上本部からの救援を招き入れる。
 襲撃者が逃げ出さないようシンは研究所へ集中する。同じ指示を受けたのか、なのはや
フェイト達も正面以外の研究所の入り口、出口に回り込む。
126通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 00:21:37 ID:???
支援
127通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 00:32:16 ID:???
規制に掛かったのかな
128lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 01:00:27 ID:???
 しかし数分だっても、何も動きはない。不審に思っていると、シンがはやてに一言告げ
て研究所へ突入した。





「おお……これです! これが欲しかったのですよ!!」
 手にした書物を手に、アズラエルが歓喜に震える。今にも小躍りしそうな雰囲気だ。
 今頃管理局は周辺一帯を厳戒態勢にしているだろうが、無駄なことだ。すでに物品はこ
こにある。
 アッシュ達が管理局に見つからず帰って来られたのは妹、セインの協力あってのことだ。
「これさえあれば、あのバケモノ達を一掃することが……」
「一つ聞いても宜しいでしょうか。そのロストロギア”メンデルの書”とは、一体何なのです」
 書物を抱き、立ち上がっていたアスラエルは愉悦の笑みを浮かべたまま、椅子に座り直
し、口を開く。
「この書物にはですねコーディネーターに関わる全てが載っているのですよ。コーディネ
ーターの誕生や遺伝子操作、魔力資質の調整などその他諸々。全てが。
 かつてはプラントのアプリリウスにあり、しかも最高議長か評議会からの許可が下りな
い限り閲覧を許されないほどの最重要機密書。
 もしこれがかつての大戦時、ボクの手にあれば戦争せずともあのバケモノ共を片づけら
れたのですが……まぁ、それはいいです。今こうしてここにあるのですから」
 一瞬何かを思い出したのか、端正な表情に歪みが生じるも、すぐに元の愉悦に戻る。
「ありがとうございますウーノさん。これを手に入れられたのはあなたやあなたの主スカ
リエッティのおかげです。
 これでボクの願いも叶います。コーディネーター共を、あの忌まわしき許されざる存在
の者達を一人残らず抹消することが」
 立ち上がるアズラエル。部屋の出口まで歩いていき、しかし立ち止まる。
「あ、そうそう。もう一つ頼みがあるのですけど」
「なんでしょう?」
 まだ何かあるのだろうか。面には出さず内心で眉を潜めるウーノ。
「いえ、ちょっとした実験を行いたく思いましてね。”レリック”でしたか、あなたが狙
っているロストロギアは。それを強奪する際に一つ試させて欲しいのですよ」
「試す…?」
「ええ、ちょっとした、実験ですよ」
 愉悦と嗜虐の混じった、酷く歪んだ笑みをアズラエルは浮かべた。



「まだ奪われたロストロギアについて情報はないのか」
「ああ、はやてたちだけじゃなく108部隊や地上本部の捜査班も必死に捜索しているそ
うだが、手がかり無しだ」
 108隊舎の休憩所で、自分と同じ管理局の制服を着たレイが言う。
 先日の事件、結論から言うと犯人は捕らえられず、また幾つかのロストロギアは奪われ
てしまった。
129lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 01:01:34 ID:???
 研究所に投入したシンやなのは達、地上本部の魔導士達はくまなく研究所内を捜索する
も見つかったのは傷つき倒れている局員と全損されている警備システムだけだった。どう
いうわけか犯人の痕跡はあったが、その犯人は何故か見つからなかった。
「六課の設立の認可は下りたもののせめて奪われたロストロギアを奪還するまで解散しな
いらしい」
「それに付き合っているとことか、お前は」
「レイは別に付き合わなくてもいいんだぜ。体のことも、これからのこともある。はやて
に言えばすぐにでもクラウディアへ乗せてもらえるはずだ」
 レイの事情を知ったハラオウン親子が半ば強引にレイの所属をクラウディアに決まって
いた。元執務官で、現在は提督のクロノがいる艦。レイが目指している目標に最も近い場
所と言える。
 無論口添えだけではなくレイのCEでの戦歴や魔導士としての優秀さが考慮された結果
だ。
「以前と違い、ある程度魔力行使しても体に負担はない。心配は無用だ」
 掌を握るレイ。握り拳が灰色の魔力光に包まれる。
 握り拳を開き、彼は僅かにまなじりを下げて、シンに問う。
「ところでシン、お前はこの後どうするんだ」
 友の言葉に、シンは答えを返せない。あれ以降ずっと考えているが、どうしても先が見
えないのだ。
 気遣いと微かな罪悪の瞳をシンは見つめ返せず、視線を逸らす。
「それ、は―――」
 その時アラート音が隊舎に鳴り響く。ベンチから二人は立ち上がり、司令部へ走る。
 途中シグナムとヴィータと合流、司令部に到着するとなのは達も揃っており、自分達の
姿を見たはやてが状況を説明する。
「今度は第二研究所への襲撃や。先の襲撃以降厳重な警備が敷かれてるのに、まったく舐
められたもんやな」
 地上本部の第二研究所は第一に比べ規模こそ小さいが保管されているロストロギアの危
険度は全く引けを取らない。そして第二研究所にははやて達が探し、見つけたロストロギ
ア”レリック”もある。
「襲撃をかけたのは例の彼らや。前回と違って大所帯で攻めてきとる。ソキウスやガジェ
ットも大量や」
 スクリーンの映されているガジェット達を背に、はやては固く強い声で言う。
「機動六課、出動や。ただちに第二研究所に急行。強奪犯達を捕縛すること!」
 頷くシン達。すぐさま屋上のヘリポートへ向かい、乗り込む。
 すでにエンジンが暖まっていたのか、すぐさま起動するヘリ。雲の多い空を、ナイフの
ような鋭さで切り裂き、飛翔する。
 ヘリの内部で待機状態のデバイスを手にしながら、ヴィータとシグナムが何やら話して
いる。
「レイの奴は留守番か。あいつがいれば雑魚を片付けるの結構楽になんだけどなぁ」
「しかたあるまい。彼は病み上がりだ。無理はさせられんし、それに”レジェンド”だっ
て今は手元にない」
 ”デスティニー”、”レジェンド”はCEから来たコートニー・ヒエロニムスを中心と
した技術者達の手によって現在急ピッチで修復中と聞いている。しかし未だ連絡の一つも
ないところを見るに相当手こずっているようだ。
 ガタガタと揺れるヘリ。相当の速度が出ているようだ。シンはヴィータ達のように”イ
ンパルス”を手に握り、コクピットに怒鳴る。
「あとどれぐらいで効果ポイントに到着する?」
130lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 01:02:53 ID:???
「もうすぐです!」
 返ってきた声の通り、数分とたたず効果ポイントにヘリは到達する。後部ハッチが開く
と同時、シン達は飛び出し第二研究所へ向かう。
「ちっ、雑魚がうじゃうじゃやってきやがった」
 研究所の手前に来たとき、まるで待ちかまえていたかのように大量のガジェットが姿を
見せる。
「鬱陶しいんだよ、アイゼン!」
 鉄球を出現さえ、”グラーフアイゼン”で撃ち出すヴィータ。八つの鉄球はAMFの抵
抗を受けず、易々とその胴体を貫通、破壊する。
「レヴァンティン!」
 カートリッジを鳴らすシグナム。”レヴァンティン”の刀身に切れ目が入り長剣が連結
刃へ姿を変える。
 炎を帯び、紅蓮の蛇と化した魔剣は不規則な動きで、しかし正確かつ確実にガジェット
達を粉砕していく。
「道は我々が切り開く」
「お前達は後に続けよ!」
 言うや二人は前に飛び出し、デバイスを振るってガジェットらを蹂躙する。シン、なの
は、フェイトの三人は彼女らが撃ち漏らした、または死角から襲いかかってくるガジェッ
ト達をそれぞれ撃墜して、先に進む。
 わずかな時間でガジェット達はミッドの空から姿を消し、五人は研究所へ。
「研究所付近にはまだガジェットがいるみたいだね」
「今度は私とフェイトちゃんが片付けるから、負傷した人達の保護は――」
 その先を続けようとしたなのはが突然急旋回。彼女と同時にフェイト達も同じ行動を取
っており、シンだけが数瞬遅れてその理由に気がつき、旋回する。
 その直後、飛行していた場所を砲撃魔法の光状が通り過ぎる。三つの砲撃は青緑、黒、
そしてカーキ色の光を放っていた。
「久々のお出ましってわけか」
 砲撃の発射地点には例の三人――クローン魔導士達の姿があった。





<私達が引きつけておくから。フェイトちゃんとシン君は研究所へ>
 念話でなのはが告げると、それを合図にするようになのは、シグナム、ヴィータの三人
がクローン魔導士達へ向かっていく。
 なのはは黒、シグナムは青緑、ヴィータはカーキ色の魔導士を相手にするようだ。
<フェイト、行くぞ>
 こちらの答えを聞かず、シンは先行する。フェイトはぶつかり合う六つの光を一瞥し、
後に続く。
 第二研究所は先の第一研究所とはまったく違う有様だった。破壊の跡、転がる負傷者、
周囲への被害。不自然と思えるぐらい被害の少なかった前回に比べ、今回は全く逆の不自
然さ――襲撃にしてはあまりにも規模が大きすぎる――が感じられる。
<フェイト、奴は必ずどこかにいる。一瞬たりとも気を抜くなよ>
 言わずとも分かっていることをシンは言うが、無理もない。アッシュとの初遭遇の時は、
警戒していた状態にもかかわらずなんの前触れもなく襲撃を受けたのだ。
 向かってくるガジェットを破壊しつつ周囲を索敵、アッシュの襲撃に備える。
131通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 01:03:14 ID:???
支援
132lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 01:04:22 ID:???
 フェイトとしては負傷者を早く救助したかったが、アッシュをどうにかしない限りそう
することはできない。救助中に襲われでもしたら、一巻の終わりだからだ。せめて負傷者
の周囲にバリア系の防護魔法を張ることぐらいしかできない。
 背後から聞こえる戦闘音が気になるがあえて無視して周囲を警戒し続ける。
 しばらくしてシンと二人でガジェットを殲滅、負傷者への防護を掛け終わる。だが、ま
だアッシュは現れない。
<もしかして……今回はいないのかな>
<そんな訳あるか。あいつは必ずいる。近くか遠くか分からないけど、必ず>
 冷たくシンが言う。いつでも戦闘態勢に移れる精神状態のようだ。
 だがフェイトは負傷者のことも同じように気がかりだ。いくら防護の魔法をかけてもこ
のまま放っておけばどうなるかわからない。
 アッシュへの警戒と、負傷者への気がかりでフェイトが懊悩していると、地上本部の方
角から無数の光が見えた。
 近づいてくる光は、地上本部の航空魔導士隊のようだ。救援に来たのを見て、フェイト
はほっとため息をつき、
<なっ!?>
 シンの叫びと同時に、航空魔導士隊の光が一筋の青紫の光によって潰されていく。
 流星の如き光を放つそれは航空魔導士隊を一方的に蹂躙。全て撃墜した後、こちらへ向
かってくる。
 それが誰であるか、もはや言うまでもない。
<フェイト!>
 ”ヴァジュラサーベル”を抜き放つシン、フェイトもサイズフォースの”バルディッシ
ュ”を強襲する光に向ける。
 向かってきた光を二人は同時に回避、瞬時に体勢を立て直し、光に向けて射撃魔法を放
つ。
 光はそれらをあっさり回避、再び迫ってきて、静止する。
「――ふん、久しぶりだな」
 ”リジェネレイト”をまとったアッシュは出会ったときと同じ不敵で不遜な笑みを浮か
べ、二人を見下ろす。
「地上本部の航空魔導士隊を……!」
 ギリギリと険しい表情にシンはなる。フェイトの胸中にも冷たい業火が燃えさかってい
る。
「あんなザコ共でも一時の享楽にはなった。訳も分からず俺にぶちのめされて堕ちていく
奴らの表情は、痛快だったぜ」
 アッシュが浮かべた嘲笑が開戦の合図となり、シンが先に飛び出し、フェイトが続く。
 瞬きする時間で、二人はアッシュの上下に移動。頭上に移動したシンが振り下ろした”
ヴァジュラサーベル”をアッシュは右に回避。その方向へフェイトは真下から”バルディ
ッシュ”の斬撃を放つ。
 エース級の魔導士すら反応できないであろうその一撃を、アッシュは笑みを浮かべたま
ま右の魔力刃で受け止め、さらに体を回転させ、蹴りを放ってくる。
 咄嗟に回避するフェイト。その際僅かに体勢を崩し、できた隙をアッシュはついてくる
がシンの斬撃がそれを阻む。
「はっ、学習能力のない奴らだ!」
 疾風のような二人の猛攻へ、アッシュは雷光の如き反撃を放ってくる。フェイトも、そ
してシンも全力で斬りかかり、射撃するがアッシュにはほとんど当たらず、当たったとし
てもダメージらしいダメージはない。
133lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 01:05:35 ID:???
 逆にアッシュのは放つ反撃にこちらが傷を負うばかりだ。――だが、フェイトにも、シ
ンにも焦りの色はない。
 こうなることはすでにわかっていたことだからだ。リミッター解除していない今では二
人がかりでもこうなると。
 自分達の目的はアッシュを倒すことではない。
 目の前の男は戦いに集中しているせいか周囲の状況に何も気が付いていない。フェイト
の放った射撃魔法が霧散せず、地表で動いていることに。
 魔力で構成された黄金の弾丸はゆっくりと動き、時間が経つと、やがて一つの形――巨
大なミッド式の魔法陣を為す。
<シン! 準備は整ったよ!>
<わかった>
 返事を返し、彼は”ソードモード”へチェンジ。”エクスカリバー”を連結し、再びア
ッシュに向かっていく。フェイトも”サイズフォーム”から”ザンバーフォーム”へチェ
ンジ。
「速さで勝てないから力で倒そうって腹か! だが当たらなければ意味がないぜ!」
 大振りになった二人の攻撃をアッシュは体を動かすだけでかわし、二人同時にはじき飛
ばす。
 シンは体勢を崩すも踏みとどまるが、フェイトはそのままアッシュの攻撃の衝撃を利用
して地表へ落ちる。
 わざと最小限の威力で防御魔法を発動し、大きな衝撃と爆発音、土煙を演出。激痛を感
じるも、必死に堪える。
 上空で交戦する両者を見て深呼吸。フェイトは雷の刃を地面に突き立てる。
「捕らえよ、雷神の檻。――ライトニング・プリズン!」
 詠唱の宣言と同時、周囲に散らばった雷弾から雷が迸り巨大な黄金の円柱を形成。
「な…これはっ!?」
 円柱にいる二人はそれぞれ対照的な表情だ。アッシュは驚愕の、シンは当然の顔だ。
 ”バルディッシュ”を雷の円柱に向けると円柱より発せられた雷が瞬く間にアッシュに
絡みつく。
 雷の網から必死に逃れようとするアッシュだが、しかし動く度に周囲から更なる雷が発
せられ、動きを封じる。
「無駄だぜ。いくらお前でもそいつからは抜け出せない」
 この檻の力を身をもって知っているシンが呆れたように言う。
 ライトニング・プリズン。管理局に入り、執務官として犯罪者を捕縛するために義兄や
友人らとの訓練、長い勉強の時間の末にフェイトが編み出した最大級の捕縛魔法だ。リミ
ッターがかけられている現状では発動にも時間がかかり発生範囲も薄いが、拘束力だけは
変わらない。
 この魔法を使用した機会は少ないが、封鎖結界と捕縛の二重効果を併せ持つこの魔法を
破った魔導士は未だにいない。数週間前、シンとの訓練で使用したが彼も今のアッシュ同
様の姿を見せた。
 仮に破るとしたらこの雷の檻を跡形も無く消し飛ばすほどの魔力を発動させるしかない
のだが、そんな隙をフェイトが与えるはずもない。
「このゴミクズどもがぁっ!」
 もがきながら口汚く罵るアッシュへフェイトは静かに告げる。
「アッシュ・グレイ。施設破壊、及び管理局員への暴行の罪状にて、あなたを逮捕します」
 だめ押しで彼の四肢にリングバインドを形成。もがくこともできなくなったアッシュは
がくりと頭を垂れる。
134lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 01:06:48 ID:???
「デバイスの起動を解除してください」
 アッシュは反応しない。再び宣告しようとしたその時だ、アッシュは小さく身を震わせ
始める。
「これで勝ったつもりか」
「? お前何を言って――」
 自分と同じように怪訝な表情をシンが浮かべたその時だ。総身に肌に突き刺さるような
大きな魔力反応が感じられる。
「周りを見な」
 俯いた状態でアッシュが言う。思わずその言葉につられて周囲を見るや、第二研究所の
周辺に赤黒い三角の巨大な魔法陣が浮かび上がっており、光が放たれる。
 その光を浴びた途端、アッシュを縛っていた無数の雷が、囲っていた黄金の檻が、音も
なく四散してしまう。
「な…!?」
 だが驚きはまだ続く。フェイトとシン、騎士甲冑とバリアジャケットが強制的に解除さ
れ、さらに飛行魔法を発動しているはずが糸の切れた凧のように地表へ向けて落下してし
まう。
「どうなってるんだ!?」
「わからないよっ。でもこのままじゃ……!」
 フェイトは飛行魔法の再発動、バリアジャケットの再構築を試みるが何故か上手くいか
ない。シンも同様で地表が近づくにつれ、その表情が険しくなる。
――このまま落ちれば……!
 一瞬脳裏に過ぎる死。フェイトは何度も何度もバリアジャケットと飛行魔法の発動を試
みて、地表が肉眼で確認できる距離になったところでようやく発動することに成功する。
「……っ、ギリギリだったな」
 同じように飛行魔法を発動させられたシンも横に降り立つ。しかし彼は騎士甲冑まで精
製できなかったようだ。陸士の制服姿のまま、地表に降り立ったアッシュを睨む。
「……フン、アズラエルの奴の試しがこうも上手くいくとはな。メンデルの書、オレたち
コーディネーターにとってはやっかいな代物だというのは嘘ではないようだ」
「……アズラエル!?」
 アッシュが呟いた何者かの名前にシンの瞳が大きく見開かれる。
「おい、アッシュ・グレイ! アズラエルってのは、あのアズラエルか!」
 前に一歩踏み出し、シンはアッシュへ向けて言葉を放つ。
「答えろ! ムルタ・アズラエルなのか! そうなんだな!?」
「どのアズラエルだろうとどうでもいいだろう? それよりもお前、今の状況がわかって
いるのか?」
「なんだとっ!?」
「騎士甲冑が精製できないのだろう? その様子では魔法も満足に使えないはずだ」
 言われ、シンははっとなり、”インパルス”を握りしめる。だがやはり騎士甲冑は精製
されず、彼の体内にある魔力も集まっては霧散を繰り返すばかりだ。
 そしてフェイトも、シンほどではないものの魔力の結合が酷く悪い状態にある。
「一体何をしたの……!?」
 アッシュは答えず、鼻を鳴らし、こちらを見据える。
「ふん、まぁいい。目的の物はすでに手に入れた。貴様達の相手も飽きたし、さっさと終
わらせるか」
 青紫の魔法陣が展開し、放たれる弾丸。避けるシンとフェイトだが、追尾性があるのか
弾丸はしつこく追ってくる。
 謎の魔法の効果か、魔力のみならずフェイトの能力も低下しているようだ。それでも持
ち前の反射神経で弾丸をかわし、”バルディッシュ”で打ち砕く。
135通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 01:08:03 ID:???
支援
136lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 01:08:03 ID:???
 だがシンの方はそうはいかないようだ。追い詰められた表情で、必死に向かってくる弾
丸をかわすばかりだ。
「シンっ!」
 助けに向かうフェイト。だが眼前にアッシュが姿を見せ、
「死ね」
 魔力刃を装着した右腕を薙ぐ。狙う場所も、軌道は見えている。いつもならかわせるそ
れはフェイトのバリアジャケットを切り裂き、血飛沫が舞う。
「ぐ、あっ……」
 蹌踉めくフェイト。さらにアッシュは左腕を振るう。
――駄目だ、かわせない
 青紫の光刃が視界に入りフェイトは死を覚悟する。しかし突如、アッシュの背中が爆発。
 その先を見ればシンの右手に真紅の魔法陣が浮かんでいる。どうやら周囲に発生した魔
法は強力であるものの、完全に力を封じることはできていないようだ。
 右手の魔法陣を消すと彼は再び追尾している弾丸への回避行動を取り始める。フェイト
は体勢を崩したアッシュの横を通り、シンへ助けに向かおうとする。
「お前の相手は、後だ」
 だが真横に出現したアッシュがフェイトの腹部を殴りつけ、後頭部を蹴り、続く動きで
回し蹴りで吹き飛ばす。
「……っ」
 華麗で強烈な三連撃を浴びたフェイトは受け身すら取れず、地面に叩きつけられた。



「……セブン、この惨状を見て、あなたはどう思いますか」
 目の前に浮かび魔力を放っている書籍――メンデルの書の模範を見つつ、イレブン・ソ
キウスは右にいるセブン・ソキウスに訊ねる。
「酷い光景です、悲しい光景です。多くのナチュラルが苦しんでいる」
 淡々とした声でセブンは言う。しかしその声には紛れもなく深い悲しみが込められてい
る。
 他の人間には決して感じ取れない、自分達ソキウスしかわからない悲しみが。
「やはりそう思いますか。――ではセブン」
「ええ。ボク達は、自身の手でボク達の存在する意味を否定、いやそんな優しいものでは
ない」
 周囲を見渡し、セブンは言う。
「ボク達は、ボク達の尊厳を自らの手で踏みにじり、汚している」
 目の目に広がる光景からはソキウス達が望んでいる”ナチュラルの幸せ”は微塵も見当
たらない。
 むしろ自分達の手でそれを壊している。
 アズラエルに引き連れられ、アズラエルの――ナチュラルの幸せのために働いてきた二
人だったが、時間が経つにつれて、戦場で倒れ伏す者達――ナチュラルを見る度に、己が
行動に疑問を抱くようになっていた。自分達のやっていることは、本当にナチュラルのた
めになっているのか、と。
 その疑問を抱きつつも二人がアズラエルの命令に忠実に従っていたのはアズラエルがナ
チュラルだからだ。だが長い葛藤の末に、アズラエルの言うナチュラルと、自分達ソキウ
スが言うナチュラルは意味が違うのではないかと思い、さらに彼らは議論を続け、双方の
意味は違うという結論に、今この時に達した。
137lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 01:09:56 ID:???
「ボク達はナチュラルの幸せのために働く」
 ソキウスはナチュラルのために存在し、ナチュラルの幸せのために生きる。だがそれは
ある特定の人物を差すのではなく、ナチュラル全てを差すと言うことだ。コーディネータ
ーであろうと、ナチュラルを守ろうと行動している者達をソキウスは守らなくてはいけな
い。
 そして同時に、ナチュラルに害を為すナチュラルの存在を、ソキウスは許すわけにはい
かない。
「我々ではアズラエルを………倒、す、ことは」
「ああ……無理だろう。彼は、ナチュラル。僕らでは、どうしようもない」
 その結論に達した二人はそれを達成するにはどうするべきかを考え、すぐに答えに辿り
着く。
 そして彼らに接触するにはどうすればいいのかも、すぐに導き出す。
 イレブン・ソキウスは目の前に浮かぶ魔導書を破壊すると、空に向けて魔力弾を放つ。
放たれた魔力弾は花火のように空に散る。
 すると第二研究所へ移動していた巨大な魔力の持ち主がやってくる。
「大人しくしてください。管理局です」
「局員暴行、市街地でも危険魔法の無断使用、その他諸々の罪状であなた達を逮捕します。
武装の解除を」
 降り立った二人。黒の翼を生やし、黒を基調とした騎士甲冑を纏う女性とそれに付きそ
う正反対の色彩の服装の掌サイズの女の子が言う。
 二人はそれに従った。



「フェイトっ!」
 アッシュに吹き飛ばされた友の姿を見て、シンは青くなる。
 こうなったら多少のダメージを覚悟してでも、フェイトの助けに向かうか――そう考え
たとき、目の前に憤怒の形相のアッシュの姿があった。
「この、クソガキがぁぁ!」
 放たれる拳。避ける、と考えもせずシンは反射的に動いてかわす。空をきった拳は巨大
な魔力弾を放ち、建物の壁を吹き飛ばす。
――今の状態で、あんな物を食らったら……!
 地面を蹴って、アッシュから距離を置きシンは魔力の結合と騎士甲冑の精製を試みる。
――だがやはり成功しない。
 魔法の発動にまで魔力を結合させられるのは数回に一度、だがそれさえも大した威力に
はならない。
 何とかしなければと思うが、どうすればいいのか全くわからない。念話は通じず、クロ
ーン魔導士と交戦しているはずの三人のうち、先程と変わらぬ姿でいるのはなのはだけだ。
シグナムとヴィータは何故か姿が見えず、なのは一人であの三人の相手にしている状態だ。
こちらを加勢できるとは思えない。
――どうすればいい? どうすれば――!
 絶望的な状況にシンは歯噛みする。アッシュはこちらに血走った目を向け、
「ころぉす!」
 眼前から姿を消す。シンは突如足下に現れた何かの影を見て、それが何かを確認する前
にそこから離れる。
 次の瞬間、シンのいた場所にアッシュの姿があった。すぐさま体勢を立て直すシンだが、
またしてもアッシュの姿が消えてしまう。
138lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 01:11:05 ID:???
――消えてるわけじゃない! あいつの移動速度に俺の視覚がついていかないだけだ…
…!
 アッシュの驚異的な移動速度にシンは青ざめる。だがかなり頭に血が上っているのか、
アッシュは目をつぶっていても感じられるほどの殺気をまき散らしながら攻撃を仕掛けて
くる。それが今のシンには助けとなる。雑で大振りな攻撃をシンは全力で回避に徹する。
「おあああああっ!」
 だがそれもいつまでも持つものではない。左腕の振り下ろしをかわしきれず、右頬が薄
く切り裂かれる。右足の切り上げが右腕の制服を食い破る。
 留まることを知らないかのようなアッシュの猛攻に、シンの姿はボロボロだ。かわしき
れなかった証拠が各部に赤く点在し、肩を大きく動かして息をしている。
――くそ、ようやく視覚が追いついてきたってのに……
 感覚に頼らずともアッシュの動きが見えてきたシンだったが、それと同時に体力が限界
に近づいてきているのも自覚していた。このままではいつかクリーンヒットを受けてしま
う――
「ちょこまかちょこまかしやがって…! 潰す!!」
 腰を低くし、体から魔力を吹き出す。タックルのような姿勢となる。
「……!」
 いつまでも仕留められないことで苛立ちが頂点に達したのか、アッシュは魔法を使うつ
もりのようだ。
 ここまでか、とシンは唇を噛む。だがその時、周囲を覆っていた赤黒の結界が消えてい
く。それと同時に体内の魔力が正常な働きをし始めるのを感じる。
「なにぃ…!?」
 異変に気付き、アッシュが顔を上げる。その間、シンは”インパルス”を握りしめ騎士
甲冑を精製する。
 結界がなくなったのだから、当然上手くいく魔力結合。”ブラストモード”にチェンジ
し、ジャベリンをアッシュに向け、カートリッジを鳴らす。
「食らえっ!」
 放たれる真紅の砲撃。アッシュは直撃するギリギリのところで跳躍してかわすが、シン
はすぐさま”フォースモード”へチェンジ。
「後ろだとっ!?」
 アッシュの背後に回り込み”ヴァジュラサーベル”を横一文字に振るう。
 渾身の一撃のはずだが、アッシュが振り上げた片腕にあっけなく弾かれてしまう。追撃
を仕掛けようとするシンだが、足がたたらを踏み、仕掛けられない。
「…!?」
 どういう事かと思い、その理由にすぐに気付く。結界が消えたことにより魔力こそ戻っ
たものの、アッシュの猛攻によるダメージと休まず動き続けた事による極度の疲労により、
肉体的に限界が近いと。
「魔力が戻っても、その有様じゃあな!」
 歯を剥き出しにした笑みを浮かべ、真っ向からアッシュが向かってくる。放たれる猛撃
にシンはかわす体力もなく、防御魔法で防ぐことしかできない。
「うっ……ぐ………っ」
「はははははははははははっ! どうした、どうした、どうしたぁぁ!」
 休む間もなく繰り出される攻撃にとうとう防御魔法は打ち砕かれ、アッシュが放つ砲撃
付きの拳をまともに受け止め、背後の壁に激突してしまう。
「がっ……! ……ぁぅ……」
 吐血し、力無くシンは地面に転がってしまう。すぐさま立ち上がろうとするも激痛と疲
労が体を動かすことを許さない。
139lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 01:12:12 ID:???
 ようやく顔を上げると、眼前に映ったのは先程と同じ腰を低くした状態で魔法を発動さ
せようとしているアッシュの姿だ。
「くだばれ!」
 叫びと同時、突進してくるアッシュ。死の間際だからか、そのスピードがやけにゆっく
りと見える。
――今度こそ、終わり、か
 そう思ったその時だ。何か妙なものがシンの視界の前に立ち塞がった。





「まだ第二研究所の様子はわからないのか!? 航空魔導士隊からの連絡は! 現場は一
体どうなっている!?」
 入り口に待機している管理局員へアスランは怒鳴りつける。
 彼のいる部屋、地上本部の会議室には管理局の高官達と、その警護に当たる局員、そし
て自身の副官であるルナマリアの姿がある。
 ミッドや他次元世界の地上の平和を維持するための会議に参加しているときだった。第
二研究室が例の強奪犯に襲撃を受けたという情報を耳にしたのは。
 聞いた途端、アスランは現場に向かおうとしたのだが部屋にいた局員と高官、そしてル
ナマリアにも止められた。
 現場に出てアスランに何かあったら大変なことになる、と言うのが彼らの言い分だ。
 その理屈がわからないでもないアスランはしぶしぶ部屋に待機。そして数分前に地上本
部の航空魔導士隊が第二研究所へ向けて出撃したと聞いたのだが――
「ザラ中将。落ち着いてください。機動六課も動いているとのことですし、すぐに情報は
入ってきますよ」
 こちらを宥めるようにルナマリアが言うが、アスランは落ち着くことはない。音を立て
て椅子に腰を下ろし、机を指で叩く。
 どうにも嫌な予感がしてならない。この嫌な予感には覚えがある。
 前大戦中、シンとキラとの戦いの時に抱いた予感だ。堕ちるはずのない、堕とされるわ
けがないと思っていた親友が堕とされた――ありえないことが起こる直前に感じていた予
感と。
 首に下げてある赤紫の剣型デバイス”ジャスティス”を握りしめる。いざとなったら周
囲の制止を振り切ってでも飛び出すつもりだ。
「……なんだって、全滅だと!?」
 突如耳朶を打つ驚愕の叫び。部屋の入り口にいる局員が驚きの表情でどこかと念話して
いるようだ。
 内容が一刻も早く知りたくなり、アスランはそれを盗聴。念話が終わると同時に席を立
ち、入り口へ向かう。
「ザラ中将、どこへ…!?」
「第二研究所だ」
「いけません! 第二研究所は……」
「航空魔導士隊は全滅したそうだな。襲撃者は六課の魔導士達が食い止めていると」
 立ち塞がる局員の顔色が変わる。しかしそれでも彼らは目の前からどきはしない。
「俺は行く。邪魔をするなら、力ずくでどいてもらう」
 その言葉に周囲がざわめく。背後からルナマリアの非難じみた声が聞こえるがかまわない。
140lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 01:13:34 ID:???
 後のことも、現状も考えず、アスランは敢然と言い放つ。
「もう一度だけ言わせてもらう。――俺は行く。邪魔をするなら、力ずくでどかせてもらう」
 こちらの殺気を感じ取ったのか、立ち塞がっていた局員達はよろよろと出口を開放。一
歩踏み出し、扉が開くと同時にアスランは走り出す。
「行くぞ、”ジャスティス”!」 
『OK マイ・マスター!』
 地上本部から飛び出すと同時、アスランを赤紫の光が包む。数秒後、そこには一人の騎
士が立っていた。
 全身を赤紫の甲冑に包み、左腕には盾、両腰には連結可能と思わせるサーベルに両肩に
はブーメランのグリップ。他にも多用な武装が全身を包んでおり、もっとも特徴的な部分
は背部に装着されている飛行ユニットだ。
 これぞCE最強の魔導士の一人、アスラン・ザラの騎士甲冑だ。
『ファトゥム・ブースト』
 背部のユニットが爆発的な魔力光を発し、アスランはミッドの空を飛翔する。
 第二研究所はすぐに見えてきた。そしてその周辺でクローン魔導士やアッシュと戦う六
課の魔導士とシンの姿も。
 押されているシン達の方へ助けに入ろうかと思ったが、直後雷で形成された円柱にアッ
シュが捕らえられる。
 一方のクローン魔導士達も、六課の魔導士達が押している。リミッターがかけられてい
るとは思えないほどの、見事な戦いぶりだ。
――どうやら、杞憂だったか
 抱いていた不安が眼前の光景を見て、静かに霧散する。撃墜された航空魔導士達の方へ
向かおうと、アスランが身を翻したその時だった。
「!?」
 突如周辺の大地に赤黒い魔法陣が出現、光を放つ。
 するとどうしたことか、何故かバリアジャケットが自動で解除されてしまう。地表へ落
下する中アスランは幾度と飛行魔法、騎士甲冑の精製を試みるが飛行魔法、それも浮くだ
けの初歩中の初歩しか行使できなかった。
「なんなんだ、この光は……!?」
 降り立ったアスランは改めて騎士甲冑や飛行魔法の使用を試みるが、やはり上手くいか
ない。体も非常に重く、魔力の結合が上手くいないのだ。
 突如襲いかかった謎の状態異常にアスランは困惑し、はっとなって叫ぶ。
「シンや六課の皆は、大丈夫なのか!?」
 再び胸中に沸き起こる、真綿で喉を締め付けるようなやるせない思い。自身の状態置き
にせず、彼は壊された街を疾走する。
 時々聞こえてくる爆発音を目指し進んでいると、突如体は軽くなり、魔力もいつもと変
わらぬように使えるようになる。気が付けば赤黒の光も消えている。
「……なんだったんだ?」
 騎士甲冑を再構成し、周囲を探るが特に何も感じられない。訳がわからず首を傾げたそ
の時だ、一際大きな音がしてそこへ駆けつけると、一つの光景が眼に叩きつけられる。
「シン…!」
 地面に倒れ伏し、今まさにアッシュ・グレイに止めを刺されようとしているシンの姿が。
「――やめろおぉぉっ!」
 アスランは走った。ただ彼を救うため、後先も、自身の状態も、危険も、何もかも考え
ずに。
 そしてシンの前に立ち塞がり――突き出される二つの刃をその身に受けた。
141名無しさん@お腹いっぱい:2007/10/07(日) 01:16:31 ID:???
支援!
142通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 01:59:59 ID:???
こんだけ長けりゃ規制に引っかかるわな
143通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 02:03:01 ID:???
避難所に投下して誰かが引き継ぐんだ
144lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 02:07:17 ID:???


 何が起こったのか、シンにはわからなかった。
 気が付けば目の前にアスランがおり、アッシュの突進を受け止めている。
「貴様……アスラン・ザラ!」
 赤紫の騎士甲冑血から見えるのは血を滴らせている青紫の魔力刃。
「アスラン……」
 かすれた声でシンが名を呼ぶと、ゆっくりとアスランは振り向き、
「シン……無事、か」
 消え入るような声で声をかけてきて微笑する。
――なんだ、これは
「よくも、余計な邪魔を!!」
 魔力刃を引き抜くアッシュ。身を折り、崩れ落ちるアスランへその刃を振り下ろす――
「…っ、あぁあああぁぁぁあ!!」
 その光景を目にした途端、訳もわからずシンは叫びを上げ立ち上がり、”フラッシュエ
ッジ”を投擲。アッシュの振り下ろした魔力刃を砕く。
 さらに”ソードモード”へ瞬時に変更し、”エクスカリバー”で斬りかかる。
「な…っ!」
「うおああぁぁぁぁああ!!」
 胸中で燃焼する激情のまま、シンは大剣を振るう。斬撃を避けたアッシュからの反撃が
先程に比べて別人のように鈍く感じられる。シンはあっさり回避して”エクスカリバー”
を振るい、大剣の刃を正確に急所へ打ちつける。
「ちぃっ」
 シンの豹変にアッシュは不利と見たのか、空に舞い上がる。逃げようとするアッシュを
見て、シンも追いかけようとするが、
「シンっ!」
 アスランではない、何者かに呼ばれ、動きが止まる。振り向けばいつの間に来たのか、
騎士甲冑を纏ったはやての姿がある。
「アスランさん!? シン、これは……」 
 はやてがアスランの名前を呼んで、シンは彼の状態に気が付く。
 地に伏したアスランは動かず、魔力刃の刺さっていた部位からはおびただしい量の血が
流れでている。
 血相を変えたはやてが側により、回復魔法をかけ始める。
「アスラン…」
 ”エクスカリバー”を取り落とし、シンは立ち尽くす。
 動かない彼を支配しているのは問い。疑問。
「……なんで」
――どうしてこうなっているのだろう。何故アスランが倒れているのだ。
 どうして、どうして。……どう、して?
「……なんで、いつも、あんたは……」
――どうして俺を……俺を庇ったりなんか、したんだ!? 
 敵である俺を! どうして!
「あんたはっ…、あんたは一体、なにしてるんだよ……!!」
 慟哭を帯びた悲痛な声を上げ、シンは拳を地面に叩きつけた。
 胸中に吹き荒れる激情に突き動かされるように、何度も、何度も。

to be continued
145lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 02:18:35 ID:???
投下終了です。今回も色々ありましたがあと二話、おつきあいくださると嬉しいです。
7話は半分ほど完成していますが、投下は早くて来週の土日の予定です。
色々大きな事があります。あれが出たり、あれが直ったり、あれが怖されたり、あれがr
それでは。
146lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6 :2007/10/07(日) 02:20:56 ID:???
追記
それと今回も支援をくださった方々、有り難うございます。
それでは。再見(でしたっけ?
147通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 03:18:43 ID:???
GJ

やはりCEは乱れたままだったか…。
148通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 06:28:48 ID:???
>>146
GJ!
アスラン格好いいなぁ、シンと会話してる時はちょっとヘタレてるのに動き始めると止まらないと言うか
シンもこれからどうするのか楽しみです
149通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 08:40:46 ID:???
>>94
高天氏、GJです! ナンバーズや皆のの描写が細かいですね。
本編ではやらなかった(裏で起きていた)出来事もやっていただいて
とても面白かったです。
だけど、感想が少ない。やはりアストレイはマイナーなのか?
>>146
lyrical Seed Destiny氏、GJです。
長く、とても読みごたえがありました。
ですが、ここまで長いのでしたら、他の皆様と同じように前編や後編に分けて
投下した方が良かったと思います。
一つの意見として聞いていただけると幸いです。
>>95
から
>>99
・・・・・投下終った直後に雑談って・・・・・何やってんだ?

150リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 09:19:49 ID:???
おはようございます
朝の投下予告です。
一日間を取っただけですが投下よろしいでしょうか?
OKが出たら多分、12時に投下予定です。

高天氏GJです!
実は自分もSSでアッシュ・グレイ出そうかな〜と思ってて高天氏のアッシュをお手本にしたいと思います!
そして、ナンバーズたちの描写も相変わらず凄いですね〜。

lyrical Seed Destiny氏
しまった、前の話読み忘れてるかもしれないorz
早速見てきますね、GJでしたw

皆さんの質問へのご意見ありがとうございます。
まだまだ決まっていませんが、色々な道があり良かったと思います。
しかし、さすがに26歳のキラは書けません。(まぁ、残れば実質26歳ですけど)
それでは、12時をお楽しみに!(OKが出てからですが)
>>150
OKですよ!!待ってますよ!!
152通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 10:32:43 ID:???
>>150
いやいや某所ではお爺ちゃんになったキラもいると聞きます。
26歳のキラは個人的にはありだと思いますよw
153152:2007/10/07(日) 10:51:44 ID:???
すいません。続きになりますが、六課にはなのは達より年上はアイナさんぐらいみたいなので
「年上の部下」というのも、なかなか面白のではと思います。
154通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 10:56:15 ID:???
>>150
私も26歳はありだと思います。
まぁ今よりかは大人びるとは思いますが、基本的にそんなに変わらないと思いますし。
CE世界なんかに帰らず、なのは達と共に時を刻んでいく彼が見てみたいです。
155通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 11:55:16 ID:???
リリカルクロスSEED氏が26歳のキラという新境地を開拓すると考えるんだ
でもStSの話題はまだ早すぎるよね〜
156リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 12:02:19 ID:???
えっと、さすがに26は書かないと思います。
期待されていたらすみませんと謝っておく、リリカルクロスSEEDA´sです。
OKが出たようなので今から投下開始しますね。
157通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 12:02:55 ID:???
せっかくだから俺は誰も賛同者がいなさそうな9歳で肉体の成長が止まったキラをプッシュするぜ!
158リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 12:04:51 ID:???
第二話「再会、そして新たな生活」


時空管理局
「検査の結果、なのはちゃんのケガは大した事ないそうです」
エイミィはなのはの状態についてリンディに報告中だった。
「ただ、魔力の源。リンカーコアが異様なほど小さくなってるんです」
「そう、じゃあやっぱり一連の事件と同じ流れね」
「はい、間違いないみたいです。休暇は延期ですかね?流れ的にウチの担当になっちゃいそうですし」
「仕方ないわ、そういうお仕事だもの・・・・それより、キラさんは?」
「えっと・・・・・命に別状はないです。ただ魔力の酷使と骨折3箇所で安静だそうです」
「そう・・・・心配ね」
リンディは外の様子を見ながら言った。
「それとキラさんが子供になった原因は分かったかしら?」
「いえ、それもまだ分かりません。それに彼の出身世界も分からないままです」
「人の遺伝子にまで手を出し、機動兵器というもので戦争がある世界か」
しかも、彼は戦場に出て戦っていたというのをユーノとアルフに教えてもらっていた。
「キラさんのこれからの処遇を決めないといけないわね」
「昔の事件のこと掘り起こされますかね?」
「いえ、グレアムさんからこちらで判断していいと許可を貰ったわ。ただ彼に会わせて欲しいとは言っていたわね」
「キラ君、無罪は決まってるんですよね?」
「死んでいたはずの本人が生きているのだもの、分からないわ」
「・・・・・心配ですね」

「いや、君の怪我も軽くてよかった」
「クロノ、ごめんね。心配かけて」
クロノはフェイトの治療に同行していた。
「君となのは、それにキラのことでもう慣れた。気にするな」
「なのはとキラは?」
「なのははもう目が覚めてもいい頃だろうが、キラは・・・・・・」
クロノは自分が現場に飛び、キラを見た時の怪我がひどく見えていた。
彼の手のストライクは粉々になり、修復は不可能なくらいだった。
それほどの負荷が彼には掛かっていたのが、良く分かった。
「・・・・・そう」
クロノの言葉にフェイトは沈んでしまう。
「それより、なのはに会いに行くよ。目が覚めたらしい」
クロノは暗くなりそうなフェイトを促し、なのはの病室まで向かった。
159リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 12:07:03 ID:???
フェイトたちが部屋に入ったときにはなのはは医師に診断を受け終わっていた。
「あぁ、ハラオウン執務官。ちょっとよろしいでしょうか?」
「はい、何でしょう?」
「こちらへ」
医師は病室の外にクロノを促すと病室から出て行く。
そして、なのはとフェイトが病室に残された。
「・・・・・・・」
フェイトはなのはから目を合わせられないでいた。
「フェイトちゃん」
「なのは」
名前を呼び合うと二人は顔を合わせ小さく微笑む。
「あ、あのごめんね。せっかくの再会がこんなで・・・・怪我、大丈夫?」
「あ、ううん。こんなの全然」
そういい、腕の包帯を後ろに隠す。
「それより、なのはは・・・・」
「私も平気、フェイトちゃんたちのおかげだよ。元気元気」
なのははフェイトに笑いかけるが、フェイトは顔を伏せてしまう。
「フェイトちゃん?・・・・フェイトちゃ・・・あ!」
なのははベッドから下り、フェイトのところへ行こうとして転びそうになる。
「なのは!」
それをフェイトは慌てて、支える。
「あはは、ごめんね。まだちょっとフラフラ」
「うん」
「助けてくれてありがとう、フェイトちゃん。それからまた会えて凄くうれしいよ」
「うん、私もなのはに会えて嬉しい」
そうして、二人は笑いながら抱き合い、再会を喜んだ。
160通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 12:07:25 ID:???
支援
161リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 12:09:24 ID:???
なのはとフェイトはクロノと合流するとユーノとアルフに会いに向かっていた。
「あれ?」
「どうしたの、なのは?」
なのはは向こう側で足を引きずりながら歩いている人物を見つけた。
「キラくん?」
「何ぃ!?」
クロノはキラを見つけると走り出していった。
なのははまだフラフラなためフェイトに支えられながらキラのところへ向かう。
「あなたは安静にしているように言われていたでしょう!」
「・・・・・・ごめん。でも、皆が心配で」
なのはたちが追いついた頃はクロノがキラを叱っていた。
「キラ(くん)!」
「あ・・・・・二人とも・・・・大丈夫だった・・・・ゔっ!?」
なのはとフェイトはそのままキラに抱きついてくる。
「キラくん・・・キラくん、また・・・また会えた・・・良かったよ〜!」
「・・・・・・良かった」
「・・・・・・・・」
普通ならここでキラは顔を赤くしているところだが青くなっている。
「君たちは馬鹿か!怪我人だぞ!」
「あ!ご、ごめん!キラくん・・・・大丈夫?」
「あ・・・・・私も・・・・・ごめん、キラ」
「だ、大丈夫・・・・だよ・・・あ、あはは」
どうにか苦笑いをするも顔は青いままでなのはたちは沈んでしまう。
「・・・・・ほんとに大丈夫だよ、直ぐに良くなるから。それにね」
キラはなのはとフェイトにどうにか笑いかける。
「今はそんなことよりなのはちゃんとフェイトちゃんに会えて嬉しいよ」
「私もだよ、キラくん」
「私も・・・・・あんなお別れだったからずっと気になってた」
「うん、あの時はゴメンね」
「まぁ、しばらくあなたはここにいることになると思いますよ」
「元の世界が見つからないといけないし、何より元の姿に戻らないとね」
キラは苦笑いを浮かべ小さくなった体を見ていた。
「私としてはその姿のキラくんの方が落ち着くかな」
「私も・・・・かな。その姿の方が付き合いが長かったし」
「僕としては違和感があるんだけどね」
そんな話をした後、キラを病室に送った後なのはたちはユーノたちのところへ向かっていった。
162リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 12:11:07 ID:???
その後、キラの病室に来客があった、初老の男の人だった。
「やぁ、初めましてキラ・ヤマト君、私はギル・グレアムというものだ」
「ど、どうも・・・・」
「実は君と話をしたくてね、いいかね?」
グレアムの顔を見れば真面目な話だということが分かったため、キラも頷く。
「君は先のプレシア事件で死亡されたと報告にあったが・・・」
「それは・・・・・」
自分はあの後、元の世界に戻ったため自分があの事件以降どうなっているのか知らなかったが、死亡となっていたらしい。
「悪いことにはしない、正直に話してくれないか」
キラはこの人には嘘をつけないと思った、自分が前にやったことは犯罪なのだ。
「・・・・・・分かりました」
キラはグレアムにプレシア事件のこと、そして今回のことを話した。
「ふむ、私もこの職は長いが君の世界は聞いたことがないね」
「そうですか・・・・・あの、僕は一体どうなるんでしょうか?」
死亡と報告されていたプレシア事件の関係者が生きていたのだ。
裁判が終わったとはいえ拘束・審問はあるだろうとキラは判断していた。
「うん?あぁ、心配ないよ。君をどうこうしようとは思わないさ」
「でも、僕は・・・・・」
「君の裁判はもう終わって無罪、それで終わりでいいじゃないか」
「え?」
キラはグレアムの言葉に驚いた。
「君が君の大事な人たちを裏切らないと約束するなら、君の事を調べないように私からも根回ししておこう」
「あ・・・・・は、はい!」
「後は、君の事はリンディ提督に任せてあるから心配はしなくていい。君の世界も探しておいてあげよう」
「あの・・・・何から何まで・・・・ありがとうございます!」
そんなキラを見ながらグレアムは優しそうに笑っていた。
163リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 12:13:26 ID:???
キラは体の調子も良くなったのでクロノとの約束の時間まで散歩をすることにした。
今回ばかりはコーディネーターとしての回復能力の速さに感謝している。
キラの体について色々な議論が飛んでいたが、グレアムが来てくれて落ち着いていた。
「あ、キラくん!」
なのはとエイミィがキラのところにやってくる。
「キラくん、大丈夫?」
「大丈夫だよ。もう骨のヒビ以外は、魔法で治してもらえたから」
「あれだけ怪我してそれだけの怪我ですんだのが不思議だって言われてたもんね」
「それより、僕も途中まで二人に付いていっていいかな?」
「いいけど、どうしたの?」
「クロノ君に呼ばれたので」
「分かったわ」
エイミィが了承すると三人は歩き出す。
エレベーターに乗りながら三人はフェイトの話になった。
「え?親子って、リンディさんとフェイトちゃんが?」
「そう、まだ本決まりじゃないんだけどね。養子縁組の話をしてるんだって」
「そんなことがあったんですか」
「プレシア事件でフェイトちゃん、天涯孤独になっちゃったし。館長の方からうちの子になる?って」
その話を黙って聞く、なのはとキラ。
「フェイトちゃんもプレシアの事とか色々あるし、今は気持ちの整理がつくのを待って状態だね」
「そうですか」
プレシア事件のことを思い出し、なのはは俯いてしまう。
「なのはちゃん的にはどう?」
「へ?んっと〜、何だか凄くいいと思います」
「キラ君は?」
「僕もそれがいいと思いますよ」
「そっか」
エレベーターが目的の階に止まる。
キラは二人に別れを告げると約束の場所へ向かう。
164通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 12:15:51 ID:???
支援
165リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 12:16:10 ID:???
「あ、来たね」
部屋に入るとリンディとフェイトもいた。
「今回の事件について聞きたいと、言っていましたね」
リンディは椅子に座るように促しながらキラに聞いた。
「はい」
「いいでしょう、ちょうど今回のことについて話すところです」
「なのはの世界が中心なんですよね?魔導師襲撃事件って」
フェイトがリンディに質問する。
「そうね。なのはさんの世界から個人転送でいける範囲にほぼ限定されてる」
「あの辺りは本局からだとかなり遠いですね。中継ポートを使わないと転送できない」
「アースラが使えないの、痛いですね」
キラも先ほどエイミィに少しだが、色々聞いていたから少しは理解できる。
「空いている艦船があればいいんですが・・・・」
「長期稼動できる船は二ヶ月先まで空きがないって」
その言葉にフェイトが答える。
「そうか、というかフェイト。君はいいのか?」
「何が?」
「嘱託とはいえあくまで君は外部協力者だ。今回の件にまで無理に付き合わなくても」
「クロノやリンディ提督が大変なのに呑気に遊んでなんかいられないよ。」
それを心配そうに見つめるリンディ
「アルフも付き合ってくれるって言ってるし、手伝わせて!」
「うん・・・・有難くはあるんだが・・・・」
クロノたちが黙り込んでしまう。
「・・・・・あの」
今まで黙っていたキラが三人に話しかけた。
「僕にも・・・・・手伝わせてくれないかな?」
「馬鹿を言わないでください、あなたは怪我人なんですよ?」
「でも、やっぱり僕もフェイトちゃんと一緒で・・・・何かしたいんだ」
キラは悔しそうに拳を握り締めながら言う。
「もう・・・・誰かが傷つくのを・・・・守れないのは嫌なんだ」
そして、また全員が沈黙してしまう。
「やっぱり、アレでいきましょっか!」
その沈黙を破ったのはリンディだった、やけに楽しそうな声だった。
「「あれ?」」
?マークを出すキラとフェイトにリンディは笑っていたままだった。
166リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 12:19:31 ID:???
なのはたちやアースラスタッフが集まり、リンディが前に出てこれからについて話を始めた。
「さて、私たちアースラスタッフは今回ロストロギア「闇の書」及び魔導師襲撃事件の調査を担当することになりました」
「ただ、肝心のアースラがしばらく使えない都合上、事件発生地の近隣に臨時作戦本部を置くことになります」
「分割は観測スタッフのアレックスとランディ」
「ギャレットをリーダーとした捜査スタッフ一同」
「司令部は私とクロノ執務官、エイミィ執務官補佐、フェイトさん、そしてキラさん。以上三組に分かれて駐屯します」
観測二名、捜査六名、司令部五名の総勢13名、なのはを入れると14名となる。
「ちなみに司令部は・・・・・なのはさんの保護を兼ねてなのはさんのお家の直ぐ近くになりま〜す」
その言葉になのはとフェイトは顔を見合わせ、なのはは嬉そうに笑った。

なのはたちは司令部の引越しの手伝いをしていた。
「うわ、うわ〜、凄〜い。凄い近所だ」
「ほんと?」
「うん。ほら、あそこがわたしんち」
それを優しそうにキラが見つめているとリンディと目が合い、笑いあう。
アルフの子犬フォームや久々のフェレットモードを嬉しそうに笑うなのはとフェイト。
「なのは、フェイト。お友達だよ」
クロノがそんな二人を呼びにきていた。
なのはとフェイトが行くと玄関ではアリサとすずかが待っていた。
「こんにちは」
「来たよ〜」
「アリサちゃん、すずかちゃん」
「初めましてってのも何か変かな」
「ビデオメールでは何度も会ってるもんね」
嬉しそうにアリサとすずかはフェイトに挨拶をする。
「うん、でも会えて嬉しいよ。アリサ、すずか」
「フェイトさん、お友達?」
リンディが奥からやってきた、その後ろには頭を掻きながらどう挨拶すればいいのか困っていたキラがいた。
167リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 12:22:29 ID:???
「キラ!?」
「キラ君!?」
二人はキラの姿を見て、驚いてしまう。キラは先生から突然転校したと話されていたからだ。なのはもそう言っていた。
「ひ、久しぶり。アリサちゃん、すずかちゃん・・・・あが!?」
キラに二人が泣きながら抱きついてくる。
「いきなり転校なんて言われて・・・・お別れもなしで、アンタは・・・ひっく」
「良かった、・・・・また会えて良かったよ。キラ君」
「う、うん。二人ともごめんね。それに・・・ありがとう」
デジャヴを感じながらも痛みに耐え、どうにか笑うキラ。
「あらあら、良かったわね、キラさん。モテモテね」
「リ、リンディさん・・・。冗談でも・・・・そういうことは言わないでください」
そんな会話になのはやフェイト、アリサやすずか、リンディは面白そうに笑っていた。

ゆっくり話すこととなのはの両親に挨拶するためキラたちは翠屋に来ていた。
「キラ君!!」
店に入ってきたキラを見た瞬間、桃子が抱きついてきていた。
「い゙っ!?・・・も、桃子さん。お、お久しぶりです」
三回目にもなれば痛みにもどうにか耐えられるようになってきた。
「もう!あの電話の後も連絡もないし、心配していたのよ?」
「あの時は・・・・その・・・・ごめんなさい」
「うん、もういいわ。キラ君がまた会いに来てくれたんだから」
「そうだな、それでその怪我はどうしたんだい?」
「ちょ、ちょっと事故があって」
「そうなの、早く良くなってね。キラ君」
「早く良くなってまたサッカーをしような、キラ君が戻ってくれば怖いものなしだからな」
そう言って何も聞かず心配してくれる桃子と士郎にキラは心から感謝した。
168通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 12:23:36 ID:???
支援?
169リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 12:25:21 ID:???
リンディはキラの記憶が戻り、今はリンディの所に来て身元引受人になっていると話していた。
その話をうまくしている辺りやはり凄い人だとキラは思ってしまう。
「フェイトちゃんは学校はどちらにするんですか?」
「はい、実は・・・・・」
その時、入り口から箱を持ったフェイトとなのはたちが中に入ってきていた。
「リンディていと・・・・リンディさん」
「はい、なぁに?」
「あの、これ・・・・・これって」
フェイトが持っている箱の中にはなのはたちと同じ制服が入っていた。
「転校手続き取っといたから週明けからなのはさんのクラスメイトね」
「良かったわね、フェイトちゃん」
桃子がフェイトに笑いかけ、フェイトは嬉しそうに箱を抱える。
「あの・・・・えと、はい・・・ありがとう、ございます」
「ちなみに・・・・・キラ君もね」
「あ、はい・・・・・って、えぇ!?ちょ、ちょっとリンディさん。僕は・・・・・」
「そうなの?それは良かったわ、キラ君の制服ちゃんと取って置いてるの♪」
「あ・・・あの・・・桃子さん?」
「今日は美由希がいるから今から持ってこさせるわね」
桃子は嬉しそうに店の奥に行ってしまい、キラの言うことなど聞いていなかった。
それをなのはとフェイトはおかしそうに笑っていた。
170リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 12:27:49 ID:???
すいません、規制が怖くて終盤をかなり分割した気がします。
第二話投下完了です。
今回はキラの前回の犯罪についてのこともちゃんと触れました。
グレアムさんだったらこれぐらいはしてくれるだろうと思いますしw

さて、今思ったのですが・・・・・
何かこのままだとStS書かないといけない勢いが!?
まだ正直悩み中です、今は何も言わずにA´sを見てくださいとしか言えません。

それでは、これにて失礼したいと思います。
第三話「新しい出会いと決意」をお楽しみに!!
あ、ちなみにサブタイは無印で使った所為で良いのが少ししかなかったからです。
使うときはちゃんと使いますよ〜
171通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 12:30:46 ID:???
GJ!
いきなり子供になったキラを見たらヴォルケンズは驚愕するんだろうなw
172通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 12:50:31 ID:???
リリカルクロスSEEDさんは比較的投下が早くてスレの勢いつけてくれてるから
皆いろいろ期待しちゃってるのかもな。
A´sで止めたりしても誰も文句言わないと思うから軽い気持ちで頑張ってー
173通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 14:55:20 ID:???
リリカルクロスSEED氏ご苦労様でした。
このキラはSEEDの力を自由に使うことができるんですか。
確かフリーダムに乗った頃からはある程度コントロールできていたと思うんですけど。

このキラはラクスから指輪は渡されていないようですけど、自分の出生の秘密をクルーザから聞かされた時は、ラクスの膝の上で泣いたんですか。
これからも楽しみにしています。
174通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 15:14:37 ID:???
投下をした全ての職人にGJ!


