【GF】種死の世界にドモンが来たら【7回戦】

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1通常の名無しさんの3倍
キミも流派東方不敗に入門して、心と体を鍛えよう!

種死の世界にドモンが来たら
 http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1127639075/

種死の世界にドモンが来たら2
 http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1132581388/

種死の世界にドモンが来たら3
 http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1134955306/

【天驚拳】種死の世界にドモンが来たら【4発目】
 http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1138963887/

【GF】種死の世界にドモンが来たら【ROUND 5】
 http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1147172673/

【GF】種死の世界にドモンが来たら【第六回】
 http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1164242754/

まとめ、保管庫 
 http://www7.atwiki.jp/suteteco/pages/1.html
2通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 01:11:03 ID:???
ナイス1、GJ
3通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 02:17:55 ID:???
GOD JOB!!
4通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 03:50:21 ID:???
GJ!
5通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 04:06:54 ID:???
乙J!
6通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 08:02:54 ID:???
作者さん、
ここで皆が予想したラクスとは違ったラクスを出して欲しいなぁ
どれもこれもラクス性悪説に準拠したつまらない妄想ばっかりだから。
7通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 08:11:51 ID:???
 そ れ は 
  無 理 だ ろ w w w

このスレはギャグスレなので見事にタツノコ三人悪の紅一点と化したラクス様は
毎度毎度出てきてはミネルバ隊に叩き潰されます

ラクシズは今、悪役として見事に輝いているのです
8通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 09:39:59 ID:???
前スレの流れだとラクス改心の可能性が0では無いんだよな。
可能性を見せてくれると言う意味ではこのスレはすごいな。
9通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 11:16:12 ID:???
>>1乙フィンガー
10通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 17:16:27 ID:???
>>6
妄想って意味わかってる?同人アヌメという根拠に基づいたものは推測というんだよ。
11通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 21:01:43 ID:???
>>6
ラクスを性善説にもとづいてキャラ付けをするのはものすごく難しいと思うんだが…
12通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 21:05:15 ID:???
上手い事更生させたSSもあったけどな。
今までのギャグ物とG-SEEDは全く別物と考えた方が良さそうだ。
13通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 21:55:15 ID:???
性善なラクスは既にラクスではない他の何かだ
14通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 22:05:21 ID:???
2ちゃん終わったらもうG-SEEDも読めんのか・・・
15通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 22:37:21 ID:???
×:性善なラクスは既にラクスではない他の何かだ
○:性善なラクスは既にラクシズではない。
  ミーアか、一人目か、もしくは種の事件を反省した二人目種ラクスだ
16通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 22:59:41 ID:???
6はいろんなssでデビルラクスばかりなのは飽きたとかつまらないとかあちこちで言ってるピンク真理教徒。
17通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 23:16:46 ID:???
じゃあ180度方向転換して

「モビルぅファイタぁぁなんぞぉ使ってるんじゃぬええええええ!!」
って来るラクスで行きましょう。
18通常の名無しさんの3倍:2007/01/12(金) 23:23:23 ID:???
じゃあ
「今更なんでメカに頼ろうものか〜」
って髪を振り乱しながら肉弾戦を迫るんだな
19通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 02:04:20 ID:???
まあ更生は果たされるだろう。
G−SEEDの作者さんならそれができる。
20通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 15:22:27 ID:???
凸もニートも更正したけどラクスがするのかねえ。あれ人の話聞かない
うえに自己完結してるからな
21通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 15:26:38 ID:???
そこを工夫するのが職人の力量ってもんだ。
22通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 15:32:29 ID:???
更正更正って言ってる奴らはなんか勘違いしてないか?
基本的に何を書くかは職人次第。ラクシズが更正するか否かは読み手がガタガタ抜かすことじゃねーだろ
職人になんで負債の尻拭いであんな電波連中を更正させてやる義務があるみたいなこと前提で書き込んでるんだ?
23通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 15:41:48 ID:???
そもそも評判のいいシリアス系のSSほどラクスを同人アヌメと同じどころか、
それ以上に(理論武装も十分に施して)善人として描いているものじゃないか。
ただ彼女らの善意はラクシズ外の人や社会にとっては災厄でしかないだけで。
24通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 16:05:42 ID:???
同人アヌメという、頭の悪い日本語モドキでこいつの正体が割れたな。
最近方々のスレでアンチ臭ふりまいてる荒らしどもか。以降はスルーの方向で。
25通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 16:39:58 ID:???
と、精一杯マジョリティを気取りたい>>6でした。
最近のラクシズ厨は、まずそこの住民になりすますウィルスみたいな
奴が増えてるというのは本当だったんだな。
26通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 16:46:20 ID:???
おまいらいい加減にしないと、メイリン姐さんにハリセンで頭シバキ倒されるんだぜ?
27通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 17:01:04 ID:???
同人アニメと言ったことから、頭が悪いと推測するあたりが、さすがラクシズ脳と思うwww
28通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 17:07:56 ID:???
いいラクスはラクシズじゃないラクスだ
悪いラクスはラクシズである事を誇るラクスだ

いやはやラクシズは本当に地獄だぜフゥハハーー
29通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 17:37:53 ID:???
黒かろうが白かろうが、面白けりゃどうでもいい。
30通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 18:25:36 ID:???
俺も同意するが黒いと飽きたとか騒ぐ6みたいなのが出るからね。
31通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 18:29:37 ID:???
知的なラクシズ厨は誠実ではない
誠実なラクシズ厨は知的ではない
では知的かつ誠実な…………そんな人はそもそもラクシズ厨にならない
32通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 18:37:57 ID:???
>>31
厨はおいといて、その考え方は結構正しいかも。本編の行動に則して考えると、ラクス達は
1:誠実だが愚か。
2:愚かだが誠実。
のどっちかになるもんな。
3333:2007/01/13(土) 18:39:32 ID:???
間違ったorz
1:誠実だが愚か。
2:賢いが不誠実。
のどっちか。
何やってんだか俺。
34通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 18:51:45 ID:???
まあ・・・どちらにしても痛いんだよな。
ギャグスレにラクスがどーとかって理由で突撃してくる香具師はさ・・・・
35通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 20:13:26 ID:???
ラクス「えぇい、新スレだというのにどういう事ですの!? 私に文句があるのなら目を見て直接申し上げに来なさいな!」
キラ「フフ、ラクス様も無理を仰る」
メイリン「何キャラですかキラさん」
ラクス「どちらにせよリスペクトが足りないのです! まず1乙! そして職人諸兄乙! さらにG-SEED氏乙! 私い・つ・で・もオファーお待ちしておりますことよッ!!」
虎「やー、クリスマスに貰ったヒトラーの軍服が似合う事似合う事。さぁて潤滑油はどこに置いたかな?」
メイリン「……あのお話、夢オチじゃなかったのね。私の部屋にもパンダさんは置いてあったし」
カガリ「アフロも慣れると楽しいな! ソウルフルって感じが私にピッタリ」
メイリン「そこは夢で済ませましょうよ代表ぅぅぅーーーーーーーーーーーーーっ!?」
アスラン「えぅー…………りあーぷー」
メイリン「あ、あ、はいはいリアップの時間でしたねー今頭皮のマッサージもしますからねー」
キラ「嗚呼、すっかり介護士モードが板について…………Wつ∀`)」
マリュー「これなら老後も安心ねぇ」
ムネオ「あれー? 俺ってばウフォーな本何処にしまったっけー?」
レイン「こちらはこちらで酸素欠乏症かしら」
ラクス「さぁさぁ皆の者! 私がより一層輝ける舞台、励んで御用意しなっせい! さもなくば…………DOKUSAI、しますわよ?」
メイリン「やめれ」

ドモン「吩叭ッ!!」
シン「キャオラッッ!!」
ルナ「毎日毎日お盛んねー。さか○さ○な○かなー♪」
ステラ「さけがのめるぞーうぇーい」
レイ(無言で体を洗っている)
アビー「JAS○ACが五月蝿くなりそうな…………べ、別に心配してるわけじゃありませんからねっ!?」
レイ(無言で体を特に腋辺りを洗っている)
アーサー「…………レイくらいになると需要も出そうだな」
シュバルツ「おk、録画しる」
タリア「タンホイザー起動! 標準アーサー並びに覆面男!!」
盗撮組「「フォンドヴァオウ!?」」
レイ(涙目になりつつ体を洗う)「ひっく、加齢臭がしたって、ひっく、ギルは、気にしないって言うけど…………ひっく」


おそまきながら1乙。今年もドモンスレと楽しくやって行きたいもんだ
36通常の名無しさんの3倍:2007/01/13(土) 21:14:49 ID:???
>>35氏GJ!
>どちらにせよリスペクトが足りないのです! まず1乙! そして職人諸兄乙! さらにG-SEED氏乙!
まったくもってそのとーりっ! そして!
>私い・つ・で・もオファーお待ちしておりますことよッ!!
そんなラクス様が大好きだ!つーかこんなラクス様には自然に様付けが出来てしまうぞ何故だッ!?

というわけで、自分も遅くなったけど1乙!
閉鎖騒動が起こってるけど、ここは今までどおりでいてほしいな。
種デスでこんなにほのぼのとできる(あるいは爆笑、あるいは熱血できる)場所は正直ありがたい。
37通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 02:04:19 ID:???
一応避難所作ったので有事の際はこちらでお願いします
http://jbbs.livedoor.jp/anime/4734/
38通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 06:59:14 ID:???
>>22

なら、ラクスラスボスを喚いているお前等も当てはまるんだがな

馬鹿だろお前?
39通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 09:34:54 ID:???
遂にここにも荒らしが来たか…
40通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 10:15:17 ID:???
6が粘着してるだけだな。
41通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 10:36:51 ID:???
最近クロススレに粘着荒らし多くね?
42通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 11:13:40 ID:???
多いな。ラクシズに否定的な所に現れてる
43通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 11:52:18 ID:???
>>38
ゴメンどういう意味かわからない、何が言いたいの? ラスボス? 誰が?
ラクスは三人悪でありオチであり「おしおきだべー」でしょ? 少なくともこのスレでは。

そこで他のスレの文句言われても、、、正直困ります。
44通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 13:19:36 ID:???
ラクス「貴様らぁ…………」
キラ「や、ヤバい!ラクスさんの怨速デンパが来るぞ!」
魔乳「総員退避ーーっ!」
45通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 13:27:05 ID:???
ラクスさん、勘弁してやってください!
あのバカどもは「同人あむめでラクシズクソだったから、2次創作ではどこもアンチで書かれなければならない」
とか、そーゆー電波宗教に取り付かれた可哀想な屑なだけなんです!
目先のラクスさんの話題に、ここがどういうスレかも知らずに
飛び込んできたバカなアンチどもは俺らの方でキツイ教育しときますんで、どうか許してやってつかあさい!
46通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 13:45:11 ID:???
ラクス「いいえ、わたくしが直接始末いたしますわ」
触手が生えてくる

一同「やばい!こっちに来r…ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁ


以下、自主規制
47通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 15:56:14 ID:???
正直G−SEEDしか興味ないんで、ここで培われてきたというギャグには慣れない
48通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 15:57:40 ID:???
エターナルガンダム

戦艦エターナルがラクス・クラインから放出されたDG細胞によって変態した機体。
戦艦形態から人型に変形できる。DG細胞をばら蒔き、デストルーパー部隊を作り上げ、それらを自らのエネルギーにして進化、成長できる。
搭載されたデスミーティアユニットは分離してデスフリーダムとデスジャスティスと合体できる。
パイロットはラクス・クライン。
49通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 21:04:16 ID:???
>>43
超、意味不明だぞ
50通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 23:26:43 ID:???
ここはもともとギャグスレで、ラクシズ御一行も憎まれ役じゃなく、それこそヤッターマンの三人組みたいな、
誰からも愛される悪役だったわけ(G−SEEDは除く)
だから更生もなんかしなくていいって言いたいんだろ、>>43
まあこの2スレくらいで、住人の需要はだいぶ変わってきてるみたいだけど
(てか最初のころと住人自体が入れ替わってると思う)
51通常の名無しさんの3倍:2007/01/14(日) 23:38:37 ID:???
入れ替わってるというかヒトが増えて割合が変わってるというか
52通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 01:31:19 ID:???
最近ここに来たって奴はまとめサイト読んで置く事をお勧めする
53通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 09:10:51 ID:???
だが断る
54通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 11:01:24 ID:???
あそこ見にくいんだよなぁ
55通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 12:08:42 ID:???
第一スレからにくチャンネルで保存している俺は明らかに勝ち組wwww
イヤッフゥーーーー!!!
56通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 18:41:46 ID:???
要するに、新規で人を呼び込めるだけ、GSEEDさんはすごいということですね。
だが釣りだと半ば知りつつもこの最古参の老人にひとつ言わせてほしい。





本編見たうえでラクスが悪党じゃないと言える奴はいっぺん聖書を頭上に掲げながらイラクを旅してこい。
57通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 19:07:59 ID:???
:::::::::::/           ヽ::::::::::::
:::::::::::|  ば  じ  き  i::::::::::::
:::::::::::.ゝ か   つ   み  ノ:::::::::::
:::::::::::/  だ  に  は イ:::::::::::::
:::::  |  な。       ゙i  ::::::
   \_         ,,-'
――--、..,ヽ__  _,,-''
:::::::,-‐、,‐、ヽ. )ノ      _,,...-
:::::_|/ 。|。ヽ|-i、      ∠_:::::::::
/. ` ' ● ' ニ 、     ,-、ヽ|:::::::::
ニ __l___ノ     |・ | |, -、::
/ ̄ _  | i     ゚r ー'  6 |::
|( ̄`'  )/ / ,..    i     '-
`ー---―' / '(__ )   ヽ 、
====( i)==::::/      ,/ニニニ
:/     ヽ:::i       /;;;;;;;;;;;;;;;;
58通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 19:22:44 ID:???
ラクスさま。>>56をぶっ殺しちゃってください。
こいつは教育の余地なしのようですので。
59通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 19:48:17 ID:???
ラクス「こんなこともあろうかと…鍛え続けたこの体ぁ!」
60通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 19:53:59 ID:???
ラクス様は>>48に乗って出撃したようです
61通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 19:55:46 ID:???
個人的にはまとめページの【1スレ目・T】にある『PHASE−46 真実の歌』におけるラクスが、
このスレにおける基本的なラクス像だと思う。
62通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 21:52:36 ID:???
落ち着けよ。
ラスボスの話してるのはG種に出てくるであろうラクソのこと、
ここのピンク、と言われるのは従来のネタの中での悪ギャグ役・オチ担当のピンク。
どっちのこと言ってるのかはっきりさせてから話せよ
63通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 22:26:20 ID:???
別にどっちだっていいじゃん
まったくラクスのことになると熱くなる奴らばかりで困る











そんなに好きか?俺は好きだがwwwwwwwwww
なにせ貴重な黒ネタ・オチ担当だ
64通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 22:42:12 ID:???
両方熱くなりすぎ。大将にそんなにラクスが好きかーといわれるよ
65通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 22:44:00 ID:???
一応、

ここのラクスは大好きです

と言っておこう
66通常の名無しさんの3倍:2007/01/15(月) 23:32:02 ID:???

>>まったくラクスのことになると熱くなる奴らばかりで困る

良くも悪くもラクスはアイドルだからなFAN
は多いのさ。
67通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 00:08:06 ID:???
風雲再起が松風と赤兎馬とアレキサンダー大王の馬を引き連れてガンダムファイトに参戦!







そんな夢を見たorz
68通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 00:16:46 ID:???
アレキサンダー大王の馬ってのがよぐわがんね。

黒王号 でいいんでね?
69通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 00:32:07 ID:???
>アレキサンダー大王の馬
『人を食い殺す黒王号』だと思えば大体あってる
70通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 04:33:19 ID:EnO5wFLf
>>68
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%82%B1%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AD%E3%82%B9
ブケファロス(Bucephalus、紀元前355年? - 紀元前326年)は、アレクサンドロス3世の愛馬。馬名は「雄牛の頭」の意、別名人食い馬とも。大きな黒い馬で、額には星があった。

最初ブケファロスは、アレクサンドロスの父フィリッポス王への貢物であった。しかし、かなりの暴れ馬で、誰も乗ることができなかった。そこをアレクサンドロス3世が、馬が自分の影に怯えていることに気がつき太陽の方向に向け落ち着かせたという逸話が残っている。

紀元前326年、ヒュダスペス川の戦いでブケファロスが戦死すると、アレクサンドロス3世は愛馬を丁寧に埋葬し、この地にブケファロスという都市を築いた。
71通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 06:28:14 ID:???
> 本編見たうえでラクスが悪党じゃないと言える奴はいっぺん聖書を頭上に掲げながらイラクを旅してこい。

何処の小学生?
72通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 09:26:55 ID:???
確かに小学生なら十中八九は悪じゃないって信じてるだろうな
73通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 11:39:28 ID:???
純粋だから騙されやすいのさ

最近は純粋じゃない小学生多いけど
74通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 13:36:10 ID:???
そういえばデス種で一気にアンチキラ、アンチラクスが増えたんだよな。
種だけなら擁護者も結構いたんだが。
75通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 15:49:43 ID:???
『ストライクとイージス相打ち』までならまだ良かったんだけどな。
その後の超展開後はな、どうもイケナイ。

もっともそれ以前に『ヤベテヨネ〜』で相当反感買いまくっていたケド
76通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 17:03:21 ID:???
ラクスはなんちゃって戦争物に必要不可欠な「こんなこともあろうかと」なドラエもんキャラだよ
そして負債の罪業を一身に背負わされた、ある意味不憫なキャラでもある
77通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 18:15:36 ID:???
実のところ、個人的には未だにキャラが掴めてない。ラクスもキラも。ついでに言えばアスランも。
このスレの三人は分かりやすすぎるくらいキャラ立ってるから掴めるんだけど。
78通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 19:18:31 ID:???
>>72
何で聖書が出てくるんだ?という事だろ。

79通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 19:35:28 ID:???
むしろ、何で聖書が出てくるんだ?という事だろ。と聞くんだ?
80通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 19:41:17 ID:wQtPKikw
>>76
謝れ!真○さんに謝れ!
81通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 20:16:34 ID:???
>>79
前の文章の流れから言って、撃たれて来いって感じなんだが、
旧約聖書はイスラム教にとっても聖書。
8281:2007/01/16(火) 20:25:58 ID:???
ゴメン、途中で押した。

だから、俺も本編のラクスは悪党だとは思うが、ここで聖書が出てくるのは
わからん
83通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 21:58:04 ID:???
ちなみにキリストはイスラム教にとっても預言者ですよ
ムハンマドは最後の預言者と言うだけで預言者は複数
84通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 22:08:24 ID:???
普通聖書といったらキリスト教の新約聖書を指す気がする。
85通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 22:35:38 ID:???
馬鹿言っちゃいけない。聖書と言って最初に思い浮かぶ大きくて分厚い本には新旧纏めてのっている。ついでにヨハネの黙示録もね。
86通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 22:43:24 ID:???
おまいらおちけつ。
87通常の名無しさんの3倍:2007/01/16(火) 22:55:33 ID:???
新シャア住人にとってのバイブルは何か
88通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 00:00:55 ID:???
>>85
しかし、新旧まとめている聖書はイスラム教的にはセーフなのか?
いや、何も知らんのだが。
89通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 02:07:23 ID:???
>>87
このスレ
90通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 02:17:54 ID:???
>87
そりゃ種・種死だろ
これがなかったら新シャアが出来ることもなかったし、
高々アニメキャラを相手に熱く語り合ったり罵り合ったりすることもなかった
91通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 02:26:22 ID:???
21も更新してたから「ついにG−SEED来たか!?」と期待して見たら
何なんだお前ら
92通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 06:58:22 ID:???
>>91
俺も期待したwww
つーかラクス悪党じゃないってくだらんことで荒らす奴気に入らんならここ来なければいいだろ
93通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 11:34:58 ID:???
このスレ的には、ラクス=憎めない大悪党ってのが基本だからなあ。
まあラクスオタは黙ってた方が賢明。

だがG-SEEDにまでそれを求めるのは、流石にどうかと思うがね。
94通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 14:12:18 ID:???
このスレのラクス=タイムボカンの3人又はロケット団ってのは
一致した意見だと思っている
95通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 18:44:16 ID:???
ラクスが黒くなっていったのはDG細胞に取り憑かれたからで
元は聖女のような人格者だった



そんな妄想が仕事中に浮かんだ
96通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 18:58:45 ID:???
ステラがデビルガンダムだとするとラクスはグランドマスターガンダムな感じがする
97通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 19:34:57 ID:???
ラクスは自分の手を汚さないウォン首相タイプ。
更生したキラをバーサーカーモードで操り最後には自らもウォルターに乗り込む
そして最後は馬に蹴られて…
98通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 19:38:39 ID:???
もうラクスはアレンビーにしてやれよ、、、、orz
99通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 20:44:47 ID:???
アレンビーの役はルナがいるしな。
100通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 21:39:19 ID:???
アレンビーはステラだろ
101通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 21:42:01 ID:???
キラの場合→フレイ=レイン、ラクス=アレンビー。
シンの場合→ステラ=レイン、ルナ=アレンビー。




ラクス=ウォン、キラ=ウルベ
102通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 21:50:30 ID:???
そうか。
どうしても俺には強化(バーサーカー)なステラはアレンビーで
ずっと一緒にいて最後にくっつくルナがレインに思えるんだな。シンにとっては
103通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 21:53:59 ID:???
いつのまにカプ厨が湧くようになったんだこのスレは
104通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 21:59:36 ID:???
凸の場合 キラorメイリン=レイン シン=アレンビー ラクス=ウォン
105通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 22:05:26 ID:???
ラクス=ウォン は不動
106通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 22:08:24 ID:???
待て凸の場合けなげなメイリンはレインが確定だろ
そして二人目キラ=キョウジ一人目キラ=シュバルツ
107通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 22:38:50 ID:???
カプ厨自重しろ
108通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 22:48:21 ID:???
盗撮連中元気かなぁ…
109通常の名無しさんの3倍:2007/01/17(水) 22:53:40 ID:???
ネタを投下する人が正しい…このテのスレはそういうものです。
110通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 00:55:05 ID:???
>104 >106
カガリは無視かよw
111通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 09:24:50 ID:???
マスコットキャラはこういう時は空気
112通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 11:06:28 ID:???
東方先生大好きなんだけどなぁ・・・死んじゃってるもんなぁ・・・

東方 「甘い、甘いぞドモン!!いくら違う世界に来ようとも、腑抜けていいという理はぬぁい!!」
ドモン 「返す言葉もございません!かくなる上は・・・ウォォォォォォォ!!」←地球一周ランニング

一同 「(宇宙は広い・・・っつーか、このジイサンが宇宙の意思か?)」
113通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 12:12:48 ID:???
>>110
カガリはドモンのかーちゃんあたりのポジションで
114通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 13:46:10 ID:???
東方先生は死んじゃってるけどDG(AG)細胞で復活して、同じく復活したアウルとオクレ兄さんの面倒見てるじゃん
115通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 15:30:17 ID:???
ラクス=カラトだろ?
116通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 17:07:33 ID:???
NJコロニーデビルガンダム出現の際に国民の避難を最優先して
犠牲を出さなかった委員長閣下を侮辱するか貴様ーーー!
117通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 17:21:33 ID:???
ニュークリアジャマーコロニーガンダム

と素で読んでしまった
118通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 17:44:32 ID:???
>>117
釣りなのか?マジボケなのか?それが問題だw
119種死→Gガン:2007/01/18(木) 18:06:50 ID:???

 一発ネタの電波を受信しました。生暖かい目で見て下さい。










「ここはいったい……地球なの?」

 キラ=ヤマトはストライクフリーダムガンダムのモニターに映し出される映像に数秒間唖然としていた。
 自分は先程まで宇宙でメサイアで破壊の限りをつくしていたというのに、光が包み込んだ後に目にしたのは退廃した街だった。
 ニート中に読んだネット小説のように異世界に飛ばされたのかと考え始め、すぐその仮説を振り払う。
 現実にそんな事が起こるわけがない。ならばメサイアの爆発で地球まで飛ばされてきたという方が現実的だ。

 とりあえず誰か人がいる場所を見つけようとガンダムを当てもなく飛ばしてみると戦闘が目に入った。
 それは二機の到底軍用機とは思えないMSが市街地跡で戦っていた。
 それを見てキラの中で種が弾けた。

「今すぐ戦闘を停止して下さい!」

 言うより早くストライクフリーダムの両手のビームライフルが、両腰のレールガンが、腹部のビーム砲が、翼より分離したドラグーンが一斉に放たれ二機のMSが首無しダルマとなり地面に落下する。
 それを見たキラは今日もまた良いことをしたと思い清々しい気分でその場を飛び立っていった。





 DG事件より4年後、何の問題もなく開始された第14回ガンダムファイトは奇妙な乱入者によって波乱の幕開けとなるのだった。



 つづかない。
120通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 18:44:14 ID:???
うわあ………
続きが読みたいようなそうでないようなwww
121通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 19:39:53 ID:???
軍用とは思えないMS…
つまりペスカトーレだな
122通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 20:02:15 ID:???
軍用じゃないMSはバトラーベンスンマムとノブッシだけだな
123通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 20:05:18 ID:???
ちょwwwパイロット油断しすぎwwwwwwww
124通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 20:57:25 ID:???
>>117
自分も素で読んだ。しばらくネオジャパンと読めなくて頭を捻っちゃったよ。

>>119
そうか、ダルマだと首も飛ばされるんだ…
125通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 21:17:20 ID:???
F.Cの機体に比べて圧倒的に性能で劣る和田ごときにやられるとは
国元に帰ったら切腹ものだなそのガンダムファイターたちw
126通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 21:48:16 ID:???
ネーデルガンダムみたいに風車のふりして生き残ったのもいるからあの世界でも
ファイターもガンダムもピンキリ
127通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 22:09:41 ID:???
和田の性能差でも取っ組み合いの最中に間接を狙えば四肢を破壊出来るかな?
しかし、一瞬でダルマになったらヘタレファイターじゃダメージフィードバックでショック死だな。
C.Eで空中から地面や海面に叩き付けられたパイロットと同じく。
128通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 22:17:00 ID:???
>>125
試作マーメイドガンダムとかなら弱そうだがな
カニガンダムイカガンダムカッパガンダム…
129通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 22:27:08 ID:???
>>127
大昔の死刑の『車裂き(牛裂き)』みたいなもんかね?>MFを一瞬でダルマ
130通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 22:27:52 ID:???
だがその痛みを精神力で克服してこそのガンダムファイターッ!!!
131通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 22:32:27 ID:???
で、克服できないレベルのガンダムファイターが次々とキラに血祭りに上げられるのですね
彼は自分より弱い奴を嗅ぎ分ける嗅覚は天才的ですから
132通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 22:49:29 ID:???
おいおい、ネーデルだって強いんだぜ?
問題は他国のファイターが人外すぎるだけさ!
133通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 22:52:42 ID:???
131
いや、FCでキラよりも弱いって無理でしょ、、、
ブッシやノブッシですらデスアーミーに対抗できるんですよ?
134通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 22:54:21 ID:???
なんせオランダ代表だぞ。本来なら格闘技は強い国だぞ。
K-1しかりリングスしかり。
きっと第14回大会では本気で強いキックボクサーがパイロットになってると信じてる。
135通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 23:04:36 ID:???
そもそも二体のMSは本当に破壊されたのか
その正体はネオオオサカ出身のスッポン型モビルファイター・マルガンダムと
ネオガラパゴス出身のウミガメ型モビルファイター・ダーウィンガンダムだったのではないか
136通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 23:06:12 ID:???
まーさー、マンモスガンダムとかスフィンクスガンダムの中の人なんてきっとダメダメなんだろうとか思うし。
だってあれどうやって中の人間動くのよ?
137通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 23:07:11 ID:???
>>136
四つんばいになってケツを「くいっ」と(ry
138通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 23:11:56 ID:???
>>136
いや、そんな13回大会でツワモノの域にいた
コブラガンダムやジェスターガンダムの存在を否定するようなこと言われましても
139通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 23:13:00 ID:???
>>136
知ってるかい?
FCではサイコミュ以上の精度での脳波制御なんて、一般レベルにも普及してるんだぜ?
140通常の名無しさんの3倍:2007/01/18(木) 23:56:03 ID:???
>>135
他にもネオデンマークのレゴガンダムとかネオタカサキのガンダムダルマオトシとか
141通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 01:23:49 ID:???
フリーダムの後継機が第二回大会優勝の
ネオアメリカ・ガンダムフリーダムなんだぜ?
第14回大会のMSに勝てるわけない
142通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 01:24:13 ID:???
>>139
レインが脳波でゴッドガンダム?を動かしてたよな
143通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 01:32:57 ID:???
>>141
最新技術と60年近く差がある貧乏国の造ったハリボテのようなガンダムなら勝てるかも。
まともに動けない機体なら射的大会の的にピッタリ。
・・・そんな国は第14回大会までに消滅してそうだけどな。
144機動武闘伝ガンダムSEED D 一:2007/01/19(金) 11:21:02 ID:???
第一話 Gファイト開始! 地球に落ちたガンダム


地球圏に、戦いのゴングが鳴り響く…
この一年間の意味を否応なしに伝える、夢と絶望とに満ちた鐘の音が…


「鳴りやがった…鳴りやがったぜ! ガンダムファイトのゴングがよぉ!!」
そこは廃墟となった教会。金色の髪を振り乱し、ミゲル=アイマンは叫んだ。
待ちに待った瞬間が、とうとう訪れたのだ。好きに暴れ、好きに戦えるこの至福の一年間をどれだけ待ち望んだことか!
ミゲルは眼下のチンピラどもに獰猛な笑みを見せた。
狩られることを知らない狩人の顔だ。
「お前ら! ファイターと見た奴は、片っ端から殺せ! 殺せなかった奴だけ俺のところに連れて来い! なーに相手はコロニーから金もらってるボンボンだ、容赦はいらん!」
『おおおおおおおお!!』
教会は異様な熱気に包まれた。


「どうしたものかな、これは」
トダカ警部は、参った、とばかりにそれを見上げた。
ネオイタリアに突如飛来し、町の残滓を完全に瓦礫と変えてしまった巨大な隕石。
正体はガンダムではないか、と部下は推測した。自分もそう思っている。
であれば、ここ一帯からの避難を勧告するのが筋であり、警察たる自分の勤めである。
だが、自分達が、大人しくここを去るのも理不尽に思えた。
しかしそもそも、そんな理などが通る世であれば、旧世紀の遺産とも言えるこの街がこれほど破壊されることもないのだ。
まあ、とどのつまりは。
「避難勧告と、民間人の誘導を。急げ」
「はっ」
大人しく自分達が去るしかないのである。
トダカは今一度、遠目に見れば花の蕾のような物体を見上げた。精悍な顔が、ふと憎悪に歪む。
「ガンダムファイト、か…」
舌打ちを一つ残し、トダカは身を翻した。
145機動武闘伝ガンダムSEED D 二:2007/01/19(金) 11:21:58 ID:???
街中の道路が渋滞となった。
激しいクラクションに事故。車を見限った人々は、自分の足で走り去っていく。
巨大な隕石がガンダムであると知れれば、こうもなる。半径五キロ以内は超一級危険地帯に指定され、そこに残っていては死んでも文句は言えない。
最も、地球に残っている人々の生き死になど、問題にされるわけがないのだが…

「お客さんも、行き場のない人間ですか?」
酒場のマスターは、グラスを磨きつつ、その風変わりな客に声をかけた。
ここがどこだか知らないわけでもあるまいに、カウンターについたその男、どう見ても未成年である。
黒い髪に赤い瞳。瞳と同じ色のマントを羽織り、やはり同じ色の鉢巻を締め、緒は長く背に流している。
本来であれば女性を悶えさせるほどの美男子であるが、ギラギラとした目つきと纏う雰囲気がせっかくの魅力を殺してしまっている。
狂犬。
少年の雰囲気を形容するには、その言葉が一番だろう。
「ま、ガンダムファイトが始まっちまえば、どこに逃げたって同じですけどねぇ」
キュッキュッとグラスを磨きつつ、マスターがぼやく。
一つ息をつき、少年は一枚の写真を懐から出した。マスターに差し出す。
「?」
疑問符を浮かべながら、マスターは手を止め、写真を覗き込んだ。
大きく半分に破れた写真だ。一人の少年が、ふざけあうように誰かと肩を組んで笑っている。相手が誰なのかは、失われたもう半分に写っているのだろう。
「探し人ですか?」
マスターが問いかけると、少年は静かに頷いた。
「見たことはありませんね…」
「…………」
小さく礼をし、少年は席を立った。無論、写真を懐に戻して。
と…
「うわ、札束だ! 大もうけだよ!」
「バッカ、そんなのすぐに紙切れになっちまうよ。こういうときは…へへ、こいつさ!」
「宝石かぁ!」
「これならいつでもガンダムファイトやってくれればいいのにな!」
三人の子供達が、客の忘れ物であろうコートを漁っている。リーダー格と思しき子供が、じゃらじゃらとネックレスを腕に巻きつけた。
「浮浪児ですよ、お客さん」
少年の視線に気付いたマスターが、静かに言う。
「ガンダムファイトで親も兄弟もなくして、ああして盗みで暮らしているんです」
「…………」
146機動武闘伝ガンダムSEED D 三:2007/01/19(金) 11:22:49 ID:???
少年は、じっと子供達を見ていた。いや、正確には、その中の女の子を見ていた。
視線に込められているのは哀れみではない。非行への怒りでもない。
懐旧であった。
それに気付いたマスターは、グラスを磨きながら思いを馳せる。
この少年も、ガンダムファイトに人生を狂わされた者なのだろうか。浮浪の生活をし、今日まで生き延びてきたのだろうか。
「ほらソフィア、やるよ」
「ありがとう!」
ブレスレットをもらい、無邪気に笑う女の子、ソフィア。それを見る少年には、いつしか笑みが浮かんでいる。目のぎらつきも息を潜め、年相応の魅力を取り戻させていた。
しかし――
「こんなもんをガキが持っちゃあいけねぇな」
ぐい、とソフィアの体が浮き上がる。いつの間にか巨漢が現れ、ソフィアの首根っこを掴んで持ち上げたのだ。
「な、なんだよ! 俺達が見つけたんだぞ!」
「子供には早いんだよ! おめーらにはオモチャで十分だ」
言いつつ、巨漢はブレスレットを取り上げ、ソフィアを突き飛ばした。地面に打ち付けられた痛みか、ブレスレットを取られた悔しさか、彼女の目に大粒の涙が浮かんだ。
と、そこに新たな影が迫る。
仲間が来た、と思った巨漢、振り向きもせずに言った。
「なあ、お前もそう思うだろ…」
言い終わることも許さず、少年は巨漢を殴り飛ばした。百キロはありそうな体躯が吹っ飛び、酒場のテーブルや椅子を薙ぎ倒していく。
「な、何しやがる!」
少年は答えない。だが目を見れば、彼の感情は分かる。
燃え盛る憎悪。
「あ、アンタのものを取ったわけじゃねぇだろ! 大体こいつらは人様のものを…!」
問答無用であった。
少年は巨漢にのしかかり、ひたすら殴り続けた。歯が折れ、顔が変形し、それでも殴るのをやめない。
骨のきしむ嫌な音が、酒場に響く。
どれほどの拳を入れただろう?
気がつけば少年は、リーダー格の子供にしがみつかれていた。
「も、もう、やめてくれよ…」
震えながらの声。我に返った少年は、自分の足にしがみつく子供と、酒場の奥で震える子供達を見た。
皆、怯えていた。あのソフィアという女の子も。
少年はゆっくりと身を起こした。瞳から憎悪の炎は消えている。代わりに宿っているのは、捨てられた子供のような淀んだ光だ。
静かに少年は酒場を出て行った。残された子供達は、呆然と少年の背中を見詰めていた。
煤けている、とリーダー格の子供は感じた。
「け、警察ですか? たった今、ファイターと思しき少年が…」
酒場のマスターは、怯えながら電話をかけていた。
147機動武闘伝ガンダムSEED D 四:2007/01/19(金) 11:24:07 ID:???
ふと、少年は足を止めた。
目を周囲に走らせる。囲まれているのに気付いているぞ、との意思表示だ。
躊躇うような気配の後、ばらばらと周囲の瓦礫から人が現れた。
全員、警官服を着て、拳銃を手にしている。
「貴様、どこから来た」
警官の一人が声を上げた。
少年は小さく息をつくと、無視をするように歩を進めた。
ざわり、と空気が動く。
カチャカチャカチャ、と銃を構える音。さすがに冗談ではないと思い知ったか、少年は足を止め――一人の男に目を留めた。
トレンチコートを着た、精悍な中年の男。警官達を制止するように、片手を上げている。
「一通りの調査をさせてもらいたいだけだ。すまないが、厄介なことになる前に協力を願いたい、少年」
トダカ警部であった。
少年はちらりと目を走らせた。最初に声をあげた警官は、震える手で拳銃を握っている。
トダカに目を戻せば、彼は苦笑していた。
「どうも街中ピリピリしていてな。原因はアレだ」
目で指したのは、あの巨大な蕾。
少年はつられるようにそちらを見た。蕾を目に映した瞬間、赤い瞳が憎悪に歪む。
「我々は、アレの持ち主にこの街を出て行ってもらいたいだけなのだ」
「…………」
「君がアレに関係ないなら、すぐに釈放できる。協力してもらえないだろうか? 私も、部下を抑えるには限界がある…」
その言葉には、疲れが伺えた。
少年はトダカに目を戻すと、小さく頷いた。
148機動武闘伝ガンダムSEED D 五:2007/01/19(金) 11:25:08 ID:???
少年は大人しくついてきた。ついてきただけだった。
署に入り、尋問を受けているが、一向に口を割ろうとしない。
そう、彼はあの場から今に至るまで、一言も言葉を口にしていなかった。
何故この町に現れたのか? あの物体と関連性はないのか? 一人で来たのか、仲間はいるのか… 全てに対する回答は無言。
加えて持ち物の少なさ。没収できたのは一枚の破れた写真だけである。
ふざけあうように、誰かと肩を組んで笑っている、褐色の髪の少年。隣が誰なのかは、破り取られているために分からない。
写真を裏返せば、五つの国名が走り書きされてある。
ネオイタリア。ネオアメリカ。ネオチャイナ。ネオフランス。ネオロシア。
何かのメモか、と問いただしても、少年は一層目を血走らせて睨み付けてくるだけ。
穏便にことを済まそうとしていたトダカも、徐々に限界に来ていた。
「ピザを食いたくないか、少年」
やはり無言を返される。
「昔からこの街のピザは美味いと評判でな。旅行者なら一度は食べていく。君が素直に話してくれれば、奢ってやってもいいぞ」
恩着せがましい言い方になる。実際にモノで釣ろうとしているのだから仕方ないのかもしれないが、トダカは軽い自己嫌悪を覚えていた。
本来なら、他人に自分の都合の感情をぶつけることなど許さないのだが。
少年は相変わらず無言でこちらを睨み付けている。
トダカは息をついた。もしかしたら口が利けないのかもしれない。ガンダムファイトという大災害の中では、そんな症状になる人間も珍しくないのだ。
実際に昔、そういう子供を保護したこともある。

グゥゥ〜ッ
盛大に腹の虫が鳴った。
トダカは少年を見た。少年は変わらぬギラギラとした目つきのままで、しかし顔色は急激に赤くなっていく。
ぷっ、と部屋の中の部下が吹き出した。トダカもまた、思わず笑みを浮かべた。
刹那――

149機動武闘伝ガンダムSEED D 六:2007/01/19(金) 11:26:09 ID:???

ガン!

机が跳ね飛んだ。
少年が机を蹴り飛ばしたのだ。トダカは机に、したたかに胸を打たれた。うっ、と呻いて胸を押さえる。
「貴様!」
警官の一人が少年に掴みかかる。
だが少年は警官の手を受け止めると、そのままくるりと返した。
たまらず地べたに倒れこむ警官。
「やめろ!」
トダカが警官を助けようと、少年を押さえ込む。少年は反射的に抵抗しようとしたが、何を思ったか押さえられるがままになっている。
「……すみません」
少年はぼそりと呟いた。目線を外して。
トダカは目を丸くして少年を見た。
「なんだ、ちゃんとしゃべれるんじゃないか」
笑みを含んで、だが半ば呆れて言ってやると、少年は露骨に顔をしかめ、ぷいと横を向いた。
自由になった部下が、腰をさすりながら起き上がる。
「警部、何なごんでるんですか」
「なごんでるわけではない。私は警察だぞ?」
と言いつつも、トダカの口の端は上がっている。
そこに――
「警部、その少年の身元引受人が来ました」
「何?」
取調室の扉が開く。
その先にいたのは、もう一人の部下と、美貌の少女であった。
ぱりっとした赤い服。それに比べ、赤い髪はてっぺんがぴょんと跳ねており、赤い瞳は丸く、快活さを思わせる。
しかし少女は少年を見止めると、たちまち半目になった。ほとほと呆れた、とでも言いたげである。
扉を開けた部下が、トダカに何かを手渡す。
「……シン=アスカ…ルナマリア=ホーク…国籍ネオジャパン…ただの旅行者?」
ごく普通のパスポート。確かにこの少年の身元保証になる。
だがトダカが気になったのは、パスポートの写真だ。
無表情ながら、まるで地獄の底から現世を憎み続けているような、凄まじい目である。
ふと少年――シンを見れば、彼は写真と同じ目をして、自分を助けに来たはずの少女――ルナマリアを睨み付けていた。
150機動武闘伝ガンダムSEED D 七:2007/01/19(金) 11:27:42 ID:???
時はもはや黄昏。
「まーったく! 忘れずに持ってれば、疑われずに済んだのに」
パスポートを手渡し、赤い跳ね髪の少女は呆れたように言った。
警察から解放されたシンは、パスポートを受け取ると、静かに引き裂いた。
ぽかんとする少女。シンは元パスポートを地面に捨てると、闇に包まれ行く瓦礫の町を歩き出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
これじゃ環境破壊よ、環境破壊! …そう言いながらパスポートの残骸を回収し、少女はシンを追う。
環境破壊。瓦礫の街を目の前にしながら、そんなセリフは質の悪い冗談でしかない。
「余計なことをするからだ」
「何が余計よ。それじゃあのまま警察に捕まってた方が良かったって言うの?」
「…………」
「ほらー! そうやって都合が悪くなれば黙る!」
「うるさい」
「どうしたのよ。今日は一段と機嫌悪いわよ」
「……知った顔に会った」
「は?」
またもぽかんとするルナマリア。
「知った顔…って、まさかさっきの警察?」
胡乱げにシンがルナマリアを振り向く。その目は先程までのように憎悪に満ちてはおらず、まるで捨て犬のようだった。
ルナマリアは知らないが、酒場を出たときと同じ目である。


二人はホテルに泊まることにした。
と言っても、ホテルの支配人も従業員も逃げ出した後だ。勝手に設備を使わせてもらうだけである。
明かりはつかない。電気が供給されていないのだ。
闇のエントランスを、二人は進んでいく。
と、シンの目が引き締まる。
ルナマリアも同じく身構えた。
「やあこんにちは、どこかのファイター君」
中二階、闇の中から金色の髪が覗く。
軽薄な笑み、豪奢だが安っぽいトゲ突きの特攻服。ミゲル=アイマンその人であった。その隣には、顔が包帯だらけの巨漢がいる。
「何か用か?」
「おいおい、ファイター同士が出会ったら、やることは一つだろ?」
「フン…」
シンは構えを取った。ミゲルもまた。
「ルナマリア、下がってろ」
「はいはい」
素直に従い、ルナマリアは距離を取る。だが…
「正直者が…バカを見るってな!」
ミゲルの表情が豹変した。獲物を前にした狩人の目。
シンの周囲の闇から、無数の殺気が飛び出してきた。ミゲルの配下のチンピラたちである。
ルナマリアの表情が引きつった。
151機動武闘伝ガンダムSEED D 八:2007/01/19(金) 11:29:44 ID:???
「シン!」
「怖気づいたか、ルナマリア!」
「あたしが心配してるのは…!」
言い終わる前に、乱闘が始まった。いや、闘いと呼べるものだっただろうか?
巨漢が殴りかかってくる。すっと体をずらし、難なくかわして腹に一撃。
小男のチェーン攻撃を素手で弾き返し、カウンターで蹴りを入れる。
前と後ろの挟み撃ちを、またも動き一つでかわして裏拳肘打ち。
少年が一つ動くたび、血しぶきと悲鳴が上がる。
「……こうなると思った」
顔に手を当て、溜息をつくルナマリア。
「ぼ、ボスぅ! こいつ強すぎますぅ!!」
歯をまとめて数本折られたチンピラが助けを求める。
「まったくもう、シンってば容赦ないんだから!」
ふっと彼女は顔を上げ、金髪の男を見た。男は眼下の惨状を見ながら、笑みを浮かべている。その目はらんらんと輝いている。
いい獲物を見つけた。そう言わんばかりに。
「ねー、あんた! これ以上やっても部下の皆さんがダメになるだけよ! やるならさっさとファイトしてよ!」
時々トチ狂ったようにかかってくるチンピラをあしらいながら、ルナマリアは叫ぶ。
男はルナマリアを見た。にぃっ、と笑う。
ぞくり、と背筋に悪寒が走るのをルナマリアは感じた。
「よし、お前ら、もういい!」
ボスの号令以下、チンピラたちがざっと身を引く。
腕を折られた者、鼻を潰された者、様々である。
シンは一つ舌打ちをした。
152機動武闘伝ガンダムSEED D 九:2007/01/19(金) 11:30:43 ID:???
「俺よりもボスの方が怖いってのかよ」
「そりゃそうだろう? この『黄昏の魔弾』ミゲル=アイマンを恐れない人間なんて、ネオイタリアのどこを探してもいないさ」
「……あんた、付き合いが広いのか?」
「それなりに」
「だったら聞きたいことがある」
「なら俺とガンダムファイトしろよ、コロニー野郎。お前が勝ったら、何にでも答えてやるさ」
「こんな騙し討ちを企んだ男が言うことかよ」
「俺は、わざわざ弱い奴を狩りたくないんでね」
シンは目を丸くした。ミゲルは笑っている。自分が敗者になることなど考えてもいない、傲慢な笑み。
知らず、シンの口元にも笑みが浮かんだ。ミゲルのそれと同種の笑み。
「獲物がハンターを喰らい尽くすことだってあるんだぜ?」
「だったら期待させてもらうぜ。まずはここを生き延びてみな!」
ミゲルが高々と右手を掲げる。
「撃て! ネロスガンダム!!」
ホテルの壁が衝撃と共に崩れ去った。空いた穴から覗くのは、アンテナと人型フェイス、まぎれもなくガンダムの顔だ。
一斉にバルカン砲が放たれる。
『ぎゃあああああ!?』
ミゲルの部下は急いで逃げ出した。倒れた者も背負いつつバルカンの弾幕を潜り抜けている。
その退却の動きに、シンは退避しつつも目を剥いた。こいつらは逃げ慣れている。
まさかいつもいつもこんなことをしているのか!?
「おい、コロニー野郎! 生き延びてたら明日七時にコロセウムに来い!!」
「き、聞こえてないんじゃ…」
「バルカンに当たる奴は素人だ! 当たらない奴は訓練された素人だ! まぁったくガンダムファイトは地獄だぜぇ!! ひゃーっはっはっはっはっ!!」
「ボス、意味不明です…」
ぼそりと突っ込み続ける巨漢だが、ミゲルは聞いていない。
「よぉーし、ネロスよぉ、景気よくぶち壊せ!」
主の命に従い、ネロスガンダムは拳をホテルに叩き付けた。
たまらずホテルは倒壊し、瓦礫の山と化していく。
「シン!」
「ルナマリア!」
二人は互いの名を呼びつつ、駆け寄った。
そこに天井が落ちた。
153機動武闘伝ガンダムSEED D 十:2007/01/19(金) 11:31:53 ID:???
「ボスー! 退避完了しましたぁ!!」
「点呼取ったかぁ!?」
「はい! 全員いまーす!」
「よっしゃ、引き上げるぞぉ!」
『おおーっ!!』
怪我をした一団が、ぞろぞろと動いていく。
ネロスガンダムの手の上で、ミゲルはふと後ろを振り返った。
そこが元は高級ホテルであったことなど、もう誰にも分からないだろう。
「これくらいで死にはしないだろう? 俺はアンタの名前すら聞いてないんだぜ?」
不敵に嘯く。
隣には腰を抜かした巨漢が尻餅をついている。
それを見たミゲル、意地の悪い笑みを浮かべ、巨漢の背中をぽんぽんと叩いた。
「いやー、驚いた? ウチはいつもこんなもんだから。それでも入りたいってんならいいけど、新入り希望者君?」
「え、遠慮しときます、ミゲルさん」
「よろしい」
ニコニコと笑いながら、ミゲルは頷いた。
「ああ、それと、浮浪児に手を出したって言ってたな」
「は、はい」
「コロニー野郎にお仕置きされてるみたいだから今回は何もしない。だが今度同じことやったら…」
ミゲルの顔が豹変する。
「俺がてめぇを殺す」
巨漢は壊れた人形のように、こくこくと頷いた。
154機動武闘伝ガンダムSEED D 十一:2007/01/19(金) 11:33:09 ID:???
かちり、とスイッチを切る音がする。
途端に生成されていたビームシールドが消え、シンとルナマリアが姿を現した。
「ヨウランとヴィーノも、いいもの作ってくれるわよねー」
コンパクト型ビームシールド発生器を弄びながら、ルナマリアは気楽に言った。
「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン」
「お前何歳だよ…」
「いいじゃない、夢見たって」
「いやそういう問題じゃなくてだな…」
息をつくシン。どうしてコンビを組むのがコイツになってしまったのだろう、と思ってしまう。
ルナマリアの優秀さは自分もよく知っているのだが…
「でも、まさかファイト前にガンダムを動かすなんてねぇ。委員会に直訴してみる?」
「やめとけよ。お役所仕事の連中にこんなこと言ったって時間の無駄だ。それに叩き潰した方が早い」
「あー、それはごもっとも」
パートナーの揺ぎ無き自信に曖昧な笑みを浮かべ、ルナマリアが肩をすくめる。
それをどう受け取ったか、シンは僅かに顔を歪めた。
「とにかく、明朝七時にコロセウムだ。それまで整備を…」
「ちょっと待った」
新たな声がかかる。
二人が振り向くと、そこにはあのトダカ警部がいた。三人の子供達も一緒だ。
「やっぱり君はファイターなんだな?」
確認するように、トダカが言う。
静かに頷くシン。隣ではルナマリアがばつの悪そうな顔をしている。
「今すぐこの街を出て行ってもらおう」
「出来ません」
シンは即答した。
「俺には、戦い抜くことしか残されてないんです」
「君は地球の人々のことを考えたことがあるか?」
トダカは銃を向けた。シンはそれを悲しげに見た。
「六十年前、力のある個人は皆宇宙に、コロニーに上がってしまった。地球に残されたのは、経済力のない弱者だ。首脳部が上がってしまった以上、我々はコロニーの植民地民も同然。その上ガンダムファイトで、細々とした生活もすぐに破壊されてしまう」
「知ってます」
「だったらよくもそんな口が利けるな!」
怒号が放たれる。トダカにくっついている三人の子供達は、緊迫した空気に怯えたように、固まり震えていた。
「あ、あのっ」
ルナマリアが口を挟む。
「一戦でいいんです。終わったら、すぐに出ますから」
「その一戦が大災害なのだ、こちらにすれば!」
「……!!」
「ルナマリア、黙ってろ。よけいに話がこじれる」
「し、シン…」
155機動武闘伝ガンダムSEED D 十二:2007/01/19(金) 11:34:06 ID:???
不満そうな顔をするものの、ルナマリアは口を閉ざした。所詮生粋のコロニー育ちである自分に地球の人の心は分からない、そう思ったのかもしれない。
「何と言われようと、俺はやるしかないんです。だから、みんなをコロセウムの周辺から避難させてください」
「君達が出て行けば早いことだろう」
「ミゲル=アイマンが外に出てくれれば、俺も出ます」
トダカの顔が翳った。
「あいつ、やっぱり問題なんでしょ?」
「……強いからというだけでファイターに選ばれた男だ。奴は狂っている。国家のファイターだから、あからさまな犯罪をしても逮捕できない」
「このあたりのマフィアのボスなのよ」
うつむいて、ソフィアが呟いた。
「お兄ちゃんがやっつけた、あのゴリラみたいな奴も、あいつの部下」
ふと、シンは思い出す、ミゲルの隣にいた、包帯まみれの巨漢。
ソフィアに目を戻す。
「ああ、そうみたいだね」
柔らかい声。
トダカも、子供達も、ルナマリアでさえ、それがシンの声だとは瞬時には理解できなかった。
見れば、シンの目からは険しさが消えている。
思わずソフィアはシンの元に走りたくなった。緊迫したトダカよりも、シンの方が優しく受け入れてくれると思えた。
それを頑張ってこらえる。酒場での出来事を思い出して。
「トダカさん、俺がミゲルを倒します。そうすればミゲルはファイターじゃなくなる。逮捕できるでしょ」
「……だが、街は」
「コロセウム周辺だけで戦うと約束しますから」
「出来るのか?」
「ええ」
力強く、シンは頷いた。
つ、と赤毛の少女を見ると、彼女もまた頷いた。こちらは、何を当然のことを、と言わんばかりであった。
「……終わったらすぐに出て行けよ」
「はい」

トダカは子供達と共に去っていった。
署までの道も半ばに差し掛かったところで、彼は気付いた。
(何故、彼は私の名を知っていた?)
彼の前で、部下が自分の名を呼んだ事があっただろうか。
156機動武闘伝ガンダムSEED D 十三:2007/01/19(金) 11:35:53 ID:???
明朝七時。コロセウム。
「来たな、コロニー野郎」
ミゲルがネロスガンダムの手に乗っている。対してシンは生身だ。
「お前のガンダムはどうしたよ」
「その前に、文句を言いたい」
「ん?」
「昨日、お前の隣にいたデカブツのことだ」
「あー、あれ」
ミゲルはひょいと肩をすくめる。
「解雇したよ」
「解雇!?」
「俺はファイターを殺せっつったんだ。浮浪児にちょっかい出せとは一言も言ってない」
「…………」
「まあ正式な部下でもなかったがね。監督不行き届きの苦情は受け付けるよ」
「いや、もういい」
「へえ?」
「ファイトでまとめてお前に返してやる」

瞬間、空気が張り詰めた。
シンの闘気とミゲルの闘気が、コロセウムに充満しぶつかり合う。
こっそり隠れていたミゲルの部下達も、気に押され、固唾を呑むしかなかった。

ミゲルが狩人の笑みを浮かべる。
「気に入ったぜ。お前、名前は?」
シンもまた、不敵に笑う。右の手の甲を見せるように掲げて。
光り輝く王者の紋章。赤いハートと交差した剣を象った――

ミゲルの部下達が騒ぎ出す。手に持っていた銃を取り落として。
「お、おい、あの紋章…」
「それじゃああいつが…」
「ああ、間違いない、黒い髪に赤い瞳、右手の紋章!」
「あいつがコロニー格闘技の覇者!」
『キング・オブ・ハート! シン=アスカ!!』
157通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 11:37:33 ID:???
様子見支援
158機動武闘伝ガンダムSEED D 十四:2007/01/19(金) 11:38:56 ID:???
「気付くの遅いってば」
それをあの蕾の中で傍受しているルナマリアは、片肘を突きつつ溜息をついた。
「赤鉢巻に赤マントの少年なんて、そこらにいるもんじゃないでしょーが」

「ぼ、ボスぅ!?」
「うろたえるな、お前ら!!」
ミゲルが一喝する。
「俺は神に感謝するぜ! 記念すべき第一戦で、お前とやりあえるとはなぁ!!」
そう叫ぶミゲルは、笑っていた。本当に嬉しそうに笑っていた。
「非礼を詫びようシン=アスカ! キング・オブ・ハート相手に小手調べなんざ必要ない! 出せよ!」
「応っ! ルナマリア!」

「りょーかい、ブッドキャリアー浮上」
男って分からない。そう言いたげに、ルナマリアは目の前のスイッチを押した。
あの巨大な蕾が浮上する。スラスターを吹かせ、一直線にコロセウムに飛んでいく。

「今度はこっちが聞いていいか、シン=アスカ?」
「何だ、ミゲル」
「どうして最初っからガンダム持ってこなかったんだよ」
「また試されるのがオチだと思ったんでね。だから俺の肩書きも明かしたんだ」
「なーる」
「図星だろ?」
「もちのロンよ」
「無駄に街を壊したくない。闘いは一度で済ませるって約束したんだ」
ミゲルはきょとんとして…にやりと笑った。どこか嘲るように、どこか興味深いとでも言いたげに。
「コロニーのお前が、まるで地球人みてーなこと言うじゃないか、シン=アスカ」
「色々あるんだよ、人にはっ!」

赤き蕾、ブッドキャリアーが飛来する。
シンは右手を高々と掲げ――
「出ろォォォ!! インパルスガンダァァァム!!」
パチィィィン!!
小気味いい指の音が響くと同時、蕾が開いていく。中にいたのは白き巨人…ではなく。
「お、おいおい、本気かよネオジャパン…」
三種類のパーツであった。
159機動武闘伝ガンダムSEED D 十五:2007/01/19(金) 11:40:20 ID:???
「あのさー、ヴィーノ、ヨウラン」
『どーしたよ、ルナマリア。いきなり通信してきたと思ったらマグロみたいな目して』
「これ設計したの、誰?」
『マッド親方だけど。なんで?』
「言っといて。趣味に走り過ぎだって」
『言って治るならとっくにそうしてるよ』
「…………せめて次の機体はまともにしてよ。そもそもガンダムファイトって頭がつぶれたらおしまいなんだから、合体前に撃墜されたって失格になるじゃない」
『それはそうなんだけどさぁ』
『こう、技術者の魂を込めれば、必然的に…』
「やっぱりあんたらの差し金かぁ――!!」

ビームシールド発生器を魔法のコンパクトにする技術屋に、何を言っても無駄である。
ともあれ三つのパーツは何事もなく合体し、シンも何事もなく乗り込んで、ここに一体の巨人が誕生した!
その名も、インパルスガンダム!!
ライフルもシールドも持ってない上にシルエットもついてないが気にするな!!!

『モビルトレースシステム・セットアップ。脳波・血圧・呼吸・体温・心拍数・オールグリーン』
「はぁーっ! ふん、ふん、はっ、はっ、ふぬぁぁーっ…はぁっ!!」
シンの一挙手一投足がガンダムに伝わり、ガンダムはそれを忠実に表現してみせる。
気合を込めれば気合が。力を込めれば力が。動きだけを再現するのではなく、そういった生身の人間に許されている『力』をも再現する。
それがモビルトレースシステムなのだ。

「あー…準備、OK?」
「応! 待たせたなっ!」
「次から合体したままで運びなよ。…次があればだけどな!」
「忠告痛み入るっ!」

『ガンダムファイトシグナル確認。これより第十三回ガンダムファイトを開始します』
宇宙に浮かぶバリア衛星は、プログラム通り地球にビームロープを張り巡らせた。
赤いリングロープ。だがこれは、地球と宇宙の行き来を制限するバリアでもある。
一度リングに上がった者は、敗れるまで降りることを許されないのだ。
160機動武闘伝ガンダムSEED D 十六:2007/01/19(金) 11:41:26 ID:???
「ガンダムファイトォォ!!」
「レディ… ゴォォ――――ッ!!」

ミゲルの叫びにシンが呼応し、今、第十三回ガンダムファイトの幕が上がった!
怒号と同時に両者は突進し、組み合う。力比べだ。
ファイターの本気のぶつかり合いは、生身でさえ周囲を圧する。ガンダムで為されるそれはまさに災害である。
残っていたミゲルの部下達は、一目散に逃げ出した。
そのうち、シンが勢いを殺そうと身を引き、バックステップする。
それを逃がすまいと、ミゲルがバルカンを放った。左腕に被弾。シンは痛みに僅かに顔を歪めた。
機体のダメージはそのままファイターにフィードバックされるのだ。
「距離を取ったら負けだぜ、シン! 俺の二つ名を言ってみろぉ!!」
「……! 『黄昏の魔弾』!!」
ネロスガンダムの両肩のビーム砲が動いた。
「その、通りぃ!」
二連のビームが放たれる。シンはガードしたが、さすがに勢いを殺せず、押されていく。
瓦礫を押し倒して、それでも止まれない。
「ちっ、ならばぁ!」
シンは脇の建物の影に隠れた。廃墟を盾に、少しずつ迫ろうというのだ。
「無駄だっての!」
ミゲルは笑って、右足に力を込めた。ネロスガンダムの右脚部にも光が集まる。
「銀色の、足ぃぃぃ!! キェェェァァ――――ッ!!」
奇声と共に右足を振り上げる。ネロスガンダムの脚部から、光が迸った。太いビームが建物を薙ぎ倒していく。辺りが火の海と化していく。

「やはり、これはっ…!」
シンの言葉を信頼しきれず、様子を見に来たトダカが呻く。火の海に囲まれ、動くこともできない。
「奴ら、我々の街を何だと思っている!」

「何よあいつ、無茶苦茶じゃないの」
ブッドキャリアーからそれを見るルナマリア、さすがにこの街への憐憫を覚える。
だが空の高みから見下ろす彼女の言葉は、傲慢と言われても仕方ない。
彼女が地球の痛みを本当の意味で知るのは、もう少し先のことだ。
161機動武闘伝ガンダムSEED D 十七:2007/01/19(金) 11:43:30 ID:???
「いーやっはぁ――! 燃える奴はファイターだ! 燃えねぇ奴は訓練されたファイターだ! お前がキング・オブ・ハートなら、抜けてみやがれシン=アスカぁ!!」
笑いながら、しかし焦ったようにミゲルが叫ぶ。相手のガンダムの姿を捜し求めているのだ。
どこにいる、シン=アスカ。ハンターたる俺を食い殺すと宣言しただろうが!
視界をさまよわせる。結果、ガンダムは見つからなかったが、一人の人間は見つけられた。
にやりと笑う。
トダカ警部。その名と、シンとの関わりを、ミゲルは知らない。だが…
「おい、シン=アスカ! 出てこないなら、ここにいるおっさんをぶち殺しちまうぞ!」
トダカは震えた。
まさか自分をはっきり標的にするとは思わなかった。
だが、相手はあのミゲル=アイマンである。自分が甘すぎたのだ、とトダカは悟った。
観念するしかない。だが…
「だが! 我々の街を…我々の地球を! 好きにされて黙っていられるかぁ!!」
命は捨てても、誇りは捨てず。
トダカはネロスガンダムに向けて、拳銃を構えた。
「地球の誇りか。そーいうのって…」
ミゲルが右足に力を込める。
「嫌いじゃないけどなっ!!」
ビームが放たれる。トダカを消し去ろうと迫る。
トダカは目を閉じ、全弾を発砲した。全て白い光の奔流に消されると分かっていながら。
しかし……

「うお…おおおおおおおあああああああっ!!!」

間近の咆哮。
トダカは目を開いた。白と青と赤のガンダムが、自分を守るように立ち塞がっていた。
白い光は、鋼鉄の掌に弾かれている。
やがて光は完全に霧散した。
162機動武闘伝ガンダムSEED D 十八:2007/01/19(金) 11:44:24 ID:???
ミゲルは、思わず拳をぐっと握った。シンが思ったとおりの反応をしてくれたのだ。
「よくぞ出てきた、シン=アスカ!」
「ミゲル…アイマン…!」
シンは自分の声が低いと自覚する。怒りが沸々と沸き起こってくるのが分かる。
「トダカさんを…狙ったなぁ…!!」
トダカの目の前で、インパルスガンダムの右の手が光り輝く。
「へえ? 俺が銀色の足なら、お前は黄金の指ってか!」
「うおおおおおおおおっ!!!」
「面白えっ!!」
ミゲルが銀色の足を撃つ。だがシンはその悉くを輝く右手で弾き返す。
「な、なんだ、こいつ…」
ミゲルの顔から笑みが消える。代わりに湧き起こるのは、恐怖と…歓喜。
シンは吼えた。あらん限りの怒りと気合を込めて。

「俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶぅ!!」


「ヨウランッ、ヴィーノッ!!」
『何さルナマリア』
「何って、なんでインパルスにアレがついてるのよ!!」
『えー、だって』
『アレがなきゃ話にならないじゃんか、なあ』
『うんうん』
「話にならなくても、これじゃインパルスの意味ないじゃないのぉ!!」



「必殺! パルマッ! フィオッ!! キィィィナァァァァッ!!!」



163機動武闘伝ガンダムSEED D 十九:2007/01/19(金) 11:45:34 ID:???
衝撃。
インパルスガンダムの輝く右手が、ネロスガンダムの顔面を鷲掴みにしていた。
「ガンダムファイト国際条約第一条! 頭部を破壊されたものは、失格! と、なるッ!」
シンの叫びと同時に、インパルスガンダムの右手はネロスガンダムの頭部を握り潰した。
「うおおおおおおっ!!」
ミゲルは叫ぶ。ダイレクトに伝わる苦痛と、もはや自分は『狩られる側』であるという認識と、待ち望んでいたものがやってきたという喜びに。
ああ、俺はこのまま失神するな、と思っていたが…
「まだだ! ミゲル、約束しただろう、俺の質問に答えるって!」
「ちょ…」
「お前に聞きたいことがある! この男を…」
「だったら…出力…弱く…」
限界だった。ミゲルはそのまま倒れこんだ。

轟音と共に、ネロスガンダムが倒れる。
「あ…」
シンは思わず、自分の右手を見た。
やってしまった。勝負がついたら加減するつもりだったのに、トダカ警部が狙われたと知った瞬間から、そんな考えは吹き飛んでいた。
「えーと…ガンダムファイト国際条約第二条、コクピットは攻撃しちゃあまずい…」
半ば呆然と倒れたネロスガンダムを眼下にする。
ふと、シンは通信をブッドキャリアーにつないだ。
「ルナマリア」
『……何、シン』
何故か疲弊してマグロの目になっている赤毛の少女が画面に現れる。
何か気圧されるものを感じたが、とにかく用件は言わねばならない。
「こいつの治療、頼む」
『あーもう馬鹿! 手加減くらいしなさいよっ!』
画面の中でルナマリアは頭を抱えた。
164機動武闘伝ガンダムSEED D 二十:2007/01/19(金) 11:46:32 ID:???
倒れたネロスガンダムの周りを、警察が取り囲む。
ルナマリアに応急処置を受け、ミゲルは大人しく警察に連行されていた。
その表情は清々しい。
「ま、待ってくれ、ミゲル!」
シンが飛び出す。警官達が抑えようとするが、
「いいんだ。行かせてやれ」
トダカの一声に、シンは誰の邪魔も受けず――誰の被害者も出さず、ミゲルと話す事ができた。
「ん? どうした、キング・オブ・ハート」
「あんた、顔が広いんだろ? マフィア連中とも付き合いあるんだろ?」
「ああ、一応『あった』な。それで?」
「この男に見覚えはないか?」
そう言って、シンはあの写真を出した。真ん中から破られた、半分だけの写真。
ミゲルは手錠を嵌められたままそれを受け取り、しばらく唸ったが…
「悪い。知らねぇわ」
「そうか…」
明らかに落胆したように、シンは写真をしまった。
無意味な戦いだった。その言葉がシンの頭を駆け巡る。
それを察知したか、ミゲルは声をかけた。
「なあ、シン=アスカ」
「何だよ」
「面白かったよなぁ」
「……え?」
ぽかんとするシン。ミゲルは笑っていた。狩人の笑みではなく、悪戯っぽい、子供のような笑み。
「お前は面白くなかったのかよ? 命の瀬戸際で戦って…狩るだけじゃない、狩られる恐怖を感じてさぁ」
「ミゲル…」
シンは理解した。何故あれほどミゲルが自分を試し、ファイト中にもトダカを狙ってまでいぶりだそうとしたのか。
こいつは戦闘ジャンキーだ。戦いに至上の喜びを覚える男だ。それも、弱い者いじめではなく、己より強い者と戦うことに喜びを感じる。
そしてそれは、シンにも、いやファイターなら大なり小なり誰にでも言えることなのだ。
「面白かったよ」
ミゲルは笑う。
「また、やりたいなぁ…」
憧憬を込めた声。シンもまた、知らず、笑みを浮かべていた。
「……出所したら、いつでも相手してやるよ」
「本当か? 約束だぜ?」
「ただし、今度は生身でな」
「ああ!」
ミゲルを乗せたパトカーは、長居は無用とばかり走り去っていった。
それを見送るシンは、ミゲルへの小さな共感を禁じ得なかった。
パトカーが見えなくなると、きびすを返し、去ろうとする。
「シン=アスカ!」
飛来物。何かと受け止めてみれば、平べったく温かいものだ。
「約束のピザだ」
「トダカさん…」
トレンチコートのトダカ警部がそこにいた。
「一つ、私も質問していいか」
「ええ。どうぞ」
「何故、君は私の名を知っている?」
「…………」
寂しげにトダカを見るシン。トダカは、何か責められているように思った。
「かつて会ったことがあるのか? すまないが、物忘れが激しくてな…」
「……いいんです。分かる方が珍しいんですから」

分かる。覚えている、ではなく、分かる。
それに気付けていたなら、トダカはシンの正体にも気付けていただろう。
彼が、自分がかつて命を救った子供であると。
十二年前のガンダムファイト時に家族を失い、自分に保護された子供であると。
コロニーへ上がるようにと手配した子供であると。

「お、おい…」
シンは歩き出す。うろたえるトダカを尻目に。
「シン!」
「この街を守ってください、トダカさん」
「!?」
振り返りもせず、背中で言うシンに、トダカは不意を打たれたように立ちすくんだ。
間違いない。自分は忘れている。何を忘れているのだ。肝心なことではないのか。
しかし、思い出せぬまま、シンは街を去っていってしまった。
すぐに出て行く、という約束どおりに。

シンにすれば、言えるわけがない。
かつて自分もガンダムファイトで家族を失い、ガンダムファイトを憎み、復讐を誓った。
トダカに拾われたが、心を閉ざし、声を発することもできなくなり、名を明かすことも自分の故郷も言えず。
そんな自分が今、ガンダムファイターとなって、大災害を起こす側に回っている。
言えるわけがない。
言ったら、きっとトダカも自分を…。
なのに期待してしまった。覚えていてくれるかもしれない、思い出してくれるかもしれないと。温かく迎え入れてくれるかもしれないと。
未練がましく。


「お姉ちゃん、お兄ちゃんが行っちゃうよ?」
瓦礫に腰掛ける三人の子供達に見上げられ、ルナマリアは微笑んだ。
「いいのよ。あたしはガンダムの修理もあるし、どうせあの馬鹿の行く先は分かってるんだから」
「行く先? どこ?」
「地球の上よ」
そう言うルナマリアの瞳は、心なしか潤んでいるように見えた。


トダカは懐から使い古しのライターとタバコを出し、火をつけた。
煙が立ち昇る。一息、大きく吸い込み、吐き出す。
「ガンダムファイト、か…。また嫌な一年が始まりやがった」
それでも、もはや点にしか見えないシンの後姿を見送っているのは何故なのだろうか……

『それでも、もはや点にしか見えないシンの後姿を見送っているのは何故なのだろうか……』

「やめてよねー。どうせ途中で僕が主役を奪うんだから」
「何だと!? ドモン師匠のポジションなんだぞ、今度こそ俺が主役だ! 文句あっかキラ=ヤマトぉ!!」
「最後の最後で余計なセリフ入れるなぁ――――――っ!!」
「だ、駄目です、これじゃあ撮り直しですよ艦長〜!」
「仕方ないわね… アーサー、テープを巻き戻して」
「またやるのかよ!? 俺、いい加減奇声を出すの疲れるんだけど!?」
「まーまー、君の喉が潰れたら俺がアテレコやってやるから大丈夫っ」
「いくらハイネさんの申し出とはいえ丁重に辞退させていただきます」
「何をやっている、シン! 外野の声に動揺するとは何事か!」
「はっ、ドモン師匠!? しかし俺は主役として…!」
「主役なら主役らしく泰然自若としていろ! キラごときの声に心動かすようではぁ! 未熟! 未熟!! 未熟千万!!!」
「く… すみません師匠っ!」
「キラ、あなたもですよ。口を出したくなる気持ちも分かりますが、わたくし達にもちゃんと出番があるのですから」
「ラクス…」
「わざわざ事前に宣言することなどありません。わたくし達の出番が来たときに、さっさと奪ってしまえばよいのですわ!」
「よくねぇ――――――!!」
「ああ…メイリン、あんたよくツッコミ続けられるわよね…あたし疲れた」
「お姉ちゃ――――――ん!?」

ミネルバ・アークエンジェル合同企画
映画『機動武闘伝ガンダムSEED D』
協賛:マザー・バンガード、ZAFT、オーブ首長国連合、地球連合、ジャンク屋連合、傭兵組合、(以下略)

           製作順調!


