1 :
通常の名無しさんの3倍:
シン・アスカ→エヴァ世界の弐号機パイロット
惣流・アスカ→SEED世界のインパルス&デスティニーガンダムパイロット
ここは「シン・アスカと惣流アスカが世界を交換したとしたら」の2スレ目です。
新スレを立てるついでに突発的に思いついたテンプレのアスカver.案を一応はっつけておきます。
アスカにちっとも似ていない上に内容がすっごい貧弱なのは自分でも自覚しているが、適当に手を加えた上で次スレで使っていただければありがたい。
このスレはあたしがインパルスやデスティニーを操縦したり、シン・アスカとかいうのが弐号機パイロットだったりする世界を想像するスレッドよ。
注意事項
・荒し、煽り、騙り、その他迷惑行為を行ったら(旧劇場版)エヴァシリーズの餌になりなさい!
・シンクロ率に注意しながらまったりとやりなさい!
2 :
通常の名無しさんの3倍:2007/09/23(日) 22:16:41 ID:rBSK9wzL
3
4
過去ログとかまとめとかはないのでしょうか?
まずは
>>1 乙!
次スレ立てようとして失敗した自分が通りますよっと。
>>4 まだ前スレが残っているのでそちら参照のこと。
現在『アスカ・ストライク!!』さん、『アスカ・シスターズ?』さん、『シン、心のむこうに』さん、
好評連載中!!
あと『シン、来日!』さん、早期復活お待ちしています♪
前スレ
>>533の絵師様、もう一度あの神画像をプリーズです♪
===バンッ!!===
シンは、机に座りコーヒーをすするミサトの眼前にソレを叩きつける。
「“修学旅行のご案内”、…かぁ」
ミサトはプリントに記された表題を読むと、チロッとシンを見上げる。
シンの紅い眼は怒りでさらに燃えているようにミサトには見えた。
「こいつはロッカールームのゴミ箱にクシャクシャに丸められて捨てられていました。
たぶんシンジのやつが、あんたらに気ぃ使って捨てたんだろうけどっ」
今日のシンクロテスト、シンジはいまいちな結果だった。その理由にシンは気付いたのである。
だからシンジがシャワーを浴びている間に、着替えるのももどかしく、ミサトの元へ来た。
ミサトはひとつため息をつき後を引き受ける。
「…それをアスカく…シー君が見つけちゃった、と」
「そ、そうだよっ。いいじゃん、行かせてやればっ。シンジだって本当は楽しみにしてるはずなんだ! ならっ」
「気持ちは判るんだけど…ダメ」
「なんでだよっ。誰が決めたんだよ、そんなのっ。俺が行ってきっちり…」
「あ、それアタシ。決めたの。作戦部長の」
「はああぁあーっ!? なんだよそれ? アンタ俺たちのホゴシャなんだろっ!? なら…っ」
「ソレとコレとは別の話っしょ。シンジとレイが旅行に行ってる間に“使徒”が攻めて来たらどうすんのよ?」
グッとつまりながらも、シンは抵抗してみせる。
「なんの為にネルフは俺をエヴァのパイロットにしたんだよ!? 俺がいるだろっ! 使徒の1匹や2匹…」
「君一人でどうにでも出来る、と?」
「う゛」
噛みつくシンにミサトは一言。シンは思わず一歩後ろに下がる。
「ここ(ネルフ)に来て1ヶ月。マユちゃん(弐号機)とのシンクロは相変わらず良好だけれど、コレじゃあ、ね」
そう言いミサトはパイロットデータの中から、シンの戦闘シュミレートデータをピロンと見せる。
細かな数字にされたシンの戦闘データ。そしてそれに添付された、数枚の写真。
アンビリカルケーブルに足が絡み、転ぶ弐号機。芦ノ湖に落ち、溺れる弐号機。
バズーカの前後を間違え発射する弐号機…etc。
はっきり言って、戦闘ウンヌン以前の問題をシンは現在抱えてる。
シンが努力していないわけではない。これでも、それなりにエヴァを動かせるようになった、と自負している。
「近接戦闘に於ける能力は目を見張るものがあるけど、支援技能…特に長距離射撃は悲惨ねぇ」
「ぶっこんで、ぶん殴って、ぶった斬る! シンプルかつ効果的っ。それでいいじゃないかよっ!」
「…シー君って、イノシシ年生まれ? 使徒が、空飛ぶようなヤツだったらどーすんのよ?」
「…………っ」
ミサトは腰掛けている椅子を鳴らし、足を組む。
「確かにアタシは、可愛ぃ〜く愛ぉし〜い(はぁと)キミ達の、保護者代行だけどね、
同時にネルフに於ける作戦本部長であり、使徒に唯一対抗出来る汎用人型決戦兵器、
―エヴァンゲリヲン―の、操縦者達の監督責任者でもあるの。
で。『一学校行事』と『世界の命運』をハカリに掛けると…後者を取るっきゃないっしょ?」
ミサトは両手の人差し指を立て、そして右手の方の指をパタンと倒してみせる。
「ああ、ああっ。大人はそうやってすぐ自分の都合で立場をコロコロ変えるっ!
いつ来るか来ないのか分かんない使徒に怯えちまって。たまにはこっちから攻めるとかしてみろってんだ!!」
「んふぅ。…それが出来たらとっくにやってるって」
ミサトは苦笑いで応えるのしかなかった。
===ガスン、ガスッ、ガコン===
「チクショっ、畜生、チックショウっ!」
シンは怒りを隠さず、休憩施設内の自動販売機を殴る。
「…うあぁっ? 畜生〜〜っ!!」
コーラのボタンを殴ったつもりなのに、自販機から出てきたのは“ホット青汁(葡萄果肉入)”だったりする。
「いよぅ。アスカ君じゃないかぁ」
自販機の前で頭を抱えるシンの背後から、誰かが声をかける。ヨレヨレのネクタイ、無精髭…。
涙目でシンは振り返る。
「アンタ…。確か“加持さん”、でしたよね?」
「おう」
“加持リョウジ” 確か前任の弐号機パイロットと共に、ドイツ支部から来た特殊監査部の男。
あのミサトとは、昔からプライベートでも付き合いがある、と聞いている。
「加持さん、ミサトさんの彼氏なんでしょっ? 加持さんからも言って下さいよっ!」
「ん〜? なにをだぁ?」
「――そう、“修学旅行”。こんなご時制にノンキなものね」
ネルフ施設内のバーにて。ミサトはコリンズを、リツコは冷えたシャンパンを頼み、カウンターに腰掛ける。
「こんなご時世だから、でしょ。 遊べる時には遊びたい年頃なんだから。シー君はそれを代弁しただけで」
バーテンに扮した職員が2人の前にグラスを置く。
「旅行はどこ? “オキナワ”? 季節が夏で停まった今の日本であまり意味ないと思うけど」
そう言いリツコはグラスを持ち上げる。
「――場所は関係無いわよ、あーゆーのは。仲間と一緒にどこかに行く。それが大事なんだから」
「でも本人達じゃなくて、アスカ君が言ってくるなんて。シンジ君が頼んだのかしら?」
「シンジ君はそんなこと頼まないわよ。内にしまうタイプ。あれはシー君の独断先行。」ミサトもグラスに口をつける。口紅の跡がついた。
「お節介な子なのねぇ」
リツコは右の手にアゴをやる。
「んふ。それは違うわ。“優しい”のよ。見ていて判るわ。本人はそう言った自覚は無いだろうけど、
みんなより1つ歳上だから、自分がしっかりしなきゃって。ちゃんと“お兄ちゃん”しなきゃって。
そう思ってるのよ。あの子の妹さん…マユちゃんと、シンジ君やレイがどうしても重なっちゃうのよ」
「シスコン? あまり褒められる性癖じゃないわね」
「ブフッ。“性癖”ってアンタ…」
「…人は他人(ひと)との出会いを重ねる程、いろんなしがらみが出来て、それが“癖”に出てくるの。
さしづめミサトは…」
「あん?」
「…なんでもないわ」
――カラン。グラスの氷が鳴った。
「どうだい? もう弐号機…、いやネルフには慣れたかい?」
加持は自販機のボタンを押しながらシンに訊ねる。
「えー、まー」
ブスッとしながらシンは答える。
「なんだぁ? 気のない科白だな。…ホレ」
加持はベンチに腰掛けたシンに、自販機から取り出したジュースを投げてよこす。
「うわっと!? …コーラ?」
加持はシンの隣にドカッと座り、シンのもう片方の手にあった“ホット青汁”をヒョイと取る。
「悪いな。俺、コレ好きなんだけどな。ちょうど売り切れみたいだ。交換してくれ」
ちなみにどの自販機にも、売り切れランプは付いてはいない。
「加持さん…」
「んで。シンジ君の学校の修学旅行の話、だったかな?」
「え? あ、あぁ、そうです。俺達は確かにエヴァのパイロットですが、シンジや綾波は普通の中学生でもあるんだっ。
ミサトさんは中学校の一行事―、なんて言ってましたけどっ。本人達にとっては一生に一回しかないものなんだ。
どうしてそんな簡単なコト、解ってくれないんだよっ」
「……無かったからなぁ」
加持がボソリと言う。
「え?」
「無かったんだよ、俺達。修学旅行とかそういうの。それどころじゃなかったんだ」
「え、なんで…? ……あっ!?」
シンの表情を見ていた加持は頷いて見せる。
「――そう。『セカンド・インパクト』、だ」
続く…かどうかは、水着ショップの店員に聞いてみてくれ。
12 :
シン・心:2007/09/29(土) 00:20:45 ID:???
>>1さん 新スレ乙♪です。投下先はこちらで良かったでしょうか?
もうひとつのスレを立ててくれた人もありがとう♪ です。
そして、遅筆なのを見捨てず見てくれてるみんな、乙! です♪
新エヴァ劇場版(と、種死劇じょ…ゲフゲフ)、あ、あと00に負けず、シンやアスカを描いていきたいと。
改めて皆さんよろしくです。
13 :
シン・心:2007/09/29(土) 00:28:27 ID:???
改行間違い…また…orz
皆様こんにちは。
アスカ姉妹の話を書かせていただいている前スレの569です。
1様乙です。
シン心様、GJです。
シン心様も書いていらっしゃいますがあちらのスレをお建てになった方もお疲れ様です。
今回、3レス分ほどですが投下させていただきます。
よろしくお願いいたします。
「大丈夫かよ、ルナ?」
整備班達にザクの傍らからすぐに引き離されて格納庫にぽつねんと立つルナマリア。
ヨウランはその所在なさげなルナマリアに歩み寄り、心配そうに声をかけた。
作業用クレーンでつり上げられようとしている消化剤まみれの片手片足のない赤いザク。
彼女は初めての実戦でまったく戦わずにそんな無残な姿となった愛機を見上げる。
「出端をくじかれただけよ。でも盛大にやられちゃったわねぇ。修理大変よね、ごめん!」
そして彼女は笑ってウインクしながらヨウランに手を合わせた。
「そうじゃなくてさ、ケガとかはないのかよ?」
ヨウランはルナマリアにドリンクを手渡す。
「ん、ありがとう。……特にないけど。ま、私、根っから頑丈にできてるようだけどね」
お互い、同期の気安さから多少砕けた口調で会話をする二人。
――養成学校でもよく言われたもんね、『技術のソウリュー、体力のルナマリア』とか。
ドリンクを口にしながらルナマリアはクスリと笑った。
――あと、『口先のソウリュー、馬鹿力のルナマリア』とか……。
あ〜自分で思ってて腹立ってきたわ、と、彼女は眉間にしわを寄せた。
「何、一人で笑ったり赤くなったりしてるんだよ。
やっぱり念のため、検査くらいは受けといたら?」
「……ま、そうねぇ」
彼女は自分の でちょっとばかり“ウツ”が入り、少し暗い表情で相槌を打った。
ドリンクをすすりながら、自分のために忙しくなった格納庫を横切るルナマリア。
ザクを壊して整備班の仕事を作ってしまったので、一応は体を少しだけ丸め、遠慮がちに。
その忙しげな格納庫の中を視線だけを泳がせて辺りを見回す。
彼女は見慣れぬ風体の男前二人が格納庫の隅で何かをわめいているを見つける。
「あれ、あの連中、何よ?」
ルナマリアは無遠慮に連中を指さし隣を歩いているヨウランに質問した。
「ああ、あれ? オーブ代表とその随員って名乗っているんだ。彼らがザクから出てきてさ」
「え? オーブ? ザクから? 何それ?」
――あれ? オーブ代表って女性よねぇ? もしかしてあの金髪の小柄な男前が女性?
ルナマリアは以前、妹のメイリンから聞いた昔の東洋のある言葉を何故かふと思い出していた。
――たしか、『ヅカ』だったと思ったけど。意味はなんだっけかな?