で、関係の無い話なのだが・・・

「ご苦労様」とは、上の立場のものが下の立場のものに使うねぎらいの言葉だ
SSスレとかの感想を見るとたまに見かけるが・・・
お前はいつ職人より上になったんだと言いたい

社会に出たら、間違っても上司に「ご苦労様」なんて使うんじゃないぞ!
下手するとクビ、下手しなくとも印象最悪だからな!
知らなかったじゃ済まされないんだからな!

け、決して新入社員にご苦労様って言われてちょっと腹が立った訳じゃないんだからな!
175通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 15:26:39 ID:???
ん?じゃあなんて言えばいいんだ?

「お疲れ様でした」か?
176通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 15:30:14 ID:???
>>173
もしかしたらフェイトとの出会い補正で泣かなかったと信じたい。
でもフェイトと同じクローンであるクルーゼは殺しちゃってるんだよな
177リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/07(日) 20:16:46 ID:???
感想ありがとうございます。
やっぱりこれがあるから自分書き続けられるんだな〜って思います。
>>173>>176
自分もフェイトのことがあるから泣かないよな〜と思っています。
クルーゼは・・・・・さすがにあそこまでいくと手が付けられないから・・・・とか?(汗)

一話一話見て書いていくつもりが勢いで全て見てしまいましたorz
そして、リインフォースに泣きました。助けてあげたいよこの子。
高天さんはリイン助けてるから二番煎じはどうだろうな〜と思ってしまいます。
助けちゃっても大丈夫だと思いますでしょうか?
大事なエンディングですし、物凄く考えてしまい、またもや皆さんに聞いてしまう非力な自分を許してくださいorz
178通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 20:24:15 ID:???
>>177
職人さんの数だけEDが存在するのです。
あなたがリインを助けたいと思うのならそれがジャスティス!!!
筆の赴くままに書くのがよろしいかと
179通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 20:57:52 ID:???
>>177
別に助けてもいいんではないでしょうか。

次はヴォルケンズサイドもでてくるんですかね。

そして、ストライクが壊れてしまったキラはどのように戦いに関わっていくんでしょうか。
180通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 21:46:59 ID:???
>>177
『もし』とか『たら』とか『二番煎じ』とか、そんな想いに惑わされんな!
自分が選んだ一つの事が、お前のSSの真実だ!
第21話 決戦

「防御陣形!!隊列、乱したらあかんよ!」
ゆりかごからの砲撃。
一度の砲撃で数十の航空魔導士が地へと落下して行く。
それを見てはやては瞬時に判断し、指揮をとる。
(それにしても…大きい…。)
視界を塞ぐ巨大な戦艦。
人が豆粒のように見える。
(外からだと、魔導士が何人あつまってもどうにもならへんなぁ…。)
しかも射出口からは大量のガジェット二型が姿を現す。
「さぁ、ミッド航空魔導士部隊、勇気と力の見せどころやで!」
夜天の書が開かれた。

ゆりかご内部突入場所を探すヴィータとなのは。
すれ違うガジェットを叩き落としながらの作業だ。
『高町一尉、突入口が見付かりました。突入部隊二十名が潜行しています。』
航空魔導士から入る通信。
『外周警戒は私が引き受ける。なのはちゃん、ヴィータちゃん、行ってくれるか?』
はやてからの通信が割り込んだ。
二人は了解と返事、送られてきたデータを頼りに突入口へと向かい、突入口を拡張爆破。
「機動六課スターズ1、2内部通路、突入!」
そんな二人を異変が襲う。
飛翔魔法の維持が困難になった。
「AMF?」
「内部空間全部に!?」
驚きつつも、何とか飛翔魔法の維持、二人は着地した。

スカリエッティ、アジト。
地を揺るがす振動。
「烈風一陣!!!」
掛け声ととも跳躍するシャッハ、カートリッジを消費。
「切り裂け!ヴィンデルシャフト!!!」
ガジェットの群れへと飛込んで行く。
一機、また一機とヴィンデルシャフトを巧みに操りガジェットを破壊。
「はぁぁ!!」
カートリッジ二発と引き替えに巨大な魔力刃をさらに巨大化、ガジェットの大群を一刀のもとに薙払うのはフェイトだ。
どうやら辺りのガジェットを一掃したようで、フェイトとシャッハが笑顔を見せる。
『別動隊、通路確認。危険物の順次封印を行います。』
「了解!各突入ルートはアコース査察官の指示に。」
『了解』
フェイトは別動隊に指示をだし、通信を終え、それからシャッハへと向き直る。
「ありがとうございます。シスターシャッハ。お二人の調査のお陰で、迷わず進めます。」
「探査はロッサの専門です。この子たちもよくやってくれました。」
シャッハはそう言って、側にいる猟犬の一匹に視線を落とす。
「あなたは、このまま奥へ。スカリエッティの居場所まで!」
「はい。」
シャッハにその場を任せ、フェイトはスカリエッティの元へと向かった。

廃棄都市街。
ガジェットの追撃を受けるヘリ。
シン、スバル、ティアナ、エリオ、キャロとフリードの五人と一匹。
中々安定しないヘリ、その為、メンバー一同、降下出来ないでいた。
「ごめんね、皆、思いっきり揺れるからしっかり捕まってて!」
アルトが言うが、
「アルトさん、俺が援護する!だから、ハッチ開けて!!!」
そういうことならと、ハッチが開けられ、シンが飛び下りた。
すでにバリアジャケットは装着済みだ。両手には二刀のアロンダイトを持つ、つまり、デスティニー最終形態、いや、セカンドフォームだ。
許可は降りている。
この緊急事態力を出し惜しみしていても仕方ない。
『High-energy long-range cannon』
片方のアロンダイトの切っ先をヘリを追うガジェットへと狙いを定める。
二つのリングがアロンダイトを中心に発生、切っ先には環状魔法陣が展開された。
そして
「行っけぇ〜!!」
一瞬で膨れ上がる緋色の閃光が一直線に放たれ、ガジェットを破壊。
シンはヘリを追い、ビルの隙間を縫うようにして移動するヘリを追い掛ける。
「よし!皆、降下ポイントに着くよ!準備はいい?」
ガジェットが一掃された事を確認してアルト。
「「「「はい!!!」」」」
シンを除いたメンバーが返事をし、同時にハッチが解放された。
シンが中へと入ってくる。
「確認するわよ?」
ティアナがモニターを開くと画面には地図。
「私達はミッド中央、市街地方面!敵戦力の迎撃ラインに参加する。
地上部隊と協力して向こうの厄介な戦力、召喚士や戦闘機人たちを最初に叩いてとめるのが私達の仕事。」
「他の隊の魔導士たちは、AMFや戦闘機人戦の経験が殆んどない。
だから、私達がトップでぶつかって、とにかく向こうの戦力を削る!」
ティアナを引き継いでスバル。
「あとは迎撃ラインがとめてくれる…そういうことか?」
「そう。」
シンの言葉にティアナが頷くと、エリオが口を開いた。
「でも、こんなときに不謹慎ですけど、ちょっとだけエースな気分ですね。」
頷き、少しだけ緊張を緩める一同。
「あぁ、そうだな。けど、任されたからにはきちんとこなしてのエースだ。気を抜くなよ、皆。」
しかし、シンの一言で再び緊張の糸がはりつめた。
「ガジェットも戦闘機人も迎撃ラインを突破されたら市街地や地上本部までは一直線です。」
「市民の安全と財産を守るのがお仕事の管理局員としては絶対!行かせるわけにはいかないよね!」
キャロとスバルが熱を込めて言った。
「あとは、ギンガさんとキラが出てきたら優先的に対処、安全無事に確保!」
皆に最終確認をとったティアナの号令で一同はハッチから飛び下りた。
スバルはマッハキャリバーで道路を滑り、エリオとキャロは力を解放したフリードの背にのり、空を行く。
そして、そのフリードの隣を飛翔するのはティアナを抱えたシンだ。
赤い羽が展開され、その隙間から透明感を帯た薄紫の鮮やかな光が吹き出している。
その様子を遠方から監視している人影、オットー。
空間モニターを使い眺めている。
「ノーヴェ、ディード、ウェンディ…、例の四人と、見慣れないのが一人そっちに向かってる。」
『ホントか?』
問い返してきたのはノーヴェ。
「あぁ、ただ、前とは状況が違う。正面から戦う気で来てる。」
『なぁ〜に、望むところッスよ!』
モニター越しに写るノーヴェの横に現れたのはウェンディだ。
「ゆりかご浮上前に中央本部を制圧…、指令部を押さえたい。
状況に対する不確定要素はなるべく排除する。」
そう告げ、オットーは通信を切った。

「あっ!」
廃棄都市街にいくつもそびえたつ高層ビルのひとつ、その屋上にルーテシアを発見したキャロ。
目が合う。
ルーテシアは腕を動かし、ある一点を指差した。
アルトの操縦するヘリが丁度旋回行動中だった。
「フリード!」
危機感を感じたキャロはフリードに指示、ティアナが声をかけるが、エリオ共々行ってしまった。
「いいのかよ?」
シンが目をパチクリとさせる。
「んなわけないでしょ!シン、スバルの近くに」
ティアナの指示通り、マッハキャリバーで疾走するスバルの元へ追い付く。
「予定変更、キャロたちが向かった方を先に捕まえる!いいわね?スバル」
「うん!ウィング!!」
スバルがウィングロードを展開する前に緑色の閃光が走った。
スバルは飛び退き、シンはティアナを抱えたままシールドを展開。
オットーが放ったレイストームを防いだ。
レイストームはそのまま地に着弾。爆煙が上がった。
「何だ、一体どこから!?」
シンとティアナ、二人を覆う影、最初に目についたのは鮮血色の二刀のブレイド。
『フラッシュ・エッジ』
左手が緋色に輝き、アロンダイトが発生。
右手でティアナを抱いたまま振りかぶり、横一閃を繰り出すと、魔力の刃がディードへと回転しながら向かっていく。
相手が回避行動に移る間に近くのビルに着地。
「ティアナ!あいつは俺に!!お前はスバルの援護!」
「エリアルキャノン!」
赤い閃光が膨れ上がる。
「つっ!!」
シンは舌うちしつつ、左手のアロンダイトを回避行動中のディードへむけ投剣。先程放ったフラッシュエッジが折り返し戻ってくる。
丁度挟み撃ちの形になった。
挟まれたディードの反応が一瞬、驚愕に遅れる。
充分な隙。
『High-energy long-range cannon』
ウェンディのエリアルキャノンに狙われるスバルを助けるべくして放ったそれは見事エリアルキャノンの発射阻止に成功した。

「スバルさん、ティアさん、シンさんが…。」
巨大な白竜、フリードの背中から振り返りみるキャロ。
その視線の先には立ち上る煙と響く爆音。
「合流を!」
エリオがそう言って手綱を引こうとした時、上空から接近するガリュウの姿。
『ホイール・プロテクション』
ケリュケイオンから放たれる桃色の閃光。ガリュウの攻撃を何とか回避した。

「(ティア!シン!)」
スバルからの念話。
「(この状況で個人戦は不味いわ!合流を)」
三人は分断され、ティアナは廃ビルの中、スバルは道路。シンは民家の前にいる。
「残念でした、合流はさせねぇッス!」
声、ティアナは慌てて物陰に身を隠す。戦闘機人二人、ガジェットが六機。
声のした方向を覗き見、確認する。
「(スバル、ティアナは廃ビルの中だ、今場所を送る、援護いけるか?)」
「(ちょっと時間かかりそうだけど、必ず。)」
スバルは足を止め、目の前の敵と対面した。
「ギン姉ぇ…。」

時間がかかる、ということはティアナが圧倒的に不利に立たされている以上、危険だ。
何よりビルに閉じ込められている。外にはギンガとディード、そしてこちらの動きを観察している敵もいるはずだ。

シンは目の前の敵、ディードを見据えた。

あの結界の中に何人敵がいるかは知らないが、早く終わらせるに越したことはない。
シンは切っ先をディードへむけ、つばさを展開、つばさからシンの身の竹ほどの鮮やかな光が漏れだした。
廃ビル内部。
「仲間と引き剥がされた気分はどうッスか?」
相手、つまりはウェンディとノーヴェだが、ティアナは二人の様子を窺いつつ、思考を巡らせる。

こっちは結界の中、シンはともかくライトニング、スバルは分断距離と戦力負担がかなり大きい…。
背中を見せたら…その瞬間に終わる。

クロスミラージュを握る手に力を込め、祈るように額にクロスミラージュを預ける。
「(ライトニング、スバル、作戦、ちょっと変更。目の前の敵、無理して一人で倒す必要ないわ。
足どめして削りながらそれぞれに対処。それでも充分、市街地、中央本部は守れる。
シン、悔しいけどあんたは私達とは別格、目の前の敵を全力で叩いて!)」
「バッカじゃねぇーの?お前ら倒すのにそんなに時間はかかんねぇーし、第一そう簡単にあたしらがやられるかっつの!!」
怒声とともにノーヴェが物陰から踊り出て拳を振りあげる。
ティアナ定石通りバックステップ、ノーヴェの拳がティアナを捉え損ねる。しかし、背後にはボード状の武器を振り被ったウェンディがいた。
「あんたは捕獲対象じゃないッスから、殺しちゃっても怒られないっすからね!」
ティアナは瞬時に膝の力を抜く。
ダッキング。
髪が何本か持っていかれた。空を切るウェンディの攻撃。
ウェンディ、ノーヴェ、二人が驚愕に目を見開く。
だが、ノーヴェが足を振り上げた。
ティアナは左右のクロスミラージュでノーヴェ、ウェンディに狙いをつけ、躊躇いなくトリガーを引く。
着弾した魔力弾が音を立て破裂音とともに煙を発生させる。
その煙の中から伸びる魔力で生成されたアンカー。
中央にぽっかりと開いた穴を飛び越え、ノーヴェ、ウェンディとは反対側へと飛び移った。

対キラ・ヤマト戦で完全なる敗北をきっしたディード。だが、その戦闘経験は大いに成長の役立った。
シンの動きを確実に目で捕えていた。
「フッ!」
「チィッ!!」
呼吸とともに振り下ろされる刃。
『Warnning!!』
デスティニーの警告。背後から降り注ぐ閃光の嵐。
「何でこいつらは!デスティニー!」
『フラッシュエッジ・アロンダイトシフト』
右手の大剣をディードに向かい投剣。
「そうそう何度も!」
その攻撃は交され懐に潜り込まれる。
「こいつら…。」
鍔競り合い。力で強引に弾き飛ばす。戻ってきたアロンダイトを掴むと
「IS発動、レイストーム。」
背後で声。緑色の閃光がシンの視界を塞いだ。
186神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/08(月) 01:26:13 ID:???
と言うわけで、書けたところまでですが投下終了です。

引き続き、思いつきで書いて収拾つかなくなったものをどうぞ
8.5話 キラと八神家、シュールな食事会

記憶が戻った祝い、そんなわけで機動六課隊舎の一室を借りきってのちょっとした食事会の様なものを開いている。
場所の都合上、はやてとリインフォース、ヴォルケンズ、それからキラの七人だけだ。
ちなみに、なのは、フェイトたちはシンのお祝いである。
テーブルの上にはおお皿に盛られたはやての手作り料理。
それらを個皿に取り分け皆で食べて行く。
肉から魚、野菜までレパートリー豊富なはやてが忙しいなか用意したものだ。
「リイン、紹介するな、こちらキラ・ヤマトさん。
一時期はうちらの家族やったんよ。」
「よろしくですぅ〜。
キラさんのことは前からはやてちゃんに聞いてるです。」
飛んでくるリインに笑顔で答えるキラ。それから二人で会話しているとはやてが混ざってきた。
「帰ってくる〜って約束したのに、キラくん帰ってけぇへんかったから、なんや寂しかったわ〜。」
「ホントに…ごめん。あの時は僕も帰るつもりで…」
キラの口許に人指し指を立て、
「し〜っ」
と言葉を遮るはやて。
「それよか、キラくんおいしい?」
目をパチクリさせるキラ。それから笑って
「うん、おいしいよ。ありがとう。」
ドンッと脇腹をついてくるのはヴィータだ。
「なぁ〜に雰囲気だしてたんだ?キラ。」
「うっ、ヴィータ副…あっ…いや、ヴィータは相変わらず元気だね。」
「話してばっかじゃなくてお前も食え、忘れたのか?はやての料理はギガうまなんだ。
次はいつ食えるか分かんねーぞ。」
個皿に肉料理をこれでもかと言わんばかりに盛ってくるヴィータ。
「キラ・ヤマト、肉ばかりではなく野菜もだな…」
「いや、あの…それ以上お皿にのりませんよ?」
「皿ならシャマルのがある、使え。」
さりげなくザフィーラが魚料理を盛っている。
「ちょっと、ザフィーラさんまで!?」
そんな四人と一ぴきを近くで見ながらはやては微笑み、そして気付いた。
「そう言えばシャマルは?」
「シャマルなら、張りきって料理を振る舞うんだ…とか言ってましたよ。」
シグナムが恐ろしいことをいい始めた。
「まぁ頑張ってくれるんやし…最低、一口だけでも食べてあげよ、な?」
「ま、はやてが言うならしかたねぇーよな…。」
ザフィーラは同意と言った感じで首を縦に振った。
「キラくんも出来るだけ頑張ってな。」
苦笑いのはやてが言った。

さて、そんなシャマルが用意したのは一口サイズに斬ったじゃが芋を茹でたもの。
玉葱、トマトのスライス、りんごジャム、クリームヨーグルト、薄焼きパン、赤すぐり、赤かぶ、チーズ。
そして…パンパンに膨れ上がった缶詰数個だった。

「みんなぁ、お待たせ〜。」
トレーに食材を載せシャマルが入ってきた。
「おぉ、シャマル、遅かったなぁ。何つくっとったんや?」
一同覗き見るが、どうやら自分で薄焼きパンの上に好みの具材を乗せ食べるものらしい。
はてさて、挟むものの主役となるものはどれだろう?
「じゃ〜ん、これです!」
シャマルが取りだしたるは三つの缶詰。
「缶詰かぁ〜、これなら心配いらないなぁ…。」
ヴィータが心底安堵に胸を撫で下ろした。
「この缶詰…結構な珍味だそうですよ?」
シャマル、缶切りをポケットから取り出した。
「そうかぁ、でも何処からもらってきたんや?」
「108部隊の……」
会話するはやてとシャマル、安堵するヴィータとシグナム、リイン。
だが、そろりと部屋から出ようとするザフィーラ。
キラはシャマルが持ってきた缶詰が何か知っていた。
知識だけだが
(確か…名前はシュールストレミング。ニシンの漬物で、食べ方は缶開封時に注意。内部にたまったガスが勢いよく噴射するからだ。開封時は水中推奨。
それから臭いも強烈だとか、部屋の中で開けると臭いが中々消えないため、外での開封が望ましい。
クサヤの六倍臭う…らしいって…)
「あのシャマルさん…缶詰ここで開けるんですか?」
畳十二畳のスペース、窓は雨のため閉めきってある。
つまるところ、この部屋は密室だった。
189通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 01:32:00 ID:???
支援
「あ、ザフィーラ。」
シャマルはザフィーラの尻尾をひっ掴み、たぐり寄せる。
「これを開けてくれる?缶切り二つしか見付からなくて、あなたの牙なら開けられるでしょう?
それからこっちはシグナム、お願いね。」
「任せろ。」
缶切りの爪をシグナムが引っ掛けた。
ザフィーラは嫌々ながらもゆっくりと己の牙を掛けようとした刹那。
「あの…、本当に…それを開けるつもりなんですか?」
キラが言った。
はっ?と一同。
「その缶詰…シュールストレミングですけど…開けるなら水中か、外の方が…」
「酷い…。」
よよよっとシャマルが手で顔を覆う。
「私は確かに料理が下手ですけど…缶詰なんですから、失敗なんかしません!」
ジトッと睨んでくるヴィータ、シグナム、はやて、リイン。
「すまない、トイレに行ってくる。」
そんな中、ザフィーラが部屋から出ていった。
「キラ、てめぇ、シャマルはお前の為に!」
「違う、違うんだ。ヴィータ、僕が言いたかったのはシャマルさんの料理音痴云々じゃなくて…」
「ならば異存はなかろう。」
カシュ
シグナムはふかぶかと缶切りの刃を缶詰の蓋にさしこんだ。
「シグナムさん!!」
破裂音とともに形容しがたい色の液体が噴き出され、シグナムの顔面を直撃。
「………。」
うじゅる、ぶじゅじゅ…と唸る缶詰。

タパタパとシグナムの髪から滴る液体。
「…………くさっ…。」
キラが鼻を摘んだ。
「オェっ…くっせぇ〜、何だこりゃ…つーか早くその缶詰外にだせ!
リイン!窓開けろ!」
「はいです!」
「シグナム…タオル…。」
はやてが放心状態のシグナムに言った。
「は…はい…主…うぷっ」
うぷって。
はやてからタオルを受取り、拭き取る。
「しっかし、すっごい匂いやなぁ〜。」
缶切りを使い、綺麗に開けるはやて。
中にはニシンの切身の姿。腐臭を放つ液体にとっぷりと使っている。
それを箸でつまみ薄焼きパンにのせ、玉葱、トマト、チーズ等を加え、挟むとキラに渡す。
「えッ?」
「(シャマルが見とるで、食べるんや、キラ君。)」
念話。
うるうると揺れるシャマルの双眸。
キラは口で呼吸しながら、はやての手からサンドイッチを受けとった。
妙に味の有る唾液がキラの口の中に溢れた。
高鳴る鼓動。
目の前にははやてから手渡されたサンドイッチ。
ゆっくりと、確実に口へと運んで行く。
それと同じくして、表情が綻んで行くシャマル。
一口、キラはかじった。因みにわりと大きめな一口だ。
生ごみを直射日光の下、一日放置したような臭いが鼻からぬけ、ブリ、ブリとニシンを噛む度にグロテスクな音がする。
「おいしいですか?キラさん」
ここでおいしいと言えば絶対にもう一口食べろと、そういう流れになってしまう。
鼻を摘んだまま八神家一同の視線がキラに集中する。

一口目は乗りきった。だが二口目は自信がない。胃が拒否を示している。口に含もうものならきっと…。
でも…。
ヴィータを見る。
でも…。
シグナムを見る
でも…。
はやてとリインを見る。
でも…。
シャマルを見る。
それでも、食べたくなかった。
「…残念だけど…もう駄目だ。」
「おい、キラ・ヤマト、まだ、一口だぞ?」
「これ以上食べたくない、食べさせないで…。ッ!?」
「…リンカーコア…摘出。」
声。
「そんなに食べたくないならもういいです。」
キラの胸から生えるシャマルの腕。
キラは意識を失った。
因みにその日、機動六課では異臭騒ぎがおこっていたとかいないとか
〜完〜
192神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/08(月) 01:38:48 ID:???
ごめんね、変なの書いて。
193通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 01:49:03 ID:???
いやいや、笑わせてもらいました。
194通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 02:06:40 ID:XYen03Mk
なんというか…キラ短編じゃ扱い悪くね???
195通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 02:15:21 ID:???
>>194
とりあえずsageろよキラ厨
196神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/08(月) 02:22:05 ID:???
本編で活躍してるから…かなぁ〜。
キラ好きの方々ごめんなさい。
197通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 02:26:00 ID:???
>>195
確かにキラがダメージ受ける事多いから、もうちょっと柔らかい物言いになろうな
戦争のない世界が一番だってシンが言ってた

神隠し氏GJ
ショートまでとか豪華すぎです
むしろこれからも変なのも書いて欲しいくらいですぜ
198通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 02:26:13 ID:???
キラ、平和でいいじゃん
シンなんて……

>中にはニシンの切身の姿
どんなに探してもここだけだぜ??
199通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 02:32:00 ID:???
>>198
一瞬何言ってるのか分からなかったけど理解できてからジワジワきたw
200通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 10:08:49 ID:???
神隠しさんキテタ――(゚∀゚)――!!短編付きでGJです
シンは早々に種勢とやり合うのかと思ってましたが良い意味で予想外。
スレ張り付いて続き待ってます。頑張ってください

正直キラ好きじゃないが、神隠しさんのヴォルケンズと絡むキラは好き。
その影響でヴィータ×キラ派な私^o^
ヴィータに振り回されるキラでご飯3杯(ry
201通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 10:54:45 ID:???
ティアナはシンのおかげで原作より幾分か楽だな
抱えて飛んでもらったり、ディードの相手を担当してもらえたりで
202通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 11:14:27 ID:???
抱えて飛んだ?

「何処触ってんのよ!!」ガスガス
「ばっ!?やめ―――落ちる落ちる!!?」

こうですか?
スカリエッティ、アジト。

「これは…人体実験の素体?」
人体実験、分かっていたことではあったが、あまりの数の多さに舌を巻くシャッハ。
「だと思います。人の命をもてあそび、ただの実験材料として扱う…。あの男がしてきたのは…こういう研究なんです。」
いつもよりもいくらか低い声音のフェイト。
「一秒でも早く…止めなければなりませんね。」
二人が話していると
ズゥン…
振動。
頭上にはガジェット三型、このままだと直撃、そう判断したフェイト、シャッハはその場から飛び退く。
しかし、突然足元に現れたセインの手によってシャッハは足を捕まれ、動けなくなってしまう。
「シャッハ!ッ!?」
空を切る音、冷たい金属の刃がフェイトに向かって飛んでくる。
スローターアームズ。
ナンバーズ七番目、セッテの攻撃。バルディッシュで弾くフェイト。
そして、シャッハの頭上からガジェット三型が落下してくる。
シャッハは足を掴まれて動けない。
苦肉の策だ、ヴィンデルシャフトから消費されるカートリッジ。フロアに向け渾身の力で叩き込む。
シャッハはフロアをぶち抜き、地下でセインと対峙する。
「(フェイト執務官、こちらは大丈夫、戦闘機人を一人、補足しました。
この子を確保次第、すぐにそちらへ向かいます。)」

「(了解。)」
念話で会話するフェイトのもとに近付いてくる足音。現れたのはナンバーズ三番目のトーレとセッテだ。
その背後にはラウと名乗った少年もいた。
「フェイトお嬢様…。こちらにいらしたのは帰還ですか?それとも反逆ですか?」
トーレとセッテ、ラウ、有る程度までフェイトの近くにやって来ると、三人は立ち止まった。
「どっちも…違う…。犯罪者の逮捕…それだけだ。」
そんな三人を警戒し、フェイトはバルディシュザンバーを構えた。

ゆりかご内部。
ガジェット一型による射撃弾幕をくぐり抜け、グラーフアイゼンを叩き込み、破壊する。
ついで出てきたガジェット三型にはギガントフォームで対処。ヘッドが巨大化し、そこから打ち出される巨大な鉄球に魔力を付加。
ガジェット三型を一掃した。
肩で息をするヴィータ。
AMF空間内での連続魔法使用で魔力、体力共々削られていた。
「ヴィータちゃん、あんまり飛ばし過ぎると…。」
着地したヴィータに習ってなのはも着地。ヴィータに駆け寄る。
「うるせーよ…センターや後衛の魔力の温存も…はぁっ…前衛の仕事のうちなんだよ…。」
それはなのはにも解るが、本人がこう言っている以上、いくら行っても無駄であろう。
『突入隊、機動六課スターズ分隊へ。
駆動炉と玉座の間、詳細ルートが判明しました。』
空間モニターが展開され、ゆりかご内部の図面が現れる。
駆動炉、玉座の間の位置は真逆方向だ。つまり…。
「仕方ねぇ…、スターズ1とスターズ2、別行動で行く。」
「ヴィータちゃん!?」
なのはが引き留める。
「駆動炉と玉座の間のヴィヴィオ…、片っぽ止めただけで停まるかもしんれねぇーし、片っぽ停めただけじゃ停まらねぇかもしれねぇんだ。
こうしてる間にも…外は危なくなってる。」
「でも…ヴィータちゃん…、ここまでの消耗が…。」
ここまで、なのはの魔力を温存させるためヴィータが一人で戦ってきた。
ヴィータの表情にも疲労の色が見える。
「だから私が駆動炉に回る。お前はさっさとヴィヴィオを助けに行ってこい。」
不適にもヴィータはなのはに笑って見せた。
「でも…。」
「私とアイゼンの一番の得意分野、知ってんだろ?」
グラーフアイゼンを彼方へと向けるヴィータ。
「破壊と粉砕…鉄槌の騎士ヴィータと鉄の伯爵、グラーフアイゼン…。
砕けねぇものなぞ、この世にねぇ。」
ヴィータはなのはに背を向け、歩き出す。
「一瞬でぶっ壊してお前の援護に向かってやる。さっさと上昇を停めて、表のはやてに合流だ。」
心配そうにヴィータの力強いけれども小さな背中を見送るなのは。
「…うん…気を付けて…。絶対、すぐに合流だよ!」
「ったりめーだ。」
なのははヴィータに背を向け走り、跳躍。
飛翔魔法を開始。ヴィータとなのはは別れた。
ゆりかご外部周辺。
息を切らすはやて。撃てども撃てども減らないガジェットの数。
『スターズ1、玉座の間へ、スターズ2、駆動炉へ向かいました。』
入る通信。
(なのはちゃん、ヴィータ…。)
はやては胸の内、言い知れぬ不安を覚えた。

廃棄都市街、ビル、結界内。
四角形の作り、中央には同じ形状の吹き抜け。
淡い青色の結界のせいで外からの光も同色に染まる。
そして、その吹き抜けの間を飛び交うオレンジ、黄色の二色の魔力光。
ティアナの走る姿、目の前に現れるウェンディ。
ティアナが逃げ場を塞がれ足を停めた。
吹き抜けからブレイクライナーを用い姿を現すノーヴェによる隙を着いた攻撃がティアナを捕えた。
しかし、瞬間、ティアナの姿が破裂消滅してしまう。
「やっぱり幻影…。」
面倒臭そうに言うウェンディ。
しかし、今度は四人のティアナが一斉にシュートバレットを連射する。
「幻術馬鹿のひとつ覚えが!」
弾幕をかいくぐり、ウェンディ、ノーヴェがティアナに接近する。
「見えてんだよ!!」

周りの幻影を無視し、一直線に自分へと向かってくるノーヴェ。
まずい。
ティアナは判断し、右のクロスミラージュで直ぐ様アンカーを射出。吹き抜けに向かって飛ぶ。
間髪入れず、空を切るノーヴェの蹴り、
「ウェンディ!」
「分かってるッス。」
放たれるエリアルキャノン。同時に左のクロスミラージュのアンカーを射出、右のアンカーを消し、方向転換。
右のクロスミラージュでシュートバレットをウェンディに向け放った。

現在ウェンディ、ノーヴェがいる階よりも三階上の廊下に姿を消したティアナ。
「前より弾丸が鋭くなってるッスね…、飛べない分、楽勝だと思ってたんスが…。」
「あんな豆鉄砲、一発、二発ぐらいどうってことねぇ!あのアンカーだって絶っちまえばそれまでだ。」
「まぁ、そうっスけど…。」

(こんな狭いところで二人相手じゃ、持ち答えるのが精一杯。結界破壊スタッフが来るまで何としてでも生き延びなきゃ。)
柱の陰に隠れ、ウェンディ、ノーヴェの様子を窺いながら、自分の圧倒的不利を実感する。
「…フゥッ…」
一息つくティアナ。
しかし、手がないわけではない。自分にはまだ切札がある。
だが、その切札を使用する為の状況をつくる為の策がまだ出来ていない。
敵が動き出した。
ティアナもその様子を見て、策を考える時間を造るため行動を開始した。
「何で…、こんなことを!!」
シンは赤い瞳に怒りを露にしてディード、オットーを睨みつける。
「別に…命令だから。」
「第一、お前が知る必要もない!」
切りかかってくるディードを目の前に、アロンダイトを連結。
「…そうかよ!」
自分の身長を越える魔力、実体に分かれる連結長剣。
市街地を巻き込んでの戦闘、人造魔導士の素体とされた無関係な人々、避難に逃げ惑う一般市民の姿が浮かぶ。

「お前らが…、こんなことをするから!」
『Type Power Seed Burst』
緋色の魔力光が輝きを増した。右袈裟一閃、ディードがツインブレイズの片方で受け止めるも、明らかなパワーのさが歴然。
受けた筈の刃は思いきり地面に叩きつけられ、アロンダイトは地を砕く。
「うぉぉおおおお!!」
返す刀で左逆袈裟一閃。舞い上がる瓦礫。
ツインブレイヅを片方弾き飛ばした。
「なっ、IS、レイストーム。」
『シールド』
全ての閃光はシールドに防がれる。連結を解除、アロンダイトの片割れをオットーに向け投剣。
オットーはたまらず障壁を展開。アロンダイトが突き刺さり、障壁を破壊する。
大きく体勢を崩すオットー。
「オットー!ッ!?」
叫ぶディードの顔面をシンの左手が掴んだ。
『パルマフィオキーナ』
顔面をつき抜ける緋色の閃光。力なく崩れ落ちるディード。
『Change Speed SEED Burst』
展開される翼から漏れ出す魔力の噴射炎。
一刀のアロンダイトの切っ先をオットーに向けた。
体を沈める、そして、地面をおもいっきり蹴り、オットーへむけ低く、けれども力強く跳躍した。

「シューティングレイ!」
飛翔するフリードの背中にのるキャロ。
桃色の閃光が幾重にもわかれ、ガジェットに乗るルーテシアを狙う。
「あなたは…どうしてこんなことするの!」
ルーテシアはキャロの攻撃を迎撃、全てを相殺する。
一方、エリオとガリュウも空中で激戦を繰り広げていた。激しくぶつかりあうストラーダの刃とガリュウの刃。
「こんなところで、こんな戦いをする理由は何なんだ!」
ストラーダを巧みに操り、エリオは空戦をこなしながら問掛ける。
「目的があるなら教えて!悪いことじゃないなら、私達、手伝えるかもしれないんだよ!」
戦場を飛び交う言葉と思い。
ルーテシアは聞く耳持たずといった感じでダガーを生成。キャロとフリードを狙う。
「キャロ!」
一瞬それたエリオの注意。
ガリュウは見逃さない。エリオはガリュウの攻撃を跳躍して回避。
そのままストラーダでフリードの元へと飛行し、キャロを守るようにして降り立つ。
そんな二人を見て、ルーテシアが悲しげな表情を見せた。

管理局地上本部の塔を目指すゼスト、アギト、アレックス。
しかし、その進路にはシグナムと、一般魔導士数名が立ちはだかっていた。
「局の騎士か?」
ゼストは空中で静止し、シグナムに問う。
「本局機動六課、シグナム二尉です。前所属は首都防衛隊…。あなたの後輩ということになります。」
「そうか」
オロオロしだすアギト。アレックスは表情を変えもしなかった。
「古い友人に、レジアスに会いに行くだけだ。」
「それは…復讐の為に?」
「言葉で語れるものではない。道を…開けてもらおう。」
ゼストは槍を、アレックスは盾を構える。
「言葉にしてもらわねば、譲れる道も…譲れません。」
鞘から姿を現す研き抜かれた刀身、レヴァンティン。
カートリッジをロードし、一瞬、炎が現れた。
「あっ!」
「どうかしたか?アギト。」
「何でもねぇよ…、グダグダ語るなんてな!騎士のやることじゃねぇんだよ!」
ゼストと融合するアギト。
「騎士とか、そうでないとか、お話しないで意地をはるから戦うことになるんですよ!」
リインがシグナムと融合する。
それぞれ姿(色だが)を変えて対峙する。
「アレックス、お前は一般魔導士を頼む。」
「わかった。」
ゼストの言葉に、静かにアレックスが頷いた。
208通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 18:35:46 ID:???
支援!!
「でぇやぁぁああ!!」
咆哮とともにガジェット三型を叩き潰したヴィータ。
ゼェ、ハァと息をきらし、体力と魔力の消耗が窺える。
「ここまで…はぁっ…くりゃ…もうちょっとだカートリッジもまだある。」
(大丈夫、楽勝だ。)
その思った刹那、背後に気配、ヴィータは慌てて飛び退き、その何かと対峙した。
それはなのはを再起不能寸前にまで追い込んだ魔導機械。
ヴィータの目の色が変わり、全力で目の前の敵を排除した。魔導機械は爆破し、今度は目の前から多量の魔導機械が姿を現す。
四足で這ってくる機械。ヴィータはグラーフアイゼンを構え迎え撃とうとすると蒼い閃光がその全てを破壊した。
轟音、爆音が響きわたり、そして煙の中から現れたのはキラ。
「キラ!」
「ヴィータ副隊長!くっ!!こいつら!!」
『HighMAT Full Burst』
放たれる五の奔流が、キラの背後を追って来ていたガジェット、それからヴィータが先程叩いた魔導機械を破壊した。
「キラ、無事だったか…。」
「えぇ、ゆりかご内にナンバーズの姿が見られなくなったので何とか脱出を試みたんですが…。」
「まぁ、お前は管理局側の人間だからな…。そうそう油断しねぇだろ。」
キラの横をすれちがうヴィータ。
「私はこれから駆動炉に向かうんだ。キラ、お前はなのはがいる玉座に行ってくれ?」

ヴィータの腹部から伸びる蒼い魔力刃。

「えっ…?」
滴る血液。

「キ…ラ…お前…?」
グラーフアイゼンを振ろうと両手で柄を握ろうとする、しかし、握る場所がなかった。
左手に握るグラーフアイゼンはそのすぐ上から切断され、フロアに転がっている。
「なのはさんは玉座に向かったんだね?あとは僕にまかせて、ヴィータ副隊長はそこで休んでいてください。フリーダム!」
『HighMAT Mode』
キラは笑ってそう告げると、計八枚の翼を広げ、ヴィータが辿ってきた道を戻って行った。
ヴィータを膝を突き、フロアに伏した。
思えばおかしかった。『追われてきた』キラはそう言った。だがその割には息一つきらしていなかった。
追撃をうけたにしてはバリアジャケットも綺麗すぎた。恐らくはガジェットも、あの魔導機械もキラを追ってきたのではなく、ヴィータを追ってきたのだろう。
「…あぁ…ぁ…間に…合わねぇじゃ…ねぇかよ…キラ…。」
諦めの混じった力なくヴィータの口から呟かれる言葉。口に広がる鉄の味。
「ガハッ、ゴボッ、ゴホッはやて…、シグナム…、シャマル…、ザフィーラ…みん…な…ごめ…。」
意識が薄れて行く。
自分の甘さを呪った。敵に、あのスカリエッティに捕まったキラがただで済むはずがないとは分かっていた。
けれど、心のどこかで敵にしたくない、戦いたくない、甘さがあったのだろう。キラの無事を喜び、安堵する自分がいた。
「…で…なん…でだよ…。もうちょっ…とだった…のに…。なぁ…、なん…でだよ…キラ…。」
姿が小さくなって行くキラに向け、かすれた声で言う。無論、返事は返ってこない。
「ちく…しょう、ちくしょう…ちく…しょ…う………ッ……………………………………………。」
ヴィータは瞼を閉じた。
210神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/08(月) 18:46:10 ID:???
To be continued...
と言うことで第21話 決戦終了です。

何分、急ピッチで書いたもので、誤字脱字、誤表現なんかあったら脳内補完よろしくです。

さて、どうでしたでしょうか?
楽しんでいただければと思います。

ティアナのアンカーアクションについては某契約者の黒をイメージにしています。
ところで、キラの扱いが悪いと言われてる作者ですが、キラは好きなキャラです。
これだけはわかって頂けると幸いです。

さて、次回は第22話
Pain to Pain

お楽しみに!!
211神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/08(月) 18:48:31 ID:???
ヴィータ×キラが好きな読者さん、ごめんなさい。
212通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 19:04:53 ID:???
GJ、気にするな。
遅かれ早かれこうなる事はわかっていたはずだし俺たちも覚悟してたからな
ただ実際やられるとちょっと鬱るが気にせず次を待つ!!全裸で!!!
213通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 19:12:16 ID:???
うおおおおお〜。正気になったキラはどうなっちまうんだ・・・・。
214通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 19:25:27 ID:???
これは逆に考えればある意味フラグが立ったと言ってもいい。
215リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/08(月) 19:26:55 ID:???
GJです!
ヴィータが無事でいることを祈ってます。(キラが無意識に急所外してるとか)
そして、ヴィータのことを知ったなのはさんはキラを目を覚ますまでフルボッコがありそうですね
続きを楽しみに待ちながら自分もSSを書きます。
がんばってください!
216通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 19:40:23 ID:???
なんと言う展開……。
217通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 20:35:13 ID:XYen03Mk
GJです、神隠しさん!
フェイトは3、7番とレイ、スカリエッティとどのように戦うのか、
ティアナの切札とはいったい何なのか、重傷を負ったヴィータはどうなるのか、
なのははヴィヴィオとキラをどのように助けるのか、
続きを楽しみにしています♪

>>194
すみません、あれは“機動6課からの”扱いが悪いんじゃないか、という意味で
神隠しさんのことを言っていた訳ではなかったのです。
誤解させてしまい、申し訳ありません。
218通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 20:41:51 ID:???
シンはやはり圧勝か……まあ幾ら成長したとは言ってもキラに二対一で負けた相手に手こずっていては話にならんしな
しかし頭部を鷲掴んでのパルマって人体にやるとかなりエゲツないなw
もしも殺傷設定だったらと思うとゾッとする
219通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 20:54:43 ID:???
GJです。
しかし、シンがディードだけでなくオットーも相手したってことは犬とシャマルゥの出番なくなった?
キラはなのはさんにフルボッコにされて目覚ますのかなぁ……
220通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 21:05:15 ID:???
神隠しさんGJです!まさか今日中に来るとは思ってませんでしたよ
シン主人公みたいナンバーズ倒しててるなーいいよいいよー
にしても種勢はシンと戦うこと無さそうなのかな・・・やっぱり予想できないな

そして、ヴィータ×キラ派の俺涙目wwwwwwではなく絡みがあっただけで歓喜な私^o^
上で誰か書いてるけど、逆にフラグが
続きもwktkしてます!
221通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 21:50:36 ID:???
誰だ『たねキャラなのは』とか電波送ったやつわwww

ちなみにこんな感じ
なのは:マイペースな砲撃魔導師
フェイト&ユーノ:なのはLOVEで争いが絶えない二人
はやて:「勿論、皆(家族として)好きやで。」
守護騎士s:「「「「はやてが(恋愛対象として)好きだ(よ)!!!!」」」」
スバル:なのはさ〜ん♪
ティアナ:スバル〜♪
エリオ:キャロ・・・
キャロ:エリオ君・・・


ごめん、FLL解除SLB食らって頭冷やされてくる・・・
222通常の名無しさんの3倍:2007/10/08(月) 22:28:08 ID:???
シンにはここの状況終わったら、個人的にフェイトを助けに行ってやって欲しいぜ
フェイトとは繋がり深いし、レイもいるからなー
ただ地上にアスランもいるのが気になるところ
シンと戦うのか、シグナムと戦うのか、果たして
223神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/09(火) 01:21:23 ID:???
作者の都合なんですが、ライトニング、キャロとエリオVSルーテシア、ガリュウ…はしょっていいですか?
224通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 01:41:09 ID:???
いいんじゃね?
225通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 01:43:16 ID:???
好きに書いてくれるのが一番良い
226通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 01:47:14 ID:???
種のキャラが戦闘面であんま関わってない部分だし、特に問題無いかと
227神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/09(火) 02:00:23 ID:???
皆さん、返答ありがとです。
読み苦しい部分があるかもですが、これからも応援よろしくお願いします。
フェイトVSナンバーズもショボくなってますがレイががんばりますのでよろしくです!
228失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/09(火) 02:16:20 ID:???
第二十一話置いときますね。
それよりも何よりも、神隠しさん、応援しまくってますから是非頑張ってください。

……劇場版とか特に。
229失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/09(火) 02:17:44 ID:???
第二十一話

「ひっどい怪我だね……」
「大した事はない」
「強がるんじゃないよ」

ツン、とザフィーラのただれた背を押せば、ビクン、と反応。

「………大した事はない」
「はいはい、治療するから。前からね」

男って馬鹿だねぇ、とばかりに溜息を一つ。
アルフがザフィーラの胸板の裂傷と背の火傷に治癒の魔法をかけるのは、50メートル級の卵を逃してそれほど時間も経たぬ頃合いだ。
即座にアルフやロッテ、クロノが追おうとしたが怪我人と消耗を考えて断念。エイミィの報告を待ったが、彼女のサーチもむなしく卵の行方は見失ったらしい。
結局、ガイアの処分に時間を使い、現在、各人の手当てに至る。
ここまでに、クルーゼは早々にプレシアの杖をリカバリーの一言に修理、再度飛び立とうとしたのだが、

「……」
「……その手を、放してもらえないかな?」

クルーゼのジャケットの裾を掴むフェイトは首を横に振る。

「あの……怪我を…」
「道中に治せる」
「わたしに……わたしに治させて下さい」
「必要ない」
「…お願い、します」

ギュッと、裾を掴む手が強くなった。
奇妙な沈黙がクルーゼとフェイトの間に流れ、しばし。
結局、ガイアを処分し、海からキラも引き上げてクルーゼの退路を断つように集まり始めた管理局員らを見て、クルーゼが折れる事になる。

「……お願いしようか」
「はい」

うつむきがちだが、可憐な笑顔がフェイトに咲いた。
そっと鋭利な裂傷にフェイトが手をかざせば淡やかな光。治癒の輝き。
暖かいような、柔らかなような、心地いいような。まるで、母のような。

「ククッ……」
「? あの、他の痛い所ありますか?」
「いや……」

母親もいない身。馬鹿な事を刹那でも考えたと、クルーゼは自分を嗤った。
心配げなフェイトの表情から目をそらすが、クルーゼは己の唇がまるで微笑んでいるような形であるのを自覚できなかった。
230失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/09(火) 02:19:12 ID:???
「それで……引き止めた本当の理由は、これなのだろう?」
「あ……」

フェイトの治癒の魔法が揺らいだ。
クルーゼが手の杖をフェイトへ向けたのだ。
母と呼んだ人のデバイス。プレシアの杖。

「何故私がこれを持つのか……大方、プレシア=テスタロッサの関係から調べていたのだろうね?」
「その子の厚意は、そんな打算的なものじゃないさ」

割り込んでくる声はクロノ。
続々と、アリア、ロッテ、ザフィーラ、アルフ、そしてキラもクルーゼの周囲へと集まってくる。

「あなたが初めて会った時にフェイトを助けてくれたようなものだ。もっとも、管理局としてはあなたの言う通りの事をしたがね」
「それで、何かわかったかね?」
「いや、さっぱりだ。あなたは一体、何者だ?」
「……いいのかな、そんな質問に時間を費やして?」
「現状じゃトライアたちに追いつけるか分からない。なら、少なくとも同じ目的の人間の話を聞きたくてね」
「取り囲んでおいて話? まるで尋問だな、管理局」
「もっと詳しい事情を聞かせてくれるなら、こちらも紳士的な対応になるさ」
「……フン」

丁度、フェイトの治療が終わる。
不安げな顔をするフェイトの肩に、ありがとう、と一言を添えながら手をやれば、クルーゼはプレシアの杖を待機状態にしてから腕を組んだ。即座に有事に反応できない姿勢、という意思表示なのだろう。

「いいだろう。だがその前に私も1つ、言いたい事がある」
「……そちらの言い分から、聞こうか」
「キラ=ヤマト君」

一同の視線が、キラへと集中。
急な名指しにびくりとなるキラだが、クルーゼと目が合ってさらに緊張の度合いが強くなる。
じっと、見返す瞳に力が入る。喉が乾いてくる。体温が自分で分かるほど上がっている。心拍が乱れる。
―――クルーゼを恐れている。

「君は一蓮の事件から離れた方が良い」
「…え」
「何故だ?」
「今からの話もそうだが、きっと彼の記憶に触れるだろう。失ったままにした方が良い記憶も、あると言う事だ」
「しかし、彼は今まで記憶を取り戻すために努力してきた。それを、はいそうですか、と言うにはな」

キラに代わってクルーゼへと疑問を差し挟むクロノだが、その声はキラに届かない。
クルーゼの一言一言がキラの体に深く食い込んでくる。
その声、その喋り方、全てがキラの本能を刺激するのだ。
危険、恐怖、嫌悪がチラリ、チラリと頭と体と心に滲んでめまいがする。
231失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/09(火) 02:20:48 ID:???
「キラ、どうした……顔青いよ」

ロッテの声さえ、遠い。
弱々しく首を横に振って、キラは精一杯言葉を紡ぐ。

「大丈夫です……僕は大丈夫です……だからクルーゼさんも…話してくれませんか…?」
「………いいだろう」

一寸だけ、クルーゼが逡巡した風に間を置いて、答えた。
その響きは、どこか投げやりだ。

「それで、いったい何を聞きたいのかな?」
「……あなたは自分がどの世界の出身か、分るか?」
「第83管理外世界」
「それがキラの出身で―――なんだと」

思わず、聞き返すが聞き返す必要がないほどその世界は知っている。
前回、闇の書のあった世界。
クライド=ハラオウンが死んだ世界。
シグナムの消えた世界。
クルーゼと最初に接触した世界。

「バカな…あの世界に魔法技術は」
「ない」
「何故使える…?」

ロッテとアリアさえ動揺が表面に表れている中、クロノも動揺しながら、しかし毅然にクルーゼに挑む。
正直、リンディの心の傷を広げないように遠のけていた地区がビンゴだったという皮肉に、クロノは悔しさばかりが溢れるがそれも心の奥に押し込めて質問を追加していく。

「私も光の卵に選ばれていたと言えば、信じるかな?」
「!?」
「もっとも、辞退したがね」
「つまり、1度死んで復活を望まなかったのか?」
「その通りだ」
「……なんで、生きてるの……」

青ざめた顔で、キラが呟いた。儚い声音だ。
まるで、悪夢でも見ているような口調だが、その場にいたほとんどはそのままの意味でクルーゼを見た。
光の卵は復活を餌にして死者を闇の書に攻撃させる。
ならその前提として復活を望まない者がいれば?
ほとんどの者がそう考える中で、キラだけが違った。
何故、生きているのか?
まるで殺した人間が生き返ったかのような、ニュアンス。
キラ緊張がさらにきつくなっていく。
そのたびに、まぶたの裏に見えてしまう種子のヒビが多くなっていくような気がする。
そのたびに、感情が溢れる。楽しみ、悲しみ、喜び、怒り、あらゆる感情を伴う記憶が、あの種子の向こうにきっとある。
232失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/09(火) 02:22:10 ID:???
あるのに。
あるのにキラはこう思うのだ。
――砕けないで
嫌な予感がする。砕ければ、きっと嫌な想いを、思いだす。
『失ったままにした方が良い記憶も、あると言う事だ』
クルーゼの言葉が何度も耳に響いては消えていく。

「ヤマト、本当に大丈夫か?」
「…大丈夫です」

それでも、キラは耐えた。
今日までの不安を、きっと終わらせる。必死に探した記憶に、手が届くのだ。
――もっと思い出すぞー! って思わなきゃ!

