// V }
{ {rヘ,. -ー‐}/‐- ._
/ヽ `ヽノ ヽ`ヽ、
/ / ヽ \ \ i |、ヽ ローゼンメイデン第2ドール金糸雀が、
/ ///\、 \ \ l | ヽ ヽ 楽して、ズルして
>>2ゲットかしら♪_
,' /// \、 \ n」^Y7ァ、ハ / }
l./// \\ 」 f⌒<_心rトヘT7┐ _ ,. '´ /
!_彡 u ヽ、 \辷{ _,>ェ<´_ ̄}_〈 / }‐-、,. '´ /
,亟 >;==、、 く.〈_ {仁ト廻ノ}コ} {_」 _ノY ノ<⌒ヽ <
{./!. {〈 ;::::::}.! ,.二幺L ̄l7< ̄r<ノ ,.イノ レ \ 、 V ノ、
_,./イ | ゝ-'′ /::::ヽVL>《、__,》┘´ /, 〉 | } }.ゝ┘ノ ,ノ
rく |/、 ゝ! /// ' 廴':ノ } /!| 》 《r<}//-‐L_ 「 く {二 ‐ ノ
<ヽ\>''´ 、 「 ̄ 7 /// .イ._||_rへハ〈 =辷. ト、_,.しイ 〉
匸`ヽ∨_,.へ、\ ヽ ノ /ヲ|! リ // 〉〉 〉 K 人 〈 | )
(( >'´ ̄ r===、ー- _,. ィ.三ニ{_ ∨ // V/ ヽ ) __ ノノ {
/ / ||__/__,>ェェ====、-∠( /| |二 ー∨ ヘ ∨ Y V
rへ、{_ /  ̄{ / 8 ||\ | ||二Z /| |_>、__ ヽ、└く_/_ ノ_ノ
二ヽ、__>-; 、二} /! /‐- 、__||_\!_」|ニて_ノ-‐⌒ヽ!  ̄ ̄ \__ァ‐'⌒ ̄
>>1スレ立てご苦労様かしら〜♪
>3っちゃん、ほっぺがまさちゅーせっちゅぅ!!!
>4様ステキ♥かしら〜♪
雛いち>5は、ガキンチョかしら〜♪
ジュンは昼間からゴロゴ>6してるかしら〜♪
>7−ジャは在庫ちゃんかしら〜♪
翠星石は>8ったりかましてるかしら〜♪
真>9はオバカさんかしら〜♪
水銀>10はジャンクかしら〜♪
>11-1000は、卵焼きちょうだいかしら〜♪
なんとぉー!!
前スレは容量切れ寸前だったのか
>>1乙
>>1 Believing a sign of 乙
接触回線で
>>1乙したでしょう!
本日分投下します↓
第四十六話「戦場は憎しみ果てしなく」
前線に向かうカミーユとハイネはビームと爆発の光が交錯する中でアカツキを発見する。派手なMSなので見つけるのは容易だった。
続けて三機で固まって暴れているドムを発見する。
「ザフトが形無しだな……コーディネイターの優位性もMSの性能の前には無意味って事かよ……!」
焦りを隠せないハイネは不安を口にする。
「あの向こう……誰かが居る……?」
一方のカミーユは交戦の激しい宙域の更に向こうに何かを感じて動きを止めてしまう。
『カミーユ、仕掛けてくるぞ!』
「え…?」
ハイネの言葉に我に返り、カミーユはこちらに向かって来るアカツキとドムに気付く。
『マーズ、ヘルベルト!奴等を覚えているね!』
「勿論です、忘れるわけがありません……!」
カミーユに屈辱を負わされたマーズは眼鏡の奥で眼光をぎらつかせる。
『姐さん、しかし一機足りませんぜ?インパルスが居ないんでさぁ!』
「気にするんじゃないよ、ヘルベルト!突っつきゃ出てくるってもんさ、慌てるんじゃないよ!」
『気になりますぜ、姐さん!オーブでの屈辱はここで返して置かないと俺の気が済みませんぜ!』
「自重しな!先ずはレクイエムを止めるのが先だよ!お礼参りはその後にしな!」
三機のドムは編隊を整えてカミーユとハイネに襲い掛かる。
『ちょっと待ちな!俺はトリコロールカラーの奴をやらせてもらうぜ!あんた等はあっちのオレンジショルダーの相手をしな!』
そんな時、アカツキのネオが待ったを掛ける。アカツキに乗り換えた事により、ネオは今度こそΖガンダムに勝てると思っていた。
『そうは行きませんよ!数はこちらの方が多いのです、まとめて相手する方が宜しいでしょう』
「待ちな、マーズ!オレンジショルダーもトリコロールカラーも確実に落とす事が最低条件だよ!なら、あたし達は三機で確実にオレンジショルダーを落とす!その後にじっくりトリコロールカラーの相手をしようじゃないか?」
ヒルダはネオを信用しきっていなかった。いくら以前にラクス達と共に戦っていたかもしれない人物でも、元々は連合の人間である。キラ達のように実感がこもっていない分、ネオの存在を警戒していた。
だからこそ、共闘は易々と出来るものではないと踏んでマーズを窘める。彼女達はオーブにではなく、ラクスに共感しているのだ。
『……了解しました』
「そういうわけさ、止めて悪かったね?」
『理解のいい美人さんで助かったよ!』
「お世辞だけは上手いようだね、大佐さん!」
ネオはカガリからアカツキを預かっていた。
アカツキのバックパックの換装パーツには、ドラグーン装備のシラヌイと大気圏内戦闘用のオオワシの二種類が存在する。ドラグーン装備のシラヌイは、カガリには扱えないが空間認識能力保持者のネオにはとても有意義なMSに変貌する。
ネオはドラグーンを展開してΖガンダムに襲い掛かる。
「あれは…ドラグーン!ビットもどきか!」
アカツキのバックパックから切り離されるドラーグーンユニットを見てカミーユは自分の世界で体験したキュべレイのファンネルを連想する。
『また会ったな、スペシャル君!今度はあの時の様には行かないぜ!』
感覚的に得意であると直感したのか、ネオはドラグーンの制御に絶対の自信を持っていた。それがムウであった時の記憶の残り粕程度のものであったが、馴染んだ感触は本物である。巧みに操作してドラグーンでΖガンダムを追い込みに掛る。
「キュべレイほどの小ささではない、落してみせる!」
カミーユは思っていたよりも的の大きいドラグーンに向かってビームライフルを撃つ。
『何処を狙っている!』
しかし、優れた空間認識能力を持つネオのドラグーン制御はそんなカミーユの攻撃をかわす。
『振り回されて本体を忘れるなよ!』
「意外とやる!」
ビームサーベルで切り掛かって来たアカツキの攻撃をカミーユはシールドで防ぐ。
『お前さんにウインダムの腕を切られた事、俺は忘れていないぜ、異邦人の少年!』
「この声……!お前はステラの!」
カミーユもネオの声を覚えていた。ネオに対する怒りが湧き起こる。
『……?何故お前がステラを知っている?あの子は……』
「貴様がステラの名を口に出すな!」
Ζガンダムは右腕を差し出してグレネードランチャーの発射態勢をとる。
『うおっ!』
アカツキは眼前のグレネードランチャーの発射口から逃れるようにΖガンダムから離れる。
「当れッ!」
Ζガンダムの右腕からグレネードランチャーが射出され、誘導能力を持つ弾頭がアカツキを追いかける。
『誘導弾かよ!?』
ネオはドラグーンでグレネードランチャーを叩き落し、一旦バックパックに収納する。そこへ更にハイパーメガランチャーの強力なビームがアカツキを襲う。
『なっ!?どういう神経してんだ、あの餓鬼は!』
避ける必要は無かったが、突然の攻撃に思わずネオは回避行動をとってしまう。
続けてもう一発ハイパーメガランチャーのビームが襲う。
『無駄だよ!』
今度は回避行動をせずにそのままビームを受けてそれをΖガンダムに弾き返す。
「何!?」
撃ったビームが自分に返ってきた事に驚きながらもカミーユは回避する。
「ビームが効かない?…なら!」
ハイパーメガランチャーを投棄し、ビームサーベルを握らせる。
『このアカツキに接近戦を仕掛けるって言うのか?出来るもんならやってみな!』
再びアカツキはドラグーンを展開させる。その動きは接近してくるΖガンダムの動きを阻害するようにアカツキの前にビームの壁を形成する。
「舐めるなぁ!」
それでもΖガンダムはそのビームの網の中に自殺志願者のように飛び込んでくる。
『飛んで火に入る夏の虫か?かわせるかよ!』
Ζガンダムに向けられるビームが激しさを増す中、カミーユはネオの呼吸を感じるように冷静にドラグーンの動きを把握する。紙一重の攻撃をすり抜け、Ζガンダムはアカツキに接近し続ける。
『こいつ…化物か!?』
「落ちろぉぉ!」
逆袈裟切りで振り上げられるビームサーベルをアカツキは念のためにシールドを構えて回避する。それはアカツキの装甲がビーム射撃は弾けるが、ビームサーベルの斬撃は防げない事をカミーユに証明する行為だった。
瞬時にそれに気付いたカミーユは追撃でアカツキに再接近を試みるが、ドラグーンの群れがそれを阻止する。
「うろちょろと!」
Ζガンダムはビームライフルに持ち替え、カミーユは意識を集中させる。飛び交うドラグーンの動きに呼吸を合わせていた。
(見える……この動き、ハマーンのキュべレイみたいにジャミングのような感覚は感じられない……!)
元々積まれていたバイオセンサーと後付のサイコフレームが微かに反応し、サイコフレームの光の色である緑の光が微かに洩れる。
「そこぉっ!」
狙い済まされたΖガンダムのビームライフルの一撃がドラグーンの一基を捉え、撃墜する。
『何!狙い撃ちされたのか!?』
「もう一つ!」
続けざまに放たれた一撃がもう一機のドラグーンを破壊する。
一度に二機のドラグーンを失ったネオは堪らずにドラグーンを回収する。
『くそっ!一対一じゃまだ俺にはこいつに勝てないってのか!?』
「待てよ貴様!」
逃げようとするアカツキにウェイブライダーが追従する。MA形態のΖガンダムからは流石に逃げ切る事は出来ずに、アカツキはMS形態に戻ったΖガンダムに後ろから組み付かれてしまう。
『こいつ……俺を生け捕りにするつもりか!?』
「百式のパイロット!お前は連合のネオだな!」
『百式ぃ?何だそりゃ!』
「質問に答えろ!」
後ろからビームサーベルの刃を突きつけ、ネオに回答を迫る。
『そ、そうだ!俺はネオ=ロアノーク大佐だ!』
「何故連合のお前がオーブに味方をする!?」
『お前等が気に食わないからだよ!』
「何だと!?」
『そういうお前は何でザフトに味方してんだ?お前が別世界からの異邦人だって事は、連合の中でも話題になってたんだぜ!言ったよな、俺は、お前はこの世界に関係無いって!』
「関係は無いが理由はある!」
『出任せを!異邦人のお前に理由があるわけ無いだろうが!』
「ステラをお前のような奴から救い出せた!」
『何!?』
ネオは意表を突かれて言葉が出てこなかった。
ベルリンでの戦闘の折、ネオは早々にキラに撃墜され、その結末を知らなかったのだ。次に意識を取り戻したのがアークエンジェルの医務室だった為に、ネオはステラはベルリンでの戦いで戦死したとものと思い込んでいた。
『ステラが生きている……?何処でだ!?』
「知ってどうするつもりだ?お前をステラと会わせるかよ!」
『そうかい……!』
ネオはドラグーンの一基を射出し、Ζガンダムを狙撃する。Ζガンダムはそれを回避する為にアカツキを手放してしまう。
『お前が教えてくれないなら、俺は先に行かせて貰う!目的を果たした後、ステラを捜させてもらうぞ!』
「行かせるかよ!」
アカツキはレクイエムの方へ進路をとり、Ζガンダムもそれを追う。
『オレンジショルダーのねぇ…生意気なんだよ!』
ドムの三機と交戦するハイネはヒルダ達のコンビネーションに苦戦していた。
オーブの時とは状況が違い、たったの一機で三機のドムを相手にするのは無謀に近かった。ヒルダ達は三人揃ってその真価を発揮する。
「こいつら…三機まとめては流石にきついか……!」
セイバーは既にビームライフルを失い、ビームサーベルを気休め程度に保持させているだけに過ぎなかった。収束プラズマビーム砲は角度の自由が利かない為、自在にコンビネーションを変えてくるヒルダ達には効果的な攻撃が出来ない。
それでも、ザフトの赤服としてのハイネの誇りが、ヒルダ達のコンビネーションの一瞬の隙を突いては収束プラズマビーム砲を放つ。回避行動に殆どの労力を奪われながらも、ハイネの技術は凄まじい物だった。
シンやレイ、カミーユの存在に隠れがちだが、彼もまたMSパイロットとしてはトップクラスの腕を持っていたのだ。
しかし、状況はそれ程甘くは無い。何とか粘り続けてきたハイネであったが、それも時間の問題であった。
「ヘルベルト!あんたはオレンジショルダーの後ろに廻りな!あたしとマーズが注意を惹き付ける、止めはあんたが刺すんだよ!」
『おいしい所を俺が貰っちまって良いんですかい?』
「ちゃんと仕留めてからからそういう事は言いな!仕掛けるよ、マーズ!」
『はっ!』
ヘルベルトのドムが他の二機から距離を離れてハイネの視界から消える。残りの二機はセイバーの正面から襲ってくる。
「一機消えた……?奴等、何を企んでいる?」
一機別行動をとったことにより、ハイネの脳裏に一抹の不安がよぎる。
何とか凌いできたが、これまでとは違うヒルダ達の動きに翻弄されている事が十分に分かっていた。
「あたしはフリーレンジから仕掛ける!マーズはオレンジショルダーの正面に蓋をしな!」
『了解です!』
「また一機外れた!正面から仕掛けてくるのは一機だけか!」
目の前からマーズのドムが一直線に近付いてくる。ハイネはそこを突破して展開の打開を試みようとして収束プラズマビーム砲を放とうとした。
「こいつをいなせれば!」
『甘いね!』
正面の目立つマーズのドムに気を取られ、横からのヒルダのビームに収束プラズマビーム砲を破壊されてしまう。
「しまった!正面は陽動か!」
続けてマーズのドムがヒートサーベルを片手にセイバーに接近戦を挑んでくる。
ハイネはそれにビームサーベルで対抗する。
「わざわざこちらのレンジに合わせてくれるなんて、意外と御人好しなんだな!」
『それだけだと思いますか?』
「何!?」
背後からはヘルベルトのドムが照準を合わせている。マーズがわざわざ接近戦に持ち込んだのはセイバーの動きを止める為だった。
セイバーのコックピットの中にターゲッティングされた警告音が鳴る。
「二段構えの陽動……!本命は後ろの……」
『今更分かった所で遅いですよ!往生しなさい!』
『貰ったぜ、オレンジショルダー!』
ヘルベルトがビームの発射スイッチを押そうとしたその時、予想もしていなかった方向からの攻撃が彼のドムを襲った。油断していたヘルベルトはそれに対応できず、左腕を損傷する。
『誰だ!俺のドムの左腕を穴だらけにしてくれたのは!』
ヘルベルトが砲撃の飛んで来た方向に視線を移すと、凄まじい勢いで一機のグフがヒートロッドを振り回して突撃してくる。その距離は直ぐ側まで迫っていた。
『何だとぉ!?』
『ハイネ隊長ぉぉぉぉぉ!』
グフのヒートロッドはヘルベルトのドムの損傷した左腕を絡めとリ、ボロボロになったそれを引っ張って完全にもぎ取ってしまった。
『うおおおぉぉぉぉぉっ!』
『ヘルベルト!』
引き千切られた勢いでヘルベルトのドムは飛ばされて行ってしまう。その展開にヒルダは声を荒げる。
『よくもヘルベルトを!マーズ、あんたはヘルベルトを引き戻してきな!あたしはこいつ等を許しはしないよ!』
『ですが、隊長!』
『あたしの言う事が聞けないってのかい!』
『りょ、了解しました……』
マーズは刃を交えるセイバーを力任せに弾き飛ばしてヘルベルトのドムが飛ばされて行った方向へ向かう。
『ご無事でありますか、ハイネ隊長殿!』
「お前、その声……!」
『お久しぶりであります、ヘブンズベース攻略戦ではお世話になりました!』
ハイネの救出にやって来たのは彼がヘブンズベース攻略戦で出会った気弱なグフのパイロットだった。
彼はハイネのセイバーが苦戦しているのを偶然発見し、それを助ける為に所属部隊の命令を無視して援護にやって来たのだ。ハイネの耳に、かつての臆病な彼の声は聞こえてこない。
「助かったぜ、流石に俺も危なかった……」
『光栄であります!相手は一機だけです、一気にやってしまいましょう!デュランダル議長の理想の為に!』
「あ…あぁ……」
グフのパイロットの言葉にハイネは心苦しい気持ちになる。
彼は一生懸命デュランダルの理想の為に戦っているが、ハイネはそれを阻止するつもりでいるのだ。今はザフトの為に戦っているが、いずれはこのグフのパイロットを裏切る事になってしまう。
それがハイネの心を悩ませて歯切れの悪い返事になってしまった。
(済まないな……結局、俺もアイツと変わらないって事か……)
その場に残ったのはヒルダのドム一機のみである。武装を殆ど失ってしまったとはいえ、増援に駆けつけてくれたグフと協力すれば彼女位は何とかなる。
とりあえずハイネは状況の打開を図ろうとする。しかし、ヒルダのドムを相手にしようとした時、早くもマーズとヘルベルトが戻って来てしまったのだ。
『姐さん、申し訳ありません!』
「ヘルベルト!早かったね、やれるのかい?」
『勿論ですぜ!この借りは倍にして返してやりますよ!』
不意を突かれ、派手に吹っ飛んでいったヘルベルトであったが、実際は大した事無く、マーズが救出に行くまでも無く自力で戻って来れたのだ。
『隊長も大げさです』
「ふん、ガラにも無いと反省しているよ」
『やっちまいましょう、姐さん!』
「おうさ!行くよ、あんた達!」
『『了解!』』
三機のドムは一斉に仕掛けてくる。
『そ、そんな!』
「お前は原隊へ戻れ!奴等の相手はお前では無理だ!」
『は…いえ!』
言うなり、グフは果敢に三機のドムに躍り掛かる。ビームサーベルしか持たないセイバーを庇う為に自分を囮にしようと考えていたのだ。
そんな無謀なグフのパイロットの行動にハイネは叫ぶ。
「止せ!死んじまうぞ!」
『ここは自分が食い止めます!ハイネ隊長殿はミネルバへ戻って補給を!』
「馬鹿野郎!お前を残して行けるか!」
ハイネもグフのパイロットに続いてビームサーベルを片手に突撃する。
『はっ!特攻かい?賢い選択じゃないね!』
『一思いに撃墜してやる!』
片腕を失ったヘルベルトのドムが先頭で突っ込んできたグフに仕掛ける。その動きから、ヘルベルトはグフは全く相手にならないと思っていたが、ばら撒かれる四連重突撃銃が予想以上に機体を自由にさせてくれない。
そこへ先程と同じ様にヒートロッドがしなる。
『自分は…自分はぁ!』
グフのパイロットはプラントに住む家族に想いを馳せ、必死にヒートロッドを振り回す。だが、マーズのドムから放たれたビームが横からグフの右肩から先を削り取ってしまう。
『うわぁぁぁぁぁっ!?』
続けざまにヘルベルトのドムが蹴りを入れ、グフはキリモミして吹き飛ばされる。
「おいっ!?」
ハイネが必死に呼び掛けるが、吹き飛ばされているグフに間髪入れずにヒルダのドムが照準をつける。
「や、止めろ!お前等止めろぉぉぉぉ!」
必死にグフを助けようとセイバーを向かわせるが、そんなハイネの努力も空しくヒルダは無情にもグフを撃ち貫く。
「うぉおあああぁぁぁぁぁ!」
グフが閃光に包まれる中、ハイネはセイバーのコックピットの中で慟哭する。
自分の余りにもの無力さにコントロールパネルに額を力一杯打ちつけた。
『さあ、オレンジショルダーをやるよ!』
ヒルダの号令と共に三機のドムは沈黙するセイバーに襲い掛かる。
「くっ…そおぉぉぉぉぉぉっ!」
ハイネはセイバーをMAに変形させて全速力でミネルバへ向けて敗走する。
歯を食いしばり、グフのパイロットが命を懸けて血路を切り開いてくれた事に感謝し、同時に自分の情けなさに憤りながらひたすら追い付かれない様に逃げた。
プライドをかなぐり捨て、グフのパイロットの気持ちに応える為、恥と知りながらも無様に逃げた。その胸中では、燃え滾る怒りの炎が秒単位で大きくなっていっていた。
そこから少し離れた宙域で、ネオのアカツキを追いかけていたカミーユはハイネの心境の変化を敏感に察知した。
「ハイネ……!?いけない、憎しみに囚われては!」
急に方向転換し、Ζガンダムはウェイブライダーに変形してセイバーの下へ急行する。
「ん…あいつ、諦めたのか?…それとも何かの罠か……」
背後から消えたΖガンダムを不審に思い、ネオは考え込む。
「だぁぁ!考えたってわからねぇ!何考えてるかなんて知るか!」
ネオは単純に思考を停止させ、レクイエムへ向かう。
そんな時、不思議な、しかし懐かしいような感覚が脳を迸る。
「何だこの感覚……?何処かで俺が知っている奴が…来る!」
周りには相変わらずのザクやグフの群れ。その中をアカツキは残った六機のドラグーンを操り、時には敵のビームを跳ね返したりしながら突き進む。
そして、少し距離を進めた所で彼方から二機のMSが姿を現す。キラのストライクフリーダムとレイのレジェンドだった。
「この感覚…キラの後ろから付いてくる奴なのか……?」
アカツキに接近してくる二機は激しい攻防を繰り広げながらも、更にお互いの敵となるMSを撃破していた。
目を良く凝らしてみると、彼等の通過してきたルートには破壊されたMSの残骸が漂っている。それはさながら宇宙をMSで均しているかのようであった。
『君は!?』
レジェンドと交戦しながら、キラはその相手に不思議な既視感を抱いていた。
『誰だ…君は一体誰なんだ……!』
「分かっているだろう!俺はお前を殺す!」
『何故だ!?何故君はそれほどにまで僕を憎む!?』
「お前の存在が…これからの世界に必要ないからだ!」
『教えてくれ!君は…君は僕にとっての何なんだ!?僕は君にとって何なんだ!?』
「俺は……ラウ=ル=クルーゼだ!」
キラはレイから伝えられた名前に目を見開く。
「君…が……ラウ=ル=クルーゼ……?」
明らかにストライクフリーダムの動きが鈍くなる。キラはレイの言葉に普段の彼からは考えられないほど動揺していた。
ラウ=ル=クルーゼ…彼は前大戦の最終決戦の折にキラと戦い、敗れて巨大なガンマ線砲ジェネシスの光の彼方に消え去った。
クルーゼはムウ=ラ=フラガの父、アル=ダ=フラガのクローンであり、彼もまたレイと同じ様にテロメアの短さから若くして老いが始まっていた。
そんなクルーゼは何の為に生まれてきたのか分からぬまま人生を過ごし、苦悶の果てに彼が出した結論は人類の抹殺であった。
その過程でクルーゼは完璧な存在であるキラの事を知り、彼に会った事でその決意をより強固なものとしてしまう。
結局はクルーゼの計画はキラに敗北する事で失敗に終わってしまうが、彼が連合とザフトの両軍に核を撃たせてまでして人類を抹殺したかったのは、人いう種の果て無き欲望の副産物として自分が生み出された事に止め処ない憤りを覚えたからである。
その結果、人類は彼の狂気に振り回されて本当に破滅を迎えてしまいそうになった。
そんなクルーゼに止めを刺したキラの前に、彼の名を名乗る人物が現れた事にキラは頭の中がパニックになっていた。
レイはそのキラの動揺を見逃さず、一気にドラグーンを展開させて勝負を決めようとした。
しかし……
「ぐ…何だ、この不輸快感は……!」
レイがネオの存在をキャッチしたのだ。感覚が指し示す方向に視線を移すと、派手な金色のMSがレジェンドを見つめていた。
「お…俺は…お前は……!…そうか……俺は、そうだったのか……!」
ネオの記憶が蘇って来る。
前大戦の最終決戦時、ムウはアークエンジェルと同じ型のドミニオンのローエングリンからアークエンジェルを守る為にその身を盾にして行方不明になっていた。
その後の事は記憶に無いが、ムウは気付いた時にはネオ=ロアノークとしてファントムペインの指揮官を務めていた。
ムウの記憶は、彼の父であったアル=ダ=フラガのクローンだったクルーゼと同じクローンであるレイと感応する事で呼び覚まされたのだ。
『キラ!クルーゼの相手は俺に任せろ!お前は急いでレクイエムへ向かえ!』
「ネオさん!」
『違う!俺は……ムウ=ラ=フラガだ!』
はっきりと言い放つネオ。完全にムウの記憶を取り戻していた。
止まっていたムウの時間が長いネオの時間を挟んで再び動き出す。
「ムウさん!」
『すまなかったな、キラ!俺はもう大丈夫だ、心配ない!』
「いえ、いいんです。生きていてくれただけでも……」
『感動の再開は後でするとして、今はレクイエムを止める事が前提条件だ!行け!』
「ハイっ!」
「そんな前提条件など、作らせるか!」
離脱を図るストライクフリーダムにレジェンドのドラグーンが一斉に襲い掛かる。
「クルーゼ!」
アカツキからもドラグーンが射出され、レジェンドのドラグーンのコントロールを阻害しに掛る。
「くぅ……!貴様は!」
『お前がクルーゼだと言うのなら、お前は俺が止める!』
「貴様が…ムウ=ラ=フラガか!キラ=ヤマトは先に行かせる訳にはいかん!」
ストライクフリーダムはレジェンドのドラグーンに足を止められている。
レイはストライクフリーダムに費やすドラグーンの何基かを呼び戻し、対アカツキに回す。しかし、レイとレジェンドの力を以ってしても高性能機二機の相手は不利であった。
『邪魔をするな、クルーゼ!お前の妄執にこれ以上世界を付き合せるんじゃない!』
「妄執だと?キラ=ヤマトの存在が、ラウの存在を踏みにじったのだ!それをラウと同じクローンである俺が倒し、その上でギルの理想を実現させるという本懐を為す!」
『クローンだって!?お前がクルーゼと同じのクローンだと言うのか!?」
「その通りだ!」
『だが、クルーゼがキラの存在を疎ましく思っていようと、それは奴の我侭に過ぎないだろ!お前までそんな奴の憎悪に染まる事は無い!』
「無駄口は好きか、ムウ=ラ=フラガ!」
ストライクフリーダムを牽制しつつ、アカツキのドラグーンをかわしながらもレジェンドはビームライフルを連射する。当然アカツキにはビームは効かないが、レイは一人で凄まじい事をやってのけていた。
「くそっ!早く行かなくちゃいけないのに……!」
先を焦る余りにキラはレジェンドのドラグーンから中々抜け出せないで居た。
レイのドラグーンの操作は、キラの想像するドラグーンの動きを遥かに凌駕していた。自分で操るようになってから気付いたが、ドラグーンの制御はとてつもなく難しい。それを、彼がクルーゼと同じクローンであるとはいえ、ここまで自在に操れる事に感心を覚えるほどだった。
『キラ!』
そんな時、苦戦するキラの下へアスランの声が聞こえてきた。
レーダーの反応する方向へ視線を移すと、そこからインフィニットジャスティスがデスティニーを伴ってやって来た。ずっとデスティニーから逃げ回っていたのだ。
「アスラン!」
アスランの到着にキラは少し安心する。しかし、同時に招き込んでしまったデスティニーの存在を懸念する。
「アスラン……結局はお友達とつるんでなきゃ何も出来ないようだな!」
二人が乱入してきた事により、戦いは乱戦の様相を呈する。ザフトとオーブ、合計五機のGタイプが揃ったのだ。
「あの金色、乗っているのは馬鹿元首か?…なら丁度いい、ここで全ての決着をつけてやる!」
シンはデスティニーをレジェンドに接近させる。
『シン、ミネルバを近くに呼べ!タンホイザーで狙撃させる!』
「え……?チェンにこいつ等を狙撃させるのか!?それは無茶だ!」
『俺たちのコンビネーションならやれる……!』
「けど!」
『今ならドラグーンが使える!それにお前のデスティニーの高速機動が加われば、出来ない事も無い!』
「……」
『隊長命令だ!』
「……分かった、呼ぶぞ!」
時間稼ぎの為にレイは更に神経を研ぎ澄ませ、三機の動きを封じるようにドラグーンを展開させる。しかし、たった一機のドラグーンではどうしても穴が空いてしまう。加えてストライクフリーダムとアカツキのドラグーンも飛び交っている。
「呼んだぞ、レイ!」
『よし……!コンビネーションアタックを仕掛ける!デスティニーを最大稼動させろ!』
「ああ、やるぞ!」
デスティニーから一際大きいスラスターからの翼が生える。それはまるで生物の翼のように飛び散った光の塵が、抜け落ちる羽根のように見えた。
シンは自身に負担を掛けて三機に向かって行く。
『何だありゃ!?派手にすりゃあいいってもんじゃないだろうが!』
初めて見るデスティニーの神々しいまでの姿にムウは度肝を抜かれる。
「気を付けて下さいムウさん!あれは危険です!」
『気を付けるったって、あの速さは……!』
キラはデスティニーの危険さを身を以って体験している。シンとレイのコンビネーションには彼も苦しめられた。
「…二人とも、シンの動きは俺が必ず止める!ここは俺に任せて先にレクイエムを叩いてくれ!」
『駄目だ、アスラン!君はここで死ぬつもりだろ!?』
「キラ……!」
「戦場で何ちんたらやってんだ、あんた等はぁぁ!」
光の塵と残像が織り成すデスティニーの高速機動は視覚を狂わせる。そこへレジェンドのドラグーンがデスティニーだけを避ける紙一重の技術で嵐のようなビームを散乱する。
『おい、キラ!俺たちも!』
「はいっ!」
ストライクフリーダムとアカツキはドラグーンを展開する。
しかし、どちらかと言えば囲われている側の彼等のドラグーンは、敵を狙おうにも立場が悪すぎた。ドラグーンは敵を囲んでオールレンジからの攻撃が理想の形なのだ。
一方のインフィニットジャスティスはビームライフルで牽制を繰り返すが視覚を惑わされ、効果的な成果を挙げられない。
数的優位を作りながらも、彼等はシンとレイのコンビネーションの前に徐々に押さえ込まれていった。
『くっそ!こいつ等、相当連携訓練を積んでやがるな!おい、お前らも親友同士ならコンビネーションで返してやれよ!』
レジェンドのドラグーンのビームの嵐、そしてMSで縦横無尽に駆け巡るデスティニーからの攻撃を何とか防ぎながらムウは二人に要求する。
「アスラン!」
『キラ!行くぞ!』
ストライクフリーダムがフルバーストアタックの姿勢をとる。
インフィニットジャスティスが連結式ビームサーベルを振り回して周囲からの攻撃を牽制する。そして、インフィニットジャスティスだけでは埋めきれない隙間をアカツキがその身を盾にしてストライクフリーダムを守る。
『シン!フリーダムを中心に攻撃しろ!』
「分かった!」
レジェンドのドラグーンがデスティニーを援護し、シンはアロンダイトを構えてストライクフリーダムの背後から切り掛かる。
瞬間、前大戦の最終決戦以降目覚めてなかったアスランの覚醒が突如起こった。
鋭くなる瞳は完全にデスティニーの動きを捉え、未然の所でシンの攻撃を防いだ。
「あんたって人は!」
『いい加減に目を覚ませ、シン!』
デスティニーの動きがインフィニットジャスティスに止められた事により、レジェンドの存在が孤立する。
『見えたぞ、突破口が!』
一旦収めたドラグーンを再び射出し、孤立したレジェンドを襲う。
「く……!アスラン=ザラめ!」
レイは止む無くレジェンドの回避行動に専念をせざるを得なくなる。
「ムウさん、前を開けて!」
キラの準備が終わり、アカツキはストライクフリーダムの射線上から離脱する。
狙いはレジェンド及びそのドラグーン。
「しまった!?」
それに気付いたレイは慌ててドラグーンを回収しようとする。
「いっけえぇぇぇ!」
しかし、数瞬早くストライクフリーダムからフルバーストアタックが放たれた。
「おのれ!」
レイは回避行動を取りつつもドラグーンを回収したが、その内の半分のドラグーンは回収できぬままストライクフリーダムの攻撃に巻き込まれてしまった。
「よし、今だ!行くぜ、キラ、アスラン!」
シンとレイを分断した事により、進路が出来た三人はレクイエムへ向かおうと離脱しようとした。
しかし、その時三機の行く先をタンホイザーの光が行く手を遮る。
「うおっ!?……ちぃ…何だってんだ!」
『これは…ミネルバのタンホイザー!』
「何だって!?ミネルバはマリューが相手してんじゃなかったのか!?」
アスランの言葉にムウは動揺する。
「まさか…マリューさん……!」
『縁起でもねぇ事を言うんじゃねぇ!アイツが…こんな事でやられるかよ!』
キラの言葉に激昂する。ムウとて信じたくは無かった。
『よし、間一髪ミネルバが間に合ったな……!シン、もう一度仕掛けるぞ!』
「ああ!」
デスティニーは再び光の翼を広げて高速機動を繰り出そうと三機に接近しようとする。しかし、今度は彼等の前をローエングリンの光が横切った。
「何!?」
思わずシンはデスティニーにブレーキを掛ける。
「タンホイザー第二射準備!」
「並行してアークエンジェルに牽制の砲撃を怠るな!」
ミネルバのブリッジではタリアとアーサーの指令が引切り無しに飛び交っていた。
ブリッジのクルーは二人の止め処ない指令に必死に応え、大量の作業をこなしている。
アークエンジェルと交戦していたミネルバはシンからの要請を受け、ルナマリアにアークエンジェルの陽動を任せて現場にやって来たのだ。
一度アークエンジェルから離れてしまえば、足が自慢のミネルバである、突き放すのは容易であった。陽動を終えたルナマリアを呼び戻し、追いかけてくるアークエンジェルより先行して辿り着く。
思った以上に早かったアークエンジェルの足は予想外だったが、レイの注文通りに三機の足を止める事が出来た。
ミネルバの援護の為に付随して来たルナマリアは、現場の状況に全身の毛が逆立つのを感じた。目の前にはストライクフリーダムとアカツキ、そしてインフィニットジャスティス。
この光景に開戦してから抑えてきた感情が遂に爆発する。
「見つけた!もう逃がさない!」
インパルスに加速を掛け、デスティニーと対峙する赤いMSの下へ向かう。
この戦争を通じ、頑張った事や傷ついた事を何度となく繰り返し体験してきた。
時には仲間と衝突したり、又ある時はその仲間に助けられたりもした。ミネルバで過ごした時間はルナマリアにとって大切なものになったことであろう。
だからこそ、彼女には一つだけ許せない事が存在した。
アスラン=ザラの裏切り……今更彼に惹かれていた事を否定するつもりはないが、それ以上に彼が大切な仲間を見捨てた事に深い憤りを覚えた。彼女のアスランに対する憎しみは他の誰よりも大きく、憧れから転じた失望が彼女をアスランの下へと駆り立てる。
「何が信念だ!何が抑止力だ!何がザフトを正したいだ!」
『!?』
インパルスは高速でインフィニットジャスティスに組み付く。
『全部、あんたに何一つ言う資格が無い事じゃないのよぉ!』
「ルナマリア……!」
『アスラン!』
キラがアスランに援護をしようとするが、その前にシンのデスティニーが立ち塞がる。それならばとムウが代わりを務めようとするが、彼の前にもレイのレジェンドが立ち塞がった。
「君達は!」
「お前にルナの邪魔はさせるものか!」
「ち…クルーゼより嫌な奴だよ、お前は!」
「ムウ=ラ=フラガ…それは貴様にも言える事だ」
各員が対峙する。ミネルバとアークエンジェルも熾烈な牽制のし合いを繰り返している。
インフィニットジャスティスは至近距離でビームライフルを向けようとするインパルスの腕を掴み、ルナマリアの意思に逆らうように抵抗する。
『聞いてくれ、ルナマリア!お前達がする事が本当に正しい事なのかどうか…もう一度考えてくれ!』
「何遍も言わせるな!あんたに正義云々を語る資格は無いって、分からないの!?」
『何故だルナマリア、君は!』
「あんた……あんたがどれだけ皆を苦しめたと思っているの!?」
『それは…すまない事をしたと思っている!だがルナマリア、俺は…』
「言い訳しないで!はっきり言っておく!私達はあんたを決して許さないわ!」
『ルナマリア…何が君をそれ程に変えたんだ!』
「本気で言ってるの……?あんたのせいに決まってるでしょ!?だからあんたは無責任なのよ!」
『俺の…せい……?』
「とぼけないで!」
首を激しく振って猛烈にアスランに詰め寄るルナマリア。それに気が動転したのか、インフィニットジャスティスの掌からインパルスのビームライフルがするりと抜け落ちる。それを好機と踏んだルナマリアは躊躇い無くトリガーを引く。
「!?」
インフィニットジャスティスの掌から零れ落ちた影響からか、銃身のぶれたビームライフルの一撃はインフィニットジャスティスの左肩のアーマーを吹き飛ばしただけに留まった。
その事実に驚愕するアスランはインパルスを突き放して明後日の方向へ全力で逃げていく。
「逃げるなぁぁぁ!」
「本気で…本気で撃ってきた……!?」
気味の悪い汗を掻き、一点を見つめるアスランの表情は病人そのものであった。
アスランの思考は自分の信念に対する自信と懐疑が入り混じり、混乱の様相を呈し始めていた。
後ろから追いかけてくるインパルスから身を隠すようにデブリを利用しながら、インフィニットジャスティスは当ても無く彷徨う。一方のルナマリアもここで逃がすつもりは毛頭無く、今や完全に彼女のモノとなった相棒のインパルスでアスランの行方を追跡していく。
〜つづく〜
アスランマジ蝙蝠乙
向こうは感想スレになるのか?
GJ!
そうだ、電波ニートとピンクに魂を売った蝙蝠を懲らしめてやれ、ルナマリア!
向こうのスレはまだ100以上残ってるのにな
つ容量
職人さんGJです
本編より遥かに面白い
GJ!
蝙蝠は自分のやってしまったことを理解できなかったようで。
桃色電波から抜け出たカガリにも捨てられるし、原作みたいにメイリンがいるわけでもなし。
本当に何も無くなってしまった訳だけど精神崩壊してしまうんじゃないか?
漏れはインパルスに撃墜されてアボーンだと見た。
ここまで来て死なせてもらえるのは幸せだぞ
ビームコンフューズマダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
カミーユの超ハイパー化まだ?
凸ウモリにはまだキラキュンがいるから平気さwww
GJ!!
そして…兄貴お帰り!!
本編で絡みが無かった、レイ対ムウが良かった!!
それから、名無しのグフのパイロット…(-人-)
次回、楽しみにしてます。
凸はいったいなにやってんだ…
俺もビームコンフューズ来るかと思った
乙ですが…ちょっと気になった点を一つ
>Ζガンダムの右腕からグレネードランチャーが射出され
ランチャー射出したらあきませんがなwwww
ストフリのならともかく、アカツキのはヤタノカガミがあるからちゃんと狙わないと反射するんじゃね?
TVや小説等のオフィシャルものに加えて同人誌や各SS等含めて
色々見てきた中で今回ほどルナに感情移入した事はない…
…つーか、実は既に種割れしてね?
GJ!
ハイネ!死ぬんじゃないぞ!
今、フラグがビンビンに点滅してるからな。
偽ドムズごときにやられないよう祈っておこう。
こんな気色悪い洗脳トリオにやられちゃ、ハイネが可愛そうだ。
本気で撃ってきたって……凸、お前何処で何してるつもりだ?
ルナも追わなきゃ良いのに、殺すに値しない男だぞ、コレ?
まあ、戦力を一つ減らしたと思えば悪いもんじゃないですよきっと
ハイネはマジで主人公してるなぁ、ルナマリアも主人公に見えるし
シンの立場がどんどん追いやられている(笑)
かませ犬ムウワロスwwwwwww
凸も無様だなw
職人さんGJです。
情景を想像できる表現やテンポのよさ最高です!
次も期待してます!!
殺す価値も無いが、生きていると碌な事しないので始末終えない…
GJ!!
そんな事ないと思うけど、ルナが土壇場で返り討ちになりませんように。
ルナが無名のグフパイロットの二の舞になりそうで怖いと思ってるのは俺だけ・・・?
偽ドムは踏み台にされて死ぬべきだね
GJ!
ヘブンズベースの時のパイロットが来たのは驚いた
GJ!
ヘブンズベースの時のパイロットが来たのは驚いた
54 :
52:2006/11/29(水) 23:08:07 ID:???
2重投稿スマソ・・・orz
レイのオリジナルにあたる人物のバカ息子が記憶を取り戻したようだが、
こいつもいまさらどの面下げてステラに会おうというんだ?
まあ今は戦闘中だから仕方ないとして、いざ落ち着いて考え直したとき
(今回の戦闘で撃墜されなけりゃ、だけど)ネオとして行った数々の所業への
落とし前をどうするのか、と自問しなけりゃウソでしょ。
同人アニメではキレイさっぱり知らん顔でいっそう男を下げたわけだが。
56 :
通常の名無しさんの3倍:2006/11/30(木) 12:01:07 ID:1YgXdZEf
カミーユって安田顕に似てない。
気のせいか…
第四十七話「裏切りの代償」
ミネルバのブリッジでは相変わらずに激しいアークエンジェルの攻撃から、怒声と無機質な機械の操作音が纏まりの無い音楽を形成していた。
そんな時、通信担当のメイリンの耳に通信回線が聞こえてきた。
『……に居るミネルバ!こちらハイネ=ヴェステンフルス!ミネルバ、どこに居る!?』
「ハイネさん!?」
『やっと繋がったか!何のつもりで現場を離れた!?』
「いえ…その……レイ隊長から要請を受けまして……」
『レイだと……!』
回線の向こうからでもハイネの憤りが伝わってくる。普段のハイネからは考えられないほど低音の効いた声だった。その様子にメイリンは冷や汗が滲むのを感じた。
『…現在位置をこちらに送れ!それとデッキにセイバーの補給の準備をさせておけ!』
「は…はいっ!」
ハイネの凄まじい剣幕にメイリンは返事する声が震えてしまった。あんな剣幕で怒鳴るハイネは初めてであった。
ふと振り返ると、他のクルーの表情もいつもとは違う。皆一様に眉間に皺を寄せ、口は大きく開き、その眼は研いだナイフの様に鋭く光っていた。
(何、この雰囲気?これ、普通じゃ無い……!?)
メイリンの目に見えるのはいつもと同じミネルバのブリッジの風景とそのスタッフである。
しかし、そこでメイリンが目にした風景は彼女が全く知らない風景だった。
何かに囚われる様に戦いに引き込まれていくブリッジ。そしてそれは戦場で戦っているMSパイロット達も同様だろう。
どんな眠気も一発で吹き飛んでしまいそうな身を切り裂かれそうな雰囲気の中、ある意味で普通の女の子の感覚をもった、違う意味では軍属としては未熟なメイリンの感性はその異常性を鋭敏に捉える。
「セイバーが入るぞ!準備急げぇ!」
MSデッキに拡声器も使ってないのにマッドの声が空間全体にはっきりと響き渡る。
荒々しくセイバーが雪崩込んで来ると、コックピットが開いてハイネが滑り降りてくる。
「補給急げ!…おい、それ寄越せ!」
飲み物片手にヴィーノがせわしなく作業している所に、ハイネはその飲み物を奪い取る。ハイネの態度は横柄であったが、ヴィーノも状況に自分の感情を抑えられていたため、機械の如く何事も無かったかのように作業を続ける。
ピンと張った糸のような空気が全てを支配していた。
無駄口を叩く者は誰も居ない。
「マッド、どのくらいで出来る?」
「簡単な補給だけなら二十分…いや、十五分ってとこですかね。ライフルの予備はありますけどビーム砲は駄目ですぜ」
「無いのか?なら、半分の時間で終わらせろ」
そう言ってハイネは飲み物のカップを置く。
「半分?そりゃ無茶です!十五分だってかなり無理した時間ですぜ」
「そういう心構えでやれって事だよ」
「……了解です」
ハイネはかつて無いほど苛立っていた。三機のドムを相手に全く歯が立たなかったばかりか、友軍を犠牲にして逃げ帰ってきたのだ。
これまで隊長としてやってきた彼のプライドはズタズタに切り裂かれてしまった。
しかし、それでめげるハイネではない。
心の内で燃え上がる怒りの炎はそんな出来事も燃やし尽し、ドム三機に対する敵対心ばかりが膨れ上がっていった。今のハイネは開戦前にカミーユと話した議長の阻止など考えられる状態ではなかった。
その頃、ハイネのセイバーに振り切られたヒルダのドム隊であったが、障害が逃げた事で最優先事項であるレクイエムの破壊に向かっていた。
順調に三機のコンビネーションで進撃を続けていた三人だったが、そこへハイネの気配を辿っていたカミーユのΖガンダムと遭遇する。
「あいつは!金色の大佐は仕留められなかったようだね!」
『姐さんの仰るとおり、上手いのは世辞だけだったってことでしょう?俺達が奴の尻拭いをして恩を売っておきましょうぜ!』
『姑息な考えは感心しませんが、私には彼に借りがありますからね、ヘルベルトの意見に賛成です』
「よし…さっきのオレンジショルダーみたいに遊んでやんな!」
『了解です、姐さん!』
『掛ります!』
三機はΖガンダムを囲うように散開して三方向からの射撃をする。
「ハイネの気配を追って来たが、こいつ等まさか……!」
セイバーと交戦していた筈のヒルダ達が単独で行動している事にカミーユは不安を覚える。しかし、ハイネが撃沈されればカミーユにその事を感じる事が出来るはずである。
それが無かった事からハイネはまだ生きているのだろうと確信したが、だとすればハイネが何処に行ったのかが分からなかった。
カミーユは三機のドムの内のヒルダ機に的を絞り、接近を仕掛ける。
「こいつ……!ヘルベルト、マーズ!蜂の巣にしてやんな!」
ヒルダが命令すると、ヘルベルトとマーズのドムはビームを放つが、それは完全に見切られた動きで回避されてしまう。
『何だアイツは!?この前と全然動きが違うじゃないか!』
『大気圏内と空間では性能が違うとでも言うのですか!?』
「ちぃ……!」
耳に聞こえてくるヘルベルトとマーズの焦った声にヒルダは舌打ちをする。
正面から見てはっきりと分かった。Ζガンダムの動きはヒルダ達の常識を遥かに超越した動きをする。それはまるで相手の考えが分かっているかのような不気味さを放っていた。
「あたしに楯突くなんて、十年早いんだよ!」
威勢の良い叫びとは裏腹にヒルダはカミーユの危険さを分かってしまった。
それでも何とか虚勢を張って気持ちを誤魔化そうとΖガンダムに攻撃を仕掛けたが、それも当たり前のようにかわされて組み付かれ、ビームライフルを突きつけられる。
『気安く触るんじゃないよ!』
「……!女!?」
『女で悪いかい!』
聞こえてきた声にカミーユは一瞬戸惑ってしまった。だが、直ぐに気持ちを落ち着かせてヒルダのドムを他の二人に対して楯にするように向き直る。
『ヘルベルト、マーズ!あたしに構わずにこいつをやっちまいな!』
「待て!お前に聞きたい事がある!」
『子供の言う事は聞いてやれないね!』
「何だと!?それが捕われている側の言う事か!」
『あんた…ここに何しに来たんだい?あたし達は戦争をやってんだよ!』
「勝つ為なら死んでもいいって言うのか!」
『あんたを倒せるならね!危険なあんたを放置しておけるほど、あたしは耄碌しちゃ居ないよ!』
「大人が言う事かよ!」
『あんたが子供なのさ!』
『ど…どうすんだマーズ!姐さんの命令は……』
『く…卑怯な真似を……!』
ヘルベルトとマーズは捕えわれのヒルダを前に何も出来ずに居た。いくらヒルダの命令でも、彼女を慕う彼等は簡単にその命令に従うことは出来ない。
「ハイネを…セイバーをどうした!?」
『セイバー……さっきのオレンジショルダーの事かい?奴ならあたし達が遊んでやったら尻尾巻いて逃げてったよ、仲間を犠牲にしてね!』
「犠牲……ハイネが……!?」
『可哀相にね、あのグフのパイロットは……けど、もっと可哀相なのはここで朽ち果てるあんたさ!』
「!?」
正面から取り付いたカミーユの視界にドムの胸部の穴にエネルギーが集中するのが分かる。スクリーミングニンバスに気付き、慌ててカミーユはドムから離れ、距離を置く。
『流石は姐さん!』
「ちっ、勘のいい坊やだね!ヘルベルト、マーズ!ジェットストリームアタックを仕掛けるよ!」
『はっ!』
囃し立てるヘルベルトを無視し、舌打ちをするヒルダの言葉にマーズが応える。
「マーズ、あんたがトップを張んな!止めはあたしがやるよ!」
『了解です、ヘルベルトは無茶をしないように!』
『余計なお世話だ!』
三機のドムが一直線に並び、先頭がスクリーミングニンバスを放ってΖガンダムに突進してくる。
「またあの光か……!」
Ζガンダムはビームライフルを三発放つが、案の定それは遮られ、仕方なしにウェイブライダーに変形して逃げる。
『逃げる…どうしますか、隊長?』
「あたしに恥を掻かせたんだ、追うよ!」
頭に来ていたヒルダはΖガンダムに固執して追撃を掛ける。
「追って来るのか?…メガランチャーは……あれか!」
アカツキとの交戦中に投棄したハイパーメガランチャーがまだ破壊されずに残っていた。それを再び回収し、一直線に並ぶ三機のドムに向けて構える。
「はん!でかけりゃいいってもんじゃないよ、何でもね!マーズ、そのまま突っ込みな!」
『はっ!』
「これなら!」
Ζガンダムからハイパーメガランチャーの強烈な一撃が放たれる。出力を最大にしたハイパーメガランチャーは普段よりも太い軌跡を残して真っ直ぐにドムに向かった。
『!?』
マーズは瞬時にそれがやばい事だと悟った。しかし、悟った時には既に手遅れで、ハイパーメガランチャーのビームがスクリーミングニンバスの"膜"を突き破ってマーズのドムの頭部を吹き飛ばす。
「マーズ!」
『姐さん、もう一撃だ!』
「!?」
マーズに気を取られ、ヒルダは回避行動をとるのが遅れる。ヘルベルトは二射目のビームをかわしたが、ヒルダはドムの左足の膝から先を吹き飛ばされてしまう。
『姐さん!』
「くぅ……!」
カミーユはすかさず三射目を狙う。
『やらせん!』
「なっ…こいつ!?」
そこへマーズのドムが突進してくる。カミーユはそれを回避できずに捕まり、ハイパーメガランチャーの照準を狂わされる。
「止めろ!死ぬぞ!」
『この程度!』
マーズはΖガンダムの目の前にバズーカを突きつける。
しかし、マーズがバズーカのトリガーを引く前に銃剣になったハイパーメガランチャーがドムの腕を切り離す。
『うおおぉぉぉぉっ!?』
「忠告を無視するからこうなっちゃうんだろ!」
そのままΖガンダムはハイパーメガランチャーを振り上げ、マーズのドムを真っ二つに切り裂く。
「マーズゥゥゥゥゥ!?」
『こ、このクソ野郎!』
悲鳴を上げるヒルダは所詮は女でしかない。目の前で戦友を失い、現実を受け止められずに居た。
そんなヒルダとは対照的にヘルベルトがΖガンダムに感情の赴くままに突撃を敢行する。
『マーズの仇ぃぃぃぃ!』
「来るのか!?」
ヒートサーベルで飛び掛ってきたドムをΖガンダムは銃剣で受け止める。そこまでは良かったが、重すぎるハイパーメガランチャーの銃剣では思うようにドムの攻撃を捌けない。
『手前ぇもあの世へいけぇ!』
気迫でハイパーメガランチャーを切り伏せる。間髪入れずに襲い掛かるが、すぐさまビームサーベルを引き抜いたΖガンダムに攻撃を防がれてしまう。
『姐さん、今です!今、こいつを!』
「あ…あぁ……う……」
『姐さん!?早く、今、俺が止めている今!』
必死にヒルダに呼びかけるヘルベルトだが、ヒルダには聞こえていない。マーズのドムが散った場所を見つめ、吸い込まれそうな感覚にギリギリで抵抗している状態だった。
『姐さん!』
「目の前に立つから!」
ヒルダを呼び続け、Ζガンダムから意識が離れていたヘルベルトは、Ζガンダムが二本目のビームサーベルを引き抜いたことに気付いていなかった。
『姐さん、早く!』
「……!」
悲痛な叫びを上げるヘルベルトにカミーユは気付いていた。しかし、それでも彼はドムの残された右腕も切り飛ばす。
『ぐおぉぉ!まだだ!まだマーズの仇は討っちゃいない!まだだ、姐さん!早く!』
「む、向かってくるのなら……落とす!」
Ζガンダムはビームライフルを構え、腕を失いながらも突撃してくるヘルベルトのドムに照準を定める。
『姐さん、今だ!今しか……!』
ビームライフルからビームが放たれる。
直撃。Ζガンダムから放たれたビームは綺麗にドムのコックピットを貫き、ヘルベルトは痛みも恐怖も感じる間も無く消失した。
「へ…ヘル…ベルト……」
ヒルダに最早戦う気力は残されていない。一瞬のうちに二人を失い、耳に残る彼等の声がやけに鮮明に残っていた。実感が沸かない。
「どうする?アイツはもう戦わないのか……」
その場で制止したまま動こうとしないヒルダのドムを眺め、祈るようにカミーユは呟く。
そんな時、彼方の方向からのビームがヒルダのドムを襲った。
「な…何処から!?やめろ、彼女はもう戦う意思は持っていない!」
誰とも知れぬ相手にカミーユは呼び掛けるが、戦意を喪失していたヒルダはその攻撃を避けられずにあっさりとビームに撃ち貫かれ、彼女のドムは爆散した。
『仇は…仇は討ったぞ……!』
「ハイ…ネ……」
ミネルバで補給を終えたハイネが急行してきたのだ。カミーユが他の二人を撃墜した事は知らないが、隙を見せていたヒルダに容赦なくビームライフルを浴びせた。
少しづつ戦争が人の心を狂わせていく。
『カミーユ、良くやってくれた!』
「ハイネ……」
カミーユはハイネに言葉を返せない。ハイネの内に渦巻く憎悪の炎が彼に戦意喪失のヒルダを討たせたのだと思うと、複雑な気持ちになる。
『どうしたカミーユ?喜べ、敵を倒したんだぞ?』
「落ち着けハイネ!俺たちの目的は敵を倒す事じゃないだろ!それなのに無抵抗の相手を…」
『何言っている!?奴らだって何人もの同胞を殺した!それを討って何が悪い!』
ハイネは叫ぶ。まさかカミーユに自分の行動を窘められるとは思っていなかった。
『それともお前…ここに来てオーブの味方をするつもりか!?やっぱりお前は所詮はナチュラルか!?』
「そうじゃなくて…今のお前は怒りで本当に大事な事を見失っている!」
『何だと!?』
「憎しみに引っ張られたら、それこそ誰も救えやしないだろ!」
『オーブも止めるのが俺達の目的だろう!俺はブレていない!』
「それはそうだが、憎しみで戦っていたのでは…」
『こんな戦場で冷静になれるかよ!戦う力が沸いて来るのなら、憎しみも利用するべきだ!』
「そんなんでは…」
『超越してみせるよ!』
その時、彼方から二機のMSが接近してくる。インフィニットジャスティスとそれを追いかけるインパルスだ。
インフィニットジャスティスはインパルスにビームライフルを連射する。しかし、それをルナマリアは見切っているのか、彼女らしからぬキレた動きで回避し、その距離を一気に縮める。
「アスランとルナマリア!」
『話しは又後だ!俺はルナマリアを援護する、お前はミネルバへ戻れ!』
「ハイネ……」
それだけ言い残してハイネは二人を追いかける。
「憎しみは自らも滅ぼす諸刃の剣にもなるんだぞ……!」
カミーユは片手を頭に添える。頭の内側からひりつく様な痺れに似た感覚がした。
何度となく攻防を繰り返し、インパルスとインフィニットジャスティスは終わりらない鬼ごっこを続ける。
そんな折、逃げる事に飽きたのか、インフィニットジャスティスが廃棄された艦船の中に逃げ込む。罠の可能性を考慮しなければならないが、爆発した感情を抑えられないルナマリアはこれを逆にチャンスと思い、続いて艦船の中に飛び込む。
辿り着いてみると、インフィニットジャスティスのコックピットハッチは開き、アスランの姿は何処にもなかった。
インパルスから降りたルナマリアは念のためインフィニットジャスティスのコックピットを覗いてみたが、案の定アスランの姿はなく、彼女はアスラン捜索の為に拳銃を片手に残骸が浮かぶ廃艦の中を進む事にした。
暫く通路を進んでラウンジの近くに来ると、その中から人の気配がした。きっとアスランに違いない、ルナマリアはそう思った。
入り口の側で拳銃を構え、そっと中の様子を窺う。
アスランが居た……女の勘が怖いほど的中していた。
「ルナマリア!」
しかし、女の勘もアスランの感覚を鈍らせるまでには至らなかった。
ラウンジの中からアスランがルナマリアに気付き、呼び掛ける。
だが、ルナマリアはアスランの言う事を聞くのも癪だと思い、試しに拳銃だけドアの隙間から差し入れて一発放つ。
「なっ!?」
流石は元ザフトのエリートである。ルナマリアのヘタクソな射撃ではまるで当らない。その身のこなしは少々オーバーであったが、とてもではないが当てられる気がしなかった。
「そんな卑怯な真似をせずに出て来い!」
「あんたにそんな事言われる筋合いは無いわよ」
ラウンジの外からルナマリアが銃を構えて姿を現した。その瞳にアスランは思わず唾を飲む。
「あんたがわざわざここに逃げ込んだのは、こうして話をする場を作ってくれたって事かしら?」
「そうだ、君の本心を聞きたい」
「本心……?」
ルナマリアは喉の奥で笑った。アスランはそんな邪悪な笑みを浮かべる彼女を見た事が無かった。
一頻り笑い終えると、ルナマリアは追い詰められた様な表情で唇を震わせてアスランを見つめる。
「今更そんな事聞いて何になるの!?この手に持っている銃があたしのあんたに対する本心よ!見て分からないの!?」
「その前にオーブでの返事を聞かせてくれ!君がザフトに居る理由は無い、寧ろ君は俺たちと共に来るべきだ!行こう、一緒に!」
「何を言っているの?これが答えだって言ってるじゃない……それともこうしなければ分からないの?」
そう言うとルナマリアは何の躊躇いも無く銃の引き金を引く。アスランは身構えたが、それはギリギリの所で外れていた。
アスランは彼女がワザと外したと思ったが、ルナマリアは何度も言うが射撃が下手である。本気でアスランを狙って天然で外したのだ。
「ル、ルナマリア……」
「あんた、自分を何様だと思っているの?皆を裏切って、傷つけて、嘲笑って……」
「嘲笑ってなんかは……」
「あたし達がザフトで戦っている事を笑っているんでしょ!何処で造られたかも分からない上にやたらと強いMSに乗って、それであたし達を馬鹿にしてるんでしょ!」
「誤解だ!俺はそんな安っぽい目的の為にザフトを離れたんじゃない!もっと大きな…議長の妄想から世界を守る為に!」
「それはオーブの元首の言葉?それとも、本物のラクス=クラインの言葉かしら?」
「なっ!?」
「あんた、自分の言葉を使いなさいよ……そうやっていつも他人の言葉を借りて言い訳するの、みっともないわ」
「彼女達の意思は俺と同じだ!」
「違うわ。あなたの目、嘘をついてる目をしているもの」
「……!」
見透かすような目で自分を見つめるルナマリアがやけに鬱陶しく感じた。それが哀れみを投げ掛けられている様で、屈辱だった。
だが、アスランもこのまま黙って言わせているわけにはいかない。ルナマリアの言葉通り嘘をついていようとも、彼女の言いなりになるわけには行かないのだ。
「そう言う君こそ、議長に従っている事に疑問を持たないのか?そうしている事で人類の未来が閉ざされてしまう事位、君にだって分かっているだろう?」
「分かっているわ」
「なら、君の方こそ自分に嘘をつくのを止めるんだ!それで、俺たちと一緒に議長を止めよう!」
「だから、それは出来ないわ」
「何故だ!?何故分かろうとしない!?そうまでしてザフトに付く意味は無いだろう!?」
「あんた、自分たちの事が見えていないのね?」
「……どういう意味だ?」
ルナマリアはやたらと聞き返してくるアスランに向かって溜息をついた。
それをアスランは眉を顰めて黙って見ていた。流石にルナマリアの態度に腹が立ったが、自分の方が正しい事をしていると思い込んでいる余裕からか、何とか感情を抑えていた。
「この戦い、止められるのはあんた達じゃないわ」
「俺たちじゃない?なら、誰だと言うんだ!」
「……シンとカミーユ」
「シンとカミーユ……?」
「そして彼等はあんた達も許しはしないわ……!」
「お…俺達も?…しかし……」
理由がアスランには分からなかった。
アスランの中でのシンのイメージはとにかく感情が第一に噴出し、物事を考えて行動するよりも直感的に行動する印象が強い。そんな彼に戦闘の仲裁など出切るとは全く思わないし、できるとすれば力に拠る解決だけだと思っていた。
それでは結局はロゴスがレクイエムを使ったのと大差は無い。
一方のカミーユに至っては最早論外である。
彼は異世界からの来訪者である。そんな彼がこの世界の戦争に介入する事自体御門違いなのに、それを言うに事欠いて終戦の為のキーパーソンに挙げるルナマリアの感性が理解できなかった。
「理由は?」
「自分で考えなさいよ」
お話にならない、とアスランは呆れるしかない。自分から言い出しておいて相手に答えを投げっぱなしにするのは、きっと確たる理由が無いからだと考える。
何となくで語るルナマリアをきつく睨んだ。
「適当な事を言って誤魔化そうとしても無駄だ!」
「やっぱりね……」
「はぁ!?」
馬鹿にするようなルナマリアの声は、次第にアスランの感情の琴線を揺らしていった。冷静に努めようとする一方で、今すぐ怒鳴り散らしてやりたい気分もあったが、我慢した。
ここで感情任せになってしまっては、負けだと思ったからだ。
「あんたには分からないでしょうね?シンがこれまでどんだけ頑張ってきたかなんて……」
「シン……!」
「カミーユだってそうよ。大人しくしていればこんな戦争に巻き込まれずに済んだのに、それなのに一生懸命あたし達と戦ってくれた」
「それも全ては議長の!」
「あの二人が一人の女の子の命を救った事、知ってるかしら?」
「何の事だ?」
突然のルナマリアの言葉にアスランはやや頭の中が錯乱する。アスランの知っているルナマリアと違う雰囲気を醸し出している事が彼を惑わせる要因の一つとなっていた。
「なら、ベルリンのデストロイの事件は知っているでしょ?あの時、二人がデストロイのコックピットから彼女を救い出したのよ。二人ともボロボロになってね、死ぬ思いでステラを連合の兵器から守ったのよ」
「それは…」
「それでも全てが議長に仕組まれた事だって言えるの?あの二人の頑張りが全て偽りのモノだって、あんたはいちゃもんをつけるのね!」
「そういうわけじゃ…無い……」
「彼等みたいに人の命に一生懸命になれる人が、戦争を止めるべきなんじゃないの?それとも、あんた達みたいに無闇に敵を増やして、いちいち潰さなくちゃ平和を勝ち取れない人が戦争を止める権利を持っているの?
