【相互】種死リリカルなのはSS【乗り入れ】その4

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1通常の名無しさんの3倍
種死&リリカルなのはクロスオーバー

シンが八神家に餌付けされたり
レイがリリカルな魔法少年になったり
なのはさんが種死世界に行き、世直しをしたり
デバイス達がMS化したり
ほかetc……

・職人様はコテとトリ必須
・次スレ立ては950を踏んだ人が立ててください
・1000に達する前に容量オーバーになりそうな時は気づいた人が立ててください
・各作品の考察は該当スレでどうぞ
・スレは、sage進行です。

前スレ
【相互】種死リリカルなのはSS【乗り入れ】その3
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1169726409/l50

前々スレ
【相互】種死&リリカルなのはSS【乗り入れ】その2
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1167498043/l50

前々々スレ
【相互】種死&リリカルなのはSSスレ【乗り入れ】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1163678370/l50

雑談スレ
【スバル】種vsリリカルなのは4【ティアナ】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1167225154/l50
2シンとヤマトの神隠し:2007/03/03(土) 10:08:27 ID:???
劇場版 シンとヤマトの神隠し 〜鳴動の海鳴市〜

私は敗れた。
人の夢、人の未来、素晴らしき結果。キラ・ヤマトに…。
だが…、プロウィデンスと共に滅びたと思っていたこの命は、この身は、時を経て、世界を越えて再び蘇った。

ザフト艦エターナル内部。「なのはたち…どうしてるんですかね…。」
ザフトのトップガンの証し、赤い服を身にまとったシン・アスカは隣を歩くキラに聞いた。
キラは、今はザフトの隊長の証しとなる白い服に身を包んでいる。
「うん、気になるところだけどね…。でも、平和であってほしいと思うよ。」
「まぁ…そうですね。」
顔を見合わせ、笑う二人。「おや?ヤマト隊長にシン。」
「議ちょ…、デュランダルさん。それに、レイ。」デュランダルとレイ、その二人と、キラとシンは立ち話をする。
レイはレジェンドのパイロットしてエターナルに、デュランダルはレイの健康面でのサポートをするために乗船していた。
艦内警報がなり響いたのは、そんなときだった。
『キラ!おっと、失礼、今はヤマト隊長だったかな?』
「バルトフェルドさん、何ですか、この警報は…。」
『ふむ、それなんだがね。妙なものがあるんだ…。淀み…とでも言えばいいのかね、あれは…。』
キラは壁にあるキーを叩き、モニターを開く。
すると、陽炎の様に揺らめく空間が一部あり、中心は純白の光を放っている。
キラとシンはこの光景に見覚えがあった。
「キラさん!」
「うん、わかってる。バルトフェルドさん、エターナルを頼みます。」
『お、おいキラ!お前は隊長…』
バルトフェルドがいい終える前にキラとシンは駆け出していた。
レイも駆け出そうとする。と、デュランダルがレイの手を掴み、三つの薬の入った入れ物を手に握らせた。「持っていくといい。」
「ギル?こんなに…」
「未知の状況だ…。何かあってからでは遅い。」
暫しの沈黙が続いたあと、「ありがとうございます。」レイは格納庫へと向かった。
3シンとヤマトの神隠し:2007/03/03(土) 10:12:17 ID:???
海鳴市海上。

「こ、こいつら!ヴィータは緑をやれ!私は青をやる!」
「わかった。グラーフアイゼン!!」
『シュワルベ・フリーゲン』
グラーフアイゼンを振りおろし、4つの赤い光弾を緑色のバリアジャケットに身を包んだ男に向けて放った。
「へっ、冗談じゃねぇ。もっと力を見せてみろよ!カオス!」
『ファイヤーフライ』
男は緑色の十字、そして両端に重りがついている杖を振るう。同じく緑色の光弾を4つ放ち、ヴィータの攻撃を撃墜した。

「紫電一閃!!」
カートリッジを一発消費し、炎渦巻く剣、レヴァンティンを縦一閃。
「あっはっはぁ、そんなんで僕をやろうって?」
男は魔力刃のランサーでシグナムの攻撃をうけ、
「いい加減、見飽きてんだよ!その攻撃!!アビス!!!」『カリドゥス』
青い環状魔法陣を展開した。轟音と共に、男とシグナムは爆煙に包まれた。

海鳴市、街上空。
「そりゃぁあぁ!!瞬殺!!」
『ツォーン』
真っ黒な魔力の塊がなのはを襲う。
『ラウンドシールド』
桜色の環状魔法陣が漆黒の砲撃を退ける。
「ぐっ!!あなたは!何でこんなことするの!!」
『ディバインシューター』8つの光弾が赤い髪の男を襲う。
『Ahura Mazda』
何やら魔力弾を連射し、相殺。魔力翼を展開し、なのはとすれ違いざまに言い放つ。
「そんなこと、僕はしらないね!やんなきゃ殺られる!そんだけだろぉうがぁあぁあ!!!」

『プラズマランサー』
「ファイア!!」
「誰だよ、俺を殺ろうってやつは!」
実体刃の鎌を振り回し、プラズマランサーをかいくぐっての縦一閃。フェイトもヴァルディッシュアサルトのサイズフォームで迎え撃つ。
「うぜぇよ、お前ら!!」
一斉砲撃がフェイト、そしてその相手を狙い撃ち、仲間同士で戦い始めた。
「そんな…仲間なのに…?」フェイトは相手の見境のなさに唖然とする。

「ふむ、私の情報ではこの辺りにいるはずなのだがね。」
仮面をつけた長い金髪の男は誰かを探していた。
「ラウ…探し物?」
ラウ・ル・クルーゼ。その男の隣には同じく金髪の少女、ステラ・ルーシェが飛んでいた。
「あぁ…だが、邪魔が入ったな。」
クルーゼとステラの前に漆黒の六枚の翼を纏った少女が現れた。手には剣十字の杖、シュベルトクロイツを握り、尖端をクルーゼにつきつける。
「私は管理局魔導士機動六課部隊長、八神はやて…。抵抗しなければあなたたちには弁護の機会がある。
武装を解除して、投降を…。」
4シンとヤマトの神隠し:2007/03/03(土) 10:15:01 ID:???
「ほぅ、これはこれは…。君が八神はやて…なるほど…。」
「ラウ…知ってる?…あの人…。」
不適な笑みを浮かべるクルーゼにステラが聞いた。
「もっとも、知っているのは名前だけだがね…。私の知り合いが世話になったようだが…。」
疑問の表情を浮かべるはやて。だが、クルーゼの一言がはやてを驚愕させる。
「ちょうどいい。君には聞きたいことがあったのだよ…。君は、キラ・ヤマトを知っているかね?」
『マイスター!?』
「動揺したらあかんよ。リィンフォース。」
とは言いつつも、はやては驚きを隠せていなかった。何でキラを知っている?
だが、結論は一つしかなかった。
「あなたは…C.E.の…。」
「ご名答。では、そろそろ答えてもらえるかな?八神はやて…。キラ・ヤマトはどこにいる?」
「答えられません。おとなしく投降を…。」
ふぅっと息を吐くクルーゼ。
「では、ステラ・ルーシェ。ここは君にまかせて大丈夫かね?」
「…うん…大丈夫…。」

C.E.73、元ヤキンドゥーエ宙域。
「これって…やっぱり…。」『…だね。たぶん、僕もシンと同じことを考えてるよ。』
『隊長とシンは知ってるんですか?この淀みについて…。』
デスティニーのコックピット内の通信にキラとレイの顔が写っている。するともう一人。
『こちらはオーブ軍所属、アスラン・ザラだ。こんなところでお前たちは何をやってるんだ?』
現れたのはジャスティス。そしてパイロットのアスラン・ザラだ。
『私たちは、この淀みについて調査をしに来たんです。アスラン。』
『お前たちもか…。』
『てことはアスランも?』キラが聞いた。
『あぁ、代表をプラント、ラクスの元へ送る途中だったんだ。だが、途中でレーダーがこれを察知して…。危険がないか調べるためにここへきた。』
淀みが広がり始める。
「これは…、まずいぞキラ!」
「シン、この宙域から離脱するぞ!」
「アスランとレイは離脱を、僕とシンは…」
「ここに残ります。」
アスランとレイの忠告を聞かず、フリーダムとデスティニーはその場にとどまる。
「ちィっ!」
その場を去ろうとしたジャスティスとレジェンドはフリーダムとデスティニーの元へ戻り、光に包まれ、淀みに飲み込まれた。
5シンとヤマトの神隠し:2007/03/03(土) 10:17:17 ID:???
『スーパースキュラ』
エクセリオンバスター並の威力をもつ四本の奔流がはやてを襲う。
「あかん、リィンフォース!翼を!」
『はい!マイスター。スレイプニール』
先程から何度も攻撃を加えてはいるのだが、ステラにダメージを与えることはおろか、傷をつけることすら出来ていない。
砲撃がきかず、ラグナロクブレイカーはあっさりと防がれた。
どうしよ…、砲撃が効かん。
『マイスター!』
深紅の光弾が無数に飛んできていた。
避けきれない…。
「リィンフォース、盾!」
数えきれないほどの光弾がはやての張る障壁に突き刺さる。
「さて、そろそろ教えてくれる気になったのではないかね?」
先程から黙って戦闘をみていた仮面の男、クルーゼがようやく口を開いた。

「これは…キラ・ヤマトの…。」
敵の攻撃、カリドゥスはかつてキラ・ヤマトが使っていた大砲撃魔法だ。
「ごめんねぇ!強くてさぁ!!」
笑う男、アウル・ニーダ。『フルバースト』
「くっ!!レヴァンティン!」
「クロノ君!海鳴市海上上空よりアンノウン接近!!」
「別動隊か!?エイミィ!アンノウンの確認急げ!!」

多数の奔流がアウルのフルバーストを相殺する。
「何ィッ!?」
「何だ!?」
シグナムは奔流が降ってきた空を見上げ、目を見開く。蒼い閃光が駆け抜け、ヴィータの元へ向かっていくのが見えた。

「このッ!!」
『ハーケン・セイバー』
「あぁ!!ウザイッ!!」
『フレスベルグ』
ハーケンセイバーをさけるようにし、深緑色の大砲撃がフェイトに向かっていく。予定よりも大きく回避距離をとり、フレスベルグを避ける。
「そんな…、あんな大砲撃が…まがる?」
「オラオラァ!!どこみてんだよ!お前はぁ!!」
『トーデスブロック』
二本の膨大な魔力を含んだ長距離射撃。
「くっ!!」
『ディフェンサープラス』何とか防ぎきる。しかし、「フェイトちゃん!危ない!!」
その言葉にはっとし振り向く。
「終わりィ!!」
『ツォーン』
漆黒の閃光が間近まで迫っていた。
『ケルベロス』
しかし、上空から降り注ぐ一撃がツォーンを撃墜する『フラッシュエッジ・アロンダイトシフト』
大剣が回転しながら黄色いバリアジャケットに身を包んだ赤髪の男、クロト・ブエルに向かって飛んでいった。
クロトは上体を反らすことで回避。すぐに態勢を建て直す。
「何だお前はぁ!」
6シンとヤマトの神隠し:2007/03/03(土) 10:27:40 ID:???
思い付きで書いてしまったことにお許しを……。
本当は短編を投下しようと思っていたのですが…、種運命のスペエディ、自由の代償を見て、書きたくなってしまい、書きました。

取り合えずは書いていきますので、応援よろしくです。

もちろん、戦闘ばかりではありません。日常の方も書いていきたいのでそちらも期待に答えられるよう頑張ります。

違和感とかおありかもですが、付き合っていただけたら幸いです。
なのは19、キラ21って事でよろしくです。
7通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 11:22:24 ID:???
新作投下乙!

状況がさっぱり分からんw
ロストロギアでも移植されたのかと思うほどのクルーゼ達もそうだが、CEの状況があまりにもあり得なさすぎる
8通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 11:25:36 ID:???
>>1乙!

神隠し氏GJ!!
新連載期待してますぜ!
っていうか、未来が変わってる!!

ただ、C.E.73でキラ21歳は時間的におかしいと思うんですが、設定?
9シンとヤマトの神隠し:2007/03/03(土) 11:36:31 ID:???
間違えです。
C.E.76ぐらいですね。
申し訳ない。

自由の代償のラストをもとに書いてます。
10シンとヤマトの神隠し:2007/03/03(土) 11:40:49 ID:???
>4の差し換えです。

「ほぅ、これはこれは…。君が八神はやて…なるほど…。」
「ラウ…知ってる?…あの人…。」
不適な笑みを浮かべるクルーゼにステラが聞いた。
「もっとも、知っているのは名前だけだがね…。私の知り合いが世話になったようだが…。」
疑問の表情を浮かべるはやて。だが、クルーゼの一言がはやてを驚愕させる。
「ちょうどいい。君には聞きたいことがあったのだよ…。君は、キラ・ヤマトを知っているかね?」
『マイスター!?』
「動揺したらあかんよ。リィンフォース。」
とは言いつつも、はやては驚きを隠せていなかった。何でキラを知っている?
だが、結論は一つしかなかった。
「あなたは…C.E.の…。」
「ご名答。では、そろそろ答えてもらえるかな?八神はやて…。キラ・ヤマトはどこにいる?」
「答えられません。おとなしく投降を…。」
ふぅっと息を吐くクルーゼ。
「では、ステラ・ルーシェ。ここは君にまかせて大丈夫かね?」
「…うん…大丈夫…。」

C.E.76、元ヤキンドゥーエ宙域。
「これって…やっぱり…。」『…だね。たぶん、僕もシンと同じことを考えてるよ。』
『隊長とシンは知ってるんですか?この淀みについて…。』
デスティニーのコックピット内の通信にキラとレイの顔が写っている。するともう一人。
『こちらはオーブ軍所属、アスラン・ザラだ。こんなところでお前たちは何をやってるんだ?』
現れたのはジャスティス。そしてパイロットのアスラン・ザラだ。
『私たちは、この淀みについて調査をしに来たんです。アスラン。』
『お前たちもか…。』
『てことはアスランも?』キラが聞いた。
『あぁ、代表をプラント、ラクスの元へ送る途中だったんだ。だが、途中でレーダーがこれを察知して…。危険がないか調べるためにここへきた。』
淀みが広がり始める。
「これは…、まずいぞキラ!」
「シン、この宙域から離脱するぞ!」
「アスランとレイは離脱を、僕とシンは…」
「ここに残ります。」
アスランとレイの忠告を聞かず、フリーダムとデスティニーはその場にとどまる。
「ちィっ!」
その場を去ろうとしたジャスティスとレジェンドはフリーダムとデスティニーの元へ戻り、光に包まれ、淀みに飲み込まれた。
11通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 11:51:30 ID:???
初めてなんですが
投稿してみてよろしいですか?
12通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 11:57:21 ID:???
>>11
ええとおもうよ
13通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 11:58:39 ID:???
行け!まずは投下だ
14通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 12:08:19 ID:???
ありがとうございます。
携帯からなのと、私自身の入力も遅いことから少々時間が掛かります。

御了承くださいm(u_u)m
15通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 12:33:56 ID:???
第01話『出会い』

漆黒の宇宙を駆け抜ける2つの機影、フリーダムとプロヴィデンス。
「あなは…あなただけは!」
「いくら叫ぼうが今さら!」
迫るドラグーンを撃ち抜きながら加速するフリーダム。
「正義と信じ!判らぬと逃げ!知らず!聞かず!」
互いのビームサーベルがぶつかり合い、激しく火花を散らす。
「それが運命さ。知りながらも突き進んだ道だろう?」
「違う!人は…人はそんなものじゃない!」
一度離れると、ドラグーンによる砲撃が放たれる。
「そして滅ぶ!人は滅ぶべくしてな!」
「それしか知らないあなたが!」
フリーダムは全砲門を展開して一斉に撃つ。
「もはや止めるすべはない!人が数多待つ予言の日だ!」
ラウの言葉に圧され、ドラグーンによる攻撃に翻弄されるキラ。
「そんなこと…」
「それだけの業、重ねてきたのは誰だ!?きみとてその1つだろうが!」その能力ゆえに疎まれ、利用されて傷つけられた。
人は確かに罪深き存在かもしれない。
だが、キラは知っている。
「それでも!」
人の優しさ、温もり、暖かさを。
それを知っているからこそ、罪を犯した者だからこそ。
「護りたい世界があるんだ!」
ドラグーンがフリーダムの頭部や胸部を撃ち抜くが、その勢いのままに突っ込み、フリーダムの光刃がプロヴィデンスのコクピットを貫いた。
そして次の瞬間、全てが爆発した。
その爆発と閃光の中で、キラは見た。
(あれは…僕?)
コクピットに見えるのは、間違いなく自分だった。
そして、今それを見ている自分は、眩い光の中にとけ込んで行くのだった。
16魔法戦士リリカルSEED:2007/03/03(土) 12:41:27 ID:???
名前忘れてました(;_;)

とりあえず前スレしか見れなかったんですが、みなさんA'sと運命かその後っぽかったので、種となのはで行ってみようと思います。
文系は苦手で好きだから書いてみたいだけですので、期待には添えないと思います。

それで1つ質問なのですが、なのは側とフェイト側はどちらがいいと思われますか?
バカですみません。
17通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 12:53:33 ID:???
>>1
乙なの!

>>神隠し氏
GJ!
なのは世界(10年後)とCE世界(3年後)では、時間の進行速度が違う?
しかし、これで楽しみが一つ増えました。
スバル達も出てきたりするのかな?

>>15
キラのみの介入だったら、どちら側についてもバランスが悪くなると思う。
まぁ、管理局の協力が得られるなのはサイドよりは、フェイトサイドの方がいいのかな。
18通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 14:23:20 ID:???
>>15
ちょ・・・あなは、って

キラonlyはパワーバランスが狂う。
この状況ならせめてクルーゼも逝かせるべきでは。
19ガンダムし〜どD´s:2007/03/03(土) 22:31:29 ID:???
神隠し氏、リリカルSEED氏乙。

まじかるしん書いてて気付いたけど、スバル達どうしよう。
漫画読んでないから(あれは買いづらい)大雑把な性格しか知らんからどのようなキャラなのかさっぱりわからない。
かといってオリジナルな性格にするのもあれだし……ここはあえて登場させない方向性で行くので。
あでも……2話で出るような雰囲気で書いちゃったし……
20ガンダムし〜どD´s:2007/03/04(日) 01:01:47 ID:???
3話が出来たので少ししたら投下します。
21ガンダムし〜どD´s:2007/03/04(日) 01:10:04 ID:???
魔道戦士まじかるしん 第3話 (なのは&シンサイド)

「ひどい………」
なのはは空から周囲を見て嘆く。
辺りには日があがっているところもあり、あちらこちらに局員が倒れている。
自分が教えたこともある局員の姿もある。
そして、その被害のほぼ中心地に、自分の同じ年くらいの男がいた。
なのははさっき男に威嚇として威力を抑えたディバインバスターを放ち、男もなのはの存在に気付いた。
男、オルガ・サブナックはなのはを見て一瞬笑い、持っているデバイスをかかげ、なのはにむける。
「ちょっとまって、あなたはいったい…」
『トーデス・ブロック』
確かに先に仕掛けたのは自分なのだが、話なんて最初から全く聞く気が無いようで、先制攻撃を仕掛けるオルガ。
オルガの周囲に現れたのはバスケットボールくらいの大きさの球状の魔力が二つ。
そのうちの一つをなのはにめがけて発射する。
ずっと前にもこんなことがあったような……そう思いながら得意の防御魔法を発動する。
『プロテクション・パワード』
なのはの目の前に桜色の障壁が出現し、目の前に迫る魔力を防ごうとする。
しかし………
「はっ!」
オルガは鼻で笑いながら指示を出す。
「弾けやがれ!」
『発光』
オルガのデバイス、カラミティが指示を出し、トーデスブロックは障壁に迫る前に弾け、激しくまばゆい光を放つ。
「うっ」
突然の発光に、なのはは目をつむってしまう。
プロテクションは張ったままだが、出力が弱まってしまう。
そこに、もう一つのトーデスブロックがなのはを襲う。
「くっ」
一つのトーデスブロックを発光させ目くらましを起こし、もう一つの本命をその隙に叩き込む。
これがオルガの得意戦法である。
プロテンションと魔力の激しいぶつかり合いの末、トーデスブロックが爆発する。
この手段で多数の魔術師を倒してきたオルガ。
意外とあっけない、そう思いオルガはあまりの期待はずれにため息を吐きながらその場を去ろうとしたと時だった。
「な、何!」
急に、オルガの手足にバインドがかけられた。
「んだよ、このぉ!」
オルガが必死にバインドを解こうとするが、なかなか外れない。
そこへ、声が聞こえる。
「いい手段だったけど、発光と爆発のせいで相手を倒したかどうか確かめられないのが弱点だね」
22ガンダムし〜どD´s:2007/03/04(日) 01:11:32 ID:???
そこには、さっきの女が無傷のままオルガに向かってデバイスを向けてたっていた。
(無傷だと……)
あれを受けて無事、しかも無傷ですむ相手なんて今までいなかった。
「私は、時空管理局教導管、高町なのは。今回の騒動を起こした理由は?」
対してなのはは、オルガに今回の騒ぎの理由を聞こうとする。
別に話さないつもりのないし、どうでもいいオルガは簡単に、一言で言う。
「しらねえよそんなもん」
「え!?」
意外とあっさりしゃべったことと、知らないという言葉になのははびっくりする。
「しらないって、そんなわけ無いでしょ!」
ふざけているのか、なのははそう思う。
たいしてオルガは、バインドを解こうと死ながら答える。
「俺は……ただ…暴れろって言われただけだ……上の連中の理由なんて知ったこっちゃねえよ」
相変わらずあっさりしゃべるオルガ。
「じゃあ、命令した人の名前は?」
もしかしたてこの調子なら言ってくれるかもしれない。そう思ったなのははストレートに答える。
だが、流石にそのことは言わないオルガ。
戦況は、以前なのはが有利のまま、しかし……
『マスター、後ろです』
「え?」
レイジングハートに言われて、後ろを振り向いたとき、ものすごい速さでチェーン状の魔力につながれた鉄球が、棘上の魔力を発しながらなのはに突っ込んでくる。
予想以上のスピードで、レイジングハートのプロテクションを発生させる前に、鉄球はなのはの腹部に直撃する。
「あぐ!」
その衝撃で吹き飛ばされるなのは。
「いただき」
『エクツァーン』
さらに別の魔術師らしき人物が放つ魔力が吹き飛んでいるなのはにをおそう。
今度はプロテクションを張るが、衝撃は防御しきれず、そのまま飛ばされる。
「きゃあ!」
そのまま、なのははビルの中に突っ込んでいく。

オルガは急に不機嫌になる。
あの魔術師にかけられたバインドを解こうとしたとき、いつもの「お仲間さん」に獲物を横取りをされる。
さらに……
「オルガ、お前なにやってんの?」
「正直言ってださいよ、それ」
バインドで縛られたままなので、二人に笑われる。
「うるせえ!お前らこそなにやってんだ!!」
オルガはやっとバインドを解き、吹き飛んだなのはのほうを見る。
「別に。適当に暴れてて、おまえがあれ使ったのが見えただけさ」
23ガンダムし〜どD´s:2007/03/04(日) 01:13:01 ID:???
赤髪の男性、クロト・ブエル、緑色の髪の男性、シャニ・アンドラス。二人もオルガと同じくただ暴れろといわれてあばれて、飽きてきたと思ったら、オルガがあの発光コンボ(クロト談)を使っているのを見かけた。
「それで、あいつが無傷でおりてきてさ、どうせだったらあっちとやりあったほうが面白そうだったから。まだピンピンしてるみたいだし」
シャニはビルを見ながら答える。
そこには、さっきの二人の攻撃を受けても、なお立ち上がってこちらに向かっているなのはの姿がある。
しかし、二人の攻撃とビルに突っ込んだ衝撃で、あちらこちらに傷があり、クロトの鉄球、ミョルニルを受けた腹部も手で抑えている。
プロテクションを張らずに、あの攻撃を受けてまだあの状態でいて、その闘志は消えていない。
オルガはそれを見て、真っ先に攻撃を加えようとする。
「あれは俺も獲物だ!おまえら邪魔すんな!すっこんでろ!」
だが、そんな言葉は二人には無意味だった。
「おまれ、あいつに一度つかまってんじゃん。次は俺だよ」
「なに言ってんだよシャニ!あいつは俺にやらせろよ」
いつもの如く二人は言い合いになり……
「馬鹿が!」
その隙にオルガはなのはに攻撃を加えようとする。
そのときだった。
『プラズマランサー』
雷のような複数の魔力がオルガたちの周囲に降り注いだ。
「なんだ!?……上?」
クロトたちも喧嘩をやめて上を見る。
そこには、黒いバリアジャケットを身にまとった魔術師と、白いコートのようなバリアジャケットを身にまとった魔術師がいた。

「フェイトちゃん、はやてちゃん………」
なのはは、親友の登場にほっとする。
あきらめる気は無かったが、正直どうしようかと模索していた。
相手は3人、しかもこっちは負傷している。
そんなときに、彼女達はかけつけてくれた。
けん制したあと、二人はなのはの元へ駆けつけた。
「なのは、大丈夫?」
フェイトの声に、平気だよ、というなのは
そだが腹部を抑えている手で嘘だとすぐにわかった。
「フェイトちゃん。なのはちゃんにそれ言っても無駄や」
それを聞いて、それもそうだね、とフェイトは笑う。
なのははいつも他人を心配させないと無理をしたり平気でもないのに平気という。
はっきり言って逆にそっちのほうが心配なのを早く理解して欲しい。
だが、そんな話をする時間などは勿論無い。
「とりあえず、あの3人何とかしよ」
24ガンダムし〜どD´s:2007/03/04(日) 01:14:14 ID:???
そういってはやては考える。
本来は自分が二人の援護をするのだが、負傷しているなのはを相手に任せるのは得策ではない。
かといってフェイト一人に任せるのも酷だ。
しかも結界のせいで念話が出来ず増援も呼べない。
考えていると、なのはははやてにいう
「はやてちゃん。私大丈夫だから」
これくらいの傷、どうってことないといった感じでレイジングハートを構える。
いや、無理でしょ?見ててもわかるし。
だが、なのはは一度こうと決めたらてこでも動かない筋金入りの頑固者である。
どうせ言っても無理だろう。そう思った。
「わかった。でも、あんまし無茶せんといてよ」
なのははは振り向かずにわかってる、という。
本当にわかってるんやろか…と心配するはやて。
だが、ここは菜の葉とフェイトに任せるしかない。
なのはちゃんのフォローは自分ががんばったらええ。
フェイトもそれをわかっているのか、少しはやてのほうをみて頷く。
オルガたちも、なのはたちをみる。
「おるが、やぱあいつやっていいよ。おれはあの黒いのとやるから」
そういってシャニはデバイス、フォビドゥンを構える。
「手負いのあいてやるのも面白くないし、やっぱ俺あいつにしよーっと」
じゃらり、と一風変わったクロトのデバイス、レイダーを持つ。
オルガはなのはと戦いたいのは変わらない。
そのなかで戦いは始まる。

「なんなんだ、さっきの?」
シンはさっきの妙な光を見て考える。
さっきから結界を張っていそうな奴を探していたが、インパルスは索敵には向かないし、シン自身そういうのは苦手であった。
それでも探していると、いきなり光が現れたのだ。
『マイスター。いっそのこと行ってみてはどうでしょうか?何も手がかりがない今、行動してみると何か得られるかもしれません』
インパルスの考えに、シンも確かに、と思う。
そのときだった。
「おらどけどけー!」
後ろから声が聞こえて、シンは振り向くと、猛スピードで女の子が突っ込んできた。
「な、なんだ?」
そのまま少女が突っ込めば、確実にシンに激突するが、少女はよける気がなさそうだ。
「おわ!」
シンはかろうじてそれをよける。
すると、急ブレーキのように少女はとまる。
「ボーっとすんな!あぶねーだろ!!」
あぶないのはどっちだよ、とシンはため息をつく。
(まてよ、こいつどっかで……)
しんは、この赤い髪に少女をそこかで見た感じがする。
考える前に、少女から話しかける。
25ガンダムし〜どD´s:2007/03/04(日) 01:15:45 ID:???
「あ、そうだ。おいお前、はやて知らないか?八神はやて」
いきなりえらそうに、シンはそう思うがおそらく彼女に言っても聞かないだろう。
「はやてって…確か機動6課の八神はやて二等陸佐のことか?」
確か名前だけは聞いたことがある。なんでも若くしてSS級の実力を持つ魔術師だと聞く。
シンの言葉に知ってるのか?と聞いてくる。
「いや、名前しか聞いたことないし……それよりお前は何をしに着たんだ?お使いか?」
それを聞いて少女はむっとするが、ぐっとこらえた。
「この町にはやてがいて、なんか事件があるから駆けつけたんだよ。念話もできねえし。ああ、どこにいるんだよはやて〜」
さっきの威勢はどこへいったのか、だんだん落ち着きがなくなっていく少女(元からなさそうだが)
「えっと、さっき妙な光があったから、そっちに行ってみたらどうだ?俺もそっちに行って確かめたいこともあるし」
シンの言葉に少女はおっしゃ、サンキュ、といってすっ飛んでいった。
続いてシンもつづいて行こうとしたが…
「な……なんだよあれ………」
シンは、奇妙な円柱の光を見る。
何かあることは間違いない、シンは感じる。
場所も図書館に近く、レイが駆けつけているはずだ。
だが、シンはさっきの光は少女に任せ、自分はあそこに言ってみることにした。

「バルディッシュ、ハーケンフォーム」
「イエス・サー」
フェイトはバルディッシュをアサルトフォームからハーケンフォームに変える。
それを見たシャニはすこし驚く。
「へぇ、アンタもそういう武器使うんだ」
そういってシャニはフォビドゥンを構えなおす。
『ニーグベグ』
フォビドゥンの形状がハーケンフォームに似た鎌のような形に変わる。
「なら、尚のこと負けられないね」
シャニはフェイトめがけて切りかかる。
「うらぁーー!!」
しかし、それは簡単に交わされ、逆にフェイトは少し距離をとり……
「プラズマランサー……」
カートリッジを消費し、さっきシャニたちに向けてはなった魔法を使う。
「ファイア!」
指示とともに、複数の雷がシャニを襲う。
だが、シャニは回避しようとはしない。
「はっ、聞かないよ」
フォビドゥンもカートリッジを二つ消費し……
『ゲシュマイディッヒ・パンツァー』
一瞬、シャニの前方が少し歪んだように見えるが、何をしたのかさっぱりわからない。
その間にもプラズマランサーは今にもシャニに直撃しようとしていた。
しかし、届く前に、ランサーはシャニをよけるように進むだけだった。
「え!?」
そんな指示を、自分は出していない。
26ガンダムし〜どD´s:2007/03/04(日) 01:16:46 ID:???
フェイトは改めてランサーをシャニに向かわせる。
だが、同じようにシャニをよけてしまう。
(もしかしてさっきの……)
フェイトは、さっきのゆがみになにかあると見た、そして、今度はハーケンフォームで桐にかかる。
「はあぁーーー!」
一撃がシャニにあたろうとしたとき、魔力刃が歪む。
それを見たシャニはすかさず一撃を加えようとする。
(やっぱり……)
フェイトは確信して済んでのところで斬撃を避ける。
おそらくさっきの空間のゆがみが魔力の軌道を変えているのだろう。
「逃がさないよ」
そのすきをシャニが狙う
『フレスベルグ』
フォビドゥンから魔力が放出される。
奇妙な軌道を描きながら。
「!自分も魔法も!?」
フェイトは魔力の不規則な動きに翻弄される。
ある程度の射撃魔法を回避するフェイトにとって、この攻撃は天敵とも言えるような攻撃だった。

「おらおら!さっきまでの威勢はどうした!?」
「くっ!」
さっきから、なのはは防戦一方だった。
傷は予想よりも深く、うまく体を動かせない。
それで、攻撃に移る前に、どうしても敵の攻撃を防御するしかなくなってしまう。
膨大な魔力量をもつなのはでも、これではいつか魔力が尽きる。
防戦といえば、はやても防戦一方である。
もともとはやては一対一には向いていない支援型である。
フェイトとなのはを前衛に出し、自分が援護する。これが3人のときも戦い方だ。
だが、今回は相手が少し悪かった。
不運にも、おそらくあの3人の中で一番のスピードを持っていそうな魔術師が相手なのだ。
二人の援護をしようにも……
「だめでしょ!君は僕の相手をしてくれなきゃ!!必殺!!!」
このように邪魔が入り援護どころではなくなる。
はやてはなんとか敵の鉄球攻撃をかわす。
さっきのシャニという魔術師もそうだが、この鉄球も微妙に軌道を変えて攻撃してくる。
「激・滅!」
『アフラマズダ』
レイダーから砲撃が放たれる。
「リィン、防御を」
はやてはそれを防御する。
27ガンダムし〜どD´s:2007/03/04(日) 01:18:32 ID:???
「それにしても、あの言い方どないにかならへんの?撃滅!とか、滅殺!とか!きになってしゃあない」
『マイスター、話にいわれても……』
ついつい愚痴ってしまうはやて。
あの男性は奇妙な二字熟語を連発してくる。
しかも物騒なものばかり……
「これでどうだ!激滅!」
『ミョルニル』
レイダーの鉄球に魔力が纏い、はやてに向かい突撃する。
不規則に移動するので、防御するのだが……
「う!」
さっきの砲撃とは威力がまるで違う。
かなりの衝撃がはやてを襲う。
「マイスター!はっきりいって厳しいです!」
少しずつ、シールドにひびが入っていく。
もう破れられる。そう思ったときだった。
『ラケーテンハンマー』
「うおおりゃあぁぁーーーーーー!!」
聞きなれたこれが聞こえる。そう思ったとき、シールドが破られてしまう。
普通ならその攻撃は問答無用にはやてを襲うのだが、同時に赤い髪の少女の攻撃が攻撃を受け止める。
「吼えろ!クラークアイゼン!!」
少女は懇親の力で攻撃をはじき返す。
「ヴィー…タ?」
はやては予想外の人物にきょとんとする。
「何なんだお前は!!」
クロトはいきなり乱入してきた子供を睨む。
だが、その子供、ヴィータは逆ににらみ返す。
「手前ぇ、許さねえ!よくもはやてを!!」
ヴィータは相棒、クラーフアイゼンを構える。
「なんだか知らないが、てめえの瞬殺……う!!?」
あいつも一緒倒そうとしたが、急に苦しみだすクロト。
なんだ?とふす偽装にクロトを見る二人。
同じように、オルガとシャニも苦しみだす。
「くそぉ!もう時間かよ!!」
その時、念話が聞こえる。
「皆さん、ご苦労様です。皆さんのおかげで順調に進みましたよ。そろそろ時間も来ることですし、撤退してください」
28ガンダムし〜どD´s:2007/03/04(日) 01:22:39 ID:???
それをきてくそ!と叫び、最後になのはを見るオルガ。
「次に合ったときは絶対にぶっ殺してやるからな!!」
そういって、3人はどこかへと転移していった。

「はやて!大丈夫か!?」
ヴィータははやてがやられているのを見て、速攻で助けに入った。
そのおかげで、シールドを破られはしたが、はやてに怪我は無い。
「大丈夫や、これもヴィータのおかげや、ほんまにありがとう」
それおきて、うれしくなるヴィータ。
「ヴィータちゃん。いつの間に?アースラにいたんじゃ?」
後ろを見ると、なのはとフェイトもいた。
「なんかはやてがいるところに結界張られてるから見てこいってクロノに言われたんだよ」
それで、シャマルは結界を張っている人物を探しにザフィーラはシャマルの護衛、シグナムは重要任務を受けているユーノの所へ、そしてヴィータははやてを探しに来たのだ。
「それにしても、あの3人はなんだったんだろう。かなりとくしゅな魔術師みたいだったけど、急に苦しみだして……」
それをきいて皆は考える。
「まあとりあえず、うちらは事後処理や。なのはちゃんは医務室へ行って早く診察してもらい」
そういってため息をつくはやて。
今日はさんざんや……
休日やとおもったら事件は起こるし、事後処理もものすごいことになるやろうし…それはフェイトちゃんも一緒か。
だがはやてはそれよりも事件が起こる前のことを考えていた。
(うち、お嫁にいけるんかいな……)
確かに、話こんでいて不注意だったことは見とめる。みとめるけど……
もういちど、はやては大きくため息をつく。
「なあなあなのは。はやてどうしたんだ?」
事情を知らないヴィータはなのはに聞く。
まあ、いろいろあったとだけいうなのは。
その後、リィンフォースから事情を知り、ヴィータはそういつを探し出そうとするのであるが、それは後ほどの話である。


3話、なのは&シンといっておきながら、シンがほとんど出てこないじゃないか!ななのは&シンサイドでした。
アズラエルも魔法(稼動かは微妙)を使うのでよろしく。
次もそのまままじかるしん3話ユーノ&レイサイドを投下予定
29通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 13:48:33 ID:???
D´s氏乙!
ミョルニルをグラーフアイゼンで受け止めるヴィータに燃えた
後、神隠し氏の方読んでも思ったけど、ゲシュマイディッヒパンツァーの能力は、なのは的にも普通に脅威だな
ブーステッド三人組はやっぱ強いわ

というわけで面白かったんだけど、あまりに誤字が多いのがちょっと・・・次からはもう少し注意してくれると幸い
30通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 18:54:55 ID:???
乙!
幼女で騎士なヴィータに萌え燃えです。

ただ、たしかに誤字が多すぎる。投下前に見直ししてないのかな?
はやてのセリフも違和感がある。
面白いオリジナルストーリーなだけに、残念というよりは勿体ないかと。
31通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 18:58:12 ID:???
>>お嫁に行けるんやろか………


シィィィィィィン!!
ヽ(`Д´)ノウワァァン
32通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 21:04:21 ID:???
ぅおのれぇ〜!
33通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 21:52:03 ID:???
はやてを嫁に貰いに俺が来ましたよ
34通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 21:58:03 ID:???
>ころしてでもうばいとる
35通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 23:12:57 ID:???
横からかすめ取る。
36ガンダムし〜どD´s:2007/03/05(月) 00:01:42 ID:???
メタセコつかってこんなの作っちまった………

ttp://bbs.shinn-asuka.net/datafile/1173020358.jpg

反省は激しくしているが後悔はしていない。
見てのとおり未完成だがとりあえず完成はさせる予定。
37通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 00:11:06 ID:???
コレジャナイデスティニー?
38通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 02:37:55 ID:???
まじかるしんのプロローグってwikiにないのね
39魔法戦士リリカルSEED:2007/03/05(月) 20:34:02 ID:???
御指摘ありがとうございます。
やっぱり小説って難しいですね(;_;)
やっぱり方向性を変えたほうがいいのでしょうか…
中学に上がれば少しは賢くなれるなか〜。
40通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 22:12:29 ID:???
>39
色んな本読めば?
41通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 22:12:48 ID:???
>>39
自分が書きたいように書くのが一番良いよ。
でないと、モチベーションが続かない。
まぁ、あまりに大雑把な設定で書き続けると中盤以降で破綻してくる恐れがあるから、完結までの流れはある程度決めておいた方がいいかも。
42通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 22:41:00 ID:???

このフェイトはかっこいいぜ

http://www.youtube.com/watch?v=SkfunixEyOY&mode=related&search=

ついでにシグナムver

http://www.youtube.com/watch?v=oJFEE0PWtNM
43 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/06(火) 00:09:41 ID:???
なのはさんがいく 第四話 【舞い降りる剣なの】


 コズミック・イラ7X年。
 この世界に、一つのロストロギア(=古代遺物)と三人の魔導師が紛れ込む。
 同時に、この世界から『常識』が失われてしまった。
 その影響は三人の魔導師たちにもおよび、各々の精神に影響を受けてしまう。
 本来ならあり得ないはずの介入。本来ならあり得ないはずの出来事。
 これは、そんな『if』な話。


 そう。例えば――

=========================

 張り巡らされた謀略。戦果の贄とされた者達。
 アラスカ基地を巡る攻防は、黒幕達の画策した喜劇でしかなかった。
 そんな思惑を知る少数の者達は、この戦域を離脱しようと死に物狂いだった。
 その中には、白亜の戦艦の姿もあった。


「リューリク、自走不能!」
「ロロ、撃沈!」
「六十四から七十二ブロック、閉鎖! 艦稼働率、四十三パーセントに低下!」
「十時の方向にMS群!ジン、接近!」
 アークエンジェルのブリッジでは絶望的な報告が矢継ぎ早に響き、艦全体が被弾の衝撃で激しく揺れる。
「ウォンバット、てえー! 機関最大! 振り切れー!!」
 マリューは力の限り叫ぶが、気合などで状況が好転するはずもなかった。
 ノイマンが悲鳴に近い声を上げる。
「推力低下……艦の姿勢、維持できません!」
 アークエンジェルのブリッジ正面に、対空砲火を掻い潜って来たジンが肉迫する。
 ブリッジクルー全員の顔が恐怖で凍りつく。
「くっ!」
 ジンがブリッジへ向ける銃口をマリューは睨みつけた。

44 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/06(火) 00:11:23 ID:???
 その時だった――
 一筋の閃光が、発射直前だったジンの機銃を撃ち抜く。
 何が起こったのか分からず、ジンのパイロットがモノアイを頭上に向けると、迫り来る何かがモニターを覆い尽くさんとしていた。
 その何かがジンの脇を凄まじい速度で駆け降りる。数瞬後、ジンの頭部だけが爆散した。
 それが斬撃による破壊だと、誰も気づかない──その一撃を放った者以外は。
 メインカメラを失ったジンはグゥルを操り後退する。


 アークエンジェルに銃口を向けていたジンを退けた事を確認した彼女は、ゆっくりとアークエンジェルのブリッジ付近の高さまで上昇すると、手に待った戦斧を構えた。ブリッジを背にして、アークエンジェルを守るかのように。
『こちら、フェイト・T・ハラオウン――』
 それは、もう二度と聞く事のできないはずの声。二度と目にする事のできないはずの姿。
「……フェイト?」
 ミリアリアが呆然と呟く。
「フェイトだよ!」
 サイが歓喜の入り混じった声を上げる。
「フェイト……さん?」
 マリューにも信じられなかった。自分達が助かった事も、死んだとものと思っていたフェイトが目の前にいる事も。
 そうしている間にも、アークエンジェルに迫る数機のジン。
 フェイトはバルディッシュにカードリッジを一発ロードさせると、ジン達に向かって緩やかに前進する。
「ランサー、セット!」
 フェイトの周囲に、電光を伴った光球が複数発生する。
《Plasma Lancer》
 バルディッシュの雷光色の水晶が輝くと、射撃魔法の発射体が形成されていく。
「ファイア!」
 放たれたランサーが、ジンの頭部や四肢や武装のみを破壊し、戦闘継続力を奪っていく。
 ただし、帰艦ができるように、飛行能力は奪わない。

「ラミアス艦長! 早く退艦を!」
『あ……いえ……あ……』
 フェイトに促されて、ようやくマリューは我に返る。
『本部の地下に……サイクロプスがあって……私達は囮に――』
 混乱と焦りの中で、マリューはなんとかフェイトに状況を伝えようとする。
 なおも向かってくる敵MSの攻撃に対して、フェイトは後のアークエンジェルを守る為に、回避ではなく防御を選ぶ。
 迎撃の為のランサーを放ちながら、フェイトはマリューの悲痛な叫びを耳にした。
『作戦のなの! 知らなかったのよ!』
「ええっ!?」
『だから、ここでは退艦できないわ……もっと基地から離れなくてわ!』
 悩んだ時間はほんの一瞬。フェイトは自分が取るべき行動を決める。
「――分かりました」
『えっ?』

45 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/06(火) 00:12:22 ID:???
 アークエンジェル周辺のザフト機を退け前進しながら、フェイトは周囲へ呼び掛ける。
『ザフト、連合、両軍に伝えます! アラスカ基地は、間もなくサイクロプスを作動させ、自爆します!』
 イザークはデュエルの中で、突如現れた少女の言葉を聞き、耳を疑った。
『両軍とも直ちに戦闘を停止し、撤退して下さい! 繰り返します!――』
 アークエンジェルを守って戦う以上、あの少女は地球軍の味方に違いないと、イザークは考えた。
 ならば――


『下手な脅しを!』
 フェイトの後方からMSがビームライフルを撃ってくる。
 彼女は振り返ると同時に、左手で発動させたシールドでビームを遮る。
「──デュエル!?」
『はあぁぁっ!』
 その間に接近してきたデュエルが右手に持ったビームサーベルを振り下ろしてくる。
 フェイトはそれをバルディッシュで受け止める。
「止めて、って言ってるでしょ!死にたいの!?」
『何をーっ!』
 デュエルの右肩に搭載されたレールガンがフェイトに向けられる。
 その砲撃をフェイトはかわすが、デュエルは頭部を振り下ろしてきた。
 直接的な物理ダメージは障壁で防ぐものの、MSの質量が生み出した衝撃に弾かれてしまう。
 その隙をついて、デュエルがビームサーベルを縦に振り下ろす。
 フェイトはその斬撃を後方宙返りをしながらかわすと、デュエルへと斬り掛かった。その一連の動作は、流水の如く華麗でさえある。
 コクピットに迫る斬撃を目にし、イザークは死の恐怖に背筋を凍らせた。
「……くっ!」
 だが、フェイトは機動を強引に変え、デュエルの両足を薙斬る。


「ぐわぁぁぁっ!――え?」
『早く脱出して! もう止めなさい!』
 イザークが唖然としている間に、デュエルはフェイトに叩き落とされる。
 海面付近にいた僚機のディンが、両足を失ったデュエルを咄嗟に受け止め、そのまま帰艦していく。
「あいつ……なぜ?」
 イザークにはフェイトの言動も行動も理解できなかった。

46 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/06(火) 00:13:46 ID:???
 呼びかけてはみたものの、一部の連合所属部隊を除いて、両軍とも戦闘を停止して撤退するような素振りは見えない。
「駄目だ……このままじゃ!」
 焦るフェイトに、聞き覚えのある声が念話で届く。
『フェイトちゃん、そんなんじゃあかんって』
「はやて!?」
 戦闘空域にはやてが転移して来る。彼女は既に戦闘態勢だった。


「手っ取り早く戦闘を止める為にも、ここは一つ――」
 はやての傍らに浮かぶ蒼天の書が開き、発光する。
《Photon Lancer Genocide Shift》
 はやての周囲に五十個近くもの雷球が発生する。
「みんなには大人しくなってもらおか!」
 はやてがシュベルトクロイツを振るうと、彼女を中心にして、槍のような形をした魔力弾が全方位に発射される。
「なっ!? ば、バルディッシュ!!」
《Defensor Plus Wide Area Shift》
 フェイトは慌てて、カードリッジを三発消費し、広域防御を張る。
 はやての全方位一斉射撃が終わると、フェイトが咄嗟に庇ったアークエンジェル以外は、ほぼ全てのMSや母艦が撃墜されていた。
「ちょ……ちょっと、はやて! いくらなんでもやり過ぎだよ!」
 しかも、あえてフェイトの魔法のバリエーションを使うあたり、はやての確信犯な気がしてしょうがない。
「一応、コクピットは外してあるから、大丈夫や」
「あれじゃあ、身動き取れないまま、海面に叩きつけられちゃうじゃない!」
 空戦高度にいる状況で、四肢と航空能力を失い海面へと落下するMS。機体も中のパイロットも無事ですむはずがなかった。
「戦場に出てきてる以上、撃たれる覚悟ぐらいはできてるはずや。コクピット直撃で即死コースやないだけ幸せやと思てもらわんと」
 はやての言う事も一理あるのだが――
「でも……この状況でサイクロプスが作動したら、みんな逃げるに逃げられないよ!」
「ああ、それやったら――」
 突如、響き渡る轟音に、フェイトは振り返る。
 アラスカ基地の中心部に当たる場所に巨大なきのこ雲が立ち昇っていた。
 フェイトがその光景に呆然としていると、なのはからの念話が届く。
『サイクロプスの破壊、終わったよー』
 圧倒的な破壊の原因たる少女は、成し遂げた行為に合わない能天気な声で報告してきた。
「――な。これで問題なしや」
 どうやら、手筈を知らなかったのはフェイトだけらしかった。
「だ……だったら、あんな強引に戦闘を止めなくても良かったんじゃ――」
「フェイトちゃん」
「な、何?」
「あれは、なんちゅーか……その場のノリや」
「もう、いい」
 フェイトは半眼で嘆息した。

47 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/06(火) 00:14:55 ID:???
 この後、フェイトは渋るなのはとはやてを引き連れて、救助活動に勤しんだ。
 不幸中の幸いか、はやてに撃墜された者の中に死人は出ていないようだった。


 要救助者収容後のアークエンジェル内。
「なあなあ、なのはちゃん」
「ん?」
「そろそろ、フェイトちゃんにもあの事、教えてあげたら?」
「んー、面白いから、まだ当分は黙ってよ」
「まあ、たしかに」
 なぜか、なのはやはやてが洒落でぶっ放した魔法攻撃が起因して、死人が出る事はなかった。
 深刻な後遺症が残ったり、身体の一部が欠落したりする者も出てこないのである。
 なのはやはやては、その事実に気づいているものの、フェイトには教えていなかった。
 もっとも――この事実が、彼女達とともにこの世界に現れたロストロギアの影響であることは、なのはとはやても知らないが。
「せやけど、フェイトちゃんも、ええ加減気づいたらええのに」
「ほら、フェイトちゃんって、あれで結構うっかりやさんなトコがあるから」
「あはは、言えてるー」
「でしょ」


 こんな彼女達三人ではあるが、これでもれっきとした親友なのだ。たぶん。
48 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/06(火) 00:19:25 ID:???
投下終了。
いつも以上に(特に後半部分)勢いだけで書いてみたが、後悔はしていない。

ではではノシ
49通常の名無しさんの3倍:2007/03/06(火) 17:09:34 ID:???
乙。
こういうのは勢いが大切だと思う。
50通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 16:14:15 ID:???
人いNeeeee!
51通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 16:26:03 ID:???
過疎ってるぅぅうぅう!!
52通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 16:27:40 ID:???
はい点呼!

1!
53通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 16:40:14 ID:???
2なの!
54通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 16:56:58 ID:???
3ダーファイヤー
55通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 17:32:24 ID:???
4th デトネイター
56シンとヤマトの神隠し:2007/03/07(水) 18:55:43 ID:???
ある日のはやてとキラ

いつになく冷え込む海鳴市。空は澄み渡り、星がよく見える。その反面、空気は乾燥し、風邪をこじらせやすい。
その日、八神家では、はやてが風邪をひき、熱を出して寝込んでしまった。
「今日はやめといた方が…」
とシャマルがシグナム達に言った。
いや、と首を振るシグナム。
「もう時間がないんだ。のんびり気長に蒐集というわけにもいかん。」
「でも…、はやてが…。」
ヴィータは今にも泣きそうな顔でシグナムにすがりつく。
「私が残りますから…シグナムたちは…」
またも首を振るシグナム。「今回はどうしても、シャマル。お前の力が必要だ。」
サポートのエキスパートであるシャマル。何かと彼女は役に立つし、やってもらいたいことでもあるのだろう。
「じゃあ…、僕が残ります。一人じゃ次元転移とか出来ないんで…。」


主を任せたぞ、はやてに何かあったら承知しないからな!、キラさんお願いしますね、すまんが任せた。
三人と一匹にそう言われ、キラは八神家に残った。
シグナムたちを見送った後、はやての部屋へと向かう。
トントンッ!
「はやてちゃん…?」
反応は…ない。キラはドアノブを捻り、はやての部屋の中へと入った。
なるほど、辛そうだ。呼吸が荒く、汗をかき、額に前髪が張り付いていた。
布団はベッドからずりおち、はやては震えていた。
「はやてちゃん?」
名前を呼び、肩を揺する。「…んぁ…?…キラ…君?」少しだけはやての瞼が開き、キラの姿を確認する。
「たくさん汗かいてるから、体を拭いて、新しいパジャマに着替えようか?」
キラは一旦風呂場へと行き、お湯を洗面器の中にため、タオルを用意する。
それからはやての部屋へと戻り、タオルを絞って手渡した。
しかし、ベッドの上に座ったまま一行に動こうとしない。
「…はやて…ちゃん?」
ポテッとベッドに体を横たえるはやて。
「……ぁかん、…むっちゃ…しんどい…。」
どうやら、自分では体を満足に動かせないようだった。
57シンとヤマトの神隠し:2007/03/07(水) 18:57:59 ID:???
「…ふぅ〜…。」
と一息。
はやての体を拭き終え、パジャマの着替を手伝ったキラは額の汗を拭う。
はやての膝を曲げさせ、お姫様だっこの要領で、ベッドにきちんと寝かし付ける。
キラはタオルを洗濯機に放り、洗面器のお湯をすて、風呂場に戻す。
それから台所へ向かい、あるものを探し出した。
りんごである。
キラは包丁を使い、皮を向き始めた。もちろん、器用にとまではいかない。途中で何度も皮を切ってしまったし、身を深く削ってしまったりする。
そんな苦労を重ねた不格好なりんごはすりりんごへと姿を変えた。
少しだけ塩を降り、買い置きのスポーツドリンクと器に盛ったすりりんごをはやての部屋へと持っていく。
時刻は夜10時半を過ぎたころ。
再びドアをノックしてから部屋へと入る。
「はやてちゃん…、夕飯食べてなかったよね?」
もぞもぞ布団が動きだし、はやてが体を起こした。
「喉が…かわいたぁ……。」キラはボトルのキャップを軽く開け、はやてにドリンクを渡す。
んぐんぐとボトルの半分までを一気に飲んでからはやてはほぅ〜、と息を着いた。
「あんまり気の効いたものはつくれないんだけど…、これ…。」
スプーンと皿をはやてに渡した。
「これ…、キラ君が作ってくれたん?」
「うん、お粥とか作れればよかったんだけどね…。」恥ずかしそうに頭を掻くキラ。
「ううん…ありがとう…。」はやては目に涙を浮かべ、キラの作ったすりりんごを食べ始めた。

「皆が来る前までは、ずっとこの家に一人やったんよ…。」
「…うん…。」
はやてと会話しながら、キラは床に座り、ベッドの側面に背中を預けた。
「寝込んだときとかも、一人やった…。皆来る前までは寂しくなかったんよ?」
「…うん…。」
キラは体をはやての方にむけた。
「でも、何でやろか?…最近、一人になると寂しいなるときがある。」
「…そっか…。」
キラは立ち上がったところではやてに手を掴まれた。「…ん?…大丈夫、また来るから…。濡れタオルを持ってくるだけだよ…。」
「本当?」
「…うん。」
キラは新しいタオルをだし、水を張った洗面器の中に氷を入れる。
それをはやての部屋に持っていき、絞って、はやての額に張り付いた髪をとってから、タオルを置く。
「気持ちえぇわぁ…。ありがとう…。」
「…どういたしまして…。もう遅いし…、ゆっくり休んで…。そうしたら明日には良くなってるよ。
きっと…。」
58シンとヤマトの神隠し:2007/03/07(水) 19:00:47 ID:???
「…うちのわがまま聞いてくれる…?」
部屋を出ていこうとしたキラを引き留め、はやてが言った。
「いいよ…。」
キラは微笑んで言った。


「つっかれたぁ〜」
と深夜を過ぎて帰宅したシグナムたち。
シャマルは手洗い、うがいを済ませたあとすぐにはやての様子を見に行った。
ヴィータとシグナムもシャマルのあとに続く。
音を立てないようにゆっくりとドアを開けると、最初に目に入ったのはキラだった。
床に座り、はやての手をにぎって、ベッドにうつ伏せに突っ伏している。
はやてはキラの手を両手で握り、丸まっていた。
ヴィータはムッとし、シャマルとシグナムの頬が緩む。
それから、シャマルはキラに毛布をかけて、ドアをそっと閉めた。

翌日。
くぁ〜〜っと大きな伸びをして起きたはやてはキラを見て微笑む。
「本当にずっとここにいてくれたんやね。ありがとう。」
とそこで気付いた。自分のパジャマが変わっていることに…。
あれ?うち、いつ着替たんやろ?
………ボシュっと顔が火を吹き
「あぁぁぁ!!」
と悲鳴をあげた。
キラが眠たげな目を擦り、むくりと起き上がった。
「どうしました主!」
「はやて!?」
「はやてちゃん?」
「………。」
その悲鳴をききつけたヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラが駆け付ける。
「うちを着替させたのって…シャマル?」
震える声ではやてがシャマルに聞くが、シャマルは首を横に振り、否定した。
シャマルを指していた指がシグナムへ。シャマルと同様に首をふる。
それはヴィータもだった。「はやてちゃんの着替をしたのは僕だけど……それが…。」
どうしたのと聞く前にはやてが泣き出した。
同時に溢れる三つの殺気。「いや…でも、あの場合は…不可抗りょ…ちょっ、ザフィーラさん!たすけっ………。アッー!!!」

キラは布団の中で意識が朦朧とするなか、ひたすら頭痛と悪寒に耐えていた。
はやての風邪がうつったのだ。
「僕は…どうして……こんなことに…。」
コンコンッ!
「キラ君!わぁっ、凄い汗、体を拭かんと…。」
はやて、シャマル、ヴィータが近寄ってくる。
シグナムはドア越しに合唱していた。
「や、やめろ!やめてくれぇぇええぇぇ…アッー!!」
ある日のはやてとキラ 完
59シンとヤマトの神隠し:2007/03/07(水) 19:04:26 ID:???
と言うわけで、ある日のはやてとキラ、完結です。

最近、人が減っているみたいなんで、二時間ほどで書き上げましたが、いかがでしょうか?
楽しんでいただければと思います。

シンとフェイトとは大違いですね。
がんばれキラ、と書いていながら応援してました作者でした。
60通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 19:49:49 ID:???
5人目なの!

神隠し氏、乙。
しんみりした話だと思いきや、最後で爆笑してしまったw
61通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 20:08:13 ID:???
6四式小銃

神隠し氏、GJ!
2時間で書いたとは思えないぜ。
シンとフェイト編も見たいです。
62通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 20:30:40 ID:???
シンとフェイト編は前スレにあったよ
シンがフェイトの勉強見てるというやつ
63通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 20:59:13 ID:???
キラ……不憫な……
乙!
64通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 21:52:49 ID:???
>>62

あれ?
見落としたか?
まとめサイトでもあさってくるよ、教えてくれてありがとう
65通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 21:56:38 ID:???
>>61
Wikiの単発集に収録されてるよ。

>>神隠し氏
>>56ー58はWikiの収録位置どうしましょう?
神隠し氏のスペースor単発集のどちらが良いものか……???
66シンとヤマトの神隠し:2007/03/08(木) 01:19:32 ID:???
どちらでもいいですよ。
単発集でもいいです。
67通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 02:55:48 ID:???
7!
乙です
キラさん不憫な…
68通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 03:07:53 ID:???
不憫だかしびんだかわからんが、とにかくGJ!
69 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/08(木) 06:05:40 ID:???
魔法少女リリカルなのはC.E.73 第15話 始まります……
70 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/08(木) 06:06:24 ID:???
 アスランは、ミネルバのMSデッキ内に設置されたシミュレーターを使っての訓練中だった。
 ユニウスセブンの破砕作業の際に、およそ二年振りにMSで出撃した彼は、自身の技量の低下を痛感していた。
 アスランとは違い、実戦の中に身を置き続けた彼の同期達と比べると、大きな差となっていたのだ。
 それでも、実戦経験の少ないシン達に比べれば、彼の技量の方が上なのだが、彼自身は現在の自分に納得できないでいた。
 かつての力量を取り戻そうと、こうしてシミュレーターによる自主訓練を行っていた。
 所詮、シミュレーションはシミュレーションでしかなく、実戦には遠く及ばない事を彼とて知ってはいるが、それでも何もしないよりは

ましだからだ。
 シミュレーターから訓練の終了を知らせる音が発せられ、アスランは大きく息をついた。
 シミュレーターに表示されたスコアには『同レベル以上のスコアを叩き出せるザフト兵が果たして何人いるか?』と、言えるほどの高得

点が表示されていた。
(あとは……実戦の感だけは、実戦の中で取り戻すしかないか……)
 アスランは自らの技量に対する焦燥感を拭い切れないまま、その場を後にした。


 そんなアスランの様子を物影から窺う者がいた。シン・アスカだ。
 彼はアスランが使っていたシミュレーターに入り込む。
 ユニウスセブンの破砕作業時には、アスランの技量に驚愕した彼だったが、先の連合との激戦を潜り抜けた事で、アスランとの差は縮ま

っている自信があった。
 だからこそ、シンはアスランが出したスコアを塗り変えてやろうと意気込んでいたのだが――
(げっ……何だよ、このスコア……)
 アスランの出したスコアは、シンの予想を遥かに超えていた。
 それでも負けん気の強い性格であるシンは、アスランのスコアを超えようと悪戦苦闘し続けるのだった。

=========================

71 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/08(木) 06:07:26 ID:???
「何か変わりはない?」
「進路オールクリアー。問題ありません」
 マリューの問い掛けにチャンドラが答える。
 デュナメイスの航海は障害に阻まれる事なく順調だった。
 ミネルバに少しでも早く追いつこうとかなりの航行速度で進んでいる。
「キラ君は、また訓練かしら?」
「ああ。馬場一尉らに連携戦の指導を受けているそうだ」
「連携?」
「ストライクに乗っていた時も、フリーダムに乗り換えてからも、キラはまともな集団戦の経験はないんだろ?」
「言われてみれば……一対多数の状況がほとんどだったわね」
 ヤキン戦役終盤にアスランと共に戦った程度では、戦闘における連携のノウハウなど備わるはずがなかった。
「遊撃に回るにしても、友軍との連携は取れた方がいいに決まっているからな。本人もそう思って頑張ってるようだ」
「そう……少し前までのキラ君からは考えられない変化ね」
 この二年間、孤児院で後悔ばかりしていたキラを見てきたマリュー達にとって、現在の彼の変化は嬉しいものだった。
「僕としては、あまりのめり込み過ぎるのもどうかと思うんだがね。だが、今のキラは良い眼をしている。こっちも、しっかりフォローしてやらんとな」
「当てにさせてもらいますよ、バルトフェルド三佐」
「君の采配にも期待させてもらっているよ、ラミアス艦長」

=========================

 マユはデュナメイスの食堂内の厨房にいた。彼女に与えられた艦内での仕事は厨房での手伝いである。
 マリュー達はマユに何らかの仕事を強要したわけではないのだが、マユの方が艦の手助けになりたいと望んだのだ。
 現在の時刻は午前十時半。食堂も喧騒には程遠い静かさだった。
「嬢ちゃん、休憩に入っていいぞ」
「はい。それじゃ、出かけてきまーす」
 マユはエプロンを外すと厨房を抜け、食堂を出た。


(むー……休憩をもらったのはいいんだけど、特にやりたい事があるわけじゃないんだよね)
 軍艦であるデュナメイスに、マユと日常を一緒に楽しめるような同年代の子供がいるはずも無く、一人で楽しめるような娯楽も無かった。
(また、シミュレーターでも使わせてもらおうかな。あれ、結構面白いんだよね)
 先日、キラのシミュレーター訓練を見学した際に、マユも使わせてもらったのだが、流石はコーディネイターというべきなのか、かなりの早さでMSの基本動作をマスターしていったのだ。
(でも、あまり私が混じりにいっても、みんなの邪魔になっちゃうよね……)
 与えられた時間をどう使おうか思案しながら通路を歩くマユは、ある部屋名を目にして立ち止まる。
(資料室……あ、そうだ!)
 マユは部屋の中に入ると、設置された端末を触り出した。
 公開されている情報ならば、ロックがかけられていないようなので、マユのIDカードでも閲覧できるようだ。
(どんなMSか気になってたんだよね)
 しばらくしてモニターに表示されたのは、ZGMF−X56Sインパルス。彼女の兄、シン・アスカの乗機と聞かされているMSだった。
(これにお兄ちゃんが乗ってるなんて……なんか信じられないなぁ)
 マユは、記憶にある兄のイメージとザフトのエースパイロットとが結びつかなかった。
(……あ、そうそう。あれも――)
 もう一つ気になっていた事を思い出したマユは、端末の操作を続けていった。

=========================
72 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/08(木) 06:08:36 ID:???
 修理と補給を終えたミネルバは、カーペンタリア基地を出航していた。
 僚艦としてボズゴロフ級が一隻つけられている。
 ルナマリアは、甲板の上で一人潮風に当たっているアスランを見つけた。
「こんな所でお一人で、どうされたんですか?」
 その声にアスランは振り返った。
「ああ、君か……ちょっと風に当たっていただけだよ」
 ルナマリアはアスランの隣へと並ぶ。
「……スエズまでは遠いですけど、アスランさんもシンも居るから大丈夫ですよね!」
 ルナマリアは、自分がアスランを頼りにしている事をさり気無くアピールする。
 それとは別に、、彼女の無意識にあるスエズまでの道程に対する不安も作用していたが、本人に自覚は無い。
 アスランが無言のままなので、気まずさを感じ始めたルナマリアは、話題を別方向へ持っていこうとする。
「あ……そうそう、聞きました? シンの活躍の話」
「……ああ、聞いたよ。凄かったそうじゃないか」
「ええ、それはもう! 勲章も出るみたいですよ!」
 アスランは内心複雑だった。
 ユニウスセブンでのテロリストとの戦闘で、シンの実力は知っているつもりだった。
 若手の赤服として相応しい腕を持っていたが、オーブ出航時の連合との戦闘で彼が挙げたとされる戦果を出せるほどではなかったはずだ。
 だが、事実、シンはスーパーエース級の戦果を挙げたのだ。
 しかし、同じ事をアスランにもできたかというと、そんな自信は彼には無かった。
 同じ艦に頼れるエースがいる事は心強くはあるが、MSパイロットとして新兵のシンに負けたくないというのも、アスランの本音だった。
「あっ、確かアスランさんも貰ってましたよね。ストライクを討った時に」
 ルナマリアの言葉がアスランの心に影を落とす。
 キラと戦った当時の事を思い出したアスランは、ある違和感にぶつかった。
「……ミネルバの損害は艦体だけだったのか?」
「ええ、みんな無事ですよ」
「……そうか」
 彼女達に殺し合いをしているという自覚は無く、同じ目的で集まった仲間達との生活と、戦果を挙げれば称えられる少し危険なサバイバルゲーム――そういった感覚なのだ。
(だからこんなふうでいられるんだろうな……)
 敵の艦にどんな人間が乗っていたのか考える必要は無い――ここではそれが正常であり、それが軍という組織なのである。
(そういった場所に俺は戻ってきたんだ……でも、だからこそ……)
 二年前の愚かとしか言いようの無い泥沼の戦争を経験したアスランだからこそ、新兵が多くを占めるミネルバのクルーに伝えられる事が
ある。
(ここで俺にできる事があるはずなんだ)
 ザフトに戻った自分がやるべき事の一つが、アスランには見え始めていた。

=========================

73 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/08(木) 06:09:34 ID:???
 訓練が一区切りした――とはいっても、根を詰め過ぎるキラを周囲の者達が止めたのだが――キラは、何か飲み物を貰おうと食堂へ向かっていた。
 通路の角を曲がった所で、キラよりも大分年下の少女の後ろ姿が目に入る。
 デュナメイスの艦内にいるあの年頃の少女といえば、一人しかいなかった。
「マユちゃん」
 少女の名前を口にしながら、彼女に追いつく為に、キラは小走りになる。
 だが――
「……あれ? どうしたの? 顔色が悪いよ?」
 キラの方に振り返ったマユの顔は青ざめていた。
「熱でもあるのかな?」
 キラは、マユが風邪でも引いたのではないかと思い、彼女の額に右手を当てようとした。
 しかし、キラの右手はマユに払い除けられてしまう。
「――え?」
 マユの予想外の反応に、キラは呆然とする。
「あ……ご、ごめんなさい。その……何でもないんです。私は大丈夫ですから……」
「そ、そう? なら、いいんだけど……」
「あの……私、ちょっと急ぐんで……」
 マユはそう言い残すと駆けて行ってしまった。
「いったい、どうしたんだろ?」
 キラは彼女の去っていく姿を訝りながら見送るしかなかった。

=========================

 インド洋沿岸にある小さな港町に、なのはは滞在していた。
「この辺りだと思うんだけどなぁ……」
 ダーククリスタルの魔力反応を追ってここまで来たなのはだったが、正確な位置の特定ができずにいた。
「やっぱり海の方なのかなぁ」
 陸地側の方での探索の成果が上がらない以上、あとは海側しか残されていない。
 なのはが思案していると、彼女のお腹が鳴った。誰かに見られているわけでもないが、顔が赤らんでしまう。
「あう……そういえば、もうお昼頃か」
 探索に没頭するあまり、時間が経つのを忘れていたらしかった。
「とりあえず、お昼ご飯にして、それから海の方へ行ってみよっか?」
 なのはは彼女の首元にある赤い宝石――レイジングハートに呼び掛けるように言う。
《Yes my master》
 なのはのパートナーも、彼女の考えに賛成のようだった。

=========================
74 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/08(木) 06:10:59 ID:???
「ミネルバです。間違いありません!」
「やっと会えたな……見つけたぜ、子猫ちゃん」
 オペレーターからの報告に、奇妙な仮面で顔を――鼻より上は仮面に覆われているが、口元は露になっている――隠した男が笑みを浮かべる。
「しかし、意外でしたな。ああも快く戦力を提供するとは」
 赤道連合に属する島に建造中の対カーペンタリアの前線基地。その所属MSであるウィンダム四十五機を全機、今回の作戦の為に徴発しようとしたところ、相手は渋る事無くあっさりと提供してきたのだ。
「いいんじゃないの? それだけ危機感を持っているって事だろ? あのミネルバに。この間のオーブ沖海戦のデータ……あれを見たら、誰だってそうなるさ」
「あの基地の司令官は最近になって入れ替わったようです。前の者とは違って中々の切れ者と評判だとか」
「まあ、こっちも戦闘の前に、いらん労力を使わずにすんだんだ。感謝しないとな」
 無能な頭でっかちを相手に問答する羽目にならなくてすんだ事に、仮面の男――ネオ・ロアノークは上機嫌だった。
 艦長がこれから戦う相手への不安感を振り払うように言う。
「いかにあのミネルバといえども、この戦力なら堕とせるでしょう」
「だといいがな……油断はしてくれるなよ?」
「無論です」
 ネオは艦長の返事に満足する。この艦長もかなりの有能者だと、彼は感じていた。
 MS管制担当兵から報告が上がる。
「MS隊全機、発進準備完了です」
「じゃあ、俺も出てくる。ジョーンズは所定の場所を動くなよ」
 そう艦長に命じると、彼はブリッジを後にした。
75 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/08(木) 06:11:20 ID:???
投下終了です。

ではではノシ
76通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 06:44:10 ID:???
乙!

