もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら10

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40998 ◆TSElPlu4zM

 キラの目線の先を追う様にアムロもラクスへと目を向けると、当のラクスは心配そうな表情を浮かべて傍らに立つキラを見詰める。
 昨日、アムロに言われた事もあって、最初に認めてもらわねばとキラは思っていた。

「……あ、あの、アムロさん。ラクスと関わり過ぎるなって言ってましたけど……、僕はラクスの事が好きで……、それで……」

 目線をアムロへと戻し、恐らく反対するであろう自分の師匠に意を決した様に、キラはラクスへの想いを告げた。

「私もキラの事が大好きですの!」

 ラクスは一瞬目を丸くするが、傍らに立つ恋人となった少年の行動が嬉しいのだろう。心からの笑みを見せると、自分の腕をキラの腕に絡めて幸せそうな表情をアムロに見せた。
 その二人の行動にアムロは呆気に取られるが、若い二人を見て若さと言う物を感じ、改めて自分が歳を取った事理解して苦笑いを浮かべる。

「……そう言う事か。自分達で決めた事なら僕が反対をする必要は無いさ。僕とキラが同じ目に合う訳でも無いだろうからな。二人とも、これから大変だろうが頑張れ」
「「はい!」」

 思わぬエールを送られ、二人は嬉しそうな顔を見せて頷いた。特にキラは反対されるであろうと思っていただけに、その喜びようは一入の様だった。
 笑顔を見せる若い二人を見て、親心の様な物が働いたのかアムロはキラに告げる。

「……キラ、今日はゆっくり体を休めろ」
「えっ、良いんですか!?」
「立て続けに戦闘があったばかりだぞ。流石に体を休めないと持たないだろう。それに野暮な真似はしたく無いからな」

 キラが驚いて聞き返すと、アムロはキラの肩を軽く叩いてそのままブリッジへと歩いて行った。
 残された二人は、アムロの言葉に顔を赤く染めて寄り添いその背中を見送った。
 アムロが通路の向こう側に消え、キラは緊張が切れたのか軽く息を吐いた。

「ふぅ……良かったぁ」
「ええ。まるでアムロ大尉はキラのお父様の様ですね」
「……色々教えてもらってるし、父と言うより面倒見の良い兄みたいな感じかな。アムロさんが長男なら、次男がムウさんで。……昨日はラクスに関わるなって言われたから反対されると思ってたんだ。だからアムロさんにラクスとの事、認めてもらえて驚いてる」
「キラは地球軍の所属ですし、私はプラントの人間ですもの。それだけ心配していたんでしょうね」
「……うん。本当に認めてもらえて良かったよ」

 笑顔で言うラクスの言葉に、キラは実感が湧いて来たのかしみじみと頷いた。
 横顔を見詰めるラクスは、絡めた腕の力を緩めるとキラの正面へと回る。

「キラ……私、うれしかったですわ」

 ラクスは愛らしい笑みを見せると爪先立ちをしてキラの唇にキスをした。