「だから、言葉の通りさ。正直みんなもてあましてんだ。どうしたらいいと思う?」
「どうしたらいいも何もねぇ。
……第一、オーブのお偉いさんがなんで宇宙にいるのよ?
で、連中の要求は?」
「負傷したオーブ代表の治療とデュランダル議長への面会だそうだ。
そんなことここでいわれてもさ……」
「なんでまた、このミネルバに着艦したんだろうね。
それもミネルバに議長がいると知ってさ……って議長がぁ? ミネルバにぃ?」
――なんでオーブ代表がよりにもよってミネルバ? しかしなんでミネルバに議長が?
いろいろと疑問が頭をよぎる彼女。
「さあね。オーブ代表様の考えることなんて俺たち下々の者にはわからないね」
ヨウランはこっちが知りたいよとばかりに肩をすくめる。
「ああ、なんか議長がミネルバに乗り込んだんだってさ。今はブリッジにいるらしいぜ」
「へ〜〜。ま、いいけどね。……じゃあ、私が医務室へよるついでに彼ら、連れて行こうか?」
――まさかそんなことは頼まれないだろうな。
そんなことを思いつつ、ルナマリアは軽くそんなことを言い出してみた。
――まさかね。そんなの警備兵とかの仕事だろうし。
「そうしてくれるとありがたいけど、ちょっと班長に聞いてみるよ」
そういい残してエイブスが怒鳴っている辺りへ走っていくヨウラン。
――まさか、OKは出ないわよねぇ。
「さてと」
それを見送った彼女はビーノに対して何か声を荒げているグラサン男の元へと歩を進めた。
彼らを医務室へ連れて行くためというよりもどちらかというと興味本位ではあったが。
負傷しているためか物憂げな表情のボーイッシュなオーブ代表らしい女性がグラサン男の隣に立っている
――で、そういえば『ヅカ』ってどういう意味だったっけ?
ルナマリアにはその単語がのどに引っかかったよう小骨のように気にかかり少しイライラさせる。
「……だから、早く医務室へ案内をしてくれないか!
だいたい、この船には衛兵とかいないのか?」
サングラスをかけた少しボンボンっぽい護衛が近くにいた整備班を捕まえて未だに何かまくし立てている。
応対させられているビーノはそんな彼をもてあまし気味だ。
「まことに申し訳ありません。
しかし、あなたもご存知のとおり、ただ今緊急事態で本艦も非常に立て込んでおりまして」
ルナマリアはそんな二人の近くに立ち、護衛の言葉に答えた。
「しかしなあ、……って、ところで君は誰だ?」
護衛がまともな答えを返してきた声に振り向く。
「あ、自己紹介が送れて申し訳ありません。
私、このミネルバ所属MSパイロットでルナマリア=ホークと申します。
ところであなたは?」
――あら、結構いい男ね、ちょっと私好みかも。でも少しおでこが広いかな。
護衛の顔を近くでみたルナマリアはそんな感想を抱いた。
「あ、すまない。オーブ代表の護衛を勤めるアレックス=ディノだ。
こちらはオーブ代表カガリ=ユラ=アスハだ。」
「お目にかかれて光栄です。アスハ代表」
ルナマリアにとってはどうでもいいと思ったのだがとりあえずアスハ代表に無難に挨拶を返しておく。
そうしておけば隣の護衛からの心証も少しはよいだろうし。
“アスハ代表”はルナマリアへ多少物憂げな顔で気もそぞろに形だけの、でも少し尊大な挨拶を返す。
そんなに傷の状態が悪いのかな? とルナマリアは少し柄にもなく心配してしまう。
――やっぱり本物のオーブ代表だとか?
とかも考えているルナマリア。
――この歳で一国の代表やってるなんて、エリート? 貴族? セレブ? なんだかなぁ。
軽い嫉妬? を感じているルナマリアだが表面上は丁寧に対応する、しているつもりである。
「あ、ああ、世話をかける」
――ああ、でもやっぱり女だよ、こいつ。やっぱ本物? ま、どっちでもいいけどね。
しかし彼女は声を聞いてそんな失礼な感想を目の前の“オーブ代表”に対していだいていた。
ヨウランが警備兵らしい2名を連れて彼女らの元へ駆け寄ってきた。
「ルナ、OKだって。ついでにブリッジに報告も頼むとさ」
「あええぇ? ま、いいけどね」
――しかし大丈夫なの? ここの保安体制というか、いわゆるここのセキュリティってヤツは?
まさかそんなことが許可されると思わずいってみただけのルナマリアは少しばかり頭痛を覚えた。
――第一、警備兵がいるんならあたし別にいらないじゃん。わけわかんないわね。
「では医務室へご案内いたします」
そんなことを考えながら表面上は取り澄まして彼女は彼らを先導して格納庫を出る。
ムウはエグザスで3機のザフトMSに有線ガンバレルを使い牽制のための先制攻撃を仕掛ける。
「敵だ! 各機、散開!」
エグザスの攻撃を予測し、レイがアスカとディアッカに指示を出し、自らも回避行動を取る。
「うぃっす!」
レイの意図を理解して間髪入れずにランダムな回避行動に入るディアッカ。
「え、なになに?!」
アスカは何のことかわからなかったが直感的にシールドでメインカメラとコックピットをカバー。
そしてインパルスを移動させて“何か”を避ける。
3機にばらけたアスカ達に対してネオ、ゼロ、Sinがそれぞれ自分の獲物に襲いかかった。
すぐに仕留めて残りの2機のバックアップにまわろうとネオは白いザクへ死角からのオールレンジ攻撃をかける。
しかし、レイはエグザスの有線ガンバレルによる攻撃を全て見切って避けてしまう。
「なんでわかるんだよ、この白い坊主くんは!」
しかしレイもそれを避けて牽制攻撃をかけるまでが精一杯でエグザスを落とすような攻撃はできない。
――この感覚は? ラウ? それとも僕と同じ? いや違う。だが誰であろうとギルを困らせる奴は僕の敵だ!
襲いくるガンバレルの攻撃の雨をなんとかしのぎながらレイは反撃の機会を探る。
アスカのインパルスには白いストライクが襲いかかる。
白をベースとしたトリコロールカラーのガンダムフェイスのMS、インパルスとストライク。
その2機が近づけば大剣で斬り合い、離れればビームライフルとガトリングで撃ち合い、めまぐるしい戦いを繰り返す。
気がつけばアスカのインパルスは白いストライクにやや押され気味になっている。
「な〜んかいやな感じね、この白いの! 第一“白”っていうのがな〜んかね。
ファーストを思い出してむかつくのよ!!」
――まあ、ファーストとはおんなじネルフの仲間だったからこんなガチの戦闘はできるわけなかったんだけどさ。
白い機体……
不意にアスカの脳裏にみたことのないはずの全身が白くぬめるような手足を持つエヴァのような化け物が浮かぶ。
――な、なんなのよこれ……。この反吐が出そうないやな感触は。
そいつらに全身を食い散らかされ、さいなまれるような嫌悪感にまみれたイメージがフラッシュバックする。
――き、気持ち悪い!
アスカはその感覚そのものを振り払うようにブンブンと頭を振り、正面の相手を見据えた。
「どっちにしろあんたなんかにわざわざ負けてやっている暇はないのよ!」
インパルスにエクスかリバーを持ち直させ、相手の対艦刀の一撃を防ぐアスカ。
黒いストライクに差し込まれながらなんとかしのごうとしているディアッカ。
案の定、ビームスパイクは出力が低くシールドに当たり火花を散らして消えるだけでさしたる効果もなさそうだ。
「やれやれ」
彼は貧弱な武装にあきれながら一か八かで勝とうなどとは考えずしのぐことだけに精力を傾けることにした。
「なんだかな〜、なんか以前戦った事があるような、ないような動きなんだよな……」
――誰か俺が戦ったヤツに鍛えられたとかそういうことか?
――ま、黒いとはいえストライクみたいだからキラかオッサンの動きがOSに反映されていてもおかしくはないか。
「どっちにしろ難儀な相手だぜ」
「『強くないけどうまい』って、さすがにゼロはうまいことを言うね」
Sinはストライクノワールの中で口の橋を歪め、ニヤリと笑った。
「今回はノワールの慣らし運転の兼ねてるからこれくらいがちょうどいいかもね」
それはかつての彼を知っている者が見たら驚くような酷薄な表情をその顔にうつしていた。
「落とすのは簡単なんだけど、少しつきあってもらうよ、旧式の君」
以上です。
アス・シスさん乙!
新スレでも頑張れ!!
GJ!
保守
乙種保守
保守
遅まきながら前スレ753あたりの話の続きを書くとしたらなんとなくこんな感じでしょうかね?
というものを書き殴ってみました。
スレの趣旨と違う気がするので保守ネタです。
だってこれ「シンとエヴァのシンジを入れ替えたら」になってしまいますから。
5レスほどですがどうぞ。
知らない暗い街並をビルと同じ高さから見下ろす。
視線の先に立ちつくすばかでかい化け物……
誰かが何かを叫んでいるようなノイズが遠くで聞こえる。
左腕が痛てぇよ。……頭が痛てぇよ。
――見知らぬ天井
気がつくとシンの視線の先には飾り気のない照明設備と無機質な天井が広がっていた。
「知らねぇ天井だな。なんだよ、ここは……」
どこかのベッドで寝ていたらしい。真っ白シーツから左手を出して光にかざしてみる。
「ちゃんと動いているよな」
右手をシーツから引っ張り出し……
「うう〜ん……」
すぐ側で女の子をくぐもった声がする。
声がする方へ目をやるとマユが両腕と彼の右太ももを枕にしてこちらを向いて眠っている姿があった。
「マユ……」
シンは体を起こし、右手をシーツから出すとマユの頭へその手を伸ばしてポフポフと軽く叩いた。
「まったく、……俺のこと心配していてくれたのかな」
シンは何かうれしくなって人差し指でつんつんとマユの頬をつついた。
彼のつんつん攻撃に眉間に少ししわを寄せ、いやそうな表情を浮かべるマユ。
シンは意地悪な気持ちがもたげてそのままつんつんと頬をつつき続ける。いやいやをするように顔を振るマユ。
シンの右太ももにマユの柔らかな律動が伝わり、その近くにある何か別のモノが首をもたげ始める。
(ヤ、ヤバッ!)シンの思考がフリーズする。
動きが止まったシンの人差し指を寝ぼけたマユがパクッと口に入れる。
「エェッ?!」
寝ぼけたマユがチューチューと音を立ててシンの人差し指を吸う。
その音と感触、シチュエーションに反応してまた、さっきもたげていたモノが元気になっていく。
シンは驚いてその指をマユの口から引っこ抜いた。指と口の間に銀色の糸が引かれ、そして切れた。
そのテラテラとマユの唾液で濡れて光る自分の右の人差し指をシンはまじまじと見つめてしまった。
「な、なめちゃおうかな……」
シンは誰にともなくそうつぶやくと意を決してマユの唾液で濡れた人差し指を自分の口の中へ……
ふと視線を感じて顔を上げると半分あけられた病室のドアの前に金髪片眼の包帯男が松葉杖をついて立っていた。
思わずシンは口元まで指を持って行った状態で固まってしまった。
「気にするな、俺は気にしない」
「気にするだろうふつう!! アンタって人は〜〜!!」
シンは手近にあった何かを左腕でその包帯男に投げつけた。
そしてシンが改めて右の人差し指を見つめるとその先に頭を起こしてきょとんとした表情のマユが視界に入った。
「お兄ちゃん、起きたんだ」
マユは何の邪気もなくいかにもうれしそうに天使の微笑みを浮かべた。
「あ、ああ……」
「よかった……」
起伏の薄い胸をなで下ろすマユ。
「お兄ちゃん、ずっと眠ってたからマユ、心配したんだよ」
シンは何かものすごく後ろめたくなってあわてて右手をシーツで拭いた。
「お兄ちゃん、どしたの?」
「い、いや、なんでもない」
ほどなく着替えを終えたシンは病院のロビーの長いすに座り、何を見るとはなく、ぼうっとしていた。
『ネルフは私の方がお兄ちゃんよりもセンパイなんだから任せてよ!』とかいってマユはさっさと退院手続きに
走っていったので彼は手持ちぶさたになってしまったのだ。
(さっきは危なかったな……)
またじっと自分の右の人差し指を眺める。
(もうちょっとで、惜しい、じゃなかった。変態になるところだったぜ)
もし、リツコ見ていたら『安心なさい、あれだけやればあなたもう既に十分立派な変態だから』といった言葉を
返していたところだろう。
「お兄ちゃん、お待たせ」
背後からかけられた声にシンは何故かどぎまぎしてしまった。
「別に、待ってねぇよ」
「なんかデートの待ち合わせみたいだね」
そういってマユは屈託もなくくすくすと笑った。何故か耳まで真っ赤になるシン。
