、 ヾ ,.ン ヽ
ヽ ,r'´ リヽ ヽ
/ // ,. ,:ッ ,ィ/ ヽ /
/" / レ /,.r,./´/ /゙'ー、 ヽ i′ このフレイ・アルスターが華麗に2げっとよ!
. |! /ヘ . ,ィ∠∠_ヽ | i ゙、
_,_| ヘ {l/ ヒ'^ド `ー ' ___リム i、ト-
〃^| ヾ、ト, `'' ゙"' rrテ、 〉 ,lソ
l.{ ,| `i゙ ヽヽ-'/ ,ィ/
ヾ |. | r .i彡" ′
ヽ| | ,. ‐ァ=、 / i′
__| |. ` 、_У /' .|
/`|i 卜、 `" ,ィ' .! |
./ |i. l、 ` 、. / | |
′ l| i| `ヽ r',`''./ | |
l|. |{ | // i' | |
. l|, |゙、 |/ ム l | |
>>1 lヽ ,、,、./ ,-、),-、 , '´ ⌒、ヽ
<)' ~´ハバ Y ;' A`) . l(((!((("メi . /゙Y /^ヘヘYヘ
| イノリノハ)) : : : :`ヽ/´ ̄ ̄ 从^ヮ^ メij .刀.、/,ィjミノレハ从リヾ .,'`》'´⌒`彡
ノ.人l|゚ -゚ノl| . : : : : : : : : : : : : : : :、:\/: : : く+ハ(!`Д´ノハ+>/ ,ィ∝ノノ)))))
/:/.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:ヘ\: : : : : : : ∪: :∪ : : : : ( ( ゝ(l!゚ -゚ノ|l
l://.:.:/.:./ .:./ .:l.:.:,'.:.:{:.:.:.:.l.:.:ヽ.:.:.Vl:/ , ミ ´.⌒.^ 、: : : : : : ,(_: :_:<(^!!つつ
/.:.:/.:. l:.:.:.!>ト/{.:.ハ.:.:斗<:l:.:.:.l.:l. ⌒(((从从〉*⌒`7>f^⌒ヾY⌒>
. l.:.:/.:.:.:.|:l.: レ仟圷ヽl ヽfチ圷 |.:.:l:| |l゚ヮ ゚ノ|l ! xくけ从ハル=ト<
. |:/!.:.:.: 从.:.{. V;;リ V;;リ 'j.:.,' | ⊂!卯(⊃t/: : : :.リ、∀`*リハヽ
.... j:ハ.:.:..・ト :.ゝ ' /.:/レ| _ . 〈_|_ヽ.> /: : : : セ二/ ,-' ̄ ̄ ヽ
'´.r===ミ彡 V 7 彡'.:.∠ =。= ヘ. し'ノ /: : : : / ( ((ハル ヽ/ ̄ ̄⌒ヽ
ノ !リノノ))))|ヽ. ´ , イ! .:./i !!ノリノ))》. ,': : : : /. `ゝ^o ^ノ√i (《レノリノハ) )
. ( |.|゚ ヮ゚,l|ゝ . ト≧≦ュ| リ/ ノi゚リ.゚ ヮ゚从 i: : : : { 、 _☆ミつ介》ヽ :: ヾ #`‐´ノ
.. ∪ ̄ ̄∪ /|, '´⌒"vヽ、_.(つ)Ψ(^つ {:, -===、アヘヘ `ヘ___ノ: : : <( つ[!;つ
/ヽ::::::::::::::::/⌒(从从-;*⌒:::::::::::::::: ̄ヽ {7/^ー^ヘ.ノ八从ハ : : : :∠† _(†ヽ彡
|:::: ヘ ̄ ̄ {___ ル-_-*リ|(_j ̄ ̄"メ:::::::::| ∨ifノハヽhリ・ヮ・ノn : : : 又 !从从))))
|::::{ \ /' ∪⌒∪ \ ./ l::::::::| ルl| ゚ヮ゚ノル!弁{ ン ̄.〈y.リ(l|゚ -゚ノ|l!
/ll::::}\ ∨ \ ,VCV ∠ _∨ |::::/ハ / ,_厂})){ヒつつ 〈y ⊂^)!†i(^つ
{ }}:::::ン  ̄}__/ ̄`^<_/ /,弖 l ::{{ } / /_j_j>j ¥ 《/、,、,、,ヘ¥
V__/ / / /:/`\r'〃ニフ }::V/. ん'(_ノノ、ノ .`~じフ~
{´ /了 ̄|l /:/  ̄ ̄`ヽ ヽ:/
1乙
おはようございます。
朝の投下予告です。
っていうか、こっちに投下でいいんでしょうか?
今日は10時か11時くらいの間になります。
それでは、しばらくお待ちください。
第六話:分かたれた道なの
「ん?」
アルフの魔力波をかすかに感じたキラは窓の外を見たが、ここから海鳴の様子は分からない。
キラは嫌な予感がした、すぐにでも海鳴に飛んでいきたい。二人の元へ行きたい。
しかし、彼にはここから抜け出せることは出来ない。
「今の僕には何も出来ない・・・・力が・・・ない」
あの時もそうだった。
フレイの父親を守ることも脱出艇を守ることもトールを守ることも・・・・・・。
すると、ここまで伝わってくるほどのジュエルシードの魔力を感じた。
「!?なのはちゃん!フェイトちゃん!」
窓からそれが見えるわけでもないのにキラは外を見ていた。
その後、フェイトがアルフに抱かれて帰ってきた。
「フェイトちゃん!」
「大丈夫だよ、キラ君」
フェイトはかすかに笑いながらキラに答えた。
その後、フェイトの手の治療を終え、戻ってきたアルフにキラは聞いた。
「何があったの?」
アルフは先ほどまでにあった、なのはとフェイトが戦闘し、封印をしようとしたこと。
その時、二人のデバイスがジュエルシードと重なり、ジュエルシードの力が増大したこと。
それの所為で二つのデバイスにヒビが入ってしまったこと
フェイトはジュエルシードを素手で封印して魔力を大きく持っていかれ、そして傷を負ったという話を聞いた。
「何で話し合いで解決しないの?」
「私たちの目的はジュエルシードを集めるのが最優先だ、それに優しい世界で暮らしていたやつに教える必要はないんだよ。あんたにもね」
「優しい世界で・・・・・か」
キラはその言葉を聞くと少し悲しい顔をした。
「アルフ、少し・・・・僕の話を聞いてくれないかな?僕が体験したことを」
キラはアルフに自分が別の世界の人間で自分の世界では未だに戦争が続いていること。
そして自分たちも戦争に巻き込まれ、自分は力が合ったから戦ったこと。
敵が親友だったこと、話し合うことも出来なかったこと。
そして、自分は親友の仲間を殺し、親友は自分の友達を殺したこと。
それの所為で、親友と憎み合い・・・・・殺し合いをしてしまったこと。
キラはその全てを包み隠さずにアルフに話した。
「目が覚めて、そして自分がやったことをひどく後悔したよ、今もだけど・・・・」
「・・・・・・・・・」
アルフはキラの話を聞いて何も言えないでいた。キラの真剣な目からこの話が嘘でないことは分かった。
「僕はフェイトちゃんに同じ思いをして欲しくないんだ・・・・・だから!」
「それでも・・・・・・」
アルフは辛そうに声を絞り出して言った。
「・・・・・話せないよ」
「・・・・・・分かった・・・・それじゃあ、話してくれるまで待つよ」
キラはアルフに微笑むと自分の部屋へと戻っていった。
「ごめんね・・・・・キラ」
一人になったアルフは小さく呟いていた。
「お母さんのところ?」
「はい、一度家に帰って今までのことを報告しないといけないから」
「そっか」
「毎度のことながら留守は頼んだよ」
「うん、っていうか僕は監禁されてるんじゃなかったっけ?」
「あれ?そうだったっけ?」
「もう、アルフさん忘れないでくださいよ。というか何で僕が言わないといけないんですか」
「あはは〜、ごめんごめん」
呆れるキラと笑いながら答えるアルフ、フェイトも母親に会えるのが嬉しいのか笑っているように見える。
「それじゃあ、いってきます」
「うん、いってらっしゃい」
二人が出て、日も落ち始めた頃。
「どうにか、教えてもらえないかな」
キラは昨日の会話を思い出しながら呟いた。
しかし、自分がその話を聞いてどうにか出来るかなんて分からなかった。
「でも、話さないと分からないことだってある」
すると、玄関が開く音が聞こえた。
「あ、おか・・・・・フェイトちゃん!?」
全身傷だらけのフェイトとアルフはそれに寄り添うような形で部屋に入ってきた。
フェイトの傷の治療を終え、下に下りたキラはアルフに詰め寄った。
「報告に行くって、母親に会いに行っただけじゃなかったの?」
「あぁ、それだけだよ」
「じゃあ、何で!」
「あの子の母親さ」
「え?」
「あの子の母親がやったんだ」
「そんな・・・・」
アルフは怒りで冷静になれなかったためキラにさっきまであったことを話していた。
「あの子はあんなに頑張っているのに!」
「・・・・・・・・」
アルフは膝を抱え、肩を震わせながら俯いてしまった。
キラはそんなアルフの頭を撫でながらあることを決意した。
「アルフさん・・・・・僕にストライクを返して」
「え?何を言ってるんだい。そんなこと」
「違うんだ、僕にも二人の手伝いをさせて」
「・・・・・・・」
「誰かが傷つくのを見るのは・・・・・もう・・・・嫌なんだ」
キラは目に涙を溜め、拳を握り締めた。
そんなキラを見ながら冷静にアルフは言った。
「あのなのはってこと戦うことになってもかい?」
「っ!?それは・・・・・」
「一緒に戦ってくれるのはありがたいけど、そんなことすれば十中八九あの子と当たるよ?」
「・・・・・・・・・」
「一応、キラのデバイスは返しておく。覚悟が出来たらでいいから」
アルフはキラの手の平にストライクを渡すとフェイトのところへ行ってしまった。
キラはそれを握り締めながら窓の外を見た、もうすぐ夕暮れ時だ。
フェイトとアルフはジュエルシードを見つけたため外に出ていた。
キラはストライクを見ながら考えをまとめていた。
ジュエルシードはユーノが見つけたもの。
それをなのはは今では皆に被害が出ないように頑張って集めている。
フェイトは母親のためにそれを集めている。
しかし、その母はその頑張りすら認めず、ひどいことをする。
だが、フェイトはそんな母を信じてボロボロになりながらも頑張っている。
「僕は・・・・・・・」
キラはストライクを握り締めると前を向いた。
マンションを出る、どうやらアルフは障壁を張らないで出て行ってくれたらしい。
「ストライク、また一緒に頑張ってくれるかな?」
『Yes. sir.』
「それじゃあ、行くぞ!エールモード!」
『System all green. Aile mode. Set up.』
キラはバリアジャケットに身を包むと赤い翼を出現させ飛び立った。
「見えた!」
微かだがフェイトとなのはが対峙しているのが見える。
「!?くそっ!やめろーーー!」
スピードを上げるが二人はデバイスを構え、ぶつかり合いそうになった時だった。
二人は突然現れたもう一人の少年に止められていた。
それに安堵しながらキラは一時、空中に止まり様子を見る。
「ここでの戦闘行動は危険すぎる。時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか」
三人が空中から下に降りる。
「ますは二人とも武器を引くんだ。このまま戦闘行為を続けるなら・・・・・!?」
その瞬間クロノに炎の魔法の矢が飛んできていた。
クロノはそれを障壁で防ぎきる。
「フェイト、撤退するよ。離れて!」
アルフの魔法の矢が連続でクロノたちを狙い、地面に当たり爆風を上げる。
フェイトは上に飛ぶとジュエルシードに手を伸ばす。
「いけない!」
キラはすぐにフェイトのところへ向かう。
爆風の中から青い魔法の矢がフェイトに命中し、フェイトは下に落ちる。
「フェイト!」
「フェイトちゃん!」
アルフとなのはが悲鳴を上げる。
地面にぶつかる瞬間に一陣の風が吹いた。
フェイトを抱きとめ、地面に着地した少年の姿になのはは驚いていた。
「キラくん?」
キラはその言葉に顔を少し向けたが、降りてきたアルフにフェイトを預ける。
「キラ?」
「アルフはフェイトちゃんを安全なところへ」
「でも・・・・・」
「大丈夫、僕を信じて」
キラはアルフの瞳をじっと見る。
「分かった、キラも早く来るんだよ」
そういうとアルフはフェイトを背に乗せ走り去ろうとする。
そこにクロノの魔法の矢が放たれるが、キラはライフルを構え連射。全てを相殺する。
「なに!?」
キラの行動に驚いたクロノだが、すぐにアルフたちにもう一度魔法の矢を放つ。
「やらせない」
キラの中で何かが弾ける。キラの目から光がなくなった。
サーベルを抜き放つと横一線、クロノの魔法が消し飛んだ。
「魔力が・・・・・飛躍的に上がった!?だけど!!」
クロノがさらにキラに魔法を放とうとした、キラもサーベルを構える。
「だめーーーー!!」
そんなクロノの前になのはが割って入る。
キラはその隙に空に飛び立つ。
その時なのははキラが「ごめん」と言っているのが聞こえた。
次の瞬間にはキラは高速で空を飛び去っていた。
「キラくん・・・・・なんで・・・・」
そんな彼を見えなくなってもなのははずっと見送っていた。
「フェイトちゃん、大丈夫?」
「うん、大丈夫だから・・・・・痛っ!」
フェイトの手当てをアルフとキラの二人で行っていた。
「無理しないで」
「うん。キラ君、さっきは守ってくれてありがとう」
「そうだね。ありがとね、キラ」
「ううん、どういたしまして。僕は守りたいものを守っただけだよ」
キラは二人にそう微笑んでいた。
「でも、時空管理局まで出てきたらどうにもならないよ。フェイト、逃げようよ」
「それは・・・・・ダメだよ」
「だって、雑魚クラスならともかく、あいつ一流の魔導師だ。本気で捜査されたらここだっていつまでばれずにいられるか」
アルフは悲痛な表情で訴えている。
「あの鬼婆、あんたの母さんだって訳分かんない事ばっか言うし、フェイトにひどいことばっかするし!」
「母さんのこと悪く言わないで」
「言うよ!だって私、フェイトのことが心配だ」
アルフの目に涙が溜まる。
「フェイトが悲しんでると私の胸も千切れそうに痛いんだ」
キラは何も言わず席を外すことにした。
「フェイトが泣いてると私も目と鼻の奥がツンとしてどうしようもなくなるんだ」
アルフの目から涙が零れる。
「フェイトが泣くのも悲しむのも私、嫌なんだよ」
そんなアルフを見ながらフェイトの瞳が揺れる。
「私とアルフは少しだけど精神リンクしてるからね。ごめんね、アルフが痛いなら私もう悲しまないし、泣かないよ」
それを聞いたアルフは泣き崩れてしまう。
「私はフェイトに笑って幸せになって欲しいだけなんだ。何で、何で分かってくれないんだよぅ」
「ありがとう、アルフ。でもね、私、母さんの願いを叶えてあげたいの。母さんのためだけじゃない。きっと自分のため」
フェイトはアルフの頭を撫でながら言った。
「だから、あともう少し、最後までもう少しだから・・・私と一緒に頑張ってくれる?」
その言葉にアルフは顔を上げる。
「約束して、あの人の言いなりじゃなくて、フェイトはフェイトのために、自分のためだけに頑張るって」
アルフは目が潤んでいるが、泣いてはいなかった。
「そしたら、私は必ずフェイトを守るから」
「うん」
フェイトは嬉しそうに微笑んでいた。
それを部屋の外から聞いていたキラはストライクに話しかける。
「ストライク」
『Yes, my master.』
「僕の取る道は間違っているかもしれない。でも二人を守りたいんだ。力を貸してくれるかい?」
『Yes, sir.』
「ありがとう」
キラはストライクを握り締めると空を見上げた。
投下完了です!
新しいところ一番乗りのSSで載せてしまって、今さらビビってます。
キラはフェイト側に付くこととなりました。
さて、いよいよ物語は後半戦です!
次回「まなざしの先なの」お楽しみに!
そろそろ気付いていると思いますが、サブタイはSEEDのサブタイを使ってます。
気付いてくれた方がいれば嬉しいです。
予想通りキラはフェイト側につきましたか。
フェイトはなのはと戦うのでキラはクロノと戦うことになりそうですね。
キラは種割れしましたか。この力がどのくらいの物で、管理局がどんな風に捉えるのか楽しみにしています。
SEEDって身体能力だけでなく魔力も上がるのか
まあ本編でもSEEDについてはほとんど明かされてないからな
キラ対クロノキタ!
経験値の差はでかいが魔力、身体能力とともにキラのほうが上だからな
9歳コーディの身体能力がどれほどのものかは知らんが
ここでのフェイトはキラのことは君づけですか。
そういやフェイトって目上の人以外は敬称つけないしな
君づけだと距離があるようでイヤだな
>>16 >>17 >>18 ご指摘どうもです・・・・・orz
キラという友達(?)存在に戸惑っているってことでお願いします。
ちゃんと仲良くなって呼び捨てになる伏線ということで!
今回のことでキラは信頼を得ることになってますし、今度からは呼び捨てです。
そういうわけで許してください(土下座)
>>12 キラはなのは達の敵になりましたか。
ユーノはキラが異世界からきたことを知っているので、そういったことをアースラで話すんですかね。
キラはアルフには自分の事を話しましたが、フェイトには話すんでしょうか。
つまりこのssでのフェイトの初めての友達はキラということではないか!
フラグ立ちまくりだな
GJ!!です。
ストライクはバランスがいいですね。クロノと戦う場合は遠距離射撃で奇襲後に近距離戦に
持ち込むのかな?気になります。
「違う、……この人たちは、戦争を知らない」
目を細めて、フェイトは言う。
戦術を感じさせない、手当たり次第の破壊。
これは戦争ではない。ただの破壊行為だ。
少なくとも、フェイトの頭の中では、これは戦争ではない。
「はぁぁぁっ……!!」
シンはバーニアの勢いも付けつつ、目の前のガイアに向かってエクスカリバーを構え、
斬り込んで行く。
「なんだ、こいつっ!?」
ガイアの中で、驚愕の声が上がる。それは少女の声、ステラ・ルーシェ。
だが、シンがそれを知る由もない。
ガイアはビームライフルで撃つが、インパルスは巧妙に左右にすり抜ける。
連結させたエクスカリバーでガイアに斬りかかる。ガイアはそれをシールドで受け止め
る。レーザーブレードとアンチビームコーティングの間で、激しく火花が散る。
返す刀で下から切り上げようとすると、ガイアは跳躍して空中に逃れた。
『なんだよあいつら、聞いてねぇぞ』
「うるさい、少し黙ってろ」
カオスのコクピット。
乗り込んだスティング・オークレーは、アビスに乗り込んだもう1人の仲間、アウル・
ニーダの不満そうな声に、不機嫌そうに怒鳴る。
「なんだあの機体は、あいつらも新型?」
コンソールで照合データを開きかけた、その瞬間。
「なにっ」
バルディッシュがシールドを構え、タックルをかけてくる。
ドガッ!!
カオスは弾き飛ばされ、背中から倒れこんで、コンクリートの地面に擦れ火花を散らす。
「スティングー! この!!」
アビスはシールドを拡げ、ビーム砲のフルバーストをかけてくる。
「!」
バルディッシュはバーニアを吹かして、アビスの射点から逃れる。
「ふぅっ」
シグナムを構え、横に薙ぐようにアビスに向かって切り込む。
「うぉぉっ……!!」
アンチビームシールドで、シグナムの刀身ビームを受け止める。
バチバチバチバチッ
激しい火花が散った。
『おいコラ2人とも! 命令は捕獲だぞ! アレは我が軍の……』
インパルスとバルディッシュの通信用ディスプレィに、アーサーの不快そうな顔が映る。
『解ってますが、できるかどうか──』
「あ」
シンが言いかけたのを見て、フェイトは通信に割り込みをかける。
「やっていますが、相手が自発的に投降の意思を見せない限り、停止させるには少なから
ず損傷を与えざるを得ません」
『そうは言うが、派手に壊すような事はなしで頼むぞ』
「相手次第です……!!」
アビスのフルバースト、バルディッシュはバーニアを吹かして横に捻り、射点を交わす。
カオスがビームライフルで射撃してくる。それをアンチビームシールドで凌ぐ。アビス
が再びフルバーストをかけてきたのを、バーニアを使ったダッシュで避ける。
バシュ
そのままバルディッシュを構え、脚で前進しながら、シーリングリフターを切り離す。
カオスに向かって斬り下ろす。カオスはシールドで凌ぎ、バチバチと火花が散った。
「な、何だよこれっ!?」
アウルが戸惑いの声を上げる。シーリングリフターがアビスに向かってつっこんでくる。
ジャスティスのファトゥムのように射撃武器までは搭載しないものの、レーザーエッジ
ウイングでアビスを狙ってくる。
「うわぁぁぁっ」
アウルが悲鳴を上げる。二度、かわされたところで、シーリングリフターはバルディッ
シュ本体に戻る。
「アウル! スティング!!」
それまでインパルスと絡み合っていたガイアが、2機とバルディッシュの間に割り込ん
でこようとする。背中のビーム突撃砲で撃ちながら、4脚形態で接近してくる。
「させるかよぉっ!」
インパルスが、ガイアの目前に着陸した。シールドを構え、ガイアを弾き返す。追撃す
るようにフラッシュエッジブーメランを抜き、ガイアに向かって投げつける。
ガイアは2脚形態に戻って着陸すると、シールドでブーメランを受け止める。ブーメラ
ンはシールドにぶつかって絡み合い、火花を散らしながら、地面に落下した。
「この」
インパルスの背後を取ったカオスが、射撃体勢に入った。次の刹那、バルディッシュに
シールドタックルを食らい、突き飛ばされる。バルディッシュは一気に振り向くようにし
て、バーニアを吹かす。空中に躍り出ると、同じようにフルバーストをかけようとしてい
たアビスを、シグナムで薙ぐように斬り付ける。
「くそぉっ!!」
アビスは後退して、バルディッシュの斬撃から逃れた。
「なんて奴だ。特にこっちの羽付き野郎」
スティングが毒ついた。
「速く、乗り込めるだけで良いから」
ハンガーを破壊され、そのものはほとんど無傷だったものの、瓦礫に埋もれた2体のMS
に、整備員や警備兵が取り付いて、瓦礫を下ろしていた。
「ルナマリアー」
紅く塗装されたMSのコクピット周りにいた男が、パイロットを呼ぶ。
ザフト・レッドを着た女性パイロットが、コクピットに近づく。
「機体の状態がどうなってるかわからないから、無理だと思ったらすぐ引き返せ」
「解った、ありがとう」
ルナマリア・ホークは、そう言ってコクピットに収まる。
ZAFT特有のモノアイが点灯し、MSは起き上がった。
ZGMF-1600B ゲイツBD。ゲイツの大規模マイナーチェンジ版。形態的にはゲイツRから一
度オリジナルに戻り、ショルダーガードをシールド型(マラサイのそれから折りたたみ機
構を廃したような)に変更、胴には増加装甲がかぶせられ、その胸部左側に短銃身ビーム
ガンを装備。変わりに、ポルクスレールガンはオミットされた。背後のスラスターを可動
補助翼型に変更、簡易的ながら飛行機能を持たせた。特徴的な頭部アンテナブレードは小
型化され、板型からロッドに近い形状になっている。モノアイ直上の、補助カメラ・セン
サー部がやや大型化している。
ローコストで万能、取り回しはゲイツRより大幅に改善、ということで、ニューミレニ
アムシリーズとして新規設計されたZGMF-X1000、ZGMF-X2000を抑えて主力化された。
『レイ、どいてて』
ルナマリアが外部スピーカーで言う。もう一体の、灰白色のゲイツBDに取り付いていた、
金髪のザフト・レッドの男性と、整備員が飛び降りる。
紅いゲイツBDの腕が伸び、灰白色のゲイツBDの瓦礫を払った。
コクピットハッチをが開かれ、金髪のザフト・レッド、レイ・ザ・バレルがそこに収まっ
た。
『先に言ってるわよ!!』
紅いゲイツBDは、5機のMSが乱戦している領域に、バーニアを吹かして急行する。
他にもディンが、上空から抑え込もうと飛来している。ビームガンで射撃するが、捕獲
の命令を受けている為か、明らかに直撃を避けている。
「鬱陶しいんだよ、お前らは!」
アビスがフルバーストの姿勢をとりかけた。
「やめろっ!」
バルディッシュのシールド・タックルで、アビスが弾き飛ばされる。
「このっ、いい加減にっ!」
4脚形態で向かってくるガイアに対し、インパルスはエクスカリバーの連結を解いて、
二刀流の構えで正面から向かう。
ガイアより先に、インパルスが飛び掛る。クロスさせるようにエクスカリバーの太刀筋
がガイアに迫る。ガイアは瞬時に2脚形態に戻り、シールドで受け止める。
「奪った機体で、ここまでっ」
シンは憎々しげに呟く。
「はぁぁっ」
シグナムを構え、バルディッシュは上段からアビスに斬りかかる。アビスは半身ずらし、
シールドで受け止める。
「この羽根付が!」
バルディッシュのコクピットにロックオンアラート。フェイトはアビスを突き飛ばし、
シールドを構えさせる。カオスのビームポッドの射撃、続いてミサイルがシールドに当り、
バルディッシュが爆煙に包まれる。
「フェイト! うわっ」
シンが一瞬気を取られた瞬間、ガイアがビームサーベルを構え、インパルスに斬りかか
ってくる。寸でのところで、シールドで受け止める。
ドスッ! ボンッ!
ガイアに向かって、黄色に輝く刃が投げつけられた。シグナム。切っ先がガイアの右肩
間接を貫く。シグナムの刀身ビームが消え、切断されたガイアの右腕と共に落下する。
「もらった!」
アビスがビームランスを振りかぶり、バルディッシュに向かって突進をかけようとする。
その次の瞬間、新たに現れたMSにタックルを食らい、弾き飛ばされる。
「またこれかー!?」
突き飛ばされながら、アウルは不満そうに声を上げた。
「はぁぁぁっ」
紅いゲイツBDは、折りたたみ延長ストック付対装甲アキナスを、ストックを伸ばした
パルチザン形態にして、振りかぶりつつ、アビスにのしかかる。
「!」
カオスのビームポッドの射撃が、ゲイツBDに迫る。ルナマリア機は、アビスを蹴飛ば
して転がるように回避した。
構えなおすゲイツBDの背後で、バルディッシュがシールドからレーザーブレードアク
スを抜く。やはり折りたたみ延長ストックが付いており、それを伸ばす。その姿は“デバ
イス”のバルディッシュに良く似ていた。
インパルスが軽装状態ではリーチが短くなってしまう欠点の、解消策の1つとして考え
られたものだが、さらに発展してゲイツBDの登場につながった。
「くそっ、このあたりが限界かっ……引き上げるぞ、アウル! ステラ!」
スティングが忌々しそうに言う。カオスのバーニアが吼え、コロニーの作られた空に飛
び上がる。アビスがそれに続いた。
カオスのビームポッドが切り離されて、紅いゲイツBDとバルディッシュに向かって射
撃を浴びせる。
ゲイツBDは踊るようにかわし、バルディッシュはシールドで受け止めた。
「おい、ステラ! いい加減にしろ!」
ガイアはシールドでインパルスと競り合いつつ、背中のビーム砲でインパルスを狙う。
「!」
インパルスは横転で、ガイアの射撃を逃れた。
そこにガイアが、さらにインパルスに向かってシールドタックルをかけてくる。
「コイツはここで、私がっ」
ステラはモニターのインパルスを睨みつけ、声を荒げる。
「ステラ! いい加減にしろ!」
紅いゲイツBDと、バルディッシュが、2機を追って飛び上がる。
「バルディッシュ、ザンバー・デバイスお願いします」
ミネルバ艦橋。
「って、それは……」
オペレーター席の傍らに立っていたアーサーは、困惑したような様子を見せる。
「構いません。もう機密がどうのこうのといっている状況ではないわ、許可します」
タリアは、毅然とした口調で言い、そして、艦長席を傾けて、振り返った。
「それでよろしいですね?」
指揮官席には、工廠から避難して来た、ギルバート・デュランダル議長がいた。
「この場での判断は、君に任せるよ」
デュランダルは、口元で笑みを浮かべながら言ったが、すぐに険しい表情に戻った。
「デバイスシルエットフライヤー、ザンバー・デバイスシルエット、射出準備!」
オペレーター席のメイリンが伝える。
エレベーターから中央発艦デッキに、新たなデバイスシルエットを抱えたフライヤーが
上げられる。リニアカタパルトが作動し、射出された。
「ステラ! いい加減にしろ!」
相変わらずインパルスと絡み合っているステラに、スティングが怒鳴る。だが、ステラ
は聞く様子がない。
カオスのビームポッドが乱射され、追撃するゲイツBDとバルディッシュを牽制する。
「じゃあ、お前はここで死ねよ!」
「はぅっ!?」
インパルスと絡み合っていたガイアが、急にその動きを鈍らせた。
「ネオには僕から言っといてやるよ。サヨナラってなぁ!」
狂喜した様な表情で、アウルはそう怒鳴った。
「私、死ぬ……死ぬの、いやぁぁっ!!」
半狂乱のステラ。
ガイアが飛び上がりかけた時。
ドガァッ!!
灰白色のゲイツBDが、シールド・タックルでガイアを突き飛ばす。そのままショルダ
ー固定シールドで、ガイアにのしかかった。
『シン、こいつは任せろ』
レイの声が、インパルスのシンにそうかけられる。
『2人の応援に、奴らを逃がすな』
「解った!」
シンはそう答えると、インパルスのバーニアをふかし、空中へ飛び上がった。
「インパルス、フォース・シルエット、射出願います」
『了解!』
メイリンの声を聞きながら、バルディッシュと紅いゲイツBDが、アビス、カオスと砲
火を交わす閃光に向かって、一直線に向かっていく。
>>23-28 え〜。やってしまいました。
種死本編でゲイツRがあまりにやられ役過ぎたので……ポテンシャルは悪くない機能のはずなのに。
コンセプトは「グフより安くてザクより扱いやすい」です。
>>12 キラがフェイト側についたので、一応犯罪者として扱われるんですね。
そして、この事件の事が片付いたら、フェイトと一緒に本局で裁判を受けなければいけないんですよね。
そうなった場合キラの扱いはどうなるんでしょう。
そしキラの世界は管理局に確認されているのでしょうか。
発見されていた場合では、元のいた世界に戻ることが許されるのでしょうか。
>>29 GJ!
このスレで種側のキャラがオリジナルMSに搭乗するとは思いもしませんでしたw
あとちょっと気になったんですが、場面が変わるところでは1行空けるほうがよりわかりやすいかと
>29
GJ!
お疲れです!続き楽しみにしてるので、これからもがんばって!
しかし、Fate×Destiny氏も戻ってこないかなぁ〜、なにげに楽しみにしてたんだけど…
リリカルクロスSEEDのキラは体が縮んでしまっていますし、コーディネイターですから管理局にどのように見られるんですかね。
それに、どんな事情があるにせよ管理局と敵対行為をとっている犯罪者?ですし。
乱暴な言い方をすれば、フェイトもコーディネィターみたいなもんでは。
しかもクローン胚。
>12
キラはこの時点ではまだ自分の出生の秘密は知らないんですよね。
もし元の世界に戻らなければ、知ることは無いんですかね。
うおおおぉぉっ!?
多くの人が色々な感想を、なんか今までで一番多いような・・・
「キラは犯罪者」な件のとか多く書かれてますね〜。
そこら辺も後半にどうなるか少しは書いてあるのでご心配なく!
キラについてはユーノは教えません、彼は良い子ですしw
>>リリカルクロスSEED氏GJ!!
いやーキラはフェイト側につきましたか。しかし、これからどうなるんでしょう?
なんというかちょっとなのはがかわいそうになってきた。
>>Fate in C.E.73氏GJ!!
おお、バルディッシュのザンバーですか!?いきなりそんなの使ってもいいんでしょうか?
でもやっぱり最終的には後継機に乗るんだろうなぁ…
レイとルナがザクじゃなくてゲイツってのが驚き。
ぶっちゃけザクのデザインって、ゲイツに比べると退化してるからな
わざわざパイプが剥き出しになってたり、何故か武器が使い難いトマホークになってたり
むしろゲイツの発展型が生き残っている方が自然である
投下、よろしいでしょうか?
いつでもOK!!
もちよ
高い天を行く者から勇敢な者へ
第九話
・スカリエッティのラボ
:訓練室
辺りが薄暗いという事を除けば、管理局で使われている物と変わりない訓練室に、三人の人物がいた。
その内二人は戦っており、残りの一人は二人の戦いと、展開されている端末を交互に見ながら、キーボードをかなり速い速度で捜査していた。
訓練室で戦っている一人、ノーヴェが固有能力『エアライナー』で空中に光の道を作り、走り抜ける。そして
「でりゃあああ!!!」
気合と共に飛び降り、脚につけた固有武装『ジェットエッジ』のスピナーを回転させ、戦っている相手ウェンディ目掛けて蹴りを放つ。
ウェンディは射撃で牽制しようとするが、その考えをすぐに捨て固有武装『ライディングボード』を構え、防御態勢を取り衝撃に備える。
その直後、ノーヴェの蹴りがライディングボードに直撃し、金属が激しくぶつかりあう音が訓練室に響く。
「くそ・・・・・・硬てぇ・・・・・」
ライディングボードを粉砕する勢いで放った蹴りが押しとどめられている事に、苦々しく呟くノーヴェ。
一方、ノーヴェの蹴りを防いでいるウェンディはライディングボードを持つ手に力を入れ、
「うおりゃあ!!」
ライディングボードをおもっきり横に払い、ノーヴェを吹き飛ばす。
ウェンディはすぐに盾を構えなおし、吹き飛び、空中浮遊しているノーヴェ目掛け直射弾を放つ。
だがノーヴェも黙って喰らう筈も無く、空中で体を捻り、すぐにエアライナーを展開、空を走りぬけ直射弾をかわすが、
「そうは問屋がおろさないッス!!」
ニヤつきながら続けて誘導弾を放つ。
「げっ!切り替え早!!」
砲撃の切り替えの早さに驚きつつも、エアライナーで作った道で空中を駆け抜けながガンナックルで正確に狙い撃ち、どうにか全部を破壊するが
「・・・・・・ノーヴェの負けだね」
キーボードを捜査している少年、ヴェイアが呟く。その直後、設置弾に囲まれ悔しそうに負けを認めるノーヴェの声が訓練室にこだました。
「あ〜くそ〜!!」
悔しそうに呟くノーヴェと
「いや〜勝った勝ったっス〜」
ライディングボードを掲げ、笑顔で喜ぶウェンディ。そんな二人の所にヴェイアが近づいてくる。
「二人とも、ご苦労様、今日の訓練はお終いだからゆっくり休んでね。ウェンディ、ライディングボードを借りるよ」
そう言い、ライディングボードの裏の開閉部分を開け、端末と接続し、調整を開始する。
「また調整するんスか?もう十分だとおもうんスけど?」
ヴェイアの行動に疑問を感じるウェンディ。ウェンディからして見れば、ライディングボードの調整は十分な物であった。
特に、射撃系統の切り替えの速さはロールアウト時とは比べ物にならないくらいにスムーズに行う事ができ、
先ほどの戦闘の様な早期切り替え使用が可能なレベルまでになっている。
「うん、実用的にはね。だけど皆の固有武装はそれぞれの戦闘パターンにあわせた調整を行うことで、結果的には
皆に勝利を、そしてみんなを守ってくれる。特にウェンディの固有武装は複合的なところがあるからね、しっかりしないと」
端末を操作しながら答えるヴェイア。
「だけどウェンディはスゴイね。複合武装って便利な反面、扱いはとても難しいんだ。それを軽々使いこなせるなんて」
「いや〜、ヴェイアの調整のおかげっスよ〜」
褒められた事に照れ笑いを浮かべるウェンディ。
「だっけどヴェイアはすごいよ。PS装甲だっけ?ライディングボードに使われてる装甲。ぶち壊す勢いで蹴ったんだけどビクともしなかった。
考えたのはヴェイアなんだろ?」
色が変化したライディングボードの表面を軽く叩きながら尋ねるノーヴェ。
「ちがうよ。僕は『こういう装甲があった』ってことをドクターに話しただけ。むしろ説明だけで作っちゃう所か、
弱点まで改善した物を作ったドクターのほうがすごいよ」
「なんだ?弱点って?」
「PS装甲は実体弾なんかの物理的攻撃には驚異的な防御力を誇るけど、エネルギー兵器などには特に大した防御力を持っていないんだ。
この世界では魔力による攻撃が一般的だから僕の世界で作られたPS装甲では防ぎきれない、ドクターはその問題を改善したんだ。どうやったかは分からないけどね」
途中で端末の操作を止め、ノーヴェを見据えながら答える。
「ここで問題、実はもう一つ弱点があったんだけど、何だかわかるかな?」
急に出されたヴェイアの問題に考え込む二人
「ヒント、これはPS装甲だけじゃなくて全ての装甲に共通する事。そして、この弱点が改善されなかったらライディングボードは壊れてたかも知れない事」
さらに考え込む二人。腕を組み、一生懸命考え込む二人に笑みがこぼれるヴェイア
「はい、時間切れ。さっきも言ったけど、PS装甲は物理的攻撃には驚異的な防御力を誇るけれど、
着弾時の衝撃までは無効化する事は出来ない。これは防御魔法でも言える事だね。」
待機状態のため、今はメタリックグレイの色に染まっているライディングボードを見据えるヴェイア
「むしろ防御力が高い分、通常装甲なら壊れて吸収・拡散させる衝撃をそのまま通してしまうから内部の構造や、防御している
ウェンディにも大きな衝撃が加わってしまうんだ。その結果、ライディングボードに異常が発生してしまう事があるかもしれないし
ウェンディにも少なからずダメージを与えてしまう」
ちなみに、このPS装甲の弱点を突いた武器がカナード達の世界で開発されたMSに搭載されている。『開発破砕球「ミョルニル」』 である。
エネルギーを喰うという問題もあったが、彼女達の動力からしてみれば、まったくと言って良いほど問題にはならず弱点としては加算されなかった。
「ドクターはそこも改善したんだ。ホント、どうやったかは知らないけれど。現にノーヴェの蹴りを防いだ時に衝撃とか伝わってきた?」
「そういえば・・・・・全然」
先ほどの戦闘を思い出しながら答えるウェンディ。
「だけど、ここまで万全なら正に無敵じゃん?」
ヴェイアの話しを聞いたノーヴェが思ったことを尋ねる。だがヴェイアはノーヴェの質問にかぶりを振る。
「そうでもないよ。『驚異的な防御力』を誇るけど『完全』じゃないし、実体盾だから防げる部分も限られてる。
僕からしてみれば『絶対無敵』や『絶対大丈夫』という事はあるとは思えないんだ」
「これで良し」と言い、端末の操作を終え、片付けに入るヴェイア
「だけど、皆の固有武装を少しでも皆の癖や戦闘パターンに合わせて『絶対無敵』は無理でも『絶対大丈夫』に少しでも近づけるようにするのが、僕の仕事かな?」
ライディングボードの裏の開閉部分を閉じ、ウェンディに返す。
「さて、これでライディングボードの調整は完了。ノーヴェのジェットエッジも外装をPS装甲にするから、後でドクターの所に行ってね」
ちなみに、彼女達の基礎フレームにもPS装甲を使うという提案が出たが、それを実行すると恐ろしく時間がかかってしまうので保留となっている。
「わかった。で、ヴェイアはこれからどうするんだ?ああ、セッテ達の教育か・・・・・体、大丈夫か?」
ここ最近、ヴェイアが休んでいる所を見ない事に、心配をするノーヴェ。ウェンディも同じ気持ちなのか、表情を曇らせる
「心配してくれてありがとう。でも僕は基礎教育だけだから、戦闘(プシュー)に関してはトーレさんが担当してくれるし」
「まぁ、トーレ姉は一種の堅物バトルマニアだからな〜、基礎教育は無理だろ〜」
「そうっすねぇ〜、それは同感ッス!」
「「ハハハハハハハハハハハ」」
二人は声をそろえて笑う。だが、ヴェイアは顔を引きつらせ二人の後ろを指差す。
何かと思い、二人は笑いながら後ろを向くと、そこにはトーレが腕を組んで仁王立ちしていた。とびっきりの笑顔で。
その姿に顔を引きつらせ固まる二人
「(ヴェ・・ヴェヴェヴェヴェイア!なんでトーレ姉がきたこと言わなかったんスかぁ!!!)」
ウェンディが念話で抗議をするが
「(いや・・・僕が喋っている時に扉の開閉音はしたでしょ。『プシュー』って)」
そういえばそんな音もしたなぁと思いつつ、今はこの状況を打破する事を考えるが
「二人の考えはよくわかった・・・・・・これから親睦を深めるために実戦さながらの訓練を行なおうか」
二人の肩を握りつぶすかのようにガッシリと掴むトーレからは逃げる事は出来なかった。
「ぼ・・・僕はそろそろ行きますね」
「ああ、3人とも準備は出来ているぞ。それとこれがおわったら休め、命令だ」
そう言い、笑顔でヴェイアを見送るトーレ、ヴェイアは捕まっている二人の助けを求める視線に絶えながら、
「わ・・わかりました。二人とも・・・がんばって・・・ね」
そそくさと訓練室を後にした。
・機動六課隊舎
:訓練場
ウェンディとノーヴェがトーレにこってり絞られている頃、機動六課ではギンガを含めたフォワード組の午前の訓練が終わり
今は隊長組が訓練室を使用していた。陸専用空間シュミレーターにより、森林にセットされた空間で
「おりゃああああ!!」
「はぁあああああ!!」
気合と共にぶつかり合うヴィータとカナード、上空で数回の激突をした二人は一度、互いに距離をあける。
地上ではそんな二人の戦闘の様子を端末を捜査しながらリインフォースが見ていた。
「アイゼン!フォルムツヴァイ!」『Explosion』
ヴィータはグラーフアイゼンをラケーテンフォルムに変形させ、ジェット噴射により自身を回転させる。そして
「ラケーテン、ハンマァァァァァー!!」
カナード目掛けて突撃を開始する。
回転しながら迫ってくるヴィータにカナードはザスタバ・スティグマトを放つが、ヴィータはその攻撃を物ともせずに突撃してくる。
「うおりゃあああ!!!」
至近距離まで近づいたヴィータは、カナード目掛けてグラーフアイゼンを叩きつける。だが、カナードも黙って喰らう筈も無く
「アルミューレ・リュミエール展開!」
アルミューレ・リュミエールを展開し、ラケーテンハンマーを防ぐ。双方の盾と矛がぶつかり、激しい音と光が辺りを襲う。
「くっ・・・・また・・・硬くなった・・・・な・・」
さらに硬くなった事に苦々しく呟きながらも、アルミューレ・リュミエールを叩き割ろうとするヴィータ。
だが次の瞬間、ヴィータが見たのはアルミューレ・リュミエールごしにザスタバ・スティグマトを構えるカナードの姿だった、そして、
ガガガガガガガ
ヴィータの体をザスタバ・スティグマトの魔力弾が直撃し、ヴィータを吹き飛ばした。
吹き飛んだヴィータに接近し、カナードはザスタバ・スティグマトに搭載されているロムテクニカを振り下ろすが、
「っ・・・なろぉ!!」
ギリギリで防御魔法を張り、どうにかダメージを軽減させたヴィータはすぐに態勢を立て直し、
ロムテクニカの斬撃をグラーフアイゼンで防ぐ。鍔迫り合いとなり、火花が激しく散る。
「ったく・・・あんだけ防御力があるのに、内部からの攻撃は素通りするなんて・・・・インチキだぞ!」
「フッ、そう言うな、展開範囲が狭い事と魔力をやたら喰うというデメリットがある。だがさすがだな、瞬時に防御魔法を張って中和させるとは」
そう言い、カナードはヴィータとの鍔迫り合いを解き、大きく間合いを取り互いに次の攻撃に備える。
「だったら・・・そのアルミ何とか諸共、叩き壊してやる!」
ヴィータはカートリッジをロードし、ラケーテンフォルムからギガントフォルムに変形させる。
「アイゼンの方が壊れないように気をつけるのだな。それと、いい加減名前を覚えろ!!」
突っ込みながらも両腕にロムテクニカを構えるカナード。
互いを見据えた後、二人とも獰猛に微笑む。そしてその直後、上空での激突が再開された。
「だっけど、アルューレ・リュメエールを武器として使用するなんてなぁ〜」
訓練が終わり、遅めの昼食を取るために食堂に向うカナード達。
ヴィータは今回の訓練でカナードが使用した技について話し出した。
「ああ、アルミューレ・リュミエールの強度は知っての通りだ。硬い盾も研ぎ澄ませば強固な刃になる。
お前やシグナムのような接近戦を得意とする相手対策の技だ。それと・・・・・いや、もういい」
名前の間違いを突っ込もうとしたが、途中で諦める。
「確かに、ロムテクニカはナイフサイズで小回りが聞くし魔力を圧縮している分頑丈だ。だがリーチに問題がある、それを改善するための技か?」
今回の訓練を見学してたリンフォースが尋ねる。
「ああ、だが結果的にアルミューレ・リュミエールを使用する技だ。魔力消費に関してはどうにもならん。
だから斬る瞬間にだけ展開させる様にしている。結果的には、まだ上手くいっていないがな」
アルミューレ・リュミエールによる斬撃は、結果的にはアルミューレ・リュミエールを使用してるため、魔力消費が大きい。
それを改善するために、相手を斬る瞬間に展開し、斬り終わった瞬間に解除するという方法を取っていた。
この方法なら展開時間を最小限に抑え、魔力消費も抑える事が出来るが、未だに上手くいかず、
今回の模擬戦では、その隙をヴィータに突かれ、カナードはアイゼンの直撃を受ける事となった。
「まっ、訓練なら暇な時に付き合ってやるぜ、だけど今回はアタシの勝ちだから昼飯おごりな。無論デザート付きで」
「約束だから仕方が無い、リインフォースもどうだ?まだ食べていないのだろう。付き合ってくれた礼だ」
「そうか?なら甘えよう・・・・・デザート付きでいいか?」
控えめに聞くリインフォースに笑いながらOKをし、3人は食堂に向った。
・機動六課デバイス整備室
お昼を少し過ぎた頃、カナードはハイペリオンに関しての相談を六課に滞在することとなったマリーにするため、デバイス整備室を訪れた。
室内に入った所、マリーの姿は見当たらず、データーの整理をしていたシャーリーに居場所を尋ねるカナード。
「出かけたのか?」
「うん、スバルとギンガを連れてクラナガンの医療センターに。何?ハイペリオンのこと?私じゃ不満なの〜?」
ジト目でカナードを睨むシャーリー。マリーほどではないとはいえ、整備は勿論、デバイス関係の事には自身があるシャーリーは少しカチンときていた。
「まぁ、確かにあいつにハイペリオンを見てもらうために訪れたのは確かだ。だが、
俺は腕に信頼が置ける奴にしかデバイスのメンテナンスなどは任せない。今のところはマリーとお前だけだ」
遠まわしに褒められた事に、自然と顔がにやけるシャーリー
「クラナガンの医療センターか・・・・・・分かった、俺から出向こう」
「急ぎの用?マリーさん達ならあと3時間位したら帰ってくると思うけど?」
「ああ、確かめたい事があるのでな。今日は午後から町に出ようかと思っていた所だ、丁度いい」
そう言い「お土産よろしくねぇ〜」というシャーリーの見送りの声を聞き流し、クラナガンの医療センターへ向った。
ここでカナードは偶然知る事となる。スバルとギンガの体のことを
・数時間後
医療センターの駐車場の中を歩くカナードとマリー、スバルとギンガは買い物があるらしく先に医療センターを後にしていた。
二人とも車に乗り、スバルとギンガとの待ち合わせ場所に向う。
「だけど・・・二人の体のことを知っても、あまり驚かなかったね」
車を運転しているマリーが助手席で腕を組みながら座っているカナードに尋ねる
「ああ・・・・ギンガはともかく、スバルに関しては唯の人間ではないと思っていた」
「えっ、どうして?」
マリーの問いかけに、カナードは数秒間を置き、答え始める。
「以前、あいつが高町に憧れを抱いている理由をランスターに聞いた事がある、まぁ、正直唯の暇つぶしだったのだがな。
4年前に起きた大規模な空港火災で取り残された所を助けてもらったのがきっかけだそうじゃないか?」
カナードの問いにマリーは頷き答える。
「ストレートな質問だが、なんでスバルは生きていた?」
「えっ?」
「気になった後で調べてみたんだが、火災の規模は空港を包むほどの規模だった。救助に関しても消防隊の防護服では中に突入する事すらできなかったらしい。
高町達魔道師がいなかったら、かなりの人数が死んでいただろう」
「うん。カナードの言う通りだよ」
「そんな中、スバルは炎上が激しかった中央部分に取り残されていたと聞いた。当時のあいつは子供で、魔法さえ使えなかったそうじゃないか
消防隊の防護服でも危険な熱量に、どうして絶えられた?」
カナードの問いにハッとするマリー
「ギンガならまだ納得がいく。あいつは陸士候補生だったらしいからな、自分で防御魔法を使って耐えることも出来た筈だ。
だが、スバルはそれが出来ない。ここの魔法は『技術』として定着されているから、魔力はあっても基礎も知らない奴が
いきなり魔法を使えるとは思えん。デバイスを持っていたのなら別だがな・・・・・そうなると可能性は絞られてくる」
実際、昔のなのはやはやて、カナードやプレアも基礎は知らなかったが、デバイスのサポートがあったため、魔法が使えている。
カナードが話し終わった後、車内は沈黙に包まれる。数秒後、その沈黙をカナードが破った。
「だが、あいつらはすごいな・・・・・俺が否定して、拒絶した生き方を普通にしている・・・・」
話し終わった後、急に欠伸をする。
「何?寝不足?」
マリーは微笑みながら尋ねる
「ああ・・・・そんな所だ。悪いが六課に着いたら起こしてくれ、それと例の件、無茶だと思うが試してくれ」
そう言い、目を閉じるカナード
「わかったわ、おやすみ」
数分後、待ち合わせ場所に着いたマリーはスバル達を乗せ、機動六課隊舎に向うため車を走らせた。
「あっ、マリーさんにカナード、チョコポット食べます?」
先ほど買ってきたお菓子を二人に勧めるスバル
「あっ、ありがとう。信号が赤になったら貰うね。カナードは寝てるから後のほうがいいかな」
その直後信号が赤になり、チョコポットを食べるマリー。その光景を微笑ましく見つめるギンガ。
「だけど、カナード驚きませんでしたね、私達の体のことを知っても」
スバルがマリーにチョコポットを渡したついでに、助手席で眠っているカナードを見据えながら尋ねる
「うん、私もそう思う。体のことを知っても『そうか』だけだったし、その後『お前達はすごいな』って言ったけど・・・」
「私達の体の事か『すごい』ってことかな?」
ナカジマ姉妹がカナードの言葉に疑問を抱いている姿をバックミラー越しに見たマリーは、カナードの言葉の意味を話し出す。
先ずはあまり驚かなかった理由を話し、その内容に納得をするナカジマ姉妹。そして
「『お前達はすごいな』って言葉の意味だけど・・・・・これは・・・カナードの過去に関係してるの・・・・」
「カナードの・・・・・過去ですか?」
ギンガはスバルを見るが、スバルも知らないのか頭を振る
「そっか・・・・はやてちゃんは話してないんだね・・・・でも良いかな・・・話しても・・・・聞きたい?」
マリーが静かに二人に問いかける。その直後、沈黙が車内を支配する。
「・・・・・聞きたいです」
沈黙をギンガが破った
「正直、カナードの過去に触れても良いのか・・・・抵抗はあります。でも、カナードの言葉の意味を知りたいです」
「私も、ギン姉と同じで、カナードの言葉の意味を知りたいです」
ナカジマ姉妹はしっかりと自分の意思を答えた。
「わかった、じゃあ・・・・話すね。先ずはカナードが異世界の人間ということは知ってるよね?」
マリーの問いに頷く二人
「じゃあ、どんな世界だか知ってる?」
「そういえば・・・どんな世界かは聞いた事が・・・・・・」
スバルの呟きに、ギンガも頷く。
「カナードの世界はね、戦争をしていたんだ・・・・・・普通の人間『ナチュラル』と遺伝子を操作して生まれた人間『コーディネーター』で」
「遺伝子を・・操作ですか?」
「うん、遺伝子を操作する事で容姿や・身体能力、頭脳が高い人間が生まれる事ができるの。男女の識別は勿論、
肌や瞳の色を変えることも出来る。『非人道的だ』という意見もあったんだけどね・・・親は優秀な子供、自分の好みの子供を求めたんだ。
でも、中には遺伝的な病気をなくすために、子供には丈夫で健康に生きていてほしい、そんな願いを込めてコーディネーターにした人もいるよ」
信号が青になり、車を走らせる。
「カナードはコーディネーターなんだ。だけど、人間の母親から生まれたんじゃない、人工子宮を用いて人工的に生み出されたんだよ」
マリーの言葉に驚く二人。
「『最高のコーディネイター』を生み出すために、向こうの世界の研究者達によってコーディネートして生まれたのがカナード。
だけど『先天的能力が理想レベルに達していなかった』という理由で失敗作扱いされて・・・・人体実験とか・・・色々・・・・」
マリーは途中から言葉を発するのを止め、黙ってしまう。
「・・・・酷い・・・・」
ギンガが拳を握り締め、声を絞り出すように呟く。
「そんなの・・・酷すぎますよ!!カナードには・・・・なんの罪も無いじゃないですか!!そんな、大人の身勝手で!!(スバル!」
スバルは感情に任せて叫ぶが、ギンガがそれを止める。
「あっ・・・ごめんなさい・・・・私・・・・」
「ううん、スバルの気持ちは当然だよ・・・・・・続けるけど、良いかな?」
マリーの問いかけに二人は小さく頷く
「そして何年かが過ぎて、カナードはこんな考えを持つようになったんだ。『最高のコーディネイターを倒せば、自分が最高のコーディネイターになれる』って
そのために、彼は自分を鍛えて、実験にも耐えて。兵士として戦うようになってからも戦って、戦って・・・・・そして同時にこう思うようにもなったんだ。
『失敗作の自分の能力は戦う事にしか、生かす事が出来ない』って。正直そんな考えは間違ってるよね、現に本人は今はそんな考えを捨ててる。だけど私は思うんだ。
この間違った考えは、当時のカナードが考えた生きる目的じゃないかって」
マリーの言葉に納得する二人。特にスバルはカナードの過去が最近聞いたエリオの過去と似ている事に気がついた。だが、エリオにはフェイトさんがいたが、
当時のカナードには彼を優しく包んでくれる人はいなかった。そんな中で生きていくには『生きる目的』を見つけなければ無理なのではないか。
「だけどね、そんな考えは間違ってるって、必死になってカナードを説得した子がいたんだ」
そう言い、再び信号が赤になった所を見計らって車内の端末を操作し、ある少年の顔を映し出す。
「プレア・レヴェリー君。カナードと同じ世界の出身の子だよ。歳はエリオやキャロと同じ位だね」
映し出されたプレアの写真を見る二人
「なんか・・・・とても優しそうな子ですね」
スバルが第一印象を言い、ギンガも同意見なのか頷く。
「プレア君はね、カナードの考えや生き方を否定したんだ。『戦うために生まれたわけじゃない』『誰もが何かを決められて生まれたりはしない』って。
だけどカナードも自分の考えを捨て切れなかった。だから二人は戦った。プレア君は自分の思いを伝えるために、カナードは勝利し、自分の考えを確固たる物にするために」
「それで・・・どうなったんですか」
「結果的にはプレア君が勝ったみたい。だけどね、決着が付いた直後、事故が起きて二人はこちらの世界に飛ばされたんだ。なぜ魔法が存在しない世界で次元転送
が起きたのか、原因は未だに分からないけれど。そしてカナードは当時の八神部隊長の所に、プレア君はアースラに転送されたんだ、十年前の出来事だよ」
信号が青になり、車を右折させる。
「はやてちゃん達が大きく関わった『闇の書事件』が起きたのはそれからすぐかな?関係者の所にいた二人はその事件に大きく関わった、最初は敵対して、
最後には協力して、結果は無事に解決。リインフォースさんが今生きてるのも二人のおかげだね」
「えっ、それって・・・・どういうことですか?」
「リインフォースさんは闇の書の管制人格だったんだよ。だから遠からず暴走して、はやてちゃんを苦しめることを知っていた。だから自ら消滅しよとした。
それをカナードが止めて、プレア君が説得したんだ。だけど聞いた話だけどカナードの止め方がすごくてね、攻撃魔法でリインフォースさんを吹飛ばして
無理矢理止めたんだって」
その方法に唖然とするギンガ、だがスバルは妙に納得していた。
ティアナのクロスミラージュの第2形態『ダガーモード』の実戦訓練はカナードが担当している。実際、ナイフのような短剣での戦闘は
シグナムよりカナードの方が慣れており、シグナムも認めている事からカナードが担当する事となったのだが、
いざ訓練風景を見てみると、顔面パンチをするわ、わき腹に蹴りを放つわ、容赦なく斬りつけて服をボロボロにするわ・・・・・遠慮が全く無かった。
だが、ティアナ自身は実戦さながらで、遠慮なく戦ってくれるカナードの訓練メニューには満足しているらしく、今でも続けている。
「暴走に関しても、プレア君が解決手段を持っていて、シグナムさん達のような守護騎士として生きていく事が出来る様になったんだ。だけど
リインフォースさんは消滅を望んだ、『主を殺めることしか出来なかった自分が生きながらえるなど』って、そんな彼女にプレア君はこう言ったんだ。
『王道ではない生き方をしてみてはどうですか』って」
「王道ではない・・・・・生き方?」
「『道なんて自分で選ぶもの。王道ばかりが道じゃない』管制人格という本来の生き方じゃなくて、一人の女性、はやてちゃんの家族としての
王道ではない生き方をしてみてはどうかって、カナードが二人を凄いっていったのは、二人が王道ではない生き方をしているからだよ」
「私達が・・・ですか?」
確認するようにギンガが尋ねる。
「戦うために生まれた戦闘機人という生き方じゃなくて、普通の女の子として生きてる事、運命に縛られない生き方をしている
そんな、自分には真似出来なかった生き方をしている二人を凄いと思ったんだね、カナードは」
マリーは話をいったん区切る。再び沈黙が車内を支配する。
「でも・・・・」
その沈黙をスバルが破った
「私達が王道ではない生き方が出来たのは、お父さんやお母さんがいてくれたからです」
スバルの言葉にギンガもしっかりと頷き
「スバルの言う通りです。父さんや母さんは私達を人間として、自分達の娘として育ててくれた。だから、今の私達がいます」
自分の素直な気持ちを言った。
マリーが運転する車が、機動六課に近づいた頃
「あの、そういえばプレアく・・・プレアさんは今はどうしてるんですか?十年経ってますから今はなのはさん達と同じ歳?」
プレアの話を聞き、一度は会って見たいと思いマリーに尋ねるスバル。だがマリーは沈黙する。そして
「プレア君はね・・・・・・・亡くなったの」
マリーの言葉に声を失う二人
「プレア君もね・・・・普通の人間じゃなかったんだ・・・・クローンだったんだよ。さっきも言ったよね、カナードの世界は戦争をしているって。
彼はある兵器を運用するために、それを使える人物のクローンとして作られたんだ」
マリーは一旦区切るが、二人が黙っているため、話しを続ける
「だけど、プレア君は自分の意思で定められた生き方を、兵器としての生き方を否定した。そして『平和に暮らしたい』『人々の平和な生活を守りたい』
そんな生き方を選んだ。『アストレイ』・・・・・本来の生き方ではない、王道ではない生き方を」
「凄いですね・・・・プレア君は」
ギンガが素直な感想を呟いた。
「だけどね・・・・・・運命って・・・残酷だよね・・・・・・」
マリーは声を絞り出すように話し始める
「プレア君のクローニングは・・・・・不完全だったんだ。だから細胞の崩壊が、とても早くてね。
この世界に来た時に形成されたリンカーコアの魔力によって防いでいたんだけど・・・限界があった」
車内は鎮まり返り、対向車線を走る車の音が車内に響く
「そして・・・・こちらの世界に来て二ヶ月も経たない内に・・・プレア君は息を引き取った・・・・カナードとリンディ提督、ヴィータちゃんが最期を看取って」
「そんな・・・そんなことって・・・・・あんまり・・だよ・・・」
スバルが声を絞り出すように呟く。そんなスバルの肩を抱き寄せるギンガ
「その後、カナードは一度自分の世界に帰ったんだ。プレア君が成し遂げられなかったことを、自分がするために。
そして帰ってきた。だけど、カナードは4ヶ月しか自分の世界にいなかったんだけど、こちらでは10年も経っていたんだ」
「えっ?10年ですか?他次元間での時間の経過は変わらない筈なのに・・・」
『信じられない』と言いたそうな顔をするギンガ
「以前、帰ってきてから直にハイペリオンの整備を頼まれたんだ。その時にね、カナードはこう言ったんだ。
『10年経っても、普通に家族として自分に接してくれるはやて達に会えて、本当に良かった』ってね」
数分後、車は機動六課に到着しようとしていた。
「さて、そろそろカナードをおこさ(起きてるわ・・・・・馬鹿者が」
突然のカナードの声に驚く三人
「え・・え〜っと・・・いつから?」
マリーが控えめに尋ねる
「ほぼ全部聞いていた。隣でベラベラと喋られては寝られん」
カナードは目を開け、窓から見える景色を見ながら言い放った。
「カナード・・・あの・・・その・・・」
何を言っていいのか分からず、言葉を詰まられるスバル
「まぁ、マリーが話さなくても俺から話そうと思っていた。だが、一つだけ約束しろ」
そう言い、後ろを向き、二人を見据えるカナード
「マリーが最後に言った言葉、あれだけは誰にも言わないでくれ。特にはやて達には」
「えっ・・どうして?」
素直に疑問を口にするスバル、だがギンガは意味を理解したのか納得した顔をする
「・・・・・聞くな!分かったな!!」
そう言い前を向くカナードと必死になって笑いを堪えるマリーとギンガ、スバルは未だに理解が出来ず、考えていた。
「あのねスバル、カナードは皆に聞かれるのが恥ずかし(黙れといっている!!」
答えを教えようとするギンガをカナードが大声で遮る。
そんな態度をとるカナードに我慢できず笑ってしまうマリーとギンガ、二人の笑い声が車内にこだました。
・スカリエッティのラボ
:ヴェイアの部屋
「う・・・ん・・・・」
スカリエッティに宛がわれた部屋で目を覚ますヴェイア。大きく伸びをし、こり固まった筋肉を解す。
「時間は・・・・よく寝たなぁ・・・・・・」
自分の睡眠時間に感心した後、のどの渇きを覚えたヴェイアは備え付けの冷蔵庫からスポーツドリンクを出し、飲み始める。
飲み終えたスポーツドリンクを冷蔵庫にしまった時、来客を告げるブザーが鳴る
「はい?どうぞ」
そう言い、ドアの方を向くヴェイア、するとそこにはディエチが立っていた。
「あっ、ヴェイア。やっと起きたんだ?」
「うん、さっきね。もしかして何度か尋ねてきた?だったら悪い事したな・・・・」
申し訳なさそうな顔をするヴェイアにディエチは慌てて手を振る
「何言ってるの、ここの所、ヴェイアは忙しかったんだから休まないと」
ディエチの気遣いに笑顔でお礼を言うヴェイア
「それで、どうしたの?」
「ああ、ドクターが話しがあるって。寝てたら起こす必要は無いって言ってたけど」
「ドクターが?わかった、すぐ行くよ」
そう言い、着替えるために上着を脱ぐヴェイア、だが途中で手を止め、ディエチの方を向く
「あの・・・・・・恥かしいな・・・・・」
控えめに抗議するヴェイアにディエチは顔を真っ赤にして部屋から出て行った。
「待っていたよ、ヴェイア」
ヴェイアを迎えるスカリエッティ、側にはスカリエッティの秘書の役割をしてるウーノがおり、同じくヴェイアを迎えた。
「あの?話というのは?」
早速本題を聞くヴェイア
「ああ・・・・ウーノ、ヴェイアにあれを」
スカリエッティの言葉に頷き、ウーノがヴェイアにある物を渡す
「これは・・・・キャッシュカード?」
「端末に挿して確認してみて」
ウーノに言われた通り確認をしてみる、すると、一生遊んで暮らせるような金額が表示された。
「あの・・・・これって?」
戸惑うヴェイアに、スカリエッティが説明を開始する。
「我々がこれから行なう事は、知っているよね?」
「ええ、管理局地上本部と、機動六課を襲撃するんですよね」
確認するように答えるヴェイア。
「そうだよ、そしてスポンサーである評議会の連中とも縁を切る。結果、私達の目的を成功させても、我々は悪人扱いになってしまうだろう」
淡々と話すスカリエッティにウーノは悲しそうな表情をする。
「だが、君は別だ。君には私は勿論、姉妹達が世話になった、だかこれ以上関わる必要は無いよ。
このお金は感謝の気持ちと思って受け取って欲しい。君まで悪人になる必要は無い」
話しが終わり、沈黙が支配する。
「・・・・・ふざけないで・・・・・ください」
その沈黙をヴェイアが破った。
「僕は、貴方のことを知ってしまった。もし、管理局が発表しているような人物でしたら、協力なんかしませんでした。
ですが、真実は違った。だから僕は協力しています。」
そう言い、スカリエッティを真っ直ぐ見据える
「僕は大怪我をしている所を貴方達に助けられました。正直、最初は恩返しのつもりで貴方達に協力していました。
ですけど、貴方の本当の気持ちを、目的を知ってからは、自分の意思で貴方に協力をしてきました」
そして今度はウーノを真っ直ぐに見据える
「それに、ウーノさん達ナンバーズの皆さんとの生活はとても有意義でした。僕には家族がいませんでしたから、お姉さんや妹が出来たみたいでとても嬉しかったです」
ヴェイアの言葉にウーノは驚くが、すぐに微笑みヴェイアを見据えた。
「ですから、お願いです。僕も協力させてください。貴方の目的を実現するために、ナンバーズの皆さんの様に、僕の力を使ってください!お願いします!!」
ヴェイアは深々と頭を下げた。
「・・・・馬鹿だね・・・・・君は・・・・」
スカリエッティが小さく呟き、ヴェイアを見据える。
「・・・本当に・・・・・馬鹿だよ・・・・・だけど・・・・・・私はとても嬉しい。人に心から感謝をするのは姉妹を除けば君が始めてだ。
ありがとう。これからもよろしく頼むよ、ヴェイア」
嬉しそうに、微笑みながら答えた。
「ヴェイアには・・・・・感謝しないといけませね」
ヴェイアが退室した室内でウーノはスカリエッティに尋ねた
「ああ、彼には勿論、君達姉妹やルーテシア達にもだよ」
そう言い、椅子の背もたれに体を預け、体の力を抜く。
「・・・・・君や姉妹には話していなかったね」
呟く様に、話し出すスカリエッティ
「前に一度、任務中のドゥーエを呼び出して全員をメンテナンスしたことがあっただろう。
あれはね、君たちの体に私の記憶を受け継いたクローンを仕込む筈だったんだよ」
スカリエッティの話の内容に、ウーノが頷く
「ええ、私達ナンバーズの隠された役割として、私やドゥーエのような初期稼動組は存しております」
「実はね、その作業はやっていないんだ」
スカリエッティの発言に驚くウーノ
「ヴェイアに止められたよ、右ストレートを喰らってね。よくよく考えてみたら愚かな事を行なおうとしたものだ。
君達を一つの道具として使用しようとしたんだからね。彼が言っていたよ『彼女達も女性です!彼女達が愛した相手の子供を生ませてください』ってね」
「ヴェイアが・・・・」
「だからウーノ、私は絶対に捕まらない。目的を達成させるまでは、絶対だ!だから改めて頼む、力を・・・貸してくれないか」
ウーノを見据え、尋ねるスカリエッティ
「勿論です。ですが、一つお願いがあります」
そう言い、スカリエッティに近づくウーノ
「私は・・・ドクターのクローンではなく、ドクターの子供を望みます。ですから・・・・私を・・・愛して・・・ください」
二人以外、誰もいない部屋で、二つの影が一つに重なった。
こんばんわです、投下終了です。
感想をくださった皆様ありがとうございました。
職人の皆様GJです。
本当は既に完成していたのですが、今週の放送を見て、書き直しました。
この作品ではスカリエッティの目的を多少変えています。そしてナンバーズは姉妹仲良しルートで進めていこうと思います。
わが道を進むクア姉と出番があっという間だったドゥーエをどうにかせねば・・・・・orz
次はいつになるのやら・・・・orz
GJ!!
