まあ、マユを主人公にすると―― (パート1 710より)
1.子供だけど赤服。努力と才能と、周りのサポートで頑張る努力型の主人公という前作との差別化。
2.1.と付随して周りのキャラが主人公を面倒見ているので戦艦内の人間関係の描写が濃密になる。
3.種持ちとはいえ、決して天才ではないので時には失敗する。その挫折を乗り越えるクライシスと成長ドラマが主軸になる。
4.才能はあるとはいえ、子供。故に戦争というものを多角的に見えない。戦争の現実を直視することにより、視聴者にも問い掛けることができる。
5.戦争で家族を失った遺族側の視点で前作への問題提起。それにより改めて遺伝子操作やそれに伴う差別問題を浮き彫りにできる。
6.5.に並んで国家と国民の有り方、理想と現実。そして、享受できる平穏と犠牲となる存在、為政者の義務、前線で戦う兵士の悲哀などを生々しく描写できる。
7.死んだと思っていた兄との対面、思想の違いによる対立を生む戦争の悲劇。そして、マユという妹から一人の人間としての成長を描ける。
――こんな感じで激動の時代に巻き込まれた一人の人間とそれを取り巻く環境の変動を主軸にしたドラマが描けて面白いんだよね。
シンよりさらに人間的に未熟な分、周りの人間の意見を聞く――色々な視点・意見を知る――ことにより、
現実はそう単純なものではないってことが演出できるわけで。
~●~ <乙
〃´ ̄ヽ
l 从ノハ )
>>1 新スレ乙です。
ノ_ノ ゚ ヮ゚)ハ
_(ノ(__つ/ ̄ ̄ ̄/__
\/___/
PPの乙レスは18でOK?
単発投下しちゃいますよ?
単発設定小話 「Existence」真実の歌編@
〜月面都市コペルニクス行きのシャトル〜
ミーア「・・・・・・久しぶりですね、サラさん」
サラ「そうね・・・あの放送ね、ビデオで見せてもらったわ。あんな啖呵切っちゃって・・・・・・」
ミーア「そう・・・ですよね」
サラ「まったくよ!・・・何も考えていなかったんでしょう?な〜んかラクス・クラインへの不満大爆発って感じかしらね」
ミーア「・・・・・・」
サラ「でもね、あんたあの時一番イイ顔してた。ライブのときの歌に夢中な時も結構イイ顔してるけど、あれはそれ以上ね」
ミーア「・・・でも・・・この顔は作り物。ラクス・クラインの偽者の顔でしかないんですよ。そんな偽者がイイ顔だなんて!?」
サラ「確かにその顔はラクス・クラインを模倣したものだけど、心はどうやったってラクス・クラインにはなれない。そんなこと
わかってるでしょう。・・・まぁ、世間の人たちはあんたが偽者だなんて気づいていなかったわけだしラクス・クラインで
しかなかったけれど、私とタケダチーフはあなたが本物のラクス・クラインでないことを知っているし、もともとの顔も
知っているわ」
ミーア「っつ・・・そんなもの!」
サラ「・・・まだわからないの?私とタケダチーフは少なくともあなたが本物ラクス・クラインとは絶対に思えないのよ!?
レコーディングしていても、スチールを取っていても、慰問をしていてもミーア・キャンベルがどこかに垣間見えてしまう。
あなたの真剣な顔、嬉しそうな顔、悩んでいる顔。端々にラクス・クラインじゃなくてミーア・キャンベルとして充実した
表情がわかるのよ」
ミーア「・・・私やっぱりラクス様にはなれないんですね」
サラ「名前なんて所詮は記号でしかないのよ」
ミーア「記号ですか?」
サラ「そう、記号。たとえミーアという名前じゃなかったとしてもあんたがあんたであることにかわりはない」
ミーア「私が私・・・・・・」
サラ「・・・・・・他人に近づくことはできてもけしてその人そのものにはなれない。それに早く気づくべきだったわね?」
ミーア「・・・そうですね。私はどこまでいっても私から離れることはできないんですね」
サラ「それを受け入れられればあんたはもう一度やり直せるわ。あんだけ人々を熱狂させたんだもの」
ミーア「でもプラントにもオーブにも・・・もう戻れない」
サラ「それは思い違い。その気になれば人間はどこでも生きていけるわよ・・・」
ミーア「・・・ふふ・・・そうですよね」
〜「にかっ」と笑うサラ、微笑するミーア〜
サラ「さて・・・これでお説教はおしまい。奥で休んでるわ。なにかあったら起こしてちょうだい」
ミーア「ええ、わかりました」
〜奥の席へ移るサラ。サラが奥の席に座ったのを確認し、窓の外で瞬く星に目をやるミーア〜
ミーア「・・・私は私・・・か・・・・・・そう、私はラクス・クラインの役を演じていただけ・・・・・・」
〜奥の席でくつろぐサラ〜
サラ「・・・・・・はぁ・・・人を元気付けるって疲れるのね。・・・あんなこと言うの初めてだわ」
〜熱いコーヒーに口をつけ、モバイル立ち上げるサラ〜
サラ「・・・・・・あら、デスティニーがエモーショナルシステムを起動させたのね。・・・ふうん」
〜モバイルのモニターには黒いバックに白い文字がびっしりと埋まっている〜
サラ「SEEDを持つもの・・・か・・・・・・」
〜窓の外を眺め物思いにふけるサラ〜
サラ「・・・私とハイネにはなかったもの。・・・・・・あなたにはその意味がわかって?」
続 ・・・・・・真実の歌編Aへ続く
あぁ…そっか!
単発のハイネとサラさんは知り合いって設定あったなぁ…
ミーアはどうなるんだろうな…あれだけの啖呵を切るシーン
凄いよかったし…出来れば幸せを掴んでほしいわぁ…乙でした
久しぶりにきてみたんだけど、隻腕って今どうなってんの?
>>9 詳しくは避難所の275番のレスを参照のこと。
作者さん本人からのコメントあり。
単発設定小話 「偽りの休日」真実の歌編A
〜コペルニクスに到着するミーアたち〜
タケダ「おぉ〜まっとったでぇ。久しぶりでんな、サラはん」
サラ「・・・宿泊先の手配は?」
タケダ「滞りなく。静かに過ごせるところを探しましたで。・・・はよいきましょ」
ミーア「タケダさん、ごめんなさい。私・・・タケダさんにまで迷惑かけてしまって・・・」
タケダ「なにゆうてまんねん。そんなもん気にしとったらいけまへんて。ささ、はよう車にのりなはれ」
ミーア「・・・ありがとう」
〜タケダにエスコートされ車に乗り込むミーア〜
サラ「先に行っててくださいな。私は日用品を買い込んでくるわ」
タケダ「あいさ。ほな頼みまっせ。・・・さ、いきましょか」
〜サラを残し車は出発していく〜
〜コペルニクスに滞在していたアークエンジェルから買い出しに出かけているキラたち(暇なやつらだ)〜
キラ「・・・ねぇまだ買い物するの?・・・・・・頼まれたものって全部買ったんじゃないの?」
ラクス「ふふ・・・たまには息を抜かないといけませんわよ、キラ?」
メイリン「そうですよ、キラさん。私ちゃんと素敵なお店をリストアップしてきたんですから!」
アスラン「・・・・・・メイリン」
〜軽くうなだれるアスラン〜
〜宿泊先で荷物を整理しているミーア〜
ミーア「・・・私・・・なにやってんだろう?・・・・・・こんなところに隠れててさ・・・」
タケダ「まぁ・・・息抜きやと思って少しやすんどこうや。・・・・・・わてはあんさんを立派な歌手に育てなあかんさかいに」
ミーア「タケダさん・・・私・・・・・・!?な、何!?」
タケダ「うぉっ!あ、あんたら一体何者やっ!?」
〜黒服の男たちがミーアの部屋に押し入る〜
黒服A「・・・ミーア・キャンベルだな?」
ミーア「あ・・・あの・・・・・・」
タケダ「あんたらなんやねん!?・・・どうして・・・ぐはっ!」
〜殴られて床に突っ伏すタケダ〜
黒服B「おい、この変なイントネーションの奴をくくっとけ!」
黒服A「・・・あまり暴力は振るいたくないんですがね。・・・タケダさん、あんたラクス様のマネージャーはクビだよ」
〜ロープにくくられるタケダにけりをいれる黒服A〜
タケダ「んなっ!?・・・こ、この娘はっ!!っぐがっ・・・!」
〜猿轡までさせられ、奥の部屋に放り込まれるタケダ〜
〜ミーアを囲む黒服たち〜
黒服B「・・・ラクス様。さぁ私たちと一緒に行きましょう。あなたにはまだまだ活躍できるステージが待っている」
黒服A「我々はデュランダル議長の使いです。議長は、まだあなたの力を必要としているのです」
ミーア「・・・デュランダル議長が?なら、なぜタケダさんを!?」
黒服A「申し訳ありません。少々手違いがあったようで、タケダが勝手に休暇にしてしまったようですね」
ミーア「タケダさんが?」
黒服A「まったく油断もできませんよ。あの男、ラクス様でもう一儲けと考えていたんですよ」
黒服B「さぁ、いきましょう」
〜ミーアに手を差し伸ばす黒服B〜
ミーア「・・・・・・はい」
続 ・・・・・・真実の歌編Bへ続く。
ミーア逃げて超逃げて〜ッ!
立てっ、立つんだタケダ!
単発設定小話 「Resolution」真実の歌編B
〜黒服に連れられ、車で移動するミーア〜
黒服A「ラクス様。次の慰問先へ向かう前にやっていただきたいことがあるのですが・・・?」
ミーア「・・・何をすれば・・・いいのですか?」
〜困惑するミーアの膝の上に拳銃を置く、黒服B〜
ミーア「!?・・・これは?」
黒服A「ふふん・・・誤解しないでください。あくまで護身用です。・・・・・・さて、やっていただきたいことなのですが」
ミーア「護身用って!?・・・・・・な、何?わた、私に何をさせたいのよ!?銃の使い方なんて・・・知らない」
黒服B「それは後でご説明差し上げます」
黒服A「で、今この町にオーブのラクス・クラインが来ているのですよ。彼女を誘いだして欲しいのです」
ミーア「・・・ラクス・・・クラインが?」
黒服A「そうそう、アスラン・ザラもいるそうですよ。・・・許婚にお会いしたいでしょう?」
ミーア「い・・・嫌!私、アスランに会わせる顔なんて無い!・・・ラクス様にも会うなんて!・・・!?」
〜ミーアの眉間に銃口を突きつける、黒服B。声のトーンを落とす、黒服A〜
黒服A「わかってないですね。・・・思い上がるのもいい加減にしろ。誰のおかげで夢が叶えられたと思っているんだ!?」
ミーア「っひ!・・・」
〜がたがたと震えるミーア〜
黒服A「オーブ難民である貴様があんな生活が遅れたのは誰のおかげかわかってんのか!?」
ミーア「・・・ひぃ・・・ごめ、ごめんなさい・・・。すいません、し、従いますから・・・こ、ころ、殺さないで・・・・・・」
黒服A「ふむ・・・ご理解いただけたようで安心いたしました。・・・・・・ではこれからセントラルパークまでお送りいたします」
〜ブティックで着せ替えショーをしているお気楽な人たち〜
ラクス「キラ!これはどうですか?・・・似合いますかしら?」
キラ「え・・・うん。やっぱりラクスはなにを着ても似合うね」
〜若干引き気味に返答するキラ〜
ラクス「・・・・・・メイリンさん。キラはこの服がお嫌いなようですわ。今度はワンピースがよろしいかしら?」
キラ「えっ!?・・・いや・・・あの、その服・・・とっても似合っているよ?」
ラクス「・・・本当にそう思っていらっしゃいますの?」
キラ「ええ・・・はい・・・」
〜そんなことをやっているところにピンクのハロが彼らに近づく〜
ハロ「Hello!Hello!」
キラ「・・・これは?」
アスラン「ミーアのハロ!?なぜこんなところに?」
〜口をあけメモを取らせるハロ〜
ハロ「Are you OK?」
キラ「アスラン!・・・なんて書いてあるの!?」
アスラン「・・・ミーアからの伝言だ・・・『助けて欲しい。セントラルパーク円形劇場で待つ』だってさ」
メイリン「・・・すごく罠なにおいがしますね」
ラクス「・・・罠かもしれませんが・・・いってみましょう。キラ、アスラン」
キラ「そうだね。アスランは彼女のことを知っているんだよね?」
アスラン「ああ。・・・あんなことをしでかしたんだ。議長が彼女をそのままにしとくとは思えないしな・・・行こう」
〜セントラルパークへ向かうキラとアスランとラクスとメイリン〜
続 ・・・・・・真実の歌編Cへ続く。
こりゃ本編と同じくミーア死亡フラグ成立な悪寒・・・・・・
ミーア&凸、への伏線になるか?
タケダが種割れして助けに来るに決まってるだろ。
単発設定小話 「落日」真実の歌編C
〜買い物を終え、ミーアの滞在先へ向かうサラ〜
サラ「・・・・・・戻ったわ・・・よ?・・・・・・!!なっ!?」
〜あまりにも動きすぎな部屋の空気の流れに顔を曇らせるサラ〜
サラ「ミーア!!・・・タケダ!!・・・っちょっと・・・・・・」
〜奥の部屋のドアを開けた先にロープで縛り上げられているタケダが地面に転がっている〜
タケダ「んーっ!・・・んなぅん!っむ・・・ぬぬぬっん!」
サラ「・・・っちょっと!大丈夫なの?一体なにがあったのよ?・・・ミーアは!?」
〜タケダの猿轡をはずし、身体のロープを解く〜
タケダ「ぷはっ!・・・はぁーはぁー。ふぅぅい・・・た、大変や!サラはんっ!」
サラ「何があったのよ!?」
タケダ「ミーアが、ミーアはんがさらわれて・・・いや、ミーアはんが危ないでぇ!!」
サラ「ミーアが危ない?・・・なにがあったか説明できる!?」
タケダ「あー・・・ちょ、すんまへん。いきなり黒服の奴らが押し入ってきて・・・ミーアはんをさらってもうたんや!」
サラ「黒服?」
タケダ「ええ、議長の使いやいいましてなァ。ミーアはんに『あなたにはまだ活躍できるステージがある』とかなんとかと・・・」
サラ「議長の使い・・・・・・たぶん・・・それは本当に議長の使いだわ」
タケダ「なんやて!?・・・んなあほな。なんで議長が・・・・・・」
サラ「・・・今は説明している時間が惜しいわ。・・・ミーアの居場所はわかる?」
タケダ「ああ・・・どこへ行くとかはいってまへんでしたが・・・ミーアはんに発信機をつけておきましたさかいに・・・」
〜よろよろと歩き、自分のセカンドバックから手鏡のようなものを取り出すタケダ〜
タケダ「ああ・・・みてみぃ・・・ここに今居るはずやで」
〜覗き込むサラ。光の点が映し出されているコペルニクスの地図の上に光っている〜
サラ「・・・ここは?」
タケダ「ここはセントラルパークやな。・・・でもなんでこんなところに立ち止まっているんやろか?」
サラ「セントラルパークね・・・・・・わかった。あなたはここで待っていなさい。・・・私が迎えにいってきます」
タケダ「わてもいきまっせ!」
サラ「ダメよ、足手まといなだけだわ。私だけでいい。・・・・・・必ず取り戻してきてあげるから」
タケダ「・・・・・・ほな、わてはここで待ってます。ミーアはんを何事も無かったかのようにもういっぺん迎えて差し上げましょ」
サラ「ええ・・・。車とかの用意は?」
タケダ「車はまだ用意してまへんねん。・・・スクーターなら外に止めてありまっせ!」
サラ「わかった、使わせてもらうわよ」
〜タケダから受信機とスクーターの鍵を受け取るサラ〜
タケダ「必ず、ミーアはんを連れてきてな!」
サラ「・・・ええ」
〜部屋を出て、スクーターにまたがりエンジンをかけるサラ〜
サラ「っつ・・・いまどきミントかよ!?教習所じゃあるまいし!・・・せめてTodayにぐらい乗りなさいよ・・・・・・」
〜スクーターに文句をいい、猛スピードで飛び出すサラ〜
サラ「・・・デュランダル議長・・・・・・いくらなんでもこれは無茶でしょうに・・・・・・」
〜セントラルパークへ向かうサラ〜
〜その頃にミーア〜
ミーア「・・・ここで・・・待っていればいいんですね?」
〜セントラルパークの円形劇場の中央でラクス・クラインらを待つミーア〜
続 ・・・・・・真実の歌編Dへ続く。
20 :
モスカ:2006/09/23(土) 15:06:48 ID:???
ミーアとラクスが共鳴したとき
月に封印された「黒歴史」がフカーツ!
「おい!俺達はどうなるんだ?!」
光に包まれながらシンはインパルスに聞く。
「あぁ、この近くに仲間の気配があるからその世界にワープする。」
そういってひゅるるるるる・・・・と言う効果音とともにシンは突然空中に投げ出される。
だが地面までほんの数十センチだけだったのでそのまま尻餅つく。
「おー、大丈夫か?さて・・・ここは・・・。」
いつの間にか旅行者をしゃれこんだのか服まで紳士服に変わったMkUがあたりを見渡す。
「「「「「かんぱーい!!」」」」」
どうみても居酒屋だった。
「で、アスランってばその時・・・・。」
「ニコルー!それは言わない約束だろ!!」
「あ、じゃあ先輩の恥ずかしい話でもします?」
「そこで俺に振るかミゲル!!よし、そこの少年。アキラの昔の話を。」
「えぇ、じゃあそうですねぇ・・。あれは中学・・・。」
「言うなっ!!」
「ぐぼぁっ!!だからって蹴り入れるなよ?!ラスティいけっ!!」
「僕はポケモンか?!」
なんかアスランとハイネとアキラが知らない人達と飲んでる。シンとMkUは固まっている。
「MKU、ランチャーストライカー改。」
「りょーかい。」
シンが言うとストライクMkUにMS状態の時と同じストライカーか装備される。
「一斉射撃・・・・撃てー。」
「どかーん。」
ヒュルルルル・・ドーンドーンバシュッバシュッバラララララララ・・・・・。
棒読みな二人のセリフに反して全力で攻撃するストライクMkU。
シンに至っては「もっと出力あげろよ、ビームの。」などと言っている。
そのうち実弾系が弾切れになりようやく攻撃をやめる。
「何すんだてめー!せっかく頼んだ鳥皮が台無しじゃねーか!!」
真っ黒こげになった金髪のハイネによく似た声の男がシンに文句を言ってくる。
「怒るところが違うでしょうミゲル!!」
突っ込んだのは緑色の髪に少女のような顔をした少年だ。
「ちょっとアスラン!!あれアスランの部下でしょ?!」
オレンジ髪の背の小さい少年がアスランに掴みかかる。
「ラスティ!落ち着け!!あぁ・・・、これって俺達が弁償しなきゃなのか?」
茶色いウェーブした髪の少年がオレンジ頭を抑える。」
「おー、シン。お前も来てたか?何頼む?」
「ぜぇはぁぜぇはぁ・・・・、夢の中でも魔術使うのって疲れるのな・・・。」
「シン!危ないことはやめろ!!」
なにやら五芒星の光の壁に包まれて避難している生きてる三人組。
どうやらアキラがやっているらしい。外見もなんか少し背が伸びている気がする。
「何だよその光ってるの。」
ハイネたちを包んでいる白い光をみてシンは突っ込む。
「あぁ、ここ夢の中だからアキラの思い込み催眠術の効果がアップしてんだ。好きなキャラに変身してもらえるぜ?
俺まろんちゃんやってもらったから。あと他にもほーこたんボイスのキャラやってもらうつもり。」
ハイネはこともなげに答える。
「勘弁してくれよ・・、女の子の性格に完璧になるのは大変なんだから・・・。」
「いやぁ・・、夢の中っていいなぁ・・・。ほーこたんに好きなセリフ言ってもらいまくりだぜ!」
元の姿になったアキラと目をキラキラと輝かせるハイネ。
「・・・・とりあえず、あんたら今の状況に疑問を持たないのか?」
ストライクMkUが突っ込むが、
「だって夢だし、こいつらが本物でも夢の人物でも会えたことには変わりないし。」
「前トール化けて出てきたし、それからなんか交信できるようになったし。」
「ミゲルにラスティにニコル・・・今まで化けて出てこなかったほうが不思議だったな・・・この面子。」
結構どうでもよさげな三人。アスランにまでハイネ隊の思考が感染しているらしかった。
「お姉さま!!あれどうやるんですか?!」
マユが目を輝かせながら聞いてくる。
「あぁ・・、あれ死んでからあの世で教えてもらったのよ。結構いろんな世界の人がいるみたいで。」
「本当ですか?!私一度東方不敗という方にあってみたいんですよ!!何か知りません?」
「・・・・知らないわ。」
フレイの返答にマユはちぇっと舌打ちをする。
「魔女っ子ですかー、萌えますよねきっと!・・・・・次はこれで人気取りいくか・・・・・。
ついでに私以外に投票した奴ら呪えるし・・・・。アキラおにいちゃんに聞いたの効かないんだもん・・・。」
末恐ろしいことを話すマユにフレイは一瞬ぞっとする。
「・・・あ、ここね。あんたの世界に帰れる入り口。」
フレイが手をかざすとそこには扉が現れる。
なにやら多少年季が入っているらしく、少し罅が入っている。
フレイがドアノブに手をかけ、ギィ・・と音をたてながら扉を開ける。
「・・・・・?何か違いますよお姉さま。」
「・・・・・間違ったわ。たぶんここはちょっとズレた世界ね。」
確かにここは見慣れた屋敷だがなぜか世界全体がセピア色に染まっている。
「あぁ、よくゲームとか漫画にありますよねー。」
「それでも順応できるあんたって随分ずぶといのね・・。」
マユとフレイはその扉の中に入っていく。
「入っちゃいましたよ、お姉さま。」
「せっかくだからちょっと見ていきましょう。元いた世界に近いのは確かなんだから。」
マユ達ふたりはふわりと廊下を飛んでいく、すると突然体の透けた男性の姿があらわれた。
「ゆーれい?!」
「違うわよ、多分この屋敷の『記憶』ね。ここは生物の世界じゃなくて無機物が見ている世界なのよ。」
あわてるマユをフレイが沈める。それにむしろ幽霊は彼女だ。
「ふーん。」
興味なさげにマユが答える、幽霊じゃなければ混乱しないらしい。
「つまらないわねぇ・・・、ん?」
二人は大きな広い庭にでる。そこでは幼いピンクの髪の少女が遊んでいた。もちろん透けている。
「・・・・げ、あの女だわ・・・。最悪、なんであいつの家なんかに私はいるのよ・・。」
いらだたしげに言うフレイの影からマユを少女をよく見てみる。
彼女の年上の友によく似た顔立ちにウェーブしたピンクの髪は間違いない。
「ラクス・クライン・・・・。」
少女はマユたちの存在に気づくはずもなく、絵を楽しげに描いている。
『ラクス・・・!』
金色の髪の男性が少女に近づいてくる。
フレイとマユをすり抜けて少女の下へとまっすぐに向かう。
『おとうさま!おしごとがはやかったんですのね!』
元気いっぱいに男性に抱きつく少女。
「・・・・あれが元クライン議長の若い頃?!ギルパパよりもいい感じだなぁ・・・。」
「うちのパパのほうがずっと素敵だわ!」
それぞれ別の反応をするマユとフレイ。
『ラクス・・・歌のレッスンはどうしたんだい・・・?』
男性が聞くと少女は頬を膨らませながら言った。
『おうたはすきではありませんわ!おえかきのほうがたのしいです!』
すると男性は少し怒ったような顔をして少女を諭す。
正直その絵には才能の断片も感じられない。
『ラクス・・・、君は歌を得意になる才能をもっているんだよ。絵は向いているようにはしていない。
そういう風にしてくれた母さんのためにも持っている才能を無駄にしないでほしい。』
そう男性が諭すと少女は顔を余計に膨らませて走っていってしまった。
『ラクス!!』
『おとうさまなんかしりません!!』
少女の言葉を最後に、二つの幻影は消えた。
>>24 セピアの世界。
ょぅじょラクスは、MSの絵を描いてたりして‥。
・・・なるほどラクスがDプラン反対の一番強い理由か・・・
単発設定小話 「crossroad」真実の歌編D
〜セントラルパーク円形劇場を裏から慎重に覗き込むラクスたち〜
アスラン「・・・いた。ラクス・・・・・・」
ラクス「・・・私から声をおかけしましょう」
〜舞台中央に立っているミーアに声をかけるラクス〜
ラクス「あなたが・・・ミーア・キャンベルさんですか?」
ミーア「!・・・・・・ラクス・・・様?・・・は、はは・・・本当に来てたのね」
アスラン「ミーア・・・」
ミーア「アスラン!・・・・・・」
〜ラクス、アスランに続きキラとメイリンも舞台に上がる〜
〜茂みに潜む黒服たち〜
黒服A「おい。そろそろいいだろう。・・・あの馬鹿は死んでもかまわん。・・・・・・いくぞ」
黒服B、C「了解」
〜ラクスに狙いを定める黒服たち、そして・・・〜
キラ「ラクスっ!・・・危ないっ!!」
〜銃声が鳴った一瞬後、キラに抱えられ床に転がるラクス
黒服A「っちぃ!外した!?・・・おい、一気にいくぞ!!」
〜舞台袖に拳銃を撃ちつつ舞台袖まで近寄る黒服たち〜
黒服B「この売国奴共が!!死ねぇっ!!」
アスラン「っく!!やはり罠だったか!!キラっ、いけるか!」
キラ「こっちはまかせて!ラクスにメイリンは床に伏せてて!!」
黒服A「男にかまうな!ラクス・クラインを狙え!!」
黒服C「了解!・・・ぐぁっ!!」
〜アスランに撃たれ、倒れる黒服C〜
キラ「そこだっ!!」
黒服「がっ!・・・く・・・・・・こんな・・・ところで・・・」
〜キラに撃たれ、倒れる黒服B〜
アスラン「キラっ!!左だっ!」
〜アスランたちを回りこむ黒服A〜
黒服A「ここで終わりだ!!ラクス・クライン!!」
キラ「あ・・・ラクスっ!!」
アスラン「くそ!間に合ってくれよ!!」
〜体の向きを強引に変えて銃を構えるアスラン。響く銃声〜
黒服「なっ!・・・き、貴様っ!」
アスラン「・・・・・・!?」
ミーア「・・・私のラクス様とアスランを・・・困らせないでよ・・・・・・」
黒服A「?・・・・・・ら・・・ラクス・クライン・・・になりたいんじゃなかったのか!?・・・がっ」
〜その場に倒れこむ黒服A〜
アスラン「ミーア!」
ラクス「ミーアさん・・・・・・」
ミーア「皮肉なものね・・・銃の使い方を教えた人に撃たれるなんて・・・・・・」
アスラン「・・・・・・ミーア、お前・・・」
ミーア「ふふ、やっと本物のラクス・クラインに会えたのね。・・・初めまして、ミーア・キャンベルです。ラクス様」
〜ラクスににっこり笑いかけるミーア〜
続 ・・・・・・真実の歌編Eへ続く
28 :
27感想:2006/09/25(月) 03:32:09 ID:???
小話さんGJ!
凸‥w
単発設定小話 「君の名は」真実の歌編E
〜セントラルパークへ到着し、タケダ愛用のミントを乗り捨てるサラ〜
サラ「ここね・・・。えっと・・・・・・」
〜タケダから受け取った受信機を覗き込むサラ〜
サラ「・・・公園の中央か。・・・銃声!?・・・っち、遅かったか!?」
〜遠くで響いた微かな銃声を聞き分けるサラ〜
〜静まった円形劇場の舞台で、ミーアと向かい合うラクス〜
ラクス「はじめまして、ミーアさん。ラクス・クラインですわ」
ミーア「・・・はは、へへへ・・・本当にラクス様なのですね・・・・・・」
アスラン「ミーア!・・・ラクスも、早くここを立ち去るぞ」
ラクス「ええ・・・ミーアさん。お話は後で伺いましょう。今はここを一刻も早く離れないと」
ミーア「・・・・・・その必要はありません」
アスラン「!?ミーアっ、何をっ!」
〜自分のこめかみに手に持っていた拳銃の銃口を当てるミーア〜
ラクス「ミーアさん!?」
ミーア「へへ・・・私・・・もうこうするしかないんです。だって・・・ラクス様はでてきちゃって偽者だってばれちゃったし・・・」
アスラン「ミーア!だからって自殺なんて馬鹿なことはやめろ!確かにお前は誤ったかもしれないが、そんなことは」
ミーア「ううん、違う!違う違う!私のしてきたことは間違ってなんかいないもん!」
アスラン「いいから銃を捨てるんだ」
〜ミーアの手から拳銃を奪い取ろうとするアスラン。それを避けるミーア〜
ミーア「触らないで!・・・私・・・本当に死んでやるんだから!」
ラクス「ミーアさん!・・・人は何度でもやり直しができるのです。だから・・・死ぬなどとは言ってはなりません」
ミーア「は、ははは・・・何を言ってるのラクス様?・・・ラクス様とおなじ顔した馬鹿があなたの前に立っているんですよ?
そんな滑稽なことってないじゃないですか?・・・私・・・・・・とても耐えられないわ」
ラクス「外見など・・・関係ありません。あなたを必要としている人が、力になりたいと思っている人がいるのではないですか?」
ミーア「そんな人なんか居るわけないじゃない!私の家族は前の戦争でみんな死んでしまったのよ!」
ラクス「家族だけじゃなく・・・あなたの身近に居る人をもっと感じられませんか?」
ミーア「う、うるさいっ!そう、ラクス様っていつもそうだった。問いかけるだけ問いかけて答えを教えてくれなんですよね!」
ラクス「ミーアさん・・・・・・」
アスラン「ミーア!俺も力になってやれるはずだ!」
ミーア「アスラン・・・もう、いまさらどうでもいい・・・・・・」
ラクス「ミーアさん・・・私にもあなたに何かできることがあるはずです・・・だから死ぬなどと・・・」
ミーア「ラクス様・・・だったら・・・・・・」
〜こめかみにあてていた銃をラクスに向け、引き金を引こうとするミーア〜
ミーア「あなたが死ねばいいのよ!!」
〜響く銃声。身体を回転させ床に転がるミーア〜
ミーア「・・・・・・っが・・・・・・」
アスラン「ミーア!?」
〜後ろを振り向くアスラン。銃を構えているメイリン〜
メイリン「わた・・・私・・・だってラクス様を・・・この人、ラクス様を殺そうとしてたから・・・私・・・私・・・・・・・」
アスラン「メイリン!・・・っつ・・・・・・」
〜がたがたと身体を振るわせるメイリン。苦渋に満ちた顔をするアスラン〜
メイリン「私!・・・ラクス様を守りたくて・・・・・・!っぐ・・・・・・」
〜三度銃声が響く。今度はメイリンが胸を打たれ、後ろに倒れた〜
サラ「・・・・・・その娘から・・・離れなさい」
続 ・・・・・・真実の歌終章へ続く
なんか修羅場だしー!
最終章がごっつ楽しみです。ハイ。
31 :
264:2006/09/26(火) 17:56:07 ID:???