マユはついに知ってしまったんだね。
77通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 23:53:09 ID:???
保守
78通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 00:56:49 ID:???
>>75
乙。種の面子だけでも面白いんだけど、やっぱりなのはさん影薄ス。
79通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 05:38:00 ID:???
過疎ってんなぁ
80通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 08:12:14 ID:???
過疎てる
81通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 10:11:26 ID:???
アゲてみる
82通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 12:11:49 ID:???
ageる人はいても感想くれる人いないSSテラワロスw
83通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 12:43:13 ID:???
>>82
痛い所つくなキミは…

>>75
乙です。次回はついになのは参戦でつか?
それともアースラ到着?
正直連合の方々は今のままだとボッコボコになるヨカーン
84通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 14:25:19 ID:???
乙です!!
85 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/09(金) 16:19:41 ID:???
>>78
>やっぱりなのはさん影薄ス。

私自身、気になってはいる部分です。
ネタバレになるので「『魔法少女リリカルなのはC.E.73』の主役は、なのはとマユです」としか言えないのですが……。
現状で「『これなら、なのは種じゃなくて、マユ種でいいじゃん』と感じる人が出てきても仕方ないかな」とは、私自身思っています。

本来ならSS投下と合わせて聞いてもらいたかったのですが、次の投下まで期間が空きそうなので、今回のようなレスをさせて頂きました。
スレ汚し、すいませんでした。
86通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 17:13:00 ID:???
いや、俺は期待してる。なのはもでてるし、問題ない。
87通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 17:22:38 ID:???
ロウとジェスとアグニスとまだー?
88シンとヤマトの神隠し:2007/03/09(金) 17:56:19 ID:???
ある日のシャマルとキラ

「それじゃあはやてちゃん。いってらっしゃ〜い。」
「うん、シャマル、キラ君、家の事はまかせたでぇ。」
シャマルもキラも頷き、シグナムとヴィータ、それから首輪に繋がれているザフィーラを見送る。シグナムとヴィータははやての検査の付き添いだ。ザフィーラはついでの散歩。
「ん〜っ。さてっ、掃除でもしましょうか?キラさん。」
伸びをしたシャマルがキラに笑いかける。
「…そうですね。」
キラとシャマルは掃除に取り掛かった。シャマルが掃除機をかけ、キラはモップで床を拭く。
そして、シャマルが洗濯物を干している間に、キラが台所の洗い物と、トイレ掃除も終わらせる。
風呂掃除を残し、キラとシャマルは昼食をとることにした。

昼食は、はやてたちは外で済ますとのことで、お昼はシャマルが作ってくれるらしい。
キラは料理を運ぶだけ…。実際のところ、料理なんてあんまりしたこともないので、ろくに作ることも出来ない。
味噌汁、卵と玉葱とウィンナーの炒めもの、それからご飯。
「たくさん食べてくださいね。」
「…はい。」
キラはご飯を一口、口に放り込み、味噌汁を飲む。そのあと、炒めものをご飯の上にのっけて掻き込んだ。口のなかのものを飲み込み、そこでシャマルの視線に気付いた。
「…えと…なんですか?」
「おいしいですか?」
「あ、はい。おいしいです。」
よかったと、両手をあわせ、首を傾けるシャマル。
しばし無言のまま箸を勧める二人。
「あの…テレビつけましょうか?」
「…そうだね。」
沈黙にいたたまれなくなったシャマルがそういうので、キラは同意し、テレビをつけた。
『あなた〜、おかえりなさ〜い。』
『ただいま〜。』
画面の中の二人は夫婦のようだ。
『お風呂にする?ご飯にする?』
そんな妻の問いを無視して抱きつく夫。そして手が…。
キラがチャンネルを変えた。今度は当直室で二人きりの医者と看護婦が…。
再び変える。
次は兄妹が…。
「…シャマルさん…テレビ…消していいですか?」
「何でですか?」
「あ…いや、なんでって…シャマルさんが見たい番組があるのなら…」
苦笑しながら、キラはシャマルにリモコンを手渡した。
89シンとヤマトの神隠し:2007/03/09(金) 17:59:08 ID:???
『真由!好きだぁ!!真由!!』
『だ、だめよ、真お兄ちゃん、私たちは兄だ…。』
キラは観念し、食べることだけに集中する。
シャマルはそんな画面の中の男女、兄妹をみながらうっとりしていた。
「なんか…いいですよねぇ。こういうの…。」
ブホッと蒸せるキラ。
(えぇ!?近親相姦が…ですか?)
「ゲホッ、何が…けほっ、いいんですか?」
お茶の入っているコップを手を伸ばすキラ。
「わかりません?」
「…わかりません。」
「人を好きって言う気持ちですよ。」
「…はぁ、確に…いいかもしれませんね。」
「私たちはプログラムですから…、人を好きって気持ちがあまりわからないんです。」
そうか…。とキラは思う。
「でも…、わかってるじゃないですか…。」
シャマルがテレビからキラへと視線を移す。
「はやてちゃんのこと…。守ってあげたいとか、支えになってあげたいとか…。涙を流して欲しくないとか…、そういった気持ちがきっと、好きって気持ちなんだと思います。
まぁ、見解なんて人それぞれなんですけどね。」
目をパチクリさせるシャマル。
「じゃあ、私たちは…はやてちゃんのこと…。」
うなずくキラ。
「好きなんですよ…きっと。主だから守らなきゃいけないとか、そういうのじゃなくて…。
シャマルさんたちを見てると、あぁ、はやてちゃんの事、好きなんだなぁって、そう見えますよ。」
キラは笑って言った。
「そう…見えますか?」
上目使いにシャマルがキラを見る。
「え、えぇ…見えますよ。」テレビの中の兄妹がベッドの上で唇を重ね合わせていた。
「じゃあ、あぁいうのもやってあげたらはやてちゃん、喜ぶんですか?」
劇中の二人を指さしてシャマルが言った。
布団のシーツは乱れ、衣服が乱れるのも気にせず、体を密着させている。
呼吸が荒くなる兄。ほんのり頬が上気している妹。
「いや…それは…。」
「この真由って女の子も、真っていう男の子もお互いに好きだって言ってますよ?」
「い、いや、これは…その…何て言うか……。」
しどろもどろになるキラを頭に?を浮かべながら見ているシャマル。
「はやてちゃん…、あんまり喜ばないと思います。」
90シンとヤマトの神隠し:2007/03/09(金) 18:01:25 ID:???
「何で…ですか?」
「はやてちゃんの本当に好きな異性と行うことなんだと…僕は、思います。」
「異性ですか?
とすると、キラさんとか?はやてちゃん、キラさんのこと好きって言ってますし…。」
「まぁ異性には入りますけど…。たぶん、テレビの二人の『好き』と、はやてちゃんの言っている『好き』は違う『好き』ですよ。」
昼食と妙な雑談を終えたシャマルとキラはテーブルを片付け始めた。
皿を積み上げ、運ぼうとするシャマル。
(好きとは違う好き…か。)考え事をしながら皿を持ち上げ、一歩シャマルが踏み出したその時、床にこぼれていた水気に足をとられバランスを崩した。
「きゃっ!!!」
手の上の積み上がった皿が傾く。
「ッ!?シャマルさん!!」
キラがシャマルの体を後ろから支え、両手を皿を持っているシャマルの手に添えた。
キラに体を預けることで何とか転倒を免れたシャマル。
キラも皿が落ちないよう手を沿えたが、残念ながら一枚落下。
カシャンッと甲高い音を立て、割れてしまった。
「あぁ…、どうしましょう〜…。」
慌て出すシャマル。
「シャマルさんは、とりあえず残りのお皿を流しに持っていっちゃってください。僕が片づけま…。」
キラとシャマルの手が触れた。互いの顔も近い。
目が合う、響く二人の呼吸音。
「…す、すみません…。」
キラは慌てて手を引っ込めた。
「…な、もう、キラさんってば何を謝ってるんですか?」
動揺するキラの様子にシャマルも何だか恥ずかしくなってしまった。
「あとは、僕がやりますから、シャマルさんは掃除機を持ってきてください。」
八神家、夕飯。
今日の夕食はヒレカツ、サラダ、味噌汁にご飯。
食卓に料理が、全員が揃ったところでいただきますをする。
キラがソースを取ろうと手を伸ばすと手が触れた。
「あっ…、先にどうぞ。シャマルさん。」
「あ…ありがとうございます。」
はやてとシグナムが怪訝そうな顔をした。
キラはソースをシャマルから受取り、かけている。
「どうした?シャマル…。さっきから箸が進んでないみたいだが…。」
シグナムがシャマルに声をかけるが…、聞こえてないようだ。
「シャマル?」
「へっ?な、な、なんですか?」
顔がほんのり赤い気がするが…。風邪ではないだろう。
「いや、何でもない…。」
91シンとヤマトの神隠し:2007/03/09(金) 18:03:57 ID:???

布団に入り、シャマルは天井を見つめた。
何だか今日の自分は変だ。シグナム、ヴィータ、はやてにも変だと言われた。
自分でもわかるぐらいだから、相当変なのだろう。
何でだろうか。
「はぁ…。」
考えてもわからないので溜め息が漏れた。
ずっとそうしていても仕方ないだろう、と言うことで、昼間のキラの言葉の意味を考えることにする。
「好きとは違う好き……か……。」
寝返りをうち、目を閉じて考えてみた。
「……何が違うんだろう?」結局、分からず、眠りにつくシャマルであった。

ハラオウン家、昼間。
「シン…、これ…。」
雑誌を読んでいるシンに声をかけ、テレビを指差すフェイト。
『真由!好きだ!!真由!』『駄目よ、お兄ちゃ…んっ!私達、兄だ…。』
「なっ、何を見てるんだ!フェイトはぁ!!」
「いや、ただシンと、シンの妹の名前がこの二人と一緒だなって…。」
「違う、違うぞ?俺とマユじゃない!似てないだろ?な?フェイト、似てないだろ?」
「う、うん。…わ、わかったから…、似てない、似てない。」

ある日のシャマルとキラ 完

おまけ
何でだろう…。二人で留守番した日から、シャマルさんが僕を避けるように、視線を合わせないようになりました。
そのせいか、はやてちゃん、ヴィータちゃん、シグナムさんからの視線が痛いです。
ザフィーラさん(子犬)に散歩ついでに、相談してみました。何も言ってくれませんでした。

僕の…居場所は……。
キラ・ヤマトの日記
〜異世界にて…〜
92シンとヤマトの神隠し:2007/03/09(金) 18:09:34 ID:???
と言うわけで、ある日のシャマルとキラ、完結です。
楽しんでいただけたでしょうか?
不快に思った方、申し訳ないです。

皆さんの暇潰しに少しでもなればと思います。

さて、次回はある日のシンとリンディです。その次は、劇場版の投下を予定しております。
それでは、また!
93通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 18:26:01 ID:???
GJ
最後の必死なシンにワロタ
94通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 19:18:24 ID:???
>>92
乙です!
キラとシン見事なくらいに女難(?)の相がでてますなw
出番がなかったアスランの呪いか・・・

シン×リンディなんと変則的な…だがそれがイイ!!
劇場版は第一話がかなりよかったので期待してます。
あぁ…はやく読みたい!!
95通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 19:19:55 ID:???
キラもシンも・・・二人とも苦労してるんだな・・・
96通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 19:49:19 ID:???
GJです!
キラまたもや不憫w
シン&フェイトにも笑いつつ和んだ。
97通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 20:02:56 ID:???
いや…はやてを脱がしたり、シャマルと手を重ねてドキドキ☆したりしてる奴を全然不憫とは思わねえ(苦笑)

シンの方はひたすら健全というか、終始ほのぼのしてて和む
98通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 20:19:05 ID:???
確かにキラには殺意を覚える。
……俺と替わってくれ。
99アルケミスト:2007/03/09(金) 22:16:26 ID:SO70RaVd
>>98
私も同感です。漢なら誰でも一度はやってみたいですね。
100通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 00:04:31 ID:???
つ 嫉妬団
101通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 10:36:25 ID:???
神隠し氏GJ!

キラ……シャマルは渡さんからな!!

しかし、テレビの真と真由はあれか?某留守番スレの………あ、あそこは逆(真由が真に迫る)か(´・∀・`)
102D´s:2007/03/10(土) 12:42:10 ID:???
レイ&ユーノサイドが出来たので投下します
103ガンダムし〜どD´s:2007/03/10(土) 12:44:12 ID:???
魔道戦士まじかるしん 3話 (ユーノ&レイサイド)

「時間をかけるわけにもいきませんので、返してもらいましょうか」
そういって、アズラエルは指を鳴らす。
「お待ちかねだ、アウル」
仮面の男、ネオの言葉を聞いて、アウルは喜んで突っ込んでいく。
「待ってました!お任せってねぇ!」
アウルはユーノに向かって、デバイスを向ける。
『ランスフォーム』
彼のアームドデバイス、アビスはランス状の武器に変わり、ユーノに迫る。
「くっ」
ユーのはそれをシールドを出して防ぐが……
(やっぱり……ちょっとは運動しとくべきだったかな?)
ここ数年、仕事の激務もあり身体を動かしていない。
心なしか、魔力の出力が落ちているような気がして仕方が無い。
「そーーら!」
アウルはさらに力を入れてシールドを破ろうとする。
「ステラ、お願いがあるけどいいか?」
ネオに呼ばれて、ん?とネオを方を向くステラ。
「お願いって、何?」
ネオはステラの頭をなでながら言う。
「アウルがあの本の奪取に失敗したら、スティングにあの本をとってきてもらうんだ」
それを聞いて残念そうにため息するステラ。
どうやらそれは自分がしたかったらしい。
「けどね、それにはあの犬の耳はやした奴が邪魔なんだ。だから、ステラにはあの犬と遊んでもらおうと思ってるんだ。犬は好きだろ?」
ステラはそれを聞いて喜ぶ。
「うん……犬、好き……けど、ネオの邪魔するなら………」
ステラは、いままで無邪気だった顔が一変して、表情がなくなったような顔つきになる。
アルフは、さっきの会話も聞いており、アルフは実質ステラを相手にしつつ、そのスティングという少年も相手にしなければいけない。
金髪二人組も目を離せなかった。
(ちょっと難しいけど、やるしかないか)
そう考え、アルフは指をポキポキと鳴らす。
「ネオを困らせる奴は…倒す!」

「この感覚は……」
レイは図書館に向かっている最中に、妙な感覚に襲われる。
それはレイ自身どのようなものか知っていて、あまりいいものではない。
(フラガ……あいつが今回の事件に?)
いや、まだわからない。
とりあえず図書館に急行するレイ。
そのとき、図書館で小さな魔力のぶつかり合いが確認される。
「くそ、遅かったか」
『早く行きましょう、マスター』
ファントムの言葉に、レイは頷き急いで場に急行する。
その時、自分とは向こう側にも、誰かがきていることがわかる。
ちょうどレイのその人の間に図書館がある感じだ。
だが、今はかまっていられない。今は急ぐだけだ。
104ガンダムし〜どD´s:2007/03/10(土) 12:45:38 ID:???
「く、こいつ!」
アルフはいらだちながらステラを見る。
さっきからちょこまかとちょこまかとこっちの攻撃をよけている。
アルフは同時に他のメンバーの動きを入れなければいけないので、結構大変だ。
ユーノもユーノでさっきからアウルとか言う少年の相手で手一杯だ。
しかも片手にはロストロギアを持っているし、しばらく運動していないという悪条件で(最後は微妙)苦戦している。
正直やばい状況である。
(それにしてもコイツ……)
アルフはステラを見る。
本当にこいつは人間なのだろうか。
ちょこまかとこっちの攻撃をよけてくるのだが、そのよけ方が普通ではない。
魔力反応が攻撃のときにしか感じられないのだ。
「この!」
アルフを放つ回し蹴りを、ステラは後ろへ飛んでかわす。
そして壁にはりついて、そこからさらに飛んで攻撃してくる。
これで魔力を使っていない。人間なのか、自分のような使い魔なのかわからない。
だが、少なくとも使い魔がデバイスを作るというのは見たことがあるが、使うなどあまり聞かない。
『グリフォン2』
ステラのデバイス、ガイアの二つの刃から魔力刃が出現し、そのままアルフに切りかかる。
さっきまで仮面の男のそばにいたときと違い、まあよくもここまで冷徹な顔になれるものだ。
「ようし、上出来だステラ」
不意に、仮面男の声が聞こえてはっとした。
気付けばユーノからかなり離されていた。
どうやら誘導されたらしい。
その隙にも緑色の男がユーノに迫っていた。
「ちっ!」
たとえこの少女をかわしたとしても間に合わない。
ユーノも敵の存在に気付いてはいるだろうが、ユーノはアウルでていっぱいみたいだ。
万事休す。
そう思ったとき、スティングの目の前に何かが飛来し、地面に激突し、粉塵が吹き荒れた。
『シュランゲフォルム』
粉塵から、何かが飛んできたのを察知したスティングはすぐに下がる。
だが……
「甘い」
よけたと思ったら、すぐさま別の方向から何かが襲ってくる。
「なんなんだ、こいつ?」
よけきれない、そう思ったスティングはすぐさまシールドを貼って防ぐ。
「ほう、いい動きをするな」
煙の中から出てきたのは、女だった。
彼女は自分のデバイス、レヴァンテインを持ち、今度はアウルに襲い掛かる。
「紫電……一閃!!」
女性が放った一撃はアウルに直撃する。
「何!?」
アウルはそのまま吹き飛ばさる。
「大丈夫かスクライア?」
女はゆっくりとユーノに近づく。
105ガンダムし〜どD´s:2007/03/10(土) 12:46:39 ID:???
「シグナム……」
ユーノは頼もしい援軍にほっとする。
スティングは舌打ちしながら二人を攻撃する。
「このお!」
『ファイアーフライ』
いくつもの魔力が二人を襲う。
そこへ……
『ファイアビー』
突如空中からも魔力弾が出現し、スティングのファイアーフライを次々と落としていく。
今度はだれだ?とおもって上を向く。
「司書長、無事ですか?」
そこには、さっきまで自分を護衛してたレイ・ザ・バレルがいた。
「レイ君。助かったよ」
ユーノはレイに向かって言う。
どうやら間に合ったらしい。
それと、自分よりも先にユーのところに来ていた人物も味方で助かった、とレイは思う。

「おやおや、これは予想外ですね」
アズラエルはため息を吐きながら答える。
ええ、全くです。とネオも同意権である。
ここまで予定が狂うのは予想外だった。
「時空管理局のシグナムだ。貴様達の目的は何だ?」
シグナムはレヴァンテインをアズラエルに向け、睨みつける。
「おお怖い。そんな顔しないでください。綺麗な顔が台無しですよ?」
大してアズラエルはそれに動じることなく、逆にシグナムを挑発するような口ぶりで言う。
シグナムも全然動じない。
ふと、アズラエルは時計を見る。
「やれやれ、もうこんな時間ですか」
そうこうしているうちにも時間が過ぎる。
「彼らの時間も限られてますし、強硬手段と行きますか」
そういってアズラエルはポケットから手を出し、球体のようなものを手に取る。
「久しぶりですよ、このデバイスを使うのは」
アズラエルがそういい、シグナムは構える。
この二人も魔術師なのか?そう思ったときだった。
『発動、承認!!』
彼のデバイスから、熱い漢の声が聞こえる。
「それではいきますよ、ファイナル…フュージョン!!」
アズラエルが叫んだとき、周りは光り輝く渦に包まれた。
それ以前に、何故にファイナル?
そう思ったとき、アズラエルは機械のようなバリアジャケット……甲冑に包まれている。
「アズ…ライ…ガー!!」
『ついに、われわれの待ち望んだ盟主が現れた。その名は、盟主王、アズライガー』
ユーノたち、それとアズラエルのことをあまり知らないスティングたちは呆然とする。
ネオだけが普通でいられた。
なんだろう、いろいろ突っ込むところが満載である。
106ガンダムし〜どD´s:2007/03/10(土) 12:47:29 ID:???
とりあえずわかることは、彼のデバイスは融合型デバイスだということだけ。
そして何よりも。
「さあ、倒されたい奴からかかってきてください!」
アズラエル自身の性格が激変していた。
口調はあまり変わっていないが、なんか熱くなってるのだ。
「ちょっとまてよ!!いろいろと危ないだろ!いろいろと!!」
代表してユーノが言うが……
「あなたは全くわかってませんねえ、まだSEEDやDESTINY内から登場人物がたくさんでてくるんですよ。その中には勿論MSに乗らない人たちも出てくる。私のようにね。そのたびにいちいち技名考えるのも作者はしんどいんですよ!」
だから何の話!とユーノは絶叫する。
「それ以前に、この作品は、D´sよりもパロディーが2倍、いや、3倍増し(作者比)だあぁぁーーー!!」
どうやら彼はいろいろと心が読めるらしい。厄介な能力だ(作者的に)
そういってアズラエルはユーノに突っ込んでくる。
「さっさとその本、返してもらいますよ!!」
『ドリルニー!承認!!』
アズラエルの膝にあるドリルがユーノを襲う。
それを防御するのだが、かなりの衝撃で吹き飛ばされそうになる。
「こ、このパワーは……」
だんだんとユーノのバリアにヒビが入る。
「私の力、見せてあげますよ!」
アズラエルはいっそう力をいれ、ユーノのバリアを破る。
シグナムとアルフはスティングたち3人、レイはネオに邪魔されて助けに行けない。
そのままドリルニーはユーノの腹部に直撃する。
「が!……」
壁に激突し、意識が朦朧とするユーノ。
バリアジャケットも着用しておらず、ダメージを受けた腹部からは多量の血が流れている。
「スクライア!」
シグナムは助けに行こうとするが、
「おっと!さっきの礼がまだだったな!」
『カリデュス』
アウルはシグナムに向かって砲撃魔術を放つ。
この3人の連携はなかなかのもので、アルフとシグナムは苦戦している。
「さてと、破壊の書、返してもらいますよ」
ゆっくりとアズラエルはユーノに近づき、ユーノからロストロギア、破壊の所を奪い取る。
「さてと、このまま止めを刺してもいいのですけど、時間が多少おしているので、そろそろ退散させていただきましょうか」
そういってアズラエルは転移魔法で消えていった。

「なんなんだ君は?」
ネオはレイという少年を見て不可思議なものを感じた。
なにか以前にもこんな感覚があるような気がした。
(俺の気のせいか?)
どうやっても思い出せない。そんなに昔のことではなさそうなのだが……
その感覚はレイも感じていた。
107ガンダムし〜どD´s:2007/03/10(土) 12:49:34 ID:???
(この感覚……)
ありえる可能性は低いが、もしかしたら、彼はあいつの子供かもしれない。
忌まわしきフラガの一族の一人。
「俺は時空管理局のレイ・ザ・バレルだ。お前の名前は?」
レイはファントムをブレイスウィザードで構え、ネオに向ける。
「俺か?言うと思う?白い坊主君」
ネオは笑いながら言う。
レイは黙ったままファントムを持ち
『ファイアビー』
無数の魔力弾は、ネオを襲う。
「ふうん、やっぱそうくる?」
ネオはデバイスを起動させ、迎撃体制をとろうとするが
『CIWS』
空中から無数の魔力弾が襲う。
威力は正直言って低いが、足止めには十分だった。
「ちぃ!」
ネオはシールドを貼ってファイヤビーを防ぐ。
『ヴァジュラ』
「はあぁぁーーーー!」
後ろから、高速で誰かが襲い掛かる。
「シン!」
そこには、アズラエルのデバイス起動時の渦に気付いて駆けつけたシンがいた。
『ファルクス』
シンに続いてレイもファントムをスラッシュウィザードに変え、突撃する。
その時、何か激しい音が聞こえた。
「あいつ!」
シンは壁に激突したユーノを見て叫ぶ。
ちなみに、シンは戦闘時とかは上官でも「あんた」とか「あいつ」呼ばわりし、訓練時代に教官によく絞られたが未だに直っていない。
ネオはその隙に二人から間を空ける。
「さあて、俺たちもここらで撤退するぞ!」
ネオを声を聞いて、スティング達も戦いをやめて後退する。
「今度会うときは、サシでしようぜ」
アウルが笑いながらそういって、4人は転移していった。

「ユーノ、大丈夫かい?」
アルフは治療魔法を施しながらユーノに問いかける。
正直ひどい出血だ。
一番近い表現は「どてっぱらに風穴を空ける」という言葉だろう。
「まあ、生きてる分は大丈夫かな?正直やばいけど」
あはは、とか細い声で言うユーノ。
穴が開いていないとはいえ、ドリルで腹をえぐられている。
大丈夫なはずが無い。
「シャマルも時期に来るし救護班も呼んであるから問題はないはずだスクライア」
ふと、そこで立ちすくんでいる二人をシグナムを見る。
「お前達には、先に戻って報告を済ませて欲しい。頼めるか?」
シグナムの問に二人は了解し、本局へ戻っていった。
108ガンダムし〜どD´s:2007/03/10(土) 12:51:39 ID:???
これで第3話終了。
途中なんかいろいろ突っ込むところ満載だけどそこはアズラエルさんが言っているとおりなのでご愛嬌。
第4話で二人は機動6課にはいるお話だけど、その前にD´sを投下予定。
109通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 13:19:26 ID:???
GJです。
てか盟主王、裏事情をそんなおおっぴらに喋るなw
110通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 13:44:52 ID:???
激乙。
原作の設定では絶滅したとも言われてる、融合装着型デバイスを使う盟主王は時空管理局から見てもかなり特異な存在だろうな
もしかして人格が変わるのも、その副作用だろうか
111シンとヤマトの神隠し:2007/03/10(土) 15:06:31 ID:???
ある日のシンとリンディ

その日、シンは朝早くからアースラにいて、魔法の訓練をしていた。
だから、朝食にしては遅い朝食を、リンディと食堂でとっているのだ。
それぞれにもう食べ終えて、今は食後のティータイム。
シンはブラックコーヒーを、リンディはお茶とようかんを頼み、コーヒーカップを口に運びながらシンはリンディの様子を伺っていた。
(やっぱり…か…。)
今日も砂糖とミルクを緑茶に入れている。
こっちの世界の流行りなのか?
そう思っていた。

本人に直接聞くのは気が引けたので、知り合いに聞いてみることにした。
証言者1
「私も最初見た時はびっくりしたんだよぉ。」
証言者2
「私は…、あんまりお茶とか詳しくないから…。ちょっと…分かんないな…。
ごめんね…。」
証言者3
「お茶よりミルクの方が好きだからね、分かんないわ。フェイトに…えっ?聞いた?じゃ、なのはに…なのはにも聞いたのかい?じゃあ、クロノに聞いてみたら?」
証言者4
「緑茶にミルクと砂糖…か…。正直、僕もあまり詳しくはないんだ。
艦長が好きで飲んでるんだから、いいんじゃないか?」
証言者5
「いや、僕もあまり詳しい方ではないんだけど…。
でも、しばらくなのはの家にいたときは、皆何も入れずに飲んでたよ?」

リンディとの二度目の、二人きりでの朝食後ティータイム。
「あの…前から聞きたかったんですけど…何でお茶にミルクと砂糖を?」
「?変かしら?」
「別に好みをとやかく言うわけではないですけど…、やっぱ変ですよ。
ミルクと砂糖はコーヒーに入れるもんですよ?」
ふぅっと溜め息をつくリンディ。
そして遠い目をしながら、低い声音で呟いた。
「あの人が…夫が好きだったのよ…。」
「えっ?」
「以前も話したけど…私の夫は、過去の闇の書事件で…亡くなったわ…。」
もしや、地雷を踏んだのかしら、そう思い、陰が覆うシンの表情を無視して、話は続いた。
「あれは…そう、ちょうどこんな感じだったわ。」
112シンとヤマトの神隠し:2007/03/10(土) 15:07:35 ID:???
〜回想〜
「やぁ、リンディ、おはよう。今日はお寝坊さんかい?」
「ごめんなさい、あなた。今朝食の準備をしますから」
「いや、いいよ。もう時間だし…。それよりも緑茶をもらえないかい?
砂糖とミルクつきで…。」
「砂糖とミルクを?どうするんですか?」
「決まってるじゃないか…、入れるんだよ。緑茶に。なんなら、リンディ、君もどうだい?」
「えぇ、頂くわ。」
〜回想終了〜
「なんてことがあってね。」
「はぁ…。で、味の方はどうだったんですか?」
「最初は…美味しいとは思わなかったわ。正直…。」でしょうね、とコーヒーを煤るシン。
「でも、あの人が残してくれた思い出だから…。写真や、アルバムとは違った…思い出だから…。」
寂しげな顔をするリンディ。やはり、聞いてはいけない話だったのだろうか…。「だから、この味を大切にしたいの…。あなたも、家族の思い出とか…形見とか…大切にしたい物があるでしょう?」
「はい、俺…目の前で両親が、妹が吹き飛ばされて…。両親の形見は戦争中のゴタゴタで取りにいくことも出来なかったんですけど…。妹の形見、ピンク色の携帯なんですけど、大事に持ってます。」
シンは一息つき、コーヒーで喉を潤した。
「何か、リンディさんの話きいてたら、そのお茶…飲みたくなってきましたよ。」

リンディはお代わりとシンの分のお茶、砂糖、ミルクを持って、席に再び戻った。
「どうぞ…。」
「ありがとうございます。」二人は湯飲みに砂糖とミルクを注ぎ、手にとる。
「大切な思い出に…」
微笑むリンディ。
「…乾杯!」
涙ぐむシン。
二人は湯飲みを掲げ、ズズッとすすった。


そんな二人の様子を物陰からみている二人の影。
フェイト・テスタロッサとクロノ・ハラオウンだ。
ぐしゅっと鼻をすするフェイト。
「あのお茶に…そんな思い出があったなんて…。」
「いや…、あれは嘘だ。…たぶん…。」
「えっ?嘘?」
(騙されるなシン!)

クロノの思いはむなしく、めでたくシンはリンディのティーフレンドになったのだった。

ある日のシンとリンディ 完
113シンとヤマトの神隠し:2007/03/10(土) 15:16:37 ID:???
というわけで、ある日のシンとリンディでした。

これでリンディの理解者が増えたという、すばらしいお話です。

さて、次回の投下は劇場版の方です。
何せキャラクターが多いもので絡みに苦労しています。
ちなみに、クルーゼたちは物凄く強い予定です。
何せ合体魔法が…。
応援よろしくお願いです。
114通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 15:34:24 ID:???

し〜ど氏&神隠し氏GJです! 数日前の過疎が嘘みたいだぜ!

>魔道戦士まじかるしん 3話 (ユーノ&レイサイド)

やはりアズラエルと勇者王ネタは切り離せないのでしょうか……あとし〜ど氏は各話にタイトルはつけないのですか?

>ある日のシンとリンディ

シンが洗脳されてるよ、フェイトの感動が台無しだ……
あと合体魔法ってブラストカラミティとかの類ですかね?
115シンとヤマトの神隠し:2007/03/10(土) 16:05:08 ID:???
まぁ連射は不可で、クルーゼ一人でも撃てるんですが威力がたおちですね。
クルーゼ、ステラ、他の一人、もう一つは、クルーゼ、ステラ、シャニでないと撃てません。
上記が揃えば超砲撃魔法が撃てます。
一つ目はジェネシス、二つ目はレクイエムですね。
116通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 16:16:29 ID:???
乙、乙なの!
>>まじかるしん
盟主王のはちゃけっぶりに爆笑したw

>>神隠し氏
リンディさん、嘘なのか?……嘘なのかーっ!?
劇場版の方もwktkして待ってます。
117通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 19:27:04 ID:???
神隠しさんGJです!
緑茶ネタがくるかもとは思っていたが、まさかこうくるとはw
このどことなくほのぼのとした雰囲気にまた和ませていただきました。
118通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 00:46:12 ID:???
>>まじかるしん氏
ヴィータを!ヴィータを呼ぶんだ!!
アズライガーの必殺魔法に対抗できるのは彼女とクラークアイゼンだけだ!!wwwww
GJ

>>神隠し氏
GJ!提督………orz
119通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 01:18:00 ID:???
>>まじかるしん氏 GJです。
それにしてもこの盟主王、実にノリノリである。

>>神隠し氏 GJ!
劇場版、期待して待っております!!
120通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 17:10:38 ID:???
魔法少女リリカルなのはC.E、73 始まります!
121 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/11(日) 17:11:14 ID:???
「ん?……何だ?」
 索敵担当のバートがレーダー上の異変に気づく。
「これは……か、艦長!」
 タリアが驚き、バートの方へ向く。索敵担当の彼が、緊迫した声を上げた事で、ブリッジの空気が一気に張りつめていった。
 バートの前にある熱源探知モニター上では、ミネルバに接近しつつある光点が、みるみる間に増えていく。
「熱紋照合……ウィンダムです! 数……よ、四十七!」
「四十七!?」
「うち一機はカオス!」
「――!? あの強奪部隊、やはり地球軍だったのね……付近に母艦は?」
 これだけの数のMSを海上で運用する為には、艦隊もかなり大規模なはずである。
 しかし、バートからの返答は、タリアの予想を裏切っていた。
「――確認できません」
「……またミラージュコロイドか?」
 副長であるアーサー・トラインの呟きをタリアは即座に否定する。
「海上で? 有り得ないでしょ?」
 確かに、アーモリーワンを襲撃したボギーワンは、ミラージュコロイドを使用していた。
 だが、ここは宇宙ではなく、地球上――それも、海の上なのだ。ミラージュコロイドの実用性は大幅に削がれる。それよりは、潜水母艦でも用いる方が余程現実的だろう。
「ブリッジ遮蔽、対MS戦闘用意! ニーラゴンゴとの回線固定、海中の索敵を厳にさせて! おそらく、アビスも出てくるはずよ!」
 相手が例の強奪部隊ならば、陸戦主体のガイアはともかく、水中用MSであるアビスを出してくる可能性は極めて高かった。
 艦内に警報が鳴り響き、ブリッジは戦闘ステータスへと移行する。


「グラディス艦長、地球軍ですか?」
 アスランは気づかなかったが、彼からの通信にタリアはわずかに緊張していた。
 アスランもタリアと同格のフェイスであり、彼女には彼に現状を説明した上で、彼の意思を確認する義務がある。
 同じ艦内に同格の指揮権を持つ者が二人。指揮系統としては――主に、人間関係と各々の立場を考慮すると――複雑であった。
『ええ。どうやら、また待ち伏せされたようだわ。毎度毎度、人気者は辛いわね。既に回避は不可能よ。本艦は戦闘に入ります。貴方は?』
「は?」
 アスランはタリアの真意を掴みかねていた。
 この状況で、MSパイロットである彼は、当然のように出撃するつもりでいたからだ。
『私には貴方への命令権はないわ』
「――!!」
 ここで、アスランはようやく自身の立場を思い出した。同時に、相手が言わんとしている事も理解する。
「……私も出ます」
『いいの?』
「確かに、指揮下にはないかもしれませんが、今は私もこの艦の搭乗員です。私も残念ながら、この戦闘は不可避と考えます」

122 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/11(日) 17:12:01 ID:???
 タリアは、アスランの言葉に感心していた。
 権限を与えられた途端に、意地を張るなり怯むなりして的確な判断力を失う人間は意外と多い。
 だが、アスランはその若さにも関わらず、現状を的確に判断してみせた。
(あの人も伊達や酔狂で、彼をフェイスにしたわけではないという事かしら?)
 タリアは先程までよりは幾らか親しみを込めた口調で尋ねた。
「なら、発進後のMSの指揮をお任せしたいわ。いい?」
 MSの事ならアスランの方が心得ているだろうとの判断だった。
『分かりました』
 彼は頼もしげに頷いた。

=========================

 デュナメイスのブリッジ内は焦燥感に満ちていた。
 ミネルバがカーペンタリアを出立してから約一時間半後、デュナメイスはカーペンタリア海域を通過していた。
 友軍としてザフト軍カーペンタリア基地と定時連絡を取っていた時に、事態は急変した。
 そして、デュナメイスは、連合軍の部隊の待ち伏せに遭ったミネルバに対する救援要請を受ける事になる。
 位置的にもデュナメイスの足ならば――ミネルバ隊がそれなりに持ち堪える事ができればではあるが――ぎりぎり間に合う距離だった。
 そして、現在、デュナメイスは全速力でミネルバのいるポイントへと進んでいた。
「間に合えばいいんだけど……」
「大丈夫さ。ミネルバとてザフトの最新艦なんだ……それに、オーブ沖での海戦の例だってある。案外、彼らの勝ちで終わってしまってるかもしれんぞ」
「……珍しいですわね? バルトフェルド隊長が希望的観測だけで物事を言うなんて」
「ラミアス艦長。今の僕は隊長じゃなくて、副長なんだがな……まあ、何にせよ、今の僕らにできる事は彼らの無事を祈る事ぐらいだ」
「そうね。焦っても仕方ないのは分かっているんですけど……」
 マリューは、やはりじれったさを感じてしまう。
 そんな彼女のはやる気持ちを落ち着かせるように、バルトフェルドはあえて気楽そうな調子の声を上げた。
「なんなら、アンディ特製コーヒーでも飲むかね?」
 マリュ−は一瞬むっとした表情になるが、彼の気遣いを察すると、大きく息をついて肩の力を抜く事に成功する。
「―― 一杯、頂きますわ」

=========================

『インパルス、セイバー、発進願います。ザク二機は発進後、甲板にて待機願います』
 メイリン・ホークのアナウンスが流れる。
 今回の布陣は、海上での戦闘である為、空中戦や水中戦用のウィザードが用意できないザクは参戦し難いからだ。
『シルエットハンガー1号を開放します。フォースシルエットスタンバイ。シルエットフライヤーを中央カタパルトに――』
 発進シークエンスに従って、シンはコアスプレンダーを起動する。
『X23Sセイバー、アスラン機、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認――』
 アスランもセイバーを戦闘ステータスで起動する。

123 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/11(日) 17:13:00 ID:???
『シン・アスカ!』
「は、はい」
『発進後の戦闘指揮は俺が執ることになった』
「ええっ!?」
 シンは思わず不満の声を上げてしまう。そんな彼にアスランは念を押す。
『いいな?』
「……はい」
 フェイスであるアスランの指示を突っぱねるわけにもいかず、シンは不満感を募らせる。
(この間だって、俺がミネルバを守ったんだ。それを……)
 部外者だった人間がいきなり上官となり、命令してくる――シンにとっては面白いはずがなかった。
「シン・アスカ、コアスプレンダー行きます!」
 シンは、自機に続いて射出されたパーツと合体し、フォースインパルスとなる。
 アスランの乗るセイバーも右舷ハッチから飛び出してくるのが見えたが、シンはそれを無視するかのように敵部隊へと向かっていった。
 二人に続いて、レイ・ザ・バレルが搭乗するブレイズザクファントムとルナマリア・ホークが搭乗するガナーザクウォーリアーが、ミネルバの左右の甲板へと躍り出た。


 今や、すっかり愛機となったカオスに乗るスティング・オークレーは、眼下に近づきつつある敵艦から、見慣れないMSが出てきた事に気づく。
 ザフトの最新鋭機であるカオスのデータベースにも無い不明機(アンノウン)だった。
「あん? なんだあの機体は?」
『また新型か……カーペンタリアで? ザフトは凄いねぇ』
 自分達の指揮官が放った皮肉交じりの賞賛に、スティングはむっとする。
「ふん! あんなもの!」
 スティングはカオスを急加速させ、見慣れたトリコロールカラーの機体をかわして、紅い新型機へと向かっていく。
『おいおい、スティング……ま、いっか。俺は馴染みのあっちをやらせてもらう!』
 彼を止めてもどうせ無駄だと判断したネオは、自分もターゲットを決めた。
「そらぁっ! 見せてみろ、力を! この新顔!」
 スティングが気合を吐く。ビームライフルとシールドに内蔵された七十六ミリ機関砲、機動兵装ポッド のビーム突撃砲を一斉射した。
 だが、敵機はあっさりとそれらの火線を全て回避してみせる。
「――こいつ!」
 スティングは好敵手の出現に精神が高ぶっていった。


 シンはウィンダムの編隊に突っ込みながら、ビームライフルを連射した。
 編隊の先頭にいた二機が爆散する。
「いくら数が多いからって――」
 ウィンダム隊の反撃の放火を回避しながら、一機、また一機と撃墜していく。
「――こんな奴等にやられるか!」
 シンは前回の戦闘を経て、調子づいていた。
 そんな彼の増長を嘲笑うように、インパルスをビームが襲う。
「――!?」
 ほとんど反射的にシールドを上げた事で、直撃を免れた。
 お返しとばかりにライフルを放つが、ウィンダムはそれをかわし、インパルスへと容赦ないビームの連射を浴びせる。
「くそっ!……なんだ、こいつ……速い!」
 他とは一線を画した動きをするこのウィンダムは、赤紫にカラーリングされていた。おそらくは隊長機なのだろう。
 シンの頭に、宇宙で苦渋を飲まされた、同色の赤紫色のMAの事がかすめた。

124 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/11(日) 17:13:46 ID:???
「あんまりいい気になるなよ、ザフトのエース君!」
 ネオはインパルスを追い込みながら、周囲の友軍機に指示を出す。
「ボヤボヤするな! 連携して追い込むんだ!」
 ネオがインパルスと互角以上にやり合う姿と、その彼の指示によって、統制を取り戻したウィンダム隊は、インパルスをさらに追い込んでいく。


『シン、出過ぎだぞ! 何をやってる!?』
 通信機から飛び込んできたアスランからの叱責に、シンは舌打ちする。
 前に突出し過ぎて、敵の集団に取り囲まれてしまった自身の迂闊さにも苛立っていた。
 これでは、ミネルバに向かう敵機に対処する余裕がまるで無い。
 だが、アスランのセイバーも、カオスの相手で精一杯のようである。
「へっ! 文句言うだけなら誰だって!」
 シンは毒づきながらも、機体を立て直しながら、牽制のビームを放つ。 
 一時的に乱れた編隊から浮き出たウィンダムを堕とすが、その間に他の敵機は編隊を立て直して反撃してくる。
 数的不利はシンの予想以上に、彼を劣勢へと追いやっていった。


 ミネルバに向かって、ウィンダムの群れが襲いかかる。
 ザク二機とミネルバの対空砲火で凌いではいるが、それも何時までも持ちそうにはなかった。
 一時的に、アーサーに指揮を任せたタリアは、ニーラゴンゴの艦長とのやり取りに辟易していた。
『――そんな事は分っている。だが、こちらのセンサーでも潜水艦はおろか、海上艦の一隻すら発見できてはいないのだ』
「では、彼らはどこから来たと言うのです? 付近に基地があるとでも?」
『こんなカーペンタリアの鼻っ先にか? そんな情報はないぞ!』
 タリアは、なんとか苛立ちを抑えようと努力する。
(情報が無いからといって、存在しないなんて事はないでしょうに!)
 むしろ、カーペンタリアの鼻っ先だからこそ、敵が基地を築く理由になるというのに。
 その時、ニーラゴンゴのブリッジが急に慌しくなった事が、通信回線越しに伝わってくる。
 ミネルバでもバートが海中から迫る脅威に気づいていた。
「艦長! 海中からMS接近! これは……アビスです!」
「やはり、出してきたわね。だけど……!」
 ミネルバには海中のアビスを迎撃できるような攻撃オプションが無かった。
 かといって、ザクをアビスの迎撃に回すわけにもいかない。
 今でさえ、レイとルナマリアの踏ん張りもあって、なんとかウィンダム隊を凌いでいる状態なのだ。
 どちらか一機のザクが欠けただけでも、ミネルバの方が持たない。
 タリアにとって癪な事ではあるが、アビスへの対処はニーラゴンゴに任せる他なかった。

125 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/11(日) 17:14:45 ID:???
 MA形態のアビスで海中を高速潜行するアウル・ニーダ。
 彼の行く先にあるボズゴロフ級から五機のMSが射出された。
「グーンが三機に、ゾノが二機……はっ! そんなんで、この僕をやろうって? 舐めんなよ、こらっ!」
 放たれた魚雷群をアビスは水の中とは思えない程の機動力で難なく掻い潜り、さらに加速していく。
 瞬時に敵機との間合いを無にしたアビスは、MS形態をとると、ビームランスでグーンの胴を両断した。
 アウルは続けざまに、二機目のグーンを叩き切る。
 残りの三機はアビスから距離を取ろうとするが、アウルは両肩のシールドに内臓された連装砲を放った。
 ゾノの片方がぎりぎりのところで回避するが、他の二機は海の藻屑となる。
「へえ、やるじゃん? だけど……ね!」
 アウルは四発の高速誘導魚雷を打ち出し、最後のゾノを爆散させた。
「あはははっ! ごめんねぇ、強くてさ!」


 二十機を超すウィンダム隊からの波状攻撃に、耐えていたミネルバだが、ついにその均衡が崩れようとしていた。
「ぐっ!!」
 レイのザクファントムが被弾し、右腕を吹き飛ばされながら、機体が崩れ落ちる。
『れ、レイ!?』
 自分の安否を気遣うルナマリアの声を耳にしたレイは、彼には珍しく声を荒げた。
「俺に構うな! そんな事よりも迎撃を!」
 だが、ミネルバの艦砲とルナマリアのガナーザクウォーリアだけでは、ウィンダム隊を押さえ切る事はできそうにもなかった。


 ミネルバが窮地に陥っていることは、カオスと一進一退のドッグファイトを繰り広げていたアスランにも伝わっていた。
「レイが!? くそっ! このままではミネルバが――」
 どうにかして、カオスを振り切って戻らなければ、ミネルバが沈められてしまう。
 アスランがそう認識した時、彼の脳裏で何かが弾けた。
 それは、先の大戦時以来の不思議な感覚。彼の全てが研ぎ澄まされていく。
 アスランはMA形態で離脱を図ろうとするが、カオスも後を追ってきた。
 後方からの砲撃をかわしながら、アスランは海面へと急降下していく。


 スティングは相手の降下速度に内心焦っていた。
 しかし、ここで引き下がる気はない。
「海面ぎりぎりまで引きつけておいて急上昇? そんなもんに引っかかるかよ!」
 だが、敵機は彼の想定外のアクションを起こした。
 海面へ激突する瞬間にMS形態に変形する事で、急制動を掛けたのだ。
「なっ!?――がっ!!」
 スティングがその事を理解するよりも早く、カオスは敵機に海面へと蹴り落とされてしまう。
 水柱を上げながらカオスが再び空中へ戻った頃には、真紅の機体はミネルバの方へと戻っていくところだった。

126 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/11(日) 17:15:31 ID:???
 アスラン同様に、ミネルバの窮地を知ったシンは、なんとかウィンダムの包囲網を抜けようとするが、肝心なところで赤紫色のウィンダムに抑えられてしまう。
「くそっ! いつまでもそうやっていられると……思うなよ!!」
 その瞬間、シンの中の何かが弾けた。
 オーブ沖での戦闘の時と同じ感覚が、彼の集中力を高めていく。興奮状態にあるようで、頭の中はやけに冷めていった。
 シンは包囲網の手薄な一角に突撃すると、襲い掛かるビームの矢をかわしながらビームサーベルを振るい、瞬く間に三機のウィンダムを切り捨てる。
 その勢いで包囲網を抜け出すと、ミネルバの方へ機体を向けた。


 徐々に追い詰めていたはずの相手の動きが、いきなり変わった事に、ネオは驚愕していた。
「な……何なんだよ、あいつは!?」
 見れば、スティングの方も紅い新型に振り切られたようだった。
「今まで手を抜いていたのか?」
 だが、先程までの相手の必死な戦いぶりは、とても演技とは思えなかった。
「ちぃ! 全機、何をやっている!? みすみす奴らを行かせる気か!?」
 ネオは周りで動揺しているウィンダムのパイロット達を叱咤すると、ミネルバに向かう敵機の後を追いかけた。


 ミネルバは必死に弾幕を張り続けるが、ついに三機のウィンダムに潜り抜けられてしまう。
「くっ……こんのぉーっ!!」
 艦体の後部に位置しているメインスラスターに向かって、ミサイルを撃ち出そうとしていたウィンダム達に対して、ルナマリアはオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲を放った。
 その火線は、二機のウィンダムを飲み込むが、一機にはかわされてしまう。
 ルナマリアはオルトロスの照準を懸命に合わせようとするが――
(駄目っ……間に合わな――)
 迎撃が間に合わないとルナマリアが思ったとほぼ同時ぐらいに、ウィンダムの頭部が撃ち抜かれた。
「――えっ!?」
 アスランかシンの仕業かと思い、飛来したビームの射線を辿る。
 その先には、彼女が見た事の無い、青と白のカラーリングのMSが滞空していた。


 その光景はアスランやシンからも確認できていた。
 ミネルバまでの距離は遠く、高機動力の機体を全速で向かわせても足りなかった。
 奇しくも二人が揃ってミネルバの被弾を覚悟した時――突如として現れた新手のMSが、ミネルバに取りついていたウィンダムを打ち落としてくれたのだ。
「何だ――!?」
 ルナマリアと同様、シンにも見覚えが無いMS。
「あれは――」
 しかし、アスランにだけは、その機体に見覚えがあった。
 カラーリングこそ違うが、ミネルバを救ったMSは、オーブの次世代MSであるムラサメだった。

127 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/11(日) 17:16:15 ID:???
 迎撃に出てきた水中MS小隊を殲滅したアウルが、ボズゴロフ級へと襲い掛かろうとした時である。
 アビスのコクピット内に警告音が鳴り響く。
「――!?」
 慌てて機体を急旋回させると、先程までアビスがとっていた進路上を砲撃が奔っていった。
 当然ながら、その砲撃はボズゴロフ級に突き刺さる。
 運悪く、動力部に直撃したのだろう──数瞬の間を置いて、ボズゴロフ級は爆散した。
 アウルは、仕留めたはずのゾノが一機健在だった事に驚くが、敵機の間抜けさを目の当たりにして、幾分かは落ち着きを取り戻す。
「お……おいおい……自分達の母艦を沈めちゃうなんて、馬っ鹿じゃないの?」
 アビスはビームランスを振りかぶらせながら、ゾノに向かって急加速した。
 アビスが振り下ろしたランスのビーム刃がゾノを捉えたと思った瞬間、ゾノは恐ろしいまでの速度で、アビスの後方へと回り込んだ。
 アウルは完全に相手を見失っている状態である。
 後ろから頭部を捕まれたアビスは、そのまま頭部を破壊されてしまう。
「ぐぅ……くそっ! 何なんだよ、いったい!?」
 たった今、ゾノが見せた動きは、アビスすら軽く上回る機動力だった。
 メインモニターが破壊された事により、視覚情報が遮断されたコクピット内で、アウルは必死に離脱を図ろうとする。
 ほとんど感だけを頼りに、ゾノとの距離を離した頃には、サブモニターからの映像がコクピット内の正面モニターに映し出される。
 ゾノがこちらに右腕を向けて、砲撃を撃とうとしているところだった。
(――やべっ!)
 その能力の高さゆえに、アウルは回避が間に合うタイミングで無い事を悟るが、彼の身体は反射的に回避行動の操作を行っていた。
 だが、ゾノは突然、アウルにとって見当違いの方向へ向く。
 敵機の奇妙な行動をアウルが訝るよりも早く、桜色の射撃がゾノに突き刺さった。
128 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/11(日) 17:19:05 ID:???
第16話、投下終了です。

次回は少しだけ遡って、デュナメイスやなのは視点からリスタートの予定です。

ではではノシ
129通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 18:19:30 ID:???
>>128 乙。
130通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 21:49:50 ID:???
乙です。
131通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 23:06:51 ID:???
なのは、もしかして両軍入り乱れてるところに乱入? wktk
132通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 23:12:08 ID:???
>>85
遅レスだが、責めてるわけじゃないんだ。
ただ、俺的になのはさん分が不足してるだけで(ぉ
今後に期待してるぜ!!
133通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 00:43:54 ID:???
>>131
だとするとなのはさんの狩りが始まって両軍全滅
めでたしめでたしになっちゃうわけですが・・・。
134通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 00:46:18 ID:???
魔機動法少女戦士 リガリンカダルム なのはSEED DAESTINY’s
〜高校生編〜


クルーゼ「皆さんこんにちは。俺参上。この『3年 作品上年齢が高い人たち組』の担任を受け持つ
クルーゼです。これから1年間よろしく。先生は理科担当だがこれだけは先生と約束してくれ。
仮面にアンモニアはかけないこと」
イザーク「先生! 質問いいですか!」
クルーゼ「はい、イザークくん。元気があってよろしいね」
イザーク「なぜ他の人たちがシリアスにストーリー作ってるのに、
豪華な食事に蜂蜜ぶつまけるがごとく学園物にしようと思ったんですか?」
クルーゼ「実にいい質問だ、イザークくん。本当はシリアスなの作ろうと思っていたのだよ。
だがバイト中にいろいろ悩んだ挙句、『俺にゃ種死となのはのクロスシリアス無理だ』と吹っ切れて
しまってね。その果ての終局だ!! もはや、止める術など無い!!」
クロノ「どこをどう間違ったら、クルーゼ先生がプレシア先生に延命してもらって、
なのは達の世界の危機に加勢にくるシリアス物が学園物になるのやら……」
クルーゼ「クロノくん、人には得手と不得手がある。これが、定めさ。知りながらも突き進んだ道だろう?」
クロノ「知りませんよ」
オルガ「つまり学園物が得手って言いてぇのか?」
クルーゼ「大丈夫だ。あずまんが大王は全巻揃ってる」
オルガ「大丈夫じゃないに決まってるだろう」
クルーゼ「いやぁ、読み返してたら木村先生がFeta/stay nightの葛木先生に見えてきてね。
もう脳内ではこの2人は混ざり合ってしまったぐらいだよ」
オルガ「せめてスクールランブル参考にしとけよ」
シャニ「……ぱにぽに」
クルーゼ「そうそう、以前どこかでFate/testarossaなどと目にしてね。
先生は実に上手いものだと思ったね」
オルガ「無視すんなあああああああ!!」
シグナム「やかましいぞサブナック!」
オルガ「んだと、コラ! 前歯折るぞ?」
ヴィータ「上等じゃねぇか。シグナムに手ぇ出すなら一生固い物食えなくしてやっぞ!」
シャニ「………ウザイチビ」
ヴィータ「なにぃ! もっぺん言ってみろこの根暗!! 前髪に隠れてる目玉ぶっつぶすぞ!」
カズィ(……なんで俺こんな極道ばっかりのクラスにいるんだよ……)
アスラン「いい加減にしないか! 先生が困ってるだろう!」
クルーゼ「いや別に」
アニス「そこは困るか止めるかして下さいよ」
135通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 00:47:29 ID:???
クルーゼ「確かにこのままではラチがあかんね。大まかに説明をすると3年のこのクラスには
種キャラとヴォルケンズ等なのは年上組が毎日楽しく過ごしてるのだよ。
2年は種死のみんなとなのはと愉快な仲間たちだ。艦長や議長といった皆様がたは
あらゆる教科を担当する充実っぷり。
ふはははは、いったい誰がどの教科を担当しているか皆目見当もつくまい」
ディアッカ「きっとマルキオ導師を美術の先生にして
『あんたどうやって見てるんだ!』ってギャグやるつもりだぜ」
アルフ「多分デュランダル先生も理科だね。生物の授業になってタリア先生思い出して泣いたり」
クルーゼ「謎バラしちゃ駄目よーーー!!」
シャマル「つまり、まぁ、そう言う配置で学園物をしたいんですね」
クルーゼ「そういう事だ。たびたび過疎ってると声があがるものでね。一服の清涼剤というか、これなら合間合間につまめるおやつ間隔でネタを投下する事が出来ると思った故の投稿だ」
ラクス「しかしこれはSSとして認められるのでしょうか?」
クルーゼ「うむ、それについては考えがある。これ投下して評判が良くなければ潔く辞める」
オルガ「潔すぎだろ」
クルーゼ「しかし需要がなければ書いてて仕方あるまい。無視されるのが一番つらいのだ。
何かしらこんな会話形式SSで投下して長時間何も反応がない時のモヤモヤ感というか、
『どんな反応でもいいからくださいよホント……』という切なさはすっごく痛い。
そもそも、この『こんな学園物始めてもいいですか』の会話形式SSがシカトされたらどうしよう
と書いてる間中戦々恐々としているのだがね、私は」
ニコル「先生、告白の内容が生々しすぎるんですが……」
クルーゼ「さて、言う事は言ったのでそろそろHRを終わりにしよう。委員長」
「…………」
クルーゼ「……委員長、いないのか。やれやれ、では次に委員長を決定する事にしよう」
シャマル「次があればですけどね」
136通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 00:49:00 ID:???
と、言うわけで、唐突な投下になるのですが、こういった会話形式のSSというものについて、
みなさんはどういった意見でしょうか?
本当に突発的に「あ、やってみたい」と思ったものですから、ネタについてもまだまだ不揃いです。
他の皆さんに比べれば、「オールスターお祭り騒ぎ」のワクワク感は遙かに劣ると思いますが、
少なくとも自分としては面白い、と信じていますもので。
137通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 00:56:54 ID:???
ネタにしろなんにしろいきなり楽屋裏っぽいノリはどうかと思う。
会話形式でギャグやるにしてもキャラの性格、特徴を本編準拠にしてくれないとオリキャラと変わらん。
138通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 01:15:47 ID:???
>>136
とりあえず乙。
「スレの為に」という想いはわかったが、>>137の言う通り、キャラ名を借りたオリキャラにしか見えない。
それ以前に、こういった会話形式のSSは敬遠される傾向が強いかと。

ただ、ラクスの交ざり方の地味っぷりには、少し笑ったw
139通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 04:16:55 ID:???
そりゃ上の流れでキャラを動かすようなつもりはありませんが、導入でこけましたか。
そもそも会話の会話の形式じゃ気色があわなんだとは理解できますんで、
よく思われないのは納得できます。
自分としては残念ですが、顔洗って出直してきますね。

未練がましいようですが、短編でクロスの話をポロポロこぼすのは大丈夫ですかね?
他の皆様方みたく、長く面白い物をつなげるのは苦手だもんで。
140通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 04:49:16 ID:???
>>139

>>そりゃ上の流れでキャラを動かすようなつもりはありませんが

じゃ、とりあえず一つ投下してみてそれでもう一回反応を聞いたら?
それでも否定的な意見が多ければやめるなり、会話形式でなくすなりすればいいんでない?
141通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 04:55:20 ID:???
>>139

>>そりゃ上の流れでキャラを動かすようなつもりはありませんが

じゃ、とりあえず一つ投下してみてそれでもう一回反応を聞いたら?
それでも否定的な意見が多ければやめるなり、会話形式でなくすなりすればいいんでない?
142141:2007/03/12(月) 04:56:39 ID:???
ミスったごめん
143通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 06:08:03 ID:???
>>139
そういった人の為に、Wikiの方にも単発用の収録場所がある。
1レス分くらいの短いネタも有りだと思う。
SEED_NANOHAしてさえいれば、いいんじゃないでしょうか。
144通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 15:09:45 ID:???
過疎ってんなぁ〜…。
145通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 15:27:23 ID:???
平日の昼過ぎに過疎ってるなぁといわれても
仕事あるんだからしかたなかろう。
146通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 16:15:30 ID:???
毎日ある程度の書き込みがあるだけいい方だと思う。

ところで連ザ2PLUSモードのシンは時間移動力があるとかネタで言われてるけど、そのネタをこのスレ的に解釈するとシンはロストロギアに寄生されてるんじゃ(ry
147通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 17:22:34 ID:???
連ザのシンは単純な時間移動というより平行世界移動もしてるからな……
別スレだと、運命がさながらディス・アストラナガンみたいに扱われてるネタもあるし
148通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 19:41:58 ID:aleb+d4c
ここで全キャラ好感度MAXにした暇な俺参上。
ラウの最後のミッションでカガリとキラが反逆してただのゲイツを狩りまくるミッションになってしまい、
ラウ本人が出てこなくなってしまった人は俺だけではあるまい。
149通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 21:14:34 ID:???
連ザ風に各キャラの好感度ごとのセリフとか考えてみるか?
150通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 22:11:00 ID:???
>>148
こんばんは俺

その後全員のレベルを50まで上げようとしてサイのレベル上げが面倒になって結局挫折したが


>>149
面白そうだとは思うが、何も思い付かない
151通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 22:54:01 ID:???
>>149
とりあえずすぐに思いついたのがなのはの好感度最低
「だから話を聞いてってば(ガチャ)」

アルフ好感度MAX
「あんたもドッグフード食ってみるかい?」

リンディ好感度MAX
「一緒にこれ飲まない?」

……ろくなのがないな、吊ってくる
152通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 23:49:57 ID:???
SSじゃないからスレ違いなきもするが
小ネタ程度に

好感度MAX
リーゼロッテ「…食べていい?」
シグナム「ともに守ろう 我等が主を」
ヴィータ「ヘヘヘ…頼りにしてるぜ」
シャマル「私といっしょにがんばりましょう…ね?」

好感度最悪
シグナム「邪魔だ!どけ!!」
ヴィータ「跡形もなく粉々にしてやる!」
シャマル「あなただけは許しません…絶対に」

番外
好感度MAX
淫獣「今度一緒にお風呂入りません?」
白い悪魔「みんなふっとばしちゃお 私たちの力で」
153通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 00:41:03 ID:???
SSを待つ暇潰しには丁度良くないかい?
ある程度まとまったらwikiの一発ネタに投下してみても良さそうだし。
連ザの信頼度のセリフって最悪〜最高まで全部で7種類だったけ?
154通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 03:04:12 ID:???
仮に高感度MAXになった場合
どんな笑顔になるのか全く想像がつかん……orz
155通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 03:08:35 ID:???
ヴィータは想像しやすいと思うけどなぁ
156通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 03:30:51 ID:???
>>154
無印OP冒頭の時点で天使の微笑み
157通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 03:40:19 ID:???
キラキラか…
見た瞬間に吹き出す位の笑顔を見せるのは誰だろう。
158通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 03:48:47 ID:???
ザフィーラだけ何故か信頼度MAXで犬形態
159通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 04:12:59 ID:???
話切っちゃうんだけど、プレシア=テスタロッサ女史って魔力や魔方陣の色、映像でわかるっけ?
160通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 08:15:44 ID:???
なぜか紫色なイメージがある
161通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 09:08:18 ID:???
>>157
クロノ(青年)
ザフィーラ(人形態)
なのは父

このあたりか?


162通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 09:15:56 ID:???
>なのは父

士郎さんの名前くらい書いてやれよ・・・
あとグレアムを忘れてる
163通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 12:46:43 ID:???
台詞までは思いつかないが、プレセアママンは変態仮面と同じノリだろうと妄想した

あとリンディさんは虎さんみたいな感じで
164通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 12:49:23 ID:???
ミスった
プレセアって誰だよ…
165通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 12:55:59 ID:???
>>164
伝説の鉱物エスクードで武器作ってくれた人
166通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 13:16:38 ID:???
>>163
好感度MAXだと、キラキラ笑顔で「お義母さんと呼んでいいのよ」とか言い出すのか
167通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 18:01:40 ID:???
>>166
不覚にも萌えた
回想に出てくるプレシアは美人だったからな
168通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 20:59:07 ID:???
>>166
娘は娘で
フェイト「お兄ちゃんって……呼んでいい?」
って高感度MAXで言いそうだな
169通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 21:11:38 ID:???
あとはお父さん役が必要だな・・・
170通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 21:57:10 ID:???
>>169
クロノの親父のクライドがいるやん
171通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 22:10:45 ID:???
>>170
士郎さんは?
172通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 23:37:28 ID:???
流れ切って悪いがアルフ

(最悪)大犬モード
    仔犬モード
    人間モード
(最高)ロリ
173通常の名無しさんの3倍:2007/03/14(水) 20:35:39 ID:???
あと3時間で丸一日書き込みなし
まさかネタがないだけでここまで静かになるとはおもわなかった…
174通常の名無しさんの3倍:2007/03/14(水) 20:49:34 ID:???
アニメ新情報も作品更新もなければそりゃ過疎るって
ただでさえ、もう一つ雑談スレがあるんだから
175通常の名無しさんの3倍:2007/03/14(水) 22:03:29 ID:???
突然だがなのはA´sをはじめてきたとき何も情報見ずに知ったからA´sが何かの略語か何かと思ってかってに
「アサルトシュラウド」って呼んでたな。
……よし、トリプルブレイカー非殺傷設定解除版喰らってくる
176通常の名無しさんの3倍:2007/03/14(水) 22:14:24 ID:???
…アルカンシェル発射用意
目標>175
177通常の名無しさんの3倍:2007/03/15(木) 01:08:54 ID:???
ガイバー厨の俺は最初、アルカンシェルをアルカンフェルだと勘違いしていた
まあ実際、アルカンフェルの方が存在したら危険だろうが
178通常の名無しさんの3倍 ◆0NNKUcIB6. :2007/03/15(木) 02:21:42 ID:???
ようし、話の種を蒔くよ。
(リリカル)
魔導機神ガンダムSEED、近日投下予定。
さあ、全力で叩け!
179通常の名無しさんの3倍:2007/03/15(木) 06:18:19 ID:???
叩けといわれても…。
せめて、あらすじぐらい書かれてないと叩きようもないぜ?
180通常の名無しさんの3倍:2007/03/15(木) 11:37:25 ID:???