しかし、どちらもいい子ばっかりなんだよなぁ・・・
幸せになってほしい・・・
スカがきれいなスカさんに・・・・
>顔面パンチをするわ、わき腹に蹴りを放つわ、容赦なく斬りつけて服をボロボロにするわ・・・・・
ちょwwww
GJ!!しかしこの流れだとヴェイア(裏)
だけが極悪になってしまうw
当然スカとウーノの濡れ場はエロパロ板に投下するんですよね!?
GJ!!このいいスカ博士のいうことなら聞くと言った裏ヴェイアのことだから
彼に非常に都合のいい情報や技術をスカ博士が持ちかけたのかな?ネタバレになりそうだからやめよう。
本編でナンバーズの負け方が微妙なので、負けるとしても納得のいく負け方をして欲しいです。
ノーヴェは接近戦型なのに接近戦で押されたのが信じられないぜ・・・。
でも本編のスカ博士の管理局への宣戦布告は大好きです。
>>高天氏
GJ!
本編もこれくらい相手側の描写があれば……(無印、A'sはやったのに)
本編も高天氏ので脳内変換しときますww
やっべぇ……高い天を行く者さん、べらぼうに面白いから、投下しずらい……
けど、もうそろそろ夏休み終わるから、今のうちに提出しとくのが一番なので、落とさせてもらいます……
第十六話
「君は本当に素人か?」
「え?」
眼下で腕を組む黒衣の執務官へと、キラは素っ頓狂な声で返事した。
「だから、君は本当に素人かと聞いてるんだ」
「えっと、なのはちゃんから基礎は教わって……でも飛翔魔法だけは今日が初めてで……」
「……」
模擬戦もできる広さを持つトレーニングルームにいるのは2人。クロノとキラである。
本局へとキラがやってきて初日。さっそくクロノはキラをトレーニングルームへと連れて行き、現状で出来る事の全てを確認。
初級の魔力の運営や維持や放出、術の構築や展開を完璧にこなすのを見て思わずクロノは唸った。
さらに、初級最後と言っていい難度の飛翔魔法の扱いを教えれば、4時間足らずでキラは自由に空を飛べる始末。
そうして今に至るのだが、本当に魔法も何も知らなかった人間がこんな短時間でここまで出来るものなのか、とばかりクロノは思う。
異常だった。
魔力が、おかしい。
才能が、おかしい。
キラ自身、魔法について理詰めで考えて構築、運営を行うのだが、その演算速度や理解度はデバイスなしにしては異常と言う他ない。
さらには扱う魔力が、変だった。
どう変なのかクロノには理解できないが、感情的に言えばキラにこの赤い魔力が似合わないような気がしてならないのだ。
極めつけは飛翔魔法の会得についてだ。
普通、飛翔魔法を覚えたてのヒヨッコであればただ飛ぶ事だけを考えて高度や視界、姿勢などに気を遣うほど余裕がない。
それがキラの場合、空での動きがかなり堂に入っている。
高度と速度の関係をしっかり把握しているし、魔力だけでなく両手両足の動きによる反作用で姿勢を正し、さらには自分の巡航速度を確認してたりと初めて飛ぶような素人ではしない動きが満載だった。
一応、デバイスなしでもバリアジャケットを構成できるようなので、飛翔中は絶対に着用する事と念を押したのだが、そのバリアジャケットというのも青いラインが入った、白基調のバリアジャケットである。
見ようによっては軍服に近い雰囲気があった。
いろいろと総合してキラを見るクロノは、少なからずキラは戦争に関わっていたようにしか見えなかった。
「クロスケーやってるー?」
初級を全てクリアした、と言って過言ではないキラに休憩を入れようとクロノが指示してすぐだ。
トレーニングルームに入ってきたのはリーゼロッテとリーゼアリアの2人である。
何とも嬉しそうに尻尾をフリフリ、ロッテが大きく手を振って笑っている。
「お!」
ずいっと、ロッテが嬉しそうな顔をキラの顔の前までもってくる。
鼻と鼻がぶつかりそうなその距離に、たじろぎ、赤らみながらキラが退いた。
「この子がキラ=ヤマト君?」
「そうだ。ヤマト、紹介しておくよ、この2人はリーゼロッテとリーゼアリア。僕の先生だ」
「よろしく、あたしがリーゼアリアよ」
「キラ=ヤマトです」
差し出された手を握り、キラはぺこりと頭を下げた。
「っで、あたしがロッテ」
「僕がつきっきりで訓練を施せるわけじゃないから、2人に頼んだ。仕事の合間を縫って、ローテーションのようにこの3人の誰かが君を鍛える事になる」
「はい」
「別に、そうかしこまらなくても構わないよ。楽に喋ってくれればいい。ただし、訓練に手心は加えないが」
「それで、どうなのこの子?」
キラを指差すロッテに、クロノは少し考えた風にして口を開く。
「なかなか出来るがまだ初心者の素人だ」『異常だ。素人と思えないぐらい飛翔に慣れてる』
「まだまだってわけね」『魔力量が多いのは分かるけどね。飛翔はどのくらいのもんよ?』
「これから基本を教えていく事になる」『常に戦闘を念頭に置いた飛び方をするんだ。基本が要らないくらいだな』
「それじゃヤマト君、一回飛んで見せて」
普通の会話と思念通話を併せて行うロッテとクロノの横で、アリアがキラの肩に手を置いた。
一気に人数が増えて緊張したキラだが、問題なく飛翔。
それに合わせてロッテも飛んだ。
「それじゃ、今から鬼ごっこだ」
「え?」
「だから、鬼ごっこ。まずはヤマトが鬼ね。あたしをタッチすればいいって事。そうそう、手で触れても、足で触れてもいいよ」
「はい」
「だからそんなに固くならなくてもいいてクロスケも言ってるだろ。よし、アリア、合図お願い」
アリアの手が挙がる。
今、キラとロッテでは手を伸ばし合えば届く距離である。
ぐっと、キラが中空であるのに足に力を込めた。ただの条件反射だろう。
「スタート!」
「アリア、どう思う?」
「とんでもないわね」
「僕もそう思う」
「魔導師じゃなかったとして、あの子、絶対に空で戦ってた事がある。そうね、例えば戦争」
「同意見か」
地上から鬼ごっこを観戦している2人の目には、ちょうどロッテがキラにタッチを返したところが映る。
噴き出る汗を腕で拭い、肩で息をするキラはもうほとんど余力がない。
それに対してロッテは悠々と空を駆け、動きはスタートから変わらずにのびやかなものだ。
そこは、問題ではない。
問題はこれで、キラが3度目の鬼という事である。
つまり、ロッテが2度タッチをされているという事実にクロノもアリアも驚きを禁じ得ない。
そもそもロッテが鬼ごっこをするとなると、まずロッテは鬼が絶対に捕まえられないようなレベルで飛ぶ。
それも「捕まえられるか捕まえられないかが微妙だ」と鬼に思わせながらだ。
巧妙に相手にレベルの一枚上の飛翔をこなすロッテに、鬼はタッチさせてもらえない。
それがキラには通じなかった。
1度目のタッチまでは、明らかにロッテが手加減しているのがクロノには分った。
本当に、初心者を相手にして鬼ごっこをするつもりで油断したのだろう。
だがしかし、ロッテとて加減こそしているが手を抜いていない飛行なのだから、キラが2回目にタッチできたのは本当に彼の実力だ。
1度タッチされたロッテは、すぐさまキラへとタッチを返し、キラを2回目の鬼にする。
そんなキラの2度目の鬼から逃げるロッテは、この時のキラ相手に実戦レベルのマニューバまで混ぜて飛んでいるのだ。
たまにロッテのバリアジャケットから発生している薄いバリアが、かなり飛行に適した形に整えられたりするのをクロノは見た。
軌道や機動にいくつもフェイントも織り込んで飛んでいたロッテだが、それもキラはきっちり見破って的確な飛行をこなしてロッテをタッチしたのだった。
ロッテの姿勢や自分の位置と速度等々を、かなり精密に頭に入れてキラは飛んでいる。
クロノ、ロッテ、アリア3人共通の思いはただ一つだ。
素人では、ない。
「うん、じゃ、ここまでしようか」
ぴたりと、ロッテが空で急停止。
そしてクルリとキラの方へと転回した。
「う゛あ゛ぁ!?!」
後ろで追従していたキラは、この急ブレーキに遅れが出る。
当然、前と衝突するのだが、
ふに
眼をつむって、顔を守るように突き出した手がOから始まってπで終わる女性に神秘を掴んだ。
心地よいその感触に、キラはそろりと目を開けて( ゚д゚)←本当にこんな顔になった。
「ごごごごごごごごごめんなさい!?」
この鬼ごっこ中最速の動きで手を放してロッテから距離を取るキラだが、当のロッテは小悪魔チックな笑顔だ。
「はは〜ん、ヤマトはお年頃だもんねぇ」
「ごめ、ごめんなさい! そ、そんなつもりじゃ……」
「健全な男の子だもんねぇ。こういう事に興味があっても仕方ないよねぇ」
楽しそうにロッテがにじり寄れば、キラがその分だけ赤い顔であとじさる。
そんな空は、アリアもクロノも「まぁいつものこと」と放置である。
「一連の戦闘記録はアースラから引っ張ってきてるんだろう?」
「ああ、あとでロッテと一緒に見てくれ。特に、トライア=ン=グールハートとリリィ=クアール=ナノーファーについては変身魔法の可能性も、君たちが教えてくれたからな、2回の映像で違和感があれば教えてくて」
「それよりもあたしはリンカーコアについて聞きたいんだけど」
「……不明だ。トライア一行が収集した死者のリンカーコアは、もう相当な数に上るが今のところどう使うのかも、どう使われたのかも分かっていない」
「仕事のしようがないね」
「デュランダルはどうなった?」
「これから組み立てる。と言っても、シュベルトクロイツの修理とレティちゃんのレヴァンティンをロッテ用に調整するために、人が分散して手が足りないわ。
父様はシュベルトクロイツ、マリーはレヴァンティンを担当してるから、デュランダルはあたしとクロノで手分けよ」
「どれもこれも、扱いの難しい特注ばかりだからな」
「レヴァンティンを仕上げるのが一番速いだろうから、それが終わり次第マリーもデュランダルを手伝ってくれるはずよ」
「シャマルに声をかけてみるか」
やる事の多さと、人の少なさにクロノは思わずため息をつくが、管理局では日常茶飯事ではあるのだから、今回は猫先生の手を借りれたから良しとした。
「おーいクロスケベ、食事にしようぜ」
「誰がスケベだ!」
ゆっくりと、ロッテとキラが下りてくる。
今日の訓練はここまでだ。
「ふぅ」
休憩室の一角で、湯気の立つ小さなカップを両手に握りシャマルは浮かない顔。
これまでの経緯ではやての事を思うと心が痛むばかりである。
ヴィータが行方不明になったという発端から今日まで、はやてのストレスは相当なものになっている。
それにシュベルトクロイツが砕けたのが加わり、到底少女が耐えられるようなものではなくなった。
待機命令が出て3日ほどになるが、はやては割り当てられた部屋にずっと閉じこもっている。
食事を運ぶシャマルが見るはやてはこちらが悲しくなってしまうほどの姿だ。
『大丈夫ですよ』
『きっと何とかなります』
いくらでも慰めの言葉が浮かぶが、どれもこれも本人を前にして効果があるはずがなかった。
体力魔力や肉体の傷を治せよるシャマルは、心労まで手が出せない自分が歯がゆかった。
ザフィーラはザフィーラで話をしても、「待機命令の今、俺たちで出来る事はない」と言ってトレーニングルームに引きこもる。
シャマル自身、何か出来るかと言えば何も出来そうにないと思う。
そして、そう思えばふつふつと怒りに近い感情が湧いてくるのだ。
情けないとも、悲しいとも思うが、それ以上に、怒りが湧く。
何も出来ない事と、トライアに。
(見てなさいよ……!)
『大丈夫なように、します!』
『きっと何とかします!』
どう大丈夫にするのか、どう何とかするのかは、現状シャマルで思いつかない。
それでも、大丈夫にしてやろうじゃない。
それでも、何とかして見せようじゃない。
後方支援なんてほっぽり出し、現場に出てシグナムを一発ひっぱたいてからリンカーコアを抜き出したい気分に駆られる。
無論、強さに天と地の開きがあるのだからそんなイメージは夢物語だろう。
しかし、そんな過激な想像をしてしまうほど今のシャマルは現状に憤っていた。
ギュッと、カップを握り潰してしまうほど。
「あっつ〜い!」
中身がぶちまけられ、アツアツの液体が迸れば高音の悲鳴。
「大丈夫かね、さぁ、これを使いなさい」
「まぁ、これはご親切にどうも」
支援
差し出されるハンカチを手に、シャマルが一瞬固まる。
「グ、グレアム提督……お見苦しい所を……」
「元提督だよ、シャマル君」
「あ……えっと、グレアム…さん?」
「はは、その方が気が楽で、いいね」
シャマルの横の席に腰かけて、グレアムがほころんだ顔を見せる。
少し、シャマルは居心地が悪い。
ヴォルケンリッター一同、グレアムに対してまだしこりが残っている。
「随分、怖い顔をしていたね」
「……私が一番、何も出来ないですから、情けなくて」
「……」
シャマルがうつむく。
どうにかして、グレアムと目を合わせまいとしているようだ。
「戦闘技能がなくて、悔しいかね」
「…はい」
長くヴォルケンリッターとして身を置いてきた。
そんなシャマルにとって、補佐し補助という事が彼女の戦いである事はよくよく身に染みている。
それでも、そんなシャマルが戦闘をできない事に歯がゆさを感じて止まなかった。
それだけはやてが好きなのだ。今の八神家が好きなのだ。
「それでは君は君で戦ってもらおうかな」
「…?」
「シュベルトクロイツを修理するのに、手が足りないんだ」
「あ………はい!」
思わず、立ちあがってしまう。
そんなシャマルに、グレアムは微笑むばかりだ。
(何よザフィーラったら、すること、あるじゃない)
終わりです。
今日、私が言える事は、高い天を行く者から勇敢な者へがめちゃめちゃ面白い流れで興奮したということだけです。
高い天を行く者から勇敢な者へさん、GJ!
らき☆きら発動w
双方乙彼!
よくナンバーズがあっさり負けすぎって聞くけどティアナの相手をした3人は
かなーり優遇されてたと思うよ
17話であんな強者セリフ吐いたのにあっさりあぼんなオットーや一瞬でブーメラン破壊された
セッテ、そしてドゥーエなんかorz
>>68 まあ、対策練ったとはいえフェイトを前半あそこまで追い詰めれば、たいしたもんさ。
ドゥーエも相手がオーバーSのゼストだし目的は果たしたんだから、
刺客の最期としたらあれで良いと思う。
ドゥーエは純粋な戦闘用じゃない可能性もあるしな。ウーノもしかり
スカリエッティの計画の完全阻止って12人の胎児をおろすってこと?
それだったら何気に外道になるな。
結局ゼストのフルドライブってなに?
フルドライブは文字通り全力を出すってだけだろ?
なのは達のデバイスにはそれに合わせて形態変化する機構が備えてあるが、ゼストのは多分インテリですら無いからそういうの無いんじゃね
>>68 ナンバーズはデータ蓄積で強化してると思われる(17話の撤退時のトーレのセリフから)
こういうのはデータにないことをされるとたちまち負けるフラグなんだぜ
あの程度のこともデータなしだったのか。
それにそういう展開にするならティアナが知識と経験で機転を利かす描写を入れないと駄目だろ。
あれじゃただのアホだよ。
見返してこい
三人の単調な連携を読み切ってるから一応
フェイトのはデータなくても仕方ないよ
桧山スイングなんて中の人が阪神ファンて知らなきゃ解りようがない
ナンバーズもピンキリってことだろ。
仮にティアナと戦ったのがウーノとかならどうなってたか…
まあ、話数の都合上でどう組み合わせても勝つんだろうけど。
種死より戦闘シーン手緩いな。
「種死以下」って本当にアンチ活動する奴にとって便利な煽り言葉になったよな
まあ、このフレーズ使うだけで発言の説得力がゼロになるという諸刃の剣でもあるが
欠陥人間が造ったものだし、欠陥品だったんだろ。
そもそもあのゼストがやられたのって、部下を庇って負傷してたからだから、万全だったらゼストの勝ちだったのではないか?
その証拠にゼストは瞬殺したし。
戦闘に不向きなシャマルですら、病み上がりのザフィーラとであっさり捕まえたし。
まあ、はやてがユニゾンするかでStrikerSの価値が変わってくる。
しなかったら設定公開した意味すらないし、制作進行がダメな証にもなる。
スカリエッティのクローンはどうやって排除するんだろ。
シンなんかこのやり方には問答無用でキレるんでしょうね性格からして。
雑談なら前スレでやらね?
おとなしく作家を待とう
どっかのアホ共がベルカ式だなんだって騒いだのがStSの戦闘シーンが劣化した最大の原因だな
弱い敵を倒してもつまらん。
さすがに種死以下とは思えないけどね俺は
比較スレでやれ
world公開はまだっすか?
PS装甲を使った打撃武器ってかなり強力だよな。
基本的には壊れにくいし、硬さがあるから貫通力とかも増えるし。
>>90 でもあれ、装甲とは名ばかりのエネルギー消費型のいわば障壁、バリアの範疇だよな
17話出来たので、投下します。
ここ数話は出来るだけタルくないように書こうとしても、詰まらない内容になってしまうのが申し訳ないです。
正直、人に見てもらうようなものかと疑うほど。でも話的に必要ではありますので、出来るだけ詰まらせようとは頑張っています
第十七話
キラの訓練の終了を見計らい、ザフィーラがトレーニングルームに入ってくる。
広大と言えるような巨大な訓練室で、立っていたのはリーゼロッテ1人。
「お、ザッフィー」
「終わった、のか?」
訝しそうにザフィーラが尋ねれば、ロッテが頷いた。
「終わったよ」
「……キラ=ヤマトはどうした?」
「あっこ」
ロッテが指さす方向に視線を回せば、ザフィーラが目の当たりにしたものはボロ雑巾のようにボッコボコにされて転がされ、ピクリとも動かない機動戦士ガンダムSEEDの主人公。
死人より死んでいる。
「ほら、鉄は熱いうちに打てって言うし?」
「………」
正直、身内がとんでもない危険にさらされている中で「記憶」と叫んで事件に乱入してきたキラ=ヤマトにザフィーラは悪印象しかない。
それが今日、少しだけ応援したくなってしまった。
「それじゃ、空いたし使っていいよ」
「待て」
片足を掴んでキラを引きずろうとするロッテに、ザフィーラは制止をかける。
「少し付き合ってもらいたい」
「ん〜、御誘いかにゃ〜」
ねっとりとした蠱惑的な笑顔で唇を舐め、ロッテはいったんキラを置いておき、ザフィーラへと身を摺り寄せた。
『ヤマト君はどうもデバイスと相性が悪いな』
『うーん処理のほとんど自分でしなきゃならないけど、これはもうデバイスなしで鍛えるのが良いんじゃない?』
『そのようだ。やれやれ、こんな所で君たちを呼んだメリットになるとはな』
キラ=ヤマトはデバイスとあわない。
訓練を開始してすぐに判明したのがその事実だった。
使える事には使えるのだが、訓練中、明らかに使っていない方が動きが鋭い。
ほとんどの魔導師がデバイスに防御や飛行を任せるのに対し、キラの場合自分でそれらを処理をしたがる傾向がある。
それならばとそれほどデバイスに頼らぬリーゼ姉妹はそのままキラを鍛練し始めた。
デバイスなしの場合、ほとんど自分の肉体を強化して近接で戦う者が多い。
だが、稀有な事にキラは魔力を強く放出できる性質ゆえどの距離でも戦えるようだ。
ミッドチルダの術とかなり相性が良い。
トリガーアクションによる赤い魔力のビームと、高出力での赤い魔力のサーベルがキラの武器なのは変わらないが、今では一発一発に凝縮した魔力を込められるようになっており、段違いの威力が実現している。
アリアと、ヒマを見て一度だけ顔を出してくれたなのはの教えで魔力の扱いがどんどん上手くなっていた。
問題は、経験だった。
眼はいい、頭はいい、勘もいい。
そして軍人として通用するほどの体の頑丈さなのだが、経験がない。
空戦や戦争の経験があっても、魔法戦の経験が、ないのだ。
と、言うわけで実際に殴る蹴るの戦闘訓練が特に多いロッテを相手にすると、もうホンマ可哀そうなぐらいズタズタにされるのだった。
(あ…何か前にもこんな事あったような……)
砂浜。
走る。
夕焼け。
ばてて。
片目に傷を負った誰かが笑っていた。
――ザフトのしごきに耐えられるかな?
(耐えます。自分で積み重ねた高さの尊さが、ラウ=ル=クルーゼにありましたから……僕も…僕だって)
――今日はここまでにしようか
(まだやれます……)
――俺はひとあし先に戻ってコーヒーでも淹れておいてやろう
(……はい)
今と、似たような状況。
今と、似たような状況。
ロッテにボロボロにされたように、誰かに自分から頼んで鍛えてもらった記憶。
誰だ?
名前は?
バルト――――
そこで目が覚めた。
(あれ……? 今、何か思い出したような……)
ぼんやりと今見た夢、記憶の断片を思い出そうとしたキラだが、仰向けのままの彼の目に飛び込んできたものに心を奪われてしまう。
それはデバイスがなくともこれほどの事が出来るのかと思わせられる戦い。
ほとんど全力のロッテとザフィーラの戦闘訓練に、キラは魅入った。
せっかく思い出した記憶のかけらも忘れ去り、ただその戦いに魅入った。
ロッテとザフィーラに芽生えたのは憧憬か、嫉妬か。
(僕も……僕だって……)
また意識が落ちていく。
獣たちの戦いを目に焼きつけながら。
まだ痛む体を引きずりながら、キラがやってきたのは無限書庫。
最古から最新まで、数多の知識は発展途上のキラの大きな助けとなる。
ロッテとクロノは口をそろえて「習うより慣れろ」と訓練ではとにかくキラを戦わせるが、アリアの場合はここでの書物を用いた授業になる事が何度かあった。
「あ、ユーノ君、これ返しに来たよ」
「ヤマトさん、お疲れ様。それじゃ、次のメニューに必要なのはこっちとこっちですから」
なので、随分とユーノの世話になっている。
話が通っているので、次のアリアの授業までに必要な予習教本は毎度毎度ユーノから受け取っているのだ。
「大変ですね。こんなに根詰めて大丈夫ですか?」
「うん、健康なのが取り得みたい。最近、自分で自分の体が頑丈な事、分かってきたんだ。それに……」
「それに?」
「空、飛ぶの好きみたいなんだ、僕」
照れを交えて苦笑するキラに、ユーノはなのはを思い出す。
空が似合う、女の子。
ユーノは飛んでいるキラを見ていないが、空が似合いそうな気はする。
「なのはから、聞いてます。暇があるとぼーっと空を見てたって」
「そ、そうだっけ……」
ますます照れて赤くなるキラが、なのはの師事を得ている事は初対面の折に語りに語った事だ。
アリアからユーノを紹介してもらっての第一声が『あ、なのはちゃんの魔法の先生の!』である。
以降、キラは師匠の師匠に対して良好な親交関係だ。
「アリサからも聞いていますよ。食事中もしょっちゅう空を見てたって」
「!」
「そうそう、ザフィーラも空を飛ぶのは上手い方だって言ってましたよ」
真上から降ってきたその声と声に、思わずドキリとする。
見上げれば、上層からいくつかの本を抱えた女の子と、女性。
フェイトとシャマルだ。
「フェ、フェイトちゃん……あの、アリサちゃん、元気?」
「ちょっと怒ってました」
「………」
「ふふ、だから早く「ただいま」を言いに帰らなきゃダメですね」
ピンク色のリボンでくくった髪が揺れた。
やはりフェイトとも、なのはという接点からキラは気軽に話が出来るような間柄になってこれた。
話と言っても、現在のクルーゼやトライア、リリィ、シグナムとヴィータといった捜査や仕事の内容ばかりだ。
だが、そんな殺伐とした会話の合間に、学校の事や家族の事を話す時のフェイトはどこまでも可憐で普通の女の子を感じさせた。
「まぁ、女の子を待たせてるんですか、ヤマトさんってば」
「ち、違います……!」
「でもアリサちゃんみたいな気の強い子だと、ヤマトさんと結構……」
「あ、わたしもそう思う」
そしてシャマルとは、トレーニングルームにてザフィーラとセットで出会う率が多く、寡黙なザフィーラに代わって会話をしているといった成り行きだ。
実を言うと、当初シャマルはキラに悪印象しかなかった。
身内が(以下略
だが何度も顔を合わせ、クロノやリーゼ姉妹から話を聞いたり、トレーニングルームでのひたむきな姿を見てるうち、そういった気持も薄れていった。
なんだかんだ言って、参謀役のこのシャマルと言う人格は情にもろいのだ。
ただし悪感情は薄れているだけ、実ははやてが沈んでいる現状に情けなさや憤りを感じた時その憂さ晴らしに、
トレーニングルームでクロノやロッテにズタボロにされてるキラに「あ、ヤマトさん、ボロボロですね。治して上げますよ!」
→「よし、じゃ、訓練の続きをしようか」→キラボロボロ→「大丈夫です! 治しますから!」
→「よし、じゃ、訓練の続きをしようか」→キラズタボロ→「治す」→「続き」
→ボロ雑巾→…→…→…
といった意地悪をする程度の負の感情がキラに対して残っている。
「そうそう、ユーノ君、ヤマトさん、時間空いてるかしら? フェイトちゃんと、はやてちゃんと一緒に食事しようと思ってたんだけど、お2人もどうかしら」
しかしそんな意地悪も今はなりをひそめているのだから、シャマルは奇麗な笑顔を振りまくばかりだ。
いくらかシャマルと親しくなってから、キラは女の子を紹介された。
はやてだ。
以前クルーゼと接触した時に、血まみれのザフィーラを抱きしめていたのをよく覚えている。
その時から2週間ほど経っているのだが、虚ろに沈んだ雰囲気が拭いきれていなかった。
これでも部屋を出たり人と会ったりしているだけ随分マシになったとシャマルは言う。
マシになったのを機に、シャマルははやてに次々といろいろな人間と食事させたり話し合わせたりする席を設けた。
フェイトやなのはを始め、マリーやレティといった面々とまではやてと触れ合わせている。
ほとんどの人間は、はやてを慰めたり励ましたりして元気づけようとしてくれて、はやても徐々にぎこちなくだが笑顔を返せるようにはなった。
例外的に、レティにはきつめな口調を叩きつけられたが、それはそれではやてに前向きになって欲しいという心底が垣間見えたりもした。
もっとも顕著にはやての様子に変化が見られたのは、グレアムが見舞いに来た時だった。
シュベルトクロイツの修理にグレアムが関わっていると聞いた時、はやては自分もします、と身を乗り出したが、それをグレアムはやんわりと制して、今は心の整理をしておきなさい、と座らせた。
退かないはやてだったが、結局グレアムはシュベルトクロイツの修理にはやてを参加させなかった。
それから何度もグレアムが見舞いに来たが、多くの言葉でやりとりはなかった。
むしろグレアムは黙り、はやても喋らないという時間の方が長かったと思う。
ただ、決まってグレアムが来た後のはやては真剣な表情で考え事をする。
その時のはやてには、悲愴の色はなかった。
「はやてちゃん」
はやての部屋。
ノックをすれば、すぐに返事は返ってきた。
シャマルたちが入室すれば、顔を上げるはやて。うつむいていたのだろう。
元気が満タンなはやてを、キラは見た事がない。
だから、少しでも早くはやてが元気になるようにと、はやてに語るのは居候させてもらっていた時の元気なアリサの話ばかりだった。
キラ=ヤマトの訓練が開始されて半月ほど経った頃合いだろうか。
アースラのブリッジでクロノは渋い顔して、エイミィの手元に備えられているコンソールを眺めていた。
クルーゼやトライアが出現した場所の分布の表示だ。
ここ最近は、特に第97管理外世界とその周辺世界に集中している。
ここ2週間ほど、トライアたちとの接触こそ成せていない管理局側だが、どこに出現してどんな事をしているのかはいくらかモニタリングが出来ている。
相変わらず、文明レベルがない世界ではリリィたちはリンカーコア集めに精を出しているのだが、どうも第97管理外世界、地球では毛色が違っている。
地球以外の場所では、リリィらはクルーゼが現れた時イの一番に、逃げを選択しているのだが、地球ではいくらかの抗戦を交えて時間をかせいだり、ある時はクルーゼを追い払ったりしている。
間違いなく、地球に何かがある。
この2週間、トライアとクルーゼの追いかけっこを眺めていてようやく分かったのが、その程度であった。
「……隠してる、のかな?」
「何を?」
「う〜ん、何をと言われると、分らないけどさ」
エイミィの呟きを拾うが、実はクロノも同じ思いだ。
リリィがクルーゼに対して、癇癪を起すように「偽物」と連呼するのだが、地球では特に暴れ方が顕著だ。
トライアなどは上手く立ち回るのだが、リリィの場合は子供が何かを隠しているようにも、見えなくない。
「しかしアースラが衛星軌道上にあるのに、何をどう隠せるって言うんだ?」
「海」
「……」
しばし、クロノが考えに集中する。
エイミィの言うとおり、実は魔力を扱う時に海が隠し場所や隠れ家としてかなり有効だ。
ジュエルシードが海の底に沈んでいた時、正確な場所が分からずにフェイトが無茶したのもこれが大きな要因だ。
海の水深は下手をすると一万メートルなどが有り得るのだから、宇宙などと言う遠方で待機するアースラでは、リリィたちに隠している物があったとして、それを掴めるはずがないだろう。
「……成程な」
「うん、もう一回いろいろと洗いなおしてみるよ」
「苦労をかけるな」
「人手が足りないのはいつものことだしね。そうだ、ヤマト君とかに手伝ってもらえないかな?」
そこでクロノがだんまりを決め込んだ。
難しい顔だ。
「……えと、クロノ君、そんなにダメダメなのかな、ヤマト君って」
「逆だ。戦闘に関してだけ言えば、天才としか言いようがない」
クロノと付き合う限り、エイミィが初めて聞く単語だった。
天才。
はやてにさえ、その呼称をクロノは使わなかったのだからこれにはエイミィも驚いた。
話をする限り、気弱で普通な男の子にしか見えないが、クロノをしてこう言わせれば本物だろう。
「まるで戦うために生まれてきたような奴だ。性格が気弱で臆病な所があるから、好戦的で熱くなる輩より厄介だな」
「そうなの?」
「そう言う奴は後ろも見る。前後を見て戦う奴は、やりづらい」
「それ、クロノ君じゃん」
「そう教えられたからね」
「ふ〜ん、つまりヤマト君はクロノ君の課題を順調にこなしてるんだ」
「………」
また、クロノが黙り込む。
『戦える事』
クロノはこれを条件にしたわけだが、実はキラはこの条件をほとんど満たしてしまっている。
もう並の魔導師レベルと遜色ない。
ただ今回の事件のレベルを考えれば、まだキラには荷が重いのは確かだ。
あのシグナムたちを切り抜けられる強さには、才能ではなく時間がいる。
つまり、戦えない、とキラには言える。
クロノはキラを現場に出すつもりなどさらさらないのだった。
しかし、いくらクロノがそう思っていても、キラの面倒を見ているのは、3人だ。
例えばの話をしよう。
クロノではない誰かがキラの訓練を請け負っている時、その人物が「戦えるだろう」と判断した時、キラは現場に出てしまう。
その例え話について、クロノは思いもよらない。
思いもよらなければならないのに。
終わりです。
他の作家さんが来るのが待ち遠しい内容ですね!
orz
>>失われた者たちへの鎮魂歌氏GJ!!
ズタボロにされていくキラに合掌。
シャマル先生が怖い……。
続きまして、
魔法少女リリカルなのはクロスSEED第7話前半投下宜しいでしょうか?
進路クリアー!!
魔法少女リリカルなのはクロスSEED
第7話「すれ違い…思い悩む少女達、なの」
次の日の夜。
海鳴温泉から帰ってきた高町家一行。
「キラ君、ただいま〜」
「あ、おかえりなさい。皆さん」
「留守の間、何も無かったかい?」
「はい、特には」
一人、夜に来た少年のことがあるが、まああれは話さなくてもいいだろうと思い、
キラは昨日の出来事を胸の中にしまっておいた。
「……」
そして高町家の次女、なのはの顔色はなんだか落ち込んでいた。
「……なのはちゃん?」
「あ、た、ただいま、キラ君」
「おかえり、なのはちゃん」
ずっと何かを考えている様子のなのははそのまま早足で階段を上がっていく。
(ユーノ、何があったの?)
なのはには聞こえないように念話でユーノに語りかけるキラ。
(はい、それが……)
旅行の夜、出現したジュエルシード。
それをこの間の少女に先に封印された上に、お互いのジュエルシードを掛けて勝負した結果、
敗北し、一つジュエルシードを奪われてしまったという。
(そんな……どうして僕を呼ばなかったの!)
(それが……昨日はあの人……アスランさんがいなかったんです。だから僕達だけでも何とかなると思って……)
(アスランが……)
(すみません……僕の判断ミスです……)
しゅん、と首をうなだらせ落ち込むユーノ。
(いや、過ぎたことを言ってもしょうがないよ。次を頑張ろう、ね?)
ポンとユーノの頭を撫でるキラ。
(それより気になるのは……)
チラと視線を階段へと向ける。
(なのはの様子……ですね)
(ずっとあの様子なの?)
(はい……負けたことがよっぽど悔しかったんでしょうか……)
(……)
だが、キラは感じていた。
あの表情は何かを考えている表情で、悔しいとかそういうのじゃない。
(わからないけど……今はそっとしておいてあげよう)
(はい……)
「ただいま〜」
「ただいま」
フェイトとアルフが帰ってきた。
「ああ、おかえり」
リビングにいたアスランは二人を出迎える。
「何か変わった事とか無かったか?」
「それがさ〜温泉先であのフェイトの邪魔してるっていう女の子に会ったんだよ」
アルフの言葉で脳裏に浮かぶ白い服の少女。
「じゃ……キラもいたのか?」
確かキラはあの子と一緒にいる筈。
「いえ、あの人はいませんでした」
「いない?」
「はい」
淡々と答えるフェイト。
「……そうか」
なぜキラはいなかったのか?その疑問を考え始めていたが、
「それからのフェイトはすごかったんだよ!」
空気を読まない使い魔は興奮気味に話し出す。
その夜出現したジュエルシードを封印しただけでなく、互いのもっているジュエルシードを一つ掛けて勝負し、
見事フェイトは白い服の少女に勝ってまた一つジュエルシードを手に入れたという。
「そうか……君はすごいな」
「えっ?」
あっけに取られたような表情をするフェイト。
「いや、俺もまだまだ君には勝てそうに無いってことだ」
ひょいっと二人の鞄を持つアスラン。
「晩御飯、まだなんだろ?今から作るところだから、先に風呂にでも入っていてくれ」
そういって鞄を持ってフェイトの部屋へ行くアスラン。
「アスラン」
「ん?」
不意に呼び止めるフェイト。
「……何か留守の間ありましたか?」
「……いや、特に何もなかったが?」
「そうですか……」
「どうかしたか?」
「いえ、何でもありません」
「?そうか」
振り返り、アスランは歩いていく。
フェイトは感じていた。
温泉に行く前と帰ってきた後で、アスランの中で何かが変わったような、そんな感じがした。
だからといっていきなり何か変わったとは聞く事も出来ず、あの質問をしてみたが、何も無かったという。
ならば、一体何が彼を変えたのか。
その疑問を抱きながら、フェイトはバスルームへと向かう。
数日後。
カランカラン。と翠屋のドアが開く。
「いらっしゃいませ〜!……って、あれ?」
ドアをくぐり入ってきたのは、
「いらっしゃい、アリサちゃん、すずかちゃん」
なのはのクラスメイトで友達のアリサ・バニングスと月村すずかであった。
「あれ?なのはちゃんは?」
いつもなら三人で入ってくるはずなのに、今日に限っては二人だけであった。
「なのはちゃんは、今日は掃除当番なので……」
キラの疑問に答えるすずか。
「そうなんだ」
だが、その返答では納得いかなかったキラ。
三人の仲の良さはよく知っていた。だから掃除で遅くなるのなら終わるまで待ってあげるだろうと考えていた。
そして今まで黙っていたアリサが口を開いた。
「あの……今日はキラさんに相談があってきました」
「相談?」
「はい」
その相談については何となく予想がついていた。
「はい、二人ともオレンジジュースでよかったかな?」
「あ、すみません」
「いいよ、お代は僕が」
コトと置かれる二つのオレンジジュース。
並んで座る二人の向かいに座るキラ。
「それで、僕に相談って?」
すずかが最初に口を開く。
「実は……なのはちゃんの事なんです」
やっぱり。
キラの中での予想は確信へと変わった。
「最近何話しても上の空で、何か悩んでるのって聞いてもなんでもないよとしか答えてくれなくて……」
「……」
なのはの考え事は学校にだけではなかった。
家にいる時も、同じ様にぼーっとしていることが多々ある。
「悩んでるが見え見えなのに……でもあの子は何も話してくれない……」
アリサが下を向きながら言葉を出している。
「少しは役に立ってあげたいのに、どんな事だっていい、何も出来ないかもしれない……
でも、少なくとも一緒に悩んであげられるのに……!!」
悔しそうに、一言一言を吐き出すように話す。
その様子がたまらなくなって、キラは
ポン。
「え?」
突然のことに頭を上げるアリサ。
キラの出した右手はアリサの頭の上にあった。
「……アリサちゃんはなのはちゃんの事が大切なんだね」
「……はい」
「友達が困っているのを、ただ見てるしか出来ない自分が嫌で嫌でしょうがないって思ってない?」
思っていることを言い当てられたアリサは一瞬驚いた表情をする。
「……はい」
「でも、そんなに自分を責めちゃダメだよ。そんなアリサちゃんを誰も見たくないはずだよ。
すずかちゃんも、なのはちゃんも……」
ね?と意味を込めたの視線をすずかへと送るキラ。
「は、はい!」
沈んだ顔が一気に笑顔へと変わるすずか。
「……なのはちゃんが何を悩んでいるのかは僕にもわからないけど、でも確かに最近は考え事をしているのが多くなったのは僕もなんとなく気付いていた」
キラはまた嘘をついてしまった事に心を痛める。
「何も出来ない事に怒るのもわかるけど……」
なのはが何を悩んでいるのかは、ある程度の予測がついていた。
だが、この子達には話すことは出来ない。
だから、今僕に出来ることは……
「でも、自分を責めないで」
こんな言葉を送ることしか出来ない。
「……はい」
アリサの顔を見て、さっきより大分いい顔をしたのを見て頭から手を離す。
「僕の方からもそれとなく聞いてみるよ。僕が言っても何も話してくれないかもしれないけど……」
「お願いします」
それからすぐに、二人は翠屋を後にした。
最初迎えに来てもらうはずだったのだが、両方とも都合が悪く仕方なくバスで帰ることに。
「バス亭まで送っていこうか?」とキラが申し出てきたが、これ以上仕事の邪魔を出来ないので、
「いえ、バス亭までですから」とお断りした。
バス亭まで歩く二人。道中、会話はやはりなのはの事に関してだった。
そうして話していると、
ドン。とすずかが誰かにぶつかった。
「キャッ、す、すみません」
とすずかは謝ったにも関わらず、相手の中学生と思われる男子の反応は、
「何処見て歩いてるんだよ、ガキ」
その言葉で、今まで募っていた怒りの導火線に火がついたアリサ。
「ちょっと!今のはアンタがすずかにぶつかってきたんじゃない!!」
ただでさえなのはとのことでイライラしていたのに。
「ああ?なんだこのガキ!」
「生意気なガキだな……」
「ちぃっと痛い目見ないと分からないかな〜?」
ガラの悪そうな四人にあっという間に囲まれる二人。
「ア、アリサちゃん……」
すずかは今にも泣きそうな顔でいた。
「状況的にちょっと不味いかな……」
一人ならまだ何とか逃げる事も出来たけど、流石に四人もいたら逃げる事すらままならない。
段々落ち着いて冷静になった今はちょっと自分の言動に後悔しそうになったのだが、
悪いのは向こうである。という意思だけは失ってはいなかった。
アリサはすずかを庇う様に後ろへと回す。
そして後ずさりしながらあっという間に壁まで追い詰められる。
「生意気なガキにはお仕置きが必要だよなぁっ!!」
振り上げられる腕。
殴られる!そう思い目を瞑るアリサ。
だが、何も起きない。本来ならとっくに拳が飛んできてるはずなのに。
恐る恐る目を開けてみると、
振り上げた手が目を閉じる前と同じ位置にあり、よく見るとその手は誰かに掴まれているようだった。
「だ、誰だてめえ!?」
掴まれた手を振り払い、少年は振り返る。
すると少年の後ろにいたのは、
「やめないか」
藍色の髪をなびかせて、翠色の瞳を持った青年がそこにいた。
「んだと!」
「てめえも殴られたいのか!!」
そういい少年の一人がストレートに殴りかかってくるが、青年はいとも簡単に避ける。
「こ、この野郎……」
「全員でかかれ!!」
四人が一斉に動く。
だが、繰り出される攻撃を全て見切っているような動きで青年は回避する。
「こ、こいつ……!!」
誰の目にも分かること。目の前の青年は強い。それも半端なく。
「野郎っ!!」
背後から襲おうと画策した一人だったが、
スッと避けられ、足を引っ掛けられる。
「うわっ!!」
そして青年の目の前の一人にぶつかって倒れる。
同じ様にもう一人も足を引っ掛けられ、全員倒れる始末。
「痛ぇ……」「くそ……」
それぞれ苦痛の表情を浮かべる少年達
「……まだやるか?」
倒れた四人を下から見下ろすように睨む青年。
「ひっ!!」
その鋭い眼光に怯む少年達。
そして逃げる様に去っていった。
見えなくなるのを確認して、アリサとすずかはホッとした。
すると青年はこちらを振り返り、こちらに歩いてきて、目の前でしゃがむ。
「……怪我は無いか?」
いきなり発する言葉にすぐに返答できなかった二人。
「え?あ、はい」
「そうか、ならよかった」
二人の無事を確認した青年は立ち去ろうとしていた。
「あ、ま、待ってください!!」
「?」
すずかの言葉に立ち止まる青年。
「あの……助けて頂いて、ありがとうございました」
ペコと頭を下げるすずか。
「……ああいう奴らはどこにでもいるものだ。これからは気を付けた方がいい」
「待って」
「?」
次に呼び止めたのはアリサの方だった。
「その……助けてくれてありがと……あんたが助けてくれきゃ、今頃……」
自分もすずかもひどい目にあっていただろう。そう考えるだけで身震いがする。
だが、それは心の身震いだけでなく身体も小刻みに震えていた。
それを見た青年は、ポンとアリサの上に手を乗せる。
「……え」
「もう大丈夫だ、もう怖くない」
その言葉だけで、身体の震えは止まった。
たったそれだけの言葉だけど、不安は無くなった。
「じゃ、俺はこれで……」
「あ、あの!何かお礼を!」
「……俺に関わらない方がいい」
「え……?」
その言葉の意味が分からずキョトンとするアリサ。
でもこっちとしてもまだ引き下がれない。
「だ、だったら、せめて名前だけでも……」
ピタと立ち止まる青年。
そして数秒程無言の空気の後、
「…………アスラン」
「え?」
「アスラン・ザラだ」
自分の名前
そして今度こそ青年、アスランは去っていった。
「……」
「アリサちゃん?」
ぼーっとアスランが過ぎ去っていった方向を見つめるアリサ。
「……あのアスランって人」
「さっきの人?」
「……何となく何だけど……」
「?」
「…………キラさんに似てる気がした………………」
夕刻。
「う〜ん♪こっちの世界の食事も……まぁ、なかなか悪くないよね…モグモグ」
「……」
「ん?どうしたんだいアスラン?そんなげんなりして」
「いや、気にしないでくれ……」
そりゃ目の前でドッグフードを口の中にかき込んでる姿を見ると誰だって食欲も失せるというものだ。
「……」
カタと席を立ちフェイトの部屋へと向かうアスラン。
彼には少し気になる事があった。
部屋に入ると、フェイトはベッドで横になっていた。
机の上に置かれた食事はほとんど手が付けられていない。
「……また食べてないのか?」
「少しだけど、食べたよ」
少しというよりは極小だろう。減っているのはせいぜいスプーン何杯分程度ぐらいのものだ。
「……ダメだぞ食べないと」
「大丈夫」
そういってベッドから立ち上がるフェイト。
「そろそろ行こう。次のジュエルシード探しの大まかな位置特定は済んでるし。
それに……」
「?」
「母さんをあんまり待たせたくないし……」
「……そうだな」
この子は母親の為にこんなに頑張っている。
ああ、この子は本当にプレシアの事が好きなんだな。
「アルフが食べ終わったら、行こうか」
見るとまだリビングでドッグフードを食べているアルフ。
本当に食欲のなくなる光景だ……。
「……その前に」
「?」
カチャと食器を持ち立ち上がるアスラン。
「向こうで一緒に食べるとしよう」
「わ、私はもう」
「広域探索の魔法はかなり体力を消耗するんだろう?だったら少しでも食べておかないと、
封印の時に何かあっては困るからな」
「……」
アスランの言っていることはもっともだった。
広域探索の魔法はかなりの体力が削られる。その上、フェイト自身ロクに食事も取ってないし休息も取っていない。
「ほら、行くぞ」
「……はい」
アスランの根気に負けたフェイトはしぶしぶリビングに赴き、食欲が失せる光景の中食事を取る羽目になった。
同刻。
翠屋はどこも席が一杯になっていた。
この時間帯は一番ピークになるので誰も彼もが世話しなく動いている。
その翠屋の厨房の洗い場にいる二人の男女。
一人は高町家の長男、高町恭也で、もう一人はすずかの姉の月村忍である。
二人揃って翠屋のエプロンを着けて臨時バイトをしていた。
「ねえ、恭也……なのはちゃんの事なんだけどさ……」
「?」
手を動かしながら忍が恭也に話しかける。
話というのはなのはについての事だった。
恭也自身も気付いていたが、最近のなのははよく考え事をしていることが多くなった。
それに比例して夕方や夜の外出も増えている。
その事に関して忍自身も気にしてくれているようだった。
「お節介かもしれないけど、ちょっとお話聞いてあげてもいいかな……?」
「それはありがたいことだが、多分何も話さないと思うんだ」
「……私じゃダメかな?」
「ああ、違う、そうじゃない。忍には話さないってことじゃなくて、多分誰にも話さない。
あれは昔から、自分一人の悩み事や迷いがある時はいつもそうだったから……」
「そうなんだ……」
「まぁ、あんまり心配はいらないさ。きっと自分で答えに辿り着くから」
「……そっか」
「それに……」
チラと厨房から店内へと視線を移す恭也。
それにつられて同じ方向へと視線を向ける忍。
その視線の先には、いそいそ走るキラの姿が。
「その件に関しては、キラに任せてあるから」
あの日の朝、キラと交わした約束を恭也は覚えていた。
「だから……大丈夫」
自分でもわからないけれど、あの少年と出会って間もないというのに、なぜか信じてしまう自分がいる。
そんな自分をふっと笑う恭也だった。
支援
すいません、規制に引っ掛かりました……ともかく以上で前半投下終了です。
後半はまた明日に……ではおやすみなさい
あの、すみません、ウィキだから誰でも編集して良いだろうと思って、
勝手にまとめページでまだ乗ってなかった話編集しちゃったんですけど、
履歴見て凄い同じ人が編集しててちょっとビビッてます。
もしかして勝手にさわっちゃダメだったんでしょうか?
>>114 ウィキ編集してる物ですが、編集してもらっても大丈夫ですよ
113
恭也はキラのことを信じているんですね。
後編も楽しみにしています。
こんにちはです。
いつもの朝の投下予告ではなく昼の投下予告です。
多分、3時には投下を始めますがよろしいでしょうか?
職人様方GJでございます。
職人様方のを見てると自分のに自信がなくなっていきそうで怖い(−−;)
それでは、3時にw
>>117 楽しみにしていますよ。
それと、もっと自信を持ってもいいと思いますよ。
クロスSEED氏GJ!
続きにwktkしてる
そして、恭也とキラの組み合わせで
恭也「貴様を断罪する!」
キラ「やってみろ!」
なのは「夢を、夢を見ていました……」
な進化するアニメを思い出した俺はちょっと吊ってくる
>>113 GJ!後半にwktkしてる
>>117 もっと自信を持ってもよいんでは?
俺はあなたの作品好きですよ。
>>119 スク○イドかよwwまぁあれは名作だったけどな
>>115 どうも、ありがとうございます。
めちゃくちゃ安心しました。
>>117 こちらも期待してます。
1期好きなので、「あぁ、当時はそうやったなぁ」と懐かしみながら読んでます。
第七話:まなざしの先なの
「なるほど、それが時空管理局なわけだね」
キラは二人から時空管理局についての説明を受けていた。
時空管理局は数多に存在する次元世界を管理・維持する為の司法機関。
今回のジュエルシードの反応を察知して、それの問題解決のために来たということらしい。
「ともかくそれに見つからないようにジュエルシードを集める必要があるわけか」
「難しいと思う、でもやらなくちゃいけないから」
「分かった、僕も全力でフェイトちゃんたちを手伝うよ」
「ありがとう、キラ」
「あ・・・・・・」
「?・・・どうしたの、キラ?」
「あ、いや、この前までキラ君って呼ばれてたのがキラになっていたからちょっと驚いたんだ」
「そういえば、そうだったね。何でだろう?」
フェイトもキラに言われて今気付いた感じだった。
「もしかして、キラ君のほうが良かった?」
「ううん、そんなことない。呼び捨ての方が嬉しいから」
「そうなんだ。じゃあ、キラでいいよね?キラ」
「うん、これからもよろしくね。フェイトちゃん」
キラはフェイトとの距離が少し縮まった気がして嬉しかった。
そして、フェイトは危ないことのはずなのに手伝ってくれるというキラに深く感謝した。
「すごいや、どっちAAAクラスの魔導師だよ」
「あぁ」
巡行艦「アースラ」では先ほどの戦闘の映像がモニターに現れていた。
「魔力の平均値を見てもこっちの白い服の子は127万、黒い服の子で143万。最大発揮値はその3倍」
そのモニターを見ながらクロノと話しているのはエイミィ・リミッター、アースラの管制官である。
「クロノ君より魔力だけなら上回っちゃってるね」
「魔法は魔力値の大きさだけじゃない。状況に合わせた応用力と的確に使用できる判断力だろ」
「それはもちろん、信頼してるよ。アースラの切り札だもん」
「それよりも・・・・・」
モニターの映像が変わり、キラが映し出された。
「この子は110万、白い子と黒い子より少し低いみたいだね。だけど・・・・」
「あぁ、あの一瞬だけだが魔力が桁違いに跳ね上がった」
「うん、まだ分からないけど最大発揮値は恐ろしいことになるよ」
すると後ろから妙齢の女性、リンディ・ハラオウンがブリッジに入ってきた。
「あぁ、二人のデータね」
「はい、ですが・・・・・・」
「やっぱり、この男の子が気になる?」
映像がまたキラに切り替わる。
「はい、一度だけでしたが・・・・彼は強いと感じます」
「そうね、あの子の目。何度も死線を戦ってきた目、戦士の目だわ」
「あの歳でもうそんな経験を?」
「分からないけど・・・・気をつけるべきなことは確かね」
キラたちは管理局に見つからないようにジュエルシードを集めていた。
「でえぇぇぇぇぇぇいっ!!」
キラはジュエルシードの化け物に身の丈ほどの大刀シュベルトゲベールを振り下ろす。
真っ二つになった化け物の姿が消えジュエルシードが現れる。
キラはそれを掴むと上に放り投げ、それをフェイトがキャッチする。
「お疲れ様、キラ」
「おつかれ、キラ」
フェイトとアルフがキラのところまでやってくる。
「うん、二人とも大丈夫だった?」
「キラがほとんど戦ってくれてるおかげで楽させてもらってるよ」
「見つからないように三人分転移するんだから休んだ方がいいからね、僕は転移覚える暇ないし、コレぐらいしかないからね」
キラはシュベルトゲベールを見せながら笑う。
「それにしてもキラのデバイスは凄いんだね、状況に応じた装備に換装するなんて。それにキラ自身も強いし」
「オールラウンダーってわけだね、頼りになるよ」
「そ、そんなことないよ。そ、それよりほら移動しないと!」
「はいはい。それじゃ、移動するよ」
「うん、お願いね。アルフ」
そうすると三人の下に魔方陣が現れ、そして三人は姿を消した。
数日後
「ここ?」
キラは下を見る。そこには海が広がっていた。
「そうみたい、まだ発動していないから」
フェイトはバルディッシュを構える。
「強制発動させるよ、キラは下がっていて」
「うん、無茶はしないでね?」
「大丈夫」
そう言うとキラはフェイトから距離を取る。
海上に大きな魔方陣が現れる。
「アルカス・クルタス・エイギアス」
フェイトが詠唱を始める。
「煌めきたる天神よ。今導きのもと、降りきたれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」
雷が鳴り、雨が降り始めた。
(ジュエルシードは多分、海の中。だから、海に電気の魔力流を叩き込んで強制発動させて位置を特定する)
(確かに、そのプランは間違ってないけど・・・・フェイトちゃん)
アルフとキラは心配そうに魔方陣の中心にいるフェイトを見る。
「撃つは雷、響くは轟雷。アルカス・クルタス・エイギアス」
フェイトの頭上に幾つもの雷の魔力の塊が現れる。
「はぁーーーーーーっ!!」
フェイトはバルディッシュを海に向かい振りかざす。
それと同時に魔力の塊から電気の魔力流が海に叩き込まれる。
すると、海が荒れ始め、ジュエルシードが強制発動し、六つの光が現れた。
「はぁ、はぁ・・・・・見つけた、残り六つ」
(こんだけの魔力を打ち込んで、さらに全てを封印して・・・こんなのフェイトの魔力にしても絶対に限界超えだ。キラ!)
「うん、わかってる!」
キラはすぐさまジュエルシードの光に向かっていく。
「アルフ、空間結界とサポートをお願い」
「あぁ、まかせといて」
(だから、誰が来ようが何が起きようが・・・・・)
(僕らが絶対守る!)