色々考えた結果、続けさせて頂こうかなと思っています。つきまして早速
相談なのですが、マリア(マユ)、ステラ、シンの機体はどんなのが良いでしょうか
マリアのデュエルは特に損傷描写ないんですが、降下装備無しで突入やっちゃったし
内部機構はズタボロだと思うんですね。コードXXと銘打ってますが、カラーリングと
エネルギーゲインを除いて、Xナンバーとほぼ同等なので。
とりあえずマリアとステラは、
(1)実験機のスペア部品でお代わり
(2)ウィンダム、ダガーL、ダークダガーLなど
シンの方は、
(1)コアスプレンダー部分に奇跡的に問題が無く、レッグとチェストもストックが
あったのでそのままインパルス
(2)ゲイツR、ザクウォーリアなど
(3)大穴でセイバー
を考えています。
あ、それから。こちらは今WEB上の資料?を漁ってるんですが、オーブが2年
であそこまで復興できたのと、復興どころか新型機動兵器を揃えて軍を増強
出来ちゃってるのは、何か理由があったんでしたっけ。
>>31 小説ではオーブの復興はセイラン家が頑張ったお陰とあった。
単発設定小話 「真実の歌」真実の歌編終章
〜即死状態のメイリンから止め処なく血があふれる〜
アスラン「メイリンっ!!」
ラクス「メイリンさんっ!!」
キラ「あ・・・あなたは?」
〜銃をまっすぐ構えたまま、倒れているミーアのそばまで近づくサラ〜
サラ「私は・・・ラクス様の側近です。今すぐこの場から立ち去りなさい!」
〜強い語気でキラたちを圧倒するサラ〜
アスラン「・・・なぜ・・・メイリンを撃った?」
サラ「なぜ、ですって?・・・彼女がラクス様を撃ったからにきまっているでしょう。他にどんな理由があるというのだ・・・」
アスラン「っぐ・・・・・・こんな・・・こんなことなんて・・・・・・」
ラクス「・・・・・・私を撃てば・・・あなた方ザフトにとって丸く治まったのではないのですか?」
サラ「私は今回の計画は聞いていない。・・・私の仕事はラクス様の側近を務めるのみ」
ラクス「・・・今・・・私たちがその気になれば・・・あなたを殺してしまうこともできるのですよ・・・・・・」
〜サラに静かに圧力をかけるラクス〜
サラ「殺すなら殺せばいい。・・・私も無駄に殺される気はないがな」
キラ「ラクス・・・・・・今はアークエンジェルに戻ろう。メイリンが危険だ」
〜メイリンに応急処置を施しているアスラン〜
アスラン「くそ!血が止まらない」
サラ「・・・あなた方が立ち去れないのなら、私たちがお先に失礼いたしましょう」
〜ミーアを抱きかかえるサラ〜
サラ「・・・では、失礼いたします」
〜その場を立ち去ろうとするサラにアスランが声をかける〜
アスラン「・・・お前の撃ったこの娘はもともとザフトの人間だ。ミネルバという船に姉が居る。・・・・・・伝えてもらえるか?」
サラ「・・・ルナマリア・ホークのことね。気が向いたら伝えておくわ」
アスラン「!?・・・知っていて撃ったのか?」
サラ「答える必要はない!」
〜立ち去るサラ〜
キラ「ムウさんを呼ぼう。一刻を争うよ」
ラクス「そうですわね」
〜アークエンジェルにエマージェンシーを送るキラたち。メイリンに必死に声をかけるアスラン〜
アスラン「メイリン!・・・おい!メイリンっ!!」
〜ひと気のない公園のベンチにミーアを座らせるサラ〜
サラ「・・・!・・・まだ息がある?」
ミーア「・・・ぅ・・・ぇもぉしょん・・・きっ・・・とこの・・そら・・・はゆぅめぇのぉ・・・かぁたぁ・・・ちぃ・・・とぉ・・・きめく・・・」
〜ぶつぶつと『EMOTION』を歌うミーア〜
サラ「ミーア・・・」
〜ミーアに続けて『EMOTION』を口ずさむサラ〜
サラ「・・・この鼓動ひびいてる〜・・・リレーション もっと〜伝えたいこの気持ち〜素直に生まれ来る言葉だけ・・・」
ミーア「・・・サ・・・ラさん・・・・・・。ごめん・・・なさ・・・い・・・・・・あ・・・りがと・・・・・・う」
〜隣に座っているサラの肩にもたれこみ絶命するミーア〜
サラ「・・・・・・私こそ・・・ありがとう」
〜一筋の涙が頬を伝うサラ〜
完
メイリンをうまいこと始末したな
ありゃ、単発さんって描いているシーン以外は本編準拠だと思ってたから安心してたんだが違ったか
まさかキャラクターの生死をなかった事にするわけないし…
>>34 メイリンはラクスの「手かざし」で生還。じゃね?
凸「チョ。ますます、カガリと因りを戻せね〜orz‥」
>>31 復興には連合が協力したって何処かで聞いたような……
ざまぁみろ優柔不断凸。
そう思ったのは俺だろうか。
メイリン「エェェェイメン!」
>>39 そのメイリンは銃剣不死身神父なのかふたなりガンスリンガーなのか二重人格刀使いシスターなのか
>>37 連合は復興になんて関わってないぞ。
オーブ占領したら速攻でジャンク屋ギルドに復興任せてほっぽり放し。
ユウナの最期並だな>メイリン
単発はこれまで読んだことがないが
投下されても感想が付きにくい理由がちょっと分かった
単発設定小話 「song'sU」
■僕たちの行方
〜死んだメイリンの宇宙葬が営まれるアークエンジェル〜
アスラン「なぜ君が死ななきゃいけない!・・・うっ・・・」
ラクス「アスラン・・・泣いていてはメイリンさんもがっかりしますわよ?」
アスラン「ラクス・・・でも・・・俺はあの娘になにも・・・なにもしてやれかった・・・・・・」
〜ぐずぐずのアスランの背中を『バシッ!』と叩くラクス〜
ラクス「アスラン!・・・男でしょっ!背を伸ばす!襟をしゃんとする!涙を拭く!髪の毛を整える!」
〜テキパキとアスランを整えるラクス〜
アスラン「ラクス!?」
ラクス「いい加減に目を覚ましなさいっ!・・・私の知っているアスラン・ザラはもっと強い人でしたわよ」
■I Wanna Go To A Place...
〜ミーアの死を知らされ落ち込むタケダ〜
タケダ「・・・お疲れはんでした、サラはん」
サラ「これ・・・ミーアの髪飾りはあなたにあげるわ」
タケダ「・・・・・・おおきに・・・」
サラ「これであなたともお別れね。・・・楽しかったわ」
タケダ「わてもです。サラはん・・・その服・・・ザフトに正式に戻られるんでっか?」
サラ「ええ、顔を上げて生きていくことにしたわ。ミーアに負けていられないもの・・・」
タケダ「そうですな。わても一からやり直しですわ。・・・・・・その赤服、似合ってまっせ」
サラ「ふふ、ほめてもなにもでないわよ。・・・じゃ、これで」
タケダ「ほな、また会えたら会いまひょ」
〜ザフトの赤い制服を着たサラが部屋を出て行く〜
■Wings of Words
〜ミーティング終了後のミネルバ〜
ルナマリア「新しいパイロットが来るっていいてもなぁ〜。どこも人手不足でしょうに」
マユ「ルナ姉ちゃん!スクープよ!スクープ!」
ルナマリア「なに?なによ、マユ?」
マユ「さっきヴィーノ兄ちゃんたちに聞いたんだけど、新しいパイロットさんフェイスの人だって!」
ルナマリア「フェイスね・・・マユ、あなたもフェイスなのよ。それにレイだって、艦長だってフェイスじゃない」
マユ「うっ・・・それは、そうなんだけど・・・。じゃ、じゃあMSがすごいのよ!」
ルナマリア「それって・・・噂の第三世代型ってやつ?え〜っと・・・ダムだかドンだか・・・?」
マユ「ブー!そんなのじゃないよ。・・・ある意味ルナ姉ちゃんとマユのコラボレーションといっても過言じゃない・・・」
ルナマリア「コラボレーション?・・・私とマユの?」
マユ「開発が頓挫していた秘密のMS・・・デスティニーインパルスよ!」
〜なんじゃそりゃ?という顔のルナマリア〜
■君は僕に似ている
〜ガーティ・ルー〜
シン「・・・スティング、もう俺の教えられることはねぇよ?」
スティング「ああ、使い方はバッチリだ。あとはタクティカルか。・・・シン、お前・・・なんつーか雰囲気が似てきたな、大佐に」
シン「なんだそりゃ?俺はあんなおっさんじゃないし、いい加減じゃねえぞ」
スティング「・・・ん・・・まぁなんだ、なんとなくだよ。なんとなく・・・・・・」
完 ・・・・・・メイリンの内面を描写するのは結局省きました。理由は、深く知る必要もないキャラだと判断したためです。
>>43 さようなら、メイリン‥。
「戦力外」でも必要な「旅の仲間」だったよ。
内面描写以外でもいくらでも使いようがあるだろうに…
苦手なものから逃げるのもいいが、そんなんじゃ負債より面白くなんて出来ないぞ
するつもりがないなら構わないが
ただのキャラヘイトみたいなのは見てて胸糞
嫌いじゃない内容なんですけど、最後の一行が蛇足ですね……残念です
確かに最後の一行は余計だった
作品以外の内容以外で作者が不用意に喋ると危険だぞ
まあメイリンの末路自体は、原作と大まかには変わらないならむしろこうなって当然とさえ思うから文句無いけど
>単発さん
最後の一行は思っていても決して言ってはいけないことですよ
もしも読者にメイリンファンがいたらどんな気分になるかは予想できるはずですし
キャラクターを切り捨てるのではなく魅力的に描くことが二次創作の醍醐味ではないでしょうか
何気に、単発がこんなにたくさん長文感想もらえるのは初めてのことじゃないか?w
メイリンはウッカリ八兵衛とか朝比奈ミクルみたいな、
3枚目ポジションだから脂肪するとキッツイね。
これ以上引っ張るつもりなら避難所行ってくれ。
ほのぼの作者も弁明は避難所でやったからな。
つーか今見たら単発氏も避難所で謝ってるじゃん。
その後もここで叩いてる奴は注意不足だな
マユ種ラストが避難所の方に上がってるね
なんでそう斜めに取りたがるかね。
ぼうやたち、ざつだんはひなんじょでね☆
ひらがなでかいたんだもん、わかるよね☆
「走れ!!お前がいないとドラグーンをうまく動かせぬのだ!!」
「知るか!!というかレジェンドとプロヴィデンスって!」
「これで解っただろう?!シンハロから聞いているだろうからな!!」
レイの手を引きながら走るレジェンド。後ろではドラグーン達が攻防を繰り広げている。
「く・・・っ!こうなったら仕方があるまい・・・・・。」
そうレジェンドが言った瞬間レイの体が宙に浮く。
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ?!」
そのまま茂みに投げ込まれるレイ。
「ドラグーンの操縦はお前にまかせる。それなら自分の身を守れるだろう。」
レイは自分の周りのドラグーンを見ながら呆然とする。
レジェンドはレイの上に葉や枝をかぶせドラグーンもミラージュコロイドさせる。
「うむ、完璧だ。動くなしゃべるな、如雨露で水をかけられても戦闘に突入してはいかんぞ?
草タイプっぽいけど岩タイプとかじゃないのだからな。」
わけのわからない注意をしてレジェンドはその場を去る。
「おい!お前・・・ドラグーンがなくて平気なのか?!」
「なめるなよ主!!ドラグーンなんぞ飾りだ!!」
そういってレジェンドは敵のほうへ飛んでいってしまった。
しかし、レイは思う。
ぶっちゃけ自分のMSだから言いたくないけどドラグーンがないレジェンドって相当地味だよな。
「・・・・・・・・・・・。」
プロヴィデンスはあたりを見渡す。
流石最新だけあって動きが早い。見失ってしまったようだ。
「イケ。」
そう命令するとプロヴィデンスのドラグーン達がレイを探そうと散開する。
しかし、そのうちの三機が上空迫ってきたビームに打ち抜かれる。
「余はここぞ!!どこを探そうとしておる!」
声に上を見上げるが時遅し。プレヴィデンスの顔に落ちてきたレジェンドの足がみしっと音を立ててめり込んだ。
そこから華麗にジャンプして着地するレジェンド。
「−−−−−っ!!」
プロヴィデンスは顔を抑えながらもドラグーンをレジェンドに向ける。
「標準が甘いな!」
ビームの目をかいくぐりながら一つずつ確実にドラグーンを落としていく。
だが回復したプロヴィデンスがすぐにサーベルを抜いて接近してくる。
「甘イノハソチラダ!」
生き残ったドラグーンをビームの出力をわざと落とし唯の目くらましとして使い、わずかにできた隙を見て
プロヴィデンスはレジェンドとの間合いを詰める。
切りかかるプロヴィデンスにレジェンドは右手のビームシールドで対応するが、それに気を取られて
左腕を蹴り上げられそちらに持っていたビームライフルを落としてしまう。
だがレジェンドが敵にライフルを落とされた瞬間、レジェンドの両こめかみの辺りに小さな魔法陣が現れる。
それはこの姿の時のバルカン使用の合図だ。プロヴィデンスはとっさに飛び退る。
この姿は非常にめんどうだ。現実世界に干渉こそできないが五感を手に入れ人とほぼ同じ姿になれる。
だが耐久力まで人並みになってしまいPS装甲もあったものではない。さらにレーダーなども使えない。
そのくせ武装はそのままなのだ。使い勝手が悪いことのこの上ないのである。
普段ならPS装甲でなんてことのない武装も一気に脅威となりうるのだ。
プロヴィデンスがレジェンドから距離を離した瞬間レジェンドの姿が掻き消える。
(消エタ・・・?!イヤ、違ウ・・・・ミラージュコロイド!!)
面倒なことになった、とつくづくプロヴィデンスは思う。
先ほど述べたようにこの姿ではレーダーなどの機器は使えない。
「・・・グアッ?!」
背後から攻撃されてプロヴィデンスが吹き飛ばされる。
受身を取ろうとした瞬間追撃で地面にたたきつけられる。
そこから見えないレジェンドの一方的な攻撃が続けられた。
ビームサーベルを使われなかったのは幸いだがこのままではプロヴィデンスが負ける。
だがレジェンドは勘違いをしていた。プロヴィデンスの目的はレジェンドではなくレイだったのだ。
「・・・・・・ミツケタ。」
攻撃を喰らいながらぽつりとプロヴィデンスが呟いた。
その言葉の意味を一瞬のあと理解したレジェンドは攻撃の手を一瞬止めてしまう。
それをプロヴィデンスは見逃さない。全力でアッパーを加えレジェンドを吹き飛ばす。
そしてプロヴィデンスはドラグーンをレジェンドの後方に向けて飛ばす。
「・・・・っ!!しまった!!」
レジェンドを通り過ぎたドラグーンがレイのいる草むらへ向かう。
既にビームは放たれており、自分の反応も間に合わない。
レイも逃げ出そうとしているが間に合わない。
「逃げろーーーっ!!」
・・・・・・・題名はミスです。気にしないでください。
そういや、雑談は避難所になったんだな
>>61 そんなルールは初耳だが
他スレと勘違いしてないか?
つ【コーヒースレ】
え? 雑談禁止じゃないだろ。 違う?
65 :
61:2006/09/30(土) 21:09:50 ID:???
>>62-64 変なこと言ってごめんなさい。
マユスレは雑談OK(投下を考慮して適度に)でしたね。
あと新スレたった後のスレ残りの容量まで雑談OK(自由に)でしたよね。
申し訳ない・・・ちょっと反省してきます、それでは。
単発設定小話 「ゼピュロス」最終章@
〜メサイア。デュランダル私室〜
デュランダル「・・・まさか彼女が彼らに殺されてしまうとは・・・手厚く葬ってやってくれたまえ」
サラ「ええ・・・」
〜デュランダルから目をそらすサラ〜
デュランダル「ふむ・・・」
〜サラが目をそらした意図に気づくデュランダル〜
デュランダル「いまさらながら軽蔑するかね?私を」
サラ「軽蔑など・・・ただ、最初から私に任せていただければもっと上手くやりましたのに・・・」
デュランダル「あっはっは・・・そこは私の誤りだったね。で、まぁ過ぎてしまったことは仕方あるまい」
サラ「はっ。久しぶりに正規ルートで拝命できるのですね?」
デュランダル「・・・ミネルバはいい船だ。・・・・・・君の後輩たちのフォローを頼むよ」
サラ「了解致しました」
〜部屋を後にするサラ〜
〜メサイアMSロビー〜
サラ「システムオン。機体間ネットワークオン。・・・デスティニーインパルス、ミーティア4番機『ゼピュロス』発進するわよ」
〜メサイアから飛び出す 薄紫色を基調としたデスティニーインパルスと黒いミーティア〜
〜ミネルバ〜
タリア「・・・もうそろそろ補充人員が到着するころね」
アビー「艦長、連絡が来ました5分後に到着するとのことです」
タリア「そう。アビー、ありがとう。デッキのクルーにも連絡しておいて頂戴。到着したら艦長室に来るように伝えておいて」
レイ「私もご一緒してよろしいですか?艦長」
タリア「レイ・・・何も特別なことなんてないわよ?」
レイ「いえ、フェイスの方だと伺っておりますので挨拶をと思いまして」
タリア「そう・・・いいわ。じゃあ、マユも呼んできなさい。彼女もフェイスなんだから」
レイ「ありがとうございます。では、マユも連れてまいります」
〜ブリッジを出るレイ〜
タリア「アーサー、ブリッジをお願いね」
アーサー「はっ」
〜レイに続きブリッジを出るタリア〜
〜アビーのヘッドセットに通信が入る〜
サラ「こちらフェイス所属サラ・ビギンズ。接舷を許可されたし」
アビー「機体コード認証しました。接舷を許可いたします。ようこそミネルバへ。・・・ボートを出しますのでしばらくお待ちください」
サラ「ありがとう。アンカーを出すから接続しておいてください」
アビー「了解。アンカー確認。ミネルバと接続します」
〜ミネルバとアンカーでつながれるミーティア〜
サラ「さて、誰に何から伝えたらいいものやら・・・・・・」
〜ミネルバから送られてきたスペースボートに乗り込むサラ〜
サラ「ミネルバまでお願いね」
ヨウラン「はっ、お任せください」
〜ミネルバへ向かうサラ〜
続
姉妹スレでもないし
>>61が勝手に勘違いしただけだ
ほっとけ
コーヒースレって何だ?
姉妹スレといえば
新キャラメインでDESTINY学園開校 って
このスレの趣旨と合ってるのか?
別にここにはシンマユ以外の新キャがラメインという意識は無いんだが
>>71 壊れたテープレコーダーみたいになってますがな。
>>70 横合いから最高のタイミングでシンとオクレが殴りつけてくる可能性があるから先が読めないな
>ほのぼの作者さん
予想していたよりは普通でした。
解凍されたフォルダ名には吹きましたがw
単発設定小話 「伝えたいのは・・・ part.1」最終章 2
〜ミネルバに乗艦するサラ〜
ヨウラン「あ、艦長室まで案内を・・・」
サラ「ありがとう。でも案内は結構よ。部屋の場所はわかるから」
〜艦長室へ到着するサラ〜
サラ「失礼いたします。・・・サラ・ビギンズ、ただいま着任いたしました」
タリア「ようこそ、ミネルバへ」
〜敬礼を交わすサラとタリア。横に立っているレイとマユも敬礼をしている〜
サラ「あなたたちは・・・」
レイ「レイ・ザ・バレルです」
マユ「ま、マユ・アスカでっす!」
サラ「ザフトの英雄さんたちね。活躍はいろいろ聞いてるわよ」
〜レイたちに笑いかけるサラ。元気よく返事をするマユ〜
マユ「ありがとうございます!」
サラ「・・・こんなことを言うのは失礼だけど、本当に小さいのね」
マユ「え・・・へへ・・・・・・まだローティーンエイジャーですから・・・」
〜おでこにしわを寄せるタリアとサラ〜
タリア「・・・・・・コホン。えーと、16時からミーティングを行います。それまでは自室で待機とします」
サラ「はっ。了解いたしました。・・・部屋まで案内していただけるかしら・・・レイ、マユ?」
レイ「っつ・・・はっ、案内させていただきます」
マユ「はい」
タリア「じゃ、まかせるわ。その他手続きを忘れないように」
サラ「ふふ・・・わかりました。部屋に着く前までに二人に教えていただきますわ」
〜艦長室を退出するサラとレイ、マユ〜
タリア「・・・・・・サラ・ビギンズ・・・ハイネとアーサー・・・マユにデスティニープラン。・・・ギルバート、あなたの目指すものって?」
〜サラの経歴書を眺めながらつぶやくタリア〜
〜廊下を歩いていくサラとレイ、マユ〜
サラ「・・・これとこの申請書が必要なのね・・・うんうん。・・・え、メッコールはあるのにドクターペッパーはないの?あら、そう」
マユ「うん。あ、着きましたね。ここがサラさんのお部屋です」
サラ「どうもありがとう、レイ、マユ」
マユ「ミーティングの時間に迎いに来ますね」
サラ「ええ、ありがとう」
〜サラの部屋の前から立ち去るマユ〜
レイ「では、私もこれで・・・」
サラ「ちょっとまって、レイ。・・・久しぶりに顔を合わせるのにつれないわね」
レイ「・・・それは失礼いたしました」
〜レイに微笑みかけるサラ〜
サラ「デュランダル議長から預かってきたものもあるから・・・ちょっと待ってて」
〜部屋の中に運び込まれている荷物をさばくるサラ〜
サラ「あっと・・・あったあった。・・・はい、これ」
〜レイに薬瓶を渡すサラ〜
サラ「改良されたあなたのための錠剤よ。・・・・・・まだ症状は大丈夫そうだけど・・・・・・無理してはダメよ?」
レイ「・・・ありがとうございます。・・・・・・私はラウ・ル・クルーゼほど愚かではありませんよ」
サラ「そう、ならいいのだけれど・・・」
続
>>76 アーサーにもヘビーなドラマのフラグが‥。
ワクワク‥(‥)。
「・・・よーするに俺達は皆集めないと起きれないってことか。」
「いや、起きたければ誘導するけどあんた達絶対この状況楽しんでから起きるだろ?」
「俺は違う!」
ハイネ達に現在の状況を説明したMkU。
先ほどまでいた飲み屋から逃げ出しここは先ほどまでシンとMkUがいた混沌世界だ。
・・・・気がついてみれば聞いているのはアスランとハイネしかいない。
「他のやつらは。」
「向こうで遊んでる。」
向こうではアキラが変身したキャラがなにやらうろたえるなー!とか叫んで五人をふっとばしている。
ちゅどーん。
無言でアグニを打ち込むストライクMkU。
「話聞けよ!!人が説明してるんだから!!」
「いや、今アキラに吹っ飛ばされてみたら本当に顔面から落ちたよ!すごいなその能力!!」
ミーアに自慢してやろ!と意気込むシン。
「完璧再現だな!よし次はドラえも○だ!!」
アキラの友達だけあってノリのいいトール。
「うろたえるな小僧ども。元に戻るのに時間がかかるから少々待て。」
なにやら原型をとどめてない緑の髪に背の高い真っ黒な鎧をきたアキラらしき人物が答える。
「・・・・それモーツァルトとか過去の偉人には変身できませんか?」
「ずるいぞ二コル!すみません!空の弓ことカレー先輩お願いします!!」
「・・・・主人公で大活躍している俺をお願いします。つーか映画制作現場に侵入していますぐ映画を
俺主人公の番外編に作り直してください。」
しまいにはなんか拝み始まれてる。
「はいはい!!おしまいおしまい!いいかげんにしなさい!!」
パンパンと手をたたいて騒ぎをおさめるアスラン。
死んでる三人組はアスランずいぶん変わったなぁ・・と思った。
「いいか!とりあえず会えたのは嬉しいけど今は真面目に聞け!!謎の存在のせいで俺達はここへ来てしまった!
とりあえずお前達との再会を果たしたが、仲間が見つかるまで帰れない!!どうなる俺達!!」
アスランの説明に思わず全員心の中で次回予告のBGMを流し始める。
「なーのーでー!そこの死んでいる方々にも協力していただきます!!」
「「「「えぇーーーーっ?!」」」
不満げな声をあげるコーディ三人組。
トールは「まぁ、アキラの友達だし!」と快く引き受けている。
「うるさい、黙って言うことを聞け。わがままを言う子は連ザ2に出れないぞ。」
すっかり苦労して身についたオカン気質と連ザ2攻撃が聞いたのか三人はうっと黙る。
ラスティはどうせ出れないのに反応してしまうのが切ない。
「解ったか?」
黙ってうなずく三人。
「・・あのアスランってやつオカンみたいだよな・・、いつも見てると。」
「あぁ、うちのチーム内でのオカン役があいつだ。」
トールの問いにいつものアキラに戻ったアキラが答える。
「・・・・・その他は?」
「『お母さん』はグレイシア、『親父』がネオのおっさん、『おとーさん』がハイネ。
『ちっちゃいお兄ちゃん』がカルマ、『酒飲みにーちゃん』がキースで『老けてる弟』がジョー。
『オタクな兄貴』が俺で『優等生なお兄様』がゼロ、『愛しきマイシスター』がミーア。
『苦労人な真ん中の子』がスティング、『天然わんこ系いもーと』がステラ。『やんちゃへっちゃらおとーと』がアウル。
『世渡り上手な真ん中』がレイで『困ったお姉ちゃん』がルナマリア、『しっかり妹』がメイリン。
シンハロが『素敵なお兄ちゃん』でシンが『おかしなおにいちゃん』マユが・・・・・。」
アキラのよくわからない脳内家族設定が繰り広げていると、突然空にキランと何かが光る。
「「「「「・・・・・・・・・・?」」」」」」
異変に気づき全員が上方を見上げると、ものすごいスピードで接近する物体が。
「MkU−−−!!!」
落ちてきたのは金髪の美少女だった。もちろんものすごい勢いだったのでぶつかったMkUは吹き飛ばされる。
「あれ・・・・?!いない?!」
「あんたが吹き飛ばしたあんたが。」
慌てふためる美少女にシンは冷静に突っ込む。
「おい!大丈夫か?!」
「・・・・・少し、未練だ・・・・・。」
「死ぬなー!!」
ダメージを食らったMkU、アスランが頬をたたいて目を覚まさせようとする。
「大丈夫ですか?すごいスピードで落ちてきたみたいですけど?」
なんか急にニコルが女性に接近する。好みのタイプだったらしい。
「あ・・、妾は大丈夫だが・・・・。」
「そうですか、それは良かった。」
にっこりと笑うニコルに赤面するデスティニー、どうやら正攻法で攻められるのに慣れていないらしい。
「やめろ!!その女に人間が手を出すな!!永遠にドラグーンに追い回されるぞ!!」
復活したMkUは看病していたアスランの頭に一瞬激突してからニコルを止める。
「え?ドラグーンってことはこの方クルーゼ隊長のお知り合いですか?」
「いや、確かに友達のお母さんの妹の娘の友達のおばあちゃんくらいの繋がりはあるが・・・。」
ニコルの質問に頬を掻きながらMKUは答える。
「そ・・・、そんなことよりMkU!!主殿を見失ってしまったのだ!!」
デスティニーが慌てふためいた様子で話す。
「見失ったって・・・・・、お前はマユが何処にいるか解ったって言ったから一人で行かせたんだろ!!
この世界で人間が一人で下手なところ行ったら二度と体に戻れなくなるかもしれないんだぞ!!」
MkUが怒ったように言う。ちなみに後半の説明に生きている組はそう言うことはちゃんと言えと思った。
「し・・しかし・・!!」
「しかしじゃねぇっ!!てめぇはMSとしての自覚が無さすぎなんだよ!今回はマジ怒るぜ?!
そうやっていつもおどおどしてあんたはシンハロがいないと自分のマスターも守れないのかよ!」
MkUに怒鳴れてデスティニーは脅えたような表情をする。
「MkU、そこらでやめておけ。」
声が聞こえたと思った瞬間デスティニーの前に赤い影が現れる。
「ソード、お前達まで来ちまってどうすんだよ・・・。」
赤い影は人型を作る。そこには赤い服の青年がいた。赤味を帯びた長い黒い髪でその姿は侍のようだ。
「別に構わんだろう。そもそも動かせるパイロットがいないのだ。」
MkUにそう答えてからソードと呼ばれた青年はデスティニーの方を向く。
「心配するなデスティニー、今ブラストとフォースが知り合いのMSで現在手の空いている者を探している。
私達の交友関係は結構大きいぞ。すぐお嬢様も見つかるだろう。」
そう言ってデスティニーに笑いかける。
「て・・、言うことはあんたインパルスか?!」
シンが驚いて叫ぶと目の前の赤い男はうなずいた。
「いかにも、私はソードインパルス。お初にお目にかかります、若。」
そう告げてひざまづくソード。
「な・・、なんかMkUとずいぶん反応が違うんですけど?!」
ソードの侍的で従順な態度に困惑するシン。
「MSにも個性があんだよ。・・で、ソード。他のはどいつの所に行ったんだ?」
MkUがシンに答えてからソードに現在の状況を聞く。
「あぁ、まずアストレイ達の所にブラストが、あとルージュのところにフォースが行ったな。」
「げ?!姉貴が来るのかよ・・・・。」
ため息をつくMkU、どうやら姉が苦手らしい。
「あとレイ殿の反応を見つけた。どうやらレジェンドは交戦しているらしい。
我々も向かいたいが・・・・ちょっと大人数すぎないか?何があったか説明してくれ。」
またもや皆の脳内に流れる次回予告のテーマ、アスランの熱い現状を整理した説明が始まった。
単発設定小話 「伝えたいのは・・・ part.2」最終章 3
〜ミーティング〜
アーサー「・・・で、レクイエム周辺が最大の戦地となることが予測されます。」
タリア「といったところね。今日のミーティングは以上。・・・で、最後に挨拶だけお願いできるかしら?」
〜サラに視線を投げるタリア〜
サラ「ええ、もちろん。・・・先ほど着任いたしました。サラ・ビギンズです。みなさん宜しく」
タリア「みんな知ってのとおり、ミネルバに繋がれているミーティアとインパルスのパイロットよ」
〜タリアがサラを紹介し、ミーティングは解散。廊下の窓から見えるミーティアを眺めるマユとルナマリア〜
ルナマリア「・・・あれがデスティニーシルエットってことね」
マユ「さっきヴィーノ兄ちゃんにマニュアル見せてもらったけど、コアスプレンダーとかは一緒だったよ」
ルナマリア「私のインパルスと互換性はあるわけか・・・」
マユ「一回ぐらい乗せてもらえないかなぁ?」
ルナマリア「頼んでみたらいいじゃない。乗せてもらえるかもよ?・・・でも・・・あれがミーティア?」
マユ「・・・真っ黒だね。後ろにいっぱい出てる出っ張りってもしかして・・・」
〜マユとルナマリアの後ろから声がかかる〜
サラ「ドラグーンシステムよ。・・・乗ってみたいのなら後で乗せてあげるわよ?」
マユ「サラさん!本当にいいんですか!?」
サラ「ええ。・・・ところで、ちょっと話があるんだけど二人ともいいかしら?」
ルナマリア「話・・・ですか?」
〜頷くサラ〜
マユ「じゃあリフレッシュルームにいこっ!」
サラ「いえ、私の部屋に来て頂戴。・・・・・・他人に聞かれるとちょっと困るから」
ルナマリア「・・・なにか・・・極秘の任務とかですか?」
サラ「・・・そんなのじゃないけど・・・まぁとにかく来て頂戴」
マユ「・・・はーい」
〜サラの部屋に向かうマユとルナマリア〜
〜ミーティングルームに残っているタリアとアーサー〜
タリア「・・・アーサー、あの娘と同級生だそうね。・・・ということはハイネも同級生なのかしらね?」
アーサー「え・・・いや・・・まぁそうですけど・・・・・・」
タリア「あだ名に『ザフト』の冠を持つ3人がこの船にいた・・・いるわけだ」
アーサー「そんなの冗談でつけたものじゃないですかぁ?嫌だなぁ、私のあだ名なんて『ザフトの鰯』ですよ?」
タリア「そうよねぇ?・・・私の考えすぎかしらね?・・・・・・いいわ、アーサー。後は私が片付けておくから戻っていいわよ」
アーサー「え?いや、しかし艦長にこんな雑用をさせるわけには・・・」
タリア「いいから。私の仕事は承認ごとしかないんだから。さ、帰った帰った!」
アーサー「はぁ・・・じゃお先に失礼いたします・・・・・・」
〜不思議そうに艦長に目をやりつつ部屋を出るアーサー。部屋にのこるタリア〜
タリア「次世代コーディネイター・・・・・・マユ・アスカが最初じゃないでしょうに」
レイ「あの3人が第一期製の次世代コーディネイターですよ」
〜部屋の入り口に姿をみせるレイ〜
タリア「・・・・・・あなたは・・・どこまでギルバートから聞かされているのかしら?」
レイ「私の知っていることなど、たかがしれてます」
タリア「ふぅん・・・・・・あなた『達』にとっては・・・そんなことはどうでもいいかもしれないわね」
〜レイを心の奥をのぞくように眺めるタリア〜
レイ「・・・少なくとも、私個人にとってはどうでもいいことですね・・・・・・」
続
GJ!
アーサーが鰯か。撤退戦がうまいということなんだろうか
GJ
連座Uの話なんだがオリジナルパイロットが作れるとか。
マユっぽいキャラが作れるといいねえ。
>>85 マユっぽいキャラ(アニメから顔グラ流用とか・・・)が作れたら、間違いなく買うわ。格ゲー系ど下手だけど・・・
というかマユ出せよ
無茶を仰るw
俺ジブリールとユウナ使いたい
それをいうなら盟主王の方が…ってもう死んでたか
じゃあ俺ノワールにシンのせる。
機体エディットも可能らしいが・・・色変更くらいはできるのかな?