あたしにはあんた達に戦争を止める権利や使命があるとは思えない!」
「…しかし、ルナマリア、君自信はどうなんだ?ザフトで戦う事に疑問を持たないのか?」
言い返せないアスランが反撃といわんばかりにルナマリアに質問を投げ掛ける。
「あたし、デストロイと戦っていた時は塞ぎこんでて見てなかったわ。それで後になって救い出されたステラの事を知った。あたし、最初は彼女の事を憎んだの……何故だと思う?」
「俺が聞きたいのはそういうことじゃなくて…」
「アスランが居ないのに何故この子は生きているのって、そう思ったのよ」
「俺……!?」
「デストロイで破壊の限りを尽くしたこの子が助かって、ミネルバの為に戦ってたアスランが居なくなるなんて間違ってる……そう思って自然とあの子を受け入れる皆を拒絶してたのよ!」
ルナマリアの声が少し大きくなる。
「でもね、そんなあたしを皆は見捨てずに助けてくれた!それがどれだけ有り難い事か、裏切り者のあんたには分からないでしょうね!」
「ぐ……!」
「あんた、さっきあたしにザフトに居る理由が無いって言ったわよね?大有りよ!あたしにはミネルバに残る理由がある!」
感情が高まってきたのか、ルナマリアは大げさに腕を振り回し、アスランを否定するように声を荒げる。
「あたしを支えてくれる仲間が居る!それだけで十分よ!一人で壁を作るあたしをメイリンが救ってくれた!可愛い妹を残してあんたみたいな恥知らずな事が出来るか!」
「なら、二人で来い!それなら…」
「何処までふざければ気が済むの!?仲間を見捨てて出て行けるわけ無いじゃない!そんな最低な事、あんた一人で十分よ!」
言いたい事を包み隠さずにアスランにぶつけるルナマリア。アスランを慕っていただけに失望による反動が誰よりも大きかった。
しかし、言われるアスランはもっと苛立っていた。
「なら、俺はどうすればいい!?こんな事になって、それでも俺はこうする事が正しい事だと思ってここまでやってきた!それを否定されたら、俺は…俺の気持ちはどうなる!?」
「知らないわよ、そんな事!自業自得でしょ!?」
アスランにはもう何も残っていない。
一生の付き合いになりそうな人物は見当たらないし、親友と思っていたキラは既に自分の生き方を確立させてしまっている。何よりも彼にはラクスの存在がある。
友人としてはやっていけるだろうが、それがアスランの生き甲斐になる事は無い。
そして、唯一心を通わせていたと思っていたカガリの心は既にアスランの下を離れていた。ザフトを離れる決意を固めた時、自分を何と愚かしい人間だろうと思っていたが、それもカガリの為と思えばこそ、何とか心のバランスを保っていられた。
しかし、それすらカガリに拒絶されてしまった今、アスランが頼りにするのはミネルバに残った仲間を引き込む事だった。
追い詰められたアスランは、彼等を説得する事が出来ればもう一度以前のような関係に戻れるのではないか、という愚かな幻想を抱いていた。
しかし、それも今この場でルナマリアに否定されてしまう。
「ルナマリア、君が何故俺にそこまで言える?君は俺に惹かれていたじゃないか!?だったら、俺の気持ちだって…」
「あんた何言ってんの!?あんたがあたしの気持ちを無視したんじゃない!それなのに今更になって気付いていましたって言われても、そんなのただの卑怯者の言う事じゃない!」
こんな時になって初めてルナマリアの気持ちに応えようとするアスランにルナマリアは憤る。彼女にしてみればこんなアスランはただの都合の良い男にしか見えなかった。
ルナマリアの中のアスランに対するイメージが幻滅と共に崩れていく。最早アスランに魅力を微塵も感じなくなっていた。
「あんた、もしかしてもう何も残ってないんじゃないの?だから興味ないくせに気のある振りしてあたしと話をしようって思ったんじゃないでしょうね?」
「そんな事あるか!俺はただ君の気持ちに対する答えを……」
「本当かしら?」
言い訳くさく話すアスランを、ルナマリアは見下すように顎を少し上げる。
アスランはそれから逃れるように顔を正面から逸らしたが、ルナマリアの銃を気にして視線だけは外さなかった。
二人が沈黙したまま時が流れる。
廃艦の開いた穴からはビームの閃光や爆発の光が絶え間なく点いたり消えたりしている。こうしている間にも激闘は続いている。
「話したいことは終わりかしら?」
「……」
「肯定と見なすわ。なら、これでお別れね、アスラン……」
ルナマリアはゆっくりと無重力の中を泳ぎ、銃口をアスランの頭部へ突きつける。
これも戦争の魔力だろうか、彼女の目の下には隈が出来ており、見開かれた瞳は何かに取り憑かれているようだった。
視線を落とすアスランはそれに気付かないが、彼の目は死んでいなかった。
「……っ!」
確実に止めを刺すために近付いてきたルナマリアの肘をアッパーカットの様に下から突き上げる。
「つぅっ!?」
「迂闊だな、ルナマリア!」
突然の衝撃に痺れる腕に、思わず銃を手放してしまう。それをアスランが素早く拾い上げ、ルナマリアに銃口を向ける。
「あんた……!」
「形勢逆転だな、ルナマリア?こんな手荒な真似はしたくなかったが……最後の選択だ。このまま俺と来るか、それともここで死ぬか、全ては君次第だ」
「銃突きつけてあたしに自由があるような事言わないで!」
ルナマリアのヘルメットの脇を銃弾がすり抜ける。ヘルメットに銃弾が掠った痕が出来る。
「わざと外した。次に口応えをすれば今度は君の眉間に穴が空くことになる」
「……!」
「俺だって本当はこんな事したくないんだ……!」
ルナマリアは歯を食いしばり、鬼の形相でアスランを睨みつける。歯に力を入れすぎて、口の中で血の滲む味がした。
「そんな目で睨んでも無駄だ。……頼む、俺に引鉄を引かせないでくれ……もう、こうするしか俺が俺を保てないんだ……」
アスランの心は既に砕けそうになっていた。何も残されていないアスランにとって、今はルナマリアだけが彼の心の拠り所だった。
ここへ来てキラは本当に自分の親友であるかどうかを疑った。
カガリは離れていった。
最後の望みとしてアスランはルナマリアに賭けた。
しかし、それも不可能と分かると、アスランは力尽くで彼女を自分に従わせる方法しか思いつかなかった。
「さあ、どうするルナマリア!」
「考えるまでも無いわ。あんたに屈服するぐらいなら、ここで死んだ方がマシよ!」
「……残念だ……」
アスランはゆっくりと引鉄に指を掛ける。ルナマリアと違い、多少距離が離れていようとも狙った箇所に弾を命中させる事は容易であった。
銃口を見つめるルナマリアはメイリンに思いを馳せる。
彼女の見つめる先にメイリンの幻が見えた気がした。そのメイリンの顔が笑顔で、それを思い浮かべるだけでルナマリアは泣けてきた。
目から大粒の涙を流し、一言小声でメイリンの名前を呼ぶ。
その時、別の入り口のドアが開き、一発の銃弾がアスランの銃を弾いた。
「何っ!?しまっ…!」
アスランは腕を押さえ、飛ばされた銃は慣性に流されて穴の空いた壁から外の宇宙空間へ出て行ってしまう。
「アスラン!」
「くっ!ハイネか……!」
「アスラン…修正してやるぜ……!」
銃を構えて飛び込んできたのはハイネだった。二人を追いかけ、ここまで乗り込んできたのだ。
「無事か、ルナマリア!」
「ハ…ハイネ……!」
涙でグショグショになった顔でルナマリアはハイネに抱きつく。
「おっとっと」
少し戸惑って慌ててしまったが、ハイネはそれを優しく抱きしめた。
「く……!」
「みっともないぜ、アスラン。丸腰の女に銃突きつけるなんて、英雄も堕ちるとこまで堕ちたな」
震えるルナマリアを片手で抱き、天井に当る部分に足をつけて銃を構える。丁度アスランの頭の位置とハイネの頭の位置は正反対になった。
「先に恫喝してきたのは彼女だ……!」
「嘘だな。それでこんなにルナマリアが怯えるかよ?」
「途中で乱入してきて嘘つき呼ばわりか……!」
「当然だろ?お前は俺たちの敵なんだ、信用しろってのがそもそも無理な話なんだよ」
アスランは手を押さえてハイネを睨む。自分とルナマリアの会話に割り込んできた事が許せなかった。
「言ったはずだ、今度出て来たら容赦しないってな」
「話せば分かり合えるかもしれないだろ……!」
「そうやって何人の人間を惑わせてきた?ルナマリアもその一人なんだぞ!」
「俺は惑わせるつもりは……」
「自覚が無いならハッキリさせてやる。お前のそういう曖昧で歯切れの悪い態度が全ての原因なんだよ!ルナマリアがあれだけ追い詰められたのも、お前がザフトに戻ってまた裏切ったのも、全ては中途半端な志で行動しているお前自身に問題があったからだ!それを分かれ!」
「ハイネ…もういい……」
ルナマリアが埋めていた顔を上げ、ハイネに話しかける。意外そうな顔をしてハイネも顔を向ける。
「しかしルナマリア、こいつは…」
「この人は結局こういう可哀相な人なのよ……これ以上は意味が無いわ……」
「……見逃していいんだな?」
問い掛けるハイネの言葉にルナマリアは黙って頷いた。彼女としても、もうこれ以上アスランに関わりたくなかった。
ここで彼を殺す事で余計に彼の事を忘れられなくなる恐れもある。そうなるのなら、いっその事見逃して自然と忘れ去る方が良いとルナマリアは考えた。
アスランは気力が失せたのか、呆然と宙を見つめている。彼なりに考えを巡らせているのだろう。
「行けるか、ルナマリア?」
「うん……」
二人は連れ立って廃艦のラウンジを出て行く。
残されたアスランはそれを焦点の定まらぬ瞳で見ていることしか出来なかった。
(…俺には……)
ハイネとルナマリアはMSの下へ辿り着き、乗り込んだ。ルナマリアはインフィニットジャスティスをチラッと見たが、アスランの顔も浮かんでくるようで直ぐに視線を逸らした。
『さて、こいつは壊しておくべきだな。あんな奴でも、放っておいたら厄介だ』
「待って、ハイネ」
『どうした?』
「これはこのままにしておいて」
『何言ってんだ?敵は減らしておくべきだろう』
「ここでジャスティスを壊したら、アイツはここで死ぬかもしれない……」
『そうだ。それでも構わんだろ』
「あの人は生きるべきよ。生きて苦しむべきなのよ…そして、自分の犯した罪を後悔するべきよ」
ルナマリアの低い声にハイネは気圧された。こんなルナマリアは見た事が無い。それだけ、アスランに対する失望が大きかった事だろう。
極力動揺を出さずに、ハイネは口を開く。
『…分かった。まだ戦闘は続いている、出るぞ』
「了解」
彼女らしからぬ無機質な声に不安になりながらも、ハイネはセイバーを起動させた。後ろからはルナマリアのインパルスがついて来ていた。
〜つづく〜
GJ
ますます富野風になって来たw感情のぶつかり合いイイヨイイヨ
ルナマリア最高w
GJ
乙
やさぐれてるなルナマリアw
だがそれがいい!!
GJ!!
奇麗事だけではすまない戦場。
ぶつかり合う人間達。
その中で、凸!お前は何て薄っぺらいんだ!
話って言っておいて最後には銃で脅してるしな。
もーね、救いようがないよ。
銃で脅してついてこいか
拉致って強姦でもする気だったんかこのハゲは
ジェットストリームアタック破りがイマイチだなー
ハイネにマチルダさんの役をやらせないと
それだと即死亡フラグになっちゃうだろw
一言で言うと燃えた!
GJ!もうね、凸ここまで来たらキララクに縋り付くしかないな、デスノの月みたいに。
カミーユ氏、
エクセレントにGJだ!
カミーユ氏God Job!!!!!
脳が沸騰しまくってるぜぇ!
新作乙!
前にも言われてたが、完全にハイネ、ルナ、カミーユが主人公だなw
みんなが憎しみに引きこまれてる…
この流れを感じ取ってくれカミーユ
ヒルダ…カミーユの母と同じ名
活かしてくれるかと期待してただけにちょっと残念
取りあえずGJ
凸は出涸らしだな。
でもこんなに混乱してるのにどう収めるのかな
凄いラストが気になる
カミーユの最後の行動も
GJ!
次はバカ息子だな。頑張れシン。殺ってしまえ!
GJ!!!
やべぇ・・・震えがとまらねぇ!
ヒルダが小鳥になっちゃいますた
今回はカミーユ・ハイネ・ルナか・・・次はシン・レイだが、どうなるんだ?
wktkが止まらない
ルナマリアが、機体を破壊されたのでコアスプレンダーで果敢にもアスランに攻撃をしかけて、途中アスランの攻撃をかわすのにやっきになり前方不注意で隕石に当たって、アスランに止めを刺される情景を思い浮かべたw
アスランは嫁補正がなくなるとこんな感じか〜。
正直人間くさくて好感持ってしまった。
アスランがヘタレモード全開でむしろスパAのヴィンちゃんに対する好感に似た物を感じる……。
けど、奇しくもまた自分に好意を持っていた女性に生きる事を強要された(意味は反対だが)アスラン、
この後レクイエムに突っ込んで自爆とかしないと良いんだけど……。
XスレかWスレのアスランが、此処のアスランを説教する場面を見てみたい。
タイトルみた段階で期待していた人はどれくらいいるんだろう?(w
ある意味ゆがんだ期待ですが、見事にそれに応えてくれました、GJ!
アスラン、落ちるとこまでおちたなぁ…
ルナの気持ちはわかるが、それでも機体は破壊しておくべきだったと思う
決着の瞬間とかに横合いから発狂して突撃してきかねんぞあのアスランは…
その執着が誰に向けられるのかはわからんが
GJ!
ルナがえらい格好良いじゃないか!
それに引き換え凸のへたれっぷりは一体・・・
前にキラに「お前では俺に勝ててもカミーユには勝てない」
って言っていた頃の面影が一ミリもないのはどういう事w
路線変更したから?
アスラン可哀想だわ
自業自得な部分が多々あるのは確かだけど、キラに拉致されなきゃ
まともにミネルバ組との深い信頼関係を築いてただろうに……
やっぱこのSSはキラが諸悪の根源だわ
凸逝ってよし
ここまで頭使わない人とは思わなかった
無印の頃のラクス思い出した
むこうもシナリオの歪みを一手に引き受けてたしな
もうGJとしか言い様がない!
素晴らしい!!
ラストまで突っ走ってください!!
GJ
ジャスティスを残したということは、もっとドス黒くて
もっともっとおちたアスランがすべてを破壊しまくって
それをシンかカミーユが止める展開になるのか。
それともこのまま退場してすべてが終わったあとに
第二幕「逆襲のアスラン」でも書いてくれるのか。
アスラン…本当にキラに拉致さえされなかったらなぁ
今頃はハイネ&カミーユと組んで必死にもがこうと頑張る主人公の一員になれてたかもしれないのに
うまくいけばホーク姉妹も落とせてただろうし
こうみると、アスランってキラとカガリの兄弟に散々振り回されてるんだなぁと思った
ま、自業自得ではあり、ラクスも結構影響してるんですが
一緒に来るか?死か?という選択肢しか示せなかったところでもう弁護の余地がないな。
奇しくもアズ、ジブ、パト、議長と言った歴代悪役のレベルまで落ちてる。
とは言えキラにお持ち帰りされてなければ正道を歩けたかもしれないのは気の毒だ。
この先死ぬにせよ、生き延びるにせよ、
自分が何を間違えたか、どこで間違ったかを自覚して終わって欲しいぞアスラン。
そうすれば最低キャラとして終わっても、物語の中の役目を全うしたことにはなるから。
GJ!
ルナが怖ぇ… アスランも怖ぇ、ハイネも怖ぇ
SS読んでこういう意味の震えが来たの初めてだ
アスランが最終局面でやさぐれて再登場するんだな!
作者氏GJ!
凸は自業自得だが、可哀相でもあるよな。
キラに拉致られなければ、たとえへたれでも嫁補正の無い凸がカミーユやシンと紆余曲折しながらも頑張っていけたと思えるんだよな。
諸悪の根源であるキラや桃色汚物にはやはりそれなりの末路を期待したいな。
凸にはこれからの展開で、せめて言い訳せず裏切りに苦悩しつつ華々しく散ってほしい。
勝手な論理、自己中視点だのに、なんか人間っぽくて同情してしまう。
内面描写されるとここまで印象が違うものか。
帰れる場所があることほど嬉しいことはない、と偉大な先人は言った。
さて、孤独を自覚したここのアスランはどうするのだろう。
>そうやっていつも他人の言葉を借りて言い訳するの、みっともないわ
ルナがカッコイイ…X運命氏の以来のこの感動…
GJです
ルナGJ!!!!
とりあえず凸市ね!!!!!!
カミーユ氏GJ!
アスランて素材としては本当に魅力的なキャラだな。
Wスレのヘタレだけど地に足をつけて本当の平和を目指す政治家。
Xスレのカガリへの思いを胸に復讐を誓う艦長。
他にも福艦長だったり生体ミラコロ作動中だったり
そしてここの何をするにも中途半端で何も得ることの出来ないアスラン。
並べてみると全然違う方向性なのにどれもアスランとして納得できる。
同意。
ここの凸は他所と比べてヘタレ際立っているにもかかわらず
ああ、これこそアスランらしいと深く納得いった。
とても彼らしい末路と思う。
このままフェードアウトしても自然な感じすらする
アスランって引き立て役から主役までキャラ立ちの仕方も幅広いよね。
ある意味福田君が言ってたシャアっぽい部分だな
陰謀めぐらすまではいかんが戦術家、パイロットをしつつ
後方の政治にも多少関わったり、ヘタレシャア状態にもなれるし
その血統を利用し多少の迷いを振り切れば総帥になる
毒が無いからスケールは落ちるが
毒というよりも
なんだろうな…自分の汚さとかを認識している
とかそういった後ろめたさを自覚しているかどうかの
違いがシャアと比べたらかなり堕ちているようにオレは思う
立場はシャアで中身はガルマ
>後ろめたさを自覚しているかどうかの違い
その点は、何と言ってもまだ10代だし、仕方ないんジャマイカ。
対するシャアはファースト時点で、既に20歳だったわけだし、あの時点でもかなりの苦労はしてきてるし。
Wのゼクスも、国を失ったりで苦汁を舐めてきているから、名前を使い分けるなんて事をしてのけられるわけで。
そうした域に達するには、凸はまだ苦労も経験も足りないと思う。
GJです。
読んでるだけで登場人物だけでなく、
戦場全体で憎しみが渦巻いてるのが感じられるなぁ。
カミーユ、大丈夫だろうか?
各クロスオーバースレはクロス先のキャラによる刺激でアスランを変えてる気がする。
そういった外的要因で、経験や苦労を重ね味のあるキャラに進化して行ってると思う。
ここのカミーユとの出会いで変わるかと思いきや、そこに辿り着く前に拉致されちゃったからなあ……。
更新停止している1氏の作品の方は、ユニウス7でカミーユのハイパー化みて感化されてたみたいだけど。
>>118 確かに今の戦場は命散っての回のような状況になってる
カミーユもそういうのを感じすぎて錯乱しそう
アスランは周りに甘やかされすぎなんだよな
脱走しても逃げ場所があるし裏切っても何事もなかったように迎えてくれる場所もある
そりゃ成長もできない罠
>>121 アスランだって成長しているさ
前髪の後退具合とか
各アスラン
X→カガリを殺され、復讐を誓う艦長
W→ゼクスに鬼教育されたヘタレ有能(?)政治家
アムロ→生体ミラコロ
シャア→同上
クロボン→カガリをさらわれ(否キラ)、救出を誓う副艦長
土門→……いたっけ?
注・どこでも髪だけは同じ量です
「知ってどうするつもりだ?お前をステラと会わせるかよ!」
よく言ったカミーユ。
てか合わせたらまたステラが情緒不安定になるだろ。
ここで聞いていいかわからない質問だけど
どこのSSが一番面白い?
>>126 一概にどこが一番とは言えない。各々良いところがある
アスランがエヴァのシンジみたいだな・・・。
そういえばwikiは制限ついたけど、更新出来る人はいないの?
>>126 好みの傾向を明言したほうが答えやすい。
例えばオクレが好きならWを薦めるし、種死でなく種の再構成が見たいなら
アムロの98を薦める。
そんな感じで最低でも好きなキャラくらい言わんと薦めようがない
羽とコーヒースレを見ているが、アウルの最期は涙無しには語れない・・・
ギャグならドモンスレはガチだなw
現在のドモンスレは超マジ
マジだからこそ笑えるという、まさにGガンダムのノリそのもの
ドモンスレ…双子更生が熱かったな
トールファンには黒本スレをお勧めしよう
種じゃないけどヤザンブルーは個人的にクリーンヒットだった
今日は作者来ないんか・・・○| ̄|_
無理言うな
毎日うpなんて無茶すぎる
>>136 (´・ω・`)ショボーン
俺も、今来たけど思った…
ってか、カミーユ氏って、普段何してる人なんだろう
かなり長いSSを連日投下してくれる時も有るし…
今頃、キラ張りに入力してるんだろうか?
同じルラギリ者でも凸とエマさんでこうも違うのは何でだろう
エマさんが裏切り者だなんて失礼な!
ヘンケン艦長が草葉の陰で泣いてるぞ!?
まあレコアさんのほうがまだ納得がいくというのは同意。
あの場合悪かったのはシャアでもあるわけだし。
Zは裏切りする奴多いが文句は持っているが行動は裏切りを決意した後だからな
蝙蝠凸はザフトにいる時もキラキラ言っててなおかつ手助けもするからな
凸は裏切ってキラ側についた途端、別人のように強くなって襲いかかってくるのがいかん
カミーユ氏のカガリにはこの戦いの後、常に黒服を身に付け、親しい者たちから
「黒服は亡くなったユウナの為の喪服で、その心はユウナの元に既に嫁いでいる」
とささやかれた。
見たいなエピソードを持って欲しい。
金色の服を着てたら一昔前の漫才師だな
第四十八話「落陽のオレンジショルダー」
戦況は未だ五分に渡り合っている。
戦力数で言えばオーブ・連合の方が少ないのだが、一部の高性能なMSの存在がザフトとの決戦を互角に渡り合わせていた。
ストライクフリーダムを追っていたシンは途中でそれを見失ってしまった。
焦るシンはストライクフリーダムを捜したが、その途中でアカツキを見つける。
「居た…馬鹿元首!」
未だにアカツキのパイロットがカガリだと思っているシンはアロンダイトを構えて彼の友軍と交戦しているアカツキに突撃する。
「む……!」
それをムウはひらりとかわす。
「馬鹿元首のくせに生意気な!」
『はぁ?馬鹿元首?』
シンは耳に聞こえてくる声がカガリのものでない事に気付く。
「な…!誰だ、あんたは!?」
『失礼な奴……ん?お前……』
シンの声にムウの方が先に気付いた。
『お前はステラを連れてきた……!』
「あ、あんたは……!」
シンの心臓の鼓動が一つ大きく脈打つ。ステラを戦いに駆り立てたネオ=ロアノークだ。
「お前はぁ!俺との約束破って…それでオーブ軍に入って!俺に対する嫌がらせのつもりか!?」
『子供だな!』
「何がだ!」
アロンダイトを振り回すデスティニー。それをアカツキは嘲笑うように舞い落ちる紙の如くヒラリヒラリとかわして見せた。
『若いな!そういう自分勝手な感情任せの動きが、子供の証明だって言ってんだよ!』
「何だと!」
『現に言い返せないだろ?』
ムウにそんな事をシンに説教する道理はない。しかし、相手はザフトのエースパイロットで、かつてはキラをも撃墜した成績を持つ凄腕である。シンを少年と知っているムウは、言葉で動揺を与えられるならそれに越した事はないと考えた。
アカツキは残りの六機のドラグーンを展開させる。
「ぐぅ……!」
『落ちな!』
シンはドラグーンをかわす技術は持っていない。だからデスティニーの機動を最大にしてドラグーンが追いつけない速度で逃げるしか出来ない。
それは確実にシンの体に負担を掛け、既に何度か最大機動を繰り返していたシンの体は軋みが出始めていた。
胃の中は変な感じがし、体に食い込むベルトは骨を軋ませる。目まぐるしく変わる視界は情報過多で脳に負担を掛け、それを焼き付ける瞳は開きっぱなしである。
体中が痛い。
シンはそれでも戦いを終わらせる為に自分の体に鞭打って戦い続ける。全てが終わった後のステラやその他諸々を考えて、それに邁進する。
『すばしっこい奴だ、逃げるしか能が無いのか!』
「うるさい!」
『やはり、子供だな!そんなんで俺やキラに勝てると思うなよ!』
「うるさい、うるさい、うるさい!」
『うるさいのはお前だろうが!もっと色んな事を学ぶんだな、少年!』
追随するドラグーンと平行してアカツキ本体からもビームライフルの砲撃が飛んでくる。デスティニーは更にスピードを上げて振り切ろうとする。
「あんたみたいなのが大人だってんなら、俺は子供のままで居たい!あんたみたいに約束を破ってステラを戦争の道具にしか考えられないのが大人の思考ってんなら、俺は青臭いままの子供の思考で居たい!心を失うのが大人なら、俺は心を持ったままの子供で居たい!」
『それも子供の理屈だな!心を失くしたのが大人じゃないぜ!大人にそういう人間が多いってだけだ!心を持った大人は居る!』
「あんたが言っても説得力が無い!」
ドラグーンのビームを振り切るようにかわし、デスティニーは急旋回からアカツキに猛スピードで接近する。
「俺もステラも裏切ったあんたに、心があるもんか!」
『敵対組織の君の言葉を、司令官の俺がすんなり聞き入れるとでも思っていたのか!』
ビームの効かないアカツキには接近戦を仕掛けるしかデスティニーには手が無い。
その接近戦に最大の効果を発揮するアロンダイトを振りかぶり、デスティニーは切り掛かる。
「だから、それはあんたが心を失っているからだ!ステラを見ていれば分かるだろ!ステラは戦いなんかする子じゃないって……それを無理やり戦いに引きずり込んだあんたを、俺は許せない!」
『あれは…仕方なかったんだ!』
アロンダイトをビームナギナタで受け止め、いきり立つシンの言葉にムウは苦しげに言い返す。
当時連合軍特殊部隊ファントムペインの指揮官だったムウに、上層部からの命令に逆らう事は出来なかった。ステラを起用する上層部に疑問を抱きながらも、ムウは従うしかなかった。
「仕方ないで済ませるな!あんなものに乗せてステラに人殺しをさせて……!下手したらステラはフリーダムに殺されてたかもしれないんだぞ!」
『キラが……?馬鹿野郎!アイツがそんな事するかよ!』
「キラって言うのか、フリーダムのパイロットは……!仲間だからって庇うな!本当の事だ!」
『お前の言う事が信じられるかって!』
「分からず屋め!」
純粋なパワーではデスティニーの方が勝る。シンはデスティニーの出力を更に上げ、アカツキをデブリに押し込んで圧し掛かるように迫る。
「押し潰してやる!」
『待て!ステラは…ステラは生きているんだろ!?なら、俺にも会わせてくれ!彼女に謝りたい!』
「…誰に聞いた?」
『異邦人の少年からだよ、何処に居るかは結局教えてもらえなかったが』
ムウの懇願に少しシンの言葉が穏やかになった。それに安心してか、ムウにも多少の余裕が生まれる。
『頼む、きっとステラは俺に会いたがっている筈だ。お前がステラを大事に思ってくれているなら、この申し出を断る理由が無い筈なんだがな……』
「……断る」
『は?』
「残念だったな、ステラはお前のことなんて微塵も覚えてないぜ!」
『馬鹿な……!』
「何の根拠があってそんな自分勝手な妄想をしてたのか知らないが、あんたの下に戻ってこないって事がその証明になってんじゃないのか?もう消えてくれ!」
『俺だってなぁ!また死ぬわけにはいかねぇんだよ!』
ミネルバのシンの私室の中、ステラは揺れる船体に不安になりながらシンの無事を祈っていた。震える体は彼女の不安の表れ、ステラを介抱した医師が危惧していた状態になりつつあった。
いくらステラでも、これだけ激しい戦闘になれば、これがどのような状況であるかは察しがつく。いつまで待っても帰ってこないシンを怯えて待つしかない自分の不安定さを誤魔化すように耳を塞ぐ。
「シン…シン……早く帰ってきて……」
もしかしたらもうシンは自分の下に帰ってこないかもしれないと思う度に、そんな事は無いと言い聞かせる。その繰り返しだけが、今のステラに正常な精神を保たせている要因だった。
その均衛が崩された時、ステラは精神の安定を失い、再び崩壊への途を辿ることになる。
「シンは大丈夫…シンは大丈夫……」
気が触れたような形相で、ステラは自分に言い聞かせる。
インパルスでフリーダムから守ってくれた時も、フリーダムと戦った時も大丈夫だった。それだけが、ステラにシンが無事であるという確証をもたらしてくれる記憶だった。
居た堪れないステラは何から身を守るというのか、シーツを頭から被る。そうする事で少しでも安心を得ようとしていた。
「あんた、ステラの何なのか知らないけど、あんたの存在が俺は鬱陶しいんだよ!」
『それはお前の我侭だ!俺にだって生きる権利はある!』
「そうだ、あんたにも生きる権利はある……けど、あんたはステラの権利を無視したじゃないか!エクステンデットだって?はっ!そんなものにステラを仕立て上げといて、それで自分の権利を主張するのか、あんたは!?」
『だから、その件でステラに謝りたいと俺は言っている!』
「あんたがステラに贖罪の心を持っているのなら、あんたに出来る事はもう二度とステラに会わない事だけだ!まともに生きられないステラの気持ちになってみろ!あんたにステラと会う資格は無い!」
『くそぅ……!子供にここまで言われちゃ……!』
「まだ俺を馬鹿にするのか!」
デスティニーは更にバーニアスラスターの出力を上げる。ビームナギナタでアロンダイトを支えるアカツキの腕が悲鳴を上げて軋む。
『まだだ…ぁ……!』
ムウはアカツキのドラグーンを射出し、ばれない様に背後からデスティニーの背中を狙う。
(この距離…かわせるか……?)
アカツキのドラグーンが火を噴こうかとしたその瞬間、別方向からのビームがドラグーンを破壊する。
『何ッ!?』
「何だ!?」
背後の爆発にシンは慌てて振り向く。すると、彼方からウェイブライダーがやってくるのが見えた。
「カミーユ!」
『今だッ!』
気を取られたシンの隙を突いてアカツキが体を滑らせてデスティニーの前からすり抜ける。
「待てよ、あんた!」
『しまった!?』
アカツキの動きに気付き、反転すると同時に振り回されたアロンダイトがアカツキの右腕を薙ぎ、切り飛ばす。
更にデスティニーは返す刃でアカツキの頭部を吹き飛ばそうとするが、アカツキから残り五機のドラグーンが射出され、砲撃がそれを阻害する。
『チクショウ……!』
片腕を失い、ドラグーンは残り五機。更にデスティニーだけでも手強いのに増援としてΖガンダムも接近してくる。囲まれているわけではないが、ムウの頭には四面楚歌の文字が思い浮かぶ。
『カミーユ、金色を落とすぞ!』
「待て、まだ何か来る!」
『何かって…来るのか!?』
驚くシンだが、カミーユが警告した通り、レーダーに見慣れた反応が映る。ストライクフリーダムだ。
『レイがアイツを追ってんじゃなかったのか!?』
「分からない…レイは……」
ストライクフリーダムから射出されたドラグーンがデスティニーとΖガンダムを囲って襲う。そして二機が固まった所に連結ライフルの強力なビームが襲ったが、間一髪で散開してかわす。
その隙にアカツキはストライクフリーダムの側へ退避してしまう。
『助かったぜ、キラ!』
「それよりもムウさん、彼等は危険すぎます!ここで何とかしないと、レクイエムの発射に間に合わないかも知れません!」
『ああ、そうだな……』
アカツキとストライクフリーダムは全てのドラグーンを展開する。ストライクフリーダムの八基とアカツキの五基、合計十三基のドラグーンがデスティニーとΖガンダムの周囲を飛び交って砲撃する。
それをデスティニーは逃げるように、Ζガンダムはシールドと回避で凌ぐようにやり過ごす。
しかし、ドラグーンの攻撃に加えて、一番厄介なのがストライクフリーダム本体による手数の多い攻撃だった。二丁のビームライフルはそれぞれを狙い、腹部のカリドゥスは二機が接近した所を狙い撃ち、レールガンは引切り無しに飛んでくる。
シンとカミーユはキラに踊らされていた。
「く…はぁっ……!」
シンの体力も限界に近い。幾度と無く負担を掛け続けてきた体が遂に悲鳴を上げ始める。それを気力で何とかカバーしているが、それも時間の問題になりつつあった。カミーユはそんなシンの気の乱れを感じ取る。
「シン!大丈夫なのか!?」
『だ…大丈夫だ、カミーユ……!まだ、持たせて見せる!』
「持たせるって……!」
そんなんじゃ無理だ、とカミーユは思った。口では強がっているが、その声は既に大丈夫な人間の声ではない。
「何とか振り切れないか?」
『…やって…みる……!』
デスティニーはΖガンダムから離れるように飛翔する。
『デスティニーは逃げたか……?Ζに的を絞るか、キラ!』
ストライクフリーダムのドラグーンがデスティニーを無視して、留まり続けるΖガンダムに全砲撃を集中させる。キラとしても逃げたデスティニーよりも、目の前に留まって抵抗の意思を見せているΖガンダムを何とかしようと考えるのは必然であった。
ムウもそれに倣ってドラグーンの砲撃をΖガンダムに集中させる。
「シンへの攻撃は止んだけど…予想以上にきついな、これは……!」
二機の攻撃を避け続けるΖガンダムは反撃の手を出せない。
しかし、そんな困窮した状況であるのにも拘らず、カミーユは冷静にその攻撃を読んでいる。宇宙に出た事により、カミーユのニュータイプ能力が広がりを見せ、その勘の鋭さに更に磨きが掛かる。
簡易サイコミュのバイオセンサーがカミーユの思惟を拡大し、それをサイコフレームからなるコックピットフレームが駆動系その他に伝達し、反映される。それはMSを動かす上での理想形に限りなく近い、人馬一体の一体感を体現する。
カミーユが脳で体に伝えるより早く拡大した思惟をサイコフレームが汲み取り、操作した瞬間にタイムラグが殆ど無しにMSの四肢が反応する。
加えてキラやムウの息遣いを読み取れるカミーユは、彼等が行動を起こすよりも先に対応する。それは、簡単にはΖガンダムに攻撃を与えられない事を示していた。
後は体力勝負となるが、それに付き合っていられるほどカミーユは御人好しではない。タイミングを見計らい、Ζガンダムはドラグーンに向かってビームライフルを撃つ。しかし、ファンネルよりは大型とはいえ、十分小さい的に命中させるのは容易ではない。
「数が多い!ならば、ビームコンフューズ!」
直接射撃では要領が悪いと悟ったカミーユは、左腕にビームサーベルを握らせ、適当に放り投げた。回転の加わったビームサーベルはデスティニーのフラッシュエッジのように高速で回り続ける。
そこへビームライフルを数発撃ち込み、ビームサーベルと干渉させる事でビームが衝撃波のように幅広い効果範囲を持ち、それがドラグーンを薙ぐ様に飛ぶ。
「なっ!?」
「ドラグーンが!」
カミーユの機転による攻撃が、ドラグーンを悉く撃ち落していく。アカツキは全て失い、ストライクフリーダムに残されたドラグーンはたったの一基であった。
そして、その残った一基もすぐさまΖガンダムのビームライフルによって撃ち壊される。
「邪魔なビットは全て落とした!これなら!」
続けてストライクフリーダムにビームライフルを撃とうとするが、いくらトリガーを引いても発射されない。こんな時になってビームライフルのエネルギーが切れてしまったのだ。
二機を目の前に、流石にカミーユも焦った。
「弾切れ!?エネルギーパックを……!」
慌ててビームライフルのエネネルギーパックを取り外し、腕部のスペアを取り出す。
その様子のおかしいΖガンダムに気付いてか、ストライクフリーダムがビームサーベルを片手に仕掛けようとしたが、そこにデスティニーの高エネルギー砲が遮るように邪魔をする。
『君は!』
「何か言いたい事があるのか!?」
シンはキラの何が言いたいのか分からない、口癖のような言葉が嫌いだった。
『こんな戦い、君に何か得する事があるのか!?議長のデスティニープランは、人が人として生きて行けない世界を創るんだぞ!』
「かと言って、あんた達に…世界を決める資格があるとは思えない……!」
『僕達はそんな傲慢な考えを持ってない!ただ、これから先の未来の為にも、議長のデスティニープランを止めなくちゃいけないって思っただけだ!』
キラがシンの接近戦を嫌っている事を知ってか、デスティニーはフラッシュエッジを投げつけ、ストライクフリーダムに回避行動をとらせて注意を逸らした後、デスティニーの代名詞とも言える大剣アロンダイトを構えて突撃する。
それに対し、重量感溢れるアロンダイトを、ストライクフリーダムは二本のビームサーベルを交差させて防ぐ。
『君はそれでいいのか!?』
「……!」
『君はそうやって重要な事から目を逸らしているだけじゃないのか!?』
「だから嫌いなんだ……あんたは……!」
シンの意識は途切れそうになっているのを気力で繋げているに過ぎない。
しかし、声は遠くから聞こえる感覚だが、内容ははっきり分かっていた。何故か分からないが、途切れそうな意識とは正反対に、頭の中はすっきりしていた。
シンの瞳からは光が失われ、無意識のうちに覚醒状態に入っていた。
(様子が…おかしい……?)