「ほら、行くぞ」
照れ隠しに立ち上がるシン。
「あ〜、待ってよ〜!」
待っていたエレベーターが開く。そこにはただ一人、碇ゲンドウが乗っていた。
「マユ、今日はもう帰っていいぞ」
ただその一言だけをマユに告げる。
ゲンドウはシンを射抜くような視線で見つめる。シンもゲンドウを敵意を込めた視線で睨む。
そして彼はそのエレベーターに乗らない。閉じるエレベーター。そんな光景を見てマユはため息をついた。
二人は係員からシンの新しい住居について説明を受ける。
「え? お兄ちゃん、一人?」
ゲンドウのいる宿舎で3人いっしょに住むと思っていたマユは係員の説明に驚いてしまった。
「特に問題はないと思いますが?」
目の前にいる係員は上からの処理についてそう感想を述べた。
「そういう問題じゃないよ〜!」
「別に俺はかまわないけど」
シンもそれに同意する。マユはプンスカピンと頭にきてしまった。
リツコの研究室に電話をかけるマユ。
そして彼女にマユにあてがわれているマンションの一室でシンと一緒に住むことを伝えていた。
「大丈夫だよ、そんな間違いなんて絶対に起こらないから」
受話器の向こうから懸念を表明するリツコにマユはそうまくしたてた。
「……だって『お兄ちゃん』なんだよ、『シン』なんだよ、大丈夫だよ」
「あなたね、まあ、前者は相手もそう思っているかも知れないけれど、後者はあんただけの思いこみでしょう?」
昨晩からの一連の報告書をうちながらリツコは受話器の向こうのマユに突っ込みを入れた。
「……ま、そうなんだけどね」
マユはリツコの的確な指摘に少し落ち込む。
(でもまさか、あのシンちゃんが私にそんなことするとは思えないんだけど)
「それにリツコさん、あなたにはその方が都合がいいでしょう?」
マユが急に20も30も年をとったような小声で、しかし受話器の先の彼女に聞こえるようにつぶやいた。
「あなたねぇ。……ま、勝手になさいな」
マユには受話器の向こうで彼女が少し怒りながらもあきれ顔で手をひらひらと振っているのが見えるようだった。
「ありがとう、リツコお姉ちゃん」
「あんた、こういうときだけそんなに素直で年相応の声だされても気持ち悪いわよ……」
マユが住んでいるマンションへ向かうためネルフ基地から地上へ出る二人。
「なんだよ、これ」
「電動アシスト自転車! “お気に”の自転車、壊れちゃったからね」
さすがにあれだけ酷使すればママチャリもお亡くなりになるか。
「でもこれ、二人乗りしていいのかよ?」
一応後ろの荷台に座布団は置いてある。
「知らな〜い」
今度はマユが前に乗り、シンが後ろに乗った。
「別に俺が前でいいよ」
「だってお兄ちゃん、この街知らないでしょう? それにこれ、体力いらないから大丈夫だよ」
山沿いの道を自転車で風を切って走る。
シンの耳には風の音ととぎれとぎれに聞こえるマユのハミングが心地よかった。
途中、見晴らしのいいところでふと自転車を止めるマユ。
「なんだよ、急に?」
見渡す限り無機質な更地が広がっていた、寒々とした風景。
急にサイレントが鳴り、それを合図に無数のビルがせり上がってくる。
「な、なんだよこれ……うわ〜〜すげぇ!! かっこいい……」
シンが目を輝かせて眺める中、瞬く間にビルの乱立する街ができあがる。
その完成した街を見ながらマユが誇らしげにシンに話しかけた。
「人類の対使徒防衛の要、対使徒迎撃用都市、第三新東京市。……お兄ちゃんが守った街だよ」
二人は町中へ出かけてスーパーで夕飯の買い物を堪能した。
そのスーパーで買い物中にシンは買い物客が疎開について話ているのを耳にした。
(使徒とかいうあの化け物のせいか。やっぱり誰かがアイツをやっつけなきゃいけないのか)
自分が住んでいたところと全く違う現実味のない出来事がみんなの現実を脅かしている事実。
彼にはそれがあまり実感がわいてきていないはずなのに不思議で怖くて悲しかった。
ハンドル前のかごとシンの片手の中に二人分の夕飯にしては多すぎる荷物を抱えてマユの新しい愛車が夕方から
夜へと変わる町並みを走った。
「こ、ここは?」
ほどほどのマンションの一室の前でシンは『碇』と書かれた表札を見て固まる。
「ああ、いってなかったっけ? ここは元々お父さんと二人で住んでたマンション。
今は忙しいからネルフの中に部屋を借りてるの。だからお父さん、ここには住んでないよ。
私たち、今日からここで住むの。いいでしょ?」
マユはシンに異議は挟ませないとでもいうように早口でそれだけまくし立てた。
「ここで住むって……あのなぁ!」
鍵を開けてさっさと中へはいるマユ。
「ただいま〜」
シンはまだその中へはいるのを躊躇していた。
「どしたの、お兄ちゃん?」
「お、おじゃまします」
おずおずと中へ入ろうとするシン。
「ダメ! 違うでしょう。ここ今日から私たちのうちなんだよ!うちに帰ってきたときは違うでしょう?!」
返事ができなかった小さい子供をしかる母親のようにマユはシンに向かって怒鳴った。
「……た、ただいま」
帰りの挨拶をやり直してその玄関へと入るシン。
「お帰りなさい、お兄ちゃん♪」
マユは満面の笑みを浮かべて我が家へ帰ってきたシンを迎えた。
「お兄ちゃん、ちょっと着替えてくるから、荷物、冷蔵庫に入れておいてね」
さっさと奥へ引っ込んだマユにそういわれてシンはとても大きな冷蔵庫を開く。
「……なんだよ、このビールもどきの壁は」
扉側全面と最下段の大きな野菜室全部にノンアルコールビールが所狭しと積み上げられていた。
「おい、本当に親父、ここには来ないのか?」
シンはその不思議な光景を見ながら奥の部屋で着替えているらしいマユに声をかける。
「うん、私だけだよ〜。どうして?」
周囲をよく見てみればまだ新しそうな分別されたゴミ袋の中に同じブランドの空き缶がたくさん入っていた。
「や〜、別になんでもない」
(天国の母さん、マユは都会の空気に毒されて悪い子になってしまったようです)
そのとき、初号機がくしゃみをしたかどうかは定かではない。
着替えたマユが料理をてきぱきと作り、ほどなく二人での夕食が始まった。
マユのエプロン姿で、キャミの肩紐とホットパンツがちょうどエプロンで隠れてしまい、正面から見た姿が
ちょうどエプロン以外、何も着ていないように見えてしまい、それがシンの想像力を刺激してしまったことは
この際、シン以外にはたいした問題ではなかったのかもしれない。
「あれ、お兄ちゃん、好き嫌いあった? それとも味、口に合わなかった?」
食が進んでいないシンを見てマユは心配そうに話しかけた。
「いや、そうじゃないけど」
「じゃあ、何?」
マユは小首をかしげてシンを見つめた。
「こんな、自分以外の奴と差し向かいで夕飯食べるなんてすごく久しぶりだからなんか慣れなくってさ」
シンはテーブルに視線を落とし、ぽりぽりと後頭部をかき、少し照れた表情を見せながらそれだけ言葉を
ポツリとつぶやいた。
「私だってそうだよ。でもこれからはこういうこと、もっともっと二人でたくさんやっていこう!」
少し目を赤くしながら微笑むマユ。
シンは返事の代わりに目の前のハンバーグ(レトルト)にかぶりついてうまそうに食べ始めた。
「なあ、マユ」
「ん? おかわり、いる?」
マユがシンからおかわりの催促をされたと思い、お茶碗を受け取るために両手をひょいと差し出した。
「あ、ふつうでいい。……親父と別に住んでるってことは、マユもあいつと仲良くないのかよ」
「“も”、ってどういうことよ、“も”って。……仲良すぎるほど仲いいわよ。よすぎて困るくらいに。
でも、だから近くにいない方がいいことがあるから」
マユはシンのお茶碗にご飯をてんこ盛りにして彼に差し出す。
(ふつうでいいっていったろう?)
とシンは思ったが黙っててんこ盛りのご飯を食べ始めた。
「ま、いいけど……まさか親父にセクハラされるとか」
「う〜〜ん、それはまだないんじゃないかな。盗撮は時々してるみたいだけど」
……みたいじゃなくて証拠を見てるぞ、とシンは思わずつっこみを入れたくなった。
「やっぱり、危ねえや。だから親父から離れて一人暮らししてんじゃないのか?」
「そういうんじゃないんだよね〜。お兄ちゃんもおっきくなったらわかるよ」
マユは両肘をテーブルに着くとチェシャ猫のような笑み浮かべてシンを見つめた。
「わけわかんねえ……って、おまえの方が年下だろう?!」
「ああ、そういえばそうだよねぇ」
さっきまで不可思議な笑みを浮かべていたマユの表情が苦笑のそれへと変わった。
「そうだよね、じゃねえよ。ばーか」
夕飯も終わり、マユが片付ける後ろ姿をじっと見つめて『やっぱり後ろから見ればふつうだな』と思ったり、
生の太ももとその上に目がいってどきどきしたりということはシン以外には大したことではないのかもしれない。
「お風呂、先にどうぞ」
そんなマユの“後ろ姿”をじっと見つめていたシンは彼女の言葉に不意打ちを食らい思い切り挙動不審な答えを
返してしまった。
「あ、や、あの」
「あ、なんだったらお風呂、一緒の方がいい?」
洗い物が終わり、シンの方を振り向きマユはいたずらっぽくニヨニヨと笑った。
「な、何いってんだよ、おまえ?!」
「だって、小さい頃いっしょに……、入った記憶、少なくとも私にはないや」
「だ、だろう?」
「でも、お兄ちゃんにはあったりして……じゃあ、お先にどうぞ」
「なんだよ、それ。別に後でいいよ」
「いいよ、もし先に私が入っている時に間違ったふりして乱入されても困るし」
「す、するかよ!!」
とにかくシンが先に風呂へ入り、彼がが風呂から上がると、すぐに交代でマユは風呂に入る。
風呂の中で防水加工のされた携帯電話でリツコに連絡を入れた。
「何? もう、ねを上げた?」
「う〜〜ん、っていうより、久しぶりにはしゃいだり気を遣ったりしたから疲れちゃったよぉ。若いのに」
「時々あんたの考えてることわからなくなる時があるわ」
「だって、マユ、13歳の少女だもん。かつてお姉さんだった人にはわからないこともあるよ」
「いってなさい」
受話器の向こう側であきれるリツコ。そろそろ報告書も打ち終わる。
(病院でにらむシンを見て、そして独りで住むのが当たり前みたいにいってた彼を見て、それで二人で住む道
を選んだんだけどこれでよかったのかな。これからどうすればいいのかな)
リツコへの電話を切った後、ブクブクと口まで湯船につかり、いろいろと考え事をしていたマユはのぼせる前に
風呂からあがることにした。
風呂から出たマユは、今日のうちにシンにいっておきたかった大事なことをまだいっていなかったことに気がつき、
彼の部屋に入るため、その扉をノックした。
「お兄ちゃん、起きてる? あけるよ」
シンはまだ、起きてはいたがいつもと違い過ぎる今日という日にひどく疲れていたのも事実だった。
今まではは一人で学校へ行き、うちへ帰り一人で食事をし、何もない、居場所もない日々をただ過ごしていた。
だからマユに声をかけられたとき、彼女と話したかったのになぜか扉から背を向けて寝たふりをしてしまった。
真っ暗なシンの部屋に扉の外から光が差し、バスタオルを体に巻いたマユが現れる。
「言い忘れてたけど、お兄ちゃん、今日はとっても人に褒められることをしたんだよ。
それは誇りにしていいことなんだから。
後、誰も言わなくても私は言うよ。……お兄ちゃん、この街を、みんなを守ってくれてありがとう。
……それだけ。お休みなさい」
シンは扉が閉じると少しだけ声を殺して泣いた。
彼は今、マユに言われた言葉を昼間あったときに父親からかけて欲しかったのかも知れない。
は虫類のような、魚のような、昆虫のような、でもくそでかくてキモ悪い目玉。
そいつが俺をじろりと見て胸くそ悪くニタリと笑ったように思えた。
まどろんでいたはずのシンが記憶の中の悪夢を見て目を覚ます。
――ここも知らねぇ天井だな
GJッ!
つか、13歳の少女に操られるシンがある意味哀れだww
いやさ、、暴走寸前のシスコンモード突入はまずいだろうww
しかし、ミサトのかわりという設定のせいで、
ノンアルコールとはいえ、酒飲み設定をつけられてしまうとは…。
第三新東京市は、魔物が住む…もとい。
使途が現れる都市よのぉ…。
ところで、ペンペンはどうした?