何かもう、妄想の世界からしかものが見れないのかな
>>93 おお、こりゃ赤目の黒ハロこと、シンハロだw
単発設定小話 「伝えたいのは・・・ part.3」最終章 4
〜サラの部屋〜
サラ「マユ・・・あなたにこれを渡しておくわ」
マユ「・・・モバイル・・・コンピュータですか?」
サラ「ええ。ミーア・キャンベルが持っていたものよ・・・」
マユ「えっ!?ミーア姉ちゃんの!?」
〜思わずモバイルを落としそうになるマユ〜
サラ「形見よ。あの娘、身内なんていないし、友達もあんな立場じゃつくれなかったしね」
マユ「形見って・・・なに、ミーア姉ちゃん死んだの!?」
ルナマリア「・・・・・・殺されたのね?」
〜ルナマリアが顔を伏せ気味にサラに問う〜
サラ「ええ。・・・月面の自由都市コペルニクスは知っているわね?・・・その町に本物ラクス・クライン達も来ていね・・・・・・」
マユ「まさか・・・・・・」
サラ「・・・これ以上は私は喋ることができないわ」
マユ「・・・ラクス・クラインたちをおびき出すのに使われたんですか?」
サラ「私の端末からここにアクセスしてみなさい。詳細が入っているわ。・・・パスワードはこっちね」
〜机の上においてある自分のモバイルを立ち上げるサラ〜
マユ「・・・・・・今から・・・見てもいいんですか?」
〜うなづくサラ。指示されたページへアクセスするマユとルナマリア〜
マユ「・・・こんな・・・こんなことって!・・・・・・」
〜瞳に涙を溜めるマユ〜
マユ「あの人たち・・・助けてもくれなかったの!?」
サラ「私が・・・ついたときにはもう・・・撃たれていたのよ」
マユ「ミーア・・・姉ちゃん・・・・・・」
サラ「まだ公にはなっていないから口外してはダメよ」
マユ「・・・うん・・・いえ、はい・・・・・・」
〜涙を流すマユ。ページの続きに気づくルナマリア〜
ルナマリア「次のページがあるわよ・・・」
〜モニターに次のページが映し出される〜
サラ「ここからは、ルナマリアに重大なことを告げなければいけないわ」
ルナマリア「私に・・・ですか?」
サラ「・・・メイリンのことよ」
ルナマリア「メイリンが・・・この事と何か関係があるんですか?」
サラ「あなたにはだけは伝えなきゃいけないこと」
ルナマリア「・・・メイリンも・・・殺されたんですね?」
〜ルナマリアは覚悟を決めた顔でサラに聞き返す。無言でうなづくサラ〜
マユ「・・・・・・なっ・・・・・・アスランさんは!?アスランさんもこの場にいたじゃないですかっ!!助けれなかったとでも!?」
サラ「・・・撃ったのは・・・私よ」
マユ「えっ!!・・・・・・」
〜サラの告白に愕然とするマユ〜
マユ「・・・・・・知っててうったんですか?」
サラ「・・・・・・ええ」
マユ「サラさん・・・なぜ・・・知っていながら・・・・・・?」
ルナマリア「マユ・・・・・・サラさんを責めてはいけないわ」
続
97 :
264:2006/10/09(月) 12:32:43 ID:???
こんにちは。まとめサイトで自分の最終更新日を見て寒気がしました。っていうか
載せて頂いて有難う。まさか載るとは……。
なんかまとまった1話を、と思うとどんどん脳内で先延ばしになってしまいます。
話を細かく区切って投下頻度を多くしようかなと思うんですが、如何でしょうか。
どんなに掛かっても1話でまとまったほうが、望ましいでしょうか?
>>97 おまいさんの書きやすい方でやればいいかと
99 :
264:2006/10/09(月) 16:01:22 ID:???
では試験的に、短いのを投下します。
――機動戦士ガンダムSEED Destiny 灼熱の咎、凍える枷――
PHASE8:ヘイワ ノ クニ
100 :
1/5:2006/10/09(月) 16:02:11 ID:???
地平線上が白み始めた頃、ソロネとミネルバの巨体が高空に出現した。突き破った雲の残滓を
引いて、艦体底部と後部に青白い光を湛え、滑るように空を往く。双方とも、黒い装甲に
幾つものの擦過痕が刻まれ、ソロネの方は左舷全部、後部のスラスターノズルから小さな火花が
上がっていた。
「コアスプレンダーのビーコン、キャッチできました。連合のMSと共に、オノゴロ島の海岸で
待機している模様です」
ブリッジオペレーター、メイリン=ホークの言葉にタリアがほっと溜息をつく。
「降下には成功したのね。ともかく、パイロットが無事で何よりだわ」
「ザフトは人手不足ですからね。特に、シンには生き延びて貰わなくては。今後の為に」
ミネルバの艦長席に身を沈めるタリアの言葉に、アーサーが相槌を打った。
「肝心の映像はきちんと撮れたの? アーサー」
「問題ありません。明日には編集して、放送できますよ」
「良かった。インパルスを失った失点を、多少なりとも軽減できるかしらね」
「MS隊、接近! 識別はオーブ軍です」
メイリンの報告に、タリアがシート脇のコンソールを操作してデータを引き出す。
「オーブ機? 対流圏に入りかけたばかりなのよ? シュライク装備のM1が、上がって来られる
高度では無いはず」
「観測機によれば、MSの反応だそうです。数、8!」
「高高度用の迎撃戦闘機でも買ったのかしら。それにしても……」
そして、タリアは息を呑んだ。アーサーも、正面の有視界キャノピーに視線を張り付かせる。
赤、白、黒でカラーリングされ、前進翼を持った大型航空機部隊が明け方の空に浮かび上がる。
ミネルバ、ソロネ両艦を取り囲み、1機が人型に変形した。各部のスラスターを吹かし、
2隻に向き直った。両艦に通信が入る。
『オーブ軍、馬場一尉であります。貴艦のオーブ空域進入は許可されました。
これより、我々の指示に従って降下して頂く事になります。よろしいですか?』
「……ええ、誘導をよろしくお願いします」
『歓迎いたします。ようこそ、オーブへ』
馬場の姿が通信モニターから消えると、可変空戦機『村雨』の編隊がゆっくりと進路を修正する。
「なぜ村雨が……コンセプトが発表されたのは、僅か2週間前なのに」
「もし量産ラインが確立しているとすれば、連合のオーブ解放作戦以前から造っていた事に
なります。しかし、そんな……どうやって!」
「解らないわ。オーブという国は昔からそう。解らない……」
憂いを含んだ吐息を零し、タリアはミネルバを遠巻きに囲む村雨を見遣った。
「連合は、これを知っていたのかしらね」
101 :
2/5:2006/10/09(月) 16:03:10 ID:???
「オーブ機のデータ採集、遅いぞ!」
「なにぶん、既存の量産型とはまったく異なる機体で……」
通信が切れた後、イアンが苛立たしげに指示を飛ばす。横に立ったネオが、無意識に仮面に手を
やった。
「へぇ、レドーム機だ。偵察仕様まであるのか……データ、どの辺りまで取れた?」
「戦闘機と人型という2つの変形モードを持っている機体です。量産機にしては豪華ですね。
人型の装備はシールド、機銃、ライフル、そして腰のラックに納まったサーベルが確認できます。
戦闘機では機銃、砲……ビーム兵器かと思われます。また、ミサイルランチャーを確認しました」
オペレーターの報告に頷き、ネオはCG画像化された村雨を手元のモニターに表示した。
「ミサイル……こいつは多目的タイプだな。対地攻撃にも使える奴だ」
「人型形態は、どうやら滞空できるようです。推進機関を下部に集中させて、ホバリング
している模様……」
「良く出来てるなぁ。見せびらかしの急造品じゃないってわけだ」
ソロネの前脚に人型の村雨が降りる。朝日を浴びて、先行する数機が濃い陰影を生み出した。
「開発自体は、我々の侵攻前から始まっていたのでしょうね。ザフトの方は、これを知って
いたんでしょうか?」
イアンの問いに、ネオの口元が笑みに歪む。
「解らんよ。歴史を見ても、オーブってのは昔から解らん国だ」
「デュエルMkUのビーコン、キャッチ出来ました! オノゴロ島の海岸です」
オペレーターの言葉に、イアンは直前の思考を遮断した。
「通信、繋げるか!」
「少々お待ちを……駄目です!」
「何故だ!」
「その付近に停泊中の何か巨大な……艦が。 その艦が展開している通信ネットワークに
干渉されます!」
「なに……通信妨害か?」
「見ていろ、って事だろな」
ネオの笑みが深まる。
「大佐?」
「仕事は全てオーブに任せ、生放送で流す『新商品』のCMを眺めていろ、という事さ」
「ですが……アスハ主席は、このような事を好まれない方と聞きました」
「そりゃ良い。『世間知らずのお嬢様』のままならな……」
喉が鳴った。仮面の奥の表情は伺い知る事が出来ない。
「仔猫は仔猫のままが良い。獅子になんぞ化けて貰っちゃ困る。だが、何事も
思惑通りにいかんのが……ま、人生ってヤツだ」
102 :
3/5:2006/10/09(月) 16:04:13 ID:???
焼け焦げ、素体の色を剥き出しにした状態で横たわるデュエルMkU。その胸部が炸薬の光と共に
弾け飛んで、ヘルメットを脱ぎ、銀髪を潮風になびかせたマリアが姿を現した。
「大丈夫か、マリア! ステラは!」
「恐らく、命に別状はありません」
推進剤が切れ、2機の直ぐ傍に不時着したコアスプレンダーの傍で叫ぶシンに答えつつ、
デュエルMkUが抱え持っていたブリッツMkUの胸部ブロックへ飛び移る。コクピットハッチ脇の
整備点検孔を開いた。キーボードにパスコードを入力し、レバーを引く。ハッチが押し開かれ、
消火剤まみれになったステラのパイロットスーツが姿を現す。
「無事ですか? ステラ」
「う……ん。疲れて……怖かった……」
「周囲に危険は無いようです。動けますか?」
マリアの問いに答えるより早く、横合いから割り込んだシンがステラの身体を抱き上げる。
「大丈夫なんだな、ステラ! 良かった!!」
ヘルメットを脱がせてやると、ステラは大きく深呼吸する。数度瞬きしてシンを見上げ、
人懐っこく笑いかけた。
「ん……シン……」
「良かった、本当に良かった!……もっと早く出してやれよ、マリア!」
目の端に薄っすらと涙を浮かべたシンが抗議するも、マリアはあくまで冷静だった。
「規則により、作戦終了コールが入るまで、みだりにMSの外に出る事は禁止されています。
既に重大な命令違反を犯していますが、可能な限り規律に則るべきと判断しました」
「命令、命令って……! 命令に違反したから、ステラを助けられたんだろ!」
「それより、シン」
「おい!」
彼の反論にはまるで取り合わず、マリアは話題を変えた。ステラを抱きかかえた
シンが地団太を踏む。
「部隊と連絡を取れますか? 私のMSは通信装置が故障したようで」
「っ……ああ、俺のも使えない。故障ってか……」
むすっとしたまま、シンが海上に視線を移した。マリアも其方に視線を移す。
「あの艦が来てから、なんだけどな」
朝日を浴びて海原に浮かぶ灰色の巨艦は、昨今久しく見られなかった航空母艦である。三胴式の威容が
陽光を遮り、澄んだ海面に濃い陰を落とした。
大型機動空母『武御雷(タケミカズチ)』。大規模MS部隊の長距離輸送を可能とする
武御雷と、高機動型可変空戦MS『村雨』の登場。この事実は、平和の国
オーブ連合首長国の変容を、全世界に向けて高らかに宣言する事となった。
103 :
4/5:2006/10/09(月) 16:05:45 ID:???
「ポイントE−2の海岸にMS隊を。不時着した連合およびザフトの兵士の救助、急げ」
「ハッ」
武御雷のブリッジで村雨隊からの報告を受けたトダカ一佐は、艦長席に深く身体を沈めた。
「これは救助というか、示威行為……だな。いかに航路上だったとはいえ……」
武御雷と、村雨。これは前代表ウズミの掲げたオーブの理念を真っ向から否定する兵器である。
他国を侵略し、また他国の争いに介入し得る力だからだ。M1アストレイは、航続距離の
短さから防衛戦力として定義づけられる。航宙戦艦のクサナギも、プラントに対する『侵略』に
使ったとはいえ、強力な陽電子砲を装備しているとはいえ、宇宙という環境を鑑みれば、
ギリギリ『侵攻のためではない』と言える。否、無理矢理言い切った。
だが今回はどうしようも無い。空母と、攻撃機に転用できる足の速い空戦用可変機だからだ。
こちらがどういうつもりだろうと、『遠くまで迅速に大量のモビルスーツを運べる艦』に、
『対地攻撃可能なミサイルを装備し、足が速く、遠くまで飛べる機動兵器』なのだ。
「我々は軍人。命令に従うのみ。のみ、だが……」
そして現実は揺るがない。時系列的に考えて、オーブの新型兵器の生産を命じたのは明らかに
ウズミであり、それに最終的なゴーサインを出したのはカガリだ。
横の展望窓から、空を舞う村雨を憂鬱そうに見上げるトダカ。祖国が変わる。その変化に
追従していく自信が、今の彼には無かった。
「報告します。ニシザワ隊が3名のパイロットを確保しました。2人が連合所属、1人はザフトです」
「姓名は解るか?」
「連合兵はそれぞれマリア、ステラ=ルーシェと識別票に記してあり、女性です。ザフト兵は
男性で、シン=アスカと」
「そうか。先方に確認を取れ。オーブ領内で他国の兵士を行方不明にするわけには……」
そこまで言って、トダカは言葉を止めた。副官のアズマ1尉をまじまじと見遣る。
「シン……アスカ……?」
「なんだよ……何で俺だけ……」
武御雷の艦内通路を、兵士に護衛されてシンが歩いていく。
「ねえ、艦長さんが何の用なんですか?」
「聞かされておりません」
ぞんざいな問い掛けに対し無愛想に返答され、余計にむくれる。
「ステラ、大丈夫だったかな……」
「お連れしました」
やってきた目の前のドアが開き、パイロットスーツ姿のシンはブリッジに通される。
「あの、何の用なんですか? 原隊に復帰しなくちゃならな……」
「久しぶりだな、アスカ君」
戦火の地で出会った2人は今、再び向かい合った。
「おじ……さん?」
104 :
5/5:2006/10/09(月) 16:07:26 ID:???
オーブ軍港の端に追いやられたソロネとは違い、ミネルバは歓迎ムードに包まれていた。
居並ぶ新生オーブ閣僚に混じり、セイラン家現当主ウナト=エマ=セイランが忌々しげに
息を吐き出す。
「全く、この時期に厄介なモノでご帰国なされた。おまけにプラントの議長もセットで……」
「しょうがないじゃないですかぁ父上。カガリも大変だったんですよ」
すぐ隣の紫髪の優男、息子ユウナ=ロマ=セイランが両手を組み、薄気味悪く身体を
くねらせながら宥めた。
「なぜ浮かれる? 先代アスハはマスドライバーと閣僚を道連れに自決。終戦処理の
責任者さえいなくなったのだぞ。我がセイラン家が出張らねばどうなっていたか」
「まーまー、過去の事は良いじゃないですか。カガリが無事で何よりですよ」
「物好きだなお前。あのアスハの娘のどの辺が気に入っているのだ?あの、ゲリラの真似事など
やらかして、政治のセの字も学ばなかった……」
薄くなった頭を日光にテカらせたウナトが反論しかけるも、ミネルバから降り立ったカガリを
見れば、背筋を伸ばして其方を向いた。ユウナもそれに倣う。
「まあ、良い。わしらにアスハが必要な事も事実。それ故にあの件、滞り無く運ばねばな?
オーブの象徴として祭り上げられたアスハ家と、今こそひとつに……」
「父上、そういう事ばっかり考えてるからハゲるんですよ……ってあれ?」
悠然と進み出たカガリに、ユウナが同じく落ち着き払った仕草で歩み寄る。
「お帰りなさいませアスハ代表。よくぞご無事で」
「苦労をかけたな、セイラン。オーブに変わりは無いか?」
「アクシデントは起こってませんねえ。ところでアレックスは?」
「ミネルバが地球に降りてすぐ、デュランダルに呼ばれた。艦の貴賓室にいる」
それを聞いたユウナが、大袈裟に肩を竦める。
「ま、いいけど。結局、『私的の』ボディガードだからさ」
「このような事は困ります、議長閣下。代表の許可が出たとは言え……」
「すまんね。だが、君と2人きりで話したい事だったのだ。出来るだけ早くに」
ミネルバ艦内のVIPルーム。お互い紙コップ一つ。低いテーブルを挟んで、
仏頂面のアレックスと微笑を浮かべたデュランダルが向かい合っていた。
「単刀直入に言おう。君の力を貸して欲しい」
「……オーブの代表のボディガードに何が出来ると?」
「いいや違う。君じゃない。アレックス=ディノという名前とその実体に興味はないよ」
「……仰る事が、いまいち解りかねますが」
「解らないのかね?」
アレックスの持つ紙コップが僅かにへこみ、コーヒーの黒い水面に歪な波紋が広がる。
「本当に解らないのかね? アスラン=ザラ君」
デュランダルの瞳が細められ、豊かな黒髪が揺れた。
105 :
264:2006/10/09(月) 16:09:46 ID:???
以上です。サイズ的にどうだったでしょうか?
自分で思ったように書けばいいだろ。
勝手にすればいい。投下形式は自由だろ。
他人の意見を聞いてもどうにかなる話だとは思わない。
>>264 >>106-107は正しい。
SS作者は誰かに報酬をもらって仕事で書いているのではないのだから、
投下間隔など読者がSS作者のつごうに合わせるもの。
個人な希望を言えば 、ストーリーを細切れにして時間を空けるより、まとめて
読ませてもらった方が読みやすいかな。
このスレは
>>264だけが保守しているわけではないのだから、
開き直って気楽にいきましょう。
付け加えると、オーブ到着時にシンをトダカに会わせたり
議長がアスランを焚きつける展開は無駄がなくて自然だと思った。
続き期待してます
レドームの機体はオオツキガタか。
オーブという国家の描き方が、果たしてどんな物になるのかが非常に楽しみだな。
あと、議長がオーブに降りてきてるって展開も、何か新しいものを見せてくれそうで期待大!
264氏GJでした!!
あれ?なんであがったんだ?
全角
人間死ぬ間際は世界が遅く見えるというが本当だったのか。
レイはそんなことを思いながら迫ってくる閃光を見ていた。
逃げ出すこともできずにそこに静止していると突然目の前に人影が飛び込んできた。
「おい、生きてるか?」
ゆっくりと目を開けた目の前に緑色の光の壁だった。
「おい、大丈夫か?」
光の壁を作っているであろう目の前の人物が話しかけてくる。
アジア系で肌は少々黒いが、たぶんこいつも人間ではないのだろう。
「あの・・、大丈夫ですか?」
「うぉっ?!」
後ろから突然声をかけられてレイは飛び上がる。
レイが後ろを向くとそこには幼い少年がいた。
「あ・・っ!驚かせてすみません!僕、プレア・レヴェリーといいます。」
プレアと名乗った少年は微笑む。
「僕がどうしてここにいるかといいますとね・・・・・・?」
呆けた様な表情をしているレイに必死に状況を説明しようとする。
が、突然スパーンッっと景気のいい音が聞こえる。
「レジェンド!君って子は一体どれだけ人様に迷惑をかければいいの!!」
目の前の少年に良く似た子供がなんかプロヴィデンスを叱っている。
「ニ・・・・兄サン・・・ダッテ・・・ますたーガ・・・・・・。」
「あんな変態仮面の言うことなんか聞かなくてもいいの!!」
「デモ・・・・・。」
「でもじゃありません!なんでこう僕の弟達のパイロットは変人ばっかなんだ!
一人は変態仮面!一人は自爆魔!一人は精神崩壊者!!だれか助けて!!」
頭を抱えて少年は叫ぶ。
「そこら辺にしておけ、ドレッドノート。」
浅黒い青年が叫んでいた少年に話しかける。
「何だ、ドレッドノートと言うことは大兄上・・・・、そちらはハイぺリオンか。」
いつのまにか復活したレジェンドが体をはたきながらやってきた。
体に身につけていたドラグーンであるシルバーアクセサリーはすべて罅が入っており彼自身も傷だらけだ。
「まったく、これではOSに支障がでるではないか。ドラグーンが動かせぬわ。」
ぶつぶつ文句をいいながらプレアと呼ばれた少年の下へレジェンドはやってくる。
「おい、小僧。とりあえず我が主は保護したがこいつが何故ここに来てしまったかが解らん。」
説明しろ、と言うレジェンド。
プレアはえーっとと説明しようとする。
「あのですね・・・・・、その・・・実は今の時期は現世に死んでいる人たちが干渉しやすい時期でして・・・。」
それで何人かの人たちが現世に干渉しようとしてて・・・その人たちっていうのが・・・。」
そう言ってプロヴィデンスに目を向けるプレア。
「・・なるほど、死んでなお世界に復讐するか。あまりにも哀れな存在だな。」
「ナンダト?!」
「プロヴィデンス!!」
嘲笑するレジェンドにプロヴィデンスが襲い掛かろうとするが、ドレッドノートに止められる。
「それで我が主を使うか、なるほどなるほど。考えたなラウ・ル・クルーゼ。」
レイはその名を聞いて狼狽する。
「ラウ・・・・?ラウがいるのか?!」
プレアの肩を強く掴み問い詰める。
「答えろ!ラウは・・・・ラウは何処にいる?!」
「・・・・・っ!止めてください!それに会ってしまったら・・・・・!」
プレアが痛みに顔をゆがませながらもレイを落ち着かせようとする。
するとその時、突然レイの影に変化が起こった。
『そんなに私に会いたいのか?レイ?』
横に伸びていた影がレイの真下へ丸く変形し、蛇のようにレイの足に巻きつく。
「プレア!!」
ドレッドノートがドラグーンを飛ばし巻き込まれそうになったプレアを引き離す。
「レイ!その場から離れろ!!」
レジェンドが叫び、助けようと手を伸ばすがレイは何もしない。
ただ何かに見とれているかのような表情で影に取り込まれていく。
『さぁ、久々の再開と行こうか。もう一人に私よ・・・・・。』
その声を残して、レイは消えていった。
「・・・・・・・・・・・。」
「なーんか、複雑よね。あんなの見ちゃうとさ。」
フレイとマユはあの空間から抜け出しまた元の世界を飛んでいた。
「うちの兄もそうだったんです。野球がすきなんだけど無理やりピアノやらされて。
性格面でもそうとう『いい子』であることを強要されてたみたいで、その反動で今ひんまがってるんですけど。」
三人いる『兄』の内マユは金髪の兄のことを思い浮かべる。
「・・・まったく、コーディネーターって本当に馬鹿よね、いつでも自分が正しいって思いこんでて。」
フレイがあきれたように首を振る。
すると次の瞬間、軽快な歌が聞こえてきた。
「何・・・・?!」
「ごめん、私の携帯。」
警戒するマユにフレイがあっさり答える。マユはずっこけた。
「え?何トール?何であんたが私に電話かけてくるのよ。え?生きてるガキ?一人いるけど?」
『なんだとーーーーーっ?!』
突然携帯から大音量で声が聞こえてくる。
「・・・・・・っ!!!!!何すんのよ馬鹿トールーー!!」
フレイもお返しにといわんばかりの大音量で声を上げる。
「ふん、ざまあみなさい。え?何?迎えに来る?でもあんた何処かわかんないでしょ?
え?携帯つけっぱなしにすればそっち行くって?どうや・・・・・・。」
そうフレイが言うと突然フレイの上に数人の男が降ってきた。
「うわ!!突然やるなよアキラ!!」
「うつけーー!仕方がないであろう!空間転移の魔術などイメージしにくいことこの上ないわ!」
「おい!芸能人は顔が命なんだぜ?!おれの顔に傷がついたらどうするんだよ?!」
「ミゲルむしろワイルドになって傷跡萌えなお姉さま達にモテモテですよ?」
「フレイ久しぶりー、元気してたー?」
身勝手な反応をする五人の男達。
「・・・・・・・あんたらぁぁぁぁ!!女の子の上に乗っかるなぁぁぁ!!」
フレイの叫びとともに体から噴出される赤い光。それは衝撃となり乗っていた男どもを吹き飛ばした。
「フレイ様、ミゲル様の愚行をお詫びいたします。」
フレイに謝るのは隻眼の青年だ。ミゲルによく似た外見をしているが全体の雰囲気が鋭い。
「未熟な奴だ。許してやってくれ。」
そう言うのは青年の方にとまった青い鳥だ、薄いブルーの体にオレンジの模様が入っている。
「ストライクー、二コル達生きてるー?」
全身黒い服装で女の子のような顔の少年が吹き飛ばされた面々の方に向かって叫ぶ。
「うん、平気。ほっときゃ直るよ。」
にっこり笑うのはストライクと呼ばれた少年だ。フレイの思い人に良く似た顔で、長い髪を束ねている。
「まったく、主人の面倒はちゃんと見なさいよ。」
フレイが不機嫌な表情の間々で言う。
マユはというと目の前の男達は興味深げに見たり触ったりしている。
「・・お嬢さん、あんまり触らないでくれるかね?」
尾を引っ張られた青い鳥がマユにいう。
「あ、ごめん。でも本当にシンハロの言ってた通りだったんだと思って。」
マユは目を輝かせながら言う。
ここに来てから面白いことの連続で興奮しているらしい。
彼らは上から黄昏の魔弾専用ジン、スカイグラスパー、ブリッツ、ストライクと名乗った。
「なんかずいぶんとギャップのあるMS陣だなぁ・・・・。」
「そこは事情がありまして。」
マユの突っ込みにジンが対応する。
「・・・・・・であんた達この子を回収しに来たわけね?」
「うん、あっちにいるトールの友達がその子の同僚なんだって。」
ブリッツが伸びているアキラを指差す。
「そうなの?」
「はい、おもしろい先輩です。」
フレイの言葉にうなずくマユ。
フレイはしばららく思案するとこう言った。
「・・・・・・・・だが断る。」
「「「「「えぇーーーーっ?!」」」」」
予想外の答えに全員が叫んだ。
「だって久々に面白そうなモノ拾ったのに手放すなんてつまらないもの。じゃ、いきましょ、マユ。」
「え?え?お姉さま・・・・?」
そう言ってフレイはマユの腕をつかみ、もう片方の手を上に上げる。
するとフレイの背後に巨大な扉が現れた。ギギィと音を立てて扉が開く。
「ばいばーいv」
「うわわわわわっ!!」
そう言って手を振りながら扉に飛び込むフレイとマユ。
「おい!待てっ・・!」
スカイグラスパーが追いかけて飛翔するが見えない壁に阻まれる。
そして扉は閉まってマユとフレイは消えた。
「・・・・何してんだよお前ら。」
いつの間にか復活した人間勢が突然うしろから話しかけてくる。
「・・・・あのアルスターって子、お前の友達の彼女だったよな?死んでたのか・・・。」
「あぁ、でも死んだらありとあらゆるしがらみから外れた分強烈な性格が五倍に・・・・。」
アキラに話しかけられて遠い目をしながら語るトール。
たぶん生前からの知り合いだった分一番振り回されたのだろう。
「・・・・でもこれからどうするんですか?振り出しにもどっちゃいましたね。」
ニコルの言葉にマユ捕獲班の面々は押し黙る。
すると、突然ミゲルが真剣な表情で言った。
「ガンガンいこうぜ?」
「「「「「「何も思いつかなかったんなら言うなーーーー!!」」」」」
MS陣の武装攻撃を含む集団リンチにミゲル・アイマンはさらされた。
単発設定小話 「伝えたいのは・・・ part.4」最終章 5
〜ルナマリアの意外な冷静な対応にいらだつマユ〜
マユ「ルナ姉ちゃん!!なんでそんなに冷静でいられるのよ!メイリン姉ちゃんが・・・うっ・・・・・・メイリン姉ちゃんがっ!!」
ルナマリア「だって・・・最悪の事態の・・・・・・覚悟はできていたもの」
マユ「覚悟って!!・・・・・・そんな・・・そんな言葉を聴きたいんじゃないわよ!!もうっ、バカ!」
〜サラの部屋を飛び出すマユ〜
サラ「・・・・・・確かに・・・ちょっと冷静すぎよね?」
ルナマリア「公私混同するつもりはありませんから・・・」
サラ「すこしは公私混同しないと・・・心が持たないでしょうに」
ルナマリア「あなたはすべきことをしたのだから・・・・・・。裏切り者の末路ですね・・・あの子は。仕方ないですよ」
〜視線を床に落とすルナマリア〜
サラ「そう・・・・・・遺品がないのが申し訳ないけど・・・・・・」
〜ルナマリアにディスクを差し出すサラ〜
ルナマリア「・・・このディスクは?」
サラ「ザフトに残っていたメイリンの全個人データ・・・あの娘、脱走兵扱いになんかされてないわよ」
ルナマリア「えっ!?・・・でも・・・・・・」
サラ「無届外出兵扱いになっているわ」
ルナマリア「無届け・・・外出兵ですか?」
サラ「そう・・・二階特進はできないけれど・・・・・・不名誉扱いはされないわよ」
ルナマリア「そうなんですね・・・。メイリンもほっとしていると思います。・・・サラさん・・・ありがとう」
サラ「別に私は・・・」
ルナマリア「じゃ、もう戻りますね。マユにも教えてあげなくちゃ」
サラ「・・・泣かないのね?」
ルナマリア「ええ。次にやるべきことは決まりましたから・・・泣いてなんかいられません!」
サラ「私で手伝えることがあれば・・・教えて頂戴・・・・・・」
ルナマリア「私に・・・あなたの戦い方を教えてください」
サラ「・・・・・・わかったわ」
〜サラの返答にうなづき、部屋を出るルナマリア〜
ルナマリア「・・・やっぱり守ってくれなかったわね、アスラン・ザラ!・・・私はあなたを許さない」
〜怒りに満ちた表情で廊下を足早に歩いていくルナマリア〜
〜自室からでてリフレッシュルームに向かうサラ〜
サラ「・・・・・・やっぱり向いてないわね・・・こんな仕事は・・・・・・」
〜ブラックコーヒーをカップに注ぐサラ。後ろを振り返る男〜
アーサー「・・・サラ?」
サラ「アーサー・・・やっと普通にしゃべれるわね」
アーサー「ハイネからいろいろ聞いていたけれど・・・ラクス、いやミーア・キャンベルの護衛についていたって?」
サラ「ええ、そうよ。・・・・・・残念ながらご存知のとおりの顛末になっちゃったけどね」
アーサー「そうだね・・・・・・外のミーティア・・・・・・君も・・・ハイネみたいにならないでくれよ」
サラ「あなたは・・・ここにいるつもりなのよね?」
アーサー「・・・・・・ああ。逃げるつもりはないよ」
サラ「うんうん。やっぱり私のアーサーね。・・・私も逃げるつもりはない。だから・・・キスして・・・・・・」
アーサー「えぇええぇぇー!?・・・えっいや・・・あの、その・・・・・・」
〜しどろもどろになるアーサー。強引に唇を奪うサラ〜
サラ「もうっ!男でしょうに!?」
続
>>119 アーサー!隅におけないじゃん「魔法使い」になっちゃいないね。
でも、これって脂肪フラグ?
女がいるアーサーなんてアーサじゃないぃぃぃぃぃぃぃ!
122 :
264:2006/10/10(火) 16:39:41 ID:???
レス、感想有難うございました。ちなみにレドーム機はまんま、偵察型です。公式HPに
ありました。あと、これからは開き直って、好きにサイズを区切りたいと思います。
ところで、ひょっとしてSS書く人間が本分以外の発言を投稿したり、また
「〜をどうしたら良いですか?」といったお伺いを立てたりするのは、基本的に
良からぬ事、というのが此処のカルチャーなんでしょうか。当方は余所者なので、
そういった「不文律」を全く知りません。
要らぬトラブルを避ける為に、そう言ったマナー、掟を教えて頂ければ幸いです。
>>122 > ところで、ひょっとしてSS書く人間が本分以外の発言を投稿したり、また
> 「〜をどうしたら良いですか?」といったお伺いを立てたりするのは、基本的に
> 良からぬ事、というのが此処のカルチャーなんでしょうか。
そんなことは決してない。ただ○○というSSの作者としての記名発言は、
作品と関係なくなるほどウザがられる傾向は確かにある。
匿名掲示板と記名掲示板の文化の違いというか、
こう言ったとこではハンドルは投稿者の人格の保証というより、
発言の連続性の証明として見られるので、
コテハンの濫用はいろいろといらぬ推測を呼ぶわけだ。
お伺いの方だがどうしても判んなかったり決断付かなかったりすることがあったら、
その時は遠慮なくするべきだと思う。
ただ、なんでもかんでもお伺い立ててると、読者に媚び売ってるとか、
実は書きたいことが無いんじゃないかとか侮られてスレが荒れることになる。
ま、そうはいっても作者がコテハンで歓談してたり、
今後の展開を大々的にアンケートとってるスレも山ほどあるので、
そこはそれ、空気読む技術を身に付けろというしかない。
……どのスレでも一番嫌われるのは批判のレスに作者がコテハンで議論吹っかけることだが。
とりあえず大々的に意見を募ったり、議論が長くなりそうなら避難所で問題提起して、
ここにその旨書き込んで誘導するのがスマートかと。
125 :
憑いてる人:2006/10/10(火) 20:40:01 ID:???
