ガロード達が種・種死世界に来たら -風景画9枚目-
ガロード『目ぇデカッ!』
そういえば782氏の話は今のところガロティファかそれに近しい位置の人間の視点でしか語られてないな。
このままいわゆるAA側視点のみで進めるというのもありとは思うが、
やはりザフトサイドが何を思ってるか気になる。
特にクルーゼとかクルーゼとかクルーゼとかw
巷に
>>1乙の降るごとく
byポーノレ・ニチャネラ・ヴェルレール
ime.nuが入るのは外部サイトのみですが>9
てか初めてだったから<10
まだ新スレ建てたこともないし
今のテンプレからじゃ兄弟スレにいけないからつけた
前スレ埋まった
前スレよりは上にいないと
前スレの
>>982 ロアビィの影が薄いのとディアッカ最後に生かしたのが個人的にはしょんぼり。
痔悪化殺さなかったのは誰かが投下した小ネタを
(凸が夢枕で格好いい二つ名は死亡フラグだって痔に伝える、みたいなやつ)
汲んだ単なる読者サービスだと思うんだ。作者氏も元は3次ネタの作者さんだし。
XのレンタルDVD見た。
ガロードとフロスト兄弟のラストバトルに燃えた
フロスト兄弟視点のSSは楽しみにしているんだがなぁ
話できたんで投稿します
「フレイ!」
「サイ!」
ガロードが拾ってきた救命ポットのなかに、サイ達の知り合いが居た様で、
それを見たガロードは嬉しそうに笑った。
「お〜い坊主! ちょっと来てくれ!」
「はいはい、何だ?」
「おめえがポットと一緒に持ってきたこのマシンガンな、弾はそんなに無いが使えるってよ」
「よっしゃ!」
マードックが言うようにガロードは救命ポットのほかに流れてきたジンの装備も持って帰って来た。
バルチャーの面目躍如という所である。
ガロードはまだ何かありそうだと勘が継げているが、あいにくそれを探す暇は無く諦めるしか無い。
「それとこれ、おめえとあの嬢ちゃんの宇宙服だから、渡したぞ?」
「ん、あんがとさん」
ガロードはそう言うと部屋で休んでいるティファの元へ飛んでいった。
ティファはミリアリアからブリッチにコクピットの中の様子が駄々漏れだと言う事を教えられ、
顔を真っ赤にして部屋に閉じこもっている。
1年前トニヤやパーラ等にも冷やかされたが、
別れてからは特にあっていないので免疫が低下していたようだ。
なお部屋はヘリオポリス組みの男子に二部屋、女子に一部屋貸し与えられている。
今はティファと一緒にミリアリアも部屋の中にいて何やらやっているが…まあ気にしないでおこう
「っと、発進したな」
「はい…」
ガロードとティファは互いの顔を見合わせて頷いた。
二人ともパイロット用の宇宙服を着ている。
「ちょ、ちょっと!」
格納庫へ進む二人にフレイ・アルスターが声をかけた。
「んぁ? なんだよ?」
「あなた達そんな格好して…」
「フレイ、この二人がフレイ達の救命ポットを持ってきてくれたんだ」
一緒にいたサイの説明でフレイは驚いたような顔をした。
「え? そんな…あれを操縦できるのはコーディネイターだけじゃ…」
「まあ確かにちょっとややこしいけどさ、やってやれないことは無いぜ?」
『サイ・アガール、至急ブリッチへ』
「っといけね、それじゃフレイは他の皆の所へ」
「え? 何でサイが?」
「この船は人が足り無いんだよ…俺達が手伝わなきゃすぐに沈んじゃうほどさ」
「おいおい、これは手厳しい事言うね〜」
ガロード達が話している所に、フラガがひょっこり現れた。
ガロードはフラガの物言いに、
「けど俺らが手伝わなきゃもうこの船沈んでると思うけど?」
と言われフラガはがっくりと肩を落とした。
「そ〜なんだよな〜、それにひよっこの新兵も多いし…
ぶっちゃけ軍の権威が保てるかどうかってだけで能力は学生と一緒なんだもんな〜」
「おいおい、報酬のほうちゃんと頼むよ?」
「それは君達の働きしだだっての」
「なっせけね〜大人」
「う…」
ガロードにそう言われ、自分でもそう思っていたフラガは呻いた。
「それじゃサイ、気をつけてね?」
「フレイも揺れるから気をつけろよ?」
フレイはサイにそう言った後フラガ達に一礼してほかの救命ポットの人の所へ行った。
その背中をティファはじっと見つめていた。
「坊主、装備は上からの指示でエールだぞ!」
「エール? 応援されても…」
「そういうパックの名前なの! ついでに意味は翼だからな。
型は高機動型で背中に四つの大きなブースターが着いてっから背中を攻撃されんなよ!」
「うへ〜、ちっと面倒臭いな」
「ま、そう言うな…あと嬢ちゃん用に簡単にだけど椅子とシートベルと着といたからさっきみたいな事にはならんと思う」
「…あ、ありがとうございます」
「あんがとさん、けど翼か〜…やっぱ大きいのか?」
「そりゃ多少はな」
ティファはガロードの横でお辞儀した。
「そんじゃ頑張れよ!」
マードックはそう言うとそそくさとコクピットから出て行った。
どうやら二人の雰囲気から気を利かせたようだ。
「うし…ティファ?」
「え?」
「さっきからどうしたんだ? なんかちょっとボーっとして…」
「うん…あの、フレイさんなんだけど…」
「え?」
「あの人に二つの未来が見えたの…
一つは悲しい明日、自分の身を犠牲にしてぼろぼろになりながらそれでも自分が思ったように動く…、だれの迷惑も考えず。
もう一つは明るい明日、周りには笑顔があふれ思うままに生きていく…そんな相反する二つの未来」
「ティファ…」
ガロードがティファの方を向くとティファはしっかりガロードのほうを向き、
「二人で明るい方へ導きたいと思います…」
『あ、何? 私達は仲間はずれ?』
「「うわ(わ)!」」
二人はそう言って前を見るとそこにはニタニタ笑いのミリアリアがいた。
その顔はどこかトニアを連想される顔だった。
『ほらほら、いちゃついて無いで発進よ』
「!!…わ〜ったよ! ガロード・ラン!」
「ティファ・アディール!」
「「ガンダムエール、行きます!」」
『エールストライクだ!』
………なんともしまらない発進だった。
「ええ! ガンダムが4機!?」
『奪取されたこちらのMS…赤いのがイージス、黒いのがブリッツ、青いのがデュエル、茶色のがバスターです』
「だ〜もうややっこしいな! 流石に俺でもガンダム4機は無理だぞ!?」
『やはり無理か?』
「最高2機、上手く轢きつけられて3機、下手すると1機に掛かりきりになっかも…」
『く…解った、優先順位はイージス、バスター、デュエルだ、
特にイージスがアークエンジェルに取り付かれたらほぼ堕ちると思っていてくれ』
「ち、了解…っと、へへ、上手い事来たぜ、赤いのに青いのだ!」
ガロードがそういうようにイージスとデュエルがストライクの相手になった。
「ティファ、しっかり捕まってろよ!」
「はい…!? イージスから通信が…」
「はあ?」
ティファがそう言うと強制的に通信ウインドが開いた。
そこにはさっきと同じ青い髪に緑の目をした青年が写っていた。
『おいお前、本当にキラを知らないのか?』
「何だよいきなり…キラは船で今おっちゃんと一緒に避難してるよ」
『やはり知っているのか!』
『アスラン! 何敵と話している!? 戦わんのなら邪魔だ!』
『待てイザーク! まだ話は…』
イージスと他の誰かが喋っている…というかほぼ口喧嘩の領域だが…間に、
ガロードはバスターに牽制のビームライフルを撃った。
バスターは二つの銃を合体させアークエンジェルへ撃とうとしたがガロードの邪魔で回避、
さらにガロードへミサイルを撃って遠ざけようとするも、
ガロードはミサイル引き連れてイージス、デュエルの間を高速で疾走、
2機ともガロードへビームライフルを撃つがことごとくかわされ、
逆にバスターが撃ったミサイルが流れ弾となり襲い掛かる。
ガロードはそれでも自分に来るミサイルだけ反転してバルカンで落とすと、
「イージスのパイロット! キラの事教えて欲しかったらここまで来な!」
と挑発し、バスターの方へと逃げていった。
『くそ!』
『あ〜も〜イザーク、アスランも何やってんの!』
『五月蠅い!』
『今からそっちへ行く』
ストライクのコクピットに、相手の無線が駄々漏れだった。
ガロードはそれににやりと笑うと、
「や〜いデュエルの下手糞パイロット、悔しかったここまでおいで!」
『ぬわ〜〜に〜〜〜!!!』
『おいイザーク! 挑発に…』
『貴様は黙ってろ!』
デュエルはそういいながらビームライフルを乱射した。
さほど効果が無い事は先ほど実証されたが、
デュエルの機動力はエールストライクよりも低い為追いつけないのだ。
ガロードはにやっと笑い、自分とデュエルの直線状にバスターが来る様にした。
バスターは両手に持つ銃で狙いを定めるもストライクがデュエルのビームを回避、
そのビームがバスターへ迫るので回避しなければならない。
「ガロード、上から…」
「了解…っとっと、またゲテモノかよ!」
ガロードが機体を後退させて上を向くと、四つの足と付け根にビーム砲を備えたイージスがいる。
機体の色と重なりさながら『4本足のタコ』である。 イージスは4本足を広げ突進した。
「くそ!」
ガロードは最初ビームライフルで迎撃しようと思ったが、
横からバスターとデュエルの砲撃を受け、狙いを定める事が出来ずイージスの進行方向と直角に逃げた。
ティファが絶え間なく直撃する攻撃を教えてくれたから出来た芸当で、
ガロード一人だととても出来る芸当ではなく、攻撃をかわす中でガロードはティファに感謝した。
と行き成り、それまでビームライフルを乱射していたデュエルが動きを止めた。
『くそ! エネルギーが…』
『イザーク、離脱しろ!』
『グググ…ストライクのパイロット、覚えてろよ!』
イージスの通信を中継し、デュエルのパイロットはそう言った。
その少し後、ザフトの青い戦艦から信号弾が放たれ、イージス、バスターはブリッツと共に撤退していった。
ふい〜…何とか勝ったか」
「よ、お疲れさん」
ガロード達がストライクが降りると、先に降りていたフラガが二人にそう言った。
「お疲れ〜っす」
「お疲れ様です」
「お前達も俺も死ななかったし船も無事だ。 上出来だったぜ」
「気軽に言うよ」
ガロードはそう憎まれ口を言うが顔は笑っていた。
フラガは、ハハハと笑うとキラとマードックになにやら言っていた。
ガロードとティファは疲れの残る体を引きずってそれぞれの部屋へ行く。
「ガロード…」
「んあ?」
「お休みなさい」
「お休み、ティファ」
二人は部屋の前でそういってそれぞれの部屋に入った。
彼らはその後、アルテミスの中にアークエンジェルが入りきるまでの短い時間だったが、
眠りについた。
とりあえずここまで…アルテミスではガロード大暴れを予定しています。
GJGJ、ガロティファの二人が良い味出してる
戦闘シーンにXのノリを出してるのも良い
後は誤字脱字を何とかしとけば良いと思う
782氏、ガンバ!
>「「ガンダムエール、行きます!」」
>『エールストライクだ!』
>………なんともしまらない発進だった。
ここに笑わせていただきました
あと未来うんぬんでフレイについても色々ありますか・・・
とにかくGJでした
続きお待ちしております
>>25 ううう・・・何度も確認したはずなのに…なんでこう誤字脱字が直らないんだろう…
ガロティファは忘れず(え?)頑張ります!
>>26 >笑い
ガロード達の世界ではガンダムDXやガンダムレオパルドなど、
最初にガンダムが来るのでこういう風に言わせて見ました。
けど最初かいててガンダムエール=ガンダム応援って文字変換して一人で笑ってしまったのは秘密です。
たしかにコズミック・イラじゃガンダムアストレイ(っつっても呼称だけだが)以外言わないしな
そういえばアルテミスであのツルピカが出てくるはずだな
そこら辺の場面とガロードの活躍にwktkしてるぜ
29 :
26:2007/03/27(火) 14:36:38 ID:???
ガンダムエールのやり取りだけじゃたぶん笑わなかったです
そのあとの一言が自分、ツボりました
こういう細かいところで、ユルっとするの好きなんですよ
>>25 初期のZZっぽいノリのような感じがするな、自分には。
凸と遺作に痔が、ZZのマシュマーとか酸素欠乏症ヤザンみたいだw
GJ!
ところで今回ブリッツは何やってたんだ?
本編通り、なのかも試練がもう覚えてねえorz
GJ!!二人乗りハァハァ
age
GJ!
アルテミスか・・・
不死身のガルシア司令だなぁ・・・
あの人も月のサイクロプスから生き残ってるんだからムゥと面識あってもおかしくないんだよな
まぁ、おばちゃんすら対物ライフルを使いこなすAWの人間の逞しさに期待
>まぁ、おばちゃんすら対物ライフルを使いこなすAWの人間の逞しさに期待
なにそのバンパイアハンターDに出てきそうなおばさん。
37 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 20:40:26 ID:jJHeyE71
>>35 Dだと、杭打ち銃や飼い馴らされた妖物の方がらしいから、むしろ『新宿』?
一般人でそんなレベルなら、CEの人間なんて相手にならねぇ!
狩人と獲物くらいの差が有るぞ。
>>38 世界人口の99%が死滅した世界だからな。
生き残った連中ってよほど運がよかったか、それなりの実力者だということだ。
生き残ったとしても、その後の世界を生き抜かなきゃならないから、相当の実力者だと思うぞ
つうか、Dの世界の人間は、ただの村人でも普通の話なら主役はれる実力者ぞろいだよ。
>>35 そのおばちゃんに弾を渡して
「この弾じゃないよ」
と怒られていた見た目五歳児の女の子だったかな?が印象的でした。
こんな子供の頃から硝煙に慣れ親しまなければ生きていけない世界で
曲がりなりにも大人まで成長出来た人間とくれば只者ではなくなるのは当然
でしょうね・・・
バカッ!鉄鋼弾だろ!!
おいおい……普通の主婦だろアンタ等……
AWでは自衛での対MS戦なんて日常茶飯事です。
MS乗りの評判が悪いのもそのため。
銃火器に詳しい主婦が当たり前で、
傭兵顔負けなのさえざらに居る、
それがA.Wクオリティ。
…という事は某笑う雌豹やら某サラリーマン傭兵みたいなのがごろごろ居るんだろうか?
瓦礫ひっくり返せば白骨ごろごろ、畑は風化した死体がそこかしこ。
食糧生産が再開するまでは、冬の世界でシェルターに残ってた食料の
奪い合い。生きることは戦いです。
うん、なんかある程度の無茶は通用しそうですね・・・
それともう一つ、AWの人達は軍または軍人って嫌いじゃないのかな?
直接関わったって言う人もいれば間接的にそれが原因だと言う人もいそうだが・・・
嫌いではないんじゃない?
あの時代に軍が出てきたのはゾンダー・エプタあたりだろうし
北米大陸は無法地帯だった
そこらへんはな・・・
あ、グレメカでXの特集組んでるって既出だったっけ?
生身でMSハントする少年やら
人が乗ってるMSのコクピット叩き潰して機体をお持ち帰りするのが日常茶飯事だからな・・・
AWの北米は
AWは
【宇宙】
クラウド9以外全滅
宇宙難民死にまくりんぐ
【地球】
コロニー落ちまくりんぐ、北米ボコボコ南米ほぼ消滅
以後4年間太陽すら見えず=1年中冬
テクス曰く、「社会システムの崩壊による混乱、疫病の流行…。無神論者ですら、神を信じたくなるような世界だった」
MSに乗った北斗の拳のモヒカンが闊歩
これなんて地獄?
普通に街中に落ちたコロニーがあるもんなあ…
第7次宇宙戦争前は100億以上だった地球の人口が、本編時では1億割ってるんだもんな、AW世界。
人類の1%以下しか生き残れなかった文字通りの地獄絵図。
正直フリーデンクルーならともかく、フロスト兄弟あたりはユニウス7落とし見ても眉一つ動かさない気がする。
「なんだこんなものか」って。
>>53 それでも、フェブラルと戦いながら数百基のコロニーと対峙して、
たった四十基しか地球に落とさなかったジャミルなら
あらゆる手を尽くしてなんとかしそうな気がする。
まあ、その四十基で十分
>>51の様な地獄絵図になったんだけどね
>>54 >数百基のコロニーと対峙して、
>たった四十基しか地球に落とさなかったジャミル
……完全にバケモノじゃねーかッ!!
もうアシクズ押し返すとかそういうレベルじゃねーぞ!!
>>55 いや、奇跡を本当に起こしちゃった事件と比較するのはヤバイ
57 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 23:13:22 ID:G4QgHFGS
ジャミルの能力よりも大盤振る舞いにも程があるコロニーの落としっぷりに茶吹いたw
いったいどんだけサテライトキャノン連射したんだジャミル。
フロスト兄弟だけじゃなくフリーデンクルーも人の死にはなれてるだろ。
コロニー風邪かかれば薬なければ死ぬし、食い物がなければ餓死、
モヒカンMS乗りが襲ってくれば村ごと全滅。
ナンテステキナセカイデショウ!
スターゲイザー第一話の阿鼻叫喚が、生温く見えるような環境だな。
村を襲って奪いつくしたあと人は生かしておいて毎年やってくるバルチャーもいるぞ
ナンテスバラシイセカイデショウ!
こんな地獄を日常として生き抜いてきたんだ。
ガロードたちがあらゆる意味において「強い」のは当然の事か……
>>54 凄まじいまでの迎撃率だなオイw
最高で9割以上、最低でも5割以上とは。
おそらくトラウマ以前のジャミルとサテライトビットMS一組あれば、CE世界は灰燼にきせるんじゃないか?
月にMW送信施設がない…
確かに、月ごと行かないと無理だわな。
ヴァサーゴ・チェストブレイクとチェストブレイクBit辺り(あると仮定して、だが)だったら、出来そうな気もしないでもないが。
しかし、流石は最強の戦士と呼ばれた男だよな。
この偉業を、コロニー側最強の戦士であるランスローとガチバトルしながら成し遂げたんだから、新連邦がニュータイプにアレだけ拘るのも判る気がする。
まさに、『ジャミル・ニートがあと○人にいたら、前の戦争には勝っていた』レベル……。
あと一人いたら単純計算で勝てたんじゃね?
戦後NT能力を喪失し、しかもコクピット恐怖症で十年以上のブランクがあるにも関わらず、本編でもあの強さだしなあ。
純粋な戦闘能力ならガロードより上だろ、本編ジャミル。
もう一人NTがいればガロードが乗ったGXで戦ったんだろうな。
GX−ビットを全部改造してDX−ビットにした後、本体のほうのDXにガロードとティファが二人乗りしてティファがDX−ビットを動かせばおk
地球滅ぼせますねw
過ち繰り返しまくりw
純粋な操縦技術だけをとってみればジャミルは歴代最高クラスかもな。
>>48 一年戦争のif、早すぎた新世紀、シャギュア・フロスト(マジ吹いたw
Xを理解してくれるひとが書いてくれたからホント良かった
>68
スパロボのα外伝じゃないんだから・・・
ふと思ったんだがXを一年戦争のIFとおくと、
ジャミルがクワトロ、アムロの位置ならガロードってカミーユの位置か?
もっと言うならカミーユのNT能力をティファに、
残りをジュドー分と混ぜてガロードにした形なんだろうか?
>>71 ランスローがアムロじゃないか?Z的な立ち位置だとすれば
それ以外はそんな感じだと思う
そういえばドーザ・バロイはカミーユの中の人がやってたな
それにオルバの中の人がハサウェイなのも驚いたっけ
α外伝じゃ声質が変わったらしいな・・・まあそれはそれで良いか、うん
アムロ→クワトロなのがジャミルで
シャア→軍でお抱えになったifのアムロなのがランスローだっけ?
じゃあガロードはヤザンか?
完全にOTなのにNT圧倒するし・・・
で、カリスがフォウでティファがカミーユ・・・
フロスト兄弟はヤザンとジェリドとシロッコを足して2で割った感じか?
ガロードはガロード以外の何者でもない
主人公の代わりなどいないという事か
ミラージュコロイドなんか使わずに
発色素子とかAAとかに組み込んでカメレオンみたいに隠れればいいのに
なんでAAもミネルバもわざわざ派手な色に塗っているのか理解不能
宇宙で運用するならマットブラックがいいだろうし
地上だったら砂漠用にデザードカラーとか
海上だったら青色とか
せめて灰色にすればいいのに
なんであんなに目立つ塗装しているのか納得できる説明が無いしwww
PS装甲でもないのにあの色はあきらかにおかしいだろwww
目立つ→他の戦艦の生存率が上がる
フラグシップ……いや、宣伝用じゃね?
NJの影響で目視できない母艦は困るとか
ありえねえ
どう考えてもオトリ艦です、本当に(ry
そういえば、ホワイトベースが何であの発色なのかって説明されているのか?
なあなあ、49氏と792氏のSS
それにこのスレがまとめサイトに置かれてないんだが
おれじゃ出来ないから誰か頼む
>発色素子とかAAとかに組み込んでカメレオンみたいに隠れればいいのに
ちょっとでも装甲にダメージ受けるとそこからばれるだろ。
悠長に外壁交換してる暇ないだろうし。
黒いと太陽光を吸収して機体温度がとんでもないことになるお!
なるほど、放熱する事で光線兵器防御力を高めているAAにとって、
艦体色が白というのはむしろ必然なのか。
じゃああの赤いのは赤熱してるのか
ほらエースパイロットは自分の好きな色に塗り替えるだろ。
盟主が塗り替えたんだよきっと、その結果アークエンジェルより
ドミニオンは弱くなったんだ。
戦艦談義になってるところでふと湧いた疑問。
フリーデンUの本来の出自ってどうだったんだろうか?
色が白なのは
>>86-87で良いとして、
しかしビーム偏向器付いてたりと15年前の艦のくせに現行のものより高性能。
第7次宇宙戦争があんな結末を迎えなければU.Cのアルビオン辺りに居た艦なんだろうか?
>>91 15年前からちょくちょく改造してたんでは?
ちょっとの改良で最新鋭機になるのはリンホースがそう。
あれとジュニアの能力の差は・・・
>>91 っていうか、あの世界は戦争終盤で技術レベルがおかしな事になってる状況下の船
現在のその辺りの技術がほぼ失われた「ガンダム」とかと似たような出自なんでショ
と脳内補完したよおれは
>>93 別に技術が失われたなんて描写はなかったように思うが?
新連邦が確保出来なかったのはフラッシュシステムに対応したNTと、
既に登録済みのサテライトシステム(ジャミル機を除く)くらいだろう。
革命軍の人工NTは失われた技術である可能性もあるけど、
市長が15年かけて完成させたものだって事も有り得るし。
95 :
93:2007/04/01(日) 14:05:13 ID:???
>>94 っていうか
建造技術とか、それを作り上げドッグを作る技術とか
そーいう風が吹けば桶屋が形式の基本レベルで足りなかったんじゃね?
とそういうことなの。
つまりは技術はあってもそれを作れる職人さんや機械がないと言うことか。
確かに工場がなくなったら誰もパソコンつくれんわな。
おいおいお前ら、それでもGXのファンか?
新連邦は普通に新型戦艦や新型MSを作りまくってるじゃないか!
アルタネイティブもラボや生産ラインが生きていたな
31話の中で第八宇宙軍基地で新型巡洋艦が開発されてるのが分かるな
あとはアシュタロン、ヴァサーゴも戦後開発のガンダムだな
何気にフラッシュシステム搭載してるし・・・
もしかしたらビットMSもあるのかもな
他にもドートレスネオや戦闘機もどき、NT候補4人衆のMSも戦後開発機だな
,. -───- 、
/'´ `ヽ、
シ~ /" `ヽ ヽ `'、 ト、
//, '/ ヽハ 、_Vヽ
〃 {_{`ヽ ノ リ| l |、,i|
レ!小l● ● 从 | } i| ◆L1QckJlrlMはまだにょろか?
_l ヽ|l⊃ r─ォ ⊂⊃jノ}j|
\ r‐‐-、__|ヘ '、_ノ /| ! |
< { (` /:::::| l>,、 __, イァ_i ||
/ "ヽ /:::::/| | ヾ:::|三/ / //ァ||
ヽ< | | ヾ∨_:/ // ハ||
ちゅるやさんはスモチやるから自重しろ
>>100 ういっす、では乗せます・・・
どうもこの次が上手く行かずに・・・ラクス、本気でどうしようか・・・
「フレイ!」
「サイ!」
ガロードが拾ってきた救命ポットのなかに、サイ達の知り合いが居た様で、
それを見たガロードは嬉しそうに笑った。
「お〜い坊主! ちょっと来てくれ!」
「はいはい、何だ?」
「おめえがポットと一緒に持ってきたこのマシンガンな、弾はそんなに無いが使えるってよ」
「よっしゃ!」
マードックが言うようにガロードは救命ポットのほかに流れてきたジンの装備も持って帰って来た。
バルチャーの面目躍如という所である。
ガロードはまだ何かありそうだと勘が継げているが、あいにくそれを探す暇は無く諦めるしか無い。
「それとこれ、おめえとあの嬢ちゃんの宇宙服だから、渡したぞ?」
「ん、あんがとさん」
ガロードはそう言うと部屋で休んでいるティファの元へ飛んでいった。
ティファはミリアリアからブリッチにコクピットの中の様子が駄々漏れだと言う事を教えられ、
顔を真っ赤にして部屋に閉じこもっている。
1年前トニヤやパーラ等にも冷やかされたが、
別れてからは特にあっていないので免疫が低下していたようだ。
なお部屋はヘリオポリス組みの男子に二部屋、女子に一部屋貸し与えられている。
今はティファと一緒にミリアリアも部屋の中にいて何やらやっているが…まあ気にしないで置こう。
「っと、発進したな」
「はい…」
ガロードとティファは互いの顔を見合わせて頷いた。
二人ともパイロット用の宇宙服を着ている。
「ちょ、ちょっと!」
格納庫へ進む二人にフレイ・アルスターが声をかけた。
「んぁ? なんだよ?」
「あなた達そんな格好して…」
「フレイ、この二人がフレイ達の救命ポットを持ってきてくれたんだ」
一緒にいたサイの説明でフレイは驚いたような顔をした。
「え? そんな…あれを操縦できるのはコーディネイターだけじゃ…」
「まあ確かにちょっとややこしいけどさ、やってやれないことは無いぜ?」
『サイ・アガール、至急ブリッチへ』
「っといけね、それじゃフレイは他の皆の所へ」
「え? 何でサイが?」
「この船は人が足り無いんだよ…俺達が手伝わなきゃすぐに沈んじゃうほどさ」
「おいおい、これは手厳しい事言うね〜」
ガロード達が話している所に、フラガがひょっこり現れた。
ガロードはフラガの物言いに、
「けど俺らが手伝わなきゃもうこの船沈んでると思うけど?」
と言われフラガはがっくりと肩を落とした。
「そ〜なんだよな〜、それにひよっこの新兵も多いし…
ぶっちゃけ軍の権威が保てるかどうかってだけで能力は学生と一緒なんだもんな〜」
「おいおい、報酬のほうちゃんと頼むよ?」
「それは君達の働きしだだっての」
「なっせけね〜大人」
「う…」
ガロードにそう言われ、自分でもそう思っていたフラガは呻いた。
「それじゃサイ、気をつけてね?」
「フレイも揺れるから気をつけろよ?」
フレイはサイにそう言った後フラガ達に一礼してほかの救命ポットの人の所へ行った。
その背中をティファはじっと見つめていた。
っと、ここまで来てなんですが・・・もしかしてこれって出したやつですね、
すみませんナチュラルに間違いました。
んでは本当の続きを
ふあ〜〜〜…で? 何で俺達はこんな所にいる訳?」
ガロード達はマードックやアーノルド・ノイマンなどのブリッチクルーの一部と共に、
食堂に集められている
「ユーラシアって味方のはずでしょ?大西洋連邦とは、仲悪いんですか?」
「そういう問題じゃねぇよ」
「 ハァ…識別コードがないのが悪い。」
「それって、そんなに問題なんですか?」
「どうやらねぇ…」
どうやらアークエンジェルは今だ極秘艦で味方の認識コードも無かったようだ。
「本当の問題は、別のところにありそうだがな」
「…ですね」
「てことは何? 解っててこう言う事やってる訳かよ?」
「どうせ奴さんは上手いお宝が転がり込んで来たとか考えてんだろうぜ」
もっともそれだけではない様だ。
「ガロード…」
「ん、キラ?」
「これ…」
キラがそう言うとそっとガロードに紙を渡した。
「それに書いてあるパスワードでガンダムは動くから…」
「了解…へへ、フラガのおっちゃんなんか動いてるかと思ったらこういう事かよ」
「うん…どうするの?」
「こういうのは俺、なれてっから大丈夫だって…もうちっと様子見てからだけどな」
ガロードは悪戯っ子の様な微笑を浮かべた。
「この艦に積んであるモビルスーツのパイロットと技術者は、どこだね?」
ガロード達が集められている食堂に小太りの男が先頭に何人かの兵士が来た。
「パイロットと技術者だ! この中に居るだろ!」
「何故我々に聞くんです?」
「なにぃ?」
ノイマンは果敢にもそう応えた。
「艦長達が言わなかったからですか? それとも聞けなかったからですか?」
「なるほど。 そうか!
君達は大西洋連邦でも、極秘の軍事計画に選ばれた、優秀な兵士諸君だったな」
小太りの男はそう持ち上げるが、
「…ストライクをどうしようってんです?」
ノイマンはそれに応えなかった。
「別にどうもしやしないさ。
ただ、せっかく公式発表より先に見せていただける機会に恵まれたんでね。 パイロットは?」
「フラガ大尉ですよ。お聞きになりたいことがあるなら、大尉にどうぞ」
マードックがそう嫌みったらしく応えるが、
「先ほどの戦闘はこちらでもモニターしていた。
ガンバレル付きのゼロ式を扱えるのは、あの男だけだということぐらい、私でも知っているよ」
小太りの男はそう応えミリアリアを掴んだ。
「……うっ…」
「ミリアリア!」
「女性がパイロットということもないと思うが…この艦は艦長も女性ということだしな…」
小太りの男がそう言うとすっと動く影があった。
その影はさっとミリアリアを掴んでいた手を掴み、捻りあげた。
「な、何をする!」
「はいはい、大人しくしてなおっさん…これが見えないのか?」
動いた影…ガロードは小太りの男の手を捻り挙げた後その手を背中に持って行き銃をその男の頭に押し付けた。
なおガロードはどこから出したのかサングラスをかけていた。
「この!」
「おっと、動かないでね兵隊さん…もし下手に動くとこの引き金が間違って引いちゃうから…」
「く…貴様こんな事をしてただで済むと思ってるのか!?」
「おっさんこそこんなとこで俺達を足止めさせて…しかも女の子に手荒く振舞うし、
別に味方って訳でもなさそうだからね…それに俺今眠くて機嫌が悪いから…」
ガロードはそう言うと獰猛な微笑を浮かべた。
「わ、私をどうするつもりだ!?」
「勿論武器を捨ててこの艦から出て行ってもらうのさ…あんたは艦長達と交換だよ」
「そ、そんな脅し乗る…」
小太りの男がそう言い切る前にガロードは銃を少しずらして発砲した。
「ヒィ!」
「こう見えても気は短いんだ、早くしないとこのおっさん殺しちゃうよ!?」
「わ、解った! 言う通りにする! だから…」
「だったら速くそっちの兵隊さん達の武器を捨てさせなよ…」
「こいつの言う通りにしろ!」
小太りの男がそう言うと、アルテミスの兵士達はしぶしぶ従った。
「な、ガロード君!?」
「はいはいお話は後、艦長達早く乗って!」
ガロードがそういう先ではノイマン達も協力し、アルテミスの兵士を追い出していた。
「貴様! 一体何…うわ!」
ナタルが、ガロードにそう詰め寄ろうとした時、アルテミスが行き成り振動した。
その拍子に銃が外れ、小太りの男は命からがらと言う風にその場を走っていった。
「あちゃ〜、まあ良いか」
「良いかではない! 貴様なんて事を!」
「まあまあそう怒るなよ、現に坊主のお陰でこうして戻って来れたんだしさ」
「しかし!」
「それに俺は軍人じゃないし、小難しい事は知らないけど緊急措置だよ」
ガロードはそう言うとさっさとストライクのある格納庫へ行ってしまった。
「あ、待て!」
「まあまあ、バジルール少尉…まずはさっきの振動の原因を突き止めましょ?」
「しかし!」
「あんまし硬くなんなって、
それにあの坊主は傭兵だし俺達みたいに軍の規律なんか適応されないしよ」
「ぐ…解りました」
「それよりも速くブリッチへ行きましょ? もしかしたらこのまま発進しなきゃいけないかも知れないわ」
マリューにまで言われナタルは不承不承頷いた。
「おっさん!」
「坊主! 今回の装備は小回りが利くソードだ! 遠慮しないでぶった切れ!」
「おう!」
「けど結局パスワードは必要なかったな!」
マードックがそう言うとキラはこくこくと頷いた。
「ま、ああいうのは慣れてるもんでね」
「そうかい…ほら、嬢ちゃんがお待ちかねだよ」
「おっとイケね!」
「ガロード…」
「待たせたな!」
ストライクのコクピットに乗り込むと、そこにはティファが待っていた。
ガロードが乗り込むとティファはガロードの体を見渡して、
「…怪我は無い?」
と訊いた。
「へへ、大丈夫だって! んじゃいきますか!」
『相手はブリッツて言う黒いMSよ!
これはミラージュコロイドとか言う装置で姿が見えなくなるから気をつけて!』
「了解! けど姿が見えねえのか」
「大丈夫です…」
ガロードがどうしようかと頭を悩ませた時、ティファがそっとガロードの肩に手を置いて言った。
「ティファ? …大丈夫か?」
「はい」
ティファは頷くとそっと目を閉じた。
ガロードはアークエンジェルから離れ、
機体を近くのくぼみに隠しいったん機能を全て切るとすまなさそうに、
「ごめんティファ…なんかレーダー代わりなことさせちゃって」
と言った。
ティファはそれに対し目を瞑ったままただ首を横に振った。
「来ます」
ティファがそう言った次の瞬間ストライクが機動、同時にブーストを噴かした。
「そのまま真っ直ぐ…」
「こう…か!?」
ガロードがソード言う名前の由来となる対艦刀『シュベルトゲーベル』をふるった。
切り込んだ先はなにも無い空間の筈だったが、
対艦刀をふり切ったらブリッツが盾を構えたまま後方へ吹き飛んでいく。
見ると盾に一線傷がついているので浅かったものの当たった様だ。
「へへ、姿が見えればこっちのもんだ…いくぜ〜〜〜!!!」
ガロードは対艦刀にビームをはわせる事無くそのまま突いていく…
この対艦刀は構造上この攻撃が一番貫通力が高く例え盾で防御しても貫く可能性が高い。
ブリッツはその事が解ったのか後退しながら右腕に装備されているランサーダートを発射した。
ガロードはこれに対し頭部バルカンで応戦するも、
ランサーダートは細長い形をしいてなおかつ速く、まず当たらない。
「ティファ捕まってろよ!」
「はい!」
ガロードはそう言うと一度ブーストを切り、体ごとブーストを右へ90度ずらし、一気に方向転換、
勿論これに掛かるGはハンパではなく、大人でも失神できるほどだが、
小柄なガロードとティファはそのGを耐え切り、左腕に装備されているパンツァーアイゼンを使った。
ブリッツはこれに対し同種の武器、グレイプニールを使用、相撃ちにした。
それぞれがワイヤーを巻き取ると、
『ガロード、戻って! アークエンジェル発進します!』
とミリアリアからの通信が来た。
ガロードはそれに応えると、今まで使っていなかったマイダスメッサーというブーメランを使用、
距離は離れていた為辛くもブリッツは回避、さらにここから離れようとするストライクへビームライフルを撃った。
しかしそこにブーメランが戻ってきて、左腕の肘から先を切断…ブリッツが体勢を立て直した時にはソードの姿は無かった。
「!…うっ…!…水!水ー!」
「あーもう…」
トールがテーブルに突っ伏してそう呻いた。
アルテミスを出てしばらくアークエンジェルは当てもなくさまよっていた。
「…うっ……うっ……水を!もっと水をー!」
「止めなよ、状況に合ってないギャグ」
「ギャグじゃねぇよ!…ったく〜」
「ま、しゃあねえじゃん…補給所じゃなかったんだしさ」
ガロードがそう慰めるが、慰めた所で水が使える訳ではなくトールは沈黙で応えた。
「…けどマジでこれからどうすんだか」
「補給は受けられないんだろ?」
「だったらそこ等からかっぱらうか?」
「そこらって?」
ミリアリアが訊くとガロードはにやりと笑って、
「近くに戦艦の残骸でも2〜3あればそっからかっぱらうのさ、いくら民間人がいるったってそんだけあ
りゃ当分何とかなるさ」
「え!? いや、そんな追いはぎ紛いな事…」
「何言ってんだよ、確かに死んだ人は可哀想だしそっとして置いた方が良いだろうけど、
それでこっちまで一緒に死んだら意味無いだろ? 俺達は生きてるんだぜ?
死者から生きる分だけ拝借すれば良いんだよ、荒らしたりしないでな!」
ガロードがそう言うとサイ達は反論しようとして…けど何も言えなかった。
確かに死者の場所を荒らすのは良くない、けどそれで自分達も死者の仲間入りになるのは違う…
今の状況もあいまってヘリオポリス組は項垂れた。
「補給を?」
「受けられるんですか? どこで!」
「受けられると言うか…まぁ…勝手に補給すると言うか…」
「補給艦の残骸かなんかあったのか?」
ガロードがそう訊くとヘリオポリス組はうっと唸り、フラガは苦笑した。
「まあそれに似たようなもんなんだがな…」
「私達は今、デブリベルトに向かっています」
「…でぶりべると? って…」
「デブリベルトには、宇宙空間を漂う様々な物が集まっています。
そこには無論、戦闘で破壊された戦艦等もあるわけで…」
「うわ、タイムリー!」
トールはそう言うと手を顔に当て上を向いた。
「どうした?」
「いや、さっきその事でガロードに言われたんですよ…
死者の墓場を荒らすのは良くないけどそれで自分達も死ぬのは違うって…」
サイがそう言うとナタル、フラガ、マリューは驚いた顔でガロードを見た。
「ま、そう言うこった…仕方ないだろ? そうでもしなきゃ、こっちが保たないんだから…」
「あなた達にはその際、ポッドでの船外活動を手伝ってもらいたいの」
「「「えぇー…」」」
「あまり嬉しくないのは同じだ。 だが他に方法は無いのだ。 我々が生き延びる為にはな…」
「ま、引き受けましょ…んで? 一体どれだけ必要なんだ?」
ガロードがそう言うとヘリオポリス組もしぶしぶ参加を表明した。
『大陸!? …こんなところに…』
「これが戦争に引き金になったって言うユニウス7の残骸か…」
ガロードがそう呟くと一旦目を閉じ黙祷をした。
「ん?」
ガロードが目を開けると視界の端に何かポットの様な物が浮かんでいた。
それはエールストライクよりも大きく、所々へこんでいるが爆発した形跡は無い。
ガロードはそれにそっと近づくと、割れ目からそっと中を見た。
「うお、ラッキ〜♪ ジンとか言うMSじゃんか」
ガロードは一度通信を入れ、返事を待たずにそのポットをアークエンジェルへと引っ張っていった。
「でかした坊主! ちっと壊れてるが修理すれば何とか使えそうだし弾薬は無傷だ!
これで坊主が持って来たマシンガンなんかも使えるぞ!」
「へっへ〜、ありがとさん…」
『ガロード、ご苦労様』
「おう!」
なお今回ティファはミリアリアに変ってCICを受け持っている。
そのミリアリアはガロードがアルテミスからかっぱらったミストラルに乗っている。
『ガロード、ミリィ達の護衛をお願いします』
「っと、そうだったそうだった…、んじゃちょっくら行ってくっから!」
『気を付けて』
「おう! 土産持って帰って来るぜ」
ガロードがそう言うと機体を再度発進させた。
なおその時ブリッチになんとも甘い雰囲気が漂いナタルが何度も咳払いをしていた。
ん? ありゃぁ…ジン、か?」
ガロードの目の前に黒い異型のジンがいた。
そのジンは肩に二つの丸い物を装備し、手には大きなライフルを持っていた。
後で知ったのだがこれは長距離強行偵察復座型ジンと言い、丸い物はレーダードームである。
目立たない色のジンをガロードが気付けたのだから当然ジンも目立つ色のストライクを発見している。
ジンは最初見慣れないMSに困惑していたが、
ガロードが銃をジンに向けると慌ててデブリの陰に隠れた。
「チッ…こちらガロード、ジンを発見した」
『りょ、了解』
「なるべくこっちにくんなよ!」
ガロードは通信を入れるとジンを追った。
ジンは巧みにデブリの中を進み、ガロードはいつしか完全に身失った。
「くそ…どこだ?」
もしこの時ティファならばすぐに気付けただろう…ジンはストライクの後ろに回りライフルを構えた。
ガロードがキョロキョロと周りを見ているのをいい事にジンはその必殺の一撃を撃った。
その時ちょうどガロードはブーストを噴かしていた為本来背中の大型ブースに当たる筈が足に命中。
「な!? こん畜生!」
ガロードは後ろを向きすぐにジンをロック、ビームライフルを撃った。
ビームはライフルの反動と当たったのに無傷なストライクを見て動揺したのかジンはそのまま流され、
デブリから出てきたジンの胸に命中、爆発した。
「あっぶね〜、こいつの装甲じゃなけりゃやばかったぞ…ん?」
ガロードがため息を付くとちょうどその目の前を一つのポットが漂ってきた。
ここまで、途中規制にあったり、最初前のを乗せちゃったりしましたが・・・
さて、次のラクスは・・・どうしようか・・・
っ「いっそ熱血バカピンク路線」
>>117 熱血バカピンク?
ああ!ガロードとティファがラブラブでラクスがそれにあてられると言う意味ですか?
新たなる道はまとめサイトに収録されてないのな
GJ、とりあえず
サイ・アガール→サイ・アーガル
ブリッチ→ブリッジ
って事でひとつ。
>>120 サイ・アーガル→サイ・アーガイル
だぞ?
GJ、ガロードナイス!
僕らが求めた主人公だ(って何てオルバw
ラクスはこれから変われるんだろうか?
ガロティファには本編という運命を変えて欲しいが・・・
プラントに帰さなければ大幅に変わるよな・・・
って何無茶苦茶なこと言ってんだよ自分!!
「民間人を解放しない野蛮なナチュラル」って口実与えるだけじゃん!!
・・・感染という手も有る
何をって? ガロティファにそれを訊きますか?
>124
別に帰しても問題ないだろ
「本編」でフリーダム強奪してからの展開が問題なだけで
そこらへんの展開はまだまだな訳だし
俺的には外伝キャラとか運命キャラは出るのか?ってのが気になる
まあ戯言には気にせんでくれ、兎に角作者さん乙!
ラクスはガロードを求めるかもしれないが、ガロードはキラと違ってラクスに洗脳される事は無い。
仕方なくアスランを篭絡するかもな。
遅ればせながらGJ!
ラクスはこの際ガロティファに当てられて早々にキラとバカップル化すれば良いと思います!
そうすれば(後日談スレのような)真正ピンクオーラが発動して、
歌姫のままでもちゃんと平和を作れると思うんだ…
>>127 どうだろ?
純粋に戦力を欲していたというのならガロードをってこともあるかも試練が、
NTだかに載ってた特集の一文に、
「ラクスは受け止めさせてくれる相手を、キラは受け止めてくれる相手をそれぞれ求めていた」(意訳)
ってのがあったから俺は他の組み合わせが思いつかないんだよな…
偽善と言われようが現実は歌のように甘くないと言われようが平和のために歌い続けるラクス希望
ただ問題なのは・・・
福田発言によると「種初期のラクスの天然は演技ですよw」「ラクスは常に周りを監視してますw」だからなー
ガロティファの良い意味での影響を受けて欲しいもんだ
福田発言は二転三転しまくるからあんまり考証材料としては価値がないと思うぞ。
この世界ではハイペリオン出来ないかかなり遅くなっちゃうのね。
種死まで引っ張らないだろうから問題は無さそうだけど。
ま、結局は職人さん次第だな
感想もらうのは嬉しいんだけど、原作やキャラを叩くのは止めて欲しい。
鬱憤晴らしの山車に使われているようで気に入らない。
気持ちは分からないでもないんだけど、俺は別に原作嫌いじゃないし。
原作が糞だからって二次創作してるわけじゃないし。
職人スレでこんな書き込みがあった
ここかどうか分からないけど
新シャアなんだし、スルーすればいいのに。
山車ってだんじり祭でもするの?
>>133はマルチだ
多数の他スレにも書かれてる
スルーよろ
ここは一応Xスレでもあるから他作品の叩きを控えろってことじゃない?<133
今までXが散々叩かれたからって他のシリーズを叩くのはどうかとも思うし
叩くなとは俺は言えないけど・・・
>>138 信用できんに決まってるだろ、わざわざ他スレにもあるんだから。
いちいちコピペして持ってくるほどの意味や内容じゃないし。
>ガロードがため息を付くとちょうどその目の前を一つのポットが漂ってきた。
何と言うかその、ミハルから情報を聞き出して悠々WBから飛び立った
ブーンとキャリオカの軽飛行機を撃ち落さなきゃならないのに、
理由を説明できないため見逃さざるを得なかったカイの悔しさもどかしさが
わかったような気が……
>いちいちコピペして持ってくるほどの意味や内容じゃないし
その程度の意味や内容さえわかってない奴が多すぎるのが新シャア板クオリティ
今後の展開でハルバートンがどうなるのかが気になる
本編じゃあっさりやられてたわけだし
>>143 それよりどこから本編離れするかが気になる
今の所大雑把な筋はそのままだし
ま、お三方のSSがどんな感じに進むのかまったり楽しもうぜ
私の愛馬は凶悪です って、タイトルのラノベがあってだな…
>私の愛馬は凶暴です
旧シャアでこのセリフのスレがあったな
148 :
通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 14:46:53 ID:Olt3kpp8
おちた?
>>148 確かまだあったはずだが一応下げてくれ、頼むから
誰でもいいからまとめサイトにこのスレ載せてくれ
>>143 ハルバートンの死亡フラグ回避は難しそうな希ガス。
ジャミルなら助言の一つも出来たかも試練が…
最初からストライクで支援に回ろうにも、
ガロードは大気圏突入しながらの戦闘の経験は無い(CB&HCとの戦闘は突入直前)わけだし…
じゃあフレイの親父はどうだろう?
>>151 あの時は向こうに圧倒的な数の利があったからなあ…
ただお互い少数といえば少数だからガロードの奇策次第か?
助けないとティファに魔の手が・・・
>>151 特務兵スレのパクリになりかねんが・・・職人次第だな
大西洋連邦の事務次官ともあろうものが前線に出てくるなんて狙ってくれと言ってるもんだしなあ。
>>155 いや、あの時のザフトはそこら辺の事情までは知らないんじゃなかったか?
まあ自殺行為には変わりないが。
正直あの展開は無理がありすぎた。
超の付く親バカで子離れ出来て無かったんじゃね
だったらあの艦隊の規模で迎えに行くのはな。
宇宙はザフトが圧倒的有利なんだから。
>>159 つまりどうせなら敵の油断を誘う意味で小型艇一隻とかで接触すればよかった、と?
AAを連合から離脱させるなら本編どうりになるのが関の山
離脱させないならどっかしらで展開が変わるだろうな
まさか東アジアガンダム登場
第4話・自由の代償
フリーデンは一路進路を北に進行していた。
その道中の出来事である―。
「ラクスー、俺の声が聞こえるか?ぐへぐへぐへ」
「きゃー、あっちいって変態!」
相変わらずガロードは、今日も未来から来た少女ラクスを追っかけまわしていた。
「何も考えずに走れ!ぐへへへ」
「こっちくんなやボケがあ!」
しつこいガロードは、なおも追いつづけた。
「ダブルチンポ起動!」
ガロードは、手術して手に入れたもう一本のチンポを出して、二刀流の体制になった。片方を突っ込みながら、もう一方でしゃぶってもらおうというのである。
しかし、そんなガロードに苦言を指すものがいた。コーヒー一杯論でお馴染みのドクターテクスである。
「いい加減にしないかガロード、君の行動は目に余るぞ」
ちなみに、サイヤ人のナッパとの戦闘で死んだテクスだったが、昨日ドラゴンボールで生き返った。
「っち!わーったよ!へ、引くわ!」
捨て台詞をはいて、ガロードはその場をあとにした。
「大丈夫かい?何かあったら私に言いたまえ」
「ありがとうドクター。
ラクスはテクスに礼を言って部屋に戻った。
その2
一方、ガロードの怒りは収まらなかった。
「あの野朗、痛い目に合わせてやるぜ!」
そんな怒り心頭のガロードの前に、ふと一冊のノートが空から落ちてきた。
「あれはなんだ?何?デスノートだと?なんだこれは?」
ガロードは、落ちてきたノートを拾い、部屋に戻ってそれを見た。
「なになに、このノートに名前を書かれた人間は死ぬ?」
説明を読んだガロードの決意は決まっていた。
「ドクターテクス、俺とラクスにとって、お前の存在は既に罪だ!」
ガロードは、テクスの名前をデスノートに書いた。
「ドクターテクス 自殺 コーヒーガブ飲みによる」
書き終わったガロードの笑いが止まらなかった。
♪フンフンフフフフン
そんな事とは知らずに、テクスは鼻歌交じりでコーヒーを飲んでいた。
「大変だ!みんな来てくれ!」
シンゴ・モリの叫びがフリーデンにこだました。ちなみに、シンゴ・モリの名前はSMAPの香取慎悟と森且行から取ったものである。
一同がテクスの部屋に集まると、そこにはテクスの死体があった。だが、テクスは首を吊って死んでいた。
(バカな、俺はコーヒーの飲みすぎによる窒息死と書いたはずだ)
ガロードは、首を吊ったテクスの死体を見て違和感を感じるのだった。
続く
コーヒー時代、22杯目のときに来た荒らしだ、スルーするように
コーヒー、ないし初代スレから数えて今のスレは31代目になるな
ずいぶん長い歴史だな
めちゃくちゃ懐かしい気分になった
少なくともこれであれはキラ厨で無いことはほぼ確定したことになるのか?
最近現れた新たなる道の人はどちらかというとキラに好意的な話の流れなわけだし。
そもそもスレ違いだが兄弟スレには行かないんだろうな
あ、まとめサイトに行けば過去ログが見れるぞ
初代スレはネタスレでしかなかったが2杯目になってからGX氏が
3杯目の終わりからX運命氏が光臨して5杯目立てる前にGX氏が公転スレを立てた
で、21杯目でノイマン氏がEDNのトリップでガロIN運命書き始めてX運命氏は撤退
22杯目からスレタイ変更の提案があって23杯目は風景画一枚目になりましたってのが今に至る訳だ
荒らしが23杯目立てたがすぐに落ちたのが懐かしいね
昔はコーヒーヲチスレもあったし
ポキールたんも、来なくなったな・・・・・・
その時はその時だよ
とりあえずUTMスレかフロスト兄弟スレ、私の愛馬は凶暴ですなりに行けばいい
気にしない、気にしない
・・・で? 一体どこへ行けばいいんでしょう?
いいんだよ、 ◆L1QckJlrlM
君はここにいていいんだ
>>169 いまさらだが、ここの住人達はいつEDN氏の正体に気付いたんだろうか…
本人が自己申告した
申告前の話じゃね?
ガンダムXはうんこ
SEEDはうんこのなかのコーン粒
つまんねー釣りだな福田
もう少し上手い釣りを勉強して来いっての
ポキールじゃないか!
うんちはいつもここにある
おちんちん
コーディネーターはウンコしないよ
ここ2ヶ月ほど仕事が年度末進行+αで死ヌほど忙しかったんですがようやく一段落つきました。
週末には続きを投下できると思います。
>>184 おおっ、お待ちしておりました。
ガロードだけに良いカッコさせておくこたあないです。
フロスト兄弟の悪巧み……もとい、活躍に期待しています。
>>103-115 と言いつつ、遅ればせながらGJです。ガロードの活躍に(ってどっちだよオイw
とまあ、それはともかく、俺はラクス回収の後のイベント、
ガロードより、ティファの反応のほうが、気になってます。ガロはティファ次第だし。
ティファ、ピンクの毒電波に、当てられなければ良いのですが(コラマテ
某ジオンスレでは、ララァは深入りせず、回避していたみたいですけどね。
おちんちーん
サイクロプスのマイクロウェーブでサテライトキャノンは撃てるかね?
そのままでは規格が合わないんじゃね?
調整すれば可能かもしれないが、あそこまで大掛かりな物は必要ないと思われる。
むしろジェネシスのレーザーの波長をマイクロ波の域まで落として、サテライトキャノンにエネルギーを送れないか?
ヒント:ガンダムXの方は正しくはSMW(スーパーマイクロウェーブ)
多分他のエネルギーに変換するのに特化されたミノ分並みにご都合な
モノなのではないかと。
リフレクターの構造がわからない以上、なんとも言えないよね。
効率は劣悪だろうけど、下手する赤外線や可視光でもチャージ可能かもしれないし。
ジェネシスでマイクロウェーブを発振して、GXで撃つ、ロマンだ。
直接ジェネシス撃つのはロマンが無いと思う。
そういや推進機構だけとはいえ、スターゲイザーと被る部分あるよな。GX
なんらかのビームらしきもので充電して行動するって部分。
ナデシコのエステバリスもそうなるのかな。
あれ充電してるんじゃなくスターゲイザーが展開した帆に
風の代わりにビームを当てて推進力にするものでなかった?
帆で正解。
とりあえず、GXはサイクロプスの中に、普通に突撃できそうだ
>>194 サテライトキャノンの威力を考えたら当然だな。
>>195 お前のサテライトちんこの威力には敵わんよ
>>195 サテライトキャノンってよりマイクロウェーブの威力な気がする。
GXは湖が水蒸気爆発起こすようなMWから機体とパイロットを守れるから
お前ら一回本スレに行くか過去ログを見直してこいって
そういえば以前、
Xラストで月軌道を漂っていたDXが黒歴史の過程で月面に埋葬され、
C.Eでサイクロプス(元は鉱物採掘に使われていた)のマイクロウェーヴを浴びて復活する…
なんて話を思いついたことがあったな…
その先が思いつかなくて投げたけど。
こんなのでよければ書く気のある人使ってやってください。
CEがAWよりも過去か未来かが問題なんだけどね
>>201 別に順番は決まってない
無数にパターンがそんざいし
またどの様な過程においても全ての時代を経由して
たどり着く唯一無二のたった一つの終着点、それが正暦ターンA時代
西暦→U.C.→【F.C.⇔A.C.⇔A.W.⇔C.E.】→正暦
>>202 ふと思ったんだが何も∀による文明の埋葬が、
一度だけしか起きていないと決まってるわけでも無いんだよな?
A.Wの時代を生き抜いた人々の末裔なら同じ事が2、3度起きてたとしても滅びるとは思えんしw
むしろ「パラレルワールド」
特に種は1stを謳ってるんだから平行世界でもいいんじゃね?
∀と黒歴史を出す必要ないだろ・・・
>>205 どちらも黒歴史の範疇ということを明確にしておけば、
A.WのMSが遺物として発掘されたり、
ガロード達をそっくりな子孫という形で出すことも出来るかと思っただけなんだが…
ガンダムXのうんこ顔のキャラなんか最初から必要ないけどね
視聴者(嘘だーーー!ど・・・どんな歴史を送ったらこんなに世界観変わるんだ・・・!?
特に宇宙世紀→未来世紀の間・・・一体何があったんだーーー!?)
また福田が来たのかよ、いい加減劇場版のシナリオを作れや
ところで兄弟スレに行ったが・・・合流するのか?