   ほならちょっとだけ叩いたげるわ
           -‐‐-、
 ラグナロク    ,' ,,==='、
   , --、⌒(\ !./(.(ハ)ixl〉ヽ       ヒ゜ッ
  i ノハ)x〉.  \ i.l.|_^ヮノi /    |    ,..、 ,.'
  ノ.l_゚ヮノi  (二⊂^)!s!(^つ=====(+)─ゞ(。゚)冫
 (( ノ).i'`っ□ / /./__jヽヽ     |    .`´ ヽ
  .</_ゝ   レ〈/ しソヽlソ

                          __,,:::========:::,,__     
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  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
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181通常の名無しさんの3倍 ◆0NNKUcIB6. :2007/03/15(木) 15:26:07 ID:???
このスレって原作設定準拠厳守?
俺のパラレルだからレリックやらフェイトの執務官試験やら素っ飛ばしてるんですけど。
182通常の名無しさんの3倍:2007/03/15(木) 16:13:41 ID:???
面白ければそれで良し。
いろんな人がいろんな事やってるから、新しく面白いもの作るのどんどん難しくなってるけdな。
183通常の名無しさんの3倍:2007/03/15(木) 16:42:42 ID:???
基本は原作設定準拠で、必要ならば改変でいいんじゃないだろうか。
大多数の人間が納得できない、不必要な改変は、キャラ名借りただけのオリキャラになってしまうしね。
まあ、線引が難しくはあるけど。
184ガンダムし〜どD´s:2007/03/15(木) 22:31:41 ID:???
できたから5分後ぐらいには投下予定。
185ガンダムし〜どD´s:2007/03/15(木) 22:37:02 ID:???
機動戦士ガンダムし〜どD´s 21話

「おはよー」
あくびをし、目をこすりながらシンはリビングに降りる。
すっかりこの生活に馴染んでしまった。
元の世界に戻ったらどうしよう、とすこし悩み事が増えた気がするいつもどおりの朝であった。
ただ、この八神家ではかわったことがある。それは……
「あ、おはよう……」
あの一件以降、ヴィータがシンの前でやけにおとなしく、素直になっている。(前話後編参照)
あの効果は抜群だったのだろうが、なんか違和感があってしょうがない。
まあそのうちいつもどおりになるのだろうけど……
シグナムやシャマルは静かでいいといっているが、はやてはシンと同意見らしい。
「なんや、ちがう子がおるみたいなや」と昨日すこし苦笑いを浮かべながら言っていた。
だが、ザフィーラが言うには、シンがいない時はある程度はいつもどおりに戻るらしい。
つまり、シンがずっと家にいるから家ではおとなしくなってるとザフィーラは踏んでるらしい。
本当にそうなのかの実験もかねて、今日ははやての学校も午前までなので、昼からは皆で買い物に出かけることにした。
「こうやって皆で買い物するんも、シンがうちらの家に来てからやな」
はやてに言われてシンは思い出す。
「そういえばそうだな」
はやての家に始めて訪れて、シンの服や備品を買いに行ったとき以来、シンは買い物に連いていった記憶がなかった。
確かに、こうやって全員で買い物に行くのは久しぶりだった。
今日は遠くまで買い物に行くのではやては車椅子に乗っている。
「今日は何を買いに行くんだ?」
それを聞いて、はやては笑いながら言う。
「まあいろいろやな、服も買いたいし、この前面白そうなビデオがレンタルしとるって聞いたし」
つまりは皆が買いたい物を買うことらしい。
「シンはどこかよりたいところある?」
はやてにそういわれてシンは迷う。
シンにとってこういうのが一番困る。
まだこの世界のことはあまり知らないから、どんなものがあるのか良く知らない。
有名人も、テレビ番組も雑誌も全然知らないものばかりである(ある程度は暮らしていくうちに知っているのだが)
そのなかで思いついたのが
「じゃあ…レコード店にでも行こうかな」
シンがそういってはやてが考えて
「じゃあ最初はそこにいこか。丁度一番近いし」
そういって一同は近場にあるレコード店に行く。
勿論、そこにはたくさんのCDやDVDが並べられている。
186ガンダムし〜どD´s:2007/03/15(木) 22:38:34 ID:???
ヴィータはアニメコーナー、シグナムは演歌コーナーと、みんなが好きなところへ見に行く。
シンはとりあえず「今週のオリコンチャートコーナー」で足を止める。
とりあえず人気のアーティストの曲でも買おうかなと思った。
まずどんな曲があるのか試聴して見ることにした。
(いろいろあるんだな)
そして最後に聞いた曲。
『壊れあうから動けないさびしい羽重ねてー』
この声を聞いてシンは止まる。
この声、聞いたことがある声だった。
「ハイネ?」
この声はかつての上司(その2)、ハイネ・ヴェステンフルスの声に良く似ていた。
誰が歌っているのか気になったシンは調べてみると、流石に名前はハイネではなかった。
(そりゃあそうだよな……)
だが、曲自体が気に入ったのでこの曲を買うことにした。
そのアーティストの名前は…
「ミゲル・アイマンか」
だが、シンは知る由もない。そのミゲル・アイマンもコズミック・イラから来た来訪者ということに……だが、これ以降、彼の話は触れられることはなかった。

その後も、各自思う思いの品を買い
「ほな、最後は服やな」
そう言って、はやてとシャマルは嬉々としてデパートの衣服コーナーへと向かっていった。
そこへ……
ヴィータはどうしようか迷ったが、待つよりもはやてと一緒にいたいのでついていくことに。
「あ、シン君にはやてちゃん」
声をしたほうを向くと、いつもの3人組+忍&恭也がいた。
「あ、なのはちゃん。なのはちゃんたちも買い物?」
はやての言葉に頷くなのは。
さらに……
「なのは、はやてもいる」
偶然なのか必然なのか、ハラオウン家+エイミィまでもが来ていた。
買い物好きな女性達(シグナム除外)は嬉々として買い物に出かける。
さて、ここで困るのがずっと待っている男性人(+シグナム)
恭也、クロノは事前に「荷物係」として待機させられている。
「もう慣れたからいいけど」
とクロノはため息を混じらせながら言う。
ふと、シグナムとシンは思い出す。
別に自分達は荷物係といわれていない。
ためしにシグナムははやてに念話を試みる。
187ガンダムし〜どD´s:2007/03/15(木) 22:41:03 ID:???
(主、私とアスカは別行動を取りたいのですがよろしいでしょうか?)
答えは意外と簡単に帰ってきた。
(ほうやな。ずっと待つんも嫌やろうし、ゆっくりしてき)
ああそれと、と一言付け足す。
(ヴィータも連れてってあげて、あの子はあんまし服には興味なさそうやけん連れてったほうがええと思う)
ヴィータはいつも「服ははやてが選んだのだったら何でもいい」という。
承諾を得たので、三人はデパートを出ることにした。

「で、別行動とったはいいけど、どうする?」
3人はショッピングモールを歩いている。
あのメンバーで服を買うとなると、恐ろしく時間がかかることは3人ともわかっていた。
「趣味がバラバラの3人だからな……」
シグナムがそういうと、なあなあとヴィータがシンの服のすそを引っ張る。
ほんとに変わったな、とシンは思った。
「はや減ったからなんか食いたいんだけど……」
あいかわらずヴィータはこの調子であった。
それを聞いてはぁ、とため息をつくシグナム。
「少し前に昼食を食べただろう」
シグナムの言葉にヴィータはむっとする。
「べつにいいじゃん。それにいつかも言ったけど、今は育ち盛りだ。」
だったらお前はずっと育ち盛りのままだろう、と突っ込もうかどうかシンは迷ったが、結局いわなかったことにした。
「まあ、おれも喉かわいたし。何よりよるところが無いから近くにある喫茶店にでもよるか?」
シンの言っていることももっともなので、3人は近くにある喫茶店に行くことにした。
とりあえず近くの喫茶店に入ってメニューを注文する。
その途中……
「なあヴィータ」
シンに呼ばれて、すこしびくっとしてシンのほうを向くヴィータ。
「もうあのことで怒ってないから、いい加減うじうじするのやめないか?はやても心配してるぞ」
そうシンに言われて、ヴィータはうつむいてしまう。
「別に……」
二人はん?とヴィータのほうを向く。
「別にうじうじしてるわけじゃねえよ」
ヴィータはそっぽを向きながら言う。
「アタシ、ときどきやりすぎてはやてやシャマルによく怒られた」
それはシンも時々見ていた。
「それで、この前のことで流石に自分でもこのままじゃいけないと思って、ちょっとずつ変わっていこうって思ったんだよ」
なるほど、それで今のようになっているのか、とシンは納得した。
つまり、ヴィータは、ヴィータなりにはやてに迷惑をかけないようにしようとしているのだ。
それを聞いて、二人は苦笑した。
「な、なんだよ…」
人が真面目に話しているのに何で笑うんだよ、とヴィータはむくれる。
「昨日、お前のことで皆と話してたんだ。ヴィータがなんか変だって」
それでどうしたんだろうと皆が思っていた。
188ガンダムし〜どD´s:2007/03/15(木) 22:43:04 ID:???
「なるほど。そういうことだったのか。お前なりに考えていたのだな」
シグナムは意外そうにヴィータを見る。
悪いかよ、とすねるヴィータ
『別にわるくはないよ』
話していると、いきなりはやてが念話で話しかけていた。
『は、はやて?』
ヴィータはきょとんとする。
『ごめんな、こそっと隠れ聞きしとって』
はやてもはやてでヴィータが気になっていて、ついつい念話で会話を聞いてしまっていたのだった。
『主、買い物は?』
シグナムの疑問に答えたのはシャマルだった。
『大体買う服も決まって今は皆でレジで清算しているところよ』
上機嫌に答えるシャマル。どうやらいい服が見つかったらしい。
『なるほど、そうことやったんか……』
うーん、とはやてはヴィータの話を聞いて頷く。
『は、はやて……』
ちなみに、シンは魔法が使えないため、念話を使っているのはわかるが、どんな話をしているのかさっぱりわからない。
『ヴィータ、ヴィータの気持ちはうれしいけど、うちはいつもどおりのヴィータでいてほしい』
え?とヴィータは上を見る。
普通の人から見れば「なにをしてるんだこいつは?」と疑問を抱かざるおえない。
『確かに、ヴィータはときどきやりすぎるけど……』
はやてにいわれてしょんぼりするヴィータ。
『けど、そういうところも含めて、うちはヴィータが好きや』
しょんぼりしたと思えば今度は喜ぶヴィータ。
どんな話をしているのか全然解らないシンには全然解らない。ただヴィータがつぎつぎと表情を変えているだけである。
『せやから、そんなに考えすぎんといつもどおりのヴィータでおってほしい』
うん!と元気に念話で返すヴィータ。
その時、
「お客様、ご注文のメニューです」
ウェイトレスが、シン達が注文したメニューを持ってきた。
ちなみに、シンとシグナムはコーヒーで、ヴィータはイチゴパフェ。
「いただきまーす」
ヴィータがパフェを食べている中、シンはコーヒーをすすりながら尋ねる。
「おい、一体何の話だったんだヴィータ?」
シンの問にヴィータはパフェを口に含んだまま言う。
「えほあ、いあまえのあらひていえうえれっていあえあ」
「はっきりしゃべれ」
口に物を入れながらしゃべるヴィータに、シグナムがため息をつきながら突っ込む。
こんなやり取りは久しぶりのような気がする。
シグナムに言われて口の中にあるものを飲み込んでヴィータ食もう一度しゃべる。
「だから、いままでのアタシでいてくれっていったんだよ」
はやての言葉の効果は抜群だ、もういつもの喋り方に戻ってる。
189ガンダムし〜どD´s:2007/03/15(木) 22:48:55 ID:???
「ふうん。それよりも早く食べろよ、さっきシグナムに聞いたけど、もう会計してるんだろ?さっさと合流しないと」
わかってるよ、とヴィータは再度パフェを食べる。
シンも、コーヒーをすする。
(やっぱブラックにするべきだったか?)
そう思いながら、休日が過ぎていった。
「ほうひえは、ほうのはんめひあんなんあおふな?」
「だからはっきりしゃべれ」


はい、というわけで21話投下完了。
ヴィータがいじりやすいのかどうか知らないけど、なんか最近自分の作品でヴィータ目立ってるな。

あと、題名をつけないのかって言われたけど、D´sは話数ふってはあるけど、切ると声尾が微妙で、題名が決めづらい。
できればまじかるしんにはつけていこうと思います。
……まじかるしんで思い出した。スバルたちストライカーズ新規参戦キャラ4人どうしよう。全然性格知らないや。
このまま登場させないという手段もあるけど、そうしたらなのはキャラが少なくなるし、それ以前に1話で出す伏線出してるし。
かといって自分流にしたらそれは既にオリキャラだし…どうしようか……
190通常の名無しさんの3倍:2007/03/15(木) 22:59:34 ID:???
個人的には出さない方がいいと思う
191通常の名無しさんの3倍:2007/03/15(木) 23:32:33 ID:???
ミゲルもこっち来てたのか。
ちょっとびっくり。
192通常の名無しさんの3倍:2007/03/15(木) 23:49:31 ID:???
>>185-189
GJ!
しおらしいヴィータに萌え、ちゃっかり歌手として成功してるミゲルにワロタ
適応力凄すぎww

とりあえず放送はもうすぐだしキャラや話が大体判明するまでは
まじかるシンは保留にするというのはどうでしょう?
193通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 00:06:17 ID:???
なんか完璧に死後の世界だな・・・
ってことはラスティやニコルも…
194通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 00:17:02 ID:???
ユウナもいるのだろうか・・・
195通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 00:17:10 ID:???
面白かったです。
シンも馴染んだもんだなぁ。
196通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 02:33:16 ID:???
ひょっとすると、
ミーア、スティアウステや薬中3人組やM1娘三人組もいたりして…
197通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 07:27:22 ID:???
 ACT 01 覚醒の機神 00

 夜天を切り裂く一条の光。
 それは見た目からは想像もつかない圧倒的な破壊力を内包しながら、空を飛び交う二つの光へと突き進む。
「フェイトちゃん!」
「なのは、掴まって!」
 二つの光は二人の少女。
 黒の魔法衣に金色の髪をたなびかせるのはフェイト・テスタロッサ。
 白の魔法衣に茶色の髪が映えるのは高町なのは。
 二人ともまだ幼さ残る外観だが、両名ともが時空管理局のエースとして名を轟かせるほどの腕利きだ。
 だが、今の彼女らの様子には常の力強さは無く、代わりに焦りの色が濃い。
 魔法衣は所々が破れており、手に持つデバイスにすら小さな亀裂が走っており、満身創痍といった様子だ。
 そして、この二人をここまで追い詰めた張本人。
 蒼き翼に白き四肢、全長30メートルはあろうかというMS、いや機神が今、二人の少女にその手を伸ばそうとしていた。
 が、少女たちは寸での所で更なる加速を見せる。
 空を切る巨大な手に、なのはがいくつもの魔法弾を放つ。
 計30はくだらない魔法弾の直撃。
 が、機神はビクともせずに、更にその手を伸ばしてくる。
「なのは!」
「ディバインバスター!」
 目前まで迫る掌に、なのはが展開速度、威力のバランスの取れた彼女の主砲を叩き込む。
 今度こそはという攻撃に、遂に機神の進撃は阻まれた。
 その隙になのは達二人は大きく距離を取る。
「はあ、はあ」
「駄目だ、やっぱりシグナム達と連絡が取れない」
 頼れる仲間からの孤立。
 それは現状の彼女らにとって最も痛い事だった。
198通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 07:28:30 ID:???
 せめて援軍さえ呼べれば、反撃なり逃げるなりの策が取れるのだが、封印結界と念話妨害、魔力相殺空間の三つの機能を併せ持つMジャマーを展開されては打つ手がない。
 加えて敵の強大さは、今まで交戦してきたMSとは次元違いだ。
「でも、負けるわけにはいかない」
「下にはまだシン君達だっているんだから」
 その絶望的な状況の中で尚、少女達は諦めるということを知らない。
 二人は最後の魔力を振り絞って、蒼の機神へと立ち向かう。
「ドライブイグニッション!」
 白の少女が展開するのは、残りの魔力の全てを懸けて編み込んだ捕縛魔法。
 黒の少女が展開するのは、残りの魔力の全てを懸けて研ぎ澄ました魔力刃。
「いっけええええ!」
 なのはの叫びと共に、いくつもの光の杭が機神に打ち込まれた。
 四肢どころか全身に光の束縛が突き刺さる機神に、フェイトが雷の大剣を構えて迫る。
『ザンバーバスター』
 フェイトが光剣を振り下ろすと共に長大になる刃が、機神の頭頂部に叩きつけられる。
 激しい閃光を伴いながら、機神の装甲を切り裂こうとしていた刃が揺らぐ。
「くっ」
 表情を歪めながらも、フェイトは自分のデバイス・バルディッシュの柄を持つ手に更に力を込める。
 が、少女の最後の力は、無残にも機神の前に儚く散ってしまう。
 砕かれる魔力刃。破られる束縛。
「そんな!」
 解き放たれた機神。いや、本当に束縛されていたのかも定かではない。
 機神はもう遊びは終わりとでも言いたげにフェイトに黄金の拳を叩き込む。
「っああ!」
 勢い良く吹き飛ばされていくフェイトを、なのはがどうにか受け止める。
「フェイトちゃん!」
「う……大、丈夫」
 二人は支え合いながら、目前の敵を見据える。
 機神は背の翼を広げ、腹部に膨大な魔力を集中させる。
 息を切らしながら、力の集中を見守ることしかできないなのはたち。
「防げると思う?」
「……正直難しいかも」
 残された数少ない選択肢からなのはたちは逆転の策を探すが、そのどれもが機神には通用しないことが分かっただけに終わってしまった。
 そして遂に、蒼の魔力は解放され、なのはたちへと撃ち出される。
 轟音と共に迫りくる光に、なのはたちは身を寄せ合い、搾りかすのような魔力から防御魔法を組み立てる。
 が、最後の抵抗も空しく、その張りぼてのような障壁ごと、なのはたちは蒼の奔流に飲み込まれた。
199通常の名無しさんの3倍 ◆0NNKUcIB6. :2007/03/16(金) 07:30:16 ID:???
タイトル付け忘れたけど魔導機神ガンダムSEEDでよろしく。
反応見つつ投下していきます。
200通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 07:47:52 ID:???
新作、乙!

反応しようにも、状況がよく分からんw
もう少し設定を把握する為にも、続きの投下を待っているよ。
アーモリーワンでザフト新型モビルスーツ、カオス、ガイア、アビスの三機が何者かに強奪され、警報がなり響いていた。
新型戦艦ミネルバは進水式もままならぬまま、艦内は慌ただしく、事件の対応に追われていた。
そんななか、緊急事態とは分かっていても何をすればいいのかさっぱりな金髪ツインテール、赤服のフェイトはMS搭乗室にて待機していた。
隣で座っている黒髪の少年はシン・アスカ。国家機密、最新鋭のMSインパルスのパイロットだ。
今はこの待機室に二人きり、いつまでも沈黙が続くのは凄く居心地が悪い。
しかし、そうは言っても、自分から話を切り出して会話を続かせるなどフェイトには出来そうもなかった。なので黙っておくことにする。ちなみに、この艦の人達と会うのは今日が初めてだった。


遡ること二日前
はやての指示により、ロストロギアの確保するためにフェイトはなのはと共に目的地へと向かった。
エイミィの誘導により、目的の場所にたどり着き、さっそく二人は任務遂行のため、起動中のロストロギアの停止を試みる。
そんな時だった。
『なのはちゃん!フェイトちゃん!急いでーーッ……。』
慌てたエイミィの声が、電波が届かなくなったかのように突然途絶えた。
何度も明滅する自分の視界。むろんフェイトも焦った。
なのはが呼ぶ声が聞こえる。しかし、光が強く瞬くため、目を開けていられる状態ではなくなり、フェイトは目を瞑りながら、なのはの名前を叫んだ。
瞼を閉じていてもはっきりとわかるその光の強さ。 不快だった光の明滅のせいで、だんだん頭痛が激しくなりフェイトは気を失った。
どれくらいの間、気を失っていたのか、それはわからないが、次第に意識がはっきりとして行くにつれ声が聞え始めた。
「しかし、どういうことだね?コーディネイターをもってしても、あのモビルスーツのデータがとれないとは…。」
「申し訳ございません。デュランダル議長。技術部も八方手を尽してはいるのですが…。」
「…ふむ、まぁいい。今はパイロットが起きるのを待とう。意識を取り戻したら教えてくれ。」
フェイトが目を開け、体を起こすと
「おや?もう体の方はいいのかね?」
部屋を出ようとした長髪、黒髪の男が笑っていた。
それから数日がたち、フェイトはその長髪の男の名をプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルだと知る。
彼は忙しいのか、滅多に顔を見せないが、それでも病院に顔を出してくれていた。
それもこれで五回目になる。
「あの時は正直、驚いたよ。君はヤキン・ドゥーエ、前大戦の宙域をMSで漂っていたのだからね。
ジュール隊長が君を保護し、私の元へ報告。
その後、この病院へ運んでくれたんだよ。」
「そう…なんですか?」
うむ、と頷き、微笑むデュランダルは一旦話をきり、真剣な表情になる。
「検査の結果分かったんだが…、君はコーディネイターではなく…クローンだね?」
「はい…。」
確に自分はクローンである。自分には姉がいた。その姉が幼くして亡くなった時、悲しみに打ちひしがれた母が、何とか生き返らせようとして私を作り上げた。
フェイトはデュランダルに自分の過去を話した。
「私は母さんの望むアリシアにはなれなかったんです。こんなにも容姿は似ているのに…。」
やはりまだ思い出すのは辛かった。そんなフェイトを慰めるようにデュランダルが言った。
「辛いことを思い出させてしまったね。」
「…いえ。
あの…、デュランダルさん…。MSってなんですか?」 デュランダルは暫く何事か考えるように黙っていたが、やがて
「君はこれに着替えたまえ。」
ザフトの緑の制服をフェイトに渡した。

制服に着替えたフェイトはデュランダルに連れられて何かの工場の様な場所にたどり着く。
デュランダルの姿に気付いた二人の兵士が敬礼し、デュランダルはそれに笑みを返す。
フェイトもデュランダルに敬礼の仕方を教わっていたので、二人の兵士に敬礼で返す。
すると、二人のうち一人がキーを解除して扉が開いた。
中は真っ暗で、明かり一つない。しかし、カッとライトが点灯すると、そこには巨大な人型の何かが存在していた。
「全長19,43メートル、総重量81,37トン…。何を燃料としているかは不明。機体のデータをとるのは不可能…」
「…これは…。」
驚いてその何かを見ているフェイトへと向き直るデュランダル。
「君はこの機体で…何をしようというのだね?」
その機体はフェイトがコクピットに座ることで、機動を開始した。
色を失っていた装甲が、その色を取り戻す。
全体を黒色が覆い、所々に金のラインが入る。
ほうっとデュランダルは理解した。
この機体がフェイトがのらないと起動しないことを。
デュランダルはゲートを開けるように指示を出す。 轟音とともに飛びたつ漆黒の機体。ゲートから外に出ると、背部についている四の骨組み展開する。その骨組みから金色の光が漏れ、翼を形成した。
フェイトは驚きつつ、この機体が自分にとってなんなのかを理解する。
元の世界ではいつも一緒だった。何度も自分を奮い起たせ、幾度となく助けてくれたパートナー。
「バルディッシュ…。」
名を呟くと同時、モニターに表示される武装データ。
フェイトの頭上のモニターにデュランダルが映った。
「今から自動行動をプログラミングしたMSを五機投入する。
それらを撃ち落としてみてくれ。」
瞬く光が近付いてくる。電子音が一度だけし、相手のデータを知らせてくれる。
「…ジン…。
行くよ!バルディッシュ!」
それに応えるかのようにバルディッシュの背面スラスターから勢いよく光が噴射される。
(アークセイバー)
フェイトがイメージするとおりに、考える通りの動きをするバルディッシュ。
肩部から金色の光の刃、アークセイバーを引き抜き、相手に向け、放つ。
弧を描きながらそれはジンに直撃し、胴と足を切断した。
爆発し、弾ける閃光。残りは四機。
相手からの攻撃をひらりと交し、今度は腹部、大型ビーム砲、プラズマスマッシャーが眩いまでの光を放ちながら相手を飲み込み、破壊する。
腕から波状に発生するシールドで、相手のビームを防ぎ、マウントされている斧を構える。
刃の部分が持ち上がり、そこから光の刃が飛び出す。斧から鎌へと変化したそれを操り、一機を縦に一刀両断する。そして、すぐそばにまで迫ってきていたもう一機を腰部レールガン、フォトンランサーで爆砕させる。
「次で最後!」
バルディッシュの背部の翼が射出される。自動追尾型の光の刃、サンダーブレイドが四方から相手を串刺にし、戻ってくる。
全滅まで一分もかかっていなかった。

その様子をモニターしていたデュランダルは笑みを溢し、呟いた。
「フェイト・T・ハラオウン…思わぬカードが手にはいった…。」
一方、その頃の連合。JPジョーンズ作戦室。

「さぁて、今からザフトの新型MSの強奪に向かう…。」
一行はファントムペイン大佐ネオ・ロアノークに続く。
「スティング、アウル、ステラが乗り込んで機体を強奪するんだ。
データはこれだ…。」
ネオが名前を読んだ二人の少年と一人の少女に渡した資料には基地の見取り図とMSのデータが表示されていた。
「それから、ナノハ。お前はレイジングハートで待機。何かあったら、すぐに出撃してもらうからそのつもりでな。」
「はい。」
「解散。各自作戦に向け備えろ。」
五人はそれぞれ準備に取り掛かった。

シャワーを浴びながらナノハは一人、思考していた。
自分の中で何かが叫ぶのだ。
間違っている。あなたはMSのパイロットじゃない。連合、ザフトなんて関係ない…と…。
「自分は、特殊部隊ファントムペイン少佐ナノハ・タカマチで…いいんだよね…。」
自分の存在を確かめるために声をだす。だが、不安は消えなかった。
やはり、何かが違う気がするのだ。
誕生日、家族、思い出せない。他にも大切な何かがあった気がする。
自分が現状に至るまでの過程がない。
それがナノハを不安にさせていた。
シャワー室からでたナノハは軍服に着替え、自分の機体が収容されている格納庫へと来ていた。
白に赤のラインが入った二丁の銃を持つ灰色機体が直立不動で立っている。
機械だから表情なんてないはずなのだが、何故かナノハには泣いているように見えた。
投下終了です。

え〜と、つまらなかったらごめんなさい。

なのはは、記憶操作されているんで、フェイトが思い出させる感じの話になる予定です。
あとは神隠し氏と同じに、Destinyのストーリーに沿う感じで行こうと思います。
206通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 10:50:34 ID:???
新作乙!

遂に来たか、デバイスのMS化w
バルディッシュやレイジングハートは、やっぱガンダム顔してんのかな
207通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 11:42:59 ID:???
ちょっとだけ苦言を。
文末が「〜だった。」「〜ていた。」で終わるのが多すぎないかな?
内容自体はこれからどうなるか楽しみにしてる。
208sage:2007/03/16(金) 12:47:23 ID:uLKvrBt+
こうなるとアークエンジェルサイドにははやてが行くのかな。
209通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 12:55:04 ID:???
レイジングハート:ディープストライカー
バルディッシュ:デスサイズヘル
リインフォース:ν
個人的にはこんなイメージ
210通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 12:56:37 ID:???
>>197
もしかしてサイバスター&SEED&なのはのクロスか?
…かなり難しいと思うが、がんばってくれ

>>209
なのはさん弱くないか?

レイジングハートはゼロカスだろ
羽もあるし、パワーあるし
自爆はしないけど…
211通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 13:14:42 ID:???
>>210
スパロボのやりすぎ?
デスサイズヘルとνの間にも越えられない壁があるぜ
νは欠陥MSだから、大して強くない
212209:2007/03/16(金) 13:17:44 ID:???
強さとかじゃなく機体に対するイメージね
213通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 15:13:47 ID:???
新作、乙なの!
CEinリリカルは珍しいから、すごくwktk中。

デバイスがMS化してるって事は、戦闘もMS戦かな?
記憶操作されてるなのははまだしも、フェイトは敵を殺す事が前提の戦争をどう戦っていくのかに、注目してます。
214 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/16(金) 21:38:02 ID:???
10分後くらいに投下予定です。
215 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/16(金) 21:49:05 ID:???
 カーペンタリアでミネルバの救援要請を受けて以降、デュナメイスは最高速度のまま疾走していた。
 そしてようやく、地球軍の待ち伏せにあったミネルバが奮戦しているはずの地点付近に差し掛かる。
「レーダーに感! MS、数……約四十! 戦艦一! 潜水艦一!」
 チャンドラの上げる報告に、他のブリッジクルーは息を飲んだ。
 かなりの数のMSが残っているにも関わらず、戦闘中域に戦艦の反応が一隻分のみ。
 ミネルバが既に沈められてた後なのではないか?──と、各々の頭に恐れていた事態が過る。
「熱紋照合──ミネルバ、健在です!」
 僅かな歓喜を含むチャンドラの声に、全員が安堵した。
「なんとか間に合ったのかしら?」
「まだ距離があるから、油断はできんがね。しかし、ミネルバもやるもんだな。アークエンジェルも顔負けじゃないか?」
「ふふっ……そうですわね」
 バルトフェルドの軽い調子に、苦笑混じりに答えたマリューは、顔を引き締め直した。
「MS隊の準備はできてる?」
「パイロット各員、パイロットスーツ着用のまま待機中です」
 CIC担当の兵が彼女に答える。
「パイロット各員に通達──MSに搭乗、戦闘ステータスのまま待機させておいて」
「了解!」
 デュナメイスのブリッジ内が、初陣に向けて緊張感に満たされていった。


 マユ・アスカは厨房のメンバーと一緒に食堂にいた。
 もうすぐ戦闘に入る事も聞かされている――その目的が、ザフト艦ミネルバの救援である事も。
(お兄ちゃん……)
 マユは目を閉じ、ひたすら兄の無事を祈っていた。
 そんな彼女を見た周りの大人達は、思い違いをしてしまう。
「嬢ちゃん、そんなに心配しなくても大丈夫だ。この艦は、やられたりなんかせんよ」
「へっ?……あ、そうですね……きっと上手くいきますよね?」
「おう、ともさ」
 周りの気遣いを察したマユは、不安を心の奥に押しやって、笑って見せた。
(うん。きっと上手くいく。お兄ちゃんとも、また会える……)
 そして、新たに祈る。
 正直なところ、マユ自身も自分の感情が分からなかった。彼に対しての感情は、正負が織り交ざって複雑なものとなっている。
 だが、そんな中で、はっきりと確信している事があった。
(キラ君も……無事に帰って来て)
 マユは、兄と同じくらいとはいかないまでも、キラの無事を祈った。

=========================
216 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/16(金) 21:50:18 ID:???
 なのはは、インド洋沖を探索飛行していた。
 目標が休眠状態である為か、大まかな位置までしか特定できず、なのははもどかしさを感じる。
 そんな時、探索活動の為に探知感度を広げていたレイジングハートが、離れた場所で行われている戦闘を探知した。
《Master》
「ん? どうしたの、レイジングハート?」
《I confirmed a battle act in southwest(南西で戦闘が行われています)》
「戦闘って事は、あのMSってやつでかな?」
《I guess so(そうだと思います)》
 過去二回、ダーククリスタルが発動したのは、どちらもMS戦の最中だった。
 そして、ダーククリスタルが潜伏しているだろう区域での戦闘行為。
 ダーククリスタルが発動するとすれば、その場所である可能性は低くないと、なのはは考えた。
「……取り敢えず、近くまで行ってみよっか?」
《ALL right》
 なのはは、レイジングハートが示す場所へと向かい始めた。

=========================

「光学映像、出ます!」
 デュナメイスの正面モニターに、前方で行われている戦闘の光景が映し出される。
 ミネルバは大多数のMSに囲まれながらも、懸命に弾膜を張っていた。
「MS隊、全機発進! バルトフェルド副長、艦砲指揮を頼みます。馬場一尉──」
 マリューは艦内に支持を出し、MS隊の隊長である馬場に通信を繋ぐ。
『何でしょうか? ラミアス艦長』
「敵勢力と思われる部隊ですが、ウィンダムが約三十にカオスとアビス、母艦等は確認できていません。数の上では劣性ですが、押し返せるかしら?」
『我らとて、オーブ軍の精鋭……その力、とくとお見せしましょう!』
「厳しい戦いになるでしょうけど……こちらからも、できる限りの援護はするわ」
 マリューは、すまなさそうに言う。
 ヤキン戦役でも、彼女は常に劣性な戦況の中にあったと思い返す。
 自身についてまわる有り難くない決まり事の様なものに、彼女は大きく嘆息した。


 ムラサメを起動させて出撃準備を整えるキラに、馬場から通信が入る。
『ヤマト二尉』
「はい?」
『出撃後、君は独自の判断で動いてくれて構わん』
「えっ? ですけど――」
『ブランクがあるとはいっても、君はヤキン戦役を戦い抜いたエース格だろう? 修練中の不慣れな戦い方をするよりも、君は君のやり方で戦った方が良い』
 それが、短時間の訓練の中でではあるが、キラの実力を垣間見た馬場の判断だった。
 一方で、キラとしても、馬場の指示は有り難かった。
 教えを乞うて間もない連携時の機動を実戦の中で行えるだけの自信が無かったからだ。
「分かりました……その、すみません」
『謝らなくてもいい。実際、君の飲み込みの早さには驚いているくらいなんだからな……流石はコーディネイターといったところか』
217 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/16(金) 21:51:05 ID:???
「…………」
 馬場が決して悪気があって言っているのではないと分かるだけに、キラは返答に困っていた。
『……すまない。今、私が言った事は忘れてくれ』
「あ……いえ、僕は別に気にしていませんから」
『いや。こういった些細な事の積み重ねが、ナチュラルとコーディネイターの溝となっているのだと、私は思う。間違いは改めねばならん』
 彼は本当に実直な人間だと、キラは改めて感じた。
「馬場一尉のような人達が増えていけば――きっと、みんなが手を取り合っていけますよ」
『ふっ。煽てても何も出はせんぞ』
 馬場との通信を終えて、しばらくすると、オペレーターのアナウンスが流れる。
『進路クリア、ムラサメ各機発進してください』
 順々にムラサメが射出されていき、キラの順番が回ってくる。
「キラ・ヤマト、ムラサメ、行きます!」

=========================

 やや離れた海上で行われている戦闘を見下ろす白い服の少女の存在に、気づく者はいなかった。
 また、人並みのサイズや体温を見落としたとしても、対機動兵器用のセンサーでは仕方のない事だろう。
 遠目に見える機動兵器の爆発に、少女はやりきれない表情になる。
『撃ち合う前に、もっと話し合いを』といった彼女自身の考えが、この世界のような情勢下では、甘い考えなのだという自覚はあった。
 互いが正義を主張し合った果ての結果である事も理解はできる。
 だが、それでも命が軽く見られがちな『戦争』というものに対して、少女は嫌悪感を抱かずにはいられなかった。
 暗く沈んでいく自分に気づいたなのはは、顔を左右に振った。
 気を取り直したなのはは、自分の目的──彼女にできる事、彼女にしかできない事を思い出す。
「やっぱり、この辺り……海の中か……」
 目標とする物に近づいた事で、さらに対象の位置を絞り込む事ができた。
 しかし、このまま進んでは、あの戦闘空域の真っ只中に突っ込む事になる。
 大多数の人間に、魔導師や魔法の存在を認知される事は避けたかった。
「レイジングハート、お願い」
《ALL right》
 主の意図を汲み取ったレイジングハートの宝玉が輝きを放つ。
《I begin to gather the oxygen. Direct supply line, connection. System, all green. Limit of activity time, six hundred forty seconds. Stand by ready(酸素を集め始めます。直接供給ライン、接続。システム、オールグリーン。活動時間の限界、640秒。準備完了)》
 レイジングハートを介して、酸素をなのはの体内に直接供給する事で、短時間ではあるが、水中での活動時間を増やす。
 水中の抵抗や耐圧等の問題は、レイジングハートがバリアジャケットの性能を微調整する事で対応する。
 なのはは態勢を整えると、海中へと潜航した。

=========================
218 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/16(金) 21:51:53 ID:???
 デュナメイスから発進したムラサメ隊は、ミネルバの下へ向かう。
 ウィンダムが数機、ミネルバが張る弾幕を抜けたのが、キラ達からも見えた。
『ヤマト二尉。ミネルバに取りついたウィンダムを狙えるか?』
「はい、やれます!」
 キラの技量に信頼を寄せる馬場と、それに応えようとするキラ。
 並みのパイロットでは、戦艦を避けて取りついている敵機だけを撃ち落とす等といった芸当が可能な距離ではないのだが──
「当たれぇぇっ!!」
 キラは機体をMS形態にすると、ミネルバの甲板にいるザクが撃ち漏らしたウィンダムの頭部を狙い撃った。

=========================

「に……ニーラゴンゴ、轟沈!」
「くっ! だけど──」
 メイリンの悲鳴に近い報告に、タリアは苦い表情になる。
 ニーラゴンゴを沈めたアビスの次の獲物はミネルバだろう。
 だが、水中のアビスを相手にする余力など、ウィンダムへの対空砲火で手一杯のミネルバには残されていなかった。
 そして、ついにミネルバの弾幕をウィンダムに潜り抜けられてしまう。
「ウィンダム三機に取りつかれました! あっ……うち二機をルナマリア機が撃墜!――えっ!?」
「いったい、どうしたの!?」
 バートは、驚きの余りに、オペレーターとしての報告を途切れさせてしまう。
 そんな彼に苛立ちを隠せずに、タリアは怒鳴ってしまった。
「す、すみません! 取りつかれていたウィンダムの残り一機、撃墜を確認! 四時の方向から戦艦一、MS十!」
「ええっ!?」
「どこの部隊なの!?」
 新たな戦力の出現に驚くばかりのアーサーは無視して、タリアはバートに確認を促す。
「熱紋照合――戦艦はアークエンジェル級、MSは不明機(アンノウン)! 友軍の識別コードを確認! オーブ軍です!」
「――!!」
 タリアは、絶望的だったこの戦闘の望みが繋がった事に、歓喜の声を上げそうになってしまったが、なんとかそれを押さえ込む事に成功した。
 もっとも、彼女の側にいる副長は、遠慮する事なくはしゃぎ声を上げているが。


「アークエンジェル級より通信です」
「回線をこっちに回して頂戴」
「了解」
 メイリンが端末を操作すると、ブリッジの正面モニターに、オーブ軍の女性士官の姿が映し出された。
『オーブ軍所属、アークエンジェル級三番艦デュナメイス艦長、マリュー・ラミアス二佐です。本艦は、プラント本国の要請により、貴艦の救援に参りました』
 艦長と名乗った女性の姿に、タリアは目をみはった。
219 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/16(金) 21:52:49 ID:???
 モルゲンレーテで会話し、共感を覚えた技師――マリア・ベルネスと名乗った女性だったからである。
 タリアは驚きと同時に、彼女が艦長である事に納得してしまっていた。
 通話機を手に取り、タリアは返答する。
「ミネルバ艦長、タリア・グラディスです。救援、感謝します」
『お互い、色々とお話したい事があるんでしょうけど……まずは、この場を切り抜けない事には……』
「そうですわね。海中にはアビス――水中戦に特化したMSがいますから、注意してください」
『了解しました』
 通信を終えると、タリアはブリッジ全体に檄を飛ばした。
「みんな、聞いてたわね? ここが正念場よ!」
 そんな彼女に、他のクルーも応えてみせる。
 ミネルバのブリッジは、消え入りそうになっていた戦意を再び取り戻していた。

=========================

 海中を進むなのはに気づいたらしい緑色の機体――ゾノが、右腕を彼女へと向けた。
 その右腕にチャージされているのは、魔力を込めた砲撃。
 しかし、なのはの方も既に戦闘態勢に入っていた。
 レイジングハートにも予めカートリッジを一発使わせてある。
《Accel Shooter》
 なのはの周囲に桜色の光球が五つ現れる。
「シュート!!」
 なのはは、レイジングハートを前方に掲げて、形成したシューターを放った。
 凄まじい弾速の桜色の光弾が、不規則な孤を描きながら、次々とゾノに襲いかかっていく。


 ゾノは左手をかざし、シールドを張った。
 一、二発目のシューターが、そのシールドに亀裂を入れる。三発目が当たるとその亀裂が全体に広がり、四発目がシールドを打ち砕く。無防備になったゾノの左腕に、五発目が直撃して破壊した。
 しかし、砲撃のチャージを完了していた右腕は無事である。
 ゾノは反撃の砲を撃とうと右手の銃口を突き出すが、その先に目標の姿は無かった。


 ゾノがシールドを張った事を確認したなのはは、シューターに相手の注意が向いている間に、相手の頭上へと回り込んでいた。
《Flash move》
 彼女の姿を見失っているゾノに対して、死角からの一打を仕掛ける。
「はあっ!!」
《Impact》
 高速機動から繰り出す魔力を込めた打撃をゾノに叩き込む。
 その威力は、ゾノを海底に叩きつけた。
 なのははレイジングハートをバスターモードに切り替えると、さらなる追撃の一発を撃つ。
「ディバイィィィン、バスタァァッ!!」
 桜色の奔流がゾノを飲み込んでいき、大きな爆発が起こった。

220 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/16(金) 21:53:50 ID:???

 アビスの中でアウルは、モニターに映し出されている戦闘を呆然と眺めていた。
 規格外の動きをするゾノ。それと戦う、白い服の女の子。
「な、何なんだよ……これ?」
 そんな非現実的な光景を目の当たりにした彼は──
「か……かっこいい……」
 彼は我知らず、そんな事を呟いていた。

=========================

「アークエンジェルだと!? よりにもよって、あの艦が相手とはね……」
 ネオは僅かに動揺していた。彼にとって、いわくつきの艦が、敵の増援として現れたのだから無理もない。
 もっとも、その事情を知っているのは、ネオ本人を除けば、彼の主を含むごく少数の人間だけだが。
「それに、こいつらも……まさか、『あいつ』と同類ってわけか!?」
 二機を包囲させていたウィンダムが、次々と撃ち落されていってしまっている。
 インパルスと紅い新型の二機は、先程までと明らかに動きが変わっていた。
 ネオは、彼が知っているコーディネイターの少年も、この二人に似た力を持っていた事を思い出す。
「くそっ! 無理もないか。おまけに、スティングの奴、完全に頭に血が昇ってやがるし……」
 さらに、ミネルバに向かわせていた方の部隊も、形勢を逆転され、押し返されている。
 特に、新手のMS隊の中で一機だけ違う色の奴が、周りと比べて頭一つ飛び抜けた動きの良さを見せつけていた。
「たくっ! あの量産型も新型なのか? しかし、あれは――」
 敵の増援部隊が使っている新型らしき機体は、ザフト製MSとは異なる印象がある。
「――そうか! あいつら、オーブ軍だ!」
 プラントとオーブが同盟を結んだという話は、彼も聞かされていた。
 だとすれば、あの新型量産機の性能の高さにも頷ける。
 そしてついに、ウィンダム隊は全滅させられてしまった。
「ちいっ! 不味いな、こりゃ……」
 残るは、彼のウィンダムとスティングのカオス、海中にいるはずのアウルのアビスだけだった。

=========================

 なのはは、砲撃の着弾時に起きた爆発の所為で、視界がはっきりしない中、相手の様子を注意深く窺っていた。
 次弾の砲撃発射準備も、すでに終えている。煙の中から姿を――もしくは、なんらかの動きを見せた時に、迎撃できるように。
 だからこそ、煙の中から放たれた、彼女以外の者を狙った魔力弾にも反応する事ができたといってもいい。
「くっ!」
 魔力弾は、近くにいた青色の機体を狙って放たれていたが、位置的に間に割り込んで防御する事ができた。
 しかし、なのはがその行為に時間を割いている間に、相手は逃走準備を整えてしまっていた。
《Master!》
「――しまった!? 転移魔法!?」
 なのはは、陽動に引っ掛けられてしまったのだ。ダーククリスタルに転移魔法を使われてしまい、砲撃を撃つ間もなく離脱されてしまう。
「レイジングハート、後を追える!?」
《I do my best(最善を尽くします)》
 レイジングハートは、ダーククリスタルが転移した際の余波を辿り、その転移先を可能な限り絞り込んだ。
 そして、レイジングハートが推測した場所の中心点へと、なのはも転移していった。
221 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/16(金) 21:54:36 ID:???

「あ……行っちゃった……」
 アウルは少女が消えてしまうまでの一部始終に見入っていた。
 流石に、アビスに向かって何かが放たれた時は、咄嗟に回避しようとしたのだが――その前に、あの少女が庇ってくれたらしい。
「あれって、もしかして、魔法ってやつなのかな?」
 そんな突拍子もない事を考えているアウルのもとに、彼の上官から通信が入る。
『アウル! 気づいていると思うが、敵の増援が出て来た。借りてきた連中も全滅だ。そっちは?』
「えっ? あ……俺も頭をやられちゃった」
 普段と違う様子のアウルにネオは訝った。
『おい、頭って……どこかに打ちつけたのか!?』
「へっ? 何、言ってんだよ?」
『お前が、そう言ったんだろうが?』
 そう言われて、少し考え込んだアウルは、相手の勘違いに気づく。
「いや。俺じゃなくて、アビスの事なんだけど……」

=========================

 おかしい。明らかに、おかしかった。
 今のアウルの様子は、これまでネオが見た事のないものだった。
「くっ! ジョーンズ、撤退するぞ! 合流準備!」
 付近の島影に隠れさせておいたジョーンズから、すぐに返答が返ってきた。
「スティング、アウル! 撤退するぞ!」


 紅い新型との戦いに押され気味だったスティングは、ネオからの撤退命令に納得できなかった。
「なんでだよ!? 俺は、まだやれる!!」
『冷静になって状況を見ろ! 俺達だけで勝てる数じゃないだろうが! それに――』
 ネオが通信を守秘回線に切り替えた事で、スティングの苛立っていた表情に不可解さが混じる。
『――どうも、アウルの様子がおかしい』
「あん? 何が?」
『俺にも、さっぱりだ……とにかく! 俺達は撤退する。これは上官命令だ!』
「……ちっ! 分かったよ! アウルの奴、世話かけやがって。ステラじゃあるまいし」
 スティングは愚痴をこぼしながらも、アウルの事が心配だった。
 だからこそ、彼も撤退命令に、しぶしぶながらも応じたのだ。

=========================
222 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/16(金) 21:56:02 ID:???

「撤退する? 艦長――」
 ウィンダムの隊長機やカオス等が撤退していく。アスランは追撃すべきか、どうかを迷っていた。
 そして、それはタリアも同様だった。
『近くの島に母艦を伏せてあったようね』
「追いますか?」
『貴方は、どう判断する?』
 アスランは少し考える間を置いてから、進言した。
「……こちらも被害が出ています。現状では、マハムール基地に入る事を優先するべきかと」
『同感よ。レイも命に別状はないとはいえ、負傷してしまっているし……あちらの艦の方々とも、一度ゆっくり話してみたいしね』
「分かりました。では、帰艦します」
『ええ。そうして頂戴』
 通信回線が閉じた後、アスランは大きく息をついた。
 タリアには、ああ言ったものの、彼には確かめたい事があったのだ。
(あのムラサメの戦い方……あれは――)
 遠めにだが、アスランは見ていた。青と白にカラーリングを変更されていたムラサメの動きを。
 敵機のコクピットをさけてメインカメラや武装を狙う戦い方は、アスランが良く知る友人のそれだった。
(――やはり、キラなのか?)
 この二年間、キラが思い悩む姿を見てきたアスランには、信じ難かった。そのキラが再びMSに乗って戦っている事が。
 あのムラサメのパイロットがキラ本人なのかどうかを早く確認したいのが、アスランの本音だった。


 アスランと同じように――いや。それ以上に、専用カラーのムラサメに乗っているパイロットの正体を知りたがっている者がいた。
(あいつの戦い方……フリーダムと同じだった!)
 という事は、パイロットも同じ可能性は十分にある。何せ、あのような戦い方をする者など、そうそういないはずなのだから。
 家族の仇であるフリーダムのパイロットだったかもしれない者の出現――シンの心の中は、大きく揺れ動いていた。
223 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/16(金) 22:00:29 ID:???
投下終了!

レイジングハートが多機能に……ちょっと、いじり過ぎたかも。

それと、今回の話では、私自身にも予想外な展開が……
お陰で、プロットを見直し&微修正。

ではではノシ
224通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 23:14:53 ID:???
乙。
アウル意外と適応力あるな
225通常の名無しさんの3倍:2007/03/17(土) 00:37:40 ID:???
乙!! まぁスパイス程度ならいんじゃね?>いじり過ぎ
しかしなのはさん、毎回目撃者がいるあたり、びみょーにうかつだなw
今回は頭部のカメラが壊れてたから安心してたのかもしんないけど。
あと、なんか知らんが微妙に萌えに目醒めたらしきアウルにワロタwww
226通常の名無しさんの3倍:2007/03/17(土) 01:28:26 ID:???
むしろアウルに萌えたw GJ!
227通常の名無しさんの3倍 ◆0NNKUcIB6. :2007/03/17(土) 17:53:16 ID:???
今夜投下予定。
228ガンダムし〜どD´s:2007/03/18(日) 00:46:49 ID:???
明日投下予定
229 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/18(日) 01:17:15 ID:???
投下ないみたいなので、隙をみて投下開始。
230 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/18(日) 01:18:20 ID:???
 戦闘が終わり、何とか生き残れたミネルバ隊。そして、その救援に間に合う事ができたデュナメイス隊。
 誰もが安堵感を抱いている中、一人だけ大きく動揺して揺れ動く者がいた。
(あいつがフリーダムのパイロットだったとしたら……)
 それは、シンにとって家族の仇であるという事だが、戦い方だけでは確証とまではいかない。
(……直接、聞けばはっきりする!)
 シンとて、仮にもザフトの赤服を着ている者である。友軍の艦とはいえ、無断で着艦する事の不味さは承知しているが、失った家族への想いの方が勝ってしまった。
 一度堰を切った激情は、止まる事なくシンを突き動かしていく。

=========================

「ん? 艦長、インパルスがこちらに着艦しようとしていますが……」
「えっ? どういう事?」
「帰る家を間違えた、ってわけじゃないだろうしな」
 チャンドラから伝えられたインパルスの不可解な動きに、マリューやバルトフェルド達は訝る。
「インパルスに警告はしてみたの?」
「はい。警告はしているのですが、無視されています」
「いったい、何なの?」
 友軍機であるインパルスをまさか迎撃するわけにもいかない。
 マリュー達は困惑する他なかった。

=========================

 デュナメイスへ向かうインパルスの姿は、アスランからも見えていた。
「シン! どこへ行く!? おい、シン!……くそっ!」
 アスランは、呼びかけに応じないシンに対して、苛立ちの声を上げる。
「艦長――」
『分かってるわ。だけど、こちらの呼びかけにも応答しないの――
 ミネルバのブリッジでも、シンの奇行は把握していたようだった。タリアたちも困惑しているようである。
『――悪いんだけど、貴方に直接連れ戻して来てもらいたいの』
「了解しました」
 今度は、デュナメイスへの通信回線を開く。
「こちら、ミネルバ所属のアスラン・ザラ、応答願います」

=========================
231 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/18(日) 01:19:11 ID:???
 インパルスの事をミネルバ側に問い合わせようとしていた所に、アスランからの通信が入ってきた。
「アスラン君?」
『ラミアス艦長――やはり貴女達だったんですね』
「ええ。まあ、ちょっと色々あって……キラ君やバルトフェルド隊長も一緒よ」
『キラもですか?』
「ええ、そうよ。それと……インパルスの事なんだけど――」
『あ……すいません。そちらに馬鹿が一人紛れ込んだみたいなので、連れ戻したいのですが?』
「分かりました。着艦を許可します。一応、インパルスの方も」
『すいません。ご配慮、感謝します』
 アスランが乗る紅い機体が、インパルスの後を追って、デュナメイスに着艦する。
「インパルスって事は……マユにも知らせてやるか?」
「そうね。マユ・アスカに連絡を」
 バルトフェルドの案に、マリューも賛成し、マユに彼女の兄が来訪している事を伝えた。

=========================

 専用カラーのムラサメを追って、デュナメイスへと着艦したシン。
 ムラサメから降りてきた男に近づいていく。
 キラの方もインパルスのパイロットに気づいていた。
 なぜ、彼がミネルバではなく、こちらに来たのかまでは分からないが。
 しかも、どうやら彼は自分に用があるみたいだった。
 シンはキラの前で立ち止まると、不躾に詰め寄った。
「アンタに聞きたい事がある。二年前、フリーダムに乗っていたのはアンタなのか?」
「……そうだけど、君は?」
 その返答を聞いた瞬間、シンの頭が一気に怒りで染まる。
(こいつが……!!)
 目の前に立つ男が家族の仇であると理解したシンは、キラを殴り飛ばしていた。
 その様子をシンに続いてセイバーから降りてきたアスランも見ていた。
 突如、蛮行に及んだシンを止めようとする。
「し、シン! 止めろ! 止めるんだ!」
 だが、怒りに我を忘れているシンには、アスランの声など届かない。
「お前が!……お前が、俺の家族を殺した!!」
 そう言いながら、キラに馬乗りになるシン。
「――!?」
「な!?」
 キラは絶句し、アスランも仲裁に入ろうとした動きが止まってしまう。
 シンは両の拳でキラの顔面を殴り続ける。
 その場にいる者全員が、その凄まじい光景を唖然と眺めていた。また、彼の叫びから察すれる事情を考えると、第三者が間に割って入る事は躊躇われる。
 しかし、当事者ならば、話は別だ。
「お前が! 俺の家族を殺したんだ! 父さんを! 母さんを! マユを殺し――」
「お兄ちゃん、止めて!」
 シンは死角から身体ごと飛び込んでこられた為に、キラから引き剥がされ、倒れこんでしまう。
 だが、彼の頭の中は、そんな事を気にする余裕すらないほど真っ白になっていた。

=========================
232 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/18(日) 01:20:27 ID:???
 ジョーンズへと帰艦したネオは、『ゆりかご』と揶揄されている装置の中で眠りについている、三人の部下を眺めていた。
 特に注視してしまうのは、髪の青い少年――アウル・ニーダ。彼の様子が明らかに変だった。
 この装置による定期的な措置を受ける事も、今回は嫌がっている風だった。
「いったい、何があったんだろうな……もっとも、アウル自身も忘れちまうから、もう誰にも分からなくなるけどな」
 彼が独り言を呟いていると、作業が終了した合図音が鳴る。
『ゆりかご』が開くと、三人の少年少女が目を覚まし、起き上がり始めた。


「……スティング、アウルが変」
「ああ。どうしたんだよ、アウル?」
 頻りに頭を捻って唸っているアウル。そんな彼をステラは訝り、スティングは声を掛ける。
「ん? なんかさ、すげーモン見た気がするんだけど……何だったかなぁ……」
 そんな彼の返答にスティングは嘆息する。
 あの処置を受けたのだから、不要な記憶は消されてしまっているに決まっている。それは、アウル自身も知っているはずだ。
 にも関わらず、必死に思い出そうとしている彼の姿は滑稽でしかない。
(まあ、そのうち気にしなくなるだろ)
 スティングは、難しい顔をして未だ唸り声を上げているアウルを放っておく事にした。

=========================

 聞き間違えるはずがなかった。
 どれほど渇望しようとも、二度と聞く事のできない声――形見の携帯電話に登録されていた留守番電話用のメッセージだけが、唯一のものだったのだから。
 シンは上半身だけを起こすと、彼に覆いかぶさってきた少女の顔を見た。
「……マ……ユ?」
 彼の目の前にあるのは、死んだはずの妹の顔。
 双眸から涙を零しながら、少女も口を開く。
「おにいちゃん……本当に生きてたんだね……良かったぁ……」
 彼が耳にしているのは、死んだはずの妹の声。
 突然すぎる再会に、シンは頭も心も理解が追いつかないでいた。
「だって……そんな…………二年前、俺はマユの携帯を取りに行こうとして……吹き飛ばされて……みんながいた場所に戻ったら――」
 それは未だ鮮明に呼び起こす事ができる、忘れられるはずもない悲しみの記憶。
「――父さんと母さんは、身体がぐちゃぐちゃになってて……岩の陰からマユの手が見えて……でも、それは――」
 そこまで思い返して気づく。あの時見つけたマユの手は、肘までしかなかった。たとえ、マユが生きていたとしても隻腕のはずである。
「マユは! 左腕だけしか残ってなかった!」
 目の前の少女を否定するかのように、シンは叫んだ。
 しかし、マユは兄の動揺を察して、静かに伝える。
「この左腕は義手なんだ。そうは見えないでしょ?」
「だ……だけど、信じられない……信じられるかよ……」
「……もう!」
 なかなか自分の生存を信じてくれようとしない兄に、マユは呆れ始めていた。
 仕方なく、兄の耳元でそっと囁く。幼き日の二人だけの秘密を。
 途端にシンの顔が朱色に染まる。耳の先まで真っ赤になっている。
「な、な、な、何で、その事を……」
「これで分かったでしょ? 私が本物かどうか」
 こくこくと頷くシン。あの事を知っているのは、それこそマユ本人以外には有り得なかったからだ。
233 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/18(日) 01:21:30 ID:???

 妹が生きていた。その事実を受け入れたシンの頬を涙が伝う。
 次の瞬間には、妹に縋りついていた。
「ちょ……ちょっと、お兄ちゃん! 苦しいってば!」
 妹が上げる批難の声を無視して、シンはひたすら嗚咽を漏らす事しかできない。
 そんな兄から伝わってくる懐かしい温もりに、自然とマユもシンの背中に腕を回していた。


 どれほどそうしていたのだろうか。
 妹との再会の喜びに打ち震えていたシンは、ようやく我に返った。
 そして、改めて現状を把握しようとする。
 人前で、妹に縋りついて泣いている自分――恥ずかしい事この上ない姿を晒している事に気づく。
 ばっ、とマユから離れるシン。マユはそんなシンに、首を傾げていた。
 それでも、これ以上ないといっていいほどの幸福感に満たされていたシンの心に、水をさす声が彼の耳に届いた。


「キラ、大丈夫か?」
「アスラン……うん。僕は何ともないよ」
 マユもキラを気遣って、彼の方へと寄っていく。
 そんなマユの顔をまともに見る事ができず、キラは俯いてしまう。
「キラ君、ごめんね? お兄ちゃんが――」
 両親の仇を労わるマユ――その光景に、シンは再び激高する。
「止めろ! マユ!」
 マユは、怒鳴られた事に驚き、身体をびくつかせてしまう。今まで一度も、兄に本気で怒鳴られた事などなかったからだ。
「そいつが、父さんと母さんを殺したんだぞ!」


 シンの言葉は、改めてキラの胸に突き刺さる。
 そして、自分がマユにとって両親の仇である事をマユ本人に知られた時――マユに恨まれたくないと思っていた自分に気づき、そんな自分を嫌悪してしまう。
 だが、マユの反応はキラを。シンを。ある程度の事情を察してしまっている周囲の人々を驚嘆させるものだった。
234 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/18(日) 01:22:42 ID:???

「ZGMF-X10Aフリーダム。あの時のMSにキラ君が乗ってたんだよね?」
 キラは思わず顔を上げて、マユの方を見た。二人の視線が交錯する。
「……知ってたの?」
「デュナメイスのデータベースで調べたの。キラ君が乗ってたMSに興味があって。まさか、マユ達の頭の上を飛んでいたMSの事がフリーダムだったとは思わなかったけど……」
 そういえばと、キラは思い返した。廊下でマユに会った時、彼女の様子がおかしかった事を。きっと、あの時には知っていたのだろう。
 しかし――
「でも……だったら――」
「だったら何で! そんな奴に優しくするんだよ!?」
 シンの言う通りだと、キラは思った。自分はマユに責められて当然の人間なのだから。


 マユはシンへと向き直ると、静かに問い掛けた。
「じゃあ、お兄ちゃんはどうしたいの?」
「えっ?」
「キラ君をいくら責めたって、お父さんもお母さんも帰ってこないよ?」
「だからって……なら、マユはそいつを許せるって言うのかよ!?」
「……許せないと思う。どれだけ綺麗事を並べたって、この事に関してだけは、私は一生キラ君を恨んでいくんだと思う」
「だったら――」
「でも、もう知っちゃった後だったから――戦争が終わってから、キラ君が悩んで苦しみ続けてきたって。だから……キラ君をただ恨み続ける事も、もうできないよ」
「な……何だよ、それ……」
 シンにはマユの気持ちが全く理解できなかった。
 だから、シンは思った――マユは騙されているのだと。
「……そうか! アンタがマユに何か吹き込んだんだろ!? じゃなきゃ――」
 乾いた音が一つ、辺りに響いた。
 再びキラに掴みかかろうとしたシンの頬をマユが張ったのだ。
 シンは呆然と妹に張られた頬に手をやる。その様子に、キラ達も唖然とする他ない。
「ご、ごめん、お兄ちゃん。だけど――」
「くっ!」
 シンは踵を返すとインパルスに駆け寄り、乗り込むと飛び出して行ってしまった。
235 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/18(日) 01:27:45 ID:???
第18話、投下終了

3パターンぐらい書いてみて、現在ベターなものをチョイスして、投下してみました。
表現力や描写力の無さを改めて痛感しました……はぁ……。

気を取り直して、ではではノシ

236通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 01:41:25 ID:???
再会編キター!! 予想以上にヨカタヨー!!
しかしシンはこれからもマユに説教され続けるのだろーかw
237通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 06:08:08 ID:???
GJGJ!

しかし、二人だけの秘密って何だろ……
まさか、留守番スレみたく(ケルベロス
238通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 07:26:18 ID:???
GJです。
シンとマユの違いは、傍で慰め、支えてくれる人がいたかどうかの違いなんだろうなと思った。
シンは全部自分の中に押し込めて、癒されることがなかったわけだし。
239通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 10:36:11 ID:???
GJGJ!