「どこが順調だぁぁ――――――――――っ!!!」



うろ覚えの上に突発的勢いで書いた。
後悔はしている。だが反省はしていない
168通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 11:55:37 ID:???
キャラ変えただけのコピペかと思ったら最後に吹いた
GJ


ただもうちょっとコンパクトに纏めた方がよかったかもな
169通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 12:36:09 ID:???
同じく!!
赤い鉢巻、赤マントのシン想像して吹いた
170通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 13:35:34 ID:???
続き読みたっ!
171通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 15:22:07 ID:???
パルマフィオキーナのところは関声にしか聞こえねえw
172通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 17:25:27 ID:???
> 「必殺! パルマッ! フィオッ!! キィィィナァァァァッ!!!」
なるほど、それでトダカでイタリアなのか。GJ!
173通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 19:18:38 ID:???
>>171
いや、すずけんって叫ぶ系の必殺技があるキャラ結構やってると思うぞ。ミクロマンとか見てみ。
174通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 19:34:23 ID:???
昨日の銀魂でも、ヅラにカツラぁぁぁぁ!って怒鳴り付けてた
175通常の名無しさんの3倍:2007/01/19(金) 20:38:57 ID:???
>>173
ミクロマンに鈴村さん出てたっけ?
176通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 01:27:09 ID:???
第一話ってそういう意味かww
177通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 01:40:49 ID:???
>>167
面白いでないの。GJ!でした
178通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 14:59:50 ID:???
>>167
どういうわけだかベラ艦長が協賛してるのねwww
ブッホ・コンツェルンの財産がつぎ込まれてるわけか。封切りマダーーーー?
179通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 16:36:20 ID:???
>>178
ミナ・バンガードの間違いかもしれない
180167:2007/01/20(土) 17:00:28 ID:???
>>178,179
しまった、素で間違えた。申し訳ない。
181通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 17:01:37 ID:???
ドンマイ!次も期待してるっぜ
182通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 17:33:41 ID:???
>>180
F91好きだからいいんだけどね。
ここはG-Dスレだからちょっと驚いただけよ
183通常の名無しさんの3倍:2007/01/20(土) 20:03:07 ID:???
ミナ・バンガードにはベラ艦長もキンケドゥも乗ってた気がするので無問題w
184通常の名無しさんの3倍:2007/01/21(日) 09:32:16 ID:???
キンケドゥがアビーとお見合いしたの思い出した
185通常の名無しさんの3倍:2007/01/23(火) 15:31:15 ID:???
ttp://cgi.2chan.net/f/src/1169523685438.jpg
凸よ、これぐらい言えるようにならないと男じゃないぞ
186通常の名無しさんの3倍:2007/01/23(火) 16:53:54 ID:???
でも相手がニートや教祖だったら…

鼻で笑われるだろうな…orz
187通常の名無しさんの3倍:2007/01/23(火) 21:20:40 ID:???
>>185
マルチ止めれ
188通常の名無しさんの3倍:2007/01/23(火) 21:47:33 ID:???
>>185
俺の行くスレの半分以上にありやがる…
189通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 02:57:25 ID:???
>>185はなんなんだ?
190通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 03:35:21 ID:???
>>189
男ってのは髪の量で決まるんじゃない
ハートで決まるんだ!
191通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 08:45:16 ID:???
凸は髪以上にハートがアレだし
192通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 13:28:45 ID:???
>>190
できる男は、こなせる仕事の数で決まるってゴドー検事が言ってたぜ
193通常の名無しさんの3倍:2007/01/27(土) 01:13:08 ID:???
一応保守っておこう
194通常の名無しさんの3倍:2007/01/28(日) 23:18:47 ID:???
保守。
G-SEED氏は、どうしたんかねぇ・・・
195通常の名無しさんの3倍:2007/01/29(月) 20:33:13 ID:???
あの人はもうこれないと言ってたじゃないか。
196通常の名無しさんの3倍:2007/01/29(月) 22:21:51 ID:???
でも、いつか帰ってきてくれると信じてる。
197通常の名無しさんの3倍:2007/01/30(火) 09:59:54 ID:???
緊急浮上
198通常の名無しさんの3倍:2007/01/31(水) 01:39:50 ID:???
すまないが、誰か過去スレをUPしてもらえないだろうか?
これまでの歴史を知らないとネタに不整合が出てしまいかねないので
ここにキンケドゥ達がいるとは知らなかったし
199通常の名無しさんの3倍:2007/01/31(水) 05:55:34 ID:???
>>198
ほいよ
ttp://vegetarianism.o0o0.jp/pochi/src/shichi23923.zip.html
パスは「ドモン」な?

そして六スレ目が無い事に今気が付いた、、、
200通常の名無しさんの3倍:2007/01/31(水) 05:58:42 ID:???
六スレ目読み返してきたら、ほぼG−SEEDオンリーで佳境のスレだった
スマンがウィキでG−SEED読み返してきてくれ。
201通常の名無しさんの3倍:2007/02/03(土) 00:36:34 ID:???
保守
202通常の名無しさんの3倍:2007/02/03(土) 23:18:40 ID:???

203通常の名無しさんの3倍:2007/02/04(日) 00:19:27 ID:???
>>199-200
遅くなってしまった。ありがとう!
204通常の名無しさんの3倍:2007/02/05(月) 11:14:16 ID:???
保守
シン「フンフンフン♪ 今日は第二話収録日〜♪」
ステラ「うぇい? シン、たのしそう」
ルナ「主役だからって分かりやすく舞い上がってんじゃないわよ…」
ステラ「ルナ、つかれてる?」
レイ「妹の(ツッコミの)ありがたみを噛み締めているのだろう」
ステラ「うぇーい! ステラもメイリン好き! ルナ、元気だして」
ルナ「あはは…大丈夫よ、第二話になれば」
レイ「ああ、そういえばネオアメリカ代表役はアスランとメイリンだったな」
ルナ「そうよ…あの子がいれば格段に楽だわ…」

アビー「艦長…じゃなくて監督! アークエンジェルから緊急打電です! アークエンジェルとエターナルでノロウイルスが検出されたそうです!」
タリア「何ですって!?」

ヨウラン「ラクシズで集団食中毒ぅ!?」
レイ「タイミングの悪い! 普段なら歓迎だが…!」
シン「じゃあアスランもメイリンも来れないってことかよ!?」
ルナ「…………(くらっ)」
ステラ「うぇい!? ルナ、しっかりする!」
アーサー「かんちょ…監督、どうするんですか!?」
タリア「…健康を保つのも役者の役目です。よって、アスラン=ザラ、メイリン=ホーク両名には、ネオアメリカ代表を降板してもらいます」
一同『ええぇぇ――っ!?』
ヴィーノ「じゃあ誰を使うんですか!? もうほとんどみんな役が決まってるのに!」
タリア「ええ、考えた結果…彼らを。入って!」
タリアの声に、入場してきたのは…

イザーク「待たせたなミネルバの諸君! 我々が来たからにはもう安心だ!」
ディアッカ「グゥレイトォ! まさか『ごめんなさいコンビ』の役だった俺達が主役級に抜擢されるとはッ!」
シホ「私も呼ばれました。メイリンさん達には悪いですけど、人生、良いこともあるもんですね」
ドモン「お前たちか! 準主役をするからには、相応の覚悟は出来ているんだろうな!」
イザーク「無論です、ドモン兄さん!」
ディアッカ「伊達にハルパーミリィと渡り合ってきたわけじゃないぜ!」
シホ「ディアッカさん、盗撮はよくないですよ…」
ステラ「うぇーい! コントのひとだー!」
イザーク「それを言うな! 今日はボケもツッコミもない、シリアスで行くと決めたのだ!」
ルナ「頼むからツッコミくらいはやってッ! あなたたち素でボケなんだから!」
アビー「自分を棚に上げて何気に酷い言い様ね、ルナマリア」

レイ「……監督」
タリア「何、レイ」
レイ「メイリンが出ないとなると、ルナマリアの負担が著しくなりますが」
タリア「大丈夫でしょう。彼女も赤なんだから」

それでは以下、ダイジェスト版でお送りいたします。
207機動武闘伝ガンダムSEED D:2007/02/07(水) 10:48:36 ID:???
第二話 「唸れ! 夢を掴んだ必殺パンチ」


「ネオジャパンの田舎野郎が来たところで、誇り高きジュール隊が屈するとお思いですか? 母上のお気遣いはありがたいが、私には頼れるクルーがいます。まあ多少迂闊で残念なのが気になりますが…」
「なんだよ、やっぱ女四人の方が良かったってのか?」
「な、何を言うディアッカ! そんなチャラチャラした軟派男は、本来ならば貴様の領分だろうに!」

「行くぞディアッカ、シホ!」
「隊長、ディアッカさんが来てません!」
「何ィ!? ファイトに遅刻するとはあいつめ、誇りあるジュール隊の自覚があるのかッ!」

「パルマッ! フィオッ!! キィィィナァァァァァァッ!!!」
「ぐあああああっ!?」
「まだだ、イザーク! 聞きたいことが…!」
「い、痛い…痛いぃぃ…!!」
「……あれ?」

「インパルス! この傷の屈辱は晴らす! I'll be back!!」
(うわあ、ジャパニーズじゃなくてインパルスで覚えられちゃったよ)
(ま、まあ本筋には関係ないからいいんじゃない?)
208機動武闘伝ガンダムSEED D:2007/02/07(水) 10:49:54 ID:???
第三話 「倒せ! 魔女ドラゴンガンダム」

「ごめんねぇ? でも、これは作戦なのよ、さ・く・せ・ん♪ ほら、アジトにすんなり入れたじゃない」
「…………(怒)」
「お、怒ってる? そりゃそうよね…。だから、私が嘘をついてないって証拠に…牢屋の鍵、開けちゃう♪」
「…………(信用していいのか? まあ、出れるなら出るか…)」
「うっふふふ…」
「?」
「脱走よぉーッ!!」
「な、何て奴だあのアマ!」

「昔とは違い、コーディネイターは今や一般的となり社会の三分の一を占めている! ガンダムファイターのほとんども身体的調整を受けたコーディネイター!」
「だからこそナチュラルのファイターは、ナチュラルであるだけで人気を博する!」
「フレイ殿は我が少林寺の最後の希望! ナチュラルの、しかも女が此度のガンダムファイトで優勝したとあれば、コロニーの竹林寺に取られた門下生も帰ってくるはず!」
「なのにフレイ殿にはその自覚がまったくない…挙句の果てに盗賊にまで身を落とすとは…!」
「サイ!」
「カズィ!」
『よよよよよ〜〜〜』
「あ、あのー、二人してユニゾンされるとリアクションに困るんだけど?」
209機動武闘伝ガンダムSEED D:2007/02/07(水) 10:50:56 ID:???
第四話 「いざ勝負! 真紅の薔薇の貴公子」

「単刀直入に言おう、シン=アスカ君。私はレイに君と戦って欲しいのだ」
「俺に倒されるって分かってるのにですか?」
「はっはっは、傲慢だね君は。とにかく、君としてもレイと戦えなければ不安なのだろう?」
「そりゃあ…もちろん。でもいいんですか? 偽装誘拐なんて」
「私が良いと言ったから良いのだよ」
「ちょっと二人とも、そんなこと…むぐっ!?」
「ルナマリア、君に恨みはないがね…全ては君が聞き分けのないのが悪いのだよ」
「お、おい? ルナマリア!?」
「ここでならもしものときも心配ない。さあ、エッフェル塔へレッツゴーだ!」
「むごっ… ちょっと待てー! なんでトイレの鍵が外についてるのよぉ!!」

「よし、来たなレイ=ザ=バレル!」
「お前に用事はない!」
「はあ!? 俺は議長を人質にしてるんだぞ!?」
「お前のような野蛮人に我がフランス語が書けるわけなかろう」
「うっ!」
「ギル…じゃなくてデュランダル議長! お遊びにもほどがあります! グラディス艦長もお怒りですよ!」
『議長!! あなたという人は! 多少は国家元首の自覚を持って下さい!! そこのネオジャパンがお人よしだったからいいものの、もしものことがあれば…!』
「やあタリア、すまないね。でも心配してくれて嬉しいよ」
『国が傾くのを避けたいだけです!!』
「むっ!? シン=アスカ! やはりファイトは申し込む!」
「うお!? ま、まあやる気になってくれたんならいいけど」
「ギル、見ていてください! 俺はギルのために不届きなネオジャパンを倒してみせます!」
「うむ、頑張ってくれたまえ」
「さあ行くぞ、シン=アスカ! 我が騎士道を見せて差し上げよう!」
「……おい、騎士道か? 本当に騎士道なのか、それ?」
そして第五話…の前に

タリア「と、いうわけで、そちらの力をお借りしたいのです。直接の関わりがない私では説得できないでしょうし」
アズラエル『……衛生管理はどうなっているんですか、彼らは… まあいいでしょう、話はこちらでつけます』
タリア「感謝します、ムルタ=アズラエル」
アズラエル『いえいえ。これ以上の撮影の遅滞は致命的ですしね』

ヴィーノ「なあ、まだノロウイルス騒ぎ収まってないらしいぜ」
ヨウラン「マジかよ? もうすぐ五話の撮影なのに」
ルナ「それじゃ、ダコスタもバードマン役ができないってこと!?」
レイ「まずいな。チャップマン役はバルドフェルドで決まっていたはずだ、奴に関連する人間が他にいたか?」
ルナ「アイシャさんはマノンさんで鉄板だし…」
ヨウラン「どうするつもりなんだろ、かんちょ…監督」
シン「おーいルナ、そろそろ撮影だぞ」
ルナ「おっけー。あ、ねえシン、ダコスタの代役、誰になるか知ってる?」
シン「全然。監督も教えてくれないし、アーサ…カメラマンが『知らないほうが生のリアクションを撮れる!』って力説してさぁ」

アビー「いいんですか監督、これじゃ後々の台本にまで…」
タリア「決めたわ、アビー」
アビー「はい?」
タリア「どうせジュール隊を引っ張ってきたことで台本に無理が出てきたんだもの。こうなれば一から見直さなければ」
アビー「そ、それって配役全部見直しってことですか!? 途中で無理矢理変更したシナリオがどんなことになるか…!」

かくして、『機動武闘伝ガンダムSEED D』の台本には急遽、大掛かりなメスが入れられたのだった。
果たしてどうなることやら。

アーサー「本番入りまーす! 3・2・1・Q!」

「わだかまりや、やましさのない、静かに湛えた水の如き心。それが明鏡止水…」

どことも知れぬ闇の中。スポットライトに照らされ、椅子に腰掛け瞑目した一人の男性が浮かび上がる。
赤いマントに赤い鉢巻、どこかで見たような格好であるが、我々がよく知るあの少年ではない。長身、細身ながら無駄なく引き締まった体躯。その風貌からすれば、彼はもはや青年の域であろう。
跳ねた黒髪に彫りの深い顔。ふと目を開いたと思えば、厳しく、熱い視線を向けてくる。
「さて…準備はいいか? 良ければお前達に、このガンダムファイトを説明させてもらうぞ。
 と、紹介が遅れたな。俺は説明担当の『ドモン=カッシュ』だ。以後宜しく頼む。
 ……む、やはり照れるな…」
少々顔を赤らめながら、ドモンはわざとらしく咳をした。
「あー、コホン…そもそもは六十年前に遡る。大戦争で汚れきった地球を後に宇宙に上がった人々が、コロニー国家間の全面戦争を避けるため、四年に一度、各国の代表を『ガンダム』と名付けられたロボットに乗せて、『ファイト』と称し!
 戦って! 戦って! 戦い合わせ!
 最後に残ったガンダムの国がコロニー国家連合の主導権を手にすることが出来る…
 ……何ともスポーツマンシップに溢れた戦争だよ。
 これで人類が滅びに直面するような危機は避けられた。だが残された問題が一つ。
 ファイトの舞台は地球。そう、俺達が住む汚れきった地球だ…」
そこまで説明した彼は、どこか遠くを見るような目をする。しかしすぐに視線を我々に戻し、再び口を開いた。
「以上がガンダムファイトの骨子だ。
 だが今回の大会は、どうも普段とは様子が違うらしい…」
す、と視線を動かす。その先にいるのは…
「そこのお前! この写真の男に見覚えはないか!?」
ドモンと同じ格好――赤い鉢巻と赤いマントに身を包んだシンが、いきなり写真を突きつけてくる。
半ばから破られた写真。褐色の髪の少年が、誰かと肩を組み、じゃれあうように笑っている。相手が誰なのかは、破られていて分からない。
ドモンはそれを受け取り、少し考え込む仕草をしたが、すぐさま皮肉めいた笑みを浮かべる。
「この写真がどんなファイトの嵐を巻き起こすことになるのか? …それを知っているのは底意地の悪い神様くらいのものだろう。
 今日のカードはネオロシア代表、ボルトガンダム!
 ファイターはプリズナー…即ち囚人、だそうだが…果てさて…」

ドモンがマントをばさりと脱ぐ。
下から出てきたのはピチピチの全身黒タイツ、即ちファイティングスーツだ!

「それではッ!
 ガンダムファイトォォ! レディィ…ゴォォォ――――ッ!!」

第五話「大脱走! 囚われのガンダムファイター」


ネオロシアの町は、極寒と言うに相応しい。
貧困とガンダムファイトは、世界規模の文明の平均化をなくし、地方ごとの生活スタイルを取り戻させていた。
財力のない国は、コロニーの暮らしのような人口の快適さを作る手段を持てないのである。
それは地球にとってはエコと言える――そんな意見を言う人間は大抵コロニー育ちで、地球の現状を知らない者たちだ。
未熟な技術ゆえに過去の公害を再現してしまうことの方が圧倒的に多い。
ルナマリアもまた、今回地球に降りてくるまでは、地球の問題は環境団体が大げさに言っているだけの話半分、と思っていた。
だからここに至って防寒着を買い込む羽目になったのである。
いくらコーディネイターでも、人間、大きく言えば恒温動物であることに変わりはない。
北国、それも絶えずブリザードが吹き荒れる国でミニスカートなど、ミスマッチもいいところだ。
幸い資金は必要経費で落とせるので、躊躇いなくスパッツとロングコートを買った。なんでも材料はカモシカの毛皮らしい。
コロニーの感覚にすれば超高級品だが、この町ではこれしか売っていなかった。
資材と技術のない場所では、天然物より石油加工品の方が高価なのである。
「うー、さぶー」
重い灰色の空の下、昼でも暗い針葉樹林。ぴょこぴょこ、とコアスプレンダーの中から赤い毛が覗く。
「もう、馬鹿シン、どこに行ったのよ」
ルナマリアはコアスプレンダーのコンピューターと格闘していた。
シンがこのネオロシアの町に来たことまでははっきりしている。だが、目撃情報とコアスプレンダーがあっても肝心のレーダー反応がない。
シンの行き先は地球の上、と言い切ったルナマリア、地球の広大さを知らないわけでは決してない。
よく行方不明になる相棒のために、彼女は内緒で赤鉢巻に発信器をつけさせてもらっていた。
断りを入れると、いつぞやのパスポートのように捨てられるかもしれない、と思ったのだ。
「どこも故障してないのよねぇ… ひょっとして気付かれたのかな…? まさかね」
そんな注意深さが彼にあるわけがない。
だとすれば…
「なくした? それとも電波障害でもあるのかしら? 吹雪で電波が消えてるとか…」
無駄に推測ばかりが浮かんで消えていく。
いい加減に腰がきつくなってきたので、思い切り背伸びをした。
(メイリンが見たら『若さがない』なんて言うかもね)
ふと妹を思い出す。しばらく会っていないが、元気だろうか。『彼』にとことんついて行くと言っていたが…
あまり思い出したくない記憶まで浮かんできた。自分の思考から逃れるように、窓の外を見る。
針葉樹林の向こうに、海と小さな島が見えた。
その島の中には、ネオロシアの囚人収容所がある。
いくら貧しくても国は国、あのトダカやソフィア達のように、人々はそれなりに暮らしている。司法は働いているし法律もある。
無法になるのはファイト期間中、それもガンダムファイターに対してだけだ。
だからここも、無期懲役の囚人を容れる場所として機能し続けている。
しかし……
「どうしてこうも…っ…警察には縁があるんだ!? 俺が一体何をしたってんだよ!」
よりによってその収容所の、しかもマンホールの下で、ルナマリアの探し人は悪態をついていたのだ。
話は数時間前に遡る。
ネオロシアに入り、ファイターを探して対岸の町に入ったシンは、いきなりこの収容所に連行された。
デジャ・ビュであるが、ネオイタリアでの出来事とは違い、懐かしい顔はいない。取調室でも彼らはひたすら高圧的に迫ってきた。
「さあ言え! お前はガンダムファイターで、この町に我がネオロシアのファイターとファイトするために来た! 違うか!」
「何度も言ってるだろうが! 俺はただの…旅行者…!」
「まだ言うか小僧!」
容赦なく警棒で打ち据えられる。
余程暴れてやろうかと思ったが、両手の上に両足まで縛られて椅子に座らせられている以上、下手に抵抗すればチャンスを潰すことになる。
こっそり外すまでの間は大人しくしているしかない。
警官が力任せに警棒を振るう。シンの体がとうとう椅子からずれ落ち、床に転がった。
(コイツ…絶対殴る…!)
そう決意させたとは知らず、警官はシンの頭を踏みつける。
「さあ、お前のガンダムのありかを言え!」
「知らないものは…知らないんだよっ…!」
「この…!」
「待て。そいつはただ町をうろついていただけなんだろう?」
「ですが所長、こいつはしきりに誰かを探していたということで…!」
「それだけでファイターと決めるわけにもいくまい」
所長が慎重な姿勢を見せる。逡巡の気配と共に、頭から警官の足が退かれた。
しかし…
「いいや。その少年はファイターだ」
新たな声がする。
シンは床に転がったまま、声の主をにらみ付けた。
こちらに背を向けて椅子に座っている、マントを羽織った長身の女性。取調室の貧弱な電灯でも、その長い黒髪は見事と分かった。
鴉の濡れ羽色、という言い回しは知っているが、実際にこの目にしようとは。
振り向かぬまま、女は続ける。
「我々の情報網を疑うというのか? その少年はネオジャパンのファイターに間違いない」
「しかしですね…」
所長は反論しようとするが、女性の方を向こうとはしない。
畏怖を女性に感じている、とシンは見て取った。自分自身もまた、彼女の声には圧倒されるものを感じたからだ。
ごく自然な威圧。
所長はプレッシャーから逃れるべく、没収したシンの持ち物を広げ、視線をさまよわせた。
と、その視線が一枚の紙切れの上で止まる。
五つの国名が書かれている。
ネオイタリア。ネオアメリカ。ネオチャイナ。ネオフランス。ネオロシア。そのうちネオロシア以外は×印で潰されていた。
裏返してみれば、それは古い写真である。半分に破られ、褐色の髪の少年が写っている。
所長はかがんで、床に倒れたままのシンに写真を突きつける。
「誰だ、この少年は。隠すとためにならんぞ? ん?」
瞬間、シンが思い切り拳を振るった。所長はもろに眉間に食らい、よろけた。不安定な体勢からの一撃だったので、それほど威力はなかったが、それでも急所に入れられれば怯む。
シンは跳ね起き、写真を掴み取ると改めてもう一撃入れた。今度こそ所長は吹っ飛び、床に倒れ伏した。
それを警官は、ただぽかんと見ていた。
目の前の光景が信じられなかったのだ。いつの間に少年の四肢が自由になっているのか。手錠をかけたはずではなかったか。
この警官にもう少し余裕があれば、外された手錠が床に落ちているのを見ていただろうが、そんな暇はなかった。
「さっきはよくもやってくれたな!」
声と同時に拳を叩き込まれる。二発、三発、四発、五発… 人間サンドバッグにされた警官はよろめき後ずさり、倒れた。
シンは怒りを吐き出すように息をつき、足早に取調室を出ようとする。
「どこに行くつもりだ、シン=アスカ?」
ドアノブにかけようとしていた手が止まる。
振り向けば、あの女性が椅子に腰掛けたまま、こちらを見ていた。手には鞭。二つの目がシンを射抜く。
――蛇に睨まれたカエル、とはこのことだろうか。頭の片隅でシンは思った。
この女性には威厳がある。自分が他者よりも上の立場であることを自然とし、それを受け入れている…王者の風格。
こいつは危険だ。本能がそう叫ぶ。
「ここは海に囲まれた島だ。逃げ場などないぞ」
「完全に外と切り離されてるわけじゃないだろ。本国にいたはずの俺がここにいるのがその証拠だ」
反論できたのは、自分の中に譲れないものがあったからだろう。
女性が笑う。嘲るように、そしてどこかいとおしむように。
(俺を自分のペットとでも思ってるのかよ!)
反感が募る。
「じゃあな。そいつら早く手当てしてやれよ。でなきゃどうなっても知らないぜ」
「何故私には手を出さない?」
「あんたは俺に何もしてない。それだけだ」
違う。
手を出せないのだ。怖いから。
自分の心を認めたくなくて、シンは乱暴にドアを開け、外に出て行った。
ドアの閉じる様を見ながら、女性は一層笑みを深くした。
「二度と御免だ、あの女は…!」
マンホールから顔を出す。サーチライトが通り過ぎたのを確認、すぐさま地上に身を躍らせ、草むらに駆け込んだ。
「それにガンダムを探して…何が狙いだ、こいつら」
ネオイタリアのように、ガンダムを追い出そうとするなら話は分かるが…
考えても仕方ない。今はとにかく、この島を出ることだ。
サーチライトが途切れた瞬間を狙い、シンは飛び出した。ひた走る。
と…
「諦めてください」
どこか機械的な男の声がした。
崩れかかった建物の階段に、人間が立っている。
偶然、一瞬だけサーチライトが彼を照らした。
色素が薄い。だが体は屈強だ。腕には、その体躯に見合った大きな手錠。ある程度以上手が離れれば自動でビームチェインがつながる、コロニーで使われるような最新式だ。
彼もまた囚人なのだろう。
「あなた一人では、どうやってもこの島からは抜けられません」
まるで事務的なことを話すように――実際、彼にとっては事務なのだろう――彼は淡々と告げた。
それが妙に勘に障る。
「抜けられるかどうかは俺が決める。どうやらあんたも囚われの身らしいが…寝ててもらうぜ!」
シンは体を低くし、男に突撃した。みぞおちに拳を一撃。それで手早く眠らせるつもりだった。しかし…
どん。
鈍い音。シンは目を疑った。
さらに数発、拳を入れるが…
どん。どん、どん、どん。
「お、俺のパンチが!?」
つい先程も警官二人を倒した自分の拳が通用しない。殴っても殴っても、まるでコンクリートブロックでも殴ったような感触しかしない。
半ば呆然と男の顔を見上げれば、相変わらずの無表情だ。
彼が両手を組む。振り下ろされるそれを、シンは眺めることしか出来なかった。

「そこまでだ、フォー・ソキウス。その少年にはまだ聞かねばならぬことがある」
「了解しました、ロンド=ミナ=サハク様」

(あの…女…!)
その思考を最後に、シンの意識は闇に沈んだ。

「……ですが隊長…いえ……それくらい分かってますよ! でもいくら外国のことには口出しできないからって…!」
コアスプレンダーの中で、ルナマリアは声を張り上げていた。無線の向こうからは、嫌になるほど冷静な男の声がする。
「……了解しました。今しばらく様子を見ます。……何考えてるんですか隊長っ! 私だって己の立場はわきまえてます! それじゃ切りますよっ!」
ふつり、と声が途切れる。再び無音となったコアスプレンダーの中で、ルナマリアは何度目になるか分からない溜息をついた。
「事件は現場で起きてるんだ! って言ってやりたいわ…」
レバーに覆いかぶさるように腕を組み、身をもたせかけ、ルナマリアは呟いた。
見上げれば、空は相も変わらず灰色。だがルナマリアが見ようとしているのは雲の向こうに浮かぶ国々だ。
「こんな感じなのかな…地球の人たちって…」
ふうっ、と息をつく。白い息だ。
機内の温度が下がっていたことに気付き、慌ててヒーターを強くした。道理で手の動きが鈍くなっているはずだ。
「危ない、あやうく風邪ひくところだったわ」
ロングコートを着たまま、今度こそルナマリアは組んだ腕に頭を乗せた。
少しずつ機内が暖まっていく。
「馬鹿シン…どこで何やってるのよ…」
少女はぽつりと呟いた。


――シン! シン=アスカ!
(……さい…)
――どうした、あの男はどうした! 早く探し出せ! そしてあのデビルフリーダムを!
(うるさい…)
昏々と眠る壮年の男。鮮やかな金髪も、精気に満ちていた目も、今は色彩のない世界にある。触れようとしても触れられない。ガラスの壁が邪魔をして。
それが消えれば今度は、凍りついた小さな右腕。つながっているはずの胴体は…ない。
――そうだ、シン君。彼を助け、彼女を生き返らせるにはその方法しかないんだ。
(うるさい…!)
――それが出来るのは、君だけだ。君だけなんだよ、シン=ヒビキ君!

「うるさい! 俺をその名で呼ぶなぁッ!!」
気がつけば、シンは室内にいた。灰色の天井が冷たい印象を与える。
辺りを見回せば、三面コンクリート、一面鉄格子。部屋の中には毛布と簡単な便器。典型的な牢獄である。気がつけば自分も囚人服になっていた。
シンはゆっくりと深呼吸をした。どうやら夢を見ていたらしい。…いつもの、あの夢だ。
「どうかしたのか? 随分とうなされていたな」
隣の独房から声がする。女の声だ。それもどこかで聞いたような…
(フレイ=アルスター!?)
反射的に身構える。が、壁の向こうの声は一つ呆れたように息をついた。
「何もしやしない。君は私とは別の部屋だろう」
「……いや…人違いをしたんだ。悪かった」
「思ったより素直だな。あんな剣幕で怒鳴っていたにしては」
「…………」
シンは口を尖らせ、ぷい、と横を向いた。その気配を感じたか、隣からまた声がする。
「気を悪くさせたなら謝ろう。だがな、一つ忠告させてくれ。ここに入った以上、何もかも諦めたほうが良い」
「……はぁ?」
諦めろ。それのどこが忠告だ?
「君はガンダムファイターだろう?」
「…………」
「隠しても無駄だ。ここには四年に一度、君のような人間が入ってくるからな…罠にかかって」

壁の向こうからの声は、ナタル=バジルールと名乗った。
曰く、ネオロシアは対岸の町にネオロシアのファイターがいると情報を流し、他国のファイターをおびき寄せている。
町に入ったらすぐさま逮捕し、この収容所に放り込む。
こうしてネオロシアは戦わずに勝利を重ねることが出来る。
サバイバルイレブン中は何勝しても変わらないが、決勝で当たる人数を減らし、何より『絶対に負けない』ことを考えれば有効な手だ。
「それでネオロシアのファイターは満足なんですか?」
「さあな…。ファイターにも色々いる。闘いが好きな者、勝利だけに拘る者、何か目的を果たすために否応なく戦い続ける者…」
「……ネオロシアのファイターはどのケースなんです?」
「私も知らない。こんな牢獄で年を取るだけの女が、そこまで事情通だと思うか?」
「あ…すみません。その、何でも知ってるみたいに思えたんで…」
思わず頭をかきながら謝ってしまう。
隣からは、かすかに笑ったような気配がした。

ロンド=ミナ=サハクは、収容所の窓から外を見つめていた。
相変わらず色彩のない空だが、何を期待しているわけでもないのでなんとも思わない。
むしろ彼女が気にしているのは…
「さすがでございますな、ミナ様。我々の手の者を囚人の中に潜り込ませ、諦めの感情を植えつけさせ、ガンダムの居場所を吐かせる……きっとあれも上手くやることでしょう」
「迎合は要らん」
「はぁっ!」
所長は素早く一礼する。だらだらと汗を流して。ミナはそれを振り向くことなく、変わらぬ空を眺めていた。

翌日の労働時間に、シンはナタルの姿を見ることが出来た。
年齢は二十代半ば。短く切り込んだ黒髪、きつい目元。一目で几帳面な女性と分かる。それなりの服を着て、清潔な環境におきさえすれば、かなりの美人と思えたが、半面近寄りがたさがある。真面目さが度を過ぎて男を逃がしてしまうタイプだろう。
「シン=アスカ、何故こちらに来る?」
「え?」
「男の作業場はそっちだ。ガールハントでも企んでいるのか?」
「ち、違います! 失礼しましたっ!」
危うくナタルについていきそうだったシンは、飛ぶように走り去っていった。
彼の背中を見送るナタルは、自分の言葉に苦笑した。
まさか今になっても冗談が言えるとは。
会話は人の頭を回転させる。牢獄生活の長いナタルにとっても、シンとの語らいは頭に新たな刺激をくれる――歓迎すべきものだった。
(牢獄でガールハント、か… 『彼』ならやりそうだが、さすがに『彼女』が黙っていないだろうな)
かすかに笑みを浮かべ、ナタルは仕事場に向かう囚人の流れに乗る。
(懐かしい記憶だ… 二人とも、元気にしているだろうか?)
その日、シンはかなり憂鬱になって戻ってきた。
原因は分かりきっている。
「その様子だと、見たんだな? あれを」
シンは答えない。
仕事場に行く途中に見たもの。直立不動のまま、分解されていくガンダム達。
「ネオロシアの連中は、ああやって他国のガンダムを解析して、自国のガンダムにフィードバックしている。強いわけだ、他国の機密を盗んでいるんだからな」
ナタルは盗みという点で怒っている。だがシンは違った。
(分解されたガンダム達…)
本当ならもっと戦えるはずだったのに、こんなところに押し込められ…
技術の進歩という名目で、研究者に好き勝手に弄くられ…
何故かは分からない。だがシンの中の何かが、あの光景に怯えている。
(何でこんなに気になるんだ。ガンダムって言ったって、極論しちまえばたかがマシーンなのに)
そう強く思っても、悪寒は消えない。
「そう…ガンダムを作った技術者達には、その点で悪いのだが…」
シンが反応を返さないので、ナタルが話を続ける。シンにはありがたいことだった。
「ファイターにとっては、ここは極楽とも言えるな。大会中に姿をくらましたファイターは国家反逆者。ここを出られたところで、今度は追われる身になるだけだ」
「自由はない、と言うんですか?」
「ああ」
「そんなのは気の持ちようじゃないですか。自由なんて…」
自分の声が低くなっている、とシンは自覚する。
どうしてこうも、ナタルとの話は自分の心を抉るのだろう。
「自由なんて、あると思えばあるし、ないと思えばないんですよ」
「悟ったようなことを言うな、君は」
「そういうナタルさんだって、裏事情に随分詳しいじゃないですか。ナタルさんこそファイターだったんじゃないですか?」
「馬鹿を言うな。私はただの…は…」
「……?」
「は、犯罪者…だ」
不自然な沈黙が降りた。
「嘘が下手ですね」
「本当だ! そ、それより、いい加減諦めたらどうだ? 何もかも諦めて、ガンダムの居場所を吐けば、楽になるぞ」
楽になる? 本当に?
シンの脳裏に、金髪の男性の姿が浮かぶ。続けて、褐色の髪の女性――無邪気なセミロングの少女――焼け跡に残された白い腕――全てを見下し笑う、写真の少年!
シンは思い切り、壁に拳を叩きつけた。
隣で驚いたような気配がしたが、気にも留めない。
「……逆に苦しくなるだけだ…」
呻きは地獄の亡者の如く。
隣の独房にいながら、ナタルはシンの中に滾るどす黒いものを見た気がした。

次の日、今度はちゃんと最初から、シンも男性用仕事場に行った。
簡素なつくりの大衆食堂の一角に腰掛け、なんだか分からない赤いスープと固いパンで食事をする。好きになれない味だが、食べられるものなら胃の中に収めたいと思う。
あっという間に平らげ、食器を下げようと席を立つ。
ふと、隣に腰掛けている男を見た。
髭は伸び、髪もぼさぼさで、何より目に生気がない。
(負け犬…)
そんな言葉が頭に浮かび、シンは逃げるように視線をそらした。
見たくなかった。
と、そらした視線の先に、見覚えのある男がいる。
薄い色素。屈強な体躯。生気はあるのに無表情。
「あいつ!」
食器のことなど忘れ、テーブルに飛び乗ると、夢中でシンは走り出した。途中食事を駄目にされた囚人に文句を言われるが、見向きもしない。
彼――フォー・ソキウスがシンに気付いたときは、もう遅かった。シンに飛び掛かられ、倒される。
「!?」
「お前っ! お前のせいで俺は!」
胸倉を掴んで喚いていると、
「貴様、何をしている!」
背後から看守が駆け寄ってくる。
シンは振り向きざま、肘打ち一閃。看守を沈め、彼から素早く銃を奪い取る。
「動くな!」
駆け寄ろうとしていた他の看守は動きを止めた。
「動くなよ…俺はここから出させてもらう!」
ぎらぎらと目を光らせ、シンは宣言した。ゆっくりと足を運び、場を離れていく。
看守も囚人も動かない。ただ一人、ソキウスを除いては。
ソキウスは起き上がり、口元をぬぐうと、いきなりダッシュをかけた。看守に気を取られているシンに体当たりし、そのままもつれ込む。
「っ…お前はまた!」
「静かに。明日、作業が終わる時間に私のところに来てください。ここを出ます」
「何!?」
素早い耳打ち。問い返すより早く、看守が近づいて警棒を振るった。小さく呻いたシンの手から銃が離れた。
続々と集まってくる看守。まるでリンチのように、うずくまるシンを殴り続ける。
立ち上がったソキウスは、やはり無表情でそれを見ていた。
「懲りない奴だな、君も」
作業終了後、全身に打ち身を作ったシンを見て、ナタルは呆れたように言った。
「このままでは殺されるぞ? ガンダムの居場所など早く吐いてしまえば良いのに」
「……そんなことより、ナタルさん、ここを出たくありませんか?」
「な!?」
「お世話になったお礼です。一緒にどうですか?」
「何を…夢物語を言う。ここは海の上だぞ!? たとえ車を奪ったところで、どうやって本国まで行く! 無理だ!」
(あの女と同じ事を言う…)
げんなりとする。それを知らず、ナタルの声は続ける。
「いいかシン=アスカ、諦めきれないのは分かるがな、世の中には個人の情熱でどうしようもできないことは一つや二つどころでなく、ある! これはそのうち最も強固なものの一つだ。無様にしがみつくより素直に諦めた方が身の為だぞ」
ごそごそと身動きする音がする。それっきり、隣からは何の気配もしなくなった。寝てしまったのだろう。
シンは口を尖らせた。
「せっかく教えてやったのに、何だよその言い草」
ぼやきながら毛布に包まり、目を閉じる。今夜はまた一段と寒い。
(ナタルさんは逃げられないって思い込んでるだけじゃないか)
そう思った途端――

世界が割れた。

『早く! 早く走れ!』
フラッシュバック。
それまでの全てが壊れた、あの日の光景。
崩れる建物。閃き消える白い光。耳をつんざく不協和音。
ファイトに巻き込まれ、瓦礫と炎に包まれ、両親が一瞬で消し飛んで。
震えて動けない自分に、あの子供は何と言っただろう。
『お前は走れないって思ってるだけだ。その立派な足があるだろ。生きているんだろ!』
それでも動かない自分を、彼は無理矢理引っ張り……
『アレックス君!? その子は!?』
『トダカさん! こいつ、すぐそこにいたんです。お願いします!』

(分かってるよ。今更あんたに言われなくたって…)
目を開く。天井がかすかに滲んでいた。

「あの少年が動く、と?」
「は、ですがいつどのように動くかは何も…」
「ほう…何を考えているのか、奴は」
「わ、我々に聞かれましても…! そもそもあれに任せたのはミナ様ではありませんか! 最初から、あのようなものを信頼してはいけなかったのです!」
ミナの声に圧され、所長は大声を上げる。思えばこれは自分の失態ではなく、ミナの失態だと気付いたからだ。しかし…
「吠えるな、見苦しい」
所長の喚き声を一言で封じ、ロンド=ミナ=サハクは思案する。
(奴が我々を裏切ることなどありえんが…)

ウミネコ達が陽光の中で鳴いている。
風になぶられながら、ナタルはパンの欠片を小さくちぎり、ウミネコ達に投げていた。
いつからだろう、この日課さえ機械的にこなすようになったのは。
自由に空を舞う鳥達に憧れ、自由を失くした自分を蔑み、惰性のままに生きて。
空を見上げる。今日は珍しく青空だった。ウミネコ達の白い翼が舞い散る。


約束の時間になった。
作業終了後、シンはソキウスと共に歩いていた。
「もう一人拾いたいんだが、やれるか」
「問題ありません」
「何するつもりなんだよ?」
「それは…」
かっ、とソキウスが目を見開く。獣のような咆哮を上げ、拳ですぐ傍の壁をぶち抜いた。二の腕までめり込んだ。
「なっ!?」
咄嗟のことに仰天したか、看守の行動が遅い。その間に、ソキウスは壁の中から金属製の筒を引きずり出した。
「この燃料パイプに、火を点けます!」
――大爆発。
この瞬間、収容所全体が揺れた。アラームがけたたましく鳴り響き、非常ランプが狂ったように明滅を繰り返した。地上では燃料タンクが爆発し、倉庫の一部も誘爆して、大量の物資とたまたまそこにいた職員が吹っ飛ばされた。
一体何が起こったのかと考えている暇も無く、軍人と職員が必死に秩序を回復しようとする。消火と、囚人の脱走を防ぐため、管理側の人々は駆けずり回り、チャンスと見て取った囚人たちは必死に脱走を試みていた。
小規模な爆発が繰り返され、怒号と悲鳴が交錯する中を、一台のトラック型エアカーが突っ切っていく。乗っているのは、この混乱を引き起こした張本人たちだ。
「無茶なことを…げほ…するなっ、お前達!」
「出られたんだから文句言わないで下さい、ナタルさん!」
赤鉢巻に赤マント、いつもの格好に戻ったシンが荷台に座って、同じく荷台のナタルに怒鳴る。
「文句は言わんが! その布切れで私を一本釣りするとはどういう発想をしている! 死ぬかと思ったぞ、あれは!」
「はぁ? 鉢巻が武器になるのは常識じゃないですか」
「どこがだっ!?」
「あまり暴れないで下さい。バランスが崩れます。車体に余計なダメージは積ませたくありません」
運転しているのはソキウスだ。我に返ったナタルが叫ぶ。
「だが正面は海だぞ!?」
「問題ありません。しっかりと掴まっていてください」
あくまで淡々とした物言いだが、口調とは裏腹に、ソキウスは思い切りアクセルを踏んだ。
加速がつく。慌てて荷台の二人は縁に掴まる。
収容所正門を体当たりで弾き飛ばし、エアトラックはついに海に出た!
「これは…」
呆然と、シンが呟く。
「こ…凍っている。そうか、昨日の寒さで凍っていたのか!」
ナタルが歓喜に震えて吼える。
北国の海は、寒波に耐え切れず、固く凍り付いていたのだ。視界のどこまでも、氷の煌めきが満ちていた。夕日の光を浴びて、うっすらとした冷気の霧はオレンジ色に照らされ、光輝を溢れさせている。
それは束縛から自由への、輝かしい道とナタルには思えた。
「出られた…はは、はははははは! 出られた! 私は、私は自由だ! はははははは! 自由だぁっ!!」
氷上をひた走るエアトラックの上で、嬉しさの余りナタルはシンに抱きつき、叫び続けた。嬉し涙まで出てきている。
「あ、その、ナタルさん…」
少々まごつきながらも、シンはされるがままになっていた。

「レーダーに反応が戻った!?」
急いでルナマリアはコアスプレンダーのエンジンをかける。
「シンの馬鹿! 見つけたら心配かけた分とっちめてやるんだから!」

「脱走だと!? 奴は何を考えている!?」
ネオロシアの収容所管理室では、所長が処理に追われている。
ミナは深い笑みを浮かべ…一転、鬼の顔になった。
「ボルトガンダム!」
鞭の音が寒気に響き渡る。
半壊した倉庫の天井から、轟音と共にガンダムが首を突き出した。
「もう少しで街だ。あそこまで行けば、とりあえずは…!」
「いえ、そうも行かないみたいですよ」
「何?」
シンの言葉に誘われるように、ナタルは後ろを見上げた。そのままで固まった。
頭上に、巨大な人型兵器がいる。
「ガンダム…」
ナタルは呻く。恐れや焦りとは違う何かを滲ませて。
「来るのが早すぎる! ナタルさん、まさかあいつらに…」
「違う! 私がそんな破廉恥な人間に見えるか!?」
「……見えません、はい」
という会話を荷台でしていると、頭上のガンダムが攻撃を仕掛けてきた。バルカンの一連射がエアトラックをかすめる。
「きゃあああっ!?」
「ち…このぉっ!」
シンはナタルを左に抱え、荷台から飛び降りた。右手が輝いた。
雨のように降ってくるバルカン。それを真正面から見据え――
「てぇぇぇらぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
気合一声。ばらばらと弾丸が周囲に落ちる。
向かってくるバルカンの弾を右手で受け止め、弾き返したのだ。
「……君は人間か?」
「それ以外の何に見えるんですか!」
「いや、こうも常識を破られると、どうも…」
「俺の知り合いに少なくとも一人、同じこと出来る奴がいますよ」
「…………」
とやっている間に、エアトラックはスリップして氷上を疾走、いくらも離れないうちに爆発炎上した。
はっとする。まだソキウスは乗っていたはずだ。
振り返れば、エアトラックは派手に炎を吹き出していた。それをバックに起き上がるのは色素の薄い巨漢。表情は変わらず、能面のまま。
「まさか、あいつがスパイ…?」
シンが呆然と呟いたところに。
「シ――――――――ン!!」
聞きなれた声とエンジン音が近づいてくる。
滑空してくる小型戦闘機と、操縦席からのぞく赤毛は!
「ナイスタイミングだ、ルナマリア!」
「あったりまえでしょ、こっちはずっと待ってたんだから! …誰、その人」
「ナタルさんだ。俺と同じく捕まってた。頼む」
「…後で事情聞かせてもらうわよ!」
「こっちこそ、その無駄に高そうなコートの件は聞かせてもらうぜ」
「し、仕方ないでしょ! 防寒着が…」
釈明は皆まで言わせない。
「出ろぉぉぉぉっ! ガンッダァァァァァァム!!」
氷の世界に、小気味良い指の音が響き渡る!

「そうか、わざと脱走させてガンダムを出させたのか。人形と侮っていたが…やるな」
司令ヘリの中で、ミナは呟く。
「よくやった、フォー・ソキウス。あとはこちらに任せて…」
『申し訳ありませんが、ミナ様』
「む?」
『この戦いは、私に任せていただきたいのです』
「何だと!?」
ミナは目を剥いた。
ソキウスが自分に任せろと言った。それも、自分の命令に抵抗してまで。
「フォー・ソキウス! 何を考えている!」
『分かりません。私にも分かりません。ですが、彼と戦いたいのです。それだけなのです』
「いかん、命令に従え! ネオロシアの利益を妨げる気か」
『私の勝利はネオロシアのためになります』
「…………」
そう言われてしまえば、ミナには返す言葉はない。


澄んだ音を立て、ビームチェインが弾け飛ぶ。
ロンド=ミナ=サハクは、自分の要望を受け入れてくれたのだ、と理解した。
通信回線を切り、フォー・ソキウスは目の前に出現した敵を見据えた。
随分と華奢で地味だ。
通信が入ってくる。ネオジャパンファイターの顔が映る。
『ソキウス!』
「…………」
『礼は言っておく。やっぱりお前もファイターだったってことだろ? お互い、小細工はなしで行こうぜ!』
好戦的な赤い瞳が光っている。
「同意します。シン=アスカ」
ソキウスは答えながら、自分が笑っていることに気がついた。
『ガンダムファイトォォォ!!』
「レディィィ! ゴォォォォォ――――ッ!!!」

「始まったか! ガンダムファイト!」
「ナタルさん、こっちこっち! 潰されちゃうわよっ!」
「すまない、ルナマリア」
「……あたし自己紹介したっけ?」
「シンが君をそう呼んでいただろう」
「あ…ああ! そっか」

シンは突進をかけた。
ボルトガンダムが肩の鉄球を飛ばす。右手に握った筒からビームチェインが伸び、分離した鉄球につながる。そのまま頭上で振り回す。
『グラビトン・ハンマァァ――ッ!』
気合と共に繰り出された鉄球を、横に飛んで避ける。ハンマーが氷を突き破り、海に沈む。
「今っ!」
短く息を吐いて、シンはボルトガンダムに肉薄した。攻撃を外した敵は、バランスを崩している。対応も遅い。
「もらったぁぁ!」
勝利を確信し、シンはボルトガンダムの頭部に拳を入れた!
「ヒットォ! ……お?」
『…………』
全く傷ついていない。
それどころか、シンの非力さを嘲笑うように、軽く首を動かし、音まで鳴らしてみせた。
中のソキウスにしてみれば、ただ調子を試したかっただけであるが、その動作がシンの焦りを煽る。

「嘘!? インパルスのパンチが効かない相手なんて!」
『ふ、我がネオロシアの技術を甘く見るな』
「盗人が言うことか、貴様ぁ!」
「ぬ、ぬすっと? どういうこと、ナタルさん」
「……後で説明する!」
「そ、そういえばこいつ、あのときも」
シンは思い出す。最初に脱走しようとしたときも、奴の腹筋に阻まれて何のダメージも与えられなかった。
ボルトガンダムの顔は、当然ながら無表情だ。だがシンにはソキウスの無表情さが重なって見えた。
彼が両手を組む。振り下ろされるそれを、眺めることしか出来ずに…
「……って、同じ手でやられてたまるかぁ!」
シンは慌てて自分の両手でガードした。
圧が来る。ガードが完全に間に合わず、ダメージを流しきれない。
シンは小さく呻いた。バランスが崩れる。インパルスの足が氷を少しだけ踏み砕く。
『……!』
そのままボルトガンダムはインパルスの右腕を掴み、思い切り捻じ曲げた。肘がきしむ。
痛みに耐え切れず、シンは咆哮した。左手でボルトの腕を外そうとするが、圧倒的にパワーが足りない。
『ここまでですか』
「何!?」
『ここまでなのですか、シン=アスカ。ソキウスである私に戦いたいと思わせたあなたも、所詮はここまでの人間なのですか』
「な…何言ってる…意味分かんないぞ…!」
『私はフォー・ソキウス。四番目のソキウスです』
「四番目…!? ソキウスって、あんたの名前じゃ…」
『ソキウスとは戦闘用コーディネイターの名称です。我々はネオロシアに作られ、ネオロシアのために働きます。ネオロシアの不利益となることはできません。そう作られているからです』
「……!」
シンは理解した。目の前の男が、自分達コーディネイターどころでなく、まさしく『作られた』人間であることを。
『我々はネオロシアのためになることならば何でもします。今回のことも、そのままミナ様にお任せすれば、確実にネオロシアのためになったでしょう』
「…………」
『ですが、私はあなたと戦いたいと思ってしまった。その欲求が抑え切れなかった。ですから、勝てばネオロシアのためになると結論付け、あなたを逃がしたのです』
「…………」
『ですから…あなたがこの程度であれば、ネオロシアの利益になります…それは嬉しい…ですが…』
ふとシンは、ボルトガンダムから映像が来ているのに気がついた。痛みと、思わぬ話のショックとで気付かなかったのだ。
画面の中で、ソキウス――フォー・ソキウスは、複雑な表情をしていた。
『ですが、私は……期待して…いえ…ネオロシアを裏切りかねない行動を…いいえ…ですが倉庫の爆破はネオロシアの被害に…しかし…』
妙に歯切れが悪い。何を言いたいのかも伝わらない。
上手く考えがまとまっていないのだろう。だがシンは、考える時間を与えるほど優しくもなければ余裕もない。
それに、ネオロシアと連呼する彼の言葉のほとんどは雑音と思えた。
ただ一つ、最初に言いかけすぐさま打ち消した『期待』という言葉のみ、理解できた。
「それなら今から…楽しませてやるよッ!!」
叫ぶと同時、思い切り頭突きを食らわせる。
フォー・ソキウスが怯み、力が緩んだ。その隙にシンは右手を引く。
肘関節が悲鳴を上げているが、やるしかない。普通の力でボルトに打撃は与えられないというのなら!

「俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶっ!!」

気合とエネルギーが右手に流れ込む。何かが腕の中で暴れているような感覚。
(もってくれ、俺の右腕!)
この一撃に全てを賭けるしかないのだ。


「砕けぇっ! 必殺!
 パルマッ! フィオッ!! キィィィナァァァァァァッ!!!」


「とらえたっ!」
ルナマリアが歓声を上げた。確かにインパルスの輝く右手が、ボルトの顔面を鷲掴みにしている。
「いや、相打ちだ」
「え?」
冷静なナタルの声に現実に引き戻され、よく見ると、ゆっくりとインパルスの右手から光が消えていく。
「右腕の回路がもう限界だろう。あれ以外の手段で、ネオロシアのガンダムに有効打を与えられるなら話は別だが」
「…………」
そんな武装はインパルスにはない。パルマフィオキーナの一撃に全てを賭けている、と言っていい機体なのだ。
「……ま、いっか。無事だったんだし」
ルナマリアは笑った。

ボルトガンダムが氷の海にゆっくりと倒れ、沈む。
「回収班急げ」
短く指示を出すと、ミナはボルトガンダム…いや、フォー・ソキウスを見下ろした。
とても面白そうに。

ネオロシアの回収班が、ボルトガンダムを引き上げていく。
「……噂だけならば、聞いたことはあった」
中から出され、連行されていくフォー・ソキウスを見ながら、ナタルは口を開いた。
「コーディネイターの究極を目指し、逆らうことのない優秀な兵士を量産する……誰の子供でもないから誰にも気兼ねすることはなく、初めから作られた命だから破棄するにもそれほど良心は痛まない……」
脇で聞くルナマリアは、複雑な思いをしていた。
「ネオロシアへの絶対服従なんて…それじゃただの人形じゃないですか…」
「人形か。そういえば昔コーディネイターもそう呼ばれていたな」
「…………」
「奴は生まれたときからネオロシアの囚人なのだろう。人工的に作られたファイター… 奴こそがコーディネイターとガンダムファイトの行き着く先なのかもしれん」
そのナタルの言葉に、ルナマリアは返す言葉を持たない。

「お前、名前はないのか?」
「固体名は存在しません」
「不便だな…フォー・ソキウスって一々呼ぶのもな…」
「ソキウスで構いません」
「それじゃお前一人を呼んでることにならないじゃないか。んー…フォウ、でいいかな」
「いけません」
「なんで?」
「以前ミナ様に『それだけはやめろ』と釘を刺されています」
「あ、そう…それじゃ…」
と言っている間に、ネオロシアの軍人達がフォー・ソキウスを連れて行く。
「あ、待てよ! まだ話途中…」
「身の程をわきまえろ、シン=アスカ」
「う!?」
見れば、ヘリの近くで、黒髪に黒マントを羽織った女性がこちらを見ている。
視線が重い。
「このままお前を収容所に放り込むことも出来るのだぞ」
「……だから感謝しろってのかよ」
「少しは場の空気を読めと言っている。ネオロシアの勢力下にいるのは変わらんのだからな」
シンは目をそらし、舌打ちを一つした。だがそれだけでは終われない。
このまま圧されっぱなしでたまるか。
懐に手を入れ、写真を掴む。ミナの目を見据え、近づいていく。
ミナの目元が、「面白い」とでも言いたげに動いた。構わず、シンは写真を突き出す。
「こいつを探してる。あんたたちのところで捕まえていないか」
「ふむ?」
ミナは写真を受け取り、少し目を細めて、答えた。
「キラ=ヒビキ、か」
「知っているのか!?」
勢い込むシンに目を戻し、ミナは続ける。
「遺伝子工学の権威、ユーレン=ヒビキ博士の一人息子だろう。キラ=ヒビキ自身もまた優秀な科学者と聞く。そちらの世界の人間ならば知っている顔だ」
「あ…」
意表を突かれたように黙り込むシン。それを見て、ミナは写真を返した。
「最も、私は会ったことはないがな。今どこで何をしているのかも知らん」
「……ならいい」
シンは写真を受け取り、懐に戻した。
「そういえば…」
シンの動きが止まる。
「何だ!? 何か思い出したのか!?」
「いや、大したことではない。ユーレン=ヒビキ自身の子供は確かにキラ一人だったが、養子として他にも子供を育てていたな」
「!!」
「名前は確か…シンとマ」

ドガッ!!

何の前触れもなく、シンはミナを殴り飛ばした。黒髪が広がる。ヘリの外壁に衝突し、ミナは苦鳴と共に肺の中の空気を吐いた。
一斉にネオロシア軍人の銃がシンに向けられる。
「何をする、貴様! ミナ様に向かって!」
「黙れ! こいつは人の触れてほしくないところに踏み込ん」
パン、と間抜けな音がした。
頭を鋭い衝撃が襲う。
シンが知覚できたのはそこまでだった。

「ごめんねナタルさん、こんなことさせて」
「いや…彼には恩があるからな。しかし…」
言葉を濁しながら、ナタルはルナマリアに拳銃を返した。
「しかしゴム弾とはいえ、こんなもので止めろとは」
「全くよねー。うちのメカニック、あたしが射撃が苦手だって事分かってて、こんなの渡すんだから」
「いや、そういうことじゃなく…」
気楽に言うルナマリアに、ナタルは訂正をしようとして、やめた。
コーディネイターの基準なんて分からない。そう思った。
「で、ナタルさんはこれからどうするの?」
「私は…逃げるよ。逃げて、逃げて、自由を手にするまで逃げ続ける。私もまた自由を諦めてしまったファイターだったことを、思い出してしまったからな…」
自嘲気味に笑うナタル。
それでも、広がる空の下、夕日に照らされた彼女の笑顔を、ルナマリアは綺麗だと感じた。


次回予告!
ドモン「みんな、待たせたなっ!
    ネオジャパンのコロニーに送り返されたシンを待っていたのは、恐るべきテストだった!
    写真の男、キラ=ヒビキとシンとの関わりは何なのか!
    最強最悪といわれる、デビルフリーダムとは!
    シンとルナマリア、二人の旅の真の目的が、今、明らかになるッ!
    次回! 機動武闘伝ガンダムSEED DESTINY!
    『闘えシン! 地球がリングだ』にぃ!
    レディィ… ゴォォォ――――ッ!」
『レディィ… ゴォォォ――――ッ!』


ステラ「うぇーい! おつかれ!」
ルナ「今回はわりかし楽だったわねー」
シン「お前だけなっ!」
ルナ「あ、あはは…だってほら、シンは主人公だし! いろいろ障害があって当然でしょ?」
シン「う? た、確かに…」
ドモン「主人公の一言で容易く誤魔化されるとは、修行が足りんぞシン!」
レイ「ドモン師父が言えたことでは…」
ヨウラン「……で、ノロウイルスおさまったの?」
ヴィーノ「さあ」
レイ「名前を出してしまった以上、次はキラ=ヤマトを出すしかない。アスランのように降板させるわけにもいかんな」
タリア「もしもの場合、キラ=ヤマトに関しては、ピンチヒッターを確保しているわ。あなたたちは自分の演技に専念しなさい」
一同『ピンチヒッター?』

メリオル「ミネルバから通達です。第六話の撮影日は念のために空けておいてくれ、と」
カナード「第六話… 奴の件か。報酬は?」
メリオル「傭兵部隊『X』全員にステーキ定食、だそうです」
カナード「…………」
メリオル「いかがいたしますか」
カナード「待機のみの場合、俺達全員にステーキ定食と杏仁豆腐。実際に演じる場合は寿司とフカヒレ追加だ」
メリオル「了解。通達します」

アビー「ひ、人の足元見くさってぇぇ!!」

女二人の交渉合戦の結果、待機のみでステーキ定食、実際に演じれば寿司追加、で落ち着いたらしい。
「今回の分だ」
「こっこれはっ! あの『鉄の女』ナタル=バジルールの赤面顔!」
「素で驚くナタルさん、かーいーよかーいー!」
「鬼監督タリアのしごきに若干涙目のナタルさんハァハァ」
「ローエングリン! 照準盗撮集団! てぇーっ!!」

どかーん

「いやあ、大人気だね君」
「黙って下さいアズラエル理事! こうなるから出るのは嫌だったんですっ!」
235通常の名無しさんの3倍:2007/02/07(水) 11:42:06 ID:???
電波を受信してしまった…
しかも全然コンパクトに出来なかったorz
こんなんなのに過去のネタまで使わせてもらってます。申し訳ない…
236通常の名無しさんの3倍:2007/02/07(水) 15:02:57 ID:???
いやいや、GJっすよ!

