「巻きますか?巻きませんか?」5巻き目だよ

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914通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 12:04:44 ID:???
薔薇水晶「なつの、ばか」
915通常の名無しさんの3倍:2007/09/11(火) 22:41:15 ID:???
hosyu ぬるぽ
916通常の名無しさんの3倍:2007/09/11(火) 23:13:43 ID:???
>>915
点呼代わりにガッ
917通常の名無しさんの3倍:2007/09/12(水) 00:05:46 ID:???
もうこのスレも終わりだな。
よくもった方だと言うべきか。
918通常の名無しさんの3倍:2007/09/12(水) 00:30:52 ID:???
>>917
では終わる前になんとなく、以前書きためたものを投下させて頂きます。
とりあえず4レス分ですがよろしくお願い致します。
919プロローグ:ミネルバにて 1/4:2007/09/12(水) 00:32:09 ID:???
ザフト所属運用試験艦ミネルバ
その専用MSドックでシン=アスカはエイブス整備班長と立ち話をしていた。
「シン、すまんな。コアスプレンダーとの接続の最終調整に手間取って」
幸い最終調整に手間取ったおかげでミネルバでのメンテナンスを行う必要ができた。
そのせいで他の3機より先にミネルバに運び込めたので悪いことばかりではないなとシンは思っていた。
「エイブス班長のせいじゃないっすよ。あれの面倒見るのは俺の仕事っすから。
 班長こそ式典当日まで調整作業なんて大変ですね。」
「式典に出る訳じゃないしな、それにこれが俺の仕事だからな」とにやりと笑う。
「あれ?、そういえばヴィーノとヨウラン達の姿は見えないっすけど」
今日の作業中、同じ試験艦に配属された士官学校で同期だったお調子者二人の姿が見えなかった。
「あいつらシフトじゃないからってんで逃げやがった。
 さぼって式典見物って魂胆らしい。あとでお灸を据えてやらんといかんな」
「じゃ、じゃあ、おれ、一旦部屋に戻ってから、少し出てきますんで」
とばっちりを受ける前に退散するためにシンは話を打ち切ろうとした。
「おう、式典、派手らしいから見てきたらどうだ。テスト航海に出たらここには戻ってこないんだしな」
「いや、いいっすよ。面倒くさいし」
そんな言葉とは裏腹に残りの時間、式典に浮かれる町中をぶらつくのも悪くないなとシンは考えはじめていた。

シンは自室に戻り、念のためメールチェックをしていると新着の中にあきらかに怪しいメールを見かける。
本文を覗いて、妙なことが書かれているリンクをなぞる。
「“巻きますか”、“巻きませんか”……なんだこりゃ」
ちょうど『巻きますか』の上をマウスでなぞっていた。
「シン!」
ポンと後ろから肩をたたかれ、その声に振り向くシン。
シンは気がつかなかったが偶然“巻きますか”をクリックしてしまい、そしてそのメールは消滅した。
「なんだよ、メイリンかよ。今、待機中じゃないのか?」
そこにはザフトの緑の軍服を着たメイリンがシンをのぞき込むように立っていた。
「ブッブ〜!待機はこれからですよ〜だ!
 せっかくの自由行動だったからシンのこと探してたのにどっこにもいないんだもん」
「ルナとでもいっしょにいればよかっただろう」
「お姉ちゃんはレイと二人でザクの移動の手伝いにいったから。
 私だけでぶらぶらしてもつまんないし、それにせっかくだから……」
後ろの方を消え入りそうに口ごもるメイリン。
「……で、シンは今まで何してたのよ」
と、メイリンは話をそらすようにシンに問いかけた。
「さっきまでインパルスの最終調整の手伝い」
「なんでそんなこと手伝ってんのよ。そんなのヴィーノ達の仕事でしょう」
「コアスプレンダーとの結合部分とかの調整もあったからな。
 そういうのっていうのは整備班がコアスプレンダー操作するより、テストパイロットの俺が操作
 したほうが早く済むんだよ」
「ふ〜ん」ちょっと納得がいっていないメイリン。
「それより、人が端末見ているときに肩たたくなよ、妙なメールみてたんだから。
 妙なもん入ってる添付ファイルとか実行しちまったら大変だろう?」
「あ、ごめん、大丈夫だった?」
「まったく……」
さっきの怪しいメールを確認するために画面に視線を戻したシン。
「あ〜れぇ?」
見ていたはずの本文がない……
920プロローグ:ミネルバにて 2/4:2007/09/12(水) 00:33:20 ID:???
シンはメール一覧をスクロールして改めてさっきのメールを探す。見あたらない……
「どうしたの?」
他人のメールを見ても悪いのでシンの横顔をのぞき込むメイリン。
「さっきのジャンクらしいメールがない」
「ほんと?」
「……マジ」
「ちょっとどいて、シン!」
メイリンはすばやくシンを押しのけて端末の前に座る。
そして目にもとまらぬ早さでキーボードを操作して送受信ログやサービスを確認する。
「特になんにも怪しそうなのは出てないみたいだから大丈夫だと思うけど……」
しばらく操作して不審な点がなさそうなのを確認すると念のため、端末のウィルススキャンを始める。
「まったく、勘弁してよね〜」
艦の備品で安物の椅子をギシリと言わせて背伸びをするメイリン。
「はいはいって、……元はといえばメイリンが悪いんだろうが」
「ぶ〜〜!」
さっきまでの“できるハッカー”メイリンの姿はいずこへ。
彼女は子供のようなふくれっ面になった。