菜種クロスではこの話が一番いいなあ、やっぱ
でも、援軍のパイロットに対して相手の部隊にまで言って暴行したってんじゃ
普通はただじゃスマンよなあ
240ガンダムし〜どD´s:2007/03/18(日) 11:15:40 ID:???
そろそろ投下を
241ガンダムし〜どD´s:2007/03/18(日) 11:18:03 ID:???
魔道戦士まじかるしん第4話 

「はい、これでよしっと」
本局の治療室で、なのはは以前の戦いの傷の治療をしていた。
「傷口はある程度ふさいだけど、それだけだから無茶はしないようにね。この休日でしっかり身体を休めて、備えておいて」
シャマルに言われて、わかってますよ、と少し苦笑いを浮かべながら答えるなのは。
それより、自分のことよりも……
「あの、ユーノ君は大丈夫なんですか?」
まだ聞いただけなのだが、ユーノも負傷しているという。
自分よりもかなり重症だとも聞いた。
「今は絶対安静で面会謝絶で…ごめんなさい」
以前の戦いの直後はまだ意識はあったが急に様態が急変して、なんとか一命はとりとめたが、今は眠ったままである。
そうですか、と残念そうに肩を落とすなのは。
場には暗い空気が立ちこめ、シャマルが必死に話題探しをする。
「そういえば、今日だったわよね?新人さんが来るのって」
シャマルの言葉にそういえば…と思い出す。
あの事件のことですっかり忘れていた。
今日、自分達が所属している機動六課に、新しく6人の新人が入隊してくる。
そのうちの4人は自分も何回も訓練校の特別教官として教えたことがある人物。
「はい。けど、フェイトちゃんは気が気でないみたいだけど」
なのはは笑いながら言い、シャマルもそうね、と笑う。
知っている4人のうちの二人、エリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエは現在フェイトが保護している。
フェイトは二人に対してかなり過保護(親バカともいう)である。
まだ自分の部隊に入っているだけましで、別の部隊に入っていたことを考えると、おそらく彼女は新しく薬とお友達になっていただろう(間違っても麻薬とかではない)
その中でなのははふと思う
「4人は知ってるけど、あとの二人ってどんな人なんだろう」
残りの二人は、自分は全然知らない。
勿論シャマルも知るわけが無い。
「さあ……男の子って言うぐらいしか私も知らないわ」
なのはも来るのは男性と、新人でAA級の魔術師であるくらいしか知らない。
「なのはちゃん。今度来る人ぐらい調べておいたら?自分の部下になるんだし」
シャマルの厳しい突っ込みにうっと沈むなのは。
だが、4人はともかく男二人は急に転属が決まって、知ったのがあの戦いの少し前であり、はやてから少し聞かされただけである。
「まあ、どんな人なのかははやてちゃんに聞けばすこしはわかるとおもうけどね」
そうですね、となのははいう。
話によれば、当の本人達も今日転属が言い渡されると聞く。
「それにしても、一度配属されて2ヶ月で転属になるなんて……どんな人なんだろう」
転属にしてはあまりにも早すぎる。
「何か性格に問題がある人なのかしら?」
シャマルの言葉に、それはちょっと困るなあ、となのは苦笑いする。
242ガンダムし〜どD´s:2007/03/18(日) 11:20:19 ID:???
「へっくしょい!!」
シンは廊下で思いっきりくしゃみをする。
「どうした、風邪でもひいたか?」
そこを横にいるヨウランがからかうように言う。
「いや、どうせあいつが俺の悪口でも言ってんだろ」
シンは簡単に言った。
あいつとは、現在のシンの上司であるジェラード・ガルシア提督である。
彼は、どうもシンを嫌っている。
その理由はシンを含め4人とも知っていた。
それは、シンがコーディネーターだからである。
コーディネーター。少数民族の一つだが、他の民族とは事情が違う。
それは、少数民族とされているが、他の民族と比べて人数が最も多い。
だが、コーディネーターは他の人には無いものがある。
それは、生まれる際に受精卵の遺伝子を操作し、他の人間よりも頑丈な肉体、運動神経など、他の人間よりも優れた能力を多数持つ民族。
故に、あまりコーディネーターに良い感情を持っていない人も多い。
ガルシアはその見本のようなものである。
「ほんと、やなやつだよな、ガルシア提督ってさ」
ヴィーノが愚痴を言うように答える。
確かに、とシンも同意した。
当初は何でこんな奴が上官になったんだろうと思ったが、多少はこうなることはわかっていた。普通の人の中にコーディネーターがいることはこういうことなのだ。
ガルシア以外にも、訓練時代の同期にもシンを嫌っている人物はいた。
だが、それでもシンは管理局で働くことを選んだ。
そう思って言ううちに、目的地に着く。
シンとレイは、緊急の話があるとガルシアに呼ばれた。
「じゃあ俺たちは先に休憩所でいるからな」
二人はそういってシン達と分かれる。
「シン・アスカとレイ・ザ・バレルです」
二人はドアの前で挨拶をしてどあのむこうから「入れ」という声が聞こえた。
失礼します。と二人は入室した。
そこには、いかにもえらそうな中年の男がいた。
彼こそがジェラード・ガルシアである。
「以前の戦いでは良くやってくれた。多数の負傷者が出た中、よく無傷で帰還した。初めての実戦とは思えんな」
ガルシアは含みがある言い方で二人に言う。
「流石コーディネーターといったところかな?」
ガルシアの言葉にシンのこめかみがぴくっと動く。
そんなシンを気にせずガルシアは続ける。
「まあ、そんな事はどうでもいい、今回お前らを呼んだのは、お前らに転属命令が出されたからだ」
ガルシアの言葉に、二人は疑問を浮かべる。
「転属、ですか?」
ああ、とガルシアは答える。
243ガンダムし〜どD´s:2007/03/18(日) 11:22:00 ID:???
「本日を持って、お前達は機動六課へと転属になる」
いきなりのことで戸惑うシン。
「ちょ、ちょっと待ってください。そんなのいきなり言われても……」
そんな事いきなり言われても困る。それはレイも同じだった。しかし…
「うるさい、もう上のほうで決まったことだ。反対は許さん」
これでシンははっきりとわかった。
彼は意外と上にも顔が通る。
だから、その権力を利用してのだろう。
厄介払いもいいところだ
「これでもうお前らの顔を見ることはめったになくなるな。寂しいよ」
どこがだ、とシンは心中で突っ込む。
顔はかなりうれしそうである。
「そういう命令ならわかりました。それでは」
レイはガルシアに一礼して部屋を出て、シンも後に続く。
ガルシアはそんな彼らを見て一息つく。
野とあいつが目の前から消えた、とすっとする。
「コーディネーター、造られし人。ふん、忌々しい」
ガルシアはデスクにあるコーヒーを飲んで、机にある書物を見る。
「それにしてもリンディの奴、こんな奴まで面倒を見ようとは」
彼らの転属の際、上のほうもいきなりのことで困惑していた。
そこへ、同じ提督であるリンディ・ハラオウンが彼らを機動六課へ引き入れるといったのだ。
彼女は、他にもP・T事件の時にクローン人間を養子にしたと聞く。
ガルシアは、彼女の考えを理解できなかった。
あんな人間で無い者を、どうして好きで保護しているのかを。
まあいい、自分には関係ない。そう思ったガルシアは仕事を進めることにした。

「ふぅ、やっとおわったぁ……」
そう言って、はやてはその場でうなだれる。
はやてはさっきまで例の事件の処理をしていた。
あまりの量のため、先日からほとんど休んでいない。
『お疲れです、はやてちゃん』
リィンフォースはこんな仕事が出来ないから疾風を応援することぐらいしか出来ない。
その時…
「はやて、今大丈夫か?」
ヴィータが部屋にやってきて、はやては彼女を部屋に入れる。
そこにはフェイトもいた。
「はやて、お仕事お疲れ様」
フェイトちゃんも、とお互い微笑する。
「そういえばはやて、なんかこの前様子変だったけどどうしたんだ?」
ヴィータに言われて、あのときのことを思い出したはやて。
その顔は少し赤くなってる。
そんなはやてを不思議そうに見るヴィータ。
一方リィンもあれを思い出して怒っていた。
244ガンダムし〜どD´s:2007/03/18(日) 11:23:40 ID:???
「きいてよヴィータちゃん。この前、はやてちゃんが男性とぶつかって、そいつに思いっきり胸をもまれたんですよ」
それを聞いて、ヴィータ、そしてフェイトもえ、とはやてを見る。
心なしか、ヴィータに殺気が発生した気がしないでもない。
「私も思いっきり踏まれて…しかも謝りもしないで去っていって……」
これでは一方的に相手が悪いみたいな言い方をするリィン。
「リィン、少し落ちつき。元はといえば、うちがなのはちゃんと話し込んで周りを見てなかったんだ悪いんや」
はやての言葉に、そんな事ありません!とリィンは抗議する。
おそらく自分も踏まれたからその怒りもあるのだろう。
「まあ、お互いに非があるみたいだけど、流石に女性の胸を触って謝らないのはひどいかな」
フェイトの言葉に、でしょ、とリィンフォースが言う。
そこでヴィータは思った。
「なあリィン。そいつでどんな奴かわかるか?」
ヴィータに聞かれ、うーんとかんがえるリィン。
一瞬だったが、特徴的なものがあった。
「髪は黒くて……あと目が赤かったくらいしか…」
そう聞いて、ん、と少し考える。
なんかそんな奴を知っている気が…とおもったとき、あ、と別のことを思い出す。
「あいつのことか?なんか違うような気もするけど」
ヴィータの言葉に誰のことですか?とリィンが聞く。
「あの事件のとき、念話が使えなくてはやて探してたら、リィンと同じで黒い髪と赤い目の魔術師にあってさ、そいつがここに行ってみたらどうだ、というポイントに行ったら本当にはやてがいたんだ」
おかげで早く疾風を見つけて、あの鉄球野郎からはやてを助けることが出来た。
「ほな、その人のおかげで、ヴィータが助けてくれて、うちが無事やったってこと?」
ヴィータは頷く。
そこで、フェイトは少し気になる人物がいた。
「ねえヴィータ。その人のデバイスってどんなのだったの?」
デバイスをのこと聞かれて、えーと、と考えるヴィータ。
確か……
「でっかい刀を2本持ってた。それでバリアジャケットは…赤かったよな」
そのヴィータの言葉でフェイトは確信する。
その人は多分少年を助けるときに会った人物だ。
そして、おそらく自分が4年前にエリオたちを預かる前に一時的に保護した人物、シン・アスカである可能性が高い。
「多分だけど、ヴィータに会った人だったら私も会ったよ。その人のおかげで男の子を助けることが出来たから」
へぇ、とヴィータはそいつの顔を思い出す。
「そういえば、フェイトちゃん意外と平常やね?」
はやての言葉にはっと思い出す。
「今日、エリオ君たちがここ、機動六課に配属やろ?」
うん、とどこか落ち着きが無いフェイト。
はやてはフェイトが二人に対してかなり過保護なのを知っている。
そんなフェイトを見て、みんなは笑いあっていた。
245ガンダムし〜どD´s:2007/03/18(日) 11:24:45 ID:???
「ぶえっくしょい!!」
シンは盛大なくしゃみをぶちかます。
「またか?本当に風邪引いたんじゃないか?」
ヨウランに言われて、そうかも、とシンは思った。あとで病室で診察にでも行こうか。
二人はあの後待ち合わせ場所である休憩ルームに腰をかけていた。
「それにしても急だよなあ、転属命令って」
ヴィーノがそういって、シンはいう。
「どうせ厄介払いだろ。こっちだってせいせいするさ。あんな上司の元で働かなくてすむからな」
シンは笑いながら言う。ガルシアに聞かれれば厄介なのだったが、もうシンは奴の部下ではない。多少の悪口を言ってもどうにかなるだろう。
「悪いなレイ。お前まで巻き込んで」
そんなシンの言葉に、レイは気にするな、と簡単に言った。
二人はこの後、機動六課の部隊等のところへ顔見せにいく。
「機動六課かあ、うらやましいよなあシン」
ヴィーノの言葉になんでだよ、と疑問を持つシン。
「なんでって、機動六課っていえばほとんどの局員が女性で、それでいて美人ぞろいって聞くじゃん。そこに配属されるっておまえ、どれだけうらやましいことか」
ヴィーノの言葉にそうそう、とヨウランも頷く。
またか、とシンはため息をつく。
この二人といるとこういう話が耐えない。
「そうか?別に男だろうが女だろうがどうだっていいさ」
それはレイも同じ意見らしい。
ヨウランはそんなシンを見て一つの作戦を思い出す。
「そういえばさシン、聞きたかったんだけどさ」
ヨウランがニヤついた笑みでシンを見る。
シンはなんだよ?といいながらコーヒーを口に含む。
「数日前の部隊長クラスの人の胸の感触はどうだったんだよ?」
「ぶっ!?」
「きゃっ!」
あのときのことを言われて、シンは思いっきりコーヒーを吹き出してしまう。
「げほ…げほ…な、何言い出すんだよ急に!」
顔を赤らめてるシンに、ヨウランは悪い悪い、と軽く謝る。
はあ、掃除しなきゃなと思い前を向いて、シンは固まる。
そんなシンを見て、ヨウランたちも前を向いて固まった。
「シン、わ…悪かった」
今度は本当にすまなさそうに謝るヨウラン。
が、既に遅い。
まだ一人で掃除をしたほうがはるかにましだった。
そこには、顔と服がシンの吹き出したコーヒーによって汚れた教導管がいたのであった。
「見ない顔だけど、ちょっと私の部屋まで来てくれるかな?」
笑っているが、眉間にしわをよせて、声を少し引きつらせていた。
246ガンダムし〜どD´s:2007/03/18(日) 11:26:41 ID:???
「はぁ」
なのはは自室のシャワールームで身体を洗う。
新しく入ってくる局員を待つため、シャマルと一緒にはやての部屋に行こうと思ったのだが、自販機の前で誰かが盛大に吹いたコーヒーで、服やら顔やらいろいろと汚れてしまった。
なのはは、シャマルにはやてに遅れるといってもらい、その4人の少年を部屋で待たせ、自分は身体を洗っている。
「制服、クリーニングに出さなきゃ」
また、次の日からしばらく休日で助かったとなのはは思った。
今日はとりあえず予備の制服を着ればいいだけである。
それよりも、あの黒い髪の少年…
「あの子、もしかして……」
確かはやての胸をもんだ人物と一緒のような気がした。
まあそれは後で確かめようと思い、なのははシャワールームから出て着替え、髪留めをしないまま待たせてある4人の元へと向かう。
「それで、説明してもらえるよね」
そこにいた少年達は、事情を話した。
ヨウランがシンをおちょくり、それでシンが驚いてコーヒーを吹いたというわけだ。
「今回は許してあげるけど、以後は気をつけてね。こういうのにうるさい人とかいるから」
わかりました、とシンとヨウランはいった。
「それじゃ、最後に所属と名前を言って」
なのはに言われて、先にヨウランのヴィーノは言う。
「技術班のヨウラン・ケイト」
「同じくヴィーノ・デュプレ」
なのははそれを聞いて、先に二人を返した。
先に返した理由。それはこの黒髪の少年と金髪の少年に用があったからだ。
「それで、あなたの名前は」
なのはにいわれ、一瞬迷ってシンは答えた。
「本日付けで、航行艦アルテミスより機動六課へと転属になったシン・アスカ1等空士です」
「同じくレイ・ザ・バレル1等陸士」
それでへ?とつい疑問を浮かべるなのは。
(この二人が?)
そんななのはに、どうしたんですか?と聞くシン。
あ、いや、なんでも、となのはは言葉を返す。
その後、なのはは席を立ち、一つの写真を手に取る。
「一つ聞きたいことがあるけど、この人を見かけたこと無い?」
差し出された写真と、指で指された人物を見て、シンはあせる。
その人物は、見たときよりも少し若い気がするが、コーヒーを吹く原因となった、シンが胸を触った人物がいた。
シンの反応を見て、やっぱり、とおもったなのは。
「その人は、今とっても傷ついてる。あなたはどうする気?」
なのはの真剣なまなざしに、シンはえっと…と言葉をつまらせる。
正直どうしようか迷う。謝って許してくれるかどうか微妙なのだ。
247ガンダムし〜どD´s:2007/03/18(日) 11:29:43 ID:???
「あ、あとでちゃんと謝ります」
そんなシンの言葉に、なのはは納得した。
「それでいいよ、ちゃんと謝って、話をしたらいい」
そういって、なのはは手を差し出す。
「じゃあ、今後ともよろしくね」
なのはの言っている意味が分からなくて、二人は、は?と疑問を浮かべる。
「言うのが遅れたけど、私は機動六課所属の戦技教導管、高町なのは一等空尉。よろしくね」
そういって、なのはは二人の前で微笑んだ。


まじかるしん第4話投下完了。
この話でいったんまじかるしんの投下をやめて、しばらくはD´sを投下予定。
理由は、まあシンキャラがどんななのかアニメが始まらないとわからないため。
その隙にD´sをある程度まで進めたかったから。

次のD´sは戦闘場面です。
248通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 15:59:56 ID:???
GJ!!
設定やキャラがよく融合されていると思っいました。
なのはとシンのやりとりがうまいな、読んでいて感じました。
次回でシンにきちんとはやてに謝ってもらって、わだかまりを無くしてから、なのはキャラとどんどん絡んでいってほしいです。

エリオとキャロは出てくるみたいですが、スバルやティアはアニメが始まってからの登場ですかね?

あと一応…最後の投稿欄でなのはが自己紹介する時、

戦技教導管→戦技教導官…でしょうか?
249通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 16:18:31 ID:???
>>248
連続ですみません。
三期のキャラに関してはまだ未定のようですね。
上の部分を読み直してきました。

機動6課の面々はシンやレイが転属になった理由を知らないみたいですね。
その辺りの理由を知った時、特にフェイト辺りがどう感じるのかが期待です。
悪意ある言い方をすれば、「創られたもの」ですからな…

あと、タイトル…まじかるしん、ですよね?
ごっちゃになってしまいましたか?間違っていたらすみません。
250通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 18:20:53 ID:???
>シンにはマユの気持ちが全く理解できなかった。
これシンの気持ちが理解できないマユの方がおかしくないか?
普通、比重は 赤の他人 < 身内 だと思うんだが。
善人ラクシズ四人衆 > 愚鈍な種死キャラ ぽくなってきてるな。
251通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 18:49:59 ID:???
GJです。まさかガルシアが出るとは・・・シンとなのはの会話もよかったです。
D'sの方も楽しみにしてます!


>>250
それがシンとマユそれぞれが送ってきた二年間による違いなんじゃないか?
支えてくれる人がいて憎しみに縋る必要もなく立ち直ったマユと、支えてくれる人は一人もいなくて憎しみにでも縋らないと立ち直れなかったシン。
言うのは簡単だけど、実際にはとてつもなく大きな違いだと思う。
252通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 20:17:19 ID:???
GJ!!
はやての胸揉みの次はなのはにぶっかけ
まさにラッキースケベの面目躍如な大活躍

シンの今後の活躍にwktkが止まりません
253通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 20:21:24 ID:???
どこぞのニート同様周りに支えてくれる人間が沢山居てぬくぬくと生きて来た馬鹿妹には
天涯孤独の身であったシンの苦労など一マイクロ分からんと思う。
254通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 21:17:51 ID:???
>>戦争が終わってから、キラ君が悩んで苦しみ続けてきたって。
どこまで甘ちゃんなんだか・・・。ふざけるなと一喝してやりたいな。
記憶が薄いからかつての自分のことは他人事同然なのか。
それとも甘々アースラの影響でも受けたのか、子供だからあっさり洗脳されていそうだ。
思考誘導されずに自ずからこう思うのは、仏様か宗教家ぐらいだ。

キラも二年も引きこもりニートやってるくらいなら少しは建設的なことをしてろよ。
少なくとも君は悪くないんだよー
憎んでないから安心していいよー
なんてナデナデしてやる気にはならないな。

甘すぎる。ある意味原作どおりだ。嫁のシナリオの再来を見た。
255通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 21:51:12 ID:???
>まじかるしん
更新乙!
異世界に行く、というクロスの定番も好きだけど、
こういう二つの異なる作品の世界観を上手く融合させている話はものすごく興味をそそられる
続きはしばらく先との事だけど、D’sも楽しみにしてるので、そちらと4月からのストライカーズを見つつ、気長に続きを待ってます
256魔法戦士リリカルSEED:2007/03/18(日) 22:00:46 ID:???
間に入ってすみません(u_u)
寝る前に投稿します。
257魔法戦士リリカルSEED:2007/03/18(日) 22:15:03 ID:???
高時空間内『時の庭園』
その一室の広間にて、座席に一人の女性が座っていた。
彼女の名はプレシア・テスタロッサ。
かつてはかなり高名の魔導師だった女性だ。
「ん?」
突如として感じられる不思議な魔力に、その波長が一致しそうな場所を見る。
すると、広間の中心に光の粒子が集まっていく。
「これは?」
これまで見たことがない光景だが、光はどうやら人の姿を象っていった。
光が弱まり、中にいる人の姿が薄っすらと見えるようになり、プレシアは立ち上がって、その光の中の少年に近づいていく。
プレシアの見つめる中、少年を覆っていた光は消え、その少年の中から、更に小さな少年が現れる。
大きい少年が光となって消えると、残ったのは小さな少年だった。
「おもしろい現象ね。あら?」
少年の現象に興味を抱いたプレシアだが、またおもしろい物を見つけた。
少年の前に落ちている物を拾い上げる。
「変わったタイプね・・・まあいいわ」
プレシアが指を鳴らすと、術式が展開されて、魔法陣から一体の傀儡兵が現れる。
傀儡兵は少年の片腕を掴み上げると、引き摺るようにして連れて行った。
「この拾物は使えるかしらね」
美しい顔立ちなのだが、その笑みは狂気に満ち

258魔法戦士リリカルSEED:2007/03/18(日) 22:37:16 ID:???
「・・・う・・・うん?」
キラは眼を覚ました。
見たことのない天井に、少し薄暗い部屋。
「ここは?・・・僕は・・・」
確かプロヴィデンスと戦い、その決着をつけた。
そして、爆発に巻き込まれて、そこからの記憶がない。
おそらく友軍に救助させ、こうしてベッドに寝せてもらったのだろう。
だが、この部屋はまるで時代の違いを思わせるような部屋だ。
キラは身体を起こしてベッドから降り、立ち上がると、1つの大きな鏡が目に入った。

「あれ?」
鏡に映し出されたその姿は、自分の姿に間違いはないのだろうが、かなり幼くなっている。
まるで月で親友のアスランと過ごしていた時の頃の容姿になっていた。
「どうして・・・」
「あら、目覚めたようね」
キラが振り返ると、そこには一人の女性がいた。
「私はプレシア。あなたの名前は?」
「キラ・・・キラ・ヤマトです」
綺麗な人だが、どこか陰が見えるような気がした。
しかし、命の恩人だろう人物なので、取り合えずは名乗った。
「あなたが僕を助けてくれたんですか?」
「ちょっと違うけど、そうなるわね」
「ありがとうございます」
「いいのよ。それより、これがなんだか分かる?」
259魔法戦士リリカルSEED:2007/03/18(日) 22:42:56 ID:???
プレシアは拾っておいた物をキラの前に差し出して見せた。
キラはそれを見るが、こんなものを持っていた覚えはない。
「いえ・・・なにかのアクセサリーですか?」
「本当に知らないのね?」
「はい・・・」
形だけ見ると、それは自分の剣だったフリーダムの翼に似ていた。
「あなた魔法は使えるのかしら?」
「魔法?使えるわけありませんよ。マンガやアニメじゃないんですから・・・」
そう言ったところで、プレシアは術式を展開して、雷の矢を撃って見せた。
それはキラの後ろにある壷に命中して破壊した。
「これが魔法よ。あなたもそのデバイスがあれば使えるはずよ」
「デバイスって・・・これがですか?」
「そうよ。あなたには資質がある」
あっさりと肯定するプレシア。
どう見てもこれで魔法が使えるとは思えない。
「一度やったほうが早いわな。それを持って、意識を集中してその名前を呼びなさい。そして、最後にセットアップと」
キラは言われたとおりにデバイスを手に取って意識を集中するが、そこで1つのことに気づいた。
「あの・・・これの名前ってなんて言うんですか?」
260通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 22:43:25 ID:???
>>254
とりあえずオマイがまともに話を読んでないのはよく分かったから、(・∀・)━カエレ!!!!!
261通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 22:47:50 ID:???
>>253
周りに支えてくれる人間が居たこと自体は馬鹿妹の罪じゃないだろ
まあ、シンもたいがいなお馬鹿・・・・・・っていうかぁ「馬鹿兄妹?」
262魔法戦士リリカルSEED:2007/03/18(日) 22:49:51 ID:???
「それはあなたにしか分からないわ。あなたの力となる名前があるでしょう?」
確かにこのデバイスの形を見て、思い浮かぶ名前はある。
「わかりました。もう一度やってみます」
キラはもう一度握り締めて目を閉じると、自分と共に戦ってくれた自由の剣の姿を思い浮かべる。
「・・・フリーダム、セットアップ!」
『stand by ready. set up.』
フリーダムが光輝き、キラの全身から溢れんばかりの魔力が発せられる。
その魔力は蒼い光を放ち、部屋全体を照らしている。
「あ、ああ・・・」
「驚いたわね。魔法を知らなかった初心者の魔力とは思えないわ」
驚きと戸惑いで思考が停止しているキラを見て、プレシアは妖艶な笑みを浮かべる。
「使える拾物をしたわ」
「あの!これってどうしたらいいんですか!?」
「落ち着いてイメージしなさい。あなたの力を制御する為の道具を、身を護る為の衣服の姿を」
「い、いきなり言われても・・・えっと・・・フリーダムは・・・」
イメージするのはMSとしてのフリーダムの姿だが、それを衣服にしたり道具にするだけの感受性はキラにはない。
263魔法戦士リリカルSEED:2007/03/18(日) 22:57:35 ID:???
とりあえずフリーダムの姿を元にイメージするしかなかった。
「えっと、これでいいのかな?」
そんなこんなでイメージが纏まった。
キラの着ている衣類が弾けて、蒼い大気に包まれてその服装が変化した。
全体的に白を主張とした西洋の貴族服や騎士服みたいな感じの服装だが、胸部には黒い装飾が施されており、デバイスが銃の姿になり、それを掴むと背中に蒼い4枚の翼が生まれた。
「成功みたいね」
「え?こ、これって・・・」
フリーダムをイメージしたからだろうか、どことなく似ている服装になったが、胸部は流石に真っ黒ではなく、装飾程度に収まっていた。
手に持っている銃も、フリーダムが持っていたライフルと同じものだ。
「それじゃ、さっそくあなたの力を見せてもらいましょうか」
「えっと・・・あの・・・」
「自分で確かめるほうが早いわ。相手は適当に用意してあげる」
有無も言わさずに、プレシアはキラに来るように言い、キラはそれについて行くしかなかった。
264魔法戦士リリカルSEED:2007/03/18(日) 23:06:53 ID:???
取り合えずこんな感じで1話は終了です。
携帯からだからでしょうか、最初の文字が最後まで入りませんでした。
これって書き換えとかってできるんですかね?
題名も「出会い」よりも「魔法との」とか付けたほうがいい気がしました。
少しは読書をする時間を増やしたんですが、読むと書くじゃ全然違いますね。
まともに書いている人達が凄いです。

キラはそれなりに弄ってバランスを崩さないようにしたいと思います。
またアドバイス貰えると嬉しいです。(^O^)
長いあとがきになってしまいましたが、皆さんおやすみなさいZZzz...
265通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 23:29:03 ID:???
>>252
胸もみ、ぶっかけときたら次は覗き(不可抗力)だな
266通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 23:38:14 ID:???
>>254
まともに読んでないだろ?

マユが悟りすぎなのには同意だが。
267通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 23:42:50 ID:???
ここは経験もないくせに他人の心をわかったような気になってる人が多いスレでつね
268通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 23:51:30 ID:???
同人SS痛みたいな奴じゃないの?スルー汁
269通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 23:53:15 ID:???
>>265

覗きというより着替え中にドアオープンだと思う。あっこれも覗きかorz
270通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 23:57:48 ID:???
まあアレだろ
あとでデュナメイスでの事件を聞いたレイか整備士組み辺りがフォローしてくれるさ

シンとマユじゃああのあとの境遇とかが大分違うわけだし……
271通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 00:04:43 ID:???
>>265
残りがフェイトだからなあ
ココは変化球でフェイト自身にではなく、キャロを相手になんかやって泣かせてしまう、とか
272通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 00:26:52 ID:???
魔法戦士リリカルSEEDさんGJ!
つーか、おまいら、職人さんが降臨したら場を弁えろよ...
273通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 01:01:30 ID:???
>>271
逆にフェイトのほうが後に引かないような気がする

その場の反応は激烈かも試練が
274魔導機神ガンダムSEED ◆0NNKUcIB6. :2007/03/19(月) 02:06:03 ID:???
 ACT01 01

 炎が爆ぜる音に混じり、泣き声が聞こえてくる。
 少年、シン・アスカは、その悲痛な叫びが聞こえてくる方へと歩き出す。
 シンは燃える炎の熱さも漂う血生臭さすら感じずにいることに気付く。
(ああ、あの時の……そうか、夢か)
 記憶に刻まれた一つの光景。
 決して忘れられない赤い世界を歩くシンは、一人の男の子を見つける。
 ピンク色の可愛い携帯電話を握り締めながら慟哭するのは、幼い時のシンだ。
 シンは、あの頃から随分遠くまで歩いてきた自覚があった。
 想いを貫き通す力。シンは努力の末にそれを手に入れ、平和を実現しようとしていた。
 零れ落ちたものは多く、それでも走り続けてきた。
 その果てに、シンは今の自分を構成したであろうあの時に戻ってきたことに、ただ空しさを感じた。
(結局、これかよ)
 平和を実現するための手段は、世界によって否定された。
 かつてシンの世界を壊した敵は、最後にまたシンの運命を破壊したのだ。
「もう、泣くなよ」
 シンは未だに泣き続ける昔の自分の肩を叩く。
 だが、その肩に触れると、泣き続けていたシンはまるで砂のように崩れていった。
 消える最後に見せたのは、怒りに染まった眼差し。
(俺には無理なんだよ)
 あの眼が語りたい事は分かっている。
(……それでも、諦めるしかないじゃないか)
『まだ、諦める必要はないだろう?』
 不意に聞こえた一つの声。
「誰だ!?」
 シンは記憶に無い声の主を探して辺りを見渡すが、見えるのは炎と薙ぎ倒された木々だけだ。
『我が主よ。戦うのも諦めるのも選ぶのは主だ』
 意味深なその内容に、シンは声を荒げて聞き返す。
「どういうことだ!お前は一体何なんだ!」
『我が主よ、しかしこれだけは言わせて貰おう。今度こそ、我に負けるつもりは無い』
 その力強い声が、シンの心の中に小さな火を灯す。
「く、俺は……」
 言いかけて、シンは気付く。
(……夢が終わるのか)
 崩れていく世界を見ながら、シンは現実へと帰っていく。
 世界が壊れる最後の瞬間、シンは一つの声を聞いた。
『急げ、主よ。時間はもう残されていないぞ』
275魔導機神ガンダムSEED ◆0NNKUcIB6. :2007/03/19(月) 02:07:46 ID:???
えへへ、これだけ。
まずは謝罪を。嘘ついて申し訳ない。
思いつきで構成を大幅に変えてしまいました。今書き直してる。
次回はもう少し長めの投稿をします。
276通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 11:56:47 ID:???
>>266
まあ、俺も同意
マユが年齢度外視してるくらい達観してると思う
自分の右腕と自分の親の命を奪ったやつを許せるなんて俺らから言わせれば、常軌を逸してるわな
ニュース見れば、そんなのすぐ分かるだろ
277通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 12:06:12 ID:???
そうかな?
確かに恨む気持ちはあるだろうがキラ個人を恨んでも仕方ないとも思う
むしろザフト入ったシンに方が俺には理解できん
278通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 12:28:32 ID:???
精神年齢が異常に高くて達観してるのがなのはワールド。
マユは成長期の2年をそんな世界で過ごしたわけだしな。
キラを憎む自分を認めた上で、問題を受けとめようとしてるみたいだし。
279通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 12:43:26 ID:???
マユ「お兄ちゃん、キラ君を殺すとか甘いよ♪」 シン「マユ…どういう事だ?」
マユ「キラ君には生きて…生きながらパパとママと、私の右腕を奪った事を一生後悔して…苦しんで生きてもらうんだから♪」
280通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 13:18:24 ID:???
キラも別に憎くて殺したわけじゃないしな。
281通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 13:33:36 ID:???
種の世界なら珍しくないんでない?
ルナマリアだって妹を殺した(ことになっていた)シンと簡単に恋愛関係になったし。
282通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 13:43:53 ID:???
おまいら引きずりすぎ
他の職人さんの作品にも触れとくれ
283通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 13:48:19 ID:???
>>274
乙〜

まだ本編入ってないようだから
wktkして待ってますぜ
284通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 16:50:22 ID:???
ガンダムWと種のクロスのジェノサイダーマユ見てきた後だからすごく和む…
285通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 17:39:56 ID:???
あれはあれで良いと思うが。
話が進むと萌え成分も開花するしな。


それにしても、続々と新作が生まれてきて何よりだ。
頑張って続けていってくれるのを期待してる。

クロスWikiの中で、作品数も多いが、打ち切り(ほぼ決定)作品も多いのが、菜種だからなぁ。
半年以上も更新されていない作品は、ひとまとめにしたいぐらいだよ。
286通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 21:44:37 ID:???
個人的にはアスランSEEDが気になってるけど…。
投下ないもんなぁ〜…。
287通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 21:48:39 ID:???
黒い波動氏、まだ忙しいのだろうか・・・
288通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 22:09:13 ID:???
冷静に読み返してもマユが理解出来ない俺参上。
マユにキラが何か吹き込んだと思っても仕方なくないか?
そこで咄嗟とは言え張り手は酷いよシスター。
289通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 22:20:03 ID:???
打ち切っちゃった職人さんも居るからなあ
290通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 22:37:11 ID:???
つ【殺されたから殺して、殺したから殺されて、それで最後は本当に平和になるのかよ】
憎しみの連鎖を断ち切るってのは、種のテーマの一つではあるからな。

マユも真実を知るまでは、キラを「優しいお兄ちゃん」としてそれなりに慕っていたわけだし、
気持ちの整理が完全につく前にこういうことが起こって、
とりあえず一方的にやられてるほうに味方したとか…
291通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 23:27:15 ID:???
やはり環境の差だろう。
暖かく優しい世界で癒された妹と、癒される事なく牙を研ぎ続けた兄との。

つかキラがもっと慄然とした対応してれば
292 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/19(月) 23:41:24 ID:???
帰宅してスレを開き、びっくりしている作者です。
住人様方から賛否両論を頂いて、幸せを噛み締めています。

とりあえず、10分後に続きを投下予定。
293 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/19(月) 23:54:44 ID:???
 シンはミネルバの甲板の上でデッキブラシを手にしていた。
 戦闘終了後に彼が起こした行動に対する処罰は、反省文の提出と一週間の甲板掃除といったものだけだったのである。
 デュナメイス側が着艦許可を出していた事。騒動の場に居合わせたアスランからの事情説明と弁護による情状酌量。『今回の事は、個人間の私情事である』といったキラの弁。
 それらによって、シンが犯した罪は、ミネルバからの帰還命令を無視した事による命令違反のみといった扱いとなった為だった。


 甲板の床を磨くシンの頭の中は、ぐるぐると渦巻いていた。
 思わぬ場面で家族の仇である男を見つけたと思ったら、死んだはずの妹の登場。妹と再会を喜び合っていたはずが、気づけば言い合いとなってしまい、その妹にひっぱたかれていた。
 妹からの強い拒絶を受けたと感じた彼は、とっさにその場から逃れてしまった。
 時間が経ち、幾分か落ち着きを取り戻したシンは、自分なりに考えてみる。
 マユにも問われた事──自分はどうしたいのか?
 両親の仇であるキラ・ヤマト。彼の事は殺してやりたいほど憎い。だが、だったら実際に彼を殺すのかというと、それは違うと思える。
 事実、憎しみのまま殴りはしても、腰のホルスターに納まっていた銃を使う事はしなかった。
 しかし、だからといって、彼を許せるという事にはならない。
 その点はマユも『許せない、一生恨んでいくと思う』と言っていた。
 それなのに、『相手も苦しんでいるのだから、ただ恨み続ける事はできない』と言う。
(……なんか、矛盾してないか?)
 やはり、シンにはマユの言っている事が分からなかった。


 背後の扉が開いた音を聞いて、シンは後ろを振り返る。やって来たのは、アスランだ。
 正直、シンは彼の事が気に食わなかった。
 オーブのアスハの傍にいたような奴が、いきなりザフトに戻ってきて、挙げ句に自分の上官となって命令してくる。
 先程、艦長の前でも、まるで人の気持ちが分かってるかのような口振りだった。
 弁護してくれた事に感謝の念が全くないわけではないが、反発心の方を強く抱いてしまう。
 エリート高官の息子として生まれ、何の不自由もする事なく、好き勝手に生きてきたような奴に、いったい何が分かるというのか──と。


「……こんな所にいたのか」
 苦笑にも似た表情を浮かべながら、そんな事を言ってくるアスランに、シンはむっとする。自分だって、好きでここにいるわけじゃない。
「罰なんだから仕方ないでしょう。貴方こそいいんですか? いろいろ忙しいんでしょ、フェイスは。こんなところでサボっていて、よろしいんでありますか?」
 アスランの表情に、若干の呆れが混ざる。
「……本当に突っ掛かるような言い方しか出来ない奴だな、君は」
「何なんです? またお説教ですか?」
「妹さんから伝言だ。『叩いたりして、ごめんなさい』と謝っていたよ」
 アスランは近くの柵まで歩くと、そこへ両肘を置いた。
「強いんだな、君の妹は。俺は、あの子みたいに考えられるようになるまで、随分とかかったんだがな」
「えっ?」
 シンは、やや驚く──ならば、彼にはマユの考えが理解できるというのだろうか?
294 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/19(月) 23:56:13 ID:???

「俺がストライクを討った話は知っているんだったな?」
「知ってますけど……それが? 伝説のエース様は、武勇伝でも聞いてもらいたいんですか?」
「そんなものじゃないさ、あれは──」
 互いに憎しみ合った狂気の成れの果ての結果。
「撃ち合う事の本当の意味も分かっていなかった、ただの馬鹿の話だ」
 シンにとっては意外だった。勲章ものの活躍だったというのに、どうやらアスラン本人にとっては恥ずべきものらしい。
「二年前、俺は戦場で幼馴染みと再会した。俺はザフトで、そいつは地球軍側のストライクに乗っていた」
「──!? ちょ、ちょっと待ってくださいよ。それじゃあ……」
 アスランは友人と殺し合った事になる。アスランの方も頷く事で肯定していた。
「そいつもコーディネイターだったんだ。俺は何度も何度もそいつを説得して……だけど、そいつは『守りたい人達がいる』と言って地球軍側に残り続けた。だけど──」
 当時を思い返しながら喋っている所為か、アスランの語調が悲痛さを増していく。
「だけど、俺にだって譲れないものがあった。血のバレンタインで、俺は母親を亡くして……こんな思いをするのは自分達だけで沢山だと思って──そうやって、プラントを守る為に戦っていたんだから」
 アスランが振り返り、シンと眼が合う。アスランの瞳は何ともいえない複雑な感情を湛えていた。
「君も似たようなものじゃないのか? 自分の非力さが悔しくて、力が欲しいと、そう思ったんだろ?」
 シンは黙ったままだったが、アスランの言っている事は、まさにその通りだった。だからこそ、シンは力を求めてザフトに入ったのだから。
 そして、自分の事を見透かされた事以上にシンが驚いていたのは、アスランが語った彼自身の境遇についてである。
 挫折など知らないエリートだと思っていた彼が、自分と似た想いをした事があったなどとは、考えもしなかった。
「すまない、話が逸れたな。俺は目の前で、アカデミー時代からの友人をそいつ殺された」
「もしかして、ブリッツに乗っていたっていう……?」
 シンも軍事歴史の授業で聞いた事があった。たしか、ニコル・アマルフィといった名前だったはずだ。
「ああそうだ。俺はニコルを殺したそいつの事を憎んだ。そいつを殺す為に、出撃して──俺たちの戦闘に割って入ってきた戦闘機に乗っていたそいつの友人を今度は俺が殺した」
 アスランは再び視線を海の方へと向ける。
「そして、俺たちは互いに憎しみ合って、殺し合って……結末は君達も知る通りだ」
 そう、シンも知っている。激戦の果てに、イージスはストライクに組みつき──自爆した。
「自爆の直前に脱出した俺は、気づいたらオーブに保護されていた。そこである人に言われたよ。『殺されたから殺して、殺したから殺されて……それで本当に最後は平和になるのか』ってな」
 アスランの顔が自嘲に染まる。
「なる筈がない……俺は身を持って、その事を思い知らされたよ」


 アスランが言いたい事は、何となくではあるがシンにも分かった。だが、それを受け入れられそうにはなかった。
「でも……だからって、俺にも納得しろって言うんですか!? 親を殺されて、人生を変えられて……それでも、あいつを恨むなって、貴方はそう言うんですか!?」
「そうは言わないさ。君がそんなに簡単に割り切れるようなら、それこそ俺は君の事を見損なうよ」
「な……何なんですか、それは!? 貴方の言ってる事、無茶苦茶じゃないですか!?」
 やはり理解できない。理解できる筈もない。シンは、答えを示してくれるかもしれないといった期待を裏切られた気分だった。
「そうだな。でもそれが、戦争っていうものなんだと、俺は思う」
 アスランはシンの方へ向き直り、彼と視線を交錯させる。
295 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/19(月) 23:57:50 ID:???
「俺が言っておきたいのは、キラも殺したくて君の両親を撃ったわけじゃないって事と、君の妹――」
「えっ?」
 急にマユの事を出されて、シンは反発心を削がれる。
「――たぶん、あの子はあの子で、様々な葛藤と戦ってる。気丈に振舞ってはいても、きっと心は、ぼろぼろだ。君は君で大変だろうが、君が支えてやるんだ。せっかく生きていてくれた、たった一人の肉親なんだろ?」
 アスランに言われて初めて気づく。自分はマユの事を気にかける余裕すらなかった――涙を浮かべる妹を置いて、逃げ帰ってきてしまったのだ。
「マハムール基地に着いたら、時間を取れるようにしておいてやる……一度ゆっくり話すといい」
「……はい。その……ありがとうございます」
 礼を述べた後、頭を上げると、アスランが面を食らったような顔をしていた。
「――? どうしたんですか?」
「い、いや。君に素直に礼を言われるとは、思ってもいなかったから……」
 シンにしてみれば心外だった。
「なっ……俺だって感謝ぐらいしますよ!」
「すまない……悪かったよ」
 だが、アスランの顔は明らかに笑っている。
 しかし、シンはその事に対して苛立ちはしなかった。それは、彼の中でのアスラン・ザラのイメージが変わりつつあったからなのだが、本人にもその自覚はなかった。

=========================

 マユとバルトフェルドは、食堂のテーブルの一つに向かい合って座っていた。
「すまなかったな。まさか、そんな事になるとは思わなかったからな……」
「そんな……バルトフェルドさんのせいじゃないんですから、気にしないでください」
 頭を下げるバルトフェルドに、マユは恐縮してしまう。
「しかし……君は大丈夫なのか?……その、なんだ……」
 彼が言い淀んでいるのは、キラとの件なのだろう。
「全然平気です!……とは、言えないですけどね」
 マユは笑おうとしたが、苦笑いになってしまった。そして、嘆息を漏らす。
「私って酷いですよね……」
「どうして、そんなふうに思うんだ?」
「あれから二年間、兄も色々と大変だったはずなのに……兄の気持ちも考えないで、あんな事を……」
 バルトフェルドも、事の顛末はアスランから聞いていた。
「もしかして、平手打ちの事を言ってるのか?」
「……そうですね。それが一番酷かったかも……でも、嫌だと思ったんです。あんなに取り乱した兄の姿を見るのは」
「まあ、無理もなかろう。予期せぬところで、家族の仇に行き着いてしまってはな」
「ですよね。でも、私にとっては頼れる兄でしたから……二年も離れ離れになってた間に、美化しちゃってる部分もあるんでしょうけど」
 マユはテーブルの上に置いてあったコーヒーカップに手を伸ばした。バルトフェルドが淹れてくれた彼特製のコーヒーは、マユには少し苦かった。
「それにキラ君だって、そこに私達が居ただなんて知らなくて……知らずに撃ってしまって……だから、キラ君も被害者なんじゃないかなって思うんです」
「君達にとって加害者であるキラも戦争の被害者ってわけか」
 マユの年齢にそぐわないものの考え方に対して、バルトフェルドは内心で感嘆していた。
「こんな綺麗事を言ってても……正直、私もキラ君の事が憎いです。両親が死んだ直接の原因があの人なんだって思うと、どうしても許せないです」
 マユは僅かばかりの嘲りを顔に浮かべている。
「だけど――だからって、キラ君の事をただ責めるのは、何か違うって思ってる自分もいて…………なんていうか、その……」
 思考が上手く纏まらない。自分の心が自分のものではないかのように錯覚してしまう程、マユは自身の感情を持て余していた。
296 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/19(月) 23:59:10 ID:???

「そのぐらいで止めておけ」
「えっ?」
 突然、バルトフェルドに制止の声を掛けられて、マユは戸惑う。
「結論を急ぐ事も、無理に納得するような事もしない方がいい。そんな事をしても、結局いつかは皺寄せがくる」
「バルトフェルドさん……」
「こんなめぐり合わせの中で、それでも相手の事を理解しようと努める事ができる君になら、自ずと答えに辿り着ける。君なりの答えにな」
「そうでしょうか?」
「ああ。きっとな」
「……そうですね」
 一気に難しい事を考えるのは止めにしようと、マユは思った。我侭にならない程度に、自分の気持ちに素直に行動してみようと。
(まずは、ちゃんとお兄ちゃんと仲直りしよう。聞きたい事や話したい事だって、いっぱいあるんだから)
297 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/19(月) 23:59:42 ID:???
投下終了です。

今回の分で、下書き段階までは書き留めていた分を放出しきってしまいました。
次回投下までは長くなるかもしれません。

ではではノシ
298通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 00:04:01 ID:???
悩め悩め若人よ、それが君達の特権だ

と言うわけでGJ
マユが完璧超人でなく安心したかな
299通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 00:24:47 ID:???
アンディーも最愛の人をキラに殺された1人なんだよな
300通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 00:30:31 ID:t1gF6Y/7
一応釈明しているようだが、やはり納得できない
妹(アースラ連中も)は受け入れようとしているのでなく、死者を切り捨てているだけだ

本当に死者を愛しているなら、他の何かで埋めることなど出来はしない
復讐には強い意志と覚悟が必要だが、連中は、それを重荷しか思えない
だから、『許す』という名目で死者を切り捨てる、記憶と時間の彼方に沈めてしまう

妹の葛藤は、仇を許すことにではなく、『家族』を捨てようとしていることに
無意識が反発しているとしか思えない

そもそも、妹のやっていることは、危険運転で家族を殺された奴が
「しかたないよ、わざとじゃないんだし」とほざいているのとなんら変らない

301通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 00:39:15 ID:???
アンディの言葉に重みを感じてしまった。
302通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 00:42:02 ID:???
ネタじゃなくマジな話、俺は一昨年の羽越線脱線事故の被害者
竜巻のような突風が原因と言われてるけど、未だに正確な原因はわかっていない
某新聞だと「風の息吹を〜」なんて2chでのネタにもなったような事を言ってたが、
確かに運転士が徐行してれば防げたかもしれない
しかし彼は職務に従って運転していただけだし、自身の判断で本来の制限速度より
20km/hも落として走ってた
だから俺は彼を恨むことはしない

職務(キラの場合は「仕事」ではないが)での行為と危険運転を一緒にするのはおかしい
303300:2007/03/20(火) 00:45:26 ID:t1gF6Y/7
300の続き(エラーが出たため)

シン達が戦闘エリアにいたのなら、流れ弾が中ったことは不可抗力だ
しかし、避難船に向かう途中であり、本来なら非戦闘エリアとして、自由は其処で戦わない義務があった
にも関わらず、その名の通り、好き勝手絶頂に戦場を拡大し、民間人を撃ち殺した

キラ・ヤマトの行為の、一体何処に弁護ないし同情する余地がある
しかも、戦後、軍法会議など一切の処罰も受けていない

奴を許せるなんていうのは、『人間』とは認められない
304通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 00:48:25 ID:???
何処で「戦闘エリア」と「それ以外」を区別すんだよ
上陸作戦に対する防衛戦だぞ?
305通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 00:48:33 ID:???
>>300
お前の意見に同意できないが
その辺もこれから職人さんが書いていってくれるだろうから、そこら辺に期待すれ
306通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 00:48:38 ID:???
>>302
だな。
一兵士は軍の命令に従わなければならず、危険運転は「一歩間違えば人が死ぬ」のを本人が分かっていてやる。
この差は大きいよ。
307通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 00:52:51 ID:???
>>300
どこぞのエゾオオカミが転生した神様な獣医師が言ってましたねぇ。
『憎むのではなく、赦すのです。例え憎い親の敵が手術台に上がったと
しても、私は全力を尽くして助けます。そう決めたんです』ってね。
アンディたちの心境はこれじゃないか?
308通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 00:57:59 ID:???
>>302
オマイが生きていて本当に良かったよ
309300:2007/03/20(火) 01:06:22 ID:t1gF6Y/7
災厄がシン達の所にきたのではなく、自由が引き連れて、あちこち飛び回った挙句
巻き込んでいる
本編において、あのシーンにダガーもM1もいないことが、主戦場でなかったこと
を表している

そもそも、当時の奴は兵士ではなく、脱走兵がゲリラをやっているという扱いでしか
なかったし、AAも正規の指揮系統に入ってなかった
あえていうならアスハの私兵に過ぎず、一般軍人と同じく免責するのは無理がある
310通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 01:18:04 ID:???
>>300
>避難船に向かう途中であり、本来なら非戦闘エリアとして、自由は其処で戦わない義務があった

その設定ってどこに載ってるの?

それとSSスレで本編を丸々軸にされてもな
そうやって追求しだしたら本編なんか無かったことになってるじゃん
311通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 01:18:05 ID:???
さっきから痛い奴が粘着してる件について
あと何故上げる?もしや、こういう奴の事を同人SS痛というのだろうか
ネタにマジレス、カコワルイ
312通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 01:18:36 ID:???
ちょっと待て、おまいら
趣旨が変わってきているぞ。
そもそも妹がキラを許すことの是非が主題だった筈だ。
キラの行動の是非じゃないぞ
313通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 01:31:38 ID:???
俺はアスランがシンを導いていけるのかが気になってる。
314通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 01:32:42 ID:???
あちこち飛び回るのは仕方ないんじゃない?
三対一だったし…、ジャスティスが登場しなかったら、負けるってとこまで追い詰められてたじゃん?

マユが「携帯!!」
なんて言ってだだこねなきゃ生きてたんじゃないの?(爆発だったし…その可能性は低いかも)
と言ってみる。
315通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 01:32:45 ID:???
>>297
乙!! 次も期待してるよー。

>>その他
妹はキラ許してないぞ。ちゃんと読め。
316通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 01:40:03 ID:???
>>314
逆じゃなかったか?
マユ携帯落とす→シンとりにいく→家族の近くでどかん
だし、少なくともシンが助かったのはある意味マユのおかげだとオモ。
まぁ、そのままつっぱしってりゃ全員無事だったかもしれんが。
317通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 01:46:44 ID:???
やっぱり妹の言ってることもアスランの言ってることもハァ?としか思えないな。
第一アスランとシンじゃ立場が違うしな、当時シンたちは守られるべきただの民間人で
アスランや二コルはザフトの軍人で自分や仲間が戦死することも覚悟してたはずだろうし。
318通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 01:48:31 ID:???
>>317
しつこいよ。
319通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 01:54:49 ID:???
スレの趣旨から外れている件について
凸やマユよりも、ネタにマジレスの人の方が正直困ります・・・
320通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 01:56:43 ID:???
もう同人SS痛はスルーでいいよ
321通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 02:11:17 ID:???
>>306
キラは命令というよりほとんど成り行きで戦っていたような気がするが。
自由に乗ってからは完全に自分の意思(誘導されたにせよ)だし、もともと正規兵じゃないし。
まともに兵士として働いたのは地球降下直前〜ストライク撃墜までじゃないか。
322通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 02:19:44 ID:???
無印種の話はもういらないよ、さすがにスレ違いだろ
323通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 03:04:45 ID:???
もしクロノが
「僕の父は闇の書に殺されたんだ!」
って言ってヴォルケンズをリンチしようとしたら、どう思うよ?

シンは私怨に走りすぎでしょ、軍属なのに。
324通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 04:38:47 ID:???
シンとクロノじゃいろいろと違いすぎる。シンは14歳の思春期まっさかさりのときに
目の前で家族全員がばらばらに吹き飛ばされるのを目撃、クロノは物心つくかつかないかの
ときで父親のこともあまり覚えてないだろうし当時あまり実感なかったんじゃないか?
325通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 06:53:40 ID:???
ラクシズ四馬鹿をやたら持ち上げている辺り同人アニメと変わらんよ。
最終的に四馬鹿がすべての主導権を握って終わりそうだな。
シン?原作どおりにラクス教信者になるだろ。
326通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 07:17:09 ID:???
前作の主人公達が前作での経験を生かして続編の主人公を導く。
よくある続編物の王道パターンじゃないか。
それに、◆GmV9qCP9/g氏の作中だと開始の時点でキラ達も修正されてるみたいだし。
本編そのまんまのラクシズに綺麗事を言われたら不快だけどさ。
327通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 08:17:55 ID:???
>>300
ここはSSスレだ
ネタやキャラの感情について議論したいならスレ違いだ。
言いたい事がや気に入らない展開があるなら、自分が思った事、想像した事をSSにして投下すればいい

328通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 08:23:54 ID:???
昨日から粘着してる基地外が居る件について
どうも真性四馬鹿アンチの様だが、そっちの行為も本編での四馬鹿並だよ
まるで某スレに出没する軍ヲタみたいだな
329通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 08:54:28 ID:???
一連の話の流れを見ていて、ある漫画のこんな台詞を思いだしたw

「「死の代償は死」ではあまりにおそまつだ
被害者・加害者、両方死んで、収支は? ゼロじゃないか
それこそ被害者はなんのために死んだ?
死人を山のように築いたならば、なお!
自分たちが殺した人間の数だけ生き延びねばならない義務がある」

まあ、殺された当事者の側から見れば、理想論でしかないがw
330通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 08:58:08 ID:???
レス数見て、SS投下かと思いきや…(´Д`)イヤーン

この状況では職人諸氏が投下できんではないか……


(BGM:インパルス出撃)
何が正しくて何が間違っているのか、gdgdな流れに消費されるスレ。
それでもSS投下を信じる者達に光は訪れるのか…

【相互】種死リリカルなのはSS【乗り入れ】4
このgdgdな流れ、断ち切れ、フェイト!

ここからは蒼き正常なる流れで頼んます〜
それから、職人諸氏、SS投下を楽しみにしてます。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
331通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 09:00:38 ID:???
何にしても連合やオーブ首脳部を恨むのならともかく、キラ個人を恨むのは筋違いだよな
もちろん簡単に割り切れないからこそ、マユも「正直、私もキラ君の事が憎いです」と言ってるわけだけど
332通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 09:24:52 ID:E+7cr8p7
>>330
禿しく同意、あの同人痛はスルーでいいよ
333通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 09:26:07 ID:???
下げ忘れたスマソ
334通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 10:22:46 ID:???
ここにも汚い油が来たなぁ
335通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 12:42:08 ID:???
話の流れをスターライトブレイカーするが

今週のサンデーの某獣医漫画でなのはネタやった直後に運命ネタやってたが、関係者でここの住人いたりしないよな?

336通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 15:14:28 ID:???
種死はハヤテでも使われていたけど、なのはは初めて見たよ。
しかし、リョリョカルとは……。吹き出してしまったw
337通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 17:13:38 ID:???
>よくある続編物の王道パターンじゃないか。
ああ、どこかで見たパターンだと思ったら、
まんまサイバーフォーミュラZEROじゃないか。
ハヤト=キラ、シン=アンリ とみた。
ラクスorマユ=アスカだと思うけどどちらかな。
338通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 20:53:04 ID:???
329>
ダークウィスパーだっけ?

こよみとかいうロリっ子のせりふだったよな
339通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 01:08:27 ID:???
>>335
あんな駄作に出たところで何の感慨も沸かない
去年の糞漫画四天王の一角だぞ
まあ、スレチだが

>>331
そもそも、本編では自由のことはステラとハイネの件以外では恨んでないがな
340通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 03:43:34 ID:???
なんかあれだね。狂気に狂ったマユを見たいな。
書いちゃおうかなー。ブラコンを暴走させるマユ。
341通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 05:09:09 ID:???
新参者の俺が言うのも何だが、し〜どD's氏のSSに出てくるはやての喋り方が気になった。
俺も関西人なんだが、「〜けん」は言わない。
例えば「ほなけん、」も「ほな、」でいいと思う
「〜けん」は恐らくどこかの方言ではないかな?

SS自体はかなり良い作品だと思うけど、そこだけ気になったので…
342通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 07:29:09 ID:???
>>340
ガンダムWとのクロススレでマユが見事な?狂い咲きを見せているぞ
一度見てきたら?
343通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 07:53:51 ID:???
リアル高知県民の戯言だが「〜けん」は高知の方言。
広島辺りでも使ってた気がするけど。
344通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 08:06:13 ID:???
>>341
氏のはやて弁と誤字脱字の多さは、定期的に指摘する人が出てくるが、一向に改善される様子が見られない。
ここまでくると、作者自身のこだわりなのかと思ってしまうほどだ。
SS自体は面白いだけに、ひどく残念な部分だ。
345ガンダムし〜どD´s:2007/03/21(水) 11:19:20 ID:???
短編集見たいなのが出来たので投下。
346ガンダムし〜どD´s:2007/03/21(水) 11:21:55 ID:???
D´s短編(というかパロディ)1 入れ替わり(勃発編)

先に言っておくこと。
時間帯 レイが来る前なので、レイたちは勿論。調整中のリィンもいない。
あくまでパロディなので深く気にしないこと。

「え?ヴィータまだ起きてないん?」
はやては朝食の準備をしていて、シグナムはええ、と言い返す。
まだ寝ている理由はおそらく昨日夜遅くまでゲームをしていたからだろうか。
シンもシンでまだ寝ている。
まあ、シンの場合は夜遅くまでシグナムの稽古に付き合い、はやての宿題を教え、答えあわせで時間がかかったからだ、とシグナムは言っていた。
闇の書の呪いで学校をずっと休んでいたはやてにとって、自宅で勉強を教えてくれるシンは頼もしい存在だった。
ただ、社会と国語を除いてだが……
しょうがないなぁ、とすこしため息を吐くはやて。
「シャマル、ちょっとヴィータ起こすからお鍋みとってな」
シャマルはわかりました、といい、はやては台所を後にする。
階段を上ろうとしたときだった
「あ、シン、おはよう」
ヴィータより先にシンが目をさめて、階段を下りようとしていた。
「おはよう、宿題だいたいあってたぞ」
それを聞いて、よかった、と一息するはやて。
「ヴィータだったら、起こしてこようか?」
シンの言葉を聞いて、はやては少し考えたが……
「ええわ、ちょっとおしおきせなあかんし」
その理由葉を知っているシンはぷっと笑う。
そんなやり取りを死ながら二人はすれ違って、少し通り過ぎた時だった。
「あ……」
はやては階段から足を滑らせてしまう。
朝食を調理しているときに足がぬれていたからだろうか……
すぐ後ろにはシンもいる。やがて………
ゴツ!  ガタガタガタガタン!
と激しい音がする。
いったいどうしたんだ?と偶然廊下を歩いていたザフィーラは階段を見る。
「!主!!アスカ!!!」
主という言葉に反応したシグナムはすぐに階段に駆けつけ、ついさっき目を覚ましたヴィータもやってくる。
そこには、はやてとシンは気を失っていた。

「ん……」
やがてシンが目をさめて、シグナムはほっとする。
シンの部屋にはシグナムとザフィーラ、はやての部屋にはヴィータとシャマルがいる。
「気がついたか、アスカ」
だが、次の言葉に二人は耳を疑う。
347ガンダムし〜どD´s:2007/03/21(水) 11:23:36 ID:???
「ん?シグナム、どないしたん?」
………は?………
「あ、アスカいまなんて……」
シンは関西弁など話さないし、こういう時ジョークなんていわない性格だ。
「アスカって……うちははやてやけど……」
大丈夫か?という目でシグナムはシンを見る。
「どこか危ないところでも打ったのか?」
ザフィーラがそう思ったときだった。
「シグナム!はやてが!!はやてが!!」
ヴィータが泣きながらシグナムに泣きつく。
「落ち着けヴィータ。どうしたんだ」
そんなシグナムの声なんか聞こえないようにヴィータが続ける。
「はやてがおかしいんだよいろいろ!!」
ふと、ヴィータはシンを見る。
すると……
「ヴィータ、うちがどうかしたん?」
それを聞いて、まさか……とシグナムは思う。
その時……
「なんだよこれーーーーーー!!」
やけに男の子っぽい言葉で叫ぶはやての声が聞こえた。
試しにシグナムは……
「主、そこにある鏡を見てください……」
シンの筈なのに、主という言葉に反応してシンは鏡を見る。
……うん。確かにシンがいる。
手を振る。
勿論鏡にあるので当然鏡のシンもてをふる。
なのに………
「えーーーーーー!!」
シンは絶叫を上げた。
やっぱり、とシグナムは頭を抱える。
シンとはやて、二人の心が入れ替わったのであった。

奇妙な感覚だな、と二人は思う。
お互い視線の先には自分がいる。
鏡なんかじゃなくて本当にいるのだ。不思議に思うのも当然である。
「つまり、主が階段で足を滑らせて、主とアスカの頭がぶつかって、それで心がいれかわったと……」
シグナムが導き出した答えに二人は頷く。
そこで、シグナムはあることに気付く。
はやて(身体はシン)とシン(身体ははやて)がなにやらもじもじしている。
特にはやては顔も少し赤い
348ガンダムし〜どD´s:2007/03/21(水) 11:25:31 ID:???
「どうしたのだ二人とも?」
シグナムに聞かれて、はやては顔をいっそう赤らめる。
シンの身体なので正直なところ気持ち悪い。
「えっと……こ……こ」
こ?といったところで、シンが変わりに言う
「股関節の感じが……ちょっとな……」
本来お互いについていないものが自分の身体にある。
変な感じがするのは当然である。
だが、触るもの何かいやなのでこうやってもじもじしている。
「はぁ、まだ変わるのがザフィーラだったら救いようがあったけど……女の身体はちょっと……」
それを聞いて、はやてははっとする。
「シン……、目が覚めたとき、うちの…む…胸とか見た?」
はやてはそういってさらに顔を赤らめる(まあ10歳の子供だからしょうがないことだろう)
なにか、かなり嫌な自分を見ているようだった。
「み、見るわけないだろう…」
別に小学生の身体なんて全然興味はないが、言われると何か恥ずかしいものがある。
ふと、シャマルはシンに質問する。
「えっと、シン君。胸とか違和感ないの?」
さっき股関節は違和感あるといったのに、とシャマルは思った。
それを聞いて、シンはいや…と答える。
「別に…小さいからなにも」
小学生だから胸がないのは当然である。
だが、それを聞いてはやてはショックを受けた。
「嫌あぁぁぁーーーー!」
と、叫びながらシンを思いっきり殴る。
本来だったら10歳の女の子のパンチなんてそこまで威力はないが、今のはやては男性のコーディネーター、それも軍人の身体。
大してシンは今普通のナチュラルの女の子。
シンは、ナチュラルがコーディネーターを憎む理由がなんとなくわかったような気がしながら吹っ飛ぶ。
「うちって……そんなに魅力ない?」
はやては女座りで手を胸元に手を当ててシグナムを見る。
変わりにすぐに気がついたシンが先に謝る。
「いつつ……悪かった。俺が悪かったから俺の身体でそんなポーズをしないでくれ。気持ち悪い」
ヴィータなんか軽く引いている。
シンは、殴られた頬をさすりながら言う。
殴られた頬は赤くはれていた。
「それと、出来れば今殴ったのはお前の体ってことも理解して欲しい」
いわれて初めてはやては気付く。
真っ赤に頬がはれた自分を顔を見る。
349ガンダムし〜どD´s:2007/03/21(水) 11:26:29 ID:???
シンの顔を治療をし、まずはどうやったら元に戻るのか考えるが、自分達ではどうにもならなさそうだった。
だがその前に……
「服、着替えないといけませんね」
どこかへいくにしろ呼ぶにしろ、お互いがまだ寝巻きのままである。
だが、着替えるわけにも行かなかった。
特にシンは今はやての体。
別に、自分ははやてに裸を見られても何も感じないが、はやてはそういうわけにもいかない。
そう考えた結果、はやては下着さえ着替えなければ物は見えないので、そのまま着替えることは出来る。
流石にはやても男性の下着は恥ずかしくないらしい。
一方シンは……
「まさか、自分に服を着せることになるなんてな……」
そういってはやては服を取りだす。
見られるのは恥ずかしいため、シンにはアイマスクをしてもらっている。
目をつむってもらっているより確実で安心だからだ。
「俺も、この年になって服を着せてもらうなんてなぁ……」
情けない、と思いため息をつく。
顔も恥ずかしさで赤い。
「ほな、手を上げてもらおうか」
だが、そんな事を気にしないといった感じで着替えを済ませたはやて。
「なあはやて……」
着替えが終わり、シンははやてにたずねる。
「ズボンとかなかったのか?スースーするんだけど…」
そういってスカートを持ち、ひらひらと揺らす。
「まあ、コスプレと思ったら……」
それを聞いてため息をつく。
半分遊んでるだろう。そう思いながら。
着替えが終った後、どうやって元に戻るか考える一同。
だが、一向に案が浮かばない。
こういうときは……
「しゃあない。皆にも考えてもらおう」
そういってシャマルになのはたちに連絡してもらうのであった。
………続く(続くのか!?)
350ガンダムし〜どD´s:2007/03/21(水) 11:30:03 ID:???
はい、本音pン書いてる途中でねたを思い出したので短編集ということで登場。
この入れ替わりネタ、問題点が一つある。
ssでこのネタやるとわかりづらくなる。
ただ、多分続くと思うのであしからず。

>>441
おれ自身微妙に関西弁と地元の方言が混じってるからそのクセなのかなと自分でも思う。
改善はしてるつもりなんだけどな……いっぺん関西弁の勉強しようかな(それよりももういちどようつべで本編見たほうがはやそうだけど)
351通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 11:35:15 ID:???

し〜ど氏乙彼&GJ! 

脳内再生したら爆笑しまくりですw
あとはやての口調はサウンドステージを見るのも特にO1は日常会話が中心ですしね。
微妙に関西弁にしては丁寧ですしね。
352通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 11:57:29 ID:???
し〜ど氏乙。
関西圏住人として言わせてもらえば、
氏のはやて弁はどちらかといえば中四国の方言のちゃんぽん。
それに「つむって」とか本文にもローカル色が漂いはじめている。
「だが」を使いすぎ。句読点も少なすぎです。

どうでもいいけど
>>339
嘘吐き乙。形見の携帯持ってて、記憶リフレインされていてそれはない。
総集編しか見ていないのかな。
353通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 13:52:28 ID:???
>>331
オーブ攻めのそもそもの原因で当事者で実行犯だろ。
そんな奴に身内殺されて許す以前に同情できるか、普通。
感情を超越した悟りを開いているわけでも、人非人でもあるまいに。

キラがシンの身代わりになってあぼんするとかそう言う展開なら神なんだけどな。
まあ、この筋ならそうはなるまいな。
354通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 13:58:27 ID:???
>>353
連合の本当の目的はオーブのマストドライバーでAAと自由はついでですが?
355通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 14:29:51 ID:???
連合からオーブへの通達に、AAの単語は一切出てこない。
ただ、地球連合の再三の協力要請に応じないオーブに対し、ザフト支援国家と見なしての武力侵攻作戦って事になってるから。
たぶんオーブにAAや自由がいたことを、連合は把握してなかったんじゃないかな?
知ってたら、重要な情報を持って逃亡した脱走兵の引渡しを拒否するオーブとか何とか、もっとうまい言い分が作れたんじゃないか?
356通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 14:44:42 ID:???
自由に関しては
オーブ侵攻時に発見(謎の新機体)→パナマにて『核動力じゃね?』発言→宇宙でのAA討伐時に捕獲未遂
という流れだったはず
357通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 16:00:54 ID:???
>>356
嘘吐き乙。
自由がオーブにいたことが知られてるから凸は正義で介入したわけだが。
358通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 16:38:06 ID:???
>>353
嫌なら専ブラであぽ〜んするか、自分でそういうヘイトSS書いて投下すれば?
359通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 16:42:04 ID:???
ZAFTは奪取された自由を取り返そうと、ずっと追跡してたんじゃないか?
だから、自由奪還を命令されたアスランは知ってたんだろう?<オーブにいた事

アスランが知っている=連合が知っているは違うと思う。
360通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 18:49:18 ID:???
>>353-359
分かったから余所のスレでやれよ、腐女子が。
361通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 18:54:43 ID:???
お前はこのSSの中でマユがどんな時間を過ごしてきたのかを無視し過ぎている。
確かにシンの立場でキラに同情してるっていうならお人好しにも程があるってもんだが、シンとマユはあくまでも別人だ。
362通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 19:04:41 ID:???
春だねぇ…………。
もうさ、本当に痛いね………。

ベクトルが違うだけでラクシズマンセーと同レベルの痛さだとは気付かないんだろうな、永遠にさ…。


ここからは、蒼き正常なるヌルーでおながいします。↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
363通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 19:23:48 ID:???
ガンダムし〜どD´s氏、乙なの!
入れ替わってしまった2人の行方は!?
続き超キボン

はやて弁は難しいけどガンガレ!

>>361
あのマユは精神的になのはキャラ化してるしな。
364通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 19:36:47 ID:???
>>363
まあ、なのはキャラだしな…嘘みたいな子供だからね。Vのウッソより有り得ない
…まあ、流石に目の前でシンが殺されそうになっても何の反応も示さなかったら人でなしだがな
そんな展開にはならなさそうだが
365364:2007/03/21(水) 19:41:47 ID:???
すまん、上のは>>362の間違え
366通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 20:28:46 ID:???
し〜ど氏乙。
そりゃ社会と国語は教えられんでしょうなあ。
生きてきた社会体制が違うし、使う言語も違うだろうし。
ミーアの日記からすればプラントは英語みたいだしね。
367通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 20:38:42 ID:???
でもオーブの公用語は日本語みたいだし、シンなら日本語も喋れるんじゃないかな
368通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 21:25:19 ID:???
喋れるのと勉強ができるのとではまた違う気がするが。
シンがプラントに渡ったのって14歳ぐらいだっけ?
とりあえず若かった気がするから、勉強を教えられるほど日本語を理解してるとは思えない罠。

まあ、あんまり突き詰めて考えるのも野暮か。
369通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 22:01:14 ID:???
国語の教え方って算数や理科より難しいと思う。
370通常の名無しさんの3倍:2007/03/21(水) 23:30:57 ID:???
シンが国語で教えられるのは罵倒だけじゃない?
それだけなら天下一品だろ
371通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 01:15:27 ID:???
理解させるってんなら算数のが難しいんじゃない?
372通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 20:12:56 ID:???
>>370
空気を読め失せろ。
373 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/22(木) 20:59:16 ID:???
第20話、投下します
374 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/22(木) 20:59:27 ID:???
 マハムール基地に並んで入港した二隻の戦艦。直に顔を合わせる互いの艦長と副長。その四名を知る者として、間を取り持つのはアスラ

ンだった。
「こちらが――」
 アスランの促しに応えて、タリア達の方から名乗る。
「ミネルバ艦長、タリア・グラディスです」
「お、同じく! 副長のアーサー・トラインであります!」
 アーサーは、あからさまに固くなっていた。
(まあ、無理もないわね。私だって、少しは緊張しているもの)
「それで、こちらが――」
 タリア達と同様に、アスランに促されて、マリュー達も名乗った。
「デュナメイス艦長、マリュー・ラミアスです」
「副長のアンドリュー・バルトフェルドだ」
 アーサーが極度に緊張している原因は、このバルトフェルドの存在にあった。
 アンドリュー・バルトフェルド――『砂漠の虎』の異名をZAFTで知らぬ者はいなかった。指揮官としてもMS乗りとしても超一流で、

タルパティアでの戦闘でストライクと戦って敗れはしたものの、奇跡の生還を果たす。大戦末期に軍を脱走し、当時の最新鋭戦艦エターナ

ルの艦長となり、ラクス・クラインが率いる三隻同盟の主要人物として[編集] 第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦を戦い抜き、終戦へと導いた伝

説化された英雄とされていた。
 アカデミーの教本にまで載っているような人物を目の前にしているのだから、アーサーの緊張も無理はなかった。


「しかし、驚いたわ。もしかして、アークエンジェルの艦長も貴女だったのかしら?」
「ええ、お察しの通りよ……何だか騙すような形になってしまって、ごめんなさい」
「仕方なかったんでしょ? 色々と訳ありだったんでしょうし」
 タリアの探るような視線に、マリューは苦笑で答える。
「それに……このような形で貴方にお会いできるとは思っても見ませんでしたわ。バルトフェルド副長」
 あえて、現在の彼の職務上の立場を強調する。アーサーがあの様子では、相手に舐めて見られても仕方ないからだ。
 ジブラルタルまでの行動を共にするにあたって、相手と対等関係ならまだしも、格下に見られるつもりなど、タリアにはない。
 しかし、相手はそんなタリアの思惑に気づいていないのか――もしくは、気づかないふりをしているのか、その反応からは窺い知れなか

った。
「まあ、僕自身もこうやって表舞台に出てくる事になるとは思ってもいなかったさ。しかし、この世界の情勢は、僕のような者が隠居する

事を許してはくれんようだ」
「でも、私達としては貴方のような高名な方が一緒なのは心強いですわ」
 対抗心からか、つい皮肉った言い方になってしまっている自覚がタリアにはあったが、それでも構わないとも思っていた。
「それなら、ミネルバの方こそ大したものだろう? ZAFTの新たな英雄――勝利を呼ぶ女神と称されているのだから」
「いやぁ、そんな――」
 バルトフェルドの褒め言葉にのぼせ上がるアーサーを見て、タリアは頭を抱えたい心境になる。
375 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/22(木) 21:00:26 ID:???