(うん…そうだね、アリサちゃん)

ふと、思い返すのはアリサの言葉。それだけで、少しだけキラは勇気が出た。
思い出す勇気が。クルーゼを恐れない勇気が。

クルーゼの言葉は続く。

「光の卵のマスターを断ってすぐに私は廃棄された。その先は…正しければ虚数空間と言ったはずだ」
「虚数空間……まさかそこで見つけたのか?」
「そうだ」

待機状態のプレシアの杖を指でなぞりげ、クルーゼが頷く。

「このデバイスから魔法を学び、それから虚数空間をから出た」
「どうやって?」
「正直に言えば、私にも分からない。気付けば私がいたのは第83管理外世界だったのだから」
「……それで」

いくらか訝しげな視線をクロノはクルーゼへ向けるが、とりあえず先を促す。
隠し事やごまかしがあったとして、今は裏を取る術がない。

「そう睨まないでくれたまえ。気付いたのはちょうど、最初に君たちと接触する直前だ」
「フェイトを助けた時か。何故奴らを追う?」
「……」

クルーゼが黙った。
視線をキラに向け、まるで苦笑するように唇が釣り上がる。

「『在ってはならない存在』と言うものが、あると思うかな?」
233失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/09(火) 02:23:22 ID:???
ひときわ大きくキラの心臓が撥ねた。
間違いなく、聞き覚えのある言葉。それが、聞き覚えのある声から発せられたのだ。
汗が引かない。頭が痛い。震えまでし始めたキラの脳裏に、知らない情景がいくつも流れては消えていく。
さながら走馬灯。
それが記憶であるという事に、キラは数秒気付かなかった。
もはや、今見ている景色は遠く、今聞こえている声も遠い。ただ徐々に染み込んでくる記憶が鮮明。

「何を言っている?」
「ただの道理さ」
「……意味が掴みづらいな。たとえばどんな存在が、在ってはならないんだ?」
「死者」
「……なるほど、あなたは死人が生き返るという事に反発がある、と?」
「まさにその通りだ。死んだ人間は、何も出来ない。ただ、見守るしか出来ないのだよ」
「……ならばあなたも」
「そうだ…私も在ってはならない存在だ」

自嘲気味な笑い声がクルーゼから洩れた。
現実が遠いキラにとって、その声だけは鮮明に聞き取れる。
聞き取りたくない。
まぶたの裏によぎる種子は、どんどんそのヒビを微細なものにしていく。
砕ければ、記憶が溢れるのは分かる。
分かるのに。

「矛盾しているな」
「……フフフ、なに、私もすぐにいなくなるさ。それが道理だ。ただ、それも光の卵を消してからになる。あれは、決して認めていい存在ではなかろう」
「決着がついたあと、自決するつもりか?」
「それもいいがね……しかし、1つ、面白い人間と出会ってね」
「……ヤマトか」

全員の視線にさらされるキラだが、クロノたちはいていないようなものだった。
まるでクルーゼと対峙しているかのよう。
ピシリ、と幻聴が聞こえた。
瞬きの時、キラが見た物は欠け始めた種子。その隙間から流れ出てくるのは自分が生まれ、育つ過程。
ヤマト夫妻に養われ、アスランと出会い、サイたちと学んだ日々。
あらゆる記憶と名前と景色が巡るのに、キラは素直に喜べない。
ぽっかりと、穴が空いたようにある人物だけが思い出せない。
吐き気もめまいも通り超えて、気の遠くなるような奇妙な気分で、ただその人物だけぼやけたまま。
思い出したくないのだと、キラの冷静などこかが分析する。
いずれ、戦いの記憶が怒涛のようにキラの頭に蘇る。
ガンダム、アスラン、マリュー、ムゥ。
いくつもの修羅場が眼前に現われては霧散していく。
234失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/09(火) 02:24:32 ID:???
思い出したくない。殺したくなかった。
喘息のような呼吸をキラは止められない。それでもクルーゼから目が離せない。
いずれ、クルーゼが記憶に現れる。
クローン。スーパーコーディネイター。在ってはならない存在。憎悪と呪いの叫びをムゥと聞く。
そして加速していく記憶の中、キラはクルーゼを殺した。
何かが抜けていた気がする。いや、抜けている。誰かが欠けている。
何故クルーゼを殺した?
そこまで来ても、やはり誰か1人、ぽっかりと穴が空いたように思い出せない人物がいる。
誰?

「そうだ。キラ=ヤマト…」

クルーゼの声に、水でもかぶったように目が覚めた。
記憶の波は一瞬。
まるで永遠のような何年もの記憶は、それでも現実に数秒しか進まない。

「彼にとって、私は大切な人間の仇なのだから」

キラの脳裏で、また少し種子が欠けた。
ふわりと、赤い髪がなびくのを見た気がした。

「あ」

それでもまだ思い出せない。
それが誰なのかを。
想いだしたものは、ただ憎悪のみ。

「あああああああああああああ!!!!」

心の奥底で数年かけて鎮めた憎しみと悲しみが今、当時の鮮明さでキラの胸を焦がしていく。
気付けばキラはクルーゼへ踏み込んでいた。右手が疾風の速度で唸る。赤い魔力が実に奇麗に揺らめきながらクルーゼの顔面へ走り、

「何をするんだ?!」

クロノに止められる。
重いそのゲンコツにクロノでさえ事を驚いくほどの威力がある。
フェイトとアルフから突然の凶行と見られる横で、ザフィーラ、ロッテ、アリア、そしてクルーゼは冷静だ。
そのままフープバインドでキラを縛り、ひと先ず動けなくはする。バインドにあがきながら、キラは叫んだ。
235失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/09(火) 02:26:23 ID:???
「殺した……」
「なんだって?」
「なぜ殺したんだ!」
「な、何の事だ……誰を?」
「分からない……それだけが思い出せない……誰だったのかが思い出せない。でも……殺した………なぜ殺したああああラウ=ル=クルーゼ!!!」
「クックックッ、誰を殺されたか、覚えていないとは傑作だな。哀れな事だ。あの娘も、君も」
「あなたは!! あなたという人は!!」
「………管理局、君たちは手を出さないでもらいたい」

クルーゼの手元が閃けばプレシアの杖が再び起動。
強くもがくキラの力に、簡素にかけただけフープバインドはすぐに解かれるだろう。
さらにバインドを重ねようとしたクロノに対して、クルーゼが杖の先端を向けたのだ。

「何を馬鹿な…」
「ここからは、私たちの決着―――いや、決着はもうついていたな。そうだな……ただの、けじめだ」
「うあああああああああああ!!!」

粉々に砕いたバインドの幕を割って、キラが突っ込んだ。
同速度を用いて距離を調節しながらクルーゼが赤い刃を捌き、上空に昇る。
あっという間に管理局員らを取り残してキラとクルーゼが空を駆けて行った。赤と白が煌き、ぶつかり、何度も交差していく。

「な、なにしてるのさ! 早く止めないと…」
「止まらん」

一寸、間がなければまともな反応もできなかったアルフへとザフィーラは静かに言った。
クロノも、飛び出そうとするのをロッテに抑えられて不服そうである。

「奴らの因縁だ」
「……男って馬鹿だねぇ」

今度こそアルフは口に出してから溜息を吐く。
236失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/09(火) 02:27:34 ID:???
終わりです。
237通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 10:04:21 ID:???
>>失われた者達への鎮魂歌氏GJ!!
ついにキラが記憶のほとんどを思い出しましたね。
でもまだ彼女の事を思い出せないのはなぜ?
次回も期待してます。
238通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 11:54:00 ID:???
鎮魂歌氏GJ!

続きへのwktkがとまらない
239通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 15:10:53 ID:???
>>236
GJ!!
次回も期待してるぜ。
240通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 17:30:47 ID:???
>鎮魂歌さんGJ
キラ…ついに記憶をとりもどしてしまったんですね。
続きに期待してます!

>神隠しさんGJ
やばい、ヴィータが重傷おったとき、ひぐらしのBGMのbirth and death聞いてたら泣いてしまった…不覚…wwww
辺り一面真っ白な世界でキラは目を覚ました。
「あっ、起きたんだね?」
「君は……。」
キラは驚愕に目を見開く。目の前にいる人物は、キラ・ヤマト、自分だった。ただ、唯一ちがうのは目。
彼は目の光を失っていた。
「そんなに驚くことはないんじゃないかな?僕はいつも君と一緒にいた。
これでもいつも一緒にいて戦い、笑い、喜び、悲しんだんだよ?」
「じゃあ、君は…」
「そう、僕は君、君は僕。これで納得した?」
ふと、真っ白な空間に映像が浮かんだ。
目の前にはヴィータの後ろ姿。フリーダムがサーベル形態へと変化する。
「何をッ!?やめろぉぉおおお!!!」
キラは立ち上がり、目の前のもう一人の自分へととびかかった。

第22話 Pain to Pain

ゆりかご、玉座の間。
そこにいるのはナンバーズ10、4のディエチとクアットロ。
そして、玉座に座り、繋がれるヴィヴィオ。
ディエチはキーパネルを操作する手を止めないまま口を開いた。
「ねぇ…クアットロ、正直な感想を言っていい?」
「ご自由にぃ〜♪」
同様にクアットロ。
「この作戦…あまり気がすすまない…。」
「あらぁ?どうしてぇん?♪」
ディエチは手を止め、懸命に痛みに耐えるヴィヴィオに視線を移した。
「こんな小さな子供を使って、こんな大きな船を動かして…、そこまでしないと行けないことなのかな?
技術者の復讐とか…そんなのって…。」
「あぁ〜、あれ!あんなのドクターの口先三寸、ただのでたらめよ?」
クアットロが言った。
「そうなの?」
顔をしかめるディエチ。そんなディエチとは違い、淡々と鍵盤状のキーパネルを叩きながら言う。
「ドクターの目標は初めっから一つだけ…、生命操作技術の完成…、そしてそれが出来る空間づくり…。
このゆりかごはその為の船であり、実現の為の力…。
まっ、今回の件で軽く何千人か死ぬでしょうけど、百年経たづに帳尻があうでしょう♪
ドクターの研究わぁん♪人々を救える力だもの♪」
陽気なクアットロとは違い、どこか思いつめた表情のディエチ。
「どうしたの?ディエチちゃん?お姉さまやドクターの言うこと、信じられなくなっちゃったぁ?」
「そうじゃないよ…。そうじゃないけど…、ただ、こんなに弱くてちっちゃい命がそれでも生きて動いてるのを見ちゃうと…、この子たちは別に関係ないんじゃないかって。」
242リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/09(火) 18:42:50 ID:???
鎮魂歌さんGJです!
キラの今後に期待しますw

先に明日の投下予告をしておきます。
明日は朝から忙しいため予告ができないため今日行うことにします。
投下予定は明日の18時です、投下してもOKでしょうか?
キラ苦手派がいるようですが、ウチのキラは嫌われぬよう頑張っていきたいと思います!
それでは決意表明したところで失礼します。
「全てをみる前なら平然とトリガーを引けたのに…ねぇ?」
クアットロは呆れたように溜め息混じりにそう言った。
「ごめん、気の迷いだ…。忘れて。」
ディエチは空間モニターを閉じると、ヘビーバレンを背負う。
「命令された任務はちゃんとやる。」
黙って機嫌よく頷くクアットロ。
「そうしないと、地上にいるお姉たちも面倒なことになるしね。」
ディエチはクアットロの横を通りすぎて、命令された配置につきに行く。
(お馬鹿なディエチちゃん、あなたもセインやチンクみたいなつまんない子なのね。)
空間モニターを次々開くと、そこには各場所の戦闘状況が写っている、
(んふふふふ…。何にも出来ない無力な命なんてその編の蟲と同じじゃない。
いくら殺しても勝手に産まれてくる…それをもてあそんだり、じゅうりんしたり…。
籠に閉じ込めてもがいたりしているのを眺めるのってこぉ〜んなに楽しいのにねぇ…。)
クアットロの高笑いが玉座に響いた。

「何の為に戦ってるのか、それだけでも教えて!」
「出ないと…僕たちは君達を本当に…。」
激化する戦闘。キャロとエリオ、二人の思いをのせた言の葉をルーテシアは受け取ろうとはしなかった。
「ドクターのお願いごとだから…。」
周囲のインゼクトが輝きを帯、放たれる。
キャロも反撃防御。二人の攻撃が交錯し、フリード、ガジェットからキャロとルーテシアはとある建造物の屋上へと降り立つ。
「ドクターは私の探し物…レリックの11番を探す手伝いをしてくれる…。
だからドクターのお願いを聞いてあげる…。」
「そんな、そんなことの為に…。」
ルーテシアの戦う理由を聞き、キャロ。
失言だった。
「そんなこと…」
再び輝きを増すインゼクトたち、キャロは障壁を展開して放たれる光弾を防ごうとするが、叶わず、障壁が砕け、爆煙がキャロをつつむ。
「あなたにとってはそんなことでも、私にとっては大事なこと…。」
「違う違う…、探し物のことじゃなくて…。」
「ゼストももうすぐいなくなっちゃう…。アギトもきっとどこかへ行っちゃう。」
キャロの言葉を無視してルーテシアは続ける。
「でもこのお祭りが終われば、ドクターやウーノたちとみんなでレリックの十一番を探してくれる…。
そしたら母さんが帰ってくる。そしたら私は不幸じゃなくなるかもしれない。」
ルーテシアは悲しげにそう呟いた。
244リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/09(火) 18:46:35 ID:???
やってしまいましたorz、支援です。
スカリエッティ、アジト
入り乱れる金、紫のニ色の光。
「はぁぁあぁ!!」
フェイトが気合いとともにトーレに一閃を見舞うも、かわされてしまう。
ちなみに、ラウは下から二人が戦う様子を眺めている。
戦闘に参加しない理由はトーレとセッテに必要ないと言われたからである。
二人が戦うというのだから、ラウはわざわざ我をはってでも戦おうとしなかった。
そしてその結果、セッテはプラズマランサーとの連携により敢えなく撃墜。
バインドで縛り上げられている。
そして、フェイトの設置したバインドにかかったトーレに放たれるトライデントスマッシャーが、トーレの意識を刈り取った。
ラウは溜め息を吐き、肩で息をするフェイトへと一歩近付く。
フェイトは自分の周囲にプラズマランサーを待機させ、片膝ついたままラウを警戒。
(AMFが重い…二人は倒した。でも…あと一人いる。
早く先に進まなきゃ行けないのに…。だけど…ソニックもライオットもまだ使えない。
あれを使ったら…もうあとがなくなる。スカリエッティまでたどり着けなくなったら最悪だし…。
逮捕できても…他の皆の援護や救援に行けなくなる…。)
不意に、空間モニターが開いた。
『やぁ、ご機嫌よ、フェイト・テスタロッサ執務官。』
「スカリエッティ…。」
『我々の楽しい祭の序章は今やクライマックスだ。』
「何が…何が楽しい祭だ!今も地上を混乱させている重犯罪者が!」
歯を悔い縛り、喉の奥底から絞り出すように荒い声をあげるフェイト。
『重犯罪?人造魔導士や戦闘機人計画のことかい?
それとも私がその根幹を設計し、君の母君、プレシア・テスタロッサが完成させたプロジェクトFのことかい?』
「全部だ…。」
『いつの世でも革新的な人間は虐げられるものでね…』
怒りを露にするフェイトと、相変わらずフェイトをおちょくるようなスカリエッティ。
「そんな傲慢で…人の命や運命をもてあそんで…」
バルディッシュを握る手に力が込められる。
『貴重な材料を破壊したり、必要ないのに殺したりはしてないさ…。尊い実験材料に変えあげたのさ、価値のない無駄な命をね。』
そのスカリエッティのセリフが引き金となり、フェイトの怒りと呼応して魔力が増大する。
大剣を振り上げた。
『ふむ、トーレ、セッテはやられてしまったか。ラウ、頼んだよ?』
「了解、レジェンド!」
フェイトを取り囲む灰色に輝く発射体つきの魔力弾から一斉に奔流が放たれた。
オットーを魔力ダメージでノックダウンさせ、バインドで縛りあげるシン。
「結界は?」
ティアナが閉じ込められた緑色の結界が砕け散る。
「スターズ5、シン・アスカ、ナンバーズ二名を確保。」
ロングアーチスタッフ、シャーリーに告げるシン。
『丁度よかった、シン。今から援護に向かって欲しいの。』
「でも、ティアナが…。」
モニターが開かれる。
写っているのはシグナム、ゼスト、アレックス。
ニ対一だ。
『最初は、他に数名航空魔導士がいたんだけど、アレックスを押さえきれず撃墜されてしまって…。
今はリイン曹長とユニゾンしたシグナム副隊長が一人で二人を相手に頑張ってるけど。』
「(ティア!)」
シンは直ぐ様ティアナに念話を繋いだ。

ウェンディが連射するエリアルキャノンをティアナは避けては撃ち返しを繰り返す。
「(何よ?こんなときに…。)」
ウェンディの攻撃が止んだ。突如、ティアナを覆う影。
瞬時にバックステップし、魔法陣を展開。
「クロスファイアシュート!!」
空間に無数の魔力弾が生成され、着地したノーヴェ向かって一斉に放たれる。
だが、間に割って入ったウェンディに楯で防御されてしまう。
「(悪い、ティアナ、お前の援護に行けそうにない。シグナム副隊長が…)」
シンからの念話。
「(まぁ、こっちは逃げ回りながら戦うわ。)」
柱の影に隠れ、呼吸を整える。
「あの野郎、ちょこまかと…。」
「(私は自分で何とかするから…、今日証明してやるわ、ランスターの弾丸は何だって貫けることを…。)」
「(悪い!)」
シンからの念話が切れると同時、ティアナはカートリッジを交換。
思考を巡らせる。
(スバルっぽい方が攻撃した際にできる隙をカバーしてるのがあの楯を持った方。
楯を持った方は中距離、遠距離の攻撃で私の足を止めに来てるから…厄介なのは楯を持った方ね。)
ティアナは幻術を使い、もう一人の自分を作り出す。
「さぁ、やるわよ。」
ティアナ自ら柱の影から飛び出した。
狙い撃つウェンディ、
(ここ!)
僅かばかり半身を捻ってエリアルキャノンを避け、着弾した瞬間にあたかも衝撃により幻術が破壊されたように、オプティックハイドで姿を消し、移動する。
同時、自分の幻術を操作、柱の陰から陰へと移動させた。
「「炎熱加速!火竜一閃!」」
「「炎熱消火!衝撃加速!」」
火竜一閃は相殺され、ゼスト&アギトから放たれた攻撃と同じくして動き出していたアレックスがシグナムに向け斬撃を繰り出そうとした刹那、
『フラッシュエッジ』
緋色の刃がアレックスを襲う。
ジャスティスで弾き飛ばし、ついでアロンダイトによる縦一閃をサーベルで防いだ。
「あんたって人はぁぁああ!!!」
鍔競り合いに押されアレックスが後退、二人して近くのビルへと突っ込んで行った。
「シン・アスカか、正直…助かった。」
額から頬を伝う血を拭うシグナム。
「はいです。」
リインも同様に返事をした。
「(旦那ぁ…。)」
「(心配するなアギト…まだ一対一ならば何とかなる。)」
幾度となく刃で打ち合い、火花を散らした。

ゆりかご内、玉座の間へ向かうなのは。途中に現れるガジェットの大群の攻撃を蹴散らして行く。

玉座の間
『駄目だクアットロ、手がつけられない…。』
クアットロがキーパネルを操作していると、ディエチからの通信が入った。
「まっ、予想の範疇よ。あの人の終幕はここ…玉座の間だから…どこも思ったよりは持っているけど…、まっ時間の問題ね。
私たちはゆっくり…見ていればいいわ…。」
クアットロは醜悪に顔を歪めた。

「いきなりで驚いたよ…、だけど…、ヴィータ副隊長…死んじゃったね。」
真っ白な空間、キラはもう一人の自分を押し倒したまま放心していた。
「そろそろ退いてもらおうか…。」
ドッ
音と共に体に走る衝撃。キラは真っ白な床を転がっていった。
「僕が…ヴィータを…。」
仰向けに倒れたまま、己の手を見つめるキラ。
「さて、次はなのはさんだね…。でも、彼女は凄いね。僕は勝てるかな?」
もう一人のキラが口を歪にゆがめ、醜悪な笑みを浮かべる。
「やめろ…やめてくれぇ…。」
「いや、僕は勝てると思うね…、今までは君が僕を支配していたけど…。
今はドクターのおかげで君の体は僕のものだ。せっかく世界最高のコーディネイターにしてもらったんだ。
力は使わなきゃ損だろ?」
キラは首を振る。だが、もう一人のキラはさらに首を振る。
「力だけが全てじゃない、違うね…。力があれば何だってできる。
それは君が身を持って僕に証明してくれたじゃない?」
「…違う!僕は!!」
「どうしてもやめて欲しいと言うなら…」
もう一人のキラが片方のフリーダムを投げて寄越した。
「力づくでどうぞ、フリーダムを手に取りなよ。
君は理想や綺麗ごとを並べるけど…丁度いいから教えてあげる。
力だけがものを言うことがあるということを…。」
キラは目の前に横たわるフリーダムをただ見つめるばかりだった。
248通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 18:52:16 ID:???
支援!
うつ伏せに倒れているヴィータはその体勢のままグラーフアイゼンに修復をかけ、それを支えにしてゆっくりと起き上がった。
「…っつ。あの馬鹿……。駆動炉が終わったら…ぜってぇぶっ叩く…。
はぁっ…はぁっ…ッつぅ…。」
ヴィータはグラーフアイゼンを引きずりながら駆動炉へと向かい始めた。

第22話 Pain to Pain 完

以上、投下終了です。めちゃくちゃな展開で反省してます。
たくさんの感想などありがとうございました。
かなり展開をはしょってますが、最後まで応援よろしくお願いします。

次回、第23話 Stars Strike
250リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/09(火) 19:02:02 ID:???
まずはすいませんでした
かなり鬱な気分になりました、楽しみにしてるSSの間に入れるってorz

そして、GJです!
今回のキラの心の中(?)の描写は全く予想外で凄かったです。
シンとキラの戦いがどうなるかが一番気になります!
キラがなのはと戦う前、戦ってる途中、フルボッコされた後、いつ目を覚ますのか気になりますね。
そして、アレックスとの本気バトルも楽しみですw
これからも頑張ってください!
最後にもう一度すいませんでしたorz
251通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 19:02:16 ID:???
リリカルクロスSEED A´s氏
それでは明日楽しみにしています。
252神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/09(火) 19:06:06 ID:???
>リリカルクロスSEED A's

自分も氏の作品は楽しみにしています。がんばってください!

それから、割り込みは気にしないで、私は気にしません
253通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 19:24:34 ID:???
>>249
ぬお〜〜!なんて投下速度なんだ神隠し氏!GJ!
キラは正気な部分が残ってるなんてせつねえぜ‥‥。
でも、ヴィータは生きてて本格的なフラグの予感w
254通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 20:03:58 ID:???
グレートォォォ!!
キラは内なる自分を超えて、更なる高みへと進化か!?
元々例えるならコップとして、水が入る量はシンやアスランやレイとは比較にならない。
最強への第一歩か!!
255通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 20:17:59 ID:???
目を覚ましたキラにはミーティアビームソードでゆりかごを叩っ斬るくらいのことをしてもらわんとな。
256通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 20:19:29 ID:???
ついでになのはさんとヴィヴィオもニコポでKOだ
257通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 20:48:29 ID:???
ヴィータを殺しかけた罪悪感から爆発炎上するゆりかごに独り残るキラと
「歯ぁ食いしばれぇっ!」と死にかけの体でキラを殴りに行くヴィータ
258通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 20:50:04 ID:???
神隠しさんGJです。あまりの投下ペースに読む側としては歓喜です!
キラは内なる自分を超えてCE最強のスーパーコーディへと進化しそうな感じですね
キラもアスランもやる気さえあれば相当強いからな。いろいろ期待してしまう・・
話が終盤なだけに相当盛り上がってきましたね。続きも楽しみ待ってます
259まじかるしん:2007/10/09(火) 20:53:11 ID:???
9時過ぎぐらいに投下してもいいですか?
260通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 20:55:27 ID:???
>>256
それは禁止!! つまらなくなるだろ?
261通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 20:56:29 ID:???
>>259
いいよ
262通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 21:13:45 ID:???
>>256
そこはやめてよね(ryだろw
263通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 21:14:27 ID:???
でもエクストリームブラストモードのシンなら、ミーティアビームソードよりデカいアロンダイト振り回しそうだな
もしくは光の翼そのものが
264通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 21:19:26 ID:???
キラにも更なるパワーアップ形態が欲しいところだがあえてシンのようにデバイスそのものの強化ではなく
コーディネイターとしての本質に基づくキラ自身の進化とか
265まじかるしん:2007/10/09(火) 21:21:45 ID:???
少々遅れてすみません。それでは投下します

魔道戦士まじかるしん 30話 「ベルカの騎士」

「既に中に入ってからもう10分か……」
シグナムはイラつきながら研究所を見る。
既にすべての酸素は抜けており、未だにフェイト、そしてシンとレイが出てくる気配はない。
ここまで来て帰ってこないという事は、シンとレイのも身にも何かあったのだろう。
もうここまで来たら絶望的かもしれない。
流石にフェイトを信頼しているもみんなも、ほとんどあきらめかけている。
「フェイトさん……」
キャロにいたっては既にないていた。
エリオも泣きたい気分だが、がんばってそれをこらえる。
「フェイトちゃん……」
フェイトの親友、なのはも彼女の身を案ずる。
「くそ!」
シグナムは叫びながら研究所のほうへ向かおうとする。
しかし、ある人物に腕をつかまれる。
「主……」
シグナムははやての顔を見て苛立ちが消えていった。
「今、さらに犠牲を増やすわけにもいかん」
いまのはやては、本当に悔しそうな顔をしている。
自分がフェイトを止めなかったばかりにこうなってしまった。
もし、本当に死んでいた場合、リンディやクロノになんていえばよいのだろうか。
そう思ったときだった。
急に目の前の研究所から爆発が起きた。
「な、何!?」
はやてはそのほうを見る。
爆発と共に出てきたのはレイと、先ほどまでお姫様抱っこでフェイトを抱いていたシンが、今では木材を担ぐようにフェイトをもって出てきた。
シンはフェイトをゆっくりと地面に寝かせる。
「フェイトさん!」
どうやらまだ生きているみたいで、ほっとするエリオたち。
「エリオ…キャロ……」
フェイトも外へ出たのだと思うと、ほっとして
しかし……
「にがさん!」
それと同時に、シェルブリッドを装備し、ハイペリオンになったカナードが突っ込んできた。
「む?」
カナードは異変にきづき急停止する。
目の前には他の機動六課のメンバー。
(ち、深追いしすぎたか……)
カナードの前にはやてが出てくる。
「機動六課部隊長の八神はやてです。ご同行願えますか?」
はやての言葉に、返事の変わりにシェルブリッドをかざす。
浸かり、同行する意思はないということである。
だが、これだけの数は流石に分が悪い。
そう思い再度研究所に戻ろうとしたときだった。
カナードの後ろに何かがつきたてられる。
266通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 21:23:01 ID:???
キラ自身の進化?



キラ「もっと、もっとだ!もっと輝けぇぇぇぇぇぇ!!撃滅のハイマットフルヴァァァストォォォォォォッッ!!!!」



これか!?
267まじかるしん:2007/10/09(火) 21:24:41 ID:???
それはシグナムのレヴァンテインだった。
シグナムはすぐさまレヴァンテインをシュランゲフォルムに変え、逃げ場所をふさぐ。
(ちぃ……)
カナードは舌打ちをしつつも周囲を探る。
この場をどうやって脱出するか……
実は、このコロニーの宇宙港のドッグに、このコロニーに来るために使った輸送船がある。
そこの到着背すれば同にでもなる。
だから、ここをなんとしてでも脱出しなければならない。
(隙を突くか……)
カナードはキョロキョロと周囲を見る。
おそらくフェイトその場にいる二人の子供は狙いや周防だが、それを察しているのか隊長陣が厳重に見張っている。
(ならば……)
カナードはヴィータの方へと向かう。
ヴィータの方も構える。
どうせ自分をエリオやキャロみたいなものだと思っているだろうとヴィータは呼んだ。
「甘え!!」
ヴィータもグラーフアイゼンを構え応戦しようとする。
(かかった!)
カナードはヴィータは自分を迎えようとしたときに急旋回する。
それと同時に、肩にある3枚の翼のうち、1枚が消える。
そこからは謎の力が発生し、すさまじい加速でその場を離れる。
「しまった!!」
ヴィータはあせってカナードが向かった方向を見る。
「はやて!!」
そう、その方向にははやてがいるのだ。
「衝撃のぉ…ファーストブリッドオオオオォォォォ!!」
カナードは叫びながらはやてのほうへと向かう。
酔えきれないと察したはやてはプロテクションを展開。
ファーストブリッドとプロテクションがぶつかる。
「う!?」
はやてはこれまでない衝撃に苦痛の顔を浮かべる。
以前に受けた鉄球の攻撃をも軽くしのぐほどの衝撃だった。
「ううおおおおぉぉぉぉーーーーー!!」
カナードはもう一度叫び、その衝撃と共にプロテクションを打ち破ち、カナードの右腕ははやての鳩尾に直撃する。
「が!!…は……」
そのまま一気にはやてを吹き飛ばす。
はやてはものすごい速さで建築物にぶつかる。
「はやてちゃん!!」
なのはははやての所へ向かおうとする。
それを見たカナードは一目散にこの場を後にしようとする。
「!?」
しかし、それはシグナムによって阻止された。
すさまじい速さで切りかかってきたシグナムに、カナードは直前まで気付かなかった。
攻撃は紙一重で避けたが、ぱさりと自分の神が数本切られた。
「なのは……はやてをたのむ」
ヴィータも静かになのはにはやての事を頼む。
「スバルとティアナもはやての所へ行け。
こんなぼろいコロニーじゃなのはは全力を出せねえだろうしはやてのこともある、もしもの時にしっかり二人を守れ」
268まじかるしん:2007/10/09(火) 21:26:13 ID:???
ヴィータの言葉にはい!と急いでなのはのところへ向かう。
それを見たヴィータはカナードを睨む。
その目には涙があふれていた。
悔しかった、目の前ではやてがやられたのを見て。
「シグナム……あたし…」
「ヴィータ、これはお前だけではない。見抜けなかった我らの責任だ」
シグナムの顔からも、悔しさと怒りが入っていた。
自分達の目の前で主に怪我をさせてしまった不覚。
言い訳はしない。これは紛れもない自分達の責任だ。
「だが……」
「ああ、今はあいつをぶっ飛ばす!!」
カートリッジを消費するヴィータとシグナム。
カナードも同時に構える。
どうやらあの二人の火に油をそそいでしまったようだ。
「まずは私から行くぞ!」
まずはシグナムは高く飛び上がる。
さらにカートリッジをロードする。
カナードもそれを応答に飛び上がる。
「撃滅のおおぉぉ!」
「紫電……」
カナードはもう一度羽を消費し急加速。
シグナムのレバンティンの周囲に炎をおびさせる。
「セカンドブリットおおぉぉーーーーー!!」
「一閃!!」
二人の叫ぶと共に、ぶつかる剣と拳。
「くううぅぅぅ……」
「ぬぅおおぉぉ……」
その力は互角。
激しい魔力が周囲に飛び散る。
「すげえ……」
フェイトやエリオのそばでそれを見ていたシンは今日が驚愕の顔を浮かべる。
「これが、本気のSランク同士の力かよ……」
そして思う、いつかは自分もあのように強くなって見たいと。

「はやて部隊長、大丈夫ですか!?」
スバル達ははやての所へ駆けつける。
「スバル、ティアナ…私じゃ今どうなってるかわからないし、どうすることも出来ないからシャマルさんを呼んでるんだけど……」
なのはの視線の先には、腹部の甲冑が砕けバリアジャケットも破られ、さらにはかなりひどい痣まで出来ていた。
骨も折れているかもしれない。
そのことシャマルに話すと、すぐに特急で駆けつけるといっていた。
(シャマルさん、今私にできる事はありますか?)
なのはは今時分にできることはないか尋ねる。
(なのはちゃん……正直、はやてちゃんの様態を詳しく見たいとわからないんだけど、そんなにひどいの?)
269まじかるしん:2007/10/09(火) 21:31:14 ID:???
シャマルは本当に心配そうに尋ねる。
(はい…甲冑や服も裂けて、ひどい痣まであって……骨も何本か折れてると思います)
なのはから大方の事を聞いて、シャマルはしぶしぶ言う。
(あんまりひどいと下手に触るといけないからそっとしておいて。
もしはやてちゃんが目を覚ましたら、下手に動かないでって言っておいてね)
わかりました、と悔しそうになのはは言う。
わかっている。こういう事に関する事はシャマルが専門で、自分には出来ないことは。
だが、仲間が、大事な友達が大変な目にあっているのに何も出来ないのが悔しかった。
(それで、フェイトちゃんは大丈夫なの?フェイトちゃんも倒れたって聞いたんだけど)
フェイトの事を聞かれ、なのははフェイトのほうを向いて答える。
(フェイト隊長は既に起き上がっているみたいだから多分大丈夫だと思います。向こうにはエリオたちやシンたちもいますから)
なのはの視線には、何とか上呼吸を整え、上半身を起こしているフェイトがいた。
それを聞いて、うーん…と悩むシャマル。
(とりあえず、すぐにそちらに向かいますね)
そういって通信を切るシャマル。
「うう……」
すると、はやてが目を覚ました。
「はやて部隊長」
「スバルにティアナ。それになのはちゃんも…ここは……」
スバルの声に反応して、はやては周囲を見る。
その時、シグナムがカナードと戦っているところを見る。
「シグナム!」
すぐに援護に行こうと立ち上がろうとする
「っつ」
その時、腹部に激痛が感じるのをはやては感じた。
「はやてちゃん安静にしてなきゃ。もうすぐシャマルさんもくるから」
「そうですよ」
なのはたちに言われ、悔しいが仕方なくその場に寝るはやて。
「リィンフォースは……」
はやての言葉に、なのははリィンフォースのほうを指差す。
そこには自分と同じくぼろぼろで気を失っているリィンフォースがいた。
「とっさにリィンフォースがはやてちゃんをかばったんだと思う」
なのはの話を聞いて、はやては涙を浮かべる。
「ごめんなあリィン。私がもっとしっかりしとったらこんな事にならへんかったのに」
と自らの油断を責めるはやて。
そしてはやてはもう一度シグナムの方を見るのだった。
その時、シャマル、そしてザフィーラがすぐそばまでいるのをはやては感じた……

(そろそろか……)
カナードと必殺技のぶつかり合いをしている中、シグナムはタイミングを図る。
このカナードと言う男、かなりの実力を持つ。
テスタロッサと同じか、それ以上と言うのも納得がいく。
いや、この変な攻撃を含めれば、確実に上かもしれない。
遠くから見れば互角に見えるかもしれないが、シグナムには既に苦痛の表情を浮かべている。
だが、カナードは表情を見る限り、まだ余裕がありそうだった。
(レヴァンティン、もう少しの間耐えてくれ)
シグナムは自分の相棒を見る。
270まじかるしん:2007/10/09(火) 21:33:24 ID:???
(ヴィータ、まだか?)
シグナムは少々あせりながら、今回の鍵を握るものに聞く。
(ああ、いつでもいいぜ!)
ヴィータは上空でグラーフアイゼンを構える。
「アイゼン、一気に行くぞ!!」
ヴィータはカートリッジをロードすると、アイゼンは巨大なハンマーへと姿を変える。
「何!?」
カナードは更なる増援に驚き、少し隙が出来てしまう。
そのわずかな隙に、シグナムは渾身の力をこめてその場を離れる。
シェルブリッドにヒビを入れるというおまけ付きで。
カナードはそんなシグナムをほうっておいてヴィータを見る。
さっきの魔術師の攻撃で社得るブリッドにひびが入っている。
「くっ、抹殺のラストブリットオオォォォーーーー!!」
だが、それでもカナードは3枚あった最後の羽を消費する。
だが、満足な状態で放ったヴィータと、そうでないカナード。
二人がぶつかり、少し経過したときだった。
いきなりバインドがカナードの腕に撒きつく。
「何!?」
バインドとヴィータの攻撃でぴきぴき、とシェルブリッドのヒビがさらに深くなる。
「ぶちぬけーーーーー!!」
ヴィータの叫びと共に全力で力を入れ、シェルブリッドを叩き割る。
「ううぅぅ!」
その激痛にもだえるカナード。
そのままヴィータはアイゼンを思いっきり振り、カナードにぶつける。
「がああぁぁぁぁーーーー!!」
カナードに激痛が奔り、絶叫を上げる。
「まだまだあ!!」
だがヴィータの勢いは止まらず、はやてのお返しとばかりにカナードを吹き飛ばす。
「はやてを傷つけた罰だ!ぶっとべーーー!!」
カナードは思いっきり研究所のほうへ吹き飛ばされ、はやてと同じように建物に激突した。
「はぁ……はぁ……」
ヴィータは深く息を切らしながらザフィーらを見る。
「ザフィーラ…助かった……」
そこには、はやての所までシャマルの護衛をしていたザフィーラ(人型)がやってきた。
先ほどのバインドはザフィーらによるものだった。
ついでに、戦闘メンバー全員出て行って六課本部はどうするんだよ?という疑問が出るが、
そこは気を利かせたクロノ、そしてゲンヤがいくつかの部隊を六課に送り緊急時に備えている。
「ヴィータ、後は俺に任せて主のところへ。シャマルも既にいる」
ザフィーラの言葉にああと頷き、ヴィータはこの場を後にしようとする。
「ザフィーラ……ごめん」
だが、ヴィータは涙を流しながらザフィーらを見る。
「私のせいで…私のせいではやては……」
ザフィーラはそんなヴィータを見て、ぽんと優しく手を頭に置く。
「シグナムも言っていただろう。これはお前だけではない、我らだけの責任だ」
うん、と頷くヴィータ。
そして急いではやてのほうへと向かっていく。
271通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 21:35:40 ID:???
支援!!
272まじかるしん:2007/10/09(火) 21:36:22 ID:???
「ザフィーラ、早く行こう。あいつが何をしでかすかわからん」
シグナムの言葉にああと頷いたザフィーラ。
二人はヴィータが吹き飛ばしたカナードの元へと急ぐ。

ヴィ「何とかカナードを倒した機動六課」
シグ「しかし、カナードはまだすべての力を出していなかった」
シャ「ついにカナードは反撃を開始する」
ザ「次回「クローンと実験材料」に、クリナップクリンミセス」
ヴィ「そういや、ザフィーラがこのコーナーに出てくるのってほんと久しぶりだよな。もしかして始めてじゃねえか?」
ザ「そうかもしれん」
シ「そのあいだ何をしていたのだ?」
ザ「このコーナーのADをやっていた」
シャ「え?」
ザ「見なかったか?たまにかんぺを出してたのだが……」
ヴィ「わりぃ…全然気付かなかった」

投下完了。
少々投下が遅れてすみません。
それにしても…はやてをちょっと弱くしすぎたかな?
273通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 21:42:11 ID:???
更新乙!
シェルブリットのカナード強すぎw
ここまでやってもまだ倒し切れないとは流石スクライダーは半端じゃないな
274通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 21:48:05 ID:???
投下乙
はやてはタイマンだと六課内ではキャロ(竜召喚無し)に次ぐ弱さという公式設定なので無問題
彼女が真価を発揮するのはチーム戦及び遠距離からの殲滅戦
275通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 22:11:30 ID:???
GJ!
まさか激動のハイブリッド×1000が来るのか!?
276通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 22:19:46 ID:???
>>266に割り込んですまない

ちょっと世界ちぢめてくる
277通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 22:24:51 ID:???
スゲェ・・・・・投下ラッシュだ。
この調子で高天さん来ないかな〜
278通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 22:43:10 ID:???
ほんと、一気にくるよな
心理学的に説明できそうな感じするけど単に職人さんって書く速度が合うのか?
魔法少女リリカルなのはC.E.73氏来ないかなぁ・・・・
279通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 23:34:44 ID:???
神隠し氏のすごいところはシンとキラをバランスよく活躍させられるところだな
両方同じくらいに好きな俺にとってはたまらない
280通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 23:40:19 ID:???
GJ!!もう、まじかるしんのカナードの性格は頭のいいカズマでいい気がしますw
第二段階が漫画版で来るのかアニメ版で来るのか楽しみです。
アニメ版でもキツイのに、漫画版なら兄貴の速さも手に入れてるんだよなぁ。
281通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 11:01:34 ID:???
アニメディア11月号の都築先生へのQ&A

「フェイトはスカリエッティとの戦いを終えて、プロジェクトFの因縁からは解放されたのでしょうか?」
もともとさほどプロジェクトF関係はさほどの悩みではなく、自分が人として保護者としてちゃんと生きていけるか、
やっていけるかというほうが大きい。その副次的な原因として自分の生まれや育ちが気にかかることがある程度。

「ヴォルケンズには寿命ができたのでしょうか?」
はやて生存の限り無限再生という機能が壊れつつあるだけで、
成長したり何歳で死ぬという人間的な寿命を得たわけではない。
ゆりかご内部ではやての救助が遅れていたらヴィータが最初に消滅していた。

「捜査に非協力的なナンバーズや捕まったスカリエッティは今後どうなるんでしょうか?一生拘置所?」
スカリエッティ、1、2、3、4、7には自分達が犯罪者という意識がない。
目的を果たせなかった結果として裁かれることになっただけで赦されることは望んでないし、
出たら夢に向かっての行動をしようとするという心は折れないため釈放される方向に進むことは難しい。

「スカリエッティの計画に力を貸していたのは最高評議会だったとわかりましたが、これは極秘事項
として片付けられるのですか?」
事件の担当者は事件の経緯と最高評議会の関与を知っている。
(この情報提供のおかげで協力的なナンバーズの処遇がずいぶん温情的なものになっている。)
レジアスの件含め隠しきれるものではないのでニュースにはなっているが、
管理局システムを覆さざるを得ないほどの大事件にまでは進展していない。

「エリオはなぜ大切なフェイトの側を離れてまで、キャロと同じ配属先を選んだのですか?」
エリオの見る夢はフェイトと肩を並べて歩める執務官ではなくフェイトや大切な人を守り支える騎士だから。
そばにいる時間を多くするよりもいろんな場所で経験を積んで立派に育っていくということを
キャロと話し合ったりして、ふたりでいることのいろいろなメリット含めて進路を決めた。

「はやては今でも少数精鋭で即座に動ける隊を常時管理局の中に存在できるようにと思っているんですか?」
2話で語った夢は世界を知らない15歳の時なりの夢だったとはやて自身は認識している。
今後どうなっていくかははっきりとは分かってないが六課の稼動暦は有用なデータとして残る。

「最終回後、ヴィヴィオとなのは、フェイトの暮らしはどうなっていますか?」
ヴィヴィオは学校に通いながらなのはと同居。
フェイトとは映像通信でちょくちょく話す程度で、単身赴任の父親と会うくらいの頻度。

「なのはは今後大きな事件があれば、また現場に行くのでしょうか?」
左官になると戦いや教導の現場に余り出られなくなるため昇進を辞退している。
一線で体を張って働く職業のため負傷や不調もあるが、それも含め今自分に出来ることをやり続けたいというのがなのはの願い。
もちろんヴィヴィオのママでいることも含めて。

「なのはやフェイト、はやてにはいい人が現れていないようですか、彼女たち、恋愛に興味があるんですか?」
「もしかして、もう恋愛なんか通り過ぎてるとか?」
恋はなくとも愛がたくさんある人生なので通り過ぎててもわりと大丈夫。多分。

また、なのは世界が広がったな。
282リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/10(水) 17:51:49 ID:???
予告通り18時投下を開始しますね。

まじかるしん氏GJです。
カナードが凄い強いですね〜、さすがですw

>>281
こういうのを見ると続編を書いてみたいな〜って思いますねw
しかし、StSをまだ見てないのでよく分からなかったりしますorz
283通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 17:53:14 ID:???
>>282
投下楽しみに待っています。
284リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/10(水) 18:00:40 ID:???
第三話「新しい出会いと決意」


