もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら12

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2698 ◆TSElPlu4zM
 強烈な陽射しの中、時折吹く砂漠の風が砂を舞い上げる。
 そんな中、ストライクと二機のバクゥで構成されるアルファ隊は、アークエンジェル前に機体を並べていた。
 アルファ隊の隊長を勤めるアルファ〇一はバクゥに乗る二十代半ばの青年が選ばれ、パイロット同士の顔合わせも既に済ませいる。ちなみにキラの乗るストライクは、アルファ〇三と呼称される事が決定済みだ。
 キラは演習が始まるまでの短い時間をストライクのコックピットの中で、アムロからのアドバイスに耳を傾けていた。

『セオリー通りならばブラボー隊は一団で来ると予想される。だが、アンドリュー・バルドフェルドの事だ、二手に別れ、単機で仕掛けて来る可能性も否定出来ない。どちらにしても、数的には不利だが勝てない相手では無い。良く動きを見て行け。
 それからスカイグラスパーだが、ケーニヒ少尉は経験こそ無いが、ムウが同乗している。決して油断をするな。下手に跳び上がり過ぎると天地から狙われる事になる。味方機とは連絡を密に取り、場合によっては臨機応変に対応しろ』
「はい!」
『今のストライクの強味は多彩な火器にある。ただし火器に囚われ過ぎるなよ。場合に因っては切り離して、機動性を優先する事も頭の片隅においておけ。全ての機体にエースが乗っていると思って、胸を借りるつもりで思い切り行って来い!』
「了解しました」

 戦闘にも大分慣れて来た事もあって、キラは落ち着き払った様子で頷いた。
 ヘリオポリス以降、キラは戦争と言う行為に手を染め、命の遣り取りを行って来たのだ。本物の戦場と比べれば、演習では余程の事が無ければ死ぬ事は無いと理解しているだけに、多少なりと心に安堵感が芽生えていた。それは心の隙と言っても過言では無いのだが……。
 モニターを通して横に並ぶバクゥ二機に目を向けていると、突然トノムラの声が響いた。

『アルファ隊、準備はいいか?』
『アルファ〇一、いつでもいいぞ!』
『アルファ〇二、こっちもOKだ!』
「アルファ〇三、準備完了してます。いつでもどうぞ!」

 アルファ隊各機がトノムラに声に応じて行く。キラもそれに倣い声を上げた。
 そして息を数回繰り返す程の時間が経つと、再びトノムラの声が響いた。

『アルファ、ブラボー各隊の準備完了。各機、準戦闘態勢に入れ』
『それではこれより、連合・ザフト両軍による合同軍事演習を始めます。カウントダウンを』
『カウントダウン開始。状況開始まで十秒前、九、八――』

 スピーカーからマリューの号令が飛ぶと、チャンドラがカウントダウンを始めた。
 キラはゆっくりと操縦桿に手を掛け軽くスラスターを唸らせると、ストライク後方の砂は風圧で河の様にサラサラと流れ行く。

『――二、一、〇、状況開始!』
『アルファ隊、行くぞ!』

 カウントダウンが終わると同時に、アルファ〇一の声が耳に響いた。

「アルファ〇三、キラ・ヤマト!ストライク行きます!」

 アルファ〇一に応じるかの様にキラはスロットルを開放する。
 ストライクと二機のバクゥは砂を舞い上げ、正面の戦闘エリアへと向かって行った。