椅子を回転させてシンの方に振り向いた拍子にメイリンは見たことのないアンティークなトランクを
シンの部屋の中に発見した。
「シン、あんな渋い趣味のトランク、持ってたっけ。
 ……もしかして誰かからのプレゼント?」
さっそくメイリンのチェックが入る。
「いいや、知らねえよ。今さっきメイリンがきたときに持ってきたんじゃないのかよ」
担ぐのはやめろよ、とばかりに否定するシン。
「違うよ、こんな重そうなものもってこれないよ〜」
シンは興味本位でなんとなくその少し古びているが上品な作りをしている革製の鞄を開けてみた。
鞄の中には真っ赤なドレスの全長80cmほどの非常に精巧な人形があたかも眠っているような姿で
横たわっていた。
その非常に精巧に作られたビスクドールらしい人形は白い肌の上に真っ赤な上品そうなドレスを
身につけており、ヘッドドレスに覆われたブロンドのツヤのある長い髪はツインテールに結われていた。
その手のことに素人である二人にもとても高級そうなことぐらいは簡単に想像ができる代物であった。
「へ〜、シンって、こんな趣味あったんだ〜、知らなかったぁ」
横から覗いていたメイリンがにやにやとシンをのぞき込む。
「ねえーよ!、だから知らない荷物だって!」
「ほんとっかな〜」
「ほんとに知らねえーったら!」
年頃の女の子だからだろうか、メイリンは興味津々といった風で鞄の中のビスクドールらしい人形を
調べまくる。
「これ、ネジかな?……これ巻いたらなんか動くとか……」
 ――そういえば、メールに“巻く”とか“巻かない”とか書いてあったかな?
とちょっとうろ覚えなシン
 ――ま、いっか。
背中にネジ穴らしきところを見つけてネジを差し込むメイリン。
「大丈夫かな……」
「そう思うなら、やめとけよ」
言葉とは裏腹にひとしきりネジを巻くメイリン。
ネジを抜くと人形が急にビクッと体を起こした。
921プロローグ:ミネルバにて 3/4:2007/09/12(水) 00:34:30 ID:???
「うわっ!」
「キャっ!」
びっくりして少し後ずさる二人。
人形は立ち上がり、目を開けると座り込んでいる二人の方を見つめて言葉を発した。
「私のねじを巻いたのはあなた達かしら?」
青い澄んだ瞳が二人を射抜くように見つめていた。
「えっと、ねじを巻いたのはメイリンだろう!」
「で、でも鞄を開けたのはシンだよね、ここはシンの部屋だし」
「名前は、シンとメイリンでよろしいのかしら?」
「ああ、俺はシン=アスカ、こっちのはメイリン=ホーク」
「なんで私まで……」
「ところでいったいあんたは何ものなんだよ」

「私?……私は真紅。ローゼンメイデン第5ドールの真紅よ」

その綺麗で優雅そうな雰囲気の人形はその小さな体に尊大な雰囲気を漂わせつつ自らの名前を
そう告げた。
「そうじゃなくて!なんで人形が生きてるみたいに動いてしゃべってるんだよ!」
何か会話がかみ合っていない二人?
「別に人形だからといって自分で動かない、生きていない、と決めつけてかかるのはよくない
ことだわ。
 実際、私は動いているのだし。
 それにものには全て魂が宿るものなのだわ」
「そういうことじゃなくって!」
その“真紅”と名乗った人形は真っ赤になって怒鳴るシンをやり過ごす。
そして彼の隣にまだへたり込んでいたメイリンに命令口調で話しかけた。
「ねえ、あなた、さっき名前はメイリンといったかしら」
「ハヒ!?」
「メイリン、のどが渇いたわ。紅茶を入れてきて頂戴」
「あ、ハイ!」
真紅に命令されたメイリンは飛び上がり(たしか休憩室の自販機に紅茶があったよね)と
思いつつあわてて走っていった。