 場に漂う微妙な空気に気づいたアスランが、話を別の方向に振った。
「我々はこのまま、この基地の司令に挨拶に行こうと思っています。そちらも宜しいでしょうか?」
「ええ、分かりました。私達も――」
「いや、僕は遠慮させてもらうよ。それよりも、グラディス艦長――」
 アスランに答えるマリューをバルトフェルドが遮った。彼には別の用があったからだ。
「何でしょうか?」
「そちらのシン・アスカと話をしたいんだが、彼を借りてもいいかな?」
「そのお話というのは?」
「何……ちょっとしたプライベートな話だ……おっと、別に何か良からぬ事を企んでいるわけじゃないから、安心してくれ」
 警戒するタリアに対して、バルトフェルドは陽気に振舞う。
「いえ、別にそういった意味では……分かりました。アーサー、シンに連絡を取って頂戴」
「分かりました」
 タリアは気負ってしまっている自分に気づいて自重した。必要以上に相手に反発心を抱いても仕方ない。
 彼女はバルトフェルドの願いを聞き入れ、アーサーに指示を出した。
「すまない、グラディス艦長」
「いえ」

 しばらくして戻ってきたアーサーに、シンとの待ち合わせ場所を教えてもらったバルトフェルドは、その場所へと向かう。
 その彼の背中を見送ったタリア達四人は、この基地の司令官であるラドルのもとに向かった。

=========================

 キラは私室のベッドの上で仰向けになっていた。
「つぅ……」
 シンに殴られた部分が痛むたびに、心に楔が打たれたような痛みが走る。顔の傷などよりもそちらの方がよほど苦しかった。
 シン・アスカ。そして、マユ・アスカ。二人には、自分を討つ理由が十分にある。だから、シンのように責められ、殴られるのなら構わな

い。好きなだけ罵倒し、殴りつけてくれればいい。
 だが、マユは違った。彼女の兄に責められていた自分を庇ってくれたのだ。かといって、自分の事は許せないとも言う。
 シンに対してもどう償えばいいのか分からなかったが、それ以上に――マユに対してどう接すればいいのか全く分からなかった。


 室内に呼び出し音が鳴る。
 キラは起き上がり、インターホンのモニターに映る人物を確認して驚く。
 部屋の入り口まで行き、ドアを開けると、廊下には食事を載せたトレーを持ったマユが立っていた。
「キラ君、ずっと食堂に来ないから持ってきたよ」
「あ……ありが……とう」
 キラはマユがいる食堂に行く事を避けていた。どんな顔をして会ったらいいのか分からなかったからだ。
 ぎこちなく礼を言いながらトレーを受け取るが、やはり相手の顔を見れずにいた。
 しかし――
376 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/22(木) 21:01:55 ID:???

 マユに両手で両頬を押さえられ、強制的に視線を合わせられる。
 ガーゼ越しとはいえ、押さえつけられた部分の傷が痛むが、キラにはそんな事を気にする余裕はない。
「お礼を言う時は、ちゃんと相手の眼を見て言う!」
「ご……ごめん。えと……ありがとう、マユちゃん」
「ん!」
 マユは満足し、キラの顔を押さえていた両手を離す。
「ねえ、キラ君。わたしの事、避けてるでしょ?」
「うっ……そんな事は──」
 図星だった。マユのいる食堂やその付近には近づかないようにしていた。
「嘘。キラ君……逃げたりなんかしないでよ」
「ごめん……だけど、僕は……君達にどうやって償えばいいのか…………分からないんだ」
 キラは再びマユから視線を逸らし俯いてしまう。
「あのね、キラ君…………わたしやお兄ちゃんから許してもらおうなんて……思わないで」
「──!!」
「わたし達が一番してもらいたい事は、絶対に無理な事だから。魔法ですら、失われた命や時間は元に戻せないって、なのはちゃんも言っ

てた」
 キラも思い出す。オーブでカガリに答えるなのはの言葉を。
「だからって、他の事で何かをしてもらったとしても……キラ君の事は許せないままだと思う」
 マユの言葉に、キラは絶望する。とるべき道など無い事を通告されたのだから。
 しかし──
「……でもね、このまま終わっちゃうのは嫌なんだ、わたし。だって、せっかく知り合ったんだもん……このまま恨んで、恨まれてじゃ、

ただ悔しくて悲しいだけでしょ?」
「マユちゃん……」
「オーブで話した時の事、覚えてる? あの時は何も知らなかったけど、キラ君は謝ってくれたよね。わたしも、キラ君だけが悪いんじゃ

ないって……」
「けど、あの時は知らなかったから……」
 どちらも相手の事を知らなかった──撃った側も。撃たれた側も。
「そうだね。でも、だからこそ……あの時に思った事は、大切な事なんじゃないかって、思うんだ」
「それは……そうなのかもしれないけど……」
 マユの言いたい事は理解できる。しかし、簡単に納得できるものではない――被害者はもちろん、加害者も。
「たぶん、逃げたり終わらせたりするよりも、ずっと難しい事なのかもしれないけど……今はお互いぎこちなくても、自然に会話できるく

らいにはなれるよ、きっと」
「そう……なのかな?」
「うん。だから、わたしはゆっくり変わっていこうと思う。無理に納得しようとしても意味がないから……って、これはアンディの受け売

りなんだけどね」
 マユは悪戯っぽく舌先を出して笑う。それに釣られるようにして、キラの顔にもほんの少しだけ笑みが浮かぶ。
「分かったよ……僕も、もう逃げたりするのだけは止める」
「約束だよ?」
 マユは右手の小指を差し出す。オーブ出身の者なら誰でも知っている約束の誓い。キラは右手の小指をマユのそれに絡める。
「うん、約束する」
377 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/22(木) 21:03:30 ID:???

=========================

 ミネルバとデュナメイスが停泊しているすぐ傍の埠頭。向かい合うのは、紅い眼の少年と隻眼の男。
 対峙している男に対して、シンにしては珍しく緊張していた。
 あの『砂漠の虎』が、自分と話がしたいというのだから。
 アスランの時は、彼がオーブのアスハの護衛であった事もあって、反発心の方が先行してしまったが――今回はそういった事がない為、

英雄を前にして、彼なりに緊張している。
「その……自分に話というは何でしょうか?」
「事情はだいたい聞いているんだが……たはり、憎いかね? キラの事が」
 現在、最も忌み嫌っている人物の名を出されて、シンはあからさまに不快感を示す。この時点で、目の前の英雄に対する緊張感など飛ん

でいってしまった。
「両親を殺されたんです。当たり前でしょう?」
 しかし、次にバルトフェルドがした質問は、全く違うものだった。
「ふむ……君はなぜ、ZAFTに入ったんだ? コーディネイターの君がプラントに逃れる必要はあっても、兵役の義務なんかは無かった

はずだろう?」
 それは、無力な自分が悔しかったからだ。あの時、自分に力があれば、家族を守れたかもしれなかった――そんな想いから、彼は力を欲

した。
「力が欲しかったからですよ。守りたいものを守れるだけの力が」
「なるほどな。で……そうやって銃を手にした君は――いったい、いつまでただの被害者でいる気だ?」
「は?……どういう意味ですか?」
 シンには、バルトフェルドが何を言っているのか、分からない。
「君は手にした力で、何人もの敵を屠ってきた。勲章まで与えられる程にな。だが、君が撃った相手にも家族や友人、恋人もいただろう。

その死を悲しむ者がな。そして、そういった人達が君の事を知れば、君の事をどう思うかな?」
 当然、恨まれるだろうに決まっている。だが――
「だったら、俺の方が撃たれて、死ねばよかったって言うんですか!? 撃たなきゃ撃たれる、やらなきゃやられる……だから撃ったんだ!


「ごもっとも。だが、それを君は残された者達の前でも言えるのかね?」
 シンは言葉に詰まる。そのような事、言えるわけがなかった。
「……俺だって、撃ちたくて撃ったわけじゃ……ない」
「それはそうだろう。まあ、殺人快楽者や戦闘狂といった連中も僅かにいるだろうが」
 自分はそのような狂った異端者などでは、決してない――そう思っていたシンに、バルトフェルドは尋ねた。
「君から見て、キラはそういった人種に見えるか?」
「それは……だけど! 俺達は、ただ普通に暮らしていただけだ! あいつに撃たれる理由なんか無かった!」
 シンが撃った敵は軍人、キラに撃たれたシン達は民間人だった。自らの意志で戦場に出ている者と戦火に巻き込まれた者とでは、その意

味合いが違う。
「ああ。無論、君達に撃たれる理由など無かった。そして、キラの方にも君達を撃つ理由は無かったし、撃ちたかったわけでもない。だと

いうのに――あいつは、そこに君達が居るとは知らずに撃ってしまった……あいつは、いったいどうすればいい?」
「そんな事……」
378 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/22(木) 21:04:39 ID:???
 シンの知った事ではなかった。どんな背景があったとしても、キラに両親を殺された事に変わりはない。
「そういった意味では、キラも被害者なんじゃないかと、君の妹は言っていたよ」
「――マユがですか?」
 妹の名を出されて、シンは勢いを削がれた。
「ああ。彼女は強くて賢い。とても十三歳の少女とは思えんような考えを持っている」
 マユの事を褒められ、シンは素直に嬉しかった。思わず顔が綻んでしまう。
 シンのそんな様子をバルトフェルドも快く思っていた。


「そういえば、彼女は君が生きていると知った時、大変喜んでいたよ。まあ、最初の内は戸惑っていたがな。『デュナメイスにシン・アスカ

が来ているから、会いに行くといい』と、教えた時は、凄く嬉しそうにしていたよ」
 それは、シンも同じだった。デュナメイスでマユと再会した時は、世界が生まれ変わったようにさえ感じた。
「だから、あんな風に別れてしまって、落ち込んでいたよ。キラの事だけではなく、君との事まで悩み出してしまった」
「えっ?」
 シンにとってはショックな事だった。自分がマユの悩みの種になってしまっているとは。
「キラの事を直ぐに理解してやってくれとは言わない。だが、マユの事は分かってやってほしい。彼女が自分の事を理解してほしい一番の

相手は、兄である君だろうからな」
「……アスランさんからも言われました。『妹を支えてやれ』って」
「そうだな。支えてやってくれ。『頼れる兄』なんだろう?」
「な、何ですか? それ」
「マユが君の事をそう話していた」
「マユが……」
 シンに悔しさがこみ上げてきた。インパルスという力まで手にしたというのに、生きていてくれた妹一人救えないどころか、逆に自分が

苦しめてしまっている。これでは、二年前の無力だった頃と変わらないではないか。


「マユに……マユに会わせてください! 会って話をさせてください! お願いします!」
 シンは頭を下げて、バルトフェルドに懇願した。他国の戦艦であるデュナメイスに、シンでは無断で入る事はできないからだ。
「マユも君と話をしたがっていた。連れて来てやるから、少しここで待っててくれ」
「分かりました。お願いします」
 バルトフェルドが戻ってくるまでの十数分が、シンにとっては、一時間にも二時間にも感じられた。

=========================
379 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/22(木) 21:05:26 ID:???
 デュナメイスに戻ったバルトフェルドは、すぐにマユの姿を見つけた。
 そして、彼女がキラと一緒に歩いているのを見て、かなり驚く。
 そんな彼の姿にマユ達も気づいて、彼に駆け寄っていった。
「あ……アンディだ」
「あれ? 司令官に挨拶しに行ったんじゃなかったんですか?」
「あ……ああ。僕はパスさせてもらったんだ。それより……どうしたんだ? 二人揃って」
 バルトフェルドにとって、この二人が並んで歩いている事は疑問だったが、実際に並んで歩いているのだからしょうがない。
 しかし、シンのもとへマユを連れて行こうとしている彼にとって、この状況は如何ともし難かった。
「お兄ちゃんに会いにミネルバに行こうと思って――」
「僕なら軍籍もありますし、艦内には入れてもらえなくても、事情を話せば彼を出してくれるかな、って」
「……今の彼とお前が鉢合わせするのは不味くないか?」
「ええ。だから、呼び出してもらえたら、彼が来る前に退散しようと思ってました。せっかくの兄妹の再会に、僕は居ない方がいいでしょ

うから。でも、バルトフェルドさんがいるんだったら……」
 会話が、二年前の因縁を思い起こさせる流れになった途端、キラとマユの間がぎこちなくなってしまう。
(まあ、そうそう蟠りがなくなるわけがないよなぁ)
 それでも――特にキラの方は、このままでは戦闘に出すのが不安なほど追い込まれている風だったのが、解消されているようだった。
「ああ。僕もそのつもりでマユを迎えに来たんだ」
『へっ?』と、揃って疑問符を浮かべるキラとマユ。
「シン・アスカと少し話をしていてな……彼に、『話がしたいからマユを連れてきてほしい』と頼まれたんだ」
「それなら、僕はここで……」
「うん。また後でね、キラ君」
 キラは艦内の方へ引き返していった。


「まったく……急ぎすぎるなと言ったろう」
 バルトフェルドは呆れていた。マユが無理をしていると思ったからだ。
 しかし、マユは首を横に振る。
「わたし、無理なんかしてないよ。自分の気持ちに素直になって行動してるだけ」
「本当か?」
 正直、疑わしいものがあった。
「本当だって!……って、あれ? 外に出るのはあっちじゃ――」
「車を出そうと思ってな。どうせなら、こんな基地然とした所よりも、どこかの店にでも入った方がいいだろ?」
 とはいっても、あくまでマハムール基地の敷地内にある飲食店だが。
「そっか。ありがとう、アンディ!」
「これくらいは構わんよ。こっちも助かったしな」
 実は――彼をはじめとして、マリューや馬場などは、キラのメンタルケアに悩んでいたのだ。あのままでは、以前のキラに逆戻りしかね

なかった。
 だが、先程の調子なら、おそらく大丈夫だろう。
「へっ? 何の事?」
「いや、何でもない。それよりも、あまりマユの兄を待たせるのは気の毒だ。急ぐぞ」
「うん!」
380 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/22(木) 21:13:53 ID:???
投下終了です。

本来は、マユはもっと悟っていて、キラもここまで苦悩したりする予定ではなかったんですが、
風呂敷を広げ過ぎて畳めるかどうか不安な中で書いてます。
アンディなんか、ここでの出番は、ほとんど無かったのに……。


ガルハナンの話は、あと3話ぐらい続く予定ですが……
ぶっちゃけると、なのはさんは出ません!
開き直って、すいません!

ではではノシ
381通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 21:18:56 ID:???
GJ
382通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 21:58:55 ID:???
キラがムラサメに乗っていたら(ry?2
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1167836250/

もしシンじゃなくてマユが主人公だったら20
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1165102884/


なんつーか、なのはSSスレよりもこっちの方が合いそうな気が・・・
383通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 22:20:19 ID:???
>>382
>>85
384通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 22:30:36 ID:???
>>どちらも相手の事を知らなかった──撃った側も。撃たれた側も。
巻き添えで殺された当事者にしてみればこれでなかったことにされたらたまったもんじゃないよな。

しかしこれ、バナディーヤでバルトフェルドが言ったことを踏襲しているのかな。
突っ込みどころ満載なんだが。政治を知らないのかとか、個人的な感情のレベルで戦争を語るなとか。

>>ラクス・クラインが率いる三隻同盟の主要人物として[編集] 第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦を戦い抜き、終戦へと導いた伝説化された英雄とされていた。
表向きの社会評価の設定は種死準拠なのか。ラクシズの犯罪は狂うぜの仕業になっている穴だらけのアレだな。
普通に表ざたになっていればテロリストの片棒を担いだ反逆者だから間違っても英雄にはならん罠。

こりゃラクシズマンセーだな。
385通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 22:35:05 ID:???
アンチ行為は他所でやってくれ。

それとも何かね?君はシンがなのは達と組んで三隻同盟を皆殺しにするような
そんな最低SSが読みたいクチかね?
386通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 22:37:58 ID:???
GJGJ!!
387通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 22:39:13 ID:???
>>384
失せろ。そんなに気に入らなきゃ専ブラであぼんしとけ。
388 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/22(木) 22:48:35 ID:???
ショックだ……。
今回の投下、ミス箇所が多いですが脳内補完して下さい。

あと、こんなん見つけました。初めて見たんですが、既出?
ttp://www.youtube.com/watch?v=lIFML4EgrdQ&mode=related&search=
389通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 23:16:23 ID:???
>>388
同人ムービーのバトルファンタジアVですな
390通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 23:19:50 ID:???
ちなみにこれが最新作のバトルファンタジアW
http://www.geocities.jp/cv_katsuragi/
391通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 23:28:58 ID:???
吉良様吉良様かぁ甘やかしすぎw
吉良様以外はホントどうでもいいんだぁwww
392通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 23:29:40 ID:???
>>384
割り切って読めよ。
でないと…死ぬぜ?
393通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 23:36:17 ID:???
>>391
うわ…
394通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 23:54:53 ID:???
>>384
結局お前はどうしたいんだよw
キラやラクソを殺してしまえばそれでいいSSなのか、お前にとって

ちなみに俺が ◆GmV9qCP9/g氏に言いたいのは・・・

なのは出してくれ

ぐらいだ
395通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 00:02:56 ID:???
なんか最近は小説より議論や口論が増えたな。
ここってそんなスレだったっけ?

評価は大切だけど、辛口なのや過激なのは少し抑えるべきでは?
作家さんが減って小説が読めなくなるよ。

396通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 00:09:56 ID:???
>>385
そんなしょうもないことになのはキャラを使って欲しくないなあ
397通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 00:22:57 ID:???
なんかほんとキラ側を持ち上げてるって感じがするな
キラやラクスを殺してくれとは言わないがもうちょっとなんかなぁ
398通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 00:24:19 ID:???
虎クソうぜぇ
399通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 00:27:00 ID:h+BBF6dn
シンクソうぜぇ
400通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 00:34:11 ID:???
誰か流れを断ち切る作品を…!
401通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 00:36:23 ID:???
>>397
それはある程度仕方ないだろ
ラクシズマンセーっぷりがあれだけ評判悪かった種死なんだし
それをどうにか作者なりに改善した上で、なのはの作風にもあわさにゃならんのだ
二次創作ってやってみると結構難しいんだよ

と半年ほどかかってなのはSSをどうにかクライマックスまで持っていけた俺が言ってみる
402通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 00:51:05 ID:???
まあ、結局は勝ったもん勝ちってことですよ。
どんなムチャクチャでも勝てば正義、負ければ悪。

特に戦争なんてそんなもんでしょ?
それは学校で教えている社会歴史がしっかり証明してるし。

負け組は勝ち組には届かないんだよ。
努力くらいは認められるかもすれんがね。

403通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 01:27:25 ID:???
あんまりムチャクチャやってるとそもそも勝てないけどな
404通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 01:30:48 ID:???
勝てば官軍、負ければ賊軍とも言うしな。
405通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 01:35:20 ID:???
>>403
それがまさに昔の日本だな。
ムチャクチャにやるだけやったあげくが無様な降伏だった。
身の程をわきまえずに続けるよりは賢い選択だがね。
406通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 02:18:04 ID:???
スレ違いな件について
407通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 02:30:25 ID:???
なんというか、どうもマユというかAA組がきれい過ぎるように思える。
シンは一人でプラントに渡った後、何の後ろ盾もなく一人で必死に生きていたのは想像に難くない。
そんなシンが生きる支えとして、力を求めたり、フリーダムに憎悪を募らせるのは人間らしくて正しいように思えるのだが。
マユみたいに優しい人に拾われて恨み節を歌ってるのならばともかく、シンの立場も少しは想像してやるべきなのではないかね?
408通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 02:48:26 ID:???
>>407

どちらかと言うと全体的に綺麗にしようとしてる感じです。
シンにしてもあれで揺れるなら、あの惨劇もその程度だったことになります。
マユはまさしくオーブの人間ってことですよ。
平和ボケが優しさに感化されればこんなもんさ。
409通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 03:10:19 ID:???
またこの流れか
410通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 03:22:42 ID:???
>>408
だからこのSSマユは平和ボケの糞キャラだとでも?

このSSのマユの場合は管理局で自分よりも幼くより悲惨な状況にあった孤児が
自分のように自暴自棄になったりしていないのを見てきた
なのはを通じて知り合ったフェイトにしたってえらい悲惨な生い立ちだ
マユは他にも悲惨な経験をした子供がまわりに居たせいで自分を客観的に見る機会があった

シンの場合とは根本的に状況が違う
シンってキャラは自分だけが悲劇を経験していて、周りは誰も何にも分かってないって
本気で思い込んでいるところがある、と思う。
種死見てても、結局シンってのは自分が悲劇のヒーローであることに酔っていて
最後までそのまま成長しなかったように思える。
ラクシズも嫌いだったが、シンも好きにはなれんかったな。
411通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 03:57:31 ID:???
先生・・・もうこの流れは勘弁してください・・・。
412通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 04:00:30 ID:???
皆とりあえず早く寝ようぜ……
一晩寝れば流れも変わるさ
413通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 04:00:57 ID:???
無駄に容量減らしてるし……
414通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 04:06:56 ID:???
そういう作風なんだから…。
割りきって読めないんなら読まなきゃいいじゃん。
415通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 05:15:12 ID:HELxNuQw
いろいろと不満や疑問があるのはわかったが、身内を殺された人達がとる対応に
正解なんてあるのか?
416通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 05:21:07 ID:???
>>415
ないと思う


専ブラで鳥をNGネームに入れるなりすればいいのになぁ
417通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 06:55:30 ID:???
◆GmV9qCP9/g氏って、番外編の2話目で本編ラクシズをテロリスト扱いしてるし
別にラクシズマンセーじゃないと思うけどな。
418通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 07:07:53 ID:???
何でもいいから噛み付きたいだけなんだろ。


考え方や感じ方は一つに限定されてる訳じゃないしな。
俺は早く続きが読みたいから応援する。
419通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 10:31:22 ID:7ucUemKu
流れを断罪する!
2ch初書き込みします。
楽しくSS読ませてもらってます。
書き手の方々のような上手い書き方が出来ない素人ですが、
プロローグのみ投下してみても良いですか?
それと、SEEDシリーズ以外のアニメキャラを登場させても良いでしょうか?
SEEDのキャラクターを成長させるためって感じで登場させようかと考えてます。
420通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 11:49:43 ID:???
>>410
ではシンが間違ってるとでも?
だったら事故で殺された家族がキレてるのは悪いことなのか?
お前は危険運転で死んだ人間の前で同じこと言ってみろ
421通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 11:54:33 ID:???
>>419
SEEDキャラを成長させるって……お前何様のつもりだよ
422通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 11:58:23 ID:???
>>419
とりあえず書いてみてはどうですか。
この流れを断ち切ってください。
423420:2007/03/23(金) 12:01:22 ID:???
あぁ、勘違いするかもしれないから先に言っておくが、俺は別にマユの考えが間違ってるとも思わない
現実に許してるやつも少なからずはいるだろうし・・・だが、どちらか一方を間違ってるかのように扱うのがうざいだけ
正しい答えなんてないんだよ
◆GmV9qCP9/g氏は自由にやってくれれば良い。気に食わない場合は専ブラであぼんすれば良いだけだし
俺が言いたいのは正義なんてこの世界にはないってことだけ。だから、どっちかを贔屓するのは出来れば、止めてね
無視してくれても構わないがね
424通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 12:07:05 ID:???
>>423
まあ人生に正しい生き方がないのと同じですかね?
425通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 12:09:45 ID:???
>>420
シンが間違っているなんて誰も言ってないじゃん
426通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 12:12:54 ID:???
>>419
>それと、SEEDシリーズ以外のアニメキャラを登場させても良いでしょうか?

なのはと種関連以外からって事かな?
それだとスレ違い。
427通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 12:18:11 ID:???
>>424
そういうこと
だから、種死本編は嫌いなんだ
絶対正義のキラ様とラクス様が愚かなザフトを改善する
勧善懲悪ってわけでもないのに勧善懲悪ストーリーの酷い話だった
428通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 12:22:16 ID:???
>>425
悲劇のヒーローに酔っていたってところでシンが間違っているという意見を感じたが・・気のせいだったかな?
そもそも、本編では悲劇のヒーローに酔ってる描写なんか皆無だった気がするが・
まあ、俺の読み違えかな?なら謝る。すまなかった
429通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 12:36:31 ID:???
>>428
もう気にすんな
ともに職人さんの新展開を待とうジャマイカ

しかしつくづくシンとかレイってもったいなかったなぁって思う。
ラクス教にかぶれてない殆ど唯一のキャラだたのに
4307ucUemKu:2007/03/23(金) 13:12:35 ID:???
それでは、書きあがったので13:20に投下します。
431☆7ucUemKu:2007/03/23(金) 13:21:09 ID:???
魔法少女リリカルなのはStrikerS the Destiny〜揺るがぬ意思を持つ瞳〜
プロローグ

C.E.73メサイヤ攻防戦。
多くの命が吸われる戦闘の中、月面で一つの戦争が終わりを告げようとしていた。
「これで・・・やっと終わる・・・この戦争も・・・」
モビルスーツ(MS)デスティニーガンダムは、
ウェポンラックからビーム斬艦刀アロンダイトを引き抜く。
「俺の戦いも!!」
アロンダイトのビーム刃を発生させ、MSインフィニットジャスティスガンダムへ切りかかる。
「全てがっ!!」
デスティニーのパイロットであるシン・アスカは、極度の興奮状態のまま、
元上司であったアスラン・ザラの乗るジャスティスへ、アロンダイトを振る。
「まだだ!!」
突然の土埃とジャスティスに装備されたファントム01が飛び上がる。
「(リフターだけ!?)」
アスランの突然の行動に唖然としたシンは、突如放たれたアンカーにアロンダイトを奪われる。
「まだ終わらないっ!!」
ジャスティスは自身のスラスターでデスティニーに近づき、足に搭載されたビームカッターで
デスティニーの左腕、左翼を切断する。
「くそぉぉぉ!!よくも・・・」
アスランの反撃に驚きと不安で周りが見えていなかったシンは、警告音への反応が遅れた矢先、
デスティニーの右腕と右翼をファントム01の翼に仕込まれたビームカッターで切断される。
月面へと墜落していくデスティニーガンダム。
それを見つめるインフィニットジャスティスガンダムそしてアスラン。
「アスラン・・・あんた、やっぱ強いや・・・」
墜落していく中、シンは自分を倒したアスランのことを純粋に強いと感じた。
今まで自分のことを考えてくれていた彼なりの思いを、今になって感じることが出来たシン。
デスティニーは月の重力に引かれ墜落したその時、時空振動が発生した。
銀色に輝く、その空間は徐々にデスティニーを取り込んでいく。
突然の現象に驚愕したアスランは、ジャスティスをデスティニーへ向けた。
「シン!!返事をしろ!!シンッ!!」
アスランの呼びかけは届かず、デスティニーとシンは時空振動の空間へ飲み込まれ、
このC.E.73の世界から消失した。
432☆7ucUemKu:2007/03/23(金) 13:23:21 ID:???
『―なたは・・・ここにいる』
銀色に染まる空間・・・半壊したデスティニーとアロンダイトが浮かんでいる。
コクピットから投げ出され、意識を失ったまま虚空に浮かぶシン。
彼の前には輝きを放つ半透明の少女が浮かんでいる。
『彼方に力を・・・そして、私の願いを叶えて・・・』
シンは、頭に直接響く優しい声に意識を取り戻す。
「君は・・・」
少女は右腕をデスティニーとアロンダイトに向け、光を放った瞬間・・・変化が起きた。
デスティニーとアロンダイトは光に包まれた後、キーホルダーサイズの大剣(アロンダイト似)へと変化したのだ。
『この力が、あなたを変える・・・未来を掴むのも、破壊を望むことも』
キーホルダー状態に成ったデスティニーは、シンの手の中に納まる。
「君は俺に何を・・・」
少女は、シンの赤い瞳をスカイブルーの瞳で見つめた。
突然シンの頭に凄まじい量のフラッシュバックが流れる。
その情報の量は凄まじく意識が消えそうになったシンへ、少女は右手を添える。
頬に触れた手の感触は、少し冷たく、だが心が温まる感じがする。
『これから彼方は、ある世界へ飛ばします。そこには彼方―知るも―は居ません。
 でも彼方―思い次第―道は開け―』
少女はシンへ話しを伝えている中、その姿が更に薄くなる。
存在自体が消えかかっているのか、言葉が途切れ始める。
『さぁ行きなさい。彼方―欲しかったもの・・・私の願いを叶えるために』
「君の願いって?」
『お願い、―を『ゼフィ』を助けて―』
その直後、シンの意識は遠のいた。
少女の切なる願いを胸に抱きながら―



窓からは近代的な都市の景色が見える白い病室。
そのベッドの上で眠るシンの横で、病状を見る白衣を着た女性。
「そろそろ目を覚ましても良いはずなんだけどなぁ・・・」
少年の状態を確認しようと、近づくと―
「まって!何で俺が」
突然ベッドの上で上半身を起こした状態で、左手を伸ばし何かを掴むシン。
「(何だ、この懐かしくて、危険な感触は―)」
目線を少しずつ左に向け、左手が掴んでいる『胸』を見て更に左上に目線を向けると、
金髪の女性が頬を染め、固まっていた。
「あ、えっと・・・」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ・・・いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
シンの忙しい一日の始まりの合図が鳴り響いた。ラッキースケベの称号と共に・・・
433☆7ucUemKu:2007/03/23(金) 13:26:51 ID:???
「手前ェ!逃げんじゃねぇよ。喧嘩だ、喧嘩をしようぜ!」
右腕を金色の装甲で覆い、顔の右側には三つの突起物が付着され、背中にプロペラに似た物体を背負う男。
その男の持つ力『アルター』は、物質を分解再構築し使用者の深層意識にあるイメージを現実に現す能力。
男のアルターの名前は『シェルブリット』ただ殴ることに特化したアルターだ。
だが、その殴るだけのアルターの一撃は、相手が避ける前に居た地面にクレーターを作るほど強大である。
男の立っている大地の名は―ロストグラウンド―謎の隆起現象によって、外界から隔絶された大地。
過去には、無法地帯だと言われていた大地だが、その大地に住む人々の頑張りにより少しずつだが治安が良くなり始めている。
だが、ロストグラウンドに介入してくる本土側(日本政府)の部隊の攻撃が人々の頑張りを削げ落とそうとする。
しかし、男二人・・・『カズマ』『劉鳳』の力によって未然に防がれている。
そして今・・・
「無闇に突っ込むな!奴は、まだアルター能力を見せていない」
敵を打ん殴ろうとする男『カズマ』に向けて、命令口調で叫ぶ男『劉鳳』。
劉鳳の横には巨大な人の上半身と蛇のような下半身を持つアルター『絶影』が立っている。
その後方には、仮面を被った者共がボロボロの姿で横たわっている。
「へっ、人の喧嘩に勝手に割り込むなよ」
向かい合うフードを被った相手を凝視しながら、後ろにいる劉鳳に言い放つと同時に、
相手の周囲の大地が分解され巨大な円状の物体が現れた。
「やっと、アルターを出しやがったか。これで少しは楽しめそうだ」
「油断は禁物だ。以前にも本土から来たアルター使いには特殊な奴が多くいた」
「うんなこったぁ先刻承知よ!」
大地をシェルブリットで殴り飛び上がると、背中のプロペラが回転し、
その真ん中から激しい衝撃波が噴出しカズマに加速をつける。
「シェルブリット・バースト!」
シェルブリットの手の甲の装甲が開き、右拳に強大なエネルギーが集まり相手のアルターを殴ろうと迫る。
「・・・オープン・ザ・ゲート」
円状のアルターは口を開くかのように中心部が開くと、そこには銀色の異空間が広がっている。
構わず拳を敵アルターに叩き込むが手応えが無く、その銀色の異空間に吸い込まれていく。
「な、なんなんだ、こいつはよぉ!?」
434☆7ucUemKu:2007/03/23(金) 13:27:37 ID:???
徐々に吸い込まれていくカズマを見た劉鳳は、絶影の尻尾に乗り接近する。
「この馬鹿が。無闇に接近するからだ。・・・柔らかなる拳・列迅!剛なる右拳・伏龍!」
絶影の耳の部分にある触手である列迅が飲み込まれていないカズマの足を捕獲し、
右脇付近にある先端が剣状なミサイルである伏龍を敵アルターの外枠に向けて放つ。
その行動を見た敵は、アルターを瞬時に向かってくる伏龍に向け、その攻撃を異空間へと送った。
「なに!?」
その行動に驚を突かれた劉鳳に向けゲート状のアルターを向けると、
銀色の異空間の中から銀色の触手が劉鳳と絶影を捕獲し引きずり込む。
『くっ、このままでは共倒れだ。かなみには悪いが・・・』
「絶影!」
劉鳳は、アルターを次の形態へと変化させようと力を開放するが・・・
「絶影が再構築されない!?」
予想外の事態に焦る劉鳳を尻目に、カズマと絶影は異空間に吸い込まれ劉鳳自身も目前まで引き込まれる。
「貴様ぁ!このアルターは何だ?」
絶望的瞬間でも、何とか勝機を見出そうとする劉鳳に対し相手はフードを被り素顔を出さないまま言い放つ。
「これは違う次元へ飛ばすもの・・・彼方たちは選ばれたの」
「どう言う意味―」
劉鳳もまた、銀色に輝く異空間へと吸い込まれて行く。
フードを被った者と円状のアルター、地面に倒れている者を残し男二人はロストグラウンドから姿を消した。



『ちっ、やられちまった。この俺様があんな罠に捕まっちまうとはな・・・だが、まだ負けちゃいねぇ。
負けを認めるときは、心が折れるときか死んだときだけだ!』
異空間から放り出された男二人は、気を失ったまま見知らぬ大地で大の字に倒れていた。
そこへ、大空から一つの影が降り立つ。
「この人たちが、エイミィが言っていた次元震を発生させた人たちかな?」
その人物は金髪のツインテールヘアー、黒いマント、右手には斧に似た黒い杖を持つ少女。
この出会いが新たなる運命を導くものであるのかは神のみが知る。
435☆7ucUemKu:2007/03/23(金) 13:31:43 ID:???
以上で投下終了です。
スレ違いに当たるなら、ごめんなさい。
男二人が、シンに何か変化を与えるかと考え登場させました。
一応平井画同士って共通点があるかなと思って。
436通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 13:35:20 ID:???
スレチだが・・まあ、言うのは野暮か
437 ◆0NNKUcIB6. :2007/03/23(金) 14:35:58 ID:???
魔装機神をいったんリセットし、また始めからやり直します。
438通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 16:27:13 ID:???
うお、これってボンボン版のラストじゃないか
色んなSS読んできたが、こっから始まるやつは初めてお目にかかる
しかし、ボンボン版のシンだったら、既に確固とした意思と信念を持ってるから、別に成長させる必要は無い気がする
439☆7ucUemKu:2007/03/23(金) 16:39:43 ID:???
確かに成長させる必要ないですよね。。。
簡単に言うと『かなみ』と『なのは』繋がりとか、
『カズマ』と『キラ』繋がりとか、『劉鳳』と『なのは兄』
繋がりとか、燃え要素を入れてみたいなと考えて書きました。
シンのキラに対しての怒り(フリーダムの誤射や勘違い刺し)を、
書くなら、漢の拳を教えてくれるカズマや劉鳳、優しさや互いに
支えあう、なのはとフェイトの関係を入れて行きたいなと考えた次第です。
440通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 18:08:02 ID:???
>>420
>シンが間違ってるとでも
>>410は間違ってるとは言ってないぞ。共感できないだけのこと
あとフィクションを現実と比べてものを言うな
それこそ被害者に失礼だろ
441通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 18:16:10 ID:???
ようはシンの
「両親・妹(は生きてたけど)全員殺されました。悔しかったので
後ろ盾とかなかったけど必死こいて赤服になりました。今でもフリーダムは嫌いです」
ってところにフォローが足りない、って意見が多いんだな
442通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 18:18:13 ID:???
あー
意見「が」多いってよりは意見「も」多い、だね
443通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 18:28:51 ID:???
シンうざい
444通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 18:34:21 ID:???
とりあえず、キャラアンチは出てけ
445通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 18:41:41 ID:???
そもそもシンが軍人になった理由ってフリーダムや連合をぶっ潰しためになったってわけでもないんだがな・・
シンは自分と同じ思いをするものはこれ以上増やさないために軍人になったんだから
そこ履き違えてるやつ多そう
そもそも、シンは本編では家族殺しの点ではフリーダムには恨み持ってないし
ステラをぶっ殺してハイネを殺す原因を作ったのがフリーダムだから殺そうとしてたってのが正しい
446通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 18:56:14 ID:???
>>441
>>445

一応、>>294>>377で描かれてはいる。
描写が不足してるかどうかは知らんが。
シンが力を求めた理由は、無力だった自分に対する悔しさって事になってるね。
447通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 18:59:10 ID:???
他の誰かが、じゃなくてまず自分が二度とあんな思いをしたくなかったからじゃね?
まあ、仮にそうだとしても非難にはあたいせんから全然いいんだけどさ。
448通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 19:09:33 ID:???
何度も言われているケド、TV版第一話の時点では『家族の敵=フリーダム』とは、
当時のシンの視点では確認出来ていないワケだしな。
(視聴者の神の視点からのみ、フリーダムがその場に居たと確認できるらしい)
449通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 19:45:47 ID:???
>>445いつ決めたんだそれ?確認できないけど
450通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 19:48:18 ID:???
>>445
>>448

それはあくまで伏線を丸投げした本編の話だろ?
◆GmV9qCP9/g氏の創作の場合、シンがフリーダムを覚えているという設定で話が進んでる。
本編と話が違いすぎるのも考え物だが、設定にこだわりすぎるのもどうかと。
451通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 19:50:52 ID:???
訂正
×設定にこだわりすぎるのもどうかと
○本編にこだわりすぎるのもどうかと思うな。2次創作なんだし。
452通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 22:53:05 ID:???
それはそれで仕方ない事であるが、
粗どうでも良いような事ばかりに時間を割く糞負債の
糞脚本だから、「仕方ない」の四文字で割り切るほか無い。
453通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 23:08:34 ID:???
お前らいい加減やめておけよ
職人さん困るだろう
454通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 23:19:56 ID:???
この流れは確かに投稿しにくいな
投稿しようかどうか悩んでる俺が言うから間違いない
455通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 23:32:05 ID:???
迷わず投下せよ、投下すればわかるさ!
456通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 23:33:05 ID:???
てことで、この話はここまでと言うことで…
457通常の名無しさんの3倍:2007/03/23(金) 23:39:32 ID:???
もうさ、シンが何考えてようが、ラクシズが何しようがスルーしとけよ
作者はそこいらも考えてプロ立ててるんだろうからさ
周りが白熱しすぎるのは、投稿の妨げになるだけだ
458通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 01:12:57 ID:???
上で悩んでたけど勇気を出して投稿しようかな
実際に人目にさらすのは初めてなので、ドキドキするけど踏み込んでみよう
タイトルについは、パロディだけどいいと思うものが思いつかなかっただけなんで、別段ふざけてるわけじゃないです
ご容赦を
459失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/24(土) 01:19:09 ID:???
プロローグ

蒼穹がくすむ。
大地に茂る青い森が色あせていく。
太陽の光は鈍くなり、澄んだ空気が重くなる。

(……封鎖領域?)

空に立つのは赤い少女は思う。閉じ込められた、と。
まるで人形に着用されるような洋服に身を包み、その手には容姿に似合わぬ無骨なハンマー。釣り目が
ちな青く大きな瞳が、己を中心に周囲を見渡す。まるで世界が生気を失ったかのようなその現象を、彼
女はよく知る。なにせ彼女も使用できるのだ。空間を切り抜く効果を持つ結界の類だろう。その証明に
、彼女が思念での仲間への通話を試みるも、まるで届く気配がない。

「おい! どこのどいつだ! 姿を見せろ!」

赤い少女は叫ぶ。
その名をヴィータという。
ある任務で管理外の次元世界へと足を運ぶ最中の事であった。位置的にいくつかの世界を渡って目的
地へと赴く手段が最速であった彼女は、現地で仲間たちと落ち合う算段であったが、転移魔法に適した
ポイントへとたどり着く直前、閉じ込められてしまう。こんな事をするのだ。結界の使用者の目的は話し
合い等々の穏やかなものとは考えられない。現に彼女自身、結果を用いてやった事や結果に閉じ込め
られてやられた事と言えば、襲撃くらいだろうか。

(襲撃される理由は……………腐るほどあるか)

全周囲へと気を配ったままため息をつく。悪名高かったロスト・ロギアの一部たる彼女だ。復讐される覚
えは数えきれないほどあるだろう。周囲や職場の人間はかなり理解ある者たちだったから、少なくとも
露骨すぎる様な嫌悪の態度は受けなかった。しかし、報復されてもおかしくもなんともないのだ。
苦い表情だったヴィータが、人影を捉えた。
森から彼女の高度まで上昇してくるのは、銀の甲冑だった。いわゆるプレートメイルという全身鎧で姿
をほぼ完璧に隠し、その表情どころか男か女かさえ分からない。呼吸に応じたり微細な動きにあわせて
、プレート同士がこすれキィキィと音が鳴る。とりあえず傀儡人形ではあるまい。そしてそんな銀甲冑の
戦士を護るように、2枚の丸い盾が静かに浮遊していた。スフィアのように魔力で形成されているので
はない。デバイスの類だろう。

「やいコラ! あたしに一体何の用だ!」

ふと、桃色の魔力の光が脳裏に浮かぶ。あの二つくくりの女の子が最初に自分と対峙した時もこんな心
境だったのだろう。

「闇の書……壊す…」

奇妙にねじくれた声。魔力で変声でもしているのだろう、やはり男とも女とも判別がつかない。

460失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/24(土) 01:20:33 ID:???
「…もう闇の書はねーよ。もし、あたしが襲った事のある誰かだったら…その、悪かった。謝る」

視線を、ふいにそらす。自分でも気分の良い事をしていたわけではない。しかしかつて辻斬りまがいの事
をしたのは事実だ。バツ悪そうな、後悔が滲むその声色は間違いなく銀の甲冑へと届く。ちらりと、ヴィー
タは視線を銀の甲冑へと戻し、

「―――!!!」

慌てて空を蹴ってその場を飛びのいた。
直前までヴィータの顔面があった空間を振り抜いたのは、鉄拳だ。

「てめぇ! ……待てよ! ちゃんと反省してんだ! あたしも、シグナムも、ザフィーラも、シャマルも! 
だから、話だけでも……」

聞く耳持たない、と態度で言うように銀の甲冑はさらに空を踏みこんでヴィータへと襲い掛かってきた。
一寸だけ遅れて、甲冑を取り巻く2枚の盾も従うようについてくる。

「く……話ぐらい聞いてもいいだろ!!」

叫ぶヴィータに、銀の甲冑は問答無用だった。そもそも意思疎通のつもりはないらしい。
後退するようなヴィータに対して、銀の甲冑は前進だ。ワンテンポ早く甲冑がヴィータに追い付き、さらに
その鈍く光る腕を振るう。華奢なヴィータならば当たれば圧し折れてしまいそうな拳速。ヴィータは頭一つ
分高度を落として鉄拳をやりすごし、

「ちょっと響くけど我慢しろ!」

伸びきった腕を相棒の鉄槌で叩、こうとしたのを阻まれた。
耳に痛い金属の噛み合う音は、ヴィータのグラーフアイゼンと、浮遊していた盾の衝突音だ。

(オートで攻撃を防ぐのか……なら)

盾が移動すれば、それに隠れていた甲冑の拳がまたヴィータへ振るわれる。ゲンコツのように脳天へと
落ちるそれに、ヴィータはグラーフアイゼンを掲げてどうにか防御に間に合った。同時に、防御の魔法陣
を展開。赤い三角が組み合わさったそれは、重い音を立てて銀の甲冑が放つ鉄拳を阻んでくれた。
ヴィータはその魔法陣を隔てて鉄の拳を蹴る。反動で眼下の森めがけて高度が落ちる中、まるで手品の
ようにとりだすのは4つの鉄球。
461失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/24(土) 01:21:33 ID:???
「行け!」
『シュワルベフリーゲン』

高らかに詠うグラーフアイゼンを一振りし、その4つの鉄球を叩けば真紅の尾を引き銀の甲冑へと飛んで
行った。2つは左右から銀の甲冑を襲い、それを阻むために盾が2つ動く。もう1つは銀の甲冑へと直撃
するコースを走る鉄球と、同じコースをたどるがやや遅い鉄球。
盾が動いてしまった甲冑は、即座に位置をズラして直撃コースの鉄球を避けるが、後を追っていたもう1
球がゆるくカーブ。ホーミンングの要領で、甲冑へと突っ込んでいく。

「きゃっ!」

奇妙な悲鳴。とっさの悲鳴。そして爆音。着弾した鉄球は煙を上げて爆発してその視覚を大きく奪う。

「グラーフアイゼン! ラケーテフォルム!」

赤い雷電をほとばしらせて、グラーフアイゼンがカートリッジを噛む。瞬間、その姿が鋭い先端と噴出口
へと変貌した。出力と威力を誇るラケーテフォルムを構えて、ヴィータは赤いベルカの魔法陣を踏んだ。
グラーフアイゼンから吐き出される魔力の噴射による加速を得て、赤が煙から這い出す銀へと駆けた。
盾よりも早く甲冑へとたどり着き、かなりの手加減でその凶悪な先端を甲冑へと、叩きつける!

(気絶させる程度で……)「悪ぃ!」
『launch』
「なにぃッ!?」

鋭い牙が銀の甲冑へと届きそうなその時だ。銀色が弾け飛ぶ。
甲冑を構成するプレート全てが解き放たれ、突っ込んでくるヴィータへと降り注ぐ。
それはいい。その程度で突撃力が削がれるほど紅の鉄騎はヤワではない。問題は甲冑の中にいたであ
ろう人間が甲冑の四散とともに高速で飛び出した事だ。
結果、ヴィータの一振りは空振りに終わる。まるで前のめりになるように、振り切ったハンマーに引かれて
宙で回った。態勢の整わない中、目だけで甲冑の中身を追おうとして、

「―――!!」

ヴィータは見る。
赤い、紅い、灼熱の極大閃光が狙いすましたかのように彼女へと疾るのを。
込められた魔力量は規格外だ。まともに食らえば命があるかどうか怪しい。

(逃げ……無理……やべぇ! はや……)

実際に狙いすましたのだろう。ベルカの騎士に1対1での負けはない。
ならば―――

とっさに荒い防御陣を展開するも、それを嘲笑うかのように赫炎はヴィータを飲み込んだ。
462失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/24(土) 01:23:42 ID:???
はい、見直すと文章が変すぎるか。そうか。首吊ってきますか。
463通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 05:47:13 ID:???
乙なの!
まぁ、ヴォルケンズも恨み買ってて当然ちゃ当然か。
464☆7ucUemKu:2007/03/24(土) 08:13:03 ID:???
乙です!
ヴィータのその後が気になりますね。
一応SSの続きの構想が出来たのですが、
なのは4・SEED4・スクライド2ぐらいの割合・・・
どこかに新スレ建てたほうが良いのかな?(なのは&SEED&その他)
465通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 12:12:32 ID:???
続きを是非みたいしここでもいいと思うけど
他住人どーだろ
466通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 12:15:40 ID:???
個人的には読みたいけどスレ違いの感は否めない
467通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 13:29:59 ID:???
スレ違いなのはどうしょうもないな。
468通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 15:36:24 ID:???
>>464
新シャア内にクロスオーバースレあったからそこで書き込んだらどうだ?
469464:2007/03/24(土) 16:09:24 ID:???
クロスオーバーを書こう!ってのを見つけました。そこでコツコツ書いてみます。
携帯から失礼しました。
470通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 16:54:46 ID:???
ガンガレ!
向こうに見に行くよ。


ところで、神隠しさんは何処へ!?
471通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 16:59:25 ID:???
黒い波動氏やアスランSEED氏も来ないしな…
472通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 17:49:12 ID:???
>470
神隠しさんて、投下するときは一日置きぐらいに投下するけど…。
期間が空くときはかなりあかなかったっけ?
>471
俺も黒い波動氏とアスランSEEDはかなり楽しみにしてたから…、ちょっと残念。
書くのやめちゃったのかなぁ〜。
473通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 17:52:37 ID:???
黒い波動氏は都合でしばらく投下できなくなる、みたいなこと言ってた気がする。
けどなんの音沙汰もないと不安だな・・・
474 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/24(土) 19:40:56 ID:???
10分後に投下します。
475 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/24(土) 19:50:29 ID:???
 シンは、バルトフェルドが戻ってくるのが待ち遠しかった。
 死んだものと思っていた妹と二年ぶりに会えたのだ。考えるまでもなく、できる事なら、ずっと傍にいたいに決まっている。
 クラクションの音したので、そちらの方へ向く。少々派手な黄色いオープンカーに、バルトフェルドと──マユが乗っていた。
 シンと眼が合うと、マユは笑った。それだけで、シンは嬉しくなる。妹が生きている事を改めて実感した。
「待たせて、すまんな。車を貸してやるから、二人で行ってくるといい。基地の施設内だが、南の方に何件か店があったはずだ」
「はい。ありがとうございます」
「ありがと、アンディ!」
 シンはバルトフェルドと入れ替わり、運転席に着いた。
「お兄ちゃん、あのね……」
「ん?」
 振り向くとマユの紅い瞳と視線がぶつかる。先程とは違ってじっと見つめられて、シンは少し顔を赤らめてしまう。
「昨日は叩いたりなんかして、ごめんなさい」
 頭を下げるマユに、シンは焦りだす。
「い……いいよ、別に。気にするなよ、そんな事」
「でも……」
「そうやってマユが気にする方が、俺は困る」
 そう言ってシンは、マユの頭を撫でてやった。
「ん……うん。分かったよ、お兄ちゃん」
「じゃあ、行こうか?」
「うん!」
 シンはキーを回してエンジンをかけると、車を走らせ始めた。


 隣の助手席を見る。マユがいる。可愛い。相変わらず可愛い。生きていてくれた愛しい妹。
 ここまできて、今さら夢オチだったら、どうしよう。頬をつねる。痛い──夢じゃない。
(──ん?)
 心なしか、マユの顔が引きつったような気がする。あっ、こっちを向いた。
「──ちゃん、お兄ちゃんってば!」
「あ……ああ、どうしたんだ?」
「前! 前を見て!」
「へっ?――」
 マユに注意されて、前を向き直ると、電灯の柱が目前まで迫っていた。
「うわあぁぁっ!?」
 慌ててハンドルを切り、何とか衝突を免れる。
「や、やばかったぁ……」
 ザフトの赤服を着るMSパイロットが、普通車の運転ミスで事故を起こす。笑い話にもならない。
「もう!……ちゃんと前を見て運転してよ」
「悪かった……気をつけるよ」
 せっかく再会できた妹と一緒に事故死では、それこそ洒落にならない。
 マユの顔を眺める事は、店に入ってからでもできる。未だ動悸の納まらない胸から大きく息を吐き出し、運転に集中する。
476 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/24(土) 19:51:17 ID:???

「そういえば……マユって、バルトフェルドさんと随分仲が良いんだな?」
 シンは、先程のやり取りを思い返して、そう尋ねた。
 バルトフェルドの事を愛称で呼ぶ妹。彼の対応も実に気さくだったからだ。
「えへへ……ちょっと色々と話す機会があったんだ。それで意気投合しちゃったというか……」
「そ、そうなんだ……」
 少し引きつりながら返事をするシン。ザフトの英雄とフレンドリーな妹というのは、中々に衝撃的である。
 しかし――
「でも……ちょっと年が離れすぎてないか?」
「へっ?」
「あまりに年上過ぎる義弟っていうのもなぁ……」
「な、何の話?」
 わけがわからないマユ。シンもまた「あれ?」といった表情になる。
「だって、その……恋人なんだろ? バルトフェルドさん」
 複雑そうな顔をして言う兄の言葉に、マユは固まってしまう。
「あ……あのね。そんなわけないでしょ。アンディは、ただの友達!」
「そ……そうか。いや、何かおかしいなとは思ったんだよ。あはは……」

=========================

 マハムール基地の司令部がある建物の入り口で、タリア達は出迎えを受けていた。
「ミネルバ艦長、タリア・グラディスです」
「副長のアーサー・トラインであります」
 二人に続いて、アスランも敬礼をして名乗る。
「特務隊、アスラン・ザラです」
「アスラン・ザラ……?」
 出迎えに来た兵の中で、一番先頭にいた士官がアスランの名に反応する。彼の周りの兵士達の間にも、ざわめきが立っていた。
 だが、アスランはそれらに気づかない振りをして、静かに答える。
「……はい」
 先頭にいた士官は、周りの兵達に目配せをして静まらせた後で、返礼した。
「いや、失礼した。マハムール基地司令官のヨアヒム・ラドルです。遠路、お疲れ様です――それで、そちらの方が?」
「オーブ軍所属デュナメイス艦長、マリュー・ラミアスです」
 マリューは名乗りながら、『この場にバルトフェルドがいたなら、先程のアスランのようにざさめきを呼んだのだろうか?』などと考えていた。
「おお、貴女が。ミネルバに劣らぬ活躍はお聞きしています。しかも、初陣だったとか?」
「はい、そうです――ですが、ミネルバに劣らぬ活躍というのは誇張しすぎですわ」
「いやいや。アークエンジェル級の力は、我等ザフトもよーく知っています。先の大戦では脅威でしかなかったが、それが味方に着くとなれば、これほど頼もしいものはありません」
 その脅威となっていた艦の艦長が、まさか目の前にいる女性とは思わないのだろう。ラドルが口にする世辞に、タリアは笑いが零れそうになるのを耐えていた。
 マリューはマリューで後ろ暗いものを感じてはいたが、表情に出すことなく答える。
「ご期待に添えますよう、励まさせて頂きます」
477 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/24(土) 19:52:17 ID:???
「おっと……いつまでも立ち話では申し訳ない。詳しい話は中に入ってコーヒーでも飲みながら……ご覧の通りの場所ですが、豆だけはいいものが手に入りますんでね」
 ラドルの気さくそうな物腰に、タリアは微笑む。
「ええ、ありがとうございます」
 彼に先導されて、タリア達は司令部の中へと入っていった。


「バルトフェルド副長を連れて来なくて正解だったようね」
「どうしてですか?」
 小声で話しかけてきたマリューに、アスランは首を傾げる。
「だって……作戦会議が終始コーヒー談義になってしまうわ」
 アスランは「なるほど」と苦笑した。

=========================

 デュナメイスのブリッジにキラは来ていた。ある目的の為に。
「オーブと連絡を取りたいって?」
「はい。お願いします」
 チャンドラに頼み、オーブにいるだろうカガリとユウナに連絡を取ってもらう。
 マハムール基地の通信機能を借りられれば、十分に可能なはずである。
 キラには、どうしてもカガリとユウナに断っておかなければならない事ができていた。
「――オーケー! 許可が取れたぞ」
「じゃあ、早速お願いしてもいいですか?」
「了解、了解!」
 チャンドラは端末に指を滑らせる。


 この後、カガリ達との通信でキラが発言した内容に、カガリ達やチャンドラをはじめとしたブリッジクルー達は驚きを隠せなかったのだった。

=========================

 シンとマユが入った店は、軍事基地内に存在しているわりには、ごく普通の喫茶店風な店だった。
 時間帯が食事時から外れている所為か、それとも平時ではないからなのか、他の客はいなかった。
 それはそれで、二人でゆっくり話せるので、都合がよかった。特にマユにとっては。
 マユはショートケーキとオレンジジュースを。シンはコーヒーを頼んでいた。


 二年前に生き別れてから、お互いがどう過ごしてきたのかを話した。
 オーブの軍人に保護され生き延びることができたものの、天涯孤独の身となったシンはプラントへと渡った。その後、ザフト入りを目指して訓練校に入って、無事に卒業。そして、現在に至る。
 もちろん、その過程では様々な出会いに喜びや苦労があり、シンの過ごした二年間は、オーブで暮らしていた頃には想像もしなかったほど、濃密なものだった。
 しかし、そんなシンではあるが――マユがこの二年間をどこでどのように過ごしていたのかを聞かされ、唖然としてしまっている。
 異世界を体験してきたというのだから、無理もなかった。
478 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/24(土) 19:53:06 ID:???