キラは翠屋から出ると一人で病院に向かった。
骨折のため病院で検査をしないといけないらしいのだ。
キラが病院の廊下を歩いていると一人の車椅子に乗った少女がいた、足が不自由なようだ。
彼女は床に落ちた携帯を拾おうとしていた、するとバランスを崩して倒れそうになる。
「危ない!!」
キラはすぐに彼女を支えることが出来た。
「大丈夫だった?」
「あ、はい。大丈夫です」
近くで見ると関西弁のかわいい少女だった、なのはたちと同い年くらいだろうか。
キラは携帯を拾うと彼女に手渡す。
「ありがとうな・・・・えっと・・・・」
「キラ、キラ・ヤマトって言うんだ。よろしくね」
キラは彼女に笑いながら自己紹介をした。
「わたしは八神はやて言います。こちらこそ、よろしくな。キラ君」
二人は笑いながら握手を交わす。
するとさっき拾ったはやての携帯が鳴り、はやては「ごめんな」と言って電話を取る。
「うん、終わったで。それじゃあ、今からそっちに向かうな」
はやては電話を切ると残念そうに言った。
「迎えが来てしもうた」
「それじゃあ、早く行ってあげないとね」
「うん、キラ君はこれからなん?」
「そうだね」
「それじゃあ、ここでお別れやね。キラ君、お大事にな」
「はやてちゃんもね」
キラとはやてはバイバイとお互いに手を振りながら別れた。
これがキラとはやての出会いだった。

「ロストロギア、闇の書の最大の特徴はそのエネルギー源にある」
キラが帰ってくるとモニターを見ながらクロノとエイミィが闇の書についての話をしていた。
「闇の書は魔導師の魔力と魔法資質を奪うためにリンカーコアを食うんだ」
「なのはちゃんのリンカーコアもその被害に?」
「あぁ、間違いない。闇の書はリンカーコアを食うと蒐集した魔力の資質に応じてページが増えていく」
なのはのリンカーコアを食べたということはかなりのページが埋まったと考えられる。
「そして、最終ページまで全てを埋めることで闇の書は完成する」
「完成するとどうなるの?」
エイミィが不安そうにクロノに聞く。
「少なくとも・・・・ロクな事にはならない」
「・・・・・・・・」
キラはモニターに映っている闇の書を黙って見ていた。
285リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/10(水) 18:02:50 ID:???
海鳴市早朝
なのはは桜台林道で、フェイトは市街地のビルの屋上で自主訓練をしているらしい。
キラはというと訓練が出来る体でもないためリンディと朝ごはんの準備をしていた。
「キラさん、怪我の具合はどうかしら?」
「まだ治ってはいないですね。少し痛いくらいには回復しましたけど」
「キラさんはこれからどうするんです?」
「デバイスがなくても補助くらいは出来ると思います。ユーノ君やアルフも教えてくれるようですし」
「そうですか、学校ではフェイトさんやなのはさんをよろしくお願いしますね」
「う、リンディさん。僕の事は聞いているでしょう。僕は・・・・・」
キラ自身はもう大学生だし、小学校にもう一度通うのは遠慮したいのだ。
だが、リンディはそれを笑いながら流してくる。
「まぁまぁ、決まったことは仕方ないでしょう。キラさん」
「そうですけど・・・・・って、勝手に手続きしたのはリンディさんじゃないですか!」
「あら、気付いちゃいましたか」
そんなリンディにキラはため息をつきながら料理を再開した。
「って、リンディさん。卵焼きに砂糖入れすぎですよ!!」
そんな会話をしながらキラは思った。
(この人・・・・黒いかも)
「何か言いましたか、キラさん?」
「べ、別に何も言ってませんよ」
キラは冷や汗をかきながら朝食作りに戻った。

「さて、皆さん。実は先週急に決まったんですが、今日から新しいお友達と懐かしいお友達がこのクラスにやってきます」
なのは、すずか、アリサは嬉しそうにそれを聞いている。
「まずは新しいお友達から、海外からの留学生さんです。フェイトさん、どうぞ」
「失礼します」
フェイトが教室に入ると教室が賑やかになる。
「あの、フェイト・テスタロッサと言います。よろしくお願いします」
そうして、フェイトがお辞儀をすると拍手が沸く。
「それから、懐かしいお友達です」
キラが教室に入るとまた教室が騒がしくなる。
「えっと・・・この前は突然の転校でしたが、またここで勉強することになりました。またよろしくお願いします」
キラはフェイトの横に並んでお辞儀をし、フェイトと同じように拍手が沸いた。
286リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/10(水) 18:05:27 ID:???
休み時間になるとフェイトはクラスの子達に質問攻めだった。
キラは軽く皆と挨拶しただけだったのでそこまで集まることはなかった。
なのはたちのところへ行きフェイトの様子を見ている。
質問攻めに四苦八苦しているようだ、キラも同じ経験があったから大変さが良く分かる。
「フェイトちゃん、人気者」
「でも、これはちょっと大変かも」
「そうだね、フェイトちゃんの気持ちが良く分かるよ」
「はぁ、もう・・・しょうがないな〜」
アリサはなのはたちから離れてフェイトのほうへ向かう。
「はいはい!転入初日の留学生をそんなに一気に質問しないの」
「アリサ」
「それに質問は順番に、フェイト困ってるでしょう」
「はい、それじゃあ俺の質問から」
「はい、いいわよ」
そんな感じで質問に答えていくフェイトと順番をつけるアリサを見ながらキラは言った。
「何か、アイドルとそのマネージャーみたいだね」
「あはは、ほんとだ〜」
「だね〜」
そうやってなのはたちはそれを見ていた。

キラやなのは、フェイトは授業中に念話で話をしていた。
(それにしても本当にまたここに通うなんて思いもよらなかったよ)
(キラくんって16歳なんだよね。高校生なの?)
(いや、僕は工業カレッジに通ってて・・・・大学生なんだ)
(じゃあ、何でリンディさんはキラをここに通わせたんだろう?)
(さぁ、僕には分からないけど・・・・・)
(キラくん、ここに通うの嫌なのかな?)
なのはが不安そうにキラに聞いてくる。
(あ、いや・・・・そういうわけじゃないんだ。また通えてよかったと少し思ってるから)
(そうなんだ、良かった)
(私も、キラと一緒でよかったよ)
(えっと・・・・ありがとう。なのはちゃん、フェイトちゃん)
とはいえキラは真面目な性格の所為かしっかりノートを取るのであった。
287リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/10(水) 18:08:57 ID:???
昼休み
なのはとフェイト、アリサにすずか、そしてキラの五人で弁当を食べることにした。
「フェイトちゃん、初めての学校の感想はどう?」
「歳の近い子がこんなにたくさんいるの初めてだから何だかもうグルグルで・・・」
「あはははは」
「まぁ、すぐに慣れるわよ。きっと」
「うん、だといいな」
アリサはその後、キラに話を移した。
「それにしてもキラは私たちと一緒で良かったの?」
「え?キラがどうしたの?」
フェイトは何のことなのかさっぱりと言う顔だが他の三人は苦笑いだった。
「あ、あははは。だ、大丈夫だよ。断ってきたから」
「わたしはファンクラブがまだ在ったことに驚きだったよ〜」
「ファンクラブ?」
なのはの言葉にフェイトはさらに?マークが増える
「キラ君は勉強とかスポーツとか上手だし、カッコイイし、優しいからファンがいるの」
すずかが補足する。
「そんなにかっこよくないよ」
キラは苦笑いを浮かべるばかりだ。
「キラはもう少しは自分が凄いこと自覚しなさいよ」
「そう言われても・・・・アリサちゃんたちはどうなの?」
「へ?あたしたち?」
「この四人だって可愛いんだからファンクラブ出来ててもおかしくないと思うよ?」
「「「「か、可愛い!?」」」」
その言葉に四人の声がハモり、顔が真っ赤になってしまう。
「あ、あれ?どうしたの?」
「「「「・・・・・・・・・」」」」
そして、キラは自分の発言が原因だと分かっていなかった。
288リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/10(水) 18:11:42 ID:???
学校が終わり、なのはたちと別れたキラは病院に向かった。
「あ、キラ君や」
そこには昨日会ったはやての姿があった。
「はやてちゃん、来てたんだね」
「うん。今、付き添いが先生に話を聞いてるところなんや」
「そっか、はやてちゃんは足が悪いの?」
「大丈夫や。キラくんは骨折みたいやな、痛ない?」
「うん、大丈夫!・・・・とはいかないけどね」
「無茶しちゃアカンよ」
「はやてちゃんもね」
そう言いながら二人は笑いあって話をしていた。
「それじゃあ、すずかちゃんの友達なんや?」
「うん、同じクラスメイトだよ。他にも仲の良い友達が三人いるんだ」
「そうなんや、それはえぇことやな」
「僕ははやてちゃんとももう友達だよね?」
「うち、キラくんの友達なってもえぇの?」
「もちろん!よろしくね、はやてちゃん」
「嬉しいわ。ありがとな、キラくん」
そう言ってお互い笑いながら握手を交わすとキラの名前が呼ばれた。
「それじゃあ、また今度やね」
「うん。あ、そうだ」
キラはノートを出すと端に何かを書いてそれを破って渡した。
「これ、携帯のメルアドと電話番号。何か困ったことあったら連絡してね」
「分かった、後でうちもメールするな」
「うん。じゃあ、また」
キラは手を振って別の診察室へと入っていった。
それと入れ違いでシグナムが部屋から出てくるとはやての嬉しそうな顔が目に入った。
「主、どうしたのです?何か嬉しいことでも?」
「うん、友達がまた出来たんや」
「それは良かったですね」
シグナムはその少年の話やすずかの話を聞きながらはやての楽しそうな顔を優しそうに見つめていた。
289通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 18:12:30 ID:???
支援!!
290リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/10(水) 18:15:12 ID:???
病院から戻る帰り道、なのはの家の前でアリサとすずかを見送るなのはたちに会った。
そのままなのはの部屋に上がり三人でこの前の戦いについて話していた。
「ねぇ、なのはにキラ君はあの人たちのことどう思う?」
「あの人たちって・・・・闇の書の?」
「うん、闇の書の守護騎士たちのこと」
「えと・・・・私は急に襲い掛かられて直ぐ倒されちゃったから良く分かんなかったんだけど」
「僕はいきなり戦っているところにやってきてそのまま戦闘に入っちゃったからね」
「フェイトちゃんはあの剣士の人と何か話してたよね」
「うん、少し不思議な感じだった。うまく言えないけど悪意みたいなものを全然感じなかったんだ」
「そっか、闇の書の完成を目指してる目的とか、教えてもらえたらいいんだけど」
「話が出来そうな雰囲気ではなかったね」
なのはの言葉にキラが続いた。
「強い意志で自分を固めちゃうと、周りの言葉ってなかなか入ってこないから私もそうだったしね」
三人はプレシア事件のことを思い出していた。
「私は、母さんのためだったけど傷付けられても、間違ってるかもって思っても、疑っても」
キラはその姿を近くで見ていたので彼女の苦悩が分かる。
「でも、絶対に間違ってないって信じてた時は、信じようとしてた時は誰の言葉も入ってこなかった」
「「・・・・・・」」
それを寂しそうになのはとキラは見つめていた。
「あ、でも言葉をかけるのは想いを伝えるのは、絶対無駄じゃないよ」
フェイトはなのはやキラに話しかけられた自分を思い出しながら語る。
「母さんのためだとか、自分のためだとか、あんなに信じようとしてた私も二人の言葉で何度も揺れたから」
それを聞いて、なのはは少し微笑み、キラは優しく頷いた。
「言葉を伝えるのに戦って勝つことが必要なら、それなら迷わずに戦える気がするんだ」
「フェイトちゃん」
「なのはとキラが教えてくれたんだよ、そんな強い心を」
「そ、そんなこと・・・ないと思うけど・・・・」
「僕も、なのはちゃんやフェイトちゃんに教えてもらったんだ」
キラは二人に笑いかけながら言った。
「だから、強くなるよ。想いを貫くためにも」
「うん、想いだけでも力だけでもダメだからね」
「「想いだけでも・・・・力だけでも・・・・」」
「そうだね、私ももっと強くなる。一緒に頑張ろう。フェイトちゃん、キラくん」
「うん、頑張ろう。なのは、キラ」
「僕も頑張るよ、なのはちゃん、フェイトちゃんと一緒に」
三人は新たな決意を胸に強くなることを誓った。
291リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/10(水) 18:16:35 ID:???
投下完了です。
ラッシュ凄いですよね〜、自分も頑張らなくては!

今回も戦闘パートはなしです。
学校風景とかうまく書けたかどうかは不安です。
なのはたちのファンクラブがあってもおかしくないでしょね〜、管理局とかにもあったりしてw

やっと次の話は戦闘に入れそうですw
次回「閃光の刻」お楽しみに!!
292通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 18:22:06 ID:???
リリカルクロスSEED A´sさん、GJです。
293通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 18:27:18 ID:???
>>291
投下お疲れ様でした。
キラははやてと出会いましたか。
でも、シグナム達と一緒にいる時ではないので、はやてが闇の書のマスターである事に気づくことはありませんね。

デバイスがないので、どのような形でキラは関わっていくんでしょう。そして新たなデバイスを手にするのはいつになるんでしょうか。

そしてキラは天然ですか。

次回の更新も楽しみに待たせていただきます。


294通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 18:51:06 ID:???
291
リリカルクロスSEED A´s氏GJです。
キラは原作のなのは達よりも早くはやてと知り合いましたね。
でも、闇の書の主であることを知るのはおそらくなのは達と一緒でしょうね。

学校風景とかもうまく書けたと私は思いますよ。

キラは自分の可愛いと発言したことに自覚は持っていないんですね。

次回は戦闘に入れそうですか。
SEED本編では次回のタイトルの「閃光の刻」ではキラとアスランとの死闘がありましたが、リリカルクロスSEED A´sではどうなるのか楽しみにしています。



舞台裏
「酷いです…シンさん」
シャマルが泣いていた。
「同意だ、出番をとられた…。」
ザフィーラがボソリとシンに向かって呟く。
「うっ、仕方ないだろ!そういう流れになったんだから!!」
腕を組んでそっぽを向くシン。
「そうだよねぇ〜、シンもティアもずるいよねギン姉ぇと戦ってる私は全然描写ないんだよ?
きっと、なのはさんたち助けに行くときに
『スバル、無事?』
『うん、私は大丈夫、ギン姉ぇも…、今は眠ってるだけだから』
ってなるに決まってる!!」
スバルが涙を流しながら言う。
「僕たちも描写なしですよぉ〜。」
「私たちもがんばってるのにね、エリオ君、フリード」
キャロとエリオもぼやく。
「そんな皆さんに朗報です、ちゃんと活躍するシーンは用意されてるらしいですよ?」
とシャマル。
「無論、我等も活躍だ。」
ザフィーラが人型になり、シャマルとハイタッチすると、直ぐに犬形態にもどるザフィーラ。
シャマル「それでは、第23話 Stars Strikeです!」
ザフィーラ「テオアッー!!!!」
第23話 Stars Strike
ゆりかご内部通路。
なのはは進路を塞ぐガジェットを次々と破壊しながら進む。
『玉座の間までもうすぐです。』
レイジングハートが知らせた。頷き、なのははスピードをあげる。

一方、なのはが玉座の間に来るであろうことをあらかじめ予想していたナンバーズは予定通り、ディエチがなのはを迎え撃つ。
特殊な法陣を展開し、ヘビーバレンを構え、なのはが射程に入るのを待ち構えていた。
「5…4…3…2…1…0」
カウントダウンが終わると同時に
「エクセリオン・バスター!!」
オレンジ色の砲撃と、桜色の砲撃が同時に放たれる。
通路一杯を突き進むニ本の膨大な奔流が衝突。
力と力の押し合いが続く。
負けじと歯を悔い縛り、耐えるなのはとディエチ。
「ブラスターシステム…リミット1…リリース!!」
そのなのはの一言で、撃ち合いの勝負は着いた。
レイジングハートの先端の魔力が二倍に膨れあがり、圧倒的なパワーの差で押し戻す。
成す術なくして桜色の光に包まれるディエチ。
「ジッとしてなさい。」
なのははディエチにバインドをかけた。
「突入隊があなたを確保して安全な場所まで護送してくれる。」
それから、ヘビーバレンに封印も施すと、飛びさっていった。
「…本当に……人間か?」
ディエチはそれを呟くと、観念したのか、目を閉じた。
玉座の間へと向かうなのは。
左手を伝う血、なのは痛みに顔を歪めた。
『マスター』
レイジングハートがそんな主を気遣うが
「平気、ブラスター1はこのまま維持、急ぐよ!レイジングハート。」
スピードを更にあげ、手から何かを桜色の何かをばらまいた。

玉座の間に響くクアットロの笑い声。
「なぁ〜んだぁ、ブラスターシステム…なんて大袈裟な名前がついてるからどんなハイテクかと思ったら…。
ばっからしぃ…。」
それからヴィヴィオへと体ごと視線を向け、
「ねぇ、陛下ぁ〜、あなたのママは相当お馬鹿さんですよぉ〜?」
そのときだった。
玉座の間の扉を桜色の閃光が破壊し、なのはが入ってきたのは。
「いらっしゃ〜い!お待ちしてましたぁ〜。」
クアットロ不適にも笑いながらなのはを歓迎する素振りを見せた。
「こんなところまで無駄足ご苦労さまぁ…。さって、各地であなたのお仲間はたぁ〜いへんなことになっていますよ?」
空間に広がるモニターに写されたのは交戦する六課メンバーの姿だった。
「国家争乱罪の罪であなたを逮捕します!」
一応、モニターに目をやったものの、なのははあくまで平常心。
レイジングハートの先端をクアットロに向け構え、続ける。
「すぐに争乱の中止と武装の解除を…。」
「仲間の危機と…自分の子供のピンチにも、表情ひとつ変えずにお仕事ですか?
いいですねぇ、その悪魔じみた正義感…。」
クアットロがヴィヴィオの頬に指を這わすと、閃光。
なのはが放ったものだ。
しかし、クアットロに直撃はしたものの、クアットロの姿が消えてしまう。
代わりにモニターに映るクアットロ。
『でぇ〜もぉ〜、これでもまだ平静でいられますぅ?』
その言葉と同時にヴィヴィオが酷く苦しみ始めた。
痛々しい悲鳴に我慢できなくなったなのはが駆け寄ろうとするが、溢れ出す魔力がそうさせない。
「うぅ…ぁぅ…、ママァー!!やだ、ママァー、ママァー!!」
「ヴィヴィオ!!」
不快に輝く虹色の輝き、悲鳴と共に爆光に包まれ、ヴィヴィオの体が宙に浮いた。
『さぁ陛下、いつまでも泣いてないで、陛下のママをさらったこわ〜い悪魔がそこにいますよ?
がんばってそいつをやっつけて、本当のママを取り返しましょう。
陛下の体には、その為の力があるんですよ?
心のままに…思いのままにその力を解放して…。』
悲鳴とともに骨格が変化していくヴィヴィオ。体をナンバーズが纏っているのと同形のスーツが覆っていく。ただ少しだけ装飾が異なる。
そして、光が晴れたそこには、幾年か成長したヴィヴィオの姿が現れる。
「あなたは…ヴィヴィオのママを…どこかに拐った、」
覚えがないなのはは否定し、ヴィヴィオに正気を取り戻させようと必死の思いで叫ぶ
「ヴィヴィオ!私だよ、なのはママだよ!!!」
しかし、
「違う、嘘つき…あなたなんか…ママじゃない!!」
思いは届かない。
展開される純白の魔法陣。
「ヴィヴィオのママを…返して!!!!」
ヴィヴィオが叫ぶのと同時、感情に呼応して荒れ狂う魔力の波がなのはを飲み込んだ。
『んふ♪その子をとめることが出来たら、このゆりかごも止まるかもしれませんねぇ。』
クアットロを冷笑しながら平然と言う。
「レイジングハート!」
『W・A・S フルドライビング』
なのはも魔法陣を展開。
『さぁ…、仲良く、親子で殺しあいを…。』
愉快そうにクアットロがあざ笑う。
「ママを…返せ!!」
ヴィヴィオが叫ぶ。
「ブラスター、リミット2!」
ヴィヴィオ、なのは、二人の魔力が玉座の間に溢れかえった。
(結界が晴れれば戦い安いと思ってたけど…、中々外に出にくいものね。)
ティアナは各フロアにもうけられた階段の影に隠れ、自分が産み出した幻術を慎重に操る。
まだ幻術すら見付かるのはまずい。
切札、収束クロスファイア。
シュートバレットよりも発射に時間がかかるこれを確実に当てるためには幻術を巧く操作し、ウェンディにエリアルキャノンを撃ってもらわなければならない。
幻術とのタイミングがずれたらティアナはまた逃げ回らなければならない。
「さぁ…行くわよ!」
『了解!』
呼吸を整え、幻術を操作。
階下の幻術を不自然にならないよう慎重に操る。
「見つけたッス!」
ウェンディがくいついた。ティアナと同じ階、つまり上から幻術を狙い撃とうとするウェンディ。
「クロスミラージュ!」
ティアナが呼びかけると同時、ざっと二十はあるであろう魔力弾が十ずつ、左右の銃口に集中する。
ウェンディが撃った。
幻術が消える。
むろん、こちらに気付いた。
なのはが自分に向け放った技。正直、しゃくに触るが、今は感謝している。
そしてキラの戦闘から同時に高威力の魔法を放つ、そこからヒントを得た。
「当たれぇぇええ!!!」
左右同時に放つ。反動で跳ね上がる両腕。
弾速、威力、シュートバレット、クロスファイアよりも数段上だ。
誘導性、射程を犠牲にして放ったそれは、もはや射撃ではなく、砲撃。
ウェンディは盾を構え、防御を試みる。
とんでもない負担がかかる。
魔力弾それぞれも回転しているが、片方十の魔力弾が螺旋を描きながら盾に突き刺さり、えぐるように持っていこうとする。
そして、盾は砕け、そのままウェンディの体にめり込み、壁に叩きつけ、意識を刈り取った。
「まずは…ひとり…。」
左腕の筋を痛めたか、動かす度に鋭い痛みが走る。
目の前に現れた敵を前に、疲労しているのにも関わらず、ティアナは笑みを浮かべた。
「あとはあんた一人よ?降参すれば?」
「ふざけんじゃねぇ、よくもウェンディを…ぶっ殺す!!」
ノーヴェが向かってくる。ティアナは左のクロスミラージュをダガーに変え、迎え撃った。
「…許さ…ない。僕は君を!!」
フリーダムを掴み、バリアジャケットを身に纏うキラ。
姿、髪型、肌の色、目付き、全てが同じ、そして異なるのは目の輝き。
「こういうのも変だけど、僕は君のこと嫌いだよ。偽善者ぶって、自分の力を振るう君が…ね?」
もう一人のキラが言った。
「違う!偽善なんかじゃない!!」
『『バラエーナプラズマバスター』』
両者の両肩部から発射され激突する魔力が真っ白な空間を蒼に染めあげる。
「撃ちたくないといいながら撃ち、殺したくないといいながら殺して…、自分の力にものを言わせ戦場を混乱させておきながら何を言うかと思えば!!!」
「ッ!?」
キラのバラエーナが押され、障壁を張る。
立ち上る爆煙から転がる用に出てくるキラ。
「ほら、自分でも矛盾を理解してるでしょ?だから同じ魔法の撃ち合いなのに負けた。
ここは君の中だからね、魔力じゃなくて精神力がそのまま力になる。
さっきのは僕の力が上がったんじゃなくて、君の精神が揺らいで力が弱くなっただけ…わかる?」
立ち上がるキラ。
「……ぐっ……。」
地を蹴り、低空飛行。もう一人のキラへと向かう。だが、向こうも同様にしてきた。
『『サーベルモード』』
魔力刃が銃口から形成され、そしてすれ違い様に振り抜く。
蒼い光が交差し、キラはそのまま前のめりに倒れ、地を滑って行く。
脇腹から溢れ出す血。
もう一人のキラは華麗に着地して見せた。そして振り向き、キラを見下す。
「よく致命傷はかわしたけど…これだけの差があれば、力ずく…なんて出来ないよね?」
バインドでキラを固定するもう一人のキラ。さらにクリスタルケージへと閉じ込める。
「…な…にを…!?」
「何って、君のために特等席を用意してるんだよ?
これから君の、いや、僕の力がどれ程のものか…君に見せてあげる。」
恐らくはモニターではなくキラの視界が捕えているもの。ガジェットの残骸が通りすぎて行く。
そのうち、桜色に発光する球体が見えた。
「探索魔法か…、クアットロは気付いてないみたいだね…。仕方ない…。」
もう一人のキラはそういうと、玉座の間へは向かわず、別の場所へと向かった。
「うぉぉおおお!!」
「ぐぅぅぅぅぅ!!」
シンとアレックス。アロンダイトとジャスティスが全力で反発しあい、魔力が四方八方に飛び散る。
「邪魔だ、どけぇっ!!!」
『『グリフォン』』
膝部魔力刃が激突、さらに激しい魔力が建物を振動させる。
やがて反発が限界にきたのか、両者は弾き飛ばされ床を転がり、受け身をとって再び跳躍。
『シュペールラケルタ・アンビデクストラスフォーム』
『アロンダイト・アンビデクストラスフォーム』
連結させた刃で激突。間合いをとる。
「デスティニー!!/ジャスティス!!」
『High Speed/ファトゥム01』
そしてアレックスの目の色が変わる。
『Type Speed SEED Burst』
緋色と朱色の閃光が、廃棄都市のビルを破壊しながら衝突しあう。
一度の衝突でビルにヒビを入れ二度の衝突で破壊する。
「あんたの言う正義がこれかよ!!」
「ッ!?舌を噛みたくなければ…黙ってろ!!!」
ジャスティスから発生する五本目の魔力刃。しかも大型、それで突きを見舞うアレックス。
シンは慌てて距離をとるとアロンダイトを分割、投剣しようとするが
『グラップルスティンガー』
射出されるロケットアンカーならぬ、ロケットバインドが飛んでくる。
シンは投剣動作を即座に中止、右手のアロンダイトでグラップルスティンガーを絡めとる。
「なに!?」
アレックスがバインドを切り放す前に力ずくでバインドを引っ張り、アロンダイトの峰を使ってアレックスの体を壁に叩き付け、喉元に向かって突きを繰り出す。
だが、紙一重でアレックスはジャスティスからバインドを外し、アロンダイトは派手な音を立て壁に突き刺さる。
「ッ!?」
アレックスはシンの腹部に向かい、蹴りを放った。
「うっ!!!」
姿勢が前のめりになったところへ、シンの視界の隅にアレックスの踵。シンはとっさに障壁をはりガード。
「いい加減に…。」
「あんたこそいい加減にしろ!!アスラン!!デスティニー!!バリアバースト」
『High-enagy Long-range Canon』
障壁を爆発させ、後退しながら構えるアロンダイトの切っ先に集中する魔力。
『Buster Form Saviour Shift アムフォルタス』
アレックスの周囲に二つの大型魔力塊。
同時に放たれる両者の砲撃。一つの廃ビルが魔力の衝突により、倒壊した。
301通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 19:45:34 ID:???
支援するけどいいいよね。答えは聞かないけど
「シン・アスカ!!」
「どこを見ている?」
「ッ!?」
シグナムに出来てしまった一瞬の隙、ゼストは見逃さない。
振り下ろされたゼストの槍。シュヴァイゼンフォルムのレヴァンティンでは受けられない。とっさに鞘で受ける。
砕け散る鞘、叩き落とされるシグナム。
「しまった…。」
受け身をとったシグナムは視線でゼストを追う地上本部へ向かってしまった。
「(シン・アスカ!!無事か?)」
「(な…何とか…、シグナム副隊長は…ゼストを…。アスランは必ず…俺が…。)」
「(私が戻るまで何とか耐えてくれ。)」

瓦礫が崩れ、その中からシンが姿を現す。
所々のバリアジャケットの損傷。額から流れ出る血。乱れている呼吸。
『シュペールラケルタ&ブレフィスラケルタ』
飛び退くシン。先ほどまでシンが居た場所を貫く朱色の閃光。
「ちぃっ!!」
しかも追跡してくる。
カートリッジを消費、デリュージー、ロングレンジキャノンの一斉射で破壊。
それからアレックスを見る。
まがまがしいまでに噴き出し、姿を覆う朱色の魔力光。
「くっ…ミーティア…か。」
「もう一度言う、退け。」
「そういう分けに行くか!」
『収束火線砲』
『ソリドゥス・フルゴール』
腕にかかる飛んでもない負担。展開した特殊シールドが破壊され、閃光がシンを飲み込む。
「う…ぐ…。」
リアクターパージにより何とか助かった。
「デスティニー…エクストリーム…ブラスト…起動」
ミーティアに対抗するためにはこれしかない。相手はスピード、パワー、連射ともに強化されてる。
『使用可能時間、最低12分最大16分です。それでも使用しますか?』
「あぁ、頼む。それから…絶対勝つぞ、デスティニー。」
カートリッジをリロードし、ロード。シンの体を這う緋色の魔力光。大きく深呼吸。
『バリアジャケット・ヴァリアブルフェイズシフト、デバイスフェイズシフト。
All Systems Green』
一刀のアロンダイトの柄を両手で切っ先をアレックスへと向け、翼を展開。
展開される翼から膨大な魔力が噴射される。そしてその噴射炎が形成する翼は巨大な翼。
鮮やかな薄い紫色の噴射炎が蒼天を染めあげる。
『エリケナウス』
アレックスの周囲に現れる無数の魔力弾。シンにむけ、放たんとしたとき、空気が弾ける音がした。
暴風がアレックスの自由を奪う。
「なっ…にぃ?」
突然目の前に現れたシン。先ほどまでシンが居た場所には揺らめき消えていくシンの姿。
「いい加減に!!目を…」
『パルマフィオキーナ』
「醒ませぇぇええ!!」
緋色に輝く右手が、アレックスの顔面を掴んだ。
空を切るノーヴェの足。
右のクロスミラージュでアンカー、左でシュートバレット。
ブレイクライナーで追い掛けてくるノーヴェに向け放つ。
弾幕をかいくぐり、ティアナへと拳を振るう。
ティアナは瞬時にアンカーを解除、落下。
再び右のアンカーを射出し、下の階へと転がり込む。
(まずい…)
同時砲撃のせいで左腕に痛みが走り、力が入らなくなってきた。
ノーヴェによって放たれる黄色い閃光、壁の影へと隠れ、直ぐ様反撃。
もう幻術を使う余力はない。クロスファイヤを一回使ってしまえば限界が来るだろう。
(諦めるにはまだ早い…。考えろ…。)
ドコォッ!!
「ッ!?壁を…。」
ティアナは飛んでくる瓦礫に額をぶつけ、転倒。
ノーヴェは勝ったと言わんばかりに仁王立ちする。
額から血が右目に入る。遠近感が狂った。
(まずい、まずい…。)
その時、目についたのはノーヴェによって砕かれた壁の瓦礫に目がついた。
『シングルモード』
左にのみクロスミラージュを残す。
「チンクねぇとウェンディの仇、これでトドメだ!!!」
垂直に向かって今、放たれん渾身の力の拳。
「今!!!」
ティアナが叫ぶと同時、瓦礫をつかんでノーヴェに投げつける。
デバイス以外の攻撃にとっさに体をそらし、ノーヴェは回避。
「無駄なあがきを!!!ッ!?」
空間に生成された十一のクロスファイアが左のクロスミラージュに収束していく。
ノーヴェが早いか、ティアナが早いか。
銃は接近戦では不利、そんなことは百も承知のティアナ。
クロスファイアの一発がノーヴェの額に直撃。その瞬間に跳ね上がる顎。
集束が完了したクロスファイア。
「いっっっけぇぇ!!!!」
左手に右手を添えて、自分目の前にいる敵に向け、最後の一撃をティアナは放った。
「国家争乱罪の罪であなたたち二人を逮捕します…はぁっ、はぁっ…、って、これじゃあ言っても意味ないわよね。」
肩で息をしつつ、緊張から一気に解き放たれ、脱力するティアナ。
ナンバーズ二人を相手に見事勝利を納めた。

「おぉぉぉ!!!」
ビルの壁にめり込むアレックス。顔面に押し当てたパルマフィキーナが一瞬、膨大な魔力を放ち、アレックスは気を失った。
「はぁっ…はぁっ……やった…勝った。」
アレックスとともに近くのビルの屋上に着地する。
エクストリームブラストを終了させた。
時空管理局地上本部周域。
「ゼスト、地上本部突入!まずいです!!」
「くっ、追い付けなかったか…。」
シグナムはガジェットを撃墜しながら進む。

時空管理局地上本部内部。
「モーリス、お前はもう下がれ。」
レジアスは自分の部下にむけ静かに口を開いた。
「それはあなたもです。あなたにはもう…指揮権限はありません。ここにいる意味はないはずです。」
外から伝わる爆発音。微かに揺れる局内。
「ワシは…ここにおらねばならんのだよ。」
扉が強引にぶちやぶられた。
「手荒い来訪ですまんな…レジアス。」
突然の来訪者は静かにそうい告げた。
「構わんよ…ゼスト…。」
ゼスト・ゾンボルト・グランガイツ。かつてレジアス・ゲイヅとともに、地上の平和を守るため戦っていた男だった。

シグナムは武装の解除もせず、局内を駆け、レジアスのもとへと向かう。
しかし、
「ここから先は…通行止めだ!!旦那は…酷いことなんてしねぇ…、ただ昔の友達と話がしたいだけなんだ!」
アギトがたち塞がり、炎を産み出す。
シグナムは剣を構え、
「旦那には…もう、時間がねぇんだ!
そいつを邪魔するってんなら…」
全ての言葉を言い切る前に、アギトに、いや、正確にはアギトの貼った決壊を切り裂いた。
「こちらはもとより、事情を聞くのが目的だ。事件の根幹に関わることならば、尚更聞かせてもらわねばならん。」
リインとのユニゾンを解除、シグナムはあくまで冷静にそう言った。

「モーリスは…お前の副官か?」
目の前のメガネをかけた女性を一瞥し、ゼスト。
「頭が切れる分、わがままでな…。子供の頃からかわらん。」
そうか、とうなずき、ゼストは胸元から二枚の写真を取り出して、レジアスが着いているデスクへと投げてよこした。
「聞きたいことは一つだけだ。八年前、俺の部下と部下たちを殺させたのはお前の指示で間違いないか?」
沈黙。
「共に語り合った、俺とお前の正義は…今はどうなっている?」
レジアスは沈黙したまま、二枚の写真に視線を落とした。
305神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/10(水) 19:55:43 ID:???
投下終了です。

どうでしたでしょうか?

なるだけ皆さんの予想を裏切るように書いたつもりです。

えっ?
エクストリームブラストがショボい?
ごめん…マジでごめん。
えっ?
決着があっけない?え〜…まぁクライマックスで挽回を。
次回 雷光
お楽しみに…。
306リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/10(水) 20:11:48 ID:???
神隠し氏GJです!

っていうか、投下ペース早っ!?
自分も頑張って書いてますけどここまで早く書けません。
そういう点ではやっぱり尊敬しますw
StS見てないのでキラがどこに行ったか全然分かりませんorz
そして、キラが自分を超えた時キラには何が待っているのか・・・・・そこら辺が楽しみですw

最後ですが、ザフィーラ・・・・・頑張れ!!
307通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 20:16:41 ID:???
>>305
神隠し氏GJ!やべえ‥‥キラがなんか暗躍してる‥‥。
これはクア姉の本格的ラスボスフラグか?
308通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 20:45:47 ID:???
GJです。
シンはとうとうアレックスを倒しましたね。
しかし、エクストリームブラストシステムを使ったシンはもう戦えないんですよね。
発動条件がカートリッジ六発と術者の魔力全てでしたから。
ああでも、最初の設定を無視すれば問題ないですか。
キラが内なる戦いを制するかも気になりますね。
キラが虚化みたいなパワーアップしたりして(笑)
309通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 20:54:52 ID:???
>>305
失礼‥‥誤字の訂正をば‥‥。レジアスの副官の名はオーリスでは。
310通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 20:55:15 ID:???
>308
いるじゃないか…、一人だけシンにEBを使えるように回復できる人が…
311通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 20:59:28 ID:???
神隠し氏GJ!
エクストリームブラストについてですが、大丈夫だと思いますよ。
一瞬でケリをつけたとこからして、とっておきの最終手段って感じしますし。
この後シンは無理してでもなのはorフェイトの援護に行くのだろうか?
またエクストリームブラスト状態のシンの見せ場がある事を期待。
312通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 21:07:49 ID:???
GJ
キラ同士の戦いはまさに種死のキラと戦士のキラとの戦いでしたね
最低でもあれだけの実力差があったという設定ですかね
エクストリームブラストはまだレイに使わないと
シンとレイの バトルは面白いカードだすぃ〜
皆様GUです。
・・・何たる投下ラッシュ。
自分も便乗したいのですが、忙しくて書く暇が・・・・・orz
早くても今週の土曜日という有様です。
314通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 21:29:57 ID:???
神隠しさんGJです!何たる投下ペースの早さww神隠しさんは間違いなくフルドライブ状態

エクストリームブラストでシンとアスラン決着ついたみたいですね。
この後アスランがシンにデバイス渡すシーンが一瞬・・・ギン姉のように
うーん、キラ嫌いだけど何か応援したくなってきた・・不思議
315通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 21:43:17 ID:???
便乗……フェイト貴様!見ているな!?
316通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 21:51:58 ID:???
>>315
それはここのスレじゃねぇよwwww
317通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 22:28:14 ID:???
リリカルクロスSEED(無印)の時にキラがSEEDを発動したのをクロノ達は見ていますが、その力については、どういうふうに受け取っているんでしょう。
318失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/10(水) 23:17:39 ID:???
二十二話置いときます。戦闘オンリーですので短いですから、おつまみ感覚でどうぞ。いや、本当はおつまみ感覚じゃダメな重要部分なのになぜか短いです。話の作り方おかしい
319失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/10(水) 23:19:04 ID:???
第二十ニ話


チカチカとした煌きが海上でいくつも瞬いた。
色は赤と白。情熱と灼熱を混ぜたような赤と、無垢のような汚濁したような白。
赤と白がもう何度目かの交錯。赤い軌跡はとても美しいけど、白には届かない。
反転しては、またぶつかるように赤が飛翔。どんどん、加速していきながら、赤い閃光をまき散らすが、やはり白には当たらない。

「ハッ、デバイスもなしにここまでの魔法を使いこなすとはな。流石、スーパーコーディネイターというわけか」
「なに!?」
「結局、君には戦いしかないのだな」

空気の爆ぜる音。
クルーゼを囲むように、いくつもの雷電の珠が生まれては共に舞う。

「私は負けた、君に、君が守りたいと言った世界にな。それが世界の行きたかった道であるのならば、私は何にも手を出すつもりもなかったのだがね。再び私を殺そうと言うのならば、もういい、君が死ね」
「違う!」

いくつかのフォトンランサーが肩を、足をかすめるほど命中スレスレの軌道。それでも赤い魔力の尾を引いて飛ぶキラは少しずつクルーゼとの間合いを詰めていく。
すれ違いざま、数個のフォトンスフィアへと赤い斬撃を叩きこめば、あっさりと切り裂かれては光の粒子となってさらなる上空へと昇って溶けていった。

「僕は……僕は殺さない!!」

両手に赤い閃き。
二刀の赤い魔力の刃を時間差と緩急をつけてクルーゼへ振るえば、バリアジャケットの表面に切っ先がようやく届いた。
非殺傷設定だ。

「ほう? では私をどうしようと言うのかね」
「生かす!」
「な…に?」
「ぶちのめして、絶対に元の世界で罪を償わせる!!」

キラの脳裏を駆け巡る記憶の津波は、停滞の2年。
ラウ=ル=クルーゼを結局力でねじふせ、多くの言葉を否定できないままに終わった戦いの事実に苦しんだ2年だ。
出来る事、出来ない事、出来なかった事、したかった事、正しい事、正しかった事、間違った事、間違いのない事に苦しんだ2年。
それだけの時間をかけて、ようやくたどり着いた答えは結局、戦い。
それでも、クルーゼの言葉に抗うようにただ生かした。空で、宇宙で、戦場で。立ちはだかる者たちの命を奪わずに、戦った。
320失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/10(水) 23:20:46 ID:???
存在を否定された存在なんて、有り得ていいはずがない。
誰も死ぬな。
きっと、生きる方が戦いなのだとしか思えなかった。

「傲慢だな。私は死人だ」
「そんな潔さ! 要らない!!」
「殺した君が言う事か!」
「あなたが殺したからだ!」

多角度からのフォトンランサーをあるいは防ぎ、あるいは避けるが、キラのバリアジャケットに蓄積されるダメージは増える一方だった。
レンズ状のシールドを回転させ、攻撃をいなす防御法は体当たり的に突撃する敵に最大の効果がある。
リリィには抜群の効果があったが、フォトンランサーと鞭を駆使するクルーゼには不適当だ。
それでも、そんな不利などキラの頭にはない。
あるのはクルーゼへの燃えるような憎悪と、それがゆっくりと鎮んでいく2年の記憶。
そんな同居するはずがない2つの思いがキラの中で混ざり合い、訳の分からないほど激情でありながら冷静だ。
2年の停滞でたどり着いた、出来なかった事としたかった事、正しい事。それを今、クルーゼへとぶつける。

「死んだのに生きているなら、その命で絶対に世界に償わせる!!」
「あの世界にだと? まだ分かっていないようなだ、キラ君。私などきっかけの一つにすぎんのだよ。必ず、あの世界は別のきっかけに滅びる」
「なんだってあなたはそんな風にしか考えられないんだ!」
「そんな世界だ! 君は実際に見たのだろう? 終わった戦争を再び始らせたブレイク・ザ・ワールドを」
「あれが人の総意じゃない! どうしてもっと暖かい人々の営みに目を向けないんだ!!」
「未来のない出来損ないの私には残酷な言葉だよ、それは!」

三方向からの鞭、そしてフォトンランサーの奇襲。
徐々にキラが攻める時間が短くなり、クルーゼの攻撃が通り始める。
フォトンランサー・ドラグーンシフトには足りない7つだが、キラには十分厄介な数のフォトンスフィアだ。
鞭を防ぎ、フォトンスフィアを切り裂いても、手数が及ばずきついダメージをいくらかもらう。
斬り裂いたフォトンランサーは、やはりさらに上空へ昇って溶けていく。

「未来がないはずが、ない!! 残りの命で、未来を探せよ!! 託せよ!! そんなのは卑屈で、立ち止まって!!」
「約束された未来のある、最高のコーディネイターだから言える言葉だな!!」
「どこが……」

キラが突っ込んだ。
鞭にバリアジャケットと一緒に肌を切り裂かれ、フォトンランサーに右足を焼かれ、前進。

「何が最高だ! エルちゃんの船も救えず、サイの心を傷つけて、トールとニコル君を殺して…最後の最後で結局あなたから助けられなかった……これの……」
321失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/10(水) 23:22:19 ID:???
なびく赤い髪。
思い出せない顔。

「これのどこが最高のコーディネイターだあああ!!?」

刃の間合いなど関係ない。
辿る記憶から生々しいその日その時その瞬間の感情たちのままクルーゼへと突貫。
振るわれる赤い魔力の刃は単純な軌道。やすやすとクルーゼにかわされるが、それで引き下がらない。
体が傷つくのも厭わずに、とにかくクルーゼに張り付いた。
脚。キックなどという原始的な攻撃に赤い魔力を乗せてクルーゼを腹につま先を突き刺す。
一拍を置いて、クルーゼがその衝撃に吹き飛んだ。

「ぐっ……ふ…」
「与えられた最高なんか……積み重ねる高さに及ばない!! あなたから身をもってそれを知らされた!!」

守れなかった。
それはキラにとって大きな敗北。
出来損ないと自分を嗤う男が、最高に勝つ。例えクルーゼを殺したとしても、結局あのヤキンドゥーエの最終局面、負けたのは、キラだったのだから。

「憎しみが連鎖するものなら……幸福も連鎖するはずじゃないか……なんでその連鎖に命を重ねようとしないんだ!」

また突撃の体制に入るキラだが、止まる。
距離をとったクルーゼの周囲へと展開される11のフォトンスフィア。
フォトンランサー・ドラグーンシフト。

「大した高説だな。大切な人間を殺した相手にそこまで吐けるとは立派なものだ! だが、幸福があって当たり前だと人は思うのだ。そんな思い上がりの果てに歪むのならば!! 命を重ねる意味などない!!」

上下左右前後を埋め、補い合うフォトンスフィアに逃れる術は今のキラにない。
どう動いても必ず命中してしまうのだ。
だから、

「そんな悲観!! もっと意味がないだろおおおお!!」

キラの周囲に赤が揺らめく。
全力全開。
ありったけの魔力を放てば、その赤が形作るのは鳥の形。
大きな巨きな、赤い鳥。

「うああああああああああああ!!!」
322失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/10(水) 23:23:43 ID:???
いつか空に放り出された時の緊急処置とは比較にならないほどに練り上げられた魔力の巨鳥。
まるで不死鳥のように翼を広げれば、優に8メートルを超えようという大きさだ。
いくつものフォトンランサーが火を噴くが、赤い不死鳥に包まれキラには届かない。
真っ赤な翼が羽ばたけば、強烈な魔力に当てられたフォトンスフィが次々と砕けて散る。散っていった光の粒子が天へ昇るその情景は、赤い不死鳥と相まって幻想的でさえあった。

「チィ…!!」

急遽、クルーゼは残りのフォトンスフィアも上空へと最高速度で飛し、一定の高さで霧散。
戦闘空域を超えた上空には、開戦から現在まで破壊されたフォトンスフィアの回収可能な魔力が漂っている場所がある。
プレシアの杖を掲げれば、天空に魔法陣を展開。上空を漂う魔力は現れた巨大魔法陣へ収束。その様は、まるで星が集うよう。
コンセプトはほぼスターライトブレイカーと同等の魔法。それにプレシアの得意とする雷の特性を加えた魔法だ。

赤い翼が1つ、ひるがえれば灼熱の風が巻き起こる。
雄大な不死鳥が、飛翔。

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

不死鳥がクルーゼへと羽ばたいた。
突っ込むつもりだ。これほどの魔力の塊、人間サイズが飲み込まれれば莫大な魔力を削られるだろう。
速い。
速いが、

「単純だ」

プレシアの杖が、振り下ろされた。
神意という名の魔法。

「プロヴィデンス!!」

轟と、強烈な稲光。
天空で凝縮に凝縮を重ねたクルーゼの魔力が今、雷の形でキラへと降った。
狙いは正確。
赤い不死鳥が、天を裂く稲妻に切り裂かれる。

「うわああああああああああああ!!!」

衝撃。
だがキラに痛みはない。ただ視界が白いばかり。
そこでキラが見るのは記憶。
もう自分でもはっきり分かる。
これが記憶を失う直前の記憶である事が。
323通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 23:24:28 ID:???
支援!!
324失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/10(水) 23:25:10 ID:???
白い、まっ白い景色。
全周囲のモニターに映るそんな世界の向こうから、閃光が幾筋も自分へと走ってくる。
敵だ。その姿は自分のフリーダムに類似していた。ガンダムタイプ、とでも言うべきか。
避けた。防いだ。
反撃。
振動。
ビームライフルがやられた。
そこで敵艦の動きにキラは気づく。カタパルトから新たに武装を射出したのと、艦首砲が出てきた。
あの艦首砲は危険だ。対峙するガンダムから離れる。まずはアークエンジェルを逃がさなければ。カガリを逃がさなければ。
しかしついてくる。
射出された武装から、敵がある物をひっつかみ、投げた。
ビーム。ブーメランだ。
転回。防げた。
バランスを崩す。海に接した。
敵艦の艦首砲が、放たれたのが見える。
いけない。アークエンジェルは?
気を取られた。機体のバランスは崩れたまま。注意はアークエンジェルの安否にそれた。
敵は?
突っ込んでくる。対艦刀。刺す気だ。盾。
貫かれた。機体、腹部。

―――――――爆発。

そこに差し伸べられたのは、手。

無意識にその手をキラは掴む。
ふわりと、赤い髪がなびくのを見た。
優しい笑顔。
柔らかい眼差し。
ささやくように、その人物の紡ぐ言葉が耳に返ってくる。

―――護るから。本当の私の想いが。あなたを護るから。

キラの脳裏で種子が、砕けた。


「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


轟雷に切り裂かれた不死鳥からキラが飛び出す。

「なにぃ!?」
325失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/10(水) 23:27:43 ID:???
不死鳥の真っ赤な魔力が霧散していくのを遥か後方に置き去りにしながら、キラの背には大小を合わせて都合10枚の蒼い翼。
蒼穹を切り取ったような、魔力の色。
真蒼な環状魔法陣を腕に巻きつけて、飛翔する速度をそのままに、大技に足を止めたクルーゼへと突っ込んだ。
眼の醒めるような美しい天空の色、蒼い魔力が零れる拳がクルーゼの顔面へとめり込んだ。
クルーゼがの体が崩れ、空を落ちていく。

キラはただ茫然と、我を忘れて泣いた。溢れる涙をぬぐう事もできず。悲しくて、嬉しくて、温かくて。

「フレイ……」

胸に手を当てれば、感じられるのはリンカーコア。
呟くのはこのリンカーコアの本当の持ち主の名。
思い出したくて仕方なかった名前。
思い出したくなかった名前。
守れなかったのに、護られていた事が、情けなくて、悲しくて、切なくて、キラはただ泣いた。

「フレイ……!!」







短めでテンポ早すぎですが終わりです。
書いてて思いました。これはキラじゃない、と。叫びっぱなし。
脳内麻薬でまくってた+いろいろ思い出してテンションおかしかった=今回のキラと言う事でお願いします。
戦闘中のポエミィセリフ合戦はあまりやったことないので読み返してこっぱずかしい。
冨野監督やクルーゼのセリフ考えた人って偉大ですね。

ここで追記しておくと、キラにリンカーコアはありません。というかSEED持ちにリンコアないです。だから魔力が蒼くなっても完全に掌握しただけでリンコア自体はフレイのリンコアです。劇中で説明しろって感じですがここに書いておきます。すみません。
326通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 23:27:46 ID:???
ジェイフェニックス支援!
327失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/10(水) 23:36:42 ID:???
>>326
惜しい
328通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 23:40:43 ID:???
>>失われた者たちへの鎮魂歌氏GJ!!
ようやくキラがフレイを思い出しましたね!
にしてもまさかキラのだと思っていたリンカーコアが実はフレイのだったとは…氏の発想力に驚きです!
そして種割れ+フリーダムキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
感動しましたぜ!次回もwktkして待ってます!!
329通常の名無しさんの3倍:2007/10/10(水) 23:50:16 ID:???
失われた者たちへの鎮魂歌さん、GJです。
今回、キラが大暴れでとても満足です。
ところで、SEED持ちにリンコアないとありますが、SEEDは魔法関係で利点がまったくないのですか?
330失われた者たちへの鎮魂歌 ◆fCMkOg1nPY :2007/10/11(木) 00:59:22 ID:???
>>329
ほんのちょっとだけネタバレになるんですが、純粋に利点だけ考えるとあります。

自分的な解釈をぶちまけて申し訳ないのですが、TVでSEEDによる強化が無条件なのに納得できないので「何かの才能を砕いて、戦闘に使う自分の体のポテンシャルすべて引き出す」という消費型の能力と考えてます。
才能と一口に言っても数えきれないくらいありますので、日常じゃまるで必要ない才能(絵の才能とか口笛の才能とかあやとりの才能とか)を砕いて戦闘中パワーアップしていたのがTVのキラ、と仮定します。
してください。とりあえずこの話ではそう思い込んでください。すみません、この設定はただの自己満足です。

その上での話なのですが、適当な才能(スリとか格ゲーとか何でもいいから)さえ砕けば、自分の体の中にあるのでフレイのリンコアのポテンシャルも引き出して戦えます。
ポテンシャルとか言ってますけど、フレイのリンコアなのでこの時、キラに合った形に調整されて魔力の色が蒼になって赤い時よりも使いやすくなります。正直、どう調整されるか自分でも何を言ってるのか分らないのですがとにかく調整されます。してください。
なのでやっぱりSEEDさえ発動すると魔法もより使いやすくなります。
そもそもなのは世界で魔法と言えば戦闘なので、身体能力や反射神経上がってる時点で魔法戦闘では激烈に有効です。
ただ落とし穴は作ってますのでそれは劇中で。

書いてて自分でもびっくりするぐらい説明が長いわぐだぐだわで、見てる方々はさらにびっくりするでしょうがこんな感じでお願いします。
ただ、ちょろちょろ細かい部分がこの先の劇中の話と違っていたら、この↑の説明とか忘れてください。
正直、大筋のみ考えてるだけなんで、細かい所はそれほど詰めてないんです。
捕捉で長々と失礼しました。
331通常の名無しさんの3倍:2007/10/11(木) 09:20:00 ID:???
コーラサワーキボンヌ
332通常の名無しさんの3倍:2007/10/11(木) 17:52:40 ID:???
しかし、あれだな神隠しのレイはフェイトにやられそうだな。
333通常の名無しさんの3倍:2007/10/11(木) 20:42:32 ID:???
神隠し氏、シュヴァイゼンフォルムじゃなくてシュランゲフォルムじゃないですか?