>>28-32で投下させていただいた者ですが、
>>33さんどうもありがとうございます。
>ところで、ペンペンはどうした?
……あれ?
書き殴ったうち、長すぎるので1レス分以上削ったのですがまるきり消えてましたね。ペンペンの出番。
マユと同居しているはずです。
に、違いない。
では失礼いたしました。
続きキボン
36 :
34:2007/10/09(火) 21:56:32 ID:???
いや、スレ違いじゃないかなと思ったものですから。
本当に続けてもよろしいのでしょうか?
ここはどっちかっつと、種死とエヴァのコラボSSと言う方が正しいと思う。
窓口は広い方がいい、と自分は思うのだがほかの人はどう思う?
でもせめてエヴァが舞台の話にはシンが、種が舞台の話にはアスカが出ていて欲しい。
あんまりスレタイに縛られずにエヴァと種が絡んでれば良し
っていうの希望。色々読ませてもらえると嬉しい。
ただいままとめサイト制作中!
が、前スレで保存してないお話がいくつかあるんだよなぁ。
どうすればいいだろう…? わざわざニクに登録するのもなぁ…。
とりあえずまずは暫定版を完成させるなりして、それから保存していない話を持っている方々に提供していただくのがよろしいのではないかと。
最も自分は保存していませんが。
俺はかちゅだからまだ残してあるよー。
パソコンいじる暇があったら、適当にうPしておくわ。
丸ごと投げておけばいいかな?
サンクス♪ じゃ暫定番が出来次第、管理コード番をメールでお知らせするから
足りない分をウプしてください。
誤字脱字、改行間違いなどは訂正した方がいいのだろうか?
そこらへんは職人様と応相談……かな?
職人様からの要請が無い限りそのまま放置、しているまとめサイトがほとんどだと思う。
どうしても気になるようなら原文と「非公式編集版」と同時にうpするのが良いのでは。
>>43 了解ー。
てか、うぷろーたーに適当に投下すれば作業が早いかも。
投下は深夜になるが。
サンクス♪ 感謝感謝だよ。さて…ページをまず作らないと。
先は長いな。
新スレ乱立の巻き添えを食らわぬようにageておきます。
まとめサイト、大分出来上がってきましたね。
頑張ってください。
保守
過去ログとかまとめとかはないのでしょうか?
こんばんは前回シンエヴァもどきな話を
>>28-32で投下させていただいたものです。
今後も投下してもよろしいようなので少し間が開きましたが第参話を投下させていただきます。
今回は削り損ねて8レスほどです。
連続して投下できるかどうかわかりませんがよろしくお願いいたします。
エヴァ初号機のエントリープラグの中。そこにまたシンは今日も座っていた。
(この妙な感覚と血のにおい、慣れねぇな、まったく)
あれ以来何度も乗ることになったエヴァの中で何故またこれに乗っているのだろうとシンはつぶやく。
(馬鹿親父からマユの写真を奪取するため? マユと二人きりで住むのが楽しいから? なんでだろう?)
――第参話 鳴らない電話
『おはよう、シン君。調子はどう?』
赤木リツコの声がシンのいるエントリープラグの中に響く。
「まあ、ぼちぼち。なんとか慣れてきたと思うぜ」
『それは結構。エヴァの出現位置、非常用電源、兵装ビルの配置、回収スポット、全部頭に入っているわね?』
「ま、たぶん。だいたいこんな短期間でそんなに完璧に覚えられるわけないでだろう?」
『口答えしない!』
引き続きリツコの声でエヴァの説明が続く。
『じゃあ、昨日の続き、インダクションモード、始めるわよ』
“活動限界まであと5:00”の表示が現れカウントダウンが始まり、兵装ビルと使徒の映像が映し出される。
『目標をセンターに入れて、スイッチオン』
指示通りに操作するシン。しかし、フルオートのライフルの弾は使徒から外れて流れていく。
『落ち着いて』
(やってるつもりだけどな、まったくさぁ)
『……目標をセンターに!』
「うぉ〜、あんたって使徒は〜! 目標をセンターに入れてスイッチぃ〜!
俺はこのエヴァ初号機ですべての使徒をなぎ払う! 目標をセンターに入れてスイッチぃ〜! 」
シンのテンションが鰻登りに上がっていく中、次第にシンの攻撃が使徒に命中していく。
「しかし、やかましいわね。……まあ、何にせよ、エヴァに引き続き乗ってくれたんだからいいんだけど。
最近のシン君、元気がいいんだか、ヤケなんだか判断に苦しむわね。
もしかしてマユちゃんあなた、シン君の目の前にへんなものぶら下げてやる気ださせてないでしょうね」
「私はなんにも? それにシンちゃんのはぶら下がってないで元気にそそり立って……」
「それ以上へんなこというと知らないわよ。そんなの碇司令に知れたりしたら怒りだすんじゃないの?
第一なんでシン君のそそり立ったモノを見たことがあるのよ?」
(碇司令がお怒り。わぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ)
顔色一つ変えずに胸の内で自分の親父ギャグに大受けしているリツコ。
「別になんでもないよ。
シンちゃんが引越してきてまもなく初めてペンペンとお風呂で鉢合わせしたときのことなんだけど。
シンちゃん、驚いて裸んぼのまま私のところまで走ってきて身振り手振りを加えてペンペンのこと話してにね、
そのときに彼の元気なきかん坊君がまじまじと見えちゃっただけだから。
リツコさんが考えてそうなことは何も起こってないよ」
「別に何も考えていないけど、あなたまさか、シンちゃんのこと、食っちゃったりはしていないでしょうね」
リツコはニマニマと薄ら笑いを浮かべてマユを見下ろした。
「あれぇ〜、食べちゃっていいんですか? リツコ先生」
マユはリツコの冗談にニッコリとお日様のように無邪気に笑って上目遣いで切り返す。
「私からおすすめはできないわね。……いろんな意味で犯罪だと思うし」
(て、いうかシンくんのこと、マジで食う気あるのかしら、この女は?)
「うぉりゃ〜〜! マユの清浄なるノーブラ脇ナマ乳チラのために、目標をセンターに入れてスイッチぃ〜!!
どぅりゃ〜〜! マユの清浄なるミニスカパンチラ膝枕のために、目標をセンターに入れてスイッチぃ〜!!
うぉ〜〜! マユの清浄なるTシャツの二つのプッチンのために、目標をセンターに入れてスイッチぃ〜!!
そうや〜〜! マユの清浄なるノーブラ前かがみナマ乳のために、目標をセンターに入れてスイッチぃ〜!!」
シンの叫びが大音量でオペレーションルームの中に響く。
「あの、エロバカ兄貴め〜!!」
今までマユのニッコリと笑っていた表情がこわばり、眉間にもしわが寄る。
そして握りしめた拳もぷるぷると小刻みに震えている。
「少年の青い情動? あなた、うちで無防備なままでい過ぎなんじゃないの?
まあ、これなら彼、十分すぎるほどやる気出るわよね。
……っていうか彼、みんなに聞こえているってこと、わかってないのかもね。
もし、わかってて言っていたとしたら、よほどの大物か、とてつもない バ カ ね」
今までリツコと会話をしていたのだからこちらに聞こえていないとは思っていないはずだが。
マユもこれだけ無防備なら彼女は彼のことは男とは見ていない、とリツコはある意味ホッとしていた。
「今後、気をつけます。とりあえずうちの兄には後でじゅ〜〜ぶんすぎるほど時間をかけて言い聞かせますので。
……あのエロ猿、後で百編死なす! 絶対死なす!!」
「その前にまずは不自然に前屈みになって鼻血出している日向君に注意をしたほうがいいんじゃないの?」
「え?!」
急に青ざめ、驚愕した表情でリツコ達の方へ振り向く日向君。
青ざめた表情を浮かべる顔のその鼻の下に赤い血が少し付いているのがとても印象的だ。
「不潔!」「日向、おまえ、ツルペタ好みの真性ロリだったのか……」
口々にささやく同僚達。
直後、日向マコトがマユ(ミニスカ、黒ニーソ)のシャイニングウィザードを受け、『ブルーのストライプ』と
だけ一言言い残し、とても幸せそうな笑みを浮かべて気絶したことは本編にはあまり関係がないに違いない。
ちなみに彼は後に涙ながらに同僚に以下のように語った。
「僕は幼女趣味じゃない。たまたま好きになった人がマユちゃんだっただけなんだ〜。それだけなんだよ〜!」
また日向マコトの同僚、青葉シゲルがその直後『ちょっとはあるもん!』と叫びながら涙目でマユが放った裏拳
を食らい、盛大に鼻血を出して床に“くの字”に倒れてしばらく痙攣していたこともあまり本編とは関係がない。
その後の怯えたようなマヤの小動物のような表情と、その大きな胸を強調して仁王立ちして如何にも『勝った』
と言わんばかりのリツコの自慢げな表情が印象的であったと後にある名無しのオペレータは周囲の同僚に語った。
「おい、マユ、いい加減に起きろよ! 朝だぞ! あんまり寝てると馬鹿になるぞ!」
ある朝、シンが学校へ出かける前にまだ起きてこないマユの部屋に顔を出して起床を促した。
「……う〜〜ん、……さっきまで当直で今さっき帰ってきたんだも〜ん」
布団を頭からかぶって半分眠りながら答えるマユ。
さっき帰ってきたといいながら、シンが起きてくる前に彼の朝ご飯を準備しておくあたりは大したものだが。
「だいたい、おまえが学校行ってるところ見たことないぞ?!」
(そういえば制服姿も、体操服姿も、スクール水着姿も、俺はまだ生では見たことないぞ!)
ここに呼ばれた手紙に挟まっていたマユのスクール水着姿のスナップは今や彼の大事な“宝物”、秘蔵の一品だ。
「……だってスキップしてとっくに卒業したもん、大学ぅ〜……」
「へ?! うぉ?!」
今、マユの口から明かされた驚愕すべき事実もシンにはショックだったが、それよりもシンの興味の矛先は床に
無造作に脱ぎ捨てられた淡いピンクのブラに集中しており、視線はそこにしっかりとロックオンされていた。
(今さっき、ってことは、あれ、ぬ、脱ぎたて?)
「だからちゃんと大学卒業して、ネルフに勤めてるんだってばぁ〜……」
「そ、そうなのか?」
(でも、こいつ、ブラ必要なのか? それよりもあいつを回収したら、まずいよな……)
「私、お兄ちゃんより頭いいんだよぉ〜。
大人だよ〜……。お兄ちゃんの方がお馬鹿だよね〜」
「そ、そうなのか?」
「うん。お兄ちゃんの方がお馬鹿だよねぇ」
(胸はお子ちゃまで発育はちょっと悪いかも知れないが)
「へいへい……じゃあ、行ってくるからな」
(普段うちにいる時はつけてないよな。よくシャツの透き間から胸のピンクのごにょごにょが見えてるし。
あ、やべ、思い出したらちょっと……)
「あ、燃えるゴミの日だから、よろしくね〜……」
「ああ、わかった」
慌ててマユの部屋の扉を閉めるシンに彼女は声をかけた。
「それとお兄ちゃん、学校の方は慣れたのぉ?」
「……まあな」
「ふぅん。いってらっしゃい」
「ああ、いってくるぜ」
シンが出かけてほどなくマユの部屋の電話が鳴る。
「ああ、リツコさん。歳なのに案外タフだね〜」
ネルフの彼女の研究室にいるリツコからの電話であった。
「いってなさいよ、まったく……で、どう? 彼氏とはうまくいってる?」
「え、ええと、転校して二週間、相変わらずだねぇ。
……全然誰からも電話、かかってこないみたいなんだよ」
「電話?」
「うん、要ると思ってせっかくだから、きてすぐに私とおそろいのピンクのケータイ、買ってあげたんだよ。
なのに、自分から使ったり、誰からもかかってきた様子ないみたいなんだ。
お兄ちゃん、もしかして学校に友達とかいないんじゃないかな。母さん、ちょっと心配だな」
(あんたね、年頃の男の子がピンクのケータイ持って歩きたくはないでしょう?)