「そうやって…自分を正義と決め付ける……はぁっ!……自分を疑わないから、他の人が…間違っていると思い始める……それが、あんた達の罪だ……!」
キラはシンの様子がおかしい事に気付く。明らかに息の上がった声で、時々大きく息を吐き出す音が聞こえた。
しかし、言っている事は分かる。キラも間違っていると言われれば反論する。
『違う!君の方こそ間違っている!ラクスは、そんなに傲慢じゃない!』
「何故そう言い切れる…?ラクス=クラインだって間違う事があるかもしれないじゃないか……彼女だって、俺たちと同じ人間だろ……!」
『そ…そうだけど……!…でも、彼女はそんなに自分の事が見えてないわけじゃない!』
それはキラの言うとおりだった。
ラクスは確かに象徴として担がれる事に不安を抱いている。自分が原因で散っていく命があることを彼女は知っている。
しかし、それはキラ達だけが知り得る事で、いくら彼がそれを力説した所で誰もそれを信用する事はないだろう。
傍から見ればラクスのしている事は戦い以外の何物でもない。
「あんた…何でそこまでラクス=クラインに拘るんだよ……?」
『それは……ラクスが目指すものは僕と同じだから……』
「それだけか……?」
『そ、そうだ!』
「だったら、何でそこまで熱くなる……?あんた、ラクス=クラインが好きだからそこまで拘るんじゃないのか?」
『ぼ、僕は……!』
そこでキラは気付く。先程まで途切れ途切れだったシンの言葉が、いつの間にか繋がっている。荒い息遣いだった声も、今は呼吸が落ち着いているせいか、やけに滑らかに聞こえる。
ふと思い返せば、デスティニーとストライクフリーダムは鍔迫り合いをしたまま少し前から殆ど動いていない。
『君は…まさか……!』
「お陰で少しは楽になったぜ……!」
慌てたキラはストライクフリーダムにアロンダイトを弾かせ、デスティニーとの距離を開ける。
「彼に付き合わされたのか……!」
シンに休憩する時間を与えてしまった事にキラは愕然とする。
「あんたが甘い奴で助かったぜ、これで俺はまだ戦える……!」
気分は楽になったが、しかしそれでも、体の疲れは誤魔化せない。未だに体のあちこちは悲鳴を上げている事には変わりはない。
だからと言ってへこたれるのではなく、シンはその痛みも気合で我慢する。
戸惑うストライクフリーダムに対し、デスティニーは再びアロンダイトを構えた。
場面はΖガンダム対アカツキ。
片腕とドラグーンをを失った事によってアカツキには唯一回収できたビームライフルしか残されていない。圧倒的に不利な状況でも、ムウは生き延びる為に目の前の障害を振り切ろうとする。
「せっかく拾った命!ここまで来てまた失くして堪るか!」
精度とか戦術的なことはどうでもいい。今はただ、目の前に立ち塞がる障害を排除する事だけを考えて、ひたすらにビームを撃つ。
「く……まだ抵抗するのか!何、これは……!」
カミーユを軽い頭痛が襲う。しかし、不愉快な痛みとは逆に、より鮮明なイメージが頭の中に浮かび上がる。
そして、この頃からΖガンダムはコックピット付近からサイコフレームの光を撒き散らし始める。噴出すように漏れる碧の光が、Ζガンダムの機動に合わせて散る。
それはさながら蝶が鱗粉を撒いているかのようであった。
「女……!」
カミーユの脳裏に浮かんだのは女性である。それは無意識に意識しているムウのイメージだった。
『マリュー…俺は必ず帰って見せるぜ……!だから、だから俺にこいつから逃げ延びる力を!』
遠くからのビームならアカツキの装甲であれば怖いものは何もない。唯一怖いビームサーベルの斬撃も、離れてしまえばどうって事ない。
後はΖガンダムが諦めて正面から消えてくれれば、アークエンジェルまで辿り着ける自信があった。
だがその時、後方のステーション・ワン付近で艦隊戦が行われている宙域に巨大な光が迸った。
突然の出来事にムウもカミーユもその光に目を奪われる。
ムウはその光を見た事があった。
「あれは…ガンマ線の光……!まさか、ザフトはジェネシスを使ったのか!?」
それはメサイヤから放たれた光。デュランダルがステーション・ワンを防衛する為に味方をも巻き込んで放った一撃だった。
ジェネシスの光からは爆発の光が破裂するように瞬いている。敵も味方もお構いなしだった。
「まさか…マリューはあそこに居たりはしないよな……?」
ムウは無線をアークエンジェルに繋げようとしたが、ジェネシスの影響からか、電波障害が起こっていて繋がらない。ムウは焦る。
「そんな…馬鹿な……!せっかく思い出したってのに…またお別れなのか、俺達は!」
絶望に押し潰されそうになり、ムウはΖガンダムを睨む。
「お…お前が……お前等ザフトが……!」
震える手で操縦桿を硬く握り締め、一気にブーストを掛けた。左腕に残ったビームライフルを投げ捨て、ビームナギナタを掲げてΖガンダムに襲い掛かる。
『見たか、カミーユ=ビダン!お前等の…ザフトのする事は、こういう事だ!』
「落ち着け!彼女は生きている!」
『彼女……?何を言っている!』
「想う人が居るのなら感じてみろ!」
『訳の分からん事を言って誤魔化すな!俺はお前達ザフトを絶対に許さん!』
これが先程まで逃げ腰だった男の動きだろうか。凄まじい勢いでビームナギナタを振り回し、Ζガンダムはそれに合わせるしかできない。
しかし、カミーユとていつまでもムウだけに構っていられない。ここで時間を浪費する事はデュランダルに塩を送る事になる。
レクイエムの発射が行われてしまえば、そこでカミーユのやってきた事全てが灰塵に帰してしまう。
「分かるんだ、俺には!彼女は辛うじて助かっている!それが分からないか!?」
『何が俺には分かるだ!お前の言う事が、信じられるかってんだよ!』
「分からず屋め!女の下へ帰れ!」
カミーユは先程イメージに出てきたラミアスの気配を感じ取り、その方向に向けてアカツキを投げ飛ばす。
『貴様!』
ムウはアカツキにブーストをかけて再びΖガンダムに接近しようとするが、Ζガンダムから放たれたグレネードがアカツキのバーニアスラスターを破壊する。
「うおおおおぉぉぉぉぉ!」
下手に推力を加えたばかりにアカツキはキリモミしながら吹っ飛ばされる。
そこへΖガンダムが追い討ちで蹴りを入れてアカツキをアークエンジェルが存在するであろう方向へ追いやる。
ムウ自身は生きているが、その衝撃で気を失い、アカツキには戦う力が残されていない。金色の残骸が、慣性に流されて大天使の下へ帰っていく。
その頃レジェンドはメサイヤの付近で防戦をしていた。思った以上に突破してくる敵が多く、それを心配したレイはストライクフリーダムを放ってメサイヤの守りに就いていたのだ。
ミネルバ隊の隊長に任命され、その責任に使命感を持ってはいたが、彼の中の優先順位は先ずデュランダルが一番だった。
しかし、射線上に味方部隊が残っているのにも関わらず、ネオジェネシスを発射したデュランダルの行為にレイは戦慄した。
「ギル…これは……!」
確かに敵は少なくなったが、同時に守らなければならない味方も多くが消えた。
これには流石のレイもデュランダルの行為に驚いた。
「しかし…これがギルの望みなら……」」
しかし、それでもレイはデュランダルを信じる。この戦いに勝利し、デスティニープランを発動する事が彼の望みであるのなら、それに殉じてでも協力するのがレイの生き甲斐なのだ。
その時、メサイヤの司令室から通信回線が開かれる。
『レイ、何故ここに居る?』
「ギル……」
デュランダルからの回線にレイは身を強張らせる。
『お前にはミネルバのMS隊長としての任務を与えた、こちらは御覧の通り大丈夫だ』
「でも、ギル……」
『キラ=ヤマトの存在…彼が今一番警戒せねばならぬ相手だ。分かっているな、レイ?』
言い聞かせるようなデュランダルの声。プライベートならもっと慣れ親しく出来る間柄だが、今はそんな状況ではない。
デュランダルはプラントの総責任者で、自分はその軍に属する兵士なのだ。戦場で馴れ合いは出来ない。
レイは顔を引き締め、応える。
「はい、直ちに討伐に向かいます」
『それでいい。私の理想にもあと一歩の所まで来ている。彼の事は任せたぞ』
「はい……」
立場を弁え、本当は少しでもいいから励ましの言葉を受けたかったが、我慢した。
ここで甘えていてはキラを倒す事はできないし、デュランダルにも迷惑を掛けてしまうだろう。
自分に厳しいレイはそのままストライクフリーダムを倒しにレジェンドを向かわせた。
一方、廃艦から脱出したハイネとルナマリアは二機でオーブ・連合軍と交戦していた。
「ハイネ…アスランの事……」
『忘れちまえ!あんな奴、お前の言ったとおりの腑抜け野郎だ!今更引っ掛かる事じゃない!』
「うん……」
ルナマリアが心配しているのはそんな事ではなかった。アスランと会話をしたルナマリアはアスランが追い詰められているのを感じていた。
だから、先程は怒りでインフィニットジャスティスを放置してきてしまったが、それで本当に良かったのか、今更になって不安になってきた。
普段真面目な彼だけに、その箍が外れてしまえば何を仕出かすか想定できない。
『ルナマリア…今のうちに言っておく!』
「え……?」
唐突なハイネの言葉にルナマリアはロマンチックな想像をしてしまった。
戦場でこんな事を考えるのは不謹慎と思いつつも、ハイネの口から出る次の言葉に何となく期待してしまう。
「な、何?」
『俺は…そろそろザフトを抜ける!』
「えぇっ!?」
期待外れもいい所だとルナマリアは思う。しかし、ハイネの言葉はそんなルナマリアの落胆を遥かに上回る衝撃を与えた。
「ど…どういう事なの、それは!?」
『これはこの戦いが始まる前から決めていた事だ。デュランダル議長のデスティニープランには賛成できない!』
「じゃ、じゃあ……」
『だからと言ってオーブに付く気は無い。オーブとの戦いが膠着状態に陥ってきた今、ここからは俺とカミーユがデュランダル議長もオーブも止める!』
「そ、そんな!無茶……はっ!?」
言いかけたルナマリアは凄まじいスピードでこちらに接近してくる反応に気付く。
「この反応…まさか!」
『反応?…こいつは……!』
セイバーとインパルスが固まっている所へフォルティス砲のビームが通過する。
アスランのインフィニットジャスティスが二人を追ってきたのだ。
「アスラン=ザラ!」
『ハイネ…ルナマリア……君たちの言う事は分かる……。俺には誰かを説得する権利なんか無いと言う事、君たちに言われてやっと気付く事が出来た……』
「だったら、もうあたし達の前に姿を現さないでよ!目障りだわ!」
激昂するルナマリアはアスランに対して怒鳴りつける。
『けど…分かってしまったんだ……俺に何も残されてない事が……。だから、俺は最後にオーブの…カガリの邪魔をするお前達を止めなければならない……』
「何を…何を言っているの、アスラン!」
「それが惚れた女に対する最後のけじめって奴か?」
『二人には分からない……けど、お前達はこのインフィニットジャスティスで止める!』
言うなりインフィニットジャスティスはビームライフルを構えてセイバーとインパルスに向かってビームを連射する。
「来たっ!」
「避けろよ、ルナマリア!」
距離は十分あったため、二人は難無くそれを回避する。
『もう、悩める悩みなんて俺には無い……本気で行かせて貰う!』
ビームサーベルを両手に保持させ、インフィニットジャスティスが襲い掛かる。
「ルナマリア、挟み込むぞ!」
「了解!」
セイバーとインパルスは散開し、突撃して来たインフィニットジャスティスの両側からビームサーベルで切りかかる。
『甘い!』
それをインフィニットジャスティスは両手を拡げて双方からの斬撃を防ぐ。
「なっ!?」
「何ですって……!?」
渾身の力で振り下ろされたビームサーベルがインフィニットジャスティスの片腕でいとも簡単に防がれた事に二人は驚愕する。
インフィニットジャスティスはそのまま弾くように無理やり二機のビームサーベルを吹き飛ばす。
迷いの無くなったアスランは機体の利点を生かしてパワープレイに出ていた。純粋なパワーならバッテリー稼動のセイバーやインパルスに、核とバッテリーのハイブリットであるハイパーデュートリオン動力のインフィニットジャスティスが負けるはずが無い。
ビームサーベルを失った二機は慌ててビームライフルを構え、牽制するように連射する。
『見えている!先ずはルナマリア…君からだ!』
覚醒したアスランにルナマリアの射撃が当る筈も無く、インパルスのビーム攻撃をロール回避で接近しながらかわす。そのまま手にした二本のビームサーベルを連結し、バトンを回すように切りかかる。
「うわああぁぁぁぁ!?」
『これで大人しくしていろ!』
「ルナマリア!」
振り回されるビームサーベルはインパルスの両足を無残に切り刻む。その様子に混乱するルナマリアは狂ったようにビームライフルを目の前のインフィニットジャスティスに連射するが、全て回転するビームサーベルに弾かれてしまう。
『まだ抗うのなら、少々痛い目を見る事になるぞ!』
「こんな…こんな奴にぃ!」
『止めろ、アスラン!』
続けざまにインパルスの腕を切り落しに掛るインフィニットジャスティスに、セイバーからのビームが邪魔をする。
『ハイネ=ヴェステンフルス!』
「そうかい、そういうつもりか、アスラン=ザラ!」
ビームライフルを連射するセイバーに対し、インフィニットジャスティスはフォルティス砲で迎え撃つ。飽くまでビームサーベルに拘るのはアスランの決意の表れか、直接攻撃で二機を破壊したがっていた。
「ルナマリア、お前は退避していろ!」
『でも!』
「足を失ったインパルスでは無理だ!こいつは俺が倒す!」
機体を横に流れるように移動させ、ビームライフルを連射する。
『ハイネ…お前に俺は倒せない!』
ビームシールドを展開させ、インフィニットジャスティスはセイバーのビームを全て防いで、プレッシャーを与えながら接近を続ける。
「くそっ!馬鹿みたいに固い奴だ!」
『そんなMSではこれに勝つ事は出来ない!』
距離を保ちつつ砲撃を続けるセイバーだが、出力の違うインフィニットジャスティスの機動には敵わない。その距離は一気にインフィニットジャスティスのビームサーベルの射程圏内に入ってしまう。
「そうかな?MSの性能なんて、パイロットの腕次第で何とでもなるものさ!」
『カミーユの事を言っているのなら、それはお前の筋違いだ!お前にそれ程の腕は無い!』
「言ってくれて!馬鹿にするなよ!」
ビームライフルの砲撃をかわしながらビームサーベルを振りかぶるインフィニットジャスティスに、唐突なタイミングでセイバーは回し蹴りを放つ。ドンピシャのタイミングに、普通ならもろに直撃を受ける攻撃だった。
しかし、瞬間アスランの目が鋭く光る。
「何だと!?」
ドンピシャのタイミングの回し蹴りに合わせて、インフィニットジャスティスも回し蹴りを放ってきたのだ。更に、インフィニットジャスティスの爪先にはビームサーベルが仕込まれている。
同じ条件の蹴りなら、結果は見えていた。
『これが現実だ、ハイネ!』
繰り出されたセイバーの回し蹴りはインフィニットジャスティスのビームサーベル蹴りに脆くも砕かれる。
「おのれぇ!」
それでも無理やり繰り出された回し蹴りにバランスを崩したインフィニットジャスティスに向け、セイバーは至近距離からのビームライフルを放つ。
今度は確実に当てられる状態の…筈だった。
そんな完璧な一撃も、素早い反応でインフィニットジャスティスがビームシールドを展開して防がれてしまう。
「これも…通じないのか!?」
『終わりだ、ハイネ!』
『駄目よぉ!』
二本のビームサーベルを振りかぶり、今正にセイバーに止めを刺そうかというその瞬間、インパルスがシールドを構えて二機の間に乱入してくる。
力いっぱいに平行に振り下ろされた二本のビームサーベルはインパルスの右腕の肘から先を切り飛ばし、もう片方はシールドを貫通してマニピュレーターを焼き切った。
『ああああぁぁぁぁ!』
「ルナマリア!?」
『無理をして間に入って来るからそうなる!大人しくしていれば、痛い目を見ずに済んだものを!』
「アスラン、貴様ぁぁぁ!」
四肢を破壊されたインパルスには胸部のチェーンガンだけが武器として頼りなく残されている。後はフォースシルエットのバーニアスラスターで動き回る事しか出来ない。それも、腕や脚によるAMBACが出来ない状態で、である。
それに激昂するハイネはシールドを突き出してインフィニットジャスティスに突撃
する。
『無駄だ、ハイネ!諦めて大人しく寝ていろ!』
シールドの上から出力を上げたビームサーベルを突き刺す。アンチビームコーティングがされているセイバーのシールドも、高い負荷を掛けられたインフィニットジャスティスのビームサーベルに耐えられずに貫かれてしまう。
シールドを突き破ったビームサーベルはセイバーの左肩に突き刺さり、インフィニットジャスティスがそれを振り上げた事によってセイバーの左腕は引き千切られてしまう。
「くっそぉぉぉぉっ!」
それでも何とかしようと、ハイネはセイバーにビームライフルの先端を突き出しつつ渾身の右ストレートを繰り出す。至近距離でビームを浴びせようとしていた。
『何度も言う!無駄だ!』
インフィニットジャスティスの左足がビームサーベルを突き出し、側転するように横に回転して、セイバーの右ストレートをかわしながらそれを切り飛ばした。
「これも…これも駄目なのか……!」
セイバーも戦闘能力を奪われ、状況は万事休す。いくらMSの性能に差があっても、二人で挑んで全く歯が立たなかった事にハイネは深く絶望する。
圧倒的な威容を放って、インフィニットジャスティスのモノアイが一つ瞬く。
『変な情けを掛けてジャスティスを壊していかなかったのがお前達の運の尽きだったな。さあ、どうするハイネ?まだ続けるなら、俺は容赦しない……!』
ビームサーベルをセイバーのコックピットに突きつけ、アスランは勝ち誇った様子でもなくハイネに訊ねる。
「あ、あたしが…あたしがジャスティスをそのままにしようって言ったから…」
絶望的な状況にルナマリアは震えた。自分の勝手な感情のせいで不覚を呼び込んだ事に責任を感じていた。
『ルナマリア、君の情けだったのか。なら、自分の甘さを認めるんだな』
「勝手にルナマリアのせいにするなよ、下衆男。ルナマリアに憎しみを抱かせたのはお前のせいなんだぜ?」
『憎しみ……』
「同情と勘違いしているなら教えてやろうか?ルナマリアはな、お前に苦しんで欲しい為にワザとジャスティスを残したんだぜ」
『分からないな。こういう事になると分かっていて俺を生かしたのなら、それは甘さ以外の何者でもない。同情と違うのか』
「まだ分かってないみたいだな。つまり俺達の感情としては、"お前は苦しんで死ね"って事さ」
『ハイネ…まだ続けたいようだな……!』
ハイネの痛烈な言葉がアスランの感情に火を点ける。対してハイネは冷静だった。
「続けるも何も…俺にはやらなければならない事がある」
『議長の妄想に殉じようというのか、お前は?』
「逆さ……」
『逆……?』
アスランにはハイネの言っている事が何か分からない。言っている事とやっている事の矛盾がアスランを戸惑わせていた。
(カミーユ…気づけ……!お前なら、分かるはずだ……!)
ハイネはカミーユの不思議な感覚に期待する。ニュータイプの話は聞いてないが、ハイネはカミーユが特別な感性を持った人間である事に薄々気付いていた。
そんなカミーユに、意識を飛ばすように心の中で呼び続ける。
「…ハイネ!?」
三人が対峙している現場からそう遠くは無い宙域で、アカツキを戦闘不能にした直後のΖガンダムはステーション・ワンに向かおうとウェイブライダーに変形しようとしているところだった。
そんな時にカミーユはハイネから飛ばされた意思をキャッチする。
「この感覚は…動くのか?それにしてはシンの動きがキャッチできないが……俺たちだけでやれるのか?」
軽い頭痛と共にΖガンダムから光が飛び散る。
「ハイネが危ない……?くっ!」
ウェイブライダーに即座に変形し、カミーユは現場に急行する。
『ハイネ…何を企んでいる……?』
「別に。お前に話すことじゃない」
『強情なら相手を間違ったな?今の俺はお前を殺す事など造作も無いんだぞ』
「オーブの犬に、俺が口を割ると思うか?」
『いい加減にしてもらおう。これ以上の侮辱は耐えられない。死にたくないなら大人しくミネルバに帰ればいいものを……!』
「なら、いつまでも俺達の前に居るなよ。さっさとレクイエムを止めなきゃならんのだろ?ほら、行けよ!」
『く……!ハイネ……!』
インフィニットジャスティスのメインカメラが正面からセイバーを外し、その様子を監視するように漂うインパルスを捉える。
『……ルナマリア、もう一度聞こう。俺達と共に来い』
「寝ぼけてんじゃないわよ、いつ聞かれても答えは同じ、あんたと一緒には行かないわ」
『……』
どうしてもアスランはルナマリアに来て欲しかった。
アスランに何も残されていないとは言え、何も要らなくなったわけではない。少しの可能性でもあるのなら、それに最後まで賭けてみたかった。
しかし、そのアスランの想いはルナマリアに届く事は決してない。彼女には守るべきものがあるからだ。
「いい加減、いつまでもビームサーベルを突きつけられていると、不愉快だ。止めを刺す気が無いなら、目の前から消えろよ」
『……!』
「オーブの理想…何だか知らないが、俺はお前達を信用できない」
『何故そこまで俺達を拒否する?平和を掴もうとする意思は素晴らしい事じゃないのか?それとも……お前もルナマリアもデュランダル議長の毒電波に侵されてバイオレンスな衝動を吹き込まれたか?』
「違うな。アークエンジェルの行動は俺達にしてみれば単なるテロ行為だった。それはお前も理解できていたはずだ」
『そうだ。しかし、今は違う。こうして恐怖政治を敷こうとしているデュランダル議長を止めようと必死に戦っている。何故これが分からない?』
「馬鹿なアスラン…アークエンジェルを匿っていたオーブは、そのテロ行為の温床になっていたんだぞ。そんな国に、正義や正当性があると思えるのか?」
『ザフトに比べればマシだろう。何故俺達の言い分を分かろうとしない?』
「いい加減に気づけよ。オーブが本当に正しいのなら、ザフトは攻め込んだりはしなかった。オーブが本気で平和を目指しているのなら、こんな風に攻め込んできたりはしなかった」
『……』
「そして、オーブに従うお前は考えるのを放棄した人形と同じって事さ。それが答えだ、人間がおしゃべりする人形の言う事を聞くか?」
『デュランダル議長の人形のお前達が、俺に対して人形とは言えない。…そして、今この状況に於いて俺は人間でお前達が人形である事を理解してないのか?』
ビームサーベルをセイバーに突きつけたまま、左腕でビームライフルを持ち、それをインパルスに向ける。
『この俺の意思一つで、お前達の運命が決まるんだぞ』
「癪だな、お前みたいな駄目男に運命を握られるなんて」
『減らず口は命を縮める事になる……!』
セイバーのコックピットハッチにインフィニットジャスティスのビームサーベルが触れる。コックピットの中に居ても、外装が焼かれる音が聞こえる。
(ハイネ……何を待っているの……?)
頭に血が昇っているアスランは気付いていないが、ルナマリアはハイネが挑発的な言葉を繰り返す事に疑問を抱いていた。
絶望的に不利な状況であるのにワザとアスランを怒らせる言動は、彼をこの場に留める為の時間稼ぎであると分かったが、それが何を呼び込むのかまでは分からなかった。
ただ、それがアスランに気付かれないよう、ルナマリアに出来る事は口をつぐむ事だけである。ハイネが殺されぬよう、成り行きを黙って眺めていた。
「どうする、アスラン?俺達を殺してレクイエムに向かうか、それとも優しいラクス=クラインの意思を汲んで俺達を見逃してレクイエムに向かうか…どっちを選ぶ?」
『俺に質問をするな……!本当に殺すぞ……!』
「そのつもりじゃなかったのか?……ん?」
『ん……?……この反応は……ハイネ、お前!?』
急にアスランの声色が変わったのをルナマリアは聞き逃さなかった。
何かに気付いてアスランは慌てている。それはハイネが仕掛けた罠の事だろうか、ルナマリアは辛うじて生き残っているコンソールを操作し、何が起こっているのかを探る。
「え……?この反応は……!」
レーダーに画面を移した時、レーダーに映る反応の文字にルナマリアは鳥肌が立った。この世界には決して存在しないMSの型式番号…手打ちで入力したMSZ-006が、彼等が対峙する宙域に真っ直ぐ向かってきていたのだ。
『お前は…ハイネ……これは……!』
「ははっ、本当に来やがった!どうする、MSの性能の差を腕でひっくり返す奴が来たぜ?」
『カミーユがここへ来るのか!』
「ハイネ…一体何時カミーユを呼んだの……?」
ハイネがカミーユを呼んだ素振りは一回も無い。気付かない内に呼んでいたのかと思ったが、アスランがそれを見逃すはずが無い事は彼と戦っていて良く分かっていた。
思い返せばカミーユはいつでも不思議な出現をしてきていた。最近のレクイエム攻略戦でも、ピンチのルナマリアを救ったのはカミーユのお陰だった。
決戦前のカミーユとの会話を思い出す。
「そうか、これがカミーユが言っていたニュータイプの…」
『何て事を……!』
「動揺が声に出てるぜ!」
アスランはカミーユの接近にうろたえる。アスランはカミーユの存在を危険視していた。
それは彼がミネルバに居た頃、カミーユの実力を知ってしまっていたからだ。
彼のデータを見た時、アスランはどうしようもないカミーユに対する劣等感を無意識に植え付けられた。それがアスランを狼狽させている要因だった。
Ζガンダムの反応は直ぐそこまで迫ってきている。
『くそっ!こうなればハイネ!お前だけでも……!』
「くっ!?」
インフィニットジャスティスがビームサーベルを構えた腕を後ろに引き、セイバーを貫こうと勢いをつける。
「ハイネェェェェ!」
『インパルス!?まだ動けるのか!』
インフィニットジャスティスがビームサーベルを突き出した所へ、インパルスが背中のバーニアスラスターを精一杯蒸かして乱暴にセイバーに体当たりする。
フラフラと滑稽にバーニアを蒸かすインパルスがセイバーの代わりにその刃を右肩に突き刺される。
「あうっ!」
『邪魔するなら……!』
襲う衝撃にルナマリアは呻いた。
インフィニットジャスティスは一旦ビームサーベルを引き抜き、再度インパルスに向けてビームサーベルを突き立てようとする。
(や…やられる!?)
『手ぇ出すな!』
ルナマリアが観念した時、吹っ飛ばされたセイバーが戻ってきてその身をインパルスの楯にした。
……瞬間、世界の時間がそこだけ止まったように静寂が支配する。
インフィニットジャスティスが突き出したビームサーベルは綺麗にセイバーのコックピットを貫いていた。その余りにもの綺麗な突きに、セイバーは爆発を起こさない。ただ、それに乗っていた者が居ないだけである。
まだ動けそうな、そして、今にも動き出しそうなセイバーだが、MSの命の光にも見れるモノアイの光が、静かに消える。
インフィニットジャスティスがビームサーベルを引き抜くと、セイバーは思い出したように爆発を始めた。
「ハ…ハ…ハイネェェェェェェェェ!」
「うあああああぁぁぁぁぁぁ!」
ルナマリアがハイネの名を絶叫する。
目の前で貫かれ、それを間近で目撃してしまったルナマリアの目からは大量の涙が止め処なく溢れては頬を流れる。
同時に辿り着いたΖガンダムのコックピットの中でカミーユは咆哮を上げて頭を抱
える。間に合わなかった、助けられなかった…その絶望感がカミーユを怒り狂わせる。
そのカミーユの感情はマシンのシステムを通してΖガンダムに反映される。カミーユの感情が力になり、それがΖガンダムを不思議な光で包んだ。
「何故だ!?何故殺した!?お前がハイネを殺す理由が何処にある!?」
両手で銃剣を構え、インフィニットジャスティスに切り掛かる。それをインフィニットジャスティスは二本のビームサーベルで防いだ。
『こ…殺すつもりは……殺すつもりは無かったんだ!』
カミーユの耳に聞こえてくるアスランの声は涙声だった。彼自身、かなり混乱していたのだろう。
ルナマリアは必死にインパルスをミネルバへ向かわせる。Ζガンダムがインフィニットジャスティスを押さえ込んでいる隙に、少しでも安心できる場所に逃げたかったのだ。
ハイネが死んだ事でショックを受け、その反動でルナマリアもパニックに陥り、藁にも縋る気持ちで振り向かないように逃げる。
その表情は青ざめ、今にも発狂しそうな声で呟く。
「こ、こんな…こんな事になっちゃうなんて……!あたしの…あたしのせいでハイネがぁ……!」
混乱と悲しみで涙が止め処なく溢れてくる。アスランに対する憎しみは、恐怖へと変わっていた。
「に…逃げなくちゃ…あたしも…アイツに…あの悪魔に殺されちゃう……!」
ルナマリアは逃げると同時にミネルバのメイリンの下に通信回線を繋げようとするが、中々上手く繋がらない。気が触れたようにスイッチを連打し、必死に呼びかける。
「メイリン!メイリン!助けて、お姉ちゃんを助けて!メイリン!」
叫び続けながらインパルスはバランスの悪くなった機体をフラフラと進ませる。
バーニアから吹き出る火が、まるで当ても無く彷徨う人魂のようであった。
「ハイネは…ハイネは元仲間だったじゃないか!?それを…殺すなんて!」
『殺すとは言ったが、本気で言ったわけじゃなかったんだ!俺は…ただ脅しをかけただけで、殺そうと思って殺したんじゃないんだ!』
二人はチャンバラを繰り返して絶叫しあう。喉を枯らすほどの大声が、時折裏返ってより悲壮感を際立たせていた。
『本当に弾みだったんだ!ルナマリアも、致命傷は避けて動けなくさせるつもりで…それでやったらアイツが!』
「そんな言い訳を口にしたところで事実は!」
『違う!あれは事故だったんだ、俺のせいじゃない!』
「それで…それで免罪符を受け取った積もりか!?」
Ζガンダムの光が一層強くなる。
インフィニットジャスティスのビームサーベルを弾き、ビームライフルを投げ捨ててビームサーベルに持ち替える。
「自分でやったことも認識できないのか、お前は!」
『で…出来ない!俺は…俺はそんなのにはもう耐えられない!』
「そうやって逃げるから誰もお前に見向きもしなくなったんだ!それを分かるだけで、世界が変わることを知るべきなんだよ!』
『もうたくさんだ!カミーユの言うとおり…それだけじゃない!ハイネにも言われたとおり、俺は無責任で全てから逃げているだけの卑怯な男なんだ!だから…勘弁してくれ……!』
「そこで何とか頑張れるのが…人間じゃないか!」
『俺は…俺はもう駄目なんだよ!これ以上俺を責めないでくれ!苦しめないでくれ!』
「駄目だ、アスラン!ここで又逃げちゃ…同じ事の繰り返しになるんだぞ!同じ苦しみが繰り返されるんだぞ!」
『止めろ止めろ止めろ!これ以上責めるなら…俺はぁ!』
インフィニットジャスティスがフォルティス砲を放ってビームサーベルを連結させる。そのままΖガンダムが回避するであろう方向に向けて加速を掛けようとした。
しかし……
「!?」
Ζガンダムはフォルティス砲のビームを避けなかった。それどころかビームは不思議な光に弾かれてしまう。
「あの光は……!?」
まるでファンタジーの中の出来事のような光景にアスランは激しく動揺する。夢なら夢で早く醒めて欲しいとも思った。
しかし、目の前の現実は確かに存在していて、アスランには拒否するべくもない。
「くそぅっ!」
ビームサーベルを保持させたままビームライフルを構え、フォルティス砲と同時に何発も打ち込む。しかし、全て不思議な光に阻まれて無効化されてしまう。
「カ、カミーユ…お前は一体何者なんだ!?」
恐怖を全身で感じながら、アスランはインフィニットジャスティスを後退させる。こんな化け物を相手にしていたのでは命が幾つあっても足りないと感じたからだ。
「アスラン……!そうやって自分に言い訳して逃げるから!」
諦めの表情を浮かべ、カミーユは逃げるインフィニットジャスティスを睨む。
Ζガンダムを包む光は更に輝きを増し、ビームサーベルを構える。
すると、ビームサーベルが太くなり、その長さはグングン伸びていく。
そして、距離が大分開いているというのにΖガンダムはビームサーベルを振りかぶって勢い良く振り下ろした。
「お前だけが苦しんでるんじゃないんだよぉぉっ!」
「な……!?」
振り下ろされた巨大なビームサーベルは鞭の様にしなり、逃走を続けるインフィニットジャスティスの脚部をスカートアーマー部分の根元から切り飛ばす。そして、そのまま衝撃でデブリに衝突し、アスランは気を失い、インフィニットジャスティスは彼方に流されていった。
カミーユはそれを見届けるとビームライフルを回収し、Ζガンダムをウェイブライダーに変形させてステーション・ワンへと進路をとる。
カミーユはアスランに止めを刺さなかった。今は一刻も早くレクイエムを止める事が優先される目的だったからだ。そして、それは散っていったハイネと交わした誓いでもある。
憎しみに身を焦がれそうになりながらも、カミーユは必死にそれを抑えてウェイブライダーを加速させた……
〜つづく〜
GJ!
ハイネが死んだ…
なんかアスランが凄く良い役をもらってる気がするのは気のせいでしょうか
ハイネェェェェェェェ
まだ蝙蝠が生きてるぅぅぅぅ
GJだけど…ぐ、GJだけど……ハイネェェェェェ!!!!
職人さん乙です
でも一言バイオセンサーには増幅効果はほとんどないですよ
あくまでパイロットと機体をシンクロさせるための簡易サイコミュだし
GJ!
さて、残るはキラか・・・。ルナマリアは無事に帰れん気がするな。
乙です
しかし…ハイネはシンの目の前でレイに殺されると思ってたが…
今回はなんか色々と兄貴の株が暴落したような…
ザフトやシンの言い分を散々貶めておきながら、自分がやってたことは仕方ないの一言だもんなー
悪いことをしたなという思考が微塵も感じられない…ラクシズ思考だぞ兄貴(w
そしてヤケクソのアスラン
失うものは何もなくなった男の最後の足掻きはものすごいなぁ
ずっと悩み続けていた彼だからこそ、それがなくなったときの力がすごい
理由が果てしなく情けないから全然カタルシスはないけど(w
つーかもう物語前半の彼は幻だったかのような小悪人っぷりだなぁ
数多くのへたれアスランをみてきたが、本気でアスランに不快感を覚えたのはこれが初めてだ(w
しかし毒電波うんぬんは全ての読者がつっこんだだろうな…それはお前だと(笑
ハイネ…ただ一人、種世界の中で自分の意思でもがこうとした男の散り様としてはなんとも悲しい結末でした
助けたルナも崩壊寸前、カミーユにも精神的ダメージあたえたし…
それでも最後まで自分らしさを貫いた彼には敬意を表します
とにもかくにも今回もGJ!
どう考えても凸は殺す気満々でした。どう見ても言い訳です。
だがそれがアスランっぽいな…言い訳人生
>>168 そこはカミーユの拡大したNT能力がバイオセンサーを通して
機体に反映されたくらいで流せばOKでしょ
俺達はどうやらとんだ思い違いを(ry
カミーユin最終決戦と言うことでともすれば彼の崩壊について危惧しがちだが、
むしろこの戦いカミーユ以外の参戦者達の方が軒並み崩壊に向かって
突き進んでるように見えてならない……
ムウとアスラン、そしてルナとハイネは退場かー
アスランとムウはどーでもいいとして、ルナにフォローがないままなのがちょっと気になるなぁ
カミーユはルナのことに気がつかなかったのだろうか?
あとはレイ、シン、キラ…そしてラクスか
前者三人は戦いで決着がつくだろうけど、ラクスはどうなるのかなー
彼女、この作品では被害者意識満々だし…
GJ!!!!!
この燃える展開!
ハイネ、死す!ルナ、狂乱!
そしてカミーユ覚醒!
もう、辛抱溜まらんです!!
>だから、俺は最後にオーブの…カガリの邪魔をするお前達を止めなければならない
凸!お前はこの期に及んで、自分の言葉で話せんのか!?
そして結局頼るのは力か!?
ハイネのことにしても、思いっきり殺すつもり刺しておいて言い訳するなよ。
カミーユが出てきた途端、弱気になるし。
情けない男以前の問題だぞ?
こいつはどういう結末をたどるんだろう……
GJ!!
凸最悪・・・自業自得なんだけでもちょっと可哀想だと思った。
ルナは精神崩壊しないか心配だ。
アスランも実力はあったがどこぞのペテン師にそそのかされたばっかりにひたすら格好の悪いキャラにされてきたんだなぁと思う。
サイコフレームの奇跡でもおk
やっぱりマンイドコントロールは恐ろしいものだ
なにせ現実の犯罪や宗教勧誘でも使われる手法だからな…
自分を変えたくて、なにかできることをザフトに求めて監禁されるなんて
まるでお姫様みたいな待遇だったな…
このアスランみてると、ザフトに残ってたとしてもみんなに好かれたいからという八歩美人で
キラに手加減してあっさり四肢ぶった切られて退場という図しか思い浮かばんな…
>>176 あのまま放置じゃね?
エピローグで「アスランは見つからなかった、おそらく戦場の藻屑と消えてしまったのだろう」とか(w
>>181 どうも気になる点が…アスランのやられ方ってヤザンの劣化バージョンだよな…
ひょっとして…これはひょっとするかもしれんぞ
>>182 どこぞのジャンク屋にコックピットだけ拾われるてか?
次回の作品ではお笑い担当か…酸素欠乏の影響で
MSも一部破損だけだしキラとかいいつつ戻りそうな気も
ハイネは連戦で機体もボロボロだったな…偉そうなズラがむかつくわ
>>183 ヤバイそれはもう完璧に崖を転がり落ちてるーwwwwwwww
>>183 その後はあしたのジョーのウルフ金串よろしく言い訳人生を送り
後年ジェスから「これがかつてのザフトのエースでジャスティスを任された一流パイロットの末路か!」
的な記事が世間に出回るとか。
職人さんGJです
ハイパー化キター
Ζ発動のBGMが聞こえてきたよ
アスランに初めて共鳴してしまったよ
188 :
182:2006/12/02(土) 02:37:14 ID:???
>>183 ジュドーに倒されるアスラン(ゲゼ搭乗)が思い浮かんだんだが
ヤザンとゲモンと組んでΖを付け狙うとか
189 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 02:37:47 ID:fImKenDm
エンディングは宇宙を漂うジャスティス
そして劇場版、逆襲のアスランが始まる!
>>175 カミーユはこの戦場の全てを知覚してる描写があるから
ルナのことはケアすると思う。
またテレパスで声をかけてあげるとかで
ただ今はレクイエムが先だってことじゃないか
ストフリにはもちろんカミーユがハイパー化して金縛りだよな
すいません、あげちゃいました
ハイパー化GJです
この職人さんは文章の力があるな
読み応えがある
たぶん最後のカミーユのハイパー化はエマとかの幽霊もでるだろうから
そこにハイネの幽霊も来たら俺は泣くよ
>>195 dクス。
いずれ、既存の淫邪の映像と組み合わせてMADをこさえる方も出てきたりして。
やっぱカミーユっていったらハイパー化だよな
今回もGJだった。
ハイネが散ってしまったのに凸が生きてるのはあれだが、これからの人生は暗いものになるのが分かってるだけに溜飲は下がるな。
>>123 それぞれのクロススレのアスランが一同に会すSSとかおもしろいかもしれんw。
>>198 藤子F先生の『パラレル同窓会』ですかYO!
シンやキラもクロス先の作品によって随分変化してる例もありますが、
アスランの振幅にはまだまだ及ばないよね…。
GJです。
今回シンがシャナみたいになったっていう突っ込みはもう入った?
>198
Xアスランに問答無用でブチ殺されそうな気がするwwwww
いやあ、面白かった、印象に残るSSのアスランは幾人かいるが、
これほど忘れられないアスランは珍しいな、かっこわるい度数高すぎ。
>198
何そのノエイン?(w
ハイネも行動がちょっとおかしいと思うんだけどな…
自分とカミーユだけで議長止められると思ってたのかよと
本気で止める気ならまずは一旦ラクシズと手を組むべきだろう
そしてケリがついて気が緩んだ所を後ろからバッサリと
GJです
いい感じでドロドロしてますね〜
GJ!!!!!!!!!!
このあとはサイコフレームをつかって、崩壊寸前の人達に心の光を見せ
暖かさと安心をあたえて人々を救う展開になるのかな
>>204 たとえそれが最も合理的でも生理的に受け付けないんじゃないか?
凸の行動一つとってもろくでもないことしかしてないし
一人でドム×2にアカツキにインフィニットジャスティス撃墜と、カミーユ獅子奮迅だな。
ストフリのドラグーンも半減させたから、ストフリと一騎討ち中の
ドラグーンに対応できないシンの負担も大分減らしてくれているし。
まさに化け物。
じゅ、十三機のドラグーンが一瞬で全滅だと!?
>>207 それにしてもたった二人で止められると思うのはどうにも無理があるだろう。
カミーユから協力が得られなかったら一人でもやるつもりだったみたいだし。
それとも実際に止められるかどうかは関係なく、止める姿勢をザフト全軍に
見せて、議長の行動に疑問を抱かせるというような考えだったのだろうか?
元々は義侠心と変革への情熱に溢れた理想主義者ではあった。
しかし意志の弱さと間の悪さがあいまって裏切り癖が染みついてしまい
いまや表に出てくる度に災いをもたらす疫病神キャラとなり
重要なサブキャラをはずみで殺して、そんなつもりじゃなかったと喚きながら一時退場…
ここの凸にデジャブを感じると思ったが、『ダグラム』のデスタンにクリソツだったんだ……
(もっともあっちはCBアーマー乗りじゃなかったけどね…)
ハイネ!目を開けろよ!!
ウソだろ!?こんなのウソだろ!!?
目を明けてくれよ!!ハイネェェェェーーーーーー!!!
何はともあれGJです。
>>194
ミスった。
訂正
>>194 オレもエマやフォウとかの中にハイネがいたら確実に泣く。
カミーユによってラクシズ敗走
でカミーユがレクイエム破壊しようとして
議長やレイなどとゴタゴタ
レクイエムをハイパー化してサイコフレームの共鳴で止める
とかそんな感じだろうな最後
キーパーソンに挙げられたシンの仕事はなんだ?
今更シンが議長に牙を剥くとは思えんしな
>>216 どうだろ?
ラクソと議長、どっち転んでも「人の心を大事にしない世界」になりそうだし、カミーユがラクシズ、シンが議長を排除することになるんじゃね?
むしろ逆じゃないか?
議長を止めようとするならまずはラクシズを排除しなきゃだめだろ。
は、ハイネェェェェェェ!!!!(つдT)
先を予想されすぎると職人さんが辛いぞー。
223 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 14:05:03 ID:0j3N9VGc
結局は小太り、メガネのキモオタ君が集まって傷のなめあいするレスみたいだね
>>223 ×レス→○板
俺もお前もその中に含まれるんだよ
昼間から暇な友達も居ずに一人部屋に引きこもっれてる薄汚い基地外腐女子を発見!!!
>>223、お前だよ
m9(^д^)9mプギャーm9(^д^)9mプギャーm9(^д^)9mプギャーm9(^д^)9mプギャーm9(^д^)9mプギャー
m9(^д^)9mプギャーm9(^д^)9mプギャーm9(^д^)9mプギャーm9(^д^)9mプギャーm9(^д^)9mプギャー
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なんでスルーできないんだろうな
思い当たるフシがあるから
マジで最近ダイエットせんとまずいわ
職場が変わってからずっとデスクワークになったせいで10kg近く太った
それはまずい・・
230 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 15:54:04 ID:4zOX/MCJ
173さんの言ったとおりに流せばいいと思いますよ。
それにこのZにはサイコフレームも付いてますからこれくらいはOKなのでは?
カミーユ氏のSSの中では凸が一番人間っぽいな。良くも悪くも。
上手く言えないが数あるSSの中で最も原作に近く、最も人間臭いというか…そんな感じ
ラクシズ艦隊:AA、永遠、ストフリ(ファンネル欠番)
ザフト艦隊:ミネルバ、運命、伝説、ハイパー化Z、グフ、ザク
ラクシズ人生オワタw
てかカミーユ一人でラクシズ艦隊壊滅できそうだけどナー
シンがボロボロ(肉体的に)なのが少し気になる
ミーティア装備はどうすんだろ、さすがにあれはハイパー化で瞬殺はないと思うが……
ミーティアなんかカミーユが瞬殺したらただの邪魔な装備でしかないような…
それにしてもカミーユは最高のNTだな
>>231 こんな感じのキャラならヘタレでも人気は出そうだよな。
嫁補正なくなると結構魅力的だと思うよ。
>>231 はぁ?
2番目に、ねじ曲げてるだろ
1番目は、キラ
しかし、カミーユNT能力使いすぎじゃないか?最後まで持つのかな。
このままだとレイあたりに連れて行かれそう。
レイじゃ無理だろ…
業が足りない。
そういった意味では種世界の人間は温過ぎるからなぁ。
>>238 カミーユは新訳の流れに辿り着ければ
究極のNTになれるよ
そのキーがシンだと思う
漏れはキラがウェイブライダー突撃で貫かれて、キラは自分に何が起きたのさえ、理解できないままZに捕まると見た。
漏れはキラがウェイブライダー突撃で貫かれて、キラは自分に何が起きたのさえ、理解できないままZに捕まると見た。
>>238 もう殺した雑魚の思念まで全て受信してるっぽいしな
フラグは確かに立っていた。覚悟も出来ていた。
しかし、それでも叫ぶ。
ハイネェェェェェーーーー!!!
ラクスに連れていかれたりして・・・
カミーユのNT能力ならラクスの悪意まで浄化してくれる
ハイネェェェェェェーーー!!! (つдT)
ハイネは死なないよ…カミーユの中で生き続けるさ…
と言うことでラストで(魂だけ)出てきてくれることを祈って…
GJ━━━(゚∀゚)━━━!!
乗り遅れた…orz
やはりあの時キラ張りに、入力してたんだな…
しかし、凄い読み応えが有った!!
勝手に頭の中で、映像と声付きが再生されてる…
ハゲラン最低だったの〜
ムウは、不可能を可能に出来なくて、只のおっさんになってもーた!!…(笑)
次回も楽しみにしてます。
250 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/02(土) 23:12:01 ID:GWtrpxO6
くだらね〜
今日も深夜に失礼。最終決戦の量的には今回から後半戦です。
第四十九話「伝説の終焉に……」
交戦を続けるデスティニーとストライクフリーダムはその場をレクイエムの近くに移していた。ストライクフリーダムは遠距離からの砲撃を心掛け、デスティニーはそれをかわして執拗に接近戦を仕掛けようとしている。
『君は…なんでいつも!』
「あんたが居るからだろ!」
アロンダイトによる接近戦を諦め、シンはビームライフルを構えさせる。
デスティニーはそれを連射して空いている腕でフラッシュエッジを投げつける。
ストライクフリーダムはビームをかわし、飛んで来たフラッシュエッジをビームサーベルで叩き落す。
ストライクフリーダムは反撃でカリドゥスを放つが、デスティニーの残像に当てるのが精一杯だった。
『議長はレクイエムをオーブに向けてるんだぞ!君はそれが本当にプラントの為になると思っているの!?』
「そ…それは……!」
『だったら、ラクスの言う事をちゃんと聞いて、その上で君自身で考えてくれ!僕達は本当は戦わなくてもいいのかもしれないだろ!?』
「俺は……!」
『シン、騙されるな!』
『!?』
二人の戦いに四機のドラグーンが紛れ込んでくる。レジェンドから放たれたそれはストライクフリーダムに照準を絞り、少ないながらも斉射を浴びせる。
『君はっ!』
「ふん…キラ=ヤマトか……いかにも人を殺しそうな名前だな!」
『何だって!?』
「お前は殺してないつもりだろうが…実際には間接的に殺していると言える!」
『君は…僕の戦い方の事を言っているのか!?』
レジェンドは展開したドラグーンを自機に呼び戻し、それを周りに固定してビームライフルと一緒に一斉に放つ。キラのお得意のフルバーストアタックを擬似的に真似た攻撃だ。
『クッ!』
「お前は創造主のエゴによって生み出されたわけだが、成る程な?創造主のエゴもきっちりと受け継いでいると見える!」
『何を言っているんだ!?』
「お前を造った男の話だ。完全な命を造れると思い上がった男のエゴ…キラ=ヤマト、それはお前そのものじゃないか!」
『僕は…そんなものじゃない!』
「いや、キラ=ヤマト…お前も俺と同じ、人形だ」
『!?』
レジェンドはビームサーベルを片手にビームライフルを連射してストライクフリーダムに接近をかける。ストライクフリーダムはそれを阻むように二丁のライフルとクスィフィアスを同時に撃つ。
「シン、お前はラクス=クラインの下へ向かえ!こいつは俺が仕留める!」
『ラクス=クラインって……!』
「奴が全ての元凶だ!この男も、あの女の言葉に従って行動しているに過ぎん!ラクス=クラインさえ倒せば、この戦争は終わる!」
『そ、そうか!』
シンは疲労からか、まともな思考が出来ずにいた。レイに言われた事も殆どその意味を理解できていない。
レイはストライクフリーダムに、キラに私情を挟んでいた。彼が最も望む結末は、自分の手でキラを倒し、デュランダルの理想を実現させ、その後で自らは去るというものだった。
感情がどうしても優先されてしまう激情家のシンには、この状況でそれを語ってしまえば自分の言う事は聞かないだろうと推測し、多くを語らなかった。
そんなレイの想いは露知らず、言われるがままにシンはデスティニーをエターナルが存在する宙域へと向ける。
『そうはさせない!』
「キラ=ヤマト!お前の相手は俺だということをまだ認めないか!」
デスティニーを食い止めようとレジェンドに背を向けたのはキラにまだ余裕が残っている証拠だった。
その余裕がレイにとっては隙になる。レジェンドはストライクフリーダムの背後から組み付き、ビームサーベルを突き出す。
『ぐぅっ!』
「何!?」
ストライクフリーダムは背後のレジェンドに肘鉄をかまし、引き剥がす。
『ラクスは!』
「お前の御主人様だろ!」
レジェンドがストライクフリーダムの腹部に蹴りを突き入れる。ストライクフリーダムは姿勢制御し、ビームライフルを撃つ。
「戦場で敵に背を向けるのは、お前が遊びで戦争をしている証拠だ!」
『僕は本気だ!』
「お前が何時戦争に本気になったと言うのだ!?」
ストライクフリーダムのビームをかわし、レジェンドはドラグーンを展開してストライクフリーダムの背後を埋める。横にしか逃げられないストライクフリーダムは、レジェンドのビームライフルの連射から最大加速で逃げる。
『君がラウ=ル=クルーゼの様なクローンだとしても!』
「それが何だと言うのだ!」
『僕は君を殺せない!』
「殺せだなんて頼んでいない!お前は俺と共に滅ぶべきだと言っている!」
『君だって……!死ぬ事は無いじゃないか!何でもっと素直に世界と向き合わないんだ!?それだけで、君は別の人として生きていけるってのに……』
逃げるストライクフリーダムをドラグーンが追いかけて一斉射する。
レジェンドもそれに追随する。
「お前は、自分がどのような存在か見えてないから呑気な事を言う!本当の自分を見つめてみろ!その呪われた運命に、お前は耐えられるのか!?」
『僕は出来る!君みたいに絶望して逃げたりなんかしないし、諦めて世捨て人になったりしない!だから僕は再び戦場に戻ってきたんだ!』
「俺は逃げてなどいない!事実を認めた上で、こうしている!なら、お前の罪はどうなる!?ラウを殺した事、戦禍を無駄に拡げた事、それを認めないでお前はのうのうと生きるというのか、キラ=ヤマト!?」
『それは僕が生きていく限り償っていく!覚悟はある!』
「何も理解できていない男だ!」
ストライクフリーダムは急旋回から二丁のビームライフルを連結させてレジェンドを狙う。
レジェンドはドラグーンのビームを前面に雨のように撃ち、身を隠して本体だけ離脱する。
放たれた連結ライフルのビームはドラグーンを二機巻き込み、即座に連結を外した二丁ライフルで残りの二機を撃ち落す。
『君が君に自信が無いのなら!』
「戯言を言うな!」
『それがラウ=ル=クルーゼの怨念によるものなら、それは間違いだ!』
「ラウが…関係あるか!」
『君は君だろ!?彼じゃない!』
レジェンドを捕捉したストライクフリーダムは全砲門を向ける。ドラグーンは無くとも十分な威力を誇る。
「世迷言を……!俺はギルの為に戦っている!」
ストライクフリーダムの一斉射撃をかわし、ビームライフルを連射する。
『議長にも囚われないで!議長は君を利用しているだけだ!』
言われた瞬間、レイは急に表情を一変させる。
「貴様なんかにギルの何が分かる!?」
レイは目を見開き、彼らしからぬ大声で怒鳴る。
彼が一番我慢ならない事、それはデュランダルを中傷することだった。キラの言葉はレイの感情の琴線に触れたのだ。
『!?』
「誰なのかも分からない俺は、ギルが居なかったら生きられなかったんだぞ!?それなのに、お前は俺がギルの為に戦っちゃいけないって言うのか!?」
『議長は…!』
「お前だってラクスの為に戦ってるじゃないか!?それと俺の事は違うって言うのか!?」
レジェンドが困惑して固まっているストライクフリーダムにビームサーベルを構えて突撃する。
『けど、やっぱりデュランダル議長のやっていることは間違っている!僕達はそれを正す為に!』
「俺にとってギルは間違いじゃない!」
エターナルへ向かう道すがら、シンは考えていた。レイにストライクフリーダムの相手を任せてきてしまったが、彼だけで大丈夫だろうかという不安があったからだ。
ストライクフリーダムと対峙していた時のレイは少し雰囲気が違った。普段の冷静な彼からは想像できない憎しみが込められているように感じられた。
そのせいで無理をしすぎるのではないのか、心配だった。
尤も、無茶が専売特許のようなシンに心配される筋合いはないのだが、今のレイは何か違うような気がした。嫌な予感がシンの脳裏を過ぎる。
(……やっぱりレイの事が心配だ、戻ろう!)
レイは、デュランダルの為なら命を賭してでも戦うであろう。相手がストライクフリーダムであるのならば、それを確実に仕留める為には残り短い命をも削って無理をするだろう。
しかし、シンはレイを親友だと思っていた。アカデミーからの長い付き合いでもあるし、ミネルバのパイロットの中では同年齢の同性相手でもあった。
そんなレイだからこそ、シンは無理をしないで欲しかった。そして、出来るならこの戦いが終わった後もいつもの様に厭味を聞かせて欲しい。
そう願ってシンはデスティニーを反転させ、先程のレジェンドとストライクフリーダムの交戦現場へと戻る。
ストライクフリーダムはレジェンドのビームサーベルをかわし、レクイエムから離れる。それを追うレジェンド。
「キラ=ヤマト!お前はやっぱりこの世に存在してはいけない!」
『く……!』
追随するレジェンドはビームサーベルを振り回し、ストライクフリーダムはそれをあくせくかわしながら戦場を駆ける。
『僕だって…生きたいんだ!君だって生きたいんだろ!?議長の為に!』
「お前と一緒にするな!ラウの事を知らないのか!?」
『彼の事を……!』
「クローンの俺達はな!テロメアの短さから寿命が極端に短いんだよ!だから、たったの十六年しか生きていないのにもう老化が始まっている!」
『そ…そんな……君も……!』
「これが俺の運命だ!どうしようもない…それで好きに生きて何が悪い!?」
『だからって、誰かを巻き込む事は無いじゃないか!』
レジェンドのビームサーベルが空を切り、ストライクフリーダムは背後の絶好の位置でレジェンドを据える。この瞬間、ストライクフリーダムの腹部のカリドゥスにエネルギーが集中し、レジェンドを照らした。
「しまった…キラ=ヤマト!」
『これで!』
このまま発射すれば、上手くレジェンドのバーニアだけを破壊できるはずだった。
『レイィィィィィィィ!』
しかし、その時デスティニーが二機に猛スピードで接近してくる。
『デスティニー!?』
「は……!」
シンの声に気を取られたキラは、カリドゥスの発射が一瞬だけ遅れてしまう。
その一瞬を突き、レジェンドがストライクフリーダムに振り向いて、ビームサーベルをカリドゥスに向けて突き刺そうと腕を引く。カリドゥスに直撃させれば、溜まったエネルギーが行き場を失い、ストライクフリーダムは爆散する筈だった。
しかし……
『うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!』
「あぁっ……!」
絶叫をするキラ、呆然とするレイ。
カリドゥスの発射がほんの一瞬早く、レジェンドはビームサーベルをあと少しのところまで伸ばしながらも、カリドゥスの光を頭部からモロに浴びる。
出力を強化されたその一撃は太く、その光の中でレジェンドが爆散を始める。
「あ…あ…ぁ……レ…レイ……?」
シンの目の前でレジェンドが崩れていく。
特徴的なドラグーンを収納する大型のバックパックは剥がれ、レジェンドというMSを形作っていた全ての要素が砂が崩れるようにバラバラに砕けていく。
「レイィィィィィィィィィィ!?」
一度発射してしまえば、後はエネルギーを放出し終わるまで止まらない。
カリドゥスがレジェンドを粉々に砕き、残骸となって宇宙に散らばって爆発する。
「は…あぁ……あ……!」
『あ…あぁ……く……!』
激しく動揺する二人。
シンはレイが殺された事に、キラは殺してしまった事に深く絶望する。
「あ…あんたなんかに……あんたなんかにレイを殺す権利があったのかよ!?レイは…レイはぁっ!」
『ぼ…僕は……』
二人は涙を流せない。現実だとしても余りに唐突過ぎた。
「レイの気配が消えた……?あの向こうで……くっ!」
ステーション・ワンへ向かうウェイブライダーの中、カミーユもレイの死亡を感じ取っていた。
「ルナマリアはミネルバの近く……他には…シン!」
先程から大量の情報が頭の中に流れ込んでくる。戦場は、カミーユにとって地獄のような憎しみや悲しみが渦巻いている。それは、ミネルバやアークエンジェルだけではない、他のザフトやオーブ・連合兵も同様だった。
心配事は山ほどある。しかし、ハイネの意思を継ぐカミーユは、レクイエムの発射阻止を優先する。中継基地は、直ぐ其処まで迫っていた。
「何?…インパルスが戻ってくる!?」
MSデッキで無線に出たマッドがブリッジからの報告に驚きの声を上げる。
「ちっ…左舷は使えん、右舷のハッチに誘導しろ!」
「了解っす!網張って!」
ミネルバもアークエンジェルとの戦いと、他の多数のオーブ・連合軍の攻撃によって半壊状態になっていた。対するアークエンジェルも先程流れてきたアカツキを回収したが、こちらも同様に損傷が激しく、特徴的なカタパルトの右側が見事に無くなっている。
「タリア艦長、これ以上は……!」
「ギル……!これがあなたの出した答えだというの……!」
ジェネシスの問答無用の一撃を目の当たりにし、それに対してタリアは激しい憤りを覚えていた。
幾らなんでもこれは酷すぎる。
「お姉ちゃん…大丈夫なの……?」
「インパルスはボロボロだが、コックピットの中は無事だ!心配するな、メイリン!」
バートがメイリンを励ます。
ミネルバにボロボロになったインパルスが帰還し、フラフラと頼りなく揺れる機体をワイヤーで絡めとリ、引き込んで網に引っ掛ける。コックピットハッチがぎこちなく開き、焦燥しきった顔をしたルナマリアが体を預けるように雪崩落ちる。
「ぅおっと!」
体の力が抜けたルナマリアをヴィーノが受け止めた。
「大丈夫か、ルナマリア?」
「ハイネが…あたしのせいでハイネが死んじゃったの……」
「えっ!?た…隊長さんが!?」
「だ、誰に殺されたんだ!?」
ルナマリアの衝撃の言葉にマッドが会話に割り込んでくる。
「あの裏切り者に…でも、あたしがジャスティスを残そうって言ったから……そしたらアイツが追って来て……!」
パニック状態が続いているルナマリアの言葉では状況が上手く伝わらない。しかし、"裏切り者"と言う言葉が誰を示しているのかは直ぐに分かった。
「アスランだと……!そ、それでお前は何とか逃げられたんだな?」
「うん……」
力無くルナマリアは頷く。
「あの野郎……!劣等感の塊みたいな奴だったが、ハイネを殺すとは……!」
マッドは歯を食いしばり、指を鳴らした。しかし直ぐにルナマリアを気にし、表情を改める。
「で、奴はどうした?」
「カミーユが戦ってたけど、どうなったかは分からないわ……。あたしはもうあの人が怖くなって…逃げる事しか考えられなかった……!」
「…ん、それは……いいんだ。お前さんにはメイリンが居るからな、生きてやらなくちゃ。……ヴィーノ、ルナマリアを頼むぞ」
「はいっす!」
マッドはルナマリアの肩を抱いて慰め、二回肩を叩くとヴィーノにルナマリアを休ませるよう指示する。
「あいつめ……ヨウラン、インパルスの修理は…」
「駄目です、チェストとレッグの予備はこの間ので使い切ってしまいました。フォースの予備はありますけど、これじゃもう使い物になりませんよ?」
「換装とエネルギーの補給だけでもいい。動くのなら、まだ何かの役に立つかも知れん」
「応急処置にしかなりませんが…張りぼてみたいな物ですよ?」
「万が一に備えてだ。使えるものは使わなきゃ、この戦いは生き残れないぞ」
「はい」
ヨウランが他のメカニックを集めて即座にインパルスの修理に掛る。
「……カミーユが負けるとは思えねぇが……」
虚空の宇宙を見つめてマッドは呟いた。
戦況はザフト、オーブ・連合の戦力がジェネシスに大半を削られた事により、多少の落ち着きを見せていた。しかし、所々では未だに激しい戦争の火が瞬いている。
同じ頃、ミネルバのシンの私室の中、先程から怯えていたステラは何かを感じていた。
「シン……?」
シンの叫び声が何故か聞こえた気がした。
ステラはシーツを放り投げ、部屋を飛び出してMSデッキへ向かう。過度の緊張感とストレスから居た堪れなくなったステラは、もうじっとしていられなかった。
通路を駆け抜け、MSデッキへ到着する。そこで丁度ヴィーノに連れられたルナマリアとすれ違った。
「ス、ステラ……?」
半ば放心状態のルナマリアはそれに驚いて即座に振り向く。
ステラは無重力の中を器用に体のバランスをとって修理中のインパルスに取り付い
た。それにマッドが気付き、慌ててステラを注意する。
「こらっ!お前は何しにここに来たんだ!ノーマルスーツも着ないで…ここは空気が漏れているんだぞ!」
そんなマッドの怒声も無視して、ステラは外からインパルスのコックピットハッチを開いて、中に乗り込んでしまう。
「お…おい、ステラ!」
すぐさまマッドがステラを引きずり出そうとコックピットに向かったが、同じ系統のガイアの操作を覚えていたのか、あっさりとハッチを閉められてしまう。
「おい、何やってんだお前は!?早く降りて来い!」
『駄目!シンのところへ行くの!』
「子供の遊びじゃないんだぞ……!」
インパルスが起動し、機体がアイドリングする。
「くそっ!ヨウラン、応急処置はどこまでだ!?」
「か、換装とエネルギーの補給を少しだけ…」
「何だと!?これじゃ行っちまう……!」
マッドの備えがステラの予想外の行動により、裏目に出てしまった。本来なら最後の最後、もっと重要な場面で威嚇としてインパルスを使う予定だった。しかし、それも意味を失う。
「シン…待ってて、ステラが行く!」
インパルスがMSデッキでバーニアを蒸かす。その衝撃波にマッド達は吹き飛ばされてしまう。
その様子はブリッジでも確認されていた。
「MSデッキ、何があったんですか!?……えっ、ステラが!?」
「止めさせなさい!」
「駄目です!ステラはもうインパルスに乗り込んで……カタパルトハッチを突き破るつもりです!」
「ハッチ開け!」
「アーサー!?」
突然アーサーがハッチオープンの命令を出す。それに驚いてタリアはアーサーを睨む。
「どういう事かしら?」
「分かってます、艦長。目の前にはアークエンジェルです」
視線は戦場を見つめたまま、アーサーはタリアと視線を合わせずに応える。
アーサーは分かっていた。タリアがどのような心境で、どのような行動をとることが彼女の為になるかを、長い間副官を務めていて経験として理解していた。
その上で、アーサーは最も適当であると思われる命令を行ったに過ぎなかった。
「先程、艦長に権限は頂いたはずですが?」
「言ってくれるわね……でも、助かったわ」
小声でアーサーに感謝するタリア。
彼女はアークエンジェルを相手にするのに余計な隙を与えたくなかった。
ステラがハッチを破壊すればクルーは混乱するし、アークエンジェルにもその事が伝わってしまう。
それならハッチオープンの命令を出せば済む話なのだが、ステラの様な小娘に振り回されるのはタリアのプライドに障る。艦長としては当然下すべき内容であるが、タリアがステラの我侭を聞いたという事実はクルーの士気の低下を引き起こす可能性もある。
その事を理解していたアーサーが彼女の身代わりになり、命令を出したのだ。アーサーが勝手に下した命令であれば、彼の気性を理解している気心の知れたブリッジクルー故に、違和感を持たないだろうと踏んだのだ。
ミネルバのカタパルトハッチを突き破ろうと構えていたステラだったが、急に開いたハッチに目を丸くした。
しかし、即座に気を取り直して口元を引き締める。
「シン、今行く!」
ミネルバのカタパルトから達磨状態のインパルスが飛び出す。
「ミネルバからMSの出撃を確認!」
「…あれは?大佐の回収は終わっているわね!」
「迎撃しますか?」
「待って、仕掛けてこないのなら放っておいて!」
アークエンジェルでもインパルスの出撃をキャッチしていた。
しかし、アークエンジェルにも既に余裕は無く、半壊状態のインパルスの相手をしているほど暇ではない。
インパルスはそのまま何かに導かれるように飛んでいく。
ステラにはシンがどこに居るのかが何となく分かっていた。何故かは分からないが、シンの存在をステラは感じ取っていた。
〜つづく〜
Z終盤を思わせるこの展開。
煌きの数だけ命が宇宙に吸われていく。
GJ。
GJ!!まさか終盤のこんな時間に投下されるとは…
てかとうとうレイも逝ってステラにもフラグが…
悲しい事は悲しいがそれでもwktkせずにはいられない
レイーーーーーー!!!!
