飽き飽きした表情でムウは言うと、小声でトールを呼び付けた。
トールはすぐにムウの元へと駆け寄った。
「えっ!?なんですか?」
「いいから俺に付いて来い」
「分かりました」
訳も分からずトールは頷くと、アークエンジェルのパイロット達は、そそくさとブリッジを後にした。
最も、何人かはそれに気付いていたが、問題は無いだろうと誰も引き止める事は無かった。
「――?」
少ししてラクスは、キラが居ない事に気付きブリッジを見回した。そして、席を離れミリアリアに声を掛ける。
「あの、キラが居ない様ですが?」
「さっき、アムロ大尉やフラガ少佐と一緒に出て行ったわよ」
「……私も出て行ってしまっては不味いでしょうか?」
ラクスはキラに避けられている気がしてならず、どうしても話をしておきたかった。
聞き返して来たラクスに、ミリアリアは自分では判断出来ず、チャンドラに聞いてみる事にした。
「……あのぉ、今、ラクスがブリッジを出るのは不味いんですか?」
「はぁ?……別に構わないんじゃないか?本当ならブリッジに居る方が問題なんだしさ」
チャンドラは眉を顰めるが、すぐにミリアリアに返事を返して来た。
ミリアリアはラクスに笑顔で応える。
「だって」
「ありがとうございます」
ラクスはミリアリアとチャンドラに笑顔で礼を言うとブリッジを出て行こうとする。
それを見ていたチャンドラがミリアリアに言う。
「だったら、ちゃんと部屋へ送って来てくれ。俺達に取っちゃ、大事なお客さんなんだからさ」
「……分かりました」
ミリアリアはチャンドラの「大事なお客さん」と言う言葉に、少しムッとしながらも頷いて、ラクスと共にブリッジを後にした。
この後、ラクスとミリアリアは少しの間、パイロット達を捜す事と成るだった。