>>208 そんな疑問も間にA.Wがあったと考えれば氷解w
正直あれだけの惨禍を生き延びた人類なら全体的にある程度の変異が起きててもおかしくないと思うんだ。
で、それが極端な形で発現したのがF.Cのガンダムファイター達だとw
何で一々ラクシズアンチっていうんかな
アンチじゃない住人もいるのに・・・
しばらくキラやAAの面々に出番がなく、カガリはいい方向に成長してたら
あまりTVと変わってないアスランが出てきたので、その落差で叩かれてると
思い込んで乗り込んできたんでしょ。
どう転んでもTVと同じ待遇でなきゃヘイトだって言い張るんだから
死ぬまでTVだけ見てりゃいいのに。
まったりしてるのがXスレの良さだった筈だが・・・
と、ラクシズ厨が口を拭ってなすり付け……以下ループ。
機動新世紀異聞・双星の軌跡
第二話 『また戦いがしたいのか』後編
プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルは、今年で三十二歳になる少壮の政
治家だ。
ユニウス条約締結後に退陣したアイリーン・カナーバの後を受けて選出され、一年半に
渡ってプラントの執政を行っている。
政治党派としては旧クライン派に属し、カナーバ政権の対地球穏健政策を継承している。
だが一方では、旧ザラ派の議員を政権に復帰させて国内の融和をアピールするといった
度量や、条約で義務付けられた量的な軍縮の背後で新型MS開発を強力に推進する腹芸
も併せ持っており、清濁併せ呑む中道派と目されていた。
「状況はどうなっている!?」
混乱した工廠内を、司令部を目指して足早に進みながら、デュランダルは随員に厳しい
口調で尋ねた。普段は柔和な笑みを絶やさない端正な顔にも、険しい表情が浮かんでい
る。
明日の式典を主催すべく本国を離れてここアーモリーワンを訪れたデュランダルは、友
好国元首との極秘会談中にこの奇禍に遭遇したのだ。
「誰がここの指揮を執っている!? あの三機はどうした!? 状況を説明してくれ!」
「お、お待ち下さい議長。何分、回線が混乱しておりまして、司令部との連絡が――」
「ええい!」
苛立たしげに舌打ちすると、デュランダルは工廠の一角を睨みつける。そこには我が物顔
で施設を破壊し、迎撃に出たザフトMSを蹂躙する三機のMSがあった。
ZGMF−X24Sカオス、ZGMF−X31Sアビス、そしてZGMF−X88Sガイア――共に最
新鋭の高性能MS群、セカンドステージシリーズの機体である。
だが今、新たなるザフトの力の象徴として建造されたこの三機は、皮肉にもそのザフトを相
手に、能力の全てを遺憾なく証明していた。
「議長、司令部と繋がりました!」
「貸したまえ!」
デュランダルが随員に手を伸ばした正にその瞬間、水平に発射されたカオスのビームライ
フルが司令部棟を直撃、跡形もなく吹き飛ばした。
「司令部、沈黙しました」
「見れば分かる!」
雑音しか流さない通信端末を呆けた様に掲げる随員を怒鳴りつけたデュランダルの目が、
ふと工廠最奥のドック――正確にはそこに係留された一隻の宇宙戦艦に止まる。
淡いグレイに塗装されたその艦の名はミネルバ。進宙式を明日に控えた、セカンドステージ
MSの運用母艦である。
○ ● ○ ●
「司令部とはまだ繋がらないの?」
ミネルバの艦橋で、白服を着た妙齢の女性士官が固い声で尋ねた。艦長のタリア・グラ
ディスである。
「駄目です! どの回線でも応答ありません!」
コンソールと格闘していた情報管制官のバート・ハイムが答える。頷いたタリアは、傍らに
直立する黒服を着た中肉中背の青年士官――副長のアーサー・トラインを振り向いた。
「アーサー、シンはまだなの?」
「は、はい、いまだに」
あからさまに動揺した声で、アーサーは答える。
「そう……」
表情に苦いものを滲ませながら、タリアはしなやかな指を顎に当てて考え込んだ。
状況は、控え目に言って魔女の大釜といった有様だった。コロニーの内外で同時に発生
した戦闘により、事態は混乱への一途をたどっている。
「それにしても……どこの部隊かしらね? こんな大胆な作戦」
タリアが呟くと同時に背後の扉が開き、緑色軍服を着た小柄な少女――MS管制官のメ
イリン・ホークが駆け込んできた。
「申し訳ありません、遅くなりました!」
急いで自分の席に座り、モニターをチェックする。
「メイリン、あなたが戻ったという事は、シンも一緒?」
「はい! 今、格納庫に向かってます!」
メイリンの答えに、タルアは頷く。何にせよ、これでこちらも手が打てる。
その時だった。バートが、緊張した表情で振り返った。
「艦長、港湾部で新たな戦闘が発生しました」
○ ● ○ ●
戦闘の合間を縫って、オルバは港湾部へと潜入していた。ここにも混乱は波及しており、
ザフトの軍服を着たオルバを見咎めるものは誰もいなかった。
「全く、なっていないね」
冷笑したオルバは、宇宙港の片隅に係留されていた一隻の民間宇宙船に乗り込む。そ
の船には六角形に組まれたネジの意匠――ジャンク屋組合のマークが描かれている。
現在のジャンク屋ギルドは地上・宇宙を問わず、持ち前の技術力を生かして大規模公共
事業への参画を推進している。これは休戦によって、ジャンクという『資源』の供給が先細
りになる事を見越したリーアム会長の方針であり、ここアーモリーワンの建造にも多くのジ
ャンク屋が参加していた。
「これはフロスト少佐」
船に残っていたいかにもジャンク屋、といった風情の大男が、オルバを見てニヤニヤと笑
った。
「その名では呼ばないようにと言ったよ。アレは?」
「格納庫に置いてまさあ。言われた通り、一切手をつけてやせん」
「よろしい。ならば君も避難したまえ。ここも直に戦闘になる――ああ、報酬にはこの船の
代金も上乗せしておくよ」
そいつは桑原桑原と、ジャンク屋の船長はオルバを残してシェルターに向かった。
『始末しておかなくて良かったのかい』
格納庫へと続くタラップを下りながら、オルバは思念でシャギアを呼ぶ。
『まだ利用価値はある。使える手駒をわざわざ減らす必要もあるまい』
『それもそうだね』
たどりついた格納庫の一画、廃品寸前の作業用MSやジャンクパーツの山に紛れ、一体
のMAがあった。
黒と紫に塗られ、甲殻類に似た形状を持つその機体のコクピットにオルバは乗り込んだ。
熟練した手つきで、素早く機体に火を入れる。
敵対勢力化へとMSを持ち込むのに、ジャンク屋の看板ほど都合のいいものは無い。独
立不羈の気風が強いジャンク屋だが、飴と鞭を巧みに使えば、尻尾を振るものは必ず現
れる。
かつてのAW世界で海千山千のバルチャーと渡り合った経験のあるフロスト兄弟にとって、
ジャンク屋を手懐けるのはさほど難しい事ではなかった。
「さて行こうか、相棒」
船のハッチを体当たりでぶち破り、MAが踊りだした。凄まじい加速で、今まさに出航しよ
うとするローラシア級MS搭載艦に追いつく。
変形。機体の前部が背後に回って大型バックパックとなり、その下からデュアルアイとア
ンテナを備えた頭部が現れ、折り畳まれていた四肢が展開し――MAは一瞬で、頭頂高に
して20メートル近い大型MSとなった。
GAT−X315アシュタロンR(リファイン)。フロスト兄弟がブルーコスモスに持ち込んだ二
機のMSを解析し、得られた技術を用いて建設された『習作』というべき機体である。
核融合エンジンが再現できず、バッテリー駆動の採用による稼働時間の低下を覗けば旧
アシュタロンに匹敵――いやCE独自の技術を併用した事によって、部分的には凌駕しうる
MSとして完成していた。
「見せてあげるよ、ガンダムアシュタロンの力をね」
バックパックの両脇に装備された一対のクローデバイス、アトミックシザースを展開、先頭
のローラシア級の艦橋に振り下ろした。大質量と高速移動が相まったその一撃はブリッジを
艦長以下の要員ごと叩き潰した。続いてシザースに内蔵されたクロービーム砲が火を吹き、
内部から高エネルギーに晒されたローラシア級は爆発を起こす。
続く艦も狭い港口では巻き添えを避けられず、二隻が残骸に突っ込んで擱座した。全ては、
一瞬の出来事だった。
満足そうに頷いたオルバはアシュタロンを再びMA形態に変形させると、破壊され機能を停
止した宇宙港を後に、アーモリーワンの内部を目指す。
「さて、引率の仕事がまだ残ってるか」
○ ● ○ ●
最早、一刻の猶予も無い――タリアは決断した。
「これより本艦は、独自の判断で行動します」
タリアの言葉にアーサー、メイリン、バート、それに操舵手のマリク・ヤードバーズや砲
手のチェン・ジェン・イーといったブリッジクルーが頷いた。
「エイブス主任、インパルスは行けるわね」
『いつでも出せます、艦長。たった今、パイロットが到着しました』
艦内通信モニターの向こうで、マッド・エイブス技術主任が力強く答える。
「そう。メイリン、緊急シークエンスでインパルスを発進させて。――ああ、フェイズ6から
11、20から28までは省略してね」
「了か――ってえええぇぇぇっ!?」
タリアの無茶苦茶な命令に、思わずメイリンは素っ頓狂な大声を上げる。ただでさえ、イ
ンパルスの発進には複雑なシステムが採用されているのだ。そんなギリギリまで簡略化
した手順で強行すれば――最悪の場合、事故を起こしてパイロットが死ぬ。
「復唱なさい、メイリン。発進時間の最短記録更新を期待しているわ」
タリアの笑顔は、メイリンには悪魔のそれに見えた。
六三秒後、四機の飛翔体がミネルバから飛び立った。
「くそっ!」
全長6メートル弱の小型戦闘機、コアスプレンダーのコクピットで、シンは悪態をついた。
工廠内には黒煙が立ちこめ、破壊されたMSの残骸がそこかしこに転がっている。ふつ
ふつと滾る怒りを感じながら、シンの目は目標を探す。
「見つけた!」
三機のセカンドステージを捕捉すると同時に、シンの手がコンソールを叩く。
コアスプレンダーの機首と主翼が折り畳まれ、後続の飛翔体が前後から挟み込むように
ドッキング、最後に最後尾の無人機シルエットフライヤーから分離したモジュールが背部に
装着される。
鉄灰色の機体表面が相転移反応を起こし、赤と白の二色に染まる。そこに現れたのは一
機のMS――セカンドステージシリーズの一機であるZGMF−X56Sインパルス、その近
接戦闘形態であるソードインパルスだった。
ソードインパルスは背負った二振りの大剣、レーザー対艦刀エクスカリバーを抜き放ち、
アーモリーワンの人造の大地に降り立った。二本の対艦刀を柄の部分で接続し、モーショ
ン確認を兼ねて頭上で大きく振り回す。
「何でこんな事……」
振り下ろした刃の切っ先を、カオス、アビス、ガイアに突きつける。
「また戦いがしたいのか! あんた達はっ!!」
込み上がる激情のまま、シンは吼えた。
NEXT:第三話『わたし……死ぬの?』
GJ!
アシュタロンきたーーー!
待ってましたよ、GJ!
フロスト兄弟の運命を見せてもらいます
GJGJ!
これはハーミットはかなり強化される予感!!
> 「そう。メイリン、緊急シークエンスでインパルスを発進させて。――ああ、フェイズ6から
> 11、20から28までは省略してね」
> 「了か――ってえええぇぇぇっ!?」
もしかしてアーサーとメイリンのフラグ?
ちょいと質問。
シャギアが乗る予定のヴァサーゴRだが、形式番号は200番台(特種兵装搭載型)と300番台(可変型)の
どちらが相応しいだろう?
いや、ヴァサーゴってかなりアレな変態をするし。
少しアレな変態をするフォビドゥンも200番台ですが。
>>228 GJ!
そして次回予告のこれはシンの咬ませ犬フラグなのかw?
ヴァサーゴだけど確かに100系と言い張るには無理がありそうだな…
ならいっそせっかくだからミラコロ付けときましたとか200系になる言い訳じみた装備を積むのはいかが?
おお、GJ!!
でも今回を読んで思ったけど、ジャンク屋の特権って悪用するとマジで恐ろしいな。
>>230 あれ、200系の特種装備ってミラコロオンリーだったっけ?
確かに原作で登場したのは、ミラコロ搭載のブリッツとフォビドゥンだけですが。
CBやHCならともかく、素のヴァサーゴやアシュタロンに毛が生えた程度の機体、それもバッテリー式に疑問。
正直、セカンドステージにも劣るんじゃね?
最大限に強く見積もっても、フリーダムの相手になるとは思えん。
GJ、そしてお帰りなさい!
ロッソイージスみたいにブレスヘルグ装備させるなり
マガノイクタチのようにバッテリーを吸い取る武装とか
これから核エンジンを装備するのかもしれない
核装備には核装備じゃないとアドバンテージがきつそうだとは俺も思う
>>334 ギリギリで改修が間に合ったCBとHCが、ヘブンズベース戦で投入されるとか。
劣る装備を技術と戦術でカバー、それが主人役というものだろ?
>>232 例えばサテライトシステムを特殊兵装とおいて200系の理由付けとするとか・・・
もちろん受信機、送信機共にオリジナルと同等のものは作れないだろうが、
戦艦に送信機を置いて遠距離からヴァサーゴにチャージとかすると、
デュートリオンシステムとの差別化も図れていいかもしれない。
>>237 「こちらフロスト兄弟、サテライトランチャーを射出してくれ!」
こうですか?
「装着完了!」
「食らえ、サテライトランチャー!!」
こうですか?わか(ry
装甲や動力炉はともかく、もしAWのMS並みに軽量化されて田羅驚異的だな
機動性に越えられん壁ができそうだ
その辺どうなってるんだろう?
>236
特にフロスト兄弟の場合は
テレパシーで嫌になるほど息のあった連携を使ってくるからな
やあ、みんな。
一年ぶりくらいに新シャアに来たんだが、ここは日登町スレの亜種で本筋は消滅ということでFA?
遅いよ、ラン家スレは終了した
それにここはアフター・ウォーとコズミック・イラのクロスオーバースレだよ
>>243 概要を知りたいのなら、
>>1のSS倉庫を見れば幸せになれるかもしれない。
誰かお三方のSSをまとめサイトにおいてくれ・・・
もし公転スレがこっちに合流するんならどうするんだ?
GX氏が良ければ合流して欲しいな
SSも読めるし添削人も来る
一応風景画としてはメリットがあるし
向こうにメリットが無いだろ…
デメリットはあるな
相手が嫌がることを勝手にやってはいけない
人として最低限の礼節くらいは弁えないと
ゴールデンルールッ!
DC氏の最新話だが、連合の非合法作戦に協力するジャンク屋ってのは、やはり不自然だと思う。
少なくとも、アストレイでの描写を見た限りでは。
ここで『青森湾戦に乱入するアシュタロン』というシチュエーションを出したかったのは分かるけど、
それならそれで、もう少し状況を考えるべきでは?
ジャンク屋もピンキリなんだぜ?
よく考えてみ?ただでさえジャンク屋なんて怪しさがプンプンしてる奴らなんだぞ。
金で動くような奴がいたとしても悪いがなんらおかしいとは思えんな。
マティスだったらジャンク屋を使っていたような気がする
こう言っちゃ何だけど、ジャンク屋の危険性を理解した上で、なおかつ排除ではなく利用を考えるフロスト兄弟は、実に「らしい」と思う。
ところで、次なる兄弟の『悪いコト』はなんだろう?
できれば『一族』の情報網乗っ取りぐらいはかまして欲しいな。
>>254 ジャンク屋の悪辣さを知らないと見える・・・
奴らは一般人が・・・
しかも世捨て人の職人さんたちが静かに余生を過ごそうとするグレイブヤードに
フ ル 武 装 で侵入し、破壊と殺戮の限りを尽くすような奴らですよ?
アストレイのロウ達みたいな気の良い奴や古参の職人気質のジャンク屋以外は大して海賊と変わりないんだぜ?
つーか元締めのマルキオ自身がギガフロート持ち逃げとかやらかしちゃってるから・・・
連合・ザフトを敵に回したラクス達を支援していたし。
そういや某青ではジャンク屋の危険性を説いてたな
危険なんてもんじゃねーよ。
つーか、マルキオさんどんな魔法使ってあんな組織を認めさせたんだろう?
ジャンク屋組合成立させる方が、プラント独立させるよか絶対難しいと思うんだが……。
だってさ、ジェネシス保有できてるんだぜ、あの組織。
中世ファンタジー世界の冒険者みたいなもんだな
実質チンピラの集まりが大半
本編および外伝の叩きは厳禁、テンプレにも書いてあるぞ
アンチやるならアンチスレに帰れ、迷惑だ
どこにそんなテンプレあんだよ
それにアンチラクシズで溢れかえってる新シャア板で何をいってるんだか
>>264 ムダだよ、コーヒー時代からラクシズし根視ねうるさい連中がいる上に
テンプレも読まないアホがいる
だから兄弟スレの住人から嫌われてるんだろ
風景画ってだけで評判はよくないんだし
むしろこっちから兄弟スレに合流したほうがいいぐらいだ
>>267 お前逆シンスレで風景画のネガキャンしてる奴だろwww
まだラクシズ厨はここに恨みまみれなのか
語るスレを見てくれば?
別にヲチスレでなんもないじゃん
年表くらいで
ガロード達が種・種死世界に来たら 月の公転3周目
新シャアでガンダムXについて語るならここでよろしく
現在、SS連載中
関連サイトなどは
>>2-4あたり
荒れ防止のため「sage」進行推奨
SS作者様には敬意を忘れずに、煽り荒らしはスルー
本編および外伝の叩きは厳禁
出来るだけ種キャラのみの話にならないように
ここがクロスオーバースレであることを考慮して下さい
スレ違いの話はほどほどに
本編と外伝、A.W.とC.E.両方のファンが楽しめるスレ作りに取り組みましょう
こんな感じ?もしも合流して次スレ建てるんなら
GX氏が合流するって言えばついていくって保守氏は言ってるんだが
つーかこのスレと兄弟スレ合流しても別に問題ないんじゃね?
向こうはシン達がAWに来てるからそのスレタイはどうかと
元々GX氏はコーヒー2杯目でSSを書いてたんだし委員じゃないのか?
それにSSの投下はみんなまちまちなんだしここで書いてもいいと思うけど
【X】交差する運命の種子【SEED】
こんな題名ならどうだ?
一応、交差=X、種子=種、運命=種死って感じで考えてみたんだが
テンプレは
>>273の物で良いと思うし
まあ、どっちにしても合流するって決まってから考えるべきなんだがな
つーか一匹風景画アンチが電波まいたぐらいの話題なんかスルーしろよ
公転スレのSSは好きだが、どうもあのスレの住人の一部はこっちを見下してる言動があって気に喰わない
元々同じスレだったんだから仲良くすれば良いじゃないか
おれは両方のSSも好きだから合流して欲しいけどね
>>276のスレタイは次スレのテンプレに入れて欲しいし
ゴメン間違えた、次スレのスレタイにして欲しいだった
あっちの容量が50切ってるからGX氏にはなんかしら言って欲しいが・・・
コーヒーや風景画にしても傍から見れば恥ずかしいと思うのは俺だけか?
風景画に変えてなければ今のスレタイはコーヒーのままだったと思うんだが
正直他のスレタイに変えたほうがいいだろ
コーヒーに荒らしが粘着してたから風景画になったのを知らんのかボケ
向こうが合流するの嫌がってるんだから勝手に進めるなよ…だから嫌われるんだぜ?
自分本位の発言しか出ないのがこのスレのクオリティだから仕方が無い
さすが話を聞かないのはラクシズのお家芸だな!
これだから新シャアってのは!
X運命にせよガロinCEにせよGX氏の分にせよ、キラクスを一方的に
賛美しないという点においてラクシズ厨にとっては所詮同じ目の仇。
意味も無く合流云々を煽り立てて最終的には共倒れさせたがってるだけだよ。
ヲチスレの同人SS痛どもにはこっちが一方的に、新連邦がごとく併合しようとしてるように見えるらしい。
元々、少なからぬ数の住人が被ってるからとはいえ、公転スレでも職人の意向次第で併合してもいい、と発言があるのに。
同人SS痛どもには自分達に都合の悪いモノは見えないらしい。
自分達の言動のがはるかにラクシズ思考的なことにも気付いてないみたいだがな。
なんにしてもSS職人諸氏の意見が出されない限りは現状維持が最良だろう。
火種は増やさないに越したことはない。
職人諸氏は以下の質問に答えてください
スレタイの変更議論についてどのように思いますか?変更に賛成か反対で答えてください
兄弟スレである公転スレとの合流についてどのように思いますか?合流に賛成か反対で答えてください
これ位ですかね?こちら側としては
向こう側のほうはGX氏の返答次第で合流するかしないかが決まりますし
>>291 お答えします
とりあえず、ここに書き込んでる僕以外の人間が全員集まって、練炭自殺したら良いと思います
>キラクスを一方的に賛美しない
そんなモノはココ以外にも山ほどあるけどな〜
要するにXが嫌いなんだろ、あいつらは
ラクシズ市ね視ねっつって無駄に煩いのも居たから好都合だったんだろ
つーか旧シャアで「ガンダムXはエウレカセブンのパクリ」とかいうスレが出てきたんだが
Xが好きで、ラクシズや負債の臭いがしない種も好きな俺はどうすればいい?
ゼロは何も(ry
両方好きでも良いと思う<295
それより頼むから誰か三人のSSをまとめサイトにいれてくれよ
>ラクシズや負債の臭いがしない種
そのためのクロスだと言うのに、分からない輩がいるみたいだ
俺はSSそのものや元の作品がどうこうと言うより
こっちの投稿頻度が低いからってスレをただ伸ばしたい為だけに
統合しようみたいな感じなのが嫌だから向こうでも統合反対と言っておいた。
そもそも向こうは保守氏がその名を名乗ってる通りギリギリペースだけども
マッタリ保守しながら流してくスレなのにこっちの勝手な都合で統合発案されるのは
非常にむかつくな。
ぶっちゃけこっちがメインの住民だろ>統合提案した香具師
ラン家スレが落ちたからとか他所スレを出汁にして自分トコだけ盛り上げようとすんなカス。
>>298 汚いレス残すなよ
ならGX氏に頼めば?統合なんかしてほしくないから合流しないでくれって
同じXスレの住人同士なのになんで仲間割れしてるんだよ
GX氏はまだ何も言ってないのに・・・
>>300 こっちが種寄りで向こうがX寄りだからじゃね?
いや、世界観とかスタンスとか色々と
こんな感じだから反発とかおきるの予想できるだろうに
こうやって揉めてるのがこっちだけである以上…なぁ?
ついでに言うと向こうのスレ最初に立てたのGX氏本人な。
機動新世紀異聞・双星の軌跡
第三話 『わたし……死ぬの?』前編
「おおおおっ!」
対艦刀を振りかざし、突撃するインパルス。水平に奔った斬撃を、ステラのガイアはシー
ルドで受け止める。
衝撃を殺すため後方に飛びすさり、反転。着地と同時にガイアの姿は、四足獣型のMA
形態へと変形していた。
「ステラ、パターンC−3だ、いけるな!」
「分かった! このおっ!」
スティングからの通信に答え、ステラはスロットルを押し込んだ。ガイアは四肢で大地を
蹴って突撃する。四足歩行による柔軟な機動性を誇るMA形態、そして人型本来の高い
汎用性を有するMS形態を併せ持つガイアは、こと陸戦においてはセカンドシリーズMS
で最高の性能を持つ。
背部のビーム突撃砲と右脇にマウントしたビームライフルを乱射しながら踊りかかるガイ
ア。その背のグリフォン2ビームブレイドが鈍く光る。インパルスもまた対艦刀を構え、カウ
ンターの一撃を狙う。
剣光一閃――すれ違いざまに放った互いの斬撃は、共に空を切った。その瞬間を狙い、
アウルとスティングも動く。
「もらった!」
アウルの操るアビスの砲撃が火を噴く。
水陸両用MSとして開発されたアビスは、ガイアやカオスに比べれば水中以外での機動性
が劣る。そのためアビスは陸上では機動性をあまり重視されない火力支援用の機体として
運用される事を想定し、実に十三門にもおよぶ火砲(魚雷発射管と近接機関砲は除く)を備
えていた。
両肩のシールドに内蔵された三連ビーム砲と背部のバラエーナ改連装ビーム砲、そして胸
部のカリドゥス複相ビーム砲――計九本の火線を、だがインパルスは辛うじて回避する。同時
にシールドをかざし、上空から降り注ぐビームとミサイルを防いだ。スティングのカオスが射出
した、機動兵装ポッドの攻撃だ。
「こいつ……」
一瞬の攻防に、ステラは唸った。
今のコンビネーションは、シャギアとオルバから叩き込まれたものだ。慣れない機体のため
連携のタイミングに若干のズレが生じていたとはいえ、まさか一機のMSに捌かれるとは――
「こいつ、強い!」
○ ● ○ ●
「インパルス、押されています」
「そう」
メイリンの報告に、タリアは低い声で答えた。
既に他のMS隊がほぼ壊滅し、1対3の戦闘を強いられている現状では当然だろう。い
やここはむしろ、三機を相手に持ちこたえているシンの技量を賞賛するべきだろう。
(やるじゃない、あの坊や)
状況を打破すべく高速で回転する頭脳の片隅で、ふとタリアはそう思った。その耳に、
メイリンの報告が届く。
「艦長! お姉ちゃ――失礼! ルナマリア・ホークおよびレイ・ザ・バレルから通信が!」
「こちらに回して!」
正面のモニターの一画に、長い金髪を肩まで流した秀麗な顔立ちの少年、そしてショー
トカットの赤毛の快活そうな少女の姿が映る。
レイ・ザ・バレルにルナマリア・ホーク、共にミネルバ所属のパイロットであり、ルーキーな
がら赤色軍服を与えられたエリートだ。
「艦長、ようやく機体の確保に成功しました!」
「既に司令部は壊滅状態です。命令を」
二人の言葉に、タリアはてきぱきと指示を出す。
「急いでエスバス地区へ向かって。シンのインパルスが強奪された三機を押さえているから、
その援護を。それとメイリン、フォースシルエットの準備を」
「了解!」
「了解」
「了解です!」
その時、ブリッジの扉が開いた。入ってきた人物に、クルーが驚きの声を上げる。
「議長!?」
そこにあったのは、随員を伴ったデュランダル議長の姿だった。
○ ● ○ ●
「ナスカ級撃沈!」
「左舷後方よりゲイツ、新たに三機!」
「アンチビーム爆雷発射と同時に加速20%で十秒、発射管一番から四番スレッジハマー
装填! ダガーLを呼び戻せ!」
戦闘の渦中にあるガーティ・ルーの艦橋に、クルーたちの鋭い声が交差する。その中で
シャギア一人が、無言で超然と佇んでいた。
「港を潰したといっても、あれは軍事工廠です。長引くと持ちませんよ」
隣席のリーが、指示の合間を縫って進言する。
実際、内部に潜入した子供たちとの合流予定時刻をかなり過ぎている。これ以上この宙
域に留まり続けるならば、一秒ごとに危険は増大するだろう。
「分かっている。だがベットが上がればリスクも上がる――そういうものだろう、艦長」
「……自分は、ギャンブルの類は嗜みませんので」
「そうかね。あれはあれで面白いものだが」
軽口を叩くと、シャギアは立ち上がる。
「出て時間を稼ぐ。艦は任せた」
「はっ」
短く答えたリーは、傍らのインターフォンを取った。
「格納庫、ヴァサーゴが出るぞ!」
ガーティ・ルーの左舷ハッチが開き、一機のMSが射出される。暗赤色と黒の二色に塗
り分けられた機体は、落日の空を思わせた。シャギアの愛機、GAT−X213ヴァサーゴ
Rである。
ヴァサーゴは最大加速で、新たに接近しつつある三機のMSに迫る。ZGMF−601Rゲ
イツR。前大戦末期に投入されたZGMF−600ゲイツの改修型で、ザフトの現主力MSだ。
中々の手練れらしく、三機の連携でダガーLを撃破すると、ヴァサーゴにビームライフル
の銃口を向ける。
「ほう、少々愉しめそうだな」
弾道を見切るかのようにビームや砲弾を掻い潜ったヴァサーゴの両腕が、突如として伸
びた。肩部に折り畳まれていたインナーフレームが伸長し、フレシキブルアームが展開、
さらに手甲部に装備されたストライククローが鎌首をもたげる。ヴァサーゴを特徴づける兵
装であり、柔軟なその挙動はまるで鋼鉄の大蛇のようだ。
クローに内蔵されたビーム砲を放つ。変幻自在の動きに翻弄され、たちまちのうちに二機
のゲイツが被弾し、火を吹いた。残る一機に近接し、右のクローを振り上げる。
敵機も慌ててシールドに内蔵されたビームクローを展開するが、反応が遅い。
ストライククローは攻撃時にフェイズシフトを起こす事により、PS装甲にすらダメージを与
え得る。いわんや通常装甲など、紙屑同然――
「引き裂く、止めてみたまえ」
振り下ろされたストライククローは、シールドごとゲイツの機体を逆袈裟に切り裂いた。左
手で抜いたビームサーベルで、トドメとばかりにコクピットを貫く。
「この程度か、つまらんな」
瞬く間に三機のゲイツを葬ったシャギアは、むしろ失望したように呟くと、次の獲物を目指し
た。
To Be Continued
rtgj
>>291 向こうじゃ統合なんて話はもう全くされて無いぞ
今でもゴチャゴチャひっぱってるのはこっちだけだ
>>309そういう話より先に我らには言うべきことがある。
GJ!と───
フェイズシフトクローに疑問点。
素直に先端部にビーム刃を形成した方が説得力があるかも、
あるいはVPS搭載で真紅に染まるなら、PS<VPSって
ことで納得かな。
GJ!
ただPSクローでやれんならマガノシラホコでも出来そうな気がするんだが・・・
まあ今後の展開で何か分かるのかな
統合の話はGX氏の返答に任せるって保守氏が言ったから収まったんだよ<309
ここの三人は誰も統合について口を出してないんだしこっちも返答待ちがベストでしょ
がんだむえっくすはえうれかせぶんのぱくり
おちんちん
ちんこ
315 :
( ̄∀ ̄):2007/04/21(土) 14:00:25 ID:jjXFA82K
「サトライトキャノン…発射っ!」 ガンダムエックスのパイロット、ジャミル・ニートはコーディネーターの居住するプラントに悪魔の光を突き刺した
そしてプラントは地球に落ちるという最悪の結果を招いた
GJ!
シャギア兄さん恰好いい〜!
統合の話はゆっくり話し合っていきましょう
急いては事を仕損じるといいますし
GJ!それから統合話はスルーでいいと思う
ヴァサーゴキターーー!
兄弟のコンビネーションハァハァ。
兄弟から、コンビネーションの何たるかを伝授されてるエクステンデットが何か良いな。
でもあの兄弟の連携って、ツインズシンクロニティが前提だし、人に教えられるようなものなのだろうか?
敵とシンクロニティしてる奴はいるがな
遅ればせながらGJ!
圧倒的だなフロスト兄弟w
これはマジでシンが早々に退場しかねないwww
>>319 逆に相手の連携を邪魔する方が得意になってたりして。
度々戦ったフリーデンのMSの戦い方を元に教授したりとかしてたら。
ガンダムXのキャラは活躍しなくても良いよ
>>322 済まないが、今すぐ息をするのを止めてくれないか?
空気が汚れる。
福田は基地外だからしょうがないだろ
煽り荒らしはスルー
人と付き合うということを知らない人間であっても、
今何か言うべきことを探さなくてはならないのではないだろうか。
そう思わずにはいられない、そんな状況が今ここにある。
「例えお前にとってコレがどれだけ大切な物であっても、これは抹消しなくてはならない。
・・・これがそのまま存在し続ければ、お前達も危険に晒される」
出てきた言葉は、感傷的になっている相手に対して正しい言葉だとはカナード自身も思えなかった。
それでも言うべきではあると思っていた。
「サテライトキャノンだけじゃない、このMS自体が今のこの世界に在り得てはならん」
今この世界で使われていない、もしくは実用化されていない技術を持ち合わせた、
存在しない形式番号のMS。その存在は、ガロードが思う以上に恐ろしい存在だった。
技術的なレベルが問題になるわけではない。使われていない技術、存在しない形式番号、
そんなアンノウンを回収したと上官に知られれば、おのずとガロードとティファという存在へとたどり着くだろう。
もし、そんな事が現実に起きて、最悪、別世界の人間の生態調査という名目で二人が研究材料などにされてしまっては、
カナードにとって不愉快極まりない。そしてガロードもティファもそんな事態は望んではいないだろう。
「悪ぃ…本当は、分かってるんだ。でもさ、やっぱ大事な相棒なんだよ」
ガロードが俯きポツリと呟く。カナードに掴みかかっていた手から力が抜けた。
「俺が今・・・ティファと一緒に居られるのも…コイツのおかげだし…さ」
カナードの後方にある、もう動くことのない相棒に近づき、そっとその金属の体に触れ、言った。
戦いを潜り抜けてきた証でもある小さな傷跡の感触が手のひらに残る。
「でももう、…もう寝かせてやってもいいのかもな…」
自分を納得させるように、自分に言い聞かせるように言葉を搾り出した。
15年前の亡霊は今、眠る時を迎えているのだと。
悲しく、苦しそうに絞り出される声に、カナードも胸を締め付けられるような小さな苦しさを感じた。
出てきそうになる涙を必死に我慢しているのだろうか、肩がかすかに震えている。
やがて、決心したかのように顔を上げて振り向き、力強くカナードに言った。
「だからさ、最後は俺がやるよ」
知識はあるが専門家ではない。
それでも、最後に手を下すのは自分でありたい。それが相棒へしてやれる最後の事だと。
「…これで良かったんだ」
少しずつ解体されていく相棒を眺めながらガロードは呟いた。
頭の中で様々なことが浮かんでは消えていく。
ダブルエックスを相棒とすることになった発端を遡れば、ティファとの出会いを思い出す。
全てはそこから始まったように思える。
彼女と出会うことが無ければ、どんな事があったとしても、今の自分にはきっとなれなかっただろう。
ふと、強い寂しさ感じる。何かが足りない、そんな寂しさを。
知らない場所、知らない世界に放り出された恐怖感はもう無かった。それが慣れなのか、
それともこの艦の人たちのおかげなのかはわからない。
ただ、この艦の人たちと話せば話すほど、その寂しさが少しずつ湧き上がってきていたことを思い出す。
そう、足りないのだ。フリーデンの仲間達が。
ティファさえ居てくれたら、何も寂しい事なんて無い。少なくともガロードはそう思っていた。
だが、ガロードという人間に影響を与えて来たのは彼女だけではない。
共に戦ってきた仲間達もまた、彼に強く大きな影響を与えてきた。
フリーデンの仲間達だけではない。旅の途中で出会ったカリス達とて欠かすことはできない。
そんな大事な…とても大事な人たちに会いたいと思っても、今は会えないのだ。
今彼らはどうしているのだろうか・・・。戦いはどうなったのだろうか。
考え出せばきりがない。考えれば考えるほど寂しくなる。
彼らに出会うまでの自分だったら、こんな風に寂しがったりしなかったかもしれない。
そう思い、少しだけ苦笑いしてしまう。
「ガロード」
不意に後ろから呼ばれて振り向けばティファが居た。メリオルもその隣に居る。彼女がティファを連れてきたようだ。
「ティファ…」
思った以上に声が沈んでいることに驚く。
今の自分の顔を想像すると、情けない表情をしているように思えた。
彼女は何も言わず傍に来て、その手を握った。そして優しく微笑む。
つられて、ガロードもぎこちないながらも微笑みかけた。
「過ちは繰り返させない。だから決めたはずだったんだ。
俺がダブルエックスを…サテライトキャノンを使わせないようにするつもりだった」
"存在の抹消"という現実を突きつけられたとき、ガロードの心は強く揺さぶられた。
サテライトキャノンのデータを完全に壊せば、この艦の人間がサテライトキャノンのデータを利用できなくなり、
少なくともダブルエックスの力で過ちを引き起こすことは無くなる。そんな風に考えていた。
しかし現実は、ダブルエックスそのものが自分達の立場だけでなく、
この艦の人間の立場を危うくするものであり、
その危険性を少しでも拭うため抹消されなくてはならない
「俺、考えが甘かったんだな。サテライトキャノンだけが問題じゃなかった。カナードに言われて思い知ったよ」
少し自嘲するような、苦笑いのような、複雑な表情だった。
「それに、ダブルエックスのことは俺が覚えてる。
あいつのおかげでティファと一緒に居られるんだ・・・忘れるもんか。だから・・・だから――」
最後の一言を言いかけたとき、ティファが口を開いた。
「私も忘れない。ずっと私達が覚えていれば、形は無くなっても消えない」
ダブルエックスが相棒となったその日から、彼女自身が持っていた力が見せた未来を変えたいと願ったその日から。
彼女は少しずつ強くなっていった。そして今その強さは、ガロードを支える力強い柱となっていた。
相棒の最後を、瞬き一つすら惜しむように強く見つめながら、ガロードは小声でありがとうと呟いた。
それはダブルエックスだけではない、ティファにも向けられた正直な感謝の気持ち。
「ガロード!」
ダブルエックスが、コックピットすら跡形も残らないほどに解体されたころ、
カナードに呼ばれ、視線を彼の方へ移した。
おそらく今までロクに瞬きをしていなかったのだろう。目が乾燥していて少し痛みを感じた。
何度か瞬きをすると申し訳程度痛みがマシになり、カナードの所へと足を進める。
「・・・後はお前がやるんだろう?」
メインコンピュータだけが残されたダブルエックスの前に着いたとき、カナードが声をかける。
その問いに頷き、それに繋いだコンピュータの前に座り込む。
画面には消去するかどうか確認を求めるアラートが表示されている。
キーボードのボタン一つ押しこめば、ダブルエックスはこの世から姿を消す事になる。
ボタンに近づけた人差し指が、かすかに震えていた。
こうしている間にも、今までの出来事が今から過去へ、走馬灯のように頭の中へめぐる。
カナード達と出会ったこと。別の世界らしき場所にたどり着いたこと。
フロスト兄弟との決戦―サテライトキャノンとサテライトランチャーの打ち合い―
新連邦と宇宙革命軍の衝突の中へと飛び込んでいった事。そしてDOMEとの出会い・・・
仲間達との再会、そして新たな艦で再び宇宙へと上がったこと。
もう一度ティファと再会できたこと。
仲間たちの力を借り、ティファを追って宇宙に単身飛び立ったとき。
時代の流れの中で強い無力感を味わったこともあった。
そしてダブルエックスとの出会い。
それを思い出したとき、ずっと頭どこかに必ずあった言葉が、声と共に頭の中にはっきりと再生された。
―過ちは繰り返すな―
ガロード達に未来を託し散った男の言葉が終わると共に、その人差し指はキーボードのボタンを強く押し込んだ。
アラートが消去の進行具合を知らせる。
強く押し込んだその指がそこから離れる事は無かった。
どこからか風が入ってきている。おそらく艦内の空気を循環させているからだ。
両頬の一部が風のせいで冷たさを感じ、それからすぐにその理由に気づいた。
その理由を認識したとき。ガロードは堪えていた感情を剥き出しにする。
大粒の涙が何度もぽろぽろとあふれ出て、涙が止まることは無かった。
思い出せば思い出すほど止まらない。
やがて進行具合が100%を示し、機械的な音が作業完了を伝えた。
それと同時に涙でくしゃくしゃになった顔で精一杯の笑顔を作り、言った。
「…お休み、ダブルエックス」
この日、15年目の亡霊と呼ばれた存在は消え、記憶の中へと眠りについた。
【NEXT EPISODE:回りだす歯車】
投下終了。コテをちょっと変えてみました。
次のタイトルは仮です。もしかしたら投下時に変わるかも
334 :
通常の名無しさんの3倍:2007/04/22(日) 18:32:17 ID:tWrV6Oiq
リアルタイムだ!GJ
とにかくお疲れ様でした。作者殿もダブルエックスも・・・・・
クロスアストレイ氏GJ!そしてお帰りなさい
ダブルエックスにお休みを言って、ガロティファの二人にwktkしてます
…泣いた。
DXに対するガロードの情、それを理解してくれてるカナードに感動した。
GJ!
GJ!
DX、ありがとう、そしてさようなら…
そういえば原型は留めなくなったにしても、
DXを構成していた部品はどういう形であれ物質として残るわけで…
装甲(ルナチタニウム)だけならザフトが開発してたレアメタルをかっぱらってきたとか言えば使えないこともないか?
それにガロードもティファもDX無しでも操縦技術やらNT能力やらあって普通になったとは言い難いし、
これからの彼等の活躍に期待大です。
まとめサイト更新しておきました。
>>338 お疲れ様です
後はDC氏のSSと新たなる道のSSだけですね
どのSSも楽しくなってきましたよ、ホント
>339
見逃してた分も上げときました
機動新世紀異聞・双星の軌跡
第三話 『わたし……死ぬの?』中編
連結形態の対艦刀を振りかざし、シンのインパルスはガイアへと切り込む。ガイアもM
S形態のまま、ビームサーベルを抜いてそれに応じる。
斬撃が交差するたびにレーザーとビームが干渉し、プラズマのスパークが周囲を照ら
す。
不意に四足形態に変形したガイアが、背転跳躍で大きく後方に身を翻す。その背後に
隠れていたアビスが、再び全門斉射を放った。慌てて飛び退くインパルスに、側面からカ
オスがビームライフルを放つ。
「くそっ!」
舌打ちしたシンはスロットルを押し込む。跳躍したインパルスはスラスターを吹かし、上
空に逃れた。
本来、ソードインパルスは重力下での飛行能力を持たない。だが上方、すなわち回転
軸に近づくほど人工重力が弱まるコロニー内では、飛行が可能なのだ。
「逃がすかよ」
空間戦闘用MAに変形したカオスが、インパルスを追って飛び上がる。強襲型であるカ
オスの推力は凄まじい。本体のそれに背部ポッドのスラスターを加え、強烈な加速で一気
にインパルスを追い抜く。
鋭く旋回し、上空から逆落としに襲いかかるカオス。その脚部から格闘専用のビームク
ローが伸びた。同時に飛び上がったガイアが機を合わせて下方からインパルスに切り込
み、さらに地上のアビスが三度、その砲門を開く。
完璧な連携、逃れられぬ死の運命――だがそれこそが、シンの狙った瞬間だった。
「今だ、メイリン!」
「了解」
インパルスが背部のソードシルエットをパージし、同時にミネルバからの無人管制で飛
来したシルエットフライヤーが新たなるシルエットを投下する。装着。四枚の翼を広げたイ
ンパルスは、今までとは比較にならない速度で死の顎から逃れた。
クローもサーベルも砲撃も、全て虚しく空を切る。
「何いっ!?」
愕然と振り返った三機のモニターに映ったのは、紅白二色から青・白・赤の鮮やかなトリ
コロールに機体の色を変化させた、インパルスの姿だった。左腕のシールドが、上下左右
に伸張する。
インパルスの高機動戦闘形態、フォースインパルスである。
その時、インパルスの左方からビームが続けざまに飛来し、アビスの肩シールドで弾けた。
「来たか、レイ、ルナ!」
モニターに映った紅白二機のMSを見て、シンは思わず頬を緩めた。
赤い機体は、ルナマリアの乗るZGMF−1000ザクウォーリア。そして白い機体は、レイの
乗るZGMF−1001ザクファントム。ニューミレニアムシリーズの名で開発された、ザフトの
次世代量産型MSだ。
「遅くなった。ごめん、シン」
「今から援護に回る。」
僚友の声に、シンは頷く。さあ、反撃の時間だ――
「畜生!」
遊びすぎた――カオスのコクピットで、スティングは罵声を上げた。
インパルスに加え、造園に現れた二機のザクも中々の腕前だ。加えて、もう時間を大幅
に割り込んでしまっている。
「スティング、切りが無い! こいつだってパワーが――」
焦りを含んだアウルの声に、スティングは決断した。今もインパルスと戦闘を続けるステ
ラのガイアに通信を繋ぐ。
「ええい、離脱するぞ! ステラ、そいつを振り切れるか!?」
だが、完全に頭に血が上っているらしいステラは、殺気立った声で怒鳴り返した。
「直ぐに沈める」
そう言い棄て、遮二無二にインパルスへ切りかかるガイア。二機のMSが空中で交差し、
互いにビームを放つ。
「離脱だ! やめろステラ!」
スティングの再度の呼びかけも、ステラまで届かない。
「わたしがこんなぁっ!」
血走り、瞳孔が開いた目でモニター上のインパルスを睨んでいたステラの耳に、アウル
の皮肉気な声が突き刺さった。
「じゃあ、お前はここで『死』ねよ」
ブロックワード発動――ステラの全身が、凍りついた様に停止した。その体が、小刻みに
震えだす。
「シャギアやオルバには僕が言っといてやる! 『さよなら』ってな!」
ステラたちエクステンデッドには暴走を制御するため、ブロックワードと呼ばれる特殊な身
体の停止方法が設けられている。暗示で深層心理に焼き付けられた特定の言葉を耳にする
と、激しい恐慌状態に陥ってしまうのだ。
ステラのブロックワードは、今アウルが口にした『死』だった。
「アウル、お前!」
「だって、ああでもしないと止まんないじゃん。仕方ないだろう!?」
通信機越しに言い争うスティングとアウル。と、棒立ちになった無防備なガイアに、赤いMS
が襲いかかる。
「あ、やべ」
「馬鹿野郎!!」
「ちゃ〜んす」
突如として硬直したガイアに、ルナマリアのザクは踊りかかった。機体のトラブルだか何
だか知らないが、この絶好の機会を見逃すほどザフトレッドは甘くない!
「ルナマリア、命令は捕獲だぞ」
「分かってる!」
ガイアを援護しようとするアビスとカオスを、ビーム突撃銃の弾幕で巧みに牽制するレイ。
その指示に、ルナマリアは頷いた。
肩のシールドに内臓されていたビームトマホークを引き抜くザクウォーリア。このままコク
ピットに叩き込み、パイロットだけを仕留める。
その時、コクピットに警報が響いた。
「上!」
咄嗟に見上げたルナマリアの目に映ったのは、真上から突っ込んでくるMAだった。
「か、蟹ぃっ!?」
凄まじい衝撃が、ルナマリアを揺さぶる。突撃してきたMA――アシュタロンが、アトミッ
クシザースでザクを捉えたのだ。
「きゃぁぁぁっ!!」
突撃の勢いのまま、アシュタロンはザクウォーリアを投げ飛ばした。赤い機体が大地に
叩きつけられ、朦々と粉塵が舞う。
それを見向きもせずMS形態に変形したアシュタロンが、ガイアに接触して通信回線を
開いた。
「大丈夫かい、ステラ?」
モニターの向こうで自分の肩を抱き、小さく震えていたステラが、怯えた目ですがる様
にオルバを見詰める。
「おる、ば……わたし……死ぬの?」
「そんな事は無いよ」
整った顔に蠱惑的な笑みを浮かべ、オルバは少女をなだめる。だがその目には、一片
の温かみも無かった。
「大丈夫、僕がいるだろう。恐い事なんて何も無いんだよ、ステラ」
囁きかける――毒の様に甘い声で。
「さあ帰ろう、僕たちのフネへ」
「う、うん――分かったよ、オルバ」
ようやく落ち着いたステラにオルバはもう一度、微笑みかけると、スティングとアウルに
通信を繋ぐ。
「ブロックワードを使ったのかい? 減点だよ、二人とも」
「すまない、こちらの不手際だ」
「いーじゃん、結果オーライだろ」
それぞれの態度で答える二人の少年。
『さて、そろそろいいかね、オルバよ』
『頼むよ』
次の瞬間、外部から放たれた極太のビームがアーモリーワンの外壁の自己修復ガラス
を貫き、巨大な風穴を開けた。
ぽっかりと空いた穴の向こうから、漆黒の宇宙と煌く星が見えた。
「しまった!」
「艦砲射撃か? いや、しかし――」
歯軋りするシンと、疑問の声を上げるレイ。
付近は急速に減圧され、突如として発生した乱気流に、インパルスとザクファントムは
翻弄される。シンたちを尻目に、四機のMSは外壁の穴から脱出する。
「くっそおっ!」
叫んだシンの駆り立てるまま、インパルスもその後を追う」
「シン、また無茶を!」
ようやく身を起こしたルナマリアのザクに、レイから通信が入る。
「あいつのフォローは俺がする。お前はミネルバに戻れ」
「えっ? でも――」
心外そうなルナマリアに、レイは冷静に続けた。
「その損傷では無理だ。後は任せろ」
「分かった。あいつの事、お願い」
「了解だ」
二機のザクは、二手に分かれた。
一方、シンは全速力で強奪部隊を追っていた。ただひたすら前だけを睨み、限界まで
インパルスを加速する。
「絶対に逃がさない!!」
だから、気づかなかった――
『今だよ、兄さん』
『ああ』
アーモリーワンから飛び出したのと同時に、横合いから叩きつけられた莫大なエネルギ
ーの奔流が、インパルスを直撃した。
「うわぁぁぁっ!?」
To Be Continued
リアルタイムGJ!
シン・アスカ、死亡確認!?
まさかメガソニック砲まで複製しているとは…
原型があったとはいえ連合の技術も何気にとんでもないなww
GJ!二つのSSが更新されるとは・・・まるで夢を見てるみたい(これ何てティファてかルチル?w
>>298-299 GX氏が降臨した、公転スレより転載
790 :GX1/144 ◆nru729E2n2 :2007/04/22(日) 20:39:15 ID:???
あー、えーと…、とりあえずお久しぶりです…2週間ぶりですね…。
仕事が始まってバタバタしてましたが、どうにか落ち着いて研修受け取ります…
とりあえずホントのところぶっちゃけますが(嘘つきたくないので)、
仕事が終わって家事やって、ネタ書いてはいたのですが…どーも上手くできませんでした。
んで、あーでもない、こーでもない、出来上がった物を通して読んでみると言いたいことぼやけてたり…。
とまぁ…、大変でした。おかげでスレのチェックなんてやれませんでしたし…
あと、話を蒸し返すようで悪いんですが、風景画スレへの合流の話が出てましたので一言
自分でスレ分けした理由の中には『私自身の遅筆』もはいっています。まぁ、専用スレならばX運命氏の
時みたいに呑まれる事も無いだろうと思いますので、今後もこちらのほうで連載(投下?)させていただきます。
んで、次レスから本編です…ノシ
だってよ、こっちも統合の話は終了だな
ガンダムXのちんこキャラは活躍しなくて良いよ
>>348 それは構わんが>349みたいなのが粘着してっから
俺としてはスレタイは変えておきたい
痛はどんなスレタイにしてもくるだけ。
粘着なんてコーヒー時代からいるじゃないかw
>>351 コーヒーから風景画のスレタイにして変わってないとでも言うのか?
コーヒー31杯目にでもしたいのか?
そんなことより言うべき事があるだろう
DC氏、クロスアストレイ氏GJ!
DCさんの新作、あいかわらずオルバがやらしいな。
……まさか、ステラに手をつけてないだろうな。
>>353 根本的に変わってないじゃん。
X運命が外部にいったからそう見えるんじゃね?
ていうかタイトル変えろとか言うなら案くらい出せばいいのにね。
なんつーか自作自演にしか思えん。
卑猥なレスで挙げてるのはポキールタンと言って、揚げ保守してくれる子だから相手にしちゃいかんよ
たぶんこのスレの宿敵ラクシズ厨ではない
【X】交差する運命の種子【SEED】
これじゃダメなのか?
>>360 最低臭がするのは気のせいか?
ぱっと見で解りにくいし。
合流しないんだからそんな名前にする必要なし
ごめん、厨臭いってのがよく分からないんだが
風景画=ガロIN運命って感じだから変えたほうが良んじゃね?
>>364 腐女子臭がするとか言った方が良いかもしれん。
種サーチで女性向けのSSタイトルとか見てもらえるとこの手のタイトルの付け方が多い事多い事
>>365 気のせいだったら詫びるが、妙によからぬ感情を表した言い方だな?
ヲチスレじゃそんな感じだったからそうかいた
そう思われるのが嫌だから変えてもいんじゃねーかって思うんだが
>>366 ここはクロスオーバースレなんだし関係ないじゃん
あそこの痛どもが何言おうと気にするなよ。たとえ変えてもまた新たな
口実つけて粘着するだけ。むしろあの痛どもに屈したという前例つくるほうがまずい
>>368 ヲチスレは同人SS痛とラクシズ厨の巣だぞ?しかも異常にこのスレとエデン氏を敵視してるし。
しかもしかもまだそんな気配が濃厚という粘着っぷり。
あんなキチガイどもの顔色見る必要はないさ。
コーヒーの場合は違うのか?
たかがテンプレの一つ二つで屈した云々言うなよ
変えたくなければ変えたくない奴が新スレ建てればいいんだし
変えたければ変えたい奴がそのスレタイで新スレ建てればいいだけ
職人が風景画で書くか公転スレで書くかでもめてるのと何も変わらんぞ
折角SSが来たのに、くだらんスレタイ議論で潰すのも馬鹿馬鹿しいな。
いきなりメガソニック砲(だよな?)の直撃を喰らったシンとインパルスの運命は?
まあDC氏自身が『オーブまでは原作通り』って言ってるし、戦死はないだろうが。
いいSSが見れるならなんでも良し
>>373 それでXスレ乱立うぜえ、あんな連中まとめて削除しろというわけか。たいしたマッチポンプだな
ラクソ厨どもからするとここ風景画、というかXスレはアンチラクシズ、アンチラクソのSSを完結させた
(奴らにとっての)要注意、要監視スレだからなぁ
てかX時代があまり評価されてないじゃん
ふくだみつお君が「Xは一話だけ見てビデオ返しちゃいました(笑)」
とか言ってるんだし
あの土田もダムAのコラムであんま良い評価はしてなかったな<06・7〜8
Zと種が面白いって言うならXの良さがもう少し分かると思ったが
いくらなんでも福田の戯言でどうこうなんてないだろうし
土田に期待するのもどうかと思うが
グレメカのX特集以外はボロクソといっても過言じゃない上
Xの本スレだって何回も荒らされてる
X嫌いなら好きに言わせれば良い、俺たちがX好きってだけで十分だろ
福田のあれは許せねー
382 :
尊師:2007/04/23(月) 12:37:26 ID:???
前々から思ってたんだが、なんでこのスレ住民は被害妄想が強いの?
ラクシズ厨に監視されてる!とか普通出てこないぜ
実際されてたからな。妄想じゃなくて現実だった事もありました。
>妄想じゃなくて現実だった事もありました。
そして今も、されてない保証はドコにもない
ヲチスレを見てればあの桃色汚物厨どもがいまだにこのスレを敵視してるのがわかるよ
無駄にラクシズ氏寝市ね言わなければいいだけじゃね?
今はそんなこと言う必要もないし叩きなら他所でやればいい
それにXと種のクロスオーバーを語り合うだけじゃ駄目なのか?
ガロIN運命終わって早2ヶ月たってラクシズ死ねなんてほとんどでてないのは明白だろ
だが、ラクシズ厨だか同人SS痛どもは何かにつけてこのスレたたいてるじゃん。
>>388 それってガロINCEだけだろ
てか話題になるのはX運命氏、EDN氏ぐらいで今のSSは叩かれて無い様な気がする
スレが叩かれるのはしょうがないでしょ、だってこのスレもXスレなんだし
どう、釣られてみたけど困難でいいの?
このスレはUTMとのクロスはありかい?無しならヨソに行くけど。
>>390 勇者現る!
UTM自体あそこまでやったからもう振り切った、やってくれ。
Xが好きって奴はガンダム好きではない
ガンダムというブランドの中で一番凡作で存在感の無い作品
キャラもほとんど死なないのはXだけ
Xは一番ガンダムから遠いガンダム
そしてちんこ作品!
393 :
和田真一郎:2007/04/24(火) 00:08:10 ID:???
あばばばばばばばばばばばばばばば
アンチラクシズ厨とラクシズ厨は目糞鼻糞
どっちも害毒、汚物
ノグソ・クサイン「私は変態です、自分の糞を食います」
398 :
岡田克彦:2007/04/24(火) 00:22:24 ID:???
400 :
岡田克彦:2007/04/24(火) 01:29:26 ID:???
402 :
紅薔薇茂:2007/04/24(火) 01:48:40 ID:???
403 :
宅間守:2007/04/24(火) 01:57:10 ID:???
なんだ、ポキールのこと知らない奴がいるのか・・・
ガンダムXより面白くないアニメを未だ見たことが無い
最低の汚物アニメ
何も考えずにROMれ!
最近のポキールはポキールの騙りに見えるんだが
ポキールって、聖剣LOM?
410 :
可笑しき:2007/04/25(水) 00:49:16 ID:???
ぽきーるたんはこっちのスレにはこねーよ
412 :
可笑しき:2007/04/25(水) 00:54:12 ID:???
キョロキョロ・・・投稿!
「つくづく君は、落とし物を拾うのが好きなようだな」
「しゃあねえだろ、この場合・・・こんなごみごみした所に放置しとく訳にいかないし」
ガロードがそう言うとナタルは苦笑した。
「まあそうだな、それに必ずしも厄介ごとばかり・・・ではないからな」
「へへ」
ナタルがそう言うとガロードは得意そうに鼻の下をこすって笑った。
「開けますぜ?」
「ああ、やってくれ」
フラガがそう応えると、マードックは頷いて救命ポットのハッチを開けた。
すると、
「 ハロ、ハロー、ハロ、ラクス、ハロ」
「ありがとう。 御苦労様です」
そこにはピンクの丸い何かと、ピンクの髪の女の子がいた。
「あら? あらあら?」
「ハロ? ハロハロ? ハロ、ラクス! ハロハロ!」
その少女は出て来る時勢いを付け過ぎたのか、
そのまま無重力状態の格納庫を上へ上へと昇っていった。
キラがそれに見かねてその少女に手をかした。
「ありがとう・・・あら? あらあら? まぁ! これはザフトの船ではありませんのね!?」
その少女はマリュー達の制服を見てそう言った。
「ポットを拾っていただいて、ありがとうございました。 私はラクス・クラインですわ」
「クラインねぇ〜。 彼の、プラント現最高評議会議長も、シーゲル・クラインといったが・・・」
「あら〜? シーゲル・クラインは父ですわぁ。 御存知ですの?」
場所は移り個室にナタル、マリュー、フラガとその少女・・・ラクスがいる。
なお話の内容が気になっていたクルーが居たがそれはナタルが追いかえした。
「そんな方が、どうしてこんなところに?」
「私、ユニウス7の追悼慰霊の為の事前調査に来ておりましたの。
そうしましたら、地球軍の船と、私共の船が出会ってしまいまして・・・」
ラクスはそう言うと困った顔で、
「臨検するとおっしゃるので、お請けしたのですが・・・
地球軍の方々には、私共の船の目的が、どうやらお気に障られたようで・・・
些細ないさかいから、船内は酷い揉め事になってしまいましたの。
そうしましたら、私は、周りの者達に、ポットで脱出させられたのですわ」
「・・・なんてことを・・・」
「それでー、貴方の船は?
「・・・分かりません。あの後、地球軍の方々も、お気を沈めて静めて下さっていれば良いのですが」
ラクスがそう言うとマリュー達は黙らざるえなかった。
「嫌よ!」
「ん?」
「嫌ったら嫌!」
ここは食堂、ガロードとティファはヘリオポリス組みと食事を取っていた。
「どうしたんだ?」
「・・・ん、あの女の子の食事だよ。
ミリィがフレイに持ってって、って言ったら、フレイが嫌だって・・・それで揉めてるだけさ」
「なら私が行きます」
ティファはそう言うとミリアリアから食事を半ば強引に受け取り食堂に出ようとし、
「あの・・・」
今話題に上ったラクスがひょっこりと現れた。
「驚かせてしまったのならすいません、
私喉が渇いて・・・それに笑わないで下さいね、大分お腹も空いてしまいましたの。
こちらは食堂ですか?なにか頂けると嬉しいのですけど・・・」
「ちょうど今からこれ持って行こうとしてたんだけど・・・」
「まあそうでしたの!? ならもう少し待っていればよかったですわ」
ラクスはそう言うと、そこでキラ達ははたと気がついた。
「ってちょっと待って!」
「鍵とかってしてないわけ…?」
「いや、あの程度の鍵なら俺でも何とかなるし・・・
お姫様なんだからその程度の工作はできるんじゃね?」
「・・・ガロード、それは違うわ絶対」
ミリアリアがそう言うと他のヘリオポリス組みはうんうんと頷いた。
「そうか? ザフトの親玉の娘なんだろ?
そうなりゃ誘拐とかあってそうだし、対策があって不思議じゃないと思うけど?」
ガロードがそう言うとだんだんヘリオポリス組みはそうなのかも、と思い始めていた。
「あの・・・またここに居なければなりませんの? 人数が少し多いような気がしますけど・・・」
ラクスが宛がわれた部屋に、ガロティファとヘリオポリス組みが全員集合していた。
ティファがフレイを引きずってここまで来たのである。
フレイもミリアリアの妹分であるティファを邪険に扱えなくて結局引っ張られてきた。
「だったら私は出て行くわよ」
「駄目です!」
フレイがそう言うとティファに珍しく強い調子でそういわれ、
フレイは仕方なさそうにその場に座った。
「何で私が・・・」
「人は」
フレイが不貞腐れる様にそっぽを向くとティファは淡々と話し始めた。
「人は未知の、なんだか解らないものに対し好奇心と恐怖が生まれます。
また、伝え聞いた事だけが事実で実際と違っても殆どの人は聞いた方の事柄が正しいと思います。
本当は怖くない、何もしなくとも外見や噂だけを鵜呑みにし恐れます」
「つまりただ怖がるんじゃなくて実際に会って話してみろって事?」
「はい・・・コーディネイターでもそれは一人の人間です。
私達と・・・そしてあなたと同じような」
ティファがそうフレイに言うと、フレイはしばらく俯いた。
「ま、かたっ苦しい話はそんぐらいでさ、まずは自己紹介からってね。
俺は炎のMS乗りガロード・ラン!」
「私はティファ・アディールです」
「私はラクス・クラインですわ」
「キラ・ヤマトです」
「ミリアリア・ハウよ」
「俺、トール・ケーニヒ」
「俺はサイ・アーガイル」
「カズイ・バスカーク」
「ほらフレイ」
ミリアリアにそういわれフレイはしぶしぶ、
「フレイ・アルスターよ」
と言った。
とりあえずここまで、次はまた後で
ティファに違和感を覚えたが、ラスト付近のカリスとの会話を思い出し
「ヤツも成長しとったなぁ」となった俺。
>>418 シアワセヲアリガトウ
乙です、続きお待ちしております
GJ!なんかほのぼのとした気分になったよ
続きがすごく気になる
GJ!
GJ!
あのピンクはホントに扱いが難しいからこれからも頑張れ、マジ頑張れ
次回、ガンダムXのキャラはうんこ食べます
ぽきたんは最初は荒らしだの人工無能だの言われてたが
実際はスレの守り神にして保守神だったからなぁ・・・
実際に荒らしやウィルスコード爆撃、AA埋め潰し攻撃がされたのって
ぽきたんが消えた後だったし・・・
「へ〜、ラクスって歌手なんだ」
「はい・・・ですが父は最初あまり言い顔はしませんでしたわ」
「へ? 遺伝子を弄ってそうなったんじゃないの?」
「はい、なんでも本当は普通の女の子にと・・・コーディネイター同士での子供ですから、
どうしても自然にと言う訳に行かないそうですが」
「自然にするとどうなるの?」
「6割が死産、生まれても長く生きられるのが5割を切るとか・・・」
「そうなんだ・・・」
ラクスの話にヘリオポリス組みは沈黙してしまった。
「なあ、ちょっと歌聞かせてよ」
「そうですわね、では僭越ながら・・・」
ガロードが沈みがちな話題の変換にそう訊いて、ラクスは了承するとすんだ歌声で歌い始めた。
ティファはそれに鼻歌であるが続き、二人の歌声は周りを癒しながら広がっていった。
二人が歌い終わると自然と拍手が沸き起こった。
「ラクスさんもすごいけどティファもすごいじゃない!」
「ティファさんすごいですわ、私の歌に付いて来れる人はそう多くはないんですよ?」
ミリアリアとラクスが絶賛し、フレイもただただ拍手をしていた。
「へっへっへ〜、他にもティファは絵も上手いんだぜ〜?」
「ガロード・・・そんな」
ティファは俯いて顔を赤くした。
「え〜? 見てみたいわ」
「ですわね」
「・・・絵の道具がないので今は見せられませんが、その内でいいですか?」
ティファはそのままぼそぼそと言ったが、ガロードを含む全員が頷いた。
その後終始和やかに会話は弾んでいった。
「先遣隊?」
ラクスの部屋はその後用がない時のヘリオポリス組みの溜り場となり、必ず二人以上はそこにいた。
マリュー達にはっ最初の事を伝え監視役と言っているのでさほど咎められなかった。
「この船を捜しに来ているの?」
ティファに無理やり連れてこられたフレイだが、
少なくともラクスがフレイに危害を加えるという事は無いとわかったようだ。
まだ積極的という訳ではないが自分だけ仲間外れにされるのも悔しいのかティファと一緒にこの部屋にいる。
「そうみたいだ・・・それとフレイ、君のお父さんも乗っているみたいだぞ?」
「ええ! パパが!?」
「フレイのことは当然知らなかったろうけど、こっちの乗員名簿、さっき送ったからさ」
「パパが・・・よかったぁ 」
「よかったね」
フレイはそう言うとほっと胸を撫で下ろした。
「羨ましいですわ」
とそこにいままで話を聞いていたラクスがぼそっと言った。
今まで話していて忘れていたが彼女は捕虜と言う立場に近い。
「う・・・」
「ほ、ほら・・・向こうに着いたら色々あるかも知れないけどさ、
すぐって訳じゃないと思うけど返してくれるって」
「そ、そうよ・・・私もパパに掛け合ってみるから・・・」
それに対しサイとフレイが必死にそう言うが、ラクスは頬を膨らませてぷいっと横を向いた。
なお部屋には知らせを持ってきたサイとフレイ、ラクスとティファの他にガロードだけがいた。
その後すこし話をした後、サイとフレイはこそこそと部屋を後にした。
「総員、第一戦闘配備!繰り返す!総員、第一戦闘配備!」
「ぬお!?」
ラクスとティファとミリアリアが喋っている(ティファをミリアリアがからかいそれをラクスがまぜっかえすと言う事だが)
のを見ていたガロード(微妙に赤くなっていたりもする)は、行き成りの放送でその場で転んだ。
「大丈夫?」
「ああ・・・」
「戦闘配備・・・ですか?」
「ああ、またザフトが攻めて来るみたいだな・・・ザフト?」
ガロードはそう言うとしばらくぶつぶつと一人で喋り、そしてにやりと笑った。
「三人とも、ちょっと手伝って欲しいんだけど」
「はい」
「はい?」
「何?」
ガロードがそう言うとティファは疑いもせずに頷き、
逆にラクスとミリアリアは幾つもの?マークを浮かべた。
「ガロード! ティファ!」
二人が宇宙服を着て駆け出しているとフレイとであった。
「戦闘配備ってどういうこと? 先遣隊は?」
「ザフトに攻撃受けてんだろ!? 兎に角速く行かなきゃ!」
「大丈夫だよね!?」
「え?」
「パパの船やられたりしないわよね? ね!?」
「わかんねぇ」
ガロードは自信なさげにそう言った。
「とりあえず俺らはもう行くから、速く行かないと助かるもんも助からねえ!」
「う、うん・・・」
フレイはそれに困惑しながらも頷いた。
「お前ら遅いぞ!」
「悪りい!」
ガロードがそう言うともう一人をそっとコクピットに乗せ、自分も乗った。
ただその相方はなぜかお腹が大きかったりするのだが、
その事を突っ込む余裕は今のアークエンジェルクルーにはなかった
『敵は、ナスカ級に、ジン3機。 それとイージスが居るわ。 気を付けてね』
『ガロード、先遣隊にはフレイのお父さんが居るんだ。頼む!』
「解ってる、ミリィもそっち頼むな!」
『任せて! カタパルト、接続! エールストライカー、スタンバイ! システム、オールグリーン!
