もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら5

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29398 ◆TSElPlu4zM

 軍港に停泊中のヴェサリウスのブリッジでは、モビルスーツ隊を中心とした、ミーティングが行われていた。
 クルーゼは、全員の前に立ち厳しい表情ながらも、淡々とした口調で話していた。

「作戦の概要は把握したな。要はラクス・クライン嬢の弔い合戦だ。国民も我々が勝つ事を望んでいる。負けられない戦いだ。分かるな?」
「は!」

 全員が気合が入った声で返事をすると、クルーゼはマスクの下で微笑み、言葉を続ける。

「それでは、我々がどう動くかだが、隊を二手に分ける。イザークはアスランと合流してガモフに移り、敵艦隊を衛星軌道上で叩け。ディアッカとニコルは私と共に地球軍月本部に強襲を掛ける」
「えっ!?」

 ニコルが思わず驚いたような声を上げると、クルーゼは冷笑を湛えながら言う。

「どうしたニコル?作戦に不満があるのか、それともアスランの事が心配か?」
「あ……いいえ」
「ニコル、怖くなったのか?」
「……違いますよ、ディアッカ!」

 ニコルは、クルーゼに図星を衝かれ、不味いと思ったのか濁しながらも返事をすると、ディアッカが冷やかす。
 イザークはニコルの様子がおかしい事に疑問を持ち、厳しい目を向ける。

「ニコル、アスランが心配なのか?」
「イザークまで……」

 ニコルの表情は冴えた物では無く、明らかにアスランを心配しているように見えた。
 イザークはイラつくように表情をすると、一歩前に出て、クルーゼに告げた。

「隊長、私が月へ向かいます。ニコルがあれでは、作戦が失敗してしまいます!」
「しかしな……。正確には機体の特性で配置を決めたのだ。乗り換えをする事になるが、いいか?」

 クルーゼは渋い表情をすると、イザークに聞き返した。
 イザークはニコルを見ると、反論は許さんと言わんばかりの強い口調で言う。

「……ニコル、貴様の機体を使わせて貰うぞ。いいな!」
「イザーク……!」
「俺の機体を壊すなよ」
「はい!ありがとうございます!」
「決まったようだな。各員の奮起に期待する!準備を急げ!」

 ニコル嬉しそうに答えると、クルーゼは苦笑を漏らしつつも全員に激を飛ばした。
 プラント、そしてザフト軍の報復のシナリオが、今、静かに幕を開けようとしていた。