ところで、壮年の金髪の男性は・・・ユーレン・ヒビキ博士でいいの?
あの、マッディー親父で
237235:2007/02/07(水) 20:12:31 ID:???
ありがとう! 今回かなり冷や冷やしてたので…。

で、はい、そのマッディー親父です。描写を間違えていたらごめんなさい、指摘していただけると助かります。
238通常の名無しさんの3倍:2007/02/07(水) 23:25:30 ID:???
2、3、4話が…
第六話…の前に

ラクス「ホーッホッホッホ! 全国一億二千万人のラクシズファンの方々、な・が・ら・く、お待たせいたしましたわね! わたくしラクス=クラインの名の下に、ラクシズ完全復活を宣言いたしますわ!」
キラ「というわけで帰っていいよ、君」
カナード「それが本業を蹴ってまで待機していた代役にかける言葉か貴様ぁ!!」
アビー「では約束どおり報酬はステーキ定食のみですね」
カナード「チッ、寿司より杏仁豆腐を優先させるべきだったか…」
メイリン「え、ええと、ごめんみんな、苦労かけました!」
ルナ「メイリィィ――ン! ああ、よかった、よかった…」
メイリン「や、やだなお姉ちゃん、泣かないでよ恥ずかしいなぁ」
ステラ「うぇーい! メイリン、よかった! ルナ、よかった!」
レイ「これでルナは救われたな」
シン「でも劇中にはまだ出てこないのに」
レイ「ツッコミの苦労を知る者がいるといないとでは大違いだ」
シン「そんなもん?」
アスラン「お、俺の役…」
イザーク「貴様が不甲斐ないのが悪いのだ。全く、ノロウイルス如きにヤキンの英雄が倒れるとは何事か!」
アスラン「イザーク…」
イザーク「悔しいと思ったら新たな役で輝け! それが貴様に出来る全てだろうが!」
アスラン「……ああ! ありがとうイザーク!」
ディアッカ(おい、やけに優しい言葉かけるじゃん? 『ヤキンの英雄』なんて持ち上げるし)
イザーク(馬鹿者! 我々がこの役を得たのは奴が失調したおかげだということを忘れるな!)
シホ(つまり隊長は後ろめたいんですね)
ユーレン「あー、その、撮影現場はここでしょうか?」
シン「え? ええ、そうですよ。ひょっとして今回の役者ですか?」
ヴィア「ええ、少しだけあの世から舞い戻ってきたんです」
シン「ああ、あなたがたが! よろしくお願いします、俺、シン=アスカです!」
ヴィア「よろしく、シン君」
キラ「…………」
ラクス「どうなさいました、キラ?」
キラ「本当の両親って言われてもピンとこないなーと思ってさ」
ラクス「あらあら」
ユーレン「君がキラ…なのか?」
キラ「ええ、僕がスーパーコーディネイターの『キラ=ヤマト』です」
ユーレン「…………」
メイリン「キラさん、まさか狙ってやってます?」
キラ「何を?」
メイリン「……いえ、何でもないデス」


アーサー「本番行きまーす! 3・2・1・Q!」
「せっかく来ていただいたのに、このネオ京都もこんなありさま。大したもてなしも出来ませぬが…」
「いい。人と待ち合わせているだけだ」
ネオキョウト。ネオナラと並ぶ、ネオジャパンの古都。
ネオジャパン人ならば、常識として知っている。地球の現状を伝えるための典型例として、社会の資料集にはよく載っているし、TVでもたびたび取り上げられるのだ。
そう、ネオジャパン人なら知っている。ここがかつてはどれほど栄えた都市であったのか。
シンはそれを知らない。だからこうして、崩れかけた寺にいながら、外の景色を目に焼き付けようとする。
ルナマリアと合流するまでの時間、『自国』の姿を胸に刻んでおこうと思った。
しかし、ふと自分の感傷が自分の決意と矛盾しているような気がした。
地に目を落とす。
「お連れ様、ですか」
声をかけながら、住職が茶を出してくる。シンはごく自然にそれを受け取った。
「ああ。そいつに会ったらすぐに発つ。少し早く来すぎたらしいな」
言って、茶をひとすすり。
「いえいえ。ルナマリアさんはどのみちいらっしゃいますよ」
「!?」
何故知っている!?
目を剥いて振り向く――と同時に、視界が揺らぐ。
「薬…!?」
湯飲みを取り落とした。茶が畳にぶちまけられるが、気にする余裕はない。急速に意識が遠のいていく。その中でシンは、住職が合掌しながら、にんまりと笑ったのを見た。
(なんの…つもりだ…!)
叫ぼうとしたが、体は言うことをきかない。
そのままシンは倒れ付した。懐の写真がひらりと宙に舞い、落ちる。
それを拾ったのは、住職ではなく――語り部たるドモン=カッシュ。

「さてみんな、準備は良いか?
 今日はいよいよ、この写真について話すことになる。
 そう、この写真の少年……
 既に名前だけは、ネオロシアのロンド=ミナ=サハクが明かしていたな。
 『キラ=ヒビキ』。果たして彼は何者なのか。何故シンはこの少年を捜すのか…
 全ての答えは、今日の対戦相手――史上最強のデビルフリーダムが教えてくれるだろう」

ドモンがマントをばさりと脱ぐ。
下から出てきたのはピチピチの全身黒タイツ、即ちファイティングスーツだ!

「それではッ!
 ガンダムファイトォォ! レディィ…ゴォォォ――――ッ!!」
第六話「闘えシン! 地球がリングだ」

空を埋め尽くすMSの大群。
戦争とは無縁となった現在でも、もしものために軍は存在する。その『もしも』が眼下に起こってしまっている。
郊外の高級住宅に赤いマグマが噴出している。
「第一小隊、第二小隊! エリアAからFを! 第三小隊から第五小隊、エリアGからLを囲め! いいか、奴が一瞬でも姿を現したときが唯一のチャンスだ! 絶対に外すな!」
隊長機に乗る金髪の男が叫ぶ。視線は眼下のマグマ帯に注がれたまま。
ちらり、とマグマの中から何かが顔を出した。
「てぇーっ!!」
号令と同時、あらん限りのミサイルが『何か』に飛んでいく。ことごとく着弾、爆発し、煙はマグマを覆い隠した。
『やった…クルーゼ隊長、やりましたよ!』
「油断するな! 奴は…!」
部下に釘を刺す間もなかった。
煙を突き破り、虹色の光線が空を薙ぎ払う。直撃はしない。機体をかすめ、腕や足を蒸発させていく。
『うわああああっ!?』
バランスを崩し、落ちていくMS部隊。
「ちぃっ!?」
唯一全弾かわしたクルーゼ隊長も、バランスを崩していた。部下の安否を気遣っている暇はない。バランスを建て直し、サーベルを手に取る。
「やはりこの手で始末をつけるしかないか…!」
MSを飛ばす。『ジン』と呼ばれるこのタイプは旧式であるが、クルーゼの癖のある操縦には一番合っていた。
「コクピットに一撃! それで終わりだ!」
煙の中の巨体に、矢の如く近づき――
瞬間、巨体が舞い上がった。
「な!?」
舞い上がったように見えた。
蛇腹が伸びる。見慣れたフェイスが遥か高みからクルーゼを見下ろす。
クルーゼは背筋が凍りつくのを感じた。
「デビルフリーダム…!」

ひときわ大きな爆発が起きた。

「もう一年経つのか…」
「はい。ようやくこの辺りも復興し、事件の面影すら残っておりませんが…」
「ま、ほっといたままにはしとけないからねぇ」
エアカーの後部座席で、ユウナ=ロマ=セイランは相槌を打つ。前で運転しているのはラウ=ル=クルーゼ、一年前にここで悪魔と交戦したクルーゼ隊長である。最も、今は顔の半分を隠す仮面をしているが。
「他のコロニー国家に知られるわけにもいかないし」
「ええ、その通りです」
「でも、そのためにガンダムファイトを利用されちゃ困るんだけどなぁ」
どうにかならないか、と言いたげに、ユウナは頭をかいた。
セイラン家の嫡男ユウナは、ネオジャパンのガンダムファイト委員長である。国際ルールは百も承知だ。今回のファイトで優勝したらネオジャパンの首相に、という自身の野心も合わせて、余計な波風や障害を立たせたくないのだ。
彼は、今直面している事態がどれほどのものかを知らない。
「申し訳ありません」
と、こちらはあくまで腰の低いクルーゼ。
「…ですが、まずはテストをご覧下さい。シン君は間もなく目を覚ますでしょう。そう、これから彼が見る幻想は、長いアカデミーの修行から帰ったその日の出来事なのです……」
「悪趣味だね。その仮面も合わせて」
「褒め言葉と受け取りましょう」
エアカーは一つの建物に入っていく。かつては豪邸だったであろう廃墟に。

――シン… シン…
「う…」
――ねえ、起きなよ。いつまで寝てるつもりなんだい?
「待ってくれ…頭が妙にガンガンする…」
誰に話しかけられているのかは分からない。それでもシンは、痛みを抑えてうっすらと目を開けた。
ぼんやりとした像が、徐々に一つになっていく。目の前の少年がはっきりとしてくる。
「……え?」
まばたき一つ。
シンは自分の状況が分からなくなっていた。
さっきまで寺にいたはずで…薬を盛られて…でもここは確かにヒビキ家、つまり自宅。
目の前にいるのは…褐色の短い髪に紫の大きな瞳、整った顔立ちの少年は…
「キラ…兄…?」
「どうしたのさ、シン。また寝ぼけて夢と現実とごっちゃにしたの?」
キラが笑う。
「え…ああ…」
そうか。今までのは夢だったのか。
そうだよ、そんなはずないじゃないか。いくらキラ兄がさりげなく自信家でSっ気があってキレると何するか分からない奴だとしても…
「もう、お兄ちゃんったらぁ! また昔の夢見てたんでしょ!」
隣からも声がする。
振り向けば、そこには最愛の義妹がいた。
「マユ…」
「せっかく帰ってきたんだから、もっとリラックスして! お兄ちゃんが悲しいとマユだって悲しいもん」
「ああ…!」
シンは思わずマユを抱きしめた。いきなりの抱擁に目を白黒させるマユ。
「相変わらずマユには甘いんだからなぁ、シンは」
「うっさい、キラ兄! 俺はこう、兄貴としてだなぁ!」
涙目になりつつも、振り向いてキラに噛み付く。
と…
「お帰り」
壮年の男の声。
「ちゃんとご飯食べてた?」
年かさの女の声。
そちらを向けば、ソファには一組の男女が座って、笑ってこちらを見ていた。
ユーレン=ヒビキ。ヴィア=ヒビキ。
キラの実の両親であり、シンとマユの義理の両親。
「た…」
シンはマユを放した。両親に向かい、敬礼する。
「ただいま…。父さん、母さん」
それを見たキラとマユは、顔を見合わせ、いたずらっぽく笑った。

「大丈夫なのかい、クルーゼ君?」
「ガンダムファイト国際ルールのことですか?」
「そうだよ。一度地球に下ろしたファイターを、ファイト期間中にコロニーに戻してはいけない。ちゃんと決まってるんだ。それをわざわざ破って、やるほどの価値があるの? このテスト」
「ご心配はもっともですが、このままではユウナ委員長も安心できないのでしょう? シン君を信用できないのでしょう?」
「まーねー」
「このテストで、シン君が今回の事件を解決するのに最適な人物であると立証できるのです。やる価値はあると愚考しますが」
映像越しにヒビキ家の団欒を見ながら、ユウナは一つ唸った。
マユに誘われ、シンは外に出た。
気が進まなかった。リビングを出たら、この平穏が…家族が全て崩れてなくなってしまいそうで。
「どうしたの? そんなに怖がるお兄ちゃん、お兄ちゃんらしくないよ」
「そうそう。怖がりは僕の役目じゃないか」
「キラお兄ちゃん、そんなこと言ったら情けないよぉ」
などとじゃれあいながら外に出ると、そこは玄関先。いつもの場所だった。
日が傾きつつあり、空が群青に染まりゆく。家の壁も玄関先のアスファルトも、うっすらと群青に染まっている。
マユが駆け出した。近くの茂みから飛び縄を引っ張り出してくる。
「あ、マユ! ちゃんと片付けなさいって言ったじゃないか!」
「だってキラお兄ちゃん、シンお兄ちゃんが帰って来るんだもん! ここに隠しておけば、いつでも練習できるから」
「……練習?」
「うん! 見ててお兄ちゃん、マユね、二重とびが連続十回できるようになったんだよ!」
言いながら、マユは縄を広げて構える。
(そうだ…マユは縄跳びが苦手で、いっつも俺が教えてたんだ)
軽やかとは言いがたい縄の音をさせながら、マユが二重とびを披露する。
七回、八回、九回… ぱん!
「あっ! ひっかかっちゃった…」
「でも凄いじゃないか、マユ。僕が見てたときは七回が精一杯だったのに」
「うん… でも、もう一回やる! ちゃんと昨日は十回できたんだもん!」
そう言って、また挑戦するマユ。
(昨日、か…)
どうしてこの光景が消えると思ってしまったのだろう。
家から出れば玄関先がある。兄弟三人で遊んだ、『いつもの場所』がある。当然のことだ。
(何考えてたんだよ、俺…)
…七回、八回、九回… 十回、十一回… ぱん!
「やった! マユ、新記録だよ! 十一回だ!」
「わーい! シンお兄ちゃん、見ててくれた!? …お兄ちゃん?」
シンを見る二人が、心配そうな顔つきになる。
「シン? どうしたの?」
「……いやさ、マユのがんばりに感動したんだ」
震える声で言って、シンは後ろを向くと、目をこすった。
と、視線の向こうに見覚えのある赤い跳ね髪が見える。
「……ルナ?」
「シン…」
視線が合う。ルナマリアは、何か申し訳なさそうな顔をしていた。
「どうしたんだよ? 何か用事か?」
「誰、友達?」
「ン… ああ、アカデミーの同期。ルナマリア=ホークって言ってさ、気が強い女で。特技はマグロの目と当たらない射撃」
「なぁんですってぇ!?」
「うわ!? い、いつの間に近づいてきたんだよ、ルナ!」
「あ、お姉ちゃん、ひょっとしてシンお兄ちゃんの彼女?」
『ちっがーう!』
「俺とこいつはただの同期!」
「そ、そうそう! ただの友達よっ!」
「甘い甘い。そう言って年頃の女の子はごまかすんだよっ」
「マ、マユ、どこでそんなこと覚えたの」
「キラお兄ちゃんのパソコンを借りたら、色々出てきたの」
「ええーっ!? あのプロテクトを突破したのか!?」
「キラ兄ぃぃぃ!! 妙なこと教えるんじゃねぇ!」
「僕のせいっ!?」
「残念でしたー! シンお兄ちゃんは渡さないもん!」
「だから違うってば! なあ、ルナ!」
「え、ええ! 違うわよ、マユちゃん、だから安心して…ね…?」

ルナマリアは早々に会話を打ち切り、その場を離れた。
最初は歩き、段々と駆け足になって。最後には全速力で。涙が流れるに任せ、拭わず。
完全に離れ、荒い息をつきながら、瓦礫に倒れこむように座る。そのときになって初めてルナマリアは振り向いた。
そこには――廃墟のアスファルトで、ただ一人しゃべり続けるシンがいた。
やがて誰かと小突きあうように、ふらふらと歩いて、なんでもない瓦礫に座る。
「……うまいよ! やっぱり母さんの作る料理は最高さ!」
そう言うシンは、何も食べていない。ただ、仕草をするだけ。
闇の中のパントマイム。シンは自分が道化であることを知らない。
ヒビキ家の食卓には写真が一枚飾られてある。
肩を組んで笑うシンとキラ。シンの背に乗っかって悪戯をするマユ。それを見守るユーレンとヴィア。
幸せな一家の象徴とも言える。
「それ、俺がアカデミーに行く前に撮っといた奴だよな?」
「うん。確か六年前だったよね。シンがアカデミーに行ったの」
「ああ、そうだよ。六年間、ひたすら修行修行修行、でさ」
「お兄ちゃんは強い人になるんだもんねっ」
「ああ! 強くなって、マユもキラ兄も母さんも父さんも守ってみせる!」
「じゃ、まずは僕に勝たないとね」
「言ったなキラ兄? 久々にやるか?」
「僕は受けて立つよ?」
「へっ、昔の俺と同じと思うなよ! シン=ヒビキ復帰後第一回食卓ファイト!」
「レディィィ…!」
「やめないか、キラもシンも。マユ、調子に乗ってストップウォッチ持ってくるんじゃない」
「もう。今日はシンが戻ってきたお祝いよ? そういう殺伐としたことは後でね」
「ちぇっ、そんなこと言われたら仕方ないか。キング・オブ・ハートの実力を見せてやろうと思ったのに」
「キング・オブ・ハート? じゃあコロニー格闘技覇者のシン=アスカって」
「俺のこと! ヒビキって名乗ると周りが親のコネだ何だってうるさいから、昔の名前で出たんだ。ほら、証拠の紋章」
「すごーい! お兄ちゃん!」
「まあねっ! これも俺の実力さ!」
「そっか…じゃあ次は僕の番だな」
「キラ兄の番?」
「そう、私とキラも完成させたんだ。人類の夢をね」
そうユーレンが言うと、ヴィアは少しだけ体を固くした。
「いいじゃない、今日はお祝いなんだから、そういう研究の話は抜きにしましょうよ」
ふと、シンは我に返った。
研究一辺倒の義父ユーレン。それをなじり、自分達に優しくしてくれる義母ヴィア。元々の性格か、連れて来た責任感からか、自分達の面倒を見る義兄キラ。
義父は自分やマユを鬱陶しがってたのではないかと思っていた。それがシンをアカデミーに行かせる動機のひとつともなった。
だが、少なくとも今は、ユーレンは自分が帰ってきたことを喜んでくれている。
ヴィアは、今日だけでもユーレンの心が研究に舞い戻らないようにと願っている。
シンはそう理解すると、目の前の料理にかぶりつき始めた。
「し、シン? どうしたの?」
キラの言葉に反応は返さず、ひたすら料理をかきこむ。
「もぐ…むぐ…うまいよ! やっぱり母さんの作る料理は最高さ!」
すると、ヴィアはほころぶように笑った。
「じゃあもうずっといてちょうだいな! 母さん、あなたがいないと寂しくって…」
「心配しないで。もうどこにもいかないよ。やっぱり家族といるのが一番幸せさ」
「そんなこと言って。ホームシックにでもかかってたんじゃない?」
「んなっ…なめるなよキラ兄! 俺だって十六だ、もう子供じゃないんだぜ!」
「あら、親にとっては子供はいつまでも子供よ?」
「うん、確かにな」
「マユもマユも! マユにとってはお兄ちゃんはずっとお兄ちゃんだからね!」
「じゃあ僕にとってはずっと弟だね」
「それだけは御免だね。いつか下克上してやる」
「シン、僕は厳しいよ?」
『あっはっはははははははは!!』


「幻覚による深層心理テスト、ねぇ。彼、完全に順応しちゃってるけど?」
「ご心配なく。いよいよあの日のように、デビルフリーダムの登場です」

「酷い…酷すぎる!」
ルナマリアは呻いた。だが、そう思ったところで、何が変わるわけでもない。
「……ルナ」
降ってきた声に顔を上げると、そこには知った顔がいた。
「ヨウラン…」
「……ごめん。俺達、止められなかった」
「ううん…ヨウラン達のせいじゃないわ」
「でも、あの幻覚装置を作ったの…俺達なんだ」
「え!?」
「まさか…まさかこんなことに使うなんて思ってなかった…ッ!」
ヨウランが息を詰める。歯を噛み締め、拳を固め、瓦礫に振り下ろす。鈍い音がした。
「畜生! 畜生、畜生!」
「よ、ヨウラン! やめて!」
「何故だ! あいつが何をした! 悪いのはあいつの兄貴だろ! 血も繋がってないのに! なんで…!」
「駄目っ!」
ルナマリアが立ち上がり、力ずくでヨウランの拳を止める。
荒い息をつきながら、ヨウランはゆっくりと拳を下ろした。
「ずるいわよ、ヨウラン…」
「ルナ?」
「目の前で暴れられたら…あたしが暴れるわけにはいかなくなるじゃないの…!」
食事を終えた一家は、秘密の研究所に来ていた。
キラが電気をつける。
カッカッカッと明かりが順々につき、うずくまる巨体を光にさらした。
下半身は甲虫のようなデザイン。巨大な足が四対。前脚はこれまた大きな鋏。
甲虫の下半身から蛇腹が伸び、見慣れたガンダムの胸から上がついている。
下半身の灰色と上半身の青と白が、奇妙にミスマッチのようで、全体を見るとバランスが取れている。
「……ザリガニ?」
「言うと思った」
シンの呟きに、キラが苦笑する。
「確かに外見はナニかもしれんが、これには人類の夢がかかっておるのだ」
ユーレンも言うが、シンはどうにも信じられない。見ればヴィアもマユも同じ気持ちのようだ。
「ザリガニに人類の夢、ねぇ…」
「ザリガニから離れてよ。こいつが一機あれば、どんなことでもできるんだ。そう、どんなことでも…」
その口調に、ふと寒気がした。
「キラ兄?」
「うん?」
「どういう意味だよ、それ」
「いや、なんでもないよ」
言って、いつものように笑うキラ。
次の瞬間――
『動くな!』
照明が赤くなる。声を振り向けば、銃を構え武装した警察が次々に入ってくる。
「なんのつもりだ!」
「あなた!?」
「心配するなヴィア、やましいことは何一つない」
『どの口がそんなことを言う! ユーレン=ヒビキ博士、並びにキラ=ヒビキ! 二人を国家反逆罪の疑いで逮捕する!』
警察の拡声器ががなりたてる。
「なんだって…?」
咄嗟のことにシンは呆然としていた。腕をマユがぎゅっと掴んでくる。それで我に返り、小さな手を握り返した。
ユーレンが叫ぶ。
「待て! 一体何のことだ!」
『お前達はその完成したガンダムを兵器として使用し、コロニー連合と地球を破壊した上で制圧しようとしている!」
「な…そんな馬鹿な!」
「そ、そうだ! そんなことあるわけない! 確かに父さんはマッドなところあるし、キラ兄はキレるとどうなるか分からないけど、少なくとも良識はある! なあ、キラ兄!」
必死にフォローしようとしながら、シンはキラを振り向いた。だが…
「フフッ…」
「……キラ兄?」
「ハハハ…… ハーッハッハッハッハッ!!」
傲慢。
そうとしか言えないだろう。そのときのキラの顔は。
喧嘩して泣きながら最終兵器を持ち出したり、食卓ファイトで最後のウインナーを賭け争ったりしたときの、シンが見慣れた必死な顔ではない。
明らかに自分は上の人間、と確信している顔。
その場の自分以外の全てはゴミに等しい。それが当たり前と思っている顔。
それはシンが見たことのない…想像すらしたことのない義兄の顔だった。
「意外に早かったね、軍警察の皆さん!」
「キラ兄…?」
「シン。そいつらの言ってることに間違いはないよ」
「お前、正気か!?」
「いやあ、悪いね父さん。でもこのガンダムは、もう僕の玩具なんだよね…。こんな風にさ!」
パチン、とキラが指をはじく。
途端、ガンダムを拘束していたコードが全て弾けとんだ。ツインアイに光が灯る。
「馬鹿な、まだ起動は…!」
「出来るよ。僕の命令があればね」
「な!?」
「まあ見ててよ。今証明するから」
警察部隊はどよめいている。隊長が必死に士気を盛り立てようとしているのを見、キラは薄笑いを浮かべ――
「撃て!」
ガンダムがバルカンを一斉射する。爆音を立てて飛ぶ弾丸、為すすべなく薙ぎ倒される警察部隊。
地獄絵図だった。血飛沫が上がる。咄嗟にシンはマユの顔を自分の体に押し付けた。
「あ…し…死んで…」
「マユ、見るな! これは…これは違う! これは」
「これは何かの間違いよ!」
ヴィアがヒステリックに叫んだ。こんな場にいて正気を保てる女ではない。
ヴィアはキラに駆け寄り、肩を掴んで揺さぶった。
「ねえ、キラ、キラ! こんなことはやめて!」
涙ながらに訴える母を、キラは薄笑いで見下ろす。
「キラ、お願いだから…ねぇ、これは何かの間違いでしょう!?」
それを見て、警察隊長は残された力を振り絞って銃を構えた。
最後の力でキラを撃つつもりだ。
それに気付いたヴィアが咄嗟に身を投げ出した。
我に返ったシンが走る。
乾いた音がした。
ヴィアが小さく痙攣した。胸が赤く染まっていく。
「――――ァッ!!」
シンの手の中でマユが震えた。彼女は見てしまっていた。
だが、シンにしても、マユを気遣う余裕はなくなっていた。
「母さんっ!」
必死で母親に駆け寄ろうとする。
キラはヴィアを一瞥すると、たった一言、
「うるさいな」
バルカンがまた爆音と共に放たれる。
警察部隊が弾けとんだ。ヴィアの体が霧散した。重い衝撃と共に、シンの左腕が軽くなった。
「マユ!?」
思わず手を握る。よかった、手はつないだままだ。
振り向いた。マユの手はあった。体はなかった。
「……え?」
シンは、マユの右腕だけを握り締めていた。
「ヨウラン、ルナ! ここにいたのかよ」
「ヴィーノ? どうした?」
「どうしたって、お前な」
呆れたように息をつき、ヴィーノは二人に耳打ちをした。
「新型を整備しろってさ」
「は? 何で?」
「ユウナって奴の差し金なんだと! あいつ、ネオジャパンの利益ばっか考えて、シンのこと気にしてないみたいだからな。多分仕掛けてくるぜ」
「仕掛けて…?」
「心理テストの上にまだ何かやるかもしれないってこと!」
「なによ…それ…」
「っつーわけで、ほら!」
と、ヴィーノがルナマリアに突き出したのは、金色の珠のイヤリングだ。
「な、何のつもりよ」
「勘違いするなよ、こいつは今回のひみつ道具だ。使い方は…」

シンは混乱していた。
どうしてマユが右腕だけになってる? どうしてヴィアがいなくなってる? どうしてキラがガンダムの手に乗っている?
どうして…?
分からない。何もかも分からない。だが一つだけは明らかだった。
崩れ落ちたのだ。平穏が。
突風が巻き起こる。見れば、キラがガンダムと共に飛び立とうとしている。
「キラ兄! 母さんとマユが、二人が!」
キラはちらりとシンを見た。酷く冷たい瞳。それだけだった。
「二人が…」
ガンダムが完全に飛び立つ。
残されたシンは、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。そのまま視線を落とす。
腕があった。赤い飛沫を浴びた小さな白い腕。妹の…
「うわあああああああああああああああああああああああああああ!!!」
シンはマユの腕を抱えこんで慟哭した。
認めたくなかった。強く目を閉じて叫び続けた。
これこそが夢であってくれ、と願いながら。

「確かにこれは記録を元に我々が作り出した幻覚です。彼はこの場には居合わせておりませんでした。シン君は入れ違いのように帰ってきたのです」
クルーゼが説明する。同時に、シンの見る幻覚も変化する。

「シン君」
かけられた声に目を開けば、そこは赤ばかりの光景ではなかった。
どこかの屋敷の中だ。目の前には冷凍カプセルに入れられたユーレンと、凍結された白い腕がある。
「…………」
「すまない。父上の友人として、申し訳なく思っている」
声は後ろからかかってくる。だがシンは振り向かない。
目の前の凍りついた家族にすがりつく。
温かみは欠片もなかった。
「ネオジャパン政府は、残った父上を共犯とみなし、永久冷凍刑に処したのだ」
「どうして…」
「私も力を尽くしたのだが、死刑を免れただけで精一杯だった…」
心底から申し訳ない、と言いたげな声。
振り向いた。金髪の、仮面の男がいた。
どこかで見たシルエットだ。何度か父と会っているのを見かけたことがある。そのときはもちろん仮面はしていなかった。
「クルーゼさん…」
「ああ。覚えていてくれたか」
「その仮面は…」
「あれと交戦して傷を受けて、な」
「…………」
ああ、さっきのあれは現実だったのか。
ぼんやりとそう思えてしまって、シンはまた、物言わぬ家族を見た。
「デビルフリーダムは何事もなかったかのように地球に落ちていったよ。あの落下スピードなら、いくら奴でも無事ではあるまい…これで事件は終わった、そう考えたのだが…」
「…………」
「これは始まりでしかなかった。その後の調査で大変なことが分かったのだ。そう、たとえ大気圏突入の折に大破しようとも、ヒビキ博士の三大理論、『自己再生』『自己増殖』『自己進化』により、あれは再び立ち上がり…」
「…………」
「キラ=ヒビキはその能力を発揮し、破壊の限りを尽くすに違いない」
キラ=ヒビキ。
その名を聞いた瞬間、生気をなくしたシンの瞳に、別の何かが灯った。
「しかも現在、地球の統治権がネオホンコンにある以上、迂闊には手を出せない。そこで、君にガンダムファイターになってもらいたい」
「…………」
「我々が計算したところ、奴が完全に再生するには一年かかる。そしてその年は折しも四年に一度のガンダムファイトの年。このときならば、地球を自由に動くことが出来る。それを利用して、奴を追い詰め、捕獲して欲しいのだ。でなければ、すべてはこのままだ」
「…………」
物言わぬ義父。腕だけの妹。
「君がガンダムファイトを嫌っているのは知っている。だが、君がユーレンの汚名を返上すれば、彼を解放することもできる。それにあの理論を利用すれば、君の義妹も腕から生き返らせられるかもしれない」
「…………」
シンの中に灯ったものが膨らんでいく。
「奴を捕らえられるのは、君だけだ。彼らを救えるのは君だけなんだよ、シン=ヒビキ君」
「うるさい!!」
声が爆発した。
「俺はシン=アスカだ! キラの弟なんかじゃない!!」
かつての自分の名を叫び、シンは拳をカプセルに打ちつける。
はっきり言って義父は嫌いだった。
何かといえば研究と言って篭り、自分達を厄介者のように見て、子供心にも愛してくれているとは思えなかった。
だが、自分が帰ってきたときは、笑って歓迎してくれた。
マユに関しては言わずもがなだ。自分がヒビキ家に引き取られるよりも前からの付き合い。互いに戦災孤児であり、親を失った辛さを知り、純粋に自分を慕ってくれた。
二人を取り戻すためであれば…!
「やってやるよ! ファイターだろうがなんだろうがなァ!」
ヒビキの名は捨てる。キラを兄とは思いたくない。
家族を取り戻すために家族を殺すのではない。大事な人を取り戻すために仇を殺すのだ。
シンはクルーゼを振り向いた。仮面の男の表情は分からなかったが、シンにはどうでもいいことだった。
彼が腹の内で笑っていようと、この剣幕に圧されていようと。
シンにはもはや一つの道しか見えていない。
「さあ、俺を連れて行けよ。国の犬にでも何でもなってやる。だから俺に奴を追わせろ!
 キラ=ヒビキは、俺がこの手で殺す!!」

ふっ、とディスプレイが闇に染まる。
「復讐鬼の誕生、ってわけかい?」
気のない言葉を口にしながら、ユウナはリモコンをテーブルに置いた。
「ユウナ委員長!?」
「茶番はもう十分だよ、クルーゼ君」
「ですが、ファイト優勝のためにも、彼の強い意志が必要…」
「僕、そういうの嫌いなんだよねぇ。精神論で優勝できるわけないじゃないか。ファイターにはみんな優勝にこだわる理由があるんだよ? いくらシン=アスカが復讐を誓ったって、どうなるってわけじゃない。精々スタートラインが同じになるだけさ」
肩をすくめ、ユウナは続ける。
「これまでの成績不振を考えてみなよ。ガンダムマックスター、ドラゴンガンダム、ガンダムローズ、ボルトガンダム。みんな引き分け。中にはみすみす勝ちを逃したものだってある」
「それは、ファイトの結果、キラ=ヒビキとは関係がないと分かったからです。それに、私がネオイタリアを初めとした五国を対戦相手に指示したのは、この一件に感づいているであろう国を先に叩くためで…」
「結果それは裏目に出た」
「……その非は認めましょう」
「それじゃ、このテストは僕に任せてもらうよ」
ユウナは手元のスイッチを操作する。
がくん、と振動が来る。シンのいるアスファルトの地帯が動いている。
「委員長!? 何をする気ですか!」
「簡単。シン君が義兄を前にして、本当に敵として討てるのかを実験するのさ」
「それは先程の深層心理テストで…!」
「あんなに簡単に幻覚の家族に順応しちゃったんだよ? 不安にもなるって」
「クッ…!」
「もちろんこれは実戦。シン君は本物のインパルスに。敵には…幻覚を使うとはいえ、デビルフリーダムに見せかけなきゃならないんだから、でかいのを使うしかないよねぇ」
ディスプレイが切り替わる。映っているのはネオジャパン上空。
対峙しているのはシンのインパルスと……
「モビルアーマー・ザムザザーですと!?」
「大丈夫。シン君にもしものことがあっても、僕が特例でファイター交代を国際委員会に認めさせてやるから」
にやりと笑って、ユウナはマイクを取り出した。
「さーて、闘えるかな彼は?」

「あんの野郎ぉ…!」
「ヨウラン、俺達は出来ることをするんだ!」
「ああ…そうだな! ブッドキャリアーのスラスターは!?」
「OKだ! そっち、反応見てくれ!」
「あいよ!」

格納庫に辿り着くべく、ルナマリアは道を急いでいた。
警備員がばらばらと出てきて、ルナマリアに銃を向ける。
「止まりなさい。ここから先は関係者以外通行禁止…」
警備員が言い終わる前に、ルナマリアはもらったイヤリングを突き出した。閃光が放たれる。
ばたばたと倒れる警備兵。閃光には一時的な催眠効果があったのだ。
「悪いけど、こっちだって関係者なのよ!」
イヤリングを付け直しながら、ルナマリアは走った。

白と黄の噴射光が不規則な螺旋を描く。
「キラ兄…」
インパルスの中でシンは呻く。目の前のデビルフリーダムの肩には、義兄キラがいる。
「さあどうする、シン?」
薄笑いのまま、キラが挑発する。
キッと奥歯を噛み締め、シンはインパルスを飛ばす。

「発進行くわよ!」
「OKだ、ルナ!」
「直撃だけは受けるなよ、ザムザザーの火力は…」
「あーもううるさい! 要は当たらなきゃいいんでしょっ!」
慌しくブッドキャリアーが出撃していく。
「おおおおおおおおおおっ!!」
全てを振り切るように咆哮し、シンはデビルフリーダムへと飛ぶ。
(そうだ、俺は決めたじゃないか!)
義父と義妹を助け出すために、キラを倒すと――
「義理とはいえ、兄を討つのかい?」
「――ッ!!」
迷いが生まれる。シンの動揺はインパルスに伝わり、速度が死ぬ。
キラを見る。義兄は変わらず冷たい薄笑いを浮かべていた。
傲慢そのものの目をしていた。
「忘れたの? 地球から上がってきた身寄りのない君達を引き取ったのは誰だっけ?」
「それは…!」
「父親の研究馬鹿っぷりを怒ったのは? アカデミーに行くのに反対した母親を一緒になって説得したのは?」
「し、しかし…」
「忘れてないんなら、インパルスから降りてよ。今なら間に合う」
「けど…」
シンの声に力はない。
インパルスはデビルフリーダムの真ん前に棒立ちになってしまっていた。
「降りないなら…死んでもらうしかないね!」
キラが高らかに宣言する。
デビルフリーダムの鋏が、まともにインパルスの胸を突いた。
「がっ…!」
吹っ飛ばされるインパルス。
「あっはははははははは!」
哄笑するキラ。

「あっはははははははは!」
マイクを手に哄笑するユウナ。彼の声がキラの声に変換されてシンに伝わっているのだ。手元にはシンの身辺調査の資料がある。
(人のことばかり悪趣味とは言えんだろうに)
脇に立つクルーゼは、ちらりとそんなことを考えた。
勢い込んだユウナはマイクに叫ぶ。
「さあ、とどめをさせ!」
「さあ、とどめをさせ!」
キラの命令に、デビルフリーダムがエネルギーの充填を開始する。
(本当に…本気なのかよ、キラ兄…)
呆然とするシン。避けようという発想が出てこない。
このまま殺されるのだろうか。その意識さえぼんやりとして、体を動かすには至らない。
ビームが放たれる。
シンはそれを、どこか遠くの世界のことのように見ていて――
「馬鹿シン、何してるのよ!!」
聞きなれた声と共に、横殴りに飛ばされる。
はっとしてそちらを向けば、ブッドキャリアーがまともにビームに貫かれていた。
衝撃でキャリアー頂点のコクピットが割れ、中からノーマルスーツの女性が放り出される。
それが、シンの心を揺さぶった。
撃たれ倒れる母親の姿が重なって見えた。
「あーもう、何やってるんだよ。駄目じゃないか邪魔したら」
不機嫌そうにキラがぼやく。
「……キラ……」
シンは、自分の中で何かがはじけたのを感じた。

「救護班! ルナマリア=ホークを回収!」
クルーゼが指示を出す隣で、
「あーもう、何やってるんだよ。駄目じゃないか邪魔したら」
ユウナが不機嫌そうにぼやく。
「いいえ、彼女はよくやってくれましたよ」
「情けないファイターを庇うことが?」
「そう言わず、よくご覧下さい」
クルーゼはディスプレイを見るよう促す。

自分の中の何か――余計な感情の塊だろうか、それとも逆に悟りの境地なのだろうか――とにかく、何かが軋み、爆ぜた。
世界の全てが塗り換わる。敵の姿がはっきりと見える。
信頼を積み重ねるのには長い年月がいる。それをぶち壊すにはたった一瞬で十分。
キラの裏切りは、それまでの全てを否定するものだ。
「キラ兄… いいやキラ=ヒビキ!」
キラがたじろぐ。少し前まで、兄だった男が。
「俺はあんたを許さない… 母と妹を殺し… 父を辱めたあんたを… 絶対に許さぁぁぁぁぁん!!」
シンの叫びに伴い、インパルスも輝きだす。
色彩が変わる。青かった胸と肩が赤く染める。
パルマフィオキーナが輝き、エネルギーが溢れ実体化、巨大なビームサーベルを形成する。
これこそがインパルスガンダムの真の姿。
その名も、インパルスガンダム・スーパーモード!
見た目はただのソードインパルスだが気にするな!!

「ガンダムが光ってるぅ!?」
ユウナは目を疑った。あんなギミックがあるとは聞いていない。
「あれこそがインパルスガンダムの真の姿です」
「真の姿だって!?」
「そう、彼の異常なまでの怒りが頂点に達したとき、その感情をエネルギーとして、最大パワーを発揮できるあの姿へと変形できるのです。つまりインパルスを使いこなせるのは、兄への復讐を誓ったシン=ヒビキ…いえ、シン=アスカただ一人なのです!」
「だったら最初からあのまま作ればいいじゃないか」
「メカニックが趣味人ですから」
「……ファイターよりそっちを変えるべきだったかな…」
ぽん、とユウナは片肘をつく。

「俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶぅ!!」

シンは敵を見据える。怒りによって生み出された、インパルスよりも数倍大きなビームサーベルを振るって。

「喰らえ! 愛と、怒りと、悲しみのォ!!
 エェクゥスゥカリバァァァァ!! ソォォォォォドッ!!!
 面! 面!! メェェェェンッ!!!」

陽電子リフレクターのバリアをぶち抜き、シンの怒りの剣はキラを斬ろうとした。
驚いたような顔をして、キラの姿が掻き消える。同時にデビルフリーダムの姿は消え、ずんぐりとしたMAが姿を現し――
ドズッ!!
シンは止まらなかった。そのままザムザザーを二つに叩き割った。

「うわっ!?」
何か影響が出たのか、ユウナのマイクが爆発する。
『ユウナァッ!』
怒声が響く。驚いてディスプレイを見れば、シンが悪鬼の如き形相でこちらを睨みつけていた。
「ひっ!?」
思わず怯えるユウナ。
『いいか、二度とこんな下らない真似はするな!!』
「シン君!? いつの間に幻覚から…」
クルーゼの言葉を無視し、シンは吼える。
『これからは黙って見ていろ! 俺は必ずキラを追い詰め、デビルフリーダムを倒す! この手でなァッ!!』
怒りのままに、シンはザムザザーの残骸をさらに両断して蹴り飛ばした。少し離れて爆発が起こる。
通信が切れ、ディスプレイは闇となった。
ユウナはしばらく固まっていたが、やがて長い溜息をつく。
「びっくりした…。ま、これが実力だってんならいいか」
まだ少し震える手で、髪をかき上げる。
「思ったよりも物分りがよろしいですな」
「僕だってネオジャパンのファイト委員長だよ? 実力のあるファイターに文句言えるわけないじゃないか」
クルーゼの揶揄に、ユウナは肩をすくめてみせた。
「ルナ! ルナッ!」
『心配するな、シン! ルナマリアは確保したぜ!』
「ヨウラン!? よかった…」
『すぐ行くのか?』
「ああ、そのつもりだ」
『悪い、キャリアーの修理にちょっと時間かかるわ。インパルスも調整しなきゃならないし』
そう言うヨウランの背後では、
『だから言ったじゃないか、火力はヤバイって!』
『それじゃあの場合、他にどうすればよかったっていうのよ!』
『小僧ども、じゃれてないで働け! 壊した責任だ、ルナマリアも手伝えよ!』
『げっ、親方!』
『おう、シン! 早くガンダム持ってこい! お前にも手伝ってもらわにゃならん!』
「わ、分かりましたっ」
ぷつり、と通信が切れる。
インパルスをドッグへ向かわせながら、ふとシンはコロニーの地表を見た。
距離がありすぎて見えないが、そこには今はもう誰も住んでいない屋敷がある。
あの日々は、もう過去にしか存在しない。
(マユ…父さん…待っていてくれ…)
幻のぬくもりを振り切るように、シンはインパルスを飛ばした。

ユウナが去った後、クルーゼは一人、ディスプレイに映る地球を眺めていた。
(今回は危なかった。だが、たとえどんな障害があろうとも、キラ=ヒビキとデビルフリーダムをあのままにしておくわけにはいかん)
す、とクルーゼは仮面を外し、机に置く。
(シン=アスカには、地を這ってでも奴に辿り着いてもらわなくては…!)
次回予告!
ドモン「フォトジャーナリスト・ミリアリアの表情が変わる。
    その気弱な魂を眠りにつかせて、もう一つの人格、超戦士ハルパーミリィのお出ましだ!
    盗撮者の行動パターンを完全に把握し、ナイフ一本で襲い来る彼女を、ディアッカよ、全力で迎え撃て!
    次回! 機動武闘伝グラップラーSEED DESTINY!
    『愛を語り、神を名乗る超戦士・ハルパーミリィ!』にぃ!
    レディィ… ゴォォォ――――ッ!」


メイリン「…って、ちょっと待てぇぇ――――――っ!?」
ルナ「ああ、久々の本家ツッコミ…」
ディアッカ「グゥレイトォ! 次回の主役は俺かっ!」
イザーク「何だと!? シンや俺を差し置いてクルー役ごときのディアッカが!?」
メイリン「そっちもですけど! 何より予告が、作品が違ーう!」
ドモン「…すまん、よく似ていたので台本を間違えた。こっちだ」
タリア「(チッ)アーサー、巻き戻して」
アーサー「監督、今舌打ちしませんでした?」
タリア「いいから早くっ!」


次回予告!
ドモン「みんな、待たせたなっ!
    太陽輝くネオメキシコで、シンはある少女に命を狙われる。
    少女の名はミリアリア=ハウ!
    彼女は盗撮者を狩りつくすため、パートナー・トールやディアッカの命も狙うのだ!
    次回! 機動武闘伝ガンダムSEED DESTINY!
    『来るなら来い! 決死の盗撮者』にぃ!
    レディィ… ゴォォォ――――ッ!」


メイリン「それでもミリアリアさんの動機は変わらないのね…」
撮影後

ヴィア「キラ」
キラ「何ですか、ヴィアさん」
ヴィア「…………」
キラ「何ですか?」
ヴィア「え…その…」
キラ「用事がないなら、僕、エターナルに戻りますけど」
ラクス『そうはいきませんわ、キラ』
キラ「ラクス?」
ラクス『エターナル発進準備!』
キラ「……え?」
バルドフェルド『了解、悪く思うなよキラ君』
キラ「え? ええっ!?」
マリュー『アークエンジェルも発進急いで!』
キラ「なんでーっ!?」
ノイマン『君も所詮は子供ということだ、キラ』
キラ「大佐までっ!? っと、そうだ、アカツキタクシーを呼べば…(ピッポッパッ)」
ネオ『この電話は電波が届かないところにいるか…』
キラ「とぼけてないで来て下さいムウさん! ムウさん!? ち、切りやがった… 仕方ない、アスランを(ピッポッパッ)」
メイリン『分かってますねアスランさん、これはキラさんのためなんです!』
アスラン『なら心を鬼にするしかないじゃないか!!』
キラ「アスラン! 親友の僕の頼みが聞けないっていうの!?」
アスラン『うっ!? し、親友…』
メイリン『アスランさん、キラさんのためですっ! 耳をふさいで!』
アスラン『そ、そうだ、すまんキラ、友を思うなら鬼にならなくちゃいけないんだぁっ!』
キラ「馬鹿な、アスランが僕の頼みを…!」
ラクス『エターナル発進ですわ〜!』
マリュー『アークエンジェル発進!』

ゴォォォ……

キラ「行ってしまった……」
ヴィア「…………」
ユーレン「…………」
キラ「…………」
ユーレン「あー… キラ、せっかくだから、どこかで食事でもしないか?」
ヴィア「!? あなた…」
キラ「さっき撮影で食べたばかりじゃないですか」
ヴィア「そ、それとは別に、よ。ほら、そこに喫茶店があるわ。あそこにしましょうよ」
ユーレン「そうだな! よし、決まりだ」
キラ「…………待って」
ユーレン「う?」
キラ「(ピッポッパッ)あ、キサカさん? カガリをこちらによこしてくれます? ……そんな、彼女が真面目に執務やってるわけないでしょ。早くって伝えてください。MS? 要りませんよ。あ、場所はエターナルじゃなくて……」


メイリン「ラクス様もいいところあるじゃないですか。見直しちゃいましたよ」
ラクス「あらメイリンさん。わたくしのどこに良くないところがあるというのです?」
メイリン「し、失礼しました! …って、ラクス様、そのハロの大群は…」
ハロたち『テヤンデイ!』
ラクス「うふふ、この子たちはあの一帯の店に取り付けた隠しカメラの映像を受信しているのですわ。さ、普段お澄まししたキラのカチコチ具合を、皆さんで観賞いたしましょう」
メイリン「前言撤回! やっぱこの人ダメだ――――――っ!!」
267通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 10:22:26 ID:???
>>238
すみません、2・3・4話はダイジェストで終わらせる気満々でした。
やっぱり反則ですかね…。
268通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 11:24:56 ID:???
すいません、頭がついていかないのでここまでの配役表があれば見たいです・・・
269通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 14:29:21 ID:???
ストーカー→ドモン

第一話
ドモン→シン
レイン→ルナマリア
ミケロ→ミゲル
ベルチーノ→トダカ

第二話
チボデー→イザーク
そのクルー→ディアッカ、シホ
ネオアメリカの偉い人→エザリア

第三話
サイ・サイシー→フレイ
坊さん達→サイ・カズィ

第四話
ジョルジュ→レイ
マリアルイゼ→議長
国王→タリア

第五話
アルゴ→フォー・ソキウス
ナスターシャ→ミナ
バードマン→ナタル

第六話
ライゾウ→ユーレン
ミキノ→ヴィア
キョウジ→キラ
カラト→ユウナ
ウルベ→クルーゼ


基本はこんな感じです。あくまで基本。名前の挙がってない人がいるのは該当者がいないか特定の人物に当てはめられないためです。
あんまり書くと後半のネタばれになるので、ここらで勘弁してください。

多分混乱を招いてしまう原因は、シンの過去が大分本家ドモンと離れている上に小出しにして、さらに(六話が終わったのに)全部明かしていないからと、三話分飛ばしたからですよね。すみません。
注釈なしで読み手に伝わらないといけないのに…。
すみません、今更ですが2・3・4も書きます。
270268:2007/02/09(金) 15:17:06 ID:???
ありがとうございます!お手数をおかけしました・・・
271通常の名無しさんの3倍:2007/02/09(金) 15:31:41 ID:???
>>269
GJ!頑張ってください!
272通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 00:53:23 ID:???
最近この収録シリーズにはまってきた俺ガイル


ところで師匠は誰になるんだ?
273通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 01:14:11 ID:???
俺は炎の大佐の行方が気になるぜ!
274通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 01:38:23 ID:???
まさか…アスランが師匠?
275通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 02:56:07 ID:???
> ところで師匠は誰になるんだ?

つ【中の人】
276通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 03:14:31 ID:???
ピンクは絶対にウォンだな…
277通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 09:39:52 ID:???
ラクスのこんな事もあろうかとが見たいからウルベがいい
278通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 11:44:37 ID:???
師匠はウンノウしかないだろう
279通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 15:25:59 ID:???
ウルベはクルーゼじゃん
280通常の名無しさんの3倍:2007/02/10(土) 21:07:12 ID:???
何気に出現率激レアな寿司屋店主が出てるな
知る限りじゃ大食いのときと怪しい予想屋位でしか見たことないよ
なのに、ヒビキ夫妻に霞んだのか楽屋裏で誰も絡まない…
前作ラスボスとは思えん影の薄さだな


……実は盗撮者に向いてんジャネーノ
281通常の名無しさんの3倍:2007/02/11(日) 00:11:53 ID:???
ウルベがクルーゼなら例のセリフは

「こんな事もあろうかと、飲み続けたこの薬ィ!!」

…迫力ねーな
282通常の名無しさんの3倍:2007/02/11(日) 00:38:27 ID:???
クルーゼ「こんな事もあろうかと、維持し続けたこの体ァッ!!」
ならどうよ?
283通常の名無しさんの3倍:2007/02/11(日) 02:14:05 ID:???
「こんな事もあろうかと、仕込み上げたこの仮面!」
ファイト中でも仮面を取らず、ピンチになったら鳥を十羽位出すんだよ

元ネタ分かり辛ぇorz
第六話の撮影終了後、シンは整備士コンビのところに行った。
まだ一般には出回っていないテープがそこにある。
どうやら話を聞いていたのはシンだけではなかったようで、既に二人の部屋にはミネルバのクルーが押しかけていた。

ヴィーノ「はいはい皆さん、部屋が満員なので場所を変えまーす! 格納庫に来て下さーい!」
ステラ「ながれながれていまいずこ〜〜うぇーい!」
シン「あ、ステラ!」
クルーゼ「(がしっ)波に酔ったな? 保護者は何をやっているのか」
シン「って、何でアンタがミネルバにいるんだぁ――っ!?」
レイ「俺が教えた」
シン「レイ!? でもこの人、六話が初登場なのに」
クルーゼ「はっはっは、我が分身が出ているとなれば興味も沸くというものさ。私より彼の方が問題ではないかね」
タリア「……ですから今のオーブは…」
ユウナ「うーん、マイハニーはじゃじゃ馬だからねぇ」
シン「うわやっぱりダメだオーブっ! なんか久々に殺意湧いてきたぞ! そもそも俺がツッコミに回ってるのも久々だし!」
レイ「気にするな、俺は気にしない」
シン「誤魔化されるかぁーっ!」
ユウナ「(プルプルプル)はいもしもし? 今日は僕、撮影だって言ったはず…え、カガリが? 何考えて… まあそうだけど… はいはい、分かったよ! 今すぐ帰ります!(ピッ)」
タリア「何か?」
ユウナ「カガリがキラ君に呼び出されたんだってさ。残念だけど僕は帰らせてもらうよ」
シン「何考えてんだあの馬鹿元首っ!?」
クルーゼ「…………」
レイ「ラウ?」
クルーゼ「すまない、私も帰らせてもらおう」
レイ「な!?」
クルーゼ「何、また近いうちに会うさ。ではな、レイ、ミネルバの諸君」
シン「あ…はい。さようなら」
ステラ「うぇーい!」


「大型プロジェクター準備完了! 接続良好! 出力安定! 行けるぜ、ヴィーノ!」
「OK、ヨウラン!
 皆さんお待ちかねぇ! これより機動武闘伝ガンダムSEED DESTINY、地上波放送に先駆けて二話から四話を一挙公開いたします!」

観客席から歓声が上がり、ディスプレイの光が動き出す――
「さて…準備はいいか? 良ければお前達に、このガンダムファイトを説明させてもらうぞ。
 そもそもは六十年前に遡る。大戦争で汚れきった地球を後に宇宙に上がった人々が、コロニー国家間の全面戦争を避けるため、四年に一度、各国の代表を『ガンダム』と名付けられたロボットに乗せて、『ファイト』と称し!
 戦って! 戦って! 戦い合わせ!
 最後に残ったガンダムの国がコロニー国家連合の主導権を手にすることが出来る…
 ……何ともスポーツマンシップに溢れた戦争だよ。
 これで人類が滅びに直面するような危機は避けられた。だが残された問題が一つ。
 ファイトの舞台は地球。そう、俺達が住む汚れきった地球だ…
 以上がガンダムファイトの骨子だ。
 だが今回の大会は、どうも普段とは様子が違うらしい…」
「そこのお前! この写真の男に見覚えはないか!?」
赤い鉢巻と赤いマントに身を包んだシンが、いきなり写真を突きつけてくる。
半ばから破られた写真。褐色の髪の少年が、誰かと肩を組み、じゃれあうように笑っている。相手が誰なのかは、破られていて分からない。
ドモンはそれを受け取り、少し考え込む仕草をしたが、すぐさま皮肉めいた笑みを浮かべる。
「この写真がどんなファイトの嵐を巻き起こすことになるのか? …それを知っているのは底意地の悪い神様くらいのものだろう。
 今日のカードはネオアメリカ代表、イザーク=ジュールのガンダムマックスター!」

ドモンがマントをばさりと脱ぐ。
下から出てきたのはピチピチの全身黒タイツ、即ちファイティングスーツだ!

「それではッ!
 ガンダムファイトォォ! レディィ…ゴォォォ――――ッ!!」
第二話「唸れ! 夢を掴んだ必殺パンチ」

地球は荒れている。
それは世界中の人々の共通認識である。程度の差はあれ、今の地球を見て問題なしと心底から言い切れる者はいない。
復興したと思えばガンダムファイトでご破算にされる。親を失った子供はストリート・チルドレンとなり、生きるために犯罪を繰り返す。それが分かっているから、地元警察も強く取り締まることができない。
不満はコロニーに、ガンダムファイトにぶつけられる。
皮肉にも、それが地上の大きな諍いをなくしている一つの要因でもあった。
共通の敵がいて、おおっぴらに憎める相手がいれば、不満を同じ地上の隣人に向ける必要はないのである。
だからガンダムファイターは地上の人間には嫌われる。
しかし、反面、ファイターは国家の代表であり、強い人間である。強ければ出自は関係なく、誰でもなれる。それが地上の人間にとっては憧れでもあった。
特に貧困層の多い国では、この相反する感情が強い。
屈折しているのだ。

幸い…というべきか、偶然というべきか。
ここネオアメリカは、そんな屈折した感情が他よりも一歩突き抜け、逆に真っ直ぐになってしまった、地上でも珍しい国だった。
アメリカン・ドリーム。底辺の人間が己の腕で栄光を掴み取り、一躍ヒーローになる夢。
一つの英雄伝承歌の如く、それはネオアメリカの人々の間に流れていた。貧困にあえぐ人々が伝える御伽噺のようなものでもあったろう。
だが、それをごく最近、現実のものにしてしまった男がいた。
イザーク=ジュール。
今でこそネオアメリカの高官エザリアの息子と判明しているが、かつてはストリートチルドレンの一人に過ぎなかった。
ガンダムファイトで両親とはぐれ、着の身着のまま路地で戦い、生きるためにドブネズミのような生活をして――実際ドブで生活したこともあった――それでも卑怯を嫌い、己の拳一つで勝負をかける姿は、徐々に好感を集めていった。
数年前、彼の喧嘩の様子を、たまたまコロニーのスカウトマンが発見し、コロニーに渡ってボクサーとなる。
めきめきと頭角を現し、百戦百勝。ついにはコロニーボクシングのチャンピオンとなり、ガンダムファイターにまで選ばれた。
ストリート・チルドレンが、エリートであるガンダムファイターに。
その一報はネオアメリカ中を駆け抜け…いや。
イザークがコロニーでボクシングの試合をするたび、地球のネオアメリカの人々はそれをテレビ越しに見守っていたのである。
地元から出た英雄の姿は、彼らに生きる希望を与えた。
テレビの向こうで繰り広げられるサクセス・ストーリーを見ながら、「こんな自分達でも夢は掴めるかもしれない」と胸を弾ませて。
名実共に、イザークはネオアメリカの英雄であった。

「……だからね、私は分かってたんだよ。あの子がそこの窓割って、謝ってきたときに、あ、この子は将来大物になる、ってさ」
「あー、もういいです、わかりました」
引き気味に、シンは話を打ち切った。酒場のおかみは多少不満げな顔をした。
いつものように写真を見せて話を聞いていたら、うっかりネオアメリカのファイターの話になり、以降おかみの演説の独壇場になってしまったのだ。
しかし、自分と同じくストリート・チルドレンの出の男がファイターとなっている、と聞くと、嬉しい反面、裏切られた気もしてしまう。
ファイターは英雄であると同時に、地球に破壊を招く者でもあるのだから。
そのイザーク=ジュールは、明日に迫った地上のボクシングチャンピオンとの戦いに備え、汗を流していた。
スパーリング相手は、サポートクルーのディアッカ=エルスマン。銀髪で白肌のイザークとは対照的に、金髪で褐色の肌をしている。バリバリのネオアメリカ訛りであるが、こう見えても炒飯の達人である。
そして二人をみながら手元のボードにペンを走らせている女性は、シホ=ハーネンフース。同じくイザークのサポートクルーである。どう見ても日系人だが、この時代国際結婚など当たり前に起きているため、見た目だけでは国籍は分からない。
最も、ネオアメリカ代表である以上、三人ともネオアメリカ国籍を持っているのだが。
「イザーク隊長、スパーリング一万セット終わりました」
シホが声をかける。
「よし! 休憩を入れる! ディアッカ、お前も休め!」
「はいよっ」
二人が体の力を抜くと、すかさずシホがスポーツドリンクを差し入れる。
「お疲れ様です」
「サンキュー、シホ」
「いつも気が利くな、お前は」
「そりゃあ、私だってジュール隊の一員ですから」
シホがいたずらっぽく笑う。
ジュール隊、とはイザークが冗談交じりに言い出した言葉である。ファイターになることが決まったとき、イザークはテレビのインタビューに向けて言い放ったのだ。
『我らジュール隊に敵は無し! いつでもかかって来い、ファイターども!』
というわけで、たった三人の『隊』が結成されたのである。発言後しばらく名前を『エルスマン隊』や『ハーネンフース隊』にしようという不穏な動きが出たのは、まあ些細なことだ。
「イザーク、明日の試合、勝算はあるか?」
「誰に向かって聞いている、ディアッカ!」
「いやさ、そろそろマスコミのインタビューの時間だろ。答えを考えといた方がいいんじゃない?」
「いらん! ああいうのは素で答えるのが一番なのだ!」
言い切ってドリンクを口に含むイザーク。やれやれ、と肩をすくめるディアッカ。
「あ、よく覚えてましたねディアッカさん。もうすぐインタビューの時間だって」
「おいおい、俺はこれでもこいつのサポートクルーだぜ?」
「まあ貴様は迂闊なことに定評があるからな!」
「お前が言うかよ」
「では聞こう。インタビューは何分後だ?」
「えー、あー……シホ?」
「二十分後です」
二人は仲良くドリンクを吹き出した。
「ま、待てシホ、何故そんなギリギリにっ!?」
「正確には、二十分後に訓練を切り上げなきゃいけないってことですよ。今からなら充分間に合います」
「それならそう言ってくれよ…ドリンクがもったいねぇ…否グゥレイトォ…」
「すみません」
まあ、お二人の反応が面白いので、わざとやってたりするんですけどね。
心の中でシホは呟く。
そんなこんながあっても、インタビューではさすがに堂々としたものだった。
直後にネオアメリカ・ガンダムファイト委員に会っても、毅然とした態度は崩れなかった。
「ネオジャパンのファイターが入ったという情報もあるわ。警備を厳しくしないと…」
懸念を示すガンダムファイト委員に、イザークは不敵な笑みを浮かべて言葉を返す。
「ネオジャパンの田舎野郎が来たところで、誇り高きジュール隊が屈するとお思いですか? 母上のお気遣いはありがたいが、私には頼れるクルーがいます」
ディアッカがにやりと笑い、シホがぴっと姿勢を正す。
三人を見て、ガンダムファイト委員――エザリア=ジュールは、それでも懸念を隠さない。
「だけど、相手はネオイタリアのマフィア・ファイター、ミゲル=アイマンを倒しているのよ?」
「マフィアと我々を一緒にしないでくださいよ、母上」
「そんなにそこのクルーが信じられるの?」
形の良い眉をひそめ、エザリアは食い下がる。
イザークはしっかりと頷いた。頷いた後で、急に照れくさくなったか、早口に言葉を紡ぐ。
「まあ多少迂闊で残念なのが気になりますが…」
「なんだよ、やっぱ女四人の方が良かったってのか?」
「な、何を言うディアッカ! そんなチャラチャラした軟派男は、本来ならば貴様の領分だろうに!」
高官の面前であることを忘れ、漫才を始める二人。
それを見て複雑な心境のエザリア、シホに目を向けると、シホもまたエザリアを見ていた。
『止めますか?』
その目が、そう言っている。
エザリアは首を横に振った。シホはにっこり笑った。

コロニーの人間には、地上の人々への蔑視が少なからずある。ストリート・チルドレンに対しては、一層その傾向が強い。エザリアにとって、イザークはまだしも、ディアッカとシホは疑問の対象である。
息子が年頃ということもあって、クルーには選り抜きの優秀な美女を、それも四人も揃えておいたのだ。なのにイザークは昔からの仲間である二人を選んだ。
そこまで信頼されている人間なら…そう思う反面、やはり心のどこかでは反発がある。
最も、息子が社会の底辺を経験してきたことを受け、エザリアも地上人への偏見をなくそうと努めてはいる。他の高官に任せては、ディアッカとシホは強制的につまみ出されているだろう。イザークがそれを許すかは置いても。
(だけど、それとネオジャパンのファイターとは関係ない)
エザリアは息子とクルーの漫才を見ながら、考えを巡らせていた。
次の日になると、ボクシング会場は満員の客で溢れかえった。
コロニーボクシングの覇者であり地元の英雄、イザーク=ジュールと、地球ボクシングの覇者であるジャン=キャリーとの一戦だ。ネオアメリカの人々にとってはまさにドリームマッチである。
既に地球代表のジャンはフードつきマントを羽織り、リングに上がっている。
『百戦百勝、コロニーチャンピオン! イザーク=ジュール選手の、入ゥ場ォォォですッ!!』
アナウンスに応え、会場の片側にイザークが姿を現した。
銀の髪の眉目秀麗な男。チャンピオンの派手なマントを羽織り、ベルトをつけ、観客の声援に余裕たっぷりに応える。
大股でリングに近づき、マントをばさりと放る。上半身の鍛え抜かれた筋肉を惜しげもなく晒し、ボクシンググローブをつけ、ガッツポーズを観客に示した。
『わああああああああああああああ!!』
『イザーク! イザーク! イザーク!!』
観客が沸きに沸く。応援の幕が振られ、イザークの姿が描かれたパネルが張られる。これだけで彼の人気が分かろうというものだ。
そこにジャンが動いた。
「イザーク!?」
「隊長っ!」
ディアッカとシホが腰を浮かす。
「!?」
――気がつけば、イザークは天井を見ていた。
あろうことか、いきなりジャンはアッパーを仕掛けてきて――イザークはそれをまともに受けた。
仰向けに倒れているイザークを、観客席のパネルに描かれたイザークが見下ろす。
会場が静まり返った。
「き、汚ぇぞ!」
その一言が皮切りになった。
『反則だ! 反則だ!』
『そうまでして勝ちたいのかよ!』
『あ、あいつ、ジャンじゃないぞ!?』
観客がどよめく。
イザークは頭を振りながら、何者か、と殴ってきた相手を見た。ジャンになりすましたフードの男はマントをばさりと脱ぎ捨てた。
下から出てきたのは、赤い鉢巻の日系人!
「あれは!」
「知っているのですか、解説のベルナデット=ルルーさん!」
「ええ、あの黒髪、赤い鉢巻に赤い瞳! 間違いありません!
 彼こそは、高圧的な態度で各地を回り、例外なく騒動を巻き起こしては鎮圧する、トラブルメイキングレベル空前絶後の測定不能者、ネオジャパンの狂犬! コロニー格闘技の覇者、キング・オブ・ハート、シン=アスカその人です!!」

「何なのよその解説はぁぁぁぁ!! 否定しきれないところがまた悲しいしっ!!」
場末の酒場で、テレビを見ていた赤い跳ね髪の少女が頭を抱えて叫び、客の注目を集めていたりしたが、まあ些細なことだ。

