少年シン・アスカの暮らすヘリオポリスが突然ザフトに襲撃される
混乱のさ中、彼の前に現れたのは地球連合軍の新型モビルスーツ
そして――
「シン……なのか!?」
「レイ!? レイ・ザ・バレル!?」
……かつての親友だった。
無印キャラは入れ替えで種死開始時の新米になります。
こまかいことは気にせずいってみてください。
2 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/16(土) 20:14:21 ID:OVX8SPfB
しっと団のガイドライン 第三次ハルマゲドン
ttp://ex13.2ch.net/test/read.cgi/gline/1135504986/ , -‐ァ'ニ::^ヽ、 /\
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. 〈 ::::j/  ̄´ Y :{// :|:. 〃 人ヽ_ r┼‐
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. 〈:rrトJ! | .:/∨(:::Vハ|:::/':ハノ ∧ く l \ 士
 ̄ ヽi|;}\::`しっとノ"/ } 1│ヽ、 : し
l ! \ヽ|ノ / / フ│ : _j_
∧ヽ、_ヽl∠,___,.イ'< ,′リ .: こ_|_こ
{ ヘレ〜 -火‐〜 '´ ̄´ /:::ノハ:.:. /|\
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つまりスティング、アウル、ステラが友人ポジションで、
サイ、トール、カズイが常夏ポジションか。
いいな、それ!
クルーゼ→アーサー
最後シンと一騎打ちするアーサーかw
キラ→シン
ミリアリア→ルナマリア
フレイ→メイリン
サイ→スティング
トール→アウル
カズイ→
…あれ?
ルナはレイの婚約者だお
ヘリオ組の位置にはヨウランとかだろ
カズイ→ヨウランかヴィーノ?
この間某スレでスルーされてた案だなw
>>1 プラント議長はギルでいいんだっけ。レイチームが足りない…誰が適任だろう?
微妙に人数合ってないんだよなぁ
いっそのこと死んだはずのマユが実は生きててザフトのエースパイロットになってたってのはどうよ
キラ→シン
サイ→ヨウラン
トール→ヴィーノ
カズイ→
_→メイリン
フレイ→ルナ
マジカズイのかわりは誰も務まんねえ‥
ステラはやっぱりラクス役かな。
序盤の天然な歌姫はかなりハマリ役に思える。
問題は後半部分だが・・・誰かが背後で操っている設定にすればいいか?
ステラ→ラクスはけっこういける
後半はデス種戦闘時のようなもので
喋るステラを見たい
アスラン→レイ
遺作→オクレ
ニコル→アウル
痔→ステラ・途中からAA行くからシンと絡める
>>17 痔はキラと入れ違いだったはずだからこの話ではプラントへワープは無しなのか?
じゃあ消去法でミーア⇔カガリだなw
カガリ→ユウナ
ウズミ→ウナト
キサカ→トダカ
マーナ→ユウナママ?
>>22 中盤でシンとユウナがドキドキ大接近だな。
24 :
17:2006/12/16(土) 20:56:39 ID:???
>>22 ユウナ「君さぁ、何だか色々おかしすぎ」
シン「…アンタの方がおかしいだろ、明らかに」
虎→ジブ猫
AAブリッジの人々→ミネルバブリッジの人々
ユウナ「おとうたまの裏切りものーん!!」
>>14 アーサーじゃ駄目なのか?
年齢的な問題はあるがゼミの親しみやすくて抜けてる所のある助教授とか役を振れば、
AAに乗っても不自然さは消せると思うが。
むしろカズイポジションにこそアーサーを
フレイはマユたんでよろしく
マユを凸位置にすりゃいいんじゃね?
カズイ→アーサー
変態仮面→ネオ(続編の種死ではフラガを名乗る)
アズラエル→ジブ
ナタル、カズイ辺りが困るな
ナタルはタリアでいんじゃね?
>>31 ちょwww
砂漠編始めのあれはただでさえ色々まずいのに近親相姦までやらす気かwwww
魔乳はどうするの
乳つながりでミーアとか?
強化人間ラクスとザフト赤福新米カガリですか
>>37 無印本編より衝撃な展開じゃねーかwww
それいいかもwwww
魔乳→タリア
ナタル→アマギ
シン「うわあぁぁー」
ステラ「泣いてる…の?」
シン「!?」
ステラ「どこか痛い…の?」
シン「な、泣いてるもんか!てか、あんた、勝手にでてきちゃだめだろ!」
ステラ「だってステラ、たいくつ…」
そういえば今の所誰も突っ込んでないが、
キャラのナチュ、コーディ設定はそのままなのか?
それとも適宜変更?
フラガは議長?w
トリィの代わりにアーサーという名前の芋虫ロボットを
ストライク→シン
イージス→レイ
デュエル→
バスター→
ブリッツ→
さあ考えよう
マユたんと愛憎劇、ステラと心通わせ(?)、ルナと抱きつく
シンが見られるわけですね(*´Д`)
デュエル→スティング
バスター→アウル
ブリッツ→・・・余った新キャラ
カラミティ→
レイダー→
フォビドゥン→
プロヴィデンス→
ラスティ→
さあみんなで考えよう
常夏→ドム三人組
ステラの性格だったら返還後にラウが襲ってきた時にスイッチ入ってシンをコクピットから蹴り出しそうだ
>>50 ちょww逆逆
遺作→アウル
痔→オクレ兄さん
常夏「ステラ様の為に!」
>>48 一番最後まで生き残ってたスティングがデュエルなのはかたいとして、
アウルはブリッツを押したいな。
バスターは・・・キラでも乗せるか?
ミゲル→ハイネ
ラスティ→ヨップ
種死自体重要なポジをかなり旧キャラに頼ってるから難しいな
あです→リー
ミーアは誰と入れ替えるべきか
凸「キラ聞くな!レイは既に錯乱している!」
キラ「君が悪いんだ!君が逃げるから!」
やっぱラクスカガリフレイミリアリアはステラルナミーアメイリンで入れ替えた方が分かりやすいだろ
ナチュかコーディかは後で決めた方がよさそうな気がする
無印にしか出てこないキャラはそのままにした方がすっきりするし面白くね?
>>51 違和感の無いラスティがすげぇ
俺は普通にカガリ→マユかコニール
ラクス→ミーアにして新三馬鹿と常夏入れ替えて痔とかはシャムスとかと入れ替えれば良いと思う
別に全部種なぞる訳じゃないんだしオリジナル展開出しても良いんじゃないか?
オーブ軍人組が余りそうだ
アズラエル→ジブリール
クルーゼ→ネオ?
>>63 レイになつくニコルとかシンフレとかも新鮮だな
まあ全部が全部じゃなくても臨機応変にってかんじか
個人的にミゲルはそのままでムウのとこにハイネが欲しす
カラミティ→ ヴィーノ
レイダー→ ヨウラン
フォビドゥン→ マッド
プロヴィデンス→サトウ
ラスティ→ ヨップ
カガリ→ユウナ
じゃ
キラ→シン
凸→レイ
ラクス→ミーアorステラ
カガリ→マユorコニール
ミリ→メイリン
魔乳→タリア
ムウ→ハイネ
遺作→スティング
痔→アウル
とかでおkかな
虎→議長
虎もいいけどレイとの関係を考えたらパトリックでもいいかな。
無印展開そのままでもいいけど、ひっくり返すことで無印の展開と結末が代わり、
成長したシンやレイがキラアスをきっちり教育して種死もいいかんじになるのを希望
キラ→シン、ラクス→ステラだったら
三隻同盟結成以外の解決法を見つけてほしいな
キラ→アーサーは駄目なんだろうか?
>>75 アーサー主役で無印作り直そうぜ!ということか!?
いいけど凸のポジション誰になるの? タリア?
タリア「ぅぁアーサアァァァァァァアアアア!!!
あなたがギルバートを!ギルバートを殺したあぁああぁ!!」
アーサー「タリアアァアァァァァァ!!」
こんなんになるの!?
アーサー死にそうだw
カガリポジのユウナwwwww
ユウナの活躍見たいいい
元の人間関係を気にするとメンドイよ。はっちゃけようよ
キラ→アーサー
アスラン→ユウナ
>>77 議長「タリア…逃げてくれ…
ラウ…私の…遺伝子」
ラウがママになって泣き臥すのか
なんか袋小路に入ってき気がww
無印種のストーリーに完全に当てはめようとするとキャラが原形留めなくなるし
種死のキャラを維持しようとすると話が進まなくなる
>>84 こういう状況でシンだったらどういう判断して、それで話がどう変化するだろう?
てのがifものの楽しみかただぜ
まあ細かいことは気にせずに…
急に重い話になって悪いが、シンの家族どうしよう?
ヘリオポリスで襲撃に巻き込まれて死亡なのか、
はたまたすでに孤児のシンがなんらかの事情でヘリオポリスで暮らしてるのか
それともオーブに健在か。
それによって結構話が変わってくる気がする。
あとレイとはどういう状況で幼馴染だったのか? とか。
>>87 レイは普通に(パトリック→)議長がコペルニクスに留学させてて3年前に呼び戻されてればいいんじゃないか?
>>87 家族は過激派ナチュラルによってテロかリンチにあって亡くなって、
シンは親戚の家とか孤児院で猛勉強して一人でやっていけるだけの奨学金に合格して
それで重機械関連の技師にでもなろうとヘリオポリスで勉強してるとかどうよ?
シン「その敵MSをぶっ倒して戦艦をぶっ壊してヘリオポリスから出ればいいんでしょ。やれますよやる気になれば」
そういやレイとニコルはピアノ弾きという意外な共通点が
>>92 レイとニコルは気が合いそうだな。
つかレイ・ニコルとアウル・オクレに別れてお互い交流しなそうだな……
アウルが「今度は僕が部下にしてやるからさぁ? それまで死ぬなよ、レイ」
とか言うわけだな。
アウルが「痛い・・・痛い・・・痛い・・・」してオクレが「グゥレイト」とか言うんだな
オクレ兄さんが言ったらなんか格好いいんだけど
キラ→シン
凸→レイ
ラクス→ステラ
カガリ→マユ
フレイ→ルナマリア
ミリアリア→メイリン(ファミリーネームはミリアリアのほうで)
トール→ヴィーノ
サイ→ヨウラン
カズイ→そのまま
マリュー→アーサー(!?)
ナタル→タリア
ムゥ→・・・そのまま?(もしくはネオ)
クルーゼ→そのまま
イザーク→アウル
ディアッカ→スティング
二コル→そのまま
アフメド→コニール
モラシム→ヨップ
アズラエル→ジブリール
パトリック→ギル
ハルマ(キラの育ての父)→トダカ
キサカ→アマギ
というのを思い浮かんでしまった。(へんなのの混じってるが・・・・
アウル→イザークでも、死ぬキャラではないだろうな…………ディアッカは死にそうだが
カガリ→マユだと種死時は国家元首11才ですかwww
ミーア→フレイじゃない?(キャラ的に)
フレイは敢えて整形前の顔で出しザフトに捕まったらステラの顔に整形…
スティング→デュエル
アウル→バスターがしっくりくる
100げt
キラ→アーサーの場合
アスラン→ ギル
ラクス→ ユウナ
カガリ→ タリア
フレイ→ ミーア
ミリアリア→ ステラ
トール→ アウル
サイ→ スティング
カズイ→ ヨップ
マリュー→ルナマリア
ナタル→ ジブリール
ムウ→ メイリン
クルーゼ→アビー
イザーク→ レイ
ディアッカ→ シン
二コル→ ルナマリア
アズラエル→コニール
パトリック→ マユ
常夏→スタゲ三人組
M1→ドム三人組
とちったルナマリアが二回ある
キラ→アーサーの場合(修正)
アスラン→ ギル
ラクス→ ユウナ
カガリ→ タリア
フレイ→ ミーア
ミリアリア→ ステラ
トール→ アウル
サイ→ スティング
カズイ→ ヨップ
マリュー→ルナマリア
ナタル→ ジブリール
ムウ→ メイリン
クルーゼ→アビー
イザーク→ レイ
ディアッカ→ シン
二コル→ ネオ
アズラエル→コニール
パトリック→ マユ
>>96 ラクスとフレイは反対じゃないか?
ラクスがルナマリアでフレイがステラのがあってる気が。
性格じゃなく役割的に。
カガリのマユも微妙だし・・・
>>104 確かにルナの中の人は歌が上手いがラクスに当てはめると何かが違う・・・
マユはシンとの関係上そこしか当てはめるところが無いんじゃないかな?
そして何よりステラをフレイに当てはめると本編ではありえなかった純愛エンドまっしぐらしか思い浮かばず、
ラクス役の意味が半減どころじゃない。
それでもしクルーゼ役にステラが殺されたらシンの場合うだうだ言わず殺人マシーン化して、
恨み辛みをベラベラ喋ってる間にヌッ殺してしまいそうな希ガス。
それもだがレイマユが気になるw
>>103 ルナとジブリ、ギルとマユの関係がシュールだ…
キラがラッキースケベするのか
キラ→ネオ
アスラン→ギル
ラクス→タリア
カガリ→ レイ
フレイ→ステラ
ミリアリア→マユ
トール→ アウル
サイ→ スティング
カズイ→ コニール
マリュー→ジブ猫
ナタル→ ルナマリア
ムウ→ ジブリール
クルーゼ→ アーサー
イザーク→ シン
ディアッカ→ ヨウラン
二コル→ ヴィーノ
アズラエル→ユウナ
パトリック→ミーア
大人キャラを主人公に据えるのは面白いかもね
なんかおもしろいなここ
人数で思ったんだけど、“据え置き”が駄目なだけで、
新キャラ⇔旧キャラなんだから、コレでもいいんじゃね?
キラ→ マユ
アスラン→ シン
ラクス→ メイリン
カガリ→ ステラ
フレイ→ レイ
ミリアリア→ ジブ猫
トール→ ジブリール
サイ→ ギル
カズイ→ 虎
マリュー→ アスラン(種死時)
ナタル→ ルナマリア
ムウ→ カガリ(種死時)
クルーゼ→ キラ(種死時)
イザーク→ スティング
ディアッカ→ ネオ
二コル→ アウル
アズラエル→ アーサー
パトリック→ ラクス(種死時)
↑虎(種死時)サイコガンverな
おもしろいけど種死が成立しなくなるなw
個人的には無印をまともな話にした後、成長したシンとレイに
種死から出てくるキラ・アスランも立派に育ててほしい
アスラン→レイは、少し無謀じゃないか?
なんかレイってあまり悩むような感じがしないから
第一話で終わっちまいそう。
出会った瞬間、驚きはするが、すぐ冷静さを取り戻し
体の動きを止めることなく、流れるようにシンをサクッ
とやりそうな気がする
逆行物とは微妙に違うんだな
シンがヘリオポリスにタイムスリップしたりすると、1話でいきなり凸が死ぬ危険がデカいから難しいがw
誰か名前の置き換えの次段階に踏み出してくれ
人の形をした金属の塊の上。思わず飛び出したから、ここにいる。でも何も出来ずに
知らない誰かと、いっしょに居ることしか出来ない。
赤いスーツを着た何かが向かってくる。兵隊さんならきっと、迎撃とか反撃とか考え
るんだと思う。けれど、そのときの私は、それが誰なのかが気になっただけ。逃げよう
ともせず、観察するように、その人を見つめた。仕草が似ていたのかもしれない。
それは私の前まで駆けてきて、一歩二歩の距離の所で突然立ち止まった。透明な
半球の向こうに、思い出の中で優しく微笑む瞳と重なる目があった。
驚きの言葉は、一つの単語を紡ぎ、私の口から漏れた。
「お兄ちゃん!?」
同時に、それも呟いた。
「マユ」
声は届かない。だけど、唇は確かに、その言葉を示すように動いていた。
−C.E.71−
激化したナチュラルとコーディネイターの戦争を他所に、ヘリオポリスは平和でした。
私の名前はマユ・アスカ。ひょんな事情から家族と別れ、ヘリオポリスのカレッジに
通うことになった。いつか離れ離れになってしまったお兄ちゃんと会えると、夢に見て
いた。また同じ屋根の下暮らせるようになったら、今まで一緒に居られなかった分、お兄
ちゃんといっぱい遊ぶんだって思った。
けれども、私が出会った運命は、待ち望んでいた物と大きくかけ離れていた。
再会は戦場。そのときは、まだ民間人の私と、すでにザフトの一員になっていたお兄ち
ゃん。
遠くで聞こえる爆発の音は、私たちという歯車が、戦いの元に噛み合い、動き出すため
の合図だったのでしょうか。
終わりか・・?ひょっとして・・
キラ→マユ
アスラン→シンか?
120 :
118:2006/12/23(土) 02:32:32 ID:???
続けていいの? オレ、
>>112に何だけど( ゚∀゚)ノよぅ
別にいいと思うが・・
つーか、続けてくれ
職人さんは大歓迎だ。がんばってくれ。
シンとマユだったら、何かよっぽどマユを引き止める要素がなければ
あっさりシンについて行ってしまいそうだな。
レイ・ジブリールと猫・ギル・虎がマユにとって大切な存在であることに
どれだけ説得力を持たせられるかが相当出来を分けるぞ。
腕の見せどころだな。
124 :
118:2006/12/23(土) 15:41:07 ID:/0DUhC5C
分かった( ゚∀゚)ノよぅ!
>>118は完全に勢いだから、練り直してくる。ただ、オレ、量の割りにハンパ無く亀。
で、一つ相談なんだけど、種死の主人公陣営がコーディネイターの塊だった性か
すでに崩壊してるナチュVSコーディの図式。ここのところ、どーしよ。
あんまり私様思考で暴走しても、読む側はキツイよなぁ。
まともな思考ならナチュ役のコーディはナチュ扱い、まともじゃない思考なら
おっぱいすきー(天然物大小問わず)VSオッパイスキー(巨乳で天然整形問わず)
とギャグに走ることも出来るんだけど。
すまん、うっかりアゲ、ちまった
126 :
118:2006/12/23(土) 15:52:30 ID:???
連投スマン。
まともな思考でも、各キャラスペック引継ぎの遺伝子改変賛成反対思想対立だけってのも
ある。宗教戦争もどきになるけど。
>>118 このスレにも職人さん登場か!
自分のペースでやっていけばいいんじゃないかな。期待してるよ。
ナチュVSコーディの図式は、私見だがシリアスなドラマを書くなら
マユの周囲=ナチュ、シン側=コーディと属性変更したほうが
やりやすかろうとは思う。反対・賛成っていう思想面だけだと
戦争まですることか?っていうかんじがしてしまうかも。
おっぱい対決っていう唐突な壊れっぷりも結構好きだがw
つるぺたマユに居場所はあるのか!?w
マユって9歳だよな??。ガンダム主人公最年少か………
友人がリュウタとエルくらいしか思いつかないぞ(幼少時の新3馬鹿はあり??)
シンが14歳の時9歳だから、シン16歳時点で11歳でもいいと思うが
それでも幼い…
シン、俺がお前を撃つ!とか言えないんじゃないか?
苦悩を想像するに余りあるな。
新三馬鹿がヘリオポリス組はアリだと思うが。
つかなんでもありだろう
>>1からして細かい事は気にしない宣言だから
風花が六歳だから問題ないと思う
マユ…11歳
リュウタ…10歳
ステラ、アウル…11歳(ラボ時予想)
エル…7歳
スティング…12歳(ラボ時予想)
すげ……………トール役当たったら可哀想だね。
全キャラその年代にしちゃえばいいんじゃね?
シンも13歳くらいにしといて、大人キャラでも16歳以下みたいな…
何事も徹底すれば何かが生まれてくるかも試練…
エルは享年12歳って噂があるのだが・・・・・・
デジモンみたいに子供だけでもなんとか出来るから、別にいいかも。
タリアが子供だけの艦が生き残れるかを悩むのもいいんでない?
パイロットじゃないけど0080のアルって何歳だっけ?
ところでリュウタって誰ですか?
137 :
118:2006/12/25(月) 19:51:20 ID:???
合体ロボットものなら、どいつもこいつも小学生っつーのを考えれば、気にはならん年齢だけど。
その反応を見るに、こりゃあ、シリアス捨ててギャグ走った方が良さげかな? シンマユは。
シンマユの確執には? で、今の所、種・種死の設定混ぜっ返して、ハァ?って感じの設定に
なっちゃってる。特にシンが。アスラン+シンな設定になってる。
まぁ勢いで、マユに「お兄ちゃん」と言わせた自分が一番悪いんだけど。
これ↓ 昨日のうちに考えたシンマユに関する設定メモね。
⇒ マユとシンの溝
その優秀さ故、カレッジに飛び級してまうマユ。彼女を経済的にもっと助けようと、ひそかに
プラント(ユニウスセブン)へ出稼ぎに出た残りのアスカ一家。マユを驚かせようという魂胆で、
プラント入りは内緒にしたわけ。そして、学費が国から出て、就職先内定同然なのを良いこと
に仕官アカデミー入りするシン。
その後、ユニウスセブン襲撃で、両親を失う。しかし、シンはマユのことを想って、この事実を
隠してしまう。また、彼は、マユがヘリオポリスに行っている間、両親が彼女宛に送っていた
Eメールを代わりに出す。無論、それが両親からのモノであると偽って。
両親が残してくれた財産が尽きる前に、自分が稼ぐことで生活が安定するようになってから、
マユに事実を明かそうと考え、必死に頑張り、赤服卒業を果たす。
そして、任務でヘリオポリスへ。当初の作戦では、決して合間見えることのない二人であった。
ところが、マユの意外な行動により、MSの上で会合。
その後、戦場で幾度か合間見えるけど、シンは、なかなか両親のことを切り出せない。どうし
てザフトに? という問いに答えない兄に対して、マユはヘソを曲げてしまて、言うことを聞いて
くれない。
⇒ ラクス(→メイリン)お返しシーンにて。
マユをプラント側へ誘うシンに対して、シンにザフトを抜け、自分や両親と一緒に元の平和な
暮らしをしようと説得するマユ。
そこで、シンはマユに両親が死んでいることを明かす。ショックに打ちひしがれるマユ。彼女
は、両親の死という現実から逃避し、目の前にいる兄諸共その事実を否定。
同時に、それまで、どこか立ち居地が無いように感じていたAA内に自らの居場所を、デュラ
ンダルたちを帰るべき平穏と定めるようになる。
拒絶反応出そうなら、言って。場合によっては、思いっきりよくギャグに走るよ。
138 :
118:2006/12/25(月) 19:55:18 ID:???