334神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/11(木) 20:56:46 ID:???
ごめんなさい。

これからも誤字脱字、誤表現なんかあると思うのでよろしくです。
最近目立つので、今日は確認と訂正のため、自粛します。
明日からは夜勤連続なので投下は来週?
になると思います。
投下スピードあげるのも考えようもんですね。
335リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/11(木) 21:08:39 ID:???
>>328
鎮魂歌氏GJです。
キラの本気が凄いことに・・・・・そして、フリーダムが来ましたね〜。
自分のもそろそろ出てもいい頃だと思います。

>>神隠し氏
誤字脱字は自分のにもよくあったりします。
投下ペースが早いのは嬉しいことですが体調には十分お気をつけてください。
夜勤も頑張ってください!

というわけで自分としてはかなり変則ですが、24時に投下します。
いつもは夜中投下はないのですが・・・・・。
えっと、投下してもOKでしょうか?
OKが出れば24時に投下を開始したいと思います。(それまでは誤字脱字を確認します)
336通常の名無しさんの3倍:2007/10/11(木) 21:34:52 ID:???
>>神隠し氏
投下ペースが速いのは嬉しいけど、体調管理が一番大事ですよ!
夜勤はしんどいだろうけど頑張って下さい!!

>>リリカルクロスSEED A's氏
それまでに他の職人さん達の投下予告がなければOK。
今のところはないみたいだから、11時半頃にスレ見てもう一度投下予告をしてみればヨロシ。
俺は今日はずっと待ってるぜ!!
337リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/11(木) 23:49:38 ID:???
>>336
というわけで投下予告です。
12時に投下開始します。
この時間帯で見てる人は少ないでしょうが・・・・・・。
他の方の投下までのお茶濁しとでも思ってくださいませ。
キラ嫌いな方にはお茶濁しにもなりませんが・・・・・しかし、キラ嫌い・・・ギャグじゃないですよ?
338リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/12(金) 00:00:23 ID:???
第四話「閃光の刻」


数日が過ぎ、なのはやフェイトたちは本局でなのはの検査に向かっている。
デバイスの修理も終わったらしくそれの受け渡しもあるそうだ。
キラはというとはやてからメールが来て、はやての家に向かう途中だった。
鍋を皆で食べようというものだった、すずかちゃんも来るようだ。
「寒くなってきたな」
空を見上げながらキラは呟いていた。
そう言って視線を戻そうとした時視界の隅に何かを見つけた気がした。
「ん?」
一瞬だったため、何だったか分からなかったがキラには何か惹かれるものがあった。
「何だろ?」
そう言うとキラは何かが飛んでいった方向に走り出していた。
追いかけても姿が見えなかった。しかし、キラにはそれがどっちに飛んでいるかが分かった。
「一体なんだっていうんだ」
キラはそんなことを言いながらも追いかけるのをやめることが出来なかった。
自分でもなんで止められないのか分からない、ただ漠然と追いかけなければという気持ちだった。
そして、かなり走ったところでキラは魔力の反応を感じた。
「!?・・・これは、あの時の!!」
キラはすぐにそちらに走り出す、もうさっきのことに気にしていられなくなった。
「上か!」
キラは近くのビルに入ると屋上まで走っていった。
途中、空間結界が張られたのを感じる。どうやらここで戦闘が始まるようだった。
キラが屋上へ着いた時、向こうのビルになのはたちが転送されてくるのを見た。
「なのはちゃん、フェイトちゃん!」
キラの声が届いたのか二人はキラのほうを少し見たが、すぐに空を見上げている。
上にはあの時の赤い服の女の子と青い服の男がいた。こちらには気付いていないようだ。
さらに上にはクロノ、なのはとフェイトより奥にはユーノとアルフがいる。
(キラくんは危ないから下がっていて)
(そうだよ、キラ。怪我治っていないんでしょ?)
二人が念話でキラに話しかけてきた。
(でも!)
(それにキラくんのデバイスはもう・・・・)
(うん。だから、キラは・・・・・・)
(・・・・・・分かった)
キラは渋々了承をした、今のキラには剣がないのだ。
「想いだけでも力だけでもだめって、自分で言ったじゃないか」
いつの日かカガリに言った言葉を思い出していた。
『気持ちだけで何が守れるって言うんだ!!』
「自分で言ったじゃないか・・・・・・くそっ!!」
キラは悔しそうに握りこぶしを作る。
骨折していた腕が痛んだ。
339リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/12(金) 00:02:12 ID:???
「あいつら!」
なのはたちを見てヴィータは驚いていた。
「レイジングハート!」
「バルディッシュ!」
「「セーーット!アーーーップ!」」
すると二人から天を突くような魔力の光が一筋空に伸びていく。
なのはとフェイトはその光を昇っていく。
『Order of the setup was accepted.』
『Operating check of the new system has started.』
『Exchange parts are in good condition, completely cleared from the NEURO-DYNA-IDENT alpha zero one to beta eight six five.』
「え・・・こ、これって・・・・」
「今までと・・・・違う」
『二人とも落ち着いて聞いてね』
エイミィからの通信だ。
『レイジングハートもバルディッシュも新しいシステムを積んでるの』
『The deformation mechanism confirmation is in good condition.』
『Main system, start up.』
「新しいシステム?」
『その子たちが望んだの、自分の意志で自分の想いで』
『Haken form deformation preparation: the battle with the maximum performance is always possible.』
『An accel and a buster: the modes switching became possible. The percentage of synchronicity, ninety, are maintained.』
「呼んであげて、その子たちの新しい名前を!!」
『Condition, all green. Get set.』
『Standby, ready.』
「レイジンハート・エクセリオン!!」
「バルディッシュ・アサルト!!」
『『Drive ignition.』』
二人をピンクの光と黄色の光が包み込む。
そして、その光が消え現れたのは新しいを持ち、デバイス新しいバリアジャケットを身を包んだ二人だった。
「あいつらのデバイス・・・・あれってまさか!」
ヴィータが二人のデバイスを見て驚きの声を上げる。
『Assault form, cartridge set.』
『Accel mode, standby, ready.』
二人がデバイスを構えた。
340リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/12(金) 00:04:41 ID:???
シグナムは結界の外で空中からそれを見下ろしていた。
「強装型の捕獲結界・・・・・ヴィータたちは閉じ込められたか」
『Wählen Sie Aktion!』
「レヴァンティン、お前の主はここで退くような騎士だったか?」
『Nein.』
それを聞くとシグナムはレヴァンティンを一振りし、魔方陣を発生させる。
「そうだ、レヴァンティン。私は今までもずっとそうしてきた」
カートリッジをロードし、レヴァンティンを炎が包み込む。
そして、シグナムはレヴァンティンを構える。

「私たちはあなたたちと戦いに来たわけではない」
フェイトはヴィータとザフィーラに話しかける。
「まずは話を聞かせて」
「闇の書の完成を目指してる理由を」
まずは言葉を伝えること、それは三人で誓った時に話したいたことだ。
言葉を伝えること、想いを伝えることは絶対に無駄じゃないということ。
しかし、ヴィータは不機嫌そうに二人を見つめ言う。
「あのさぁ、ヴェルカのことわざにこういうのがあんだよ。和平の使者なら槍は持たない」
その言葉になのはとフェイトは困惑してしまう。
ヴィータはグラーフアイゼンを二人に突きつけて言葉を続ける
「話し合いをしようってのに武器を持ってやってくるやつがいるか、バカ。って意味だよバーカ」
「なぁ!?」
その言葉になのはが驚くが少し怒ったような顔になり言い返す。
「いきなり有無を言わさず襲い掛かってきた子がそれを言う!」
「それにそれはことわざではなく小話のオチだ」
ザフィーラが冷静にヴィータにツッコミをいれた。
「うっせい!いいんだよ、細かいことは」
キラはそんな会話を苦笑いをしながら聞いていた。どうも赤い子は憎めないキャラの気がした。
すると、結界を突き破り一つの紫の雷が近くのビルに落ちてきた。
そして、落ちた場所の煙が晴れるとそこにはシグナムがいた。
「!?・・・・シグナム」
フェイトは驚いてその姿を見る、強装結界を破ってきたのだ。
シグナムは肩ひざをついた状態から起き上がるとフェイトを見つめる。
「ユーノくん、クロノくん。手ぇ出さないでね。私、あの子と一対一だから!」
なのははヴィータと睨み合う。
341リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/12(金) 00:06:05 ID:???
「マジか」
「マジだよ」
その言葉にクロノはユーノに聞いてしまう。
(アルフ、私も・・・・彼女と)
アルフはフェイトの言いたいことを理解した、シグナムと一対一をしたいということを。
「あぁ、あたしも野郎にちょいと話がある」
そう言うとアルフはザフィーラを見据える、ザフィーラもその意図を汲み取っていた。
そんな三人の話を聞きながらクロノはユーノに話しかける
(ユーノ、それなら丁度いい。僕と君で手分けして闇の所の主を探すんだ)
(闇の書の?)
(連中は持っていない。恐らくもう一人の仲間か、主かがどこかにいる。僕は結界の外を探す。君は中を)
(分かった)
ユーノはその言葉に頷いた。

『Master, please call me “Cartridge Load.”』
レイジングハートがなのはに呼びかける。
その言葉になのはは頷くとレイジングハートを構える。
「レイジングハート!カートリッジロード!」
『Load Cartridge.』
レイジングハートはカートリッジをロードし魔力を上げる。
それをなのはは両手でしっかりと構えを取った。
『Sir.』
バルディッシュもフェイトに呼びかける。
「うん、私もだね」
フェイトはその言葉に頷くとバルディッシュを構える。
「バルディッシュ、カートリッジロード」
『Load Cartridge.』
バルディッシュもカートリッジがロードされ、魔力が高まる。
そして、構えを取る。
それを見ながらザフィーラは冷静に喋りだす。
「デバイスを強化してきているな、気をつけろヴィータ」
「言われなくても!」
シグナムは何も喋らず、無言で構える。
次の瞬間、八色の魔力の光が空を舞っていた。
赤、ピンク、紫、黄、白、オレンジ、青、緑の光が空を彩る。
そして、キラはそれを見守ることしか出来なかった。
342リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/12(金) 00:08:35 ID:???
ヴィータは追ってくるなのはを後ろから見ながら言った。
「ふん、結局やんじゃねぇかよ」
「私が勝ったら話を聞かせてもらうよ!いいね!」
「やれるもんなら!」
ヴィータは急停止すると指の間に鉄球を挟むと足元に魔方陣を展開する。
鉄球が宙に浮き、赤い光に包まれる。
そして、ヴィータはグラーフアイゼンを大きく振りかぶる。
『Schwalbefliegen.』
そして、それを振りぬき鉄球へぶつけなのはに向かって飛ばす。
四つの赤い光がなのはに向かい直線に飛んでいく。
『Axelfin.』
なのはの靴の羽が羽ばたきその攻撃を難なく避ける。
そこにヴィータはグラーフアイゼンを構え、なのはに突っ込んでいく。
「アイゼン!」
『Explosion.』
グラーフアイゼンはカートリッジをロードする。
『Raketenform.』
ハンマーヘッドの片方が推進剤噴射口に、その反対側がスパイクに変形する。
魔力をロケットのように噴射させ、自らも回転し遠心力を使い突っ込んでくる。
「でえぇぇぇぇぇぇぇい!」
『Protection Powered.』
なのはは突っ込んでくるヴィータに向かい手を掲げ障壁を発生させる。
なのはの障壁とヴィータのグラーフアイゼンがぶつかり合い火花が散る。
「・・・・硬ぇ」
「ほんとだ」
ヴィータ呟きになのはも驚いてしまう。
『Barrier Burst.』
レイジングハートの障壁のパワーを上げた。
すると、障壁の魔力が高くなり、お互いの魔力が爆発し双方とも吹き飛ぶ。
なのははすぐに態勢を整えるが、ヴィータは吹き飛んだままだ。
『Let's shoot it, Accel Shooter.』
レイジングハートがなのはに呼びかける。
その言葉になのはは頷き、答える。
「アクセルシューター!」
『Accel Shooter.』
なのはの足元に魔方陣が展開し、レイジングハートに光が集まる。
「シューーーット!!」
なのはがそう叫んだ瞬間、十二発の光の弾がヴィータに向かい飛んでいく。
その数にヴィータだけではなく撃ったなのは自身も驚いてしまう。
343通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 00:10:13 ID:???
支援
344リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/12(金) 00:11:18 ID:???
『Control, please.』
驚いているなのはにレイジングハートは呼びかける。
その言葉になのはは集中するために目を閉じる。
十二発の光の弾がヴィータの周りを飛び始める。
「アホか、こんな大量の弾全部制御できるわけが!!」
ヴィータは鉄球を取り出し、なのはに向けて発射する。
四つの赤い弾は四方向から一気になのはに向かい飛んでくる。
『It can be done, as for my master.』
なのははそれでも目を閉じ集中する。
ヴィータの鉄球が当たる前になのはによってコントロールされた弾がそれを撃ち抜いた。
その光景にヴィータは絶句してしまう。
なのはは目を開けるとヴィータに言った。
「約束だよ。私たちが勝ったら事情を聞かせてもらうって!」
なのはは手を上に掲げる。
「アクセル・・・・・・」
なのはの魔力が高まる。
『Panzerhindernis.』
グラーフアイゼンがヴィータの周りを障壁で囲む。
「シューーーット!!」
その声と同時に十二発の弾が次々と障壁にぶつかっていく。
その障壁さえも連続にぶつかってくるためヒビが入り、その威力のほどが良く分かる。
「こんのおぉぉぉっ!」
ヴィータはグラーフアイゼンを構えるとなのはを睨んだ。
345通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 00:12:04 ID:???
支援だってヴぁ
346リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/12(金) 00:13:24 ID:???
フェイトとシグナムは交錯し接近戦で勝負をしていた。
「はあぁぁぁぁぁっ!!」
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
フェイトはバルディッシュを、シグナムはレヴァンティンを大きく振りかぶりぶつかり合う。
すぐに両者が後ろに飛び距離を取る。
『Plasma Lancer.』
その瞬間、フェイトの足元に魔方陣が展開し、フェイトの周りに八つの雷の弾が出来る。
「プラズマランサー・・・・ファイア!!」
その瞬間、雷の弾がシグナムに向かう。
シグナムはレヴァンティンの一振りでそれを弾き飛ばす。
だが、弾き飛ばされた雷の弾は一時停止する。
「ターン!」
フェイトのその言葉に反応し、雷の弾は向きをシグナムに変え再び襲い掛かる。
それを上に飛んで避けるが、すぐに向かってくる。
シグナムは避けることは得策じゃないと判断すると、レヴァンティンに呼びかける。
「レヴァンティン」
その言葉にレヴァンティンはカートリッジをロードする。
『Sturmwellen.』
『Blitz Rush.』
バルディッシュが弾のスピードをさらに速くする。
「えぇぇぇぇぇいっ!!」
シグナムはレヴァンティンを大きく振り衝撃波を作り出し、弾を全て相殺した。
それに一瞬驚いたフェイトだったがすぐにシグナムとの距離を縮める。
『Haken Form.』
バルディッシュはカートリッジをロードし、ハーケンフォームへと形状を変える。
『Schlangeform.』
レヴァンティンもカートリッジをロードする。レヴァンティンの刃に節が現れ、刃が伸びる。
両者の武器がぶつかり合い爆発が起こり、二人が飛び出してくる。
347通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 00:14:45 ID:???
「支援」の一言しか書いてないはずなのに何か変なモノが混ざったorz
348リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/12(金) 00:15:10 ID:???
お互い後ろに下がり、また距離を取る。
フェイトの左腕にはかすり傷が、シグナムの胸にもかすり傷が出来ている。
「強いな、テスタロッサ」
『Schwertform.』
シグナムは剣の形状を元に戻し、構える。
「それにバルディッシュ」
『Thank you.』
バルディッシュも素直に賛辞の言葉を受け取る。
「あなたと、レヴァンティンも・・・・・シグナム」
『Danke.』
レヴァンティンもその言葉を受け取る。
「この身に成さぬことがなければ心躍る戦いだったはずだが・・・・」
シグナムは鞘を出し、レヴァンティンを収める。
「仲間たちと我が主のため今はそうも言ってられん」
その言葉にフェイトは表情を引き締める。
「殺さずに済ます自信はない、この身の未熟を許してくれるか」
シグナムは魔方陣を展開し構えを取る。
フェイトも構えを固め、答える。
「構いません。勝つのは・・・・私ですから」
嬉しそうに口の端を持ち上げるシグナムとフェイトだった。

キラは全員の戦闘を見ていた。
二人のデバイスはさらに強力になり、互角またはそれ以上の強さを誇っていた。
これなら何とかなるかもしれない・・・・・・・でも。
「こんな時に・・・・何も出来ないなんて・・・・」
一瞬、自分がやらなくても大丈夫だ・・・・・戦わなくていい、そんな声が聞こえた。
キラは首を横に振ってその考えを捨てようとした。
「僕は・・・・・」
なのはとフェイトの戦いを見上げながら問いかけた。
「・・・・・・・どうすれば」
それに答えてくれるものは誰もいなかった。
349リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/12(金) 00:18:57 ID:???
はい、第四話投下終了です。
今回はなのはとフェイトの戦いが中心でした。
またもやキラの出番なしですが、まぁご心配なく・・・・・。
それにしてもレイジングハートとかの発言の訳を作ろうと思いましたが断念orz
英語は苦手です。

そして、やっとキラ活躍の話になります。
次回「舞い降りる剣」をお楽しみに!!無印時代にこのサブタイを使わなかったのはこれのためです。

ザ「ところで我らの戦いは?」
キ「行数を決めて書いてあるため今回はなしみたいだね」
ア「ちゃんと出るんでしょうね?」
キ「そうみたい、でもタイトルからしてもあんまり行数割けないみたい」
ザ・ア「ふざけるなー!」
キ「ちょ、ちょっと何で僕!?二人とも爪立てないで!き、牙もやめ・・・・・あっ、あ゙ーーーーっ!!」

キ「じ、次回の後書きでは・・・何やら告知みたいなものがあるそう・・・・・です」(ガクッ)
350通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 00:24:32 ID:???
>>リリカルクロスSEED A's氏GJ!!
何も出来ないことにヤキモキしているキラの心情がよくわかりますね。
あとがきにも笑わせて頂きましたw
さて、次回のサブタイから察するに、ついに"アレ"が出るんですね!!?
次もwktkして待ってます!!
351通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 00:28:46 ID:???
GJ!
次はいよいよアレ登場ですか。
メテオさんまで遠いなぁ…
352通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 20:02:37 ID:???
誰も来ないなぁ…やはり皆さん忙しいんだろうか…
全ての職人達にGJと乙を!!
353リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/12(金) 20:31:36 ID:???
えっと、実は五話が書き終わりました。
でも、誤字とか訂正したいところとかを見つけるためには一日だけ日を置くことにしてるんです。
そうすれば少しでも客観的に見えるので・・・・・。
そういうわけで明日には投下できると思います。待っている職人じゃないって方はすいませんorz
他の職人様が来てくださるまではお付き合いくださいませ。
・・・・・・何かこの言い方だと他の職人様来たら投下中止って感じですね。
354通常の名無しさんの3倍:2007/10/12(金) 23:26:42 ID:???
>>353
いえいえ自分はあなたの作品も楽しみにしていますよ!!
他の職人様が来ても投下をお願いします!!
355通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 00:55:10 ID:???
誤字なんかきにすんな!
プロですら誤字があるんだぜ!
脳内補完すっから安心しろ
356通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 01:21:46 ID:???
ここには誤字の神様が(ry
357通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 01:27:18 ID:???
誤字も神ががってくれば味になるさ
358リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/13(土) 08:36:13 ID:???
久しぶりの朝の投下予告です。
今から少し私用で出掛けるため12時くらいに投下を予定します。
投下してもOKでしょうか?
他の職人様が来ていなくてOKをもらえた場合に投下します。
一応、今回はアレが登場する話なのでちょっとだけ頑張ってみました。(多分)
それでは、失礼します。
359通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 08:41:11 ID:???
もちろん、OKです。
360通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 08:41:56 ID:???
楽しみにしています
361通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 10:13:24 ID:???
OK!待ってるぜ!!
362リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/13(土) 12:00:49 ID:???
第五話「舞い降りる剣」


ビルの窓が一斉に爆破していく。
「うおぉぉぉぉっ!」
その原因の二人がぶつかり合い、大きな衝撃波が出来る。
「デカブツ、アンタも誰かの使い魔か!」
拳を叩きつけシグナムの障壁とぶつかり合いながらアルフは聞く。
「ヴェルカでは騎士に仕える獣を使い魔とは呼ばぬ!主の牙そして主の盾、守護獣だぁぁぁっ!」
「同じような、もんじゃんかよーーー!!」
その瞬間、お互いの魔力が爆発、相殺する。
ザフィーラは後ろに後退すると上の仲間を見上げる。
(状況はあまり良くないな、シグナムやヴィータが負けるとは思わんがここは退くべきだ。シャマル何とか出来るか?)
ザフィーラは結界の外にいるシャマルに念話で話しかける。
(何とかしたいけど、局員が結界を維持してるの。私の魔力じゃ破れない)
強装結界を破るには強大な魔力が必要なのだ。
(シグナムのファルケンか、ヴィータのギガント級の魔力を出せなきゃ)
(二人とも手が離せん、已むを得ん。アレを使うしか)
(分かってるけど、でも・・・・・)
その瞬間、シャマルの後ろで何かが構えられる音がした。
(あっ!?)
その後ろでは外を探索していたクロノがS2Uを構えていた。
(シャマル?どうした、シャマル)
「捜索指定ロストロギアの所持、使用の疑いであなたを逮捕します」
その状況を見ていたリンディとエイミィもそしてクロノもこれで詰んだと思っていた。
「抵抗しなければあなたには弁護の機会がある。同意するなら武装の解除を・・・・」
その瞬間、誰かがクロノたちの間に飛び込んできた。
「せぃっ!」
「うっ!?」
クロノはそれが予想外だったのか、その人物に蹴りをまともに喰らい反対側のビルに吹き飛ばされてしまう。
そこには仮面をつけた男が蹴りを放った態勢のまま立っていた。
「仲間?」
クロノは蹴られた腹部を押さえながら言った。
『エイミィ、今のは?』
エイミィはパネルを叩きながら色々調べているが、何も分からない。
『わ、分かりません。こっちのサーチャーには何の反応も・・・・何で?どうして?』
363リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/13(土) 12:03:52 ID:???
「あなたは?」
シャマルは仮面の男に何者なのか質問する。
「使え」
仮面の男はそれには答えず言った。
「え?」
「闇の書の力を使って結界を破壊しろ」
「でも、あれは!」
その言葉にシャマルが反論する。
「使用して減ったページはまた増やせばいい。仲間がやられてからでは遅かろう」
その言葉にシャマルは闇の書を見つめ、決意する。
彼女は仲間を救う道を選んだ。
(皆、これから結界破壊の砲撃を撃つわ。うまくかわして撤退を!)
「「「応」」」
シャマルは砲撃の用意を始める。
大きな魔方陣がシャマルを中心に展開する。
「闇の書よ、守護者シャマルが命じます。眼下の敵を打ち砕く力を、今、ここに」
その瞬間闇の書から膨大な魔力が溢れ出てくる。
そして、暗雲が集まり結界上空に膨大な魔力の雷が集まっていく。
「!?」
それに気を取られたクロノはまた仮面の男の蹴りを受けてしまう。
地面に叩きつけられる前に態勢をどうにか立て直すと仮面の男が喋る。
「今は動くな。時を待て、それが正しいとすぐに分かる」
「なにっ!?」
膨大な魔力が一つの塊となる。
「撃って、破壊の雷!」
『Beschriebene.』
その瞬間、巨大な魔力の雷が結界に落ち、結界が崩れ始めた。
364リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/13(土) 12:06:49 ID:???
キラはなのはやフェイトの戦いをずっと見ていた。
握り拳を作り、爪が肉に食い込み血が滴るほどに握っていた。
悔しかった、自分も彼女たちを守るために戦いたかった。
だが、キラには戦いたくないと思う時もあった。
キラはラウ・ル・クルーゼとの戦いで心ではもう戦いたくないと思っていた。
ストライクが壊れてしまったのもそれが原因だった。
最初の戦いで戦いを望まない心と守りたい心がぶつかりあい心にズレが生じた。
魔力の急激な消費やストライクの酷使にそれが重なり、ストライクは砕け散ったのだ。

分かっていた、自分は戦いには向かないことを
分かっていた、自分は戦いを恐れていることを
分かっていた、自分は誰かを傷つけてることを
分かっていた分かっていた分かっていた分かっていた分かっていた分かっていた分かっていた。

(だけど、あの時戦えたのはなんだ)
キラは最初の戦いを思い出し、自問自答をする。答えは決まっていた。
(守りたいんだ)
そう、あの時彼女たちを見て守りたい思ったから自分は戦った。
昔、アスランにザフトに来いと言われた時のことを思い出す。
自分はこう答えたじゃないか、キラは自分に言い聞かせる。
(あそこには守りたいものが、ともだちがいるんだ)
そうだった、とキラは気付く。
自分には守りたい人が・・・ともだちが・・・大切な人たちがいたから・・・戦ったんだ。
彼女たちを守りたいから・・・・・そのためならば自分はもう一度剣を持てる!
だが、キラには剣がない。彼女たちを守るために見合う剣が。
空で未だに戦っている二人の少女を見つめる。
「僕は・・・・・もう一度守りたい。そのために力が・・・剣が欲しい!!」
キラは声を張り上げて叫んだ。
その時だった。何かが聞こえてきた。
羽ばたく音が、鳥の羽ばたきとは少し違う音が聞こえる。
『トリィ』
「!?」
キラは空を見上げる、空から緑色の小鳥型のロボットが降りてきたのだ。
「トリィ!?」
キラは驚いたが、手を差し出しトリィを手の平に乗せる。
「一体どうして、トリィがこんなところに・・・・・ん?」
トリィは何かを脚で掴んでキラに渡したのだ。
キラの手の平には蒼い翼の形をしたバッジのようなものだった。
それを見た瞬間キラの体が、心が震えた。
知っている、初めて見るもののはずなのにこれが何なのか自分は知っている。
忘れるわけがない、自分の想いと力が篭った剣の名を忘れるわけがないのだ。
キラはそれを握り締め、目を瞑る。
今一度自分に問おう。この想いは何のためにある、この力は何のためにあると。
「守りたいんだ、皆を・・・・・大切な人たちを・・・・」
それを答えるとバッジが蒼く輝き、キラは目を閉じSEEDを発動させる。
『Please call my name. My master.』
「フリーダム」
その瞬間、キラの周りを蒼い魔力が包み込んでいった。
365リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/13(土) 12:09:30 ID:???
「まずい、個別防御」
ユーノは今にも結界を突き破りそうな雷を見て呟くとすぐに準備に掛かる
あれを防ぎきれるかは分からないが守らなければならない。
シグナムとフェイトもお互い雷を見上げていた。
「すまん、テスタロッサ。この勝負、預ける」
「シグナム!」
なのはとヴィータもお互い向かい合ったままだった。
「ヴォルケンリッター鉄槌の騎士、ヴィータ。あんたの名は?」
「なのは、高町なのは」
お互いの名前を名乗りあう。
「高町なぬ・・・・なにゅ・・・・えぇーい!呼びにくい!!」
「逆ギレ!?」
「ともあれ、勝負は預けた!次は殺すかんな、ぜってぇーーだ!!」
そういうとヴィータは飛び去っていく。
「あ、えっと・・・・ヴィータちゃん?」
ザフィーラは撤退しながらアルフに言った。
「仲間を守ってやれ、直撃を受けると危険だ!」
「えぇ?あ・・・・あぁ」
その言葉に驚きながらもアルフはフェイトたちのところへ向かった。

(ユーノ!)
(分かってる、アルフと二人でどうにか!!)
しかし、なのはとフェイトがいた場所は丁度雷の真下だった。
「フェイトちゃん!」
「なのは!」
二人はお互いの名前を呼び合った。
お互いも防御の障壁を張り、ユーノとアルフの障壁も張られる。
あの魔力の直撃・・・・防ぎきれるか難しいところだった。
雷が目の前まで来てなのはとフェイトは目を瞑ってしまいそうになる。
その時、蒼い翼が天に昇り、彼女たちの前に現れる。
二人は青年のその後姿を見たことがあった。
「フリーダム、カートリッジロード。ハイマットフルバースト・・・・・いくよ」
『All right. Load Cartridge. High MAT full burst mode. Set up.』
その瞬間、翼の片方から二発ずつ、計四発のカートリッジを消費。
そして、背中のバラエーナ、両腰部のクスィフィアス、ライフルのため五発のカートリッジが消費される。
青年は大きな翼を広げ、雷に向かい全ての砲門を向ける。
『Target lock. Ready.』
その瞬間、キラが咆哮を上げ引き金を引く。
「いけえぇぇぇぇぇっ!!」
次の瞬間、五つの砲口から発射された蒼い魔力が唸りを上げて雷とぶつかり合う。
366リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/13(土) 12:13:01 ID:???
雷は青年の魔力によって分散し、なのはたちとの直撃を避けている。
しかし、雷に段々と青年の魔力が押されてくる。
「ぐぅっ・・・!」
「キラくん!」
「キラ!」
なのはとフェイトが青年に向かって叫ぶ。
青年は後ろを振り向くと心配そうに見る二人に笑いかけた。
「大丈夫だよ」
キラはそう言うと前を向き直る。
彼女たちの声が、キラの想いと力を強くなっていく。
(絶対に・・・・守ってみせる!!)
その瞬間には蒼い魔力が勢いを上げ、雷が終わった天を突いていた。
キラの魔力によって分散された雷は周りに落ち大きな爆発が起こる。
『状況は?』
リンディがエイミィに聞いている。
『魔力爆撃、物理被害はありません!でも、ジャミングされてサーチャーとレーダーが』
エイミィたちの見るモニターに映ったのはアルフとユーノの結界に守られているなのはとフェイト、アルフ、キラの姿だった。

「はぁ〜っ」
アルフは大きくため息をついた、寿命が縮んだ気分だった。
(なのは、フェイト、アルフ大丈夫?)
ユーノが心配そうに聞いてくる。
「う、うん。ありがとう、ユーノ君。アルフさん・・・・それに」
なのはは上を向くと青年の姿をしたキラがなのはたちのところまで降下してくる。
「キラくんも」
「どういたしまして」
キラはにっこりと笑ってみせた。
「それにしても、キラ。その姿・・・・・」
「あ、何か元に戻っちゃってるね。気が付かなかったよ」
「それもだけどキラのデバイスが」
「うん、これは僕の新しい剣・・・・・フリーダムっていうんだ」
『Nice to meet you.』
「あはは、よろしくね」
なのはが嬉しそうにフリーダムに答える。
「それにしても皆が無事でよ・・・か・・っ・・・・」
さっきまで笑っていたキラがそのまま力なく落ちる。
「「キラ(くん)!」」
なのはとフェイトがキラを支えて飛ぶ。
「ご・・・ごめん・・・・ちょっと力を使いすぎた・・・みたい」
キラはおぼろげに思い出していた。
(あ・・・そうだ・・・あとではやてちゃんに謝っておかないと・・・・)
その瞬間、キラは気を失った。
367リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/13(土) 12:17:13 ID:???
「う・・・・ん・・・」
「あ!気が付いた!」
ベッドで寝かされていたキラが目を覚ましたことになのはが気が付いた。
「あれ?僕は・・・・・・」
「あれだけの魔力爆撃を防御じゃなくて攻撃で防いでいたんだ、魔力を大量に消費したに決まってるでしょう」
その質問にクロノは呆れて答えていた。
「そっか、ごめんね」
「何で謝るの?キラは私たちを助けてくれたんだよ?」
「そうだよ。あたしとユーノだけでなのはたちを守りきれたかどうか」
「だから、キラくんは謝らなくてもいいんだよ。ありがとね、キラくん」
「皆・・・・・うん、ありがとう」
なのはたちの言葉にキラは笑って答えた。
「あれ?」
「どうしたの?キラくん」
「戻ってる」
キラは自分の姿を見て、驚いていた。さっきまでは元の姿に戻っていたのに今は子供姿のままだ。
「あぁ、キラが気絶したらバリアジャケットと一緒に元に戻っていたよ」
アルフが先ほどのことの説明をする。
「元に戻っていた、っていうか元の姿があれなんだけどね」
キラは苦笑いをしながら答えた。
「それで・・・・・なんだけどキラ」
「なに?フェイトちゃん」
フェイトがキラの近くまで来るとフェイトの肩にトリィが乗っていた。
『トリィ』
トリィはフェイトの肩からキラの肩に飛び移る。
「やっぱりキラくんのだったんだ」
「私たちがキラを運んでいる時にずっとそばにいたの」
「そうなんだ、ありがとう」
『トリィ』
そう言うとトリィは部屋の上をくるくると飛んだ。
「ねぇねぇ、キラくん。この子って何なの?」
なのはが興味深そうに飛んでいるトリィを見ながら喋る。
「僕の友達・・・・・向こうの世界の親友が作ってくれたものなんだ」
「あ・・・・・・」
その言葉になのはたちの顔が暗くなる。
「なんで皆が悲しい顔をするの、僕がこの世界に来たのは別に君たちの所為じゃないよ」
「それに・・・」とキラは言葉を続ける。
「言ったよね、また皆に会えて嬉しいって」
その言葉になのはたちは嬉しそうに笑った。
368リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/13(土) 12:21:22 ID:???
「そういえば・・・・・キラくんの世界はどうなったの?」
なのはたちはユーノやアルフからキラの世界について説明してもらっていた。
その世界では未だ大きな戦争が続いていてキラも軍に入って戦っていたという話だ。
聞きにくい話題だが今のキラの世界がどうなったか知りたいのだ。
人が人を殺しあう世界が続いていて欲しくなかったのだ。
「終わった・・・・のかな?」
「え?」
「僕は多分、終わる直前にここに来たんだ。だから詳しいことは分からない。でも、ラクスがうまくやってるよ」
「ラクス?」
「あぁ、ラクスはね・・・・・・・」
なのはやフェイトたちからの質問攻めにキラはゆっくり答えていった。
キラの言葉に、驚いたり、笑ったり、時々涙ぐんだりとなのはたちの表情は豊かだった。
何故かラクスのことを詳しく聞かれたキラは不思議に思いながらもそれに答えていた。
今は彼女たちとこうして話すことが何より楽しいと思うキラだった。



投下終了です!

やっとキラがフリーダムを手に入れました。
これでやっとキラを戦いに参戦させることが出来ます。(とはいえこれからの戦闘は少ないような)

この話を書きたくて投下ペース上げていた気がします。
これからはまたいつも通りに戻ると思います。
その間は神隠し氏など他の職人様が来てくださるでしょう!

キ「やっと僕も戦えるようになったぞ!」
ザ・ア「ガァーーーーッ!!」
キ「ちょ、出番あったじゃないですか!ちょっと・・・・まだ告知が・・・うわあぁぁぁぁっ!」
な「キラくんが続行不可能なので私たちが告知をしま〜す」
フ「えっと、ですね。作者の独断で決めたことですが・・・・・」
な・フ「リリカルクロスSEED続編決定〜!」
フ「でも、まだA´s終わってないよ?」
な「まぁ、そこはなんとかなるんじゃないかな?」
な・フ「それでは次回もお楽しみに!」
キ「お・・・お楽しみに・・・・」(ガクッ)
369通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 12:58:19 ID:???
>>368
ストライクが壊れてしまった理由も明らかになりましたね。

キラがフリーダムを手にしましたね。
まさかトリィがでてくるとは予想していませんでしたよ。
トリィって宇宙空間でも、飛んだりできるのでかなりの高性能なんですよね。

フリーダムはカートリッジの消費は激しいようですね

リリカルクロスSEED続編決定しましたか。とてもうれしいです。
次回も楽しみにしています。

370通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 13:52:36 ID:???
>>リリカルクロスSEED A's氏GJ!!
ついにフリーダムキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
待ってましたぜ!しかもちゃんとカートリッジシステム搭載だし!
まだまだキラはこれから活躍できますね!
トリィもこっちに来ていたのは驚きでしたよ…しかもなんでフリーダム持ってたんだ?

後、続編決定おめでとうございます!
読者としてこれほど嬉しい告知はありません!
これからも頑張って下さい!!

……てことはStSでは26歳のキラが?
クリスタルケージに閉じ込められたキラは、自分の体の異変に気付いた。
体が薄くなってきている。
血、と言えば正しいのか、キラの精神体から流れだした赤い液体は雪の様に白い空間に吸収去れていく。
「…これ…は…。」
自分の脇腹の傷が修復されはするものの…。
驚いているキラを眺めていたもう一人のキラはそんなキラを目の前に面白おかしそうに目を細め笑っていた。

第24話 雷光

ミッド地上での事件は群を抜いて多かった。
戦力、人員何もかも足りず、守れずに亡くなった一般市民、戦場半、倒れた局員たちも少なくなかった。
そして、地上の優秀な魔導士は本局に引き抜かれるという現状。
つまりは、いくら優秀な局員を育てても地上部隊の戦力にはならない…そういうことだ。
決して魔法の才に秀でていなかったレジアスは局内の高い地位を目指した。
自分が権力者になれば、今の地上部隊の現状も変えられる…そう願い、その願いはレジアスの努力と、惜しまず力を貸してくれたゼストのお陰でそう遠くなく叶えることが出来た。
それからだった、レジアスが豹変したのは…。
「お前に問いたかった…。
俺はいい…、お前の正義の為ならば、殉じる覚悟があった。」
ゼストの脳裏に浮かぶのは自分の部下たちの顔。
「だが、俺の部下たちは何の為に死んでいった?
どうして、こんなことになってしまった?
俺たちが守りたかった世界は…俺たちが欲しかった力は…俺とお前が夢見た正義は?
いつのまに…こんな姿になってしまった?」
ゼストは吐き出すようにそういうと、レジアスの答えを待った。
だが、レジアスはその問いに答えられなかった。
鋭い音ともに、レジアスの胸部から噴き出す血。
滴り、流れる血液が机の上の二枚の写真を濡らす。
「ッ!?」
ゼストにかけられる緑色のバインド。異変に気付いたオーリスが自分の背後を見ると、いつのまにか、一人の女性が立っていた。
レジアスの胸部から突き出たままの冷たい金属の輝き、ナンバーズ2番、ドゥーエ。
すがるような目でゼストを見、レジアスは力なくその体を机に預けた。
駆け寄るオーリスをドゥーエは吹き飛ばし、眠らせる。
「お役目…ご苦労様です。あなたはもう、ドクターの今後にとってお邪魔ですので…。
さぁ、これであなたの役目も復讐も終りです。」
ドゥーエはゼストへと視線を映した。
「いつでもそうだ…、俺はいつも遅すぎる。」
ゼストはバインドを砕いた。
シグナムはリインと別れ、アギトと共にゼストのもとへと向かっていた。
破られたドアから中を見渡せば、レジアスが机に突っ伏し、その横にはナンバーズと思われる女が横たわっていた。
そして、こちらは恐らく気を失っているのだろう、本棚に背を預けて座っているオーリス。
生きているのはゼストだけだった。
「旦那…。」
「これは…貴方が?」
シグナムが言った。
「そうだ…、俺が殺した…。俺が弱く…遅すぎた。」
ゼストは低い声音、思いつめた表情でそう答えた。

スカリエッティアジト。
「君はあんな男の為に…、こんなことをするのか!!?」
フェイトは力強くフロアを蹴り、跳躍してザンバーを一閃。ラウに当たることはなかったが、大剣はフロアを切り裂いた。
飛び散る灰色の魔力光。
「俺は…どの道そう遠くない未来に死ぬ人間だ…。
死ぬ前に、恩を返す…それだけだ。
本来、ドクターに救われることがなければ、俺は森でのたれ死んでいただろう。
死んでいた方が楽だったろうに…。」
『ドラグーン・スパイク』
悲しげに呟くラウ。
全包囲から一斉に一点へと集中する魔力の槍。
『ソニック・ムーブ』
煙の尾を引きながら一閃を見舞うフェイト。しかし、ラウは見きっていたかのように距離をとり、近付けさせない。
再びラウの魔力で練られた発射体つき魔力弾が周囲にポツポツと産み出されて行く。
「俺はお前と同じクローンだ…。だが、お前とは違い、完璧なクローンではない。」
奔流の嵐をザンバーで受け、回避しながら間合いを詰めるも、どうも誘導されているようだ。
あっという間にドラグーンで包囲され、一斉射。ソニック・ムーブでかわす、それの繰り返しを行っていた。
「完璧?私は完璧なクローンじゃない!!」
ドラグーンをかわしながらフェイトは言う。
「その証拠に…私はアリシアにはなれなかった!!」
「そんなことは問題ではない。お前はまだ、生きようと思えば生きられる。
だが、俺はどうだ?
生まれつきテロメアが短く、自分の手で友を…」
痛み。脳が思い出すのを拒否する。
顔は見えない。黒い髪が印象的だった。
「欺き…利用…」
周囲のドラグーンが霧散して消えていく。
フェイトはラウの異変に気付き様子を窺っていると血のように赤いバインドの様なものにザンバーを絡め取られ、さらに足にも巻き付く、それ。
「ッ!?」
ザンバーが砕かれ、足を地上に引っ張られて、そのバインドの様なものが檻を形成、閉じ込められてしまった。
「おやおや…、彼にとって『友』と言う言葉は禁句だったようだね…。」
暗がりから足音と共に姿を現したのはスカリエッティだった。
完全に動きを止めてしまったラウを一瞥してから、フェイトへと視線を移すスカリエッティ。
「まぁ…いいがね…、正直、彼がここまで動けた事だけでも驚きなんだがね。
さて、以前トーレから聞いているかね?
私と君が…親子の様なものだと…。」
スカリエッティは空間モニターを開いた。
「君の母親…プレシア・テスタロッサは実に優秀な魔導士だった。
私が原案のクローンニング技術を見事完成させてくれた。
だが肝心の君は…彼女にとって失敗作だった。
蘇らせたかった実の娘、アリシアとは似ても似つかない…。
単なる粗悪な模造品…クククク…。」
笑うスカリエッティ。
「それ故、まともな名前すら貰えず、プロジェクトの名をそのまま与えられた。
記憶転写クローン技術…、プロジェクトF.A.T.Eの最初の一葉。
フェイト・テスタロッサ…。」
フェイトはスカリエッティを睨みつけ、そして立ち上がった。
「ライオット!」
『ライオット・ブレイド』
カートリッジを消費、バルディッシュザンバーは大剣からもう一つの剣の姿へと姿を変えた。
大剣よりも扱いやすい、小回りの効く剣。
それを横一閃、スカリエッティの作った檻を切り裂き、壊した。
「それが君の切札か?」
ぜぇはぁと息を切らすフェイトを目の前にして、スカリエッティが言った。
「成程…、このAMF状況下では消耗が激しそうだ。
だが、使ってしまっていいのかい?
ここにいる私を倒したとしても、ゆりかごも私の作品達も止まらんのだよ?
プロジェクトFはうまく使えば便利なものでね。
私のコピーは戦闘機人12名の体内に仕込んである。
どれか一つでも生き残れば、すぐに復活し、一月もすれば私と同じ記憶を持って蘇る。」
「馬鹿げてる…。」
フェイトが静かに呟いた。
「旧暦の時代…アルハザード時代の統率者にとっては常識の技術さ。
つまり君は、ここにいる私だけでなく、各地に散った十二人の戦闘機人、その全員を倒さねば、私も…この事件も、止められないのだよ。」
興奮気味に笑うスカリエッティ。
再び先ほどのバインドがフェイトの自由を奪う。
「絶望したかい?君と私はよくにているんだよ。
私は自分で作り出した生体兵器たち、君は自分で見付だした自分に反抗することが出来ない子供たち…。
それを自分の思うように作り上げ、自分の目的の為に使っている。」
「黙れッ!!」
プラズマランサーを放つも、スカリエッティにの張る障壁に防がれてしまう。
「違うかね?君もあの子たちが自分に逆らわないように教え込んで、戦わせているだろう?
私がそうだし、君の母親もそうだった。
回りの全ての人間は、自分のための道具にすぎない、そのくせ君達は、自分に向けられる愛情が薄れるのには臆病だ…。
実の母親がそうだったんだ、君もいずれ、あぁなるよ。
間違いを犯すことに脅え、薄い絆にすがって震え、そんな人生など無意味だとは思わんかね?」
フェイトがスカリエッティの言葉に惑わされそうになった時だった。
恐らく、スカリエッティの仕業でエリオやキャロにも今の自分の様子が見えるようになっていたのだろう。
『『違う!!!』』
二人の声が、フェイトの耳に飛込んできた。
『無意味なんかじゃない!!』
キャロが叫ぶ、腕にルーテシアを抱えていることから恐らく、戦闘は無事に終了したのだろう。
『僕たちは自分で自分の道を選んだ!』
『フェイトさんは行き場のなかった私にあったかい居場所を見つけてくれた!!』
『たくさんの優しさをくれた!!』
エリオが、キャロが叫ぶ。
『助けてもらって、守ってもらって…自分一人の力でやっと少しだけ歩き出せるようになった!』
『だから負けないで!迷わないで!!『戦って!!!』』
フェイトは笑った。
まさか、自分の子供たちから教えられるとは思わなかった。
いずれは成長し、自分の元を離れ、一人で歩けるようになっていく。
そう思っていた。
まだ自分が支えてあげなければと。
『Get set』
「オーバードライブ…新・ソニックフォーム!」
『Sonic Drive』
溢れ出す膨大な魔力。天に向かって伸びる金色の魔力光。
「ごめんね…ありがとうね…エリオ、キャロ!」
変化するバリアジャケット。
『ライオット・ザンバー』
二刀一対の剣が両手に握られる。
二刀の切っ先をスカリエッティに向け構えるフェイト。
その前に頭痛に顔を歪めるラウが立ちはだかる。
「それだけ装甲が薄ければ、ドラグーン一発当たれば墜ちるぞ?」
灰色の魔力光が飛び散る。
「ッ!?消えた?いや、」
頭上を覆う陰
「うちおとせ、レジェンド。」
『OK』
フェイトを囲むように展開されるドラグーンによる攻撃。
しかし、フェイトは華麗にかわしてドラグーンの発射体を破壊して行く。
一つ、また一つ。
フェイトの突如として上がったスピードと頭痛がドラグーンのコントロールを妨げる。
「所詮は出来損ないか…。」
スカリエッティが小さく呟く。

フェイトはラウに追い討ちを掛けながら口を開いた。
「私はアリシアにはなれなかった!
なれるはずがなかった!!」
ラウ、本名はレイ・ザ・バレル。彼についてはシンとキラから事情を聞いたことがあった。
「あなたも!」
レイ・ザ・バレルという名を持ちながらも、ラウ・ル・クルーゼとして生きてきた少年。
「でも、それは何も失敗作だからじゃない!」
発射体のコントロールがフェイトの迎撃に間に合わない。
「当たり前なんだ、命は何にだって一つだから!!だから私はアリシアじゃなくフェイトととして生きてきた。
だからあなたはラウなんかじゃない!その命はレイ・ザ・バレル…君のものだ!!!!」
ラウの動きが止まった。脳内で再生される似たような言葉。
『命は、何にだって一つだ!だからその命は君だ!彼じゃない!!!』
目の前に迫り来る二刀の斬撃にぶっ飛ばされ、ラウは気を失った。
フェイトはスカリエッティに向き直ると、二刀を一刀へと束ねる。
咆哮と共に縦一閃。
だが、スカリエッティは両手でそれを受け止めた。
手にはデバイスのようなグローブをはめている。
溢れ、弾ける魔力の欠片。
「あっはっはっはっはは…素晴らしい…やはり、素晴らしい…。
あぁぁ…この力、欲しかったなぁ!!」
目を見開き、狂喜の笑みを顔一杯に浮かべるスカリエッティ。
「だが、君は私を捕える代償に…君はここで足止めだ…。
私がゆりかごに託した思いは、とまらんよ!!!」
フェイトは一旦距離をとり、そして
「オォォォォォッ!!!」
ライオットザンバーの側面でおもいっきりぶっ飛ばした。
壁に全身を強打し、壁に背中を預けているスカリエッティにフェイトは言い放つ。
「広域次元犯罪者…、ジェイル・スカリエッティ…あなたを逮捕します。」

『スカリエッティ、アジト。アコース査察官からの連絡、戦闘機人の配置と現在の最終可動が判明!残り、四番のみです。』

現在状況が機動六課全員に知らされる。

暗闇でパネルを操作するクアットロは空間モニターを閉じ、溜め息を着いた。
「はぁ…、どの子も使えないこと…。」
眼鏡を放りなげ、結んでいた髪を解く。
「まぁ、私がいれば何とかなります…そうですよね?ドクター」
クアットロは愛しそうに自分の下腹部に手をあてた。

そして、玉座の間では息を荒げるヴィヴィオの前でなのはが壁に背中を預け、気を失っていた。

「向こうの切札も、もうじき潰れますしね。」
クアットロの笑い声が、誰もいない闇の中に響きわたった。

「ゆりかご」軌道ポイント到達まで
あと1時間35分

To be continued...
377通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 14:43:39 ID:???
支援
というわけで、なんとも微妙な第24話 雷光 終了です。

何かキャラにまで違和感ありますが…。
ごめんなさい。

出来ればprayを活かして書きたかったんですが、CD持ってないッス(涙)


次回
第25話 ファイナル・リミット
「見せてあげようよ、君と僕、世界最高のコーディネイターの力を」
379神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/13(土) 15:11:42 ID:???
最後に、質問です。
ヴィータのリミットブレイク時の形態、何フォームっていってますか?
聞き取れなかったのでよろしければ教えてください。
380通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 15:13:41 ID:???
ツェアシュテールングスフォルム
ドイツ語表記だとZerstorungsform
直訳すると破壊という意味
381通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 15:35:53 ID:???
>>神隠し氏GJ!!
フェイトとレイ、同じクローンという存在同士の戦い・・・。
レイはシンに対して申し訳ない気持ちがあったんですね。

うおおおおおお次回予告が気になるぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!
キラが薄くなってるのは存在消滅の危機?
次回こそはキラがもう一人のキラに打ち勝ってくれる事を願っています。そして次は仮面を被って虚化(ry
次もwktkして待ってます!!
382神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/13(土) 15:42:04 ID:???
>380
ありがとうございます!
383Fate in C.E.73 Part-4 1/5 ◆kd.2f.1cKc :2007/10/13(土) 15:44:36 ID:???
「!?」
 胸に、リンカー・コアの近くに、痛みのような痒みのような、妙な感覚が走る。反射的
に見上げると、そこに、紅いモビルアーマーが、猛スピードでこちらに向かってくるのが
見えた。
 尾部に接続されている、子機を切り離す。
 ────ドラグーン!?
「彼らの仇というわけではないが、その機体も頂こうか!」
 子機────エグザスのガンバレルが、バルディッシュを取り囲む。
「っ!」
 次々と発射されるガンバレルの射撃を、フェイトは踊るようにかわす。
 ────彼女の射撃に比べれば、この程度っ
 なんでもない。だが、こちらも攻撃に移れない。
 一方、エグザスのコクピットに収まるネオも、ガンバレルの射撃を適確に避けていくバ
ルディッシュを見て、何かが閃いたような感触を受けた。
 ────このパイロット……!!
「只者ではないな!」
 後半は口に出していた。
「シーン!!」
 フェイトは、通信機に向かって、その名を呼ぶ。
『フェイト!』
 ガーティー・ルーの付近で、ダガーLと戦っていたインパルスは、目の前の1機をビーム
サーベルで袈裟斬りにすると、反転し、スラスターを開いてエグザスを目指す。
「ルナ! 後は頼んだ」
『任せてっ』
 赤いゲイツBDは、1体のダガーLに向かって、乱暴にパルチザンを振り下ろす。刀を返す
ように、背後への回し蹴りを、もう1体のゲイツBDを当てて、間合いを取る。パルチザン
を構えなおす。
 ネオがバルディッシュを攻めあぐねいていると、もう1体、見慣れない形状のMSが、視
界に飛び込んできた。
 ────もう1体、新型か!
 ネオは奥歯を軋ませる。
 インパルスはエグザスに向かって、バルディッシュとの間に立ち塞がるように割り込む。
ビームサーベルとシールドを構える。
『大丈夫か、フェイト!』
 バルディッシュのコクピットに、シンの呼びかける声が聞こえてくる。
「大丈夫……シン、本体のモビルアーマーを」
『解った!』
 シンの返事と同時に、インパルスはエグザスに向かって飛び出した。
「ちぃ!」
 ネオは舌打ちしながら、インパルスにガンバレルとエグザス本体の照準を────
 ガンバレルの1機が、突然爆発した。
384Fate in C.E.73 Part-4 2/5 ◆kd.2f.1cKc :2007/10/13(土) 15:45:37 ID:???
「なにっ」
 エグザスのガンバレルを、フォトンランサー・ドラグーンが付け狙う。
「ヤツはドラグーン持ちか!」
「はぁぁぁぁっ!」
 ネオが忌々しそうに口に出したところへ、インパルスが上段から斬りかかってくる。相
対的下方へ急旋回させて、インパルスの斬撃をかわす。
「このっ!」
 シンはインパルスを“踏み込ませ”て、さらにエグザスをインパルスの間合いに捉える。
「クッ」
 ネオはガンバレルにインパルスを狙わせる────爆発。また、ガンバレルの1機が、
フォトンランサー・ドラグーンのビーム銃に貫かれた。
 バシュウゥゥッ!!
 各々の視界の一角に、閃光が走る。
「リーっ!!」
 ネオは、反射的に叫ぶ。
「ミネルバ!」
 フェイトは驚いたように言った。ほぼ同時に、シンも同じように口にしていた。
 ミネルバのトリスタン主砲からプラズマビームが飛び、回避運動を取る、ガーティー・
ルーを掠める。
「クソッ、これ以上は被害を大きくするだけか!」
 ネオはそう判断すると、エグザスを急旋回させて、ガーティー・ルーの方向を向かせた。
「待てっ!」
 シンは、インパルスにエグザスを追撃させようとする。だが。
 ポーン、ポーン、ポーン!
 ミネルバから、3色の発光信号弾が打ち上げられた。
「待ってシン! 帰還信号!」
 フェイトは、驚いたようにシンを呼び止める。
「なんでっ……こんな時にっ」
『戻ろう、シン』
「でも……いや、うん……」
 シンはまだ後ろ髪引かれ気味だったが、先に踵を返したバルディッシュの後を追って、
ミネルバへと向かった。
「ああっ、もう、しつこーい!」
 紅いゲイツBDは離脱しようとするが、ダガーLが追いすがり妨害する。ルナマリアは、
パルチザンでダガーLの右腕を斬りおとすと、スラスターを吹かして一気に引き離した。
385Fate in C.E.73 Part-4 3/5 ◆kd.2f.1cKc :2007/10/13(土) 15:46:38 ID:???