「あんたね、妹でしょ? 碇マユさん」
「あ、まあそうなんだけどね。私たちの義理の母狙いのリツコさんにたとえで過剰に反応されてもねぇ。」
「ま、それはともかく……シンちゃん、どうも友達作るには不向きな性格かも知れないわね」
「そうぉ? あんだけ私には図々しくてスケベぇなのにぃ?」
「あれは無防備なあなたも悪いところがあると思うけど。あと彼、極度のシスコンなんじゃないの?」
「そうなのかな?」
「絶対にそうよ……あなた、ヤマアラシのジレンマって知ってる?」
「山嵐? 今は同じ方の襟と袖を持ったら反則なんだってよ?」
「誰も柔道の話はしてないわよ。その冗談、つまらないわよ。
……動物のよ、あの背中にトゲを持つ。
ヤマアラシの場合、相手に自分のぬくもりを伝えたいと思っても身を寄せれば寄せるほど自分のトゲで相手を
傷つけてしまう。人間にも同じことがいえるわ。
今のシンちゃんは心のどこかで痛みにおびえて臆病になっているんでしょうね」
「そうなのかな〜、でもそんなこといわれても……
けど成長する、大人になるってことはいろいろな人とくっついたり離れたりいろいろあって、相手によって、
ほどほどの距離をみつけることだって、わかってくれると思うんだけどな。
……ってユイさん語録に書いてあった」
「あなたはいろいろと成長してないけどね」
「ほっといてください。 ……それから、シンちゃんをシンちゃんって呼んでいいのは私だけだよ」
「あら、だってかわいいじゃない、この呼び方も、彼も。あなた、意外と独占欲強いのね」
「マユ、子供だから難しいこと、わかんな〜い。用済みなら電話切りますよ、お・ば・さ・ん」
「あのねぇ〜」
朝、登校したシンは誰に挨拶するでもなく自分の席に着き、そして居眠りをするように突っ伏す。
(な〜んもやる気しないな)
ネルフのいや、マユの前とは180度違うシンの姿だった。
そんな教室の中で、堂々とエッチな雑誌のグラビアを眺める色黒の少年。
彼の前に少しおとなしそうなストレートの長い黒髪の少女が眉間にしわを寄せてのぞき込む。
その少女の隣で毛先が外に跳ねている活発そうな少女が仁王立ちでほおが引くつかせていた。
「ディアッカ? あんた相変わらずなもの見ているようだけど、いい加減にしなさいよ。
……と・こ・ろ・で、あんた、イザークくんにプリント渡したんでしょうね?」
活発そうな少女がディアッカと呼んだ少年をにらみつける。
「あ、ミリィ様、シホ委員長さん、グッモーニン。……でもあいつ昨日は家にはいなかったぞ。」
ディアッカは今自分の机の中にあるはずのそのプリントが見つからないことを祈っていた。
「しかし、なんで彼、2週間も休んでるんだろう?
あんた達、親友なんでしょう? あんたなんか知らないの?!」
「そういわれてもなぁ。あいつのこと何でもかんでも知っているわけじゃないしな」
なんだかんだで『ちゃんと渡すのよ』とぶつくさ言っているミリィを彼の前からシホが悲しそうな表情のまま、
引っ張って彼女らの席へと戻っていった。
ディアッカがやれやれと安堵して雑誌のグラビアに視線を戻そうとした矢先、そのイザークが教室に入ってきた。
そして彼は昨日まであいていたディアッカのひとつ前の彼の席へとついた。
「よ、イザーク、おひさし」
イザークは面倒くさそうに『ああ』とだけ答えてディアッカの方へ振り向きもしなかった。
「おいおい、なんか暗いな。この間のデカブツにドジな家族でも踏みつぶされでもしたか?」
ギロリとぎらついた目で後ろにいるディアッカの方へ振り向き、そして左手で彼の襟をつかんだ。
「エルは、……妹はドジなヤツじゃない!! それに踏みつぶされた訳じゃない、巻き込まれただけだ!!」
「?!」
イザークの声に一瞬でしんと静まりかえる教室。
おろおろと心配そうな表情でイザークを見つめるシホ。
そんな中でもシンは我関せずと居眠りを続けていた。
「だから、妹があのデカブツに巻き込まれて怪我をしたといっている!!
両親は研究所勤めで中々帰ってこられないから、昨日まで俺が病院に付き添っていたんだ!」
「ああ、すまん」
「わかればいい。すまん、俺もつい、カッとなってしまった」
少しだけ冷静さを取り戻したイザークは掴んでいたディアッカの襟を離して彼に謝った。
「いや、いいさ、言い過ぎた俺が悪かった」
ディアッカも言い過ぎたことを素直に謝った。そしてまた、教室の中に先ほどまでのざわめきが戻ってくる。
「そういや、おまえが休んでいる間に転校生があったんだが……」
「それがどうした」
「たぶん、そいつがあのデカブツのパイロット」
と、ディアッカは居眠りをしているシンをあごで指し示す。
「なに? 本当か?」
「親父の端末にデータが入ってた。……それとあのデカブツ、エヴァっていう名前らしい」
放課後、シンを校舎の裏手に呼び出すイザーク。それにつきあうディアッカ。
その様子をレイが教室の中から何の感情も浮かんでいないような表情で見つめていた。
「キシャマ、訊いたぞ! あのデカブツの、エヴァのパイロットなんだってな!」
イザークははなっからけんか腰でシンに事実を確かめようとする。
「ああ、まあ、そーだけど。……あんた誰?」
全く話したこともないクラスメートから急に呼びつけられてこんなところへ連れてこられて妙なことを訊かれる。
シンにはわからないことだらけであった。
「そうか、じゃあ先に謝っておく。すまん!」
「はあ?」
あきれているシンの左頬へイザークの腰の入った右ストレートを入った。
「むちゃくちゃだって事はわかっちゃいるんだが俺の気が済まないんでな」
そういうイザークの声をシンは硬い土の上に無様な格好でひっくり返ったまま聞いていた。
「なんだよ、それ」
「ソーリィ、コイツの家族が、エヴァの戦闘に巻き込まれて怪我をしたんでな」
ディアッカが説明を入れる。
「余計のことは言わなくていい!!」
(勝手に呼んできて、勝手に乗せておいて、勝手に戦わせて。
そして今度はケガをした責任を勝手に負わせて……。みんな身勝手なんだよ!)
シンは殴られて切れた唇の血を手の甲で拭いて黙って立ち上がる。
「俺だって、……俺だってエヴァに乗りたくて乗ってるんじゃねぇ〜〜」
血の付いた拳でイザークに殴りかかる。
シンの言葉にカッときたイザークはシンが殴りかかるよりも一瞬早く彼を殴り倒す。
「なぜ乗っているのか、どういう経緯で乗るようになっているのかは俺は知らん。
訳など聞く気もないが自分のやったことくらいは自分で背負っておけ!」
イザークは振り返ることもなくそれだけ言うとシンを残して立ち去っていった。
その後を追うディアッカ。
二人が立ち去りった後には結局一発も殴れずに返り討ちにあい、茶色く堅い土の上に無様に大の字に倒れている
シンだけが残された。
「……なんだよ、それ。全然わけわかんねーよ」
「シン、非常招集だ。俺は先に行く」
いつの間にか現れた包帯だらけのレイがそう言い残し、ひょこひょこと立ち去る。
そして遠くで警戒を促すサイレンの音が鳴り響いた。
ネルフの作戦指揮所に立つ、マユとリツコ。
彼らの前のスクリーンには侵攻してくる使徒の姿が映し出されている。
指令がいるはずの最上部では冬月副司令一人だけがスクリーンを見据えていた。
「お父さんがいない間に第四の使徒のお出ましかぁ。意外と早かったな」
「前は15年のブランク。今回はたったの3週間でしたからね」
関係修復もかねて日向マコトはマユに話しかける。
「こっちの都合はお構いなしかぁ。女の子に嫌われるタイプだよねぇ。ある意味、日向さんもそうだけど」
「ゲッ! そんな」
めがねの奥に涙が光る日向マコト。
とある避難用のシェルター中で何か上の空でいらつくイザークと携帯テレビをいじるディアッカ。
「おい、ディアッカ、まだ外の状況は分からんのか!」
「今やってるよ。でも報道管制とかでほら、この通り」
ディアッカは穏やかな風景と音楽をバックにそっけのない長い文章が羅列されている画面をイザークへ見せる。
「おい、話がある、ついてこい!」
イザークはディアッカを促して立ち上がった。
「はいはい……」
ディアッカにはなんとなく内容の見当は付いていたが自分にも一因はあるで黙ってついて行くことにした。
イザークはディアッカをつれてクラス委員長のシホを探し、一声かける。
「おい、委員長! 俺達はこれからトイレへ行く!」
「え、あ、……気をつけて」
赤くなってそれだけイザークに言ってうつむいた。
「何よ、そんなもの、シェルターに入る前にすませておきなさいよ!」
シホの隣でミリィがぎゃーぎゃーと文句を言っていたがイザークは無視してそのままトイレへ向かった。
「委員会からエヴァの出撃要請が出ています」
「最初っから出すつもりだったからいいけど。使徒相手に通常兵器じゃ歯が立たないなんてわかってたじゃない。
メンツだけで税金の無駄遣いされてもなぁ……で、シンちゃんの準備はできてる?」
苦笑気味のマユは青葉にシンの状態を確認する。
「エヴァ初号機、発進準備完了しています」
リツコとマユがシンに作戦の概要を伝える。
とはいっても練習したとおりのパレットライフルによる一斉射だけではあるが。
「じゃあ、エヴァンゲリオン、初号機出撃!」
彼女の指示により、エヴァ初号機が出撃のため、地上へと射出された。
また、とある避難用のシェルター内のトイレで連れションをするイザークとディアッカ。
「しかし、シホの奴、あんな消極的な態度でよくもまあ委員長が務まるものだ」
「結構しっかりしているぜ、彼女。それにあんな態度をとるのはイザーク、お前にだけだ」
「どういう意味だ、ディアッカ」
「そういう意味なんだがな。しかしお前わかってていってるのか?」
「キシャマ、訳のわからないことをいうな!」
「やれやれ。……で、これからどうすんだよ、イザーク」
「知れたことだ! あのバカがちゃんと出撃しているかどうか、外へ出て確かめてくる。貴様もつきあえ」
「やれやれ」
(やっぱりな。転校生のこと、こいつ気にしてたんだな。まあ一人じゃ開けられないからなぁ、あの電子錠)
わかりきっていたこととはいえ、ディアッカはとりあえずため息をつき、そしてぼやいてはみた。
なんとかシェルターを抜け出した二人は見晴らしのよい小山の山頂にある神社からシンの戦いを見つめていた。
「あいつ、ちゃんと戦っているようだな」
イザークの声にはいくらかの安堵した雰囲気が感じられた。
「安心したか?」
ディアッカは意地悪くにやつきながら聞いてみる。
「キシャマ、バカいうな」
(やれやれ、素直じゃないんだからよ)
使徒と対峙したシンの頭に彼を殴ったオカッパ頭のくそ生意気な奴の顔が浮かぶ。
「くっそ〜〜!」
(知ったかぶりしやがってあの銀色ヘルメットめ!)
「目標を……目標をセンターに入れてスイッチ!! うぉお〜〜〜!!」
シンは物陰からエヴァで飛び出すと残弾を気にせずひたすら使徒に向かってパレットライフルを乱射する。
無思慮、無差別な銃撃がたてた爆煙で使徒の姿が見えなくなる。
「何やってんのよ、爆煙で敵が見えないでしょ!」
爆煙の中から飛び出してきた光のムチがエヴァのライフルを切断する。
「お兄ちゃん、予備のライフル出すから、受け取って!」
煙の中から異形な姿を現す使徒。シンはその異様な姿と巨体に圧倒され、いいようのない恐怖を感じた
エヴァの後方にある兵装ビルからライフルが現れる。
「う、うぉ〜〜!!」
シンは恐怖を紛らせるために体を動かし、その恐怖の元を消し去るためにライフルに手を伸ばすエヴァ。
しかし、走るエヴァより先に触手がビルごとライフルと周囲のものを切断。
あおりを受けるようにエヴァも吹き飛ばされ、巻き込まれるようにしてアンビリカルケーブルも切断された。
「アンビリカルケーブル断線!」「エヴァ、内蔵電源に切り替わりました!」「活動限界まであと4分53秒!」
ネルフ作戦指揮所で青葉達の状況を伝える声にエヴァと使徒の姿が映るスクリーンを見つめ凍り付くマユ。
使徒の攻撃はやまず、まだ建っているビルに寄りかかるようにして倒れていたエヴァの足にその光の触手を絡め、
エヴァの巨体を空へ高く振り上げ、山肌へとたたきつけるように投げつけた。
「うお?! こっちに来る!」
叫ぶディアッカ。
「んなこと、見てればわかる!」
冷静なのかパニックしているのか一目ではわかりにくいイザークの声。
『お兄ちゃん! お兄ちゃん! 大丈夫なの?! ダメージは?』『問題なし。いけます!!』
エントリープラグの中で朦朧としているシンの周りで指揮所からの通信が聞こえる。
シンは痛む頭を振りながら体を起こす。
「こ、この野郎!」
使徒の姿を捜すシン。
そして彼の目はエヴァの左手のすぐ側で涙目で震えているイザークとディアッカ、二人の姿を見つけた。
(何、やってんだよ、あいつら?!)
