もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら9

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70398 ◆TSElPlu4zM

 洞窟と言うには広すぎる人口のホールで、アラブ系の男達が自分達のリーダーである男の話を不満そうな表情で聞いていた。
 この洞窟はレジスタンスの前線基地であり、昨日のザフト連合両軍が戦闘を行った場所からは、そう遠く無い場所にあった。
 彼らの前に立つ、反プラント派レジスタンス“砂漠の夜明け”のリーダー、サイーブ・アシュマンは、昨日アークエンジェルと取り交わした約束事を考慮した結果、暫くの間、ザフト軍に対しての攻撃を控えると、レジスタンスのメンバー達に言い渡している所だった。
 だが、メンバーからすれば賛同出来る訳も無く、不満と野次がホールの中を飛び交う。
 彼らの不満を抑え込む為に、サイーブは睨みを利かせて言った。

「お前ら、分かったな?」
「まさか、俺達に虎の飼い犬になれって言うんじゃないだろうな。サイーブ!」
「……あんたは何時から、そんな腰抜けになったんだ!?」

 血気に逸るレジスタンスの青年達が、怒鳴りながらサイーブを睨み返した。
 彼らの間に際どい緊張が走り、見兼ねたキサカが割って入った。

「お前達、落ち着け!」
「……ちっ!あんたみたいな腰抜けに命令されたくも無い!……行くぞ!」

 エドルと言う名の青年は、舌打ちをしてリーダーである男を一瞥すると、踵を返して他のメンバーに向かって煽る様に大声を上げた。
 他の者達もそれに呼応する様に、次々と武器を手に取ってバギーへと乗車して行く。

「エドル!?待てっ、お前達!」
「行くのか?サイーブ!」

 暴走するメンバーを制止する為に、サイーブが怒鳴りながらバギーへ乗ろうとすると、カガリが駆け寄って来た。
 こうなってしまうと、そう簡単に止める事など出来ない事はサイーブにも良く分かっている。だが、見捨てる訳に行かなかった。

「放ってはおけん!」
「あ!サ、サイーブ!私も!」
「駄目だ!お前は残れ!」

 バギーへと乗り込んだサイーブは、乗る込もうとするカガリを突き飛ばすとバギーを発車させた。

「サイーブ!」

 尻餅をついたままのカガリは、走り去るバギーに恨めしそうに怒鳴ると、一台のバギーが横付けする様に停車する。
 カガリが振り向くと、横付けしたバギーの後部座席には既にキサカの姿があり、運転席に座る少年、アフメドが叫ぶ。

「乗れ!」
「うん!」

 カガリは喜々とした表情で頷くとバギーへと飛び乗った。
 三人を乗せたバギーは勢い良く走り出すと、先に行った者達を追い掛け始めた。