「3機、収容完了。カタパルトデッキ閉鎖しました」
 ミネルバ艦橋。
 メイリンの声が、タリアに報告してくる。
「敵艦のトレースはできてる?」
 メイリンと背中合わせに座っている男性オペレーターに、タリアは振り返ることもせず
尋ねる。
「はい。本艦より上方15度、右7度、距離30000。離れていきます」
「議長」
 タリアは、艦長席から、背後の指揮官席に座るデュランダルを振り返る。
「今からでは退艦いただくこともできませんが、本艦は引き続き、あの不明艦の追撃に移
るべきかと思います。いかがでしょうか?」
「タリア、私もこの火種、放置すればどれだけの大火になって戻ってくるか、見当もつか
ない。判断は君に任せる」
 デュランダルは、かなり険しい顔で、タリアにそう言った。
「ありがとうございます」
 そう言うと、タリアは前方に姿勢を戻し、艦橋のクルーに指示する。
「全速、敵艦の追尾を開始。なお、これより該当艦をボギー01(ワン)と呼称する」
「了解!」
 ブリッジのクルーからは、はっきりとした声の返事が返ってきた。
『ブリッジ』
 メインスクリーンに、通信の画面が表示された。艦内からの通信。画面に出たのは、金
髪の青年、レイ・ザ・バレルだった。
『戦闘中のこともあり、御報告が送れて申し訳ありません。本艦発進直前、着艦した我が
軍のモビルスーツに民間人2名が搭乗、拘束して身分を調べたところ、オーブ連合首長国
代表カガリ・ユラ・アスハと、その随員アレックス・ディノと判明』
「彼女がこの艦に?」
 デュランダルが、目元を険しくしながら言う。
『……議長……?』
 デュランダルの声に、レイは表情を険しくして、戸惑ったような声を出す。
「……続けて?」
『はっ、失礼しました』
 タリアの声に、レイは我に返り、それ以上取り乱すこともなく、続ける。
『負傷されていましたので、その手当てと、議長への面会を希望。現在、医務室で治療を
行っています』
「了解した」
 デュランダルが、直接答える。
「ひとまず治療が終わったら、あいている士官室へ案内を。私の方からそちらへ向かう」
『了解しました。そのように致します』
 そう言って、医務室からのレイの通信は切れた。
386Fate in C.E.73 Part-4 4/5 ◆kd.2f.1cKc :2007/10/13(土) 15:47:39 ID:???

 格納庫。
「ゲイツ系の腕のフィールドストリップなんざ、教練過程で何度もやってるだろうが!」
 整備中隊長の檄が飛ぶ。
 バルディッシュとインパルスも、整備用のハンガーに、並んで駐機されていた。
 フェイトはコクピットを開放してから、ヘルメットを脱ぐ。長い髪を揺すって下ろす。
「はい、フェイト」
 コクピットから降りかけたフェイトに、ルナマリアが、チューブ型容器のスポーツ飲料
を差し出す。
「あ……ありがとうございます、ルナマリアさん」
 微笑んで、フェイトはそれを受け取る。
「ルナでいいって、今日からは同僚なんだし、それに、歳だって同じなんでしょ?」
 ルナマリアは、そう言って笑った。
「それに、フェイトってば、凄いじゃない。ドラグーンよね。使いこなして」
「あの程度……」
 フェイトの表情が、急に憂いを帯びた物に変わり、俯く。
「彼女に比べれば……」
 親友の顔を思い出す。“伝説の固定砲台”とまで言わせしめた、空間制圧射撃の名手。
「彼女?」
 ルナマリアは小首を傾げて、キョトンとした表情で訊ねる。
「あ、いえ。私の知っているパイロットに、射撃の凄い人がいるんです」
 顔を上げて、苦笑気味に、ルナマリアに答えた。
「ふぅん……ヤキンより前からのパイロットかしら? 私も知ってる人?」
「いえ、ZAFTではあまり知られていないと思います」
 聞き返すルナマリアに、フェイトは苦笑気味の微笑で、答えた。
「あ、そうか、フェイトって、その頃はオーブにいたんだもんね。それじゃあ、オーブ軍
のパイロットなんだ」
 勝手に納得して、うんうんとうなずくルナマリア。
「ルナマリアこそ、その、格闘戦、凄いじゃないですか」
「え、あぁ、あはは」
 フェイトの言葉に、ルナマリアは照れくささ半分、決まり悪さ半分といった感じで、苦
笑する。
「私射撃下手だから……うん、その分ゲイツBDとは相性がいい感じ」
 ルナマリアは、別の列のハンガーに駐機している紅いゲイツBDを見た。フェイトも、つ
られるようにそちらに視線を向ける。
「フェイト、あ、ルナと一緒にいたんだ」
 そこへ、シンがやってきて、フェイトに声をかけてくる。
「あらら、それじゃあお邪魔虫は退散しますか」
 ルナマリアはそう苦笑して、バルディッシュのコクピットから離れかける。
「ちょっ、ルナ、俺たちはそんなんじゃないって」
「顔赤くしながら言っても、説得力ないわよ」
387Fate in C.E.73 Part-4 5/5 ◆kd.2f.1cKc :2007/10/13(土) 15:48:50 ID:???
 シンの言葉に、後姿でそう言いながら、ルナマリアはその場を離れた。
「フェイト、大丈夫だったか?」
「うん……シンこそ」
 シンが伸ばしてくる手をとり、幾分うれしそうに微笑みながら、フェイトはバルディッ
シュのコクピットから完全に格納庫へ出る。
「いや、ほら、それは……フェイトのお守りだってあるし」
 シンは顔を真っ赤にして、俯きがちにそう言った。
「ちぇっ、あの2人、見せ付けてくれるよな」
 ヨウランが、いずれかの部品を両手で持ちながら、シンとフェイトをヤブニラミする。
「ぼやかないぼやかない、俺たち整備は所詮裏方、ってね」
 ヴィーノは、無重力の空中で胡坐をかいた姿勢になりながら、クリップボードにはさま
れたチェックシートに書き込んでいる。
「顔の程度だけだったら、負けてる気はしないんだがな」
 ヨウランはぼやき続ける。
「こら、そこの2人! 次、バルディッシュ行くぞ! ぐずぐずやってないで早く分離の準
備をしろ!」
「っは、はいっ」
「はいっ!」
388Fate in C.E.73 Part-4 6/5 ◆kd.2f.1cKc :2007/10/13(土) 15:51:17 ID:???
>>383-387
今回は以上です。

フェイトのルナマリアに対する口調がうまく定まらない……違和感ありますでしょうか?

それと、なのは世界の魔術師って精神感応系はありですかね? 通信みたいなもの以外で。
投下ラッシュ、続きますね〜。
私も21時頃投下いたします。よろしくお願いいたします。
390通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 20:29:43 ID:???
>>383-388
乙!
シンとフェイトの仲良しっぷりがいい。
次回辺り、流石綺麗事は〜がくるかな?
391通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 20:43:10 ID:???
>>388
GJです。
レイ以外接近戦に強くて男らしい(ルナ含む)。

特殊かもしれませんが、闇の書に食われて見た夢とかも精神攻め?
高い天を行く者から勇敢な者へ
   第十話・中編

・機動六課隊舎

夜の暗闇を照らすように、赤い炎が機動六課隊舎を包む。周りに建物が無いため、その光景はよく目立った。
ガジェットが破壊活動や周辺警戒を行いながら周りを取り囲み
正面玄関前ではガジェットの残骸に囲まれるようにして、満身創痍のシャマル・ザフィーラ・久遠が上空にいる襲撃者を見据えていた。
「たった3人で・・・・・よく守った」
独特の魔法陣を展開し、左右に武装強化を施したガジェットを携えたオットーが眼下の3人を見据えながら呟く。
「だけどもう終わり。僕のIS・レイストームの前では・・・・・抵抗は・・・・・無意味だ」
右掌に形成したリング球から、5つの緑色の光線を機動六課隊舎目掛けて放った。
「クラールヴィント!防いで!!」『ja』
機動六課隊舎目掛けて放たれたその攻撃を、シャマルは咄嗟に防御障壁を展開し防ぐ。
「でおぁぁぁぁ!!」
その隙にザフィーラがガジェットの弾幕を掻い潜り、オットー目掛けて突撃するが
「ディード」
オットーが呟くと直に、
「IS・ツインブレイズ」
ツインブレイズを振り被ったディードが一瞬でザフィーラの目の前に出現、ツインブレイズを叩き付けた。
直撃を受け、地面に叩きつけられるザフィーラ。
「雷!!」
久遠は上空の二人を睨みながら、両腕に雷球を形成、二人目掛けて放つが
「無駄です」
自分たち目掛けて放たれた攻撃を、ディードはツインブレイズで難なく切り払う。
それと同時に、シャマルが展開した防御障壁も破壊され、5つの緑色の光線が機動六課隊舎に直撃する。
その光景を無表情に見つめるオットーとディード、そして今度は眼下にいる3人に目標を定める。
「安心していい、殺しはしない・・・・・・・さようなら」
3人目掛けてレイストームを放とうとするオットー。その時
「・・・・来てくれた!」
久遠が嬉しそうに呟くと同時に
「っ!オットー!!」
ディードはオットーの手を乱暴に取り、上空へ回避。その直後、強力な魔力砲が先ほどまで二人がいた所を通過し、
オットーが左右に展開していた強化武装を施したがジェットを全て破壊する。
攻撃が放たれたほうを向く二人、するとそこには
「チッ・・・・・外したか・・・・」
強力な魔力砲『フォルファントリー』を放った人物。カナード・パルスが左のフォルファントリーを展開した状態で接近してきた。
ディードとオットーは突如現れたカナードを警戒するが、カナードは二人には目もくれずにフォルファントリーを仕舞い、ザフィーラ達の下に降り立った。
「カナード!!」
久遠はふらつきながらも、カナードに近づき、抱きつく。
「・・・・よく・・・がんばったな」
微笑みながら、久遠の頭を優しく撫でる。
「後は任せろ」
その言葉を聞いた途端、張り詰めていた物が切れたのか、久遠は気を失い子狐形態になった。
子狐になった久遠を優しく抱きかかえ、燃え盛る機動六課隊舎を見上げる
「間に合った・・・とは言いがたいな・・・・・・全員無事か?」
「ええ、ロングアーチもギリギリまで頑張ってくれた。今はバックヤードスタッフの皆と一緒に避難してるわ。
・・・・・ごめんなさい。守りきれなくて」
シャマルは俯き、声を搾り出すように答える。
そんなシャマルにカナードは近づき
「・・・・・お前達は良くやった。満足な戦力が無い中で、この数の敵と戦い持ちこたえたんだ。
全く・・・そんな顔をするな!顔をあげろ。胸を晴れ」
そう言い、カナードはシャマルに久遠を渡す。
「久遠を頼む。お前達は避難している連中と一緒にここを脱出しろ」
「ここを・・・放棄するのか・・・・」
理屈では解っているが、悔しそうに呟くザフィーラ
「ああ。だが、お前達は生きる事が出来る。生きてる内は負けではない。いけ!」
カナードの言葉に、シャマルとザフィーラは頷き、燃え盛る機動六課隊舎に向かって走る。
「・・・・・・さて、待たせたな」
シャマル達が向かったのを確認した後、上空で戦闘体勢に入っているディードとオットーに向かって言い放つカナード。
「だが、こちらは会話中だった、なぜ攻撃しなかった?」
カナードの質問にオットーは無表情で答える。
「・・・・僕達の目的は人員の殺害ではない。あの人たちも往生際が悪かったので昏倒させるつもりだった。
だか貴方のおかげで、中の非戦闘員と一緒に逃げてくれる。感謝します。」
「それに、攻撃しようにも、いつでも対処できるように身構えてたではないですか」
ディードが補足をする。
「感謝されても嬉しくも何とも無いな・・・・・ならばガジェットがあいつらを攻撃することは無いのだな?」
「あの人たちが何もしなければ、こちらからは攻撃を仕掛けません。施設の破壊は続行しますが」
「そうか・・・・人員を殺害しなかった事だけは感謝しよう・・・・・・・・投降しろ。一度しか言わん」
ザスタバ・スティグマトを向け、殺気を放ちながら言い放つ
「そちらこそ、あの人たちと一緒に逃げてくれませんか?」
オットーはいつでもレイストームを放てるように右掌にリング球を形成し
「数では圧倒的にこちらが有利です。怪我しますよ?」
ディードはツインブレイズを構え、言い放つ。
「そうか・・・・・ならば、痛い目を見るのだな!!」
二人目掛けてザスタバ・スティグマトを放ちながら跳躍、そのまま飛行を開始する。
放たれた魔力弾を二人は左右に分かれ回避、オットーはそのままカナードとの距離を開け、ディードはカナード目掛けて突撃
「はあぁぁ!!」
気合と共にツインブレイズを振り下ろす。
カナードはその斬撃を後ろに下がりかわすが、髪の毛を数本持っていかれる。
続けてディードはツインブレイズの名の通り、二本の剣を巧みに使い斬撃を連続して繰り出し、カナードに迫る。
「なるほど・・・むやみやたらに振り回してる・・・・だけではなさそうだな・・・・・・良い教官でもいるのか?」
両腕に持ったロムテクニカで、ディードの斬撃を捌きながらも質問するカナード。
「ええ、先生には恵まれてますから」
小さく笑いながら言い放った後、重力に従うように急降下するディード
「それに・・・・姉妹にも恵まれてますから!」
その言葉が合図だったかの様に
「IS・レイストーム」
オットーのIS・レイストームがカナード目掛けて迫ってきた。自分目掛けて迫ってくる5つの光を
「アルミューレ・リュミエール展開!」
カナードはアルミューレ・リュミエールを展開、放たれた攻撃を防ぐ。
「そんな物ではアルミューレ・リュミエールは敗れんぞ」
レイストームの直撃で発生した爆煙に包まれながらも、オットーに言い放つカナード。だが、
「分かっています。ディエチの砲撃を正面から防いだ防御魔法・・・・・僕の砲撃では破壊は不可能でしょう・・・・・ですが」
オットーは淡々と言い返す。その直後
「隙は出来ました」
いつの間にか後ろに回り込んだディードがツインブレイズを振り被り、カナード目掛けて振り下ろした。
ツインブレイズが何かとぶつかり、それが原因で発生した衝撃波により爆煙が一気に晴れる。
「ディード・・・・やったか・・・・・」
爆煙が晴れたため、状況を確認するオットー、するとそこで見たのは。
「なっ・・・・・」
ツインブレイズを受け止められているディードと
「なるほど・・・・・確かに良い手だ」
ディードの方を向き、三角錐型に形成したアルミューレ・リュミエールでディードの斬撃を防ぐカナードの姿だった。
防がれた事に驚きつつも、力任せにツインブレズで押し切ろうとするディード。だが
「だが・・・・俺には無意味だ!!」
カナードは同じく力任せに受け止めていたツインブレイズを切りはらう。続けてディードのみぞおち目掛けて

            ドゴッ!

手加減などせずに

            ドゴッ!!

右、左と素早く順序よくブローを放つ。特殊なボディースーツを着用しているとはいえ、
並みのコーディネーターより高い身体能力に、魔力による身体強化を施した拳はディードに想像以上のダメージを与えた。
「か・・はぁ・・・」
肺からを出し切ったような声をあげるディード。続けてカナードはすぐに掌を組み合わせ振り被り
「寝てろ!!」
うずくまるディード目掛けて振り下ろした。
防御もロクに出来ない状態で直撃を受けたディードは、かなりの速さで地面に叩き付けられた。派手にアスファルトが舞い、小さなクレーターが出来る。
「ディード!!」
姉妹が目の前で叩きのめされた事に怒りをあらわにするオットー。すぐにカナード目掛けてレイストームを放ち、航空型ガジェットをけしかけるが
「フォルファントリー・ライト展開!」
カナードは右のフォルファントリーを展開し、カートリッジをロード、爆音と共に排出されるカートリッジ、そして展開される魔法陣
「発射!」『Fire!』
放たれた強力な魔力砲は航空型ガジェットとレイストームを飲み込み、オットー目掛け、迫ってくる。
「くっ!」
自分目掛けて迫ってくる魔力砲を、上へ逃げ回避する。だが

             ガガガガガガガガガ

タイミングをずらして放ったザスタバ・スティグマトの魔力弾がオットーに吸い込まれていく。

カナードが今行なった戦法は、前の世界で行動を共にしていたサーペントテールのメンバー『イライジャ・キール』から教わった技だった。
先ずは敵目掛けて初弾を放ち、タイミングを焦らして次弾を放つ。戦闘においては進行方向への回避駆動は、まずありえない。
それを利用して、真っ直ぐに敵に向かって放った攻撃をわざと避けさせる事で、タイミングを焦らして放った次弾を命中させるというものである。
ちなみにヴェイア(裏)はその攻撃を初弾を撃ち落すという方法で攻略し、次弾を接近戦にするという独自の方法でこの戦法を物にしている。

「ああああああ!!」
ザスタバ・スティグマトの魔力弾がボディースーツとステルスジャケットをズタズタにし、オットー自身にもダメージを与えた。
ダメージを受け、疲弊してるオットーにカナードは接近し右手を掴む。そして
「一緒に寝ていろ!!」
どうにか立ちあがったディード目掛けて、思いっきりブン投げた。
眼下に迫ってくるオットーを、どうにか受け止めるディード。だが再び地に足をついてしまう。
そんな二人に接近し、ザスタバ・スティグマトを構えるカナード
「・・・・お前達は強い。だが、経験不足だ。実戦をこなせば、もっと強くなるだろう」
「・・・・・・・ご忠告・・・どうも・・・・」
カナードを睨みつけ、言い放つディード
「特別にもう一度言ってやる・・・・・・投降しろ」
カナードの最後通告に黙り込むディードとオットー。カナードも黙って答えを待つ。六課が燃え上がる音だけが静かに響く

           「それでも君達は・・・戦闘機人かね?」

何も無い空間から突如強力な魔力砲がカナード目掛けて放たれた。
「なっ!アルミューレ・リュミエール展開!!」
カナードはアルミューレ・リュミエールを咄嗟に展開し、防ぐ。だが
「ぐっ・・・・・あああああ!!」
衝撃までは防ぎきれず、吹き飛ばされ、燃え盛る機動六課隊舎に叩き付けれた。
突然起きた事態に戸惑いながらも、魔力砲が発射された方向を向くオットーとディード。
二人が見た先には何もなく、ただ不自然に何も無い空間から煙が立ち上っていた。
そして、ステルスの一種なのか、何も無い空間から徐々に砲撃をしたと思われる人物が姿を現した。
見た目からして男、右腕には先ほどの砲撃を放ったと思われるライフルが煙を上げており、
両肩と両足にはモノアイが付いたアーマーのような物を装着、内二つのモノアイがオットーとディードを見ていた。
体は目立った特徴の無いバリアジャケットを装備しているが、あちこちに手のひらサイズの不気味な顔をしていた人形を吊り下げており
一番の特徴が、本来眉毛がある部分に爬虫類を模った刺青をしている所だった。瞳が4つあるようで恐怖より不気味さを感じさせる。
その男はカナードが機動六課隊舎にたたきつけられたのを確認した後、
自分を警戒しながら見つめるオットーとディードを見下すように見つめる。その間2秒、そして
「無能な物には・・・・・・死だ!!」
ライフルを向け、二人目掛けて何の躊躇も無く放った。
先ほどの戦闘ダメージもあり、突然の攻撃に対処できない二人。そこへ
「アルミューレ・リュミエール展開!!」
機動六課隊舎から飛び出したカナードが二人の前に出てアルミューレ・リュミエールを展開、
魔力砲がアルミューレ・リュミエールに直撃し、激しい衝撃がカナードを襲うが
「な・・め・・るなぁ!!!」
歯を食いしばり、魔力砲を防ぎきった。
「・・・・・ほぉ・・・・」
先ほどとは違い、感心したような目でカナードを見る男。その男を殺気を含んだ瞳で睨み返すカナード。
「どうして・・・助けたのですか・・・・私達は敵ですよ?」
敵である自分達を助けたカナードの行動が理解できず、つい尋ねてしまうディード
「ふっ、勘違いするな・・・お前達にはここを襲撃した理由など、聞かなければいけない事が沢山あるからな」
笑いながら答えると同時にザスタバ・スティグマトのマガジンを交換する。
「だが、事情が変わった・・・・・・とっとと何処かに行け。お前達を尋問するより、こいつの相手をする必要がありそうだ」
「僕達は・・・ここを襲撃した実行犯ですよ?昏倒させて放置しておくという手もありますが?」
「・・・・お前達は捕まりたいのか?仮にその方法を取っても、お前達を気にかけながら奴と戦うなど出来ん。そもそも俺は局員ではない、傭兵だ。
俺は人員の安全を第一考えて行動している。建物云々は二の次だ。お前達は『人員の殺害はしない』と言った。
ほっといても大丈夫だろう。だが、こいつは別だ・・・」
カナードが話し終わるのを待っているのか、ニヤニヤしながらカナード達を見つめる男
「・・・・ここに来る途中、近隣部隊が駐屯していた場所を通ったのだが・・・・・全滅していた。
おそらく上空から強力な魔力砲で・・・・・・奴だろうな」
カナードの説明で、近隣部隊と鉢合わせしなかった事に納得がいくオットー。
「奴をほっといたら避難してるシャマル達が危ない。だがお前たちを拘束する余裕も無い・・・・・それだけだ」
「・・・・わかりました。お言葉に甘えます。オットー、大丈夫?」
オットーに肩を貸し、心配そうに尋ねるディード
「ああ・・・大丈夫」
ディードを安心させるように微笑むオットー、そして後ろを向いているカナードを見据える
「・・・・目的はほぼ達成しましたので、ガジェットは停止させます。ディード、いいよね?」
オットーの問いかけに、ディードは微笑みながら頷く
「最後に一つだけ、私達は貴方に痛い目に合わされました。ですが、同時に助けられました。この場合、お礼を言うべきなのでしょうか?」
ディードの質問に小さく笑うカナード、そして
「さあな・・・・・・先生には恵まれているのだろ?そいつに聞いてみろ」
カナードの答えに釈然としない顔をする、だがすぐにオットーと一緒にその場から退避した。
「終ったか?おしゃべりは?」
あくびをしながら男は尋ねる
「ああ・・・・所でキサマは何者だ?スカリエッティの仲間ではなさそうだが?」
「仲間ではない、だが関わりはある。まぁそんなことはどうでもいい」
右手に持っているライフルで自分の肩を叩きながら面白そうに話す男。
「自己紹介がまだだったな・・・俺の名はアッシュ・グレイ。昔はザフトの軍特殊防衛部隊に所属していた」
アッシュの言葉にカナードは目を見開き、驚きを表す。
「まぁ、お前と同じさ。カナード・パルス。いや、『失敗作』と言った方が良いかな?」
「・・・・・・キサマ・・・・」
殺気を丸出しにしてアッシュを睨みつけるカナード。その姿に満足したかのように笑みを浮かべるアッシュ
「そうそう!お前にはその目が似合う!さぁ、始めようかぁ!!はははははははははははは」
狂ったように笑いながら、アッシュはカナード目掛け砲撃を放った。

・首都上空

機動六課襲撃をグリフィスからの通信で知ったなのは達、
ライトニング部隊とリインフォースが六課に戻ることになったが、途中トーレとセッテと遭遇。
フェイトが足止めをする事となり、エリオとキャロ、リインフォースが六課に向かうこととなった。
「フェイトさん・・・・大丈夫かな・・・・」
エリオの説明で、自分達がいてはフェイトが全力で戦えない事を知ったキャロ。それでもフェイトの事が心配で仕方が無かった。
「・・・・・・・」
キャロを説得したエリオ自身も、口ではああ言ったが、フェイトを心配する気持ちはキャロと変わらなかった。そのため、キャロの呟きに沈黙で返してしまう。
沈黙が支配し、フリードの羽ばたきと風をきる音が大きく聞こえる。
「心配するな。テスタロッサなら大丈夫だ」
真横を飛んでいるリインフォースの言葉に沈黙が破れ、反応する二人。そんな二人を見据え
「隊長を・・・・家族を信用しろ」
微笑みながら答えた。
「リインフォースさん・・・・・はい!!ありがとうございます!!」
キャロは笑顔でお礼を言い、エリオにも不安の色が消える。
「ああ、六課に急ぐぞ。速度をあ・・・フリード!止まれ!!」
リインフォースの突然の制止により、フリードは急停止、乗っているエリオとキャロが何事かと慌てる。
フリードが急停止した瞬間、リインフォースはフリードの斜め上に瞬時に移動しパンツァーシルトを展開。
その直後、拡散された魔力砲がリインフォースたち目掛けて襲いかかって来た。
その砲撃を防ぎきり、砲撃が放たれたほうを向く3人。するとそこには
「撃墜失敗・・・・・再攻撃に入る」
数週間前の戦闘でエリオを昏倒させ、ツヴァイを握りつぶそうとした人物が、自らの背丈以上はある大砲を構えていた。
その姿に警戒を強める3人。だが同時に不審間も抱いた。
以前エリオ達が戦った人物は感情を丸出しにし、楽しそうに戦いを行なっていた。
だが、目の前の人物は感情という物を全く見せ無いどころか、元々そのような物は備わっていないように感じ取られた。
肌の色が死体とも思えるほど青白く、均整の取れた顔立ちに浮かぶ表情には『熱』という物を全く感じられない。
『生気を持たない人形のような美しさを持つ少年』という表現がとてもよく似合った。
そして、離れていた所で待機していたのか、仲間と思われる人物の登場で3人の不審感は決定的なものとなった。
「えっ・・・・そっくり?」
キャロが無意識に呟く。
仲間と思われる少年は、砲撃を放った少年と瓜二つであった。違う所といえば、砲撃を放った少年は大砲を構え、
武装局員が来ているバリアジャケットの色を緑にし、体の肩や膝に金属製の鎧を着けているのに対し
先ほど来た少年はオレンジと灰色の甲冑と思われるものを着ていた。肩には小型の大砲、左腕には実体盾を装備していた。
そんな不審感を露にする3人を無視し、二人の少年は話し始める。
「任務継続」
「目標排除」
会話とは言えない程、短く話した二人は攻撃態勢に入る。
「・・・・エリオ、キャロ、お前達は先に行け」
そう言い、迎撃態勢に入るリインフォース
キャロは自分達も残るように言おうとするが、エリオに肩を捕まれ、言葉を飲み込む。
「キャロ・・・行こう。フェイトさんもリインフォースさんも強い。僕達は僕達の任務をこなそう」
「エリオ君・・・・うん!フリード!」
フリードはキャロの声に咆哮で答え、飛行を再開する。だが、大砲を持った少年はキャロたち目掛け砲撃を放とうとするが
「刃もて、血に染めよ。穿て、ブラッディダガー」
視認が困難なほどの弾速を持った血色の鋼の短剣が砲撃を放とうとした少年に迫った。
「・・・・・」
直撃を受けて吹き飛ぶ少年。だが表情は一切変化してない。
「・・・・・・目標・・・・変更」
吹き飛ばされた少年は態勢を立て直し、機械的に呟きながら大砲を二つに分解。それぞれを両腕に抱え込む様に装備する。
「排除・・・・・・開始」
甲冑を着た少年も両腕に魔力刃で形成されたサーベルを持ち、構える。
「・・・・・お前達は・・・・何者だ?ヴェイアとかいう奴か?」
「ヴェイア・・・・違う。だが・・・・僕達によく似ている・・・」
二つの大砲を構えた少年『ナイン・ソキウス』が呟くように答える。
「僕達の名はソキウス・・・・アッシュ様のために戦い、そして、死ぬ存在」
両腕にサーベルを持った少年『シックスティーン・ソキウス』も呟くように答えた。そして
「邪魔する物は」
「排除」
ナイン・ソキウスの援護砲撃を受けながら、シックスティーン・ソキウスがサーベルを構え、迫る。
「スレイプニール、羽搏いて」
リインフォースもパンツァーシルトを左腕に展開しながら突撃、
「・・・・・」
無言でサーベルを振り折ろすシックスティーン・ソキウス
「シュヴァルツェ・ヴィルクング」
打撃力強化と効果破壊の能力を持つ魔力を加えた拳を迫り来るサーベルに向かって叩きつけるリインフォース
衝突時に起きた衝撃波により、辺りを浮いていた雲が全て吹き飛んだ。
・地上本部

セインと別れ別行動をしていたヴェイア。作戦が順調に進んでいる事に、つい笑みがこぼれる。その時
「ん?高エネルギー反応?魔力じゃない?」
所持していた端末から姉妹とは異なる高エネルギー反応を知らせるアラームが鳴る。
確認を取るために端末を操作するが
「近いな。それにチンクさんの反応もある。通信は・・・駄目だ、高エネルギーの影響?」
この状況下では念話は使えない。場所が近い事もあり、ヴェイアはチンクの事もあるため、向かうことにした。
いやな予感が頭をよぎりながらも、飛行し、数十秒でその場に着く。するとそこでは
「くっ・・・・・」
防御障壁を張り、必死に攻撃に耐えてるチンクと
「ああああああああああ!!!」
瞳から涙を流し、怪我をする事を物ともせずに狂ったように障壁を叩きつけるスバルがいた。
一瞬、その状況に唖然とするヴェイア、だが、
「うあああああああああ!!!」
スバルのリボルバーナックルが障壁に激突し、戦闘機人特有の魔法陣が発生した時
「っ!いけない!!」
スバルに関してはガジェットの戦闘データなどで把握はしていたが、今行なおうとしている攻撃らしき行為は
データには無かった。ただ『このままでは危ない』という直感がヴェイアを動かした。
ヴェイアは左腰に差してある重斬刀に似た実剣をスバルのリボルバーナックル目掛けて投げた。
重斬刀は回転しながらリボルバーナックルに当たる。ナックルスピナーの高速回転により重斬刀が削られていく音が響く
その結果、接触兵器であるIS・振動破砕のエネルギーは拡散、スバルとチンクを吹き飛ばした。
「くっ・・・・」
吹き飛ばされながらもどうにか着地をするチンク。だが、直に膝をついてしまう。
「チンクさん!」
スバルを警戒しながらも痛みに顔を歪めるチンクに駆け寄るヴェイア
「ヴェイアか・・・・助かった・・・」
ヴェイアに微笑みかけるが、直に顔を歪める。
「撤退しましょう。僕が担ぎます」
「いや、私は・・・ここで時間を稼ぐ。そうしなければ撤退しているノーヴェとウェンディが危ない・・・・お前は逃げろ・・くっ・・」
拡散されたとはいえ、先ほどの攻撃のダメージか効いているのか、中々立ち上がる事ができないチンク。
「・・・・・時間を・・・・稼げばいいんですよね」
スバルの方を向き、呟くヴェイア。起き上がったスバルは二人を射殺さんばかりに睨みつける。
「時間は、僕が稼ぎます。おそらくノーヴェかウェンディがセインに連絡している筈です」
「だが、(ヘッドフォンは使いません」
チンクが言いたかったことを先に言ってしまうヴェイア
「皆に散々『使うな』って言われましたら。それにセインが来るであろう数分間。持ちこたえれば成功です。
ディープダイバーを使った逃走では追いかけられることは無いでしょう。任せてください」
「・・・わかった・・・無理はするなよ」
チンクの言葉にしっかりと頷くヴェイア
400通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 21:20:42 ID:???
支援
「チンクさんも、動かずに安静にしていてください」
そう言い、チンクから離れ、戦闘態勢に入る
「(相手は冷静さを失ってる。距離を開けてかく乱しながら・・・)」
作戦を考えているヴェイアの耳に、リボルバーナックルのナックルスピナーが激しく回る音が響く、そして
「邪魔・・・するなぁ!!!!!」
右拳を振り被ったスバルが、ヴェイアに襲い掛かった。


・機動六課隊舎

燃え上がる機動六課隊舎上空で二つの光がぶつかり合っていた。
「ははははははは!!」
楽しそうに笑いながら両肩のアーマーから出る魔力刃で器用に斬撃を繰り出すアッシュ
「くっ!」
その攻撃を紙一重でかわし、時にはロムテクニカで受け流しながら対処するカナード、だが押されつつあった。
「(威力が・・・違いすぎる・・・・魔力を大幅に攻撃に割いてるのか・・・だが、これでは直に底をつく筈)」
左から来た斬撃をどうにか切り払い距離を開けるが、その途端ライフルから放たれた魔力弾がカナードに襲いかかる
「ちっ、アルミューレ・リュミエール展開!!」
単発で放たれる魔力弾を正面から防ぐ。
「(くっ・・・・なぜ魔力切れにならない・・・・)」
疑問に思いながらも、アルミューレ・リュミエール越しから、ザスタバ・スティグマトを放つ。
ザスタバ・スティグマトの魔力弾はアッシュに面白いように直撃をするが、
「何だぁ?虫が止まった程にも感じんぞぉ!」
体を覆っているフィールドの効果か、魔力弾の直撃を物ともせずに、ライフルから今度は収束砲を発射する。
その攻撃をアルミューレ・リュミエールでどうにか防ぐが、衝撃までは防ぎきれずに吹き飛ばされてしまう。
どうにか態勢を立て直し、最後のマガジンを交換しながら、次の攻撃に備える。
だがアッシュはリラックスした顔でカナードの行動を見ていた。
「さすがだな・・・・・近くで駐屯していた部隊とは比べ物にならない位楽しめる」
「・・・・・やはりキサマか。・・なぜ殺した?」
カナードの問いに一瞬あっけに取られた顔をするアッシュ、だが直に大声で笑い出した。
「・・・何言ってるんだ?理由なんてあるわけ無いだろ?殺したいから殺す。それだけだ!」
そう言い、収束砲を放つため、チャージを開始する。
「ここに避難している連中もいたぶって殺してやる。だからお前も・・・・・速攻死んでいろ!!!」
叫びながら砲撃を放った。
「フォルファントリー展開」
カナードは両方のフォルファントリーを展開、双方一発ずつカートリッジをロード、展開される魔法陣
「キサマは・・・・・生かしては置けん!発射!!」『Fire!』
フォルファントリーから放たれた強力な魔力砲が収束砲と接触、大爆発を引き起こした。
激しい爆音と光と衝撃波が二人を襲う。だが、カナードはそれらの障害を無視し、アッシュに突撃、
ザスタバ・スティグマトに搭載されたロムテクニカから魔力刃を形成し
「くたばれ!!」
アッシュ目掛けて振り下ろした。だが
「残念!」
突如アッシュの左腕に装着された巨大な鉤爪により、ザスタバ・スティグマトそのものが捕まれてしまう。
カナードは力ずくで振り下ろそうとするが、微動だにしない。その光景をニヤ付きながら見つめるアッシュ。
「紹介しよう。こいつは俺のもう一つのデバイス『テスタメント』威力は御覧あれ!」
言い放った直後、テスタメントによりザスタバ・スティグマトはアルミ缶の様に簡単に握りつぶされ、破壊されてしまった。
「欲しかったなぁ」
面白そうに言い放つアッシュ、だが、今度はカナードの方が邪悪にニヤつき
「そうでもない」
左腕に三角錐型に形成したアルミューレ・リュミエールを展開、容赦なく右腕を切り落とした。
持っていたライフルと一緒に地面に落ちる右腕。切り口から血があふれ出す。
「あっ・・・あああああああ!!」
カナードから離れ、もがき苦しむアッシュ。そんなアッシュに続けてアルミューレ・リュミエールを振り下ろす。だが
「ああああああ・・・・なんてね」
カナードをニヤつきながら見据え、テスタメントでアルミューレ・リュミエールを掴み防ぐ、
続けで両足のアーマーをつま先までスライドさせ、そこから魔力刃を出し、蹴り上げるようにしてカナードに切りかかった。
「くっ!」
咄嗟にアルミューレ・リュミエールを解除し、後ろにさがり回避するが、数本の前髪とバリアジャケットの一部を持っていかれる。
「容赦が無いねぇ。面白い!だが無駄だ」
喋り終わった直後、切り落とされた右腕があった部分に粒子のような物が集まり、一瞬で右腕を再生していまう。
それと同時に、切り落とされた右腕とライフルは灰となり自然に崩れ去る。その光景を唖然としながら見つめるカナード。
「俺のもう一つのデバイス、『リジェネイド』の二つの内の一つの効果だ。どんなキズでも瞬時に再生。切り落とされても御覧の通り」
再生した右腕を振り、元に戻った事をアピールする。そして右腕同様、粒子のような物が集まり、灰になったライフルが形成される。
「もう一つの効果も教えてやる。このリジェネイドを装備している限り、俺に魔力切れは無い・・・残念だったな」
相手の魔力切れを狙っていたカナードは、苦々しく舌打ちをする。そして同時にカリムの予言を思い出す。

『高い天を行く者・・・・再生と、神と人との誓約を身にまといし悪に破れ・・・・・その翼を折られるであろう・・・・・』

「(再生=『リジェネイド』。神と人との誓約=『テスタメント』。・・・はやて、カリムはすごいな。だが予言は外れてもらう)」
内心で呟くカナード
「まぁ、この二つ目の能力を持つデバイスを所持していた奴が他にもいたな・・・・・確か出来損ないのクローンだったか?」
「・・・・・黙れ・・・・・・」
アッシュを射殺さんばかりに睨みつけるカナード
「おいおい、そんなに睨むなよ。あいつもこの世界に来たおかげで長生きできたんだ。この世界に呼んだ俺に感謝して欲しいくらいだ」
「なっ!キサマ・・・今なんと言った!!?」
「ああ、お前やあのクローン、英雄をこちらの世界に呼んだのは俺だ。理由など、色々知りたいだろ?」
アッシュの問いに、カナードは沈黙で返す。
「知りたいよな〜。だったら・・・・楽しませろ!!はははははははははは!!!」
再生されたばかりのライフルを、カナード目掛けて放った。

こんばんわです。投下終了です。
感想をくださった皆様、ありがとうございました。
職人の皆様GJです。すばらしいです!
ソキウスは欠番ナンバーを利用しました。デバイスは『ロングダガー』と『バスターダガー』を参考にしています。
アッシュの再生方法はケミカルな遊星主を想像してください。
次はいつになるのやら・・・・・orz
403通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 21:54:22 ID:???
やはりアッシュは最高だなw
あまりのチートぶりにはカナードといえど絶望する他無い
GJでした!
404通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 21:55:21 ID:???
支援
405通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 22:08:55 ID:???
「無能な物には・・・・・・死だ!!」「速攻死んでいろ!!!」・・・・さすがアッシュww
本編通りに攫われたギン姉はムネオやアッシュみたいな仮面を被せられてスカウトナンバー13として登場すると予想w
406通常の名無しさんの3倍:2007/10/13(土) 22:22:57 ID:G1SHs00T
JGです!高天さん!

やはりアッシュ・グレイが出てきましたか。それもデバイス“リジェネレイト”と“テスタメント”を持って・・・
バリアジャケットの形状は、リジェネレイトをベースにし、左腕のみテスタメントのトリケロス改を使っていてかなり良いと思っています。
やはり、背中には“あの”装備が有るのですね?( ̄ー ̄)
そういえば、テスタメントには魔力収集?能力は無いのですか?テスタメントも核駆動だから有りそうですが…
6、19番のソキウスがロングダガーとバスターダガーのデバイスを持って登場。…なんでコーディのアッシュに従ってんだろ…?