間違い発見、まだザフトは国じゃねぇや
>>136 リュウタ・シモンズ。エリカさんの息子でハーフコーディネーター。
>>118を引き伸ばしてみた。
まだ、服に火の粉がかかることなんて考えもしなかったころ。
「昼寝のジャマをして済まないね。カトー教授が呼んでいるよ」
優しい声が私に囁きかける。せっかく、ぽかぽかの陽気の下にいるんだから、このま
ま寝かせてほしい。
「お姫様一人起こすのに何を手間取っているんだ。ジブリール」
声が増えた。落ち着いた低い声。この声は誰だったかな。起きて確かめればいいけど、
やっぱり眠っていたいのが心情。
「“お姫様”だから起こせないのだ。デュランダル、キミなら、どうする?」
じぶりーる? でゅらんだる?
「では、猫を貸して貰えるかな」
私の頬を何かが触れてきた。冷たく小さい丸が三つ、ちょんちょんと。首筋には、ふ
さふさしたモノが、まさぐる様に撫でてきた。
「やだ。くすぐったいよぉ」
思わず、顔を上げることになった。そうしたら、目の前に長い毛を持つ黒猫が居て、
話しかけてきた。
「おはよう、マユ。カトー教授がお呼びだにゃん」
私をお姫様と呼ぶ男の人の声。“にゃん”は無いんじゃないかなぁと思っていると、
黒く長い髪の向こうに控えていた人が、口をとんがらせて、私の代わりに言った。
「いい歳して“にゃん”とか言うものではないな」
目覚めたばかりのぼんやりとした頭で、情報を整理。
向こうに見えるオールバックにした短い薄紫の髪と切れ長でつり目の男の人。あれは
ジブリールさん。雅でありながらも、自分を律しっているみたいで、いつも張り詰めた
空気を纏っている人。初めの頃は、わりと厳しくて、一人称の“マユは”を“私は”に
強制、他にも色々直されたような……。最近は、すっかり優しくなったように感じる。
単に馴れただけかもしれないけれど。
続いて、艶やかでクセの入った黒く長い、肩まである髪を持つ男の人。これはデュラ
ンダルさん。上品さを匂わせながら、ちょっと卑猥な雰囲気を併せ持つ謎めいた人。冗
談をいうときでも、落ち着き払って言うから、どこまでが本気なのか判断しづらいんだ
よね。
二人は研究室仲間であり、猫さん好きのサークル仲間。それぞれ、ここのカレッジの
院生さん。一人でヘリオポリスに来ている私に、“お兄ちゃん”の代わりになって、色
々世話をしてくれる。
私からすると、二人は“お父さん”の方が近いんだけど、『出来れば、お兄ちゃんと
呼んでほしい。子供もいないのに父娘感覚には抵抗がある』だって。
「しかし、猫の語尾は、昔から“にゃん”だろう?」
語尾の“にゃん”に、こだわるデュランダルさん。その言葉に、眉間にシワを寄せて、
悩ましく首を振るジブリールさん。
っと、このまま猫語の話を続けてもいいんだけれど、さっき何か重要なことを言って
なかったかな。確か、誰かが私を呼んでいるって。
「えっと。デュランダルさん、ジブリールさん、お早うございます? 今、私に何かし
ら用件があったように思うんですけど」
首をかしげながら尋ねたら、思い出したようにジブリールさんが伝えてくれた。その
言葉は、今の私に余計な事が追加されますよ、と言っているように聞こえた。
「そうだった。デュランダルの猫語など、どうだっていい。マユ、カトー教授が呼んで
いるよ」
大きくため息が漏れた。
「解析の追加かなぁ。今やっているのでも手一杯なのに」
この一言にデュランダルさんから、フォローとも皮肉とも取れる一言をもらった。
「仕方あるまい。君は、それほど優秀なんだ」
そう。どういうことかよく分からないけれど、私に対する周囲の評価は、とても良か
った。結果として、私は四つ上の兄を飛び越して進級。一人でL3にある宇宙コロニー
“ヘリオポリス”にあるカレッジに来てしまった。
柔らかい日差しと、しなやかな芝生。軽い色彩と優しく風が通り抜けるように構築さ
れた建物、羽が舞うように楽しむ学生たち、そして二人が優しくしてくれるのはありが
たいんだけど、同い年の友達も欲しかったな。さすがにカレッジともなると、同い年の
子なんて見当たらない。
ため息を尽きつつも研究室に到着。外とは、うって変わって、風通しの悪い室内では、
虎柄の半袖服を着た褐色肌の男の人が、PCとにらめっこしていた。
この人は通称“虎さん”。
虎さんは、いかにも研究室内だけで生活してきました風の青白い肌のデュランダルさ
んやジブリールさんと違って、野性味のある風貌を持っていた。実際、その体は、引き
締まっていて、わりと格好の良いおじさ……、お兄さんだと思う。
普段は飄々としていて、デュランダルさんとは別の意味で得体の知れない人。陽気で
渋く、コーヒーへの愛情が深い。何をどう道を間違えて、工業系のカレッジに来ている
のか検討も付かない。
そして、この人が真剣な目をしているときは、研究内容とは全く関係ないことをして
いることが多い。試しに視線の先であるディスプレイを覗いてみると、半壊のコンクリ
ートのオブジェ群から、黒い煙が流れ出ている動画を見つめていた。
「研究そっちのけにするほど、興味深いニュースでも入ったのかね?」
私の肩越しから、虎さんへデュランダルさんが話しかけた。
「華南の映像だよ。二週間前のことらしいけどね」
虎さんは、そう言うと、コーヒーカップを持ち上げ、口元で、それを傾けていた。
戦争の映像。緊迫感も危機感もまるで感じられない。始まった頃は、そうでもなかっ
たんだけど、いつのまにか遠い世界での話になっていた。でも、華南というのは聞き流
せない。本土から結構近いはずだよ。
つい、本土、大丈夫かなぁ、と不安が口から漏れた。問題ないさ、と虎さんは笑いな
がら、サイフォンで入れたコーヒーを勧めてきた。私は黙って首を左右に振り断った。
虎さんには悪いけれど、コーヒーの苦味は、私には、まだ早いと思うんだ。
「ところで、あの入り口の前にいる子は?」
ジブリールさんの声が後ろから聞こえた。いつもなら、足早に自分の机に向かってい
く、彼には珍しい行動。そんなに気になる人がいるのかな? 振り返ると、戸棚で仕切
られた、教授のいる部屋へ続く入り口の方へ、視線を投げかける彼の横顔がある。
視線の先。確かに女の子がいる。ジーンズと、大き目のコートを着て、ぼんやり立っ
ている。ナスのヘタを被ったような髪型。でも、髪の色は綺麗な金色。意外とボリュー
ムのあるサイドの髪が邪魔して、顔は、よく見えない。
自分の髪もあんな色だったらなぁと、右側のおさげを、つまんで観察してみる。どれ
だけ見ても、私の髪の色は茶色。
そのとき、衝撃が走った。振動が床や天井を伝わっていき、窓ガラスを大きく振るわ
させた。
これは地震? 違う。さすがにコロニーにおいて地震は無い。だったら、今のは何?
虎さんが、何事だ、と声を上げると、職員から、ザフトの襲撃です、と返答された。
「これは驚いたな」
こんなときでも冷静なデュランダルさんに尊敬しつつも、ため息一つ。彼の呑気さ加
減が癇に障ったらしく、ジブリールさんはコメカミに筋を浮かばせながら、図太いにも
ほどがある、と叱咤していた。
それに同意。慌てすぎなのも迷惑だろうけれど、この場で冷静すぎるのも違和感があ
る。
職員の指示にしたがって避難する私たち。ぞろぞろと羊の群れみたいになって歩いて
いく。どことなく緊張感に欠ける動き。映画だと、みんな混乱して、騒ぎ立てるものだ
けど、平和暮らしが板について、危険に対する想像力が一部抜け落ちているのかもしれ
ない。
っと、誰かが踵を返し、群れから離れ走り出す。つい、私もつられてしまう。それは、
教授の部屋への入り口前に立っていた女の子。
マユ! と呼び止めるジブリールさんに、後で行きます、と大声で返事して、彼女を
追う。後で、いっぱい怒られるんだろうなぁって思いながら、私は彼女に導かれるまま、
避難する方向とは、正反対の工場区の方へ走る。
見失うようなことはないんだけど、身長差からかな。なかなか追いつけない。運動部
の人だったのかな? 捕まえられないのなら、彼女の行く先まで付き合うしかない。
その間に考えてみる。とりあえず、この先にある工場区内といえば、いつの間にか学
生立ち入り禁止になっていたかな?
もし、彼女の目的が、そこで造られている何かにあるのならば、混乱は、そこへ進入
するための好機。避難を後回しにして、踵を返したことに筋は通る。
でも、そうすると、彼女って何者? 余計に分からなくなった。
彼女が立ち止まっている。ここからじゃまだ距離があって分かりづらいけれど、彼女
のシルエットは、手すりに手をかけているように見える。
追いつき彼女に並んでから、改めて場所を確かめる。高い天井、前横の壁が遠くに見
える。とても広い空間。そして、私の居る場所は、その格納庫のキャットウォーク。
ドンッと後ろで大きな音がした。振り返ってみると、通路の奥の方から、煙が出て
くる。
“襲撃”って、この建物が襲われていたの? 早く逃げないと。
隣の彼女の腕を掴んで引っ張るけど、手すりに体重を乗せているみたいで、動いては
くれない。まるで、この下に、何かがあるみたいに体をくの字にしている。彼女が見入
る何かが気になって、私も、視線を平行に合わせる。
そこには、メタリックグレイの四本角を生やした鬼が横たわっていた。
「これ、ひょっとして機動兵器? でも、いったいどこの?」
何気なく漏らした疑問の答えは、隣の彼女の呟きにあった。
「地球連合軍の新型きど……」
そう言い掛けたとき、格納庫の下の階、向こう側正面の扉が爆発。直後始まる銃撃戦。
扉から色とりどりのスーツを着た人が、すばやく入ってきて、もう一体の鬼を盾にしな
がら、陣取っていくのが見える。
明らかに押されている。ここに長居すると不味いことになる。何とか彼女を動かして
逃げ出さなければ。そう思ったのも束の間、いつの間にやら逆に自分が腕を引っ張られ、
通路を走っていた。
退避シェルターにつき、彼女がインターフォンで呼びかけると、一杯だと返答された。
左ブロックの37シェルターに、という言葉を聞きながら、一人くらい大丈夫でしょと、
私が反論したら、インターフォンから、子供? という驚きの声がこぼれる。
しばらくして、ロックと書かれた下にあるランプが赤から青に変わる。そして扉が開
く、つまり、受け入れてくれるということだね。
私を乗せようとする彼女の足払し、バランスを崩させて、むりやり扉の奥へ押し込ん
だ。自分がどうなるかということより、避難と反対の行動をする彼女を一人にする方が
怖かったから。彼女が体を起こす間など与えず、扉を閉めると、宅配便よろしく下層の
シェルターに運び去られていく。
さて、私は、どうしよう。左ブロックの37シェルターとやらに行くしかない。それは、
あの銃撃戦のある場所を横断するわけだけど。判断誤ったかな?
でも、やるしかない。幸いなことに、私は、今、建物を攻め込んでいる人たちと同じ
モノ。ナチュラルと比べて、運動能力、判断力を遥かに凌ぐと言われているアレらと同
じモノ。出来るかもしれない。
私は覚悟を決めて、元いたキャットウォークの所まで戻る。
「X一○五、三○三を起動しろ! 早く!」
声が聞こえる。格納庫内に大きく響き渡る男の人の大きな声。気になり、視線を再び
下方へ向けると、作業服姿の藍色の髪をした男の人が、鬼を盾にアサルトライフルを
構えている。
ここからじゃ、よく分からないけど、お兄ちゃんと同じくらいの人。同時に、彼を狙
うフルフェイスの侵入者が視界に入った。危ないと思い、うしろです、と叫びながら、
つい、ここから飛び降りて、鋼色の鬼の上に着地。
この瞬間、私に銃弾が当たらなかったのは幸運だと思う。ただし、このことで双方に、
余計な驚きを与えてしまった。
作業着の彼は、私の言葉に反応して、すぐ様後ろを振り向き、侵入者を返り討ちに。
結果、私の着地場面を見ることはなかったわけ。でも、他の人たちは、少女の突然の
登場に呆けて、体を少しばかり、遮蔽物になっていた鋼色の鬼から、出してしまった。
私の前後で、一つ二つ、苦悶の声が上がる。名前を呼ぶ声が響く。撃たれた人の物だと
思う。藍髪の彼が向き直すと、私と目が合う。
「子供? 何をしている。早くこっちへ」
驚きつつも即座に指示。ただし、それを言うために上体を起こした所を狙われたみた
いで、その瞬間、彼の肩に鮮血が舞う。
いけないと思い、ハンカチを取り出し、彼に近寄る。それと、同時に、背後から金属
を叩き付けるような音が聞こえる。振り返ってみれば、赤い何かが近づいてくる。その
異質なものに、懐かしさを感じる。
でも、なぜ?
魅入るように、それを見つめる。それは、あと一歩二歩で手が掛かりそうな距離まで
近づいてきている。フルフェイスヘルメットの透明部分。光のあたり方が変化し、その
向こうにある表情が見える。喰らい付かんばかりに、するどく赤い目をしていたけれど、
私と目が合うと、どこかで見た覚えのある驚いた顔に変わる。
そう、昼寝をしているお兄ちゃんを無理やり起こしたとき、たまにそんな顔をしてた。
怒ったような困ったような、それでいて優しい顔。
「お兄ちゃん!?」
赤いスーツの人は構えた右手を力が抜けるように下げる。その人の唇が、マユと動い
ているように見える。
近づいて確認しようとする私に対し、その人は思いっきり飛び引く。追いかけようと
すると、銃声が鳴り響く。弾丸なんて見えないけれど、その人が居た場所を銃弾が抜け
ていったんだと感じた。
そして、私の体は、誰かに思いっきり後ろへ引っ張られた。まるで落とし穴のような
ものに落とされた感覚。突然、四角い窓から天井を隠すように、目の前を何かが閉じて
いく。
「そんな! 待って! お兄ちゃんが」
外へ出ようとすると、お腹を腕におさえつけられ、私はシートの後ろへ追いやられた。
駆動音が聞こえる。周りが明るくなっていく。暗い壁だった部分が外の風景を映し出
す。そこに、赤いスーツのあの人が、もう一体の鬼に乗り込んでいく姿が映る。
違うよね。お兄ちゃんのはずないよね。お兄ちゃんは今ごろ、本土でお昼寝してるは
ずなんだから。
シートの肩に掴まりながら、エレベーターに乗ったときに、少し重くなるのと同じ感
覚が体にかかる。時折感じる微震は、多分、この鬼を封印していたボルトを無理やり弾
き飛ばしているから。滑らかさのない動きで、ゆっくりとモニターの映像が高い視点に
なり停止したとき、この鬼が立ち上がったのだと分かった。
続く。
あとがきっぽいもの
書いていて思ったんだけど、劇的変化を望むなら
これだな。
キラ→ジブリール
早朝投下乙!GJ!!
おっさんたちのチャーミングさがたまらん。
マユがとてもバイタリティに富んだいい子で、これからが楽しみ。
がんばってくれ。
設定も読んだが、シンの立場が辛いな…。誤解が解ける日が来るといいな。
キラ→ジブリールw想像できないww
乙
GJなんだけど、マユが同年代の友達いないのは辛そうだ。アークエンジェル内で作るのを期待
この周りのおじ・・・お兄さん達がマユをストライクに乗せるのをよしとするだろうか
>「おはよう、マユ。カトー教授がお呼びだにゃん」
声・・・想像したら呼吸困難に陥りそうになった・・・
乙
お兄さんたちはAA内でブリッジ担当になるんだろうか・・・・・
デュランダル「ストライク、どうぞ!」(あの声で)
ハーイ♪ マユでーす♪ ただいま戦闘中♪
私たちは、鋼色の鬼に乗り、格納庫を後にする。私としては、お兄ちゃんらしき人が
乗った鬼を追いかけたい。お兄ちゃんかそうでないか、ハッキリと確かめたい。
でも、藍髪の人が、懸命にレバーやペダルを操作しても、私たちの乗る鬼は、ぎこち
ない動きしか出来ない。どんどん、あの鬼との距離が開いていく。
ううん、それ以前に追いかけているわけじゃないみたい。それに、藍髪の人の行きた
い方向へ、この鬼が動いてくれないっぽい。
お兄ちゃん疑惑の人が乗った鬼が、一つ目の巨人と出会う。何か話をしたのかな。あ
の鬼は、そそくさと、こちらに背を向けて、空へと逃げていく。
そして、この場に居残った一つ目の巨人と対峙する私たちを乗せた鬼。問答無用とば
かりに、一つ目の巨人が剣を振りかざす。
藍髪の人は、フェイズシフトがあるから大丈夫、といいながら、赤いボタンを押し込
む。暗くくすんだ色をしていたボタンが輝きだす。画面には、剣に対して防ぐように上
げた、鋼色の腕が白色に変っていくのが見える。
ちょうど、そこへ振り上げられた剣が下りてくる。剣は、その腕を切り裂くことが出
来ず、一つ目の巨人と鬼は、その姿勢で硬直する。
フェイズシフトっていったら、ある部材に、一定の電流を流すと、位相転移が起き、
硬質化する現象。以前、科学雑誌に取り上げられていたのを読んだことがある。確か、
理論上、電流が流れている間であれば、慣性運動を利用した力学的エネルギーに対し、
ひずみを発生させないらしい。つまり、叩いても形状が変化しないってことね。
巨人の攻撃が聞かないのなら、その間に逃げちゃえって思うんだけど、一向に、そう
いう行動に走らない。藍髪の人は、さっきから同じようにレバーやボタンをいじってい
るのに。
不思議に思って、藍髪の人の胸の高さくらいにある小型のディスプレイを覗いてみる。
それは壁にある画面と違い、周囲の風景を映すものではなく、この鬼の状況状態を表示
しているもの。
それを見て驚いた。何!? この不完全なOS!? こんなもので、複雑な動きを要求す
る人型の機械を動かそうっていうの?
こんなの我慢なら無いよ。エンジニアの血が騒ぎだす。押しのけるように、藍髪の人
から席を譲ってもらう。
フィクションなら、このまま順調に進んで、私が大活躍するところ。しかし、私も藍
髪の人も多分これを設計した人も、全く予想していない自体が、今、起こっている。
藍髪の人が“ジン”と呼ぶ、一つ目の鋼鉄の巨人に体当たりされ、私たちの乗る鬼は
姿勢を大きく崩す。
私からすれば、自転車を全速力で走らせているとき、いきなり壁に、ぶつかってしま
った時のような衝撃と、DVDを早送りで見たかのように、目まぐるしく画面を流れる
映像を見せられるような体験を同時にしている感じ。
後方へ移動する勢いが突然なくなり、背中を打つような衝撃が走る。椅子がガチガチ
に硬かったら、どこかを痛めている所だよ。
画面は、水平な地面を見下ろすように高い所からの映像が表示している。おそらく、
この鬼は寝そべるようになったのではなく、ビルか何かを背もたれにして腰掛けている
ような状態じゃないかな、と思う。
「設定中で難しいのも分かるが、回避行動くらい取れないのか?」
藍髪の人がシートにしがみ付きながら、話しかけてくる。怒鳴るというほどではない
のだけれど、後ろから急に言われると十分驚かされるような強い口調。
その言い方が怖かったわけじゃない。でも、私は上唇に気持ちが引っかかっているよ
うな調子で、口がきれいに回らない。
「足が……」
途中で言葉が切れる。自信満々に席を譲ってもらっておきながら、こんなことを言っ
たら怒られるかもしれない。そんな気持ちが邪魔をして、上手に声が出てきてくれない。
藍髪の人は、その“足が”という言葉を聞いて、“この子は足に怪我をしたのかもし
れない”とでも思ったみたい。どうした? と、さっきと同じくらい強めの口調と、不
安がかげる心配そうな目をして、肩口から、私の足元を覗いてくる。
私は観念して、困った顔と笑顔を足した、申し訳ない顔で告白。
「足がペダルに届かないんです!」
そう。遊技場でもある1コマ。フリーサイズと一口に言っても、限界がある。最低、
このくらいの大きさがないと、格好が付かないというアレ。本当は安全を保障出来ない
って意味だけど、ジェットコースターに乗れない私からすれば意味は同じ。
席を替わってもらってから、ずっと、私の足は、宙ぶらりになったまま。べダルに足
の裏がつくことなく、座席の下方で空を切っている。
私たちの時間が一瞬停止したように感じる。けれど、現実の時間は待ってはくれない。
動けない私たちに“ジン”が、再び襲い掛かる。
物理的衝撃によって、こちらの部材が変形しないといっても、電流が流れている間だ
け。コンセントに繋がっているように見えない以上、この鬼は内部電源によって起動し
ていることになる。つまり、無敵時間に限りがあるってこと。この場でOSを組み上げ
切っても、この場の誰もが動かせないんじゃ意味が無い。
突然、私の腰が宙に浮く。藍髪の人に押しのけられたみたい。私の体が席から一旦離
れ、小型のディスプレイに乗っかるような形になった。再び着席すると、さきほどのシ
ートとは、違った何かを踏んづけてた感触。私は藍髪の人の膝の上に座っていた。
「オレがペダルを踏むから、キミはOSを」
そう言われた私は、小型のディスプレイとキーボードを使う指に意識を集中する。
でも、それすら許さないように、体を放り出されそうな浮遊感と、投げ出されるよう
な衝撃。藍髪の人が腕で庇ってくれなかったら、色々なボタンが配置されている操作部
で頭をぶつけて、怪我をしていたところ。
「すまない。でも、何だ。この設定は?」
焦る藍髪の人。何が起きたかというと、“ジン”の攻撃を避けるために、藍髪の人は
鬼を左前方へ行くように、ペダルを踏んだ。すると飛び出すことも歩くことも出来ずに
その場で転んでしまったそうだ。
逃げることを優先して歩けるようにしたつもりだけど、何を間違えたんだろう。既存
のシステムを繋ぎ、直感的にいれた仮数値を加えたとはいえ、私でも扱えるようにして
いるはずなのに。
「さっきよりマシだが、加減が、さっぱり分からない」
その言葉に、私の頭にある仮説が浮かぶ。新説じゃない。前々から言われていたこと
だけど、知ると感じるとは大違いというか。その違いを、ここに来て初めて体感する。
壁の画面は、未だ地面を映している。起き上がらせることすら出来ないんだ。このま
まじゃいけないと思い、私はペダルの方へ潜り込む。藍髪の人の足をペダルから、どけ
てもらい、私の手を使って、それを操作する。同時に、レバーをどのように動かせばい
いのか藍髪の人に、細かく指示を飛ばす。うまくいって、とそう願いながら。
藍髪の人が、もう大丈夫だ、というので、座席下から這い上がり、再び彼の膝の上
に座る。壁の画面は、最初に鬼が立ち上がったときのような高さを保った映像に戻って
いる。
正面に見える“ジン”は、距離を置き、仕掛けてこない。なんでだろう?