その民間人二人の存在はネルフ作戦指揮所でも確認された。驚くマユとリツコ。
「お兄ちゃんのクラスメート?」
「なんであんなところに?」
エヴァのすぐ側へとゆっくりと飛んでくる使徒。
また、2本の光の触手がエヴァを襲う。シンはそれをよけることなく、エヴァの両手でつかむ。
「うぉあああああ!」
シンの両手に衝撃が走る。
「あの腰抜け、何をやっている?! 何故戦わない」
「俺らがここにいるから、俺らをかばって自由に身動きがとれないんだろうさ」
イザークは涙目のまま、体に気合いを入れて抜けそうな腰に力を込めてなんとか立ち上がる。
「逃げるぞ、ディアッカ! あいつの足手まといになるわけにはいかんだろうが!」
「あ、ああ」
そろり、そろりと体を動かすディアッカ。
そんな二人を横目で見ていたシン。
「マユ! 二人をエヴァに乗せる。エントリープラグをあけろ!」
「ちょっと、シン君、そんな……。
許可のない民間人をエントリープラグに乗せられると思っているの?!」
シンの言葉に怒りをあらわにするリツコ。
「こいつらの足で逃げても間に合うわけないだろう?!」
「だからといって……」
「そうだね、いいよ、リツコさん。私が許可するから。お兄ちゃん、二人を回収後、一時撤退して!」
リツコの言葉をマユが遮る。
「何いってんのよ。一般人をエヴァに乗せるなんて。
あなた、シンに甘すぎるわよ! 越権行為よ 碇一尉!」
キッと無言のまましばしの間、にらみ合うマユとリツコ。
「初号機、活動限界まであと3分!」
「おい、あんたら、背中をあけるから、そしたらすぐにこの中に入れ」
マユが自分のいう通りにしてくれるとわかったのでさっそく外の二人に声をかける。
「エヴァは現行命令のままホールド、その間にエントリープラグ排出。お願い、急いで」
エヴァの背中からエントリープラグがせり出してくる。
エヴァから聞こえた声に驚く二人。
「どうする?」
ディアッカはイザークへ問いかける。
「忌々しいがあいつのいうことを聞く。おい、急いであの中に入るぞ!」
エントリープラグの中へ飛び込む二人。
「なんだこれは?! 水ではないか?」「うぉ! おぼれる、おぼれちまうぜ〜……」
『エントリー、リスタート』
その声とともに周囲が明るくない中の様子がわかるようになった。
「とりゃ〜!」
また、エヴァの再起動が確認できるとシンは気合いもろとも光の触手を持った腕を振り、使徒を投げ飛ばした。
「今よ! 後退して、お兄ちゃん!」
初号機は両手から煙を立ち上らせながらゆらりと立ち上がる。脱出ルートを指示する声がプラグの中に響く。
「おい、シン、後退しろといっているぞ!」
「……聞こえない。いやだ。こいつは今、俺がここで絶対に倒す! マユのためにも!」
肩からプログレッシブナイフを引き出し構えるエヴァ。
『お兄ちゃん、お願い、戻ってきて!』
プラグ内に響くマユからのお願いも無視して、山の麓で体勢を立て直した使徒にひたすら突進するシン。
「うぉ〜〜〜〜!!!!」
「お兄ちゃんの、……シンのバカ……」
マユは誰にも聞こえないように悲しそうにつぶやいた。
接触する間近で光る触手がエヴァの腹部を貫通する。
「このやろうーー!!! こいつは絶対に〜! 俺がこの手で倒す!」
シンは腹部に走る激痛にもかまわず突進し、腕を伸ばしてプログレッシブナイフを使徒のコアへ突きたてる。
そのコアの傷口から目映いばかりの火花が散る。
「うぉ〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
目を血走らせ、腹から叫び、力の限り操縦桿を押し込むシン。
そんな鬼気迫る彼をイザークとディアッカはただ唖然と黙って見つめることしかできなかった。
彼らにとって30秒しかたっていなかったとも1時間はたってしまったとも思われる時間が過ぎた。
使徒のコアは砕け、触手も光を失い、完全に動きを止める。
それと同時にエヴァも全ての光が消えて動きを止まりエントリープラグの中を非常灯のような光が包んでいた。
薄暗い赤い闇の中、肩で息をするシン。
振り向いた彼は照れくさそうな表情を浮かべ、イザークとディアッカに親指を立てた右の拳をつきだした。
彼らもつられて親指を立てた拳をシンの前に突き出し、照れくさそうに笑った。
あの後、イザークとディアッカがネルフでこってりと絞られてから3日後のその日は朝から雨だった。
「どうして奴は今日も来ない?! 今日で三日だというのに何故だ?!」
じめついた教室の中、イザークはうめく。
「まあ、俺たちもこってり絞られたからな〜。ま、あいつの方が大変だろう。多分、いろいろあるんだろうさ」
ディアッカはグラビア雑誌からは目を離さずに片耳でイザークの話を聞いていた。
「……そんなに心配なら、ほら」
ディアッカは雑誌から顔を上げ、手帳からメモ紙へシンのケータイの番号を書き写し、イザークに差し出した。
「とっととシンに連絡して安心してくる?」
「なんだそれは?」
イザークはしぶしぶ、そのメモを受け取った。
……しかし、結局その日、持ち主の側になく電源も入っていなかったシンのケータイが鳴るわけがなかった。
以上です。
シンエヴァモドキさん、乙! あーんど 面白かったぁd(^O^)b
がむばれぇ!
さて、遅れに遅れてますがまとめサイト鋭意製作中です!
今はまだ途中ですが、サイトアドレス晒したほうがいいかなぁ?
本音を言えば職人さんやみんなに手伝って欲しいが\(^O^)人(^O^)/
600番台は新スレ乱立時にdat落ちの危険性ありらしいので、念のため保守がてらage
ディアッカ君、ミリィ「様」って何よw
シン「殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる殺してやる、殺してやる、殺してやる殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやるぅ…」
い
こんばんは。
前回シンエヴァもどきな話を
>>53-60で投下させていただいたものです。
>>62 ありがとうございます。
まとめサイト期待しております。がんばってください。
少し間が開きましたが今回、第四話を投下させていただきます。
今回も削り損ねて8レスほどです。
前回、前々回ほどシンもはっちゃけてないような。
ではよろしくお願いいたします。
……マユの部屋の目覚ましが鳴る。……目覚ましを止めて起き上がる。……洗面所で歯を磨く。
静かすぎる朝。
(お兄ちゃん、今日もずる休みする気かな)
マユは一人静かに歯を磨きながらそんなことを考えていた。
(お兄ちゃん、学校さぼってもう5日だよね)
思いあまってシンの部屋をノックをする。
「お兄ちゃん、起きてよ」
中からなにも反応は帰ってこない。いつもならこんな時、眠そうな声で答えを返してくれるのだが。
「いつまで学校休むの? もう5日もさぼってるんだよ。初号機はもう完全に直ってるんだよ。
なのにパイロットのお兄ちゃんがだらけてちゃだめだよ。もう謹慎処分は終わったんだし」
まだ何も聞こえてこない。またふて寝しているのだろうか。
「お兄ちゃん? いい? あけるよ……」
マユの視界に入ってきたのは着替えが全くなくきれいに整理されたシンの部屋。
普段はそれなりに雑然としていて着替えなどが少し散らばっているのだが。
今はなにもない机の上には彼女への書き置きとIDカード、そしてピンクのケータイが置かれていた。
「……家出かぁ。無理もないのかな」
昨日まで彼がふて寝していたベッドにマユはパタリとうつ伏せに寝転がった。
(ここはまだシンちゃんの匂いはするのになぁ。寂しいな)
――第四話 雨、逃げ出した後に
部屋のドアベルが鳴る。
(お兄ちゃん?)
あわてて扉を開けるマユ。カギ代りのカードも置いていったので彼はドアを開けられないから。
そこには銀髪のオカッパの少年と浅黒い迂闊そうな雰囲気を漂わせた少年二人が立っていた。
「え、あの……」
マユは彼らが立っているのを見てかすかに落胆の表情を見せた。
「俺ら、碇と同じクラスのディアッカ=エルスマンとイザーク=ジュールという者なんだけど、お嬢ちゃん、
ここのうちの人かい?」
(碇のやつ、こんなかわいい女の子と同居しているのか隅に置けない奴だ)
出てきた美少女をみてディアッカはそんな妙な感心の仕方をしていた。
「ディアッカさんとイザークさん?」
シンのクラスメートと知ってとりあえずかすかな笑みを作り表情を取り繕う。
「ああ、俺がイザークだ」
(なんだこのチビ、まあ、ちょっと可愛いが。こいつ、学校にも行かずにひきこもりか?)
この時間に私服で飛び出してきた少女を見てイザークはかすかに不快そうに眉間にしわを寄せた。
(いかんな、私服の中学、いや、小学生かもしれんじゃないか)
「あ、お兄ちゃん達、もしかしてこの間、初号機のエントリープラグに入った?」
「「え?!」」
二人は目の前の少女の口から意外な単語が出てきて面食らってしまった。
「あのとき、お兄ちゃん達に怒鳴ってたこわいお姉さんの隣に私いたんだけどなあ。覚えてないかな」
そういえば二人とも緊張と興奮でよく覚えてはいなかったが金髪のこわいおばさんの隣でとりなしてくれていた
ちびっこい女性がいたような気がした。助けられた割りには二人ともいい加減なものだ。
たしか彼女は周りから碇作戦部長とよばれていたようだったが。
「「も、もしかして、碇作戦部長であらせられますか?」」
「うん。そうであらせられるんだよ」
「「その節は大変ご迷惑をおかけいたしました。」」
深々と頭を下げる二人。
「実はあれから碇君がずっと休んでいらっしゃるので気になって見に参りました」
相手がネルフの作戦部長、それも助けてくれた人と知って二人の態度が手のひらを返すようにころりと変わった。
「シンちゃんはね、今、ネルフの訓練施設にいるんだ」
マユは二人にしれっと嘘をついた。
「ああ、そうですか」
まるっきり二人は信じた様子を見せて話を続ける。
「あ、これ机にたまっていたプリントです。碇君の」
「わざわざごめんなさい、ありがとうございます」
丁寧に頭を下げるマユ。
「そ、それでは我々はこれで失礼させていただきます。」
「では碇君によろしくお伝えください。」
二人は再び深々と頭を下げた。
「うん、伝えておくよ。じゃあね」
マユは二人にニッコリと笑って手を振る。
扉が閉じるまでマユにほほえみを返して手を振っていた二人。
「これは予想外の展開かも知れんぞ、イザーク」
(碇の奴、なんてうらやましい! だが俺は絶対にロリじゃないぞ、ロリじゃないんだが……
でも、そういや本当にシンは訓練施設にいるのか?)
ドアを開けた時の表情がディアッカは微妙に気にかかっていた。
「きゃわいかったではないか、妹ほどではないが壊滅的にきゃわいかったではないか! 碇許すまじ!」
妙に力説するイザーク。こちらはシンは訓練施設にいるというマユの言葉を信じたようである。
「お兄ちゃんのバカ!」
閉じた扉を思い切り蹴飛ばすマユ。
少し涙がたまった瞳を伏せると一言つぶやいた。
「……まったくバカなんだから……」
一方、その頃マユに心配されていたそのバカなシンは行く当てもなくひたすら環状線にのってぼうっとしていた。
最終電車が終了した後は当てもなく繁華街を歩く。
そしてオールナイトの映画館に入り、居眠りをした。
次の朝早く、さまよい歩き、山間から第三新東京市の見下ろすシン。
(吸い込まれそうな谷だな。俺、何やってるんだろう? 逃げ出したはずなのにここから離れる事もできないで)
レイの検査を隣の部屋から見守るマユとリツコ。
レイが検査室に彼女ら二人しかいないのを見ると舌打ちしたように見えたことも、そのビキニパンツの中から
有り余る何かがはみ出して見えることも、二人は記憶からも視界からも削除することにした。
「14歳だもんねぇ」
マユは検査機器を操作しているリツコに話しかける。
シンの話になると、レイの眉がピクリとあがり心拍数があがったような気がしたもの二人は無視することにした。
「人類の存亡を背負わせるのはやっぱり酷だよね」
最初から分かり切っていた言わずもがなのことをマユは繰り返す。
「でも、私たちはエヴァの操縦をその14歳の子供達にゆだねざるを得ないのよ」
「わかってます」
「あなたにも少し自覚が欠けているようにも見えるけど」
「わかってるよ。ちゃんと」
(たぶん私がお兄ちゃんの代わりにはなれないことも。初号機に乗ったらどうなるかも)
マユはここからは見ることができないはずのエヴァ初号機の姿を思い浮かべていた。
「ほんとかしら。……で、シンちゃんから連絡は?」
マユはゆっくりと首を左右に振った。
「ないの?」
リツコは一旦視線をマユの方へ向けるとまたコンソールへと戻す。
(シンの名前を出すとレイの心拍数が上がるんだけど、彼に興味を示している?