こんなこんな死に方、畜生!
生命散ってかよ! 凹むじゃないか、ガフッ
レ、レイィィィィィィィ!!
富野チックな死に方ではあるけれど……、
ステラも死亡フラグ立った気がするし……、この先どうまとめるんだろう……
GJです
がんばれカミーユ
この憎しみを止めれるのはお前だけだ
本当の意味でのNTの姿をみせてくれ
GJ!間に合えカミーユ!!
レイの説教がよかったな
キラはラクスの犬だっていい加減気づけ
GJです
Ζは補給なしで大丈夫なんだろうか
カミーユならハイパー化でEN作り出すけど
GJ! ステラ何気に覚醒してる?
しかしレイがこんなにもあっさりと…
もしかしたら最後原作シーン再現するためにセーフティシャッターかなと
思ったら死亡確認あったな…レイ…
>>270 覚醒というかシンの精神状態とステラはシンクロしてるという設定だったはず
これしか言えない・・・・・・GJ!
生き残った者たちが行くところはどこだ?
その予測も立たないままに、人は人の生き血を吸う。
Ζが呼ぶ最後の力、呼び起こすのは誰だ
この職人さんはキャラの特徴をうまく描いてるな
カミーユとか富野キャラまんまだし
GJ!
しかし気がつけば、ザフトサイドのキャラは死んでも、ラクシズサイドのキャラは誰も死んでないんだよなー実は
そしてまた一人、ステラにも死亡フラグがたったし、世界の無情を感じる…
レイもハイネも、あれだけの想いと積み重ねがあったのに、死ぬときは一瞬だもんなぁ
GJ!!
何かステラ×ムウになる気がする…
考えすぎかな?
>>277 ドム3人衆のことを少しでいいから思い出してあげてくださいw
>>277 それでもカミーユならシンとステラを救ってくれるはず
もうこれしか言うべきことはない
GJ!!
カミーユのキャラはよく捉えてると思うけどな
職人さん GJです
これしか言葉が出ませんよ!!
惜しい人ほど早く逝ってしまう……
寒い時代だと思わないか?
GJ!!
まさかレイが逝くとは……
まだ何かをやるんじゃないか、と思ってたからなぁ。
これが、「戦場」か。
人がバタバタ死んでいくぜ。
種の常夏三姉妹みたいに「用済みになったから戦場の演出も兼ねて消した」みたいに、薄っぺらい記号としての「死」じゃないな。
GJ!レイが逝ったか…。皆殺しの○○○発動中。憎しみが、敵意が広がっていく…。
しかしレイ、キラに対するあの言葉からすると、自分で自分を議長の人形と思っていたんだろうか。それとも心の底でキラのラクス至上心理を認めてたんだろうか。
どっかの人の言う『俺は望んで人形になった』ということ?
どっかの人は昔は良かったんだ。今は人形というよりストーカーになっちゃってさ……。
ああ… そうだったな… (遠い目)
こりゃあ憎しみで戦ってる全MSや全艦隊をカミーユとサイコフレームで金縛りするしかないな
GJです。
レイが散ったということはタリアは死なずにすむのかな?
>>292 それだとキラは動けてしまうぞ。
あいつは嫌な奴ではあってもとりあえず憎しみでは戦ってない。
GJ!!
ラストがどうなるか楽しみです。
>>294 全MS+全艦隊+レクイエムの制御を不能にするでどうだ
毒電波vsニュータイプの能力全開と、常人には理解できない戦いになる。
もう月光蝶やっちゃっていいんじゃね
カミーユのNT能力とサイコフレームならそれくらいできそうだ
種の文明を封印していいよ
カミーユが起したオーロラで地球を包んでレクイエムを防ぐとかにはなりそう気もする
ネオジェネシスはこのSSではないことになってるのかな
まぎらわしいだけだからその方がいいけど
ラクシズ主力部隊の約七割近くの損害がトリコロールの
可変モビルスーツによってもたらされております
ルナの言うように凸・吉良が悪魔なら
カミーユまさに戦鬼〔トロル〕といっていい位強いな
302 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/03(日) 12:36:13 ID:MuMeWPA3
頼む!ステラとシンの死亡フラグだけは立てないでくれぃ!
GJ!
毘沙門天か摩利支天(いずれも武士から強く崇拝された)に近いかも
コレのアニメ化をサンライズに頼みたい・・・
(かなりの手抜きかもしれないけどな)
ついに、レイも死んだか・・・(汗)
けど、シン&ステラの死亡フラグだけは勘弁!
>>304 アニメ化決定!
ただし
監督:福田
脚本:嫁
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{ j} /,,ィ//| 『このスレの小説はいよいよ最終局面だな〜wktkと思ったら
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ いつのまにかレイやハイネや新黒い三連星がよくしゃべったにも関わらず一瞬で死んでいった』
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも 何をされたのか わからなかった…
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ 本編はキャラ死亡が少ないだとか本編は戦闘に緊張感や世紀末感がないだとか
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ もっと恐ろしい皆殺し展開の 片鱗を味わったぜ…
すごいよ・・・・・・Z本編で味わった恐るべき皆殺し展開を久々に感じた・・・激しくGJ!!!
つか、ディスティニープランが良いか悪いかを決めるのは飽くまでも民衆であってラクシズごときテロが議長をボコる筋合いはないんだがね。
この小説の場合は連合政府との合同でディステニープラン叩いてるから、まあ地球側のの総意とも取れるけどね。
311 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/03(日) 14:50:18 ID:GqdbNHVc
>>309 あんま賛同されるとは思えんけどなw>Dプラン
まあ、ラクシズごときテロが議長をボコる筋合いはないってのは同意だが。
>>304 投稿する人も職人さんの投下したあとの行間よく読んでね!
サンライズとかのお話しご法度のようですから・・・
(事実かどうかは知らんがw)
秀作なので読んじゃうとそんな創造したくなる事実もわかるけどね。
遅ればせながら カミーユ氏 GJ!
というか彼氏らは引渡される途中の犯罪者という建前の刺客なので
そもそも筋合いとか大義を背負える立場じゃないような
Gジェネで再現したくなるような文を書く
カミーユ氏 GJ!
阪神「姫島」駅前の違法駐輪なんとかならんのか!?
あぁん?駅に入れねーじゃん、毎日撤去しろよ入り口ふさいどるがな
むかしは監視するオッサンがいたろが、なんでいなくなったんだよ
監視員3〜4人立たせろや!あぁん?
志村ー!!スレ違い!!スレ違い!!
Dプランなんて物をキャラに主張させる作り手が問題だろ
こんなのはどうみてもおかしいですよカテジナさんだし
ラクシズ様を無理やり絶対正義にして自己満足に浸りたい嫁は死んだほうがいい
核打ちまくり、ジェネシスで皆殺し、人類抹殺これがまかり通るわけがないから
絶対ラクシズが正義になるに決まってるし
まともな政治的主張、もしくはお互いの政治的野心や支配欲の対立を全く描けてないしさ・・
>>318 ?
たかがアニメに何期待してんの?
いやなら自分で作れば?
実力もないくせに、評論化気取りなら誰でもできる。
ああ、ゴマスリ太鼓持ちならお前みたいな白痴でもつとまるわな。
おいおまいら無駄にスレ消費するなら違うとこでお願いします
>>319 作品を創造しない人が作品を批評しちゃいけないなんて事は無い
>>319 自動車免許持ってない人は車の運転に文句言っちゃいけないか?
スルー汁
最終的には、結局ラクシズが勝利する。
だが、カミーユとバイオセンサーの光を見た人々がラクシズを非難する
というのを考えてもうたw
わかるまい、戦争を遊びにしているラクシズには。
この俺を通して出る力が!
ここまでラクシズボコボコにされてもう勝利はあるまい
前回分読んだとき、もしかしてインパでステラ出ねぇだろうなと心配してたら・・・
ステラの死亡フラグが本当に心配
シンは・・・・自分これはカミーユとシンのW主人公だと思ってたからあまり死亡フラグ心配してなかったけど
他の人のレス見てたら心配になってきた・・・・
ここのアスランなんか好きだ
正直好感は全く持てないし、死んだほうがいいってとこまでいっちゃったが、でもあの情け無いところに共感してしまう俺ダメ人間
アスラン自身が悪いと言うより、ひたすら間が悪かったという感じだからな
ここのアスランを見ていて、では己の日頃の行いはどうなのかと怖くなった自分もダメ人間。
シンかばってステラはしぬんだろうな
まあハイネもレイもじつは殺すつもりじゃなかったんだ(笑)みたいな
パターンで殺されてるからステラもこのパターンだな
最悪誤射とかなw
ステラだけは勘弁してもらいたいが……こればっかりは作者氏の匙加減しだいだからなぁ。
それよりルナマリアがこの後に精神崩壊しかねん勢いだな。ハイネの次がレイでステラまで後を追われたら酷過ぎる。
>>335 何気に原作どおりではあるんだけどね・・・。
第五十話「混迷の中」
『くそっ!このままじゃレクイエムが……!』
デスティニーに追われるキラは焦っていた。
時間を掛けすぎている。これでは何時レクイエムが発射されてもおかしくない。
「あんたって人はぁぁぁぁ!」
『もう止めてくれ!君まで死に急ぐ必要は無いだろう!?』
「俺があんたを殺すんだ!履き違えるんじゃない!」
『レクイエムが撃たれちゃうんだぞ!』
「関係ない!レイを殺した事、存分に後悔させてやる!」
アロンダイトを振り回し、ヒラリヒラリと馬鹿にするようにかわすストライクフリーダムを追う。
『そこまで言うなら……!』
ストライクフリーダムは二本のビームサーベルを引き抜き、それを両手にデスティニーに突撃する。シンにとっては好都合になる筈だった。
ところが……
「フリーダム!……な、なぁっ!?」
得物の大きいデスティニーのアロンダイトはストライクフリーダムの小回りの効くビームサーベルに切り刻まれてしまう。
ならばとアロンダイトを捨て、フラッシュエッジを投げつけるが、廃艦を背にしたストライクフリーダムはそれもあっさりとかわし、フラッシュエッジが廃艦に突き刺さる。
だが、その間にデスティニーは急接近し、ストライクフリーダムの頭部に向けて掌を突き出す。パルマフィオキーナでストライクフリーダムのカメラを破壊しようと目論んでいた。
「これで終わりだ、フリーダム、キラ!」
『まだだぁっ!』
至近距離でのレールガンを放たれ、デスティニーは体をくの字に曲げて怯む。
ストライクフリーダムはその瞬間に体を入れ替え、逆に廃艦を正面に据える形になったデスティニーの右肩に背後からビームサーベルを突き刺す。
そのままの態勢で廃艦の隙間に向かって突き進む。
「お前ぇ!」
『このまま!』
ビームサーベルを突き刺したデスティニーの右腕をそのまま隙間にねじ込み、固定する。
「ぐぐっ…こいつ!」
しかし、シンもこんな事では諦めたりはしない。左腕にビームライフルを撃たせながら、ねじ込まれた右腕を何とか引き抜こうと両脚で踏ん張る。踏ん張れば、何とか引き抜けそうだった。
その様子に、キラは慌てる。
『抜けそうになってる…なら、これも!』
廃艦の装甲に突き刺さっていたデスティニーのフラッシュエッジを引き抜き、それを今度は左脚の脹脛の部分に突き刺して直ぐ脇の別の隙間にねじ込む。
「こいつ!?」
『動かなくなった……?』
廃艦に抱きつく形で固定されてしまったデスティニーは身動きが取れなくなってしまった。
『ここで暫く大人しくしていてくれ!全てが終われば、誰かが助けてくれると思うから……』
「待てよ、フリーダム!お前…俺はまだお前に復讐が終わってない!待てと言ってるだろ!」
『……ごめん……』
ストライクフリーダムはエターナルへ向けて飛び立つ。
「謝るぐらいなら!…おい、これを外していけよ!」
時間を焦るキラは、ストライクフリーダムの追加装備、ミーティアの受け取りに向かう。それによってストライクフリーダムの火力を強化する事で、レクイエムもメサイヤも破壊しようと考えていた。
一方のカミーユはステーション・ワンに辿り着く。その機体に纏った光は、カミーユの意思を無視するが如く余計に輝きを増していた。
何処からともなく謎の光がΖガンダムに吸い込まれていく……
Ζガンダムを包む淡い紅い光、そして、止め処なく溢れる霧の様な碧の光。それは、怒りと優しさが混同しているような光景だった。
「あれは…オーブ軍はここまで来ている!」
カミーユが辿り着いた時には既にザフトの防衛線は崩壊し、前線を突破してきた数少ないムラサメやM1アストレイがステーション・ワンに対して砲撃を行っていた。
ステーション・ワンの円筒の中に入って直接叩こうかというMSも居たが、ザフトも懸命な抵抗を続けているらしく、上手く近づけないでいた。
「こいつを潰せれば……」
Ζガンダムはビームライフルを連射したが、所詮はステーション・ワンよりも遥かに小さいMSの携行兵器である。いくら撃った所で決定的な打撃にはならない。
「こんな時にメガランチャーがあれば……!ん?」
何かに気付き、視線をオーブのM1アストレイ部隊に移す。その中の一機が大型のランチャーを携行していた。対レクイエムの為の特殊装備である。
「そこのMS!ランチャーを!」
『な、何!?』
「こいつで……!」
Ζガンダムは大型ランチャーを奪い、それをステーション・ワンに向けて撃つ。
しかし、その大型ランチャーの一撃も大した損害を与える事は出来なかった。
「これじゃあ発射までに潰すには時間が掛かりすぎる……!」
『お、おい!あんたは何だっての!?ザフトじゃないのか!?』
「どうすれば……!」
《お前の底力、そんなもんじゃないだろ?》
「……!ハイネ……?」
確かに聞こえたハイネの声。カミーユの感情が昂ぶる。
「やれるというのか…俺に!」
ビームライフルを納め、ビームサーベルを取り出す。インフィニットジャスティスを葬った時と同じ様にビームサーベルの出力がスペックを超える。
『な…なんだあれは!?俺は幻でも見ているのか!?』
『ば、化物か、あのMSは!?』
『おい…これはやばいんじゃないのか、何か光ってるし!?』
『に、逃げるぞ!』
オーブ軍のMS部隊はΖガンダムの異常さに怖気付き、こぞってステーション・ワン付近から撤退する。
『おい、貴様!ザフトが何をしている!?』
慌てて通信を繋げてきたのは、ステーション・ワンの防衛に当っていたイザークだった。
「……」
『聞こえんのか、Ζガンダム!返事をしろ!』
『お、おいイザーク!何か様子が変だぞ!』
『えぇい!うるさいディアッカ!奴がしているのは反逆行為だぞ!』
『け、けどよ…ビームサーベルってのはあんなに伸びるものなのか……?』
「済みません、離れていてください!」
そう言ってΖガンダムはステーション・ワンの円筒の中へ突入していく。
『貴様!』
『馬鹿っ、止せイザーク!』
『何をするディアッカ!』
『冗談じゃないって!あんなのに関わるな!』
Ζガンダムを制止しようとするイザークのグフをディアッカのザクが制した。
そして、ステーション・ワン内部に潜り込んだΖガンダムは手にした巨大なビームサーベルを大きく振りかぶる。
「うぅおおおおぉぉぉぉぉぉ!」
雄叫びをあげてΖガンダムが肥大化したビームサーベルを振り回す。
『うっ…これは……?』
『こんなの常識じゃねぇぜ……!』
視線の先にはステーション・ワン。その内側から破裂するように外壁から爆発の光が瞬く。
『ステーション・ワンが……!』
『性質の悪い夢だぜ……!』
ステーション・ワンの装甲を突き破ったのか、時折ビームサーベルの刃の光が飛び出してくる。
やがて円筒の口から吐き出すように夥しいまでの煙が立ち込めると、その中から一筋のバーニアスラスターの光が伸びていくのが確認できた。
イザークとディアッカは、目の前の圧倒的な光景が信じられなかった。
『ステーション・ワンのゲシュマイディッヒ・パンツァーが沈黙しました!』
「……」
ゴンドワナからの報告にイザークは目蓋を下ろして沈黙する。
瞬間、レクイエムから発射されたビームが残骸となったステーション・ワンの円筒を通過する。しかし、偏向する筈のビームは曲がらず、そのまま明後日の方向に突き抜けていってしまう。
『これでレクイエムは使えないな……』
ディアッカの方は放心したように呟く。未だに現実なのかどうかの区別がに戸惑っていた。
ステーション・ワンを破壊し、離脱したカミーユはレクイエムの光を眺め、戦場の気配を探る。
(レクイエムは何とかなったぞ、ハイネ!)
心の中でガッツポーズをする。
(でも、これでザフトからも狙われる事になる……)
そう頭の中で呟いた時、唐突にメサイヤからの通信が入る。
『これはどういう事かね、カミーユ=ビダン?』
「デュランダル議長……!」
相手はデュランダル。直接繋げてきたという事は、もう誤魔化しは効かない事になる。
「見ての通りです。あなたのやり方は間違っています」
『君も私を傷つけるのかね……』
そう言うとデュランダルはあっさりと回線を切る。
カミーユは拍子抜けを喰らったが、最後のデュランダルの不敵な笑みは唯の負け惜しみには見えなかった。
機動要塞メサイヤの司令室の中、デュランダルはモニター画面に囲まれて椅子に鎮座していた。
戦闘は佳境に入り、事態は既にどちらが優勢とも取れない状況に陥っている。
デュランダルはそれでも表情一つ変えずに事の成り行きを見つめていた。
(タリア…ハイネ…そしてカミーユ……皆、私から離れていくな……)
「レジェンドはどうなっている?」
「は、少々お待ち下さい……出ました、先程から信号がロストしています」
「レイが?」
「はい、恐らくは……」
「沈んだというのか……ぅむ……」
デュランダルは目蓋を下ろし、物思いに耽る。戦況は最早どう転がるか分からない、レクイエムはカミーユの裏切りで使えない、忠実な部下のレイも居ない。
残されたのはこのメサイヤと僅かなザフト兵だけである。
(いや、タリアは違ったな……)
デュランダルは目蓋を上げる。
「ミネルバは?」
「現在アークエンジェルと交戦中です」
「緊急招集をかけ給え。ミネルバはメサイヤの守りに就かせる。それと、艦長をこちらへ」
唐突にデュランダルはタリアを呼び寄せる。
その頃、満身創痍のミネルバとアークエンジェルは不毛な消耗戦に入っていた。
撃てる弾はほぼ撃ちつくし、切り札の陽電子砲も沈黙している。船体のあちこちから煙を噴出し、僅かに残った弾を意味もなく撃っているだけに過ぎなかった。
そこへミネルバに友軍艦から通信が入る。
『ミネルバ、聞こえるか?』
「は、はい!こちらミネルバ」
『報告だ。ステーション・ワンがそちらのΖガンダムによって沈黙した。以後、Ζガンダムをエネミーと見なし、遭遇した際にはこれを殲滅しろ』
「えぇっ!?」
司令官からの報告にメイリンが大声を上げる。
「ちょ、ちょっと待って下さい!何かの間違いです!カミーユはそんな事は…」
『残念ながらカミーユ=ビダンがステーション・ワンを破壊したのは事実だ。その時の映像も残っている』
「どうしたの、メイリン?」
慌てるメイリンを不思議に思ってタリアが問い掛ける。しかし、メイリンは顔色を青ざめるだけで反応しない。
「メイリン?」
その時、モニターの一つにステーション・ワンが爆発と煙を噴出す映像が映し出された。
「え……どういう事……?」
信じられない光景が目に飛び込んでくる。見た事もない長いビームサーベルの刃が、ステーション・ワンを刻んでいるのである。
小規模の爆発が大量に起こり、ステーション・ワンの光が少しずつ消えていく。
「カミーユが…やったそうです……」
「カミーユが?何を言っているのこんな時に……こんなCGで合成したような遊びをしている場合じゃなくってよ」
『それは現実に起こったことだ』
メインモニターに司令官が映し出される。その表情は真剣そのもので、嘘をついている風には見えなかった。
「……何が起こったというのです?」
『ステーション・ワンから出てきた光の先を拡大してみろ。答はそこにある』
「光の先……」
バートに目配せをし、言われたとおりにする。映像を巻き戻して拡大すると、そこには見覚えのあるMAの姿が映っていた。
「ウェイブライダー……」
『ステーション・ワンはΖガンダム単機によって破壊された。これは厳然たる事実だ』
信じられないといった表情でタリアは固まってしまった。他のクルーも、戦闘に対応してはいたが心の内は不安定だった。
『信じられないのは分かる。しかし、現実としてこの様な事が起こってしまったのだ。獅子心中の虫だったわけだな、カミーユ=ビダンとやらは』
司令官の言葉が突き刺さる。カミーユをミネルバに乗せたのはタリアの決断とはいえ、一任したデュランダルにも責任はあるだろう。しかし、これまで共にザフトとして戦ってきたカミーユの急な心変わりが信じられなかった。
『もう一度伝えるが、Ζガンダムは敵勢力としてエネミー認定された。遭遇した場合はこれを殲滅せよというのが先ず一つだ』
「了解……」
珍しく気落ちするタリア。しかし、責任ある立場の彼女はそれに逆らうわけには行かず、了承の返事をする。
『そして、もう一つはメサイヤのデュランダル議長からの勅命だ。ミネルバはメサイヤに配置、直ちに向かえ』
「……ミネルバ了解です」
『それと艦長?』
モニターの向こうの司令官が何かを言いたそうに目で訴える。タリアは承知し、手元の受話器を耳に当てる。
『ミネルバ艦長タリア=グラディス、デュランダル議長がお呼びだ。指揮は副長に任せてメサイヤの司令室へ向かえ』
「了解」
一言だけ返事をすると、直ぐに受話器を置いた。
(カミーユ…何故……?)
他のクルーも同じ気持ちだった。カミーユの突然の裏切り行為、混乱が深まっていくこの状況で行為に及んだという事は、最初からそのつもりだったのだろうと推測できる。
そんな嫌な考えを持ちたくは無かったが、そう考えざるを得ないのも事実だった。
「艦長…カミーユは一体何の為に……」
「あの子は賢い子……だから、何を考えているかなんて私には分からないわ……」
諦めたような表情にアーサーは言葉に詰まる。自分とて信じたくは無いが、現実としてそうなったからには受け止めるしかない。アーサーは顔を俯けた。
「でも……」
続くタリアの声。その声にアーサーは再び顔を上げる。
「あの子は私たちを裏切ったりはしない筈よ……だから、私はあの子を信じたい……」
「艦長…しかし……」
「レクイエムは悪魔の兵器よ。あの子はそれを撃てなくしただけ……信じましょう、カミーユはきっと何かを捜しているのかもしれないわ」
自分でも不思議な位意味不明なことを口走っているのが分かる。しかし、ここまで届くカミーユの力の影響力が何かをミネルバに感じさせているのかもしれない。
それに気付いては居ないが、アーサーも何となくタリアの言葉が理解できたような気がした。
「……はい」
視線を戦場に向ける。他のクルーも今のタリアの言葉を聞いていて、何故か納得してしまった。不思議なフィールドがミネルバを包んでいるような気がした。
(結局、決着を付ける事は出来なかったわね……)
少しの間考慮した後、何かを決心する表情で戦場を睨むアーサーに顔を向ける。
「アーサー、後は頼んだわよ」
「は?艦長?」
「出来るわね?」
「な、何を言ってるんです!?私は……!」
「皆聞いて、現時刻を以ってこの艦の指揮はアーサーに全てを一任するわ」
立ち上がってうろたえるアーサーを尻目に、タリアはクルーに告げる。戦闘中にも関わらず、ざわざわとどよめき声が起こる。
「メイリン、艦内放送でクルー全員に伝えなさい」
「え…でも……」
「ミネルバの艦長としての最後の命令よ。忠実にね……?」
母親が娘に諭すような優しい表情でタリアはメイリンに微笑んでみせる。その表情に目を奪われている自分がいる事にメイリンは気付いていない。そのまま固まったようにタリアの顔を見つめている。
「お願いね……」
「ちょ、ちょっと艦長!?私じゃ、私じゃ駄目なんですよ!艦長!」
タリアはアーサーの制止も聞かずにブリッジを後にした。
残されたクルーは目の前のアークエンジェルとの戦闘に休みなく対応していたが、アーサーとメイリンだけは呆然としたままだった。
「メイリン、何やってんの!?さっさと友軍に後退支援要請を出す!」
「あっ……は、はいっ!」
「副長もボーっとしてないで指示出してくださいよ!」
チェンとマリクが放心する二人に喝を入れる。それにようやく自我を取り戻したメイリンだったが、アーサーは立ち尽くしたままだった。
「メーデーメーデー、こちらミネルバ、後退支援お願いします!」
「副長、早く後退を指示して下さい!このままじゃミネルバは沈んじゃいますよ!」
「う…あ……しかし……」
「しっかりして下さい!タリア艦長は副長なら出来るって思って任せて下さったんですよ?副長がそんなんでは、戦いが終わった後に怒られます!こっちはとばっちりを受けたくなんだから!」
「ん…うむ……!」
ハッキリしないアーサーをバートが叱咤激励する。それに呼応して、アーサーはタリアの座っていた艦長席に腰を下ろす。
「……ミネルバ進路転進!デブリを楯にしつつメサイヤまで後退する!同時に後退信号を上げい!」
「了解です、艦長!」
「アークエンジェルへの牽制は最大限しておけ!弾数は気にしなくていい、奴らを追いかけさせるな!」
マリクがミネルバをアークエンジェルから後退させる。ミネルバの機銃が弾幕を張ってアークエンジェルを寄せ付けない。
(私がやってもいいのですね、タリア艦長!)
アーサーは目を皿のようにして戦場を見つめる。
「ああ、タリア艦長、さっきのはどういう事なんです?」
ノーマルスーツを着てMSデッキまでやってきたタリアを見つけて、マッドが無重力の中を泳いでくる。
「マッド主任、ランチの発進準備をお願いね」
「は?本当に坊やに任せるんですかい?」
「今は彼が艦長よ、口は慎む事ね?」
「はぁ……ですが……」
「アーサーはやれば出来る子よ。居るでしょ、本当は実力があるのに発揮できない子って?」
「それがあの坊…副長さんですかい?」
「今は艦長。大丈夫、例えミネルバが沈んでも、皆を死なせたりはしないから」
「タリア艦長がそう仰るのでしたら……それで、どちらへ?」
「私を呼びつけた人のところよ」
「艦長を呼びつけた?誰がですか?」
「……私のいい人よ」
そう告げるとタリアはランチの入り口に向かう。タリアはカミーユの事を告げなかった。カミーユと接する機会が多かったマッドには、先程の事実は辛いだろうと思ったからだ。
「メサイヤの近くに来たら出して頂戴」
「パイロットは…」
「自分で出来るわ」
タリアはランチに乗り込む。
(後はあの人の側に居るだけ……)
コックピットで顔を伏せ、その時を静かに待つ。デュランダルが自分を呼びつけたのは、かつてのステラの件で提示された条件によるもの。戦局が混乱で読めなくなってきた今、過去の清算をするのは今しかないと考えているに違いない、とタリアは思っていた。
(あの人も、追い詰められている……?)
戦場の騒々しさとは裏腹に、タリアの心の中はデュランダルに対する疑問で静けさを保っていた。
オーブ・連合軍陣営の奥の方、ピンク色の派手な戦艦エターナルのブリッジで、ラクスは遠くを見つめるような目で沈むMSを眺めていた。
今この場にいることは、自分がこれまで行動してきた結果である。
そして、その見つめる先で何人もの人が死んでいくのも自分のせいであると、ラクスは思い上がる。彼女は本心から平和を願ってはいるが、自分の言葉の影響力というものを理解していなかった。
しかし、今この状況に立たされれば立たされるほどその事を痛感させられる。
「えっ!そうですか、分かりました、ご苦労様です。……バルトフェルド艦長、ステーション・ワン沈黙です!レクイエムは撃たれてしまいましたが、間一髪で間に合ったそうです!」
「そうか、やってくれたか!これで後が楽になった!」
「いえ、それがどうも報告におかしな所があって……ステーション・ワンを破壊したのは例の"Ζガンダム"とか言う奴らしいんです」
「報告は正確に伝え給えダコスタ君?そりゃあザフトのMSじゃないか」
「討伐隊の報告によれば間違いないようなのですが……」
「映像、出せるか?」
「はい」
ダコスタが映像を切り替える。すると、そこにはステーション・ワンを破壊して飛び去っていくΖガンダムの姿があった。
「ステーション・ワン破壊に向かった部隊が送ってきた映像です。私にはとても信じられない光景ですが……」
「化け物だな……キラのフリーダムも化け物だが、これは次元が違う……正真正銘の化け物だ……」
冷や汗を浮かべ、唾を飲むバルトフェルド。一目見た瞬間は映画の中のワンシーンぐらいにしか見れなかった。
「しかし…この力、レクイエムやメサイヤにも使えないか……?」
顎に手を当てて考え込む。メサイヤにはジェネシスが備えられていた。ヤキン戦役の時のジェネシス程ではないが、あれも十分脅威になりえる兵器である。それも放って置くことは出来ないのが彼等の心情だった。
「どう見ます、ラクス=クライン?」
「え……?」
他人行儀な態度で話しかけるバルトフェルド。ラクスはオーブに残してきたカガリの代わりとして軍を率いる立場にある。それは、ラクスのカリスマを利用したカガリの案であった。故に、そこを加味してバルトフェルドの言葉遣いも丁寧になる。
「聞いていらっしゃらなかったのですか?」
「は…すみません……」
「しっかりなさって下さいよ?貴女が居なければ、こんな戦い直ぐに負けちまうんですからね。けど、どうやらいい報告のようです、こちらのシンパが増えるかもしれません」
「ΖガンダムというMSに乗った方の事ですか?」
「そうです。そのパイロットは元々ザフトではなかったという事は聞いていますね?一部ではナチュラルという噂もあります。それが議長の言う事に反感を持って離反する…考えられる話です」
「ですが、その者がわたくし達に手を貸すという事は……」
「我々はデュランダル議長の野望を阻止する為に戦っているのです。それに共感しないわけがありません」
「…左翼方向からフリーダムです!」
「ん……?」
ダコスタの報告にバルトフェルドは一旦話を切り上げ、視線を移す。すると、そこにストライクフリーダムがやってくるのを確認できた。
ストライクフリーダムはマニピュレーターをブリッジに接触させると、通信を繋げてくる。
『エターナル、ミーティアを下さい!直接レクイエムとメサイヤを叩きます!』
「ステーション・ワンが沈んだという事は聞いているな?」
『ハイ!』
「なら、先にメサイヤを潰せ。頭を潰しちまえば、レクイエムの破壊が楽になる。ステーション・ワンが沈黙した今、直ぐにはレクイエムは撃てないはずだ」
『了解です!』
「よし、ミーティア射出!」
「あ……」
バルトフェルドが号令を出す。ラクスはそれに待ったを掛けようとしたが、上手く声が出せずにタイミングを失してしまう。
「キラ、アスランはどうしている?」
『え……?』
「先程から繋がらんのだ、あるポイントで制止したまま動かないんだが」
『……落とされたんですか?』
「反応はまだ残っているが、どうなったのかは分からん、心配か?」
『……ハイ』
「分かった、MSを一機アスランに寄越す。お前は早くメサイヤを止めてきてくれ」
『お願いします』
ストライクフリーダムはミーティアとドッキングし、加速を掛けて再び前線に向って行く。
ラクスはその後姿を、僅かな時間だけでも目に焼き付けていた。本当はキラと話をしたかったが、戦場の空気がそれを止めた。
「ラクス=クライン、先程の話ですが、Ζガンダムをこちらに引き込みましょう。そうすればこの戦い、我々の勝利です」
「勝利が欲しくて戦いをしているのではありません。ですが、今は戦わねばならぬ時なのですね……」
「ラクス=クライン……」
「分かりました、説得してみます」
「よし、エターナル前進!アークエンジェルの援護に出る!」
行動しなければ良かったと思う反面、行動しなかった時の事を考えると怖くなる。
人生にifは無いと知りつつも、ラクスはそう考えるのが怖かった。
故に、こうなってしまった以上、出来ることはする、戦うべき時は戦う。自分の弱さを受け入れ、それを乗り越えようとラクスは無理に自分を奮い立たせる。
本当はキラに励まして欲しいところだが、自分自身の力でやってみようと決めた。
何時までもキラに甘えていてはいけないと思った。
一方、廃艦に固定されたデスティニーはそのまま月の重力に引かれて月面に落ちていた。
何とか廃艦から離れようともがくが、四肢の自由が効かない為、思うように力を発揮できない。
「くそぅ…フリーダムの奴……!」
コックピットの中でキラに対する憎しみを募らせていく。
シンはレイの仇すら討てず、こんな間抜けな状態で拘束されている事をもどかしく思う。
「それにしても、さっきからのこの息苦しい感覚……カミーユなのか?」
遠くに居ても感じるカミーユのプレッシャー。それは最初にカミーユと接触したのがシンであるという事にも関係していたが、それ以上にカミーユの力が暴走を始めている事に大きな要因があった。
恐らく、この戦場に居る誰もが何となく感じている事だろう。
『……ン……シ……シン……!』
「…何だ?」
『シン!』
「ステラ……!?」
聞こえるはずのない声がシンの耳に聞こえてくる。
最初、その声すらもカミーユの力による幻聴だと勘違いしてしまう。しかし、レーダーにインパルスの反応が映り、それが幻でない事に気付く。
『シン!今助ける!』
「ス、ステラ!?何でステラがこんな所に……」
腕も脚もないインパルスがデスティニーに体当たりをする。その衝撃で挟まれた腕と脚に振動が伝わり、先程よりも少し固定が緩くなった。
シンはデスティニーの出力を上げ、固定されていた右腕と左脚を引き千切って廃艦から逃れる。
『シン、大丈夫?寒くなかった?』
「あ、あぁ……ありがとう、ステラ……」
この広い戦場の中、ステラが迷わずに自分の下に来れた事にシンは驚きを隠せない。
「どうしてここが分かったんだい?」
『ステラはシンの事は何でも知ってるから……だから、何処に居てもステラはシンの居る所が分かるの』
「ステラ……」
奇跡みたいなものだろう。シンを想うステラの気持ちが彼女を彼の下へ導いたとしか思えなかった。
そんなステラの強い想いを再認識し、シンは今すぐステラを抱きしめたい衝動に駆られる。
『シン、もう帰ろ?ステラ、これ以上シンが傷つくの辛い……』
「ごめん…まだ……」
ステラの気持ちは有難かったが、レイを殺したキラをシンは許せないでいる。
フリーダムと決着をつけるまでは戦場から逃げたくはなかった。
『何でシンはステラを置いて行こうとするの?ステラ、シンにとって邪魔?』
「そうじゃないんだ……まだ許せない奴が残ってる。レイを…俺の親友をこの世界から消した奴が、まだ存在しているんだ……。そいつを倒すまでは……」
『レイ、もう居ないの?ステラ、分かんない……』
「ステラは分かんなくていいんだ。ただ、そいつを倒さないと俺は…俺の気が済まないんだ…」
『……今のシン、怖い声してる……そんなシン、嫌い……』
「え……?」
『シンは優しいからシンなのに、怖いシンはシンじゃない!』
「ステラ……はっ!?」
涙ながらに語るステラに気を取られていたが、シンは頭上に新たな反応が現れた事に気付く。
「何だ、あれ……!」
下からでは巨大なMAが浮いているとしか思えない。進行方向が正面だとは思うが、その両側に何かが飛び出しそうな何かがついている。後ろの方はコンテナとブースターだろうか、やたらと無駄にデカイ。
そして、良く目を凝らしてみると、チラッと金色の間接らしきものが見えた。下からなので良く分からないが、見方によってはMSがくっついている様にも見受けられる。
「まさか…あれは……!」
士官学校時代、シンはヤキンドゥーエ戦役の事を学んでいた。
その時、特に印象に残っていたのが大戦末期に三隻同盟がとんでもない超兵器を投入してきた事だった。それはたったの一機で戦略級の働きを見せ、数の少ない三隻同盟を勝利に導いたと言う。
そして、シンには金色の間接らしきものに見覚えがあった、否、忘れるはずがなかった。先端にドッキングしているそれは、先程まで自分と戦い、そしてレジェンドを破壊してレイを殺した張本人……
「フリーダム!」
シンの体中が痛いほど熱を帯びる。度重なるデスティニーのパイロットを無視した機動に耐え、痛めつけた体が悲鳴を上げる。
しかし、そんな事はシンにとって最早関係ない事になっていた。
「よくも戻ってきたな!この偽善者がぁぁぁ!」
『シン!?』
抑えきれない、抑える気のない感情を爆発させ、損傷したデスティニーはスラスターを全開にしてストライクフリーダムに突っ込んでいく。
『…!下から反応……デスティニー!』
「悪趣味な関節の色で助かったよ!お陰でお前を落とせる!」
小回りの効かないミーティア装備のストライクフリーダムはデスティニーにコンテナにしがみ付かれてしまう。
『君はそうまでしてラクスのやろうとする事を邪魔するの!?』
「ラクスなんて関係ない!俺はお前を倒す!」
左腕しか残されていないデスティニーはしがみ付く為にパルマフィオキーナは使えない。更には高エネルギー砲も使えない。
ただ振り落とされないように耐える事しか出来なかった。
『そんな状態で、何が出来るって言うんだ!』
「うるさい!お前なんかに、俺のやろうとする事を否定されて堪るか!」
『議長は……!』
「ああ、そうさ!俺は議長の言う事に疑問を持っているさ!けどな、お前達の言う事はもっと信じられないんだよ!」
高速で移動するミーティアの上で、必死にデスティニーが片腕で耐える。
しかし、振り落としに掛るキラは急旋回をかける。
「ぐっ…!くそ…ぉ……!」
『誰を信じるかなんて君の勝手だけど、それで誰かの邪魔をするのは良くないよ!』
急に逆方向への旋回をかけ、頑張ってきたデスティニーも堪えきれずに振り落とされてしまう。
『もう、本当にこれで大人しくしていてくれ!』
キラは、デスティニーのフェイズシフト装甲ならば耐えられるだろうと踏んだ。
ミーティアのコンテナの蓋が無数に開き、そこから雨のようなミサイルが大量に飛び出す。その数たるや、デストロイに勝るとも劣らぬ数だった。
そのミサイルの雨を、デスティニーは回避できない。
(お…俺はこいつに何も出来ずに……?)
『だめぇぇぇぇっ!』
「!?」
コックピットの中、正面のモニターに影が入る。それはデスティニーをミサイルから守り、そして吹き飛んでいった。
「あ…あ…!」
デスティニーを庇ったインパルスが焼却されたゴミのように煙を噴き、月面の引力に引かれて落ちていく。
たくさんのミサイルを受けたせいか、展開されていた筈のフェイズシフトが切れ、焼け跡と区別がつかない灰色になってしまっている。
インパルスは落下中にデブリにぶつかり、分解する。恐らくデブリに衝突した衝撃で上下のパーツを繋ぐ部分が壊れたせいであろう。
そのまま月面に落ちる事無く爆発を始めた。
「う…嘘だろ……?」
インパルスの爆発の光が残骸を伴って飛び散る。装甲の破片や、シリンダーの部品、何が爆発したのか分からない青い光が、涙の滲むシンの紅い瞳の中に写る。
シンには何がどうなったのかなど分からなかった。ただ、インパルスが爆発した…それだけしか分からなかった。
『また……!くっ!』
「う…あ…うああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
翼を広げ、デスティニーは逃げようとするストライクフリーダムに猛追をかける。
『もう止めてくれ!これ以上被害を増やしたくない!』
「何でだぁ!?父さんも母さんもマユもレイも…ス、ステラまでも!どうしていつもあんたは俺から大切な人を奪っていくんだぁ!?」
涙を流し、嗚咽交じりの声で叫ぶ。
『こんないつまでも…』
キラにしてみれば、シン一人にいつまでも構っているわけにはいかない。
ミーティアユニットの先に腕のように生えている物体からビームソードを伸ばし、振り向きざまにデスティニーを横に薙ぎ払う。
しかし、デスティニーはそんな不意打ちをかわし、左腕をストライクフリーダム本体に伸ばす。
「あんたは一体何なんだぁ!」
『止してくれ!』
しかし、詰めが甘かった。もう一つのビームソードが覆いかぶさってきたのだ。
それにも何とか反応して回避運動をとるが、ビームソードの柄の部分がぶつかり、デスティニーは吹き飛ばされてしまう。
「うわあああぁぁぁぁぁ!?」
そのまま再び月面に叩き落とされ、シンは体を強く揺さぶられてコックピットの中で激痛にのた打ち回る。痛めつけていた体が痛覚で脳に警告を与える。
シンはこれ以上デスティニーを動かす事が出来なかった。
『……』
キラはそれを見届けると、無言のままメサイヤへと向かった。
〜つづく〜
G……Jなんだが
ステラ!!
お疲れ。
無様だな、シン。
ルナマリアもアスランを殺しておかなかったツケは今後さらに大きいぞ。
ハイネもその甘さが祟って死んだし、ザフト組はいいとこないな。
>『誰を信じるかなんて君の勝手だけど、それで誰かの邪魔をするのは良くないよ!』
その言葉をそっくりそのまま返してやって欲しかったな・・・
シンは戦争を止めるどころか今度は自ら振りまいていきそうで怖いな。
なにはともあれGJ
GJはカミーユが裁きを下すまでとっておきます
51話じゃ、ないのか?
まだだ、まだ何一つ決着はついてない。
こないだみたいに早合点で荒れるなよおまいら。
Zの時のカミーユは不幸には不幸だったが政治的立場という点では恵まれてたんだな。
少なくともエゥーゴは命を懸けるに値する組織だった。
こっちの世界じゃなあ。
GJ
吹き飛ばされたらまた植えればいいじゃない?なキラが良く表現されてた。
コイツは自分が吹き飛ばした花はアッサリ忘れてラクス花さえ無事ならそれでいいヤツなんだよw
カミーユ、生きててはいけないヤツがいるぞー
すっかりジェリドと化したシンに全米が涙した!
ジェリド言うな
GJです
ハイネの言葉で励まされ
ハイパー化するカミーユはナイスでした
ステラ…
GJ カミーユのハイパー化スゲー
ステラは生きてる
カミーユがそれをシンに教えるよ
>>358 プラントもこの先どうなるのかね
ハイネが生きていてくれればよかったんだが
オーブはラクス一党が死滅すれば多少はマシになったカガリが頑張るだろう
できればラクス一党は法の下で裁かれるべきだが
職人さんGJです
これしか言うことがないです
>>365 法の下どころか錯乱した凸がエターナル撃沈すんじゃね?
お前らのせいで何もかも失ったとか叫びながら。
>>367 そうすると連中が殉教者になるからな
ちゃんと法の下で事実を明らかにして裁かれないと虚像は砕けないだろ
……イデオンみたいな皆殺しエンドなら問題ないが
>>358のレス見て思ったんだがエゥーゴの上層部は正義だったのか?
ZZのダブリンでの事を見る限りではそうは見えないんだが。
シャアやブレックスがエゥーゴの総意とは考えたいが・・・
それとGJ
ミネルバがカミーユにどんな対応を取るか楽しみだ
>>369 エゥーゴも正義ではなかったな
そういう自分がやってることも実は殺人マシーンじゃんというのに
苦悩して仏壇とか作るのがカミーユだった
最後は自分の信じた正義みたいなものは持ってたが
>>369 Zの時のカミーユは、と書いてあるからあの時点でのエゥーゴだろ
それに政治に絶対正義なんて無いぞ
Zの最終局面では命を懸けるのに値する組織だったってことだろ
>>369 正義とか言うなよ、胡散臭い。
お前は嫁か。
まあ正義の論争はそろそろやめようや
何が正義だという明確な答えはないし
ただカミーユがZ終盤苦しみながら
自己犠牲みたいな形になってたのは俺は正義だったと思う。
死の商人のアナハイムがスポンサーのエゥーゴが正義だとは断言できないが
>>371 同意だが
Zの最終決戦の時も前線が命かけてるって時に
トップは地球で合成肉がどうのとか言ってたんだろうな
ジュドーが怒るのも無理はない
>>373 正義とか言ってるのはお前らだけだろ。
ちゃんと読み直せ。お子ちゃま病。
>>375 いや俺は今始めて正義と使ったんだが…
もう荒れるからやめようやこの話題
>>374 いや、組織というのはそういうものだろ?
スペースノイドの自治のために命を懸ける人間がいればそれをネタに金儲けしようとする人間もいる
どこも多かれ少なかれそうだ
ただ、コロニー落としだの毒ガスだのやる連中はまずい
GJ!
ステラ…!
いや、まだだ!
死んだと断言されていない。
ここからのカミーユの行動が鍵だな。
正義なんて問題じゃない、強い奴が生きて弱い奴が死んでいった
ただ、それだけだ
まあ、死んでった連中はぼっちゃん嬢ちゃんだなあ。
戦場で生き残るには甘くて弱すぎた。
GJだ
正義は組織が持つものじゃなくて個人が持つものとなんかに書いてあった。
視聴者の目から見ればどうしてもエゥーゴに感情移入してしまうが、
ベルを議事堂に連れて行ったティターンズの兵士なんかは自分自身の
正義をもっていたはず
GJ!!
>>364 俺もそう思うよ!じゃないとシンが可哀想すぎる・・・
GJ
やっぱりレクイエムも議長を止めるのはラクスでもキラでもオーブでもなく
ザフトの人間じゃなくちゃ。
できればイザークとディアッカもカミーユの意志を感じとってくれれば...
>>380 まあ半分狂ってるとはいえ、キラはブレちゃいないからね・・・
それを精神的に強いって言っちゃうのは語弊があるけど。
ゴチャゴチャ考えながら闘ってる奴より、自分の正義を信じきってる
キラの方が強かったということかもw
どうせならメイリンが凸に殺されないかな
そうすればルナマリアは死ぬほど後悔するだろう
凸を見逃した阿呆にはお似合いの末路だ
>>384 奴は純粋に戦闘技術が高い=強い。
甘ちゃんでも強ければ自分の意思を押し通せる。
その実力もないのに甘いと死ぬ。
387 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 20:25:52 ID:fQfbdj4n
なんか皆死んでしまいそうだ
そういえばニュータイプに戦争を終わらせる力なんてないって聞いたことが
ある・・・結局戦争って正しいとか善いとか間違いだとかいいながら勝てば
官軍なんだろうなぁ・・・ザフトが勝ってもラクス一派が勝っても。
>>382 俺もカミーユは今は戦場の全ての動きをキャッチしてるから
またステラを救ってくれると信じてる
普通にステラは戦死でまだ使えたはずのインパルスが駄目になった所為でミネルバも沈没だろ。
ルナをさらに追い込んでどうすんだよww
精神崩壊どころか心臓麻痺で死んじまうぞww
せめて凸と相打ちにでもなってもらわんとな
ルナマリアは使えなさすぎる
>>387 このままザフトを撃って、その後軍令違反とかどうとか
イチャモンつけてラクス一派全員処刑すれば、
不穏分子も一掃出来てカガリの一人勝ち。
>それ以上にカミーユの力が暴走を始めている事に大きな要因があった。
GJ!
大丈夫か、カミーユ………
雑誌のイラストにあったみたいな、お互いボロボロになっての
デスティニーとストフリの激闘を期待したんだが
ここからデスティニー復活はさすがに無理だな
396 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 20:36:35 ID:fQfbdj4n
すみませんsageとかageってどういうことですか?
書き込むのはじめてなのでわからないんですが
もしかしてマナー違反だったんですか?
>>396 ・・・・この言葉を始めて使う時が来た。
ちょっと嬉しいw ということで。
半年ROMれ
>>396 メール欄にsageといれるだけでいいよ
感想面して自演でルナ叩きしてる奴は邪魔だ。
カミーユのNT能力の暴走を制御するためにサイコフレームの力なのかもしれんな
まだサイコフレームを搭載させた意味がまだ見えてないし
たぶんラストの超常現象のためだとは思うが
>>399 自演じゃねーよ、カス
てめえが自演してるからって他人もそうだと思うなヴォケ
自演乙
>>402 うるせーよ、カス
他人を自演呼ばわりするお前の方がよっぽど邪魔だ
消えろ
シンもな〜どうせなら
「逃がすかよ!俺は『報い』と言う名の『運命』だ!傍若無人の破壊魔さんよ
俺と一緒に地獄へ行こうぜ!!」
とか言って、取り付いたまま機体を自爆させようとしてみたりして欲しかったな。
・・・いつか、使ってみても良いかも知れん。
>>403 煽りあいはもうやめようや
無駄にスレ消費するだけだぞ
せっかく職人さんがきてくれてるんだしさ
>>398 ありがとうございます後で意味を調べてきます。
408 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 20:52:43 ID:YU3b9AId
しっかし、この板でここまで扱いの酷いシンを見たのは
久々だから何か新鮮だw
他のSSだと何だかんだいって優遇されてるからなあ・・・
>>405 自演か複数犯かわからんが、クライマックスだからこそ尚更空気を悪く
させようとしてるマッチポンプ、という可能性も否定できないんじゃないの?
