マユが生存してたら名作だった

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1通常の名無しさんの3倍
マユのいるオーブを守るため今日も戦うシンくんであった
2通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 01:43:16 ID:???
マユの形見は携帯電話でなくミイラ化した手首の方が良かった。
3通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 01:43:59 ID:???
2だったらメイリンでヌク
4通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 02:12:19 ID:???
>>2
魔法のアイテムだな。

5通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 02:15:48 ID:???
ピンチになるとマユの腕干しをしゃぶってハイになるシン
「チュパチュパ・・・ッシィィィッハアアアア」
6通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 02:25:34 ID:???
たぶん軍に入らないんじゃあ・・・
7通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 10:45:35 ID:???
多分その時には勇者ロボに乗るよ
8通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 19:03:00 ID:???
魔女っ子戦士マジカルマユ!!!
9通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 19:05:35 ID:???
>>5
ワロタww
だがファビョシンは天使だ殺人鬼だ逝ってるとこの方が
喜ばれるんじゃねwwwww
10通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 19:05:40 ID:???
魔女っこマユたんの絵がみたい!
尖り帽子必須
11通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 19:06:53 ID:???
>>9
マユたんスレだおここはー☆
12通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 19:10:47 ID:E05YCpCC
義手つけてファントムペインに入るというのはどうだ。
無論記憶喪失で、
13通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 19:12:29 ID:???
虎スレのパクリかお!
14通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 23:34:23 ID:???
俺は売春婦なマユが好きだけど?
15通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 00:17:16 ID:???
マユの穴はシン専用
16通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 00:39:22 ID:???
全国の糞オタ共の肉便器
17通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 02:36:05 ID:???
義体マユに期待している
18通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 06:27:09 ID:???
マユが車イスで目が見えないんだろ
19通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 07:55:09 ID:???
>>18
シン「マユが幸せに暮らせる世界を作るために・・・俺はオーブをぶっ壊す!」

G.G.(ギルバート議長)「力があれば生きられるのか?ならば力をあげよう」
20通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 22:34:13 ID:???
時計はもう、翌日を指していた。
「ったく、ルナマリアのやつ」
職場の同僚――俺は同僚だと思っている――に食事に誘われて、
帰路につく頃にはこんな時間になってしまっていた。
自然と歩きも早足になる。
急なことだったし、あいつに連絡を入れられなかった。
一応、遅くなるかもしれないといってあったから夕食は一人で済ませてくれているだろう。
深夜でもあるし、もう眠っていてもおかしくない。
しかし、歩調は更に速まる。
急ぐ必要は無いのだが、妙な胸騒ぎがするのだ。
21通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 22:37:03 ID:???
半ば小走りになりながら、玄関の前に到着する。
窓に明かりは見えなかった。
「ただいま」
小声で、帰宅を知らせる。
真っ暗な玄関にはだれもいない。
(俺の考えすぎか)
安心して――何に対して安心したのか自分でもよくわからないが――強張っていた肩から力が抜けた。
靴を脱いで、リビングと直結した台所へと向かう。
力が抜けたとたん、喉の渇きを感じた。
自分でもなぜ急いだのか、なぜ汗が出るほどの速足で帰ってきたのかわからなかった。
自分の馬鹿さ加減に苦笑しながら、手探りで台所の明かりを点ける。

そして、暗闇に慣れかけた視界が数瞬眩み―――
「ま、マユ……?」
――いた。
彼女が、いた。
台所の食卓に、椅子にすわった妹がいた。
ラップのかかった、冷え切った夕食をみつめながら。
シン・アスカのいもうとの、隻腕の少女が、いた。


22通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 22:39:01 ID:???
「……おかえりなさい。おにいちゃん」
「あ、ああ。た、食べないでまっててくれたのか」
食卓から視線を外さずに、マユが呟く。
前髪に隠された瞳は見えない。
「わ、悪いな。と、友達とメシ食ってきて腹いっぱいなんだ」
「なんで、こんなにおそかったの?」
「る・ルナマリアのやつがさ――」
言いかけてしまってから、失言だと気付いた。
「だれ?その女」
ぎょろりと、彼女の眼が俺を見据える。
その瞳に耐え切れず、思わず視線を左下に逸らした。
「と、友達だよルナマリアは。ヨウランやヴィーノと同じで、
あいつはただのともだちだよ」
「……ほんとに?」
「あ、ああ」
「ほんとにほんとう?」
マユが俺を見つめる。
透き通った眼に俺の姿が映し出されているのをみて、
おれの全てが見透かされているような気がした。
「ふうん……じゃあ」
妹は再び食卓に視線を移し、ぼそりと、なんでもないことのようにつぶやく。
「おにいちゃんは、ただのともだちでもキスしたりするんだぁ」
「なっ――あ、あれはルナが無理やり」
しまった、と考えた頃には遅かった。
「――やっぱり」
マユが、眼を見開く――

23通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 22:43:17 ID:???
「どうして!どうしておにいちゃんはいつもそうなのよ!」
マユが俺の胸元を掴み、がくがくとゆらす。
彼女は泣きながら俺を罵倒する。
「わたしが、わたしがいるじゃない!なんでほかのおんなが必要なのよ!」
のしかかって馬乗りになり、額をがんがんと俺の胸板へぶつける。
「わたしには、おにいちゃんしかいないのに!」
俺をたたくことを止めて、震える声で彼女はつぶやいた。
「わたしを、見捨てないでよ。ほかのおんなのところなんか、いかないでよ」
妹のマユが、おれにすがりつく。
「おねがいだから、いっしょにいてよ……」
胸が、いたい。
いもうとの肢体がとても軽いことに気付いて、かなしくなった。