「フェイズシフトで、あれに与えた動揺が、今の稚拙な動きで、冷静さを戻させたよう
だな」
藍髪の人のいうことは、“ジン”に作戦を考える隙を与えてしまったってことかな。
確かに、この状況なら、“ジン”には、動揺して貰ったままの方が、私たちには有利だ
った。無敵であることに制限時間があり、逃げることがままならない獲物なら、体力が
なくなるまで待つのも一つの手。持久戦になったら闘えない私たちは、圧倒的に不利。
どうすればいいの?
藍髪の人は、歩くのはいい、火器管制を頼む、と言い出す。そして、自分が望む動き
に対し、どのように操作すればいいのか、細かく聞いてくる。
「ペダルの方はキミにまかす。二人のタイミングが上手くあえば、あれを撃退すること
が出来るはずだ」
今の内ならな、と付け加える藍髪の人。
このままやっつけられちゃうくらいなら、それに賭けた方がいいかもしれない。分の
悪い賭け。今まで、こんなに酷い状況に出会った人はいるのかな?
“ジン”は未だ動く気配は無い。持久戦に持ち込む気か、はたまた仲間が来るまで待
っているのか。
だけど、それは好機。私たちは、3、2、1、と声に出し、作戦を開始した。
座席下に潜り込んだ私には分からないけれど、上から、大丈夫だ、そのまま、と声が
聞こえてくる。もっとも私はディスプレイの下部かな? そこに何度も頭をぶつけて、
少し泣きたい状況なんだけど。ガツンッと急制動がかかり、ひっくり返りそうになる。
くらえ、という藍髪の人の声のあと、しまった、と続く。不安な声を上げないでよ。
直後、大きく後方へ突き飛ばされるような衝撃が襲う。
何度もディスプレイの下部で打って、少しふらふらする頭を抱えながら、座席の上に
いく。壁の画面を見たけれど、そこに“ジン”はいない。やっつけたの? と聞くと、
自爆された、と返される。
改めて、壁の画面に映された風景を見る。見慣れた風景画に、コーヒーやミルクを零
したような汚れがある。下書きどおりに描けず、思わず手で擦って汚くなったような形
に変化したビルや道路。虎さんが研究室で見ていた動画。あの戦場という姿が目の前に
広がっている。
まるで夢の中にいるみたい。“ヘリオポリス”全体が破壊的芸術に目覚めて、みんな
で所かまわず、自らの内にある才能を見せびらかしているのなら良いのに。迷惑だけど
その方が遥かにマシ。
そんな馬鹿なことを考えていると、右側の画面に映っていた丘が吹き飛んだ。そこか
ら、まるで土下座でもしているような形をした白く大きな塊が出てくる。私は、目を真
ん丸くして、それを眺めていると、後ろから、“アークエンジェル”無事だったか?
と聞こえた。
“アークエンジェル”と呼ばれるものに、この鬼を何とか移動させる。鬼から解放さ
れ、甲板らしき場所に降り立つと、なぜかデュランダルさんたちに迎えられる。
どうやって、ここに、と聞くと、虎さんは、以前マユに飲んでもらったカフェ・オ・
レに発信機が入っていて云々、と不気味なことを言っている。それが確かなことであっ
ても、これ軍所有のものだよね。ここにいる理由が、それだけのはずがない。
すると、ジブリールさんが、知的好奇心がどうのとか、デュランダルさんが、興味と
いう衝動は抑えることが出来ないのだよ、とかベラベラと喋る。
まぁ要するに、周囲の状況が気になり、避難そっちのけで、外に飛び出し、三人と一
匹で駆けずり回ってっていた。そして、丘を吹き飛ばし、出てきたモノに追いつき、私
たちが、ここに来るまで間に、これの開発に携わっていたものだとか何とか舌先三寸で
現場の人間を丸め込み、見事潜入していたんだって。いつもは私のことを子供扱いする
けれど、これじゃあ、どっちが子供か分からないよ。
藍髪の人は私と離れ、赤い髪をした、彼と同じくらいの年齢の女の人と話している。
声は届かないけれど、二人とも暗い表情をしている。よくないことを話しているんだと
思う。
そこに、襲撃してきた人たちとは違う形をしたスーツの人が加わる。その人がヘルメ
ットを取ると、ミディアムくらいのストレートで毛先の揃わない、サバサバした感じの
髪型をした、藍髪の人と同い年くらいの女の人。その三人は少し話した後、その金髪の
女の人が、私たちを運んできた、あの鬼に乗り込む。
そして、降りてきたかと思うと、難しい顔をしながら、再び二人に合流。二、三言葉
を交わしてから、今度は三人で、こっちに近づいてくる。向こうの三人と、私たち四人
と一匹で向かい合う。
「私はアスラン・ザラ。地球軍の……」
藍髪の人が言いかけると、ジブリールさんは、細かいことはいいから用件だけ簡潔に
言ってくれ、と偉そうに言う。もともと、いつでも偉そうな人なんだけど、軍人相手に
微塵も態度を変えないって怖くないのかな?
ジブリールさんの放つ高貴な気だか圧倒的な雰囲気だか分からないけれど、それにザ
ラさんは気圧されたみたいで、ああ、と一言漏らし、言葉を続ける。
「機密を持ち出されるわけには行かないから、ここに居てもらうこと。それに加えて、
一つ弱ったことが起きたので、キミに頼みたいことがあるんだが」
機密に関しては当然だろう、と虎さんは応じる。ただし、その“キミ”というのは私
を指しているみたい。視線が私に集まる。
「キミに“ストライク”を」
それを聞いて、私が不思議な顔をしたら、ザラさんは言い直す。
「キミを、あの先ほど乗っていた機体の専属パイロットにしようかと思うんだ」
動揺するデュランダルさんたち。そのことに関して、金髪の女の人が話し出す。
「私はカガリ。モビルアーマーのパイロットをやっている。そこそこ腕に自信があるん
だけど、“ストライク”って、名前のあの機体が動かせないんだ」
両肩を上げながら、困った笑顔で言う。付け加えるに、本来それに乗り込むはずの者
たちが先ほどの戦闘で亡くなってしまった、と。
引き受けてくれないかな、と聞いてくる。戦場に出るのかどうか以前に、私、足届か
ないんですけど。
すると、三人は私の方を見ながら、時間はないが子供用に改造するしかないか、とか、
いっそレバーだけで動かせるようにしてもらうか? とか相談しだす。
「あいや、待った」
虎さんが、三人に割って入る。
「我々、マユのお兄さんたちとして、可愛い妹を戦地に送り込むわけにはいかないな」
お兄さん? と赤い髪をした人が眉を潜ませている。気持ちは分かるんだけど、それ
は、突っ込まないお約束ということで。
「今の話は、君たちは出来ない、というだけだ。我々の内の誰かが、こいつを操作出来
れば、問題無いわけだろう」
そう言ったのはジブリールさん。民間人があまり機密に触れるな、という制止の発言
を聴かず、彼は、風のように駆け出し、猫のような身のこなしで、“ストライク”へ搭
乗する。
――“ストライク”に搭乗してから、5分後。
立ち上がり一歩も動かず、そのまま元の位置に戻った“ストライク”から、彼は考え
事をしているように、眉を潜ませながら降りてきた。例えるなら、これはAT限定の若
葉マークの者に7速MTのスポーツカーを運転して、なおかつドリフトしながら、峠を
高速で降りていけ、と言っているようなものだな、と感想を述べていた。
「では、ボクが行こう」
虎さんが、そういうと、五体不満足に操作出来る物か、とジブリールさんが突っ込む。
そういえば、虎さんは左目と左腕と左脚が無い。義腕と義足をつけていて、パッと見、
分からない。けれど、顔には大きな傷が左目を塞いでいる。身長差からか、いつも、も
み上げとコーヒーカップを見ながら話していたから忘れてた。
「なあに。片腕でも十分さ」
余裕の笑顔で、爽やかに“ストライク”に乗り込む虎さん。
――“ストライク”に搭乗してから、同じく5分後。
“ストライク”を転ばし、義手義足でなければ、と言い訳をしながら降りてくる揉み
上げの立派な人がいた。
「次は、私の番かな」
いつもの落ち着いた口調で、自信の程を語るデュランダルさん。
「何、こう見えても昔、ネトゲで、誰が付けたか『赤い彗星』と呼ばれていたものだ」
それが何の参考になるのでしょうか?
「これはリアルなGが付く高級な体感ゲーム、と思うのだよ」
なるほど。レバーとペダル、液晶画面に囲まれた、それは、高級なゲーム機と呼べな
くもないかも。さすがデュランダルさん。私は、ゲーム機と実機は別物だと考えていた。
そうか。ゲームに、物凄く強い人なら、大丈夫ってことだよね?
――“ストライク”に搭乗してから、15分後。
“ストライク”は、ピクリとも動かなかった。ただ、レスポンスが良くないようだ、
と愚痴りながら降りてくる長髪の男の人がいた。一番自信があるように振舞っていた人
が、他の人の三倍の時間をかけて、何も出来ずに戻ってきた。
私を除くと、誰も操作出来ない。それが私たちの現実。正しくは、私も操作できる環
境下に置かれて初めて、操作が出来るんだけど。
「サポートAIでもあれば話は別なのだが」
ザラさんが、そう零すと、パンっと大きな拍手が聞こえた。音がした方に振り向くと、
合掌したデュランダルさんがいる。
「サポートAIならある」
え? うそ? そんな都合よく?
デュランダルさんを見上げると、何故か、彼の手のひらが私を指している。
「サポートAI」
デュランダルさんが、その一言を言うと、私を除く、その場に居た皆は感心したよう
に、ため息を漏らす。
サポートよろしく、私は誰かの膝の上に座り、指示と火器管制の操作を。私の下に来
た人はペダルを踏み、速度、加速度、進行方向を。さっきザラさんとやったように、二
人で操作しようというのだ。
虎さんがいうには、宇宙限定で『着艦以外は』こなせるはず、とのこと。
「細かい操作が必要な歩く、ということが出来ないだけで、足の要らない宇宙であれば、
前進後進くらい出来るだろう」
でもでも! 前進後進くらいって正面から狙われたら、どうするんですか?
「反復横とびで、かわせばいい」
さらに、虎さんは、こう語る。
「上半身と下半身が別の意思で動いているところを見せれば、敵は恐らく動揺する。そ
の隙をついて逃げるもかわすも自由自在だと思わないか」
仮に、その話が正しかったとしても、『着艦以外は』って、あんまりだよ。出たまま
帰れないってことにならないのかな? それに地球連合の機動兵器なのに、地上で使え
ないことを意味してるような気がする。
そのことに対して、ザラさんは依頼内容を一つ付け加える。
「それは繋ぎとして、最終的には、我々が扱えるものにしてもらえるかな?」
私は、あれを完成させたい欲にかられ、OSの件は、あっさり了承。
それにしても、デュランダルさんたちは、私を戦地に出したくないと言って無かった
かな?
三人を見ると、デュランダルさんと虎さんが、少年のように目を輝かせながら、“ス
トライク”を眺めている。あまり考えたくないけれど、きっと二人の頭の中では、ヒー
ローとして活躍する自分たちがいるんじゃないかな? 頭痛くなってくる。
ただ、ジブリールさんだけが、口元を押さえ、何かを我慢するような、複雑な表情を
浮かべている。大丈夫ですか? と声をかけても、歯切れ悪く返事をするだけで、答え
てくれない。どうしたのかな?
とりあえず、ザラさんのお願いで、“ストライク”のパーツを回収することになった
私たち。でも、デュランダルさんが、荷物を置きたいから待って欲しい、と言い出す。
大切なものだから甲板に放って置くわけにはいかないんだって。
三人の荷物は、デュランダルさんはノートPCとHDD、虎さんはコーヒー豆の入っ
た袋とサイフォン、ジブリールさんは猫さん。これらを抱えながら、走り回っていたの
だとすると、つくづく三人は大物なのだなぁと感心しつつも呆れてしまう。
そして、赤い髪の人に連れられ、駆け足で部屋に向かっていく。私は、特に持ち物が
ないので“ストライク”の傍で待つことにした。
“アークエンジェル”と名づけられた艦の、とある一室に案内された三人の男たち。
早めに来てくださいよ、と赤い髪の女の子に言われたにもかかわらず、ジブリールと
呼ばれる男は、ベッドに腰掛ける。
「デュランダル。彼女が組んだOS、どう思った」
彼は頭を抱えながら問う。荷物を置き、入り口の方にある机に、軽く腰掛け、ジブリ
ールの方を向いている長髪の男が口を開く。
「なかなか見事なものだな。私が同じような状況に立ったとき出来るかどうか。さすが
マユくんと言ったところか」
その男の落ち着き淡々とした口調に対し、ジブリールは声を震わせ、まるで何かを恐
れているように聞き直す。
「そういう意味ではない。あのOSそのものに対する感想を聞いているのだ」
最後に“ストライク”に搭乗した彼が、機体の操作ではなく、MAのパイロットと同
僚二人が動かせなかったことを不思議に思い、OSを見ていた。ジブリールは、そのこ
とに気付き質問している。
真剣に問いかけてくるジブリールに対し、長髪の男は僅かな時間だが深く推考し、そ
の問いに対し、誠実に答える。
「素晴らしい出来ではある。その構築は芸術作品を見ているようで、理解しがたいな。
ただ分かる部分だけで言わせてもらえば、あれのパラメーター、ナチュラルの反応速
度を元にしている、というには少々不可解な代物だな」
長髪の男の言葉に頷くように、褐色肌の男が言葉を重ねる。彼もまたOSを調べてい
たらしい。
「確かにな。そして、あのシステムの操作対象が、設定した彼女自身ということであれ
ば、彼女はナチュラルではなく……」
最後は、問いを出したジブリール自身が締める。
「そう、おそらく彼女はコーディネイターだ」
ジブリールの声は震えている。声だけじゃない。体全体が小刻みに震えている。
「そして、……お前は、ブルーコスモスか」
壁に体重を任せ、褐色肌の男が中身の無いコーヒーカップを持ちながら、そう答えた。
ジブリールが、その言葉に続けるように、口を動かす。
「そうだ。私はブルーコスモスだ。コーディネイターを憎み、コーディネイターを排斥
し、コーディネイターを殺す。殺さなければならない」
彼は、大きく目を開き、床面というより彼の脳裏に映し出された映像を見つめながら
興奮する心を、そのまま吐き出すように声を出す。
「彼女がそうである以上、私はブルーコスモスとして、そうせねばならないはずだ」
しかし、と続ける。
「私には彼女を殺すことが出来そうにない。女子供であろうと、コーディネイターであ
れば、殺せると思っていたのに」
頭を抱えた指先に力が入り、額にシワをつくる。
「この目も、この心も、糸が絡み合ったように混乱している。どうしたいのか、どうす
ればいいのか。何度自問しても答えが出てこない」
見開いていた目を、今度は強く瞑る。そんな彼の姿を見て、長髪の男が、普段の彼の
姿を提示する。
「裏づけの無い自信で、すぐに結論と行動を導き出すキミらしくも無い」
ああ、その通りだ、と返事をするジブリール。
「笑ってくれ。ジブリールは弱い人間だ、と。主義主張を貫き通すことの出来ない、情
け無い男だ、と」
大の大人が肩を震わせ、まるで泣いているように見える。その姿を笑いもせず、褐色
肌の男は語りだす。
「笑ったりなんかしないさ。それが普通なんだ。あんな小さな女の子まで、手にかける
ようになってしまっては、人として終わりだろう。熱心なブルーコスモスの一員であ
りながら、その領域に踏み入れず、普通であり続けるキミを、友人としてボクは誇り
に思うよ」
長髪の男も語りだす。
「彼女だけで、あの機動兵器を動かし続ければ、いずれこの事実が明るみに出る。仮に
機動兵器を動かすことが無くても、彼女ひとりでは、あれをナチュラル用にすること
は出来ないだろう。その差分を埋めるために、彼女の口から、もしくは、あれの異質
さに気付き、同じ結果が出てしまうだろう。そうなってしまえば、彼女は生命の危機
に立たされることになる。地球連合は、ナチュラルの集まり。どこにブルーコスモス
が潜んでいるか分からない。だからこそ、我々は彼女の傍に居て、護らなければなら
ない」
一呼吸置き、長髪の男は、こう付け足した。
「優しいキミにも出来るはずだ」
その言葉を聞いて、ジブリールは泣いているような、ではなく本当に涙を流し始めた。
すまない、と誰に謝っているわけではなく繰り返す。
「優しいキミのままでいてくれ」
それを言ったのは誰なのかジブリールには判断出来なかった。しかし、彼の心に深く
染み込んでいった。
……続く。
あとがきっぽいもの
種トレースではない、らしい展開に、さっさと突入しようと
急ピッチで上げたけど、本来は、こんなペースじゃないよ。
次は1月の10日〜20日くらいのどっかになると思う。
ボンボン版よろしくスペシャルエディションよろしく、種トレ
ースとアンマリカワンネ展開かつ重要ジャネ展開は、極力冒頭の
ような感じで省略してく。
なもんで、流されっぱなしのシン側の話は後回し。
GJ乙!
前回も思ったがマユがとても生き生きしてていいな。
無邪気で一生懸命なのにクールで肝っ玉が太いところがあって魅力的な女の子になってると思う。
マユを膝だっこする凸はさりげなく役得だな。
ブリールの人間らしい葛藤もいいね。
続きも楽しみにしてまつ。ガンガレ!
大人組みが可愛くてかっこいいな。
無茶苦茶なことをやったり言ったりしてるくせに、
妙なところで締めてくれている。
とにかくGJ
今思ったのだが、このかたちで進んだ場合、マユがスパコディになんのか?
でもって、シンと実は血が繋がっていないとかになったりしちゃったりすんの?