主力で戦力を残したまま残ってるのがカミーユとキラだけか…
いいとこなしで撃沈したシンに最後の出番はあるのか
とりあえずキラは絶対死ぬべきだと今回思った
自分の台詞を自覚してないとか、こいつにやられた人々が不憫で仕方ない…
ラクスも後悔するだけで反省はしないし…
次回、ラクスとキラがその言葉でカミーユを容赦なく怒らせそうで怖いなぁ
>>411 >自分の台詞を自覚してないとか、こいつにやられた人々が不憫で仕方ない…
>ラクスも後悔するだけで反省はしないし…
お前は何か勘違いしてるようだが、こいつらが今戦場にいる理由は
カガリに頼まれたから。それ以上でもそれ以下でもない。
反省なんかする必要あるのかな? 少なくともこいつらはこの時点では
オーブ軍として動き、オーブ軍として作戦を遂行しているだけにすぎんよ。
>>410 少なくとも俺はマッチポンプも自演もやらんぞ
いきなり自演扱いされたら腹が立つのは当然だろ
お前も他人をマッチポンプ扱いする時点でクズだな
ってかもう全部かいてるなら全部はっちゃえばいいのにね
>>412 む、確かに
少なくとも表面的には非はないな…はやとちりだったな、スマソ
それでも不快感を抑えられないのがラクシズクオリティ(w
いやー、なんかこいつらの言動聞いてると、立場とか忘れるんだよねー
特にラクスとキラの言動はどう考えてもオーブ雇われ兵じゃなくて、独立軍だし
思惑はどうあれ、カガリもラクシズもお互いを利用してるってのは間違いないからこっちにしても問題はないんだが
煽る奴も煽られる奴も嵐。これはガチ。
つーわけで脊髄反射せずスルー、これ最強。
>>411 >シンに最後の出番
ステラのコアスプレンダーを見つけるんじゃない?
最後まで一人生き残りそのまま行き続け孫とかに昔話としてこの話をきかせて
いるとか
やっぱラストバトルはカミーユVSキラか〜。
戦闘シーンに期待。
生きてるだろさすがに
ここでステラが死ぬんならベルリンで救った意味ないからな
生きていたステラが絶望したシンの心を救い、
そして二人がボロボロになったカミーユの心を救うと信じたい…
キラ・ヤマト、女たちのところへ戻るんだ!
そろそろPCにイデオンのサントラ突っ込んで、コスモスに君とを流す準備が必要だと思うんだ。
カミーユをアフロにしろってことだろ
>>417 おまいのレスを読むまで、インパルスが三段合体構造なのを忘れてたぜ…
分解して爆発、とは書いてあるけどまだコアスプレンダー残ってる可能性があるもんな
最後にカミーユvsキラは見たいんだが、この流れだとこいつらが戦う理由が無いんだよなぁ……
戦場で散っていった人たちの魂を吸ったZに危機感を覚えて攻撃
↓
お前が憎しみを広げると叫びながらウェイブライダー突撃
オーブを止める=ラクスを倒すって考えれば戦うことになるんじゃ?
キラが議長とあってる間にエターナル潰して、戻ってきたキラと戦う
>>427-428 それはカミーユの闘いじゃない
と断言してしまうのも何だが、カミーユが戦う理由としては違和感がある
少なくともあいつらは、結果はともかく本人達は平和の為に戦ってるわけだし
カミーユがその遺志を感じ取れないわけがないと思う
キラとの戦いが有るとしたら議長ぬっ殺した後だろうな
流れぶった切って悪いが
ハイパー化した状態でハイパーメガランチャー撃った場合どうなるんだ?
新約カミーユのウェブライダー突撃ってジ・Oの後ろにあったジュピトリス完全消滅させてたよな・・・
しかもあの時はバイセンのみ、此処のカミーユはバイセン+サイフレ・・・
キレたら月光蝶起こしても納得できてしまいそうだ・・・
>>432 メガバズーカランチャーぐらいいくか?ww
シンに「汚名挽回」のチャンスは、
あるのか!?
汚名は返上する物だ、挽回してどうするんだこの野朗
再三伏線が張られてる、「この戦争を止めるのはシンとカミーユ」がどうなるのか気になる。
シンがこのまま終わりじゃTV版と大差ないし(というか、女が間に入ってやられて自分も月面落下って、TVと同じシチュエーション狙ってる?)、
自分の世界の戦いぐらい、異邦人のカミーユの手ばっかり借りてないで、自分らで決着つけてほしいとも思う。
すでに一方(レクイエム)はカミーユが止めたしね。
シンにはもう一度立ち上がってもらいたい!
>>436 あの有名な「汚名挽回」を知らんのか!?
>>436 ジェリドがジャマイカンに汚名挽回させろといったことは
あまりにも有名
, -─- 、
(____)_
〈〈ノ从ハル〉〉 物事と発言は正確にといつも申し上げていた筈ですっ!…まあいいでしょう
//ゝ゚ロ-゚ロ'
//くィ.ノ`.'|j〉
`´ ム|火|
しリ
フレイの亡霊がカミーユの後ろに付きそう。
このままカミーユがラクシズと議長を撃って終わらせてもその後がなければ
なんか種と変わらないんだがどうするんだろうな
Zでもシロッコ殺してその後精神崩壊だったし・・・まぁパイロットだしそこ
までカミーユがしなくてもいいか?
そもそも、カミーユを動かしたハイネにも
先のビジョンがあったのだろうか?
>>446 その時点でビジョンが無かろうが、きちんとその後のために動かないとマジでラクシズの同類だぞ。
個人的にはアスランがアークエンジェルにとらわれてからの
変わりように納得できないんだが不自然にへたれてる気がする
特にキラ戦の時とか読んでみると別人かと思うくらいだ
>>432 たぶんアクシズくらいなら粉砕できるんじゃね
>>437 あなたは世界を正しい方向にもっていける→カミーユ、貴様は俺の(ry
つまりハイネの勘違いでしたw
>>448 アレからいろいろされてアスラン今は愛すべき抜け殻の残骸だからとも思う。
幼馴染の親友と決意を秘めて戦ったら生け捕りにされた挙句に自分の話をぜんぜん聞いてくれなくて、
その上に、恋人にして命の恩人が一緒にいて説得してもやっばり効果なし上に頼りないので思わず手伝ってしまう。
状況が落ち着いたらミネルバに戻ろうと思いつつ手伝ってるけど、知識の無い政治の話ばかりで役に立てないなーと悩んでると
何時の間にか戦争がザフト勝利で終わりで良かったと思ったらロゴスの残党が何故かオーブに来て、それを狙ってサフトきたー
元婚約者に恋人を殺したくなければザフトと戦えと脅されて、昔に議長から言質を取ってたのを言い訳にオーブを防衛、
仲間から裏切り者と言われて凹んでるとこに、なんか恋人はお前なんてイラネと捨てられる。
でもまだ役に立てるならと死地である月面へ、そこで元仲間に出会い説得できるなら恋人にでもなってやると言って見たものの
見事に玉砕、殺す価値も無いと完璧に拒絶、ならカガリのために死のうと割り切った筈が圧倒的優位に立った途端、
殺せなくなって説得しようとしてしまう、そしてカミーユきたータイマンでも勝てるか分からないので援護してくるルナの戦力奪おうとしたら
うっかりハイネをやってしまう OTZ
現在先頭不能で背景化
なんか、凸の軌跡をなぞって自業自得だけど見たら泣けてきすね。
>>452 まとめ乙 w
人生が180度ひっくり返ってしまったというような、、、
ベトナム戦争の頃の兵士の話とか何かで読んだことあるけどアスラン・・・同情できるな。俺は
信じてた・何かしてあげたいと思っていた相手に捨てられる辛さは、よく解かるし
そして何かに縋りたいと言う気持ちもこれまたよく解かる
>>448 監禁、軟禁されて、数の暴力による説得というのは実際の宗教勧誘や犯罪によくあること
洗脳の常套手段ですよ
何はともあれシンが身動き取れなくなったのはある意味いいかも。
ステラとの絡みや何やらが起こせるはず!!
450にむかついたがあながち間違いとも取れなくないな
かなり暴論だがカミーユに皆期待しているところを見ると前大戦時のラクス様マンセーと
かほざいているとさして変わらないんだよな
とにかくwスレの議長がいっていたが悪いから、間違ってる→倒す→俺たちに
できることはやったあとはほっとくだと本当に第二のラクシズになりかねない
てゆうか軍人じゃあなく政治家のだれかが賛同しないとへたすれば種より悪く
なりかねないし
_ ∩
( ゚∀゚)彡 鏖!鏖!(種世界全員)
( ⊂彡 廃人!廃人!(その後のカミーユ)
| |
し ⌒J
後は何らかの弾みで大破のZと一緒にUC世界に帰りゃ、ZZのオープニングにもちょうどいいし。
>>453 もしくは、心の中で支えにして踏ん張ってた大切なモンが壊れた瞬間に自分の思想を刷り込んだりな
本編のキラはこれにやられた、守るはずの友達なくした直後にラクスに思想を吹き込まれて
「友達を何が何でも守り抜く(でも結局友達守れなかった)」
→「ラクスの言うこと聞いて(友守れなかった事を無かった事にするために)世界平和のため戦う!!」
このとおりだ。洗脳テラオソロシス
やっぱ最後はカミーユがキラに向かってここからいなくなれ?
>>437 まあなんだかんだでカミーユが種世界に来たらなわけで
カミーユが全部持っていくのもしょうがないとこもあるとは思う。
あくまでカミーユが主人公のSSと思うし
シンはダウンしたけどデスティニーはまだ動かせるよね
ダウン→復活はバトルの王道だからなぁ
今は動けないそれが運命だけど
この戦闘の全貌が全世界やプラント中に放映されたら人々には本物のラクスがプラントを潰さんと攻め込みに来てるように見えるか。
でもネオジェネシスで味方ごとやっちゃったしなぁ・・・やはりラクス様の
したことは正しかったんだとかゆう奴らがでてきてZZみたいになりそうだ。
まあ、どうせ最終決戦生き残っても、ラクシズはカガリに処刑される運命なんだよな。
世界中の国家の首脳が茶番とわかっていても、公にはオーブ軍の攻撃はカガリの指示を
無視したラクスの扇動によるものとせざるを得ないし……。
だったら、戦場で散ったほうが幸せかな?
カガリの一人勝ちになりそうだななんか
この戦闘の最中にをピンクザクに乗ったミーアが乱入して戦場ライブ。
市民のミーアコールの下、「戦闘なんて下らないですわ、ミーアの歌を聞きなさい!」
「ミーア・キャンベルの歌を聴くすべてのものに告げる。
我らの敵はただ一人、ラクス・クラインを倒し、再び平和を取り戻すのだ」
こうですか、わかりません><
お前ら少しは落ち着け
ラクシズ嫌いな気持ちはわかるが、現在の局面では倒す意味が無いぞ
「プラントに対して武力侵攻中の敵軍を倒す意味がない」
こうですか、わかりません><
>>461 なんとなく、種最終回で落ちながら(宇宙だからこういう表現は変だが)姿勢を立て直し、
翼広げるフリーダムのシン&運命版が浮かんだ
あのシーンはわりとカッコよかったな……
>>470 「ザフト」には意味があっても「カミーユ」には意味ないだろ?
カミーユがラクシズと戦う理由か・・・
「お前みたいのがいるから戦争が無くならないんだ!消えろ!!」
コレでいいんじゃね?
ジェリドは自分の言葉で反論したけど、キララクはどうなんだろうね?
第五十二話「運命の翼」
(デュランダル議長は結局は邪魔となるオーブを倒す事が目的だったのか……?けど、あの時話した事にどれだけの正当性があったのか、確認する必要はある)
カミーユは完全に消耗戦の様相を呈している戦場で、どうにかして戦いを止めようかと考えを廻らせていた。先程から頭痛が続いている。
(デュランダル議長はメサイヤ……!)
《カミーユ》
「ハイネ?」
頭の中に聞こえてきたのは再びハイネの声。カミーユの力は、広がりを見せていた。
《デュランダル議長はアイツに任せろ。それよりも、もう一人……》
「居るんだな、ハイネ?」
戦争をするからには相手がいる。デュランダル一人だけの意思だけでここまで戦争が激化しない事をハイネは伝えたかった。
《この先に……!》
「は……!?」
エターナルはアークエンジェル援護のため、前線へと進撃してきた。
ボロボロになっているアークエンジェルを見つめ、ブリッジは息を呑む。ここまで深手を負ったアークエンジェルは記憶に無かった。
不沈艦の二つ名で呼ばれる大天使が、遂に最後の時を迎えるというのか、クルーの目には不吉ながらにそう映った。
ミネルバは既にその場には居ないが、どうやら相手は不敗神話を破るかも知れないほどの手練の戦艦だったらしい。
その中にあって、ラクスはカミーユがピンポイントで放ったプレッシャーを感じていた。
(どなたかがわたくしを監視している……?)
横目で周囲を見渡し、ラクスはそう思った。
「エターナルはアークエンジェルの楯になれ!」
「火線、当艦に集中しています!」
「敵も馬鹿じゃない、ラクス=クラインが乗っている事を知っているんだ!アークエンジェルの退避が終わったら、この宙域を抜けるぞ!この艦の足は速い!」
揺れるブリッジ。バルトフェルドの号令がかかる。
「よし、アークエンジェルは無事だな?エターナル、進路転進!一旦引くぞ!」
「はっ!…いえ、待ってください!後方から敵MSが追ってきます!」
「撃ち落せ!」
「識別……Ζガンダムです!」
「何!?」
Ζガンダムの出現にバルトフェルドは驚く。
「奴さんの方からお出でなすったか……やってもらえますか、ラクス=クライン?」
「……分かりました」
「了解です。ダコスタ君、チャンネルは…」
「合わせます……どうぞ」
「うむ…あー、聞こえるか、Ζガンダムのパイロット?」
Ζガンダムのコックピットの中で、突然の通信回線にカミーユは驚いた。
『こちらはエターナル艦長、アンドリュー=バルトフェルドだ。突然で申し訳ないが、君と話をしたい。どうだろう、この艦に来る気は無いか?』
「話……?」
『そうだ、君がステーション・ワンを破壊してくれたのだろう?ならば、こちらの言い分を聞く用意が君にあると我々は思っている。そちらとしても、納得がいく答えを知りたがっているのではないかね?』
「僕にそちらの言い分を聞けというのか……?何が目的だ?」
『それは君が直接彼女から聞くといい。どうする、少年?』
バルトフェルドの問い掛けにカミーユは少々考慮する。
(もう一人は中か…直接会えと言うんだな、ハイネ?)
「……分かった、着艦する」
『了解だ、誘導灯に従ってくれ』
バルトフェルドはインカムを外し、席を立つ。
「ダコスタ君、少しの間頼むぞ。僕はガイアで出る」
「はっ、お気をつけて」
「ラクス=クライン、後はあなた次第です」
「……」
「あと一息です。頑張りましょう!」
励ましているのか、尻を叩いているのか分からないが、バルトフェルドはそう言うとブリッジを後にする。ラクスはそれを無言で聞いていた。
「では、ラクス様、参りましょう」
「はい……」
数名のライフルを肩にかけた兵士がラクスの護衛に就く。そして、ブリッジを後にした。
格納庫にΖガンダムを入れ、出迎えの者がカミーユを案内する。
其処へ丁度バルトフェルドがパイロットスーツに着替えてやってきた。
「ん……?君がΖガンダムのパイロットか?」
「あなたは、艦長のバルトフェルドさん…ですね?」
「分かるかい?流石はその名を轟かせるザフトのエースパイロットだな」
「声が一緒なんですよ」
「何だ、そんな事か?僕はこれから一戦してくる。この艦は落とさせやしないから、君はゆっくり彼女の話を聞きたまえ」
バルトフェルドはそう言うと流れに身を任せてガイアのコックピットに向かう。
「ガイア、出すぞ!」
流れながらバルトフェルドは考える。噂どおりとすれば、普通のナチュラルであるカミーユが何故あれほどの力を出せたのか、気になっていた。
(彼もキラのような特別なコーディネイターか?…いや、単なる僕の嫉妬か……)
若い世代に、自分以上の力を持った者たちが次々と台頭してきている。そんな時代の流れに、さほど年を取ったつもりのないバルトフェルドは、既に自分が過ぎたる時代の人間なのではないのかと考えていた。
それ故、キラたちに全てを任せるという形で身を引こうとしていた。しかし、そこに力を持った若者に対する皮肉が混じってないとは言い切れない。
(この戦いが終わった時、どんな罰が僕に待っているのかねぇ……)
自嘲してコックピットシートに座る。
「こちらです」
出迎えの者に率いられ、カミーユは奥へ向かう。
(ここの連中は、一見普通だが何かに引っ張られている……いや、しがみ付いているのか……?)
連れて来られたのは会談用の少し大きな部屋。中にはまだ誰も居ない。
「誰が来るんです?」
「ラクス=クライン様です。到着までもう少しお待ち下さい」
「呼びつけておいて待たせるなんて、よっぽど我侭なんですね?」
「お止め下さい。ラクス様はその様な俗な方ではありません」
「どうだか……」
カミーユが愚痴を零していると、扉が開いた。二人の護衛に守られ、ラクスがカミーユの目の前に姿を現す。
「遅れて申し訳ありません……」
カミーユを一目見て、ラクスは先程感じたプレッシャーが彼のものだと直感した。
その顔はどこか神経質そうで、それでいて繊細さを併せ持っているような、複雑な印象を受ける。
キラとは違った優しさを感じたが、それはキラとは正反対に感じられた。睨みつける瞳は、カミーユがラクスを信用してない証拠だった。
「僕に何の用があって呼んだんです?」
「その前に、初めまして、わたくしはラクス=クラインと申します」
「知ってますよ、有名人なんだから」
「そうですか……あの、あなたの御名前を教えて頂けないでしょうか?」
「……カミーユ=ビダン」
カミーユはラクスに余り良い印象を持っていなかった。
それというのも、ここまで戦争が大きくなったのは単にデュランダルやジブリールだけのせいではなく、このラクスやオーブに残ったカガリのせいでもあると思っていたからだ。
しかし、初めて素のままのラクスと出会い、彼女に対する印象が変わった。
普通の人はラクスの事をカリスマ性の高い、例えるならば中世フランスの英雄、ジャンヌ=ダルクを髣髴とさせるような、皆の先頭に立つ指導者的なイメージを持つだろう。しかし、カミーユの感じた彼女の印象は、その周囲の期待に押し潰されそうな彼女の姿だった。
いくら周囲が認め、担ぎ上げた所でラクスはまだ少女である。表向きは達観したような素振りを見せるが、その内には普通の少女の一面を持っている。
それはキラにしか見せない、彼女の本音の部分だった。
「カミーユ様…ですか?とても優しいお名前なのですね?女性のような…」
「女の名前でも、僕が優しいとは限りませんよ」
「いえ、そういうわけではないのです。わたくしのあなたの印象がそう感じただけで、決してお名前の事を言っていたのではありません」
急に鋭くなるカミーユの目を警戒したのか、ラクスは内心慌ててフォローする。
カミーユは名前にコンプレックスを持っていた。グリプス戦役に巻き込まれるきっかけになったのも、その名前を馬鹿にされた事がそもそもの発端であった。
今ではそれ程気にする事は無くなったが、それでも初対面の相手にそういう事を言われると流石にちょっとはイラっと来る。
「言い訳すると、余計に本気に思えちゃいますよ」
容赦ないカミーユの一言が、場を凍りつかせる。
「お、落ち着いて下さい、ラクス様の御前です!」
「呼んだのはそちらでしょう?」
「止めてください」
御付がカミーユを窘めるのをラクスが制する。
「お気に触ったのでしたら謝ります。どうも、申し訳ありませんでした……」
「……」
ラクスは丁寧に頭を下げ、カミーユに謝罪する。
カミーユはそれを黙って見ていた。
「それで、僕に接触してきた理由を聞きたいですね」
「それは……」
応えてラクスは周囲を見渡す。何人かの護衛が一様にラクスに何かを迫っているように見えた。一つギュッと瞬きをし、本題に取り掛かる。
「あなたはこの戦争をどのようにお考えですか?」
「そんな事を聞くために、わざわざ僕をこの艦に呼び寄せたんですか?」
「いえ…そうではなく……わたくし達はデュランダル議長のデスティニープランを阻止する為に戦っています。その中で、あなたがステーション・ワンを破壊してくださったという報告をお聞きました。
それならば、わたくし達にあなたのお力をお貸し頂けるのではないかと思い、こうしてお話をする機会を設けさせて頂きました」
「僕を取り込もうって事ですか?それなら、始めからそう言えば良いじゃないですか。そうやって回りくどい言い回しをしなくても、今更僕達があなた方の目的を知らないわけではないでしょう」
「すみません、あなたにはわたくし達の目的を分かってもらおうと思っての事なのです……」
いつもと様子の違うラクスに、周囲の護衛達がコソコソと話している。その声を背に受け、ラクスは内心で辛かった。
また、あのような、何でも知っているかのような言い回しを要求されているのではないかと、追い詰められる。
しかし、ここで普段の自分を見せなければ、いままでやってきた事が無駄になってしまう。そう思って、ラクスは気を取り直してカミーユに語る。
「今、この世界はデュランダル議長の暴走の下、自由と夢を失いつつあります。それは、わたくし達の声があの方に届いていないという事……。運命というのは、自らの手で勝ち取るものです。デスティニープランは、それを放棄し、全てを機械に委ねる無機質な世界です。
……こうして戦ってしまった事、命を奪い合う事、それは、確かにわたくし達の罪なのかもしれません。ですが、戦わねば守れぬもの、救えぬものがあるからこそ、わたくし達は戦わねばならぬのです。
それは、果たして罪なのでしょうか、罰を受けねばならぬことなのでしょうか……その答えを、わたくし達と共に探して欲しいのです」
ラクスの言葉を聞いてカミーユは驚いていた。今までのラクスの言葉とはまるで違う、それどころか本当に彼女自身がしゃべった事なのかも疑ってしまう。
先程までの何かあれば謝っていた弱気な彼女の言葉ではないとカミーユは思った。
不思議に思いつつもカミーユも言葉を返す。
「命はこの宇宙を支える力です。確かにデュランダル議長のデスティニープランが人の心を大事にしない世界でも、あなた方の起こした戦いよりはマシです。あなた方は、主張が違うのを戦いで解決しようとしている。それは、命の力を悪戯に奪う行為以外の何物でもない!」
「確かにあなたの言う通りなのかもしれません。ですが、良く考えてみてください。デスティニープランに支配された世界に、人の人として生きる道は存在しません。それは、あなたの言う宇宙を支える力を奪う事と同じではないでしょうか?
わたくし達がやりたい事…それは人が自由に夢を見る為の未来を創る事です。人が人たらしめる未来の創造…これはあなたとわたくし達の目的が同じ、という事なのではないでしょうか?」
先程とは打って変って普段通りのラクスの言い回しに戻った事に、同室している護衛たちも安心の表情を浮かべている。その視線をひしひしと感じ、ラクスは内心で"違う"と呟き続けていた。
どうしてこんな事になってしまったのだろうか?
コーディネイターとして生まれてきた自身の出生を彼女は知らない。
父のシーゲルがどのようなコーディネイトを自分に施したのか分からないが、自分の言葉のはずなのに、まるで自分ではない言葉が次々と口から滝のように溢れてくる。止まらない。
「皆が手を取り合って笑顔で過ごせる世界…それは無理な事ではないはずです。わたくし達と共に戦って下さっている方々は、その事を分かってくださっています。ナチュラルもコーディネイターも関係有りません、志が同じであれば、こうして手を取り合えることが出来るのです。
……どうか、あなたのお力を、この世界の明日の為にお貸し頂けないでしょうか?」
「あなたは……」
その場に居た人々の中で、カミーユだけがラクスの本心に気付いていた。
目の前のラクスは穏やかな表情で語りかけてくる。しかし、それは上辺のもので、苦しんでいるラクスの顔が幻のようにカミーユの瞳に映る。
「人は自由に夢を見ることが出来ます。デスティニープランがそれを許さない世界なら、わたくし達はそれに抗います。人の自由というものは、誰かの手によって邪魔をされてはならないのです。あなたには、ここでわたくし達に手を貸す道もあれば、袂を分かつ事も出来ます。
それは、人に与えられた選択する自由です。もし、あなたがわたくし達を拒んでも、わたくしは何も言いません。しかし、あなたが決める道に、もし、自由がないのなら、わたくしはあなたを止めます。それもまた、わたくし達に与えられた自由なのですから……」
話していて、どんどん自分の言葉が薄っぺらになっていくのが、ラクス自身にも分かっていた。口を開けば開くほど、それは余計に自分の本心とは掛け離れていく。
しかし、それとは裏腹に、聞いている者の心は反比例するようにラクスのカリスマに惹かれていく。中には涙を流して聞き入っている者も居る。
それが、ラクスを苦しめる。
「さあ、あなたの心を聞かせて下さい。あなたのその瞳は、とても自由です。どのような答えを出そうと、わたくしはあなたを支持しま」
「もう止めてくれ……!」
ラクスの言葉を遮って、カミーユが声を出す。同室している護衛たちも驚いていたが、何より最も驚いた顔をしているのはラクスだった。
「今の君の言葉、本当に君の言葉なのか?僕には無理に声を振り絞っているようにしか聞こえなかった……」
「な、何を仰っているのです!?ラクス様は…!」
「あなた達も、本当に彼女がそう思っていると思っているんですか?どうしてもっと彼女の言葉を疑ってあげなかったんです!これでは、彼女はただの傀儡だ!」
「無礼な!ここを何処だと思っている!」
護衛達がカミーユにライフルを向ける。カミーユは身構えたが、この状況では流石に逃げ出せない。
「そうやって彼女を妄信しているから、余計に彼女を苦しめるんですよ!」
「ラクス様は間違ってなどおられない!現に二年前はその御言葉で世界を救っておられるのだぞ!」
「そうか…あなた方が彼女を苦しめているんですね!気持ちのいい言葉に身を委ね、それがあなた達の絶対正義となり、傲慢となって戦いを引き起こす……」
「何を言っているのだ!我々はラクス様の為に戦っているのだ!こうして賛同してくれる者達が居る事が、ラクス様達が正しいという証拠だ!」
「やはりそうだ…正しいだの何だの決める前に、自分達の事をしっかり見ていないから!」
「偉そうに!自分の状況が分かっているのか!」
「あなた達は皆そうだ!彼女の言葉を隠れ蓑に自分だけの正義を押し付ける!それが傲慢となって他人を家畜にすることしか考えられないんだ!」
「調子に乗るな!」
一人の兵士がライフルの柄でカミーユに殴りかかってきた。
「くっ!」
しかし、カミーユはそれをかわし、得意の空手チョップで気絶させる。
それに慌てた他数人が、一斉にカミーユに対してライフルの引鉄に指を添える。
「こいつ!」
「こんな事になって…結局あなた達は最初から従わなかったらこうするつもりだったんですね!」
「黙れ!お前が我等に従わないからだろう!」
「や、止めて下さい!」
大声が部屋に響き渡る。驚いてその声の主に振り向く。
「違うのです…これは、違うのです……」
沈痛な面持ちでラクスが声を振り絞る。
「何が違うんです?この状況は……」
「本当に申し訳ありません……来て頂いて恐縮なのですが、お引取り頂いて結構です……」
「ラクス様!?」
「お願いします、彼を…行かせてあげて下さい……」
「しかし……」
「お願いします……」
「……分かりました」
護衛達はライフルを下ろし、ドアを塞いでいた者はその道を開ける。
「……君は、本当はもっと普通の女の子なんじゃないのか……?」
「……」
去り際、カミーユの問い掛けにラクスは応えなかった。その表情を見つめ、カミーユは部屋を後にする。
「ラクス様……」
「すみません、戻ります……」
戸惑う護衛たちの視線に心を痛めながらも、ブリッジへと戻って行った。
一方、ミネルバはメサイヤの防衛の為に後退を続けていた。
目的地のメサイアは直ぐ其処である。しかし、どうにもメサイヤの様子がおかしかった。
「バート、どうなっている!」
「状況確認中…メサイヤが攻撃を受けています!」
「何!?」
「機種は…これはミーティアです!ストライクフリーダムがミーティアでメサイヤを攻撃しています!」
「何だって……!あの化物を…オーブはまた使ったのか……!」
「メサイヤ、ほぼ沈黙しています……」
「……メイリン、議長と連絡は……?」
「やっていますが、繋がりません……」
「どうなったというのだ…これは……」
「艦長、どうしますか?」
マリクがアーサーに訊ねる。
「……命令は命令だ。メサイヤ防衛の為にフリーダムを落とす……!」
「無茶です!こちらの武器は殆ど残っていないんですよ!?それでいて、相手は前大戦の英雄と称されたフリーダムです!我々が死にます!」
「ザフトの使命は…この時の為にある!総員退艦!ミネルバを、目標にぶつける!」
「な……!?」
ブリッジにどよめきが起こる。
「しかし、それではミネルバは目標には当てられません!」
「操作は自分がやる!皆は直ぐにランチで脱出をしなさい!」
「出来ません!艦長を置いて逃げるなど……!」
「そうは言っても、奴を見逃せばザフトは敗北する!」
「待ってください!艦長、艦長は折角艦長になれたのに、もう死ぬ気なんですか!?」
メイリンが立ち上がって叫ぶ。
「皆で生きる方を選びましょうよ!この艦には思い出も一杯詰まっているんですよ!?」
「少女の趣味には付き合えない!軍の仕事というのは、国を守る事だ!」
メイリンの意見をアーサーは一蹴した。
「艦長、私は付き合いますよ!このまま黙ってみてたんじゃ、ザフトの名折れですから!」
「私もです!仕事はきちんとこなす、それがデキル男ってもんでしょう!」
「二人が行くのなら私も行きますよ!かっこいい真似は艦長たちだけにはさせませんってね!」
「お…お前達……!」
アーサーは俯き、肩を震わせて感激に浸っている。不甲斐無いと思っていた自分に付き合ってくれると言うマリク、バート、チェンの心遣いが胸に沁みる。
「ちょ、ちょっと待って下さい!皆で死ぬんですか!?」
ブリッジの異様な雰囲気に気付き、メイリンが声を張り上げる。
「メイリン、君は他のクルーと脱出しなさい。女性の君にはこの決断は辛いだろう?」
「そ、そうじゃなくて……なんで皆そんなに死に急ぐんですか!?こんなの、絶対間違ってるじゃないですか!」
「メイリン、男は勝負時ってモノがあるんだよ。そして、その時が今なんだ」
「そうそう。ミーティア付きを落とすって言うね!」
バートとマリクが応える。
「女の子にゃ分からん事かもしれないけど、決める時は決めないとね!このままかっこ悪いまま居たくないのさ」
チェンが付け足すように言う。
そんな四人を見つめて、メイリンは深い絶望のような奇妙さを感じていた。
(違う…そんなものじゃない……!絶対に無駄死にだって分かっているのに特攻するなんて……!)
具体的な原因は分からなかったが、四人の精神状態が異常であることは何となく分かった。
この四人は決戦という舞台で異様なテンションに包まり、冷静な判断を下せないで居たのだ。それは、言い換えれば戦争の持つ魔力に惹かれていることなのかも知れない。敵は倒さねばならないという強迫観念に似た追い込みが、彼等を死に向かわせているのだ。
(皆…死神に取り憑かれている……!?)
メイリンにはそう見えたのかも知れない。しかし、ここで彼等を諦めるわけには行かなかった。彼女は全員で生き残る方を選択する。
「それ、絶対におかしいですよ!何で皆で生き残る選択をしないんですか!?ここで死んじゃったら…戦争が終わったって皆で笑い合えなくなっちゃうんですよ!」
「それで生き残った人々が笑ってくれれば我々軍人は良いのだ。軍というものはその為にあると言っても過言ではない」
「ですけど!無駄死にだって分かるじゃないですか!?どうひっくり返ったってフリーダムに傷ついたミネルバで勝つことは出来ないんです!」
「……フリーダムが強いという事はとっくに分かっている。しかし、少しでも可能性が残されているのならば、それに賭けるのが我々のすべき事なのだよ……」
「そんな可能性に賭けたって、無駄死になら誰も笑ってくれません!寧ろ悲しむ人が増えるだけです!」
「……!」
「皆にも家族が、恋人が居るんです!それなのにこんな無謀な作戦で散っていったら…悲しいだけじゃないですか!?」
「メイリン……」
「そうなれば…艦長の笑ってくれる人の為の軍なんて成り立たないです!」
メイリンの怒涛の説得に四人は顔を落とす。心に染み入るものがあったのだろう。
アーサーは艦長になったばかりで、初めて背負った重荷に焦っていた。無謀と知りつつも、一種のトリップ状態に入っていたアーサーは冷静さを失っていたのだ。
「あの…私、やっぱりまだ死にたくないです……」
「チェン……」
「私も…このまま死にたくありません……」
「バート……」
「私もです……。でも、それでアーサー艦長を見捨てる事なんて出来ません……」
「マリク……」
メイリンの言葉に心を動かされた三人が次々に意見を覆していく。気持ちを落ち着け、冷静に考え直してみた結果だった。
「艦長…やっぱり皆で生き残る道を選びましょうよ……。タリア艦長だってきっとそっちの道を選んだんだと思うんです……」
「メイリン……」
アーサーはそんな皆からの言葉を聞いて考え込む。本来気弱な彼がここまで追い込まれた事は無かった。しかし、冷静になって考えてみれば、自分も死ぬ事が怖いことに気付く。
「……皆の意見は分かった。メイリン、繋がるまでメサイヤとのコンタクトはとり続けなさい」
「艦長……」
「ミネルバ目的変更だ。我々はこの戦場で生き残ることを最大の目標にするぞ!」
「ハイ!」
巨大な機動要塞が、たった一機の機動兵器に為すがままに破壊されていく。
大量のミサイル、数え切れないほどのビーム、そして、巨大なビームソードがメサイヤを取り巻いているバリアリングを切り裂く。
圧倒的な光景を前に、アーサーは、自分が何て無謀な事を口にしたのだろうと反省する。艦長たる者、最後まで自分の艦とクルーは守らねばならんと思った。
『マッド主任、出して頂戴』
「ですが…メサイヤには化け物が取り付いています。今出たら辿り着く前に落とされちまいますよ!」
『大丈夫よ、出して』
「知りませんよ!?」
『ごめんなさいね……』
ミネルバからタリアを乗せたランチが出てくる。キラはそれに気付いていたが、無抵抗な相手に向ける銃を彼は持っていない。
そのままメサイヤの機能が停止するまで攻撃を続ける。
「…ん?Ζガンダムが出てきた……こちらの味方になるのかな?」
バルトフェルドはエターナルから出てきたΖガンダムを見て、会談が終わった事を知る。
『少年、僕達の味方になってくれるのかな?』
「……」
『そうか、それは残念だ』
そういってビームライフルをΖガンダムに向ける。応えないカミーユに、バルトフェルドはラクスの説得が失敗に終わった事を暗に了解する。
『君がザフトに味方するのなら、ここで落とさせてもらうが、そうでないならば見逃してやる。君と僕達の目的は同じはずだからな』
「僕はどちらにも付きません。ただ、あの人にこれ以上負担を掛けない方が良いですよ、相当無理しているみたいだから」
『無理……?』
「こんなお飾りの戦艦に乗っているから……!」
そう言い捨てると、Ζガンダムはウェイブライダーに変形して飛び去っていった。
『……ガイア、戻るぞ!』
カミーユの言葉に引っかかるものを感じながら、バルトフェルドはエターナルに帰還する。
(彼女は苦しんでいた……それは、彼女を慕う人たちが彼女に過剰な期待を寄せていたからだ……。人は、あそこまで誰かに依存するものなのか?)
思いながらカミーユは戦場の気配を探る。
(……悪意が、拡がっていく……?これは、既に誰のものでもない、戦争が狂わせた人の心そのものだ……!)
カミーユの意識が解放されていく。それはサイコフレームに残された男の記憶だったのかもしれない。
カミーユの意識の中に、知った声が聞こえてきた……
《……カミーユ、君はこの戦場で希望を見出せるのか?》
(……!)
《この現状を見て、君はそれでも愚かな争いを続ける人類を信じられるのか?》
(……信じます!)
《何故そう信じられる?醜い争いをするだけの人類に、何の意味がある?互いを殺す事しか知らぬのだぞ?》
(それが、ニュータイプの力だからです!)
《そのニュータイプも、結局は戦いに利用されるだけだ。結果、君はその重さに耐えられずに押し潰されてしまったではないか?》
(けど、僕は戻ってこれました。あなたこそ、あれ程人類の革新を信じていたあなたが、何故そう言えるんです!?僕は、あなたを信じたからこそ、あの戦争を戦ったというのに!)
《……地球の重力に魂を引かれた人間どもは、その後全く変わることはなかった……そんな人類に、私は嫌気がさしたのだ》
(それがあなたの出した答えなら……!)
《どうすると言うのだ?》
(僕はあなたを否定して見せます!人間の力を…この宇宙を支えている力を!)
《……》
(それを、あなたが見た夢を、僕が実現させて見せます!)
ウェイブライダーが再び光を纏う。同時にカミーユの力を拡大、拡散するようにサイコフレームの光が粉のように飛び散っていく。
「僕に出来る事は…ステラ!?…そうか、シンのところに……!」
変形を解き、意識を集中させる。
「届けよ!」
Ζガンダムから解き放たれるサイコフレームの光の一部が、纏まって何処かへ流されていく。カミーユに届いた想いと共に……
「く…うぅ……く……!」
全身を駆け巡る痛みにシンは苦しむ。凶暴なまでのデスティニーの機動性はシンの体をズタズタにし、神経を汚染する。
そんな苦しみにシンは挫けそうになっていた。
キラにレイを殺され、ステラまでも彼の手にかかって目の前で散っていった。
そんな現実に、シンはこれ以上抗う気持ちを削がれてしまった。
「こ…こんな世界なら……こんな世界なら俺には……」
独り言を呟いても応えてくれる人は誰も居ない。
弱音を吐いても助けてくれる人は誰も居ない。
孤独の中でシンは行き場の無い不満を誰にもぶつける事が出来ずに愚痴を零すだけである。
戦争を終わらせ、世界に平和を取り戻すと言うシンの目標はそんな彼の心と共に砂山を崩すように打ち砕かれようとしていた。
「ステ…ラ……」
戦争の中で見つけられた大切な人の名を呟く。もう居ないと分かっていても、語りかけて欲しかった。
彼女の純粋な眼差しが、シンにとって最大の癒しだったのかもしれない。
苦痛がいつしかシンを夢でも現実でもない意識の狭間に放り込む。そこは苦痛が存在しない心地よい世界だった。周りに誰も居ないのに、孤独がシンの心の隙間を埋めるようだった。
そんな居心地のよさに、シンは居場所を見つけた気分になっていた。
《シン……》
誰も居ない事は誰にも気を遣わなくても良いと言う事。現実のように人と人との繋がりがない分、シンはそこで何もしても良いと言う安心をえられる。
何も無いのに、何もかもがシンの自由になる世界だった。
《シン……》
そこでシンは何もしないという選択をした。何もかもが自由なら、何もしないということもシンの自由だった。体を、と言っても意識だけだが、漂う中に委ね、目を閉じて後は何もしないように心に決める。
シンは現実から目を逸らし、都合の良い世界に逃げ込んだのだ。
《シン……》
気持ちがとても落ち着いていた。それで安心を覚えられる分、現実でがむしゃらにやっていた自分の行動がやけに馬鹿らしく思えた。
全ては無駄だったのだと認識する。
こうして何もしないことのどれだけ心地よい事か、シンは今までの自分の行動を反省した。そして、まどろむ意識を無意識の中に放り込む。
《シン……》
何も聞こえない、誰も呼んでいないと言い聞かせ、シンは表情を少しだけ安らげてみた。先程から小突くように何かが聞こえるが、何かをすることが無駄だと知っているシンは気のせいだと思い込んで無視を決め込む。
孤独を愛し、孤独と共に流れていようという意識がシンを更に深い闇の中へ引きずり込む。
《……》
何も聞こえなくなった。
そう思うと、シンは更なる安心を覚えた。これでもう心配は無い、そう思うと、急に眠くなってきた気がした。
しかし、そう思ったのも束の間、不意にシンの唇に誰かの唇が触れた感触がした。
夢でも現実でもない世界なのに、その感触が酷く現実を思わせる。
思わずシンは目を開いてしまった。
(……)
《シン…ステラを一人にしないで……》
誰も居ない筈なのに、全てがシンの思い通りになる世界なのに、目の前にはステラが居た。
《シン…ここで諦めないで……。ステラに明日を頂戴……》
(……)
驚きでシンは何も話すことが出来ない。ステラが何を言っているのか理解できなかった。
《シンはステラに昨日をくれた……》
(ステラ……)
やっとの事で口にすることが出来たのは意味の無い呼びかけだった。そんなシンの放心した言葉にも、ステラは微笑んでシンを見つめてくれている。
《シンはステラを明日に連れてってくれる……》
(駄目だよステラ…俺にはもう……)
段々と蘇ってくる意識の中、シンはステラに弱音を吐く。自分にはもう力は残っていないと思っていた。
《シン…シンがステラに昨日をくれた時、ステラとっても嬉しかったの…シンがステラに明日を与えてくれた時もステラは嬉しかったの……》
(ステラ…もう俺はステラに何もして上げられないんだよ……全部、無駄だったんだ……)
《ううん、違う。シンはまだ出来るよ》
(何言って……)
ステラが言う事をシンは理解できない。キラに負け、目の前で彼女を失ったのに、シンはこれ以上何が出来るのだと思った。シンにとって、ステラの言う事にどれだけの価値があるのかと疑ってしまった。
しかし、それでもステラは語りかけてくる。それが、シンにとって鬱陶しく感じてしまった。
(俺にはもう何も出来ない……!ステラだって守れなかったんだぞ……!)
《ううん、シンはまだ出来る……》
(何が!?)
思わず声を荒げてしまった。そんなシンの態度にもステラは優しく微笑んで言葉を紡ぐだけだった。
《シンにはまだ翼が残っているもの…空は飛べないけど、ステラを一緒に連れてってくれる翼があるもの……》
(翼……?)
《翼が残っている限りシンは飛べる……だから、飛んで。飛んで、ステラを迎えに来てまた明日を頂戴……》
ステラの姿が遠くなっていく。
(ま、待ってくれステラ!飛べるって…ステラ!?)
懸命に腕を伸ばしたが、ステラの姿を捕える事は出来なかった。
シンの意識はそこで切り替わる……
月面に放置されたデスティニーのコックピットの中、シンは静かに我を取り戻す。
モニターは死んでいない。機能も正常に作動している。
シンは、何処までが現実で、何処までが夢なのかが分からない。段々慣れてくる目をこすり、周囲を見渡す。
「夢じゃ…無かったのか……でも……」
モニターの端っこに映るインパルスのフォースシルエットのバックパック。それが、先程のインパルスの爆発が嘘で無かった事を証明している。
しかし、先程の幻覚がどうしても単なる幻覚に思えなかった。
「う……!」
ズキン、と頭に痛みが奔る。
ふと気付くと、右目が殆ど見えていない。メットのバイザーが割れ、額に傷を負って其処から流れた血が目の中に入ってしまったのだ。
シンはそれに気付くと、手で目を擦る。何とか視界は確保できるようだ。
しかし、負担を掛け続けた体は姿勢を変えるのも憚れる程痛んでいた。操縦桿を握ろうにも力が入らないし、腕も思うように伸ばせない。
「ぐ…くそ……!」
何とか操縦しようとするが、バランスの悪くなったデスティニーでは立ち上がる事もままならない。これではキラに挑んでも、返り討ちにされるだけだろう。それどころか、彼の下へ辿り着けるかも怪しい。
シンの気持ちは折れかけていた。苦しい表情で、上を見上げる。
《翼が残っている限りシンは飛べる……》
瞬間シンは目を見開き、デスティニーのメインスラスターから光の翼が伸びる。
「そうだ…俺にはまだ翼がある……!空は飛べなくても、アイツには追いつける!」
デスティニーのデュアルアイが煌き、デスティニーは何処へすっ飛んでいくか分からない乱暴な機動で月面を離れる。その動きにかつての残像を残すような鋭さは無いが、それでもシンはフリーダムが居るであろうメサイヤへ向かう。
後は、キラを倒すだけである。
「メサイヤ…ボロボロだ……!」
シンの見つめる先の機動要塞は、所々から火を噴き、滴る血の様に煙を垂れ流していた。
「あそこに…居るな……!」
暗いトリコロールカラーのデスティニーは宇宙の黒に吸い込まれ、遠めからではその姿を確認する事は難しい。特徴的な光の翼だけがその存在を主張するように、あたかも蝶のように舞って行った……
〜つづく〜
やべ、泣けてきた…シンガンガレ
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
燃える!燃える熱い展開だ!!!
サイコフレームの、人の命の輝きはCEを救えるのか!?
次回をwktkして待ってる!
しかし空手チョップwwwwwwww
カミーユ一度もチョップしたことねぇwwwwwwww
ラクスがあまりにも目立たないと思ったらここでは遺伝子の傀儡なのか…
どう決着をつけるのかはわからないけど面白い解釈でした
しかしステラの空は飛べないけど…の台詞で何故か涙が出てきたよ…
シン頑張れ
GJ!
まさかメイリンがミネルバを救うとは思わなかった。
そしてステラの台詞が泣けた・・・これならWings of wardsがOPでも違和感ないな。
シンもカミーユも頑張れ
なんか、こういう展開だとラクスも憐れだ。
そしてシンとステラ……。゚(゚つд`゚)゚。
無理矢理な理屈でラクスぬっ殺すような作者じゃなくて良かった
そんなんやってしまったらただのヘイトだもんな
GJ!
戦場の狂気に取り込まれそうになったアーサー達をメイリンが説得したのがまじ惚れた。
そしてラクス。宗教家にでもなるようなコーディネートを受けているのか、その辺りがとても気になる。
アンチラクシズな自分にも、周りの期待に答え続けるラクスが健気にも思えてきたよ。
そしてシンの復活に燃えた。シンは最後に「戦争を遊びにしているキラに突撃」かな。
GJ
これからカミーユはどうするのだろう
シンとキラが最終決戦がはじまってしまうし
アホキラはラクスの本心をきがつかないで
上辺だけの言葉にのせられてバカバカ戦闘しまくってるし
どのようなかたちでカミーユが間にはいってくるのだろう。
勝てる筈がないのに、友も恋人も殺され、機体も身体もボロボロで動ける筈がないのに、
それでも尚、立ち上がりキラに立ち向かうシンのその姿がとても・・・・・・
(つД`)
GJ
今まで読んできた種系SSの中で、初めてラクスに同情した。
原作では海の藻屑に消えれば良かったメイリンに惚れた。
何よりキチンと主役やってるシンに感動した。
GJ!!
アーサーがベン・ウッダーみたいだったなWWW
カミーユ・・・ステラを、シンを導いてくれてありがとう。シンよ、あとは自分のやるべき使命を果たすんだ!
499 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 20:25:18 ID:xcQ+tJZ4
GJ神小説だ!!小説読んで初めて泣いた!!
すっげえ面白いんだけど、どうにもカミーユの立ち位置が微妙だな
カミーユにとっての敵は誰なのかが見えない
GJ!!
この世界でのカミーユの役目はほぼ終わったような感じだな…これ以上はカミーユが戦う必要性は無い気がするし
>>500 カミーユにとっての敵は戦争を生み出す存在も人の心を大切にしない存在も敵なんだろ
ラクシズのように戦火を拡大しているのも敵だし、デュランダルが人の心を無視した政策を取ろうとしていることも許せないってことじゃないか
なんかラクシズメンバーに感情移入できるな。。
ラクスは完全にシーゲルの政治的道具としてコーディネイトされてたわけね。
その解釈おもろい、GJ。
シンがニュータイプ覚醒しそうな勢いだねw
今回はこれしか言葉がない。
GJ!
ようするにカミーユは神視点(?)で物事を感じ動いている感じ出し、
正直カミーユの行動を説明するのは無理じゃないか?
カミーユらしくないが、これはこれでいいんじゃないかな
GJです
カミーユがラクスに言った言葉
君は普通の女の子だろっていいね
それこそ誰かが言ってやらないといけない言葉だ
ラクスがあんなかんじだったからキラも戦争に巻き込まれた民間人だったみたいな感じ
になるのかも・・・・ありえんか
>>505 それはΖ本編でもそうだからな
カミーユにしか解らないシロッコやハマーンの悪意を感じて
倒そうとしてたわけだし
言ってやらなきゃいけないやつは
何も考えてないしな。
>>500 カミーユがやることって
コーディネータとかナチュラルの壁を壊すことって感じじゃないか
そのためにシャアができなかったことをやってみせると言ってのけたわけだし
同情はするけど、それでもなお最初に道を選ぶことが出来たはずだと思うとラクスに良い感情はもてない
担ぎ上げられる前に彼女は自分で世界平和を目指したはずだし…無論ここまでのことになるとは予測できてはいなかったでしょうが…
まあ、恋人であるキラすらもラクスをわかっていなかったんだから仕方ないといえばそうなんですが
もっとはやくカミーユと出会っていればあるいは異なる未来があったんでしょうねー
つかラクス親衛隊の行動、それじゃあ逆らうものは殺すとラクスがいってると主張してるようなもんです
いやまあ実際殺してるんですが(苦笑
>>505 カミーユはZ時代から基本的にずっと神視点だよ
だからΖではカミーユの感じてることが誰もわかってくれない
俺の言うことを聞いてくれよーで疲れてしまうわけだし
そういうのがあってカミーユの行動が理解しづらいとこはあるのはしょうがない
GJ!!
やばい、面白過ぎる…
まさか…シャアが出て来るとは、思わなかった!!
カミーユは、UCの時代に帰えれるのだろうか?
タイムパラドックスで、消滅してしまうのか…
それとも、シャアの反乱をも鎮めるのだろうか…
スレ違いかな?
次回も楽しみにしてます!!
>>489 カミーユはアクシズ兵を空手チョップで気絶させたときがある
カツが潜入した時に
本当に、本当にもっと早くこのラクスはカミーユと出会えていれば…
最後にカミーユは人の心の光を見せて人類を繋ぐとかになるんじゃないか
まだサイコフレームの意味が見えてないし
>>512 には激しく同意
なにより、そういった自分の殻を破ろうとせず流されるままだったのはラクス自身の罪
まぁ破れるヤツも実際にはなかなかいないんだけど、少なくとも『挫折』と『自らの弱さ』を
知ることはできる
カミーユの代わりにカツが来てたらまた流れが違ったんだろうな。
>>513 カミーユはNT能力で特に神視点を持ってることがZ本編でも強調されてたからな
エマもこの子は一瞬で状況を全て解ってしまうのというセリフを新訳で言ってるし
そういえば、みんな期待してたけど…やっぱり死んだんだな、ステラ(悲
>>522 まだカミーユがステラのことを感じ取ったからまだわからん…
俺は信じたい
>>501 でもまだ憎しみあってる状況は変わってないから
それを取り除くことが最後のカミーユの仕事だと思う。
>>519 というか極端な話、結局ラクスは自分のみが可愛かっただけだと思うが
極論すれば、自分の立場と自分の意思を天秤にかけて前者をとったわけだし
だましてたな!とかいわれて暴行を受けたり、人が離れていったりするのが嫌で
間違っているとわかっている道を進み続けてきたわけだし
自覚症状がある分、罪自体は重いと思う
年齢とか、理由はいくつもあるだろうが、ラクスにはそれでも自分を出すという義務があったと思う
義務はねーだろ義務は
自分を擁護する資格もないけど
GJ
カミーユ一人でこんなに種が面白くなるなんて…
カガリはいち早く精神的独立と成長の道を歩み出した。
ラクスは今回カミーユに見透かされた事で初めて本格的に自省できるかもしれない。
事実上崩壊済の凸は何とも言いかねるが、やはり問題はキラだな。
現状のメンタリティってお付きの名無し連中と同じなんだもの。
シンが勝てるかどうかはともかく、なんらかの変化や成長が望めるだろうか?
529 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 21:33:23 ID:VM8vj+Iq
GJ!!
ラクスの解釈はなかなかですね
本編でもこれくらいの描写があればなぁ・・・
>512
同意
今更ラクスが「もう演じるのに疲れた・・・」みたいな事言ってもねー
まぁ、キラがラクスの本心にまるで気づいていないのがキラの阿呆らしさが強調されてていいね
ZZでセイラがシャアについて「父の想いを歪んで受けとめて」みたいなセリフ言ってたけど、キラは正にそんな感じ
つーか全部書き上げてるなら何で投下しないんだ?