――両親を喪った戦争から二年の時が経った。

僕たちはまだ、暗闇のなかにいる。











この泥棒猫とかあの女の臭いとか言っちゃうマユさんは、胸キュンですか?
24通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 21:40:33 ID:???
yes,my mastar.
25通常の名無しさんの3倍:2007/04/11(水) 00:24:11 ID:???
嫉妬、修羅場、ヤンデレ











大好きです
26通常の名無しさんの3倍:2007/04/11(水) 01:24:02 ID:???
空鍋かきまぜたり、この家にまで来ないで!
はたまたナタを振り回すんですね。
27通常の名無しさんの3倍:2007/04/11(水) 02:08:28 ID:???
貴様ら纏めて!エロパロにいけぇええええええええええええええええええ




























はい、嫉妬、修羅場、ヤンデレ、キモ姉&妹は大好物です
28通常の名無しさんの3倍:2007/04/11(水) 07:57:55 ID:???
>>24-27
まったく貴様らは救いがたいな・・・・・






そんな君達が大好きだ〜同士達よ!!
29通常の名無しさんの3倍:2007/04/11(水) 08:05:11 ID:QJc8K8tt
と言うよりシンを主人公として上手く運用できなかったのは彼がザフト(前作
の敵勢力)に所属していたことに他ならない(他にも理由はあるかもしれないが)。
しかも最初から軍人でガンダムに乗ることも決まっていたような設定だから
だろう。アスランにしてもそうだ。彼はある意味キラやシン以上に主役の座(単に
出番が多かっただけ?)にあったが正直浮いていた。それもやはり一度脱走したザフト
に戻ったりしたからだろう。
30通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 17:55:20 ID:???
真っ白な床に、真っ白な壁。
頻繁に清掃されているのであろう。遠目では染み一つ見受けられない純白の通路。
完璧な空調設備は、薬品の臭いさえ感じさせない。
無味乾燥な、人工的な静寂。
ここを通るたびに思う。
ここは、ある種の牢獄なのだと。
一般社会から隔離される点については、病人も罪人も大差はない。
むしろ、彼らが持つ病巣の害を為す対象が、当人であるか社会であるかの違いだけでしかない。
食事も排泄も睡眠も、全てが四六時中監視されるここに個人という概念は存在しない。
牢獄との違いは、生殺与奪の権利を持つものが看守ではなく看護師だということだけだ。
管理者の顔を伺いながら、いつか、いつかはここを出られるという希望に縋り続ける。
そして人間は管理者にとって都合のよい動物へと飼いならされ、出所するころにはすっかり『健康な人間』となり下界へと放逐される。
まるで養豚場だ。このような施設で人間は家畜となるのかと考えたところで、思考を打ち切る。
目的の場所にたどり着いたからだ。
マユ・アスカと表示されたプレートがかかった扉の前で立ち止まる。
こんなことを考えていたなんて、自分の精神状態も随分ヤバイところまできてるんだなと自嘲した。
大きく深呼吸する。さて、ひとまず余計なことは忘れるようにしないと。
これから俺は、彼女の望む、今までどおりのシン・アスカを演じなきゃならないんだから――
31通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 18:00:48 ID:???
廊下と同様に、白を基調とした部屋。
それほど広くない部屋に並べられた六つの寝台。床面積の六割ほどを占めるそれらはそれぞれカーテンで仕切られており、擬似的な六つの個室を形成している。
入り口に接して向かい合う二組の寝台のうち、左側には若い女性が、右側には年老いた男性が横たわっている。
中央の寝台はそれぞれ空席で、窓沿いの左側にお婆さんがいる。
そして残った右端には俺の妹、マユの寝台があった。
病室に入って初めに若い女性と付き添いの男性――女性の恋人らしい――と挨拶を交わし、次にその向かいの爺さんに会釈する。この偏屈爺さんが挨拶を返さないのはいつものことだが、何もせずに素通りするというのは外聞が悪い。
ひとまず挨拶を終えて、マユの寝台へと近づく。
彼女は俺が病室に入ったときから、目を輝かせて俺の到着を待っていた。
「もう!おにいちゃん遅いよう。わたしもう待ちくたびれちゃったじゃない」
「ははっ、悪い悪い。遅れちゃったな。でもほら、マユに頼まれた雑誌、買ってきてやったぞ」
俺が居ないとき、いつもマユの相手をしてくれている向かいのお婆さんは眠っていた。
話し相手がいなくて退屈だったのだろう、俺が傍に来るなり彼女は堰を切ったように話し始める。
「ほんとにちゃんと買って来てくれたの?また間違えてちがうのだったら、マユおにいちゃんのことキライになっちゃうよ?」
「心配するなって。みろよ、前みたいに月刊でも赤丸でもない、ちゃんとした週刊ジャンプだろ?」
週刊ジャンプ。創刊百年以上を誇り、業界でも発行部数一位の漫画雑誌だ。
かつてはいわゆる男の子向けだった雑誌の名称から、少年の文字が無くなったのは遠い昔の話だ。
マユは雑誌を確認するや否や、まるで宝石でも受け取ったかのように目を輝かせ、片手で――そう、片手で――それを開いて読みふける。
雑誌に触れていないもう片方の手は、痛々しいギプスに包まれていた。
いや、包まれているというのは語弊がある。彼女の左手は、初めから存在していないからだ。
32通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 18:04:25 ID:???
「記憶を、閉ざしている?」
「ええ。おそらく」
マユの主治医は、彼女の様子についてそう答えた。
「彼女の精神に大きな負担がかかったのでしょう、その……」
俺たちの事情を知っているのだろう。白衣の男は言葉を続けるのをためらった。
「オノゴロ島での、事故の時にですか。……別に、俺に気を遣わなくてもいいですよ。
あの出来事のことは、両親のことも含めてもうある程度は吹っ切れてますから」
嘘だ。そう簡単に吹っ切れやしない。これは単なる強がりだ。
自分でも、言葉尻が歪んだのに気付く。
だけど、マユのためにも俺は強くならなきゃいけない。
だから俺は強がりを貫き通す。
「……両親の死と、左腕の喪失。あまりに大きな負荷がかかったことで、精神の自衛本能が働いたのでしょう」