某スレではマユはおとなりさんでシンと恋人同士だからそんなのもアリだ。
ほしゅ
ほしゅ
169 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/08(月) 14:12:44 ID:z02ZRfFc
期待あげ
「なぜ“専属パイロット”にすると言ったのですか」
そう言ったのは赤い髪をした士官だった。ショートカットで頭の天辺には跳ねるよう
に一本髪が立っている姿。“アークエンジェル”の艦橋、階段状になった場所。その二
段目の真正面を向く一つの椅子前にて、その一本髪を揺らしながら、藍髪の男に言い寄
る。
「“OSの完成”を頼むだけだったはずです」
MA乗りから“ヘリオポリス”を攻めてきた部隊を指揮している男と“ストライク”
が彼女の手に余るという話を聞いた。そのとき、彼は、OSの完成を頼む、とだけ言っ
ていた。それなのに、あの少女の前に来ると、突然、パイロットにすると発言した。
艦側の意見の不一致を見せることで、相手を不安がらせないように、そのときは、平
静を保った。しかし、彼女の内心は納得していなかった。
赤い髪の士官が目を吊り上げているのとは反対に、藍髪の男は凛とした瞳で、その疑
問に返答する。もっとも冷静というより、少し張り詰めた空気をまとって口を開く。
「子供を相手にしている。ならば、単純に仕事を頼むより、実物に触れてもらった方が
やる気が出ると思ったからだ」
しかし、と赤い髪をした士官は不満を投げかける。藍髪の男は話を切らずに続ける。
「それに、パイロットの生命の安全は、過去の事実が保証している。ならば、誰が操作
しても同じことだ。それが非戦闘員の研究者であっても、子供であってもな」
艦橋の後方中央部、入り口の所から、ほう、と声が聞こえる。OS開発を依頼した少
女の近くにいた男、アゴまで立派にもみ上げを生やした褐色肌の彼が、ポケットに手を
入れた格好で立っている。
「“子供に玩具を与えれば、その分仕事に性が出る”か。君にとっては、OSの完成の
依頼のみを、あっさり引き受けたことの方が計算外だったってことかな」
その男は、この艦の設計に携わったなどと、ほらを吹いていながら、現場の人間を
丸め込める知識と度胸を併せ持つ、少女の保護者である三人のうちひとり。少女の話を
聞いてから、彼らが実は一般人であると分かったが、それまで誰一人、関係者である事
実を疑う者はいなかった。
そんな彼らだ。関係者以外艦橋に立ち入るな、と言っても、十二分なほど口を回し、
この場に居続けるだろう。そう思った藍髪の男は、男の話を止めさせずに黙って聞いた。
「いやいや、なぜマユのような子供を専属パイロットにする気になったのか、引っかか
っていてねぇ」
褐色肌の男は、休憩中に差し出されたコーヒーのような落ち着いた雰囲気で、そう話
す。それは冗談を言うような口調であったが、今度は声色を少し落とし、彼もまた、赤
い髪の士官と同じように疑問を提示する。
「今、面白いことを言ったね。パイロットの生命の安全を保証する過去の事実、とは何
だい?」
中立国オーブ所属のコロニー“ヘリオポリス”の外は戦争をしている。平和だった
“ヘリオポリス”で製造されたとはいえ、“アークエンジェル”という名のこの艦や
“ストライク”と呼ばれるあのMSは、今から、その外で使用されるものである。なら
ば、戦場を駆け抜け、撃墜される可能性があるのに、なぜ、パイロットの生命は安全、
と言い切れるのか。
「あの部隊の指揮を取っているのが、キラ・ヤマトだから、です」
褐色肌の男は、藍髪の男の台詞を繰り返すように、キラ? と問う。それに答えたの
は赤い髪の士官。
「MAを撃墜すれども、コクピットを決して狙わない、という男です。連合でも真実性
の高い事実として広まっています。また彼の指揮下にある部隊も、ほぼ同様の行動を
するという報告もあります」
赤い髪の士官もおそらく、その事実を信じ切れていないのだろう。藍髪の男に詰め寄
ったときの強気な仕草から一変、自信が欠けたような口調で話している。それとは対照
的に、藍髪の男は、張り詰めていた空気を、さらに引き締める。胸中は、濁流の中で藁
を掴む様相。しかし、そんな思いを表に出さないようにしながら語る。
「彼らがコクピットを狙わない、という事実は好都合です。余裕の無い、この状況下な
ら、年端のいかない少女でも敵の酔狂でも、使えるものは全て、OS開発に注がせて
もらいます」
ただし、制限時間がある。この艦を月に、最低でも連合主力と合流するまで、他の部
隊に当たらなければ、の話と。藍髪の男は続けて言う。
「キラ・ヤマトの指揮下以外の部隊に当たる前に、OSを完成させる。それが彼女に与
えられた仕事だと思っていただきたい」
その意見に褐色肌の男が、それまでに出来なければ、と聞けば、MSパイロットもま
た命がけになるだけ、と返される。
彼は静かに考える。そして、話の要点であるキラ・ヤマトという名の男を、戦場で人
を殺さない男か、と不思議そうに呟く。
すると、そこへ、金色のストレートヘアをなびかせながら、MA乗りが艦橋に入って
くる。入り口の前に立つ褐色肌の男の横を通りながら、あいつがそんな玉か、と発言す
る。
「コクピットを狙わないのは、単に、厚い中央部を切り裂くより、細い継ぎ目を狙った
方が省電力化が図れる、とも考えられる」
連合の主力MAであるメビウスは、両腕にスラスターを2機づつ持つような形状をし
ている。その腕を片方だけ切り落とせば、正常に航行することは難しくなる。腕にあた
る部分や継ぎ目を狙えれば、攻撃に割く電力を減らせる、というもの分からなくも無い。
MA乗りは艦橋の下部に向かいながら、自機であるMAがまだ出れないこと、それで
CICにつくことを告げる。
藍髪の男は、MA乗りの省電力説に対し、死人が出ていないのは事実だ、と返事をす
る。MA乗りが信じられなくても、そういった報告は、いくらでもある。
「たしかに艦載機の撃墜の際に死人を出した、という話は聞かない。が、艦船以上の大
きさのものには、どうだ?」
赤い髪の士官のみが眉をひそめ、難しい顔をし出す。藍髪の男は軽く拳を握り、無理
に平静を保とうとしている。MA乗りは、彼らの姿を流し見ながら、こう付け加える。
「まぁ、MSを誰も扱えない以上、私は、艦長の判断に異論を唱える気にはならないけ
どな。議論なんて、するだけ無駄だ。真相は本人に聞かないと分からないしな」
MA乗りは、ただ事実を述べているつもりのようだ。けれども、赤い髪の士官は、艦
長となった藍髪の男に対し反論した自分への当て付け、と捉えたようで軽く唇を噛む。
「それより発進、急げよ。次の攻撃で、おそらく“ヘリオポリス”は、墜とされる」
何でもないことのように言うMA乗りの言葉に、場の空気が動き揺らめく。それは、
中立国のコロニーをザフトが倒壊させる、という忠告。褐色肌の男がアゴを摩りながら、
そこまでするかね、と問う。
「するさ。艦船以上の大きさのもには容赦しないんだ、あれは。子機の帰る場所を失わ
せ、逃げ道を塞ぐ。残された機体を、攻めるか降伏するかしか出来ない状況へ追い込
む」
馬を射るタイプということか、と褐色肌の男が表現すると、MA乗りは頷く。
「それに、もう住民たちの避難も完了している頃だろう。無駄な人死にを心配すること
もないしな。“ヘリオポリス”が墜ちれば、我々はジリ貧だ。それくらいは分かるだ
ろう?」
敵軍にいる男を良く知る者のように“あれ”と指すMA乗りに、褐色肌の男は腕を組
み考える。そして、彼は口元に笑みを浮かべながら、飄々とした雰囲気に戻り、MA乗
りへ話しかける。
「艦船以上に容赦しないってことは、“ストライク”に乗っているマユたちより、“ス
トライク”の馬である、これに乗るボクたちの方が危険なのかな」
その疑問には藍髪の男が、どちらにしろ、と答える。
「我々は、この艦とあのMSを持って、大西洋連邦司令部に、たどり着かなければなら
ない。敵の誰が指揮を取っていようと、この艦の方は、生き残こりを賭ける条件の項
目に、変化はない」
そして、彼は落ち着き払った仕草そのままに、今後の動向を述べる。
「ヘリオポリスを脱出。月の方向へデコイを発射後、コロニー倒壊で発生する破片を、
レーダー及び熱探知のかく乱として利用し、“アルテミス”へ慣性航行を行う。そこ
で補給を行い、改めて月へ向かう」
“アルテミス”とは? と褐色肌の男が尋ねると、MA乗りが、最寄の友軍基地さ、と
答える。
“アークエンジェル”はザフトの襲撃を受けたため、物資搬入が、まともに行えてな
い。搭載されるはずのMSが外においてあったことからも、それは伺える。物資を瓦礫
から掘り起こすにしても、人手も時間もない。“ストライク”のパーツ拾いすら、ギリ
ギリなくらいだ。
地球を挟んで衛星軌道上にある月へ行くには、心もとない懐の“アークエンジェル”。
MA乗りのいうジリ貧とは、このことだ。
だから、早急に補給するため最寄の友軍基地へ行く、という藍髪の男の判断は、常識
的で、まともな考えだろう。これに異論を唱える者はいない。もっとも、褐色肌の男を
除いての話だ。
「しかし、金髪のお嬢さんが言うとおり、敵がヘリオポリスを必然的に崩壊させるので
あれば、そのくらい読んでくるじゃないのか。袋小路に追い詰める話は、さっき彼女
が言ったしな」
変わらず艦橋入り口近くから聞こえてくる声に、皆がハッとする。これには、藍髪の
男が、現状を確認するように答える。
「この艦は足に自信がある。しかし、向こうにも高速艦はある。直接、月まで逃げ切る
ことは出来ず、必ず戦闘になる。さらに、弾薬もそうだが、食糧、水が少ない。月に
たどりつく為には、一旦どこかで補給する必要がある。本艦の位置から考えて、もっ
とも取りやすいコース上にある“アルテミス”へ寄港する以外、他に手は無い」
そこまで発言して、彼自身が気付き驚く。『他に手は無い』とは、相手に、こちらの
動きを誘導されているのではないのか。それは指摘された通り、大口を開け構える敵に
飛び込んでいくようなものなのでは、と。
焦りの色が藍髪の男の額に浮かんでくるのを見ながら、褐色肌の男は、こう述べる。
「いいかい? 鬼ごっこは足の速さだけじゃ決まらない。鬼を、いかに出し抜くかがゲ
ームの本質なんだ」
彼の顔を見ると、まるで悪戯を考えている子供のような目をしている。
「補給は、デブリベルトで行う。それから月へ行こうじゃないか」
どうだい? と褐色肌の男は不適な笑みで提案する。デブリベルトとは、地球の引力
に引かれ漂う宇宙のごみ地帯。廃棄された人工衛星から、破壊された戦艦、そして、あ
るコロニーの残骸が、そこに留まっている。
「そんなやり方、聞いたことがない。それに、我々に墓泥棒をしろ、とでもいうんです
か?」
くもの巣を乱暴に払うような言い方で、藍髪の男は彼の意見を否定する。彼は、そん
な藍髪の男の素直な態度を笑って受け止め、真摯な瞳で、その男を見つめ、こう言った。
「何でも利用する、といったのはキミだろう。それに戦力の足りないボクらはね、彼ら
の想像を超えたことをしなければならない。でないと、生き残れないよ」
デュランダルさんと“ストライク”に乗り、瓦礫の下敷きになっているパーツを拾い
集めているのだけど、同時に私は“ストライク”を調整している。
「遊びを今の2倍くらいに。それとペダルに対する“ストライク”の加速を今の0.75倍
くらいにしてもらえるかな」
というデュランダルさん。ペダルを踏む角度に対する加速の割合を減らして欲しいっ
てことかな。ザラさんが操作したとき、地面を蹴る力がありすぎて滑ってしまったみた
いだから、足の裏の接地圧を上げる方向で行こうかと思っていたんだけれど。
「そんなに、ゆっくりでいいんですか」
私はデュランダルさんの膝の上に座り、キーボードを叩く。彼は微笑みながら言う。
「マユみたいな子供には、ゆっくりかもしれないけれど。我々のような大人には、それ
くらいでないと、体がついてこないんだ」
そういうものなのかな。それとも、私が、どういう存在なのか気が付いたのかな。気
が付いっちゃったのなら、怖いものがある。
この世界には、自然のまま生まれてきたナチュラルと、遺伝子をイジり、好みの才能
を詰め込んだコーディネイター、と呼ばれる者たちがいる。
そして、ナチュラルの中にはブルーコスモスという主義者がいて、コーディネイター
をこの世から排斥しようとしている。
さらに、プラントの尖兵ザフトはコーディネイターの集まりに対して、連合はナチュ
ラルの集まり。おまけに連合の上層部にはブルーコスモスがいる、という噂は常識と化
してる。
連合だけじゃない。私のお兄さんを名乗る三人の内ひとり、ジブリールさんもブルー
コスモスの一員で、コーディネイターを毛嫌いしている。
そして、私はコーディネイター。藍髪の男の人との間に感じた差異は、そのナチュラ
ルとコーディネイターとの間にある決定的な能力差。
私がコーディネイターだと皆にバレたとき、どういう目に合ってしまうのだろう。
そんな感じで悩んでいると、頭にポンッと手を置かれ撫でられる。デュランダルさん
を見上げると、私の悩みを見透かすように、大丈夫だよ、と言っているみたいな微笑み
方をしてた。
引き続き作業を続けていると、空を飛ぶ“ジン”が数機、こちらに近づいてくるのが
見える。それらは、私たちに見向きもせず、頭上を越えていく。
私が頭に『?』マークを出していると、デュランダルさんのいつもの落ち着いた声が
聞こえてくる。
「こちらに見向きもしないというのは、逆に気になってしまうな」
ストライクのカメラで、過ぎ去っていく“ジン”をモニター画面の端に小窓サイズで
拡大してみると、背中に大きなミサイルを装備しているのが分かる。今度は、何をする
気なんだろう。
「まるで、“ヘリオポリス”を墜とすような武装だな」
コロニーを壊しちゃうってこと? 信じられない。でも、本当なら、そんなことさせ
るわけにはいかない。
今、ちょうど取り出した“ストライカーパック”と呼ばれるパーツがある。“ストラ
イク”に、それをアジャストするように指示。“ストライク”に入っている情報によれ
ば、これは近接戦用の武器で、“ストライク”の身の丈ほどの大きさを持つ剣は、実刃
とレーザー刃で標的を切り裂く武器。
これは、ちょうど良いのかもしれないね。これまでに拾った他の武器は、中遠距離戦
ようの物だった。でも、これなら、当たるかどうかも分からない代物を使い、無闇にコ
ロニーを傷つけてしまうことはないわけだし。
「デュランダルさん。彼らを追いかけます。準備は良いですか?」
これに乗ったとき、戦闘が起きることに関して、腹が決まってた。それは、OS完成
のため、より多くのデータが欲しいから。後先考えないって怒られそうな気もしたけれ
ど、彼も迷いが無かったみたい。余計な事を一切聞かずに、そのまま空中に飛び出せば
いいのかな、と質問してくる。
“ストライク”は上昇し、“ジン”の後を追う。でも、飛ぶように出来ていないみた
いで、いっぱいに加速しても追いつくような感じがしない。
でも、“ジン”の群れのうち一機が、こっちに気が付き、引き返してくる。そして、
ミサイルを二つ発射。ミサイルが命中しても、こちらにはPS装甲がある。さっきの戦
闘で、物理攻撃は効果が無い、という情報が流れていないわけじゃないと思うけれど。
ひょっとして、撃墜目的じゃなく、時間稼ぎのつもり? まともにくらうと、ミサイ
ルに押されて後ろに飛んでいく、なんてこともありえるかも。
だから、回避を指示。とはいえ、コロニーを傷つけさせないために、一つくらいは撃
墜したい。ミサイル目掛けて、頭上に掲げた剣を振り下ろす。でも、結果は空振り。
デュランダルさんが、小回り出来ない、とぼやく。ペダル操作一任の移動というもの
ではなく、近づいてい来る物体に対し、自動的に一定の距離を保てるようにした方がい
いのかもしれない。
そんなことを考えているうちに、“ジン”自体が目の前に迫ってきていた。
「このまま体当たりする様にして。当たっても、PS装甲がある分、こちらが有利です」
分かった、と返す、デュランダルさん。ただ、装甲が無事でも慣性が消せるわけじゃ
ないから、本当に体当たりしてしまうと、中身の私たちは無事じゃすまない。
そのことは“ジン”の方も分かっている。特攻するこちらの動きに対して、左に回避
行動を取ってくる。その動きを利用して、それが、すり抜けようとする側に、絶妙なタ
イミングで、刃を向ける。長い刀身が、“ジン”を逃すことなく捉え、それの胴体部を
切り裂き、真っ二つにする。
そして、“ストライク”は大きく弧を描き反転。モニターで、それが爆散するのを見
届ける。
「これが、『MS』ってことなの!?」
爆炎となり散りゆく“ジン”を眺めながら、背筋に寒気が走る。
ここは密室であり、外を映すのは窓じゃなくてモニター。空を飛んでも風を受けるこ
との無い世界。現実から隔絶されたような空間に、私たちはいる。別の場所から遠隔操
作で“ストライク”を動かしていることと、大きな差を感じない。デュランダルさんが、
Gがつく高級なゲームといった意味を、ようやく実感できた。
そして、撃墜したMSに、乗っているであろう人の姿は全く確認出来ない。撃墜した
のに、人を殺したかもしれないのに、何も感じることが出来ない。そのことが、こんな
にも怖いことなんて考えてなかった。
「これでは引き金を引く指の力を軽くするだけだな」
デュランダルさんの呟きを聞きながら、私は生唾を飲んだ。
“ジン”の爆発が、向こうの注意を引いたみたい。今度は、藤壺のような形をした赤
い機体が、右斜め上から、こちらに向かってくる。
十数m離れた所で、それは変形し、こちらと同じMSの形になる。その姿は、格納庫
に居た、お兄ちゃんらしき人が乗り込んだ、あの鬼。唐突に、無線が入る。
「“ストライク”のパイロット、聞こえるか。こちらは……」
この声、やっぱり、あの人はお兄ちゃん!?
お兄ちゃん、と呼びかけると、少し間を置き、マユ? と返答してくる。
「何でマユが、そんな所に!?」
お兄ちゃんの声の人が問いかけてくる。問いかけじゃなく、疑問が口から漏れただけ
かもしれない。その疑問は、もっともだと思う。実際、私のような子供が、ここにいる
のは、まともな思考なら、ありえない話。
「何でって、“たまたま”だよ」
でも、お兄ちゃんが、そこにいることも、私にとっては、まともな事態じゃない。
「お兄ちゃんこそ。何で、そこにいるの。そっちは、ザフトでしょ」
赤い機体と擦れ違うように交差する。今度は切るわけにはいかない。手足だけ切るな
んて細かいこと出来ない。また、PS装甲は機体のみで、この剣で峰打ちする折れてし
まうかもしれない。
傍から見れば、斬りかかる機会を見計らうように、2機が空中で輪舞する。デュラン
ダルさんが、会話を気にして一生懸命近づこうとするんだけど、上手くいかない。勢い
づいた“ストライク”の慣性力を中和し、空中停止するなんて、もちろん無理。なので、
円を描き続けるように飛び回りながら、無線で話し続ける。
「“たまたま”って、何だよ。子供のお使いじゃないんだから」
無線の向こうから不満そうな声が聞こえてくる。でも、一から説明したって納得出来
るものじゃない、と思う。
「お仕事を依頼されたんです! そしたら、こうなったの。それで、お兄ちゃんは何で
ザフトなんかやってるの? お父さんたちは知ってるの?」
先刻は、すぐに応答してきたのに、今度は少し間が空く。
「そんなことより、マユ、危ないから、そこから降りろ」
ちょっと強めの口調で、あからさまに話を逸らされる。直感的に良くないことをして
いる、と思った。
「こら、少年! ご両親が泣いてるぞ。そっちの方こそ今すぐザフトなんて止めて、お
家に帰りなさい!」
私は、冗談交じりに、そう言うと、さっきより、もっと長い間を空けて返事が聞こえ
てくる。頼りなく力の入らない声。
「マユ、わがまま言うなよ。お願いだから、そんなものから降りて、こっちに来るんだ」
なんか隠し事をしてる気がする。しかも、『こっち』ってザフトのことだよね。
「いやです。お兄ちゃんの方こそ、そんなものに乗ってないで……」
そう言いかけると、マユ! と強い口調で遮られる。私の言い分も酷いとは思うけど、
『なぜ』に答えようとしない、お兄ちゃんの言うことも聞いてられない。
「お兄ちゃんが、言うことを聞かないのなら、私だって、お兄ちゃんの言うこと聞かな
いよ」
事情も分からず付いていくのは、知らない人に付いて行くのと同じ。私の知る、お兄
ちゃんとの差分が埋まらない以上、あっさり付いていくのは危険。あんまり言いたく無
いけど、なんか頼りないところあるからなぁ、お兄ちゃんは。事情を話せないんじゃあ、
無心の信頼をおけるほどの状況とは、とても思えない。
そう考えていると、突然、赤い機体との距離が大きく開いて、そのまま離されていく。
後ろにいるデュランダルさんを見ると、険しい顔をして、こう言う。
「“ヘリオポリス”が倒壊する」
“ストライク”の目で空を見上げると、土埃を吐き出すようにしながら、大地に直線
が走り分断していくのが見える。足元の方へ視線を向けても同じ。切れ目から大気が逃
げ出し、それが作り出す乱気流は、こちらの操縦を奪っている。
疾風に乗り、黒い空へ投げ出される。デュランダルさんは、流されすぎないようにと、
“ストライク”のスラスターを噴射させ姿勢を制御する。私は周囲を見回す。だけど赤
い機体は、もうどこにも見当たらない。代わりに、あるものが視界に入ってくる。
それは、数十、数百m以上の大きな土の塊と巨大な金属片。虚空を漂う“ヘリオポリ
ス”の欠片だった。それらを眺めながら身震いする。
“ジン”の装備と合わせて嫌な想像が脳裏を横切る。自分の兄が、こんなことに加担
しているかもしれないなんて。
「お兄ちゃん、きっと騙されているんです」
私は振り返らず、そのままの姿勢でデュランダルさんの服の裾を掴み話す。
「お兄ちゃん、優しすぎっていうか良い人すぎるっていうか、とにかくお人好しな所が
あるんです。だから、きっと、これも……」
何かの間違いだと信じたい。
デュランダルさんが何かを言おうとしたみたいなんだけど、それを邪魔するように、
電子音がする。救難信号?