≫97
>なんかまとまった1話を、と思うとどんどん脳内で先延ばしになってしまいます。
あははははは、なーにをおっしゃるウサギさん、どんどんどころか約3ヶ月更新していなかった俺が通りますよ!
………………間隔あけ過ぎだろ orz
ほのぼの様、ハイネ隊の面々お借りしました。
第九話、投下します。
与えられた鍵を、鍵穴に差し込む。カチャリと音がしたのを確認して、扉を開ける。右にベット、左に机、正面には
ガラスの向こうに広がるベランダ。決して多くはない荷物とともにミーア・キャンベルは用意されたホテルの一室に入り、
ベットの上に腰を下ろした。
「……はあ」
溜息とともに、倒れこむ。ベットのスプリングが、彼女の体を受け止める。上に敷いてある掛け布団は柔らかくってふかふかで、
きっと多分羽毛製だ。二年くらい前だったら、こんな部屋に泊まることができるようになるなんて、想像することすらできなかった。
ラクス様の代役を始めて初めてホテルに泊まったときは、マユと一緒に大騒ぎしたもんだ。
ゴロリと転がりうつぶせになり、バフッと枕に顔をうずめる。
あれから仕事を続けるうちにこういうところに泊まることも大分慣れてきた。だれど、今日みたいに一人だけで泊まるのは、
考えてみれば初めてだ。マユは地球だし、キングさんもアーモリーワンでの騒ぎのせいで現在は入院中。インパルスに乗って
別れたあの後で、落ちてきた建物の破片に足を挟まれたそうだ。幸い命に別状は無いけど、退院には二、三週間かかるらしい。
ゴソリと顔を上げ、ベットから起きだす。最低限のものだけを備えた、シンプルなつくりの部屋。ホテルなんだからもちろんそれが
当たり前ではあるんだけど、でも一人だとなんだかとっても殺風景だ。
これからどうなるのか、これからどうするのか、考えても仕方ないと分かっていても一人でいるとどうしても色々と考えてしまう。
あのユニウスセブン落下事件のせいで、今はプラントも地球も大騒ぎだ。ルソーに乗って着いたアプリリウスの宙港でも、被災地支援
の第一陣がちょうど出港していくところだった。
事件のせいで、ラクス様としての通常の仕事はいったん休止。不測の事態に備えて、これからしばらくは評議会館近くのこのホテルに
控えていることになっている。
息を吸い、はく。もう一度大きく吸い込んで、立ち上がり下腹部に意識をこめる。
「ア―――――――――――――――」
よく通る自慢のきれいな声が、部屋の壁に当たって反響する。
腹から生じた振動が、手の指の先、長く伸ばしている髪の隅々まで広がっていく。
「エ―――――――――――――――」
鍵を受け取ったときに、部屋が防音仕様であることも確認しておいた。
軍艦内ではさすがに遠慮していたけど、ここなら遠慮なく大声を出せる。
「イ―――――――――――――――」
不測の事態と言われても、一体どんなことが起こるのかは全く予想も出来ていない。
ただ漠然と、大変なことになりそうだという思いがしているだけだ。
「ウ―――――――――――――――」
正直なところ、ものすごく不安だ。でも、それでも止めたいとは思わない。今やめるのは逃げ出すみたいでなんかいやだし、議長さん
は私のことを必要だといってくれた。ラクス様の振りをして何も知らない人たちをだますのは確かにちょっと後ろめたいけど、でも
やっぱりなんだかんだ言って歌うのは好きだ。だから止めたくはないし、いい加減なものを人に聞かれたくもない。歌うからには、
しっかりしたものを歌いたい。
「エ―――――――――――――――オ―――――――――――――――
ア―――――――――――――――オ―――――――――――――――」
日課となっている発声練習、続いて滑舌練習の早口言葉を終え腹筋を始めようとしたところで、部屋の扉が叩かれた。
歌姫の付き人
第八話 廃棄コロニーにおける攻防
「ちょっといいかな?」
「はーい!」
インターホンから聞こえてくる声に、ミーアは慌てて扉を開けた。外にいたのは議長とサラさん、議長の秘書のような仕事をしている
彼女は、ミーアによる『ラクス・クラインの発言』用原稿作成などもしてもらっている。議長さんは、ゆくゆくは評議会議員を
目指させるつもりだと以前話していた。
「これからのことを話しておきたくってね」
「すいません、わざわざ」
思わず頭を下げていた。仕事が忙しくて、しばらくろくに寝ていないのだろう。今日のデュランダル議長は一見こそ普段と変わらない
ものの、目の下に隈が出来て視線の鋭さが三倍だ。後ろのサラさんも、彼のことを心配そうな目で見ている。
「マユ君は地球で、戻ってくるにはもう少しかかるらしい」
「オーブからなら、シャトルで宇宙に上がれるんじゃないんですか」
「一応はそうなんだが、インパルスも一緒に帰りたいという話でね。
あれを上げられるだけのキャパを持った機体はオーブの一般用マスドライバー航路には存在しないから、ミネルバとともに
カーペンタリア基地経由で戻ってくることにしたらしい。ついでにタケダのやつがバカをやって、当分入院で動けない。
とはいえ君を一人にしておくわけにもいかないからね、しばらくはこのサラ君をつけようと思っている」
「よろしくお願いします、ラクス様」
「え、あ、はい、こちらこそよろしくお願いします」
サラさんはミーアにいたずらっぽく微笑みかけ、ミーアは動揺しつつもそれに答えた。
「それで……これから一体どうなるんでしょう?」
「これから、か。なかなか難しいね」
「ユニウスセブン落下事件、地球側名称ブレイク・ザ・ワールドについて、
現在段階での地球側からの反応はまだ非公式的ルートからの非難、抗議に留まっています」
デュランダルの声を受けたかのように、サラが現状を説明する。
「これに伴って地球各国政府間での外相レベル会談が頻繁に行われていますので、
おそらく一両日中には地球圏としての統一見解が下されるものと思います」
「とりあえずは、それが発表されるまではなんとも言えないか。
被災地援助など、一応やれるだけのことはやっているつもりだがね」
「そうですか……」
俯くミーア。デュランダルは窓のほうに進みつつ、彼女を励ますように言う。
「難しいし、どうなるかは分からない。だが我々は何とかしなくてはならない。
これから色々と大変になってしまうかもしれないが、一つよろしく頼むよ」
「はい、分かりました」
「もちろん、君の力を借りずに解決できるようなら、それでそれが一番良いのだがね。
そのために色々と手は打ってあるんだが、正直どういう結果が出てくるのかは分からない。
辛いものだね、重大事項にもかかわらず、自らはただ待つしか出来ないということは」
窓の脇に立ち、コロニーの閉鎖された空を見上げたデュランダルは、そう言って寂しげに笑う。
「議長には似合いませんわ、そんな表情」
「そうかい?」
サラの子をとがめる母親のような口調に、デュランダルはきょとんとした顔で振り返る。
「――はい」
何故か沸き起こった笑いを噛み殺し、ミーアはしっかり頷いて言った。
「あれ、マユちゃん知らない?」
ミネルバの休憩室にひょこりと顔を覗かせたルナマリアは、そこで本を読んでいたレイにきいた。
「出かけた、艦長の許可は取っている……本、借りているぞ」
レイはそう言いながらも、目線は本から離さない。
パラリ、パラリと一定のペースを保ちつつ、ルナマリアが自販機で飲み物を買って向かいに腰掛ける間にも、
順調に『機動戦論』の頁を読み進めていく。
「出かけたって、艦の外に? 昨日みんなで行ったのに」
「ここはマユの故郷だ、一人で行きたい場所の一つや二つくらいあるだろう」
「あ、それもそうか」
「何か、用があったのか?」
「うん、あのMS……インパルスっていったっけ?
修理終わって動かせるようになったから、知らせてやれってヨウランが」
「夕方には戻ると言っていた、食事のときには会えるだろう」
パタンと本を閉じ、レイはようやく顔を上げる。
「それで、俺たちのザクはもう直ったのか?」
「結構損傷が激しかったんで、アスランさんが乗ってた機体をパーツ取りにして共食いさせちゃったんだって。
今日の夜には八割がた動くようになるから、試動させに来いだってさ」
「ようやく、か」
ほっと息を吐くレイを、ルナマリアが意外そうに見る。
「いざというときに乗れる機体が無いのは不安だからな。まさかとは思うがアーモリーワンの例もある」
ルナマリアの疑問に、レイが先回りして答える。ルナマリアに本を返しつつ、立ち上がる。
「げ! まさかこれ、もう全部呼んじゃったの?」
「ああ、流し読みだが。MSの機動性を若干過小評価していたが、書かれた時期を考えれば内容的には秀逸だ。なかなか勉強になった」
「いや、読むの早すぎ! 私なんて五章のあたりで言ってる意味がよく分かんなくなって詰まっちゃってるし」
「あいかわらずだな」
そう言ったレイの声はからかうような響きは持たず、いつも通り平静そのもの。つまりそれは、彼が本心からそう思っているわけで、
同じ赤服にもかかわらずアカデミー時代座学では一度も彼に勝ったことのないルナマリアは少々声を荒げて言う。
「うるさいわね! 読み終わって理解できたって言うんなら後で内容解説しなさいよ」
「べつにかまわんが、俺としては先にユニウス破砕時のMS操縦の反省点も確認してほしいな」
「うっ! ……じゃあ、まずはシュミレーターでMS模擬戦の相手、お願いします」
「了解した」
レイが頷いて立ち上がり、自らの空き缶をゴミ箱に放る。
慌てて後を追ったルナマリアは、レイが部屋を出るところでかすかに笑ったのに気付いた。
「アスラン!」
カガリが、行政府から出たアスランを呼び止める。
「アスラン、おい、アスラン!」
その呼びかけにかまわず、アスランは行政府脇の駐車場へと足を進める。
型落ち中古のスポーツカー、性能よりも見た目に惚れ込んで購入したにもかかわらず、仕事が忙しくほとんど乗る暇の無い
愛車助手席の扉を開ける。
「乗るか?」
追いついたカガリに振り向いてきく。カガリは、少し迷ってから頷いた。
キーを差し込みエンジンを回し、駐車場から車を出す。
「仕事はいいのか?」
自分が誘ったにもかかわらず、アスランはカガリに言う。
「よくはないな」
カガリが、俯いて答える。
「だけど、あんなところに篭りっぱなしじゃあうまくいくものもうまくいかなくなる。気分転換だ」
アスランがアクセルを踏み込む。車は海沿いの道に出る。太陽の光が海をオレンジ色に染めている。
夕日だ。丸二日、行政府内に缶詰になっていた身には、その光は目にしみて眩しい。
窓を開けると、潮風が車内に吹き込む。アスランはギアを五速に変え、車のスピードをさらに上げた。
「怒って……いるのか?」
しばらく車を走らせたところで、助手席のカガリが窺うように小声できいた。
「何をだ」
「ユウナの言っていたあの結婚の話、答えを保留にしたことを」
「別に」
車のスピードを、緩める。
「確かに面白くはない、だけど、あれはそういう感情でどうこうする類の話じゃないだろ」
「……ああ」
「悔しいけど、あいつの言っていることも正しいかもしれない。
少なくとも、オーブが同盟派と本国派に分かれたままでいるのがまずいのは確かだ。
それに俺には、こういうことについてどうこう言う資格もあまりない」
「どうして?」
「知ってるだろ、俺がラクスと婚約していたことぐらい」
車のスピードを、緩める。
「確かに面白くはない、だけど、あれはそういう感情でどうこうする類の話じゃないだろ」
「……ああ」
「悔しいけど、あいつの言っていることも正しいかもしれない。
少なくとも、オーブが同盟派と本国派に分かれたままでいるのがまずいのは確かだ。
それに俺には、こういうことについてどうこう言う資格もあまりない」
「どうして?」
「知ってるだろ、俺がラクスと婚約していたことぐらい」
車はさらにスピードを緩め、道の脇によって止まる。扉を開け、外に出る。
「ここは……」
「何かに迷ったときは、よくここに来るって言っていたから」
「そうだったな」
道から、海岸へと下りる階段。その先にあるのは小さな慰霊碑。
「最終的な決定を下すのはおまえ自身だ、だから、俺はその決定で、お前に後悔してほしくない」
「ありがとう」
カガリはアスランに振り向いてそう言うと、階段をゆっくりと降りていく。
アスランはそれを見送りつつ、車に寄りかかって溜息をつく。
後ろからついてきていた黒塗りの車が、彼の隣にゆっくりと止まった。
中程まで下ったところで、カガリはその場の先客に気付いた。
慰霊碑に向けて歩を進めるうちに、先客の少女もカガリに気付く。
「あれ、カガリさん?」
「マユか」
振り向いた少女――マユの隣に、カガリはしゃがみ込む。
慰霊碑を囲っていただろう花は、ユニウスセブン落下時の高波を浴びて萎れていた。
波の音が聞こえる。打ち寄せ、引き、また打ち寄せる。潮風が吹き寄せて、花と二人の髪を揺らした。
「すまない」
しばらく迷ってから、カガリはその言葉を口に出した。
マユが、振り向く。瞳には、戸惑いの色が見えた。
「どうして、謝るんですか?」
「これは私の……私たちの責任だ」
慰霊碑を見て、言う。
連合のオーブ侵攻作戦で命を落とした千を越える一般人。その数に比較すると慰霊碑は、あまりに小さすぎるように思えた。
「責任……だから、謝るんですか」
マユは不意に顔を歪ませ、すぐにそれを横に逸らせた。
「じゃああれは、やっぱり間違いだったんですか。マスドライバーなんて、連合にさっさと渡しちゃえばよかったんですか」
何かを押し殺したような声で、言う。
「パパやママやお兄ちゃんは、みんなは死ぬ必要も無かったのに間違いで死んじゃったんですか?」
「……分からない」
「なら、謝らないでください!」
マユが声を荒げる。その声には、ミネルバの格納庫ではじめてあったときのようなあわてた様子は微塵も感じられず、
彼女が本気で怒っているのが分かった。彼女の怒る理由が、カガリには分かる。連合との戦いに巻き込まれて死んだ肉親、
彼等の死が単なる無駄死にだと思いたくなくて、その死に何らかの意味を見出したくて、だから、考える。
彼等はオーブの理想のために死んだ、殉教者だったのだと。その死は決して無駄ではなく、避けがたく、尊い、
貴重なものに違いなかったのだと。
他ならぬカガリ、モルゲンレーテで父を失っている彼女自身、そのような考えにとらわれることは多々あった。
「無理だ」
怒っているのが分かって、その理由も分かって、それでもカガリはマユの言葉を否定する。
「私は、謝る」
「どうして!」
「もう、後悔はしたくないからだ」
マユに言い、同時に自身でも理解する。
そうだ、私はもう後悔をしたくないんだ。オーブが蹂躙されたときのような、父様にシャトルに押し込まされたときのような、
マユラが、アサギが、ジュリが死んだときのような後悔を。
「父の選んだ中立政策が間違いだったかは分からない。
だけど、連合の侵攻を許し国民を傷つけたという結果が正しくないことは分かる。
だからそれについては謝る。もう絶対に、同じような結果は目にしたくないから」
「……勝手ですね」
マユが、呆れたように言った。
「ああ、勝手だな」
カガリが頷く。
「それじゃあ、あなたはどうするんですか?」
「まだ分からない」
「そんな無責任な――」
「だが!!」
マユの荒げた声を、カガリがさらに大きな声で遮った。たとえ演説時であろうとも、滅多に使わないような強い調子の声だった。
「だが、前の大戦の徹だけは踏まない。たとえどんな手を使おうと、この身が裂かれることになろうと絶対に……それじゃあ、ダメか?」
カガリの気勢に、思わず呑まれたマユ。
一瞬の沈黙のあとで彼女は、呆れを通り越すことでしか到達できない苦笑の表情を浮かべて言う。
「分かりません。それにもう私はプラントの人間でオーブの人間じゃないから、カガリさんの言うことにどうこう言う権利もありません」
少し迷ってから、付け加える。
「もうオーブの人間じゃないから、期待していますとかお願いしますとかは言えません。だけど……頑張ってください」
「ありがとう」
もう一度、慰霊碑に目をやる。その先では、水平線下に没しようとする夕日が輝きを放っている。
海に沈みきる直前の、最後で一番強い輝き。それが消えるのを待ってから二人はどちらからということもなくゆっくりと立ち上がる。
後ろから、人の足音が聞こえた。
「やあカガリ、偶然だねえ」
「ユウナか」
「誰ですか、この人?」
マユがカガリの後ろに隠れ、不安そうに――あるいは不審そうにきく。
長い髪を蓄えた優男風の顔付き、ユウナのその外見は、初見の印象がいいとはお世辞にも言えない。
「私の婚約者だ」
マユの目が、見開かれる。
「カガリさん、婚約したんですか!」
「ああ、今な」
「今?」
「決めてくれたのかい、嬉しいよカガリ。――ああ失礼、僕はユウナ・ロマ・セイラン。そちらは?」
「マユ・アスカです」
「アーモリーワンで色々あってな、ミネルバに同乗していたんだ」
ユウナが、なるほどと頷く。二人の間で視線を行き来させていたマユは、突然何かに気がついたかのように小さな叫び声を上げた。
「――すいません、お邪魔だったみたいですね。それじゃあ、私はこれで」
そのまま早足で駆けていくマユを見送りつつ、ユウナが首をかしげる。
「どうしたんだい、彼女?」
「さあ?」
「逢引の邪魔をしちゃ悪いとでも考えたんじゃないのか」
いつの間にか後ろに控えていたアスランが、一歩前に出つつ面白くなさそうに言った。
その更に後ろには、ユウナの護衛の青年がマユの立ち去った方向を眺めている。
「なるほど、さすがは愛人一号君」
「誰が愛人一号だ、誰が」
アスランが、夕闇の中でもはっきり分かるほどあからさまに眉をひそめた。
「……決めたんだな」
「ああ」
アスランの問いに、カガリがはっきりと頷く。その態度に何かもやもやしたものを感じながらも、アスランは強引な笑みを浮かべた。
確かに断じて面白くはないが、同時にこれでよかったのだろうとも思っている。カガリとユウナの結婚は、同盟派と本国派の
融和のきっかけとしては申し分の無い政治パフォーマンスだ。これならきっと、両派を纏め上げることも可能だろう
……かつてパトリック・ザラとシーゲル・クラインが自分とラクスの婚約により一時的とはいえ強硬派と穏健派を纏め上げ、
挙国一致体制を確立したように。
オーブにおける同盟派と本国派の対立は、コズミック・イラ72年3月10日から始まった。
この日のユニウス条約締結により晴れて独立国の地位を取り戻したオーブだが、連合占領下に置かれていた半年と少しの期間は、
この国に大きな楔を打ち込んでいた。その最もたるものが、降伏後宇宙に逃れ三隻同盟に参加した者たちと本国に残り占領下で
国を支えていた者たちとの間の、意識の差異である。
三国同盟参加者たち、後に同盟派と呼ばれるようになる者たちは、自分たちの宇宙での活躍によってこそ、今のオーブが存在すると
考えた。だが本国派、降伏後もオーブに残った者たちにも、占領下でこの国を支えてきたのは自分たちだという自負がある。
セイラン家を中心とする彼等は行政府を自派で纏め上げ、対する同盟派はカガリをみこしとして担ぎ上げ三国同盟参加者の多い
軍を中心に勢力を伸ばしている。その結果できあがったのが、政府と軍部がにらみ合いを続けているという今のオーブの状況である。
それでも時代が平穏を続けたなら、あるいは時がこの問題を解決してくれたことだろう。だがユニウスセブン落下に伴い今後予想される
国難は、それを許すとは思えない。多少強引な方法を使ってでも――たとえば両派の代表を結婚でもさせてみてでも――国を一つに
纏め上げることが望まれる。どんなに否定したくても、プラント評議会議長の地位まで上り詰めた父を持つアスランには、そのことは
いやになるくらい理解できた。
「まあ、結婚っていっても所詮政略的で表向きのものだから、君たちが裏で何やっていようと僕としては全くかまわないんだけどさ
……ただ、世間の目ってやつもあるから、あんまり外にはばれないように頼ね」
ユウナが、なれなれしく話しかけてくる。
「特に検閲の効かない外国メディアには注意してね。
それとまあ、私生活については僕はカガリの面倒を見てやれる余裕も積もりも無いから、今までどおりよろしく頼むよ」
親しみをこめたつもりだろうか、左肩にポンと手を置かれる。
「分かっている」
我ながら大人気ないと思いつつも、アスランは返答に険を籠めずにはいられなかった。
「そういえばカガリ、きいてなかったけどプラントはどうだったんだい?」
しかめ面のアスランにはかまわずに、ユウナはころりと話を変える。
「デュランダル議長とは会えたらしいけど、流出した人材の引渡しは許可してもらえた?」
「いや、ダメだった」
「あらら、残念」
「でも、それでよかったのかもしれない」
歯に掛けてさえもらえなかった、デュランダル議長への要求。
会談の様子を思い出しつつも、しかしカガリはむしろさっぱりとした様子で言う。
その脳裏に浮かぶのは、先ほどの少女、マユの姿。
私はプラントの人間でオーブの人間じゃないから、そうはっきりと断言した彼女のことを考えると、
もしかすると自分のやろうとしたことは独り善がり以外の何物でもなかったようにも思えてくる。
「僕は成功したけどね」
カガリの思考に気付いた素振りは全く見せず、ユウナが自慢げに言った。
「成功した!?」
「うん、相手は連合で戻せたのも一人だけだけど……ほら、彼だ」
ユウナに促された護衛の青年が、格別関心を抱くふうもなく顔を上げる。機械的な声で、名乗る。
「……元ブルーコスモス第8先端技術研究所付属、試薬性能試験用生態CPU。認識番号017、固体識別認証ゲン・ヘーアン」
「どうやら彼、この国のコーディネーターだったみたいでさ」
「どういうことだ?」
「聞いてのとおりさ。彼、強化人間なんだ」
驚くカガリに、ユウナはこともなさげに言った。
ユウナの話によると、オーブで暮らしていた彼は連合による侵攻作戦の混乱時、負傷したところを連合軍の特殊部隊に保護
(あるいは、捕獲)されたのだという。その後コーディネーターであることが発覚すると、彼は薬物に対しての耐性の高さを買われ
ブルーコスモスのとある施設で薬物による人体強化の実験台となった。彼の存在を偶然知ったユウナがそれに強引に横槍を入れ、
引き取ってオーブに連れ帰り、今はリハビリをしながら自分の護衛役として使っているというわけである。
「ちなみにゲンっていうのも向こうで付けられた仮の名前。オーブにおける彼の情報は、名前年齢家族構成一切が不明。
強化に使った薬の副作用でか本人の記憶もすっかりなくなっちゃってる」
「そうか……待てよユウナ、それでお前いつ、彼を引き取ったんだ?」
複雑そうな顔を抑え、カガリがユウナにきく。
「君が外遊に向かってからだから、一週間と少し前かな。ちなみに投薬実験は、引き取る直前まで続けられていた」
我が意を得たりと応じるユウナ、その返答で、カガリの顔はさらに歪む。傍らで聞いていたアスランもまた、その意味を理解する。
人道的な意味をべつにしても、薬物による人体強化は手間も金もかかり、そのくせたった一つのことにしか使い道が無い技術だ。
その研究を、未だ継続しているということは……
――ブルーコスモスはコーディネーターに、まだ一歩も引く気はない。
「また、戦争になるのかな」
「分からないよ。今のオーブの現状を考えると、できればなってほしくないけどね。
そうだ、それに関係してさっき大西洋連邦から連絡。
ユニウス7落下被害に関し共同して対応するために、地球規模での同盟を結ぶ気はないかってきいてきてる」
「同盟、か。それだけ被害が深刻なのか、それともそのまま戦争に流れ込むつもりなのか」
「うちの場合オーストラリアとの問題もあるからねえ。
また地球とプラントとで戦争ってことにさえならなければ、大きい勢力の傘の下に入れるのは願ったりかなったりなんだけど……」
連合の後ろ盾を得られれば、オーブは対オーストラリアの交渉で優位に立つことが出来る。
だかもし同盟がプラントと戦争状態に陥れば、カーペンタリア基地に近いオーブは必然的に矢面に晒される。
もっともそのような発想自体、ウズミ・ナラ・アスハの理想の前では異端。いつも通りの反発を覚悟し首をすくめたユウナだが、
「とにかく、判断は慎重にしないとな。明日にでも評議会を招集してみなで話し合ってみよう」
予想に反してカガリは、彼の状況把握をあっさりと受け入れた。
「そういえば、オーストラリアとの領海線上に派遣した第三艦隊はどうなっている?」
「あ、ああ。ザフト・オーストラリア混合艦隊とにらみ合ってるよ」
動揺しつつ、ユウナが答える。まるで、腫れ物に触れるかのように。
「オーストリアだけじゃなくて、ザフトの艦とも向き合っているのか!」
「うん。こちらから手を出さないようにとは厳命しておいたけど、知っての通り軍部内だと僕の力は弱いんだ。
よかったら後で君からも、艦隊司令宛に言っておいてくれると嬉しいな、なーんて……」
「ああ、分かった。言っておこう」
もし今オーブとザフトがぶつかるようなことにでもなればそれこそ大変なことになる、
そう呟きながらアスランと共に車に戻っていくカガリ。
彼女のあまりの変わりように後姿を見送っていたユウナは、深刻そうに呟いた。
「カガリ……なんか変なものでも食べたのかな?」
C.E.15年になされた、通称『ジョージグレンの告白』。
コーディネーターの歴史の始まりであるそれは、同時に人類領域に数多の波紋を発生させた。
その一つが、連邦航空宇宙局(Federal Aeronautics Space Administration/FASA)が中心となって進めていた
第三次宇宙開発計画(Cosmic Devulelopment 3/C−3)の頓挫である。
非合法的手段により誕生した人間を計画の中核にすえていたというスキャンダルはFASAに対する信頼を失墜させ、
計画の中心的人物が遺伝子を改変された『特別な人間』だったという事実は、一般人類はやはり宇宙開発に耐え得ない
という厭世観を蔓延させた。それにより、順調に推移していたように見えたC−3は旧世紀のチャレンジャー号がごとく
空中分解、次のC−4立案までには十五年の月日を要し、C−5,C−6以降になると、計画の中心はジョージ・グレンと
同じく遺伝子改変を施されたコーディネーターたちが担うようになっていった。
そんな歴史の変動の狭間で、忘れ去られていったものもある。
たとえば、C−3最終段階用に外殻だけは建造されたものの、その後内部艤装はおろか取り壊しの予算さえ立たず、
そのまま放置されていたコロニーとか。ユニウス7残骸から数機のジンを回収したジャンク船が向かったのも、
そんな廃棄コロニーの一つ。その内部、最低限の居住設備を配した空間に、ジン部隊を指揮していたサトーと呼ばれる
男は降り立った。
「皆、ご苦労だった」
並び立つものたちに向けて、静かに言う。答えるものは、いない。返ってくるのは、ただただ通夜のような沈黙。
ユニウス7は落下こそしたものの、その形は当初の予定とは全く違うもの。あの程度の被害では、ナチュラル殲滅など夢のまた夢だ。
数ヶ月にわたる不眠不休の努力と世界各地の名も知れぬ支持者によりもたらされた莫大な工作資金、
ザフトやジャンク屋からの横流しなど様々な手段で入手した虎の子のMSと何十人もの仲間たちの命。
それらを惜しげもなくつぎ込んで、もう二度と臨むことは出来ない完璧な布陣で臨んだ一大作戦が、無様な失敗に終わったのだ。
その事実を受け止めて、平然としていられるものなど居やしない……はずなのだが、
「やりましたね、サトーさん」
列前部に立っていた青年の言った声は、あたかも作戦は成功したかのようにその部屋に響いた。
「クラブリック?」
「作戦は、必要最小限の成果は収めています」
戸惑うサトーに対し、クラブリックと呼ばれた男は自らの意見を述べる。
いや、それが対するのは、リーダーのサトーだけではない。
彼の声は部屋に集う仲間全員に向けられている。
「我々の目的はナチュラルの殲滅、それによってコーディネーターの時代の扉を開くことです」
皆の耳が、彼に向けられる。それを確認し、当然のように続ける。
「そのための方法は、別にコロニー落しにこだわらなくてもいい。いや、そもそもコロニーを落すことなど必要が無かった」
そうだ、と、計ったかのように相槌が上がる。上げたのは、クラブリックの二つ右に立つ彼と同じくらいの歳の男性。
二人に挟まれたアビー・ウィンザーが、オルア、と、彼の名を呼んだ。
「必要など無かったのだ。戦争が、あそこで終わりさえしなければ!」
アビーの呼びかけを無視してオルアは叫ぶ。それが呼び水となったように、同意の声が次々と上がる。
それは彼等の共通認識。彼等が思い起こすのは、先の戦争でのザフトの姿。
撃沈される連合戦艦、蹂躙するMS。
拡大する占領地域、なぎ払う要塞砲ジェネシス。
プラントを私物化しようとしたクライン派の裏切りさえなかったなら、
いや、それがあったとしても敗北主義者アイリーン・カナーバによる犯罪的講和さえ行われていなければ、
ザフトは連合を、コーディネーターはナチュラルを、もう既にたやすく駆逐できていたはずなのだ。
「今回のユニウスセブンで、地球の対プラント感情は極端に悪化しています」
沸きあがった騒乱が静まるのを待って、クラブリックは淡々と、事実を述べる。
「おそらく愚かなナチュラルたちは、再びプラントに向かって無謀なる戦争を挑むこととなるでしょう」
その事実から、当然予想されうる推論を述べる。
簡単な数式を解くように、あるいは判決を読み上げるように、淡々と紡がれるクラブリックの言葉。
以前は裁判官を目指していた彼の指摘は、沈んでいた人々の心を奮い立たせる。
そうだ、何を自分たちは落ち込んでいたのだ?
そうだ、我々は何を悲観していたのだ?