俺の気持ちを察してくれたらしい。医師は何事も無かったかのように続ける。
「彼女の中では事故の起こる以前の、五体満足で両親がいる、幸せだったころの記憶が現実のものとして続いているのです」
「先生。マユは、マユの心は、元に戻るんですか?」
「……わかりません。ただ今いえることは、彼女の怪我が完治して、リハビリが出来るようになるまではそっとしておいてあげたほうが良いということです」
それから後は、主治医はなにか専門的な話を俺にした。
彼のいったことは半分も理解できなかったが、とにかくマユの怪我を治すことが先決だということは確かだった。
俺たちの脚本では、マユ・アスカは交通事故で大怪我を負い、この病院に入院していることになっている。
マユにとって両親とはお見舞いにもきてくれない自分より仕事をとるひどいお父さんとお母さんで、
マユにとって左手のギプスとは交通事故で負った骨折をなおすためのもので、
マユにとってシン・アスカとは毎日学校帰りにお見舞いにきてくれるやさしいお兄ちゃんであり続ける。
そして俺は、その脚本に添って踊り続けることしか出来ない、道化師なんだ。
33通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 18:07:36 ID:???
「おにいちゃん。わたしの話、ちゃんと聞いてる?」
気が付けば、視界いっぱいにマユの顔があった。
「あ、ああ。ごめんな、考え事してた。それで、なんの話をしてたっけ?」
今の状況を思い出し即座に仮面を被りなおす。主治医の先生がいっていたことに思考が集中して、注意力が散漫になっていたようだ。
何が道化師だ。邪気眼はもう卒業したはずだぞシン・アスカ。
相部屋の人たちもくすくす笑ってるじゃないか。
マユはため息を一つ吐いて、仕方が無いとばかりに続ける。
「お父さんとお母さん、いつお見舞いにきてくれるの?」
「だから、二人とも仕事が忙しくて来れないっていってるだろ」
この辺の問答は手馴れたものだ。なんでもないことのように台本どおりの台詞で返す。
ぶっきらぼうに答えるのは、そのほうが真実味が増すからだ。
二人とも共働きであることが幸いだった。余計な脚色を付けなくていいぶん、他の作り話に比べて楽なんだ――
そこまで思考を進めて、ふと立ち止まる。
まて、今俺はなにを考えていた?なにがなにに比べて楽なんだ?
脚色をつけなくていい?真実味が増す?何の?
「むぅー!おにいちゃんったらいつもそうじゃない!二人とも仕事が忙しいからって!」
二人。そうだ、二人だ。父さんと母さん、二人のことだ。
仕事が忙しい?まてまてまて、二人はもう、いないんだぞ?
さっき俺はなにをおもった?手馴れたものだと?どこの世界に両親の死をそんなふうにおもえる息子がいる?
「おにいちゃんばっかりずるいずるいずるいー!」
なにがずるいんだよ。おまえのなかの父さんと母さんはまだ生きていているじゃないか。
おれのなかの二人はもういなくて、そんな二人をおれはなんでもないことのように――
「おにいちゃんはお家に帰れば二人にあえるのに!マユばっかり仲間はずれなんて――」
なにをいってるんだよマユは。うちにかえったって二人に逢えるはずないじゃないかだいたいふたりはもう死んで――
34通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 18:11:04 ID:???
「わがままばっかりいうなよ!」
「え……」
気付けば、マユを怒鳴りつけてしまっていた。
その音で向かいのお婆さんがぱちりと目を覚まし、若い男女は語らいを中断し、偏屈爺さんが横目でこちらを見やる。
そして呆然としたマユの表情が、くしゃくしゃの泣き顔へと歪んでゆく。
「ご、ごめんな。急に怒鳴ったりして」
即座にマユの頭に手を乗せて、撫でてやった。
いいこ、いいこ、と褒めるように、あやすように彼女の髪を愛撫する。
「う、うん。わたしのほうこそ、ごめんなさい」
ぎこちなく身を任せるマユ。
彼女には何が起こったのか未だ理解できていないのだろう。
むかし、母さんにしてもらったように、俺はマユを撫で続けた。
しばらく撫で続けるとマユは目を細めて、安心したのか、その瞼を閉じる。
「ん……ぁ……おにいちゃん。わたし、ちょっと眠る……ね」
「ああ、おやすみ」
小さな身体をシーツに横たえ、秋の太陽の充満した光のなか、マユは眠りについた。
柔らかな光と穏かな空気に満ちた病室で、お婆さんは仕方の無い子たちだねと微笑んで、若い恋人たちは微笑ましいものをみたといわんばかりに顔が緩み、偏屈爺さんはぷいと顔を背けるが微かに口元をにやけさせる。
そしてそれを意識すればするほど、おれはますます自己の内なる泥沼とやらにはまり込んでいくのだ。
照れたように頭の後ろを掻き続ける俺に見せ付けられる暖かな幸福の表情。
かれらは知らない。この患者であり囚人であるものたちは知ろうともしない。
このしあわせが偽物でこのほほえみが脆弱でこのやすらぎが茶番であることを。
彼女は知らない。知ろうとも、認めようともしない。
全てを失った光の奔流も、両親の亡骸も、左腕を失った痛みも、自身の絶望の絶叫さえ、
みんな俺に押し付けて、自分だけがのうのうと幸せな日常を送っている。
「マユ、また明日な」
油断すると飛び出してしまいそうな熱情を押し留め、病室から退室した。
35通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 18:19:16 ID:???
廊下に出て、無味無臭の、暖かさの欠片も感じられない空気を吸い込むことによって、俺はやっと正気に返った。
ああ、今日もまた俺は醜態を演じてしまった。
マユを怖がらせてしまうなんて、俺の方こそ病人じゃないか。
主治医の先生に報告したときに、精神安定剤でももらえるか頼んでみよう。
妹の怪我が治る前に、兄貴のほうが黄色い救急車で運ばれることにでもなったらシャレになんないからな。
冗談とも本気ともつかないことを考えつつ、歩きだす。
そのときふと、妙なことを思いついてしまった。
――もし、あのとき両親と一緒にマユも死んでしまっていたのなら、俺は今頃どうなっていたんだろうか?
「くだらない。仮定の話なんて何の意味もないさ」
独り言が多くなるのは精神が不安定になっているからだという話を思いだして軽く凹んだ後、俺は再び歩きだした。
――だけど、このときふと思い浮かんだ想念は、ある種の忌まわしくも呪わしい甘美さへと変わり、俺の意識の底に留まり続けた。






