碇司令以外に特に興味を示さないレイにしては珍しいことよね。興味深いからマイク切らないでおこうかしら)
「うん、ないよ。お兄ちゃんは、シンちゃんは戻らないつもりかな……」
「どうするつもり?」
(……まただわ。レイがシンの名前に反応している)
「どうしようかな。でも戻らないならその方がいいかもね」
「何故?」
「この間の戦闘の後にね、ちょっとね」
マユは作戦司令としてシンをけん責するため、パイロット控え室で二人きりで会話をした。
「お兄ちゃん、どうして私の命令を無視しちゃったの?」
「……すまない。でもあの時はああするしかなかっただろう?」
「そうじゃなくてね、それを決めるのは私。お兄ちゃんの作戦責任者は私なんだよ。
お兄ちゃんを私のいうとおりに動いてくれなくちゃダメなんだよ。」
「そうか、でも……」
「お兄ちゃんには私の命令に従う義務があるんだよ。わかってるよね」
「わかったよ、これからは善処するよ」
「だから善処じゃなくて今後、こういうことは絶対にしちゃだめだよ。お兄ちゃん、ほんとにわかってる?」
「わかってるよ、ちゃんと。でももういいじゃないか。今回は勝ったんだしさ。
今度使徒がやって来ても俺が倒してやるよ、どんなことをしても絶対に!」
「そんなこと言ってんじゃないの! そんなことじゃ初号機のこと、任せられないよ」
「何言ってるんだよマユ。どうせ、俺しかいないんだろ、乗るよ、乗ってちゃんと戦ってみせるよ。
そしてどんなことをしても使徒は一体残らず俺が倒す!」
「お兄ちゃん、全然わかってないじゃない!」
「なるほどね」
リツコはコンソールとレイを交互に見つめながら作業を進めている。
「シンちゃん、自分を犠牲にして正義の味方をやろうとしているように見えるんだ。
自分が死んでもかまわないって思っているみたいに。それってやけっぱちだよ。
それはすごいことだと思うけど。けど、それじゃあ、いつか誰かの犠牲になって死んじゃうよ。
そんな死兵や英雄気取りで暴走しそうなフロントを相手にはちゃんとした作戦は立てられないよ。
それに英雄気取りで死んじゃったらようやく会えたのにつらすぎるよ」
(そう、せっかく会えたのに……)
「あなたのことだから両方とも本音だとは思うけど。それがあなたにはつらいことだということは認識できるわ。
でも、あなたの立場も認識してほしいわ。ネルフの碇作戦部長殿」
「わかっている。わかってるつもりだよ」
「何にせよ、パイロットは必要よ」
「それもわかってるつもりだけど」
マユは床に視線を落としたままそうつぶやく。
「で、結局それからシンちゃんに怒鳴って初めての兄弟ゲンカ。
帰宅後、シンちゃんはふて寝してサボタージュ。挙句の果てに家出したと」
「みっともない話だけどね」
「ほんと、無様ね」
(私が“シンちゃん”って言っても気が付いてない? 否定しないなんて、マユさん、相当堪えているみたいね。)
第三新東京市郊外のとある野原。
ディアッカはススキの先に止まっていたトンボをファインダーに納め、シャッターを押した。
そして広角レンズに付け替えて夕日に包まれている草原全体を見つめる。
その瞳は普段、教室でほけらっとグラビア雑誌を見ている彼のそれとは全く違い、真剣に何かを見届けようという
強い意志の光が宿っていた。
(ここもじいさんの写真とは変わってきているな)
『世界はセカンドインパクトから生まれ変わり息を吹き返そうとしているようにみえる。
しかし、何故か俺にはこの世界が緩慢な死へと進んでいるようにも見えてしかたがないんだ』
彼の祖父はそういって仕事の合間に写真を撮り続けた。
まるでこの死にゆく世界を愛おしむかのように、そして少しでも今の世界が存在した証を残すかのように。
父親が写真に興味を示さなかった分、ディアッカが学業の合間に、周囲の自然を撮り続けている。
それはクラスメートにも秘密の彼の趣味、そして自らに課した使命でもあった。
ファインダーの端から何かがゆっくりとその草原を横切ろうとしていた。
(あれ? シンじゃないのか?たしか、シンは訓練施設……だったよな……)
肩を落とし、ぼとぼと歩く彼にディアッカは声をかけた。
「おい、シン!」
とっぷりと日が暮れた草原にテントが一つ。
その側で薪をして飯ごうで飯を炊くディアッカ。
それをひざを抱えて見つめるシン。
「イザークの奴、反省してた……後で聞いたら妹に説教をされたらしいぜ。
『私たちを救ってくれたのはあのロボットなのよ』ってさ。
あのイザークが小学校低学年に説教されてるなんて結構笑える話だぜ、な?」
声をかけてからずっと暗そうにしているシンにディアッカは努めて明るく話題を振る。
しかし、シンは膝を抱えたまま何もしゃべろうとはしなかった。
「夜はいいぜ。夜はあのうるさい蝉が鳴かなくてさ。昔はほとんど鳴いてなかったのによ、最近は結構増えて」
「生態系が戻ってきているってマユがいってたな」
「そっか、マユちゃんがね、それならいいんだけどな」
今日初めてシンからまともな答えが返ってきた。にやりとするディアッカ。
本当のところは碇作戦部長とか呼びたいところだったがそんな呼び方をすると彼の傷口を広げるような気がして
彼は思いとどまった。
また、“蝉”の話題に関しては生態系が戻ってきたというよりも世界がいびつに変わっていっているようにしか
ディアッカには思えていなかったが。
「まったくうらやましいぜ、あんなかわいい妹と二人きりで住んでいるなんてさ。
その上あんなデカ物乗りましてさ。あんなもん乗り回したら気持ちいいだろうぜ」
実際のところ、それは誇張であり可愛い妹とは二人きりで住みたい気もしなくもないがエヴァの操縦には魅力は
そんなに感じていなかった。
しかし、それでもあれを動かすのを気持ちいいと言ってのける。男の子の本能といったところだろうか。
「マユ、か。あんな小生意気なツルぺたなんて全然可愛くなんかないぜ」
「そうかね〜」
「ああ、それにエヴァにのるなんてことやめた方がいいぜ、お袋さんが心配する」
「そんなら大丈夫だ、心配されることはないぜ。だって俺、そういうのいないからさ」
『えっ!』とばかりに驚いてディアッカをまじまじと見つめるシン。
「シンと同じさ」
「え?!」
「飯、食うだろ」
「あ、ああ」
シンにとってそのおかずも少ない飯ごう飯がとてもうまいものに感じられた。
テントの中で横になる二人。
外では鈴虫たちや様々な虫が鳴いている。
「いつもこんなことしてんのか」
お互いに背を向けながら二人は眠るまでの間、ぽつりぽつりと話をした。
「こんなって?」
「写真を撮ったり」
「まあな。休みの時には結構」
「あんた、写真家にでもなるのかよ」
「や、別にそういうんじゃないだが、ま、趣味かな」
「趣味?」
「ああ、趣味だ」
彼に“使命”についていうことはなかった。
いってしまえばエヴァを操縦している彼にまた重い物を背負わせてしまう、そんな気がしていたから。
その次の早朝、彼らのテントに四方から近づく“草を踏む音”で二人は目を覚ました。
(やっぱり来たか……)
ディアッカは毛布をかぶったまま予想していた事態に特に動揺はしていなかった。
訓練施設から脱走したとしても、すでにあの碇作戦司令の話が嘘だったとしても彼の雰囲気からして何かあった
のには違いないのだから。
ネルフの誰かが連れ戻しに来ることは当然あり得る話だろう。
ディアッカがちらりと外をのぞくとありがちなグラサンと黒服の男達が立っていた。
(ありゃあ、プロだね。手ぇ出したらただじゃすまないな)
「どうする」
「すまなかったな。迷惑をかけた。俺、あいつらと行くから」
「そうか。……俺は楽しかったぜ」
「ありがと。すまないけど出来たらしばらく顔は出すなよ」
「サンキュ」
シンはディアッカをおいて一人テントを出た。
『碇シン君だね』
『ああ』
表できいたことのない男性の声とシンの声が聞こえる。
『ネルフ保安諜報部のものだ。保安条例第八項の適用によりキミを本部まで連行する。いいね』
『ああ、いいぜ』
情けないと思うもののディアッカは草を踏む音が消えるまでテントの中でただ座っているしかできなかった。
翌日、登校したディアッカはイザークにシンとあった時のことを話した。
「で、キシャマ、シンが連れて行かれるのをみすみす指をくわえてみていただけなのか!」
イザークはディアッカを怒鳴りつけた。
またシホが心配そうにこちらをチラチラと見ているのがディアッカの視界の端に映る。
その隣でこちらを睨んでいるミリィについては彼は見えないふりを決め込む。
「んなこといったって、相手はネルフの保安諜報部、プロだぜ、プロ」
ディアッカはひらひらと手を振ってイザークの叱責に答えた。
「それがどうだというのだ! キシャマ、男のくせにキャンタマはついておるのか! 根性なしめ!」
『キャンタマ、だってやだ変態』
遠くで女子生徒達がひそひそと二人を笑っているのが聞こえる。
「残念ながら俺は勝てないけんかをするほど迂闊でお人好しじゃないもんでね。
この際、タマのあるなしは関係ないぜ」
(あいつが逃げる気がなかったのに、あそこで騒いだら迷惑かかるのはシンの方だからな)
ネルフに連れ戻されたシンはまた、第三新東京市地下部ネルフ本部拘置室でマユと二人きりになった。
「お兄ちゃん、久しぶり」
「ああ、久しぶりだな」
「この二日間、ほっつき歩いて気が晴れた?」
「そうでもないよ」
「エヴァ初号機のスタンバイできてるよ。乗る? 乗らない?」
「乗るに決まってるだろ! だけど、怒らないのか? 家出のこと」
「また怒って欲しいの?」
「怒らないのか、当然だよな、これまで他人だったんだし……
第一初号機、俺が乗らないっていったらどうする気なんだよ」
「レイが乗ることになると思うよ。それに最終的には私が乗るって選択肢もあるんだよ。でどうする?」
「そんなことできるわけないだろう。
あいつに全部押しつけるなんて。ましてや、お前をあれに乗せるなんて!」
「大丈夫だ、乗るよ。だからお兄ちゃんは無理する必要はないんだよ。で乗るんだ?」
「そりゃそうだろう。俺には向いてないけど、でもしょうがないだろう、レイやリツコさんやマユ……」
「いい加減にしてよ!! 他人は関係ないでしょう!! いやならこっから出て行けばいいじゃないのに!
エヴァや私たちのことは全部忘れて元の生活に戻ってたらいいじゃない!
そんな気持ちであれに乗られるのも、ここにいられるのも、迷惑なんだよ!」
(そんなんじゃ、お兄ちゃん、すぐ死んじゃうよ。私、シンのこと、守れないよ)
泣きたいのをこらえ、シンを怒鳴るマユ。
目を見開き、驚きと怯えの混じった表情でマユを見つめるシン。
ネルフ本部地下通路を歩くゲンドウとリツコ。
「サードチルドレンは明日、第三新東京市を離れます」
「では初号機のデータはレイに書き換えよう」
「しかし」
「零号機の再起動実験の結果の如何によらず、初号機の実験に移る」
「?!」
「マルドゥック機関の報告によるとフォースチルドレンはまだ見つかっていない」
「パイロットの補充はきかないということですか」
(これまでの経験則上レイと初号機とのシンクロ率は高くないはずだわ。この人、意地になってないかしら?