進路クリア!ストライク、どうぞ!』
「ガロード・ラン、エールストライクガンダム、いくぜぇ!!」
ガロードはそう言うと機体を動かした。
『ガロード、もう少し掛かるわ』
「了解、この!」
ガロードはそう言うとビームライフルを発射、背中を向いていたジンはコクピットを貫かれ爆発した。
しかしこれでザフトもストライクとアークエンジェルの参戦がわかり、
残りのジン2体がアークエンジェルへ、イージスがストライクへ向かった。
『今日こそキラの事話してもらうぞ!』
「あら? アスラン?」
『え? その声はラクス?』
例によって例のごとく通信を入れてきたイージスはガロードと一緒に乗っているパイロット、
ラクスを見て驚いていた。
『なぜあなたがそこに?』
「実は一人で漂流していた所この方達が助けてくださいましたの」
『なるほど・・・ってそういう訳じゃなくてなんでストライクに乗っているんですか?』
「さあ? 私もまだよく解りませんがあれよあれよと言う間に・・・」
「へへ、それはもうちっとで解るよ!」
ガロードがそう得意そうに言うと、そこへミリアリアから通信がきた。
『ガロード、言われたとおりザフト、連邦どちらにも聞こえるようにしといたわ』
「よっしゃ! それじゃ回線を繋げてくれ!」
『了解!』
ミリアリアがそう言うとブツッと電子音が聞こえた。
『あ〜、あ〜こちらアークエンジェル所属炎のMSパイロット、ガロード・ラン!
ザフト及び連合軍に告ぐ!』
「なんだ!?」
「足つきからの全周波放送です!」
「足つきから? だが映像はブリッジではなくコクピットだぞ?」
『現在ストライクガンダムにはラクス・クラインが乗っている! 両方とも一旦下がれ!』
クルーゼがそう言う様に目の前のモニターには少年と少女が並んで座っている。
さらにヘルメットはラクスだけとって解り易くしている。
『連合はアークエンジェルの方へ! ザフトはそのまま動かないでよ!』
「格好の悪いことだな、援護に来て不利になったらこれか」
「隊長!」
「ああ! 分かっている。 全軍攻撃中止だ!」
クルーゼはそう言うと苦虫を噛むように苦笑した。
連合の艦隊はアークエンジェルを除くともはや後1隻、
今乗っているナスカ級で後数秒遅ければその最後の一隻も落とせていただろう。
『なおザフト軍がこのまま攻撃してるとこの子の安全は保障しないぜ!?』
ストライクのパイロットはヘルメットをしたまま懐の銃をラクスの頭につけた。
ヘルメットのせいか顔はよく見えないが口元が若干笑っているのが見える。
先遣隊は残り一隻、しかもダメージを受けている様でそのまま素直にアークエンジェルへと向った。
アークエンジェルからストライクへ何度か通信がある様だが、
その声はクルーゼ達にはよく聞こえなかった。
『あともしザフトが引くってんならラクスを引き渡してもいいぜ?
返事はここに居るイージスからだけうけっから、
イージスは補給とかに戻ると交渉決裂ってことだから、そのつもりで!』
ストライクからの通信はそう言うとぷつっと消えた。
『隊長!』
その後すぐにアスランがヴェサリウスへ通信を入れた。
「聞いての通りだ、どうやら私達はここまでの様だな」
『では!?』
「引くしかあるまい・・・最低でもその演技をしなければラクス嬢がどうなるか解らん」
『追ってくるでしょうか?』
「それはあるまい・・・それよりアスラン、バッテリーの方はどのくらいだ?」
『・・・4割を切りました』
「その状態での戦闘行為は難しいな・・・アスラン、ラクス嬢を迎えに行ってやりたまえ」
『ありがとうございます!』
「隊長?」
「念の為私のシグーの用意をしてくれ、すぐ出られるようにな」
「解りました」
クルーゼはそう言うとブリッジを後にした。
『これがお前達のやり方か!』
「うわ!」
『まあいい、ラクスを本当に返してくれるんだろうな?』
「そっちが本当に引くんならな!」
ガロードがそう言うとアスランは黙り込んだ。
なおアークエンジェルからの通信は、全周波放送と共に切っていた。
『・・・隊長がラクスを迎えに行けと言っていた、つまりこの場は引くと言う事だ』
「へ、それが本当だって断言できんのかよ!」
『それは・・・』
「アスラン」
『ラクス?』
今まで成り行きを見守っていたラクスが喋った。
「どうかこの方達を見逃してもらえないでしょうか? とっても良い人達なのですよ?」
『良い人だからって、戦争なんですから見逃すわけには・・・それにキラの事だって』
「キラ様・・・ですか?」
『あいつはコーディネイターなんです・・・なのにアークエンジェルで働かされて・・・』
「あら? そうだったのですか? 彼もてっきりナチュラルだとばかり・・・」
ラクスがそう言うとその横でガロードがうんうんと頷いていた。
ガロードは今までキラと他のヘリオポリス組み、
さらにマードックやフラガともよく喋っているのを見かけている。
そこには何の気兼ねもなかったからてっきり彼もナチュラルだと思っていた。
『コーディネイターはコーディネイターと共に居た方が幸せなんだ!』
「それは偏見ってもんだろ? 俺達は全員人なんだからさ、人それぞれって奴だよ」
「そうですわ、必ず同じ人種が集まる事が幸せではありません」
『うう・・・と、兎に角ラクスは返してもらおうか?』
「約束は護ってくれるんだろうな?」
『少なくとも俺は・・・部隊の指揮をしている訳じゃないから何とも言えないが』
「・・・わかりました、私からその隊長さんに直接掛け合う事にします。
ガロード様もそれでよろしいですね?」
「ん〜、もう一声欲しい所でもあるんだけどな・・・」
ガロードがそう言うとラクスは困った顔をした。
「私、もうそれ以上の事はできませんわ・・・」
「う〜ん・・・」
ガロードはそう言うと腕組をした。
コクピットでそれをやるのはある意味致命的だが、ラクスと言う盾があるのでザフトは攻撃できない。
「・・・しゃあないか」
「でわアスラン、コクピットを開けてくださりませんか?」
『解った』
そう言うとイージスのパイロット・・・アスランは言われたとおりコクピットのハッチを空けた。
ガロードがラクスにヘルメットを被せ空気漏れが無いかチェックした後ハッチを空けた。
「それではガロード様、他の皆様もお元気で」
「そっちもな! 今度は平和になって会えたらいいな!」
「その時はティファ様の絵も一緒に見たいものですわ」
「ん、帰ったら伝えとく」
「楽しみにしていますわ」
ラクスはそう言うと一礼しイージスのコクピットへ飛んだ。
その後クルーゼが単身ストライクへ攻撃しようとしたがそこへラクスが凛とした声で反論、
結局ザフト艦はラクスを載せ一時撤退していった。
「さ〜ってと、そんじゃ大目玉でも食らいに行きますか!」
とりあえず書いたのはここまでです。
問題はガロードにどんな罰が待っているかなんですよね・・・
アークエンジェル内だけなら原作道理ですがそれに戦艦が一つ付きますし・・・
悩みどころです
それではこれで
GJ!
なるほど、ラクス返還を前倒しすることでこう持ってきたか…
ガロードの処罰に付いては…
本編と違い(独断とはいえ)味方艦の安全と引き換えという形で取引が成立していると見えなくも無いし、
そうしなければ自分達が死んでたかもしれないことを向こうの艦の乗員も分かってるだろうから、
隠蔽に協力するなりしてうやむやになるって事も無くは無いかも・・・
乙です、とりあえず突っ込みをいくつか
>マリュー達にはっ最初の事を伝え|まず一つめ
>一緒に乗っているパイロット、ラクスを見て驚いていた。|パイロットは抜かした方が良かったと思う、難癖レベル
ザフト、連邦どちらにも聞こえるようにしといたわ』|連合
これぐらいですかね?添削の人ほどじゃないでしょうが
処罰ならガロードは種世界の傭兵なので問題ないと思います
あまり処罰が重くてもどうかと思いますし
GJ!
なんだかんだ言いつつフレイがラクスに少しでも気遣い出来るようになったんだな〜
保守
乙!
次はXキャラが種キャラのちんぽをしゃぶるストーリーでお願いします
乙!
とてもおもしろかった
続きが気になるばかりだ。
ってか本来のOP映像にInvoke乗っけただけじゃね?
がんだむえっくすはいらない
保守
過疎ってるのでネタ振り。
C.EでDXのパイロットになっても過ちを繰り返さずにすみそうなのは?
劾かロウなら過ちは繰り返さない、と思う
てかDXのパイロットはガロードでなければ合わないかな
あ、Xの本スレで高山瑞穂のコミックスにGXが出たらしいけど誰か知ってない?
ロウだと過ち繰り返す以前にひたすらジャンク集めしてそうだがw
ろうろう!
劾は勝つためなら容赦なくサテキャぶっぱなすなwww
イライジャか盟主王あたりが一番マトモに運用できそうな気がする
「サテライトキャノンは、持ってて嬉しいコレクションじゃないっ!」
こうですか?
ヤブァイのだったらすぐ浮かぶんだけど…
っつーか、ヤバい運用しなやつが思いつかん…
スタゲを外宇宙に放り出すスタートダッシュにでも使うか?
>>450 ボンボンがリニューアルした頃から連載してる『ガンダムアライブ』に1話冒頭から出てる。
…敵として。
今はGビット&サテキャを壊されてDV装備になってる。
コミックボンボンのガンダムの漫画GガンからXまで全部持ってたな
何で収録されなかったんだろう・・・ドモンくんとガンダムパーティ・・・
だから当時の本にしか収録されてないとあれほど…
乳首
>「サテライトキャノンは、持ってて嬉しいコレクションじゃないっ!」
種世界では、この上なく正しい使い方に思えてならないのは俺だけか?
ブルコスは巣に帰れ、目障りだ
>>461 GX見ていてそんなこと言ってんのか・・・って見てるわけないか
ガロード達フリーデンクルーがザラ派やブルコスに協力しないってのが分かってないんだからな
一瞬、「種世界では尚更コレクションに留めておくべきもの(=使うべきでは無いもの)」、って文脈に見えてしまった。
GXのみがCE世界にあったらって話じゃないのか?
ラクシズでもロゴスでもザフトでも、喜んで使いそうな気がするけど。
キラ「撃ちたくない…撃たせないで!」
MW受信開始、とか。
意味が通らないだろ
当たり前のように使う=正しい使い方な訳じゃない
一応ラクシズだって他所が戦争止めないからって理由で
責任転嫁することで武力保持正当化してんだから
イライジャならDX使ってもいいんじゃねーかな、多分
いや、それが何かを理解すれば少なくとも使いたがらないと思う。
ここのSSのカナードみたいに後先考えたりして
469 :
通常の名無しさんの3倍:2007/05/15(火) 23:14:41 ID:Zopw8L6z
まぁ「圧倒的な暴力」にモノ言わせて
ラクシズが天下取っちゃう世界だからなぁ・・・
ガロードたちがいないんだったら、さっさと滅びた方が
良いかも知れんね
「機体だけ」という条件下なら恐らくDX&GXはC.Eに存在すると危険という点で次点かそこらに位置するだろうからな…
トップがターンタイプで機動力で勝り火力で劣るだろうW0が同率二位?
ゼロシステム使える人間が居るか激しく疑問だが。
逆にGガン系はとてもじゃないが誰も使いこなせないだろうから安全牌かな。
デビルガンダムにしても(F.Cと比べて)貧弱なC.Eの人間ではコアとして不適だろうし。
デビルガンダムの生体ユニットは肉体が健康な女性でさえあればいいからカガリとか使えるんじゃね
>470
>W0
テレポートやらかすターンタイプに
機動力で勝る機体ってのは無理だろ…
MFは、バリーあたりが「のろくさ」レベルでも動かしかねない。
>>472 一位 ターン
二位 サテキャな方々と翼零
じゃね?
474 :
470:2007/05/15(火) 23:59:34 ID:???
>>472 書き方が悪かったスマソ。
W0の機動力で勝り火力で劣る同率二位ってのはDXと対比した表現な。
一行目に書いたDX&GXが次点ってのは一位に次ぐって意味で書いたつもりだったんだが。
476 :
475:2007/05/16(水) 00:01:18 ID:???
>474
読み方が悪かった(´・ω・`)スマン
ここのスレみんないい人達なんだな
さらっと前投下したのに書いちゃったけど。
艦に重力発生装置付きとかって有りかな。
無いと原作描写おかしくね?
>>480 よかった。ありがとう。
出来るだけ早目に次を投下できるよう頑張ります。
483 :
通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 15:53:05 ID:S5byvYHZ
>>481 折れもちんこしゃぶる展開を期待してます!
相変わらず汚いレスだな福田は
それよりホビージャパン読んでる奴いるか?
曹操ガンダムというものが出ていたが・・・どう思う?
>>485 今度のBB戦士シリーズの一体だよ。
モチーフMSがDX
正直なんで赤いのか理解できない。
まあサザビーモチーフのが白だったりするから
あんまり気にしちゃいけないのかもしれない
>白サザビー
まあ、寒冷地用サザビーとかHJの作例であったけどな
それはそれとしても、腕組んでるし、マントが開いたときの形
想像してゴッドかと思った俺もいる
どうも、Exceed4000という者です。初めまして。
今日の夕方辺りからSS「機動新世紀ガンダムXSEED(読みはExceedことエクシード)」投稿しようかと思っております。
書き方としては後藤リウさん(SEEDの小説版書いていた人)ッぽくしようかと。
先に設定を挙げるなら、
・Xキャラがくるのは兄弟との最終決戦直後。演出としては光に包まれて・・・な感じで。
・DXは完全破損状態。しかし物語が進めば救済策は出て来るかもです。
・原作では死んだ人も意外な人と交流があったりして。
でしょうか。
同じ様な状況で書いている方もいらっしゃいますが、カブらないかな・・・<゜д゜;;>。
とにかく、宜しくお願いします。
P.S【UC】リリカルなのはSS【G、W、X、∀】スレで魔法(砲?)少女リリカルティファもやろうかと思っていたり。
しかし、なのは、見たこと無い・・・・・・。オワタ<\^○^/>
うわあ…
うん、なんていうかその……イタイ感じ?
とりあえず投下してくれ。
イタイ感じで済みません<m−_−m>。
皆さんからの声は真摯に受け止めようと思います。
では。
結局投下しないの?
機動新世紀ガンダムXSEED プロローグ1
かつてその世界では戦争があった。
1つの宇宙コロニーの独立運動に端を発したその紛争は、地球全土、そして宇宙をも巻き込む全面戦争となる。
戦況が膠着状態となった八ヶ月後、宇宙革命軍は戦況の打開案として、コロニー落とし作戦を密かに進行させ、地球連邦政府に対して降伏を迫った。
対して連邦軍は、極秘に開発していた決戦兵器モビルスーツ『ガンダム』を前線に導入し、徹底抗戦の構えをとった。
だが、一機とその一機が操る12の同じ『ガンダム』があるコロニー放った光が全ての運命を決定付けた。
コロニーへの一撃を重く見た革命軍は作戦を強行し、連邦軍も応戦した。
しかし落ち行くコロニーが両者の勝敗の行方を他所に、人類全ての故郷である地球に取り返しがつかない程の破壊を与えた。
南米を中心に落とされたコロニーによって人類はその後3年間核の冬を経験する事となり、100億近くあった地球人口は9800万にまで激減した。
勝者敗者も無くなったこの戦争はそのまま済し崩しの様に終戦を迎えた。
それから一年。漸く復興の兆しが見えて来ていた地球に戦争の嵐が吹き荒れようとしていた。
が、そうなる事を阻もうとしている者達がいる事もまた1つの事実であった。
戦争を望む者、過ちを繰り返させぬ為起こさせまいとする者。
それぞれの主張をする両者とも言える4人は互いに譲り合う事も無いまま月と地球の間でかつて彼等の世界を死の世界へと導いた銃口を向け合った。
うん。
オワタ \(^o^)/
『〜た。』の連発じゃ箇条書きだよ。SSとしては『名前「〜」』位やっちゃいかん事だと思う。
もうちょっとラノベじゃない本とか読んでみるといいよ。
単なるXの概略じゃねーか
ん? 文体は小説版に似せたつもりなんじゃないの、読んだこと無いけど。
それよりコレで終わりなの?
機動新世紀ガンダムXSEED プロローグ2
連邦軍も革命軍も互いに互いを滅ぼさんと狂った様に戦闘を続けている。
そんな中フロスト兄弟の真意を知ったガロードは自機周辺宙域の戦闘を仲間達に任せ、彼らの元に全速力で駆けつけた。
見れば、兄弟のガンダムは世界を死に結びかけたサテライトシステムを利用した砲を連邦軍、革命軍の戦闘宙域に向けていた。
だが、まだガロードには救いがあった。
彼らが月のマイクロウェーブ発信基地からエネルギーを充填し始めてまだそんなに経っていなかったからだ。
ガロードはD.O.M.Eを信じ兄弟のガンダムの前に立った。自分に忘れえぬ物を残した男が死に際に発した言葉をはっきりと口にして。
「過ちは繰り返させない!!」
「あれは!ダブルエックス!」
兄シャギアのガンダムの土台となっていたガンダムにいたオルバは眼前の光景に驚く。しかしそんな感情はすぐに消えた。
何しろサテライトシステムを利用したサテライトキャノンを打つ為に必要なマイクロウェーブ送電システムは数刻前に月にいるD.O.M.Eの手から離れ自分達の手中に収まっていたからだ。
ガロードの操るダブルエックスにもサテライトキャノンは二門状態で装備されていたが、送電システムが彼の方に向く事はない。
撃つ事も儘ならない、デッドウェイトにしかなっていない装備を背負っているダブルエックスは余程の事が無い限り恐れる事も無いと思っていた。
が、その自信はマイクロウェーブ照射がダブルエックスにシフトした瞬間脆くも崩れ去った。
「バ、バカな!! 送電システムはこちらの手中にあるはず!!」
実際にトリガーに指をかけていた兄、シャギアの驚きはオルバの比ではなかった。
通信機越しに焦りが感じ取れる。
堪らずオルバはシャギアに向かって叫んだ。
「兄さん!!」
「ダブルエックスを撃つ!」
帰ってきた返答にオルバはぎくりとする。充填されたエネルギーの量はオルバの機体でもモニタリングする事が出来たが、明らかに大ダメージを与えるには少なすぎた。
「でも、チャージが!」
「構わん!!」
シャギアは言葉を全て言い終わらない内にサテライトランチャーのトリガーを引いていた。
ってか書きながら投下するんじゃなくてテキストファイルに書きためて投下したほうがいいと思うぞ?
機動新世紀ガンダムXSEED プロローグ3
「させるかぁぁぁっっ!!!」
発射シークエンスを終えたガロードもやはりツインサテライトキャノンのトリガーを引いた。
次の瞬間、二つの光の奔流は衝突し、周辺を強烈な光に包んでいく。
それは次第に肥大していき、両者すらも巻き込んだ。
いや、それだけではない。近くで戦闘を行いながらもガロードの様子を見守っていた者達すらも・・・・・・。
宙域で永遠に続くかと思われた球体の光は、暫くして収まっていく。
だがそこには何も無くそこにあったものが全て何処かに消えてしまった様にぽっかりと穴が開いたようになっていたのだった。
通常はMSの残骸等が残る筈にも関わらずである。
不気味な静寂だけが戦闘宙域を支配する。
一方ガロードはまだ光の中にいた。
モニターは先程からホワイトアウトしたままで、ガ−ガーと鳴るノイズも五月蝿い。
あらゆる計器が異常数値を示す警報を引っ切り無しに、けたたましく告げている。
だがどのボタンを押しても状況が進展する事は無い。
肉体的、精神的にも限界が近づいていたガロードは最早息をするのも辛い状況に追い込まれていた。
次々に当てにしていた装置が死んでいくのを、ガロードはただ見ている事しか出来なかった。
コントローラーも反応は無く、空振りしているような感覚しか手に伝わって来ない。
朦朧と薄れ行く意識の中でガロードにある少女の声が聞こえてくる。
「ガロード・・・・・・」
「?ティファ?ティファなのか?」
ガロードにとってはこんな状況でも救いになってくれそうな、いやなって欲しいと信じている優しく、包む様な声。
「すまねぇ、ティファ。俺もう会えねぇかもしれねんだ。」
「いいえ、大丈夫です。ガロードは助かります。私にも、また、会えますから。」
「えっ?それってどういう・・・・・・。うわわっ!!!」
突如聞こえてきたティファの声と「自分は助かり、またティファと会える」という予知。
その答えを聞く前にガロードは更に強力な光を受け、気を失ってしまった。
プロローグに関しては投下終了です。
>『〜た。』の連発じゃ箇条書きだよ。SSとしては『名前「〜」』位やっちゃいかん事だと思う。
自分で後で読んで激しく反省。これじゃ小学生の作文ですね・・・・・。
>単なるXの概略じゃねーか
このスレに来る人はXの概略もSEEDの概略も知っていると思いますが、一応念の為に。
というよりは、どの時点からどういう状況でC.Eに来るのか正確に叙述しなくては!と思った次第。
>書きながら投下するんじゃなくてテキストファイルに書きためて投下したほうがいいと思うぞ?
仰るとおりで(汗)。
多くの人に不快感を与えた書き方しか出来ず(つまり書きがド下手)、本当に済みませんでした。
一話目投下しようか自室に篭って考えて来ます。
事と状況によってはストーリーの案件とプロット纏めて吊ってきます。
X運命にしたって最初は意味も無く叩かれてた
08スレの三人目は自己主張ばかりで努力もしないで不貞腐れた
どちらになるかはその人次第
俺は頑張って欲しいと思う
とりあえず一人だけでも応援はしている
GJ!がんばれ!
このGJが
>>500の励みとならんことを・・・
とにかくガンガレ、応援してる。
個人的にはDX無しのガロードが何に乗るのか、
そして流れ着く先が71年なのか73年なのかも気になる。
俺は種×エスコンスレで書いてる者だけどさ、メモ帳で書いた物を一晩寝かして改めて読んでみてチェックするといいよ。
良作でGJと呼ばれるのも本当にスレで嫌われ者になるのも書き手の努力次第だ。
そして、一番重要なのが・・・書き続ける事。
書いていれば自然と上達するし、他の方が各作品を読むのも勉強になる。
ここに応援している二人目が居る事を忘れないで書き続けてくれ。
追伸
最初からコテハンを使うと叩かれやすいから気をつけてね。
あと「・」(なかぐろ)じゃなくて「…」(三点リーダ)使おうな
それと「…」のあとに「。」は要らないだろ
それと「!」「?」「…」を使う時は直前の文との間に半角スペース入れると見やすくなる
便乗して言わせてもらってしまう。
記号(!とか?とか)の全角・半角は統一してくれ。
個人的には英数字は半角、記号は全角で書いてくれたほうが読みやすいかな。
後は他の人も言ってるけど、いったん全部書いて読み返してから投下、ってくらいかな。
>>493と
>>497以下続けて投下してれば
>>495みたいなこと言われないで済んだだろうし。
どうも、皆さん色々とご忠告有り難う御座います。
先ず、英数字と記号は全面半角で行こうかと。
あと一話と二話は出来はしたんですが2〜30回くらい自分で読み返した後に投下します。
なるべく皆さんのご期待に副えるような物を作り上げて行きたいと思っております。
でも一番の製作姿勢は……「何も考えずに走れ」?でしょうかと、戯言を言ってみたり。
ではまた後程。
何も考えずに走っちゃ駄目だw
第一話出来ましたので投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第一話「また会いたい」
光が、音が、全ての物が収まり、辺りを静寂が包む。
気を失ってしまったガロードが意識を再び取り戻したのはその数分後の事だった。
「痛つつ……」
体の節々が長い間油を差していない機械の様にギシギシする感覚が襲ってくる。
次に視界が漸く晴れてくる。目の前のモニターには何も映ってはいなかった。唯真っ黒なビロードに、輝く水銀を一面に塗した様な宇宙空間が広がっているだけである。
徐々に全身の感覚も取り戻してきたガロードはゆっくりとコントローラーを動かす。
しかし、ダブルエックスはぎこちなく右腕が動く程度で、ビームサーベルのある所に手が届くのがやっとだった。しかも届いたところできちんとビームサーベルが作動するかどうかも疑わしい。
「ここは、一体何処なんだ ?まさか天国……な訳ないよな ?」
ガロードは僅かに動くスラスターを使って機体をぐるりと360度回してみる。
途中モニター一杯に映る月や地球、遠目に何か巨大な構造物は見えたが、フリーデンのメンバーがてこずっていた大量の連邦軍と革命軍のMSは影も形も消えていた。そしてそのメンバー達も。
通信機からも仲間の声は聞こえてこなかった。先程よりは音が小さくなったものの、未だにザーザーと雑音しか聞こえない。聞こえるとしてもフロスト兄弟の声は御免こうむりたかったが。そこまで考えた時、ガロードの頭にある事が去来する。
「そうだ !ティファ !聞こえてるのか ?俺の事が分かるのか ?ティファ !」
自分以外誰もいないダブルエックスのコクピットで、ガロードはそこにいない守るべき者の名を叫ぶ。しかし何も聞こえて来る事は無かった。
そもそもティファの心が発する声を聞く事が出来るのはティファと同じ様な能力を持った人間しかいないと、ガロードは今までの経験から思っていた。
途端にどっと脱力感がガロードを襲う。
「聞き違いじゃねぇ筈なのに……」
あれは結局の所幻だったのだろうか ?
自分はティファの声を聞き違えるなんて事は無い筈だから。
その時、状況把握の為機体旋回に使っていたスラスターさえも完全に死んでしまった。
自分の位置が不明、仲間の機影も見えない所か、通信すらも出来ない。
機体は自分が意識している辺り、さっきのフロスト兄弟とのサテライトキャノンの打ち合いで大破しているのは態々コクピットを出なくても分かった。
スラスターも沈黙し、武装は未だに動かしておらず、また動くかどうか分からないビームサーベル一本だけ。しかも機体がこんな状態ではまともな戦闘など出来はしない。殆ど丸腰に近かった。
「ダブルエックス……俺はお前の事を信じてる。けど俺はまだ生きてるって分かったからには、まだ死ねねぇんだよな。別にお前の事を見捨てる訳じゃねぇけどよ……」
そこまで呟いてガロードはコクピットハッチを開ける。
ノーマルスーツを着ていたので宇宙空間に出ても問題は無い。
が、外に出たガロードはやっぱりと言う表情で寂しげな目を自身の愛機に送る。
ツインサテライトキャノンの砲門は途中から千切れた様になっていたし、マイクロウェーブ受信パネルも半分以上が失われていた。
両手は辛うじて残っているものの、右足が膝の辺りから無い。何より機体全体の傷と焦げ跡が悲愴感を煽っていた。
「これじゃあなあ……如何すればいいんだか。」
ヘルメットの中ではあと小さい溜め息を吐いた。
連邦軍と革命軍の戦いがどうなったかも分からないのに、途方に暮れるしかないなど。
その時だった。
「ガロード、聞こえる ?ガロード。」
今度ははっきりと聞こえてきた。間違いない。この声はティファのものだ。
「ティファ !何処にいるんだ ?!」
ガロードの心に染み渡る様なティファの声は更に続いた。
「ガロードの目の前、目の前にあるコロニーにいます。」
「目の前にあるコロニー……あれか !」
ガロードがヘルメット越しに目を凝らすとそこにはクラウド9とよく似たコロニーが確かにある。
但し、その当のクラウド9とは若干構造と色合いが違っていた。
そこに行けばティファに会える。いや、ティファだけじゃない。
他のフリーデンメンバーにも会えるかもしれない。ガロードは俄然やる気が出てきた。
「よおしっ !今行くからな。待っててくれよ、ティファ !」
「有り難う、ガロード。私も……また会いたい。」
しっかとコロニーを見据えた後、コクピットに戻ろうとするガロードは非常に痛い現実が襲われた。
こんなボロボロのダブルエックスでどうあのコロニーまで行けるのか。バーニアもスラスターも使えないというのに。
ガロードはMSのメンテナンスをキッドからある程度教わっていたが、こうまで大破し、また修理用の材料も無いのでは本当にどうしようもなかった。
ジャンク屋が周辺を通れば話はまた別だろうが、そんな都合の良い事などこんな広大な宇宙空間で起こりうる訳が無い。
と、その時、ダブルエックスの通信機にノイズ混じりに声が聞こえてきた。
「そこのMSパイロット、当方の機体は軍事教練用エリアに侵入している。名前と所属隊を名乗れ !」
コクピットに入ろうとしていたガロードは辺りを2〜3回振り向くが何も見えない。
通信機から通信が入るという事は、ある程度の近さまで自分に通信を入れた機体が近づいているという事だがなかなか相手の姿は見えてこない。
その答えは程無くガロードの頭上から現れた。
再び通信機から声が聞こえて来る。
「聞こえないのか ?!当方の名前と所属隊を名乗れ !返答の無い場合当機を拿捕する !」
ガロードが上を見ると、一機のMSが迫りつつあった。
形状はジェニスにある程度似ているが、機体の色はジェニスより明るい緑をしている。
背面には何やら大きいオレンジ色のバックパックのような物を積んでいた。
一見してみれば作業用のMSにも見えるが、それはガロードの目の前で確かに宇宙空間を航行している。
それを見てガロードはふっと笑った。
神様を信じたくなったのはこれで二度目だなと自分でも思えてくる。
「へへっ、ビンゴってか ?」
そう呟いている間にも相手の機体はこちらに迫ってくる。
やがてその距離は5メートルと離れていない所まで近づいていた。
取り敢えず推敲の終わった一話目だけを落としました。
二話目は推敲中(現在進行形)なので、おいおい投下します。
次の話でガロード達の来た時が何年の何月何日か明らかにします。
ガロードが初めてC.E世界で会ったMSは、ガロードが操る分は大丈夫かな?
機体の選択間違えてないかな?と思ってたりしてます。
ではまた後程。
結構よさげな感じでGJだが、いくつか指摘。
当方ってのは自分のほうを指す言葉だから、相手がガロードの所属を聞くときに使うのはおかしい。
当機ってのも、この機体って意味だから同様。
それと「!」や「?」の前に半角スペース入れてるのは
>>505を受けてのことなんだろうけど、
普通は感嘆符の後に改行無しで続けて文章を入れるときに、感嘆符の後ろ、次の文章との間に
スペースを入れるものなんじゃないかな、と思う。
>「よおしっ! 今行くからな。待っててくれよ、ティファ!」
こんな感じ。
516 :
通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 12:42:05 ID:oynSSLRn
素人意見だが
>体の節々が長い間油を差していない機械の様にギシギシする感覚が襲ってくる。
の様な時には
「きしむ」とか使って擬音を徹底的に排するか、「ギシギシ」を中心にして冗長な表現を簡潔にするとかしては?
>気を失ってしまったガロードが意識を再び取り戻したのはその数分後の事だった。
みたいな
頭痛が痛いみたいな表現が多くないか
ニヤニヤGJ
でもビームソードじゃね?
ハイパービームソードじゃね?
第二話投下します。
色々と指摘のあったプロローグと第一話をリテイクして投下しなおそうかと……。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二話「何とかしてみせる ! 」
その男は嘆息していた。
6年程前にアカデミーのMS操縦教官に就いた時はまだ良かった。
あの時はまだ今ほどの苛烈な忙しさは無かったからだ。
生徒達と教練課程で出来るだけ一対一で向き合う事が出来、厳しく接しながらも割合暖かみのある日々を送れたからだ。
ところが一年前の2月14日に起こった血のバレンタイン事件が彼のそれまでの全てを激変させたと言っても良いだろう。
あの血のバレンタイン以降、彼は生徒達を機械的に教え、詰め込めるだけの知識を詰め込ませ、心太式にアカデミーを卒業させ、ザフトの正式兵にする事だけを上から言われ続けた。
しかも今期卒業した生徒の中には核ミサイルで破壊されたユニウスセブン出身の者もいた為、メンタルケアの面も含めて色々と厄介だった。
とはいえそんな情緒不安定な者も多少いるにも拘らず、職務だけをこなして彼等を戦場に続々と送り込むのは自分が幾らアカデミーの教官といえどもしっくり来ない事だった。
今日彼はまた新しくアカデミーにやって来た新入生の初宇宙空間MS操縦授業の為、普段あまり使わない練習用のジンを引っ張り出し教務に当たっている。
明日は久々の休みがあるが、虫の予感なのかどうもいい気がしない。
そんな中、彼の機体は自分の生徒達を教えている宙域より僅かに離れた所でのMSの接近を告げていた。
軍事教練エリアなのにと呆れた彼は、モニターの示す相手MSの情報を見て訝った。
「UNKNOWNだと ? 」
突如現れたといっても等しいそのMSに向けて彼は軍事教練エリアだからと警告を二回発した。
しかし、そのMSは全く動く事は無い。
まあモニターで見たところかなり損傷しているから動かすのは大方無理と分かったが。
しかし近づけば近づくほどそのMSの奇妙さに気が散っていった。
そのMSの形状はザフトで開発している如何なるMSとも符合しないからだった。
顔はジンのようなモノアイでなくデュアルアイであるし、コクピットの形状も上から下へスライド式で乗り込む辺りザフト製の物ではない。
極めつけは背面にある何がしかのパネルと両肩から突き出ている砲門の様な物だった。
太陽電池パネルと高射程砲の何かにしか見えなかったが、長年MSに関わってきた彼には勘で分かる。
こいつは何かとてつもなく物騒な代物だと。
その時だった。突然相手側からノイズ混じりの通信が入る。
『悪ィ ! ちょっとそこでドンパチやらかしちまって、ここまでやっと来れたんだけど動力系がイカレちまったんだ ! 悪ィけど修理出来そうな所まで引っ張ってもらえねえかな ?』
それを聞いた男は改めて周辺宙域を見渡す。
が、さっきまで何らかの戦闘があったとはとても思えなかった。
大体もしそうなら自分が真っ先に気付く筈であり、新入生の訓練もお開きにしているだろう。
やっと来れたという発言も十二分に疑わしかった。目の前のMSはほぼ唐突に自分のレーダー有効範囲内に現れたからだ。
が、相手はそんな事お構い無しに更に続ける。
『それで頼みっちゃあなんだけど、鍵つきのワイヤーかなんかで引っ掛けてくれない ?』
男は考えてみた。こちらには生徒が何らかの事故を引き起こした時の曳航用のフック付ワイヤーがある事にはあるが。
未だに名前も所属隊も言わない相手に業を煮やした男はこう続けた。
「分かった。そちらが名前と所属隊を言えばそうしよう。但し、言わんなら言わぬで連合軍と判断し然るべき処置をする。」
それは一種の駆け引きだった。
こちらの練習用のジンが持っているのは模擬戦用のペイント弾式機銃とやはり模擬戦用の重斬刀。まともな戦闘なぞほとほと出来る物ではない。
あちらが味方ならそれはそれで良いが、連合軍なら大きい地雷を踏んだ事になる。
ある程度予測はしていたが返事は無い。
そう都合よく騙せると思ったか ! 連合軍のナチュラルめ !
内心でザフト兵共通の虚勢を張った彼は模擬戦用の重斬刀を構える。
模擬戦用と言っても、ある程度相手機の装甲にダメージは与えられる。
ましてや相手が目に見えて明らかに大破状態の機体なら何とかなるか ?
その時通信機にはっきりと相手側からの通信が入った。
「俺の名前はガロード・ラン。所属隊なんていねぇけど……言うんならフリーデンだ。」
それを聞いた男はジンのメインコンピューターのメモリにアクセスする。
教師という職柄、そして軍に関わっている身として全ザフト兵の名簿と艦艇の登録簿位はメモリに突っ込んでいたからである。
そこにガロード・ラン、フリーデンの二つの名を打ち込む。
返って来た答えは「NO DATA FILE」
それを視認するや否や、男は操縦レバーを動かし、重斬刀を動かしていた。
ガロードは相手に自分の名前とフリーデンの事を言った後、コクピットにある物を取りに戻った。
それは自分がMSを奪う事を生業とし始めてきた時からずっと使ってきた、小さなもう1つの相棒。
「GXに乗っていた時の癖でシートの下にしまってたけど、まさかこんな所で役に立つなんてな。」
ガロードはすぐさまコクピットから身を出す。
そこにはMSが持つにはやや小振りな実剣を振り上げた相手MSの姿があった。
「くそっ ! 」
ガロードは実剣を振り下ろされる直前、相手の機体の胸元に向けワイヤーを放ち、巻き上げるスイッチを押す。同時にメインカメラに向け閃光弾も撃った。
相手の機体に一瞬の隙が生まれ、動きも完全に止まる。
そしてガロードが相手機の胸元に着くのと、重斬刀が振り下ろされるのはほぼ同時だった。
上手く隙間に潜り込む事の出来たガロードは、銃に通常より破壊力のある実弾を装填し、メインカメラを始めとして、両肩の付け根と両足の付け根に見え隠れしていた回路を次々に打ち抜こうとする。
しかし、その諸動作が宇宙空間、しかもMSにしがみ付きながらというのが異常なまでの困難さをガロードに押し付けた。
唯でさえ重斬刀がダブルエックスに当たった時の反動が激しかったのに、さっきよりも相手機の動きが激しくなっている。
こっちが生身で機体に取り付いた事を感づかれたのか ?
ガロードは必死の思いで目標を狙い撃つ。
無駄弾なんか撃てない。この弾は確かにこういう事態を想定してガロードが以前用意していた物だが、数が多いとは言えない。
何度か宇宙空間に放り出されそうな程振り回されながれも、漸く全ての目標を撃ち抜いたガロードは相手方の反応を見た。
何も反応が無い。しかしコクピットに当たると思われる場所は撃ってないので、それはそれで妙である。
完全に動きが止まってから丸々一分は経っただろうか。
いきなり胸の所にあるコクピットのハッチが弾かれるように開き、中から一人の男が飛び出してきた。
その男にガロードは2〜3メートル程離れた所から銃を向け、いつもの口上を決める。
「おっとぉっ ! へへっ、これでホールドアップってやつだな ! 」
男は渋い顔をするが、観念した様にゆっくりと両手を上げた。
ガロードはプロトジンの腕を軽く蹴り、コクピットの方に向かう。
そしていざコクピットのシートに座ろうとした時に今度は男の方から声がかかった。
「貴様、生身でMSを強奪しようとするなど、正気の人間がやる事ではないな。本当に連合軍か ? 」
「へ ? 連合軍 ? 連邦軍の間違いだろ ? 」
「何を言っている ? 今時我々ザフトと連合が一年近く交戦している事なぞ赤ん坊でも知っている事だぞ。」
「ザフト ? 連合 ? 一年近く交戦 ? 訳わかんねーよ。何だよそれ ? 」
ほんの先程まで命のやり取りをしていた人間同士とは思えない間の抜けた会話だった。
そしてガロードは核心に触れる質問をする。
「ってか、一体今はいつなんだ ? ここ何処なんだよ ? 」
「本当に知らないのか…… ? 今はな、C.E71年1月25日だ。時間は……目の前のヘリオポリスコロニーの時間で言えば、朝の6時過ぎという所だ。」
敵にここまで教えてやる義理なんか何処にも無いが、銃を向けられているので素直に男は言うしかなかった。
だが、ガロードは頭を殴られた様な衝撃を覚える。男の言った時系列も場所も全く知らない物だったからだ。
「C.E ? A.Wじゃねえのかよ ? 嘘だろ ? それに目の前のコロニーはクラウド9の筈だろ ? おまけに今は昼過ぎじゃあ…… ? 」
ガロードはいまいち目の前の男が言った事が信じられない。だが、それは紛れも無い事実だった。
取り敢えず落ち着こうとしたガロードは男に向けて言う。
「おい、この機体のマニュアルとか、これには積んでねぇのか ? 」
「私はMSの教官だ。教官がそんな物を機体に搭乗する際にいちいち載せていては生徒に示しがつかん ! 」
男は不貞腐れて答える。
「結局は自力かよ。でもGXに初めて乗った時だって同じだった。何とかしてみせる ! 」
ガロードがあちこちのボタンを慎重に押し続けていると、いきなりコクピットハッチが閉まる。
もう一度そのボタンを押してハッチを空けた後、MSの教官だと言う男に、向かい叫ぶ。
「なあ、鉤つきのワイヤーが本当にあったら、あんたの後ろにあるMSにそれ繋げてくれよ。」
ガロードがやって来た世界。そこは彼の住んでいる世界とは似て非なる世界。
この世界でガロードはA.Wの様に多くの人と出会い、そして巨大な渦に巻き込まれる事となったのである。
今のところは一応ここまでにしておきます。
今回悩んだのは、どうガロードがプロトジンを奪取するかと、
C.EとA.WのMSの操縦形態は全く違うので教官なる男に操縦させたまま、ヘリオポリスに向かわせるか、
ガロード一人にするかどうかで結構悩みました。
この二つの問題に関しては他のX-Seed系のSSでも結構取り上げられているので結構緊張しました。
GJも批判も大きく門戸を開けて寛大に待っています。
では、また後程。
―書いている最中はようつべで気に入ったF91の主題歌をエンドレスにしてました。―
てかヘリオポリスってL3にあるんだが
プラントはL5だし
ヤキンやボアズのような施設でもだすのか?
それとも・・・
まあ頑張ってくれ
>>525 アッーー!!
ヘリオポリスが視認可能なら地球を挟んで反対側にある月は視認不可だったかっ!!
まとめる時には月は消したほうが良いな……φ<・ω・;>。
ご指摘をどうも有り難う御座います。
第三話投下します。ご意見幅広く待ちます。
機動戦士ガンダムXSEED 第三話「驚く事ばかりね」
襲って来るのは尽きない焦燥感。
さっきから背面のバーニアを一杯にふかしているのにそれは少しも収まりを見せる事は無い。
無理も無い。もうすぐ自分が守ると堅く自身が誓った相手に会えるのだから。
そして、この世で最も愛しい存在。
加速に伴う体全体にかかるG も彼の前では障害ではなかった。
そして、彼に齎された様々な新たな真実も。
あの後プロトジンでダブルエックスを曳航する手筈を、教官なる男に脅しをかけて整えさせたガロードはそれが終わった後、この世界についての情報を男から出来るだけ聞き出した。
この世界では普通に生まれてきた者、ナチュラルと、遺伝子調整を受けて生まれてきたコーディネーターの二つの人類がいる事。
ナチュラル側の軍、地球連合軍がコーディネーター達が暮らすスペースコロニーの1つ、ユニウスセブンを核攻撃した事が切欠で戦争が起きた事。
そしてその戦争自体が硬直状態に陥って10ヶ月経っている事が主だった。
全部呑み込むまでには流石に時間がかかりそうだったが、今はそんな事に構っていられない。
目の前にある、ヘリオポリスだとかいったコロニーに行けば、全て解決する。
因みに、教官と言った男はあの時丁度、生徒達を別の場所に居させていたので彼一人しか居なかったとのこと。
それから止むを得ないとは言え、そのまま彼を宇宙空間にほったらかしにしていては後味が悪い。
ガロードは彼の寮機のコードを彼自身から聞きだし、その寮機に通信電文を送っておいた。
これで、あそこに彼の仲間が現れ、彼を救出してくれるだろう。
そうこうしている内に、目の前にヘリオポリスが近づいてきた。
ガロードは自分以外誰も居ないコクピットで、一人ごちる。
「こいつの操縦何とかしねぇかぎりにゃ、あのコロニーに入っても上手い事ティファを見つけだせるかどうかわからねぇが……
おまけにさっきあいつが言ってた事も本当に本当の事かわかんねーし……
あー、くそっ ! ああだこうだ考えてても埒が開かねえ ! とにかく急がなきゃ、ティファに万一の事があってからじゃ間に合わねぇ ! 」
やがてヘリオポリスコロニーがはっきりと視界に捉えられる様になったその時だった。
「接近中のザフト軍MSに通告する ! そちらの行動は我が国との条約に大きく違反するものである。直ちに停止するように ! 」
通信機から軽いノイズ混じりに通信が入る。
発信元は目の前にある当のヘリオポリスコロニーだった。
またもザフトという聞いた事も無い名前を持ち出され、ガロードは少しイラっとして通信に返答する。
「俺はザフトなんて組織の人間じゃねえよ。そこのコロニーに探している人間がいるから、ちょっと立ち寄らせて貰いてえだけだ。」
「しかし、そちらが乗っているのは明らかにザフト軍のMSだ。安易に入港を許可する訳には……。」
ガロードが入港を渋る管制官に怒鳴りかけようとした時、幸運にも相手の方から思わぬ助け舟の様な意見が出る。
「待て、見た所あれは6年前の機体だな。
今でも確かにザフトじゃパイロット養成用の練習機として使用されてはいるが、民間に払い下げられた機体も多数存在し、作業用重機として使われている物もあるそうだ。
そちらは、本当にザフトでも連合でもないのかね ? 」
駄目の一点張りしか言わない人間しかいないかと思ったら中々話のわかる人間もいたものである。
へえという感じでガロードは続ける。
「そうだ。さっきも言ったけどこっちはザフトでもなけりゃ連合なんてのにも関わりは無い。
敢えて言うなら……」
ちょっと考えてガロードが出した自分にぴったりそうで、入港にも差し支えなさそうな仕事。
「ジャンク屋、かな ? 」
自分達と同じMSがある世界だから、この仕事を言っても差し支えはないと信じたい。
最も、そういった仕事があると判断だったから、相手の出方による所は大きかった訳だが。しばしの沈黙が続いた。アウトか ? とガロードは思う。
しかし、返事は十分安心出来る物だった。
「宜しい。入港を許可する。但し、幾つか記入を要する書類を済ましてからだが、それでも良いか ? 」
「良いぜ。それじゃそっちに向かう。」
ガロードは停止していたバックパックのバーニアを吹かす。
一方こちらはヘリオポリスの入港管制室。
管制係の若い士官はこちらに接近しているザフト製MSの入港を許可した、彼より一回り年上の上官の顔を覗き込み、堪らず一つの質問をぶつける。
「あの、何故入港を許可したのですか ? ザフトのカモフラージュだったら洒落になりませんよ ? 」
「さっき私が言ったのを聞いてなかったのか。ザフト製のMSと言ってもあれはパイロット養成用の練習機だと。
ナチュラルの民間人が作業用の重機として使用している所も一度見た事はあるが、使っている人間の話では民間に出回っている物で転売が許可されているのはせいぜいペイント弾式機銃と模擬戦用の重斬刀を装備できる代物だそうだ。
逆立ちしようがドンパチなんてできゃせんよ。特殊部隊が後続に控えているというなら話は別だがな。」
「は、はぁ……。」
上官はそれだけ告げると管制室を後にした。
それ以上言っても無駄だと分かった下士官は接近しつつあるプロトジンの入港シークエンスを開始する。
彼は信じていた。
そうだ。ここは中立のコロニーだから戦闘も起きやしない。
あのMSの入港を確認し、一通りの書類事務を済ませたら、またいつもの様に割りと暇な一日が続く事だろう、と。
その一時間もしないうちにその日常はあっさりと崩壊してしまう事を彼は微塵も疑う事はしなかった。
入港したガロードは先ず全作業員の視線がフックに引っ掛けていたダブルエックスに集中しているのに気付く。
確かにこのC.E世界では物珍しい機体なんだろうと思って好奇の目も仕方ないとは思っていたが、あまり気に喰わなかった。
かけられる質問も「このMSはどうしたんだ ? 」とか「ジャンク屋が今時こんな宙域で何やってたんだ ? 」という物が大半を占めていた。
あまりにも多くの作業員が尋ねてくるので、ガロードはそういった質問に一括して、
「仲間と一緒にジャンクパーツ探しをしていて、良いパーツは見つけたものの仲間と逸れてしまい、暫くしているとヘリオポリスコロニーにいるとの通信が入ったので、ここに来た。」
とだけ答えておいた。
こんな所で自分の素性や、A.Wがどうのとか、クラウド9がどうのとか言い出したら余計な尋問とかを受けざるをえない状況になるのは目に見えて明らかだったからだ。
こんな所で捕まって余計な時間を喰っている暇なんて無い。
ガロードが待合室の様な部屋に通され待つ事数十分。
待たされるばかりで何の進展もない事にガロードは落ち着かない感覚を覚えていたが、焦った所でどうにもならない事はいい加減分かっていた。
と、ある下士官が部屋に入ってきて、一揃いの書類をガロードに渡す。
そこには入港許可のサインがあった。
喜び勇んでガロードがプロトジンのあるMS格納スペースに行こうとした時だった。
「ちょっと待て。」
「んあ ? 」
ドア近くで急停止したガロードは、呼び止めた下士官の方を素早く見返る。
下士官は慎重な面持ちでガロードの目の前につかつかと歩み寄り、一言告げる。
「君が曳航していたあのMSの残骸らしい物なんだが、いろいろと不明な点が多い。明らかにザフトの物でも連合の物でもない。
多少調査がしたいので、こちらで引き取らせてもらえないか ? 」
「何ィ ?! 」
好事魔多しとはまさにこの事であった。
最初からダブルエックスの事について何がしかあると思っていたガロードはやっぱりと言う表情で相手の顔を見てしまう。
「あれは……俺も仲間に見せてやろうと思ってたんだよ。何か珍しそうだったし。
それにせっかく命張って見つけたお宝を宇宙空間に置いたままここまで来れねえよ。」
「珍しそう……ねぇ。」
下士官は手に持った電子パネルをタッチペンで軽快に操作していく。
そして、ダブルエックスが映し出されている項目の所でその操作は止まり、同時にパネルとガロードを交互に数回見る。
ガロードはその目を見て直感した。状況は自分にとって明らかに不味いと。
これ以上ダブルエックスのことでゴチャゴチャと尋ねられていたら、出来る事も出来なくなってしまう。
下士官は電子パネルの電源を切り、ガロードの方をじっと見据え言い放つ。
「はっきり言おう。君が珍しいジャンクパーツだと言っているあの機体。あの機体に使われている科学技術は連合の物でも、ましてやザフトの物でもない。
MSの基本的構造から使用されている金属、操縦系統に至るまで、我々が把握している如何なる物とも違っている。
確かに君の言ったとおり、もう第一線の活躍なぞ望めそうにも無いが、あの状態でもあの機体がその内奥に持っている物は世界にとって大きな脅威と成り得るだろう。
そういう理由であの機体をこちらに引き取らせて欲しいと言っているのだ。」
「ぐっ…… ! 」
ガロードは思わず歯噛みしてしまう。
ダブルエックスがこちらの世界の技術系統とは異質の存在である事は、あのプロトジンというMSを操縦しようと試した時点でもう分かっていた事だし、
積荷の検査はこういった施設に入る時には避けては通れない事だとは分かってはいたが、それでも事態はガロードが考えたくない方向へ進んでしまっている。
どうする ? やはり実力行使しか他に道はないのか ?
しかし、これだけの施設だ。強行突破してコロニー内部に入り、このコロニーの何処にいるか分からないティファを、短時間で首尾良く見つけ出す事は不可能に近かった。
おまけに万が一上手くティファを助け出す事がで来たとしても、宇宙空間に出る為にはもう一度ここを通らなくてはいけない事になる。
さっきから言われているザフトだか連合だかの軍が、大勢で自分達を検挙しようとやって来たらそれこそ万事休すである。
だとしても、このコロニーの壁を打ち抜いて外に出るなどという暴挙は自分自身が許さない。
追い詰められた以上そうするしかないかもしれないが、そんな事をすれば多少なりともこのコロニーに損害は出るだろうし、何より民間人が犠牲になってしまう。
自分達と全く違う世界でまで不可抗力にしろそんな事はしたくは無かった。
しかし、唯考えているだけでも事態は進展しない。
どうする…… ?
そんな時だった。
ピピピピピッ、ピピピピピッ !
下士官が腰にぶら下げている通信機に連絡が入る。
彼はガロードに向けていた視線を少し反らし、通信機の連絡に応対する。
「私だ。……何 ? ザフト艦が通告も無しにこちらに接近中 ?! 」
降って沸いたチャンスか。下士官はガロードとは反対側の方向を向いて通信機にかかりきりになっている。
その時に生まれた隙をガロードは見逃さなかった。
虚を突いてガロードは部屋の入り口まで猛然とダッシュし、外の通路に出る。
後はもう何も考えずに走るのみだった。
後ろから「待て ! 」とか「貴様やはりザフトの手の者かあっ ! 」とか聞こえてきたが、気にしていられない。
先程居た部屋から格納庫までの道程はきちんと頭に入れていたから、迷う事はない。
脱兎の如く階段を駆け上り、下り、キャットウォークを走り抜ける。
自分の応対をした下士官からの連絡を受けた者でもいたのか、自分に「止まれ ! 」と言って銃を向けてくる人間もいたが、
全体的に見ればそういった人間はかなり少数で、多くは先程通告無しに接近しつつあるザフト艦の対処に当たっていた。
視界が開き格納庫に辿り着くと、自分がここまで乗ってきたプロトジンと、クローラーに載せられたダブルエックスがあり、
その周りを大勢の者達、そして彼等が発する怒号が行ったり来たりを繰り返していた。
「電波干渉が出ているんだったら戦闘行為だろう !! 」
「敵のMSの数は ?! 分からんなどと言う答えは聞いてないぞ ! 」
「モルゲンレーテに連絡しろ ! 繋がらない ?! 非常用の奴かけろ、非常用 ! 」
今しかない !
ガロードは一目散にプロトジンの方に駆け寄りコクピットまで行く。
電源は入ってはいなかったものの、バッテリーの電力が抜かれている等の処置はされていなかったから、起動するには起動できる。
前面のモニターを点けると、機銃を持った者が5〜6人自分の前にいた。
外部マイクをONにしていなかったから、相手が何を言っているかは聞こえてこなかったが、恐らくは、下りて来いとか、そこから出なさいとか言っているのだろう。
しかし、一旦MSに乗ってしまえばこちらのものである。
「お前らに構ってやってる暇はねーんだ。悪ィけど俺は逃げるぜ ! 」
ガロード操るプロトジンがクローラーにワイヤーで固定されていたダブルエックスを引き剥がし、立とうとする。
が、さっきはバーニアを吹かして慣性でヘリオポリスまで来ればそれで良かったのに対し、今度は一から操作しなければならない。
操作手順が違う為にあっという間に地面に派手に転倒してしまう。
「どうにか……どうにかしねぇと ! 」
勝手の違うMSを操るのがこんなにきつい事とは、正直嫌になる。
動くと信じてダブルエックスに乗り換えてみても、こんな状況じゃなければ良いかもしれないが。
と、その時、くぐもった振動音と共にあちこちから炎が噴出し、格納庫のあちこちが崩壊し始める
遂に……
「うっ、うわぁぁぁぁっっっっ !!!!!! 」
爆風と豪火、の勢いでガロードは一気に施設の奥に吹き飛ばされる。それと同時にヘリオポリスには目立った損害は無いものの、
格納庫の一部、丁度ガロードがいた辺りが内部に向かって崩壊し始める。
多くの瓦礫、人が一斉にだまの様になってヘリオポリスに内部に吹き飛ばされた。
尺に収まらなかった分
彼女はあまりの出来事に外を見やっていた。
突然の異常事態でモルゲンレーテの試験場から彼女は外に飛び出していたのだ。
見ると港の辺りから黒煙が上がっている。
先程ザフトのパイロット養成の練習用ジンが見慣れぬ機体と共にヘリオポリスに入ってきたというのに、次はこれか !
G計画がやっと完遂できそうだというこの時に !
「予定を早める ! ハマナ、ブライアン ! 私と共に試験場へ ! 」
彼女はその場から猛然と試験場まで駆ける。
誰も聞いてはいなかったが彼女は小声で悪態を吐いた。
「全く……驚く事ばかりね ! 」
投下終了します。
今日はこれから気晴らしに∀ガンダム見ます。一話から。
GJ、指摘、(裏づけ、根拠ある)批判も受け付けます。
では、後程。
最後の「尺に収まらなかった分」って記入はいらんだろ……
普通に続けるか、次回の冒頭にくっつけるかしたらいいんじゃね。
それと漢字変換が使えるんでやりがちなんだろうが、「齎された(もたらされた)」とか「切欠(きっかけ)」とか
普通漢字で書かないだろう言葉は平仮名で書いたほうがいい。
でないとこんなことになるわけで。
http://www.tt.rim.or.jp/~rudyard/gohen031.html 最後にもうひとつ。
感嘆符の前後両方に半角スペースつけるくらいなら、素直に全角で感嘆符打つほうが良いんじゃないかと……
硬直状態に陥って > 膠着(膠着)状態に陥って
だな。
GJ!
この調子で頑張ってくれ
とりあえず、鳥付けたほうが良くないか?
騙りが出ても面倒だし
あと横に長くなるようなら改行したほうが読みやすいと思う
>>533 ガンガレ
尺に収まらなかった分
とかはメ欄に入れるとか
クローラークローラー言わずに一度クローラーに固定されてることは記載したんだから
固定されていたダブルエックスを引き剥がし、だけで意味は通じる
読者に何から何まで親切に提供するのではなく、
想像や推測の余地をくれた方が引き込めると思うが
まあ私見ですが
今夜あたり第四話投下しようかと考えております。
ガロードのMSは結局どうなるの?種キャラとはどう関わっていくの?
一応の答えはそこに集めようかと思います。
ガンガレ。
それにしても人がいないな……
>>それにしても人がいないな……
私が投稿し始めたからでしょうか
離脱があったから、それに反応している住人の動きも減ったからそう見えるだけかと。
>>541 そんな事ないよ。
コーヒー、風景画以降、作品の投下が少ないですから。自分も久々にこのスレ来たし…
Exceed4000氏が作品投下して盛り上げてください。
ただ、ここは荒れやすいから気をつけてね。
あ、作品GJです。
ヘリオポリスって事は種時代ですよね。
他作は種運命時代が多いのでこの後の展開に期待してます。
おちんちん乙であります!
第四話やっと推敲の末、出来ました。かなり疲れました。
機動新世紀ガンダムXSEED 第四話「少し頭冷やせよ」
ガロードが次に目を開けた時には、彼はもうコロニーの中にいた。
無事何事も無くという訳ではなかったが、これで第一関門は突破である。
とは言え、ティファを見つけるという本題がまだ終わっていない。
MSを使い外部マイクを使えば効率は良いだろうが、このMSで探しに出るのは流石に先程の事があるから不味い。
何よりこちらの世界のMSを扱いきれていない。
ガロードはハッチ開放ボタンを押し、外に出る。
目の前には確かにスペースコロニーの景色、つまり頭上に大地と街が広がっていた。
そして後ろを振り返ると、自分が吹き飛ばされたと思しき宇宙港が黒煙を上げている。
幸いにして、大規模な空気漏れは起こっていないらしく、特段大きな気流の流れは認められない。
少なくとも脱出に可及的な早さは求められてはいない。
が、出来るだけ早くティファを見つけ出し、ここから脱出しなければ状況はより悪い方に転び始めるだろう。
身軽にMSを降りたガロードはあちこちを見渡す。
探すという動作を始めようにもコロニーの端から端までざっと30kmはあるだろうか。しかも、探す部分は自分のいる居住区だけではない。
それにあの宇宙港にいる人間達が敵だといった人間達がここに攻め込みつつあるのだ。
早くどうにかしなくては !
その時だった。突然ガロードの頭の中にティファの声が響いてくる。
「ガロード……聞こえる ? ガロード……」
「ティファ ! 聞こえるのか ?! 今、助けに行くからその場を動かないでいてくれよっ ! 所で、ティファは今一体何処にいるんだ ? こう広くて建物も多いんじゃ……」
すると、ティファはその質問に落ち着き払った声で返答する。
「ガロードの目の前の建物に居ます。大丈夫……私が、導くわ。」
「……よし、分かった ! 」
ガロードは返事を言い切る前に走り始めていた。
が、ティファが示した目の前の建物はMSの攻撃を受け、もうもうと煙を上げていた。
ティファの言っている事が信じられない訳ではないが、そこに突っ込む事は色々と物騒極まりない。
それに……非常に嫌な予感がしている。
あのフロスト兄弟との正面対決の直後から訳の分からない事態が連続して起こっているのだ。
これ以上自分がどうにも出来ない事態に首を突っ込みたくはなかったが、相手がティファなら…… !