恋するマユは切なくてお兄ちゃんを想うとすぐ精神的に追い詰めちゃうの。
36通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 23:27:26 ID:???
最後の行に全兄が泣いた
37通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 02:07:01 ID:???
俺はまだ邪気眼を卒業していないぞッシンッッ
38通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 02:29:34 ID:???
つまらん
39通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 12:35:10 ID:???
マユが生存したら……
途中から異世界へ召還されてマユ人質にされて
変な剣を振るって人間兵器として戦うんだろ?
40通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 13:08:13 ID:???
それなんてアセリア?
むしろシンが人質にされそうだから困る
41通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 19:33:00 ID:???
マユ「体から力が湧き上がる! おいバカ剣! 手を抜くなよ!」
マユ「どこを見ている。マユはここだ!」
マユ「剣に力を! ん、少しは慣れてきたかな?」
マユ「負けられないんだよ! こんなくらいじゃあさぁ!」
マユ「マナよ光の奔流となれ! 彼のものを包み! 究極の破壊を与えよ!」
マユ「2つ3つ攻撃手段は要らぬ。ただ一つを鍛え上げてこそ必殺となる! いくぞぉ」

こうですか。分か(ry
42通常の名無しさんの3倍:2007/04/16(月) 17:46:29 ID:???
>>30
続編マダー?
43通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 14:37:47 ID:???
――夢を見た。
意識の底で燻り続け、汚濁のように沸き立っていたどす黒い想念、もしもマユが死んでしまっていたならばという、
唾棄すべき、忌まわしくもそれでいて甘美な誘惑が夢という形をとって、虚ろな意識のなか再生される。
映し出されたスクリーンの中の俺は、かつて自分の全てを奪ったものと同様の兵器を駆っていた
家族を目の前で喪い無力と絶望に打ちひしがれた彼は、力を求めて軍という組織の一員となり、守るべきものも倒すべきものも定まらないなかで、
ただただ力のみを追い求めて、襲い来る敵を打ち倒し続けていた。
彼は全てを失ったが、新しく得たものもあった。
幾人かの信頼できる友人に、自分を導こうとしてくれる師のような男。
そして、仲間たちを守ることの出来る力と自分の力を必要としてくれる居場所を手に入れた。
彼の同胞たちにとって悲劇の象徴である墓標が、空を焼く流星となり、地上に破壊を撒き散らしたことによって、世界全てを巻き込む戦争が始まった。
力をもつ彼と彼の仲間たちは戦場へと駆りだされ、軍の中核として活躍する。
いつ終わるとも知れぬ戦いの中で、彼はある一人の少女と心を通じ合わせた。
彼は少女を守ると誓い、少女は彼の想いに身を委ねる。しかし、少女は敵軍の兵士であった。
そして、古来より演じ続けられてきた悲劇の結末と同様に、少女は彼の目の前でその儚い命を散らす。彼は、また守れなかったのだ。
彼は復讐を誓い、遂には彼の家族と少女を奪った怨敵を討ち果たした。
復讐の達成と、それに伴う周囲の賞賛の声によって彼の想い、欲求、信念、力を得たという驕りは増長を続ける。
その中で、彼の仲間であり師である男は、自身の信念のため彼を裏切った。
それでも彼は戦いを続ける。
友の声に従い男を討ち、命令に従いかつての故郷に攻め入り、目まぐるしく変わる情勢の中、
勝利の先にあるものが平和であると信じて戦い続けた。
44通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 14:41:44 ID:???
最後の戦い。この戦場で勝利さえすれば平和が訪れると教えられた戦いで、彼は遂に敗北する。
敵に寝返った男との対峙で、彼に生じた迷いは信念と切っ先を鈍らせその結果、男の手によって彼の理想と力は剣とともに完膚無きまでに叩き折られた。
戦争は終わった。最後の力と共に、彼の理想は砕け散った。
彼は彼の家族の墓標の傍で、仇であり勝利者である青年の前に立つ。
彼は、青年と共に戦うことを誓った。彼はもう全てに逆らうことを止めた。
腹這いになった犬や主人に服従する奴隷と同様に、彼は全てを受け入れ、そして諦めたのだ。
いくら奇麗に花が咲いても、人はまた吹き飛ばす。それでも人は、また花を植える。
たとえ大地に種が残されていようとも、人はそれを気にも留めずに新たな別の花を植えつける。
それはちがうと叫んだ。叫ばずにはいられなかった。とにかくそれを否定してやりたかった。
それでは何も変わらない、人は何も進歩しない、悲劇を繰り返すだけだと叫ぶ。
だがスクリーンの中のシン・アスカは、俺の叫びにも構わず、おずおずと青年の握手に応じる。
俺は抑えがたい熱、欲求、狂気に駆られて叫び続ける。
諦めるな。耳を閉ざすな。目を逸らすな。
嗄れた音が俺の体を出て、灰色の世界に反響した。
そして、突如として幕が引かれ、全ては暗闇に閉ざされる。
45通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 14:44:58 ID:???
俺は生まれ落ちる赤ん坊のように小さな叫び声を上げて、目を覚ました。
白く霞んだ視界が徐々に晴れていき、見慣れた天井が顔を出す。
意識がはっきりするにつれ今まで自分は夢を見ていたんだなと認識する。
なんて夢だ。まさか自分が巨大ロボットに乗って戦うなんて、子供向けのテレビ漫画じゃあるまいし。
すぐには起き上がらずに、天井を眺め続ける。
それにしても、随分と酷い話だった。だいたい何だよあのオチは。主役交代なんて、そこらの三流ドラマでもやらない。
脚本家は何考えてんだ。
「って、あれは俺の夢か」
自分で自分に突っ込みながら、掛け布団を剥がして起き上がった。