ともかく、物語がどんどん面白くなってきました♪次回も待ってま〜〜〜す♪
407リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/13(土) 23:53:30 ID:???
神隠し氏、Fate in C.E.73氏、高天氏GJです

今日はラッシュが続きましたね、本当にタイミングが凄い。
始めが自分だったのが何か恐れ多いというか・・・・。
全て先が気になって仕方ありません、期待してます。
そして、自分も負けないくらい・・・・・は無理かもしれませんが頑張ります。
408通常の名無しさんの3倍:2007/10/14(日) 00:19:26 ID:???
>>406
精神を破壊されたスリー、シックス、サーティーンは一種の売り物としてコーディネーターのミナ様に従ってる。
それと一緒じゃないかと。

まぁ、精神を破壊されてもソキウスの原則としてナチュラルを殺せないのは変わってないけど。
409通常の名無しさんの3倍:2007/10/14(日) 02:50:27 ID:o9R1oN/E
>>406
間違えたーーーーーーーー!?!?!?!?!?すんません6、19番…じゃねえって!!!9、16番でした!!!間違えて申し訳ございません!!!
410通常の名無しさんの3倍:2007/10/14(日) 09:52:15 ID:???
高天氏GJです。
アッシュ強え〜な〜。
高天氏の作品はナンバーズもきっちり登場し、
上手い具合に種キャラと絡ませているのでとても面白いです。
(相変わらずカナードは容赦ない・・・・腕切り落とすし)
何よりリインフォースTが生存していて、きっちり活躍させている所がGJ!
最近SS03を聞いたのですが、この作品のリインフォースTは
夢見た生活を実現しているのでしょうね〜・・・・・・救われる。
411通常の名無しさんの3倍:2007/10/14(日) 10:54:21 ID:???
>>406
アッシュのバックがナチュラルなら問題ない。
412通常の名無しさんの3倍:2007/10/14(日) 11:07:38 ID:???
>>403
でも、まだあのインチキウィルスとライトクラフトプロパルジョン使ってないんだよなあ。
第25話 ファイナル・リミット

「はぁっ…はぁっ…、大丈夫か…アイゼン。」
傷付き、フラフラになりながらも何とか駆動炉へと壁に体を預けながら一歩、一歩、力ない足取りで歩いていく。
『問題ありません。』
「なのははもう…玉座の間についてるころだよな?」
『Jar』
「はやても…外で戦いながら…船が止まるのを待ってる。」
グラーフアイゼンと会話しているうちに、駆動炉へと到着した。
赤い光を放つ巨大な結晶。
恐らくはこれを壊せば船が止まるかもしれない。
正直、今の自分の力で壊すことが出来るのか?
そう問われれば、自信がない。
だが、自分がやらねばどうにもならないこの状況。
自分に全てがかかっている。
自信のあるなしは問題ではない。やるか、やらないか、それだけだ。
ヴィータはグラーフアイゼンを構えた。
「こいつをぶっ壊して、この船を止めるんだ!
リミット・ブレイク…やれるよな?」
グラーフアイゼンは姿を変えることでそれに答えた。
『ツェアシュテールングスフォルム』
巨大なドリルつきハンマー。
空中に飛び上がってさらにカートリッジ消費。ハンマーが巨大化し、ドリルの反対に設けられた推進機構からバックファイアが噴射する。
そのハンマーと呼ぶにはあまりにも大きすぎる巨大な物体が、結晶に突き刺さる。
「ぅぁああああああ!!!!!」
爆発、爆煙がたちこめる。息を切らすヴィータ、体力、魔力の限界はもうすぐそこまで来ている。
傷一つついていなかった。それどころか警報がなり響き、防衛システムが起動してしまったらしい。
部屋一杯に何らかの発射装置が発現してゆく。
絶対的な不利、いや絶体絶命。
ヴィータは自虐的に笑った。
「上等じゃねぇか…、全部まとめてぇ!!!ぶっ壊してやる!!!うぉぉぉぉぉ!!」
無数の奔流が放たれる中、ヴィータはグラーフアイゼンを振り上げ跳躍した。
『次元航行部隊の到着まであと45分です!巨大船、38分です!』
「七分差…。」
ギリリとはがみするはやて。
『主砲はミッドチルダ、首都に向けられてます…七分あれば…。』
「撃てるやろうね…。」
このままでは駄目だ。
そう考えたはやては現場の指揮を交代、リインと合流し、ゆりかごの中に突入した。

ゆりかご内部。
キラはなのはがばらまいたサーチャーを一定距離を置いて追っていた。
「まっ、破壊してもよかったんだけどね。でも、見付かると厄介だしね。
さて、僕は別ルートでクアットロのところへ急ごうか…。」
キラは六課の制服を身に纏ったままクアットロの元へと向かった。

玉座の間。
なのはは苦痛に顔を歪め、瞼を開き目の前にいるヴィヴィオの名を呼んだ。
「…ヴィヴィオ。」
呼ばれたヴィヴィオは不快そうに顔を歪め
「気安く、よばないで!!」
光弾を二発、放った。
なのはは寸でのところで回避するとヴィヴィオに向け、バインドをかける。
しかし、直ぐに引き千切られ4つの光弾がなのはの周囲で破裂。
その散弾する光弾が、なのはを障壁の上から叩き落とす。
さらに連撃。
ラウンドシールドで防御。すると、レイジングハートが何かをなのはに報告する。
『WAS エリア2終了、エリア3に入ります。あと、もう少し』
レイジングハートの報告を聞いている間にヴィヴィオがなのはの背後に回り込む。
ヴィヴィオが放つ光弾を跳躍してかわし、魔法陣を展開。
「ブラスター2!!」
一声と共に、魔力が溢れだし、その衝撃波でヴィヴィオが吹き飛ばされた。
なのはの周囲に現れるブラスタービットがヴィヴィオに再びバインドをかけ、さらにクリスタルケージで入念に捕獲。
苦しそうな、なのはの呼吸。
だが、一度かけたバインドは簡単に引き裂かれ、ヴィヴィオはクリスタルケージの破壊に取り掛かかった。
暗室。
クアットロは笑いながらなのはとヴィヴィオの戦闘をモニターしていた。
「やっぱり〜、陛下ぁ〜、その悪魔が使ってるパワーアップ、ど〜んどん使わせちゃってくださぁい。
ブラスターとやらの正体は術者の耐えうる限界を遥かに越えた自己ブースト…。
撃てば撃つほど、守れば守るほど…術者もデバイスもその命を削っていきます。
優秀な前衛がいて後先考えない一撃必殺を撃てる状況なら、そりゃまぁおっかないスキルなんでしょうけど…。」
モニターではヴィヴィオがクリスタルケージを破壊、なのはに接近戦を挑んでいる映像がうつる。
「こんな状況では役に立ちませんわね。」

廃棄都市街、ビル屋上。
「う……こ…こは…。」
「アスラン!」
目を覚ましたアスランはゆっくりと体を起こす。
「…シン…?」
「まだ動いちゃ駄目ですよ。」
自分の側には見知らぬ女性の姿。一風変わった緑色の服を来ている、腕は光るロープの様なもので固定されていた。
「その様子だと戻ったみたいですね…記憶…。」
「…長い…夢を見てたみたいだったが…、夢じゃないんだな…。」
アスランは力なく呟き、瞼を閉じて、正気を失っていた頃のことを思い出していた。
「俺は…何て…ことを…。」
アスランの頬を涙が伝った。

管理局地上本部。
「同行を願います。」
シグナムが静かに言った。
「断る…、ルーテシアを救いに戻り、スカリエッティを止めねばならん。」
「スカリエッティと戦闘機人たちは既に逮捕、ルーテシア・アルピーノも私たちの部下たちが保護するべく、動いてます。」
ゼストがふと、手に持つ槍型デバイスを構えた。
「ならば、私のなすべきことは一つか…。」
アギトがゼストをとめようとするが、「じっとしていろ!!!」一喝され、動けなかった。
ゼストのなすべきことが言わずともわかるのか、シグナムはレヴァンティンを構えた。
「夢を描いて未来を見つめたはずが、いつのまにか、随分と道をたがえてしまった。
本当に守りたいものを守るそれだけのことが、何と難しいことか…。」
そしてその言葉を最後に沈黙がその場を支配した。
動き出したのは同時だった。
ゼストの一閃をかいくぐるシグナム。髪をゆわいている紐をゼストの槍が捕える。
振り返ったゼストの視界には、跳躍して本棚を足場に力を溜めているシグナムの姿。
上段に構え、レヴァンティンによる縦一閃。
ゼストは柄部分で受け止める。
柄から切り砕かれるゼストの槍。だが、直もゼストは攻撃を繰り出そうとする。
己の拳で
排出されるカートリッジ。
「紫電一閃。」
呟くようにシグナムが言った。
向かってくるゼストに渾身の一撃を叩き込んだ。

ゆりかご内部、駆動炉。
「ちくしょう…、」
咆哮とともにもう一度、駆動炉本体に打撃を加える。
防衛システムはすべて破壊した。
もう魔力は空になる寸前。グラーフアイゼンも傷だらけだ。
強固な装甲に弾き飛ばされてしまう。グラーフアイゼンがヴィータの手からすっぽぬけた。
もう一度、ヴィータは力の入らない足で立ち上がる。
「何で…だよ、何で通らねぇ…。」
苛立ちを通り越して、情けなさへと変わって行く。
「こいつを壊せねぇと…はやてのことも…なのはのことも…。」
グラーフアイゼンを引きずり一歩一歩、駆動炉本体へと近付いていく。
「守れねぇんだ!!!!こいつをぶち抜けねぇと…意味ねぇんだぁあ!!!!!!」
疲労困憊、ボロボロの体、ボロボロのデバイス。渾身の一撃が駆動炉本体へと突き刺さる。
爆発をお越し、後退するヴィータ。
瞬間、グラーフアイゼンが砕け散り、ヴィータは力尽きた。
飛翔魔法も維持出来ず、暗い闇へと落ちて行く。
何処へ繋がっているかはわからない。
(駄目だ…守れなかった…。はやて、みんな…ごめん。)
薄れ行く意識の中で暖かな白い光に包まれるのをヴィータは感じた。
駆動炉はグラーフアイゼンのドリル部分の破片が突き刺さっており、見事、その活動を停止した。
クアットロのいる暗室、ゆりかご最深部にふわりと入って来たのは桜色の輝きを放つ球体。
「防御機構フル可動、予備エンジン駆動、自動修復開始。ッ!?」
何かの気配を感じたクアットロ、振り向くと桜色の球体を視界に捕える。
「何、コレ?」
瞬間、蒼い閃光が走り破壊した。

『WAS成功、しかし、破壊されました。位置特定、距離算出。』
なのはに告げるレイジングハート。
「見つけた。」
モニターは出ない、だが位置はわかる。なのはは四機のブラスタービットを用い直ぐ様ヴィヴィオを拘束した。

「それのせいで多分、君の位置はバレたよ?」
「キラ?」
クアットロの前に舞い降りたのはバリアジャケットを纏ったキラの姿。
「君は逃げるといい…万が一のときはドクターから逃がせって言われてるからね。行く宛てはドクターに聞いてるんでしょ?」
左右のフリーダム、両腰のクスィフィアスから全てのカートリッジ、四十二発が消費され、連結。魔法陣を展開する。
頷くクアットロ。
『All SEED Burst』
一気に増大する魔力。
『METEOR Set Up』
不快なまでに眩しい閃光がゆりかごの船体に穴を開けた。
「シルバーカーテン…それを使えば逃げられると思う。保証はないけど…。
さぁ、行って、じゃないと修復されて塞がれちゃうよ。」
クアットロはゆりかごから離脱した。
なのはは最深部へとレイジングハートエクセリオンの矛先を向けた。
キラは玉座の間へと左右のストライクフリーダムの銃口を向けた。
スタンスを開きどっしりと構えるなのは。
「ブラスター3!!!!」
スタンスを開きどっしりと構えるキラ。
桜色の環状魔法陣を展開、ブラスタービット四機がなのはの周囲に停滞する。
蒼色の環状魔法陣を展開、キラの腰部砲身が持ち上がり、腹部、左右のフリーダムむ銃口に合計5つの環状魔法陣が展開される。
『Divine Buster/HighMAT Full Burst』
なのはから放たれる巨大な奔流、キラから放たれる巨大な奔流。
二つの奔流がゆりかご内部通路の壁を突き破り、衝突、反応、爆発した。
投下終了です。

短いけど…いいよね?
次回からクライマックスです。
上手く表現できるか分かりませんが…、頑張ります。
以下、予告です。ネタバレにはなりますが、事前に読んでおくと話が理解しやすいかもしれません。
予定としては次回
第26話 悪夢
何とかゆりかごの軌道ポイント到達を阻止を確固たるものとした機動六課、管理局の面々。
ゆりかご内部でヴィータからはやてに知らされる衝撃の事実。
一方、アギトとユニゾンしたシグナムはロングアーチからの指示を受け、現地へと向かうが、そこにいたのはキラ・ヤマトだった。

第27話 キラ・ヤマト
自分の内でもう一人の自分と戦うキラ。しかし、圧倒的な力と、的を射た言葉の前についに、戦うことを諦めてしまう。
そして、シグナムとともに戦うべく集まったエリオ、キャロ、ザフィーラ。
キャロはボルテールを召喚。
エリオ、ザフィーラはシグナムとともに空戦でキラに戦いを挑むが…。
第28話 狂戦士
スバルとティアナも加わり、なのはは、はやてとともに中距離支援に徹する、
そんな中、シャマルに傷を癒してもらったアスランはキラをとめることを罪滅ぼしとするためパワー覚醒、突撃を仕掛ける。
しかし、キラのドラグーンの連携とスピードの前にアスランは苦戦を強いられてしまう。
第29話 反撃の狼煙
「思いだけでも!力だけでも!僕(私)たちにそう教えてくれたのはキラさんじゃないですか!!」
エリオ、キャロ、二人のその言葉が、キラの折れてしまった心に届き、再びもう一人の自分へと立ち向かための力をくれる。
一方、フェイトとレイも合流し、フェイトはアスランとの連携、レイはドラグーンとなのはとともにキラを追い詰める。
しかし、ミーティア状態で展開されたヴォワチュールリュミエールを前に、あと一歩のところで攻撃がとどかない。
第30話(最終話) 終わらない明日へ
力つきるエリオ、キャロ、スバル、ティアナ。
シャマルから魔力を回復してもらったシンは現場へと急行する。
自らの意思でSEEDを割り、スピード覚醒、そして念話ではやてが作戦を告げる。
一方、キラももう一人の自分に勝つための活路を見い出し、最後の勝負を仕掛ける。

シンのエクストリームブラストがタイムリミットを向かえるのが先か、キラを止めるのが先か…。
はやての作戦指揮のもと、フェイト率いるアスラン、シグナム、エリオ、キャロなのは率いるレイ、スバル、ティアナが全力全開で最後の勝負に出る。

以上、お楽しみに!!
419通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 01:10:10 ID:???
>>神隠し氏

どうもお疲れ様です。
いよいよクライマックスすか 非常に楽しみですぜ
しかし予告見る限りキラがえらい強いですな
まぁキラのスペックをフルにつかうとそんぐらいなんかね?
420通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 01:30:03 ID:???
神隠しさん、GJです。

421神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/15(月) 01:37:10 ID:???
>419
一応、シグナムを除いてかなり消耗した後、ですから、これぐらい苦戦してもいいかな?と
422通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 01:44:20 ID:???
まったく問題ありません。
続きを楽しみにして待っています。
神隠しさん、頑張ってください。
423通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 02:03:12 ID:???
>>神隠し氏

GJでございます。しかし眼鏡に逃げられてるのが、ラスボス化するキラ以上にヤバい状況のような……
424通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 03:00:37 ID:???
>>神隠し氏GJ!!
おおおもう終わりかと思ったらあと5話もあるんですね!!
しかもここからは氏のオリジナルときましたか!!
これはもう期待して待ってます!!
425通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 06:29:55 ID:???
>左右のフリーダム、両腰のクスィフィアスから全てのカートリッジ、四十二発が消費され、連結。魔法陣を展開する。
ここまで消費すると、もうギャグですね・・・・・。
426通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 07:34:51 ID:???
418
キラは完全に悪役&ラスボス化ですね。
427通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 08:04:20 ID:???
キラ最強の悪役になっていますね。
ここまで悪役にさせるとは、キラのこと嫌いなんですか。
428通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 08:35:45 ID:???
んー、神隠しStSの主人公はキラだと思うぜ
常に人間関係の中心にいたし、描写が一番多いのもキラだしな
シンは前作で主人公やってたから、今回は成長しきってここぞというところでキメるヒーロー的な存在になってる
個人的には結構バランス取れてると思うんだけどな
429通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 09:24:13 ID:???
こんなに超がつくほど優遇されておいてキラ嫌いなんじゃないかとかどんだけw
試しに他のSSスレでも回ってこいよ
神隠しに限らず、このスレほどキラが良い扱い受けてるスレなんてまず無いぞ
430通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 10:14:38 ID:???
アムロスレやロウスレなんかでも優遇されてるが(スレ的には当然だが)それはアニメを否定した上での優遇だしな
431通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 10:26:52 ID:???
神隠しさんGJです。キラの悪役っぷりはやばいですね〜似合いすぎだと思います
予告みるともうメガネどこいったwwと言わんばかりにキラ凶悪そうですね。続きが楽しみです

このスレでのキラ優遇っぷりには同意。
大抵キラ出そうとするだけで『やめろ・・・空気嫁』な流れになるからな
432通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 11:44:11 ID:???
恐らく、
神隠し=キラとシンの和解とシンの成長。
神隠しStS=キラの成長とスパコディの苦悩
では?
433通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 12:02:12 ID:???
>>432
多分それが一番正しいんだろうな。
そして劇場版で全ての決着が着く、と……

まぁこのスレのSSのキラは優遇されてるのは同意だな。
434通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 14:30:47 ID:???
神隠し氏GJでございます!
色々タガが外れ、スーパーコディネーターと化したキラに対し総力戦を挑む
六課とSEED勢。
もう今からワクワクで死にそうです!期待しています!
435通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 15:35:25 ID:???
神隠し氏は比較的、二人の主人公をバランスよく活躍させてると、俺は思うがな…。
キラのことが嫌いだったらむしろSSで書こうとすらしないと思うぜ?
出しても、空気キャラでしかもやられキャラにするだろ。

ところで気付いたんだが、劇場版への伏線ってメガネのことか?
436通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 16:02:53 ID:???
クアットロの捨てたメガネになにか秘密が!?
437通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 16:26:19 ID:???
いたずらにキラマンセーするのではなくキラの非も描写した上で
克服させキラ自信の成長に繋げる。

こんな基本的なことをどうして負債は出来なかったんだか…
438通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 19:26:44 ID:???
>神隠し氏は比較的、二人の主人公をバランスよく活躍させてると、俺は思うがな…。
だけど、ナンバーズのほとんどは空気だったな〜
スカ博士も普通に捕まっちゃったし。

439通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 19:33:16 ID:???
>>438
まあ神隠しはシンとキラが主軸だし、その辺は仕方ないかなと思う。
シンを主軸にしたボンボン版も、キラやラクスは殆ど描写されてなかったみたいだし。
440通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 19:34:20 ID:???
>>438
>だけど、ナンバーズのほとんどは空気だったな〜
>スカ博士も普通に捕まっちゃったし。

原作どうりじゃないか。
441通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 19:37:06 ID:???
ナンバーズの掛け合いは高天氏が書いてるし、神隠しの主人公は、なのは世界に来た種キャラなんだろ?

短編もたくさん書いてるし、俺はお腹一杯読ませてもらってるぜ?
442通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 20:13:32 ID:???
言いたいことを>>440に言われてた
443通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 00:21:56 ID:???
キラ×ヴィータさえあれば俺は満足だがな
444通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 07:35:06 ID:/iMbNdAM
神隠し氏と高天氏の作品を上手く混ぜ合わせるとより良い作品になると思うのは、オレノ気ノ迷イデスカ?
445通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 10:09:29 ID:???
>>404
気の迷い以前に職人に失礼だと思うが
446通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 10:10:30 ID:???
まさかの安価ミス\(^o^)/
447通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 11:43:49 ID:???
>>444
あんまり欲張ると過食気味になるんだぜ?
448通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 12:14:01 ID:???
両氏の作品でなくてもキラとカナードの邂逅は見てみたい俺ガイル
449通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 12:37:32 ID:???
なのはクロスとかじゃなくても、アストレイと本篇キャラの絡みは見たいな
そろそろ歌を呪文にする魔法少女ラクスとかデバイス修理で評判なロウが出てきても……
450通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 16:11:32 ID:???
まず無印種になのはキャラを飛ばすのが先だ
451通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 19:02:17 ID:???
>450
それは最近更新されてなだけで既にある。
452リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/16(火) 20:21:37 ID:???
第六話「分からぬ想い」


「キラ君もなのはちゃんたちと一緒に聞いてくれる?」
エイミィが話し終わったキラたちに話しかける。
「三人のデバイスについてなんだけど、キラ君のフリーダムもカートリッジシステムがあったんだよね?」
「はい、そうみたいです」
「じゃあ、これから三人にデバイスについて詳しい説明をするね」
「「「お願いします」」」
「カートリッジシステムは扱いが難しいの」
三人は自分のデバイスを持ちながら聞いている。
「本来ならその子達みたいに繊細なインテリジェントデバイスに組み込むようなものじゃないんだけどね」
「フリーダムもインテリジェントデバイスなんですか?」
「そうみたい、どうやらストライクと似たような部分も見受けられるからね」
そして、そのまま話を戻すエイミィ。
「本体破損の危険も大きいし、危ないって言ったんだけど・・・その子達がどうしてもって」
レイジングハートとバルディッシュを見ながらエイミィは続ける。
「よっぽど悔しかったんだね。自分がご主人様を守って上げられなかった事とか、ご主人様の信頼に答えきれなかった事が」
「・・・・ありがとう、レイジングハート」
『All right.』
「バルディッシュ」
『Yes, sir.』
二人は自分のデバイスを優しく見つめていた。
「キラ君のはまだ調べていないから分からないけど、二人のデバイスのモードは三つずつ」
なのはのレイジングハートの説明から始める。
「レイジングハートは中距離射撃のアクセルと砲撃のバスター、フルドライブのエクセリオンモード」
続いてフェイトのバルディッシュの説明に移る。
「バルディッシュは汎用のアサルト、鎌のハーケン、フルドライブはザンバーフォーム」
「フルドライブって何ですか?」
キラが三人の代表で質問する。
「フルドライブはインテリジェントデバイスの最大出力モードのことよ」
質問に答えるとそれについての注意点を話し始める。
「破損の危険があるからフルドライブはなるべく使わないように、特になのはちゃん」
「はい」
「フレーム強化をするまでエクセリオンモードは起動させないでね」
「はい」
そうして、なのははじっとレイジングハートを見つめた。
「キラ君のフリーダムは今度本局で調べてもらおっか」
「はい、分かりました」
453通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 20:23:53 ID:???
>>451
訂正。

魔法使いとしてではなくパイロットとしてってのを前提で
最初からCE在住でもいいし
454リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/16(火) 20:24:17 ID:???
デバイスについての説明が終わり、リンディとクロノが話し始めた。
「問題は、彼らの目的よね」
「えぇ、どうも腑に落ちません。彼らはまるで自分の意志で闇の書の完成を目指しているようにも感じますし」
「え?それって何かおかしいの?」
アルフの言葉にリンディとクロノはアルフを見る。
「闇の書ってのも要はジュエルシードみたく、すっごい力が欲しい人が集めるもんなんでしょ?」
自分がフェイトの手伝いでジュエルシードを集めていたことを思い出しながら言った。
「だったら、その力が欲しい人のためにあの子たちが頑張るってのもおかしくないと思うんだけど」
その言葉にリンディとクロノは顔を見合わせる。
「第一に闇の書の力はジュエルシードみたいに自由な制御が利くものじゃないんだ」
クロノの言葉にリンディが続く。
「完成前も完成後も純粋な破壊にしか使えない。少なくともそれ以外に使われたという記録は一度もないわ」
「あ〜、そっか」
その言葉にアルフも考えを変える。
「でも、出来ないと決まったわけじゃないんですよね?」
キラが思っていたことを聞いてみた。
「まぁ、そうだね。そこ等辺は調べないといけないのかもしれない」
クロノはキラの言葉に頷きながら話を続ける。
「それからもう一つ、あの騎士達。闇の書の守護者の性質だ。彼らは人間でも使い魔でもない」
その言葉にクロノとリンディは驚きの表情を見せる。
「闇の書に合わせて魔法技術で作られた擬似人格」
キラは自分の正解でのAIみたいのものだろうと理解する。
「主の命令を受けて行動する、ただそれだけのプログラムに過ぎないはずなんだ」
「あの・・・・使い魔でも人間でもない擬似生命っていうと・・・わた・・・・もごっ」
言葉を続けようとしたフェイトの口をキラが押さえていた。
「フェイトちゃん、それは違うよ」
「そうよ、フェイトさんは生まれ方が少し違っていただけでちゃんと命を受けて生み出された人間でしょ」
「検査の結果でもちゃんとそう出てただろう?変なこと言うものじゃない」
リンディに続いてクロノもその言葉を否定していた。
「はい・・・・ごめんなさい」
キラは謝るフェイトを見ながら言った。
「僕もフェイトちゃんも同じ一人の人間だよ。作られた命とかコーディネーターとかそういうのも関係ないんだ」
「うん。ごめんね、キラ。私もキラも人間なんだよね」
その答えに全員が優しく微笑んでいた。
455リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/16(火) 20:26:01 ID:???
「それじゃあ、モニターで説明しよっか」
部屋の電気を消されと守護騎士たちがモニターが映し出される。
「守護者たちは闇の書に内蔵されたプログラムが人の形を取ったもの」
モニターに闇の書が大きく映し出される。
「闇の書は転生と再生を繰り返すけどこの四人はずっと闇の書と共に様々な主の下を渡り歩いている」
クロノの言葉の続きをエイミィが続ける。
「意思疎通のための対話能力は過去の事件でも確認されてるんだけどね。感情を見せたって例は今までにないの」
エイミィの続きを今度はリンディが請け負う。
「闇の書の蒐集と主の護衛、彼らの役目はそれだけですものね」
しかし、その言葉になのはが答える。
「でも、あの帽子の子。ヴィータちゃんは怒ったり悲しんだりしてたし」
フェイトもそれに続く。
「シグナムからもはっきり人格を感じました。成すべきことがあるって、仲間と主のためだって」
「主のため・・・・か」
その言葉にクロノの表情が少し悲しそうに見えた。
モニターが消え、電気がつくとリンディが立ち上がってクロノのところまで来る。
「まぁ、それについては捜査に当たってる局員からの情報を待ちましょっか」
「転移頻度から見ても主がこの付近にいるのは確実ですし、案外主が先に捕まるかもしれません」
その言葉にアルフが呑気そうに答える。
「あ〜、そりゃ分かりやすくていいね」
「だね、闇の書の完成前なら持ち主も普通の魔導師だろうし」
アルフの言葉にエイミィが同意する。
「うん、それにしても闇の書についてもう少し詳しいデータがほしいな」
クロノはそういうとフェレットモードのユーノに声を掛けた。
「ユーノ、明日から少し頼みたいことがある」
「ん?いいけど」
その後、ユーノとクロノの話が終わるとなのはは家に帰った。
456リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/16(火) 20:28:02 ID:???
「ところでキラさん」
「はい、何ですか?」
キラがエイミィとフリーダムについて話をしていた時リンディが話しかけてきた。
「何で一時的に元の姿に戻ったか分かりますか?」
「いえ、フリーダムを起動した時はこうなっていましたから」
「ではフリーダムを起動してみてください」
「あ・・・はい、分かりました。フリーダム、セットアップ!」
『System all green. Drive ignition.』
次の瞬間、キラを蒼い光が包みやがて光が晴れる。
「あ、キラ君。元の姿になってるよ」
「あ・・・・ほんとだ」
「どうやらフリーダムを起動させた時に一時的だけど元の姿になれるみたいね」
「魔力の高まりによる変化でしょうか?元の姿の方が戦いやすいためそうなるとか」
「そこまでは分からないわね」
「何ていうか、こっちは小さくなったり大きくなったり変な気分ですよ」
キラはため息をつきながら答えた。
「でも、戦闘ではその体の方がリーチが長くていいと思うわ」
「まぁ・・・・・そうですね」
すると奥からフェイトがやってきた。
「あの・・・・キラ・・・・あれ?」
部屋にいるキラが大きくなっていることにフェイトが驚いている。
「あぁ、ごめんね。フェイトちゃん驚かしちゃって」
キラのバリアジャケットが消えると同時に蒼い光をキラを包むと子供の姿になった。
「???」
フェイトはさらに?マークを増やしてしまう。
「えっと、詳しい話は後でするから。今はどうしたのかな?」
「あ・・・・そのトリィが・・・・」
そういうとフェイトの肩にずっと乗っていた。
「あはは、トリィに気に入られたのかな?」
「そうなの?」
「多分ね。トリィ」
キラが呼ぶとトリィはすぐに飛び立つとキラの肩に乗る。
「でも、キラが一番みたい」
「そうみたいだ」
そう言いながらフェイトとキラは嬉しそうに笑っていた。
それを見ながらリンディやエイミィも笑っていた。
「でも何でそのトリィ・・・だっけ。その子がキラ君のデバイスを持ってたのかな?」
エイミィがトリィを見ながら不思議そうに言った。
「分かりません、でもトリィはいつも僕と一緒だったから」
「キラの気持ちが伝わったのかな?」
「そうかもね」
フェイトの言葉にキラは笑いながらトリィを優しく撫でた。
457リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/16(火) 20:30:17 ID:???
キラは次の日目が覚めるとすぐにメールを打った。
昨日は色々忙しすぎてはやてに昨日のお誘いを連絡なしに断ってしまったのだ。
行けなくてごめんとメールで打つとすぐに返事が来た。
どうやら家の人が帰りが遅くて中止になり、すずかの家で夕食を食べたらしい。
キラはそれに安心しながらももう一度メールで謝っておいた。

キラはクロノたちが管理局に行くのに便乗してフリーダムの検査をしてもらうことにした。
調査結果が出るまでは暇なためクロノたちと行動することにした。
「四人がかり出てきたけど大丈夫かな?」
「まぁ、モニタリングはアレックスに頼んできたし」
「闇の書について調査をすればいいんだよね?」
「あぁ、これから会う二人はその辺に顔が利くから」
「僕も付いて来て良かったの?」
「別段困るわけでもないから大丈夫ですよ」
キラの質問にクロノが答える。
「キラ君のデバイスの検査時間掛かると思うし、時間潰すにはいいと思うよ」
「まぁ、付いて来て後悔だけはしないように・・・・・」
「・・・・・・え?」
キラはクロノが小さく呟いた言葉が聞こえてしまっていた。
四人がある一室に入ると二人の女性(?)がいた。
耳と尻尾があるからアルフと同じで使い魔だろう。
「リーゼ、久しぶりだ。クロノだ」
「わぁお〜♪」
二人のうち一人がクロノに向かって飛んできた。
「うわっ!?」
そのままその女性に抱きしめられる。
「クロスケ、おひさしぶりぶり〜♪」
その様子を口をポカンと開けたまま見ているキラとユーノ。
「ロッテ!うわっ!?・・・・ちょ、離せコラ!」
どうにか抱きついてくるロッテを引き剥がすクロノ。
「何だとコラ、久しぶりにあった師匠に冷たいじゃんかよ〜、ウリウリウリ〜♪」
「うわあぁ〜〜〜〜〜っ!?」
そのまま、また抱きしめられるクロノ。
それを見ながらキラとユーノは思っていた。
((やばい、この人苦手かも))
「アリアこれを何とかしてくれ〜〜」
クロノはもう一人の女性、アリアに助けを求めた。
「久しぶりなんだし、好きにさせてやればいいじゃない。それに・・・・・」
アリアは少し含み笑いをしながら言った。
「まぁ、なんだ・・・・・まんざらでもなかろう」
「そんなわけが・・・・・・」
そんな言葉にクロノは絶望したような顔になった。
458リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/16(火) 20:32:26 ID:???
エイミィはクロノを無視して部屋の奥へいく。
クロノはキラとユーノを見るが、二人はさっと目を逸らした。
「んにゃ〜〜〜♪」
「うわ〜〜っ!?裏切り者〜〜〜っ!」
キラとユーノは見ないようにエイミィの後についてアリアのほうへ行った。
「リーゼアリア、おひさし」
「うん、おひさし〜」
「リーゼロッテも相変わらずだね〜」
「まぁ〜、我が双子ながら時々計りしれんところはあるね」
クロノの悲鳴をキラとユーノは極力聞かないようにしていた。
エイミィはこういうことに慣れていることからクロノとロッテは毎回こんな感じのようだ。
「ごちそうさま〜」
ロッテは唇をぬぐいながら起き上がる。
「リーゼロッテ、おひさし」
「おぉ!エイミィ、おひさし」
エイミィと挨拶したロッテはエイミィの後ろを覗き込む
「ん?なんかおいしそうなネズミの匂いとからかいがいのありそうな少年がいる」
その言葉に二人が戦慄を覚える。
「どなた〜?」
二人は引きつった顔で挨拶をするしかなかった。
「何で・・・・あんなのが僕の師匠なんだ」
クロノはどうにか起き上がりながらぼやいていた。
459リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/16(火) 20:34:02 ID:???
そして、数分後やっと全員席に着き話を始めた。
「あぁ、なるほど。闇の書の捜索ね」
「事態は父様から伺ってる。出来る限り力になるよ」
「よろしく頼む」
そんな中ユーノは小さい声でエイミィに聞いた。
「エイミィさん、この人たちって・・・・」
「クロノ君の魔法と近接戦闘のお師匠様たち」
その言葉に二人はびっくりする。
「魔法教育担当のリーゼアリアと近接戦闘教育担当のリーゼロッテ、グレアム提督の双子の使い魔」
キラはあの時話していた人の顔を思い出していた。
「見ての通り、素体は猫ね」
その会話が聞こえたのかロッテがユーノに手を振る。
「な、なるほど・・・・・」
苦笑いを浮かべながら手を振り返すユーノ。
猫に嫌な思い出があるユーノにとっても苦手だろうなとキラは思った。
「二人に駐屯地方面に来てもらえると心強いんだが、今は仕事なんだろ?」
「う〜ん、武装局員の新人教育メニューが残っててね」
「そっちに出ずっぱりにはなれないのよ、悪いね」
「いや、実は今回の頼みは彼なんだ」
そうしてクロノはユーノを見る。
「食っていいの!」
ロッテの目がギラリと光る。
「い!?」
その言葉に恐怖を覚えるユーノ。
「あぁ、作業が終わったら好きにしてくれ。足りなければキラも付けるが」
「な!?ちょ、おい!ちょっと待て!!」
「ク、クロノ君!?」
ユーノとキラは慌てて立ち上がり抗議するがそれを見て全員笑う。
どうやら冗談だったらしいがユーノとキラには冗談に聞こえなかったようだ。
ロッテの目が一瞬マジに見えてしまったのだ、仕方ない。
「それで、頼みって?」
「彼の無限書庫での調べ物に協力してやって欲しいんだ」
その言葉に顔を見合わせた後、ユーノを見るリーゼ姉妹。
「ふっふ〜ん」
リーゼ姉妹はその意味が分かったようだが、ユーノは不安そうだったがしっかり二人を見据えた。
460リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/16(火) 20:39:12 ID:???
投下終了です。
今回はいつもと違い投下予告なしでやってみました。
お話はあんまり進展はなしといったところでしょうか。

神隠し氏の勢いが凄いため投下躊躇いました。
他の作品も楽しみにしつつ自分の作品を頑張りたいと思います。

あと、個人的にですがいつか劾とキラの戦いも書いてみたいですね。
そんなことを考えながら失礼します。
461通常の名無しさんの3倍:2007/10/16(火) 20:46:47 ID:???
更新お疲れ様です。
キラはデバイスを起動すると元の姿に戻りますか。

いつか劾とキラの戦いも書いてみたいんですか。
それはある意味楽しみですね。
これからも楽しみに見させていただきます。
462神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/16(火) 21:56:02 ID:???
私のフルドライブは終わりました…www
気にせず、これからも投下を
463通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 00:23:22 ID:???
>>リリカルクロスSEED A's氏GJ!!
フリーダム起動時は元に戻るのか…なんだか本当に魔法少年キラ君ですなw

>>神隠し氏
お疲れ様です。無理せず自分のペースで書いていってください。

464まじかるしん:2007/10/17(水) 19:01:34 ID:UlYW/kYm
ちょっとお知らせがあります。
パソコンの不具合から、しばらく投下ができません。
今は弟のパソコンを使っているので作成することができない……
465通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 19:05:40 ID:???
トリはどうした?
466まじかるしん:2007/10/17(水) 19:06:46 ID:???
すみません、下げ忘れました
467通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 19:46:35 ID:???
今日は投下ないかな、ないかな?
468シンとヤマトの神隠し〜Striker'S〜:2007/10/17(水) 20:47:17 ID:???
第26話 悪夢

アギトは横たわるゼストにすがり、泣いていた。
シグナムは、そんなアギトに背を向けて、味方の支援に行く準備をしている。長い頭髪を、紐でゆわく。
「私はこれから空に上がる…。アギト…お前はどうする?」
泣き続けているアギトにシグナムが問うた。
「あんたは!旦那を…殺した!!…だけど…騎士として誇りある最後をくれた!
旦那はあんたに…私を託した。」
アギトは涙を拭い、シグナムのもとへと飛翔する。
「だから、私は…アンタと行く!側にいて、見極めてやる、あんたがもし…旦那の言葉を裏切るような真似をしたら!」
「その時はお前が…私を焼き殺せ…。」
シグナムはアギトに手をさしのべ、静かにそう告げる。
アギトがその手に触れ、二人は炎の様に赤い光に包まれた。

「ヴィータ…その傷やったらもう無理や、なのはちゃんは私がなんとかする。
だから、ヴィータは先にゆりかご内から撤退や、ええな…。」
静かなはやての言葉に頷くヴィータ。
「あぁ…。」
「突入部隊の皆さん、ヴィータをよろしく頼みます。」
そう告げて玉座の間へと向おうとするはやてをヴィータが呼び止める。
「何や?ヴィータ?」
「ここにはキラがいる…。」
「そうか…、助けてやらんとな…。」
「キラは…今は私たちの敵だ。はやて…気を付けろよ。」
はやては少し驚いた表情をしていたが、やがて
「行ってくる…」
笑ってそういうと、玉座の間へと向かっていった。その後ろ姿を見送るヴィータ。
「気を付けろよ…はやて。」

航空部隊が張る弾幕。
ガジェットを次々と撃ち落として行くが…しかし、
「何だ!?あれは…」
「早い!!」
弾幕をかいくぐりながら航空部隊に向かってくる蒼い光。
先頭に展開された並列、七列のうち五列が奔流に撃墜される。
残り二人、目前に迫る蒼い光。
当たらない。
距離を縮めてきてるのは蒼い光の方なのに…。
二人の魔導士たちの間を風が駆け抜けた。デバイスが中核部分から破壊されてしまう。
地上部隊の魔導士たちも、その光景を前に呆気にとられ、その蒼い光を見上げる。
地上部隊のデバイスが一斉に
『Caution』
警告した。
刹那、地上部隊一個小隊は蒼い光に飲み込まれた。
なのははヴィヴィオを魔力ダメージでノックダウンし、元の姿に戻ったヴィヴィオを力一杯抱き締める。
「苦しいよ…ママ…。」
構わず抱き締め続けた。
「なのはちゃん…どうやらナンバーズの4番には逃げられてしもうたみたいやな…。」
「うん…、WASが破壊されたみたいで、データだけが便りだったから…。」
「それに、どうやら4番も壁を撃ち抜いて逃げたみたいやな…。ディバインバスターが着弾した場所に行ってみたけど…
何もあれへんし、誰もおらん。あったのは外へ続く大きな穴だけ…」
なのはが疑問の表情を浮かべた。
「何か気になる?」
「うん…、4番は何で今まで砲撃が出来るって事を隠してたのかな?
このゆりかごの壁面を撃ち抜くぐらいなら、私とだって対等に…。」
「……まぁ、何か理由があったんやろ?考えても仕方ない、とりあえず、ここを出よう。」
瞬間、ゆりかご内部に警報がなり響いた。

アースラ
「はい、こちらロングアーチ。」
『航空魔導士、市街地部隊です。お、応援を……』
「待ってください!今、近くにいる魔導士を…
いました、機動六課シグナム副隊長です!」

「どうした、シャーリー。」
シグナムからの通信が入る。そしてその姿は異なった。リインフォースとユニゾンしたときとも違う姿。
何より特徴的なのは、背中に激しくたぎる四枚の焔のつばさ。
『市街地を守る航空魔導士たちの援護をお願い出来ますか?』
「敵の数は?」
『キラ・ヤマト、一人です。』
「やはり…と言うべきか…。アギト、行けるな?(あぁ、まかせろ!あんたの期待に答えてやるよ!炎熱!!!)」
レヴァンティンの切っ先が激しく燃え上がった。

市街地を守る航空部隊は戦慄した。
躊躇なく放たれる蒼い光が次々とデバイスを破壊してゆく。
「全武装局員、撃てーッ!!!!なんとしても食い止めろ!!」
数十はいるであろう局員たちが一人の魔導士に向かって一斉射撃。
だが
「何故だ…何故、当たらん…。」
蒼い翼をもつ魔導士は弾幕の間を縫って華麗に舞い降りて来る。
そして、一番手薄な場所へと移動して翼を展開、四枚が十枚へと数を増やす。
放たれた魔力弾が局員二名吹き飛ばす。
散開する蒼い翼。
局員全員が警戒のため、一瞬、射撃をやめた。
リングを展開した翼が十人を死角から攻撃するドラグーン。
落ちて行く航空魔導士たちを陸上魔導士たちが受け止めてゆく。
接近してくる蒼い翼を持つ魔導士を航空魔導士たちは恐怖しつつもデバイスから魔力刃を発生させ、迎え撃つ。
「オォォォッ!!!」
突きを繰り出す。捉えたと錯覚をお越すほどの際どい回避。
突きを放った航空魔導士が次の攻撃に移ろうとした時には、デバイスが綺麗に破損。
次いで衝撃、バリアジャケットがパージされた。
「グループAは取り囲んで足留めしろ!Bは援護、目標が足を止めたらすぐに撃て!」
四人の航空魔導士が翼を持つ魔導士を四方から取り囲み、発生させた魔力刃で二人が同時に畳み掛ける。
しかし、両腕を開き、二方向に同時に射撃。
放たれる奔流にデバイスの中核を貫かれ、無力化されてしまう。すると他の二方向から同じようにして攻撃を仕掛けてくる航空魔導士二名。
腕をクロスさせ、今度もデバイスを撃ち抜く。魔導士を襲うグループBの一斉射。
着弾、爆煙をあげる。
煙を裂いて姿を現す魔導士は両銃を連結。集団目がけ、野太い奔流を放った。
次々と撃墜、無力化されていく魔導士たち。あと満足に戦えるのは指揮官のみだった。

キラはバインドを解く。
『シュベルトゲーベル』
「はっ!!」
クリスタルケージを切り裂くキラ。ガラスのが割れるような音をたて、それは砕け散った。
「あれ、休憩はもういいの?」
モニター(視界)に映る状況を見ていたキラ。ヴィータを刺し、他の魔導士たちを次々と撃墜して行く光景。
その光景を見て、キラを襲ったのは悲しみだった。
「僕は…君を許さない!!」
だが、それは怒りへと変わった。守りたいものを傷付けたもう一人の自分に対する憎悪。
「うぁぁぁぁ!!!」
サーベルでの一閃。
トンッ
もう一人のキラは苦もなくそれをかわす。縦から横へ、L字を描くように、キラは刃を追跡させる。
『サーベルモード』
「流石と言いたいけど…」
「ッ!?」
もう一人のキラはキラの攻撃をサーベルで受けながし、流れたキラの体へ蹴りを入れた。再び転がるキラの体。
「安心して、ちゃんと非殺傷設定だし…。殆んどは武装解除だしね…。」
そう言うもう一人のキラへと疑いの眼差しで見上げるキラ。
「あれ?疑ってる?ちゃんと君のやり方でやってるのに…とは言っても、僕はただ単に難易度を上げたいだけ…だけどね。」
キラは立ち上がった。
「ほら、殺すよりも…生かして無力化するほうが難しいじゃない?だからさ、これで管理局を無力な組織にしちゃったら、凄いと思わない?」
一呼吸置いてからキラは口を開いた。
「さぁ、見せてあげようよ。世界最高のコーディネイターの力を…。」
471通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 20:54:33 ID:???
支援
蒼い翼を持つ魔導士と、指揮官を任された一人の航空魔導士の視線があった刹那、魔導士が向かってくる。
指揮官はデバイスを構えた。
『シュランゲバイセン・アングリフ』
指揮官の真横を通過する刃の蛇。
「ッ!?」
魔導士は正面から向かってくる鋼鉄の蛇を体を捻って回転しながらかわし、上昇。
翼を展開して右の銃で奔流を放った。一直線に矢のごとく相手を射抜かんと向かっていった蒼い奔流は、鞘に当たって弾けた。
「流石はキラ・ヤマト…と言うべきか?」
蒼い翼を持つ魔導士、キラは動きを止めた。
「まずはシグナムさんからですか?」
キラは両手のフリーダムを構えた。
「お前と戦ったのは今から十年前…訓練…そう言う形で戦ったな。」
カートリッジを一発ずつ補充する。レヴァンティンが補充を終えた事をシグナムに伝える。
「私やヴィータ、シャマル、ザフィーラ、そして主はやてには苦い記憶だが、対闇の書の闇…。」
レヴァンティンの柄を両手でしっかりと握り締め、構える。
「あれとお前との戦闘を見たときから…思っていた。」
同時に二人が動き出す。激しく散る二色の魔力光。
「お前とは一度…本気で戦ってみたかった、おぉぉおお!!!(たぎれ!!!炎熱!!!烈火刃!!!)」
焔が渦巻き、レヴァンティンの刀身を燃やす。
「クッ!!!」
キラが押され、鍔競り合いを嫌がり、距離をとった。
「逃がさん!!!レヴァンティン!アギト!(オウッ!!)火竜一閃!!(火竜一閃!!)」
横一閃だが、途中で止まってしまう。
『サーベル・ミーティアシフト』
長い間合いを持つ高魔力刃がレヴァンティンを振り切る前に止めてしまった。
不発に終わる。
「なっ…(何だって!?)」
「さぁ、次はあなたが逃げる番だ!!」
『モードリリース・サーベル』
二刀流を構えたキラが向かってくる。驚く間もなくシグナムは迎撃に出る。
キラが大きく片方の刃を上段に構えた。
シグナムは下段からレヴァンティンを振るい、力でキラの縦一閃を弾いた。
バランスを崩すキラ。
だが、シグナムの目が逆手に握られた左のフリーダムへと捉える。シグナムの左手が輝き、鞘が握られる。
「鞘はずっと出しておくべきでしたね…。」
「くっ…。(シグナム!)」
やや、押され気味のシグナムに、キラが僅かに微笑んでそう言った。
短いですけど…暇潰しにどうぞ。

何かグドグドになりそうな予感がするんですよね…。
自分で書いてて危険な予感がします。
こんな作者オリジナルストーリーですが、最後まで付き合ってくれると幸いです。
474通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 21:04:53 ID:???
神隠しさん、GJです。
ものすごく燃える展開で、期待する心がとまりません。
この調子で、ガンガン突っ走ってください。
475通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 21:07:59 ID:???
ご、ごっついのう・・・・。小便ちびりそうじゃあ・・・・。
神隠し氏GJ!!
476通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 21:08:53 ID:???
シグナムの戦闘少なかったから俺は嬉しいわ。
477通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 21:12:09 ID:???
>>476
アニメじゃ人相手に戦ったのはティアナとゼストだけだったからな。
478通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 21:20:15 ID:???
神隠しさんキテタ――(゚∀゚)――!!1週間ほど投下ないかと思ってました。GJです!
てっきりなのはとキラが撃ち合うとばかり思ってましたが外へ出るためでしたか
そしてシグナムとの戦闘・・・続きも楽しみしてますよ
479神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/17(水) 22:00:17 ID:???
第11.5話 シンとフェイトとナンバーズと…

食堂で悩むシン。
「くっそ〜…。どいつだ…。どいつがくるんだよ。」
「何悩んでるの?シン。」
「ナンバーズについてです。」
ひょこっと、顔を覗かせたフェイトにシンが言った。
「こんなところで何を真剣に考えてるかと思ったら…。あんまりこんをつめちゃ駄目だよ?
それに次は何がきて、それがいつかは分からないんだし…。」
「けど、俺は…」
うんうん、そう頷いて、シンの頭を撫でるフェイト。
「な…何を…?」
「シンは優しいね…。でも、戦闘機人の事は深く考えなくて大丈夫だよ。」
シンの目が点になっていた。
「?????」
「きっと私が何とかするから……。」
コツンと額に額を軽くぶつけてくる。
「あの〜…非情に言い憎いんだけど…、シンの言ってるナンバーズは宝くじのことですよ?」
二人の横からキラが困り顔で言った。
「えっ?えっ?」
挙動不審なフェイト。食堂にいる関係者たちの視線がフェイトとシンに集まっている。
フェイトは顔を真っ赤にして走り去ってしまった。
「キラさん…、次…何来ると思います?」
「さぁ…、こういうのは計算して当たるものじゃないからね。」
〜完〜

思い付きで書きました。後悔はしてません。
480通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 22:13:24 ID:???
GJ!!
キラが強いぜ。
なのは達相手に伝家の宝刀『やめてよね・・・』は出るのかな?
481通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 22:18:27 ID:???
>>479
某所で言われてたことだけど、シンは弟キャラっぽいなww
フェイトとシンいいな
482通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 22:31:20 ID:???
キラ強すぎだろ!読んで快感を覚えた俺は真性のキラ厨。
483通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 22:42:46 ID:???
>>479
何というニヤニヤw
冷静につっこむキラも笑えるw
484通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 22:48:38 ID:???
>>482
高天氏のアッシュはもっと強いだろうな
485通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 22:57:51 ID:???
最強談義は他所でどうぞ
避難所辺りお勧め
まぁ話が面白いからこうやって盛り上がるわけだから解らないでもないが
486通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 23:05:06 ID:???
早めに止めてくれる人いてくれてよかった。最強談義は荒れやすいから怖い怖い。
この板内にもCE最強が誰か語るとこあると思うから何ならそこでも・・・

アストレイ全く分からんからアッシュって言われると
連ザで何気に人気のあるあの機体が出てくる・・・
487通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 23:22:16 ID:???
やっぱりアストレイって需要がすくないんかね?
以前のレスでも、高天氏の作品をアストレイ関係だからスルーしていた
なんて意見もあったし。
488通常の名無しさんの3倍:2007/10/17(水) 23:26:41 ID:???
知名度の問題で、未だに種と同レベルだと思われて忌避されがちだからなあ
まあ確かにデストレイの後半やデルタレイはそう言われても仕方ない出来だが、
無印やカナードが出るX、そしてデストレイのインパルス篇まではかなり面白いんだけどね
489通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 00:20:52 ID:???
デストレイかー・・・・六課女性陣に声をかけまくるマディガンが浮んだ
490通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 02:41:58 ID:???
デストレイもXも読みたいんだけどなー・・・戸田・・・Rが好き過ぎて困る
第27話 キラ・ヤマト

「本当は思ってるんでしょ?元の世界にいるコーディネイターも含め、僕以外は全て失敗作だってさ。」
「そんなこと…」
思ってない!!言葉が遮られる。
「だから傲慢な君は、アークエンジェルとフリーダムさえあれば、ナチュラルとコーディネイター間の戦争をとめられると思った。」
『パンツァー・アイゼン』
「違うのか、なぁ!?」
銃口から発射されるバインドに引っ張られ、腹部に蹴りが入る。
「うっ!?」
転がっていくキラ。
「違う、僕はそんなこと…」
「思ってない…。」
もう一人のキラが言葉をつむぐ。
「じゃあ、話を少し変えようか、キラくん。
君が再びフリーダムに乗ってから介入した戦闘…あれは一体なんのため?」
一歩ずつ、近付いてくるもう一人の自分。
「あれは…オーブを…。」
「だよね?それで、結果、戦闘は止まった…。
でもね、それは確に君のお陰かもしれないけど、謎の第三勢力が介入して、あれだけの被害をだせば、止まりもするよ。」
『バラエーナ』
キラを蒼い奔流が飲み込んだ。

激突する二色の光。蒼と紫。魔力光が弾け、空を走る。紫の魔力光が弾き飛ばされ、蒼い光との距離が開いた。
「くっ…。強いな…キラ・ヤマト…。(褒めてどうすんだよ!)」
「シグナムさんこそ、中々やりますね。」
険しい顔をしているシグナムに対して、涼しい顔のキラが言う。
「はぁぁぁぁあああ!!!」
シグナムの縦一閃を前にキラはフリーダムを空中へと放りなげた。
「ッ!?」
キラの両手に小型の環状魔法陣を展開し、タイミングを合わせて白羽取りにした。
「レヴァンティン!」
カートリッジを消費し、刃の蛇を作ろうとし、同時に蹴りをキラに向かって放とうとするが
「遅いよ。」
『クスィフィアス3』
シグナムをとてつもない衝撃が襲う。
フリーダムをキャッチ、キラは連結したフリーダムで今だ後退しつづけるシグナムへと狙いを定めた。
「もう、やめろぉぉおお!!」
キラはもう一人のキラへと声を張り上げて向かっていく。
「だ〜いじょうぶだって、死なないから…。君もこうやって沢山のMSを落として来ただろ?」
放たれるいくつもの射撃をサーベルで弾きながらもう一人のキラが言う。
銃へとモードリリース。
撃ち返したそれはキラの胸を貫いた。
「う、あっ…。」
その場に倒れ伏すキラ。

「やめてください!キラさん!!!」
連結フリーダムの射線軸に入ったのはエリオだった。キラの頭上を覆う巨大な陰。キャロの飛龍、フリードリヒだ。
「エリオくんに…キャロちゃん…それにフリードまで…。僕と戦いにきたの?」
「「違います!僕たち/私たちは!」」
「止めに来たんなら無駄だけど…。」
『サーベルモード』
「エリオ、キャロ…下がれ、今のキラ・ヤマトに言葉は届かん。」
「じゃあどうすれば…。」
エリオが言う。
「今は魔力ダメージでのノックダウンが一番の方法だ。」
「なら、皆で戦いましょう!一人よりも二人」
「二人よりも三人で!」
エリオとキャロが言った。
「落とされても拾ってはやれん。キャロはエリオをサポートしろ、私はいい。」
「「分かってます!」」

キラは倒れたままだった。体から少しずつ何かが漏れだして行き、その度に少しずつ薄くなっていく体。
シグナムとエリオ、キャロ、フリードが戦う姿が見えた。
自分が世界最高のコーディネイターなんて知ったのは、わりと最近のことでそれまでは全然…。
ただのコーディネイターだと思っていた。
コーディネイターってだけでも凄いって思われるし、逆に嫌悪されることもあった。
僕は普通に暮らせればそれでよかったよ。
ヘリオポリスの工業カレッジに通って、卒業して就職、結婚。そうして、大した事はなくてもいいから、友達や好きな人と一緒に辛いことがあっても、悲しいことがあっても平穏に暮らせればよかったよ。
だから、戦争とは関係ないヘリオポリスにいたんだし…。
でもさ、ムウさんの言うことももっともで、いつまでも傍観者面出来なくなって、嫌だったけど…モビルスーツとは言えど僕は銃を手にとった。
守りたいものを守るために…。自分にはそれだけの力があることも自覚した。
けどさ
フレイの父親が殺された、ミゲルを殺した。
バルトフェルドさんを殺しかけ、その愛する人の命を奪った。トールが殺された、ニコルを殺した、友達と殺し合いをした。

僕は死にかけたよ。でも生きてて、また剣を手にとった。
フレイが殺された、ラウ・ル・クルーゼを殺した。
見知らぬ人を沢山殺した。
振り返ってみて疑問に思うけどさ、僕は本当に人の夢?人の未来?素晴らしき結果?

C.E.73、ラクスを守るために戦って、また人を殺した。
正確には自爆した…だけど、僕が殺したも同然だよね?