「やるしか、ねぇのか ?!」
一瞬迷った後、再びガロードは走り出す。
ここで止まる訳にはいかない。大事な、どんな物より大事な存在を失う訳にはいかない !
建物は「寄るな」とばかりに次々と火柱を吹き上げるも、その勢いはガロードの想いの勢いには勝らなかった。
再びティファの声が聞こえてくるようになる。
「先ずは、真っ直ぐ進んでください。」
キラ・ヤマトは戦争とは無関係の存在の筈だった。
自身でもそう自覚していた。明日になっても、工業カレッジのキャンパスで授業を受けながら、休みには友達と笑いあっている。
そんな日がずっと続く物だと信じきっていた。
だが、今眼前で続いている光景に彼はそんな日常はあっさりと崩壊したと思わざるを得なかった。
今彼は見知らぬ金髪の少女の手を引きつつ、脱出ルートを探っている。
日頃から出入りをしているカトウと言う名の教授の所で出会った少女を。
先程の轟音がした直後、彼女は教授のラボから弾かれるように外に飛び出し、余計に危険なモルゲンレーテの工場区に入り込んでいた。
確かめたい事がある ! と言って。
一体何を確かめるのか分からないが、放っておけば命を落としかねない。
暫く走っていると、キャットウォークのある開けた場所に出る。
見た所格納庫の様な所だが、構っている暇は無い。
二人がシェルターの方向に行こうとした時、目の前を弾丸が横切る。
下では銃撃戦が始まっている様だった。気をつけて進まなければ流れ弾に当たってしまう。
と、向こうから一人の少女がつかつかと歩いてくる。
キラは変に思った。この緊急時に退避シェルターの方向から誰か来るなど。
少女は自分達に向かって急ぐ事も無く、銃撃に怯える訳でも無く、何か強い意思を持っている様にこちらにやって来た。
「あそこのシェルターはもう一杯です。この先の左にもう一つシェルターがありますが、それももう無理です。ここに居ましょう。」
こんな過激な銃撃戦をやっている所が退避シェルターよりも安全だとでも言うのだろうか ?
思わずキラは訊いてしまう。
「ここの方が安全て……どうしてそう思えるの ? 」
その質問に彼女は臆する事も無くはっきりと自分の意見を言った。
「私を導く人が来ます。そして貴方がたも。」
導く人 ? その発言にキラは訝る。しかし、少女の瞳は揺るぎ無い何かに支えられている様にしっかりしていた。
その言葉の真意を考えていたキラの耳に突き刺さる様な叫び声が聞こえる。
「お父様の……裏切り者ッ !! 」
キラと共に来ていた少女がキャットウォークの手擦りにしがみついて叫んだのだ。
かなり大きい声だったのか、格納庫内で反響する。
と、階下の格納庫から光る物を見てとったキラは、尚も手擦りの近くに居る少女を引き離そうと身を出す。
が、そのキラよりも早くシェルターから来た少女が、金髪の少女を自分達が来た方向に突き飛ばした。
その二人のいた所を銃弾がヒュッと音を立てて通り過ぎる。
いてもたってもいられず、キラはシェルターから来た少女に向かって叫ぶ。
「やっぱりここから離れよう ! こんな所にいたんじゃ……」
その時である。自分達が現れた方向からまた一人誰かがやってきたのである。
「ティファーっ ! 何処にいるんだーっ ! いたら返事してくれーっ ! 」
片手に小振りな制式銃を持ち、辺りを見回している少年は誰かを探しているようだった。
「ガロード !! 」
その声に引き付けられる様にシェルターの少女は向かって行った。
それまで不安げだった少年の顔はその少女の顔を見ると急に明るくなった。
「ティファ ! ホントにティファなのか ?! 良かったァーッ ! 」
ガロードと呼ばれた少年は一目散にティファと呼んだ少女に向かって行き、ひしと抱き締める。
それはさながら、かなり長い間会えなかった恋人同士が劇的な再会を喜んでいる様な光景だった。
これが夜中のドラマのワンシーンならぴったりだろう。
だが、二人の置かれた状況はそんな物とは激しく不釣合いな物だった。
「私も、ガロードに会えてとても嬉しい。ガロードが来るのをあの人達と一緒にずっと待っていました。
……ここは危険だから、あの人達と一緒に避難しましょう。」
「分かった。えーと、お前ら ! 」
お前らの指すのが自分達だとキラは気付く。
いつまでもお前ら扱いは嫌なのでキラは一応自分の名前を名乗っておく。
「キラです。キラ・ヤマトといいます。」
「わ、私の名はカガリ・ユ……」
キラに触発された少女が自分も名前を名乗ろうとした時、階下から特段大きい声が聞こえてきた。
「ハマナ、ブライアン、早く ! X-105、303を起動させるんだ ! 」
その場に居た四人は揃って階下にある格納庫の方を覗き込む。
そこでは作業服姿の女性が数人の仲間と共にノーマルスーツに身を包んだザフトの兵隊と銃撃戦を行っていた。
女性とその仲間は横たわっているMSを守ろうと必死になってはいたが、傍から見ていた四人が見ても作業服の女性の方が不利になっている事は分かった。
特にキラはその理由がよく分かる。
あらゆる面に於いてナチュラルに勝っているコーディネーターで編成されたザフト軍とまともに戦って勝てるわけが無い。と、
「後ろですっ ! 」
咄嗟に叫んだティファの声が下まで響く。
作業服姿の女性改め軍人らしき女性はその場で振り向き彼女に接近していたザフト兵の一人を打ち倒す。
女性はティファとその周りにいる者達を見て「子供 ?! 」と驚きの表情をみせる。
ふと、ティファがガロードに向かって話しかけた。
「ガロード……」
「どうした ? ティファ」
「ここから直接下まで降りられますか ? 」
その言葉にガロードはギョッとする。
ここから下と言っても高さにして5〜6mはある。どうやって行けばいいものか。
その時、ガロードの頭に解決法が一つ思いつく。
自分が先に降り、後で降りるティファを自身がキャッチするやり方である。
「俺が先に降りる。ティファは俺が必ず受け止めるから、後で降りてくれないか ? 」
「分かりました。」
ガロードはキャットウォークの手擦りを乗り越え飛び降りる体勢になる。
ここまで来たら引き返せない。
「行くぜっ ! うぉぉっっ !! 」
瞬く間にガロードの体は宙を舞う。
そして両足で立とうとして、ものの見事に失敗した。
立つ事には立てたが、足にかかった負担が強烈極まりなく、そのまま後ろにごろりと転げてしまったのである。
「痛えええっっ !!! 」
思わず叫んでしまうガロードだったが、次の瞬間には震える足を立たせティファの為に両腕を出していた。
「へへっ、さあティファ、降りてきてもいいぜ ! 」
「はいっ !! 」
ティファは両目を瞑り、キャットウォークから身を躍らせる。
ガロードは位置を微妙に調整し、見事にティファをお姫さま抱えの状態でキャッチした。
目を開けたティファは頬を染め、優しく言う。
「ガロードなら出来ると、信じていました。」
「そ、そっか ? サンキュ、ティファ。」
つられてガロードの頬も軽く赤くなる。
そんな雰囲気をとてつもない勢いで崩しにかかる先ほどの女性の声。
「そこの二人 ! 何をしてるの ! 早く逃げなさい ! 」
「言われなくても…… ? 」
ガロードは目の前にあるMSに向かいつつも、それに目が奪われる。
それは二門の砲門と特徴的なパネルが無いのを除けばダブルエックスと形状が良く似ていた。
MSはMSでもこれもやはりガンダムなのだろうか。
そこに先ほどの少年も駆けつける。
しかし、彼と一緒にいた筈の少女の姿が見えない。
「おい、さっきの女の子はどうしたんだ ?! 」
「シェルターの方に行かせた ! 女の子なら何とかしてもらえないかと思って ! 大丈夫、ちゃんとシェルターに入ったって見たから ! 」
キラはそうガロードに説明をした。
銃撃戦は苛烈さを増しつつあったが、この場にそぐわない四人の子供達を見て、女性の隣にいた男が一瞬気をとられる。
「何故、こんな所に子供が ?! ぐああっ !! 」
「ハマナっ ! 」
ハマナと呼ばれた男は敵の銃弾によってその場に倒れ、二度と女性の声に反応する事は無かった。
その一連の出来事を見ていたガロードは撃ってきた方向に向け、同じ様に銃を向けていた女性より速く二発撃つ。
「ぐあっ !! 」
撃たれたザフト兵はガロード達の2〜3m程手前で倒れる。
しかし、ガロードが撃った弾はザフト兵の右の肩と右足の付け根に当たったらしく、まだ息はあった。
「ラスティ ! くそぉっ !! 」
こちらに近づいてくるもう一人のザフト兵が銃を向けるが弾詰まりでも起こしたのか、直ぐに銃を捨てナイフを持ってこちらに向かってくる。
ガロードは最初に打ち倒したザフト兵の元により、銃を奪おうとしていた。
その時だった。
不意に敵の方の動きが止まったのである。
「キラ…… ? 」
敵兵の口から出たのは、自分達にさっき名のった少年の名その物だった。
そして、その少年の方も呆けた様にある名前を言う。
「アスラン…… ? 」
その流れの意味する所がいまいち分からず、ガロードが訊く。
「おい、どういう事だよ ? 何で敵さんが、キラ、お前の名前を知って……うわわっ !!! 」
言いかけてガロードはティファを抱いたまま、先程狙撃したザフト兵と共にMSを乗せているトレーラーの上に足を滑らせた為滑り落ちてしまう。
直後に銃声が起き、程なくしてMSが動き出した。
「危ねぇっっ !! 」
ガロードは右手にティファ、左手にぐったりとしたザフト兵を抱え、その場から飛び降りる。
間も無く、後ろのMSも目に灯が灯り、ゆっくりと動き出す。
厄介な事にならない前にガロードは抱いていたティファをその場に下ろし、その場から二人で逃げようとした。
しかし、3〜4歩進んで後ろを振り返る。
考えてみれば、自分はこの世界のMSの動かし方を全くといって良いほど知らない。
ここまで来れたのも、色々と幸運が積み重なってきた物に違いない物だ。
おまけに、暫定的に敵とは言え完全に討ちきれず、戦場にごろりと放ったらかしにしているのも良い感じはしない。
ガロードとティファはザフト兵に近寄る。先に口を開いたのは、ティファの方だった。
「大丈夫ですか ? 私が後で手当てしますから……」
ティファは相手の気持ちを思い、手を差し伸べてなるべく優しくアプローチする。
だがザフト兵は動く左手でティファの手を思いっきり払いのけ、ヘルメット越しに鬼気迫る勢いで睨みつける。
「うるせえんだよっ、このナチュラルが !! 俺に触ろうとするんじゃねぇよっ ! 」
その言動にガロードの頭に一気に血が昇った。
しかし、後の事もあるので爆発寸前の怒りをやっとの事で押さえつけ、先程その彼から奪った銃をヘルメットのバイザー越しに当てて言った。
「おい、お前MSの操縦は出来るのか ? 」
すると、ザフト兵は顔を一瞬強張らせたが、直ぐに薄ら笑いをしてそれに答える。
「ハァ ? 出来るに決まってんだろうが。お前等鈍重なナチュラルとは俺達は出来が違うからな。
って言うか、MSの操縦はなコーディネーターにしか出来ねえんだよ。
このご時勢で、んな事も知らねぇのか ? バァーカ ! 」
やっぱこんな奴助けたのが間違いだったか ?
ガロードがトリガーの指に込める力が強くなる。
だが、仮にもティファがいる手前、そんなシーンは見せたくない。
いつまでもさっきのキラと名乗った少年の様にお前呼ばわりするのも疲れるので、取り敢えず相手の名前を訊く。
「お前……名前は ? 」
「黙れ。ナチュラルに名乗る名前が俺等にあるかよ。少し頭冷やせよ。」
「まじめに答えろよ。本気で撃つぞ ? 」
「チィッ !! ……ラスティ……ラスティ・マッケンジー。これで良いかよ ! 」
すると、ガロードはニヤッと悪戯っ子っぽく笑って、
「上出来だぜ !! 」
ラスティの怪我をした方の肩を持つ。
ティファは今さっきの事も無かったかのように相変わらず心配そうな顔をしたままガロードとは反対の肩を持つ。
銃は相変わらず突きつけられたままだったが。
「ケッ、胸糞悪いぜ。ザフトレッドの俺がこんな掠り傷でナチュラルに助けてもらうなんてよ。」
しかし、銃弾を受けた右肩の傷によってパイロットスーツの右腕の部分をじっとりと血で濡らされ、
同時に右足の付け根から踝の辺りまで太く一筋の濃く赤い線が入っていた事は受けた傷は掠り傷等ではない事を示すのに十分だった。
「命あるだけマシだと考えられねえのかよ ? 」
「そんなの、いつでも死ぬ覚悟のある軍人に言うセリフかどうか考えて言えよな。」
ラスティは自嘲気味に軽々しく言う。
が、それはティファによってあっさりと否定される。
「お願いです。例え貴方が軍人でも、そんな悲しい考え方をしないで下さい。貴方が敵でも今私達の目の前で貴方が死んだら私は……とても悲しい。
貴方を形作っている命はこの世界にたった一つしかない……代わりは無い……かけがえの無い物です。
ラスティさん、私は貴方を助けたい。……他人(ひと)を助けたいと思う感情を持ってはいけないのでしょうか ? 」
それを聞いてラスティは目を少し大きくさせるが、直ぐに不貞腐れた様な顔になる。
「お前はそうかもしれねぇけどよ……こいつは自分が操縦できないMSを俺にさせようとしてんだぜ。おまけに……ナチュラルが偉そうに哲学語ってんじゃねえよ。」
それを聞いてティファは悲しげな顔をする。
だが、ラスティは先程とは違う笑みを浮かべ続けた。
「けど、軍人になってから初めて言われたぜ。……軍人じゃないナチュラルに目の前で死なれたら悲しいなんてな。お前、変なナチュラルだな……。」
それを聞いたティファはクスリと笑う。
「貴方は……本当は優しい人……貴方のお母さんと同じ……」
「オイオイ、俺がお袋みたいにナチュラルに優しいって……」
そこまで言ってラスティは違和感を覚える。
血のバレンタイン以降のコーディネーターにしては少数派の自分の母のある事を。
「ちょっと待て。お前、俺のお袋に会った事は……」
「ありません。」
「じゃあ、何で俺のお袋がナチュラルに対して穏健派だって事を知ってる ?! 」
ティファは答えようとしたが、その前にガロードが大声を出した。
「見ろ ! 出口だ ! ……っと、それよりお前、操縦できるMSは ?! 」
「全般……とだけ答えておくよ。ジンでもシグーでも何でもな。」
ラスティはザフトレッドという事もあって、MSは取り敢えず全機種の操縦は出来る。
だが、ラスティの意識はティファの方に向きっ放しだった。
何故このナチュラルは母の事を…… ?
父と違ってどんな表舞台に出る事等無い母が信条としている事を…… ?
手を伸ばせばそのまま引きずり込まれてしまいそうな深く何処までも青い大きな瞳は何も彼には語って来なかった。
「よし、行くぜ ! 」
一呼吸入れた後、ガロードは勢い良く外に出た。
取り敢えず、今日はここまでにしておきます。明日7時からバイトあるんで(笑)。
ちょっとキラとかとは別行動にしてみました。
どんなMS乗るのか明かせずじまいですんません<m-_-m>。
本編ではハマナが撃ち殺してたラスティをガロードが撃った事にしてちょっと冒険してみました。
一般にラスティとその実の父評議会議員の一人ジェレミー・マクスウェル氏との関係性については、
wikiを参照していただければありがたいと思っています。
穏健派である母の方に居ますが、口調や考え方は生粋のザフト精神(ミゲルやイザーク並み)って事で。
では、また後程。
乙〜。
>>550のあと時間空いたから連投規制引っかかったかな? ってオモタ。
コメントとタイトルと本文を空白行なしで続けるのはどうかと思った
GJ
文章が
〜した。
が多いな
ティファの無線と発声の区別がついたほうが見やすいかと
ガロってコロニーに入ったことあったっけ?無いような木が駿河
DXでなら入ったことはある
今夜辺り二話位投下します。
ちょっと頑張ろうかなと思っています。
投下します。批評、GJ、(根拠ある)批判に関してはいつも通りで。
機動新世紀ガンダムXSEED 第五話「宇宙(そら)に帰るのさ」
外に出ると大方ガロードやラスティが予想していた通り、町は破壊され、黒煙があちこちから上がっている。
どこかに無傷の、或いは多少損傷があっても稼動可能なMSはない物かとガロードはあちこちを見回すが、近場にあるのはどれもMSの形をしたスクラップばっかりだ。
何処にも使えるMSが無い事にじれったくなったガロードは、少々乱暴にラスティに訊ねる。
「なあラスティさんよお。このコロニーにはさっきみたいに使えるMSがあるから襲いに来たんだろ ? 他にああいった奴置いてあるトコ、聴いてないの ? 」
それを聞いたラスティは苦々しげにガロードに向かって吐きすてる。
「お前な、ヘリオポリスは中立の立場を取っていたコロニーって事も知らねえのか ? MSの常時配備なんかされてる訳ねえだろ !! 」
「じゃあ、何でさっき見たようなMSがあるんだよ ? 」
そうガロードが言うとラスティは一瞬戸惑った表情をする
これは自分達の隊に極秘に与えられた指令だが、ずっと自分の後ろの首筋に当てられている銃の事を考えると無視は出来なかった。
「俺達はな、ここの建造主のオーブが連合軍の為に新型MSを密かに建造しているっていう情報を掴んだ。そのMSを奪取する為に送られたんだよ。
事前に知らされていた5機の内1機を俺が奪取する筈だった。残りは恐らく仲間が奪ってっただろうな。」
それを聞いたガロードはあさっての方角を向いてうーんと唸ったが、直ぐに元に戻る。
「……あっちには俺がここまで来るのに使ったプロトジンって言うやつがある。
この世界のMSは全然操縦出来ねえから、バーニアとかしかロクに使えねえけど……お前それ操縦出来るか ? 」
それを聞いたラスティはやれやれといった様に嘆息する。
「あんな物が戦闘に使えるか ! あっても訓練用の代物ばかりなのに正気か ?! 」
「訓練用の代物しかねえのなら、そこらのスクラップから奪えばいいじゃねえか。マシンガンでもビームソードでも何でも ! 」
「うば……本気で言ってんのか ? 奪うってそんな禿鷹の真似みたいな事……」
相当過激な発言だったのか、ラスティはしばし呆然とする。
しかし当のガロードはけろっとした顔で続ける。
「おうよ。訓練用の代物だからって馬鹿正直にそいつに付いてきてる物使っても、生き残れねえじゃねえか。
それにそれしか使っちゃいけないってルールはねえだろ ? 」
ラスティは言い返す事が出来ずに黙ってしまう。
それはそれで正論かもしれないが、それではかなり場当たり的な戦闘を求められる事になってしまう。
少なくともザフトの戦闘方法ではない。
「ラスティさん ! 」
ティファが心配そうにラスティの顔を覗きこむ。
先程の銃撃戦での傷が相当体に応えている様だった。
体は数分おきに小刻みな痙攣を繰り返し、顔は真っ青に青ざめている。
「うるせえってんだろ、この……ナチュラルが。俺が本気になったら、お前なんか速攻でくびって……」
そこまで言ってラスティはその場にへたりこむ。もうティファに乱暴な接し方も出来なくなっていた。
相手がナチュラルなのに去勢すらも張れないなんて……。
しかし、こんな所で民間人とはいえナチュラルと共に野垂れ死ぬ等自分が考えていた軍人としての人生の幕引き方ではない。
ラスティは意を決し、ガロードに訊ねる。
「そのプロトジンが置いてある所までどれ位ある ? 」
「ここから1kmも離れてない所にある。だけど、MSの操縦云々の前にあんたの体のほうが心配だ。どこか手当てできる所か、それが無理ならメディカルパックの一つか二つでも見つけないと……」
「俺の体の事はいい ! コーディネーターの体がナチュラルに心配されるほど、柔に出来てるかよ……。それとも何か ? この状況でMSの操縦が出来る人間がそうそういないから俺に死なれちゃ困るってか ?
一人でMSの操縦もロクに出来ないナチュラルが……」
ガンッ !!!
ラスティのヘルメットを掠め、ガロードが一発地面に向かって銃を撃った。
瞬間ラスティの表情が硬直する。
ティファがびくっと反応し、ガロードを心配そうに見る。
「いい加減にしろよ。俺はあんたをMS操縦するだけの機械の様に見ちゃいねえよ。あんたを助けてえから、さっきの事を言ったんだよ。
それをさっきからナチュラル、ナチュラルって……ティファが真剣に接してんのに、どうしてそんなひねた物の言い方しか出来ないんだよ !! 」
ガロードは、地面に向けていた銃口をラスティの首に再びあてがいながら、怒鳴りつけた。
格納庫にいた時から相当頭にきていたのか、声もかなり殺伐としたものになっている。
ラスティは氷の様に冷めた視線でガロードを見つめながら言う。
「よせよ。いちいち反応するなんてよ。ホントに俺を助けたいなんて思ってるんなら、こんな所で言い争いなんてやってる場合なんかじゃないんじゃないのか ? 」
ガロードはそれを聞いて、黙ってラスティの肩に再び腕を通す。
それを見ていたティファもおずおずと反対の肩を持つ。
その二人の真剣な表情を見たラスティは思う。
ほんの少しではあるが、ナチュラルへの態度を母親と同じ位に考え直した方がいいんじゃないかと。
気が付くと、自分の体の何処にも銃口は突きつけられていない。
さっきまでマジで撃つつもりな雰囲気だったのに。おまけに自分が逃げるという事を考えていないのか ?
「おい、……もう銃は向けないのか ? 」
ラスティが気弱に笑って問いかける。ガロードがそれに答える様に軽く笑う。
「助けるって言ったのに、ずーっとそんな脅しだけかけてたら、信用されねえだろ ? 」
「ははっ、ちげえねえ……」
元よりラスティにはもう二人を倒して銃を奪いその場から一目散に逃げるという体力は残っていない。
おまけに逃げたところで仲間ときちんと合流できるか怪しいものでもあった。
その時だった。ふとラスティの視界にある物が入ってくる。
「ちょっと待て ! 」
「何だ ? 何かあったのか ? 」
ラスティが見た物。それはキーがささったままになっている放置されたエレカだった。
恐らく突然の騒動で直ぐにでも戻るつもりだったのだろうか。
あれなら直ぐにそのプロトジンとやらが置いてある所まで行く事が出来る。
「あのエレカを使えば、結構早くそこに着くかもな。」
『ミゲル・アイマンよりエマージェンシー ! 機体を失ったようです ! 』
ザフトのナスカ級戦艦ヴェサリウスに入ってきた通信はクルーを驚かせるに値する内容だった。
ナチュラルが相手になっていることもあってか、殆ど抵抗らしい抵抗も無く今の今までかなりすんなりと新型機の強奪は上手くいっていた。
しかし、先程入った通信によると、ミゲルが被弾する前にはオロールも被弾しているらしかった。
それが示す答えは一つ。
奪い損なった残り一つのMSはそこまで強力だという事である。
一人の男がジンの発展型MSシグーの中にいる。
顔の上半分を奇妙なマスクで覆い、波打つ金髪と引き締まった体つきは、マスクだけでも強烈な印象を与える男の像をさらに強烈にしていた。
彼の名はラウ・ル・クルーゼ。彼こそがヘリオポリスで開発されていた新型MS奪取を行っていた部隊の長だ。
クルーゼはその知らせを聞き、直ぐにヴェサリウスの艦橋に通信を入れる。
「私が出たら一旦MSを呼び戻しD装備をさせろ。」
ヴェサリウスの艦長フレデリック・アデスは、上官のその指示に驚かされる。
「D装備ですか ? 」
D装備というのは要塞攻略専用の最重装備だ。
中立国の作ったヘリオポリスを破壊するとでもいうのだろうか。
そんな事をすれば軍部は勿論の事、最高評議会だって黙ってはいないだろう。
しかし、ラウはそんな事等何処吹く風のように涼しげな口元を浮かべ、愛機を発進させる。
シグーは宇宙空間に飛び出した後、真っ先にある方向を向く。
そこにはヘリオポリスに帰投しようとしていた連合軍のMAメビウスが一機。
そのメビウスが180度こちらに向かって回頭し、こちらに急速接近したのを見てラウはひとりごちる。
「私がお前を感じる様に、お前も私を感じるのか ? 不幸な宿縁だな、ムウ・ラ・フラガ……」
二機の距離は段々と狭まる。
先にシグーの方から牽制の一撃が放つ。
メビウスは鮮やかにそれを回避し、すれ違いざまに再び急旋回しシグーの背後を取る。
更にシグーに向けて有線式のガンバレルを展開し、四方から狙うがラウはそれを難なく回避する。
「お前はいつでも邪魔だな、ムウ・ラ・フラガ ! 最も、お前にも私がご同様かな ?! 」
ラウはメビウスに乗っているのが始めから誰か不思議と感覚的に分かっていた。
シグーのスラスターをフル稼働させ、ガンバレルをライフルで狙う。
が、その光条は非常に際どい所を通って虚空へ消える。
ガンバレルもシグーをかなりピンポイントで狙っているものの、間一髪のところでラウの操縦でかわされてしまう。
お互いに一歩も引かずに交戦していたが、ラウはメビウス本体に撃つと見せかけてヘリオポリスの方向に転進する。
宇宙港を通り過ぎ、コロニーのセンターシャフトに入ったラウは、追って来るメビウスを見て不適に笑む。
「私と何処までやりあえるか……施設に気をとられずに出来るか ?! 」
コロニーの背骨とも言えるセンターシャフト内の施設を遮蔽物に使い、メビウスに向かってライフルを向ける。
相手のメビウスもガンバレルをこちらに向けて照準を合わせているようだったが、なかなか撃ってこない。
ムウがコロニーを傷つける事を恐れているからだと感じ取ったラウは、内心失笑してしまう。
地球軍の新型兵器を建造、もっと言えば密造に近かったが、そんな事を平然とやっている中立国のコロニーなぞ……いや、最早中立と呼ぶのも不似合いだ。
ムウはそんなコロニーを守ろうとしている。
ラウは更に感覚を研ぎ澄ませ、ガンバレルを次々に撃ち落す。
ガンバレルを失い、残ったのが本体中央に備え付けられているリニアガンだけになったのを確認したラウは、コロニーのセンターシャフトにライフルを向け躊躇い無く撃つ。
穿たれた穴にするりと機体を通した後、特に黒煙が激しく昇っている所に情報のあった新型の内一機のMSが的の如く突っ立っているのを見て攻撃を開始しようとしたラウは、別の方向を見て口元を不審感で歪ませる。
そこには新米兵の練習用ジンと、それに係留されている情報にない、ましてやザフト軍の物でもないMSが転がっていた。
練習用のジンはほぼ無傷だが、もう一つの謎のMSは大破状態だった。
普通ならなんて事は無いことだが、ラウの勘が告げる。
それと同時に部下達の出撃前にアデスに言った一文が思い起こされる。
―ここで見過ごさば、その対価、いずれ我等の命で支払わねばなくなる。―
自身でその言葉をもう一度噛み締める事となるとは……
だが、重要性からいえば今自分の前にある的にも等しき新型の機体だ。
と、後ろからメビウスが射撃を再開してくる。
しかし、ガンバレルを失ったメビウスは大きな脅威ではない。
仮にもザフトの中で白服を纏っている自分が……
数回の射撃で遂にシグーの射撃がメビウスの機体を貫く。
完全に撃墜する事は出来なかったが、今はこれでも十分だ。
ラウは機体を急速に地上に向けて降下させていった。
ガロードはエレカを猛スピードで操縦しながら、直情的な行動に陥ってしまいがちな自分の頭をフルに使って現状を整理していた。
自分は本当に自分達と似て非なる世界にやって来てしまったのだ。
今後自分達はどうすればいいのか。その答えは既にガロードの中で出ていた。
ティファと共に生き残る !
それだけがガロードの最大の行動指針だった。
そしてティファは後ろでたどたどしい手つきだったがラスティの手当てをしている。
エレカの中には確かに医療キットがあり、最低限の止血をするには良かったが、出血が結構な量に達していたラスティの治療をするには不十分だった。
そのラスティはヘルメットもパイロットスーツの上半分も脱いでかなりラフな格好になっていた。
顔色は先程から回復はしていなかったが、意識はしっかりしている様でティファの応急処置にいろいろと言っていた。
ただ多かった口数はめっきり減り、乱暴な口振りもなりを潜めていた。
そうこうしている間にエレカがプロトジンの前に辿り着く。
ガロードが念の為に後ろを見ると、幸運な事にダブルエックスは係留されたままだった。
あれだけの騒ぎ、そしてここが宇宙空間との出入り口に程近い事もあってか周囲にはひとっこ一人いなくなったのが幸いしたようだった。
ガロードがコクピットの中を色々と確認した後、再びエレカに戻ってきた。
ティファがエレカからラスティを担ごうとしているのを見たガロードはすかさず助ける。
「MS運転できそうか ? 」
「なんとかな。それで、俺にザフトに対して戦えと、そう言いたいのか ? 」
「あんたにそんな酷な事は言わねえよ。それに、俺だって極力戦闘は避けたい。ここから出る事を最優先で動いてくれりゃいいよ。」
そう言いながら、ガロードは先にティファをプロトジンのコクピットに乗せ、その後でラスティと共にコクピットに乗る。
ハッチが閉まると、コクピット内部はいやに締め付けられた空気になる。
無理も無い。通常一人乗りのMSに3人も詰めて入っているのだから。
ラスティはMSの電源を入れ、ゆっくりとジンを立たせる。
そこまでやってガロードにある事を聞いた。
「後ろに係留しているMSもか ? 」
「ああ、あれだけは絶対にどっかに放ったらかしなんて事にしないでくれねえかな ? 」
お荷物付きか……ラスティは軽く溜め息を吐く。
「分かった…… ! 」
ガロードはニィッと笑って、ティファの手を握る。
「ガロード……」
心配そうに見るティファを安心させる様にガロードは語りかける。
「ティファ、大丈夫だ。何にも心配する事はない。宇宙(そら)に帰るのさ。」
「はい。…… !! あうぅっ !! 」
それまで何事も無かったティファの体に異変が生じた。
ガロードは気が気ではない。
「どうしたんだ、ティファ ?! 」
ティファが外傷以外でこんなに苦しむのはたった一つ。何かを感じ取ったからだ。
それもこんな感じ方をする時は大抵ロクでもない、つまり自分達をどうこうしようとする連中が近づいている時だ。
苦しげな表情をするティファは荒い息をしながら、ガロードに語りかける。
「……とても……とても恐ろしい悪意が……来ます。」
そう言ってティファはモニターのある一点を指す。
そこには、先程キラという少年が乗ったと思われるMSがシグーに襲われかけていた。
一旦投稿終了します。
やっぱプロトジン乗るのかよ。アストレイとかあるだろといった皆様、ゴメンナサイm<-_->m
そうなると、ロウの立場もへったくれも無くなってしまうので。
二つ目の投稿は明日になってしまうかなとdkdkしながら書いています。
それでは、また後程。
GJ!
しかしこのままだとDXがザフトの手に渡ってしまいそうな予感が…
パトリックもそうだがクルーゼの手に渡ってもかなりヤバイ。
まあどこ行っても似たようなもんだし安全性を考えるならロウたちに拾ってもらうのが一番良さそうだが。
話は変わるがベルフェゴールにクルーゼを乗せてみたいな。
何でも(女性)不信の悪魔の名前だそうだし。(それを言うなら議長でもいいか?)
後付けだったり形式番号のこととかいろいろあるが、
対NT用MSだったりその後継機を変態兄弟の乗機としたりと、
これの設定を考えた人はかなり『分かってる』と思う。
>564
パパの説得はどうにか「無くは無い」けど、変態の説得は無理だな(´・ω・`)アイツハ、ムリ
GJ
細かいが
>>560 メビウスゼロないしゼロと表記の方が判りやすいかと
>>561 「MS運転できそうか ? 」
が気になった
表現法の問題なんだろうが原作とまったく同じ部分は簡略化するのも
スピード感を増す方法のひとつかと
文法とかは分からんし慣れてきたかも知れんが読みやすくなってきいてると思う
トリアエーズGJ
個人的には台詞と文章との間は1行空けた方がいいかも、なんか詰まってて読みにくい
GJ!
これからの展開に期待大。
自分は、台詞と文章との間に1行空いてる方が、何か読みにくい。
リズムが崩れるみたいな感じで。
>’ラウ’は更に感覚を研ぎ澄ませ、ガンバレルを次々に撃ち落す。
ガンバレルを失い、残ったのが本体中央に備え付けられているリニアガンだけになったのを確認した’ラウ’は、コロニーのセンターシャフトにライフルを向け躊躇い無く撃つ。
穿たれた穴にするりと機体を通した後、特に黒煙が激しく昇っている所に情報のあった新型の内一機のMSが的の如く突っ立っているのを見て攻撃を開始しようとした’ラウ’は、別の方向を見て口元を不審感で歪ませる。
そこには新米兵の練習用ジンと、それに係留されている情報にない、ましてやザフト軍の物でもないMSが転がっていた。
練習用のジンはほぼ無傷だが、もう一つの謎のMSは大破状態だった。
普通ならなんて事は無いことだが、’ラウ’の勘が告げる。
この辺の’ラウ’の描写だが、ラウラウ何回も言わんで一回に纏めては?
おちんちん
乙〜
>>558 >相手がナチュラルなのに去勢すらも張れないなんて……。
去勢→虚勢だな。
第六話投下します。批(ryという事で。
機動新世紀ガンダムXSEED 第六話「カードは切られた」
「あれは……クルーゼ隊長のシグーじゃないか ! 」
先に口を開いたのはラスティだった。
と、同時にラスティの頭は現状の好転的な打開の為に必死になる。
こいつらの言う通り、武装を撃墜された味方の機体から漁りながら、宇宙港から馬鹿正直に宇宙空間へ逃れるか。
それとも……どうにかしてクルーゼ隊長に現状を伝え、母艦に戻るか。
しかし、後者を選んだ場合自分の命という決定的カードを握っているのは、銃を持っている少年の方だ。
迂闊な行動を取れば、MSの操縦云々の前に次の瞬間には自分の後ろ首に銃口が突きつけられているだろう。
だが少女も含め、例え民間人でもナチュラルである二人がザフト艦に入る事になれば、手厚い歓迎が御待ちかねという事になっているだろう。
歯止めとしてのコルシカ条約があるが、同僚達が生真面目にそれを守る保障が100%有るとは限らない。
アカデミーで条約についての授業で自分と同じ艦に乗り込む同僚が言った言葉をラスティは忘れる事が出来ない。
―軍人だろうが民間人だろうが、ナチュラルの捕虜なんかいらねぇよ。殺るにしたって、目の前にいるのはゴキブリだって思えばいいのさ、ラスティ。
人間がゴキブリに情けをかけようとするか ? 反射的に殺虫剤を構えないように出来るか ? はっきり言えば、目の前にいる人間がナチュラルだって確認できたら、銃を構えて、狙って、引いて、撃つ。
簡単だぜ。どれだけそいつが命乞いしようとな。―
それを聞いて「違えねぇ、ハハハ」と大笑いしていた者達。
間違いない。上手く丸め込めたとしてもこの二人はヴェサリウスで一週間ももたないだろう。
ちょっと前のラスティなら死んでもあまり悪い気はしなかった。
が、今は違う。
自分にMSを操縦させ、銃まで向けていた少年の方はまだわだかまりはあるが、その少年にティファと呼ばれた少女に関しては、死んではマズいどころか、僅かだが死なせたくないという感情すら沸きつつあった。
ラスティは決意する。禿鷹扱いされようが自分は勿論の事、この二人も生かしてここから出てみせると。
手始めに何か使える武器は残されていないか周囲を捜索すると、ジンの通常装備の一つ、MMI-M8A3 76ミリ重突撃銃がモニターに映る。
どれだけ弾が残されているかは分からないが、丸腰よりかは幾分マシだ。
これで重斬刀があれば通常のジンの装備とそれほど変わらないだろう。
しかしあまり贅沢は言ってられない。
これでここから退避するのに必要最小限の武装であるのならば、ゴチャゴチャと持ち過ぎてバッテリーを余計に喰うのは御免被りたかったからだ。
弾数がそれなりに残っている事を確認したラスティは宇宙港に向けて転進した。
が、非常に間の悪いことに自分達の100~200m程後方の鉱山の岩盤が崩れ落ち、中から見た事の無い形状をした白亜の戦艦が現れる。
大きさにして軽く400mは越しているか。
プロトジンはその戦艦の底部に、軒下に隠れる猫の様に隠れる。
突然現れた戦艦がジンを攻撃し始めたのを見て、ラスティは頭を抱えたくなった。
敵の、つまりは連合軍の新造戦艦まであったとは…… !
その新造戦艦がコロニーのセンターシャフトを盾にして戦うジンの相手までし始めたから堪った物ではない。
たちまち地面が不気味な音を立てる。
崩壊へのカウントダウンは既に始まっているようだ。
戦艦に狙いを付けられたらそれだけで命取りになる。何故なら、身軽で機動性のある制式のジンに比べて、こちらにはお荷物が付いているからである。
我慢できなくなり、ラスティは少年の方を向く。
「おい、……あー、お前名前は ?! 」
「ガロード、ガロード・ランだ。」
「よしガロード、お荷物はどうしても切り離したら不味いのか ?! 」
「駄目なんだ。さっきも言ったけどあいつは絶対に放ったらかしになんか出来ないんだ。」
その返答を聞いたラスティはフウッと一息吐いて、バーニアのレバーを握る手に力を入れる。
「荒い操縦になるけどよ、しっかり捕まってろよ、二人ともっ !! 」
そう叫び、ラスティはバーニアのスイッチを入れ、次に搭載されているバッテリーを極力バーニアの方に回すようにOSの設定を一部書き換える。
瞬間、強力なGがコクピットの三人を襲う。
どんどんとガロードが吹き飛ばされてきた場所に向かうプロトジンだが、それを新造戦艦が見逃す訳が無い。
回頭式の砲台と船尾のミサイルが自分達に向かって火を噴く。
「へっ、プロトジンでもこのザフトレッドの俺が操縦してんだぞ ! 易々と落とされる訳ぁねえだろぉっ !! 」
そう言いながらもラスティは必死になって回避行動を続ける。
2~3回の集中砲火の後、プロトジンはやっとの事で宇宙港の縁に辿り着く。
アカデミーでもこんな状況のシミュレーションプログラムやった事ねえよと呟きつつラスティは機体各部のチェックを行う。
バーニアを最大限吹かす事にバッテリーを回していたので、メイン電力は30%程しか残っておらず、稼働時間はもってあと30〜45分といったところだろうか。
機体に関しては、特に目立った損傷は確認されなかったが、細かいレベルの傷がOSによって知らされる。
恐らくはガロードが最初にヘリオポリス内部に入った時に受けた傷だろう。
その時コロニー全体を揺さぶる大きな振動があった。
何事かと思いメインカメラをヘリオポリス内部に向ける。
見ると、ヘリオポリスの壁面にMS一機は楽々と通れそうな大穴が開いている。
何が起きたかと思い機体を動かすと、大型のビーム砲か何かを抱えた新型がそこにあった。
クルーゼ隊長が今回のミッションを早めようとした訳だ。あんなビーム砲はザフトでもまだMSに持たせてはいない。
ラスティは一人納得する。
「おい、お前等大丈夫か ? 」
後ろを振り向くと、ガロードは固まった様にそこにいた。
ティファという少女はガロードにしっかりと抱きついている。
見せ付けられた様な得体の知れない感覚がラスティの心に吹き上がった。
「お、俺は大丈夫だぜ。」
「私も……大丈夫です。怪我はありません。」
取り繕うように二人の口から安全だという報告が入る。
あまり気にしないでおこうと思い、機体を宇宙への連絡口の辺りまで移す。
そこまで行った時にガロードが一つの提案をした。
「なあ、少しでもバッテリーの充電した方が良くないか ? それともっと本格的な医療キットってやつと水と携帯用の食料とかも探してみても悪くねえと思うんだ。」
バッテリーの件は頷けるにしても、医療キットや食料は後からでもどうにかなるとラスティは思っていただけに小声で前を向きつつ「ここから早いトコ出るのはどうしたんだよ……」と言おうとした。
が、ティファがその意見に、まるで結果が見えているかのように様に答える。
「大丈夫です。……ほんの少しですが時間はあります。」
「へ、へえ……そう……」
ラスティが妙な間を取って感心する。
まただ。この女の子はどうしてこっちの考えてる事や、ちょっと先の分からない事とか、面識の無い人間の周囲の事とか分かるんだ ?
それは、ニュータイプという概念を持たないC.E世界の人間には理解しがたい事だった。
尤も、そのガロード達がいたA.Wの世界ではその概念も月にあるD.O.M.Eという存在によって否定され、ニュータイプという言葉すらも消滅したが。
ガロードの提案に応え、ラスティは管制室の方に機体を近づける。
安全を確認した後ハッチが開かれ、ガロードが外に飛び出す。
MSのあちこちの部分を伝って下に降りたのを確認したラスティはガロードに呼びかける。
「センターシャフトを盾にして戦ってる連中がいるから、このコロニーはそうそう長く持たない ! 何を持ってくるにしても手短にな ! 」
「分かった ! 」
ガロードはそう言って管制室の中に姿を消す。
しかし姿を消したその直後から背後で巨大な爆発音や地震の様な振動が再び起こり始める。
先程鉱山から出てきた連合の新造戦艦を確認したヴェサリウスの連中が追撃でもし始めたのだろうか ?
堪らずラスティは隣にいるティファに訊ねる。
「なあ、あんたに関してモルゲンレーテの工場区から出る時からずっと引っかかっている事があるんだが、訊いてもいいか ? 」
「何故……知らない事を知っているか……予測のつかない事が正確に分かるのか……ですね。」
今度ばかりはラスティも完全に開いた口が塞がらなかった。
ある程度質問の内容を考えたら予測は立てられるが、こうまですらすらと言われるとラスティの中である一つの結論が出る。
「もしかして……超能力者 ? 」
「そう、思っていただいても構いません。でも……」
そこでティファは一旦言葉を切り、しっかりとした目でラスティを見つめ、続けてこうきっぱりと言い切る。
「私は貴方が想像していらっしゃる様な特別な人間などではありません。私は一人の人間です。普通の人間です。どうかそれを分かってください。」
自分に向けられる丸く大きいラピスブルーの目を見たラスティは直感的に何かを感じ取る。
この少女ことティファが今まで何をどう見て、どんな経験をしてきたのか。
今しがたの言葉を考えれば、かなり辛い経験をしてきたようだが……
ラスティはもうそれ以上その事に触れないでおこうと思った。
聞き返すなんて事をやってしまえば、思い出したくも無い『何か』を思い起こさせてしまう。
自分はそこまで野暮な人間ではない。
暫く待っていると、ガロードが両手に様々な物を抱えて帰ってきた。
施設に人がいなくなっても残されている物というのは結構多い。
しかし、バッテリーに関してはどうにもならなかったらしい。
再びガロードがコクピットに乗り込んだ時、再び大きな振動が襲う。
だが、それは今までの物とは大きく違っていた。
段々と大きくなっていき、施設全体どころか遠目で見ればヘリオポリス全体が大きく軋み始める。
軋むで済んでいればまだマシだ。シャフトが次々に分解していき、自分達がほんの少し前まで立っていた地面は構造体に沿って崩れていく。
更に、回転による遠心力の為内部の空気や瓦礫が構造体の切れ目に沿って宇宙空間へ吸い出されて行く。
その光景をモニターで見たラスティが背中に氷水を浴びせられた様な感覚に襲われたのと、ティファが叫んだのは殆ど同時だった。
「逃げて !!! 」
「 ! 言われなくとも !! 」
エンジンがフルスロットル状態になり、プロトジンは宇宙港の外に向かう。
自分達の目の前に落ちてくる瓦礫をラスティはライフルで次々に打ち抜いていく。
もう残っているバッテリーの量なぞ気にも留めたくなかった。
手探りに近い状態で出口に向かって進んでいる感はしたが早くここから出なくては !!
だが、そんな時によりにもよって十字路に出てしまう。
奇襲の為にコロニーの裏口的な道は知らされていたが、正規の道なぞヘリオポリスに来たのが今回初めてのラスティに分かるはずもなかった。
その時だった。
「このまま真っ直ぐ進んでください。」
「何ィ ?! 」
ティファの指示にラスティは一瞬気をとられる。
しかし、直ぐにガロードが畳みかける様にはっきりと言う。
「ティファを信じてくれ !! このまま真っ直ぐだ !! 」
その声にはしっかりとした自信があった。ラスティはレバーを前に倒し前進する。
その後も三叉路、丁字路が幾つも続いたが、ティファの言葉に従うと不思議と大きな障害に当たらずに済んだ。
外に向かってMSを操縦しながら、ラスティはいよいよティファの力について関心を持ち始める。
これは唯の超能力なんて言葉で片付けられる出来事ではない。
やがて、目の前に長方形型のMS出入り口が見えてくる。
「掴まってろよぉっっ !! 」
ラスティが絶叫して、折れん限りにレバーを前に倒し、焼けつかん限りにバーニアを吹かす。
ガロードはティファをしっかりと抱き寄せ、ティファもそれに応える形で抱き返す。
プロトジンが出入り口を出るのと、ヘリオポリスが全体的な崩壊を迎えたのはほぼ同時だった。
シグーから降りたラウは損傷した機体にチェックを入れる技官を無視して、艦橋に向かう。
その間ずっと頭を離れなかったのは、情報のあった新型以外に目にした見慣れぬMS。
やはり追っておくべきだったか、あの新型が収容された連合軍の新造戦艦と同じ様に。
しかし、独特の勘が告げてくる。
かなり先になるが、また戦場でまみえる事になるだろう、と。
そしてヴェサリウスの廊下で誰にも聞こえる事無くひとりごちる。
「カードは切られた。後は誰が役を作るか、だな。」
第六話投下終了です。
今回実は考えていた手としては、
>>564さんの考えていた様に
ガロード達がシグーと交戦→ダブルエックスの装甲のほんの一部が剥離→ラウがそれを持ち帰る
というのを564さんが指摘する前、6話目執筆前に本気で考えていました。
しかし運転しているのはあくまでもラスティなので彼の隊長の乗っているシグーと交戦させる理由がgdgdになってしまうのと、
例えそうしても逃げる方向がその後の原作の展開では正反対になってしまうので、
今回の結果に落ち着きました。
しかし、正史では死んだ事になっているラスティが、ティファの力を信じる場を作った事で結果的には良かったかなと。<^−^;;>
それでは、また後程。
P.S ZGMF-XシリーズでX12ナンバーの機体って明らかになってませんよね ?
まずはGJ!!
>P.S ZGMF-XシリーズでX12ナンバーの機体って明らかになってませんよね ?
すでに明らかになっています。
テスタメントおよび、その予備パーツで作られたアウトフレームです。
とりあえずGJ
明らかになっていないものは東アジアガンダムとM2アストレイ、シグーアサルトぐらいか?
まあ本来のストフリなんてものが出てるから好きにしても隠者ね?
フリーデンが何時出てくるのかも楽しみにしてる
>>578-579 どうも有り難う御座います。
只今鋭意7話目製作中であります。
書いている最中でコメント書きをするのは初めてですが、少し色々と皆さんが考えている事について返答しようと思います。
>>518さん ハイパービームソードじゃね?
でした。家にはX放映時のニュータイプ、アニメージュ、機動戦士ガンダム大全集Uあるのに、何だこの落ち度orz
>>554さん ティファの無線と発声の区別がついたほうが見やすいかと
二重かぎにして表しておきますφ<・ω・>
>>564さん
しかしこのままだとDXがザフトの手に渡ってしまいそうな予感が…
パトリックもそうだがクルーゼの手に渡ってもかなりヤバイ。
まあどこ行っても似たようなもんだし安全性を考えるならロウたちに拾ってもらうのが一番良さそうだが。
何らかの部品という形でパパさんか変態仮面の手には渡る事にしています。
ジャンク屋には……今のところ関わりは皆無に近いです。
>>579さん フリーデンが何時出てくるのかも楽しみにしてる
済みません。ヘリオポリスの一件に6話も費やした事を考えるとかな〜り後になります。
ワードにして毎度5〜6ページ綴ってから投稿してますが、それでもです。
概略だけさらっと。
ガロード達ユニウスセブンへ→AA合流→フリーデンメンバーの一人と再会
→ラクスの一件→数人共にAAとは別に地球のあるポイントへ……
といった所でFAです。しかし、ここまで行くのにどれくらいかかる事やら……
またこっち(C.E)に飛ばされたメンバーに関しては、正規フリーデンクルーの他に
最終戦で共闘していたあの○○○さんとかも飛ばされてきていますが、
早々簡単には登場させません。意外なところで出したりします。
では、出来たら後3時間後位にまた落とします。
訂正。
C.E年表見たら
1月27日 AA、アルテミスに拿捕。
2月3日 ユニウスセブンにてラクス保護。
ガロード達ジャンク屋に会わさないと生存があぼんになってしまうので、やっぱり会わします...orz
GJ
職人は先の展望をペラペラ喋らん方がいいぞ
余計な火種になる
それで潰れたスレや職人は多い
あと、全レスは控えたほうがいいぞ
かつての0083スレもそうだった
昔の保守氏も似たようなことやってたがな
とりあえずX運命とGXのまとめサイトで過去ログ見ておいたほうが良い
しねばいいのに
GJ
ラスティの立ち位置がどうなるのかwktk
何気に死亡フラグが立っていそうな気が…
さて、一部がC.Eの人間の手に渡るらしいのでDXという機体を細分化して分析してみる。
サテキャ:
言うまでもなく人手に渡ったらヤバイ物No.1
C.Eの人間だと主人公やヒロインですら気軽にぶっ放しそうなので、
そんな事態になる前に最悪DXを始末してでも阻止しないと。
フラッシュシステム:
ヤバイ物No.2
どれだけ強力だろうと使える人間が居なければ…と、思われるかもしれないが、
ティファが居る以上その仮定に意味は無い。
それでもビットMSが無ければ無意味な代物だが、
驚くべき短期間でビームサーベルをコピーしたザフトの技術力を考えると楽観は出来ない。
ルナチタニウム(装甲材):
用途は幾らでも考え付き恐らくサテキャの砲身にも使われていると考えられる為、
サテキャ複製の可能性も含め危険度第三位。
素体、及び各種武器:
恐らく全て技術レベルが種死時かそれ以上の水準にある為、
解析に成功した陣営は敵に対し限りなく大きなアドバンテージを得る事になると思われる。
OS:
ザフトではそれほどでもないが、
連合に渡ればMSの機体そのものは既に完成しているため反攻作戦は早まり、
下手するとフルバーストを前にしても棒立ちしない可能性すらッ…!
核融合炉:
積まれていると明記されてはいないがここでは有るものとして話を進める。
NJCよりも強力なパワーをMSに与えられるだけでなく、
その技術の秘匿、独占なんてセコイ事を考えなければ連合の場合その国力は急速に回復し、
瞬く間にザフトおよびプラントを窮地に陥れることも考えられる。
バッテリー(サテキャ用):
もしMSに転用出来ればNJCの優位性はMS戦に於いて有って無い様なものになるだろう。
[番外]A.W及びNTの歴史とその結末:
もし、これをアズラエルが目にすることがあれば、
特別なものなど何一つ無い少年が未来を切り開いたと知ったなら…
その時、かの盟主王が誕生する……!(かも知れない)
棒立ち解消&盟主王フラグktkr?
僕らの盟主王〜♪
期待していいのか?
いいきになるなよこぞう
>>587 リバースエンジニアリングは難しいだろ、技術体系が異質すぎて。
装甲の材質解析だけでも十数年〜数十年、下手するともっとかかるかも。
OSが一番解析しやすそうだけどそれにしたって
システム、コンピュータ言語等がまるっきり違うだろうし。
核反応炉とかフラッシュシステムあたりは……ちょっとねぇ……
ミノフスキー物理学とかNTとかを理解しなければならないわけで……
「試しに作ってみよう!」って段階になった頃には歴史教科書に
キラ ヤマト氏 (CE55年5月18日〜CE○年△月□日)
とか書かれてると思われ
すでに故人かよw
やっとの事で執筆終わりました。あ〜疲れた。
機動新世紀ガンダムXSEED 第七話「それは君の自由だ」
プロトジンは崩壊したヘリオポリスから脱出出来はしたものの、その後襲ってきた衝撃の為姿勢制御が上手くいっていなかった。
だがラスティとて伊達にザフトレッドを着ていない訳ではない。
何とかしようとし、アカデミーで学んだ全てのスキルをぶつける。
と、同時に現状把握と突破口を探す。
バッテリーの内蔵量は先程のヘリオポリス脱出に使ったので殆ど残っていない。
だが、崩壊の際に生じたエネルギーを慣性性質の物に変換して、サイレントランの様にすれば例え低速状態でもL5のプラント群に近づくくらい出来はしないか ?
いや、そこに辿り着く前に地球の重力圏とデブリベルトの網をどう掻い潜るかがポイントになる。
地球にはザフトの基地もあるが、連合の基地も勿論ある。と言うか、そちらの方が主体だ。
上手くザフトの勢力圏或いは基地の近くに降下できれば問題無いが、正反対の状況なら折角助かった命が無駄になる。
しかもそれはシグー並みの機体で、きちんと事前準備を行った時の事であって、この機体で大気圏突入など自殺行為にも等しい。
デブリベルトには資材等も確かに有るが、ファクトリーどころかまともな工具もない中では機体のチューンも出来はしない。
第一ヘリオポリス崩壊の報は連合、ザフト両軍に行き渡っているだろう。
元々中立コロニーだったが故に両軍には関係の無い、あってもかなり薄い物だから、好んで今のL3に行こうとする者なぞ、せいぜいジャンク屋ぐらいが関の山か。
反対側の方向にあるL4に関しては、宇宙史の授業で「メンデル」という名の廃棄コロニーがある事と、連合のこぢんまりとしたコロニーがある事しか知っていない。
ヘリオポリス並みに見ず知らずの土地だ。
とすると、目標方向としてはやはりL5しかないのか……
しかし、問題は地球の重力圏とデブリベルト、そしてそこまでバッテリーや自分達の命が持つかどうかというところだ。
何より距離が引っかかる。自分が今いるL3からL5まで辿り着けるだろうか ?
やっとの事で姿勢制御が出来た時にガロードが口を開く。
「ラスティ、俺達何処に向かってるんだ ? 」
「L5のプラント群……俺達コーディネーターの故郷だな。しかし、今の状態でそこまで行けるかどうか……」
「ぷらんと ? ああ、コーディネーターがたくさん住んでるトコだろ ? 」
そこまで単純な物じゃないが、大方正解だよ……と、小声でラスティは呟く。
その直後ガロードから声がかかる。
「遺伝子弄ってない自然に生まれた俺達がそこに行って大丈夫なのか ? 」
「聞いた話でしかないが、プラントにいる人間全員が全員コーディネーターという訳でもないそうだ。
俺もなるべく善処する。とにかくそこに着かない事には始まらない。」
そう言ってラスティはレバーを握り直そうとして……出来なかった。
手や足に力が上手く入らずに、視界が二重三重になってくる。
L5を目標にしていたが、即座に結論は変更される。
資材が無かろうがなんだろうが、あそこに向かうしかないのか ?
コーディネーターにとっては悲劇の出発点となったユニウスセブンへ……
そんな時、ガロードは前方にある物体を確認する。
「おい、見ろよ、あれ ! あれって…… ? 」
ラスティは虚ろになった目をモニターに向ける。
そこには先程ヘリオポリスで見かけたのと同じ白亜の戦艦が自分達と同じ航行方法でどこかに向かっていた。
同じ頃、アルテミスに向けて敵の追撃を避ける為、サイレントランをしていたアークエンジェルも接近しつつある物体に気付く。
熱源の大きさからブリッジクルーはそれがMSかMAである事は分かったが、いかんせん情報が少なすぎる。
「通信は出来ないの ? 」
艦長の席に座る地球軍の将校、マリュー・ラミアスはCICに座る、ミリアリア・ハウに問いかける。
「電波状況が悪くて、こちらからはっきりと伝わるかどうかは……相手側からも何の通信もありません。」
艦長席に座るマリューは深く考える。
先程新型のMSを奪取した敵のザフト軍が襲っては来たが、まただろうか ?
かなり酷い混戦状態となって、最後はエール装備のこちらのストライクがザフトを撤退させるのに成功したが、そうそう直ぐに装備しなおして向かって来るものだろうか ?
もしそうだとしたら……あまり想像をしたくなかった。
戦力は確かにある。ムウ・ラ・フラガ大尉の操縦するメビウスゼロと自分達連合軍が確保できた新型MSストライク一機。
それを思い出す度に頭を抱えたくなってしまう。
八ヶ月もの労苦をかけ自分達の力に出来たのは開発されていた五機中その一機のみだった。
五機を搬出しようとしていたあの時にザフトの襲撃など無ければ、自分達は本来いる仲間達ともう少し意気揚々として宇宙空間に出られたのだが。
更にこの艦の正規クルーはその襲撃の際に艦長含め大半が死んでいるので、副長になる筈だった自分は殆ど有無を言わされずにここに座っているに過ぎない。
極めつけなのが、その当のストライクを操縦しているのが成り行きで自分と出会った唯の民間人の少年なのだ。
いや、唯のという言葉は相応しくない。
彼は連合軍の新兵が鈍重に動かすのがやっとのMSを、自分の前であっさりとOSを書き換えてまるで自分の物の様に扱ったコーディネーターなのだから。
彼がコーディネーターだと見破ったのはムウだったが、それにしても連合軍が開発したMSのOS最適化をコーディネーターがやるなぞ笑い話にもなり得ない。
ゼロの方はいつでも出撃する事は出来るが、ストライクの方はやはりパイロットへの負担が肉体的にも精神的にも大きいのか、キラと名乗った少年は部屋で泥のように眠っている。
それに、今情報の収集を頼んだミリアリアという少女も、やはりヘリオポリスで一人の学生として生活していたそうだが、機密を見られたという事で今はアークエンジェルのCICになっている。
敵は多くの人間の人生を狂わせた。ここにいるべきでない人間がいて、いるはずの人間がいない。
マリューの心の内奥に非常に鬱陶しい感情が吹き上がっていた。
「光学映像、出ます ! 」
ミリアリアが言うと、艦橋のモニターにその接近しつつある何かが映し出される。
そこには、機体のあちこちが傷ついたジンが何かを曳航しながら宇宙空間に漂っていた。
いや、軍関係者なら分かる。これは戦場に出ているジンとは若干外観が違うのだ。
時々絞り出した様にバーニアが吹かされる以外は死んだ様な雰囲気を出している。
しかしそのジンは間違いなくこちらに近づきつつある。
明らかに先程交戦したザフト軍の部隊とは違う雰囲気だったが、どうするか。
「艦長、どうしますか ? 」
自分の下側から自分の元の任を継いだナタル・バジルールが自分の判断を聞いてくる。
相手の機体がジンである以上味方ではない。
だが、所持しているライフルを撃ってくる気配も無い。
こちらが油断した瞬間に撃つのかと思われたが、それでも撃ってこない。
と、判断を決めあぐねていると、ジンの側から結構大きめの声で通信が入ってきた。
「こちらはザフト軍所属のパイロット、ラスティ・マッケンジー。連合軍の新造戦艦に告ぐ。ヘリオポリスから脱出した避難民二名を連れている。
ついては、そちらへの緊急着艦を申請したい。」
やや間が有ってから、マリューは通話機を手に神妙な面持ちで対応する。
「こちらは連合軍所属艦、アークエンジェル。そちらの報告に虚偽が有る場合、警告無しで迎撃しますが……」
するとジンのライフルが宇宙空間へ放り投げられ、続けようとする声は割れんばかりの大声で遮られた。
「こっちは特殊工作部隊でも、奇襲部隊でもないッ !! 俺自身も武装していない ! 民間人が乗っているのは紛れも無い事実だ !!
こちらの通信用モニターがイカレて、映像を送れないから信じていないんだろうが、丸腰の奴にバズーカ砲向けるのがそっちの正義か !! 」
あまりの気迫にブリッジクルーは数瞬の間おし黙ってしまう。
収容するべきか、看過するべきか。
こちらに連絡を入れてくるという事は、民間人がもし乗っているとしたら、その民間人はナチュラルという事を指している。
自軍の母艦に連れ帰ってもお荷物になるだけだからだ。
それを考慮に入れてもまだ解せない事がある。
自分達がザフト艦と交戦し終わってまだ15分から20分位しか立ってない。
普通ならば少し距離があるとは言えザフト艦の方に向かう筈である。わざわざこちらに通信を繋いでくる理由は何だろうか ?