アルフとキラはそう決意をする。
ジュエルシードは六つの魔力の竜巻を作り上げ、恐ろしい魔力を放ち始める
「行くよ、バルディッシュ。・・・がんばろう」
フェイトはキラの後を追い、その中に飛び込んでいった。
「くそっ!数が・・・・・多い!」
ライフルで魔力弾を撃ち込んでも効いているようにも見えない。
「このままじゃ、こちらが自滅してしまう」
仮にどうにか出来ても、その後を待ち伏せられ時空管理局に叩かれる恐れがある。
キラに今の打開策を見つけることは出来なかった。
「フェイトちゃんは!?」
フェイトも避けることで手一杯だった。
「どうにか・・・・どうにかしないと!」
そんな時だった、空の暗雲が割れ、光が差し込み、その光の中から少女が降り立った。
「なのは・・・・ちゃん?」
キラはそんな彼女を呆然と見ていた。
「フェイトの・・・・邪魔を・・・・するなぁ!」
「アルフさん!」
キラの呼び声を無視してアルフはなのはに飛び掛っていったが、緑の障壁に邪魔される。
「違う!僕たちは君たちと戦いに来たんじゃない!」
「ユーノ君!」
「ユーノ・・・・君?」
なのはの声にキラはその少年がユーノであることに驚いた。
魔導師なら動物にも変身できるのだろうということにしておく、考える暇がないのだ。
「まずはジュエルシードを停止させないとまずいことになる」
そういうとユーノは上に飛び魔方陣を形成し、バインドを六つの魔力の竜巻を縛る。
その間になのははフェイトの元へと下りる。
「フェイトちゃん。手伝って、ジュエルシードを止めよう。キラくんも!」
レイジングハートからピンクの魔力の流れがバルディッシュに流れる。
『Power charge.』
『Supply complete.』
魔力が尽きていたバルディッシュが復活する。
不思議そうになのはを見つめるフェイト。
「二人できっちり半分こ」
ユーノもバインドで抑えるのが苦しそうだったが、オレンジ色のバインドが同じように竜巻を抑える。アルフのバインドだ。
「ユーノ君とアルフさんが止めてくれてる、だから今のうち!キラくん!」
それを呆然と見ていたキラがすぐに状況を把握する。
「うん、分かった!援護するよ!」
キラはライフルを再度握り締めるとなのはたちの援護をする、二人に攻撃がいかないようにライフルで魔力を撃ち消し始める。
それでもフェイトは良く分からなかった、ずっと一人だったから・・・・・・。
「二人で「せーの!」で一気に封印!」
そう言うとなのはは上に上がっていく。
途中、キラとすれ違うがお互い笑顔で目を合わせ、直ぐに離れる。
『Shooting mode.』
離れていくなのはを未だ見つめているフェイト。
なのはに向かう電撃をキラが全て撃ち消す。
(ひとりぼっちで一番寂しい時にしてほしいかったことは・・・・・)
(「大丈夫?」と聞いてもらうことでも優しくしてもらうことでもなくて・・・・・)
キラとなのははそれを知っている、彼女の苦しみを少しでも知っているから・・・・。
『Sealing form. Set up.』
バルディッシュがフェイトの命令を聞くことなく封印状態に入る。
「バルディッシュ?」
今度はバルディッシュを不思議そうに見るフェイト、そしてなのはを見る。
それにウィンクで返すなのは。
なのははレイジングハートを高く掲げて聞いた。
「ディバインバスター、フルパワー・・・・いけるね?」
『All right, My master.』
なのはとフェイトの下に魔方陣が現れる。
二人にいく魔力の攻撃を全て叩き落すキラ。
「二人に・・・・・当てさせはしない!!」
なのはとフェイトの魔力が高まっていき、なのははフェイトを見る。
「せーの!」
「サンダアァァ!」
「ディバイィン!」
二人がデバイスを振りかざす。
「レイジイィィーー!」
「バスタアァァーー!」
その瞬間・・・・・大きな魔力の爆発が起きた。
そして、六個全ての封印が完了した。
なのはとフェイトの間に六個のジュエルシードが現れ、それを見つめるなのはとフェイト。
そして、なのはが胸に手を当てて言った。
「ともだちに、なりたいんだ」
その言葉に驚くフェイト。
それを見つめる、キラ、アルフ、ユーノ。
その時だった、雷の音が響くと赤紫の雷が落ち始めフェイトに命中する。
「うわあぁぁぁぁぁっ!」
「フェイトちゃん!・・・・・!?」
なのはは雷に弾かれ、アルフが落ちるフェイトの元へ向いそれをキャッチし、ジュエルシードのところへ向かう。
ジュエルシードに手を伸ばそうとしたところで転移してきたクロノのデバイスに阻まれる。
「邪魔・・・・・するなぁ!」
アルフはクロノを吹き飛ばし、ジュエルシードを取ろうとするが三つになっている。
「三つしかない!?」
アルフのほうを見ると残りの三つを持ち、すぐにそれをデバイスに封印した。
アルフはクロノを睨むと魔力弾を海に打ち込み、水しぶきを目くらましに消えていた。
なのはが目を開けるとそこにフェイトもアルフ、そしてキラの姿もなかった。
投下終了です。
今回は文章が少ない気がしますが、気にしないでください。(−−;)
さぁさぁ、もう最終決戦に向かって突っ走っています。
後残り3話、キラは一体どうなるのか!!
次回「消えていく光なの」お楽しみに!!
職人様GJ!!
これからもwktkしながら投下を待ってるので皆様、頑張ってください!!
キラは基本魔力はなのフェイには劣るけど種割れ時は2人を越えるのか
SEEDを自在発動できるようになったら恐ろしいことになりそうですな
そういやこの頃のキラって種自分で発動できないんだったな
キラは種割れした時の魔力値は二人を上回りますか。
そのときの魔力値はどれくらいになるんでしょうね。
後キラのランクもAAAクラスでいいんですよね。
後残り3話楽しみにしています。
投下いいですか?
当然
投下?来るのか!?来させるか!!もといきやがれ!!
魔道戦士まじかるしん27話 「カナード」
「私が彼を出会ったのは10年位前の事だったね」
議長は思い出す。ある少年との出会いを。
その少年は逃げていた。
もう嫌だった、ただの研究材料にされている自分が、そしてそのたびに失敗作、欠陥品と呼ばれることが……
だから彼は逃げた。
だが、いくら逃げても貴重な研究、または実験材料を手放すはずがない。
研究所からは捜索の部隊が出される。
さらに、カナードの腕には脱走されてもすぐに見つけるために発信機がつけられていた。
これでどこに逃げたのかのすぐにわかってしまう。
そこで、少年がとった行動は、偶然忍び込んだ研究所にあるレーザーでその発信機を壊すというものであった。
「だめか……プロテクションがかかってる」
だが、発信機にはプロテクションがかかっており、そう簡単には破壊で競う似なかった。
こうしている間にも、捜索隊がきてしまう。
そこで少年が考えた事は……
「ならば腕を切り落とす!!」
そういってレーザーに自らの腕を当てようとしたときだった。
「誰はと思えばまだ子供じゃないか、そんな物騒な事をして何をしているつもりだね?」
そこにある男が現れた。
どうやらこの研究所で働いている研究者のようだ。
少年はその研究者に向けていきなり襲いだした。
「この反応……」
しかし、その研究者は平利をかわし、その少年を見据える。
「君は、スーパーコーディネーターの実験体かね?」
研究者の言葉に驚く少年。
「これでも遺伝子について研究しているのでね。それに、君のような少年があのような動きはなかなか出来ないからね」
笑いながら言う研究者に、少年は唖然とする。
「それで、君は逃げて何をしたいのかね?自分を創ったものにへの復讐でもするのかね?」
研究者の言葉に、少年は黙り込む。
「いや、そんな気はない。確かに俺を作ったやつが憎いがそんなことをしても意味がないことはわかっているつもりだ」
それに、と少年が知っている事を言う。
「既に俺を作ったやつの半数はブルーコスモスに殺されている」
なるほど、と研究者は少年を見る。
「じゃあ、なぜ逃げてきたのかね?」
研究者の言葉に、少年は俯く。
どうやら考えていなかったらしい。
まあ、彼の体を見るに、かなりひどい事をされたのだろう。
それでそこから逃げ出したいと思うのは当然の事であった。
ならば、と研究者はある事実をつける。
「君はスーパーコーディネーターの出来損ないといわれているが、その完成品がブルーコスモスに殺されず、まだ生きていたらどうする?」
その研究者の言葉に、え?とそのもののほうを見る。
自分はすっかり、そいつもブルーコスモスに暗殺されているとばかりおもっていたのだ。
「それで……そいつを倒せば俺も本物になれるのか?」
少年の言葉に研究者は微笑むが、その時、サイレンの音がなった。
「どうやらきたみたいだね。悪いけどこの事は話させてもらっていたよ」
そういってこの場を後にする研究者。
「ま、待て!お前の名前は!?」
少年の言葉に研究者は振り向く。
「私の名前はギルバート・デュランダルだよ。君は?」
研究者、デュランダルの言葉に俺は…と俯いて、再度頭を上げてから自分の名前を言う。
「俺は、カナード・パルスだ」
そういって少年、カナードは名乗ると、デュランダルは微笑んで最後に言う。
「そのスーパーコーディネーターの名前は……キラ・ヤマトだ」
その言葉と同時に、研究所のドアから、質量兵器などを武装した人たちがやってくる。
その人たちに連れられていくカナード。
しかし、その表情は笑っていた。
悪意のある笑みを
「キラ…ヤマト……」
その後カナードはいつもの研究所へ連れて行かれた。
その時、彼はずっと考えていた。姿すら知らない完成体の事を……
あまたの兄弟達の犠牲のもとに作成された弟の事を……
議長は10年前の昔話(?)を話し、ふう、と一息つくデュランダル。
その話を真面目に聞く一同。
「それで、ロッサを襲ったんはカナード執務官と言うことなんですか?」
はやては議長の話を聞いて、今回の件について考える。
それでカナードのロッサとのかかわりはさっぱりわからなかった。
仕事で一緒にいたところは見たことはあるが……
「それは私にもわかりかねませんが、キラ・ヤマト関連ならその可能性は高いでしょうな」
議長のその可能性を大いに認めた。
それで少し考えて、つぶやく議長。
「彼はこのときを待っていたのだろうな、キラ・ヤマトを倒す事が彼が生きている理由なのだから……」
最も、そうさせた一番の要因は自分だが、と心の中でつぶやく。
だが、ああでもいわなければ彼は生きる意味を失っていただろう。
だが、ラクス・クラインの護衛を現在しているが、一応は非公式のことだ、すぐに見つかると言うことはないだろう。
彼に襲われたロッサと言う男も、その対策はしているだろう。
そし、その中でフェイトは何か考えているように俯いてた……
「か、カナード!貴様、どういうことだ!!」
議長がカナードを話をする少し前、もう少しわかりやすく言うと、
カナードが昔自分を創ったものの一人とであった後、すぐにカナードはジェラードのものへ向かった。
「だから言っただろう。俺はここを、管理局を抜ける」
カナードのいきなりの言葉に、ジェラードは唖然とする。
「言ったはずだ、お前に協力するのはキラ・ヤマトを見つけるまでだという約束だ。
ついさっき、そのキラ・ヤマトのある程度の居場所を突き止めた。
ここまでだ、ジェラード」
そういって、彼はこの場を去ろうとする。
「ま、待て!」
しかし、ジェラードはまだ彼を引きとめようとする。
そんなジェラードを見て、カナードは彼を睨む。
「これ以上俺を止めると、あの事を話すぞ。
お前はこの地位に上り詰めるまで行ってきた事をな……」
カナードの言葉に、ジェラードはとうとう黙り込んでしまう。
「じゃあ、後の事は任せたぞ」
そういって、カナードはその場所を後にして、カナードはコズミック・イラへと向かった。
自分が自分であるために……
このとき、一人の管理局執務官は管理局を辞めたのであった
その後、ストームレーダーに戻り、クロノを通じて本局と地上本部にカナードの事を聞いたはやてだが、どうやら彼は既に管理局を離れたらしい。
もしかしたらもうこの世界に向かっているかもしれない。
本来、機動六課とは関係ないことなのだが、黙って見過ごすわけにもいかない。
「そういうわけで、本局からの指令、それとこの世界いる管理局員はうちらだけということもあって、
機動六課はカナード・パルスの捜索、そして逮捕の任務を請け負う事になった」
ミネルバ内でこれからの話をするなのは達機動六課。
何故彼女達がいまだにミネルバにいるのには理由がある
現在、カナード・パルスを捜索しているのだが、彼がどこにいるのかさっぱりわからないという事である。
そこに助言をしてくれたのは議長であった。
彼はおそらく自分が生まれたところに足を運ぶだろう、と
彼が生まれた…いや、作られた場所は宇宙にあった。
既にバイオハザード事件で、まだコロニー自体は生きているが、既に無人のコロニーだ。
議長はイザークに事情を話し、特別にメンデルまで運んでくれる事になった。
「失敗作、か……」
シンは与えられた部屋でさっき聞いた議長の話を思い出す。
以前は彼の部隊に入っていたが、どうにも彼が失敗作とは思えなかった。
それ以前に、彼がコーディネーターであることにも驚いた。
今まで一度のそんな事を聞かされていなかったからだ。
まあ、自分もほとんど言わなかったからお互い様だが。
ふと、シンは外を見る。
自分は何回か体験しているが、おそらくスバルの事だから初めての宇宙に騒いでいるだろう。
そのシンの予想通り、スバルはじっと宇宙空間を見つめていた。
「すごい……」
初めての宇宙空間に、スバルは目を輝かせながら宇宙を見る。
普通ならティアナがそれをいさめているのだが、ティアナも初めての体験なものだからぼうっと宇宙空間に心を奪われていた。
「本当…」
本局がある次元空間とはまた違う宇宙空間。
「飲み物もって来ました」
と、先ほどからミネルバ館内を散策してきたエリオとキャロが飲み物を持ってきた。
「あ、ありがとう二人とも」
スバルは飲み物を受け取り、ぷしゅ、とプルタブをあける。
「この船って、手すりがエスカレーターみたいになってたんですよ」
キャロもキャロで珍しいものを見てうれしそうに話す。
「そりゃあ、重力がないから普通のエスカレーターは使えないよねえ……」
笑いながらスバルはジュースをうちへ運ぶ。
「けど、私も宇宙は始めてやなあ」
その頃、スバルたちとは離れた場所で、隊長陣は隊長陣で話をしていた。
はやての言葉に、そうですね、とシグナムは頷く。
一同が思い思い話をしている中、フェイトとなのははどこか上の空であった。
「二人とも、どうしたんだよ?」
ヴィータの言葉に、え?と二人は同時にヴィータの方を向く。
「べ、別に同ってこともないよ、ねえ」
「う、うん」
二人は渇いた笑いを浮かべるが、シグナムはため息を付きながら答える。
「テスタロッサはカナード・パルス。高町はアスカが見つけた少女といったところか」
「「う」」
シグナムに図星を言われ、二人は渇いた笑みのまま固まる。
「まあ、確かに二つとも重要な事やなあ……」
少女のそうだが、今はカナード・パルスの事が重要である。
果たして、彼は本当にメンデルにいるのだろうか?
その中、フェイトは彼の事を以前の自分に似ていると感じた。
彼の行動を見ると、昔の自分、プレシアに認めてもらおうとがんばっていたときの事を…
「カナード・パルスか……やつの実力の噂は聞いている」
何せカナードは執務官の中でもかなりの実力の持ち主である。
その腕は、同じ執務官であるフェイトとほぼ同等かそれ以上とまで言われている。
さらに、彼もはやてと同じで、特殊なレアスキルを持っているという。
だが、所詮は一人だ。
隊長陣で取り囲めば恐れるものはないとはやては思っている。
最も、この作戦を思いついたとき、シグナムはかなり不満そうな顔をしていたが。
そのなか、フェイトはある事を口にする。
「はやて、今回の件、私に任せてくれていい?」
「くそ、やってくれる……」
カナードは舌打ちしながら目の前の研究所を見る。
ヴェ路差からデータを奪ったのはいいのだが、そのデータ自体にキラ・ヤマトの居場所を記されていなかったのだ。
データにあったのは、彼の秘密と、ある人物のボディーガード押している事ぐらい。
だが、それが誰なのかは記されていなかった。
「わざとか……」
おそらく、ロッサは念を入れて大事な事は伏せていたのだろう。そして、大丈夫だとおもえば自らの口を開くといったところか。
それならゆっくりと探せばいい。
だが、その前に行きたいところがあった。
そこがこの研究所。
ここでキラ・ヤマト、そして自分を含めた失敗作が作られた研究所。
カナードはここにキラ・ヤマトの事で何か情報があると思ったが、流石に何もなかった。
その時、カナードは散らばっている写真の固まりを発見する。
まあ、そんなものはどうでもいい、そう思いその部屋を出ようとしたときだった。
自分のほかに魔力の反応を感じたカナードとハイペリオンは感じた。
その数値は高く、魔力数値だけで考えると自分と同じくらいだろう。
いや……
(そとにも何人かいるな……)
研究所の外にも何人かの魔術師がいる。
しかも、どれもこちらへ向かってきているもと同じ魔力数値もののばかりである。
管理局がここをかぎつけたのか……
そう思うと、ぎいぃ、と目の前の扉が開かれる。
(確かあいつは……)
カナードはその人物に見覚えがあった。
服を見るからに、その人は執務官であることがわかる。
金色のバ外髪をなびかせている女性は、かつて何回か面識があった。
名前は確か……
「管理局執務官、フェイト・T・ハラオウンです。少し話を聞かせてもらいます」
シ「カナードと一人で接触を図るフェイト」
レ「そして明かされる、自分がうまれた秘密とそれによりも被害となった命を…」
フェ「次回、魔道戦士まじかるしん「残る命、散る命」に、テイクオフ」
シ「あれ?これって運命でもあるけど全然違うものじゃなかったっけ?」
レ「そうだが、このSSにはそんなものは通用しない」
ス「そうだよね……(汗)」
投下完了。
だんだんカオスなものになってきたなあ……
まあ、後ろを振り向かずにこのままわが道をゆくつもりだけど
>>127 SEEDの力はアースラ側から見てもすごいものですか。
一体そのときの魔力値はどれくらいだったんでしょう。
そしてキラ自身も気をつけるべき存在として見られているようですね。
無印印終了まで、残り3話ですか。
果たしてキラはどうなり、元の世界には戻れるのかなどといったことを楽しみにしながら、更新を待っています。
いっそ9歳モードのまま種世界に戻るとかどうだろう。
アスランとか腰抜かすだろうなw
今更ながら種死となのはの相性がここまで良いとは
クロスssスレトップクラスだよな
くそ……何故だ
本編の数百倍面白いぞここの作品
それだけ種死やStSがダメダメってことか
ども、こんばんわ。
第7話の後半を11時くらいに投下しようと思うのですがよろしいでしょうか?
本編が始まるまでに見ていた夢と希望がこのスレには詰まってるのです
答えを聞かずに投下お願いします
夜。
夜の街を歩き続けるなのはとユーノ。
ふと時計を見上げてみると時刻はすでに7時を過ぎていた。
「うう……タイムアウトかも……そろそろ帰らないと」
もうすぐ高町家では夕食の時間となるので、なのはのタイムリミットが来てしまったようだ。
(大丈夫だよ、僕が残ってもう少し探してくるから)
(うん…ユーノ君一人で平気?)
(平気。だから晩御飯とっておいてね)
(うん)
ユーノはなのはの肩から降りて夜の町へと進んでいき、なのはは反対方向の自宅への帰路へと着く。
(アリサちゃんとすずかちゃん…そろそろお稽古が終わって帰る頃かな……?)
立ち止まり、携帯を出して確認をする。が、
『新着メールはありません。』
今日の事を思い出したのか悲しげな表情になるなのはだったが、携帯を閉じてしまい、また走り出す。
ビルの屋上に降り立つ三つの影。
「だいたいこの辺りだと思うんだけど、大まかな位置しか分からないんだ」
「はぁ……まぁ確かにこれだけゴミゴミしてると探すの一苦労だねぇ……」
カチャとバルディッシュを前に掲げるフェイト。
「どうするんだ?」
「ちょっと乱暴だけど、周辺に魔力流を打ち込んで強制発動させる」
「あー待った!」
「?」「?」
不意に上がった声に反応するフェイトとアスラン。
「それアタシがやる」
「大丈夫?結構疲れるよ」
「ふふん、このアタシを誰の使い魔だと?」
自信満々に答えるアルフ。
その言葉に笑みを浮かべる二人。
「……確かに、頼もしい限りだな」
「じゃあ、お願い」
「そんじゃぁっ……!!」
構えるアルフ。足元に発生する魔法陣。空へと上っていく魔力光。
「!!」
翠屋からの帰路に着いていたキラ。
突如感じた魔力反応。空を見れば雷雲が覆っている。
「これは……ジュエルシードが!?」
振り返り、魔力を感じた方向へと走り出す。
「ストライク!」
『Stand by ready setup.』
瞬間。
カッ!!と出現する一筋の光。
「見つけた!」
「けど……あっちも近くにいるみたいだね」
(キラ……)
結界に包まれていく街の光景。
「……早く片付けよう。バルディッシュ!!」
『Sealing form set up.』
「あ……」
見上げると一筋の青い光が夜の街に瞬く光る。
(なのは、発動したジュエルシードが見える?)
(うん、すぐ近くだよ)
(あの子達も近くにいるんだ、あの子達より先に封印して!)
(わかった!)
レイジングハートを前方へと掲げ、モードチャンジする。
「……!!」
バルディッシュより放たれる金色の魔力の光。
「……っ!!」
そして若干遅れて、レイジングハートより放たれた桜色の魔力の光。
そして、両方ともほぼ同時にジュエルシードへとぶつかる。
封印の光を浴びて、浮かび上がるジュエルシード。
その中心には『XIX』の文字が見えている。
「リリカル、マジカル!!」
「ジュエルシード!シリアル19!!」
「「封、印っ!!!」」
ゴォッ!!と放たれる二つの魔力。
だが、二つの封印の魔力は互いに相殺し消滅し、ジュエルシードのみがそこに残る。
『Device mode.』
排熱の空気を出し、通常形態へと戻るレイジングハート。
ジュエルシードへと一歩一歩近付くなのは。
そして不意に蘇る、昔の記憶。
それはまだなのはがアリサとすずかと友達になる前の記憶。
(アリサちゃんやすずかちゃんとも、初めて会った時は友達じゃなかった。話を出来なかったから、わかりあえなかったから……
アリサちゃんを怒らせちゃったのも、私が本当の気持ちを、思っていることを言えなかったから……)
見上げると、そこには手の届くところにジュエルシードがある。
トテトテと歩いてくるユーノ。
「やった!なのは、早く確保を」
「そうはさせるかいっ!!」
「!!」
上空より強襲するアルフ。
タッとユーノはなのはの前に立ち防御魔法を貼り、それを防ぐ。
そして役目を果たした結界は割れ、そこに現れたのは、黒い服を見に纏った少女と紅い服を身に纏った少年。
交差する視線。訪れる沈黙。
だが、その沈黙を破ったのは、
「この間は、自己紹介できなかったけど、私なのは、高町なのは。私立聖祥大付属小学校三年生」
『Scythe form.』
「!!」
言葉を遮るようにデバイスを構えるフェイト、それに反応し同じく構えるなのは。
そして、向き合う両者。だが、なのはの思惑は違っていた。
(どうして、そんな寂しい目をしているのか……)
顔を振り、デバイスを振り上げなのはへと迫るフェイト。
「はぁっ!!」
二人の間に割り込むように飛んでくる魔力弾。
「!!」
間一髪反応したフェイトはバックステップして回避する。
「なのはちゃん!!」
「キラ君!」
後方の空より現れるキラ。その姿はエールジャケットを身に纏っている。
「……キラ」
「……アスラン」
そして向かい合う少年達。
「なのはちゃん、アスランは僕が。その間にあの子とジュエルシードを」
「キラ君。でも……」
「大丈夫。僕もあれからずっと練習して来たんだ、そう簡単には負けないよ」
「……わかった」
「……あいつは俺が相手をする」
「……大丈夫?」
「俺の実力は、君が一番よく知っているだろう?」
その言葉だけで、説得力は充分だった。
「……わかった」
向き合うキラとアスラン。
そして最初に動いたのは、
「!!」
ガシャッ、とライフルを構え、トリガーを引くアスラン。
放たれる魔力弾をギリギリで交わし、キラもライフルで反撃する。
だが、それも回避し、反転し一気に距離を縮めてくるアスラン。
「イージス!!」
『サーベルシフト、ライトアーム』
ブゥンと発生する魔力刃。
「くっ!」
同じ様に肩の筒を抜き、同じ様にサーベルを右手に持ち、迎え撃つ。
「はあああっ!!」
ガキィンッ!!
ぶつかる刃。刃と刃の重なる場所から魔力が溢れるように弾けている。
「キラ!お前はなぜあの子の味方をするっ!!」
「えっ!?」
突然目の前は発せられる質問。
「俺は、この世界に飛ばされた時にあの子に、フェイトに救ってもらった!
そして、彼女の母親からフェイトを助けてやってくれと頼まれた!!」
似ている、自分と。キラはそう思った。
「だから、俺はあの子を、フェイトを護ると誓った!!」
ガキィンッ!!
「ぐぅっ!!」
一瞬力のバランスがアスランに傾いた為、弾かれるキラ。
瞑っていた目を開け、空中で姿勢を戻す。だが、
「!!!」
いない。目の前からアスランの姿が無くなっていた。
目線を左右に動かすが、どこにも姿は確認できない。
「くそっ、どこへ」
「イージス」
『スキュラ、バースト』
「!!!」
声のした方向、上空へ視線を向けると同時に放たれた魔力砲。
とっさにシールドで防ぐが、威力が大きい為、勢いに押されて後退していくキラ。
「ぐ……重、い……!!」
受け止めてはいるが、それもかなり限界に近くなっていく。
『シールド損傷率、50%超過』
やはり受け切る前にシールドがもたない。
このままじゃ……やられる!
「僕は……まだ……負けられないっ!!!」
瞬間。キラの頭の中のSEEDが弾けた。
「ストライク!!」
『エールジャケット、ブーストフルパワー』
「なっ!?」
アスランは目の前の光景に驚愕する。
押していたはずのスキュラを押し戻すようにこちらへと近付いてくる。
「うおおおおおおおっ!!!」
キラの咆哮と共に加速し、そして、二人の距離が段々狭まっていき、
『シールド損傷率、96、97、98、99……100%』
数メートルの所でストライクのシールドは爆発した。
至近距離の爆発はアスランにも影響を与え、一瞬の隙を生んだ。
爆煙の中から出てくる魔力弾。
「!!」
距離的に回避は不可能と判断したアスラン。左手のシールドを前に掲げ相殺する。
だが、
「アスランッ!!!」
「!!」
前方ではなく上空からの声。
ライフルを発射してすぐに上空へと舞い上がったキラは左手にライフルを、右手にサーベルを持ち、振り上げて降下してくる。
そして眼前のアスランへ向けて、縦一閃。
「ちぃっ!!」
すんでの所で左手のシールドで防ぐ。
「さっき言った事!」
「!?」
「どうして僕が、なのはちゃんの味方をするか、それはっ!!」
右手に込める力を上げて、シールドを持っていたアスランの左手を弾く。
それと同時に、左手は振り上げられ、その手にはすでにライフルからサーベルへと獲物が変わっていた。
縦一閃。それはアスランのバリアジャケットを大きく掠めた。
だが、それも掠めただけ。一瞬の反応が致命傷を避けたのだ。
「くぁっ……!!」
背後へのバックステップ。距離をとるアスラン。
背中に嫌な汗が出てくる。じんわりと感じるこの感覚。
恐怖。
久しく感じていなかった感情が全身を支配する。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
別段息切れを起こすほど動いたわけでもない、だが、心臓の動きは通常よりも早く動いていた。
正面を見据えると、そこには両手にサーベルを持ったキラが悠然と飛んでいた。
「…………君と同じなんだ」
「えっ?」
不意に発せられた言葉。
その言葉の意味を理解するまでに少々の時間がいった。
「……僕もこの世界に来て、なのはちゃんに助けられて、そして、その家族に救われた」
「……」
「だから、僕はあの子を護る」
サーベルを構え、姿勢を低くする。
「それが、僕の理由だ」
「……そう、か」
そして同じように構えを取るアスラン。
「だけど、俺も退くわけにはいかない」
なぜか、体からは先程まで感じていた恐怖はもうなくなっていた。
「俺も、負けるわけにはいかないんだっ!!」
ドンッ!と急加速をつけ距離を狭める。
振り下ろされる右手のサーベルを左手のサーベルで受け止めるキラ。
「ぐっ……!!」
加速のついた右手が重くのしかかる。
「イージス!!」
『サーベルシフト、ライトレッグ』
右足の先に発生する魔力刃。その右足を横一閃に薙ぐ。
「!!」
受け止めていた左手を弾いてその反動で回避する。
それにより二人の間に空間が出来る。
お互いが腰元のライフルに持ち替え、目の前の標的に銃口を向ける。
そして二人がトリガーを掛けた指を動かそうとした
その時。
「「!!!!」」
突如発生する爆発。
その発生源は……元いた場所。ジュエルシードの辺りから。
「なのはちゃん!!」
「フェイト!!」
二人は目の前の戦いを忘れ、爆発元へと全速力で飛んでいく。
大きな帯状の光が消え、なのはとフェイトはジュエルシードより大きく離れてしまっていた。
「なのはちゃん!!」
「フェイト!!」
二人がそれぞれの少女の元へと行く。
「大丈夫か!?」
「私は平気、だけど……」
カチャと右手にあるバルディシュへと視線が移るアスラン。
見ると全体的にヒビが入って、中心のコアの光も今にも消えそうな程小さく点灯していた。
「これは……」
あの爆発の影響でこうなったのは理解できた。が、ここまでバルディッシュが破損しているのに納得はいかなかった。
(ジュエルシード……あれは一体何なんだ……?)
アスランは今までジュエルシードの危険性をそんなに深く考えてはいなかったが、認識を改めたと同時に疑問が生まれた。
そしてフェイトはバルディッシュをモードリリースし、右手の甲へと戻す。
「なのはちゃん!!」
「キラ君……」
「怪我は無い!?」
「怪我はないけど……」
「!!それは……」
見ると、レイジングハートも所々破損していた。
練習でも傷すらほとんどつくことのなかったデバイスなのに、今はボロボロの状態であった。
そしてフェイトの見上げる視線の先に浮かぶジュエルシード。
どうにか確保をと思いフェイトは動いた。だが、
「ッ!!」
全身に痛みが走る。どうやら先程の爆発のダメージが今になってきたようだ。
その場に足を着け、膝をつけてしまう。
このままじゃ……。
そう考えていた矢先、自分の横を通り過ぎる一つの紅い影。
アスランがジュエルシードに向かって飛んでいった。
「!!!」
それに最初に気付いたキラも同じようにジュエルシードへと向かう。
そして最初にジュエルシードを手にしたのは、アスランだった。
「!!!!」
そこにいる皆が色々な表情を浮かべる。
だが、
「な……!!」
ジュエルシードを握っている手から零れ出る光。
片手では押さえられないっ……!!両手でどうにか押さえ込もうとするが、振動は大きくなるばかりだ。
「くそ……止まれ、止まれ、止まれ……!!」
力で抑え込もうとしても何も変わらない。
手の痛みが段々ひどくなってくる。
離してしまいたくなるほどの痛みが両手を襲う。
「アスランッ!!」
思わず叫ぶフェイト。
そしてその声で気付くアスラン。
「……そうだ……落ち着け……集中……」
目を瞑り、両手に魔力を集中させる。足元に展開する魔法陣。
ジュエルシードより発生している魔力とぶつけ、中和していく。
するとみるみるうちに光は弱くなり、ついに光は消えてしまった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
どうにか暴走を回避できたようだった。
安堵すると同時に力が抜けたように膝をつく。
「アスランッ!!」
獣形態から人間形態へと変化し、走り寄るアルフ。
「俺は大丈夫だ……それよりフェイトを連れてここから……」
「わかった……」
フェイトの元へ走り、今にも倒れそうなフェイトを抱え夜の空へと飛ぶアルフ。
そして、同じように後を追うアスラン。
「アスラン……」
不意に後ろから声を掛けられる。声の主は、振り返らずともわかっている。
だから、振り返る事なく空へと飛んでいく。
そして、その姿は夜の闇へと沈むように消えていった。
第7話・完
以上で投下完了です。
職人の皆様GJ!&乙!です。
感想を頂いた住人の皆様もありがとうございます。
他の職人さんに比べて投下ペースが遅い自分ですが、
これからもよろしくお願いします。
乙。
キラはとうとう種割れを。
アスランも五日するのかな?
GJです
速度については誰も文句はありません、っていうか、望さん十分速いと思いまんで大丈夫ですよ
おはようございます。
朝の投下予告です。
投下してもOKでしょうか?
12時から投下を開始予定です。
2日に1度の投下予定でしたが、今日はもう投下となりました。
実は明日から私用で5日間くらい家を空けるので投下は出来ないと思います。
多分、ネカフェでスレだけでも拝見しておこうとは思います。
それでは、また12時にw
無問題!さぁじゃんじゃん投下してくれ!!
>>159 明日から5日間くらい家を空けるから投下は無いんですか。
残念ですけど、用事があるのなら仕方がありませんね。
では、12時から投下されるのを楽しみに待っています。
本当に、活気が良くなったなぁ……
みんな現実逃避がしたいのさ。
>>159 12時投下ですか。待っています。
ところで、キラの魔導師としてのランクはAAAランクぐらいですか。
第八話:消えていく光なの
キラはフェイトとアルフと一緒に転移し、見たことない場所に着いた。
「ここは?」
「時の庭園・・・・・フェイトの母親のところさ」
「え?」
「キラはここにいて、アルフ・・・・行こう」
フェイトは立ち上がると奥へ向かう、アルフはそれを支えるように隣に付いていった。
「・・・・・・」
キラはそれを見送るしかなかった。
数分が経った頃だったろうか、何かが聞こえてきていた。だが、何かは分からない。
キラは迷ったが、その音の方へ向かっていくことにした。
大きな扉の前に来たときはもう何の音か、そして何が行われているか理解できていた。
すぐに中に入ろうとしたところでアルフに止められた。
「キラ、あんたじゃプレシアには勝てない。殺されるよ」
「でも!フェイトちゃんが中にいるんだろ!苦しんでいるんだろ!!だったら!!」
「キラ・・・・あんたがやらなくていい」
「え?」
そう言うと音が止み、アルフは扉の中へと入っていった。
数分後、ズーーンと何かが壊れるような音がしたのでキラも慌てて中に入る。
そこにはフェイトがアルフのマントを掛けられ眠っていた。
「フェイトちゃん!」
すぐにフェイトに駆け寄るが気絶をしているようだった。
フェイトの至るところに鞭で打ったような痕があった、母親にやられたのだろう。
奥を見ると、壁が崩れているのが分かった。多分アルフの仕業だろうとも・・・・。
そして、アルフは・・・・・・。
「!?・・・・・アルフさん!!」
嫌な予感がしたキラは急いで奥へと向かって走った。
「あんたは母親で!あの子はあんたの娘だろう!」
キラが最初に見えたのはアルフが黒髪の女性の胸倉を掴んでいるところだった。
フェイトの家で見た写真で見た女性だ。
「あんなに頑張ってる子に!あんなに一生懸命な子に!何であんなひどいことが出来るんだよ!・・・・・・!?」
アルフはプレシアの表情を見て一瞬止まってしまう、その時だった。
プレシアの放った魔法の矢がアルフを貫き、吹き飛ばした。
「アルフさん!」
キラは吹き飛ばされたアルフを受け止めようとしたが、止めきれず一緒に壁に激突し、煙を上げる。
「あの子は使い魔の作り方が下手ね。余分な感情が多すぎる。それに・・・・・」
煙の中から青い魔力の弾がプレシアに向かい飛んでいきそれをプレシアは障壁で防ぐ。
「友達みたいなものまで作るなんてね」
「みたい・・・・・じゃない。僕は彼女の友達だ!!」
キラはバリアジャケットに身を包み、赤い翼を展開してライフルを構えていた。
「キ・・・・ラ・・・?」
「アルフさんは逃げてください」
「何・・・言ってるんだい!あんたは!」
「あの子を助けるなら、今あなたが死んじゃいけないんです!」
その言葉にハッとしたアルフは悔しそうに転移魔法を発動させる。
「やらせると思って?」
プレシアの魔法の矢がアルフに向かうが、キラが間に入りシールドで防ぐ。
「やらせると思ってるんですか?」
同じ言葉をプレシアに返すキラ、アルフは転移魔法を発動しどこかへ飛んでいった。
「全く、いらない使い魔を殺すだけだったというのに」
「あなたは・・・・・・あなたって人は!!」
キラはサーベルを抜き放つとプレシアに突っ込んでいった。
一体どれくらいの時間が経ったんだろうか。
「逃げればいいってわけじゃない。捨てればいいってわけじゃもっとない」
キラはなのはの声に気付き目を開けるとそれはなのはとフェイトの戦闘映像だった。
だが、体も口も動かせないくらいボロボロだ。
プレシアとの戦いはキラが優勢に見えた。
ある一室に吹き飛ばされ、そこで見たものに固まってしまった。その隙を付かれた。
その後キラは散々痛めつけられ、動くことも出来ない。
そして、戦いは熾烈を極めたが、なのはのスターライトブレイカーによりなのはの勝利。
しかし、プレシアはそれに怒り、次元魔法を用いてフェイトからジュエルシードを奪い去っていた。
どうにか動きたくても痛みがひどく動かせない。キラは悔しそうに唇を噛むことしか出来なかった。
その後、キラはまた気を失っていたようだ。しかし、周りがうるさく感じ目を覚ます。
「おい、子供だ!子供がいるぞ!」
アースラの武装局員が時の庭園に着き、玉座の間でキラを発見する。
(キラくん!)
なのはの声が聞こえ、うっすらとキラは目を開ける。
(なのは・・・・ちゃん?)
(そうだよ、なのはだよ)
(フェイトちゃんは?)
(大丈夫、ここにいるよ。アルフさんも一緒)
(そっか・・・・良かった)
キラは微笑んでみるが、その顔で笑っても一層辛そうに見えるだけだった。
(すぐに回収を!)
リンディが指示を出したが、すぐに局員の声が聞こえた。
「こっちに何かあるぞ!」
その声にみんなの意識がそちらへ向く、キラは声がしたほうに何があるか知っていた。
「こ、これは!」
そこには大きな水槽の中にフェイトと瓜二つの子が眠っていた。
「え!?」
「・・・・・・・」
なのはもフェイトも驚きを隠せず、目を見開いてアースラの映像を見ていた。
『うわぁ!?』
武装局員がプレシアに吹き飛ばされる。
『私のアリシアに近寄らないで!』
武装局員が杖を構え、魔力の矢を放つが、プレシアの障壁に打ち消されてしまう。
『うるさいわ』
プレシアの手に魔力が集中する。
「危ない!防いで!」
リンディの声も虚しく、武装局員全員がプレシアの雷に打たれ悲鳴を上げながら倒れる。
『フフフフフッ』
「いけない!すぐに局員たちの送還を!」
「りょ、了解です!」
エイミィはすぐにパネルを叩き座標を調べに掛かる。
「アリ・・・・シア・・・?」
フェイトは未だ母と自分に良く似た少女を見つめていた。
「座標固定:0120 503!」
「固定!転送オペレーション、スタンバイ!」
映像でプレシアは水槽に手を触れ、愛おしそうにそれを眺める。
『もう駄目ね、時間がないわ。たった九個のロストロギアではアルハザードに辿り着けるかどうかは、分からないけど』
すると、なのはたちを見るように後ろを振り返る。
『でも、もういいわ。終わりにする、この子を亡くしてからの暗鬱な時間を』
『この子の身代わりの人形を娘扱いするのも』
それを聞き、息を呑むフェイトたち。
『聞いていて?あなたのことよ、フェイト』
『せっかくアリシアの記憶を上げたのに、そっくりなのは見た目だけ。役立たずでちっとも使えない、私のお人形』
その話を聞いてエイミィは顔を伏せながら言う。
「最初の事故の時にね。プレシアは実の娘、アリシア・テスタロッサを亡くしているの」
「彼女が最後に行っていた研究は、使い魔とは異なる・・・・使い魔を超える人造生命の生成。そして、使者蘇生の秘術」
それに驚く、アルフとユーノ。
「フェイトって名前は当時彼女の研究に付けられた開発コードなの」
『よく調べたわね。そうよ、その通り。だけど駄目ね、ちっともうまくいかなかった』
『作り物の命は所詮作り物、失ったものの代わりにはならないわ』
そして、もう一度こちらを振り返る。まるでフェイトを見るように。
『アリシアはもっと優しく笑ってくれたわ。アリシアは時々わがままも言ったけど、私の言うことをとても良く聞いてくれた』
その言葉にフェイトは顔を落とすのを見てなのはは言った。
「やめて」
『アリシアはいつでも私に優しかった。フェイト、やっぱりあなたはアリシアの偽物よ』
『せっかく上げたアリシアの記憶も、あなたじゃ駄目だった』
「やめて!やめてよ!」
悲痛ななのはの叫びも虚しく響くだけで、プレシアは止まらない。
『アリシアを蘇らせるまでの間に私が慰みだけのために使うお人形。だから、あなたはもういらないわ』
『どこへなりと・・・・・消えなさい!!』
「お願い!もうやめてーーー!!」
フェイトは目に涙をため、なのはは叫ぶ。
プレシアは顔に手を挙げると高らかに笑った。
『フフフフ、良いことを教えてあげるわ。フェイト。あなたを作り出してからずっとね、私はあなたが・・・・・』
『大嫌いだったのよ!』
その一言でフェイトはバルディッシュを落とし、そして、それが砕けた。
それと同時にフェイトの目から光がなくなり倒れる。
「フェイトちゃん!」
「フェイト!」
その瞬間、轟音と爆風を上げてプレシアに向かっていく影があった。
ソードモードになり、シュベルトゲベールを構えたキラだった。
「キラくん!?」
その映像になのはは驚いて声を上げる。
『プレシア・テスタロッサアァァーーーッ!』
キラの目は光がなくなり怒りと憎しみしか映っていない。
振り下ろされたシュベルトゲベールはプレシアの障壁に阻まれて止まる。
『死に損ないが』
『彼女は人形なんかじゃない!ただの・・・・・優しい女の子だ!!』
『全く、あの人形にどうしてそこまで怒れるのか、分からないわね』
『何を!・・・・・あ・・・・』
「え?」
怒りで周りが見えない状態では冷静な判断は出来ない。
そのため、いとも容易くプレシアの魔法の矢がキラを貫いていた。
「キラくーーーーん!!」
なのはの悲痛な叫びが木霊する中。キラは膝を折り、そして倒れ動かなくなった。
「そんな・・・・・キラが・・・・・・」
アルフは信じられないように映像を見つめた。
「局員の回収、終了しました」
「えぇ、急いで彼の回収も・・・・・・」
リンディがキラの回収もさせようとしたときエイミィの声が響いた。
「た、大変大変!ちょっと見てください!屋敷内に魔力反応多数!」
「何だ!?何が起こってる」
リンディの隣にいたクロノも声を上げる。
モニターに多数の傀儡兵が現れ始めていた。
「庭園敷地内に魔力反応、何れもAクラス」
「総数、60・・・80・・・まだ増えています」
「プレシア・テスタロッサ!一体何をするつもり?」
プレシアはアリシアが入った水槽を魔法で持ち上げ玉座に戻りながら言った。
『私たちの旅を邪魔されたくないのよ』
玉座に戻りプレシアは手を広げた。
『私たちは旅立つの!』
フェイトから奪った九個のジュエルシードが円を作り宙を舞う。
『忘れられた都・・・・・アルハザードへ!』
「まさか!?」
その言葉にクロノが反応する。
『この力で旅立って・・・取り戻すのよ!全てを!!』
その瞬間、ジュエルシードが光り、巨大な力が発動した。
支援
「次元震です。中規模以上!」
「振動防御!ディストンションシールドを!」
局員の声にリンディが指示を出す。
「ジュエルシード九個発動!次元震、さらに強くなります!」
「転送可の距離を維持したまま、影響の薄い場所に移動を!」
「りょ、了解です!」
「このままだと次元断層が!」
なのははフェイトを抱きしめながら叫んだ。
「キラくんがまだ!!」
キラは仰向けに倒れたままピクリとも動かない。
「今は無理よ、もう少し待って!」
なのはの叫びにリンディは悲しそうに言葉を返す。
「アル・・・ハザード」
「馬鹿なことを!」
「クロノ君!?」
「僕が止めてくる!ゲート開いて!」
エイミィの言葉にクロノは強く答えて、ゲートへと向かう。
(失われし都・・・・アルハザード。もはや失われた禁断の秘術が眠る土地。そこで何をしようって言うんだ)
クロノはゲートに向かい走りながら考えた。
(自分がなくした過去を取り戻せると思ってるのか)
クロノはデバイスを取り出す。
「どんな魔法を使ったって、過去を取り戻すことなんて・・・・出来るもんか!!」
高笑いを続けるプレシア。
それを睨むリンディ。
崩れ落ちたフェイト
それを支え・・・・・そして、プレシアを睨むなのは。
「私とアリシアはアルハザードで全ての過去を取り戻す・・・アーッハッハッハッハッ」
プレシアはもう正気ではなかった。
投下終了です。
いやぁ、今回はキラ君がボロボロですね。
しかも転送させようとしたところを悉く邪魔されて放置w
そして、物語はあと2話です。
なんか終わってしまうのが、早いような気がしますね(−−;)
次回「開く扉なの」お楽しみに!!
それにしてもここで止めるってどうよと今更ながら思っていたりw
まぁ、あれです。五日後をお楽しみに〜!
早く帰って来れれば早く帰ってきま〜す!ホントすいませんorz
おっと、忘れておりました。
キラは一応、AAAランクに近いですが探査魔術や転移魔術をしっかり覚えていないし
AAA-ぐらいでしょうか?
そんな感じです、そこまで詳しく考えていなかった自分に自己嫌悪orz
種割れすればAAAか+になります。
そういうわけでよろしいいでしょうか?
GJ
まあいいんじゃないですかね
アニメでも反射神経と本能でMS動かす野生児見たいな感じですし
GJo(^▽^)o
キラの戦闘での判断と反応は高いですから、問題ない。
ドラグーンのビームの数だってハンパなかったけど避けてたし。
ジュエルシードって、キラが力を望んだらストライクフリーダムになったりするのかな?
172
GJ
今回のキラはぼろぼろですね。
残り二話でどのようになるのでしょうか。
キラのランクは探査魔術や転移魔術を覚えていないからAAA-ですか。
なら本格的にならえば、すぐに上がるかもしれませんね。
>>142 いろいろ似たもの同士だから相性いいんだよ
なんかシンとなのはって気が合わなそうだなと思ったらあることに気が付いた
そうかなのはの性格がキラと似通ってるからだ
>>179 似てるからなのはもドラグーンが使えたんだよ
キラはユーノに探査や転移を教わればすぐマスターしそうだけどな
むしろ本編のOS書き換えを見てる限りではそっちの方が素質ありそう
つか、スパコーディってデバイス必要なのか?
あの驚異的な演算能力はデバ無しでも戦闘局員と同じくらいの魔法は使えそうなんだが
なんとなく
デバ無:Bランク(ステエキ並)程度
デバ有:AAA-〜AAA+
ってところか?
あと、デバイスが攻撃か自由か口紅か和田かでもっと違ってくると思う
>>172 キラはプレシアにボロボロにやられてしまいましたか。
まあいくらスーパーコーディネーターといっても病気を抱えているとはいえ、一流の魔導師相手では仕方がありませんね。
ところでプレシアがキラに放った魔法の矢は、非殺傷設定なんでしょうかね。
>>184 そんなに優しいわけないだろう。コーディの回復力なら少しの医療魔法で全快するだろ。
ミーティア装備状態のキラが想像つかない。
普通に縮小されたミーティアがキラとドッキングしてるところを想像すればいいのか?
>186
まだ気が早くないか?
うおおぉぉぉう!?
たくさん(?)の感想ありがとうございます。
色々書き込みを見るたびに修正点が分かったりして助かります。
そして、自分でそれを見つけられないのが悲しいorz
このSSは感想を下さる皆さんによって支えられております!
・・・・・変に演説っぽくなってしまいました(−−;)
本当は一つ一つ感想に反応したいのですが、もう時間が・・・・・・。
今から五日間パソが触れないのが辛いです。
ここは携帯でも見たりしますので感想やらよろしくお願いします、反応は出来ませんがw
ただし、修正点が多すぎると凹みますがw
それでは、また五日後にw
189 :
通常の名無しさんの3倍:2007/09/18(火) 19:28:50 ID:/B8FHYEv
>『プレシア・テスタロッサアァァーーーッ!』
どう見てもスパロボJのキラです。本当に。
アルハザードは実在するし、そこ出身の奴もいるんだから手伝ってあげてもいいかも。
アルハザードは実はC.E.
神秘の世界?
ラングリッサーの魔剣?
この間亡くなったよね(;ω;)
>>186 バリアジャケットが変化(少しゴツく、ミーティアっぽい色調)して
デバイスはビーム砲(ガンダムレオパルドのガトリングっぽくつく)みたいになる
そして本人の周りには大量の魔力スフィアが・・・
みたいに妄想してる
>>191スパロボJのキラはすごいよな
アスラン庇うニコルのイベントをソードストライクで発生させると
「てぇぇぇい!」(横薙ぎふっとばし→アンカー引き寄せ→一刀両断)
だからな
まかり間違ってランチャーストライクで発生させようものなら
「まとめて撃ち落す!」
だからな
そんなキラ好きになるしかないじゃないッ!!
リリカルクロスSEED氏のキラはその遺伝子をコーディネートされてるのか。
カズマ遺伝子とK1遺伝子がコーディネートされてるんだよ、きっと
「また戦いがしたいのかァァッ!」とか、ちょっとシンも入ってましたよ
フェイトはドラグーン扱えるかな。
フェイトは高機動かつ中距離〜接近戦だからドラは似合わないな
Destiny辺りが似合いそう
使うとしたら、光の翼もどきじゃないか?
俺のイメージ的にドラグーン使っても、スパイクだけだな。
例えるならプラズマランサー辺りか?
丁度そんな感じだよ
いまさらドラグーンが使えても大して意味無くないか?
>211
C.E.世界だったら意味あるんじゃね?
上記のプラズマランサーがすでに任意方向転換制御可能だしな、たしか
リリなので誘導操作ならそれこそなのはさんが本職だし
\ ,. ‐,ニ=-
\ ,. - ' ´ ̄ ̄ ``ヽ. / /.‐¬=- 、
Y |/ ' ´ ̄``ヽ、 / | | _|_ ――┐ _|_ | | フ土 | |
>/ニ ‐ 、 、 ヽ | | | | ─ / ヽ./ / | | .)羊 | |
イ ヽ / / / / 、 ヽ. \ヽ}. / | .ノ / ア/ /|\ | |/ ── .・ ・
.| / / / / 〃 //1 l ヽ \. i ,ィ-‐'´'" ̄´'‐- 、_
.| ./ / / ̄/_Z_フ〃 ト!j1 l l l ヽ ヽ } '´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`~ヽ、
/ / /,ィ´,ィぅ、ヽ ′/lムトj l l l いV.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,:.:.、:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ、
| l イ ヽ{ トッ::リ ,fi }〃/ l l:!:.:.:.:.:.:.:.、:/{ム<_{:人:.:.j:.、:.:.ヽ!
ヘ. ヽ| :l | `ー'′ トリ1 }} l jゞ.:.:.:.:.:.:.:.:ト' r't:dミッ ,ソ_)ィ、:.:.N
ヽ ヽl l __ ' ゙' j 〃/l / 〉:.:/ニ}:.:,'´,..:`ー' ftテァ'}:.:.:!' ,. ‐'"´ ̄ ̄ ̄三≧=-
\l l i´ ノ ,.イイ/イ /イ '、:.l '(j、:.:} " _`)゙´/:.ノ' , ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`丶、 __
- 、_,.ヘ. ト、_ `ー‐' _,. '´/ / ヾ`ーz`′ , ―-、 l:.ノ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.ト,、_Nト、:.:.:.:.:.:ヽゝ、/l |ヾィ′: : : : ` ‐- 、
ヽ `マ ヽヽ._7ー‐ ' / / /`ヾン '、二)ノ /´ イ:.:.:.ィt:.:.:.:.:.y‐rミメiVjL:l:.:.:ヽ 丶v' : : : : : : : : : : : : : ` ‐ 、
l l ', ヽ ^1 ` ーrく / ,/ \ 、 ‐ ,. ´ 'ノ}:.{f'リ:.:.:.:.卞‐゙' ゙ti'リ,、:.:、:',/ : : : :/l: : 、: : : : : : : : : : : : ` 、
l l ヽ===l ll Y丁ヽ ´ ̄::\ `丶-`干[´ ,」ノ:`ーf{:.:.:トl、 _ イ:.ト、ヾ!゙' |: : : : /__ヾ: : \: : : : : : : : : : : : \
l l ヽ-- l lj l l l い ヽ::::::::::::\ <二>/ //ハ`ヽ、 「::(レヘ:jヾト::'、 〈ヽソ/fi| i: : :__ll`<ゞン\r;ュr:、: : : : : : : : : : :ヽ
l l___,...._! リ 〃//j ! い | 、 ',:::::::::::::::`'‐-、.L.Llノ::::ヽ l lヽ ノ::::::`丶、_`ヾト、__`ア`ヾl | :/ヘl:! 〉 l)  ̄ `ー-、: : : : :.|
└─ '"¨¨><ヽ、_ / // / l い!|ト----、:::::::::::| |:::::, -| l l |´、`丶、:::::::::`7三彡)`丶、 ,' `-| ト、 -‐_- /l \: : /
,.ィ7ハヽ \_// 〃 | l/|| ヾ:::::::| |:::/ lノノノ、::::\::::ヽ::::::::/ /L:::::::::ト、 /: : :.i | | \ /l | }:/
ゝク/ |ヽ〉、,、,{ l / / |l l:::::::| |:/ !ノノ ヾ:/:::::::><___ゝ、二二ノ/ : : :.! | |-― ゛-< i |__ _ /
>>214 キラと、ジョルジュとなのはのはファンネルじゃねぇwww
ジョルジュwwww
ローゼスww
このAA、どうしてこんなに笑えるんだwww
このAAはヤバイwww 噴いたwww
一番右の騎士な人のせいだと思うに1モリタポ
いや、元のアムロとキラさんが並んでる絵の時点で、既に相当笑えるからなw
さすがに投下ラッシュも収まったな
「待ちなさいよ、こらーっ!!」
ルナマリアが叫び、ゲイツBDのビーム・マシンライフルを連射する。
ZGMF-X1000用に開発した物を活かしたもので、皿型の粒子弾倉を横置きドラム形に変更、
パルチザン形態の対装甲アキナスをシールドに再格納せずに、銃剣のようにして扱える。
が、もともと命中精度が悪いのかルナマリアの腕のせいか、至近弾ばかりで命中しない。
ある意味神業だ。
「しつこいっつーの! いい加減に!」
しかし、挑発されたかのように、アウルが振り返って、フルバーストをかける。
「おっと」
紅いゲイツBDはさっとかわす。
「!」
フルバーストを射撃した後の隙に、フェイトはバルディッシュをアビスの真正面に滑り
込ませた。
「こーの!」
毒つくようにアウルが言う。バルディッシュのレーザーブレードアクスとアビスのビー
ムランスの柄がぶつかり合い、ギリギリと凌ぎあう。
「ステラは何をやってるんだ!」
スティングも不機嫌そうに言いつつ、ビームポッドでバルディッシュを狙う。
ドガァッ!!
紅いゲイツBDのシールドタックルで、カオスは突き飛ばされる。
「この」
「はぁぁっ!」
スティングがカオスを構え直させるより速く、ルナマリアはパルチザンで斬撃を入れた。
カオスはさらに後ろへ下がる事での回避を余儀なくされる。
間合いが遠のいたのを確認すると、ルナマリアは続けてアビスへとパルチザンを突き立
てようとする。
「うわっと!!」
アウルが悲鳴を上げ、アビスはバルディッシュとの鍔迫り合いを解いて、後退する。
アビス、カオスと、バルディッシュの間に、紅いゲイツBDが割り込んだ。
『フェイト、今のうちに』
「あ、うん」
ルナマリアに言われ、フェイトはバルディッシュからソード・デバイスシルエットを切
り離した。
ほぼ垂直上昇してきたデバイスシルエットフライヤーから、ザンバー・デバイスシルエ
ットが切り離され、バルディッシュの背中のインターフェイスに接続される。
肩口に4門のビームガンが展開する。さらにバルディッシュ本体に標準搭載のビーム・
マシンライフルを抜く。
「換装システム、それも行動中に!」
スティングが驚愕の声を上げる。
「こいつも捕まえて帰りたいところだが、今は事実を報告するほうが先か……アウル!」
言いつつ、スティングはビームサーベルを抜き、紅いゲイツBDに斬りかかった。ルナマ
リアはアンチビームシールドで受け止める。
「先に飛んで、脱出の穴をあけろ」
『ステラがこないぜ、いいのか?』
通信用ディスプレイ越しに、アウルの怪訝そうな表情が写る。
「仕方ないだろう、運が無かったんだ」
『そうだな……しゃーねぇ』
アビスはバルディッシュの肩ビームから逃れつつ、空中で反転すると、一気に上昇を始
めた。
「逃がさない……」
バルディッシュがスラスターを吹かして追う。
「このっ」
カオスはゲイツBDのシールドを蹴飛ばし、振り払ってさらに2機を追う。
「待ちなさいってば!」
紅いゲイツBDもそれを追って上昇する。さらに、フォースシルエットに換装し終えたイ
ンパルスが、それに続く。
カオスはビームポッドを切り離す。高い機動性を持つそれを、バルディッシュの前に回
りこませる。
「!?」
フェイトは一瞬驚いたような表情を見せると、ビームポッドの射撃に対してシールドを
立てる。シールドの表面で火花が散る。
カオスがバルディッシュを追い抜いていく。
『フェイト、大丈夫か?』
ビームサーベルを構えたインパルスから、シンが気遣うように声をかけてくる。
「私は大丈夫、早く追って!」
なりふり構わないように言う。バルディッシュの肩のビームガンが切り離され、カオス
のビームポッドを取り囲む。
「こいつもドラグーンを使ってくるのか……!!」
スティングは、忌々しそうに目を細めた。
カオスのビームポッドは、対ビームコーティングで、バルディッシュの『フォトンラン
サー・ドラグーンシステム』ビームガンが、稀に掠めてくるのを耐える。しかし、体当た
りしてきかねないほどのフォトンランサーの動きに、ビームポッドの動きは制限されてし
まう。
「うぁぁぁっ!」
他の機体を引き離したアウルは、アビスのフルバーストを、アーモリー1の外壁に向かっ
て射撃した。
中の環境を保持する為、戦艦の装甲さえ凌駕する強度を持つコロニーの外壁だが、それ
でもアビスのカリドゥス複相砲を食らえばただではすまない。
射点の集中した点は赤熱し、僅かながら崩壊する。
さらにそこへ向かって、もう一撃が叩き込まれた。
「やめなさいよっ!」
パルチザンを振りかぶり、紅いゲイツBDが、下からアビスに襲い掛かる。アウルはとっ
さに体勢を変え、シールドでパルチザンの刀身を受け止めた。だが、ゲイツBDのパルチザ
ン、対装甲アキナスはビーム刀ではない。ジリジリと鈍い響きがして、アビスの装甲に食
い込む。
「く……そ……」
たまらず、アウルはゲイツBDを蹴飛ばすように跳ね除けた。
「あぅっ……!」
「このっ……」
静かに声をかけ、フェイトはルナマリアと入れ替わるように、アビスに迫る。カオスの
ビームポッドをフォトンランサーで牽制しつつ、ウェポン・ラックからMA-M81『レーヴァ
テイン』レーザーブレード対要塞剣を抜く。エクスカリバーのように連結機構は持たない
が、刃の幅はさらに太い。
本来対MS戦に使う為の代物ではないが、アビスを確実にしとめるにはこれしかない。
下から、切っ先で弧を描いてアビスに斬りかかる。アビスは、それを悠々とかわした。
「くっ……」
フェイトは苦々しい顔をする。早まったか。シグナムを回収してきた方が良かったか。
下方では、インパルスが、カオスと絡み合っている。インパルスのヴァジュラ・ビーム
サーベルがカオスに向かって振り下ろされる、カオスはそれを、シールドで受け止め、耐
える。
『アウル! 早くしろ!』
スティングが、焦ったようにアウルに向かって声を上げる。
「今やる……これで、どうだ!」
レーヴァテインの切っ先を再度かわした次の瞬間、変色し劣化していたコロニー外壁の
その1点に、さらにフルバーストを撃ち込んだ。
外壁のモジュール全体にひびが入り、変色した部分が一気に砕け散る。
「しまった!」
フェイトが声を上げる。だが、遅い。
コロニー全体から見れば、軟式飛行船に僅かな破口が開いた程度のもので、即、内部の
人間の生命に関わる物ではない。だが、その1点に発生する空気の流れは相当のものだ。
アビスが自ら吸い込まれるように出て行く。
「あららららっ!?」
バルディッシュと、紅いゲイツBDが、空気の流れに負けて外に吸い出される。
「アウル!」
「フェイト!」
シンは叫ぶ。その隙をついてすり抜け、カオスはビームポッドを回収しながら、破口か
ら外へ出て行った。
「待てっ!」
シンもカオスを追い、インパルスは破口から外へ出て行った。
「あーっ、あいつら、勝手に!!」
ミネルバのオペレーターコンソールで、5機のMSがコロニーから出て行ったことを知る
と、アーサーは驚いたような憤ったような声を上げる。
「インパルスとバルディッシュの電源容量、危険域です、最大で後300」
メイリンが、緊張した口調で伝える。
「LHM-BB01ミネルバ、発進します!」
艦長席のタリアが、宣言するように下命した。
「ええっ、しかし艦長」
慌てたように、アーサーが聞き返す。
「あの2機まで失うわけには行かないわ」
アーサーに険しい口調で言い返した後、椅子を傾けて、反対側から振り返る。
「議長は下艦を」
しかし、デュランダルは自身も険しい表情で、言い返す。
「タリア、とても降りて報告を待っていられる状況ではないよ。私には義務も権限もある、
このまま同行する」
「ですが、外では戦闘状態になるかと思いますが、よろしいですか?」
タリアが言うと、デュランダルはさらに眉を険しく吊り上げた。
「覚悟は出来ているよ」
コロニー外周では、激しい戦闘が発生していた。
第81独立機動群、「ファントムペイン」は、その旗艦、ミラージュコロイドを装備する
大型戦闘艦『ガーティー・ルー』ただ1隻で奇襲攻撃を実施。多大な戦果を挙げると同時
に、奇襲用のドッペルホルン・ダガーLで軍港ゲートの破壊・封鎖に成功した。
だが、ZAFTのMSによる迎撃が本格化してくると、俄然、多数対少数の苦戦を強いられ始
めた。
ゲイツBD、それに既存のゲイツRを改造したゲイツFRに、ダガーLでは対抗が難しかった。
ガーティー・ルーに取り付こうとするゲイツFRも現れ始めていたが、一定の距離に近づ
くと、何処からともなく発射されるビームにより、1機もそれを果たしていない。
「くそっ、こんなにわらわら湧いて出てくるこたぁ無いじゃないか」
高機動MA、『エグザス』のコクピットで、ネオ・ロアノークは毒つく。エグザスに装備
されている5基のガンバレルで、ガーティー・ルーに近寄ってくるZAFTのMSを撃墜し続け
た。
「ZAFTはいつ、少数精鋭主義を返上したんだ?」
憎まれ口を叩いているうちに、コロニーの1点で、瞬いたのに気付いた。
「むっ」
そこから、次々と5機のMSが飛び出してくる。
「やれやれ、この上お守りも必要だって言うのかい?」
ネオは、半ば自棄で肩を竦める。
「リー、しばらく離れて大丈夫か?」
『本艦は耐えて見せますが……』
通信用ディスプレイの中で、ガーティー・ルーの艦長席に収まる、連合の制服を着た中
年入り始めの少佐は、苦い表情で言葉を濁す。
2種の改良型ゲイツとやり合っているダガーLの支援は出来ない、暗にそう言っていた。
「…………済まない、だがここであいつらを失うわけには行かんのだ」
2機、3機の改良型ゲイツを相手させられているダガーLを申し訳なさそうに見てから、
ネオはガンバレルを回収、メインスラスターを吹かしてカオスとアビス、そしているはず
のガイアの支援に向かった。
「…………」
フェイトは、バルディッシュ本体に続いて押し出されてきたフォトンランサーを回収、
ドッキングさせると、状況把握のため一呼吸おいた。
「!?」
胸に、リンカー・コアの近くに、痛みのような痒みのような、妙な感覚が走る。反射的
に見上げると、そこに、紅いモビルアーマーが、猛スピードでこちらに向かってくるのが
見えた。
「なるほどね、どうやらこれは手痛いミスを犯してしまったようだ」
ネオはそう言い、ガンバレルを切り離す。
「彼らの仇というわけではないが、その機体も頂こうか!」
(モビルスーツ設定)
バルディッシュ(ZGMF-Y56S)
○「量産型インパルス」として試作されていた2機の内、1機を改修して誕生した。
○動力:バッテリー+デュートリオン電送システム
○装甲:VPS装甲
○基本武装
MMI-GAU26A CIWA/20mmガトリングライフル×1 (頭部)
MMI-666X ビーム・マシンライフル(横型ドラム弾倉)
MMI-RG79W アンチビームコーティングウェポンキャリーシールド
MA-M9 延長ストック付レーザーブレードアクス
シーリングリフター
デバイス・シルエットシステム:バルディッシュ用のシルエットシステム。
○ソードデバイス:近接戦闘用デバイス・シルエット
MA-M941T『シグナム』ビームグラディウス
○アサルトデバイス:中〜近接戦闘用
MMI-730『ブリューナク』ビームパルチザン
M75 短銃身ビームガン(右脇腹)
RQM61『ブリッツエッジ』ビームブーメラン(左腰部)
○ザンバーデバイス:対艦・対要塞攻撃用
MA-M81『レーヴァテイン』ビームコーティング対要塞刀
『フォトンランサー』ドラグーンシステム
EQFU-6/adv機動突撃銃×4(肩部に装備、固定銃としても利用可)
インパルスとの互換性について
○コアスプレンダー:カタログ上は同一機種、共通
○チェストとレッグ:レッグは若干形状の異なる部分はあるが、VPSの設定が違うだけで基本的には同一仕様(設定情報はチェスト側が持っている)。
したがってチェストにどちらを装備するかでインパルスかバルディッシュかが決定する。
○シルエット:インターフェイスのプレゼンテーション層まで共通。
インパルスではソフト側で対応していない為デバイスシルエットは装備不可。
バルディッシュでは物理的にシーリングリフターに干渉してしまう為インパルス用シルエットは装備不可。
尚、バルディッシュはウィザードシステムも装備可能。
(モビルスーツ設定)
ゲイツBD (ZGMF-1600B)
○バルディッシュ用に製造された装備品を応用し、強化したゲイツ。
Bはバルディッシュの頭文字から、Dは防御力強化型を示す。
コンセプトは「グフより安くてザクより万能、ヘボが乗っても高性能」。
○動力:強化型バッテリー
○装甲:複合構造型強化金属合金
○基本武装
MMI-GAU1600 近接防御システム/20mmガトリングライフル
MMI-666A ビーム・マシンライフル(横型ドラム弾倉)
M80-AAK 延長ストック付対装甲アキナス
M1-BG短銃身ビームガン
MMI-RG80W アンチビームコーティングウェポンキャリーシールド
ショルダー固定アンチビームバックラー×2
簡易飛行機能+オプションペイロード付強化スラスター
ゲイツFR
○ゲイツRの格闘戦性能改善型。新規生産ではなく、ゲイツRから直接改造した物。
○ゲイツRからの変更点
MA-MV05複合兵装シールドをMMI-RG80Wアンチビームシールドに交換。
ポルクスIVレールガンを取り外し。
近接武器としてM80-AAK対装甲アキナスを装備。
ビームライフルをMA-BAR726に変更、コンパクト化・補助バッテリー搭載型。
GJ〜
>ルナマリア目立ちすぎてない?