周辺を調べてみると、同じく虚空を漂う円筒形の救難ボートの点滅するランプが目に
付く。どうやら、推進器が壊れているみたい。
<“ストライク”……聞こえるか? 応答せよ>
藍髪の人の声が通信機から聞こえる。それに、いつもの落ち着いた声でデュランダル
さんが答える。
「こちら“ストライク”。不躾で申し訳ないが、故障した救難ボートを見つけたので、
持って帰ろうと思う」
本当に不躾な気がする。ゴミ捨て場で使えるものを見つけた人みたいに言わなくても
いいのに。
<ちょっと待ってください。現在、本艦は戦闘中なんですよ>
これ、赤い髪の人の声だね。
<おいおい、酷いな。それじゃあ故障したボートは、そのまま宇宙の藻屑にするのかい?
それは、いくらなんでも非人道的じゃないのかな?>
あ、虎さんだ。
<非戦闘員が、いつまで艦橋にいるんですか>
赤い髪の人、ちょっと怒っているみたいだね。
<落ち着け、ホーク少尉。“ストライク”、こちらの位置は分かるな。救難ボートを持
って帰るのはかまわないが、着艦する時、気をつけろ>
これは藍髪の男の人の声。通信は、赤い髪の人の不満の声を少しだけ届けた所で切れ
る。最後の一言が意味深だね。たしかに荷物持ったまま着艦できるかな?
無重量状態であることが幸いした。甲板で着艦せずに“ストライク”をゆっくりと
“アークエンジェル”内へ突っ込こませる。まず、救難ボートを下ろし、そのあと、ゆ
っくりと“ストライク”を着艦させることに成功。
戦闘データを手早く整理して、“ストライク”のコクピットから顔を出すと、ちょう
ど救難ボートから、女の子が出てくるのが見える。同い年? ううん、私より少し年上
くらいかな。それほど歳は離れていないと思う。
私と同じ茶色い髪を頭の後ろで一つにまとめ、その姿はパイナップルのような感じ。
黒系の色で固められた迷彩柄のロングパンツに、ミリタリーテイストのブルゾンをはお
った子。オドオドした様子はないけれど、周囲を警戒するような顔つきをしている。
その子は、救難ポッドから体を出し切った後、くるっと半回転して、マンホールのよ
うな丸い形の入り口へ向き直り、誰かに差し伸べるように手を伸ばす。差し出された手
につかまりながら、次に出てきた人は、カトー教授の研究室で見た金色の髪を持つ女の
子。
あの人、無事だったんだ。
顔見知りってほどでもないけれど、知っている人がいる、ということが、私の心を歓
喜させる。膝に軽く力を入れ、彼女の方へ飛んでいく。飛んでいくと言っても、風船が
宙を行くように、ゆっくりと空中を進む。
私は救難ボートへ向かう途中、“大丈夫でしたか”“カトー教授には、どういった用
件で?”etc. という感じで、何を聞こうか考える。
知らない人から、いきなり話しかけられるのはキツイかな? でも、あそこに居た理
由、工場区のこと、聞きたいことがある。
長髪の男が“ストライク”から、その真下へ降りると、褐色肌の男に迎えられた。
「おつかれさん。面白いことを聞かされたよ」
それは、“ヘリオポリス”崩壊前に、艦橋で聞かされた、ある男の話。
「それなら、次からは、ジブリールが乗ってもいいかもしれないな」
話を聞いた長髪の男が、弱気とも取れることを言うので、褐色肌の男が肩で笑う。
「一回の出撃で怖気づいたのか」
長髪の男は、首を横に振り否定する。さきほどの戦闘データをマユと分析していると、
彼のゲームをやっていた頃のクセが無意識に出ていたらしく、必要以上にペダルを細か
く踏み返していることが分かった。中身が真っ白な“ストライク”相手に先行入力をし
ようとして、体が勝手に動いていた記録のことを話す。
「私の操作だと、妙な癖がつきそうだと、マユに言われてしまったよ」
どこか寂しげな微笑みを浮かべる。そして、周囲に目をやり、長髪の男は、耳打ちす
るように小声で話しかけてくる。
「こちらも報告がある。向こうの赤い機体には、マユの兄が乗っているみたいだ」
確かなのか? と褐色肌の男が問う。
「無線からの声を聞いて、マユが彼を兄と呼んだのは確かだ。しかし、それに赤い機体
のパイロットが機転を利かせて話を合わせただけ、とも考えられる」
あちらも闘うだけが芸じゃないだろう、と付ける。
そのとき二人の真剣な話に割って入るように、ひゃあっと少女の高い声が上がる。何
事かと思い、声のする方を見る。それは救難ボートの上からだった。
私が救難ボートの上、彼女の近くに降り立つと、突然、平べったい銀色の尖ったもの
が空を切り、私の目の前に突きつけられる。
「ステラ様に近寄るな」
金色の髪をした女の子と私の間に滑り込んできた。それは小型の折りたたみナイフ。
鋭い眼差しが私を睨み付ける。それはパイナップル頭の女の子のもの。
「貴様、何者だ」
何者って言われても、この状況ならナイフを取り出している、あなたの方こそ何者な
の? そう言ってやろうと口を開こうとしたら、その子の後ろにいる金色の髪をした女
の子が、ゆっくりと一言一言を落とすように、こう言う。
「コニール、待って。その子。カトー教授の所にいた。だから大丈夫」
丁寧、というより、単語に感情の欠片が足りてないようなしゃべり方。
パイナップル頭の女の子は、ステラ様がそう言うのなら、とナイフをたたみ、ズボン
のポケットに入れる。それを見て、私は胸を撫で下ろし、改めてステラと呼ばれる金色
の髪を持つ女の子に挨拶してみる。
「私、マユ・アスカっていいます。あの、カトー教授を尋ねていらした人ですよね?」
茫洋とした瞳が私を見下ろしている。ちゃんと、こっちを見ているのかな?
「うん、そう」
だいぶ間を置いてから、さっきと同じように、一言一言を、ゆっくり唇から落してい
るみたいに話す。独特なテンポで話す人だなぁ。
「ステラ様、行こう。いつまでも、ここにいたら他の人に迷惑になる」
パイナップル頭の子に、そう言われ、気が付く。ここはノンビリ会話をする様なとこ
ろじゃないね。案内してあげたい所なんだけど、どこに連れて行けばいいのかな。そう
思っていると、マユ、と後ろから声をかけられる。デュランダルさんたちだ。
私が“ストライク”の足元にるデュランダルさんたちの方へ行こうと飛ぶと、なぜか
ステラさんに追い越される。彼女は私より先に、デュランダルさんたちの前に降り立つ。
何か用事があったのかな。もともとカトー教授に会いにきていたわけだし。外見上、私
よりデュランダルさんたちの方が適任と思われたのかもね。
彼女は私のときと同じように茫洋な瞳で、デュランダルさんを見つめる。私がステラ
さんの左隣に立った後でも、何も言わない。デュランダルさんが、何か用かな、と尋ね
ても無反応。私に遅れて、パイナップル頭の子がステラさんの右隣に来る。
「ステラ様。この人たちに聞きたいことでもあるの?」
彼女が、そう尋ねると、ステラさんは一言だけ答える。
「ない」
なんとなく私についていこうとして、力加減が分からず追い越してしまったって所な
のかな。とりあえず、物凄く大物な気はする。様付けで呼ばれるからじゃなく、この雰
囲気を保ち続けられるマイペースさに、そう感じる。
私は脱力して苦笑いをすると、ステラさんの右隣から、失礼だぞ、と聞こえてくる。
さらに、その子に言葉を投げかけられる。
「こんな状況でなければ、おまえなんか近づくことすら叶わないんだぞ」
そう言われてもなぁ。大物だとは思うけれど、要人とは思えない。彼女は、カトー教
授の所でも、無防備に一人で立っていたっていうのに。
ん? 一人で立っていた?
そういえば、このパイナップル頭の子は誰なんだろう。ステラさんはコニールと呼ん
でいたけれど、どういった関係?
「近づくこと叶わないって言うけれど、あなたは、どうなの?」
私は体を傾げながら、ステラさんを挟んで向こうにいる女の子に尋ねる。仮にステラ
さんが要人だったとしても、私が無理で、この子が可能な理由を知りたい。
「私は良いんだよ。ステラ様の護衛なんだから」
護衛? と漏らしたのは虎さん。間抜け面という表現が似合う顔をしてる。気持ちは
よく分かる。
「でも、カトー教授の所にはステラさん一人で居たよ?」
彼女がボディガードだったとしても、護るべき対象を残して、どこに消えてたんだろ。
「……それは、ほら、ちょうど、えっと……」
歯切れの悪い彼女を代弁するように虎さんが、トイレか、と言うと、すかさず彼女は、
虎さんの両脚の付け根を蹴り上げながら、そうだよ、と返答する。虎さんは、見事だ、
と残しながら、その場にしゃがみこむ。その様子を眺めながら、デュランダルさんがい
つもの落ち着いた口調で言う。
「護衛というより、家出してきた良家の箱入り娘と、その侍女といったところか」
それに対して、彼女は、護衛ったら護衛、と顔を真っ赤にして懸命に言い返す。これ
をかばう用に、ステラさんが喋る。
「コニール、護衛。ステラ、護ってくれる」
ステラさんの言葉に、彼女は汚れをふき取った後の水晶玉が輝いているみたいな笑顔
をする。彼女は改めて、デュランダルさんに向き直り、さっきよりも強い口調で話す。
「言っとくけど、家出でも無いからな。ステラ様が、どうしてもっていうから」
彼女の言い訳にデュランダルさんは、それで無断で外泊とは良く無いな、とため息を
つく。どうやら無断外泊は当たってるみたい。彼女は言葉を失い、そっぽ向く。
なんか、とんでもない拾い者をしたのかも。
……続く。
あとがきっぽいもの
フレイ役レイの出番がなくなった。
マユが主役の時点でフレイ役意味ないし、大きなお兄さんがい
るとレイでも即背景化しかねんし。レイ、あの三人と比べると
まともなんだよなぁ。アクがないっつーか。
なら、フレイ役は、いっそ削除しちまえ、と。
で、代わりにってわけじゃないけれど、いきなりAAに乗っていくる
カガリ役ステラとキサカ役コニール。
話はカガリ役ステラがゲリラを出来るか否かから始まる。ステラは、
戦闘能力はあるけど、普段は、あの性格だし、あの手のゲリラには
溶け込めないだろう。浮きまくりだよな、と。かといって、カガリ
役が居ないとオーブに入れんし、どっかで合流せんといかん。
ってなわけで、初めからAAに乗っけてみた。そうするとキサカいる
なぁ―→コニール! これでマユの友達出来た?
ただ、後付なもんで別の問題が浮上
「お前ら、あの状況で、よく一緒の救難ボートに入れたな」と。
182 :
水天宮:2007/01/09(火) 12:29:29 ID:???
乙、GJ!です。
乙GJ!女の子たちのやりとりがとても良いなぁ。ステラがどんな立場なのか、
ゲリラとしてどう振舞うのか楽しみです。
キラもザフト正規兵としてそういうトリッキーな事をやってると
愉快犯的でとても嵌ると思います。これからどういう風に絡んでくるのか期待。
あとヘリオポリスのお兄さんwたちとマユの関係がすごく丁寧で、
突飛な取り合わせにも関わらず彼らの間にちゃんと友情が感じられる。
それにしてもシンの気持ちを考えるとやりきれない…!
ho
ho
ho
syu
マユがL3にあるコロニー“ヘリオポリス”のカレッジへ行くことが決まった。
家族全員で“ヘリオポリス”一緒に行く、という手もあるんだろうけれど、それは父
の仕事の都合で無理だった。そのため、文字通り、女の子一人を“ヘリオポリス”へ送
ることになった。
その結果は、まるでロウソク一本で生活しているような心配性に陥ったアスカ家の誕
生だった。仕事も食事も手に付かない。対して、マユは勉強やその環境が楽しいらしく、
しばらく帰る気になれない、といっていた。向こうへ行ったマユの方が落ち着いていた
くらいだ。
さすがに、この状態をいつまでも続けるのは不味い、と、オレと両親は考えた。
「地上と宇宙は離れすぎている」
「せめて宇宙、そうコロニー同士くらいがいいんじゃないか」
そして、水が零れそうになるほど一杯に入ったグラスのような家族会議と、落ち葉を
いっぱい集めて焚き火をしているところにガソリンを投下したように勤め先と交渉した
すえ、“プラント”と呼ばれるコロニーの一つ、“ユニウスセブン”へ、残アスカ家は
引越しをすることが出来た。
勤め先と、具体的に、どういった経緯があったか、そもそも支社が在るかどうかすら
知らない。だから、“ヘリオポリス”に引っ越せなかったことは、この際、どうだって
いい。とりあえず、オレはマユと同じ宇宙に来れたことだけで十分だった。
そのときは自分たちのことだけで手一杯だった。オレは、当時世間的に“ユニウスセ
ブン”が、どういった存在なのか、よく分かっていなかった。
いや、連合と“プラント”との間の摩擦やコーディネイターとブルーコスモスの裂け
目を甘く見ていただけかもしれない。『そんなこと起きるはずない』と考えていた。
アスカ一家引っ越し。
宇宙生活に慣れることとマユを驚かすためだけに、その事実はマユに伝えられること
は無かった。これで家族が擦れ違うかといえば、そうでもなくて、連絡だけは、しっか
り取り合ってはいた。
ただ、驚かすことに念を入れ、メールは文章と音声だけ。写真も動画も一切いれず送
る、という今時分には珍しく質素なことをやっていた。
“ユニウスセブン”に来て、しばらくして、オレはザフト、士官アカデミーへ。マユ
がいないことで、だらだら過ごす習慣と昼寝好きに磨きがかかった末の結果なんだろう。
根性鍛え直して来い、と両親に送り出されてしまった。息子が親元を離れ、他所のコ
ロニーへ行くというのに、マユのときと比べて、淡白した態度の両親に衝撃を覚えた。
オレの堕落振りは、そんなに酷かったんだろうか?
とにかく士官アカデミーへ入った。入学当初は、そのこと事態、本意ではないから、
やる気なんて起きるはずなかった。ある弾頭をつけたミサイルが“ユニウスセブン”に
当たるまでは。
核ミサイルによる“ユニウスセブン”の崩壊。
それが、ありふれた悲劇なのか運命の悪戯なのか分からない。けれど、それによる両
親の死という現実は、その後のオレの行動を決定付けた。
オレは、ミサイルを放ったという連合、正しくはブルーコスモスの思想を持つ連中を
全て殺すために。ただ標的を切り裂く刃になるために、アカデミーで懸命に学んだ。
力が無いことを悔いてばかりいるような日々から脱却するために。護るべきもの、こ
れから手に入れるもの、それを脅かす全てを壊す力が欲しいと願った。
オレの体は、殺意を伝える武器になればいい。目的を果たすために、オレは冷たい刃
になりたい。それこそ、タロットカードの裁きの札ジャスティスが、罪人の首へ容赦な
く振り下ろす剣のように。
その気持ちに答えるかのように努力は実り、士官アカデミー成績上位のものだけが着
る赤服を身にするようになった。
マユについては、両親の死による落胆と未来への不安で、学業に支障を与えるのは良
くないことと思い、この事実を隠した。
酷いことをしたと思った。でも、せっかく楽しんでいるんだから、これを邪魔したく
なかった。マユの勉強期間が終わってから、改めて伝えよう、と。
だから、マユが帰省することで、ばれてしまわないように、両親の分はオレが書き足
して、メールで色々言い訳していた。
このとき問題だったマユの学費生活費は、オレの後見人が支払ってくれることになっ
た。その人は最高評議会議員の一人。後で知ったことだけど、“ユニウスセブン”で難
を逃れた人、皆が皆、後見人が付くわけではないらしい。どういう理由で、オレが、そ
うなったのかは知らない。
知っていることといえば、その人のツテでヤマト隊へ配属されたことくらいだろう。
“ヘリオポリス”襲撃。
事前に、ヤマト隊長へ“ヘリオポリス”には妹がいることを伝えていた。彼の中で
“ヘリオポリス”の崩壊は、ほぼ決定事項だった。だけど、決定を覆せなくとも、住民
たちの避難が完全に終了するまで待って欲しかった。
余計な人死にを避けるということに関して、ヤマト隊長と同意見であったことが幸い
した。2度目の攻撃までの時間を十二分に空けることを約束してくれた。
作戦としては、標的に猶予を与えることは問題あるだろうし、後々非難されるだろう
けれど、そうしてくれたことにオレは心底感謝した。
ただ、“ヘリオポリス”崩壊によって、無理やり移動をさせられるマユには悪いと思
った。そこを出れば、行き場はオレの所しかない。
今まで嘘を付いていたことがバレるだろう。泣かれるだけでは済まないかもしれない。
嫌われてしまうかもしれない。親の死に目に、立ち会えなかったのは、オレも同じこと
だけど、そういう問題じゃない。色々な不安が胸中を渦巻いた。
でも、オレは、あの連合に加担しているコロニーという存在が許せなそうにない。
そう思ったとき、オレはマユの都合よりも自分の復讐心を選んでしまっただけだ、と
いうことに気がついた。マユに両親の死を隠したのも、彼女がいるという安心感で、自
分の決意を緩ませることになる可能性を嫌ったからかもしれない。
一度目の襲撃。
格納庫への侵入。そこでは出会うことの無い人物と再会した。それは確かにマユだっ
た。だけど、連合の関係者ではないはず。たまたま、その場に居合わせただけだ、と考
えた。マユは、作業服を来た男に、無理やりMSへ引き込まれた。
格納庫を出た後、MSで援護に来ていた同僚と合流。残された機体に妹が拉致された可
能性を伝えた。赤服では無いけれど、そいつの腕は確かだから、何とかしてくれると信
じ、任務どおり退却した。
帰艦後、即座に後悔した。どうして、自分でやらなかったのかと。その場の雰囲気に
流されることないのに。自分が未熟であることを悔やんだ。
そいつが自分の機体を失って帰ってきたのを見て、自分の我侭で、仲間の命を張って
いたことに気がついて、なお嫌な気分になった。
二度目の襲撃。
マユが無事、あのMSから降りたのか確かめるため、待機命令を放って出撃した。撃墜
された友軍機が見えた。その機体は、あのMSに妹がいる、と伝えておいたそいつが乗り
換えて出撃したものだった。仲間を撃ったMSへの寒気と仲間を撃たせることになった自
分への嫌悪が背筋を駆け回った。
通信機で、あのMS“ストライク”へ話しかけると、思い出の中で擦れることなく、は
っきりと聴こえてくる声と同じものが聞こえてきた。
“ストライク”の中に、マユが居た。“ヘリオポリス”崩壊に巻き込まれる前に、連
合から仕事を依頼されたことを聞いた。
その後、崩壊により密閉された空気が外へ出ることで起きる疾風に巻き込まれ、“ス
トライク”を見失った。けれど無事ならば、“ヘリオポリス”内を、うろついていたあ
の新造艦に帰還しているだろう。
ヤマト隊長がザフト内において異端と呼ばれる人であっても、さすがに2度目はない、
と思った。『“ヘリオポリス”に妹が』に続き、『“ストライク”に妹が』とは、何か
の冗談のように思えた。自分が言われても冗談、もしくは単なる出撃拒否と考えるだろ
う。
だいたいまったく事態を把握しきれていない。マユは敵なのか? それとも無理やり
協力させられているのか?