このタイミングじゃあ、ラクスの設定Wのパクリって言われるぞ。
この程度でパクリは無いだろ
まあ、作者氏の都合もあるんだから気長に待とうよ。
自分も早く読みたいとは思うけど、そこは我慢ってことで。
>このタイミングじゃあ、ラクスの設定Wのパクリって言われるぞ。
別に話をパクった訳じゃないし、たまたま作者氏の解釈がWスレの作者氏(ややこしいな)と重なる部分があっただけだろ。
もっとマッタリいこうや。
ぶっちゃけ一気に終わったらそれはそれでつまらないと思う俺
言い方は悪いが、ここのラクスは故意に変な言葉遣いをして周りを騙してるんだから、
対人関係に不慣れで、上手く説明できないから誤解され、結果的に追い詰められた
羽ラクスとは違うな。
まあ、待つのも愉しみの一つってやつか。
――やきもきするがね
GJ
もう退場なのかなと思っていた、シンの奇跡の復活に燃えた
しかし虎さん、>君がザフトに味方するのなら、ここで落とさせてもらうが、
そうでないならば見逃してやる
って、自分の実力見て物言えよと思ってしまった
ラクスに修正パンチ...いや平手打ちぐらいお見舞いしても
いいのではないかと。
もっと自分に素直になれみたいなことで。
戦闘で大勢の人が亡くなってるし
物理的な修正じゃなく精神を修正しちまったよ、カミーユ。
後はシンがどうするかってことだけだな
GJ
しかし、これだけ価値観の論議を起こせる二次創作も珍しいな
これはもうGJではない
むしろGOD JOBだ
>>539 それは言える
二次創作で議論してることが不思議だ
本当に本編みてる感覚になるし
で、キラへと向けて最後の力を振り絞って運命を動かした途中、シンの前にカミーユが怖いから助けてくれと縋り付くズタボロの隠者(凸)が出てくる、と。
>>513 神視点を持ってるキャラは過程をすっ飛ばして結果を残したりしてご都合に扱われちゃう事が多い(本編のラクス達がある意味そう)が
実際にそういうわかりすぎちゃう人が居たらそんな感じで苦しむんだろうな。
神視点を持つ理由付けがNT能力だからなUCは
最後の力で復活したシンの活躍に期待!
「カミーユっ・・・貴様は俺の!」 byアスラン
>>545 むしろ、「取り返しのつかない事をしてしまった…」かと
「俺は故あれば寝返るんだよ!」だろ
>>541 >(凸)
失礼、GMにしか見えなかった
インフィニットジャスティスジム
>>547 貴様のような奴は屑だ!!
生きていちゃいけない存在なんだ!!
>>543 本々はガキがいきなりMSを動かす事の説明じゃなかったか
GJ!!!
最後はF91の様にシンがNTに覚醒して、
ステラを見付けて終了というイメージが唐突に浮かんだよ
>>551 物語の中では段々そういう役割になってるでしょNT能力は
アムロがザビ家が本当の敵と感じるとことか
カミーユは議長も救って欲しいな
議長は死ぬかもしれんが最後にはカミーユが見せるラストの超常現象で
人の可能性をまた信じれるようになって欲しい
「キラっ・・・貴様は俺の!」 byシン
>>555 死ぬ死ぬ!死んじゃうから、それー!!
「汚名挽回」のまま終わっちゃうからー!!
しかもその展開ではステラがまんまマウアーに・・!
>インパルスの爆発の光が残骸を伴って飛び散る。装甲の破片や、シリンダーの部品、何が爆発したのか分からない青い光が、涙の滲むシンの紅い瞳の中に写る
‡‡電波受信中‡‡
しかし!
強化されたエクステンデッドたるステラ・ルーシェは死ななかった!
爆発のエネルギーを吸収し周囲のデブリを吸収し!
おまけで不発で漂流していた核ミサイルをも吸収して生まれ変わった!
その名もステラ・ザ・グレー・・・
‡‡圏外です‡‡
カミーユにサイコフレームって召喚した死者が生き返っても
違和感がないな
しかしそれだと嫁と変わらんな>死者が生き返る
肉じゃあるまいし
せいぜいヘルメットが無ければ即死だったとかいうだけだろ
559は嫁のファンなんだろ、きっと
>>559 違和感ないなんて思えるのは
お前や嫁ぐらいだ
まあパイロットスーツきなくても宇宙空間ただよっても
大丈夫くらいなことは可能な気がするけど
カミーユならねwww
このカミーユ、ラクスの為にもキラの事修正しそうだな
だって、一番ラクスに依存しているのってキラだもん
キラは自分もラクスの支えになっているつもりだろうがはっきり言って
キラはラクスに寄りかかっているだけだろう
本当ならば一番ラクスをわかって支えてやらなければならない位置にいる
キラがわかったつもりで一番わかっておらず、依存しまくりってのは
カミーユにとって許せん事だろう
ついでに虎もZで肘打ち、裏拳正拳とぉりゃぁぁぁ!
ハイパー化やビームサーベル延長は周囲にミノ…やっやめろ、うぎゃあああ
せっかくサザビー出てきたからZにファンネル装備させて・・・
ってそれじゃ化け物になりすぎかw
>>569 もう物語も終盤を迎えてるのにこれ以上MSパワーアップさせてどうすんのww
まぁここの作者氏的にはMSの強さ云々よりも「人の心の強さ」に重きを置いてる気がするから、
サイコフレームでNT能力の増幅以上の事はやらないんじゃね?
>>570 冗談冗談wファンネル装備したら強いの当たり前だしね。
この作品だとサイコフレーム以外に特殊な装備も圧倒的な火力も無いのに強いのがZとカミーユの魅力だもんね。
カミーユはNT能力でなんでもできるさ
Ζは補給はしないで大丈夫なのか?
まあ今のΖはカミーユのNT能力で常にハイパー化してるような感じになってるから
必要ないかもしれんが
オクレGJ!
このまま逝くと、ラクスは味方に殺されそうだな。
直接的にか間接的にかはわからんが、直接的な場合はアスランが一番の刺客候補になりそう。
凸が俺が落ちぶれたのはお前のせいだー!って逆切れしてラクス殺害か。
個人的に凸に逆切れ出来る程の甲斐性があったらもっと割り切れてるよーな。
明確に拒絶されない限りズルズルと依存してしまうのが凸っぽいなーとおもったり。
個人的にはシンとカミーユが会ったらどーなるかが気になるかな……
今だとカミーユって凸のよーに裏切ったと思われてもしかたないですしね。
取り合えず投下をワクテカしつつ待ってたり。
>>575 今の凸ならやりかねん気がしてしまう・・・
いろいろ意見の出てるステラの件だが俺は「混迷の中」と「運命の翼」のある一部の文章に生存の希望を賭けるぜ!!
>>576 いや〜、議長に疑念を抱いているってシン自身言ってるしな〜
うっすらとした感覚でカミーユの事を無条件に信じてるような感じでもあるし・・・
ハイネがカミーユと裏切ることをルナマリアに伝えていたから、凸と一緒の扱いにはならないんじゃないだろうか。それでも衝突はあると思うが。
そんな感じでアスランが殺すなら、議長のほうじゃないか?
レイいないし
ラクスはこのあといなくなりそうだから
ザフトをおさめるのはタリアだったりして。
第五十三話「心をほどけば」
メサイヤの防衛機能は停止し、キラは単身メサイヤの内部へ侵入する。途中、何人かの生き残ったザフト兵と遭遇したが、これを何とか撃退し、キラはメサイヤの中枢へと辿り着く。
其処は白を基調としたメサイヤのコントロールルーム。職員達は既に逃げたのか、コンピューターの前には誰も居なかった。
「君が来たのか、キラ君?」
銃口を声のした方向に向ける。そこには椅子に座った長い黒髪の男が銃を構えてキラを見下ろしていた。
「あなたを…止めに来ました……!」
「ふっ、ふふふ……!私を止めにか?」
「あなたを止められれば、この戦争は終わる!そして、僕達は自由な未来を手に入れる為の礎を築く事が出来る!」
「君はどうやら何も感じていないようだな?」
「何ですって……?」
「この戦いが、今更私を殺した所で止まるわけが無い。これは既に人々の意思だ」
「違う!それを、あなたが煽ったからでしょう!」
「私は平和を目指していた…デスティニープランという手段でな。戦いを引き起こしたのは、それに反発して攻め込んできた君らではないか?」
「僕達は、あなたが賛同しない人々をレクイエムで脅迫するから、こうして止めに来たんです。あなたの言っていることは詭弁に過ぎません」
キラは構えていた銃に力を込める。
「そうかな?ラクス=クラインを祭り上げて、それでいい気になっているだけではないのかね?」
「あなたにラクスの何が分かるって言うんだ!」
「君も同じだ、キラ=ヤマト。君は自分の人生に満足しているのかね?」
「何を…どういう意味です!?」
「張り合いが無いのではないかね?と、聞いているのだよ。なまじ完璧な人間として生まれてきた君には、自分より数段劣る人々の中ではその人生を謳歌できていない……」
「そんな事は無い!」
「必死になろうとしても、周りの能力が低すぎて、君自身はそれに合わせるしか出来ないのだ。退屈な時間を、周りの顔色を窺って生きるしかない、そうだろう?」
「僕はいつでも必死だ!出来ない事だってたくさんある!」
「だから、君はやろうと思えば何でも出来るのだ。ちょっと本気を出すだけで、このメサイヤを崩壊寸前にまで追い込んだ」
「ち、違う!これは…機体の性能が凄いだけで!」
「それを動かす事が出来るのは、恐らく君ぐらいのものだろう。君は、特別なのだよ」
「僕は特別なんかじゃない!他の…皆と同じ、普通の人間だ……!」
「デスティニープランは遺伝子によってその人の生き方を決定する計画だ。適材適所を世界規模でやるだけのな……君の場合、自分で戦場を選んだわけだがね」
「僕は…戦いたくて戦っているわけじゃない……戦わなきゃ守れないものがあるから……」
「だが、君は戦場から身を引かなかった。私は悩んだよ。君が現れて、正直私も慌てた。だが、悩んだ結果、ある人物の事を思い出した」
「……」
「君に対抗し得る力を身につけるかも知れない人物、シン=アスカの存在をな」
「シン…アスカ……?」
「君も既に何度か戦っているはずだ。そう、かつてはインパルス、そして、今はデスティニーに…運命は彼を選ぶかな?」
デュランダルがキラから視線を外し、柱の物陰に向かって語りかける。
キラはそんなデュランダルの目線が気になり、彼の見つめている先を警戒しつつ視線を移した。
「君…は……」
キラの瞳に入ってきた人物は、柱に体を預けて二人を見つめていた。額からは血を流している。
「シン、君はどう思う?この男と私の言う事、どちらが正しいと思うかね……?」
「……」
デュランダルの問い掛けにシンは応えなかった。
キラは言うに及ばず信じていないが、デュランダルの言う事もシンにとっては疑わしいと思わざるをえなくなっていた。
ハイネに吹き込まれた思想が、シンを変えていた。
「まだ、応えられないのかね……?」
「俺は……」
「僕達はデュランダル議長の横暴を止めたいだけだ!」
シンが視線を落として困惑していると、デュランダルはおもむろに立ち上がった。
キラは慌てて引鉄に指を当てる。
「寄らないで!これ以上は、撃っちゃいますよ!」
「何をそんなに慌てているのかね?私はただ、君が銃を構えているからこうしているだけであって、君を殺そうとは思っていない。君がその指を引かない限り、私は君に何もしないぞ」
「出鱈目を!」
「ふっ…やはり君には戦いは向いていないな?」
尚も接近してくるデュランダルにキラの銃を持つ手が震える。キラは人を撃った事が無いのだ。
「君の純粋な優しさ…とでも言って置こうか。それは戦争をする上に於いて邪魔なものでしかない。現に今、君は私に銃を向けたまま震えているではないか?」
「僕には覚悟がある!仮にあなたを撃ってでも、それを償っていくだけの……!」
「その覚悟、口先だけで見えないな」
「くぅ……!」
「前大戦終結後、ラクス=クラインもそうだが、君は何処に居たのかね?何故表舞台から姿を消した?」
「と、とぼけないで下さい!ラクスを襲わせておいて……!」
「報告には聞いているが、あれは私ではない。過激派が勝手にやった事だ」
「ユニウスも……」
「あれこそ私の想定外の出来事だ。平和を目指した私が、何故争いを呼ぶような事をせねばならないのかね?」
「それは…今日という日の為では…ないんですか……!」
キラの言葉を受け、急にデュランダルは口の端を引きつらせる。そして、堪えきれなくなったのか、笑みを浮かべる。
「フッ…ははは!アスランもそうだったが、君も中々想像力が逞しいな……?こんな手の込んだ事をしていたのでは時間が掛かってしまう、そうは思わないのかね?君とて、初めはオーブに戦いを止めさせる為に無駄な介入を繰り返していたではないか」
「僕達は、あなたとは違う!」
「否定するのなら、私を納得させるだけの行動で示すのだな。有言不実行では話にならない」
(ギル…シン……!)
タリアは柱の物陰で、何故かシンも居る事に驚きつつも二人の会話を聞いていた。
キラの気持ちも分からないでもないが、デュランダルの言っている事の方が正論に思えた。キラ達の行動は、どう考えても肯定されるべきものではないのだ。
それは、彼らと一番戦ってきたタリアだからこそ実感できる。
「君の信奉するラクス=クラインもそうだ。二年前、あれだけの事をやってのけて、それでさよならでは話にならない。彼女は、何故その才能でプラントを導こうとしなかったのだ?」
「ラクスを才能だけで測らないで下さい!彼女は…本当は辛くて、でも、こうなる事が間違いだって思ったから、あなたを止める為に無理して立ち上がったんです!彼女にはもっと休息が必要だったんです!」
「一人の我侭で世界を棒に振るか……君達は二人でアダムとイヴにでもなったつもりかね?それこそ、君が比類なき力を持った人類としての傲慢ではなかろうか」
「僕達は逃げたんじゃない!こうして、戦うべき時に戦える…自由があるんだ!」
「私は全てを犠牲にして戦ってきた…しかし、君の考えでは遅すぎるのだよ、何もかもな!」
「!?」
唐突にデュランダルが銃の引き金を引く。乾いた音が響き渡る。
「……やはりな、これでは君は消せないか」
「あなたは……!」
「……!」
キラは寸前でデュランダルの手の動きに気付き、素早く身を転がして銃弾を避けていた。目の前で繰り広げられる行為に、シンは目を見開く。
「私の言葉をそのまま信じた君がいけないのだよ?確かに君は優秀な人材ではあるが、今は私の敵だ。排除するのは当然だろう?」
「あなたは…人を能力でしか測れない哀れな人だ……!それでは、最後にはあなたは一人になります!それで良いんですか!?」
「……遅いのだよ、既にな……」
「何を……」
「ふっ…私にはもう誰も居ない。レイも既にこの世に居ないだろう。私は、全てを投げ打ってデスティニープランに賭けたのだ」
「レイ……?デュランダル議長!あなたは一人なんかじゃない!レジェンドのパイロットは、最後まであなたを信じていた!それに気付いてあげないで、諦めるんですか!?」
「その口ぶりからすると、君がレイを……そうなんだな、シン?」
「は…はい……。俺の目の前で……」
「……辛い思いをさせたな……」
(レイが……!?)
タリアはレイが既にこの世に居ない事を初めて知った。その事実に驚愕の表情を浮かべる。
「君は、それを知っていながら私からレイを奪ったのか」
「僕にだって生きる権利はある!仕方なかったんです……!」
「生きる権利…か……。では、ここで私がレイの仇を討つのも仕方ない事だな」
言ってデュランダルは更に引鉄に指を掛ける。
「待って下さい!」
唐突に響き渡ったのはシンの声だった。
その声に、二人は動きを止める。キラの手の中の銃も、今正に火を噴こうかという状態だった。
「…君がやるかね、シン……?」
「くっ……!」
デュランダルの言葉にキラは冷や汗を流す。二対一では例え片方を撃てても、もう一人からの銃弾はかわせない。
「そうじゃありません……俺、デュランダル議長達の話を聞いていて思ったんです。ナチュラルとコーディネイターの仲が悪いんじゃなくて、本当は考え方の違いがすれ違いを生んでいるんじゃないかって……」
「ほぉ……」
「それって…当たり前の事なんだけど、それを話し合うから対立が生まれるんじゃないんですか?だから、同じコーディネイター同士でも対立が起こる……」
「その通りだ。…だが、それが分かった所でどうなる?戦争にまで発展した思想の対立は今更止められんよ。これは既に私だけの意志の問題では無くなっている」
「でも、話し合うだけなら銃なんて要らないじゃないですか!?そうやって火に油を注ぐようなやり方で話を進めるから、何時まで経っても戦争が終わらないんじゃないんですか!?」
「君はオーブの姫と同じ事を言うのだな?だが、時として抑制する為の力は必要だよ。そうしなければ、世界は無法者の支配する地獄になってしまう。それでは人は何時まで経っても安心して暮らせない。君の様な身の上の人間が増えるだけだ」
「それは…そうですけど……でも、ナチュラルとコーディネイターだって分かり合えれば仲良く出来るんじゃないんですか!?それなのに議長はレクイエムを使った…これって分かり合おうとする前に扉を閉じてるのと違うんですか!?」
「分かり合おうとしても、それが手遅れになってしまえば意味が無い。このまま戦争を続け、人類が絶滅に瀕してしまってからでは遅いのだ」
「だからって!」
「分からないかね、シン?もう話し合いで結論を導き出すには遅すぎる段階に来ているのだよ、この世界はな」
「決め付けないで下さい!議長は神様なんかじゃないんです!まだ時間は残されているかもしれないじゃないですか!?」
「目の前の男を見てもまだそう言えるかい?」
視線を傍観しているキラに移す。
「この男は天に愛された男だ。彼の思った事は全てが上手く行く…そんな他人を無視したような存在が既に現実として居るのだ。それは、もう人類が決断を下さねばならぬ時が近付いているという事だ」
「この人が……!?」
シンは言葉に詰まってしまう。
キラ=ヤマトをまるで神の如く評するデュランダルの言葉に困惑する。そんな事は考えた事も無かった。
「僕はそんなもんじゃない!皆と同じだ!」
「君が自分で気付いていないだけだ。周りの人々は皆、そういう目で君やラクス=クラインの事を見ている」
「そんな事は無い!」
「君は可哀相だな…キラ=ヤマト。君の存在そのものが世界に争いを呼ぶ」
「どういう意味です……?」
突然のデュランダルの言葉にキラは不意を突かれる。何を言っているのか分からなかった。
「私が何故デスティニープランなどという荒唐無稽な計画を発動しようとしたのか、君は分かるかね?」
「あなたの支配する世界を手にしたいが為でしょう……」
「君を二度と造らせない為だよ」
デュランダルの言葉、それはその場に居た全員の呼吸を止めんばかりの衝撃を放った。特にキラは目を見開いたまま固まってしまっている。
「シン、君はレイの事を聞いているかね?」
「は、はい……」
「この男もそうだ。レイを造った人間に、究極の人類として生み出された…コーディネイターを超えるスーパーコーディネイターだ」
「スーパーコーディネイター……」
「そうだ。そして、この男を造り出す為に何人もの犠牲が出た……」
シンは言葉を失う。自分の知らない所では、このような夢物語が現実として起こっていたのだ。
「私の目的は、人類から傲慢を取り除き、悲しい存在であるレイ、そして争いの存在であるこの男を二度と生み出さないようにする事だ」
「争いの存在…僕が……?」
デュランダルのレイに対する想いは本物だった。クルーゼと同じ存在と知り、その可能性に同情を感じた彼は、レイの為にデスティニープランを考案したといっても過言ではなかったのだ。
そして、彼等を踏み台にしたような存在であるキラに対する憎しみも、彼等と同じだった。
「君は生まれてくるべきではなかったのだよ。君のその力の強さが、人間の心の欲望に火を点ける」
「僕の存在が、欲望に火を点ける……?」
二年前に自分を否定してきたクルーゼの声が頭に響く。思い出したくない呪いの言葉が、キラの脳裏には深く刻み込まれていた。
「そう…君がコーディネイターを超えた存在である事を知っているのは、ほんの一握りのものだろう。今はまだ良いかもしれないが、それが世界の人々に知れたらどうなると思う?」
「……」
「歴史上の人物としてこの名前を知っているだろう。そう…君はジョージ=グレンの再来なのだよ」
ナチュラルとコーディネイターの争いの歴史の始まりの名、ジョージ=グレン。デュランダルは、キラをそう捉えていた。
確かにキラの素性を知れば、ジョージ=グレンの告白の時と同じことが起こるかもしれない。そして、歴史は同じ事を繰り返すだろう。
デュランダルがデスティニープランを発動しようとしたのは、その可能性を潰す為だった。人間の欲望の部分を取り払ってしまえば、誰もキラのような力を欲することは無いだろうと思っていたのだ。
「君が表舞台に出て来たから私は計画の発動を急ぐ必要があった。早くしなければ、君という存在を知った人類は更なる争いを生み出すだろう。君が在り続ける限り、その不安は消えた事にはならないのだ」
「でも…僕には……」
キラも何も言えなくなる。デュランダルに突きつけられた自分の存在の可能性は、自分が望む平穏とは全く反対の方向を向いているのだ。
彼にしてみれば、絶望を突きつけられた気分だろう。
「さて…それならばもう一度君に問おう、シン。私とこの男、君はどちらが正しいと思う……?」
デュランダルがシンに問い掛ける。そんなデュランダルの視線に身を硬直させながらもシンは意を決して口を開く。
「俺は…議長には申し訳ないですけど、どちらもおかしいと思います……」
シンの口から出た声は、とても細い声だった。傷を負っているせいもあるだろうが、それ以外にも何か含むものがあったのだろう。
「何故そう思う?」
「…デュランダル議長の言っている事は分かります。この人が憎しみを呼ぶ存在だって事は、多分俺がそうだからだと思うんですけど理解できるんです。でも、納得は出来ないんです」
「だったら僕達に…」
シンとデュランダルの会話に割って入ってキラが口を出す。しかし、そんなキラの言葉が癇に障ったシンはキラを睨みつける。
「あんたは黙ってろよ……!俺が今、どんな気持ちでどれだけ怒りを我慢してるか分かってるのか?本当なら、今すぐあんたの首をねじ切ってやりたいところなんだぞ……!」
「……!」
キラはシンの迫力に言葉を失う。満身創痍で虫の息に等しいはずなのに、シンから発せられる凄まじい怒りの炎がキラをたじろがせた。
こんな人物には会った事が無いキラは、初めての経験に自分より年下の男に恐怖を覚えた。
キラを黙らせたシンが続ける。
「議長…議長の仰っている事は議長自身の頭の中の事だけで…それは普通に暮らしている人には関係ない事だと思うんです」
「関係はあるさ、人類全体に関わる事だ」
「でも、それってこの間議長が仰っていた人類の傲慢と同じだと思うんです。議長一人の考えで世界を変えちゃうのって、傲慢なんじゃないんですか?」
「……」
「そう思うと、議長の言っている事って俺には信じきれないんです……その傲慢のせいで二年前の俺みたいな思いをする人が出てくるかもしれないから……」
「そうだったな、君は……」
「だから、俺はもっと可能性のある未来を目指したいんです。ナチュラルもコーディネイターも仲良く出来るような……」
ステラを思い出す。よく考えてみれば、彼女と自分はナチュラルとコーディネイターだった。そんな自分達が想いを寄せ合えるというのは、自分が真に望む誰もが笑い合える本当の平和なのだと思った。
だから、デュランダルの言う事はシンには肯定できない。折角見つけられた自分の希望を消してしまいたくなかったからだ。
「すみません、議長……俺、ザフトなのに……」
「…いや、それが君の導き出した答ならそれで良い」
「デュランダル議長……」
シンにはそう言ったデュランダルの表情がとても寂しそうに見えた。デュランダル自身も苦しんでいるのだろう。それはきっと一人で居る辛さなんだろうと思った。
「しかし、君の協力が得られないとなると……」
キラの気がシンに引き付けられているのを見計らって、デュランダルは銃の引鉄に指を添える。
「この男の始末はやはり私がしなければならんと言う事だな!」
「!?」
デュランダルの銃はキラの頭に照準を合わせていた。
しかし、その前にキラがデュランダルの行動に気付き、弾みで銃の引鉄を引いてしまう。
「デュランダル議長!」
本当は引くつもりではなかった。話し合いで解決できるなら、それに越した事は無いと思っていた。
しかし、自分の命が危険に晒されてしまった今、彼は半ば本能的に銃の引鉄を引いてしまったのだ。
銃弾がデュランダルの胸を目掛けて飛ぶ。確実に命中するはずだった。
しかし……
「うあっ!」
「タリア!?」
「タリア艦長!?」
急に飛び出してきたタリアがデュランダルを庇って、背中に銃弾を受けた。
シンは慌ててふらつく体を二人の下へ向かわせる。
「あ……あぁ……」
キラは自分で撃った銃弾が、初めて人に当るのを見て震えた。今まで何度と無く誰かの銃弾が人に命中するのを見てきてはいたが、自分で撃った銃弾が誰かに当った事は無かった。見ているのと自分がやったのではまるで違う。
そして、MSで敵を倒すのとも全く違った。それは、キラにとって初めての経験だった。自分の放った銃弾が、人間の肉を突き破り体内へとねじ込まれる。それを想像しただけで喉の奥からこみ上げてくるものを感じた。
その事実に恐怖して、思わず手にした銃を手放してしまう。
「タリア!…君が何故……」
「酷い人…あなたが…私を呼んだんでしょ……?」
タリアを抱きかかえ、デュランダルは問い掛ける。背中を支える手に夥しい量の血が流れているのが分かった。
シンは取り乱すデュランダルの傍らで黙って見ているしか出来なかった。
「ギル…あなたは…一人ではないわ……。私があなたの…側に…ずっと居てあげる……から……」
「……この傷は致命傷じゃない。直ぐに手当てすれば、まだ君は助かる。だから、これ以上はしゃべるな」
「いいのよ…こうしてあなたに抱かれて…いると、あなたの事が…良く分かる……。ごめんなさい、ギル……ずっと、寂しかったのでしょう……?」
「何も言わなくていい、全ては、君の傷を癒してからだ」
「分かるのよ…自分の体の事…ですもの……。でも、これであなた…に……寂しい思いをさせなくて済むのだから…悔いは…ないわ……」
「気をしっかり、タリア!」
叫ぶデュランダルに笑顔を見せ、タリアは傍らで佇んでいるシンに視線を移す。
「シン…あなたは…成長したわね……?自分で物事を…考える事が出来るように…なった……」
「タリア艦長……」
「あなたの成長は…私にとっても喜ばしい…事だった……。ううん…ミネルバの皆は私の子供同然…ですもの……。皆、立派になった…わ……」
「止めて…止めて下さい…タリア艦長……そんな事言うの……!」
今にも消えそうなタリアの声に、シンは涙が出てきた。
シンは、ステラの件もそうだが、タリアにとてもお世話になっていた。時には叱られる事もあったが、そこに愛情が含まれていた事をシンは知っている。
親を亡くしたシンにとっては、タリアは母親代わりだったのかもしれない。
「タリア、もういい。今は一刻も早く治療を……」
「それよりも…ギル……私と約束して……」
「そんなもの、いくらでもしてやる。だから……」
「私が居なくなれば…私の子供は…一人よ……?」
「そうだ。だから君は生きなくちゃならない。頑張るんだ、タリア!」
「分かるのよ…私には…もう時間が殆ど…残されていない事くらい……」
「弱音は君らしくない。君を失ったら、私はどうすればいい?君なくして私は生きられないかもしれない……」
「あなたはそれ程…弱くないわ……」
「タリア……?」
微笑んだままタリアは瞳を閉じる。
「子供の事…よろしくね……愛してるわ…ギル……」
タリアはデュランダルの顔に手を伸ばしたが、それがデュランダルの頬に触れる事は無かった。タリアの呼吸が止まり、糸が切れた操り人形の様に腕が下がる。
「タリア……」
「……っ!」
デュランダルは顔をタリアの胸に埋め、震えた。
少しの間そうやって震えていたが、やがて優しくタリアを寝かし、立ち上がる。
一方のシンは安らかに眠るタリアの顔に視線を向けたまま立ち尽くしていた。
「……この結果だ、キラ=ヤマト。私のやることは何時も全てが遅い。だから、計画の発動をレクイエムを使ってでも早めようとした……」
デュランダルは茫然自失のキラに向けて銃を向ける。
「もっと早くに君を殺しておくべきだったよ」
メサイヤのコントロールルームに乾いた銃声が響く。
前線を退いたアークエンジェルの中、回収されたアカツキから気絶したムウが引きずり出される。
「大佐さん、大佐さん!目を開けてくれよ!」
マードックがムウの頬を張って呼びかける。
「む…ううん……!マ…リュー……」
「大佐さん!?…大丈夫みたいだな、こんな時に女の夢を見てられんだから」
安心してマードックは立ち上がる。すると、ムウは目を覚ました。
「こ…ここは……?」
「よう、大佐さん、気分はどうだ?」
「マードック…ここはアークエンジェルか!?」
「何とぼけてんだよ?俺ぁこの艦以外に居るかっての!」
「と、言う事はマリューも無事なんだな!」
「ああ?何言ってんだよ、大佐さん!いくら惚れたからって、んな当たり前の事を今更言ってんじゃねぇよ」
「そうか…アイツの言ってた事は本当だったか……」
「さっきから何言ってんだ、大佐さん?」
「……俺は大佐じゃないぜ?マードック」
「……?どうしたってんだよ?あんた散々自分の事をネオ大佐だって言ってたじゃないか?」
「思い出したんだよ、俺。心配かけたな」
アークエンジェルのブリッジでは、先程からザフト軍の動きが急に散漫になった事に気付いていた。
「これは…キラ君がメサイヤを落としたということでしょうか?」
チャンドラが呟くようにラミアスに訊ねた。
「多分、そうでしょうね……」
「これで後は残りを何とかすれば…この戦争は終わりって事か」
「そうよ、あと一息、頑張りましょう!」
『おい、ラミアス艦長!ちょっとデッキに降りて来てくれ!』
デッキからの通信でマードックがミリアリアの耳が裂けんばかりの大声で叫んでくる。
「ちょっと、もう少し小さい声で話して下さい!」
『おお、スマンな。って、それよりも、直ぐに艦長をデッキに降ろしてくれ!大変な事になったんだ!』
「……だ、そうですけど?」
「大変な事……?」
『おう、そうだ!早く降りて来い!』
正面の大画面にマードックのアップが映る。水分を補給していたチャンドラは思わず噴出してしまった。
「ちょ、ちょっと、マードック主任!」
『てめえみたいな野郎には言ってねぇ!じゃ、待ってますよ、艦長!』
チャンドラの抗議も聞かずに、マードックは通信を切った。
「艦長……」
「あの様子じゃ、良く分からないわね……」
「行った方が良いんじゃないですか?」
「それは駄目よ。まだ戦闘は続いているんだから……」
「大丈夫ですよ、アマギさんが見ててくれます!」
「お…?あ、あぁ、ここは自分に任せてもらっても大丈夫です!」
「しかし……」
「敵の抵抗は弱くなっているんです、マードックさんの言っている事が本当に大変な事だったら一大事ですよ!」
皆に言われて、ラミアスは少し考える。
「……何が大変なのか言わなかったのが気掛かりだけど、確かに一大事だったら大変ね……分かったわ、少しの間だけ辛抱して頂戴!」
そう言ってラミアスはブリッジを後にしてMSデッキに向かう。
「お、来たな艦長!」
無重力を泳いでラミアスがマードックの下にやって来る。
「どうしたの、マードック主任?」
「おう、それがな……って、何やってんだよ!」
マードックが後ろを振り向いて誰かに話しかけている。
ラミアスはきょとんとした表情で何があったのか分からないでいる。
「やっと会えたんでしょうが!こそこそしてるなんて、男らしくないですぜ!」
「うぉ!止めろよ、みっともねぇ……!」
小声で誰かの声がした。
「あのぉ……」
「あぁ、ちょっと待ってて下さいね?…ほら、男ならバシッとやる!」
「ま、待てってマードック!こういうのは気持ちの準備というのがだな……!」
「なぁに言ってんですって!そんな事関係ないでしょ!ほらっ!」
「あ……!」
マードックに押し出されてきたのはムウだった。何となくバツの悪そうな表情で、横目でラミアスをチラチラと見ている。
「ネオ大佐……」
「あの…その……」
何があったのかラミアスには理解できていない。ムウの方も、何かしどろもどろになりながら、口をもごもごさせている。
「あの…大変な事って、マードック主任?」
「ほら、言いたい事あるんでしょ?伝えなきゃ!」
「ちょっと待てって言ってるだろ!俺はこういうのは苦手なんだよ……」
「その、時間がないので早くしてくれませんか?まだ戦闘は継続中なんで、直ぐにブリッジに戻らなければならないんですけど……」
困った表情でラミアスが告げる。それに焦ったマードックがムウをけしかける。
「何やってんだ!自分で言えないなら自分が言っちゃいますよ!いいんですか?」
「……うぅむ……」
「あぁ、もうじれったいな!」
「だから、ネオ大佐が何なんです?」
「戻ったんですよ、記憶が!」
「え……!?」
「フラガ少佐だった記憶が戻ったんです!な?」
「あ…あぁ……そういう事だ」
照れくさそうにムウは片手で頭を掻く。そして、期待するように横目でラミアスに視線を移したその時……
「った!?」
ムウの横っ面をラミアスの平手が叩いた。
「な、何す…」
文句をつける前にラミアスがムウの胸に飛び込む。そんな状況にムウは目が点になってしまう。
「もう…何でもっと早く言ってくれなかったの……ムウ……?」
顔を伏せるラミアスの表情は見えない。しかし、その声は彼女が泣いていることを表現していた。
そんなラミアスをムウはそっと抱きしめる。
「…すまなかった、マリュー……」
デッキの隅で抱き合う二人に当てられたのか、マードック以下他のクルー達はそっとその場を離れた。
「もう…何処にも行かないでよね……?」
「ああ、もう何処にも行かない、ずっとお前と一緒さ…約束する……」
戦場では、彼等のように再会を果たせる確率は低い。彼等は幸運だった。
そして、彼等は知らない。別の場所では、再開した男女が再び引き離されてしまった事に。
それでも、ムウとラミアスは抱き合う。彼等にとって、二年間という時間は途方もなく長い道のりだった。
「…ぐ……は…ぁ……!」
「デュランダル議長!?」
デュランダルがキラに向けた銃は、その弾をキラに放つ事無くデュランダルの手から離れる。その様子にシンは叫び声を上げる。
「ぐ…ぅ……」
デュランダルの白と黒の制服の胸の部分から赤い血が拡がっていく。
キラはそれを見つめ、ただ突っ立っていた。
「……」
デュランダルに放たれた銃弾は、三人以外の誰かだ。デュランダルはキラを狙っていたし、キラは既に銃を手放していた。シンは手に銃を携帯していない。
キラは恐る恐るその銃弾が放たれた方向に顔を向ける。
「……!?」
其処に立っていたのはアスランだった。キラは驚きに顔を歪める。
そしてデュランダルは前のめりにタリアと重なるようにゆっくりと倒れた。
「デュランダル議長!」
「アス…ラン……?」
「デュランダル議長は倒した……」
キラはアスランの表情に恐怖を覚える。その顔は、既に彼が知っているアスランの顔ではなかった。
その表情は、悲しいのか、怒っているのか、それとも悩んでいるのか…もしくはそれら全てが入り混じった表情なのか。とてもではないが形容しがたい複雑な表情をしていた。
他の人が見れば、ただ暗い顔をしているだけにしか見えないだろうが、アスランと付き合いの長いキラだからこそ、その違いが分かる。
「君…は……」
「……」
「アスラン!あんた……!」
「シンも居たのか……。俺はハイネを殺したよ……」
「……!?」
アスランは微かに笑って銃を下ろし、シンに顔を向ける。
「アス…ラン……か……」
「デュランダル議長、これであなたの野望もおしまいです。せめて、このメサイアをあなたの墓標にして下さい……」
「やはり、君…達は……私の最大の…敵だった…訳だ……な……?」
「……行くぞ、キラ」
アスランは振り向いてコントロールルームを後にしようとする。
「待て、アスラン!」
痛みで震える手でシンは銃を取り出し、アスランに向ける。
「シン…お前に構ってる暇は無い……」
「良くもそんな事を……!」
「そんな状態では俺に当てる事は出来ない。そんな事より、早くしなければお前もここで死ぬ事になるぞ?」
「くぅっ……!」
「それとも、俺が殺したハイネのところに逝くのか……?」
「あんた…あんたはぁぁ!」
シンが感情の赴くままにトリガーを何回も引く。しかし、震える腕では照準を全く合わせることができず、狂ったように銃弾は明後日の場所に命中するだけだった。
「アスラン……」
「奴は放っておいて脱出するぞ」
「けど……」
「もうデュランダル議長は終わりだ…ここもいずれ崩れ去る。早くしなければ、俺達もここで死ぬ事になるぞ」
「う…うん……」
キラとアスランは去っていった。
アスランはカミーユのΖガンダムにインフィニットジャスティスを切り裂かれた後、意識を取り戻し、メサイヤへやってきたのだ。
脚部を喪失していたが、インフィニットジャスティスは何とか自力で動く事が出来た。
「くそっ、くそぉっ!アスランめぇ!」
「…シン……君も…早く行きたまえ……」
「デュランダル議長!」
「君の様な…若者をここで死なすのは惜しい……。私を…否定したのなら…新たな世界で君の思うままに生きて見せたまえ……」
「ですけど……!」
「タリアと…二人にさせて欲しい……」
「……!」
「頼む……」
息も絶え絶えのデュランダルの言葉にシンは俯いて少し考え込む。
しかし、やがて意を決したのか、顔を上げて口を開く。
「分かりました……」
「済まないな……?」
シンは傷ついた体をフラフラさせながらメサイヤのコントロールルームを去る。
出口で寂しそうに二人を振り返ったが、寄り添う彼等を見つめて無言のまま流れて行った。
残されたメサイヤの二人、デュランダルとタリアは、その身を重ねて不思議な感覚に包まれていた。
「タリ…ア……」
仰向けになっているタリアの顔に自分の顔を近づけて呼びかける。しかし、タリアは瞳を閉じたまま、返事をしなかった。
不意に誰かの声が聞こえた。それは幻聴のようで違う、不思議な声だった。
《ギル…負けたな……?》
(…ラウか……?)
《君が負けるとはな…あれほど負けるのが嫌いだった君がな?》
(私は負けたのではない…ただ、遅かったのだ……)
《同じ事だ。君は負けたのだ》
(……)
《納得していない顔だな?》
(当然だ、君とて負けた身なのだからな……君だけには言われたくない事だ……)
《私は勝ち負けなどどうでも良いのだ。ただ、私の願いが叶うのならな……?》
(人類を滅ぼす…か……?それこそ叶わぬ願いだったではないか)
《ふっ…キラ=ヤマトの様な人形が存在している限り、世界は遠くない未来に滅ぶよ……私はそれで十分だ》
(…大層な事を言っておきながら、随分と気の長い男だよ、君は……死して尚願い続けるとは……)
《大層な事を考えるからこそ、時間を掛けようとする……私の短い寿命では生きている間に成就できない事は分かっていた。だからニュージャマーキャンセラーの情報を連合側にも提供して早期の相互破滅を狙ったのだが、キラ=ヤマトに邪魔をされた。
だが、悪い事ばかりではなかった……人間のエゴ、それを最も体現しているキラ=ヤマトが私の願いを叶えてくれる…奴の意思に関係なくな……?それが分かっただけでも私は満足だった。それに、死んでしまえば人間誰でも気が長くなるものさ》
(そういうものか?)
《そういうものだ。君もこちらに来てみれば分かる事だ、生きている時よりも苦しまずに済むぞ……》
クルーゼがデュランダルの傍らにやってきて腰を降ろす。そして、目元を隠す仮面の視線がデュランダルの表情を捉えた。その様子に、クルーゼは怪訝に思う。
《……まだ納得していないようだな?君は諦めの悪い男だ》
(私は負けるのが何よりも嫌いでね……。こうして死を目の前にしても、諦めきれないのだよ……)
《何故、其処まで拘る?》
(……昔、全てに負けたからさ。私は、それを認めたくなかった……)
《それから、君は勝ち続けた……?》
(そうだ、議長選にも勝ったし、ジブリールにも勝った。そして、それが世界を正しい方向に導く唯一の手段だと思った。だから、私はもう二度と負けるわけには行かなかったんだ……)
《だが、最後の最後で負けた……》
(……)
《これは、その君の思い上がりが招いた敗北だ。認めるべきではないのかね?》
(君の目的に比べればちっぽけな物だ。それに、私のしようとした事は君の為でもあったのだぞ……?)
《私を言い訳にするつもりか?確かに、君の考えたデスティニープランが世界のシステムになれば、二度と私やキラ=ヤマトの様な存在は生まれてこないだろう。しかしな、君の本音はやはり過去の負けを帳消しにしたかっただけだよ》
デュランダルの言い分を切り捨てるクルーゼ。そんなクルーゼに、デュランダルは苦笑するしかなかった。
(ふふふ…手厳しいな……。確かに君の言うとおり、私はあの時失ったものを、勝ち続けることで取り戻そうとしていたのかもしれない……)
《ククク…結果、君は取り戻す事はおろか、全てを失ったわけだがな……。……しかしギル、例えあなたの本音がそうであったとしても、あなたの心に救われた心もあるんです……》
口調が変わる。その変化に気付いたデュランダルは、思わずクルーゼの顔を確認した。
《私は、ギルの為に生き、ギルの為に死んだ…ですが、それは決して間違いではなかったと思っている……》
クルーゼがマスクを外すと、そこにはレイの顔があった。
《ギルは私に優しさを与えてくれた…それがあったから私は精一杯生きる事が出来たんです……ギルが居なかったら、僕は何の為に生きればよいか分からなかった……》
(レイ……)
夢か幻か分からないが、デュランダルは自分の体が動く事を知る。そうして、俯いて泣いているレイを優しく抱きしめた。
《ギ…ル……僕は生まれてきて良かったって思えたんだ…ギルのお陰で……》
(ありがとう、レイ……しかし、私は負けたのだ……。これは私にとって恥ずべき事だ……)
《どうしてそこまで勝ち負けに拘るの?》
今度は女性の声が聞こえた。
《それって、もしかして私のせいなのかしら?》
(いや……)
声が聞こえた方向に目を向けると、タリアが微笑んでいた。
《馬鹿ね……始めからそう言えば良かったのよ。それをあなたは無理して、私に気を遣って……》
話しながらタリアが近寄ってくる。
《子供は確かに欲しかったわ…勿論、今の私の子供も愛している……。けど、私はあなたも愛したのよ?》
(君の夢を壊したくなかったんだ……)
《ホント、馬鹿な人……あの時の事を負けたと勘違いしているんですもの……》
(しかし、あれは私の負けだった……。君との間に子供を設けられなかったのは、君との恋愛に負けたという事なんだよ……。私にとっては絶対に負けたくない戦いだった……)
《…あなたは何でも難しく考えてしまうのね。でも、今は自分の事、許せるんじゃない?》
(……そうかも知れない……)
不思議とデュランダルはそう思えた。今までデュランダルは、タリアを他の男に奪われた事で負けてしまった自分を恨んでいた。
しかし、今こうしてクルーゼやレイ、タリアと話をしていると、何故だか急に自分を許せるような気持ちになった。
デュランダルはそんな自分の気持ちの変化を不思議に思った。
(何故だか分からないが…今はとてもすっきりした気分だ……)
《ギル…それはきっとあなたが素直にあなた自身や僕達を見ていてくれるからだ》
《そうよ、蟠りなく接すれば、人は分かり合えるのだから……》
二人がデュランダルに手を伸ばす。
《《だから、行きましょう》》
(ああ……)
デュランダルは微笑んで差し伸べられた手を握る。
……柱が倒れ、崩壊を続けるメサイヤのコントロールルーム。最早崩れ落ちるのも時間の問題であった。
そんな中、中央の議長席の前で、折り重なるように倒れている二人の表情は、無表情ながらも微笑んでいるように見えた。
やがて、天井の瓦礫が降り注ぎ、二人の姿は見えなくなっていった……
〜つづく〜
一番は俺がもらう
GJ!!だ
アスラン……、こいつの存在そのものが鬱陶しい……!
リアルタイムGJ!
ギルもタリアもお疲れ様でした・・・
おおお!!TVよりきちんと2人の関係を書いてる!!も、漏れは感動した!!
GJ!!
だが…アスラン!オマエだけは!オマエだけは生きていてはいけない奴なんだ!
GJです しかしアスラン完全に壊れてしまいましたね・・・この先の展開がまったく読めません 続き期待してます。
ラストバトルはやはりZvs和田
ズタボロの隠者vsズタボロの運命か。
カミーユ・・・・・間に合わんかったか
リアルに泣いた……
ニートとハゲは憎しみを生む源だな。正に生きてちゃいけない人間、いや人形だ
アスラン、ラクスではなく議長を殺したなw
これで最終戦は決まったな
キラ、アスランVSシン、カミーユか
長きに渡る戦乱、最後の決戦、勝ち取れガンダム!
GJ
漏れは
アスランがやられる→機体は半壊で何とか生存→どこかに流れ着く→自分には失う物もなく世界に絶望→
プラント統一→未だ解消されないナチュラルとコーディの壁→逆襲のアスラン
という妄想をしてしまった
シンも議長よりもニートやハゲの人形になるのはもっと嫌だろうなぁ。
つか、この戦いの後どうなるんだろうね。
それもキチガイとテロリストを何とかできてからの話だが。
「貴様のような奴は屑だ!!生きていてはいけない存在なんだ!!」
てのがよく似合う凸とニートだな
くそっ、国語力の低い自分が恨めしい……!
だがこれだけは言える、ハゲはここから居なくなれぇぇぇぇ!!!
デュランダルは生存フラグたったと思いきや凸に殺された
タリヤの子供どうすんだよ…
>「だったら僕達に…」
哀れなくらい空気読めないヤツだな・・・まぁ「自我が肥大し過ぎればこうもなろう」
って見本なのかも知れないが・・・・・
シンよ、結局のところ世界にとって害にしかならないコイツは君の手で討て!!
GJ!!
初めて議長に同情した!
>>612 シンが子供の存在を聞いてるはずだから、何とか生き残って何とかしてくれれば・・・
ただひたすらにスゴイ・・・・・・・・・・
作者は、本当の作家なんじゃないか?・・・・・・・・すげぇ
GJ!
作者さん、過去に戻って嫁の代わりに脚本書いてくれ!
GJです
これしか言うことがない
文庫で欲しいくらいだ
この小説
GJ
まさかアスランが出てくるとは思わなかった。
GJ!!!
メサイヤ編は本編とほぼ同じ展開なのに、何でこんなに目から水が出て来るんだよ……
登場人物が何処までも「人間」だからなのか。
この会談にカミーユの意見と言うか思想が聞きたかったな
間に合わなくて残念
<<619
俺も同じく同意。
大ヒット間違いなしだろ、この小説!!
>>623 そのネタは荒れるからやめとこう
でも同人誌とかで出しては欲しい文庫で
GJ!!!
なにもかも失ったアスランが某仮面ライダーのあの人に見えた
やっぱアスランは疫病神だな!
個人的にはもっとトチ狂ったアスランも見てみたい
商業同人問わずの出版の話はともかく、まとめ倉庫のをプリントアウトしておこう。
嵩張るけどそれだけの値打ちはある。
<<627
すでにトチ狂っているぞ!
エクセレントGJ!
同人誌出たら買うよ!
チト狂ったアスランがみたい
>>623 > 619
> 俺も同じく同意。
> 大ヒット間違いなしだろ、この小説!!
どこが?
Zまで持ち出しての勝手な妄想。
文句を言いながらSEEDみてたんだから、書いてあるようにもっと素直になれtって。
>>598 同意。
「人類最底辺のクズ野朗認定喰らったくせにでしゃばるな!」
って俺も感じた。
636 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/06(水) 21:03:12 ID:Q2ArrN8t
うむ!ここのアスランはイイ!
見事な憎まれ&悪役としてキャラがたっている!
本編や名前しか登場してないG-SEEDのアスランなぞよりよほどイイ!
……種運命のアスランやWDのアスランには劣るが。
なんだろう…この戦場の中で唯一空気読まずに幸福感だしまくってるムウとマリューがすごいむかつくのは俺だけか?
あんまりよそのSSと優劣つけたりするなよ……
釣りか?
GJ!
議長、散るか…いや本当は死なないですんだ展開があったはずだと思うとアスラン最悪
これ決着がどういう形になろうとルナは後悔と懺悔の嵐だな…可愛そうに
>>636 >種運命のアスラン
……釣りだな、うん。
つ【パラレル同窓会】
>>637 これでステラの事なんかもバッサリ割り切りましたね、ダメ息子は
>>637 ムウはステラやスティング殺したのがマリュー達だって知ってこんな行動取れるのかね。
そうなら、こいつら死んで。
>637
あ、俺もそう感じた
だがバカップルはラブコメ死ね死ね団に粛清されるであろう
タリアが議長庇ったシーンでなんか聖闘士星矢思い出した俺がいる
>>643 作者に言へ。飛び先間違っていることにも気付かないほどの厨房とは・・・
これが嫁や福田なら、お前そっちに飛んでるだろう?
信者、信者、ってうるさい奴沸いたか?
怒り、憎しみに捉われ、迷いながらも、胸を張って自分の言葉で大切なことを言い切ったシン・・・GJ!!
そして物語は最後の審判へと・・・。
作者さん、ラストスパートがんばれー!!!
まさか2chのSSの台詞に心を打たれる日が来ようとはな……GJ!
>>637 ミネルバクルーの必死ぶりに対して、のんきすぎるわな
戦闘中のブリッジから艦長呼びつけて、ロマンスやってる状況下と
全てを失ったはずのアスランが、なんとホームレスになって現れた
インフィニットホッパーに乗り込みワーム(ザコMS)を薙ぎ払っていく
新連載、逆襲のアスラン
第1話「もう、パーフェクトもハーモニーもないんだよ・・・」
>>652 そこは「もうカガリもルナマリアもないんだよ…」のほうが合ってるとオモ
あと一、二回くらいで終わりなんだろうか…名残惜しい
GJ!!
なんか議長も可哀想だが、確固たる自我を持てないキラも哀れだと思った。
キラっつーか、ユーレン・ヒビキの罪は重いなw
こうなりゃカゴリと無理心中するしかないな、滓ラン
GJ!
最近年のせいか涙腺がゆるくてこまる
二回は残ってるんじゃまいか。
他との比較は好ましくないのは承知しているが…
よそのアスランと違って全く親近や好感を持てないにもかかわらず
ここのアスランは実に彼らしいキャラ立ちを見せているなと思う。
人間性はともかく、ドラマの配役としては劣ってないよな
>>637 誰かが嫉妬に狂うとき、しっとマスクが現れる
どこかで、そう聞いたことがある
カミーユが見せる最後の力
それがイデ発動なのか浄化なのか
どうなるんだろうね
>>658 しっとマスク・SAI「しっとの心は父心! 押せば命の泉湧く!」
しっとマスク・KZy「見よ! しっと魂は暑苦しいまでに燃えている!!」
亀なのかは判らんがとにかくGJ 後は最後の戦いのみ…
凸…もう比較するものが無いくらい最低野朗に成り下がったな
戦闘力でカミーユに勝てないからハイネに八つ当たりしてその挙句
ルナに論破されたから議長を殺して自分の正当性を求めるなんてな…
ただ議長たちの会話にカミーユのことがちっとも出てこないのに首をかしげてしまう…
あの会話の中にカミーユが出る必要性を感じるのかい、君は。
>>658 嫉妬団団長I&副団長D「( )━━(Д` )━━(´Д`)ヨンダ?」
>>661 ルナ云々は同意だけど、ハイネを殺ったのって八つ当たりなのか?
俺は、自分より遥かに上の力を持つカミーユが接近してきたから、
それに恐怖を感じて「ついうっかり」刺してしまったと思ったんだけど
>>661 >>663が言ってるが、ハイネ殺害はうっかりだと思うぞ
その後殺したことを認めず言い訳を重ねる姿はもう(д) ゜゜だが
後…議長の殺害も正当性を求める以前に…アスランは少し錯乱しているんじゃないか?
665 :
661:2006/12/07(木) 00:20:33 ID:???
666 :
663:2006/12/07(木) 00:38:40 ID:???
>>664 確かに錯乱も殺害の一因だとは思うけど、
それよりも、全てを失った自分にできる事は影からカガリの手助けをすることだけだって思い込み、
戦いの大元の議長殺せばそれに繋がるって勝手に拡大解釈して、
そこに自分の正当性を見出したような気がする
なんか自分でも何言ってるのかよくわからん
どうやら俺も錯乱してるみたいだ・・・
議長は第二第三のキラを生み出さない為のDプランだと言ってるけど、
逆に遺伝子で全てが決定してしまう世界なら現状以上にスーパーコーディーを
求めるんじゃないか?
そういう意見もあるな。
まぁ、デスティニープランについては専用スレに行った方がわかりやすいんじゃなかろうか。
>>667 このSSに出てくるデスティニープランは、遺伝子操作を認めてないのかもしれない。
彼はプラントの議長として、この提案を上げたわけじゃないみたいだから(本編描写より)
現場にたどり着いたらカミーユの怒りが爆発しそうだな。
>>670 現場に居合わせたらギル・キラ・アスランは間違いなく殺されてたな。
このスレのアスランは
メタルギアソリッドシリーズのオセロットみたいなもんかね?
だがいい。
それがいい!
シンvsアスラン、もしくはシンvsキラはありそうだが、カミーユvsキラは無いような気がする
キラはすでにこの時点で戦う理由が無いし、キラという存在が争いの種になる可能性はあっても
本人に憎悪その他の要素があるわけじゃないから、カミーユは自分が倒すべき対象とは見ないはず
>>671 議長はどうだろう?
まだ他の人の意見に耳を傾ける頭がある分カミーユも殺すまではしなかったんじゃないのか?
議長には説得できる要素が残っているので後々のことを考えると殺す必要もないし
カミーユの行動が
話が通じない=殺す
てのなら、現在昼メロやっているシリーズ人間の屑も殺されていたはずだな
もし、ここの議長がこのあとわからんが、
キラVSカミーユが戦闘したとしてカミーユが勝ったら
議長はどう思うのだろう。
キラはこの世界で最強のコーディネータと議長みずから認めてる。
かたやナチュラルで異世界から来た謎の人物。
シンみたいにコーディネーターどうしだったらまぐれでかてるかもしれないが
一対一の戦いで世界最強のコーディネータが、ナチュラルに負けることを
議長はどうおもうのだろう。
NTが人類の進化の形であるとすればやはり遺伝子の何処かに発現因子があるわけで、
その因子を組み込んだスーパーコーディネイターをさらに越えるコーディネイターを
作れる可能性が出てくる
そうするとキラの存在が平和を脅かすという議長の持論が崩れる事にもなるわな
>>676 どっかのノースリーブの大尉とは逆に
人類に対しての不信を拭い去り、人の革新を信じるようになるんじゃない?
それよりも上層部の腐敗を防げればあの世界はよかったんじゃない?