「ねえ、シン、……ところでここはどこなのかしらね?」
真紅は二人きりになるとシンにそう質問した。
「ザフト所属の試験艦ミネルバ、その俺の部屋さ」
「ザフト?ミネルバ?」
「プラントのコロニー、軍事工廠アーモリーワンの宇宙軍港の中だ」
「プラント?宇宙?」
「そうさ、そんなことも知らないのかよ」
シンはニヤニヤとチェシャ猫のような表情に変わった。
自分の身長の半分もない人形に尊大に構えられて非常にむかついていたシンはやっと優位に
たてた気がした。
「まず、ザフトとはなんなのかしら?あなた達の所属している組織の名前ようだけど……」
「こんなガキにでもわかる常識的なことも知らないのかよ〜」
「ええ、とても長い間眠りについていて、この時代ではたった今目覚めたばかりなのだわ」
「へ〜」
シンは意地悪坊主がいじめのネタを見つけたようなニタついた表情を浮かべる。
922プロローグ:ミネルバにて 4/4:2007/09/12(水) 00:35:49 ID:???
そしてすぐに何かいいまかそうとシンが口を開きかけたちょうどそのとき、
軽く肩で息をしながら紙コップを大事そうに抱えたメイリンが戻ってきた。
「シン、真紅さんは目が覚めたばっかりできっとここらへんのことわからないんだと思うよ。
 だからそんな言い方しなくても」
真紅はメイリンから受け取った紙コップの紅茶に両手で抱えてひとくち口を付けると表情を
ゆがめた。
「メイリン…これ、本当に紅茶なの?ここまで口に合わない味の紅茶は初めてなのだわ」
「ごめんなさい。自動販売機の紅茶くらいしか思いつかなかったものだから…」
「これは”紅茶”を名乗るのもおこがましい味だわ」
「なんだったら後で探してくるけど。
 ……でも私これからブリッジの待機シフトに入らなくちゃいけないので時間がないから、
 真紅さん、ごめんなさい!」
「メイリン、こんな奴のいうこといちいちきくこと無いぜ」
「ならしかたがないわ。今はこれでがまんするのだわ。
 ……ところでメイリンはこれから仕事なのね?」
「ええ、これからブリッジで待機任務なの」
腕時計で時間を確認するメイリン。

「メイリンは軍人なのね?」
どこから出したのか緋毛氈の上に座り、紙コップの紅茶を飲みながらメイリンへ話しかける真紅。
「あ、うん、シンもね。シンは最新鋭機のテストパイロット」
「すごいのね」
軽くため息をつき、さも感心したように真紅がつぶやいた。
「いやー、それほどじゃないけどな」
相手が訳のわからない人形でも褒められてうれしくないわけはない。
少し照れながらシンは真紅に謙遜して見せた。
「だってシンにも動かせるのでしょう?その最新鋭機ってよっぽどすごいのね」
「この人形野郎!」
 ――とことん気にくわない人形野郎だ!
「レディに野郎はないのだわ」
真紅はまったくシンの方を見ない、横顔のままでシンに抗議した
「じゃあ、そろそろいかないと。
 ……真紅さん、また後でね。シン、真紅さんと仲良くするのよ」
「へいへい」
「シン、返事がよくないわ。ハイは1回なのだわ」
「は〜い」

そうしてメイリンがシンの部屋を出て行く。
すると後にはいかにもまずそうに紅茶を飲む真紅と、その性悪人形のせいでとっても不機嫌なシンの
二人が取り残された。
「やれやれ」
こいつをどうあつかえばいいんだよと心の中で愚痴るシン。
「ねえ、シン。もっとこの時代のことを教えてちょうだい」
「……はいはい、おおせのままに」
「さっきもいったでしょう、ハイは1回なのだわ」
「はいよ」
ふと、シンは今はもういない妹とのじゃれ合いを思い出していた。
そして既にこの性格の悪そうな人形になんとなく逆らえないような気もしてきているシンだった。
923通常の名無しさんの3倍:2007/09/12(水) 00:36:54 ID:???
以上です。
924通常の名無しさんの3倍:2007/09/12(水) 00:46:09 ID:???
>>923
グッジョョョョブゥゥゥ!このスレは終わらん!まだ終わらんさ!
925通常の名無しさんの3倍:2007/09/12(水) 01:05:58 ID:???
>>923
GJ!あんたはこのスレのメシアだ!
やっぱりシンはいいようにあしらわれてるなw
926通常の名無しさんの3倍:2007/09/13(木) 16:14:18 ID:???
GJ!捨てたもんじゃないなこのスレは。
927通常の名無しさんの3倍:2007/09/13(木) 17:20:57 ID:???
こんにちは。
実は917=600です。
「ラクスと水銀燈」が途中なのですが、以前書いて寝かしていたものを投下させていただきました。

今後、オリジナルのドールとSEEDキャラの組み合わせでこれを続けてもよろしいでしょうか?
(とりあえず書いてあるところまでですが)
928通常の名無しさんの3倍:2007/09/13(木) 18:48:13 ID:???
>>927
オリジナルは『組み合わせ』に係るんだよな?
それなら問題ない、いつでも投下を待ってるぞ!
929通常の名無しさんの3倍:2007/09/16(日) 22:33:30 ID:???
♪スジャータ♪スジャータ♪香り爽やか〜♪
コーヒーにスジャータ。
スジャータが一時をお知らせします。

ポーン

♪♪♪(あのテーマ曲)

水銀燈「水銀燈の今宵もアンニュ〜イ。
     はぁい今晩は。今週もやって参りました水銀燈の今宵もアンニュ〜イ…。
     うふふ、すっかり涼しくなりましたねぇーもうコオロギや鈴虫がそこらで泣いてますものねぇ。
     日もだんだん短くなってぇ、残暑も徐々に収まりつつあるようよぉ。
     さて今夜のゲストは、ザフト軍のエースパイロットにして超人気アーティストのハイネ・ヴェステンフルスさんです!
     先日発表されました新曲はアーケードゲーム「戦国BASARA X」の主題歌だそうです。
     ゲームセンターで聞ける日が楽しみですねぇー。
     それでは今晩も一時間お付き合いください水銀燈の今宵もアンニュイ、今週の推薦曲まずはこの曲からです、ラクス・クラインでFeild of hope」