原作では戦闘ぱっとしなかったしこのぐらいはイーンダヨ!
と俺は思う
>>230 GJです
ルナマリアは、むしろ目立たせて欲しいです!
GJ!
ルナの初出撃はアレだったからなぁ…これぐらい出てもOKだと思いますぜ
なんか
>>229見るとゲイツRって意図的にやられメカにされていたような気がしてならん。
>>230 簡易飛行機能って原作ザフトの量産機にはなかった機能がw
もうザクいらないな、グフもいらないんじゃね。
ウィザードシステム涙目。
コンセプトにワロタw
もう最後までザフトの量産機はこれでいいよww
ザフトがこうまで変わってるなら連合やオーブの量産機も当然変わってますよね?
変わってなかったらパワーバランスが崩れるし。
ここまで来ると本家種死がバカみたいになってきたな
まあザフト量産機に比べたら連合量産機のほうがマシだけどな
空戦装備がない上にビームトマホークだのウィップだの真面目に戦争する気あるのかと
ザフトの技術屋は無能すぎる
そういえばどこかにあったね、自軍ばかりtueeeオリMS大集結で敵(連合)は無能だらけで
作者と主人公の名前が同じな最低SS。
>>237 飛行用のウィザードはジャンク屋ギルドが開発してるぜ!
え〜と、まああれだ。
元々ザクは、プラント防衛を主眼に置いたMSだったんじゃないかと。
ほら、ブレイズウィザードは空間戦における機動力の向上とミサイルによる面攻撃に対応できるし、ガナーの
オルトロスは大気による減衰が無い分、長射程高威力だし、エネルギータンクと大砲というシンプルな構成は
量産性と整備性に優れているだろうし。
スラッシュはガナーや戦艦の直援に付くもよし、ブレイズと一緒に敵陣への切り込み役に、ビームガトリングと
ビーム突撃銃で弾幕も張れるから対空防御も出来る。
ほら、こんなに便利!
まあ問題は、何故同時期に開発されていた、グフのフライトユニットを再設計(又は流用)したザク用の飛行用
ウィザードを開発しなかったのかという事なんだが。
>>240 グフとザクの関係は確か次世代量産機争いでグフはザクに負けた。
だからザクを量産したが、ザクの生産ラインがいっぱいになったからグフも作った。だったよな。
……どうしてザクの生産ラインを増やそうと考えなかったのか。突っ込んじゃ駄目だよな。
>>241 次世代量産機のコンペでザクに負けたのってドムじゃなかったっけ?
>>243 どっちもだったはずだが。ドムの製作者はラクスに逃げたからあえて触れなかった。
性能、有用性、実用性、コスト、全てを統合したコズイラの最良モビルスーツって何だろう?
>>245 ミーアザク
でも、こう言っちゃ詰まらんが、コストとか関係なく無敵になってしまった隠者、ストフリだろうな
>>245 スカイグラスパー(ランチャーストライカー装備)
ボールにアグニかファトゥム01つけりゃ勝てる世界だ。
>>246 まあそれはそうだろうがww
個人的にはムラサメあたりを推しとく
バクゥだのゾノだのを造るヒマがあったらとっとと空戦MSを開発しろって話なんだが
ディンっていつから造られてたんだっけ?
最初からあったんなら砂漠や海では出てこなかった意味が分からんし
お前らそろそろ自重しろスレチだぞ
何回見てもインパクトがあるなこのAA。
そして何故か癒される。
18話、短めですか出来たのでおいておきますね
第十八話
「……ここまでにしようか」
「あ、はい。有難う御座いました」
パタンと、手にした教本を閉じてアリアがまぶたの上から目をもみほぐす。
キラに割り当てられた部屋で、今日は主に理論的な魔法の話を詰める事に消費された。
ロッテやクロノからいたぶられるのに比べれば何とも平和な数時間だったという。
「今のヤマトさんの強さに合わせた理論は、教え切っちゃいましたね」
「そうだね、後はあたしも実戦で教えた方が効率がよさそうだ」
アリアの隣でシャマルが感心げだ。
随分キラと親しくなった彼女は、アリアの授業であればたまに手伝いに来てくれる事がある。
訓練開始からおよそ1カ月が経過している。
ここにきて現段階のキラは頭のみに頼る訓練の終了を告げられた。
正直、こうやってノートをとったり本に目を通したりする授業にキラは安堵があったのだ。
学校のようなアリアの時間は、なんだか懐かしい気がする。
忘れている記憶の中に、学生だった自分がいたのだろうが、こうして机と向き合っているとキラは特にそれが感じられた。
だから、もう少しこんな気持ちを味わっていたいと思う。
「さて、それじゃあたしはデュランダルの所へ行くから、後ははもう自由に過ごしても構わないよ」
「分かりました、それじゃシャマルさん、行きましょうか」
「ええ」
今日も、はやてと昼食の約束をしている。
正確にはシャマルと約束しているのだが、それにはやてが加わるのはもう当然の事になっていた。
シャマルたちが来ると、はやては笑顔をキラとシャマルを迎えるが、天真爛漫なアリサの笑顔をいつも見ていたキラは分かる。
はやての笑顔がまだまだ無理したものである事が。
「今日は早うに終わったんやね、ヤマト君」
「うん、区切りがついたみたいだから今日一日はもう自由にしていいって」
「お、どのへんまでいってるん?」
「えーっと、後は戦闘訓練で直接教えた方が効率がいい……って所まで?」
「全然わからへんよ」
無理をしている笑顔であったとしても、シャマルはかなりホッとしている。
普通の顔で普通の会話ができるのだから。
はやてが数日、引きこもっていた時にはもうどうすれいいのかと焦りに焦ったものだ。
「ザフィーラはどうしたん?」
「そう言えば今日はザフィーラさんを見てないかな。トレーニングルームだと思うよ」
「最近ずっとやねぇ」
「何回かザフィーラさんを見てるけど、デバイスなしであんなに強くなれるものなんだね」
「せやなぁ……」
はやてが小さく頷く。
寂しい思いが胸に込み上げてきたが、キラとシャマルに悟られまいと頑張って笑顔を続けた。
◇
さて、当のザフィーラと言えばキラたちの予想通り、トレーニングルームで1人黙々と自分を磨いていた。
次は、次こそは仕留め損なわぬように、と。
「恐い顔しちゃって」
いつ入ってきたのだろうか。
背後からザフィーラにかけられた声はロッテのものだ。
ウキウキしているというか、ワクワクしているというか、ロッテの様子は嬉しそうな気配に満ちていた。
まるで、新しいおもちゃが手に入った子供のよう。
「ちょうどいい、相手をしてもらいたい」
猛るザフィーラへと、ピンと胸元のペンダントを弾きながらロッテが笑った。
「こっちのセリフなのよねぇ、それ」
双剣のペンダントが、煌いた。
◆
「組み上がってる……?」
マリーの所属ラボでの事。
やってきたアリアが見た物はピッカピカのデュランダルである。
その隣では、むにゃむにゃとコンソールに突っ伏して眠ってしまっているマリー。
彼女の担当していたレヴァンティンは、影も形もないので彼女が仕上げ、ロッテが持っていったのだろう。
そして、マリーがピッチを上げてデュランダルを完成させてくれたようだ。
彼女の眠りの深さが激闘であった事を物語る。
「ありがとう、マリー……」
デュランダルを待機状態のカードにして胸元のポケットへと収めれば、さらりとマリーの髪を撫でてやる。
そして適当に羽織るものをマリーにかぶせ、すぐ隣の部屋で作業中のグレアムを訪れた。
未だ、部品部品に解体されて足りないもの、足りているもの、必要なもの、邪魔なものを調べている最中のシュベルトクロイツとにらめっこをするグレアム。
「やぁ、アリア。デュランダルはもう受け取ったかね?」
「はい。マリーったら、眠ってしまっていたので勝手に拝借しました」
「そうか、随分と頑張っていたようだからね。私も、静かに作業をしよう」
柔和な微笑み。
本局に来て、グレアムは活き活きとしている。
自身で辞職を希望したグレアムだが、管理局の空気が好きなのだろう。
「父様、あの……」
「分かっている。現場には、出て欲しくないのだろう?」
「……はい」
良く分かりましたね、と言わんばかりに目を丸くするアリアに、グレアムは苦笑するばかりだ。
「シャマル君とレティ君にもそう言われてね、まだまだ若いつもりなんだが……」
『現場には出ないで下さい』
出る気満々だったグレアムにそう釘を刺したのはレティだ。
彼女なりの労わりなのか、とにかくグレアムを後方に押しとどめようとさんざんにきつめに言い募る。
いくつかグレアムが傷つく言葉も混じってたりしたが、それだけレティが真剣なのだろうと思いながらグレアムはちょっぴり落ち込んだりしたのだが。
私もまだまだ若いよ、と反論するグレアムと議論はまったくの平行線をたどり、
『じゃあ、私に勝ってから行きなさい!』
と何かよく分らん方向に話は進み、グレアムVSレティの模擬戦が実現。
前線から退いて随分経つが、元々はどちらも戦闘力を買われてのし上がっている。
腕はいくらか錆びついていながらも、その魔法戦技術はやはり特級だった。
見学に来た者たちの度肝を抜きながら、訓練用デバイスを用いて実に1時間に渡る練達同士の模擬戦の末、レティが勝利を収めている。
こうして、グレアムは現場に出る事が許されなくなったのであった。
ちなみに模擬戦後にグレアムを医務室へと連れて行き、レティがじきじきに手当てを施し、
『本当に、絶対現場に出ないで下さいね……心配、なんですから』
と、2人きりの時に洩らしている。
レティはツンデレの素質がとてもあった。
「そうですか……安心しました」
「現場に出ないと約束してしまったからには、仕方ない。私はシュベルトクロイツに全力を注ぐよ」
そんな2人へ、第97管理外世界、地球に現れたリリィを知らせに局員が駆けこんでくるのはもう間もなくだった。
◇
「うッ」
トレーニングルームに入るなり、キラの第一声がそれだった。
はやてと食事を共にした後、残りの時間を飛ぶことに費やそうとしたキラだが、熱い。
トレーニングルームがまるで火を通したように熱いのだ。
たまに視界が揺らめくような箇所さえあり、いったい何があったのかとキラは慎重に中に中に入っていく。
「やあ、ヤマト」
「ロッテさん、こっちに帰ってきてたんですか……それより、どうしたんですか、これ」
額の汗を拭いながら上空から降りてくる先生の手に握られているものにキラは目が行く。
双剣。
それも、飾りっ気のない簡素な造りのものがロッテの両手にそれぞれ握りしめられている。
「ん〜、これの練習をちょっとザッフィーに手伝ってもらっててね」
カチン、と剣で剣を叩いて見せた。
なんとも無骨な形で、本当に斬るためだけに造られたような双剣である。
間違いなく、デバイスだ。アームドデバイスであるのを、ひと通りの知識を詰め込んだキラは判別できる。
「アームドデバイス、ですよね。ミッドチルダ魔導師のロッテさんが使えるんですか?」
「ンッフッフッ、これ、借り物でね。持ち主もミッドの魔導師だから、アームドデバイスだけどミッド用に改造してるのよ。」
ロッテがひと振りすれば、物々しい音を立ててカートリッジが舞って双剣は炎を纏う。
陽炎の向こう揺らめくロッテの姿は、キラには妙に大きく見える。
レティにも魔法「少女」な時代があって、強敵と当たった時に発掘したてのこのレヴァンティンを使って勝ったとかなんとか。
後に、カスタマイズを重ね、ほとんどミッド用にしておきながらカートリッジシステムを残したままのこの形に収まったらしい。
「さぁてと、ヤマトちゃん」
「は…はい」
嬉しそうなロッテの表情に、キラはギクリとなる。
「ちょぉっとだけ練習に付き合ってもらうよ」
そして、それから30分と経たず、煙吹きながらボッコボコにされてピクピクと転がされてる焼きキラ一丁。
(……ずいぶんと強くなったね)
しかしながら、ロッテはレヴァンティンを胸元に納めながらそう思う。
少し前まではピクリともせずに気絶していたのに、今では途切れそうな意識をおぼろげに保ちながらピクピクと立とうとしているのだ。
出来たてとはいえレヴァンティンで武装している事を考慮すれば大した進歩である。
また室温の上昇したトレーニングルームで、しばしキラの火傷具合を見ていると(見てるだけで診てるわけではない)、勢いよくシャマルがやってきてはその熱気に顔をしかめる。
「暑……あ、ロッテ!」
「ん〜、随分慌てて、どうかした?」
「地球が……地球が!」
「落ち着いて。それは第97管理外世界でいいの?」
「とにかく管制室に……」
「あ、待ったシャマル! この子治してからにしてくんない」
どうにか膝立ちできるようになったボロボロのキラをロッテは指さした。
◆
細分化された管制室の一角。
アースラから映像を回してもらっているディスプレイにロッテとキラが覗きこめば、そこには海上で空中戦闘を繰り広げるリリィとクルーゼの姿があった。
奇妙なのは、その海から顔を出す2つの球だ。
「……立体魔法陣」
そう、クルーゼとリリィの戦いの下、海の中から球状の立体魔法陣が2つ、徐々にその姿を浮上させている。
いや、球というには語弊がある。
縦長のこの丸みはまるで、
「卵みたいだ…」
1つは全高で20メートルほどだろうか、もう半分ほどを海から上がっているのだが、もう1つはまだ海面下でゆっくりとした浮上である。
明らかに、まだ海の中にある卵の方が、巨大だ。
卵の頂点から丸みの広がり方を見れば優に50メートルを超える大きさの卵になるのではないだろうか。
手早くアースラに音声のみの通信を開き、ロッテがマイクに口を近づける。
「リンディちゃん、クロノはどうしてるの?」
『ロッテ? それが、先にトライアとシグナムの魔力を補足してしまって、そちらに向かってしまったのよ。フェイト、アルフを連れて今はシグナムたちと交戦中……地球に戻る余裕がないみたいなのよ』
「アースラの戦闘員全員出てるってことね」
『そうなの』
「オッケー、すぐ行く。エイミィにあの卵の解析急ぐように言ってね」
『ロッテ、解析っていうか、あの卵型の魔法陣が何か分かってるよ。あれの中身が、光の卵が作るゾインビースレイヴかデバイスなんだ』
「成程ね。よし、わかった、詳しい指示は現場で聞く、一旦切るよ」
通信を閉じれば、ロッテはキラに向き直る。
真剣な目だ。
「今から、地球に行く」
「…はい」
「もし、死んでも文句言わないなら、連れてってやるよ」
真剣な眼だ。
本当に、キラを現場で1人の戦士といて扱おうとしている。
だから、キラも真剣に答えた。
「行きます。連れて行って下さい」
終わりです。
短いのに場面が変わりまくるので、間にひし形を挟む他の方のSSのやり方をちょっとパクらせてもらいました。
鎮魂歌氏GJ!
次回も待ってるぜ!
>>失われた者たちへの鎮魂歌氏GJ!!
ついにキラが現場に出るんですな!!
地獄(?)に耐え抜いたスパコディがどれだけ強いのか期待してますぜ!!
久々にデスティニーガンダムスレ覗いたら、SEの情報見て吹いたw
これでシンのリミットブレイクの名称は決まったな
エクストリームブラストモードか。
4期OPのアレを再現するんだっけか
アレをなのは風にアレンジしたらミーティア以上に派手な事になりそうだ
旅先からネットカフェから参上ですw
名前は一々メモしてきたりw
職人様方GJです、自分も早く帰ってA´s書きたいです。
暇な時間は前のスレで見たキラのバリアジャケットをメモ帳にラクガキしたりなどしてます
パソコンに触れるのが日常だったので違和感が・・・・。
そして、朗報!(主に自分に)
明日の夜帰ってくることが出来そうです。
投下予告が出来ないので今のうちに・・・・・。
明日の21時くらいに第9話をアップしますw
投下OKでしょうか?
それでは、また明日w
>>265 4期のってことは、あの翼をぶわぁっと広げるやつか。
・・・あれを神隠しシンでやると、めちゃめちゃかっこよさそうだな。
>>266 おお明日帰宅して投稿されるんですか。
楽しみにして待たせていただきます。
神隠しのキラのフルバーストは虹色ではなく青一色なんだよな
どうせ絵では見れないんだけどなんとなく残念だ
このスレには絵師が足りない!!いいスレなのにそれが悔やまれる!!
>>270 画師がいないのにいいスレだと思うんだ
だが確かにバリアジャケット着て魔法陣出してるカズィは見てみたいな
超高速戦闘ができるようになるとかそんな感じ?
>>272 強くったっていいじゃないか。
種キャラがなのはキャラに勝っちゃいけない道理などないんだから。
和田もドラグーンを切り離すと高速戦闘が可能だったよな確か。
高天氏や神隠し氏のキャラはなのはキャラを凌駕しそうな強さしてるよな。
>>278 そのうちレイジングフリーダムやらバルディッシュデスティニーやらに
乗り換えてさらに無敵になるよ。
アスランがこっち見てるぞ
レイジングフリーダムすでにいないか?
そんな中ヴィータはさりげなくアークグラーフアイゼンだか
超銀河グラーフアイゼンだかに乗り換えたりするのか
神隠し氏はsts編が終了したらそのままオリジナル展開に突入するのか?
もし4期があるのなら3度目の空間転移ってのはマンネリだから
そのままミッドチルダに住み着いて4期まで引っ張ればいいのに
>283
そのまま劇場版に突入じゃないのか?
いやいや、OVAだよ
スターゲイザーのssってあったっけ?
>>286 毎回『面白そうだね』止まりだったと思う
スウェンの二丁拳銃のテクニック見てティアナ凹むとかの話の段階で終了していたような気がする。
>>286 今のところ、まじかるしんにスウェンが出てきただけだな
スバティアを圧倒して、なのはとも結構渡り合っていた気が
命を削るなのはのリミットブレイク=ブラスターモード
エクストリームは『極限の』とかそんな感じの意味だな
マジで名前はなのはよりすげえw
>>命を削るなのはのリミットブレイク=ブラスターモード
これを見た瞬間、俺の頭の中にテッカマンなのはという悪魔の化身が誕生した
なのは「レイジングハート! ハイコートディバインバスター!」
RH『ラーサ』
どっかのサイトのなのφ´sを思い出した
仮面ライダーでメカメカしかったのは衝撃的だったなぁ
>テッカマンなのは
お、恐ろしすぎる…
テッカマンなのは
ボルテッカ→ディバインバスター
ハイコードボルテッカ→エクセリオンバスター
ブラスターボルテッカ→スターライトブレイカー
違和感がなさすぎるwwww
最弱の短剣氏や噛ませの槍氏は誰に当たるかな?
ただいま戻りました。
予告より遅れてしまいましたが投下します!
第九話:開く扉なの
(僕は・・・・このまま死ぬのかな?)
キラは暗闇の中にいた。
(守りたいもの・・・・・守れなかったな・・・・)
キラの頭の中にはなのはやフェイト、アルフにユーノ・・・他にもたくさんいた。
事情を話せない自分に暖かい手を差し伸べてくれた人たち。
(僕は結局・・・・・あの頃のままなのかな?)
自分の力不足で友達の親が死んだ、友達が死んだ、親友の仲間を殺した、親友と殺しあった。
(あの頃のまま・・・・・何も守れず、何と戦えばいいのかも分からず、ずっと・・・・弱いままなのかな?)
この暗闇に聞いても返事はない、当たり前だ。
(でも・・・・それでも・・・・僕は・・・・・?)
キラは闇の奥に何かを見つけた。
「次元震発生。震度、徐々に増加しています!」
「この速度で震度が増加していくと、次元断層の発生予測値まで後30分足らずです!」
「あの庭園の駆動炉もジュエルシードと同系のロストロギアです」
エイミィはモニターを見ながら状況の説明に当たる。
「それを暴走覚悟で発動させて足りない出力を補っているんです」
「初めから、片道の予定なのね」
その説明にプレシアの考えを口に出す、リンディ。
その頃、クロノはなのはたちと通路で会っていた。
「クロノ君、どこへ?」
「現地へ向かう、元凶を叩かないと!」
「私も行く!」
「僕も!」
同行を希望する、なのはとユーノ。
「わかった」
「アルフはフェイトに付いていて上げて」
隣でフェイトを抱えたアルフにユーノは言った。
「う、うん」
そして、なのは・ユーノ・クロノは現地に向かった。
「クロノ、なのはさん、ユーノ君。私も現地に向かいます。あなたたちはプレシア・テスタロッサの逮捕を!」
「「「了解!」」」
はい。お願いします
待っていたぜ!この瞬間を!!
フェイトは闇の中にいた。
(母さんは最後まで私に微笑んでくれなかった)
フェイトが生きていたいと思ったのはプレシアに認めて欲しかったから。
(どんなに足りないと言われても、どんなにひどいことをされても・・・・だけど、笑って欲しかった)
あんなにはっきりと捨てられた今でも、フェイトはまだプレシアにすがりついていたい気持ちだった。
フェイトは自分の頭に浮かんでくる人の名前を呼んだ。
(キラ)
最初は敵だった。けれど、彼は敵だった私に手を差し伸べた。
私のために本気で怒って、心配してくれた。
(アルフ)
ずっと傍にいてくれたアルフ。言うことを聞いてくれないフェイトにきっと随分と悲しんだ。
(何度もぶつかった、真っ白な服の女の子)
初めてフェイトと対等に向き合ってくれたなのは。何度も出会い、戦い、何度もフェイトの名前を呼んだ。
(生きていたいと思ったのは、母さんに認めてもらいたいからだった)
それ以外に生きる意味がないと思っていた。
(それが出来なきゃ、生きていけないんだと思ってた)
逃げればいいってわけじゃない。捨てればいいってわけじゃもっとない。
なのはの言葉が浮かんできた。
(私は・・・・私は・・・・)
(そこまで分かっていれば、大丈夫だね)
暗闇の中から声が聞こえた、知っている声だ。
(キラ・・・?)
(フェイトちゃん、始めるんだ。今から君を)
(私を・・・・始める?)
(そう、僕も・・・もう一度・・・始めるから・・・・だから)
暗闇から手が見えた、それは自分が知っているキラの手より大きかった。
(一緒に始めよう)
フェイトはその手を取った、それを引き上げる。
そこには、知っている少年に良く似た、青年の姿があった。
「!?」
フェイトは目が覚める。
モニターにはなのはたちが戦っている映像が映し出されている。
ベッドから下り、手の中にあるボロボロのバルディッシュを見る。
「私の・・・・私たちの全ては、まだ始まってもいない」
バルディッシュがデバイスモードになる。ボロボロの姿、まるで今の自分の様だった。
「そうなのかな?バルディッシュ。私、まだ始まってもいなかったのかな?」
『Get set.』
それに答えるバルディッシュ。
「そうだよね、バルディッシュもずっと私の傍にいてくれたんだもんね」
フェイトの目から涙が零れる。
「お前も、このまま終わるのなんて嫌だよね」
『Yes, sir.』
それにいつも通り答え、輝くバルディッシュ。
「うまく出来るかわからないけど、一緒に頑張ろう」
フェイトの手から光があふれ出し、バルディッシュを包み込む。
そして、光にひびが入り、割れた瞬間。バルディッシュは元に戻っていた。
『Recovery.』
私たちの全ては・・・・まだ始まってもいない。
黒いマントがフェイトを包むと、バリアジャケットに変わっていた。
「だから・・・・ほんとの自分を始めるために」
フェイトの足元に魔方陣が発生する。
「今までの自分を・・・・終わらせよう」
そう言った瞬間、フェイトは向かった。
終わらせるために、そして始めるために。
(そうだよ、フェイトちゃん)
自分も始めなくてはいけない・・・・・もう一度。
キラのボロボロの体を白と青の光が身を包む。
『Please call my name. My master. It is possible to still fight.』
手の中のストライクが呼ぶ。
「うん、そうだね。いくよ、ストライク」
キラの手にライフルが握られ、服も白と青のバリアジャケットに変わる。
『Final mode. Set up.』
「ファイナルモード・・・・セーーット、アーップ!!」
キラの周りをさらに赤と緑と青の光が包み込む。
現れたキラの背中には赤い翼、そして青い大太刀シュベルトゲベール、緑の大型砲アグニ。
左肩にはマイダスメッサー、右肩にはガンランチャー。
左腕にはパンツァーアイゼンを付け、両手にはライフルとシールド。
ストライクの全ての装備を換装した姿がそこにあった。
そして、キラは自分の体の視線が高く、腕や足も長くなっていた。
「元に戻ってる・・・・・それにこの装備・・・・これなら!」
キラの魔力に気付いた傀儡兵たちがキラに向かってくる。
それを見ながらキラは静かに目を閉じる。
キラの中で何かが弾けると同時にキラは目を開ける。
「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
シュベルトゲベールを抜き放ったキラは傀儡兵たちの中に突っ込んでいった。
「なのは!」
ユーノの声になのはが振り返ると傀儡兵が斧を振りかざしていた。
(間に合わない!)
なのはがそう思い目を閉じた時だった。
『Thunder rage.』
雷が傀儡兵の動きを止める。
『Get set.』
なのはが上を見るとバルディッシュを構えたフェイトがいた。
「サンダーレイジーー!」
フェイトの雷が傀儡兵を破壊する。
「フェイト?!」
アルフが上を見上げ驚く。
フェイトはなのはのところまで下りてくる、フェイトを嬉しそうに見つめるなのはとそれを正面から見れないフェイト。
すると、壁を突き破りさっきの傀儡兵の倍以上の大きさの傀儡兵が現れ、両肩の砲台が二人を狙う。
「大型だ、バリアが強い」
「うん、それにあの背中の・・・・」
「だけど・・・・二人でなら」
その言葉にフェイトを見るなのはの顔が笑顔になって首をたてに振る。
「うん!うんうん!」
「いくよ!バルディッシュ!」
フェイトがバルディッシュを構える。
『Get set.』
「こっちもだよ!レイジングハート!」
なのはもレイジングハートを構える。
『Stand by. Ready.』
「サンダーーー!バスターーーー!!」
「ディバイン!バスターーーー!!」
「「せーーのっ!!」」
その瞬間、二人の攻撃が大型の傀儡兵のバリアを破り、傀儡兵を粉砕し、時の庭園に大穴を開ける。
二人が下に下りる。
「フェイトちゃん!」
「フェイト!フェイト!フェイトー!」
アルフがフェイトに泣きながら抱きついてくる。
「アルフ、心配かけてごめんね。ちゃんと自分で終わらせて、それから始めるよ。本当の私を」
そして、四人は奥へ向かう。
扉を破り、中に入るとそこにはたくさんの傀儡兵とさきほどの大型の傀儡兵が待ち構えていた。
「数が多過ぎるよ!このままじゃ間に合わない!」
四人が戦闘体勢に入った時だった。
大型の傀儡兵が縦に真っ二つになり、周りにいた傀儡兵も次々と魔力弾や魔力のブーメランに寄って破壊されていく。
傀儡兵を真っ二つにした青年がなのはたちに背中を向けて浮いていた。
「ここは僕が引き受ける!今のうちに皆は行って!」
なのはやフェイトたちにとってその声は聞き覚えがある声だった。
このキラ、某金ピカ王みたく子供モードと大人モードを使い分けられるのかな?
支援
投下終了です。
やっと帰って来れました。
今回の第九話、オリジナルの装備でしたw
プラモのストライクでランチャーとソードの肩の部分一緒につけたりしたのでこの装備が出来ましたw
まぁ・・・・・・・デスティニーみたいなものじゃんw
フリーダムはまだ見たことないですし、今回は出てきません。
今回はファイナルモードがやっちゃったかな〜と後悔してますorz
でもキラを強くするんだったらどうするかと考えたら大人にしてあの装備しか浮かばなかったんです
あと1話でこの物語も終わりです。
長かったような短かったような・・・・・・そんな感じで・・・。
次回「終わらない明日へ」お楽しみに!!
今回の話でオリジナルの装備がでてきて、それと同時に元の体に戻れましたね。
次回の話で最終回ですか。
果たしてキラは自分のいた世界に戻れるんでしょうか。
キラが元に戻ったということは、BJを解いたときに体に合う服を着て無いんじy(ry
返事がない、アグニに撃ち抜かれたようだ
GJ!
ストライクのファイナルモードを見て
BB戦士のスーパーストライクガンダムを思い出したぜw
>>リリカルクロスSEED氏GJ!!
ストライク全装備のスーパーストライクキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
しかも元の姿に戻ったとは…二人の反応が楽しみだなw
次で最終回か…でもその次にはA's編だよね?
次回もwktkして待ってるぜ!
>>310 俺もそう思った。
でもあれバランス悪すぎるっていうかすぐにフェイズシフトダウンすると思うんだが。
IWSP?
レイジングフリーダムというMSを想像してみた。
金色の部分が増え、ピンク色のラインが入ったフリーダム…
うわぁ……
トリプルストライカーktkr
いや、正式名称(?)は知らないがw
>>313 バルディッシュジャスティスは普通にアリだな。むしろ良くね?
リインフォースミーティア
誰が合体してもアホ毛が生えます
>>315 いっそのことPS装甲調節して黒くしちゃえばいいんじゃね?
>>308 GJです
やっぱりここは、元にいた世界に戻ってフリーダムでしょうか!?
だからバルディッシュの名を冠するのはデスティニーだと何度言えば…
ところで大人キラに戻るのはファイナルモード限定?それとも完全に戻ったの?
十九話、置いておきますね。
ここら辺から、最初の頃から書きたいと思っていたファクターが多くなるので、やりたい放題になってきます。
なので、広い心で見て下されば有難いです。
第十九話
チカチカとした煌きが海上でいくつも瞬いた。
星のようなそれは、フォトンランサー。
撃ち手はラウ=ル=クルーゼ。
目標は、海中よりその姿現わした巨大な卵型の立体魔法陣である。
だが、それも仮面の魔法少女、リリィ=クアール=ナノーファーにより防がれる。
大きさは20メートルに及ぶだろうか。
呪術的な文字や紋様が卵のような形に絡み合って出来た三次元的なその魔法陣は、静かに淡やかに光を放ち続けている。
完全に海上に出てきたそれだけでも見上げるほどのものであるのに、まだ半分が海面から抜けきっていないもう1つの卵はさらに大きい。
かねてより、リリィたち一行が地球に隠し続けていたのはこの卵である。
本当に、これは卵だ。
光の卵と言うロストロギアがゾンビースレイヴやデバイスを創造する過程は、この卵状の魔法陣の内部で行われているのである。
いくらか、クルーゼもフォトンランサーを命中させているのだが、大きさの割に充実した魔力を緻密に編んで魔法陣としており、まるで卵の形をした要塞のよだった。
だが、クルーゼが卵を発見して現在に至るまでにリリィが攻撃よりも卵の防衛を主として行動している。
ならば間違いなく攻めに意味はあるはずだ。
「グリンガムフォーム」
プレシアの杖が閃けば、先端から伸びていくのは鞭だ。それが、3本。
杖の部位を柄として、先端から3本の鞭が生成されたのである。
クルーゼがそれを振るえば、振るった力のベクトルから考えれば有り得ない軌道を描いて3本の鞭がリリィに降ってくる。
鈍い風切音を伴って空気を切り裂く3本の鞭は、微妙に時間差をつけてリリィの勘を狂わせていた。
「あああああああああぁぁあああああぁあ!! 偽物!! 偽物ぉおお!!」
軽快だったリリィの足並みが乱れていく。
いくらか避けきれなかった鞭を、魔力の爪で切り裂いては難を逃れ、距離を取る。
どちらとも、これまでの戦いでお互いの手の内がかなり分かりあっているのだ。
そうなると、行動に幅をつけているクルーゼが徐々に有利なっていく。
ふと、リリィが背にする卵型魔法陣に変化が起きる。
卵を上下ではさむように、新たな魔法陣が展開されたのだ。記述されたプログラムが何かを、クルーゼは一目で理解する。
「転送魔法……あの卵を逃がすつもりか」
「お前! お前ぇええ!」
だが、どう見てもこの狂乱を絵に描いたようなリリィがした事ではないだろう。
海上に出れば移動するようにプログラムされていたか、あるいはトライアたちの誰かがもうこの近くにいるのか。
注意を戦闘の外にも配りながら、突撃してくるリリィをクルーゼはグリンガムフォームでどうにかしのいでいく。
クルーゼも随分と成長したが、それはリリィも同じだ。
最初は指から強い魔力を爪のように形作るぐらいだったが、今では肘や膝まで魔力の甲で武装するほどの練度になっている。
徐々に体を覆う魔力の甲が広く強くなっており、このままいけばいずれはクルーゼが手を出せないほどになるのが目に見えていた。
だから、仲間が見えず、卵を護る現在が絶好の好機だ。
捕らえるなり殺すなりは、今が最大のチャンスである。
輝き、廻り始めた転送魔法陣へと適当にフォトンランサーを浴びせながら、そのたびに動くリリィの装甲を巧みにグリンガムフォームで削って行く。
クルーゼの狙いは、卵の方だ。
間違いなくここでこの卵を逃せば後に大きな負担になる。
だから、ここで本格的に卵を狙わない。
卵を利用して出来る限りリリィの魔力と体力を削っておく腹積もりである。
(あの巨大を転送するのだ、もう少し時間はあるはず……一つ上を試してみるか)
唐突に、クルーゼが周囲に展開していたしていたフォトンスフィアを杖へと戻す。
攻撃を止めた、とはリリィも思っていないだろう。ここぞとばかりに攻めてくる。
さらに速度が増し、さらに身のこなしが獣じみてきたリリィの手足の爪は依然としてクルーゼが捌ききれるものではない。
ミラージュハイドで一時クルーゼが姿をくらませれば、リリィは即座に卵付近へと戻り、構える。
卵を護衛の対象ならば当然の動きだろう。
しかし、クルーゼが再び姿を現したのは卵から離れた場所である。
その周囲には、フォトンスフィア。
バスケットボール大の大型のフォトンスフィア3基、通常サイズの小型のフォトンスフィア8基による計11基だ。
初めて2ケタのフォトンスフィアを形成、維持するクルーゼに大きな負担がのしかかる。
「い、け、るか……フォトンランサー・ドラグーンシフト……!」
一斉に、飛びかかる11基のフォトンランサーだが、遅い。
敵の動きも、自分の動きも、11基のスフィアの動きも、かなり精密にクルーゼは把握できているが、思いのほか維持と操作に頭を使ってしまい速度を出す余裕がない。
簡単に大型の1基が切り裂かれ、さら小型を3基真っ二つにされた時点で、ようやく今まで通りの速度で制御できるようになる。
余裕が出来れば、大型スフィアから同時多方向に撃ちだされるフォトンランサーは、リリィを狙いながら卵をも狙え、命中させること自体は簡単だ。
だが、いくら命中させてもやや出力が不足していた。
そこで、クルーゼは卵ではなく転送魔法陣の方を射る事にする。
転送魔法陣の方が造りが簡単なのだ。まずは卵をここで停止させておく。
フォトンランサーの攻撃を続けてみれば転送魔法陣に綻びは出来始めているのだが、現状では転送までに破壊するのは難しそうだった。
もう1つの50メートル級の卵も、海面より姿を現わしてしまっている。
これから、こちらのより巨大な方の卵にも転送魔法陣が敷かれるのだろう。
「チッ……」
少し、焦り始めたクルーゼはフォトンランサーのいくつかを卵に集中させた。
そしてこれまで「フォトンランサーに支援してもらいながらリリィを攻撃していた」と言うスタイルを変えて、「転送魔法陣を攻撃するフォトンスフィアをリリィから援護する」にする。
ここで、今のクルーゼは卵を護るリリィと同じ行動をとっているという事になる。
つまり攻撃されやすいのはクルーゼだ。
グリンガムフォームを操り、トリッキーな角度で攻められる有利さはあるが、リリィも再生を繰り返す鞭を切り裂きながら徐々にクルーゼに近づいていく。
自分自身を守るために卵の転送を見送るか、卵の転送を阻止するために自分自身の危険を大きくするか。
そんな考えがよぎったクルーゼの上空から、大きな魔力の波が感じられた。
果敢にクルーゼを攻めていたリリィも敏感にそれに反応、すぐさま卵の方へ戻ろうとするが、間に合わなかった。
「デュランダル! アイスセイバ−・エクスキューションシフト!」
『OK』
天空から雨のように降り注ぐのは冷気を凝縮して出来た魔力の刃。
魔力刃一つ一つを環状魔法陣が取り巻いており、自由落下では実現できない速度で転送魔法陣と卵に突きささる。
簡単に転送魔法陣は消滅、卵にもいくらかのヒビが入りダメージが見て取れる。
リリィが源をたどり上空を睨みつければ、降下してくるのはアリアとザフィーラだ。
「時空管理局だ! 抵抗しなけりゃ、こっちもそれなりの対応はする! どちらも武器を収めな!」
「随分とのんびりしたものだな」
「何だって?」
「アレを見てまだそんな悠長な事を言えるかね?」
クルーゼの視線の先は、大きな卵だ。
海上で静止していたそれに、転送魔法陣が現れている。
明らかに転送を阻止した卵よりも厄介そうな物が入っているだろう、舌打ちをしながらアリアがデュランダルを構えた。
「ザフィーラ、まずは転送を止めるよ」
「……待て、様子がおかしい」
今しがた、アリアによってヒビの入った卵に異変が起こる。
パリパリと、殻がむける様に卵を構成していた魔法陣がほどけていくのだ。
転送されかけていたのを見て急ぎ撃ったが、やりすぎたかと歯を噛みしめるアリアは見た。
卵から突き出る腕、頭、体。
ズルリと、ほどけていく卵型立体魔法陣から這い出てきた――いや、生まれてきたのは、漆黒の人型だ。
20メートル近い大きさのその人型は金属のような装甲で身を鎧い、片腕には身の丈に合った盾を有していた。
「傀儡人形!?」
「モビルスーツだと…!」
アリアとクルーゼの声が重なる。
名詞としてより詳しいニュアンスを含んだクルーゼの声に、ザフィーラは眉を動かした。
「知っているのか?」
「ZGMF-X88S……いや、私の知らない型だ」
「違う。モビルスーツとはなんだ?」
「兵器だよ。本来ならばアレに乗りこんで戦うが……どうやらパイロットは必要なさそうだ」
生まれたばかりのその漆黒の人型は、まるでリリィを護るように独りでに動いている。
金属的であれ海に落下せず、中空を踏んで飛んでいるのを見ると、魔法の産物である事が嫌でも納得させられる。
「あの卵から生まれるのはデバイスかゾンビースレイヴ………っで、ふたを開ければ出てきたのはデバイスでゾンビースレイヴってわけか」
「……複数のリンカーコアを随所に埋めて稼働させているな」
「! じゃあ、まさかあの大きい方の卵は……!」
怖気と寒気が一緒くたに背筋を走る。
20メートルほどの卵から生まれたのが、それに見合った大きさのモビルスーツだ。
ならば、50メートルはあろうという、奥の卵に至ってはどれほどの脅威になるだろう。
気付けばアリアが再びデュランダルに魔力をチャージし、ザフィーラとクルーゼが飛び出していた。
リリィも、黒いモビルスーツにも目をくれない。
目標は大きな卵の転送魔法陣。
しかし、それを止めるためにリリィはここにいるのだ。
健在なフォトンスフィアをさらにいくつか切り裂きながら、リリィがクルーゼの上から急降下してくる。
魔力の爪をかろうじてかわしても、身をひねって襲ってくる足の爪がバリアジャケットを傷つけた。
「偽物! 偽物ぉおお!!」
「クッ……」
さらにその横では、ザフィーラが動きだした黒いモビルスーツからの攻撃を受けている。
頭部に備えられたCIWSより、雨のように魔力の弾丸が降ってくるのだ。
サイズの違いが威力の違い。ディフェンスに定評があるザフィーラとて、この本来ならば牽制目的の弾幕に押されてしまう。
「ザフィーラ!」
さらに、ザフィーラを押し戻した黒いモビルスーツは腰にマウントしていたライフルを構え、立て続けにアリアへと射撃。
銃口から放たれたものはディバインバスターもかくやと言わんばかりの魔力の奔流である。
デュランダルの攻撃シークエンスを強制中止、即座にシールドを張りながら飛びのいた。
連続して射撃されるこのライフルは、なのはのディバインバスターエクステンションよりも狙いが荒く威力も低いが、連射性が高い。
1度足を止めて防御に回れば、立て続けに的にされ、最後は落とされるのが目に見える。
ようやく攻撃が止む頃合い、アリア、ザフィーラ、クルーゼは随分とリリィと黒いモビルスーツに押し戻されてしまっていた。
遠い。
静かに転送プログラムをこなしていく大きな卵に、たどり着けない。
「……どっちが厄介だと思う?」
「黒いモビルスーツだな」
「モビルスーツとやらだ」
アリアの問いに、ザフィーラとクルーゼの答えは間を置かない。
パシッと、デュランダルで掌を叩きながらアリアは頷いた。
「分かったわ、それじゃ、あたしが大きいのをあの黒いのに撃つ。ザフィーラ、クルーゼ、少し時間を稼いで。一発でアレを止め次第、転送魔法陣に一斉攻撃よ」
「一撃でアレを止められるほどの魔法があるのか?」
「ある」
自信を超越し、確信した瞳のアリアに、もうクルーゼは疑わない。
「フォトンランサー・ドラグーンシフト」
減った分を補充し、再び11基のフォトンスフィアを周囲に展開しながらクルーゼがリリィへ飛んだ。
先ほどよりも、負担に感じない。自分向けの魔法なのだ。コツさえつかめばかなり自由に操れる。
ザフィーラは、黒いモビルスーツからアリアを護る位置。
CIWS、ライフル、何であれ防ぐために全力を傾ける。
クル−ゼなりに、リリィを抜いて転送魔法陣を攻めようとするが、合間合間でライフルを撃ちながらCIWSでリリィに加勢をする黒いモビルスーツのせいで上手くいかない。
ザフィーラはと言えば、もはや盾だ。
黒いモビルスーツとアリアを結ぶ直線の間で、一歩も引かずにライフルを防ぎ続けている。
防げる。
防げている。
黒いモビルスーツの連射性は驚異的だが、威力を見れば盾の守護獣を蹴散らせるだけのものではない。
全力のザフィーラを真っ向から倒すのは、おそらくヴィータでも難しい。
それを、即座に理解したのだろうか。
クロイモビルスーツのライフルが止まる。
そして、変わった。
人の形から、獣の形。
(バクゥだと……!)
まるで翼持つ四足歩行動物のよう。
形態へと変じた黒いモビルスーツが、四本の足で空を蹴って駆けた。
背から突き出た2門の砲台から魔力の弾丸をまき散らし、高速でザフィーラに、アリアに接近していく。
「速い……!」
止めるために鋼の軛をいくつも突き刺そうとするが、翼から噴き出る魔力が濃くなるたびに加速して捕らえきれない。
いくつかの鋼の軛が命中する事にはするのだが、装甲を削ぐだけに終わっている。
どうあれ、アリアを護る位置から動かなかったザフィーラと、黒い獣がすれ違う。
翼が、輝いた。
すれ違いざま、溢れる魔力により翼は刃へと変じ、ザフィーラの胴体を2つにするために輝いたのだ。
「ぐぉおおおおお!!」
渾身の障壁を展開して、それと翼の刃が接触。
黒い獣が、一瞬だけ停止した。それだけでも、ザフィーラの防御力が素晴らしいものだと分かる。
が、負けたのはザフィーラ。
障壁を撃ち破られ、翼の刃がザフィーラを切り裂いた。
「ザフィーラ!?」
胴は、つながっている。
ザフィーラに届いた刃は、その運動量だけはほとんどを殺されていたのだろう、派手な胸の裂傷を抑えて、ザフィーラはすぐにアリアの元へと飛ぼうとする。
しかし、黒いモビルスーツの方が速い。
ほとんど即座に、獣から人へと戻った黒いモビルスーツは、腰の柄を抜き放ちざまにアリアへと振るった。
迸る、サーベル。
やはりこれもライフル同様に魔力より形成されたサーベルだ。
(ヤマト君のに……似てる……)
エターナルコフィンを完成させるプロセスを全て放りなげ、アリアは防御魔法陣を形成。
とんでもない衝撃を防御魔法陣ごしに受けながら場違いな考えをしていた。
ビシリと、アリアの防御魔法陣にヒビが入る。
いけない、と直感したその時だ。
肩に、手が置かれる。
誰の手かなんて、すぐに分かった。
アリアの防御魔法陣が、強くなる。
ヒビなんてなかったように、堅牢な魔法陣は結局黒いモビルスーツのサーベルをはじき返してしまう。
攻撃失敗とともに、CIWSから魔力弾丸をたっぷりまき散らして黒いモビルスーツがリリィのサポートに帰っていく。
「遅いわよ、ロッテ」
「ごめんねぇ、その分働くからさ、指示お願い」
リーゼロッテ、キラ=ヤマト参戦。
終わりです。
スーパーファミコン世代なので……いろいろと影響受けてます。
大地にステラ
てことは50mってもしかして?w
なにはともあれGJ!!
エターナルコフィンという名前を目にするたびに水瓶座の師匠を思い出す俺。
思えばアレの登場人物も人といいながら人じゃないのばっかりだったなぁ・・・。
330 :
暇人A:2007/09/24(月) 00:00:18 ID:???
申し訳ないと思いつつ久々の投下をします。
331 :
暇人A:2007/09/24(月) 00:02:21 ID:???
『夜明け、幕間』
一つの夜が明けて、俺はベッドの上で目を覚ました。
側で車椅子に座ったまま寝てしまっているはやてを見ながら、昨晩あったことを思い出しながら、意識が覚醒しだした。
(そっか・・・
俺、負けたんだな・・・)
全てを護ろう、なんてことがどれだけ愚かかは、自分が一番良く分かっているつもりだった。
だが、それを求めてしまった。
心地よい生活と時間をくれた彼女らを、どちらも護りたかったのだ。
その気持ちは、今も心に残っている。
ふと、はやてが首を前に倒しすぎたようで、苦痛の声を上げる。
「ん・・・ぅん?・・・おはよう?」
そして目の合ったシンに、朝の挨拶を告げた。
「おはよう、はやて・・・」
今挨拶を返せるほど近くにいる少女だけを護るべきなのか、それともまた同じ道を通るのか・・・
シンの中では答えは出ているはずなのに、まだ迷ってしまう。
迷いのままで何を話せばいいのか分からなくなってしまう。
そんなちょっとだけ思い空気を換気するかのように、ドアが開いた。
「とは言っても、もうお昼ですよ?」
そう言いながら、入ってきたのはシャマルだった。
シンと違って昨晩の戦闘が尾を引いてる事は特にないようだ。
「せやったら、わたしはご飯作ってくるね?」
言い、部屋の前に待っているシグナムの元へ行った。
二人の階段を下りる音を聞きながら、シンはシャマルがベッドに座るのを見ていた。
否応無しに重くなりそうな空気を払拭するため、シンも上半身を起こした。
「汗、かいてますね」
下から持ってきたのであろうタオルで、シンの額を拭った。
「別に、病人でもないのに・・・」
なんとなく気恥ずかしくなって言ってみた。
思い返すと、病気になったところで、今までは汗を拭ってくれる人なんかいなかったような気がする。
(レイにやられてもうれしくないしな・・・)
ではなく、こんな情けない状態にはならなかったのだ。
「・・・どんなに辛い訓練の後でも、なんともなかったしな・・・・・・」
「体は大切にしなきゃ駄目ですよ」
ボソッと呟いたが、シャマルには聞こえていたようだ。
「大丈夫。俺にはあんたの料理を食べれるものにするって使命があるからな」
「ありません!!」
突っ込まれたが、本当に大丈夫のつもりだった。
『使命』とかではなく、一人の人間として、護りたい人を護る事だけは、何があろうと貫き通すつもりだったから・・・
おいこら、これから寝ようとしたのに寝れなくなったじゃねぇか
投下どうぞ
333 :
暇人A:2007/09/24(月) 00:05:38 ID:???
結局シンは起きて一階に降りる事にした。
ここまでの蒐集活動がたたって長い事寝ていたので、ベッドにいても寝なおせるわけでもなかった。
取り敢えずはやてには昨晩不良の喧嘩に巻き込まれたことにしておいたらしい。
とっさの機転を加えてくれた事に感謝しつつリビングのドアを開けると、先ずヴィータが駆け寄ってきた。
「大丈夫なのかっ!?」と、心配そうな声を出すので、「大丈夫だ」と、出来るだけ強く言った。
「そうか・・・よかった」
「心配してくれたのか?」
「当たり前だろ!!何処のどいつかも知らない奴に負けやがって・・・」
そう聞いて、ふと、疑問が浮かんだ。
「お前達は俺が闘った相手を見たのか?」
「見てはいないが、お前の傷からただ転んだだけではないと判断した」
それまで座っていたシグナムが答えた。
「そうだぞ。
シャマルがいなかったらどうなってたか・・・」
たしかに背中からビルに突っ込んだ記憶はあるが、あの時はケガなんて気にもしていなかったように思う。
「なんにしろ助かった、ありがとう」
3人に礼を言い、左肩を回してみた。
「そういえばザフィーラとムウさんは?」
右肩を回しながら聞いた。異常はないようだ。
「散歩だそうですけど・・・」
「最近あの二人は良く散歩に行くようだな」
シャマルの言葉にシグナムが続けた。
「でも、そういうとなんていうか・・・」
そんなシグナムの言葉にシンがなんとも言えない感じで言葉を発しかねていると、
「オッサンくさいな」
ヴィータが何の気なしに切り捨てた。
334 :
暇人A:2007/09/24(月) 00:08:42 ID:???
兼用飯を食べてから、シンはシグナムに頼みごとをすることにした。
先ほど、ベッドで目覚めたときから考えてきた事だ。
自分の意志貫き通すためには、どうしても力がいる。
そして今、自分が通らんとする道は、多分棘の道。
「だから、力が必要なんだ」
突発的なシンの発言に、シグナムは虚を突かれた。
そしてなんとなく言葉の意味を理解し、
「わたしが魔法について何かを教えるような事は出来んと思うが・・・」
申し訳なさそうに答えた。
確かに魔法の能力については、シンは、今八神家にいる誰よりも高いだろう。が、
「そうじゃない」
あの時、自分に足りなかったものは魔力ではない。
むしろ、全力で戦っていれば負ける事などありえなかっただろう。
しかし、あの時は枷があったのだ。
あそこで本気を出していたら、それで存在を掴まれてしまうかもしれなかった。
そうなるとコントロ−ルが完全には利かない自分の魔力が察知されかねない。
それ故に、自分は手元に武器を一つ出し、その出力も最低限に抑えざるを得なかった。
「だから、剣術を教えてくれ」
「そんな事を言われても、わたしは人に教える剣など持ち合わせてはいない」
断られようが、それだけで引き下がるわけには行かない。
「だけどっ――」
「だが、」
その旨を伝えようとするが、シグナムに割り入られてしまう。
「実戦形式でお前と武器を振り合う事は出来る」
どこか楽しそうな顔をしながら、シグナムが続ける。
「そんなのでよければ、相手になれるが?」
「十分だ」
是も非もない。
それこそが、望んでいたことなのだから。
335 :
暇人A:2007/09/24(月) 00:11:46 ID:???
魔力を出来るだけ放出しないとは、つまりハンデを負うような物だ。
その状況下で十二分に力を発揮するには、今の武器に慣れるしかないのだ。
力を手に入れても、今のシンに見えている道が正しいものかは分からない。
それでも、いや、だからこそ、あらゆる状況に対応できなければならなかった。
「わたしは実戦どおりに剣を揮う。
お前はそれをかわしてわたしに一撃を入れてみろ」
見渡す限りに砂ばかりの空間へやってきて、シグナムはそれだけ言うと剣を構えた。
そしてそのままの姿勢でシンに迫る。
「インパルス!!」
シンはそれにヴァジュラの名の剣で対応した。
が、シグナムは構えたところからあまりずれない姿勢で、つまり、突きに近い形で迫ってきたため、シンはそれを避けるしかない。
「良い判断だ。
自分の武器のことはきちんと把握しているようだな」
言うとおり、シンの剣はシグナムのそれと違って、魔力の塊のようなものだ。
それゆえ刃がどうしても完全に諸刃になってしまい、防御には向かないのである。
「が、逃げ回れば体力を消費する。
これはお互いにいえることだが、お前は私より体力がある自信があるか?」
要するに、『逃げずに戦え』と言うことだろう。
一度互いに間合いを開き、シンは間は置かずにシグナムへ迫ることにした。
「レヴァンティン!!」「Explosion!!!」
叫ぶシグナムと剣。
そして、剣は灼熱の炎をまとった。
この状態と、シグナムが先天的に保有している剣の技量。それらを一身に向けられれば、シンとてただでは済まない。が、
(こうなれば、この人だって・・・)
武器からは常に魔力が放出される。そこに上から切りかかれば……
「むッ!?」
左に避けた。いや、『避けざるを得ない』のだ。 魔力量はシンの剣に劣れど、炎が眼前に迫るのはスキを生みやすい。
その事を考えていたシンは、『避けられる』事を前提に剣を振ったため、両足を軸足とできるようにしておいた。
(左に避けた、なら!!)
そのままの姿勢で、あらかじめ整えて置いた態勢で、左を軸足に、右足で半回転蹴りを放った。
336 :
暇人A:2007/09/24(月) 00:13:14 ID:???
が、「レヴァンティン」の一言で炎が納まった剣で左足を払われてしまう。
「ぐぁっ・・・」と口から音が漏れ、前のめりに砂面に倒れる。
「考え方は悪くないが、それは格上や多対一ではまず決まらんぞ?」
言葉を聞きながら立ち上がり、シンは口に入った砂を吹いていた。
「それも、だな。
戦っているときは地の利も必要だ。戦っている場所は把握しておけ。
この場所で口をあけたまま倒れるなど、敵に背を向けるようなものだ」
「分かった。
そうだな、ここだと足は遅くなりやすい、か?」
先ほど感じた事を言ってみたが、
「それはあるが、我々は飛べるからな。
ダウンしたとき以外は正直度外視でもいいかもしれん」
要するに、どうでもいいようだった。
「が、今は剣と剣のぶつかり合い。
そういうことも念頭に置かなくてはならん、な」
烈火の将本人としては、地上での戦いを好んでいるのだろう。
「望むところだ!」
言い、シンはシグナムに突進する。
「何も考えずにくれば・・・」
シグナムが眼前に剣の腹を見せ、構える。
「それだけで負けるぞ!!」
言い、剣を振り上げる。
「Schlangeform」
その何時もと違った行動に、デバイスが反応したのだろう。
確かに剣を振り上げるなど、士気を高めるくらいでしか使えない。 その行動をスイッチが設定されていても、おかしくは無い。
かくして、剣は変化をする。 それはまるで生きた蛇のように、しなやかな形状をしていた。
突進していたシンの、その死角を付く方向から切先が伸びてくる。
「なッ!?」
敵の得物から目を離してはいなかったため、左の死角に右から回り込まれたのは理解していた。
特異な形状にも、シンはコズミック・イラの蟹で慣れていた。
が、その感覚は避ける事とは何の関係も無いものだった。
回り込まれた結果、両側をふさがれたのである。
そこからはあっと言う間、すぐにシンの眼前に切先が触れた。
そして、シグナムが訓練の終了を告げた。
337 :
暇人A:2007/09/24(月) 00:14:42 ID:???