人の革新うんぬんよりも
>>677 別に進化のカタチじゃあないから安心汁
後、あくまでアレは後天かつ、CEにおいては「遺伝子操作による発現が出来ない」特殊な能力設定らしいから
コートニーとかをNTと置けば実は超レアなのよアレ
キラが負けた事を知れば、キラより上の存在を作れると思い込む奴が出てきてもおかしくはないと思うがな
・・・この凸マジでキララク殺しそうな気がしてきた・・・
カミーユがキララク修正したとたん、スッゲー勢いでヌッ殺しそう・・・
・・・・・・しかもシンの目の前で・・・
いや、Zを見たら一目散に逃げ出しそう
・・・・・・ステラ、生きてて欲しいなぁ
シンとルナの為だけじゃなく、カミーユの為にも・・・・・・・
カミーユは元の世界で強化人間の少女達の魂は救えたけど身体は救えなかったから・・・
・・・シンがステラをデストロイから助け出せたことはカミーユにとってもすごく重要なことだったし・・・
カミーユがメサイヤに来れなかったのは
宇宙を遊泳中のステラを回収してたからかもしれんね。
死んだ人間は墓場から引き釣り出すもんじゃない
もしも引き釣りだしたらどうなるかって悪い例があるしな
>>682 カミーユが来る前にやさぐるま状態で「キラぁ、良いよなぁ……お前はぁ!」とか叫んで、
議長の言葉による動揺が抜けきらないキラを不意打ったりする選択肢もあるかも。
……ラスボスの役割奪取するのはある意味大躍進じゃないかアスラン?
アスランがラスボスになるだったらストフリを奪ってZとたたかったりして。
まだ、ミーティアついているはずだからこれだったらZに勝てると思って
カミーユに戦いを仕掛けたりしてww。
先のやつ読み返して思ったが
サラとラクスってこの話の中では似てるな
カミーユと出会う前にもう、その立場を変えることなんて出来ないほどになってしまっているところが
ただ、絶対的に正しいなんてスタンス取ってるもんだからラクスに同情の念は沸かないけど
いや、漏れはミネバに似ていると見たぞ。
まあ本編のラクスがここやWスレみたいだったらここまでラクシズが嫌われることもなかっただろうな
>>692 ここもダメだろ。ワザとあんな喋り方をしてるんだから、本編より性質が悪い。
自分の考えを書き込むと此処のラクスは周りに振り回されているんじゃないかと思うな
ラクスの言葉を超拡大解釈してるように見えないことも無い(主に側近連中が)
挙句に諫めたり、冷静に物事を見れる人間が皆無なのが最大の不幸か
まあ周りを自分で止める事の出来なかったラクスにも十分罪はあると言えばあるけどな
ようするに、ラクスはただの飾り?
此処のラクスは悲惨だな・・・
クライン派の狂人やキラに祭り上げられて
ほとんど操り人形状態じゃないか・・・
飾りと言うか、スッゴク映りの良い魔法の鏡だね。
覗き込んだものの願望が本物よりも綺麗に映るから、皆が挙って覗き込む。
で、魔法の鏡であるという存在の方が重要だから、ラクス自身の中身は必要とされてない。
神なんじゃねえの
神の言葉は人間には分かりづらいので
信者が自分等でその言葉を解釈して行動している
>>697 >スッゴク映りの良い魔法の鏡だね。
ズゴック映りの良い魔法の鏡だね、にみえた
確かにシャア専用はピンクだけどね
うーんなるほど
>>680 カミーユは不思議なことに最初からNTという設定なんだが…
一話からNTだし
>>701 そうだね
きっと生きている中で自然にNTとして覚醒していたんだね
本編の前から
富野曰く赤ちゃんはみんなNTで
大人になっていくなかでその感覚を失っていくわけで
その感覚を維持するために学習が必要だと言ってたから
カミーユとかは繊細で純粋だから赤ちゃんの時の感覚を維持してたんじゃないか?
クワトロの影響はなかとですか?
>>704 クワトロと出会う前から
壁透視して宇宙見たりしてたような
残り二話ですが、一気に投下します↓
↑
第五十四話「シンとカミーユ」
メサイアを脱出を急ぐキラとアスラン。キラはアスランの横顔に言い知れぬ不安を覚えていた。
「俺のジャスティスはこっちだ、ここで別れよう」
「待って!…アスラン、君は……」
「…話は後だ。今は二人で無事に脱出する事が先決だ」
キラの話を振り切るようにアスランは走り去った。
「アスラン……」
その後姿を見つめ、直ぐにまた走り出す。ストライクフリーダムの下に辿り着き、素早く乗り込んだ。
言う事を聞かない体を何とか動かし、デスティニーの下へと辿り着けたシンはそれに乗り込む。
メサイアを脱出した時、今までデスティニーを放置していた格納庫から火が吹き出る。
「危なかった……!でも……」
シンはデュランダルとタリアを置いて来てしまった事に懸念を抱く。本当にあれで良かったのかと自問する。
「でも、キラ=ヤマト…アイツはこのままにして置いちゃいけないって事は分かる……!」
キラは一度徹底的に負けなければならないとシンは思っていた。デュランダルが言っていた争いを呼ぶ存在、彼自身にその自覚が無いにしても、やっている事は正にその通りである。
しかも、無邪気な分余計に質が悪い。このまま勝たせたままで居れば、きっとまた同じ事を繰り返すだろうと思った。
だから自分はキラを倒す。それを自らの運命と受け止め、使命感を燃え上がらせる。そして、それが自分の最後の仕事となるであろうと覚悟していた。
「…ん?あれ!」
その時、一筋のバーニアの光が凄まじいスピードで猛進するのが見えた。シンはそれが自分の獲物であると確信する。
「あれだな!」
最早殆どの戦力が活動を停止している今、あれだけの動きが出来るMSは一機しかいないと思った。
「ここから…狙えるか……!」
ミーティア装備のストライクフリーダム相手では、見つけられたら今のデスティニーではお終いである。
故に、シンは肉眼で確認できる位置から、バーニアの光を頼りに射程距離ギリギリのところからのマニュアル狙撃を敢行する。
残されたのはデスティニーの砲撃武器の中で最強の高エネルギー砲。シンの集中力が高まっていく。光の尾が動く度に、細かい位置の修正を行いながら、コンマ数ミリの照準の修正をする。
「……く!」
しかし、容易ではない。震える腕では中々照準が定まらなかった。
このままでは逃げられてしまう。
《よく狙え》
「……?」
シンが根気を絞って照準を合わせていると、誰かの手が自分の手に添えられているような感じがした。そして、不思議な事にその感覚がした途端に震えが止まり、いい所に照準が合う。
《今だ、シン》
「行けぇっ!」
デスティニーの高エネルギー砲が火を噴き、光の尾の先端に向かって一直線にとんでいく。
光の尾は高エネルギー砲の狙った地点で止まり、やがて爆発の閃光らしき光の中から新たな光の尾が出てきた。
「あれは…やったのか!?」
それを確認する為、デスティニーはストライクフリーダムの下へ向かう。
「くぅ!」
ストライクフリーダムはビームシールドを構え、ミーティアの爆発から身を守っていた。
完全にレーダーの効果範囲外からの攻撃だった。その攻撃を、キラは避けられなかった。
「こんな距離で…誰かがまだ僕を狙っている……!アスランは!?」
こんな攻撃を何度もされたら堪ったものではない。いくらキラと言えども、何処から来るか分からない攻撃をいつまでも避け続けることは出来ない。
その上、先程のバルトフェルドの言葉を考えるとアスランの方も気になる。
「元を断たなきゃ……」
射線の方向に向かおうと機体を動かそうとした時、レーダーの反応に一機のMSの反応が表示される。
「こ、これは……デスティニー……」
キラは言い知れぬ恐怖を感じた。何度突き放しても必ず追いすがってくるシンの執念は、確実にキラの精神を追い詰めていっていた。
「見つけた……!これが…最後だ、フリーダム!」
『君は何だってそんな……!』
右腕と左足を失ったデスティニーが向かって来る。その動きに最早切れはない。
『君は、まだ戦うつもりなのか!?』
「あんたは負けるんだ…この俺に、シン=アスカに!」
キラの目にはデスティニーにはもうまともな戦闘能力は無いように見えた。
しかし、最後の力を一滴まで振り絞るシンのデスティニーは、まだ死んだわけではなかった。僅かに残された力を遠慮なく解放し、勢い良く展開された光の翼は、デスティニーがまだ飛べる証拠だった。
デスティニーのデュアルアイが光り、いつもの機動性が復活する。
そして、既にデッドウェイトでしかない高エネルギー砲をパージし、デスティニーが突っ込んでくる。
「行くぞ、フリーダム!」
『まだこんな動きが出来るなんて……!』
シンが高エネルギー砲を外したのは、接近戦こそがシンの真骨頂だったからだ。
その為、遠距離砲撃用の高エネルギー砲は不必要なものだった。
シンは、攻撃はパルマフィオキーナ、防御も同じ左腕のビームシールドでストライクフリーダムと戦う事になる。
対するストライクフリーダムには未だ豊富な武装が残されている。
この勝負は、デスティニーがストライクフリーダムに接近できるか否かがポイントだった。
「ぐっ…ううぅぅぅ!」
シンの体が痛みを通り越して感覚を失いつつある。それは即ち神経が麻痺し始めているという事だった。操縦桿を握る手にも力が抜けていくのが分かる。
しかし、それでも止める訳にはいかないシンは意識だけはしっかり保ってストライクフリーダムに接近する。
『止めないと!』
「しゃらくさい!」
ストライクフリーダムのビームライフルがデスティニーに向かって放たれる。
しかし、デスティニーは残像を残してかわし、側まで接近するとストライクフリーダムのビームライフルを握り締めてパルマフィオキーナで破壊する。
『チッ!?』
直ぐにキラはもう一丁のビームライフルでデスティニーを狙ったが、其処に既にデスティニーの姿は無く、反対からデスティニーがストライクフリーダムの左腕ごとビームライフルを破壊する。
『なっ……!?デスティニーの動き…こんな事も出来るのか!?』
「くっ…はぁっ!」
苦しむシンは一旦ストライクフリーダムから距離を開ける。
一番怖いビームライフルを壊してしまえば、後はレールガンと正面にしか撃てないカリドゥスだけである。
『なら、これで!』
ストライクフリーダムが残った腕にビームサーベルを握らせて突撃してくる。
デスティニーを牽制する為か、レールガンを連射してデスティニーの方から近寄ってこれないようにする。
デスティニーとしてはレールガンなら当っても大した事は無いのだが、パイロットのシンの体は既に限界を超えている。デスティニーは無事でも、シンは無事では済まないのだ。
《当るなよ》
「分かってる!」
レールガンをかわすだけでデスティニーは態勢を整える事は出来ない。
そうこうしている内に、ストライクフリーダムがビームサーベルを振り上げて襲ってくる。
『これで…終わりだぁ!』
「まだ終わるかぁ!」
デスティニーはビームシールドでストライクフリーダムのビームサーベルを受け止める。
しかし、キラの目的はビームサーベルでの攻撃ではなかった。ビームシールドでデスティニーが防いでいる今、デスティニーはカリドゥスの恰好の的なのだ。
レイを葬ったビームが、今度はシンに牙を剥く。
《フリーダムの腹に気をつけろ》
「は……!」
しかし、それに間一髪で気付けたシンはデスティニーを後方回転させるように蹴りをストライクフリーダムの股間に放つ。
『なッ!?』
蹴り上げられたストライクフリーダムはデスティニーに対して垂直に上向きになり、カリドゥスが虚空に空しく光の筋を伸ばす。
一方のデスティニーはバランスを崩し、そのまま後ろに回転しながらもがいていた。片脚だけでは態勢を整えるのもままならない。
「くっ…デスティニー、もう少し頑張ってくれ!」
背中のバーニアスラスターの光の翼が四輪者のスピン中のトランクションを稼ぐ時のアクセルの開け方と同じ様に一回小さくなって直ぐにもとの大きさに戻る。
そうしてやっとデスティニーは態勢を整える事が出来た。
しかし、直ぐ前にストライクフリーダムが接近してきていた。
《来ているぞ!》
「うわっ!?」
『もらったぁ!』
横から薙ぐストライクフリーダムのビームサーベルのモーション。デスティニーはバックステップでそれを辛うじてかわす。
ストライクフリーダムは更に追い討ちでビームサーベルを振りかぶって襲い掛かってくる。
しかし、デスティニーは振りかぶるストライクフリーダムの腕を下から突き上げる形で掴み、パルマフィオキーナで握りつぶす。
『くそぅ!』
ストライクフリーダムはデスティニーを正面から外さないようにバックで離脱し、追いかけてこないようにレールガンを二連射してカリドゥスを放つ。
ストライクフリーダムは両腕を失い、状況は最早五分五分である。後はどちらの気力が勝るかで勝負が決まる。
「今度こそ、本当に最後だ…ステラ…レイ……!」
『ラクス……!』
睨み合う両者。先に動いたのはデスティニーだった。
『来た!』
レールガンで牽制の砲撃を繰り返すが、デスティニーは突進しながら残像を繰り出して全てかわす。そのままストライクフリーダムに手が届く距離まで間合いを詰め、パルマフィオキーナを伸ばす。
対して、一気に正面まで詰められたストライクフリーダムはカリドゥスにエネルギーが集中する。
「これでぇ…ラストォォォォォォっ!」
『ラクスっ……!』
同時に放たれる両者の最後の力……
シンとキラが激突している頃、メサイアを脱出したアスランは脚部を失ったインフィニットジャスティスでミネルバを発見していた。
ミネルバは殆ど半壊状態で、戦艦としての機能をほぼ停止している。味方の援護を待っているのだろうか。
「……見つけてしまった以上、見逃す気は無いな……」
冷たく言い捨てるアスラン。
そして、ミネルバのブリッジではアーサーがランチでの退艦をクルーに伝達していた。最早ミネルバはその機能を殆ど失い、モニターの画像も大半が映らなくなっていた。無念であるアーサーだが、艦長の務めとしてクルーを無事に脱出させようとする。
しかし、その時ミネルバを大きな振動が襲った。
「な…何事だ!?…バート!」
「駄目です、レーダーは既に死んでいます!」
「船体状況は!?」
「辛うじて生きています!……ブースターのノズルをやられたみたいです!」
「な、何だって!?それじゃあ……」
「下手すれば船体が爆発します!」
「い…急げ!クルーの避難を急がせろ!」
後方から爆炎を上げるミネルバの影に、脚の無いインフィニットジャスティスの姿が浮かび上がる。ミネルバを攻撃したのはアスランだった。
最後に残されたファトゥム01を飛ばし、ミネルバのブースターノズルを破壊した。
「くっそぉ……!ルナマリア、ランチの発進は出来そうか!?」
「出来るわ!早くみんなを乗せて!」
「やっているがな…アーサー艦長、早く!」
「まだ医務室の連中が来ていない!」
「何やってんだ、医者の先生方は……!」
苛立ちを募らせるマッドは時計に目をやって愚痴を零す。
「この爆発の規模じゃ…もってあと五分だな……」
「来た!来ましたよ、親方!」
「何!?」
ヴィーノがMSデッキの入り口を指差して叫ぶ。マッドが視線を移すと、救急箱を抱えた医師達が慌てて無重力を流れてくる。
「何やってたんです、先生方!?」
「怪我人が居るといけないからな、最低限の道具は確保しておきたかった」
「ったく、早く乗り込んで下さい!」
「よし来た!」
乗り込もうとするが、最後尾の助手が言葉を挟む。
「待って下さい!あと一人来るんです!」
「なぁにぃ!?」
「ステラの薬を持っている…」
「何処にだ!?」
「直ぐ後ろに居たはずなんですが…途中ではぐれてしまって……」
「ちっ……!」
マッドはMSデッキの出口に向かう。
「あ…!親方、何処行くんですか!?」
「ちょっと捜してくる!四分経って帰って来なかったら俺に構わずに出せ!」
「え……ちょ、ちょっと待ってくださいよ!俺達も行きます!」
「馬鹿たれ!俺一人で十分だ!足手纏いなんか要るかよ!」
「け、けど親方!」
「いいな、四分だぞ!それ以上は絶対に待つな!」
「お、親方ぁ!?」
マッドはそう告げると残りの一人を捜しに戻っていく。
「くそったれ…これで逃げ損なったら化けて出てやる……!」
文句を言いながら通路を進む。
「ん……?あれか……?」
崩れた通路の真ん中で残骸に脚を挟まれているノーマルスーツが見える。
「おい、大丈夫か!」
「う…マッドさん……?お、お願いします、この薬を、あの子に届けてやって下さい!」
「馬鹿野郎!薬なんぞ後でいくらでも精製できるだろうが!」
「ち、違うんです!これが無いと、ステラの薬は二度と精製できないんです!」
「なっ……!?どういうこった!?」
「薬のデータはミネルバのコンピューターの中にしかないんです……!エクステンデットの薬だからザフトには要らないって研究所の連中が……」
「マッドサイエンティストめ……!研究資料にしか興味ないってのか!」
マッドは歯噛みして眉に皺を寄せる。
「だからお願いです!この薬だけでも!」
「俺がお前さんを見捨てると思うか?ほれ、引っ張ってやっからお前さんも力入れろ!」
「す…すみません……」
思ったより近くで発見できてマッドは胸を撫で下ろしていた。
しかし、意外ときつく挟まれているようで、中々引っ張り出せない。
「ふぐぐ……お前さん、それで精一杯か……?」
「は、はい……!」
「くぬおおぉぉぉ……!現場の底力……こんなもんじゃねええぇぇ!」
気合一発、マッドが叫んで力を込めると、助手の体がすっぽりと抜ける。助手はそのままマッドの上を流れ、天井に叩きつけられる。
体感時間では残り一分半も無いはずである。急ぎランチへ向かおうとしたその時……
「何だとぉ!?」
助手が抜けたことでバランスを崩した残骸がマッドを襲う。
「マッドさん!」
今度はマッドが残骸に押し潰されてしまった。助手の時とは違い、マッドに覆いかぶさった残骸は彼の下半身を完全に覆ってしまっている。
「い、今助けます!」
「待て、お前は行け!」
マッドは叫ぶ。
残り時間からすれば、ここまで来た時間を考えるとギリギリである。
「し、しかし、マッドさんを残して私だけ行くのは……」
「てめえのその手に持った袋は何だ!?それは人の命を救うものだろうが!」
「そんな事を言っても…私はここでマッドさんを見捨てるなんて……」
「俺より若い奴が苦しんでんだ!未来に繋がる若い奴が!そいつを助けんのがてめえの使命だろうが!俺みたいな老いぼれに構うな、行け!」
「で、ですが……」
「時間がねぇッつってんだよ!ここで行かなかったら、死んでもてめえを許さねぇぞ!」
「く…うわぁぁぁぁぁ!」
絶叫を上げて助手は背を向けて去っていく。
その背中を、マッドは親指を立てて笑顔で見送っていた。
「時間は!?」
「後十秒ほどです!」
「まだか…マッド主任は……!」
アーサーが時計に目を向けて呟く。
「あっ!来ました!」
「何?よし、ルナマリア、脱出を始めなさい!マリクはロープ!」
「はっ!」
ランチのドアからマリクがロープを投げ出す。助手はそれに捕まり、ランチに引きずり込まれる。
「……?マッド主任は?」
「……行って下さい、マッドさんの意思です……」
焦燥しきった表情で助手は呟く。バイザーの向こうでは水の球が飛び散っていた。
「まさか……」
「そんな、親方……!?」
「時間一杯です、どうするんですか、艦長!?」
バートからの問い掛けにアーサーは目を閉じて考える。
マッドのあの性格である、ここで行かなければ冗談抜きで祟るかも知れない。
そして、それがマッドが命を懸けた願いであるならば、アーサーはそれに応えるのが彼の意思に報いる行為であると思い、決心する。
「よし、脱出だ!」
「りょ、了解です!」
ミネルバのハッチからクルーを乗せたランチが飛び出す。
残骸に挟まれ、マッドは近くの穴からランチが出てきたのを確認する。
「ヨウラン、ヴィーノ…良い整備士になれよ……」
呟いてマッドは気付く。
「……もう五分、とっくに過ぎてんな……。へへっ…俺の腕もまだま…」
言いかけた所でマッドを爆風が襲い、その姿を隠した。
遂にミネルバが爆発を始めたのだ。ランチの窓からその様子を見つめるクルー一同は、沈み行くミネルバを沈痛な面持ちで見つめていた。
「あぁ…俺達の家が……」
「ミネルバが…死んじゃう……」
「マッド主任…何で……」
「こんな事って……」
「全員、整列!」
それぞれが思い思いに悲しみを口にする中、震える声でアーサーが号令をかける。
「一同、ここまで我々と共に戦った戦艦ミネルバと、偉大な整備士、マッドに対して……敬礼……!」
皮肉にもミネルバの爆発は一番綺麗だった。ミネルバに搭載されたどんな武装よりも、撃沈の光が一番綺麗だった。
「…ん?これは……」
ヨウランがふとランチの通路に漂っている物体を見つけた。
「ヨウラン……?…それは!」
ヨウランに気付き、ヴィーノが目を丸くする。
「これ…親方の……」
「親方…置いてったんだ……」
それはマッドがいつも吸っていた煙草と携帯灰皿。
《お前等にゃあまだ早えが、いつか俺の煙草に似合うイカすメカニックマンになって見せろや……》
「親方……!」
「親方ぁ!」
一番親しかった整備士達にだけ聞こえた声。
ヨウランとヴィーノは崩れ行くミネルバを見つめ、涙が止まらなかった……
そして、ミネルバから離脱するランチをインフィニットジャスティスが見つめている。
《上だ、ルナマリア……》
「上…ハイネ!?……あれは、アスラン……!?」
ファトゥム01を失い、脚部も喪失しているインフィニットジャスティスだったが、体当たりをすれば貧弱なランチ位は破壊できるし、現にギリギリその力が残されていた。
『…れを操縦して……は…ルナ……アか……?』
「アスラン……!」
ノイズが多くて聞き取り辛いが、その声がはっきりアスランのものであるとルナマリアには分かった。
『そうか…つくづく縁があると……ないか、…たち……?』
「あんた…まさか……」
『俺と……に死んでくれないか、……マリア……?』
「くぅっ!」
インフィニットジャスティスがランチに突っ込んで来る。ルナマリアは急に荒く動かし、クルー達がランチの通路でごった返す。
「な、何事だ、ルナマリア!?」
「か、艦長、あれを!」
「んん!?あれはジャスティス!?」
接近してくるインフィニットジャスティスを確認できる。
「あんたなんかと…皆と一緒に心中させてたまるかぁ!」
《アイツが直ぐに来る、それまで頑張れるな?》
「当然!」
《それでこそミネルバの赤服だぜ!》
しかし、強がって見せたところで、機動性の無いランチではインフィニットジャスティスから逃げ切れない。その距離はどんどん迫ってきていた。
「まだなの、ハイネ!?」
《よくやった、来るぞ!》
眼前に迫る鶏冠のMS。ランチに乗っていた全員が覚悟した…その時だった。
《空しさを撒き散らすな、アスラン!》
「!?」
アスランの頭の中にカミーユの声が響く。
「ど…何処なんだ!?……後ろ!?」
アスランはΖガンダムの接近に気付き、後ろに振り返る。すると、ウェイブライダーから変形途中のΖガンダムが寸前まで迫っていた。
「カミーユ!」
『アスラン!』
Ζガンダムはそのままインフィニットジャスティスに組み付くと、頭部を掴んで引き千切る。アスランの正面のメインモニターがブツッと切れる。
『カミーユ!お前は……最後まで俺の前に立つのか!?』
「人の想いが渦巻く宇宙で…お前は!」
『お前なんかに何が分かる!?俺の…この空しさを埋める物は何も無い!』
「命が支える宇宙で何も感じられないのは、お前が人を拒絶しているからだ!それを…拒絶されたと勘違いしているお前だから、みんなお前から離れていくんだろ!?」
『うるさい!分かった振りして……!』
組み付くΖガンダムを振り解こうと腕を動かすインフィニットジャスティス。何とか引き剥がす事が出来たが、Ζガンダムはウェイブライダーに変形してインフィニットジャスティスに進路を取る。
『まだ来るか!』
「想い出に還れぇ!」
『うおぁ!?』
ウェイブライダーの先端がインフィニットジャスティスを突き飛ばす。それはパプティマス=シロッコ駆るジ・Oを貫いた一撃だったが、インフィニットジャスティスは突き破らなかった。
しかし、突き飛ばされたインフィニットジャスティスはそのまま爆発を続けるミネルバに向かっていく。
「ア…アスラン……」
《これでよかったんだよ、アイツは……そして、これからだ》
ハイネの慰めるような言葉に、ルナマリアは何とか納得しようとする。あんな事があったアスランだが、素直にこのような結果を喜べないのは、自分の言葉のせいで彼をあそこまで追い詰めたのではないかと思っていたからだった。
「くぅっ……!」
カミーユの体の中を何かが駆け抜けていく感じがし、思わず呻く。全てはカミーユを通して顕現する。
《アスラン……》
「……だ…れ……?」
《僕ですよ、アスラン》
「二コ…ル……」
目の前には淡いグリーンのクセッ毛の少年。そして、父が立っていた。
「父…上……?」
《お前はもう休め……》
《アスランはこのまま……》
「わ…私は、貴方と二コルの下へ逝ってもいいんですね……?」
涙を浮かべてアスランは微かに笑った。ずっと気にしていた二コルと、久しぶりに見た父の清々しい顔は、アスランが一番望んでいたものだったであろう。
しかし、そんなアスランの問い掛けに、二人はこぞって首を横に振った。
「何故……?」
《お前が母さんの下へ逝くのはまだ早い。お前はそっちで生きていかなければならぬ》
《それが、僕の願いでもあります、アスラン。僕は貴方が生きる為に……》
「そう…だったな、二コル……。ピアノ、楽しみにしているからな……」
《ええ、とびっきりの演奏をお聞かせしますよ》
《だから、お前はもう一度生き直し、それからこっちに来なさい》
「あぁ…優しさが見える……」
涙を流し、コックピットシートに体を預けるアスラン。その時に偶然に触れたボタンが、インフィニットジャスティスのビームシールドを展開させた。
ランチの操縦席からインフィニットジャスティスがミネルバの爆発に巻き込まれるのが見えた。その様子にルナマリアは何故か涙が止まらなかった。
ミネルバが一際大きく光り、その姿を残骸に変える。
吹き飛ぶ残骸の中に、インフィニットジャスティスの胴体部分がフェイズシフトの切れた灰銀の色をして何処かへと流されていく。
以上、五十四話。続けて最終話です↓
おおおおおおっ!!((((;゚Д゚)))ガクガクブルブルウェイブライダー突撃だ!!
最終話「Ζの福音」
「みんな死んで行く……。ハイネも、レイも、マッドさんも……みんな、みんな……」
《君の可能性でも、こんな結果しか出せない……だから、私はエゴに縛られた人類を粛清しようとした……》
「クワトロ大尉……!」
《もういいだろう、カミーユ……君は良くやった》
男の声が幻聴のように聞こえる。打ちひしがれそうになるカミーユだが、彼の目は未だ諦めを知らなかった。
「まだだ!まだ僕には……!」
《無駄だ、それではまた君は閉じこもる事になる……それでは失敗なのだ》
「人は…人は超えられるはずだ!こんな…どんな困難だろうと、超えられるはずだ!それを、皆も分かっているはずだ!」
《カミーユ……》
「そうでなきゃ、今日という日を生きられないんだ!超えられるからこそ、人は今まで生きてこれたんだ!それが…今出来ないはずが無いんだ!」
Ζガンダムに吸い込まれていく光、そして、拡散される光。
集まってくる光はΖガンダムを包むように紅く光り、拡散する粉のような光は碧に光る。
それはやがて戦場全てに拡がって行くかのように思えた。
《これは…あの時のサイコフレームのオーバーロード……!?しかし!》
動揺を取り繕うような声。しかし、やがてその光の暖かさに自らの不覚を認めるしかなかった。
《……いや、結局私は急ぎ過ぎていたという事なのか……?なら、私のやった事は一体……》
(クワトロ大尉、あなたは人類がニュータイプに覚醒する事で変われるって言ってたじゃないですか!?それなのに…人を信じていたあなたが最初に見限ってどうするんです!)
《その原因の一端が君の崩壊だった……。私はハマーンに敗れ、ミネバを傀儡にする彼女を見てニュータイプですら地球の重力に引かれていると思った……》
(それは、あなたがオールドタイプだからです!ニュータイプって、もっと建設的なモノの見方が出来る人の事なんじゃないんですか!?)
《分かり合える…か……。そういった意味では、私とアムロはオールドタイプだったのかも知れん……》
(それが分かっているなら!)
Ζガンダムを中心に人の想いが不思議な感覚となって拡散していく。
死者も生者も関係なかった。
それは、カミーユの限界を超えた力となって一人一人の心の中に散らばっていく。
《おお…これは……!アムロ……私は……ララァ……》
その声は、男の最後の無念だったのだろうか。
男の声はそれを最後に聞こえなくなった……
爆発を続けるメサイアの近くで、キラはストライクフリーダムのコックピットの中で生き残ったモニターを眺めて寂しそうに目に涙を溜めていた。
ストライクフリーダムの外見は既にフェイズシフトが切れ、灰銀に戻っている。
デスティニーとの戦いで両腕を失い、頭部は無い。背部のバーニアも破壊されていて、動く事も出来なくなってしまったストライクフリーダムはゆっくりと月面の引力に引かれて下降を続けている。
「結局…僕は何なんだろう……」
キラは力無く呟く。独り言に答えは返ってこなかった。
キラが無気力に感情を委ね、瞳を閉じようとしたその時、小さなモニターに不自然な光が舞い散るように降り注いでいるのが目に入った。
「これは……一体……?」
優しい光だった。
その光景に、キラは夢見心地になる。安心を覚える光だった。
《キラ…キラ……》
聞いた事のある声がした。
《キラ……》
初めは幻聴かと思ったが、どうやらそうではないらしい。おぼろげだがはっきり聞こえる。矛盾しているが、キラにはそう感じた。
《キラ……》
もう一度呼ばれた。キラはその声の人物をはっきりと憶えている。
今はもうこの世には居ないが、決して忘れる事の出来ない二年前に別れた少女。
「フレ…イ……?」
《キラ……》
キラは顔を正面に向ける。すると、其処には赤髪を後ろで結った少女がキラを見つめていた。
二年前から全く変わりのない姿、しかし、キラは今でもはっきりとその姿を覚えている。
「君が…何で……?」
《キラに会いたくて……》
フレイは悲しそうな表情をしているが、少し嬉しそうだった。
「フレイ…ずっと会いたかった……!会って謝りたかった!」
《ううん…謝らなければならないのは私……。キラを傷つけてばかりで…それなのにあなたは優しくしてくれた……。私はそれに気付かずに…そのまま……》
「君が…君が謝る必要は無いんだ……!全部…僕がいけなかったんだから……!」
《違うの…違うのよ、キラ。私、あなたの事をずっと憎んでた。でも、あなたの優しさに気付いたのはあなたと離れてから。その事を言いたかったけど、言えなかった……。だから、今私をここに呼んでくれた人のお陰で言う事が出来る》
「僕は、ずっと君に笑って欲しかった……だから……!」
《今の私にはキラの言いたい事が凄く良く分かる……。こうしてあなたとまた出会えて、あなたの事がとても素直に見れる……》
「ずっと謝りたかった…謝って僕を許して欲しかった……!」
《許すも許さないも無いのよ……。だって、いけなかったのは私なんだから……》
「そんな…そんな事は無い!」
《分かる…あなたの優しさが痛いほど分かる……。だから、あなたはもう苦しまないで…泣かないで……》
「僕に君に優しくされる資格は無いんだ!本当に…フレイ…ごめん……!」
《謝らないで…私に謝らないで……。私の方こそ、キラ…ごめんなさい……》
「フレイ…僕を許してくれるのか……?」
《悪いのはあなたじゃない……それを私は言いたかったの》
「フレイ……」
《キラ、あなたはもう泣かないで生きていけるわ……》
「でも、僕はもう……」
デュランダルに言われた言葉が今になって効いてきた。キラは自身の存在に疑問を抱き始めている。
しかし、そんなキラの沈んだ表情を見ても、フレイは何事も無かったかのように微笑んだままだった。
《あなたは生きていていいのよ…それは誰でもない、あなた自身が決める事なのだから……》
「違うんだ…僕はそんな権利が…」
《誰かの言葉に惑わされないで。本当にキラを決めていいのはあなただけなんだから……》
その言葉にキラはハッと目を見開く。
《あなたが求めた自由って、そういう事なんじゃないの?》
「うん……」
《だから、大丈夫……》
キラは涙が止まらなかった。またこうしてフレイに出会えて、尻を叩いてもらっている。それはとてもありがたいことだった。
そんなキラに安心してか、フレイはキラの頬を撫でた。
《あの子を大切にね?お互いを慰めるだけじゃなく、支え合ってあげて。それが出来るのはキラ…あなただけだから……》
「うん…約束する……僕は、ラクスを支えた気になっていただけなんだ…だから、負けた……。もしチャンスが貰えるなら、僕はもう一度最初から歩き出したい…償いたいんだ……」
キラは俯いて呟くように告げる。そんなキラの言葉に、フレイは安心したように頬を緩ませ、笑顔を見せた。
「フ、フレイ……?」
《もう一度、キラと話せて良かった…嬉しかった……》
「待ってフレイ!もっと…もっと話したい事が!」
フレイの姿が遠くなっていく。キラは慌てて手を伸ばすが、フレイは素敵に微笑んでキラを見つめながら小さくなっていった。
《さようなら、キラ……ありがとう……》
優しい声が耳に残る。キラはメットを脱ぎ、流れる涙を拭った。
「…さようなら、フレイ……ありがとう……」
キラは少しだけ笑って救難信号を出した……
散らばっていく光は全ての人の心に降り注ぐ。それは、ザフトもオーブも関係なかった。
《アンディ……》
「アイシャ……」
《いつまでも坊や達に頼ってばかりでは駄目よ?大人の貴方がしっかりしなきゃ……》
「……確かに、僕は彼等に頼ってばっかで、手を抜いていたのかも知れんなぁ……これでは本気で戦争を終わらせる事は出来んか……」
《焦らなくていいから、負けないでね……》
「分かったよ」
《マリュー=ラミアス……》
「貴女は…バジルール中尉!」
《私は、今のあなたを見ていると、とても歯痒い思いになります。それが何故だか、お分かりになりますか?》
「……」
《私が懸けた貴女はもっと高貴で気高い誇りを持った人だった!例え軍の命令に背いてでも…いえ、軍そのものに背いてでも理想を実現させようとする貴女が私は羨ましかった!それなのに、今の貴女はその心を忘れてしまったとしか思えない!》
「私はそんな風には…」
《貴女が自分で気付いていないだけで、既にそうなってしまっているんです!あなたはフラガ大尉さえ居ればそれでいいのですか!?フラガ大尉はあなたさえ居ればそれでいいのですか!?》
「ナタル……」
《もっとご自分を自覚なさってください!このままでは、私は何の為に貴女に未来を預けたのか分かりません!》
バジルールの哀れむような表情にラミアスは眉尻を下げる。言われてみればそうだった。自分はアークエンジェルの艦長としての責任は負っていたが、それ以外のことは全て自分より若い者の手に委ねてしまっていた。
自分はどうして彼等よりも年上なのか、それをもう一度考えなければならないと思う。
「…そうね、ナタル……私は、いつの間にかキラ君たちに頼るばかりで、自分の大人としての責任を放棄していたのかもね……」
《今度こそ、この世界を頼みます!もう二度と、こんな空しいだけの戦いを繰り返さぬよう……》
「分かったわ、ナタル……」
全ては夢のような現実。しかし、驚くほど人々はその現象をすんなりと受け入れていた。
嘘のような出来事でも、二度と会えないかと思っていた人と再び会えた事が嬉しかったのだ。そして、そんな彼等が荒んだ人々の心を癒してくれる。
エターナルとアークエンジェルの二人の艦長も、過去に分かれた大切な人に励ましてもらえた。
そして、エターナルのブリッジではもう一人……
《ラクスよ》
「お父様……」
ラクスの目の前には父親であるシーゲル=クライン。その表情は生前と同じく穏や
かだった。
「何故…わたくしにこのようなコーディネイトをなさったのですか?わたくしは……」
《それは違う、ラクス。お前はお前自身が望んだからその様な席に座るようになったのだ。全てはお前が望んだからだ》
「いいえ、違います!わたくしは、このようなことは望んでなどおりません!本当のわたくしはもっと弱いのです……このような事、できるはずもありません!」
《そうではない。お前は確かに今の自分の立ち位置に疑問を持っているだろう。しかしな、果たしてそれはずっとそうであっただろうか?》
「何を仰っているのです……!?」
《全ては若さゆえの過ち……私がハロに教えた言葉だ》
「え……!」
《いつか、このような日が来ると思っていた……》
「そ、それでは……わたくしは……!」
《私はお前の父だ。大切な娘の事を、何も知らないわけではないぞ?》
「わたくしは、お父様の助言に気付かずにここまで来てしまったのですね……」
《そうではない。今、お前は気付いたのだ。人は必ず過ちを犯す……大切なのは、その後に起こす行動だ。間違いに気付いて、初めて人は正しい事の存在に気付けるのだ。……若いお前にはまだ時間はたっぷり残されている……》
「お父様……」
《私は、いつでもお前を見守っているぞ……我が愛しの子、ラクスよ……》
シーゲルはそう言って消えて行った。ラクスはふと、頬に熱いものが流れている事に気付く。
それは、とても久しぶりに流しているような気がした……
そして、地球のオーブ。官邸でじっと待っていたカガリだったが、ふと誰かの声が聞こえてきた。
《カガリ…そんなところに篭ってないで、外に出て月を眺めてごらん》
「…誰だ?」
耳に聞こえてきたのは聞き慣れた声。カガリが今一番会いたい人物の声。
「居るのか?」
フラフラと緩い足取りでバルコニーへ向かう。
扉を開け、少し冷たい外気に身を震わせながら言われたとおりに夜の月を見上げた。
「これは……!」
《どうだい、感動的だろ?》
見上げた月は碧に輝く霧のような光を放っていた。そして、その光は地球の大気にも少量ながら散らばっていっている。
何よりも、目の前には幻のようなユウナ。
《また会えたね、ハニー。流石に気持ちを伝えた後は恥ずかしいものだけどね》
「ユ…ユウナ……」
何故か受け入れられる不思議。しかし、カガリはユウナに会わせる顔がなかった。
「理念を破った私を軽蔑しているんだろ?あれだけ偉そうに垂れた私の信念…貫ききれなかった……」
《僕はカガリを責めないよ。僕の言った事を一生懸命実行しようとしてくれてたみたいだからね》
「同情はいらない…私は……」
《元首を辞めるつもりなんだろ?分かっているよ、マイハニーだもの。…でもね、僕は冷たいだけのリアリストな君は嫌いだな……》
「えっ……?」
《君の本当の魅力は、何処までも真っ直ぐで力強い言葉にある。そこにオーブの民は惚れたのだろうし、実際に僕もそのファンさ。僕が望んでいたのは、そんなカガリの魅力の中に僕のしたたかさをスパイスとして加える事だったんだ》
「ユウナ……」
《分かるよ、友人を利用するだけの自分が辛かったって事は…でもね、それが今の君の精一杯なんだよ。それは現実として認めなくちゃいけない》
「そんな事はない…私は、別にキラ達を利用する事に躊躇いはない……」
《強がって見せなくてもいい。だからだろ?君が元首を辞めようとしているのは》
「……」
《こちらへどうぞ》
おもむろにユウナが誰かを呼ぶ。その声に俯いていた顔を上げると、そこには最愛の人物が居た。
「お父様……」
《カガリ……》
突然の事に固まってしまうカガリ。そんなカガリの緊張を察したのか、ウズミの方が先に口を開いた。
《私は、お前に謝らなければならぬ…すまなかった……》
「な、何故謝るのです!?謝るのは私の方です!」
《いや、分かっている。私がお前の重荷になってしまっている事は、お前を見ていて苦しいほど分かる……》
「そんな事ありません!私はオーブの為に!」
《もう良い。今まで頑張ってきたのだ、誰もお前を責めたりなどしない……だから、お前はお前らしく生きて行きなさい……》
《僕達を気にする事はない…君は君らしく、向日葵の様に笑っていてごらん。そうすれば、君はもっと魅力的な人間になれる…オーブだって導いていける……》
「ユウナ…お父様!」
二人の姿が遠くなっていく。
《しばしのお別れさ。また会える日を楽しみにしているよ、ハニー……》
《さらばだ、我が娘…カガリ……》
何かに導かれるように空に向かっていく二人。そして、見えなくなっていった。
「うぅっ…うぅ……!」
バルコニーの床に膝をついて崩れ落ちるカガリ。床が冷え切っていて膝小僧が冷たかった。
自分は許されたのだ。少なくとも、ウズミとユウナはそうだった。
不甲斐無い自分を認識されはしたが、それでもカガリは嬉しかった。これから自分が辿る事になるであろう道を、二人は認めてくれたのだ。
それは、カガリを更なる成長へ導く事になる出来事だった……
「タリア艦長……」
《アーサー、お願いがあるの》
ランチの窓からアーサーの目に飛び込んできたのはタリアの姿。彼女がミネルバを去った後、どうなったのかは知りようもない事実だが、何故かアーサーはタリアが既にこの世の人物ではない事を納得できた。
理解できないが、頭の中の感覚がそう伝えている。
《あなたに私の子供の事を頼みたいの》
「艦長のお子さんですか……?」
《そう、この人に頼んだんだけど、彼もこっちへ来てしまったんですもの……》
《君に負担を掛ける事になってしまった、申し訳ない》
「デュ、デュランダル議長……」
浮かび上がるようにデュランダルがタリアの側に寄り添っている。
「し、しかし私では……」
《アーサー、貴方に足りなかったのは自信よ。大丈夫、私は貴方を高く評価してるって言ったでしょ?だから、私は貴方になら子供を任せられるって思ったの》
「本当でしょうか……」
《貴方はもの凄い事をやってのけたのよ?この激しい混乱の中、最後までミネルバを動かし、そしてクルーと共に脱出した…貴方は自信を持っていいのよ》
「しかし、帰らぬ人も出しました……」
《マッドは恨んでいないわ。寧ろ彼を待っていた方が怒っていたわ》
《そういうことだぜ、アーサー艦長!あんたは俺の最後の願いを叶えてくれたんだ、もっと胸張っていいんだぜ!》
「マッド主任……」
《だからよ、タリア艦長のお願いを聞いてやってくれ》
《アーサー……》
「……分かりました。艦長のお子さんは、私が必ず立派に育てて見せます!」
《ありがとう、アーサー……》
《タリア、そろそろ……》
《そうね……》
タリアとデュランダルが遠くなる。
《それじゃあ、マッド主任、お先にね》
《また後で会おう》
《ええ》
《よろしく、アーサー。他の皆も……》
「はい!お任せ下さい!」
消え行くタリアとデュランダルに対して敬礼するアーサーを、マッドが歯を見せて笑っている。
「「を…親方ぁ!」」
《おう、ヴィーノとヨウランか?》
後ろから飛び出してきた二人が窓に詰め寄る。
《なんつーか、あれだな?さっきお別れしたばっかだってのは気恥ずかしいもんだな?》
「そんな事より、俺達、絶対にすっげぇメカニックマンになって見せますから!」
「この煙草も大切にしますから、見ててくださいよ!」
《分かってるって!皆まで言うな、半人前が!》
「面倒臭いからって目を逸らさないで下さいよ!」
「駄目な所があったら言って下さいよ!」
《馬鹿やろ!俺は死んでんだぞ、んな事できっか!》
「親方より凄くなって見せますから!」
「誰にも負けない凄腕になって見せますから!」
《おい、お前等……》
「ずっと忘れませんから!」
「ずっと語り継いでいきますから!」
叫びながら二人はいつの間にか泣いていた。こうして何度も語りかけているのは、少しでも長くマッドと対面して居たいからだった。
そして、ランチの操縦席では、ルナマリアがハイネと会っていた。
「ハ、ハイネ…ごめんなさい…私のせいで…私のせいでハイネは……」
《ルナマリア、そんなに自分を責めるな。俺は大丈夫さ》
「でも……」
《お前、運命って信じるか?》
「え?」
唐突なハイネの言葉にルナマリアが言葉を詰まらす。
《俺は信じるぜ。こうなってしまったって事は、これが俺の運命だったって事なんだ。だから、俺は死んでしまっても全然悔しいだなんて思っていない》
「慰めてくれてるの……?」
《違う、これは俺の実感さ。運命は最初から決まっている。俺が死んだのも、お前が生きているのも、全ては最初から決まっていたことなんだ》
「駄目よハイネ…そんなんじゃ、誰も人生に希望を持てないわ……」
《運命が分かるんならな?しかしな、運命ってのは絶対に人間には分からない事なんだ。だから、先の運命が分からないからこそ、人生ってのは楽しいのさ。この先何が起こるんだろうって期待感と共にな》
「唯の楽観論よ……」
《それ位楽に生きろって命令だぜ、ルナマリア》
「ハイネ……」
ハイネの思いやりがルナマリアには暖かかった。こんな事になってしまったのにも関わらず、最後まで自分を心配してくれるハイネこそ真の隊長だと思った。
ふと、マッドがハイネの側にやって来た。
《ハイネ、呼んでるぜ?》
《ん…そうか、アイツが……それじゃあな、ルナマリア。お前はメイリンを守ってやれよ?》
「え…ちょ、ちょっと待って!」
《隊長命令は絶対だぜ!》
何処かへと流されていく二人。それを見送った後、通路に居るメイリンの顔を確認した。姉の突然の行動に、メイリンは呆気に取られていた。
「どうしたの、お姉ちゃん?」
(そっか…あたし、この子の為に頑張らなくちゃいけないんだ……)
何かを思い出したかのような妙な納得。考察から理解の過程を飛ばして結論に辿り着いたような感覚。しかし、それが自分の最も正しい生き方なんだろうとルナマリアは思う。
そうして、未だに光を放出し続けているΖガンダムを見つめた。
「くっ…うぅ……!」
Ζガンダムのコックピットの中で頭を抱えるカミーユ。先程からの頭痛がさらに増していた。内側から鈍器で殴られるような痛みが継続的にカミーユの精神を汚染し続ける。
サイコミュによる負担を軽減する効果のあるサイコフレームでも、これだけの力を解放するカミーユには殆ど意味を成さない。
しかし、カミーユは力を使うのを止めない。サイコフレームは、その想いを乗せて人々の心に希望を積もらせるだけである。
「まだだ……!あと少しだけ……!」
《もう止めて、カミーユ……》
「……」
頭の中に響いてきたのはフォウの声だった。解放され続けるカミーユの異常なニュータイプの力…否、それは既にニュータイプとかいう概念をも超越したものだったのかもしれない。
戦場で一人一人が見る夢のような幻、死者も生者も関係なく出会える不思議な現実は、全てカミーユが望む希望が起こしているものだった。
「大丈夫だフォウ……僕はまだ頑張れる……!」
《無理よ……!貴方の体はとっくに限界を超えているわ!》
「まだ、助けたい奴が残っているんだ…今ここでやめるわけには……!」
常識を遥かに超えたカミーユの巻き起こす"Ζ"の力…人々が蟠りをなくしていく中、彼だけは追い詰められていっていた。
カミーユの持つニュータイプとしての力は、確かに凄まじい物を持っている。しかし、普通の体しか持たないカミーユの精神は、そんな常軌を逸した力には耐えられないのだ。
しかし、そんな状態でもカミーユが力を使うのを止めないのは、一番気掛かりな男の存在が残っていたからだった。心残りを払拭しないまま力尽きるわけには行かない。
「アイツが…アイツが全てを終わらせるまでは……!」
《もう戻ってこれないかも知れないのに……》
「僕は…その為にこの世界に来たんだ……!」
《カミーユ……あたしも会えなくなってしまうかも知れない……》
「そんなこと……フォウは僕の中にずっと居続けるんだ……!会えなくなるなんて事は……!」
《カミーユ……!》
「だから…お願いだ、フォウ!僕と一緒に行ってくれ!」
弾ける様にΖガンダムから光が飛び散る。そして、それはある場所に向かって流されていった……
流されるデスティニー。先程まで残っていた左腕は肩の付け根の部分からごっそり無くなっていた。
あの後、ストライクフリーダムの頭部をカリドゥスの発射前に破壊したデスティニーは、最初のカリドゥスの一撃をかわしていた。
その次にシンはストライクフリーダムの機動力を奪う為に続けざまに背後に移動し、ストライクフリーダムのバーニアを破壊した。その時、バーニアの破壊の衝撃で反転したストライクフリーダムの二発目のカリドゥスが火を噴いたのだ。
シンは慌てて回避運動をデスティニーにとらせたが、カリドゥスの光はデスティニーの左腕と左側のバーニアスラスターを丸々消した。
その衝撃にデスティニーは吹き飛ばされ、デブリに衝突した時にシンは気を失ってしまった。これまで何とか耐えてきたシンであったが、ギリギリで繋いでいた意識の糸がぷっつりと切れてしまった。
(ここは…何処だろう……)
意識だけの世界で、シンは周りを見渡す。宇宙に放り出されたかと思ったが、星の輝きは見られない。ただ、暗黒が広がるだけである。
(もう…いいや……。何処だって構わないさ……)
諦めてシンは目を閉じる。
キラを倒して目的を果たし、疲れ果てたシンは考える事を止めた。そうやって時間の流れの中に身を委ね、自分が終わるまでそうしていようと思った。
《おい、起きろよ、シン!》
また何か聞こえる。
しかし、考えるのをやめたシンは聞かなかった事にした。目を開ける事も嫌になったシンにとって、今度こそ外からの干渉には関わらないと決めていた。
《起きろ、シン!隊長の俺の言う事だぞ!》
《シン、目を覚ませ》
呼ぶ声が増えた。
シンはそれでも無視を決め込む。誰であるかなど、考えたくも無かった。
《言う事を聞けよ!》
《シン、怠惰はお前の価値を下げるぞ》
《しょうがねぇエースだぜ、こいつぁ》
また増えた。
もう勘弁してくれ、とシンは思う。いい加減放っておいて欲しかった。
《…気付いちゃ居るはずなんだがなぁ》
《ったく、結局迷惑を俺たちに掛ける》
《笑っている場合ではない。こいつはまだやることが残っている》
《ここは俺に任せてもらうぞ。こういう時にする事、教えてもらってあるんだよ》
何勝手な事言ってやがる…とシンは思った。勝手に自分のところにやって来て、勝手に話を進めて、勝手に自分を起こそうとする。理不尽にも程がある、と思う。
全てをやり終えたわけなんだから、少しは自分を休ませてくれたって良いじゃないか、と頭の中で愚痴を零した。
《どうすんだよ?》
《こういう時、俺達の中で最も効率の良いやり方…お前なら分かるだろ?》
《成る程……そうだな、シンには一番効く薬だ》
《何だお前等?何嬉しそうな顔してやがんだ?》
…嫌な予感がする。以前に受けた記憶がシンの脳髄を駆け巡り、まだ何もされてないのに頬が痛み出した。
《へへっ、これだよ、これ!》
《おぉ、それか!面白そうじゃねぇか、俺にやらせろよ!》
《…殴りたいだけじゃないんですか?》
《ん…ばれたか?まぁ、でもよ、こういうの、骨の髄に染みるようでなきゃいけないと思うんだがなぁ……》
《いやいや、ここは隊長の俺に任せろって!》
来る……瞬間的にシンは覚悟した。そして、それを受けても我慢しようと思った。
《修・正ッ!》
鈍い、鈍すぎて逆に痛みが分からない程強烈なパンチが自分の頬にめり込んだのが分かる。
しかし、敢えて我慢する。
《……起きないな》
《あぁ、起きなねぇなぁ……》
多少消沈したような声を漏らす他二名。そんな流れる雰囲気に、シンは安堵した。
しかし、これで諦めてくれるだろうとタカを括った瞬間、驚愕の台詞が彼の耳に聞こえてきた。
《こりゃあ寧ろ起きてるな》
《ああ。起きてるな》
《その上でシカトかよ》
当たり前の結果である。殴られて目を覚まさなければ、それは起きているのと同じである。我慢しているのはバレバレであった。
《よっしゃ、今度は俺にやらせろ!こうなったら、こいつが起きるまで俺は殴るのを止めないぞ!》
今の声の主を思い浮かべる。…冗談ではない、シンの知る限り、その人物は最も加減を知らないであろう豪放な人物である。
先程の痛みだけでも相当なのに、これ以上は苦痛なだけだ。慌ててシンは体を起こす。
(待ってくれ!俺が、俺が悪かったから!)
必死になって謝る。尤も、理不尽なのは彼等の方だが、それでもこの状況は謝らなければならない状況だろう。
《お前が悪いんだぜ?そうやって何時までも寝てるから》
最初に目に入ったのはハイネだった。
《お前はまだ眠るわけには行かないのだ、シン》
右に振り向くと、レイが居た。
《強情張ってっから、そういう目に遭うんだよ》
左には笑っているマッドが居た。
(みんな、何だって俺のところに来たんだよ……?)
呆れたようにシンは言葉を漏らす。自分はもう休みたかった。だからずっと無視してたのに、それでも無理やり自分を起こそうとする彼等が意地悪に思えた。
しかし、本当に問題なのは既に死んでいるはずの男達が何故か自分に会いに来ていることだ。
(別に、あのまま放っておいてくれれば直ぐにみんなのところに会いに行けたのに……)
そうすればまたステラにも会える。それがシンの一番の望みだった。
《何言っちゃってんだよ?お前の仕事は、まだ終わったわけじゃないんだぜ》
(終わってない?)
《そう、それを伝える為にある子に頼まれた。お前を起こして欲しいとな》
《おい、お嬢ちゃん!起きたぞ、こっちに来な!》
マッドが振り返って手招きする。
(頼まれたって…誰に?)
《それはな…》
《お兄ちゃん……》
(……!?)