戦争。そう、戦争にさえなれば。そうなれば我らの意図は遂行される。
ナチュラルどもは滅ぼされ、コーディネーターの世の中が始まる。
なぜならコーディネーターは、ナチュラルよりも優れているから。
ナチュラルなどにコーディネーターが、負けるはずなどありはしないから。
そう、だから、戦争になれば。戦争、戦争、戦争。世界を巻き込む大戦争が、今再び始まりさえすれば……
「甘いぞ、クラブリック」
再び顔を上げた皆の前で、サトーは叱りつけるように言った。内心とは、正反対の言動だった。
「おそらく? なるでしょう? 何故そこで願望に頼る! だから貴様は詰めが甘いのだ。
ナチュラルは戦争を挑むように『なる』のではない、『させる』のだ。我らの力で、煽り立てて。
貴様が配属されていたカーペンタリアのヨップ隊なら、それが可能なはずだ」
「はっ、申し訳ありません」
クラブリックが、応じる。サトーもまた、力強く頷いた。
そう、まだ決して終わってなどはいやしない。それをまさか、クラブリックやオルアのような若造どもに教えられるとは。
目に光を取り戻した皆に解散の指示を出し、鼻の頭を強く揉む。
もう歳か? いや、まさか。少々疲れてはいるものの、自分はまだ、終わるわけにはいかないのだ
……妻の、娘の、先に散っていった多くのものたちの夢、コーディネーターの世の中をこの目で見るそのときまでは。
――もちろん彼は、このとき既に自らに終わりをもたらすものがコロニー内に既に侵入していることになど全く気付いてはいなかった。
「ああ、クラブリック、オルア」
ふと気付き、呼び止める。クラブリックが姿勢をただし、オルアは視線だけをこちらに向けて、その態度をアビーに注意される。
この三人は血のバレンタイン前からの知り合いだときいていたが、性格はてんでばらばらだ。
「そういえばお前達、今はヨップのところにいるのではなかったのか?」
「あ、はい。それで、ヨップ隊長から伝言とあとヨーロッパ方面の支援者から機体の運搬を頼まれまして」
クラブリックに促され、MS収納スペースに向かう。
そこには装甲の塗装も新しい、新品のMSが組み立てられている。
「ゲイツ……それも、火力増強型か」
感心したように言うサトー。眼前のゲイツは背部から複数の砲塔が伸びている。
フリーダムを参考にした、後方支援タイプ。重量増加により機動性は悪いが、火力は最新のザクタイプをも上回る。
確か、地球部隊を中心に少数配備がなされているはずだ。
「ヘズモンドからのものです、残念ながら今回の作戦には間に合いませんでしたが……」
「気にするな、貴様も言ったようにあれは最後の作戦ではない、むしろこれからが本番なのだ。
有難く使わせてもらうとヘズモンドのものたちに伝えておいてくれ。
それで、伝言というのは?」
「は、シーゲル・クラインの娘、ラクス・クラインの足取りがつかめたということです」
「あの行方不明になっていた狂女がか!」
「ああ、あの女のうのうとオーブなんかに隠れてやがった」
それまで黙っていたオルアが、顔をゆがめて罵るように言った。
「そうか、見つけたのか。ならば……なんだ?」
緩みかけたサトーの凶相がこわばる。原因は、劈くような音を鳴り響かせる緊急警報。機体を組み立てている整備員を押しのけ、
サトーとクラブリック、オルアは警備室に。そこに映っている映像を見て、三人は完全に凍りつく。モニターの中で一室が、
血に染まっていた。
タタタタと、小気味よく撃ち鳴らしていた右腕多銃身機銃が、カラカラカラと空転して弾切れを伝えた。右腕に機銃、左腕に近接戦闘用大
型ナイフ、その他にも手榴弾や小型ランチャーを備えた試作装甲機動宇宙服内に収まったアウル・ニーダは、慣れた手つきで弾薬パックを
入れ替える。立っているその部屋――机の上に食べかけのまま置かれたラーメンやどんぶりものの器から考えて、食堂として使われていた
のだろう――は、既に血で染められている。進入者である彼が、その存在に気付かれるまもなく部屋を機銃で掃射した結果だった。うめき
声を上げる生き残りに、単射モードにした機銃で止めを刺す。撃ち漏らしが居ないことを確認し、次の部屋に向かう。
アウルに、動揺はない。血なまぐさい匂いは頭部アーマーで遮断されているし、視認した凄惨な状況で一瞬は高まった心拍数も、既に分泌
された脳内薬物によって通常値にまで低下している。薬物強化を受けた強化人間だからこそ、可能な芸当であった。
ちらりと、横目で天井を見る。あえて破壊しなかった監視カメラは、自分の姿を撮影し、その存在を他者に伝えている。だから……次の部
屋に押し入ったところで非常ベルが鳴り響き、警備局員が駆けつけてもアウルはさして驚かない。
警備局員が、保持していたハンドガンを取り出す。タンタンタンと音を立てて放たれたそれを、カンカンカンと装甲服が弾く。右手を、持
ち上げる。多銃身機銃が回転し、放たれた弾丸は列となって、身を隠している壁ごと複数の局員を同時に切り裂いた。
身をかがめ、素早く前進。試作宇宙服の装甲は軽機関銃レベルなら耐えられる設計にはなっているが、やはりむやみに弾を浴びるのは気持
ちいいものではない。三名の警備員の死亡を確認、廊下に出る。次の部屋に続く扉の前で立ち止まり、中の様子を窺う。
応援を呼ぶ、声が行き交う。駆けつけてくる、足音が聞こえる。あえて妨害はしない。それが目的であるのだから。
「さーて、行くぜ!」
鼓舞するようなものではない、ごく自然な普通の笑い。ある程度の人が集まってきたのを確認し、アウルは部屋へと踏み入った。
途端、放たれる銃弾。十以上の鉛玉が、部屋の入り口に殺到する。しかし必殺のはずの弾のうち、命中したのは僅か三。宇宙空間での作業
用に開発された倍力装置を使用して前方に跳躍したアウルの、残りは後方に着弾する。振り返らず、視線さえ向けず、アウルは右手の多銃
身機銃の引き金を無造作に弾く。撒き散らされる弾の速度は、一分間に500発。狙いは、つけない。つける余裕も必要もない。一秒間に約
八発ずつ降り注ぐ鉄の豪雨は、線で薙ぎ倒し面で制圧する。マガジン内の弾丸を五秒も掛けずに撃ちつくし、四人の人間を直撃と跳弾で肉
塊に変えてから、そこでアウルはようやく振り向き部屋の様子を認識した。机で張られた、即席のバリケード。右と左に敵は六人ずつ。左
側のうち四人は、既に排除が終了した。敵に混乱が生じているのを確認し、再度の突撃。方向は、敵の数の少ない左。机を蹴り倒し、装甲
宇宙服の右腕で、唖然としている女の腹を殴りつける。とっさに銃を向ける男性の首を、左腕のナイフで切り裂く。返り血が、宇宙での視
認性を下げるためダークブルーに着色された服を染める。女の首筋を右手で掴み、バリケードの外に放る。我に返った向かい側の警備兵が
放った弾は味方の女を死体に変え、それによる動揺が生じた隙にアウルは多銃身機銃の弾薬パックを入れ替える。残り六名を約二十秒で殲
滅したところで、敵の応援が駆けつけた。
「楽勝じゃん、こんなやつらいくら来たって……って、やっべえ!」
廊下の向こうに見えた増援部隊、彼等が手にしていた鉄製の筒。それが何かを見て取って、アウルは初めて焦りを覚える。筒が床と、水平
を維持され、発射準備が整えられる。宇宙服の脚部倍力装置出力を、最大に設定変更する。全身の力を両足に込め、アウルは前に突き進む。
装甲宇宙服に囲まれて弾丸のごとく進む彼のすぐ脇を、筒から放たれたRPG――モンロー・ノイマン効果により、装甲宇宙服の中身を一
撃で炭屑と化せる兵器――がすれ違う。後方で、爆発音。筒を構えていた兵士に、左腕の大型ナイフを突き刺す。
「危ないじゃんかよ!!」
怒鳴りつけつつ考える。テロリストどもの潜むここに三人だけで侵入させたネオは滅茶苦茶だと思ったが、撃てば穴空くオンボロコロニー
で推進兵器を使用するとは敵も負けずに滅茶苦茶だ。現に非常ベルトは異なるアラームが、『空気漏れ注意』を知らせているではないか。
その間にも左腕は動き、残りの増援を切り刻む。肉を切り、骨を絶ち、返り血を浴びた宇宙服は、既に兵器というより悪魔。地獄のような
光景を、監視カメラは警備室に知らせ、彼の脅威度を上昇させるさせる。結果集い来る兵士たち、更なる前進は不可能とは言わないまでも
危険と困難が伴うだろう。
だが、それでいい。その凄惨な光景の中一人立ち、晴れた春の朝の空のように澄み切った頭でアウルは思う。自分の役目は目立つこと。目
立って人をひきつけて、敵に味方の行動を邪魔させないようにすること。だからこれでいい。自分はここに留まっても、後は二人がやって
くれる。
自分の役割はあくまで陽動、美味しいところはあとの二人にくれてやる。だから、
「せいぜい、楽しませてくれよな!」
更なる増援の集う部屋に、アウルは単身突入した。
――思えば私たちは、いつも四人で一つだった。
アビー・ウィンザーは何の脈絡もなく、不意にそんなことを考えた。
彼女は、ごく平凡なコーディネーターだった。
知力は並みのナチュラルを大きく上回るが、コーディネーターとしては並み。
容姿も特徴的な白髪以外は整っている程度で、体力面の調整は健康面以外受けていないため、スポーツはあまり得意ではない。
それでも彼女は、そんなふうにコーディネートされた自分に格別の不満を抱いたことはない。
ごく平凡であるからこそ、ありふれてはいるが貴重な仲間たちと共にどこにでもあるが幸せな人生を遅れると思っていた。
平凡すぎて、むしろめずらしい彼女の夢。それを崩したのは、ユニウスセブンに打ち込まれた一発の核。
それすらもまた、コーディネーターとしてはありふれた出来事であった。
コロニー内に非常ベルが鳴り響いたとき、彼女はちょうど与えられていた部屋に入るところだった。
手をかけた扉を開ける前に、目覚まし時計を大きくしたような音がなり始める。それに混じって聞こえるのは、銃声だろうか。
個人端末を取り出して状況を確認、コロニー内への、侵入者の存在を知る。皆が、駆ける。侵入者の居る方向へと。
アビーも銃を手に取りそれに続こうとし……しかし、思いとどまった。なにか、違和感を感じる。
もう一度、携帯端末を開く。コロニーの地図と、侵入者のいる場所が表示される。
その場所に留まり、銃を手に集まるものたちをただただ屠る侵入者。あたかも、狂人のような無謀で意味の見出せない行動。
――全ての行動は、目的のためになされるべきだ
唐突に、そんなフレーズを思い出す。
それはかつて、クラブリックが口癖のように繰り返していた言葉。
自分とオルア、そしてリューシェンが、いつもなるほどと頷いていた言葉。
彼がそれを言わなくなったのはもう四年近く前、血のバレンタインと呼ばれる事件でリューシェンが死んでからのことだ。
あの頃私たちは、いつも四人で一つだった。
同じコロニーで同じ時期に生まれ、物心付くよりも前から四人で一緒に過ごしていた。
いつまでもずっと一緒、そう思っていて、でも心のどこかではそれが不可能だとも分かっていて、
だけど一緒の終わりがあんな形になるなんて想像してもいなかった。
全ての行動は目的のためなされる。なら今確認されている侵入者の目的は?
監視カメラに姿を現し、警戒させ人を呼び寄せる。その行動が意図せずなされた単純な馬鹿ならそれでいい。
だが、もしそうではなかったら?
現状を、再確認。気が付けば付近に人は見当たらない。動けるものはほぼ全員、侵入者対処に向かっている。
――まさか、これが目的? 今暴れている奴は陽動?
ありえる。派手に暴れて人を引き寄せ、強引に隙を作り出す。でも、何のために?
敵が一番したいこと、自分たちがされて一番困ることはなに?
ぐるぐると迷走していた思考に、不意に道が開ける。解答が、目の前に現れる。
端末を取り出しオルアかクラブリックに連絡をとろうとし……顔をしかめた。聞こえてくるのはノイズ音、
いつの間にかジャミングが仕掛けられている。端末をポケットにしまい、走り出す。途中武器庫に立ち寄って、
サブマシンガンとマガジンを取り出す。射撃の成績はよくはないが、この装備なら数で腕をある程度埋め合わせる
ことが出来る。
向かった先は通信室、管制官である彼女の仕事場。それは同時にこのコロニーからプラントや地球、各地に点在する
支援者たちと連絡を取るための場所でもあり、結果支援者、つまりは同調者たちについての、情報が溢れかえっている。
そこを抑えられることは、私たちの組織全貌を抑えられることに等しい。
ドアの隙間から中を覗く。慎重に、侵入者の姿を確認する。そこには……誰もいない!?
やはり気のせいだったのかと安堵の溜息をついたアビーに、
「よ、ごくろーさん」
いつの間にか背後に存在した二体の装甲服、うち一体が声をかけた。
跳び退り、銃を向ける。
引き金を弾くより前に装甲服に接近され、ぐいと首を掴まれる。
息が、止まる。体が、浮く。
そのまま部屋に投げ付けられて、アビーの体は通信室のコンピューターに叩きつけられた。
「よし、ビンゴだ」
注意深く中を見回した後、部屋に踏み込みつつスティングは頷く。部屋のすみに投げ捨てた女には、もう何の興味も持っていない。
「はじめるか。ステラ、護衛とアウルへの連絡を頼む」
「……うん」
ステラが頷き、入り口を塞ぐようにして立つ。装甲宇宙服の右部を取り外したスティングは通信妨害をオフに。
用意していた複数のスティックをコンピューターに接続させ、キーボードに指を走らせる。目的は、コンピューター
に記録されているはずの通信データのダウンロード。
アウルを陽動にたたせた時点で、それに気付く人間がいるだろうことは予想できた。だから先に侵入していた二人はその人間のあとをつけ、
この部屋を見事突き止めたわけだ。後はデータさえ吸い出せば任務完了、艦に戻って分析することでユニウスセブンを落した連中の
詳細把握が可能になる。
廊下から銃声音、それも複数。より大きな爆発音が、それにかぶさる。
「ステラ、大丈夫か?」
「平気……アウルも、来た」
途端に騒音の種類が増え、そして音自体は小さくなる。ここに駆けつけようとする連中に、アウルが迎撃に向かったのだ。
手を動かしつつ、考える。これで任務の七割は完了、プロテクトが多少硬いが、この壁さえ破ればすぐにダウンロードは可能になる。
だがステラが聞きつけた話だと、今回の任務はネオの独断。上に立っているはずのジブリールには何の連絡も取っていない。
そしてそのことを、あいつは自分達に隠している。
――ネオの野郎、何考えてやがる?
今の時点では分からない、だが除け者にされるのは我慢ならない。この任務が終わったら、絶対に問い詰めてやる。
『Enter』キーを押して、コンピューターの操作は終了。必要データをスティックに落し終えるまで、所要時間は約五分。
その後は敵の包囲を打ち破り、ガーテー・ルーに帰還する。
予定を確認したスティングは装甲宇宙服右腕を再接続させ、ステラたちを手伝うため入り口付近に向かう。
自分が投げ捨てたコーディネーターの女の手がほんの僅か動いたことには、無論、気付いていなかった。
「……アビー?」
警備室で、侵入者との戦闘の推移を見守っていたクラブリックが信じられないものを見たようにに言った。
「19番カメラ、通信室の映像を拡大してくれ!」
指示に従い、現れる映像。そこにいたのは、装甲服を着込んだ二体の侵入者。そして、倒れ伏して動かない彼がよく知る一人の女性。
オルアが驚愕し、サトーは顔を苦悶に歪ませる。
「そちらが、本命だったか!」
「サトーさん、俺が行きます」
「待て、オルア!」
サトーの制止にかまうことなく、オルアが飛び出す。それに続こうとしたクラブリックを、強引に捕まえる。
「現状は?」
「は、警備の第三班が対処に向かっていますが、敵は少数ながら装備が強力で……」
「分かった……あのゲイツは出せるな。よし、今対処しているものたちも引かせろ」
「は?」
「どういうことです?」
驚きの声を上げるクラブリック他周りのものども、彼等を見回しサトーは言う。
「状況103号発令、コロニーを捨てる」
「何故です?」
「もうここは持たん!」
周囲を一喝し、説明。
「奴等が単独でここまで来れるわけがない、外に必ず母艦がある」
「ですがそんなもの……」
「見当たらない? 見えんだけだ。アーモニーワンを襲ったのは、ミラージュコロイド装備艦だったのだろう。
やつらが奪ったMSはユニウスセブンでも見かけた。あそこから、つけられたのだ」
「まさか、ナチュラルどもに」
「連中を舐めるな、ザフトの警備網をかいくぐりユニウスに核を撃ち込んだのが連中であることを忘れるな!
現在の我々の装備では戦艦に対抗するすべがない。今は耐えろ、シャトルで脱出し、明日のコーディネーターの世のために生きよ。
クラブリック、脱出の指揮はお前が取れ」
「ですが、隊長は?」
「奴等にここのデータをむざむざ渡すわけにはいかん。ゲイツで出て、コロニーごと侵入者を排除する」
つまりそれは、脱出用シャトルには乗らないということ。敵戦艦への投降の意思などあるはずもないから、実質的な死亡宣言。
だが他に、妙案が思い浮かぶわけではなく、皆はサトーの指示に従う……ただ一人、クラブリックを除いて。
「どうした」
「アビーが、あそこにいるんです。おれはいけません」
「なに?」
クラブリックの目が向けられた、モニター。部屋のすみでうずくまる女性がピクリと動く。
コーディネーター特有の頑強さで、既に意識を取り戻しているようだ。
「アビー・ウィンザーか……知り合いだったな」
「……はい」
顔を歪めての、返答。その表情は、クラブリックの彼女への思いが単なる『知り合い』でないことを物語っている。
それを承知した上で、サトーはクラブリックに命じる。
「諦めろ」
「ですが」
「諦めろクラブリック。もう助からん、助けられん」
たとえ意識が戻ったにしろ、味方部隊との間には三体の装甲服兵がいる。現状での救出は実質的に不可能。
だが、あそこにいるのはアビーだ。他の誰でもないアビーなのだ。
それを、見殺しにするのか? 見殺しに、出来るのか?
まだ生きていると分かっていて、俺は、俺は……
「――わかり、ました」
その想いを押し殺して、クラブリックは頷いた。
サトーから回された撤退の指示に、オルアは頷かなかった。
「ふざけるな! 味方を見捨てるつもりか!」
激昂し、立ち上がる。壁から身を乗り出そうとして、周りの者たちに止められる。
一瞬飛び出た前髪が、敵の射撃で飛ばされる。
「無理です、オルアさん」
「なにが無理だ、なにが! 敵はナチュラルだ、俺たちはコーディネーターだ、無理なことなどあってたまるか!」
叫ぶ、が、届かない。敵の銃火の前には、百メートルも離れていない通信室ははるか遠い。
オルアの声は銃声と共に、廊下にただただ響き渡る。
――思えば私たちは、いつも四人で一つだった。
アビー・ウィンザーは何の脈絡もなく、不意にそんなことを考えた。
同じコロニーで生まれ、物心着く前から一緒にいて、そしてこれからもずっと一緒だと思っていた。
もちろん、そんなわけはなかった。オルアとクラブリックは男で、アビーとリューシェンは女だったから。
心のどこかで理解していたそのことは、戦争が始まって少ししたある日、オルアによるクラブリックへの
――想い人による親友への――告白という形で現れた。
「彼のこと、好きなの?」そのことをリューシェンから相談されたアビーは、彼女にそうきいた。
「分からない……考える」戸惑いを隠そうともせず、混乱した様子でリューシェンは答えた。
それが、アビーが彼女と交わした最後の言葉となった。落ち着いてゆっくり考えるための場として、
リューシェンが選んだのはとある農業コロニーだった。その翌日は、バレンタインデーだった。
リューシェンが死んだ後、オルアはザフトに志願した。アビーはその後を追った。
クラブリックまで志願したのは少し意外な気もしたが、もしかすると彼もリューシェンに好意を寄せていたのかも知れない。
戦争が終わった後は三人で部隊を抜け、サトーさんの組織に加わった。そして、今もここにいる。
何故ここにいるのか、そのわけなど、今となっては自分でもよく分かっていない。
未だぼんやりとした意識の中、アビー・ウィンザーは自分が目を覚ましたことを理解した。
わき腹が、痛い。多分骨が折れている。そうだ、あとを付けられて装甲服兵に投げ付けられたのだ。
「貴様ら、それでもコーディ……」
銃声に紛れ、オルアの声が聞こえたような気がした。
意識が、覚醒する。広がった視界の中に三体の装甲服を確認する。自分が気付いたことには、まだ、気付かれていない。
携帯端末で、現状を確認。総員に撤退およびコロニーからの脱出命令が下されている。
今の自分の状態では、命令に従うことは到底無理だが。
無意識に伸ばしていた左手が、何かに触れる。冷たい鉄の感触……サブマシンガンだ。
弾はある、まだ撃てる。けど装甲服を着込んだ連中が相手では、効果はあまり望めない。なら、私は、これを使ってなにが出来る?
答えは、すぐに思い付いた。同時に、その結果も。
困った、死にたくない。そう思い、そして驚く。
死ぬ覚悟など当に出来ていると思っていたのに。
「…ビーがまだあそこにいる…………」
今度は、はっきり聞こえた。自分の名を呼ぶオルアの声。撤退命令が出ているのに、あいつは一体何をやっているんだ。
ああ、決まっている、自分を助けようとしているんだ。命令になどかまうことなく、自らの身もこころみず、ただ思ったとおりに行動する。
私が好きになった人はそういう人だから。だけど、いいえ、だからこそ、私は彼に甘えられない。このまま伏せて助けを待って、彼を
危険に晒してはならない。彼の私への感情は、友情であって愛ではないから。そして何よりこの点でだけは、私はリューシェンに負けたく
ないから。
気付かれぬように右手の指を、サブマシンガンのトリガーに書ける。敵は、こちらを見ていない。
銃を傾け、照準をつける。まだ、敵は気付いていない。
――ねえ、リューシェン、私はあなたとは違って彼に好きになってはもらえなかった。
だけど、今はそれが嬉しい。自分が死んでも、彼はあなたが死んだときのように暴発しかけることはないだろうから。
自分の死に彼はきっと囚われることはないだろうから。だから私は安心して、この引き金を弾くことが出来る。
私はオルアに愛されなかったけど、あなたとは違って彼を狂わせることもなかった。
ひそかな優越感を胸に抱き、アビー・ウィンザーは引き金を弾いた。
タラララと、それまでとは明らかに異なる銃撃音に、スティングは振り向いた。ステラを、続いて先ほど合流したアウルの無事を確認する。
銃声のもとは通信室内、先ほど自分が投げ捨てた女。だが自分たち三人には、被弾した様子はない。
「このやろう……」
「やめろ!!」
機銃を向けるアウルを、慌てて止める。女がいるであろう周囲には、情報をダウンロード中のコンピューターがある。
機銃では、そのコンピューターごと破壊して――え、コンピューター……
「ここを頼む」
防戦をアウルとステラに任せ、コンピューターのもとに走る。装甲宇宙服の右腕を再び外し、周囲に被害を与えない予備のハンドガンで
女を無力化する。撃たれた女の勝ち誇った顔が憎たらしい。ダウンロード中だったコンピューター、その五基のうち三基が、案の定
サブマシンガンの銃弾を受け完全に破壊されている。残りのうち一基も、画面を撃ちぬかれショート中。仕方ない。比較的無事だった
二基分のスティックを回収し、撤退を決意……
「なあスティング、なんか抵抗弱まってきたぜ」
アウルが、怪訝そうに言った。
「大佐、レーダーに反応です」
異常を捉えたのは、アウルだけではなかった。彼等の帰りを待っていたガーティー・ルー、その艦長席に座っていたイアン・リーが、
ネオ・ロアノークに報告する。
「お、あいつらやっと帰ってきたの?」
「いえ、違います。小型のシャトルが三、いや、四機……」
リーの報告で、ネオは仮面の中の眉をピクリと動かす。リモコンでスイッチを入れたかのように、
彼が身に纏う雰囲気がちゃらんぽらんなおっさんからファントムペイン隊隊長のものに切り替わる。
「格納庫、エグザスの発信準備を。リー、シャトルの武装は?」
「自衛用小火器のみ、搭載量も少ないので積めるのは小型MAまでですがその分速度は……」
「待ってください! シャトル後方よりMS発進、ゲイツタイプです!」
リーの報告を遮って、オペレーターからの追加情報。それをきくかきかないかのうちにネオは格納庫に向け走り出す。
「大佐?」
『やつらもやるぜ。MSでコロニーごと情報の隠蔽を図る気だ』
走りつつ、艦内無線で連絡。
『俺がMSは止める、お前らはシャトルのほうをやれ。おい、エグザス出れるか』
『いや、出れることは出れますが、ガンバレ……』
『出れりゃーいいんだよ、出れりゃー! ネオ・ロアノーク、エグザス、出る! リー、後は任せた』
つい先ほどまで司令席にいたネオは、瞬く間にMAで宇宙空間へ。小部隊の指揮官としては結構だが、
まだまだ司令としての自覚には欠けているようだ。
「全く、大佐も困ったお人だ。まあ人不足で他にパイロットがいないのだから仕方ないが……」
皆の注目を寄せられたリーは、諦めたように溜息。軍帽を目深にかぶりなおし、皆を見回して言う。
「MSは大佐に任せる。どのみち本艦の主砲じゃコロニーごと破壊してしまうからな。
我々の相手はシャトルだ、格下だが、だからこそ一機たりとも逃がすわけにはいかんぞ。
エンジン始動後面舵30度、ミサイル発射管が比較的無事な左舷で砲雷戦を……」
「レーダーに新たな反応、宙域2306からナスカ級航宙巡洋艦、こちらに向かってきます」
「命令撤回、エンジン始動待て! 面舵10度、慣性航行にて微速前進。砲撃可能な全主砲に充電開始」
新たに入った報告に、リーは即座に方針を変更。
「ナスカ級よりMS発進、数1、ザクタイプです」
「あれだけのジンを失ってさらにゲイツ、今度は最新型のはずのザクだと? 一体どういう組織なんだ」
「落ち着け、あのナスカ級も連中の一味だとは限らん」
部下の軽率な発言をいさめつつ、額に浮かんだ汗を拭う。
今のガーティー・ルーはユニウスセブンの戦闘で、武装の半分以上を失っている。
艦体へのダメージも大きく、無傷のナスカ級相手では正面からでは勝てるかどうか怪しい。
だからこそ、錯綜しつつあるこの状況を、誰よりも正確に把握することが必要なのだ。
「ちい、やっぱりか!」
緊急発進したエグザスの中で、ネオは大きく舌打ちした。コロニーから飛び出したゲイツは、さらに二機のシャトルが発進するのを待ち、
自らが飛び出したコロニーに向け砲撃を開始している。しかも火力が、通常のものとは桁違いに大きい。アビスまではいかなくても、
カオスやガイアは優に超えている。これなら三分も経たないうちに、中に残っているスティングたちごとコロニーは宇宙の塵となってしまう。
「が、させるかよ、そんなこと!」
時間が惜しい、無駄な軌道は取らない。ガーティー・ルーから飛び出したエグザスは、あえてゲイツに向かい直進する。
エグザスに気付いたゲイツが、ビームライフルを放つ。僅かに機体を傾けて、それをかわす。
応射はしない。今は守るべき対象となったコロニーを、敵は背後に背負い盾としている。予想以上に敵は巧妙だ。
「だが、このエグザスなら……」
そう、ガンバレルならコロニーを避けゲイツだけを攻撃できる。
機体を反転、横滑り。ライフルから放たれたビームが、機体をかすめて後方に流れる。
ゲイツの細部ディテールがコクピットから確認可能になり、敵をガンバレルの射程距離に――
「とらえ……た?」
勝利を確信しネオが分離させたガンバレルは、爆撃機から放たれた無誘導爆弾がごとくただ慣性に従って機体後方に流れていく。
エグザス本体からの操作は、全く受け付けている様子がない。
「嘘! そういやあ……」
エグザスに乗るとき整備長が『ガンバレルは使えない』とか何とか言ってたような……
ガンバレルが使えないエグザスなど、単なる強化型メビウスでしかない。
慌てて反転、急速離脱。背を向けて逃げ出したネオの後ろで、ゲイツの背中が爆発した。
敵との距離をつめることを望んでいたのは、何もネオだけではなかった。
火力増強型ゲイツに乗るサトーもまた、エグザスを懐に誘い込むことを狙っていたのだ。
牽制のビームライフルをかわすエグザス、その距離が一定に縮まったたところで、
「これで終わりだ、ナチュラルの!」
背部リフレクターの全武装を解放する。ビーム砲が、機関砲が、レール砲が、火を噴く。
その弾幕は避けようがなく、またMAでは防ぐすべもない。
勝利を確信するサトー、だが、
「まさか、こちらの狙いを読んでいたというのか!」
ガンバレルを失ったエグザスは一足先に反転し、ゲイツが形成した弾幕から脱している。
「逃がしはせん!」
エグザスに追いすがるゲイツ。ビーム砲とレール砲を、交互に撃ち放つ。対するエグザスは逃げの一手、
Gで仮面が顔に食い込むのにもかまわず、最大加速と同時に旋回。右に、左に、射撃をかわすが一定距離からは離れない。
ネオの目的はコロニー内の情報、それを奪いに行ったスティングたちの離脱の援助。
もし敵から離れすぎれば、ゲイツは嬉々として砲を再びコロニーへと向けるだろう。だが正直このままでは埒が明かないことも確か。
「ちっくしょう、まだか、スティング……ん?」
フットレバーを蹴飛ばしつつ、コロニー外層の映像を確認。ちょうど中央に位置している、三体の試作装甲宇宙服。
あの位置ならば、コロニーのはじを破壊しても被害は受けない。なら――
背後を取ろうと旋回を繰り返していたエグザスが、不意に速度を緩める。生じた隙、一瞬の油断のその産物を、サトーは決して見逃さない。
射撃を交互撃ち方から全門斉射に変更し、全火力をエグザスの予想位置へと投入する。
「貴様は、いい敵だった……ナチュラルにしてはな!」
殺意ではなく敬意を込めて、生涯最後の敵へ放った射撃、しかしそれは、一弾たりともネオのエグザスには当たらない。
エグザスとゲイツを結んだ線、砲撃が描く軌道上に位置していたのは、ネオが守り、サトーが破壊しようとしていたコロニーの最前部。
砲撃を受けてコロニーが砕け、盛大に破片を撒き散らす。それにまぎれて飛び出すのは、ネオの操るエグザス。
機体前部に形成した一対のビームサーベルで、サトーのゲイツに切りかかる。
「やった? いや、浅いか!」
「やはりやる、だがこれで!」
ビームサーベルはゲイツの背負ったリフレクターを切り裂いて、しかし機体の撃破には至らない。
逆にエグザスは、無防備な背中をゲイツの前面に晒すことになる。
サトーは右手に残った武装、ビームライフルの照準を、その背中に向ける。
弾かれる引き金、放たれる光、そして、爆発……したのは、ゲイツの握っていたビームライフル!!
ビームを放った新たな機体、背後にナスカ級を従えた一機のザク。橙色に塗装されたそれは、国際救助チャンネルで宙域全体に呼びかける。
『こちらザフト軍特務隊、ハイネ・ヴェステンフルス! この宙域にいる全てのものに命じる、直ちに戦闘を停止せよ』
議長直属のフェイスであるハイネ、彼の指揮するハイネ隊およびその旗艦であるナスカ級航巡ミリューチン。
これがデュランダル議長の言っていた、『色々と打った手』の一つ。
予想外の乱入者にゲイツとエグザスの動きが止まる。薄氷の上の一時の均衡が、成立した。
ザクのコクピット内にて、ハイネが部下に指示を下し軽口を叩く。ライフルは、ゲイツとエグザスに突きつけたままで。
「わーお、さすがカルマ。マジでユニウス落としの犯人発見!? でもなんで戦闘してるんだ?」
『なあハイネ、それはそうとあんなこと言って素直に戦闘止める奴いるか?』
「うるせえよ、ジョー。正規軍ってやつはこういう手続きを重要視するんだ」
『ふーん。あ、そうそう、カルマから報告。ゼロの観測だとこの宙域熱源とか磁気の異常が多いから、ボギーワンがいるかもってさ』
「ボギーワンってあのアーモリーワンのか? 面倒くせえな。
じゃあ念のためアキラとグレシアは艦で待機、キースはゲイツで離脱しようとするシャトルを捕まえてくれ」
『オッケー、いってきまーす♪』
「カルマ、主砲の照準は……」
『もちろん、ゲイツに合わせておくんでしょ?』
「ああ、だがこっちからは撃つなよ。
正義の味方って言うのはだな、先に悪いことをした自分より弱い奴をよってたかって袋叩きにするもんなんだ」
「やはり、ザフトの正規軍か」
ミラージュコロイドで身を隠したガーティー・ルーの艦内で、リーは相貌を崩さない。
ザクがゲイツとエグザスに対峙し、外では一時的に砲火が止んでいる。
「よかった、連中の仲間じゃないなら……」
「馬鹿者、我らの存在を知られてならんことに変わりはない。この艦がここにいるのはネオ大佐の独断だ。
その事実は時が来るまで決して公には出来ん。ザフトはおろか、地球軍にもだ」
クルーを睨みつけ、いすに座りなおす。思案顔で、指示を下す。
「スティングたちの姿はコロニー外層にとらえ続けてあるな。
発射可能なミサイル管にジャミング弾を装填。動力部、主砲充電はいいから全パワーをミラージュコロイドと機関部に回せ。
機関部、最大戦速発揮の可能性がある、頼むぞ」
これで、いいはずだ。潜伏状態のこの艦が、自分から動くことはない。後は誰かが仮初めの静寂を破るのを待つ。
そして静寂が破られたそのときに、生じる波に遅れることなく便乗するのみ。
「さーてと、どうしたもんかねー」
エグザスで旋回を続けつつ、ネオ・ロアノークは考える。愛機は既にかなりぼろぼろ、先ほどコロニーの破片の中を突っ切ったせいだ。
ザク・ゲイツ・エグザス。この三機の中で一番まずいところにいるのは自分。だがまだ俺はガーティー・ルーという切り札を持っている。
その存在を隠し通すため無線連絡は取れないが、リーならきっとうまくやるはずだ。だから多分、三勢力で一番余裕があるのは自分。
よって今、俺は動く必要はない。こういう三竦み状態で始めに動き出す奴は、大抵一番余裕がなくて結果残りの二つから袋叩きに会う
もんだ。操縦桿を握る手に、汗がにじむ。それを黒の軍服で拭う。旋回を、さらに続ける。
一周、二周、三周目に入る直前でついに均衡が破られる。
「キース、いっきまーす」
ミリューチンから、新たなゲイツが発進する。操縦者は、ハイネ隊のキース。向かった先は、先に離脱していたシャトル。
ユニウスセブン落下事件関与の疑いで、捕縛し事情を聞くのが目的。
そしてそれが、きっかけとなった。
「させるものか!」
サトーのゲイツがキースを追う。残されていた最後の武装、ビームサーベルを振りかざす。
「わ! ちょっと待て、いきなりは反則!」
「おい、大丈夫か?」
キースがサーベルを慌ててかわし、ハイネがキースのほうを向く。
「今だ!」
ハイネの注意がずれた隙に、ネオは操縦桿を押し倒す。加速するエグザス、ハイネも素早く振り返るが、
向けたザクのライフルの射線上には乗艦のミリューチン……これでは、撃てない!