♪♪♪あな〜たの〜 ゆ〜めを み〜て〜た〜♪♪♪

シン「なんていうか、ノリノリだな…」
真紅「こんな水銀燈はイヤなのだわ…」
930通常の名無しさんの3倍:2007/09/18(火) 21:53:02 ID:???
原作の再開はまだかね?
931通常の名無しさんの3倍:2007/09/19(水) 13:07:53 ID:???
現実を見ろ
あれで完結だ
932通常の名無しさんの3倍:2007/09/21(金) 21:30:40 ID:???
ガチのMS戦闘もの書いてみようかと思ったけど難しいもんだな。
933通常の名無しさんの3倍:2007/09/21(金) 21:33:31 ID:sXy0naiv
まきひとは元気だろうか?
934通常の名無しさんの3倍:2007/09/22(土) 19:58:25 ID:???
何か総合女難スレでもローゼンが流行り出したみたいだな。
あっちはシン&水銀燈コンビでなんかほのぼの時々殴り愛をしていた。
935通常の名無しさんの3倍:2007/09/25(火) 00:01:50 ID:???
今晩は。
すみません、>>919-922に投下させていただいた600ですが、話の間がスコンと抜けていたので穴埋めをしていたら遅くなりました。
(まだ穴埋め中)

3レスほど投下させていただきます。
よろしくお願いします。
カガリ=ユラ=アスハオーブ代表は極秘裏にザフト最高評議会議長に対して会談を求めた。
閲兵式のためにアーモリーワンに訪れるデュランダル議長にお忍びでの会見が実現し、彼女は護衛一人だけを
連れてオーブからここ、アーモリーワンまであがってきたのだった。

そしてアーモリーワンのある庁舎の一室で大使を連れてデュランダルとの会談に臨んだ。
「…我が方の大使の伝えるところではだいぶ複雑な案件のご相談、ということですが…」
「私にはそう複雑とも思えぬのだがな。
 だが、未だにこの案件に対する貴国の明確なご返答が得られない、ということはやはり複雑な問題なのか?
 我が国は再三再四、かのオーブ戦の折に流出した我が国の技術と人的資源のそちらでの軍事利用を即時やめて
 いただきたいと申し入れている」
非常に微妙な問題を何の配慮も遠慮もなしに切り出すカガリ。
前大戦で流出した難民、特に技術者の軍事利用の停止と返還を迫った。
その流出した技術者による兵器開発に対して懸念と疑念も露わにする。
対するデュランダル議長は彼らの”自由意志”を盾に難民の返還を拒む。
また、技術流出についても技術が彼らの生活の糧であることを強調した。
プラントの軍備拡張については防衛のためといなされる。
まるでデュランダル議長に歯が立たないカガリ。

そしてそれでも閲兵式の時間も近づき、会場へ向かうデュランダル。
その移動の時間もカガリはけなげに彼に食い下がった。
「だが、強すぎる力はまた、争いを呼ぶ!」
彼女が信じる理念を議長へぶつけるカガリ。
「いいえ、姫。争いがなくならぬから力が必要なのです」
二人は力の象徴たる兵器の納められている格納庫の建ち並ぶ中を護衛達と歩きながらそんな会話をしていた。

今、オーブ軍の主力は2年前の大戦の時に当時、閑職に就いていて補給や避難活動に従事していたか、カガリと
共に宇宙にあがった元々カガリに近い所にいたグループかMSパイロットがほとんどである。
特に二年前の戦闘で全滅に近かった海軍と陸軍では人材不足の傾向が著しく、アマノミハシラから借りてきた戦力以外は
ほとんどがアスハ、というよりはカガリにより引き上げてもらったと思っているか、彼女の近しい者達で構成される。
カガリの見えないところで彼ら軍部は軍備の増強を再三にわたり国に迫り、アスハを恐れるかカガリを甘やかす者達が
それを『彼女の周りが言っていることだから』と容認する。
その結果、侵略しないはずのオーブが今や巨大空母を有し、装備面だけを取れば有数の軍事大国といっていい存在となっている。
その軍部を掌握しているとされる彼女がプラントの代表に軍備の縮小を迫る。
そんな矛盾を彼女は気がついていない。
彼女に親しい者達の声を聞き、彼女のシンパに賛同される。
そんな彼女の周りにいる者達の声こそオーブのすべての声を代表していると固く信じているカガリ。
ただし、もし、彼女が国内の軍事力を公に否定すれば軍部に奉戴されているカガリ自身がオーブ代表ではいられないのだが、
今の彼女にそれをわかる道理はまったくなかった。

“アスハ代表”の護衛として彼女についてきていたアスラン。
彼は二人の会話を聞きながらデュランダル議長とカガリとの政治家としてのキャリアの差を感じさせられていた。
 ――情熱だけで詰め寄ってもいなされるだけだろう、カガリ。
ただのカガリ=ユラ=アスハ護衛の“アレックス=ディノ”が彼女に代わってデュランダル議長と交渉するわけ
にはいかない。
しかしアスランが政治家として老練に見える議長に対抗できるかどうかはわからないことは確かだが。
しかし彼女よりはましだったであろう。
 ――カガリ、がんばれよ。
今は心の中で声援を送るしかできないアスランであった。
アーモリーワンの町中、久しぶりの町は彼女にとってすべてが物珍しく見えていた。