布団は汗で湿っていた。外気に触れた肌着の冷たさが、掻いた汗の量を物語る。
シャワーを浴びるため、部屋に備え付けられた浴室へと向かう。
床一面に散らばったレトルト食品のゴミや酒瓶を避けつつ歩く。
オノゴロ島からの疎開者に宛がわれたアパートの一室。
本来四人の人間が住むはずだったこの部屋はそれなりの広さをもってはいるが、掃除無しで一週間もすれば立派な腐海へと変貌してくれた。
シャワーを浴びながら、この部屋の惨状について考える。
せめてティッシュくらいは片付けないと人が来たときにいらん誤解を招くかもしれない。まぁ、半分以上は誤解じゃないけど。
母さんがみたらきっと顔を真っ赤にして怒るだろうなと想像する。
ここ最近は、薬のおかげか両親について考えても何の感慨も湧くことは無いので気楽にこんな思考も出来るようになった。
さすがに医者に躁鬱の気があると診断されたときは凹んだが、それも薬で抑えられる。科学の勝利というやつだ。
それにしても、今日は随分と調子がいい。朝のぶんの薬もまだなのに、まったくといっていいほど例の不快感が襲ってこない。
あの夢の内容などもう欠片も覚えてないし、昨日までの自分は何をそんなに悩んでいたのかと疑問に思えるほどいい気分だ。
この調子なら、薬を飲まなくても今日は大丈夫だろうなと考え、その考えがまたとても素晴らしいことのように思えた。
決めた。今日は薬は飲まないことにしよう。やっぱり人間、薬に頼るのは良くない。
ふん、ふん、と鼻歌などを口ずさみつつ、シャワーを止める。
「よし、お兄ちゃん今日も頑張っちゃうぞ」
えいえいおーと腕を振り上げ小声で呟いた。全裸で。
46通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 14:52:02 ID:???
青い空に白い雲、美しくも艶やかに色づいた木の葉。風が吹き、くるくると回る落ち葉を見て秋が来たのだなと実感する。
平日の午前、人もまばらな公園に俺はいた。
なぜなら、マユにとっては俺はまだ学校へ通ってることになっているので、今日のような平日は午後まで暇だからだ。
昨日までの俺は、病院へ行く以外に外出しようとは考えなかった。毎日毎日午前中はアパートに引き篭もり、シングルライフを満喫していた。
しかし今日、俺はそれまでの退廃的で非生産的な性活を変えようと決意する。
こんないい天気なのに外に出ないなんてもったいないと考えた俺は、うららかな気分のまま、井戸端会議に熱中する子連れの若奥様やゲートボールに勤しむご老人が跳梁跋扈するこの新天地へと足を運んだのだ。
かの人類史上初めて月面に足を踏みしめた強そうな名前の偉人はいった。これは私にとって小さな一歩だが人類にとってはうんたらかんたら、と。
今日俺が踏みしめた一歩も、それと同等に偉大なる一歩となるだろう。俺は宇宙全てに生きるナイーブな引き篭もり少年たちにとっての希望となり英雄となるのだ。
フヒヒヒと卑屈に笑って誇大妄想に耽りながら、てくてくと公園を横断する。
若奥様方が顔を潜めてこちらをチラ見しつつ何か囁いているが気にしない。
ちいちゃな愛らしい子供たちが指を刺してるが、気にしないったら気にしない。
ベンチの上に寝転がる。とてもいい気分だ。
視界に広がる、水色の空と、綿菓子のように美味しそうな雲。
この空の向こうでまだ戦争が続いているなんて信じられない。
そういえば、両親が殺された日も、こんなふうにいい天気だったことを思い出す。
閃光と衝撃。マユの絶叫と、呆然として彼女を抱きしめる俺。
そして目の前に広がる、破壊の傷痕。
赤黒く焼け焦げた両親の亡骸は、むき出しになった歯の白さがやけに目についた。
鼻腔を刺激する臭い。死にたてで程よく焼けたミディアムレアの死肉はまだ腐臭を発してはいない。
半年ほど前、家族四人でいった焼肉店の情景を思い出した俺は、なぜかそれがとても可笑しくなって、ベンチの上で笑い転げた。
馬鹿みたいに笑いすぎて、涙がでた。
47通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 14:58:00 ID:???
硬く冷たい静寂に満ちた通路。昼の街がもつ静かな喧騒から逃れるように俺は病院へと足を運んだ。
無機質な空気によって、いくらか冷静に物事を考えられるようになる。
さっきまでの自分はどうかしていた。あれほどまでに浮かれていたなんて、躁鬱病の症状もかなり進行しているようだ。
心の病気とやらも馬鹿に出来ないなと、自虐混じりに考える。
あれではまるで狂人ではないか。マユの退院が迫っているというのに、自分はなにをやっているのかと自嘲した。
いったんそれと意識してしまってからはじわじわと精神状態がマイナスのほうへと傾き続けているのを実感する。
かさぶたのように虚弱な精神を覆っていた躁狂がぺりぺりと剥がされていき、真新しい汚物が顔を覗かせる。
その黒ずんで汚染された臓物は俺の視界に入るや否や、口腔へと押し入り、食道と胃袋を陵辱する。
汚濁は胃液と混ざり合い、血中へと混入されて体内の病巣の糧となり、俺を蝕んでいった。
精神の活動とは食事をすることに似ている。認識という口から情報という食物を体内に取り込んで租借し、消化して自己の意識という血肉の一部とする。
物事を不快に感じたりするのは、取り込んだ情報が消化不良を引き起こしたということだ。
ならば精神の病とは毒物や腐肉を口にした結果、中毒症状を発症することで、その際さらに俺のような狂人の場合には、自虐のループといったかたちで、排泄物を再び自らの口に放り込み、歪んだ食物連鎖を繰り返すことでますます病状を悪化させるのだ。
下品な想像を続けているうちに、自分の口元が歪な形になっているのに気がつきあわてて一文字に引き締める。
犯罪者予備軍になるにはまだ早い。妹の名が書かれたプレートを凝視する。
彼女がいるかぎり、俺はまだ壊れるわけにはいかない。
48通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 15:05:53 ID:???
マユの病室にいるときの俺は、本を読んでいることが多い。
会話をすることもあるが、俺の貧相な語彙ではマユが話すばかりであまり長くは続かないのだ。
読む本はいつも決まって若年向けのジュブナイル小説だ。
剣と魔法の世界に迷い込んだ少年、偶然乗り込んだロボットを駆り戦う少年、
立場や世界は違えど、それぞれの目的に向かって冒険を続ける少年たちの物語は、陰惨な現実を忘れさせてくれる。