訝りながらもマリューは通話機を握りなおし、ジンに通信を繋ぐ。
「分かりました。但し、こちらが連合の艦という事ですから、それなりの対応をさせてもらいます。いいわね ? 」
すると、相手から安堵の溜め息が漏れ、話し方も幾分穏やかになる。
「それで良いんだ。それで……」
途端に通信がぷっつりと途切れる。
暫しの間静かになった後、ジンがこちらにバーニアを吹かしてやって来る。
その様はザフト兵が操縦した上でしっかり飛んでいると言うよりは、かなりふらふらとしていた。
その様子に何がしか感じるものがあったマリューは直ぐに、整備班に緊急連絡が入れる。
「整備班 ! 緊急着艦用ネット用意 ! 」
右舷カタパルトデッキは騒然としていた。
無理も無い。敵であるザフトの機体がブリッジに緊急着艦要請をしてきた上に、まだこちらの準備も整っていない内に吶喊するかの如く近づいてきたのだから。
ハッチが開けられると、ジンが何の制動をかける事も無く突っ込むかのように入って来る
しかもその突っ込み方でさえ、カタパルトのあちこちに機体を激しく当てながらだ。
直後カタパルトハッチが閉まったのが確認され、気圧、空気共に艦内の他の場所と同じになった後、続々と銃を持った兵士が入ってきた。
ややあって、コクピットハッチが開いたが、そこにあった光景を見てその場に居た一同は驚きを隠しきれなかった。
中には確かに民間人らしき少年と少女の二人、そして赤色がメインのパイロットスーツを着たザフト兵がぐったりした状態で座っていたからだ。
その様子をある人物が居住ブロックから出てきてその様子を見ていた。
そしてコクピットから出てきた者達を見て感嘆の息を漏らす。
だがそれは下で驚いている者達とは明らかに異質の驚き方だった。
その人物は期待に逸る気持ちを抑えながら、階下に向かう。
少年と少女はそれぞれザフト兵の肩を持ち、かなり無理な姿勢でコクピットハッチから降りてくる。
銃を掲げた兵を見て少年、ガロードは叫ぶ。
「こいつがここまで俺達を運んでくれたんだ。銃を下ろしてくれ ! 」
それを聞いた兵士達は戸惑いながらもゆっくりと銃を下ろす。
ついで少女、ことティファの方も
「この人は怪我をしています。大丈夫です……この人にあなた方に力を振るったりはしません。」
と、続ける。
しかし、連合の兵士達は互いに顔を見合わせてしまう。
彼等の保護対象は明らかに民間人だと分かる二人だけで良いのだ。
自分達にいずれ銃を突きつける人間が瀕死の重症を負っていて、その死を看過したとしても重大な責任を問われる事はなさそうだ。
彼等の顔の表情は一目でそう語っていた。
ガロードが思わず「助けてやってくれよ ! 」と叫びそうになったその時だった。
「その患者は私が診よう。私は医者だからな。患者が誰であれ死の危機に瀕していればその危機を看過する事は出来ん。」
その声にガロードは反射的に声のした方向を見る。
忘れる事が出来ない、かつての大切な仲間。
「テクス !! テクスじゃねえか ! 何でこんな所に…… ? 」
テクスと呼ばれた医者はガロードの元へやって来て、密かに耳打ちをする。
「ガロード、ティファ、また会えて嬉しいが、今は私と共に来てくれないか ? ここで後ろの人達が分からない内容の話をする訳にもいかんからな。」
そう言ってテクスは連合の兵士達に担架を持ってくる様に言い、ガロードたちに一緒に来る様に目で合図をする。
辺りがひとしきり騒がしくなった事に気付いたラスティは目を覚まし、微かに笑って途切れ途切れに言う。
「俺は……捕虜になるのか……こういう時の身の振り方は……アカデミーでもあまり……詳しく教えてくれなかったからな。」
それに答える様にテクスは何気なくラスティに向けてそっと言った。
「それは君の自由だ。教わっていないから知らない、分からないというのは詭弁に過ぎない。だが今からでも学べる事というのは多分にある。
次に自分がそういった状況に陥った時同じ失敗を繰り返さない様にな。」
それを聞いたラスティは「そうか……」とだけ呟き気を失う。
やがて、キャスター付きの担架がやってきてラスティはそれに乗せられた。
全員がほぼ呆然と一連の出来事を起こした者達を見送る中、誰もついて来ていないことを確認したテクスは医務室へ向かう廊下でガロードに話しかける。
「さて、先ずそちらの状況から訊きたいが、良いかね ? 」
一旦投下終わります。ここの住人の皆様、機を見てまた投下しますので今夜は寝かせません。
ラスティを生かしているのは彼の境遇が自分の話の中でかなりネック的な物になっているからです。
ZGMF-Xシリーズの質問の意図に関しては結構後で話すと思います。
現実の戦史(日本の戦艦等)でも設計、キールだけが出来上がっていて終戦を迎えたという事があるので、
X14Aや、X15Aなんかも考えてたり(欠番マニアではないです。スレ違いですが戦艦のフォルムはやはり敷島型後期の奴がry)。
次の話では、SEED正史と大きく異なる展開がある。とだけ言っておきます。
では、また後程。
乙。
テクス登場でガロードたちも少しは安心できそうだ。
AAにはシミュレータもあったしMSの操縦もなんとか覚えられそう、かな。
正史と異なる展開進むのもSSの醍醐味だから期待して待ってるよ〜。
ごめん、ふつーに寝るわ
結局、この時間まで起きていた件について
wktkしながら徹夜した俺に謝れヽ(`Д´)ノ
>>604 今夜は寝かせない、ってのがだろ。
普通にもう一話投下するって言えばいいのに。
……で、結局投下なしって。
職人のほのめかしは宣言と同意に取られるんだから自重しろ
結果、嘘つき呼ばわりされる
ペラペラ喋るからこうなる
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スレ内換気中
------------------------------------------>
↓↓以下、何事もなかったかのようにどうぞ↓↓
ガロティファは萌えると思う人 ノシ
ノシ
お久しぶりです、何とか前半だけできました、推考した後載せます
「痛い…」
ガロードとミリアリアは重力下の廊下で正座させられていた。
話はガロードがアークエンジェルに帰る時までさかのぼる。
ガロードがこわごわストライクから降りると銃を持った連合兵に囲まれた。
これはガロードも予想していたので素直に指示に従いある一室に護送された。
その中ではミリアリアがナタルと連合の上官と見られる男に色々説教されている。
ガロードが入ってくるとナタルはミリアリアへの説教を切り上げガロードの方へ来る。
ガロードが体を硬くするとナタルは、
「アークエンジェル及びモントゴメリの為の行動だとミリアリアから聞いているが…」
「そ、そうだよ」
「なぜ我々に何も言わなかった?」
「だって思いついたのが戦闘配備が掛かった後だし…説明する時間もなかったし良いかな〜って」
「良い訳は無いだろう!!!」
ナタルがそう怒鳴るとその部屋のほか全員(ミリアリア、コープマン、ガロード、フラガ、マリュー)
は、すくみあがった。
「軍には規律と言うものがある!
それは傭兵だからといって決して無視して良い物でもないのだぞ!!
それがなんだ!? 確かに結果的に我々は助かりザフトも引いた。
しかし一歩間違えばお前はラクス嬢ごと殺され我々には護り人すら居なくなる所だったんだぞ!!」
ナタルの剣幕にガロードはおろかマリュー、フラガですら近寄れなかった。
「…もうそれくらいで良いだろう、ナタル少尉…彼も十分反省しているよ」
そんなナタルをコープマンは宥めた。
彼をナタル以外の全員が尊敬の眼差しで見たのは余談である。
「しかし軍の規律は!!」
「彼らはあくまで傭兵だ、軍に属しても軍人ではない…
どうしても罰が必要と言うのなら重力ブロックの廊下で1時間ほど正座させればいいだろう。
子供への罰なのだからそんなに重いのもな…」
コープマンがそう言うとナタルも黙らざるえない。
彼の方が上官でもありそれなりの処置を行おうと言うのだから…
なおこの処罰はこれからアークエンジェル内での習慣になったりするがこれも余談である。
>>609 当たり前じゃないかwwwwwww
>>610 待ってたぜ、続きが気になってしょうがなかったぞ
トリップは名前に半角の#を入れた後になんか文字を入れるらしい
本スレにあったトリップを使ってみた
まとめサイトを見れば分かるが・・・うまく出来たか?
「し、しびれる…」
「ガロード、しっかり…」
ガロードとティファは懲罰を終え部屋に入った。
ミリアリアはトールに抱えられる形で別の部屋へ運ばれたが、その際顔を真っ赤にしていた。
ガロードがこれ幸いとからかい返したからである。
そのガロードはティファに多少支えられて部屋へ来たのだが、
完全にお姫様抱っこされたミリアリアとどっちがからかわれ易いかは一目瞭然である。
なおティファは変装としてピンク色のかつらを頭に乗せていただけなので、懲罰は無しとなっている。
「ありがとう」
「へ?」
ガロードをベットに腰掛けさせるとティファはそういってガロードの顔を見た。
「歴史がまたガロードの手で変わりました。
悲しいものから明るいものへ…」
「過ちは繰り返してない…んだよな?」
「はい」
ティファが頷くとガロードはうれしそうに笑った。
なお部屋の外では盗み聞きしてドアにへばりついているトールとミリアリアがいるのを、
お礼を言いに着たフレイが発見、それに便乗していた。
アークエンジェルはモントゴメリと共に地球衛星軌道上に展開している第8艦隊に合流した。
「うっへ〜…こんなに戦艦が並んでるなんてすげえな」
「ええ…」
「俺達帰れるのかな?」
カズイがそう言うとヘリオポリス組みは安堵のため息を付いたが、
「けどそれってここが襲われると無理じゃねえ?
なんか連合軍ってかなり弱っちくて足止めだって満足にできてないじゃん」
「「「「う」」」」
ガロードがそう言うとカズイ達は思い当たる節がありすぎてうめいた。
先程の攻防ももしガロードが機転を利かせなかったらモントゴメリは完全に墜ちていただろうし、
アークエンジェルすら持っていた保証は無い。
「なかなか手厳しいな…とは言っても否定できん事実であるのが情けないな」
「おっちゃんは?」
「私はこの艦隊を指揮しているハルバートンだ」
「俺は炎のMS乗りガロード・ランだ」
「ティファ・アディールです」
ハルバートンが名乗った後ガロードとティファが名乗り、それとフレイとサイを除いたヘリオポリス組みが自己紹介をした。
その二人は今フレイの父親のところにいる。 ハルバートンはそれを全て聞いた後、
「すまない事をした」
そういって頭を下げた。
「「「え? ええ!?」」」
「上層部の…いや、私の指示でヘリオポリスにMSを作らせた事で、関係のない君達まで巻き込んでしまった…
本来軍人とは君達のような民間人を護らなければならないと言うのに………すまない」
「「「…」」」
ヘリオポリス組みは頭を下げるハルバートンに何も言えずただその光景を見ていた。
「へへ、まあそれは良いよ、もう終わった事だしさ…それより、俺達はこれからどうなるんだ?」
ガロードは、照れたように一度鼻の下を擦ると真面目な顔でそうハルバートンに訊いた。
「君達には除隊許可証を渡しておく。
これで君達は他の人達と同じく船から降りる事ができる」
「あ〜…報酬は?」
「報酬?」
ガロードがマリュー達と交わした約束をハルバートンに伝えるとハルバートンは唸った。
「う〜む…しかしそうすると他の人達よりもオーブへ帰るのが遅くなってしまうぞ?」
「いや、その前に他の人達ってまさかこのまま降下させる気なのか?」
「そのつもりだが…」
ハルバートンがそう言うとガロードはあちゃ〜といって上を向き手で顔を覆った。
「何か問題でもあるのかね?」
「あるに決まってんじゃん、大気圏突入しちゃったら身動き取れないでしょ?」
「ああ、しかしそれは我々第八艦隊が…」
「いや、無理無理」
ガロードがそう言うと流石にハルバートンもむっとした顔をした。
「なぜそう言えるのかね?」
「だって連合ってザフトにぼろ負けなんでしょ?
確かに艦隊戦だったらこっちに分があるかも知んないけど、
MSなんて連合は持ってないって話しだし、
そんなんじゃすぐにMSに抜けられるって」
「いや、確かに抜けられる可能性はあるがだからとてそう簡単には…」
「それにガンダムが向こう4機あるし、なんかこっちを目の敵にしてるっぽいから絶対来るよ?」
「ガンダム?」
「ヘリオポリスで作った5機のMSだよ」
「Gの事か…しかしガンダムと…こちらの方が響きがいいな」
「そんな事より!
そのGってのが向こうは4機もあるんだから普通にやったら簡単に抜けられちゃうって」
「そんなにすごい物なのかね? 我々が開発したMSは」
「ああ、戦艦なんてはっきり言って大きいだけの的でしかないって」
「う〜む…」
ハルバートンはガロードの言い分に腕を組んで考え出した。
これがただの民間人なら歯牙にもかけないが、
MS乗りと自称するこの少年はGを乗りこなし相手方のGと戦った経験を持つ。
それだけに決して軽視して良いものではない。
「そんでもしザフトが攻めてきたらちょっと考えがあるんだけど…」
ガロードは悪戯小僧の様な顔でハルバートンにある提案をした。
「で? 一体どうするんだ俺達?」
「除隊許可証があってもこれって無期限じゃないよね?」
ハルバートンとガロードがなにやら離している間に、ハルバートンの副官がヘリオポリス組みに渡したものだ。
なおここはヘリオポリス組み女子に割り当てられた部屋で、
人数はキラやフレイ、サイを含めたヘリオポリス組みとガロード、ティファがいる。
「アークエンジェルは補充要因がいるらしいから俺達がもう手伝うことは無いよな」
「私はパパと一緒に月に行くわ…できればサイも…」
「え? 俺?」
サイは自分を指差すとフレイが頷いた。 それに対しトールとカズイがヒューヒューと冷やかした。
「…そうだな、もう俺達は何もできないんだし…わかったよフレイ」
「俺は残るぜ」
サイが決断するとそれを割るようにガロードが言った。
「「「「え?」」」」
「なんたってまだ俺は報酬もらってないからな…」
「ガロードが残るのなら私も残ります」
ティファがそう言うと残りのヘリオポリス組み(トール、ミリアリア、カズイ、キラ)は唸って腕組をした。
最初に4人の中で喋ったのはミリアリアだった。
「それじゃあ私も残るわ、ティファが残るって言うんですもの、あたしの残らなきゃね」
「ミリィ…」
「トールはどうするの?」
ミリアリアが首をかしげながらトールを見るとトールは一瞬迷うが、
「彼女が残るのに俺だけ降りたんじゃかっこがつかないしな、俺も残るよ」
と言った。
ミリアリアはそれに嬉しそうに笑うがその横でカズイが弱弱しそうに、
「僕は降りるよ…」
と言った。
「そうね、カズイは戦いとかに向いて無いし…」
「ごめん」
「謝ることなんてねえよ、別に俺達は責めたりはしないからよ」
ガロードがそう言うとカズイは頷いた。
最後のキラは悩みに悩んだすえ、
「僕も残るよ」
と言った。
「キラ…別に降りてもいいんだぞ?」
「うん、だけどミリィもトールも残るって言うしさ…
それに補充要員って言ったって整備員は殆どいないんだよ。
それに僕じゃないとストライクやジンのOSの書き換えができないしさ」
「そっか…けどそれってさ…」
トールはそう言うとガロードだけをちょいちょいと手招きして男三人で円陣を組み、
「フレイとサイがいちゃいちゃしてるのを見たくないだけだろ?」
と言った。
「え? 何キラってフレイの事…」
「え!? ち、違うよ!」
「ドモルところが怪しいって、なあガロード?」
「そうだな、トール」
ガロードとトールは怪しく笑いあった後キラの方を向いた。
「な、何二人とも、そのちょっと可哀想な視線…や、やめてよね! そんなんじゃないんだから!」
「はいはい」
「解ってます、解ってますよ」
キラが必死に否定するがこう言うのは否定すればするほど図星という事になるのをキラは知らない様だ。
とりあえずここまで、後半のザフト強襲はこれから書くので、
いつアップできるかわかりません。
それではこれで・・・
あ、あとここで私のほかにExceed4000さんも種in初期アークエンジェルからみたいですね
お互いに頑張りましょう
>>612 お待たせして申し訳ない、どうもモチベーションが上がらず・・・
何でこう先の事先の事が思いつくんだろう・・・
てかすまん、こっちも割りこんじまった
まあそれはともかくGJ
良い仕事してくれてありがとう
>>621 いえいえ…そういえば第8艦隊って何隻くらい戦艦いたんでしたっけ?
30隻くらいかな?
>609 萌えるなっつーのは無理な話だろ(´・ω・`)
あえて「降りる」と言ったカズイの勇気に乾杯!
でも・・・死亡フラグじゃないよな?
GJ!
キラ、トール、ガロードで三馬鹿トリオ結成かwwww
果たしてどの二次創作でも死亡率の高いトールはこのSSでは生き残ることが出来るのか!?
ガロードには及ばないまでも登場するナチュの中では素質ある方だと思うんだが…
>>625 トール「大丈夫だよ、作者はハッピーエンド主義って言ってたし」
ミリアリア「けど誰に対してのハッピーエンドかわからないわよ?」
トール「え?」
飯「ふ、グッレイトー!!」
しかし続編で振られる罠www
新しい恋でも探せよ、と言いたいが周りにフリーの女性キャラがいないんだよな…
GJ!
>>625 むしろなまじ素質があったばっかりに……
でもフレイパパも生き残ってるくらいだからな、トールにも頑張ってもらいたい。
お詫び
この度は、皆様の感情も考慮せず不適切な書き込みを行った事を深くお詫び致します。
また、健康面などにも多大な損害を与えてしまい申し訳ありません。
以下より八話投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第八話「進路変更」
ガロードはあの最終決戦以後自分達に起こった事の詳細をラスティの手術を終えたテクスに話し始めた。
だが、その話を聞いていたテクスはある点で奇妙に思った。
「今日 ? ガロード、お前さんがこの世界に来たのは今日だっていうのか ? 」
「ああ、そうだけど……どうかしたのか ? 」
「……私がこの世界に来たのは、今から10日前の事だよ。」
「えええっっ ?!! どういう事だよ ?! 」
ガロードは驚きを禁じえない。
何故二人との間にタイムラグが発生しているのだろうか ?
当然その理由をテクスに訊くが、当の本人は様々な書類に目を通しながら、表情を変えずに言う。
「さあ……私も詳しい理由は分からん。それ以前にこの世界に飛ばされた理由自体が謎だからな。」
テクスの言う事ももっともだ。
自分達が何故こんなC.Eという訳の分からない世界に来たのか。
その場に居る全員が首を傾げてしまう。
「だが、こうなってしまった以上は仕方ない。自分達の世界に戻る方法を考えながら、この世界で生きていくしか他無いな。」
「そうだな……テクスは何か考えがあるのか ? 」
書きものを一旦止め、彼はガロードに向けてフッと笑って言う。
「軍医、をやるしかないのかもな。丁度この艦はそれをコロニーから出る際に失っていてな、
民間人とはいえ、私の様な存在は今の所は貴重なのかもしれん。」
サイフォンから良い感じにコーヒーの湯気が出ている。
テクスはそれに気付き、二つのマグカップにコーヒーを入れ、ガロードとティファに振舞った。
当の自分も一口啜りながら話を続ける。
「まあ、正直な事を言えばそれしか喰う方法を知らんからな。今更畑違いの仕事などやり始めても、地に足がついた生活は望めないだろう。
それはそうとお前さん達はどうするつもりなんだ ? 」
「俺は……ジャンク屋をやるしかねえな。この世界のMSの操縦とかはさっぱりだけど、二人で生きてくには今はそれしか方法が思いつかねえ。
傭兵ってのもチラッと頭に浮かんだけどこの世界じゃMS操縦できなきゃ話にもならねえみたいだし……
何よりティファを心配させたくねえんだ。それと……こんな知らない世界であんまり関わりたくねえしな。」
ティファがガロードの手にそっと触れる。
照れた様にガロードは後ろの頭を掻きながらあさっての方向を見た。
確かにそれが良いかもしれない。
勝手の違う世界で自分達が必要以上に干渉してはいけない。
恐らくこの場にジャミルが居たらガロードと同じ結論に達していただろう。
しかし、ガロード達がアークエンジェルに辿り着いた時、ガロードが抱いたその展望を根底から覆しかねない物の存在をテクスはふと口にする。
「ダブルエックスはどうする ? 」
「えっ ? そうだな……」
その名前を聞いた途端深い溜め息が漏れる。
この世界のMSとの明らかな差異は操縦系統しか知らないがどうもそれだけではない様な気がしてならない。
だが、あれは今の状態を鑑みればスクラップも同然である。解体して処分してしまえばそこまで深刻に悩む事もない。
しかし、一抹の寂寥感がふとガロードの心を襲う。
コロニー関係者に攫われたティファを救うまで宇宙まで行き、あのフロスト兄弟とまともに渡り合う八面六臂の活躍をした愛機。
幾ら止むを得ない事情があるとは言え、そう簡単にバラしても良いかと聞かれると、待ったをかけたくなってしまう。
この世界にサテライトキャノンと同等の兵器があるのだとすれば、ダブルエックスの存在感もある程度薄れるが、逆に言えばそれだけ恐ろしい代物がこの世界にはごろごろしている事になる。
丁度この世界も敵味方と二分された状態で戦争をやっているらしかったが、あるとすれば、両方の正義の象徴的な存在なのだろう。
唯そんな考え方はガロードには必要なかった。
大事なのは、こっちの世界の正義が何なのかとか、世界の行く末はどうなるのかといった事じゃなく、ティファを守って共に生き抜く事。
自分の中でもう答えは出ているに等しかった。
「ほとぼりが冷めたら、自分一人でばらして処分する……しかねえんだよな。ティファと一緒に生きるんならそうする他ねえし。」
ガロードはそう言ってティファの顔を見つめる。
それを見たテクスは軽く咳払いをし、二人の視線を自分に向けさせる。
「だが、それもそこまで上手く行くかは分からんかもしれん。」
「 ? どういう事だよ ? 」
書きものを丁度終え、ラスティの容態を見始めたテクスは続ける。
「あの資源衛星から逃れてここに乗った時に聞いた話だが、この船はアルテミスという地球連合軍の軍事衛星に向かっている。
衛星の所有権を主張しているのは、ユーラシア連邦という連合軍の一部をなしている国家の一つだが、今は戦争中故に形骸化している。
当然この船も調査が入るだろう。」
それを聞いてガロードはあっ、と小さく驚く。
調査が入る事になれば勿論ダブルエックスの事を訊かれるだろう。
そうなればどういった事になるか大体の想像はついていた。
歯痒さが自分の心を埋め尽くしていく。
自分はティファと静かに生きたいのに……世界をあちこち見て回りたいという願いを叶えてあげたいのに……周りはそうする事を許さない。
今まで平気だったコーヒーの味が、最後の一口だけいやに苦く感じられた。
「ダブルエックスに何かあったら、無理矢理にでも掻っ攫ってどうにかするよ。コーヒー旨かったよ。ありがと。
ティファ、みんなが非難している所に行こうか ? 」
「うん。」
ガロードがその場から立ち上がる。
その時ティファが椅子に縛られた様に固まる。まさか、また…… ?
「ティファ、何か感じるのか ? 」
その言葉にゆっくりと頷くと、椅子から立ち上がり、医務室を少し速めの足取りでスッと出て行く。
それに応える様にガロードもその後を追う。
ヴェサリウスの中で物思いに耽る少年が一人。
アスラン・ザラは自室のベッドで横になっていた。
ほんの数日前までは自分の横に話しかける相手がいた。とりとめの無い事を言い、それをちゃかして面白がる相手が。
しかし、その相手はそこにはもう居ない。戻ってくる事もない。
軍人になった時からこういった事はいつかやって来るとは覚悟してはいた。
だが、そんな頭だけで理解した覚悟なぞ実際にそういった場面に直面した時には何の役にもたちはしない。心の緩衝材にもなり得はしない。
ただただ空虚感だけが残るのみである。
しかし、そんな物に身を任せてしまっていては軍人なんて職業は務まらない。
「ミゲル……ラスティ……」
この十数時間で自室に居る間何度この言葉を呟いただろうか。
ミゲルは連合の新型MSに討たれ、ラスティに至ってはそれを奪取した際に行方が分からなくなってそれきりだ。
ヘリオポリスが崩壊した時もまだ何処かで生きているんじゃないかと、今から考えてみればかなり甘い期待をしていたが、クルーゼ隊長の見解としては間違いなくMIAだと言われた。
MIA-ミッシング・イン・アクションは戦闘中行方不明の意だが、軍関係者には婉曲的であるにしろ戦死という判定に他ならない。
その判断がアスランの胸に冷たく突き刺さる。
いや、あの時あそこではそれ以上の衝撃があった。
月の幼年学校に通っていた頃に別れた友人のキラがいたからだ。
襲撃したのが中立の位置にあるヘリオポリスだったから、居たというだけでは問題になりはしない。ヘリオポリスの何処に居たかがアスランの心を大きく傷つけていた。
新型のMSを奪取するために、地球軍の華南宇宙港がザフトの侵攻を受け始めた時に編成されたのが今回のチームだった。
綿密な計画をし、周到に下準備をし、万全の用意で挑んだ今回のミッション。
戦う相手が全員ナチュラルだから、チームの皆は余程の油断をしない限り討たれる事はないと思っていた。
だが、のりこんだモルゲンレーテの試験場でそのキラに会ったのだ。それも地球軍の人間と共に。
お互いどうしてその立場に立っているのかと戦場で訊き合った。そして先程起こった戦闘でも。
考えれば考えるほど胃が痛んでくる。
そんな時だった。
隊長のクルーゼから艦橋に来て欲しいとの連絡が入る。
言われた通り艦橋に来たアスランは、先ず一つ質問した。何かあったのですかと。
その質問の返事は意外な物だった。
「あれがアルテミスの方向より180度回頭した。どういう訳か分からんがな。だがこちらのガモフとは鉢合わせない方向に向かっている。」
「進路を変えろだと ?! ふざけるのはよせ !! 」
アスランがクルーゼに呼び出されるほんの十分程前のアークエンジェルでは、ナタルがティファに向かって怒鳴っていた。
何故かというと、軍関係者が聞いていて呆れる様な話だったからだ。
先程保護した民間人が居住区を離れ、ブリッジに押し入る形で入ってきたと思ったら、進路を変えてくれと言ってきたのである。
有無を言わさずブリッジから出そうとした時、マリューが理由だけでもと引き止めた為一応訊いたが、その理由も信じられない物だった。
敵は先の戦闘が行われる前にアークエンジェルが発射した囮を既に見破っており、アルテミスに向けてサイレントランをしている自分達を追って来ているというのだ。
理由を聞いたナタルは一層厳しい顔と声になり、ティファに詰め寄る。
「だが ! アルテミスの防衛システムは絶対だ ! ザフトでもそう易々と突破できる代物ではない !! 」
「おい、ティファをあまり怖がらすなよ。」
ナタルの声に体を震わせるティファだったが、勇気を出してある一つの言葉を呟く。
「ブリッツ……傘を壊すのはそれです。」
「なっ…… ?!! 」
ティファが告げた言葉にブリッジクルー、特にマリューとナタルは硬直する。
ブリッツは奪取された新型MSの一つX-207の開発コードの一つであり、軍関係者、それもG計画を知っている者でしか知らない。
おまけにそれに続く、アルテミスの防衛システムを傘と表現するのも。
だが、驚くのはそれだけに止まらない。
ブリッツの特徴を思い出していたマリューは微かに震える声でナタルに向けて言う。
「確か……ブリッツにはミラージュコロイドがあるわ。」
ミラージュコロイドは可視光線を歪め、レーダー波を吸収するガス状物質を展開し、それを磁場で機体の周りに引き付ける事で、機械は勿論の事、目にも見えない存在になる事が出来る機能である。
ここで一つの考えが出る。
自分達を追っている敵艦がブリッツを搭載していて、アルテミスの傘こと防衛システムを展開していない時にミラージュコロイドを使って侵入したなら……
仮定の域を出なかったが、想像すればそれはそれで怖いものだ。
「言いたい事はそれだけか ?! 」
ナタルはティファの肩を持ってエレベーターの方へ押しやる。
「何処で様々な軍事機密を嗅ぎつけたかは知らんが、これ以上世迷い言を言う様であれば、拘束の後尋問するぞ ?!! 」
そんなナタルの腕を力強く掴んだガロードは、ナタルを思い切り睨みつけて警告する口調で言う。
「ティファをそんな目に会わすなんて、俺が許しゃしないからな !! 」
「何だと……っ ?! 」
「待ちなさいっ !! 」
険悪な雰囲気を剥き出しにして顔を合わせるガロードとナタルを制止したのは、艦長席でずっと考えを巡らせていたマリューだった。
ブリッジがしんと静かになった後、一つの命令が操舵士アーノルド・ノイマンに下される。
「進路変更 ! 回頭180度 ! 」
その言葉にブリッジにいる全員が驚愕する。
一人の少女の言葉で艦長の判断が今までとは大きく変わった物になったからだ。
軍閥の人間らしからぬ行動に、ナタルは思わず自分の立場も忘れて怒鳴り声をあげてしまう。
「ラミアス艦長 !! 」
「報告は貴女が書きなさい、ナタル。それと……ティファさん、だったかしらね ? 」
「はい……」
マリューは艦長席から離れ、ティファの元までやって来る。
その眼差しは軍関係者特有の物だったが、僅かながらに母親の様な優しさもあった。
「少しお話を聞かせてもらってもいいかしら ? 」
その言葉を聞いてガロードは少し気落ちする。
どうやらティファと一緒に平和な所で生活できるようになるのは、自分自身が考えていたよりももっとずっと後の事になりそうだと。
本日二話目を投下いたします。
機動新世紀ガンダムXSEED 第九話「終わらせはしませんよ」
ティファ一人だけでは心配だという事でガロードも進んでマリュー、ナタル、ムウがメインとなる尋問に参加する。
更に、誰か大人が付いた方が良いだろうという事でそれを言ったテクスも臨席する事にした。
自分達の世界……第七次宇宙戦争のきっかけとその結果、自分達のかつての目的、ティファが人智を超えた力を持っている事とその例、そのせいで様々な人間から狙われていた事、
それに伴うこれまでの旅の動向、宇宙でD.O.M.Eから聞かされた真実……
マリュー達はお互いに信じられないとばかりに顔を見合わせる。
絵空事にしてもこんな微に入り細に渡った話はそうそう簡単に思いつくものではない。
そもそも現実感が限りなく希薄に近い。それをいきなり信じろという方が酷だ。
ずっと黙ったままのアークエンジェル側の沈黙を破るようにムウが口を開く。
「まあ、何と言うか、下手な作り話よりかは大分マシだけど、その話が真実だったと仮定してどうしてこっちの世界に ? 」
それに対しテクス、ガロード、ティファが順番にその経緯を話す。
テクスはヘリオポリス内の医師の所に身を寄せていて、ザフトの襲撃があった時は他の避難民と共に避難ポッドで脱出し、その後ストライクにそれが拾われアークエンジェルに辿り着いたとの事。
ガロードはザフトの襲撃を利用してヘリオポリス内部に入り、ティファを救出した後、今医務室で昏々と眠り続けているラスティを使って脱出。そして今に至る。
ティファはヘリオポリス内の公園のベンチで眠っていたが、ニュータイプの勘か、モルゲンレーテの工場区、MS試験場に入って間も無くガロードと再会し今まで行動を共にしていること。
そこに至るまでに話はかれこれ三時間近くに及び、三人とも散々話したせいかいい加減に口が疲れてきた。
「如何なされますか、艦長。自分は上官にこの事を報告すべきと思いますが……」
ナタルがそう言うと、マリューはそちらを一瞥するものの、深く一息吐き静かにそれに反論する。
「報告したところで信じては貰えないでしょうし、寧ろ私達が気に触れたのではないかと思われるのが関の山ね。」
「では、どうしろと ?! 」
その声にうんざりした様な視線をナタルに向けた時だった。
「報酬を出すってのなら雇われてもいいぜ。傭兵って形になるだろうけどよ。」
えっ、という感じでマリュー達は前を見る。
腕組みをして前をじっと見ていたガロードが出した結論だった。
「確かにこの世界の事はこの世界の住人のあんた達が自力で解決しなきゃいけない。それは分かるぜ。でも俺達は過ちを犯しちまった世界を知ってる。
自分達とは違う世界だけど、ここで生きるんなら過ちが犯されそうになるのを黙って見てるわけにもいかねえ。いつまでここに居るか分からなくてもな。
って言っても一番やりたい、ってかやらなきゃならないことはティファを守る事だ。」
その言葉にティファが続く。
「私は自分のこの人を超えた力を、始めは嫌だと思っていました。ですが、自分以外の誰かを救う事が出来るなら……私もガロードと一緒に……」
「ティファ、それって…… !! 」
思いもかけぬティファの一言にガロードの腰が椅子から浮いてしまう。
だがガロードのその言葉の続きをいう前に、テクスが自分の意見を述べる。
「私は患者がいればそこに行って治療するだけです。ここに留まって傷ついた兵の治療をして欲しいと言うならそれでも宜しいですが、私達の当座の目的はこの世界の何処かに散らばってしまった仲間と合流する事にあります。
その時は善処の程をお願いできますか ? 」
その言葉にアークエンジェル側一同はざわめくが、マリューは至極冷静な言葉を言う。
「分かりました。あなた方の事情については、未だ議論の余地も多く、あまり定まった事は言えませんが、ガロード・ラン、ティファ・アディール両名を傭兵として、テクス・ファーゼンバーグを軍医として採用します。
しかし採用されたからには、それなりにこちらの軍規に従ってもらいます。それで宜しいですね ? 」
「お……おう。良いけど……ティファは」
「ガロード……あなたが私を守ろうとしている様に、私もあなたを守りたい。私も前に一度、あなたと同じ様に力が欲しいと思った事があるから……だから、お願い。」
その眼差しは本気の物だった。こうなると、もう何も言えない。
「分かった。でもあまり無理はしないでくれよ ? 」
「うん……」
「あんな物を極秘で、しかも中立国のコロニーで開発するなど、やはりナチュラルなぞ信用するだけ無駄でしたな。
クライン等の様な腰抜け共は歯が浮くような事をまだ議場でいけしゃあしゃあと言っていますが、それも時間の問題でしょう。」
「顔で笑って握手を求めていても、内心で舌を出してもう片方の手でナイフを握っているのかもしれませんよ……」
「かもしれないではなくて、そうなのですよ。彼等は。そんな連中に良い様に踊らされていい筈がありません !! 」
「以前私がカナーバ氏の意見を取り入れた時は、ものの見事にナチュラルにナイフの方を握らされました。
あの時彼女の意見をちらとでも疑っていれば、あのような事には……勿論血のバレンタイン以降の出来事で……ですけどね。」
プラントの市の一つ、アプリリウスのホテル高層階のカフェにその四人の姿はあった。
プラント最高評議会で急進派に属する、ヘルマン・グールド、ジェレミー・マクスウェル、エザリア・ジュール、そしてルイーズ・ライトナー。
彼等はこの日も行われていた議場でのやり取りに嘆息していた。
いつまで経っても議会での穏健派との主張は平行線を辿るばかりか、ますます険悪な物になっていたからだ。
「大体ライトナー氏はまだ手緩いですわ ! それに ! 忘れてはいけません !
大体貴女は一年前のあのコーディネーターにとって忌まわしい悲劇が起こるまで、穏健派に属していたではありませんか !! 」
「そうでしたわね……」
ライトナー議員は猛火の様な勢いで捲し立てるジュール議員をやんわりと受け流し、カップで湯気を立てているアールグレイティーを二口三口啜る。
しかし飲んで一息吐いたライトナー議員の表情と言葉は、そこに居る三人を冷凍庫に突っ込まれたような感じにするのに十分だった。
「ですけど、私はいつでも自分の農業用敷地を工業用に転用するよう呼びかけられます。
机上の平和論よりも今そこに迫る危機の方が遥かに雄弁だという事は、私の所の市民はあなた方の所の市民よりよく知っているとは思いますが。」
その静かだが苛烈な勢いを秘めた一言はかなり説得力があった。
彼女は側に近づいていた給仕に糖蜜パイを人数分頼み、もう少しカップの中身を啜る。
マクスウェル議員がちらりとライトナー議員を見る。
「イギリス料理ですか ? 」
「いえ、私が頼んだのは穏健派の方々です。」
一同が狐につままれた様な顔をするが、一番先にその理由が分かったのはそのマクスウェル議員だった。
「成程。食材に恵まれず、広く庶民に渡る事も無く、何より単純、か。」
「ええ、人材に恵まれず、思想が広く渡る事も無く、論理も単純……」
それから直ぐに出されたパイをライトナー議員は済ました顔で食べ始める。
「我々がそんな軟弱な穏健派の存在を跡形も無く消してしまうのです。」
したり笑いがその場を包む。
「ですが、ライトナー議員、穏健派もそれなりに力がありますからな。彼ら主導で戦争が終結したら我等が力を振るわぬ間に……」
「「何を言いますか ! マクスウェル議員 ! 」」
女性議員の二人が猛然と反発する。
「終わらせはしませんよ。あの連中でこの戦争を……」
と、ライトナー議員。
「私達こそが傲慢で無能なナチュラル共に正義の鉄槌を下すのですよ。」
と、ジュール議員がそれに続ける。
そうだ、その日の為に自分達は議員として奔走しているのだ。
カップのブラックコーヒーを見つめながらマクスウェルは思う。
彼はまだここに居る全員に伏せている事がある。
息子が、離婚した妻が引き取った息子がMIAになったという報だった。
最初は自分の耳を疑りもしたが、やがてそれが何でもない報の様に思えてきた。
あの馬鹿息子は今までのうのうとナチュラルに対して自分とは正反対の立場をとる母親の元にいたのだ。きっと色々と吹き込まれたに違いない。
その息子がのこのこと戦場へ出て行ってその結果どうなったかなぞ、最早彼は気にもかけたくない。
勿論そんな息子がいた事なぞ、自分と正反対の思想を持つ女と生活を共にした過去さえも葬り去りたかった。
涙なぞ流しはしない。流すのは自分の治めている市がライトナー議員の所の様な事態になった時だけだ。
そう思いマクスウェルは一口コーヒーを啜る。
ティファは人気のない展望デッキにいた。
ここに居て外を眺めるのが、彼女にとって今は一番の休息方法だった。
この世界に来て先ず始めに感じたのが、強烈な憎悪。そして悲しみ。
その理由は居住ブロックに居た者達からある程度聞かされた。
そしてふと思ってしまう。
ここにもしガロードが一緒に居てくれていたら……と。
しかし、ガロードは今シミュレーター訓練にかかりきりになっている。
この世界でもMSの技術が無かったら、傭兵としては成り立たないのを聞かされたからだ。
それは分かっている。十分分かっているつもりだが……
無意識の内にふと、あの言葉を呟いてしまう。
ガロードが自分の事に集中しすぎてティファの事が見えなくなっていた時に呟いたあの言葉。
「ガロード……私を、見て……」
それは自分が出来る精一杯の我が儘だ。
自分はそれ以上の事は望んでいない。唯それだけで自分の心は満たされていく。
ガロードは一度その声に応えてくれた。
そして信じている。次も応えてくれると。
「ティファ……ここに居たんだ。」
その声は意外にも早く帰ってくる。
見ると、自分の後ろにいつの間にかガロードが立っていた。それを見たティファの表情は小さめだがすっと明るくなる。
隣に来たガロードは遠くの方を見ながら話しかけてきた。
「色々あったな、今日一日。」
「ええ、そうね。」
途端に気まずくなってしまう。会話が続かないのだ。
話のタネはないかとガロードが考えていると、ティファの方から話が振られてきた。
「ガロードにだけ教えたい事があるの……」
「えっ ? な、何 ? 」
「この世界は私達の世界と同じ道を辿ろうとしています。」
「何だって ?!! 」
それはあまり、いや絶対に御免こうむりたい予見だった。
自分達の世界と同じ事が、見ず知らずの世界とはいえ起きようとしているのだから。
しかし、ティファの心境は違う。
今まで何度もティファの予見した未来を覆してきたのがガロードだ。
ならば、その災厄も起きる前に防げると。
「でも心配しないで、ガロード。あなたは私の見た未来を変えた事がありますから……」
「俺が……変えるかも知れないって事 ? 」
「それは、まだ分かりません。でも、希望はあります。」
それを聞いたガロードは何だかやる気が出てくる。
直接的か、間接的なのか、そのどちらにせよ自分が悲観的な未来を変え、ティファと共に過ごす未来を作れるのなら、それで良いに越した事はない。
と、ガロードは何も言わずにティファをそっと抱き締める。
突然の事に慌てる彼女にガロードは優しく話し始める。
「俺さ、この世界の事は何にも知らねえ。けど、俺がやりたい事はティファと一緒に生きる事。それだけなんだな。
勿論知らない世界の人間だからって、この世界の未来を放っておいてくって訳じゃねえけど。」
「ガロード……」
「だから、一緒に頑張ろうな。」
「うん ! 」
静寂だけが二人を取り巻く。
最早その空間において二人を邪魔する物は何も無かった。
投下終了します。
余計な事はもう言いません。
皆さん本当にすみませんでした。
ではまた今度。
P.S L1QckJlrlMさん、有り難う御座います。
まあそれはいいとしてもトリップをつけたほうが良い
パチモンが現れても困るし
投下のペースが速いのはかまわないがもう少し寝かせてもいいと思う<週一とか週二な
全体的にはよくはあるが今回の話も少し荒いものがあったし
・・・昔に比べて住人が積極的に感想をださなくなったような気がする
とにかくGJ、更なる精進を期待したい
乙。
感想出さなくなったっつーか出しにくいんだよね……
手放しに誉めたくなるほどでなし、悪いってほどでなし。
もってけ!ダブルエックス
かえして!ティファ・アディール
>>646 どこのらき☆○たですか?
けどガロードならや…るのか?
やると見せかけて最終的には両方とも確保しそう。
あれ?俺がもう書き込んでる?
第十話投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第十話「凄く早いね」
ガロードがアークエンジェルエンジェルにおいて傭兵という立場になってから、既に十日が経とうとしていた。
曳航していたダブルエックスについては、ガロード以外絶対に触れてはいけないというルールじみた物が、直ぐに出来ていた。
と言うのも、機体の修復や整備、またデータの吸出しすらも禁じられ、不審に思ったマリューやナタルが問いただそうとしたところ、ガロードは小型のデバイスを取り出して、ダブルエックスが人手に渡りそうになった時のルーティンをやって見せた。
「もしもの時の為に爆弾を仕込んであるから、自分から奪取しようとしても痛い目を見るのは自分達の方だ」、と。
尤も、操縦機構は勿論の事、装甲や、フレームに使われている物質、動力、果てはOSに関してもこのC.E世界では複雑難解な物であるから、技術班に見せたところで何処から手を付けたら分からないだろう。
何よりガロードがC.E世界の事を知って特に秘匿したかったのはサテライトキャノンとフラッシュシステムの事だった。
フラッシュシステムは当然の事として、今は二つとも使えない状態になっているが、それが秘匿しないでいいという布石には明らかになってはいない。
他にもこの世界ではオーバーテクノロジー扱いの物があって、その内の一つでもどちらかの陣営に渡れば、膠着状態のこの戦争をいっぺんに手に入れた方を有利にせざるを得なかった。
その事実を改めて考えた時、ガロードは自分が持った責任の重大性を思い知らされた。
因みに艦内に置いてあるシミュレーターである程度MS操縦の訓練は出来る。
しかし、操縦系統の違いの壁はガロードにとって分厚く、そして異様なまでに高い壁となって自身の前に立ちはだかる。
今でこそ、歩くといった一般的な動作が出来るようになったが、初日に関して言えば一歩目を踏み出す事も無く、あっという間に地面に張り付いた状態になっていた。
やっとあちこちの部位をきちんと動かせるようになっても、ともすれば羽虫が止まりかねないノロクサさの時もあったが。
そういった状態を克服すべく、朝も昼も夜も常に時間があればシミュレーターにかかりっきりになっていた。
たまに夜の遅くまで訓練を続けて、一段落着いた頃睡魔が襲った為、シミュレーターの電源を切っても操縦桿を握ったまま、シートにもたれかかって、泥の様に眠った時もある。
そんな時のあくる朝は軽い毛布が体にかかっている事が常だ。
その答えはその直ぐ後で食堂や自室に戻った時に、そこにいたティファが頬をほんのり赤く染めた事で分かったが。
本人も顔を赤くして、いつも心配してくれて有り難う、と先ず言ってから会話を交わす。それが二人の日課とも言える。
その光景が一種アークエンジェルクルーの一服の清涼剤の様な感じになっていた。
一方、避難する時に乗ってきたプロトジンに関しては、連合軍側が作業用MSとして使用する際の操作マニュアルが、アークエンジェル内に偶然あった。
が、それはマニュアルと呼ぶにもお粗末な代物で、ガロードの為にOSの再書き換えをしに来たキラが「本当にこれで動かせると思ってたのかな ? 」と小声で言い出す始末だった。
そのキラにしても、始めからアークエンジェルの整備班や技術班の申し出を快く引き受けた訳ではない。
自身がコーディネーターである事を理由に「モノ」の様な扱いをされるのではないかと勘ぐったのだ。
自分の意思や希望とは関係無しに使われる存在として。
自分は一人の人間であって、そんな風に扱われたくはない。
その事をつい、ストライクとゼロの整備を担当しているコジロー・マードックと共に、プロトジンを整備していたガロードに言ってしまう。
それを聞いたガロードは大笑いして、強気にキラに言った。
「俺は、いや、この整備のおっちゃんも艦長さんもそんな事思っちゃいねえよ ! 大体お前がコーデ……なんとかだからって、俺はそんなの気にしねえよ。
お前、自分の友達に自分がコーデなんとかだって言った事はあんのかよ ? 」
「あ、あるけど……」
「んで ? その時何て言われたんだよ ? 」
「……そんなの関係ないって……お前が俺達の友達だって事には変わりないって……」
そうキラが言うと、ガロードは作業に戻る。
作業をしながら一言々々をしっかりと強調した話をしだした。
「俺だって同じだよ。俺はその友達よっか付き合った時間は短いけど、そんなのは関係ねえ。今は同じ船に乗る仲間だろ ? 」
「う……うん。」
「だったら、あまり深く考えるなよ ! 今度また戦闘が起きたら、ムウっていうおっさんと一緒に出ねえと、友達守れねえぜ ? そん時は俺とも宜しくな !! 」
その言葉にキラははっとする。
そうだ。幾ら自分が乗りたくない、討ちたくないと言っても、そんな事はお構い無しに敵は自分達の居場所を撃って来るのだ。
そこには自分の仲間がいる。失いたくない仲間が。
無用に迷っていれば、自分だけではない。みんなが命を落としてしまう。
例え自分の手で同胞を血に染めたとしても……守らなくては。
「有り難う。」
そう一言だけ言うと、キラはストライクの方に歩いていった。
ガロードがちらとその後姿を見ると、何かがのしかかっている様に見えた。
また丁度その近くにティファの方はと言うと、テクスの身辺の世話をしながら、何とかガロードの力になれないかと、考えていた。
自分はそんなに身丈夫と言う訳ではないが、持ちえる力を最大限に利用して何か出来るようにしたい。いや、したい。
その時、ある出来事が思い起こされた。
自分が宇宙に行く前、ビットMSを操縦する者がフリーデンに対して牙をむいた時、自分がガロードに何が出来たかを。
そして一つの結論を出した。
その結論はある意味危険な賭けだ。
だが、何もせずに艦の一室でガロードの帰りを待つだけの存在になるよりかは幾分良いだろうし、何より自分の一番成したい事を二つも叶える事が出来る。
ガロードに言ったらどんな反応をするだろうか ?
必ず最初に驚いて、そんな危ない事は止めろと言うに違いない。
だが、こればかりは自分に視線を向けて欲しい事の次に通したい我が儘だった。
ティファは作業班に指示を出しているマードックに近づいた。
作業を一旦終えたガロードが休憩をしていると、マードックが複雑そうな顔をして彼の元にやって来る。
気軽に、「どうかしたの ? 」と訊ねたガロードに対して、彼は「それが……」と気まずそうに言う。
マードックから事情を聞いたガロードは、飲みかけの飲み物を危うく口から吹き出しかけてむせかえってしまう。
「ティファが一緒に乗りたいって言ってきたから、あのMSを複座式に改造させてくれだって ?!! 」
「そうなんだよ。幾ら言ってもあの嬢ちゃん聞かねえんだよ。危なっかしいっていったらありゃしねえのに……お前さんから何とか言ってやれんか ? 」
マードックの舌の根の乾かぬ内にガロードはティファの方に走り出す。
当のティファは格納庫から居住区に移ろうとしていたところだった。
「ティファ !! 」
呼び止められたティファは自分の方に血相を変えて走ってくるガロードの方を見返る。
息を整え、出来るだけ落ち着いた様な雰囲気で話しかけられた分はまだ良かったが。
「どうしたんだよ。一緒にって……危なすぎるじゃねえか。」
そう言うと、ティファは真剣な顔ではっきりと答えた。
「私は私に与えられた力をガロードの為に使いたいの。私も、守りたいから、あなたを。それに……」
「それに ? 」
そこまで言うと、ティファは恥ずかしそうに下を俯き聞こえるか聞こえないかの声で続ける。
「いつもガロードと一緒に居れるから……なの。」
「えっ ?! 」
「な……何でもないの……お願い。」
ティファはそれ以上何も言う事無く、その場から早歩きで去ろうとする。
不意に後ろから声がかかった。
「わかった ! 後で整備のおっさんにたのんでみるよ ! 」
その答えがうれしい。自分はガロードの精神的な支え以上に何かをしたかった彼女にとっては何よりも。
「じゃあ、また部屋でな。」
「うん。ガロードもあまり無理はしないで……」
「オッケー。あ、部屋よりかそろそろご飯時だから食堂の方が良いかな ? 」
「クスッ……私は何時でも待てます。」
「あ、あれぇ ? そお ? それならさあ……」
結局、お互い何処で待ち合わせるかについて、その場で十五分近く話しこんでしまい、ガロードが早く作業に戻って来いと言われる羽目になったが。
マードックは図面を見て頭を抱える。
あれからガロードがジンの改造を頼んできたのでそれは快く引き受けた。
ゼロとストライクの整備はいつでも新品同様で出撃出来るほどに完了し、幾らか手持ち無沙汰だったからという事もあるからだが。
しかし、引き受けたは良いものの問題が山積みの状態だ。
確かにザフトには複座式のジンが存在するが、資料なんて物は無い。
鹵獲でもして構造を知ればなんて事はないだろうが、そうそう飛んでいる代物でもない。
何より最大の問題が資材と装備、そして今、この艦の上の方でも水と並んで話題になっているだろう弾薬。
改造が済んでも丸腰で出て行ったんでは話にならない。
何回目になるか分からない程頭を掻いた時、通信が入る。
ブリッジから入ったそれは、補給を受けられるある地点が見つかったと言うのだ。
しかし、マードックは首を傾げる。この近くにそんな事の出来る場所があったか、と。
キラはストライクで、ガロードはプロトジンでキラの友人達が作業ポッドで行っている補給作業の護衛に当たっていた。
アークエンジェルが見つけた補給場所……それは地球の周りを取り巻く宇宙ゴミの墓場、デブリベルトだった。
用済みになった人工衛星や、宇宙開発の段階において発生する廃棄物が漂っている所と一般には認知されているが、勿論そこにあるのはそういった物だけではない。
比較的原形をとどめた艦艇、撃墜されたMSが漂っている事があるのだ。
そういった物から得られる資材は非常に有り難い物でもある。
しかし、元の世界でそういった事には慣れているガロード以外は、今回の補給作業は死者の眠りを妨げる様な、盗掘者紛いの事をやっているという後ろめたさがあった。
こと、水に関しての一件はそんな意識を避けようが無かった。
デブリベルトで見つかった巨大な大陸。
それは、C.E世界で起きた戦争の最たる原因であり、ナチュラルとコーディネーターの間に横たわっているどうしようもない溝をありありと表す最大のデブリ、ユニウスセブン。
プラントの七割は水圏で、ユニウスセブンも一億トン近い水が凍り付いている為、水はそこから補給する事となった。
逃げ遅れた母子の遺骸を意識せず見た時はキラも言葉を失ったが、出発する前にムウが言った言葉を思い出して、何とか正気を保てていた。
-俺達は生きてるんだ。ってことは生きなきゃなんねえ、ってことなんだよ ! –
自分達は間違い無く生きている。ここに存在している。
言い方が不味いかもしれないが、生者こそが勝利者なのだと思うしかない。
一息吐いて脇を見ると、ガロードのジンがせっせと作業していた。
先程作業をすると言う事で、一応自分達と一緒に形式上だけ黙祷はしていたが、見たところここでの作業に他の人達が持っている程大きな心理的な抵抗感とかは感じてはいない様だ。
「作業……凄く早いね。」
「んあ ? まあな。生き延びるにゃ仕方ねえ事だってあるだろうよ。俺達までここで眠る人達の仲間入りってのは勘弁だからなぁ。」
「そう、だね……」
感心したように言ったキラの一言をなんて事はない様に飄々とガロードが受け流す。
その時、ストライクとジンに大きな声が聞こえてくる。
『逃げてください !! 一刻も早く、そこから !! 』
その声に真っ先にガロードが反応する。
声の主のティファは、ジンの複座式への改造に着手出来ていない今、居住区でガロードの帰りを待っている筈だった。
「ティファ ! どうしたんだ ?! 」
それは彼女にしてみれば結構大きな声だった。
いつもは穏やかで、静かな声なのにここまで大きな声を出すと言う事は……
紛れも無い。何か、敵が近づきつつあると言う事なのだろう。
またもや勝手にブリッジに入ってきて、しかもCICの通信機を勝手に使った事に対して、通信機越しにナタルが『何をやっている ?! 』とか、『作業はまだ済んでいないんだぞ !! 』とティファに怒鳴るのが聞こえてくる。
ガロードは両手に抱えられるだけの資材を持って、アークエンジェルに帰投する。
資材を搬入し終わったガロードは、次に作業用ポッドに作業をしていた者達全員が乗り込んだのを確認し、それも直ぐに収容する。
その最中にキラが話しかけてくる。
「ガロード、どうしたの ? 」
「わからねえけど、何かやばいみてぇだ。ティファがここに居るのは不味いって感じたんだろうけどよ……」
「ティファって、君とよくいる女の子の事 ? 」
「ああ、後でお前の友達とかにも俺の自己紹介含めて紹介するよ。それはそうと、先ずここを抜けださねえ事には……」
そう言うと、ジンのバーニアが一層吹かされる。キラのストライクもそれについて行く。
二機を収容したアークエンジェルはその場を全速離脱した。
その丁度三十分後、彼等が居た宙域に強行偵察型のジンと一つの救命ポッドがやってくる。
尤も、ジンもポッドも数時間後に当該宙域に来たザフトのナスカ級戦艦に拾われたが。
取り敢えず投下終了します。鳥つけましたので宜しく。
ティファの力でキラとラクスが出会うのを回避させますた。
今後どうなるかは一応考えていますので。
ではまた後程。
ティファが血相かえるほどのヤバさ
ピンクテラコワスw
ちょwwwwwラwwwwwクwwwwwスwwwwwwww
さりげに、某カガリ暗殺に匹敵する歴史の大転換点に立ち会ったような
気がするんスけど…ティファ超GJ!!!
やっぱり教祖様はヤヴァイモノだったのか
願わくば、ナスカ級による回収までに700時間ほど経過していましたように…
…え、無呼吸闘法?
やつならやりかねんw
ごひの如く仮死状態に…
どうしてティファをMSに載せたがるかな
ただでさえ「力」を便利に使われがちなのにこの上戦闘にまで駆り出すのか
GJ
しかしティファに大声で警告を叫ばせるほどとはピンク恐るべしww
と言うことは矯正は不可能レベルと言うことでラスボス化するのか?
>>663 いつでもティファは前線から外されてるからたまにはこういうのもいいんじゃね?
いざって時にティファ連れて逃げる為じゃね?
第十一話投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第十一話「その時の為に私がいます。」
ガロードがブリッジに行くと、ティファがしゅんとした顔で、ナタルが憤懣やる方無いという顔で、そして、マリューが複雑そうな顔でお互いに向き合っていた。
話を聞くと、確かにアークエンジェルが離脱したポイントに実際にジンが三十分程後にやってきたと言うのである。
まあ、その時には相手方より距離にして半径1500余りは離れていたから、流石にこちらの事を察知されると言う事はなかったそうだが。
ナタルが一番の問題としている事はやはり、勝手にブリッジに入ってきて、更に勝手にCICの通信機を使って作業を強制的に終了させた事だ。
また、無駄な交戦を避けられたと言う周りのブリッジクルーの言葉を「そういう問題ではない !! 」と一喝しもする。
「おまけに ! ブリッジに通じるエレベーターのコードが分かった理由は何だ ?! 言っておくが、私はお前達を完全に信用しているかどうかは言うに及ばず、信用した訳ではないからな !! 」
その言葉にマリューは猛然と反発する。
「バジルール副長 ! 信用に関しての問題は尋問の時に既に決着済みです ! 確かに幾つかの軍務規定を無視したかのような行動を彼女がしたのは事実ですが…… !! 」
「したかのような、ではなくてしたのです !! 彼女は ! 」
軍人の家に生まれ、規定等に従う事が第一であると常々教えられた彼女にとっては、アルテミスの一件以来度々ブリッジにやって来るティファをどうしても信用する事が出来なかった。
一瞬言葉に詰まるマリューだったが、徐々に声のトーンを大きくする様に反論する。
「確かに一連の行動はこちらとしても問題にならざるを得ないけど……彼女がいなかったら、作業をしていたメンバーがどうなっていたかある程度想像できるわ。それを彼女は未然に防いだ。
おまけに、あなたも十日前にこの子が尋問を受けた時に居たでしょう ? この子が自分から傭兵になるっていう事を聞いた筈よ。一般人よりは多少のリークがあっても不思議ではないわ。」
「ですが…… ! 」
収まりの着かない言い争いをガロードが何とか宥める。
「まあまあ。艦長さん落ち着いてくれよ。副長さんもさあ。信用がどうのこうのって所はちょっとこちんときたけど、結果オーライなんじゃね ?