「イザーク=ジュール! あんたにファイトを申し込む!」
シンはグローブをはめた右手をイザークに突きつけ、宣言した。
「な…何だとっ!?」
「受けられるはずだ、あんたが本当に英雄なら!」
そう叫ぶシンの瞳は真剣そのものである。
「どこをどうすればそんな結論になるんですか」
「自己完結しちゃってんじゃないの?」
シホとディアッカが小声で会話する。
納得できないのはイザークも同じだ。
「ふざけるなァッ!!」
怒り心頭、瞬時に渾身のボディーブローを繰り出す。それをシンは紙一重で回避する。
回避したはずだった。しかし…
(こいつ…出来る!)
そこらのチンピラとは違う重さがある。かすめただけで威力が伝わってくる。
ちらりと周囲を見れば、黒服の男やイザークのクルーが動き出している。
シンはふわりとリングの外へ飛んだ。
「イザーク=ジュール! 確かにファイトを申し込んだからな!」
そう捨て台詞を吐いて、シンは逃走した。
「お、追え! 逃がすな!」
VIP席ではエザリアががなりたてている。
「Damn it! あの野郎ぉ…!」
イザークが屈辱に腕を振るわせる。
この試合は己の晴れ舞台だ。生まれ故郷のこの町に錦を飾り、アメリカン・ドリームの体現者となって、自分と同じ境遇の…いや、ネオアメリカ全ての人々に夢と希望を与えること。それがイザークの夢であり、この試合はその第一歩だったのだ。
「ディアッカ!」
「はいよ!」
「あいつに時間と場所を指定してやれ! ガンダムファイトだ!」
「そ、それじゃ隊長、挑戦受けるんですか!?」
「当然だ! ここまでコケにされて黙っていられるかァ!!」
「待ちなさいイザーク!」
振り返れば、エザリアが厳しい目をしてこちらを見ている。
「この件は私達に任せなさい」
「母上!? 何を!」
「あんな真似をしてくれるなら、こちらにも考えがあるということです!」
エザリアの宣言を背に、黒服の男達は会場を走り去っていく。
ボクシング会場を脱出したシンは、いつものマント姿に戻って道を歩いていた。
体が重い。パンチの重さが今になって効いてきたのだ。
(かすめただけで、この威力…!)
完全にかわさなければいけなかったのだ。だがそれを許してくれる速度でもなかった。
シンはベンチに倒れこんだ。限界だった。
動かなくなるのを見計らったように、黒服の男達が取り囲んでくる。
(SP…? こんな奴らを使うのかよっ…イザーク!)
そう叫ぼうとした。だが体力がない。
ぱん!
軽い音と鋭い痛みが、シンの意識を闇へ追いやった。
だがその音は、黒服の男によるものではない。第一男達は銃を持っていない。
「あんたたち! 命が惜しかったらとっとと帰りなさい!」
声に振り向けば、赤い跳ね髪の少女が拳銃を構えている。
黒服の男はシンを振り返った。ぴくりとも動かない。
「……撤退する」
男達は構えをとき、ばらばらに、黄昏に向かいつつある町へと消えていった。
長い息をつき、少女――ルナマリアはシンに駆け寄る。
気絶していることを確認し、拳銃をしまいこむと、ひとつ気合をかけて少年の体躯を担ぎ上げた。
シンが目覚めたのは、見慣れぬ一室のベッドの上だった。
「ここは…」
「さあて? どこだと思う?」
芝居がかった声に顔を動かせば、見慣れた少女がそこにいる。
「答えはネオアメリカのニューヨーク。ダウンタウンのスキッドロウよ」
「ルナマリア…」
「うん、記憶障害はなし、ね」
にっこり笑うルナマリア。だが内心は冷や汗ものだ。
何しろ黒服の男達に向けて発砲したはずの銃が、何故かシンの頭に直撃していたのだ。
(ゴムの弾でよかったわ…)
作成者であるヴィーノとヨウランに心の中で感謝する。
シンはそんな彼女の心を知らず、体を起こした。マントも鉢巻も外されて、完全に私服になっている。
「イザーク=ジュール…英雄と言われちゃいたが、あんな黒服どもを使うのなら…!」
「あんたが言うことじゃないでしょ!」
ぽかり、とシンの頭を軽く殴るルナマリア。後遺症がないと分かれば現金なものだ。
「目立ちすぎよ! ガンダムファイターって嫌われてるんだから!」
「だが、この町では…」
シンの言葉を、ルナマリアは厳しい瞳で遮る。
「あのねぇ、シン。確かにこの町は、力がある者が強い、逆に言えば力がなければ自分を表現できない町よ。ガンダムファイターへの接し方は、他の町とは随分違うわ。だけどね!」
ガタリと椅子の音を立て、ルナマリアが立ち上がり、シンに顔を突きつける。
「ファイターの全員が全員、歓迎されるとでも思った!? この町はイザーク=ジュールの故郷なの! イザークは特別なのよ。地球出身のチャンピオン、それもストリート・チルドレンの出なんだから…………」
はっとした。段々とルナマリアの声がしぼんでいく。
気付いてしまったのだ。
「……ひょっとして、気にしてるの?」
「お前には関係ない」
ぷい、と横を向くシン。
慌ててルナマリアは元の様に椅子に座った。
「ちょ、ないわけないでしょ! あたしはあんたのパートナーなんだから!」
「誰もついてきてくれなんて頼んだ覚えはないぜ」
「じゃあ誰がインパルスの整備するのよ? 料理作るのは? クルーゼ隊長と一々交信するのは?」
「…………」
恩着せがましい言い方だが、全て事実である。ルナマリアがいなければ、そもそもインパルスの整備はできないし、まともな料理は作れないし(獣の丸焼きをまともな料理と言えるなら話は別だが)、上司との通信も自分でしなければならない。
何より一人で旅をすることになる……
そこまで考えて、シンは頭を横に振った。
認めたくない。そんな心。
とんとん、とノックの音がした。
思わずシンとルナマリアは諍いを忘れ、顔を見合わせる。
ルナマリアは席を立ち、そっと扉に近づくと、覗き窓から相手を見た。
金髪に褐色の肌の男。どことなく軽薄そうだが、瞳の奥に油断できない光が見える。
知らない顔だ。
ルナマリアはドアチェーンがかかっているのを確認し、これまたそっと扉を開けた。
「ハロ〜ォ、ネオジャパンの諸君?」
無茶苦茶なネオアメリカ訛りを丸出しに、男はにやりと笑った。
「……どなたでしょうか」
「よくぞ聞いてくれました。俺はディアッカ=エルスマン、ネオアメリカ代表のサポートクルーだ」
それを聞いたシンは、ベッドから飛び降りた。ルナマリアに並ぶ。
「ファイトのことか!?」
「ああ、その通り。明日八時、ブルックリンでファイトだ。逃げるなよ」
「誰がだ!」
「おお怖。それじゃ、ちゃんと伝えたからな」
言って、ドアが閉まる。
シンは怒りを吐き出すように息をつき、ベッドへと向かった。枕元に、畳まれた赤いマントと鉢巻がある。
「ちょっと、今は寝てないとダメよ」
「後遺症はないんだろう。だったら…」
「ちょっと待ったぁ!」
いきなりドアチェーンが喧しい音を立てる。驚いて振り向けば、ディアッカがドアを開けた隙間から顔を覗かせていた。
「な、何ですか? もう用事は…」
「あるんだよ、大事なのがもう一つ! あんたに聞かなきゃならないことがあるんだ」
「え? あたし?」
きょとんとするルナマリアとシン。ネオアメリカのクルーが、ネオジャパンのクルーに何を聞こうというのだ。
ディアッカは至極真面目な顔をしている。
「あんた、名前は?」
「る、ルナマリア=ホークですけど」
「あんたさ、射撃ド下手だろ?」
「……え?」
「さっきの見てたんだけど、あんた確実に拳銃を…」
「帰れッ!!」
ルナマリアが手元のジュラルミンケースを投げつける。しかしディアッカに当たるわけがない。ケースは騒音を立ててドアに衝突、床に落ちる。
「やっぱ怖いよ、あんたたち。もう関わりあいたくありませんね〜っと!」
ディアッカは扉を閉めた。足音も遠ざかっていく。
ルナマリアは荒い息をつきながら、それでも落ち着いてきたようで、自分が投げたケースの回収に向かった。
「何なのよ、一体…!」
「射撃が下手なのは事実だろ」
「見ず知らずの人にいきなり言われれば腹も立つわよっ!」


「へへ、収穫あり!」
超小型カメラを片手で弄びながら、ディアッカは帰路についた。
中には先程盗撮したルナマリアの怒り顔が収まっている。
ディアッカ=エルスマン。彼は様々な二つ名を持つ。
例えば一つは『迂闊で残念』。一つは『炒飯の達人』。一つは『誤爆王』。
そして盗撮業界での名は、『怒れる女神像を掲げる男』。
上機嫌で道を歩いていくと、先程のベンチに差し掛かった。シンが倒れていたベンチだ。
ばらばらと周りから黒服の男達が出てきてディアッカを取り囲む。今度は銃を持って。
「……お〜っと?」
ディアッカは笑顔を引きつらせ、そろそろと両手を挙げる。
小型カメラが地面に落ち、小さな音を立てた。
ビルの屋上で、イザークはニューヨークの街並を眺めていた。
腕組みをし、はるか彼方まで目を向けている。しかし落ち着いているのは上半身だけだ。
「……遅い!」
たんたんたんたんたんたんたんたん!
イザークの足が十六ビートのリズムを刻む。
「あいつめ、一体どこまで行っている!」
「隊長、貧乏揺すりはお金を逃がしてしまいますよ」
「そんな迷信はとうの昔に嘘っぱちと見抜いている!」
「見抜いているというか、まあ、してもしなくてもお金は逃げていきますしね」
「えーいうるさいっ!」
イザークは後ろを振り向いた。予想通り、いつの間にやらシホが来ていた。
「シホ、今日は容赦がないぞ!」
「だってディアッカさんがいない分、私がしっかりしなきゃダメじゃないですか」
「く… し、しかしだな…」
「本当、どこまで行っちゃったんでしょうね、ディアッカさん」
そう言って、シホはイザークに並び、フェンスに身をもたせかけ、街並を見渡す。
「ふん、大方昔の馴染みに会って、話し込んでいるのだろう」
「あはは、それはあるかもしれませんね」
「シホ、お前は馴染みに会わなくていいのか?」
「会えないからいいんです」
シホの声は若干低かった。
「……そうか。悪いことを聞いたな」
「いえいえ」
会話が途切れる。
二人は並んでフェンスにもたれかけ、沈み行く夕日を眺めていた。
しばらくたって、シホが呟く。
「変わってませんね、この街」
「うむ」
ごく自然にイザークも頷いた。
「確かに街並は変わった。瓦礫になった建物もあれば、新しく建てられたものもある。だが根底にあるのは…」
そう、人の心は変わっていない。
強さに憧れ、空の上に憧れ、希望を見出す。
「シホ」
「はい」
夕日を見たまま、二人は言葉を交わす。
「俺達の夢は何だ?」
「このネオアメリカに、夢と希望を与えることです」
「そのために俺達が出来ることは?」
「ガンダムファイトで優勝することです」
「なら明日、俺は何をするべきだ!?」
「正々堂々、ネオジャパンと闘って、勝つことです!」
「Yeah! That's right!!」
イザークは右の拳を握り締め、天に突き上げた。
「俺は勝つ! どん底から這い上がった英雄の姿を皆に見せつけてやる! 俺の上には何人たりとも立たせんッ!!」
「はいっ!」


シンとルナマリアがルームサービスで夕食を取っていると、またノックの音がした。
ルナマリアが覗き窓で確認すると、そこにはディアッカがいる。
「今度は何の用!?」
扉越しに、ことさら不機嫌に言ってやると、ディアッカはそのまま無機質な声で、
「変更があった。明日八時にブロードウェイ。それだけだ」
きびすを返し、去っていく。
肩透かしを食らった感じがして、ルナマリアは目をぱちくりさせた。
「客か、ルナマリア」
「ん、さっきのディアッカって人。明日の場所が変更になったって。八時にブロードウェイだそうよ」
「いきなりだな…」
「そうよね。何か様子がおかしかったし…」
首をひねる二人。
日が変わった。イザークは既に愛機ガンダムマックスターへと乗り込んでいる。
「行くぞディアッカ、シホ!」
「隊長、ディアッカさんが来てません!」
「何ィ!? ファイトに遅刻するとはあいつめ、誇りあるジュール隊の自覚があるのかッ!」
「遅刻というか…ディアッカさん、結局昨日帰ってきてないんですよ」
そのシホの言葉に、イザークは黙り込んだ。
奴がこちらに連絡をせずに、一日空けたとなると…裏で何かが起きたと思うべきである。
「どうします、隊長」
「……今はファイトを優先する! 奴もそこらのチンピラに遅れは取らん」
「分かりました!」
そう、己はガンダムファイター。特に今回は、時間と場所を指定したのはこちらだ。遅れたりすっぽかしたりすれば恥晒しだ。
挑戦状を叩きつけてきたのが向こうであるとはいえ。
イザークとシホは、一路ブルックリンへと向かう。


シンとルナマリアは、聞いたとおりにブロードウェイに来た。
しかし待ち受けていたのは、ディアッカただ一人である。
「待っていたぞシン=アスカ。ここがお前の」
『墓場となるのだ!』
まるっきり悪役のセリフを吐いて飛び出してきたのは、戦闘ヘリとモビルスーツ・ゲイツが三機。ヘリで指揮しているのは、誰あろうエザリア=ジュールだ。
ディアッカは糸が切れた人形のように…というか実際に催眠術でもかけられていたのだろう、意識を失い倒れてしまった。
ゲイツが頭部の銃口をシンに向ける。
対してシンとルナマリアは生身。
機銃の連射音が轟く。
「イザァァァァクッ!! やっぱり腰抜けかアンタはッ!!」
「言ってる場合じゃないでしょ!」
ゲイツが撃ってくるピクウスをダッシュでかわしながら、二人の叫びがこだまする。
「第一イザークの手ってわけじゃないでしょうし!」
「あいつはイザークのクルーだぞ!?」
「だったら催眠術なんて使わないでしょ!」
叫びつつ、ルナマリアはシンから離れ、気絶しているディアッカに駆け寄り、背負った。
ゲイツはシンのみを狙っているようで、弾が飛んでくる気配はない。
ディアッカを背負いつつ、急いで瓦礫に隠れる。
(コンパクトが充電中なのが痛いわねっ!)
自分の迂闊さを呪いつつ、ディアッカの簡易検査を済ませようと焦っていると…
「……あれ? レディはなんで俺の体をまさぐってるのかな?」
ルナマリアは思いっきりディアッカの頭を殴った。
「い、いきなり何しますかね」
「アンタはもう少し女性にデリカシー持ちなさい! それじゃシン以下じゃないの!」
叫びつつ、簡易チェックを済ませる。
異常なしと判断したルナマリア、あらためてディアッカを見据え、
「説明してもらおうかしら!? これはどういうこと!?」
「これ?」
「自分の目で見てみなさい!」
ぴっとルナマリアが指したのは、瓦礫の向こうの光景。三機のゲイツのピクウスをひたすら避ける生身のシン。
「おお〜、やるねそっちのファイター」
「で!? ど・う・い・う・こ・と!?」
怒気を満面に現し、ルナマリアは詰め寄る。
ふざけている場合ではないとようやく悟ったか、ディアッカは顔を引き締めた。
「こいつは…委員会が先走ったな。イザークは知らないことだ」
「まあイザークの手でないのは信じるわ」
「Thanks! それでは…」
にやりと笑って、ディアッカは瓦礫を一部どかした。中から対人ライフルや古いバズーカのようなものが出てくる。
「ちょ、何よそれ!?」
「こりゃあ対空改良型スティンガーってとこかな」
「いやそうじゃなくて、なんでそんなのがここにあるのよ!」
「ネオアメリカの路地は浮浪児どもの武器庫ってね! 掘り出せば色々出てくるんだよ」
「だ、だとしても何年前のシロモノなわけ!? それに携行火器でMSに対抗するなんて」
「俺の二つ名を知らないな? 俺はディアッカ=エルスマン、伝説の誤爆王だぜ!」
「……逆に一気に不安になったわ」
「アンタに言われたくはないねぇ」
軽口か本気か分からないが、ディアッカはスティンガーを構える。
「耳塞げ! シュ――――ッ!!」
爆音と共にスティンガーミサイルが発射される。
ルナマリアは、それでも一瞬期待した。誤爆王と言っていても、もしかしたら自分を卑下しているだけかもしれない、あるいは運良く当たるかもしれない…と。
ミサイルは、ゲイツと戦闘ヘリの隙間を縫って進んだ。そのうち進路を上に取り、天高く飛んだところで自動的に爆発した。
もちろん傷一つ、ヘリやゲイツにはつけていない。
『…………』
「はっはぁ! グゥレイトォ!」
「グゥレイトォ、じゃねぇぇぇぇ!!」
ルナマリアの叫びがこだまする。
「むっ!?」
ブルックリンでシンの到着を待っていたイザーク、その爆発に気がついた。
『隊長、あれは!』
「分かっている! 行くぞ、シホ!」
『はい!』

ディアッカの射撃は、それはそれは酷いものだった。
数撃ちゃ当たる、とはよく言うが、一発もかすりもしないのはどういうわけか。相手は鉄の巨人だというのに。
「ねえ、あんたまさか、素人じゃないわよね?」
「素人が二つ名を持ってると思うかい?」
「……つまり素人より酷いってことね…」
こんな奴にド下手呼ばわりされたかと思うと、腹が立つやら情けないやら。ルナマリアはマグロの目で深く溜息をついた。
「貸して。あたしが撃つ」
「おいおい、こんな大事なのを任せられるかって!」
「少なくともアンタより当てる自信はあるわよっ!!」

ディアッカの腕に幻滅しているのはエザリアも同じである。
イザークのクルーで友人であることを考え、攻撃を躊躇っていたが……
「こんな人間を信頼しているのか、イザークは!」
こんな使えない男を、身内贔屓でクルーにしたのか。そう思った。
(あの子のためにも、ここで間違った交友は終わらせなければ!)
母親としての心が持ち上がる。
「全機、シン=アスカはひとまず放置! ディアッカ=エルスマンを殺れ! ここで手柄を立てればコロニーに上がらせてやるぞ!」
ゲイツがライフルを構える。
「おお、あちらさん本気だな」
「暢気に言ってる場合かぁぁぁぁ!!」
ディアッカと共にターゲッティングされたルナマリアが全力で叫ぶ。
「心配するなよレディ、もうそろそろ…ほら来た」
「え?」
聞き返すと同時、ゲイツの一機の頭部が後ろから撃ち抜かれ吹き飛ぶ。
「な、何?」
「真打は後から来るって決まってるだろ! He's the champ!!」
『ディアッカァァァァ!!』
魂のシャウトと共に、拳銃を構え、シールドをサーフボードのようにしてジャンプしてきたのは、ネオアメリカ代表・ガンダムマックスター! 乗っているのはもちろん――
「イザーク=ジュール!」
ルナマリアが叫ぶと同時、マックスターはもう一機のゲイツを殴り飛ばして着地した。
『貴っ様ぁぁぁ!! 連絡もよこさず、こんなところで何をしておるかぁぁ!!』
「いや俺もよく分からないんだけどね? 話はあとでするから、とにかくこいつら片付けてくれよ。このままじゃマジで死ぬ」
『それじゃディアッカさん、始末書お願いしますね』
「……アイアイサー」

「イザーク!?」
エザリアは体を震わせた。
自分がディアッカを狙わせたと、彼に知れてはならない!
「う、撃ち方やめ! シン=アスカを…」
『アンタらって人はぁぁ――――っ!!』
叫びが響く。
何事かと下を見れば、一機だけ残っていたゲイツがのけぞっていた。
シン=アスカのアッパーカットによって。
「……え?」
エザリアは硬直した。
『だぁらららららららっ!!』
バランスを崩してたたらを踏むゲイツに、さらに装甲を駆け上がってメインカメラに連打。
『でぇぇりゃぁぁぁぁぁぁ!!』
とどめに回し蹴りを入れられ、完全にゲイツの頭部は潰れた。そのまま後ろに倒れこんでいく。
巨人が倒れる重低音と共に、マントをはためかせ地面に着地したシンを、その場にいる人間のほとんどが呆然と見ていた。

「グゥレイトォ! ガンダムなしでもやれるんじゃんか」
「いや、その…(私も知らなかったわよ)」

シンはほっと息をついていた。
一瞬自分から狙いが外れたのが救いとなった。弾幕がないなら、攻撃に全て集中できる。バルカンをかわしながらでは、MSの装甲を抜く力など出せない。
『ネオジャパンのファイター! 聞こえるか!』
「ああ、うるさいくらい聞こえてるよ!」
『どうも手違いがあったらしい! こんなことになっちまったが、ファイトを受けてくれるか?』
「手違いだぁ!?」
『ま、待ちなさい、イザーク!』
割り込んできたのはエザリアの声。それでイザークは全てを察した。
『あなたが闘う必要はないわ! そこのネオジャパンは、我々が…』
『母上っ! …いや、ネオアメリカ・ガンダムファイト委員エザリア=ジュール!』
『!?』
オープンにされたヘリのスピーカーから、息を呑む音が漏れてくる。
ガンダムマックスターは、まっすぐにエザリアの戦闘ヘリを見据えていた。
『これ以上、私に恥をかかせないでいただきたい!』
『は、恥ですって…!? あなたは昨日の屈辱を忘れたの!?』
『不意打ちを卑怯というなら、あなたのこの行いは何だと言うのですか!』
『……!!』
言葉を失うエザリア。
『私はただ勝てばいいというものではないのです! ネオアメリカの人々に堂々と胸を晴れるファイトでなければ、勝つ意味がない! 私の目的は、地上のネオアメリカの人々に夢と希望を与えることなのですから』
「!!」
驚くシン。
『イザーク…』
呆然としたエザリアの声。
『立ち去ってください。そして二度と、このような真似はしないと約束してください』
きっぱりとしたイザークの声。
少し逡巡の気配を出したが、ヘリは大人しく離れていった。
それを見送ったマックスターが、あらためてシンを見てくる。
『すまなかった、ネオジャパン』
「いいや」
シンは首を横に振った。不敵な――しかしどこか安心したような笑みを浮かべ、マックスターを見上げる。
「イザーク=ジュールという英雄の姿、しっかり見せてもらったよ」

「なんか嬉しそうだな、ジャパニーズ」
「そうね…」
ディアッカの呟きに相槌を打ちながら、ルナマリアは思う。
(イザークの人気の高さに納得できたのかしら…)

『ガンダムファイト、受けてくれるか?』
「ああ! もちろんだ!」
頷いて、シンは高々と右手を掲げる。
「出ろォォォ!! ガンダァァァム!!」
パチィィィン!!
小気味いい指の音が響くと同時、三機の飛行物体がどこからともなく現れる!
常識外れの高速変形合体を成し遂げ、白い巨人が地に立った!
ネオジャパン代表、インパルスガンダム!

偵察用カメラをいじりながら、シホは携帯してきたボードにペンを走らせる。
「えーと、ネオジャパンのインパルスガンダム…三機合体で一体になる…合体スピードは超高速…あれ? ネオイタリアとの戦いでは結構時間かかってたっていうけど…」

『いやー、やっぱり合体プログラム組みなおして正解だったわね』
「全くだ。でなきゃミゲルに言われたように合体したままで運ぶところだよ」
『……それじゃダメなの?』
「何言ってる、ルナ。合体変形は男のロマ」
『もういいです』
通信回線がぷつりと切れた。
何か自分は気に障るようなことを言っただろうか?
シンは心の片隅で疑問に思ったが、すぐに消し去る。今重要なのは……!
『行くぜネオジャパン、インパルス!』
「応っ!」
『ガンダムファイトォォ!!』
「レディ… ゴォォ――――ッ!!」
開始と共にシンは突進をかけた。
まず近づかなければ始まらないのがインパルスという機体である。それは今年の大会に出場しているガンダムのほとんどに言えることだが、インパルスは中でも極端なほど超接近戦仕様だ。
マックスターは肩のアーマーを分離させ、ボクシンググローブの如く拳に装着した。そのまま深く構え、動かない。
(カウンター狙いか!?)
一瞬躊躇うが、すぐに思い直し、突撃する。
何が来ようとパルマフィオキーナの一撃が当たれば粉砕できる。その信頼があったればこその戦法だ。
マックスターが近づく。シンは右腕を僅かに引き、力溜めに入った。
そこにイザークが、気合と共に右のパンチを繰り出す!
「サイクロォォン・パァァンチ! シュゥゥゥトォォォッ!!」
近づいたとはいえ、インパルスはリーチの遥か外である。
だが、どういう仕組みか! マックスターの右拳からインパルス目掛けて竜巻が巻き起こった!
「な…にぃ!?」
完全に予想外だ。シンは慌ててブロックに入る…が、遅い。
「うおおおおおおっ!?」
竜巻に巻き上げられるインパルス。

「シン!?」
「いや、浅い!」
ディアッカが臍を噛む。
「浅いって、どういうこと?」
「サイクロンパンチがもろに決まれば、ガンダムの装甲くらい簡単に抉れる。今のインパルスは…」

「シン=アスカは下手に抵抗するのではなく、押し流す風に逆らわずに後ろに飛んでいる… そんな柔軟な発想ができる人だったなんて!」
シホがデータにチェックを入れている。

「ぐうっ!」
落下。
シンはようやく竜巻から解放され、背中から瓦礫に落ちた。
別に狙ってサイクロンパンチの威力を殺したわけではない。本能的に危険と察知し、後ろに飛ぶことでブレーキをかけたのだ。
ストリート・チルドレン時代に培った、野性的な勘のおかげだった。完全に見切っていたなら、受身までしっかり取れていただろう。
「やるな、シン=アスカ! サイクロンパンチのかわし方を見抜くとは!」
イザークは疲れと共に言葉を吐き出す。
サイクロンパンチはイザークの必殺技だ。それだけに決まったときの威力は大きく、外したときの疲労も大きい。
「だがっ! そんな不完全な体勢でぇ!」
イザークは今度こそ突進をかけた。狙うは、竜巻によって瓦礫に倒されたインパルスの首!
「俺の拳をよけられると思うなぁぁぁ!!」

「避けようとは…」
シンは右手の紋章を光らせる。
「思っちゃいないぜ、イザァァァァクッ!!」

――轟音。
その瞬間、空間が軋んだ、とシホは思った。
正確にはそんなことは起こり得ない。しかしそのときの強烈な音は、そう錯覚させるに充分だった。
イザークの右拳と、シンの右手が、真っ向からぶつかったのだ。
「おおおおおおおおおっ!!」
「らああああああああっ!!」
二人の怒声が衝突する。

「イザークッ!?」
最初に気付いたのはディアッカだった。
マックスターの右拳を、インパルスの輝く右手が握りつぶしていく。
イザークの怒声は、徐々に苦鳴へと変わっていく。

「悪いが…一撃必殺に賭けているのは…こっちも同じなんでな…っ!」
痛みをこらえながらも不敵に笑い、シンがゆっくりと体勢を起こす。

「パルマ…! フィオ…!!」

ブースターを吹かす。インパルスが上位になる。シンは息を吸い込み――

「キィィィナァァァァァァッ!!!」

渾身の叫びと共に、シンは内に溜めた気を爆発させた!
輝く右手、パルマフィオキーナが、マックスターの右拳を粉砕していく!
「ぐあああああああああっ!?」
「まだだっ! まだだ、イザーク! 聞きたいことが…!」
「い、痛い…痛いぃぃ…!!」
その声に気がつけば、シンはマックスターの右腕を完全に破壊していた。
どうやら頭に血が上って、相手が見えていなかったようだ。
「……あれ?」
『馬鹿シン! また目的と手段を逆にして!』
「す、すまん」
ルナマリアの通信をひとまず脇に追いやる。
「イザーク! 聞きたいことがある!」
「何を…余裕こいてる、インパルス!」
「この男を知らないか!?」
インパルスの通信回線を利用し、あの写真のデータを送る。褐色の髪の少年の画像を。
シンは必死だった。余裕と見られようが、自分のそもそもの目的はファイトそのものではない。ただ、闘うとついつい、本来の目的を見失ってしまうのだ。このあたり、シンは根っからのバトル・ジャンキーであるミゲルと同じものを持っているのだろう。
「そんな男は…知らん…」
画像を見たイザークが呻くように言う。
「そう…だな。あんたみたいな人が知ってるわけがない…」
少し寂しげにシンは呟き、右手をマックスターから離した。
それは、イザークにすれば屈辱と思えた。
「どうした…!? 早くとどめを刺しやがれ、インパルス!」
「……そいつは、出来ない」
「何ィ!?」
「周り、見てみろよ」
インパルスが構えを戻す。イザークは痛みをこらえながら、全方位モニターに目を走らせた。
人がいる。
(ああ…!)
数人ではない。数十人。数百人。ひょっとしたら数千人かもしれない。
ネオアメリカの人々が、自分達のファイトを見ていたのだ。
(見られた… 敗北を見せてしまった…!)
イザークは目を閉じ、天を仰いだ。
生まれ故郷のこの街で、アメリカン・ドリームの体現者として勝利し、夢と希望を見せるはずの己が、無様に負けてどうする。
あの、ボクシング会場のパネルに描かれた栄光の内の自分が、今の惨めな自分を見下しているように思えた。
(すまないディアッカ、シホ…母上… 俺は英雄になれなかった…!)
一筋、涙が零れ落ちる。
しかし――

「立ってよ、イザーク!」

子供の声がした。
目を開き、慌てて声の主を探す。
だが、声の主を見つけることは出来なかった。何故なら……

「立ってくれ! イザーク=ジュール!」
「あんたは俺達の希望なんだ! もう一度立ち上がってくれ!」
「頑張れぇぇ、イザァァァク!!」

何人もの…そこに駆けつけたネオアメリカの、何千人もの人々が、声援を送っているのだ。この己に。
誰が口火を切ったかなど、もう分からないし、分かったって何もない。
イザークは、右腕の痛みを忘れ、コクピットから外に出た。
大歓声が巻き起こった。
『イザーク! イザーク! イザーク!!』
イザークコールがネオアメリカ・ブロードウェイに轟く。
「みんな…」
「どうする、イザーク?」
我に返ると、シンが自分と同じくインパルスのコクピットから姿を見せている。
「ガンダムファイト国際条約第三条。『優勝への意志ある限り、何度でも立ち上がり、決勝リーグへ進むことが出来る』」
微笑むシンが何を言いたいのか、イザークにもよく分かった。
「ああ、そうだ。そうだったな」
イザークも、不敵な笑顔を取り戻す。
意志ある限り? 意志が尽きることなどあり得ない。
敗北したとて、何度でも立ち上がれば良い。立ち上がって、這い上がって、夢を掴み取れば良い。そもそも自分が見せようとしていたのは、その姿ではなかったか。
泥にまみれても夢を諦めない姿ではなかったか。
「何度でも立ち上がるさ…。生まれ故郷のこの街から!」
イザークは清々しい笑顔で、シンにサムアップサインを向けた。
「インパルス! この傷の屈辱は晴らす! I'll be back!!」
「ああ! いつでも来い! イザーク=ジュール、ナイスガイ!」
「へっ… Thank you!!」
ネオアメリカの人々の大歓声が、二人のファイターを包み込んだ。


次回予告!
ドモン「みんな、待たせたなっ!
    盗賊を率いて村人を襲うドラゴンガンダム!
    それを操るファイター、フレイ=アルスターに戦いを挑むため、シンの追跡が始まる!
    しかし! その途中で出会った美しい少女によって、シンはとんでもないピンチに巻き込まれてしまうのだ!
    次回! 機動武闘伝ガンダムSEED DESTINY!
    『倒せ! 魔女ドラゴンガンダム』にぃ!
    レディィ… ゴォォォ――――ッ!」
その頃のエターナル

バルドフェルド「う〜ん、キラ君、良い感じに緊張しているねぇ。あ、メイリン君、コーヒーどうぞ」
メイリン「ありがとうございます…なんで普通に鑑賞してるんだろ、私…」
ラクス「うふふ、これは永久保存の価値がありますわね。カガリさんの弱みも握れて一石二鳥ですわ」
メイリン「外道だこの人……あれ?」
ラクス「どうなさいました、メイリンさん」
メイリン「喫茶店外のカメラに人影… クルーゼさんが近くに来てます」
ラクス「あらあら、あの寿司屋の方ですの?」
メイリン「ええ… あ、アークエンジェルから通信です」
ムウ『エターナル! すぐにキラのところに向かってくれ! アークエンジェルも行く!』
ラクス「落ち着いてくださいな。迂闊に私達が動くわけには参りませんわ」
メイリン「ラクス様が介入拒否発言したっ!?」
ラクス「だって私達が行ったら、キラがここぞとばかりに帰ってきてしまうではありませんか。まだ始まったばかりですのに」
メイリン「そっちか――――っ!!」
ムウ『えええええっとぉ! でもアイツがあの夫婦に会ったら!』
ラクス「ですから、私達ではない人が止めに行けばよいのです」
ムウ『へ?』
ラクス「面白いことになりますわよ? うふふふふふふ」
メイリン「うわまた邪悪な顔してるよこの人…」

                 第三話舞台裏につづく
309通常の名無しさんの3倍:2007/02/11(日) 23:32:48 ID:???
やべー面白え!GJ!
しかも舞台裏wwww
310通常の名無しさんの3倍:2007/02/11(日) 23:33:34 ID:???
すみません。飛ばしていい話じゃありませんでした。
思いっきり伏線ぶちこめて、しかも遊べる話でした。反省します。
あとスティンガーはそんなに飛距離ありません。高くも飛べません。
演出上の問題というか、未来世紀やCEでは改良されてるってことでご勘弁を。
311通常の名無しさんの3倍:2007/02/11(日) 23:49:42 ID:???
GJ!シホの昔が気になるぜ!
312通常の名無しさんの3倍:2007/02/12(月) 00:00:45 ID:???
おもすれ〜〜〜www
早くフレイ様の活躍と普段見られないキラが見たいぜ!
313通常の名無しさんの3倍:2007/02/12(月) 18:05:58 ID:???
つまりフレイからお兄ちゃん!ってシンが呼ばれるようになって
シンの側が、恋にドキドキシン・アスカ、という訳だな
314通常の名無しさんの3倍:2007/02/13(火) 00:22:25 ID:???
>>308
GJ 
舞台裏込みでめちゃめちゃ面白かった。
本編のイザーク、カッコいいな・・・。
つーか、サポート役が両陣営とも面白すぎ

シンを撃っちゃうルナとか、本当に外しちゃうディアッカとかw
315通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 00:49:54 ID:OKRsITqE
ほす
316通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 05:40:26 ID:???
317通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 00:08:48 ID:???
ほしゅ
318通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 11:09:20 ID:???
>>308
GJ。密度濃いし読み応えある。チボデーは凸じゃなくて正解。
意外性ありすぎるフレイ様超楽しみ。一番楽しみなのはゲルマン忍者だが先は遠いな。
舞台裏も面白かった。ラクスとキラに不覚にもほのぼの。
その頃のミネルバブリッジ

アビー「ふあ〜あ…」
ドモン「熱心だな、アビー」
アビー「ど、ドモンさん!?」
ドモン「お前はいいのか? 上映会に行かなくても」
アビー「だ、だって、ブリッジを空けるわけにはいかないじゃないですか。艦長も副艦長も行ってしまってるし、それに私、自分が出てない回に興味ありませんから」
ドモン「ほう。俺が代わってやろうかと思ったんだが…いらん気遣いだったようだな」
アビー「え!」
ドモン「それでは俺も上映会に…」
アビー「あっ、えっとっ、そのっ、…興味はないけど、見てみてもいいかな、とは…」
ドモン「では、俺がここに来たのは無駄ではなかったわけだな?」
アビー「っ! そうです!」
ドモン「ふっ… なら、俺に任せてお前は休め」
アビー「はい!」

ドモン「素直になれん女だな…(ピピッ)む、エターナルから通信だと?」


艦の奥から歓声が響いてくる。上映会は第三話に差し掛かったようだ。
「さて…準備はいいか? 良ければお前達に、このガンダムファイトを説明させてもらうぞ。
 そもそもは六十年前に遡る。大戦争で汚れきった地球を後に宇宙に上がった人々が、コロニー国家間の全面戦争を避けるため、四年に一度、各国の代表を『ガンダム』と名付けられたロボットに乗せて、『ファイト』と称し!
 戦って! 戦って! 戦い合わせ!
 最後に残ったガンダムの国がコロニー国家連合の主導権を手にすることが出来る…
 ……何ともスポーツマンシップに溢れた戦争だよ。
 これで人類が滅びに直面するような危機は避けられた。だが残された問題が一つ。
 ファイトの舞台は地球。そう、俺達が住む汚れきった地球だ…
 以上がガンダムファイトの骨子だ。
 だが今回の大会は、どうも普段とは様子が違うらしい…」
「そこのお前! この写真の男に見覚えはないか!?」
赤い鉢巻と赤いマントに身を包んだシンが、いきなり写真を突きつけてくる。
半ばから破られた写真。褐色の髪の少年が、誰かと肩を組み、じゃれあうように笑っている。相手が誰なのかは、破られていて分からない。
ドモンはそれを受け取り、少し考え込む仕草をしたが、すぐさま皮肉めいた笑みを浮かべる。
「この写真がどんなファイトの嵐を巻き起こすことになるのか? …それを知っているのは底意地の悪い神様くらいのものだろう。
 今日のカードはネオチャイナのドラゴンガンダムだが、誰が乗り込むのかは…内緒だ」

ドモンがマントをばさりと脱ぐ。
下から出てきたのはピチピチの全身黒タイツ、即ちファイティングスーツだ!

「それではッ!
 ガンダムファイトォォ! レディィ…ゴォォォ――――ッ!!」
第三話「倒せ! 魔女ドラゴンガンダム」

――よいか、フレイ=アルスター。そちはこれよりドラゴンガンダムと共に地球へ降り、この宇宙の真の覇王たるはいずこの国か、その問いに、ネオチャイナの名を持って答えられるよう、しかと心得、必ずや勝利せよ… よいな… ゆけっ!

「はっ! 必ずや!」
凛とした女の声が、総師の間に響き渡り――


ネオチャイナの人々は逞しい。
彼らは人類が宇宙に進出し、コロニーと地上の力関係が確立した現在でも、変わらない暮らしぶりをしている。体制がいくら変わろうと生活を作るのは自分達という自負があるからである。
……とルナマリアは聞いていたが、実際にこの目で見ると、何の冗談かと思ってしまう。
藁葺きの家、洋服ではなく民族衣装に独特の髪型。変わらない暮らしぶりなのではなく、時代が止まっているだけなのではないか、と思えた。
このあたり、良識あるコロニー育ちとはいえ偏見があることの証明であろう。均一化された文化を当然と思えば、こういった地球の人々の暮らしを奇異にも見てしまう。ためにネオロシアでは寒い目に遭うのだが、まあ今は語るまい。
地上のことは伝聞の知識としてしか知らないルナマリア。もっともらしいことを言っても、地球に降りるのは今回が初めてなのだ。
だから周りを物珍しそうにじろじろ見てしまう。
しかしふと気付けば、村人たちも自分達を見ているのだ。怯えた顔つきで。
(失礼しちゃうわね、何もしないってば)
自分達の格好が、ここでは異端なのだという発想は出てこない。更には……
「おい、この男を知らないか? ……あ、こら、逃げるな! 逃げるってことは何か知っているんだな!? おい待」
「何やってんのよ馬鹿シン!」
村人を追いかけるシンの鉢巻のしっぽを引っ張る。
そう、パートナーがトラブルメーカーであることもすっかり意識の外であったのだ。
ルナマリアはそのまましっぽを掴み、ずるずると引きずっていく。
「く、首、首がっ… な、何するんだよルナ!」
「そんなんだからアンタはいつもいつもトラブル起こすのよ! 少しは聞かれる人のことも考えなさい!」
と、微笑ましいやりとりをしていると――

「と、盗賊だぁーっ!」
「黒竜団が出た! 逃げろーっ!」
半鐘の音と共に悲鳴交じりの避難勧告。遠くで爆炎。
怯えていた村人達の行動は早かった。手に手をとって逃げ出していく。家々からも、まとめた荷物を背負って、子供の手を引き逃げる親の姿が見られる。
「盗賊ですって…? こんなご時世に!」
ルナマリアは呻く。
まるっきりコロニー育ちの見方である。こんなご時世だからこそ盗賊がいるのだ。コロニー社会に置き換えて言うなら、盗賊団は犯罪結社のようなものである。
村の近くに立て篭もり、直接的に被害を出すのでそう呼ばれるだけだ。
しかし、意識がどうであろうと、こんな状況でやるべきことを見失う少女ではない。
布で顔を隠し、蛮刀を構えた男がばらばらと出てくる。奇声を上げながら、逃げる村人に襲い掛かる。
「シン!」
「言われずとも!」
ルナマリアが声をかける前に、シンは飛び出していた。瞬く間に盗賊達を叩き伏せていく。
「さ、こっち!」
ルナマリアは逃げる途中に転んだ女の子を素早く抱え上げ、村人の波に乗せる。少し戸惑ったようだが、女の子は無事に走っていった。
ほっと息をつくルナマリアの背後、頭上から蛮刀が襲い掛かる。
「女だからって…甘いわよっ!」
振り向きざまに肘鉄一撃、盗賊の腹に命中。相手がひるんだところを、完全に振り返ったルナマリア、思いっきり股座を蹴り上げた。
声にならない悲鳴を上げ、盗賊が前かがみになり、刀を取り落とす。それを空中でキャッチし、峰で盗賊の頭をぶち叩いた。
完全にKO。白目をむいて盗賊は倒れ伏す。
「これでもアカデミー卒よ? アマチュアに遅れを取ってたまるもんですか」
「いや、お前がえげつないだけだろ…」
振り返る。シンが近くに来ていた。向こうには彼がKOした盗賊達がばたばたと倒れている。皆例外なく、どこかしらの体が妙な方向に曲がっている。
ルナマリアは腰に手を当て、嘆息した。
「アンタの方がえげつないわよ。少しは手加減したら?」
「手加減はしたよ。でなきゃ全員殺してる」
低く言い切るシン。その表情は怒り。
少し怯みながら、それでもルナマリアは問いかける。
「生きるために盗むのは仕方ないんじゃなかったの?」
「盗みは許すさ。でもな…!」
二人の会話を引き裂くように、爆音が轟いた。
何事かと振り返る二人の目に飛び込んできたのは、一体の鉄の巨人。
「ガンダムだと!?」
シンが叫ぶ。
ガンダムは竜を模した両手を村に向けた。火炎が吐き出される。藁葺きの家はあっさりと火に包まれ、灰になっていく。
(盗賊がガンダムを使っているってのか!)
その意識は、シンにさらなる怒りを起こさせた。
「ルナマリア!」
「分かってる!」
『あいや待たれよ!』
ユニゾンの声を響かせ、飛び出してきたのは、袈裟を着た二人の少年僧。
「おい、危ないから下がってろ!」
『いいえ下がりませぬ! お手前、名うてのガンダムファイターとお見受けいたした。その上でお願いしたきことがござる!』
シンは…いや、ルナマリアも大口を開けてしまった。
話の内容ではない。長台詞ながら一糸乱れぬそのユニゾンに、毒気を抜かれてしまったのだ。敬服した、もしくは呆れたとも言う。
『どうか我らの話を聞いてくだされ!』
二人揃って土下座。
シンとルナマリアは、顔を見合わせてしまった。

「はい、これでいいわ。今日一日はなるべく動かさないでね」
「ありがとうございます」
村から少し離れた荒地で、一同はひとまず腰を落ち着けた。
先程は怯えていた村人達も、ルナマリアが医療免許を持っていると知れば、大分打ち解けてきてくれた。
火傷や怪我をした村人が、ルナマリアの前に列を作っている。
(薬、足りるかしら…)
村人が持ち出せた薬は少ない。ルナマリアも、大量に持ち運んでいるわけではない。
(どこか近くの町に言って補充しないとね…)
「次の方、どうぞ!」
心配事は胸の内。優しい笑顔を浮かべ、ルナマリアは治療を続ける。

そこから数歩離れた岩陰で、シンは先程の少年達の話を聞いている。
二人の少年達は、サイ=アーガイル、カズィ=バスカークと名乗った。眼鏡をかけた穏やかそうな方がサイ。どことなく霞んでいきそうな雰囲気を持つ方がカズィ。
『なにとぞ!』
がば、と二人は土下座する。
「なにとぞ我が国の、ネオチャイナのガンダムファイターを!」
「抹殺しては下さらぬか…」
「何だって!?」
シンは驚く。国家の威信であるガンダムファイターを殺せとは、どういうことだ。
「不思議に思うも無理はなし…」
「しかし我ら二人、考えに考えた末の結論でして…」
「待て、そもそもお前ら何者なんだ!?」
『これは失礼!』
体を起こす二人。サイが眼鏡の奥の目を光らせる。
「我ら、地球の少林寺に残る者」
「少林寺!?」
「は、そもそも少林寺とは…」
「いや、それは知ってる」
セリフを遮られたカズィが不満げな顔をしたが、シンは取り合わない。
「かつて地上最強といわれた拳の寺。だが六十年前に、僧のほとんどがコロニーの竹林寺に移り、今ではその寺の名を守るだけの場所…」
「これは博識でござりますな」
「……教わったからな」
シンの脳裏に、青い髪の少年の顔がよぎる。
「その通り、我ら少林寺、今では名前ばかりの張子の虎…」
目を閉じ、キッと歯を噛み締め、サイが悔しげに呻く。
カズィも視線を地に落とし、暗い声で続ける。
「そこで我らが大僧正は、ガンダムファイトで優勝すれば寺の再興も夢ではないと、幼い一人娘フレイ=アルスターをコロニーの竹林寺へ登らせ、修行をさせ、めでたくドラゴンガンダムを授かり、地上へと戻ってくることになりました。ですが…」
『事はご覧の通り…』
二人揃って溜息をつく。
一通り治療を終えたルナマリアがやってきて、シンの隣に座った。
「それって、コロニーの生活に慣れちゃった女の子が、地上の生活に反発してるんじゃないの?」
「余計な口を出すな、ルナマリア!!」
「っ!?」
赤い瞳に暗い炎を宿し、シンが一喝する。今回はたまらず、ルナマリアは黙り込んだ。
「……そうかも、しれませぬ。かの娘の性なれば」
「しかし…しかし…!」
『まさか事の重大さが分からぬほどだとは!』
二人揃って、またも溜息。
「……ガンダムファイトを腐った目的に利用しようとする奴なんて、そこら中にいるぜ? あんたんとこのファイターもその程度だったってことだろ」
「通常のファイターとは話が違います!!」
「なぜならば、かのフレイ=アルスターは…」
『純然たるナチュラルなのでございます!』
シンもルナマリアも、耳を疑った。
「それ本当に本当なの!? ナチュラルの女がガンダムファイターに選ばれるなんて…!」
シンの叱責を忘れ、ルナマリアが声を上げる。
「そう、驚くのも当然のことでござりましょうなぁ」
サイが遠い目をした。カズィはうんうんと頷く。
「昔とは違い、コーディネイターは今や一般的。ガンダムファイターのほとんども身体的調整を受けたコーディネイター」
「だからこそナチュラルのファイターは、ナチュラルであるだけで人気を博しまする」
「フレイ殿は我が少林寺の最後の希望! ナチュラルの、しかも女が此度のガンダムファイトで優勝したとあれば、コロニーの竹林寺に取られた門下生も帰ってくるはず!」
「なのにフレイ殿にはその自覚がまったくない…挙句の果てに盗賊にまで身を落とすとは…!」
二人の少年は、互いの肩をがしっとつかみ合い、
「サイ!」
「カズィ!」
『よよよよよ〜〜〜』
滂沱の涙を流す。
「あ、あのー、二人してユニゾンされるとリアクションに困るんだけど?」
あっけにとられるルナマリア。シンも毒気を抜かれている。
「あー…それで、これ以上寺やナチュラルの恥を広めたくないから抹殺してくれって事か?」
「その通りでございます」
「ガンダムファイトで華々しく散るがせめてもの情け」
『おお、命短し恋せよ乙女』
「お前らは一体何なんだ…」
脱力と共に言葉を紡ぐシン。
ある種、ルナマリアは感動を覚えていた。火のついたシンをここまで抑えられるのは並の技ではない。
とはいえ、習得したいとも思わないが。
「えーと…どうする、シン」
「決まってるだろ。お前ら、フレイはどこにいるんだ」
『五台山を根城にしておるとか…』
「分かった。ルナマリア、村人の治療は任せたぜ」
「りょーかいっ」
答えを聞くが早いか、シンは駆け出していた。充分に一同から離れたところで、右手を高々と掲げ、
「来ぉぉいっ! コアスプレンダァァァッ!」
パチィィン!
シンの指の音と叫びに応え、小型戦闘機が飛来した!
ルナマリアは、村の跡に戻っていた。少しでも薬を探すためである。
ほとんど燃えてしまっているか持ち出された後で、収穫はそうそうあるとは思えなかったが、近くの町に行くにも遠すぎる。
明日は薬売りが来るというので、今晩の分くらいは確保できるかと思って来たのだが…
「そんなに都合よくもない、か」
包帯の代用品となる衣服の切れ端を拾えたくらいだった。
ふと、路上に転がって呻いている盗賊の下っ端を見かける。
哀れに思ったが、治療する義理はないと思った。そんな医療品の余裕もない。
「そういえばシン、何であんなに怒ってたのかしら」
ネオイタリアで襲われたときは、それでも泣き言くらい言える程度に叩いていたはずだ。しかし今回の盗賊団には容赦がない。……容赦はしている、とはシンの弁だが。
村の跡地を隅々まで歩いていたルナマリア、一角でその答えを見つけてしまった。
人が死んでいる。何人も死んでいる。
全員逃げ切れたわけではなかったのだ。盗賊の蛮刀で斬られ、血は熱に煽られ乾いてきている。持ち物は既に剥ぎ取られ、皆軽装だった。
腕を斬られてショック死したのだろう、女の子が目を開いたままだ。そっと目を閉じてやる。
顔をしかめる。だが頭を切り替え、一つ合掌し、その場を立ち去る。
ふと考えが浮かんだ。
「まさかシン、フレイにファイトを挑む前に殺そうとか思わないでしょうね」
あり得る話だ。洒落にならない。
彼を殺人犯にしてたまるか!
ルナマリアは急いできびすを返し、その場を走り去った。
さてシンはコアスプレンダーで一路五台山へ。
とはいえ、飛び出してきたものの五台山のどのあたりにいるのか…ひいては五台山がどこにあるのか分からない。
今更戻るのも恥ずかしかったので、シンは街道沿いに飛び、通行人に道を聞こうと思った。
だが……
路上で、それもど真ん中で寝ている人間を見つけるとは予想外である。
(ネオチャイナってこんな奴らばっかりなのかよ!?)
そう思いながら、シンはコアスプレンダーを降りた。そっと近づく。
少女だった。おそらくそう自分と歳は違わないだろう。毛布一枚に包まり、見事な赤い長髪を惜しげもなく土まみれにしている。
それでも、美人であった。
「なあ、君」
肩を揺さぶる。
「ん…もうちょっと」
「いやもうちょっとじゃなくて、こんなところで寝ていたら風邪も引くし盗賊は近くにいるし…」
「何よぉ…そんな盗賊くらい…盗賊!?」
がば、と起き上がる少女。きょろきょろと辺りを見回すが、盗賊がいないことを確認したか、長い息をついた。
「脅かさないでよね… いないじゃないの」
と言いながら、また毛布に包まろうとする。
「ち、ちょっと待て! ここで寝るな!」
「んもう…うるさいわねぇ…寝不足はお肌の敵なのよぉ」
「っ…そんなに寝たいなら俺のスプレンダーで寝ろ!」
咄嗟に叫ぶと、少女はまたも跳ね起きた。シンを見上げる。
水色の綺麗な瞳が、シンの赤い瞳を覗き込んだ。
「いいの?」
「うっ」
たじろぐシン。弾みで言ってしまったが、そもそも自分はフレイを倒すためにここまで来ているのだ。
しかし道が分からないのは変わらない事実である。
瞑目して、少し考える。
「……道を教えてくれれば、いいよ。五台山まで行きたいんだけど」
「それじゃ決まりね!」
声は後ろから聞こえた。
驚いて振り向くと、既に少女はコアスプレンダーに乗り込み、毛布を広げている。遠慮なしに寝る気だ。
「ちょうど良かったわ、私もそっちの方に用事があるのよ。乗せてってくれない?」
悪びれもせず、少女はにっこり笑う。
とりあえず道なりに進めばつく、と教わり、シンは引き続きコアスプレンダーを道に沿って飛ばすことになった。
(エアカータイプにしてもらえばよかったかな…)
都合の良いことを思ってしまう。
「ごめんね〜、お兄さん。でも助かったわ」
「気をつけてくれよ? このあたり盗賊が出るんだし、そうでなくても女の子が一人で無防備に寝てたら」
「心配してくれるんだ?」
「ン… そりゃあね。見過ごせないさ」
「あら、どうして?」
「どうして、って…」
バックミラーで後部座席の少女を見る。彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべ、シンを見ていた。すっかり眠ったおかげで元気になったようだが…
「だってそうだろ。誰かが傷つくのを見るの、嫌だと思わないか?」
「ふ〜ん…」
小首をかしげる少女。
顔と、土まみれだった髪を濡れたタオルで拭き、髪を後ろでまとめただけだが、お世辞抜きに美少女である。さらさらとこぼれる赤い髪に、しっとりした肌、口元の微笑、ぱっちりとした目、硝子のような水色の瞳、膨らんだ胸元……。
何か後ろめたい気がして、シンはバックミラーから目をそらした。元よりこの少女の美貌であれば、見つめられて普通に会話できる男子はごく稀だろう。
「君は旅をしているのか?」
その場をとりつくろうように、質問を投げかける。
「ええ、そうよ。料理修行中なの」
「料理人…? 君が?」
「意外?」
くすくす、と笑い声。みんなそう言うのよね、と付け加えられる。
「みんな、私はどこかのお嬢様なんじゃないかって言うのよ」
「そりゃあ、なぁ…」
シンは言葉を濁す。彼女の図々しさ、非常識さは、箱入り娘だとでも思わなければ説明がつかない。
シンの反応をどう受け取ったか、少女は薄く笑った。猫を思わせる顔だ。
「美人なんて珍しくないでしょ? コーディネイターなら誰だってそうなんじゃない?」
「外見の調整の問題だから、美人じゃないコーディネイターだって…」
当たり前に答えようとして、ふと少女が自分自身を美人と思っていることに気付く。
美人なのは事実だが、自分で言うか。そう思うと心に小さな反発が起こった。
「……それより、旅をしているならこいつを知らないか」
事務的な話に切り替える。前を向いたまま、運転しながら例の写真を後ろに差し出した。
少女が受け取って一瞥。その目が一瞬大きく開かれ…悲しげになった。
「………………知らない」
力なく、写真が返されてくる。
嘘だ、と思った。あからさまに知っている奴の反応だ。声も若干震えている。だが、聞く気にはなれなかった。
少女が先程までとは対照的に、あまりにも悲しげだったせいかもしれないし、その憂いの顔を美しく思ってしまったからかもしれない。
シンは写真を受け取った。何も言わなかった。
コアスプレンダーのエンジン音だけが二人の間に流れる。
「……何も聞かないのね」
ややあって、ぽつり、と少女が呟いた。
シンは出来るだけバックミラーを見ないように、前に集中するように心がけた。
「優しいんだ、お兄さん」
心臓が高鳴った。
優しい? そんなことを言われるのは、随分久しぶりである。
「知らないって、嘘よ。私、この人知ってる」
「今どこにいるか分かるか?」
「ううん」
「……それならいい」
日がだんだんと落ちていく。もう夕方だ。
少女の憂いの瞳がオレンジ色に染まる。見ないようにしていたのに、やはりバックミラーで見てしまう。
そこに少女が気付く。鏡越しに二人の視線が絡み合った。
何かに怯えるように、視線をそらすシン。
理由は自分でも分からない。キング・オブ・ハートたる己が、一体何を恐れているのだろう。この少女を? ついに得た手がかりを? それとも……
シンは首を強く横に振る。これ以上は考えたくない。
己には目的があるのだ。ならばそれに向かい突き進むのみ。他の何を気にする必要がある?
「悪い。やっぱり、教えてくれるか?」
少女は少しだけ驚いて…悲しげに微笑んだ。
「恋人だったの。昔。一時期だけね」
聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
「今はどこにいるのかも分からない。会っても…どんな顔すればいいのか分からない…」
「…………」
「お兄さんは、彼とどういう?」
「……君には関係ないことだ」
「そう」
一つ頷いただけで、少女は詮索してこない。シンにはありがたいことだった。
コアスプレンダーはエンジン音のみを響かせ、夕日の中を飛んでいく。
日が落ちるか落ちないかのところで、小さな村に着いた。
「お兄さん、お金持ってる?」
「いや、生憎盗賊にやられてね」
「奇遇ね。私も持ってないのよ」
というわけで、二人は今厨房にいる。
料理を手伝う代わりに夕食と宿。ヒッチハイカーの常套手段であるが、まさか本当にやることになろうとは。
発案者の少女は中華鍋とおたまを振るっている。シンは料理が出来ないので、皿洗いに回っている。
体を動かしていると、会話もしやすい。
「へえ、料理修行って本当なんだな。上手いもんだ」
「当然! それより、お皿早く洗って? 間に合わないわよ」
「あ、悪い」
村では祭りの真っ最中だ。囃子の音がここまで聞こえてくるが、水音と火の音でメロディが聞き取れない。
と、いきなり轟音が囃子の音を打ち消した。次いで、悲鳴と怒号、何かが燃える音――
「まさかっ!?」
「あ、ちょっと、お兄さん!?」
「君は隠れてろ!」
シンは洗っていた皿を水桶の中に落とし、外へと駆け出した。
やはり盗賊が来ている。祭りで浮かれていた村人達に躍りかかっている。
篝火の赤、散る血潮の赤、幸せな空間が一転して地獄絵図に――
「アンタらって人はぁぁ――――っ!!」
シンの中に火がついた。地を蹴り、女を攫おうとしていた手近な盗賊の脇腹に拳をぶち込む。形容しがたい悲鳴を上げ、その盗賊は吹っ飛んだ。そのまま動かなくなる。
盗賊達の注意がこちらに向けられる。だが構わず、シンは新たな獲物に跳びかかる。その様、さながらネオホンコン・ムービーのヒーローの如し。
「……さっすが」
勝手口から少女は体を覗かせた。その手には中華鍋を持ったままだ。
目ざとく彼女を見つけた数人の盗賊が、蛮刀を放り出してにじり寄ってくる。
小さく怯えた声を上げる少女。それが盗賊達の欲望を掻き立てた。三人同時に襲い掛かってくる。
「いやぁぁぁぁっ!!」
「はっ!?」
シンが悲鳴に振り返れば、少女が中華鍋を思いっきり振り下ろしているところだった。
ガン、ゲン、ゴン! どこかコミカルな音をたて、脳天直撃。三人の盗賊はゆっくりと仰向けに倒れた。火傷とたんこぶが出来ている。
シンはほっと一息つくが、すぐに叫ぶ。
「隠れてろって言ったじゃないか!」
「ご、ごめんなさい」
と少女が謝った直後、重低音が辺りを揺るがした。
何かと空を仰げば、そこに立つのは竜を模した鉄の巨人。
「ドラゴンガンダム…!」
少女が目を見開き、呟く。シンもまた、赤い瞳を剥いた。
「フレイ=アルスタァァァッ!! 地上人ファイターの風上にも置けん奴ッ!!」
巨人に向かって吼え、右手を高々と掲げ――
「来ぉぉいっ! ガンダァァ…」
「待ってっ!」
少女が駆け寄り、シンを止める。
「何を…」
「だって、ほら!」
少女が指した向こうでは、数人の盗賊がコアスプレンダーに乗り込んでいる。
「あ、お前らっ!」
駆け寄る間もなく、コアスプレンダーは盗賊たちに乗っ取られ、飛んでいってしまった。同時にドラゴンガンダムも、残っていた盗賊たちも撤退していく。
残されたのは、祭りを台無しにされた村人達と、呆然とするシン。そして……
「黒竜団…」
隣に立つシンにも聞こえないほどの小声で、少女は呻いた。鍋を握る手が震えていた。
スプレンダーを奪われてしまったため、以降は徒歩になってしまった。
元々ファイターで基礎体力のあるシンは、この程度の山道などどうということはない。少女の体力が持つか心配だったが、ちゃんとついてきてくれている。
「悪いな、出発を急かして」
「いいのいいの! 元々あてのある旅でもなし」
「しかしガンダムファイトの最中だってのに、気楽なもんだな」
「あら、お兄さんだってそうじゃない。ファイトの最中に旅行なんて」
くすくす、と笑う少女。シンは口を尖らせ、そっぽを向いた。
昨日の一件で、少女はシンがファイターであることに気付いている。なのにそんなことを言うとは、からかっているとしか思えない。
「……っと、着いたわよ、お兄さん」
少女が足を止めた。
まだ岩だらけの荒地である。しかし遠くには、古びた壁のようなものがずっと連なっている。
「あいつら、万里の長城跡を利用して、根城にしているんですって。警備は厳重、ちょっとやそっとじゃ近づけない…」
「詳しいな」
「そりゃあ、下調べはバッチリ…ええと、旅行者にとって地理の調査は基本だもの」
ニッコリ笑って、少女は走り出す。
「おい!?」
慌てるシンを振り向きながら、少女は声を張り上げる。
「少し偵察してくるわ! スプレンダーに乗せてもらったお礼!」
「そんなものいい! 君みたいな女の子は狙われるだけだ!」
焦って岩を蹴り走るが、足場のせいで上手く走れず、追いつけない。少女は軽やかに岩場を走っていく。
「襲われちまうぞ、早く戻れ!」
その叫びにも応えない。
「あの子はっ! 自分の顔に自信があるのに、どうしてそう無防備なんだよっ!」
ぼやきながらも先を急ぐ。もう少女の姿は瓦礫で見えなくなってしまっている。
いくつかの瓦礫を越え、岩場を登ると――
「そいつよっ! 早く捕まえて!」
少女の声と同時に、鎖分銅が四方八方から飛んでくる。咄嗟のことに反応できない。もろにシンは鎖にからまれ、ぐるぐる巻きにされてしまった。
何事かと声に目を向ければ、そこにはあの少女と盗賊が並んで立っている。
「君っ!?」
「そいつが辺りをふらふらしてたのよ。このアジトをこそこそ探って!」
「どういうつもりだッ!!」
シンの怒声に怯むこともなく、少女は艶然と笑う。
「だってご時世だもの。仕方ないでしょ?」
「あ…アンタって人はぁ――っ!!」
騙された、と了解し、シンは腹の底から怒号を上げた。しかし鎖に引っ張られ、力が分散して抵抗できない。
「連れて行け!」
少女の隣に立つ盗賊が、そう命じた。
アジトに連行されたシンは、拷問部屋で上半身を裸にされ、両腕から天井に吊り下げられてしまった。
「おらぁ、吐け! 何が狙いだぁ!」
周りの盗賊が鞭を振るい、痛めつけてくる。呻き声を噛み殺し、シンは耐える。
鞭という武器は素肌には厳しい。確かに剣ほど骨への圧力はないし、刀ほど鋭利でもない。だがその分、皮膚を引き剥ぎ痛めつけるのには充分すぎる威力を持つ。
昔の刑罰に鞭打ち百回というものがあったが、柔な人間であれば本当に死んでもおかしくないのだ。
幸いシンは、『柔な人間』とは程遠かった。
簡単に音を上げないシンに、嗜虐的な笑みを浮かべ、盗賊の一人が新たな命令を出す。
「おい、水だ!」
「へい!」
冷水が顔にぶちかけられる。
戸口に隠れて見ていた少女は、小さく、申し訳なさそうに俯いた。
「どうだ、ちったぁ話す気になったか?」
顔を突きつけ、下卑た声を上げる盗賊。シンは唾を吐きかけた。
「て、てめぇ…」
「お前らに用事はない…!」
激昂する盗賊よりも、シンの声の方が勝った。地獄の底から響いてくるような声。優位にあるはずの盗賊たちが、思わず背筋を振るわせ、後退った。
そこに――
「もういいわ」
戸口の少女をかすめ、入ってきたのは、年若い女であった。
黒い髪を短く切り、この場にそぐわぬスーツを着ている。顔にあるのは、猫がネズミをいたぶるかのような傲慢さと嗜虐性。
「その人は私に用事があってきたんでしょう?」
「へい」
盗賊たちは、大人しく…あるいは幸いとばかりに身を引く。黒髪の女は、シンを見て、背筋が冷たくなるほどの笑みを浮かべた。
シンは直感する。
「お前が…ドラゴンガンダムのフレイ=アルスターか…!」
どこまでも暗い炎を赤い瞳に宿し、呻く。
「うん?」
女は、何か疑問に思ったのか、笑みを消す。
構わずにシンは吼えた。
「こんな盗賊に成り下がって、女子供も殺して…手下を使わなければ勝負も出来ず! 少林寺だけじゃない、お前はナチュラルの…いや! 地上人の面汚しだ! サイやカズィが嘆くわけだぜ!」
「……何言ってるの、あなた」
「せめてガンダムファイトで勝負をつけたらどうだ!」
その一声に、女は少し驚いたようだった。だがすぐさま笑みを浮かべる。
「そう。あなたもガンダムを持っているのね? なら今すぐ…片をつけてあげるっ!」
宣言し、部下の鞭を受け取ると、思い切りシンを打ち始めた。
どれほどの時間、続いただろう――
「しぶといわね…。今日はこのくらいにしておくわ。連れて行きなさい」
『へいっ!』
そんなやりとりのすぐ後に、傷だらけのシンが戸口から担ぎ出されていく。意識が朦朧としているのか、シンの目の焦点は合っていない。
「それで? あなたは彼の連れ?」
戸口から最後に出てきた黒髪の女が、冷たい目をして少女に問いかける。
少女は瞬時に憂いを消し、薄く笑った。
「彼はガンダムファイターで、私をここまで連れてきてくれた運転手です。私の手土産、とでも思っていただければ」
「ふうん…」
女は探るような視線を向ける。少女は薄笑いを浮かべたまま、まったく動じない。
「何が目的?」
「私は料理修行中の身なんです。ここの料理人にしていただけません?」
「うら若き乙女が盗賊団に入れば何をされるか…分かってるんでしょうね?」
「黒竜団のお噂は聞いています。このご時世、強い者に従うのが賢い道でしょう」
「へえ」
女が、そっと顎のラインをなでてくる。若干不快そうに顔をしかめたが、少女は抵抗しなかった。
「いいわよ。あなた綺麗な顔してるし。好きにしなさい」
「ありがとうございます」
少女の赤い髪が跳ねるのを、シンは夢の中のことのように見ていた。
気がつけば、シンは牢屋の中にいた。三面石造り、一面木の格子。
遠くからは盗賊の歓声が聞こえてくる。
『ははは、あの姉ちゃん、確かに料理は良い腕してるぜ!』
『それになかなかの上玉じゃねぇか。なあ?』
『一人じゃ寂しいだろうしなぁ…今夜励ましに行ってやるか?』
『そりゃいい! はっはっはははは!』
「あいつら…」
傷は痛むが、大分回復している。動けないわけじゃない。
身を起こすと、靴音が響いてきた。
「お兄さん、起きてる?」
顔を上げる。あの赤い髪の少女が、格子越しに料理を持ってきていた。
「…………」
ぷい、とそっぽを向く。
「そ、そんな露骨に毛嫌いしなくたっていいじゃない。こうして料理も持ってきたんだし」
「…………」
良いにおいが鼻と腹を刺激するが、シンにはこの少女が許せなかった。
あの夕日の中、コアスプレンダーで聞いた言葉は何だったと言うのか。
そんなシンを見て、少女は空気を紛らわせようと思ったか、にっこりと笑うと、
「ごめんね? でも、これは作戦なのよ、さ・く・せ・ん♪ ほら、アジトにすんなり入れたじゃない」
「…………」
効果なし。少女は笑顔を引きつらせ、乾いた笑い声を上げた。
「あはは… 怒ってる?」
反応はない。
「そりゃそうよね…。だから、私が嘘をついてないって証拠に…牢屋の鍵、開けちゃう」
軽薄な調子は信用できなかったが、少女は料理の皿を地面に置くと、本当に牢屋の鍵を外した。
がちゃり、と小さな音を立て、扉が開かれる。
「スプレンダーは正門脇の倉庫の中よ。後は自由にして、お兄さん」
シンは驚いたように少女を見た。少女は相変わらず、にっこり笑っている。
信用して良いのだろうか?
しかし、ここで牢屋に篭っていても、どうにもならない。
(出られるなら出るか…)
問題が起こったら、起こったときのことである。
そっとシンは扉をくぐり、牢屋から出た。
「うっふふふ…」
「?」
訝しげに少女を見る。すると――
「脱走よぉーッ!!」
あろうことか、少女は大声を上げながら、走り去っていく!
「な、何て奴だあのアマ!」
追いかけるが、追いつかない。足が速すぎる。
「くそ、何者だアイツ…ん?」
ふと目に入ってきたのは牢番をしていたはずの盗賊だ。頭にたんこぶを作り、気絶して壁によりかかっている。
「アイツがやったのか!?」
しかし考えている暇はない。何よりさっさとコアスプレンダーを取り戻さなくては。
シンは少女の追跡を諦め、教えられた倉庫へと駆け出した。
その情報すら嘘ではないかとは思わなかった。基本的に人を疑う性格ではないのだ。単純とも言う。
脱走の知らせに、砦は一気に騒ぎになった。
「逃げたわ! あいつが逃げた〜っ!」
赤い髪の少女が、叫びながら走っていく。
「シン=アスカが逃げ出したわよぉっ!!」
料理にがっついていた盗賊、寝こけていた盗賊、カードに夢中になっていた盗賊……全員が全員驚き、慌てて走り出す。
それはあの頭目、黒髪の女も同じだ。
「腐ってもファイターということ…!? 彼にスプレンダーを渡さないで!」
命令を出し、自身はドラゴンガンダムへ向かう。
だが、そこには先客が待ち構えていた。誰あろう、あの赤い髪の少女だ。
「何をしているの! 料理人であろうと、黒竜団の一員なら、シン=アスカを…」
「誰がアンタ達の一員ですって?」
冷たく言い放ち、少女は地を蹴った。ばねを使い、体をかがめ、右で不意を突かれた女の腹を抉る。
女の足が宙に浮いた。小さく声にならない声を吐き出す。そのまま、女は力なく、仰向けに崩れ落ちた。
「あ…あなた…」
「まだ意識があるのね。意外にしぶといじゃない、黒竜団頭目・マティス」
女が残る力を振り絞って顔を起こし、少女の顔を見る。少女はあの薄笑いではなく、真剣な怒りを浮かべていた。
女――マティスは思い知る。この少女はただの料理人でもなければ、部下の慰み者でもない、と。
「ガンダムファイト国際条約第四条。『ファイターは己のガンダムを責任持って守り抜くこと』。私のガンダムを随分といいように使ってくれたじゃない? たかが盗賊風情が!」
少女がとどめの拳を額に入れる。マティスは完全に気絶した。
「この私を部下の玩具にさせようなんて。分不相応もいいところよ」
少女は吐き捨て、ついに取り戻した己のガンダムへと向かっていった。
一方、シンは向かってくる盗賊を薙ぎ倒しながら、ようやくスプレンダーへと辿り着いていた。
あの鎖分銅が厄介かと思っていたが、統率も取れていない連中では話にならなかった。
混乱があっては実力が出せないという好例であろう。
シンはコアスプレンダーのキーを確認し、プログラムを再起動させる。これで主導権はシンに戻った。
「後はフレイ=アルスターを探して…!」
『その必要はないわ、お兄さん!』
あの少女の声が響く。それと同時に、重低音と地面の振動。
顔を上げれば、ドラゴンガンダムが動き出していた。先程の声はドラゴンガンダムから聞こえたのだ。
「な…どういうことだ!?」
『やっと私も自分のガンダムを取り戻せたってこと!』
「自分のガンダム…それじゃあ君が!」
『その、通りっ!』
ドラゴンガンダムが跳躍し、宙返りをして荒地に着地。ぴっ、と構えを取る。
『私が本物のフレイ=アルスターよ! あの女はマティスっていう、ただの盗賊の頭目!』
美貌の少女、フレイ=アルスターは高らかに宣言した。
村を襲っていたときのあの鈍重な動きとは比べ物にならない。確かに、こんな生き生きとした動きはガンダムファイターでなければ出来ないだろう。しかしあの絶世とも言える美貌が、ナチュラルのものであるとは……。
いや、そもそも。
「なんでそんなことになったんだよ!? ガンダムファイト国際条約第四条はどうした!?」
『事故よ! 私とガンダムが別々の場所に落ちちゃったの! 急いで取りに行ったけど、もうそのときはマティスに拾われてて、利用されて』
「それで今度は俺を利用したってワケか」
『ごめんね? でも、嬉しかったのは本当よ』
「フッ…」
シンは思わず笑みを浮かべた。
腹が立つのは確かだが、あの非道を行ったのが地上の期待を背負ったガンダムファイターではないというのは、純粋に嬉しかった。
それに、あの夕日の会話も……。
「借りは全部ファイトで返してやるさ! 嫌とは言わないだろうな!?」
『当然! さあ、始めましょ!』
凛とした声。
シンは笑顔で右手を高々と掲げる。そう、やはりファイトはこうでなくてはいけない!
「出ろぉぉぉっ! ガンダァァァムッ!!」
パチィィィン!
小気味いい指の音が響くと同時、コアスプレンダーが空へと舞い上がり、どこからともなく現れた二機の飛行物体と高速変形合体!
白い巨人、インパルスガンダムが荒地に降り立った!
「ファイトの前に一つ聞きたい」
『何?』
「君、自分がコーディネイターみたいなことを言ってなかったか?」
『あれは一般論! 誰も私を見てナチュラルだと思わないんだもの。ちょっとくらい引っ掛けたくなるじゃない』
「……君って人は!」
シンは半ば呆れた。どうやら、この性格は素のものらしい。道のど真ん中で寝ていたのも、自分に拾わせるためではなく、ただ単に眠かったからなのではないだろうか。
思えば、例え彼女がサイやカズィと繋がっていたとしても、自分が地上の道を通ることは予測できない。
(少林寺のお嬢様、か)
苦笑する。さぞかしサイやカズィも苦労していることだろう。

「行くわよ、シン=アスカ! ガンダムファイトォォ!」
「レディ……」
『ゴォォォ――――ッ!!』

インパルスが突進する。ドラゴンもまた。
シンが拳を繰り出す。動き一つで避け、ドラゴンが脇を駆け抜けざまに蹴りを放つ。
それを素早くガードし、後ろに飛ぶインパルス。追いすがるドラゴン。
拳と拳の連打がぶつかる。
「やるな、フレイ! ナチュラルとはいえっ、これならっ! 少林寺再興を託されるのも分かる!」
「ナチュラルの意地ってものが、あるのよっ! いくら世話になったお兄さんでもっ! 容赦しないわよ!」
「望む…ところだぁっ!」
力をこめ、ドラゴンガンダムの拳を弾き返す。そのまま下がったドラゴンの腕が、伸びた。
「何っ!?」
右腕が伸びる、伸びる、伸びる。一体ドラゴンガンダムの細身のどこに、こんなリーチが内蔵されているというのか。
竜を模したドラゴンガンダムの右手の牙が、インパルスの首を狙う!
シンは咄嗟に下からドラゴンの右腕を突き上げた。竜の牙はインパルスに届くことなく、戻っていく。
右腕を追ってドラゴンガンダム本体に目を戻せば、左手に数本の棒を握っている。
嫌な感じがした。
「右腕は陽動か!?」
シンが気付いたときはもう遅い。
「回りなさい、フェイロン・フラッグ!」
左手の棒を地に突き立てる。棒が地を走り、インパルスを取り囲み、一斉にビームフラッグを展開した!