「──と、こんなところかな」
 マユの話を聞き終えたシンは、言葉を失っていた。
「……やっぱり、信じられないよね」
 なのはが傍にいた時ならともかく、この場で異世界の存在を証明する手段がないのだから仕方ない事ではあった。
 しかし、シンは信じる事にした。今の彼にとって、他の誰よりもマユこそが、最も信じるべき者だから。例え、どれほど突拍子のない話だったとしても。
「いや、信じるよ。マユの言う事なら信じられる」
「……ありがとう、お兄ちゃん」
 マユは嬉しかった。シンが自分の話を信じてくれた事が。
「それで、マユはそのなのはって子と、もう一度会う為にデュナメイスに乗ったのか?」
「うん。今度は、わたしがなのはちゃんの力になってあげたいんだ」
 マユの目的は分かったが、シンとしてはマユに戦艦になど乗っていてほしくない。
「なあ、マユ……その子の事は俺が探してみるから、マユはもうデュナメイスから──」
「嫌だ」
 シンが言い終わる前に、マユは拒否した。
「お兄ちゃんとやっと会えたのに、また遠くに離れちゃうなんて、もう嫌だよ」
「マユ……」
 マユに、自分の近くにいたいからと言われ、シンは感激する。そして、それはシンも同じだった。


「それに……キラ君との事もあるしね」
 せっかく仲良く喋っている状態だったので、マユは躊躇いながらもキラの名を出した。
 だが、意外にもシンは、神妙な顔つきになる。
「俺は……マユがそう望むんだったら、あいつの事はもう……」
 どんなに憎くても、マユの為なら我慢できる。マユを悩ませたり悲しませたりするよりは、はるかにましだ。シンは、そう思っていたのだが──
「それは駄目だよ。わたしの為とかじゃなくて……お兄ちゃん自身が納得できないんだったら、意味がないよ」
「それは……まあ、そうなのかもしれないけど……」
「わたしね、決めたの。お兄ちゃんがキラ君にどう接しようと、もう干渉しないって。お兄ちゃんとキラ君の問題だと思うから……」
 シンは目をみはった。マユが凄く大人びて見えたからだ。
「だから、その代わりに……わたしがキラ君と、どういう風に接していても、黙って見ててほしいの……駄目かな?」
 シンはバルトフェルドが語っていた事を思い出していた。
 聞いていた通り、二年前までシンが面倒をみていた妹は、しっかりした意志と考えを待った者となっているらしい。
 妹の成長は嬉しかったが、置いてきぼりにされている気もして、少し淋しさも感じてしまう。
「分かった。マユがそう決めたんだったら、俺はもう何も口出ししない」
「うん。ありがとね、お兄ちゃん」
 マユは本当に嬉しそうに笑った。
 その笑顔を見てシンは、ふと考える。
 先人達の言っていた通り、マユは自分に理解してほしかったのだろう。
 ならば、その他の事もそうなのだろうか?――と。彼らが自分に伝えようとしている事が気になり始めていた。
「……俺も、ただ憎むだけじゃなくて……ちょっと考えてみるよ」
 シンの言葉に、マユはきょとんとしていたが、やがて微笑んだ。

=========================
479 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/24(土) 19:54:55 ID:???
 中東地域における連合の最大拠点であるスエズ基地。それだけに、その守りも堅牢である。
 連合側は、そのスエズを拠点としてザフトのマハムール基地とジブラルタル基地を叩きたいはずなのだが、それができずにいた。
 連合からの離脱を懸けた紛争が、ユーラシア西側地域――マハムールからジブラルタルを結んだ地域で起こっている為である。
 インド洋とジブラルタルがほぼザフトの勢力圏である以上、ユーラシア西側地域からスエズまでの地域の安定は、連合にとって不可欠なものだった。さもなくば、スエズが孤立してしまう。
 その為に連合は、ガルハナンの火力プラントを中心に、かなり強引に一大橋頭堡を築き、ユーラシア西側地域の抵抗運動に睨みをきかせ、かろうじてスエズまでのラインを確保している状況であった。
 しかし、逆を言えば、そこさえ陥とせばスエズへのラインは分断でき、抵抗勢力軍の支援にもなって間接的にでも地球軍に打撃を与えることが出来るという事だった。
 だが、それだけに連合側もガルハナンの守りを固めていた。


 ラドルがマハムールからガルハナンへの行程を示す。起伏に富んだ峻厳な地形は、天然の要害と言っていいだろう。
「こちらからアプローチできるのは、唯一この渓谷だが……当然、向こうもそれを見越していてね。ここに陽電子砲を設置し、周りにそのリフレクターを装備した化け物のようなMAまで配置している。以前にも突破を試みたが、結果は散々でね……」
 その時の被害を思い出したのか、ラドルが苦い表情になっていた。
 彼の話を聞いたアーサーが、ふいに素っ頓狂な声を上げる。
「あ、あの時みたいな!?」
 そう言われても分からないアスランとマリュー、ラドルの三名にタリアが説明した。
 オーブ沖での戦闘の際、連合側が投入してきた新型MAに、ミネルバの陽電子砲を完全に防がれた時の事を。
「陽電子砲を……」
 彼の兵器の威力を十分に知っているアスランは、信じられないといった様子で呟く。
「おそらく、アルテミスの傘を応用した防御システムね」
 元が技術士官であったマリューは、連合の新兵器についてそう推測した。
 かつて、連合の宇宙要塞アルテミスで用いられていた、あらゆるエネルギーや物理的攻撃を無効化する光波防御帯の一種だろうと。
「……こちらの陽電子砲は無効化されるけど、あちらは撃ち放題ってわけね」
 タリアが悔しそうに言う。現在のザフト側に、陽電子砲を完全に無効化するような防御手段は無かった。
「だが、ミネルバとデュナメイスの戦力が加われば、あるいは……」
 ラドルの言葉はけしてお世辞等ではなく、単艦で多大な戦果を挙げてきたミネルバと、『浮沈艦』の流れを組むデュナメイスへの期待の表れであった。


「なるほどね……そこを突破しない限り、私達はすんなりジブラルタルへも行けはしないと――そういうことね?」
 今回の作戦に秘められた思惑に気づき、タリアは皮肉った。
 ラドルが申し訳なさそうに苦笑する。
「まあ、そういう事です」
「私達にそんな道作りをさせようだなんて、いったいどこの狸が考えた作戦かしらね」
 タリアは思い当たる人物を当てこするようにひとりごちた。
「まあ、いいわ。こっちもそれが仕事といえば仕事なんだし」
 アスランやマリューは、このいささか辛口で果断な女性が気に入り出していた。
 ラドルも同様なのか、僅かに笑みを漏らしている。
「では、作戦日時などは、また後ほどご相談しましょう。こちらも準備がありますし。我々もあなた方と共に、今度こそ道を拓きたいですよ」
480 ◆GmV9qCP9/g :2007/03/24(土) 20:02:13 ID:???
投下終了。

最近、このSSの終盤に疑問が……。
シン達が置いてきぼりになって「なのは達に食われる種キャラの図」に見えなくもない。
今、なのはが出番がないのは充電期間という事で、ご容赦下さいませ。

ではではノシ
481通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 20:48:47 ID:???
>>480


これからどんな展開になるかしらんが、なのはキャラがCE世界に出張っている話なんだから、なのはキャラが種キャラを食っちまうのは仕方ないと思うぞ。
でなきゃわざわざなのはキャラを出張させる意味がないし。
482通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 21:44:39 ID:???
>>480
GJ! 最近更新早くて嬉しいっす。
シンのちょっとばかしトチ狂った様子になごんだw
483通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 22:19:00 ID:???
一部キャラの異常な持ち上げ様に
特定キャラヘイトみえみえだな
なのはを持ち込んで書くネタか胸糞悪い
( ゚д゚) 、ペッ
484通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 22:23:24 ID:???
GJ!
真のシスコンっぷり全開だな
485通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 22:43:30 ID:???
>>483
針が大き過ぎです
486通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 00:31:26 ID:???
>>483
そんな汚ねぇ油じゃ濡れねえんだよ!ファック!
487通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 00:32:13 ID:???
>>483
執筆途上の作品に何言ってんだ、コイツ
種死本編と比べてもまだ15・6話位しか進んでないのに
488通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 00:38:23 ID:???
>>487
おばかさぁんの相手禁止ぃ
489通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 00:47:29 ID:???
>>488
そか、スマンカッタ
490通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 00:51:51 ID:???
醤油は燃えるのだろうか
491通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 01:08:20 ID:???
>>490
燃えないんじゃないかな?
492☆7ucUemKu:2007/03/25(日) 01:12:18 ID:???
>>480
乙です。
シンのシスコンパワー全開

魔法少女リリカルなのはStrikerS the Destiny〜揺るがぬ意思を持つ瞳〜
を、クロスオーバーSSを書こう!ってスレに修正版を投下してみました。
読みたい方がもしいたら、どうぞ。
493通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 07:19:22 ID:???
シンも洗脳されていくのか
494通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 09:52:27 ID:???
>>492
了解!
495シンとヤマトの神隠し:2007/03/25(日) 09:53:06 ID:???
ある日の八神家

「キラくん!これ運んで、それからシャマルはこっち。シグナムは飲み物を…。ヴィータはコップとお箸を用意して。
今日はおこたでご飯食べるからなぁ。」
慌ただしく動き回る八神家一同。
「ザフィーラも、今日は箸使って食べるからな?
はよ人型になって部屋着に着替えて…。」
青い毛波の子犬がリビングから出ていき、暫くするとがたいのいいキリッとした顔の男が部屋に入ってくる。
「おっしゃ…、ほんなら皆どうやって座ろか?」
「私!はやての隣!」
「ん、そうやな。一緒に座ろか?」
と言うわけで、長方形のコタツ、横にはやて、ヴィータ。対面してシグナムとシャマルが座る。
縦にはザフィーラ、対面してキラが座った。
「皆、いただきます。」
『いただきます。』
今日は大晦日なので普段は並ばないような食べ物が食卓に並んでいる。
「はやて、これ何?」
「それは数の子。」
「これは?」
「お餅や。」
キラはそんなヴィータとはやてのやりとりを微笑ましく見守っていた。
何か、お母さんみたいだなと思う。
面倒見もいいし、母性的。「キラさん?食べないんですか?早く食べないとなくなっちゃいますよ?」
と、キラから向かって右に座るシャマルがボケッとしているキラに声をかけた。
「あ?も、もちろん食べますよ?」
「個皿にとりましょうか?」「いや、いいです、自分でとれますから…。」
キラは膝で立ち、適当にいくつか個皿に取りわけていく。
取り分けたおかずを食べていると
「キラくん、おいしい?」
はやてが聞いてきた。何故かよくわからないが、はやてはキラに食事の度に聞いてくるのだ。
「うん、おいしいよ。はやてちゃん。」
そう答えると、はやては照れる。
「でも皆、今日はあんまりお腹一杯食べたらあかんよ?
年越し蕎麦もあるんやからね?」
「主、年越し蕎麦ってなんですか?」
「年越し蕎麦は、新年を向かえる時に食べる日本の伝統的な食べ物や。」
ほうっとシグナム。
それからだらだら食べながら皆で会話し、怠惰な時間を過ごす。
いつかはもとの世界に帰らなければならないキラ。
正直、もっとこの世界にいたいと思い始めていた。
496シンとヤマトの神隠し:2007/03/25(日) 09:55:20 ID:???
だらだらだらだら過ぎて行く時間。
『3、2、1、明けましておめでとう!!』
テレビから新年を向かえたのを合図とし、八神家一同も挨拶をする。
互いに頭を下げ、それが終わったら蕎麦を食べる。
それから、はやてが初詣に行こうと言い出したので、近くの神社に行くことになった。


「はぐれちゃったね?」
「そやな…、まぁ、はぐれたら家に集合って言っといたから大丈夫やろ?」
「そうだね。じゃあ…戻ろっか?」
キラははやての座る車椅子を押し、ゆっくりと歩き出した。
真っ白い月が夜道を照らす。
外灯がいらないほどに明るかった。
「キラくん、お賽銭、何お願いしたん?」
「これからも平和で皆が暮らせますようにって、それから…元の世界に帰れる日が来ますようにってお願いしたよ。はやてちゃんは?」
「うちも最初は同じや。でも…最後は逆やな…。」
はやてがうつ向き加減になった。
「できればキラくんには帰って欲しくない…寂しいなるし…。」
「うん…、そうも思うんだけどね…。この世界で暮らしていたいって…。でも…、やっぱり、いつかは帰らなきゃ行けないんだろうなって…。」
月を見上げてキラが言う。
「ありがとう…、はやてちゃん…。」
「どないしたん?急に…。」キラが突然お礼なんて言い出すものだから、何だかこのまま帰ってしまいそうではやては不安になった。
「はやてちゃんに出会わなかったら、管理局の人たちや、シグナムさんたちには出会えなかった…。
それに、シンと僕も…ちゃんとした形で話し合うなんてこともできなかったと思う。」
「何か明日にでもふといなくなってしまいそうやな…キラくん…。」
「そんな…急にはいなくならないよ。」
「お別れの時は、ちゃんと言うてな…。」
「うん…。」
「約束やで?」
「うん…。」
車椅子を押す手に力を込めて、門の前で待つヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラの元へと向かった。
皆でおみくじの結果を見せあった。
結果に対し、茶化したり、、驚いたり、疑ったり、怒ったり…。
そう遠くない日に、きっと帰ることになるんだろうな…。
笑うはやて、怒るヴィータ。
照れるシャマル、ムッとするシグナム。
相変わらず無愛想なザフィーラ。
そんな五人を眺めつつ、キラはそんなことを考えていた。
497シンとヤマトの神隠し:2007/03/25(日) 09:57:48 ID:???
コタツの中で、一同は雑魚寝する。
ザフィーラは子犬形態になっているので問題ないが、五人ぶんの足がコタツの中で重なりあっていた。
はやてとヴィータは母と子のように抱き合って眠っている。
シグナムは横を向き、シャマルは仰向けに寝て、胸の前で手を組んでいる。
何だか死体みたいだが…。キラは両手を頭の後ろに組んで眠っていた。


朝十時
雪がうっすらと積もった八神家の庭でヴィータとキラが羽突きをやっていた。カンッ、コンッという渇いた音が響き渡る。
「くっそぉ〜。」
さっきからヴィータはキラに負かされてばかりで、ヴィータの顔は墨だらけだった。
「キラ、卑怯だぞ!こーでぃ何とかなんだから少しはかげん…」
「ヴィータ…あとは私にまかせろ。」
今までみているだけだったシグナムは重たい腰をあげた。
「ヴィータの仇、とらせてもらうぞ。」
何だか戦闘態勢のシグナムに向け、キラは羽を打った。
「紫電一閃!」
「ちょっ……!!」
シグナムが渾身の力(魔力)を込め打ち放つ羽がキラの羽子板をぶち割った。
理不尽なことに、キラははやて、ヴィータ、シグナム、シャマルの四人に顔、体、腕、足に落書きをされていた。
それを見て笑う四人。
心なしかザフィーラまで片眉がピクピクしてるような気がする。
ムカついた。いくらなんでも身体中に落書きをするなんて理不尽だ。
だから、丸めた雪の塊を完全に無警戒で、目に涙までためて笑うシグナムとヴィータに向けて投げた。
「ざまぁみろ!キバッ!!」
「自分で鏡を見てみたらどうだ?キラ・ヤマッ…と」
「キィィイイラァア!!」
ヴィータが吠える。
見事二人の顔面に命中し、雪合戦が始まった。
シャマルもはやてもザフィーラも巻き込まれる。

「汗かいたなぁ〜、お風呂入らんと皆、風邪引くでって…キラ君、何か腕とか腫れとるで?」
「あぁ、これ?ヴィータちゃんが途中からグラーフアイゼンで圧縮した雪の玉を打ち出すもんだから…。当たっちゃって…」
たははと笑うキラ。
「はやてちゃんたちから先にお風呂に入っちゃえば?僕はあとでいいから…。」
「そうさせてもらうわ。」
はやてはにっこり微笑み、キラに答えた。
お風呂からはやてがヴィータに説教をする声と、シャマルのなだめる声、ひたすら謝るヴィータの声を聞きながらキラは笑った。
498シンとヤマトの神隠し:2007/03/25(日) 10:00:44 ID:???
「約束したのになぁ…。」
呟くはやて…。
一月も終りに近付き、今は八神家の夕飯。
ヴィータはモリモリとご飯を食べていた。
シグナムはゆっくりと噛み締めながら、シャマルは味わいながらゆっくりと、ザフィーラは床でいつもとかわりなく食をすすめる。
なぜかテーブルには一人分多くご飯茶碗と味噌汁茶碗が用意されている。
空白の席。
誰も座っていない。
本来なら、キラくんおいしい?
はやては聞くはずだった。それが日課になっていたから…、もちろん、代わりにヴィータたちに聞けばいいだけのこと。
けれど、何だか胸にぽっかりと穴があいたような気がするのだ。
ご馳走を用意した。
キラがシンに負けても、勝っても労ってやるつもりでいた。

二人が結界内で消えてしまったあと、それでもはやてはキラが帰ってくることを信じて、腕を振るって料理をした。
何だかキラがひょっこり帰ってきそうな気がしたから、呼べば返事を返してくれそうな気がして、お風呂も準備して、布団のシーツを張り替えて待っていた。
けれど、帰ってこなかった。呼んでも返事はないし、気配さえない。
本当にいなくなった。
いつかは帰ってしまうとわかっていた。
頭では理解していても、心がそれについていかなかった。

その日、初めて八神家の夕食がたくさん残った。
風呂に入って歯を研く、一本多く歯ブラシがあった。

皆におやすみの一言を言って、自分の部屋に行く前に、はやてはキラが使っていた部屋を覗いてみる。
電気をつけた。
部屋の隅に買ってあげた服が畳まれて置いてあり、枕元には、雑誌とはやての本が何冊か積み上げられていた。
「本当に…いなくなったんやなぁ…。」
はやては自分の部屋ではなく、キラが使っていた部屋で眠ることにした。
ヴィータにそのことを告げると、ヴィータも一緒に寝ると言う。
ヴィータに電気を消してもらい、はやては瞼を閉じた。微かだが、キラの匂いがする。
「……嘘つき…。
お別れはちゃんとするってゆうたやんか…。」
そう呟き、はやては声を殺して泣いた。
その隣で眠っていたヴィータの閉じられた瞼から雫がこぼれていた。

ある日の八神家〜完〜
499シンとヤマトの神隠し:2007/03/25(日) 10:13:36 ID:???
と言うわけで、ある日の八神家でした。
どうでしたでしょうか?
少しでも暇潰しになれば幸いです。

前回、劇場版を投下するとかぬかしておいてこの様です。
申し訳ない。
キャラの掛け合いが難しく、てこずってます。
もうしばらくお待ち頂ければと思います。

さて、このある日の八神家ですが、最終回っぽいですがまだネタが残っているので、まだまだ続きます。
続けさせてください。
お願いします。

500通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 10:17:35 ID:???
神隠し氏、乙なの!
切なくて、淋しくて、悲しくて……
読んでて涙ぐんでしまったよ。

正月遊びに全力全開なヴォルケンズのアタッカー2人には笑ったけどw
501通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 10:19:11 ID:???
>>499
むしろ続けてくれなきゃヤダ。
502ガンダムし〜どD´s:2007/03/25(日) 11:52:41 ID:???
D´sが出来上がったので投下します。いきなりでごめん

機動戦士ガンダムし〜どD´s 22話

「マユ君、準備はいいかね?」
クルーゼはパイロットスーツに着替えた後、クルーゼはマユに話しかける。
初めての魔法での実戦である。
さらにクルーゼから聞くと、MSが出てくるという。
「マユ、危なくなったら下がってなさい」
プレシアもやってきてマユを心配する。
「ほう、今回はあなたも出るのですか?」
クルーゼがプレシアに言う。
彼女も出るとはクルーゼも予想外だった。
「これもフェイトを戻すため。そしてアリシアのため」
もうアリシア復活のときは近づいている。
それまでにフェイトをこちらに引き寄せたい。
だからこそ自分が直接出向く。
「そうすれば、ちゃんとあなたの望みどおり、元の世界へ返してあげるわ」
クルーゼはそれを聞いて微笑する。
「もしそうなれば、マユ君はどうする?」
クルーゼに言われて、マユは考える。
元の世界に戻っても家族はいない。
そして、プレシアと約束した。
(プレシアが生き返ったら、お友達になってほしいの)
この約束を守るためにも……
「私は、ここに残ります。元の世界に戻っても、家族もいないですし…それに、アリシアちゃんの友達になるって約束もしましたし…」
それを聞いて、プレシアの胸が熱くなるのを感じる。
「そろそろ時間のようですな」
そういってクルーゼはプロヴィデンスに乗り込む
(面白くなるな……)
クルーゼはコックピットで笑う。
(がんばろう……)
マユは、自分の体内にあるデバイスに話しかける。
そのデバイスの名前は……
(がんばろう、ゼフォン)
『了解、マスター』
そう思い、クルーゼとマユは、次元転移で消えていった。
プレシアは、まずは傀儡兵を呼ぶ準備をする。

「そういえば、ちょうどあと1週間ですね。」
八神家で、シャマルはぽつりという。
「何が1週間なんだ?」
シンはシャマルに尋ねる。
「あと1週間で、はやてちゃんの誕生日なんですよ。」
そういわれて、ああと思い出すはやて。
503ガンダムし〜どD´s:2007/03/25(日) 11:53:58 ID:???
「シグナムたちと出会ったんも、うちの誕生日やったな。もう1年になるんか…はやいなあ」
はやてはそう思いながらこれまでのことを思い返す。
彼女らと出会っていろいろなことがあった。
そして様々なものを自分にくれた。
シグナムたちもまた、はやてに様々なものをくれた。
「じゃあ、そのときはみんなでなんかせなあかんな」
そんな事を話していると、携帯電話のメールがなった。
その内容は……
「また傀儡兵が来たって」
それを聞いて、シグナムは思う。
「また、あのMSとやらが出てくるのか?」
そこまでははやてもわからない。
だが、とりあえずは早く現場に行くことが大事である。
そう思ってシンもアースラに行こうとしたとき、何かに呼ばれる感じがする。
「ん?」
そう思い、シンは自室にいて、例の空っぽのデバイスを手に取る。
どこか、懐かしくは無いがどこかできいた、安心感がある声。
(お守りとかそんなんじゃないけど……)
「おーい、早くいくぞ!」
ヴィータに呼ばれて、わかってるよ、と言って、シンはデバイスをポケットに入れる。
この空っぽのデバイスが、シンに新たなる運命、デスティニーを宿すことになる。

「敵の様子は?」
リンディはブリッジで様子を見る。
「海鳴市付近の上空に傀儡兵多数、それに、以前のロボットの反応」
それを聞いて、あいつか、とクロノが嘆く。
ラウ・ル・クルーゼとかいうやつが乗っているMSという名称のロボット。
さらに……
「え?…それと、魔術師の反応も確認しました」
エイミィの報告を聞いて、クロノとリンディは驚く。
これまで魔術師が出てくることは無かった。
「まさか、彼が言っていたことは本当?」
以前クルーゼという男が言っていた言葉、プレシアが生きている。
「けど、それにしてはそれほどの魔力は感知できないけど……別人かな……モニターに出します」
そこから見える映像を見て、一同は驚く。
確認された魔術師は、なのはくらいの年齢の子供だったから………

(また来たんだ……)
マユは、下を眺めながら思う。
2回目となるこの世界の地球。
しかし今回は、来た理由は違う。
とある人物をこちらに誘う、悪く言えば誘拐するようなものなのだ。
504ガンダムし〜どD´s:2007/03/25(日) 11:55:02 ID:???
(なんか私、漫画とかの悪役みたいだな……)
だが、プレシアの願いはかなえたいと思う。
家族を失った悲しみは、自分が何よりも知っているから……
プレシアは少し遅れてから出てくるという。
「マユ君。危なくなったら下がるといい。傀儡兵はある程度は私でも指示できる。君を守らせることも出来るだろう」
クルーゼの言葉に、マユははい、と頷く。
魔法を使っての初めての戦い。
マユが今かなり緊張している。
『マスター、落ち着いてください。私がサポートします』
「ありがとう、ゼフォン」
その時、マユでも魔力の反応が確認された。
それと……
「モビルスーツ……」
見ると、空に2体、陸に1体。合計3体のMSがいた。
MSは別に配置した傀儡兵と戦っている。
そして魔術師と1体のMSがこちらに向かってくる。
そのなかで、マユは向こうの魔術師を見て驚く。
「え?なのはちゃんにはやてちゃん。それに…フェイトちゃんも!?」
マユは、この前来たときに出会った少女たちとの意外な再会に驚きを隠せない。
向こうもマユに気付いたのか、動きを止めた。
「え?マユちゃん?」
なのはたちも、正面にいるマユを見て驚く。
MSのほかに魔術師の反応と聞いて構えていたが、意外な人物になのはたちが驚く。
「どうしてマユちゃんがここに?」
他のメンバーも信じられないといった顔でマユを見る。
マユは黙ったまま3人を見る。
その時、向こうのMS、プロヴィデンスが動いた。
『フェイト・テスタロッサだな。以前君の使い魔から聞いたと思うが、君のお母様が呼んでいる。出来ればこのまま来て欲しいのだが』
クルーゼがそういって手に持っているライフルをフェイトに向ける。
その言葉にアルフが噛み付く。
「ふざけるな、あいつが今までフェイトにどんなことをしてきたのかわかってるのかい!」
今でも思い出されるフェイトに向けられた鞭の音、傷だらけのフェイト。
それに……
「あいつは、目の前でフェイとのことを大嫌いって言ったんだ!いまさらそんな事を言っても信じられるか!!」
それ以前に、コイツが本当のことを言っているのかどうかさえ疑わしい。
アルフを言っていることを聞いて、マユは不思議に思う。
確かに、彼女はどこか怖いイメージがある。
だが、自分には優しくしてくれている。
だからアルフの言っていることに疑問が残った。
その時、クルーゼがそろそろか、とつぶやく。
なのは達の周囲に雷が出現する。
505ガンダムし〜どD´s:2007/03/25(日) 11:56:22 ID:???
「な、何?」
その時、アースラから通信が入る。
「気をつけて。かなりの魔力反応が!」
エイミィがそういったとき、マユの隣に空間が曲がるような現象が起こった。
そこから、一人の女性が現れる。
「うそ……」
その人物に、フェイトは驚く。
あのクルーゼが言っていたことが本当だということになる。
「かあ…さん……」
現れた人物は、プレシア・テスタロッサ本人であった。

「フェイト……」
プレシアはフェイトを見る。
改めで見ても、アリシアと姿は瓜二つ。
プレシアはフェイトに手を差し出す。
「フェイト、一緒に来なさい。アリシアも時季に生き返る」
今のプレシアの目は優しく、自分が持つアリシアの記憶あるプレシアの微笑みの顔だった。
「かあ……さ…ん……」
だが、ここでふと気付く。
アリシアが生き返る?そんなはずはない。支社が生き返るなんて、そんな……
変わりにアルフが言い放つ。
「いい加減にしな!アリシアはもう死んだんだよ!死んだものは二度と帰ってこない!」
はやてたちは、P・T事件のことを良く知らないため、話に入ってこれないでいる。
「いや、アリシアは生き返るわ……」
プレシアが小さく言う。
「あなた達には礼を言わなくちゃいけないわね」
彼女は、ジュエルシードを発動させてから今までのことを話す。
「結局、あれだけのジュエルシードじゃアルハザードにはいけなかったわ」
アルハザード、そもそもそんなものがあるかどうかすら分からない。
「そして、ジュエルシードによって私はあるところに飛ばされた」
そこは、自分も知らない空間で、捨てられた施設のようなところだった。
「そこで私は見つけたの。人を生き返らせる程の魔力を持つロストロギアを」
ロストロギアという言葉を聞いてなのは達は驚いたが、考えても見ればジュエルシード以上の力を使うのだったら別のロストロギアを使ってもおかしくない。
「そのロストロギアとはどんなものか試しているときだったわ、彼とであったのは…」
そういってプレシアはクルーゼを見る。
クルーゼは大破したプロヴィデンスで気を失っていた。
クルーゼ自身の品詞の重傷を負っていたのだ。
プレシアは、ロストロギアの実験として瀕死のクルーゼを回復させた。
「なるほど、それでこいつが生きていたってことか!」
気付くと、3体のMSがプロヴィデンスに近づく。
アカツキは飛行能力は持たないので見上げることになるのだが……
「ふん、私にはお前が生きていることのほうが不思議なのだがな」
クルーゼは笑いながらムゥに問う。
クルーゼは、ムゥが乗っていたストライクが残骸となっているところを見た。
「まあそんな事はどうでもいい。それよりもだ……」
クルーゼはプロヴィデンスをレイの乗るレジェンドに向ける。
「以前の答えを聞こうか、レイ」
506ガンダムし〜どD´s:2007/03/25(日) 11:57:49 ID:???
クルーゼの問に、レイは俯く、そして……
「ごめんなさいラウ……俺は、あなたとはいけない……」
そして……
「ラウ!俺達とコズミック・イラへ戻ろう!そしてデュランダル議長の下で世界を変えるんだ!」
そんなレイの言葉に、クルーゼは残念そうに言う。
「残念だよレイ……君だけは私の気持ちがわかってくれるはずだと思ったのに」
「ラウ……」
やはり、とレイは下を向く。
解ってはいた、解ってはいたのだが……
「クルーゼ、貴様、何をたくらんでいる!!」
ムゥの言葉に鼻で笑うクルーゼ。
「決まっているだろう。自分の世界に戻って、私を生んだ人類に粛清するのさ」
クルーゼの言葉を聞いて、皆が驚く。
それは、マユも同様であった。
「心配しなくてもいい、この世界へは手を出さないさ」
そういう問題ではない。
「所詮人など、滅ぶ存在なのだよ……」
そこへ、いままで黙っていたシンが動く。
「ふざけるな!アンタって人は!!」

あの翼を生えたMSのパイロットとを聞いて、マユは呆然とする。
その声、自分が忘れるはずなどない。
「お……にいちゃん?……」
マユはいてもたってもいられず、デスティニーのコックピットらしきところに近づく。
シンも、敵の魔術師がデスティニーに近づいてることに気付き、構える。
しかし……
「うそだろ……」
目の前の魔術師の姿に、シンは固まる。
その姿は、マユと瓜二つなのだ。
落ち着け、とシンは自分に念じる。
家族はあの時、2年前に死んだのだ。それが目の前に現れるはずがない。
第一自分は見たのだ。妹を、家族の無残な最期を。
しかし、さっきのようなクルーゼの例もある。
そこでシンがとった行動は、
「そこの魔術師……あんたの名前と生まれたところを言ってくれ」
これではっきりと解る。マユなのかどうか……
シンはコックピットを開き、向こうの魔術師を見る、
危険だということは解っている。解っているけど、どうしてもシンは知りたかった。
マユもコックピットから出てきた人物に驚き、涙を浮かべる。
見間違えるはずがない。
生きていた、兄が。
二度と会えないと思っていた人が。
そう思いシンに近づこうとしたとき、
507ガンダムし〜どD´s:2007/03/25(日) 11:59:40 ID:???
「さっきも言ったとおり、名前と生まれを行言ってくれ」
それを見て、マユは驚いた顔でシンを見る。
確かに、兄の言っていることもわかる。
自分も、家族は死んでいると思った。
それは兄も同じで、そう思ってもおかしくはない、おかしくはないが、出来れば自分のように、すぐにわかってほしかった。
マユは、そんな兄に少し残念な気持ちを抱き、シンの問に答える。
「私の名前はマユ・アスカ。生まれは、オーブ……」
それを聞いて、シンは驚いた顔でマユを見る。
「わかってくれた?お兄ちゃん……」

22話投下完了。
なんかマユが違う気がする……
しかも戦闘するって言っておきながらあんまり戦闘してないし……
つぎは入れ替わりのやつを投下予定。
508通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 13:20:41 ID:???
神隠し氏&し〜ど氏GJ!! 流石はここのスレの二枚看板ぶり! 

>ある日の八神家
お正月のほのぼの分だけ最終回での別れのシーンが重く……さあ、劇場版での再開ではどのようなドラマが!

>ガンダムし〜どD´s
ついに出合ってしまった二つの家族。次回は大混乱必死の乱戦が目に浮かぶ。
クルーゼの笑い声と原作ばりの演説が響きそう……

509ガンダム:2007/03/25(日) 21:35:08 ID:???
22話で、一部間違いを見つけたので修正。

あの翼を生えたMSのパイロットとを聞いて、マユは呆然とする。
未だに家族の顔は思い出せない。
しかし、声は未だに覚えている。
「お……にいちゃん?……」
あの声は、自分の兄、シン・アスカと酷似していた。
マユはいてもたってもいられず、デスティニーのコックピットらしきところに近づく。
シンも、敵の魔術師がデスティニーに近づいてることに気付き、構える。
しかし……
「うそだろ……」
目の前の魔術師の姿に、シンは固まる。
その姿は、マユと瓜二つなのだ。
落ち着け、とシンは自分に念じる。
家族はあの時、2年前に死んだのだ。それが目の前に現れるはずがない。
第一自分は見たのだ。妹を、家族の無残な最期を。
しかし、さっきのようなクルーゼの例もある。
そこでシンがとった行動は、
「そこの魔術師……あんたの名前と生まれたところを言ってくれ」
これではっきりと解る。マユなのかどうか……
シンはコックピットを開き、向こうの魔術師を見る、
危険だということは解っている。解っているけど、どうしてもシンは知りたかった。
マユもコックピットから出てきた人物をみて、記憶のピースがそろう。
「お兄ちゃん……」
やっと思い出した、家族の顔
そして目の前にいる人物は、顔に傷があるが、紛れもなく自分の兄、シン・アスカだった。
兄が生きていた。
二度と会えないと思っていた人が。
マユは二重でうれしくなった。
彼女は、シンに近づこうとしたとき、
「さっきも言ったとおり、名前と生まれを言ってくれ」
それを見て、マユは驚いた顔でシンを見る。
確かに、兄の言っていることもわかる。
自分も、家族は死んでいると思った。
それは兄も同じで、そう思ってもおかしくはない、おかしくはないが、出来れば自分のように、すぐにわかってほしかった。
マユは、そんな兄に少し残念な気持ちを抱き、シンの問に答える。
「私の名前はマユ・アスカ。生まれは、オーブ……」
それを聞いて、シンは驚いた顔でマユを見る。
「わかってくれた?お兄ちゃん……」
510ガンダムし〜どD´s:2007/03/25(日) 21:38:10 ID:???
途中でマユは、家族の顔を思い出していないことに気付いて急遽修正。
すみません
それと、>>509でなまえがガンダムってなってるけど、し〜どD´sなので、訂正しておきます。
では。
511通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 22:22:07 ID:???
神隠しさん、D'sさん、GJです。
>八神家
ほのぼのとした雰囲気の正月が中心な分、別れの後がよりいっそう淋しげに感じました。
それと同時に、シンの方でも「終わったら温泉行こう」と話していたなぁ・・・と思い出したり。
>D's
とうとう親子&兄妹再会がきた・・・!
気になる事は多々あるけど、最も気になるのはシンが持ってる「空っぽのデバイス」ですね。
512失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/26(月) 01:44:14 ID:???
投下しようと思います。ドキドキが止まらないです。
ここまでドキドキしたのは彼岸島1〜3巻一気読みして、黙示録カイジ全巻一気読みして以来です。
書き始めてわかったけど、無茶苦茶エネルギー使うわ、長い話作るのって。他の人すげぇな。
513失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/26(月) 01:46:16 ID:???
第一話


白い、まっ白い景色。
全周囲のモニターに映るそんな世界の向こうから、閃光が幾筋も自分へと走ってくる。
敵だ。その姿は自分のフリーダムに類似していた。ガンダムタイプ、とでも言うべきか。
避けた。防いだ。
反撃。
振動。
ビームライフルがやられた。
そこで敵艦の動きにキラは気づく。カタパルトから新たに武装を射出したのと、艦首砲が出てきた。
あの艦首砲は危険だ。対峙するガンダムから離れる。まずはアークエンジェルを逃がさなければ。カガリ
を逃がさなければ。
しかしついてくる。
射出された武装から、敵がある物をひっつかみ、投げた。
ビーム。ブーメランだ。
転回。防げた。
バランスを崩す。海に接した。
敵艦の艦首砲が、放たれたのが見える。
いけない。アークエンジェルは?
気を取られた。機体のバランスは崩れたまま。注意はアークエンジェルの安否にそれた。
敵は?
突っ込んでくる。対艦刀。刺す気だ。盾。
貫かれた。機体、腹部。

―――――――爆発。

そこに差し伸べられたのは、手。
514失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/26(月) 01:49:43 ID:???
「はっ!?!」

バネのような勢いで身を起こせば、そこは見知らぬ部屋の見知らぬベッドの上だった。

「はっ……はっ…はっ……」

動悸が止まない。震えの止まらない手を見れば、汗でぐっしょりと濡れていた。いや、手だけではない。全
身が汗で濡れ、べったりとシャツに張り付いて気持ちが悪かった。そしてそれ以上に、今しがた見た悪夢
に、気分はどん底まで沈んでしまっている。内容は覚えてない。ただ、これ以上なく恐ろしかった事は覚え
ていた。

「ここは…ぃっつ…」

動こうとした途端、体の各所に耐えがたい痛み。打撲、打撲傷、火傷。はっきりと、自分がズタボロである
事が自覚できた。
何故?
何故自分はこれほどの怪我をしている?

「……あれ?」

何故だ?
何があった?
どうしてこうなった?

「……え?」

思い出せない。
覚えていない。
いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように。
目覚める前の記憶が、ない。

「なんで……え…」

思わず、頭を無造作に掴んだ。汗でびしょびしょの髪が指の間から零れる。目線が虚空を当てもなくさま
ようが、見覚えのあるものはまるでない。大きな部屋に、大きな窓。壁をまるまる窓にしているようで、ここ
が2階以上であるのがわかる。眼下には、手入れされた庭が見えた。なんとも絢爛とした庭園だ。間違い
なく金持ちが管理しているのが一目で分かる。時はもう夕刻。茜色の、世界。
知らない。
ここがどこであるか、自分は知らない。
そして、どうしてここにいるのか、自分はわからない。
必死だった。
きっと思い出せる。目覚める前の記憶は、きっと思い出せる。
力の限り目をつむった。瞼が目を圧迫しすぎて、痛いほど目をつむった。一切の闇の中で、懸命に懸命
に過去を見ようとした。少し、混乱しているだけだ。すぐ思い出せる。そう、言い聞かせて。

「思い……出せない」
515失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/26(月) 01:52:05 ID:???
声に出すと、はっきりとその現実が叩きつけられる。
今しがた見たはずの、夢の内容さえも覚えていない。まるで、唐突に自分がここに現れたかのように。自
分に記憶がなくなっている。それを認めてしまった瞬間、彼に襲い掛かってきたのは不安だった。
ここはどこだ?
なぜここにいる?
だれがこのちかくにいる?
なぜここにいるんだ?
欠片も未来が見えない不安。過去がどうこう以前に、これからどうなるかの判断材料さえもない。
シャツとズボンで大きな部屋の大きなベッドに寝ていた。
ただそれだけしかわからないのだ。
いや、待て。

「僕は…誰だ……」

名。
他の何も思い出せない。
ならばこれも思い出せないのではないのか?
やはり、不安の海に身を浸していながら、微かな希望を掴みたい一心で考える。
自分の名。
名前。

「僕は……僕の…」

名は。

「僕は……」

まるで、誰かに囁かれたかのような錯覚が思考に差し込まれた。
誰もいない海に溺れていた自分へと手が差し伸べられたよう。じわりと確信が沸いた。間違いない。
自分の名前は、

「キラ……キラ=ヤマト」

その呟きに重なるように、部屋の扉が開かれた。

「おう、起きたか」

現れたのは、がっしりとした中年男性だった。ボサボサの髪に不精ひげ。そんな清潔ではなさそうな顔
で、着てるものは白衣だった。

「おう、鮫島! お譲ちゃん! 起きたぞ!」
516失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/26(月) 01:53:00 ID:???
響く大声で、誰かしらへ一声かければ、白衣の男がキラへと歩み寄ってきた。
酒の臭いが強い。

「気分はどうだ?」
「良く……ないです」
「そうか。俺は薮井信也。ヤブイ、シンヤだ。医者だ。お前、名前は?」
「キラ…キラ、ヤマトです…あの、ここは?」

場所。この家というか、屋敷について尋ねようとしたキラの耳に、ノックの音が転がった。
今度は2人。1人は長い金髪の可愛らしい女の子と、初老の域に達する口髭をたくわえた品の良い男性
だ。

「目が覚めたのね。大丈夫ですか?」
「動かなければ、何とか……」
「鮫島、この兄ちゃん汗かき過ぎだ。着替え持ってきてやれ」
「わかりました」

1人が、またすぐに出て行った。名は鮫島というらしい。
それを何となく追うキラの目が、少女とあった。

「あたしはアリサ。アリサ=バニングス。この家の娘です。あなたのお名前は?」
「キラ…ヤマトです。あの、なんで僕はここに…?」
「なんでって……その」
「兄ちゃんすっぽんぽんで倒れてたからよ、このお譲ちゃんが助けてくれたんだよ」
「ちょ、ちょっと薮井さん! 女の子の前なんだから、もうちょっと言い方が……」
「事実じゃねぇの」

ヒッヒッヒッ、と薮井が笑う。
それじゃあ、これは? と顔に出していたのだろう。薮井がキラが今着ている服をつまんだ。

「さっき出て行った鮫島ってやつのだ。しかしお前さん、全裸で火傷して打撲してって、いったい何があっ
た?」
「……わかりません」
「へ?」

面白半分に、聞き出そうとしていた薮井の眉根が釣り上がる。

「あの……僕は誰なんですか?」
「え? キラ=ヤマトさん、なんじゃないんですか?」
「違うんです…僕は何者で…どこから来て……そういう記憶が…ないんです…」
「……記憶喪失?」

アリサが信じられないように呟いた。
鮫島が、着替えを持って帰ってきた。
517失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/26(月) 01:55:02 ID:???





「シグナム、報告が入ったけど……」
「……成果なし、か」

エイミィがコンソールを叩き、捜索部隊からの連絡をモニターへ回す。
アースラのブリッジにて、キャプテンシートの横に立つシグナムは、それを眺めながら重い溜息を洩らし
た。捜索の範囲や人員、行方不明になった時刻やら目撃証言などがモニターに流れていくが、シグナム
の頭に入りはしなかった。これほど心が乱れているシグナムを見る事はクロノとリンディもなかった。

「そう気を落とさないでシグナム。きっと見つかるわ」
「提督……しかし……」
「あのヴィータの事だ。ひょっこり帰ってくるさ」
「……そうだな」

ヴィータが行方不明になって数日が経つ。
任務中、唐突に姿を消したのだ。転送機器を用いずに次元世界を跳躍していた時分で、連絡も一定間隔
で行われていた。それがふと、いなくなってしまったのだ。モニターはしていなかった。それゆえ、事故か
ら襲撃まであらゆる可能性が考えられる。

「ただの事故さ。そもそも、あの元気のいい娘が簡単にどうこうなるはずがない。大方、記憶喪失にでも
なってるんだろうさ」
「…あぁ、そうだな」

いつもよりクロノは饒舌だ。間違いなく、シグナムを気遣っての事だろう。その気持ちに感謝しながら、そ
んな心を表に出す自分に恥じながら、シグナムはエイミィにもう1度報告をモニターに流すよう頼む。今度
は、しっかりと頭に叩き込む。

「たるんでいるな。私も……」
「君が? 君がたるんでいるのならば僕は溶けてる」
「そう謙遜することもあるまい、執務官殿……今度ぜひ模擬戦に付き合ってもらいたいな?」
「……デュランダルが戻ればね」
「何? 手元にないのか?」
「今、ロッテとアリアとプランを出し合って、マリーにいじってもらってる」
518失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/26(月) 01:57:47 ID:???
対闇の書の闇においてその大出力を見せつけたデュランダルであるが、その実態は本当に対闇の書の
闇をしか想定していないデバスであった。セットされたエターナルコフィンは、確かに強力な攻撃魔法で、
地形や天候さえ左右する大魔法だ。そして、闇の書の闇との戦いの場において、デュランダルはそれの
みを使用して戦いの好機を引きずり出した。
と、いうよりも実はあの時点で、デュランダルはエターナルコフィン以外をセットされていなかったのだ。
いろいろと落ち着いた後、クロノはデュランダルの調整を行い、テストとカスタマイズを繰り返す。好みとス
タイルに合わせては、マイナーチェンジを繰り返したのだが、クロノ的にどれもしっくりこない。そこで、製
造元と意見交換、そしてマリーの手にある段階というわけだった。

「そんなに使いずらいのか?」
「いや、むしろ使い易すぎるんだ。S2Uよりも軽い感覚で大きめの砲撃が撃てるし。ただ、出力が大きい
から気付けば余分に魔力が持っていかれている事が何度かあってね。戦闘中は、もうちょっと魔力の出
入りはシビアにしたい」
「やはり、使い慣れた物が一番だな」
「そういうことだ」

ちらりと、2人の視線がシグナムの胸元へと行く。首にかかる、レヴァンティンの待機状態だ。

「君はいったいどれだけそれを使い続けているんだ?」
「さて、どれくらいだろうか。一番最初、作り出された時に渡されたからな。もちろん、時代に合わせて何度
も手を加えているが……シュランゲフォルムも、いつかの時代で新たに加えたものだ」
「君が改造したのか?」
「いや、その時の主だ。デバイスの技師だったのでな、敵対してきた輩に対抗するためにと強化してくだ
さったのだ……そういえば、その時の敵対者もレヴァンティンの使い手だったな」
「へぇ、レヴァンティンは他にもあるのか」

意外だった。確かに、商品化されているデバイスは同一の名前が多数あると言える。
しかしながら、性能で見ればレヴァンティンとは格が違うのだ。

「あぁ、今はレヴァンティンという名を失っているかもしれんが、杖のものや剣のものと、多様な種類のデ
バイスにレヴァンティンの銘が打たれているはずだ。知らなかったのか?」
「古代のベルカについては、それほど詳しくないものでね。なかなか勉強になるよ。グラーフアイゼンもか
い?」
「いや、あれはヴィータ専用だ。クラールヴィントは、誰かから譲り受けたようだが」

そう、会話をしながら捜索隊の報告データも頭に叩き込み、全員分のお茶がエイミィから配布された頃合
い。大きな欠伸をしながらアルフがブリッジへと入ってくる。寝ぼけ眼で、頭の幾房かがハネている。

「ふあぁあ〜〜、おはよ。あれ? フェイトは?」
「フェイトなら、食堂よ。漢字の書き取りの宿題をやってるわ」

養子として迎え入れたリンディからすれば、フェイトの真面目な態度は実に誇らしいのだろう。ニコニコし
ながら、リンディはアルフに自分のお茶を差し出した。目をこすりながらアルフはそれを口にして、むせ
る。

「げっほげっほ、甘いわ渋いわまろやかだわ……」
「あら、口に合わなかったかしら?」
519失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/26(月) 01:59:25 ID:???
「食堂で勉強って、学生時代を思い出すね、クロノ君」
「エイミィはあの頃からまるで変わってないな」
「え? そう? まだまだ学生で通用するかなぁ、あたし」

アルフの背中をさすりながら、えへへ、と照れ笑いをするエイミィ。そんなエイミィの手を、もういいよ、あり
がとう、と礼を言いながら柔らかくアルフがのければ、シグナムがお茶を差し出した。

「大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だよ、ありがと」

落ち着いた様子で、シグナムのお茶を受け取れば、鼻をひくひくさせてから、飲んだ。
渋い。飲み込めば、喉に程よい熱さ。香りが鼻に抜け、舌にじわり、じわりと甘味が花開く。

「ふぅ〜……あれ? なんでシグナムがアースラにいるのさ?」
「……君は何も聞いていないんだな」

呆れるクロノ。苦笑するリンディとエイミィ。
そんな場の空気が気に食わないのか、アルフはムッとなったまま説明を求めた。

「ヴィータが行方不明になったのは聞いているだろう?」
「そりゃ知ってるさ。シグナムもやってた仕事終わったから、捜索に加わるんだろう? だからなんでアー
スラにいるんだってば?」
「じゃあ、僕たちはどこへ行こうとしている?」
「管理外世界……えぇっとナンバーは忘れたや。ロスト・ロギアの反応があったからアースラスタッフで調
べに行くんだろ」
「第83管理外世界だ。捜索隊の範囲が、明後日から広がるんだ。その範囲に、この世界も含まれること
になる。だから、ついでにシグナムも乗せていく事になったんだ」
「なんだい、アースラをタクシー代わりかい」
「捜索隊との合流まで、ロスト・ロギアの捜査を手伝うという事を代金としておいてくれ」

にやりと、悪戯っぽくシグナムが笑った。
もう3時間もすれば、目的地の宇宙へアースラがたどり着く。
そこで訪れる危機について、シグナムはこの時点で薄ぼんやりと感じ取っていたのかもしれない。
520失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/26(月) 02:02:57 ID:???
終わりです。
普通の病院では都合が悪いので、自分でもあまり好ましくないですが薮井というオリジナルを登場させてしまいました。
そう出てくるわけでもないので、できれば広い心で見守ってくださればと思います。
521通常の名無しさんの3倍:2007/03/26(月) 02:39:13 ID:???
>>520
乙!! まだまだプロローグで状況がさぱーりわからんが、文章レベルは高いね。
創作初めてだったらスゲぇな。楽しみな作品が一つ増えたよ。
522魔法戦士リリカルSEED:2007/03/26(月) 12:19:22 ID:???
こんにちは。
とりあえずもう少ししたら投稿したいと思います。
523魔法戦士リリカルSEED:2007/03/26(月) 12:26:52 ID:???
第02話「フリーダム」

プレシアに案内されて辿り着いたのは、西洋宮殿内を思わせるような内装の広い部屋だった。
さっきの薄暗い部屋と違い、明るくて綺麗な場所だ。
「ここであなたの力を見せてもらうわ」
「ここで?」
見たところ広い意外に訓練など、魔法を使うような物があるようには見えない。
するとプレシアは術式を展開し、魔法陣から複数の傀儡兵が姿を阿現す。
その数は30体近くいて、この広い部屋にも溢れかえっていた。
かなり様々な種類があり、バリエーション豊かである。
「あの、どうするんですか?」
「あなたに戦ってもらうの、あれと」
「ええ!?」
さも当然みたいに戦えと言うプレシアの言葉に驚く。
いや、なんとなく予想はしていたが、できれば外れてほしかった。
「無茶ですよ。僕は普通の人間なんですよ!」
“普通の”という言葉は実際少し正しくないが、それでもただの人間には変わりない。
たとえ生まれながらにして与えられた才能があったとしても、それは魔法と関係ない世界でのことだ。
「言ったでしょ。あなたには魔導師としての資質があると。現にデバイスを起動させた」
「だからって・・・」
「あなたがこの世界で生きていくには、魔導師になるしかないの。ここはそういう世界なんだから」
プレシアの言っていることは半分嘘だが、半分は本当である。
多少なりとも自由を保障され、命を長らえるには魔導師になってもらう必要がある。
もっともそれは、キラの意志とは無関係に、プレシアが必要と思ったからだ。
「あなたはもう少し、自分を信じたほうがいいわね。それがせっかくの才能を潰すことになる」
「僕は・・・才能なんて・・・」
キラの脳裏にクルーゼの言葉が過ぎる。
−知れば誰もが思うだろう!キミのようになりたいと!−
524魔法戦士リリカルSEED:2007/03/26(月) 12:33:57 ID:???
もしこれで魔法の才能まであったら、本当に都合よく生み出されたものだ。
だからこそなのか、キラの中で試したいという気持ちが生まれた。
しかし、それを肯定する気になれないのも事実。
「しかたないわね。始めるわ」
「え!?」
いきなりのことに驚くキラ。
プレシアはさっさと転移してしまい、出入り口が閉ざされてしまう。
この広い部屋に一人残されたキラは、目の前の傀儡兵の群れを見る。
(冗談・・・だよね?)
誰に質問するわけでもなく、キラは額から汗を流す。
だが、キラの考えに対する答えなのか、傀儡兵が一気に襲い掛かってきた。
「クッ!」
キラは咄嗟にフリーダムを傀儡兵に向ける。
しかし、そのトリガーを引くことができなかった。
傀儡兵の振り下ろした剣を後ろに飛び退いてかわすが、すぐさま飛行タイプの傀儡兵が突っ込んできた。
上体を捻って辛うじてかわして、床を転がるようにして距離を取って起き上がる。
「プレシアさん!どうしてこんな!?」
「実戦に勝る訓練はないわ。心配しなくても、非殺傷設定にしています」
「そんな問題じゃないでしょ!」
巨大な斧を振り下ろす傀儡兵の一閃をかわし、意を決してフリーダムのトリガーを引く。
すると銃口から蒼い光の弾丸が発射され、傀儡兵の頭部に命中する。
「やった?」
命中して倒したかと思ったが、頭部が半壊しただけで、倒せてはいなかった。
すぐさま拳を振り下ろし、キラは咄嗟に左手を前に掲げる。
するとキラの手から蒼色の壁のようなものが現れ、傀儡兵の攻撃を受止める。
「これは・・・盾?」
525魔法戦士リリカルSEED:2007/03/26(月) 12:42:25 ID:???
キラが生み出したシールドだが、それは前面にしか展開されていないので、四方八方から迫ってくる傀儡兵に対応できない。
持ち前の反射神経と、常人以上の運動能力と、ついさっき使えることを知ったシールドで辛うじて防御に徹している。
隙を見てはフリーダムを撃つが、いまいち威力が不足している。
「この!」
ただ連射ができるので、攻撃に転じる機会はそれなりにあり、複数を連続して攻撃できる。
(もっと威力のある武器は・・・あるわけないか!)
持っているのはフリーダムだけ。
MSのときと、違いその他の武装があるはずもない。
フリーダムをイメージして戦えれば楽なのだが、多数の武装もなければ空も飛べない。
(飛べない・・・?もしかして!)
キラは魔法というものは全然わからないが、こういうものは集中力や意志の力が肝心ではないかと思った。
飛ぶ自分の姿をイメージして、床を蹴って高く跳び上がると、そのまま高く飛翔した。
「できた!だったら!」
キラはビームライフルをイメージする。
するとフリーダムの銃口の先に術式が展開された。
『ビームライフル』
魔法陣が瞬時に圧縮されて、緑色の閃光となって伸びる。
その魔力光は傀儡兵を簡単に貫通して、一撃のもとに破壊した。
526魔法戦士リリカルSEED:2007/03/26(月) 12:49:52 ID:???
その様子を映像で見ていたプレシア
「思ったより早かったわね。もう戦い方を熟知した」
本当に良い拾物をしたと思い微少する。
この調子ならすぐにでも使い物になるだろう。
そう思ったとき、後ろのドアが開いて一人の少女が入ってきた。
「お母さん」
母と呼ばれたが、プレシアは振り返りもしない。
少し辛そうな表情を浮かべる少女。
「行って来ます・・・」
「待ちなさいフェイト」
出て行こうとした少女フェイトを呼び止める。
「もう少し待っていなさい。時期に彼の戦いは終わる。あなたに付けるわ」
「彼?」
フェイトはプレシアの見ていた映像に目を向ける。
するとそこには、自分より少し年上なのだろう少年が複数の傀儡兵と戦っている。
魔法やデバイスの使い方はまだ不完全みたいだが、その戦い方は戦いを熟知しているものの戦い方だった。
普通は魔法の知識に始って戦いの知識と経験なのだが、まったくの逆だ。
「素晴らしい拾物だわ。初めてとは思えない戦いぶり、さっきまで魔法を知らなかったとは思えない」
「え?」
フェイトは驚いた。
まったくなにも知らない素人の戦い方ではない。
それが本当なら、凄い才能の持ち主だということになる。
「ふふふ・・・」
狂気に満ちたプレシアの微少。
フェイトはそんなプレシアと、映像の中の少年を静かに見つめていた。
527魔法戦士リリカルSEED:2007/03/26(月) 12:54:14 ID:???
2話の投稿終わりです。
かなり短いですが、この程度の筆量しかないということで・・・

春休みに入り、中学の入学式までまったりみなさんの作品を読みたいと思います。
人生経験も小説経験もまったく足りてませんが、できれば見守ってください。
完結させたいと思いますので(=^0^=)
528失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/26(月) 17:06:32 ID:???
コテありで少し失礼します。
ちょいと、ばかりSSの倉庫についてですが、自分のが追加されているので嬉しく思います。
しかしながら、プロローグが抜けているようなので、申し訳ないですが、そちらも差し込んでもらえると有り難いです。
こんな書き込みだけで申し訳ないです。

>>521
短い話はガリガリ書いていましたので、長いのが初めて、という事で一つ御記憶お願いします
529通常の名無しさんの3倍:2007/03/26(月) 23:13:50 ID:???
>>527
GJ!!楽しんでよんでます。完結にむけてがんばってください。
>>528
こちらもGJ!!自分もssかいてますがこんな風にはかけないのですごいと
おもいます。

どちらもがんばってください。おうえんしてます。
530通常の名無しさんの3倍:2007/03/27(火) 14:41:06 ID:???
投下、乙!
頑張って完結を目指してほしい。

菜種は未完結が多過ぎるんだよ。
最近は面白さ以上に完結を望んでしまう。
531通常の名無しさんの3倍:2007/03/27(火) 15:05:51 ID:???
まあ完結しないのはなのはSSに限らんがな
532ガンダムし〜どD´s:2007/03/27(火) 22:46:43 ID:???
もう少ししたら短編を投下予定
533ガンダムし〜どD´s:2007/03/27(火) 22:56:31 ID:???
えーと、みなさんこんにちは。
私、高町なのはです。
いきなりですけど今朝、シャマルさんから電話があったんです。
はやてちゃんとシン君が大変な身になってるから、昼過ぎに来てくださいって。
大変なのだったら今からいこうかって聞いたのだけど、そこまで急がなくていいって言ってきたんです。
大変なのにへんだなぁと思ったら、言っても解ってれないと思うから、昼過ぎに出来るだけのメンバー集めて、昼過ぎに来てくださいって、なんかどこかの暴走族の頭のようなことを言ってきたんです。
そのままシャマルさんは電話を切ってしまって、結局お昼ごはんを食べてから、フェイトちゃんたちいつもの仲良しメンバーをつれて、はやてちゃんの家にやってきました。
なかにはいると、「いらっしゃい」って、何故かはやてちゃんじゃなくてシン君が言ったの。
ちょっと不思議に思いつつ部屋に入ったんだけど、皆がなにかうんうんいいながら考えてたの。
「あんたたちなにやってんのよ?」
アリサちゃんが皆に言ったら、はやてちゃんがアリサちゃんにこういったの。
「だからあんたらをよんだんだろ?ったくもー……」
………え?はやてちゃんどうしたの?いつもの関西弁は?
機嫌でも悪いのかな?
それには、シグナムさんが答えてくれました。
「すまない、ちゃんと言ってなかったな……」
そういうと、シグナムさんは普通では考えられないことを言ったの。
「主とアスカの心が入れ替わった」

D´s短編集1 入れ替わり(思案)

「つまり二人が言うには、はやてちゃんとシン君の心が入れ替わって、元に戻す方法がわからないからわたしたちを呼んだってこと」
なのはの言葉に二人は頷く。
確かに大変な自体である。大変ではあるのだが……
「どうしよう……」
今まで心が入れ替わって、どうにかしてしてくれなんて言われたことがない。
そこでなのはは、シン(体ははやて)の頬に大きな絆創膏が貼られていることに気付く。
「シン君。その怪我、どうしたの?」
なのはにいわれて、ああ、とあのときを思い出す。
「はやてに全力で殴られた」
それを聞いて、アリサが軽蔑した目でシンを見る。
「まさか、入れ替わったからそれをいいことにいたずらしたんじゃ……」
アリサの言葉を聞いてガクッと肩を落とすシン。
「するわけないだろう。俺自体小学生の体に興味なんてないし、第一そんなことしたらシグナムに切られる」
それを聞いて、一同は大いに納得した。
さらにいえば、ヴィータにつぶされる可能性が高い。
っと、今はそんな事を話している場合ではなかった。
534ガンダムし〜どD´s:2007/03/27(火) 22:57:52 ID:???
「それで、どうにかして元に戻る方法考えなあかん。なにか考えある?」
関西弁をしゃべるシン、そして男言葉のはやてに違和感を抱きつつ、皆は友達のため一生懸命考える。
そこでアリサが一つの提案を出す。
「もういちどあのときの同じことになってみたら」
それを聞いて、二人はうっと顔をしかめる。
またあれをしなければいけないのか……
騎士達もいい顔をしない。
だが、行動に移さなければ何も始まらない。
そんな二人をなのはたちは不思議そうに見る。
「はやて、なにする気?」
疑問を抱くフェイトに、変わりにシンが答える。
「もう一度階段から落ちて、頭をぶつける」
それを聞いてえ!?と驚くなのはたち。
「まあ、なにかせな結局このままやし」
確かにそのとおりかもしれないが……
「もうちょっと、二人の体に優しい方法とか考えようよ」
こんなことをずっとやってると、間違いなくいつか死ぬ。
だが、これだけそろってもなかなかいい手段が見つからない。
そしてすずかが気付く。
「ねえはやてちゃん。もしこのまま元に戻らなかったら、明日の学校どうするの?」
不吉な事いうなよ、とシンはさりげなく突っ込む。
正直この日でどうにかして欲しい意気込みでいて欲しいのだが……
それに……
「学校なんてなんとか理由つけて数日ぐらい休めばいいだろ?」
シンの言っていることは最もなのだが……
「でも、明日はテストもあるし……なにより体力テストが……はぁ……」
明日のことを思い出し、なのははため息をつく。
なのはの運動神経の悪さは自分が一番知っている。
だからこの体力テストは大の苦手なのだ。
それを聞いてシンはため息をつく。
「たかだ小学生のテストだろ……」
まだ中学とか高校のテストならともかく、小学校のテストぐらいいいだろ別に……
それを聞いたアリサは、シンを軽蔑するような目で見る。
「あんたの小学校時代って、どんなやつだったの?」
ふと、そこでアリサが一つの案を思いつく。
「そうだ、あんたはやてのかわりにテスト受けなさいよ。ちょうど、テスト自体は数学と理科だから大丈夫よ」
それを聞いて、見事にずっこけるシン。
まるでド○フや吉○みたいに。
「それじゃはやてのためにならないだろ」
「なによ、あんたずっとはやての家で面倒見てもらってるんだから、たまには恩返ししなさいよ」
おいおい、とシンは何度目かわからないため息をつく。
いくら頭がいいといっても、所詮は小学生か……
「あのなあ…まあ、百歩譲って学校へ行ってテストを受けるとしてだ、明日は体力テストがあるんだろ?それはどうするんだよ?」
え?っとアリサはシンを見る。
535ガンダムし〜どD´s:2007/03/27(火) 22:58:42 ID:???
「俺、どこで着替えたらいいんだよ?」
そこでやっと気付く(遅い)
今、シンははやての体である。
ゆえにシンは男だからって男の更衣室で着替えるわけにもいかない。
そんなことをしたら、元に戻ったらはやては次の日学校に行けない。
かといって女性更衣室で着替えるわけにもいかない。
さっきシンは小学生の体に興味はないといったが、なのはたちからしたら見られているのである。
そうかんがえて確かに、と考え込む。
お前ら、話が外れてないか?
シンがそういうと、アリサが睨む。
「仕方ないでしょ?わかんないんだからしばらくアンタに学校行ってもらうしかないんだから」
ちょっとまて、いつの間にそんな話になった。
人のことなのに勝手に決めてくれるな。
シンははやてをみる。
はやても苦笑いを浮かべるしかなかった。
「あ」
すずかはあることに気付いた。
「あらかじめ、制服の下に体操着を着たら、別に教室で着替えても問題ないんじゃ……」
なるほど、それなら制服を脱ぐだけ、無問題である。
「やるじゃない、すずか」
もうだめだ、こいつらこうときめたら絶対に意見を曲げない。
こうして、シンは不本意ながら、次の日はやての姿で学校行きが決まった。

「はぁ、何でこうなったんだろう……」
シンは頭を抱えて考える。
何がうれしくて小学校になど行かなければいけないのだろうか……
既に自分は4年前に小学校を卒業している。
なのになんで………
シンは、横で自分の体で料理をしているはやてをみて、もう一度ため息をつく。
「決まったことだ、仕方ないだろう」
シンの前で、シグナムはコーヒーを飲む。
それはそうだけど……と、どこかまだ納得できないシン。
「それから……」
シグナムはコーヒーカップを置き、シンを見る。
「少し話があるから私の部屋へ来い」
シンはシグナムに言われるままシグナムの部屋へ連れて行かれる。
「学校にはテスタロッサとかがいるから問題はなさそうだし、私はアスカを信頼している」
だからなに?とシンはシグナムを見る。
「学校にいる間、お前は唯一私達の目から外れることになる」
シグナムは、シンのことをいつもどおりアスカといわず、お前と言う。
そしてシンを睨みつける。
536ガンダムし〜どD´s:2007/03/27(火) 22:59:56 ID:???
「だが、もし、もしもだ!おまえが主の体を利用して、汚らわしい行為や如何わしい行為をしてみろ!!」
そういって、シグナムはシンにつかみかかる。
「そのときは、貴様が元の体に戻ったら私は主に誓って、貴様を八つ裂きにするつもりだ!!」
そう叫び、シンを前へと投げ捨て、シンはそのまましりもちをつく。
「いっつ……わかってる、わかってるから」
それをきいて、ならいいと返事をしてそのまま部屋を去ってゆく。
(ったく、もう少しはやての体を大事に扱ってやれよな…)
そういって、シンは痛いところをさする。
そこではっと気付く。
(あぶなかったぁ……)
今、シンははやての尻を触っているのとおなじである。
こんなところをシグナムに見られたら、後で八つ裂きにされていただろう。
(誰もいないみたいだな……まあ、見られても今回は不可抗力みたいなもんだし大丈夫だろ。悪いのはシグナムだし……)
全く、体が変わっただけでこうも行動が制限されるのか……
そう思いシンも部屋へと戻っていった。

「お風呂沸きましたよー」
夕食も終わり、皆で雑談していると、シャマルから風呂が沸いたと連絡が入る。
「よっしゃ、早くはいろーぜはやて」
ヴィータにせがまれるはやてだが、えーと、と少し迷う。
シンはその理由を察する。
「別に見たくないんだったら入んなくていいぞ」
シンにいわれてはやては顔を赤くする。
「はあ、トイレとかは大丈夫だっただろ」
ちなみにシンの場合は、シャマルとシグナムが完全サポート。
まるで赤ん坊のようである。
シンの問いにえーと、とくちごもるはやて……
「実は…ずっと我慢しとって……」
それを聞いてため息をつくシン。
そこで、シンはシン以外の男(オス)を発見する。
「なあザフィーラ。はやてをトイレに連れて行ったら?」
別に自分の体だしどうでもいいや、そう思いザフィーラに助けを求める。
「ザフィーラ、うちからもお願いできる。流石にちょっと限界が……」
主にもいわれて、ザフィーラははやてをつれてトイレに行った。

その後の二人のシーンは想像でお楽しみください。

「それじゃあ、シン君はアイマスクをして私がお風呂にはめなくちゃね」
シャマルの問にえ?とシンはシャマルを見る。
「まさか、『今日1日くらいお風呂にはいらなくても大丈夫だろ?』とか思ったりしてる?」
そのとおり、といわんばかりに頷くシン。
そこに甘い!とシャマルがいう。
537ガンダムし〜どD´s:2007/03/27(火) 23:01:50 ID:???
「シン君の体は今はやてちゃんなんですよ!女の子の体はいつも綺麗にしなくちゃ。いくわよ、ヴィータちゃん!」
コクコク、とシャマルの勢いに圧倒されて頷くヴィータ。
助けてくれ、とシンはシグナムを見る。
「今回はシャマルの言うとおりだ。あきらめろ」
援軍はない。孤立状態にあり、あきらめたシンはそのままシャマルに引きずられる。

(なんでこうなるんだ……)
シンは今アイマスクをかけて、シャマルに体と頭を洗ってもらっている。
朝も思ったが、人に体を洗ってもらうってどれだけ前のことだろう……
ヴィータは湯船にはいったままアヒル村ちょ…もとい、アヒルのおもちゃを眺めている。
「ふんふふんふふーん♪」
心境が複雑なシンに比べて、逆にシャマルはご機嫌であった。
「何でそんなに上機嫌なんだ?」
シャマルは上機嫌なままこたえる。
「昔、はやてちゃんがまだ足の調子が悪い時は、私がこうやって洗ってて、それを思い出してるだけですよ」
それを聞いて、シンはふと思い出す。
「なあ、今でもはやての足の調子は悪いのか?」
それをきいてんー、と考えるシャマル。
「最近はだいぶ調子がいいと思うんですけど……どうしたの?」
いや、とシンはアイマスクをしたまま下を見る。
「俺がはやてと心が変わっても、全然なんともなかったからな。大丈夫なのかなって」
少なくとも、はやての体になって、足に異常をきたしているという感じはなかった。
そういう話をしていると、体を洗い終える。
「さてと、最後は……」
シャマルはシンを抱える。
「ちょ、なにするんだよおい!?」
いきなり抱えられてあせるシン。
「何って、体を洗った後は湯船に入らないと」
しなくていい、とシンは言う。
さっさと体を洗って、さっさと着替えて、さっさとアイマスクをはずしたかった。
だが、抵抗もむなしく、湯船に入れられる。
「ったく。何年ぶりだよ、他人と風呂入るのって」
なんだかんだいいながら、湯につかると入ってしまうシン。
「うおっぷ!」
ついいつものクセで深くつかろうとするが、はやての身長では足りず、危うくおぼれかける。
「何やってんだよお前…」
ヴィータは呆れたようにシンを見る。
「うるせえな。はやての身長を忘れてたんだよ」
ぜえはあと息を切るシン。
ふと気付く、なんで風呂場の光景が……
理由はすぐにわかった。
おぼれかけたときにアイマスクが取れたのだろう。
運よく二人は目に映っていない。
538ガンダムし〜どD´s:2007/03/27(火) 23:02:42 ID:???
「ヴィータ、アイマスク探してくれ。すぐに」
ヴィータは言われたとおり、アイマスクをすぐに見つけてシンに渡す。
「とりあえずもうでる?」
3人は風呂場を出て、シンはいつもどおりシャマルに体を拭いてもらい、寝巻きを着せてもらう。
こうして3人が今へ戻ると、はやてがなにか迷っていた。
「どうしたんだはやて?」
シン達の存在にやと気付き、まだ悩んでいた。
「どうやってお風呂はいろうかなあって」
どうにかしてまではいりたいのか?そう思うシン。
「別に嫌なんだったら入らなくていいんだぞ?1日や2日くらいなら俺はなんともないから」
それを聞いてええっと嫌な顔をするはやて。
「それはやっぱし汚いし、うち自身入りたいし……」
やれやれ、そう思いながらふと思い出す。
「この家に、男物の水着とかないのか?」
それを聞いてああ、と思い出すはやて。
「確か、ザフィーラ用に買ったものがあったような……サイズ合うかな?」
そう思い、水着を取り出すはやて。
「……えーと、シン君」
はいはい、とシンははやてをつれて自分お部屋へつれて、水着をはかせる。
「ちょっと大きいから気をつけろよ」
わかった、といいながら風呂場に直行するはやて。
無事はやての入浴も終わり、皆が話し合いをしていた。
「そういえばはやて、お前の運動神経ってどのくらいなんだ?」
はやての体なので、体育の成績を聞いておかないとえらいことになる。
最も、はやての体でシンの運動神経を得られるはずもないが。
「大体の女子の平均くらいでええよ」
そう言われても……とシンは悩む。
「それに、もしものときは足を利用して休んだらええし」
それもそうだな、とシンは頷く。

「本当はまだ寝れないんだけどな……」
シンは自分の部屋で起床しながらつぶやく。
まだ寝るには早いが、シャマルが「夜更かしは女性の肌の敵」といって寝かされることになった。
まだこいつの体は小学生なんだけどなあ……と思ったが、議論したところで無駄だろう。
はやてはもう寝ている。
そこへ……
539ガンダムし〜どD´s:2007/03/27(火) 23:05:45 ID:???
「なあなあ」
扉を見ると、ヴィータがいた。
なんだよ?と寝ながら言うと、
「一緒に寝ていーか?」
ガクっと寝ているのに肩を落とすシン。
「はやてはどうした?」
シンがいうと、だって……と口をつむぐ。
「でかいから二人も入らないんだよ」
そこまではやての部屋のベッドって狭かったか?と思うシン。
朝着替えるときに見たが、自分とヴィータくらいなら大丈夫だろ?とおもうと……
「感じが違うんだよ」と、わけのわからないことを言ってくるヴィータ。
こうして5分ほど小さな言い合いになり結局……
「解ったよ、好きにしろ」
と、シンが根負けした。
それを聞いて、嬉々としてヴィータは布団に入る。
こうして長い1日が終わり、いつになったら元に戻れるんだろう、とシンは本日最後の、それでいて一番深いため息をつく。
「いつもはやては抱いて寝てくれるぞ」
「いい加減にしてくれ」

入れ替わり編その2投下完了。
人の話を聞いてもらえないシン。
シグナムに殺されるなよ(作者が応援するな)
次の入れ替わりは学校編。
けどその前に、D´s23話を投下予定。
540通常の名無しさんの3倍:2007/03/27(火) 23:27:28 ID:???
GJ
541通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 00:05:12 ID:???
GJ

今更だがシンって受けだなあ
こんなこというと不快な人も居るかもしれないけど
542通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 10:44:05 ID:???
GJ
続きが気になる
543通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 12:59:16 ID:???
面白い。
普通に面白い展開だと思うわ、これは
544☆7ucUemKu:2007/03/28(水) 16:54:08 ID:???
GJです!
続きが気になります。
やっとこっちも、管理局の白い悪魔とザフトのエース?が
活躍するところを筆記中・・・・・・戦闘シーンを上手く書ける
作者さんたちの力を分けて欲しい今日この頃。
545通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 22:32:36 ID:???
そういやこのスレで投下されてるSSはここのまとめサイト載らないのかな?
作者本人もそんな感じのこと言ってるし。
俺は結構好きなんだけど

【UC】リリカルなのはSS【G、W、X、∀】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1174323827/
546失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/28(水) 23:34:56 ID:???
>>545
更新早いですし、今で載ってないなら載らないんじゃないでしょうか。

少しして二話目を落とそうかと。
読みにくい文章なので、なるったけの改善をしていくつもりです。
文章の書き方に何かしらの希望やらがあれば、クレームでも何でもかかって来い! って気分なのでお気軽に言ってください。できる範囲で直そうとは思います。ただ、あんまり言われると多分凹みます。

追伸 プロローグ追加ありがとうございました
547失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/28(水) 23:37:20 ID:???
第二話

手伝ってもらいながら、鮫島が持ってきた着替えのボタンをきっちりと占めたところで、キラの前にアリサ
が出る。

「つまり、ヤマトさんは自分の名前以外を思い出せない…と?」
「はい…」

アリサが、きっぱりと断じるのに対してキラは儚いほどか細い声で答えた。
強気なアリサはここで、そんな弱々しい姿勢に一喝でも入れる苛烈さもあったりするのだが、流石に記憶
がない相手ではそんな剛の態度もとれなかった。ただ、少しだけイラっとなるのは仕方がない。その横で
は、薮井は涼しい顔でメモをとり、鮫島は直立不動のまま困ったような顔だ。

「鳴海市って、聞いたこともないんですか?」
「はい…」
「なんで怪我したのかも…?」
「はい……」

質問のたびに、徐々に徐々にキラの声調も気持ちも沈んでいく。
不安と恐怖をどうにか心の隅に追いやるために、空虚に自分を保っている。
言葉にできなくとも、アリサは感覚的にキラが精神を殺そうとしているのがわかった。
まるで、少しずつ扉を閉めるように。

「さ、て。お譲ちゃんの質問はもういいかいね?」
「え…あ、はい」
「ふんだら、これでも医者だでよ。俺も真面目に話をさせてもらうぜ、キラ=ヤマト?」
「……はい」

いったん、薮井がメモから顔を上げてキラへと向き合う。酒の臭いは、まだ鼻につく。しかし、キラは顔を
そ向けられなかった。まっすぐ、瞳を覗きこんでくる薮井の双眸があるからだ。怖いくらいに、キラの奥底
を射抜く視線。全身が石になったかのように、キラは身動き一つとれなかった。

逃げるな。

そう、言われているような沈黙。
それも、すぐに終わった。薮井がメモに目を落として、静かに質問を投げかけてきた。

「名前は?」
「え?」
「名前だ。な・ま・え」
「キラ=ヤマトです…」
548失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/28(水) 23:39:10 ID:???
何を今更、とアリサは思った。もちろん、思うだけで口にはしないが。しばし、アリサと鮫島はただ眺めて
いるだけに徹する事になる。薮井の質問は、とにかく量が多かった。それも、些細な事から、複雑な事ま
で内容は多岐にわたる。
記憶喪失である事を考えれば、返ってくる答えが「わかりません」であるのが予想される質問もかなり
あった。実際に、そういう質問は全て「わかりません…」と頼りない声でキラから返ってくる。

いくつか、明らかに言葉を変えただけで同じような質問があった。そのたびに、やはりアリサのイライラが
募るが、流石に薮井はプロであるのだから、と任せっきりで口を挟まないでいた。なにせ、アリサが小さい
頃から世話になっている医者だ。鮫島と古くからの付き合いらしい。彼のお墨付きである。
極々稀に、医者として素晴らしい資質と腕前を持つ事を見せられる。そんな評価があるから、口は出さな
い。もっとも、普段の姿を見ればただの酔っ払いだが。

「家族の数は?」
「…わかりません」
「今、体でどこが一番痛い?」
「…えっと、打った所と火傷が合わさってる…」
「背中とわき腹にかけて、と」

逐一、薮井はメモを取っている。はっきり言って、汚い字だった。メモであるからには、薮井が読めればそ
れでいいのだが。少なくとも後ろから覗くアリサには読めなかった。ただ、質問の内容と照らし合わせて見
ると、それがキラの精神や心といった内面と、伸長体重怪我といった外面とで分けてメモしているのが分
かる。アリサ自身、無意識の分析だ。彼女は聡明だった。

「酒は飲んでたか?」
「…わかりません」

さっきした質問だった。戸惑いの表情に怪訝を乗せて、キラが答える。
さらに何度かの質問をはさんで、また別に繰り返された質問はまわってくる。

「あの…さっき答えたじゃないですか…?」
「いいから答えろ」
「…わかりません」
「それでいいんだよ」

理不尽そうに薮井を見るが、キラとしても患者だからか多くの口答えはしなかった。
質問が終わったのは、もう星が出ている時間帯だった。
しばしメモを眺めて、薮井の一言。
549失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/28(水) 23:42:56 ID:???