今度は一度戦争を経験してるからさ、戦争を止めたいだなんて思ったんだよね。
あんな悲劇は繰り返したくない、そう思ってさ。

シンの友達が僕のせいで死んだ。アスランとまた戦った。
シンの大切な人を奪った。
そして僕はシンに負けた。
今思えば、あそこで死ねば楽だったかもしれない。
でも、そうはいかなかったから不思議だよね。
気が付いたら、はやての家にいて、看病してもらって居候までさせてもらった。
平穏に過ごす日々、だけど結局、僕は異世界の争いにも介入しちゃったんだよね…。
「鋼鉄の縛鎖!アルケミックチェーン!!」
キラの四肢を絡めとり、自由を奪う鎖。
「シグナム副隊長!エリオくん!!!」
『「火竜」スピーア…』
『ドラグーン・ミーティアシフト』
射出音とともに散開する十枚の翼。ミーティアの効果で奔流が強化されており、一発一発が太い上、連射が効く。
アルケミックチェーンが破壊され、シグナム、エリオの両名は魔法発動の中断。
回避に徹する。
雨のように降り注ぐ奔流をフリードが避け、シグナムも避ける。
フリードとシグナムはともかく、エリオは元来空戦を得意とするわけではない。
知らず知らずのうちにドラグーンによって誘導されていた。
「フリーダム、ターゲットマルチロック!」
クスフィアスとバラエーナの四発がエリオ、フリード、シグナムへと迫ってくる。
「フリード、ブラストレイ!!」
ケリュケイオンから供給される魔力で放つ炎のレーザー砲がバラエーナを一発相殺。
「火竜…一閃!」
クスィフィアス二発を破壊。
エリオもバラエーナを避けるが、避けた空間には十機のドラグーンが待ち構えていた。
「エリオ!!!」
「エリオくん!!!」
一斉射されるドラグーン、エリオは目を瞑った。
しかし
「戦闘中に目を閉じるな…、閉じてしまえば、僅かな勝気を見落としてしまうぞ。」
低いダンディズム溢れる声音。
「ザフィーラ…さん?」
「そうだ…。我がヴォルケンリッターが一人、盾の守護獣…ザフィーラだ!!!うぉぉぉおお。」
純白の障壁が巨大化し、ドラグーンの一斉射全てを防ぎきる。
銀髪犬耳、力強く強固で筋肉質な体。
「また、増えたね…。」
「紫電一閃!!」
隙を見せたキラに向かってシグナムが必殺の一閃を見舞おうと間合いをつめてくる。
スピードは決して遅くはなかった。むしろ早い、ただ、相手が悪かった。
それだけの話。
『サーベル・ミーティアシフト』
太い強化された魔力刃で一閃を受けた。鍔競り合いを挑んでくるシグナム。
「クスフィアスでわかってると思ったんだけど…動き止めちゃ駄目でしょ?
シグナムさん…」
気づいた時には魔力が膨れ上がっていた。
『カリドゥス』
反動で距離をとるキラ。舞い上がる爆煙。
そしてその煙から尾を引いて地上へと落下して行くシグナム。
騎士甲冑はボロボロだった。
もう戦いなんて勘弁、なんていいながら、今度はモビルスーツの代わりに魔法を使って戦った。
でもさ、戦争とかそういう戦いじゃなかったから…、最初は怪物相手に戦ってリンカーコアを集めてさ。
でも、管理局が出てきて、フェイト、なのは、シンと出会った。
もちろん戦ったよ。
でもさ、あの時の戦いでは得たものの方が多かった。勝ち負けは関係なくね。
シンが少しだけ僕に歩みよってくれて、少しだけ和解出来た様な気がしたし…。
それからまたC.E.に戻ってね…。
レイと戦った時、彼は僕にこう言ったよ。
人の夢、人の未来、その素晴らしき結果、キラ・ヤマトって。
クルーゼは人の業とも言ってたけどね。
でもさ、僕の歩いてきた道のりってなんなのかな?
人の夢、人の未来って呼ばれる僕が歩んできた人生…血だらけじゃない?
あってはならない存在。
本当にそうだよね。

ねぇ、僕を造った父さん…、何で僕を造ったの?
何で僕なんかを産み出したのさ?
こんなんだったら、世界最高のコーディネイターなんかにして欲しくなかったよ。
ただのコーディネイターか、ナチュラルでいたかったよ。


視界が歪む。
シグナムが地上へと落下して行く姿がモニターに写っていた。

シグナムさん…僕なんかにやられちゃったんだ?
案外大したことないのかも……
エリオやキャロも直、やられちゃうんだろうな…。

――ねぇ…―――
――誰か―――――――
―僕を止めてよ―――――
To be continued...
496通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 05:38:52 ID:???
ボルテール召喚は次回に持ち越し…と言うことで…。
投下終了です!
朝っぱらから鬱になってしまいそうな展開。
さらに、キラの回想ははっきり言って自信ありません。
ごめんなさい。
ここまで読んでくださった読者の皆さん、最後までもうすぐです。
応援よろしくです!
ではまた!
497通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 06:26:27 ID:GiKhXSfI
神隠し氏 GJ!そして俺、一番乗り!朝からみてみるもんだわw
498通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 06:58:14 ID:???
GJ!
>――ねぇ…―――
――誰か―――――――
―僕を止めてよ―――――
全俺が泣いた(´;ω;`)ブワッ
499通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 08:49:10 ID:???
GJ!
キラ・・・・。お前の復活の暁には、Prayを聞いてやる!!
待ってるぞ!
500通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 09:41:51 ID:???
500
501通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 09:45:57 ID:???
おぉ、久しぶりに来てみればまだまだ盛り上がってるなw
それにしても神隠し氏の人気はすげーな感想の多さで他との差が如実に出てる。

かなり久しぶりなもんで神隠し氏と高天氏あとはまじかるしん氏しか覚えてない。
この3つはお気に入りなんだが他の作品でお勧めって何かある?
502通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 11:12:48 ID:???
このキラには好感が持てるな。そういや訓練も何もしてないのにあの強さだからなキラは・・・何という辛さ
神隠しさんGJ。面白いよホントに。これからも頑張ってください

>>501
まとめの方があるから、プロローグや1話見るなりして自分で探すのが一番かもな
503通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 15:57:30 ID:???
本当にさ…応援したくなるキラだよ。
種運命でもこれぐらいの描写があれば好きになれたかもしれない。

神隠しさんGJ
504通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 20:59:46 ID:???
う〜ん・・・・神隠しさんの作品は好きなんだけど、
今回シグナム(ユニゾン済み)があっさりとやられちゃったのが・・・・
エリオ達を庇って撃墜とか、シグナムがゼスト戦でかなり消耗していたとか
キラにも苦戦している表情が出ているシーンがあれば
納得がいったのですが、シグナム得意の接近戦であっさりだったので。
505通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 21:11:58 ID:???
確かにアギトとユニゾンしたシグナムって、リミットブレイクしたなのはやフェイトと同格だもんなあ
まあ、それぐらい強くなきゃラスボス務まらんってのもあるかも知れんが
506通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 21:17:36 ID:???
仕方ないんじゃないか?

確にシグナムは接近戦は強いけど、アスラン戦もキラ戦も剣を封じられた上でやられてる。

神隠しのSEED組がどんなデバイスなのか、詳しいことは不明だけど、一貫して言えることは接近戦と射撃、砲撃を両立できるアスランやキラとは相性が悪いとおもわれる。

何より、ストライカーズでは弱体化してるしな。
507506:2007/10/18(木) 21:21:59 ID:???
訂正。

>ストライカーズでは弱体化してるしな。

ではなく
描写が少なすぎて強く見えない。
508通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 21:26:19 ID:???
>かなり久しぶりなもんで神隠し氏と高天氏あとはまじかるしん氏しか覚えてない。
このスレでの伝説の三提督的な存在だな。

>描写が少なすぎて強く見えない。
言うな・・・・涙が

なんとなくだが、皆が思うここの作品での
『命台詞(SEED本編で言ったのは無し)』
『泣けたシーン』ってある?
509通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 21:37:21 ID:???
>>507
シグナムは活躍が意味もなくゼストをヌッ殺したぐらいしかないからな。
510通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 22:00:03 ID:???
あとティアナ殴ったくらいか
ニートって言われても仕方ないよね(´・ω・`)
511通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 22:03:57 ID:???
>>510
この場合、就職しているから給料泥棒が適格っすwww
512通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 22:12:53 ID:???
つまりシグナムは泥棒猫と…
513通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 22:13:27 ID:???
>>512
萌えるな。
514通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 22:20:28 ID:???
            )
  ジタバタ ,'`》'´⌒`彡
    〃〃∩ィ∝ノノ)))))
     ⊂⌒ ゝ(l!`Дノ|l <ニートって言うな!
       `ヽ_つ__つ

       ( 
     ミ´⌒`《`ヽ
    (((((ハヽ∝八
     l|、Д´l!∩),)  <気にしてるのにぃ〜〜〜!!
     ⊂   (.((
       ヽ∩ つ` ジタバタ
         〃〃
515通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 22:33:32 ID:???
    ______,.___, |;:;:.... |
 ゚     。  :     ..:| |l職|
:         。    ..:| |l  |
    ゜     : ..:| |l安|
  :       ゚   ..:| |l_|
    ゚   :     ..:|;:;:.... |  ) 。o(早く戦闘終わんないかなぁ…)
      ゜  :  ..:|;:;:.... |⌒`彡
  。           ゚ ..:|;:;:.... |ノノ))))
   :     :   ..:|;:;:.... |ω゚ノ|l じぃ〜
 ゚  。  :   :  ..:|;:;:.... |と)
  :      :   ..:|;:;:.... |J
      ,,.,、-‐''"´~ `ー-‐
516通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 22:37:08 ID:???
>>508
俺の泣いた名シーンの一つは、
シンとヤマトの神隠し 第07話「ありがとう」で、
シンが闇の書の中でマユ、ステラと別れるシーン。
ごめん、ディスプレイの向こうで泣いた。正直マジで震えたよ。
神隠し氏ありがとう、そしてStriker'Sもいよいよ佳境ですね。
最後まで頑張って下さい。そしてお体をお大事に。
517通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 22:37:30 ID:???
デフォルト劣化の将にゃん
518通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 22:44:46 ID:???
>>514-515
ヤバイ何これwwww萌えるwwww
519通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 22:45:01 ID:???
>>508
私は高天氏の前の作品『運命の子と最強を目指した少年』
の15話と16話ですね。
リインフォースが生きる事を望んで、プレアが見守られて死んでしまうシーンは・・・・
なんかプレアがレリックウェポンとして復活するっぽいので
神隠し氏と同じくらいに楽しみにしています。
名台詞は『運命の子と最強を目指した少年』14話の最後、
「お前は・・・誰を泣かしている・・・答えろ!リインフォース!!」
ですね。
520通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 23:09:18 ID:???
>>516
お前さんとはうまい酒が飲めそうだ
7話のあのシーンは本当によかった。まさかSSで泣かされるとは思ってもなかったからな
キラも参戦も相まって熱くなったよ。そんで寝る前に読んだから、中々眠れなかったんだよな俺wwww
521通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 23:24:46 ID:???
神隠しってどんな話なんだ?
題名から想像しにくいんだが…、キラも嫌いなんだけど、『みんな応援できる』とか言うから読んでみようかと迷っている。
522通常の名無しさんの3倍:2007/10/18(木) 23:36:12 ID:???
>>521
まずは読めよ、読めばわかるさ
自分に合わないなと思ったらそこで切るのも貴方次第
523通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 00:17:28 ID:???
神隠しさん以外の職人の投下が少ない気がするのは俺の気のせいか?
なんていうか神隠しさんの作品も好きだけど他のも見たい・・・・職人様たちファイト!

神隠しさんの感想が多すぎて投下しにくいって職人がいないか心配だな

>>521
522に同感。まずはお試しあれだな
524通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 00:20:13 ID:???
>>517
その…なんというか…
デフォルトじゃなくでデフォルメだろ
525通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 00:21:38 ID:???
単発でもOK?
526通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 00:23:24 ID:???
短編でもおk
527通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 00:24:03 ID:???
>>523
神隠しさんの投下が他の職人さんに比べてペース早いだけかと。
他によく投下してくれてる人は、普通のSSスレ並か、ちょい遅いかなー?程度のもんだし。
528通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 00:33:24 ID:???
>>523
高天さんは周一レベルで投下してるぞ。
その分、一レスギリギリの投下量(40行)で10レスという量だからな。
つーか、他の職人さんに対しての感想が少なすぎるな、ここは。
神隠しさん以外の作品はどーでもいいって感じに取れる。
神隠しさんの今作の前に投下された『リリカルクロスSEED A's』の感想スレは2つ。
・・・・・・・凹むだろうな
529通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 00:35:06 ID:???
>>524
デフォルトであってる。中の人的に。
530通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 00:36:40 ID:???
>>528
間違えた、『感想スレ』じゃなくて『感想レス』。
ちなみにその前に投下された『Fate in C.E.73』の感想も2レス。
531通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 00:45:49 ID:???
>>528
俺の場合読むのがゆっくりだから感想書こうにも
追いついたときには幾つかSSが投下されててレスしづらいってパターンもあるぞ
それにROMってる人も意外と多いと思われ

後、そういう意見は職人に対してあまりよろしくないぜ
お前さんがそれを言うことで本当に凹む方も出てくるかもしれないよ
532通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 00:51:37 ID:???
>>528 >>531
凹んでいても健気に投下する職人もいると思う
あれ・・・・そう考えると何か涙が・・・・(;;)
533通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 01:43:13 ID:???
神隠し氏も感想レス少ないときもあるぜ?
ただ最近は最終回間近で盛り上がってるから多いんだろ?
534通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 07:11:43 ID:???
>>531
いや、言い方は申し訳なかったが、私が言おうが言わまいが凹む方はいると思う
現実的にそうなんだし。
最近じゃ投下終った瞬間に感想書かずに雑談開始した奴もいたからね。
535通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 09:04:52 ID:???
まあ感想が出そろわないうちに新しい作品が投下されても
2つまとめて感想書けばいいだけなんだろうけど、そんな人も
ほとんどいないしね
536リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/19(金) 10:38:32 ID:???
何やら色々解決が難しいような気がする議論のようですね。
とはいえ、自分も凹む時ありますけど投下は辞めようとは思ってません。
やっぱり、感想少なくてもちゃんと話を終わらせたいですし・・・・。

そういうわけで投下予告です。
今日の12時に投下を開始しますね、OKでしょうか?
OKが出たら投下を開始したいと思います。
それでは、失礼します。
537通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 10:47:21 ID:???
リリカルクロスSEED A´sさん、首を長くして投下を待ってます
538通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 10:51:14 ID:???
ナンバーズ好きな俺としては高天氏の作品にwktkが止まらない
539通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 10:53:40 ID:???
536
楽しみにお待ちしています。
540通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 11:35:28 ID:???
クロス種氏
一日千秋の思いでお待ちしてます!

541通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 11:40:31 ID:???
リリカルクロスSEED A´s氏
頑張って下さい。あなたの投下を待っています。
542リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/19(金) 12:00:15 ID:???
第七話「ゆれる世界」


学校の休み時間なのはたちはフェイトが使う携帯を選んでいた。
キラは怪我で動けないうちに買ってもらっていたので選ぶ必要はない。
パンフレットを見ながらフェイトは唸っている。
「な、何だかいっぱいあるね」
「まぁ、最近はどれも同じような性能だし、見た目で選んでいいんじゃない?」
アリサが助言をしてあげるとなのはも続く。
「でも、やっぱメール性能の良いやつがいいよね」
そして、すずかも加わる。
「カメラが綺麗だと色々楽しいんだよ」
三者三様の言葉にますますフェイトは唸ってしまう。
「でも、やっぱ色とデザインが大事でしょ」
「操作性も大事だよ〜」
「外部メモリが付いてると色々便利でいいんだけど」
「そうなの?」
「うん、写真とか音楽とかたくさん入れておけるし。そうそう、メールに添付してお友達に送ることも出来るの」
「あぁ〜、そうだよね〜」
「結構使えるよね〜」
三人が話している間、フェイトは会話に入っていないキラにも聞いてみることにした。
「キラはどう思う?」
「僕?フェイトちゃんが気に入ったのでいいんじゃないかな?」
「気に入ったもの・・・・」
「もう決まってるんでしょ?ページが全然動いてないよ」
「あ・・・・・」
キラの指摘にフェイトはびっくりしてしまう。
「気付いてたの?」
「まぁね」
キラは優しそうに笑った、そんなキラをフェイトは周りをよく見ているんだなと思った。
543リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/19(金) 12:02:59 ID:???
学校が終わり、リンディと合流したなのはたちは携帯ショップへ向かった。
「フェイトさん、はい」
リンディが店から出てくると袋を渡す。
「ありがとうございます、リンディ提督」
フェイトはそれを嬉しそうに受け取るとなのはたちのところへ向かう
「おまたせ」
「いい番号あった?」
「うん」
「えぇ、何番?」
「えっとね、これ」
「おぉ〜」
そんなフェイトたちをリンディは嬉しそうに見ていた。
「フェイトちゃん、すっかり馴染んでますね」
キラはリンディの隣に歩いてくると言った。
「えぇ、いいことね。キラさんはどうかしら?」
「そうですね。あの子達を見ていると優しい気持ちになれます」
「そう、これからもフェイトさんやなのはさんたちをよろしくね」
「はい」
キラとリンディはフェイトたちのほうを向き直るとお互い優しそうに彼女たちを見ていた。

アリサやすずかと別れ、なのははフェイトたちが住むマンションに来ていた。
フェイトの部屋でなのはたちはおしゃべり、キラは教えてもらった通りにカートリッジを作っている。
キラのデバイスはモード毎に二発分消費し、武装も多いため燃費が悪い。
だから、支給されているとはいえ少しでも多くしておきたいのだ。
「たっだいま〜」
ちょうど三個目が終わったところで買い物に出ていたエイミィが帰ってきた。
エイミィが買ってきたものを冷蔵庫に入れるのをフェイトたちと手伝ってながら会話を聞いた。
「艦長、もう本局に出掛けちゃった?」
「うん、アースラの武装追加が済んだから試験航行だって、アレックスたちと」
「武装ってーと、アルカンシェルか。あんな物騒なもの最後まで使わずにすめばいいんだけど」
「クロノ君もいないですし、戻るまではエイミィさんが指揮代行だそうですよ?」
なのはがエイミィに告げる。
(せきにんじゅうだ〜い)
ビーフジャーキーを咥えながらアルフはエイミィを冷やかす。
「うっ・・・・それもまた物騒な・・・・」
「自分で言わないでくださいよ」
キラは呆れながら冷蔵庫を閉じる。
「まぁ、とはいえ早々非常事態なんて起こるわけが・・・・・」
その瞬間、部屋に警報が鳴り響いた。
544リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/19(金) 12:05:41 ID:???
モニター室に移動した、エイミィたちは映し出された映像を見ている。
「文化レベル0、人間は住んでない砂漠の世界だね」
そこにはシグナムとザフィーラの姿があった。
「結界を張れる局員の集合まで最速で四十五分・・・・う〜ん、まずいな〜」
モニターをじっと見ていたフェイトとアルフが顔を合わせて頷くとエイミィに言った。
「エイミィ、私が行く」
「私もだ」
「・・・・・・うん、お願い」
エイミィの言葉に二人は返事をして、フェイトは自分の部屋に行きカートリッジを取りに向かう。
「フェイトちゃん」
そんなフェイトをキラが呼び止める。
「キラ?」
「気を付けてね、いってらっしゃい」
キラはそう言うと笑った。
「うん、いってきます」
フェイトはその言葉に頷きながら部屋を出ていった。
「なのはちゃんとキラ君はバックス。ここで待機して」
「はい」
フェイトはカートリッジを持つとバルディッシュに言った。
「行くよ、バルディッシュ」
『Yes, sir.』
モニターの向こうではシグナムが巨大な化け物に捕まりやられそうになっていた。
そのとき、その化け物を幾つもの雷の刃が突き刺さった。
フェイトのサンダーレイジだ。
『ブレイク!』
フェイトがそう言った途端、刃が爆発し爆煙をあげる。
「フェイトちゃん!助けてどうするの、捕まえるんだよ!」
そんなフェイトにエイミィが注意する。
『あ・・・・ごめんなさい、つい・・・・』
キラはそんなフェイトを優しく見ていた。
「フェイトちゃんらしいね」
なのはが少し笑いながらキラに話しかける。
「うん、でも僕も・・・・多分同じことするだろうけど」
「私もかな」
なのはと笑い合うのをやめるとモニターに目を戻す。
そこではフェイトとアルフの戦いが始まっていた。
545リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/19(金) 12:07:30 ID:???
そんな中、また新しい反応が見つかり警報が鳴る。
「な!?もう一箇所?」
モニターには闇の書を持ったヴィータが映っていた。
「本命はこっち・・・・なのはちゃん!」
「はい!」
「キラ君は二人のどちらかに何かあった時のために待機!」
「・・・・分かりました。なのはちゃん、気を付けてね」
「うん、大丈夫」
そう言って、なのはは部屋から出ていった。

モニターでは三人の戦いの様子が見れた。
どちらも互角の勝負をしているようだった。
なのはに至ってはディバインバスターによりヴィータに直撃させたように見えた。
しかし、そこにはクロノが言っていた仮面の男の姿があった。
「なのはちゃんのディバインバスターを防ぎ切った?デバイスなしに?」
その光景にキラは驚いていた。
「エイミィさん、あの人!」
「うん、今やってるんだけど・・・・・・何で?」
エイミィが必死で作業をしている中、なのはは長距離からのバインドに捕まり動けない。
その間にヴィータは次元転送で逃げ、なのはがバインドを解いた時には仮面の男も消えていた。
「・・・・・・・・・」
キラは内心嫌な予感がしていた。
フェイトのモニターを見ると戦いも終わりが近づいていた、その時だった。
また先ほどの仮面の男が現れ、フェイトの胸を腕で貫いていた。
「フェイトちゃん!!」
どうやら魔法により直接貫かれている様子ではなかった。
男の手から黄色のフェイトのリンカーコアが見えた。
「エイミィさん!僕、行きます!!」
「お願い!」
キラはすぐに出れるように近くに置いていたフリーダムとカートリッジを持つと部屋を飛び出した。
546リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/19(金) 12:10:06 ID:???
転送された先はフェイトたちの真上の空だった。
下を見るとフェイトの魔力を蒐集されているところだった。
キラはすぐに急降下してフェイトのところへ向かう。
ライフルを連射、それに気付いたシグナムやヴィータ、仮面の男がすぐに避ける。
素早くフェイトのところに着地し、フェイトを見る。
大分、リンカーコアから魔力を吸われた所為か顔色が悪い。
「貴様は!」
シグナムがレヴァンティンを抜き、斬りかかる。
仮面の男も無言のまま拳を突き出してくる。
キラの中で何かが弾けた。
「・・・・・・」
キラはレヴァンティンをサーベルで男の拳をシールドで防ぐ。
ぶつかり合った瞬間、砂漠の砂が舞い上がるほどの勢いだったのに対しキラはピクリとも動かない。
キラは両腕にさらに力を入れ、二人を力で弾き飛ばす。
シグナムと仮面の男はすぐに態勢を立て直す。
その様子を見ていたヴィータが呟く。
「こいつ・・・・・あの時のやつか?全然デバイスも強さも別人じゃねぇか」
仮面の男は少し考えるとヴィータとシグナムに言った。
「お前らは行け、こいつは私がやる」
「だが・・・・」
「今の消費した状態お前らではこいつには敵わない」
「・・・・・・・分かった」
「シグナム?」
「戻るぞ、ヴィータ。テスタロッサのリンカーコアをあれだけ取れた。気に入らないがな」
キラを見るとシグナムが言った。
「テスタロッサにすまないと伝えてくれ」
そう言うと仮面の男を睨んでから空に飛び立つ、ヴィータも後に続いた。
「え?・・・・・・待って!」
キラはシグナムたちを追いかけようとするが、仮面の男が向かってくる。
「チィッ!?」
すぐに仮面の男にライフルを放つが当たらない。
仮面の男の蹴りをシールドで受け止める
『Load Cartridge.』
両腰部のクスィフィアスの黄色の魔力弾が零距離で男に放たれるが、それすら避けられる。
次の瞬簡には後ろに回りこまれ拳を繰り出されるがキラはそれを身を捩ってかわす。
547リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/19(金) 12:13:24 ID:???
「速い!フリーダム!」
『Load Cartridge. High MAT mode. Set up.』
両翼から二発のカートリッジが消費される。
キラの翼から蒼の魔力が溢れスピードがさらに上げる。
しかし、うまく距離を取らせてくれないためサーベルを抜き接近戦になってしまう。
(スピードは僕の方が上だけど・・・・この人、接近戦がかなり強い)
キラがスピードが上でも当たらなければ意味がない。
「スピードも反射神経もここまであるとは、さすがコーディネーターといったものだな」
「!?・・・・何故それを!!」
キラの目に光が戻るが、すぐに戦闘に集中する。
この男の相手に一瞬の隙でも付かれると負けてしまう気がしたのだ。
しかし、キラはここに来て疑問に思っていた。
何故、男が魔法を使わないのか。
なのはの時は長距離から強力バインドを一瞬で扱えるほどだ、並大抵の魔導師じゃないはずなのだ。
「・・・・・いくぞ!」
仮面の男が飛び込んでくる、キラも同時に飛び出す。
二人が交錯し、互いが飛び出した場所に着地する。
「く・・・そ・・・・」
あの戦いの交錯の瞬間、いきなりサーベルを持った手にバインドをかけられてしまった。
警戒していたはずだった、しかし相手は魔法を使った素振りが全くなかったのだ。
強引にバインドを解除して振り抜いたが一歩及ばなかった。
そのままキラは倒れてしまう。
「そのままぶつかり合えば私が負けていたな」
そう言った瞬間、男の仮面が真っ二つになった。
しかし、キラからの角度では顔は見えることはなかった。
エイミィからは見えているだろうか、応答がないから何かあったのかもしれない。
男は仮面を拾い上げるとすぐにどこかへ飛んでいってしまった。
キラは悔しそうに砂を握り締めていた。
また自分は守れなかった、負けてしまったのだと。
キラは体を引きずりながらフェイトを抱える。
治ったあばらが痛んだ、またヒビでも入ってしまったのだろうかと考えるが、まずはフェイトが先決。
「早く・・・・フェイトちゃんを・・・・転送しないと・・・・」
『キラさん!フェイトさん!』
リンディの声だ、どうやらアースラでここの近くまで来たようだ。
「フェイト!キラ!」
なのはが空から下りてくるのが見える。
「アルフ・・・・さん、フェイトちゃんを」
「分かってる!キラも!」
三人の下に次元転送の魔方陣が展開される。
そして、アースラに転送されると同時にキラは気を失っていた。
548リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/19(金) 12:15:07 ID:???
「うっ・・・・」
「気が付いた?」
「リンディさん、僕は・・・・・!フェイトちゃんは!・・・」
「大丈夫、リンカーコアにダメージを受けてるけど命に別状はないわ」
「そうですか・・・・・良かった」
「キラさんのほうはあばらにまたヒビが入ってるみたい、せっかく治ったのに」
「大丈夫です、それくらいは・・・・」
「私はこれから会議だからキラさんはどうするの?」
「僕は・・・・フェイトちゃんのところに行ってきます。やっぱり心配ですから」
無事といわれても自分の目で確認しないと仕方ないようだ。
「分かったわ、無理しないようにね」
「はい」
リンディにフェイトの部屋にキラを案内すると会議室に向かった。
「・・・・・・・」
フェイトはぐっすり眠っている。
「・・・・・ごめんね、守れなくて・・・・ごめんね」
キラはフェイトが無事で安心したことと、自分の不甲斐なさに泣いた。
キラの涙がフェイトの頬を伝った。
守ると決めていた、新しい剣で守りきってみせると誓った、でも守れなかった。
あばらの骨が痛んだのか心が痛んだのか分からなかった。
だが、何故だろうか。
あのシグナムたちのことを恨むことができない。
シグナムたちの目は自分と同じようだった、守りたいと思う目。そんな目だ。
「僕は・・・・どうしたら・・・・」
恨めば楽になるだろう、だがその戦いをキラは間近で見てきた。それを止めたいと思った。
キラにはこれからの戦いの意味が分からなくなってきていた。
本当は何と戦えばいいのか、今のキラには分からなかった。
549リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/19(金) 12:19:36 ID:???
投下終了です。
今回は少しキラには戦ってもらいました。
しかし、今思ったのですがウチのキラはよく負けるな〜と。
自分で書いているのだから仕方ないんですがw
キラは大事な部分でしか強くないようになってきてそうで焦ります。

色々議論が飛んでいますが、自分は自分が書きたいものを頑張って書くだけですしw
凹む時もありますが、頑張っていきたいです。
それでは次回『真実と邂逅』お楽しみに!
550通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 12:32:27 ID:???
>>549
キラのフリーダムはやっぱり燃費が悪いですか。
これで、ミーティアをあって使うようなことがあればいくつあっても足りませんね。

これからも楽しみにしています。
551通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 12:43:24 ID:???
>>リリカルクロスSEED A´s氏GJ!!
何故仮面の男がコーディネイターだと知っていたんでしょう?
それが気になりましたね〜今回はキラの敗北ですが次は勝って欲しいです!
次回もwktkして待ってます!!
552通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 12:50:02 ID:???
久しぶりに来てみたらなんという投下ラッシュ!
作者様一同GJ!
ただ・・・誰とは言わないが自演感想レスは止めてほしい
553通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 13:44:05 ID:???
GJ!
続きを楽しみにしてますぜ!

なんというか、MSのデバイス化は当たり前になったな。
554通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 15:37:24 ID:???
リリカルクロスSEED A´s氏GJです!
これからもくじけずにがんばってください。
応援しています!
555通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 17:02:50 ID:???
549
そういえばキラの世界ではニュートロンジャマーのせいで携帯は使えない状況なんですよね。
556通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 18:47:57 ID:???
不便だな。
あれ、でもそうすると何でマユは携帯持ってたんだろ?
557通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 18:55:05 ID:???
GJです・・・が、一つだけ気になった所が
フェイトが砂漠の世界の生物に叩き込んだ魔法・・・あれサンダーレイジじゃなくてサンダーブレードですよね?
558リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/19(金) 19:00:26 ID:???
>>557
ご指摘ありがとうございます
やっぱり凡ミスしないようにと考えていてもしてしまうものですね
っていうか、技を間違えるってorz

ご感想もいつもよりたくさん頂きありがとうございました。
一応、明日も投下しますのでよろしくお願いします。
リリカルクロスSEED A´s様、GJです!
>色々議論が飛んでいますが、自分は自分が書きたいものを頑張って書くだけですしw
>凹む時もありますが、頑張っていきたいです。
私も、同じ気持ちで今の作品を書いています。正直『アストレイは場違いじゃないのかな?』
と思っていました。ですが、投下するたびに感想をいただき、今に至ります。
(盗作など、色々ありましたが)
明日の投下を楽しみしています。(私は早くて土曜の夜です・・・・orz)
560通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 19:45:44 ID:???
>>558
明日も投下されるんですか。
それは楽しみにして待たせて頂きます。
561通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 20:41:39 ID:???
なのはさん→C.E.なSSはもしかしてここではあまり評価されにくいんじゃないだろうか
という恐ろしいことを呟いてみる(汗
ここでダメなら何処にいけっちゅ〜ねん
562神隠し ◆CmPRCdy5tY :2007/10/19(金) 20:46:58 ID:???
投下ペース落とした方がいいですか?
563通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 20:49:04 ID:???
>561
そうでもないと思います。
564通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 20:51:45 ID:???
562
今のままでもいいと思いますよ。
565通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 20:55:58 ID:???
神隠しさん、そんなことはないです。
むしろどんどんお願いします。
566通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 21:20:42 ID:???
>>562
投下ペース優先で品質を落としたSSよりも
多少遅くなってもじっくり熟成させたウマーなSSの方がいい
567通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 21:33:35 ID:???
>>556
リウの小説版だと、家族や友達の思い出の画像が入っていたので、
Nジャマーによって携帯使えなくなった後も大切に持ち続けていたとあった
1話冒頭で必死に拾いに行こうとしたのもその為
568通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 21:43:45 ID:???
>567
なるほど…、ご丁寧にありがとうございます!
569Fate in C.E.73 ◆kd.2f.1cKc :2007/10/20(土) 01:02:56 ID:???
>>561

(゚д゚ 三 ;゚Д゚) オ、オレカ……?

いえ別にレスが少ないから止めているわけではないです。
ただ怠けているだけです。すみません。
570通常の名無しさんの3倍:2007/10/20(土) 01:05:07 ID:???
俺は待ってるから
ただそれだけは言いたかった・・・・
571種なのは(仮) ◆ZUiqHOGvTU :2007/10/20(土) 01:38:15 ID:???
貧血入院。
そして退院して家に戻るとPCとADSLモデムが壊れていた。

やっと新PC(中古だけど)を手に入れた!
ADSLも再開通。
やっと見通しがつきました。
来週辺りに投下予定です。
>種なのは氏
まってま〜す。

第28話 投下してもいいですか?
573リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/20(土) 01:52:33 ID:???
投下しちゃってください!
第28話 狂戦士

「キャロはシグナムを…、キラ・ヤマトは我とエリオが食い止める。行けるな?エリオ?」
「はい!!」
ザフィーラとエリオは自分よりも上空で見下ろすキラを見上げた。
左右のフリーダムの銃口が向けられた。
「ぬえりぇぁぁぁあああ!!」
「ストラーダ!」
『スピーアアングリフ』
ストラーダから消費されたカートリッジが勢いよく弾けとび、キラへと二人がかりで向かって行く。
ザフィーラの拳を後退しながら、エリオの突撃を宙返りで避け、左右のフリーダムで狙いをつける。
銃口から溢れ出す光が増幅リングによって輝きが瞬時に増大。
その閃光を中心として展開される環状魔法陣からなのはのディバインバスター級の奔流が放たれる。
攻撃が終わった二人に同時射撃。ザフィーラ、エリオは障壁を展開。
「うぁッ!!」
エリオの障壁に亀裂が生まれ砕け散った。
バランスを崩し、地上へと堕ちて行くエリオにキラは追い討ちをかけた。
急降下。
『サーベル・モード』
「(ここでエリオを無力化する!)」
キラがサーベルを振り上げた。
「キラ…さん…。」
何とか落下を避けようとストラーダをコントロール。推進機構を利用して逃げようとするが、
「は、早い、逃げ切れ…ない!」
自分のすぐ後ろまで迫ってくるキラ。ザフィーラはキラのさらに後方にいる。
「(エリオ!!退いて!!)」
「(スバルさん!?)」
エリオの前方から伸びる青い道、ウィングロード。
そのウィングロードを疾走してくるスバルの姿が徐々に大きくなってくる。
「(ここだ!)」
スバルとぶつかる、ぶつからない、その寸前で方向転換。
「リボルバーー!!!」
「ッ!?」
急制動をかけるキラ。目の前にはリボルバーナックルをふりかぶったスバルの姿。
「くっ!!」
キラはスバルがつき出すリボルバーナックルにタイミングを合わせ、右足の蹴りでカウンターを合わせた。
「うわぁぁあ!」
ウィングロードから脱線。落下するスバル、直後、スバルの遥か後方から放たれる
「アクセルシューター・シュート」
桜色の魔力弾。
「チィッ!!!」
キラはサーベルで八発のうち、二発を切り裂き、背後から迫り来るザフィーラを一気に引き離してなのはへと向かっていった。
「なのはちゃん、下がって!!」
純白の魔法陣を展開。
「うがて!!ブラッディー・ダガー!!」
「ッ!?フリーダム!シールド!!」
向かってくる赤い閃光がキラに着弾し、破裂
「当たった?」
したかに見えたが、煙を突き破ってくる蒼い閃光。
「まだだよ、はやてちゃん。ディバイン…」
なのはははやての前にで、腕の痛みを堪え、キラに向けて
「バスター!!/カリドゥス!!」
同時に放たれる二色の奔流。桜と蒼の反応、爆発を起こし、相殺。
「フリード!ブラストレイ!」
キラの頭上を覆う影。キャロのケリュケイオンから供給される魔力。
フリードの口から膨大な量の炎が吐き出される。
廃棄都市街の建造物の間を縫い、地表すれすれを低空飛行、ブラストレイの追撃を逃れる。
と、地面から白い魔力の刃がキラを狙う。
「ッ!?」
「鋼の軛!!うぉぉおお!!」
キラを串刺をしようと狙う純白の刃が無数に飛び出してくる。巧みに飛翔魔法をコントロールし、キラは急上昇。
「はぁッ!!!」
その先ではシグナムが待ち構えていて、横一閃。
キラは体を低く沈ませかわす。
左のフリーダムサーベルモードを逆手に持ちかえ、逆袈裟一閃。
半身ずらしてかわすシグナムは返す刀でキラを地上へとシールドの上から叩き落とした。
ビルの壁を突き破り、その姿をキラは瓦礫の中に消した。
「……はぁ…はぁ…。」
息を荒げるシグナムによって行くはやて。
「シグナム、大丈夫か?」
「大丈夫です。ただ、キラ・ヤマトがこれほどの力を持っているとは思いませんでした。」
シグナムの言葉を聞いて一安心のはやては、今更だが、シグナムの姿が違うことに気付いた。
「シグナム…、その格好は?」
「力強い味方がついてくれました。アギト、こちらが我が主、八神はやてだ。
(………よろしく…。)」
アギトは小さな声で言う。
「そうか、アギトも力貸してくれるんか?ありがとな…。
キラ・ヤマトはうちの大事な仲間や、何よりこの世界での家族はうちら八神家やからな。
アギト、よろしくな。」
それから集まってきたなのは、スバル、フリードに乗ったキャロとエリオ、全員に向け言う。
「さぁ、疲れとるとは思うけど、ここが正念場や。
皆の力合わせて、うちのライトニング、キラ・ヤマトを連れてかえるよ!」
全員が返事をした。

とあるビル、屋上。
シン、ティアナ、アスラン、シャマルはそこにいた。
『なのは隊長とヴィータ副隊長の魔力の回復出来ますか?シャマル先生。』
「うん、とりあえずまず先にシンとティアナを回復させるわ。
でも、一体何が?ゆりかごの駆動炉の破壊とヴィヴィオの救出は出来て、ゆりかごを軌道ポイント到達前に破壊できるってヴィータが…。」
シャマルはシンの回復をし終え、今度はティアナを呼び寄せた。
モニターに写るシャーリーは続ける。
『その…ライトニングのキラが…やはりスカリエッティに…。
今は、フェイト隊長、それからシン、ティアナ以外のメンバーで応戦中です。』
モニターに写るのはキラの姿。航空魔導士を次々と無力化している姿だ。
そして、シグナムと戦う姿。
アスランはそのモニターを見て違和感を覚えた。
戦闘中、恐らくはキラが絶対に見せない表情。
モニター越しのキラは笑っていた。
アスランはゆっくりと立ち上がり、シャマルに向け言った。
「すまないが…これを解いてくれないか?」
これ、つまりシャマルがかけた拘束魔法。記憶をそうさされていたとは言え、一応は罪人だ。
簡単に解くわけにもいかず、暫しの沈黙が流れた。
「いいね…いいよ、さすがはシグナムさん…強いなぁ…。」
ガシャッ、ガシャッ。
左右のフリーダムのマガジンが廃ビルの床に落ちる。
新しくカートリッジを一組とりだすと、再び装填した。弾け、次々と金属音を立てて転がっていく。
「フリーダム、ヴォワチュール・リュミエールスタンバイ。ターゲット…マルチロック。」
『マルチロックウィンドウを展開します。ヴォワチュール・リュミエール展開。
バリアジャケット、ヴァリアブルフェイズシフト』
空間に開かれる空間モニター。スバル、エリオ、キャロ、フリード、シグナム、はやて、なのは、ザフィーラを赤い枠が囲んだ。

『はやて部隊長!離れてください!!魔力反応、急速上昇!!恐らく、フルバーストが撃たれます。』
「不味いな、皆なのは隊長とザフィーラの後方へ、キャロはなのは隊長の障壁強化。」
「はい、ケリュケイオン!!」
『Boost Up Shield Power』
なのはの貼るラウンドシールドの輝きが増す。
「ザフィーラ、頼むで!」
「御意!!」
『フルバースト、来ます!!』

『HighMAT Full Burst DRAGOON Plus...』
蒼一色の激流13本が廃棄都市街にそびえたつ建造物を飲み込み砕きながら白いベルカ式の障壁と桜色の障壁を飲み込んだ。
凄まじい障壁、レイジングハートの尖端が跳ね上がるのを必死で押さえ付けるなのは。
ザフィーラの腕には凄まじい数の血管が浮き出ている。
「うぉぉぉぉぉ!!!!」
「頑張って、ザフィーラ!」
「ザフィーラ!!」
「ザフィーラさん!!」
はやてとシグナムがザフィーラに力を貸すため、障壁に触れる。腕が持っていかれそうなほど衝撃。
「ッつ!?」
痛みに怯んだ瞬間、レイジングハートが跳ねあがった。
しまった、そう思った瞬間、スバルがレイジングハートを掴み、元の位置へと戻す。
「スバル…。」
「なのはさん!!」
必死に耐えるスバルの顔、
そうだ、弱音を吐いてる場合じゃない。後輩が見てるじゃないか。
管理局のエースオブエースは伊達じゃないところを見せてやれ。
「あぁぁぁぁぁ!!」
自分に渇を入れるために、なのはは咆哮をあげた。

「私の判断では…何とも…。」
シャマルが困ったような表情で言う。
「せめてもの償いに…、あいつを止める為に協力させてほしい…。」
真剣な眼差しで、アスランはシャマルを見つめた。
「ですから…私は…」
再びモニターが開き、現れたのはシャーリー。
『シャマル先生まだですか?』
さらに割り込んだモニターには蒼い奔流が写っていた。必死に耐える皆の姿。
『せめてなのはさんだけでも全快にさせないと…。
シャマル先生!』
シャマルは通信を切った。
「取りきれない責任かもしれないけど…、責任は私が取ります。
シンはスカリエッティアジトに向かってフェイト隊長を連れてきて!
ティアナは私と行きます!」
アスランへと向き直る。砕け散る拘束魔法。シャマルから手渡されるジャスティス。
「信じてくれてありがとう。」
アスランはエメラルド色の目を細めシャマルに微笑んだ。
「またダルマにされるんじゃないんですか?」
シンがアスランをおちょくってやるつもりで言ったが
「安心しろ…、俺がネビュラ勲章をもらったのは、キラを討ったからだ。」
(もっとも、パイロットは生きているし…、魔法とはなんの関係もないけどな。)
「行くぞ、ジャスティス!」
ワインレッドを貴重としたバリアジャケットを身に纏う。
『Ok, Master!バリアジャケット、バリアブルフェイズシフト、METEOR Set Up』
正義の名を持つデバイスとともに、アスランは飛びさった。

ほとばしる奔流の勢いが弱くなり、やがて障壁に負荷がかからなくなった。
ザフィーラの右腕から血が滲んでいる。そして、なのはの顔にも、疲労の色が見え始めていた。
「ひとかたまりになっとたらあかんな、砲撃が終わった今がチャンスや。
反撃…」

「クスッ、油断大敵ってね…。」

はやては目を疑った。キラがいるであろう建造物。そこに発生している13の魔法陣。

『HighMAT Full Burst DRAGOON Plus, Rush』

「皆、避けてぇ!!!!!」
「エリオ!!」
「分かってます!!キャロ!」
キャロの手をとるエリオ。
「でも、フリードが…」
悲しそうなキャロの視線から目をそらし、迫り来る奔流との距離を瞬時に判断する。
(ソニックムーブで何とか避けられる。)
「主!ザフィーラ!!」
シグナムが二人を連れフルバーストの射線軸から待避しようとするが
「間に合わない!」
二人を抱えてはシグナムのスピードが落ちてしまう。シグナムの手を振りほどいたザフィーラ。軽くなり移動速度があがった。
「あかん、ザフィーラ!!!シグナム!戻って!!!」
「なりません、主。」
「(主、我は盾の守護獣ザフィーラ。主をお守りし、盾となるのが我の役目です。)」
スバルとなのは、エリオとキャロ、シグナムとはやては射線軸から回避した。
1面青空にでもなったような錯覚を起こす。
「ザフィーラァァァ!!!」
はやてが叫んだ。
ザフィーラを、フリードを奔流が飲み込まんとした刹那
『Type Power SEED Burst,マジックキャリーシールド』
デバイスの音声が目を閉じたザフィーラの耳に飛び混んできた。ほとばしる奔流が各方向へと散っていた。
「ジャスティス!」
『Ok,ハイパーフォルティス・スタンバイ』
奔流が途切れたのとほぼ同時、二つの魔力スフィアから放たれる二本の朱色の奔流。
キラは跳躍してそれを避けた。
「お前は……。」
シグナムが目を見開く。
「もうすぐ君達に援護が来る、ここは俺に任せて…。
君達は休んでてくれ!」
『シュペールラケルタ・アンビデクストラスハルバード』
両腰からラケルタを抜刀、柄尻を連結。キラから放たれる二本の奔流の間を縫い、ジャスティスを構えて向かっていく。
「おぉぉぉ!!!」
通常射撃を連射しながら後退するキラを執拗におっていくアスラン。
「あの時は負けたけど、今度はそうは行かないからね…。」
キラは向かってくるアスランに向け、笑みを浮かべつつ魔法陣を展開。
『カリドゥス』
『スキュラ』
反応して爆発を起こす二つの魔法、煙と閃光の中、何度もぶつかり合う光。
「呆けてる場合じゃない。まだ戦えるやつは?」
シグナムが言う。シグナム、キャロ、スバル、エリオ、はやてが手をあげる。
「この腕じゃ、あんまり大きいのは撃てないけど…。」
なのはも手を上げた。
「ほんなら、私となのは隊長は中距離支援、キャロはフルバック。スバル、シグナム、エリオで前線、行くよ!」
はやてが言うと、彼方で何度もぶつかり合う蒼と朱色の光へと向かうシグナム、エリオ、スバル。
「竜鬼召喚・ボルテール!!」
キャロのもう一匹の召喚獣が姿を現す。全体は黒。猛々しく咆哮をあげたそれは四枚の翼を持ち、直立だった。
「エリオくん!フリードを!!」
デバイスで飛ぶエリオに追い付くフリード。
「ありがとう、キャロ!!
行くよ、フリード!!」
フリードに跨るエリオ。

「何か凄いの出してきたね…。けど、」
『ドラグーン・ミーティアシフト』
散開する十の翼が向かってくるアスランの進撃を妨げる。
「ぬっ、くっ!!」
正面のドラグーンは盾を使って防ぎ、逃げ道を作った。
背後から狙い来るドラグーンに対応しようと振り返った瞬間
『クスィフィアス3』
背中に走る衝撃。パージされるバリアジャケット。
アスランが怯んだ瞬間、ドラグーンをコントロール、小回りの効かないフリードを狙う。
手綱を操り、奔流の嵐をかいくぐる。桃色の光がフリードの口に集束。
「フリード、ブラストレイ!!」
エリオの掛け声を合図に灼熱の炎が吐き出される。キラが避けると、
「アギト!!(炎熱加速!飛竜一閃!!)飛竜一閃!!」
炎を纏った竜がキラを襲う。
『Long-range Canonn METEOR Shift』
連結フリーダムから放たれる奔流で迎撃。背後に気配。
スバルのリボルバーナックルがキラを襲う。だが、姿が消えた。
何故!?
宙返り、いつのまにか背後をとられてしまったスバル。
『サーベルモード』
スバルのマッハキャリバーを狙うキラ。しかし、桜色の魔力弾がそれをさせない。
「チッ!!」
『CIWS』
キラ周辺に現れる魔力弾を後退しながら放ちアクセルシューターを破壊。
爆煙に姿を消すキラ。
その煙の中からアスラン、エリオ、シグナム、スバルへと奔流が放たれる。
かわす四人。
煙を突き破ってはやてとなのはへと向かって行く。
「石化の刃、ミストルティン!!」
反時計回りに放たれる白刃をタイミングを合わせて避ける。
「ボルテール!」
両翼から放たれる膨大なエネルギー。
「何て大きさだ。」
キラは驚きつつ、ボルテールに向けて通常射撃を放つも奔流が障壁によって弾かれる。
「……フリーダム、いい頃合いだよね?」
『Yes,ドラグーンをこのまま破棄します。ヴォワチュール・リュミエール最大速度まで後、一分です。
現在、五割の速度まで出すことが出来ます。』
キラの背中から溢れだす青紫の光。激しく燃える炎のようなその翼。
「行くよ!」
空気が破裂した。
To be continued...

>リリカルSEED A's 氏
GJです!キラ、ヒビですか?痛そうだなぁ〜。
キラがこれからはやてたちとどう絡んでいくか楽しみです!がんばってください!

投下終了です。
はい、やってしまいました。かなり予告を裏切ってます。

暇潰しになればと思います。
感想、意見を下さった皆様、ありがとうございました。これからも応援よろしくお願いします。
ラスト二話、ラスト二話です。
ちょくちょく場面が変わるので読み苦しい部分があるかもですが、よろしくです。
次回 反撃の狼煙
「そうだ…、思いだけでも…、力だけでも…。
ありがとう、エリオ、キャロ…皆…。
僕は…やるよ…勝つために…戦う!!」
582通常の名無しさんの3倍:2007/10/20(土) 02:33:13 ID:???
>>神隠し氏GJ!!
おおおお!アスランがかっこいい!!
キラ強いなぁ…これなら魔導師ランクSSとか超えてそうだ…

さて、次回はついに精神世界のキラも決着が着きそうですね!
そしてシンのエクストリームブラストがもう一度見れる事に期待して待ってます!!
583リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/20(土) 02:37:06 ID:???
神隠し氏GJです!
あぁ、戦闘パートが熱く書けて凄く羨ましいです。
そして、キラもやっぱり苦戦しつつも強いのが凄いですね〜w
あと2話で終わってしまうのですか・・・・早く見たい。しかし、終わって欲しくないようなw
これからも頑張ってください。期待しています!
584通常の名無しさんの3倍:2007/10/20(土) 02:41:38 ID:???
GJ!
やっぱりキラは無意識のうちに自分の能力を抑えていたということか。
そしてそれが開放されるとこんなに恐ろしいことに…
585通常の名無しさんの3倍:2007/10/20(土) 03:05:23 ID:???
そろそろ容量が少なくなってきましたな…次スレ立てた方がいいですかね?
586通常の名無しさんの3倍:2007/10/20(土) 08:31:49 ID:???
テンプレに改編案何かあったっけ?
587リリカルクロスSEED A´s ◆mIFGbZgrPU :2007/10/20(土) 08:40:03 ID:???
>>585
次スレが立つまで投下は待ったほうがいいんですかね?
それともこのままこっちに投下する予定でもいいのか迷ってます。
どっちがいいか決まってから投下予告出したいと思います。
588通常の名無しさんの3倍:2007/10/20(土) 09:25:39 ID:???
>>587
次スレが立つまで投下を待ったほうがいいと思いますよ。
589望 ◆nTZWuJL8Pc :2007/10/20(土) 10:00:45 ID:???
それじゃ次スレ立ててきましょうか?
590通常の名無しさんの3倍:2007/10/20(土) 10:09:03 ID:???
神隠しさんGJです
キラtueeeeeeeeで続く中、新人達が空気化するんじゃないかと心配してましたが活躍しててホッとしました
魅せかたわかってるお方だな。そしてシンの存在を完全に忘れてた私wwwww

>>589
お願いします。立てれないようだったら私がいきます
591望 ◆nTZWuJL8Pc :2007/10/20(土) 10:15:07 ID:???
すいません無理でした…590氏お願いします
592通常の名無しさんの3倍:2007/10/20(土) 10:24:32 ID:???
593通常の名無しさんの3倍:2007/10/20(土) 10:27:51 ID:???
以下、雑談スレで進行!
594lyrical Seed Destiny ◆GbMvPwa7M6
>>神隠し氏
GJ!! SEED組がいい感じで活躍してますね。特にキラの暴走ぶりは最高です!
残りあと二話。終わりかと思いますと名残惜しいですが、最後まで頑張ってください。

>>高天氏
来た、アッシュがキタ―――! しかも強い!!! 「リジェネレイト」に「テスタメント」自分のとは違った使い方も
こちらのネタになりそうです。 GJです!!

>>まじかるしん氏
GJです。カ○マの魂を宿したカナードがいい感じです。瞬時の状況判断力、シグナム、ヴィータの二人とやり合って互角以上の強さ。
これ以上強いというのですから、次の戦闘は非常に楽しみです。

>>リリカルクロスSEED A’s氏
フリーダムを手にしたキラ。しかし友を守れず…そして戦うことに再び迷い始めてる。
どんな答えを見つけて剣を振るうのか、楽しみです。
GJ!

>>失われた者達への鎮魂歌氏
キラが熱い! 本編と違いちゃんと反論しつつ戦ってる。
こういう展開が見たかった…GJ!!

>>Fate in C.E.73氏
フェイト、シン、ルナ。三人の連携がいい感じですね。 これなら星屑の戦場ではどういう展開なるのか…今からwktkです。
GJ!

次スレにてContact of Destiny7話前編投下予定(12:00頃)です。
前話の感想レスにあったとおり話が長かった場合、これからは分けることにします。中、後編とも書き終わっていますが
推敲がまだですので中編は今日の夜か、後編は明日になるかと思います。