今思えば、あの夢はきっとこんな小説ばかり読んでいる俺の願望を形にしたものなのだなと一人で納得する。
活字から目を離し、マユに視線をやる。
彼女はそのかわいらしい眉を八の字にゆがめ、食い入るように手元の本を凝視している。
同性愛は不毛だと何度いっても聞かない彼女は、同室のお姉さんに貰った不健全な書物を手放さない。
世話になるばかりなのに本まで頂いてしまっては悪いといったのだが、お姉さん曰く、これは布教だとの一言で突き返された。
付き添いの男性がすまなそうに苦笑いしていたのを覚えている。
こんな教育に悪そうなもの、父さんがみたらどんな顔をするだろうか。
いや、案外あの馬鹿親は笑って済ますかもしれない。昔から父さんはマユにばかり甘かった。
男親というのは生意気な息子よりかわいらしい娘のほうを溺愛するものだ。
俺だってもしマユが彼氏を紹介するなどと言ってきたならば、男に拳の一つくらい食らわせてやるかもしれないなと想像する。
49通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 15:09:34 ID:???
「ねぇ、おにいちゃん」
「ん?」
マユが上着の袖を引っ張っている。文庫本は詩織を挟まれ、寝台脇に備え付けられた棚の上にあった。
白い頬をわずかに紅く染めたマユは恥ずかしそうに睫毛を震わせて、小さな口元をぼそぼそと動かし何かを伝えようとしている。
これはあれだ、手洗いに行きたいというサインだ。
本を閉じて棚に載せ、立ち上がってパイプ椅子を脇に退かす。
よいしょと小さく声を出して、マユが寝台から降りる。
ふらついた足取りを支えるため、俺の腰に半ば抱きつくように押しかかる。
この状態のまま、廊下を歩いて手洗いまでいくのだ。
マユはもうリハビリが出来るようになるまで回復している。
以前までの療養計画では、このときには既に彼女へ事故の真相を告げていなければならない。
しかし、俺は未だに事実を告げることが出来ずにいる。
あのまま俺の覚悟が決まらずにずるずると今日まで、退院間近まで負債を引き摺ってしまっている。
主治医の先生は俺の裁量に任せるといってくれた。
これは俺たち兄妹の問題だということで、全ての判断を俺の意思に委ねた。
いや、彼は責任を放棄したのだ。陰気な異常者の兄妹の世話が面倒になり、意思を尊重するという耳障りのいいお為ごかしで、大人である彼は子供を見捨てたのだ。
それは違う、と小さく頭を振る。そんな考えは、視野狭窄に陥った中二病患者のすることだ。
彼はきっと、善意からいってくれたのだ。いままでだってよくしてくれたじゃないか。
50通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 15:17:52 ID:???
マユに声をかけて、歩きだす。
本来なら、このようなことは一人でやったほうが彼女自身のためになるのだが、マユにしつこくせがまれた俺は根負けして、松葉杖がわりに付き添ってしまうのだ。
これはある種の羞恥ぷれいとやらで、寄り添って歩く俺とマユの姿に、普段は仏頂面の偏屈爺さんもニヤニヤする。
頬に熱が集まるのを感じながら、ふと思った。
それにしても、ここに入院してからのマユは、やけにスキンシップを図ってくる。
今だって、彼女は必要以上に体を俺に密着させている。
事故以前の俺たちは、それなりに仲の良い兄妹だったが、周囲の姉妹をもつ友人たちと同様に、ある程度のよそよそしさをもって接していた。
これほどまでに過剰な体の接触は、気恥ずかしさもあってか起こり得はしなかったのにだ。
両親不在の寂しさが、兄への態度を変化させたのかなと考えたところで、マユが俺の顔を上目遣いで覗きこんでいるのに気が付く。
「はやく、いこうよ?」
「あ、ああ」
大きな透き通った瞳に見据えられ、全てを見透かされているような気分になった俺は返事に戸惑ってしまう。
体が密着したことで、肋骨のあたりに彼女のわずかに膨らんだ乳房が当たっているのを感じる。
小さく開いた胸元から覗く鎖骨と、羞恥心からか薄く薔薇色に染まったきめ細やかな肌が、言いようの無い艶やかさを思わせる。
長い睫毛と、小さく整った顎骨。瑞々しく薄紅に色づいた唇は、彼女が一人前の女であることを主張する。
男にとっては甘いと形容される女性特有の芳香が鼻腔をくすぐり、脳髄を犯す。
胸の中に焔のように燻り、その熱と甘い陶酔によってもたらさせるあの感覚が、俺の中に広がった。
馴染み深くも忌まわしい激情が焼き鏝となって胸を焼く。
おれは、いもうとに欲情していた。
それを認識すると同時に、自制心を働かせる。
やめろ、マユは妹だぞと、自分に言い聞かせる。
先ほどまでの羞恥心を脳裏に甦らせ、劣情に燃えた頭を鎮火させるべく躍起になった。
「まったく、あんまり手間かけさせるなよな」
愚痴をこぼすように声をかけることで、下劣な感情を抑えることに何とか成功した。
拗ねたように歩き始める妹をみて、少しずつ股間に集中していた熱は収まってくれる。
変態かよ俺はと、最近はすっかり習慣となった自虐癖を働かせて、普段の調子を取り戻した。
51通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 15:24:19 ID:???
「もうすぐ退院なんだから、いつまでも俺に頼りきりじゃ駄目なんだぞ」
「むうー。おにいちゃんってば、優しくない!」
「はぁ?十分優しくしてやってるじゃないか」
ふんだ、と、マユは口を尖らせて拗ねたようなそぶりをみせる。
それに俺は苦笑した後、マユの頭に手を乗せて、いつもの台詞を言った。
「まったく、マユはいつまでも子供だな」
「もう子供じゃないもん」
何度も繰り返された問答で、無機質な廊下に喧騒が生まれる。
兄妹の会話は、悲劇や陰気な感情とは無縁の穏かな日常を演出する。
たとえ虚構であっても、その暖かさは嘘偽りの無い確かなもので、
俺はそれを守るため、強くなろうと再度誓った。
「はいはい、そういうことはもう少し発育してからいうんだな。お子様のマユちゃん」
「子供じゃないー!」
マユの身体の柔らかさは、性欲とは別の感覚を、家族の暖かさを俺に実感させてくれる。
俺はまだ彼女を失ってはいない。俺の未来は、あのおぞましい悪夢のようには絶対にならない。
未来に絶望するには、俺はあまりにも満ち足りているのだ。