ステラ=ルーシェは店先の“楽しいもの達”に目移りしながら足取りも軽く寄り道を心の底から楽しんでいた。
「なんなんだよ、アレ?」
少し前を浮かれて歩いているステラをさめた目でみているアウル=ニーダ。
彼は相棒のスティング=オークレーに声をかけた。
「浮かれている馬鹿のふり、じゃないの?」
作戦遂行に特に問題はなければスティングは別にステラを注意する気はさらさらなかった。
「おまえも馬鹿のふり、やってみたら?」
スティングの眼はアウルにその方が注意を引かなくていいだろう? とでもいいたげだった。
「遠慮しておく」
 ――クールな僕に馬鹿の真似をさせるつもりかよ。
自分でクールな性格のつもりでいるアウルは心の中でそう毒づいた。
二人が会話をやめてステラの方へとまた、視線を向ける。
すると彼女はいつのまに古そうな革のトランクを両手で引きずるように抱えて歩いていた。
「なんだよ、その汚い鞄」
アウルは明らかにステラを小馬鹿にするような口調で彼女に鞄のことをきいた。
「さっきそこでウサギの顔の人にわからないけど巻きますっていったらくれた」
アウルの悪意ある口調に気がつかずステラは、側にある路地へと視線を向けた。
「返してこいよ。じゃなきゃ、ここにおいてけよ」
そんな荷物を抱えていたら作戦遂行に問題あることは火を見るよりも明らかだとスティングは判断した。
「かわいいのに……」
理由はわからないがその鞄はステラの“かわいいものレーダー”に大いにヒットしたらしい。
「そんなもの抱えていったら、これからの任務に支障を来す。失敗したらネオにどやされるぞ」
スティングはステラに注意する。
「ネオ、怒るの?」
「ああ、そりゃ仮面の色が変わるくらいカンカンになって怒るさ」
アウルは大げさにステラをあおる。
「アウル!」
 ――なんでこいつらはこうなんだ、まったくこいつら幼稚園児かよ。
あきれるスティング。
「ネオのお面、TP装甲なの? 怒られるのイヤだから中身見てから置いていく?」
ステラはなんとか妥協してくれたようである。

路地裏でそのアンティークなカバンをあけるそこには非常に精巧に作られた1体の人形が入っていた。
「かわいい……」
また、ステラの“かわいいものレーダー”にヒット。
「なんだこりゃ?」
しかしアウルの興味の範囲外だったらしい。
「変な趣味だな」
これを可愛いというステラが? 作った人間が? これを鞄に入れた人間が?
とにかくこれをみたスティングはそうつぶやいていた。

「これ……ねじ?」
人形と一緒に入っていたネジを手に取るステラ、そしてネジ穴を見つけてねじを巻く。
ネジを巻かれた人形が突然起きあがり、唐突にその口から言葉を発した。

「こんにちは。初めまして。僕はローゼンメイデンの第4ドール、蒼星石です」
そのショートカットでオッドアイの瞳を持つ人形は目を覚まし、ステラ達にそう自己紹介をした。
「……わぁ〜しゃべるお人形さんだ〜……こんにちは。私、ステラ。こっちはスティングとアウル」
新しくできたお友達に仲間を紹介するステラ。
「ローゼンメイデン? ……蒼星石? あなたのお名前、蒼星石っていうんだ〜」
「なんか見るからに怪しい代物だな」
アウルはしごく当たり前な感想を述べる。
「やれやれ」
 ――人形? ロボット? きょうびのおもちゃは精巧にできているもんだな。
スティングはあきれながらも妙な関心の仕方をしていた。
「ステラ、そろそろいくぞ」
スティングに促されるステラ。
「ごめんね、蒼星石。ステラ達、これから“任務”だから蒼星石のこと、連れていけない」
ステラはしゃがんで蒼星石の目線の高さに合わせるとお姉さんぶって、その人形に話しかけた。
「そうですか。……あ、あなたの心は……」
ステラを見つめ、そしてスティング、アウルを見回した蒼星石は彼女らの中の何かに気が付いた。
「え? 何? どうしたの?」
「いえ、ステラさん、あの……」
「なにやってんだよ、ステラ!」
アウルが蒼星石をつかもうとした。
蒼星石はひょいっとよける。
「あ、ごめんなさい」
「てめぇ! このチビが!」
むかついたアウルは続けて蒼星石をけり飛ばそうとするがそれも軽くよけられる。
「何をするんですか?」
敵意丸出しのアウルに身構える蒼星石。
「お仕置きだよ。それにくそ生意気なおもちゃは壊して捨てるに限るだろ」
アウルは彼の攻撃をことごとくよけるくそ生意気な人形に頭に来て、人影のない路地裏で人形にケンカを仕掛けようとする。
「アウル、やめとけ」
彼らを止めるスティング。
「やっかいごとはごめんだぜ」
 ――こういうイレギュラーは危険だ。関わらない方がいい。
 ――いや、こいつ、何かの時は囮か盾には使えるかも……。
 ――しかし、やっかい払いはできるだけ早い方がいい。
 ――だが、さっき俺を見つめたときに俺の中の何を見たんだ、この人形は?
「ステラとそこの人形、お前ら、どうしたい」
スティングはアウルを遮って立つと彼女らに問いかけた。
 ――今日は調子が狂いっぱなしだ。あの小娘達にあって余計な会話をして。……そして今度は動く人形?
今日は厄日かよ、と戦闘機械であるはずのスティングは書き割りの空に向かってぼやきたくなっていた。
「スティング、この子、連れてってもいいの?」
ステラは目を輝かせてスティングに質問する。
「おいおい、スティング〜」
アウルはぶーたれて、スティングに抗議する。
「そいつ、役に立ちそうだからな。ステラとそこの人形次第だ」
「じゃあ、連れて行く。蒼星石、ついてきてくれる?」
「わかりました、あなた方について行きます」
 ――この人達のあの“何か”を知りたいから。
蒼星石はその“何か”のために彼女らについて行くことに決めた。
この世界が今どのような状況かも、これから何が起こるかも、彼女らが何を起こすかも知らずに。
939通常の名無しさんの3倍:2007/09/25(火) 00:06:34 ID:???
以上です。
940通常の名無しさんの3倍:2007/09/25(火) 09:22:27 ID:???
乙。
941通常の名無しさんの3倍:2007/09/25(火) 10:43:56 ID:???
>>939
乙です。‥「いろいろ」期待。