「カルマ!」 「リー!」
「任せろ!」 「は!」
代わりに火を噴くミリューチン、その鼻先に、不意に出現したミサイルが炸裂。吹き荒れるチャフに、レーダー画面が白く染まる。
「ボギーワン、やはりいた」
「ゼロ、位置分かるか?」
「ミサイルの出現位置より推定、3450〜56宙域」
「オッケー、主砲標準」 「させるかよ!」
機体を切り返し、エグザスがミリューチンを強襲。その間にも、ガーティー・ルーがミラージュコロイドのベールを脱ぎ捨て姿を現す。
「無駄、主砲照準完了。命中確立90±5パーセント。発射5秒前。4,3,2……」
「待て、ゼロ! コロニーに当たる! 主砲発射中止!!」
あくまで冷静なゼロの秒読みを、カルマが止める。彼等が求めているものは、ネオたちと同様ユニウスセブン落とし実行犯に関する情報。
それが詰まったコロニーを背にされたのでは、当然撃つことは認められない。先ほどサトーがネオに仕掛けたのと、全く同じ戦法だ。
「コロニーが射線上から消えるまであと10秒……レーダー、依然沈黙中」 「リー! スティングたちは?」
「光学照準で叩こう。MSも出す。 「収容完了しました! エグザスは左の格納庫に!」
グレシア、いける?」 「分かった!」
「もっちろん、お任せ! あら?」 「エグザス収容後全ミサイル発射、
「敵艦よりミサイル発射確認、数、およそ10」 やつらの前面をかき回してやれ!
「ミサイル爆発、被害認められず」 その後面舵60度、アップトリウム30度、
「ゼロ、どういうこと?」 ミラージュコロイドを展開しつつ機関最大戦速!」
「ジャミング弾。計器全てに異常発生。航行を目視モードに切り替え」
「ちょっと、あのゲイツ、キースのじゃあないわよね!」
ミリューチンの隔壁がある程度開かれ、手すき総員が見張りへ。ボギーワンはミラージュコロイドで、姿を再び消してゆく。
代わりに現れたゲイツは激しく損傷しているものの、ビームサーベルを手に急速接近。
『すまんカルマ、ジャミング弾爆発の際に逃げられた』
「げえ! ハイネ何やってんだよ! グレシア、アキラ、頼む!」
「よっしゃー、やっと出番だ!」
「はあ。全く、しょうがないわねー」
甲板に上がる、二機のゲイツ。相手のゲイツに照準を合わせ、アキラが無線で呼びかける。
「カルマ!」 「リー!」
「任せろ!」 「は!」
代わりに火を噴くミリューチン、その鼻先に、不意に出現したミサイルが炸裂。吹き荒れるチャフに、レーダー画面が白く染まる。
「ボギーワン、やはりいた」
「ゼロ、位置分かるか?」
「ミサイルの出現位置より推定、3450〜56宙域」
「オッケー、主砲標準」 「させるかよ!」
機体を切り返し、エグザスがミリューチンを強襲。その間にも、ガーティー・ルーがミラージュコロイドのベールを脱ぎ捨て姿を現す。
「無駄、主砲照準完了。命中確立90±5パーセント。発射5秒前。4,3,2……」
「待て、ゼロ! コロニーに当たる! 主砲発射中止!!」
あくまで冷静なゼロの秒読みを、カルマが止める。彼等が求めているものは、ネオたちと同様ユニウスセブン落とし実行犯に関する情報。
それが詰まったコロニーを背にされたのでは、当然撃つことは認められない。先ほどサトーがネオに仕掛けたのと、全く同じ戦法だ。
「コロニーが射線上から消えるまであと10秒……レーダー、依然沈黙中」 「リー! スティングたちは?」
「光学照準で叩こう。MSも出す。 「収容完了しました! エグザスは左の格納庫に!」
グレシア、いける?」 「分かった!」
「もっちろん、お任せ! あら?」 「エグザス収容後全ミサイル発射、
「敵艦よりミサイル発射確認、数、およそ10」 やつらの前面をかき回してやれ!
「ミサイル爆発、被害認められず」 その後面舵60度、アップトリウム30度、
「ゼロ、どういうこと?」 ミラージュコロイドを展開しつつ機関最大戦速!」
「ジャミング弾。計器全てに異常発生。航行を目視モードに切り替え」
「ちょっと、あのゲイツ、キースのじゃあないわよね!」
ミリューチンの隔壁がある程度開かれ、手すき総員が見張りへ。ボギーワンはミラージュコロイドで、姿を再び消してゆく。
代わりに現れたゲイツは激しく損傷しているものの、ビームサーベルを手に急速接近。
『すまんカルマ、ジャミング弾爆発の際に逃げられた』
「げえ! ハイネ何やってんだよ! グレシア、アキラ、頼む!」
「よっしゃー、やっと出番だ!」
「はあ。全く、しょうがないわねー」
甲板に上がる、二機のゲイツ。相手のゲイツに照準を合わせ、アキラが無線で呼びかける。
「なああんた、投降しろよ。どう見ても勝ち目はないだろ」
『同じ状況で同じことを言われて……貴様は『はい』と答えるのか?』
「……ま、そうだよな」
サトーの答えにアキラは溜息、それ以上は言わずにグレシアと共に引き金を弾く。
放たれるビーム、削られる装甲。ライフルを失ったサトーには反撃する手段はなく、シールドを失ったゲイツには、攻撃を防ぐすべもない。
「まさか最後の相手が同胞とはな。だが覚えておけ、この道を目指すものが我で最後ではないことを。クラブリック、後は任せ…た……」
それでもゲイツはミリューチンの機銃防御圏にまで到達し、そして、ついに爆発。
その爆炎を避けるため、ミリューチンは慌てて大きく舵を切る。
周囲に残っている機影が全て味方であることを確認し、艦長代理、カルマが溜息。
「ボギーワンは……追えそうにないな」
「シャトルのほうも、もうレーダー有効範囲外に出ちゃってるぜ」
『ジョー、艦をコロニーの脇に付けてくれ、中を徹底的に調べる。連中の軌跡がまだ中に残ってるはずだ。
お前ら、船外作業の準備しとけよ』
キースともども戻ってきたハイネが、ザクを着艦させつつ指示を出した。
「ふいー」
収容されたエグザスから降りたネオが、汗を拭いつつ溜息。
「リー、スティングたちは大丈夫か?」
『は、三人とも無事、目的のデータも完全ではありませんがコピーが取れました』
格納庫の通信機で、艦橋に連絡。応じるリーは、さすがに呆れ気味の顔をしている。
「敵の追撃は?」
『ザフトのナスカ級という意味でなら心配ありません。潜伏航行で振り切りました』
「そうか……ん? ナスカ級と言う意味でなら?」
『は。ですが大佐に対し敵意を持つものという意味でなら、ちょうど今あなたの後ろに立っております。
大変遺憾ではありますが、残念ながら逃げ切ることは不可能です』
「は?」
リーの顔が、意地悪く歪む。もうそこには、上官への敬意は微塵もない。
『整備班の方々が、忠告を無視してエグザスで発進しガンバレルを無駄にしたことに対し大変ご立腹しておいでです。
堪忍して、お叱りを受けてください』
「え、ちょっと、リー!」
『ああ、艦橋のほうの仕事は私で十分足りておりますので、当分戻ってこなくて結構です。それでは』
「いや、ちょっと、おい!」
抗議を無視し、リーは無情にも通信を切断。唖然とするネオの肩を、ポンポン、と叩く背後の人間。
「た・い・さー!!!」
徹夜作業で目に大きな隈を作り、それでも笑顔を忘れない、ガーティー・ルーの頼もしきメカニックマンの皆様である。
「いや、俺、今日は疲れてるからこれで……」
「ご安心ください、我々も疲れておりますので……主にガンバレルの修理が原因で」
名将ネオ・ノアロークは、己の敗北をはっきりと悟る。
その三十分後、整備班一同による長い長い説教に晒されたネオはほとんど抜け殻のようになりながら、
ガーティー・ルーの長い廊下を一人寂しく歩いていた。
「つ……つかれた。冗談でもなんともなく本気で戦闘よりつかれた」
とはいえ作戦が無事終了し、ほっとしているのも事実。特に今回の作戦は、彼がジブリールの手を離れ独断で行った初めてのもの。
それを損害ゼロでやり遂げられたのだから、前途はなかなかに良好……
「よう、ネオ」
「ん? ああ」
かけられた声に振り返り、脇に立っていたスティングに気付く。疲れているせいか、彼の目がやたらと厳しく見える。
「任務ご苦労。ステラたちはどうした」
「先に調整室に言ってるぜ。それにしても、今回の仕事きつすぎだぜ」
「そうか? アーモリーワンよりはましだったろ」
「どっちもどっちだ。あそこじゃ一応協力者がいたし。でもジブリールって奴も毎回よくこんな手考えるな。
実行するこっちの身にもなってみろってーんだ」
「ははは、そう言うな。今回のお前らの活躍だって、ジブリールの旦那に報告したら感心してたぜ」
「……嘘こけ、ばーか!」
「なに?」
ネオの足が、止まる。スティングも止まり、振り返る。
「今回の件、ジブリールの命令じゃなくてあんたの独断なんだろう? 艦橋であんたがそう言ってるの、ステラが聞いてたぜ」
「スティング……お前、なにを考えている?」
「別に、何も。ただ話がしたいだけさ。コロニーに行く前に言っておいただろ。仕事が終わったら話があるって」
そう言って、ネオを見つめるスティングの目は、恐ろしいほどに冷たかった。
以上です。
ハイネ隊、半分ほどはMS操縦以外の仕事(電子戦、オペレーターなど)に回ってもらいました。
――全員が機体に乗ると書き分けられないので(今でも十分書き分けられてないorz)。
『よーし行くぞ!
目標を探せ。オルアとクラブリックは…ん?ん?なんだあれは…』
十三話、ヨップ隊長の台詞です。二人はここから持ってきました。
アビーさんは……ごめんなさい、その場の勢いです(始めは名無しキャラにするつもりだった)。
ユウナはカガリへの恋愛感情なしにしてしまいました。結婚は、あくまで外面だけということで……
(でもそうだと知っている人はあまりいない)
それでは、次もいつになるか分かりませんがどうぞよろしく。
あー、カガリ厨か…
GJ!
ザラ派はスタゲでもテロしまくりだったから違和感ないな。
まさかアビーがここで死ぬとは…。
ボリューム多すぎてお腹一杯です。
乙GJ。
単発設定小話 「誰がために・・・ part.1」最終章 6
〜集まりだすオーブと地球連合の艦隊〜
バルトフェルド「しかし・・・地球連合がよく協力を申し出たもんだねぇ」
マリュー「ええ。・・・連合も民衆の支持とやらを無視できないのでしょう」
バルトフェルド「まぁそうだろうな。しかし、この戦いもあと一息だ。ザフトをおとなしくさせて地球に帰ろうじゃないか」
ムウ「・・・・・・まだ一番手ごわいのがいるっていったろう。ファントムペインの残党がな」
バルトフェルド「ふむ・・・しかし、戦艦一隻とMSが・・・いても2機だろう?」
ムウ「わかっちゃいないな。キラとアスランと互角以上に戦えるパイロットがいるんだぞ!?言ってる意味・・・わかるよな?」
ダコスタ「・・・逆転ホームランもできるってことですか?」
ムウ「そういうこった。たった強力なMS、優秀なパイロットが勝敗をひっくり返すことはキラやアスランが証明してみせてる」
バルトフェルド「・・・君のかつての部下はそれほどまでに強敵かい?」
ムウ「ああ、強いね。ザフトだけをみていると足元すくわれるぜ・・・」
バルトフェルド「兎に角、今はあの月面のレクイエムだっけか?あれを攻略することが最優先だな。またオーブに直射されたらかなわんしな」
ムウ「・・・すまん、そうだな。見えん相手を気にしていても始まらん。今は・・・目の前の敵に集中しよう」
マリュー「ムウ・・・・・・」
〜持ち場に戻るバルトフェルドとダコスタ。その場に残るマリューとムウ〜
マリュー「・・・気になるのね?シンっていったっけ、あなたの部下」
ムウ「ああ、シン・アスカが本名みたいだな。・・・妹がザフトのエースパイロットとは因果なものさ」
マリュー「あなたはその子を助けたいの?それとも決着をつけたいのかしら?」
ムウ「・・・正直いってわからん。・・・・・・ただ、戦場で会えば互いに全力でぶつかり合うだけさ」
〜窓の外に視線を動かすムウ〜
〜ミラージュコロイドで潜伏中のガーティ・ルー〜
リー「・・・・・・少尉、軍曹。喧嘩は終わったのかね?」
スティング「・・・・・・っち」
〜腕で口の血をぬぐうスティング〜
シン「ああ、終わったよ。俺が大佐と決着をつけにいく」
スティング「デストロイとガーティ・ルーはそれが終わるまで待ちぼうけさ」
リー「ふむ・・・・・・少尉、あまりやりすぎるなよ。オーブ、連合、ザフトで消耗戦をしてもらってから舞台に上がりたいからな」
シン「了解。悪いな、艦長。あんたは大佐を気に入っているかもしれないが、俺たちにとってはもう敵でしかないんだ」
リー「・・・・・・仕方あるまい。私の最優先事項はブルーコスモスの信条を貫くことだからな」
シン「じゃ、俺はアプレンティスの最終調整してくる。スティング!いつまでいじけてんだよ!おら、デストロイの調整もやっぞ」
スティング「・・・はいはいっと」
〜ブリッジを出て行くシンとスティング〜
〜トイレの洗面台の鏡に映る自分の姿を凝視するマユ〜
マユ「・・・・・・メイリン姉ちゃんが・・・死んだなんて・・・・・・、っく・・・ううぅ・・・うっうっう・・・・・・」
〜ぼろぼろと涙をこぼすマユ〜
ルナマリア「マユ・・・ここにいたのね・・・・・・」
マユ「ルナ・・・姉ちゃん」
ルナマリア「・・・ごめんね。本当は私もとっても泣きたいの・・・でもね、今はそのときじゃないと思うのよ」
マユ「・・・・・・ぐすっ・・・じゃぁ・・・・・・いつ泣くの?・・・・・・」
ルナマリア「そうね・・・この戦いが終わったら。おもいっきり泣いてやるわ。だから・・・マユも今は泣かないで」
マユ「・・・・・・うっ・・・約束よ?・・・・・・必ずこの戦争が終わったら泣いてよ?」
続
俺はメイリン死亡&サラ大躍進の単発が好きだ(*´∀`)
もう保守代わりなんて二度と呼ばないぜ!
「ーーーー♪」
フレイはマユを連れて意気揚々と飛んでいる。
やっぱり大勢を出し抜くのは気分がいい。とっても爽快だ。
だがマユは先ほど無理やり連れてったせいで目を回している。
「お・・・・、お姉さま・・・・何処に行くんですか?」
マユが目を回しながらフレイに聞く。
「そうね・・・、あんたがここにいられるギリギリまで付き合ってもらうわ。ちゃんと返してあげるから安心しなさい。」
「うぅ・・・・普段は振り回すのに慣れてるけど・・・反対をされると・・・・。」
酔ったのか顔を真っ青にしながら話すマユ。
二人はすいーっと飛んでいく、が、突然何かに引っ張られた。
「きゃっ?!」
「うわわっ?!」
マユが何かに引っ張られてフレイもそれにつられる。
二人はがんがらがっしゃんと衝突して静止した。
「一体なによ?!」
「わたしだって解りませんよ!!」
そう言って騒ぐ二人だが突然聞こえてきた声に二人は言葉をとめる。
「まゆ。」
その声は少年が発したものだった。
二人の目の前に突然現れた少年、おそらく彼がマユをひっぱったのだろう。
年はマユより下、10歳くらいで身長はマユの胸あたりまでしかない。
ただ、その青く長い髪と兄と瓜二つな顔立ちが間違いなくその少年が彼だということを主張していた。
マユとフレイは立ち上がり、マユはその少年を見つめて呟いた。
「・・・・・シンハロ?」
「まゆ!」
シンハロと思わしき少年は突然マユに抱きつく。
「おわわわわっ!!」
もしこれが実の兄だったら間違いなくアッパーカットなのだがこんな子供相手には流石のマユも抵抗できない。
しかも完璧に無邪気な笑顔つき。
「シンハロ?!シンハロなの?!」
マユが聞くがシンハロはきょとんとした顔をして。
「まゆ?」
と言うだけだった。
「・・・・・・・・・。」
マユは神妙な顔をして小さくなったシンハロを見つめる。
色々と疑問はある。どうして夢の中なのに機械である、夢を見るはずがないシンハロがここにいるか。
子供時代がないシンハロがなぜこんな姿をしているか。
そして最後に、自分ショタ属性あったっけ?
「シンハロ、お姉ちゃんって言ってみて。」
「おねーちゃ?」
「違う違う、りぴーとあふたみー。マユおねえちゃん。」
「まゆ・・おねーちゃん。」
「そう!」
「落ち着けぇぇぇぇぇぇぇ!!」
暴走しかけてたマユを突然フレイの回し蹴りが吹き飛ばす。
「あんた何変態くさいことしてんのよ?!」
「は・・・・!すいません師匠!!私としたことが・・・!」
マユとフレイが会話しているとシンハロが間に突然入ってきた。
「まゆ、いじめる、ゆるさない。」
きっと幼いながらしっかりフレイをにらみつけるシンハロ。
「あぁぁん?!ガキが生いってんじゃないわよ!」
フレイがキラが見たら裸足どころか全裸で逃げ出す形相でシンハロを睨みかえす。
するとシンハロはぴゅーっとすぐマユの後ろに隠れてしまった。
「こら!ガキ!逃げんな!」
大人気ないセリフを言うフレイ。だが、マユの反応は・・・・。
「大丈夫シンハロ!!!私が守るから!!」
「!!!!」
突然全力でマユはシンハロを抱きしめる。
いくら13歳とはいえ昔から体を鍛えているマユ、普段は鍛えられた軍人相手ならともかく
今の相手はどうみても普通の子供(サイズ小さめ)。絞め殺されそうだ。
「あ・・・・!落ち着きなさいって言ってるでしょ!!ちょ・・・・泡ふいてる!!!」
「うわっ!!ごめんシンハロ!!」
やはり、マユ・アスカとシン・アスカは兄妹なのであった。
まったく、君は相変わらず騒がしいな。フレイ・アルスター。』
突然の声にフレイとマユは後ろに振り向く。
「誰?!」
「・・・・何の用よ変態仮面。」
『ふ、君もずいぶん変わったな・・、アルスター・・・。』
「うるさいわね、15歳の子供拉致して自分の奴隷にしてたのはどこのどいつよ。」
『・・・・・誤解を招くような言い方はやめたまえ。』
そう笑いながら闇から浮かぶように出てきたのはザフトの白服を着た金髪の男だった。
「仮面はやめたの?お歳暮に大量に送ったじゃない。」
「あれかね。あの差出人不明の謎の民族の仮面は。正直置き場に困っているんだが。」
「地味な嫌がらせですね、お姉さま。」
腕を組んで目の前の男を睨み付けるフレイ、男は笑いながらそれに応じている。
「んで何の用?新聞なら間に合ってるわ。」
「いや、今日はそこのお嬢さんに用があってね。」
そう言ってマユの方を見る男。
「私ですか?」
「そうだ、実は君の知り合いが途中で倒れているのを発見してね、君を探していたんだ。」
そう言って男がパチン、と指を鳴らす。
すると長い前髪の青年が見覚えのある人物を抱えて闇から現れた。
「レイ兄ちゃん!!」
マユがそう言って駆け寄ると青年は静かにレイをマユに預ける。
「そうそう、あとそこの彼だがどうやら立ちの悪い大人に記憶を取られて初期化してしまったようだ。
多分あの盟主王のせいだな。彼を説得すれば元に戻るだろう。それでは私は失礼するよ。」
そう言うと男と青年は踵を返し再び闇に解けていった。
「盟主王・・・・・?」
「めいしゅおー?」
「誰よそれ・・・・・・・?」
男の謎めいた、というか微妙に間抜けな人物の名称に悩む三人だった。
プロヴィデンスは主人の一歩後ろを進んでいた。
彼は疑問を持っていた。何故主人がもう一人の自分を返してしまったのか。
「ますたー、ヨロシカッタノデスカ?」
「あぁ、種は蒔いた。それが芽吹くかどうかはあいつしだいだが・・・まぁ水も肥料も与えるさ。」
そう言ってプロヴィデンスのマスター、ラウ・ル・クルーゼは静かに笑った。
付き人の「31/34」ってわざとああいう書き方なの?
>>161 GJ!
ゲンが登場したりファントムペインの状況など非常に続きが気になる展開でした。
~●~ <サクヒンマダカ?
〃´ ̄ヽ
l 从ノハ ) 作品まだー
ノ_ノ ゚ ヮ゚)ハ
_(ノ(__つ/ ̄ ̄ ̄/__
\/___/
マターリですよ主人公さん
単発設定小話 「誰がために・・・ part.2」最終章 7
〜エターナルのMSデッキ。インフィニットジャスティスの調整に没頭するアスラン〜
ラクス「アスラン・・・・・・」
キラ「大丈夫だよ、アスランなら」
ラクス「ですが・・・・・・」
〜視線を床に落とすラクス〜
キラ「・・・どうしたの、ラクス?」
ラクス「メイリンさんにミーアさん・・・たくさんの方々の犠牲の上に、私は・・・・・・いいえ、私たちは立っているのですよね?」
キラ「・・・・・・うん、そうだよ。みんな・・・やりたいことがあってでもできなくて、それでも努力して・・・夢をかなえるために・・・」
ラクス「人が人であるための自助努力の結晶・・・それが人間として普通の生き方・・・・・・」
キラ「ああ」
ラクス「デュランダル議長のおっしゃっていることは、そんな人間的な生き方でなく、機械的な生き方を強いようとしています」
キラ「・・・・・・ラクス」
ラクス「であれば・・・私たちは前進するために勝つのではなく、踏みとどまるために勝ちにくということなのでしょうか?」
キラ「・・・うん・・・でもね、ラクス。僕たちは障害を取り除くために戦っているんだと思うんだ。・・・勝つとか負けるとか・・・そういうのじゃないと思うんだ」
ラクス「・・・キラ・・・・・・ごめんなさい。・・・私・・・・・・アスランに偉そうなことを言っておいて自分のことを・・・・・・」
〜キラの胸に顔を寄せ弱気になるラクス〜
キラ「うん・・・それでいいんだよ、ラクス。泣いたり笑ったり、怒ったり喜んだり、泣いたり・・・悩んだり・・・それが人だよ」
ラクス「・・・・・・」
キラ「ラクス・・・僕たちは前の戦いの後に、その後の責任を果たさなかったんだ。・・・次も同じ事を繰り返すわけにはいかない」
ラクス「・・・・・・そうですわね。カガリさんがあんなにがんばっていたのに・・・私は・・・・・・」
〜ラクスを抱きしめるキラ〜
キラ「だから・・・いつもの気高く強いラクスに戻ってよ。・・・君一人に全部はしょわせない。僕もアスランも手伝ってあげるから」
ラクス「・・・キラ」
〜遠慮がちにキスをするラクスとキラ〜
アスラン「・・・・・・あいつら・・・俺がいること忘れてるだろ・・・・・・」
〜MSのコックピット内で愚痴るアスラン〜
〜一息ついているジュール隊〜
イザーク「ディアッカァー!!次の戦地がきまったぞ!!」
ディアッカ「イザーク、そんなに声を張り上げなくても聞こえてるよ。で、どこなんだ?俺たちの戦場は?」
イザーク「まぁまて、あせるなよ。この封筒の中に答えがはいってる」
シホ「隊長が一番興奮しているじゃないですか!?」
イザーク「お、俺は別にあせってない!ったく、次の戦地はなぁ・・・・・・え?・・・レクイエムの防衛だとぅ!?」
ディアッカ「マジかよ?・・・そこって一番の激戦地じゃねぇの?」
シホ「オーブも連合もこんな危なっかしいものは早々につぶしたいでしょうからね。死に物狂いですね」
〜封筒が千切れんばかりに引っ張り身体をプルプルと振るわせるイザーク〜
イザーク「・・・わけのわからんワッカの処理の次は防衛だと・・・・・・納得できん!!なぜ、こんな防衛などという消極的なことを
我々がしなければならないんだ!?・・・くぅ〜ええぃ!!攻撃させんかぁ!!キョシヌケ議会めぇっ!!」
〜興奮するイザークを尻目に〜
ディアッカ「おい、シホ。今のイザークの発言は聞かなかったことにしておけよ?」
シホ「ええ、そうですね。さすがにこの時期に議会批判はヤバイですよね・・・・・・」
ディアッカ「そういうこと。おい、エザリア様にイザークをなんとかしてくれって連絡いれとけよ」
シホ「ええ?私がエザリア様にいうんですか?・・・わかりかましたよ。すぐに連絡しておきます」
〜数分後、モニター越しにエザリアにたしなめられへこむイザーク〜
続
イザークwww
隊長たるものがなんてザマだwwwww
「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」」」
「うぇーい!!」
「がう!」
「きゃー。」
ものすごくあわてている男の声が四つ、何か楽しそうな少女の声が三つ。
「おい!僕のMSだろ!何とかしろよ!!」
「うるさい!流石にあの数は無理!!」
アウルと彼より数歳年下の彼にそっくりな少年が平行して走りながら喧嘩する。
「カオス!兵装ポッドはきついか?!」
「無理!エネルギーの消費が激しすぎる!!なんか重力あるしここ!!」
「応援するしかできませんのー。」
「できませんよー。」
スティングと彼と瓜二つ・・・違うところがあれば長い後ろ髪くらいの青年が叫ぶ。
ちなみに最後ののんきな二つのセリフはカオスと呼ばれた青年の肩に乗っているデフォルメされた兵装ポッドの少女だ。
「ガイア!!もっと早く行ける?!」
「わんっ!!」
「うわーい。」
巨大な黒い犬の上にステラは白いワンピースの少女と一緒に乗っている。とても楽しそうだ。
さて、こんな彼らが置かれている状況は、うしろから大量のMSが追って来ている、文字にすればそれだけである。
「どうするどうするどうするっ?!」
カオスが慌てながら加速したステラ達に追いつこうと走る。
「主人公声なんだから奇跡をおこせアウル!!今のお前なら斬○刀でもリミットブレイ○でもペガサ○流星拳でも発動できる!!」
「あまいね!俺の中の人テニプ○じゃ銀○中のキャラなんだぜ!跡○!!」
「馬鹿ばっかり!!あと○ばっかり読みにくい!」
アウルとスティングの酸素が頭にいってない会話にアビスが突っ込む。
「ステラー!先に逃げるなー!俺達を見捨てる気かーー!!」
スティングが叫ぶとステラを乗せたガイアはくるりと反転した。
「むぅ・・・・、じゃあデメちゃん!ガイア!」
ステラがそう叫ぶとガイアがスティング達に向かって走り出す。
「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」」」」」」
ものすごい速さで走るガイア。ぶつかったら唯ではすまないだろう。
「うぇーーーい!」
だが、ガイアはスティング達にぶつかる寸前でジャンプ、一気に天高く飛び上がる。
「デメちゃん!」
「・・・・・・こわれろ!」
ステラが支持すると巨大なMA、デストロイの姿が現れる。
そしてその傘の部分にあるカメラアイが光り傘からビームが一斉発射される。
それは幻でもなんでもなくMSの大群をあっという間に蹴散らした。
「・・・・・・・はやくやれよステラ。」
アウルが気の抜けた表情で言う。
「だって・・たのしかったから・・・逃げるの。」
「デメテルも早くやっつけろよ・・・。」
「あれは・・・無理やりはつどうさせるからつかれるしパパにおこられるから・・やなの。」
「ガイア、お前も俺達を助ける気はなかったのか?」
「・・・・・わう。だってカオスたちなら大丈夫だとおもった。」
身勝手な三人の言葉に思わずうなだれる一同。
「おーい、みんなー!」
そんな時、後ろからMS達には聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「MkU!!迎えに来てくれたのか?!よかった・・・・!」
なみだ目になりながらカオスは言う。
「何があったんだお前ら。こっちはホーク姉妹とハイネ隊回収し終わったぞ。」
何事もなく順調に自分達のパイロットを回収していたMkUは?を浮かべる。
「 最悪・・・・。なんかあいつらに追いかけられるし、馬鹿ガイアは助けてくれないし。」
アビスがデメテルの破壊したMS達を指差して言う。
「・・・・・・?連合製のMSばっかだな。ブルコスか?」
「あー、でもまだ紫リップのおっさん死んでないはずだぞ。つーかお前ほんとゲンの2Pカラーだな。
俺達は兄弟とか双子っぽいけど。」
MkUの言葉にどうでもいい感想を付け加えて答えるスティング。
「ほっとけ、気にしてんだぞ結構。それより皆のところへ行くぞ、いったん集合して今後の話し合いだ。」
単発設定小話 「誰がために・・・ part.3」最終章 8
〜オーブ本国〜
カガリ「うんうん、連合との合流は順調なんだな」
オーブ高官「はっ。多少配置についてもめているようですが・・・」
カガリ「そうか。そこは柔軟に対応するように伝えておいてくれ」
オーブ高官「了解いたしました」
カガリ「あとは・・・オーブの空の上をしっかり見張っておくのも忘れるなよ。また撃たれるわけにはいかないからな」
オーブ高官「・・・カガリ様、やはり地下司令部に移りませんか?万が一のことがあれば・・・」
カガリ「バカをいうな!前線で必死で戦っている兵がいるのに私たちだけ一番奥でこもっていられるわけないだろっ!!」
オーブ高官「そうですか」
〜下がるオーブ高官〜
カガリ「みんなが・・・みんなのために、互いをかばいあって生きること。それが・・・人の世界だろうに。・・・デュランダル議長!」
〜窓から鮮やかなブルーに染まった空を見上げるカガリ〜
〜月に接近するメサイア〜
デュランダル「さて・・・レクイエムも全システム入れ替え完了。・・・各部隊配置完了」
ザフト高官「・・・・・・こちらから先に仕掛けますか?」
デュランダル「いや、向こうが仕掛けてくるのを待とう。・・・・・・全軍に通達しておいてくれ」
ザフト高官「はっ」
デュランダル「ああ、そうだ。メサイアの主砲はすぐに動かせる状態にしてあるだろうね?」
ザフト高官「はっ。そちらも問題ございません。」
デュランダル「ああ、頼むよ」
〜下がるザフト高官〜
デュランダル「最適な人間が最適な場所で最適な作業を行う。・・・それがさらなる進歩、進化への足がかりとなるんだよ」
〜背後のモニターに映る月面をながめ呟くデュランダル議長〜
〜ミネルバ〜
サラ「さて、と。ねぇアーサー、お願いがあるんだけど・・・・・・」
〜上目遣いにアーサーをみるサラ〜
アーサー「な・・・なに?」
サラ「レジェンドのドラグーンシステムのコピーと、デスティニーのエモーショナルシステムのコピーがほしいんだけどぉ」
アーサー「んぅぐっ!!・・・ふたつとも機密システムじゃないか!?それに、ドラグーンは君のミーティアがあるじゃないか・・・」
サラ「私のドラグーンじゃ複雑すぎてルナマリアじゃ扱えないのよ」
アーサー「!!・・・ルナマリアがドラグーンだって!?・・・あの娘にはドラグーン適性は・・・」
サラ「彼女の戦闘データから算出したらぎりぎりなんとかなりそうなのよ。インパルスの簡易版よりもちょっと上位の作りたいの」
アーサー「・・・・・・だからレジェンドのドラグーンか。そっちはわかったよ。でも、エモーショナルシステムはどうする気だい?」
サラ「そっちは私のためよ。・・・・・・エモーショナルシステム・・・人の処理能力の限界を超えるSEEDの覚醒・・・・・・」
アーサー「まだ・・・・・・あきらめていないのか?」
サラ「だってあれは取り合えずの結論でしかないもの。・・・ハイネだってあきらめてなかったわよ」
〜顔を曇らせるアーサー〜
サラ「とにかく、私は私をあきらめないわよ」
アーサー「わかったよ。マユにいってシステムを借りてくるよ・・・それでいいだろ?」
サラ「ええ、ありがとう、アーサー。・・・もうっ、だから大好きなのよ、アーサー!」
〜アーサーに抱きつくサラ〜
アーサー「フォンドゥヴァオゥ!」
続
作品を投下したいときは
投下する前に書き溜めしたほうが良いか?
