もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら7

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79798 ◆TSElPlu4zM

 アムロは舌打ちをすると、νガンダムをラゴゥに正対させたままバーニアを噴かし後方へと跳んだ。
 落下するνガンダムの腰がブリッジ正面に差し掛かった時、アムロは軽くバーニアを軽く噴かして、コンマ数秒間だけ滞空させると、ブリッジの上部とアグニの砲身を水平にしてトリガーを引く。

「――そこか!」

 アグニから発射されたビームは、ブリッジの上部装甲を焦がしながらも、飛び出して来たラゴゥへと向かって走って行く。
 バルドフェルドは飛び出した途端にビームが飛んで来た事に驚き、瞬間的にビームサーベルのスイッチから指が外れ、操縦桿を全力で切りバーニアを噴かして回避しようとしたが、勢いは殺す事は出来ない。

「――なんだと!?――つっ!」
「――きゃっ!」

 ラゴゥは右前後の脚部を失いながらも、アークエンジェルのブリッジ上部に突っ込む様に叩きつけられ行動不能となった。機体の右側面からは所々、火花が散っていた。
 バルドフェルドは額から血を流しながら、呻く様に口を開く。

「……うっぅ……まさか、撃って来るとはね……。しかも、あの状態から艦に当てずにこっちを狙うなんて、何てパイロットだ……」
「……でも、これでチェックメイトよ」
「ああ、つまらない終わり方だが仕方あるまい……」

 アイシャはパイロットスーツを着ている為に怪我はして無いのか、衝撃の割りにはっきりした口調で言った。
 バルドフェルドは不満そうに応えると再び操縦桿を握り、ラゴゥはブリッジの上部装甲にサーベルのノズルを押し当て、いつでの破壊出来る体勢を取った。
 一度、前部甲板上に着地したνガンダムは、再びラゴゥの前に着地しアグニを向けた。

「大人しく投降しろ!」
「おい、見て分からないのか?撃てばどうなるか分かっているだろう?」
「ブリッジをやれば、こちらも撃たせてもらうさ」

 投降勧告にバルドフェルドは、ラゴゥの首を少し動かすと、サーベルで上部装甲を軽く叩いて何時でもビームを発生させて破壊出来るとアピールするが、アムロも引く気が無いのか、アグニを突き付けたまま答えた。
 バルドフェルドは肩を竦めると、傷が痛むのか、顔を顰めながらもアイシャに聞いてみた。

「……なぁ、アイシャ、彼は本気で撃って来ると思うか?」
「きっと本気じゃないかしら?」
「……全く、運が悪かったかったとしか思えん。アイシャ、俺の我が儘に付き合わせてしまって済まないな……」
「フフッ、最後まで付き合うわよ」
「そうか……では付き合ってくれ!――さあ、モビルスーツのパイロット!俺がブリッジを潰すのが先か、君が俺達を殺すのが先か、勝負と行こうじゃないか!」

 アイシャは微笑を湛えて言うと、バルドフェルドはこの女性と死ねるなら良いと思い満足そうに応える。そして、アムロに対して勝負を持ちかける。
 どっちに転んでも死が待っているが、バルドフェルドに取っては、これだけの相手と戦えた上に、愛する女性と共に死ねるなら本望だった。

「――貴様、正気か!?武器はアグニだけじゃない!死にたいのか!?」
「――さあ、どうする?」

 アムロに取ってもアークエンジェルを失う訳には行かない。一人、この世界に放り出され、今では我が家にも等しい場所でもあった。νガンダムの右手にビームサーベルを装備させると、大破したラゴゥへと向ける。
 バルドフェルドは挑発するかの様に言うと、両者は睨み合った。

「――私の名は、ラクス・クラインです!ザフト、連合両軍共に武器を引き、戦いを止めてください!私はラクス・クラインです!」

 突然、アークエンジェルの外部スピーカーを通し、闇夜の砂漠にプラントの歌姫の声が響き渡るのだった。