「多分、病院で検査受けても無駄だな。時間かかるわ、記憶戻るの」
「そう…ですか…」

キラの言葉には、ギュッと悲壮感が詰め込められていた。
不安すぎるのだ。温和な鮫島がいても、可愛らしいアリサがいても、何か微妙に怪しい薮井がいても、孤
立しているような疎外感が付きまとって離れない。怖い。恐ろしい。
白一色の世界に放り出された気分のキラだが、そんな事もお構いなしに、次に薮井は外傷についていく
つか診始める。
一応、キラが眠ってる間に適当な処置はしているのだが、当人にいくつか尋ねる事も必要なのだろう。
着替えと一緒に変えたいくつかの包帯の上から、薮井は押したりさすったりを繰り返す。
何度もキラが呻いたり、苦しそうにした。その様子は、傷を診るというよりも痛みを観察しているようだ。ど
ちらにせよ、怪我人の怪我をいじりまわしているのには変わりないので、アリサとしてはキラに同情した。


「痛……」
「あー? 男だろ。我慢しろい」
「でも…」
「我慢しろ」
「……はい」

べらぼうに理不尽だった。容赦ない薮井に、キラは押し黙るしかない。
全身くまなく叩きまわった後、ようやっと薮井の診察は終わる。

「怪我は派手だが大したことはねぇなぁ。すぐに治る。骨折もない。痛みが引けば歩きわまっても構わん
ぞ。食欲はあるか?」
「いえ、あまり…」
「じゃ、飲め。鮫島、できればスープ。スポーツ飲料でも何でもいいが。あと、俺に酒くれ」
「わかりました。しかしお酒は出せませんな」
「鮫島、あたしもここで食べるわ」
「かしこまりました」

鮫島が隙なく部屋を出ていく。アリサが備え付けられた簡素な机をキラのベッドへと近づけるのをしり目
に、先ほどまで理不尽な言葉しか吐かなかった薮井が優しく声をかけてくる。

「すぐに傷は良くなる。歩き回りながら、いろいろと見回ると良い。ひょんなことで、思いだす」
「…はい」

キラは今にも膝を抱えて泣き出しそうな表情だった。
支えがない、足跡がない、「今まで」がないという事は、ここまで人の気勢を剥ぎ取ってしまうものなのか。
とはいえ、アリサは本能的にキラの現状は気に食わない。思いだしてやる!というキラの気概を、アリサ
としては見たいものだった。

「リラックスするのが心にも体にもいい。幸い、ここは犬やら森やらがあるワンダーな屋敷だ。癒されるぞ」
「ヤマトさん、犬は大丈夫ですか?」
「…多分、だけど大丈夫だと思う…かな」
550失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/28(水) 23:44:24 ID:???
曖昧だった。しかし、キラが犬は大丈夫と言った事は、小さな、小さな、小さな前進だろう。

「そうやって1つ1つについて考えていけば、いずれ大切な事も思い出してくる。名前を覚えてるんだ。そ
れだけでも大きい」
「でも……」
「でも、もくそもねぇよ。とりあえず前向きになれ」
「……はい」

うつむいて、それからキラが返事をする。暗い声だ。
それについても、やはりアリサはムッとなる。

「あーもー!」

ぱちん、と可愛らしい音を立ててキラの両頬がアリサの両手で叩かれる。
そのまま、アリサはキラの顔を無理やり上げて、自分と薮井の目線と合わせた。

「そんな暗い顔してちゃ、思いだせるものも思い出せないでしょ! もっと思い出すぞー! って思わな
きゃ!」
「う、うん…」
「そう気張らんでもいいがな。とりあえずリラックスが1番だ」

アリサに顔を挟まれたまま、キラは冷水をかけられたような顔でカクカクと頷く。
少しだけ、アリサはすっとした。

「お待たせしました。一応、警察にも連絡は入れておきましたので……しかし、本当に病院は無駄ですか
な?」

鮫島が帰ってくる。いくつかの食事を乗せたワゴンも一緒だ。アリサのものは机に並べ、キラのスープは
ワゴンに乗せたまま。キラはベッドの縁に腰かけて、ワゴンからスープをいただく形になる。

「無駄無駄。そもそも、あんな息苦しい所にいちゃ治る怪我もならん。成功する手術も成功せん。よって、
思いだすものも思い出せん。それより酒は?」
「こちらをどうぜ」

リンゴジュースだった。

「お前はもう診てやらん」
「アリサお譲さまは、お願いしますね」
「でも薮井さん、じゃあどこに居るのがいいの?」
「リラックスできる場所だ。のびのびできる場所っていうか……この屋敷だな森近いわ。犬いるわで天国
じゃねぇか」
「じゃ、ヤマトさん、記憶が戻るまでここで暮らすといいわ」
「へ……?」

流石に、唐突だった。スープの香りばかりに気を取られていたキラが呆けたような声になる。
551失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/28(水) 23:45:40 ID:???

「いいんじゃないの? 部屋ありあまってるし」
「む…しかしお譲さま、いささか急すぎるかと…旦那さまも奥様も不在ですし」
「何よ、助けたからには、ある程度まで面倒みなきゃ無責任じゃない」

犬猫と、同等の感覚で言っているつもりはアリサにない。プロである薮井の意見を取り上げたつもりだ。
おどおどと、キラは薮井、アリサ、鮫島を見渡した。自分がどうなるのか分らないなら分らないで不安だ
が、急に「こうするのはどうだろう?」と提示されても動揺するだけだった。

「もちろん、ヤマトさん次第だけどね」
「…む、どうでしょうか、ヤマトさん」

鮫島と、目があう。彼としても、アリサの案に別段の不満はない。ただし、満足できるというわけでもな
かった。薮井の言うとおり部屋はあるし、怪我人が養生できる余裕もあるが、流石に執事としてはそう歓
迎できるものではない。

「あの…置いてもらえるなら……ありがたいです…」
「イエスかノーか、ハッキリ言う!」
「イ、イエスです…」
「決まりね。ゆっくりしていくといいわ」

アリサの表情から、喜色がこぼれるのを鮫島は見逃さなかった。そして、アリサがここで食事をしようとし
たのも理解できた。アリサの両親は不在だ。日米に数多く関連会社を持つ経営者である故、なにかと留
守にする事が多い。1年を通せば、いる事のほうが多いかもしれないが、まだまだアリサとて多感な時期
だ。少しでも、食事に賑わいが欲しいのだろう。

「じゃ、いただきましょうか」

手を合わせて、アリサが机の上の料理に手をかける。
それに倣い、キラもスープに手を伸ばそうとして、

「ヤマトさん!」
「は、はい!?」

アリサに怒鳴られた。

「食べるときは、いただきます、でしょう」
「…あ…いただきます」

初めて、キラが笑った。
552失われた者たちへの鎮魂歌:2007/03/28(水) 23:48:23 ID:???
終わりです。
HAHAHA ドキドキは投下するごとに落ち着いていくけども、内容についてどんどん「こんな話でいのか?」と不安になっていく。
553通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 23:52:36 ID:???

>>545

そこでもやったんだ……しかも面白いな。
554通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 00:31:45 ID:???
>>552
乙ー。
ところで、「お譲さま」じゃなくて「お嬢さま」なのでご注意。
555通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 01:08:02 ID:???
>>552
GJ!続きに期待するよ


>>545
なのは・種・Wクロスか。
確かに結構面白いけど、スレが違うから載らないんじゃない?
556通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 01:19:04 ID:???
乙。
ところで、ストライカーズのCM見てきたけど、スバルとティアナの個人的第一印象をすこし。
スバル ブロウクンマグナムを放つ電童。
ティアナ ノワールストライカーを装備していないストライクノワール。
今さらだが、これって魔法なのかな?
ちなみに、予告だけじゃなのはがスバルを助けるところもするみたい。
なのはさんは普通にかっこよかった。
…・・・ねたばれが嫌いは人がいたらごめん。いたら吊ってくる。
557通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 02:30:34 ID:???
>>547
鳴海じゃなくて海鳴市なんだけどな
558通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 07:25:06 ID:???
>>556
吊ってきてくれ。
SSとして投下するのならともかく、単なる新作のネタバレは止めてほしい。
559ガンダムしーどD´s:2007/03/29(木) 20:17:20 ID:???
まじかるしんのことで少し。
第4話での少し触れたスバルたちの設定がストライカーズ本編とは違うところが見つかり、
そこは本編に順序したほうがいいと思い、
改良版の4話をアニメが始まってしばらくしてから投下予定。
しばらくはD´sとD´s短編でいこうと思っています。
560通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 20:43:46 ID:???
CMの内容レベルでネタバレは言い過ぎだと思うんだが
561 ◆0NNKUcIB6. :2007/03/30(金) 10:18:26 ID:???
なのはたちが中一の頃が、新暦61であってるよね?一応確認したいので
562ガンダムしーどD´s:2007/03/30(金) 10:37:42 ID:???
D´s出来たので少ししたら投下します。
563ガンダムしーどD´s:2007/03/30(金) 10:44:30 ID:???
機動戦士ガンダムし〜どD´s 23話

「マ……ユ……」
シンは呆然としてマユを見る。
まさか、本当に生きているとは思わなかった。
自然と涙がこみ上げてくる。
「お兄ちゃん……」
それはマユも同じで、出来れば今すぐにでも兄のところへ行きたかった。
「どういうこと?彼女は家族のことを忘れていたんじゃなかったの?」
それを見ていたプレシアはクルーゼに問う。
「さあ、忘れていたのか家族の顔だけといっていたのだから、声は覚えていたのでしょう。そして、声を聞いてふと思い出した、といったところでしょうか……」
それはともかく……
「感動の再開のところ悪いが、私の目的のために君には死んでもらうよ。ザフトのパイロット君」
そう言ってクルーゼは攻撃を仕掛ける。
今、シンはコックピットを開いたままラウの攻撃をシールドで防ぐ。
「チッ!お構いなしかよ!」
「お兄ちゃん!」
マユの言葉も耳に入れず、シンはコックピットを閉じる。
眉に当たらないように、出来るだけマユから離れるシン。
マユは、それが二度と会えないような気がして仕方がなかった。

「勝手に暴れて……」
プレシアはクルーゼを見て悪態をつく。
まあいい、あのMSというものをひきつけてくれればこちらも行動しやすい。
『マユ、あなたは下がってなさい』
プレシアの言葉を聞いて、驚くマユ。
「ここは私に任せてね」
そういってプレシアは念話を切る。
確かに、敵はランクAAA+の魔術師がほとんど、まだ魔法を覚えて間もないマユには敵わないことはわかっていた。
わかっているが………
「お兄ちゃん……」
マユは、兄のことが気になって仕方がなかった。
そこへ……
「プレシア・テスタロッサに協力している魔術師だな」
ふと、後ろから声が聞こえた。
「僕は時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ」
クロノは自分のデバイス、デュランダルを起動させる。
「悪いけど、拘束させてもらうよ」
どうしよう、そう思うが、逃げられる相手ではなさそうだ。
結局……
564ガンダムしーどD´s:2007/03/30(金) 10:46:25 ID:???
(どこまで戦えるかどうかわかんないけど……)
そういってマユも構える。
勝つ気なんてない、逃げればそれでいい。そう思って

(やっぱり、シンとマユちゃんって……)
はやては、二人を見て思う。
さっきの二人のやりとりはこっちには聞こえていなかったが、あの二人に何かあるのは間違いないだろう。
だが、いまはそれよりも目の前の問題を優先させる。
「フェイト、こっちへいらっしゃい」
さっきからフェイトはプレシアの登場で動揺している。
さらに……
「フェイト、私達のところへ来なさい。そうすれば、あなたを私の子供として迎えるわ。そして、アリシアの妹として」
そういってフェイトに微笑みかけるアリシア。
そしてフェイトは思い出す。
アリシアの記憶あるプレシアの微笑み。
そして闇の所で見た夢の世界のプレシアの笑み。
この二つを思い出し、フェイとは俯く。
「ふざけんじゃないよ!アンタ今までフェイトにどんなことをしてきたと思ってんだい!!だいたい、あの時フェイトのことを嫌いって言っておきながら、」
逆にアルフはプレシアを睨みつける。
「あなたも同等の扱いにしてあげるわよ」
プレシアの言葉を聞いて、アルフはふざけるな!と一括する。
「フェイト!どうせコイツは都合が良いときだけそういうのさ!!だまされちゃいけないよ!!」
確かにアルフの言っていることもわかる。
彼女が今までしてきたことは自分が一番知っている。
プレシアに笑ってもらうために一生懸命がんばった。
失敗したときの仕打ちにも耐えた。
だが、それはもろくも崩れ去った。
プレシアがフェイトに言った「大嫌い」という言葉とともに。
「フェイトちゃん!」
なのははフェイトにちかよる。
だが、フェイトはまだ俯いたまま黙り込む、
そこへ……
「あ!」
「フェイト!」
フェイトにバインドが駆けられ、ゆっくりとプレシアの元へつれていかれる。
「出来れば無理やりはしたくはなかったけど……」
だが、すべてはアリシアのため。
「貴様―!よくもフェイトをー!!」
アルフは手に魔力を込め、プレシアにむけて叩きつける。
それを簡単に防ぐプレシア。
「私達も行くぞ、ヴィータ」
シグナムの言葉に、ああ!とヴィータも向かうが……
565ガンダムしーどD´s:2007/03/30(金) 10:48:45 ID:???
「あんまり攻撃しすぎると、フェイトにあたるわよ」
そう言われて、二人は下がり、アルフも攻撃をやめる。
「フェイトちゃんを盾にするって、卑怯や!」
これでは攻撃も何も出来ない。
どうしようか模索すると……
「だったら、これでどうだ?」
上から男の声が聞こえ、上を向くと……
「く…クロノ君?」
そこには、マユをバインドで拘束したクロノの姿があった。

「このぉ!!」
シンはアロンダイトを構え、プロヴィデンスに突撃する。
いくら高性能といっても、2年前の機体。
そしてシンは、そのプロヴィデンスの発展系であるレジェンドのデータも頭に入っている。
いくら相手が強いといっても勝機はある。
地上にいるアカツキを含めてこちらは3対1。
数の上では有利。
それが功を奏して、最初はシンたちが押していた。
しかし……
「あまいのだよ……」
クルーゼは微笑し、ドラグーンを飛ばす。
「何!?」
3人はドラグーンを見て驚く。
何故地上でドラグーンが!?
地上では重力があるから無理なはず。
あるはずがないと思ったシンに隙が出来、プロヴィデンスのドラグーンの一斉攻撃がデスティニーを襲う。
「く!」
直撃は免れたが、左手と両足を撃ち貫かれた。
その時、アースラから通信が入る。
「あのちっちゃいやつに、魔力反応があるから気をつけて」
エイミィの言葉を聞いて種がわかった。
なるほど、魔法で飛ばしていたのか。
なら納得がいく。
問題は、それをどうやって回避するか。
飛行可能とはいえ、重力で宇宙空間みたいな動きは出来ない。
「シン、下がっていろ、この状態では無理だ」
レイに言われ、悔しいが後ろに下がるシン。
左手だけでは戦えるはずがない。
「ラウ!」
今度はレイがドラグーンについているビーム砲でプロヴィデンスを攻撃する。
「悲しいよレイ。君だけは、君だけは私の理解者だと思っていたのだがね」
クルーゼは攻撃をよけて、残念そうにレイを見る。
566ガンダムしーどD´s:2007/03/30(金) 10:52:18 ID:???
「デュランダルに感化されたか……」
ギルバート・デュランダル。クルーゼの数少ない友人関係を持つ男。
「俺だって……世界を憎んでいる……けど、ギルの恩に報いるためにも!俺は!!」
レイは、レジェンドのサーベルを結合し、プロヴィデンスに攻撃を仕掛ける。
「俺も忘れるなよ!クルーゼ!!」
ムゥも援護射撃として地上からライフルを連射する。
「チィ!」
クルーゼはムゥのライフルを盾で防ぎ、レイの攻撃はビームサーベルで切り払う。
「2対2でも……くそ!」
確かに大気圏内でドラグーンが使えるというメリットを持つが、3対1でも戴せないでいる。
これが自分とやつのパイロットとしての差。
「おや?」
クルーゼは、モニターでマユが塚マテいることに気づく。
「これはこれは」
ちょうどいい、そう思いドラグーンを展開する。
だが、それはレイたちを狙っているわけではなかった。
「まさか!?」
レイが気付いたときには一足遅く、ドラグーンはなのは達を狙っていた。

「弱ったわね……」
リンディは戦況を見て悩む。
あのMSの性能が、こちらの予想を遥かに上回っている。
なのはたちを囲んでいる妙な物体を何とかしなければ、フェイトがつれさらわれてしまう。
そんなときだった。
「あの、リンディさん?」
後ろから本来ここアースラにいない人物が現れる。
「ユ…ユーノ君?」
何でこんなところに、と思ったときに思い出す。
「言われた資料を持ってきたんですけど……なんか…大変な状況ですね」
ユーノは目の前のモニターをみて思う。
数体のロボットになのは達の周囲にある奇妙な突起物。
ちかごろ疲れていて、さっさと帰りたかったが、これを見たらそうは言っていられない。
「何か手伝いましょうか?」

「人質交換といこうか」
クロノは、プレシアにデュランダルを向ける。
横にはバインドで縛られたマユ。
なのはたちは少しクロノにあっけを取られる。
「へえ、管理局の人間って、意外と乱暴なのね」
そんなプレシアの言葉にも全く動じないクロノ。
「残念だけど、僕はなのはたちとは違って甘い考えはしない」
どこの敵キャラよそれ、と突っ込むところだったが、これで状況は五分。
だが、やはりあまりい感じはしない。
しかし……
567ガンダムしーどD´s:2007/03/30(金) 10:54:38 ID:???
「ならば、これでどうだね?」
不意に声が聞こえ、気付くとなにやら妙な物体がなのは立ちの周囲に妙な機械が現れる。
そのうちの一つ、はやてのそばにあるドラグーンがビームを発射し、横を通り過ぎる。
「っ熱」
あたりはしないが、ビームの熱がはやてを襲う。
「くってめえ、よくもはやてを!!」
ヴィータはグラーフアイゼンを構えるが、同時にヴィータの前にもドラグーンが現れる。
「奇妙な真似をしたら、一斉に攻撃させてもらう」
完全に包囲されている。そういうことだった。
あの程度の威力なら簡単に防げるが、全部をいろんな角度から撃たれたらひとたまりもない。
「さあ、マユを開放してもらおうか」
クルーゼに言われて、バインドを解きクロノ。
「プレシア。さっさとこの領域から離脱するがいい」
クルーゼに言われ、点を開始しようとするプレシア。
「フェイト!」
アルフがフェイとの名前を叫ぶ。
そこへ……
「ストラグルバインド!!」
多数の鎖状のバインドが、ドラグーンとマユ、そしてプレシアを捕らえる。
「何!?」
完全なる奇襲で反応が遅れたプレシア。
クルーゼが鎖が伸びてきた方向を見ると……
「アルフ、早くフェイトを!!」
そこには、本来いないはずの人物、ユーノ・スクライアがいた。
「あいよ!!」
いきなりのことで動転するが、フェイトを助ける絶好のチャンスを逃すまいと、もう一度プレシアに攻撃を仕掛ける。
「く!」
バインドを駆けられたまま、アルフの攻撃を受けるプレシア。
それによってフェイトにかけられていたバインドが解ける。
「フェイト!!」
アルフはフェイトを抱いて後ろに下がる。
「アルフ……」
フェイとの目がまだどこかに曇りがあった。
「すまないなフェレットもどき。出来ればしばらくこのままにしておいてくれ。後は僕が何とかする」
フェレットもどきという言葉にむっとするが、今は喧嘩をしている場合ではないのでグッとこらえるユーノ。
「ちぃ」
クルーゼは舌打ちしてユーノを見る。
まさか向こう側の仲間がもう一人いたとは……
しかし……
568ガンダムしーどD´s:2007/03/30(金) 10:57:19 ID:???
「切り札は最後まで取っておくべきだよ……」
そういい、腰にあるドラグーンを飛ばし、ユーノにビームを発射する。
まだあれがあったのか、ユーノは舌打ちする。
この体勢じゃシールドも貼れない。
「うおおおーーーー!!」
そこへ、右手しかないデスティニーが割って入り、ビームシールドを張って攻撃を防ぐ。
「アンタは俺があ!!」
何かが弾け、シンは何度目かわからない感覚に陥る。
シンは背中のウイングを展開し、同時にアロンダイトを持ち、クルーゼに襲いかかる。
クルーゼはライフルで応戦するが、シンはギリギリのところで避け、アロンダイトを振る。
しかし、片手で振るアロンダイトは簡単に避けられ、逆にサーベルでアロンダイトをおられてしまう。
「シン!」
シンの劣勢にはやては心配する。
しかし……
「シン!!」
レイとムゥの援護射撃で、クルーゼがシンに止めをさせられなかった。
その隙に、シンはスラッシュエッジを持ち、もう一度襲いかかる。
クルーゼもサーベルをもつ。
先に仕掛けたのはクルーゼだが、シンはあえて壊れている左腕を壊させる。
その時に出来た隙に、スラッシュエッジでサーベルをもつ右腕を切る。
肉を切らせて骨を絶つ、だ。
まだシンの攻撃は続く。
今度はそのままスラッシュエッジをブーメランとして投げる。
しかし、ブーメランはただ胸部を少し掠めるだけだった。
「チ!」
舌打ちをするシン。
「まずいな、もうアスカには武器がない」
シグナムの言葉に、はやての不安は募る。
だが、シンはかまわずプレヴィデンスに突撃する。
「ふざけないで……」
プレシアは魔力を込め、無理やりユーノのバインドを解く。
それと同時に、ドラグーンやマユにかかっていたバインドも同時に解かれた。
それを察知したクルーゼは、すぐさまドラグーンをデスティニーに向ける。
「させるかーーー!!」
シンはデスティニーの右手を突き出す。
「は!何が出来る!?そんなもので!!」
それと同時に、デスティニーの手が光る。
デスティニー最後の武器、パルマフィオキーナがレジェンドを襲う。
そして、ドラグーンも同時にデスティニーを狙う。
どちらが勝つのか……
569ガンダムしーどD´s:2007/03/30(金) 10:58:59 ID:???
「く!」
クルーゼは、急速に後退するが、スピードはデスティニーのほうが上であった。
そのままパルマフィーナはプロヴィデンスのコックピットに直撃しようとする。
しかし、クルーゼは以外は方法を取る。
わざと高度を下げ、攻撃をずらす。
パルマフィオキーナはコックピットではなく頭部を掴む。
そこに、頭部のCIWSを発射し、自身の頭部とデスティニーの右腕を破壊する。
「しまった!!」
倒し損ねた、それはドラグーンの一斉攻撃がデスティニーを襲う。
複数のビームがデスティニーのコックピットを貫く。
「シン!!」
はやては大粒の涙を流しながら叫ぶ。
だが、はやての叫びもむなしくデスティニーは爆発する。
普通とは違う、なにか優しい光を帯びた爆発で……
プレシアは周囲を見る。
クルーゼがあのMSを倒したことで向こうの戦意はほとんどない。
しかし、ここは引くのが得策だと思った。
手負いの獣は怖い。
それに、先ほどのMSが爆発するのを見て、マユが気を失ってしまった。
そうなればいったん引くしかない。
「フェイト、覚えておいて、アリシアは妹を欲しがっていた。だから、あなたがなるのよ、アリシアの妹に……」
そういい残し、プレシアと中破したプロヴィデンスは消えていった。

「シ……ン……」
はやては呆然としてデスティニーが爆発したあとを見る。
「はやて……」
ヴィータも涙目ではやてを見る。
「いや、そんなことない…きっと生きてるはずや……」
だが、そんなはやての言葉をあざ笑うかのようにレイが言う。
「これより帰還する。お前達も早く帰還しろ」
そんな言葉に、なのはたちは反応する。
「そんな!?まだシン君をさがしてないのに!」
そんななのはの言葉に、ムゥは冷たくいう。
「あれで生きているはずないだろ…それに、お前さん達も早くもどんないと、体に悪いぜ」
ムゥの言葉にえ?と疑問を持つ。
「前に坊主が言ってただろうが、あの機体は核を積んである。核はお前さんたちの体に悪いことだって知ってるだろ」
そういうと、ちょっとまったぁ!とエイミィが通信を入れる。
「そういう反応は出てないみたいだから、安心して探してください!!」
エイミィの言葉にはぁ?とムゥは疑問を浮かべる。
そして、アルフはあるものを見つける。
「あれって……あいつじゃないのかい?」
アルフが指差した方向を見ると、赤い服を着た少年が水上付近で浮いている。
近くにいたシグナムはそれに近づく。
570ガンダムしーどD´s:2007/03/30(金) 11:00:45 ID:???
「アスカ?」
シグナムは抱えあげると、間違いなくシンだった。
気を失っているようだが、まだ生きている。
「シャマル、急いで手当ての準備を。アスカはまだ生きている」
シグナムの言葉に、はやてたちは喜び、レイたちは唖然とする。
あれで生きているのか。
まあ、確かに自分達もあまり人のことを言えないが……
そこでシグナムはあることに気付いた。
(何で浮いているんだ?)
シンは海面近くで浮いたまま倒れていたのだ。
シンは魔法が使えないはず。
気付くと、シンの首に何かあった。
それは、デスティニーの翼に似たアクセサリーのようなもの。
そのアクセサリーからは魔力が感知された。
「これは……デバイス?」

23話投下完了。
やっぱ戦闘って難しいな。
次は短編集を
571通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 13:58:22 ID:???
GJ!

>>568の最後がプロヴィじゃなくてレジェンドになってるぞ?
572通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 15:19:54 ID:???
GJ

しかし、スラッシュ・エッジではなく、フラッシュ・エッジでは?
573通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 15:29:02 ID:???
GJ

ただ話の流れとかはいいんだけどけど、誤字・脱字が少々多い気がする
上で書かれてる「スラッシュエッジ」や「以外は方法」(たぶん意外な方法)とか
パルマフィオキーナがパルマフィーナになってたり

揚げ足取り臭くなってしまったなぁ……すまん
574 ◆0NNKUcIB6. :2007/03/30(金) 17:45:55 ID:???
今夜プロローグを投下予定。その時トリップも変えます。
今回は完成しているので大丈夫の筈。
575通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 20:15:00 ID:???
D's氏、GJです。
デスティニーデバイス化でシンが助かったのはよかったとして、プレシア側で一波乱起こりそうだな。マユはシンが死んだと思ってるだろうし
576魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/03/30(金) 22:07:03 ID:???
 プロローグ 神子の反乱

 幾人もの教会騎士たちが、巨人の腕の一薙ぎに吹き飛ばされる。
 紅い機神、ジャスティスは、周りを飛び交う魔法弾を全く問題にせず、大聖堂へと向かって暁の空を突き進む。
 騎士たちを打ち倒しながら進む機神を操るのは、かつては教会騎士の一人であった稀代の英雄、アスラン・ザラ。
 彼の表情は苦渋に染まっているが、その意思はジャスティスを操ることを止めることは無い。
 炎に飲み込まれた街を眼下に、機神は次々と騎士を撃退していく。
五十を数える騎士たちを倒したところで、ジャスティスは遂に大聖堂を目前とするところまでたどり着いた。
しかし、ジャスティスの前に金色の甲冑を纏った男が立ちはだかる。
 男はこの大聖堂を守護する聖王近衛騎士団の一団、大天使の騎士団を任せられた腕利きとして知られていた。
 名をムウ・ラ・フラガ。
 アスランとは知り合いである彼だが、今はかつてのように世界の未来を語らう事はない。
 ジャスティスは腰より光の剣を抜き放ち、ムウへと斬りかかる。
「邪魔を、するなっ!」
 高速で繰り出されていく斬撃の数々を、ムウは紙一重のところで避け続ける。
「どけぇ!」
「どくわけにはいかんだろーが!」
 ムウが叫びと共に四つの金色の魔砲陣を展開した。
『ガンバレル、ランダムシュート』
 不規則に動く魔砲陣からジャスティスに閃光が撃ち出されるが、紅い装甲には傷一つ付けることすら叶わなかった。
「ちっ、流石だな」
 顔を歪めるムウに、ジャスティスの拳が放たれる。
魔力を纏った拳は、金色の障壁との一瞬のせめぎ合いの後、障壁を粉々に打ち砕く。
 更にその勢いは障壁を砕くに止まらず、障壁を展開したムウ本人を砕かんと突き進む。
「くそっ」
 しかし、ムウにとっては稼いだ一瞬が運命を分けたのか、ぎりぎりのところで回避に成功した。
「このっ!こんなことを、本気で坊主が望んでいるとでも思っているのか!」
 その怒りを噛み潰したかのような台詞にアスランもまた怒りを押し殺し言い返す。
「何も分からぬくせにっ!したり顔でぬけぬけと!」
 繰り出される拳は先程より速く、強力になってムウへと叩き込まれた。
 悲鳴すら残せずに地上へ叩きつけられたムウにそれ以上の関心が無いのか、ジャスティスは目前の大聖堂へと進路を取りその場を去った。
577魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/03/30(金) 22:08:34 ID:???
 聖王教会でも「それ」を知る人物は殆どいない。
 最高地位である聖王を含めて、恐らく一桁の人数しか知らないであろう「それ」は、今、既に教会の人間ではない者の手で動き出そうとしていた。
 回り始めたデュートリオン・サーキットが、「それ」の全身に魔力を送り始める。
「君の主はここにはいないよ。だから、主のもとに跳んで」
 告げられた言葉に反応するかのように、「それ」の眼に光が灯る。
 展開されるのは次元を越えるための術式。
 それは、この世界にはいない、未だ目覚めぬ主のもとに行くための翼。
 魔法陣が輝き出し、次元の扉を開け放つ。
「行って。そして、ラクスたちを助けてあげて……僕の時間はもうなくなっちゃったから」
 眩い光が消えた後、そこには何も残っていなかった。


 聖都・オラトリオ。
 聖王教会の総本山であるこの都市は、炎の海に飲み込まれていた。
 この都を滅ぼしたのは、三機の巨大機神・デストロイ。
 古の超文明の技術で生み出された殲滅魔導兵装であるデストロイが侵攻を開始してから半刻、栄華を極めた聖都は無残な瓦礫の山と成り果てていた。
「はーはっはっ!ごめんねぇ、強くてさ!」
 デストロイの一機が、胸部から極大の閃光を放つ。
 それは聖都を防衛していた最後の騎士の一団を丸ごと飲み込み、跡形も無く消し去ってしまった。
「おい、アウル。お前の魔力出力が落ちてきてるぞ」
「アウル……撤退する」
 他の二機からの通信に、アウルと呼ばれた少年は顔を顰めながらも、素直に指示に従い下がり始める。
「くそ!だから骨董品は嫌なんだよ!」
「そう言うな。とっとと帰って休ませろよ。この戦いで終わりって訳じゃないんだからな」
「ん?……何だろう?」
 少女の言葉に、他の二人が身構える。
 探知魔法を走らせ、その正体を朧げに掴む。
「これは!?」
 その圧倒的な魔力反応に、三人は驚愕した。
 自分たちの駆るデストロイと同等、もしくはそれ以上の魔力値。
 そしてそれは、次元跳躍の反応と共に、忽然と姿を消したのだった。
578魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/03/30(金) 22:10:03 ID:???
 大聖堂の外壁が、三の光条に粉砕される。
 立ち込める粉塵の中から現れたのは紅い機神。
「変わらないな、ここは」
 誰へでもなく呟いた言葉は、遠い過去への想い。
 心地良い思い出に浸るという誘惑を振り切り、アスランは自分の父親が待つ聖の間に向かう。
 途中、個人単位の騎士の抵抗にあったが、それも苦も無く撃退し、アスランは聖の間に辿り着いた。
 玉座の間に当たるこの部屋は、必要以上に高い開放的な天井、これでもかというぐらいに備えられた最高級の調度品、それでいて悪趣味とならない職人のセンスの良さが光る部屋だった。
「……アスランか」
 その部屋で豪奢な椅子に腰掛けて待っていたのは、聖王教会の最高権力者、パトリック・ザラ。
 純白の法衣を纏ったその姿には、以前のような覇気は無い。頬は痩せこけ、顔色は白く、しかしその眼には辛うじて力が残されていた。
 パトリックは目の前に聳えるようにして立つジャスティスを操る自分の息子へと問いかける。
「何故だ?」
「何がです?」
「何故、このような愚かな真似をした?」
「父上……あなたはどこまで俺たちを馬鹿にすれば気が済むんですか?」
 静かな怒気を含む声に、パトリックは背中に冷たい汗が流れたのを感じた。
「思い直せ、アスラン。例えどのような魔法を用いても、死者は蘇らないのだぞ!」
「いいえ、父上。我らはその奇跡を見つけたのです」
「何?」
「これ以上語る必要はありません……残念ですが、お別れです」
 紅い腕が、光剣を振り上げる。
 パトリックは悟った。
 この一撃は、自分では防げないと。
「やめろ、引き返せなくなるぞ」
「引き返す気などありませんよ」
 深い亀裂の入った会話。
それが、親子の最後のやり取りとなった。


「フラガ団長が帰還したぞ!負傷してる、医療班を!」
「いや、俺はいい。それより他のところに一人でも多くまわせ」
「は、あ、了解」
 鮮やかな金髪を煤と血で汚して、ムウはやっとのことで自分たちの本陣に帰ってきた。
 勇んで出撃したはいいが、数分の足止めにもならないとは情けないと思いつつ、命からがら逃げ出してきたのだ。
「ふう、どっちかって言うと、見逃されたってわけだが」
 ムウは目の前で最終調整を受けている自分たちの次元航行艦、アークエンジェルを見上げながら、悔しさを噛み殺しながら呟いた。
「すまんな、坊主……だが、まだだ」
他人には絶対に聞かせない(一人例外がいるが)弱気を一瞬吐き出し、ムウは短距離転移魔法を起動し、アークエンジェルのブリッジへと転移した。
579魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/03/30(金) 22:12:04 ID:???
 マユ・アスカは、操縦席で一人死者への冥福を祈っていた。
 それが単なる自己満足だとしても、汚い偽善だとしても、そうしないと自分が崩れてしまうという危機感からの行いだった。
 まだ幼い少女であるマユには、この惨状は少々きつかった。
「大丈夫ですか、マユさん」
 念話を通して聞こえてくる涼やかな声に、マユは申し訳なくなった。
「いいのです。あなたは良く頑張ってくれました。帰還してください。アスランが大聖堂を陥としました」
「了解」
 仲間の朗報も、今のマユにはあまり嬉しいものではなかった。
「……でも、仕方がない」
 マユは正統なる主より託された機神・フリーダムを駆り、自分たちの本陣へと帰還するために飛び立った。


 移動庭園エターナル。
 永遠の名を冠した巨大な建造物は、聖都の空を悠然と飛んでいた。
 何者にも傷付けられない、聖女の庭園。
 それがラクスたち反乱組の拠点であった。
 その庭園の一部、小鳥が囀り、色鮮やかな緑を眺めることができる小道を、一人の女性が歩いている。
 神子と謳われた聖女、ラクス・クラインである。
 黒い喪服のようなドレスを着て、沈痛な面持ちで歩み続けるラクスに、一人の男が近づいてくる。
 導師、マルキオ。
 ラクスでさえ詳しいことは知らない男だが、機神の復活に、聖都の結界解除など果たした役割は決して小さいものではない。
「神子様」
 だからといって信頼していい人物ではないとラクスは思っている。
 ラクスは警戒心を笑みの下に隠しながら、マルキオへと向き直る。
「どうしたのです?導師」
「いえ、件の彼女。代替物の少女のことです」
「……それがどうかいたしましたか?」
「ええ、彼女は戦うには向かない性格です。しかし、それでは我々が困る」
 マルキオの言いたいことが分かっていながら、ラクスは続きを促した。
「ですから、彼女には目を覚ましていただきたいのですが……よろしいでしょうか?」
「……かまいません。あなたの好きにしなさい」
 それは、以前の彼女からは考えられなかった決断。
 しかし、愛する者を取り戻すために、彼女は変わった。
 それは沈痛な面持ちの中に、うっすらと笑みが見え隠れしているのを見れば分かるだろう。
「では、早速準備に取り掛からせていただきます」
 そう言って歩き去るマルキオの背中を見送ると、ラクスは想い人へと決意を伝える。
「待っていてください、キラ。必ず、私があなたを蘇らせてさしあげます」
 この世の理すら越えるため、ラクスはどんな犠牲をも厭わない。
 止まらぬ想いを胸にしまい、ラクスは聖都を陥とした者たちに労いの言葉をかけるため、庭園の港へと歩みだした。





 燃え盛る聖都を後に、一隻の大天使が次元を越える。
 いつか必ず帰ってくることを誓って。
580魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/03/30(金) 22:16:12 ID:???
プロローグ終了。
設定無視しまくり。一つぐらい、こんなものがあってもいいかなって。邪気眼だっけ?それで。
冗談はここまでで。次は第一章。主役のシンが登場です。
581通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 23:32:18 ID:???
魔法以外、どの辺がなのはか解らない。モノ自体は悪くないんだが・・・
582通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 23:39:46 ID:???
この発想はなかったわ。
SDのナイトガンダム系列なイメージが浮かぶな。
なのはまだ取っておいてると思えば、期待しまくれるわ。
583通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 23:45:00 ID:???

おお〜なのはと騎士ガンダム物語風味の種死みたいな雰囲気ですね〜今後の展開にわくわくw

どうでもいいけど聖王教会ってすんごい第三期の複線組織に見えるのは気のせいですかね?
584通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 00:39:03 ID:???
乙!
パトリックと法王的なのイメージすげぇ合う。
やっぱり教会上層部は「平和のために異教徒を皆殺しましょう」なのがイイ!と思うのは偏見だろうがマッチングは大切だよね。
まぁ、パトリック死んだわけだが。
585失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/01(日) 00:02:56 ID:???
第三話目を投下したいと思います。
正直、土台作り的な内容が続きワクワクがないでしょうが……どうぞ、ご容赦を
586失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/01(日) 00:04:52 ID:???
第三話

朝は早かった。
スープを一杯平らげた後、それほど間をおかずに眠ったのだから、自然と起きる時間も早くなったのだろ
う。夜明け前に目覚めたキラはゆっくりと身を起こす。

(痛い…けど)

昨日に比べれば随分と痛みが引いた。火傷については時間がいるだろうが、打撲の類は薮井医師の軟
膏や痛み止め、「冷えぴた」なる冷却シートの活躍によりもう立ち上がっても平気だった。
もちろん、薮井医師からは「調子に乗るな」との注意は受けている。

しばらく、ベッドに腰かけて窓の外を眺めていた。
空。
夜が明けて、朝になる。
空から夜色が薄れ、蒼が広がっていく。東の山々の隙間には、太陽の光が燃えていた。
ずっと、日が顔を出しきるまでそうやって空を眺めていた。
こうやって、いつも大空を眺めていたような気がする。
いつ、どこで。それは思いだせない。ただ、体が覚えているような。

ノックが聞こえた。

「おや、おはようございます」
「おはようございます」
「お着替えをお持ちしました。それと、お薬です」

鮫島が笑顔とともに入ってくる。
ぼんやりしていたキラも思わず立ち上がった。

「もう、大丈夫なのですかな?」
「薮井さんの薬のおかげで、痛みはかなり引いたみたいです」
「流石、若いですな。食欲はどうですか?」
「昨日よりは…あると思います」
「朝ご飯は、しっかりしたものを用意しましょう」

手早く着替え、食前の薬を服してから鮫島について下の階へと降りて行った。
途中、廊下にかかっていた絵画がさんざん目についた。素人目のキラにもわかる。間違いなく高額なも
のだ。特に風景画が多く、少なくとも通った廊下では絵画を目にしなかった時間がないほどにかけられて
いた。

一室の前で立ち止る。扉の向こうにあったのは、随分と長いテーブル。厨房もすぐそばにあるようだ。
もうアリサは座っていた。
587失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/01(日) 00:06:45 ID:???

「おはようございます、ヤマトさん」
「アリサちゃん、おはよう」

対面するように、鮫島に促されたキラは、椅子に腰かけて少し息を吐く。
まだところどころに痛みがあるので、それを刺激しないように動くのに少々神経を使うのだ。

「痛みますか?」
「大分良くなったけど……まだちょっと」
「そうですか…あたしは学校があるので、屋敷を案内できませんから、歩きけるくらいになれば誰かに
言ってください」
「学校……」

キラが反芻するのに重なって、使用人がパン、サラダ、スープ等を運んでくる。
割と短めに髪を切った、ボーイッシュな印象を与える女性だった。まだ若い。

「真由良さん、この人がさっき話したキラ=ヤマトさん」
「あーこの方ですか。はじめまして、真由良です。何か困ったことがあれば気軽に声をかけてくださいね」
「あ…はい」

見た目とかっちりと合った明るい声に話し方だ。
樹理と朝木にも言ってこよっと、と嬉しそうに厨房の方へと消えていった。
アリサが手を合わせていただきます。キラもそれに続けて手を合わせた。

「キラさんくらいの年齢なら、学校にも行ってたと思うんですけど」
「うん、いたと思う……でも」
「やっぱり、思い出せませんか」

ちぎったパンを口に入れてふむ、とアリサは難しい顔。

「知識はあるんだ。学校も知ってる……でも、どこで何をしていたかが……全然思い出せないんだ…」
「……」

昨日、薮井が言っていた事だが、記憶にもいくつか種類がある。
記憶喪失になっても、ベッドや机、風呂など日常で生活する物ついては大概忘れる事はない。その使用
方法についても、忘れる事はない。記憶喪失で欠落するのは、言ってみればその人間の経験だ。これは
ただ単にストーリーの都合上というわけではない。おおよその場合で、知識はあるがそれを用いた経験
がない、というケースになる。
588失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/01(日) 00:07:47 ID:???

「怪我が治ったらすぐに記憶も戻りますよ。だからまず、怪我を治しましょう」
「うん…」
「ほら、すぐ暗い顔になる! もっと笑った方が、絶対体にいいですよ」

キラが苦笑する。
「笑ったり楽しめ」というのも薮井からの言葉だった。
すぐに実践したり、そもそも意識してそうしようとするのが間違いだが、それでも意識にとどめておこうと
キラは思いながら、スープに口をつけた。

それから、食後の薬を服用して、アリサを送って帰ってきた鮫島に案内され、屋敷について色々と教えて
もらった。ところどころに犬が放してあり、どの子も人懐こいものだった。
山の中腹に建っている屋敷だ。森には事欠かず、手入れされた庭も歩かせてもらえた。いくつか屋敷の
中で入ってはいけない部屋や、どういう構造なのかを教えられたが、その大きさにキラは驚く。

何度か、鮫島に大丈夫かと聞かれたが痛いだけで、疲れがあるわけではなかったのでキラは続けても
らった。むしろ最後の方は鮫島が疲れた様子でさえあった。

「体力がありますな。薮井さんもおっしゃってましたが、体を鍛えていたようですし」
「自分では…ちょっとわからないです…」

診察していた薮井から、間違いなく鍛えていたようだ、と言われている。
それも、軍隊ではない所で軍人に鍛えられた感じ、と何とも良く分らない分析のされかただった。

遅めの昼食を鮫島と共にし、いろいろと語った。
とはいえ、キラには語るべきものがないので鮫島が話し、キラが答えたりする形だったが。
若い男の子が話し相手という事で、鮫島も舌が軽かった。アリサの祖父の代から運転手をこなし、今では
執事と兼ねて勤めているらしい。ところどころに、アリサの自慢話が挟まれたりと、老人との話によくある
退屈など微塵もありはしなかった。
いきなり現れたよそ者のキラに対して、大きく心を開けて接してくれているのだと、キラ自身よくわかる。

食後に振舞われたお茶の席では、使用人の参加もあり、昼食での鮫島とのゆったりとした会話と一変、
随分と姦しくなった。
屋敷に今のところ努めているのは三人。朝木、樹理、真由良というまだ若い女性三人だ。屋敷の大きさに
しては少ない人員と思ったが、案内された場所については手入れが行き届いていたので十分機能はでき
ているのだろう。
589失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/01(日) 00:09:42 ID:???

その後、キラは1人で森に入る。
そろそろ休んだ方がいいと鮫島にも言われたのだが、もうちょっとだけ、と少し無理を通してもらった。
どうも、鮫島は押しに弱いように思えた。

ぼんやりと、木々の隙間を縫って当てもなく歩いた。
屋敷が大きいからどこにいようと視覚に捉える事ができ、迷子にはないまい。
斜面が多かったが、そう歩きにくくはなく、邪魔なのは痛みぐらいだった。

キラはいろいろと、考える。
家族、友達。多分、いるだろう。ならば、心配してくれているだろうか?
連絡どころか、その顔も思い出せない今、影のように付きまとい、粘つくように張り付いて離れない孤独
感が気付けば心に大きく浸食してくる。心を空虚にして、何も考えずに現実を考えずにいれば、それも幾
分かマシになるだろう。
しかし、その時、思いだすのは薮井の眼だ。

逃げるな。

そう言わんばかりにじっと、キラの瞳を射抜いた双眸。
考えを見透かされるような眼光で、実際見透かされているのだろう。

だが、だからと言ってすぐに腹をくくれるようになるわけではなかった。
逃げるな、というのはつまり考えるのを止めるな、不安であり続けろと言っている事だとキラは薄々気づ
いている。

「無理ですよ……」

それを呟けば、今度はアリサが脳裏に浮かんだ。

そんな暗い顔してちゃ、思いだせるものも思い出せないでしょ! もっと思い出すぞー! って思わな
きゃ!

不安であり続けて、なお思い出そうという前向きな姿勢を崩さない。
難しい、事だ。キラだけでなく、ほとんどの人間にとってもそうだろう。

随分と考えこんでいたようだ。足はいつの間にか止まっており、木漏れ日を浴びながら空をずっと眺めて
いた。空を眺めていた事も無意識である。空を見ているのがクセなのだろうか、とぼんやりとキラはまた
考える。
590失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/01(日) 00:10:37 ID:???
空は広く、遠い。
見上げていれば、自分の足場が消え去ってしまいそうな気がする。
そして、そのまま空へ落ちてしまいそうな奇妙な錯覚。

(…僕は…空の何を見てるのだろうか……)

自分でも、分らない。
空には雲があるばかりで、どこに焦点を合わせていいものか分らない。それでも眺め続けた。
青?
いや、蒼。
吸い込まれるような、蒼穹。
これに惹かれて、記憶を失う前の自分は眺め続けていたのだろうか?

手を伸ばした。
手を伸ばせば、その蒼は掴めるだろうか。

ギュッと握った掌には、何も掴めない。







591失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/01(日) 00:11:58 ID:???
リムジンのドアを鮫島が開けば、中から降りてきたのはアリサと可愛らしい客人2人だ。
高町なのは。
月村すずか。
アリサの親友なのであるが、どうにも雰囲気が重い。

「鮫島、お茶の用意をお願いね」
「はい、アリサお嬢さま」

3人は玄関前に降ろされる形となり、鮫島はそのままリムジンを車庫へと走らせる。

「さて」

アリサがずいとなのはの前に強く出る。

「フェイトの事はわかったけど、はやてについてはゆぅっっっくり聞かせてもらうからね」
「う、うん…」

学校にてフェイトが数日前から休みを取っていた理由はアリサにもすずかにも大体分かっていた。
管理局の仕事だ。
それは、いい。
むしろこれからも学校をひとまず置いて、そちらへ力を注ぐ事はあの境遇を乗り越えたフェイトには有り得
る。今日、なのはから細かくその内容も聞いて納得もした。リンディとしては、フェイトをまだ学校の友と学
ばせたいと説得したが、フェイトが固くアースラについていくと言って聞かず、結局リンディが折れた。
それは、いい。
しかし、はやてについて――正確にはその家族について――アリサもすずかも何も聞かされていない。

ヴィータが行方不明となった。

それが親友のはやてにとってどれだけの辛さになるかは想像もできない。
できないが、知って、少しでも支えになってやるのが友というものだ。そう、アリサとすずかは信じていた。
そこで、最も事情を知るなのはを拘束。そしてバニングス邸へと連行した次第である。
管理局と密な連絡網があるなのはと比べ、管理外世界で魔法を知る者とはいえ民間人でしかないアリサ
とすずかだ。なのはが口を滑らせなければ、彼女たち2人にこの事実は伝わる事もなかっただろう。
それがアリサには気に食わず、すずかもはやての力になりたいと思っていた。
592失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/01(日) 00:13:24 ID:???

なのはとすずかを引き連れて、しっかりとした歩調で庭を闊歩するアリサの足が止まる。
森から、1人の青年が出てきたのだ。

「ヤマトさん」
「あ、アリサちゃん。お帰り…もうそんな時間だったんだ」
「駄目じゃないですか! そんなに歩き回って。傷が治りませんよ!」
「ご、ごめん……でも」
「でもは聞きません! 早く部屋で休みなさーい!」

腰に手をあてて、なかなかの迫力だ。迫力はあるが、プリプリと怒る様子は可愛らしさばかり先行してし
まい、思わずキラは噴き出しそうになった。もちろん耐えたが。

「その子たちは友達かな?」
「はい、私の親友です。なのは、すずか、この人はキラ=ヤマトさん。ちょっと事情があって、家にいるの」
「はじめまして、高町なのはです」
「月村すずかです」

挨拶するなのはとすずかの笑顔は、何とも対称的なものだった。なのはが元気のいいもので、すずかは
静かで落ち着いている。制服の友達というからにはアリサと同じ年なのであろうが、すずかの落ち着きに
キラは感心を覚えた。

「はじめまして……」

キラも笑顔で返そうとして、その視線がある物に定まって外せなくなってしまった。
なのはの、胸元だ。皮ひもに赤い宝石を括り付けたシンプルな首飾り。
ただそれだけのはずなのに、見とれるようにキラはそれを凝視してしまう。

「? ヤマトさん……?」
「あ…ご、ごめん」

不思議そうななのはの声に、キラは我に返る。
どうしてもなのはの首飾りが気になって仕方がない。見た覚えは欠片もない。
ただそれが何が途方もない気配を感じさせるのだ。

「その首飾り……奇麗だね」
「わぁ、そうですか? ありがとうございます」
593失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/01(日) 00:14:32 ID:???

ようやっと、キラは笑顔を3人へと向けられるようになり、なのはも首飾りを手のひらに乗せて笑った。
そしてその笑顔が凍りつく。

『マスター、この者の魔力は奇妙です』
「ふえ!?」

赤い宝玉から放たれる電子音。
それと同時に、なのはから桃色の光が溢れた。

「え…!?」

あっけにとられるキラは見た。なのはの足もとに広がる桃色の幾何学模様を。
魔法陣を。
広がる。なのはを中心として。その一部がアリサの足もとへと伸び、すずかの足もとへ伸び、そしてキラ
の足もとへと伸びた。

輝きに触れた、瞬間。

「!!?」

キラの頭に閃く光景。

強烈な輝きの最中にいる自分。
その自分へと差しのべられる手。
まるで抱きしめられるかのような、ぬくもり。

「―――――――――――――――」

誰かの囁きが聞こえた。

(これは…記憶? 今、なんて……?)

しかし耳を澄ませて聞こえてきたのは、なのはの焦った声だった。

「レイジングハート!」
594失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/01(日) 00:15:30 ID:???

光が止む。一瞬だった。まるで白昼夢のように桃色の光は虚空へと溶けて消えた。
掴みかかった何かを逃したかのような、虚脱感にキラは茫然とする。
驚くアリサとすずかに、焦りをありありと浮かべるなのはが目に入るが、今見て、聞いた何かでキラの頭
はいっぱいだった。

「い、今のは……?」
「あ、えっと…その…」

自分の口から洩れた自覚のない言葉がキラから零れた。
しどろもどろにキョロキョロするなのはに代わって、静かに答えたのはすずかである。

「ただの玩具です。ね、なのはちゃん?」
「う、うん」
「そ、そうそう! 良くできてるでしょう、ヤマトさん」

手を叩いてアリサもたたみ掛けてきた。明らかな不自然。もう1度、何かをキラがなのはに尋ねかけた時
に、アリサが2人の背を押してキラから離した。

「じゃ、じゃああたしたちはちょっとお話があるので、ヤマトさんは部屋で休んでください」
「………」

ただ立ち尽くすキラへと、すずかとなのはがお辞儀をしているのが見えた。
キラは、今見えた記憶かもしれない光景で頭がいっぱいだった。


595失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/01(日) 00:17:31 ID:???
終わりです。
もうちょっと、ピッチ上げて話を進めた方がいいでしょうかねぇ?
596通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 00:31:40 ID:???
GJなの!
ピッチは無理に上げなくてもよかですよ。
マイペースが一番。




…でもいつか完結はさせてね?
597通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 01:39:49 ID:???
でも1回の文章量とリリース間隔をもとに全体配分は考慮した方がいいかも。
延々話が進まずフェードアウトするケースは多いからな……。
598☆7ucUemKu:2007/04/01(日) 02:26:35 ID:???
GJです。
私も先ほど、クロスオーバーSSを書こう!に続き投下してきました。
投下のピッチは、そんなに早くしなくても良いと思います。
自分が楽しく話を書けて、皆さんに見てもらえるぐらいの
速さで書ければ大丈夫だと思います。
某最速兄貴語録
『他人に運命を左右されるとは、意志を譲ったという事で、
意志無き者には文化無し、文化無くして俺はなし!
俺をなくして俺じゃないのは当たり前っ!
だから!!
俺はやるのだ!!
みのりさ〜〜〜〜〜ん!!
でよかったかな?名前〜〜〜!』
599通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 11:17:35 ID:???
GJ。
続き楽しみにしてます。
600通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 15:52:24 ID:???
GJ!
続き楽しみです。
601ガンダムし〜どD´s:2007/04/01(日) 19:57:51 ID:???
8時過ぎに投下します。
602ガンダムし〜どD´s:2007/04/01(日) 20:02:31 ID:???
D´s短編集 入れ替わり3(体力テスト編)

ここは私立聖祥大附属小学校。
ここの4−2の教室はいつもとは違う雰囲気に包まれている。
いつも授業中は静かな教室も、ところどころで小さな話し声が聞こえる。
「ねえねえ高町さん」
なのはの横にいる女の子が、その話し声の根源である少女を指差す。
「今日の八神さん、いったいどうしたんだろうね、何か知ってる?」
指差した方向には、はやてが肘を机の上に置き、手を頬にそえ、鉛筆を口にくわえている。
半分寝ているんじゃないかとも思える。
普段のはやてなら絶対にしない行為だ。
なのははその問いに、さあ、解らない、としかいえない。
(ごめんね、嘘ついちゃって)
うそが大嫌いななのはは、心の中で謝る。
だが、いえるはずがない。
いまのはやての中身が、16歳の男性なんて……
(はぁ……)
シンは、最近になって異様に増えたため息を吐く。
つまらない、最高につまらない。
何がうれしくて、こんなガギどもともう一度勉強しなくちゃいけないのだろうか。
ある一部の人にとっては天国だろうが、生憎シンはそんな趣味は持っていない。
今のシンには、周りの声なんて聞こえてはいなかった。

「八神さん、今日はどうしたの?」
1時間目の社会が終わり、休み時間になって、シンに女子が話しかけてきた。
「えっと……特に何にもないけど……どうかした?」
今シンははやてである。
関西弁が話せないシンは、せめてもと思って少しでも女の子っぽく話そうとする。
正直かなり恥ずかしい。
「何かあったら相談に乗るから、次は体育だから早く行こう」
うん、とだけいって、この場をどう切り抜けようか、とシンは悩む。
そこへ、
「はやてちゃん、ちょっと来てくれる?」
と、なのはがシンを呼ぶ。

「くっそおおぉぉぉーーー!!」
シンは、今までの鬱憤を晴らすようにロッカーを思い切り殴りつける。
その顔は赤い。
くだらない授業、無理やりはなささけえればいけない女喋り。
その他もろもろの怒りを拳にぶつける。
「あのー、シン君。とても怖いんだけど……」
いまシンは思いっきり目を吊り上げ、かなり怒っている。
いくら体がはやてでもかなり怖い。
はやてが怒ればああいう顔になるんだなあ、と思えるほどである。
603ガンダムし〜どD´s:2007/04/01(日) 20:04:42 ID:???
わかりやすくいうと、はやて版ひぐら○の○く○にっぽい感じである。
最も、作者はあんまりこの作品を知らないが……
「それよりもどうすんのよ?このロッカー?」
アリサは、シンのパンチによってへこんだロッカーを見る。
よくもまあはやての体で出来たもんだといろんな意味で感心する。
「ほっといでも大丈夫だろ?どのみちみつかっても、俺がやったってばれはしないさ」
まずこんな華奢な分類に入る女の子が、ロッカーをへこませるほどの力を持つとは思われない。
今は心だけは男だが……
それを聞いて、全員がぽかんとする。
確かに、シンが、自分がやりましたといっても、多分逆に信じてはくれないだろう。
多分この事件は迷宮入りになる。なのはたちは思った。
シンの予想通り、永久的にこの犯人が誰なのか、解ることはなかったのであった。
「で、体力テストどうするの?」
フェイトにいわれ、うーんと移動しながら考えるシン。
「とりあえず、なのは以上フェイト未満ってところかな?」
「え!?」
そういわれて、なのははショックを受ける。
「あはは、言われたね、なのは」
フェイとも、哀れみの目でなのはを見る
「フェイトちゃんまで、ひどいよ……」
なのはの運痴っぶりははやてから聞かされている。
だからはやてのため、そして個人的はプライドのため、なのはにだけは負けるわけにはいかない。
「それにしても……」
シンは下を見る。
「このブルマっていうの、どうにかならないのか?違和感ありまくりなんだけど」
シンの言葉に、そお?と疑問を浮かべるなのはたち。
そりゃまあ彼女達ははきなれているのだろうが……
「なんつうかこう……パンツ一丁で体育する感じがしてちょっとな」
シンの言葉を聞いて顔を赤らめるなのはたち。
「バカ!」
「ぶ!」
かなりに、アリサのビンタの音が廊下に響く。

「シン、ちゃんとやってるかなあ?」
はやては自室のベッドで寝転びながら思う。
学校にはなのはたちがいるから心配はないだろう。
ふと、はやてはあることを思い出す。
シンが美由希に急所を蹴られ、病院に運ばれたことを思い出す。
(なんで女性に蹴られただけで病院に運ばれたんやろう……)
はやては股間を見てふと思った。
はやての顔が少し赤くなる。
604ガンダムし〜どD´s:2007/04/01(日) 20:06:04 ID:???
(あかん、何考えとんねんうち)
ふと思いつき首を横にふるはやて。
だが、興味が勝ってしまった。
(ちょっとくらいなら……ええよな)
はやてはそう思いおそるおそる手を股間へ近づけ、そして
むぎゅ……
力加減がわからないので意外と本気で握った。
しばらくの静寂。やがて……
「うあああぁぁぁーーーーうああぁぁーーーー!!」
今まで体感したことのない、予想を絶する激しい痛みがはやてを襲う。
あまりの痛みにその場にうずくまるはやて。
「はやてちゃん!!いったいどうした………の?……」
シャマルは、急にはやての悲鳴が聞こえてどうしたのだと思って部屋に入る。
そこには、股間を押さえて奇声を上げながらのたうち回るはやての姿が。
「ど、どうしたのはやてちゃん!?」
シャマルは、はやてが何をしたのかぜんぜんわからなかった。
「どうしたのだ一体?」
そこへ、さっきまで寝ていたザフィーラもやってくる」
「ザ、ザフィーラ……」
はやてによばれて、なんですか?と聞くザフィーラ。
「これが男の痛みなんやな…」
………は?
シャマルとザフィーラは目をぱちくりさせてはやてを見る。
先に気付いたのはザフィーだった。
「急所を打ったのですか?」
だが、ザフィーラの答えは外れらしく、首を横に振る。
じゃあなんなのだ?
そう思ったら、はやては顔を赤くして答える。
「ちょっと……自分で握って……」
……………
しばらく訪れる静寂。
「ほら、以前にシンが美由希さんに同じところを蹴られて病院に運ばれたこと覚えとる?」
話だけなら、とザフィーラとシャマルは答える。
「ほれで、なんで蹴られただけで病院送りになったんか気になって……」
なるほど、とザフィーラは納得した。
「しばらくすれば痛みは引く。ベッドで横になったほうがいいだろう」
ザフィーラに言われてわかった、と答えてよこになるはやて。
「はやてちゃん。いまのはやてちゃんの体はシン君のものだから、ちゃんと扱わないと、かわいそうですよ」
わかった、と簡単に答えて布団にもぐるはやて。
まだダメージは続いているようだ。
その後、ザフィーラが痛みが治まる派手はやてのそばにいた。
「うううぅぅぅぅ……」

「高瀬、9秒78、高田、10秒13」
今、なのはたちのクラスは体力テストの50m走をしている。
ちなみに、ここ私立聖祥大附属小学校は、体力テストを1日で済ませる珍しい学校である。
605ガンダムし〜どD´s:2007/04/01(日) 20:07:18 ID:???
「次、高町と月村」
なのはとすずかは呼ばれて、スタート地点に立つ。
「はじめ」
合図とともに、二人は一斉に走り出す。
もちろんなのははすずかについていけず、だんだんと差を離されていく。
「月村、8秒21、高町、14秒32」
自分の結果を聞いて、なのははうなだれる。
「おつかれさん」
そんな二人をシン達3人は出迎えた。
「すずかって、意外と運動神経良かったんだな」
シンは見た目からは想像できないすずかの運動神経に驚いていた。
逆に、シンはなのはを冷ややかな目で見る。
運動神経が低いとは聞かされていたが……
「どんだけとろいんだよ。よくあれで魔術師になれたな」
シンの容赦ない言葉に、なのはのテンションはいっそう下がる。
「魔術師に運動神経はあんまり関係ないよ……多分……」
なのはのフォローをしようとしたフェイトだったが、なかなか言葉が見つからない。
「でもさ、これでも去年よりは早いわよ」
……これ以上あんまり言わないでおこう。
絶対になのはが壊れる。
「それより、あんまり無理しないでね。はやての足、まだ完全じゃないんだから」
フェイとの言葉に、わかってるよ、と簡単に言う。
「次、八神、結城」
シンは呼ばれてスタート地点に立つ。
「はじめ」
合図とともに走り出す。
そこまで本気で走っていないが、軍で叩き込まれた走り方は、はやての体になっても覚えている。
「八神、9秒54、結城、9秒99」
タイムを聞いて、そんなもんかな?とシンは思う。
足のことを考えて本気で走ってなかったが、本気で走ってもそこまでタイムは変わらないだろう。
「皆足速くていいなあ……」
なのははため息を吐きながらつぶやく。
「恭也さんや美由希さんに教えてもらえばいいでしょ?あの人たち運動神経かなりよさそうだし。多少なら教えてくれるんじゃない?」
それを聞いてうーんと悩むなのは。
やっぱりこういう仕事をするには運動神経は必要だと思う必要だと思うけど……
「なかなか時間がみつからなさそうだし……練習についていけそうにないし……」
そうよねえ…と今度はアリサがため息をつく。
その時、シンが一つの提案を思いつく。
「軍隊式の訓練だったら教えてやれるけど……どうする?」
もちろん、シンなりに優しくアレンジするつもりである。
「俺なら暇だからいつでも出来るぞ」
それを聞いてうーん、と悩む。
「じゃあ、お願いできる?」
606ガンダムし〜どD´s:2007/04/01(日) 20:09:01 ID:???
こうして、後にシン達による、「高町なのは強化計画」が実行される。
題名は変だがあまり気にしない。

「はやてちゃん、もう大丈夫?」
シャマルは昼食の準備をしようとすると、はやてが降りてきたのだ。
「うん。だいぶ痛みも収まったし、ただ握っただけやしな」
あはは、とわらうはやて。
「それに、うちがおるのにシャマルがお昼作ったらヴィータが怒ってしまう」
その言葉にシャマルはむっとするが、そのとおりなので何も言えない。
こうして昼食作りが始まる。
「それにしても、料理のときはシンの体って本当に便利やな」
はやての体では食器棚の上のほうにある皿を取るのが難しいが、この体では簡単に取れる。
「だったら、ずっとこのままでいちゃう?」
しゃまるん言葉に、はやては少し動きをとめて……
「それは……ちょっとかんにんやな」
はやては苦笑いを浮かべた。

「やっとおわったぁ」
なのはは机にうなだれながらいう。
午前中の時間を使っての長い、なのはにとっては地獄ともいえる体力テストが終わり、昼休みになる。
魔力なら膨大な量を持つなのはだが、体力はあまりない。
小学生が昼までずっと体育をした後、昼からテスト。
少しなのはを心配する。
「なのは、大丈夫か?」
それを聞いてうーんと唸るなのは。
これは少しやばいかもしれない。
「テストがあるから、昼休みは昼飯食ったら少し寝たらどうだ?少しは違うと思うけど」
シンは周囲を見て言う。
周囲は、既に寝ている児童がちらほら見られる。
なのはもそれを見て、そうすることにした。
「さ、立ったら早くお昼にしましょ。
なのはたちは、いつもの場所で昼食を取る。
「毎度ながら、すごいわよねはやてって」
アリサははやてが作った弁当を見て思う。
「シャマルさんに手伝ってもらってるといっても、朝早くからみんなの朝食作って、お弁当も作って……」
すでに小学4年生のすることではない。
「さらに魔法のお仕事もしてるしね」
まさに母の鏡のようである。
「それに比べて……」
アリサは睨むようにシンを見る。
「何だよ?」
シンはそんなはやての手作り弁当を食べながらアリサを見る。
「なーんでも」
シンはなんだよそれ……と思いながら弁当を食べる。
607ガンダムし〜どD´s:2007/04/01(日) 20:10:17 ID:???
「昼からテスト2時間で終わりか……暇だな……」
シンは、はやてから一応テスト範囲をみたが、既に習っているので何とかなるだろうと思った。
「ちゃんと点を取りなさいよ。はやてのためにもね」
アリサの言葉に心はため息をつく。
小学生のテストの1回ぐらいどうでもいいだろ……
ふと、フェイトは周囲を見る。
なのはがいない。
それにシンがいう。
「あいつだったら、昼飯食って寝るために教室へ戻ったぞ。かなり疲れた感じだったからな」
シンの言葉に、フェイトとすずかがああ、と頷く。
「なのはちゃん、あんまり体力ないからね」
いや、多分あんたらが必要以上体力あだけだろ?とシンは思った。
アリサがしばらく考え、よし!と叫ぶと立ち上がる。
「ちょっとなのはおちょくってこようっと」
アリサは嬉々として教室に向かう。
ちょっと、とすずかとフェイトがとめようとする。
「なのはちゃん寝てるんだから、テストのためにも」
すずかがいうと、ああ、もう…と逆切れ気味にアリサが言う。
「ちょっとぐらい大丈夫よ!それに、直前まで寝てちゃ実力を発揮できないじゃない!」
それはそうだけど、と二人は言葉が返せない。
「ま、起こすだけ起こさないとな」
今度はシンが言う。
その後、油性マジックで顔にラクガキをされたなのはが目撃された。

「もー……」
なのははトイレで自分の顔を見てため息をつく。
まだなのはの顔には油性マジックがあった。
なのはは目が覚め、まだ時間があるなあと思っていたら、起きたときに皆がすくすく笑っていて、なんだろうと思って鏡で自分を見た。
そこには見事に自分の左目の周りに見事に丸印でマークを書かれていた。
気付いた瞬間顔を真っ赤にしてトイレに駆け込んでいって今に至る。
「どうしよう、これ……」
なかなか落ちない油性マジック。
石鹸でもなかなか効果的に落ちない
そのとき、シンが何かをもってやってきた。
608ガンダムし〜どD´s:2007/04/01(日) 20:11:26 ID:???
「なのは、これ」
そういって差し出したのは、みかんの皮。
「フェイトの昼飯に入ってたから借りてきた」
なのはは、みかんの皮を渡される。
「これをどうするの?」
知らないのか?とシンはなのはを見る。
「俺のいた世界の話だけど、テレビで油性ペンと落とすときにこれ絞って書かれたところにぬると汚れが落ちるっていってたんだよ」
シンに言われたとおりにすると、見る見るうちに消えていく。
だが、流石に全部とまでは行かず、少しあとが残っている。
「これだけ消えればそこまでひどくはないだろ?」
「ありがとう、シ…はやてちゃん」
うっかりシンといいかけるなのは。
ここはトイレだ、誰が入っているか解らない。
こうして、二人は教室に戻り、午後のテストを受ける。

短編投下完了。
なんかあまりにも名のはが遅い気がするけど気にしないってことでお願いします。
609通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 20:23:01 ID:???
GJ

不覚にも「しゃまるん」に笑ってしまった。
610通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 21:05:25 ID:???
GJ

ミカンの皮で一瞬目にプシッっとやるのかと思った俺は外道
611ガンダムし〜どD´s:2007/04/01(日) 21:51:47 ID:???
言い忘れてたけど、需要があれば
「高町なのは強化計画」もss化するかも。
612通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 22:36:45 ID:???
需要あります。
613通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 22:42:23 ID:???
思いっきりあるであります!
614:通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 00:04:01 ID:???
それこそこのスレの住人が求める癒(ry

掲載希望!!であります。
615通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 00:07:35 ID:???