――しかし、世界の歯車は俺の意思とは無関係に回り続ける。
団欒も、日常も、悲劇も、戦争も、全ての事物は時の流れととともに刻々と変化し続ける。
先延ばしにされ続けた決断は、いつかは下さなければならない。
猶予期間が終わり、溜まりに溜まった負債と汚泥は全てを飲み込む奔流と化す。
マユの退院の日は、目前に迫っている。














さりげない仕草で兄の劣情を刺激しようと奮闘する腹黒なキモウトは人類の至宝。
それが定説です。
52通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 17:00:37 ID:???
萌と鬱を同時に読めるとは・・・
隠れた名作、GJだ
53通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 18:55:11 ID:???
俺は最後のあとがきみたいなやつを楽しみにしてるw
54通常の名無しさんの3倍:2007/04/20(金) 00:40:29 ID:???
いろいろと台無しだw
55通常の名無しさんの3倍:2007/04/20(金) 00:54:55 ID:???
マユラかとおもた
56通常の名無しさんの3倍:2007/04/24(火) 20:13:54 ID:???
57通常の名無しさんの3倍:2007/04/27(金) 21:27:45 ID:+OKfdOOB
続きマダー?
58通常の名無しさんの3倍:2007/05/03(木) 20:34:10 ID:???
マダー?
59通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 21:12:31 ID:q2l8Dxsv
マダー?