曖昧な報告をするわけにはいかない。解決方法は浮かばない。全てを丸く治める魔法
の杖は持っていない。オレにあるのは、復讐を果たすための刃と化した体だけ。
だったら、その刃は誰に向けて振るえばいいんだ? 小器用にマユを避けて斬ること
なんて、オレには出来ない。纏めて斬れるほど、オレの心は強く出来ていない。
全く定まらないオレの気持ちと関係なく、作戦は続いた。連合の新型艦は“足つき”
という名前をつけられ、それが向かう先と予測されていた連合の要塞“アルテミス”を
陥落した。
ただし、こちらの読みを完全に超えた行動を取ったらしく“足つき”を見失った。そ
れを撃墜するために、戦艦同士の戦いもあり得ると気合が入れた艦橋内は、拍子抜けし
た様子になっていた。それとは裏腹に、オレは、この結果にほっとしていた。
「“足つき”、いなかったけど、どうすんの?」
高速戦艦“ヴェサリウス”の格納庫が一望できる待機室で、水色のショートヘアに左
から右へ流れるような弾むカールのかけた前髪と、サイドとバックはあらぬ方向へ毛先
を伸ばす少年、アウル・ニーダは、まるで人事のように、そう言った。
まるっきり童顔で、その目は無邪気そのままの丸い形をしていた。性格もそうだ。子
供っぽい。これを指摘したら、人のこと言えるのか、と返されたことがあった。実際、
似たところはあるような気がした。平和な空の下で出会ったのなら、一緒に色々なバカ
をやる友人になれたかもしれない。
彼は、弛緩した顔に閉じる力をまるで入れていないような大きく見開く目で話を振っ
てきた。
「問題ないさ。どうせ目撃者は俺たちだけなんだから。報告書に、“アルテミスで見ま
した”って感じに、ちょこちょこっと、事実を書き加えればいいのさ」
このいい加減なことを喋るのは、ネオ・ロアノーク。頭蓋骨をすっぽりと囲むように、
鼻の頭から上の部分に、灰色を基調に紅の線が後部へ走る仮面をし、そこから肩下まで
伸びるブロンドヘアを持つ男。
ここで男と言ったのは、こいつだけ、やけに歳を食っているから。正確な歳は不明。
だけど、若い人で構成されているヤマト隊の平均年齢を一人で上げている。オレの2倍く
らい、30歳前後なんじゃないかと思わせるだけのがっちりとした肩幅と成長しきった体
躯。太く長い喉から聞こえてくる低い声。顔は半分見えないけれど、どうみてもおっさ
ん。
でもって当人は、この部隊に入る前の記憶が無いそうで、自分の年齢を知らない。こ
れで落ち込んでくれれば、まだ救いようがある。彼の場合は、それをいいことに何故か
二十歳を名乗ったりしている。
これ以上にないほど怪しい存在のはずだが、他の部隊からすれば、『ヤマト隊だから』
で済むらしい。
「別にネオが書くわけじゃないだろ。それにアウルは『これからどうするか』を聞いて
るんだ」
そう言ったのは、緑色のベリーショートヘアに猛烈な風を前方から受けたようなスタ
イルの少年、スティング・オークレー。アウルとは対照的に、長い顔と角形のアゴ、大
人びた切れ長の目をしている。
ハッキリした物言いから熱い血が通っているように見えて、実は冷静沈着の良識派。
アカデミー内での評判は、しっかりした兄貴分として貫禄があった。
しかし、力はあるが色物ぞろい、と悪名高いヤマト隊に配属されてからは、逆に周囲
から珍種扱いを受けている不遇の存在。
何故か赤服着ているネオはともかく、アウルとスティングの二人は士官アカデミーか
らの付き合いで、彼らも上位成績卒業者であり、赤服の一人であった。
その赤服一色の待機室に、隊長の証である白服の男が一人入ってきた。
「ネオさん、どうです。連合のMSの性能は?」
我らヤマト隊の長、キラ・ヤマトだった。日向で乾かしたみたいなふさふさした茶色
の髪を卵の殻半分を被ったみたいなヘアスタイルに、人懐っこく優しい人畜無害な顔を
した線の細い青年。
その顔に似合わず、出生ではなく、力だけで特殊部隊の隊長という地位に伸し上がっ
た、といわれるザフトの生きる英雄の一人。
資本主義上層階級が多いコーディネイターが作った組織であるザフトからしてみれば、
士官クラスは、それら上層部の人が多いだけに、彼のような例は、なかなか珍しいそう
だ。
だけれど、むしろ女性関係における通り名『婚約者キラー』『夜のコーディネイター』
の方が有名で、『月のある都市で、ナチュラルから彼氏つき37人、コーディネイターか
ら婚約者つき6人を撃沈し、寝取り勲章を貰った』という都市伝説を持っていた。
以前、この事を聞いたら、さすがにそれはないよ、と笑って否定していた。その言い
方だと、『何かはあった』ってことになるんだけど……。
彼は、手に持った四つのボトルを放り投げながら、話しかけてきた。放り投げられた
ボトルは、ゆっくり飛行して、待機室の中央に立っているネオ、その向かいの窓辺に腰
掛けているスティング、その二人の間に浮遊しているアウルが順に受け取った。そして、
三人から離れ待機室の隅に立っていたオレは最後に受け取った。
「いいなんてもんじゃないさ」
ネオは遊び友達に話しかけるような軽口で話していた。
「ザフトの現行機を余裕で上回ってるぜ」
“アルテミス”陥落作戦は、奪った機体“イージス”“デュエル”“バスター”“ブ
リッツ”の性能データ収集も兼ねていた。だから、ネオだけじゃなく、おれ達は皆、そ
れを感じていた。
まず、スティングが操る“デュエル”。白灰色を基本色に、胸、肩、手首、膝に青色
を配色したデザイン。ビームライフルとビームサーベルを携えたスタンダードな機体。
装備がシンプルなだけに、ザフト現行機と比較しやすく、連合の技術力の高さを分析し
やすい。作戦後、彼は、戦場での高揚感とは裏腹に、その性能に肝を冷やしたそうだ。
次に、アウルが使用した“ブリッツ”。今回の作戦の立役者で、レーザーも実弾も通
さない防御膜を持つ難攻不落の“アルテミス”が、それを張る前の隙をついた漆黒の機
体。レーダー及び目視すら不可視にする“ミラージュコロイド”を使用し、それに侵入
を果たした。両陣営で、これほど隠密性に長けた機体はない。
そして、オレが使った、赤色を基本色にした“イージス”。可変機構を持ち、仏教の
法具である三鈷杵の先を四つにしたようなMA形態と人型のMS形態を持つ。
両手足の先にビーム発信器が付いていて変則的な近接戦闘を行い、ときにはMA形態に
おいてのみ使用出来る強力なエネルギー砲を発射するなど油断ならない攻撃を可能とす
る。
最後に、奪った四機の中でも、ネオの操作した機体の強さは別格だった。彼が操った
機体“バスター”は、黄土色を基本色に深緑の半そでジャケットを羽織ったような姿を
したデザインで、腰に2本の大筒“350mmガンランチャー”と“94mm高エネルギー収束火
線ライフル”を持つ。
それは、2丁拳銃みたいなものだ。映画などでは、その絵の派手さから、2丁同時に
使用されているのが目に付く。実際に、これをやると、普通は着弾が集中せず、一丁で
狙って撃った方がいいそうだ。
反動がどうの以前に、2丁同時に狙いをつけるという芸当が出来ない。前方に、たく
さん撃つことは出来きるが当たるかどうかは別問題。弾をばら撒く、ではなく、的に当
てる、という点に関して、MSでも同じことがいわれている。
ところが、高度な空間認識の力を有するネオが“バスター”を操れば、まるでランチャ
ーとライフルは別々の生き物の目がついているかのように、それぞれが違った動きで、
上下前後左右を飛び回っていたMAを次々落していくのだ。
さらに、この機体には、二つの大筒を繋ぎ合わせることによって、対装甲弾砲と長射
程ライフルを使用できるようになる、というだから底知れない。
「こいつが量産されるようになったら、お前のお得意のヤツが出来なくなるな」
ネオの言うヤマト隊長のお得意のヤツ、といえば、コクピットを外して標的を撃墜す
ること。
この行為は今、ザフトの中の若い者、特に新兵の間で流行していた。それを行う者た
ちには派閥があり、大きく二つに分かれていた。
一つは、撃墜後のMAの滑稽な姿を嗜む組。
胴体部から左右に1本づつ伸びる支えに大型のスラスターをつけた左右対称な形をして
いる連合主力MA“メビウス”。本体と似たような大きさを三基組み合わせた単純な構造
のため、あまり大きく見えないけれど、人を乗せて、機銃から大型ミサイルまで状況に
おおじて装備を変えることが可能なサイズの機動兵器。
その腕のように見える、本体とスラスターをつなぐ支え、どちらか一方を壊すと、
“メビウス”は、その場でコマのように高速回転する。その憐れな姿を眺めること、も
しくは中の人間の様子を想像することが、彼らの娯楽になっていた。
もう一つは、そういう技が出来ると自慢する組。
簡単に、腕の部分を切る、といったけれど、それは非常に高度な操縦力を必要とする。
敵の攻撃を回避しつつ、高速で擦れ違えば、“メビウス”の本体とスラスターにある大
きな間隔も、高速道路を走るような速度で単車を飛ばしながら葉書を投函するときの郵
便ポストの口くらいの大きさになる。
その難しさが、若い兵士の間でのパイロットステータスになっていた。赤服でも、こ
れが出来ないと、その同期の卒業生まとめて、質が低いなどと陰口をさされる始末。
もっとも、この流行は水面下のもので、表面上は禁止されていた。なぜなら、先ほど
述べたように、これは非常に困難な作業であった。そのため、これにこだわるあまり撃
墜される者が出てきたからだ。
このような事態になり、他兵士が真似をしないように、ヤマト隊長にも、その行為を
するな、と禁止命令が下っていた。それでも彼は、その命令を無視して、これをやり続
けていた。
「早く直せよ。でないと今度墜とされる側になるのは、お前かもしれないんだぜ」
ネオは心配そうに、そう言った。
……直す? コクピットを外して攻撃するのはワザとじゃないのか?
ネオだけが確信したように話し、オレや他二人は何のことだか分からず、不思議そう
に彼らを眺めていた。彼は、困った風の苦笑いをしながら、ボクの心配よりネオさんの
記憶を取り戻す心配をしたら、と話を逸らそうとしていた。
ちょうどそのとき、待機室の入り口近くに壁掛けされた通話機から電子音がした。ア
ウルが、オレが取る、と床を蹴り、ヤマト隊長の後ろへ飛んだ。スティングが、子供じ
ゃないんだから電話くらいでハシャグなよ、と軽くため息混じりに言い、ネオは無言で
笑っていた。
「ヤマト隊長。評議会の方から、連絡だって。“ヘリオポリス”崩壊の件について、出
頭しろってさ」
物騒な内容にしては軽々しく話されるアウルの言葉に、これまた口笛を吹くような軽
々しさで、ずいぶん遅かったな、とネオが漏らした。
思い出したように、スティングがヤマト隊長に問いかけた。
「さっきアウルも言ったんだけど。“足つき”は、どうする?」
彼は、腰に左手をあて、右腕を内から外に開き、右ひじを曲げ手の平を天井へ向けた
格好で、肩をすくめていた。
「“ヘリオポリス”崩壊に反応するのは、評議会だけじゃないでしょ。連合もそうだよ。
あれを迎えに来る艦隊があるはず。そっちの方へ網を張っておけばいいよ。ボクは
“ヴェサリウス”で帰るから、キミたちは“ガモフ”に移動してもらえるかな。留守
中は頼んだよ」
ヤマト隊長は、変わらず柔らかい表情のまま、そう言った。命令ではなく、お願いに
なるのが、この人の特徴だ。これも彼が異端と呼ばれる理由の一つに数えられていた。
というのも、彼のする命令というものを聞いた人があまりいないからだ。
それと、と彼はネオに向けて内容を追加してきた。
「“足つき”見つけても、足止めだけにしてもらえますか? 出来れば、残りのMS、つ
いでに新造艦も手に入れたいんです」
ネオさんなら出来ますよね、と笑顔で言った。普通なら無茶な欲求だろう。しかし、
確かにネオなら出来るかもしれない。そのくらい彼の実力は群を抜いていた。
口元を不適な笑みで歪ませながらネオは、軽々しくこう返答した。
「構わないぜ。コレクションを全部揃えるってのも悪くない。そのくらいこだわった方
がヤマト隊らしいしな」
その言葉に、胸を撫で下ろした。これなら、マユを撃墜せずにすむかもしれない。
会話を聞いて安心すると同時に、自分も目標を捕らえられますと進言することも、自
分の方へ話が振られることもない、オレの弱さを再認した。
オレたちは駆逐艦“ガモフ”へ移るため、待機室を出ようとしたとき、ヤマト隊長が
思い出したように、キミも一緒に来て、とオレを呼び止めた。それは、評議会への出頭
に同席してほしい、ということだろう。
「なんでオレまで行かなきゃならないんですか?」
入り口の傍にいるヤマト隊長へ、オレが口を尖がらせて言うと、彼は、少し目を潤ま
せた笑顔で優しく返答した。
「ラクスならキミから聞きたいって言いそうだからね。キミはラクスのお気に入りだし」
ラクス・クライン。オレの後見人で、ヤマト隊長へのパイプになった人。そして、本
来は、“プラント”最高評議会のメンバーにして国防委員長の女性。
帰る場所を失い、彼女が“ユニウスセブン”の難民たちが集められた場所に視察へ来
た際、そのあまりに天然で平和ボケした性格に虫唾が走り、その場で何かしら文句を言
ってやった。投げ捨てるように吐き出した台詞だったからか、何を言ったのか、もう憶
えてなかった。それ以降、何故かオレは彼女に気に入られてしまった。
けれども、オレはヤマト隊長を差し置いて、彼女のお気に入り、と言われるほどでは
なかった。
「クライン国防委員長の『お気に入り』は、ヤマト隊長の方でしょう」
オレはソッポ向いて言い返した。ヤマト隊長はクスクス笑い、そうだったかな? と
返事をした。続けるように、彼は、こんなことを言った。
「じゃあ、キミの婚約者に久しぶりに会いに行くっていうのはダメ?」
なんとしても、オレを連れ帰り、クライン国防委員長に会わせたいらしい。オレは、
顔を歪めながら解りやすいくらいいやな顔をして返答した。
「嫌です」
今は“足つき”を追いたい、というのもあるけれど、普段も、その婚約者と特に会い
たいと思わなかった。
なぜなら、その女の子と婚約する過程が非常におかしかった。婚姻制が、どうの以前
の決め方をされたから。
「だいたい、あれ。ヤマト隊長たちがノリで決めた人じゃないですか。もう少し考えま
しょうよ」
クライン国防委員長に引き取られたとき、彼女はオレの母になる、と言い出した。
冗談とは思ったけれど、その場で、はっきり断った。彼女はヤマト隊長と同じくらい
の年齢。一回りもしない歳の人の子供が出来るほど、オレは愉快な性格じゃない。
しかし、彼女はその返事を全く聞かず、私の子供なら婚約者がいないと格好付きませ
んね、という意見から始まり、何故か居合わせていたヤマト隊長が、ザフトにいい子が
いるよ、と続き、今思い出しても頭の痛くなる会話の流れで決定したのが、その婚約者。
決して、その婚約者が悪いわけでは無いけれど、未だに納得いかなかった。
「おまえ、贅沢。一応、彼女、アイドルだろ?」
アウルに呆れながら突っ込まれた。そう、『一応アイドル』だ。それも、やっぱり、
クライン国防委員長たちのノリで。
元No.1歌姫であるクライン国防委員長プロデュースデビュー、現歌姫というザフト
のトップアイドル。詳しくは省略するが、その経緯は婚約者話と大差ない。そんな流れ
でアイドルになったら、本人は迷惑だろうに。
「それとも他に好きな女の子でもいるの?」
ヤマト隊長が、潤ませた目で話しかけてきた。この人の目を見ていると、反論する気
が失せる。けれど、ちゃんと否定しておかないと、後でヤヤコシイ目に合う。そう思っ
た矢先、ネオが余計な事を言い出した。
「そういえば“ストライク”を敵に渡したのはショウガナイけれど。2回目の出撃後、
勝手についていったのに、ソイツに攻撃することなく帰ってそうだな。お前、ひょっ
として……」
声色を落し、いかにも真剣な事を話すかのように喋ろうとしていた。彼が、こういう
ことをするとき、大抵ふざけた話である場合が多い。
「……惚れたな」
オレは顔半分を右手で覆い、露骨に、ため息をした。そんなことは気にも留めず、ネ
オは続けた。
「お前が“イージス”“ストライク”のある格納庫で出会ったのは、オーブ時代、隣に
住んでいた毎朝起こしにきてくれる女の子。当時は彼女を意識することなく、そして
幼いうちに、彼女側の家の引越しによって二人は別れ離れになっていた。しかし、長
い年月を経て再会したときの彼女は、上はセーラー服で、下はミニスカートとニーソ
ックス、絶対領域もちろん完備。小顔で二重の大きな目に、スレンダーで小柄なのに
巨乳。踝まで伸びるサラサラのロングヘアが魅力の女の子だった。お前は一目ぼれ。
だから待機命令無視して勝手に出撃した。そして“ストライク”に乗っているのが、
彼女と知るといなや、してもいない結婚の約束を持ち出しプロポーズ。でもって、そ
の場で丁重に断られたけど、お前の心は彼女に捕らわれたまま」
それなんてエロゲ? とアウルが突っ込んだことが唯一の救いだ。オレは顔を上げ、
呆れながら、ネオと向き合い、それはない、と困った顔に乾いた笑い方で返した。
「ま、そりゃ冗談として。少し元気が出てきたかな」
突然、話を変えるように、ネオから、そう言われた。春の日差しで乾かした布団を縁
側で昼寝しているときに掛けられた気分にさせる声色だ。
「シン、“ヘリオポリス”から、ず〜っと調子おかしかったぜ。思いつめたみたいでさ」
左手からアウルが顔を出し、そんなことを言った。弟を見るみたいな優しい目と心配
で垂れた眉の寂しい笑顔だった。
「一緒に侵入した仲間が死んで悲しいのは分かるけど、お前のせいじゃないからな」
右肩をポンと叩かれ、スティングに、そう言われた。視線は合わせないけれど、服に
付いている埃を払ってくれるブラシみたいな強く柔らかい声だった。
今はマユのことで悩んではいるけれど、その言葉は的外れでもなかった。それは仲間
を失うたびに、いつも思うことだから。
赤服にはなれたけれど、実戦という現実は容赦なかった。オレに力が足りないから、
また失ってしまった。まだ足りない。もっと力が欲しい。全てを裁けるだけの力が。
「シン、一人で背負うなよ」
スティングのその言葉も、いつも言われているような気がした。仲間達の優しさに、
オレの中の何かが少しずつ解けていきそうな感じがした。でも、それを否定して、再び
解けかかった心の一部を凍らせようとした。
優しさを否定するのは、歪みたいわけでも撓みたいわけでもない。甘えたくないだけ。
「だから、そう深く考えるなって」
この言葉とともにネオの右手が、オレの頭にそっと触れ、そのまま撫でてきた。オレ
は首を大きく振り、その手をどかせ、彼を睨んだ。仮面の向こうの表情は、読み取れな
いけれど、彼の声は、穏やかなものだった。
「お前、すげぇ疲れた顔してるぜ。一度、本国に帰って、気分を入れ換えてこいよ。で
ないと、とりかえしの付かない失敗をするかもしれない」
周りを見回すと、アウルの目もスティングの横顔も、心配する雰囲気を漂わせていた。
ネオは、さらに付け加えた。
「ちっとは俺たちを頼りな」
オレは、まぶたを深く閉じ考えた。
ネオたちだって間違いはある。“ヘリオポリス”で撃墜されたあいつのようになるか
もしれないし、マユの乗る“ストライク”を墜としてしまうかもしれない。ここで引い
たら、オレはまた後悔するかもしれないんだ。
「だったらさ、お前が帰るまで、あのMSも“足つき”も取っといてやるよ」
明るい声色が聞こえた。その声の源を見ると、さっきとは、うって変わった自信に満
ちた顔をしていた。オレの顔から、少しだけ力が抜けるのを感じた。すると、今度はス
ティングの声がした。同じく自信たっぷりの口元と、胸を軽く叩くような熱い声だった。
「俺たちは死なない。ザフト最強のヤマト隊の、そのまた無敵の赤服だ。そうだろ?」
現実的に、それはありえないことだと分かっていた。それでも、この言葉は、オレが
聞きたい台詞だった。
改めて、三人を見回すと、どいつもこいつも熱い視線を送ってきていた。そのせいか、
凍らそうとした心の一部が固まりきらずに解けてしまった。
今のオレの顔は、はにかんだ笑顔だろう。その表情を見たことに満足したのか、棒立
ちになったオレを置いて、三人は笑顔で待機室を出ていった。
このままじゃ、くやしい。やり返すことは出来ないけれど、何か言わないと。
オレは待機室を飛び出し、格納庫へ続く通路を歩いていく三人の背中に言ってやった。
「お前ら、絶対残しとけよ! オレが帰って来るまで、あのMSも“足つき”もお前らも
どれ一つ欠けるなんて許さないからな!」
彼らは振り返らずに、あいよ、わかった、任せろって、と返事をし去っていった。
その背中が見えなくなってから、オレは表情を引き締め、ヤマト隊長とともに、彼ら
が進んだ方向と反対側へ歩いていった。
――プラント本国にて。
緊急に開かれた評議会は、定例的な印象を感じた。
議員たちが、連合のMSの報告に対して動揺を見せても、クライン国防委員長の一言で
場が静まるから。
相変わらず、映える人だな、と思った。これだけ議員たちをまとめられるのなら、い
っそ議長にでもなればいいのに。
議会が終了した後、ヤマト隊長に、少しノンビリしていけば、と言われたけれど、そ
んな暇はないはずです、と返答した。
オレは急ぎ足で“ヴェサリウス”へ向かおうとしたら、トイレに行きたいんだけど、
とか、のどが渇いたね、とかいう感じに、ヤマト隊長の時間稼ぎが始まった。置いてい
けないオレもオレだけど、この人に、どこぞの小型犬のような潤んだ瞳で見つめられた
ら、どうにも頼みを断りきれなかった。この人は強さじゃなくて、この顔で隊長格にな
ったんじゃないのか?