今日はStS最速放映日なんですよね、和歌山県人が羨ましい……

>D´s短編集 入れ替わり3(体力テスト編)

乙彼&GJです!
駄目だ、作中の男口調の植田ボイスや関西弁の鈴村ボイスを脳内再生しただけでお腹が捩れるw
シンが女子小学生の苦難を味わう横では、はやては男の苦悩を味わってるし……

>>611
是非とも御願いします。
616通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 03:41:16 ID:???
乙。

ちょっと下の袋がキュッとなったのは僕とスレ住人達との秘密だよ!
617通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 07:29:13 ID:???
あれか? ガンホー!! ガンホー!!
618通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 08:48:36 ID:???
身体能力を強化する魔法ってのは無いんかな
それとも戦闘時にはそれ使ってるけど普段はズルになるからあえて使ってないのか
619通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 10:10:05 ID:???
算数の授業に電卓使っちゃだめっていうのと似たような感覚なんでは?
620通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 20:34:42 ID:???
あくまで身体能力を測るテストなのに魔法で強化しちゃ意味ないだろう
621通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 20:52:47 ID:???
身長測る時に下駄履くようなもんだぞ、それ。
622魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/02(月) 21:52:48 ID:???
チマチマ小出しで投下していくのと一気にばっと投下するの
どっちの方がいいのかな?
623ガンダムし〜どD´s:2007/04/02(月) 22:10:58 ID:???
どっちでもいいと思う。
正直今やろうともえば数話分一気に投下可能。
ただ、確認もあってちまちま出してる。(それでも誤字脱字多いけどorz)
最近投下作品数が減ってるからちまちま出したほうがageれるしちょうどいいともう(他の作者どうしてるんだろう?楽しみにしてるんだけどなあ)
あくまで個人的な意見だけど。
624魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/03(火) 01:29:14 ID:???
 第一章 機神の覚醒

 燃える世界を一人の少年が歩いている。
 黒髪、赤い瞳と特徴的な容姿を持つ彼の名はシン・アスカ。
 肌を炙る炎を気にするでもなく、シンは炎の中でさえ歩みを止めない。
 シン自身、この光景が夢であると気付いていたからだ。
 だから動揺こそしてはいないが、何故このような夢を見ているのかという疑問はあった。
 そこに、一人の少年がシンに近づいてくる。
「誰だ?」
 夢の人物に問いかけることを馬鹿げていると思いながら、シンは何故かその少年の名を聞いてしまった。
「僕…名…はキ……」
 少年の声は小さく、掠れていて、シンには聞き取ることはできなかった。
「君に…願…が……」
 シンは、炎の爆ぜる音も加わりますます聞き取り辛くなる声を聞こうと少年に近付こうとするが、周囲の炎の勢いが増し、少年への道を断たれてしまった。
 今まで無視できていた炎が、シンは急に怖くなった。
 炎の隔たりに、シンは確かな悪意を感じていた。
「おい、あんたは何を言おうとしてるんだ!?」
「ラク……を助……」
 シンの呼びかけに答えるどころか、少年の姿が揺らぎ始めていく。
「勝手に消えるな!おい!」
「気……け…………危……」
 何一つ伝えることなく、少年の姿は消えてしまった。
「何だったんだ、あいつ」
 シンは炎に包まれていく周囲を見ながら、あの少年が伝えようとしていたことを考える。何か大切なことだということは分かったが、その何かが分からなかった。
「って、夢の中で何をやってるんだか……」
 シンは自分自身に呆れたといったため息をつきながら、空を見上げる。
「……朝か」
 直感した目覚めの気配に、シンは奇妙な感覚を覚えた。
 それは、何かが変わるという予感であった。
625魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/03(火) 01:30:42 ID:???
 カーテンの隙間から漏れる光が、シンの顔に丁度良く差し込んでいる。
「んん」
 眩しいのか、シンは身動ぎし始める。
 やがて朝の気配を感じ取ったのか、シンは眠気眼を擦りながらベッドから起き上がった。
「いつもよりちょっと早いな」
 時計が示すは目覚ましにセットした五分前。
「んー、やっぱり変な夢だったなぁ」
 シンが先程まで自分が見ていた夢の内容に頭を捻っていると、そこにノックも無しに部屋に入ってくる少女が一人。
「あ、お兄ちゃんが……もう起きてる」
「どういう意味だよ、マユ。俺が起きてちゃ悪いのかよ?」
「え、だって。いつもねぼすけさんなのに……っていうかお兄ちゃん、何やってるの?」
 シンがベッドの上で頭を捻る様子にマユが疑問をぶつけると、シンは誤魔化すように半笑いの顔になる。
「変なお兄ちゃん」
 マユはそれ以上追求せずに、部屋の箪笥からシンの服を用意する。
「はい、お兄ちゃん」
「さんきゅ」
 シンは着ていた白色のパジャマを脱ぎ、程よく鍛えられた上半身を曝け出す。
「お、お兄ちゃん!?な、何で脱ぎだすのよ!」
 マユは頬を少し染めながらもちらちらとシン(の上半身)に視線を向けている。
「何だよ?ちょっと前までは一緒に着替えだって……」
「わー!わー!それ以上言っちゃ駄目ー!」
 兄の言葉を打ち消すために叫びを上げるマユを、シンは怪訝な顔で見つめる。
「ど、どうしたんだ?」
「もう!お兄ちゃんのばかぁ!」
 マユは手近にあった本を投げつけながら、慌てて部屋から逃げ出していった。
「っと、あーあー、こんなに散らかして行きやがって」
 シンは散乱した本を簡単に纏めると、途中だった着替えを終える。
「……そっか、子供のままじゃないんだなぁ」
 マユが逃げていった理由が、最近一緒にお風呂に入らない理由と同じものだと悟り、シンは寂しげにため息をついた。
「これからは……もう少し気を使うか」
 シンは、兄として何か大切なことを悟った気がした。
「お兄ちゃーん!早くしないと朝食全部食べちゃうよー!」
 マユのいつも以上に大きな声は、照れ隠しの表れか。
 シンは苦笑しながら食卓へと向かった。
626魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/03(火) 01:32:21 ID:???
 毎日家族四人で囲ってきた朝食は、今日も変わらず和気藹々としたものだった。
 今朝のメニューは炊き立てのご飯にお味噌汁、目玉焼き、テーブルの中央には色鮮やかなサラダが陣取っている。
「それでね、お兄ちゃん。今日は学校もお休みでしょ。だからね」
「分かってるよ。いつもの魔法の特訓だろ?付き合うよ」
「ありがとう!」
 マユの笑顔を見ながら、シンは目玉焼きを一気に食い尽くす。
「こら、シン。もう少し行儀良く食べなさい」
「ふふ、あなたも昔はあんな風に私の料理を食べてくれたわよね」
「そ、そうか?」
「そうだったわよ。私、それが嬉しくて」
 シンとマユは、いい歳して未だ新婚気分の夫婦を半目で眺めながら朝食を食べ終える。
「ご馳走様」
 互いが互いの朝食を食べさせ合う様を見せ付ける両親に、シンたちの挨拶は届いていないだろう。
 兄妹は辟易しながら両親の世界の邪魔にならないように食卓から離れる。
「まったく、うちの両親は……」
 洗面所に行き、シンとマユは身支度を整える。
 洗顔し、歯を磨き、髪を見苦しくない程度に纏めたシンは、一足先に玄関へと向かう。
「ちょっと待っててね」
 遅れて洗面所から出てきたマユがバタバタと自室へと向かう。
「シンちゃん」
 ラブラブタイムが終わったのか、母親が手に包みをもって食卓から出てくる。
「はいこれ、お弁当よ」
「ありがと」
 母親は弁当の包みを渡すと、また食卓へと戻っていった。
627魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/03(火) 01:33:40 ID:???
「お待たせ、お兄ちゃん。行こ」
 自室から出てきたマユは、右手の中指に緋色の指輪を付けていた。
 玄関を出ると、マユは目を瞑り魔法衣の形成を開始する。
 マユの体が光に包まれ、全身をバリアジャケットという魔法衣で覆われていく。
 光が止んだ頃には、マユの服は白を基調とした魔法衣に変わっていた。
「ストリーム」
『はい、マスター』
 ソプラノの声が響き、緋色の指輪が輝きだす。
 輝きは大きく、長くなっていき、待機モードからノーマルモードへの移行を開始する。
 そして、マユの手には大きなライフルが出現した。
 それはマユの背丈以上の銃身を持っていて、マユには少々不釣合いなデバイスであった。
「いつも思うけど、もっと可愛らしいデバイスはなかったのか?」
「うーん、私はこの子が気に入ってるけど。ねえ、ストリーム」
『光栄です、マスター』
 二人(?)のやり取りに仕方なく納得するシン。
「まあ、お前が気に入ってるなら……」
「そうそう、ほら、お兄ちゃん」
 マユが差し出す手を、シンがしっかりと握る。
『フライウィング』。
 コウヨウの魔法起動と共に、マユの背に青い翼が展開した。
「今日こそ自己新、越えるといいな」
「うん!」
 マユとシンの体が地上から離れ、宙へと浮く。
「行くよ!」
 掛け声は合図の変わり。
 次の瞬間、兄妹の姿は空の向こうにあった。
628魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/03(火) 01:34:48 ID:???
今回はこれでおしまい。
白い悪魔はこの次の次くらいにでてくる……はず?
629通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 07:16:41 ID:???
乙。
シンの両親がなのはの両親化してて笑った。
630通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 14:53:17 ID:???
>>628
乙なの!
アスカ家は最初から魔法文化有りの世界にいるんだね。
設定はまだよくわかんないけど、続きを楽しみにしてます。



最近、お気にの職人さんが現われない……。
忙しいのだろうか?
631通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 22:41:08 ID:???
>>628
GJ!
なのははまだって…焦らすねぇ。お宅まったく焦らすねぇ。
しかし幸せなシンは切なくなるなぁ。
632失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/04(水) 00:33:18 ID:???
四話目行こうと思います。
話が全然前に進まないのを反省して試行錯誤してるけどもなかなか上手くいかないというジレンマ。
サクサク進みながら、納得のいく話の流れを作るの難しいね。
633失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/04(水) 00:35:16 ID:???
第四話

夕食までには2人の小さな客人は帰ったようだ。
アリサから、なのはとすずかについての話をいろいろと聞かせてもらいながら晩餐が進む。

「大人しそうな子なのに、そんなに運動ができるんだ」
「あたしたちの中じゃ1番ですね。猫みたいに体育の時間は動きわまって活躍するんですよ。あ、猫と言
えば、あの子の家って猫がたくさんいるんです」
「この家とは逆なんだね」
「そうなんです。この家の犬はどうですか?」
「すごく人懐こくて可愛いね。大型ばかりだから、最初は怖かったんだけど…」

などと、笑顔のある食卓である。
何一つ不自然さはない。
ないのだが、

「……なのはちゃんの事なんだけど…」
「あ、あの子は運動だめなんですよ。頑張り屋なんですけど、運動神経はちょっと」
「いや、あの」
「でも理数の成績すっごいんです。もう高校の問題にも手が出せるくらい」
「…えぇっと…」

キラがなのはの話題に、触れようとした途端、アリサは笑顔を張り付けたままガンガンしゃべる。
それはもう怒涛の如く。
仕方なく、それに受け答えをしているとなのはと全く違う話題へとすり替わっているという戦法だった。

(これで食事が終わるまで誤魔化し通すわ…!)
(…食事が終ってからゆっくり切り出そう)

そう言うわけで、食後である。
鮫島から食後の薬を受け取ったキラは、まっすぐアリサに語りかけた。

「記憶の事なんだけど、アリサちゃん。聞いてくれるかな」
「! 何か思い出したんですか?」
「うん…と言っても、断片的すぎて何が何だかわからないんだけど……」
「いつです?」
「なのはちゃんの首飾りが光ったくらいだったと思うんだ」
「なんで言わないんですか!」
「だって…食事中にアリサちゃん、なのはちゃんの話をはぐらかそうとするから……」
「あ……」

アリサの目が泳ぐ。
634失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/04(水) 00:36:22 ID:???
隠し事をしたいのだろうとはキラも分かる。
あの首飾りについてだろう。それでも、キラにとっては手がかりになりそうな物だ。
知りたい。
知りたいのだ。

「あの……地面に出てきたピンク色の模様があるでしょ? あれに触った時に…多分、記憶が見えたん
だ…」
「あ!」

ある考えが、アリサに浮かぶ。
レイジングハートの広げた魔法陣が記憶に関するのならば、それはつまりキラが魔法の関係者という仮
説。もしもそうならば、なのはと離した自分が馬鹿みたいだ。

「キラさん、次元世界って言葉、知ってますか?」
「……ううん、わからない」
「時空管理局、ミッドチルダ……えっと、あとはベルカ。この単語はどうですか?」
「……聞いたこと、ないと思う」
「……そうですか」

次々に飛び出すアリサの言葉だが、キラに引っかかる物はない。
不思議そうにアリサを見つめるキラから目をそらし、アリサは少し考えた。
もう1度、なのはとキラを会わせるかどうかをだ。
今の単語で何も引っかかりがないのならば、考えすぎではないか?
いや、しかし、手がかりになるかもしれない。ならばダメ元でも。
いや、しかし、軽々しく魔法をこの世界の人間に話すべきか?
いや、しかし、そもそも魔法の関係者であるのならば本当にこの世界の人間か?
いや、しかし。
いや、しかし。
いや、しかし。

そしてすぐに考えは纏まる。いや、アリサはすぐに考えを纏めた。

「わかりました、明日なのはを家に連れてきます」




635失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/04(水) 00:37:40 ID:???
それから、次の日になるまで、キラは考え続けた。
光の中にいる自分と、それに差し出される手。声。
手に目を凝らして、声に耳を澄ます。

『―――――――――――――――』

何を言っているのかさっぱりだった。
何か言っているのは、確かなのだ。しかし声の主が男か女かさえ分からない。

次の日になっても、キラは考え続ける。
光の正体。自分のいた場所がどこか。
朝食の頃になると、記憶の中の自分が座っているのではないかと感じ始める。
どこに?

「わからない……」
「え?」

ぽろりと声に出してしまいアリサに怪訝な顔をされてしまった。

昼になってもキラは考え続ける。
もはや、悩み初めてさえいた。本当にこれは記憶?
ただの錯覚じゃないのかな?
そもそも光の中なんていったいどこ?
これは本当に声?

「あ、その子はこのブラシの方が好きなんですよ」

真由良と一緒に犬の世話をしている時も悩みは膨らみ続けていく。
犬の世話を教えてもらいながら、悩みに没頭していた。たどたどしい手つきだったが、これは単に慣れな
い事なのだろう。記憶を失う前は、犬にあまり触っていなかったようだと、薄ぼんやりと考えたがそれもす
ぐに思考の津波に流された。

鮫島がアリサを迎えに行って、返ってくるまでの時間はとんでもなく短かった。
なのはにもう1度会えば、何か分かるかもしれない。何か思い出すかもしれない。
不安が募る。
どんな人間で、いったいどこにいて、なぜここにいるか分かる。
本当に分かるかどうかも分らない。
しかしきっかけはきっかけだ。
希望を持ちたい。
636失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/04(水) 00:38:52 ID:???

いくつもの思いが浮かんでは消えていき、気付けば夕刻に近づいていた。
リムジンが、大きな門を通って帰ってくるのが部屋から見えた。

飛び出した。
庭には、もうリムジンから降りた3人がいた。

「こんにちは」

すずかとなのはが丁寧なあいさつをキラへ。

「こんにちは。おかえり、アリサちゃん」
「ただいま。じゃあなのは、さっそくだけど」

アリサが、なのはを前に押す。
向き合う図になったキラとなのはは、しばしどうすればいいのかとしばし黙り込んでしまった。
たっぷりと間をおいてから、口を開いたのはなのはだ。

「えっと…あの、何と言っていいか…」
「……うん、僕も記憶喪失なんて、どうすればいいかわかんなくって…でも、そんなに気を遣ってくれなくて
も、大丈夫だから」
「…わかりました」

昨日の時点では、なのははキラの事情については聞かされてはいなかった。
しかし今日は違う。ほとんどの事はアリサから聞かされ、憶測であるが、魔法関係者であるかもしれない
となのはは伝えられている。

その上で、

「それじゃ、レイジングハート」
『はい、マスター』

なのはは大地に桜色の魔法陣を展開した。

「!」

首飾りの電子音もそうだが、唐突に現れる輝く幾何学模様にキラは覚悟していたと言え驚きを隠せな
かった。
637失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/04(水) 00:40:12 ID:???

やはり、頭に流れていくるのはあの光景だ。

強烈な輝きの最中にいる自分。
その自分へと差しのべられる手。
まるで抱きしめられるかのような、ぬくもり。

「―――――――――――――――」

誰かの囁き。

「あの、何か思い出したでしょうか?」

魔法陣は、まだ足元で回る。
たっぷりと時間をおいてなのはが訪ねてきたが、昨日思い出した事以上には何も思い出せなかった。
ただ、これが記憶である事は、確信できた。

「……昨日の以上の事は…やっぱり思い出さないみたい」
「……そうですか…」

なのはの表情が曇る。
これだけで記憶を取り戻す事がなのはにとって、最良の展開だった。今ならば、まだキラに魔法について
何も教えていない時点だ。だが、ここから先はキラに魔法についての説明が加わってしまう。
管理外世界においては、望ましくない選択である。
もしも、まるで魔法に関係ない民間人であれば、なのはとしてもペナルティさえ有り得る。

しかし、なのははキラへ魔法を伝えるつもりだった。
一番最初にユーノを助けたのも魔法だが、この時の助けというものは人に危害さえ及ぶ災厄の防止だ。
そんな物騒な形以外で、魔法が人の助けとなるのならば、それはなのはにとってとても魅力的な事だっ
た。だからキラを魔法によって救える、というのは希望的な観測だったのかもしれない。つきつめて考え
ればそうなるかもしれないが、助けになれるのならば、全力でなのはは手を差し伸べる子だった。

(リンディさんに相談できれば1番よかったんだけど……)

最善はリンディへ助けを求める事だろう。
だがハラオウン一家は仕事により不在。帰りは少なくともなのはに知らされていないし、明確な決定はさ
れていない。よって、なのはは決心したのだった。

「キラさん、これから言う事は全部本当の事なんです。よく聞いて下さい。何か記憶に引っかかりそうな事
があったら何でも聞いて下さいね」
638失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/04(水) 00:41:23 ID:???

小学生と思えぬ、毅然とした表情でなのはは語り始める。
魔法を。
知る限り、魔法についてキラへと話をした。
時に、すずかもアリサも聞かされていない事もあったりし、傍観していた2人からも驚きが上がる。
キラは、茫然とするばかりだった。

「それって……本当…の事なの…?」

理解できる部分はあるが、魔法に対する驚きに言葉もたどたどしくなる。
しかし、キラとしてはむしろ納得さえできる事が多かった。現時点で彼自身に覚えはないが、キラが納め
た学を動員さえすれば初歩はほとんど完璧に理解できる。

「はい。魔法と言っても、本当は不思議な事じゃないんです。えっと、簡単に言えばまだ見つかっていない
エネルギーを、まだ考え出されていない理論体系で操作してるものが魔法なんです」
「…思い、出しませんか?」
「………うん。引っかかる言葉も…ないみたいだった」

早とちりだったか。
なのはもアリサも自分の考えが甘かったと苦い顔だ。

「実際には…キラさんは魔法を使えないのかな…?」

そんな2人を割って入ってきたのは、今まで黙して語らなかったすずかだ。
これは流石にためらったが、なのははちょっと考えてからレイジングハートを首から外し、キラへと手渡し
た。

「……これが、なのはちゃんのデバイス……」
「はい、レイジングハートです」
『マスター、やはりこの者の魔力は奇妙です』
「昨日も言ってたけど……何が奇妙なの?」
『わかりません』
「じゃあ、キラさんは魔法使えないの?」
『いえ、魔法を使うには問題ありません』
「! じゃ、じゃあ、魔法使いだったって事?」
『わかりません』
「素質がある、って事かな?」
『はい、魔力を解放してみましょうか?』
「お願い、レイジングハート」
639失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/04(水) 00:42:25 ID:???
自分の掌に乗る赤い宝玉となのはの会話に、置いて行かれた気分で唖然とするキラだが、レイジング
ハートが輝き始める事で、強引に我に返らされる。

キラの足もとに生まれる、円。
光。

それは、情熱と灼熱を混ぜたような赤だった。
揺らめく炎のような魔法陣の中央に立ち、キラはただ驚くばかりだ。

「こ、これは……」
「えっと、これで魔法が使えるような状態になってるんですけど……」
「そ、そんな事いわれて………あれ?」

どうすればいいかわからないまま、ただ足元の魔法陣に釘づけになるキラの脳裏に、何かがよぎる。
赤。
紅蓮の、炎。
そうだ、なぜ気付かなかった。
あの光の中。
その光は…

「爆発……?」

そうだ、自分は爆発の中にいたのだ。

「僕は……爆発の中にいた…?」
「え!?」

茫然とつぶやくキラだが、今度は少女3人がびっくりだった。
アリサとしては、規模こそわからないが爆発の中にいてそれだけの怪我というのにも驚きだ。

「他には!? 他には思い出さないんですか?」
「………」
640失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/04(水) 00:43:37 ID:???

耳を、澄ます。
きっと聞こえる。
そんな確信めいた思い。


―――――――――――――から


「!! 聞こえた!」

―――――――――――――から

しかし、それまでだ。
神経を集中させても、聞こえるのは最後の部分だけだった。

そこで、キラの赤い魔法陣が消えた。

「思い……出せたんですか?」
「…少しだけ。全部思い出せたわけじゃないけど……」
「爆発って……少なくともあたしの家の近くじゃなかったけど…」
「でも、でもやっぱり無駄じゃなかったんですよね!」
「うん。ありがとう、なのはちゃん、アリサちゃん、すずかちゃん………でも、魔法に触れてると記憶が見え
るって事は…やっぱり僕はこの次元世界の人間じゃ、ないのかな」
「…それは…」

そこまでは、わからない。
もしもそうであれば、次は帰れるかどうかという問題さえ浮き上がる。
リンディと連絡がつけば、すぐに帰れる可能性もあるのだが、やはり現時点ではどちらに転ぶかは分らな
いのだ。

それでも、

「それでも、少しでも思い出せたのは立派な進歩じゃないですか!」

アリサの満面の笑みに、3人が3人とも前向きになれた。
641失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/04(水) 00:45:54 ID:???
今日はここまでです。
ウフフ、気づけば物語の花である戦闘がまるで無いですね。
じゃあ、次から血なまぐさくしますか。
642通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 04:13:09 ID:???
乙、tってちょwwww
べつにもうすこしほのぼのでもいいですよーwwwww
643通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 08:40:25 ID:???
GJ。そして乙。
続き楽しみにしてます。
644通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 13:02:34 ID:???
関係ないが
>>625 の四行目

>(前略)シンは眠気眼を擦りながら(以下略)

邪気眼に見えた俺は眼科に行くべきだろうか?
645ガンダムし〜どD´s:2007/04/04(水) 22:20:44 ID:???
もうちょっとしたら投下します
646ガンダムし〜どD´s:2007/04/04(水) 22:26:32 ID:???
機動戦士ガンダムし〜どD´s 24話

「あれ……俺……」
シンは目を覚ますと、周囲は真っ白な空間を漂っていた。
(そうか……俺……死んだんだっけ?……)
思い起こされるさっきの戦い。
敵の直撃を受けて、デスティニーが爆発した。
それで生きているはずがない。
こうやって、わけのわからない空間にいるのがそれを物語っている。
「じゃあ、ここは天国……んなわけないか」
シンは軍人だ。
どれだけ大儀を掲げようと、結局は多数の人を殺した人殺しに過ぎない。
なのはの世界へ来て、それが身にしみた。
そんな自分が、天国にいけるなんて到底思えない。
おそらくここが「あの世」というものだろう。
「親不幸ものだな、俺……」
そして、家族のことを思い出すと、妹を思い出す。
(マユ……)
死んだはずの妹と再会し、そしてすぐに分かれた。
自分が死ぬ形となって……
(ごめんよ、マユ……)
そして、はやてたちにも謝なければいけない。
「祝うって約束したんだけどなあ……」
はやての誕生日。そして、騎士達とはやてが出会って1年がたつ祝い事の考えている楽しそうなはやてを思い浮かべる。
(死ぬっていうのは、こういうことなのか?)
その時、目の前が光った。
閻魔大王が自分でも迎えに来たのだろうか……
「シン……」
そう思うと光が消え、目の前に現れたのは、シンが知っている意外な人物だった。
「ステラ?」
目の前には、最初に出会ったときのドレスのような洋服を着たステラがいた。
シンには、ステラの姿がどこか天使のように見えた。
「ステラ、どうして君がここに?」
シンがそういうと、ステラは微笑む。
「シンに、あのときにいえなかったことを言いに来た」
ステラの言っていることが、シンには理解できなかった。
「シン、ありがとう」
「え?」
ステラの言葉にシンは驚く。
「ステラが死んだとき、シン、そばにいてくれた」
そういっているステラの顔は、笑っているが、どこか泣いているようでもあった。
「そんな、俺は…君を助けたくて……」
そう言って、シンは下を向く。
647ガンダムし〜どD´s:2007/04/04(水) 22:30:04 ID:???
「けど、君を守れなかった。俺が君を守るって言ったのに……」
ふと、シンの目から涙が零れ落ちる。
そんな言葉に、ステラは首を横に振る。
「なんとなく解ってた。ステラはもう死んじゃうって」
ステラは、様々な薬物の投与で、体が持たないことをなんとなくだが解っていた。
「だから、そばにシンがいてくれて、嬉しい」
「ステラ……」
シンはステラのほうを向く。
「だから、今度はステラが、シンを守る」
そういうと、ステラはシンを優しく抱く。
いきなりのことで顔が赤くなるシン。
抱きついたとき、ステラの体が白くなり始める。
「ステラ?」
守る?自分を?
既に死んでいる自分を、どうやって守るというのか。
「シン…好き……」
ステラが、シンに最後に言った言葉を、また最後に言う。
そのステラの言葉を最後に、ステラは光に包まれ、だんだんと小さくなっている。
「ステラ!」
光は止み、そこには一つのペンダントのようなものが浮かんでいた。
「これって……」
シンは、そのペンダントを見たことがあった。
以前に、はやてと家に帰っているときに拾った空っぽのデバイス。
シンはそれを手に取る。
すると、シンもまた光りだした。
「な、なんだよ?こ……れ……」
シンも光に包まれ、意識もだんだんと失っていった。

「彼女はどうなっているの?」
プレシアはクルーゼにマユの事を聞く。
それを聞いたクルーゼは困ったような顔をする。
「まだ目は覚めておりませんが、私が彼女に会うのはまずいでしょうな」
どうして?とプレシアはクルーゼに聞く。
「私が討ったMS。そのパイロットはマユの兄かもしれん。
クルーゼの言葉にプレシアは驚く。
「彼女の家族は死んだんじゃないの?」
マユは確かに、家族は死んだといっていた。
「さあ、それは解りません。それよりも……」
クルーゼは深刻そうに言う。
「事実、彼女の兄を私は討った。彼女がそれで私達のこと炉へ来てくれるかどうか」
そこで、クルーゼはあることを提案する。
「彼女には。もう一度忘れてもらう必要があるかも知れない。兄のことを…」
648ガンダムし〜どD´s:2007/04/04(水) 22:32:14 ID:???
「…ン……シン……シン!」
なんだろう、声が聞こえる。
そう思いシンは目をあける。
今度はどこに飛ばされたのだろう。
本当に地獄なのだろうか。
「シン!…シン!!」
「はやてちゃん、おちついて」
何か聞き覚えのある声が聞こえる。
だんだんと視界がクリーンになっていく。
そこに移ったのは……
「はやて?」
何で目の前に彼女が?
俺は確か……
「シン!」
「うわ!」
少し考えていると、はやてが抱きついてくる。
その顔は涙であふれていた。
「よかったぁ……」
『そうですね、はやてちゃん』
肩に乗っているリィンも喜んでいる。
シンは周囲を見る。
そこは医務室で、はやてとシャマル、そしてなのはたちがいた。
「あれ、俺……」
どうやら自分は生きているみたいだが、まだ実感がわかない。
そこでふと、
「はやて、俺って生きてるのか?」
と、こんなことを聞いてぎゃくはやてがへ?っとシンを見た。
「ああ、ちゃんとお前さんは生きてるよ」
そこへ、リンディとレイ、そしてムゥが入ってくる。
「元気そうで良かったわ。この分だと、回復は早そうね」
?と全く状況が読み込めないシン。
「坊主、お前がクルーゼにやられたのはわかってるな?」
ムゥの問に頷くシン。
「そのあと、アルフさんがあなたをみつけて、シグナムさんが医務室に運んだんですよ」
そこまで言われても全然覚えてない。
その間ずっとシンは気を失っていたのだ。
(あれ、そういえば……)
ふとあのときのこと、ステラのことを思い出す。
(結局、あれって夢だったのか?)
自分が死んでないのだったら、あれは夢ということになる。
だがそれよりも……
「はやて、いい加減に離れてくれ」
さっきからずっとはやては抱きついたままであった。
「いいじゃない、ずっとはやてちゃんを心配させたんだからこのくらい」
ずっと?と思っていると、ムゥは奇妙なことを聞く。
「ところで坊主、今日は地球時間で何日かわかるか?」
ムゥに言われて、えーと、と思い出す。
649ガンダムし〜どD´s:2007/04/04(水) 22:34:21 ID:???
戦った日が6月2日。
気を失ってるから1日くらいたってるだろうと思い…
「6月3日?」
そんなシンの答えに、ムゥは首を横に振る。
「今日は6日だよ」
なのはの言葉に、シンは驚く。
ほぼ4日間、ここでずっと寝込んでいたことになる。
「その間、ずっとはやてちゃんはあなたのこと心配してたよ」
フェイとの言葉に、勿論、私達もね。となのはも言う。
学校が終っては、かえってすぐに皆でシンのところに見舞いに来たらしい。
このときばかりはすずかとアリサも来たらしい。
魔法のことを知っている二人なら信頼できるとリンディが判断したからだ。
今日は習い事があって来れなかったみたいだが。
「あと、お姉ちゃんも1回来たよ」
みんなの言葉で、いろんな人に心配かけたんだなあって思ったシン。
「だからこれくらいは、ね」
シャマルに言われてはやてを見る。
確かに心配させてすまないとは思っているけど……
「結構傷口に痛むんだよ」
はやてが抱きしめているところは、シンの傷口にヒットしている。
もっとも、そこまでひどい傷ではないのだが、やはり少し痛い。
「あ、ごめん……」
シンの言葉で、やっと手をはなすはやて。
「それから、一ついいニュースがありますよ」
リンディの言葉に、いいニュース?と彼女を見るシン。
「けど、まずは皆のところに行かなくちゃね。立てる?」
リンディに言われ、ベッドから降りるシン。
どうやら歩くことに問題はないようだ。
こうして一行は会議室へと向かう。
会議室には。
「目が覚めたようだな」
そこには残りのメンバーが集まっていた。
少し違うのはあまり見たこともない、なのはぐらいの年齢の子供がいるぐらいである。
「シン、大丈夫か?」
ヴィータ画家家より心配する。
「怪我してるけど、大丈夫だよ」
そういってシンは席に着く。
「さて、皆が集まったところで、シン君」
リンディはシンを見て、あるものを取り出す。
「これ、何だかわかる?」
言われて渡されたのは、奇妙なペンダントだった。
これを見て想像できるのが、
「デスティニーの翼?」
650ガンダムし〜どD´s:2007/04/04(水) 22:36:55 ID:???
このペンダント見て、あることを思い出す。
出撃のときに、持っていた貝殻のペンダント。
確かコックピットに掛けておいておいたはず。
そこで気付く、破壊されたときに一緒に亡くなってしまったんだと。
じゃあ、デスティニーを失った今、これは何なのだろうか。
「これは、アスカの首にかかっていたものだ」
シグナムの言っていることにえ?ともういちどペンダントを見るシン。
「おそらく、あの空っぽのデバイスが変化したものだろう。このデバイスにも魔力も感知される」
そして、とシグナムはシンを見て言う。
「お前からも魔力が感知される」
へ?とシンは自分を見る。
っということは……
「お前も魔術師になったんだよ」
ヴィータの言葉にええ?とシンはペンダント、もといデバイスを見る。
(俺が…魔術師?)
いきなり言われても信じられない。
リンディもシンの表情を見て彼がどう思っているのかを察する。
「一度、デバイスを起動させてみたら?」
シンは、リンディの言葉を聞いてデバイスを見る。
本当に自分が魔術師になったのか、試しに起動させてみる。
名前は、自分機体から……
「デスティニー!」
たからかと自分の愛機の名前を叫ぶが……
…………何も起きない。
自信に満ちていったのに違った。
周囲には何故か空しさだけな漂う。
試しに………
「インパルス!!」
…………ちがう。
だったら……
「フォースインパルス!ソードインパルス!ブラストインパルス!!」
………どれもちがう。
次は……
「ミネルバ!!」
…………これも違う
何故なんだ?
シンは悩む。
「ほかに、シン君に関係するようなものはないの?」
なのはにいわれて、あのときのことを思い出す。
(いや、まさかな)
とシンは思ったが、ものは試しに言ってみる。
「……ステラ」
ありえないと思ったが、ステラという言葉に反応して、デバイスが光りだす。
「え?」
シンは光に包まれ、少し時間がたつとそこには、赤と白を基調としたバリアジャケットを着用したシンがいた。
651ガンダムし〜どD´s:2007/04/04(水) 22:40:07 ID:???
「意外と似合ってるな」
ヴィータがシンを茶化すと、そこでなのははあることに気付く。
「あれ?デバイスは?」
シンはデバイスを起動させたのに持っていない。
そのなのはが感じた疑問は、すぐに解決する。
「こんにちは、マイマスター」
ふと、手から何か聞こえたので、シンは手を見る。
なるほど、自分のデバイスはデスティニーの手か。
一風変わったデバイスだな。なのはたちはそう思った。
だが、それ以前にこのデバイスの声。この声はまさに……
「ステラ………」
シンはデバイスを見つめる。
(だから、今度はステラが、シンを守る)
ふと、こんな声が聞こえた気がした。
(そっか、あれは夢じゃなかったんだな……)
なんとなく、そんな感じがした。
そう思い、微笑むシン。
そんなシンを、みんなは不思議そうに見ていた。
「ところでシン君」
リンディはシンを真面目な顔で見る。
「あなたはMSを失って、新たにこのデバイスを手に入れて魔術師になった」
その後、クロノが厳しいことを言う。
「だが、いくら魔術師になって君が協力するといっても、君は初心者もいいところだ」
そこで、とクロノが言う。
「君の特別特訓メニューを用意したんだが、どうする?」
シンはしばらく考える。
確かに、いまさら初心者の魔術師が加わってもたいした戦力にならないと自分でも思う。
けど………
「やってやるよ……」
シンは小さく呟く。
せっかく妹が生きてたんだ。どうしてクルーゼと一緒にいるかわからないが、絶対に連れ戻してやる。
リンディはそれを聞いて、わかったわ。とだけいう。
クロノは、そんなシンを見て言う。
「実は、お前のことだからそういうと思って、既にコーチを準備している」
解ってたのだかよ、とシンはなぜかだまされたような感じになる。
「けど、多分来るのに数日かかるからそれまではなのはやはやてたちから基礎を学ぶといい」
クロノの言葉に、シンは解ったよ、と言ってを解く。
何故かはやてもほっとした。
そのときだった……
「その必要はないよん♪」
ばたんと、自動ドアなのに無理やりバタン!とドアを開けたのは、猫の耳と尻尾をもつ人が二人いた。
652ガンダムし〜どD´s:2007/04/04(水) 22:41:26 ID:???
「意外と早かったな……ロッテ、アリア」
クロノがやれやれ、とため息をはいてその二人、リーゼロッテ、リーゼアリア。
「父様が管理局を辞めてから、私達も暇になってね……」
二人のうちの一人、リーぜアリアが早く来た理由を簡単に言う。
「やっほー、クロスケー!」
そしてもう一人のリーゼロッテが、いきなりクロノに抱きついてきた。
「おひさしぶりぶりー。げんきにしてたー?」
そのままクロノを抱き寄せるロッテ。
それを呆然と見ているシン達。
ただ、エイミィとリンディだけが笑いながらその光景を見ている。
「やめろロッテ、今は会議中だ。僕達だけのときならともかく、他の人を待たせるな」
そういって、ロッテは周囲を見る。
確かに、ほかにもたくさんいる。
「で、クロスケが言ってたのってどいつ?」
ロッテの言葉に、クロノはシンを指差す。
「へぇ、この子が」
ロッテはシンのところへ近づく。
「えっと……誰なんだコイツ?」
シンの言葉に、ロッテは急にシンに抱きつき、シン顔を自身の胸に寄せる。
「な!」
いきなりのことで顔を赤面させるシン。
「これから師匠になる人物に対して、生意気だぞぉー」
師匠?と思っていると、変わりにクロノが説明する
「彼女達は僕の師匠なんだ。今君に抱きついているのは接近戦担当のリーゼロッテ。そしてもう一人、ドアでたっているのは魔法担当のリーゼアリア」
だからなんだよ?というシンに、哀れみの目でシンを見つめるクロノ。
「これから君は、しばらく彼女達の元で魔術師としての特訓をしてもらう」
そういうこと、と先ほどよりも力と強めてシンに抱きつく。
「じゃあ、こいつもらってくわね」
ロッテの言葉にまて、とクロノはとめる。
「話しは最後まで聞いてくれ。彼は今怪我をしている。お持ち帰りしてもすぐ訓練できるような体じゃない」
おい、とシンは心中で突っ込む。
(人を物に対に扱うな!)
だが今はそれよりも……
「おい、いい加減そろそろ離せよ」
さっきから胸の感触が………
ロッテはそんなシンを見て、ニヤッと笑う。
「さっきも言ったけど、師匠に向かって使う言葉じゃないなぁ、そんなやつはこうしてやる!」
そういってロッテはさらにシンを締め付けるが……
「っつ!……傷口!傷口にあたってる!!」
傷口を思いっきり締め付けられ、条件反射でロッテを突き飛ばす。
「それはごめんごめん」
絶対本気で謝ってないだろ?シンはそう思った。
「それで、彼の回復の見込みは?」
このままでは話が進まないと思い、アリアがクロノに
653ガンダムし〜どD´s:2007/04/04(水) 22:43:49 ID:???
少しミス。
このままでは話が進まないと思い、アリアがクロノに

このままでは話が進まないと思い、アリアがクロノに聞く。
654ガンダムし〜どD´s:2007/04/04(水) 22:46:30 ID:???
「シャマルの言葉によると、数日もあれば治るらしい」
クロノはそういって、シャマルは頷く。
そしてアリアは……
「じゃあ、数日は養生しつつ魔法の基礎を教えて、傷が治ったら接近戦と応用して教えたら言いわけね」
アリアがそういって、クロノ、シン、さらにはやてまでもが「え?」という。
「さっきもいったけど、私達も暇だから」
そういう問題かよおい!そう思いながらもシンはアリアによってバインドで拘束されてしまう。
「おい!離せよ!!おい!」
だが、そんなシンの抵抗もむなしく、リーゼロッテに引きずられていく。
「それじゃあ、しばらくおかりしまーっす」
ロッテはそういい残して、もう一度自動ドアなのにドアを無理やり閉めてでていった。

「あんな人たちだったんだ……」
なのはとフェイトはリーゼロッテを見て唖然とする。
今まで二人はリーゼと聞くと、あの謎の仮面男の印象が強い。
二人が呆然としていると、なのはははやてが何かボーとしていることに気付く。
「はやてちゃんどうじたの?」
なのはにいわれて、え?とはやてなのはのほうをむく。
聞こえてなかったのだろうか。
「い、嫌、別になんでもないよ」
どうみても苦笑いを浮かべるはやて。
一方ヴィータはクロノを睨んでいた。
その理由にフェイトが気付く。
「そっか、この土曜日ってはやてちゃんの誕生日だったね。」
なるほど、それでシンも参加すぐはずだったのにリーゼたちに無理やり連れて行かれ、その二人を呼んだクロノにヴィータは睨んでいるのである。
「し、仕方ないだろう。早くあいつに強くなるには最良の手段だと思ったんだ」
すっかりはやての誕生日のことを忘れていたクロノは、必死で言い訳をする。
別に悪いことはしてはいない。時期が悪かっただけである。
「心配せんでええんよクロノ君。うちは全然気にしてへんけん」
あはは、と渇いた声で言うはやて。
確実に気にしている。
そんなはやてを見て、皆はクロノをみる。
そのあと、数日間クロノは、はやてにいわれるまでヴォルケンのメンバーから無視されることになる。
655ガンダムし〜どD´s:2007/04/04(水) 22:53:19 ID:???
24話投下完了。

次回(D´25話)には、シンがそこそこ強くなっていると思います。
次に投下するのは入れ替わり最終章です。
656通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 22:53:56 ID:???

クロノも乙
657通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 23:09:48 ID:???
乙彼&GJです。

シン専用デバイスに『ステラ』……これは盲点でしたよ!そしてリーゼ姉妹に調……もとい訓練されるシンに乾杯!

お次は入れ替わり最終章ですかわくわく。
まじかるしんはやはりStS次第でしょうかね?
658通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 23:23:52 ID:???
いっそ身体強化と光の拳だけで戦うシンが見たい
それかガンフォ(r
659通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 07:36:21 ID:???
あれ?過去ネタみようとして
http://pctrans101.mobile.tnz.yahoo.co.jp/fweb/0209xeHDce595TBn/1i?_jig_=http%3A%2F%2Fwiki.livedoor.jp%2Farte5%2Fd%2FFrontPage#top
いこうとしたんだがつながらない…。

誰か助けて
660通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 14:18:51 ID:???
661通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 17:58:24 ID:???
>>660
ありがとなの
662通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 19:30:20 ID:???
唯一この板で、一つの作品を完成させた神隠し氏は、何処へ行きなすってしまわれたのじゃろう。
663通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 19:40:03 ID:???
カミーユ種や0083種も一応完結してるぞ。


見紛うことなき最低SSだったけどな。
664通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 19:44:59 ID:???
つ阿部種〜阿部種死
665通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 20:59:41 ID:???
>>662
あえてこの板じゃなくてこのスレの間違いじゃないのかと思ってみる。
666通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 23:10:38 ID:???
>>663
カミーユはまあそれなりによかったぞ
あとXとか
667通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 23:25:47 ID:???
>>666
そうかぁ?
終盤、特にベルリン戦以降はそんなに褒められたモンじゃないぞ
さすがにスレ違いなんでもう止めるけど。
668通常の名無しさんの3倍:2007/04/05(木) 23:39:32 ID:???
>>663
マユ種はかなり終わってる作品あるし、名作揃いだぜ
669通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 00:53:43 ID:???
>>664
嬉しい事言ってくれるじゃないの。
670魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/06(金) 03:21:46 ID:???
 街中より離れた小高い丘に、二人の兄妹の姿があった。
「いくぞ、マユ!」
「うん。いつでもいいよ」
 澄み渡る青空の下、広場に響く声には活力が漲っていた。
 頬に汗が伝うのを気にすることなく、シンは低空に待機するマユに思いっきり空き缶を投げ始める。
 空き缶の速度は一般的な大人では避けきれないところにまで至るが、マユはそれらを次々と両手で構えたストリームで撃ち抜いていく。
 そこら辺から集めた空き缶を次々と投げ続けるシンは、全身を汗で濡らしながらも投擲を止めることはない。
 互いに言葉は発せず、魔法の訓練という遊びを楽しんでいる。
 それが五分ぐらい続いただろうか。
 シンのストックしていた空き缶が遂に底を尽き、シンは地面に腰を落とした。
「はあ、はあ、流石に、はあ、疲れたな」
「ふふ、ご苦労様、お兄ちゃん」
 マユは念のため周囲に張っている隠蔽魔法を気にしつ、シンにタオルを渡す。
「これで汗拭いてね」
「おう、さんきゅ」
 渡されたタオルで汗を拭くシンを見ながら、マユは静かに微笑む。
「何だよ?」
「ううん、何でもない」
 マユは笑みを深めると、改めて空へと舞い上がる。
 流れる風を感じながら、マユは「現在」というものに想いを馳せる。
「私たちは……間違ってなんかいない」
 それは、マユがここ最近考え続けていた自分たちの正しさについて。
「ラクス様だって、言ってたもん」
 大切な人のために、世界を壊す。
「お兄ちゃん」
 マユは下で仰向けになっているシンを見下ろした。
「必ず……手に入れるからね」
 兄への決意の言葉は、風に流され本人へと届くことはない。
 だから。
「大好きだよ、お兄ちゃん」
 いつの頃からか面と向かって言えなくなった言葉も、今のマユなら言うことができたのだろう。
671魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/06(金) 03:22:36 ID:???
 平穏な時間。
 だが。
「!」
 それは今、一時の終わりを告げる。
「はい、了解しました。ストリーム!」
『戦いへ?』
「うん、お兄ちゃん!」
 マユは急降下すると、兄へと偽りの事情を伝える。
「ごめんなさい、やらなくちゃいけない事があるの。だから……」
 マユの言葉を、シンは手で遮る。
「俺の事は気にするな。行ってこい、マユ」
「うん」
 シンは、ここ最近多いマユのやらなくちゃいけないことについて聞きたいことが沢山あった。
 しかし、シンはあえてそれを聞かないことにしていた。
 それは、妹への信頼。
 マユは次元の扉を開けると、そこを通じて自分が呼ばれた戦場へと一気に跳躍する。
「頑張れよ、マユ」
 後に残されたシンは、届くことのないエールをマユへと送った。
672魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/06(金) 03:23:31 ID:???
 次元の海原を一隻の艦が進んでいく。
 艦は管理局所属、次元航行艦、その名をアースラ。
 所々にスパークを奔らせる船体は、超高出力の魔法物理複層障壁を装備した艦としてはありえないほどの損傷を見せていた。
「駄目です艦長!跳躍するためのエネルギーを稼ぐ時間がもっとないと……このフィールドから逃げることはできません!」
 艦内部、指令を発するためのブリッジでは、アースラ史上最大の危機ともいえるこの状況を打破するための策が練られていた。
 しかし、必ず最後にこの問題がアースラスタッフの前に立ち塞がっていた。
「艦長、やはり僕がでます」
「何言ってるのクロノ君!そんなに消耗している状態じゃ、いくらなんでもムラサメ相手には戦えないよ!」
 管理局執務官、クロノの案はエイミィによって却下された。
 エイミィの言葉通り、クロノはここまで逃げるための戦いで既に傷を負っており、最早激しい戦いを行えるほどの魔力は残っていなかった。
「リンディさん、私たちがでます!」
 そして、先程から最後に出る意見に行き着いてしまう。
「私たちなら、まだ戦えます」
 二人の魔導師、高町なのはとフェイト・T・テスタロッサが出撃するという案だ。
 しかし、管理局のエースの名をほしいままにする二人でも、Mジャマー影響下で数十機のムラサメを相手取ることは無謀の極みだった。
「でも……」
 再び最初へと戻るかと思われた即席作戦会議は、艦全体を揺らす振動によって終わりを告げた。
「そんな!あの距離から!?あと七分で跳躍が可能なのに!」
「損害報告!破損箇所は!?」
「右機関部の出力が低下し続けています!このままではムラサメに追いつ……うわぁ!」
 再び襲う振動。
「リンディさん!」
 なのはの叫びに、ブリッジ内は沈黙に包まれる。
673魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/06(金) 03:24:32 ID:???
 だが、数秒の沈黙はリンディの言葉によって打ち破られることになる。
「なのはさん、フェイトさん…………出撃してください」
 それは追い詰められた末に出た苦渋の決断。
「無茶です、艦長!いくら二人でもMジャマーの影響下じゃあ、あの数のムラサメ相手に戦うことなんて……」
 リンディの決断に、エイミィが反論する。
 機人相手に魔導師をぶつける事は、神子反乱から数ヶ月たった今では愚策とされている。
 Mジャマー内で、人間が機人と戦うということは無理なのだ。
「でも……信じるしかないわ。なのはさんとフェイトを」
「そんなこと言っても……」
 リンディとエイミィのやり取りの中、クルーは必死に艦を動かし、迫り来る数十機のムラサメの攻撃を避けようとしている。
「私たちならいけます!」
 行き詰まりかけた決断を、なのは自身が後押しした。
「なのはさん……」
「クロノだってあんなに頑張ってくれたのに……私たちだけ見ているだけなんてできません」
「フェイト……」
 二人の少女の決意に、ブリッジクルーは過去何度とさせられてきた感嘆を示すことになった。
 この状況下での出撃を、何の迷いも無く実行しようとする心の強さ。
 そして、それを可能とするかもしれない魔導師としての強さに。
「……頼みます、二人とも。五分間だけでいいの。時間を稼いで」
 五分。
 それだけあれば、この空間に張られたMジャマーを破り、逃走することができるという時間だ。
 短いようでいて、その実、生身の魔導師が機人を相手にする時間としては長すぎる時間でもあった。
「いくよ、フェイトちゃん」
「うん。いこう、なのは」
 だが、それでも二人の少女は躊躇うことは無い。
 足元に展開される魔法陣が、二人を戦場へと誘う。
「高町なのは、いきます!」
「フェイト・T・ハラオウン、いきます!」
 今、二人の魔導師の三分を懸けた戦いが始まる。
674魔導機神 ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/06(金) 03:26:56 ID:???
読み辛くてすみません。そこら辺はこれからということで……
ちなみにストライカーズの設定は無視という方向で
次回はなのは&フェイトVSムラサメ部隊です。ちなみに機人は誤植じゃないです。
675通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 09:10:40 ID:???
とりあえず乙!

まだあんまり設定とかわかんないけど…。
これからの展開に期待する!

ところでMジャマーって、マジックジャマーでいいのかな?
676通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 11:12:46 ID:???
このスレのSSはデバイス戦闘が主流なので、MSが活躍すると嬉しくなってくる
シンは魔法は知ってるみたいだが、本人は一般人なのか
677通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 21:12:03 ID:???
まったり話の需要はあるのかな?
678通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 21:17:20 ID:???
あります、超あります
679通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 21:40:19 ID:???
短編は神隠しさんのある日のシンとフェイトが個人的には好きだ。
680シンと一緒! ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/06(金) 21:42:58 ID:???
 ACT.01 シン、レイジングハートになる

 最初は何が起きたか分からなかった。
 見たこともない部屋にいて、手足の感覚もなかった。
 動こうとしたら視界がぐるりと回り、自分がどこか高いところから落ちた感覚と共に全身に奔る衝撃。
 痛みは無かったが、訳が分からなかった。
 俺のおかれた状況を考えていると、視界の端で巨大な毛布がもぞもぞと動き出したのだ。
 俺は驚き、そして身構えたが、巨大な何者かはこちらの事などお構い無しにその姿を曝け出した。
 それは、いや、彼女は巨大な少女だった。
 恐らく可愛らしい容姿なのだろうが、如何せんサイズがでかい。
 そんな少女が笑顔でこちらに迫ってくる恐怖が分かるだろうか?
 物凄くシュールな怖さがあった。
「おはよう、レイジングハートってあれ?何で落ちてるんだろう?」
 何故か挨拶をされた。そして名前を間違えられた。
「……何なんだよ、お前は?」
 ついいつもの調子で言ってしまった。
「え?どうしたの、レイジングハート」
 少女の声色が変わった。
 まずい、何かに触れてしまったのだろうか?
「レイジングハート?」
「……」
 仕方が無いので無言を貫き通すことにした。
「うーん、どうしたんだろう?」
 巨大少女は首を捻りながら、こちらに背を向け箪笥へと向かった。
 そして巨大少女は服を取り出し、俺はそれをどうするのかと考えていたら、何と巨大少女は着ていたパジャマを脱ぎだしたのだ。
「おおい!」
 思わず大声を上げてしまった。
「へ!?」
 素っ頓狂な声を上げて少女が振り向いた。
 すると、体に隠されていた上半身前面の部分の下着が曝されることになった。
 可愛らしい桃色の下着だった。
「……うーん、人の気配はないし……うーん?」
 巨大少女は納得できない顔をしながらも着替えと戻った。
681シンと一緒! ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/06(金) 21:43:45 ID:???
 そしてオープンされるあられもない姿。
 小学生ぐらいとはいえ、女性の下着姿を覗き見ることなど言語道断。
 俺はすぐさま薄目になった。
 視界はぼやけて巨大少女の姿も霞んだ。
 そして、こちらの方がドキドキした。
 巨大でもこういうことは関係ないのだろうか、などとくだらないことを考えている間に巨大少女は着替え終え、再びこちらに歩いて来る。
「じゃあ、行こうか」
 そう言い、俺を摘み上げる。
 内心恐慌状態だったが、これ以上不振に思われてはいけないと必死に我慢する。
 巨大少女はこれまた巨大な鏡の前に行き、自分の姿を映し見る。
 そして、俺はそれを見て絶句した。
「何なんだこれは!?」
 突然の大声に巨大少女も目を丸くしているが、今の俺にはそんなことは気にならなかった。
 とても信じられないことだが、俺の姿はどう見ても丸くて赤い石だった。
「そんな馬鹿な」
 俺はあまりの驚きに呆然としていたが、巨大少女の視線に気付き、意識をそちらへと向ける。
「……えっと、レイジングハート?」
「……いや、その」
 今や巨大少女の顔は不審一色に染まっていた。
「はじめまして?」
「…………」
 俺の渾身の挨拶も無視した巨大少女は、思案に明け暮れている真っ最中だ。
「大変、壊れちゃったのかなぁ」
「……そうかもしれないな」
 そう、こんな世界、壊れている。
「うーん、フェイトちゃんかはやてちゃん達に相談するしかないかなぁ」
 困り果てた様子の巨大少女は、携帯を取り出し何かを打ち込んでいる。
 俺は視線を窓へと向けると、まだ陽が昇りきっていない空を見る。
「何なんだこれは……」
 あまりにあり得ない状況に、不安、焦燥、その他諸々を感じながら俺はため息をついた。
「これからどうなるんだよ」
 この時、俺はまだこの先に待ち受けるいろいろな騒動の事など知る由もなかった。
682シンと一緒! ◆ld4xh1oLN2 :2007/04/06(金) 21:45:32 ID:???
片方が荒むため、こっちはまったりもじゃもじゃいこうかと。
683通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 21:57:56 ID:???
正直、この発想は無かった
どうなるんだマジでw
684通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 22:00:18 ID:???
投下乙なの!
シン、はやての次はレイジングハートですかいw
685通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 22:41:08 ID:???
乙。ほんとにこれからどうなるんだ・・・てか、
>女性の下着姿を覗き見ることなど言語道断。

シン、純情だなぁ・・・やっぱりシンって受けなんじゃ(ry
686通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 23:02:46 ID:???
これはww
レイシングハートというわけか
新しい!
バルディッシュとかとシンが会話とかするのかと、ワクワクが止まらねぇ
687通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 23:07:17 ID:???
乙。
これってシンはいきなりコズミック・イラの世界からレイジングハートになったのか?
そうだとしたらバルディッシュもアスランやキラになってる可能性が……
688通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 23:08:48 ID:???
乙です 続きが気になってたまりません!!
689通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 01:35:31 ID:???
そうすると最重要課題は・・・



リィンIIの中の人だな
690通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 01:40:23 ID:???
>俺はすぐさま薄目になった
薄目ってことはシンお前・・・
691失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/07(土) 01:57:42 ID:???
もう深夜……誰もいないうちに五話目を…
692失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/07(土) 02:01:34 ID:???
第五話


第83管理外世界。そう印を押された世界。
科学が発達し、機械から生物まで、どの分野でもなのはの世界と比べれば大きな成長の先にいる世界で
ある。
しかし、未だ世界は戦争のただ中にいた。
世界の全てを巻き込んでいると言って過言ではない戦争だ。

そんな世界の、ある海の上。
文字通り、海の上、海の上空で立っていたのはシグナムだ。
適当に魔力を放射し、海の底で眠る者が起きるのを待った。

前回の闇の書の転移地点であり、グレアムがアルカンシェルを発射した世界。
つまり、リンディにとっては大きな心の傷を刺激する世界だ。
そんな事をおくびにも出さず、リンディは指揮をとっている。当時3歳だったクロノは知らされこそしないだ
ろうが、自ら調べ、父の消えた世界である事を知っているだろう。クロノの振る舞いや表面に出ていなくと
も、シグナムはそう感じた。

(なんとも強い母子だ……)

プロ意識なのか、それとも強靭な精神の賜物か。

蒼い空を眺め、その向こうにあるだろうアースラにいる女艦長を思っていた時だ。
海が盛り上がる。
生物が、海を割って現れた。
それも、巨大な。

『おや、おや、これは驚いた。誰かと思えば、剣の騎士か。またリンカーコアでも欲しいのかな?』
「久方ぶりです、海神殿……リンカーコアについては、もう謝罪したではありませんか。もう以前の我々で
はありません」
『かかかか、分っている、分っている。そちらも、海神というのは、やめてくれ。近場の漁師が、勝手にそう
呼んでいるだけだ』

姿かたちは、魚だろうか。
どちらかと言えば、鯨やシャチ、イルカといった海洋に住む哺乳類によく似たものだ。大きな羽のようなヒ
レと、長い長い尾。海底に住む神秘を体現したかのような存在だった。この世界でも未確認生物とされる
個体だ。
まるで思念通話の要領でシグナムの頭へ直接語りかけてくる。
693失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/07(土) 02:03:06 ID:???
『さて、さて、アルカンシェルで吹き飛ばされたこの世界に、君が一体何の用件か? 管理局も一緒であ
るなら、事件だろうがなぁ』
「はい、この世界でロストロギアの反応がありましたので捜査中です。何かご存じではありませんか?」
『さて、さて、私はほとんど眠っているだけだ。前に起きたのも、海に落ちたレアメタルなる物の取り合い
のいざこざで起こされて、機械人形を助けてやったくらい………さて、さて、そのロストロギアは海の外の
事だろう? 私が眠っている間、私は何も感じていない』
「そうですか…」

大きく期待が外れたという顔でシグナムは眉根を寄せる。
魔法を使用してないこの世界だがその実、遥か昔は今シグナムがいる星以外の星では魔法が存在して
いた。別の惑星で魔法を扱って暮らしていたのがこの巨大海洋生物の祖先だが、代を重ねるごとに数が
減り、住み家をこの星にしてからはもう彼のみとなってしまっている。管理局からの保護も断り、絶滅を受
け入れた大いなる老人だ。
ひっそりと海の底で眠っていても、この世界で魔法の事件について頼るとなれば彼以上に考えられない。
つまり収穫なし、だった。

『かかか、そんな顔をするものではないよ。君が来たから思いついたんだがね、あれが起動したんじゃな
いのかね? ほら、ほら、あの対闇の書用ロストロギア』
「……光の卵ですか。しかしあれのマスターは前回、暴走した闇の書の近くにいたはずです。アルカン
シェルで光の卵も消滅したとしか思えませんが」
『そう、思いたいだけじゃないのかな?』

闇の書は、深い恨みをいくつもの世界で生んだ。
しかし転生の都度に積み重なるその怨嗟を糧として、いつの時代かの誰かが反撃の牙を生み出した。

光の卵。

そんな呼称を受けたロストロギアである。
ただ闇の書を消滅させる事だけを目的としたロストロギア。

闇の書が生者からリンカーコアを蒐集するのに対し、光の卵は死者のリンカーコアを集め、それを基に闇
の書を攻撃するためだけの戦士を生む。生み出される戦士は、一定の魔力レベルを超えた死者のリン
カーコアが選ばれ、闇の書を殲滅した暁には新たな生命が約束されるのだ。この戦士が、光の卵のマス
ターとしてその力を振るう。
性質の悪い事に、光の卵が選んだマスターがやられれば、光の卵はそのマスターの経験を学習して次
のマスターを選び、この経験を受け継がせる。ここで光の卵は、選んだマスターがやられた世界で次のマ
スターを選択する事を記しておく。つまり、今回は第83管理外世界から選ばれる事になる。
694失われた者たちへの鎮魂歌:2007/04/07(土) 02:03:58 ID:???

さらに光の卵はその世界でリンカーコアを集めて、一定水準を超えるものを使用者とするが、それ以外も
めぼしいリンカーコアをストックする事ができた。そのリンカーコアから、光の卵のマスターは下僕とも呼
べる奴隷兵を作りだすことができるのだ。姿形は、死ぬ前の体を用意し、ストックしたリンカーコアから生
み出されるそれらはゾンビースレイヴと呼ばれた、ヴォルケンリッターに対抗するためのようなシステム
である。
しばしば、ヴォルケンリッターの足止めにこのゾンビースレイヴは捨て駒にされ、シグナムも手こずった記
憶がある。さらには『デバイスを生む』機能まであるため、武装も充実させられるという。

死者の数だけ奴隷を作る事が出来ると道義なのだが、即戦闘に投与できる奴隷を作れるほど上質なリ
ンカーコアはそうないのが実情だが。

何度か、ヴォルケンリッターも光の卵に選ばれた者とぶつかった事がある。
しかし、現在に至るまで、闇の書を滅した光の卵のマスターはいなかった。

そのまま光の卵もアルカンシェルで蒸発したとばかり考えていたのだが、ふと海神の言う事にシグナムは
現実味を覚えた。

しかし、

「しかし、魔法の発達していないこの世界です。光の卵が選ぶだけの魔力を持つ者がそうそう現れるとは
思えませんね…」
『さて、さて、しかし世の中どう転ぶかわからない。魔法文明が発達していなくとも、魔力の強い者も生ま
れる可能性もある、と思わんかね?』

ちらりと、シグナムの脳裏に浮かぶのは桜色の魔力を纏った、二つくくりのエース。
理は、海神にあるようだった。
しかし思いたくない。

もしも、もしも光の卵が再び活動しているのならば。
ならばヴィータは……・

黙り込むシグナムへと、しかし海神は楽しげだ。

『どうした、どうした剣の騎士。やはり――――

その楽しげな声が、途中で途切れた。
海神の姿が、消える。
そして海が、空が、近くにある島が、生気を失い、色を失っていった。

「海神殿…? これは……封鎖領域!」

胸元のレヴァンティンを起動。瞬時にシュベルトフォルムとなり主の手に納まる。まだ、剣は鞘に収まった
まま。何時でも抜剣できるよう柄に手をかけて360度へと注意を配る。
695失われた者たちへの鎮魂歌
「………」

そして鋭い瞳は、一つの影を捉える。
人影だ。そう身長は高いわけではないが、全身を銀色の甲冑で隠した者。ゆったりとした飛行でシグナム
へと近づけば、2つの盾が甲冑の周囲を従うように浮かんでいるのが分かる。適度な距離で、甲冑が接
近を止めた。シグナムの腕と得物ならば一呼吸では打ち込み損ねる距離だ。

「何者だ?」
「闇の書……壊す…」
「!」

怨恨。
復讐。
悲哀。
憎悪。
憤怒。
正義。

あらゆる理由がシグナムの頭を駆け巡る。闇の書を壊す理由。
そんな中で、やはりシグナムが一際重く見たものは、今しがたの会話の内容だった。

光の卵。

「待ってくれ」

そこへ、ストップをかけた。

「闇の書はもう、ない。ないんだ」
「闇の書……壊す…」

銀が灰色の空を踏んだ。
速い。

「問答無用か……」

まるでイノシシのような、掛け値なく正直な突撃。そして鉄の腕による渾身のストレートがシグナムへと突
き出された。そんな真っ向からの拳を、シグナムは鞘に収まったレヴァンティンで受け止める。

「聞け。闇の書はもうない。だからといって、我々の罪は消えるわけでもない……しかし、話を聞いてくれ」

しかし聞かない。
鉄の外見をとは裏腹に、猫科を思わせるしなやかな動きでシグナムの横っ腹へと蹴りを入れてくる。甲冑
の構造上、中空で後ろのめりになるが、そもそも魔法によって空を飛んでいるのでバランスを崩したとい
う様子ではない。