「で、どうだ?」
溜まった疲れに、シンが地面に腰を下ろしていると、シグナムが聞いてきた。
「相当疲れた・・・」
シンはありのままの感想を述べ、立ち上がった。
「そうか。
一朝一夕に伸びるものではない。続ける気はあるのか?」
「まぁ、アンタがいいんなら、俺は続けていきたいな」
この数時間で得たものは決して疲労だけではない。
続けてやっていけば、能力も上がっていくだろう。
そこまでして力が必要なわけではない。
しかし、今シンとはやて達を取り巻くものは、最早『闇の書』と言う媒介で、無数に増えていっている。
砂漠でキラを見つけた。
町で、ムウを拾った。
前回の戦闘で、アスランと邂逅した。
その前には、ラウ・ル・クルーゼ。
そして、それらとは多少毛色の異なる、自分の存在。
偶然の重なり合った結果なのか、何らかの外的要因があったのかは分からないが、これは異常であるはずだ。
この異常に気づけない上、闇の書がある以上は管理局の協力は得られない。
シグナムと適当に言葉を交わしながら元の世界に戻る魔力が溜まる頃には、結局は堂々巡りになることを実感した。
蒐集に関してはある程度こちらのペースで出来るが、それ以上のことは後手に回るしかないのだろう。
思惑の分からないクルーゼ以外は何とか出来ても、そのクルーゼが問題なのだと、ムウも言っていた。
「手合わせをしていると……」
「へ?」
色々と考えていたため、妙な声を上げてしまう。
それに構わず、シグナムは続けた。
「お前はやはり剣を振り回すのには慣れてないように見える」
「そうかもな…… でも、何でだ?」
慣れていない、と言われても、それはもう仕方の無い事なはずだ。
それに慣れるために訓練を頼み出たのだから、既知の事情だろうのに・・・
「いや、『慣れていない』と言うよりも、別のクセが見え隠れしているように見えるな」
「別の……クセ?」
そんなものがあるとは、シン本人も思ってはいない。
剣を持ったのはこっちに来たのが初めてで、この場合MSはカウントしないはずだ。
「どうも間合いを詰めすぎるクセがあるようだ。
短刀の方が合っているんじゃないか?」
「短刀?
そうか、ナイフ……」
「何か答えを見つけたようだな。
お前は戦いに関して決して頭は悪くない。 考える事で十分に打開策は得られるだろう」
ぶつぶつと呟いた俺に、シグナムが言った。
「まぁ、なんとなく、な。 それとサンキュー。
でも、これからも剣の訓練は続けていく」
いいよな?と、言うまでも無くシグナムは了承した。
たとえナイフだったとしても、アスラン自身と自分の身体能力に大差は無い。
出来るなら圧倒して、戦いを巧く運べると良いのだが、そこまでの力量の差は出るはずも無い。
身体能力の向上と、どうしてもリーチが必要になったときのための訓練という名目でも、続けていく意義はある。
338 :
暇人A:2007/09/24(月) 00:17:10 ID:???
数時間の間、キラは部屋からの外出が禁じられた。
彼らに関連した事件がおきたらしい。
そしてある程度たった後、エイミィがやって来、予想以上にその事件が引っ張っている事を告げた。
彼女が言うには、逃げられたどころか、一歩間違えれば全滅もありえたと言う。
「いきなりフェイトちゃんの魔法の発動を承認しちゃったからね、多分上がうるさいと思うけど……」
「そんなにすごい事件だったんですか?」
「だった、じゃないな。
少なくとも、この時空周辺で同じことをやられたら間違いなく僕らが駆り出されることになる」
遅れてやってきたクロノが言った。
言葉以上に忙しいのだろう、二人とも、顔から疲れが見て取れた。
が、「一度接触した以上、僕も能動的に追いかけるつもりだけどね」
少年は不屈の精神でこれに当たる様子だった。
「それに、あれには少し、嫌な因縁がある……」
「クロノ?」
ぼそっと呟いた言葉を、キラは聞き取れなかった。
「いや、なんでもない。
それより、エイミィ、キラ。 僕ら艦内から3人と、フェイトとキラで幾つか話したいことがあるんだ。
今すぐに始めたいんだけど、いいかな?」
僕らに含まれるもう一人は艦長だろう。クロノとリンディは実の親子で、エイミィも同じくらいにクロノは信頼していた。
だから、『僕ら3人』。
良い関係だな、とキラは思いながら、頷いた。
339 :
暇人A:2007/09/24(月) 00:19:50 ID:???
そして、つれられてきたのは艦内の一室、なかなかにくつろぎの空間のような雰囲気を発する和室だった。
「それで、話って?」
キラの隣に座ったフェイトが一番に声を発した。
因みにキラとフェイトの隣には誰も居らず、部屋の置く側にハラオウン親子とエイミィが座っていた。
座る前にはエイミィが「わたしもそっちに座るべきなんじゃないかな? 何の話かわかんないっし」とか渋っていたが、リンディにクロノの隣に座らされていた。
「急な話で悪いんだけどね、別の世界に先の事件の再発、膨張防止のための対策本部を置く事になった」
クロノの答えを聞いた瞬間、キラは「えっ?」と、声を漏らした。
それに対してか、周りの視線も集まってきたので、キラは言葉を続ける事にした。
「さっきは『もし同じことが起こったら』って、言ってませんでしたか?」
「言ったよ。だからこれは飽く迄も防止用施設だ。
ただ、危険は伴うかもしれない」
クロノ自身、時期尚早とは思ってはいる。
確証もない、愉快犯の可能性もあれば、もし本物だとしてもあの世界に居るとは限らない。
しかし、それでも動きたかった。
あのロストロギア、闇の書に関してだけは、能動的であり続けたかった。
「それで、わたしはどうしたらいいの?」
「フェイト…と、これはキラもだけど、一緒に来るか聞いておきたくてね」
二人、フェイトは兎も角、キラは衝撃を受けた。
「僕も行くって、どういうことですか?」
「君はこの艦内では制限をかけられる必要がなかった。
だが、僕らのような、言ってしまえば重要な役目を追う人間が居なくなると、君は24時間一部屋で暮らす事になる」
「連れて行かないのが一番であるとは思ったのだけれど、ね。
もし戦闘、準戦闘状態で硬直しちゃったら、艦内の人たちがキラ君のこと忘れちゃうかもしれないから」
さらっとリンディが恐い事を言った。
しかし、確かにキラは魔法の事をよくは知らない。硬直状態で100時間経過、などが起こったら流石に嫌だ。
「なら、行って良いんですね?」
「あぁ、僕らの家族という事で行って、多少の制限だけで抑える事もできる。
運動とかもしたいだろうし、外出も許可できる」
相当な特別措置だし、キラ自身もそのことに気づいてるようだが、黙っておいた。
クロノ自身、先の事件での功労者への申し訳なさを他人に押し付けているようで心苦しかったが、その気が多分に存在していた。
そしてもう一人、シンが命がけで護った少女にも。
「フェイトは選択権のあってないような立場だが、一応聞いておこう。
あの町へ、僕らともう一度行くかい?」
フェイトが断るはずがなかった。
アスラン「さて、闇の書が出てきたわけだが・・・」
なのは「あ、アスランさん。 今回はもう終わりらしいですよ?」
アスラン「なに!? 2,3ヶ月止まっててやっとかと思ったら、出番がないのか!?」
なのは「まぁ、わたしなんか止まる前から出番ありませんでしたし・・・」
アスラン「しかもまたgdgdに日常か!!」
なのは「日常系ss書いてる人に殺されますよ?」
アスラン「くッ! なんか納得行かないが、申し開きを聞いたからには俺の口から言わせて貰う」
なのは(律儀だなぁ)
アスラン「えっと・・・『夏休みの宿題が・・・』」
なのは「はい?宿題?」
アスラン「えっと・・・『社会人に夏休みなんか・・・』」
なのは「なら、いつもどおりって事ですよね?」
アスラン「『因みにストライカーズはヴィータが指されたところで止まってる?』」
なのは「よっぽど忙しかったとでも?」
アスラン「『あれ何話だっけ?』……?」
なのは「もう申し開きでもなんでもない・・・」
アスラン「『ごめん、PSP買った』……?」
なのは「もういいです・・・」
アスラン「『次回はなのは出るから。今回がちょうど引越しEPのAパートみたいなもんだし』、だって」
なのは「うれしいけど、休載の理由ついに出なかったね
それに暇人は引越しのAパートがどんなのだったかなんて、自分で覚えてないみたいだし」
アスラン「なので今回の話はオリジナルエピソード感が強いですね」
なのは(あ、カンペ読んでない。 本当に律儀だなぁ)
で、自分の文章読んでて思ったんだけど、行詰めすぎで読みにくい?
もし『yes』の返事があったら今後変えるかもしれません
なのは「あ、『因みに訓練した場所はシンが魔力で転送したんです』だって
あと、『この会話は保管しないで下さい、恥ずかしいから』だって」
休載の理由は、前回のエピソードで『シンがむかつく』って感想がなく、『アスランが(ry』だったからです。
これにより考えていた最終案、シンの敗北案を構想練り直して、最終案も結局90度ほど変えました。
やっぱり読み手がどう受け取るかで変えていきたいですからね、伝えたい事を伝える文をかけない人間として
キャラクターに謝らせててすみません
しかし早いな、もう容量が半分を突破したぞ。
たとえくだらない雑談でも積極的にやってスレを進めた方がいいんじゃないか?
>>暇人A氏GJ!!
久々の投下待ってましたよ〜。それでもやはりアスランの出番はない、と。
構想の練り直し乙です。次回もwktkして待ってます
久しぶりの投下GJです!
個人的には読みにくいとは思わなかったですよ<行間
えっと、昼・・・でもない中途半端な時間の投下予告です。
少し時間がありますが、今日の18時か19時に投下予定です。
ついに最終話です。
投下OKでしょうか?
これでこのSSも終わるのですね、感慨深いです。
それではまた後でお会いしましょう〜w
OKです。
今日で無印は終了ですか。
その次はA’S ですね。
夕方か…なら仕事が終わってから読ませてもらいます
ああ、早く仕事終わらないかなぁ
第十話:終わらない明日へ
「キラ?」
フェイトはいきなり現れた青年の背中に話しかけた。
「え!?」
その言葉に驚くなのは、彼女が知っているキラは自分と同い年だったはずだ。
キラは振り返り、四人に笑いかける。
「ごめんね、なのはちゃんとフェイトちゃんには言ってなかったね」
知らない青年のはずなのに、その笑い方がキラのものであることをなのはは何となく理解できる。
フェイトはさっきの夢で一度会ったことがある、この青年がキラだと理解できる。
「キラ、それじゃあ元に戻れたのかい?」
事情を知っているアルフがキラに話しかける。
「はい。ですが、詳しい話はまた後で。皆は急いで先に行って!雑魚は僕が片付けるから!ストライク!」
『Yes, sir.』
するとキラはまた傀儡兵たちの中に飛んでいき、次々と落としていく。
「キラ(くん)!」
なのはとフェイトがキラを呼ぶ。
「気をつけて(ね)」
「皆もね」
二人の言葉にキラは笑顔で答えると傀儡兵の中へと消えていった。
「あそこのエレベーターから駆動炉へ向かえる」
「うん、ありがとう。フェイトちゃんはお母さんのところに?」
「うん」
なのははレイジングハートを置くと、フェイトの手を握る。
「私、その・・・・うまく言えないけど・・・・がんばって」
その手に戸惑いながらなのはを見るフェイトだったが、フェイトは目を閉じ、なのはの手を取り言った。
「ありがとう」
すると、ユーノが駆けてきた。
「今、クロノが一人で向かってる。急がないと間に合わないかも!」
「フェイト!」
その言葉にフェイトを見るアルフ。
「うん」
そして、なのはとユーノは駆動炉に突入し、フェイトとアルフは最下層へ向かった。
次元震が止まったことにプレシアは気付いた。
(プレシア・テスタロッサ。終わりですよ、次元震は私が抑えています)
リンディは魔方陣の中心で次元震を抑えながらプレシアに語りかける。
(駆動炉もじき封印、あなたの元には執務官が向かっています)
(忘れられし都、アルハザード。そして、そこに眠る秘術は存在するかどうかすら曖昧な只の伝説です。)
「違うわ、アルハザードへの道は次元の狭間にある」
「時間と空間が砕かれる時、その狭間に滑落していく輝き。道は確かにそこにある」
(随分と分の悪い賭けだわ。あなたはそこに行って一体何をするの?失った時間と、犯した過ちを取り戻すの?)
「そうよ、私は取り戻す。私とアリシアの過去と未来を!取り戻すの、こんなはずじゃなかった世界の全てを!」
その瞬間、プレシアのいる階層の壁と天井が魔力の矢によって貫かれる。
壁からクロノが、上からは床をアグニで撃ち貫いたキラが下りてくる。
「世界は・・・いつだって、こんなはずじゃないことばっかりだよ!ずっと昔からいつだって、誰だって、そうなんだ」
「それが当たり前の世界、その世界で僕たちは生けていかなくちゃいけない」
フェイトたちもキラとクロノに追いついた。
「こんなはずじゃない現実から逃げるか、それとも立ち向かうかは個人の自由です」
「だけど、自分の勝手な悲しみに無関係な人間まで巻き込んでいい権利は、どこの誰にもありはしない!」
キラとクロノが訴える中、フェイトは自分の母親を見つめる。それがとても弱く見えた。
「ゲホゲホッ、ゲホッ!」
プレシアは血を吐きながら咳をする。
「母さん」
フェイトはプレシアに走り寄ろうとするが、フェイトを睨む。
「何をしにきたの」
その言葉に止まるフェイト。
「消えなさい、もうあなたに用はないわ」
その言葉を受けてもフェイトはプレシアを見据えて答える。
「あなたに言いたいことがあって来ました」
それを全員が黙ってフェイトを見つめる。
「私は・・・・私はアリシア・テスタロッサじゃありません。あなたが作った只の人形なのかもしれません」
「だけど、私は。フェイト・テスタロッサはあなたに生み出してもらって育ててもらった、あなたの娘です!」
その言葉に笑い出すプレシアはフェイトに問う。
「だから、何?今更あなたを娘と思えというの?」
「あなたが・・・・・それを望むなら」
フェイトはプレシアを見据え、自分の気持ちをプレシアに伝える。
「それを望むなら、私は世界中の誰からも、どんな出来事からも、あなたを守る」
「私があなたの娘だからじゃない、あなたが私の母さんだから!」
そうしてフェイトは手をプレシアに差し出した。
「くだらないわ」
「え?」
プレシアは杖を床へと打ちつけ、魔方陣が現れる。
「マズイ!」
庭園が地響きを立てて崩れ始めていた
『艦長!ダメです、庭園が崩れます。戻ってください』
『この規模の崩壊なら次元断層は起こりませんから!』
エイミィはリンディたちに急いで通信を送る。
『クロノ君たちも脱出して!崩壊までもう時間がないの!』
「了解した、フェイト・テスタロッサ!・・・・フェイト!」
クロノはフェイトたちを呼ぶ。しかし、フェイトは動かなかった。
「私は向かう、アルハザードへ!そして、全てを取り戻す!過去も未来もたった一つの幸福も!」
そして、床が崩れプレシアとアリシアの亡骸は虚数空間へと落ちていく。
「母さん!」
「フェイト!」
プレシアの元へ飛び込もうとしたフェイトをアルフが抑えた。
落ちていく、その姿をフェイトは見つめ続けた。
『お願い、皆!脱出急いで!!』
床が割れ、フェイトとアルフが離されてしまう。
「フェイト!フェイトー!」
アルフが必死に手を伸ばすが届かない。
そこになのはが天井を打ち破って現れた。
「フェイトちゃん!飛んで!こっちに!」
なのはがフェイトに向かい手を伸ばす。
プレシアが落ちた場所を見つめたフェイトだったが、目を閉じて自分に決意をさせる。
目を開けたフェイトはなのはに向かい手を伸ばし・・・・飛んだ。
そして、それをなのははしっかりと捕まえた。
「これで全員転送できる」
キラがなのはたちのところへ向かおうとした時だ。
『My master.』
「ストライク?」
『It is possible to return to former world if remaining here.』
「本当?元の世界に戻れるの?でも・・・・どうやって」
『The power of the remaining jewel seed is used.』
「今しか・・・・ないの?」
『Yes.』
「・・・・・・・分かった、それじゃあ戻らないとね」
「キラ(くん)!」
動かないキラに気付いたなのはたちが手を伸ばしキラの元へ向かう。
しかし、キラはそれに首を振って答えた。
「管理局の人たち、急いで僕以外の人の転送を」
その言葉に全員が驚いていた。
「なんで!なんでなの!キラくん!」
「戻ろう、皆で」
なのはとフェイトの悲痛な叫びも虚しく、キラは首を振って涙を貯めて笑いかける。
(僕はこの世界の住人じゃないんだ。だから、戻らないといけないんだ)
キラは他の人に聞かれないように二人だけに念話を使い話しかけた。
なのはとフェイトはその言葉に驚くが、キラの涙を見ればそれが嘘じゃないのが分かる。
(どうやって・・・・?)
(ストライクがまだ残っているジュエルシードの力を使うらしい)
(もう・・・・・会えないの?)
(・・・・・・・・・うん、多分)
フェイトの質問にキラは正直に答える。
「嫌だ、そんなの嫌だよ!」
「そうだよ・・・・こんなのって・・・・・ないよ」
なのはとフェイトの涙は止まらなかった、二人とも手を伸ばし続ける。
『事情は分かりませんが、本当にいいんですね。キラさん』
別の方からリンディの声が聞こえてきた。
「僕はここに残らないといけないんです、残させてください。お願いします」
『・・・・・・分かりました。エイミィ』
『は・・・・はい』
なのはとフェイトはキラのところへ向かおうとするが崩れる天井が邪魔で思うようにキラの元へ向かえない。
(なのはちゃんとフェイトちゃんに出会えて本当に良かった)
そんな二人にキラは涙をためながら笑う。
(僕は元の世界に戻ったらまた戦いに出なくちゃいけないかもしれない)
(何で?何でそんな世界に帰らないといけないの?)
フェイトは泣きながらキラに聞く。
(守りたいんだ。そして、僕はそのために何と戦わなくちゃいけないのか分かった気がするから)
今にも手を伸ばして彼女たちの所に行きたい、だがもう心は決まっていた。
「君たちに教わったんだ」
キラの顔はもう泣いていなかった。笑ってすらいた。
「・・・・二人の想いと力・・・・受け取ったよ。ありがとう」
二人はもう少しの距離まで来ていた、あと少し手を伸ばせばキラに届く。
「そして、さよなら」
「「キラ(くん)!!」」
キラがそう言って笑った瞬間、なのはとフェイトはその場から強制転移していた。
「帰ろう、あるべき世界へ」
『Yes, sir.』
その瞬間、キラを真っ白な光が包んだ。
支援
なのはたちは戦いが終わり、何もなく穏やかな日々を過ごしていた。
そして、フェイトがしばらくの間、裁判のため本局に移動になることとなった。
そのため、リンディの計らいによってフェイトと会うことが出来ることとなっていた。
キラ・ヤマトについては死亡ということになっている。
彼に対しての裁判も本人死亡という形でフェイトと共に行われるが、フェイトと同様に無罪の可能性が高い。
純粋に少女を守るために戦った者を罪にするほど・・・・・ともクロノは語っていた。
彼についての詳しいデータもないため本局も対応に困っていたのも事実だった。
ユーノやアルフは知っているが、アースラスタッフ以外に語ることはなかった。
そして、アースラスタッフもそれを口外することはなかった。
だが、フェイトもキラも無罪になるというのは変わらないだろう。
「フェイトちゃ〜ん」
なのははフェイトたちに手を振って走ってくる、それを嬉しそうに見るフェイト。
「あんまり時間はないんだが、しばらく話すといい。僕たちは向こうにいるから」
「「ありがとう」」
クロノとアルフ、ユーノは少し離れたベンチで二人を見守ることにした。
「あははは、何だかいっぱい話したいことあったのに・・・変だね、フェイトちゃんの顔見たら、忘れちゃった」
「私は・・・・そうだね、私もうまく言葉に出来ない」
フェイトは言葉を続ける。
「だけど、嬉しかった」
「え?」
「まっすぐ向き合ってくれて、キラもそうだった」
今はいない少年の顔を二人は思い浮かべる。
「うん、キラくんみたいに友達になれたらいいなって思ったの。でも、今日はもうこれから出掛けちゃうんだよね」
「そうだね、少し長い旅になる」
二人は悲しそうな顔で俯いてしまうが、お互い顔を上げた。
「フェイトちゃんは・・・・また会えるんだよね?キラくんみたいにならないよね」
「うん、少し悲しいけどやっとほんとの自分を始められるから、絶対に戻ってくる」
そして、フェイトは一番言いたいことを話し始める。
「来てもらったのは返事をするため」
「え?」
「君が言ってくれた言葉、友達になりたいって」
「うん!うん!」
その言葉に嬉しそうに首を縦に振るなのは。
「私に出来るなら、私でいいならって。だけど私、どうしていいか分からない」
ずっと一人だった、友達なんて必要ないと思っていたから。
「だから教えて欲しいんだ。どうしたら友達になれるのか」
悲しそうなフェイトの横顔を見ながらなのはは答える。
「かんたんだよ。友達になるの、すごくかんたん。キラくんと一緒だよ」
「キラと?」
なのははフェイトに笑いながら教える。
支援
「名前を呼んで。始めはそれだけでいいの、君とかあなたとかそういうのじゃなくて」
「ちゃんと相手の目を見て、はっきり相手の名前を呼ぶの。キラくんもそうだったしょ?」
「あ・・・・・・」
フェイトは今気付いた、キラと自分はもう友達と呼べる関係だったことを。
そして、なのははもう一度自己紹介をする。
「私、高町なのは。なのはだよ」
「な・・の・・は?」
「うん、そう!」
「なの・・・は」
「うん」
「なのは」
「うん!」
なのはは目に涙を浮かべフェイトの手を取る。
「ありがとう、なのは」
「うん」
なのはは堪えきれず涙が零れてしまう、そして涙をためたまま笑う
「君の手も暖かいね、なのは。キラと似ているよ」
彼の手も暖かかった、そして彼女の手も暖かく自分を包んでくれる。
どうしようもなく涙が流れる、フェイトはそれを拭ってやった。彼女の目にも涙があった。
「少し分かったことがある。友達が泣いてると同じように自分も悲しいんだ」
そういえばキラに教えてもらっていたな、とフェイトは思う。
「フェイトちゃん!」
そう言ってフェイトに抱きつき涙を流すなのは、そしてそれを抱きとめるフェイト。
「ありがとう、なのは。そして・・・・キラ」
感謝の言葉を述べながらフェイトは続ける。
「今は離れてしまうけどきっとまた会える。そうしたら、また君の名前を呼んでもいい?」
「うん!うん!」
フェイトの胸の中で泣きながらも答えるなのは。
「会いたくなったら、きっとまた名前を呼ぶ」
「うん、また会ったら・・・・その時はキラくんの名前も呼んであげよう」
「そうだね」
その言葉にフェイトは笑顔で答えた。
「キラ、自分の世界に帰れたかな?」
空を見上げ、フェイトはなのはに聞く。
「大丈夫、きっと帰れてるよ。キラくん強いもん」
なのは笑顔で同じように空を見上げる。
「そうだね。それにキラも、なのはと私の友達だからね」
「うん、そうだよ」
なのはとフェイトは別れ際に言えなかったことをこの空に言うことにした。
「「またね!」」
何故だか、彼に届いたような気がした。
「キラ?」
キラはラクスの声に振り返る。
「僕は、行くよ」
「どちらへ行かれますの?」
「地球へ、戻らなきゃ」
「何故?あなたが一人戻ったところで戦いは終わりませんわ」
そうかもしれない。
「でも、ここでただ見ていることももう出来ない」
いつかのなのはたちのお昼休みの自分のセリフを思い出す。
「何も出来ないって言って何もしなかったら、もっと何もできない・・・何も変わらない、何も終わらないから」
「またザフトと戦われるのですか?」
違うとキラは首を振る。
「では地球軍と?」
それも違うとキラは首を振り答える。
「僕たちは何と戦わなきゃならないのか。少し、分かった気がするから」
それを彼女たちに教わったから。
あの爆発から目が覚めて、元の世界に戻ってなのはたちと過ごしたあの日々が夢だったのかと思うこともあった。
でも、あれは夢じゃないと確信できる。
自分の気持ちがこんなに彼女たちのことを想っているのだから・・・・・・。
(あれは夢じゃなくて。僕に起こった、信じられないような大きな奇跡)
「想いだけでも力だけでも・・・・・」
あの子達は両方持っていたものだ・・・・そして、今の自分もしっかり持っている。
自由という「想い」と「力」の剣が。
「フリーダム!いきます!!」
もう彼女たちに会えないのは寂しかった。だけど、何故かまた会えると思ってしまう。
(だって、聞こえたんだ。二人の声が「「またね!」」って)
そして、青き星へと舞い降りる、強き想いをのせた剣が・・・・・。
彼、そして彼女たちは新しい道を進み始める。彼らの物語はまだまだ始まったばかり。
ついに終わった・・・・終わってしまいました。
長いような短いような・・・・・そんな気分ですね。
初投稿だったので色々お見苦しい点があったと思いますが、見ていただいてありがとうございます。
キラ一人という設定は中々難しくて大変でしたが、楽しかったです。
ここのスレで書きたいと思い、書き始めて最後までいきました。
これも感想を書いてくださった人たちのおかげです、ありがとうございました。
またここに書き込むときは温かく迎え入れてやってください。
今は少し忙しくて書けなくて、投下は出来ません。
もし、少しだけ期待した方がいれば申し訳ありません。
今しばらくのお待ちを・・・・・・。
今まで本当にありがとうございました。
ありがとう!なのは、フェイト、キラ!その他大勢!!
それでは、また!!
キラかっこええ。
うは、本当に久しぶりだな、暇人氏のssはww
>>356 ご苦労様でした。
次はA’Sですか。A’Sを投稿されるのを楽しみに待っています
>>356 無印最終話ご苦労様でした。
キラはああいう方法で元の世界に戻ったんですね。
今は少し忙しくて書けないんですか。
なら、また投下されるのを楽しみに待たせていただきます。
完結おめ!
キラが停戦を呼び掛けながら自由で撃ちまくるシーン。
なのはの影響だと思うと違和感が薄れるw
落ちた人たちはサイクロプスでシボンヌだがな。
リリカルクロスSEED氏お疲れ様。
つい最近始まった印象だったけど、本当にあっという間でしたね
次があるのならAs飛ばしてまさかのStSに。。
リリカルクロスSEED氏、完結おめでとうございます。
全10話楽しませてもらいました。
またしばらくして、A's編を投稿されることを楽しみにしています。
リリカルクロスSEED氏完結お疲れ様です。
スレ復活してたんだ。知らなかった。
俺も何か書いてみようかな。
誰かネタくださいな。
StSでドゥーエ九歳でどうか!
…なんつー誤変換してくれるんだ俺orz
九歳じゃなくて救済だorz
シンとなのはの話とかはどうだろう。
家族亡くした直後のシンをなのはが助けるとか。
・・・自分で考えようとして文章にできず、現在に至ったネタだが
何とい誤変換\(^o^)/このロリコン野郎めwwwwwwwww
…ドゥーエが誰か分からないやつは俺だけじゃないはず眼帯してる子か?
それなら大歓迎な俺もロリk
投下、よろしいでしょうか?
今回は番外編です。
進路クリアー!ハイペリオンどうぞッ!!
答えを聞かずにどうぞ
高い天を行く者から勇敢な者へ
番外編
『先生とエアホッケーと可愛い子猫の写真集』
・スカリエッティのラボ
全体的に暗いスカリエッティのラボ、そんなラボ兼アジトにあるいくつかの部屋の内の一つ、一般的な会議室ほどの広さの部屋に4人の人物がいた。
その内の一人は端末を操作しながら話しをし、残りの3人はその人の話を熱心に聞きながら、時より端末を操作していた。
「はい、今日はここまで。3人とも、ご苦労様」
そう言い、先ほどまで3人に話をしていた少年・ヴェイアは展開していたウィンドウを閉じ、片付けに入る。
「「「ありがとうございました」」」
ヴェイアの話を聞いていた3人、セッテ・オットー・ディードの三人は声をそろえてお礼を言い、端末を閉じ始めた。
先日、スカリエッティとウーノに自分の気持ちを伝えたヴェイアは引き続き、最後発組の教育や武装の調整などの今までと変わらない日常を過ごしていた。
「だけど3人とも、覚えがとても早いよ。よく頑張ったね」
片づけをしている3人を見据え、素直な感想を言うヴェイア。その中の一人セッテが片付ける手を止め
「いえ、ヴェイア先生の授業内容が解り易いからです。これに関しては私達は勿論、ドクターも認めています」
セッテの言葉に同意するように、オットーとディードも頷く。
「ありがとう。でも、分からない事を質問したり、協力し合って考えたりして皆が頑張っているからだよ。僕はそう思うな」
ヴェイアが教育を始めて当初、セッテは孤立し、オットーとディードがペアになって授業を受ける事が多かった。それを見かねたヴェイアは
3人で協力しなければ出来ない課題ばかりを出し、3人が協力するように仕向けた。結果、今ではどんな課題でも3人が互いに協力し合い、授業を受けている。
褒められた事が嬉しいのか、俯き照れる3人。そんな3人を微笑みながら見つめるヴェイア
「それじゃあ、午後からはトーレさんの実戦訓練だから、準備を忘れないでね。それと、訓練が終ったらデータの提出を忘れずにね」
「はい、わかりました。明日もご指導、よろしくお願いいたします」
そう言い、深々と頭を下げる3人。そんなセッテ達の態度に手を振り慌てるヴェイア
「前にも言ったけど、そんなに畏まらなくてもいいから。ノーヴェやウェンディのような態度で接してくれると嬉しいな」
ヴィアの発言に
「・・・・・・・」
硬直し、考え込むセッテ
「・・・・・・・・」
腕を組み、考え込むオットー
「・・・・・・・・・」
あごに手を乗せ、考え込むディード
・・・・・・・・・・・・・・約一分後・・・・・・・・・・・・・・
「「「・・・・・お・・・おう・・・努力してみるっス!!」」」
「・・・・・・・個人の個性も大切にね」
いきなりだが、ヴェイアには一つ気になる事があった。
クアットロとチンクの関係である。
セインとヴェイアによってナンバーズ姉妹の関係は『仲の良い姉妹』としては勿論、『背中を任せられる戦友』という関係になっている。
だが、上記の二人は当初から反りが合わないらしく、そのような関係には至っていない。それどころかクアットロに関しては、そのような関係を
「くだらない」と言い切っていた。
逆にチンクに関してはセインとヴェイアの考えに賛成しており、姉達と妹達の間をつなぐ事にも積極的に協力してくれた。
特にノーヴェには懐かれており、チンクもよく世話を焼いていた事から、このような関係を大切にしている事をヴェイアは感じ取っていた。
だがクアットロに関しては「奴は・・・・・・」と、顔を渋らせながら言い放ち、積極的に関わろうとはしなかった。
「どうにか・・・しないと・・・・」
授業で使った資料を抱え、歩きながら呟く
ヴェイアにしてみれば、皆姉妹なのだから仲良くなって欲しいと考えていた。
それにナンバーズは集団で行動をしてこそ真の力を発揮する。それは表面上の関係ではなく、相手を信頼し合ってこそ、可能ではないのか。
表面上の関係では、相手を信頼しきれない。その相手を少しでも不審に思う気持ちが隙となり、致命的なミスを生む。
その事も考慮していたが、『みんな仲良く』という考えの方がヴェイアにとっては大きかった。
考えながら歩き続けるヴェイア。教室を出てから壁に激突しそうになった回数2回、激突した回数3回
「・・・・・よし!」
お凸を摩りながら、ヴェイアは行動に出た。
「クアットロを?」
「はい、ウーノさんの頼みでしたら聞いてくれると思いまして」
端末を操作し、姉妹達の教育状況を確認しているウーノに話しかけるヴェイア。話しの内容を聞いたウーノは
「そうね、わかったわ」
微笑みながらヴェイアを見据え、了承した。
「ありがとうございます。それと、ドクター・・・・」
ウーノと約3メートル離れた所で、両手で試験管を持ちながら科学の実験真っ最中なスカリエッティに話しかける
「ここで塩酸ピリドキシンを150・・・・・・何かな?ヴェイア」
少し間を置き、尋ねるスカリエッティ
「・・・・・いい加減、寝た方が良いと思います。もう3日寝てないんじゃないんですか?」
「・・・・4日よ」
ウーノがため息をつきながら訂正をする。そんな心配と呆れが混ざったような顔をする二人に
スカリエッティは目の下のクマが目立つ顔で話し始める。
「いやいやいや!科学者というのはね!閃いたり良いアイデアが!出たら!眠る!わけには!いかないのだよ!!
アイデアが!逃げて!し!ま!う!で!は!ないか!!・・・・・ここで某次元世界で取れた大凧からタウリン抽出・・・・・むにゅ〜」
答えながらも何かを作る事を止めないスカリエッティ。
(ちなみに会話中に(!)が付くたびに顔芸を披露しています。怖いです。おそろしくハイになってます。)
「でしたら、閃いたアイデアを記録するなりすれば・・・・」
最もなことを言うヴェイアにスカリエッティは大きくかぶりを振る。
「それはイカンよ!『お呼びとあらば即参上!』じゃかった、『思いたったら即実行!』これが私のポリシーさ。
それに、私には先ほど完成したこれがある!!」
そう言い『ドドーン!!!』という効果音が似合いそうな勢いで先ほど完成したと思われる液体を見せ付けた。
「「何ですか?それ?」」
声をそろえて尋ねる二人
「フッフッフッフッ・・・弱ったハートに活を入れるスーパーアイテムさ!その名も『ネムネムバスターGX!』これはある次元世界で
工房士を営んでるトンカチ少女から教えてもらってね。早速、出来立てをご賞味オバ!」
そう言い、左手を腰にあて、一気に飲み干す。二人が呆れ顔で見守る中、喉を鳴らす音が響く。
「・・・ぷふぁ・・・ファイト一発!よっしあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!心臓やその他諸々の臓器がドキドキしてきたよ!!
さすがはプ○ス○ロの科学力!YESだね!!」
某勇者王のように叫び、今まで以上にハイになるスカリエッティ。
「そんな物を作る余裕があるのでしたら・・せめて仮眠だけでも・・・・」
げんなりした顔で、またまた最もな事を言うヴェイアに
「いやいや!常に長期的視野に立って物事を考えろとトンカチ少女のおじいちゃんも言っていたよ!」
スカリエッティは声高らかに言い返すが
「短絡思考の極みにしか思えません・・・・・」
ウーノが呆れ顔で呟く。
「なんとでも言いたまえ!だが私はこれで後3日は戦える!いや!4日だ!!」
そう言い、両腕を広げ、クルクルと回りだす。
「アハハハハハ〜〜ラリラリ〜〜眠らなくても〜〜らら〜〜食事をしなくても〜〜らら〜〜科学の力でモウマンタイ!!」
『クールなマッドサイエンティスト』という姿を自らブチ壊しているスカリエッティに
「ドクター」
ヴェイアは近づき
「ごめんなさい。でも、貴方のキャラクターとしての存続の危機ですので・・・・・」
腰を落とし力を入れ、右拳を捻りながらゆっくりと後ろに引き
「破!」
スカリエッティの急所に容赦なく正拳突きを放った。
『グエ!』とカエルがつぶれたような声を吐きなら床に倒れるスカリエッティと、何事も無かったかのようにさわやかな笑顔で
ウーノの方を向くヴェイアと、『よくやった!感動した!』といたげな顔で親指を立てるウーノ。
数日後、地上本部は彼らによって壊滅させられるとは誰も思ってはいまい
・数時間後
「なんで私まで行かなきゃいけないのかしら〜。まぁ、ウーノ姉さまの頼みじゃ、仕方ないわね〜」
「やってらんな〜い」と言いたげな顔で言い放つクアットロに顔を顰めるチンク。
そんな二人を後ろに控え、目的地まで歩くヴェイアとディエチ。
ヴェイア達は日常品などの買出しのため、ある次元世界に来ていた。
今回は結構な量になるため、特に用が無いナンバーズが借り出される事となり
クアットロ・チンク・ディエチが同行することとなった。
「(ヴェイア・・・別にクアットロをつれて来なくても良かったのでは?)」
念話で尋ねるチンクに
「(今日の買い物はそれなりの量がありますから、人手が必要です。それに他の皆さんは訓練で忙しいですし)」
ヴェイアも念話で答える。
「(セッテ・オットー・ディードはトーレとの戦闘訓練、セインはルーテシア様の手伝い、ドゥーエは任務中で
ウーノはドクターの手伝い、ノーヴェとウェンディは『自主的』に戦闘訓練に参加とトーレから聞いている。確かに手伝えるのは私達だけ
・・・・・・・まぁ、ヴェイアの頼みだ。そう割り切ろう)」
自己解釈を終えたチンクは何を買うのか考えながら、ヴェイアの後をついていった。
「ここからは二手に分かれて行動しましょう」
商店街の入り口で足を止め、突如言い放つヴェイア
「買い物リストはこれです。3時になったら紙に書いてあるお店に来てください、ここが集合場所です。
買い物をしても時間が余る筈ですから、それまで自由行動をしていてください」
そう言い、メモと地図をクアットロに渡す。
「わかったわ、ディエチちゃん、いき(ディエチ、行こうか」
ヴェイアはディエチの手を取り歩き始めた。突然のヴェイアの行動に驚く3人、
「「ちょ・・・!」」
チンクとクアットロは自分達が組むと思っていたペアとは違うどころか、一番組みたくない同士になってしまう事に抗議しようとするが
「クアットロさんはチンクさんと一緒でお願いします。気をつけてくださいね〜」
ディエチを引っぱるように歩くヴェイアは捨て台詞を言い残し、人ごみの中に消えていった。
「「・・・・・・・・」」
ヴェイアの突然の行動に言葉が出ない二人は
「「・・・・・・・・ふぅ」」
互いを見据えた後、ため息をつき、歩き始めた。
「あの・・・ヴェイア・・・・あの二人・・・・・よかったの?」
スーパーのカートを押すディエチは、食料品を手にとって悩んでいるヴェイアに尋ねる
「二人の仲のこと?」
食品をカートに入れながら尋ねるヴェイア
「うん。あの二人、仲が悪いから・・・・心配で・・・・」
「僕も、その事に関しては知っているよ。だから・・・・・・・・強行手段に出てみた」
笑顔でサラッと言うヴェイアにポカンとするディエチ。そんなディエチの反応に小さく笑いながらヴェイアは言葉を続ける。
「確かにあの二人は仲が悪いよ。だけど何時までもそのままではいけないと思うんだ。だからウーノさんに協力してもらったんだ」
「・・・・・ああ、クアットロが大人しくついて来たのはそれが原因か。普通はこんなことは『面倒くさい』とか言って絶対にやらないから」
そう言いながら、カートを押すディエチ。
「そういうこと。だけどディエチはよく知ってるんだね、クアットロのこと」
「うん、何気に一緒にいることが多いから・・・・任務とかでね。まぁ、私のことをどう思っているかは、分からないけどね」
ディエチは苦笑いしながら呟く。
「僕からしてみれば、二人とも仲のいい姉妹だと思うよ。『お姉さんの行動に付き合ってあげてる妹』見たいな感じかな」
ヴェイアの発言に驚きづつも、その答えに満足したのか
「そうだと・・・・・いいかな」
ヴェイアを見据え、微笑みながら答えた。
一方、ヴェイアの汚く、卑怯極まりない作戦(クアットロ曰く)により一番そりの合わない同士と行動する事となった二人。
互いは会話をせずに、つかず離れずの距離を保ちながら黙々と買い物を済ませていた。
そんな時である。二人の仲が進展し、今いる世界『第97管理外世界』の地球、海鳴市のゲームセンターで『幻惑の魔女』『爆砕の眼帯少女』
という名が刻まれる事になる事件が起きるのは。
チンクは一言で言えば真面目な人間(戦闘機人)である。そして妹達の面倒や任務でのサポートなども率先して行い、妹達からも慕われている。
そのため、常にマイペースを貫き通し、姉妹関係を「くだらない」と言い切るクアットロとは全くと言っていいほど反りが合わないでいた。
そんな真面目機人なチンクである。横断歩道を渡れずオロオロしている老人を黙って見過ごせるはずが無かった。
「ご老人、一緒に渡りましょう」
そう言い、老人の手を取り、律義に手を上げ横断歩道を渡る二人。傍目から見たら立派なおばあちゃんと孫である。
そんなチンクの行動を「物好きねぇ〜」と言いたそうな顔で見ているクアットロ。
全てはここから始まった
「ありがとうねぇ、おじょうちゃん」
「いい子いい子」と言いながらチンクの頭を撫でる老人。突然の老人の行動に顔を真っ赤にし、戸惑うチンク。
そして老人は懐から、今では見つける事すら難しい『ぺろぺろキャンディ』を取り出した。
「はい、これはご褒美ね。虫歯にならないようにいっぺんに舐めちゃだめよ」
そう言い、老人は『ぺろぺろキャンディ』をチンクに渡し、その場を去っていった。
「あら〜チンクちゃ〜ん」
今一番聞きたくない声が後ろから響く、反射的に後ろを向くと、知らないものから見れば『面白そうな物を見つけた笑顔』
知ってるものから見れば『相手の弱みを握った時の策士の笑顔』をするクアットロがいた。
支援
「本当にお似合いよ〜、吃驚する位にお似合いよ〜、うっふふのふ〜〜〜〜♪」
これ見よがしにとチンクを指差し、からかうクアットロ。そんなクアットロを思いっきり睨むチンクだが、
『ぺろぺろキャンディ』片手では迫力がまったく無い。
次は何を言ってやろうか考えていた時、クアットロの側を年齢的には6歳位の少女が通り過ぎた。
その時、ハンカチを落としたが少女は気づかず、そのまま進もうとしていた。
「ちょっとお嬢さん」
普段のクアットロなら無視するのだが、今はとても気分が良い為、少女を呼び止め、
「今度からは気を付けなさい」
落ちたハンカチを渡す。少女はハンカチを受け取り、深々と頭を下げお礼を言った。
「ありがとうございます。オバちゃん」
ピシ
どんな原理なのか、クアットロのメガネにヒビが入った。
少女はお礼を言った後、急いでいるのか走り出す。その時、何かを叩く音がクアットロの耳に入った。
音がするほうを向くと、そこには電柱を必死に叩いて笑いを堪えるチンクがいた。足元にはコンクリートの破片が散乱しています。
「チンクちゃ〜ん・・・・公共物を壊すのはいけないことよ〜」
顔を引きつらせながらも、未だに電柱を叩くチンクに注意するクアットロ。
「あ・・ああ・・・そうだな・・・公共物を壊すのはいけないことだな・・・・忠告感謝するよ、クアットロおばさん」
ピシ
メガネのヒビがさらに広がる
「分かればいいのよ・・・・お子様キャンディが似合うチンクちゃん♪向こうでウサギさんの風船でも貰って来たら?体系からしてお似合いよ〜」
「・・・・・いや、遠慮しておこう。それより向こうでやってるバーゲンセールにでも参加してきたらどうだ?値切りと物の取り合いはおばさんの得意分野と聞いたぞ?」
「・・・・・・・ウフフフ・・・面白い事言うわねぇ・・・・一文字変えたら下品な名前になるチンクちゃん」
「・・・・・はははは・・・・たまたま覗いてしまったが、今度からゴスロリという衣装は密閉した部屋で着てくれ。ルーテシア様なら似合うが、おばさんが着ては毒にもならない」
「ウフフフフフフフ」
「はははははははは」
「「何がおかしい!!!!!!」」
チンクはバックステップで後ろに下がり、投げナイフ『スティンガー』を出そうとする、だが
「お待ちなさい!」
クアットロが止めに入った。
「なんだ!?命乞いなら聞かんぞ」
「本当にお馬鹿ね〜、こんな所でISを使った戦闘をしたら迷惑がかかるでしょう?
それに能力的に私はウーノ姉様と同じタイプで貴方やトーレ姉様達のような通常戦闘は得意じゃない。だから、あれで白黒つけましょう」
そう言い、ゲームセンターを指差すクアットロ。確かにクアットロの言い分にも癪だが一理ある。
チンクのISでは現地の住民を巻き込んでしまう可能性がある・・・・・・・クアットロはどうでもいいが。
「・・・・わかった・・・・買い物もほぼ終了している。時間もまだあるからな・・・いいだろう」
こうして、二人はゲームセンターの中に入っていった。
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一方、この話のの主人公的存在であるカナード・パルスは
「・・・・・・・・・くっ」
動けないでいた。決して縛られているわけでもなく、バインドで固定されてるわけでもない。だが、動けないでいた。
そんな時、カナードの前を通り過ぎるシグナム。彼女はカナードが今おかれている状況を見て
「ふふっ、微笑ましいな」
微笑みながらそう言い、通り過ぎていった。
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場所は戻って『第97管理外世界』の地球、海鳴市。
買い物を終え、買った品を転送装置を使い、ラボ兼アジトへ送ったヴェイアとディエチは特による店も無かったので
待ち合わせ場所、喫茶店『翠屋』に向った。
「いらっしゃいませ〜。あら、ヴェイア君、こんにちわ」
メガネをかけた女性『高町美由希』がヴェイアとディエチを迎える
「こんにちわ。後から3人来るのですが、テーブル席空いてますか?」
「ええ、空いてるわよ。こちらへどうぞ」
そう言い、テーブル席に案内される二人。
「ヴェイアはここにはよく来るの?」
店員の女性の態度からそう予想したティエチは尋ねる
「うん。買出しに来るときにここのお店によくよるんだ。お茶の時間に出すケーキやコーヒーもここで買ってるんだよ。
みんなが来るまで何か食べてよっか?」
ヴェイアの提案に笑顔で頷くディエチ。
「賛成だね。ここのケーキは美味しいから楽しみだよ。ああ、あと『3人来る』って言ってたけど・・・チンクとクアットロと・・・誰?」
メニューを開きながら尋ねるディエチに
「それはね、ああ、丁度きたよ」
ヴェイアが答えようとするが、丁度その人物が着たのか、入り口の方に顔を向ける。釣られて入り口を見ると
「ドゥーエ!?」
任務中のナンバーズ、ドゥーエが現れた。
こんばんわです。投下終了です。
感想をくださった皆様、ありがとうございました。
職人の皆様GJです。
今回も書き終えたら規制に引っかかる量になってしまったので、前編と後編にわけました。
後編は手直しをしているので明日か明後日にでも投下いたします。
・・・・・・・色々ゴメンナサイ・・・・・orz
支援
GJ!!ココのナンバーズの武装と連携は原作より格段に上ッ!!になるみたいですから
とても楽しみです。
セインが地上本部でガス撒くシーンがありましたが、アレやられたらかなりキツイですよね。
GJ!!ココのナンバーズの武装と連携は原作より格段に上ッ!!になるみたいですから
とても楽しみです。
セインが地上本部でガス撒くシーンがありましたが、アレやられたらかなりキツイですよね。
>>383 おお、これまたGJだ!
しかしここのナンバーズは本編よりさらに強敵になるな。
六課勝てるんかいなw
こうだよ!これでこそ敵なんだよ!
カナード……膝枕中かな?
>>389 誰をだ?
1・久遠
2・ヴィヴィオ
3・はやて
4・1〜3
5・ザフィーラ
6ティアナ(カナードの訓練により気絶中)
7・曹長
強さを連座風にコストに置き換えると
590…stsなのは、フェイト、はやて
560…stsヴィータ、シグナム、sts高天カナード
450…スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、A’Sなのは、フェイト、はやて、ヴィータ、シグナム、sts神隠しシン&キラ、A’S高天カナード
420…無印なのは&フェイト、A’S神隠しシン&キラ
おかしいと思うところは修正してくれ、他のssの追加もヨロ。
なのははA'sのときからすでに{}
なのははA’SのときからすでにAAA相当の魔導師だったはずだが。
そう考えると、スバル等は280じゃないかな。
つか、神隠しのキラ、シン低くね?
なのはの障壁を容易く破れるシンのパルマと、はやてのかわりに遠距離砲撃やってのけたキラのミーティアを忘れてないか?
六課新人たちはコスト高すぎないか?
いくらなんでも神隠シンキラや高天カナードと一緒はないだろ
キゃロ二間してヴォルテール付きかどうかでコスト変わりそうな感じ
590…stsなのは、フェイト、はやて、まじしんデュランダル、
560…stsヴィータ、シグナム、sts高天カナード、まじしんアズライガー、鎮魂歌トライア、クルーゼ、神隠しStSアレックス&ラウ&キラ&シン
450…鎮魂歌キラ、まじしんシン&レイ、スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、A’Sなのは、フェイト、はやて、ヴィータ、シグナム、A’S高天カナード
420…無印なのは&フェイト、A’S神隠しシン&キラ
280…リリカルシードStSシン
ヒント:連座には700というコスト帯が存在する
700
StSリミットブレイクなのは&フェイト
590…stsなのは、フェイト、はやて、まじしんデュランダル、 ミーティアキラ
560…stsヴィータ、シグナム、sts高天カナード、まじしんアズライガー、鎮魂歌トライア、クルーゼ、神隠しStSアレックス&ラウ&キラ&シン
450…鎮魂歌キラ、A’Sなのは、フェイト、はやて、ヴィータ、シグナム、A’S高天カナード、キャロボル
420…無印なのは&フェイト、A’S神隠しシン&キラ、 フリードキャロ
280…スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、リリカルシードStSシン、ナンバーズ
200…一般魔導士
というか、各作品どうやって強さを比較するんだよ?
StSのリミットブレイクなのは&フェイトを基準でくらべるのか?
余りSS読んでないこちらとしては『デュランダル』って名前に顔青ざめたwwww
こうして見るといろんなキャラが出てると分かって面白いけど
こういう流れは何か不味い気がする…
種割れした凸は種キャラで一番強いんじゃね?とあえて反論
>>400 リリカルシードSTSのシンは現状でスバル達よりかなり強いみたいだから、420くらいじゃね?
そして神隠しキラでミーティアがあるなら、神隠しシンのファイナルを忘れちゃいかんだろう
俺、設定晒してほしいんだけど…そういうの駄目なんだよな?
お前ら、強さ議論は荒れるからやめといたほうがいいぞ
何より職人に迷惑掛かるからな
とりあえずキラには熱血さ、シンには大人っぽさが欠けていると思うから
そういうところが成長していくssを読みたい。
熱血キラは微妙にいるけど、大人っぽいシンはいないな…。
でも、シンが大人っぽくなってしまったら、なんとなくシンでなくなってしまうような気がしないでもない…。
そこが難しいんだろうな。
鬼畜なシンはいるけどね、「ぼくらの」で。
大人っぽいシンというのは大人しいシンと言う意味ではないよ。
ちゃんと人の意見を聞くと言うのか?そんな感じ。
なのは、シン、キラで喧嘩してたやつでも熱かったぞ。
>>410 え、本編でも普通に聞いてなかったっけ?
凸の命令以外は普通に聞いてたような……。凸の命令は具体性がまったくなくて聞きようがないし。
うろ覚えだから間違ってたらスマン。
>413
ルナマリアが上官とぶつかってばかりと証言してます。
>>414 本当にそれが異常だったら軍人にはなれません
残念ながらアニメとリアルでは事実が完全に一致というわけにはいかないのです。
というか、アニメはアニメ、リアルはリアル。
割り切って考えた方がいいと思うぞ?
それが出来ないやつが妙な事件を起こす。
俺の楽しみにしてる職人様の作品投下が半年以上ないのはなぜなんだぜ?
投下いいですか?
どうぞ!
魔道戦士まじかるしん 28話「残る命、散る命」
「フェイトちゃん?」
はやては、いきなりのフェイトの言葉に一瞬ぽかんとした。
いきなり何を……
「だから、今回のカナード・パルスの件、私に任せてもらえないかな?」
フェイトの言葉に、はやてだけではなくなのは達も驚いていた。
「彼とは…私が話をしたいんだ……」
それで、なのはは彼女の思いを感じた。
おそらく、フェイトは彼を昔の自分とどこか重ねているのだろう。
母に認めてもらおうと一生懸命プレシアに尽くしていた昔のフェイト。
だが、プレシアにとってはフェイトはただの人形、失敗作でしかなかった。
そして、キラ・ヤマトを倒して自分は失敗作なんかではないと証明しようとするカナード。
この二人には、どこか共通するところがある。
そう思ったからこそ、フェイトは彼をとめたいと思っているのだろう。
だが……
「それは無理や、わざわざ仲間を危険にさらす事は許可できん」
これが至極簡単なものならフェイと一人に任せても大丈夫だろうとはやては思う。
だが、今回の相手はフェイトとほぼ同等、もしかすればフェイト以上かもしれない実力を持つ相手に、
彼女一人で生かせなどと言う危険な事を、部隊長として認めるわけにもいかなかった。
「お願い……」
だが、それでもフェイトは引き下がらない。
はやては少しため息をして、周囲を見る。
なのはたちも、仕方ないといった感じで苦笑いをする。
こういうとき、フェイトは意地でも下がらないだろう。
それは自分達もわかっていた。
なにせ、隊長陣がほぼこういったら引き下がらない性格をしているからだ。
まったく、自分を含めてこういう部下を持つといろいろ大変であると心の中で笑うはやて。
「しょうがないなあ……けど……」
はやてはある条件をだして、フェイトの申しでを許可した。
それは、自分達は外で待機、フェイトがする事はあくま話であって、何かあればすぐに他の隊長、副隊長が助けに来る事。
フェイトも戦う意思はないので頷き、フェイトは一人で研究所へ入っていった。
ということがあって、フェイトは今カナードの前に立っている。
「管理局執務官、フェイト・T・ハラオウンです。カナード・パルス元執務官、話を聞かせてもらいます」
フェイトの言葉に、くくくと笑うカナード。
フェイトは何回か彼と面識があるが、彼のこのような顔をするのは始めてである。
「話はヴェロッサから聞いてるんだろう?なら知っているはずだ、俺の事も」
そして、カナードは全く関係のないところを向く。
「八神はやて、お前も外で待機しているのだろう?」
カナードはフェイトを見て、先ほど感じた外にいる魔術師の中に機動六課部隊長、八神はやてがいる事を予測して彼女に話しかける。
フェイトの驚いている顔を見て、あいつもいる事を確認したカナード。
カナードは奇怪な笑みを浮かべながら後ろを向き、ある通路へと向かっていく。
「こい、面白いものを見せてやる」
カナードは、まるでフェイトが襲ってこない事をわかっているのか、全然抵抗しようとは思わない。
カナードの思惑通り、フェイトハ張りアジャケットを装着しないまま彼についていった。
「まさか、ここまでばれるとはな……」
はやては、カナードの勘の鋭さに参ったといわんばかりにため息を付く。
二人のやり取りを聞くために通信を開いていたのだが、すぐにばれてしまった。
「フェイトさん、大丈夫なんでしょうか……」
その中、エリオとキャロはたった一人でカナードの元へ行ったフェイトを案じて、先ほどからそわそわしていた。
「フェイト隊長なら大丈夫だよ。信じてあげて」
なのははフェイトの事を信頼し、エリオとキャロを落ち着かせようとする。
なのはの言葉に、はい、と二人は返事をする。
「それはどうでしょうか」
急に否定の声が聞こえ、一同はそっちのほうへ向く。
そこにはその声を発したレイがいた。
(おいレイ)
(なんだシン?)
(なんだ、じゃない、レイ、今回ばかりは空気嫁)
シンはエリオとキャロを見てレイを念話でたしなめる。
二人はかなり悲しそうな眼をしながらレイを見る。
「レイさん、どういうことなんですか?」
「キャ、キャロ。おちついて」
今にも掴みかかりそうな勢いでキャロはレイに尋ねる。
エリオはキャロを止めるが、エリオにも同様の顔が浮かんでいる。
「どういうことか教えてもらえるよね?」
なにはにもいわれ、レイとシンはカナードの事を話す。
「彼は普通の魔術師としてもSランク相当といわれている事は知っているとはお思いますが、彼はそれだけではないという事です」
そう、カナードはフェイと同等かそれ以上と言う事は知っている。
「俺も聞いた話だけど、以前特務隊Xの先輩が教えくれたんです」
それは今より3年ほど前になる。
特務隊Xはある時空犯罪者を追っていた。
その犯罪者はかなりの重犯罪者で、それと同時に魔術師としての能力もかなりのものだったらしい。
「そのランクはSランクほどといわれていました」
Sランク、なのはたちとほぼ同じ魔力を持っている犯罪者。
カナードはその犯罪者が隠れているところを突き止めると、彼はなんと一人でその場所へと向かっていった。
最初はどの隊員も自分もついてく、とか応援を呼ぶ、等ごく普通の事をいっていたが、
Sランク相手にお前達では邪魔なだけだし待つ時間もない、といって彼は一人でその場所へと向かっていたという。
「それで、どうなったの?」
はやてはレイに尋ね、レイは当たり前のように言う。
「どうなったもなにも、あの人はたった一人でその犯人を捕まえましたよ」
さらに、カナード自身はそれほどの傷も負っていなかったという。
Sランク相手にほぼ余裕の勝利。
二人は彼と古くからいる魔術師に尋ねたのだが、何でも彼は特殊なレアスキルを持っているらしい。
それを聞いて、エリオとキャロの顔がさあっと轢くのを感じた。
なおさらフェイトのことが心配になってきた。
「じゃあ、何でその事を言わなかったのよ!」
ティアナはレイに尋ねる。
だが、答えたのはシンだった。
「いわないも何も、決めたのはフェイト隊長だろ?俺だって隊長が独りで行くなんて知ったのはついさっきだったし、いう暇もなかったんだよ」
シンの言葉に確かに、とはやてが言う。
その問い、フェイトから通信が入ってきた。
それもモニターつきで着たため、そのモニターを空ける。
「なんやの、これ……」
そこには大量の用具と、その中に同じ数の赤ん坊があったのだった。
「こ、これは……」
フェイトは唖然としながら周りを見る。
そこには、様ザマンデータと主に赤ん坊が実験用具に入っているのだ。
「この中に入っているものは既に死んでいる」
カナードの言葉にさらに衝撃を覚える。
だが、既に廃棄されているコロニーに、生きている赤ん坊が置かれているはずがない。
「こいつらは全員あるプロジェクトを研究していたときに使用されたやつらだ」
カナードはコンソールを動かし、様々なデータや映像がフェイト、そしてはやてたちに送られる。
そこには様々な遺伝子情報、研究者達。
そして、失敗だといっては帰される瞬間等、人として同化と思う行動が記されていた。
「その研究って……」
フェイトの言葉に、ああとカナードは頷く。
「こいつらは全員スーパーコーディネーターを作るための実験体の一部だ。
そしてそのほとんど…いや、俺と成功作、キラ・ヤマトを除くすべてのものは排除させられた」
自分が一人の研究者によって逃がされたとはなす。
フェイトはその非道な事を知って唖然とするだけだった。
だが、それと同時に怒りを覚える。
外でそれを見ているエリオとキャロはかなり気分を悪くしていた。
あまり子供に見せるものではない。
だが、カナードはかまわず言葉を続ける。
「たかが研究を完成させるために、数百とも言える人間が殺されているんだ。
こんな世界、ふざけているとは思わないか」
だが、それには少し疑問が浮かぶ。
何故管理局はその事を問題視していなかったのか。
そのことがわかっていたようにカナードは話す。
「だが、管理局に嗅ぎ付け、問題視される前にその実験はブルーコスモスによってすべて関係者はすべて殺された。
さらにこのコロニーもバイオハザード事件で人っ子一人いない場所となってしまい、管理局も捜査を打ち切ったんだ」
だから、管理局でスーパーコーディネータの事を知っているのはほとんど少ない。
知っていてもかなりの高官のものばかりであろう。
「それで、あなたは残った人たちに復讐して、キラ・ヤマトを倒して自分が本物になるつもりですか?」
フェイトの言葉にふん、と機嫌を悪くするカナード。
「確かに俺を生み出したこの世界は憎いが、復讐なんぞしても、何も始まらない。
俺がキラ・ヤマトを狙うのも、俺はやつを越えて俺という存在を認識させるためだ」
そう、自分は失敗作ではないと証明するために……
「そんな事をしなくても、あなたはあなたなのに……」
「何?」
フェイトは悲しそうな目でカナードを見る。
それが、どこか同情されたような目に見えたため、カナードはフェイトを睨む。
「そのためにキラ・ヤマトと言う人を倒しても何もならない。あなたはあなた、カナード・パルスなんでしょう?」
フェイトは真っ直ぐカナードを見据える。
カナードは何とか落ち着きを取り戻し、コンソールを操作する。
「それで、俺がキラ・ヤマトと戦う前に俺を捕まえる気か……」
カナードの言葉に、フェイトは違うと首を振る。
「私は、ただあなたに投稿してほしいだけです。出来ればそのまま付いてきてください」
「同じ意味じゃないか……」
そういうと、カナードは静かに何かのスイッチを起動させる。
それとほぼ同時に、プシュウ、と言う音が聞こえた跡、この研究所内にあるすべての扉にロックがかかり、ドアを守るために、周囲にプロテクションがかけられた。
だがそれだけではない。
研究所の外にもいたる進入口にバリアが展開されていた。
それと同時にコロニーを守るように作られたのか、護衛用の魔道機会までもが出現したという。
「まって、早くそれを停止して。今ならまだあなたには弁解の余地はある」
だが、フェイトの言葉をカナードは全く聞き入れるつもりはない。
そのときだった、しゅうぅ…と、何かが抜けていく音が聞こえる。
睡眠ガスや毒ガスなどが発生しているわけではなさそうだ。
「まさか…」
フェイトはそれが何かにすぐに気付いた。
「今、研究所内の空気を外へ抜いている最中だ。10分もあればここの空気はすべてなくなる」
そういうと、カナードはハイペリオンのモビルジャケットを装着する。
そして、ザスタバ・スティグマドをフェイトに向ける。
「まんまと引っかかったな、空気を入れてほしければ俺を捕らえて見せろ。出来たらの話だがな!」
そういって、カナードはザスタバ・スティグマドのマシンガンが咆哮を上げフェイトへと真っ直ぐ直進する。
「これは、コロニー防衛用の魔道機械?」
現在、自分達の周囲を取り囲んでいる魔道兵器にシン達は相手をしていた。
「ここが地上なら本気で戦うんだけど、こんな老朽化が進んだコロニーじゃちょっとそれは危ないかな」
なのはとはやての本気の一撃を放てばそれくらいは余裕背倒せるのだが、いかんせん今は誰も住んでいない、まだ空気があるとはいえ、長年整備もされていないコロニーだ。
なのはほどの魔術師の砲撃にたえられるかどうかあやうい。
もしコロニーに穴を開けると、もちろんコロニーには穴が開き、すぐさまなのは立ちは宇宙へ飛ばされるだろう。
宇宙で活動できるモビルジャケットを持っているシンやレイはともかく、生身であるなのはたちはすぐに死んでしまう。
だから、こうやって接近戦を挑むしかない。
幸いにも、この魔道兵器はそれほど泰しか攻撃力を持った射撃魔法は持ってはいないようだった。
「これは、コロニー防衛用の魔道機械?」
現在、自分達の周囲を取り囲んでいる魔道兵器にシン達は相手をしていた。
「ここが地上なら本気で戦うんだけど、こんな老朽化が進んだコロニーじゃちょっとそれは危ないかな」
なのはとはやての本気の一撃を放てばそれくらいは余裕背倒せるのだが、いかんせん今は誰も住んでいない、まだ空気があるとはいえ、長年整備もされていないコロニーだ。
なのはほどの魔術師の砲撃にたえられるかどうかあやうい。
もしコロニーに穴を開けると、もちろんコロニーには穴が開き、すぐさまなのは立ちは宇宙へ飛ばされるだろう。
宇宙で活動できるモビルジャケットを持っているシンやレイはともかく、生身であるなのはたちはすぐに死んでしまう。
だから、こうやって接近戦を挑むしかない。
幸いにも、この魔道兵器はそれほど泰しか攻撃力を持った射撃魔法は持ってはいないようだった。
なのはは敵の攻撃を素手で受け止め、シューターを確実に当てていく。
そして、先に研究所の異変に気付いたのはレイジングハートであった。
『マスター、研究所内の酸素濃度が低下しています。このままでは後10分もしないうちにすべての空気がなくなってしまいます』
レイジングハートの言葉に驚くなのは。
おそらくカナードの仕業だろう。
カナードもモビルジャケットを持っているという。
だからこその手段だろう。
「このままじゃフェイトちゃんが……」
なのはたちはあせりだしていしまう。
今はまだ大丈夫だが、時間がたつにつれてフェイトが危うくなってしまう。
「早くしないとフェイトさんが……」
エリオとキャロも魔道機械を相手にしながら何とか助けようと考える。
そこでなのはは思いつく。
「レイ、シン。二人でフェイトちゃん救出をお願い」
カナードと同じようにモビルジャケットを持つこの二人ならあの研究所へ向かっても大丈夫だろう。
「だけど、カナード・パルスとの戦闘はなるべく控えて、あくまでフェイト隊長の救出が最優先だからね」
なのはの言葉に頷いて、二人はこの場を離れる。
こうして、シン、レイはフェイト救出作戦を開始する。
完全に空気が抜かれるまで、あと8分……
シ「カナードによって研究所の空気が抜かれていく」
エ「だが、その中でも自由に行動できるカナード」
ス「その絶望の中、必死で逃げるフェイト隊長」
ティ「果たして、シンとレイは間に合うのか」
な「次回、機動戦士まじかるしん、タイムリミット10分前」にテイクオフ」
フェ「なんか、どの原作でも私だけが一番危険な目にあってる気が……」
は「まあまあ、そういう役どころやとおもったら…目だたんよりええやろ?(にっこり)」
フェ「う…うん」
ヴィ「はやて、ほとんど出番なかったからな……」
投下完了。
次回、カナードのひめたる力(というか声ネタ)が……
まあ、中身は大体分かる人もいると思うけど……
誤字で吹いた
フェイト「わたしはあなたに投稿してほしいの」ってカナードは職人かww
ならフェイトはエロパロ読んでハアハアしてることになりますがよろしいですか?