たかが目くらまし、と侮るなかれ。
旗に自分の身を隠し、太刀筋を見えなくさせ、防御を難しくさせる。また、旗の中のどこに自分がいるかも隠せる。
相手が偽の旗を突き破ってくれば、別の旗で待ち構えておいて横から突き刺せる。
囲まれた側にすれば、もちろん旗の下を見れば敵の足元が見える。だが下ばかり見ていては、相手の攻撃に無防備になる。
それに戦闘中には、つい目の前に――同じ視点の光景に反応してしまうのだ。旗の揺らぎは、一瞬の動きに対応しなければいけない戦士にとって厄介な代物である。
対人戦、それも一対一では、旗は効果的な戦法なのだ。

アカデミーで習った知識を思い出し、シンは舌打ちした。
「一対一の一騎打ちで効果的…だったらガンダムファイトに使わない手はないってことか!」
虚の中に実あり、ただし虚がいくつあるかは分からない。現実に、こんな数本のビームフラッグでこの己が撹乱されている。
その上フレイが素早いのだ。あの足の速さは気のせいではなかった。
そこかと思えば残像、そちらと思えば虚しく旗を凪ぐ。
(こっちよ…こっち…)
嘲るような少女の声が聞こえてくるような気がした。あの薄笑いが目に浮かぶ。
このままでは埒が明かない。シンは動きを止め、目を閉じる。
今だけは、心に盛る炎も鎮めてしまいたい。
周囲は無音…闇の中でシンは、静かに…ただ静かにと念じる。
光が閃く。

――あはははははっ! 観念しなさいっ!

攻撃的な意志が、実際の打撃よりも早くシンを打つ!
「そこかぁぁぁっ!」
かっと目を見開き、シンは右手を光らせ、頭上へと繰り出した!
ドラゴンの顔を、輝く右手、パルマフィオキーナが鷲掴みにする!
「う…嘘ぉっ!?」
驚くフレイ。
ドラゴンガンダムはフェイロンフラッグの一本をビームサーベルのようにして、急降下攻撃をかけていたのだ。腕を引き、力を込めて確実に仕留めようとしていたのが仇になった。
先にインパルスの右手、パルマフィオキーナの方が、ドラゴンに届いたのだ。
そのままシンはスラスターを吹かせ、ドラゴンガンダムを岩場に叩きつけた。
「虚の中にいようと、実際に攻撃しようとすれば実にならざるを得ない… 旗の撹乱は、受身には弱いっ!」
シンが勝ち誇ったように叫ぶ。敵の策を破ったことで気分が高揚しているのだ。
「四年後は飛び道具を用意してくるんだな! 少林寺の誇りがそれを許すなら、だが!」
「く…!」
「とどめだ! フレイ=アルスター!」
シンは右手に力を込め――

『待たれよ!』

一度聞いたら忘れられない、あのユニゾンが響き渡る。
目だけでそちらを見れば、サイとカズィとルナマリアが来ていた。
「その勝負、引き分けとしなされ、シン=アスカ!」
「でなければ、お手前の首も落ちることになりますぞ!」
「何っ!?」
一気に冷水を浴びせられた気がした。気がつけば、ドラゴンガンダムの辮髪がインパルスの首にからみついている。
ただの飾りかと思っていたが…!
『辮髪剣って言ってね…これでも首を切り落とすくらい出来るわよ』
「フレイ…!」
送られてきた通信画面の向こうで、フレイは不敵な笑みを浮かべていた。
『お互い、これで手打ちってことにしない? お兄さん』
「……フッ」
シンは右手の光を消した。
『言い出して何だけど、その光を消した途端に、私が首をはねるとは思わないの?』
「そんな戦いで勝って、少林寺に顔向けできるか? 清々しい相手は、卑怯を嫌うもんさ」
銀髪のおかっぱ頭を思い出し、シンは笑う。
『……お見通しってわけね』
フレイも苦笑し、辮髪剣を解いた。
「よかった…もう、フレイに会ったら真っ先に殺しちゃうんじゃないかって心配したんだから」
「お前は俺をどういう風に見てるんだ!」
「狂犬」
「…………」
ルナマリアにきっぱりと言い切られ、シンは頭を抱えた。
「そう? お兄さんは優しい人よ」
「まあ年下の女の子限定で優しいのは確かね」
「だからお前は俺をどういう風に…!」
『盗賊どもは地元の警護団に任せましたでなぁっ!』
いきなり耳元でユニゾンが響く。
見れば会話に入れない二人が、並んで顔を突きつけてきていた。
「わ、分かったよ! 置いてけぼりにしちまって悪かったな」
サイとカズィは、仲良く一つ咳払いをすると、今度はいきなり土下座をした。
『シン=アスカ殿! この度は様々お世話になり申したっ!』
「あ、はあ…」
『二度とこのようなことの無きよう、我ら二人、このフレイ=アルスターにつき、少林寺の跡取りとして相応しいものになるよう、みっちりと修行をさせますので』
「はぁ!? ちょっと待ってよ、聞いてないわよそんなの!」
フレイが声を上げると、サイとカズィは、厳しい目をしてフレイを睨んだ。
「な…何?」
『情けなくないのかよ、君は!』
シンもルナマリアも驚いた。ユニゾンは同じだが、今まで時代がかった台詞回しだったのに!
「ガンダムを盗賊に取られて、いいように使われたんだぞ!?」
「そうそう、村の人たちひどい目にあってたんだ」
『油断してたらこうなるって分かっただろ!』
「そ、そりゃあ…そうだけど」
「お嬢様にはおつきがいるって昔から決まってるんだ。僕はついていくよ」
「ぼ、僕も、仮にも少林寺の男だし!」
『君に拒否権はないからね!』
「何よ、サイとカズィのくせに生意気言うんじゃ」
『君に拒否権はないからねっ!!』
「……はい」
畳み掛けられ、露骨に落ち込むフレイ。
それを見たシンとルナマリア、
「……何だか遊びを覚えた女の子と、その保護者みたいね」
「そうなのか?」
『というわけでしてっ!』
サイとカズィが向き直る。
「我らここにて失礼仕る、しかしながら」
「またいずこの地にか、巡り会うこともございましょう」
『いざ、さらば!』

「あの人たちも、関係なかったのね…」
ネオチャイナ一行の背中を見送りながら、ルナマリアは呟く。
「…………」
「シン?」
「いや、なんでもない。次の国に行くぞ」

   『恋人だったの。昔。一時期だけね』

フレイの言葉を記憶の隅に押し込め、シンは歩き出した。



次回予告!
ドモン「みんな、待たせたなっ!
    華麗なるガンダムファイター、レイ=ザ=バレルに戦いを挑むため、彼が慕うネオフランス議長をさらってしまうシン!
    怒ったレイは、ガンダムローズで颯爽と出陣!
    パリの街を舞台に、騎士道と武士道が激しくぶつかり合う!
    次回! 機動武闘伝ガンダムSEED DESTINY!
    『いざ勝負! 真紅の薔薇の貴公子』にぃ!
    レディィ… ゴォォォ――――ッ!」
その頃のヒビキ一家

店員「……ご注文は以上でよろしいですか?」
ユーレン「ああ、これで」
店員「かしこまりました。少々お待ち下さい」
キラ「あ、その、メニュー片付けますよ」
ヴィア「あら、ありがとう」
カガリ(珍しいな、お前が他人に気を使うなんて)
キラ(うるさいなぁ)
ユーレン「キラ、カガリ、元気にやっているんだな」
カガリ「あ…その」
キラ「……うん」
カガリ(今更父親ヅラされても…。おい、なんで私まで呼んだんだ、キラ)
キラ(だって僕一人がこんな微妙な空気を味わうなんて不公平じゃない!?)
カガリ(初めから嫌がらせのつもりかっ!?)
ヴィア「お友達、ちゃんと出来た?」
キラ「あ…うん。(色々利用できる)アスランとか、(鬼嫁の)ラクスとか」
カガリ「ただ最近アスランは浮気していてな…私も一国の元首だから(遊ぶのに)忙しいし」
ヴィア「あら、ボーイフレンドがいるの?」
カガリ「……ああ」
キラ(今でもそう思ってたんだ、カガリ)
カガリ(お前な、いくら弟でもその発言は許さんぞ)
店員「お待たせいたしました、ジャンボチョコパフェでございます」
ユーレン「ああ、来たな。ほら、キラ」
キラ「あ、ありがとうございます…(何で僕の分が真っ先に…)」
ヴィア「キラ、先に食べなさい」
キラ「……え、いや、でも」
カガリ(何を遠慮してるんだ。普段は来たと同時に平らげるくせに)
キラ(う、うるさいなぁ! 何か今日は後ろめたいんだよ!)
ユーレン「早くしないとアイスが溶けてしまうぞ」
ヴィア「そうよ。美味しいうちに」
キラ「……いただきます(何でだろ…早く食べられるのに何か胸が痛い…)」
店員「お待たせいたしました、ジャンボホットチリペッパーパフェでございます」
ヴィア「これはカガリね」
カガリ「……ありがとう」
キラ(うわ、君がお礼を言うなんて)
カガリ(お前の言えたことか!)
ヴィア「でも、こんなに辛党になるなんて思わなかったわ」
カガリ「それは、お父様がこうやって食べるといいって教えてくれたから…………」
ユーレン「…………」
キラ(カガリっ!)
カガリ(う、うるさいっ! 自分でも分かってる!)
ヴィア「ウズミ様はあなたをちゃんと育ててくれたのね」
カガリ「え…」
ヴィア「ウズミ様のこと、今でも好き?」
カガリ「も、もちろんだ! 私はお父様の後を継ぎ、オーブの民を守るために日々の執務をこなしている!」
キラ(うわ、どの口がそんなこと言うかな)
カガリ(猫被りまくりのお前に言われたくないわ!)
ユーレン「そうか…立派になったなぁ…」
カガリ「……え?」
ユーレン「ウズミ様には感謝しなくてはいけないな。ヤマト夫妻にも」
ヴィア「あなた…」
キラ「ユーレンさん…」
カガリ(お、おい、ここは『お父さん』とか言うシチュエーションなんじゃないのか?)
キラ(だったら君が言ってみてよ)
カガリ(ふざけたことを言うな! 私のお父様はオーブの獅子、ウズミ=ナラ=アスハだけだ!)
ヴィア(……見直したわ、あなた。ちゃんとこの子達を愛してくれてるなんて)
ユーレン(自分でも不思議だがね。一度死ぬと次の世代がどれほどいとおしいものか分かるのさ)

クルーゼ「(こっそりと…)」
ドモン「そこの寿司屋の店主。何をしている」
クルーゼ「くっ!? …誰かと思えば君か、本家キング・オブ・ハート」
ドモン「お前の出生は聞いている。何をする気だ?」
クルーゼ「…よく分からんよ、自分でもな。ユーレンは憎いが、今は映画撮影という共通の目的がある。殺すわけにはいかず、険悪になることも避けたい…だが、彼らへの感情は抑えられん」
ドモン「なら、思う存分己の心をぶつければいい」
クルーゼ「何?」
ドモン「ここで待っていろ」

カランカラン

ドモン「邪魔するぞ、そこの一家!」
カガリ「は!?」
キラ「ドモンさん!(助かった!)」
ヴィア「あら、先程のナレーターの方」
ユーレン「何か御用でしょうか?」
ドモン「ああ、主にユーレン=ヒビキ、お前に用事がある」
ユーレン「私に?」
ドモン「表に出てもらおう」
ユーレン「ええっ!?」
ドモン「心配するな、すぐに終わる。…不安げな顔をするなヴィア。キラ、カガリ、親父を借りるぞ」
キラ「どうぞ。でも不安ですから僕もついていきます。いいですよね?」
ドモン「ああ、構わん」
ヴィア「キラ、大丈夫なの!?」
キラ「ええ(こんな微妙な雰囲気の方が拷問だよ!)」
カガリ「私も行こう。お前だけじゃ頼りないからな(そっちの方が面白そうだし)」
ヴィア「あなたたち…(こんな親でも心配してくれているのね!)」
その頃のエターナル

メイリン「あ、結局四人とも外に出てきますね」
バルドフェルド「こらこらキラ君、駄目だよそんなに顔を輝かせたら。まだまだ子供だねぇ」
ラクス「さてメイリンさん、この後ドモンさんは何をするとお思いになります?」
メイリン「何って、そりゃあドモンさんですから、クルーゼさんとユーレンさんを殴りあいさせて…」
ラクス「その通り! すなわちストリートファイトの生中継となるのです!
    さあさあ皆の衆、はったはった! 本命クルーゼ、対抗ユーレン、大穴で父のピンチに介入したキラ!
    一口一万円でスタートですわ!」
メイリン「そ、そう来るか…さすがラクス様、どんな時もエンターテイメントは忘れない…」
アスラン「俺はキラに今月の給料全額!」
メイリン「って全額はやめてくださいアスランさん! また借金がぁぁぁ!!」
バルドフェルド「では僕はユーレン氏に今月のオリジナルブレンドコーヒー代を賭けよう。三口くらいにはなるはずだ。ところで誰がアスラン君に給料を払っているんだい?」
ダコスタ「さあ… あ、自分はクルーゼに一口」
ラクス(みみっちいですわね)
メイリン「なんか嫌な呟きが聞こえたような気がするっ!?」
ラクス「きっと気のせいですわ。さてメイリンさん、あなたは?」
メイリン「あー、うー、えーと…クルーゼさんに半口」
ラクス(チッ)
メイリン「し、舌打ち!? ラクス様、今舌打ちをっ!?」
ラクス「絶対に気のせいですわ。それよりアークエンジェルにも打電を」
メイリン「あ、はい…」
マリュー『エターナル、聞こえていました。私とムウはクルーゼに一口賭けます』
ラクス「了解しました、ラミアス艦長。そちらの操舵士の方は?」
マリュー『私もまだ聞いていないのですが…ノイマン、決まった?』
ノイマン『ええ。我々裏方組は…《介入したヒビキ姉弟》に五口賭けます』
マリュー『……え?』
メイリン「は?」
ラクス(ち、気付きやがりましたか)
ノイマン『何も賭けの対象がクルーゼとユーレンとキラだけとは限らない。そうでしょう?』
一同『あっ!!』(←気付いた)
ラクス「おほほほほ、お見事ですわ! さすがは焔のバレルロール大佐」
メイリン「しまったぁぁ――――っ!! ってことはラクス様が賭けるのは…!」
ラクス「《ドモンさんが締めて終了》ですわ!! 賭けるのは十口!!」
メイリン「え、えげつねぇっ! この人クルー全員に賭けさせといて自分だけ確実に勝つつもりだっ!!」
ラクス「勝てばよかろうなのですわ〜♪ うふふふふふふ」

              第四話舞台裏に続く
346通常の名無しさんの3倍:2007/02/21(水) 02:58:35 ID:???
GJ!
何気に楽屋裏もレベル高ぇええええええwwwww
347通常の名無しさんの3倍:2007/02/21(水) 16:25:22 ID:???
そういや、G−SEEDはどうなったんですか?
348通常の名無しさんの3倍:2007/02/21(水) 16:52:19 ID:???
GJw
今回の楽屋裏の微妙な空気が、妙にくすぐったかったぜw
349通常の名無しさんの3倍:2007/02/21(水) 17:31:05 ID:???
>>345
今回もGJ! 大分楽しみになってきた。
サイとカズイにワラタ
350通常の名無しさんの3倍:2007/02/21(水) 20:29:24 ID:???
一つ確認したい。
サイサイシー役がフレイだとしたら、セシルたん役は誰になるんだ?
351通常の名無しさんの3倍:2007/02/21(水) 23:53:03 ID:???
タリアかクルーゼ(二役)?
レイの関係者にこだわらなければコニールとかか?


ジョージ・グレンはどうだろう。ホログラムなら背格好は思いのままだし
352通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 08:40:57 ID:???
>>351
レイとフレイを間違えていないか?
353通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 09:04:36 ID:???
ちと遅れたがGJ!
キラの態度が違和感ありまくりでワロタw
ていうか…フレイかわいいよフレイwww
354通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 10:36:55 ID:???
>>352
思考がフランスまで逝ってしまってマリアルイゼと間違えた
355通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 16:42:02 ID:???
師匠!お誕生日おめでとう御座います!
その頃のミネルバブリッジ

ナタル『(ピピッ)こちらドミニオン。ミネルバ、グラディス艦長、次の撮影日を…
    って何故誰もいないんです!?』

ナタルの声に応えるように、歓声が響いてくる。
上映会も終盤。格納庫では第四話の幕が上がっている――
「さて…準備はいいか? 良ければお前達に、このガンダムファイトを説明させてもらうぞ。
 そもそもは六十年前に遡る。大戦争で汚れきった地球を後に宇宙に上がった人々が、コロニー国家間の全面戦争を避けるため、四年に一度、各国の代表を『ガンダム』と名付けられたロボットに乗せて、『ファイト』と称し!
 戦って! 戦って! 戦い合わせ!
 最後に残ったガンダムの国がコロニー国家連合の主導権を手にすることが出来る…
 ……何ともスポーツマンシップに溢れた戦争だよ。
 これで人類が滅びに直面するような危機は避けられた。だが残された問題が一つ。
 ファイトの舞台は地球。そう、俺達が住む汚れきった地球だ…
 以上がガンダムファイトの骨子だ。
 だが今回の大会は、どうも普段とは様子が違うらしい…」
「そこのお前! この写真の男に見覚えはないか!?」
赤い鉢巻と赤いマントに身を包んだシンが、いきなり写真を突きつけてくる。
半ばから破られた写真。褐色の髪の少年が、誰かと肩を組み、じゃれあうように笑っている。相手が誰なのかは、破られていて分からない。
ドモンはそれを受け取り、少し考え込む仕草をしたが、すぐさま皮肉めいた笑みを浮かべる。
「この写真がどんなファイトの嵐を巻き起こすことになるのか? …それを知っているのは底意地の悪い神様くらいのものだろう。
 今日のカードはネオフランス代表、レイ=ザ=バレルのガンダムローズ!」

ドモンがマントをばさりと脱ぐ。
下から出てきたのはピチピチの全身黒タイツ、即ちファイティングスーツだ!

「それではッ!
 ガンダムファイトォォ! レディィ…ゴォォォ――――ッ!!」
第四話「いざ勝負! 真紅の薔薇の貴公子」

花の都・パリ。かつてヨーロッパの中心国として繁栄を享受した地上ネオフランスの首都は、未来世紀に入っても尚、辛うじてではあるが、その面影を残している。
歴史的経緯や遺産、外観…それらに対してネオフランス首脳部は理解を示しているのだ。
中でも代々のネオフランス議長は、よく地上に降りては査察をしている。自分の足で地上を歩き、自分の目で現状を見ている。
人気取り、といわれればそれまでだ。しかし、議長がコロニーに帰還した後は実際に地上の現状を議会に訴えるのが常である。自分の意見が通らないとしても、自分が見聞きしたことを公表し続けている。
別に議会で法を整備するために査察するのではない。地上の現状を国民に知らしめるのが目的なのだ。
古くは前時代より続く民族紛争、新しくはナチュラルとコーディネイターの対立――ガンダムファイトが多くの争いを代理遂行しているのは今や常識。だが、だからと言って地上を荒らしてもいいのか?
地上人もコロニーの我々と同じ人間ではないのか。どうして彼らを大災害に瀕したままにしておくのか。
そんな呼びかけが功を奏し、大分ネオフランスの人々は地上への意識を高く持つようになっていった。地上を守るのも、高貴なる者の務め――ノーブレス・オブリージのひとつ、という認識を持ったのである。
地上を弱者と見、己を上の者と見る。事実ではあれど、それもまた一つの、コロニーの傲慢の顕れであるのだが……。

現議長・ギルバート=デュランダルもまた、歴代議長の例に漏れず、地上への査察に来ていた。
とはいえ今回はいつもとは少々勝手が違う。何しろガンダムファイトの年なのだ。
長く続くネオフランス議長の慣例ではあるが、大災害を間近に見た議長は今まで一人もいない。それを、デュランダルは自分からファイトの査察を切り出したのである。
側近は止めた。あまりに危険だ、と。しかしデュランダルは取り合わなかった。
『危険と分かっているところに我が国民を住まわせておいて、そんなことを言うのかね』
こうなればデュランダルを止められる人間はいない。柔らかな物腰とは裏腹に頑固なのだ。
数回の会話の応酬の末、デュランダルは地上に降りた。

ネオフランスのガンダムファイター、レイ=ザ=バレルは、それを待ち望んでいた。
貴族バレル家の当主であるレイは、貴族として、主君たるネオフランス議長に絶対の忠誠を誓っている。だがそれ以上に、レイはデュランダルを信奉していた。
親も兄弟も仲間もいない彼を拾い上げてくれたのはデュランダルであり、バレル家の養子にと手配したのもデュランダルだった。
レイにとってデュランダルは主君であり、恩人であり、最初の父親でもあるのだ。
だからこそ、彼が来ると聞いたレイは、御前試合を計画した。
立派になった己の姿を久しく会わぬ親に見せたい。それは自然な欲求であろう。
そんなわけで、現在パリ上空には、一隻の戦艦型キャリアーがのんびりと浮かんでいるのだ。
眼下には二体のガンダムが向かい合い、火花を散らしている。
一方はレイのガンダムローズ。もう一方はネオキューバのアラクノガンダム。
張り詰めた緊張の中の二体を空から見下ろし、デュランダルは微笑む。
「危険です、議長。ファイトが始まる前に早く席にお戻りになって下さい」
「やあタリア、心配はいらないよ。それにレイは必ず勝つさ」
戦艦型キャリアー『ミネルバ』艦長タリア=グラディスの忠告を笑って受け流し、デュランダルは再び地上に目を降ろした。


「さぁて、始めよう! 君を倒せば、僕の名もグンと上がるんでね!」
アラクノガンダムのファイター、イルドが声を張り上げる。
レイは心底から後悔し、溜息をついた。
せっかく敬愛する議長が見ているというのに、相手がこれではむしろ失礼に当たる。
「ご時世とはいえ、よくもまあ恥知らずなことを言える」
「何?」
「ガンダムファイターは国家の代表。国の名誉を背負った存在だ。お前のような志の低いファイターとの試合をギルに…議長に見せるなど」
「馬鹿にしてるのかい、君」
「とんでもない。軽蔑するほどの価値もないと言っている」
「お前ぇぇぇ!」
イルドが激昂した。対象的にレイは冷めた目をしている。
「後悔させてやるっ! ガンダムファイトォ!」
「レディ」

「ゴォォォ――――ッ!!」

最後を叫んだのは、レイでもなければイルドでもない。
突如川の水面を割って飛び出してきたのは、白と赤と青のトリコロールカラー!
「でぇぇぇい!」
「うわっ!?」
不意打ちを食らい、もろに首の付け根に拳を浴びて石畳に倒されるアラクノガンダム。

「あれは確か、ネオジャパンの…」
ミネルバで見ていたデュランダルが、驚いたように呟く。

「インパルスガンダム…?」
レイもまた、驚きを隠さずに呟いた。
それを聞きつけたインパルスのシン=アスカ、レイのガンダムローズに向き直ると、
「悪いが、俺と先にファイトしてもらいたい。何なら二人がかりでもいいぜ」
「断る」
間髪入れず、レイは言い切った。
「な、何ぃ!? ここまで…」
ここまで派手な登場したのにそれはないだろ、と言いかけたのを遮り、レイが言葉を続けた。
「ガンダムファイトは一対一が原則。国際条約第五条を忘れたか」
「うっ」
「そもそも他人の戦いに割って入るなど、礼儀知らずもいいところだ。全く」
「こんな二流野郎は放っとけばいいだろ!」
「お、お前達ぃ…!」
二流と言われたイルド、屈辱に身を振るわせつつ起き上がる。
「よってたかって僕を馬鹿にしてぇ! 許さなぐっ!?」
皆まで言わせず、インパルスが後ろ手で持ったナイフが、アラクノの顔面を貫いていた。
「ガンダムファイト国際条約第一条。頭部を破壊された者は失格となる。そういうわけだ。アンタはここで退場さ!」
インパルスがアラクノを蹴り飛ばす。川面に盛大な水しぶきが上がった。
「…………」
レイは呆れて、その顛末を見ていた。
「さあ、これで一対一だ。ファイトは受けてもらうぜ」
「断る」
「な…何でだよ!?」
本気でシンは驚いているらしい。インパルスの相好が崩れている。
レイは深々と溜息。その仕草はガンダムローズにも伝わった。
「確かにあのイルドという男はファイターとしての自覚がなっていなかったが、お前は彼以下だ」
「!?」
「お前のような低俗で野蛮な猪武者との闘いなど、議長に見せるわけにはいかない。不敬の極みだ。よって」
ガンダムローズが腰のシュバリエサーベルを引き抜き、インパルスに突きつける。
「二度と俺の前に姿を見せるな。議長の前にも、だ!」
「んな…」
シンは自分の顔が真っ赤になっていくのを自覚した。
闘う価値もないと言われたのだ。ファイターにとって最大の屈辱である。
つい先程自分がイルドに対して行った仕打ちを棚の高くに放り投げ、
「ごちゃごちゃうるさいっ! そっちがその気でも、俺はっ!」
ローズに殴りかかったが、難なくかわされる。
「何っ!?」
「突進しか能のない… やはりお前は猪だな、シン=アスカ」
ひょい、とローズが足を突き出す。引っかかって、インパルスはまともに転んだ。十八mの鉄の巨人が無様に倒れ、轟音と振動を起こす。
首を落とすチャンスである。だがレイはサーベルを収め、きびすを返した。
「ま、待てっ!」
起き上がり、シンは手を伸ばすが、
「言っただろう。俺はお前と闘うのは御免だ。馬鹿が移る」
「あ…アンタは一体なんなんだぁ――っ!!」
去りながら、むしろそれは俺のセリフだ、とレイは思った。

その頃、空にぽっかり浮かぶミネルバでは、
「ネオジャパンのインパルス…シン=アスカ、か。ふむ」
「今度は何を考えているんです、議長」
「はっはっは、君は心配性だね、タリア」
「ええ、主にこの国の行く末が心配です」
タリアとデュランダルが優雅にティータイムを過ごしていた。
「こぉの馬鹿シン!」
キャリアーでインパルスを回収したルナマリアの第一声がこれである。
「うるさいな…怒鳴らなくても聞こえてるぞ…ってぇ!」
インパルスのコクピットから出てきたシンの頭を、ルナマリアはぽかりと殴った。
「何するんだよ、ルナマリア!」
「これくらい殴らせなさい! こっちは上からのクレームが酷かったんだから!」
「ファイティングシグナルは俺の方が先だっただろ!」
「そんな言い分が通るかぁぁ!!」
シンの耳をつまみ、思いっきり怒鳴る。シンはたまらず顔をしかめた。
「システムが許可しても、人がどう思うかは別でしょ! ガンダムファイト国際委員会からは抗議文の山が来てるし、ユウナ委員長はイヤミ満載でアンタの戦績にまで口出してくるし!」
「い、言わせておけばいいだろ…」
「良くないっ! アンタね、焦るのは分かるけど、このまま失格にでもされたら全部おじゃんなのよ! アンタの養父さんも義妹さんもあのままになるの! 分かってる!?」
ルナマリアは一言余計だった。
シンは、ぎりっと奥歯を噛み締め、インパルスから飛び降りていった。
「あ、ちょっと!」
自分の失敗に気付いたルナマリア。だがもう遅い。
「説教はそこまでにしろ!」
「どこ行くのよ!?」
「ほっといてくれ!」
言い捨てて、シンはマントを羽織り、キャリアーを出て行ってしまった。
「何よ、人がせっかく心配してるのに」
腰に手を当て、口を尖らせる。そこに、通信機器のランプが点滅した。
気付いたルナマリア、慌てて回線を開く。
「……隊長からの極秘コード? 何かしら」
夜になると、ネオフランスの迎賓館ではパーティーが行われる。
税金の無駄遣い、とは言うなかれ。これもまた地上ネオフランスの外交術なのだ。
特に今回はコロニーからネオフランス議長が来ているとあって、貴族達も熱を入れて参加している。
「議長におきましては、ご機嫌麗しく…」
「ありがとう、ノーフォーク公」
「わ、私のような若輩者を覚えていただけているとは! 感激の至りでございます!」
顔を紅潮させる若者と二言三言会話して、デュランダルは次の相手へと移る。
適当に流すことなく、全員の顔と名前を覚え、挨拶を返す。議長という職業では人脈も大事なのだ。
とはいえ、デュランダルも人間である。百数十人と会話したところで、さすがに疲れを覚え、テラスへと出た。
「ああ、議長…」
「失礼!」
追いかけようとする貴族令嬢の前に手を出し遮ったのは、金髪の貴公子、レイ=ザ=バレルである。
「議長はお疲れのようだ。少々休みを取らせていただきたい」
「は…」
愛想のない声だが、彼を見上げた令嬢の頬がほんのりと赤く染まる。
レイは美男子である。外見だけでなく、貴族としての誇りと議長への忠誠を全面に漂わせていることが、硬派の印象を与え、上流階級の娘御たちには人気だった。ファイターとしての実力も兼ね備えていることが、さらに拍車をかけている。
見方を変えれば鼻持ちならない少年であり、上流階級の男性陣にとってはやっかみの対象であった。
レイにとっては、それら全てが興味のないことである。
令嬢を元のように貴族達の輪に戻し、レイ自身は議長を追ってテラスへときびすを返した。
背中で少女達の嬌声が上がっていた。
「やあ、レイ。君か」
デュランダルは振り返る。声に若干の疲労をにじませて。
「ギル…」
レイの表情が崩れる。そこにいるのは貴族バレル家当主ではなく、父親を慕う子供だ。
「何をしておいでですか?」
「ああ、あれをね」
デュランダルが視線を外へと向ける。
迎賓館外では、月光を浴びてガンダムローズが雄雄しく屹立していた。
「ガンダムローズ…」
レイもまた、アイスブルーの瞳を輝かせた。
「何度見ても美しい。我がネオフランスの代表として相応しく、誇り高く、力強い姿だ」
デュランダルは視線をレイに戻した。優しく笑う。
「君のようにね、レイ」
「……!」
レイは先程の令嬢のように、頬を紅潮させた。
正直なところ、レイにとってはファイトはあまり興味の対象ではない。ただ、自分がネオフランスの――議長の役に立てることが嬉しいのだ。
ガンダムローズは議長から賜った大切な機体であり、自分が議長の役に立つための大切な手段である。
月明かりを浴びて、二人はガンダムローズを眺めていた。レイにとっては、至福の時であった。
「レイ、このガンダムファイトで優勝したならば、私はかねてよりのプランを実行しようと思っている」
ややあって、デュランダルが口を開く。
「君に期待しているよ」
「はい! ギルのためであれば、俺はどのようなことがあろうと!」
「どのようなことがあろうと、か…」
ふと、デュランダルの顔が翳る。
途端にレイの表情が不安げになった。子供は親の変化には敏感なものだ。
「ギル? 何か懸念が?」
「うむ…ネオジャパンの…」
「議長っ!!」
女性の叫びが二人の会話に割って入る。弾かれたようにテラス入り口を振り向けば、そこにいるのはミネルバ艦長、タリア=グラディスだ。
「やあタリア、どうしたんだい」
「どうした、じゃありません! 皆議長への提案事項を持ってここに来ているのですよ! 早く会場へお戻りになって下さい!」
「しかし議長は今お疲れで…!」
「レイ、あなたが議長に心酔しているのは分かるけれど、一時間も会場を空けさせては公務に支障が出るの!」
「一時間!?」
素で驚くレイ。まさかそれほどの時を過ごしていようとは。
「そうだな、戻るとしよう。レイ、君も」
「はい…」
デュランダルはレイを連れ、タリアに並んだ。
「羽を伸ばすのも限度がありますよ」
「はっはっは、すまないね」
「笑って誤魔化さないで下さい!」
二人の後ろで、そんな会話を聞きながら、レイはほんの少し、議長の隣にいられるタリアへ嫉妬を感じていた。

キャリアーを飛び出したシンは、夜のパリを歩いていた。
為政者の関心が高いだけあって、比較的綺麗な街並だ。しかしイルミネーション用の電球はとっくに切れているらしく、飾りつけのためのコードが蜘蛛の巣にしか見えない。
ふと遠くを見れば、崩れかけたエッフェル塔が無残な姿を晒している。
ネオイタリアを思い出し、意味もなくシンは歩を早めた。


その頃、ネオフランス迎賓館は大騒ぎになっていた。
「ぎ、議長が! デュランダル議長が誘拐されましたっ! 艦長ぉ〜!!」
「落ち着きなさいアーサー! 仮にもあなた副艦長でしょう!」
そう、議長がどこを探してもいないのである。先程御手洗に立ち、以降の足取りが掴めない。
デュランダルの個室の前でどたばたと騒ぐ高官達。
レイは個室の中で、机に置かれていた手紙に目を通す。
「ネオジャパンのシン=アスカ…!」
怒りを噛み締め、レイは戸口で漫才をしているタリアとアーサーを振り返った。
「ミネルバ! 俺は行く!」


さて、当のデュランダルと言えば。
「君は本当にガンダムファイターだったのかね? 私の首も取れないとは」
「け、剣を使うなんて反則だぁ…」
路上で自棄酒片手に絡んできたイルドとその配下のチンピラを路地裏で打ち倒していたりする。
「何が反則なものか。数人で取り囲む君たちの方が余程卑怯だ」
「だからって…」
泣き言は皆まで聞かず、デュランダルは澄んだ音を立て、剣を腰の鞘にしまった。
ギルバート=デュランダル。ネオフランス議長にして、当代随一の剣の使い手。
その太刀筋は一瞬の内に九方向から襲い掛かるという。
「ナインヘッド・ドラゴン・フラッシュ…だと…」
呆然とした声が背中からかかる。
デュランダルが振り向くと、そこには赤い鉢巻に赤マントの少年。
「まさか今の世に使い手がいるとはな…アンタ、何者だ?」
「通りすがりのネオフランス議長だよ。シン=アスカ君」
シンの目が大きく見開かれる。デュランダルはしてやったりという笑みを浮かべていた。
「一つ頼みたいことがあるのだが。話をしても構わないかね?」
少しずつ話をしながらデュランダルを引きつれ、ひとまずキャリアーに戻ったシン。キャリアー自体が自国の機密であるという意識は全くないらしい。
出迎えたルナマリアが小言を言おうとしたが、他国のトップの登場に口をぱくぱくさせてしまう。
そんな彼女の反応を全く意に介さず、デュランダルは居住区の椅子に座った。向かいにシンを座らせる。
図々しい態度だが、違和感のないのが何ともはや。
「単刀直入に言おう、シン=アスカ君。私はレイに君と戦って欲しいのだ」
ぴく、とシンのこめかみが引きつった。今朝の屈辱を忘れたわけではないのだ。
それを隠すために、敢えて強気な姿勢に出る。
「俺に倒されるって分かってるのにですか?」
「はっはっは、傲慢だね君は。とにかく、君としてもレイと戦えなければ不安なのだろう?」
「そりゃあ…もちろん。でもいいんですか? 偽装誘拐なんて」
近くでコーヒーを入れて飲んでいたルナマリアが咳き込んだ。
「私が良いと言ったから良いのだよ」
あくまでにこやかなデュランダル。
「ちょっと二人とも、そんなこと…むぐっ!?」
慌てて会話に割って入ったルナマリアの口に、デュランダルは手早くテープを貼り付けた。
「ルナマリア、君に恨みはないがね…全ては君が聞き分けのないのが悪いのだよ」
と言いながら、ルナマリアを抱え上げ、一つの扉を開けて中へと放り込む。すぐさま閉めて鍵をかけた。
「お、おい? ルナマリア!?」
「ここでならもしものときも心配ない。さあ、エッフェル塔へレッツゴーだ!」
「は、はあ…」
完全に呑まれているシン。デュランダルに言われるがままにしてしまう。

「むごっ…」
急いで口のテープをはがしたルナマリア、扉を開けようとするが開かない。鍵がかかっている!
「ちょっと待てー! なんでトイレの鍵が外についてるのよぉ!!」
答えは簡単。整備士コンビの設計ミスである。
「日の出前に決着をつけたい。セーヌの無人エリアへ…」
ミネルバブリッジにて。デュランダルの個室に置かれていた手紙の内容を反芻し、タリアは様々な感情を込めて溜息をついた。
「艦長?」
「なんでもないわ」
アーサーの不安げな声を打ち消し、タリアは宣言する。
「ミネルバ、発進します!」

「行くしかない。たとえ相手が野蛮人であろうと…!」
レイもまた、愛機に乗り込む。
「ガンダムローズ、出陣準備完了だ!」


『あーそうそう、その辺に急所があるから』
「ここねっ!? …開いた!」
携帯していたノートパソコンでヴィーノのアドバイスを聞きつつ、磁力器具やドライバーを駆使して、ようやくルナマリアはトイレ脱出に成功した。
『しかし意外なミスだったなぁ。そっか、扉が逆についてたんだ』
「意外ですますなぁ――っ!!」
思いっきりパソコンのマイクにシャウトして、ルナマリアは通信を切った。


「あー、もう少し優しくできないかね」
「無茶言わないで下さい…っと」
「ぬっ! ……きつく縛りすぎではないか?」
「いざというときには解けますよ。きっと」
無責任なことを言いつつ、シンはデュランダルから手を離した。がっちりとエッフェル塔に縛り付けていることを確認し、満足げに頷く。
偽装誘拐である以上、デュランダルを『捕まえた振り』をすればいいだけの話なのだが、そんなことはすっかり頭の外である。
徹底的にやらなければ気がすまないタチらしい。
これであとはレイが来るのを待つばかり、と迎賓館の方向を振り向けば、ちょうど白い光が近づいてくる。
そこからもう一つの白い光が生まれ、先行してきた。
ナポレオンの帽子のような頭部を持ち、サーベルを抜き放った白い巨人、ネオフランス代表ガンダムローズ!
「よし、来たなレイ=ザ=バレル!」
シンがぐっと拳を握り締める。ローズはサーベルをシンにつきつけ、言い放った。
「シン=アスカ!」
「応!」
「こんな手段を使うとは、お前には羞恥心がないようだな…と言いたいところだが! お前に用事はない!」
「はあ!? 俺は議長を人質にしてるんだぞ!?」
「お前のような野蛮人に我がフランス語が書けるわけなかろう」
「うっ!」
図星である。
「ああ、そうか。それは盲点だったなぁ」
「……い、イタリア語なら少しは書けるぞ!」
暢気なデュランダルに、精一杯虚勢を張るシン。レイは深々と溜息をついた。が、顔を上げると今度はデュランダルを見据える。
「ギル…じゃなくてデュランダル議長! お遊びにもほどがあります! グラディス艦長もお怒りですよ!」
という言葉と同時に、到着したのは白い飛行戦艦、ミネルバである。
『議長!! あなたという人は!』
怒り半分、呆れ半分、それ以外の感情少々。タリアは声を張り上げた。
『多少は国家元首の自覚を持って下さい!! そこのネオジャパンがお人よしだったからいいものの、もしものことがあれば…!』
「やあタリア、すまないね。でも心配してくれて嬉しいよ」
『国が傾くのを避けたいだけです!!』
(艦長、あんまり怒鳴るとまたシワが…)
『アーサー、何か言った!?』
『いえいえいえいえとんでもないっ!』
ミネルバから声が飛んでくる。デュランダルはにこやかにそれを見ていた。楽しんでいるようにも見える。
「むっ」
彼の様子に気付いたレイは、己の中のタリアへの嫉妬が大きくなったのを感じた。
デュランダルとタリアの関係は、知らないわけではない。しかし敬愛する議長の関心を全部己に向けさせたい、という欲求も、あるにはあるのだ。
「シン=アスカ! やはりファイトは申し込む!」
「うお!? ま、まあやる気になってくれたんならいいけど」
自己分析をするより早く、レイは口走っていた。
いきなりのことにシンは驚く。ネオチャイナのフレイといい、今回といい、どうにも最近は振り回されっぱなしだ、と思う。
しかしせっかくファイトする気になってくれたのなら、断る理由はない。
ぱん、と頬を叩き、気を取り直して――高々と右手を掲げる!
「出ろぉぉぉっ! ガンッダァァァムッ!!」
パチィィン!
小気味いい指の音が響くと同時、キャリアーから発進してきた三機の飛行物体が高速変形合体!
夜のパリに、白い巨人、インパルスガンダムが降り立った!

「ギル、見ていてください! 俺はギルのために不届きなネオジャパンを倒してみせます!」
「うむ、頑張ってくれたまえ」
「さあ行くぞ、シン=アスカ! 我が騎士道を見せて差し上げよう!」
「……おい、騎士道か? 本当に騎士道なのか、それ?」
レイは自分が『議長』ではなく『ギル』と呼んでいることに気付いていないらしい。少々マグロの目になりつつ、シンは突っ込んだ。
「当然だ! ギルへの忠誠こそ俺の騎士道!」
「さいですか」
何となく、突っ込み担当ルナマリアの気持ちが分かったような気がした。

「ともあれ、行くぞレイ=ザ=バレル! ガンダムファイトォォ!」
「レディ!」
『ゴォォォ――――ッ!!』

シグナルと同時、インパルスは腰から両手にナイフを引き抜いた。ローズのサーベルに対抗するためだ。
インパルスにはビームサーベルの装備案もあったようだが、パルマフィオキーナ搭載によるエネルギーの制約から没になったらしい。
代わりに装備されたのが、この二振りの対装甲ナイフ、フォールディングレイザー。超接近戦仕様に拍車をかける武装である。
だが、得物を相手にするなら、素手よりは遥かにマシだ。
「おおおおおおっ!」
右を繰り出す。ローズは左肩のマント型シールドで受け、サーベルを突き出してきた。
すぐさま左のナイフで払いのけるが、ローズの切っ先がインパルスの装甲をかすめる。
刀身の差にレイの技量も相まって、完全な回避が難しい。
数度切り結ぶが、そのたびにインパルスに細かな裂傷が出来ていく。
「ち…ならっ!」
繰り出されたサーベルを、シンは今度はナイフ二本がかりで受けた。
「むうっ!」
レイが唸る。耳障りな金属音。刃が火花を散らす。
「ああ、始まっちゃってる!」
ようやく現場にたどり着いたルナマリア、二体の巨人の激突を見て頭をかきむしった。
「うむ、さすがは私のレイ」
「…って何やってるんですか議長ぉぉ――――っ!!」
エッフェル塔に縛られた議長を見、渾身の叫びを上げるが、デュランダルには全く効果がないようだ。
「はっはっは。なに、レイと君らネオジャパンを戦わせてみたくてね」
「アンタ本当に国のトップかっ!!」
「いやいや、これは重要なことなのだよ。君達はラウの下で動いているのだろう?」
ルナマリアが凍りつく。
「クルーゼ隊長のこと、知ってるんですか…」
「シン=アスカ君のファイト介入でこちらも様々あってね」
「……申し訳ありません」
「国際委員会を通して、彼が君達の上司であると知ったのだよ。極秘回線で、君達に先にネオロシアに回るよう言ったそうじゃないか」
「え…ええ」
「それでは我々は無視されたことになる。ネオフランスの恥だ」
「…………」
無視しようとしたのはお宅のファイターですよ、とは思ったものの言えなかった。
今回は完全にシンに非があるのだ。
「なんか微妙に納得いきませんけど、とりあえずロープほどきますね」
「ああ、頼むよ。シン君は念入りに縛ってくれたようでね」
二人の会話は、シンとレイにも聞こえていた。
「そうか…俺が無視しようとシン=アスカが無視しようと、外の者には『出会いながら闘わなかった』という事実が伝わるのみ。それでは我が国の、ギルの恥ともなる…!」
鍔迫り合いを演じながら、レイは己の無知を悟り、恥じた。
「すみません、ギル! 俺がつまらないプライドに拘ったばかりにそのような真似までさせてしまうとは! もう芝居などする必要はありません、早く安全なところへ!」
「それが解けないのよ、このロープ!」
ルナマリアが悪戦苦闘しながら叫ぶ。
「解けない!? 馬鹿言うなルナマリア、ちゃんと見ろ!」
「アンタの力でぎちぎちに締めたら解けにくくなって当然でしょうがぁ!!」
「ルナマリア君、耳元で絶叫はやめてくれるか」
「す、すみません」
「くそっ!」
気を取られたシンの力が弱まる。
レイはそれを逃さなかった。ナイフを抜け、インパルスの頭部を目掛けて突きを入れる。
「!?」
間一髪かわしたシン。モビルトレースシステムを通じ、頬に痛みが走った。
「ファイト中だ。シン=アスカ」
「レイ…」
ローズの目がこちらを見据えている。レイのアイスブルーの瞳が、氷の視線で己を射抜いているように思われた。
シンは一瞬呆然とした。しかし次の瞬間には笑みを取り戻す。
「そうだな…ファイターなら、そうこなくっちゃあな!」
叫ぶや否や、シンは両手のナイフを投げつけた。同時にブーストをかける。
「!?」
予想外の動きに、とっさにマントで防御に入るレイ。
飛んできたナイフをマントで受け止め、カウンター気味にサーベルを突き出す。
「それを待ってた!」
「何っ!?」
敵を自分の思い通りに動かすのは戦法の基本。正面に突き出されたサーベルを横に回って回避し、インパルスは横手からローズの右手を殴りつけた!
シュバリエサーベルが夜空を舞い、地に突き立つ。
舌打ち一つ、レイは後ろに跳んだ。

ミネルバブリッジにて、タリアとアーサーも観戦している。
「ああっ、レイが丸腰に! 艦長!」
「落ち着きなさいアーサー。ガンダムローズの武装はあれだけじゃないでしょう」
「そ、そうか…ところで艦長、議長の救出はしなくていいんですか?」
「いいの。議長には少し怖い目に遭ってもらわなければ」
「はあ…」

シンは勝利を確信した。これでローズに白兵武器はない。しかしインパルスには伝家の宝刀、パルマフィオキーナがある。
「やるな、シン。俺の剣を落としたのは、ギルを除けばお前が初めてだ」
レイの声には賞賛の響きがある。
「だが、これで終わりではないぞ!」
ローズのマントの上部が跳ね上がる。そこから飛び出してきたのは、無数の赤い何か。
「……赤い薔薇!?」
シンが警戒し、後ろに飛ぶ。
「これぞネオフランス脅威のメカニズム! ローゼスドラグーンだ!」
シンの目の前で、一機のローゼスドラグーンが上を向き、するする、と蕾から花開いて見せた。
「た、確かに脅威のメカニズムだ」
シンは唸った。
ここまで無駄な造型に金をかけるとは、ネオフランスのメカニックはヨウランやヴィーノと気が合うかもしれない。ちらりとそんなことを思う。
「薔薇の葬列でヴァルハラへお送りしよう…ローゼススクリーマー!」
レイの声に応じ、無数の薔薇がシン目掛けて一斉に動いた!
「ちぃっ!?」
薔薇が放つビームを避けるべく、後ろに飛び、胸部CIWS、通称バルカンで叩き落そうとする。
しかし如何せん、数が多い。後ろへ後ろへと飛びながら、バルカンで数を減らしていく。
それでも間に合わない。
相手をしては時間と労力の無駄、とばかりにシンは後ろへと駆け出した。ぐるりと街路を回って、ローズの場所へと舞い戻るつもりだった。
しかし、角を曲がったところで、待ち構えていた薔薇の大群に鉢合わせする!
「しまった!?」
不覚を悟るが、もう遅い。ローゼスドラグーンはインパルスに集中砲火を浴びせた。
シンは咄嗟に後退ったが、足に砲火を浴びてしまう。推進系に異常、インパルスは仰向けに倒れてしまった。
そこを取り囲む薔薇の大群。エネルギーを放射し、赤い光の檻を形成する。
ビームネット、ビームワイヤー、ビームロープ……未来世紀の技術は、奇妙な言葉だが、ビームの柔軟な加工を可能にしていた。ローゼスドラグーンのビームは互いに干渉し合い、インパルスを封じ込めたのである。
「こ、こいつら…! 思うように動けない!」
ビームの檻と電磁波の干渉。二重の障壁にインパルスは倒れたままだ。
ゆっくりと、地響きが近づいてくる。辛うじて頭を上げれば、ガンダムローズが悠然と歩み寄ってくるのが見えた。右手にサーベルを取り戻している。
「変幻自在のローゼスドラグーン。お前は『詰み』へと誘導された」
「く…!」
「諦めろ、シン=アスカ。チェック・メイトだ!」
ローズが、サーベルを振り上げた。


「甘いわっ!」
「何?」
すっかりデュランダルのロープを解くのを忘れて観戦していたルナマリア、ぐっと拳を握る。
「シン! 見せてやってよ、ネオジャパン脅威のメカニズムを! あの二人の趣味人度合いがネオフランスメカニックに敵わないとでも言う気!?」


「そうだなルナマリア…その通りだっ!」
シンの目に火が灯った。
「俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶぅ!!」
インパルスの右手が輝きだす。
そう、これこそは整備士達の意向で何故かインパルスに搭載されてしまったオーバーメカニズム!

「パルマッ! フィオッ!! キィィィナァァァァァッ!!!」

インパルスの輝く右手が、ローゼスドラグーンの赤い檻へと打ち付けられた!
さらなる高出力のエネルギーに耐えられず、ドラグーンが次々に爆散していく!
誘爆は広範囲に及び、檻の周囲を取り囲んでいたドラグーンまでが爆発する。
そのエネルギーは、崩壊しかけたエッフェル塔に最後のとどめを刺した。
嫌な音を立て、エッフェル塔の鉄骨が折れ、倒れていく!
「ギル!」
レイの反応は早かった。ローズが、めりめりと倒れていくエッフェル塔へと走る。
「レイ!?」
「逃げる気か!?」
「騎士は…敵に後ろは…見せぬ!」
ローズが反転する。両腕を掲げ、倒れこんできたエッフェル塔を支えた。轟音を立て、塔の倒壊が止まる。
その背後にはデュランダルとルナマリアがいる。
「レイ…お前…」
シンは立ちすくんでいた。右手の光も消えていく。
レイは、勝負を捨ててデュランダルとルナマリアを救ったのだ。
「国家の威信をかけて闘うのがガンダムファイターだ。だが、主君を見殺しにして得た勝利になど、何の意味もない!」
レイはエッフェル塔を支えたまま、吼えた。
「レイ…しかし、君が優勝しなければ、私のプランは…」
「ギル、たとえそこにいるのがその少女一人だったとしても、俺は見殺しにはできません!」
「!」
「そんなことをすれば、俺はネオフランスの誇り以前に! 『人』として、誇りを失います!」
「レイ…」
驚いたように、デュランダルはガンダムローズを見上げる。
「さあ、とどめを刺せ、シン=アスカ!」
レイの叫びが、この国に来てより焦燥に満ちていたシンの心を震わせた。


ファイトが終わり、ネオフランス一同はミネルバに乗り込んでいた。
ガンダムローズの修理光景を眼下に、レイとデュランダルは並んでいる。
「申し訳ありませんでした、議長。議長より賜ったこのガンダムローズを、このような目に遭わせてしまうとは…」
「いいや、君が謝ることではないよ、レイ。私が少々軽率だったのさ」
にこりと笑い、隣のレイを見下ろすデュランダル。
「それに、見たまえ。ガンダムローズの頭部は綺麗に残っている。君の騎士道精神に応じ、彼も彼の武士道を見せてくれたのだろうね…」

「……勝利よりも、人として…か」
夜明けの空にミネルバを見送りつつ、シンはぽつりと呟いた。
あのとき、レイが気付かずにエッフェル塔を支えていなかったら――デュランダルもそうだが、ルナマリアも今自分の隣にはいなかった。
(何のための力か…自分は何がしたかったのか…)
アカデミーの記憶。青い髪の少年を思い出し、シンは右手の紋章に目を落とした。
「ねえシン」
思考を遮るように、ルナマリアの声が聞こえた。
隣を向けば、少女は悪戯っぽい笑みを浮かべている。
「ああいうときが来たら…私でも守ってくれる?」
ぎょっとした。まさにそれを考えていたのだ。
しかし、彼女に負けず、からかうように笑ってみせる。
「お前ならその前に力ずくでさっさと逃げ出すだろ」
「あ、ひっどーい! 女の子のロマンス壊さなくたっていいじゃないの!」
ルナマリアの怒り顔を笑って受け流し、シンは身を翻した。
「さあ、ネオロシアに行くぞ!」
「もう!」
ルナマリアは腰に手を当て、不満げな顔をして…すぐに笑ってシンを追った。



次回予告!
ドモン「みんな、待たせたなっ!
    ボルトガンダムと戦うため、ネオロシアに来たシンは、刑務所に入れられてしまう!
    果たしてシンは無事脱出し、ガンダムファイトに戻れるのだろうか!
    そして! 謎の囚人、フォー・ソキウスの正体とは!
    次回! 機動武闘伝ガンダムSEED DESTINY!
    『大脱走! 囚われのガンダムファイター』にぃ!
    レディィ… ゴォォォ――――ッ!」
その頃の喫茶店外

クルーゼ「大した理由もなく産み出された我々の恨みを思い知れぇぇ!!」
ユーレン「こ、これは…拳から悲しみが伝わってくる。クルーゼ…アル=ダ=フラガのクローンの拳が、拳が泣いている!?」
クルーゼ「まだ分からんかユーレン! 私の気持ちがぁ!!」
ユーレン「し、しかし、それを言われたところで…私は彼の要望を受けたに過ぎんのに…君が愛されるか必要とされるかは、私に言われても正直困るぞ!」

キラ「身勝手だね、ユーレンさん」
カガリ「ああ。本当にそう思っている分、確信犯のお前よりタチが悪いな」
ヴィア「…………ごめんなさい」
キラ「いやそのヴィアさんが謝ることじゃなくてっ!」
カガリ「そ、そうそう、ヴィアさんは関係ないだろっ!」
ドモン「ほう…」
カガリ「な、なんだよドモン=カッシュ、その目は」
ドモン「いぃや、別に」
カガリ「〜〜〜〜!」
キラ「お、落ち着いてカガリ。それはそうとドモンさんっ!」
ドモン「何だ?」
キラ「そろそろ止めなきゃやばいですよ! クルーゼは軍人だけど、ユーレンさんは研究者なんですよ!?」
ドモン「魂の拳にそんな区分は…」
キラ「そんな武闘家の理屈が通用しますか!?」
ドモン「……む、確かに」
カガリ(お、お前がドモンさんを喝破するとは…やるな。それでこそ私の弟)
キラ(ううっ、なんか今すごく見下されたような気がする!?)
ドモン「それではそろそろ止めに…(プルプルプル)む、ミネルバから?」
アビー『ドモンさん、どうしてブリッジ空けちゃうんですか!』
ドモン「うおっ!?」
アビー『ブリッジは任せろって言ったじゃないですか! なのに酷いです! バジルール艦長から凄く文句言われたんですよぉ!?』
ドモン「わ、分かった! 分かったから半泣きになるな! 今すぐ戻る!(ピッ)」
キラ「え…」
ドモン「そういうわけだ。キラ、カガリ、あとは任せる」
双子『ええぇぇ――っ!?』
ドモン「何、今のお前達であれば止められるさ。ではさらばだ!
    出ろぉぉッ!! ガンッダァァァァァァム!!!」
キラ「ほ、本気で飛んでいってしまった」
カガリ「ど…どうするっ!?」
キラ「どうするったって…」
クルーゼ「ユーレン=ヒビキィィィ!!」
ヴィア「あなたぁぁ!!」
ユーレン「…………(パリーン)」
一同『パリーン!?』
ユーレン「くるぅぅぅぜぇぇぇぇぇ!!」
クルーゼ「な、なんだこいつは、いきなり動きが…」
ユーレン「科学者だって辛いんだよぉ! スポンサーは出来ることと出来ないことの区別もしないし人道的問題なんて俺に言われたって仕方ないだろぉ!」
クルーゼ「身勝手なことを言うな! 命を作るなら責任を持てぇぇ!!」
キラ「こ、これは種割れ!? なんでユーレンさんが」
カガリ「集中力が高まったときの演出だからじゃないのか?」
キラ「夢の無いこと言わないでよ…」
カガリ「あ、すまん。しかし動きがよくなっても勝手なのは同じか」
キラ「そりゃあ人格が変わるわけじゃなし。ついでに良くなるのは反応だけで力は変わらないし」
カガリ「確かに体術は全くの素人だな…そのうち全部読まれてボコられる…と言ってる間に読みきられたか」
ヴィア「ああ……」
キラ(……カガリ)
カガリ(なんだ、いきなり小声で)
キラ(ユーレンさんはちょっと微妙だけど、ヴィアさんは優しい人だよね)
カガリ(む…ああ、それで?)
キラ(ヴィアさんのために、ユーレンさんを助けるのはアリじゃない?)
カガリ(お前、また人妻に手を出す気か)
キラ(ひ、人妻って! 僕は人の婚約者しか手を出したことないよ!)
カガリ(どっちにしろ外道だろうが! ……まあ助けるの自体は賛成だが、どうやる)
キラ(そりゃ、喧嘩両成敗って事で…ぼそぼそ)
カガリ(……なるほど。それならやれるな)
キラ「ヴィアさん、ちょっとだけ協力してもらえませんか?」
ヴィア「え?」
カガリ「この不毛な闘いを収めるためなんだ。このままじゃユーレンさんがまた殺されてしまう」
ヴィア「え、ええ…どうすればいいの?」
カガリ「この紙に書いてある文章を、私達と一緒に読んでくれればいい」
ヴィア「わ、分かったわ」
キラ「よし、行くよ。せぇーのぉ…」

三人『助けてぇぇ! ハルパーミリィィ!! 盗撮者がいじめるよぉぉ!!』

ミリィ「確かに聞いたぞ被害者の声ぇ!!」
ヴィア「きゃあああああっ!?」
キラ「ヴィアさん、落ち着いて! 彼女は(今は)味方です!」
カガリ「さすがだなハルパーミリィ、僅か十秒で到着とは」
ミリィ「私のナイフの前には空間の壁など無意味なのよっ! それで、敵はどこ!?」
双子『あそこです』
ユーレン・クルーゼ「なぬ?」
ミリィ「ひっひっひ…見ない顔だがその仮面は変態の証拠ぉぉ!!」
クルーゼ「ま、待て、私は盗撮など…」
ミリィ「言い訳無用だぁ!! お命・頂戴!!」
クルーゼ「よ、よせぇぇ!!」
ユーレン「た、助けてくれるのか、お嬢さん」
ミリィ「振り返ったアンタも敵と見なぁぁす!!」
ユーレン「なんですとぉー!?」


数分後、クルーゼとユーレンは仲良く救急車で運ばれました。

クルーゼ「お、おのれミリアリア=ハウ…」
ユーレン「と、盗撮って…何なんだ…」
ミリィ「悪は滅んだわ…」
ヴィア「……(失神)」
カガリ「おい、やはり刺激が強すぎたんじゃないのか?」
キラ「でもこれしか考え付かなかったし」
カガリ「う〜む…」
キラ「ありがとうハルパーミリィ、おかげで助かったよ」
ミリィ「ふっ。私は当然のことをしたまでよ。それじゃあ私はこのままミネルバに行くわね」
キラ「え? アークエンジェルに戻らないの?」
ミリィ「第七話の打ち合わせがあるのよ。トールやディアッカがいるそうだし…くっくっく」
カガリ(こ、怖ぇ…)


かくして(偽)盗撮者、ラウ=ル=クルーゼとユーレン=ヒビキは滅んだ。
だがこの世に盗撮者のいるかぎり、ミリアリアの戦いは続く!
いけいけミリィ! 頑張れミリィ!
この世の盗撮者を、いつか狩り尽くすその日まで!!