942通常の名無しさんの3倍:2007/09/25(火) 20:11:00 ID:???
“かわいいものレーダー”が“かあいいものレーダー”に見えて、
ステラが「かあいいよ〜、お持ち帰りー!」って言う場面を想像した俺は
きっとアニメ中毒なんだぜ。
943通常の名無しさんの3倍:2007/09/26(水) 07:43:29 ID:???
>>942
あながち間違ってないんじゃねw
かあいいものレーダーw
944別伝:ラクスと水銀燈「閑話休題」:2007/10/06(土) 01:11:27 ID:???
ある夜中のこと――
寝静まった孤児院。
遠くで潮騒の音だけが聞こえていた。

水銀燈は何かに呼ばれたように目を覚ますとラクスの隣のベッドから降りて部屋から出て廊下へでる。
そして薄ぼんやりとした光が映る廊下の突き当たりにある姿見の前へとゆっくりと歩を進めた。

案の定、ぼんやりと光る姿見の中に1体のドールの姿が浮かび上がる。
「こんなところに臆病者のジャンクがいらしたわ」
そのドールが片眼と口元だけに笑いを浮かべて水銀燈を見下ろしていた。
「あら、あんた、たしか雪華綺晶とかいったかしら……。
 こ〜んなところになんの用かしらぁ?」
水銀燈は見下ろして胸くそ悪い笑みを浮かべているドールへと挑戦的な声で挨拶を返した。

「お父様は悲しんでいらっしゃるの」
そんな水銀燈の言葉を無視するように雪華綺晶は言葉を続ける。
「だまりなさいよ!
 だいたい、あんた、お父様のこと、わかっているわけ?」
「あなたよりはわかっておりましてよ」
小馬鹿にするように鼻で笑いでたらめな歌を一節歌う。
「くるりくるりと姉妹たちから逃げ隠れ、羽をふるわせ泣いている♪」
「何よ、それ。へたくそな歌ね」
「お父様のことも忘れ、アリスゲームも忘れた親不孝者、姉妹と争うこともやめた臆病者に
 用はありませんわ」
「うるさいわね! だったら、こんなところに顔出すこともないんじゃない?!」
いちいち逆なでするような言葉を並べる雪華綺晶にいらついた声を投げつける水銀燈。
「ああ、そうでしたわ、忘れておりました。
 そんなあなたでも一応は一時はお父様に愛情をかけられ作られたドール。
 だから老婆心ながらお教えしたいことがあったのですわ」
「なによ、それ」
「あなたもとてもよくおわかりの通り、他のドール達も目覚めたのでまもなくアリスゲームが
 始まります。
 せいぜい、他のドールに倒されないようにがたがた震えながらそこで隠れておいでなさいな。
 私はいつでも倒せるあなたは後回しにして差し上げますが、他のドールはそんなに優しくない
 かもしれなくてよ」
「そうぉ? なんだったら、今ここであんたを壊してあげてもいいのよ?」
「……そんなこと、できもしない、する気もないくせに……ではごきげんよう」
雪華綺晶はあざ笑うかのような言葉を残し薄青い光とともにその姿を姿見の中から消えた。

「ちくしょう!」
水銀燈はすんでの所で姿見を壊すのは止めた。
まだ、その先に雪華綺晶の姿があるかのように水銀燈はしばらくの間姿見をにらみつけていた。
945通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 01:13:55 ID:???
すみません、ご無沙汰しておりました。
>>936-938
を投下させていただいたものですが、
「ラクスと水銀燈」の方の閑話休題があったので時系列はさておき保守代わりに投下させていただきました。
946通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 01:20:31 ID:???
念のためにあげとく
明日はどうなるのかな?
947通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 01:25:32 ID:???
まずそうな気がしなくもない。
948通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 18:45:24 ID:???
真紅水銀燈雛莓意外はあんまり所属一定しないよなこのスレ
949通常の名無しさんの3倍:2007/10/06(土) 20:25:54 ID:???
まあ、そこは人それぞれ。
950通常の名無しさんの3倍:2007/10/07(日) 20:02:10 ID:???
とりあえずかなり前に投下したのでは