何故だろう。最後のひめたる力とやらでカナードがシェルブリットバーストぶっ放すのが浮かんだ…
なにその萌えキャラwwwww
おれフェイトさん好きになったかも
後編の投下、よろしいでしょうか?
Get!Ride!
もちよ
高い天を行く者から勇敢な者へ
番外編
『先生とエアホッケーと可愛い子猫の写真集』・後編
・海鳴市ゲームセンター
いきなりだが、皆さんは『エアホッケー』をご存知だろうか?
盤上から噴き出す空気の力でパック(プラスチックで出来ている円盤状の物)を浮き上がらせる(ホバークラフトの要領)ことからその名がついた
ゲームセンターや、ボウリング場などの遊技場に置かれることが多いアーケードゲーム機の一種である。
近年ではパックが反射する際に効果音が出るものや、複数のパックが同時に飛び出すものなどが登場している。
海鳴市のゲームセンターにも関○宏の○京フレ○○パーク○で使われている巨大エアホッケー『ハイパーホッケー』が存在し、未だに人気を集めている。
今まさに、そのゲームを始めようとする二人の人物がいた。
「ルールは分かったかしら?」
クアットロと
「ああ、あとは叩きのめすだけだ」
チンクである。
既にお金は投入しており、二つのパックがクアットロの元で空気力により、ふよふよと浮いていた。
「だけどいいの〜?私が先制して?」
「何、基礎運動力に関しても戦闘タイプである私のほうが上だ。おばさんには良いハンデだと思うが?」
「あらありがとう〜♪でも、踏み台から落ちないようにね〜。チンクちゃんはお・ち・びで届かないから特別に店員さんに用意してもらったんだから〜♪」
「はははははははは・・・・・・・ブチノメス」
「ほほほほほほほほ・・・・・・・モガキクルシマセル」
ただらなぬオーラを出す二人、今まさにゲームが始まろうとしていた。
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一方、このシリーズの主人公的存在であるカナード・パルスは
「・・・・・・・・・おのれぇ」
まだ動けないでいた。決して縛られているわけでもなく、バインドで固定されてるわけでもない。だが、まだ動けないでいた。
そんな時、カナードの前を通り過ぎるスバルとヴィータ。彼女達はカナードが今おかれている状況を見て
「こりゃおもしれぇ!スバル、写真だ!」
ニヤつきながら命令するヴィータに
「了解です!副隊長!!」
わざとらしく敬礼をし、答えるスバル。
スバルはどこから取り出したのか、デジカメを使い写真を数枚取り、その場を去っていった。
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またまた場所は戻って『第97管理外世界』の地球の海鳴市、喫茶『翠屋』。そこでは
「まったく!あの脳みそ連中ったら、グチグチ昔の話しばかりしてきて!聞く方の身にもなれっての!!」
出されたシュークリームを頬張りながら愚痴を言うドゥーエと
「ご苦労様です」
慣れてるのか、コーヒーを飲みながら時折相づちをうち、答えるヴェイアと
「・・・・・・・」
ただ、唖然と聞き流してるディエチがいた。
「最近じゃセクハラ紛いな質問もしてきて・・・・あいつらに顔があったら絶対にいやらしい目で胸とかお尻とか見てるわね!・・・・ふぅ」
ようやく言い終わったのか、深々とため息をつき、紅茶を飲む。
「すっきりした・・・・・悪いわね、何時も愚痴聞いてもらっちゃって。ディエチもこうして会うのは始めてよね。びっくりしたでしょ?」
「うん、正直。映像やクアットロから聞いた話で、なんとなく知ってたけど」
素直に頷くディエチに微笑むドゥーエ
「私の任務は・・・・・・秘密なんだっけ?とにかくね、あんな連中と四六時中いたら戦闘機人でも頭がおかしくなるわ」
深々とため息をつくドゥーエ。
「ドゥーエさんとは情報交換なんかで買出しの時に会うんだ。だからね、ここで会った時には愚痴を思いっきりはいてもらおうと思ってね。
そうすれば少しでも気分が晴れると思ったから」
ディエチを見据えながらヴェイアは答えた。
「少しなんて物じゃないわよ。ヴェイアに愚痴聞いてもらわなかったら、当の昔に3つの白子を床にぶちまけてるわ。
本当にありがとうね。後でお姉さんが良い事して、あ・げ・る・わ」
生クリームがついた手をを艶めかしく舐めながら言うドゥーエに、顔を真っ赤にするヴェイア
「い・・いえいえいえ!好きでやってる事ですから!!あっ、これを渡さないと!!」
そう言い懐から映像ディスクを取り出す。
「ん?」
不審に思うディエチと
「ああ・・・待ってたわ」
嬉しそうな顔をするドゥーエ
「はい。皆からのメッセージが入っています。セッテ・オットー・ディードの顔はまだ見た事無いですよね?皆緊張して固まってますよ」
笑顔でそう言い、映像ディスクをドゥーエに差し出す。
「・・・・・いつも・・・・ありがとうね」
微笑み、お礼を言ったドゥーエはその映像ディスクを大事に鞄に仕舞った。
「ああ、時々ヴェイアが皆の姿を映像に撮っていたのはこの為だったのか」
「うん、ドゥーエさんは皆と会うことが出来ないからね・・・・家族の映像が一番の励みになると思ったんだ」
ヴェイアは微笑みながら答えた。
「だけど・・二人とも・・・おそいね」
ふと、クアットロとチンクの事が気になり、呟くディエチ。時計を見ると、待ち合わせ時間から1時間が経過していた。
「町は平和だから喧嘩はしていないと思うけど?」
紅茶を飲みながらディエチの呟きに答えるドゥーエ。そんなドゥーエの言葉に苦笑いしながらもヴェイアが頷いたその時である
「おいおい聞いたか!今商店街のゲームセンターですんげ〜エアホッケーバトルをやってる二人の美少女がいるんだってよ!!」
「えっ、マジ!」
「ああ、パックを分身させて目くらまししたり、パックを爆発させたり、見に来いよ!!すげ〜ぜ!!」
客が話していた『二人の美少女』のことを3人は知っていた。そんなISを使える人物が自分達の身近にいるからだ。
・海鳴市ゲームセンター
そこでは壮絶なエアホッケーバトルが繰り広げられていた。
「やるじゃないか・・・クアットロ」
息を切らしながらもクアットロを真っ直ぐ見据えるチンクと
「ふふっ。あなたもね、チンク」
同じくチンクを真っ直ぐ見据えるクアットロ、そして
「さて!未だに終らない点の取り合い!!勝つのはどっちだぁ〜!!!」
いつの間にか実況を担当しているアルバイト店員と、彼女達を取り巻く野次馬。
ゲームセンターはとてつもない熱気に包まれていた。
ゲームを始めた当初は滞りなくゲームは進んでいた。(二人ともかなりの美少女なため、その頃から野次馬はいたが)
そんな時である、クアットロがゲームの流れを変えたのは
「IS発動、シルバーカーテン」
クアットロはISを発動、その効果により当初2つだったパックは4倍の8個に増え、チンクに襲い掛かった。
「なっ!」
突然のISに対応しきれず、得点を許してしまう。
「(クアットロ!)」
チンクは念話で抗議するが
「(あら〜、別にIS使っちゃいけないってルールはありませんから〜♪)」
クアットロはあっけらかんと念話で答える。
「(だが、周りには一般人がいる!この世界は魔法が存在しない!怪しまれるぞ!)」
チンクが回りを見渡すと、案の定ざわつく野次馬。だが
「すげーぜ!分身魔球・・・じゃなくて分身魔パックだ!」
「あの女性・・只者ではないな・・・・エアホッケーを極めてる」
「こいつぁすぅ〜ぱぁ〜すげぇ〜どすばい!!」
・・・・・むしろ野次馬はノリノリであった。
「(大丈夫なようですし、さあ、どうぞ〜♪)」
そう言い、余裕タップリな表情をするクアットロ、その笑みは自身の勝利を確信した笑みだった。
「(くっ、このままでは・・・・・どうする・・・)」
自問しながらもパックを手に取るチンク。その時、ある疑問が頭をよぎった。
「(そういえば・・・・このパック・・・・見た目はプラスチックだが、かすかに重みがある・・・・・・まさか・・・)」
チンクは疑問を解決するため、店員を呼び止める。二言三言話し終わった後、チンクは自身の勝利を確信した笑みでクアットロを見据えた。
「(急に・・・・・なんなの?)」
チンクの態度に疑問を抱きながらも防御態勢を取る。そして、2つあるパックの内の1つがクアットロに襲い掛かった。
「(正面!余裕で防げる!!)」
右手に持ったスマッシャーでパックを弾き返そうとしたその時
「IS発動、ランブルデトネイター」
スマッシャーに触れたパックは爆発、クアットロをズッコケさせた。その隙にもう一つのパックをゴールに入れ、得点を獲得する。
チンクのIS・ランブルデトネイターは手で触れた金属にエネルギーを付与し、爆発物に変化させる能力である。
エアホッケーで使われてるパックは、そのままでは軽すぎるため、中に金属を仕込み多少重みを増している。
チンクはその金属にエネルギーを寄付し、爆発させたのだ。(本来なら手で触れなければこのISは発動しないが、パックを撃つ時に
戦闘機人の怪力でパックにヒビをいれ、金属部分を多少露出させることにより、ISの発動を可能としていた。ISを発動したパックは爆散するので証拠も残らない)
ちなみに店員を呼び止めたのは金属が使われてるかの確認のためであった。
「(チ・・チンク!!)」
どうにか起き上がり、睨みながら念話で抗議するクアットロ、だが
「(ん?別にISを使ってはいけないというルールは無いのだろ?それに安心しろ、爆発は最小限だ、ギャラリーに被害は出ない)」
数分前のクアットロのようにあっけらかんと念話で答える。
「(私はズタボロよ!それに確実に怪しまれるわよ!)」
クアットロが回りを見渡すと、案の定ざわつく野次馬。だが
「あの眼帯少女・・・・ただものじゃねぇ・・・・」
「ああ・・・ナリは小さいが、とんでもないパワータイプだ・・・・・」
「おい店員!新しいパック持って来い!!大量にだ!」
「かしこまりましたぁ!!」
・・・・・野次馬は相変わらずノリノリであった。
そして今現在、得点は同点、互いの体力は限界、野次馬の熱気は最高潮。
互いのエネルギーも尽き、今では普通のエアホッケーバトルが繰り広げられていた。
「しかし・・・・・このような対戦を見ると、10年前を思い出す・・・・」
この店の店長と思われる人物が腕を組みながら呟く。
「えっ?そんなことがあったんスか?」
実況を担当してるアルバイト店員が尋ねる
「ああ・・・・・10年前も、こんな陣地を通り越した戦いがあった・・・紫の髪の女の子と金髪の女の子だった。まさにあの戦いの再来だな・・・・」
遠い目をしながら当時を思い出す店長。
ちなみに、紫の髪の女の子は今現在は大学生で学生生活を送っており、金髪の女の子は某次元世界の某隊舎で保護した少女を探していた。
次に得点を取れば勝利という状況下で、クアットロが攻撃を開始しようとしたその時
「二人とも・・・・・楽しそうですね」
反射的に声がした方向を向く二人、そこにはにこやかな笑顔で二人を見ているヴェイアとドゥーエとディエチがいた。
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一方、このシリーズの主人公的存在であるカナード・パルスは
「・・・・・・・・・」
未だに動けないでいた。決して縛られているわけでもなく、バインドで固定されてるわけでもない。だが、未だに動けないでいた。
そんなカナードの姿をじっと見据えるヴィヴィオ。少女はカナードが今おかれている状況を見て一言
「気持ちよさそう」
数分後、ヴィヴィオを探しに来たフェイトがカナードが今おかれている状況を見て一言
「・・・・ふふっ・・・・・ごめん・・・・お願いね」
小声で呟き、その場を後にした。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
・喫茶『翠屋』
「心配しましたよ、二人とも時間が過ぎても待ち合わせ場所に来ないんですから」
翠屋にいたお客が話していた人物に心当たりがあった3人は、ゲームセンターへ赴いた。するとそこは熱気に包まれ、
その中心ではクアットロとチンクがエアホッケーバトルを繰り広げていた。
ちなみに勝負はヴェイア達に見つかり、硬直しているチンクの隙を突いて攻撃をしたクアットロの勝利で終った。
「うう・・・面目ない・・・・」
申し訳なさそうにオレンジジュースを飲むチンクと
「まったく・・・・元はといえばチンクが大人気ないから・・・・」
自分は悪くないと主張するクアットロ
「諸悪の根源はお前だろ!クアットロおばさん!」
「忍耐が足りないお子様チンクちゃんには言われたくないわね〜」
互いににらみ合う二人、その光景にディエチがオロオロするが、ヴェイアはそんな二人を見て
「二人共、仲が良くなりましたね」
そう言い放った。ヴェイアの発言に二人はにらみ合いを止め、同時にヴェイアの方を向き
「「それは絶対ない!!!」」
と言い返した。だがヴェイアは屈託の無い笑顔で
「ですけど、そうやって互いに言いたいことを言えるのって仲がいい証拠だと思いますよ?」
そのヴェイアの言葉に
「「・・・・・・・・・」」
二人は見事に沈静化し、
「あっ、そうだね」
ディエチは納得し
「くっ・・・くくっ・・・・・」
ドゥーエは笑いを堪えていた。
その後、翠屋を後にした4人は夕暮れの町を四人揃って歩いていた。
「さて、私はここでお別れね」
そう言い、足を止めるドゥーエ
「今日は楽しかった。作戦の成功、祈ってるわ」
結界を張り転送装置を発動、微笑みながら3人の前から消えていった。
ドゥーエを見送った後、アジト兼ラボに帰るため転送装置を発動させる3人。その時
「(ヴェイア)」
クアットロが念話でヴェイアに話しかけてきた
「(正直、今日は疲れたわ・・・・・・だけど・・・不思議ね・・・悪い気分じゃなかったわ・・・・)」
クアットロとしても不思議な気分だった。『早く帰りたい』『なんで私が』そんな風にしか思っていなかった今日の出来事が、
終ってほしくないと思っている自分に。いつの間にかチンクのことを呼び捨てにしている自分に。
だからクアットロは自分の気持ちをヴェイアに話す。
「(だから・・・また声をかけなさい・・・暇だったら付き合ってあげるわ・・それと・・・・ありがとう)」
「(・・・・はい、お願いします)」
ヴェイアは嬉しそうに答えた。
「それと、チンク」
突然名前を呼ばれた事にも驚きつつも、クアットロを見据える。
「また・・・・・・やりましようか。ヴェイアとディエチもね」
ヴェイア以外の2人は突然の誘いに驚きつつも、
「うん。楽しみにしてるよ」
「・・・・・・ああ、今度は皆も呼ぼう」
クアットロを見据え、二人は笑顔で答えた。
この日、ある姉妹の絆が、一段と強くなった。
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一方、このシリーズの主人公的存在であるカナード・パルスは
「・・・・・・・・・ZZZZZZ」
未だに動けないでいた。というか寝ていた。決して縛られているわけでもなく、バインドで固定されてるわけでもない。諦めて寝ていた。
ちなみに動けない理由、それはカナードの左腿に子狐形態の久遠が体を丸めて眠っていたからである。当初は「すぐに起きるだろう」
と考えていたが、中々起きなかった。
それに加え、久遠の気持ちよさそうな寝顔に釣られたヴィヴィオがカナードの右腿を枕にして眠ってしまったから、さぁ大変。
一種の強固なバインドをかけられたカナードは脱出を諦め、器用に上半身を動かしながら上着を脱ぎ、寝ているヴィヴィオに上着を掛け、自身も眠りに入った。
そんな姿を、カナードの前を通り過ぎようとしたはやてとなのはが微笑みながら見ていた。
「ふふっ、気持ちよさそうやな〜」
「もう少し、このままにしてようか?」
二人は互いを見据えながら頷き、その場を去っていった。
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・スカリエッティのラボ
「ヴェイア達は帰ってきたのか?」
仮眠を(強制的に)取ったのが原因か、普段の『クールなマッドサイエンティスト』に戻ったスカリエッティが尋ねる。
「はい。皆、とても楽しんできたようです。それと、いつものケーキも買ってきた様ですから、お茶の時間にお出ししますね」
キーボードを打つ手を止め、ウーノが答えた。
「それは楽しみだ。それと任務中のドゥーエなのだが・・・面白い情報をくれたよ」
時より見せる『面白い物を手に入れた子供のような笑み』でウーノを見据えるスカリエッティ
「面白い情報とは?」
勿体振る様に、数秒間を空けてからスカリエッティは話し始める。
「最高評議会の連中だがね、最近私に内密で独自にレリックを確保し、レリックウェポンを作ったそうだ。それも成功している」
スカリエッティの言葉に驚くトーレ
「なぜ我々に内密に・・・・・・我々に対する保険ですか」
トーレの答えに満足したのか、スカリエッティは微笑む
「おそらくそうだろうね。信用されて無いねぇ、私達も。まぁ、ドゥーエの正体に気づいていない時点で、意味が無いと思うが」
「ふふっ・・・・確かに」
時より見せる邪悪な笑みをするトーレ
「よほど連中が確保していたレリックと相性が良かったんだろうね。特に問題も無く蘇生に成功したそうだ。その蘇生した子は10年前の『闇の書事件』で活躍している。
戦力としては申し分ないし、レアスキル持ちだそうだ。成る程、目をつける理由としては十分だ。ただね」
「なにか問題が?」
「その子は専用に作ったデバイスを持って脱走してしまったそうなんだ。連中は独自に探している様だが、まだ見つかっていない。そこでだ、トーレ」
「はい、その子の捜索ですね」
「さすがだよ、トーレ。その子は連中に捕まったらロクな事にはならないだろう。ポットで眠っている彼女達のように・・・・・・・」
そう言い、全裸でポットの中で眠っている少女達を、悲しそうな目で見据えるスカリエッティ
「お任せください。仮に見つかったら、その子はどういたします?」
「その子の要望を聞くよ。行く当てが無かったら君達の弟として迎えるのも良いだろう」
そう言い、スカリエッティはドゥーエから送られた資料をトーレの端末に転送させる。
「闇の書事件の直後に亡くなった子でね。連中が手回しをして遺体を保存していたそうなんだ」
転送された資料を早速見るトーレ、そこには
「この子も戸惑っているだろう。目覚めたら10年の時が流れていたのだから・・・・・・」
スバルが『優しそうな子』といった少年、プレア・レヴェリーの姿が映し出されていた。
・おまけ
ラボ兼アジトに帰ってきたヴェイア達は、早速買ってきた品物の整理をしていた。そんな時である
「これは・・・・・何だろう?」
ふと、本屋のロゴが入った紙袋を見つけるディエチ
「(そういえば・・・・ヴェイアが途中で本屋に寄ったんだっけ・・・・)」
喫茶『翠屋』に行く途中、ヴェイアが「買い忘れたものがあるんだ」と言い、本屋に寄った事を思い出した。
おそらくはヴェイアの私物だろうと思い、尋ねる為に本が入っているであろう紙袋を縦に持つ。
だが、テープ止めをしてある方を下にし、なおかつテープ止めが甘かったのか、本が紙袋から出てしまい、床に落ちた。
ラボ兼アジトは地下洞窟を利用して作られている。そのためか、本が落ちた音が大きく響く。
ディエチが慌てて落ちた本を拾う。すると、その本の表紙には
「可愛い子猫の写真集・後編」
と、書かれていた。
「・・・・・・かわいい・・・・」
表紙に写っている子猫に見入ってしまうディエチ。そこへ音が気になったのか、荷物を整理していたヴェイア達がやってきた。
「何の音?何落としたから知らないけれど、割れ物もあるのだから・・・あら、可愛い〜♪」
ディエチの持っている本に食いつくクアットロ
「あっ、ヴェイアごめん。本・・出しちゃった・・・・」
ヴェイアに謝り、本を差し出すディエチ。だがクアットロが横から本を取り上げる。
「へぇ〜、ヴェイアって、こいう本を読むのね〜」
そう言いながらページを捲っていく。そんなクアットロの姿に微笑むヴェイア。
「いえ、頼まれたんですよ」
クアットロから本を取り上げ、紙袋に仕舞い直す。
「誰にだ・・・・・大方セインかウェンディ辺りだろう?」
軽く考え込むチンクに、ヴェイアは答えた。
「ああ、それはですね・・・・」
「トーレさんに頼まれたんです」
「「「はい!!?」」」
「そんな馬鹿な!」と言いたげな顔をする3人に
「えっ?知らなかったんですか?トーレさん、よく猫関係の本を頼むんですよ」
あっけらかんと答えるヴェイア。その時である。
「4人とも、帰ったのか」
ヴェイア達を迎えるトーレ、戦闘訓練の帰りなのか、後ろには疲れた顔をしているセッテとオットーとディード、さらに後ろには
「ウェンディ!しっかりしろ・・・姉ちゃんより先にくたばるんじゃねぇ〜!!」
「はは・・・・お花畑が・・・みえるっ・・・・・・ス・・・・」
満身創痍のウェンディをノーヴェが励ましながら担ぎ、歩いていた。
二人の姿を見て「まだ根に持ってるんだな〜」と思うヴェイア。そんなヴェイアにトーレは話しかける。
「かなりの荷物だな・・・・丁度言い、ウェンディ達にも手伝わせ・・・・ん?どうした、私の顔に何かついてる・・・か・・・」
クアットロ・チンク・ディエチの3人が自分を妙な目で見つめている事に疑問を抱くトーレ。だが本屋の紙袋を見た瞬間、瞬時に理解した。
「ばれた」と
「皆きいてぇ〜!トーレ姉さまってねぇ〜実はグエッ・・・・」
クアットロが大声で自分の秘密をばらそうとした瞬間、トーレはIS『ライドインパルス』を発動、瞬時に後ろに回りこみ、
クアットロを羽交い絞めにし、黙らせた。だが
「あっ、トーレさん『可愛い子猫の写真集・後編』買ってきましたよ」
ヴェイアの声が静まり返ったラボ兼アジトに響いた。
グゥド・ヴェイア、時より空気を読む事が出来ない少年であった。
こんばんわです。投下終了です。
感想をくださった皆様、ありがとうございました。
職人の皆様GJです。
昨日投稿した話の後編です。
投稿した後、公式HPを見に行ったらドゥーエのキャラクター紹介が出ていてびっくりでした。
次回は「その日、機動六課」です。やっとあの男を登場させます。
次はいつになるのやら・・・・・orz
GJ!プレアがレリックウェポンとして甦り、「その都度適当な建て前を手に入れ殺戮を遂行するのが目的」なあの男もついに登場とは・・・・
あと数の子たちかわいいよ数の子たち
>>446 GJです
すずかさんとフェイトさん何してはったんですかww
GJです
友人に言われて検索したら本当に出てきたこれっていったい?
固定砲台=高町なのは
GJ
とりあえず、からけ読めヴェイアwwww
み・・・見える・・・。決戦後になんの違和感もなく機動六課にいる
スカ博士と数の子達が・・・・。
キラが敵で登場して、デュランダルの言う戦士として戦ったら六課メンバー相手に奮闘してもおk?
あ〜! ナンバーズが可愛くてしょうがない!
四徹(四日徹夜)でハイなドクターも笑えたし、本編もこんな感じなら……
イヤ……何も言うまい……
そう言えば種死世界になのはキャラが来て帰れなくなる話は少ないよね?
フェイトさんがくるお話は二つ確認したが、扱いが悪かった(気がする)ストライカーズ新人諸君が来ても面白そうだな〜と個人的に思う。
ちょっと書いてみようかな。
>454
それには以前にも理由があってな。
MS→デバイスは簡単でも
デバイス→MSが難しいからだ。
MSvs魔法少女で戦う…という方法もあるけどな…様にならないって問題がある。
俺はCE73とか好きだ。
できれば、もうちょっとなのはが種死キャラに絡んでほしいが。
ここはスカリエッティのラボ……そこでは戦闘機人として生まれた者達、あるいは死んでいる者達がポッドの中で眠りに就いている………
そのポッドの内の一つに、金色の髪の少女がいた……。
シン・アスカによって手厚く葬られたはずの少女、ステラ……。
「ウーノ、彼女の遺体の側にあったデバイス……アレは素晴らしい力を持っていたよ。それに洗練された質量兵器のデータもね。」ここの主、スカリエッティは嬉しそうにモニターの向こうの女性に、ウーノに話しかける。
「しかしドクター。彼女を蘇生させるおつもりですか?現状では蘇生確率は限り無く低いのですが……」
「そうだね。生前は様々の薬物で肉体を限界まで強化してたようだからね……彼女は機人としてなら……あるいは………」
「一緒に悪い奴、やっつけようね……ガイア」
「…………。」彼女にのみ従う黒きモビルガジェット・ガイア。
「怖いものは…壊さなきゃ……全部!IS発動…シュツルム・ファウスト!」
「死ぬのは嫌!!嫌ァァァァ!!!助けて………デストロイ!セットアップ!!!!」
魔法少女リリカルすてらDestroyerS始まりません
まじしんみたく最初から世界観が統一されているssはもっとないかな
キラシンアスあたりはかなりリミッターが掛けられてるんだろうね
レイも生きていたら…
確かになのはサイドから→種死サイドだと魔法とかの設定を生かすのが難しそうだな。
ほぼ魔法が使えない状態でMSパイロットをやりながら、本当のピンチにちょっと魔法とかなら……やっぱムズイw
ちょっ!? 見たいけど……リリカルすてらDS(笑
リリカルバレルとかアスランSEEDの再開を楽しみにしてる俺がいる
暇人氏の再開を・・・
>>461 ログをきちんと読み直せば幸せになれるかもよ
俺は黒い波動とF.A.T.Eの再開をのんびり待っている。
波動のシンは記憶喪失、F.A.T.Eのシンは元からプレシアの部下というおもしろい設定だし。
確かにレイやアスランの単品モノは希少品だからな。リリカルバレルの方はテンプレにまで採用されてるし。
書きにくいしな、変節漢と無口は
思考をだらだらと続けない技量が必要
466 :
米田鷹雄:2007/09/27(木) 01:31:48 ID:???
はじめてお目にかかります。
Night Talkerという小説サイトを運営している米田と申します。
この度、当サイトにて、ファフナーというHNの人間が「運命の子と最強を目指した少年」の盗作を投稿しておりました。
該当投稿を削除するとともに、盗作投稿者には、作者様に誠意ある対応をするよう要請しましたが、本人からは謝罪も反省の意も示されませんでした。
従いまして、同一作者による作品を全て削除の上、当サイトでの活動を一切、禁止と致しました。
作者である高い天を行く者から勇敢な者へ氏には多大なるご迷惑をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。
流れ読まずに
今設定を練っているんだけど、どうしても分からないことがあるんだ。アドバイスが欲しい。
シンはあのレジアスの親友の槍の人を何て呼ぶと思う?この場合、シンにとって槍の人は命の恩人なんだけど。
全然、イメージがわかないんだ。
あと、ルールーってエリオ達が見つける前は博士のとこにいたの?
誰か、教えてください。
>>466 !!!
これは作者さん返答待ちやね
普段行ってる場所でそんな事があったのか……。
気づけなかった俺自重
>455
よそのガンダムからの持ち込みはこのスレ的にありなの?
それとも姉妹スレの方かな?
OKならいっそのこと輸入はザクシリーズオンリーでせめるというのはいかが?
CEザクは顔無しモブでしかないけれど、UCザクなら
ザクT、ザクUC(核弾頭装備)、ザクヘッドなどなどネタ的な機体も多数あるし。
流行のサイコミュもつくよ!
所詮ザクなので弱いんだけど、弱い機体で卑怯な勝ち方をするルルーシュみたいなギャグ&戦略要素の醍醐味が〜
はい、そんな需要はありませんか(涙
ていうか、なのはに魔王補正or冥王補正とギャグ補正が付いてないとさすがに厳しいモノがありますが
”所詮はザク” だとぅ?
”ザクは弱い” だとぉぉぉぅ!?ああん!?
今テメーは全世界のザク好きを敵に回した
ザクは強いんだよ、ザクはかっけぇんだよ!
これほど量産されて愛されるザクはサイッコーなんだよ!!
わかったかぁっ!!!
低コストな量産機乗りが知略謀略を尽くして高性能機を狩るのは萌え要素の一つだ
存分にやりたまえ
…と、その前に。
俺を含む全てのザク好きに喧嘩売ったこと、どう始末つけるよ?
量産機が弱いとか普通ないんだけどなぁ
ザクUC(核弾頭装備)
じゃなくてザクU初期型(核バズーカ装備)な
CEのザクも好きなんだけど、私。
ウィザードシステムとか、隊長機のファントムとか結構ワクワクだったのだけど……
まあ本編はホラ……ね?(なに
種運命寄りの設定でなのは達をMSに乗せるなら、ザクに専用ウィザード装備とかどうよ?
なのはなら重砲撃戦使用のレイジングウィザード、フェイトなら高機動用バルディッシュウィザードとか。
>>474 普通に電動ノコギリと機体各部にスラスター増設すれば良いだけの話では
公式ページを見てみると高天氏のディエチがドゥーエを知ってることがちょい違和感
ここはSSスレなんだぜ?
多少の差異はあって当然
>>466 米田氏
作者ではありませんがわざわざ連絡ありがとうございました。
>469
そうするのもアリだとは思うけど、悪魔でなのはクロス種シリーズだからな。
実際、今なのはキャラがC.E.行きの話が確か四本あるけど、
MSvsなのはや、作者オリジナルMSだからなぁ〜。
まぁ、俺はとめないぜ?
でもスバルはGガンダムに行った方がいいとおもの。
>>479 いやいや、スバルの行き先はガガガや電童も捨てがたい
スクライドとグレンラガンも追加で
エクストリームブラストを魔法で考えてみても、
早くなる
としか思い浮かばない。
せめてオートの誘導弾に対するデコイ位にはならんかなぁ、残像
元ネタのF91と比べて如何にも役に立たない
一応、予定している限りでは切札として登場予定だぜ!
>>466 米田鷹雄様、情報ありがとうございました。
・・・・・・正直複雑ですね。
自分の作品が盗作されることがあるとは・・・・・・・・。
この「運命の子と最強を目指した少年」は、私が始めて書いたSSですので、本当に複雑です。
>>476 それについてなのですが、前編を投下した後、公式を見たら、
ドゥーエ姉さんのプロフィールが追加されていたのでびっくりでした。
そのため、後編には、ディエチの台詞に
・「すっきりした・・・・・悪いわね、何時も愚痴聞いてもらっちゃって。ディエチもこうして会うのは始めてよね。びっくりしたでしょ?」
・「うん、正直。映像やクアットロから聞いた話で、なんとなく知ってたけど」
という台詞を急遽追加しました。
・・・・・・苦しい・・・・・orz
新しく始まったアストレイに量産型ハイペリオンが出てた件
アストレイの作者は話が進むごとにラクシズに洗脳されていってるな
今のカオスっぷりは酷い
今度の話は本編と関わらなさそうだからデルトレイよりまともになると思うけど
つか、劾がこっちに来たら、青枠→青枠セカンド→青枠サードとパワーアップしていくのか
というか劾が来たSSなかったっけ?
確かプレシアのとこに
久しぶりに投下予告です。
忙しい中、何故か無印の番外編を書いてしまいました。
内容が稚拙な部分がある可能性がありますが、それは勘弁していただけたらと思います。
番外編は笑いを取るというものが多いですが、笑いじゃなく無印で語られてない(?)
フェイトたちが管理局から逃げながらジュエルシードを集めている部分を書きました。
ですから、もし投下OKが出れば夜にでも投下したいと思います。
そして、職人様方GJです。
高天様や他の方の番外編を見ると自分の投下を躊躇ってしまいそうになったりw
それでは失礼します。
この頃職人謙虚すぎな気がするwwww
答えを聞かずに投下しちゃっていいんだぜ!
ここの住人はSSに飢えてると思うから
490
おお番外編ですか。
今から投下されるのをお待ちしています
でも、直前に投下予告はしてほしいかな。
割り込みなんて不粋な真似したくないし。
どうも、お久しぶりです。
本編の19話がどうにもうまくいかない神隠しです。
今回は息抜きに色々考えてたら出来た話があります。
まぁ、神隠しとたいして変わってないんですが、神隠し〜another story〜と言ったところでしょうか…。
需要があるようでしたら続きを書きますので感想よろしくです。
第一話 怒れる瞳
オーブ、オノゴロ島
「シン!早く!!」
「分かってるよ、母さん!!」
黒髪に赤い瞳の印象的な少年、シン・アスカ、両親、そして妹のマユ・アスカは戦火から逃れるため避難船のある沿岸へと向かっていた。
空を蒼と緑、黒とコバルトブルーの光がめまぐるしく駆け巡る。
『Mjorrnir』
キュボゥッ!!
空気が破裂するような音を立て少年の手から放たれる漆黒の塊。
キラは飛翔魔法を巧くコントロールし即宙反転。
「っぐ!!フリーダム!」
『Yes, Load cartridge!
Balaena』
両肩部に展開される環状魔法陣。
二本の太い奔流が赤い髪に吊り目な少年、クロトに向け放たれる。
しかし
『Geschmeidig Panzer』
展開される障壁。バラエーナは突然クロトの前に現れた術者をそれ、地上へと降り注いだ。
「ッ!?砲撃が曲がる?」
目の前の緑色の癖の強い髪を持つ少年に視線をやる。
笑っていた。
戦争をしているのに…命のやりとりをしているのに…笑っていた。
「どうして…君達は…。」
デバイス、フリーダムを握る手に力が入る。
『Warrning!』
『Schlag&Skylla』
地上から狙い撃たれるコバルトブルーの三本の奔流。
フリーダムの警告に即時反応したキラは何とか回避に成功した。
オーブ、オノゴロ島ウミナリ市。
ナノハ・タカマチとフェイト・テスタロッサ・ハラオウンは両親、兄弟姉妹と共に逃げていた。
「お兄ちゃん、避難船まであとどれくらい?」
「何とか海までいかないと…シェルターはどこも満員だ。」
ナノハがキョウヤに肩で息をしながら尋ねると、近所で仲良のよいハラオウン家の長男、クロノが付近のシェルターの空きの調べから戻ってきて言った。
「どうするの?」
ミユキがキョウヤを見る。
「取り合えず、海まで走るんだ!」
戦火ももうそこまで迫ってきている。
シロウに促され走り出そうとしたとき、頭上を猛スピードで駆ける人。
「ストライク!」
『Yes, sir。アグニ』
轟音と共に放たれる紫色の光線が、ナノハたちの行く手に現れた人を吹き飛ばして行く。
「嬢ちゃんたち!早く逃げるんだ!ここも、もう!」金髪の男は妙な服装で、それだけ言うと地球連合兵の元へと飛んでいってしまった。
自在に宙を舞う4の光。
蒼の光は残りの三色から逃げるようにして応戦している。
地上に降り立ったオルガに向け、ルプスを放つキラ。
銃口から溢れだした光が一直線に地へと突き刺さり、大地を揺るがす。
「くっ、外れた!?」
「どこみてんだよ!そりゃぁぁああ!!瞬・殺!!!」
『Ahura Mazda』
連続して放たれる漆黒の光弾。
「くっ!」
『PICWS』
同じようにして魔力で練り編みあげる蒼き光弾が放たれ、相殺。
「キャーッ!!」
耳をつんざくような悲鳴。
キラが視線をやれば、シェルターに入りきらなかった住民だろう。
その住民の目の前にはオルガが立っている。
「やめろォ!その人たちはッ!!」
『Xiphias』
腰部砲芯が持ち上がり、高速で撃ち出される閃光の塊が、行く手を阻むシャニを吹き飛ばす。
『サーベルモード』
銃型デバイスフリーダムの砲芯が持ち上がり、銃口から発生する魔力刃。
「間に合ってくれぇえ。」
振り被った刃を縦一閃。
オルガは紙一重の差で跳躍。
かわされてしまう。
「よかった、間に合……」
『エクツァーン』
キラのすぐ両脇を駆け抜ける緑色の魔力光が住民の幾人かを吹き飛ばした。
「…あ…お…かぁ……さ…。」
二人の少女が呆然と立ち尽くしていた。
目の前の惨状に、泣く、吐く、叫ぶことも出来ずただ放心しているだけ。
『シールド』
クロトが奇声とともに放つツォーンをシールドで防ぎ、キラは二人の少女を抱え、避難船に向け飛翔を開始する。
「待てぇぇコラァ!!」
「逃がさないよ!」
「逃がすかァ!!」
放たれる砲火を避けかわし、防ぐ。
背後から空駆けてくる数多の本流をうまい具合いに飛翔魔法を操り避ける。
二人の少女のうち、茶色い髪をツインテールをしている方が暴れだした。
「お父さ…!お母さん!!
いやぁ!!放して!!!お兄ちゃ…お姉ちゃぁぁぁあん!!」
いくら下が土でも速度が速度、しかもビル三階分はある高さ。
「じっとしてッ!」
たが遅かった。
片手では押さえきれず、少女の片方が宙へと投げ出される。
「…ッ!!!」
急停止、反転、急降下。
シールドでクロトたちの追撃を受けつつ、キラは少女が地面に落下するのを防ぎ、二人を自分の後ろに下がらせた。
カートリッジがニ発排出される。
『High MAT Full Burst』地に小気味よい音をたて転がる薬莢。
異変を察知したシャニがクロトとオルガの前でゲシュマイディッヒパンツァーを展開。
当たらなくてもいい、足止めになってくれれば…!
放たれる五本の太い閃光。
不快なまでに眩い光、そして電光を伴いながらゲシュマイディッヒパンツァーに命中し、反れるバラエーナとルプス。
そして、それた先にはシンの家族がいた。
一瞬、何が起こったのかよくわからなかった。
蒼い閃光が走ったと思ったら、爆発が起こった。
いや、わからなかったんじゃなくて、理解するのが怖かった。
マユの落とした携帯を拾いに行って吹き飛ばされたシン。
痛みに悲鳴をあげる体を何とか立たせ、シンは家族がいるはずの場所を振り返った。
「父さん…母さん…マユ…。」
へし折れた木々に貫かれた父、首が有り得ない方向に曲がった母。
「あ……あ…あ…。」
手があった。
袖を見る限りマユが着ていた服の袖。
手をとる、まだ暖かかった。
寝てるんだろ?起きろよマユ、早く逃げないと…。
持ち上げたら腕だけだった。
ゾワッと足元から書け上がってくる冷たい感覚。
腕から少し離れたところの岩陰に、マユは横たえていた。
シンは膝を、手を地面についたまま、おえつを漏らす。
「早く、君も避難船に…」
声をかけられたが耳に入らなかった。
赤い、真紅の瞳で空を舞う蒼い光を睨みつけた。
顔は姿は涙のせいではっきりしない。
でも、それでもはっきりと見えた。
蒼い十枚の翼。
「うぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!」
大空に向かってシンは吠えた。
取り合えず、ここまで書いてみました。
本編の方はちょっと待っててください。
楽しみにしていた方には申し訳ないです。
もうGJすぎ!
当然こっちも連載するんだよな?答えは訊かないけど!
>>神隠し氏GJ!!
この流れは種死の正史通りにいくのかな?
とりあえずなのはとフェイトの今後に期待してます!
490
楽しみに待っています
お〜番外編は新たなる切り口を発見ですな? GJです!!
神隠し様GJですw
本編ともどもアナザーストリーも楽しみにしています。
さて、そろそろ投下しようと思いますw
はい。
お願いします。
番外編:夢の世界で
「うっ・・・・」
キラは目を覚ます。
「僕は・・・・一体・・・・」
段々頭がクリアになり色々と思い出してくる。
「そうだ!ジュエルシードの反応があってフェイトちゃんと向かったんだ」
キラは辺りを見回すがフェイトの姿がない。
「フェイトちゃん?フェイトちゃーん!」
大声でフェイトを呼んでみるが返事がない。周りにはいないようだ。
「一体どうなってるんだ?」
先ほど自分たちに起こったことを思い出す。
今から数十分前・・・・・・・。
「キラ、新しいジュエルシードを見つけた。まだ発動はしていないみたい」
「分かった、行こう。アルフさんは結界を」
「まかせな」
キラとフェイトたちは管理局に見つからないようにジュエルシードを集めていた。
今回三人が向かった先には病院だった。
「発動した!アルフ!」
「あいよ」
アルフに結界を任せ、キラとフェイトは一つの病室に行き着いた。
そこには酸素マスクを付けた一人の女の子が眠っていた。
隣には絵本が置いてあった。
「この子が発動させたのか?」
「気をつけてキ・・・・」
フェイトが言い終わらないうちにキラとフェイトは光に包まれた。
「これはジュエルシードが願いを叶えたってことか」
キラは一通り思い出した後、周りを確認する。
なにやら視線が高くなっていることに気が付いた。
「あれ?何で元に戻っているんだ?それにバリアジャケットまで着てる」
キラは自分の体が小さくないことに驚いた。
今まで小さい体になっていたため何か少し違和感がある。
「これもジュエルシードの影響なのかな?」
しかし、今のキラにはそれ以外考え付かない。
「そうだ・・・・ストライク?」
『Yes, sir.』
ストライクがあることに安心するキラ、もし何かあった時戦えなければ意味がない。
キラはストライクを握り締める。
とりあえず現状確認をするべきと考え、再度周りを見る。
そこは病室でも自分が知っている町でもなかった。どうやら森の中のようだ。
辺りを見回すと建物が見えたが・・・・・。
「あれって・・・・・お城?」
中世ヨーロッパのお城を思い出すような作りの城だった。
「ともかくフェイトちゃんを探さないと」
キラは念話を使おうとしたが・・・・・。
「繋がらない?何で」
フェイトに念話が通じない。フェイトがこちら側に来ていないのか、それとも妨害されているのか。
前者も後者も自分にとってはやっかいなものだ。
探索魔術も転移魔術も習っていない自分にはフェイトを探す方法は足しかなかった。
「仕方ない、ともかくお城のほうに向かってみよう。フェイトちゃんが来ているなら目立つお城の方に行くだろうし」
キラはフェイトと合流できることを祈りつつ城の方へと向かった。
城の下には街が広がっていて城下街といったところだろう。
キラは街に入るとまずは城の方へ向かう。
「ともかくここがどこかとか色々確認しないと・・・・・」
そうして、城の方へ向かっていくと大勢の人が集まっているのが見える。
「?・・・何をしているんだろう」
キラがそちらに向かうと大勢の人たちは城の方向を見て何か喋っているようだ。
大勢の人が見ている方向をキラが見てみる。
「姫様よ〜」
「おぉ、なんて美しいんだ」
「さすが国一番の美しさをもった女性だ」
どうやらお姫様が街の人たちに手を振っているようだ。
しかし、キラがそれを良く見ると・・・・・。
「フェイトちゃん?・・・・・でも違う」
そこにはフェイトが成長したような女性が笑顔で手を振っていた。
その笑顔にキラは少し見惚れていた。
「フェイトちゃんもあんな笑顔で笑うことが出来るのかな」
あまり表情を見せることが少なかったフェイトもキラと関わって表情が豊かになってきた。
しかし、あそこまで綺麗に笑ったところを見たことがなかった。
「あんな風に・・・・・笑わせてあげたいな」
キラはそんなことを呟きながら姫を見ていた。
「でも、これは一体どういうことなんだ?」
あれはフェイトじゃないだろう。そうだとしたらフェイトは一体どうしたのだろう。
(むかしむかし、あるところにとても美しいお姫様がいました)
「!?」
キラは辺りを見回すが声の主が見つけられない。
(お姫様はお城で幸せに暮らしていました)
「声が頭の中に響いてくる、念話のようなものか?」
小さな女の子の声だ。
「まさか・・・・・あの病室で眠っていた子か?」
(しかし・・・・・・)
いきなり辺りが暗くなり、雷が鳴り始める。
(姫の美しさに惚れた魔王がお姫様をさらっていきました)
「な!?」
キラは城の方を向くと大きな黒い化け物がフェイトに似たお姫様を捕まえていた。
額に青く輝く宝石が見える。
「ジュエルシード!!」
(魔王は姫を自分のお城に連れて行きました)
魔王と姫は霧が晴れるように消えていっていた。
「なんだっていうんだ、一体!」
キラは突然のことに頭が混乱しそうになるが、一つ一つ整理していく。
この世界はあの女の子がジュエルシードに願った世界、つまりは仮想世界。
そして、あの場にいたフェイトがお姫様のモデルになって登場した、フェイト自身ではないだろう。
魔王の額の宝石は間違いなくジュエルシード。
「何ていうか今回のジュエルシードはやっかいだな」
どうやらこれは今までのようにはいかなくなりそうだ。
魔王を倒してジュエルシードを封印すること。そうすればこの世界からも抜け出せるだろう。
そうなると魔王の城に向かわなくてはならない。
(王様は魔王を倒し、お姫様を助けてくれた人とお姫様を結婚させると国に伝えました)
「多分、あの子はこの物語を見ている側ってことか、でも・・・・」
ベタな展開だなと思ってしまった。
(しかし、皆、魔王が怖いのか。誰も助けようとする人がいませんでした)
「・・・・・・そういうことか」
キラはシナリオが読めたのか、城に向かった。
「僕が元の姿になったのもこの方がいいからなんだろうな」
この物語に何か思い入れでもあるのだろうか、キラはため息をつくしかなかった。
(お城に一人の青年が来ました)
キラは王様に会うと考えたシナリオのセリフを言うことにした。
「僕がお姫様を助けに行きます」
「なんと勇気のある青年だ」
(青年は王にそう言うと王は感激しました)
「これが魔王のいる城への地図だ。姫をよろしく頼むぞ、勇者よ」
キラは魔王の城の地図を渡された。これで場所が分かり助けに行ける。
(王様は勇者に妖精を一人付けることにしました)
「え?」
キラはそのシナリオには少しだけ驚いたが妖精の姿を見てもっと驚いた。
「こんにちは、勇者様。私は妖精のなのはと言います」
妖精の姿をしたなのはがいた。
「こ、これは予想外だな」
キラは苦笑いをしながら妖精なのはとともに街を出た。
(勇者様と妖精は二人で魔王の城へと向かいました)
地図を見るとここからかなりの距離があるようだ。
「ストライク、エールモード」
『Yes, sir. Aile mode. Set up.』
赤い翼がとライフルとシールドを装備する。
「勇者様は魔法も使えるんですね〜」
妖精が驚いたようにキラを見つめる。
「さっさとこの物語を終わらせないとね。長くも付き合ってられないから」
キラは魔王の城の方角に向かい飛んでいく。
「あの子には悪いけど物語を短縮させてもらうよ」
魔王の城が見える距離まで来た時だった。
『Caution.』
「何!?」
雷がキラに向け連続で落ちてくる。キラはすぐに回避しながら進む。
しかし、避けきれないものはシールドで防御する。
「くそっ、もうちょっとなのに!」
「勇者様、一旦下の森に降りましょう。空の上だと狙い撃ちです」
「向こうもそう簡単には近づかせてもらえないのか」
キラは下に降りると雷が止んだ。
「ここからは歩いて行けってことか、ストライク。ソードモード」
『Yes, sir. Sword mode. Set up.』
赤い翼が消え、背中にシュベルトゲベールを背負う。
「勇者っぽくしてみてあげたけど・・・・これであの子は満足かな?」
空を見上げながらこの場面を見ているであろう女の子に語りかけた。
その後、キラはため息をつきながらも魔王の城に向かい歩き出す。
(そして、ついに勇者は魔王の城に辿り着きました)
今のキラにとってその言葉はため息をつかせるものの他なかった。
「勇者様、気をつけてくださいね」
「うん、妖精さんもね」
キラは魔王の城へと入っていく。
中には魔王の城に辿り着くまでに戦った化け物がたくさんいた。
「くそ、数が多い!ランチャーモード!」
『Launcher mode. Set up.』
「吹き飛べーーーーっ!!」
アグニをキラが構え、化け物たちを一掃する。
敵を倒し終えるとキラは上に続く階段を上っていく。
「狭い通路ではランチャーもソードも使いにくい、ストライク!」
『Normal mode. Set up.』
キラはライフルとシールドを持つと敵を倒しながら上に上がっていく。
やがて大きな扉が現れる。
「この奥か」
キラは扉を開けると広い部屋に出た。王座に魔王が座っているのが見える。
姫はその上でバインドによって十字架に架せられて気絶しているようだった。
「やっと来たか、勇者。待ちくたびれたぞ」
「だったら飛んでるところを狙わないでくれないかな」
「ふん・・・・・小童が・・・・」
「お姫様を返してもらうよ」
『Sword mode. Set up.』
キラはシュベルトゲベールの切っ先を魔王に向ける。
「やってみろ、勇者よ!」
キラはシュベルトゲベールを構えると真っ直ぐに魔王に突き進む。
魔王も自分の剣を取り出すとキラに向かって振り下ろす。キラはそれをどうにか受け止める。
「くっ!パワーはそっちが上か。なら!」
キラは剣を受け流すとマイダスメッサーを投げる、魔力刃のブーメランが魔王の足に当たり魔王はバランスを崩す。
「おのれーーー!!」
キラはパンツァーアイゼンを天井のシャンデリアに掴ませ、魔王の剣を上に飛び避ける。
そして、シャンデリアを斬り落とし魔王に直撃させる。
「ぐおぉぉぉぉ!」
キラは距離を取って着地する。
「やったか?」
シャンデリアが落ち、砂煙が舞い様子が見えなくなっていた。
次の瞬間、長い何かがキラを縛り上げる。
「なっ!?・・・・ぐっ!」
それは長い尻尾だった。
「お約束過ぎて何も言えないね・・・・・それが本当の姿ってわけだね」
煙が晴れた先にはドラゴンがいた。
「この姿になった私は誰にも負けん!」
キラを壁に何度も叩きつけ、投げ捨てる。
「がはっ!」
全身を守りきれなかったのか所々出血している。急所を防いだため他のダメージを受けてしまった。
キラはどうにかシュベルトゲベールを杖代わりに立ち上がる。
「負けるわけには・・・・・いかない」
「まだ立つか」
「僕は守ると誓ったんだ、だから負けるわけにはいかないんだ!」
キラの中で何かが弾ける。
魔王の攻撃をことごとくかわしていく。
「私もお手伝いします!」
妖精が作った魔法陣がキラの体を包んでいくとキラの傷が治っていく。
「うおおぉぉぉぉっ!」
キラはシュベルトゲベールを思い切り魔王の目に投げつける。
「ぎゃああぁぁぁぁぁっ!」
魔王が目を押さえ悲鳴を上げるうちにキラは魔王の額に向かって跳躍した。
「でえぇぇぇぇいっ!」
両手で持ったアーマーシュナイダーを額の宝石に突き刺した。
「ぐおぉぉぉぉっ!」
その瞬間、魔王が叫びを上げて倒れると消えていった。
(勇者は魔王を倒しました)
「え?あれ?まだ続いているの?」
ジュエルシードだと思っていたものはただの魔王の弱点だったようだ。
「勇者様、お姫様を・・・・・」
そう妖精に言われ床で眠っているお姫様のほうに向かう。
どうやらどこも怪我はしていないようだったが、どんなに呼んでも揺さぶっても起きない。
まるで童話に出てくる眠り姫のように・・・・・・。
「ま・・・・・まさか・・・・」
キラの背中に嫌な汗が流れる。
「勇者様、姫様を起こしてあげてください」
「・・・・・・ど、どうやって?」
「も・ち・ろ・ん・・・・・キスです♪」
この時ばかりはなのはに似ている妖精が悪魔に見えた。
「フェイト、フェイト!キラも!」
「う・・・ん・・・・」
キラは目を覚ますとアルフの顔があった。
「あれ?ここは・・・・・」
周りを見ると病室にいた、どうやら戻ってきたようだ。
「戻って・・・・・これたのか・・・・・」
「一体何があったんだい?あたしが来た時は二人とも倒れていたんだ」
「ジュエルシードは?」
「封印はされたみたいだね」
「良かった・・・・あれだけのことしたからね。封印できていなかったら泣いているよ」
キラは苦笑いでアルフに答えた。
「?・・・・まぁ、いいさ。それよりフェイト!起きなって!」
フェイトはアルフにを揺さぶられると瞼を開けた。
「あれ?ここは・・・・・?」
「良かったよ、フェイト〜。びっくりしたんだから」
「ごめんね、アルフ。夢を見ていたみたい」
「夢?どんな?」
「それは・・・・・・」
「フェイトちゃん、大丈夫だった?」
「!?」
フェイトはキラの声にビックリすると顔を真っ赤にしていた。
「え・・・えっと・・・・その・・・・あの」
「どうしたんだい、フェイト。顔が真っ赤だよ?」
「な、何でもないの!」
キラはまさかといった表情でフェイトを見ていた。とてつもなく嫌な予感がする。
フェイトは真っ赤なままジュエルシードをバルディッシュに封印していた。
その後、キラとフェイトは終始お互いに会話がなかった。
「あのさ、フェイトちゃん」
「な・・・何かな。キラ」
キラはマンションに戻ると沈黙に耐えかねてフェイトに話しかけていた。
「もしかしてフェイトちゃんあの時、変な夢を見なかった?」
「!?」
フェイトの反応からすごく分かりやすかった。
「つまり・・・・・あのお姫様は・・・・やっぱり・・・・・」
「〜〜〜〜〜〜っ!」
フェイトの顔が真っ赤に染まって俯いてしまうのを見て確信してしまう。
「ごめんなさい!!」
キラが深々と頭を下げてフェイトに謝った。
「え?」
「もっと方法があったよね。あんな行動とってしまって本当にゴメン!」
キラはあのお姫様がフェイトじゃないと思っていたためこれは予想外だったのだ。
そんなキラにフェイトは首を振る。
「もしキラが終わらせてくれなかったら、もしかしたら私たちは一生あそこから抜け出せなかったかもしれない」
そう言うとフェイトはキラの頭を上げさせて笑いかける。
「だから・・・・・気にしないでいいよ」
「・・・・・でも、やっぱり」
「それにね・・・・・キラなら私も・・・その・・・・嫌じゃ・・・」
「え?今なんて言ったの?」
声が小さすぎてキラには聞こえなかった。
「な、なんでもないよ。ともかく気にしないで!」
フェイトはそういうと顔を真っ赤にして部屋に戻っていってしまった。
それからフェイトはキラと顔を合わせる度に顔を赤くしてしまい、喋ることがなかった。
キラはアルフにフェイトに何をしたのかと睨まれるなど散々な日が何日か続いたそうな・・・・・。
後日、病院に行くと彼女は病室にはいなかった。彼女は一体どうなったのかキラとフェイトは知らない。
支援
投下終了です。
ってか、長かったですね。前編後編に分ける長さもなかったのでそのままでした。
ジュエルシードがどんな願いを叶えるのかな〜と思ったのでやってみました。
正直に言うと本当にこの終わり方で誰かに「え〜」とか言われたらどうしようと思ったり・・・。
まぁ、私としては後悔はありません。
キラもフェイトも好きですからこんな風になってしまいました。
えっと、温かい目で見ていただけたら幸いです。
それでは、またここにSSを投下できるのを楽しみにしています!