彼の時間稼ぎが功を奏したようで、“ヴェサリウス”のハッチの手前に、評議会議員
の女性が一人待っていた。
腰まであるピンクの長い髪を、白いリボンを使い頭の後ろでまとめ、ふちに紫のライ
ンを持った黒の長襦袢を来た女性が、温めに入れたお茶に浮かぶ茶柱のように立ってい
た。
無言で敬礼して、そのまま通り過ぎようとしたが、彼女の前を越えた直後、後ろから
腰のベルトをヤマト隊長に掴まれたらしく、体が前へ進まず、その場に停止した。
「お久しぶりですわ。キラ、それにシン」
それは他の人からすれば、可愛い唇から出る穏やかで愛らしい声だろう。今のオレに
は、すぐに風呂に浸かりたいのに、いくらひねっても少量しか湯を出さない蛇口から出
る湯が、水面に当たって出るチョロチョロいう音のように聞こえていた。
ヤマト隊長が、久しぶりだねラクス、と言い出した。仕方がなく、オレは彼女へ向き
直り、お久しぶりです、クライン国防委員長、と作り笑顔で挨拶した。そうしたら、彼
女の目は、微笑みから悲しみへ変わり、こう言った。
「いつになったら、お母様と呼んでくださるのでしょう」
どうすれば、こんな思考回路が月まで伸びているような超々高度の感覚を保ち続けて
いられるんだろう。
彼女の柔らかく静かで寂しげな言い方に対して、オレは、こめかみに筋を浮かばせた
笑顔で、優しく断言した。
「絶対に呼びませんから、いい加減に諦めてください」
彼女は、残念ですわね、と目を伏せながらため息をついた。踵を返し、艦内へ行こうと
したら、忘れるところでしたわ、と彼女に呼び止められ、オレは不機嫌な声で、何です?、
と体を半分だけ振り向かせて足を止めた。
「“ユニウスセブン”の追悼慰霊のために、視察に向かわれた船が行方不明になりまし
たの」
聞く耳持たずという感じに、はあ、とだけ相づちを打った。その続きで聞こえてきた
内容は、彼女のゆっくりとした口調とは、かけ離れたイメージを持つものだった。
「その船にはメイリンが乗っていまして。心配ですわ。捜索に出た部隊も戻らないと聞
きましたし」
血の気が一気に引いた。ヤマト隊長は、どこかに穴が開いているんじゃないかと疑い
たくなるようなノンビリした口調で、それじゃあシンが迎えに行かないとね、と言った。
この人たちは、慌てるという感情が抜け落ちているのか? 二人が落ち着き具合が、
オレの心を刺激し、引いた血の気が戻ってきた。
メイリンは一応だけど婚約者。それ以前に、友人だ。彼女を、こんな思考の人たちの
指揮の元で行われる捜索部隊に任せておけるかと、腹の底が熱くなってきた。
ただし同時に、忙しいときに用事を増やす原因になった人へ対する気持ちも肺の中に
膨らんできた。
「なんで、こんな時に! ああ、もう! まったく、あのバカ!」
大きな声でぶつける対象のない気持ちを吐き出したオレは床を蹴りだし、“ヴェサリ
ウス”へ駆け出した。すぐ後ろについて来ていたヤマト隊長は、彼女が悪いわけでもな
いでしょ、と、いきり立つオレの台詞に言葉を添えた。
それは分かっている。でも、なんでこう、次から次へと変なことが舞い込むんだ。
すると考えていたことが、どうやら声に出ていたらしく、ヤマト隊長が、こんなこと
を言った。
「でも、ほら。変なこと続きなら、ひょっとしたらさ。迎えにいくと、運良く“足つき”
とメイリン、同時に出会えるかもしれないね?」
その気が無いのは分かっているけれど、優しい笑顔と呑気な声はワザとこっちの神経
を逆立てしているように感じて、そんな都合の良いこと起きる訳無いでしょ! と怒鳴
って返した。
――場面は変わって、デブリベルト付近“アークエンジェル”の格納庫にて。
「知れたこと。この歌姫は、救命ボートへ引き返し、我々は“アークエンジェル”のカタ
パルトを使い、白鳥座X-1か射手座Aスターへ、それを飛ばしてやればいい」
右手で猫さんを抱え、左腕で大きく救命ボートを指しながら、釣り目をさらに釣って、
良く通る声を張って、ジブリールさんは、そう言った。
マユです。また拾い者をしました。デブリベルトへ使えるものの回収作業に出ていると
き、また救命ボートを見つけました。拾って持ち帰ると、中から出てきたのは、ツイン
テールの髪型の女の子が一人。その正体は、“プラント”現最高評議会議長の娘にして、
歌姫のメイリンさん。
彼女の扱いを巡って、“アークエンジェル”格納庫内は揺らいでいるところです。
「そんなややこしいことせずに、思い切り良く地球に落せば?」
救命ボートの入り口より三歩ばかりでた所で立ちすくむツインテールの女の子を輪に
なって囲む集団の中。私の立ち居地が、彼女から見て、右手前方で、その対角にいるコ
ニールが、そんな怖いことを言っている。しかも、ツインテールの女の子に親指立てて
見せながら、流れ星になれるよ、と余計な事を付け加える。
「流れ星、綺麗。ステラ、好き」
話をちゃんと聞いているのかいないのか、コニールの隣にいるステラさんが、笑顔で
そんなことを零す。
……って、何で二人がここにいるの? 私達は作業でいるからだけど、コニールたち
は生活区で待っていなければならないのに。
暇だから、と一言で済ますコニールと、猫 会いに来た、と同じく一言で済ますステ
ラさん。ツインテールの女の子の左となりに立っている藍髪の人は、デュランダルさん
たちの相手で疲れていたらしく、そんな二人に注意をせず、悩ましそうに頭をかいてい
る。そこへ、ザラ艦長、と藍髪の人を呼ぶ声が聞こえてくる。
「私は彼の意見に賛成です」
規律に厳しそうな跳ねた髪の毛を持つ赤い髪の人が、ジブリールさんの非人道的意見
に賛同する。
「なんか前世で、その女に好きな人を取られたような気がするんです」
ぜ、前世?
赤い髪の人は、困惑するツインテールの女の子に対して、黒いオーラを出しながら理
不尽なことを言っている。
「女の勘です。この女を生かしておけば、個人的に、何かよくないことが起きる気がし
ます」
ツインテールの女の子は怯えるというより、状況を掴めないという表情を浮かべてい
る。さっきから周囲の人たちが、どこまでが冗談で、どこからが本気か分からないこと
を喋るたびに、その声のする方に不安な顔を向けている。
藍髪の人は、いつからこんなに風紀が乱れたんだ、と呟きながら、私の傍に立ってい
る男の人三名を恨めしそうに見つめている。
「落ち着かないか、ジブリールもホーク少尉も。彼女は“プラント”現最高評議会議長
の娘だ。それ相応の良い使い道がある」
デュランダルさんが、いつもの深く低音の落ち着いた声で話すと、場が静まり返る。
皆が彼に注目するまで待ってから一言。
「人質」
ひ、人質?
デュランダルさんは、周囲の雰囲気が動揺していることなどお構いなしで、落ち着き
払った声と、背後にキラキラと輝く星が見えるような笑顔で言う。
「みんなで幸せにならなろうじゃないか」
さらに、ジブ猫もそう言ってるにゃん、と付け加えて、私の猫の意見を勝手に代弁す
るな、とジブリールさんに怒鳴られる。
とりあえず、バカ話は一段落してから、藍髪の人は、ツインテールの女の子を、普通
の民間人として生活区へ案内をするために、慣れた手つきで彼女の肩に手を回す。MA乗
りの人がそれを見て、セクハラか、と零せば、彼は、その手をパッと離して咳払いをす
る。視線を別の所に向けてみれば、どことなく赤い髪の人の目とMA乗りの人の目が冷た
いような気がする。気のせいかな?
ツインテールの女の子が私の前を通り過ぎようとしたとき、ちらっとこちらを見る。
そして、目が合う。彼女は足を止め、私をじっと見つめる。
「あなた、もしかして、マユちゃん?」
迷子を捜す人のように、彼女は私に問いかける。私は拍子抜けしたように、はい、と
小さく返事をする。
「やっぱり! あなたのお兄ちゃん、シン・アスカだよね? あなたのこと、写真で見
せてもらったことがあるもん」
ツインテールの女の子は、パチンと手を叩いて楽しそうに話しかけてくる。
そのとき、待て、とデュランダルさんが言ったような気がする。けれど、“プラント”
側の人で、私はお兄ちゃんを知っている人に出会えたことが嬉しい。私の知らない情報
を聞けるかもしれない。だから、誠意を込めて、ツインテールの女の子に、今度は大き
く返事する。
「はい、そうです。メイリンさんは、お兄ちゃんの知り合いですか?」
ツインテールの女の子は、知り合いっていうか何というか、と歯切れの悪い返事をす
る。私が、もっと話を聞こうとすると、虎さんが、あいや待った、と割って入ってくる。
「マユの兄さんは、“あのシン・アスカ”なのかい!?」
虎さんは、右目を大きく見開き、まるで瓢箪から駒が出てきた瞬間を目撃したように、
驚いている。その顔を見て私もつられて驚く。
そういえば、写真は見せたことあるけれど、名前を教えたことは無かったかな?
お兄ちゃんは有名なんですか? と聞くと、名前だけは、と返される。それは、そう
かな。その有名人の顔を知っていれば、そんな質問しないもん。
他の国の芸能ニュースなんて縁遠いものだけど。ひょっとして、歌姫情報がネットに
流出したのかな? 恐らく知人程度だろうと思われる人の名前なんて出さなくて良いの
に。それにしても『あの』というのが気になるなぁ。どんな伝わり方してるんだか。
ふと気温が少し下がったような感じがした。和やかで温かみのある雰囲気が、硬く冷
たいものに変わっていく。それは、脅威に対する人々の反応が隠さず現れ出ているよう
な空気。
いつも無愛想な顔をしている藍髪の人が、信じられないものを見たような驚きの表情
に変わって、口が半開きになっている。赤い髪の人もその他名前の分からない人たちも
同じ顔になっている。そして、その人たちの顔すべてが私に注目している。
突然変化した隣の人たちの態度に、コニールは何のことだか分からないって表情して
る。ステラさんは、変わりなくいつも通り茫洋としてる。
デュランダルさんと虎さんは、この状況を見据える、まるでデモと機動隊の一触即発
な雰囲気を見守るような目つきになっている。ジブリールさんは眉間にシワを寄せ、起
きて欲しくない状況を見てしまったかのように、思慮深く目を瞑っている。
ツインテールの女の子は、周りの気配が変わったことに戸惑い、不安で肩をすくめな
がら、視線を漂わせる。
窓の隙間から聞こえる風の音くらいの小さな話し声が聞こえ始め、それは次第に、障
子に強風が当たったとき出る音くらいの大きな声に変わる。
そして、はっきり聞きとれる声で、誰かが、私にこう言った。
「こいつも、コーディネイター!?」
……続く。
あとがきっぽいもの
すまん。
>>198の名前欄ミスったけど同じ人なんでorz
>>188-201まで一続きだから。
アスラン・ザラの人生を経てシン・アスカの性格になったら、
それなんてキラ? と思うわけ。他キャラも同様。
なので、シンに限らず、他のキャラも、種死に類似した背景
設定の上で、種の役柄を当てている。
これを踏まえて、上記のSSで、シンがラクスに何をやったかを
考えれば、彼が有名な理由は簡単。
まぁ顔まで知れ渡っていたら、プラントじゃ生きられない、かと。
今のうち言っとくけど、この話。三隻同盟なんて出ないよ。エター
ナルはザフトの旗艦になるし、ジェネシスはピンクの予定。
GJっす!!
「お母様と呼んで」「呼べるか!!」にワロタ
三隻同盟はナシで問題はないんじゃないですかね
キャラが変わって立場も変われば行動も変わるでしょう
GJ乙!丁寧な描写に惹かれます。
シンの境涯が辛い…!いつかマユに思いが届くことを祈って…
マユは相変わらず可愛いな。淡々としてて素直でしっかりしててまともで、俺的理想のヒロイン像。
ステラがジブ猫気に入ってるのとかもさりげなく可愛い。
三隻同盟が出ないなら安心して楽しみに読み続けられますwww
しかしクライン国防委員長がジェネシスをぶっぱなすに至るまでには
パトリック並みの苦悩を置いてほしい。
脳髄までドピンクだから大量破壊兵器に対する禁忌を感じないという程度の背景では
付き従うザフトも対抗する連合も気の毒ってものなので。
余計な口出しすみませんでした。
夜のコーディネーターww
ネタならまだしも真面目に続けてると痛いな
板的に何を今更
文章こそ長いものの話を盛り上げる表現方法が弱いし、見せ場も薄いので
かえって長文が仇となって読みづらくしてる。
無駄に長文にすればいいと思ってんのか?はっきり言って作者のレベルは低い。
内容薄い時は短くしろ! ダルイだろってことか。
すまん。気をつける。
おいらはダルく感じないが
読み手側の個人差もあるからな
躁鬱病が来た。日常に支障を来たしてる。休んでも、なかなか直んねぇから
中途半端で、すまんけど、ここまでで止める。
で、この話は、こういう予定だった。牛乳飲みながら、マターリ読んでみて。
マユ・コーディの事実で艦内が乱れる。艦内を統率するため凸、マユの事故死を考慮。
→それを察したギル、メイリンをカードにヴェサリウスと交渉、マユを逃がそうとする
→例のアレ。マユ、シン拒絶。AAに、そのまま戻ってくる→ギル達、ストライク操縦を
ジョイパッド(8ボタン)仕様に→マユ、ストライク操縦者として覚醒→マユの存在がAA
生存に欠かせなくなって、凸、マユの事故死を諦める→ステラinシャトル無事大気圏
→“砂漠でグレイトォ!”に凸マユ接触→グレイトォ「童貞にルールも制限時間も無い」→凸、
ルナカガリ二股を決意→略→AA、ステラのツテでオーブ入り→スパイのためシン無理や
り女装→女装シン、マユに会う→あっさり見破られる→シンマユ深く決裂→女装シン泣
いて宇宙へ戻る→マユたち、AAを降りる→女装シン、キラに慰められる→ベッドイン
→シン、マユに女装を認めさせるためアイドルデビュー。芸名「飛鳥」→「飛鳥」ブレ
イク。メイリンを抜きトップ→プロデューサー・ラクス面目潰れ→ラクス議長就任
→メイリンとユニット「Laxis」を結成。本格アーティスト路線で始動→凸、アラスカで
二股ばれる→カガリ激怒、AA撃沈
→プラント、Laxis派と飛鳥派で分裂→その動きを利用して、連合は反ザフト派コーディ
を支援、クーデターを画策→ジブ猫、ステラに可愛がられすぎストレスで死亡→ジブリー
ル、オーブを訴える→マユ、兄のバカを止めるため宇宙へ→マユ、ラクスと接触。行動を
共にする→ジェネシス竣工→ラクス、連合へ降伏勧告→ラクス、ジェネシス発射カウント
ダウンライブ開催決定(全世界へ生放送)→連合、クーデター工作カウントダウン→ライ
ブ開始と共にクーデター→よく見ると主に飛鳥派→ジェネシスまで手が届かない
→クーデタ:シン正義キラ天帝出撃、ラクス:マユ自由出撃→マユ自由VSシン正義。キラVS
ジェネ周辺ザコ→キラ「フレイアルスター・ザ・ワールド」(背後霊による金縛り)発動、ザコ瞬殺
→追い詰められたラクス切り札「“飛鳥”はシン・アスカっていう男なのです!」
→飛鳥派種割れ「男でも愛したい人がいるんだー!」→マユ呆れて、その足でオーブへ
帰る→ラクス逮捕→瞬間視聴率96.3%記録→メイリン逃走→ザフト独立ならず→マユ、オ
ーブへ自由贈呈→オーブ、NJCで世界のエネルギー問題解決案通る→ジブリール、勝訴
→シン、キラと熱愛発覚→キラ、ユニウス7で「婚約者キラー引退宣言」→マユ「なんで(ry
→マユ、虎の喫茶店で住み込みバイト→メイリン合流→メイリン歌って喫茶店繁盛
→凸「JASRACですが……」→終
残念だ
いろいろ、突っ込みどころが満載ですね・・・
>>211 このレスを見る限り、お前さんの症状はかなり深刻なようだ・・・
じっくり養生してくれ
そうですか。楽しみに読ませていただいてたのですが…
いまは自分を大事にしてゆっくり休んでください。
もし体調がよく、気が向くことがあったら、再開することも考えてみてください。
待ってます。
緊急浮上
とりあえず保守
構想はあるし書きたいのですが、
まだ書き上げる覚悟ができるかできないかって感じです。
主人公シン、ヘリオポリスの友人たちにルナマリア、メイリン、ヴィーノ。
AAの士官にタリア、アーサー、ハイネ、整備班長エイブス整備士ヨウラン、
ザフトロアノーク隊(隊長ネオ)にレイ、アウル、スティング、ニコル
プラントの政治家デュランダル、デュランダルの元親友で政敵ジブリール
ジブの養女でレイの婚約者ステラ
で考えてます。
>>218 ヨウランはヘリオポリス組でいい気がするが…
期待してるぞ!
待ち保守
ほしゅ
ho
いつの間にかクロスまとめに登録されてる・・・
登録できるような状態じゃないだろ……
作者は一人で、しかも四話で中断宣言して……
226 :
218:2007/02/15(木) 22:33:26 ID:???
ほっしゅ
もうちょっとだけ待っててくださる方がいるといいなあ
待つのには慣れてるさ
228 :
218:2007/02/16(金) 22:03:01 ID:???
ありがとうございます。
そう言ってくださると本当に励みになります。
ho
ho
ho
ho
ho
ほしゅ
ho
もう誰も居ないと思ったよ
緊急浮上
ho
ho
ho
緊急浮上
ho
ほす
保守します
ho
ho
ho
ho
age
浮上保守
「歌姫に続き、“シン・アスカ”か」
飾り気のない部屋。艦長室と呼ばれる場所に、藍髪の男が頭を抱え肩肘をついた姿で
座っている。この部屋には彼のほか誰も居ない。現在、艦橋から離れるという判断は
どうかと思ったが、一人でゆっくり考える時間が欲しかったからだ。
「公式の場において唯一知られている、あのラクス・クラインに楯突いた存在だ。連合
では、『すでに消されている』が定説。ラクス・クラインと繋がりがある、と言われ
ている歌姫の言葉でなければ誰も信じないぞ」
藍髪の男は、大きくため息をついた。藍色の髪を右手の人差し指と中指の先で、優し
く撫でる。毛先まで来ると、五本の指を額の方からふさふさした髪の茂みへ突っ込み、
激しくかき回す。ふと、指の動きを止め呟く。
「いや問題は、そこじゃないか。あの少女が、そのシン・アスカの妹である事実。すな
わちコーディネイターである、ということか」
藍髪の男は、ナチュラルの天才なら良かったんだがな、と寂しく零す。
年端のいかない天才というのは、凡庸な者たちからすれば異端だろう。しかし、コー
ディネイターに負けない才能をナチュラルが持っていること。これが、今の行き詰まっ
た状況に置かれた人々のカンフル剤になれば、と彼女を“ストライク”のOSを調整す
る者に起用した。
まぶたを閉じた。その裏には、茶色い髪のおさげの少女が映っている。明るい笑顔の
似合う愛らしい少女。
彼女はコーディネイターではあるが、まだ子供であり、オーブの民間人でもある。自
分はナチュラルで連合の士官ではあるが、ブルーコスモスではない。これを無理やり取
り除く必要は無い。
「閉鎖された空間において、ストレスを与える要因は避けるべきだ。歌姫はまだ、冗談
で済む奇異だ。分からない者には、ナチュラルのアイドルが隣にいる程度と変わるま
い」
ザフトの奇襲に会い、命からがら逃げ延び、いつ撃たれるかも分からない緊迫した状
況。ただし、うまくザフトの追撃から逃げ延びればナチュラルでも十分戦える、という
自負につながる。おそらく、その一つ一つは綱渡りになるだろう。しかし、生き残る回
数を重ねれば、その分だけ艦内の精神衛生は保ちやすくなるはずだ。その中でならば、
プラントのアイドルという存在程度では、大した問題にはならないだろう。
「しかし、彼女は違う。ナチュラルを超える存在であるコーディネイター、という畏怖
を具現化したような物だ」
連合MSの不完全なOSを瞬時に調整した事実は整備班や艦橋内に広まっている。現
在、その事実は不穏な空気を生み出し、不安な風が人々の間を吹き抜けている。
彼女の存在は、この艦の精神衛生をかき乱し、希望を見つめる瞳を曇らせる要素にな
っているのだ。ならば、その花は摘むべきだろう。
感情を打ち消し、自分のうちにある冷徹な思考に身をゆだねる。
「性格は気に入らないが、他にも技術者はいる」
藍髪の男は、今自分がどういった表情をしているのか分からないし、見たくもない。
その顔を見れば非情になりきれない自分を知ることになる。
格納庫内は、機械生産工場の現場と大差ない。人を押しつぶせるほどに重い部品や簡
単に体を切り裂く工具、腕を巻き込む回転機械などがある。そういった場所での死亡事
故は、よくある話程度に珍しいことではない。
彼はただ、これは仕方の無いことだ、と繰り返す気持ちにのみ耳を傾ける。そして、
喉の奥から重く湧き上がってくる空気に合わせ、唇を動かした。
「申し訳ないが、彼女には退場してもらおう」
…続く。
あとがきっつーか忠告っぽいもの
申し訳ない、というものあるけれど。
当初はシリアスでBAD END一直線(マユ;記憶喪失、シン;心神喪失で
ラクスの操り人形で薬物狂戦士化後死亡、キラ;ラクスに疑念後離反し
死亡、ラクス;無傷で逮捕)な展開を考えていたんだけど、
躁鬱の山場を越した今、
「もぅギャグ展開(脱力系)だけで良いよね」
という気持ちで、いっぱい( -∀-)ノよぅ
それしかヤる気ない
キツイぞぉ脱力系展開。酒飲んで、かなり酔った状態じゃないと読めな
いようなくだらないギャグこそが俺の本領だしなぁ。
覚悟して……
オッケ〜イ!!
むしろ、ギャク大好きですよ自分
脱力、不条理、壊れなんでもコイですよ!!
作者!貴様の本領を見せてみろ!俺を腹の底から笑わせられたら貴様の勝ちだ!
どんとこい!どんと!w
復帰おめ&ありがとう!
戻ってきてくれた…ありがとう
楽しみに待ってるけど無理はしないでくださいよ
テラオカエリナサス!!待ってました。再開オメ!