>>179 ある程度は書き留めといたほうがいいと思う
書き溜め
書き留め
このビミョーな違い
>>179 君の執筆速度と熱意の持続力にもよる。
たとえば三日で一話仕上げられるなら必要ないかもしれない。
ただそんなペースは途中で地獄を見る。
SS書いてる最中なんだが資料が足らない
誰かすまんが種と種死の年表載ってるところ知らないか?
種は見たことあるけど種死は正確な年表無いんじゃね?
>>185 dクス
種死のはないのか…
せめてアニメでの出来事の日付が分かれば良いんだが
公表されて無いなら自分の解釈でいいじゃない。
単発設定小話 「誰がために・・・ part.4」最終章 9
〜デスティニーインパルスに搭乗するマユ〜
マユ「これが・・・デスティニーシルエットかぁ。エクスカリバー2本に高エネルギービーム砲2門、そしてミーティアユニット」
〜ミーティアのバーニアをふかしミネルバの周りを旋回するミーティア〜
アビー「・・・・・・真っ黒だとよくわかりませんね」
タリア「そうねぇ・・・って・・・誰が旋回なんて許可したのっ!?こんな非常体制時にっ!!」
アビー「・・・すいません。マユちゃんから申請がありましので・・・許可を出してしまいました」
タリア「私の承認がないでしょう!アビー、なにをやってるのっ!!」
アビー「す、すいません。でも・・・・・・特記事項にフェイスとしての使用とあったものですから」
タリア「っな・・・ああ、そう。悪かったわね、アビー。・・・終わったらマユに艦長室へ来るように伝えておいて頂戴」
アビー「は、はい・・・・・・」
〜ミネルバを離れ、ミーティアをトップスピードまで加速させるマユ〜
マユ「こ、これは・・・ここで・・・・・・ドラグーン展開!は、はじめてだけどね!!」
〜ミーティア後部から射出されるドラグーン端末〜
マユ「オフェンシブモード!・・・ディフェンシブモード・・・っとこ、れ、で・・・オールコントロール!・・・<キュピーン>」
〜全端末を操り、かなりの負担がマユの身体にかかる〜
マユ「っぶっはぁっー!あ、あっあっ・・・ふぅっ、くぅ〜。ちゃんと動かせたのは8個中・・・6個か?・・・・・・」
〜目を見開き呼吸を荒くするマユ〜
マユ「はっ・・・サラさん、本当にこんなの平気で全部操っているの!?・・・はぁはぁ・・・・・・き、帰還しなきゃ・・・」
〜ミネルバに帰還するマユ〜
〜ミネルバ、コンピュータルーム〜
サラ「エモーショナルシステムアドヴァンス、ミニマムドラグーンシステム、リリース完了!・・・あ〜目がしょぼしょぼする・・・」
〜目頭を押さえるサラ。部屋の扉が音をたてる〜
ルナマリア「あの・・・サラさん。いるんですか?」
サラ「ん・・・あ〜こっちよ、ルナマリア」
〜扉の前にたつルナマリアに手招きをおくるサラ〜
サラ「あとでいいからインパルスのシステムへこのパッチを当てておいてね」
〜ルナマリアのディスクを渡すサラ〜
ルナマリア「これ・・・なんです?」
サラ「レジェンドのドラグーンシステムをデチューンしたものよ。これならあなたでも扱えるわ」
ルナマリア「ドラグーン・・・・・・わたし・・・適正試験パスしてないんですが・・・・・・」
サラ「それがなに?・・・たった一度の結果で未来永劫あきらめてしまうつもり?生意気言ってんじゃないわよ!」
ルナマリア「そんなこと・・・言ってないじゃないですか!」
〜サラの高慢な態度に怒るルナマリア〜
サラ「・・・そう、その顔。その感情を忘れてはダメよ。わかった?」
ルナマリア「っ・・・はぃ」
サラ「じゃ・・・戦闘プランの説明をするわよ」
〜モニターに映し出されるサラの戦闘プランを真剣に見つめるルナマリア〜
〜ミネルバに帰還したマユ〜
タリア「・・・・・・あのねぇ、マユ。フェイスだからって独断でやっていいことと、いけないことがあることぐらいわかるでしょっ!!」
マユ「ごめんなさい・・・・・・」
〜タリアに叱られるマユ〜
続
しょぼんなマユ、カワユス。
〃´ ̄ヽ
l 从ノハ )
ノ_ノ´゚ω゚`)ハ
(ノ(__つ/ ̄ ̄ ̄/__
単発設定小話 「始まりの鐘」最終章 10
〜ガーティ・ルー〜
シン「離脱用にシュトゥルムファウストを一機かりてくぜ。スティング」
スティング「ああ。・・・必ず戻ってこいよ、シン」
シン「まかせろよ、スティング。大佐と決着つけるのは寄り道でしかないからな」
〜アプレンティスに乗り込むシン〜
シン「システムコンフリクトなし、全システム起動。アプレンティスでるぞ」
〜ガーティ・ルーから射出され宇宙空間でバランスをとるアプレンティス〜
シン「月面は・・・まだ動きがないか。ガーティ・ルー聞こえるな?」
〜ガーティ・ルー、ブリッジ〜
リー「少尉、聞こえている。どうした?」
シン「俺が戦闘開始の合図をする。レクイエムから目を離すなよ!」
リー「・・・了解だ。武運を祈る」
〜シュトゥルムファウストにつかまり月面へ向かうアプレンティス〜
〜ミネルバ〜
タリア「・・・いやに静かね」
アーサー「・・・・・・なんかこう・・・妙な胸騒ぎがしますねぇ」
タリア「落ち着かないわね・・・。アビー、報告」
アビー「はい・・・各部とも異常ありません。艦長・・・・・・」
タリア「ありがとう。・・・どこから仕掛けてくるのかしら?」
〜エターナル〜
ラクス「静か・・・ですわね」
バルトフェルド「そうだな・・・もうそろそろお偉いさんたちの話し合いも終わるだろ」
ダコスタ「・・・・・・やはりザフトからは仕掛けてきませんね。隊長」
バルトフェルド「あせるなよ、ダコスタ。・・・・・・キラとアスランの状態は?」
ダコスタ「二人ともミーティアの最終チェックを行っています。早く終わらせるに越したことはありませんからね」
ラクス「・・・ミーティアといえば、あの時の黒いミーティアは・・・誰が乗っているのでしょう?」
バルトフェルド「さぁな・・・ザフトのトップガンであるのは間違いないさ。できれば一番最初につぶしておきたい相手だな」
ラクス「そうですか・・・・・・」
〜スクリーンに映るミーティアとドッキングしているストライクフリーダムを見つめるラクス〜
〜メサイア〜
デュランダル「ふむ、よくもまぁオーブも連合もこれだけの戦艦をかき集めたものだね。彼らの情熱には感服してしますよ」
ザフト高官「・・・だいぶレクイエムとの距離がつまってきているようですね」
デュランダル「ああ。最後の戦いの鐘がそろそろ鳴る頃だろう・・・・・・」
〜月面レクイエム上空、バーニアも切り浮遊状態のアプレンティス〜
シン「・・・・・・あそこがレクイエム、あっちがオーブと連合。こっちがザフトか。・・・・・・そろそろゴングを鳴らせるぜ!!」
〜レクイエムめざしまっすぐ突進するアプレンティスとシュトゥルムファウスト〜
シン「でぇぇやぁぁー!!オーブもっ!連合もっ!・・・そしてザフトもっ!お互いに潰しあってろぉよぉーっ!!」
〜レクイエムにむけシュトゥルムファウストからビームを放つシン〜
続
種死内の日付って記憶に無いな…
いきなり一ヶ月以上飛んでるような描写もあるし
おぼろげな記憶だと、アーモリーワンの時点でCE73の10月。
最終回はCE74にはなってるだろうね。
〃´ ̄ヽ
l 从ノハ )
ノ_ノ´゚ω゚`)ハ ほっしゅとな。
(ノ(__つ/ ̄ ̄ ̄/__
単発設定小話 「灰色の戦い」最終章 11
〜レクイエムの真上から光の筋が伸びてゆく〜
アーサー「艦長!」
タリア「レクイエムの真上からっ!?・・・アビー!」
アビー「は、はい!・・・・・・映像、来ます!」
〜ブリッジのモニターに1機のMSらしき機影が映し出される〜
タリア「・・・・・・灰色の・・・アストレイ」
アビー「司令部より通信。・・・全艦、オーブ、連合艦隊へ機首を向け砲撃用意」
タリア「アーサー!聞いたわね!」
アーサー「はいぃっ!ミネルバ、16時へ旋回。・・・・・目標、オーブ、連合艦隊。砲撃用意・・・」
〜レクイエムの発射口に陽電子リフレクターが張られ、シュトゥルムファウストのビームは弾かれる〜
〜アークエンジェル〜
マリュー「なっ・・・どこの部隊よ!勇み足したのはっ!」
ミリアリア「艦長!ザフト艦隊、こちらへ向きを移しています!」
マリュー「総員持ち場に着いて!応戦用意・・・さぁはじまるわよ」
〜アークエンジェル、アカツキ コックピット内〜
ムウ「あんなところにオーブも連合の連中もたどり着いてなんかいないさ・・・シンかスティングか・・・どっちが来る?」
コジロー「ぅおーい、少佐ぁ!どうする?今のうちに外、出とくか?」
ムウ「いや、艦隊戦が落ち着いてからいくよ。付けてもらったムラサメ小隊の連中にも伝えておいてくれ」
コジロー「わかった。合図してもらえれば、すぐに扉開くからよ。・・・気張れよ!」
ムウ「ああ、了解だ!」
〜エターナル〜
バルトフェルド「まぁいずれは始まる戦いだ。誰が口火を切ろうとおなじことさ。・・・キラとアスラン、ヒルダたちを呼び出せ」
ダコスタ「はい、正面モニターへ映像回します」
〜モニターにそれぞれのMSコックピット内映像が映し出される〜
バルトフェルド「よぉーし。最終確認をするぞ。キラは上空から、ヒルダたちは月面からそれぞれレクイエムを目指せ」
キラ「はい、了解しました」
バルトフェルド「アスランはレクイエムのビームが通過すると予測される偏向装置の破壊を頼む」
アスラン「了解した。オーブに二発も当てさせはしない・・・」
バルトフェルド「よし。・・・ラクス、準備はいいな」
〜座席から立ち上がるラクス
ラクス「皆さん、レクイエムは人の世に不要な大量殺戮兵器。彼らに使わせてはなりません。人の未来を、掴みに参りましょう」
〜エターナルと並んでいるミーティアを装備したストライクフリーダムとインフィニットジャスティス〜
キラ「アスラン、大丈夫だよね?」
アスラン「いまさらそんなこと聞くなよ、キラ。大丈夫だよ。俺がやるべきことは・・・一つさ」
〜エターナルから離れるインフィニットジャスティス〜
ヒルダ「いいかい、野郎ども!月面っていやぁ、このドムトルーパーの独壇場だ!遅れるんじゃないよ!」
ヘルベルト&マーズ「了解!」
〜ミネルバ〜
アビー「司令部よりカウントダウン、スピーカーに回します!」
〜カウントダウンが響くブリッジ〜
タリア「目標、オーブ、連合艦隊!・・・・・・撃てぇぇーっ!!」
続
色々な作品が出てるわけだけど
マユの所属する団体は大方一通り出尽くしたかな。
スタゲや凾ナ明らかになったDSSDやマーシャンは別として。
て言うかマーシャンは無理だ。どう頑張っても絡ませられねえw
>>197 アグニス「マユタンと絡めんなど、我慢ならん!」
ナーエ 「なに言ってるんですか、アグニス?」
こうですか?わk(ry
>>196 できないこともないぞ。
Dアストレイの1話でロウが火星に行ったとき、マユを一緒に連れて行ったことにすればいい。
その後、アグニスたちに同行して地球に戻ってきたって事にすれば、マーシャン所属のマユの出来上がり。
これなら、あまり大きな歴史改変も必要ないだろうし。
……ただ、何でわざわざ火星になんて連れてかなきゃならんのか、その理由付けが必要だろうけどね。
>>199 火星の医療技術は地球やプラント以上に発達してて
義手でない腕の再生が可能とか
無理か。そうか。
腕が増えてたりして
十字架銃を三つ持って死のトリップ
隻腕の逆で三本腕のマユ
うぼああぁぁぁぁぁ
脚も腕になってる
隻腕まだあllllllllllllllllllllllllllllllllllllっぁあああああああああああああああああああ
三面六臂で足も手になってるマユ
隠し腕でジ・Oなマユ、または阿修羅バスターが可能なマユだな
単発設定小話 「灰色の戦い 赤色編@」最終章 12
〜一通りの応戦は終わり、戦闘の主役はMSに移る〜
〜慌しいミネルバ ブリッジ〜
アビー「デスティニー、レジェンド発進どうぞ!」
マユ「デスティニー、マユ・アスカ。行きます!」
レイ「レジェンド、レイ・ザ・バレルでるぞ」
〜デスティニー、レジェンドがインパルスを先行してミネルバから発進する〜
アビー「インパルス、コアスプレンダー発進どうぞ。・・・続けてチェストフライヤー、レッグフライヤー射出。フォースシルエット射出」
〜ミネルバから射出されフォースインパルスが姿を現す〜
ルナマリア「アビー、ブラストシルエット、ソードシルエットもお願いね・・・・・・」
〜プライベート通信でアビーへ確認するルナマリア〜
アビー「・・・ルナマリアさん。本当にいいんですか?」
ルナマリア「アビー、生きて帰ってきたら絶対にお礼するからさ・・・ね?」
アビー「そんな条件なんてやめてください・・・絶対にですよ?ホテルユグドラシルのケーキバイキングですからね!?」
ルナマリア「ええ、わかってるわよ。だから・・・」
〜顔を曇らせるアビー〜
アビー「続けてブラストシルエット、ソードシルエット射出。・・・発進どうぞ!」
〜射出されるブラストシルエットとソードシルエット。それをみてアビーへ振り向くタリア〜
タリア「アビーっ!!・・・ブラストとソードまでだしてどうするの!!すぐに戻しなさい!」
アビー「・・・・・・」
〜ブラストシルエットとソードシルエットを従えてミネルバから離れてゆくインパルス〜
タリア「・・・・・・アビー。・・・説明してくれるわよね?」
〜ブリッジの正面モニターにサラが映し出される〜
サラ「艦長。私の判断です。アビーとルナマリアを責めないでください」
タリア「あ・・・あなた、どういうつもりなの!?何もかも無断でするなんて!!」
〜タリアだけへのプライベート通信に変えるサラ〜
サラ「艦長はご存知でしょう?メイリン・ホークが死亡したことを!・・・あの情報はあなたのレベルでも閲覧可能でしたから」
タリア「だからどうしたっていうの!?それと今のことは関係ないでしょうに!もしかして・・・ルナマリアに教えたの!?」
サラ「ええ、場の状況とはいえ私がメイリン・ホークを殺したことに偽りはないですからね」
タリア「一体何を考えているの!・・・こんな状況下で・・・そんなことを言われて平然としていられるわけないじゃないの!?」
サラ「・・・大丈夫です。彼女はいたって落ち着いています。・・・だから、私は彼女にインパルスの本当の戦い方を授けたんです」
タリア「インパルスのって・・・はっ・・・アーサーがバックアップだっていって保存したレジェンドのデータを?」
サラ「ええ。あれでインパルスはいっそう有効に活躍できます」
タリア「・・・・・・まったく・・・あんたたちは」
〜肩をがくりと落としため息をつくタリア〜
タリア「ああ〜もうっ!!勝手になさい!ルナマリアも行ってしまったす、いまさらどうしようもないじゃないの!!」
アーサー「艦長・・・申し訳・・・ございません」
タリア「あんたは黙ってなさいっ!!」
アーサー「フォンドゥヴァオゥ!」
〜鬼の形相でアーサーを睨みつけるタリア〜
サラ「タリア・グラディス艦長・・・ルナマリアには結果で借りを返させます。・・・彼女を信じてやってください」
タリア「・・・あなたも早く出撃なさい。あなたが一番重装備でしょう」
サラ「ええ、そうですわね。・・・・・・デスティニーインパルス・ミーティア・・・でるわよ」
〜バーニアをふかしゆっくりと動き出すミーティア〜
続
210 :
264:2006/10/21(土) 22:44:50 ID:???
只今から投下します。
――機動戦士ガンダムSEED Destiny 灼熱の咎、凍える枷――
PHASE9:JUNCTION
211 :
1/8:2006/10/21(土) 22:46:32 ID:???
「アスラン=ザラは、あの反逆者は死にました。ジェネシスと一緒に」
アレックス……アスランはバイザーを取り、ジャケットの胸ポケットに押し込む。
「国に刃向かったザフト兵に、いまさら用は無いはずだ」
「いやいや。故パトリック氏の遺したザラ派は未だに健在なのだよ。公的には、彼らは権勢を
失って失脚した事になっているがね。それに、私が身を寄せていたクライン派内でも、近年
不協和音が絶えん」
憂いを帯びた表情を顔に貼り付け、デュランダルはコーヒーに口をつける。
「クライン派が? 与党でしょう?」
「ラクス=クラインという偶像を失った彼らは二手に分かれたのだ。軟弱な弱腰者で通っている
穏健派と……真の平和を創るため、再び『強いプラント』を目指そうとする急進派にね」
デュランダルは軽く俯く。黒髪が更に表情を押し包んだ。
「私はただ無力だよ、アスラン……知っての通り、私にはそういう勢いも無ければ、便利な
アイドルの友人も無い。正直な所、分裂しつつある議会を一つにまとめる手段が思いつかない」
「そんな事は! 戦後の混乱を鎮めた閣下の功績は疑うべくもありません!」
アスランの力強い返答に、デュランダルは弱々しく笑ってみせる。
「そう言ってくれるのは君と、私の側近くらいなものでね。オーブのセイラン家のように……
いや、遺伝子工学者兼、統計学者出身の私と彼らは比較にならんが、やはり地味な政治屋は
求心力を持たないのだ」
「しかし、裏切り者が偶像など……」
「公的には、君は裏切り者ではない。それは知っているはずだ」
「っ……」
その言葉に、アスランは翡翠の瞳を伏せる。戦後の混迷期を乗り切る際、アスランは
パトリック=ザラの息子として、父の過ちを正した「英雄」と祭り上げられ、人々の前で
涙を流し、カメラの前で犠牲者の名が刻まれた慰霊碑に跪き、号泣『させられた』のだった。
「茶番、でしたよ」
「『世論』はそう判断しなかった。あれは紛れも無い事実として、歴史に刻まれるだろう。そして
今の私に必要なのは、事実と歴史なのだよ」
「しかし……」
「アスラン、君はまだプラントを愛しているのだろう?」
アスランの言葉を遮り、デュランダルは身を乗り出した。右手を、紙コップを持つ
アスランの手の甲に軽く触れさせる。
「…………はい」
「私の操り人形になれとは言っていない。ただ、プラントを愛する君の気持ちを、是非とも
プラントで形にして欲しい。援助は惜しまないし、喜んで君の使用人となろう。これは議長
としてではなく、ギルバート=デュランダル個人としての、切なる願いだ」
伏せた顔を上げられないまま、アスランは拳を握り締めた。
212 :
2/8:2006/10/21(土) 22:49:19 ID:???
「見違えたよ、アスカ君。立派になった」
「はは。おじさんは変わってないです。ちっとも」
タケミカズチの指揮をアマギに任せたトダカは、シンと共にラウンジへやってきた。
「変わらない、か。これからも変わらずに居られれば良いが……」
「え?」
「……あ、君コーヒー駄目だったな」
自販機の前で振り返ったトダカに対し、シンは顔をしかめる。
「飲めます! 子供じゃあるまいし……」
「じゃ、ブラック2つ、と」
「あ、やっぱりコーラで!」
「フ……」
スイッチを入れ直し、自分の息子ほどの歳であるシンに笑いかけるトダカ。オーブ解放作戦
と名付けられた連合による侵攻作戦の折、家族を失い心身喪失状態に陥ったシンを保護し、
後にプラントへ送り出した彼は、シンにとってまさに父親代わりと言って良い存在だった。
「こ、この格好だとトイレが面倒だから! ほら、カフェインが……」
「解ってるよ。パイロットスーツだからね。何も言ってないだろ? ほら」
膨れ面するシンの目の前にコップを差し出し、トダカは腰を降ろす。
「そうだ。君が気にしていた連合兵だが、連絡艇で港に行ったよ」
「そうですか。怪我は……?」
「解らないな。地球連合からの強い要請で、直ぐに出発させざるを得なかったんだ。無茶な大気圏
突入をしたから、簡易診断くらい受けさせてはどうか、とは言ったんだがね。
それにしても因果なものだ。君がまさか、ザフトに入隊していたとは」
何処か陰のある口調に、シンは不思議そうにトダカを見つめた。
「どういう、事ですか?」
「私はオーブで、君はザフト。互いに違う軍というのは、やはり複雑なのさ」
「敵同士になるかも……って?」
「有り得ない話じゃないからね」
「もし、そうなったら……俺は、おじさんとは戦わない。おじさんの仲間……部下とも。
それに、今は戦争が無いし、大丈夫……」
力ないシンの言葉は、彼の内心を表していた。そう、そんな事が出来るはずが無いのだ。
「それは無理だ。司令が下りたら、君は誰とでも戦わなくては。もしくは、軍を辞めるか」
トダカもまた、弱々しく笑う。彼もまた、解っているのだ。
「といった所で、辞める事も出来ない。君も私にも、立場があるからな」
「はい……」
「トダカ一佐、ミネルバから通信が入りました」
その時、士官の1人がトダカに歩み寄り、敬礼した。
「保護したザフト兵の引渡しを求めています」
「なるほど。……すまない、アスカ君。引き留めすぎた」
「いいえ! 会えて、話せて嬉しかったです」
ヘルメットを脇に抱え、シンが小さく笑みを浮かべる。
「では、また会おう。……元気でな」
「はい。おじさんも」
213 :
3/8:2006/10/21(土) 22:51:11 ID:???
「エクステンデッド・マリア。貴官は自分のやった事を把握しているな?」
「はい」
連合軍の海兵隊3人からサブマシンガンの銃口を向けられる中で、マリアは直立不動のまま
頷く。椅子と机を片付けたソロネのブリーフィングルームは、何時にも増して寒々としていた。
声を発しているのはイアン。ネオはその後ろで、書記の傍に座っている。
スティング、アウル、ステラは、証人として隅の椅子に座らされていた。
「帰還命令を無視し、再度の命令を送った後に通信は切断された。何故だ?」
「ザフト機、インパルスとの連携を円滑に進めるためです」
「それは、命令よりも友軍機を救う事を優先させた為か?」
「はい」
「つまり貴官は故意に命令に違反し、更には自分の意思でミッションを定めたという事か?」
「はい」
こめかみを押さえるスティング。
「正直すぎるだろオイ……馬鹿正直っつか正直で馬鹿っつか……」
「人生投げ捨ててる感じだしねー」
「マリア、死んじゃうの? ステラを助けたから……死んじゃうの?」
「証人は私語を慎むように。……あー、ではこの場で処分を伝える」
スティング達の方を睨み付けた後、重苦しい口調でイアンが続ける。懐から、今の時代には希少な
天然紙の命令書を取り出した。地球連合のマークが入ったそれを広げる。
「エクステンデッド・マリア……および、ソロネのメカニックチームを除く全クルーに対し、
3日間の艦外退去を命ず」
室内が固まった。マリアでさえ訝しげな表情を浮かべる。ネオが1人、手を叩く。
「……艦外、退去?」
「我々は軍人のようで軍人ではない。ロード=ジブリール氏の私兵だ。よって通常の軍規は
適用されない……というのが、地球連合司令部の見解だ」
「そりゃまあ、総指揮を大佐が取って、母艦の艦長が少佐で、MSパイロットに至っちゃ
階級すら無いっつー滅茶苦茶な部隊だからなあ。命令系統に組み込みにくいにも程がある。
さぞかし関わりたくないだろう」
「ということで、民間企業でいえば営業停止処分という事だ。有給の使えない休暇とでも思って
くれ。以上だ」
海兵隊や秘書官が退席していき、広い室内に残されたマリアにステラが抱き付いた。
「ステラ?」
「よかった。マリア、良かったね……!」
度重なる、基準値を超えた最適化および投薬によって、戦闘面以外の精神が著しく抑制
されてしまったステラ。その彼女が全身で喜び、自分にしがみついてくる。
「それにしても、困りました」
214 :
4/8:2006/10/21(土) 22:52:44 ID:???
「あ、何でだ?」
訝るスティング。しがみつかれ、揺らされながらマリアが答える。
「艦の外へ出ろと言われても、何をすれば良いか……」
「そだね。マリアってジムとシミュレーター室以外で見た事ないし」
「そういやそうだったな。じゃあ良い機会だし、オーブ観光といこう。おい、ネオ!
この辺の地図ってダウンロード出来たっけ?」
「ある程度ならば、案内できます」
何時までも抱きついているステラを無意識に抱き返しながら、マリアが無表情で告げた。
「そうか?」
「はい」
空色の瞳が、ほんの僅か曇った。
「オーブは、私の故郷ですから」
同じ頃、シンもまた自らの処分を聞かされ、此方は大いに憤っていた。
「どういう事ですか! 納得できませんよ!」
「議会からの特別な働きかけなのよ、シン」
「どうして俺が無罪放免なんです!?」
タケミカズチの連絡艇でミネルバに送られてきたシンは、乗艦直後に「不問とする」の通達を
受け取り、そのまま真っ直ぐブリッジへ怒鳴り込んだのだった。
「副長さんに言ったんです。処分は受けるって! なのにこんな……馬鹿にしてる!」
「シン。もう処分自体が無いから……」
処分の重さに対する不満は聞き慣れているアーサーとタリアだが、その逆には困惑しか出来ない。
「とにかく、俺はこんなの絶対に……」
「艦長、アレを見せればシンも解るんじゃないですか?」
「ルナ……?」
入ってきたルナマリアの言葉に、シンが首を傾げる。アーサーがおずおずと口を開いた。
「火に油を注ぐんじゃないかと思うけどね」
「何だ? アレって」
「サブモニターの7番、使って良いですか? 艦長」
シンの問いには直接答えず、ルナマリアがタリアに笑いかける。顔をしかめた後、彼女は頷いた。
「良いわ。今は作戦中でも無いし。そろそろ始まるでしょうし」
その時、レイもまたブリッジにやってくる。
「シン。今回は大活躍だったな」
「な、何で? インパルス大破させたくらいだろ?俺」
「んー……はい繋がった。あ、ジャストね」
ブリッジのメインスクリーンの一部が四角く区切られ、砂時計型コロニーが意匠化された
エンブレムが表示される。すぐ下に、『Zodiac Alliance of Freedom Treaty』の文字が流れた。
「ザフトの……広報番組? これがなんだって……」
『新たなヒーローの誕生です。ユニウスセブンの落下阻止作戦に参加し、中心的役割を担ったのは
16歳のエース。シン=アスカ!』
終戦後、プラント、連合間の放送規制は解除された。恐らくは全世界単位で流される自分の名前と
姿に、シンは言葉を失った。
215 :
5/8:2006/10/21(土) 22:54:17 ID:???
ザフトにあって連合に無い最大の特徴は『個人の重視』である。徴兵制ではない義勇軍を維持
する為には、志願者を広く募る必要がある。その為に、『個人を抑圧する』というイメージを
持つ組織は極力奥に引っ込む事が望ましい。ナチュラルよりも優れた存在としての優越感を
維持させつつ、プラントを自らの意思で守護するという英雄像に酔わせなくてはならないからだ。
よって、ザフトの広報番組はさながら駆け出しアイドルのプロモーションビデオである。
かのアスラン=ザラ、イザーク=ジュールなども出演し、一時期女性の入隊希望者が殺到した事
さえあった。
『新鋭機インパルスを駆り、ユニウスセブンの解体作業を妨害するテロリストを一掃……』
ジンやシグーの残骸には巧みなCG処理が施され、機種が特定できない。そしてビームライフルを
連射するインパルスと、MSの部品が飛び散る映像が連続で映し出される。
あたかも、敵の大部隊を単機で圧倒しているかのように。
『度重なるアクシデントをものともせず、ユニウスセブン破壊に成功しました!』
崩壊するユニウスセブンの横を、フォース装備のインパルスが飛び去っていく。その脇で、
不発弾頭を狙撃して爆発させたアウルのバスターMkUなど微塵も見えない。
『更に……御覧下さい、事故によって行動不能になった連合MSの救助に向かっています!』
ステラのブリッツMkUを抱えたインパルスが、燃えながら大気圏に突入していく。当然
マリアのデュエルMkUは消され、所々映像がチラついていた。
『かつて憎み合い、殺しあった敵を救う。ナチュラルより進化し、宇宙にて広い視野を持った
我々コーディネイターは、今こそ彼らと歩み寄らねばなりません。シン=アスカは、我々に
それを示したのです!』
「な……何だよ、これ……」
「ザフトってこんな所よ、シン。知らなかっただろうけど」
ルナのあっさりした言葉に、シンが弾かれたように振り返った。
「こんなでっち上げ……連合が黙ってないだろ!?」
「それは大丈夫。あの連合の部隊は少々特別らしくてね。存在を公式に認められていないそうだ」
アーサーが淡々と告げる。彼自身、何とも思っていないような口ぶりだった。
「ってことで。プラントでは君、期待の新星でヒーローなんだよ。そんな時に、命令違反なんて
『小さな事』で水を差せるわけないだろ?」
「…………」
何度も、緩慢にかぶりを振るシン。
アナウンサーは変わらない笑顔で、原稿に書かれたシンへの賛辞を読み上げていた。
216 :
6/8:2006/10/21(土) 22:56:38 ID:???
「そうか。連合はあくまで、我々を安保に組み込もうというんだな?」
「うん、今回のユニウスセブンの件、連合首脳はプラントが首謀者だと思い込んでるからね。
休戦中に、少しでも勢力を増やしたいんだろう。逆に言えば、それ以上の意図はまだ無いな」
オーブ行政府の長い廊下を歩く2人の男女。敬礼した衛兵に頷いてみせ、カガリは金の瞳を細めた。
「ユウナ、お前の父親は何と言ってる?」
「イエスと答えてもノーと答えても、オーブに未来は無いってさ」
「そうだろうな……オーブがやってきた事を考えれば……」
オーブのような小国が、何故長きに渡る中立を保ってこられたか。それはひとえに
五大氏族、とりわけアスハ家、セイラン家、サハク家の政治工作による。
オーブの主要産業は何かと問えば、一般市民の殆どは観光と娯楽と答える。だが実際は違う。
軍事、医療など最先端技術の輸出が主な収入源なのだ。
プラント、連合の2色に塗りわけられた世界の中で、オーブ及びオーブに親交のある
スカンジナビア王国は独自の法を持っている。他国との犯罪者引渡し条約を結んでいないし、
二大勢力圏で規制されている様々な技術開発も解禁されており、企業にかかる所得税率も低い。
またオーブ国際銀行の顧客情報は、オーブの銀行法によっていかなる存在からも秘匿されている。
つまりオーブとは企業にとって、物事を有耶無耶にしたり、隠れて小細工を弄するのに最適な
国なのだ。
国土は狭く資源もない。そんな取るに足らないオーブ連合首長国が中立で
居続けられたのは、世界を回す大企業が、軍事力に対する無敵の盾となっていたからであった。
しかし、先代首長ウズミ=ナラ=アスハと彼の一派によって、その無敵の盾が内側から破壊
されかかった。限りなく黒に近いグレー、ならず者国家をクリーンにすべく、ウズミはオーブの
膿を排出してしまおうとしたのだ。結果、アズラエルと結託し、宇宙への移動手段確保を
目論んでいた地球連合軍に侵略の口実を与え、オーブは戦火に焼かれた。
「父は常々、悩んでいた。国家元首がひとつ舵取りを誤るだけで滅び去る国が、果たして
正しいのか、と」
「まー解んないでも無いけど。実際、ウズミ様は間違えて盛大に自滅したし」
そして今再び、オーブは岐路に立たされている。もし世界安全保障条約機構への参加を
認めてしまえば、中立国の甘い香に引き寄せられていた企業体が一斉に手を引く。拒むにしても、
ただ相手の要求を撥ね付けるだけでは意味が無い。国際社会に対し非協力的であるという烙印を
押され、下手をすれば2度目3度目の『解放作戦』を試みられてしまう。
217 :
7/8:2006/10/21(土) 23:00:15 ID:???