投下ご苦労様でした。
A’S 編も楽しみにしていますのでがんばってください。
誰も居ないかな? こっそりと短編を投下してみる。
魔法もMSも活躍しないどうしようもない話だが、枯れ木も森の賑わいと言うので…
517 :
それは決別にあらず ◆XPt9wFJMeA :2007/09/28(金) 20:51:18 ID:eJiwNPJh
「ふ〜……疲れた」
そこはよく言えば機能的、悪く言えば殺風景な部屋だった。備え付けのテーブルに棚、そしてベッド。
机の上にはノートパソコンや無数の書類が散らばり、椅子の背もたれに大きく身を預ける女性が居た。
「これで人事部に提出する書類は終わりっと……ブリッジクルーには挨拶したし……
後はパイロットね〜新人や同年代は良いけど、十近く年が離れた人とかどんな挨拶しよう。
あんまり馴れ馴れしいのもアレだけど、硬すぎるのも悪いわね」
女性は年が二十歳前後、オレンジ色の髪を肩に掛からない程度のツインテールにしている。身を包む真紅の服が、彼女が何者でここが何処なのかを安易に示していた。
真紅の服は軍服、プラントの軍事組織『ZAFT』のMSパイロット、しかも訓練学校を優秀な成績で卒業したエリートだけが着る事を許されるモノ。
ここは戦闘艦の一室であり、彼女は……
「そうね……『自分がナスカ級グラムのMS隊、隊長を拝命したティアナ・ランスターであります。
まだまだ若輩者ですが、協力と指導をよろしくお願いします』……ちょっと硬いかな?」
突然だが私ことティアナ・ランスターはこの世界の人間ではない。
ミッドチルダを中心とした多次元世界の治安を守る時空管理局所属の魔道士……四年ほど前までは。
実に単純な任務中での事故だったのだ。スカリエッティが起こした管理局地上本部壊滅から始まる一連の騒動が終息し、事後処理も終了した頃。
別に油断していた訳ではない。ただ発見した鏡状のロストロギアにいきなり吸い込まれた……不慮の事故。
その結果放り出されたのがこのCEと言う年号を起用する世界であり、遺伝子操作を受けた人達コーディネーターが住まう宇宙コロニー プラント。
ハッキリ言って直前までの最悪な運気が、今更ながらいい方向へと転んだ。
移民に紛れ込んで受けたコーディネーターかどうかの判定検査はなぜか問題なく通る。
後見人を買って出てくれた黒の長髪が似合う遺伝子学者は、記憶が無いと誤魔化した私にも優しかった。
とりあえず生きて行ける状態は整った。後は同僚や上司が迎えに来てくれるのを待っていればいい。
デバイスを失い、何かに阻害されて魔力の行使が制限されたこの世界では、私は余りにも無力だから……
「そんな私がいまやMS隊の隊長か……」
この世界が戦争をしている事は直ぐにわかった。しかも魔法とは違った力を使って。
最初はいつまでも後見人の脛を齧っていられなかった事もあったし、時たま彼のところに訪れる仮面の軍人の熱心な誘いもあった。
『君は実に良い目をしている。記憶喪失の難民などではない戦士の目だ』
戦死してしまったが、世界をバカにしたようなニヒルな笑みは忘れたくても忘れられない。
ソレに……『二度と帰れないのでは?』と言う思いが時間と共に強くなってくる。自分でも荒れていくのが解った。
そんなマイナスな思考を追い払う為、何か打ち込むものが欲しかったのだ。軍への入隊理由としては不順だが、当時はいたって真面目。
入学した先はもっともシビアなパイロットコース……荒んでいたのではなく、病んでいたのかもしれない。
「結局アカデミーを卒業して……あの戦争も生き延びて……」
その期間は約二年。こちらと向こうでは時間の流れが違うかもしれないが、とにかく此方では二年。
けど……誰も迎えには来てくれない。魔法の感覚を忘れ、MSの扱いだけが上手くなり……また二年も経過していた。
「ランスター隊長」
「ッ! なに?」
自分が思考の海に沈んでいた事に気がついて、私は慌てて通信機に手を伸ばした。今年アカデミーを卒業したばかりの未だに緊張感が抜けない声。
何だか管理局に入ったばかりの頃を思い出す。
「お客様が来ています」
「客? 進水式だから一般人も見学してるはずだけど……私個人の?」
現在私がMS隊の隊長に任命されたナスカ級宇宙戦闘艦 グラムはここアーモリーワンでメンテナンスの途中。
この後には新型艦の進水式に伴った軍事式典が予定されており、一般人に対しての情報公開を兼ねた施設見学も行われている。
確かにこの艦もその対象だとかで、やたら熱心に清掃をしていた。だけど私はこっちではほぼ天涯孤独。
知り合いと言えばアカデミーの同期や前大戦時の戦友、後見人くらい。
しかしアカデミーの同期はオーブに逃げ出したハゲを除けば、大方は忙しいだろう。
後見人に至ってはプラント一の忙しさ。アーモリーワンには来ているはずだが、こんな所に来るわけがない。
「え〜と……青い髪をショートカットにした女性で『六課の者』と言えばわかると……」
「!?……そう。私の部屋に案内して」
「はい。どういったご関係で?」
「昔の戦友よ」
意外と冷静に判断している自分に私は驚いていた。
数分とたたずにティアナの私室のスライドドアが空気の抜ける音をさせて開く。
入ってきたのは報告通りの青い髪をショートカットにした女性。無理やり感情を抑えているし、大人びたが彼女の良く知る人物だった。
この世界で彼女を名指しし、六課の名を出して理解させる相手など居ない。つまりこの女性はティアナと同じで……
「ティア……」
「久し振りね、スバル」
「ティア〜!!」
扉が閉まると無表情は一気に崩れた。涙やら鼻水やらを溢れさせ、ティアナにスバルと呼ばれた女性は飛びつく。
女性の名はスバル・ナカジマ。ティアナと同じく時空管理局、如いては機動六課と呼ばれるエース部隊の所属であり、彼女とは士官学校以来のパートナー。
「ちょっと、イタイ! アンタ加減しなさいよ!」
「だぁっでぇ〜ティアが〜どこか消えちゃって……」
「文句はあの鏡に言いなさいよ。それに……アンタだって来るのが遅すぎなんだから」
「うん! うん! ゴメン、ゴメンね」
そんな小さな反撃にも、スバルは本当に申し訳無さそうな声を出すものだから、ティアナはそれ以上自分が味わっていた孤独をぶつけてやる事もできなくなってしまった。
スバルの話からティアナが理解した事はこの世界がミッドチルダとは離れすぎた次元であり、座標の特定から実際の転送までで四年を費やしたと言う事。
そのために六課の面々は色々と無茶や無理を通してくれたと言う事くらいだろう。
そんな話をした後、スバルは満面の笑みで切り出す。
「帰ろう、ティア」
だけどソレを受けたティアナの顔は本当に悲しそうな顔で……言った。
「帰れないよ、スバル」
「……え?」
「私はもう優しい機動六課には戻れない」
一切の感情が抜け落ちるような驚愕の表情を浮かべるスバルに、ティアナは子供に言い聞かせるように話し出した。
「この世界は魔法が無いから、私たちが毛嫌いしていた質量兵器で戦争をしていた。
もちろん非殺傷設定なんて便利なものは無い。つまり……戦えば誰かが死ぬ」
「……」
「ここ軍用ステーション、この艦は戦闘艦、そして私は軍人」
「……!」
「私は人を殺した」
『人を殺す』というのは軍人ならば通らなければ成らない修羅の道だろう。
だが魔法によって発展し、質量兵器を排除したミッドチルダ、特に管理局は非殺傷設定の遵守を徹底してきた。
そこで教えを受けたスバルやティアナも例外なく、人を殺す事に対して大きな禁忌を持っている。
だがティアナ持っていたと言う過去形の方が正しいだろう。
彼女は現在ザフトの軍人で、二年前の戦争を生き延びた歴戦の勇士であり、隊長に任命されるエース。
撃墜数、人を殺した数は計り知れない。
「どうしてその事に気がつかなかったのか……本当に解らないけど、当時の私は自分が戦う事で人が死ぬなんて考えても無かった」
『自分が戦えば人を守れる』としか考えて居なかった。恐ろしい事だが紛れも無い事実。
それこそ相手が如何なる重犯罪者であろうと命を奪わずに確保する管理局、如いては優しさの体現たる機動六課にいた『後遺症』。
ティアナは自分が戦い慣れていると思っていた。実際彼女は若年ながら、戦士として実力は高い方だろう。
だがそれ所詮犯罪者を取り締まる管理局の魔道士としてのこと。自分の力はいつも人の命を守っていると信じていた。
「初めての実戦……シミュレーターでやった通りに敵の攻撃を回避して、後ろを取った。
照準を合わせて、引き金を引く瞬間……気がついた。」
スバルのか細い吐息が恐怖を表現し、ティアナは夢を見るように遠くを見つめながら呟いた。
「あぁ……私は人を殺すんだ……って」
そのときの衝撃を思い出したように僅かに震えるパートナーを元気付けようと、スバルは手を強く握って叫ぶ。
「でも! ティアのせいじゃない!」
「そうね……私のせいでも、相手のせいでもない。じゃあ誰が悪いの?」
「それは……」
管理局と言う組織に属していると、戦う相手は強さや事件規模に違いこそあれ『犯罪者』になることが多い。
法に背いて他者をなんとも思わない悪人。それが犯罪者であり、ソレを取り締るのは当然の事だろう。
しかもそんな違法者をも管理局は殺す事無く確保し、公正な法の下で裁く。
ティアナはそこから離れてみて、あの場所が力を振るうのに正義が肯定される夢のような場所だと気がついた。
しかし戦争はそうではない。どちらも普通の人間であり、どちらも自分の正義を持っていて、どちらも守りたいモノを持っている。
「お互いの立場からしたら自分たちは正しく、相手がオカシイと思っている。それがごく自然な事で自分の正義を通すために力と命を賭けて戦う。
そしてどちらが死ぬ。何も間違っていないのに、どちらも正義であるはずなのに死ぬ」
最初の撃墜から数日はティアナにとって地獄だった。自分は普通の人間を撃って殺したんだと脅迫的に認識させられ、毎日悪夢を見る。
殺した相手のこと、自分を汚い目で見る六課の面々、紅くに染まった手。
「それでも戦わないといけなかった! 殺した相手の分も、死んだ友の分も……私は!!」
「ゴメン! ティアのこと全然考えてなかった! ティアも大変なんだって忘れてた!! ゴメン!!」
いつの間にかティアナは泣いていた。スバルも先程の嬉し泣きとは違う冷たい涙が溢れるのを感じる。
縋りつくようにお互いを強く抱きしめて、静かに泣き続けた。
そんな空気を引き裂いたのは大きな振動だった。反射的にスバルを振り払うと、ティアナは通信端末へと駆け寄る。
「ブリッジ! 今の振動は何!?」
「六番ハンガーの新型が強奪されました! さらに港が襲撃を受けています!」
悲鳴のようなオペレーターの声にティアナは鋭く舌打ち。そして状況を把握して、判断を下す。
この船はドッグ入りしているので襲撃は免れたが、迎撃に出る事は不可能。そして現在配備されているMSも自分のモノだけ。
シフト表では艦長は外出中のはずだ。つまりここで命令権を持つのは自分。
「貴女は引き続き情報収集と乗員を呼び戻して」
「はっはい!」
緊張を隠せないながらもハッキリと返事をしたオペレーターに頷き、ティアナは再び端末を操作。
繋ぐ先はメカニックが溜まっているだろうデッキ。
「MSデッキ! 私のザクファントムを出撃準備。迎撃に出るわ」
「わかった……五分くれ」
答えるのは学科が違えど同期のアカデミー卒業であり、この船でもっとも長い付き合いのあるメカニックの声。
唯一の馴染みである人物にティアナも何時もの調子を取り戻した。
「三分でやりなさい。ウィザードはガンナーでよろしく」
「了解だ……ランスター隊長殿」
通信を終了し、再びティアナは視線をスバルに合わせる。
一緒に帰る事を拒絶し、手を振り解いて、今から戦闘に赴く自分を彼女はどう見ているのか?
しかし見てみればスバルはどこか優しげな微笑を浮かべている。『壊れたかしら?』とティアナが物騒な事を考えたりもする。
「ランスター隊長……か。ティアナ、隊長なんだね」
「えぇ、部隊の隊長じゃなくてMSの指揮を任されるって感じだけどね?」
「これも帰れない理由?」
驚いたように目を見開き、ティアナは盛大にため息。鈍いと思っていたパートナーに、言いたかった事を読まれるとは思わなかったのだ。
気を取り直して真剣な顔を作り、言い切った。
「そうね……隊長って事はそれなりの責任がついてくる。
その責任もたくさん殺してきた事も含めて、私はここで放り出したくない」
「……」
「もう行く。保安員に連絡しとくから安全な場所まで送ってもらって」
ティアナはもう会う事が無いだろうパートナーの顔をそれ以上見ていられずに視線を逸らした。
「さよ『ティア!!』 なによ……」
『さよなら』と言う言葉はスバルの絶叫に遮られた。背中越しで振り向く勇気が無いティアナにスバルは続ける。
「そんな悲しい事は言わないで……『またね!』って言って欲しいな」
「っ!?」
「こっち向いてよ、ティア」
「なによ……」
また溢れそうになっている涙を必死に拭いながらティアナは振り向く。その先では見事な敬礼をしているスバルが居た。
「ご武運を……ティアナ隊長」
「バカ……」
スバルの時空管理局式の敬礼に答えるのはティアナのザフト式敬礼。
ずっと同じ場所を歩いていると思っていた親友同士が違った礼でお互いを見送る。
だけどそれはきっと別れではなくて始まり。ティアナは踵を返すと今度こそ走り出した。指示した三分も近づいている。
だけどきっとまた巡り合える気がして、二人は意識せずに言葉を重ねた。
「「またね」」と……
終了〜「ナニ?コノハナシツマンナイ〜」と書いた本人すら思う。
とりあえず書いているときは楽しかったので良しと言う事にして欲しい。
いや、良しと言う事にしないと俺は恥ずかしくて死ねるw
>>525 良い!
濃くてしかも長さがすっごく適当!
これ一発だけのつもりで書いたのなら、抜群に向いてると思います。他のももし閃けば、もっと読んでみたいと思います。
ハゲって言ってやるなww
>>527 適当じゃなくて絶妙って言いたかったのか?
それとも妥当?
>>528 お前…「適当」の言葉の意味調べてみろ
「ほどよい」って意味だ
>>498 この設定でニュートロンジャマーキャンセラーというのは…
カートリッジ無尽蔵システムかっ!
設定投下のため、中途半端に投下します。
C.E.73
アーモリーワン
「もう二年か、早いもんだな…、」
紙袋を片手に歩くシン。
そう、C.E.71、ヤキン・ドゥーエ攻防戦で戦争は一先ずの終戦を迎えた。
戦火の爪痕残る場所もまだあるが、しかし、復興も大分進み、人々も落ち着きを取り戻しつつある。
深呼吸を一つし、空を仰ぐシン。
コーディネイターとナチュラル。
遺伝子操作により人為的に魔導士の素質、学習能力、身体能力を向上させ、目の色や髪の色まで決められるコーディネイター。
しかし、ナチュラルはそんな彼等を化け物だと忌み嫌い、やがてそれが戦争へと発展した。
当初、圧倒的な魔導士の人数で戦況を押していた地球軍。
しかし、Z.A.F.Tが初めて導入したベルカ式魔法により戦況は大きく覆った。
「おまたせぇ〜。」
「おまたせ…。」
と、声。
「ナノハ、フェイト随分買ったな…。」
片手に紙袋のシンとは違い、両手に大きめの手提げ袋を六つもつナノハとフェイト。
「まぁ、色々と必要なものがあったからね。
化粧水とか…色々ね。」
笑って言うナノハ。
「あ、二人とも、もうすぐミネルバの進水式の時間だよ、急がないと…。」
「えぇ〜、お昼食べてからじゃないの?」
「ナノハが選ぶのに時間かけすぎるからだよ…。」
「そういうフェイトちゃんこそ、下着選びに時間かけてたじゃない!」
「なっ、それをいったらなのはだってピンクかオレンジかで悩んでたじゃない。」
道行く人々が立ち止まり三人を見る。
周りを見渡すシン。
「はぁ…もぅ…。」
シンは言い合う二人の襟首をひっ掴み、引きずってミネルバへと向かうのであった。
「取り合えず、これでも食べながらミネルバに向かおう。」
あらかじめ買っておいたサンドウィッチの封をあけ、一人一枚ずつわける。
「ありがとう、シンくん。」
「でも…いいの?シンの食べる分…。」
シンの顔色をうかがうようにフェイトが聞いてきた。
「いや、今から急いで帰れば、食堂で食べる時間があるかもだぞ?」
「じゃあ、競争だね?シン…。」
「今日こそ決着つけてやる、フェイト!」
燃える二人。
「へっ?」
置いてけぼりのなのは。
「ちょと、待ってよ〜、フェイトちゃ〜ん、シンく〜ん!」
アーモリーワン技術区域、実験場
「だが、強すぎる力はまた争いを呼ぶ!」
オーブ代表、カガリ・ユラ・アスハはプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルにくってかかった。
「代表…。」
カガリのSP、サングラスをかけ、男にしてはやや長い藍色の髪をした少年、アレックス・ディノ。
カガリをなだめようとかけた言葉だったが
「しかし、姫、力なくばそれも叶いません。
オーブ戦の折りに流出した技術の即時停止も…出来ません。」
「何故だ?」
「そんなことをしてしまえば、オーブからの避難民はどうやって暮らせばいいのです?
持てる技術を生きる為に使って何が悪いのですか?」
「それは…。」
その必要はなかったようだ。
少しだけ安堵するアレックス。
ふと、周りを見渡す。
どれも初めて見るタイプのデバイスだ。
ゲイツーR、ザクウォーリア、ガズウートetc...
以前はほぼミッドチルダ式、デバイスはほぼストレージデバイス。
しかし、C.E.71、オーブが秘密りに開発したインテリジェントデバイス、イージス、デュエル、ブリッツ、バスターをザフトが奪取。
その技術を応用し初のベルカ式カートリッジシステムを導入したミッドチルダ式インテリジェントデバイスがフリーダム、ジャスティス、プロヴィデンスの三機だ。
しかし、どうもそれらとも違うようだ。
アレックスは興味深そうにテバイスを装備した一般兵を見る。
ゲイツR、腰部レールガン、左腕に障壁発生補助装置兼魔力刃形成補助装置。
「アレックス君、君がよければだが、実験に参加してもらってもかまわんのだよ?」
突然のデュランダルの声に慌てたアレックス。
「あっ、いや…。」
カガリに睨まれる。
「いや、遠慮することはない…、緊急の申し出とはいえ、こんな場所での会見になってしまったのはこちらの都合だ。
それぐらい構わんだろう?」
デュランダルはそういうが、どうみても技術班長、シャリオ・フィニィーノは困り顔だった。
「議長、お見せするのは構いませんが…、実際に使用させると言うのは…。」
「いや、議長、私にはどうぞお構い無く。話の続きを…」
アレックスが話を戻すよう促そうとした瞬間、警報が鳴り響いた。
「ステラとシグナムは左、俺はヴィータと!」
銀髪の少年アウルが言う。
「わかった。」
「了解した。」
漆黒のバリアジャケットに身を包んだ金髪の少女、ステラ。前進を紫でまとめ、剣を持つ女、シグナムの二人はアウルの命令通りに散開し、
「さてと、行きますかぁ!」
「あぁ、まずは保管庫をぶっ叩く。」
アウルとヴィータも散開。
「さて、キャロとエリオは俺とこっちだ。」
「キュック〜…。」
「あぁ、お前もだ。フリード。」
ピンク色の髪の少女と赤い髪の少年、キャロとエリオの頭にポンっと両手をのせるスティング。
「ちゃんとついてこいよ。」
「「はい!」」
スティングと共に飛び立った。
「何だ?一体どうしたと言うんだ?」
デュランダルが声を荒げ、片っ端から状況を説明を仰ぐ。
「六番保管庫の新型カオス、ガイア、アビスが何者かに…。」
「何だと!!」
目を見開くデュランダル。
「新…型?」
カガリは呟いた。
ミネルバ。
「艦長!」
「大声出さなくても分かってるわアーサー。シンは?」
ミネルバ艦長、タリア・グラディス、副艦長アーサー・トライン。
「えっ?艦長…、シン一人で?」
「もちろん、ナノハ、フェイトも出すわ。メイリン、レイとルナマリアは?」
「シン・アスカ、フェイト・T・ハラオウン、ナノハ・タカマチはスタンバイ出来てます。レイ・ザ・バレル、ルナマリア・ホーク、両名はまだです。」
CIC担当、メイリン・ホークが言う。
「そう、じゃあ、三人を出して応援が来るまで時間を稼ぎましょう。」
『コンディションレッド発令…』
艦内に響くメイリンのアナウンス。
『シン・アスカ、ナノハ・タカマチ、フェイト・T・ハラオウン出撃スタンバイ。』
両弦、中央カタパルトのハッチが解放され、
「シン・アスカ、インパルス行きます!」
「ナノハ・タカマチ、レイジングハート!行きます!」
「フェイト・T・ハラオウン、バルディッシュ!出ます!」
バリアジャケットを纏い、射出される三人。
緋、桜、金の魔力光がアーモリーワン技術区へと向かっていった。
支援
ここまでです。
しかも、設定保存したつもりで保存していないという…、なんと言う不覚。
すいません。
>>525 これぞ真の友情だ・・・面白かったです。
それと支援
536
キラやカガリはなのは、フェイト、シンの三人から恨みを買っているということになるんですかね
>>526 なのは、フェイト、シンがザフトなら戦力バランスとか大丈夫なんでしょうか。
これは…戦力バランスはどうなるんだろ
まぁでも間違いなくキラは死亡フラグかな
はやてスバルティアナはオーブ所属になるのか?
なのフェイはキラのことを覚えているのか?
うる覚えですが、NJはない予定でした。
ただ、ガジェットや、AMFはある予定です。
フリーダムやジャスティスはカートリッジを使いきっても収束技術を用いて、大気中から魔力をかきあつめて戦う事がてきます。
ただ、出力なんかは落ちてしまいます。
なのはのSLBの応用版と考えてくれれば幸いです。
死亡フラグはキラだけではなくオーブ軍全体の可能性が高いですね。もちろんラクスも。
まあ死ななくても、悪役となるのはほぼ間違いないと思いますがね。
ところで、この小説でははやてはどうなるんでしょうかね。
フェイト、ナノハに関してはキラに助けてもらったという描写がありますが、実は家族のことで頭がいっぱいで、誰に助けてもらったかは分かっていません。
ただ、これからの展開で乱入してくるキラに対してどう思うかが鍵ですね。
シンは本編と同じですが、顔を覚えているわけではないので、最初の慰霊碑前での出会いでは分かりません。
戦力バランスについては
とりあえず、キラのスーパーコーディな力で何とか…ならないのかも知れないので、アークエンジェルに誰かがいるかもです。
えっ?はやてを忘れてる?やだなぁ、忘れてないです。ちゃんといますよ。
JPジョーンズに
>>543 まあ普通に考えるとネオと同じ立ち位置じゃないか?
スバティアはハイネと共にミネルバに配属されるとか?
あれ?それなんて死亡フラ(ry
おっ! 反応があって死ぬほど嬉しい私w
実はシリアスルートとギャグルートは脳内で出来てます……が!
シリアスは真面目に地味。ギャグは……向いてない(なに
また何か閃いたら投下したいと思います。
そして神隠し氏GJです! どうでもいいがJPジョーンズは空母の事なんだぜ。
宇宙に居たミラコロ搭載のアレはガーティ・ルーかと……
>536
シンが好きな俺としてはいやな予感がする。
なんかこう……やっぱり報われないんじゃないかと
そ、そんなことないよね。
間違えました。
それは決別にあらず氏
訂正ありがとです。
それからGJです!
アスラン=ハゲという図式はティアナにも成り立つのねwwww
というかこのナノフェイはコーディ?
じゃなきゃザフトにはいられないよね?
コーディじゃなくてもザフトに入れるんじゃない?
クルーゼやレイはナチュラルだし
種死は連合が勝てばコーディネイター徹底抹殺。
ザフトが勝てば人間の扱いは豚や牛といった家畜と同じ。
オーブが勝てば原作。
どれに転んでもな〜。
ここは神隠しさんの腕に期待ですね。
>>それは決別にあらず氏
ギャグルート激しくキボンヌ。
キラとシンとアスランは、偽善者か自己中かヘタレ…
どれが一番マシなんだろ?
>>554 一番ましのなのはヘタレじゃない?
次が事故中で、最後に偽善者
うお、見ない間に一気にラッシュが起こってる
神隠し氏、リリカルクロスSEED氏、決別にあらず氏
止まってた気がしたが、やっぱり職人様方・・・・・GJだぜ!
544
シンみたいな感情を抱きそうですけどね
戦争なんかをテーマにした話はうまくまとめるなんてほぼ不可能だろ。
勝つか負けるか、加害者か被害者かになっちまうからな…。
勝っても負けても視点を変えてみると胸くそ悪いだけだし。
というか、ナノハ、フェイト、シンでフォース、ソード、ブラストっぽいことに気付いた
シンのことを君付けで呼ぶナノハが新鮮だw
ステラ生存希望。
あれだけ引っ張ってたのに…
なぜ職人さんはssでビームサーベルやビームライフルという名称を魔法に使うことを躊躇うのかな?
サーベルモードとか通常射撃とかって描写してるけど。
ビームって書くと魔法っぽくないから……魔法もMSも活躍しない話を書いた奴が言っても仕方が無いw
>>564 意見がかぶってしまいますが、魔法っぽくないからですね。
それに比べて、種死関係の武装には『アロンダイト』や『ロムテクニカ』
『シュベルトゲベール』などの洒落た名前がありますから、助かります。(個人的にですが)
・・・・・・・ドレッドノートηの武装には洒落た名前が無い・・・orz
形態名で誤魔化すしか。
魔法っぽく無い?そういう時にはコイツが有るじゃないか。
つ『ムービ・ルフィラ』と『ムービ・サーベ』
……SD外伝は古くてマイナーですか、フフフ……
懐かしいぜ「ギガソーラッ!」
カードダスコンプリートボックス出る品。
ここってまだStSアフターを舞台にしたSSはないよね?ないなら書いてみようかと思うんだけど。
>569
ならかくしかないじゃないか!
>>569 勿論需要はあります
wktkして待ってますよ
>>569 ていうか、TVKが昨日終わったばかりだからなw
個人的にあのラストは後日談SS描き易いと思う
STSは六課に固まりすぎてるから個々を動かしづらい印象があった
stsが終了したから色々と書きやすくなった?
種死からトリップさせるなら、六課とスカリエッティ組に分けるのもアリかと?
ただスカの目的がアレだからちょっと弄らないと厳しいかも知れんけど……ルー子組と言うのもあるけど(設定が生かせてないので捏造し放題w
……なんて事を語りつつ、私はティアナが種死世界で凸やギルやシンに振り回されるだけの地味な話を書いているけど……
需要はあるのだろうかw
573
ティアナの場合、デスティニー・プランは反対しそうですけどね。
正直そこまで考えてないっす。とりあえず目先のネタしかw
ミネルバで凸に再会して思わず「このハゲ!」とか戦場でキラキュンに問答無用で撃墜されて「アレなんてナノハさん?」とか
……ヤバイ(ギャグ)センス無いぞ、オレ
なのはキャラって基本的にデスティニープランには反対派じゃない?
そうなるとザフトに居場所なくなるな。
>576
そこは議長がうまく丸め込むんだろ?
シンも最初はデスティニープランのデの字も知らなかったんだからさ。
途中からなのはやフェイトは疑問に思い始めるかもだけど…。
デスティニープラン自体がギルを悪役にする為の欠陥プロジェクトだからね〜
職人の都合で色々と改善したら良いんじゃないかな? それこそみんなが幸せになれそうな感じw
コーディネーターには懐疑的かも知れんがデスティにープランはどうかなぁ
正式な形で発令された場合、引っかかる所はあっても無理やり否定する要素が無い
話を聞く限りプラントや国包みでやるけれど最終的な拘束力は無い職業斡旋にしか見えない
遺伝子によってどうのこうのだったんだよな?
どこぞの逆シンになるが、それこそ遺伝子技術に長けてるコーディネイターに有利と言えるよな
なのはに合わせて魔力基準に変更で。
ハローワークプロジェクトに改名したら良いと思うw
まあ「世界を殺す」って言うラクシズの意見は研究ノート一冊からひねり出した妄想って話もある。
各国の反応とか意見調整とかする前に、ギルがトチ狂ってレクイエムぶっ放して悪役確定フラグを立てるし。
つまり……作者様にお任せって事でw
デュランダル悪役化はなんで途中までまともな政治家やってたのにいきなりレクイエム発射とか異常だよな
ラクスのたかが研究ノートで世界を殺すって意見もだけど、10年以上前の研究ノートからなんであんな事言えるんだろうな?
レクイエム発射は別に議長に非は無いですよ
停戦すらしてない連合の月からの大艦隊を防衛の為に薙ぎ払っただけですから
オーブに照準合わせたのもラクシズが攻め込んできてからだったですし
あの研究ノート、実はギルの書いていたSF小説か何かだったんじゃないかw
魔力量で人生決まりそうな、ミッドチルダもデスティニープランが施行されてたりして。
……それが狙いか、スカ博士!!(なに
586 :
sage:2007/09/30(日) 18:55:29 ID:8Fmis4TI
みんな揃って妄想狂だったからな。
ありえない展開も当たり前。
何か最近シン女難スレのなのはネタの勢いが凄くて、本家のこっちがあまり元気無い気がする
みんなシンが災難に遭う姿が好きなのさ。
分家(?)のくせに生意気なw
でもたしかにあっちのスレはおもしろいけどw
勢いと元気で負けていても、小説の質では勝っている!……と私は思う。
あちらでなのはネタ投下されるようになってから、こっちでの小ネタ投下がなくなったからね。
ホントにバランス保つのは難しい。
リリカルプラン
全人類強制。
なのはのスターライトブレイカーを受け、受けきった者だけがなのはやフェイト、はやてらとお友達になれるか決める。
完全魔力ダメージのため、危険はないが痛いかも?
受け切れなかったものにはもれなくスカリエッティらがついてくる!
注、もし、リリカルプランに賛同しなかったものは、SLB, PZB, RB、をうけ、最終的にはアルカンシェルで…
ここで聞くのも何だが、ディバインバスターとエクセリオンバスターってどっちが強いの?
なのはの砲撃は洗脳効果が……(轟音
私はスカ先生で良いです。悪役好きだし、ヘンタイだし(ぉ
ウーノ姐さんみたいな上司が居たら私は仕事をちゃんとするw
受けきれなかったら大家族になれるな
小ネタで思ったけど、俺は神隠し氏のほのぼのネタが好きだった。
また書いてくんないかな…なんて言ってみたり…
ちょっと続きを書いてみようかと思い立ち、手元にある種死の小説を読み直してみた。
ラクシズの思考が良く理解でき……気持ち悪くなった(なに
そしてどう頑張ってもスーパーティアナタイムになりそうで困った。
ちなみにスーパーにはギャグとシリアスがカオスに含まれますw
>>593 一口にディバインバスターと言ってもアレには色々バリエーションがあるし、
エクセリオンバスターとは性質の異なる魔砲だから一概には言えない
詳しいことが知りたければwikiを読むといいと思う
そもそもスターライトブレイカーも元々はディバインバスターのバリエーションだからな
なのはの砲撃魔法の基本はディバインバスターなんだろう
なのはの存在が気持ち悪くてラクシズも気持ち悪い。
なんで俺ここにいるんだろうなあ。
>>601 わかるぜ、その気持ち。
ユーノとニコルが好きなんだろう?
投下いいですか?
魔道戦士まじかるしん29話 タイムリミット10分前
「くっ」
フェイトはザスタバ・スティグマドを回避し、魔法陣を展開させる。
「プラズマランサー、ファイア!」
魔法陣から放たれる雷。
『アルミューレ・リュミエール』
カナードはそれを避けようとはせず、フィールドを発生させて防ぐ。
「く…」
プラズマランサーの衝撃がフェーるどを発生させてもカナードに苦痛の顔をゆがませる。
確かにこの執務官、かなりの力を持つ。
長期戦で相手の窒息をまとうかと思ったが、下手をすれば自分が不覚を取るかもしれない。
そう感じたカナードは作戦変更、全力で叩き潰す事にした。
カナードはプロテクションを解除すると共に、ランサーが直撃する前に跳躍する。
『ロムテクニカ』
カナードは装備をマシンガンからナイフに変更し、フェイトに切りかかる。
フェイトもバルディッシュを構え迎撃する。
ロムテクニカとバルディッシュがぶつかり、周囲から火花が舞う。
だが、こうなると力勝負となり、カナードガ郵政になる。
『マスター、ここは一度退避したほうが。空気もそろそろ苦しくなる頃です』
バルディッシュの提案に、フェイトは頷く。
一度外にでて、なのはたちと合流する必要がある。
だが、まずはカナードを撒かなければならない。
「ふん!」
そう思慮していると、カナードは力押しでフェイトを突き飛ばす。
その隙を逃がさず、カナードはフェイトの顔面に思いっきりけりを入れる。
「う…」
フェイトハ何とかプロテクションをはって防ぐが吹き飛ばされる。
だが、これで彼と距離をあけることが出来た。
なら行動は迅速に行うべきだ。
「バルディッシュ、サードフォーム」
フェイトの命令と共に、バルディッシュはその形状を斧から魔力刃で出来た大きな大剣へと変化した。
そしてフェイトがとった行動は…
「はあぁぁーーー!」
フェイトは壁に向かい、思いっきりバルディッシュを振り下ろす。
バリアがかかっているのはドアだけである。
なら、壁は単純に破壊可能。
それなりに頑丈な壁なのだろうが、関係なく壁を破壊するフェイト。
そして、そのまま逃げる。
早くここを脱出しないと、窒息死してしまう。
「ちぃ…」
カナードは舌打ちするが、心を何とか平常に戻す。
あせる事は内、あいつはこの地図を知らない。
さっきも言ったとおり、壁は頑丈にできている。
それを片っ端から破壊するとなると、かなり体力を消耗する事になる。
カナードはいきなりだらりと猫背のような状態になり、右手を後ろに突き出す。
すると、奇妙な光景が出現し、彼の周囲にある床などが砕けていき、それが彼の腕に集まっていくのであった。
「超重斬!」
「クリティカルブレード!」
その頃、拳銃所に向かったシンとレイ。
二人もフェイトと同じように、バリアで覆われていない部分を攻撃し破壊する。
中は、何かそうこのようなところであった。
「インパルス、残り酸素濃度は?」
『通常の70%です』
インパルスの報告にあせる二人。
問題は、跡痛憤でフェイトを見つけ出せるかだ。
「シン、これを見ろ」
そのときだった、レイはあるものを見つけた。
それは、どこをどう見ても酸素ボンベであった。
おそらく非常用においてあるのだろう。
「執務官の救出と往復。をどう考えても10分では難しい…いや、それよりも短い。持っていれば役に立つかもしれない」
そう、いくら10分ですべて酸素がなくなるとはいえ、薄くなるにつれて息苦しくなり、酸素の補給が間に合わなくなる事を考えると、本当に厳しいのだ。
レイはそういうと、近くにある持ち運びがしやすい小さなボンベを持とうとしたときだった。
ガシャン、ガシャンと何かが二人の下に近づいてくる。
機械的な足音ではないのでフェイトではないことは確かだ。
だが、モビルジェットのようなものではない。
と言う事は……
「やはり中にもいたか……」
現れたのは、先ほどまで自分が戦っていた魔道機械であった。
これで、さらに急がなくてはいけなくなった、と二人は思いながら武器を取る。
「早く決めるぞ、シン」
「ああ!」
二人は魔道機械のほうへ向かっていった。
「レイジングハート、中の様子は?」
なのはは敵を片付け、中の様子を尋ねる。
『現在の酸素濃度50%、あの中に入るの危険です』
レイジングハートの言葉にそうとなのはは研究所を見る。
まだ、敵が数万いるとかならレイジングハートの制止を振り切ってでも(レイジングハート自身も早く助けに行きましょうといいかねないが)行くのだが、
流石にもうすぐ酸素がなくなる研究所に突っ込むというのは、なのはでも得策ではないと思う。
誰もいないのなら仕方ないが、既にレイとシンが向かっている。
今はあの二人にかけるしかない。
なのはは気持ちを切り替え、スバルのほうを見る。
「これで、最後!!」
スバルは懇親の力をこめて、残っている魔道機械に一撃を見舞う。
それは腹部を貫通する。
「え?」
まさか貫通するなどとは思わなかったスバルは反応が遅れる。
そのまま爆発する魔道機械。
「うわ!」
それをまともに受けてしまったスバル。
その煙でむせ返ってしまう。
「けほ、けほ……あー、ぼろくなってたの忘れてたー」
建物と同じように、この魔道機械も老朽化が進んでいたようであった。
「かなり上達しているな」
横にいるヴィータの言葉に、そうだね、となのはは微笑みながらいう。
日々の訓練に加え、今回の緊急出動もかなりぴ売らすになっているようだ。
新人達はものすごいスピードで成長している。
それを教えている事を誇らしく思うなのは。
「さて、あいつら…間に合うのか?」
ヴィータも研究所の中を見る。
「せやから二人とも、おちついて。シンとレイもおるんやし、問題ないって」
「そうだよ、だから、ね?」
なにやら騒がしいと重い声の要を見ると、今にも研究所に突撃しそうなエリオとキャロをなだめているはやてとスバルたち。
「ですけど、早く行かないとフェイトさんが……」
キャロは今にも泣き出しそうである。
「だけど、向こうにはシンとレイがいるんだし大丈夫だよ。あの二人なら酸素がなくても活動できるらしいし……私たちが行っても何も出来ないしね」
スバルの言葉に何とか思いとどまり、研究所のほうを見る二人。
(二人とも、早くフェイトちゃんを助けてあげて……)
「はぁ…はぁ…」
多数の魔道機械の残骸が並ぶ中、フェイトは深く息をしながら周囲をみる。
このようにしないと、なかなか酸素を吸い込めない。
(バルディッシュ……どう?)
『残り30%、非常に危険です』
バルディッシュの言葉に、そう、とフェイトはもう一度深く息をつく。
これは早く戻らなくては、そう思い移動しようと思ったときだった。
急に目の前にある壁が壊れたのだ。
それと同時に、フェイトの首に何かが掴みかかる。
「あ…が…」
それはお思いっきり彼女の首を絞め、窒息させようとする。
壁を壊した衝撃の煙で何かわからなかったが、それがだんだんと見えるようになってきた。
「ここまでだ……」
今フェイトの首を絞めているのはハイペリオンなのだが、何かが違う。
(こ…これは……)
フェイトハ何とか意識を保とうとする中、フェイトを掴んでいる腕を見る。
明らかに人もものでもないし、モビルジャケット時のものでもない。
さらにその方には3枚の羽のようなものもある。
全く未知のものであった。
「これが俺のアルター…もといレアスキル「シェルブリッド」だ」
カナードはこの腕の事を簡単にレアスキルのようなものだと説明した。
そういって、再度フェイトの首を絞めるカナード。
「が…あ…ああ……」
その力は異常だった。
いくらモビルジャケットを着ているからといっても、このような力が出るのだろか。
とうとうフェイトの意識が朦朧としだす。
本当にフェイトの意識がブラックアウトする瞬間、何かが聞こえた。
『デリュージー』
二つ魔力弾がカナードに向かって放たれる。
「これは?」
カナードは魔力弾を見て、それが見覚えのあるものだと気付く。
魔力弾はカナードに命中し、カナードはフェイトを話す。
「がは…はあ…は…はあ……」
フェイトハやっと開放されるが、既に酸素はほとんどないため、酸素をとりいえれる事ができない。
フェイトは本当に死とはこういうものなのかと感じた。
「はあぁぁ!!」
そこで、ザクになったレイがファルクスで切りかかる。
カナードは右手でそれを受け止める。
(これがバルス執務官の能力か……)
いくら魔術師としての能力が上だとしても、ファルクスを素手(実際はそうではないが)て受け止めるとは…
だが、これで隙を与える事ができた。
「シン!」
レイの言葉と共に、シンは驚くべき行動に出た。
「フォースシルエット、パージ!」
シンの命令と主に、インパルスの背中にあるフォースシルエットが射出される。
レイも、スラッシュウィザードからブレイスウィザードに変更する事で武器の大きさが変わり、さらにカナードへの隙を作る。
それと同時に下がり、シンははフェイトを抱えその場を後にする。
そのときには、シンがパージしたフォースシルエットが最大千速でカナードに襲う。
カナードはそれを受け止める。
既に最大千速で突き進んでいくそれは、カナードにかなりの衝撃を与える事となる。
「考えたな……だが!!」
カナードは思いっきりフォースシルエットを弾き飛ばす。
だあ、二人は更なる手土産がおいてあった。
そこには大きな酸素ボンベがおいてあり、その周囲にはこの世界のモビルジャケット「ザク」に搭載されている火薬を使っていない魔力爆弾があった。
あくまで個人の防具用で、威力は少ない。
だが、この酸素ボンベには穴が開いていた。
そこに魔直爆弾が爆発した。
小さな爆発だが、酸素ボンベにある高密度の酸素を吸収し、巨大な炎となって周囲を燃やし尽くす。
その爆発を見て、二人は急いできた道を戻る。
「なんとか巻いたな……」
ちなみに、先ほどフォースシルエットをパーにしたが、魔力を消費して再度精製する事は可能である。
最初は元から魔力を注ぎ込む事によって、戦闘中は魔力無しで呼び寄せる事ができる。
レイは少しほっとするが、これ得終わるとは限らない。
もしかすれば、このまま逃げるかもしれない。
だが、今はフェイトの救出が最優先である。
一方そのフェイトは、シンにお姫様抱きかかえられ、渡されたボンベで酸素を得ている。
(二人ともありがとう)
フェイトは抱きかかえられ、少し恥ずかしがりながら二人に礼を言う。
その時だった。
後ろから、なにやらけたたましい音が聞こえてくる。
「まさか……」
レイは少し冷や汗をかきながら後ろを向く。
そこには、片っ端から壁をぶち抜いて二人を追ってくるカナードの姿があった。
な「何とかカナードを巻き、フェイトを救出する事ができたシンとレイ」
ス「勿論、カナードも追撃を開始する」
ティ「そして、研究所外で野戦いが始まる」
エ「次回『ベルカの騎士』お楽しみに」
シグ「やっと私たちの出番か……」
ヴィ「ずっとフォワード陣の内容で、さっきもフェイトがメインだったからな」
な「……」
フェ「し、心配ないよなのは。この事件が終われば出番もあるっていってたし」
投下完了
えーと……とりあえず一言。
カナード強くしすぎたか?これからもっと強くなる予定なんだが……
最後に、途中からこの作品を見ている方へ。
この作品はSTSが始まる前に投下開始したもので、その時は一舞台の制限数なんてものは知らなかったので、
考えた結果、このSSにはその制限数の概念をなくしていますのでご理解を。
定期的にこれ一いっとかないとな
GJ!!です。カナードがカズマにw
まだ背中のフィンも使ってないし、第二段階にもなるのかな?
シグナムやヴィータの攻撃を防御しないで、攻撃ごと殴り飛ばすシェルブリットハイペリオン
に期待します。
まじかるしん氏
乙です!
シンとレイの技名が…。
シグナムの出番を楽しみに待ってるぜ!
>597
気分が悪くなるなら無理して書かなくていいよ。
それに、ラクシズ云々は余計、荒れるような言動控えてね。
ラクシズを否定したいなら作中で否定しろ。
スイマセン、小説のラクシズの思考ってどんなものなんでしょうか?
私としては命大事にってイメージなのですが。
理想を大事に
じゃね?
トリーズナーカナードが出たということはラディカルエリオも・・・
あるいは平和のためには禍根は根こそぎ殲滅
二十話出来たので置いてとますね。
第二十話
黒いモビルスーツに釘づけになっていた。
そのシルエットも、大きさも、全てが心にひっかかる。
「ガイア」
キラの口に、出た言葉にその場の全員が驚いた。ぽつりと呟いた本人まで驚いているのだ。
クルーゼも黒いモビルスーツがリリィの守護に戻ってきたのを機にアリアたちがいる空域まで後退している。
現状は、作戦タイムとでもいったところか、全員が固まっていたのだ。
「知ってるのか、ヤマト?」
「え……」
「え、じゃない。あの黒いの、知ってるのか?」
ロッテから問い詰められ、曖昧に頷いてみた。
正直、ぽろりと単語が零れたが、正確に記憶に浮かんだわけではない。
だが、知っている。
見た事がある。
あの黒いモビルスーツを。
そう思うと、心臓が強く脈打ち、体が熱くなる。
クルーゼと黒いモビルスーツ。一挙に、自分の記憶にたどり着きうるものが目の前に2つも現れてキラは戸惑い気味だ。
「ヤマトが知ってのなら、クルーゼ、あんたもあれを知ってるのか?」
「私は知らんね」
「……今回の事が終わったら、ヤマトの記憶を含めていろいろと話を聞かせてもらうぞ」
「以前から言っているのだがな、私はあれをどうにか出来た後であればいくらでも、何でも話すさ」
仮面の奥の瞳は、じっとリリィを見つめていた。
いや、もしかすれば転送の魔法を敷かれた卵を見ているのかもしれない。
大きい。
見上げるような大きさの黒いモビルスーツ、ガイアよりもさらにその卵は大きいのだ。
「よし、決まったわ」
そこまで思案顔だったアリアが、ひと声。
まず自分、ザフィーラ、ロッテを順に指さす。
「あたしとロッテ、ザフィーラはあの黒いの……ガイアだっけ? それを叩く。正直、壊せるかどうかは分からないからどうにか動けなくするよ」
ロッテが軽く頷いた。
「クルーゼ、見る限りあんたとリリィは互角だ。あんたがリリィを抑える」
クルーゼは何も返さない。
彼自身、それが妥当だと思っていた。
「っで、ヤマト君」
「はい」
「あんたはあの転送魔法陣を壊してもらう」
「……」
ごくりとキラの喉が鳴る。
壊すこと。単純な任務だ。
だがこの場においてはキラ以外出来る者がいない任務である。
「まず、あたしたちがガイアを抑える。次にヤマト、あんたははクルーゼと一緒に飛ぶんだ。クルーゼが、リリィを抑える隙間を縫って、転送魔法陣に飛びな。それでいいね、クルーゼ」
「構わんよ。君らがあのガイアとやらを抑えられればの話だがな」
「獣出身の使い魔3匹、獣っぽさじゃ負けないわよ」
ロッテが頼もしい笑顔でウィンク。
とりあえず、案は纏まった。正直、この作戦タイムに裂いた時間さえ惜しいほど切迫している。
転送魔法の完成予定時間が不明なのから、敵の応援などいくつも不安要素があるのだ。
だから、
「俺は使い魔では 「行くよ」
スタートはとても簡素で短いものだった。
◆
「あの……」
「何かね」
ロッテたちの後ろを飛ぶキラが、おどおどとと並行するクルーゼに声をかける。
対するクルーゼは冷たいというか、壁を作った応え方だ。
「僕は……あなたを知っています、よね?」
か細く弱い声。
不安だった。
本当に記憶は戻るのか?
本当に思い出せるのか?
クルーゼが記憶の手がかりになり得るのは、間違いない。
それでも、その不安をどうにか誤魔化すように、直視しないように、クルーゼへと言葉をかけた。
「そうだ、私は君を知っている」
やはり抑揚を欠いた声。
キラを見ようともしない。
そんなクルーゼに、キラは不安がさらに大きくなった気がした。
先ほど、今回の事が上手くいけばクルーゼは自分について語ってくれると言った。
喜ぶべき事だ。自分を取り戻せる。この不安がなくなる。
そうであるはずなのに、キラの不安は増していく。
自分の記憶が怖いのか、それともクルーゼが恐いのか、良く分らない。
ただ、不安の増大が気のせいではない。
そう気づいた頃にはもうロッテたちはガイアと接触していた。
ロッテが前衛、ザフィーラが中衛、アリアが後衛の三段だ。
派手な音とロッテの雄叫びがハッキリと耳を叩く。
それを迂回するように卵へと飛べば、リリィが躍り出てくる。
速い。
速いが、狙いはクルーゼだ。
複雑な軌道で空を回り、クルーゼはリリィに対応する。
もう、一直線に飛んでいるのはキラ一人になった。
リリィが躍り出てきた時点で、もうすでに卵に程近かったのだ。キラの魔法が届く距離である。
「よし…! やってやる!」
深く、息を吐く。
大きい。
圧倒されるほどの巨大なその卵に、キラは気圧されてしまう。
それでも、やるしかないのだ。
キラの右手が跳ね上がる。
その手には、何もない。
何もない手で、トリガーを引くアクション。
まるで銃口のような赤い魔法陣が出現、そして紅い閃光が走った。
レッドライフル、とキラ自身で名付けたトリガーアクションによる直射型の魔法は、転送魔法陣へと命中するが、1発でどうとなるものではない。
さらに立て続けに、引き金に力を込める。
やはり、当たる。
だが威力だが足りない。
時間があればこれでいいが、時間がないのだ。
(フルで行かなきゃ……!)
覚悟と気合とともに、眼を見開いた。
ポイントすべき地点を正確にキラの視線が射抜けば、ポツリ、ポツリと周囲に赤い魔法陣が現れる。
キラの肩、腰の高さに2つ、そして構えた両手の合計6つの魔法陣。
昂る魔力を出し惜しみせずに、
「ああああああ!!!」
赤い魔法陣全てに注ぎ、咆哮。両手のトリガーアクションを合図に全力を吐き出した。
肩や腰の高さに備えられた魔法陣が閃けば、あるいは直射型の魔力奔流、あるいは凝縮された魔力弾丸となり迸っていく。
アリアの仮想空間による複数の仮想敵との訓練にて、一斉に複数を攻撃するために編み出したフルバーストだ。
そして、「ライフル1本で複数から抜ける訓練でしょ」と、こずかれてからは封印した禁断の技でもある。
そんな多数へ叩きつけるためのエネルギーたちを、今回は一点に集中。
これで決めるつもり満々だったが、やはり50メートル級を転移させようとする魔法陣である。
効果は見てとれるが、きっちりと編まれた魔法陣相手ではまだ足りない。
「く……もう一度」
大きく力を使うこのフルバーストだが、まだ余力はある。
今再び、構えるキラだが、
「ヤマト!!」
かなりの距離があるロッテの叫び声が耳に届く。
はっと、振り返ればそこには仮面の少女が爪を振り上げていた。
「止めろおお!!」
「うわ!」
腕がかすむような速度で振り下ろされる五本の爪だが、とっさにキラの展開する防御魔法陣に止められる。
いや、止まったわけではない。
緩やかに丸みを帯びたキラの魔法陣に爪が落ちれば、キラは魔法陣を奇妙にひねり、爪をいなしてしまった。
「な……!」
きっちりと受け止められるでもなく、避けられるでもなく、流されるという初めての体験にリリィが驚く声を上げ、一瞬だけ体が泳ぐ。
キラ自身、ここまで上手くいくとは思っていなかった結果である。
レンズ状と言うのが一番近いキラの防御魔法陣は、正面から受け止めるシールドタイプとは扱いが異なる。
普通の平面魔法陣よりももろくなる半面、三次元的に動かす事が出来るのだ。
これを利用し、防御に用いながら攻撃にも使用できるが、キラが学んだ使用法はいなす、受け流すといった捌き方である。
この捌くという防御に才能は要らない。
必要なのは本能だ。
デバイスと力を合わせる魔法使いでは融通が利かない所があるのだが、全てを自分で処理をするキラにとってこういった捌く、流すという行為が良好な選択だった。
そう言った意味では教える先生も本能的な面が強く、キラ自身も生き残る事にはかけては大きな資質があり、かなりマッチしたスタイルのようだ。
よって今回の事も、とっさにリリィの攻撃から逃れようとした本能の成した結果というわけである。
態勢を整えるのを待たず、キラが魔力によるサーベルでリリィを薙ぎ払おうとした瞬間、フォトンランサーが次々にリリィへと飛来した。
崩れた態勢のまま、フォトンランサーを、手甲や脛当てのように身を包む魔力武装で受け、あるいは爪で切り裂くリリィ。
やはり、身のこなしは天性のものを感じさせるしなやかさだ。
怒り心頭がキラでも分かる猛り方でリリィがクルーゼへと飛んだ。いついかなる場合でも、最終的にリリィはクルーゼに対する攻撃性が強く出る。
嵐のようなリリィのヒットアンドアウェイに、キラがホッとするのも束の間。
フォトンランサーを撃ちだしたクルーゼが、異常な苦しみを見せていた。
明らかに、様子がおかしい。
胸を抑え、すがるようにプレシアの杖を握りしめているのが見えた。
「クルーゼさ…!!」
我を忘れて、飛び出そうとした瞬間だ。
胸の奥に、黒い思いが湧く。
助ける必要が、あるのか?
ピシリ、と何かにヒビが入る音が聞こえた気がする。
瞬きの刹那に、キラが瞼の裏に見たのは、割れそうな、種子。
―――――――――――護るから
その種子の向こうから誰かの、声が聞こえた気がする。
誰の声?
知ってる。
けど知らない。
秒にも満たない時間。
砕けそうな種子の隙間からこぼれてくる感情は、まるで憎しみ。
助ける必要が、あるのか?
殺意を以て、高速で爪を突き立てんとするリリィ。
四肢を息も絶え絶えで動かすクルーゼ。
心にあるのは、クルーゼに対する昏い思い。
今のキラが、知らない思い。
知れば、どうなる?
種の向こうに、何がある?
どうせならこのまま見殺しに―――
「できるわけ!! ないじゃないか!!」
キラが飛んだ。
◇
「デュランダル!」
『OK』
氷結の杖を高らかに掲げれば、アリアを中心に寒気が集う。
かき集めた水分を凝固させ自動車ほどの巨大さの氷塊を20ほど仕上げれば、その全てがアリアの頭上に停止。
「アイススマッシュ」
振り下ろされるデュランダルに従って、氷塊は隕石の如くガイアへと殺到。
ガイアに取りついて間接部位への攻撃を続けていたロッテが退避するのとほとんど同時にガイアも飛びのくが、無数の氷塊がボディを叩いた。
どうもガイアはシールドやバリアと言った防御魔法は使わず、装甲のみで戦う。
そんなガイアの装甲だ、こんな氷では突破できないだろう。
だが、無意味でもない。
「ロッテ、ザフィーラ! 左足よ!」
アリアの声よりも速く、ロッテはガイアの左足へと取りついていた。
このガイア、実は装甲が全然均一ではない。
当初、その突撃力と攻撃力にザフィーラさえ舌を巻いていたが、ロッテがしゃにむに動き回ってくれたおかげでその奇妙な事実にたどり着く。
例えば右腕はレヴァンティンで傷つけるのが精一杯でも、左足はアイススマッシュ程度の衝撃で痛んでしまったりするのだ。
未完成か、失敗か。
前者だったのだろう、と孵した張本人と言えるアリアは考えているのだが実際は良く分らない。
攻撃だけを考えれば完成していると言っていいほどに強力で、正直3人だから有利なだけで、2人だと各個がすぐに殺されかねないほどなのだが。
「カートリッジロード! 斬れろぉぉお!!」
ガイアの操る二刀のビームサーベルをザフィーラのサポートを得てかいくぐり、ロッテが吠えた。
右手のレヴァンティンが閃けば、ざっくりとガイアの左足の装甲が裂ける。
露出する装甲の向こうには濃密な魔力の流れと、それを整える電線や血管のようなコードの数々。
そこへ、左手のレヴァティンを突き刺してさらにカートリッジを消費した。
「燃えろ!!」
発火。
あっという間に露出して視認できる部分が黒こげになる。
そして、レヴァンティンから生まれた炎を置き去りにしてロッテが逃げた。
「爆ぜろ!!」
一声。
爆裂。
ガイアの左足膝から下の装甲が派手に砕ける。
バランスを崩すガイアへと、鋼の軛が殺到するも、主リリィに似て野性さえ感じさせる動きでかわし、あるいは両手に握るサーベルで薙ぎ払って逃げてしまう。
「ロボのくせに生意気!」
肩で息をしながらロッテが汗を拭う。
3人中、ロッテが最も動いているのだがまだまだ鋭さは失われていない。
さらに追撃する鋼の軛から逃げるルートに、ロッテが割り込む。
突き出されるガイアのサーベルをレヴァンティン二振りを重ねてブロック、接触の瞬間、カートリッジが舞った。
「爆ぜろ!!」
爆炎。
魔力で構成されたサーベルはかなりが霧散し、なによりガイアの勢いも削げる。
そしてロッテが自爆の爆風に吹き飛ばされながら見たのは、ガイアの左足を串刺した鋼の軛。
爆破した装甲を縫うように突き刺さった鋼の軛に、ガイアが一気に態勢を崩し海に右足を突っ込んでしまう。
「メガスプラッシュ、スタンバイ!」
『OK』
急降下したアリアがデュランダルを海に突っ込んだ。
ガイアが高度を上げようとする寸前、海中の右足に絡むように渦が現れる。
ガイアを海に引き込もうとするその渦は、魔力の渦。徐々に回転を上げながら、渦の中心へと冷気が流れ込んでくる。
飛べず、あがくガイアは抜け出せない。
「メガスプラッシュ!!」
渦の中心より巨大な氷の槍が天へと伸び、ガイアを突き刺した。
左足の爆ぜた装甲から侵入した氷の槍は、ガイアのかなり深い部分まで侵入。そのままガイアを動けなくしてしまった。
ガイアの内部で稼働を担うリンカーコアのいくつかを凍え砕く。
「よし!」
「ロッテ、ザフィーラ!! あたしはこのままガイアを凍らせる!! 2人は卵に!!」
アリアの叫び声に、しかし飛んだのはザフィーラだけだ。
ガイアの足止めに自爆まがいの爆発をしたロッテはやっとアリアの高度まで昇ってきたばかり。
いくらかガイアのライフルに尻尾が焦がされてしまうが、凍えた魔力で内部まで刺し貫いたせいか間違いなく出力が落ちていた。
「チックショ―、爆発強すぎたぁ」
結局アリアと合流、2人でガイアのライフルをしのぎながらデュランダルへと魔力を注ぐ。
◆
飛び散る血しぶきを、もうろうとする意識の中でクルーゼは見た。
痛みはない。リリィの突撃を初撃は防いだ気がする。その、次の一撃はさけようもなかった気がするが、痛みはないのだ。
苦しみのせいかと思ったが、そもそも自分の血でないと理解したのは、リリィ以外にもう1人の人間が目の前にいる事に気づいたからだ。
「キラ……ヤマ、ト…」
徐々に視界が明瞭になって行く。
プレシアの杖から流れ出る光に緩和され、苦しみは退いている。
自分をかばうように、リリィの攻撃を体を張って止めてキラが痛手を受けていた。抑える脇腹から血が溢れている。
「どうしたんですか、クルーゼさん!」
「なんでもない……君は卵を何とかしろ」
「そんな、あんな苦しそうだったのに何でもないはずないじゃないですか!」
キラが言寄るのを無視し、苦しみのせいで霧散してしまったフォトンスフィアを補充、リリィへと発射する。
対するリリィも、キラを無視してフォトンランサーをくぐりクルーゼへと斬り込むばかりだ。
さらに魔力で編んだ長い尾のようなものまでリリィの腰部から生え、それを鞭のように使ってくる。
明らかにクルーゼが操る鞭を意識して編み出した戦闘手段だ。
そんな魔力の尾という一手の追加が完全にリリィを優位に立たせた。
リリィの高速にやっとついていっている状態だったクルーゼでは最後の最後で尾に刻まれる。
「く……」
「クルーゼさん!」
「ヤマト!」
結局、クルーゼを心配して動かなかったキラがフォローに回ろうとすれば、ザフィーラが到着。
リリィへと勢いに乗ったままリリィに掴みかかって行く。
拳から身を翻しざまにリリィは、ザフィーラのざっくりと裂けた胸部の傷に重なるように魔力の尾でさらなる斬撃を加えて逃げた。
傷口に新たに突っ込まれた痛みにザフィーラが呻きながら手をあてる。
「ここはいい、お前は卵へ行け!」
「は、はい!」
叱咤とともに弾かれたようにキラが飛んだ。
歯をきしりながら、もちろんリリィが妨害に空を走るが、
「ゴホッ……行かさんよ」
口元を押さえるクルーゼに塞がれる。
支援!
「どけ……どけぇ!」
両手の爪、魔法陣で受け止める、受け止めた瞬間に砕けた――爪は届かない。
両足の爪、グリンガムフォームを絡める、3本の鞭全て切り裂かれた――まだ爪は届いていない。
そして、鞭のように唸ってリリィの尾がクルーゼの顔面へと跳ね上がる――クルーゼは、動けない。
だから、
「ここでリリィ=クアール=ナノーファー、貴様を捕らえる!」
その魔力の尾をザフィーラが叩き落とした。
憎々しげに唇を歪ませるリリィへと、ザフィーラが飛んだ。
まずリリィへと到達するのはフォトンランサー・ドラグーンシフト……と、言っても現状で滑らかに動いているフォトンスフィアは7つに満たない。
軽やかに宙を舞うリリィに、あるいは避けられ、あるいは切り裂かれる。
その合間を縫って、ザフィーラのハンマーパンチが振り下ろされた――空振り。
体を不安定にしたザフィーラへと、尾が刃となってしなる。狙いは首。
だが、その尾もグリンガムフォームに弾き飛ばされあさっての方向へと流れていった。
「縛れ! 鋼の軛!!」
魔法陣から稲妻のように駆ける拘束条。
しかし、遅い。
鋼の軛が突き刺すのはリリィの影ばかりだ。
さらにグリンガムフォームの追撃まで加わり八方攻撃がリリィを襲う。
それでも、それでもなおリリィは避け続けた。
「おぉおお!!」
まるで、業を煮やしたかのよう。
鋼の軛を踏みしめて逃げ続けるリリィへと、クルーゼが突っ込んだ。
片手で3本のグリンガムフォームを操りながら、さらに片方の手で小刻みにフォトンバレッドをリリィへと浴びせていく。
それでも、捕らえきれない。
かすめるし、当たりもするがリリィの足を止めるには至らないのだ。
1時間前のリリィならば、倒せていたようなザフィーラとクルーゼのコンビネーションは現在のリリィに通じない。
それと同じ速度で強くなっていくクルーゼでは、届かないのか。
「く…おおお!!」
「前に出過ぎだ!!」
逃げるリリィを追う形だったクルーゼが、リリィに追い付きかけてしまう。
爪が届く範囲。
リリィが強く空を踏んだ。
反転。
3本の鞭は、すれ違いざまに全て断たれる。
交錯。
プレシアの杖が、2つになる。
クルーゼの左腕、肘から肩にかけて裂傷。
血飛沫。
クルーゼが振り返ろうと身じろぎ。
もうリリィはクルーゼの、背後に戻ってきている。
爪が、振り下ろされ、
「ライトニングバインド」
ない。
深いため息とともにクルーゼが振り返れば、そこには四肢を金色に縛られるリリィ。
爪はもうあと2秒あればクルーゼの頭を叩きわっていた距離。
「ようやく、捕らえ 「後ろだクルーゼ!!」
ザフィーラの声に、反射的に飛びのいたクルーゼの脇に、寒気のするような影が通り過ぎる。
影は、そのままクルーゼを抜いて、リリィへ到達し、
「え」
リリィの胸を貫き、何かを掴んだ手が背中に現れる。
トライアだ。
ずるりと腕を引き抜けば、その手には、小さな小さな、卵。
「シ…」
リリィが消えた。
あっけなく、余韻もなく、光も音も、何もなく、消えてしまう。
「危ない危ない、これを取られるわけにはいかないんでね。ま、緊急処置だったのは間違いないし、これで第二位の所有権をもつ僕が光の卵のマスターだ」
ギュッと、手の中の卵を握りしめれば、トライアの体へと溶けていく。
「トライア!」
間近すぎる間合い、クルーゼの蹴りが叫びとともにトライアへと飛んだ。
その足裏を踏んで大きく逃げながらトライアは笑う。
「あは、いい感じにボロボロじゃない。扱いずらいったらなかったけど、流石マスターに選ばれただけの事はあったんだ、あの娘」
「貴様……」
ザフィーラがトライアをクルーゼと挟む格好に持っていくが、レヴァンティンを構えるトライアへ踏み出せない。
明らかに、光の卵を取り込んで強くなっている。
「君たちを潰すなら、まさに今なんだけどねぇ。夜天の王さまもいない、手駒も消耗してるとなると、割と不利だ、ここは退くよ」
「逃がすと思うか?」
「別に、逃がしてもらおうなんて思っちゃいないけど。あれ見ても、まだそんな事言える?」
トライアが指さす方向、50メートル級の卵、その転送魔法陣。
そう、転送魔法陣は健在だった。
それだけでもキラの身に何かあったのか直感できるが、そこにザフィーラは見た。
キラと、もう1人の少女を。
「ヴィータ!」
「油断大敵、ってね」
丁度、ヴィータがキラを海にまで叩き落とす所を目で捉えた瞬間、ザフィーラは背後からの熱気に気づいて逃げた。
半面をトライアの方へ戻せば、レヴァンティンから放たれた猛火の熱線。
熱された空気が悲鳴を上げるのを聞きながら飛びのいたザフィーラは、直撃こそ免れるが背が焼ける嫌な匂いを自分でかぐ。
灼熱の痛みを耐えながら向かってくるザフィーラへ、トライアがさらにもう一撃を加えようとして、止めたのが見えた。
クルーゼが動いたのと、クロノ、フェイト、アルフの声が聞こえたのだ。アースラ組が追いついたわけだ。
トライアとヴィータが転送魔法陣の輝きへと身を投じる。
クルーゼ、フェイトが即座に接近し、クロノが砲撃を試みるが卵の頂上付近にいたシグナムの弓のせいで結局誰も何も出来ない。
50メートルほどの巨大が完全に輝きに包まれれば、間をおかずに光の矢となって天へと消えていった。
任務失敗。
終わりです。
すみません、途中で「書き込みすぎ!」と怒られたので、
別のパソコンでやってみようと試みたのですが、
結局同じトリップでははじかれたので名無しで投稿しきってしまいました。
当たり前というか、見ればわかるんですが
>>627>>628>>629は
>>625の続きです。
ガイアの使い方がへたくそ過ぎたのにorzとなりつつ、それでは失礼しますね。
誤字発見
>>605 >カナード『ガ郵政』になる。
「が優勢」に修正が必要です
>>失われた者たちへの鎮魂歌氏GJ!!