一生忘れる事の出来ない声。
目の前の三人の開けた道から、一人の少女がやって来る。その手には見覚えのある携帯電話が握られていた。
(マユ……)
《起きた、お兄ちゃん?》
(何で…マユ……)
《……》
俯いてマユは視線を外す。シンに悪い事をしたのではないかと気にしていた。
《いいんだぜ、言いたい事言ってもさ》
《遠慮する事は無い。こいつはタフだからな》
《そういう事だ、可愛い妹の言う事なんだ。兄貴のこいつが怒りゃしないって》
《あ、ありがとうございます、皆さん!》
シンを無視して口々にマユを慰める彼等に、マユは向き直って御礼をする。三人は笑顔でそれを眺めていた。
《これ……》
そう言ってマユが差し出したのはシンが持っているのと同じ携帯電話だった。
しかし、マユの手に置かれたそれは霞んでいて輪郭が定かではない。何か足りないというのだろうか。
(マユの携帯……)
《これね…お兄ちゃんが持っているせいで使えないの。だから、お兄ちゃんにこれをマユに返して欲しくて……》
(返すって…俺が持っている物をか……?)
《うん……》
シンは戸惑う。
家族を失ったあの日から、シンと家族を繋げていたのは唯一残ったマユの携帯電話だけである。それを手放す事はシンにとって完全な家族との別離を意味する。
シンはそれを手放すなんて事は考えられない。
しかし、マユには分かっていた。
シンが後生大事にマユの携帯電話を持ち続けるという事は、シンが家族の死を何処かで認めていないという事である。それはシンが死者に心を引っ張られているという事である。
それが心のしこりとして残っている限り、シンは変わっていく世界から取り残されてしまうだろう。マユはシンにそうなる事を望んでいない。
(でも…あれは俺とマユの思い出を繋ぐ物で……)
《お兄ちゃんは新しい世界で新しいお兄ちゃんで生きて……。きっとあの人もそれを望んでいると思うから……》
(あの人?)
《呼んでいるわ……。今も寂しく、お兄ちゃんが迎えに来てくれる事を願って一人で孤独に耐えてる……》
(それって……)
《お願いね、お兄ちゃん……?マユからの最後のお願い……》
マユの姿が薄くなっていく。
(マ…マユ……)
《物は無くても、心の中でマユとお兄ちゃんは繋がっているわ。だから、ここでお別れなんかじゃないの》
(そうか…マユも、父さんも母さんも……)
《じゃあね、お兄ちゃん……》
マユの体が完全に消え去る。
(マユ……)
《さてと…俺達も行くか!》
後ろでハイネが声を出す。
《そうだな》
《じゃあな、シスコンラッキースケベ!》
レイとマッドも続く。
(みんなも行っちゃうのか……?)
《当たり前だろ?俺達は、そうなったんだ》
《気にするな。お前は良くやった。俺の想像以上だ》
《だからって気を抜くんじゃねぇぞ?お前には最後の仕事が残ってんだからよ》
(最後の…仕事……)
《自分のする事、分かってんな?》
マッドが笑いかける。シンは頷いてそれに応えた。
《なら、いい》
《シン、すまなかったな》
(レイ……)
《俺がお前を利用しようとしていたのは事実だ。しかし、やはりお前はお前らしくしているのが一番だったようだな》
《そういう事だ、シン。お前、かっこよかったぜ!》
手を振る三人の姿も消えていく。シンは呆然とそれを眺めていた。
(皆…またいつかな……)
やがて消え去った後、シンは呟く。そして、残された闇の中でシンは一人だった。
それはとても寂しく、寒い。
急に温もりが欲しくなり、シンは顔を上に向けた。
デスティニーのコックピットの中でシンは目を覚ます。機能は未だに正常に作動している。デスティニーが頑丈なのか、それとも奇跡でも起こったのか分からないが、まだ動く事が出来る。
シンはバイザーの割れたメットを脱ぎ捨て、何かを捜す。
「これ……?」
ふと気がつくと、デスティニーの周りを粉のような緑色の光が微かに舞っていた。しかし、その光は直ぐに消え、辺りは再び何事も無かったかのように静まり返る。そんな状況に、シンは一瞬呆けてしまったが、即座に気を取り直し、辺りを探った。
「本当に生きてるってのか……?」
藁にも縋る気持ちでシンは捜す。しかし、そう簡単に見つかるものでもない。
《月の…引力に引かれて……》
「!?」
《地球を正面に…南西の方向に……》
「これ…誰かが俺に話しかけてる……」
《急がないと…時間が無い……》
「……!」
眉間に皺を寄せ、シンは急いで言われた方角に向かう。
誰の声かは大体分かっていた。それはファーストコンタクトを取ったのがシンだったからではなく、シンが何となく似ていたからだろう。
「あれか!」
バランスの崩れた機体の制御に四苦八苦しながら、シンは月面に放置されている戦闘機の姿を発見した。近付いて見ると、コックピットの中でノーマルスーツも着ていない少女が気を失っているのが確認できる。
シンは急いでメットの穴を補修して頭に被る。
「ステラァ!」
デスティニーのコックピットを飛び出し、コアスプレンダーのコックピットにメットを押し付けてシンが外からステラに呼びかける。
機器類を良く見ると、既に生命維持装置の残り時間がゼロになっていた。
ステラが僅かに呼吸をしているのが、微かに動く胸元で分かった。
シンは焦った。
ステラがノーマルスーツを着ていないとなると、コックピットから出すわけには行かない。となると、安心できる場所までコアスプレンダーをデスティニーで運ばなければならないのだが、デスティニーのマニピュレーターは既に無い。
八方塞である。
「どうすれば……!」
そんな時、メットの通信回線に何処かから繋がる音が聞こえた。
『聞こえ…か?こちらはゴンド…ナのイザー……ルだ』
「イザーク隊長……!」
『動け……なら回収に向……る。…し…待って…ろ』
ノイズが酷くて聞き取り辛かったが、どうやら迎えに来てくれるということは分かった。
すると、頭上から戦艦の陰がシンに覆い被さる。その中から一機のグフが飛び出してきた。正に助け舟である。
シンとステラはゴンドワナに収容された。
ステラがコアスプレンダーから出され、シンは急いでそこへ向かおうとする。しかし、戦闘で酷使した体は言う事を聞かず、無重力の中でシンは体をコントロール出来ない。
「無理をするなよ」
スッとディアッカがシンに自分の肩を貸す。
「連れてってやるよ、お前のお姫様の所にな?」
そう言ってディアッカはシンに一つウインクする。
「すみません……」
「いいって、……ほら!」
ステラが寝かされている所で降ろされる。
「ステラ……」
ステラはまるで人形のように眠っている。いや、本当に眠っているのかすら疑問に思えるほどその寝顔はうそ臭かった。
「おい、起きてくれよ、ステラ……!」
シンがステラを抱き起こして呼びかける。
ディアッカはそんな二人を遠目で見つめていた。
「で、結局どうなんだ、あれは?」
「……コアスプレンダーの酸素濃度は極端に低下していましたからね。どの位放置されていたかにも因ります。下手をすればあのまま目を覚まさないかもしれませんし、奇跡的に助かったとしても、酸素欠乏症で脳をやられている可能性は否定できません……」
「そっか……」
必死に呼び続けるシンがディアッカには痛々しく見え、耐え切れずにその場を離れた。
「回収は終わったのか?」
「ああ……」
ブリッジに上がったディアッカは振り向いたイザークに話しかけられる。
「どうした?浮かない顔をしているぞ」
「いや、何でもねえよ。それより、戦闘はどうなったんだ?」
「……我々の敗北だろう。メサイヤは沈黙し、デュランダル議長は行方不明だそうだ」
「そっか……結局またあいつらの勝ちって訳か……」
「この戦いに勝者など居るものか……」
「あぁ、そうだな……」
二人は艦橋の窓から月に突き刺さるようにしているメサイヤを見つめて物思いに耽る。
その頃、部屋のベッドに運ばれたステラにシンはまだ呼び続ける。
「ステラ…折角助かったのに、もう起きてくれないのか……?」
シンはステラの上に覆い被さる様に顔を埋める。
悔しくて涙が出た。
二人っきりの空間のはずなのに、自分しか居ないような気がした。目の前にステラは居るのに、その存在が不確かに見える。
「ステラ…俺、こんな日が来る事なんて考えて無かったよ……。そう、初めて会った時から、俺はステラに惹かれていたんだ……」
そう言ってシンはパイロットスーツのポケットの中からピンクの貝殻を取り出す。
「ほら、憶えているだろ、これ……?ステラと俺の約束の印だ、ステラを俺が守るっていう……」
シンは体を起こし、ピンクの貝殻をステラの手にそっと握らせ、訴えかける。
「だから…だからさ……目を…開けてくれよ……!ステラとの約束、破りたくないんだ……!」
再びシンはステラに顔を埋め、力の限り泣いた。
その悲しみを、シンは誰にぶつけていいか分からなかった。
ただ、ステラをこんな風にしてしまった自分をシンは許せなかった。
力をつけたつもりだった。しかし、それでもシンは守りたい人一人すら守れなかった。
やがて、泣きつかれたシンは黙ってステラに抱きついたままになった。
もう何も考えられない。
(ごめん、マユ、皆……俺、結局誰も助けられなかった……)
懺悔の様にシンは心の中で呟く。結果を恐れずにここまで戦ってきたつもりだったが、最後の最後でシンは後悔してしまった。
こうなるのだったら、ステラをミネルバに乗せるべきではなかったと思う。シンの存在がステラを頑張らせすぎてしまったのだ。その結果が今である。
シンはそんな現実に押し潰されそうになる。生きる気力を失おうとしていた。
悲しい筈なのに睡魔が襲う。いくら悲しみに暮れていようとも体は正直である。疲れ果てた体は休息を本能に求めたのだ。
シンは三度幻の世界に誘われた。
そこは先程の暗いだけの世界とは違った。確かに闇が広がってはいるが、星の輝きのようなものも見られる。とても幻想的で綺麗な世界だった。
直感的に、そこは自分の世界じゃない事をシンは悟る。
《なあ、カミーユ…あんたも俺と同じ気持ちだったのか?》
隣に居る男に話しかける。二人とも腰を下ろし、視線は同じ方向を向いていた。
シンが訊ねたのは以前にカミーユに聞かされたフォウとロザミィの事である。ステラがシンにとって彼女達と同じ存在に当る事は彼も理解していた。
《僕がこの世界に来たのは、お前に僕と同じ思いをさせない為だった》
シンは思う。きっと、このような美しい世界はカミーユの心の中の写し画なのだろうと。カミーユの声は、この幻の世界のように澄んでいた。
《でも、結局俺はあんたと同じになった……運命ってさ、変えられないんだよ、きっと》
苦笑する。涙が零れそうだったが、消えそうなカミーユの前では泣くまいと思った。今泣いてしまえば、カミーユは途端に消えてしまうような気がしたからだ。
《人間の力……》
《ん?ニュータイプの事か?》
《そうじゃない…もっと根本的なこと。シンはそんな力に頼らずとも切り開いていけるだけの力がある》
シンはもう一度苦笑する。自分はステラを守りきれなかった。現に、ステラはいくら呼びかけても一向に目を覚ます気配が無い。
《俺に力なんて無いさ。結局誰も守る事なんか出来なかった……》
《本当にそう思うか?》
カミーユの含みのある言い方にハッとしてシンは視線をカミーユに移した。
《お、思うさ。だって、ステラは……》
《ステラにはお前の声はちゃんと聞こえていたよ》
《嘘だ!なら、なんでステラは目を覚ましてくれないんだ!?どうしてカミーユにそんな事が分かる!?》
立ち上がって声を張る。興奮して顔が紅潮しているのが分かる。目から頬を伝うものが流れているのも分かった。
《僕がニュータイプだからさ》
《ニュータイプ……!》
《お前は、この世界の僕なんだろう。今ならそう思うことができる》
《カミーユ……》
《さあ、もう泣くのは止めて目を覚ませ。お前を捜している人が居るはずだ。お前に会いたいって……》
《え……?》
《僕の役目はこれで終わりだ。だから、さよならだな》
《さよならって…カミーユ!》
腕を掴もうと手を伸ばす。しかし、その前にシンの意識が覚醒していき、カミーユの腕を掴む直前で現実に引き戻された。
シンは無機質な機械音が鳴り響く中で目を覚ました。唯の夢だったのか、うつ伏せになったままで考える。夢現な頭ではハッキリとした事が思い浮かばない。
しかし、カミーユはこれまで不思議な事を何度も起こしてきた。先程の夢もその中の一つと考えれば、理解は出来なくても納得は出来る。
ぼやける頭でそんな事を考えていた時、ふと誰かの手がシンの頭を撫でた。
「……!?」
「シン……」
まだ夢の中なのかと思った。急に意識がハッキリとし、思わずシンは慌てて体を起こした。
「きゃぅっ!?」
「……!」
驚いてステラは反射的に手を引っ込める。
シンの目の前には優しく微笑むステラが居た。本当に現実なのかどうかは体の痛みが証明してくれている。紛れもない現実だった。
「シン、変な顔」
ステラは涙と苦痛で歪むシンの顔を見て笑った。
「ステラ…本当に大丈夫なんだな、ステラ……!」
「どうしたの、シン?ステラはシンの言葉、聞こえてたよ。シンはステラを守ってくれるって約束してくれたもの」
「あぁ…ステラァ……!」
思わずシンはステラに抱きついた。
体中が痛みで警告を与えていたが、シンはそれを無視した。そんな体の痛みよりも、今はステラを抱きしめられる事の方が重要だったからだ。
「シン…ちょっと痛い……」
「ステラ…ステラ……!」
シンが力いっぱい抱きしめてきたので、ステラは苦笑いを浮かべた。しかし、子供のように泣きながら抱きついてくるシンを、ステラは何故か嬉しく思えた。
そのまま、シンはステラと再開を喜び合っていた……
「……っ!」
ミネルバから脱出したランチから、ルナマリアが飛び出してくる。先程から動かないウェイブライダーが心配になったのだ。不思議な光はまだ微かに残っている。
ルナマリアがウェイブライダーに取り付き、コックピットを拳で叩いてカミーユを呼ぶ。
「カミーユ!どうしたの、カミーユ!」
しかし、返事はない。
念の為にメットをコックピットに押し付けてみる。すると、中からカミーユの声が聞こえてきた。
『ぁ…大きな星が、点いたり消えたりしている……あはは、大きい……!』
「え……?」
『彗星かな?…いや、違う、違うな。彗星はもっと"ばぁー"って動くもんな!』
「こ…これって……どういう事……?カミーユ……」
ルナマリアは思わずウェイブライダーから離れてしまう。
その中に居る人物は既に抜け殻だった。
『暑っ苦しいなぁ、ここ。…ぅん……出られないのかな?』
離れてもカミーユの声は聞こえた。一度キャッチした電波は少し離れても簡単に切れたりはしない。
『おぉーい!出してくださいよ、ねぇ?』
「こんな事って……そんな……」
ランチからもルナマリアがΖガンダムから離れるのが見えた。その様子に疑問を持ったメイリンがルナマリアに呼びかける。
『どうしたの、お姉ちゃん?カミーユ、大丈夫なの?』
「メ…メイリン……」
諦めたような声でルナマリアはランチに戻ってくる。
『あっ、お姉ちゃん!』
「え……?」
しかしその時、Ζガンダムに再び異変が起こった。今まで放出されままだった光が、今度はまるで逆流するようにΖガンダムに集まってくる。
やがてΖガンダムの姿が光に包まれて見えなくなっていった。
《迎えに来たわ、カミーユ……》
誰かの声が響く。カミーユはその声が誰のものか知っていた。
そして……
ファ…僕は帰る……全てを忘れて君の下へ……
「……?」
ステラの無事を喜んでいるシン。そこへカミーユの声が聞こえたような気がした。
しかし、その声は今までよりも小さく、弱く、そして、少しだけ喜びが含まれていた。
やっと、君に会える……
「カミーユ……?」
シンは鈍くなった体でステラから離れ、辺りを見回した。
その様子にステラはキョトンとした表情でシンを眺める。
「どうしたの、シン?」
「いや…カミーユが……」
不意に届いた声…それは今までのように何かを伝える声ではなかった。
全てを終わらせた男の、自分と似たシンだけに届いた最後の声だった……
戦闘の光は、サイコフレームの光と共に消えていった。最初に停戦を呼びかけたのは、オーブ・連合軍の方からだった。そして、対するザフトもそれに応え、戦いは終わった。
最後に見せたΖガンダムの奇跡は、人々の心を繋ぐ光だった。
人々はお互いを許し、相互に理解を得ようと歩み寄る。そして、ナチュラルとコーディネイターの垣根は少し低くなった。
シンは、いつか自分とステラの様にナチュラル、コーディネイターの関係無しに想いを寄せ合える時代が来るのではないかと予感した。そして、その時代を呼ぶのはこれからの自分達の仕事だろうと自覚する。
「さようなら…カミーユ……」
シンは一言呟いた。
Kamille In C.E.73 Fin
GJ! マサカ最後に精神崩壊するとはw
お疲れ様でした!
す、すげえ……
完結乙です!
うおおおおおおっ!
完結乙!
そしてめっさGJ!
GJ!
ヤベェ、ヤベェよ兄貴・・・弱い涙しか出てこねェ―!!
カミーユ In C.E. 73 ◆x/lz6TqR1w氏に敬礼!
GJ!長い間、お疲れ様でした!
「Love Letter」が止まりません!
リアルタイムで読んだ!も〜時間を忘れるほど読み入ったよ。
お疲れ様でした!!
初リアルタイムGJ
最後の最後で、大どんでん返しが待ってましたねw
こうして、カミーユはCE世界での記憶を無くして精神崩壊状態のまま元の世界に戻りそしてZZが始まると・・・。
壮大なストーリーをありがとうです!
GJ! GJ! GJ!
そしてZZへ…か…
ありがとう。ただひたすらに礼を言いたい。
カミーユに、シンに、x/lz6TqR1w氏に、ありがとう。
精神崩壊ワロタwwwwwwwww
結局新訳のカミーユまではいかなかったかw
GOD JOB!!!
お疲れ様です!!!
>『俺と……に死んでくれないか、……マリア……?』
矢さ車さんかよw
GJ! そして長編完結乙!
まさかZZの続きにこうして繋げるとは……
戦場の人の心が繋がるシーンは感動でした
職人さん、本当にお疲れ様でした
初代スレでここでの執筆を勧めたオレだが
まさかここまですばらしいのを書いてくださるとは…
お疲れ様でした 感動しました
GJ!
お疲れ様でした!
757 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 00:09:46 ID:bIUnJ6bc
お疲れ様でした。
シンとステラの終わり方、とても良かったです。
職人さん、最高のストーリーを、ありがとう!
GJ!と言いたい、言いたいが…
奴を廃人同様に追い込む
それだけの価値が、果たして種世界にあるのか!?
お疲れ様でした
でも最後スーパー大回転な気が・・・
俺達の旅はこれから(ry
でも全体を通してすごい面白かったです。感謝
あえて後日談というかファイナルプラスというかエピローグを描かないんですな?
読んでみたいけどそれは各自の心ごとにって訳ですか……これもひとつのGJ!!
GJ! GJ! GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
感動の嵐ぃ!!!!!!!!!!!!
まさか、こういう形で完結するとは思いもしませんでした。
本当に今までお疲れ様でした、カミーユ In C.E. 73 ◆x/lz6TqR1w氏
あ、そうそう。 カミーユの・・・・・・・
>《さあ、もう泣くのは止めて目を覚ませ。お前を捜している人が居るはずだ。お前に会いたいって……》
ここの台詞、Z二期OPの「水の星に愛を込めて」からもじったりしませんでした?
いや、この歌にも良く似た台詞が入ってるもんでしてw
ぎゃざーすたぁぁぁぁぁぁぁぁぁむ!(つдT )
連載お疲れ様でした
毎回楽しみに読ませていただきました
カミーユの見せた奇跡、人の思い、命の輝きでCEが良い世界になっていくんだろうなぁ
カミーユのシンへの言葉がZの後期OPの歌詞で、とてもしっくりきました
そして最後にこの言葉を
GOOD JOB!
GJ!
お疲れ様でした!
GJでした
最後のカミーユのNT能力は神でした
崩壊は残念でしたけど
何でだろう、もう枯れ果てたはずの涙が止まらないや。
最後は戦場から全世界に希望を見せたなカミーユ
もうラストはニュータイプではなくギャザースタイムだ
キラが負けたのは本質的には一人だったからなんだろうな。シンはレイと一緒に戦ってた訳だし。
そしてカミーユは結局限界を迎えてしまったのか。
アムロ以上の事をアレだけ続けた訳だからしょうがないんだろうけど。
何時か傷が癒えるだろうカミーユに幸あれ。
そしてCEの連中も幸せに。……ムゥはきっとアウルとスティングに説教されただろうな。
……ところで、さ。Zには結局サイコフレーム積まれたままだよな?
それでUCに戻ったという事は、もしかして……。
>>758 逆に考えるんだ「これぐらいやんなきゃこのシリーズは救えねぇよ」
と考えるんだ
SSでゾクゾクさせられたのは久し振りだわ
もうGJとしか言いようがない
完結お疲れ様です・・GJでした。
何気に完結したSSって少ない中で
本当にお疲れ様でした。
belive in a sign of Ζ
心の中にこのフレーズが……
今までお疲れ様でした!
カミーユのラストの力ってある意味イデ発動クラスだな
戦いは結局泥沼で勝敗なんてつかなかったが…でも、こういう終わり方を持ってくるか!
まさかこういう流れでZラストへ持っていくとは…
何はともあれ、カミーユは最後の最後でやってくれた…GJ!
そしてこの後はオマエたちの仕事だ!シンGJ!
そしてこんな面白いものを読ませてくれたx/lz6TqR1w氏!GJ!GJ!GJ!GJ!!
ついに・・・ついに・・・終わってしまったのか・・・(涙)
お疲れ様でした!
お疲れ様ッス
GJでしたっ!!!
名作を有難うございます!
初めてニュータイプが全ての人々の心を繋いだ感じがしたな
凄くいいラストだった
一応後書みたいなもの。
元々スパロボ的妄想から書き始めた趣味のSSだったんですけど、こうして投下でき、楽しんでもらえたのは奇跡のようなものだと思います。
最終的に読み終わったあと、少しだけセンチな気分になってもらえれば大成功だと思います。
最後のカミーユのその後は、自分的には新・旧約のどちらでもいいと思います。自分のSSの中のカミーユはファに会いたがっていたんで、帰った瞬間に元気になるかもw
ファイナルプラス的なものは…シンとカガリの和解はちょっとやってみたいかもしれません。
色々気を遣ってもらったり、納得いかない場面も多々あったと思いますが、とにかくありがとうございました。
そして、願わくば雨トークの持ち込み企画に土田のΖガンダム芸人が選ばれん事を……!
おー、GJ!
ここで何かを語るのはもはや無粋だというのは百も承知なんですが…
それでもハイネ達が死んだのに、アスランやキラクスに救いがあるってのがなんかむかつく
生きるべきものたちが死んで、罪を受けるものたちが救われて生きるのはなぁ
そういう問題じゃないとはわかっていても、これ結局はオーブ(ひいてはラクシズ)の一人勝ちだし
どんな名作にも引けを取らないSSになったな!
GJ!
GJでした!
いいSSだった。感動した!
祝・完結!!!
ここまで纏めきるとは…!
まさに、まさにGod Jobでした。
特にキラとフレイのシーンは、こっちの方が全然自然に見える!
GJっす!!
マジ感動っす!!自分がみてきたガンダムの中で1番かも
GJでした
もう終ったと思うと名残惜しいです…
もしよければカミーユが見せた希望によってその後の種世界や
UCに帰ったカミーユの後日談が読みたいです
このラストは新訳のカミーユが精神世界からゆっくり戻ってくるとこに繋がってるんだよ
プハーと言って動いたという言葉に繋がる
なんか無性にカミーユの声を聞きたくなった・・・
ガンダムvsZガンダムをカミーユinZでプレイしてくる
作者◆x/lz6TqR1w氏に青き水の星より乙をこめて
しかしこの後最後まで険悪だったルナマリアと凸の再会イベがあるかなぁと思うとFINAL PLUSがあったら決別ENDかなぁと思ったりする。
>>784 禿同。
っていうか、
>>768も言ってたが、サイコフレーム持ち込んでるけど……?
まあ、想像するに留めて置きましょうか。
>>778 あんたはカミーユと同じで俺たちに奇跡を見せてくれたよ
ありがとう
>>789 あれだこの世界でのカミーユとΖそのものが
実体のある思念体だったくらいにしとけばいいんじゃね
>>790 同意
このスレの住人の想いを一つに繋いでくれたよカミーユ氏は
やっぱりトールはキラの前には現れなかったな
GJ!
もう最後まで完結してくれただけで、涙が出ます。
シンは救われたと思うし、カミーユも人の可能性が見れて、本当に良かった。
良い物読ませていただいて、ありがとうございました。
>>794 もう少し速く言ってやれよ
俺ですら存在忘れてたw
てかカミーユが全ての人々に希望をみせてたから
描かれてないとこでトールもでてるよ
正しくGJだが、これで完結かと思うと寂しいのぅ
あーー!もう一人思い出した…
ミーアはどこいったのかな
カミーユ版月光蝶乙でした
>>796 まぁ順当に考えてムリヤリヤの所に現れたのかも知れんね
スティングやアウルが来るかと思ったが、このSSじゃ影薄かったしなぁ
後日談か、新たなる良作を期待するとしましょう。
また一つ・・・名作SSが終わったのか・・・(涙)
カミーユ In C.E. 73 ◆x/lz6TqR1w氏、また別のSSを書いて俺達を感動させてください!!
お疲れ様
久し振りにガンダム系のssで鳥肌がたったよ
アスランは最後までビビリでした。
カミーユの存在がトラウマになったか?
カミーユの話がまた読みたいな
やっべ…アフメドくんも忘れてたな
カツやエマやサラも出て欲しかった…
Zのラストで流れた『水の星に愛を込めて』が聴こえてくる・・・
ヤバイ、涙が止まらない。
◆x/lz6TqR1w氏に敬礼!!
ヤザンも・・・
まぁ・・・ラクシズの扱いについては賛否両論あるけど
彼らを裁くのはカガリの役目・・・だよな?任せても大丈夫だよな?
つーか、エイブスごっつカッコイイよ!
なんでムゥのヘタレが生きててエイブスの親っさんが死んでしまうんだ!
ハイネ以上にこっちの方が俺は許せないかな?
そして、最後に大変なものを託されたアーサー!
決して語られることは無いと思うが、ガンガレ!!
すんげぇよかったです。
ヴェスティージ聞きながら見て物凄く感動しました。
本当にありがとうございます
それよりさ
次スレってどうする?
反省会で一応立てる?
>>813 もしかしたらファイナルPULUSあるかもしれないから一応立てておこうぜ。
種世界の全ての人間がカミーユの光を見たのに
また人々はそれを忘れて争いが起こる
それを見てシンが隕石を落とす流れだな
続きは
違う書き手もいるだろうが馬鹿
>>816 そうだったゴメン
新たな作者さん頑張って
この話をTVで流せばよかったのに福田のばか
作者さんは作家めざしなよ
あんたならできるって
>>819 他人に無責任なことをすすめてはいけないし
もっといろんな本を読んだほうがいい
>>815 いや、隕石落としそうなのはアスランだろw
そんでシンに阻止される。
作者さんお疲れ様でした。また充電できたら是非とも新しいのよろしくです。
旧Ζのカミーユは絶望のふちに連れて行かれて帰ってこれなくなったんだけど、
ここのカミーユはみんなのために向こうへ自ら踏み込んでいったんだな。
そうやって救われた人の中に一人だけ、自らを省みないヤツがいる。
他の連中が多かれ少なかれ、自分を見直す機会を得たのに比べて、
ソイツだけは自分を見失う一方だった。
今はソイツがこれから後、どうやって生きていくのかが気になる。
しかしカミーユはこの世界でΖの世界でも自己犠牲ばっかだったな…
なんかNTすぎるとやっぱ哀しいことだなと改めて想った
「花が吹き飛ばされても、新しい花を植え続けるよ」
この台詞を聞いた後のカミーユのリアクションが見たかったぜw
>>823 まあそれがカミーユだからね
NTのキリスト的受難という表現はぴったりだ
アスラン劣化レコアにして劣化シロッコだったな・・
>>824 殴りそうだなww殴ってもしょうがない台詞だが
GJ!完結して嬉しいけど、終わりってのは寂しいね
MS金縛りがなかったのが残念
x/lz6TqR1w氏
言葉が覆いつかないから簡単に言わせて貰うぜ。
完結お疲れ様。
そして、いい話をありがとう。
Good Job
シン、カミーユが教え、残したものを忘れるなよ・・・
未来を作るのはお前だ!
GJ!GJ!GJ!
みんな救われたんだね…。
死人に引っ張られることと、死人を忘れないことは違うのだと思えた。ナタルの叱責がマリューにはこれ以上なく有り難いものだったろう。
それと、憎悪に包まれた戦場の最後に、中盤の暖かい雰囲気を思い出せた。修正ネタをここに持ってくるとは!
で、アスラン…死ななくてよかったと思ってるのは自分だけだろうか。是非とも彼には生き直してほしい。
いい人が先に死んじまってヤな奴が生き残るってのは、人間は多少なりともマシになって死ぬべきだからなんだろーか、とふと思った。こういう救いの見えるラストだから考えられることなんだろうけどさ。
とりとめのない感想で失礼。なんか色々胸がいっぱいなもので。
最後に、作者さんありがとう、お疲れ様! ええもん読ませていただきました!
>>831 同意。
x/lz6TqR1w氏、再充電できたのなら、またこの後編SSor新作SSの製作ををよろしくお願いします。
あれ変だな目から汗が……
>778
最後までエクセレントGJ!脳内で
「めぐりあい宇宙」と
「水の星に愛を込めて」が流れた…
素晴らしいSSを
どうもありがとうございました!
とうとう完結しちゃったか…カミーユ氏GJです
GJ! GJ!! GJ!!!
>>835 >>785が言ったみたいに
TV版ラストのカミーユ精神崩壊→CE→新訳シロッコ撃破後のほうがそれっぽいと思うが、、、
第一話ですでにカミーユのメット割れてるし
>>838 新訳でもバイザーは割れてるよ
俺も785説を取りたい
一度シロッコの怨念で崩壊したけどシンとの出会いが
新訳のラストの戻ってくるに繋がるに
GJ!本当に楽しませてもらった!
841 :
835:2006/12/08(金) 02:45:17 ID:???
新訳は受けとめ方変えて壊れずにすんだ
TV版は壊れてしまったけど種世界にきてまた違うことを学習して
ファのもとへ帰るという感じかね
どっちにしてもΖΖは消滅するわけやね
ジュドーはリィナをいい学校にやれたんだろうか?
ジュドーはMSを盗もうとして当然ながら兵士に射殺されました。
リィナなその後良い養父母の元に引き取られ幸せになりました。
しかし、ジュドーがいないとイデオン撃退や太陽系外への移民、ターンタイプ発生などのフラグが立たない罠。
長谷川は富野が絡んだ無印クロボン以外は同人誌以下
849 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 04:25:07 ID:8f06AthT
と言っても非公式を公式扱いされても
お前が空気読めば
ZZは糞だからイラネ
カミーユ In C.E. 73 ◆x/lz6TqR1w氏がスレ住人の心に感動を与えてくれても
住人はまたささいなことで排他・叩きを繰り返す……、
そらシャアも絶望するわな
こんなクズどもの為にせっせと執筆うpしてたのかと気付いただろう
作者氏の心中は察して余りあるな。
今重要な事に気が付いた
カミーユのノーマルスーツってザフトの赤仕様じゃねーのか?
wiki登録失敗
続きは他の人タノム
てかageてるZZ厨は荒らしだろ
ユニコーンスレとかで暴れてる例のヤツだよ
スルーしとけ
>>854 制服が赤福なだけで
ノーマルスーツはそのままだったはず
書き貯めて一気に投下するのが正解だな。
>>858 長谷川自体が公式じゃないとは毎回言ってるけど
これが公式とかあれが非公式とかやめようぜ
GJです
コーディネーターやナチュラルということで地球でいがみ合ってる人々にも
Zの希望の光が届いてるようなので
全ての人たちが繋がれるような世界になったんだなと思えました
本当に凄い小説でした
作者さんお疲れ様でした
またよければ後日談とかのショートストーリーでも書いてください
ここの住人も種世界を馬鹿に出来ないな
少しの刺激で荒れたり、視野が狭かったり、確かに彼らを馬鹿には出来ないな。自分も含めて。
もうちょっと心を広く、視野を広く持とうじゃないか。行き過ぎた信者がどういうものか、全てを他人のせいにする人間がどういうものか、作者さんも描いてくれてたんだしさ。
>>860 V外伝はV放映時の連動企画で、監督やプロデューサーと打ち合わせた上で
本編中にウッソが自由になれる時間を確保してエピソードを入れた
公式U.C.年表もクロボンが公式化する前からダンデライオン事件が載ってる
GJ!!
やべぇ、ステラ生存信じてて良かった!
インパルスのドッキング部分が壊れて分解したとか
あくまでも爆発したのは”インパルス”で
”コアスプレンダー”については描写がなかったからそこに微かな希望を持っていたんだ!
レイ、ハイネ、マッドに呼ばれても起きようとしなかったシンへの3人の対応がまたイイ!
そして、マユがくるとは思わなんだ
とりあえず、このキラは「吹き飛ばされたらまた植える」は言わない気がする
今北産業!!
やっべー!カミーユ氏GJ!GJ!GJ!GJ!GJ!
読んでて涙が出てきた!!まさか種死の話で泣くとは思わなかったw
ハイネが最後まで良い役もらってて嬉しかった!!後日談みたいのも読んでみたい!
カミーユ、種世界じゃ最後まで女気が無かったな。
自分はラストあたりにCCAのアクシズが押し戻されているシーンの曲(アクシズだっけ?)が流れてきたように思えたよ
まさにBEYOND THE TIME
カミーユ In C.E. 73 ◆x/lz6TqR1w氏 GJ&お疲れ様でした。
最高です! 初めてここで読んだ作品がこんなにすばらしいとは・・・
言葉になりません!
時代考証だの設定だのをいまさらごちゃごちゃいって雰囲気壊すなよ。
すでにカミーユが種の世界に来ただけでありえない話なんだからさ〜
GJ これでいいじゃないか。
GJ!泣けたまじで泣けた…
やっぱり凸はルナからすれば苦しみながら死ねってことだし生きてても恥晒しにしかならん気がする。
そこらへんも含めた本作版ファイナル+もやはり読んでみたいと…
いかんねどうも堪え性がなくて…
次は新訳カミーユ In C.E. 73?
875 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/08(金) 16:46:38 ID:JSAshA6a
うわぁ…
つまんねぇwwwwwwwwwwwwwwwうぇwwwwwwwww
つまんないの我慢して読んだのか
ご苦労なこったな
俺は面白かったよ
人生楽しんだ者勝ちだ
カミーユ氏完結おつかれさまでした。
色々ありましたが、無事完走はほんと難しいことだと思います
今はペンを置いてひと時の休憩に身をゆだねてくださいませ
ほかの職人さんも完走目指してがんばって下さい
まあ時間潰しにはなったわ
不幸な
もっと前を向いて生きてみろ
世の中好き嫌いが多いほどつまらなくなっていくんだから
嫌いな事に時間をかけず人生を愉しめ
もしくは一部でも興味を持ってそこから楽しみを増やしていけ
スルー汁。
所詮は、構ってチャンだ。
オナニーがありありと見えるな・・・
気持ち悪すぎて最後まで読めないぜ
たまにはオナニーやヘイト以外の言葉を使って批判してみようぜ?出来るならの話だけど
はいはいわろすわろす
明らかに必然性のない部分が多いけどな
それいったらZ本編にもいえるし、ご都合主義でもいいんじゃねえの?
反応するなと言いたい
暁のドラBRで打ち落としてたけどあれって今日みたら
あれもヤタがかかってるからBRきかないのよねん
接合部や銃口の内側までメッキしてなかったんだろ
「一度しかない人生 嫌いな物があるってことは単純に損なんだよ」
>>889 すばらしい言葉です
きっと立派な人生を歩んでいるネラーなんですねw
GJです
カミーユの最高NTっぷりに感動です
GJです。◆x/lz6TqR1w氏、お疲れ様でした!
893 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/09(土) 22:49:11 ID:zKrRE3p3
緊急浮上
報告を。ページのアクセスログから察するに3000人くらい読んでるかもね。
カミーユ氏の最終話が約40時間で7000超えてる・・・
すごいw
シン「やっつけてやる」
キラ「わぁぁぁ」
アスラン「ダメぇ」
大作が終わったので、種とZについて
語ろうか。
カミーユがもしZじゃなくCE製の機体に
乗るなら、やっぱムラサメかね?それとも
セイバーか?
カミーユが一番合う機体はイデオンかエンジェルハイロウじゃないか
NT能力最強が生きる生きる
カミーユにはビルバインだろ
最強の聖戦士になるよ
どれもこれもハイパー化すると
とんでもないことになりそうなのばかりだな
いや、ハイパーエンジェルハイロウとかハイパーイデオンはやばすぎるだろう。
カミーユにはサイコフレーム機でも充分やばいよ…
NT能力の塊みたいなヤツだから
でも自滅も早そうNT能力が高まりすぎて
つかカミーユは精神的なブレが大きいから
エンジェルハイロゥもイデオンもオーラバトラーもやばいだろ
超常現象ではGガン除けば一番凄い能力見せそうだなカミーユは
インパルスみたいな換装系の機体ってどうなんだろう?
とりあえず種の機体はあんまり合わないんじゃないか
脳波でコントロールするとかのが得意だろうし
あえて言うなら天帝とかじゃないか
ドラのモード切替(1世代・2世代からコントロールを選べる)が付けられるなら伝説もアリか。
UCだと候補がありすぎるからアナザー系からチョイスしてみっか。
ちなみに今オージェ系(HM)のスロウランサーがサイコミュ制御可能だったら…とか思ってしまったのは秘密だ。
カミーユはNTというかスパロボでいうサイコドライバー
Gガンダムとかの機体は似合いそうだけどな
空手とハイパー化で
ライトセイバーもたしてカミーユはジェダイの騎士かシスにしたら凄そう
アナキンよりミディクロリアン指数は高そうだし
それだと換装系のヒュッケMk.Vあたりか。あれはバックパックにT-LINKマルチトレースミサイル積んでたから遠隔操作武器はそれでいい、と。
SRX系は他のパイロットとのT−LINKシステムのバランスが取れないようなキガス。
>>910 アナキンとは別の意味で不安定だから、ジェダイにするとしたらルークが再興した方のジェダイ騎士団だろうな。
あっちは何気に元シスからの転向組とかいたりするし何より年齢制限が無い。
カミーユとアナキンは設定とかキャラが似てるな
ルーカスがパクッタのか?
>>911 カミーユは遠隔操作系というか脳波とかオーラで超常現象を起すって感じだからな
>>913 アナキンの性格はシンの方が似てるキガス
大事なものを守るために力を求めるところとか、家族を失ってるところとか、他人の意見で考えがブレ易いとか、力に溺れ易いところとか。
まあ能力は足りんし、天才型じゃなくて努力型だけどな。
>>915 シン自体がカミーユがモデルつうのもあるんじゃないかね
カミーユもアナキンも女に引っ張られるとかとかは似てる
オビワンやクワトロに反発するとこも
アナキンもTVカミーユも
強すぎる力の暴走で堕ちたり、崩壊したりする
力だけ拡大させたら破滅に向かうという例でもあるからね
カミーユの場合は悲劇や哀しみが力を肥大化させたという感じだが
カミーユが最初から種世界に存在して、Ζ本編っぽい経緯でMSに乗る様になるんなら、
結局種世界の技術でΖっぽい機体を開発しちゃうんじゃないかな?
この数年後シンがサザンクロスという国を興しKINGと呼ばれる事になろうとは誰が予測し得ただろうか?
ユリアをどっから攫ってくるんだ?
凸「いや、俺もあの時はどうかしてたんだよ。だからハイネを殺して・・・」
シン・ルナマリア「いっぺん死んで来い!」
二文字合うからルナマリアで。ただしケンシロウが取り戻しに来ない。
923 :
◆XdXnStWCJQ :2006/12/11(月) 23:52:37 ID:I/XQwNAv
書いては消しての毎日に疲れました……
安西先生、収拾がどうしても付きません。
ケンならいるじゃないか、ほら、あのケチャップじゃないほうの色黒の…
でも隠者にリフター撃たれて死んだんだっけ?
>>923 いっその事、永遠に隕石がぶつかってラクシズアボン……
駄目か、負債なみのご都合主事になっってしまう。
>>925 エターナルにミーティアがぶつかってラクシズアボン?
そうか、凸かキラが特攻するんだな?
>>923 おお、お久しぶりです
投下が無いからどうしたのかと思ってましたよ
キラ「くそっしょうがねえな。」
>>923 お久しぶりです、お元気でしたか?
焦らずゆったりとどうぞ。
いざとなったら詰まったところに立ち返って改訂されたらどうでしょうか。
CE世界にカミーユではなくシロッコが来てたら、
ラクスを利用するだろうか?
>>932 ラクスとカガリ、どちらをかつぐにせよCE世界があまりにも狂ってるんで、
案外名指導者として名を残すんじゃないだろうか>シロッコ
シロッコが種世界にきたら
カツが種世界にきたら
むしろシンがZ世界に来たらで
>>938 0083スレで投下されてたけどいつの間にかいなくなった。
理由は判らんけど…まあ、推測できるがw
確かΖ本編を香港までトレースした所で今のところ終わってる。
ルナとファが、カミーユを巡ってケンカする話を読みたい。
ウォンさんがミネルバに突如現れて艦内の風紀をビシビシ正していく話が見たいぜ。
シロッコ in C.E
『プロローグ』
==========
私は死んだ筈だった。
そう、ジ・オのバイオセンサーを乗っ取られるという、ニュータイプとして完全敗北を喫したのだが――
「えー、貴方の名前は?」
「パプティマス=シロッコです」
――何故か今、面接を受けている。
==========
==========
目醒めた時、私は図書館にいた。
余りの驚愕に、頬をつねったり、慌てふためくという自分らしくない行動をしてしまったのは秘密にしておきたい。
暫く経って頭が冷静さを取り戻した頃、私は新聞を手に取った。
情勢把握には新聞が最も適切なメディアだったからである。
「な、なんだこれは!」
不覚にも大声を出してしまい、周囲の目線が私を突き刺した。
咳払いを一つし、再び新聞に目を遣る――
――見間違いでは無かった。
平行世界というものの存在を認めざるを得ない情報が、誌面に躍っていたのだ。
「……どうする?」
現状把握は済んだので、とりあえず持ち物を確認した。
ポケットの中にあった履歴書が唯一の所持物で、そこには私の知らない私の事実が明刻に記してあり、それが一層、平行世界を私に確信づけさせた。
金品類は一切なし。
服装は黒いシャツに、くたびれたジーンズというラフな格好。
髪止めは無く、前髪が目の前にちらつき、苛立ちを誘う。
――絶体絶命である――
決して、服装がどうだの、前髪がどうだのと文句は言わないが、金が無いのは致命的だった。
過去の栄光は潰え、今日の食事もままならぬ状況なのだ。
しかし、逆を謂えば、煩わしい過去も全て消失したのだ。
「私は終わってはいなかった……ククク」
思わず笑みが溢れた。
女学生が私を見て『キモい』という聞き慣れぬ単語を言っていたので、辞書を引いてみた。
少し泣いた。
――つづく……かも
>少し泣いた。
イキロ!!
>>941 ミネルバ以上にAAの綱紀を粛正してもらいたい
>少し泣いた
全島田キャラが泣いた
GJ!
>>945 ウォンサンはDQNをしつけるのは得意だろうが電波に付き合うのはこの上なく苦手な人なように思う。
平行世界の同一存在という奴か。
記憶の齟齬を履歴書持ってたって事でとりあえず片付けるとはなかなかやる。
> 少し泣いた。
カワイソス
>少し泣いた。
ユダ様も泣いている。
パプティマス様マンセーの俺にとっては超GJだぜ
951 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 00:07:16 ID:AH7ofYCm
すいません上げてしまった('A`)
スイカバーに突き刺されてきますOTL
おおぅ、シロッコが主役か!!
政治・MS開発・NT・パイロットの全てが高レベルな御人だからなぁ
何処の陣営に付くのかワクテカして待ってるぜ!
第01話『新生活』
==========
そして現在、士官学校の試験を受けている。
今更労働者になるなどプライドが許さなかったし、
それ以外に食う方法を知らなかったからだ。
幸か不幸か、この世界の情勢は不安定らしく、そこら中に
『貴方の若さ、必要です
――ザフト軍』
というポスターが貼ってあったので、直ぐ様応募した訳だ。
「筆記は優秀、体力も問題なし。年齢が気になる所だが、それを差し引いても優秀だ。
よろしい!アカデミーの入学を認めましょう」
「ありがとうございます」
この歳にして学生――何とも滑稽である。
入学式まで日雇いのアルバイトという屈辱的な方法で身を立て、遂に私は新しい生活に身を投じた。
「諸君の力が、プラントの未来を……」
入学式での、評議会議長殿の祝辞が耳に障るのは何故だろうか?
「ねぇねぇ、あの人……」
「何でオジサンが……」
赤い髪の女学生たちの視線が痛いのは何故だろうか?
貴様らの顔は覚えたぞ。覚悟しておけ。
==========
==========
寮に持ち込む荷物はごく僅かだった。
私は余った時間をアカデミーの図書室での読書に使っていた。
早く情勢を頭に叩き込んでおかねば、変人のレッテルを張られかねないからだ。
「……フリーダム、ジャスティスの二機が一騎当千の活躍を……
ええい!主観の入った情報などゴミクズだ!
客観的な情報は無いのか!」
ついつい大声を出してしまい、私の学生生活は『図書室の変人』という通り名から始まってしまうのだった。
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ルームメイトは私に気を使っていた。
「シロッコさんは、何処のプラント出身で?」
敬語を使わんでもいい、と言ったにも関わらず、彼は敬語を使い続けていたのだ。
「私はアプリリウス出身だ」
履歴書の内容は頭に叩き込んでいた。
「良いとこの人なんですねぇ」
「この間、道路舗装のアルバイトをしていたが」
これが良くないのだろう。
しかし、どうしても皮肉が口をついて出てしまうのが私の性癖なのだ。
「……は、はぁ。それはどうも……」
そら見たことか!
それから、ルームメイトは一層気を使うようになった。
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教官のシゴキは酷いものだった。
私とて体力には些か自信があったが、そんな自信は脆くも崩れ去った。
「こらぁぁ!シロッコォ!貴様それでも試験に通ったのか!」
――うるさい、俗物め――
言ってやりたいが、学生の分際はわきまえねばならぬ。
「申し訳……ありません……」
「オッサンはオッサンか!?根性見せろ!」
「……プッ」
今笑った黒髪の小僧、許さんぞ。
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MSシュミレーションは私の独断場だった。
周囲がヨチヨチ歩きをしているにも関わらず、私は颯爽どバーニアを吹かして旋回していたのだから。
MSの操縦は、私の世界と相違無かったのだ。
「あ、あいつ……何者だ!?」
「……っていうか、何でMSの操縦いきなり出来るの?」
いきなりでは無いのだよ!いきなりでは!
貴様らヒヨッコには想像もつかんような修羅場を幾度と無く、くぐり抜けてきたこのパプティマス=シロッコの美技に酔いしれるがいい!
「シロッコォ、貴様ァ!誰がそんな事を命令したか!腕立て100回!」
「申し訳ありません」
調子に乗るとは私らしくも無いな……。
「プッ」
黒髪の小僧ぉぉぉ!
――つづく
GJ!
なんつーか、その、いい感じだwwwwww
この調子でガンガレ
GJ!!
>『貴方の若さ、必要です
――ザフト軍』
バロスww
シンw
パプテマス様……酸素欠乏症にかかって……
髪止めが無いから本来の魅力が
出ないんだよ!!………多分
つかあの輪っかなんなんだろな。
シロッコが一気に親しみやすいキャラに見えてきたw
やべえ、シロッコ様最高だww
パプテマス様wwwwww
シンwwおまwww
このシロッコがSDの方のシロッコにしか見えないwwwwww
トロッコに乗ったシロッコwwwww
………つーか黒髪の小僧ってもしかして…………シ(ry
もしかしなくてもそうだろうな。
シロッコはとてもいいひと
ある意味ZZのヤザンに通じるところがあるな
シリアスな流れにするよりこのまま突っ走ってほしい
スレタイには反するがGJ!
このまま突き進んで欲しい!!
しかしやっぱ年齢問題はキツイわな。
次スレはスレタイを変更したほうがよいのだろうか?
EX.Zキャラが種・種死世界にきたら
とか…まあ、980あたりにまかせる
まぁその方がいいかもね。
にしてもパプティマス様に惚れそうだwww
第02話『日常』
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入学式から3ヶ月が経とうとしていた。
苦手な部類に入る体力も向上し、教官に怒鳴られる回数は日ごとに減っていった。
そんな中、『図書室の変人』であった私に変化があった。
「パプティマス様ぁ〜。この問題、教えてくれませんかぁ?」
「ああ、これは着弾座標を求める問題でポイントは……」
女学生が私を慕ってくることである。
筆記の方では他を寄せ付けぬ成績を奮っていた私の元には、
数多くの質問が舞い込んでくるようになったのだ。
男子学生の質問には、
『この程度、自力でやるんだな』
と棄却したが、女学生には弱かった。
私は骨の髄までフェミニストなのだろう。
そんな私を慕ってか、一部の女学生たちは私を『様』付けで呼んで来るのだった。
しかし、弊害もある。
それは男子学生たちの嫉妬である。
『いけ好かないオッサン』、『紫ジジイ』といった謂われの無い陰口を叩かれるようになったのだ。
彼等に言いたい。
『女には弱いんだよぉぉぉ!』
と。
しかし、クールでシニカルな自分を曲げてまで言うことは出来なかった。
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「おい、オッサン」
「何だ、小僧」
最近、黒髪の小僧、シン・アスカと衝突する機会が増えた。
大抵のことならば受け流す性質の私だが、彼には失笑された恨みがあるので引き下がりはしなかった。
「いい気になるなよな」
「はて、いい気とは何か?シン・アスカ君」
「そういう態度がいい気だって言ってるんだよ!」
「生の感情をさらけ出す子供の言うことなど理解出来んな。
せめてその足りない脳味噌で発言を考えてから来い」
「こいつ!」
「何をやっとるかぁ!二人とも腹筋だ!」
「「いーち、にぃーい、さーん」」
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「……」
「……」
「……」
「……」
「……君とは友人になれそうだ」
「レイだ。よろしく」
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「あの、射撃のことで……」
入学式の時に私を好奇な目で見てきた片割れが質問に来たのだ。
『煩いメスブタ』
「では、射撃場に行こうか」
心の声は反映されなかった。
私はつくづく女に弱い。
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学校といえども給料が出るのがアカデミーの利点である。
私はいい加減前髪サラサラに嫌気が差したので、街に髪止めを買いに出た。
何処で耳にしたのか、後ろに5人の女学生が取り巻きと化していた。
「これかわいい〜」
「パプティマス様、『かちゅーしゃ』が似合う(はぁと」
絶望だ……それから私は『かちゅーしゃ』の着用を強要されるのであった。
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「落ちろカトンボ!」
『うわぁぁぁ!』
シュミレーションといえども、撃墜の恐怖は存在する。
今日も私の敵側の学生がシュミレーターポッドから悲鳴を上げていた。
「ど、どうやったらそんなに上手くやれるんですか!?」
来た!皮肉は駄目だ、皮肉は駄目だと自分に言い聞かせる。
男子学生とも上手くやっていかねば、学生生活に支障が出るからだ。
「装甲越しに、敵の気配を感じるのだ」
率直なアドバイスを告げた。
シニカルな自分を曲げてまで発言したことに、自分を誉めたい気分にすらなった。
何故か一層、男子学生たちとの対立は深まった。
――つづく
GJ!
紫ジジイw
パプテマス様いいわ
GJ!!
なんだが…パプテマス様…相手はOTなんだからそんな事言われてもわからんですよ
紫ジジイワラタwww
なまじ偉そうなだけに(偉かったんだが)苦労してるなぁw
早速wikiに登録したが、どうもwiki本体の調子悪いっぽい。
続きは後日
なぜだ、パプテマスが猫耳かちゅーしゃと髭眼鏡をつけたイメージに固定されたぞ
ヤバイ、某スレの最低なキラ様に次ぐステキキャラに出会えたwwwwwwww
パプティマス様ァーー
わっか!わっか!
これはwwwww
まさにGJ!!!
シロッコのファンになってしまいましたよw
>「装甲越しに、敵の気配を感じるのだ」
いや、無理だからwww
この世界の人間には不可能です。
あー、でもWWII中のエースパイロットも「死角から敵が来たらどうするのか」って問いに
「気配を感じるんだ」って答えてたりするな。
なんでもオカルトではなく、視野の隅で何かが動くのにリアクションできるように訓練しておけ、
という意味らしい。人間の視野って結構広いし。
>>980次スレよろ。できなかったら言ってくれ。
985 :
てんぷれ〜:2006/12/14(木) 10:05:36 ID:???
超GJ
本編でキラクシズ大嫌いかつアスラン好きだった俺は
このSSでまじでアスラン氏ねと思ったよ
連中が氏ぬ展開期待してたけどやっぱりラストは感動ものだった
987 :
986:2006/12/14(木) 10:41:45 ID:???
カミーユのほうの話ね
あのSSのアスランは一人損な役回りだったなキャラが多くなって 作者が持てあましてたように思えた。
シロッコの話
自分がその他の男子生徒だったら、シロッコの印象
「いけ好かない奴」から「あぶない奴」に変わりそう・・・
シロッコはやっぱザクに乗るのか?(ジ・オカラーの)
それともカオス?
>>974 大人げあるんだかないんだか分からんシロッコ
がマジでイイ!!
GJ!!
シンはアカデミーでどうだったか描写が少ないので、なんとも言えないが
シロッコの事を笑ってられるほど余裕はなさそうだと思うのだが・・・
一方で、強いライバル意識は持つだろうけどね
「フリーダムを倒すのはこの俺だ!!」とか言って
新スレが出来たことだし埋めますか
ume
パプティマス・シロッコか
シロッコさん
某所のコーヒー事件と言い、シロッコ様はどうしてこうもネタ方面に走りやすいのか。
1000ならシロッコがトロッコに乗る
1001 :
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