誰も怪我したわけじゃねえし、船がどっかやられたって訳でもないし。」
そのガロードをマリューはやれやれといった感じの薄く両口端を上げた表情で見るが、ナタルはギロリと睨んでくる。
そこに助け舟を出したのが、後ろで聞いていたムウだった。
「ともかく、こっから先は艦長さんの判断だろ ? それで、結局どうすんの ? 」
ティファは不安そうにガロードの方を見つめる。
それを「心配すんなって」とでも言うような表情で応えるガロード。
やがて、マリューから一つの結論が口に出された。
「今回の件に関しては不問に付します。
但し、ティファさん。この次からは私に通信を取り次いでから行動を起こして下さい。良いですね ? 」
「はい…… ! 」
温情による判断が下った。
ガロードは人目も憚らず、「よっしゃあ ! 」と言ってガッツポーズをする。
ナタルは憮然とした表情をしたまま、下部にある自分の席に座った。
ある意味でティファの力がブリッジクルーだけにとは言え、認められた瞬間だった。
ガロード達がブリッジを出た後にナタルはマリューに質問した。
「艦長は信用なされるのですか ? その……彼等は否定しましたが、ニュータイプという力を。」
それに関してマリューは深く一息吐いて答える。
「今回の一件があるまでは私もあなたと同じだったわ。でも、あそこまでその……見せ付けられると、反論できないわね。
敵のスパイなんじゃないかと言ってしまえばそれまでだけど、そうだとしたら今までの行動には明らかに矛盾点が出るもの。
その辺を含めて今回の判断を下しもしたし、あの子の力を信じてみようと思ったの。」
一応の答えは聞いた。だが、ナタルにはどうしても腑に落ちない。
そのまま自分の仕事に戻る事にした。
その日の昼頃、食堂ではキラの友人達の自己紹介が始まっていた。
「じゃあ紹介するね。僕の名前はキラ。キラ・ヤマト。ってもう知っているよね。」
「俺の名前はサイ・アーガイル。よろしく。」
「俺、トール・ケーニヒ。一緒に頑張ろうな。」
「私はミリアリア・ハウ。CICじゃもう会ったよね ! 改めてよろしくね ! 」
「私はフレイ・アルスター。よろしく。」
キラの友人達から一通りの自己紹介があったので自分達も自己紹介をする。
「俺はガロード・ラン。呼ぶ時はガロードで良いぜ ! 」
「ティファ・アディールです。これから色々とよろしくお願いします。」
和やかな雰囲気でお互いがそれぞれ握手する。
「ねえ、二人って何処の出身なの ? 」
「えっと、大西洋連邦ってトコ。」
ミリアリアの質問にガロードが艦長達から言われた、返答の仕方に関してのマニュアルを思い出す。
艦長達が言うには、異世界から来たなどという事を誤解しかねない事を気安く喋る訳にいかないとの事だ。
その点は二人とも納得していたが、自分達が嘘を言うのは性格上些か気が引けた。
「それじゃあさ、ヘリオポリスに居たのは何で ? 」
「それは、ちょっと旅行みたいな感じで、かな ? 」
サイの質問にガロードはちょっと苦しいかなという感じで答える。
あの尋問の時にカレッジに編入する予定だったというのは ? という案がクルーの中から出た。
が、この世界での知識をロクに持っていない二人にそれはちょっと……というのが大半だった為、無難に旅行で来たという事になった。
「よくザフト兵と一緒に居て無事だったなあ ! って言うかどうやって ? 」
「へへっ、上手くやったんだよ。っても、結構ドキドキしたけどな ! 」
そればかりは事実だから、気兼ね無く話せる。
そこまで言うとガロードはラスティの事がちらと思い起こされた。
あいつ、大丈夫なのかな ? と。
他愛も無いそれは何事も終わるかと思われた。
が、その時、またもティファは何かを望まずして察知してしまう。
幻の様にはっきりとせず、薄ぼんやりとしたそれは全員に深く絡み付いている様に何かが存在している。
「ティファ ? どうかしたのか ? 」
ガロードがティファの変化に気付いて声をかける。
「ううん、何でもないの。ちょっと、疲れただけだから……心配してくれて有り難う。」
「ホントか ? あまり無理しないでくれよ ? 」
「うん。無理はしないわ。……ガロードに心配させたくないから……」
そう言ってティファは顔を少し赤らめる。
その様子を見ていたヘリオポリス組みから華やいだ嬌声が上がる。
その声の意味するところを知ったガロードは真っ赤になって反論する。
「そ、そんなんじゃねぇ〜 ! 俺はなあ……」
喚きかけるガロードに後ろから声がかかった。
「よお、坊主 ! ここに居たか !! ちと話したい事が色々あるから、ハンガーまで来てくれねえかな ? 」
マードックが食堂のドアを開けて、ガロードに話しかける。
「整備のおっさん ! どうかしたのか ? 」
「例のジンの改造についてなんだけどよ、ちょっといいか ? 」
ガロードはヘリオポリス組の方を見る。
色々と話したい事はまだまだあったが、まだ時間はあるのだからそこまで急ぐ事でもないかと思って、オッケーサインを出す。
「あ、それとそっちの坊主も一緒に来てくれないか ? 」
と言ってキラの方を向く。
「えっ ? 僕もですか ? 」
「ああ、こっちの坊主の為にジンのOSの書き換えを、ちっとばかし手伝ってもらえないかと思ってな。」
キラは少し考える。
だが、マードックは自分の事を好意的に見ている。
自分の能力の事を、ヘリオポリスにいた時にお世話になったカトウ教授と同じ様に、一個人の個性として見てくれているのは、有り難かったが。
手伝わないと言う理由は特に見当たらなかった。
「分かりました。ガロードと一緒に直ぐに行きます。」
「よし、じゃあ頼んだぜ。」
マードックはその場を後にする。
ガロードがキラを誘って直ぐに向かおうとする。
そこにティファがついて行く。
その直後、フレイが小声で呟いた。
「ジンって、今医務室に居るザフトの兵隊が乗ってたやつでしょ ? 」
「そうだけど、どうかしたのかよ ? 」
ガロードがなんて事は無いようにフレイに聞き返す。
しかし、次の瞬間彼女が発した言葉はそこに居た全員が耳を疑う様な物だった。
「何でヘリオポリスに置いて来なかったの ? 」
「何でって……見捨てられねえだろ。まあ……ティファが助けたいってのもあったし、俺MSの事さっぱりだからって事もあったけど……」
その時、ティファがすっとフレイの前に立つ。
「な、何 ? 」
「恐れないで。自分が恐れていたら相手もあなたに近づこうとはしなくなってしまいます。優しく相手に手を差し伸べる事がお互いを理解する始めの一歩だと思います。」
「ちょっ……それじゃ、相手がその手を振り払って自分にナイフを向けようとしたらどうするの ? 」
「ナイフを向けられたら、銃を向けられるよりまだ話し合う余地はあると思います。」
「それじゃ、その銃を向けられたらどうするの ? 問答無用で撃たれちゃうのよ ! 」
「銃で撃たれても、自分が『あなたに敵意は無い』と、伝えられます。それに、自分の意思を継ぐ人がその人の前に立つ事が出来るでしょう。」
「じゃあ……じゃあ……撃たれて死んじゃったらどうするのよっ ! 」
「……死ぬ事は悲しいです。確かにその死を悲しむ人もいるでしょう。でも、その人の意志が無視されてしまう事より、一度接触して嫌われるよりもっと悲しい事です。
一人ひとりが手を差し伸べる意志を持てば大きな力となると私は思っています。彼も一人の人です。私達と同じです……」
フレイの言い方は最早最後は喚き散らしに近かったが、ティファはそれを極力やんわりと応対した。
言葉に詰まって困惑した顔になったフレイに、ティファは優しい顔を向けて言う。
「安心してください。あなたは、本当は優しい思いを持っている人……素直になれたらそれが出ます。ですから、死んで良いなんて考えないで下さい。」
言われてフレイは表情をすっきり晴らす事はなかったが、幾分先程より優しい口調で「分かったわ。」と答えた。
それを聞き遂げたティファはガロードの側に寄り添い、ヘリオポリス組の囃し立てに送られてハンガーへと向かった。
「これがあのプロトジンなのかよ ? 」
「もうこんなに武装してりゃあ、プロトなんて名前はお飾りだなあ。ジンなんとかカスタムって言った方が早いぞ。」
目の前に立つ冴えた青と純白の白のツートーンでカラーリングのされたジンを前にガロードは惚れ惚れとする。
コクピット内部は複座式にきちんとなっているし、ガロードが座る位置には色々な説明が箇条書きになってメモの様にあちこち貼られていた。
メインカメラレールの辺りのガードも取れてかなり見やすい視界となっている。
武装にしても、デブリベルトで必死に作業した時の成果が出ていた。
標準装備のMMI-M8A3 76mm重突撃機銃とMA-M3 重斬刀は勿論の事、足の部分にM68 パルデュス3連装短距離誘導弾発射筒、更に左手にはM69 バルルス改特火重粒子砲が備え付けられている。
但し、重粒子砲はガロードにとってかなり使い回しの悪い武器といえる。
相手が実体弾を無効にするフェイズシフト装甲を持っていると聞いた時、説明に小一時間程かかって、貴重な武器だという事は理解できたが、それでも素直にうなずけない面がある。
装弾数が少ない、エネルギー摂取は外部カートリッジから、汎用的である訳でもないのが正にそうだった。
それに関して愚痴っていると、ティファがガロードの側にやって来て悩みを解消させるように言った。
「大丈夫。その時の為に私がいます。」
「ティファ……」
「この世界で……ガロードにまた……力を……」
それを聞いてガロードは心の中に強い力を感じた。
自分は今傭兵という立場だが、本当の望みはティファと平和に何処かで静かに暮らす事。
その為には何でもやらなくてはと息巻いていた。
その様子を見ていたキラが話しかけてくる。
「整備終わったの ? 」
「ああ、まあな。ところで何か浮かない顔してっけど、どうしたんだよ ? 」
キラは言葉に詰まる。
言った方がいいだろうか、それとも言わない方が……
「友達がいるんですね……相手の船に。」
「「ええっ ?!!! 」」
その言葉に二人は驚くが、驚く理由が違っている。
ガロードはキラの友人がザフトの船に乗っている事に関して、キラはそれをなぜティファが分かったのかという事だった。
その二人の表情をものともせず、ティファはキラに向かって優しくアドバイスらしき事を言った。
「あなたが抱えている問題は、あなた自身がどうしたいか考えて動けば解決すると思います。
その心をしっかり持っていれば悲しい明日は避ける事が出来ると私は信じています。」
「君は……一体 ? 」
「御免なさい、今はこれ以上は……失礼します。ガロード……部屋で先に待ってるから……」
「おう、直ぐ行くぜ ! 」
ティファはそう言うと一礼して、その場を去る。
ガロードは何事も無かったかのように、さあ仕事仕事、と言いながら自分のジンの方に戻っていった。
しかし、キラは相変わらずその場に立ちつくし、ティファが去っていった方を見ていた。
自分を待ち受けている悲しい明日というのはどういう事なのか懸命に考えながら。
投下終了します。
では、また後程。
訂正:673 無視されてしまう事より→無視される方が
「よくザフト兵と一緒に居て無事だったなあ ! って言うかどうやって ? 」を訊いたのはトールです。
重大欠陥発生の為、671分だけ再投下します。
その日の昼頃、食堂ではキラの友人達の自己紹介が始まっていた。
「じゃあ紹介するね。僕の名前はキラ。キラ・ヤマト。ってもう知っているよね。」
「俺の名前はサイ・アーガイル。よろしく。」
「俺、トール・ケーニヒ。一緒に頑張ろうな。」
「僕はカズイ・バズカーク。よろしく。」
「私はミリアリア・ハウ。CICじゃもう会ったよね ! 改めてよろしくね ! 」
「私はフレイ・アルスター。よろしく。」
キラの友人達から一通りの自己紹介があったので自分達も自己紹介をする。
「俺はガロード・ラン。呼ぶ時はガロードで良いぜ ! 」
「ティファ・アディールです。これから色々とよろしくお願いします。」
和やかな雰囲気でお互いがそれぞれ握手する。
「ねえ、二人って何処の出身なの ? 」
「えっと、大西洋連邦ってトコ。」
ミリアリアの質問にガロードが艦長達から言われた、返答の仕方に関してのマニュアルを思い出す。
艦長達が言うには、異世界から来たなどという事を誤解しかねない事を気安く喋る訳にいかないとの事だ。
その点は二人とも納得していたが、自分達が嘘を言うのは性格上些か気が引けた。
「それじゃあさ、ヘリオポリスに居たのは何で ? 」
「それは、ちょっと旅行みたいな感じで、かな ? 」
サイの質問にガロードはちょっと苦しいかなという感じで答える。
あの尋問の時にカレッジに編入する予定だったというのは ? という案がクルーの中から出た。
が、この世界での知識をロクに持っていない二人にそれはちょっと……というのが大半だった為、無難に旅行で来たという事になった。
「よくザフト兵と一緒に居て無事だったなあ ! って言うかどうやって ? 」
「へへっ、上手くやったんだよ。っても、結構ドキドキしたけどな ! 」
そればかりは事実だから、気兼ね無く話せる。
そこまで言うとガロードはラスティの事がちらと思い起こされた。
あいつ、大丈夫なのかな ? と。
他愛も無いそれは何事も終わるかと思われた。
が、その時、またもティファは何かを望まずして察知してしまう。
幻の様にはっきりとせず、薄ぼんやりとしたそれは全員に深く絡み付いている様に何かが存在している。
「ティファ ? どうかしたのか ? 」
ガロードがティファの変化に気付いて声をかける。
「ううん、何でもないの。ちょっと、疲れただけだから……心配してくれて有り難う。」
「ホントか ? あまり無理しないでくれよ ? 」
「うん。無理はしないわ。……ガロードに心配させたくないから……」
そう言ってティファは顔を少し赤らめる。
その様子を見ていたヘリオポリス組みから華やいだ嬌声が上がる。
その声の意味するところを知ったガロードは真っ赤になって反論する。
「そ、そんなんじゃねぇ〜 ! 俺はなあ……」
喚きかけるガロードに後ろから声がかかった。
カズイ……スマンm<-_->m
乙。
しばらく前から思ってたが、ティファの能力が便利すぎて展開がおざなりになってるような。
なんか抽象的に何かを感じるのがNTであって
これじゃ本当にテレパスだな。
まぁ・・NTにもいろいろ解釈があるんだろうが
XのNT能力って忘れちまったがこんなに万能だったかな。
一回しか見てないから記憶にないや・・
投下お疲れ様です。
あまり被らないようにしたほうがいいかと思うので、予告。
6日に投下します
ティファの力は便利だが
それに頼りすぎるのは登場人物・職人の成長を止める
何ができるのか・何ができないのかはきちんと決めておいたほうがいいぞ
世界規模の予言はティファの能力を超えている気がする
ちょい久しぶりのCrossASTRAY氏に期待。
6日後は長いなぁ、と思ったら6日に投下だったw
しかしまあ少なくともキラの未来は九割方救われたようなもんだな。
このまま戦って生き抜こうと、あるいは万一半ばで斃れる事になろうとも
いくら最強とは言えピンクのおもちゃの戦闘生き人形になり下がるよりは
なんぼかマシだろうて。
ラクスが危ないかどうかっていうより、ラクスとキラが出会っちゃうのが転換点なのかなぁ。
普通に歌姫やってる分にはさして害はなさそうだが。
塩素系洗剤だか漂白剤だか、個別には無害でも混合すると猛毒になる
化学物質みたいなもんだな。>キラとラクス
最初は天然お嬢様で特に害はなさそうだったんだけど、そういうキャラを「演じている」という設定だっけ?
どちらの面も素という異常者
第十二話投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第十二話「ティファには笑ってて欲しい」
目が覚めると少し暗い感じの天井がそこにある。
長い事眠っていた感じがするのは気のせいでは無く事実。
ふと横を見ると、白衣の男が何か古典文学らしき本を読んでいる。
そこまで見て、自分に何が起きたのか漸く頭の中で整理できてきた。
ああそうだ。ザフトレッドという事でアカデミーを卒業した自分は特別な任務を背負って出撃した。
連合軍が極秘開発していた新型MSを奪取するという特殊任務。
任命された時はヴェサリウスの廊下や自室でかなり舞い上がっていた。
緊張しがちな同期の友人……ニコルだったなあと、ふと思い出す。
そんな彼を冗談で笑かすのは隊の中では彼の一つの役目になっていた。
たまにイザークとアスランの諍いをディアッカと一緒になって宥めたり賺したりする事もあったが。
それが、ほんの少しドジを踏んだせいで、今は敵の船に乗っている。
捕虜として味方に引き渡されても、本国に帰ればレッドは剥奪されてグリーンに降格される上にエリートコースからは完全に外れる事になる。
父親は何と言うだろうか。
生きて帰ってきてくれて嬉しい等とは、恐らく口が裂けても言わないだろう。
寧ろザフトに入ったくせに、一人もナチュラルを屠れなかったのかと文句を言った後で、見限られるだろう。
母親は泣いて喜ぶかもしれないが。
「お目覚めかな ? 」
白衣の男ことテクスが、ラスティに話しかけてくる。
麻酔がまだ残っているのか、意識も体の動きもはっきりしない。
頭だけはほんの少しだけ彼の方に向ける事が出来た。
「俺は、どのくらい眠っていたんだ ? お医者さんよ ? 」
「そうだな、丁度十日は眠っていた事になるかな ? あまり無理はしない方がいい。
出血が酷かったから輸血はしたが、私の推測が正しければ今でもまだ君は、軽い貧血状態に陥っている筈だ。今はじっくり休むといい。
艦長も君に関しての処分は君がもう少し回復してからだと言ってきたからな。」
それは当たっていた。体の方はともかく、頭がこうまでフラフラするのは血が足りないからだと思えた。
「まあ、唯一の救いは弾が貫通していた事だ。」
補足気味にテクスが言ったのもラスティには薄ぼんやりとしか聞こえなかった。
「俺は……ずっとナチュラルはゴキブリだって思っていた。」
突然始まったモノローグにテクスは耳を傾ける。
ガロードやティファが助けて欲しいといったこの青年が一体どういう人物なのか気になるところでもあったからだが。
「見たら直ぐに銃を構えて、狙って、撃つ。そうすれば良いと思ってた。
軍人も民間人も纏めて……馬鹿で鈍間な奴等なんだから、自分達より劣っているからそうしてもいいと思ってた。
相手もそう思ってるからだとも言われた。けど、初陣でそれは違うって事を思い知らされるなんて思ってもいなかった。
あんたの知り合いの、それも俺らから見れば一番弱そうなナチュラルにな。」
そこまで言うと、テクスは一応「あの少女の事か ? 」と訊く。
「ああ、そうだよ。何か妙ちきりんな力を持ってる以外は唯のナチュラルっぽいのに、何でだろうな ? 」
それを聞いたテクスは再び読書に戻る。
「私は、彼女が君のナチュラルに対しての認識を変える事が出来たのは、君の言うその妙ちきりんな力だけではないと私は思うがね。」
「じゃあ、あんたはどう思う ? 」
「それは君自身が見つける事だ。それが分かった時、君はナチュラルが踏み潰すだけの存在ではなくて一体何なのか、本当に分かる筈だ。」
「あ、そう。まあ、しっかり肝に銘じておくよ。」
質問に対し、その答えは人に聞く物でなくて自分で見つけ出すものだとテクスは答える。
その答えが見つかるのはいつになるだろうかという思いに耽りながら、ラスティは再びまどろみの中に落ちて行った。
疲れる。非常に疲れる。
何故この船に乗ってからこんなに疲れることが多くなったのだろう。
アークエンジェルの自分達に割り当てられた個室にあるベッドで横になっていたティファはふとそう思ってしまう。
色々な境遇の人が乗っているから、感じ取ってしまう事も多いのだろうか ?
しかし、彼女は元の世界でD.O.M.Eと出会って言われた事を思い出す。
今も、自分の力を認めているかい ? と。
あの時、自分は認めている、しかし普通の人として生きたいと答えた。
その時は自信があった。大丈夫、きっと出来る。ガロードと一緒なら、と。
だが、それは結構難しい事だと知らされた。
誰かの思念、二、三ヶ月先であろう未来。
それは否応無しに彼女の心に伝えられ、即座に体にも影響を与えてしまう。
他人に悟られない様彼女も努力はしたが、伝えられる内容に驚いてしまうのはどうしようも出来なかった。
その時、部屋の扉が開いた。
「あー、疲れたあ。結構地道な作業だかんなあ。」
ハンガーから戻ったガロード。
黙り込み、沈んだ表情のティファがベッドで横になっているのを見てすかさず声をかけてきた。
「ティファ ? どうしたんだよ ? 具合でも悪いのか ? 」
少し静かな間があった後、何でもないと言いかけて、目が潤む。
ガロードに向けた気丈な笑顔もいっぺんに崩れ、大きな目からぽろぽろと涙がこぼれる。
心の中にある最後の堤が完全に崩壊したティファは、ベッドから身を起こしガロードにぎゅっと抱きつく。
声を押し殺したように泣くティファは途切れ途切れに言う。
「ガロード、私……私もう、人の心を……」
その後はもう声にもならない音が口から出てくるだけだった。
いきなり抱きついてきたティファに驚きながらも、ガロードはぎこちない手つきで優しく抱き返す。
「ティファ……ごめんな、辛い思いばかりさせちまって。でも、もう我慢しなくていいよ。」
「えっ ? 」
「たまには、その……ティファの方からも、今みたいに俺の事頼ってきても……」
上手く言えない。人の心を感じ取った事がないから。
こんな時に上手くフォロー出来ない自分がもどかしかった。
言葉に詰まるガロードにティファが優しく言う。
「有り難う、ガロード。あなたの気持ちは……私に伝わったから……」
そう言ってティファは涙とその流れた筋を手でふき取り、笑顔を見せる。
ガロードに素直に頼ったり、甘えたりする事。
きっと自分はそうしたかったのだ。それなのに、ずっと一人で抱え込んでしまって……
まるで前にガロードが自分の事を見ていなかった時の様に。
ティファの晴れた顔を見てやっと落ち着いた気持ちになるガロードは追加する様に言う。
「あっ、それとさ、余程の事じゃねえ限り、あまり色々と考えるのは止した方がいいぜ。
俺、ティファには笑ってて欲しい。」
「……うん ! 」
二人の間にたちまち元気が戻って来る。
そして二人は共通のヴィジョンを思い浮かべていた。
自分達の世界で共に新しい明日を歩み続ける自分達を。
その為にD.O.M.Eは自分達に未来を託していったのだから……
それから、三日後。
ガロードがやっているシミュレーター訓練に付き合っていたヘリオポリス組はその結果にただただ驚かされていた。
OS等の補正や、注意書きがあちこちに貼られているとはいえ、初めてMSの操縦桿を握ってから二週間ほどで宙間訓練での撃墜スコアが二桁台に入っていたからだ。
一応の訓練を終えると、周りから歓声が上がる。
「すっごいなぁ、撃墜スコア二桁台なんて !! 」
「俺も訓練したらそれ位出来るようになるかなあ ?! 」
サイやトールが無邪鬼に言う。
それを後ろからムウやマードックが「調子に乗るな」と言わんばかりに軽く小突く。
しかし、二人もガロードの機体に関しての順応性は目を見張る物だと素直に思えた。
並みの連合軍兵士だってここまで出来るかと訊かれたら、正直二人とも言葉に詰まってしまう。
それだけガロードが天性とも言えるMS操縦の技術を持っている事になるのだろうか ?
シミュレーターから降りた彼はなんて事ない様に結構済ました顔をしているが。
そこにブリッジから一つの明るいニュースが飛び込んできた。
連合軍第八艦隊の先遣隊が合流と補充要員の派遣を申し出てきたのだ。
これは願ってもない朗報だった。
今まで寄せ集めの人材で、誰かに頼る事も出来ず、極力戦闘を回避し続けてきた、はっきり言えば逃げ続けるしかなかった彼等に、光明が射したのと同じだったからだ。
そしてそれはもう一つの知らせをヘリオポリス組にもたらした。
それは先遣隊を編成している戦艦の内一つにフレイの父が乗っていると言う事だった。
彼女はそれを嬉々とした表情で聞いていた。
勿論、その知らせは彼らと一緒にいたガロード達の耳にも入る。
ガロードは肩の重い物が一気に滑り落ちて行く様な感じに包まれた。
少なくとも、これで傭兵稼業から離れられるかなと思ってしまった。
しかし、またしてもその隣にいたティファは何かを感じ取ってしまう。
だがそれは、今までの様に定まったような物ではない。
そういった感じは幾つか今までにあった。
ティファがガロードと無理矢理引き離されてしまった時がその好例と言える。
それをD.O.M.Eはガロードが悉く未来を変えたと言い切った。
今度もそうなるなら……
「総員、第一戦闘配備 ! 繰り返す ! 総員、第一戦闘配備 ! 」
突然に艦内放送が入った。
事情が飲み込めないガロード達は周りの者達に訊く。
「一体どうしたんだよ ?! 」
「敵の戦艦が攻めてきたんだよ ! それもヘリオポリスでこっちの新型を奪取したチームを連れてきてな !! 」
それを聞いたガロードはハンガーに急ごうとする。
その時、同じ様にハンガーに向かおうとしていたキラがフレイに呼び止められているのを見た。
「キラ !! 戦闘配備ってどういう事 ? ねえ、パパの船は ?!! 大丈夫よね ? パパの船やられたりしないわよねっ ?! ねっ ?!! 」
キラはいまいち状況が飲み込めていないのか、焦り気味の答えを口にする。
「大丈夫だよ、フレイ。僕も……ガロードも出るから……」
そう言ってキラの顔がこちらに向けられる。
ガロードは顔こそ笑っていたが、内心「無責任だなあ〜」と思わざるを得なかった。
実際自分もこの世界のMSを駆って戦いに出るのは今回が初めてだ。
だが、ここまで来て泣き言は許されない。
「行くぜ、キラ !! 」
「うん !! 」
二人は共にその場を後にする。
着替えを済ませ、格納庫に入るとマードックから檄が飛んだ。
「遅いぞ ! 坊主共 !! 大尉はもう出たし、嬢ちゃんはとっくに来てるぜ !! 」
ここで言う嬢ちゃんは紛れも無くティファの事だ。
ガロードはジンの側で立っている彼女に通信機越しに話しかける。
「分かって……たの ? 」
「うん……でも、今回は分からない。私は……ガロードが未来を変えると信じてるわ。だから、……敢えて言わなかったの。」
それを聞くとガロードはにぃっ、と笑って、
「それで良いんだよ ! そんでもって未来を変える。いい方にな !! 」
「うん !! 」
暫く二人で見つめあった後、同時にコクピットに乗り込む。
密着とまではいかないが、スペースを限りなく削っても結構二人は引っ付いた状態になった。
コクピットハッチが閉まると同時に電源が、そしてブリッジから通信が入る。
「敵はナスカ級にジン三機、それとイージスがいるわ ! 気をつけて ! 」
ミリアリアが状況を教えてくれる。
イージスというのは奪取された新型のコードネームの一つだとマリュー達から教えられていたからなんとなくは分かったが。
続いてサイからも通信が入る。
「キラ、ガロード、先遣隊にはフレイのお父さんが乗っているんだ ! 頼む ! 」
ガロードの手に一層力が入る。それなら一層こっちが負けるわけにはいかない !!
機体がカタパルトに乗り、発進準備が整った。
「ガロード・ラン、ジン、出るぜっ !! 」
急激なGが二人を襲い、直後に無重力が二人を包む。
「よおしっ ! 行くぜ、ティファ !! 」
「ええ ! 」
二人は光が明滅するポイントに勢いよく向かって行った。
投下終了します。
ではまた後程。
乙
ペース速いねー
お疲れさん。
でも遠慮して待ってる人がいるのに自分のを投下するのは感心しないがな。
>>694 ナニガイイタイノカヨクワカラナイ。
6日に投下するというC.A.氏の予告があるとして、5日に投下する事に
何か不都合があるのかしらん。
スレの独占云々って事じゃないの?
その辺は書き手のペースや配慮に委ねられるモンだし
本人は問題提起していい事したつもりなんじゃね
なんにせよmGmRyCfjPw氏には頑張ってもらいたい
流れをぶった切ってGJ
流石ガロード、ジャミルやランスローといった前大戦のエース達をその適応能力の高さで驚かせただけはあるな。
ふと思ったんだがナチュラル並の能力しかないながらもエース級にまで上り詰めたC.Eの努力の人の代表格、
イライジャも何気に結構適応能力は高かったりしたんだろうか?
前回でガロードのジンが白と青のカラーリングと描かれてたが、
そのカラーリングと言うと・・・餌バースト?
俺ぁまたガロティファの二人乗りと聞いて、当然PSその他特殊装甲なんか
これっぽっちもないのに自動的にピンク(むろんミーアザクのような下品な
奴でなく癒し系の)に染まるものかとばかり。
>>695 >あまり被らないようにしたほうがいいかと思うので
と言ってずらしてるのに、その前に自分の続けて投下するのはどうyp? ってことじゃねぇの。
>>699 それはアレか、Hなふいんき(ry
いや、この二人だとそこまでいかないだろうがw
>>698 イライジャが適応力高かったらザフトで白服やってるよ
晩成型って言うか最初は覚悟が足りなかったって言うか
適応力ってかひたすら努力の人って感じだしなぁ。
イライジャは容姿と免疫以外はコーディネイトされていない
てか小説版アストレイ見て来い
それにしてもペース速杉
遅いよりいいのかも試練が・・・もう少し落としても隠者ねーか?
クオリティは高いほうだと思うし
まあそれはともかくGJ、明日のCAとお前さんの続きにも期待している
・・・Wスレや08スレのようにならないことを切に願う
ペースが遅いのはともかく速いのにも文句つける奴は一体どうしろと言いたいんだ?
ラクスとひとまず関わらずに済んだという展開になったとたんに涌いて出てるしなんか臭いな。
遅くても早くてもいいけどな、面白くてちゃんと完結してくれりゃ。
さて、もう6日ですよ、◆n/pJcmlREsさんw
第4話 回りだす歯車
昼間の暑さがやや薄れ、海が夕日を映す。夕日が沈むのを惜しむかのようにさざなみが音を立て、
境目が曖昧になった海と空は境目など無いと思ってしまいそうなほどだ。
やや暗くなり始めたとある島の砂浜に二つの人影が歩いている。影だけを見ればまるで親子のように見えた。
しかし、その二人は親子というには似ているとは言いがたい。
親のように見える人物は、黒い−光に照らされ若干濃い茶色に見える−髪をオールバックにした男性だ。
やや長身の彼のその手には茶色い杖が握られていた。杖を持って歩くにはまだまだ若いくらいの年齢に見えるが、
杖の先端で何かを探るように歩くところを見ると、どうやら目が見えないらしい。
もう一人は金色のふわふわとしたクセっ毛の少年。10代前半程度だろうか。
やや垂れ、昼間の青空のような色の瞳をしている。
砂浜に二組の足跡をある程度残した後、二人は立ち止まり、男性が口を開く。
「では頼みましたよ、プレア」
しかしプレアと呼ばれた少年はやや俯き、きゅっとまだ小さめのこぶしを握り締めて黙った。
「どうしました?・・・また苦しいのですか」
男性は暫くたっても答えが帰ってこないことを不審に思い。少年の体の中に根付く、
病魔にも宿命にも似たものが原因なのではないかと疑って、少し表情をしかめて聞いた。
「いいえ。それは大丈夫です」
彼は少し、苦笑いを浮かべながらはっきりと否定した。
「その・・・導師さま。こんな僕でも、本当に誰かの役に立てるんでしょうか」
プレアはそっと胸中の不安をこぼした。
そんな不安に、導師と呼ばれた男性はゆっくりと彼の肩に手をかけ、やわらかく微笑みかける。
「これはあなたにしかできない事です。あなたがあれを持ち帰る事によって、
エネルギー不足に苦しむ沢山の人々が救われる事になります。自信を持ちなさい」
はい、と静かに頷くも、まだ不安げな彼に対して、導師はさらに続けた。
「大丈夫ですよ。宇宙であなたを待っているジャンク屋の皆さんは優しい人たちです、きっとあなたの力になってくれるでしょう」
その言葉にようやく不安が拭えたのか、彼は俯いたままの顔を上げ、青い瞳を細めて微笑んだ。
「はい!では、行って来ます」
夕日ももはや後数分で沈むだろう。延々と続く砂浜に足跡、その先にある水平線。
少年の背をその見えない瞳で導師は見送りながら、願うように呟く。
「プレア・レヴェリー。運命の子よ…」
空は夕日のオレンジ色から深い青色のグラデーションで彩られ、白い月と星々が輝き始めていた。
オルテュギア内の格納庫。今ここはあと数時間で目的地の近くに到着するため、忙しく動き始めていた。
「メンデル?」
慌しく、轟音が反響し他人の言葉が聞き取りにくい状況下で、
ふいに耳に飛び込んできた言葉をガロードはそのまま聞き返した。
「遺伝子実験コロニーのことさ。まあ、今は放棄されているが。次の目的地だ」
興味を持ち、そばに寄ってきたガロードに最年長のクルー―アルコフと呼ばれている―は答えた。
「目的地なのは分かったけど。どうしてまた放棄なんてされたんだ?」
この世界の歴史を知らないガロードは、せめて少しでも自分が今いる世界の情報を得ようと色々な事をこんな風に質問するようになった。
これからこの世界で生きていくために出来うる限り知識を幅広く持つ必要があったからだ。
勿論自分達の世界に帰ることをあきらめたわけではないが、方法が検討も付かない以上今の流れの中でどうにか生きてゆくしかないのだ。
「バイオハザードが起こったのさ。何年前だったか…3年くらい前だな。だから今は無人だ」
アルコフのそんな答えに、「げっ」といった表情を彼はする。
「そんなに前じゃないじゃん。・・・大丈夫なのか?」
自然災害の起こり無いコロニーにおいて、考える限り最悪の災害であるといえる。
発生したら最後、危険度の高い汚染地帯と化す。ガロードがそんな反応を示すのも無理は無かった。
「何、一応X線照射で消毒されてはいるからな。無害だろうよ」
「なんだよ、はっきりしないな」
あまり心強い答えとはいえない。ガロードはわざと子供のように少しすねた様に言った。
そんな様子が何かおかしかったのか、アルコフは笑いながら大きな手で彼の頭をわしわし撫でる。
「俺たちは近くまで行くだけさ。後はパルス特務兵の仕事だ。それに艦にいるか、パイロットスーツ着てりゃ問題無い」
まぁ、そうだけど、と納得したような納得しないようなそんな事を呟きながらガロードはそれに続けて言う。
「カナード一人で行くのか。いくら廃棄されたコロニーったって、戦時中だろ?一人じゃ危険なんじゃ・・・あ、そうか。一人ったってこの艦があるから大丈夫か」
自問自答し、納得する。
「まぁ、そういうとだ。どうせ他の奴らがついていこうとしても拒否されるだけだしな。キラ・ヤマト関連は特に」
「そういえば、キラ・ヤマトってなんなんだ?人の名前だよな」
その名前を誰かが口にすると、カナードの表情が変わる。憎しみと殺意が滲み出し、
まるで別人になったかの様に激しい狂気にも似た感情を表に出す。その理由が気になるのだ。
「ああ、人名だな。・・・なんて説明すりゃいいんだか・・・、まぁなんだ。仇みたいなもんだ。」
決まりが悪そうにカリカリとこめかみを引っかき、言葉を濁しながらもアルコフは答え、
突っ込んでくれるなよといわんばかりに苦笑いを作る。
「そういうことにしておくよ」
突っ込みたいことは山ほどあるのだが。食い下がってもこれ以上教えてはくれないだろう。
本人から聞き出そうとも考えたが、やめておけよとアルコフに先に突っ込まれてしまった。
そのうち分かるとだけ付け足される。
「皆さんお疲れ様です。食事を持ってきました」
アルコフの手伝いをしながら2時間程度たったころ、ティファが食事を運んできた。その声を合図に機械が擦れ動く音達も消えて行く。
彼女は今、少しでもガロードの手助けになりたいと幾つかの仕事をこなしていた。
普段は全員交代しながら食堂で食事を取るのだが、出撃準備に入ると整備クルー達は忙しくなりそれも難しくなる。
そんな時彼らに食事を運ぶ、彼女の今の仕事の一つだ。
彼女は近くで作業しているクルー達から順に銀色のパックとチューブ入り飲料水を渡していく。
「もう少しマトモな物をたまには食べたいもんだ」
パックのふちの切り込みを横に引っ張り、栄養面だけを重点に置いた娯楽性のカケラも無い薄茶のブロックを取り出して言う。
素材の性質上だろうか、上手くまっすぐに開かず、ビニールを指で伸ばした時の様に波打った切り口となった。
「戦争中なんだ、贅沢言うなよ。こうやって食い物にありつけるだけでもありがたいと思ったほうがいい」
もう一人のクルーも、そうとは言いつつもやはりつまらなそうにブロックの端を噛み砕く。
少しでも満腹感を得ようと彼は何度も何度も噛んだ。
ブロック特有のもさもさとした食感は毎食食べていると拷問に近い。強引に飲料水で飲み込む。
「地球はもっと酷いからな。・・・お袋、大丈夫かなぁ」
すわり込んでパックを見つめたまま食べようとせず、故郷の母を思う者もいる。
本来ならば少しでもストレスを軽減させるための娯楽要素を持った食べ物もあったほうが良いのだが、
戦時中であることと、地球の現状はそれをよしとはしなかった。
「ティファ、お疲れ様。ありがと」
ティファの手からガロードは食事を受け取る。
彼女がこうやって働き始めてから、一緒にいる時間は必然的に少なくなってしまった、
だけれど自分が頑張っている間に彼女も頑張っていると思えばほとんど寂しさを感じることもない。
「ううん。私こういう事やったこと無いから、楽しい」
戦争中なのに不謹慎かもしれないけど、と付け足してふわりとした微笑みを少しだけ苦笑いに変える。
今までの様な関係だけではなく少しでも愛する人の力になりたい。
それだけで疲れても辛さなど微塵も感じない、むしろ新しい体験に楽しさを覚えるのだ。
「大変だったら言ってくれよ?手伝うからさ」
そんな風に二人で言葉を交わしているうちに、ガロードは周りからやけに視線を感じ、
あたりを見回してからぱちぱちと二、三回瞬きをした。
ある者はニヤニヤと笑みを浮かべ、ある者は羨ましそうに見つめ、ある者はしみじみと、
若いってのはいいねぇなどと好き勝手な感想を述べていた。
なぜ今まで気づかなかったのだろうか、答えは非常に簡単なものである。
つまるところ、先ほどまで二人きりの世界を作っていたために周りの会話が聞こえなかっただけの話である。
「〜〜そ、その。まだカナードの分、渡してないだろ?俺が渡してくるから!」
からかわれていることに気づいてその場から逃げ出したくなったガロードは、
適当な理由をつけて視線達から脱兎のごとく逃げだす。頬が熱い気がした。
残されたティファもまた、恥ずかしかったのか顔を真っ赤にしてうつむいている。
からかいの声はやがて自然な笑い声に発展する。
戦時中であるということすら忘れさせてしまう様なそんな明るい笑い声。
それは艦内の新たな日常になりつつあった。
鼓膜が震えないよう手でふたをして、それでも貫通して中に刺さってくる笑い声。
聞きたくなくて、もっと強く圧迫する。それでもまだ刺さった。
自分に向けられているわけでもなければ、他人を嘲笑う声でもない。
それでも脳に伝えられる過程で捻じ曲げられて突き刺さる。
突き刺さって、記憶の奥底を引きずり出す。
被害妄想もいいところだ。そうだと理解はしていた。
そのうち笑い声が聞こえてこなくなった。いったいどれくらいの時間、機体の影でこうしていただろうか。
こういった場合、体内時計など微塵も役に立たない。
新しい日常はまだ受け入れられなかった。
周りの状況を確かめようと手のふたを開けようとする…なかなか離れてはくれず、今は心臓の音がうるさい。
何度か深く呼吸をすると少しずつおさまっていく。
そのとき初めて誰かが自分ことを呼んでいることに気づいた。
「…−ド!」
はっとして顔を上げた。その過程で自然とふたは開く。
「カナード!どうしたんだよ。大丈夫か?」
「いや…問題ない。お前こそどうしたんだ」
問題ない、わけではなかった。
だが彼はそれを知られることを望まない。そしてガロードもまた、それを理解したのか、
それ以上深く聞くことはしなかった。
「俺?ああ、お前の分の飯持ってきたんだ」
ガロードが銀色のパックと、他のクルーとは違うパッケージのチューブ入り飲料を渡す。
受け取ってすぐブロックを取り出して手ごろな大きさに割って口に入れた。
「あ〜大変だった。なんでこう大人ってのはヒトをからかうのが好きなんだか」
表情も変えずにただ食べては飲料で流し込んでいるカナードの近くで、
食事をあらかた終えてぼちぼち作業に戻るクルーたちを眺めてぼやく。そういえばフリーデンにいたときもそんなことあったなと思い出した。
「さすがに毎日じゃあこんな飯あきるよなぁ。たまにはもっと普通のものが食べたいぜ」
思い出がちょうど食事というタイムリーな場面までたどり着いた。ついつい当時と比べてつぶやく。
「贅沢か。もっと前に比べたらこれでもましだし」
フリーデンの仲間たちと行動するようになる前、時には今より酷いものしか食べられない時期すらあったことを思い出し、
自分はこんなにも贅沢になっていたんだなと少し自嘲する。
「カナード?」
ふとカナードを見れば、食事の手も止めて何か考えこんでいた。その間が何か怖くガロードには感じられた。
「…これ以外に普通の食べ物があるのか?」
思ってもいない質問にガロードは言葉を失う。カナードは皮肉ったわけでもなく、冗談をいったわけでもない。
この娯楽性のかけらも無い、栄養面だけしか考えていないようなこの食べ物が、
唯一の普通の食べ物だといわんばかりの表情で質問したのだ。
彼はガロードの表情と言葉が凍ったことで何か納得したらしく、軽く視線を落とした。
そして若干の間の後目的地点到達の報告が届く。その報告を聞くなりカナードは、口の中に残るものを残りの飲料で流し込んで機体に乗り込んだ。
それはガロードが、やっとのことで言葉を見つけた直前のことであった。
【NEXT EPISODE:珈琲の味】
投下終了です。
次はあんまり間を空けずに投下できるといいなあ。
GJ!
ティファかわいいよティファ
GJ !!
お疲れ様です。まとめサイトでも見させてもらってます !
お互いにこれからも頑張りましょう。
カナードカワイソス|ω・`)
そのうちなんかふつーなもん食いに行けるといいなぁ…
どっかのSSではステーキ食ってたなw
あれだ、某元悪魔のチェス駒超人のように、自由に暮らし始めたら
今までの反動で食い道楽に走るようになったんだろう。
それじゃかませになった上にペリリされちゃうだろーがw
え?次のタイトルコーヒーの味?やっぱ食道楽なのか?
カナード…
ガロティファのやり取りを他クルーのように「若いっていいなぁ」とか思った後なだけにせつない…
GJです!
しゃしゃりでてここの職人さんたちに尋ねてみますが、
兄弟スレの添削人さんに添削をお願いしたい人いますかー?
どうも。投下して宜しいですか ?
では、投下します。戦闘シーン描写ですがスピード感ある仕上がりになったかどうか……
機動新世紀ガンダムXSEED 第十三話「私が手伝います」
戦場ではジン三機とイージスが、メビウス三機と交戦していた。
イージスはメビウスが発射したミサイルを軽々と打ち落とし、逆にメビウスを返り討ちにする。
圧倒的な機体性能差の前に、メビウスはどうしようもなく一機残らず打ち落とされていく。
残りのMAは後続のジンに任せるとして、後は大きな的があるだけだ !
イージスは獲物を見つけた猛禽の鳥の如く護衛艦バーナードに向かう。
そしてビームを撃とうとライフルを構えた。
その時、ビームライフルがいきなり爆発する。
いや、爆発したのではない。どこかから狙撃されたのだ。
どこから ?
その方向を見ると、特徴的なカラーリングのされたジン・ガロードカスタム、メビウスゼロ、そしてストライクがいた。
イージスは一瞬その方向にメインカメラを向けたまま止まってしまう。
だが、直ぐに動きを取り戻し、もう一つの護衛艦ローに向かった。
その間にも護衛艦モントゴメリにジンが取り付こうとする。
護衛艦から発進した後続のメビウスがそのジンと交戦しようとするが、ミサイルを撃つ前に次々と撃墜されてしまう。
そのジンはアークエンジェルからの砲撃で火球に包まれた。
イージスはその間を利用してMA形態に変形して、四足のクローを開き、580mm複列位相エネルギー砲 スキュラをローの艦橋に向けて発射しようとする。
しかし、それが発射され、砲門が光ったと同時に、目の前にジン・ガロードカスタムが躍り出て重粒子砲を向けて撃つ。
今にも炸裂しそうだったエネルギーの奔流が、ほんの僅かな火種で爆発し、内部に逆流していく。
強烈な衝撃がイージスを襲った。
しかし、大きく損傷したとはいえ、直ぐにMS形態に変形した後ストライクの方に接近する。
傍ではゼロがジンの一機に損傷を与える事に成功したが、安心する間も無く別のジンに取り付かれていた。
そのジンは懐に潜り込んで討ち取ろうとするも、ガンバレルの正射によって離脱せざるを得られなくなる。
そこにジン・ガロードカスタムがライフルを構えながら全速力でやって来て、母艦に帰還しようとするジンのコクピットを過たずに捉える。
ジンが爆発したのを確認したジン・ガロードカスタムは次にヴェサリウスに向かった。
アークエンジェルにいたマリュー達は戦場を必死で駆けるジン・ガロードカスタムの働きに目を見張る。
真っ先にイージスのビームライフルを潰し、続いてローを捉えたスキュラを発射直前にエネルギーを誘爆させて再射不能にさせた後、ジン一機を潰す。
それは並みの兵士ではなかなか出来ない働きだという事が分かっていた。
尋問の際にガロードは「自分はあっちの世界じゃ炎のMS乗りで言わしてたんだぜ ! 」ときちんと言っている。
あまりの言い様にクルーは全員ふざけているのかと正直思ってしまった。
だが、今目の前で繰り広げられているそれの八面六臂とも言える活躍ぶりは、彼等が言う異世界でのガロードの力を裏付ける物であり、炎のMS乗りと言う半ばふざけた異名もあながち嘘ではないのではとまで思わせるほどだった。
その戦果に目を見張るブリッジクルーにミリアリアとサイから次々と報告が入る。
「ヴェサリウスよりミサイル ! ローへ向かって……いえ、迎撃されました ! 」
「ジン一機、モントゴメリへせっき……い、いえ、メビウスゼロが損傷させました。敵母艦へ帰還します ! 」
と、そこへブリッジの扉が開く。入ってきたのはフレイだった。
「パパ……パパの船はどれなの…… ?! 」
「フレイッ ?! 」
彼女の姿に真っ先に気付いたカズイが声を上げる。
「今は戦闘中です !! 非戦闘員は艦橋を出て !! 」
マリューはフレイに向かってぴしゃりと怒鳴りつける。
サイがCICから飛び出して、フレイをブリッジから出そうとするが、彼女は小さい子供の様に嫌々をして喚く。
「離してッ !! パパの船は、……どうなってるのよぉっ ?!! 」
その時、ヴェサリウスのCIWSが火を噴く。
ゼロが上手く迎撃に成功したのだ。
そして、モニターに映っている連合の護衛艦三隻には今のところ目立った損傷はない。
それを元にして、サイは優しくフレイを宥める。
「大丈夫だよ、フレイ。ほら、キラやガロードが頑張っているからさ。ほら……」
「え、ええ。……そうね。……分かったわ……」
フレイはその様子に納得したかのように扉の方に向かう。
これであと気をつけるべきは、ヴェサリウスとイージスの動きである。
その当のイージスも武装としては、ビームサーベルと75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルンを残すのみである。
装備が全て残っているストライクが相手なら明らかにストライクの方に分がある。
そして、ヴェサリウスの方にはジン・ガロードカスタムが取り付こうとしていた。
ナタルが気を引き締めるように叫ぶ。
「ゴットフリート一番、照準合わせっ、てェーッ !!! 」
強烈な火線がヴェサリウスの後方に向かって伸びる。
それはほんの少し逸れたが後部機関部を捉えていた。
更に取り付く事の出来たジン・ガロードカスタムが66センチ連装レールガンの片方をライフルで撃ち抜き、直ぐにCIWSの迎撃に捉えられたかと思うと、退き際にもう片方を撃ち抜いて爆発させる。
それだけに留まらない。一度戦闘宙域から母艦に帰還する様に見せかけておきながら急速に機体を反転させ、損傷した相手のジンが帰還しようと相手のカタパルトハッチが開いた所に、再び重粒子砲を放つ。
そのタイミングを正確に見計らったかのような一発は、アークエンジェル、そして護衛艦にいる者達を呆気に取らせた。
というのも、距離にしてかなり離れていたにも拘らず、今ガロードがいる所では小さく見えるであろうカタパルトハッチを、CIWS等の砲撃を受けながら、射角でも正確に捉えていたからである。
威力が威力だけに、カタパルトハッチからは小さな煙しか出て来なかったが、それは大急ぎで閉じられていった。
それを見ていたマリューはブリッジの雰囲気をいきなり現実に引き戻すかのようにストライクとイージスの戦闘にモニターを切り替えさせた。
それを見ると、何とまだ戦闘をしている。
しかも、ストライクの武装がイージス並みに削られていた。
しかし、敵のナスカ級を叩くなら今しかない。
あの、傭兵の立場にあるガロードがあそこまで損害を与えてくれたのだ。ぐずぐずしている暇は無かった。
「ローエングリン、一番、二番照準 ! 目標、敵ナスカ級戦艦 ! 」
ガロードは必死になって機体を操った。
無茶な操縦をやったかと思われたときは、後ろのティファに必ず「大丈夫か ?! ティファ ! 」と声をかける。
「はい、大丈夫です。」という言葉が安全だという証明になっていた。
この戦闘ではガロードの実力である所も多くあったが、ティファの力無しでは出来ない事もあった。
始めのイージスのビームライフルへの射撃とスキュラへの一射、そして、敵母艦のカタパルトハッチへの一撃がその代表だ。
特にスキュラへの一撃はイージスの前へ出るタイミング、始めから銃を構え固定した上半身で行く為に機体の角度、姿勢制御システムの管理、そして、トリガーを引く間を細心の注意を払って行わなければならなかった。
いずれもティファの正確なアドバイス無しでは成し得なかったものだ。
と、ガロードの意識がストライクとイージスの方向に向かう。
二機は未だに戦っており、どちらとも決着が着かない状態だった。
「だーっ、くそぉっ !! 早いトコ先遣隊の連中と合流しなきゃなんねえのに、どうしたんだよ ? キラッ !! 」
ガロードは船体のあちこちから黒煙を出すヴェサリウスの動向に気をつけながら、機体を二機の方に向けバーニアを吹かした。
先程からビームサーベルで衝突する事もあれば、イーゲルシュテルンで牽制したりで、決着はそうそう着きそうにない。
その時だった。イージスの赤い色が一瞬にして暗い鋼の色になっていく。
フェイズシフトが落ちたのだ。
イージスはふらふらと母艦の方向へ進む。
その母艦、ヴェサリウスはローエングリンを右舷に掠める形で受けた。
その直ぐ後に、信号弾が打ち出される。
後部機関部、右舷スラスター、副砲、更に艦内部にまで損傷を負ったヴェサリウスはほぼ完全に戦闘能力を失い、戦線を離脱するしかなかった。
信号弾の内容に関しては、イージスが追い縋る様に各部のスラスターを吹かし続けながら、母艦へと向かうのを見るとどうやら帰還信号らしかった。
「逃がすかよッ !! 」
ガロードは再び重粒子砲をイージスに向ける。
事前に重粒子砲はエネルギーの関係で2〜3発しか一回に撃てないと聞かされていたので、これで決める ! と、決心する。
とは言っても、この位置では相手にビームが届く頃には相当エネルギーが落ちているだろう。
そこでOSを自分の出来る範囲で書き換えて、こういった時の為に特殊に改造したジンのバッテリー源から直接更なるエネルギーを供給するようにする。
時間はかかったが、これで何とかなる筈だ。
但しあっという間にジンの機体の中でALERTが鳴り始めるだろうが。
外す事は出来ない一発にガロードは緊張するが、操縦桿を握る手にティファの手がそっと添えられた。
「ティファ……」
「私が手伝います。」
そう言うと、若干の射角調整がなされる。
そして、強烈なエネルギーの奔流が一筋、イージスに向かう。
それはイージスの頭と左腕を根元から本体より吹き飛ばし、直後イージスは死んだ様に動きが止まった。
一気にエネルギーが消費された為、ALERTが喧しく機体の中で鳴りだすが、ガロードは両手をバシッと叩いて、ニッと笑う。
「やったぜ、ティファ !! さあ、あいつをとっ捕まえに行こうか ! 」
「はい。」
そう。幾らザフト兵が乗っているといっても、元は連合軍が開発した機体なのだ。
こんな所にほっぽりだしておいて、やがて回収されてまた使われるというのも洒落にならない。
自分が乗ってみたいという感情も僅かながらガロードにはあったが、MA形態に変形した時の姿を考えてそれは止めにした。
ゲテモノ系のガンダムをどうのこうのするのは、元の世界でのフロスト兄弟のMSだけで十分だった。
それと、彼もティファも少なからず興味はあった。
食堂にいた時、キラから時々聞かされていた、イージスに乗った友人というのを。
ヴェサリウスは今、戦闘宙域からかなり離れている。
イージスを救出しようにも、ガロードが放った一発でカタパルトや格納庫が大騒ぎに違いないだろう。
ガロードはジンの手をイージスの左足に引っ掛け、バーニアを吹かす。
戦闘に集中する為に通信を切っていたガロードは一旦キラに音声連絡を入れる。
「キラ ! もし俺の機体のエネルギーが切れたら、悪ィけどその時は引っ張ってくれねえか…… ? キラ ? 」
明らかに様子がおかしい。
ストライクのメインカメラは呆然とした様にイージスの方向に向けられている。
友人の事を心配しているのだろうか。
そこにフォローを入れる様にティファが付け加える。
「大丈夫です。イージスのパイロットは無事です。」
通信からは「そう、有り難う……」という弱い声が返ってきた。
それから、アークエンジェルから威勢の良い通信が入ってくる。
「よくやった ! 護衛艦は三隻とも無事だ ! イージスの奪還も素晴らしいものだった !! 」
「へへっ、有り難さん !! 」
ガロードは通信を切る。
それにしても……と、ガロードはあまりイージスを良い目で見れなかった。
しかし、彼には到底考えがつかなかった。
遠くない先、ティファも見えぬ先でそれに似た機体に乗る事を。
投下終了します。
えーっ !!? ラスティのみならず、こんな時期にアスランまでぇー ?!
と、お思いの方もいらっしゃるとは思いますが、きちんと彼も動かします。
役割がありますから。
では、また後程。
GJ!!!
イージス鹵獲されるとは思いませんでした。
ガロード、ティファの互いに助け合うのもよかったです。
でも何かティファの力に頼りすぎじゃね?
ガロードは他人の力を当てにしない性格って訳じゃないけど、
いつも限界まで自分を出し切って戦うからこその適応力の高さと成長速度を持ってるんだと思うが。
まあスパロボガロードだということにすれば無問題か。
>>720 あなた向こうの
>>119ですか?
荒らしとかラクシズ厨扱いされたくなかったら、無駄に荒れそうな素を
持ち込むのは控えていただきたい。
GJ!
しかしガロード、幾らティファの補助が有るとはいえ特訓の成果込みにしても強すぎないか?
動かせるようになったことで今までの経験を生かせるようになった結果、
急激に強くなった、と言うよりは強さを取り戻したんだろうか?
個人的には悪くない機体だと思うけどね、イージス。
少なくとも宇宙で使う分には。
そしてガロードが駆ることになるのは使い捨て戦法で有名なあの機体?
ガロードの戦い方としては贅沢すぎる気もするがもう一つの機能のほうなら合うかも。
触るな危険
735 :
734:2007/06/06(水) 23:55:25 ID:???
GJ!ラクスと会わなかった代りにイージスを捕まえたか。
味方につけて頼りになるアスランとなるか、疫病神の凸となるか未知数だな。
そして、近い将来ガロードが乗るのはイージスの発展型?
ジャスティスかと一瞬思ったが、こうも早く奪還されたんじゃひょっとして
十分なデータが伝わらず開発自体がパーという可能性も?
あるいはアストレイのロッソイージスみたいな直系の機体かな。
本編でもデータの吸出しはすぐに終わってほとんどそのまま継続使用されてたから
ジャスティスの開発には影響ないんじゃね
ティファを人質にとって脱走ってトコかな?>凸
正直に言うと
ガロード達がまるで逆行断罪物の主人公のように感じた
未知の世界で戦えば無敵、あらゆる危機を事前に察知、周囲の久々はただ彼等の言動に感心するばかり
作者は二人を神にでもしたいのか?
>>738 HAHAHAHAHA、
活け造りとバーベキューとハンバーグ、どれが好きかNE?
よーするに最低SSつーことだろ。
>>739 キラとラクス以外がやったら悔しくて眠れないってか?
<--------------------------------------
スレ内換気中
------------------------------------------>
↓↓以下、何事もなかったかのようにどうぞ↓↓
>>738 その際ラスティの事を忘れて帰るというお約束が…
>>738 しかしそんなことしたら
>>740じゃないがただでは済まんぞ。
ティファを取り戻すときのガロードにかかる主人公補正の前には負債補正すら塵に等しい。
>>744なんて事態も起きたらティファに好意的なラスティを何食わぬ顔でザフトに戻して内通させるような、
いわゆる『獅子身中の虫』作戦なんて真似すらやりかねんw
ちょっと過剰反応しすぎじゃなかろうか。
というかこのSSあまりにも危険な油が多いのでは
ティファとガロードが房設定過ぎないか?
ラクス云々で発狂じゃなくてラクスと邂逅しないのも
フレイパパが助かるのもいいんだがその流れが全て超能力・・
THIFAのYOCHI能力がCE世界を蹂躙する
ブリッツが傘壊すからアルテミス行くな、ってあたりから超人じみてきてたけどな。
>>750 X本編見てれば、ティファの予知はそこまで具体的に
未来を予知してるわけじゃないんだけどな
(それどころか外れることもあったし)
ガロードと出会って以降のティファ予知の的中率の低さは異常(ガロードが予知をぶっ飛ばすから)
まあ、何がいいたいのかって言うと。Xのニュータイプってもう殆ど超能力者ですよね、と。
別にいいんじゃね?
二次創作なんだし作者の裁量の範囲内だろ。
誤字や文章のアラの指摘ならともかかく、あんまり内容には口を出さない方がいいと思われ。
『この設定は俺には合わん!』と思ったら飛ばしちゃえ。
俺は色んな人の色んな話が読みたいよ。
予知ってほど具体的でもないし、悪い予感はガロード達が必死で引っ繰り返したしな。
第十四話投下します。今回はガロードが戦闘に勝ってその後何があったかという補足的な回なので、
好き嫌いが出ると思いますが、宜しくお願い致します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第十四話「最後まで頑張れたんだよ」
『イージスが鹵獲されたのですか ?! 』
画面の向こうでラウの言葉を聞いていたニコルは思わず大声を上げてしまう。
ヴェサリウスから臨時で入った連絡通信に、ザフトのローラシア級戦艦、ガモフで待機していたクルーゼ隊の面々は愕然とした。
報告している本人は仮面で表情こそ隠しているものの、下半分の顔からのぞく憤激の表情は隠せないでいた。
「ああ。こちらも機関区に大きな損傷を負い、火器は半数以上が潰され、内部の火事による影響も大きかった。
更に、ジンは全て潰され、私のシグーは調整中に相手のカタパルトデッキと格納庫を狙った重粒子砲の一発で、大きく破損していた。残ったスラスターと機関を最大にして、ここまで戻る事が出来たくらいだ。
イージスがフェイズシフトダウンした時点で我々に手段は無かった。残念だが結果としてそうなったのだ。」
ラウの口調はあくまで穏やかにしていたが、やはり言葉の端々に怒りが込められている。
画面の向こうで隊員の一人イザーク・ジュールが悔しさに顔を歪める。
また、壁に寄りかかっていたディアッカ・エルスマンは目を閉じ、面倒な事になったと言わんばかりに溜め息を吐く。
ニコルは自分の心に上がっていた危惧感を恐る恐る上官に言ってみる。
「では、……アスランはその『足つき』に捕虜として乗っている可能性があると言う事ですか ? 」
足つきとはアークエンジェルの通称である。
特徴的な艦の前方部が動物が脚をついた様に見えるからだ。
「可能性としてはな……或いは既に……」
その、既に……の先に言い含められている事を察知し、全員が戦慄させられる。
それを画面からも見て取ったラウは部下一人を、それもエリートの道を歩いてきた部下を失って直後とは思えない様な穏やかで落ち着き払った口調で全員を纏める。
「何れにせよ、足つきは絶対に墜とさなければならない標的となった。諸君らの奮戦に期待している。」
「「「了解ッ !!! 」」」
イザーク、ディアッカ、ニコルの三人が威勢よく返事をする。
それに満足した様な表情をして、ラウは一旦通信をきる。
同胞を奪われた際の戦意高揚意識は何にも勝る物だと思えてくる。
気持ちを切り替えて、足つき討伐の為の策を練るが、ある疑問が頭の中に出て来た。
足つきから出て来た改造されたジンの事である。
こちらを翻弄し、先程報告したヴェサリウスの被害の大方を作り出したのはその機体だ。
が、ラウにはどうしてもその機体に乗っているパイロットが普通のパイロットには思えなかった。
常に二手三手先を予見して攻撃する彼の全てその先、或いはその裏をかいていたからだ。
まるでこちらの攻撃を皆分かり切っている様な、少し考えれば不気味な動き。
相手があのムウ・ラ・フラガなら分からなくもない。
何度も戦場で命の遣り取りをやった事があるからこそ分かる、ぞわりと肌を伝う様な不快な感覚がするからだ。
尤も、原因はそれ以外の何かであるからだろうが……
しかし、あのジンからはそんな感じは少しもしなかった。
なら一体何なのだと、彼は小一時間考える事になってしまった。
ガロードがアークエンジェルに帰還すると格納庫はまるでお祭り騒ぎになった様な大騒ぎ振りだった。
無理も無い。ザフトに奪取された新型の一機が破損している所があるとはいえ、取り敢えず元の居場所に戻ってきたのだから。
先ず、格納庫に入ったジンのコクピットからガロードが出ると、作業スタッフが盛大な歓声で迎えた。
「無傷でとは言えねえが、よく取り戻してくれたなあ、イージス。それと、先遣隊の守備も上々だったぜ !! 」
マードックが胴間声をあげ、親指を上げる。
「すごいじゃねえか ! ホントにMS戦始めてなのかよ ?! 」
「傭兵やめて、こっちに来なよ ! いつでも準備はいいぜ ! 」
「これならアラスカまで安泰かねぇ……あ、大尉、冗談ッスよ。冗談。」
口々に祝いの言葉や激励が飛び交い、喧しいとさえ思ってしまうほどの大きな拍手も続いた。
それに対し、ガロードは落ち着いた表情で答える。
「ま、俺も必死だったけどさ。ティファも手伝ってくれたから……最後まで頑張れたんだよ。」
「ガロード……有り難う。」
ティファが顔を赤くして下を俯くのを見ると、周りから「おお〜っ !! 」と声が上がり、指笛まで鳴らす者まで出だした。
「見せ付けてくれるなあ〜っ ! このやろぉ !! 」
「か〜っ ! 俺も青春したいねえ !! 」
本当に好きな事を言ってくれる連中だ。だが、言われて悪い気はしない。
頭を掻いてから、ガロードは自分の胸にぽんっと拳を叩いて言った。
「また何かあったら、何時でも良いよ。この炎のMS乗り、ガロード・ラン様が駆けつけるからよっ !! 」
「言ったな〜 ? じゃあ、残りの三機もヨロシクゥって言っちまおうかねぇ〜 ? 」
「自分に様つけるんじゃねえよ。この〜っ !! 」
最後の一言を言った者がガロードの頭をわしゃわしゃと擦り、周りも大笑いした。
だが、そんな雰囲気は次の瞬間マードックの声であっという間に吹っ飛ぶ。
「ほ〜ら、お祭り騒ぎはその辺にしとけぇ。イージスのパイロットを引っ張り出さにゃならんからなあ ! 」
そうだった……と、その場に居る全員がハッとしてイージスの方を向く。
唯の鉄塊にしか見えない、そんな風に成り果てたイージスにはまだ敵のパイロットがいるのだ。
作業班、整備班共に複雑な気分が胸を過ぎる。
元々こちらの機体だったにも拘らず、短期間とはいえこちらの安全を脅かしたのだ。
動力系はやられてないと聞いていたから、今にもまた動き出して自分達を襲って来るのではないかとつい思ってしまう。
しかし、フェイズシフトは落ち、バッテリーもほぼ空、頭部と左腕は回収が待たれ、ビームライフルも無く、
スキュラも砲門が大破してその周りが真っ黒焦げな状態というのは、そんな考えをこれっぽっちも裏づけはしなかった。
ガロード、ティファはその様子をじっと見守る。
やがて、二人が始めてこの艦に乗り込んだ時の様に、銃を構えた警備兵が十人ほどイージスのコクピットを囲む。
電子機器の操作に明るい人間が、機体から出た電子コードの繋がれたパソコンをいじりつつ、「開けます。」と簡潔に言う。
装甲が拉げた部分でもあるのか、耳障りな音を出してコクピットが開いた。
そこにいたのはあのヘリオポリスでキラにナイフを向けた少年兵だった。
ただ、足が両方とも奇妙な方向に折れ曲がり、頭からは血が流れている。
直後に、頭上からの光を眩しいと思ったのか、彼は微かに呻きながら目を開ける。
その瞬間、少年の顔は憤怒の形相に変わるが、一斉に銃を突きつけられると、表情こそ崩さなかったが、
何も言わずにゆっくりと震える両手を上げた。
そこへ丁度キャスター付きの担架がやって来る。
メインで周りの人間に指示を出しているのはやはりテクスだ。
少年は小声で悪態を吐きながら大人しく担架に乗せられ、奥に連れられていく。
一足遅れて、ストライクが格納庫に入ってきた。
コクピットから飛び出す様にキラが出てくると、ガロード達の元へやって来て一言だけ訊く。
「アスランは ?! 」
「イージスのパイロットの事だろ ? あっちに運ばれてったけど……」
「有り難う御座います !! 」
皆まで聞かずにキラは医務室の方向に向けて走っていく。
二人の関連性を知らない、その場に居た誰かがぽつっと言った。
「そんなに可哀相なのかねえ、敵さんのパイロットが……」
その質問に答える者はそこにはいなかった。
「テクス先生 !! 」
医務室で容態を見た後で、手術が必要だと判断したテクスは、アスランを手術室に搬送する。
自分が入ろうとした時にキラに呼び止められた。
テクスもイージスのパイロットとキラの関係を知らない訳ではない。
食事時に、ガロード達とその事で話しているキラを見ていたからだ。
勿論、話している内容も自ずと聞こえてくる。
だから、訊いてくるだろう質問の中身も手に取る様に分かったので、診察の結果だけは言っておく。
「頭部に裂傷がある。縫う程ではないがな。それと、両足が折れている。どちらにせよ、2〜3日は絶対安静といったところだな。
もう一度歩ける様になる為のリハビリをするにしてもあと2週間は待つ必要があるな。」
「そうですか……」
テクスは渋い顔をして手術室に入る。
キラはそこに一人だけ取り残される。体の中を強烈な虚脱感が襲った。
アスランは何度も自分を説得しようと、戦闘の度に通信を開いてこちらに話しかけてきた。
お前は俺達と一緒にいるべきだ。俺達は仲間なんだ。そっちにいるんじゃない。
居続けたら俺はお前を討たなきゃならなくなる。ナチュラルに利用されているお前を……
お前が何故地球軍にいる……っ !!!