自分のペースでがんがって。
歴代主役
1st、逆シャア:アムロ・レイ 古谷徹(現青二、元俳協)
08:シロー・アマダ 檜山修之(アーツ)
ポケ戦:アルフレッド・イズルハ 浪川大輔(現俳協、元こまどり)
0083:コウ・ウラキ 堀川亮(現アズリード、元青二)
Z:カミーユ・ビダン 飛田展男(アーツ)
ZZ:ジュドー・アーシタ 矢尾一樹(現シグマ、元俳協)
F91:シーブック・アノー 辻谷耕史(現クレイジーボックス、元シグマ)
V:ウッソ・エヴィン 阪口大助(青二)
G:ドモン・カッシュ 関智一(現アトミック、元俳協)
W:ヒイロ・ユイ 緑川光(青二)
X:ガロード・ラン 高木渉(アーツ)
∀:ロラン・セアック 朴ろ美(円企画)
種:キラ・ヤマト 保志総一朗(アーツ)
種死:シン・アスカ 鈴村健一(アーツ)
スタゲ:セレーネ・マクグリフ 大原さやか(俳協)
※くだらないことをいってます。非常にテンションが高いときのみ、お読みください。
「“ストライク”って、脚を無くした方が良いんじゃないですか?」
マユです。コーディネイターだとバレてしまいました。
部屋に篭ってようかと思ったけど、じっとするのは嫌だから。デュランダルさんたち
と一緒に“ストライク”を調整中。ついでに、今まで疑問に思っていたことを艦長に報
告中。
「だって今までの結果から考えると、問題なのはMSを歩かせること走らせることが出
来ないって部分だけなんですよ。『脚を付けたから』ナチュラルでは操作出来ない、
に集約されるんですよね?」
上半身だけの姿なら現状のMAと大差ないもん。脚を付けたお陰で起動する際に、ナ
チュラルでは立ち上がらせることすら出来ないっていう事態を引き起してるんだ。
「だったら、歩く動作は捨てた方が効率良いですよ。どうせ試作品なんです。脚を除け
ちゃいましょうよ」
この言葉に藍髪の人は、哀しそうな顔をしながら言う。
「例えばだ。時速100kmで廊下を走る人に注意をするためには、同じく時速100kmで廊下
を走らなければならないだろう? MSにMSで対抗するのは、それと同じことなんだ」
……何を言ってるかな、この人は?
「その人が止まってから注意をすればいいんじゃないですか?」
私の言葉に表情が苦しくなる藍髪の人。
「とくかくダメだ。だいたい脚を除いたら推力が減ってしまうだろう?」
私は正直に話してみる。
「減りませんよ。むしろ、デッドウェイトなんですから。軽くなる分だけ運動性能が上
昇するんじゃないですか? 推力がどうのっていうのなら下半身に“エール”のヤツ
つけるのも良いですね」
首を左右に振り藍髪の人は言う。
「そんなことをしたらストライカーパックが一つ減ってじゃないか?」
それって欠点になるのかな?
「脚を“エール”にすれば、一度に二つのストライカーパックを使えるようになるんで
すよ?」
という私の意見にデュランダルさんが一言添える。
「一理あるな」
とにかく説得しないとマズイことが……。
「相手に合わせて戦って、どうするんです? 相手の良さを取り込みつつ、自分たちの
良さを伸ばせばいいんじゃないですか? つまりMSの良さをMAに転用すべきだと
思うんです」
でも子供みたいに藍髪の人は駄々をこねる。
「だめだ、だめだ。脚の無いロボットなんてオレは認めないぞ」
するとデュランダルさんが一言。
「それで、この艦の自販機は二本の脚が生えていたのか」
すごい、こだわりだね。およよ、弱ったな。
私は、下方にいる前髪の赤いメッシュが特徴的な男の人、ヴィーノさんをチラッと見
る。ヴィーノさんが私に気付いて叫ぶ。
「でもぉマユちゃんの注文どおり、“ストライク”の下半身を“エール”化しちゃったしぃ」
メカニックのヴィーノさんがすでに変わり果てた姿になっている“ストライク”の下
半身を指差す。口をアングリして驚く藍髪の人。
藍髪の人が気を取り直して、ヴィーノさんに声をかける。
「勝手なことをするな。というか、キミらは、怖いとか恐ろしいとか思わないのか?
このままコーディネイターの言いなりに動くと、とんでもないことになるかもと思わ
ないのか?」
ヴィーノさんがサッパリした顔で返答。
「こんな可愛い子供相手に何をムキになってるんですか」
対して、藍髪の人は言葉を吐き捨てる。
「整備班はロリコン集団なのか!? 子供のいう事なら、なんでも聞いちゃいますか?」
そこは負けじと、ヴィーノさんは反論。
「失礼ですね。自分らは、花を愛でるのが好きなだけです。低年齢に欲情するロリコン
などという連中と一緒にしないでくださいよ」
幼女期 → 蕾
少女期 → 花
成人期 → 果実
藍髪の人は眉間にシワを寄せ一言。
「どう違うんだ?」
藍髪の人は仕切りなおして話し出す。
「いいか? 実際に、ザフトが人型兵器で戦果を上げている。そのことで偉い人が人型
兵器の有用性を信じ始めているんだ。今更、我々は間違っていると分かっていても、
後には引けない。そのために何人犠牲になったと思っているんだ」
んん? 何か変なことを言ってないかな。まるで偉い人に人型兵器の凄さを納得させ
るために犠牲を出したみたいな……。
「その言い方だと、兵器を人型にするためにワザと負けたみたいじゃないですか?」
試しに指摘したら藍髪の男の人は、膝を付き、拳を床に着きたてながら、こう断言す
る。
「当然だろう。でなければ、敗戦などするものか。俺たちが人型ロボットに乗れる日を
どれだけの年月、夢見てきたと思ってるんだ」
……は?
「偉い人っていうのは、バカっぽそうで、何度も騙せる存在じゃないんだ」
藍髪の人は泣いていた。
そしてデュランダルさんが、ある提案を出す。
「このまま平行線と言うのはよろしくないな。では、こうしよう。その下半身“エール
ストライク”×他“ストライカーパック”でザフトの連中を圧倒したら、艦長はこれ
を認める、というのはどうだろう?」
藍髪の人は泣きながら、出来るもんならやってみろよ、と残して、格納庫を去ってく。
――で、そこに、ちょうど良く――
「敵が来たぞぉ。“デュエル”に“ブリッツ”、“バスター”だ」
するとデュランダルさんが嬉々して“ストライク”に飛び乗って一言。
「脚の無いMSならば私が出るほか無いな。なぁに上手くやるさ」
――(省略)――
「うひょー! やられたー」
「よし! 追い返した!」
――で、艦橋にて。
以下の内容は
一人称:アスラン アホ毛:ルナ
ロリ:マユ ワカメ:デュランダル 寅雄:バルトフェルド
他数名でお送りします。
戦闘終了直後。
「いや待て。今の何か変だったぞ」
というか、ワカメのくせに何であんなに強いんだ!?
「“ストライク”が圧倒的な強さだった以外に何か変なことありましたか?」
アホ毛は何事もないかのようにサクっと答える。脚が無いのに強くてたまるか!
「ちょっとテープを巻き戻してくれ」
アホ毛が首を傾げる。
「テープって……。何をおっしゃってるんですか?」
みんなに白い目で見られる。あ、あれ?
「“ベータ”に録画していないのか?」
呆れながら回答するアホ毛。
「確かに記録しておりますけれど。今どき“ベータ”はないですよ」
……。
「みんなはVHS派なのか?」
皆は顔を背ける。オレだけベータマックス派なのか!?
「“ベータ”はな! ベタ塗りしたように綺麗なんだぞ!」
無視したままか? こっち向けよ。
「とにかく変だったじゃないか? 普通あんな動きしないだろう?」
顔を背けたままアホ毛は答える。
「軽くなった分、運動性能が向上したからじゃないですか? でなければMAを同じよう
に動かせるから? とか」
ロリと同じこと言うなよ。
「それは、あのコーディネイターが勝手に言ってるだけじゃないか」
静まり返る艦橋。コーディネイター発言の性か?
「待て、キミらだって動揺していたじゃないか!? いつのまに、このオレだけ除け者
外れ者になってるんだ!?」
アホ毛の証言。
「そりゃあ、コーディネイターで“例のアレ”の妹というのは驚きましたけど。妹みた
いに可愛い女の子ですよ。コーディネイターだからって目くじら立てることないじゃ
ないですか?」
何でそんなに大人なんだ!? もっと悩めよ!
「聞くんだ! ホーク少尉。彼女の話し方は確かに心地よく聞こえるかもしれない!
だが彼女の言葉は、やがて男の浪漫の全てを殺す!」
そうさ、浪漫の無い世界なんて殺伐としててダメだ。
ロリの採用を反対していたアホ毛なら分かるだろう?
「いつまで拗ねてるんです。強いんだから、“ストライク”は、あれが真の姿だったっ
てことにしましょうよ。それに結果が出ているんだから、浪漫くらい良いじゃないで
すか?」
アホ毛よ、そんな正論は聞きたくないんだ。これだから女の子は嫌いなんだ。
オレが世間の常識を教えてやる。
「世の中生きていれば、不条理なことや矛盾することに度々出くだろう。それが世の中
の仕組みなんだ。ならば俺たちも不条理なことや矛盾することを新たに生産するべき
なんだ。これは、その世界に生きる者の義務と言える。そうだろう?」
誰も聞いてないな? だいたい責任者はオレなんだぞ。
「そりゃあ生き残るために何でもやるって言ったさ。けれど脚の無いMSを持っていって
怒られるのはオレなんだ。分かっているのか?」
アホ毛無回答。
「ふん。だったら、今頃浮かれ気分でヒーローと勘違いしてるマユ・アスカを、後で艦
長室に呼んでこい。叱り続けて朝まで泣かすさ」
入り口の辺りから、すすり声が。
「ごめんなさい。私、みんなが生き残れるようにって思ってやったけど……。ザラ艦長
が、そんなに怒ってたなんて分からなくて……」
ロリの涙目。
唐突に始まる合唱。
♪泣ぁかせたっ 泣ぇかせたっ せぇんっせいっに言っちゃろう
リハーサルしなくても、息がぴったりなのは何故なんだろう?
「先生って誰だよ」
と零すと、アホ毛は無言で艦橋の入り口を指差す。寅雄とワカメじゃん!?
「バルトフェルド先生! アスラン君がマユくんを泣かせました」
寅雄が先生だと!? アホ毛も何言ってるんだ!?
ロリを慰める寅雄。
「気にするな、マユくん。ザラ艦長は既に少し錯乱している」
錯乱などしていない!
「どうやら、ザラ艦長には休養が必要のようだ」
ワカメも勝手なこというな!
「営s……じゃなくて艦長室に連行します」
アホ毛。お前今、営倉って言ったか?
「よろしく頼む」
ちょっと待て、お前ら。指揮官はオレだろう?
連行中。アークエンジェル通路にて。
「ほら、オレの言ったとおり、とんでもない事態になってるじゃないか?」
冷めた目でアホ毛は言う。
「ザラ艦長が子供みたいなこと言うからです」
悟った言い方するなよ。こっちだって、それなりにロリのことを考えたんだ。
「オレは相手に合わせて喋っただけだ」
憐れな目でアホ毛は言う。
「大人になれよ」
このままではいかん。使い捨てのコマのように扱われてたまるか!
自慢じゃないが体術は得意だ。オレはアホ毛を振りほどく。
「ザラ艦長が逃げたわ! 誰か捕まえてぇ!」
叫んだところで遅いさ、アホ毛。
「雑魚では、連合のシティハンターと呼ばれているオレを止められはしないさ!」
[BGM]それゆけトーマス!! 歌:一条和矢
「救命艇が勝手に出ているぞぉ!」
脱走成功。当然だな。ヤツらより早く連合本隊と先に合流して、ロリとワカメ寅雄猫
介他名の非道をいいつけなければ。
――で。
アークエンジェルから脱走したアスラン・ザラは脅威のテクニックを駆使し、救命艇
でありながら、メビウスゼロ他の追跡をかわし、ガモフの網を潜り抜け、そしてヴェサ
リウスに捕まっていた。
ここはザフト艦の格納庫か。囲まれてる。出るに出れない。あそこに白服茶髪と赤服
黒髪が見えるが、やつら何を話してるんだ?
「シン。実はボクね、生まれ付いての病気で来週くらいに死んじゃうかもしれないんだ。
それで、お願いがあるんだけど……。もう、部屋に帰って寝ていい?」
「ヤマト隊長、あんた先週も同じこと言ってたでしょ」
…続く。
あとがきっぽいもの
マードック→ヴィーノ
後半、艦橋中心の話なので
視点を変更。
で、
マリュー役なのに脱走する男
アスラン・ザラ。
こんな日もある( -∀-)ノよぅ
ぉおっけ〜ぃ!!
こういうバカなノリ大好きですよ!
INヴェサリウスではキラVSシンのボケツッコミ対決に凸がどう関わるのか期待
保守
亀だけど、ギルもすごいけど凸がすげえw
なんかものすごい可能性を感じたんだが
キラとシンの漫才が可愛くて和むな
ヴィーノ→16歳
マユ→10歳or12歳
・・・・・・・・・・お前らロリコンはこんなもんじゃねーぞ、きっと
マユです。
こちらは藍髪の人が去った直後のアークエンジェル内。
「すごかったですね、ザラ艦長。連合のしてぃはんた〜? ですっけ? いったい何の
ことですか?」
素直に感想を言うと、赤い髪の人は、こう話す。
「連合本部の掲示板に“XYZ”と書くと、どんな依頼でも解決してくれる何でも屋がいる
って噂なの。失敗率0%」
へぇ〜スゴイんですねって返そうとしたら、赤い髪の人が、さらに一言付け加えた。
「成功率も0%だけどね」
――で、その頃のヴェサリウス。
メイリンを探しの航路中。救命艇を発見。連合のモノだったけど、ヤマト隊長が
せっかくだから拾っとこうと言い出した。
それでイージスで捕らえて艦へ運んでみた。扉が開くまでの間、ヤマト隊長と雑談を
することに。
「シン、あのね、ボクね。実は歳食った人のクローンだから、姿は若くても体は年寄り
同然なんだ。老い先短いから、ラクスを頼める人が欲しくってね」
ヤマト隊長は、いつもの縁側の日向で感じる日差しのような口調。
対して、オレはトタンにぶつかる雨粒のような感じの返事。
「嫌ですよ。クライン国防委員長は、タンスの角で足の小指ぶつけただけで、『私は世
界で一番不幸です』って言い切る人ですよ。オレじゃ手に余ります」
左手で自分の額を摩りだし、首を傾げるヤマト隊長。
「う〜ん。なんか気だるくなってきた。ボクは、もうダメかもしれない。ラクスのこと
ヨロシクね」
オレの眉毛はハの字。ため息交じりの弱った声で質問。
「前から思ってたんですけど。オレにクライン国防委員長を押し付けようとしてません
か?」
ごまかすように左手を口元に当て咳払い混じりに返答するヤマト隊長。
「そんなことないよ。ゴホッゴホンッ。テロメアが短い性か……咳が……」
相変わらず仮病が得意な人だ。どうせだから手札を切っとくか。
「そういえば、ヤマト隊長は“最高のコーディネイター”なんですってね」
ヤマト隊長の咳払いはピタっと止まり、あの例の潤んだ瞳で、こちらの顔を覗き込む
ように尋ねてきた。
「誰から聞いたの? そんな最高機密」
聞くまでもないでしょっと言おうと思ったけど、正直に答えた。
「クライン国防委員長ですよ。『キラは最高のコーディネイターで、強くて、優しくて。
“トイレに行く必要の無い”完璧な人間ですわ』って言ってましたよ」
喪中のような暗い表情に変わるヤマト隊長。
「いくらボクでもトイレくらい行くよ。もっともラクスは信じてないようだけど」
何を本気で受け取ってるんだろ?
「他はともかく、トイレ行かないってのを信じてないなんてことは……」
と、何気なく聞くと、暗い顔のまま答えるヤマト隊長。
「以前、ラクスとの話中にトイレに行きたくなったことがあったんだ。それでね、ボク
が席を立ったら、ラクスは『どこに行かれますの』って聞いてきたの。ボクは『トイ
レだよ』って言ったら、ラクスは微笑みながら『キラは冗談がお上手ですわ。そんな
の必要ないですのに』って。それから『ボクだってトイレくらい行くよ』って言った
ら、同じ笑顔で『嘘ですわ』って。その後延々と平行線。まったく信じてくれなかっ
たんだよ」
それって単に。
「ヤマト隊長ってクライン国防委員長に、イジめれてるんですか?」
日陰のような雰囲気で話すヤマト隊長。
「そもそもね。任務で頑張った結果、ラクスの側近になったってだけなのに。いつのま
にか“付き合ってる”ことになっててさ」
やたら遠くを見る眼差しで続ける。
「付き合った憶えないって言っても『キラは鈍いですわ』って感じで受け取るし。友達
に頼んで女癖悪いって噂流して貰っても、『私が本命、他は遊びですわ』って感じで
聞く耳持たず」
あれ? それが都市伝説の正体? さらに愚痴るヤマト隊長。
「その上、勝手に部屋に入って、押入れ一杯に入ったお気に入りのエロゲや机に山積み
の攻略中のも全部捨てて『部屋は掃除しておきましたわ』とか、ザフトの情報部員使
ってボクのPCの中にある数十Gにおよぶ同人誌やHCGのデータを消して『PCは
デフラグしておきましたわ』って言うんだよ」
……だよっていわれてもなぁ……
「それじゃあ、ヤマト隊長がダメ人間の話ですよ」
そんな平和な会話とは打って変わって救命艇内。
アスランは無駄に窮地に立たされていた。
登場人物紹介
一人称:アスラン ゴマ:シン コケシ:キラ
待て待て。こんな事態想定してないぞ。
扉打ち破って出て行っても簡単に迎撃されるだろう。
AAは虚をついたけど、今回は待ち構えてる連中に
正面から仕掛けるようなもんだ。
こうなったら予想外のこと言って場を混乱させ適当に
ごまかし逃げるしか。
扉を思いっきり蹴っ飛ばし、光の中へ出る。
驚いているなザフトども。よぉ〜く聞くがいい。
「すみません。宇都宮駅って、どう行けばいいんでしょうか?」 ※栃木県の宇都宮駅
派手に登場してからの低姿勢!
どうだ! これに即座に対応できるわけ……。
「宇都宮駅なら地球の方へ行かないとダメですよ」
ゴマが無防備な顔して返答。ばかな。こいつ何者だ!
「大気圏突入が怖くて引き帰したのかな?」
なんだ、このコケシ。こいつも天然か!?
コケシがじっとこっちを見ている。
「ねぇ宇都宮駅に行きたいって嘘でしょ」
言い張るか? いや即答できない時点でダメだ。
オレが固まっていると、コケシがそのまま続ける。
「ボクはね、全ての才能の種を詰め込んだ最高のコーディネイターなんだ。そして、今
のは開花させた才能の一つ。『いい加減なことを言って図星をつく能力』だ」
自信満々に訳の分からんことを。
で、ゴマが一言。
「地味に嫌な能力ですね」
まったくだ!
仕方ない。正直に話すか。
「実は、嫌な女に出会って自分の居場所を失くしてしまい、居たたまれなくなって
家出したんだ」
〜前回の粗筋を話すアスラン〜
で、コケシが笑顔で感想。
「気持ち分かるよ。ボクの場合はね、『女のわがままを許せない男は“男失格”』『私
が興味ある男は、必ず私の事を想っている。彼がそれを表に出さないのは、彼が鈍い
から』『彼が他の女の子に優しいのは同情しているだけ。彼が私に優しいのは私を愛
しているから』『意地を張る男はかっこ悪い』『熱血はウルサイだけ』『私の“所持
している友達”は“私に似て美形で有能”』『世界は私の想いに答えてくれる。そう
ならないときは周りの人の努力が足りないから』『満たされていることが常であり、
ひとつでも欠けていれば不幸』『ハッピーエンドも良いけれど悲劇のヒロインも好き』
『清く正しい私と同じように、皆も振舞えれば世界は平和になる』『赤信号、皆で渡
れば怖くない』『飲酒運転だけど私は大丈夫』ってことが当然だと無自覚に思ってい
る人に目を付けられちゃってね」
コケシは確かに笑っている。だけどコケシ、背中がすすけてるぞ。
愚痴るコケシ。
「もう飽きたんだよとか、別れようとか言っても『キラが何か怒ってるみたいですわ』
としか考えないし。どんだけ逃げ回っても情報部使いまくりで先回りしてさ。こうし
て、任務にいるときだけが安息の日々になっちゃった」
顔にトーン入れた感じだな、コケシ。
「よく分からないですけど大変ですね」
とゴマが返したら、コケシからこの一言。
「ねぇシン、知ってる? “好きなこと”と“許せること”って、実は別物なんだよ」
そして、どこか遠くを見るコケシ。
「いっそ、みんなで逃げちゃおっか」
……続く。
あとがきっぽいもの
時間が掛かった割りに薄
……orz。
で、
キラのセリフ。この話の
つーか、この世界観の核心。
サクッと説明してしまおうとしたら
出番のバランスが崩れてしまった。
宇都宮にフツーに答えるシンワロスww
キラ溜まってるな色々と
逃げるだけ無駄な気がするけどがんがれ
ゴマとこけしの由来って何かな?
こけしは何となくわかる気がするけど、ゴマがよくわからない…
髪の毛→黒、肌の色→白
黒ゴマ、白ゴマってことじゃない?
そうなんだ、dクス
俺だったら肌の白さより目が赤いのの方が気になるけどなあ
アスランのネーミングセンスはなんか面白いね
278 :
276:2007/05/09(水) 20:33:39 ID:???
あっ、これはおいらの想像よ
当たりかはわかんないから
dとか言われちゃったけど
もしかしたら違うかもだから
なんかこの主役機どこかで見たような気がすると思ったら・・・
おおよそSRWJと逆パタ−ンなのな。
ほしゅ
保守
保守
ほし
...
hosyu
職人さんはもうここには戻ってこないのか・・・。
ほしゅ