                     完
その頃のラクシズ

メイリン「というわけで、正解は《介入したミリアリアさん》でした。正解者はいません」
バルドフェルド「まあ、完全に予想外だったからねぇ」
ノイマン『……ヒビキ姉弟の介入とは…認められんか』
メイリン「ダメです。それを言ったら、そこで放心してる人が、『そもそもドモンさんが来なかったらこの事態も起こらなかったはずですわ〜』なんて言い出すに決まってますから」
ラクス「うふふ…おっきな星がついたり消えたりしてますわ…」


マリュー「しかし末恐ろしい子ね、ミリアリア=ハウ」
チャンドラ「艦長、あの子が切り裂いて出来たブリッジの大穴、どうします?」
ノイマン「俺がやろう。修繕は得意だ」
ムウ「ま、大事にはならなかったし、めでたしめでたしだな」
チャンドラ「充分大事だと思いますが…」
その頃のヒビキ姉弟

カガリ「ところで、お前これからどうするんだ」
キラ「それなんだけど、しばらくオーブにいさせてくれない? ラクスのことだから、撮影が終わるまで僕をヴィアさん達と一緒にいさせる気だと思うんだ」
カガリ「おい、それじゃヴィアさんはどうするんだよ」
キラ「もちろんオーブに」
カガリ「……は?」
キラ「もう一緒にされるのは諦めてるよ。だったらせめて、ラクスの目が届かないところにいたい。今だって、絶対モニターしてるに決まってるんだ」

ラクシズ一同『ギクッ!!』

キラ「他人を玩具にするのはいいけど、僕が玩具にされるのは御免だからね」
カガリ「ああ、それは私も同感だ。分かった、二人ともオーブで預かろう。ユーレンさんも一応所属をウチにしておくか」
キラ「というわけで、エターナル、しばらく僕は離れます。撮影の時はちゃんと行きますから。じゃ、あとよろしく」


アスラン「なら俺もオーブに…」
キラ『それとアスラン、僕がいない間、エターナルとアークエンジェルを頼むよ。親友の君になら頼める』
アスラン「任せておけキラ!!」
メイリン「『ついてくるな』ってことなのに…ものは言い様ですね」
ラクス「それにしてもせまいですわねぇ…」
メイリン「あのー、ラクス様が壊れたままなんですけど、どうします?」
バルドフェルド「せっかくだから録画しておこうか。こんな歌姫の姿は滅多に見れたもんじゃないからね。後で編集してファン相手に売りさばこう」
メイリン「うわこの人もさりげに腹黒いっ!?」
ラクス「出口はどこなのでございますか〜?」

              ほんとに完
382通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 00:28:29 ID:???
リアルタイムGJ!

しかし議長w あなた確実にレイよか強そうなんですがw 九頭龍閃てwww
383通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 03:14:47 ID:???
議長強ええええw
ローゼスドラグーン使わせるより、その剣技をレイに伝授してやれよww
384通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 05:20:26 ID:???
議長強すぎ、九頭龍閃吹いたwwwww
しかしレイはいい子じゃのう。

ハルパーミリィも笑わせてもらいましたw
385通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 07:20:25 ID:???
最近は「新世界」で化け物みたいな海賊の爺さんとやりあったりしてるのかな<議長
386通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 08:32:39 ID:???
九頭龍閃ktkrwwwwwwwwwwww
GJ!朝から大笑いだwww
387通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 09:52:19 ID:???
決勝大会の実況は凸がやるんだろうか?
ゲキレンジャー見てそうオモタ
388381:2007/02/25(日) 10:01:40 ID:???
すみません。少々作者視点でぼやきます。


Gガンって何気にゲストキャラが多いんですよね。
前々回の地上ボクシングチャンピオン、前回の黒竜団、今回のアラクノガンダムのことはすっかり忘れていて、誰を当てるか悩みました。
今のところアストレイキャラが噛ませ犬っぽくなっていますが、それは本来出すはずのなかった人々をゲストキャラに当てはめているせいです。
何と言うか…ごめんなさい。

第二話から続いた上映会はこれで終了です。
次は第五話ではなく、第七話の収録になります。
また話が飛びますが…ホントごめんなさい。

つーかこれだけ伏線張れる話を三話もすっ飛ばそうとした己は一体何を考えていたのかとorz
389通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 11:46:16 ID:???
宗男はメインで出番あるだろうが、トダカ以外のオーブ軍やバレルロール大佐にツンドラ2世、マー犬という
大天使背景組(別名、実働部隊)もいるから脇に使ってみればどうだい?
390通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 16:48:30 ID:???
大天使裏方組ってノロショックで元の役、降板になってるんだよな
余ってるっちゃ余ってるんだろうし、ゲストに回しても問題なさそう
391通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 19:11:31 ID:???
元の役って何の役?
392通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 19:54:09 ID:???
凸がチボデー役だったのがイザークに変更したやつとか
393通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 22:35:55 ID:???
俺はチャップマンと嫁が誰になるのかが気掛かりだ
394通常の名無しさんの3倍:2007/02/26(月) 01:18:27 ID:???
>>393
あくまで俺1個人としては虎と愛車かなーと。余計なお世話すけど

どうでもいいが九頭龍閃より九竜突斬(漢字こうか?)を先に思い出した俺は師匠のとこに戻ったら殺られるかも試練…
395通常の名無しさんの3倍:2007/02/26(月) 14:04:37 ID:???
もっと根本的に、そもそも東方不敗は誰が演るんだ?
シンの師匠であり、G本編での『ストーカー』役でもあるドモンか?
(他の面子はTVと同じMFなのにシンだけインパルスなのも実は…とか)
アストレイはあまり詳しくないからよく知らないが蘊・奥 って人か?
しかしシンとの接点は皆無みたいだし…
あるいは余人をもって替えがたいという事でここだけマスター・アジア本人の
御出座と相成るのだろうか…
396通常の名無しさんの3倍:2007/02/26(月) 14:30:57 ID:???
シンの回想では凸が東方不敗とシュバルツっぽい描写があった気がするが・・・
397通常の名無しさんの3倍:2007/02/26(月) 14:32:56 ID:???
凸にはレインの昔の恋人役(DG細胞に侵食されて暴れ回ってた人)を演ってほしい。
398通常の名無しさんの3倍:2007/02/26(月) 21:36:25 ID:???
このスレを始めとする一部のスレでは妙にキャラが立っているバレルロール大佐が
どんな役になるのかがかなり気になる俺がやって来ましたよ?
399通常の名無しさんの3倍:2007/02/27(火) 16:49:22 ID:???
アビーが増田大佐の側近と同じ声なんで、
絡めてみるのも良いかもしれんね。
400通常の名無しさんの3倍:2007/02/27(火) 20:48:01 ID:???
ttp://zip.2chan.net/2/src/1172569269314.jpg
401381:2007/02/28(水) 08:34:26 ID:???
皆さんアドバイスありがとうございます。
そういえばオーブ軍人とダコスタを忘れていました。ムラサメ三人衆もいましたっけ…。

様々予想していただけると何だか嬉しいです。
ちなみに焔の大佐はじめ裏方組はもう役が決まってしまっているのでアウトです。何の役かは出て来るまで内緒。メインか脇かも秘密。
師匠役やチャップマン役もまだ秘密ですが、今までの描写でヒントは出している…つもりです。一応。

実は一番処理に困ってるのはカガリだったり…。
402通常の名無しさんの3倍:2007/02/28(水) 23:25:15 ID:???
>>400
ヒント:爆殺紅蓮フィンガー

>>401
作者殿乙。
カガリか。ウォン役あたりを予想してたけど、それはやっぱりラクス様なんだろうか。
403通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 00:40:02 ID:???
女性メインキャラでまだ出てないのはアレンビーだけだけど順当に考えればステラだろうし
ブラック・ジョーカーはタリアとかの大人組みだろうし、いっそキラル役とか香港編でシンが
寝泊りするジャンク船のハン爺さん役はどうだろう
404通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 01:48:31 ID:???
決勝大会の時に勝手にガンダムに乗り込もうとした子供の役はどうだろうかw
405通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 08:16:22 ID:???
ハイネがチャップマン説が浮上
406通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 15:52:22 ID:???
>>405
その為のミケロ=ミゲルの配役か。
なるほどなあ。
407通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 04:54:33 ID:???
スティングとアウルは出ないのかな?
もしかして、『ごめんなさい』コンビ?
408381:2007/03/05(月) 18:13:16 ID:???
すみません、諸事情により次の投下は三月末以降になります。
それと、今までのようなハイペースは多分もう見込めません。読んで下さる皆様には申し訳ないのですが…ごめんなさい。

アウルとスティングは出番の予定はありますよ。ネタばれ防止のため秘密ですが。
しかしGって予告を見れば一発でネタばれになるんですよね…。
409種ピース719:2007/03/06(火) 18:55:37 ID:???
シン「うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ」

ルナ「シン、なんでニートになる前のニートみたいに泣いてる訳?」
ステラ「うぇい、ルナこれ……」
ルナ「あ、ファ○通じゃない……お! いよいよスパロボ最新作が出るんだ
   え〜と、参戦作品は……あれ?」
レイ「見ての通り、スーパーロボット大戦への参戦から、また漏れたらしい」
ルナ「……それでか……種は、かなり早く決まったのにね」
レイ「向こうはこれで3連続だからな、無理も無いだろう」

〜一方、ラクシズでは〜

ラクス「おーっほっほっほ! やりましたわ!! 3連続! 3連続参戦ですわ〜!!」
キラ「ヤッタヨーネー」
アスラン「うう……日々薄くなる毛髪に悩まされながらも、この報だけが俺を癒してくれる……」
アンドリュー「ダコスタ君ッ! コーヒーだ! じゃんじゃん持ってこいッ!」
ダコスタ「はいっ!!」
カガリ「これで3回目かぁ……いよいよ私達もスパロボの大物クラスになったわけだ」
ラクス「種死とは違いますのよ!種死とはっ!! これが本来の実力なのですわ
    私達に比べれば、所詮種などカスやゴミ……スパロボに出る価値もないのです!」

メイリン「好き勝手言いやがって」

〜レポート終了〜

ルナ「ちょーしのんなよっ! このやろーっ!!」


      |・∀・|ノ  よい
     ./|__┐
       /  調子
    """"""""""""""
         .__
       ((ヽ|・∀・|ノ  しょっと
         |__| ))
          | |
          調子
    """""""""""""""""


レイ「見事に調子に乗っているな」
410種ピース719:2007/03/06(火) 18:58:09 ID:???
ルナ「シン! アンタがそんなんだったら、ますます出られなくなるでしょうが!!
   師匠、ここは一つガツンとかまして、シンを立ち直らせてください!」
ドモン「むぅ、しかし俺が説得してよい物かどうか……」
ルナ「師匠だからこそです! 何度もスパロボに参加してる師匠だからこそ
   スパロボに出るための心構えやらなにやらを……」
ドモン「いや、そっちのほうではなくてだな……」
レイ「師父は、キャラクターとしての参戦なら、確か放送終了後3ヶ月後に
   第2次スーパーロボット大戦Gへと参戦しましたよね」
ルナ「3ヶ月!?」
ドモン「うむ、初代スーパーロボット大戦に出場したF91は約1ヶ月で参戦したが、あれはユニットだけだからな
    それを除けば、現時点においてGガンダムが一番早い参加作品となっている
    ……まぁ、当時はブリーフィングの会話などは結構薄かったがな」
レイ「コンプリートボックスをやれば分かるが、だいたい1〜2回台詞を言っただけで終わる時もある」
ドモン「だからこそ、この短期間で出来たともいえるが……
    加えて、俺が参戦するとデビルガンダムの凶悪さも相まってかなり優遇される
    今のところ、版権ユニットがラスボスとなったのはデビルガンダムの他では、サザビーとドンサウザーだけだ」
レイ「新スーパーロボット大戦ですね、最終ボスは新しいデザインでしたが、乗っていたのはゴステロでしたね」
ドモン「ユニットこそラスボスを張るには相応しいが、生体ユニットはラスボスっぽくは無かったからな
    だからこそ、あの時はゴステロが選ばれたのだろう」
ルナ「レイ、あんたなんでそんなに詳しいのよ」
レイ「ギルに色々と教えてもらった……気にするな、俺は気にしない」
ドモン「ゴステロか……よし、その線で言ってみるか」
ルナ「その線……?」
411種ピース719:2007/03/06(火) 18:59:39 ID:???
ドモン「泣くなシン……男たる物が女々しいぞ」
シン「ししょぉ……ししょぉぉぉぉぉぉっ!!」
ドモン「スーパーロボット大戦は、オリジェネを除いても発売感覚が短いんだ
    今回がダメでも、また次があるさ」
シン「でもししょぉ……あまりにも悲しいですよ
   普通二部作っていったら、1部が種で2部が種死って思うじゃないですか!
   それなのに……それなのにぃ……」
ドモン「ああ……俺も最初はそう思ったさ
    まさか、種が2部から出てくるとはな……」
シン「Gジェネレーションの時もそうだった……
   種はアドバンスで主役っぽい登場していたのに……」
ドモン「まぁ、アレにはラクスが出ていないからな……キラにとっては幸せと言えば幸せなのだろうが」
シン「俺は初参戦のDSじゃ、クリア後にはいるただのおまけですよッ!
   みんなには、「あれ〜? シンじゃない、いつ入ったの」って言われるし……
   シーマさんが改心して、ターンXのパイロットになったり
   種3バカですら、正義の戦士になるDSで一番不幸なのは間違いなく俺ですよッ!」
ドモン「落ち着け、シン! スペシャルモードなら出番が増えるぞ!」
シン「ジェネシスステージでの敵側と、最終面の増援だけじゃないですかァッ!!
   追加ステージでデビル盟主王相手に石破ラブラブ天驚拳かました師匠に、俺の気持ちが分かるもんかぁっ!!」
ドモン「むぅ……!」
412種ピース719:2007/03/06(火) 19:13:35 ID:???
シン「PSPのGジェネポータブルでも、結局アイツ達に主役を取られるし……
   腹いせにゴットガンダムに乗って、ゴットフィンガーをかましまくりましたけど……」
ドモン「Gジェネは乗り換え比較的自由な上、非戦闘員にも台詞も専用の物があるからな
    リリーナや、ティファや、ギレンを初めとした連中は
    Fの時から拳を真っ赤に燃やしてストレス解消していた」
シン「月の御大将も、『凄いよこのガンダム、さすがはシャイニングのお兄さんだぁっ!』って
   大はしゃぎしながら連発していましたからね」
ドモン「ふ、DSの時は偽物のシャイニングフィンガーを使った罰としてボコボコにしたものだが……」
シン「どうせ俺なんて、スパロボに出場したとしても、結局主役の座を奪われて
   主役を奪われた男として忘れ去られていくんだろうな……」
ドモン「そう悲観するなシン、スパロボでは主役が一番とは限らんぞ」
シン「……………」
ドモン「俺とイザークの又従兄弟、山田次郎も主役ではないが、スパロボで大活躍している
    Aで死亡フラグ回避したのをきっかけに、R、IMPACTでは死亡フラグ完全消滅
    Jでも草壁相手にカッコいい台詞をぶつけ、ACE2ではミンメイと共にゼントラディーに文化を教えた
    戦闘面でも、主役のアキトの価値は奴が握っていると言っても過言ではない
    まだ発売したばかりだから、詳しい事は言えんが……Wでの活躍も物凄いものがあるぞ」
シン「それは……さぞ、本編では物凄い活躍をされたんでしょうね……」
413種ピース719:2007/03/06(火) 19:15:28 ID:???
ドモン「甘いぞ、シン……本編でのアイツは、お前以上に悲しいキャラだったんだ
    たった3話目で、ロマンの欠片も無い退場をした気持ち、お前に分かるか?」
シン「さ……3話!? たった3話で!?」
ドモン「戦場での死はカッコいいとは限らないというメッセージを込められたらしいが……
    正直、あまりいい感じにはならず、反発も多かったらしい
    しかし、そんな男が先に言ったような大活躍をしたのだ」
シン「すごい……すごすぎる!」
ドモン「古参組で、本編ではミンチより酷いと言われたバーニィもなかなかいい感じだ
    Gジェネでは、クリスがジオン側に来て、共にアクシズに行ったり、サイクロプス隊をまとめて救助できたり
    IMPACTでは小説版準拠だからか強運持ちの上
    アイナですら引き入れられなかったノリス大佐を見事説得したからな
    能力は、スパロボではソコソコと言った所だが……
    第4次ではクリスと結婚後、GCでは終戦後に宅急便の仕事を始めたり
    戦闘能力だけが、スパロボでの幸せではないといういい一例かもしれないな」
シン「ただのザクマニアの人じゃなかったんですね……」
ドモン「ザクマニアはスパロボで勝手につけた設定だ、F以降は出ていない
    あれはたまたま残っていたのがザク1機だけだ
    ゲルググやケンプファーが残ってればそっちの方に乗っていただろう
    ガンダム史上初めてザクでガンダムを倒した男だからな」
シン「ザクで……」
414種ピース719:2007/03/06(火) 19:17:17 ID:???
ドモン「まぁ、種死のスパロボ参戦には他にも問題はあるだろう
    Fの時のマジンガーZ対ゲッターロボGの時に、主役同士を戦わせるのはどうかと考え
    ダイナミックプロに意見を伺いに言った寺田さんの事だ
    正直、ここの様な二次創作作品の様な展開を望むのは、負債の猛反発で無理かもしれないが……」
シン「しょぼーん……」
ドモン「それでも、ここまで愛されているお前の事だ
    ステラは確実に生き残り、お前もどこかでキラとは比べ物にならない活躍の場面を貰えるはずだ
    最近の初参戦時は特に狙い目だ、分家の相良宗介も、Jの時にとんでもない性能を与えられたからな」
シン「狙い目は……初参戦……」
ドモン「逆に、連続して出るのは考え物だ、宇宙世紀系ガンダムでさえ、居るだけ参戦になる事もある
    ……最も、俺たちの様にRやMXで外伝的シナリオをもらえることもあるから、ここは難しい所だが……」
シン「外伝ですか……俺達だったらどんな話になりますかね?」
ドモン「さてな……そいつは流石に想像もつかん
    しかし、異世界や荒廃した未来世界などの例もある
    新しい舞台で戦うのも……また一興だぞ」
シン「新しい世界……」
ドモン「そしてなにより、異なる作品の戦士の共闘こそスパロボの醍醐味だ
    第2次G、Fと続けてやったマサキとのコントの他に
    A主人公を巻き添えにした一矢とのぶつかりあい!
    これが俺の主なクロスオーバーだな」
シン「師匠……俺、なんだか燃えてきました!」
ドモン「よし、元気が出てきた様で何よりだ
    それに、ここだけの話だがな……
    実は、カミーユとは以前、東方不敗の挨拶をした事がある」
シン「えええええっ!?」
415種ピース719:2007/03/06(火) 19:18:46 ID:???
ドモン「スパロボではなくGジェネ側の作品でだけどな……
    あの時、カミーユはシュバルツに喝を入れられ、明鏡止水に目覚めた
    それでラスボスを破壊した事もある」
シン「ラスボスを!?」
ドモン「カミーユは、お前のインスパイア元のキャラクターだ
    そしてお前にはシャイニングフィンガーに似た技がある
    恐らく俺達が同時出演すれば、その絡みは間違いなく出てくるはず!
    ……あわよくば、俺達の合体技もな」
シン「師匠との合体技……うおおおおおおおおおおっ!」
ドモン「うむ、どうやら立ち直った様だな……」
シン「はいっ!もう俺は負けません!
   種死の主役として、相応しい男になり
   本編を遥かに超えるくらいの活躍をするつもりです!」
ドモン「その意気はよしッ!
    だがわすれるな……スパロボの主役はお前一人ではない事を……!」
シン「はいっ!!」


ルナ「なんとか立ち直ったみたいね……」
ステラ「うぇーい、シンかっこいー」
レイ「主役がしっかりしてくれなければ、俺達も参戦できないからな」
タリア「あのブライト艦長亡き今……今のスパロボリーダーの座は空白に等しい……
    今度こそあの魔乳を出し抜いて、実質的なスパロボ主人公の座を手に入れるわよ!」
メイリン「本音はそれかーっ!!」
416種ピース719:2007/03/06(火) 19:20:09 ID:???
つたない文章ですが、前半部分書き終えました
色々荒の目立つ文章ですが、修正部分や加筆部分などのご指摘いただければ幸いです
お目汚し、どうも失礼しました
417通常の名無しさんの3倍:2007/03/06(火) 19:52:17 ID:???
つかラクシズは調子に乗ってるが、こいつらWでの扱いがアストレイの踏み台に過ぎないと知った時にどういう反応するやらw
418種ピース719:2007/03/06(火) 19:59:47 ID:???
半年後……

シン「やった……やったぞ! ついにスーパーロボット大戦に参戦だ!!」
ドモン「よくやったな、シン……」
シン「師匠! 師匠もスーパーロボット大戦への参戦、おめでとうございます!」
ドモン「うむ……念願かなっての同時参戦だな」
シン「しかし……ラクシズと一緒の参加というのは微妙な気分です」
ドモン「まぁ、そういうなシン……嫁補正ではなくスパロボ補正を受けた奴等なら
    きっと、お前とも分かり合うことが出来るだろう……」
シン「師匠……」
ドモン「初参戦で、先に出てくるのはお前の方だな……
    俺もデビルガンダムを追いながら後々登場する
    主役らしい活躍を期待してるぞ、シン!」
シン「はいっ!!」

ー本編終了ー

シン「ふぅ……疲れた」
ステラ「うぇい、シンお疲れ様」
シン「サンキュー、ステラ」
ルナ「案の定、生き残ったわね、ステラ」
ステラ「うぇい♪」
シン「みんなが力を合わせて……デストロイを止めてくれたからな
   その後の展開も……キラとアスランと一緒だったけれども
   主役らしい活躍が出来て、本当に満足だったよ」
ドモン「ああ、見事だったぞ、シン」
419種ピース719:2007/03/06(火) 20:04:01 ID:???
シン「師匠! お疲れ様です!」
ドモン「うむ、種死の一般兵など比べ物にならないスパロボの兵士相手によく頑張った」
シン「本当に、硬いわかわすわ切り払うわで、死ぬかと思いましたよ
   それにしても師匠……師匠もかなり融通の聞かない性格だったんですね」
ステラ「うぇい、レインかわいそーだった」
ルナ「ホント、思わず空気読めってつっこみたくなったわ」
ドモン「う……まぁ、俺も若かったと言う事だ」
レイ「気にするな、俺は気にしない」
シン「しかし、デビルガンダムとの最終決戦は、ホント熱かったですよ
   特に宇宙一恥ずかしいと評判のあの告白……」
ドモン「し……シン!」
ステラ「うぇい、ドモン赤くなった」
ドモン「全く、弟子に応援されるとはな……そろそろ、俺もロートルかな?」
シン「そんな……師匠はまだまだいけますよ!」
ドモン「ふ……
    ところで、お前達また次回作で呼ばれてるんだったな」
シン「はい……師匠は次回作に参戦されないとか……」
420種ピース719:2007/03/06(火) 20:06:15 ID:???
ドモン「まぁ、Gガンダムはパイロットの強さがとんでもないからな
    正直、他の白兵戦キャラの存在価値が低くなるゆえ、そう頻繁には出れん」
シン「師匠……」
ドモン「気にするな、シン……俺は別に気にしていない
    次は、傍観者の立場でお前達の活躍を見せてもらおう、期待しているぞ!」
シン「はいっ!」

ー2作目ー

シン「さ〜て、今度はどんな仲間と戦うのかなぁ……?」
???「ふもっふ!」
シン「な……?」
???「よう、お前ゲキガンガーは好きか?」
シン「あ……あんた達いったいなんなんだぁ〜っ!?」

その後、デスティニーに乗り換えた際パルマフィオキーナに
師匠の技の名をつけられそうになった事は言うまでも無い
421種ピース719:2007/03/06(火) 20:17:37 ID:???
それからも、未来世界や異世界、オリキャラ無し世界、DC戦争風の新リメイクなど
数々の作品へと参戦していったシン達……
たくさんの仲間との出会い、強敵達との戦いによって己を磨き
旧ファンからは平成のアムロ=レイ、新ファンからは真の主役との異名を貰うまでに至ったのである
一方、嫁補正を当てにしていたラクシズ達は、負債が新作品を作り出したことにより
アンチが多いラクシズに対して、もうどーでもいいやという答えを出し、寺田さんもコレに便乗して
本編よりカッコいいながらも、種死の世界シリーズ張りの悪役キャラとして扱われる事となった


???「アスカさん、お疲れ様でした!」
シン「ああ、ありがとう……君は、確か今回が初参戦の……」
???「はい! 名前を覚えていただいて光栄です!」
ステラ「うぇ〜い、シン♪」
シン「ステラ! ちょっと待っててくれ、今行く!!」
???「本編でも思いましたが、ステラさん可愛いですね……
     あんな可愛い恋人や、妹さんの居るアスカさんが、ほんとうらやましいですよ」
シン「君だって、可愛い幼馴染が居るじゃないか」
???「べ……別に……アイツ、ステラさんやマユさんほどかわいくないし……」
シン「……でも、好きなんだろ」
???「う……」
シン「作品内で告白しておいて、今更嫌いはきかないからな」
422種ピース719:2007/03/06(火) 20:37:58 ID:???
???「……ところでアスカさん、今回アスカさんのストーリーのラスボスだった
     エターナルって、一体何者だったんですか?」
シン「知らないのか?」
???「もう随分昔の作品ですからね……
     近くのレンタルDVDでも最初の方しか置いてないんですよ
     アスカさんの前のガンダムにも出ていたそうですけど……」
シン「そうか……まぁ、一言で言えば俺の昔のトラウマかな……」
???「トラウマ……ですか?」
シン「今はもう立ち直ったけどさ……そう、師匠との出会いがはじまりだった」
???「師匠?」
シン「素晴らしい人だったよ、あの人が居たから今の俺が居る
   あの人と出会わなければ……ずっと、自分の立場を呪うだけの情けない男として
   ガンダムシリーズの汚点になっていただろうな」
???「またまた〜……アスカさんの居ないガンダムなんて、信じられませんよ」
シン「……ありがとう、それじゃあな」

ステラ「シン♪」
シン「お待たせ、ステラ……それじゃ、一緒に食事にでも行こうか」
ステラ「うぇい♪」
423種ピース719:2007/03/06(火) 20:38:57 ID:???
ステラ「うぇい、ステラお腹いっぱい♪」
シン「コラコラ、食べすぎだぞ、ステラ……」
ステラ「うぇい」
シン「……ん?」


○○○「くっそぉ……なんなんだよ、一体……」
シン「なんだ……?」
???「あ、アスカさん」
シン「君は、さっきの……彼女と一緒に買い物かい」
???「ええ、まぁ……
     あれ? あそこにいるの、○○○じゃないですか」
シン「知ってるのか?」
???「ええ、この間放送終了した作品の主人公なんですが……
     サブキャラに主役を取られるわ、中のいい異性キャラを殺されるわ
     その他色々な不幸が積み重なって、酷評されてるんですよ」
シン「主役を……」
???「いい奴だとは思うんですけど……
     どうも監督と脚本が人間腐ってるような奴で……
     あんなスタッフつけられた主人公なんて、ホント不幸ですよ
     ……って、アスカさん?」
ステラ「シン?」
424種ピース719:2007/03/06(火) 20:40:07 ID:???
シン「……………」
○○○「なんだよ……なに見てるんだよ……」
シン「……お前……」
○○○「なんだぁ? 真の主役様は、俺みたいな情け無い男の名前なんて知りませんってかぁ?
     アンタなんかに俺の気持ちが分かってたまるかよ、シン=アスカ……!!」
シン「お前は……」
○○○「なんだよその眼……そんな、哀れむような眼で俺を見るんじゃ……」

???「アスカさ……」
ステラ「………シンにやらせてあげて………」
???「ステラさん……」

○○○「な……なんのつもりだ!?いきなり抱きついたりして……」
シン「辛かっただろうな……」
○○○「!? 泣いてる……? あの、シン=アスカが……」
シン「お前は……俺だ……負け犬だった頃の……俺なんだ……」
○○○「え……?」
425種ピース719:2007/03/06(火) 20:41:14 ID:???
ー回想ー
シン「ちくしょお……いったなんなんだ!!
   気がつけば主役の座から転落、世間には沢山のアンチが……
   俺は……俺はいったいなんなんだぁぁぁぁっ!!」
ドモン「バカモノォッ!!」
シン「げはぁっ!!」
ドモン「辛い思い出に縛られて一歩も動かぬとは……情け無い奴ッ!」
シン「あ……あんた一体なんなんだぁっ!」
ドモン「そんなことはどうでもいいっ!
    何があったかは知らないが、そんな事で立派な主役になどなれるものかっ!」
シン「う……でも、今更そんな事を言ったって……もう出来ることなんて、何も……」
ドモン「諦めたらそこで試合終了だッ!
    何が出来るかを考えるより、今何が出来るかを考えろッ!
シン「今、なにが出来るか……」
ドモン「そして、今のお前に出来ることは一つ……
    この俺から流派東方不敗を学び、主役の何たるかをその身で感じ取ることだッ!」
シン「あ……アンタは一体……」
ドモン「俺の名はドモン=カッシュ……ただのガンダムファイターだッ!」
426種ピース719:2007/03/06(火) 20:42:55 ID:???
ー回想終了ー
シン(あの時、師匠に出会わなければ……俺も……)
ステラ「シン……」
○○○「あんた……一体……」
シン「……主役になりたいか?」
○○○「!?」
シン「お前は、主役になりたいのかと聞いている……」
○○○「お……おれは……
     なりてぇよ……主役に……なりてぇ!
     ずっと、憧れだったんだ……嬉しかったんだ……
     俺は……どんな事をしてでも、主役になりてぇんだっ!!」
シン「……かつて」
○○○「……?」
シン「かつて、お前と同じ悲しみを持つ男が居た……
   主役の座を奪われ、悲惨な目に会い……そして、全てが嫌いになった
   そんな男も……ある男とであった事により、自分に出来ることに気づいて……
   そして今……かつての自分と同じ男に出会った……」
○○○「え……?」
シン「……ついて来い……今、お前にできる事を教えてやる
   そして掴め……主役とはなんなのかを……
   自分の弱さを知り、本当の強さをしれば……お前は主役になれるはずだ!」
○○○「あんた……いったいなんなんだ……?」
シン「シン=アスカ……ただのパイロットだ」

―そして、魂は受け継がれる―

ふぅ、2度目のお眼汚し失礼しました
なんだか久しぶりにハッスルしてしまいましたよ
またもや荒っぽい所や加筆点等の指摘ありましたらどうかよろしくお願いいたします
今回はどうもありがとうございました
427通常の名無しさんの3倍:2007/03/06(火) 20:57:52 ID:???
漫画なのに声付きで参戦や時空を超える設定が泣ければ参戦不可よりはマシだぜ!!

正直∀はひでぇよ・・・
428通常の名無しさんの3倍:2007/03/06(火) 23:19:13 ID:???
>>427
いや、Xは時空を超える設定抜きで携帯機に参戦してるぞ。∀だろうが、ザブングルだろうが
その気になればなんとでもなる。
429通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 17:42:41 ID:???
>種ピース719氏

 全俺が泣いた。
430通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 23:54:31 ID:???
とりあえず全然知らんゲーム系の知識は得られたよ
431通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 00:43:31 ID:???
寺田は相手がダイナミックプロ、しかもスパロボの枢軸たるガンダム、マジンガー、ゲッターの中の2つを
戦わせるからご機嫌取りに行ったんだろうが、負債ごときアニメ業界の最底辺のゴミなんぞガン無視する気がする。
連座2+やジェネCEみたく番台が関与してもラクシズびいきとは言えないのがあるし。
432通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 01:22:40 ID:???
サルファで艦長会議に意気揚々と乗り込んだが誰にも相手にしてもらえずに終わったラクソを思い出した
433通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 03:00:43 ID:???
概要だけでもkwsk。
434通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 03:22:09 ID:???
たしか、全艦長が集まって今後の重要な方針決める会議でいつもの電波ポエム飛ばしただけで一切発言しなかったはず。
しかも電波ポエムの反応も全員「…………」
435通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 22:41:21 ID:???
数千円取る製品でそんな事するのか。
アンチでも流石に引くぞ。
436通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 23:00:12 ID:???
でも、あの女の持論に乗ると、みんな電波に見えるんだぜ?
437通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 23:09:03 ID:???
皆殺しにされるジェネCEよりはサルファの方が扱いがマシではないかと。
438通常の名無しさんの3倍:2007/03/09(金) 23:11:45 ID:???
>>435
アンチのふり乙。
>>437
え、ラクシズが全滅させられるシナリオがあるわけですか。
439種ピース719:2007/03/10(土) 00:25:35 ID:???
我ながらグダグダに書き込んだもんだよなぁ……
でも前半書かなきゃ後半かけなかった……反省、でも後悔はしていない
そしてバンプレに望む事はひとつ
ヤマダ君を愛するが如くシンちゃんも愛してください

>>429氏、感想どうもありがとうございます
>>431氏、なるほど、確かにそれはいえるかもしれません……
Jの時、賀東招二先生のブログに扱い方聞いてきたとあったので
他の作者型にも聞いてるんじゃないかなと想いまして……
……でも、スパロボ効果考えれば夫妻が×出しても
番台や日登がGOサイン出すかな
サルファであの扱いをされて、文句あったとかいう話とりあえず自分聞いてませんからね
虎(ガンダム)の威を借りた反動がここに来たのかもしれない
440通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 00:40:25 ID:???
>438さん

なんでもシンをパイロットにするとあるそうです。
キラ、アスラン倒した次のステージで、憎しみの連鎖に囚われたラクスがエターナルで仕掛けてくるとか。
441通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 00:49:36 ID:???
>>438
テレビ放映の途中で作られたので、ステラ死亡以降は分岐してオリジナル展開に。
自分はまだ全ルートやってないが、少なくとも4つのルートのうち
2つでは敵だった(そして殺した)。
「プラントの近くで死ねる事を幸福に思うべきか…」みたいな事を虎が
言ってたのが妙に印象に残ってる。

ラクス(本物)に向かって「偽者が!」と罵るシンとか、
プラント本国が襲撃された報復にネオジェネシスで地球を壊滅とか、
勝ち目のない戦いでもせめてミリアリアのために、とザフトを抜け
アークエンジェルに行くディアッカとか、
君はもう用済みだと議長に切り捨てられレイが敵になるシナリオとか、
ちょっとうろ覚えだが結構見所はあった。オリジナル展開は短いが。

あと、シンは最後の最後まで主役だった。ちょっとアレな感じになってたが。
442通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 00:50:28 ID:???
>>435
そもそもラクソをはじめとする種連中こそサルファ最大の異物。
ってか(ゲーム中では)実際に3回も世界(地球だけでなく宇宙も)を命をかけて救ってきた
αナンバーズにぽっと出のたかが政治家の娘でしかない
基地外電波垂れ流ししか能がないラクソ風情が物申すこと自体おこがましい。
443通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 00:56:33 ID:???
>>種ピース氏
スパロボ3作目ってWのこと?
Wはまだ買ってないが、サルファもJも種っているだけでちっとも役立たずな上に
ストーリーでも種勢力空気読めなすぎで参戦しても冷遇な飢餓酢
(サルファじゃユニットもパイロットも数字はそれなりだが結局使い勝手最悪だし)
444通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 02:04:57 ID:???
サルファはディアッカさえいれば後はいらなかったなあ。
445通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 02:15:37 ID:???
>>440
マジでかwww
キラ死んだから復讐ってどんだけ自分のこと棚上げにしてんだ、あの桃色汚物はwww
面白過ぎるぜwwwww

サルファの痔は神。これだけは譲れない。
446通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 04:42:06 ID:???
サルファだと痔は援護技能が揃っていて種勢の中では一番使い勝手がいいんだっけ?
447通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 09:26:13 ID:???
Wはナタルが空気読めてるのか読めてないのか、味方増援来た途端に
とっとと撤退しちゃうから、添え物扱いになってるのが。

あと、第一部でマイナーアイドル扱いのラクス。
448通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 11:42:30 ID:???
まあ、これ以上の話はスパロボスレでやろうぜ

ふと検索してみたら、クロスも含めて関連スレ3つもあるのな
449通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 15:12:26 ID:???
何げにクロスSS始まってるからびっくりした
450通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 14:21:24 ID:???
今日のデジモンでニートの中の人がドモンとほぼ同じようなことしてたな。
あれ、どんな石破天驚拳だよwww
451通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 17:09:06 ID:???
脚本家がGガンに関わってたからさ。

顎アニメのメインライターでもあるが。
452通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 18:48:28 ID:???
マジでか!?
453通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 22:59:15 ID:???
>>451
関わってたどころか
まさにシュバルツ散るの回の脚本家なんだよな
ある意味セルフパロとでも言うんだろうか?
454通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 06:11:07 ID:???
久しぶりに新シャアにきて、ここが落ちてるかと思い
少しハラハラしたwあーヨカッタ
保守
455通常の名無しさんの3倍:2007/03/14(水) 03:28:17 ID:???
落としはせんよ安心せい
456通常の名無しさんの3倍:2007/03/14(水) 08:42:46 ID:???
話は関係ないけどスーパーヒーロー作戦やった
流派東方不敗トレースしようとしたら回路がショートして昏倒してるメタルダー見て噴いた
Gガン勢は他作品とコラボすればするほど化け物染みていくよな……
457通常の名無しさんの3倍:2007/03/14(水) 10:15:05 ID:???
ガンダ無双だと微妙っぽいぞ。
ゴッドがシャアザクに押されてたようだ。。
ヒートホークとゴッドフィンガーが相殺とかな。
458通常の名無しさんの3倍:2007/03/15(木) 01:10:56 ID:???
そうやってひとつ(のムービー)だけ切り出して見てもしゃーないぞ。
無双世界でも十分はっちゃけてた。
ひとつ他のクロスオーバー作品と違うのは、1年戦争のMSも
一騎当千の力の持ち主という事だけだ<ガンダム無双
459通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 00:56:51 ID:???
あげぇ
460通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 19:31:24 ID:???
>>409
スパロボに参戦できるって事はやっぱガンダムキャラにとっても重要な事なんだな。

スパロボはオリンピックでGジェネは全国大会ってとこかな?
461種ピース719:2007/03/16(金) 23:38:50 ID:???
>460氏
大活躍できたり生き残れたりデートしたり、正にお祭り(何
なお、違いは個人的にはワールドカップとオリンピックだと思いますさ
複数種目と同一種目と言う意味で(何
462通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 23:57:12 ID:???
>>461
普通に雑談するときはコテはずせ、ろくなことにならんぞ
463通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 15:23:29 ID:???
暴れ太鼓のように叩かれる可能性もあるからな。
464通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 20:39:25 ID:???
まさにその通り
465通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 20:42:45 ID:???
九州のあばれ獅子だと?
466通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 19:31:22 ID:???

   | ||//               | ||// 最近よく思うことがある。範馬勇次郎とドモン・カッシュはどちらが強いのだろう。
   | ||//               | ||/ 
   | |l────────────| ||── 勇次郎の打撃力をもってすればゴッドガンダムの頭部やコクピットを
   | || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .l7  ̄ ̄| || ̄ ̄  素手で破壊するなど造作もないことだ。さらにゴッド・フィンガーや
   | ||//      /´  ̄ ̄ ̄ `\ | ||//   石破天驚拳 などは消力で無効化することができる。
   | ||/     〈 ______  ヽ.||    
   | ||       /⌒ヽ /⌒ヽ | \ノ     対するドモンは空を飛べるということが強みになる。
   | ||       l -、   −、 |   |     いかに勇次郎といえどもジャンプで跳躍できる高さはせいぜい100Mほどだろう。
   | ||       | l  l   l   |  l/^ヽ
   | ||//     (/ `-‘o ‘ー ′  _丿、 ヽヽ しかしゴッドガンダムは大気圏まで楽に飛び上がることができる。
   | ||/     l       ,−、  /!   \     そこから、つまり勇次郎の攻撃の届かないところから遠距離攻撃に徹すれば
   | ||/    /ヽ──┴‐┴//    ヽ    圧倒的にドモンが有利だろう。ただ勇次郎が大気圏まで岩や石を投げ飛ばしてくる
   |└───/   ,>ー、┬ く /   /  ヽ ─  可能性も有り得るが。
───── /   / ── \ /   /     l ─ 
 ̄ ̄ ̄| | ̄ l   l  ̄ ̄ ̄ /    /       |   つまり接近戦で勇次郎。遠距離ではドモンということになるだろうか。
___| | (( |   |    /   /       | ─    
┬──── >-、_ | / ̄ \ /|____/⌒ヽ
│        ( | j l //((_, _ノ ´ ̄      /    ノ   
│        | ̄ ̄| ̄l (   >── 、/     /        
│  ┌──┴─ ┴ ┴─┐(     ヽ   /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
467通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 21:42:01 ID:???
ほす
468通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 21:49:40 ID:???
>>466
>いかに勇次郎といえどもジャンプで跳躍できる高さはせいぜい100Mほどだろう。
なにぃーーーーー!?!?!?
人類の範疇を超えた生物なのは知っていたが、そこまで離れてるのかYO!w
469通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 23:20:19 ID:???
百メートルジャンプできる筋肉骨格してたら、日常生活すら送れないだろ!!w
470通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 23:27:20 ID:???
待て
それ以前に生身で高いビルなどひとっとびな流派闘法不敗相手にするにはいかな勇次郎といえども(ry
そもそも電影弾と石破天驚拳だと消力で無効化できないだろ、アレ気とか言う摩訶不思議なエネルギー系の技だから
って言うか反応速度が分身の術のレベルだから
471通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 23:28:44 ID:???
東京タワーは高いビルとか言う領域じゃないと思うんだ
300メートルですぜ?
472通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 11:34:58 ID:???
東京タワーは正確には333mだとオモ
473最近見たアニメより:2007/03/25(日) 22:29:11 ID:???
ラクス「オ〜ホホホホホホホホホ!! 死ね! 死ね! 死ね死ね死ね死ね死んじまえ〜♪ 黄色いブタめをやっつけろ〜♪」
メイリン「ラ、ラクス様が変な歌を歌いながらマシンガン乱射し始めた!?」
キラ「ラクスがまたおもしろそうなことやってる!? 見つけ出して混ぜてもらわなきゃ! フリーダム出撃!!」
メイリン「おもしろがってないで止めてくださいよ! キラさんはラクス様の恋人なんでしょ!?」
アスラン「全国の髪の毛に悩む同士に告ぐ! すべては卑劣な陰謀だった! ただちに最寄の店のリアップを確保し、髪の毛を守れ! 毛髪の虐殺を指示しているラクスを探し、見つけ次第殺せ!」
メイリン「なんかすっごくレベル低いことで怖いこと言ってるううううう!?」

アスラン「ところでメイリン、なんで君がコックピットに? 声ネタ的に記憶を失ってる方が似合いそうだが」
メイリン「はぁ、ピザ好きって共通項からこの役を回されまして……」


474通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 23:41:23 ID:???
うーむ違和感がない。
475通常の名無しさんの3倍:2007/03/26(月) 00:12:09 ID:???
なんか茸駄の基地外左翼アニメでラクソみたいなピンクが日本をデストロイして南京の件でまた売国奴なことをした、ってまじ?
476通常の名無しさんの3倍:2007/03/26(月) 11:00:25 ID:???
ドモンまたはGキャラに関連した話に戻しましょう










・・・ネタが出ません
477通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 11:12:30 ID:???
すっごい久しぶり(数ヶ月ぶり)にまとめ、保管庫に行ったら
G−SEEDが登録されててビックリした

でも、3スレめ後半からのネタ関係は登録されてないの・・・
なんで?
478通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 16:33:23 ID:???
>>473 >>475 詳細キボンウ
479通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 18:31:46 ID:???
あげ保守
480通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 19:38:27 ID:???
>478

コードギアス23話

ラクス=ユーフェミア
キラ=クルルギ
アスラン=ゼロ
メイリン=C.C

すっげえワロタ


でも、G関係ないよね。あれか? ギアスの世界にGが行くのか?
481480:2007/03/28(水) 19:42:48 ID:???
22話だったかもしれん。題名は血染めのユフィのはず。
482通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 11:59:21 ID:???
多分、>>473はあのときのユフィを見てこのスレのラクスを思い出したんで書いたんだとオモ
483通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 02:34:59 ID:???
まぁ、もともとユフィの日本人虐殺は、ゼロ(ルル)のうっかりギアスが原因だよな…。
腹違いの妹、しかも初恋の人を虐殺魔にするとか…愚か者にも程がある…。
484通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 19:51:29 ID:???
学園物で洗脳つったら
催眠学園ですか?
485通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 09:18:31 ID:???
学園物で洗脳と聞いて炎の転校生を思い出す俺は島本繋がりでGガンが好き
486通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 18:17:41 ID:???
コーディネーター→成金
ロゴス→貴族
オーブ→カルト団体
ナチュラル→負け組

ラクス→暇を持て余し宗教に走った馬鹿女
カガリ→現実を見ようとしないカルト団体の教祖の娘
キラ→金に物言わせて、最高を目指したけど 宝の持ち腐れ
アスラン→成金のボンボン
フレイ→かろうじて勝ち組
ニコル→調子こいたアホ
第七話…の前に


ハイネ「えーと、そろそろミナ・バンガードからの人員が来るはずだな」
シン「ハイネ!? 本物!?」
ルナ「うわ、久々に見た!」
レイ「今日はいいことがあるかもしれんな」
ハイネ「うん、三人とも、さりげなく失礼な物言いをありがとう(にっこり)」
シン「すみません悪気はないんです」
ルナ「ごめんなさい調子に乗ってました」
レイ「冗談はさておき、あなたの出番はまだ先なのでは?」
ハイネ「俺もそう思ってたんだけどね。カットインさせることになったみたいで」
レイ「カットイン?」
イザーク「おい、ちゃんと三十分に収まるんだろうな? 今回はシーンの数が多いのだ、切り捨てられたらシャレにならんぞ」
アーサー「極端に多いわけじゃないよ。オーバーしたらこっちで編集するから安心してくれ」
シホ「そんなこと言われたら逆に安心できないと思います」

ピンポーン

トール「ど、ど〜も、トール=ケーニヒです」
ステラ「うぇーい! ステラです!」
トール「あ、よろしく。ホントに声、フレイと艦長に似てるな」
ステラ「うぇーい! ステラとフレイとかんちょー… かんちょー… タリアとステラ、似てる?」
シン「アンタがトールか。俺は『主人公』のシン=アスカ、よろしくな」
ルナ「あたしは『ヒロイン』のルナマリア=ホーク。よろしく」
トール「よ、よろしく。でもなんで主人公とヒロインを強調すんの?」
レイ「主人公コンプレックスの再発など、適当に暴れればじきに収まる。気にするな、俺は気にしない」
トール「いや今不吉な単語が聞こえたような」
ディアッカ「お〜久しぶり、トール。どうよ、そっちの活動」
トール「あ、ディアッカ。いやぁイマイチだな。ガードの固い奴かそもそもガードしてない奴ばっかりでさ」
ハイネ「なになに、何の話?」
レイ「気にするな、俺は気にしない」
ルナ「レイはちょっとくらい気にしてもいいと思うけど…」
トール「あー、えーと、ところで…ミリィは?(おそるおそる)」
ハイネ「ああ、彼女なら(向こうを指差す)」

ミリアリア「クックックックッ…(ナイフを研いでいる)」

トール「(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル」
ディアッカ「(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル」
ハイネ「殺る気満々だねぇ彼女」
シン「い、一応確認しとくけど…撮影だよな? 本当に抜き身のナイフ使うわけじゃないよな?」
アーサー「それは監督の心ひとつ」
シュバルツ「甘い! 甘いぞシン! 撮影とは常に全力勝負! 危機感あるシーンを撮るのになまくら刀を使ってどうする!」
シン「うわ出た変態覆面! 何で!? アンタも出演するのかよ!?」
シュバルツ「うむ。私も驚いたが、オファーが来た」
シン「マジでかーっ!」
ルナ「元祖の皆さんで出演するのはドモンさんだけかと思ってた…」
ドモン「俺も聞いていないぞ、シュバルツ! 一体何の役だ!?」
シュバルツ「それは…」
カナード「たのもう!!」
シュバルツ「……と、人員が揃ったようだな。撮影開始だ」
ルナ「あ、逃げた!」


アーサー「本番いきまーす! 3・2・1・Q!」



 ――十年前、ネオメキシココロニー、某所――  


「これが…地球の海…」
「そうだ。これがじいちゃん達が暮らしていたネオメキシコの海だよ」
「すごーい…」
「きれいだなぁ…」
 年端も行かぬ男の子と女の子は目を輝かせ、写真に見入っていた。
 老人の皺だらけの手から、何枚もの写真が取り出されていく。その全てに写っているのは、母なる地球の美しい大自然だ。
 男の子――名をトールという――は、漁師であり写真家でもある祖父の話が大好きだった。昔々の地球の話や、祖父の撮った写真を見て、子供なりに雄大な大自然を思い描いていた。
 それは幼馴染の女の子、ミリアリアも同じであった。暇さえあれば老人の話を聞きに来ている。
 そんな孫達の心を壊すのが忍びないのか、老人は申し訳なさそうに言う。
「見た目はきれいじゃがな…今は魚も何も取れなくなったらしいで」
「海はしんじゃったの?」
「死ぬものか。お前たちが大きくなる頃には、きっと美しく豊かな海に戻っているさ…」
 それは老人の願望でもある。
 実際はどうなのだろう。ガンダムファイトの現場にならなければ、その可能性もあるのだが…。
「じいちゃん、僕決めたよ」
 孫の声に顔を上げれば、トールは一層目を輝かせ、こちらの目を覗き込んでいる。
「僕もじいちゃんみたいな写真家になるんだ。それで、地球でたくさんきれいな海をとる。ミリィもつれて!」
「トール、本当? 本当につれてってくれる?」
「まかせとけ、ミリィ! 約束するよ! ぜったいに地球に行くんだ、二人で!」
「うん!」


「さて…大自然の溢れる海に魅せられたトールとミリアリアはやがて大人となっていく。
 果たして二人は夢見る海へとたどり着く事ができるのだろうか?
 全てはデビルフリーダムと共に地球に落ちた義兄キラを追って、ガンダムファイトを続けるシン=アスカと…ネオアメリカクルー・ディアッカ=エルスマンとの出会いが鍵となるようだ。
 今日のカードはネオメキシコのテキーラガンダム!」

 ドモンがマントをばさりと脱ぐ。
 下から出てきたのはピチピチの全身黒タイツ、即ちファイティングスーツだ!

「それではッ!
 ガンダムファイトォォ! レディィ…ゴォォォ――――ッ!!」

 第七話「来るなら来い! 決死の盗撮者」


 ネオメキシコの市場を、場違いな色黒の男が歩いていく。
 鍔広の帽子に大きな眼鏡、諸所にフリルと金メッキ飾りボタンのついた黒い中世的衣装。ここがヨーロッパの由緒正しい古城などならともかく、ネオメキシコの生活臭溢れる市場ではミスマッチもいいところだ。
 最も、今市場にいる人々は、そんな場違いな男を気にしている余裕を持たない。物があるというだけで恵まれていると言える地球の現状では、物と金が飛び交う場は戦場のようなものだ。
 そして、彼自身も、自分の格好をそれほど気にしているわけではないようだ。片手に持った通信機をそっと口元に寄せ、呟く。
「定時通信。こちらディアッカ。第一市場にてシン=アスカを尾行中。どうぞ」
『こちらシホ。了解しました』
 短いやりとりの後、ディアッカは通信機を服の中にしまいこんだ。何事もなかったかのように歩き続ける。
 視線の先に、黒髪と赤鉢巻を捉えたまま。


「この男を知らないか?」
 尾行されているとは知らず、シンはいつものように件の写真を見せている。
 皿売りの青年は、ひょいと写真を受け取り、しばらく首を傾げるが…
「見たことないね」
「そうか」
 シンは写真を返してもらい、すぐに懐にしまいこんだ。
 地上に降りてからこっち、全く収穫はない。クルーゼからの情報も途絶えた。後は、しらみつぶしに地球を回り、ファイトをし、地道に聞いて回るしかないだろう。
 気の遠くなる話だが、シンにはその道しか残されていない。地球の人々全員に聞くことも覚悟している。
 だから、『知らない』という答えにも落胆しないようにした。
 ダメで元々。そう考えると少しは楽になる。
「ところでお客さん、皿はいかがかな?」
「いらん」
「そう言わず。丈夫だよ?」
「それより、このあたりにガンダムファイターがいると聞いてきたんだが」
「知らないねぇ…。それより皿」
「いい。他を当たる」
「無理だよ」
 立ち去りかけたシンを、青年の言葉が引き止める。
「どういうことだ?」
「この国は人の出入りに滅法厳しくてね。みんな他所者と関わって面倒に巻き込まれたくないのさ。あんたもこんな所に長居は無用だよ?」
 肩をすくめる青年。
「……皿を売りつけようとしておいて、今度は『さっさと出て行け』かよ」
「商売と親切心は別物だからね。はい、代金払って」
「おい、俺は買うなんて一言も」
「質問への回答二つ、旅に貴重な助言一つ、占めて60アースダラーなり」
 迷わずシンは青年の顔に拳を入れた。彼が倒れるのも確認せず、歩き出す。
 背後で丈夫なはずの皿が盛大に割れ、騒ぎになったようだが、シンは振り返らなかった。



「お前、人を捜してるのか?」
 市場をもうすぐ出るというところで、いきなり後ろから声をかけられる。
 振り向こうとした。途端に――

   ヒュッ

 放たれた吹き矢を咄嗟に右手でガードする。ちくりとかすかな痛みを覚えた。
(何の、つもり、……!)
 叫ぼうとした。だが間もなく、全身から力が抜けていく。
 矢は掌に刺さってしまっていた。即効性の毒が塗られていたのか、もう視界がぐらついている。
 敵は目の前にいるのに…!
(お前っ!)
 シンは最後の力で目の前の少年を睨みつけた。しかし抵抗できたのはそこまでだ。あっさりと意識が闇に落ちる。
 吹き矢の少年は、冷たい瞳で倒れたシンを睨みつけ、鼻で溜息をした。
 乱暴にシンを担ぎ上げ、歩いていく。


 その頃、シンを尾行していたはずのディアッカはといえば。
「はいパスポート見せて。国籍ネオアメリカ? 嘘言っちゃいかんよ、その格好で」
「嘘じゃないっての! ネオアメリカのファイト委員会に問い合わせりゃ分かるって!」
「そう言う不法侵入者は山といるんだ。署まで来てもらおう」
「否グゥレイトォ…また始末書か…」

『いいか、我々は遊びに行くのではない! ネオメキシコのファイター、トール=ケーニヒを倒すために行くのだ! 明朝七時に発つ、それまで準備を済ませておけ!』
 ネオメキシコ行きが決定した直後、イザークはそう宣言した。クルーの二人も、当然とばかりに頷いた。
 なのにディアッカはサーフボードを、シホはサンオイルと三人分の水着を隠し持って来てしまった。
 それを叱るべき立場のイザークもまた、ビーチパラソルとスイカ型ビーチボールをこっそり忍ばせていた。
 つまり、三人とも本音では遊びたかったのである。
 汚れきったニューヨークの海ではなく、徐々に本来の生命を取り戻しつつあるネオメキシコの海。比べ物になるかと問われれば、答えは否。
 オセアニア辺りの珊瑚礁とまではいかずとも、ニューヨークの浮浪児にとっては十二分に憧れの対象である。
 互いが持ち込んだレジャーキットを目の当たりにして、三人は目を丸くした直後に大笑いしたものだが――
「やっぱり、現実って厳しいですね」
「言うな、シホ…」
 港に停泊させたクルーザーで、ぎらぎらとした太陽の光を浴びながら、イザークとシホは肩を落としていた。
 汚い。
 人間の活動がどれほど地球を汚染したのか、その実例とも言えるほどに汚い。
 ニューヨークの海よりはまだマシだ。少なくとも毒々しい泡や産業廃棄物があったりはしない。
 しかし、この色はどうにかならないのか。
 エメラルド色を期待していたわけではない。が、この黒い色は何だ。
「何年か前のガンダムファイトで、破壊されたガンダムの動力炉が暴走して…」
「もう言うな…」
「……はい」
 ガンダムファイト国際条約第一条、頭部を破壊された者は失格となる。地上の人々を申し訳程度であるが、気遣った条約である。
 四年に一度ガンダムという高出力マシンが地上でほいほい爆発されては、環境汚染も人的被害も膨れ上がってしまう。それを防ぐため、機体の完全破壊ではなく、敢えて頭部と限定した。
 コロニーにしてみても、地球を完全に滅ぼそうなどとは考えていないのだ。地上を蔑んでいても、心の底には地球への憧憬がある。
 豊かな大自然。雄大な山脈、美しい海原、日が昇り沈む水平線――イミテーションなどではない、天然の芸術。
 申し訳程度の地球への遠慮であれ、幻想の内にしかない自然への憧憬であれ、それらはコロニーの人々もまた地球人だという証明であろう。
 しかし、偽善であることもまた確か。
 コロニーの力であれば、ガンダムの動力炉の捜索、海の清掃など、やろうと思えば出来ることなのだ。それをしないのは、旧世紀から続く縄張り意識、官僚主義の弊害であり、またコロニーの人々の危機感が薄いせいでもある。
 地球とはいえ、遠くの世界。夢の中にしかない世界。我々の関知するところではない。
 それがコロニーの人々の一般的な考えであった。
「ええい、俺が優勝した暁には地球環境の保全を認めさせてやる! 第一にネオメキシコの海の清掃だ!」
「いえ、その前にニューヨークの海の清掃ですよ。それからサンフランシスコも」
「なら世界全域で同時清掃だ! ネオアメリカの一大事業として! その上でもう一度ここに来てやる!」
「目的が一つ増えましたね、隊長!」
「うむっ! 我々はさらに負けるわけにはいかなくなったぞ!」
 二人は分かっている。優勝したガンダムファイターとはいえ、そこまでの発言力は持たない、と。
 一時期『時の人』になるだけだ。政界に食い込もうと、芸能活動で生き残ろうと、所詮はそこまで。全世界規模の、それも地球の現状に関する提案など一笑に付されるだけだろう。
 分かっている。
 しかし、今だけでも、暗い現実は忘れたかったのだ。
「俺は勝つ! 故郷ネオアメリカのために、この地球の海のために!」
「はい!」
「そのためには、まず手始めにあのインパルスと! ここのファイターを倒す!」
「はいっ!」
「シホ! 調査はバッチリだな!?」
「はい! シン=アスカにはディアッカさんが張り付いてますし、ネオメキシコファイター、トール=ケーニヒは現在行方不明です! ……あれ?」
 さて、吹き矢の少年は、シンを担いで断崖絶壁まで来ていた。どさりと地面に投げ出す。
「次から次へと…良い加減にわかってくれよな…アディオス…」
 別れを告げ、シンを蹴り落とそうとする。しかし――
「やめて、トール!」
 かけられた声に、その動きが止まった。振り返ると、大切な少女が息を切らして駆けて来る。
 短い栗色の髪、トールと同じく青緑の瞳。整った顔立ちではあるが、美人というより、可愛らしい部類だ。布切れをかき集めて作った服は潮風と砂にまみれて色あせている。
「ミリィ!?」
「お願い、やめてトール!」
「家にいなきゃダメじゃないか!」
「トールが酷いことするの、見過ごすわけにはいかないじゃない!」
「分かってくれ、ミリィ! これしか方法はないんだ! 追っ手は全員こうやって始末しなきゃ…」
「誰が追っ手だって?」
 耳元で、ささくれ立った声がする。
 トールの顔が引きつる。錆びた人形のようにぎこちなく後ろを見れば、気絶していたはずのシンはいつの間にか起きていて、トールの首に手刀を立てていた。
「毒でしびれていたんじゃ…」
「あんな半端な薬が効くか。キング・オブ・ハートを舐めるなよ」
 シンの声色は強い。厳しく引き締められた赤い瞳が燃えている。
 ファイトではなく、姑息な手段で勝ちを拾おうとする者に容赦は不要なのだ。
「トール=ケーニヒ。アンタにファイトを申し込む。嫌とは言わないだろうな」
 脅しとも言える言葉に、トールは震えながら答えた。
「い…嫌だ」
 シンの目が険しくなる。
「貴様、それでもガンダムファイターかッ!」
 怒声と同時に、シンは手刀を入れた。
「――ッ!」
 ミリアリアが小さな悲鳴を上げる。
 トールの意識が一瞬ブラックアウトする。しかしすぐに持ち直し、裏拳を入れる。
 シンはトールの拳を受け止めた。トールはくるりと反転、追い討ちをかける――と思いきや、そのまま大きくバックステップして、ミリアリアの隣にまで下がり間合いを取る。
「来い!」
 改めて身構えるシン。しかし――
「あ、あああ……」
 ミリアリアが硬直し、震えだす。瞳孔が段々と開いていく。顔から血の気が引いていくのと反比例するように、眼球が血走っていく。
 それに気付いたトール、はっとしてシンに背を向け、彼女の肩を掴んだ。彼女からシンの姿を隠すように。
「いけない! ミリィ、見るな、早く行け! 家で休んでいるんだ!」
 言い含めるトール。しかしミリアリアの体の震えはおさまらない。
「おい、どうしたんだその子は?」
 様子がおかしいと気付いたシンも、ファイティングポーズを解いて二人に近づこうとした。
 キッとトールが首だけで振り返る。
「どうした、だって!?」
 思わずシンはたじろぎ、足を止める。トールの気迫は、ファイターの健やかなものではない。何か鬼気迫るものを感じさせたのだ。そう、例えば強大な敵に怯え、一目散に逃げようとする必死さのような。
「お前のせいだろうが! せっかく治まってたのに、お前が余計なことするから!!」
 トールが尚も言い募った直後。

   ピキィィィン!

 シンの第六感が、最大級の警告を発する!
 ミリアリアの瞳孔が開き切った。血走った目がトールを見た。彼女はトールの手を振り払い――
「え…?」
 シンは呆然と、それを見ていた。

 ミリアリアが。
 トールの胸倉を掴んで。
 ナイフで腹を切り裂いた。

「――っ!!」
 鮮血が散った。トールが悲鳴にならない悲鳴を上げる。
「ど…どういうことだ…?」
 シンは混乱していた。この少女はトールの仲間ではなかったのか。
 少女は、崩れ落ちるトールを、歪んだ笑みを浮かべながら眺めている。返り血を浴びたその姿、まさしく悪鬼と言えよう。
 トールの体が、完全に地に倒れ――
「ひゃはははははっ! ついに仕留めたぞ、『マシンガンシャッター』トール=ケーニヒ!!」
 血塗れのナイフを高々と太陽に掲げ、少女は狂った高笑いを上げた。
「マシンガン…シャッター…?」
 事情が飲み込めず、間抜けにも鸚鵡返ししか出来ないシン。少女はシンを振り向くと、にやりと笑った。
 先程までの可憐な印象はどこにもない。
「アンタは誰? 何者? 十秒以内に答えなさい」
「え…お、俺は…ネオジャパンのシン=アス」
「ブブーッ! 十秒経過! よってアンタも敵と見なす!」
「な!?」
「ひーっひっひっひ! 盗撮者は全員みぃな殺しだぁぁぁ!!」
 壊れた笑い声を上げながら、飛び掛ってくる少女。
 動きは素人のそれだが、発する気迫はガンダムファイターに匹敵する。シンは迎え撃つことを忘れ、思わず大きく横に避けた。
 そのまま少女は走り過ぎ、断崖絶壁から落ちて行ってしまう。
「あははははははは…………」
 笑い声がどんどん遠のいていき…最後に小さな水音がした。
 残されたシンはぽかんとしていたが、やがて正気を取り戻し、絶壁から下を見てみる。
 少女の姿や血痕等は全く見当たらない。
 かぶりを振って、もう一人の重傷者に駆け寄る。
「おい、トール、生きてるか?」
「うう……」
 小さく呻くトール。シンはほっと息をついた。
「待ってろ、今医者を呼んでやる。射撃は下手だが、メスの腕は確かだ」

「ガンダムファイターが逃げ出したぁ!?」
 イザークのすっとんきょうな声がクルーザーに響く。
 ネオメキシコのファイト委員会が接触を図ってきたから、何かと対応してみれば!
「国の威信を賭けて闘うガンダムファイターが逃亡…これは国家反逆にも等しい罪です」
 この暑い中にスーツをかっちり決めたファイト委員が、見かけどおりの固い口調で言葉を続ける。
「しかし、トール=ケーニヒは得がたいファイター。我々としてはもう一度彼にチャンスを与えたいのです」
「…………」
「イザーク=ジュール。どうか彼とファイトを行っていただきたい」
「きょ…腰抜けのファイターと闘う気はないっ!」
「そこを何とか」
 頭を下げる委員。イザークは憤懣やるかたなし、といった具合に腕を組んだ。
「確かにファイトで優勝するのが俺の夢だが、ファイターにはファイターの自由というものがあるだろう! 何が悲しゅうて気に入らん相手と闘わねばならんのだ」
「……は?」
 思わず委員は素で聞き返してしまった。
 嫌な奴とではなく、気に入った相手と闘う。ファイター独特の戦闘観である。
「そんな奴と闘うより、俺には一番の相手がいるのだ! そう、ネオジャパンのインパルスが!」
 イザークが言い切った直後、シホの通信機が鳴る。
「(ピッ)もしもし、ディアッカさん? ……だからあの服はおかしいって言ったじゃないですか…。……はい、じゃあ後で始末書お願いしますね(ピッ)」
「どうした、シホ」
「ディアッカさんがシン=アスカを見失ったそうです」
「おいディアッカァ! 何が『任せとけ』だ! 俺は立派なクルーを持って幸せだぞ!」
 大げさに額に手をやり、嘆くイザーク。確かに見た目は大げさだが、彼の場合本気で嘆いているのだ。
「シン=アスカが消えた、ですと!?」
「何だ、いきなり」
「これまで我々の手の者が何人も行方不明になっています。今度もトールの仕業に違いありません」
「何だってぇ!?」
 イザークの脳裏に、最悪の予想が閃く。トールに捕まり、卑怯な手段でこの世から消されるシン=アスカ。銃弾で胸を撃たれたか、絶壁から蹴り落とされたか――
「いえ、ディアッカさんは警察に職務質問で捕まっただけみたいですよ」
 シホの声に、クルーザーの上の空気が凍りついた。
 反応に困っている委員。いつものように飄々としているシホ。そしてイザークは俯き、拳をふるふると震わせ――
「あの馬鹿者ぉぉぉ!!」
 イザークの叫びがネオメキシコの太陽にまで突き抜けた。

「ディアッカ=エルスマン、国籍ネオアメリカ…ガンダムファイト・ネオアメリカクルー…」
 どこかで見たようなやりとりの末、ディアッカはようやく釈放された。
 シホに一連の顛末を連絡した直後、誰かさんの叫び声が聞こえたような気がしたが、今は意識の外に置く。
(この、背筋に来るぴりぴりとした気配!)
 市場を歩きつつ、ディアッカは真剣に気配の正体を思い浮かべていた。
 ディアッカ=エルスマン。彼は様々な顔を持つ。
 盗撮者としての彼の勘が、最大級の危険を知らせているのだ。
 それは、彼にとっては宿敵であり、最高の獲物でもある『彼女』がいることを示している。
「ハルパーミリィ…奴だ」
 小さな呟きを聞いた。
 振り向くと、あの調子の良い皿売りが、営業スマイルで皿を突き出している。
「どうだい、いらないか?」
 ディアッカもまた、安っぽい笑みを浮かべた。
「生憎ディナーは骨付き肉へのかぶりつきと決めててね」
「それはまたワイルドなことで」
「食うものがないよりマシだろ」
 二人の青年が、にっ、と笑う。
「ちょっと来てもらいましょうか」
「おいおい、俺はついさっき警察から釈放されたばかりなんだぜ?」
「なーにすぐに済みますよ」
 皿売りの青年が店を立って歩き出す。ディアッカもそれに続く。
 青年が裏路地に入る。追って裏路地に入ったディアッカは、慌てて足を止めた。
「久しぶりだな。『怒れる女神像を掲げる男』」
 そこには、黒・黄・赤の覆面をした男がいた。
「随分とご無沙汰じゃんか。『七眼レフ』の」
 にやりと笑って、言ってやる。
 互いに互いの本名は知らない。だが二つ名のみで用件は充分だ。
「それで、奴はどこにいるんだ、『七眼レフ』?」
「『マシンガンシャッター』トール=ケーニヒのクルーになっている」
「何!?」
「何故盗撮界のホープと『ハルパー』が今まで衝突せずにいられたのかは知らん。だが、先程から続くこの殺気は…」
「奴が目覚めたって事か…」
 『七眼レフ』が頷く。ディアッカ――『怒れる女神像を掲げる男』は、少しだけ顔をしかめ、言った。
「こいつはネオアメリカファイターの仕事じゃない。手を借りていいか?」
「無論。私もそのためにお前と接触したのだ」
「考えることは同じってか」
「奴と渡り合える人間など、そうはいない。……まずは『マシンガンシャッター』と接触しろ。私は奴を追う」
「オーケー」
 ふ、と気配が消える。
 裏路地にいた二つの人影は消えていた。

 闇の中に、茶色の髪の少女がいる。
 振り返り、笑いかけてくる。跳ね癖のある髪が僅かに揺れて、大きな瞼が弧を描く。

 ――それでね、あたしジャーナリストになるの。フォトジャーナリスト!

