純文調の二次とか嫌だろ
「シン・アスカ、コヤスプレンダア、一寸行って参ります。」
そう言い置ひて私はカタパルトを出ました。
碧濃き青森湾の地上で
私は故里の海べりにたち込めて居た朝霧のやうなものを見たように思ひました。
はつとしてまなこをば凝らしましたものの、其れは白ひ白ひ硝煙なのでございました。
私にはかへってどこか遠い絵空事のやうにも思われたのです。
チエストフライヤアとレツグフライヤアが鷹匠の声を聞きつけた従順な鷹のやふに
軽々と風に乗って参りました。
私は鷹匠の吹く呼子の笛の替はりにパネルを黙々と弾きました。
幾度も訓練を積んだ末に真新しい手袋が滑るのか、少々手元の狂ふ心地がして
私はちつと舌を打ちました。
しまつたな、唾でもかけておけば良かったと思ひながらもやうやう仕事を終え、
私は目の前まで遣って来ようとするチエストフライヤアとレツグフライヤアに
あらためて目を注ぎました。
どうした事でせう。
嗚呼、あれは油の匂ひばかりする機械じゃあないぞ。私は思ひました。
嗚呼、女の子です。小うさぎのやうな柔らかい女の子です。
私がよくよく見やうと目を凝らしましたらば、嗚呼、確かに呼ぶのです。
お兄さん、お兄さんと鈴の音のようにマユが呼びます。
燃える林です。あの恐ろしい日の硝煙臭い赤い林の道です。
赤いマユが走って参ります。
嗚呼、違います、紅葉の丘だ。沈む夕日が彼女の頬のうぶ毛を美しく光らせているのだ。
さうして赤く見えるのだ。お兄さん、お兄さん、とマユはころころ笑います。
マユ、マユ、私はここだと呼びかけやうとしたところが私は我に帰りました。
誰だかが強奪したと言ふセカンドシリイズの姿が
嘘のやうにはつきりと目のまえにございました。
「又、戦争がしたいのか。あんたたちは。」
毎回合体で精一杯だよこれ。