それに初号機を実戦投入するなら碇マユを乗せた方がいいと思うんだけど)
リツコは疑問に思いながらも彼の指示に従うつもりであった。
そしてシンが第三新東京市を離れる日。
シンは彼に駅まで同行する保安諜報部の一人にマユの居場所を聞いた。
「マユは、碇作戦司令はどこにいるんですか? 一言でいいから挨拶したいんですが」
「キミはもうネルフの人間ではない。どのようなことも教えられない」
しかし彼の口からはシンに対して返ってきたのはそんな冷たい言葉だった。
「そうですか」
駅へ向かう車の中では誰一人言葉を発することのない重い空気が漂っていた。
そしてシンを乗せた車が駅へ着く。
車を降りたシンにイザークの声と共に鞄が胸元に飛んで来た。
「碇、忘れ物だ!」
しっかりとキャッチするシン。
声がした先には、やや照れた笑いの表情を見せるイザークとにこやかな表情のディアッカが立っていた。
「おまえら……」
「よ、おひさし」
「キシャマ、な、何しけた顔をしているのだ! しゃんとしろ、しゃんと!」
シンはこの二人とずいぶん久し振りに会ったような気がしていた。
「あの、ちょっといいですか」
シンは彼らと話すために保安諜報部員に許可を求めた。
列車の到着まではまだ時間はある、そう考え、うなずく保安部員。
「あの、鞄、ありがとな」
シンは彼らの元へ近づき、二人に素直に感謝の意を示した。
「イザーク、何やってんだよ」
ディアッカはなんとなく歯切れの悪い雰囲気を漂わせているイザークを促した。
「碇シン、貴様のことを殴ってすまなかったと思わなくもないこともなくはない。
もしなんだったら殴り返してくれてもかまわない」
「んなことできるかよ」
「いや、そうでなければ俺の気が済まんこともなくはない。」
「こいつ、こういう暑苦しいバカなんだ。それでこいつの気が収まるんだから殴ってやれよ」
「けど」
突然、自分を殴れと言われてそうそう殴れるものじゃない。
「早くしろ!! キシャマ、時間がないのだろうが!」
「じゃあ、一発だけ」
シンは遠慮がちにゆっくりとこぶしをかまえる。
「まて! 手加減なしだぞ」
「わかったよ」
改めてかまえ、思い切り殴るシン。
シンに殴られてよろけるイザーク。
「あたっ!」
自分が殴られてもいないのに思わず叫ぶディアッカ
微笑む三人。彼らはずいぶん昔からの悪友のような気がしていた。
「でも、どうしてここが?」
ネルフから彼のことが伝わっているはずはない。
何故今日、自分が帰るのか分かったのか、シンは不思議でならなかった
「感てやつだ。これまで何十人っていう同級生を見送ってきたんだぜ」
ディアッカは自慢げに語った。多少は彼の父のPCからのハッキングもあるのだが自慢できるモノではない。
「キシャマがいなくなれば俺らもこの街からそのうち出て行かねばならんだろう。
……だが、俺たちには何もいえん。いえるわけはなかろう!
エヴァの中で苦しんでいるキシャマの姿を見ているからな。
キシャマのことをぐだぐだ抜かす奴がいたら俺が修正してやる!」
そう、イザークはシンと目を合わせることなく思い詰めたような表情で苦しげにそれだけ言葉を吐き出した。
何故か彼らの言葉がシンの を
「そんなぬるい顔をしてるんじゃない! 胸を張れ、胸を!」
「んじゃまあ元気でな。ぼちぼちがんばれや」
ディアッカがポンと彼の肩をたたく。
「あの」
何かいいたい、いわなきゃならない。でもいいだせない。何かがシンの言葉を詰まらせる。
「時間だ」
無情にも保安部員がシンの肩に手をかける。
保安部員らに四方を固められて駅の階段を上るシン。
イザークとディアッカはシンの後ろ姿を見送るしかすべはなかった。
急にシンは二人の方へ振り向き、身を乗り出し叫ぶ。
「俺、まだ、お前らと……」
しかし、そこまで叫んで保安部員達に取り押さえられてしまいそのまま連れて行かれてしまった。
そんな光景を唖然と見送るイザークとディアッカ。
「いっちゃったわね。これでよかったの?」
ネルフ本部の廊下。リツコのその言葉に思わず立ち止まりつぶやくマユ。
「ヤマアラシのジレンマ? 身を寄せるほどその身を傷つける。こういうことなのかな」
(あんた達は単にお互い不器用で素直じゃないだけじゃないの。妙な意地を張って。それも親子そろって)
まったく、とあきれ顔でリツコはつぶやく。
そんなリツコの言葉に気がつかずにマユは言葉を続けた。
「……お兄ちゃん、ああいう言い方でしか自分のこと伝えられないんだな」
――私も、お兄ちゃんにどう接していいかわからないんだからお兄ちゃんと同じだよね。
――あの子はここにいない方が幸せになる。あんな気持ちのままでエヴァに乗ってたらいつか必ず死ぬわ。
――でも“私”はどうしたいの? 彼に会いたくないの? 側にいて欲しくないの?
「……私は……」
無人のホームのベンチに一人ぽつねんと座り、電車を待つシン。
しばらくして政府専用列車がそのホームへ入ってくる。
マユはシンがいる駅へ向かって電動アシスト自転車のペダルを必死にこぎ続ける。ただ、こぎ続ける。
シンのいるホームでは彼が乗る政府専用列車の扉が開く。
その列車の動きをすぐ傍の歩道からただ見つめるイザークとディアッカ。
駐輪場に飛び込んでくるマユの電動アシスト自転車。
しかし、一歩間に合わず列車はホームを出て行く。
マユは肩で息をしながら走り去っていく列車を悲しげに見つめるしかなかった。
(お兄ちゃん……)
「あ、おい、碇のところのかわい子ちゃんだぜ」
ディアッカがマユを見つけて、イザークに話しかける。
「今更なんだというのだ、まったく」
(間に合わなかったよ……もう、シンちゃんに会えないのかな)
ため息をつき、それまで彼がいたはずのホームに背を向けてうつむくマユ。
改めてシンの面影を探して今まで彼がいたであろうホームに視線を向けた。
(……え?!)
彼女は誰もいないはずのホームに立つ人影が一つ。……彼だ。
マユはあいたかった人の姿を見つけ、少しだけ歪む視界の中、ただ彼を見つめていた。
ホームにぼおっと立っていたシンは自分を見つめるマユに気がつき、彼女を見つめる。
しばらくの間、何を言っていいかわからずに見つめ合う二人。
(ああ、そうか。こんな時にいう言葉は一つだな)
(そうだ、こんな時、いうことなんて一つだよね)
シンはちょっと照れくさそうな笑みを浮かべてマユへ当たり前の言葉をかけた。
「……えっと、マユ、ただいま」
そしてマユも少しだけ涙ぐみながら微笑みかけて彼に当たり前の言葉を返した。
「お帰りなさい、お兄ちゃん!」
――シン、お帰り。
以上です。
遅ればせながらGJ!
そして放送前日なのでage
皆様こんにちは。
アスカ姉妹の話を書かせていただいている前スレの569です。
>>16-18の続きを2レス分ほどですが保守代わりに投下させていただきます。
以上よろしくお願いいたします。
アスカとレイがカオス、アビス、ガイアと交戦しながら破れた外壁から宇宙へ出たこと。
そして彼女らが友軍機と合流しつつ別の敵とも交戦を継続中であることはミネルバからも確認はされていた。
「艦長! あいつら何を勝手に! 外の敵艦はまだ!」
――僕らの指示通り動いてくれなくちゃ困るだろう!
アスカ達の暴走にややうろたえ気味のアーサー=トライン君(26歳)。
アスカが彼の心の声を聞いていたらこう反論するだろう。
『連中を止めろという指示は出てるけど宇宙に出るなとは言ってないでしょう!』
「わかっているわよ、アーサー。少し落ち着きなさい」
――演習の時はそうでもなかったんだけど、彼、実戦に弱いタイプかしら?
タリアも決して実戦に強い方とはいえない。
戦功を上げてきた、というよりは成績優秀で地道に勤め上げてきたのを議長に大抜擢された。
周囲は試験艦だからしぶしぶ納得したという面もあったのだ。
今日見せた副長のそんな姿にこれからのミネルバの指揮に一抹以上の不安を感じているタリアであった。
「え、あ、はい」
少ししゅんとなるアーサー。
「ザク、インパルス、友軍機と共にアンノウンのMSと交戦中。
インパルスはパワー危険域に入ります」
「うえぇっ!」
メイリンからの報告にまた、アーサーが驚きの声を上げる。
タリアは決断に迫られた。
――やるしかないわね。
進宙式前、試験艦ということで概ね配属されたのは実戦慣れしていないクルー、頼りないリーダーと副長……
ネガティブな要素には事欠かないが。
――もう、艦載機のインパルスもザクも交戦状態だし、彼らを見捨てるわけにはいかないわね。
「……インパルスまで失うわけにはいきません。ミネルバ発進させます!」
「えっ?!」
目を丸くするアーサーとメイリン。
――まさか実戦?! ウッソ〜?!
二人で同じ衝撃を受けていた。
「……頼む、タリア」
デュランダル議長もそれを承諾した。
それをきっかけにブリッジが慌ただしく動き出す。
「ミネルバ、発進シークエンススタート」
「ミネルバ、発進シークエンススタート。 本艦はこれより戦闘ステータスに移行する」
アーサーも先ほどの抜けた表情とは違いひきしまった表情で各自に指示を出す。
「FCSコンタクト。兵装要員は全ての側方砲弾群をグレードワンに設定」
――本当に本当に戦いに行くの? ミネルバで。進宙式もまだなのに!
メイリンは初めての“実戦”に驚きとおびえ、緊張を隠しながら演習でやった通りにオペレートを始める。
「議長は早く下船を」
タリアはデュランダル議長に危険の中へ飛び込むミネルバからの下船を促した。
「タリア、とても残って報告を待っていられる状況ではないよ」
「しかし……」
「私には権限もあれば義務もある。私も行く。許可してくれ」
――相変わらずね、まったく。昔からいろいろと責任を感じやすい、あきらめの悪い人だったけど。
「わかりました」
――その割には“あの時”はあっさりと別れたけれど。まあ、あれは責任がどうのって言う話じゃないし。
彼女の頭の片隅によぎったがそれはこの際考えないことにした。
『本艦はこれより発進します。各員所定の作業に就いて下さい。
繰り返します、本艦はこれより発進します。各員所定の作業に就いて下さい』
メイリンの声が艦内にアナウンスされる。
「避難するのか? この艦(ふね)。プラントの損傷はそんなに酷いのか……」
ルナマリアと衛兵に誘導されミネルバの艦内を歩いていたカガリは艦内放送を聞いてそんな感想を口にした。
――たしか、前の時はキラにシェルターへ放り込まれたんだったな。
あのときは脱出ポッドとなったシェルターでしばらく宇宙空間を浮いていた。
――今は軍艦の中だ。あのときより遙かにましだ。まさかこれで戦闘になるわけじゃないだろうしな。
などとカガリはややお気楽にことを考えていた。
『ミネルバ発進。コンディションレッド発令、コンディションレッド発令』
次に聞こえてきた艦内放送にその場のルナマリア、カガリ、アスラン、衛兵二人の五人は皆、様々に衝撃を受けた。
――ミネルバで実戦?! 聞いてないわよ〜。やっと戻ってきたのに!
――戦闘になるのか? ずっとあのときよりまずいじゃないか! なんで渦中に入るかな、こいつは!
――安全を考えてこの軍艦に逃げ込んだ事がアダになったか。カガリを戦闘に巻き込んでしまった。俺のせいだ。
――試験艦だから戦闘はないって聞いていたんだぞ、どうなってんだよ!
――危険手当出るのかな。俺、戦闘の時はダメコンだっけ、マニュアル思い出さないと……
『パイロットは直ちにブリーフィングルームへ集合して下さい』
引き続き艦内に放送が流れる。
――あぇ〜、ほんとに臨戦態勢!
驚くルナマリア。コンディションレッドが発令された時点でそのはずなのだが。
――集合するのはいいけど、私のザク、使えるようになってるかな?
被弾して帰ってきたルナマリアはちょっと心配になる。
――あ、しばらく、この人たちの相手をしてれば行かなくてすむか。あ、そうしましょう。
さっき帰還したばかりで直っているわけはないのだが。
「戦闘に出るのか!? この艦(ふね)は!」
アスランがルナマリアを詰問する形になる。
「え?!」
――そんなこと私だって聞いてないわよ。あ、でもこの人、きつい顔もちょっといいかも。
アスカが知ったら『あんたバカ?!』といわれそうな脳天気なことを胸の内では思ってしまっている色惚けルナ。
「アスラン!」
カガリは動揺して思わずアスランを偽名でなく本当の名前で呼んでしまった。
「あっ……」
――このバカ!
この赤服の女性を含め、周りのザフト兵が聞いていないことを祈るアスラン。
「?! アスラン?! ……アスラン=ザラ?」
アスランのその祈りは無駄だったようだ。
ルナマリアにはその声がしっかりと聞こえていた。
――え? あのヤキン・ドゥーエの英雄のアスラン=ザラ? 赤服のエリートじゃん!
「あ……」
カガリはルナマリアに言われてようやく自分の失敗に気がついた。
――まあ、そんなこともあるだろう。いっちゃったものはしかたがないだろうが!
カガリは胸の内で逆ブチギレ状態。
――第一お前がわかりにくい偽名なんて名乗るからだろう!
「……」
――今まで隠していた意味がないだろう! もう少し頭と気を遣えよ、カガリ……
彼はオーブに来て彼女の護衛になってから心痛が増えたようである。
また、今度シャワーを浴びた時の排水溝を見るのが怖いアスラン=ザラであった。
以上です。
やな予感
なに毎もなにごとならざるも
普通にクロスさぜないで
独自のオリキャラという自分の分身を活躍させたくなるのは自己人のサガなのか