 それは彼女の夢。幼い頃に抱いた、写真と地球への憧れ。
 しかし喜びと決意の笑顔は一転し、目と口は大きく開かれて。
 驚きと不安と心配と。彼女にその顔をさせたときから、なんという運命の転がりようだっただろう。

 ――ガンダムファイターに!? トールはただの漁師でしょ、大丈夫なの!?
 ――約束、覚えててくれたんだ…
 ――あたしは、ファイトなんてどうでもいいの! 二人で地球に行けるなら…!
 ――とぉぉぉるぅぅぅぅ?
 ――お願い、やめてトール!

 闇の中の少女は、目まぐるしく表情を変えていく。時に喜びに、時に悲しみに、時に怒りに。そのどれもが、ミリアリア=ハウという一人の少女のものだ。
 闇に手を伸ばす。だが少女は怯えたように身を引いた。青緑の瞳の奥には戸惑い、更には虚無。右手にナイフを握り、冷たくきらめかせて。
 何故だ。どうしてこうなった。
 己のせいか。恥ずべき行為を行った己の。彼女の誇りを踏みにじった己の…!
 だが、だからと言って!

「いくらなんでもナイフはないじゃないか!」

「あら、気がついた?」
 知らない女性の声がする。
 闇が掻き消えた。ミリアリアの幻影も霧散する。
 夢であったと了解し、力を入れて目を開けば、そこにいるのは赤毛の少女。丸くぱっちりとした瞳の美少女だが、それ以上に頭のてっぺんの髪がぴんと立っているのが印象的だ。
「アンタは…」
「医者だ」
 今度は男の声がする。そちらを目だけで見れば、黒髪赤鉢巻赤マントの少年。シン=アスカだ。
 気がつけば自分はどこかの家のベッドに、仰向けに寝かされていた。包帯を巻かれた腹が鈍く痛む。
「さて、事情を聞かせてもらうぜ、トール=ケーニヒ。あの子は何なんだ?」
 困惑した表情のシン。
 ああ、とトールは思い出す。そういえば腹はミリィにやられたのだった。
「その前に…ミリィはどこにいる」
「……海に落ちた」
「な!?」
 思わず体を起こしかける。だが、腹の傷が悲鳴を上げた。顔をしかめつつ、元の姿勢にゆっくりと戻る。
 無理するんじゃないの、などと呟きながら、赤毛の少女が頭を小突いてきた。
 確かに、あまり動ける状態でもないようだ。
「体も上がってないし、血も出てない。生きてると思うぜ…多分」
「そ、そうか…」
「ミリィさんって、そんなに丈夫な人なの? 何者なのよ、一体」
 赤毛の少女が口を挟む。
 トールは少しだけ正気を取り戻した。確かに事情を知らない者からすれば、ミリアリアはただの不可解な少女だ。……事情を知る者からしても不可解だが。
「……いいぜ。教えてやる。でも、絶対信じてくれよ」
「何だそりゃ」
 きょとんとする二人。トールは少し不安になったが、意を決して話し出した。
 四年前、トールに次期ガンダムファイターの白羽の矢が立ったときのことである。
 その頃トールとミリアリアは、お互い写真家として活動していた。とはいえ、トールのそれは漁師の片手間に嗜む趣味であり、ミリアリアはジャーナリストとしての本業であったが。
 二人の記憶の底には、昔聞いた地球の海の話がある。ガンダムファイターになれば地球に降りられると聞いたトールは、一も二もなく承諾し、ミリアリアをサポートクルーに指名した。
 こうして、トールはファイターとしての修行を積み、ミリアリアはそのサポートで彼に張り付いていたのだが…
 ある日、トールは自分の性癖を抑えられなくなった。
 盗撮である。
 漁師の片手間にアマチュア写真家として活動していたトールは、写真業界の裏側、盗撮業界に足を突っ込んでいたのだ。
 一秒間に六十回のシャッターを押すとまで言われるその手腕は業界の猛者として数えられ、『マシンガンシャッター』の二つ名をほしいままにしていた。
 ミリアリアがクルーとなってからは、彼女に遠慮し、抑えていたのだが…とうとう我慢できなくなったのである。
 夜中にこっそりと家を抜け出し、仕事疲れのOLの着替え姿を捉えようとした、そのときだった。

 ――とぉぉぉるぅぅぅぅ?

 気がつけば背後にミリアリアがいたのだ。右手にナイフを持って。
 トールは引きつった顔で、何とか弁明しようとした。しかしミリアリアは一言も許さなかった。
 すぐさまナイフで襲われた。腕をかすめ、血が散った。ファイターである自分の動きを、素人であるミリアリアが捉えたのだ。
 そのときの彼女は、完全に瞳孔が開いていた。
 『ハルパー化』。
 盗撮業界に伝わる伝説を、トールは思い出した。
 盗撮への怒りのオーラが極限にまで達したとき、人は自らのオーラに呑まれ、狂戦士と化すのだ、と。
 普段から写真家として、ジャーナリストとして正道を歩んできたミリアリアにとって、恋人でありパートナーであるトールの行為は裏切りに等しかったのだろう。
 ミリアリア――否、ハルパーミリィは、三日三晩トールを追い回した。盗撮業界の猛者が気付いて数人で取り押さえなかったら、トールはいずれ狩られていただろう。
 事が済んだ後の診断の結果、ハルパー化は治まっていた。しかし、いつまたハルパー化するか分からない以上、彼女には刺激を与えず、コロニーでゆっくり静養させた方がいい。そう盗撮者の一人――『盗撮13』と名乗った――に言われ、トールは愕然とした。
 己はガンダムファイターになってしまったのだ。ミリアリアはそのクルーだ。
 刺激を与えないなど、夢のまた夢ではないか。
 己がガンダムファイターをやめるか、ミリアリアを解雇することも考えた。しかし、それではあの地球の海に行けない。
 ミリアリアはあんなに喜んでいたのに…。

 考えた末、トールはネオメキシコファイターとして、ミリアリアと共に地球に降りた。
 そしてガンダムを隠し、平穏な暮らしを求め、ネオメキシコに隠れ住んだのだ。

 話を聞き終わったシンとルナマリアは、二人揃ってぽかんと口を開けていた。
「何と言うか…凄まじい話だな」
「ただの女性の敵じゃない」
「違う! 盗撮とは秘めたる神秘を表に…あわわ」
 慌てて口を閉ざすトール。一瞬ルナマリアの瞳孔が開いたような気がしたのだ。
 盗撮への怒りのオーラに呑まれる可能性は誰にでもある。故に盗撮者は己の正体を簡単には明かさない。
「でもこれで分かっただろ? 俺が闘いたくないって言ったワケが」
「ああ。…悪かった」
「シン、謝る必要なんてないわよ。元はと言えばこいつが悪いんだから」

「そんなことはどうでもいいっ!」

 バン、と扉が開け放たれる。驚いて振り向けば、そこにいるのはいつか見た金髪色黒の男。妙ちくりんな黒服を着ているが、奴は紛れもなく――
「ディアッカ=エルスマン!?」
「よう、ネオジャパン! それにそこの誤爆レディ」
「アンタにだけは言われたくないわよっ!」
「……と、再会の挨拶はここまでだ。ちと俺は『マシンガンシャッター』に用事があるんでね」
『は?』
 またもやきょとんとする二人。トールは大きく目を見開き、ディアッカを見ていた。
 畏れを表すかのように、震える声で呟く。
「まさかアンタは…伝説の」
「お互い野暮な詮索はなしだ。ハルパーミリィの件、俺が請け負う」

 後にシンは語る。
 そのときのディアッカは、今まで見てきたどのファイターよりも厳しく鋭い目をしていた、と。
 さてこちら、何も知らないイザークとシホは、大々的に陽動を行っていた。
『Hey! ファイターども! 何故姿を見せない! 正々堂々俺と勝負しろ、このキョシヌケがぁ!』
『隊長、滑舌が』
『む、すまん』
 ガンダムマックスターを持ち出し、外部スピーカー全開で呼びかける。インパルスにしろ、トールにしろ、ここまで挑発されては出てこざるを得ないだろう。こちらから探すより、相手に出てきてもらった方が早い。
 シホとの掛け合いが混じってしまうのは、まあ仕方のないことだ。
『どうしたぁ! 俺と闘うガッツはないのか、キシャマラァ〜!』
『隊長、水分補給してください。叫びすぎで舌が回ってません』
『むぎゅっ…しゅまん、シホ』
 そんな漫才を聞きつけ、なんだなんだと市場の人々が足を止め振り向く。
 余所者への警戒心は強くとも、そこはショー的意味合いを持つガンダムファイト。有名選手、巨大なガンダムが傍に来て漫才をしているとなれば、警戒心より好奇心が勝る。
 ファイト委員は顔をしかめている。ここまでされて出てこなければ、トールは本当に逃亡者として世間に知られてしまう。
 対してイザークにとっては、トールは初めから眼中にない。彼の狙いは最初からインパルス、シン=アスカだ。一応の形式としてトールにも呼びかけてはいるが、彼が来るとは爪の垢ほども期待していない。

「イザーク=ジュール…!」
 シンは眉をしかめて呻いた。
 聞き覚えのある声に、窓から外を見てみれば!
 マックスターの巨体をネオメキシコの太陽に晒し、声高く挑発している。ディアッカがここにいるのなら、イザークも来ていて当然だ。しかしあの様子では、トールの事情は全く知らないと見ていい。
 シンは室内を振り向いた。テーブルに小さな機材を並べていくディアッカが目に入る。
「おいディアッカ、イザークに説明してないのかよ」
「ンな時間ありませんって。ハルパーミリィを感じてすぐすっ飛んできたんだからさ」
 返しつつも、懐から機材を次々に取り出すディアッカ。小型カメラのファインダーを覗き、調子を見る。
 動けないまま、ベッドからそれを見るトールの目は、尊敬と羨望に輝いていた。
「ディアッカ… アンタ、ディアッカっていうのか」
「ああ。そのうちウチの隊長が世話になるからよろしくな、トール」
「悪い、ファイトはお断りしてるんだ。ミリィがああなっちまうから」
「それを解決しようって言ってんだよ、俺は」
「え?」
 トールがまたも目を丸くする。聞き返しには特に答えず、ディアッカは黙々と作業を進めていく。
 ややあって、最終チェックが終わった。機材を次々に懐に収めていく。
「調子はよし。それじゃあ頼むぜ、ジャパニーズ」
「やれるだけはやってやるけどさ…」
「トール、お前さんは養生してろよ」
「……ああ、ミリィを頼む」
「任せとけって!」
 自信満々、にやりと笑ってトールにサムアップサインを向けるディアッカ。
 対照的に、シンはどこかげんなりと部屋の扉を開こうとする。
 が、扉は外から開けられた。双眼鏡で見張りをしていたルナマリアだ。
「ミリアリアが来たわ! イザークを狙ってるみたい!」
「What!? アイツは業界と関係ないんだぞ!?」
「ディアッカ、ミリアリアはそんな見境つけてない! 俺もさっき襲われたんだ」
「ジーザス…なんてこった!」
 手を当て、かぶりを振るディアッカ。
 シホは、近づいてくるその少女にはっきり疑念の目を向けていた。
 体中濡れねずみで、茶色の髪の端々に黒いものをくっつけて、手にはナイフを持ち、あからさまに殺気を吹き付けてきている。
 服装も見て、シホは彼女を地元の漁師の娘と結論付けた。
「どうしたんですか、あなた」
 マックスターに繋いでいた通信機のスイッチを切り、問いかけてみる。
 少女は立ち止まり、ぎらりと目を光らせ、シホを睨みつけた。シホも負けずに睨み返す。
『さっさと出て来いインパルス! ……それとトール=ケーニヒ!』
 そこに響いてくるのはイザークの声。シホは少女から視線を外さずに、通信機のスイッチを入れる。
『隊長、それじゃトールがオマケみたいに聞こえますよ!』
『く…実際そうなのだから…』
『お国柄を考えてください! 本音出しちゃダメです!』
『むむ…』
 本音も何も、そのやりとりすら拡声器で町中に轟いてしまっているのだ。ネオメキシコファイト委員が頭をかきむしっているのが視界の端に見える。
 だが、シホにはそれをどうこう言うほどの余裕はなかった。
(このプレッシャー…!)
 純粋なファイターではないシホだが、かつてはストリート・チルドレンだ。この種の殺気は幾度も感じたことがある。
 しかし、ここまで強いものを吹き付けられるのは何年かぶりだ。
 シホは通信機のスイッチを切った。視線は少女に当てたまま、ゆっくりと懐へしまいこむ。
 目線はまっすぐにかち合っている。シホとハルパーミリィ、彼女ら二人の、音も動きもない静かな闘いが始まっていた。
 次第に音も色も無くしていく世界。その中で二人の少女だけが色を持ち、気配を宿している。
 まばたきすら忘れ、ただただ相手に自分の殺気を吹き付ける。
《何がしたいか知らないけど、地球の海とネオアメリカと隊長のために、邪魔はさせない》
《あんたの事情なんて知らないけど、盗撮者は誰だろうと許さない》
 互いの声も意志も知らず、互いを退けようという圧力のみを叩きつける。
 もし意志の疎通が出来ていたならば、この闘いが全くの無意味であると二人は知っただろう。ハルパーミリィはあっさりと身を翻し、シホは後腐れなく通常の業務へと戻れただろう。
 だが二人は言葉の存在を忘れ、ひたすらに威圧し続けた。
 イザークの声すら、もう聞こえない。

 終わりは唐突にやってきた。
 音も色もない世界に、突如閃いた光とシャッター音。眩しい、とシホが目を閉じた瞬間、二人の闘いは終わった。
 一気に世界に色が戻り、喧騒とイザークのだみ声が蘇る。
 我に返ったシホは、慌てて群衆の中に少女を探した。しかし群衆はぐらぐらと波打つように流れ、少女の姿を隠してしまう。
 どこへ紛れてしまったのか、ナイフを持った茶色の髪の少女を見つけることは、とうとう出来なかった。あの殺気も、どこにもない。
『Hey,Hey,Hey!! どうしたぁ! ネオアメリカの闘いはマグレだったのかぁ!?』
 もはや完全にインパルスにしか呼びかけていないイザークに気がついて、シホは慌てて通信機を取り出した。そのとき初めて、自分がびっしょりと手に汗をかいていることに気がついた。
(なんて娘なの…)
 胸の奥から深く深く息をつき、通信機のスイッチを入れる。先程の少女のことが気になったが、今はネオアメリカクルーとして為さねばならないことがある。
 シホは声を張り上げた。かすかに震えているのを誤魔化すかのように。
『隊長、またトールを忘れてますっ!』

 ハルパーミリィは地を駆けた。
 目標は補足している。視界の隅、屋根の裏には三色の覆面にトレンチコート、人呼んで『七眼レフ』!
 獲物があちらから来てくれたのだ。逃がす道理はない。
 少女の口元が上がる。瞳は大きく見開かれ、爛々と虚無の中に殺気を光らせていた。連動するように、右手が燃えるように熱くなる。心地よい熱。
 使命と感情と右手の熱に衝き動かされ、ハルパーミリィはひた走る。
 己が疲労を微塵も感じていないことに、彼女は気付いていない。


(しくじった!?)
 『七眼レフ』もまた、動揺を胸に秘め、屋根を駆けていた。その手には小型カメラが握られている。これこそ先程のフラッシュとシャッター音の正体。
 『ハルパー』の生業とは盗撮者の殲滅であるが、同時に弱点もまた盗撮であった。『彼女』自身が盗撮された場合、『彼女』は大人しく負けを認め去っていく。
 以前ハルパーミリィを取り押さえた『盗撮13』も、そうやって彼女を鎮めたのだ。
 『七眼レフ』とは、『盗撮13』に並ぶ業界トップレベルの実力者。ネオアメリカクルーとの睨み合いの最中という絶好のチャンスを掴んだのだが、群衆の流れに邪魔をされ、痛恨のミスを犯してしまった。
(私も修行が足りんなっ!)
 自嘲し、建物越しの焼け付くような殺気を感じながら、三色の覆面とトレンチコートが宙を舞う。


「Hurry,Hurry! また逃がしちまうぜ、シン=アスカ!」
「気楽に言ってくれるよなぁ!」
 苛立ちをぶつけるかのように、シンはコアスプレンダーのアクセルを踏みつけた。
 滑走距離は充分。一気に地上から舞い上がる。小型戦闘機のシルエットが、ネオメキシコの港町に描かれる。
 エンジン音を聞きつけ、見上げるマックスター。それにつられて群衆もまた、鋼鉄の鳥を見上げた。
『そのコアスプレンダー、ちょっと待ったぁ! さては貴様、インパルスだな!?』
 大音声が外部スピーカーから流れ出る。
 その中に明らかに喜悦があるのに気付いて、シンは少しだけ、己の心が軽くなったのに気付いた。
 だが、今はファイトをしている暇はない。
「ディアッカ、アンタの口から説得してくれ!」
「言われずとも!」
 既にディアッカは有線マイクをコアスプレンダーの計器盤から引っ張り出し、周波数を合わせていた。
 曲がりなりにもコアスプレンダーはガンダムの一部であり、れっきとした国家機密。なのにディアッカに易々と操作させているのは、確かにシンには国家の代表の自覚が足りないという証明であろう。
 ユウナがこの光景を見れば、またイヤミ満載で文句を付けるか、今度こそシンを解雇しようとするに違いない。
「イザーク! 俺だ!」
『な…ディアッカァ!? またしても貴様は勝手な行動をッ!!』
「連絡はしたから前よりかマシだろ! それよりイザーク、ちっと今は大人しくしててくれ!」
『何!? どういうことだ、説明しろ!』
「説明? あんましたくないんだけどねェ…」
「こんな状況で何言ってんだよアンタって人はぁぁ!!」
「いでででで、額にアイアンクローはやめろって! それお前の必殺技だろ!」
「馬鹿言うな、気は込めてない! 超級神威掌とは…」
『ゴチャゴチャやってないで!! とっとと説明しろ、ディアッカァ!!!』
 イザークの声が爆発する。
 さすがに怯んだか、一瞬シンの力が緩んだ。これ幸いとディアッカは己の額からシンの手を払いのける。
「あー、つまりね、トールのクルーが病気なんだよ!」
『病気だと!?』
「トールは、その子に治療を受けさせようとしたわけさ! だが特殊な病気で、治療できる奴は世界でも限られてるんだ。それで今、トールや俺達は医者を探してるってわけ!」
 一瞬の沈黙。
『ディアッカ貴様! そんな大事なことを何故もっと早く言わん!』
「しょうがないだろ、釈放されてすぐ巻き込まれたんだからよ!」
『ええい、始末書は後で提出してもらう! 今はその医者とやらを探すぞ! 名前と外見の特徴を言え!』
「名前は知らねぇ! でも見りゃ一発で分かるぜ! ポンポンがついた、縦に赤黄黒の三色覆面して、トレンチコート着てるからな!」
『そんな変態医師がどこの世界にいるかぁぁぁ!!』
 スプレンダー内に響く絶叫と同時、眼下でマックスターがオーバーアクションで太陽に吼えた、その直後。
『た、隊長、いました! あそこです!』
 シホの声が混じってきた。


 果たして、それを予想できた人間はいただろうか?
 マックスター出現で人通りもまばらとなった路地。シャッターの閉じられた建物の前で、少女は血塗れのナイフを握っていた。
 彼女が見下ろすのは、もはや赤一色となったポンポン付き覆面の男。トレンチコートは大きく切り裂かれ、その下からは血が流れてくる。
 ゆっくりと少女は右手のナイフを天に掲げ、高らかに宣言した。
「ひゃーっははははは! 『七眼レフ』、討ち取ったりぃぃ!!」
 血走った瞳に宿るは、狂気。
「マジかよ…」
 ディアッカは呆然と呻いた。
 まさか『七眼レフ』が狩られるとは。それも、こんなにも早く。
 ディアッカは傲慢ではない。自分の実力は彼に遠く及ばないと知っている。
 『マシンガンシャッター』は負傷して、使い物にならない。
 状況は絶望的と思えた。だが…ならば己に浮かぶ笑みは何なのだろうか。胸に湧き上がる熱いものは。
「面白い」
 そう、面白い。
「最後はやっぱりこうでなくちゃあな! シン=アスカ、降ろしてくれ!」
「他国のファイターを運転手代わりかよ…」
「承知してくれただろ!」
「まぁ…なっ!」
 シンはアクセルを踏みつけ、コアスプレンダーを飛ばした。ハルパーミリィ達のいる路地へと着陸する。
 既に通行人は、厄介ごとを恐れて蜘蛛の子を散らすように走り去っていた。
 ディアッカがスプレンダーから降りた。ハルパーミリィが向き直り、ナイフを構える。


「あ、あれはトールのクルー!」
『何ィ!? 奴は病気なのでは…!』
「でもあの娘、さっき近くまで来てましたよ!」
 イザークと、双眼鏡片手にマックスターの上に登ったネオメキシコファイト委員とシホの会話である。
「彼女は五体満足のはずだ。身体検査にも異常はなかった」
「……まさか、精神疾患なのでは!? それなら治療しにくいのも分かります!」
『なるほどな…ディアッカの奴、妙に歯切れが悪いと思ったら』
 マックスターが腕を組む。足場が揺れて、登っている二人がよろめいた。
「た、隊長、なるべく動かないで下さいっ」
『お? すまん』


「勝算はあるのか、ディアッカ」
「俺の二つ名を知らないな? 俺はディアッカ=エルスマン、怒れる女神像を掲げる男だぜ!」
「……絶対褒め言葉じゃないだろ、それ」
「まあそう言いなさんな」
 完全に呆れているシンに最後の笑顔を向け、ディアッカはハルパーミリィを見据えた。
 血にまみれたナイフを夕日に光らせ、ハルパーミリィが目を細める。
「遺言はある? 一応聞いておいてあげるわ」
「遺書ならこの業界に足突っ込んだ時点で管理局に預けてるさ。気兼ねなくやろうぜ、『ハルパー』よ」
 両者は不敵に口元を歪めた。
 小型カメラを右手左手の指に挟みこみ、ディアッカは両腕を広げた。
 ハルパーミリィが目を見開き、流れるようにナイフをディアッカに向ける。
 ぴたり、とその動きが止まり――

 空気が破裂した。

 胸元目掛け、ナイフと一体化したかのようにハルパーミリィが突進する。
 ディアッカは腕を広げたまま、鳥のように同じく真っ向から突進する。
 勝負はすれ違いの一瞬。どちらが相手を捉えられるか。
 ディアッカのアタックポイントはハルパーミリィの顔。対してハルパーミリィのアタックポイントはディアッカの体全て。
 二人がついに交差する。
 刃が閃く。シャッターが切られる。

 シンが息を呑んだ。
 イザークが目を剥いた。
 シホが小さく悲鳴を上げた。

 鮮血が散った。路地に、さあっと赤い飛沫が舞う。
 小さく呻き、ディアッカはハルパーミリィに向き直った。
 左腕を右手で押さえる。生温かいものが右手の下を流れていった。両手のカメラは全て斬られている。スクラップと化したカメラは次々と指の間を滑り落ち、地に落ちて乾いた音を立てた。
「これで終わりね。『怒れる女神像を掲げる男』ディアッカ=エルスマン」
 仁王立ちのハルパーミリィ。余裕を感じさせる彼女の声。だが、ディアッカは痛みをこらえつつ笑う。
「さて…どうかね?」
 すっ、と突きつけるのは、左手に握った袖口の飾りボタン。金メッキが夕日の光を赤く照り返す。
 だが、その反射光の中に、メッキによるものではない異質な光があることを、ハルパーミリィの目は捉えた。
 白い光。色のない、小さな、透明な光。
 ハルパーミリィは思わず口を開けた。完全に虚を突かれた、と悟ったのだ。
「バッチリ撮らせてもらった。アンタの負けだよ」
 宣言するディアッカ。
 わざわざ最初に両手に武器を見せつけたのは、隠しカメラという可能性を彼女の頭から締め出すためだったのだ。
『取らせてもらった?』
「アンタの負け?」
 完全な状況を知らされていないイザークとシホは、そろって首を傾げた。ちょうどマックスターの肩のあたりにいたファイト委員が慌ててよろめいた。

「やったのか…ディアッカ」
 二人の最も近くにいて、二人の気迫を浴び続けていたシンは、溜息まじりにそれだけを呟いた。
 まったく、動機は下らないのに、やっていることはガンダムファイト以上に殺気立った闘いだ。

 ナイフが地に落ち、澄んだ音を立てた。
 屈辱にか、ハルパーミリィが震え出す。己の象徴たるナイフを取り落とし、震える手で顔を覆う。
「さあ、もう分かっただろ。アンタは負けたんだ。大人しく引っ込みな」
 ディアッカの声に、頷くことはしない。ふるふると首を横に振り――段々と大きくなっていく。
 どす黒い感情が行き場をなくして蠢き、右手の熱がさらに勢いを増した。ほだされるように、少女の思考が一つのループを形作る。
 認めたくない。
 認めたくない。認めてたまるか。こんなことがあっていいわけがない。
 何故こんな犯罪がまかり通る。どうして写真家の誇りと女の恥じらいを踏みにじる奴らが大手を振る。
 認めたくない!
 ハルパーミリィは顔を上げ、わけの分からない言葉を天に叫んだ。叫び続けた。それでも右手の熱は消えなかった。いよいよ燃え盛る熱は、右手の甲へと延び広がっていく。
 ディアッカが哀れみを顔に浮かべる。
「Go home, ミリアリア。アンタの帰りを待ってる奴がいるんだ」
 その言葉を聞いたハルパーミリィは、ディアッカの方へと突進した。
 ディアッカは何も行動を起こさない。既に彼女はナイフを捨てているのだ。それに、相手の目も見れない『ハルパー』など、脅威に値しない。
 ディアッカの思った通り、彼女はディアッカの脇を駆け抜け、コアスプレンダーのシンも無視して、ただひたすら走り去っていった。
 後に残ったのは、バツの悪い顔をして頭をかくディアッカ、未だ地に伏したままの『七眼レフ』、そして――
「見つけた」
 コアスプレンダーで呟くシン。呆然とした表情から、徐々に口の端がつり上がっていく。どこかやる気のなさそうだった、げんなりとした赤い瞳に、生気が、怒りと憎しみが蘇っていく。
「見つけたぞ」
 見紛うことなどあろうか、あの忌まわしい輝きを。すれ違いの際、シンにははっきりと見えた。ミリアリアの右手に浮かんだのは、小さな小さな銀の鱗。
 それ即ち、捜し求めてきた仇の痕跡。
「見つけたぞ、キラァァァ!!」
 心底からの憎悪と歓喜に打ち震える少年。彼の右手に輝くは、覇王の紋章キング・オブ・ハート。
 あふれ出す感情のままにアクセルを踏み、シンはディアッカもイザークもトールも忘れてコアスプレンダーで飛び立った。
 ミリアリアは走った。ただひたすら走った。
 行くあてなどない。ただ、自分が敗北したという現実から逃げたかった。
 知らず知らずのうちに足が海に向いていた理由は、正確なところはわからない。
 自分の原点である海に戻りたかったのかもしれない。それとも、先程から勢いを増している右手の熱に導かれてきたのかもしれない。
 通行人はみな道を開けた。返り血を浴びた、鬼気迫る彼女を避けたのだ。おかげでミリアリアは障害もなく断崖絶壁にたどり着いた。
 躊躇なく、ミリアリアは飛び降りた。いかに汚れていようと、海ならばこの火照りを受け止め消し去ってくれるような気がした。
 飛び降りて――落ちて、落ちて、落ちて――水面に叩きつけられ、あっさりと意識は闇に落ちた。昼のときと同じように。
 そして同じように、海に眠っていた鉄の巨人が手を差し出し、自らの胸へとミリアリアを迎え入れた。
 サボテンを模した頭部に特徴的な三叉矛。名をテキーラガンダムという。


 トールの容態を見ていたルナマリアは、盛大なブザーの音に跳び上がった。
 ガンダムのスタートキーの音だ。不正に動作していることを持ち主に伝えている。
 はっと自分が持つスタートキーを見るが、全く反応していない。とすれば、このブザーは……
「トール! 悪いけど起きて!」
「ん…なんだ…」
 跳ね髪を揺らしつつ、ルナマリアはトールの頬を叩いた。幸い、小さく呻きながらもすぐに目を覚ましてくれた。
 患者を無理矢理起こすのは気が引けたが、異常事態だ。ネオメキシコのガンダムが奪われれば、トールの責任になってしまう。
 説明せずともトールはすぐにブザーに気付いたようで、また体を起こそうとした。だが、やはり起き上がれない。
「つっ…」
「無理しないの!」
「だからって暢気に寝てられないよ…」
「あたしがいるんだから、使いなさいよ! 患者は体に鞭打つもんじゃないわ!」
「……悪い。それじゃ、俺の上着取ってくれ。内ポケットにキーがある」
 ルナマリアは言うとおりにした。ハンガーにかけていたトールの上着を取り上げ、内ポケットから少しごつごつしたスタートキーを取り出し、彼に渡す。
 ガンダムのスタートキーは、車の鍵のようなシンプルなものではない。防犯はもちろん、簡単なプログラムも組める、最新技術の結晶である。キーと言うより、コントローラーと言った方が近いくらいだ。
「これね!?」
「ああ、サンキュ!」
 トールは両手を上げて受け取ると、慣れた手つきでキーを操作した。小型ディスプレイを起こし、素早く各ボタンを押していく。一秒間60回の指は伊達ではないらしい、とルナマリアはぼんやり思った。
 ガンダムの簡単な遠隔操作なら、キーを通じてもできる。ルナマリアはそれをやっているのかと思っている。
 だが、トールが実際にやっていたのは、全く違うことだ。
 ポン、とコミカルな音がして、ディスプレイの表示が切り替わる。先程までの無機質な画面から、少女の映像へ。
 画面の向こうで、モビルトレースシステムが起動する。ファイティングスーツが少女の頭からすっぽりと被さっていく。音声はないが、締め付けに苦しみ喘いでいる様子は見て取れた。
(やっぱり、ミリィ、君か…)
 予想通り、と心の中で頷いて、トールはさらにボタンを押した。表情は真剣そのものだ。
 一方隣に立つルナマリアにも、シンから通信がかかってくる。
『ルナマリア! ガンダムを出す!』
「は? ガンダム? ……ああ、イザークと闘うのね」
『違う! あいつはどうでもいい!』
「それじゃ誰と…」
『ミリアリアとだ! あの子はキャリアだった!』
 瞬間、事態はルナマリアの脳の許容量を超えた。
 キャリア。細菌保持者。いや違う、シンがその言葉を使うのは……
「何ですってぇ!?!?」
 ルナマリアの反応はワンテンポ遅れた。すっかり油断していたのだ。まさかこのややこしい状況で『当たり』を引くとは!
 トールもトールで、キーを操作する手を止めていた。ぎょっと目を剥いている。シンの声を聞いたからではない。ディスプレイに映る画像が信じられなかったからだ。
「ち、ちょっと待ってシン、それじゃあたしもそっちに」
『待てん!』


 一声吼えて、通信を切るシン。回線がなければ小言も聞こえない。
「ガンダァァァァム!!」
 コアスプレンダーの中で、シンが指を弾いた。
 主の声に応え、三機の飛行物体が空中で高速変形合体! 大きく波を立て、インパルスガンダムが浅瀬に着水する。
 上がってくるであろうミリアリアを待ちうけ、シンは構えを取った。
 が、ミリアリアが出てくる前に、背後から波の音が迫ってくる。
『ジャストァモォーメンッ! インパルス! どうでもいいとは言ってくれるなぁ!』
 マックスターだ。シールドをサーフボードのようにして、波に乗ってやってくる。ディアッカが通信周波数をマックスターに合わせてから全くいじっていないため、通信がイザークにも丸聞こえだったのだ。
 ちなみにネオメキシコのファイト委員はさっさと放り出し、足止めをシホに任せている。
 背中から近づいてくるイザークの怒声に、シンはちらりと振り返り、画面ごと通信をつなげて――

「邪魔するな、イザークッ!!」

 邪魔するなとは何だ、そんな言葉で納得できるか、こちとらお前を探して派手な陽動までやったんだ、声もかれるしシホには突っ込まれっぱなしだし、何のためにここに来たんだかわかりゃしない……
 言いたいことは山ほどあったし、反論のタネもあった。なのに、言えない。
 イザークは気圧されていた。彼自身は決して認めないだろうが、シン=アスカの瞳に負けたのだ。
 赤く暗い瞳。どす黒い感情を隠そうともせずに宿し、燃やしている瞳。
「これはアンタには関係ない。さっさとディアッカを回収して次の国に行け!!」
 だが、イザークも社会の最下層からよじ登った男である。萎える心を奮い立たせ、叫ぶ。
「関係ないとは何だ、インパルス! 分かるように説明しろ!」
「……ガンダムファイトは一対一が原則だ」
「ガンダムファイト? まさか貴様、本当にあのクルーがガンダムに乗ってやってくるとでも思ってるのか!?」
「ああ、そうだ! 奴は必ず――!」
 シンの言葉を遮るように、海面が爆発する。
 二人はそちらを見た。サボテンをかたどり、三叉矛を構えたガンダムが、飛沫の中から姿を現してくる。ネオメキシコ代表、テキーラガンダムだ。
 さらに三叉矛はテキーラの手の中でうねりながら姿を変えていく。柄は短くなり、刃は一本に纏まり、あっという間に短剣になってしまった。
 イザークが呻いた。ギミックではなく、生物的な動きの変形は、ある種のグロテスクさがあった。
 これをネオメキシコのファイト委員が見ていなかったのは、ネオジャパンの人間にとっては幸いだったろう。

 ミリアリアは夢を見ていた。
 雄大な地球の大自然。老人の節くれ立った皺だらけの手から、魔法のように取り出されていく美しい写真の数々。
 目を輝かせる少年と少女。遠い世界に思いを馳せ、いつか自分達もと笑顔で誓った。

 ――なんでこうなっちゃったんだろう。

 期待を膨らませて降りてきた自分達に突きつけられた、黒い海という現実。
 闘い続けなければならない宿命。
 委員会からの追っ手。何も知らず、考えず、ファイトを迫ってくる他国のファイター。
 爆弾にも等しい自分をなりふり構わず守り続けてくれたトール。

 ――敗北だの何だのと、言ってる場合じゃないのに。

 右手の熱が広がっていく。まだ足りない、まだ収まらない、と吼えるように燃え盛る。
 銀の鱗は熱と共に広がっていき、ミリアリアの右手をほぼ占領してしまっていた。
 テキーラガンダムのコクピットの壁からは、生物の触手のようにコードの束が飛び出してきて、ミリアリアの全身に絡みついていく。
 右手の熱がひときわ勢いを増した。いつの間にか右手にナイフが握られていた。
 ああ、これは夢なんだ、とミリアリアは思った。
 怒りに縛られ、目的を忘れ、殺傷という所業に手を染めた自分。まさにこの夢の通りではないか。
 子供でも分かる話だ。盗撮は確かに悪い。だが、実際にナイフで人を狩る自分と盗撮者、より罪深いのはどちらだ?
 盗撮者としてのトールと、逃げ続けるために追っ手を殺し続けたトール、より罪深いのはどちらだ?
 やけにおかしくなって、ミリアリアは笑った。笑いながらナイフを振り回した。狂ってる、と自分でも思った。
 目の前には白い巨人と青い巨人がいる。白い巨人が天に吼え、我が身を赤く塗り替えていく。
 何を言っているのかは聞き取れない。だってこれは夢なのだから。
 白と赤の巨人が、絶叫と共に大剣でミリアリアを貫いた。
 言葉は聞き取れない。痛みも感じない。ただミリアリアは、巨人の叫びを叫びとして感じた。

 ――何よ。怒りに駆り立てられてたら、アンタだってあたしと同じじゃない。

 滑稽だ。何もかも喜劇だ。悲劇の皮を被った、ろくでもない戯画だ。
 ミリアリアは笑った。笑って、笑って、笑い続けた。夢が途切れ闇に沈む最後の瞬間まで、ずっと。



 テキーラガンダムが爆発する。インパルスの、シンの全エネルギーを叩き込んだエクスカリバーに貫かれて。
 細かな裂傷を至る所に刻んだインパルスは、水中へと膝をついた。もう、シンにもインパルスにも、立ち上がるエネルギーなど残っていない。
「シン=アスカ」
「…………」
「シン=アスカ!」
「うるさい。…聞こえてる」
「だったら返事をしろ! ついでに説明もしろ、分かりやすく!」
 マックスターが肩を掴み、揺さぶってくる。だがシンにすればものを言うのも辛い。
「だったら後でルナマリアにでも聞け…」
「何ィ!?」
 イザークがまだ何事か言っているようだったが、シンにはもう聞こえなかった。
 膝をついたまま、シンは眠ってしまっていた。

 シンがキャリアーのベッドで目を覚ましたとき、事後処理はほとんど終わっていた。
 ミリアリアはあのあとすぐにイザークが見つけ、回収していた。シホとルナマリアが治療を担当したそうだが、実際はシホはほぼノータッチだったという。
「ウチの馬鹿が先走った結果ですから、責任を取らせてください」
 患者を前に責任も何もない、とシホはいい募ったが、ルナマリアは一歩も退かず、ついに押し切ってしまったそうだ。
 仕方ないので、シホはもう一人の重傷者、『七眼レフ』の治療をしようとした。だが、病院に連れ込んだ次の日には彼は消えていたという。
 また、ルナマリアはイザークからも質問攻めに遭ったらしいが、彼女はディアッカに説明バトンを回した。確かに本題に触れずとも、業界と『ハルパー』について説明すれば大体納得させられる。というか納得せざるを得ない。そして彼らに説明するべきはディアッカだ。
 シンは一部始終を聞いて、眉間にシワを寄せると共に安堵の息をついた。

 テキーラガンダムがファイト中に文字通りなくなったことでトールは死亡認定され、めでたく自由の身となった。
 ガンダムファイト国際条約補足、過失によるファイターの殺傷。ファイト中ならば加害者も無罪となる。そしてファイターとして死んだとなれば、ネオメキシコのファイト委員会も納得する。
 今はミリアリアと二人仲良く入院しているが、怪我が治れば穏やかな暮らしに戻れるだろう。
 ミリアリアもディアッカに完全敗北したことで元に戻っている。

 ネオアメリカチームがネオメキシコを発つ直前、ディアッカが一人でトールを見舞いに来た。業界関連の話をするためだ。
 病室が個室なのはありがたかった。もしミリアリアが一緒だったら、危なくて話せたものではない。
「でもなトール、アンタがあいつに勝たない限り、あいつはまたハルパー化するかもしれないぜ」
 トールはベッドに寝たまま、にやりと笑ってスタートキーを渡した。キーのディスプレイを覗き込んだディアッカ、ここが病院であることも忘れて大爆笑した。
 小型ディスプレイには、ミリアリアのあられもない姿が映っていた。
「いつかこうなるかもって思ってたんだ。テキーラのコクピットにカメラを付けておいて正解だったよ」
 ぺろりと舌を出すトール。
 確かにこれは、罠に気付かなかった『ハルパー』の敗北である。
 負けたようで、最後にトールは勝ったのだ。
「さすがだぜ『マシンガンシャッター』! どうするんだ、このデータ。流すか?」
「いや、やめとく。さすがにミリィに悪いよ」
「もったいないねぇ。こんなベストショット、そうそうないぜ?」
 それを聞いたトールは、曖昧な笑みを浮かべる。
「……こんなのは俺のやり方じゃないから、さ」

 彼は誰にも話していない。キーのディスプレイを通じて見た、コクピットとミリアリアの変貌を。
 話せば、また騒動になるに決まっている。やっと手に入れた平穏だ。わざわざ手放したいとは思わない。
「それで、どうだったんだ、ルナマリア」
 そこはキャリアーの中の居住区。テーブルにつき、目を輝かせ、シンがパートナーに話を促す。
 彼の期待から逃れるように、ルナマリアはコーヒーメイカーに手を伸ばした。
「……正直、参考になる手がかりじゃなかったわ」
 悪いのはルナマリアではない。だが彼女にすれば、せっかくの手がかりが空振りに近いものだった、と告げること自体が心苦しいのだ。
 二つのコーヒーカップに黒い液体を注ぎながら、ルナマリアは続ける。
「接触したのはミリアリア本人でも、テキーラガンダムでもないのよ。本当にアレと接触したのは、前回のガンダムファイトで破壊されたガンダムの残骸」
「残骸?」
「ほら、動力炉が暴走して海を汚染していたって言ってたでしょ」
「ああ…」
 そういえばそんな話もあった、とシンはぼんやり頷く。
「ミルク入れる? 砂糖とか」
「いや、いい」
 肩をすくめ、ルナマリアは角砂糖を取り上げた。自分のコーヒーに砂糖を入れ、かき混ぜる。
 時折コーヒースプーンがカップに当たり、かちかちと音をたてた。
「それで、残骸が《侵され》て…残骸は海に隠されていたテキーラガンダムに取り付いて…そこにミリアリアが落ちていったのよ。ミリアリアは三次感染者だったわけ」
 かき混ぜながら、コーヒーを見ながら、ルナマリアは説明する。
 つまり、シンを襲って、そのまま海に落ちたあのときに、ミリアリアは感染したということだ。初めて会ったときのミリアリアは、全くの健常者だった……。
「それじゃ、ミリアリアのハルパー化は何なんだ? トールを切り裂いたのは?」
 シンはルナマリアの背中に問いかける。
「関係なし。だってトールの話じゃ、彼女がハルパーに目覚めたのは四年前だもの。そのころはデビルフリーダムは開発途中よ」
「そ、そうか…」
 複雑な思いで息をつくシン。
 どうやら今回のことは、完全にデビルフリーダムのせい、というわけではないようだ。
 それでも事態がガンダムファイトにまで発展したのはデビルフリーダムの干渉のせいなのだが、シンにとっては物足りない。
 全ての原因がデビルフリーダムに、キラにある。そう思ってしまいたいのだ。
「そういうわけだから…」
 シンの心に気付かないまま、ルナマリアはコーヒーを二つ持ってきた。彼の前に砂糖なしのコーヒーを置くと、自分も椅子に座る。
「いつデビルフリーダムがネオメキシコに来たかなんて分からないのよ。本当に、参考にならない手がかりなの」
 締めくくって、自分で入れたコーヒーをひとすすり。
 シンは無言だ。折角入れてもらったコーヒーにも手をつけず、黒い水面をただ見つめている。
 何を思ったか、ルナマリアが突然カップをテーブルに置いた。慌てたように手を振り回し、付け足す。
「で、でも! ちゃんとあたし達は痕跡を見つけられたんだもの。ハズレばっかだったのに、とうとう見つけたんだから、少しは近づいてるわよ!」
「ン… ああ…」
 ルナマリアの挙動が何となくおかしくて、シンはぎこちなく笑った。充分眠ったはずなのに何故か、顔の筋肉を動かすことすら億劫と感じる。

 結局、シンはそのコーヒーに手をつけなかった。

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 月も星もない、ある夜のことだ。

 長い黒髪を振り乱し、カナードは跳躍した。ファイターの動きに応え、白黒の巨人が宙を舞い、瓦礫を飛び越え、距離を取る。
 しかし、普通の相手になら充分な間合いでも、この化け物に対しては意味をなさなかった。
 一体何十メートルあるのだろう。もしかすれば何百、何千かもしれない。前脚の鉤爪だけで、普通のガンダムの大きさを凌駕しているのだ。
 奴が数歩前進すれば、すぐに追いつかれる。
『なあ、アンタ!』
 巨大な円月刀を振るって共に闘っていた白いガンダムが、すぐ隣に着地する。息遣いが荒い。
『アンタはあとどれくらい持つ!?』
「さあな!」
 相手には気のない返事と思われただろうが、カナードには本当に余裕がなかった。体力的にも、ガンダムのエネルギーも。しかし正直に言ったら、たった二人の共同戦線はあっけなく崩れてしまうと思った。
 もはや二人とも、気力だけで闘っているのだ。
「どこまでやれるかは分からん、だが!」
『ま、どっちにしろ逃がすつもりはないだろうね、あいつ!』
 白いガンダムが化け物を見やる。
 全く、世界の美意識に喧嘩を売るようなフォルムだ。甲虫の下半身にガンダムの上半身を蛇腹でくっつける? どこの馬鹿だ、こんなデザインにしたのは。そのくせ全体を見れば調和が取れているのが逆に癇に障る。
「逃がすつもり!? 俺は逃げるつもりなどないぞ!」
『おお、勇ましいね!』
「貴様も気合を入れろ! わざわざファイトを中断して共同戦線を取ったんだ、勝てないことなど、ない!」
 敗北の、死の予感を振り払うように、カナードは断言した。
 隣で白いガンダムが笑う。画像つきで通信が送られてきた。
 ディスプレイの向こうで、オレンジ色の髪をした狐目の青年が笑っていた。
「にわかコンビでも、パートナーがアンタでよかったよ! 名前聞かせてくれ!」
 カナードもまた笑みを浮かべる。安っぽい感傷とは思わなかった。
「まずは聞く側から名乗るのが礼儀、とは言うまい! ネオドイツ代表、カナード=パルスだ!」
「しっかり言ってるじゃんかよ! 俺はネオトルコ代表、ハイネ=ヴェステンフルス!」
 二人は迫り来る化け物を前に名乗り合った。にやりと笑い、通信を切った。
 もはや言うことはない。
 化け物が鉤爪を振り上げる。二人は別々に跳躍し、最後の力で得物を引き抜き、攻撃をかけた。
 ハイネの円月刀が化け物の顔に振り下ろされる。カナードの刃が蛇腹を切り裂こうとする。
 戦友――まさしく戦友であった。突如出現した化け物に、果敢に立ち向かった二人の戦士。おそらく生還することはないだろう。互いの行為を知るのは互いのみとなる。
 下らない感傷であろうが、死に際した二人には、それこそが救いとなった。
 彼らが際しているのは、孤独ではない死だ。
 二人の得物は、固い金属音を響かせ、傷の一つも付けられずに終わる。化け物が身を震わせ、二人を弾き飛ばした。
 地に叩きつけられたカナードは、残った体力を振り絞り、もう一度起き上がった。ちょうど化け物の鉤爪が、岩に叩きつけられたハイネのガンダムを襲っているのが見えた。鉤爪が、ハイネのガンダムの首をくわえるように岩に食い込む。
 そのまま動かなくなる。ハイネも、化け物も。
 ハイネへ通信回線を開こうとは思わなかった。開いてどうする。今更何を確認しようと言うのだ。
 カナードはゆっくりと刃を構えた。次が最後になると悟っていた。
 やはりコクピットを狙うしかない。だが、何度も何度も試して分かってしまっている。この化け物の装甲を抜くことは出来ない、と。
 しかし、分かっているからと言って、ならばどうすればよいと言うのだ?
 逃げられないのを承知で、ひたすら逃げようと試みるか?
 カナードは戦士だった。そしておそらく、ハイネもまた戦士だった。勝てない、逃げられない、負けの決まっている理不尽な戦いでも、彼らは最後まで闘うことを選んだ。
 大きく息を吸い込み、カナードは跳んだ。
 化け物は何故か動きを止めている。コクピットは狙いやすい。カナードは回転をつけ、思い切りコクピットを切り裂こうとした。
 固い金属音。
 ブレードはコクピットの上部で、何を切り裂くこともなく止まった。
 やはり駄目なのか。押さえ込んでいた絶望が、カナードの胸に広がっていく。
 そのとき――

『撃ちたく…ない…』

 幻聴かと思った。明らかにハイネの声ではないし、回線を通じたクリアな声でもなかった。しかし、考えてみればもう一人いるのだ。話せる――かもしれない――相手が。
 今までいくら回線をつなごうとしてもつながらなかったが、接触回線で相手の声を偶然拾えたのかもしれない。
 そこまで考えて、カナードは怒りが湧き起こってくるのを感じた。
「撃ちたくない…だと…!?」
 カナードは低く呻いた。
 そんな化け物に乗って、ここまで戦っておいて、何を言う。
『撃ちたくない…撃たせないで…』
「ふざけるな、貴様ァッ!!」
 カナードはブレードに力をこめ、反動で一旦飛び退ると、もう一度コクピットを狙って跳んだ。怒りが、もう一撃加えるだけの力を体の底から引き出していた。
 まだ化け物は動かない。今更偽善ぶって涙でも流しているのか。馬鹿にしている、とカナードは思った。
「貴様がここまで荒らしておいて!!」
 怒号と同時に、ブレードをコクピットに打ち当てる。斬撃ではなく、自分の叫びを相手にぶつけるための攻撃だった。
 カナードの声が届いたか、接触回線の声色が変わる。呻き声ではなく、明らかに他人に呼びかけるものになった。
『お願いです、もう闘いをやめてください! あの人を連れて逃げてください!』
「今更何を!」
『早く逃げて! 無駄死になんてしたくないでしょう!?』
 カナードの目が一層険しくなる。ぶち切れた、と言ってもいい。
「この傲慢野郎が!! そんなに自分の力が誇らしいか!!」
『違います! 僕は…ただ僕は…』
 徐々に接触回線の声が弱々しくなっていく。連動するように、化け物が小刻みに動いていく。
 カナードはそれに気付かなかった。先程の声が、カナードの理性を完全に奪い去っていた。雄叫びを上げる。
「消えろ! 消えろ!! 消えろ!!! 消えろぉっ!!!」
 逆上し、何度となくブレードを打ち付ける。しかし全ては装甲に弾かれ、金属音を虚しく立てるだけだ。
 虚しい乱舞も長くは続かない。本当に限界が来た。刃を振り上げようとしても、もう腕が動かない。ガンダムのエネルギーも底をつき、スラスターの光が消えていく。
 無力感が、怒れるカナードを冷静に引き戻した。
 終わりとは、考えているよりもあっさりと来るものだ。自由落下しながら、カナードは思った。
 背中から地表に叩きつけられる。胸の空気を強制的に吐き出させられ、後頭部を強打し、それでもカナードには意識があった。意識だけがあった。腕も足も動かない。体が鉛か何かのように重い。
 最後の抵抗とばかりに夜空を睨みつける。月も星もない闇の夜空。そこに、さらなる巨大な影が落ちてくる。
 奴の鉤爪だ。
『……僕は……』
 回線はつながっていない。なのに、カナードはその声を聞いた。
 弱々しく、涙の交じった、少年の声。

『僕は、殺したくなんかないのに…!』


 地面が揺れた。
 雲が流れる。紅い月が顔を出し、またすぐに隠れて消えた。




次回予告!
ドモン「みんな、待たせたなっ!
    ネオカナダのファイター・サトーとの戦いで、シンはルナマリアを人質に取られてしまう!
    彼女を救い出すためロッキー山脈へ向かうシン!
    しかし、その前にフォー・ソキウスのボルトガンダムが立ちはだかるのだ!
    次回! 機動武闘伝ガンダムSEED DESTINY!
    『仇は討つ! 復讐の宇宙刑事』にぃ!
    レディィ… ゴォォォ――――ッ!」
撮影後

カナード「うおおおおおおおお!(ガリガリボリボリ)」
ヴィーノ「どうしたの、あいつ。さっきから全身掻きまくってるけど」
ヨウラン「今回のアテレコが自分でやっててむず痒いんだとさ」
ヴィーノ「あ〜、散々監督にダメ出しされてたアレか」
カナード「何故、何故俺があんな軟弱な声を…! キラ=ヤマトはどうした!!」
アビー「まあまあ。はい、今回の報酬です」
カナード「く…確かに受け取った…が…次からは更なる上乗せを要求する」
アビー「監督には伝えておきますよ」
シン「報酬って、全国ケーキ引換券千枚かよ!? 普通にキャッシュで渡した方がいいんじゃないか?」
ルナ「……じゅる」
ハイネ「下手に食うと太るぜ、ルナ」
ルナ「うっさいわね!」
レイ「ところで監督、何故キラを使わなかったのですか?」
タリア「キラは現在身柄をオーブに移しているの」
レイ「それが何か?」
タリア「ちょっとオーブ国内で面倒が起きてるらしいのよ」
レイ「はあ」
シン「またかよ…あの馬鹿元首…」
タリア「もめごとはこちらに影響しない程度にやってもらわないとねぇ…。スケジュールが変わっちゃって困るわ」

メイリン「もはや艦長のセリフじゃねぇ――!!」
ラクス「あらあら、また電波を受信したのですかメイリンさん」
メイリン「もっと艦長らしからぬ人がここにいるけどっ!! つか復活してるし!」
ラクス「当ッ然! ですわ! あの程度でこのラクス=クラインを追い詰めたなどとは片腹痛い戯言!」
メイリン「追い詰めたんじゃなくてあれはラクス様の自爆…」
ラクス「それではわたくしの復活記念に、我々はオーブに向かいますわよ! 誰が真の主であるかをあの愚か者キラ=ヤマトに教えて差し上げるのです!」
一同「はっ! ラクス様のために!」
メイリン「…って、なんで私までそんなセリフ言っちゃってるのぉ!?」
アスラン「待て、ラクス! キラは敵じゃない!」
ラクス「その通りですわ、アスラン。キラは敵ではありません」
メイリン「へ?」
ラクス「キラをたぶらかした者こそが我々の敵! 我々はキラを取り戻しに行くのです。あなたの親友を取り戻しに」
アスラン「ならやるしかないじゃないかぁぁぁ!!」
メイリン「うわ一瞬で誤魔化されやがったっ!」
ラクス「というわけでエターナル発進ですわ〜!」

マリュー「あの強いリーダーシップは、ある意味艦長らしいわよねぇ…(ぼそぼそ)」
ムウ「どうしたの、我らが大天使の艦長さん」
マリュー「なんでもないわ。アークエンジェル発進!」
イザーク「さて、我々も戻るぞ!」
ディアッカ「ちょっと待った。トールはどこ行った? 帰る前にもう少し情報交換したいんだけど」
シホ「あれ? さっきまでそこに…」
アーサー「トールなら一足先に帰ったよ。身の危険を感じたそうだ」
ドモン「おい、衛生兵はいるか? シュバルツがあのシーンを撮ってから動かないんだが」
アーサー「え…? いや、まさか」
シュバルツ「甘いぞドモン!」
ドモン「シュバルツ!?」
シュバルツ「ゲルマン忍術に不可能はなし! あれが変わり身だということにまだ気付かんか!」

身代わりにされたマリク「ヒドイ…イクラソンザイカンガナイカラッテ…ガクッ」

タリア「それではタンホイザー起動、照準盗撮集団。この機に一網打尽にします」
アビー「ひょっとしてこれが真の目的ですか、監督。ドモンさん含め関係ない人たちも巻き込みますけど」
タリア「アビー、巨悪を滅ぼすのに多少の犠牲は仕方ないのよ」



その頃のマザー・バンガード

トール「た…ただいま…」
ニコル「だ、大丈夫ですか、トール…って酷い怪我じゃないですか!」
トール「ハッチ閉めてくれ、早く、あいつが来る前に…」
ミゲル「いくらなんでも宇宙には来れないだろ。彼女、MS操縦も出来ないんだろ?」
ミリアリア「あら、油断大敵って言葉を知らないの?」
一同「ぎゃあぁぁぁぁぁぁっ!?」

アズラエル「いやいや、大した騒ぎですねぇ。賑やかでいいことです」
ナタル「ああ、どいつもこいつも! 少しは女性の痛みを真面目に考えてください!」
518通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 00:58:16 ID:???
いつの間にか新作来てるw

種ドモのキャラの特徴を活かしつつ、きっちりGガンの話も踏まえてる。
もはや完成したひとつの作品だよ、これは。
ただひたすらにGJ!
519通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 04:20:32 ID:???
GJ!!

舞台裏のメイリンがあとがきで自分の創ったキャラに惨殺されまくってる某ラノベ作家に
どーしても見えてしまうw
520通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 09:36:34 ID:???
お久しぶりでGJ!

>>519
それなんてユッケ職人なトゲ付きはんまぁパツキン美女?
521通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 15:52:36 ID:???
テキーラだけに、ちょっとだけキラ出てくるんじゃないかと思ったよGJ
522通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 06:02:27 ID:???
GJっす
テキーラガンダム・・・確かメキシカンな帽子を被ってサボテンに扮した棍棒
とモリが武器だったような、Gガン見た時テキーラ関係ないじゃん!とテレビ
の前でつっこんだ記憶があります。
523通常の名無しさんの3倍:2007/04/11(水) 18:08:20 ID:???
燃料が酒
524通常の名無しさんの3倍:2007/04/11(水) 18:24:27 ID:???
なんだその昔のバイクみたいなアバウトさはw
525通常の名無しさんの3倍:2007/04/11(水) 21:50:17 ID:???
今日のブリーチ、オクレ兄さんに盟臨が刺されて、そこにいたアウルがオクレ兄さんと戦ってた
526通常の名無しさんの3倍:2007/04/12(木) 01:38:30 ID:???
>>522
テキーラはメキシコ名物の酒なんだからまだよかろうよ。
んな事言い出したらスウェーデンにセーラー服とかキューバに蜘蛛とか
もっと脈絡がないガンダムはどうなるんかと小い(ry
527通常の名無しさんの3倍:2007/04/12(木) 02:58:27 ID:???
>>526
キューバのタランチュアを知らんのか??
528通常の名無しさんの3倍:2007/04/12(木) 11:38:32 ID:???
>>526
ダイナマイト型ガンダムや
葉巻型ガンダムの方が脈絡があると言うのかねチミは
529通常の名無しさんの3倍:2007/04/12(木) 11:41:07 ID:???
きっとアレだよ、弱小ファイターとガンダムしか開発できない国は、
そうやって自国の特産物やらなにやらをアピールするんだよ
530通常の名無しさんの3倍:2007/04/12(木) 11:47:25 ID:???
スウェーデンならこれもだ

つシュールストレミングガンダム
531通常の名無しさんの3倍:2007/04/12(木) 12:13:43 ID:???
必殺技は悪臭ですか
532通常の名無しさんの3倍:2007/04/12(木) 12:52:35 ID:???
即退場にさせられそうだ
533通常の名無しさんの3倍:2007/04/12(木) 15:56:20 ID:???
決勝大会のバリアも役に立たないな
強いけど人気は出ない
そしてクリリンには効かない
534通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 20:00:29 ID:???
俺としては対キラル・メキレル戦の回想シーンで出てきたマンモス型のガンダム
が何処の国の代表だったかがとっても気になります。

 出た瞬間に三枚に下ろされましたが・・・
535通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 01:25:57 ID:???
「ネオシベリア代表で、ファイターもゾウそのものという可能性がある」

てのがもっぱらの噂だが。
ネーデルガンダムの11ヶ月間風車小屋モードで予選回避説と同種の都市伝説だな。
536通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 02:32:42 ID:6RFASBU4

537通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 08:43:29 ID:???
>>535
ネーデルガンダムのあれは都市伝説だったのか。てっきり公式かと
538通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 20:12:37 ID:???
半分公式、みたいなもんじゃ無いの? ∀のハリーの車ネタみたいな感じで。
539通常の名無しさんの3倍:2007/04/17(火) 00:11:02 ID:???
もしもシリーズ その一

○もしもドモンがインパルスに搭乗したら
ドモン「分離!」
シン「さすが師匠、俺と同じ分離機構を活かした戦法を…」
ドモン「お前のような奴は、いたぶって、いたぶって、いたぶり抜いて!
    ゴメンナサイと言わせてやる〜!」
メイリン「ちょ、アシュラガンダム!」

○もしもドモンがセイバーに搭乗したら
ドモン「変形合体!」
シン「おお、師匠がMA形態に!これからどんな闘い方を!?」
メイリン「まぁ、セリフの中の『合体』はスルーしておくわ…」
ドモン「奴の額が光って唸る!毛根返せと輝き叫ぶ!
    必ィィッ殺ゥ、ゴォォォッドォ・バァァァド・アタァァーック!!」
メイリン「ゴッドはゴッドでもゴッドが違う〜ッ!」

○もしもドモンがストライクフリーダムに搭乗したら
ドモン「せッ、はッ!…む、破損したか」
シン「師匠、ドラグーンは投擲武器じゃありませんよ!」
ドモン「むぅ、C.E.の兵器は脆いな…強度に問題があるのではないか?」
レイ「射撃武器は鈍器として使用されるケースを想定していないからな」
ルナ「でも、ライフルをトンファー代わりにしてデストロイ一個中隊を
   撲殺してのけたけどね…」

○もしもドモンがジン・ハイマニューバ2型に搭乗したら
ドモン「やはり実体剣は良いものだな。ギアナ高地での修行を思い出す」
ラクス「チャンス!いくらインチキな強さ(アビー:お前が言うな)のドモンでも、
    ジンなら勝てそうですわ!ほ〜ら、アスラン、このガンダムに乗ると
    オサレなドレッドヘアーがフサフサですわよ〜♪」
アスラン「なら、乗るしかないじゃないか!」
メイリン「ちょっと、それ生態ユニットからいろんなものを抜き取る
     エネルギーチューブが頭に刺さってるだけ!」
ドモン「ん?…あれはまさか…デビルガンダム!?キョォォォジィィィ!!」
シン「ああ、師匠が錆びた刀とデビルガンダムのダブル効果で怒りのスーパーモードに!」
ドモン「怒りのスーパーモードにより、速攻魔法:バーサーカーソウルが発動!
    こいつはMS以外のカードが(中略)要するに、ずっと俺のターン!」
アスラン「何もしてない、まだ何もしてないよ!」
ドモン「ドロー!MSカード!シャイニングフィンガーで頭部を攻撃!
    256のダメージ!毛根は死滅した!
    ドロー!MSカード!爆熱ゴッドフィンガーで頭部を攻撃!
    1024のダメージ!毛根は灰となった!
    ドロー!MSカード!流派東方不敗最終奥技・石破天驚拳で頭部を攻撃!
    65,536のダメージ!毛根は根絶(ロスト)した!
    ドロー(ry」
メイリン「やめてぇッ、とっくにアスランの毛根のライフはゼロよ!」
540通常の名無しさんの3倍:2007/04/17(火) 00:12:20 ID:???
もしもシリーズ その二

○もしもドモンがバクゥに搭乗したら
ドモン「ならば!」
シン「ああッ、あの鶴の構えから繰り出される、その技の名はッ!」
ドモン「絶・天狼抜刀牙!」
メイリン「なッ、何ィィ――――――ッ!」

○もしもドモンがガズウートに搭乗したら
一般兵A「は、速ぇ!タンク形態なのになんて速さだッ!」
一般兵B「うわあッ、ミ、ミサイルで殴ったあ〜ッ」
一般兵C「ゲェ〜ッ!こっちにまっすぐ突っ込んできたぁ〜ッ」
シン「師匠!ビームカノンのバレルは衝角じゃありませ〜ん!」

○もしもドモンがデストロイに搭乗したら
ドモン「師匠直伝!」
シン「シュトゥルムファウストを利用したディスタントクラッシャーだ!」
ドモン「関節をはずして腕を伸ばすッ!その激痛は波紋でやわらげるッ!」
メイリン「そっちかよ!」

シン「ところで、どうしてオレのデスティニーには乗らないんですか?」
ドモン「シンと一緒にされて『おい見ろよ、あいつデスティニーに乗ってるぜ!
    いつ主役降ろされるんだ?』とか噂されると恥ずかしいし…」
シン「*・゜゚・*:.。..。.:*・・゚・(つД`)・゚・・*:.。. .。.:*・゜゚・* 」
メイリン「酷ッ!しかも断り方が藤崎詩織て」

たまにはチョイネタでも…ダメ?
それでは、以下何事もなかったよ〜にどうぞ。
541通常の名無しさんの3倍:2007/04/17(火) 07:56:34 ID:???
いや、GJですよ!
久々の小ネタで嬉しいです!
542通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 01:29:27 ID:???
小ネタは大好物です
何だか懐かしいノリだw
GJ!!
543通常の名無しさんの3倍:2007/04/20(金) 22:46:29 ID:???
保守
544通常の名無しさんの3倍:2007/04/25(水) 01:48:19 ID:???
こういう小ネタの積み重ねもいいですよね
545通常の名無しさんの3倍:2007/04/28(土) 12:44:15 ID:???
保守
546通常の名無しさんの3倍:2007/05/01(火) 02:26:30 ID:???
最近来たんだけど、簡単な人物相関図とかないの?