紅-シン
銀-キラ
雛-凸
蒼、翠-痔
金-カガリ

のイメージで書いた。
951通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 16:13:34 ID:???
悪い、まとめサイトどこ?
一から全部読みたくなった、良かったら教えてorz
952通常の名無しさんの3倍:2007/10/09(火) 21:00:06 ID:???
まとめサイトはないが
ローゼンメイデン過去ログ倉庫ですべて見れる
953>>951:2007/10/09(火) 22:06:20 ID:???
>>952
ありがd!!
早速逝ってくる!!
954通常の名無しさんの3倍:2007/10/11(木) 22:28:53 ID:???
痔「くっ、しまった…」
蒼「どうしたんですか?マスター」
痔「俺としたことが…」
蒼(どうしたんだろ?最近真面目に働いてるからイザークさん達も喜んでたのに)
痔「真面目に働きすぎて今の笑いの流れを読めなくなっちまったー!!!」
蒼「ブーッ!」
痔「コンビ芸人なんて全然わからねぇ」
蒼「ま、まあ軍務には支障がないからいいじゃないですか」
痔「聞けば今年はピン芸人の当たり年だって話なのに」
蒼(僕の話は聞いてくれないんですか、マスター…)
痔「ムーディ勝山、小島よしお…」
蒼(まあ、ピン芸人の話なら僕は大丈夫だろうし)
痔「にしおかすみこに、白石稔か」
蒼(最後何か違うー!)
痔「取りあえずカンを取り戻すためにも今年のお笑いをネットでチェックだ」
蒼「は、はぁ」
痔「まずは‘らき☆すた(13話以降)’だな」
蒼(だから何でー!)
955通常の名無しさんの3倍:2007/10/15(月) 04:07:34 ID:???
流石にネタ切れ気味だなぁ。
本編の流れに沿った長編で一本書ききれるだけの筆力が俺にあれば・・・orz
956通常の名無しさんの3倍:2007/10/19(金) 01:29:32 ID:???
保守
957通常の名無しさんの3倍:2007/10/25(木) 03:05:24 ID:???
原作が終ったのが痛いな・・・
移籍して連載再開とか無いのだろうか。
958通常の名無しさんの3倍:2007/10/27(土) 00:02:36 ID:???
お久しぶりです。
600です。
仕事が忙しいです。
体調を崩して、少し書く余裕ができましたので痔薔薇日誌の区切りのようなものを書いてみました。

3レスほどですがよろしくお願いいたします。
959600 別伝 痔薔薇日誌最終話か?1/3:2007/10/27(土) 00:04:40 ID:???
  黄色い人形と闘う私。
  緑色の人形と闘う私。
  そして黒い翼を持つ人形を背後からドラグーンのようなものをとばして突き刺す私。
  紅い人形と闘う私。
  そして、その紅い人形にぎりぎりのところで勝利した私。
  そして※※※※※※※※をすべて集めて※※様にほめていただいた。
  体が熱い。消えてしまいそうに、砕け散りそうなほど熱い。
  でも※※様にほめていただいたから。
  だって※※※※※※※※はすべて私のもの。
  すべてそれは今、わたしのなかにあるのだもの。
  私は※※様の望む完璧な存在になれた。
  ※※様、私は…

『あなたは偽りの存在』
『ただ、※※※※※※をあきらめ、ぬるま湯な日常につかっていた彼女ら』
『その彼女らに波紋を起こすためのきっかけに過ぎませんでした』
『それについてはあなたは十分働いてくれました』
『あなたをきっかけに幕は上がり、そして幕引きもしていただきました』
『でも、これからここで始まる世界規模の大きなお芝居にあなたの出番は必要ありません』
『そして※※※※の贋作であるあなたがこの世界にいるいわれもありません』
『この空を漂っていれば、もし運が良ければ誰かに拾われて、また、端役ぐらいにはなれるでしょう』
『ではごきげんよう。もし運良くまたいつかどこかでお会い出来るときまで』
『いや、おそらく会うこともありますまい。知らないどこかへと流され、朽ち果てて一生を終えるでしょうから』

………
……


よる、とびおきた。

ここは?
むこうのべっどにはシホがねている。
ここはシホとおなじへやのベッドのうえ。

思いだした?
いいえ、すべてを思い出したわけじゃない。
しかし、私が誰かだけは、少しわかった気がする。

私は薔薇水晶。
”彼女ら”とは違う存在。
何か大切なものを持たない偽りの存在。
誰かに望まれて生まれ、そしてその誰かは今はいない。
それだけは確実にわかる。

この世界が私のいた世界の続きなのか、流された果てに行き着いた別の世界なのか、それはわからない。

私は今、人形のくせに涙を流している。
今の私の涙を隠すものは何もないのだから……
960600 別伝 痔薔薇日誌最終話か?2/3:2007/10/27(土) 00:05:47 ID:???
「どうした、薔薇水晶?」
「なんでもない」