アスランの言葉は常識的に見れば、ほぼ何の違和感も無い発言といえる。
だが、キラとて何も考えずにその声に従う事は出来なかった。
この船にも自分の友がいる。共に笑いあい、助け合う仲間が。
その彼等を分け隔てている、人種でも、民族でもない決定的な物。
例えばアスランとトールが同じ食卓に着き、一つの食物を笑いながら分け合う等という事は、十年経とうが二十年経とうが絶対に来はしない。
食卓に着いても両者の前にはそれぞれ銃があるだけだ。
要はどちらが速く銃を取り、相手に向かって撃つか。そして、卓を血に染めるのはどちらの物なのか。
今自分の眼前で起こっている事は正にその様な物だった。
今しばらくの戦いは終わり、皆無事で、守るべき物も守りきることが出来たにも拘らず、キラの心は一向に晴れなかった。
護衛艦とのランデブーにマリューは感無量だった。
道中一時はどうなるものかと思いもしたが、予想以上の戦果が打ち出されたのだ。喜ぶなという方が無理である。
だが、多少引っかかる事はある。
人員を送るにしてもヴェサリウス一隻に敗れてしまうような戦力しか本当にこちらに割いてこれなかったのか、と。
彼女とて上を信用していない訳ではない。
だが、今格納庫にはメビウスゼロとストライク、そしてジンのカスタム機と破損したイージスがあるだけで、護衛艦にいたメビウス隊は全滅している。
仮にも極秘開発中だった新造戦艦へ送るのだから、ムウ程とはいかなくてもそれぐらいやり手のパイロットをよこしてもおかしくないのだが。
とは言え、作戦は終了したのだ。考えてもそれは既に詮無い事である。
アークエンジェルに着いたシャトルからモントゴメリの艦長コープマンが降り、それに続いてジョージ・アルスター大西洋連邦事務次官が降りてくる。
一通りクルーの顔を見たコープマンはきびきびとした声で挨拶する。
「地球連合軍第八艦隊所属先遣隊、護衛艦モントゴメリ艦長コープマンだ。先ずはこちらの安全を確保して頂いた事に感謝する。」
「地球連合軍所属艦アークエンジェル、艦長のマリュー・ラミアスです。」
「副長、ナタル・バジルールであります。」
二人は一歩前に出てしっかりと応対する。
「月でXナンバーの機体の奪取と、ヘリオポリスの崩壊があったと聞いた時はどうなるものかと思っていたが、こうして合流出来て本当に嬉しい限りだ。
更にその奪取された内の一機を奪還できたとは……いや、本当に素晴らしい。あのジンの改造機に乗っていたのは一体誰だね ? 特進どころの話ではないぞ。
何しろ事務次官を守られたのだから、事によると叙勲も考えられるかもしれん。」
コープマンが周りを見回すが、誰も名乗り出る者はいない。
それに関して、マリューが恐る恐る返答する。
「それに関してなんですが、実はその働きをしたのは傭兵なのです。」
「何 ? 傭兵がかね ?! よく登用している余裕があったな。制式兵で無いところが惜しいところだが、どうだろう ? この機会にその人物を正式に登用しては…… ? 」
その言葉にマリューは思わずナタルに顔を合わせてしまう。
ナタルはあからさまに「私に訊かれても……」と言いそうな顔をする。
確かにマリュー達にとってもガロードの戦闘能力は魅力的な物だった。
だが、彼にはこれからどうするか傭兵故の選択の余地がある。
そして、ここでは触れられなかったがストライクに乗っているキラについても……
いや、キラの場合は元々民間人で、おまけにコーディネーターだ。
余計に扱いづらい。というか、降ろさざるを得ないだろう。
その時、アルスター事務次官が口を開く。
「私としては彼に残っていて貰いたい。行く行くは制式兵にしても良いとは思うが、今のところは彼自身の希望も訊いてみる価値は、十分にあると私は考える。どの機体に乗るかも含めてね。」
どの機体…… ? ああそうか。イージスもあるからか。
ぼんやりとマリューは思ってしまう。
その時後ろの方から、大きな声が聞こえてきた。
「報酬の方、まだ貰ってねえから今んトコ降りる気はねえよ。けど、俺はあのジンって奴に乗らせてもらうぜ。
あのイージスって奴、武器は結構強力なのもあるし、部品も回収してきたからまた乗る事は出来る様になると思うけど、な〜んかいけ好かねえんだよ。変形するところがさぁ。」
声の主は話題のガロードだった。
ナタルが「口のきき方に気をつけないか !! 」とぴしゃっと言うが、まあそうカタイ事言わないでとばかりに笑って応対する。
すると、事務次官がすーっとガロードの方に進み、手を取って言う。
「君か ?! あのジンのパイロットは ?! 有り難う。本当に有り難う…… !
私がここにいれるのも、娘とまた会えるようになったのも、私が乗ってきた艦、そしてアークエンジェルが無事でいられたのも、イージスが戻ってきたのも、一重に君の協力があったからだ。
心からのお礼を言わせて貰うよ。いや、本当に有り難う。」
「いやあ、そんな……照れるじゃねえかよ。……いや、照れます、えーっと、事務次官……殿。」
言い方を変えたのはナタルのきつい視線があったから。
今にも雷が落ちそうな気迫が、向けられている視線にありありと込められていた。
そんな場をとりなすかのように、コープマンが咳払い一つし、提案をする。
「まあ、こんな場で話を続けるのもなんですから、奥に行ってから詳しい話をしましょう。彼の進退に関してはそれからでもじっくり話せるでしょうから……」
「そうだな……ん ? 」
彼の提案に同意した事務次官はある点を見つめる。
そこには、今更ながらという感でフレイが奥から姿を現していた。
事務次官の顔がぱあっと明るくなり、フレイも一気に走って彼の元に近づく。
「フレイ !! 心配したぞ ! よく無事で…… !! 」
「パパ……パパーッ !! 」
次の瞬間にはもう二人はひしと抱き合っていた。
かなり長い間会えなかったのだろう、お互いにさめざめと涙を流して再会を喜び合っていた。
この一瞬の未来に自分が貢献出来た事に、ガロードは何とも言えない気持ちになる。
そして、側に来たティファが優しく微笑んで言う。
「未来は変わりました……私たちだけでなく、みんなの手で。」
「ああ、そうだな。これで、良かったんだよな…… ! 」
「はい…… !! 」
ティファが見た確定しない未来。その未来は鮮やかに切り開かれた。
二人だけでなく、皆の力で。
投下終了します。
ティファの力についていろいろ談議がなされていますが、こちらとしては力の範囲は決めてますし、
予知を覆す事もやりますよ。ええ。
ただ、執筆中の17〜18話辺りの展開をかなりピンポイントで当てた一人物がいますので、
ちょっと修正します。ほんのちょっとだけ。
では、また後程。
乙〜
もう17話あたりまで書いてるのか。
ホント早いな。
何はともあれフレイが黒くならないのは良いね〜 GJ
フレイは黒くなってこそフレイなんだ!
そこから鬱屈して叩きのめされてひん曲がって
しかし不死鳥のごとく黒明るく復活
GJGJGJ! …しかし言い当てられた展開というと…
凸め、そんなにストリートピザになりたかったのか?
GJ!
憎しみに染まりまくってるっぽいアスラン…
これは本当に
>>738も有り得るか!?
そういえばアスランが憎しみに囚われたところと言えばあのシーン…
個人的に思うところがあったのはキラのモノローグのもしアスランとトールが…のくだり。
本編中で(殺しあうという形以外で)出会わず、
(物語上殆ど抹殺されたに等しい為)相手のことを全くと言っていいほど知らないだろうこの二人。
無理を通せば道理が引っ込むを地でいくガロードのことだし、
もし出会ったとしてもキラの想像するようにはならない、と思いたいが…
本日二話目の第十五話投下します。ちょっと短めですが宜しくお願い致します。
最後はかなり正史を捻ってます。
機動新世紀ガンダムXSEED 第十五話「許せ、キラ」
補充要員が追加されたアークエンジェルは今度こそ意気揚々と出航できる。
ここまで来るのにどれだけかかった事かとクルー達は嬉しさ半分疲れ半分だった。
だがそれに伴い、当然だが艦を降りる者も出る。
ヘリオポリスからの避難民がその代表だった。
これまで死線をかい潜らされる様な場所に晒してしまい皆は済まない気持ちで一杯だったが、逆に彼等からは感謝をされた。
アークエンジェルに拾われる事無く宇宙を漂う事になっていたら、それこそ洒落では済まない事態になっていたからである。
月艦隊と合流した後、避難民をシャトルに乗せて地球に降下させる案が出された後、その報せは今までブリッジを支えたあの学生達にももたらされた。
但し、フレイに関しては父親と共に月に行く事になっていた。
事務次官の方はプトレマイオス基地の視察にでも行くのだろう。
そしてフレイの行く先は恐らくコペルニクスにある中立都市あたりだと噂された。
あそこなら連合もザフトもお互い手出しは出来ないからである。
一通りの事を聞いたキラは困惑していた。
このまま真っ直ぐにシャトルに乗って地球に降下するか ?
それともフレイと同じ様に月へと向かうか ?
それともこのままアークエンジェルに残って同胞達を討ち続けるのか ?
一人悩んでいると、自分でも気にしていない内に医務室の前に来ていた。
テクスからアスランの手術は成功したと聞かされていた。しかし意識はまだ戻っていないと言う。
入るか、どうするか。
迷っていると目の前の扉が開き、幾つかのカルテを持ったテクスと鉢合わせてしまった。
直ぐにキラが何をしたいのか見抜いた彼は、部屋を出て行く前にさらりと言う。
「お前さんが彼と話したい気持ちも分かるが、自分の進む道と言うのは自分で決める物だ。
他人からああした方が良い、こうした方が良いと言われて唯々諾々となっているようでは、誰かさんに操られている事を自覚しないままに、自滅する道を一直線に進んでしまう事になる。
まあ、状況が状況だから答えを出すのはそれなりに時間がかかるとは思うが、自分の言葉で自分の意思をはっきり言える様になった時、自身の真の力に気付くだろう。
……少なくとも私はそんな人間を一人知っているからな。」
自分は知っている。自分の道を突っ走って新しい明日を見つけた人間の自分の意思を示した言葉を。
-俺は……俺は、ティファを助けたいんだ ! 好きになっちゃったんだから当ったり前だろ !? -
それを思い出し図らずも苦笑してしまう。確かに聞いて格好いいものではない。
寧ろ大声で口にすればこっぱずかしいものだ。
だがそれを言った少年……ガロード・ランが閉じていたティファ・アディールの心を開き、果ては戦争を止め、新しい時代を自分達に指し示したのである。
逆にこの少年、キラ・ヤマトの心は柱時計の振り子の様に定まっていない。
ガロードが良い先生になるかもしれんな……あいつが先生というのも笑ってしまうところだが。
その場から立ち去ろうという時、後ろから声がかかる。
「先生 ! あの、有り難う御座います。」
「私は、何も礼を言われる事はしていないよ。それと、面会時間は次に私が戻ってくる時までだ。」
テクスはその場を後にする。
思い悩んでいたキラは意を決し、医務室の中に入った。
当然の事ながら医薬品やアルコールのツンとした臭い以外何もしてこない。
左側では、赤い髪のザフト兵が眠っていた。
容態は結構良くなって来ているらしく、包帯もかなり取れ時々寝返りも打っている。
そして右側にはかつてよく見た友人の顔があった。
友人と言うのでさえおこがましいと思えてきた。
自分は今、その友人の両手を縛った人間の側に立っているのだから。
「アスラン……」
名前を言ってみるが返事が無い。
やはりまだ麻酔が取れていなくて、はっきり目が覚めていないのだ。
そう思ってキラが医務室を出て行こうとすると、不意に懐かしい声がかかった。
「俺は起きているぞ、キラ……」
それはまるで背中に銃を突き付けられたかのような感覚だった。
その声で呼ばれるのを期待していたのに消えない恐怖感。
恐る恐る首を九十度回すと、アスランがとんでもない形相で睨みつけていた。
死神だって裸足で逃げ出すと保証書を付けても良い位だ。
それから低い声でキラを問い詰めた。
「何故俺と共に来ない ?! お前は俺達と同じコーディネーターだろう !! 俺達に銃を向ける道理なんかないはずだ ! いや、あってたまるか !! 」
その言葉の一つ一つが痛く感じられた。
そしてアスランはある意味言ってはいけない言葉を口にしてしまう。
「お前本気で俺を殺したいのか ? そんなに平気な顔で俺の仲間を討ちたいのか ?!! 俺が知らないだけでそんなに殺し合いが好きなのか、お前は ?!! 」
「違うッ !! 」
つい怒鳴ってしまったキラはしまったという風にその場で固まる。
だが相手は言葉の追撃をやめない。
「何が違うんだ !! お前がヘリオポリスで討ったジン……あれに俺のアカデミーの頃からの友人が乗っていたんだぞ !!
その後も初めて人を討った事無い人間じゃないみたいに、葛藤も、躊躇いも無しにのうのうとまた戦場へ出て……そう思われても仕方ない事をやってるじゃないかっ !! 」
「それは……それは……そうしなきゃ友達が助けられなかったから !! 」
「友達、友達って、そんなに新しいナチュラルの友達が好きか ?! お前はその友達の為なら何でも出来るのか ?! 旧友なんか蔑ろにするって事は、結局俺を討つ事に繋がるじゃないかっ !!
それでまた新しい友人が出来たら今の友人を討つのか、お前はっ ?!! 」
最早キラは一言も言えなくなっていた。
何がアスランをここまで変えたのか、正直分からない位だった。
だが彼は、分からないお前が悪いとばかりに睨み続ける。
何も言えなくなったキラはふらふらと医務室を出た。
ひとしきり静かになった医務室で、アスランは絞り出すような声で一人呟いた。
「お前がそちらの陣営につくというのなら、お前を突き放すしかいない……例え非情な言葉をもってしても……母を殺したナチュラルにつくのなら……許せ、キラ……」
「色々あったけど、あと少しだね。」
サイはほっとした面持ちで言う。
「僕達も下ろしてもらえるのかな、地球に。」
それにカズイが不安そうに質問した。
事務次官達が決めた避難民の扱いはとっくに知られているだけに、サイは不審そうにカズイに訊き返した。
「だってほら、ラミアス大尉が言ってたじゃん。『然るべき所と連絡が取れるまでは』とかなんとか……」
「ああ……だから、月艦隊がその『然るべき所』とかじゃないの ? きっと降ろして貰えるよ。」
その言葉にカズイは納得したかのように頷いたが、やはり不安そうに続ける。
「でも、キラはどうなるんだろう ? 」
それはサイも引っかかっていた。
現状でストライクを動かせるのがキラだけに、連合軍があっさり手放すかどうか分からない。
分からなかったが、カズイを安心させる為に根拠無い一言を言う。
「大丈夫だよ。キラは……俺達と一緒に来るって。さ、そろそろ部屋に戻ろう。」
そう言ってサイとカズイは食堂を出て、自分達の部屋に向かう。
彼らが去って数分後、今度はそのキラが食堂にやってくる。
そして近くのテーブルに突っ伏し、涙を流す。
……僕はアスランを殺したくない。
と言って、今更ザフトの方に与してヘリオポリスの友人達を討ちたくない。
自分の境遇も含めて、嫌になる事ばかりだった。
考えてしまうのは憚られたが、どうして血のバレンタインが起きた時アスランの側に居なかったのかと思ってしまう。
それなら少しは同胞意識でも生まれただろうに……
「どうしたんだよ ? キラ。」
そこへやって来たのはドリンクを持ったガロードだった。
袖と頬を涙で濡らしたキラに出会うとは思っていなかったのか、ギョッとした雰囲気でその本人を見る。
「……泣いてたのか ? 」
ゆっくり頷く本人を見てガロードは事情を聞く。
さっき起きた事を一つ一つ思い出して話すのも辛かったが。
一通り聞いたガロードはドリンクを二口三口飲んで溜め息を吐く。
「そっか……お前も辛えんだな……」
それを聞いたキラは「うん」と言ったきり何も言えなくなってしまう。
「で、お前はどうしたいんだよ ? 」
キラは、えっ ? という感じでガロードを見た。
言っている事がテクスと似通っているからだ。顔見知りだからという事もあるだろうが……
ガロードは更に続ける。
「自分の頭で考えてさ、思ったように進むのよ ! お前はどうしてぇんだ ? 」
キラはそれから黙りこくってしまう。
未だどうすれば良いのか分からない。自分の頭で考えたが。
そんなキラを横目で見ていたガロードは一言だけ言ってその場を後にした。
「ティファを守り抜いて、平和なところで暮らす。それが、今俺が傭兵やってる理由だ。」
それから更に四日後。
アークエンジェルは護衛艦三隻と共に、月艦隊の到着を待つ事になった。
メビウス部隊が全てやられてしまい、頼みの綱がゼロ、ストライク、ジンカスタム機、そして突貫工事で修復の終わったイージスの四機だけではあまりにも心許なかったからだ。
特にイージスに関しては、ガロードがジンの方に乗ると主張している為、パイロットを探さなくてはならなかったが、適正のある者なぞほぼ0に近い。
立候補した者もいたが、機体性能を100%使い切る事が出来ずに上官から駄目出しをされていた。
だが敵はそんなに悠長に待ってはいなかった。
よりにもよって、折角遠路遥々やって来た月艦隊と合流出来る事になったこの日の、この時間にザフトが攻めてきたのだ。
ブリッジに入っていたミリアリアは更に絶望的な連絡を入れる。
「敵はローラシア級三 ! ジン……き、九 ! デュエル、バスター、ブリッツ ! 」
その報告にさっきまでこちらに来ていたコープマン、事務次官両名と会談していたマリュー達はその事実に慄然とする。
間違いない。イージスを奪還された報復か、或いは月艦隊も含めてこちらの力を全て潰す気なのか…… ?!
敵艦がこちらに近づくまでにコープマンは自艦に戻ってもらったが、事務次官はこのアークエンジェルにいる。
理由は見え透いていたが、わざわざ追及する間もなかった。
マリューは艦長席に座って深呼吸一つした後、命令を下す。
「ストライク、ゼロ、ジンに発進用意をさせて !! 」
投下終了します。
最近考えている設定としては、Stephan Hilpertを後々出そうと思っています。
では、また後程。
乙彼。
ところでまた戦闘シーン書くなら、何度もジン・ガロードカスタムって続けるより、
ガロードの機体とか単にガロード、機体とかって書くほうがすっきりして読みやすいと思うんだ。
カスタムジンとかジン改とかガロ−ド機とかでも良いかもな。
他人の事情想像するという概念が欠落してんのはラクシズにかぶれて以降の
事かと思ってたが…最初からそうだったっポイな凸orz
この分だと人質云々もさる事ながら、テクスに感化されて広い視野を持ち始めた?
ラスティを裏切り者とみなして殺そうとでもしかねんぞ。
おいおい、本編と二次創作混同してイメージ作んなよw
>752
まぁ、XはNTの否定が軸のひとつだったし
NTと呼ばれている存在も他作品のNTとは違う存在だと思えば良い
ティファを取り戻すときのガロードにかかる主人公補正の前には負債補正すら塵に等しい。
ガロードは少年活劇の主人公だからねw
しかし今回の精神状態のままでザフトに帰参したら、パトパパの強硬路線の
忠実な実践者になりそう。
もっともイージス分捕り返された分のペナルティもつくかもしれんが。
それはそれで最後までザフトのアスランを貫いて脱ヘタレ&似非フロスト兄弟になれるかもね。
本来ならそれこそが無印種本編にて想定・期待されてた役回りのはずでは…
こんな時のキラこそテクス先生のコーヒーが必要だ
>
戦場ではジン三機とイージスが、メビウス三機と交戦していた。
イージスはメビウスが発射したミサイルを軽々と打ち落とし、逆にメビウスを返り討ちにする。
圧倒的な機体性能差の前に、メビウスはどうしようもなく一機残らず打ち落とされていく。
残りのMAは後続のジンに任せるとして、後は大きな的があるだけだ !
この部分ひとつ取っても、修正の余地はあると思う
”メビウス三機”と書いたのならば「メビウスはどうしようもなく一機残らず打ち落とされていく」という表記の後
”残りのMA”は何処から沸いたのかということになる、最初の表記段階で機数を書かないか増やすか、どこから来たかを書いては?
表現も
”返り討ちにする”だと次の行の”メビウスはどうしようもなく一機残らず打ち落とされていく”が重複になる、頭痛が痛いの類
残りのMAは後続のジンに任せるとして、後は大きな的があるだけだ !
アスランの行動の説明なら後部があいまい、心理なら説明不足前部と後部が噛合ってない
残りのMAは後続のジンに任せると、残る大きな的に襲いかかった
残りのMAは後続のジンに任せても問題ないと判断すると、視線を次の獲物に転じた。後は大きな的があるだけだ !
とか
以上素人感想
>>782 そうなのか?
当時の俺は、
旧友、だけど敵同士→やがて憎しみをぶつけ合う関係に→
譲れぬものの為に互いの力を認め信念を理解しながらも刃を交える強敵(とも)
という展開になるものだとばかり…
だってなぁ
トール死ぬし、声はカズマさんだし
普通あのイージス対ストライク戦で向こう側の世界の扉が開くって誰もが思うだろ
あるあ……ねーよwww
我道陣でいいんじゃね?
てかさ、UCのNTも超能力者ってかエスパーって思ったのは俺だけか?
NTの概念がなくともUCは問題なかったと思うんだが
F91辺りから死語化してたもんな。
第十六話投下します。戦闘描写って結構あっちこっちの点景描かにゃならんのでちと疲れました。
機動新世紀ガンダムXSEED 第十六話「生きて帰ってきた事が何よりよ。」
ローラシア級戦艦、ガモフ、ツィーグラー、マルピーギからそれぞれ三機ずつジンが発進し、ガモフからは更にデュエル、バスター、ブリッツが出る。
その様子をモニターで確認していたガロードにムウから通信が入る。
「ガロード、俺とお前でジンの相手をしつつ艦を守る。キラはXナンバーの相手になる。それで良いな ?! 」
「俺と兄ちゃんだけでジンの相手すんのかよ ?! おまけにキラ一人で三機の相手って……またヘビーな作戦だな !! 」
「イージスを動かせる奴が、こっちの陣営にいない以上仕方ないだろ !
おまけにフェイズシフト装甲持ってるあいつらを俺達が迎え撃とうとしても、無駄弾撃つ事になるだけだ ! 」
それには流石に反論できなかった。
何しろこちらはジン改のお荷物的な重粒子砲以外ビーム兵器が無い。
その時、ガロードの頭にそれに対する以外に簡単な解決方法が浮かんできた。
なんて事は無い。自分がこのジンにやった事と同じ事をこの戦場ですればいいのだ。
但し、その為にはかなり高度な操縦技術と戦闘テクニックが必要となる。
一か八かに賭けるも同じだが、素直に相手機に付き合っていれば、隙を見たザフト軍が母艦を潰しにかかるだろう。
遂にガロードは得る物大きい方に賭ける事にする。
「兄ちゃん !! 二分、いや一分で良い。全部のジン、相手してくれ !! 」
「な、何ぃっ ?! 」
ムウはコンマ一秒機体のコントロールを失ってしまう。
確かに自分は過去にグリマルディ戦線でジン五機を屠った事がある。
だがそれは、全体を通しての時の事であって、今ガロードが言った様にいっぺんに相手をした訳ではない。
それもその時より確実に多い敵機を。
何か策でもあると言うのだろうか ?
「何考えてるかは知らねえけど、そんな事出来る訳ねえだろぉっ !! 」
「その無理を承知で頼んでんだよ !! 頼む ! 時間がねえんだ !! 」
ムウは怪訝な表情になる。
が、少し考えて通信機に返答を送る。
「一分 ! 一分でこっちに戻って来い !! 良いなっ ?! 」
「オッケー ! サンキュー、兄ちゃん ! 」
そう言ってジン改はまっしぐらにXナンバーの方向に向かう。
ムウは彼が何をやらかそうとしているのか皆目検討つかなかったが、それでも賭けてみることにした。
先遣隊を守りきり、イージスを奪還したあの少年に。
「どれにしよっかな〜 ? ……うし ! あれにすっか ! 」
ガロードは混戦模様のXナンバーの中から、こちらに向かっているデュエルに狙いを定める。
ブリッツは姿が見えないし、バスターはランチャー装備のストライクと距離を取りながら戦っている。
彼が導き出したこの戦況の解決方法。
それは、相手機からビーム兵器を奪う事だった。
そうすればビーム兵器に対してあまり対策の為されていないジンや、敵艦に損害を与えられると踏んだのだ。
先ずジン改は挨拶代わりにとライフルを放つ。
勿論相手はフェイズシフト装甲を持っているので効くわけが無い。
その方向を向いたデュエルはイーゲルシュテルンで応戦する。
それに対しジン改は射線が半ば分かっているかの様に、当たりそうになる直前、最小限の動きでそれを避ける。
効き目が無いと判断したデュエルは射撃を止め、ビームサーベルを抜いてジン改に接近戦を挑んで来た。
振り下ろされるそれの動きをガロードは必死になって見切る。
それでもそれには限界があって、僅かに触れたジン改の一部が損傷を受ける。
だがその内、ふと気付いた事があった。それは結構その動きが直線的だという事。
その事に関しては敵機の操縦者には悪いが見切るのに申し分ない。
とは言え、時間を無駄にしていればジンの相手をしているゼロの方が危なくなってしまう。
次の瞬間、デュエルが逆さ袈裟切りにしようとしているのが、動線で分かった。
「待ってたぜ、接近戦の瞬間 !! 伊達に毎日毎日睡眠時間削ってシミュレーターやってねえんだぞ !! 」
ガロードはコクピットでそう叫ぶ。
ジン改はタイミングを計って懐に重粒子砲の照準を定める。
その直後にバーニアをフルに吹かしてデュエルに急速接近し、ビームサーベルが振り下ろされる直前に懐をほぼゼロ距離で射撃する。
その攻撃にさすがのフェイズシフト装甲も用を成さず、デュエルは両足を爆発させて後方に大きく吹き飛ぶ。
しかし、ガロードの狙いはこれではない。
そのデュエルに再度バーニアを吹かして急接近する。
寄せ付けはしないとばかりにイーゲルシュテルンが放たれ、ジン改も避けはするもののあちこち被弾する。
だが、ガロードはそれに構っている事は出来ない。
約束した一分まで後十秒を切っていた。
「もうちょい……あと、もうちょいで……」
デュエルの状態に気付いたブリッツが死角から急速接近する。
そして、ブリッツがデュエルの右手を掴んで、抱える様に離脱しようとした瞬間、ジン改はデュエルの目の前に漂っていた57mm高エネルギービームライフルを掠め取った。
そこまでは良かった。
突然止まる事等出来ないジン改は姿勢を変えたものの、二機を繋いでいる腕に思いっきり衝突する。
そしてその衝突がきっかけになったのか、デュエルはそれきり沈黙した。
強烈な衝撃にガロードは頭をくらくらさせられるが、頭を自分の手でヘルメット越しに叩き、意識をはっきりさせ直してからゼロが奮戦している方向に全速力で向かう。
そこにブリッツの追撃の手がかかった。
ジン改に衝突されたブリッツのパイロット、ニコルもあまりの衝撃の大きさに吐き気を覚えるほどだった。
だが、それ以上に気になったのは相手の戦い方だった。
戦場で相手の武装を奪取しながら戦うなぞアカデミーでは教わらないし、自分自身やってみようと思った事はおろか、考えつきもしない。
それは、もし戦場に誰かが取り落とした武器が転がっていなかったらどうするのか、と訊かれたら答えに詰まってしまう場当たり的な戦法だからだ。
あんなのは出鱈目だと、つい自分達の杓子定規で思ってしまう。
「これがこの状況における正攻法だ」と教えられ反復練習するのが自分のいたアカデミーの教え故に、ジン改の戦法は余計奇妙に映る。
だがそんな事に気を取られている場合ではない。
先ず3連装超高速運動体貫徹弾 ランサーダートを構え、時間差をかけて三本の杭が放つ。
後ろから撃たれたのではまず避けようが無いとニコルは確信しきっていた。
だが、次の瞬間信じられない事が起こる。
放たれた三本の杭をジン改はまるで後ろに目があるかの如く、機敏な動きで避けたのだ。
それならばと、ミラージュコロイドを展開し、50mm高エネルギーレーザーライフルを構える。
威力は少ないが、レーザー波なら宇宙空間では不可視だ。
隠密接近して闇討ちをかけるなら避けられはしないと思い、数発角度を違えて撃ってみる。
だが、またしてもジン改は射線上から大きく動き、レーザー波は空を切っていく。
あんまりにも異常な現象が次々と起こった為に、ニコルはその場で動きを止めてしまう。
だが、それが不味かった。
次の瞬間にジン改はくるりとこちらを向いて、デュエルから奪ったビームライフルを数発撃ってきたのだ。
それは間違いなく自分のいる所。
そして、ミラージュコロイドを展開中ではビームは勿論、実弾兵器も無効化することは出来ない。
ジン改が機体を反転した時点でニコルは慌ててミラージュコロイドを切ろうとしたが、そうなる前にビームがブリッツの両肩の付け根を撃ち抜く。
姿を現したブリッツは両腕を失った状態で呆然とそこに静止してしまう。
ブリッツに戦闘能力が無くなったのを確認した様に、ジン改は身を翻し九機のジンを相手にしているゼロの方へ向かっていった。
自分の攻撃が全部読まれている…… ?
ニコルは、えもいわれぬ不快感を覚えた。
「バリアント、ゴットフリート一番、二番照準 ! てェーッ !! 」
「敵ローラシア級を撃つ ! ローエングリン一番、二番発射準備 !! 」
アークエンジェルのブリッジでは怒号の様な号令が飛び交い、サイとミリアリアが向かっているモニターには次々と変わっていく戦局の様子が映し出されている。
そんな中、戦闘をモニタリングしていたマリューは、表情には出さなかったが非常な驚きをもって戦闘の様子を見ていた。
ほんの数分前までブリッジの中はかなり絶望的な雰囲気だった。
敵がこちらを潰す為にMSを合計十二機、戦艦三隻を向けてきたのだから。
だが、ジン改が敵のデュエルからビームライフルを奪った時、彼女はその戦法に驚いたのと同時に、図らずも一つの光明を見出したと思ってしまう。
敵の武装を奪い、自分の物の様に使って難局を乗り切る。
改めて、ジン改に乗っているガロードという少年が持つサバイバル性の高さを知らされる。
自分で考え、工夫して対処法を見つけ、それを発展させて独自の戦法を編み出す。
自分の上官でも、そんな事を実際に現場でやれと言われても、そうそう出来る者はいないだろう。いやいた方が余計おかしい。
そう思っていると、急に艦が大きな揺れに襲われる。
「どうした ?! 」
「CIWS被弾 ! その他に艦底部にも被弾が ! 」
悲鳴の様な声でミリアリアが報告する。
モニターを確認すると、ゼロのガンバレルを逃れたバズーカを構えたジンが一機取り付こうとしていた。
「取り付かせるな ! 残っているCIWSを迎撃に ! 」
ナタルが必死になってミリアリアに向かって答える。
更にバーナード、ローにも同型のジンが一機ずつ向かって行く。
最早一片の予断も許さない状況に戦局は変貌しつつあった。
いつまでかかってるんだ……っ ?!
ムウは機体の中でイライラしながらジンの相手をする。
ガロードと約束した一分はとうに過ぎ、彼が戻ってくるまでのいつまでとも知れない時間が何十倍、何百倍にも長く感じられる。
ジンは九機の内、五機がムウの相手をし、残りの四機が一機ずつアークエンジェルと護衛艦の迎撃に向かっていた。
既にバーナードはジンに取り付かれて直ぐに主砲を潰されてからかなり経っていて、ローに至っては誘爆を避けるために迎撃を受けた機関部を切り離し、戦線から脱落していく。
焦ってはいけないと思いつつも、機体を動かす腕は思わずその意に反した動きをしてしまう。
そして、ガンバレルの一つが撃ち落された。
これまでかっ…… ?!
そんな時だった。ジン改が猛スピードで駆けつけてきた。
「おまたせっ !! 」
『遅いんだよ、バカヤロウッ !!! 一分どころか、じき三分経つトコじゃねえか !! 何やってたんだ ?!! 』
通信機からムウが怒鳴りつける。
既にゼロの機体には大小の傷が付き、ガンバレルも残り一つしかない。
対して相手のジンは大半が損傷を受けているが、撃墜された機体は二機程しか見当たらない。
「すまねぇ、手間取っちまって !! でもこいつで全部確実に撃ち落とすっ !!! 」
そう言ってジン改がゼロに見せ付ける様にデュエルを掲げる。
『おいおい、デュエルから奪ってきたって言うのかよ ??! 』
「まあね。……さっきはありがとな、ティファ。あの黒い奴から逃げる時に力を貸してくれて……」
「そ、そんな……」
ティファは消え入りそうな声で答える。
そこに再びゼロから怒鳴り声が聞こえてくる。
『こんな所で見せ付けてる場合か !! それがあるんならこっちを手伝ってくれ !!! 』
「わあったよ ! 今行く ! ……よおしティファ、あと一息だ !! 頑張ろうぜっ !!! 」
「うんっ !! 」
ジン改は、先ずゼロを取り巻いているジンを一機ずつ迎撃していく。
それは相手機にビームライフルの先が吸い付いている様な正確な射撃だった。
あたかも磁石と鉄の関係の如く……
ときたま外す事があったが、本当にときたまだ。
エンデュミオンの鷹と呼ばれるムウもしばし唖然としてその様子を見ていた。
が、直ぐに気を取り直し、残ったガンバレルで更に二機を撃墜する。
一機あたり4〜5発喰らわせて三機を撃墜したジン改は次にアークエンジェルの方に向かう。
そこでは一機のジンが至近距離からライフルを連射していた。
アークエンジェルは必死に応戦するが、機動兵器が離れてしまっている為に思う様に一撃を加えられない。
やがて外装の一部から火を噴き始める。
決定打を加えるべく、ジンが後部機関部に回りこんでライフルを構えるが、その瞬間にジンは爆散した。
間一髪でジン改のコクピットへの一撃が間に合ったのである。
だが一息吐いている暇は無い。
機関をやられたローの方に行かなくては……
その時、別の方向をちらと見ると、バスターが右手でデュエルの左腕を、左手でブリッツの左肩の方から出た幾つかの配線を握って撤退していた。
そして、ストライクがこちらの事情に気づいたのか、モントゴメリの方へ向かう。
ところが、その時目を見張る出来事が起きる。
それまでは装備のせいか割合緩慢だったストライクの動きが、目が覚める様に速くなったのである。
イーゲルシュテルンで牽制し、間を取りながら相手をモントゴメリから引き離したところで120mm対艦バルカン砲を撃ち、戦闘不能にさせる。
更にガロードが向かおうとしていたローに取り付いていたジンに向け、ローが射程に被らない様に320mm超高インパルス砲 アグニを叩き込んだ。
その働き振りにゼロもジン改も動きが止まってしまう。
運動性も反応速度もかなり変わっているからだ。
まるで中のパイロット、キラの人格がいきなり豹変したかのように。
一体キラに何が起こったのか……
その時、敵母艦が転進を始めた。
ジンを九機、連合から奪ったXナンバーを三機も投入してこの結果なのだから転進しない方がおかしい。
と、同時にアグニを構えたままのストライクがその母艦へ向かって急発進する。
ガロードはその行動を深追いだと思い、ストライクに通信を入れる。
「キラ、おいキラ ! 聞こえるか ?! どうしたんだよっ、敵は撤退し始めてるのに ! キラッ !! 」
何の返答も無い。ノイズの混じる無機質な音しか聞こえてこなかった。
ガロードは急いで今度は艦長に向けて通信を入れる。
「艦長さんか ?! 」
『ガロード君 ?! キラ君はどうしたの ?! 』
通信が開いて真っ先にキラの事を訊くあたり、マリューもキラの様子がおかしい事に気づいていた様だ。
「どうもこうも、あいつ一人だけで敵さんの母艦叩こうとしてやがる !! 相手が転進してんのにだぜ ! これってさ、はっきり言って『深追い』だろ ?! 」
「ええ……そうね。月艦隊が敵を射程に入れるまであと一分も無いし……既にジンは全機撃墜が確認されているし、Xナンバーもバスターを除いて全て中破の状態……こちらから彼を呼び戻します。
混線を防ぐ為にそちらの回線は切っていて !! 」
「りょーかいっ !! 」
だがガロードが返事をした瞬間、敵艦のある方向がパッと明るくなる。
ストライクがアグニをローラシア級戦艦の後部機関部に撃ち込んで爆散させたのだ。
Xナンバーの機体を間の距離に挟んでのかなり正確な攻撃。
更に次の獲物を見つけたかの如く、ストライクは進路とアグニの照準を変える。
その位置から躊躇いも無く放たれた次の一射は同型艦の同じ部分を貫き屠った。
その瞬間、アグニの連射の為かストライクのフェイズシフトが落ちる。
今Xナンバーの機体がストライクの方に転進して攻撃をしだしたらストライクに攻撃を防ぐ術は無い。
「キラ君 ! 今すぐアークエンジェルに戻りなさい ! フェイズシフトがダウンした今戦闘続行は不可能よ !! 」
しかし、乗っているキラは入っているであろう通信にも、フェイズシフトダウンにも全く気が付かないと言わんばかりに、350mmガンランチャーを構え最後に残った戦艦にありったけの銃弾を叩き込む。
敵艦の砲台の片方が火を噴き、流れ弾もスラスターに当たる。
ストライクは尚も追撃の手を止めない。
見るに耐えかねたナタルは、今から再度通信を入れようとしたマリューから通話機を引ったくり、あらん限りの大声で怒鳴った。
「キラ・ヤマトッ !! 何をしているかっ !! 今すぐアークエンジェルに戻れッ !!! 深追いの必要は無いっ !! 」
その叱咤があって数秒後、キラはアークエンジェルに向けて転進する。
Xナンバーも全機が母艦に向けて帰投して行く。
その直後キラの方から通信が入ってきた。
『済みません。……アークエンジェルが討たれると思って……夢中で……』
「お前……」
続けようとしたナタルからマリューは通話機をすっと取り、キラに返す。
「処分に関しては月艦隊と合流してから考慮します。……生きて帰ってきた事が何よりよ。とにかく、お疲れ様。あなたはこの艦を守りきれたのよ。」
それっきり通信機は静かになるが、僅かにキラの嗚咽が聞こえて来ていた。
投下終了します。
アークエンジェル側の損害については次回詳しく書きます。
対ブリッツとか特にもう超人の戦いの域だなと思われたのなら……すいません。
では、また後程。
GJ
…………と言いたいんだが、
GAT-Xナンバーのビームライフルって
専用のプラグがある機体にしか使えなかったはず……。
記憶違いだったらごめん。
GJ!
ガロの柔軟思考とサバイバビリティ+ティファの能力とが複座式で戦う限り
現状ではまず無敵、てのはもう本作のカラーと言っていいと思うんで
気にせずそのままやっちゃってください。
しかしキラ…いきなり種割れでもしたのかな?
なんだかTVに比べて犠牲者を減らす事はできてもその分キラへのストレスというか
精神的な疲労が増していきつつあるような。ここはやはりテクスだけが頼りか…
こういう事もあろうかと、改修の時点でストライクと同じ規格の
プラグその他を付け替えた…てのはでき過ぎかな。
確かコネクターの都合でガンダムの武装は他の機体では使えないってアストレイで無かったか?
GJ
・・・しかし
>>799でも出ているようにGのアドバンテージであるビーム兵器を敵に使われたりなどしないように、
規格の合ったプラグで無いと武器を認識、使用できないようになっている。
というか機体本体からエネルギーを回して使う武装がジンに標準装備されていない事を考えると、
プラグそのものすらない可能性があるな…
まあその辺はストライクの予備パーツで後付けできん事も無いかも試練が…
>>801 でもそれだと始めからストライクのライフル持って出ればよくね?
ってことにならないか?
Gシリーズのライフルは本体のバッテリー直結だったはずで、撃てたとしても直ぐにバッテリー切れしそう。
3機墜とした段階で14〜17発撃ってるよね?
GJなんだが
気にするな、みんな、オレは気にしない。
GJ!!
割り切れよ。じゃないとついていけないぜ?
乙
よし、マードックがビームライフルの重要な予備部品がないと嘆いているシーンを今から捏造するんだ。
でもコネクタだけは予備部品か最悪イージスから引っぺがして付けておくんだ。
>>807 その手があったか!!>イージスから引っぺがし
それでふと思いついたんだがイージスが気に入らんのは変形機構の事だけなんだから、
有用な部分外してガロジンにくっつければよくね?
センサー系の強化された頭部とかサーベル内臓式の腕とか…
まあまず間違いなくナタルが切れるだろうがw
ライフル問題はストライクの前腕の予備を改造して移植(原作でデュエルの腕の辻褄合わせがあったんだし)と
予備バッテリー(各種ストライカーパックについてるあれかアストレイのあれ)を
持ってた事にでもしとけ
いっそイージスの右腕をゴールド天の如くジンに移植したとか
そういえば都合よく捕獲の際に左腕と頭部が外れてた様な…>イージス
逆転の発想!
ライフルにバッテリー付ければいいじゃない、Zみたいにさ
幸い種MS用のバッテリーって小さいんだぜ、レッドフレームの手に収まるくらいにさ
ハイペリオン方式でエネルギーカートリッジとかな。
過ぎた贔屓は見苦しい
種死のキラ達のように
>>814 違うよ、全然違うよ
まったく全然意味合いが違うよ
>>814 おまえがXどころか平成三部作を見たことないのがよく分かった
レンタルで勘弁してやるからX全話見たこい
まあアストレイ知ってるのにコネクタを見落としたEx氏にも責任はあると思うが
そのうち明らかになるだろう
このSSも原作に比べて相当補正掛かっちゃいるがな。
逆に考えるんだ
「補正の掛かっていないSSなんて無い」と
考えるんだ
補正がかかってるかかってないより程度の問題だよな
補正のかけ方が上手いか下手かだろ
一番大切なのは物語としての説得力だから、
設定うんぬんはフォローをしっかりすれば大丈夫だよ。
負債補正よりヒドイのもそうそうないだろうし。
二次自体が補正っつーかご都合主義の塊みたいなもんだろ
そーかもね
でも元々それをやるスレなんだから、
そー言う事まで言っちゃうと筋違いになるわけで
これほど不毛なもんもないぞ、それこそスレ違いって事になるからな。
第十七話投下します。バッテリーの件は803さんか809さんの意見でFAさせて下さい。
機動新世紀ガンダムXSEED 第十七話「単純な話です」
「しかしこうして改めて見ると壮観ですね。」
「まあ、外っ面だけ見てりゃあなあ……」
いつもはCICで索敵を担当しているジャッキー・トノムラが口にした一言にムウはあけっぴろげに思った事を言う。
地球連合軍第八艦隊-ハルバートン提督率いる大小数十にも及ぶ戦艦、駆逐艦で構成された艦隊がアークエンジェルに威容をもって接近していた。
「-百八十度回頭、減速、更に20%相対速度合わせ。」
「しっかしいいんですかね ? 旗艦のメネラオスの横っ面につけて。」
操縦桿を握っていたノイマンが冗談交じりの懸念をつい口にしてしまう。
「提督が艦をよくご覧になりたいんでしょうね。自らこちらへおいでになるという事だし。」
マリューは微笑みながら言う。
本当は直属の部下である自分達が呼びつけられる立場なのだが。
その時ナタルがさらっと一言言う。
「二人の傭兵、ストライクのパイロット、敵の捕虜の処遇に関しても考えてらっしゃるのでは ? 」
「そうね……」
その言葉にマリューは嘆息する。
合流直前のあの戦闘の後、具体的なこちらの損害内容が明らかになってきていた。
護衛艦三隻は主砲を含めた全砲門を等しく潰され、当分の間丸裸の状態だ。
加えて、ロー、そしてバーナードも機関部を切り離した為に自走するのが不能の状態になっており、曳航無しには進む事も叶わない。
アークエンジェルとて無傷ではなかった。
幾ら大型の火器とラミネート装甲という防御技術があるとはいえ、艦底部のCIWSとバリアントの一番を大きく損傷している。
戦闘中に六十四から七十二ブロックは緊急閉鎖され、艦内は今現在もその処置に追われている。
しかし、結果としてはここまで四隻は一隻も欠ける事無くやって来る事が出来た。
戦果にしても敵艦二隻を撃破、一隻を中破に近い小破、ジン九機撃墜、敵に奪取されたままのXナンバー機三機の内の二機を中破に追い込むなど、上官に報告すれば少しは感心してもらえそうな結果にもなった。
しかもそれをやり遂げたのはMA一機とMS二機。
そして乗っていた制式兵は唯一人で、あとは傭兵、そして民間人というそうそう信じられないものだった。
だが戦果に関しては少しばかり書き加える所がある。
ストライクの敵艦撃破に関してだ。
敵艦が転進を始めた時点で、既に敵が戦闘続行不能と判断し、撤退を試みていたというなら立派にそれは深追いである。
しかしマリューが撤退を指示するまで撤退命令は出ていなかった。
その撤退命令が出たのは敵艦二隻が屠られた後である。
フェイズシフトダウンした機体で戦闘を続けようとしたのは危険行為に当たるが……
さて、どうするか。
ジン改が格納庫に収容され、整備班と作業班がまたも満場の拍手と歓声で二人を迎える。
スタッフが次々と労いやからかいの言葉をかけてくる。
「お疲れさん !! よく頑張ったな !! 」
「あんな戦法でデュエルのビームライフルパクッた時はマジでたまげたぜ ! おまけにその後ジン四機も潰すとぁなあ ! すげえよ !! よくやった !! 」
「おいおい、今回はお土産、ナシかい ? まあ、今の所はチャラにすっぜ。」
二回目だと何か慣れた感じすら出てくるのが怖い。
その時一人のスタッフがある疑問を口にする。
「けどよォ、聞いた話じゃ後ろから飛んできたブリッツのランサーダート避けたり、ミラージュコロイドやってたのにその位置ハナッから分かってたみたいにブリッツの武器奪うみてえなピンポイント射撃やったり……
マードック曹長 ! その機体ってバックミラー付いてます ?! 」
「ああ ? んなモノ付いてる訳ないだろ ! 馬鹿言ってねえで作業に戻った、戻った !! 」
ゼロの損傷具合とにらめっこしていたマードックはぶっきらぼうにその質問に答える。
そうだった、とガロードは一つの事を思い出す。
ここにいるスタッフの誰一人として、最初自分達が尋問を受けた時にいなかったという事を。
ティファの力について知らないのも無理は無い。
皆が釈然としない表情のまま作業に戻る事となった。
その時ガロードの視界が不意にふっとブラックアウトする。
「ガロード !! 」
「……っとと。サンキュ、ティファ。」
ティファがさっと支えてくれたお陰で、地面と愛を交わす事にならなくて済んだが、足元が少しふらつく。
やはりさっき、デュエルのビームライフルをぶん捕る時にやらかした無茶が、今頃体に応えてきたのだろうか。
そして支えたティファも再び立ったガロードに縋るかたちでよりかかる。
「ティファ !!! ……ティファも大丈夫じゃなさそうだな。部屋まで送るから先に休んでなよ。」
「えっ ? じゃあガロードは ? 」
「俺は機体の修理とか改装とかやらなくちゃならねえからなあ……心配すんなって ! ちゃっちゃと終わらせて部屋に行くよ ! 」
「有り難う……でもお願い。無理はしないで。約束。」
ティファの表情を見ていた者達は一瞬思ってしまう。
そんな雨の日に外にいる捨て犬みたいな目をされたら、破った時のフォローが計り知れないな、と。
「わ、わあったよ……約束な。」
そうガロードが言うと、周りがニヤニヤと笑い出し、「守ってやれよ〜、破るなよ〜」と言わんばかりの表情を向ける。
二人の顔が真っ赤になるのは言うまでも無い。
「何見てんだよーッ !! 早く作業に戻れよーッ !!! 」
ガロードが怒鳴ると、スタッフは大笑いしながら蜂の子を散らす様にそれぞれの作業場に戻っていった。
その時、今度はジン改の方に向かっていたマードックが声をかけてきた。
「坊主 ! ちょっといいか ? 」
ガロードはティファに短く「じゃ、また後で ! 」と言うとジン改の方に向かった。
そこではマードックが難しい顔をして立っていた。
「整備のおっさん ! どうしたんだい ?! 」
にこやかな顔で来たガロードに向けられた提案は度肝を抜く物だった。
「……イージスばらしたくねえか ? 」
「何だって ?!! 」
一瞬冗談かと思われたが、かなり真剣な表情が冗談ではない事を示していた。
「お前さんイージスの変形機構が気にくわねえんだろ ? だがあいつのパーツはかなり使える物ばかりだって事はお前さんも知ってる。
おまけに相手はしょっちゅうXナンバーの機体を使ってる。真正面からまともにあいつらの相手をするにはこれしかねえんだ。」
ダイヤを削るにはダイヤを使うしかないとはよく言われている事だ。
先程は機転を利かせて勝ったが、今のジン改の武装では明らかに分が悪い。
「本当は元のまま使うのが一番なんだが……艦長達、かけあってくれねえかなあ ? 」
「艦長さんはまだしも、副長さんに言ったら殺されちまうぜ ? 」
当たり前と言えば当たり前だ。
やっと取り戻せた機体を旧型機の改造の為だけにばらすわけにはいかない。
今こちらに連絡艇で向かっている月艦隊の人間も同じ結論に行き着くだろう。
マードックは思わず溜め息を吐く。
「あれは良い機体なんだがなあ……」
せめてビームシールドだけでもどうにかならないか ?
「イージス使える奴他に誰もいないのかよ ? 人員が補給されたんだろ ? 」
「今来ている第八艦隊の連中のパイロットでも、みいんなヒヨッ子に違えねえさ。フルの力でまともに扱おうと思ったら、もう一人の坊主の様な奴がもう一人必要になってくる……」
もう一人の坊主とは無論キラの事だが、それがもう一人必要になるという事は、暗にコーディネーターの力を使わなければイージスは使い物にならない事を指していた。
「コーディネーターと戦ってんのに、コーディネーターの力を使わなきゃまともに動かせない機体作るって、連合軍って一体何なの ? ……はぁ。」
「そう言うなって……はぁ。」
ガロードのその言葉にマードックは苦りきった表情をする。
格納庫のジン改の前で二人はがっくり肩を落とした。
その時だった。
「あのっ…… ! そのイージスって奴に……乗せてもらえませんかっ ?!! 」
「「んあ ? あっ、あんたは !! 」」
二人は揃って大声を出す。
それは機体でどうのこうの悩んでいれば、到底考えられない人物だったからだ。
部屋の中でキラは泥の様に眠っていた。
格納庫のストライクがおかれている場所に入ったのと同時にキラは気を失った。
その後担架に乗せられ一応医務室に向かわされたが、テクスは部屋で眠っていれば直に目を覚ますと判断した。
大した怪我を負っていないというのがその判断が下された理由だが、勿論未だ医務室にいるアスランとかいった敵の捕虜と顔が合う所に置いておけないという理由もあった。
やっと目を覚ましたキラは側にあったデジタル時計に目をやる。
時刻は戦闘が終わったあの時からきっかり一時間を指していた。
と、同時にある事がキラの頭をもたげる。
あの時……戦闘中にアークエンジェルの一部が炎をあげたのを見たと同時に、頭の中が急に霧が晴れた様にクリアに感じられた。
それから先、副長の怒鳴り声が通信機から聞こえてくるまでの間の事は、自分でもよく分からなかった。
その事を思い返すと本当に自分がそれだけの事をしたのかどうか自分自身疑わしい感情を持ってしまう。
ランチャー装備でジン二機と戦艦二隻を撃破したなど。
しかし、これではっきりした事が一つだけある。
もう自分はそう易々とアスランのいるザフト、いやプラントにさえ行く事は出来ないかもしれないという事だ。
深く考えるまでも無い。
あの艦にもアスランの知っている人はいただろう。
それが討たれたと聞かされたなら、自分を憎さで絞め殺してしまうのではないか。
もう、友達などという肩書きは無いに等しい。
彼にとってキラは敵なのだから。
-自分は引き返せない所まで来てしまった。
途中幾つか岐路は存在していただろう。ストライクに強奪して相手のほうに移るとか。
今の友人の存在がその行動のストッパーになっていた。
そして煮え切らない態度でずるずると戦った結果がこうだ。
-自分の進む道と言うのは自分で決める物だ。-
テクス医師はそう言った。
同胞を、旧友に繋がる人間を血に染め上げるのが、今自分に与えられた定めなら……
弱気な心も、甘さも、優しさも全部捨て去って鬼神の如く戦うしかない。
「何なんだ ! あの改造ジンは ! 」
「落ち着けよ、イザーク。あんな動きされたんじゃ、同じ機体に乗ってたって俺だってああなるかもしれねえさ。」
「五月蝿いッ !! 」
イザークがロッカーに拳を叩きつけ激怒するのをディアッカが何とか諫めようと四苦八苦していた。
今回の戦闘はイザークに異常なまでに屈辱感を味わわせる物だった。
よりにもよってナチュラルが操縦する、こちらからかっぱらったであろうジンに戦闘不能に追い込まれるなど。
自分が赤を着ているのはエースパイロットだからだ。
見こまれるほどの腕を持っているから赤を着ているのだ。
実績を重ね、場数を踏み、実力を認められる為に必死になって戦場を駆けた。
あの戦闘が白を纏う為のワンステージの一つだったとしても、これはあまりにお粗末な結果と思える。
彼の中では改造ジンに対しての激しい対抗心が渦巻いていた。
一方ニコルはすこし離れた所からイザークの様子を眺めている。
確かに彼がそう思っても仕方ない事実だったと思えた。
あの戦闘でほぼ無事に離脱できたのはXナンバーのバスターと戦艦ガモフだけだ。
投入した九機のジンは全滅し、ガモフと同型艦のツィーグラーとマルピーギも撃沈した。
またデュエルは機体の損傷が激しいばかりか下半身を失い、ブリッツも武器のある両腕を失っている。
月艦隊の射程に入るまでの十分で足つきを沈める事が出来ればそれで良かった。
それが為しえるであろう戦力を投入していたのだから、いつの間にか討伐は絶対成功するだろうという青地図を無意識に彼らは描いていたのかもしれない。
だが事実は違った。
自分がミラージュコロイドを展開して、足つきの艦橋を潰すか、それが出来なかったら足を止めるか。
その判断を下そうかとしている時に、デュエルがあの改造ジンの攻撃で窮地に陥っているのが見えた。
Xナンバーの機体云々の前に、乗っているのが付き合いの長い仲間だったので、救助の方を優先しようとしたが特攻にも似た一撃で衝撃を受ける。
ならば、とブリッツの特性を利用した攻撃を仕掛けたものの、悉くかわされ逆に武装をはぎ取られてしまった。
ニコルの回想はそこで止まった。
何の策も無しに、ミラージュコロイドを展開したブリッツの位置を特定できる訳が無い。
にも拘らず、あの改造ジンはランサーダートもレーザー波砲も避けた。
自分の居場所やこちらの手の内を知っているとか言う段の話ではない。
なら何なのだ ? 連合はパイロットに超能力者でも乗せているとでも言うのか ?
あまりそういった三文小説も裸足で逃げ出す様な設定なぞ信じたくは無いが、こうなっては信じざるを得ないのか ?
だとすれば、身の毛もよだつ話だ。
ブリッツのミラージュコロイドが効かないのはおろか、下手をすればこちらが立案した作戦まで筒抜けという事になる筈だ。
「今度足つきを撃ちに行く時は、あの改造ジンに狙いを集中した方が良さそうですね。」
「「ああ ? 」」
イザークとディアッカは同時にニコルの方を向く。
当の本人はいつになく真剣な表情で言った。
「あまり信じたくはありませんけど……単純な話です。あの改造ジンには人の力を超えた何かを持ったパイロットが乗ってるかもしれないんですよ……」
「罰は無しですか ?! 」
G兵器とアークエンジェルをアラスカまで届けるという覚悟をマリュー、ナタル、ムウがハルバートンの言葉で再確認した後、キラの処分に対しての答えがそれだった。
ハルバートンの温情を効かせた判断にマリューは内心胸を撫で下ろす。
「先の戦闘における撤退命令は彼が敵戦艦を二隻撃破した時初めて下されたもの。それが理由だ。」
「しかし、敵が転進を始めた時点で、状況判断をして引くべきだったと私は思います !! 」
ナタルは苦言を呈している。
軍人の目線で意見し続ける彼女に彼は凍りつく様な目ではっきりと言った。
「君は彼がこの艦に乗った時点で既に兵士だったとそう言いたいのか ?! 目の前に死の恐怖が迫れば誰とて物事の判断を誤る事はある !
新兵なら有り得なくもないが、彼は元々民間人だ ! そんな人間に常に機械の様な正常な判断を下せと ? それは君の我が侭でしかない !! 」
「も、申し訳ございません ! 」
言われてナタルは縮み上がる。
付け加える形で彼は更に続けた。
「それでは彼にあまりに酷薄すぎる……」
その言葉を聞いてマリューは安心した。
そしてこの上官の部下になれて改めて嬉しいとも感じる。
しかし、気を抜く事は出来ない。
あのXナンバーはまた自分達を襲いに来るだろう。
マリューにはその時自分は彼にまたストライクに乗って戦ってくれと面と向かって言えるか自信がなかった。
投下終了します。
色々とモメる話題詰め込んですんません。
では、また後程。
ヌコルがなにか仕掛けそうな気配がしてきましたな
乙。
しかしこの世界であの二人相手に超能力とか言ったら鼻で笑われそうだよ、ニコルw
ま、それを別にしても普通に改造ジンであれだけ戦果挙げりゃ集中的に狙われて当然か。
単純に変形機構をロックすりゃーいい話じゃねーかとか思うのは素人?