シンがドモンの弟子なのは分かったけど、キャラが
あっちの陣営についたりこっちの陣営についたりでよく分からん。
まとめサイトには3までしか載ってないし。
547通常の名無しさんの3倍:2007/05/01(火) 10:12:18 ID:???
>>546
まずギャグ編なのかG-SEED編なのか教えてくれ。
548通常の名無しさんの3倍:2007/05/02(水) 00:36:09 ID:???
>>546
陣営があっちこっちという時点でG-SEEDじゃないと考えて軽く

・ザフト
ドモン、シン、レイ、ステラ、ルナ、タリア、盗撮13、アビー、議長

・ラクシズ
レイン、ラクス、キラ、ムネオ、虎、マリュー、カガリ

・オーブ(サハク)
勇者王、ナタル、先代3馬鹿、二コル、フレイ

・無所属(修行中)
師匠、オクレ兄さん、アウル

・蝙蝠(あっちこっち行った来たり)
アスラン、メイリン
549546:2007/05/02(水) 03:34:41 ID:???
>547
スマン、ギャグの方な

>548
ありがと
…しかしかえって混乱してきた気がw
アスメイはなんでそんなフラフラしてんだよ?www
周りも止めないのかよwwwwww
550通常の名無しさんの3倍:2007/05/02(水) 09:45:52 ID:???
アスランについてはみんな”そんなもんだ”と思ってる
メイリンはアスランの行くとこについて行ってるかたちなので
時々誰かが”それでいいのか”って言うこともある

ついでにサハクはオーブっつーよりミハシラって見方の方がいいと思う
ミハシラにはあとソキウス、ミゲル、ラスティもいた筈
551通常の名無しさんの3倍:2007/05/02(水) 17:03:46 ID:???
企画:熱風!モビルリーガー
監督:マスターシネマ

≪キャスト≫
シャイニングエース:ドモン=カッシュ
マッハインパルス:シン=アスカ
キアイファントム:レイ=ザ=バレル
ブルウォーリア:ルナマリア=ホーク
極十郎太:(未定)
トップガイア:ステラ=ルーシェ
GZ:(未定)
レッドアーム:ハイネ=ヴェステンフルス
レッドフット:イザーク=ジュール
レッドマスク:ディアッカ=エルスマン

アズチ:ムルタ=アズラエル




八手キーパー:キラ=ヤマト

アイアンリーガー見てたら思いついた、未定も多いが気にしてはいけない(コラ

ミネルバinロッキー山脈

ルナ「ひゃー、高いわねー」
ステラ「うぇーい! 滝! 滝! シン、行こ!」
シン「あ、待てよステラ!」
レイ「ギアナ高地もマイナスイオンの宝庫だったが、ここもなかなかいいものだな。体が癒される」
ヨウラン「ずっと廃墟だの室内セットだのでやってたからな、さっさと終わらせてハジけようぜ!」
ヴィーノ「よしきた!」
ドモン「お前たち、浮かれてばかりもいられんぞ」
シン「どうしたんですか、師匠?」
ドモン「あれを見ろ」

サトー「よし、分かった。つまり自然体でやればいいのだな」
アビー「その通りです。思い切り憤りをぶつけてください」
サトー「承知ッ!」

ステラ「あのひと、怖い…」
シン「すげぇ気合入ってる…」
ドモン「うむ、動作の一つ一つに切ないまでの感情が込められている。あの気迫、危ういが強烈なのは確かだ。呑まれるなよシン、主役はお前なんだからな!」
シン「はい、師匠っ!」


アーサー「本番いきまーす! 3・2・1・Q!」
 ネオカナダ、ロッキー山脈。
 北アメリカ大陸最大の山脈、そのとある中腹に、一つの山小屋がある。
 丸太で作られ、防寒のため二重窓にしてある、典型的な北国の小屋。深い緑の針葉樹林と白い朝靄に囲まれ、静かに佇んでいる。丸太で組まれた壁の際には薪が積まれ、煙突からはゆるゆると煙がたなびいていた。
 コロニー育ちの人々が見れば、童話の中の小屋と思ってしまうだろう。周囲には雑音はなく、白い朝靄に包まれた森の小屋は、確かに幻想的な長閑さがある。
 しかし、扉を開けて小屋から出てきた一人の男の姿が、穏やかな印象をいっぺんに吹き飛ばしてしまった。
 顔を横切る大きな傷。筋骨隆々の体。全身から発する殺気。
 男は薪と斧を取り上げ、手馴れた動きで岩に腰掛けると、薪を割り始めた。
 切り株に薪を乗せ、斧を木目に当てる。そうして斧を振り上げた瞬間、男の殺気はより強まる。
(アラン、クリスティン…! もうすぐ、お前達も、俺も!)
 固い音が辺りに響き、消えていく。
 この界隈には雑音がない。鳥の鳴き声、獣の気配すらない。皆、この男の殺気を感じ取り、息を潜めているのだ。
 こん、こん、からからり。
 薪割りの音だけが、ただただ響く。男の空虚な心をそのまま映すように。

 薄暗い無人の小屋。机の上にはフォトスタンド。セピア色の写真にあるのは、家族という幸福の残滓。
 優しげな少年。太陽の如く笑う女性。傍らには未だ傷を持たない男。
 彼らの幸せそうな姿の隅には、小さく文字が捺されている。
 ――F.C.55、宇宙警備ステーション『ユニウス7』にて――


「さて… 今日のガンダムファイトは、五年前の事件が始まりのようだ。
 だが、一体何があったのか、これがシン=アスカとどのように結びついていくのか。
 また、デビルフリーダムと共に地球に落ちた義兄キラの手がかりを掴む事が出来るのか。
 全ては今日の対戦相手、ネオカナダのランバーガンダムとの結果次第…」

 ドモンがマントをばさりと脱ぐ。
 下から出てきたのはピチピチの全身黒タイツ、即ちファイティングスーツだ!

「それではッ!
 ガンダムファイトォォ! レディィ…ゴォォォ――――ッ!!」


  第八話「仇は討つ! 復讐の宇宙刑事」


 大自然の前には、人は小さな存在だ。
 ネオカナダの名所、ナイアガラの滝。大瀑布という言葉さえ生ぬるいほどの威容は、見る者を圧倒し、己の存在の矮小さを知らしめる。
 幸い、ここはガンダムファイトの場所には未だなっていないようで、地上では珍しく、旧世紀の様相をそのままに残していた。
 深い緑の針葉樹林。ごつごつとした岩場、しかし遠目から見れば素晴らしく調和した傾斜、滑らかな絶壁。自然の生み出した芸術の前には、人はただ頭を垂れるしかない。
 ……が、しかし、この二人は相変わらずであった。
「どうしてよ! せっかくナイアガラに来たんだから、少しは楽しんだっていいじゃないの!」
「冗談じゃない! 俺の目的はネオカナダのガンダムだけだ! 観光に来たんじゃない!」
 ネオアメリカチームが聞けば赤面しそうな言葉である。
 レインコートを着て準備万端のルナマリアに、いつも通りの格好のシン。二人はわざわざ観光用の展望台にまで来て口論していた。
 轟々と凄まじい爆音を立てるナイアガラの滝を目の前にしても、ルナマリアとシンは臆さない。むしろ滝の音に負けじと双方声を張り上げる。
「何よ、その言い方! 疲れてるみたいだったから、ちょっとは気分転換を、って!」
「余計なお世話だ! ったく、わざわざ引っ張ってくるから何かと思えば!」
「いーわよ! アンタがそのつもりなら、もう口利いてあげないんだから!!」
「はっ、絶交か? いいよなぁお前は、それで済むんだからな!!」
 その言葉を聞いて、ルナマリアははっとした顔になる。
「ご、ごめん…」
 肝心な呟きは、滝の音に掻き消されてしまう。
 苛立っているのはネオメキシコの空振りのせいだろう、とルナマリアは承知している。期待しないようにと思った矢先にニアミスがあったのだ。普段よりも受ける精神的ダメージは大きい。
(結局コーヒー飲んでくれなかったし…)
 だからこそルナマリアはここに連れて来たのだ。もろにリバウンドとなり、以前以上にささくれ立ったシンが、ひとときでも己の宿命を忘れられるように。
 しかし。
「でも、あたしだって気を使って…!」
 それを口にしたのはまずかった。
「うるさい!!」
 心底煩わしい、とばかりに腕を振るシン。赤い瞳がぎらついている。
 それでも何か言い募ろうとしたルナマリアに、シンは決定的な一言を放った。
「お前とはここまでだ! あとは俺一人でやる!」
 その瞬間、何かがルナマリアの中で切れた。
「いいわよ。やれるもんならやってみなさいよ馬鹿! あたしだって好きでパートナーになったんじゃないんだから!!」
 腕を組み、ぷいと背を向けてしまう。
 シンも鼻を鳴らして、いつものようにマントを翻し、展望台の階段を下りていってしまった。
 そんな痴話喧嘩には関わりなく、ナイアガラの大瀑布は轟音と共に流れ続ける。
 一人残ったルナマリアは、滝を見上げた。充分に遠いはずなのに滝の飛沫は、冷気を伴ってうっすらと届いてくる。徐々に頭を冷やされたルナマリアは、展望台の手すりにもたれかかり、癖になりつつある溜息をついた。そのまま両手で頭を抱える。
 今日は気分転換のつもりだったのに。
「どうしてこうなっちゃうんだろ」
 どうどうと流れる大瀑布は、人間の呟きなど気にも留めない。
(メイリン、どうしてるかしら…)
 遠いコロニーにいるであろう妹を探すように天を仰ぐ。青空に、癪に障るほどのんびりと白雲が漂っている。
 ルナマリアはまたも溜息をついた。一体ファイトを開始してから幾度目になるだろう。
 自分のこれはホームシックというわけではない、と思う。ただ気兼ねなく愚痴れる相手が欲しいだけだ。ナイーブなパートナーでも、マッドな整備士でも、変態仮面上司でもイヤミな政治家でもない、普通の相手が。


 シンはシンで、腹立ち紛れに肩を怒らせ展望台を下りていった。
 気遣いだろうが何だろうが、今は何もかもが気に障るのだ。こういうときはさっさと相手を見つけて殴って憂さを晴らすに限る。
 自分が負けるかもしれないなどとは欠片も思っていない。最も、自信のないファイターなど底が知れている、と言えばそれまでだが。
 しかし、自信と傲慢とは別物なのだ。
 殺伐とした気配を隠そうともせず、激流の縁を歩いていくと、横手の林からがさりと音がした。
 この音は、獣ではない。口元を歪め、シンは身構える。
 予想通り、針葉樹林帯を抜けてきたのは人間だった。ただし、熊とも見紛うような筋骨隆々の大男。
 目つきは今のシンに負けず劣らず鋭く、抜き身のナイフのようにぎらついていた。顔を横切る大きな傷跡が、強面をさらに際立たせている。泣く子も黙る、という言葉がぴったりだ。
「アンタがネオカナダのファイターか」
「ネオジャパンのシン=アスカだな」
 二人の言葉は同時だった。気を殺がれたように、シンは目を丸くする。男も薄く笑みを浮かべた。
「いかにも。私はサトー。ネオカナダのファイターだ」

 現実逃避を打ち切り、最後にまたも一つ溜息をついて、ルナマリアは大瀑布に背を向けた。
 どうせ逃げられやしないのだ。ガンダムファイト国際条約第七条、『地球がリングだ』。本人の希望がどうであれ、負けるかファイトが終わるかするまでファイターとそのクルーは逃げられない。地球に縛られた囚人も同然――
(そういやナタルさん元気かしら)
 ネオロシアで出会い、自由を求め逃げ続けると宣言した彼女が、ふと思い出された。
(あたしも逃げちゃおっかな…)
 魅力的な空想であった。しかし、もしも本当に自分がいなくなったらシンはどうなるのだろう。今の彼は目に映る全てを憎悪しているかのようだ。
 本当に、一人で旅を続けることが出来るのだろうか。
 と、下界を見れば、シンと見知らぬ男が対峙している。
「シン? 何してるの?」
 手すりに手をかけ、身を乗り出すルナマリア。


「何だって!? ソキウスがここに来るのか!」
 思わず大声を上げるシン。瞬時にネオロシアでの出来事が鮮明に思い起こされた。
 強制的な収容所生活。世話になった元ファイターのナタル。戦うことなく解体されたガンダム達。ネオロシアへの絶対服従を運命付けられた戦闘用コーディネイター・ソキウス。女王のような女・ミナの威圧感……
「そうだ。ネオロシアのチームは君に敗れた後、作戦を変更したのだ」
 サトーの声が、シンを現実に引き戻した。
「うって出てひとつでも多くの敵を叩くという方針にな。その最初の標的が、我がネオカナダだ」
 確かに、一度でも脱走を許してしまったなら、収容所の罠は使えない。どんな噂が立つか知れないのだ。アリ地獄がいると分かっている場所に、わざわざ近付くアリはいない。
「そこで、君の持っているボルトガンダムの情報が欲しい」
 瞬間、シンの瞳が再びぎらついた。
「それじゃ何か!? お前を探してここまで来た俺たちは、無視ってことかよ!?」
「そうだ。私の狙いはネオロシアだけだ。闘いが終わったら私のガンダムの首をやろう。それなら納得してくれるか?」
「するわけあるか、馬鹿野郎!」
「ならばどうする?」
「こうするまでだ! インパルスガンダァァァァム!!」
 右手を高々と掲げ、シンが指を弾く!
 三機の飛行物体が爆音と共に大瀑布を割って飛来、空中で高速変形合体! 白き巨人インパルスガンダムが激流へ着水する!
 展望台のルナマリアは思いっきり滝の飛沫を浴びた。顔を引きつらせ、咄嗟にうずくまったが、波のように飛沫がレインコートにかかってくる。小さな悲鳴は、当然の如く掻き消された。
 インパルスガンダムの出現に応え、サトーも拳を掲げる。
「行くぞ! ランバーガンダム!!」
 野太い声に応え、トゲ付き肩を茶色に塗装した巨人が、針葉樹林を飛び越えて現れた。
 大柄な体躯、腰に二丁の手斧。ネオカナダ代表、ランバーガンダム!
 二人のファイターは各々のガンダムに乗り込んだ。
「さあ、俺と闘え! 話はそれからだ! ガンダムファイトォォ!! レディィィ……」
「断るっ!」
 ファイト開始と共に突進しようとしていたシンは、肩透かしを食らったようにこけた。
「何でだよ!?」
「先程も言ったはず! 我が敵はボルトガンダム一体のみ! 君と正式なファイトをするつもりはない!」
「ふざけるなッ! そっちがその気でも、こっちは納得いかないんだっ!!」
 拳を振り上げ、突進するインパルス。右のストレートをランバーの頭にぶちこもうとする。しかし――
「――消えた!?」
 シンの拳は虚しく宙を切る。
 と、そこに下から突き上げてくるのはランバーだ。
 しゃがみこんで拳をかわしたサトーは、インパルスの右腕が引っ込む前に素早く掴み、そのまま全重量をかけてねじ伏せた。
 右の関節が悲鳴を上げる。そう来るとは予想していなかったシン、たまらず激流へと叩きつけられ、苦悶の息を吐き出す。大きな飛沫がインパルスの姿を隠す。
 そのままサトーは、押し潰さんとばかりにインパルスの上へ肩からのしかかった。モビルトレースシステムを通じて巨大な圧力がかかる。
 更にサトーは両の拳を合わせ握ると、インパルスの、人で言う鎖骨の辺りへと振り下ろす。カエルの潰れたような苦鳴を上げるシン。
 激流の中のインパルスが動かないのを確認し、ランバーは身を起こした。


「あーもう、何だって言うのよっ!」
 ようやく飛沫を払い、身を起こしたルナマリア。彼女が目にしたのは、激流の中に倒れ伏したインパルスと、傍らに立つランバーであった。
「ち、ちょっと…シン!?」
 目を逸らした一瞬の内に何が起こったというのか。大きな目をさらに大きくして、慌てて展望台を駆け下りるルナマリア。
 それに気付いたようで、ランバーガンダムはゆっくりとルナマリアを振り向くと、右手を突き出してきた。
 ひっ、と小さく声を上げるが、生身の人間がガンダムに敵うはずもない。……ごく一部を除いて。
 アカデミー出のルナマリアだが、さすがにシンのような人外の境地には至っていなかった。あっさりランバーに捕まえられ、顔の真ん前まで持って行かれてしまう。
「シン=アスカのパートナーだな?」
 巨人が巨大な顔を突きつけて問いかけてくる。さすがにルナマリアも怯んだが、
「だったらどうするっての!?」
「人質になってもらう!」
「じ、冗談じゃないわよ! それにあたしを捕まえたってシンは」
「こんな事はしたくないんだがやむをえない!」
「したくないなら初めからやるな!」
「シン=アスカ! ボルトガンダムの情報を教える気になったらロッキー山脈まで来てもらおう。それまでこの女性は預かる!」
「話聞けぇぇ――――っ!!」
 久々にルナマリアの絶叫が響く。しかしサトーは全く意に介さない。
 激流の中から辛うじて顔を上げたインパルスのシンは、去っていくランバーの後姿を睨みつけ――気絶した。
 翌日のこと。ネオロシアチームはネオカナダの領地に既に入っていた。
 軍艦を泊め、盆地でキャンプを設営しているネオロシア一同。さすがに訓練された軍人、表情は引き締められ、動きはきびきびとしている。数分と経たずに設営は終了し、兵士達は指揮官の前に整列した。
 指揮官――即ち黒髪長身の女性、ロンド=ミナ=サハクである。
 若い一人の兵士が一歩踏み出し、ミナに報告書を手渡した。受け取り、さっと目を通したミナ、軽く眉をひそめる。
「ネオジャパンのシン=アスカが来ている、だと?」
 ミナに見下ろされたその若い兵士は、がちがちに固まりながらも口を動かした。
「はっ、昨日ナイアガラにて、ネオカナダとの非公式ファイトを行っております」
「ならば第一級警戒態勢を敷け」
「は…」
「疑問か?」
「い、いえ、決してそのようなことは!」
 慌てて早口になる兵士。ミナは表情を動かさない。
「奴は何をしでかすか分からん男だ」
 言うが早いか。
 低い爆発音が次々に轟き、設営したばかりのキャンプが吹き飛んで炎に包まれる!
 あの収容所の最期を再現したかのように、辺りは紅く染まり、炎が風を煽ってゆらゆらと揺らめいた。
 運悪く爆発に巻き込まれた軍人達が倒れ、助かった同僚は慌てて駆けずり回り、彼らを運んでいく。脇には燃料の入っていたドラム缶がひしゃげ、破裂した無残な姿を晒していた。
 若い兵士はぎょっとしたが、我を失うのは一瞬のこと。すぐさま事態の収拾のために救助と消火に走る。
 慌しい部下達の動きの中、ミナは動かず、歩み来る人影を見据えていた。
 揺れる炎の中から現れたのは、炎と同じ色のマントと鉢巻をし、なお暗い赤の瞳を持った黒髪の少年。
「悪いな、少しやりすぎたみたいだ。軽く驚かすだけのつもりだったんだけどさ」
 意地の悪い笑みと共に、シン=アスカは嘯く。
 対してミナは、やはり表情を変えず、ぴしゃりと言った。
「ならばお前も消火と救助を手伝え」

 少しの口論の後、ネオロシアキャンプではネオジャパンファイターの働く姿が見られた。

 数十分後、そこにはすっかり元のようにキャンプが設営されていた。灰も残骸も綺麗に片付けられ、火傷を負った数人の兵士は手当てを受けている。
 その中でミナは簡易テーブルでティータイムを過ごしていた。黒髪と黒マントを椅子の背もたれに無造作に流し、小指をぴんと立ててティーカップを口元に傾ける。余裕たっぷりの仕草だ。
「サトー? それが相手の名か、シン=アスカ」
 自分の部下であるフォー・ソキウスを脇に立たせ、優雅に紅茶を飲み干し、ミナが問いかける。
「ああ、随分アンタ達にご執心だったぜ!」
 空になったミナのティーカップに、乱暴に次の紅茶を注ぎながら、シンは苛立ちを隠さずに吐き捨てた。
 要救助者の確保、消火、キャンプ再設営の上に、ゴミ処理と軍艦内トイレの掃除までやらされ、更にミナの給仕まで言いつけられたのだ。ミナの図々しさもそうだが、何より彼女に従っている自分の情けなさに腹が立つ。
 色素の薄いネオロシアファイター、フォー・ソキウスが無表情のままに視線を向けてくる。哀れみも同情も嘲笑も諦めも、何も含むことのない彼の瞳が、妙に勘に障る。最も、もしそんな感情をソキウスが瞳に浮かべていたなら、迷わずシンは拳をぶちこんでいたのだろうが。
 カップ一杯に紅茶を注ぐと、ちょうどポットが空になった。わざと耳障りな金属音を立て、ポットをテーブルに乱暴に置く。カップが揺れて、紅茶が溢れソーサーにこぼれた。
「どうした? やけに不機嫌ではないか」
「ああ、おかげさまでな!」
「実害を被ったのは我々だ。この程度の労働など罰則のうちに入らんぞ」
「俺はネオロシアの軍人じゃないんだぞ!?」
「軍人でないなら好きに爆薬を仕掛けてもいいのか?」
 鋭く横目で睨みつけられ、シンはぐっと言葉に詰まった。
「それとも…」
 ミナはさらに目を細める。二杯目の紅茶には手をつけない。
「ルナマリア=ホークが捕らわれ、いきりたっているのか」
「あいつは関係ない!」
 間髪入れず叫ぶシン。
 ミナの笑みが深くなる。興味深い、ではなく、面白い、と言いたげに。
「事情は分かった。協力しようではないか」
「……はぁ?」
 またも肩透かしを食らったように、シンはぽっかり口を開けた。
 ロッキー山脈の一角に、薪割りの音が響く。
 こん、こん、からからり。固く乾いた音が、白い靄に包まれた森へと消えていく。
 ひたすらに斧を振るうサトーは、背後に扉の開く音を聞いた。振り向かず、また一つ薪を手元に立てる。
 小屋の中から現れたルナマリアは、じっとりとこの男の背中を睨みつけていた。だがそれだけだ。何も言わない。
 彼に話は通じない、と、たった一日の付き合いで承知してしまったからだ。
 こん、こん、からからり。
 薪割りの音だけが靄に響き、消える。


 昨晩に、ルナマリアは事情を聞かされていた。
 サトーは元宇宙刑事。だが、五年前の事件をきっかけに退職した。生涯をかけて、ある男を追い詰めるために。
「あの日の光景は生涯忘れることはない…単身赴任で警備ステーション『ユニウス7』に勤めていた私の元へ、妻と息子が来た日だ。あと一週間で勤めが終わり、私達は家族で地球に戻れるところだった…。なのに!」
 目を大きく見開き、唾を飲み込んだルナマリアに、サトーは語ったのだ。五年間蓄積してきた憎悪を剥き出しにして。
 突如ユニウス7に突っ込んできた所属不明船。
 鳴り響く警報、ひしゃげる壁、非常ランプの赤に染め上げられるステーション。
 壁は引き裂かれ、亀裂がどんどんきしんで広がり、机もパイプも人間も、あらゆるものが暗黒へと飲み込まれていく。びゅうびゅうと耳をつんざくエアの音。
 息子は片手で床の割れ目に掴まり、片手で吸い込まれかけている妻の手を握り締めていた。サトーは比較的上部に掴まっていた。
 強風などという言葉では生ぬるいほどの吸引力。闇の亀裂から助けようと、サトーはじりじりと家族の元へ手を伸ばした。
 視線が絡み合った。互いに互いの名を呼び合い、助かろうとしていた。
 だが、そこに招かれざる人物が出現した。ノーマルスーツに身を包み、天井からロープを伝って現れ、今まさに繋がろうとしていた家族を引き裂いた男。
 色素の薄い少年。
「その後、私は運良く、パトロールでやってきた警備艦隊に助けられていた。しかし気が付いた私の目の前にあったユニウス7は、焼け崩れたただの岩の塊にしか過ぎず!」
 語るサトーの拳が震える。拳だけではなく、体全体が。目許はぎらついている。涙のせいでは、決してない。
 ルナマリアは何も言えない。ただサトーの言葉を待つしかなかった。
「そこにはもう、誰もいなかった! だが! 私の目には妻と息子の姿が焼きついて離れんのだ!!」

 こうして薪を割る背中のみを見ていれば、サトーは普通の、どこにでもいるような男だ。
 ファイターの心得が多少なりともあると、こういうときに不便だ、とルナマリアは思った。
 一見穏やかな情景の中にも、殺気を感じ取ってしまう。
 ソキウスがファイターになったのなら、民間人は彼に手出し出来ない。だがこちらもファイターになれば、確かにファイト中の事故を装って殺すことが出来る。ガンダムファイト国際条約補足、過失によるファイターの殺傷。しかし…
(どんな理由があろうと、相手のファイターを直接攻撃するのはルール違反…ううん、立派な殺人罪よ)
 殺人に手を染めようとしている人間が目の前にいるのなら、医者として、人として、止めるべきだ。分かっている。
 だが、止められない。
 彼を止めようというなら、シンは一体何なのか。
 彼女はずっと支えてきたのだ。サトーと同じように、復讐に身を焦がす少年を。彼を止めずに、どうしてサトーを止めたいと思ってしまっているのだろう。
 何かがもどかしい。何かがルナマリアの中で引っかかっている。喉まで出かかった反論の正体が掴めない。


 天高く飛ぶネオロシアの戦艦からは、山脈の中の小屋は点にしか見えない。
「復讐鬼、か」
 甲板で風に吹かれながら、どこか自嘲するようにシンは呟いた。サトーの事情は、ついさっき隣に立つミナから聞かされていた。
 聞いた直後、シンは迷わずソキウスに殺気を向けた。殴り飛ばし、甲板に叩きつけ、胸倉を掴み上げ、叫び、詰問し――それでもソキウスは抵抗しなかった。今は彼は船内で手当てを受けている。
 気に入らなかった。
 復讐を、憎悪を向けられた相手は、動揺するか逃げ惑うか、あるいは憎らしく笑い飛ばすべきではないか。無表情で、釈明も何も言わず、何も抵抗しない仇など、ただ苛立つだけだ。
「準備をしろ、シン=アスカ」
 勘に触る声。ミナが傲然と命令してくる、とシンには思えた。
 ミナにすればそんなつもりは一切ない。自然体でシンを促しただけだ。
 鼻を鳴らし、シンは腕を組む。
「ここまで連れてきてくれた礼に、奴とは俺が先に闘う。その後生き残った方とあらためてファイトする…か。あんたらしい効率のいい作戦だよ」
「分かっているなら…」
「断る」
「何?」
 ミナの声が剣呑なものを帯びる。普段なら…事情を聞く前までなら、彼女の声に潰されていたのだろう。しかし今は違う。
「連れてきてくれたことには礼を言う。けどな、俺は奴の復讐を邪魔するつもりはない」
「約束を違えるか?」
「『そういう』事情だと知ってたら、最初から奴にソキウスのことを教えてたさ」
 眼下の小屋を見つめ、シンは吐き捨てた。
 てこでも動かない、と了解したか、ミナは小さく息をつく。

 山中に、爆音が近付いてくる。
 空を見上げたルナマリアは、一隻の戦艦がこちらに向かってくるのを捉えた。
「来たか…!」
 サトーもまた天を仰ぎ、立ち上がる。斧を切り株に突き立てると、
「君にはもう用事はない! 好きに帰りたまえ!」
 そう言い放ち、森の山道を走り出す。
「あ、ちょっと!?」
 慌ててルナマリアが追いかける。
「アンタ本当にやる気なの!?」
「無論だ!」
「相手の事情も知らないのに!?」
「事情だと!? 奴のことなど知ったことか! 妻と息子の仇、この手で裁かねば、私はっ!」
「……ッ!」
 カッと頭に血が上るのを、ルナマリアは自覚した。
 山道は終わり、面前には湖が広がっている。主の気配にか、盛大な水音と共に、ランバーガンダムが水面を割って現れた。
「君には関係のないことだ。余計な口は挟まないでもらおう!」
 とうとう最後までルナマリアを振り返ることはせず、サトーはコクピットに乗り込んでしまった。
 ルナマリアの中で、何かが切れる。
「どいつもこいつも…ふざけんじゃないわよッ!!」


「気になるのだ」
「は?」
 ちらりとミナを横目で見る。ミナはシンを見ることなく続けた。
「ソキウス・シリーズは我々ネオロシアの管理下にある。ましてフォー・ソキウスは成功体だ。所属不明艦に乗ってステーションを襲撃することなど…」
「何だよ、それ」
 シンは、今度ははっきりミナを振り返った。彼女は形の良い眉をひそめ、変わらず眼下を見下ろしている。
「その辺りの事情はアンタたちがよく知ってるんだろ?」
「正確には、ソキウスとネオロシアの諜報部が、だ」
「……へえ」
 シンはにやりと笑う。鬼の首でも取ったかのような笑み。
「アンタにも分からないことがあるわけか」
「一人で全て出来ると思い上がるほど堕ちてはおらん」
 間髪入れず切り返され、またもシンは言葉に詰まった。赤毛の少女の姿が一瞬脳裏をよぎる。
「そして、回ってくる情報が全て正しいと妄信してもおらん。シン=アスカ、貴様は上からの情報を何一つ疑わずにいられるか」
 す、と目線を上げられる。何気ない仕草のはずなのに、ミナの金色の瞳はこちらを射抜いてくるように思える。
「……信用できないのは確かだな」
 逃げるように視線のみを森に落とし、シンは呟いた。
 クルーゼの情報はことごとく空振りだった。初めからネオメキシコに行けば、少しは奴に近づけていたかもしれないのに――
 と、爆音と共に戦艦が大きく揺れる。
 いきなりのことに二人はよろめく。振り向けば、爆風を伴い右手の中空を切り裂いて飛んでいくのは、重量感ある白と黒の巨体。
「ボルトガンダム!?」
「フォー・ソキウス! 何をしている!」
『申し訳ありません、ミナ様。しかしこれは私の戦いなのです』
 それだけ対外スピーカーで言って、ボルトガンダムは地上へと行ってしまう。
「あいつ…」
 自分のマントを風になぶられるに任せ、シンはボルトガンダムを見送った。
「……ふむ!」
 ミナは一つ唸ると、甲板を歩み去っていく。


「ほう。シン=アスカ、律儀な男だな。だが私は二対一でも一向に構わん!」
『いいえ。あなたと戦うのは私のみです』
 声と共に、天から降りてきたのは白と黒の巨体。周囲の木々を薙ぎ倒し、重い地響きをたて、ボルトガンダムが着陸した。同時に通信が入ってくる。
「シン=アスカは介入しません。彼を誤解しないでいただきたい」
「ソキウス!」
 ランバーのディスプレイに現れたのは、紛れもなく、夢にまで見た少年の顔であった。
 全体的に色素は薄く、水色の髪に白い能面のような顔。鍛え抜かれ盛り上がった筋肉。口元が腫れているが、そんなことはサトーには関係ない。
「やっと会えたなソキウス…この日をどれほど待った事か…!」
 ぎらりと目を輝かせ、笑う。五年間待ちかねた復讐の時がやってきた。
 ソキウスは無言で両手を広げ、構えを取る。いつでも来い、と言っているのだ。
 サトーに否はない。拳を握り、ゆっくりと構える。
「我が妻、我が息子の無念! 貴様の命でしか贖えんのだ! あの世で二人に詫びろ、ソキウス!」

「ざけんなぁぁ――――ッ!!」

 いきなり近くで覚えのある声がした。と思えば、コクピット内の天井から降ってくるのは、先頃別れたはずの少女である。
 さすがにサトーも予想外で、まともに覆い被さられ、倒れた。ファイターの動きを忠実にトレースし、ランバーも勝手に倒れる。
「!?」
 ディスプレイの中でソキウスが驚く。
「ど、どういうつもりだ君は!?」
 床に押し倒されたサトー、急いでルナマリアを引き離そうとするが――
「どうもこうもないわよ馬鹿ッ!!!」
 一喝。
 有無を言わさぬプレッシャーに、サトーは思わず黙り込む。
 紫水晶にも喩えられるほど美しい少女の瞳、しかし今は燃えるような激しさを持っていた。

 少女の叫びは、スピーカーを通じて外部に響き渡っている。
「ルナマリア!? ランバーの中にいるのか!?」
 戦艦の甲板で、シンもそれに気がついた。

「ようやく分かったわよ、アンタがなんでこんなにイラつくのか! アンタ、死んだ奥さんだの子供さんだの引き合いに出してるけど、結局アンタがソキウスを許せないってだけじゃないの! ソキウスが許せなくて憎いから殺したいだけじゃないの!」
「な、何を…」
「アンタだって分かってんでしょ、これが殺人だってことは! だから一々家族を引き合いに出して自分の中で正当化してるだけじゃない!」
「正当化だと!? これは元より正当な裁きだ!」
「自分の怒りにばっか拘っといて何言うかアンタはぁぁ!!」
 耳元で絶叫。思い切り顔をしかめるサトーに、まだルナマリアは叫び続ける。
「いい、殺人ってのはどう言いつくろっても殺人なの! 理由がどんなんでも許されないことなの! アンタこのままソキウス殺したら一生罪を背負うわよ、一生!」
「私の残りの人生など、妻と息子の死に比べれば…!」
「自分の夫が殺人犯になって喜ぶ妻がどこにいるの!!」
「ッ!」
「息子さんだってそうよ、自分の父親が人を殺しました、それ聞いて喜ぶ!? どこの子供が!? 喜ぶどころかグレるわよ絶対!
 自分のことばっかじゃなくて、ちょっとは将来だの周りのことだの見なさいよ!」

 ネオロシア戦艦のブリッジで、ミナはルナマリアの叫びを聞いていた。
「飾りかと思えば、なかなか根性の座った娘だな、ルナマリア=ホーク」
 薄笑いで呟く。
「だが、彼女も自分自身の視点に捉われていると気付いていない」

 復讐にかられる人間達の心境は、ルナマリアには分からない。いくら傍らにいても、自分がその立場に立ったことがないからだ。いくら想像しても、彼らの深い憎悪を完全に知ることは出来ないだろう。
「あたしにどうこう言えたモンじゃないのは分かってるわよ! でもねぇ、アンタらは…」
「すまない、少女よ!」
 話を最後まで許さず、サトーはルナマリアの眉間に頭突きを入れた。
 たまらずよろめくルナマリア。その隙にサトーは彼女のこめかみを打った。くらりとよろめき、ルナマリアは倒れ伏す。
「君の話も尤もだ。妻も息子も、私の行動を喜んではくれんだろう」
 彼女が気絶したのを確認し、サトーは立ち上がる。同時にランバーも立ち上がる。
 視線の先に、ソキウスを捉えて。
「だが、もはや私にはこの道しか残されていない!」
 ずっと通信をつなげ続けていたソキウスは、やはり眉一つ動かすことなく、構えを直した。

「余計な手間かかせやがって…! コアスプレンダー!」
 主の声に応え、どこからともなく小型戦闘機、コアスプレンダーがシンの元へと飛来。さっと乗り込むと、一つ指を弾く。
「ガンッダァァァァァム!!」
 残り二機の飛行物体、チェストフライヤーとレッグフライヤーもどこからともなく飛来、空中で高速変形合体する!

「行くぞ、ソキウス! ガンダムファイトォ!」
「レディィ…!」
『待てぇぇ――い!』
 その声と同時に、地を揺るがし天から落ちてきたのは三体目の巨人、インパルスガンダムである。
「シン=アスカ!? 介入は不要で」
 ソキウスが通信を送ってくるが、シンは即座に回線をぶち切った。奴の顔など見たくない、そう思った。
 代わりに外部スピーカー全開で叫ぶ。
「うちのクルーがそこにいるんだ、さっさと返してもらうぜ!」
 ぴっと指差すのはランバーのコクピット。
『やはり邪魔をするのか、シン=アスカ!』
「ンなつもりはない! 俺はただ…」
『ならば貴様も私の敵だ!』
「…ッ!」
 カッと頭が熱くなる。酷く癇に障る男だと思った。ミナ以上に苛立つ。
「アンタって人はぁぁ――ッ!!」
 ファイト宣言もなく、針葉樹林を踏みしだき、シンはランバーへと突撃した。右のストレートを顔面にぶち込もうとする。
 一つ唸ると、ランバーはまたもや身を低く屈める。インパルスの視界からランバーの姿が消える。
 しかし今回は予測出来ている。シンは瞬時に左手でアーマーシュナイダーを抜き放ち――

 ガキィッ!!

 迷わず、掴みかからんと伸び来るランバーの右手首へと振り下ろした! 確かな手ごたえに固い金属音、装甲の厚さに阻まれたものの、刀身の半ばまでは確かにめり込む。
 ランバーの右腕が一瞬硬直する。サトーは一筋の汗と共に目を見開いた。
『むうう…貴様っ!?』
「同じ戦法が二度も通用すると思ってるのかよ!」
 吼えてシンはそのままくるりと体を回し、ランバーの右腕を両腕で挟み込むと、肘でかっきり固定、そのまま我が身と共にひねり倒す。昨日の一戦を逆にしたように、インパルスに引きずられランバーが地にもんどり返った。
 さらに追い討ちとばかり、シンはインパルスの右手を輝かせる。

「俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶぅ!!」

「それが、どうしたぁぁ!!」
 不安定な体勢から、左で腰の手斧を掴み振るうサトー。その傍らで、ルナマリアはうっすらと目を開けた。


「ひっさぁつ! パルマ・フィオ・キィィィナァァァァァッ!!」

 怒号と悲鳴の交錯。
 伝家の宝刀パルマフィオキーナは、ランバーの手斧ごと左腕を粉砕し、そのままコクピットへと到達した。
 インパルスの輝く右手が、ランバーの胸に突き立つ!
「うおおおおおおっ!?」
「きゃあああああっ!?」
 二つの悲鳴がこだまする。

「奴はルールを侵して、コクピットを狙っています!」
「騒ぐな。加減も見抜けんのか。それよりも…」
 部下の報告を切って捨て、ミナはディスプレイの一点を見据えた。
 全く動こうとしないボルトガンダム、フォー・ソキウスを。

 インパルスは、そのままゆっくりと右手を引き抜いた。ランバーの装甲板を掴み取り、コクピットを露わにする。
 やはり、中には赤い跳ね髪の少女がいた。サトーと共に倒れている。ぱりっとしていた赤い服は、先程のパルマフィオキーナの衝撃で煤けていた。
「ルナ! ルナ! 生きてるか、返事しろ、ルナッ!」
 必死で呼びかけるパートナーの声に、ルナマリアは顔を上げた。
「シン…」
 割れたコクピットから覗くインパルスの顔。何だかとても頼もしく思える。ルナマリアは紫の瞳にうっすらと涙を浮かべた。
「待ってろ、今助けるからな!」
 装甲板を投げ捨てると、駆動音と共に再度、インパルスが右手を伸ばす。ルナマリアは巨人の手に掴まろうとした。
 しかし――

「やってくれたな小僧ぉ!!」

 くわっと目を見開いたサトー、腹の底から咆哮し、インパルスの眉間に頭突きを食らわせた!
 僅かに歪むインパルスの顔、カウンターを食らいよろめくシン。足場が揺れてまたも倒れるルナマリア。
 ランバーがゆらりと立ち上がる。左腕を失い、右手にナイフを突き立たせ、コクピットを露わにしても尚、その気迫は消えない。
 シンには、サトーの纏うどす黒い闘気が見えたような気がした。
「我が家族の無念…私の五年間…! 貴様などに、やらせるわけにはいかんのだ…!」
 サトーが右手を、痛みをこらえて動かし、もう一方の手斧を握る。
 半ば呆然と、シンはその様を見ていた。

 復讐鬼。まさしく鬼だ。これほどまでにこの男の憎悪は深いのか。
 愚問だ、当然ではないか。大切な家族を殺され、その復讐が目前に迫っているのに邪魔をされたのだ。
 自分だってそうだろう? もしキラとの戦いに邪魔が入ればこうもなる。
 そう、傍にいる少女を無視し、話を聞かず、ただがむしゃらに、全てを敵と思って――

 シンは、はっと目を見開いた。
 そのとき、眼前にはランバーの手斧があった。
「ちぃっ!?」
 咄嗟に後ろに飛ぶインパルス。ランバーの手斧は虚しく宙を斬る。
 しかし、サトーは諦めない。敵が一歩下がったと見るや、一歩踏み出し、手斧を振り回す。
「やらせはせん…やらせはせんぞ…私の復讐…邪魔はさせん…!」
 どれほど正気が残っているのか。シンも、未だランバーのコクピットに取り残されたルナマリアも、彼を止めることは出来なかった。声をかけることさえはばかられる。
 インパルスはただ、単調に振り回される手斧を、後ろへ後ろへと後ずさってかわすだけだ。
 そのうち、ルナマリアがはっと気付く。

「シン、危ない! 後ろ!」
「え…?」

 ふうっと後ろを振り向くシン。もはやそこは断崖絶壁であった。

「邪魔は…させん!」

 振り下ろされる手斧。
 後ずさったシン、それでも半歩だけに留めたが、崖っぷちはガンダム二体を支えられるほど頑丈ではなかった。
 インパルスの右足が大地を踏み砕き、それを皮切りとして崖が崩れていく!
「うわああああああっ!?」
 まずはインパルスが下へ落下し――
「なあっ!?」
 ランバーが落ちかける。サトーは咄嗟に左手も動かそうとしたが、ランバーに左腕は既にない。手斧を握り締めたまま右手だけが動き、崖の縁に掴まろうとする。しかし握り拳で掴まることなど出来ようはずもなく、ざざっと音を立てて落ち行く。
「きゃああああっ!?」
 振動でルナマリアがコクピットから放り出される。
 はっとしたサトー、己の左手でルナマリアの手を掴む。そうして右手を開き、手斧を捨て、素早く岩に掴まった。二重の衝撃。中空に少女の体が揺れる。
 一方大地へと叩きつけられ、さらに斜面を転がり落ちたシン。がんがんと骨に響く激痛をこらえつつ、顔を上げれば、小さく見えるランバーの巨体が崖に片手でしがみついている。驚いて映像を拡大すれば、大切な少女が宙に半ば投げ出されているではないか!
「ルナ!?」
 ガンダムに乗っているならまだしも、生身でこの高さから落ちたら命の保障はない。
 自分が絶体絶命の危地にあると自覚しているルナマリア、悲鳴を呑み込み必死にサトーの左手を握り締める。手を離せば、五十メートル下の岩場までまっ逆さまだ。
「すまない少女、そしてシン=アスカよ…!」
 呻くような声。ルナマリアは恐る恐る、サトーの顔を見上げた。
 そこに、先程までの狂気はなかった。
「私も、あのときのソキウスと同じことを君達にしてしまったのだな…」
 驚いたように目を見開くルナマリア。サトーは憑き物が落ちたような顔をしていた。険しいのは変わらないが、全てに敵意を向けていたあの目のぎらつきはなくなっている。
「本当にすまない…私が悪かった…」
 今度こそルナマリアは呆然とした。彼女の手の力が一瞬緩む。それをサトーが必死で握り締め、ルナマリアの落下を防いだ。
 しかしサトーにもこの状況は厳しい。右手は先程インパルスに関節技を決められ、しかもナイフが刺さったままだ。激しい痛みがトレースされ、絶えずサトーに降りかかってくる。
 そうと気付いたシンは、急いで体を起こし、インパルスを起こし、崖下へと急ぐ。
 そこに現れたのは、白と黒の、並みのガンダムよりの二回りはあろうかという巨体。
「ソキウス!?」
 目を見開き焦るシン。

 崖の上から悠然と見下ろしてくるボルトガンダム。
 サトーは歯軋りをしながら仇を見上げた。ルナマリアも真っ青になる。体中の血が一気に引いたような気がした。
 フォー・ソキウスは無言・無表情のまま、サトーとルナマリアを見下ろす。
「同じだな…あのときと…」
 サトーは地獄の底から呻くように、言葉を絞り出した。
「だがこれでお前を追い回す者はいなくなる。そう、これからは安心して眠れるというわけだな…!」
 ボルトガンダムは答えない。何も言わない。

「や…やめろ…」
 見上げるシンには、どうすることも出来ない。まだまだ距離がある。インパルスがたどり着くより、ボルトが手を下す方が早い。
 だが、シンは斜面をよじ登りながら叫んだ。魂の底から叫んだ。
「やめてくれ、ソキウス! 中にはルナが乗ったままなんだ!」
 もう誰も失いたくなかった。
「そこまでだ! 頼む! やめてくれ!」
 己の浅はかさに気付いたときには、大抵の事は既に手遅れと云う。それでも。
「サトーだけで気がすまないなら、俺のインパルスの首をやる! だから!」
 己の復讐が果たされずとも、誰かをこれ以上失うことだけは――


「だから! ルナを! ルナを助けてくれぇぇぇぇ――――ッ!!!」


 絶叫。まさしく絶叫であった。
 天に突き抜け、山脈に木霊し、逃げていた動物たちもほんの一時、その叫びに振り返った。
 しかしフォー・ソキウスはやはり何も、眉一つ動かさない。
 サトーは、再びぎらりと目を光らせた。
「そうだろうな…お前ほど非情な男には何を期待しても無駄だ…」
 そしてサトーは目を見開き、吼える。
「さあ、殺せ! 私の家族を殺した、あのときのように!」
 はっきりとルナマリアが体を強張らせる。紫の瞳を大きく開いて、ボルトガンダムの顔を見上げた。
 重い駆動音と共に、ボルトが動く。その太い右腕を動かし、崖に掴まるランバーの右手を――

『……え?』

 シンが、ルナマリアが、誰よりサトーがあっけに取られた。
 ボルトの右手はランバーの右手を握り、ぐいと引っ張り上げたのだ。右手、左手、また右手、と綱を引くようにランバーを引き上げる。
 やがて完全に崖の上に上がったランバーは、地にへたりこんだまま、呆然とボルトを見上げた。
「何故だ」
 やはり答えは何もない。何も返ってこない。
「何故助けた、ソキウス!」
 サトーの行き場のない怒声が、虚しく山脈に響き渡る。


「ミナ様。調査、終了しました」
「ご苦労」
 諜報員の報告書を受け取ると、すぐさまミナは目を通した。読み進めるに従い、彼女の顔は険しいものとなっていく。
 やがて、彼女は怒ったように息を吐くと、ディスプレイに写るボルトガンダムを見た。
「あの律義者め」
 小屋に夕日が落ちかかる。
 朱の色に染まりながら、サトーはいつものように岩に腰掛け、薪を割っていた。
 しかし違うのは、そこに込められた殺気の質。薪割りの音は以前のような淡々とした虚ろなものではなく、心も力も定まらぬ、波のある音であった。
 原因は、ネオロシアの女性士官に手渡された一綴りのレポート。
 そこには、にわかには信じられない事柄が書かれていた。

 ソキウスとは個体名ではなく、ネオロシアで開発された、同じ遺伝子を持つ戦闘用コーディネイターのシリーズ名であること。
 ソキウス・シリーズはネオロシアの管理下に置かれ、遺伝子レベルでネオロシアへの絶対服従が刻み込まれていること。
 さらには、プロジェクトが軌道に乗って、ソキウス・シリーズを少年にまで成長させることが出来たのは三年前であること。
 故に、ソキウスが五年前に所属不明艦でステーションを襲うなどあり得ないこと。
 そして、ステーションを襲ったのは、グゥド=ヴェイアというネオロシアの脱走兵であること。
 彼とソキウスが瓜二つなのは、ヴェイアの戦闘能力が高かったために、ソキウスの遺伝子のベースになったからであること。
 肝心のヴェイアは、五年前にネオロシアが極秘裏に捕らえ、『処刑』したこと――

「馬鹿な!」
 がん、と薪を一刀両断にし、サトーはふるふると震える。うつむいた顔に一筋、光るものが流れた。斧はそのまま切り株に突き立っている。

 それでは、本当の仇は既に死んでいるというのか。
 ならばどうして、ソキウスは自分の挑戦を受けたのだ。何一つ弁解しなかったではないか。
 そう食ってかかったサトーに、あの女性士官は言い放った。
 ――ソキウスが最初にそう言ったとして、お前は納得したか?

 誤解を知り、ばつの悪い顔をして謝ってきたシンにも、フォー・ソキウスは何一つ弁解しなかった。
「私もヴェイア氏の遺伝子を受け継ぐ者ですから、彼の因縁が私にも繋がるのは当然のことでしょう」
「けど、アンタはやってもいない悪事のせいで、命を狙われたんだぞ!?」
「復讐の相手が既にいないなど、あの人には残酷なことです」
 ぽかんと口を開け、絶句したシンに、ソキウスは重ねてこう言った。
「例え復讐という血塗られた動機でも、当面の生きる目的にはなります。生きているなら、また別の道も見出せましょう」
「でも、アンタは…憎まれて、いつ殺されるか分からないのに」
「元より闘いのためだけに生まれたのが私です。こんな私でも、誰かを生かす錨となれるなら、それは幸せなことではありませんか」


 シンとルナマリアは、ネオカナダを発つ前にもう一度、サトーの小屋を訪ねてみた。しかし、薪を割る背中が丸いのを見て、二人は何の言葉をかけることもなく、その場を立ち去った。
「あの人、決勝リングまでソキウスを追い続けるのかしら」
「追うだろうな。あいつは俺と同じ…いや、俺以上のどん底なんだ。あいつには復讐以外何も残ってないんだ…」
 信じられない言葉を聞いたように目を見開き、シンを見るルナマリア。だがシンは特に反応することなく、言葉を続けた。
「俺があいつの立場なら、事実がどうであれ、自分が納得いくまで追い続ける。きっとあいつもそうさ。過ぎ去った幸せは、二度と戻らないと分かっていてもな…」


 小屋の中にはフォトスタンド。セピア色の家族の肖像は、かつての幸福を今に伝える。
 夕陽に照らされ朱に染まった様は、別世界を描いた絵画のようでもあった。



次回予告!
「みんな、待たせたなっ!
 シンの次なる相手は、ガンダムファイト連続優勝の記録を持つベテランファイター・ムウ=ラ=フラガ!
 彼の凄まじい戦法はシンを倒し、若きファイター達に戦士の運命を見せるのだ!
 次回! 機動武闘伝ガンダムSEED DESTINY!
 『強敵! 英雄『エンディミオンの鷹』の挑戦』にぃ!
 レディィ… ゴォォォ――――ッ!」
撮影後

ルナ「どうして命綱なしでやるのよぉぉぉ!? マジで死ぬかと思ったわよアレ!」
アーサー「リアリティを出すためだとかで」
ルナ「リアルに死んじゃったらどうすんのよっ!? ねえサトーさん、何とか言ってやって!」
サトー「……///」
ルナ「う?」
ヨウラン「あー、そういやルナ、さっき熱烈にサトーさんに抱きついてたよなぁ。撮影中もぎっちり手ぇ握ってたし」
ルナ「え、いや、その、それはっ、単純に怖かったからで」
サトー「いや、すまない。妻には申し訳ないが、あれほど女性に頼られたのは久しぶりでな…」
シン「…………」
ステラ「シン、元気出して」
シン「……どうせ俺は頼りにならない男ですよ」
ルナ「え、ええーっ!?」
ヴィーノ「何この展開」
レイ「現実は物語のようには上手くいかんということだな。こういうときは…」
ドモン「シン! 何をウジウジしているかこの馬鹿弟子がぁっ!」
シン「はぐあぁっ!?」
レイ「…探す必要も無かったか。さすが師父」
ヴィーノ「活入れって言ったって、一々パンチ入れなくても…あーあ、機材がごちゃごちゃだ」
ヨウラン「副艦長、テープ無事ですか? 撮り直しになったらまたルナが」
アーサー「ああ、ちゃんと退避してる。カメラマンとしてそんな初歩のヘマはしないよ」
タリア「堂に入ってるわよね、アーサーのカメラ遣い。まるでプロだわ」
アーサー「そんな〜、照れますよ監督」

メイリン「ちっとはすっ飛ばされて岩と機材の山から足だけ突き出してるシンの心配もしてやれお前ら」
ラクス「あらあら、またメイリンさんたら遠くのボケを受信して」
シン「(ガラガラガラッ)くうぅ…なんか久々に師匠の拳を食らったような…」
ドモン「シン!」
シン「はっ!?」
ドモン「近しい女性がよく知らん男を頼ったのがそれほど悔しいか!?」
シン「うっ…」
ドモン「口ごもるな! はっきり言え!」
シン「く…悔しいです! 凄く!」
ドモン「ならばお前はまた一つ、己の未熟を知ったという事だ!」
シン「!」
ドモン「シン、悔しいと感じるのは悪い事ではない。自分よりも上の人間がいると知れば衝撃も受けよう。
    だが! そこで落ち込んだままに立ち止まっては、お前は負け犬のままに終わる!」
シン「!!」
ドモン「人望とは他者に求めるものではない、己を磨き上げるうちに自然とついてくるものだ!
    ルナマリアの信頼を得たいと思うなら、それに値する漢となれ!」
シン「!!! お、俺はどうすれば…」
ドモン「それくらい自分で考えろ…と言いたいところだが、今回はサービスで教えてやる。
    今のお前はサトーの貫禄にかなわん、ただそれだけのこと! 即ち!
    修行が! 足りんと! 云う事だあぁぁ――――ッ!!」
シン「うわあああああああっ!!
   し、師匠…俺は、大切な事を忘れていました! いくら物語の中でキング・オブ・ハートとなっても、俺自身が師匠のように強くなるわけではないっ…! 俺はただ、主役という言葉に酔いしれていただけ…!
   師匠! 一からの叩き直しをお願いしとう存じますっ!!」
ドモン「うむ! タリア!」
タリア「はい?」
ドモン「次の撮影日まで、シンを借りるぞ!」
タリア「分かりました。場所はギアナ高地ですね?」
ドモン「その通り! では行くぞ、シン!」
シン「はい、師匠!」
二人『ガンダァァァァム!!』(パキィィィッ!)

ゴォォォォ……

ステラ「シン、ドモン、いっちゃった…」
ルナ「シャイニングアッガイって、『ガンダム』コールにも反応すんの?」
ヴィーノ「こんなこともあろうかとね」
ヨウラン「っていうかアイツ絶対ガンダムって言い間違えると思ったから」

レイ「しかし、いいのですか艦長? シンが台本を覚える時間は少なくなりますが」
タリア「いいのよ。どうせ新宿編に入ったら嫌でも修行の日々になるんだから」
レイ「……は?」
タリア「レイ、まさかあなた、あの人外アクションを全部映像技術でカバーするとでも思ってたの?」
その頃の傭兵部隊X

シュバルツ「というわけでゲルマン忍術指南のため私が派遣され」
カナード「帰れ変態」



その頃のエターナル

東方不敗「貴様か、ワシの役をするという小僧は!!」
アスラン「はへ?」
メイリン「ええーっ!? アスランさんってそんな超重要な役になったんですか!?」
アスラン「いや、俺も知らない… 確か最初はネオアメリカ代表役だったけどイザーク達に取られて、それから何も言われてないんだが」
東方不敗「この馬鹿者めがぁぁ!! 自らの役も把握しとらんとは何事かぁぁぁ!!」
アスラン「ぎゃびりーん!?」
メイリン「言ってることは尤もだけどやっぱり活入れは場所に構わずパンチなのかぁ――――っ!? ……あ」
アスラン「あ」
ラクス「……アスラン? ドサクサに背後からわたくしを襲うとは、いけない子ですわねぇ?」(ゴゴゴゴゴゴ)
アスラン「ち、ちちち違うんだラクスっ!? これは事故で」
ラクス「東方先生、わたくしが許可いたしますわ。この凸をなんなりとシゴいてやってくださいまし」
東方不敗「うむ、話が早くて助かるわい。行くぞ馬鹿弟子が!」(むんず)
アスラン「ち、ちょっと待って… へるぷ! へるぷみぃぷりぃぃぃぃずっ!! あ、ちょっと、髪の毛はやめてぇぇぇぇ!!」

ズルズルズルズル……

メイリン「はあ…もう、しょうがないなぁ。よっと」
ラクス「お行きになりますの、メイリンさん?」
メイリン「ほっとけませんから…。すみません、オーブ戦の前ですけど抜けます」
ラクス「お気になさらなくて結構ですわ。どうせアスランがいない以上、オーブを攻めることは出来ませんから」
メイリン「え?」
ラクス「普通に攻め落としたって退屈なだけですもの。戦闘とはやはり、アスランをトンデモ機体に乗せてけしかけてナンボですわ!」
メイリン「アンタ本当にキラさん奪回するつもりあんのかぁぁ――――――っ!!」
577通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 03:27:16 ID:???
なんかしみじみとスゲェとオモタ
よくもまぁこんな見事に設定摺り合わせられるなぁ…

その上でのアスランのトンデモポジ&ラクスの扱いにワラタwww
今回もGJ!
578通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 05:50:05 ID:???
   G O O D  J O B ! !
そしてまさかのマスターアスランキタ―――――――!!wwww

あのヘタレがどんな師匠になるのか、今からめっさ期待してます!!
579通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 10:25:18 ID:???
GJGJGJ!
ホント全然違和感無く実物のアニメのノベライズでも読んでるかのような錯覚が。
しかしネオイギリス代表はムウ(当然+魔乳?)だったか…てっきり虎+アイシャ
かとばかり思ってたけど。
頭髪不生え、もとい東方不敗アスランといい予想外のキャスティングも
ここの楽しみだな…
580通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 14:54:54 ID:???
待ってましたよGJ!

…って、ええぇぇぇぇえッ!?>マスター凸
元のキャスティングでは誰だったんだ?!
つかあの二人で東方不敗の挨拶するのか…うーん楽しみなよーな怖いよーなw
581通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 00:35:05 ID:???
GJGJ!!
582通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 14:37:45 ID:???
いや…新宿編までの舞台裏でのマスターからの東方不敗流指南・リハーサルで
ボロ雑巾になってまたまたリタイア、まっとうに出演できるのはいつの日なのやら…
というパターンとして確立するんじゃないかという気が
583通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 16:33:36 ID:???
ところで、そろそろ『機動武闘伝ガンダムSEED D』をば
クロスオーバー倉庫にまとめてもいい頃なんジャマイカ。
あるいは更新が途絶えて久しいこのスレ用のWikiが再開しないものか…
584通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 18:50:23 ID:???
おまーがやったれや
585546:2007/05/07(月) 00:09:08 ID:???
>583
ぜひお願いします。
アスランとメイリンがフラフラするようになったきっかけのSSとか見てみたいっす。

ていうか、さんざん言われてたんだろうけど俺にも言わせてくれ。
メイリンはそれでいいのかよw
586583:2007/05/07(月) 04:50:45 ID:???
ゴメン、自分では保存できてないからこその願いでしてorz 
どなたか神として降臨を…
587通常の名無しさんの3倍:2007/05/07(月) 22:41:57 ID:vAUyv3jg
君が描いた未来へのシナリオは♪→医者
輝く未来が見える♪→子供時代(^ω^)
そして今の俺
なんどでも起き上がれ♪→もうダメポ
どんな事でもくじけやしない→\(^o^)/俺オワタ
588通常の名無しさんの3倍:2007/05/08(火) 09:54:37 ID:???
そういや原作でシンを殴ってたりしたっけなあ、アスラン。
威厳やら説得力やら自覚やら戦績やら、その他諸々不足してて師匠になれんかったけど
そこを直伝でどうにかできるのか? 東方先生!
589通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 23:22:39 ID:???
>>588
ヒント:メイリンの応援
590通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 01:49:26 ID:???
ぶっちゃけ凸はメイリン姐さんに激励掛けてもらって覚醒状態にすれば素で師匠やれる
問題は長続きしないから応援が止まった途端にヘタレに戻ることだな…
ヘッドホン付けて絶えず応援ソングでも聞かせてみるか?
591通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 14:47:07 ID:???
>>590
それなんてグゥド・ヴェイア?
592通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 15:37:12 ID:???
>>591
あ、そういうキャラなのか>ヴェイア
アストレイよく知らんのでネタでなく思い付いたまま書いたんだが
そーいやジャンク屋とか蛇の尻尾も出演するかな?
593通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 17:33:24 ID:???
うろ覚えだが、ヴェイアって普段は温厚だが、
ラクスの歌聞いてないと凶暴な人格に変わる(発狂する)奴だっけ?

「」曰く、コーディネイターは皆ラクスの歌が大好きで、暇さえあれば聞いてるとか
ラクスの歌にはコーディの心を鎮静化させる効果があるとか…
594通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 17:44:18 ID:???
そのうちデカルチャーとか言いだしそうで。
595通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 18:07:04 ID:???
ピンク「私の歌をお聞きなさ〜いっ!」



「あなたは私に無条件で従いたくなる〜♪」
596通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 19:03:44 ID:???
>>593
だからガイバーネタがぴったり合うんだよ。あの本編の妄信ぶりもあるし
597通常の名無しさんの3倍:2007/05/13(日) 06:10:45 ID:???
>>595
お前は何処のザビー教やねんとww
598通常の名無しさんの3倍:2007/05/13(日) 11:53:21 ID:???
>>595
シン「貴様何の真似だ! 戦闘中なんだぞ!?」
ピンク「戦闘なんてくだらないですわ! 私の歌を(ry」

こうですかわかりません!
599通常の名無しさんの3倍:2007/05/13(日) 13:21:39 ID:???
銀河の果てで下僕化させた白クジラを連れて舞い戻るラクス
……そういえば、無印種で宇宙クジラの化石ってあったよな?
600通常の名無しさんの3倍:2007/05/13(日) 14:17:43 ID:???
エヴィデンスとかなんとかだっけか。
羽付きのクジラだったよな。
601通常の名無しさんの3倍:2007/05/13(日) 20:46:11 ID:???
あれってなんか意味あったの?
602通常の名無しさんの3倍:2007/05/13(日) 20:49:17 ID:???
種の人気がなかったら宇宙クジラが攻めてくるという怪獣物にする予定だった。
人気でたからなかったことになったが
603通常の名無しさんの3倍:2007/05/13(日) 21:58:41 ID:???
それ何てガンバスター?
604通常の名無しさんの3倍:2007/05/14(月) 01:52:36 ID:???
>>602
て言うかどちらに転んでも結局パクリなのね
605通常の名無しさんの3倍:2007/05/15(火) 09:21:02 ID:???
ところでそろそろ次スレか?
606通常の名無しさんの3倍:2007/05/16(水) 13:49:40 ID:???
もうそんな容量だな。
607通常の名無しさんの3倍:2007/05/18(金) 22:04:47 ID:???
ここでこのスレに初めて来た人のために説明しよう!
戦争で負った精神的外傷+αにより、このスレのアスランはヘタレ化した。
しかし相棒以上恋人未満? のメイリンに応援されることにより、
本来の己を取り戻しザフトのエース&白兵戦最強の兵士として相応しい力量を発揮するのだ!!

ルナ「…こう書くと主人公っぽいわね」
レイ「ああ、主人公っぽいな」

シン「ぶぐわあああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!」
ステラ「うぇ――――いっ!? シンが血ィ吐いた!?」
608通常の名無しさんの3倍:2007/05/21(月) 23:18:09 ID:???
保守。

っていうか誰か次スレ頼む。
609通常の名無しさんの3倍:2007/05/23(水) 21:31:21 ID:???
立てた

【GF】種死の世界にドモンが来たら【8回戦】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1179923378/
610通常の名無しさんの3倍:2007/05/24(木) 21:33:08 ID:???
>>609乙!
では、恒例の


(無茶は承知の)1000取りファイト!レディイィィィィッ!ゴォォオォォォッ!!
611アビー:2007/05/24(木) 23:20:19 ID:???
611現在、残り容量は482KBです。
612アビー:2007/05/25(金) 00:39:13 ID:???
私は何を血迷っていたんでしょう…
残り容量ではありません、現時点での容量です。
613通常の名無しさんの3倍:2007/05/25(金) 14:04:34 ID:???
ドジっ娘アビーたんテラモエス(*´д`)ハァハァ
614通常の名無しさんの3倍:2007/05/25(金) 20:47:13 ID:???
ドジっ子アカピーに見えた件
615トリィ:2007/05/29(火) 10:45:34 ID:???
トリィ
616シン:2007/05/29(火) 22:11:35 ID:???
ロボット鳥にまでおいしいところ取られてたまるか!
617通常の名無しさんの3倍:2007/05/31(木) 11:53:39 ID:???
待て、そいつはDG細胞に侵されているぞ!
618通常の名無しさんの3倍:2007/06/01(金) 11:23:26 ID:???
さすがはラストシーンをかっさらった鳥。普通じゃないぜ!
619通常の名無しさんの3倍:2007/06/02(土) 09:36:59 ID:???
Sutera☆da☆way!!
620通常の名無しさんの3倍:2007/06/02(土) 12:52:45 ID:???
しつこいDG細胞にお悩みの皆さん、このゴッド・ハロはいかがでしょうか?
驚異のパンチ力でDGトリィも難なく駆除、しぶとい敵は十二王方覇呂で根こそぎです。
今ならスカイブルー・ハロも付いてさらにお得。

お求めは今すぐ、××××‐○○‐△△△△まで。
お電話お待ちしています!
621通常の名無しさんの3倍:2007/06/02(土) 14:58:41 ID:???
>>620
ラクシズの資金源・・・?
622通常の名無しさんの3倍:2007/06/02(土) 16:24:16 ID:???
???「はい、お電話ありがとうございます。大天使通販でございます」
凸「あ、すいません。CMでやってたゴッド・ハロっていうのが欲しいんですが」
???「ア、アスランさん!?」
凸「ん? なんで俺の名前を? それにどこかで聞いたような声……」
???「あ。え、えぇっとですね、ほら、アレですよ、アレ……!! そうだ、ナンバーディスプレイですっ!」
凸「あぁ、なるほど。便利ですよね、ナンバーディスプレイ。」???「そうそう、便利なんです!(やっぱこの人駄目だよ、お姉ちゃん……)」


続かない。
623通常の名無しさんの3倍:2007/06/02(土) 16:27:16 ID:???
改行入れ忘れたオレ携帯厨_| ̄|〇
624通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 13:56:04 ID:???
盟主2号「はい、お電話ありがとうございます。テレフォンロゴスでございます」
ラクス「すみませんが、核が欲しいのですけれど」
625通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 15:47:38 ID:???
〜オブスポ速報〜
盟主王逮捕へ!?
違法な抱き合わせ販売を行った疑いで系列の通販会社に捜査の手

同社の顧問弁護士は核とNJCとは密接な関係を持った商品であり
今回の強制捜査はアズラエルグループを狙った不当なものであると強く抗議している
626L:2007/06/08(金) 00:26:17 ID:???
わたくしは新世界の女神になるのです!!
627通常の名無しさんの3倍:2007/06/09(土) 11:11:36 ID:???
一説にネオアメリカコロニーに自由の女神砲が配備されたのはこの宣言のためだという。
628通常の名無しさんの3倍:2007/06/09(土) 14:41:55 ID:???
かくして、女王の命令の元、地球帰還作戦が開始されるのである。
629通常の名無しさんの3倍:2007/06/09(土) 20:20:31 ID:???
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630通常の名無しさんの3倍:2007/06/09(土) 20:21:40 ID:???
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631通常の名無しさんの3倍:2007/06/09(土) 20:23:37 ID:???
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632ラウ・ル・クルーゼ
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