キラとクルーゼの共闘とは今までにない展開ですなぁ。
しかもキラの記憶と心の闇も出てきて心境的にもおもしろくなってきました。
次回も期待しています!!
各職人様GJ!
しかし今日は寂れてるなぁ…
投下がないときは静かなくらいがちょうどいい
シン女難の方の活気が羨ましい
以前とすると住人も減ってるしな
それは決別にあらず氏みたいな短編が多ければ活気づくのかな?
さぁ、というか、短編なんかかなり投下されてたんだぜ?
各職人GJ!
まぁ後は会社やら学校が忙しくなってきたとかもあるかもしれないから、しばらくは流れに乗ってみるのもひとつかもよ
ちんぽすれ
シンやキラが最初からなのは世界の住人っていう設定はどう思う?
クロスっぽくなくて書くのを躊躇してしまったんだけど
シンとキラじゃあ無くって、キラとアスランが最初からなのは世界の住人というのなら、某所で見たことありますよ。
神隠しアナザーもオーブにウミナリがあったりしてるし…、設定つくればいいんじゃないかな。
というか神隠しStS19話はまだかな〜…読みてぇ〜
>>642 鉄也スレか?
あんなクソスレどうでもいいw
どうも〜とりあえず「それは決別にあらず」の続編を書いてみた。
だが戦闘シーンなんて書けてないし、目指していたスーパーティアナタイムも先送り。
ただオレ的ギャグと無茶設定がテンコ盛りな話……とりあえず投下して良いかい?
あと題名を考えなければ……短編の題名引っ張るのも変だしね
来い来い
いや、むしろ来て下さい
「ティアナ・ランスター、ガナーザク・ファントム! 出るわよ!」
と……私ことティアナ・ランスターは何時も通り叫んだ。だが他は何時も通りには行かない。
なにせ今はプラントの内部であり、船もドッグ入りの真っ最中。カタパルトで射出なんてする意味も全く無い。
私の操る赤みの強いオレンジ 黄丹色をメインに塗装されたザクファントムは静々と歩いて外へと出た。
機体を巡らせば一つ目のカメラアイが捉えるのは炎上する格納庫であり、MS規模の銃撃音と爆発音が僅かに届く。
「派手にやってるみたいね……」
ふと横を見れば軍事式典の目玉であり、進水式の主役である新造艦ミネルバの艦首につけられた特徴的なカタパルトから戦闘機のようなモノが連続して飛び立っていく。
母艦と合わせた画期的な運用システムとかで、進水式でデモストレーションをやる予定だったはずだ。
どうやらミネルバは戦闘艦として、司令部としてチャンと動いているらしい。迷わず私は通信機を叩いて呼びかける。
「ミネルバ、聴こえますか!? 当方はグラム所属のティアナ・ランスターです。現在の状況を教えて欲しい」
戦場で大事なモノは自分の腕と情報だ。自分の船は未だに戦闘状態には程遠く、情報も無い。
返事はザフトでは珍しくない若いオペレーターの少女の声で直ぐに来た。
「こちらミネルバ。奪われたのはセカンドシリーズのカオス、ガイア、アビスの三機。
現在三機ともハンガーを中心に破壊活動中、迎撃のMSが出ていますが戦況は思わしくありません
現在の戦闘地点は……」
そうだろうな。最新鋭の三機が周りを気にせずに攻撃してくるのだ。此方は自分の陣地と言う事もあり、派手な事は出来ない。
しかも式典用装備がごった返していて戦力的にも不足が考えられる。
「了解、情報感謝します」
「ちょっと待って、私はミネルバ艦長のタリア・グラディウスよ。貴女、新人じゃないわね?」
不意に通信に割り込んできたのは成人を超えて久しい女性の声。こちらは落ち着きと威厳に満ちたベテランといった印象。
「ヤキンを生き抜いたので、新人ではないつもりですけど……」
「では部隊違いも承知でお願いするわ、今からデータを送る機体への指示をお願い」
「なっ!?」
それは確かに部隊違いどころか例外中の例外。しかも非常時とは言え、そちらは命令系統も生きている。
一人で飛び出してきた私にそんな事をさせる必要があるのだろうか?
「先程見たと思うけどインパルスを初め、ウチのMSは新型が揃っているけどパイロットがアカデミーを卒業した新人ばかりなの。
実力は保証するけど戦場での経験はゼロ。故に貴女には経験に基づいた助言をお願いしたいわ」
そういう事ならば仕方が無い。これからは本来の仕事場であるグラムでもMSを指揮しなければならないのだ。
この程度で怖気づいていては話にならない。何よりも目の前で起きている事態に、最善の策を尽くさないのは許し難い怠惰だし。
「わかりました、微力ながら全力を尽くします」
送られて来た情報を見れば確かに気体の性能は申し分ない。これならば私は何時も通り後方から指示と援護射撃をしていれば良い筈だ。
ちなみに私が乗っているザクファントムは、ザクウォーリアと呼ばれるMSの指揮官用。
この機体を任されるのは指揮官であり、エース級。その為かウィザードは高機動用のブレイズや接近戦重視のスラッシュが選択されることが多い。
だけど私は「やっぱり射撃だよね!?」の信念の元、ガンナーを使っている。正直な話、指令を出すならちょっと後方に居る方が都合がいいと思う。
え? 執務官になる為に一人で戦える射撃型を目指していたんじゃないかって?
あんな事ができるのは魔法だけよ……少なくとも私は無理。同期生は優秀な奴ばかりだったから解らないけど。
現場に到着したティアナが見たのは、まさにピンチなインパルスの姿だった。
反射的にガナーザクのメインウェポンである、オルトロス高エネルギー超射程ビーム砲を構える。
照準は今まさにインパルスに飛び掛り、砲撃を加えようとする強奪機体の射線上。
直撃すれば戦艦すら一撃で轟沈させるエネルギーの奔流に気がついて、強奪機体達がとっさに距離を離す。
今はじめて乗った機体を動かしているとは思えない反応の良さに、思わず私が顔を顰めていたらインパルスから通信がきた。
「助かった! こちらはミネルバ隊のシン・アスカだ」
「どういたしまして、私はティアナ・ランスターよ。グラディス艦長から臨時指揮権を貰っているわ。以後私の指示に従うように」
「なっ! そんなの聞いてないぞ!?」
「当然よ、知っていたら臨時じゃないわ」
「そりゃそうだけど……」
映し出されたのは確かにトップガンである紅いパイロットスーツに身を包んだ、赤い瞳と黒い髪が印象的な少年だった。
もちろんこんな会話を交えている時も、強奪機体 ガイア・カオス・アビスを相手に銃撃戦を演じているのだが。
「戦場では上司の命令には服従よ。これでも君よりは先輩なんだから」
「解った……で? どうすれば良い」
「とにかく時間を稼ぐ……なんでそんな時間を稼げなさそうな装備なのよ……」
奇襲を受けてガタガタだがココは間違いなくザフトの軍事基地だ。時間が経過すれば持ち直した部隊が増援として現れるだろう。
そして何よりも敵にはこの内部でバッテリーを補充する術が無い。上手くすればエネルギー切れで無傷で確保可能。
だと言うのに……インパルスの装備は男の子の浪漫が詰まったような二本の大剣。
これでは倒すにしろ、倒されるにしろ、逃げられるにしろ短期決着が目に見えている。
「そんな事言われても……」
「まあ、良いわ。とにかく私が射撃で敵の足を止める。貴方は敵の一気に密着して攻め続けて」
「? それじゃあ逃げられるんじゃ……」
「射撃が得意なアビスに近接戦闘を挑み続ければ、アビスはお得意の重射撃は行えないわ」
「なるほど……流石は先輩!」
威勢の良い返事とともに、インパスは連射していたビームライフルをウェポンラックに収め、男の子の浪漫を構えて突撃。
その潔さと度胸はかなりの物。無茶しすぎて死ななければきっと伸びる。あとこの子は多分スバルみたいに単純だと確信した。
「……結局ミネルバに着艦してしまった……」
若干ドンヨリとした表情でザクファントムのハッチからミネルバのMSデッキに降り立ち、ティアナ・ランスターは呟く。
本来ならば自分はグラムの所属であり、非常時と言う事で指示まで出したが、まさか着艦までする事になるとは思わなかった。
まあ、エネルギーが残り少ないのだから仕方が無い。補充が終了したらお暇しよう……なんて思っていたティアナの予定は色々と狂う事になる。
まずは……緊急着艦と言う形になった為、挨拶に向かったタリアの言葉だった。
「当艦はこれより強奪部隊母艦に対して追撃任務に入ります」
(まあ、当然よね。これを取り逃がしたまた戦争なんて事に……)
「貴方には文字通り乗りかかった船と言う事で、引き続きMS部隊の指揮をお願いしたいの」
「なっ!?」
続いてはそんな艦長よりも偉そうにブリッジでふんぞり返っている人物が話しかけてきた。
「私もぜひ君を推薦したいね」
「議長!?」
「ハッハッハ〜昔のようにギルと呼んでくれて良いのだよ?」
そこに居たのはギルバート・デュランダル。紛れも無いプラント最高評議会議長であり、難民として入国したティアナの後見人でもある。
「むっ昔は何も解りませんでしたし、今とはお互いの身分が違います!」
「そうかい? ソレは残念だ。ならばその身分の上でも頼みたいのだがね?」
「うっ……」
自分で昔を否定し現在の身分を引き合いに出した以上、ソレを否定することは出来ない。むしろ最高評議会議長の『お願い』を断れる人間などそう存在しないだろう。
ちなみにタリアが『ちょっとギル! その娘にも手を出しているの!?』みたいな視線を向けている気がしたが、気のせいだと思いたい。
「謙遜する事は無い。君の実力は同期たちの中では目立たないものだったかもしれないが、あの世代のパイロットコースは特に優秀なものが多かった」
そんな事を言われるとティアナとしては色々とへこむ。
基本的に一番を狙い続けている体質であるゆえ、コーディネーターではないという裏事情を考慮しても、自分よりも上位の赤服四人との差は広かった。
「緊急時の臨時移動だが最新鋭艦であるミネルバのMSの指揮を執る事になるわけだ。これは栄転だよ? 私は君に期待している、閃光のランスター」
「はぁ……了解しました。謹んでお受けします」
いつの間に付いたのか解らない二つ名を出され、しかも「栄転」なんて言う無言の圧力まで加えられて、ティアナはあっけなく要求を呑んだ。
「はぁ……シン達になんて説明しよう」
パイロットが集まっているだろうレクルームに歩を進めながら、私ことティアナ・ランスターは大きくため息をついた。
グラムに馴染むのも時間がかかったのに……アァ、ため息が多い。ふと通路の角でおかしな人物と遭遇する。
まずこの軍艦であるミネルバにおいて軍服を着ていないことがオカシイ。そしてありえないセンスの大きなサングラスがオカシイ。
さらに服のセンスもオカシイ。ついでに年のワリには髪の生え際がオカシイ。つまりハゲだ。
数秒にらみ合いの後、その男が呟く。
「……ティア?」
「ティア言うな!!」
「グホッ!?」
はっ!? 思わず右ストレートを炸裂させてしまった。私をティアと呼ぶのは此方の世界ではある人物を除いて居ない。
と言うかティアと言うのは親しい人間が使って良い愛称なのだ。ソレを乱用する生え際がヤバいコイツはやっぱり……
「なにやってんのよ、こんな場所で……アスラン・ズラ」
「ズラじゃない! ザラだ!!……はっ!? 違う、私はアレックスだ」
「ネーミングセンスも死んでるのね?」
どうやら予想していた人物だった。本名はアスラン・ザラ。私のアカデミーの同期であり、表現するのも面倒なほどの有名人。
若気の至りとは言えアカデミー時代にこんな奴と付き合っていたとは、我ながら恐ろしい過去だ。
もちろん口では言えないことはしてない。まあ本当に若気の至りだったんだ。アカデミーの卒業でなし崩しに別れる位だし。
当時はラクス・クラインと婚約関係にあっただろうに……私を破滅させる気だったの!?
戦後はオーブに身を寄せているという話だったけど……まさか!?
「アンタ……アーモリーワンに居たんでしょ? なにをしに来たの?」
「えっと……」
「まさか……観光?」
尋ねて来られるのはオーブに逃げ出したコイツ位だと思っていたが、どうやら本気で暇らしい。
こんな奴に追いつく為に私は必死に努力したり、付き合ったりしていたのかと思うと腹が立ってきたぞ。アスランが弁解を述べる前に、反射的に動いていた。
「歯を食いしばりなさい! ニートなザフトのエースなんて……英雄なんて……修正してやるわ!!」
「ちょっとま……」
打撃音。
修正はオーブのカガリ代表が『それくらいで勘弁してやってくれ。帰ったら職を探させる』と言ってくれるまで続いた。
以上です。正直すまなかった。
ティアナの変人超人の中に居た苦労症とツッコミ的なボケが書きたかっただけなんだ。
戦闘シーンを華麗に素っ飛ばしているのは、正直原作以上の事書けなそうだったので……
もし続きを書けたら今度こそスーパーティアナタイムを……書きたいな(遠い目
>>652 GJ
色々、面白そうな設定があって続きが読みたくなるぞ
654 :
通常の名無しさんの3倍:2007/10/02(火) 19:30:25 ID:Rh7H31aZ
日記(仮)の人 GJ!
……それとそこの凸、ちょっと裏までツラ貸せや
GJ!
それにしてもカガリに職探させるって言われるということはボディーガードすらまともにしてなかったわけだ。
それにしても婚約者いるのに付き合うって凸は何考えてんだ本当に……
やつの裏切り癖はそんな前から存在してたのか?
ティアナ日記氏!
GJです!
アスランwwwなんと言うダメ男。
予め予告です、明日は秋の神隠しスペシャルということで、間に合えばStS19 20話を一挙投下予定。
出来ればアナザーもお楽しみに!
いや……ちょっと唯の同期生じゃ繋がり薄いかな〜と思って追加した設定が大反響。
ギャグを優先するあまり、最後はアスランが仕事してない終わり方ですがそんなことは無いです。
まあ、あのボディーガードも完全に自宅警備と変わらない職場な気もしますw
つきあっていた設定の元になるアカデミー時代の話(理由などを含めて)も楽しそうだな〜と妄想だけが止まらないw
あぁ、そう言えば幻の超絶エンドがあるんだけど……読む?
おおおお・・・・お願いいたします〜。
どいつもこいつも女難スレ行きやがって!
今すぐ戻って来いお願いします
けど、女難スレほど規制にうるさい場所も無いだろ
あそこは作品の制限が一時期凄まじかったからな。
職人をスレから追い出したりもあったし
ハイぺリオンGマダー?
>>660 まぁ大元の原因は今は懐かしい三■目なんだけどな
このスレではないが、文章投下したことのある俺としては……
向こうは、読む分には楽。
んで、小ネタにしても続き物にしても文章書くのってけっこう疲れるんだわ。
そうなると、実際投下の多いシン女難でも見るかww とね?
俺の経験的な観測だ。参考程度に読み飛ばしてくれ。
このどうでも良いティアナ日記のIFストーリーは「それは決別にあらず」を読んで少しでも感動してくれた人は読まないことをお勧めするw
私は急遽割り当てられた部屋へと向かっていた。寝るわけでは無いが横になるだけで疲れはある程度抜けるもの。
これから来るであろう激戦に向けて、英気を養わなければならない。
「お疲れ様、ティア」
「う〜ん、ちょっと横になるから」
かけられた声に自然な反応を返し、私は軟らかくも無いベッドに仰向けに身を投げ出した。
枕に顔を埋めて数秒後、ふと気が付く。
『あれ? 今の声は誰?』
私をティアと呼ぶだろう人物は、先程戦闘不能にしてきた。
コーディネーターだから回復は早い筈だがハゲも毛根は死滅中だが、脳味噌までは絶滅していないから学習能力がある。
故に行き成り私の部屋に現れて馴れ馴れしく『お疲れ様、ティア』なんて言わないだろう。
じゃあ……今私の部屋に居るのは誰だ? なぜか顔を上げて確認するのが怖い。
いわゆる破滅的なシナリオが、バッドエンドならぬギャグエンドが待っている気がする。
「でもスゴイね、ティアの乗っていたロボット……ザクだっけ? 質量兵器だけど、やっぱり人型ロボットには浪漫があるよ」
ザクをロボットと表現している辺りで、この世界ではありえない常識力を持っているらしい。
と言うか……この声は……忘れるわけが無い。無いが……『ガバッ!』と勢い良く声の方へと顔を向ければ……
「スバル……」
スバル・ナカジマが居た。現象としてはそれだけ。二人用の部屋だからもう一つあるベッドの上に座っている。
抜けた笑みを浮かべ、巨大ロボットの浪漫について語る瞳はキラキラと輝いていた。アスランに発した時よりも呆然とした色を秘めて呟いた。
「何やってるの?」
「帰ろうとしたんだよ? でもね……」
そうだ……あんな感動的な別れをしたと言うのに、こんなにあっさり再会していたら、『感動した』とか『これぞ本当の友情!』とか『ハゲって言ってやるなw』とレスをくれた住人様に怒られる。
「私から説明しようか?」
「議長!?」
どうしてここで議長が出てくる!? 余計に訳が解らなくなった私をおいて、議長は語りだした。
「実はミネルバに来る途中で流れ弾ならぬ、流れミサイルが私の側に着弾してね。 跳ね上げられた大きな破片が私に襲い掛かったんだ」
『最初はまともな政治家、なぜか徐々に黒くなり、いつの間にか悪の親玉になると言う数奇な運命すら全うする事無く人生を終えるのか思ったよ』
……なにやら良く解らない今後の展望や、シナリオへの不満をぶつけていた議長が現実世界に復帰すると、スバルの手を握って告げた。
この男!? グラディス艦長だけではなく私のスバルにまで手を出す気か!?
「そこで颯爽と現れたのがスバル君だ。
凄まじい速度を叩き出す『ローラーブレード』で私の前に飛び出し、襲い来る破片を『勇者王のようなグローブ』を装備した手で粉砕してしまった。
本当に君は私の恩人だ。何度でも礼を言うよ? ありがとう、スバル君」
「イヤ〜『困っている人を助けるのは当然ナノ!』って上司に良く言われてますから」
なにやら恥ずかしそうに頭を掻いているスバルを議長から引き剥がし、私は部屋の隅っこに拉致。ゆっくりと尋問を開始する。
「議長を助けたことは礼を言うわ、ありがとう」
「そんな! お礼なんて水臭いよ? ティア」
「別にそれに文句は言わないわ。でもなんでミネルバまでついて来たの?」
「えっとね……この世界は魔力がとっても発現し難いのは知ってるよね?
だから帰りの転移も向こうからの回収する力だけじゃなくて、此方から位置を伝えて送り出す必要が有るんだ。
そうしないとほぼ偶然見つけただけの遠い座標に送ることも帰ることも出来ないって訳。
もちろん私とティア二人が帰れるだけの力を込めた、特殊なカートリッジを貰っていたんだけど……」
アァ……何となく解った。コイツはつまり……自分がミッドに帰還する為に必要な魔力を……
「使っちゃったのね? 議長を助ける為に」
「やっちゃったゼ」
「このバカァアア!!」
しかし議長を見殺しにしろ!なんて言えるわけも無く、それは『アノ人』の教えにも背く事になる。
つまりスバルは仕方が無く使って帰れなくなったわけだが……それに此方が行き成り戦闘状態になるなんて六課の面子も予想していなかったのだろう。
「と言うわけだから、しばらく私もこっちでお世話になるね」
「お世話って……どう言う事?」
「ティアナの知り合いならば身元保証位するよ、私は。ついでに職の斡旋もね」
アァ〜そういう事ですか、議長。アレですか? 『CEでもスバティア!』みたいな作者の願望ですか? 確かにその方がクロスの意味があるかな〜とか思ったりもしますけど
だけど自分は帰還を拒否し、スバルまで帰れない状況を作ってしまった私は……
「ナノハサンに殺されるかもしれない」
「大丈夫だよ、なのはさん優しいから」
「その台詞が真実なら模擬戦で二回も砲撃されたりしないわ、私」
目の前に迫っている戦争の音よりも『少し頭冷やそうか?』と虫けらを見るような作画崩壊な目を向けてくるだろう元上司が怖い。
余計に帰りたくなくなってしまったではないか……
以上が幻の超絶IFでした。
こっちが良い!なんて思われた方には砲撃が(ry
スバル、ティア二人ともちょっと頭冷やそうか?ついでにそこのわかめもって言ってくれるはずだ。冥王様なら
あれ、窓の外がピンクには光っ(ry
>>667 GJです
ど っ ち も い い
「どっちでもいい」わけじゃなくて「どっちもいい」
IFギャグ色だけどきちんと帰れない魔力云々につじつま合ってくれてるしスバルがとってもスバルだし
なぜかギャグ色が強くなると議長が立つなぁ
GJ!!です。タティアナサンと付き合ってただと・・・あの禿げめッ!!
しかも婚約した状態でだッ!!ゆるさねえッ! 本編とあわせて 再び オレの心を『裏切った』ッ!
関係ないですが、タティアナサンは誰かとくっつくんですかね?
くっついて違和感がないキャラって誰だろう?
アーサー
炒飯
カズイ
ノイマン
スバル……冗談です。
仕事一筋じゃ駄目ですか? そうですか……
私はニコルがいいと思ってたのですが、キラに対艦刀一文字切り、別名『ニコル殺し』
を喰らって故人になってしまったんだよなぁ。
アスランがまた裏切ったとき、シン以上に切れて欲しいです。
なぜかCEに飛ばされてきて、ガナーザクのスナイプでティアをピンチから颯爽と救うアニキことヴァイス
>>659 つか本気で帰って欲しいんだが。
本国から追い出された連中が移住先でやりたい放題
迷惑かけまくりとかどこの民族かと小一時間。
ナンバーズの一部はクローンベースらしい……
女体化アスランベースのディチャンノーヴェさん(仮名)
とか
ょぅι゙ょ化キラベースのヴェンティさん(仮名)
とか考えてしまった俺マジオワタ………
むしろはじまりすぎw
ちょっ!? それは素晴らしすぎるw
確かに始まりすぎだぜ!
第19話 ゆりかご
雲の上を行くアースラ。
本来ならば解体される予定だった時空間航行船。
しかし、はやての意思によってそれは先送りとなり、整備、修復などを行って再び発進することとなった。
理由はいくつかある。
代表的な理由としては六課の損傷がまだ修復出来ていないからであり、移動する本部が欲しいというはやての考えからだ。
「皆おそろいやな?」
ブリーフィングルームに入ってきたのははやてとグリフィスの二人。
すでに楕円のデスクの前にはティアナ、シン、エリオ、キャロ、なのはとフェイトが座っている。
「ちょうど今、今後の機動六課の方針が決まったところや。」
はやては椅子に腰を下ろし、グリフィスは脇にたったまま控える。
「残念ながら事件の対応は現在、後手に回っています。
地上部隊だけでの調査を頑に主張し、本局の介入を拒んでいます。」
「そう言うわけで、本局所属の機動六課には捜査状況などの報告など一切公開されません。」
グリフィスの言葉をついで言うはやてはさらに続ける。
「そやけどな、うちらが追うのはその事件の調査でも、主犯格のジェイル・スカリエッティでもない。
ロストロギア、レリック。その捜査線上にスカリエッティとその一味がおるだけ、そういう方向や。
その過程で誘拐された108部隊、ギンガ・ナカジマ陸曹と、うちのライトニング所属のキラ・ヤマト。
それからなのは隊長とフェイト隊長の保護児童のヴィヴィオの捜索救出する。
そういう線で動いていく。」
はやては何か意見がないか、隊員たちを一眺めし
「後見人の皆さんの黙認と協力はちゃんと固めてあるから大丈夫。」
なのはとフェイトの心配そうな顔色を拭う。
「捜査、出動は本日中の予定や、皆、準備万端で待っててな。」
はやてはそれだけ言うとブリーフィングルームからグリフィスと共に出ていった。
今後の方針を聞いた隊長陣を除いたフォワードメンバー四人はとくに行く宛てもなくアースラ艦内を歩いていた。
「あれ、スバルさんじゃないですか?」
エリオの声でティアナ、シン、キャロが会話を中断、目の前の挙動不審なスバルへと視線をうつす。
「おい、こっちだ、スバル!」
「お、シン、皆!」
パタパタと廊下を駆けてくるスバル。
「体のほうはもういいの?スバル」
「ん、もうこの通り!」
ティアナの言葉を受けて肩を回して見せるスバル。
「あ、そうそう…、シン。」
「んっ?」
スバルの手から手渡されるデスティニー。
「本局でマリーさんとシャーリーさんから預かってきたよ。
それから…。」
空間モニターを開き、本局に通信を繋ぐ。
『お、スバルからの通信ということはデスティニーをシンに渡したってことかな。』
「シャーリーさん?」
モニターに写っているのはシャーリーの姿。
『どうも、シン。じゃあちょっとだけデスティニーについて説明させてね。』
「えっ…。」
『今回、皆のデバイスのメンテをする際、スバルのマッハキャリバーとシンのデスティニー、この子たちは勝手に強化プランを考えてしまったの。
マッハキャリバーの方は魔力消費、重量増加なんかがあったからスバルに意見を聞いたけど…。
デスティニーに関してはデバイスのフレーム強化だけで済んだわ。』
「重量とかは?変わらないんですか?」
『大丈夫、そこはフリーダムを修理する際に使った技術、フェイズシフトを使ってるから…。』
それで…とシャーリーの表情が険しい顔になる。
『エクストリームブラストシステムについてだけど…。』
「?何ですか、それ?」
聞きなれない単語に眉をひそめるシン。
『できれば、ずっと使わないで戦闘を終えてほしいの。』
「それって、どういう…」
とシンのかわりにティアナ。
『エクストリームブラストシステムはなのは隊長のブラスター、フェイト隊長のライオットより遥かに扱いが難しいし…
何より、万一、このシステムを使って決着をつけられなかった場合、確実に負けるわ。』
場に沈黙が流れ、そしてその沈黙を破ったのはシンだった。
「使わないでって、じゃあ何でそんなものつけたんですか?」
シャーリーは首を振る。
『これはあくまで私の判断だから、従う従わないは自由だよ。
ただ、データ上ではスピード、パワーが飛躍的にアップするけど、発動条件がカートリッジ六発と術者の魔力全て。
使うタイミングも難しいうえ、デバイスが無理矢理術者の力を引き出すから自分が思う以上のスピード、パワーがでてコントロールしづらい。
最大スピードはフリーダムのヴォワチュール・リュミエールと同等かそれ以上。
ただ、時間をかけて加速し、最大スピードに到達するフリーダムに対し、デスティニーはその時間が必要ない。その分、有利だけど…。』
「俺の魔力が切れたら敗けは確実…か…。」
うつ向き、何やら考えるようにして呟くシン。
「な〜に暗い顔してんのよ。」
バシンッとシンの背中を叩くティアナ。
「あんたが魔力切れで動けなくなったら、私が幻術で援護ぐらいするわよ。」
「私とフリードもです!」
「キュ、クル〜…。」
胸元で両手に握り拳を作り、キャロ。
「僕もきっと駆け付けます!だから、安心してください。」
しっかりした表情でエリオが言う。
「私も…必ず!」
スバルも何やら決心がついたような表情で言う。
そんな四人と一匹を目の前に、驚いた顔していたシンは頷くと微笑んで言った。
「…サンキュー、皆。」
それから、改めてモニター越しのシャーリーと目を合わせ
「そういうことで…シャーリーさん。大丈夫です。」
シンが笑った。
思えば、こんなにはっきり笑ったのはいつ以来だろう。
シャーリーもそんなシンを見て安心したのか、がんばってね、そう言って通信を切った。
「俺も、お前らがピンチの時は絶対に助けにいくから……絶対に…。」
「期待しないで待っとくわ。」
ティアナが肩を叩き薄く微笑んで歩いていく。
「「お願いします。」」
そう笑ってエリオとキャロ。
「期待してるよ。」
と握手を求めるスバル。
そんな四人の背中を見送り、追い掛けようとしたその時、艦内に不吉を感じさせる赤いアラートの文字が浮かび上がり、警報がなり響いた。
モニターに写るのは交戦中の地上部隊。
相手はナンバーズとガジェット。
アインヘリアルは各号次々と制圧、占拠され、防衛の為に戦う魔導士たちの多くはナンバーズとガジェットのAMFの前に成す術なく倒れていく。
アインヘリアル1号機、クアットロ、ディエチ、セインにより制圧。
アインヘリアル2号機、トーレ、セッテ、ノーヴェにより制圧。
アインヘリアル3号機、ウェンディ、オットー、ディードにより制圧。
モニターに写る悲惨な光景を呆然と見つめる、シン、ティアナ、スバル、キャロ、エリオ。
そして、画面が切り替わり、アインヘリアル4号機。
朱色の閃光が次々と局員を吹き飛ばし、アレックスの振るう魔力刃に局員が持っているデバイスが次々と破壊されていく。
アインヘリアルに突き刺さる灰色の閃光、ラウにより、アインヘリアルは制圧された。
スカリエッティ、アジト。
「アインヘリアルの奇襲、制圧、ほぼ完了です。
妹たちも初回出動からのデータを全て蓄積、行動に反映できています。」
『あぁ…、いいねぇ、すばらしい…、すばらしいよ。』
「失敗が目立つ人造魔導士と比べて私たちはトラブルが少ないですね。」
『元は最高評議会の主導で管理局が実用寸前までこぎつけたのだからねぇ…。
それを私が随分と時間をかけて改良したんだ。』
ウーノはモニターを開き、スカリエッティと会話をしながら通路を歩く。
その隣には、キラが腕にヴィヴィオを抱き歩いていた。
「良質なはずです。」
『人造魔導士の製造も、ゼストやルーテシアが長期活動してくれたお陰で随分と貴重なデータをとることができた。
それに、コーディネイターとやらのデータも手に入ったしね。』
口を歪にゆがめ、スカリエッティは続ける。
『彼らの失敗と成功のお陰で、聖王の器も完成を見た。』
「この聖王のゆりかごを発見し、触れることが出来て以来、その起動はあなたの夢でしたから…。
その為に聖王の器たる素材を探し求め、準備も進めてきた。」
ウーノがとある扉をあけると、低い音をたてる起動音。
証明がひとつひとつ点灯し、白い直線を二本描く。
「いよいよ、あなたの願いが叶うときですね。」
『まだまだぁ…夢の始まりはここからなんだよ、ウーノ。
古代ベルカの英知の結晶を…ゆりかごの力を手にして…ここから始まるんだぁ…。
誰にも邪魔されない!楽しい夢の始まりだぁ!!!』
喜びを現すスカリエッティ、そんな彼をモニター越しに見ていたウーノ。
すると、不意にそのモニターに表示されるアラートの文字。
「侵入者!?」
驚きを隠せないウーノ、侵入者をモニターに写す。
姿はない。
しかし、防衛システムが攻撃をしかけ、目には見えないその何かを破壊した。
「こんな…洞窟の奥に?」
シャッハの声が暗闇のなか反響する。
「僕の猟犬を発見してその上一発で潰した…。
並のセキュリティじゃない。ここがアジトで間違いないね。」
白いスーツに映える長く深い緑の長髪、ヴェロッサ・アコース。
「すごいですね…ロッサ。こんな場所…よく掴めました。」
森に囲まれ断崖に空いた洞窟。
「シャッハ、いい加減僕を子ども扱いするのはやめてほしいな…。」
顔をしかめ、やんわりとシャッハに抗議するアコース。
背後にはアコースと同じ髪の色の光を纏う半透明の猟犬が数匹現れる。
「これでも一応、カリムやはやてと同じ、古代ベルカ式、レアスキルの継承者なんだよ?」
一匹の猟犬を撫でながらアコースが言う。
「無限の猟犬、ウンエントリヒヤークト。あなたの能力は存じあげていますよ。」
「まっ、今回の発見はフェイト執務官や、ナカジマ三佐の地道な捜査のものだけどね…。」
会話をそこそこ、シャッハのもつヴィンデルシャフトが警戒を促すと同時、洞窟から、それを囲む森からガジェットが出現した。
「くっ…囲まれたか…。」
「やはり、おとなしく帰してくれなさそうですね。」
「あんまり戦闘は得意な方ではないんだけど…まぁ、このくらいなら…。」
やれやれと呟くアコース。
「お任せください!あなたとカリムを守るのが私の勤めですから!!」
シャッハはヴィンデルシャフトを構えた。
アースラブリッジ。
「アインヘリアル一号機、ニ号機、戦闘機人たち撤収します!」
「前回より動きが早い…。」
「嫌な感じに分散しとるな、隊長たちの投入がしづらい…。」
「アコース査察官から直通連絡!」
シャーリーがはやてに告げる。
『はやて、こちらヴェロッサ。スカリエッティのアジトを発見した。
シャッハが今、迎撃に出てきたガジェットを叩き潰してる。
教会騎士団から戦力を呼び寄せてるけど…そっちからも制圧戦力を送ってくれるかい?』
「うん、もちろんやけど…。」
「戦闘機人アインヘリアルから撤収、地上本部に向かっています。
ッ!?ゼスト、アレックスと名乗る騎士たちも別ルートで向かっています。」
モニター越しに写るアレックスとゼストを見つめるシンとシグナム。
「廃棄都市から別反応、エネルギー反応膨大!これは…戦闘機人!?こちらも地上本部に向かっています!」
『映像が、今』
スバルが目を見開く。
長い紫色の髪、藍色のリボン、ブリッツキャリバー、そして…リボルバーナックル。
服装は違えど、見間違うはずがない。
その周囲には、ウェンディ、ディードがいる。
「ギン…姉ぇ…。」
その姿を目の前にして震える声で名前をスバルは呟いた。
スカリエッティ、アジト周辺を襲う地響き、しかし、原因はルーテシアにより、召喚された複数のジライオンによるものだ。
「なんだ?」
アコース、シャッハは粗方のガジェットを片付けたところだった。
あちこちの地面に亀裂が入り、断崖を覆う岩壁にも亀裂を入れていく。
『さぁ…いよいよ、復活の時だ…。
私のスポンサー所司よ、こんな世界を作り出した管理局の諸君。
偽善を詠う聖王教会の諸君!
見えるかぁい?君達が危惧しながらも求めていた絶対の力…。』
管理局全てのモニターに写るスカリエッティ。狂喜の笑みを浮かべ、目を見開き、嘲笑う。
艦体を覆う岩壁が剥がれ、姿を見せる、巨大な艦。
『旧暦の時代、一度は世界を接見し、そして破壊した。
古代ベルカの悪魔の英知。』
あまりに巨大な艦体を目の辺りにアコースが呟く。
「聖王の…ゆりかご…。」
『見えるかぁい?待ち望んだ主を得て、古代の技術と英知の結晶は、今その力を発揮する!』
台座に座り、いくつものコードに繋がれているヴィヴィオ。
時折、短くうめき声をあげるところを見ると痛みが走るのだろう。
『ママァ〜…。』
モニター越しに写るヴィヴィオの姿、悲痛な叫び。
『痛いよぉ…マァマ…ママァー!!』
台座の隣、すぐそばに写るバリアジャケットに見を包んだキラ。
両手に握られるフリーダム、二丁。恐らく、スカリエッティが完成させたのだろう。ヴィヴィオの悲鳴に少しだけ眉をひそめるキラ。
『怖いよぉ…、痛いよぉ…マぁマぁ!!!!』
甲高い悲鳴、レイジングハートを握る拳に力をいれるなのは。
そんな悲鳴を間近で聴いてもキラは顔色一つ変えない。
「さぁ、ここから始まりだぁ!」
スカリエッティの不快な高笑いがアースラ内に響きわたった。
とりあえず、19話終了です!
暇潰しにどうぞ。
さて、20話はまた後程。
それではまた!
乙乙!
エクストリームブラストktkr!
かなーり制限厳しいが、その能力は…
>最大スピードはフリーダムのヴォワチュール・リュミエールと同等かそれ以上。
>ただ、時間をかけて加速し、最大スピードに到達するフリーダムに対し、デスティニーはその時間が必要ない。
ゼロシフトじゃねーか!w
確かに、リスクに見合ったリミットブレイクだわ、納得
和田の光の翼現象の名称はもう決まってるんだっけ?
シンのデバイスは「ジェフティ」化したか…
乙&GJです! これは今日中に20話が来ると期待して待っていて良いのか!?
よし! 答えは聞かずに待っているぞw
神隠しさんキテタ――(゚∀゚)――!!待ってた甲斐があったぜえええ
エクストリームブラストやはり来ましたかこれは面白くなってきたな〜
正直敵に回ったやつが多くて次の展開が予想できませんwwww
本編があれなんで文章にするの大変だと思いますが頑張ってえ
695 :
通常の名無しさんの3倍:2007/10/03(水) 20:47:38 ID:IAlj8mVH
神隠しさんGJすぎwwwwww
体を壊さない程度にがんばってください!
この流れだがあえて言う。
ティアナ日記IFは続きが読みたい。
>>神隠し氏GJ!!
シンのエクストリームブラストシステムが追加されたー!!
しかし同時にリスクも大きい…まさに奥の手ですな。
次からは決戦。現状況は六課に不利ですがどうなるのか!?
次回もwktkして待ってます!!
GJ
エクストリームブラストシステム、プラモから察するに常にミラージュコロイド散布かな
スペシャルエディションバージョンらしいから、回避は強そうだ
これならレイ、アスラン、キラ、1人相手なら勝てるでしょう
神隠し氏GJ!!
毎回自分も楽しみに読ませてもらってます。
シンのエクストリームブラストシステムがとても楽しみです!
使い所が難しいシステムですから、まさに最後の切り札ですね。
これからも頑張ってください。
さて、魔法少女リリカルなのはクロスSEED第08話前半投下よろしいでしょうか?
もちろんです!
では行きます。
夜、高町家。
ここは道場の一室。
高町家にお世話になってからは、キラがこの一室を宛がわれている。
室内にはキラとなのはとユーノがおり、
三人で囲むように傷ついたレイジングハートを見つめる。
その光はいつもの輝きではなく弱弱しい光を放っていた。
「レイジングハートはかなりの高出力にも耐えるデバイスなのに……それも一撃でここまで破損させるなんて……」
「やっぱりあの時の事が原因……かな」
心配そうに見つめるなのは。
キラがアスランとの交戦中に見た大きな魔力光。
後に聞くと、レイジングハートとバルディッシュが同時にジュエルシードに触れた瞬間に起きたものだという。
最初はあの子のデバイスとの交戦で傷ついたものと考えていたが、それを聞いて考えを一変する。
破損した原因はきっと、ジュエルシードによるものだろうと確信した。
「それで、レイジングハートは……?」
視線をユーノへと向け、なのはも同じように向ける。
「大丈夫、かなり破損は大きいけど……きっと大丈夫」
ユーノは視線を二人からレイジングハートへと向け、二人も同じ様に見つめる。
「今、自動修復機能をフル稼働させてるから……数日で回復すると思う」
「そう、なんだ……」
不安な表情を浮かべるなのは。
「なのはちゃんは、大丈夫?」
「うん……レイジングハートが護ってくれたから……」
「そっか……」
「ごめんね……レイジングハート……」
いつもならここで返答が返ってくるのだが、今はその返事も返ってくることはなかった。
同刻。マンションの一室。
「……ッ!!」
右手に痛みが走る。
「あ、ごめんなさい!痛かったですか?」
「いや、大丈夫だ……」
「でも……」
ジュエルシードの確保し帰宅後、フェイトはすぐにアスランの両手を見た。
見るとひどい火傷をしたように両手はボロボロになっていた。
「これぐらい何でもない」と言ったアスランだったが、
ぎゅっ。と手を握られると。
「…………………………」表情は変わらなかったが、無言で涙目になっていた。
そして簡単ではあるが応急処置を施す。
最後にきゅっと包帯を縛り、テーピングが完成する。
「はい、できました」
「ああ、ありがとう」
包帯で巻かれた両手を見つめるアスラン。
「……フェイト」
「何?」
「……今まであまり気にしていなかったのだが、ジュエルシードって一体何なんだ?」
この手に持ってみて初めてわかった。
あれは、人の手に扱えるようなシロモノではない。
アスランは直感的に悟っていた。
「……すいません、私も詳しくは知らないんです」
「あれを使って、プレシアは何をするつもりなんだ?」
「それもわかりません、ただ集めてくるようにと言われただけですので……」
「そうか……」
「明日一度報告に戻るのでその時に聞いてみましょう」
「……そうだな」
明日プレシアに会うのなら聞いてみよう。そう決めたアスランは考えるのをやめた。
これ以上考えても答えが出ることはないと思ったからだ。
そして何か違和感を感じたアスランは俯いていた顔を上げる。
その視線はアルフへと向けられ、止まった。
先程から何か表情が曇っているままである。
「アルフ?」
「……え?」
こっちの声への反応も鈍い。
「どうした?何かあったのか?」
「あ、いや、何でもないよ……」
「……」
何でもないことはないとわかったが、本人が話さない以上は追求しても無駄だと思い、話題を終わらせることにした。
「それじゃ俺はもう寝るよ、今日は少しばかり疲れたからな」
「うん、おやすみなさい」
「おやすみ」
そしてアスランは自室へと戻っていった。
部屋に戻ってからリビングで何か話し声が聞こえていたが、それを考える前にアスランは眠りについた。
翌朝。
なのははいつもより早く目が覚めてしまった。
布団から出て机の上のユーノへと視線を向けても彼はまだ眠っていた。
(起こすのも可哀想だし……)
いつもならもう少し後で魔法の訓練をするところなのだが、生憎レイジングハートは昨日の戦闘で使用できる状態ではない。
よって、本日の魔法訓練は中止なのだが……。
なのはは普段着に着替え、部屋を出て行く。そして向かった先は……道場であった。
姉達はまだ早朝訓練から帰ってきてないので誰もいないと思い、扉を開く。
だが、そこにはすでに先客がいた。
そしてその正面を見ている背中を声を掛ける。
「キラ君?」
呼ばれた本人は振り返り、微笑みながら返答する。
「おはよう、なのはちゃん。どうしたの?こんな朝早くに」
「あ、うん……ちょっと早く起きちゃって……」
「そうなんだ……まぁ僕もそうなんだけどね」
「キラ君も?」
「うん」
少し歩き、壁へともたれ掛かるキラ。
それに続くように隣にもたれるなのは。
それから少し沈黙が続き、意を決した様になのはは口を開く。
「……キラ君」
「ん?何?」
「あれから私考えたんだけど……やっぱり私あの子の事、フェイトちゃんの事が気になるの……」
「……」
キラの脳裏に蘇る金髪の少女の姿。
アスランが行動を共にしているあの子。キラも少し気にはなっていた。
「凄く強くて、冷たい感じもするのに、だけど、綺麗で優しい瞳をしてて……なのに、なんだか凄く寂しそうなの……」
「……うん」
なのはの言葉に素直に耳を傾け、素直に頷くキラ。
「きっと理由があると思うんだ。ジュエルシードを集めている理由……だから私、あの子と話をしたい」
「……理由はわからないけど、少なくとも何か目的があって動いているのは間違いないと思う」
「え?」
キラは昨日のアスランとの会話を話した。
そしてアスランがあの子と一緒に行動している理由も……。
「それを聞いた時は、僕と一緒だって思ったよ。僕もなのはちゃんに助けてもらって、高町家のみなさんに救ってもらったから……」
「……」
「だから、アスランの気持ちもわかるんだ……」
同じ世界から来て、同じように助けてもらって、でも、戦わなくちゃいけない……。
「本当は戦いたくなんかない……だけど、このままじゃ何も変わらないから」
言葉だけじゃ、伝わらない気持ちがあるから。
広げた右手を力強く握り締める。
「……キラ君」
「だから、なのはちゃんも諦めないで」
「……うん」
そして数分後、美由希が早朝ランニングから帰って来る。
「あれ?二人共どうしたの?こんな朝早く」
「「えと、なんとなく目が覚めちゃって……」」
二人の声がハモる。
その事に思わず吹き出す美由希。
それにつられて同じように笑うキラとなのは。
そしてそのまま美由希の修行を見学することになった二人。
同刻。
「おはよう」
「おはよう」「おはよ〜」
交わされる朝の挨拶。
これもまた慣れてきた感じがするから不思議なものだ。
「今日は一度庭園へと戻るんだったな」
「はい」
「……」
まただ。昨日と同じくこの話題になるとアルフの表情が曇る。
ただ帰るだけだというのに、そうしてそんなに暗くなることがあるのだろうか?
「プレシアもきっとお前を心配しているだろうから、たまには帰って顔を見せてあげないとな」
「……はい」
「……」
やはり、この時のアルフは何も喋ろうとはしなかった。
朝食後。マンションの屋上に集まる三人。
フェイトが詠唱を始める。空間転移の魔法の詠唱なのだろう。
そしてそれを悲しげな表情で見つめるアルフ。
……これは一度本気で聞いてみないとダメかもしれないな。
向こうから帰ってきたら聞いてみることにしよう。そう考えた瞬間。
三人は金色の光に包まれた。
眩い光に一瞬目を閉じる。そして次に開けた瞬間。
目の前に広がる景色は一変した。
だが、そこは見覚えのある景色。
この世界に来てから始めて目を覚ました場所。
時の庭園であると、認識した。
「……とりあえず報告を済ませてきますので、二人はここで」
「いや、俺も一緒に行こう。プレシアには聞きたいことがあるからな」
「……」
フェイトはそれに対しての返答を言い渋っていた。
「……アスラン」
それまで黙っていたアルフが突然口を開く。
「……フェイトについてやっててくれないか?」
「?そのつもりだが……」
「……頼んだよ」
その真剣な眼差しと言葉の意味を読み取ることはできなかった。
けれど、あのアルフがここまでいうからには何かがあるのだろうと思った。
そして、
「えっ?」
アスランはフェイトの手を引いて扉に手を掛ける。
「行こう」
「……はい」
扉は開かれ、二人は中へと入っていく。
そして一時間くらい経過した頃だっただろうか。
アルフは扉の前でウロウロと挙動不審に歩き回っていた。
(今日は何も聞こえないから大丈夫だと思うんだけど……)
毎回、扉の向こうから聞こえていた音。
それはとても耳に響く、音と声の不協和音。
聞きたくない、聞きたくない。
そう思い何度耳を塞いだだろうか。だけど、それでも脳裏に焼きついて消えることのない音。
それが、今日はほとんど聞こえない。
それどころか誰も何も話していないんじゃないかと思うくらいに静かで、
聞こえるのは自分の足音のみが広い廊下に共鳴していた。
ギィッ。
「!!」
音の方向に振り返ると、扉が開き、奥から出てくる。
見ると、アスランがフェイトを背中に背負っていた。その姿を見て駆け寄るアルフ。
「アスラン!」
こちらへと顔を向けるアスラン。
「アルフ」
そして一目散にフェイトへと駆け寄るが、当の本人はアスランの背中ですやすやと寝息を立てていた。
「寝てる……」
「ああ、俺がプレシアと話してる間に寝てしまったみたいでな。報告は俺が済ませておいたから問題ない」
「……」
そしてフェイトの身体を見てみるが、どこにも見当たらなかった。
「……ああ、いや何でもないよ」
「?……それより帰るにはどうすればいいんだ?」
「ああ、まかしときなよ。あたしも移動魔法は使えるからさ」
「そうか」
アルフは目を瞑り、詠唱を始める。足元に魔法陣が展開し、アスランもその中へと入っていく。
そして魔法陣が輝き、一瞬にして移動する。
次の瞬間には元のマンションへと戻っていた。
アスランはフェイトをベッドに寝かせ、自室へと戻っていく。
その後、改めてフェイトを見てみるが、やはりどこにもなかった。
アスランにも聞かれたが、言うことはできなかった。
フェイトがあの女に、プレシアに酷い事をしなかったか。と
あの女がフェイトに対して酷い仕打ちをしていたのは昔からだった。
だが、今回が初めてではないだろうか。
フェイトが"無傷"で帰ってきたのは。
ジュエルシードを集めたから?それとも……
チラと個室のドアへと視線を向ける。
アイツの、アスランのおかげなんだろうか……?
思考を巡らしたアルフだったが、とりあえずフェイトが無事だったことを喜び、考えるのをやめた。
夕刻。
今日はシフト的に休みだったキラとユーノはジュエルシードを探す為に街を散策していた。
そして、つい一時間ほど前から感じる感覚。
もうすぐ発動するであろうジュエルシードの存在を二人は感じていた。
(どう?ユーノ)
(……まだ完全に発動してないから正確な位置特定はできませんけど……)
(そっか……あ)
(?)
突然念話が終わり、正面を見るとこちらに向かって歩いてくる少女が一人。
「おかえり、なのはちゃん」
「おかえり、なのは」
「あ……キラ君、ユーノ君」
呼ばれてこちらに気付き、たたっと駆け寄ってくるなのは。
「二人はジュエルシード探し?」
「うん」
「なのはも感じる?」
「うん……もうすぐ目覚める子がいるのは……」
瞬間。
「「「!!!」」」
大きな魔力の流れが発生する。
感じる。間違いない、これは……
「ジュエルシードが……」
場所は……ここからそんなに遠くない!!
「行こう!!」
「うん!」
駆け出す三人。
「ユーノ君!レイジングハートは!?」
「持ってきてるけど……まだ完全に修復してないんだ」
「どのくらい修復しているの?」
「まだ60%くらい……これじゃほとんど魔法は使えない」
「そんな……」
落胆するなのは。
「大丈夫。僕がジュエルシードの相手をするから、なのはちゃんは封印をお願い」
微笑みかえすキラ。
「……うん!」
支援
すいません規制に引っかかりました。規制が解除されましたら投下再開します。
ご迷惑をお掛けします。
支援
「……あれだ!」
ユーノの声に正面を向き反応する二人。
目の前にある大木が見る見る内に巨大化する。
「レイジングハート!」「ストライク!」
「「セーット、アーップ!!」」
「「Stand by ready setup.」」
各々のバリアジャケットに身を包む。
「ストライク、エールジャケット!」
「OK. エールジャケット」
キラのバリアジャケットの上に形成される赤い色のジャケット。
「封時結界!展開!!」
ユーノの足元に形成される魔法陣。結界が周辺を包んでいく。
「ぐおおおおおおおおおお!!!」
雄たけびのような声を上げながら起き上がる大木。
そして振り下ろされる腕と思われる枝。枝の太さも長さもジュエルシードの魔力で強大になっている。
「二人は下がって!ここは僕が!!」
枝を回避し、上空へと上がるキラ。後方へと大きく下がるなのはとユーノ。
ライフルを構え、トリガーを引く。
発射される複数の魔力弾。だが、
「バリア!?」
魔力弾は大木の前に発生した障壁のようなものに弾かれて消滅する。
そして地面から複数の枝が出てきて、一斉にキラへと襲い掛かる。
「!!」
ライフルを腰にマウントし、肩のサーベルを引き抜く。
ザシュッ!ザシュッ!!
無数に襲い掛かる枝を次々に切り刻んでいくキラ。
だが、枝は切っても切っても次から次から出てくる。
「くそっ!これじゃキリがない!!」
何とかして大木本体に攻撃しないと……そう考えていると、
「イージス」
『スキュラ、バースト』
ドオンッ!!
「!!」
突然上がる声と魔力砲。
正面の大木の上空からの攻撃。大木はバリアを張り、これを防ぐ。
「アスラン……!」
見上げる上空に、右手の魔法陣から魔力砲を発射しているアスラン。
そして正面を見ると、スキュラに耐えている大木。
『今です、マスター。ランチャージャケットを』
「え?……うん、ストライク!ランチャージャケット!!」
『OK.Change、ランチャージャケット』
赤いジャケットが光を帯び、緑色へと形成変化する。
そして背面の大型バスター『アグニ』を正面の大木へと向ける。
「ストライク!」
『アグニ、バースト』
ドオンッ!!という音と共に発射される魔力砲。
これもバリアで防ごうとする大木だったが、バリィンッ!!と音を立てて崩れる障壁。
二つの魔力に耐え切る事が出来なくなり、バリアは破壊され、二つの魔力に飲み込まれる。
そして、一瞬眩い光が辺りを包み、
次の瞬間には大木は消滅し、ジュエルシードのみがそこに浮かぶ。
「「!!」」
反応する二人。だが、即座にブレーキを掛ける。
「……ジュエルシードには衝撃を与えない方がいいみたいだ」
チラとアスランがフェイトのバルディッシュへと視線を向ける。
「……昨日みたいな爆発が起きるかもってことだね」
同じくなのはのレイジングハートを見るキラ。
「……キラ、大人しく引いてくれないか……?」
「……それが出来るなら、とっくにそうしてるよ」
「そう、だな……なら仕方ない」
『サーベルシフト、ライトアーム』
イージスの言葉の後に発生する魔力刃。
「……アスラン。君は何でジュエルシードを集めているの?」
「……」
無言だが、表情が少し強張るアスラン。
「僕の憶測でしかないけど、あれはとても危険なものだと思う。君はそれを使って何をしようとしてるんだ?」
「……お前には関係ない」
「……そう。なら……ストライク!ソードジャケット!!」
『OK.Change、ソードジャケット』
緑色のジャケットが今度は青く変化する。そして肩の大剣『シュベルトゲベール』を持ち、正面へと構える。
「……僕が勝ったら、聞かせてもらうよ」
「……」
お互いを見据える両者。そして、同時に動く。
「「はあああああああああっ!!!!!」」
振り下ろされる二つの刃。
ぶつかり合うと思った、次の瞬間。
二人の空間に発生する何か。そこから出てきた誰かは二人の攻撃を防御魔法で防ぐ。
「ストップだ!ここでの戦闘は危険すぎる!」
「「!!!」」驚愕の表情を浮かべる二人。
そして突然の第三者の出現に驚く四人。
「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか」
突然現れた第三者は自身の名と身分を明かした。
「時空、管理局……?」「執務官……?」
自分達の知らない単語に?マークが浮かぶキラとアスラン。
「まずは二人とも武器を引くんだ」
ゆっくりと降下し、地面に足をつける三人。
「このまま戦闘行為を続けるなら…!!」
突如感じる魔力反応。反応のある方向へと向く三人。
上空から降り注ぐ複数の魔力の矢。狙いは、クロノへと向けられていた。
「ッ!!」かざした手から発生する障壁でそれを弾くクロノ。
魔力の矢の発生源、その先にはアルフがいた。
「アスラン!撤退するよ!離れて!!」
「!!!」
続けて発射される矢。今度はクロノではなく、手前の地面を狙う。
命中した矢は爆発し、煙が上がる。後方へと回避するクロノとキラ。
二人よりも先に反応したアスランは上空へと飛翔し、
(何とかジュエルシードを……!!)
そう思い空のジュエルシードへと手を伸ばす。
が、
今度は地面からの青い魔力弾。
「くっ!!」
回避しきれずシールドで弾くアスラン。だが、衝撃のせいで大きく離れてしまう。
「アスランッ!!」
フェイトが叫び、駆け寄ろうとする。
爆煙の中から出てくるクロノ。構える杖の先に発生する魔力が発射されようとした
瞬間。
「待って!!」
「!!」
間に割り込んできたのは、キラだった。
「待ってくれ!撃たないで!!」
「キラ君!?」
だが、それに一番驚いているのは他ならぬアスランだった。
(どうして……俺を……)
「今の内だ!行くよ!!」
その言葉に続き、三人は夕焼けの空へと消えていく。
「あ……」
そしてその姿はどんどん小さくなり、見えなくなってしまった。
「クロノ、お疲れさま」
突如現れた魔法陣に浮かぶ女性の映像。
「すみません、片方は逃がしてしまいました」
「うん、まぁ大丈夫よ。でね、ちょっとお話を聞きたいから……そっちの子達をアースラに案内してあげてくれるかしら」
「了解です、すぐに戻ります」
消える魔法陣。そしてこちらを見るクロノ。
驚きの表情のままのなのはとキラ。
「さて、詳しい事情を聞かせてもらいたい。とりあえず僕達の船まで一緒に来てくれないか」
「僕達の……船?」なのはが聞き返す。
「ああ」
そしてクロノに従うまま転移し、彼のいう『船』の中へとワープする。
カツカツと前を進むクロノ。それに続くキラ、なのは、ユーノ。
(ユーノ君……ここって一体……)キョロキョロしながら挙動不審に進むなのは。
(時空管理局の次元航行船の中、だね)なのはと違い真っ直ぐトテトテと進むユーノ。
(次元、航行船?)先を行くクロノの後を進むキラ。
(えと、簡単にいうと、いくつもある次元世界を自由にする、その為の船)
(あ、あんま簡単じゃないかも……)
(えと、なのはの暮らしている世界の他にも幾つも世界があって、僕達の世界もその一つで……)
(じゃ、僕がいた世界もその一つ……なのかな)
(そう、ですね。その狭間を渡るのはこの船で、それぞれの世界に干渉しあうような出来事を管理しているのが、彼ら時空管理局なの)
(そうなんだ……)(……)
そして目の前の扉が開く。
振り返るクロノ。
「ああ、いつまでもその格好というのも窮屈だろうから、バリアジャケットとデバイスは解除して平気だよ」
「あ、そっか」「そう、ですね」
バリアジャケットを解除し、なのはは学生服、キラは私服へと変わり、それぞれのデバイスも待機モードへと変化する。
「君も、元の姿に戻ってもいいんじゃないか?」
「ああ、そうですね。ずっとこの姿でいたから忘れてました」
「「?」」首を傾げるなのはとキラ。
パァァッ。とユーノの身体が光り始め、
「「へ?」」
光が消えた後、そこにはなのはと同年代くらいの少年がいた。
「ふう、キラさんには初めてですれど、なのはにこの姿を見せるのは二回目になるのかな?」
呆然としたままカタカタ震えるなのはと開いた口が塞がらないキラ。
「え、え、え、え、え、……」
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!??」
なのはの叫びはアースラ内に響き渡った。
以上で前半投下完了です。
後半はまた明日に……ではおやすみなさい。
20話投下しようとおもいますが、容量大丈夫かな?
これは次スレ建てた方がよさそうだ、行ってくる。
>>718 乙
じゃあこっちは雑談しつつ埋め方向で
雑談しようぜ!
SS書いてるんだけど他のSSのレベルが高すぎて・・・
(´Д⊂グスン
SS書きの宿命さ
気にせず書いて投下すべき
>>722 わかったあとちょっとだからがんばってみる
見直してみたんだがなんか予告編みたいになってらwwww
>>679 一々過ぎた話を引きずり出すお前も同レベルだよ^ ^
なのは「魔法は勝負!」
フェイト「魔法は心」
はやて「魔法はこててこや」
クロノ「魔法は半歩先」
高町にもほどがある
ティアナ日記ってもうただのオリキャラものとしか言いようが無いんだが。
どう見ても名前だけキャラでクロスじゃない、一発ネタで止めておいたほうがよかったとおもう。
本編アフター+クロス物だからね
でも、性格はスバティアしてたと思うけど。
>>728 いきなり異世界に飛ばされてそこで何年も過ごして
性格の変わらない奴がいるかボケ!
そんなことも分かんないのか?
正直何処からが「オリキャラもの」の領域なんだろうね?
逆ギレしないシンとか、周りが見えているキラや、剥げていないアスランは?
優しいスカ博士とか、天使のようななのはさんに、目立っているユーノは?
732も言っているが世界が変わり、時が経てば変化するぞ?
むしろティアナが葛藤していた『敵を倒すことで死ぬ』って言うのは、このスレでも珍しい着目点だと思う。
決して上記のようなキャラが嫌いなわけではないし、そう言った話を書いている作者様も尊敬している。
ただちょっとした疑問ってことで処理してくれ。
>>732 立派に名前だけのオリキャラだな、あるいは別人にじゅうはち号
絵があるならまだしも文字だけの創作では致命的だ
>>734 そんなのお前の主観
高尚な考えをお持ちならここよりもっといい場所があるからそこに行け
>>733 オリキャラだのなんだの言うやつにしたら
「ここが○○と違う!こんなの俺の○○じゃない!!」
ってもんだろ。相手するだけ無駄
ギャグでもない限り、なのはが殺人犯だとかシンが女々しいだけのヘタレだとか、そこまで逝ったらオリキャラな気がするが・・・
この程度でオリキャラとか……なのプロスレでも行ってこいよ
しかし、あれだな作者はアスランに恨みでもあるのか?
ハゲハゲ言い過ぎなんだがwww
あんまり過ぎるとアスランファンから顰蹙かうから気を付けたほうがいいな。
アスランにハゲだの凸だの言うのは愛情表現だろ?
アスランは公式で凸っぱち扱いになったのを知らないのか
魅惑のデコッパチ、アスラン・ザラ
アスランの凸はなのはの悪魔王と同じレベルだろ