-これじゃんく―で書いた方がいいと思う
―自分は引き返せない所まで来てしまった。
こんな感じで
>>834 無駄な機構抱えたMS誕生だな
>>827 ×ビームシールド
○アンチビームシールド
俺ジン最強よりも老朽機無理無理使って使い潰したほうが燃えるなぁ俺的に
あと
ザフトが奪った連合の機体と連合が奪ったザフトの機体が戦うってシチュエーション何だから
三人称で皮肉る
観測者の自嘲・あるいは誤解
を入れると深みが出るかと
春がジンは味方である当てるなよとかIIFに注意しろとか訓示たれさせるとかOSに興味持つとか
ゼロの損傷具合とにらめっこしていたマードックはぶっきらぼうにその質問に答える。
”そうだった、とガロードは一つの事を思い出す。
ここにいるスタッフの誰一人として、最初自分達が尋問を受けた時にいなかったという事を。
ティファの力について知らないのも無理は無い。 ”
皆が釈然としない表情のまま作業に戻る事となった。
その時ガロードの視界が不意にふっとブラックアウトする。
毎回説明入れるぐらいなら
事の真相については聞かされていないスタッフ達は釈然としない表情のまま作業に戻っていった。
とか簡潔に
ぶっちゃけ
ゼロの損傷具合とにらめっこしていたマードックに追い払われた。
程度で十分
以上、素人意見
>>836 地の部分と引用部分と区別したほうがいい。
あと列記してる部分も中黒なり括弧なりで区別してないから改行が変に見える。
以上、素人意見
どうも。
今日の昼以降に投下しようかと考えております。
今回フレイと医者の扱いでめっちゃくっちゃ困り果てました。
今日投下する回に書いたのですが、イージスを巡っての彼女の一件(何故彼女は原作と同じ(見方によってはそれ以上の)決断をしたか)とか、
嘗ての友と戦う決意をしたキラ君の医者との対話で医者はどうフォローに回ったか、
ほぼ徹夜で推敲をしながらあーでもないこーでもないと思わされました。
ここからこんな心境には移らんだろうなあとか、こんな台詞言わんだろうなあとか。
しかし皆さんには完成した状況で提供します。
では、また後程。
おお、特殊部隊っぽいwww
アヌス
コ
ル
かゆ・・・うま
ちょw
◆L1QckJlrlM氏、気を確かに持ってくれwww
第十八話投下します。一部L1QckJlrlM氏と設定被ってるぞ〜と聞こえるかもしれませんが、
ご安心ください。色々と上手い具合に仕上げますから。
機動新世紀ガンダムXSEED 第十八話「お前さ、優しいから。」
「除隊許可証 ? 」
そう書かれた紙を見つめながらトールはきょとんとした後思う。
軍に入ってないのに何でこんな物を渡されなきゃならないのだろうか。
ナタルは他の者達にも無表情で同じ書類を配りながら質問する。
「キラ・ヤマトはどこにいった ? 」
イライラとした調子の質問に答えられる者はいない。
揃いも揃って首を傾げたり、顔を見合わせてから「分かりません」と言うだけである。
「まあ良い……後で渡してやれ。」
その後直ぐにキラの分の除隊許可証がトールに渡された。
そしてナタルの側に居るハルバートンの副官であるホフマンから説明がされる。
例え非常事態でも民間人が戦闘行為を行えば犯罪になるので、回避する処置として日付を遡りトール達がそれ以前に志願兵として入隊した事にしたのだそうだ。
ややこしいなと、トールは思う。
が、このまま乗っているよりは地球に降りて、安全な所でまたいつもの平穏な日常を送れるなら良い。
ほんの数日間とはいえ軍人であった事は、危ないと思った瞬間こそあれ、ある意味結構面白かったし。
その時、トールはある事に気づく。
皆が集まっているこの場にキラ以外に来ていない人間がいる事に。
他のメンバーもそれに気づいたらしく目で「どうしたのだろう ? 」とだけ会話する。
小太りの副官が尚も説明を続けていたが、彼らの耳には全く入って来ていなかった。
ガロードとマードックはある一点をじっと見ていた。
キャットウォークでイージスに乗せてくれと言ってきたのは信じられない事にフレイである。
―フレイがこういった決意をしたのには理由があった。
自分はヘリオポリスの一件があるまではずっと守られたり、誰かから可愛がられてばかりの存在で、自分自身もそういった存在である事を自覚していた。
だから大幅に状況が変わったとはいえ、友人達もいるのだしそれは変わらないだろうと踏んでいた。
だが、自分の見知っている人間が次々と死と隣り合わせの現場に就かざるを得なくなった時、艦の隅には何も出来ずに野鼠の如く震えているしかない自分。
それは高貴な育ちをした彼女に僅かばかりの屈辱感を与えた。
しかし、途中から無理矢理乗って来たガロードという少年が連れていた少女が彼女の意識を徐々に変えていった。
芯の強さといった物は感じられるものの、自分以上にちょっと小突いてしまえば倒れてしまいそうな華奢な体躯で、懸命に少年の助けをしている姿は確かに彼女に訴えかける何かがあったからだ。
自分はこんな所で戦いになったら小さく縮こまって、平時に戻ったらのうのうと生きているだけの存在で良いのか ?
命が奪われそうになる段になって、自分には何も出来ませんと言って誰かに自分の割り当てられた役目を丸投げにするのか ?
少なくとも父は自分がそんな姿になるのは望んではいない。
自分は常に父の理想とする娘に向かって進み続けていた。
それは常に、小奇麗な身だしなみや可憐な振る舞いや万人への甘え方に気を配っていれば良いという訳ではない。
あの少女のように守りたい物を懸命に守らなくては……守れなくては……
そして彼女が守りたい存在、そしてその存在がいるという場所とは……
紛れも無く戦場だった。
事が一段楽したら艦長さん達にかけ合わなければ。―
ガロードとマードックの二人は黙って顔を見合わせ、溜め息一つ吐く。
軍にも所属していないこのお嬢様は一体どういうつもりでそんな事を言っているのか。
「あー、駄目駄目、絶ッ対に駄目 ! フレイにあれが扱えるかよ ! シミュレーターで訓練してる訳でも、やってた訳でもねえのに……」
「嬢ちゃん、困るぜ ! あれは玩具じゃねえんだから ! 乗るって言って簡単に乗れるんだったらとっくに他にごまんといるパイロットの誰かに任せてるさ !! さ、話は終わったから帰った、帰った !! 」
二人は向きを変えて足りない武装の事について話し出した。
完全に邪険に扱われた事にフレイは怒り、キャットウォークから飛び降りる。
尚も話そうとする彼女を、二人は無視を決め込んで自分達だけで話を続けた。
それが不味かった。
ガロードはいきなり彼女に掴みかかられたのだ。
「あなたはあなたが連れてきた子を乗せてるじゃない !! 自分と一緒に ! あれはどうしてなのよ ?! あの子……乗ってる間何してるの ?!! 」
フレイが物凄い剣幕で問い詰める。
ガロードにとってそれは痛い質問だった。
ジンへの射撃、デュエルへの攻撃は自分の力だけでやった。
自分がやれる所までやって、どうしようもない時にだけティファ自身が力を発揮している。
例えば先の戦闘の対ブリッツに於いてがいい例だ。
ティファが突然操縦レバーを握ってきて微妙に動かしていなければ、自分は後ろから飛んできた何かにやられていただろうし、艦は全て沈められていたかもしれない。
しかし当然の事ながらそんな事をぺらぺらと喋る訳にはいかない。
余計厄介な事になるだけだ。
ガロードは両手でフレイを引き離し、理由を考えながら答える。
「それは……あー、ほら ! 敵機を探したり機体に異常が無いかとか調べたりしてんだよ。俺が操縦してる間にな。
OSはキラにちっとばかし書き換えて貰ったけど、俺キラみたいに全部出来る訳じゃねえし。お、俺でもそんな風なんだぜ。あんた一人でどうこう出来るのかよ ?! 」
フレイは一瞬押し黙るが、それでも言う事を聞かない子供の様に喚く。
「や、やってみなきゃ分からないじゃないっ ! それに、私だって……私だって……護りたい人がいるのよっ !! 」
これまでの一連の戦闘で戦果をメインで上げていたのはガロードだった。
が、キラだって出撃しているのだから頑張っていない訳が無い。
自分は少しでもその助けになれないかと思っている故の発言だった。
「だったらさぁ……自分が出来る事から先ず始めてみれば良いじゃん。
何もそんなシミュレーター一回もやらないでMS乗って戦うなんて、無茶苦茶やらなくたって良いじゃねえか。」
「シミュレーターでも何でもやるわ ! だからお願い ! イージスに乗せて !! 」
フレイは大きな目を潤ませて懇願してくる。
だがこれは訓練云々の問題ではない。
ナチュラルでも何とか扱える代物に、という事でOSの書き換えが再三に渡って行われていたイージスの機体スペックは、相当なまでに低下している。
ムウ並みの兵が操縦するのならともかく、フレイが乗ったところで何分持つ持たない以前に発進も出来ないだろう。
それは最早大型で鈍重な動く的以外の何物でもないからだ。
一撃も当てられずに撃破される、と賭けてもいいとガロードは思ってしまう。
マードックもフレイが単なる安易な虚栄心か、子供っぽい自己顕示欲に突き動かされてそんな荒唐無稽な事を喋ったと思った。
ガロードとマードックは「参ったなあ」という顔をして顔を見合わせた。
キラは展望デッキで外を眺めていた。
青々とした地球が帰っておいでと言わんばかりに目の前に浮かんでいる。
帰る事は正しいのか、そうでないのか……
その答えはもう出ている。自分でも信じられないほど残酷な形で。
そう思っていると後ろからここ数日聞きなれた声が聞こえてきた。
「道は見つかったか ? 」
ドリンクパックを持ったテクスがキラの元に近づいていた。
「はい……」
「そうか。それなら良いんだが。」
少しの間だけ静寂が訪れる。
耐えかねて先に口を開いたのはキラの方だった。
「ストライク……これからも乗る事にしました。」
その言葉にテクスは、ほう ? という感じでキラの方を見やる。
「もう……戻れない所まで来たんだって、部屋にいた時に思ったんです。それに……アスランはもう僕の……友達じゃ……ないんです。」
「敵になったから……か ? 」
そこでキラは前に医務室に行った際に何があったのか淡々と話し始める。
一言々々を語るキラの口調は苦しげな物だった。
小さい頃から付き合いがあって、二人が写った写真も少なくはない程だ。
かつて友だった者に刃を向けるという決断は、誰だってそうしろと言われて直ぐ出来るものでない。
こんな状況があまりにも特殊だと言ってしまえば、そこでこんな葛藤は終わってしまうが、戦争とはそういう代物だ。
かつてアスランはキラに対しこう言った。
お前は直ぐに誰とでも打ち解ける事が出来るんだな……と。
それがこんな時に仇になってしまうなんてキラ自身全く見当がつかなかった。
全てを聞き終わったテクスは暫く黙っていたが、静かに口を開く。
「彼は突き放したんだろうな。君の事を。」
「えっ ? 」
「今捕虜になっている彼も、その内身柄が引き渡される時が来る。また君と戦場で出会って引き金を引くのを躊躇わない為にそんな態度をとったのだろう。
……君があの機体に乗る事に関して私はとやかく言わんし、また言えん。君が自分で考えて自分で選んだ道なのだからね。但し……」
テクスはそこで言葉を切り、キラの方を見やる。
視線を向けられた本人は呆けた様に相手を見ていた。
「そう決めたからには実行する心を強く持った方が良い。何があっても誰の責任にも出来ないからな。それと、私は体の傷だけを治すのが能の医者ではないとも一応伝えておこう。
また何か思い悩む事があったら遠慮なく来たまえ。就寝時間以外なら何時でも相談に乗ろう。」
「はい……有り難う御座います。」
そう言ってキラは展望デッキを後にした。
彼の両肩にとてつもなく重い物が乗っているのが後姿で分かるテクスは、パックのコーヒーを啜りながら思う。
あの繊細そうな精神が、果たして終戦まで持つのか、と。
「フレイがイージスに乗るって言って聞かないだってえ ?!! 」
ガロードが持ってきた話に、除隊許可証を貰った場所から移動した後見つめっ放しだったヘリオポリス組は一様に驚いていた。
彼女はついさっき、マリューやナタルに仲間達と同じ様な働きが出来る様にかけあっていた。
まあ、イージスの操縦許可に関しては降りる訳が無いだろうが。
それにしてもと皆は思う。
父親が無事でいて、月の中立都市で平穏無事に暮らす選択肢があるにも拘らず、彼女にとってそんな物騒極まりない方を選ぼうとしたのは一体どうしてなのだろうか ?
「でも一体どうして…… ? 」
「俺にもよくわかんねえよ。今までみんなが頑張ってたのに自分だけ何も出来なかった、つうかしてなかったのが理由なんじゃねえの ? 乗る理由聞いた時に護りたい人がいるからって答えてたけど。
俺は流石に降りられねえなあ。傭兵って立場だからまだ代金貰ってねえし。」
皆はフレイの決意をへえ、という感じで聞いていた。
それと同時に非常に申し訳ない気がしてきてならない。
フレイがそんな無茶をしようとするほど覚悟しているのに……自分達は早く地球に降りられないだろうかと浮かれきっていた。
その時、サイが決意をしたように除隊許可証を思いっきり真っ二つに破り捨てた。
あまりに突然の出来事に皆は目を丸くする。
対してかなりスッキリとした表情でサイは言う。
「フレイがそんな風に考えて行動してんのに、仲間の俺達がさっさと地球に降りる訳にも行かないからな。」
その表情はトールにも一つの決断をもたらす。
「アークエンジェル人手不足だもんなぁ。俺が降りた後でおとされちゃったら嫌だし。」
そして彼もニッと笑って除隊許可証を破った。
「トールが残るんなら私も !! 」
と言ってミリアリアが破る。
最後に残ったカズイは周りの反応を見て必死に考えていた。
自分は軍という組織にはそぐわないかもしれない。
今みんなと同じ様に軍に入っても最後までやっていけるか正直言って自信が無かった。
戦いなんて非日常の連続で神経を磨り減らす日々でしかないのに……
しかし、今更おめおめとシャトルに乗って臆病者、卑怯者呼ばわりされるのも嫌だ。
そんな時、サイから声がかかる。
「カズイ、まさかシャトルに乗って臆病者とか卑怯者だなんて思われるんじゃって思ってないだろうな ? 」
自分の考えている事をピタリ言い当てられ、カズイはぎくりとする。
だがその彼にかけられた言葉は思いやりのある一言だった。
「誰も思ってないよ、そんな事。お前さ、優しいから。戦いが性に合わないだけだって。」
そしてトールがフォローする様に続く。
「俺達の事は気にせずにシャトルで降りろよ ! 平和になったらまた会おうぜ ! 」
最後にガロードが肩を叩いて言う。
「自分で決めたんなら誰も責めねえよ。それで良いじゃん ! 」
それが決定的な一言だった。
カズイはガロードと握手し、小声で「有り難う」と言い、自室へ向かっていった。
自室に戻っていく……自室に……
そこまで考えて、ガロードは「げっ !!! 」と言ってその場に固まってしまう。
ティファにあの後直ぐに部屋に行くといっておきながら、時計を見ればかれこれ一時間以上経っていた。
「悪ィ ! 俺ちょっと部屋に戻るわ !! 」
「ティファの事が気になるの〜 ? 」
後ろからミリアリアがからかう様な声を出すが気にしている暇は無い。
早く行かなければティファが機嫌を損ねてしまう。
或いは一時間も待たせていたらもう手遅れか ?
「ティファ……間違い無く怒ってるだろうなぁ……」
そう呟きながら廊下を走っていると、真正面から誰かにぶつかった。
「あ痛てて……って、ティファ ! あ〜、そのぉ、ゴメンッ !! 遅れちまって ! 」
しかし、その当のティファは怒りもせずに、息を荒げながら言った。
「敵が……来ます !! 」
規制かな
投下終了します。昼過ぎと言っていたのにすみません。
しかし、書き始める前は小説版一巻だけの内容でこんなに長引くとは思っていませんでした。
事実、低軌道会戦を描く、あと二話分が残ってますし。本編の約二倍かあ……はぁ。
まとめwikiに誰かお願いしたいですけど、私の文章では……orz
では、また後程。
ちなみに……フレイのイージス云々の所は本編の#12か#13でキラがいなくなったと思い込んで、
ストライクに乗ろうとしていた描写が有った所を元ネタにしています。
>>845 ・集合した人間の説明(場面描写)があるといいかなぁ、『キラを除く学生達』とか『キラの姿は無かった』とか
・ナタルの最初の台詞の前後にある【質問】は一回にしたほうが良いかと
同様に【答えられる者はいない】はその下の行と説明が重複している
・【そしてナタルの側に居るハルバートンの副官であるホフマンから説明がされる。】
の部分は逆に分割して
”ハルバートンの副官であるホフマン”
は前もって説明しておいたほうがひとつの文章の見やすさが上がるかと
以上、素人意見
乙
ってか素人意見氏への素人意見が反映されてるw
前回書いてから風邪を引き始めそれでも仕事へ行ったので、
こじらせ家に帰ってからはそのまま布団へGOな日々
それでもとりあえず降下までを書き上げました…
なお今日は早退、アプした後寝ます
総員、第一戦闘配備! 繰り返す! 総員、第一戦闘配備!』
「お、始まったな」
ガロードはそう言うと指を鳴らした。
「とりあえずストライクは大気圏に単独で突入はできるけどまだプログラムは完全じゃないんだ。
それでも初期の物よりも断然良い筈だけどね…ティファ、そのシステムはこれに書いてあるから」
「はい」
ティファはキラからファイルを受け取ると早速そのファイルを読んだ。
元々ティファは頭が悪い訳でないので、道中ミリアリア及びフレイからの読み書き集中特訓が行われた。
とわ言えすべて解る訳ではないのだがそれでもプログラムの変更、起動ぐらいはできるようだ。
「そんじゃ行ってくっから」
「気をつけて…」
「おい坊主! フラガ大尉はどうするんだ?」
「大尉はゼロでお願いします、ジンよりもゼロの方が速いですし大尉も乗りなれているはずですし」
「解った!」
キラはそう言うとコクピットから降りて、他の整備員ともども退避を始めた。
途中、
「それじゃガロード、ティファ頑張って!」
と大きな声でいい、ガロードがそれに対し手を振って答えた。
「さって、それじゃいっちょ頑張りますか」
ガロードはそう言うとティファはプログラムの起動を何度も何度も確認していた。
「前方の艦隊の人員は全て脱出させたな?」
「は! セレウコス、カサンドロス、アンティゴノス、プトレマイオス 、
モントゴメリの5艦には趣旨を説明、志願した者のみが残るだけであります!」
「彼らの働きでこの第8艦隊の存続が掛かっている…決して無駄死にはさせん!」
ハルバートンはそう言うとガロードから言われた作戦を思い出した。
「艦をミサイルとして使う!?」
「そ、ぶっちゃけMSに対して艦砲なんて当たれば嬉しい宝くじみたいなもんだよ、
それよりもザフトの戦艦を落とす事を先に考えないとね」
「戦艦を?」
ハルバートンがそう訊くとガロードは頷いた。
「MSはバッテリ式なんだろ? だったら戦艦を落とせばその残りのバッテリを使い切らせばいいだけだよ。
何よりも狙うのは相手の戦艦…とは言っても遠距離ではそうは当たらない」
「ニュートロンジャマーやアンチビーム爆雷などがあるからな」
「ならそれが無効化するぐらい近づけば良い話だろ?」
「だがそう簡単に…」
「たとえばさ、足の速い戦艦を自動操縦にしてさ敵艦のいる座標に突っ込ませるとか」
「それは!?」
「んでこっからが本題、そういう戦艦を盾にして時間を稼がせるの、盾にするのは傷ついたモントゴメリ当たりがいいんじゃない?
その間に本体も攻めて戦艦を落とすもよし、尻尾巻いて逃げるもよし…あ、逃げるんだったらあの艦も囮にすれば完璧だよ」
ガロードはそう言うとメネラオスを指差した。
「しかしザフトはMSもいるのだしGは強力なのだろう? すぐに落ちると言うことも…」
「その為にMAがいるんじゃん、って言ったってほんのオマケでしかないけどね」
「オマケ?」
「そ、オマケ…先遣隊の戦いを見てたけどMSにMAじゃ勝てないよ、特にガンダムには」
「そ、そうなのか?」
「うん、俺が乗ったストライクでも3〜40機は一人で行けるね、まず装甲が違うもん」
「む…」
「だからMSとりあえず無視、MSが盾の戦艦に取り付こうとしたら出せばいいじゃん、そっからでも遅くないよ」
「そうか…」
ハルバートンはそう言うと唸った。
「敵ザフト軍ナスカ級、及びローラシア級からMS発進を確認!」
「こちらもMAを出しますか?」
「いや、主砲のジャマになる、MA隊は決死艦にMSからの攻撃が届くぎりぎりまで待て」
「解りました」
「アークエンジェルも艦隊砲撃に加わるように指示を出せ、あれは強力な火力を持っているからな」
「ですがそれでは…」
「決死艦が落とされるまでだ! それ以降は一目散に降下して貰わねばならん」
「了解、伝えます!」
ハルバートンはそう言うとじっと前方をにらみつけた。
「各艦に伝達! 射程範囲に入った艦より砲撃開始、目標敵艦ナスカ級及びローラシア級!!」
ハルバートンの命令道理、艦隊前方にいる決死艦と250m級戦艦、メネラオスが砲撃を開始した。
その射線はすさまじく、合計10艦以上のビームは、アンチビーム爆雷を展開していたザフト軍3隻に雨あられと降り注いだ。
それから遅れること数秒、130m級駆逐艦からミサイルとビーム、アークエンジェルからビームと大型リニアキャノンでの砲撃も加わる。
この濃密な砲撃戦は、互いに近づいているからできたものだが、
これに巻き込まれる形になったザフトMS隊はビーム、ミサイルをかわすのに必死で、決死艦5隻になかなか近づけなかった。
その中にあってG4機さらにジン1機は避けならがらも決死艦に確実に近づいていた。
「くそ、まだ射程外だ…ディアッカ! バスターもそろそろ射程じゃないのか!?」
「後ちょっとだミゲル…これで!」
ディアッカはそう言うと戦艦の主砲と同程度と思われるビームを決死隊の先頭、
モントゴメリへ撃つも、アンチビーム爆雷を前面に展開している為少し船体に傷がつく程度だった。
「グレイト! アンチビーム爆雷の量がハンパじゃないぜ…っと!」
「奴さんようやくMAも出してきたな…ディアッカはそのまま戦艦へ砲撃、その他は俺と一緒に艦へ取り付くぞ!」
「その他って言うな!」
「了解!」
「解りました、ミゲルさん」
ヘリオポリスで何とか生き残ったミゲルをリーダーにザフトレッド(+1)は戦艦に取り付こうとしていた。
「よし、このままいっき…うわ!」
艦砲の雨を潜り抜け、バスター以外も射程範囲に入ろうとした時横合いから無数の実弾がMSを襲った。
ザフトは艦に取り付こうとそこばかりに集中していた為、
艦砲射線軸上を回避する様に遠回りしてきたMA、メビウスが大群でザフトMSにリニアガンを発射していた。
これに気を取られた後方ザフト機であるジンは今だ決死隊へと降り注ぐ援護射撃に巻き込まれ、
またはそれに気付かずにリニアガンの餌食となり最初に出撃した数の3分の2にまで減った。
「くそ! こいつら〜〜〜!!!!」
「よせイザーク! 熱くなってもどうしようも…」
「あ、え? …足つきからMSとMAの発進を確認したそうです!!」
ニコルの報告の通り、援護射撃に混じって白と赤い物が近づいてきた。
「敵MS以前数変わらず! …!! モントゴメリ轟沈!」
「く…MA隊の方はどうか?」
「そう数の20%は戦闘不能です!」
「決死艦の残りは?」
「残り4艦とも被害はあれど前面に集中、まだ動けます!」
「あ…」
「どうした!?」
「は、はい…決死艦、MAの包囲網を突破したMSが2機…いや、3機!!」
「なんだと!?」
「機体はデュエル、イージス、ブリッツです!」
「ストライクは!?」
「現在イージス、デュエルと交戦中! フラガ大尉がブリッツを攻撃中であるものの苦戦しています!」
「く…」
メネラオスブリッチでは次から次へと来る報告や命令が入り混じっていた。
「アークエンジェルは!?」
「現在わが艦の横で砲撃しています!」
「…アークエンジェルに伝えろ! 『ここはわれらに任せ降下を始めろ』…だ!」
「しかしそれでは!」
「あくまで奴らの目標はアークエンジェルだ! 今のままだと決死艦はずべてやぶられる…
彼の艦は、明日の戦局の為に決して失ってなぬ艦である。
陣形このまま! アークエンジェルは急ぎ降下させよ!」
「「は!」」
「それと決死艦が落ちたら事務次官が乗る船は護衛をつけて下がらせろ!」
「しかしそれでは…」
「民間人も乗っているのだぞ!? 危険にさらす訳にはいかんだろう!?」
「了解であります!」
ハルバートン指示の元、連合は圧倒的多数の艦砲を出し惜しみなく発射し、ザフト艦隊に少なくないダメージを与えていた。
「く、ハルバートンめ…予想よりも被弾しているぞ!?」
「前5隻の戦艦が全力で我が方に突っ込んできます、そのせいで距離が予想よりも大幅に縮まってるからでしょう」
「戦艦がこちらへ?」
「は!」
クルーゼは報告を聞いてはたと考え込んだ。
ザフトは基本的にMSの搭乗、発進が前提の戦艦だ。
射撃能力もあるにはあるが、連合の戦艦には一歩及ばない節がある。
そのお陰で先制攻撃は向こうに渡してしまったが命中率は低い。
だがそれも数の差で覆せるものであり、現に発進したMSのうち1機はその流れ弾に当たってしまっている。
「近づいている敵艦はまだ落とせないのか!?」
「現在一番先頭の艦を破壊、しかしそれ以降はMAが邪魔をしてなかなか有効だを打てない状況です」
「くそ!」
「やはり足つきを目標に急ぎすぎたのかもしれません…いまから」
「あ、足つきが敵艦隊から離脱し始めています!!」
「チィ! ハルバートンめ! 第8艦隊を盾にしても、足つきを降ろすつもりか!」
「どうします?」
「ミゲルたちに足つきを追わせろ! 残りの者はまずあの4隻だ!」
「は!」
クルーゼの指令の元まず高機動のイージス、ステルス機能のあるブリッツ、
アサルトシュラウドという特殊装甲を装備し推進力の上がったデュエルが決死艦を抜き去った。
バスターとミゲルの乗るジンはいまだ艦砲とMAの射撃をかわすのに必死で抜けないが、
それも時間の問題だった。
ジンがMAを無視し、戦艦に攻撃を始めたからである。
「アンティゴノス、プトレマイオス共に撃沈!」
「後残るは2隻か…」
「セレウコス、行動不能!」
「カサンドロスはどうか!」
「は! …左ローラシア級まで後1分で接触します!」
「…よし! 火力を左ローラシア級に集中! カサンドロスの為の道を開けさせろ!」
「了解!」
決死艦も残り一隻となったものの囮としてはかなり有効で、攻撃のほぼ全てが決死艦に集中した為、
今だ第8艦隊の大部分は無傷だった。
しかしそれも決死隊が居るからでありもはや一隻となりGに抜かれた艦隊は、
ストライクとメビウスゼロによりGを足止めしているからこそ持っているのであり、このままでは壊滅すらありえる。
それを防ぐ為にもザフトの戦艦を例え一隻でも撃破すればそれだけMSへの整備補給、
またそのパイロットへの精神的追い込みができる。
「このまま行けば…」
「いや、カサンドロスを失えば決死艦は全滅だ…アークエンジェルはどうか!?」
「現在フェイズツー…大気圏降下限界点まで、あと4分!」
「ううむ…」
ハルバートンの必死の指揮の元第8艦隊は戦艦に猛攻を続けていた。
しかしそれももはや終わろうとしている。
「左ローラシア級にこちらの砲撃が命中!」
「カサンドロス、左ローラシア級の脇を抜け右ローラシア級と接触…今!」
それはまさに吉報だった。
戦艦一つを撃沈、もう一つもこちらの戦艦が体当たりをしたことで戦闘続行不可能にまでなった。
これは砲撃戦で15対1となったことを現す。
「事務次官の乗った船は離れているな?」
「は! 避難民の乗っている船は護衛艦2隻を連れ月に向っています!」
「アークエンジェルは!?」
「現在…フェイズスリーまで後2分!」
「現在生き残っている戦闘艦は?」
「は! 戦艦4、護衛艦7、あとはこの艦だけです!」
「MA部隊は!?」
「60%以上はやられました!」
「やはりMSを甘く見すぎていたか…」
「敵MSのうちジンは6機の撃墜を確認しています!」
「Gは?」
「ムウ大尉がブリッツを何とか抑えています、ストライクはイージスとデュエル!」
「バスターはどうした!?」
「どうやら弾切れのようです!」
本来バスターは砲撃戦仕様であり、その能力を決死艦に対し遺憾なく発揮したが、そのせいで弾切れ、エネルギー切れが速くなってしまったのだ。
「よし! 残っている艦はそのまま砲撃しつつ後退! 殿はこの艦だ!」
「了解」
「アークエンジェルはどうか!?」
「フェイズスリーまで後1分! ムウ大尉はアークエンジェルの中へ帰還しました!」
「ストライクは!?」
「いまだ交戦中! どうやらデュエルを道連れに単独での大気圏突破を図るようです!」
「イージスは重力圏を突破! どうやらそのまま戻るようです」
「そうか」
ハルバートンは一度目を瞑り黙祷すると第8艦隊を少しずつ後退させていった。
アークエンジェルはストライク回収の為大きくその突入角を変え、本来の目的地アラスカを外れてしまった。
とりあえずここまで・・・も、だめ
誤字ハケーン( ・∀・)
GJ !! お疲れ様です。
体の方をゆっくり休められてください。
私の方も今晩あたりうpします。
gj
もう少しでハルバートン式釣り野伏せりに開眼しそうだな
GJ!
ゆっくり休んで良くなったらすぐ創作に取り掛かるんだw
GとJ
どうでもいいけどフラガ大尉ね
お二人ともGJ、楽しませてもらったよ〜
えーと、もうこのスレの要領が限界きてるからそろそろ次スレを立てた方が良いと思うんだ
それで俺がたてにいくんで、273氏の次スレのテンプレ案を改良してみたんだけどダメかな?
このスレはXキャラがコズミック・イラにきたらどうなるかを語るスレです
新シャアでガンダムXについて語るならここでよろしく
現在、SS連載中+職人随時募集中
関連サイト等は
>>2以降
荒れ防止のため「sage」進行推奨
SS作者には敬意を忘れずに、煽り荒らしはスルー
本編および外伝の叩きは厳禁
出来るだけ種キャラのみの話にならないように
ここがクロスオーバースレであることを考慮して下さい
スレ違いの話はほどほどに
本編と外伝、A.W.とC.E.両方のファンが楽しめるスレ作りに取り組みましょう
こんな感じ、問題無いならこれにするしダメなら273氏のテンプレにしようと思う
Exceed氏の投下次第だけど、まだ30k近くあるし早くね?
>>872 作者はGXDVが好きなのか、DX未登場の時点で作ったのか悩む
871だけどホスト規制でたてられなかった・・・
第十九話投下します。今晩あたりが今朝になってごめんなさい。
機動新世紀ガンダムXSEED 第十九話「先に行って待ってて。」
「足つきを艦隊ごと潰すのにしては随分な精鋭が集まったものだな。」
ヴェサリウスの艦橋でラウは一人誰にも聞こえる事無く現在の状況を皮肉る。
足つきの追撃を本部から許されたのは、突貫工事で修復を終えたヴェサリウスとガモフだけだった。
それも搭載が許された機体は前回の追撃より少なく、ジンとXナンバーそれぞれ三機のみである。
先遣隊との一戦だけで無く、その後の追撃でツィーグラーとマルピーギが足つきに撃破された事を鑑み、彼は高速艦の増援、或いはガモフと同じローラシア級戦艦かそれ以下のクラスの追加派遣を打信した。
が、相手からはこちらの正気を疑うかのような怒鳴り声しか聞こえて来なかった。
軍本部が言うには去年の春先にあったオペレーション・ウロボロスの影響がまだ後を引いているのにそこまで割ける艦も人員も無いとの事。
要するにジン三機は殆どお情けでついて来たと言っても過言ではない。
また、部下達も増援を強く言ってきた。
理由に関しては、イザークが熱く言ってきたアスラン・ザラの敵討ちの事もあるだろうが、ニコルが言ってきた別の理由に関しては彼自身も納得するポイントがあった。
足つきに配備されている改造ジンをMS総出で撃墜するべきだと言ってきたのだ。
あのジンが持つ独特の不気味さは最早ラウだけが感じるものでは無くなっている。
二人が共通して感じていたのは相手の異常なまでの先見性。
相手が何の武器を使うのか、何処に向けて撃つか、数秒後に何処にいるのか。
それがまるでちょっとした預言者の如く、あの改造ジンには知られているのである。
そのせいでこちらの戦力がかなり削がれているのは事実だった。
彼自身が考え付いた撃墜方法は一つしかない。
各個MSで撃墜しようとするよりも大勢でかかり、相手にどの機体から撃墜した方が良いかの判断を狂わせる。
そうすれば、どの機体から攻撃を始めた方が良いかまごついている間に、あっという間に武装を駄目にされ、撃墜されるだろうという物だった。
しかし……もしこの作戦すらも筒抜けになっていれば、身も蓋も無いが。
そんな風に思ってしまう自分につい笑いがこみ上がって来る。
筒抜けになっていたとしても、あと十五分でその連中に出くわすという避けられない事実。
そんな短時間で何が出来る……せいぜい足掻いているといい。
彼は座席から立ち上がりエレベーターの方に向かいつつ言う。
「アデス。三分後に全MS発進とガモフに打信しろ。その際に全員の目標物の再確認を怠るなよ ? 」
「はっ !! 」
目標物の再確認等妙な指令を出すものだ。現時点の戦略上の大きな目標物はあの足つきだろうに……
アデスの表情はそう語っていた。
それを見たラウは彼に見えないところで、仮面の下に歪んだ笑みを浮かべていた。
今何を真の脅威と見定める事も出来ない愚鈍な者はいつか、今から撃つハルバートンの様に退場させられざるを得なくなる……
遠くない先、彼も消えるな……と言わんばかりに。
総員第一戦闘配備の通信が聞こえてから、キラはパイロット用ロッカールームで黙々と着替え続けていた。
ガロードはまだ来ていない。殆どいつも一緒にいるティファという少女もだ。
ふと、先程の展望デッキでテクスと交わした自分の言葉の一つ々々が思い起こされる。
こうするしか道はなかった。
逃げ出して安穏とした生活を平然とした顔でまた始めるなぞ到底今の自分には出来はしない。
何より自分に仲間を討たれて怒り心頭のアスランとあんな状態で。
だがこれは自分の決めた道だ。
戦って、戦って、戦い抜いて自分自身は勿論みんなを守りきる。
そう決意をしてそこを出ようとすると、開いた扉から思いもかけない人間と顔を合わせる。
「フレイ…… ??! 」
「キラ…… ! 」
彼女は弾かれた様に後ろに飛ぶ。
しかし、直ぐに彼女は逆に彼を殆ど突き飛ばしかねない勢いで、ロッカールームの中に入る。
「どうしたの ? こんな所で ?! みんなはシャトルで地球に降りて、君は月に行くんじゃなかったの ? 」
「みんなは……シャトルには乗らないわ。ここに残るって。私も志願したの。パパが月に向かって出発した後に……」
その言葉にキラは目を見開く。
残る ?! それはつまり彼らがブリッジに入って戦い続けると言う事じゃないか、と。
それにフレイまで !? 艦長とかはともかくとして、彼女の父親とかはどうしたと言うのだろうか ?
あの人の事だから、目に入れても痛くないほど可愛がっている自分の娘を、早々簡単に軍に身を投じさせるなんてとても思えない。
必死になって止めようとするか、大声で口喧嘩の一つでもしそうだ。
大体先遣隊は既に修復が終わっていて、2〜3時間ほど前にここを離れていたので、話はその時辺りになるが。
キラの中にストライクに乗って戦い続ける自分の選択は、間違っていなかったという微かな安堵感が生まれるが、それは同時にもう一つの感情を生んだ。
そうなったら尚更自分が墜とされる訳にはいかないという重い責任感だった。
涙で潤む目をキラに向けフレイは続ける。
「キラこそ……シャトルで地球に降りるんじゃなかったの ?!! 」
その言葉にキラは下を俯くが、はっきりした口調で言い始める。
「僕は降りないよ。みんなが戦うって言ってるのに、自分だけ逃げるなんて僕には出来ない。
それにアスランにも、もう敵だって思われちゃったから……仕方ないよ。」
そこでキラは言葉をいったん切り、前にいるフレイを見つめてしまう。
「君こそどうしてここに ? 」
その言葉に彼女は答えようとはせず、端のロッカーから横に向かって順に何かを探し始めた。
こんな所での探し物は相場がついている。キラは直ぐに気づいた。
だが、口を開いたのはフレイの方が先だった。
「赤い奴に乗るのは……私。私なの。……許可は出たわ。」
先程キラに言った事は事実だが、これだけは真っ赤な嘘だ。
艦長達もそれに関しては首を縦に振っていない。
MS操縦技術の困難さを、数回に渡る出撃でよく知っているキラには到底信じられない事だった。
「そんなっ !! 君には無理だよ ! 何で君が…… !! 」
その言葉を歯牙にもかけない様に、彼女はパイロットスーツを探し続ける。
「私……ずっと逃げてばかりだった。何か出来る事があるのに自分からやろうともしないで、みんなから守られたり、心配かけさせたりで……何もしなかった。」
フレイは探し出した所から五番目のロッカーより、パイロットスーツを見つけ出す。
サイズはキラの物と同じで、男性兵士用の物だった為キラより合わない気がしたが無いよりマシである。
「でも、ガロードと一緒にいるあのティファって子は、私と同じ年でも私より頑張ってるし、みんなの役に立とうとしてるの !! ガロードと一緒にジンに乗って必死に助けようともしてるじゃない。
それ見てたら……私、恥ずかしくなるのよ。私はみんなの為に何もして無いって……」
フレイの声は絞り出した様な涙声になっていく。
彼女がティファの存在に今の自分の姿を重ねてしまうのには、サイの存在があったからだ。
サイとフレイの両者は親同士が決めた婚約者という事実がある。
故にお互いに慕い合う気持ちは分かるし、ガロードとティファの境遇を重ね合わせて見ていた時もあった。
だから、尚の事この非常時にサイだけが頑張って、自分が何もしないと言う事を自分自身が許さなかったのである。
「だけど ! 君はシミュレーター一回もやった事ないし、OSだって……」
「ガロードと同じ事言わないでッ !! 」
そのぎらぎらとした目つきの凄さと獣のような叫びに、キラはその場にびくっと立ち竦んでしまう。
これ以上何か意見でもしたら、平手打ちの一発でも飛んできそうだった。
フレイはふらふらと彼の方に行き、ロッカールームから出す。
「フレイ…… !! 」
「先に行って待ってて。着替えるから。」
彼女は、途中で開けたら殴るわよと言わんばかりの目つきをしながらドアを閉め、鍵をかける。
取り残されたキラはしばし呆然としていた。
引っ叩かれるのを覚悟で彼女を止めた方が良いかと思い悩んだが、何かを振り切る様に格納庫へ向かった。
その二人の会話を陰で聞いていた者がいるとも知らず。
ジン三機とデュエル、バスター、ブリッツがそれぞれヴェサリウスとガモフから発進する。
それに対応すべく、第八艦隊からもメビウス隊が発進した。
戦力差で考えるならメビウスとジンがほぼ10 : 1かそれ以上の差がある。
直ぐに両者は交戦状態に入るが、幾らMAが数あるとはいえMSに敵う訳がない。
ジン三機が密集状態でやってくるメビウスが放つミサイルを次々と撃ち落していき、バズーカで反撃する。
またその戦線をかいくぐって来るXナンバーの方も手加減は一切無かった。
砲撃に特化されたバスターは両肩に装着していたミサイルポッドを使って近、中距離の敵を、ランチャーとライフルを中央でドッキングさせた高エネルギー収束火線ライフルを使って遠距離にある敵戦艦を撃ち落していく。
ブリッツはミラージュコロイドを適宜目くらましに使用し、連合軍の艦の近くに突然現れてグレイプニールを艦橋に向け放って撃破した後、また別の艦に向かう。
デュエルは鎧の様に機体全体を覆う追加兵装のアサルトシュラウドを装備した状態で、ジンが屠り損ねたメビウスの始末をつけながら、他の二機と連携してレールガンとミサイルポッドを交互に使用し連合軍の戦艦を撃つ。
ブリッツが新たに駆逐艦一隻を屠ったその時だった。
『なあ、少しおかしくねえか ? 』
「どうしました ? ディアッカ。」
いきなりディアッカが他の二人に対し通信を入れてきたのを、ニコルが対応する。
『足つきからあの改造ジン出て来ねえんだけどさ、なんかあったのか ? 』
言われてみれば……
艦隊中央付近にいる足つきには動きが見られない。
出撃前にXナンバーの三人とジン三機のパイロットにはある通達。
それは足つきから特徴的なカラーリングのされたジンが出てきたら、MAの類は全て無視して総がかりでそれを撃てという物であった。
前回の追撃で連合軍として、あれだけの活躍をした機体を放っておけないというのが表向きの理由だったが、実際の狙いが違うというのを知っているのはラウとニコルだけだった。
発進直前の奇妙な通達にディアッカと、ジンのパイロット達は首を傾げる。
彼らは一様に、一機を集中的に狙うのは戦略上正しくないと思うが……といった表情をしていた。
だがそう思っても仕方ない。
彼らはあの改造ジンの力を自分自身で感じた事は無いのだから。
また足つきが動かないという疑問はイザークの一言でたちまち吹き飛んだ。
『足つきは連中に守られながら万全の準備で地球に降りるつもりだ。戦力は全て温存したままでな !! 相当の腰抜けしか乗ってないんだろう !! 』
相手を完全に馬鹿にしきった口調で、声も話し合いは終わりだと言わんばかりのものだった。
戦闘を開始してから十分。
当初の予定のようにスムーズにとまでは行かなかったが、ザフト側はじりじりと連合の戦力を削ぎ落としつつあった。
「おい ! 何で俺は発進待機なんだよ ?! 第八艦隊ったって、あの四機相手じゃヤバイぞ !! ってまあ、俺一機出たとこで、大して変わらねえだろうけどさあ……」
「フラガ大尉……本艦への出撃指示はまだありません ! 引き続き待機してください ! 」
格納庫でムウは焦れた様にブリッジに向かって繋ぐ。
彼の耳に人伝いに入ってきたのはセレウコス等四隻の撃沈の報せだった。
何とか出撃出来ないものかと訊いてみるも返事はノーだった。
第八艦隊と合流する前に修理を急がせただけにゼロの状態は万全で、それだけに味方の機体や艦が次々と撃破されていくのを、ただ指をくわえて見つめているしかない現状にムウはイライラしていた。
整備班、作業班も同じ様な雰囲気だった。
暫くしてブリッジから新たな一報がもたらされた。
それはこの戦闘の最中にアークエンジェルは時を移さず地球への降下を開始するという物だった。
「降りる ? この状況でか ?!! 」
「俺に怒鳴ったってしゃあねえでしょう ? まあ、このまんまズルズルよりゃいいんじゃねえんですか ? 」
「だがなあ……」
「―ザフト艦とジンは振り切れても、あの三機が問題ですよね。」
「それは俺達に任せとけって ! この艦はぜってーに無事に地球に降ろしてみせるさ。」
二人の会話に割り込んできた聞きなれた声に、ムウとマードックはぎょっとして振り返った。
「坊主達 !! 」
パイロットスーツを着込んだキラとガロード、そしてティファがいつもと変わらない様子でやって来る。
唖然とする二人を横目に、三人はそれぞれの機体に向かう。
「あれだけ調整したからジンの調子は万全だろ ? いつでも出れるようにコクピットで待っとくぜ !! 」
「僕もストライクで待機します。まだ第一戦闘配備ですよね ? 」
キラはコクピットに真っ直ぐ向かおうとするのを見送りながらムウは小さく呟く。
「あまり若い頃から戦場とか戦争なんかに浮かされちまうと、あとの人生キツイぜ……」
いつもの飄々とした調子はどこへやらで、寂しげな響きがその一言にはあった。
自分の人生を重ね合わせている様な雰囲気。
その時格納庫にもう一つの影がゆらりと入って来る。
その姿にガロードとマードックはまたかと思い、ムウはキラの一件に続いて二度も驚かされ、逆にキラとティファは落ち着いた表情でそれを見ていた。
投下終了します。
キャラ贔屓を何とかせにゃ ! 負債みたいにだけはならない様に何とかせにゃと思って今も執筆中です。
こんなペースじゃ三話かかるんじゃと思われますが、二話で書き切ります。
書き切ってみせます !!
因みに先程文字カウントしたら文字数がスペース含めずにでも10万字……orz
レポートでもこんなに書いた事ない……
小説版の様にと思って始めたこの書き方。
ジェネシス辺りまで行くときにゃどうなってることやら。
それでは、また後程。
キャラ贔屓はどうでもいいんだが、ラウって書かれるとなんかデュランダル視点みたいで違和感がある。
劇中ほとんどクルーゼって呼ばれてたんだし、SSでもそうしたほうがいいと思うが。
>>881 GJ
しかし問題が山済みだな、これ
私の場合は腐ってもOS改造型ストライクなんだけど、
ジンじゃどんだけ改造しても大気圏、いやフェイズツーに耐えられるのか?
ついでに原作よりも1隻少ない2隻…第八艦隊がいるのになぜに戦力が?
手元の資料では連合のMAは100を越えるそうなのですが…
それともここの第八艦隊は原作よりも小規模?
流石にコーディネイターといっても早々ひっくり返せる戦力差ではないと思ったのですが…
それともこれくらいならばアークエンジェルの戦力がなければ余裕なのか?
あ、あと地上ではガロード単独にしようと思います。
ブラックアウトやレッドアウトなど重力の影響を考慮しGが強すぎで、
ティファではもたないと思ったからです
MSよりもGの軽い戦闘機ですらそんな状態ですから流石にティファでは…
>>883 X本編を見直すと普通に耐えそうだが……
ティファってさりげなくタフじゃないかな?
車に乗ったこともないやつが、いきなりプロのレースに出る。しかも理由が罪悪感とか何とかしたいからー!
そんな風に自分の事しか考えてないフレイが、あまりにも原作らしくて泣けるぜGJ
>>884 最初の地上戦は乗ってたけどあれはあんま動いてなかった気がするし、
そうじゃなくても種は空中戦とか水中戦とかまでありやがるからねぇ〜
それにバクゥはそん所そこらのMSよりも速いと思うんだけど…
それに追いつこうとしたら下手な空中ドックファイトよりきついと思うのは私だけ?
というかX本編でティファが搭乗した場合での地上戦ってどれくらいあったっけ?
>>886 GX登場〜サテライトキャノン初使用
対パテゥーリア戦(ジャミル操縦ベルティゴ)
だったかな?
888 :
887:2007/06/13(水) 15:13:14 ID:???
忘れてた。
あと第36話での対フロスト兄弟戦がある。
>>887 確かにやってやれないこともないみたいですね…
ただそれはNTの力使ってであって操作してないからな〜
私の場合武器切り替えとかで簡単な操作をティファにやらせていたもので…
まあガロードが慣れればそれでいいんだけど・・・
乗っけないなら乗っけないで良いと思うよ。
ガロードがストライクで戦っている間に、
ティファはアークエンジェルで何をしているか、
考えるのも面白そうだし。
皆忘れてるかもしれないが、ティファはGXに捕まれて飛行って荒業に
平然と耐えぬいた猛者だぞ?
普段の病弱そうなイメージが嘘みたいだな。
それともAWじゃあれぐらい当たり前なのか?
OK
これから一時間後辺りに投下しますが、新スレに行った方が良いでしょうか ?
このままで良いならならこのまま投下します。
投下しても良いと思いますよ、まだ要領があるのでむしろ投下したほうがいいかと
ちなみに私のトリップも
>>612氏と同じで本スレに出てきたトリップです
私はup出来ないので誰かまとめサイトに新スレと
Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw氏の作品をupしてください
明日が早いので私はもう寝ます、皆さんおやすみなさい
本来のXスレって…いったい何様なんだ?
この臭いスレタイ、前にも見た気がする。
スレ住人にいくら反対されてもゴリ押ししてた奴がいたような?
コーヒーの末期だったかな?
>私は旧シャアにある本スレと公転スレの住人でもあるので皆さんとは意見が違うかも知れませんが
ホントにそう思うんなら立てる前にスレタイ変えていいかどうか聞くべきだろ?
>892
AWでは、アレでカヨワイオニャノコなのですよw
なんだか大変な事になっていますが、第二十話投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十話「あんたはそれで良いのかよ ? 」
自分達が数少ない人員でアークエンジェルを、そしてブリッジをこれからアラスカまで何とかしなければならない事は分かっていた。
正規クルーの他に先遣隊からの人材が派遣されて来たとはいえ、各所に回す者の数は決まっていたからだ。
とはいえ戦闘が始まってからというもの、非常に苦しい状態が続いていた。
そんな中、ここまでブリッジを支えてくれたヘリオポリスの学生達が戻ってきた事は素直に驚いた。
と、同時に彼らの人生に何か暗い影を落としてしまうのではないかと心配もしてしまう。
彼らなりの判断だったとは思っているのだが。
そしてブリッジは尚も緊迫した状態が続いている。
敵は先の追撃で失った兵が多いのかヘリオポリスの時から度々交戦した高速艦と、ローラシア級戦艦が一隻、ジンが三機にXナンバー三機だ。
だからと言って油断して言い訳ではない。
現に戦力差が大きく開いていたにも拘らず、メビウスは相手に有効な一撃を殆ど与えられないまま撃墜され続けている。
これだけの艦隊に守られているのも関わらず、尽きる事の無い不安感が全員を襲う。
先程メネラオスと通信を繋いで、ハルバートンから艦隊を離脱し、直ちに降下シークエンスを開始する許可を貰う事は出来た。
このまま自分達がここに居続けたら、艦隊は全滅とまでは行かなくともかなりの損失を抱えたまま、月の基地に戻る事になる。
アラスカは無理でも地球軍制空圏内に入ればその時点でこちらの勝ちだ。
ザフト艦の狙いがあくまでもこのアークエンジェルなのだとしたら、それ以上自軍を疲弊させても利とする物は限りなく小さい。
いかにフェイズシフト装甲を持っているXナンバーの三機があると言ってみた所で、実弾兵器の集中砲火を浴びれば、システムが追いつかなくなりやがてダウンしてしまう。
それ以上の無茶は何の役にもたたない。
「―修正軌道、降角六・一、シータプラス三 ! 」
「降下開始 ! 機関四十パーセント、微速前進、四秒後に姿勢制御。」
「降下シークエンス、フェイズワン、大気圏突入限界点まで十分 ! 」
地球降下の準備は着々と進んでいる。
願わくばゼロやストライク等を出さずに上手くいけば良いと思っていた。
しかし、それとはまた別種の問題が格納庫から連絡で入ってきた。
>>880の
>あの四機相手じゃヤバイぞ !!
って三機の間違い?
キラはストライクのコクピットで発進許可が下りるのを今か遅しと待っている。
それにしても、と先程の格納庫での一悶着が思い起こされる。
姿を現したフレイは彼女を見つけたガロードとマードックに早速見咎められた。
「あんたよお ! ここには来ないでくれって ! MSの事は何度も話したろ ?! 」
「ガロードの言うとおりさ、嬢ちゃん !! 居住区へ戻ってな !! 今は非常時なんだぞ ! 」
が、そういった言葉を無視して彼女はイージスのあるハンガーまで行き、整備班や作業班を思いっきり押し退けてコクピットに滑り込んだ。
そこまでは良かったが、コクピットに滑り込んでもハッチを閉め、電源を入れる事が出来ないので、あっという間にスタッフによって引き摺り出される。
両四肢を格納庫の床についた彼女は絞り出す様な声で嗚咽を漏らす。
そこへガロードが歩み寄ってきた。
フレイはもう一人の者と一緒に自分に散々意見してきた彼を恨めしそうに見つめる。
次の瞬間、血相を変えたガロードは相手が女という事も忘れて胸と首の間を思いっきり両手で掴んで底冷えする様な声で言う。
「何で分かってくれねえんだよ……死んだら何も出来ねえんだぞ……みんなを護ろうとしてる事も ! 何もかんも ! キラだってあんたを守りたいからストライクに乗ってんじゃねえか !
キラだってそりゃ無理だろって思う事はするけどよ、無茶苦茶な事はやらねえよ !! そんな思いをこうも簡単にチャラにする様な事して……あんたはそれで良いのかよ ?
こんな事してキラが喜ぶとでも思ったのかよ ?! 戦場に一回も出た事のない自分が敵機を一機でも撃ち落せるって……あんたはホントにそう思ってるのかよ ?!! 」
その言葉には半端では無い真剣さが込められている。
ガロード達が生きるあの戦後世界……しかもMSと付き合う人生は、それだけで死と隣り合わせであるという意味合いを持っていた。
加えて、GXに乗りティファを守る事でその考えは一層ガロードの身に染みていく事となった。
「自分ひとりでこの船守ってるつもりでいるんじゃねえぞ !! 」
だからこそ余計に許せない。
無茶をやって我を通せば、なんでもさせてもらえる、なんでも出来るというフレイの考えが。
その言い様に相当ショックを受けた彼女はガロードを無言で突き飛ばし、格納庫から出て行った。
「ふぃ〜っ !! やっと出てってくれたかぁ ! それにしてもすげぇ啖呵の切りようだったなあ、坊主 !! 聞いてるこっちがスカッとしたぜ。」
ガロードは背中をコンッと小突かれる。
それにガロードは小さな笑みで「なんて事はねえよ」とばかりに返したが、ティファの所に戻る頃には表情は結構暗くなっていた。
「俺の言い方……良かったのかな ? 」
自信の無さそうなその言葉に、ティファは笑顔で答える。
「これで良いと思います……ジャミルも恐らく同じ事を言っていたと思います。それにあの人があの機体で出ていたら未来は……きっと変わっていたでしょう。」
「悪い方にか ? 」
その質問に彼女は悲しげな顔でこっくりと頷く。
だが、ガロードは直ぐにそんな事はティファが力を使わずとも明らかだったと考える。
やはりあそこで止めておいて良かったと改めて思えてきた。
それにしてもと、ガロードはティファが発したある言葉に気を取られた。
ジャミル……それはかつて元の世界でガロード達と共に旅した仲間であり頼れるリーダーでもあった男の名。
そしてとてつもなく重い過去を背負った為に、ティファの様な存在の庇護に心を砕いた存在。
彼もこの世界に来ているのだろうか。
居るのだとしたら一体何処に…… ?
そうぼんやりと思っていると、突然チャンドラの声が艦内に響き渡る。
「デュエル、バスター先陣隊列を突破 ! 」
「メネラオスが交戦中 ! 」
被さる様にトノムラの声も聞こえて来た。
降下シークエンスの真最中とはいえ、ここで取り付かれて攻撃を受けるわけには行かない。
「おいキラ、兄ちゃん !! 何処までやれるか分からねえけど、連中を追っ払おうぜ !! 」
『うん !! 』
『俺もそう思ってたよ、坊主 !! 』
その声が聞こえたのを確認したガロードはブリッジに通信を入れる。
「艦長さん ! 聞こえてるか ?! ヤバくなるまで俺達を出させてくれよ !! どれ位ある ? 」
『何を馬鹿な…… !! 』
その時、通信にキラが割って入る。
『カタログ・スペックではストライクは単体でも降下可能です。』
『キラ君…… ?!! 』
予想していなかった声にマリューが息を飲む。
CICのミリアリアも『キラ ?!! 』と叫んで彼が映っているモニターを食い入る様に見つめる。
まるで自分は質の悪い夢でも見たかのように。
『キラ君……どうしてあなた……そこにっ ?! 』
マリューの声は心配しているのに叱っている様な調子になってしまう。
そんな声に構わない様にキラは大きな声を出す。
『このままじゃメネラオスも危ないですよ !! 出させてください !! 』
マリューは苦い顔をしていたが、ナタルがそれを打ち消すように冷徹な口調で答える。
『わかった。但し、フェイズスリーまでに戻れ ! スペック上は可能でもやった人間はいない。中がどうなるかはこちらでもわからん !! 高度とタイムは常に注意しろ !! 』
『はいっ ! 』
キラが通信を切るのと、ガロードが再びブリッジに通信を入れるのは殆ど同時だった。
「あー、それとよ、艦長さん。イージスの盾を貸してくれねえか ? 」
『何ですって !? 』
「何ですって、じゃねえよ。相手は実弾の効かねえXナンバーだぜ !
アンチビームシールドはフェイズシフトが働いてねえと効かねえとまともに動かねえけど、あれがねえとこっちは丸腰だし、上手くかわしてねえと下手したら喰らいっ放しになっちまうんだよ !!
それに、もしこのまま大気圏に落っこちる事になったらどうも出来ねえぜ !! 」
ガロードのその示唆は間違っているとは言えない。
ストライクにはシールドもあるし、大気圏突入はスペック上可能だが、ジンに関してはビーム砲が一発でも来たら耐久力は格段に下がるし、大気圏突入に関しては未知数だ。
『……分かった。但し詳細はもう一人の彼に言ったのが聞こえていたのなら、ほぼ同じだと思ってくれて良い。』
「オッケー ! それじゃあ、有り難く借りてくぜ ! 」
それきり通信は切られ、スタッフ達はジン改の手にシールドを大急ぎで取り付ける。
それからほぼ二分。カタパルトハッチが開くと、視界に青い地球が広がった。
通信機からいつもより険しいムウの声が聞こえてくる。
『こんな状況で出るなんて俺だって初めてだぜ。』
キラがレバーをきつく握り締め、全員に先駆けて発進した。
『キラ・ヤマト、行きます !! 』
外ではXナンバーの三機は新たな獲物を求めて艦隊の方に突っ込んでいた。
自分達より明らかに数が多かったメビウスは、ジンに悉く撃墜されていった。
それでも数の差による影響は大きかったようで、そのジンも三機全てを撃破されている。
撃破し切れなかったメビウスに関しては、デュエルが艦の護衛につく事になって処理する事となった。
ブリッツは近距離から、バスターは中・遠距離からブリッツの支援につくポジションを取り攻撃を開始する。
『ジンの奴らが開いた活路を無駄にするな !! 足つきを墜とすぞォ ! 』
ディアッカには通信を入れてきたイザークが殊更張り切っている様に見える。
彼曰く、アスランを殺され、後の追撃で自分がデュエルに乗っていたにも拘らず、あそこまでの損傷を負わされたのが気に喰わないらしい。
また艦隊を討ちに行くにしては異様に少ない人員しか当局から回されなかったと言っても、それだけXナンバーに乗っている自分達に目をかけられている証拠だと言って譲らなかった。
恐らく彼自身精一杯の意地を張ったつもりなのだろう。
見限られたと言う感情は出て来なかったが、それだけ回す人員がいないというのは事実だったからだ。
それにアスランの生死はまだ確認し切れていない。
確かにイージスは敵に鹵獲されたが、その時点で彼が死んでいたかどうかは分からない。
希望はディアッカにしたって少しは持っていたい方だった。
そんな時、アークエンジェルからストライク、ゼロ、そしてジン改が出て来る。
『来たぞ ! 作戦通りあの改造ジンに攻撃を集中する !! 』
「りょーかいっ !! 」
デュエルはビームサーベルを出し、改造ジンの方に向かう。
打ち込まれた一閃をジンはシールドで受けた後、思いっきり押し返した。
後ろに退きながらデュエルはビームライフルを連射するが、それはすんでの所で最小限の動きで回避される。
逆に距離を一気に詰め寄られ、ライフルを払いのける。
その様子を見ていたディアッカはジンがデュエルと間を空けるかのように移動した時にバスターの高エネルギー収束火線ライフルを使ってジンを狙い撃った。
その時、ジンは驚異的な行動を取る。
バーニアが一気に吹かされたと思いきや、ジンはデュエルの後方に急速に回り込み、デュエルを蹴り飛ばす。
その蹴り飛ばされた先には……バスターの放ったライフルの火線があった。
いかにアサルトシュラウドを装着していたとはいえ、デュエルはその苛烈な光に機体を焼かれる。
この時ディアッカはデュエルの損傷に気をつけながら、何故隊長やニコルがあそこまで改造ジンを目の敵にしているのか分かった気がした。
何故このライフルをこのタイミングで撃つと分かったのか。そして放った射線軸が分かったのか。
ニコルは言っていた。
―あの改造ジンには人の力を超えた何かを持ったパイロットが乗ってるかもしれないんですよ。
「本当に乗っているって言うのかよ…… ? 」
呆然とする彼の元にイザークから叫ぶような通信が入る。
『ディアッカ、貴様ァッ !!! 目は節穴か ?!! 何処に目をつけて撃っているッ ?!! 』
「俺は……お前の前に居たジンを撃つつもりだったんだよ !! 」
しかし口喧嘩の様な音声は互いに途切れる。
デュエルはまたも急激に近づいたジンに手元を重粒子砲で撃ち抜かれる。
バスターはストライクからビームライフルをまともに背面から受けた。
油断も隙もねえってか ?!!
ディアッカは内心で毒づきながらストライクを撃とうとした。
その時、元々位置としては突出していたガモフが戦列の内側へと入り込んだ。
まさか、と嫌な予感がイザーク、ディアッカ、ニコルの間に走る。
敵の主力艦と刺し違えるつもりなのでは、と。
しかし、ガモフの捨て身の計画は遂行できなかった。
その時残っていた連合軍の戦艦や駆逐艦に集中砲火を浴びせられてしまったのと、そちらに向かっていたゼロがガンバレルを展開して全弾撃ちこんだせいで、あと少しというところで撃破されてしまう。
元々少ない戦力で敵艦隊の討伐に出たので多少の損害はやむを得なかったが、この展開は驚かされるものだった。
「ゼルマン艦長ーッ !! 」
必死に応戦するイザーク達にニコルの悲痛な叫びがスピーカーから聞こえて来る。
だが、悲しんでいる間は無い。今はこいつを討たなければ……
その時ゼロが急に足つきに向けて転進しだした。
その理由がディアッカには目の前のモニターが映し出している物が何なのかで分かった。
彼らは地球に近づきすぎていたのだ……