60通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 21:19:42 ID:MH/BjxWd
マダー?
6143:2007/05/06(日) 21:30:39 ID:???
マダー
62通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 21:49:19 ID:???
ダーマ?
63通常の名無しさんの3倍:2007/05/09(水) 18:19:34 ID:???
マダマダー?
64通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 15:06:21 ID:???
ムダムダー?
65通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 07:32:07 ID:???
モエタ・・・GJ!!
66通常の名無しさんの3倍:2007/05/16(水) 22:30:52 ID:???
67通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 20:50:33 ID:NZyvaICP
hosi
68通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 22:24:52 ID:???
病んでるなあ(褒め言葉)
69通常の名無しさんの3倍:2007/05/25(金) 17:58:06 ID:???
70通常の名無しさんの3倍:2007/05/28(月) 08:14:52 ID:???
続きまだ〜♪
71通常の名無しさんの3倍:2007/05/28(月) 23:28:58 ID:???
まだー?
72通常の名無しさんの3倍:2007/05/31(木) 21:20:52 ID:???
まだまだー?
73通常の名無しさんの3倍:2007/06/01(金) 20:48:32 ID:???
俺の脳内では、最終回でシンと戦ったのはアスランではなくマユ。んで、錯乱してルナ殺しそうになったシンに向かって

マユ「この・・・バカ兄貴ぃぃぃぃ!!!」パリーン(種割れ)


とか言ってシンをボコボコに・・・
74通常の名無しさんの3倍:2007/06/02(土) 21:27:22 ID:???
マユが凸の位置ということは、マユがシンをひっぱたいて
「戦争はヒーローごっこじゃない!!」
とかいうわけですか

75通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 03:00:30 ID:???
お兄ちゃん情けないねwww
76通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 12:02:47 ID:???
個人的には、マユの乗機はストライクの核エンジン形で。
77通常の名無しさんの3倍:2007/06/05(火) 22:38:00 ID:???
とりあえずシンの性格は変わりそうだな
78通常の名無しさんの3倍:2007/06/06(水) 05:04:51 ID:???
デレデレだろう。
79通常の名無しさんの3倍:2007/06/07(木) 04:12:05 ID:???
マユかわいいよマユ(*´Д`)ハァハァ
80通常の名無しさんの3倍:2007/06/11(月) 07:24:26 ID:???
シンが第一世代コーディネイターならマユと(ryしても
遺伝子的に問題ないのかなまあ第二世代なんだけど

81通常の名無しさんの3倍:2007/06/15(金) 02:38:39 ID:???
それでもシンなら、
シンなら何とかしてくれる!
82通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 15:11:12 ID:???
マユ「マユとお兄ちゃんの深い愛情の前では、そんなもの壁にもなり得ません」
83通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 12:09:13 ID:???
シン「マユかわいいよマユ(*´Д`)ハァハァ」
84通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 16:08:25 ID:???
一緒にザフト入隊ってシナリオを
SSか
http://www.src.jpn.org/
で見たいな
85通常の名無しさんの3倍:2007/06/24(日) 21:57:35 ID:AqRgMpYW
言い出しっぺの法則(ry
86通常の名無しさんの3倍:2007/06/25(月) 14:06:44 ID:???
ガンバレ
87通常の名無しさんの3倍:2007/06/25(月) 22:10:10 ID:xJdCJGrI
ガンバレル
88通常の名無しさんの3倍:2007/06/25(月) 22:11:56 ID:???
わ〜凄い凄〜い
89通常の名無しさんの3倍:2007/07/03(火) 20:39:02 ID:???
マユがザフトに入るとなると年齢が問題だな
シンが二十歳超える
90通常の名無しさんの3倍:2007/07/10(火) 22:17:14 ID:???
つーかマユが生きてたらフツーにZZみたいな話になりそうだな…

「マユを山の手の学校に入れてやるんだ!」
とか言って、三馬鹿と一緒にセイバーを盗んだり。

その場合、ビーチャがオクレで、エルがステラだとして…アウルはイーノになるのか?
91通常の名無しさんの3倍
すげー見たい、それ