食事が終わるとディアッカは薔薇水晶を連れて後部デッキに彼女を連れて行った。
俗に乗組員達が「展望台」と呼んでいるところだ。
「何か思いだしたんだな、薔薇水晶? あまりよくないことか?」
「どうして?」
「そんなに長い間とはいえないけど、俺とお前の付き合いだからな。
 それに、昨日までと違って、なんていうのか眼とか口調とかに強い意志と大きな迷いみたいなもの。
 そんなものが感じられるんだよな」
「そう」
「ああ、で、何かを思い出したけど悩んでいるんだろう?
 まあ、話せなければ別に言わなくてもいいよ」

「いう……約束だから……言わせて欲しい」
「そうか……」
「私は今朝、夢の中で過去を少し思い出した。
 ウサギ頭の紳士に言われた。
 私は偽りの存在。
 “彼女ら”の為の存在。
 “彼女ら”の為に必要な脇役だった。
 でも今は用済み。
 その世界に居場所はない。
 用済みだから宇宙に捨てられた。
 そしてディアッカ、あなたに拾われた。
 私はただそれだけの存在、用済みな存在だった」

ディアッカはかがむと薔薇水晶の小さなその両肩にそっと手を乗せ、彼女とほぼ同じ高さの目線で彼女を見つめる。
そして彼はやさしく話しかけた。
「あのさ、薔薇水晶。みんな、自分の人生じゃあ自分が主役なんだよ。
 俺の人生では俺が主役。イザークの人生ではイザークが主役。シホの人生ではシホが主役。
 そしてお前の人生ではお前が主役。
 それは誰にも変えられない。
 居場所? それは自分で作るものだ。お前がここが居場所だと思えばここが居場所さ。
 それじゃあ不満か?」
「私が主役? 偽物の私が?」
「ああ、お前の人生だからな。お前自身が過ごしている人生に偽物も本物もあるかよ?」
「ここが私の居場所?」
「それは誰でもないお前自身が決めることさ、薔薇水晶。
 まあ、俺はお前が側にいてくれたほうがうれしいがな。
 薔薇水晶、お前は少なくとも俺には望まれてここにいる存在だ。
 たぶんイザークにもシホにもジュール隊のファンクラブ員とかいっている連中にも。
 ……いや、たぶん、この艦にいる全員にな」
「ありがとう」
ディアッカの首に抱きつき涙を流す薔薇水晶。
ここでは涙を隠す必要はないのだから。
「おいおい」
苦笑しながら薔薇水晶を軽く抱きしめかえすディアッカ。
961600 別伝 痔薔薇日誌最終話か?3/3:2007/10/27(土) 00:07:10 ID:???
「あ、薔薇水晶、こんなところにいましたか…??!!
 あー、この裏切り者!! 年頃の女性に相手にされないものだから薔薇水晶に走りましたか!」
今日のテストの打ち合わせのため、薔薇水晶を探していたシホ。
人づてに薔薇水晶が“展望台”へいったと聞いたため、駆けつけたのだった。
そして今、そこで彼女はディアッカが薔薇水晶に抱きついているのを見つけたというわけだ。
「あなたのような人にばらしーはやれません!」
シホはディアッカの元から薔薇水晶を引き離して過保護な母親のように胸に抱きしめ、彼をギロリと睨んだ。
「やれやれ」
幼い子猫を守る母猫のようなシホを前に肩をすくめるディアッカ。
そんな二人のやりとりに微笑む薔薇水晶。
そして涙を流しながらくすくすと笑い出す彼女。
「どうしたのですか? ばらしー?」
薔薇水晶が急に笑い出したのでシホは心配になって胸の中の薔薇水晶をのぞき込む。
「ここにいられて……うれしいから……たのしいから」
「ええ。ばらしーはずっと私たちの側にいてください」
シホは薔薇水晶に慈母のような微笑みを見せた。
「わかった。私はシホの、ディアッカの、みんなの側にいる」
薔薇水晶はいつもよりも明るい心からの微笑みを二人に見せた。
「ええ」
薔薇水晶を抱きしめるシホ。
「ああ、いたければずっといろよ」
ディアッカはシホの胸の中にいる薔薇水晶の頭をぽんぽんと優しくたたいた。
「だから気安くばらしーに触れるんじゃありません。ディアッカ=エルスマン!」
「はいはい」

  もう、あの悪夢を見ることはないだろう。

  何故、ここにいるのか……
  どうして、今、私は存在していられるのか……
  わからない……

  私は薔薇水晶。

  イザークやシホにばらしーと呼ばれている、生きている人形。
  誰かのイミテーションかもしれない、ただの生きている人形。
  私はディアッカの、イザークの、シホの側に、ボルテールにいる。

  今はそれだけでいい。今はただそれだけわかっていれば十分だから。
962通常の名無しさんの3倍:2007/10/27(土) 04:18:21 ID:???
乙〜

やっぱり書く人がいないと進まんよな。
963通常の名無しさんの3倍
>>361
う〜泣けるのは俺が年取った性だな。