「困ったな……」
「ちなみに。今回でカガリが役立たずだって分かったら、父さんは連合に亡命するってさ。
オーブ時代のコネクションと自分の部下も連れて。準備は整えてるみたい」
「なに……!?」
流石にカガリといえど、周囲の衛兵の目も忘れて気色ばむ。オーブの復興に携わったウナト以下、
セイラン家子飼いの官僚は優秀な交渉人であり内政担当である。ウズミの一派が殉死し、
セイラン家関係の人間にまで去られれば、オーブの内政部門は事実上形骸化してしまうのだ。
「復興は殆ど終わったし、もう義理は果たしたって。サハク家にでも食われれば良いとか、
酒の席で言ってた」
「ッあのハゲ! いや、確かに……私に彼を責める資格は無い。だがそれとこれとは話が違う!」
「だよねえ。サハクが降りてきたって、スタッフが空になっちゃうんじゃねえ」
「お前は止めようとしなかったのか!」
「僕? 僕はまぁー、カガリと父さんのどっちに付いて行っんご!?」
ユウナの胸倉を掴んだカガリが顔を覗き込む。額同士がぶつかった。兵士が慌てふためく。
「あ、アスハ代表!」
「大事無い!! ……お前は私に付いて来い。良いな?」
ドスの効いた低い彼女の声に、ユウナが生白い顔を青ざめさせつつ頷いた。
「は、はいはい……大体そのつもりが無けりゃ、こんな事話さないよ」
「それもそうか」
手を離してユウナを放り捨てた後、カガリは眉間に皺を寄せ、顎に手をやり唸った。
「だが、まさに国難じゃないか。どうすればウナト達を心変わりさせられる?」
「そうだね。まあカガリの本心は置いといてさ……父さん達を引き止める『フリ』はした方が
良いかな」
「フリ、か……私はどうも、顔に出る性格だからな」
「まーね。ほんと、カガリって政治家としちゃ駄目だよ。嘘つけないし、変に正義感あるし、
泣き落としに弱いし、髪は短いし」
「髪が短いのはお前の趣味に合わないだけだろ。…私の周りには、ウナトやお前が必要なんだ」
「おや、そうかい?」
「ああ。私を助け、私の代わりに汚物を被るお前達がな」
真剣な表情に戻り、カガリがユウナを見つめ直す。
「……嘘がつけないねえ、カガリ」
「だから言ってるだろ。お前達が必要だって」
真正面からの言葉に、ユウナが頬を掻く。
「最終的な決定権は君にある。だから、もし本当に父さん達が必要だと思ったら……つまり、
オーブ復興の中心人物の力をまだ使いたいと思うなら……」
ユウナの声が落ちた。軽く左右を見回し、カガリに顔を近づける。
「ロード=ジブリールを使うと言ってみたらどうだろう」
琥珀の瞳が細まり、呼気に震えが割り込んだ。
218 :
8/8:2006/10/21(土) 23:05:03 ID:???
「おはよう、諸君」
「おはようございます。アスハ代表」
ユウナと別れたカガリが両開きの木製扉を開け放って会議室に足を踏み入れた瞬間、20人を超す
新閣僚が一斉に起立し、カガリの肩書きを呼んだ。会議室の長いテーブルの脇を歩みつつ、若き
代表首長は、ウズミが死んだ後、頭を失ったちっぽけな中立国の独立を守り抜き、かつての
オーブを復興させ、そしていま自分を見限ろうとしつつある狡猾にして不屈なる戦士1人1人と
視線を合わせていく。そして代表首長の座席の前まで来ると、改めて全員を見渡す。
「着席してくれ」
起立した時と同じく、彼らは一斉に座る。椅子の背もたれにスーツが擦られる音が部屋に響いた。
声音と表情の強張りを悟られまいと、大きく息を吸い込んだ。真横の男に声を掛ける。
「……ウナト」
「それでは、会議を始めます。お手元の資料の通り、今回は……」
書類に目を落とした、若き雌獅子の心臓が跳ね上がる。『予行演習』さえ、彼女には
許されなかったようだ。
「地球連合からの、世界安全保障条約機構への加入要請について。早速ですが、アスハ代表の
御意見をお聞かせ願いたい」
軌道宇宙ステーションの物資搬入口に、下半身が抉り取られ、モノアイが割れたジンが
運び込まれてくる。ワイヤーで固定されたその残骸に、1人の女性が床を蹴って近づいた。
「5機目、だな?」
「の、ようですね。秘密厳守という事なので、こっちはデータでしか作業を把握できませんが」
190近い長身。腰の上まで伸びたストレートの黒髪。ナイフのように鋭い瞳。そして。
「自分のキャリアに傷をつけたくはあるまい。私なりの配慮だ」
鮮血を吸ったような唇が、笑みを形作る。パイロットスーツで浮き出た身体の線を流れる髪が
覆い隠した。メカニックスーツを着た男を一瞥した後、抉じ開けられたコクピットハッチに
手を付く。
「ふむ。やはりパイロットが搭乗していた痕跡は無いようだ」
「コクピットを破壊された機体からも、パイロットスーツの素材や人体組織は採取されなかった
そうです。無人……AIで動いていた可能性が高いようで」
「しかしユニウスセブンの宙域は中継衛星の範囲外だ。軍事行動のような膨大なデータは
届かん」
「量子通信設備を搭載した中継機を待機させるにしても、索敵に引っかかりますね」
「面白いな」
ロンド=ミナ=サハクのくぐもった笑い声に、男の喉が鳴る。
「だが、解らぬ事は気に食わぬ。血とカネの香りをさせたものは特にな。解き明かさねば、
気が済まぬ」
元オーブ五大氏族、サハク家最後の1人。旧きオーブの精神を保った『女王』が、冷たい闇の中で
蠢いた。
219 :
264:2006/10/21(土) 23:06:24 ID:???
以上です。オーブの兵器をカタカナ表記に戻す事にしました。
>>単発氏
こんな時でもアーサーのリアクションは健在なのかw
>>264氏
マリアのオーブ上陸にwktk
両氏とも乙です。
ところで良SSが多いこのスレの皆さんに質問なのですが、
初めてSS書く時には何に注意したらよいでしょうか?
ちょっと興味が湧いたので良いアイディアが浮かんだら書いてみようかと…
このスレの作者方にも意見を貰えたら嬉しいです。
あ、関連スレがあったら誘導お願いします。
断罪モノ等の最低系でなければ叩かれることはそうないと思う。
あとは荒らしに負けない強い心と話を最後まで完結させるプロット及び気構え。
最後まで行った作品どんだけあったかなあ
アグニス「俺の出番がないなど我慢ならん!」
>>223 とりあえず今はノワール達と戦っててください
>>222 マユ種、マユ戦記(続編は考慮しない)、士官学校編、短編系のぞく。
一応3本ありますね。
単発設定小話 「灰色の戦い ぶつかり合う翼編@」最終章 13
〜デスティニー〜
マユ「お兄ちゃん・・・やっぱり戦わなくちゃ・・・ダメなの?」
レイ「マユ、聞こえているな?俺はレクイエム方面に向かう。お前はルナマリアと中継コロニーの防衛へ」
マユ「うん、わかった」
〜レクイエム方面へ向かうレジェンド。ルナマリアを待つマユ〜
ルナマリア「待たせたわね、マユ!」
マユ「ルナ姉ちゃん!・・・えっ?・・・・・・ブラストとソードも持ってきてるの?」
ルナマリア「ええ、これがサラさんと私が組み立てた作戦よ」
マユ「・・・・・・ルナ姉ちゃん・・・死んじゃいやだよ・・・・・・」
ルナマリア「はは、な〜にいってるのマユ!私が死ぬわけないでしょ。さ、行くわよ!」
〜デスティニーを先行するインパルス〜
マユ「・・・・・・相手を殺して自分も死ぬ・・・なんて無しだよ。ルナ姉ちゃん」
〜後を追うデスティニー〜
〜ザフトに補足され集中砲火を受けるアプレンティス〜
シン「陽電子リフレクターを設置してるとはねぇ。用心深いな。・・・・・・お、ザフトの船が向きを変えた?」
〜アプレンティスを落とそうと群がるザクとグフの群れ〜
ザフト兵A「ロゴスの生き残りがぁー!!」
ザフト兵B「違う違う、ブルーコスモスだっつーの!」
ザフト兵C「余計ダメじゃねぇか!ったく、差別主義で時代遅れの地球人どもがっ!」
〜アプレンティスに切りかかる3機のザク〜
シン「やっと始まったか!じゃぁもうここに用はねぇ・・・うるさいだけの雑魚は、雑魚同士で乳繰り合ってろよ!」
ザフト兵A「避けた!?おんぼろのくせに!どこいった?」
ザフト兵B「上だっ・・・いや下か!?は、速い・・・」
シン「ったく下手くそなんだよ!!そんなんでよくもコーディネイターなんていったもんだなぁ!!」
ザフト兵C「下だっ!」
〜2機のザクを腰部で真っ二つにし、1機のザクの頭部を蹴りつけ破壊するアプレンティス〜
シン「っち、お前らの方がよっぽど出来損ないのコーディネイターなんじゃねぇのか?」
〜レクイエム上空から離脱するアプレンティス〜
〜エターナルから出撃するストライクフリーダム〜
キラ「・・・・・・これが・・・最後なんだ。」
ラクス「キラ。A区画、C区画が飛び出てますわ。そちらのフォローをお願い致します」
キラ「AとBだね。了解。エターナルもミーティアが両方ともないからちょっと不安だけど・・・気をつけて」
ラクス「ええ、こちらは大丈夫ですわ。おそらく・・・レクイエムの次が彼らの後ろに控えています。用心してください」
キラ「次だって・・・うん、わかった。じゃあ行ってくるよ」
〜スピードを上げるストライクフリーダムとミーティア〜
ラクス「バルトフェルド隊長・・・レクイエムはもともと連合の兵器ですわね」
バルトフェルド「そうだな。だから・・・ザフトはザフトで別の強力な兵器をもっているはずっていいたいんだろ?」
ラクス「ええ」
バルトフェルド「ザフトの兵器っていやぁ・・・ニュートロンスタンピーダーと・・・!ジェネシスか!?」
ラクス「はい。デュランダル議長は用意周到なようですので・・・おそらく」
バルトフェルド「・・・・・・ダコスタ、ザフト軍全体の動きを見張れ。妙な動きがあれば報告しろよ」
ダコスタ「了解」
続
227 :
264:2006/10/22(日) 15:41:24 ID:???
>>220 作者が喋ると怒られるらしいですが、これくらいなら許容範囲かな。
お書きになろうとしているのはガンダムというかロボット物のSSなんでしょうか。
だったら読者の方が主に期待しているのはメカアクションだと思うので、戦闘シーンに
力を入れて見る、とか。
主に私のSSを悪い見本として、頑張って下さい。
ああ、あと、職人相談室というスレッドがあったような気がしますね。そちらでも
聞いてみてはどうでしょうか。
「・・・・・・なんか自分が二人いるみたいできしょいんだけど。」
「僕は量産機だからこっちの姿になると特にパイロットに似ちゃうんだよ。」
「うわぁぁぁ!俺の顔でそんな口調でしゃべるなよ!気持ち悪い!」
いまだに自分のMSの顔になれないのかジョーは大騒ぎする。
「・・・・・ふ、流石僕のMS。やるね。」
「ふん!まだまだだにゃ。」
多少の髪型の癖のつき具合と性別を除けばそっくりな自分のMSと飲み比べをするキース。
「どうしたのだ?ずっと難しい顔をしてるのだ?」
(MSかぁ・・、普段の戦闘とかでどういう感じなんだろ?どうやら主人に絶対忠誠するような精神構造みたいだけど・・。)
思わずMSの心について研究したい衝動に駆られるカルマ、カルーアは構ってもらえなくて不満らしい。
「ミーアちゃん大変ねぇ、戦闘中のMSの上でコンサート?」
「そうなの!それにザクも踊るって言うから今から仕込んでるのよ!!」
「そうなのかい?君の歌はMS達にも人気があるんだ。楽しみだよ。」
向こうでは音楽にあわせて踊っているミーアザク(未塗装)が。
なにやら器用に踊っているように見えるが
「イデン!!そこのステップは左足から!!それと指先まで神経がいってないわよ!!」
ミーア先生は厳しかった。グレイシアとグラッド(グレイシアザク)話していたがしっかり間違えているところを指摘する。
「これで四回目よ?!私なんか歌いながらこなしてるんだから頑張りなさい!!」
『ミーア・・・、オレにはもう無理だよ・・・・。』
「文句を言わない!じゃないと私マジカルインパルスでコンサートするわよ!」
『それはインパルス達がかわいそうだよミーア!!』
「私のザク、レイ似だったんだけど。」
「だって元々レイのだからねぇ、お姉ちゃん。」
「しかも私の元ザクとすげぇラブラブなんですけど。」
「お姉ちゃん、ひがまないでよ。」
腕を組んで目の前のバカップルを見つめるルナマリア。
そしてお茶を飲みながらルナマリアに受け答えしているメイリン。
向こうではレイに良く似た青年とルナマリア似の少女がいちゃついている。
そのハートの量はメイリンとスティングの三倍以上である。
「何?!ハートにマグネットコーティングでもしてあるのかしら?!あの紅白は!!」
「だったらお姉ちゃんも彼氏作りなよ。黙ってればかわいんだから。男友達は多いんだし。」
「えー、レイは外見は良いけどねぇ・・・・。シンハロとアキラは論外だし・・・・・。」
「お姉ちゃん、贅沢は敵だよ。えり好みできる現状?」
「何、あんた彼氏いるからって調子乗ってんじゃないわよ、じゃないとスティングに中学校の頃の話するわよ。」
「じゃあ私館内放送でおねえちゃんが中学生の頃書いた詩、朗読してあげる。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・えぇぇぇぇっ?!」
果てない会話と少しの沈黙、そしてアーサーのごときルナマリア。
「しかも絵付だったよね?こないだ発見したの。昔持ってたマンガの絵で・・・・最○記だっけ?」
「いやぁぁぁぁぁ!黒歴史!黒歴史!!やめてぇぇぇぇ!!」
人間の姿になったMSとそのパイロットが集合したこの空間はとんでもなく混沌としていた。
「ハイネ、ごめん。なんか他の奴らバイトがあるっつって帰っちゃった。」
「帰っちゃったじゃねぇアキラ!!逃がすなよ!!」
ほぼ全員集合して和気藹々としている現場ではアキラがハイネに怒られていた。
「だってトールマジ切実そうな顔で今月ミゲルがバイトクビになったから家計がヤバイって言ってたんだよ!
トールようやくアーケードモードに出れたんだから許してあげてよ!」
「連ザUは関係ない!アスラン!お前もなんか・・・。」
「セイバー、自爆しないからこっちおいでー。」
「何やってんのお前!!」
説教しているハイネの近くではアスランがセイバーを手招きしていた。
なにやら何処から持ってきたのか電柱の影からMA状態でこっそりこちらを見ている。
「いや、皆のとは違って中々懐いてくれないし人間の姿になってくれないんだ。やっぱり過去の行いのせいか?」
そう言ってアスランは魚肉ソーセージを持ってセイバーをおびき出そうとする。
「アスラン、セイバーにはジャンクフードもしくは焼き芋だ。」
「アキラ!お前も明らかに色んな意味で間違っている知識を伝えるな!」
余計な入れ知恵をして怒られるアキラ。
「ほら、お菓子上げるからおいでー。」
「お前もいい加減食べ物でつるなぁぁぁ!」
「ハイネ、全員そろった。」
騒いでいるハイネにゼロが突然そう言う。
するとボテッっとレイがハイネの上に落ちてきた。
「あー・・、重かった。まったくあの仮面のおっさんなんなのよ!!」
見覚えのない赤毛の少女がぼやきながら腕を回す。
「そもそも私を面倒ごとに巻き込むなんてふざけてるわね・・・あとで三倍返しよ。」
ゴゴゴゴゴ・・・・っという効果音とともに背後に彼女は炎を燃やす。
「ハイネ、大丈夫か?」
アスランがひょいっとレイをどかしハイネを救出する。
「・・・っ!!何なんだよいきなりお前は!!つーか他の奴らは?!」
ハイネが叫ぶとアスランが指を刺す。
そこにはMSとパイロット達で人だかりができている。
その中心には・・・・・・。
「これマジでシンハロ?!ちいせー!!」
「あ・・・・・愛くるしい・・・。ハロ殿にも負けた・・・・。」
「これじゃ兄ロボットっていうより弟ロボットだな?」
「・・・・・・・・・・っ!!(小さな頃のマユにどことなく似てる!!)」
大量のヒトに囲まれて混乱しているシンハロがいた。
「ちょ・・・、だれか!ファティ○スーツ着せようぜ!!でっかいシンハロだと似合わないけどこれなら・・・・。」
「いやぁぁぁぁっ!!ショタ属性までゲットするって何様よシンハロ!!すさまじく萌えじゃない!!ハァハァ・・・・・・。」
興奮するオタク二人組。普段仲のいい二人も幼いシンハロから見てみれば脅威らしくマユの後ろに隠れてなみだ目だ。
「ほらほら泣くな。」
「シンハロはマユのお兄ちゃんだから強い子よねー?」
子供の面倒を見慣れているグレイシアとスティングが慰める。
するとシンハロは二人の服とぎゅっっと掴んだ。
「「「「「「「いいなーーーー!!」」」」」」
一斉に上がる羨望の声。
「ほーら、お姉さんと一緒にるろうにごっこしない?シンハロ主役やっていいわよー?」
「お兄さんが心理テストやってあげようか?よく当たるよ?」
「ステラと一緒に・・・ガイアのる・・?」
「パパ!デメテルと遊ぶ!!」
「余がナンパの仕方を教えてやろう。何?さっきことごとく振られてた?あれは人間相手だからだ!
MSだったら一発でメルアドゲットだぞ!」
次々にシンハロの気を引こうとする一同。
ちなみにレジェンドはルナマリア達をナンパしてことごとく断られていた。
「・・・・・あいつら子供好きだっけ?」
「さぁ?あのガキ結構かわいいから。」
アスランがハイネの質問に答える。
「・・・・ったく、今回のことをたくらんだ盟主王ってだれよ・・。
それが解ればパパに頼んで圧力・・・・。」
「盟主王・・・・?それってあの前の大戦で死んだムルタ・アズラエルのことだろ。」
シンハロを遠くから携帯で写メに取っていたハイネが答える。
「・・・・何それ。」
「あのアズラエルってブルコスの元盟主、とあるアニメのキャラに声がそっくりでネットでそう呼ばれてたんだよ。」
『・・・・・・・・・・・その名前で呼ばないでくれませんかね?』
その声に全員が振り向くと、そこには白いスーツを着た金髪の男がいた。
宙に浮かんでおり不敵な笑みを浮かべている。
(サンダルフォ○・・・・!!)
(飛○・・・・・!所であの作者いい加減やめろよ!読者馬鹿にしてるのかしら?!)
(ガオガ○ガー!!)
その声を聞いて何人かが心でコメントする。
『さて・・・・き。』
「こいつが首謀者だ!!きっとシンハロをちみっこくしたのもこいつだ!!全員やってまえ!!」
相手のセリフを遮って発せられたハイネの言葉にMS達がバーストアタックはもとおりパイロット達も生身で覚醒攻撃。
だがその攻撃は全て空を切るだけだった、男は涙目になっているが。
『あぶないですねぇ!ホログラムじゃなかったら灰になってますよ?!第一見かけで人を判断しちゃいけませんって習わなかったんですか?!」
「うるさい!そもそもあんたもコーディだからって理由で判断してたじゃないか!!」
アスランがビシッと男を指差す。
「ムルタ・アズラエル、元ブルー・コスモスの首領。
その直属の部下であったブーステッドマンは全員美少年だったため密かにホモ疑惑がかけられていた。」
「え?!ゼロ!それマジかよ!!」
「俺達あの紫リップが首領のときに出荷されてよかった!本当によかった!母さんありがとう!」
「・・・・・・・・・・・?」
青い顔をするスティングに男泣きで感謝するアウル。ステラは分けのわからないという顔をしている。
『そんな噂ありません!!』
「何を言うか。十人のプロト・ソキウスからヴェイア・タイプの男性を選んだのも・・・・。」
『僕じゃありません!つーかザフトに今のブルー・コスモスは情報漏れまくりなんですか?!』
「しかも自分がやられるほう。専門用語だと受?でもヴェイアみたいな細身のタイプを選らんだから両方?」
ゼロが無表情のままアズラエルの噂を流していく。
「ゼロ、そろそろその辺で。ルナマリアの妄想スイッチが入った。」
そう言ったハイネの向こうでは阿鼻叫喚の図があった。
「きゃぁぁぁぁぁぁ萌えぇぇぇぇぇ!!」
「落ち着くんだエルナンガー!!とりあえずフォークを下ろせ!!」
「あぁもう!起きた早々何なんだ!!」
大興奮するルナマリアをアキラといつの間にか目の覚めたレイが押さえる。
『く・・・・くそっ!!!コーディネーターどもめ・・!!!』
散々苛められて既に泣きそうな表情のアズラエル。このまま精神面で攻めていけば勝手にやられてくれそうだ。
だが予想に反してキッと相手はこちらをにらみつけ、奇妙な構えを取る。
『こうなったら・・・・・くらえ!イア!オルエヌブ・イアーダイアーダ・ウルヌゥング・カイタンナ!!』
その瞬間光があたりを包み込んだ。
「・・・・・・・・・・・あれ?何ともないぞ?」
防御姿勢を取っていたシンが呆けたように言う。
静かに目を開けるとそこは特に何にも変化していなかった・・・・隣にいたMkUがいなくなったことを除けば。
「なっ?!MS達がいない?!」
「お姉さま?!お姉さまどちらに?!」
マユも自分の師匠の姿が消えたらしく辺りを見渡す。
『彼らには別の場所に行ってもらいました。あなた達を助けられると困るもので。』
そう言って再び笑みを浮かべるアズラエル。
「い・・一体何をしたって・・・・あれ?」
思わず疑問形になるメイリン(cv小○沙苗)。自分の喉を押さえる。
「・・・・何か視界が・・いつもより高いような気が・・・・なっ。」
自分の発した声を聞いてミーア(cv○鮎龍太郎)も驚愕する。
「おぉ、話そうとするとふつーに口調まで男ものに変換されるのか。身長は胸の大きさと比例してるのか?」
あっという間に違和感に気づいたのか普通に寒心するルナマリア(cv草○毅)
「・・・・うぇい?」
混乱しぎみのステラ(cv○川光)。
「「「「え・・・え・・・・・え・ぇぇぇぇぇぇぇ?!」」」」」」
『はっはっはっは・・・!そうです!!!僕が今はなった魔法は女性の性別を変えてしまうんですよ!華がないですねぇ・・!!』
驚愕するメンバーをよそに高笑いを上げるアズラエル。
そう、女性陣はこともあろうか・・・・・・・全員男性化していた。
体だけでなく着ている軍服も男性のものにきちんとなっており、口調も男性のものだ。
「・・・・・でも目が覚めれば・・!」
『あぁ、残念ですけど目が覚めたとしても声だけはそのまま残りますよ。声だけは。』
希望を見出したキースの声にアズラエルが止めを刺す。
「い・・・いやだっ!!おきあゆボイスのラクス・クラインだなんて!!!」
「つーかこれじゃ数字板に引越しだぜ俺ら!!男だらけのこのSSなんて誰が読むんだよ!!」
「てゆーかミーアがオレより身長高いんだけど。180後半はあるんだけど。」
「ステラ・・・・喋るな。喋っちゃだめだ。今お前が喋ったら全国のお前のファンに殺される。」
「どうでもいいけど声優陣豪華だよね。」
大混乱する一同。その様子をみてさらに声高らかに笑うアズラエル。
『ふ・・はははははははははっ、その呪いを解きたくば僕の部下の七将軍と戦ってもらいます。
この先にある神殿で君達を待っていますよ・・・・・・・。
彼らに勝てば解いてあげますしそのロボット君の記憶も返して上げますよ?もちろん元の世界にも返してあげましょう。!!!』
「ルナマリア!アスランを押し倒すな!!」
「ステラ!!おれステラがこの声のまんまでも愛していくから!!」
「メイリン、ごめん。いくら身長が低くても声が高くても俺、ゲンとは違って男は無理だから・・・。」
「ミーア、声低いからヘビメタに変更する?DMCならぬデトロイトメタルプラント。」
誰一人聞いちゃいなかった。
泣く泣く彼は置手紙を残し、呪いを時に来てくれることを祈りつつ去っていったという。
「ねぇ、レイ兄ちゃん。」
マユが混乱の外でレイに話しかける。
その姿は声も服もなにも変わっていなかった。
「ん?マユ!!お前は声も姿も変わってないのか!」
「うん・・、たぶんお姉さまがどうにかして守って・・・・・・。」
するとアウルが笑いながらやって来て、言った。
「バーカ、どう考えても。お前は『華』のうちに入らないからだろ?」
この後、アウルはマユにミンチにされた。そしてマユはアズラエルも同様の運命にすることを誓った。
女体化しようかどっちにするか迷った結果嫌なほうに決めました。ほのぼのです。
付き人さんのほうでかっこよくハイネ隊が活躍したと思った矢先こんな展開に。
変身してしまった女性陣についてはただの描写だけではいまいち想像しにくいので妄想声優もつけて。
変身した後の姿の身長はこんな感じです。
ミーア:187
ルナマリア:179
ステラ:165
メイリン:163
身長は元の姿の胸の大きさを基準にして考えたのでマユがなった(ry
キモイ
>>233 アウル、雉も鳴かねばだなw
・・・気持ちは分かるが。
接触者と同じ声のステラなんていやあぁぁぁwwwwwwwwww
隻腕まだあああああああああああああああ
>>234 迷った結果嫌な方にっておいw
流石ほのぼのマユデス、いろんな意味で普通じゃねえ。
>>238 作者様の都合が、わからないのか?
黙って待ってなさい。
ほのぼの氏にしつもーん
CV決定の基準はなんでありますか?
>>221 >>264氏
アドバイスありがとうございます。
とりあえず職人相談所なるものを探してみます。
>>242 探すも何も、
>>1に関連スレとして貼られてるぞ。
既に次スレに移行してるから、
>>4で訂正されてる3部屋目が現行だが。
……まぁ、四半日近く経ってるし、既に自力で見つけてるかもしれんが念のため。
単発設定小話 「灰色の戦い 暁編@」最終章 14
〜アークエンジェル〜
ムウ「よし。あんちゃん、アカツキでるぜ!扉をあけな!」
コジロー「了解だっ!・・・おいっ!ムラサメの連中にも出撃だっていっとけ!」
整備士A「ういっす!・・・ムラサメ小隊!出番だぜ」
〜あわただしくなるアークエンジェルのMSデッキ〜
ムウ「シラヌイアカツキ、ムウ・ラ・・・・っく・・・フラガでるぞっ!」
ミリアリア「シラヌイアカツキ発進、どうぞ!」
〜アカツキのあとを追ってムラサメ小隊がアークエンジェルから発進する〜
ムウ「まだ混戦状態だからなぁ・・・様子をみつつレクイエムへ接近を試みる。バックアップ頼むぜ」
オーブ兵A「了解!」
〜静かにレクイエムを目指すアカツキとムラサメ小隊〜
ムウ「・・・さぁ・・・条件はほぼ同じ。お前の覚悟と俺の責任・・・どっちが重いかねぇ」
〜レクイエム近くで状況を観察するレイ〜
レイ「・・・灰色のアストレイは・・・もういないか。ふん・・・マユの兄だかなんだか知らんが邪魔なら排除するだけだ」
〜ビームの光が無数に散らばる戦場を眺めるレイ〜
レイ「・・・・・・はっ・・・あれがしょうもない命同士が消しあっている光景とは・・・・・・死に際ぐらいは美しくといったところだな」
〜戦闘域へ突入するレジェンド〜
レイ「・・・<ピロリロリィーン>ん?・・・・・・この感覚・・・は、はは。まだ生き残っていたかぁ!・・・どこにいる?どっちだ?」
〜不意に方向をかえるレジェンド〜
〜月面に着地しているアプレンティス〜
シン「シュトゥルムファウストは・・・置いていくか。こいつのビームシールドは捨てがたいけどな・・・・・・」
〜シュトゥルムファウストを月面へ置き、再び舞い上がるアプレンティス〜
シン「・・・・・・あ・・・しまったなぁ。大佐がどのMSに乗ってるかしらねぇや。・・・ウィンダム・・・じゃないよなぁ・・・・・・」
〜バーニアをふかすのをやめるアプレンティス〜
シン「アークエンジェル・・・最も有名な戦艦・・・オーブ・・・・・・頭の弱い首長が乗っていた金ぴかなMS・・・・・・」
〜ゆっくりと回転するアプレンティスのコックピットで腕を組み目をとじるシン〜
シン「あれはオーブ本国に居るって話だしな・・・・・・まぁいいか。レクイエムの周囲を見張っておけばわかるだろ」
〜戦列に加わるストライクフリーダム〜
キラ「・・・ミーティア、マルチロックオン作動。・・・・・・当たってよ!」
〜ミーティアの各ポッドからミサイルなどなどが発射される〜
ザフト兵A「・・・ぐぁーっ!」
ザフト兵B「なっ・・・これほどまでの火力・・・一体どこから?」
キラ「っく・・・多すぎだよ!」
ザフト兵C「おいっ!あのシルエット!」
ザフト兵B「・・・フリーダムに・・・ミーティアか!?」
〜ストライクフリーダムとミーティアを確認するザフト兵たち〜
ザフト兵C「なんて速さだっ!あんなの落とせるのかよ!?」
ザフト兵B「おいっ!あんなの相手にするな!俺たちは俺たちのできることをすりゃいいんだよっ!」
〜フリーダムとミーティアの脅威に怯えつつオーブ軍と連合軍のMSを迎え撃つザフト軍〜
続
保守
単発設定小話 「灰色の戦い 月面の華編@」最終章 15
〜レクイエム付近月面で戦闘中のジュール隊〜
ディアッカ「やっぱ、上からだけじゃなくこんな地べた這ってくる連中もいるんだねぇ?」
イザーク「ふん。ふざけてろっ!ディアッカ!この防衛ラインを一機たりとも突破させるんじゃないぞ!」
〜圧倒的な物量で攻めてくる連合軍MS部隊〜
シホ「隊長っ!左方防衛線がおされてます!」
イザーク「かぁーっ!腰抜けがぁ!中央部隊から敵の突出部のどてっ腹に一撃お見舞いしてやれ!」
シホ「了解!ディアッカさん、中央部隊をお願いします!」
ディアッカ「りょーかい!イザーク!上もなんか光ってるぜ!?」
イザーク「わかってる!お前たちは月面の敵をしっかり抑えてろよ!」
〜ザク一個小隊を引き連れ月面上空に飛び上がるイザークのグフ〜
〜レクイエム〜
ザフト高官「レクイエム、システムオープン。照射準備開始」
ザフト兵A「レクイエム照射用意に入ります。・・・各部レベルチェックを行ってください」
ザフト兵B「レクイエム照射用意。目標、地球オーブ本島ヤラファス。・・・充填開始!」
〜ザフト兵士たちがあわただしく動き出す〜
ザフト兵B「中継コロニー、位置調整にはいります。ステーションワン、スリー、ファイブの移動開始」
ザフト兵A「充填完了までおよそ40分」
ザフト高官「・・・遅い!もっと早めろ!落とす前に落とされてしまうぞ!」
ザフト兵A「は、はい!」
〜各部署へ効率アップを指示するオペレーター〜
〜奮戦中のディアッカ〜
ディアッカ「ったく、数だけは多いぜ!ほらそこぉ、飛び出してくんじゃないよっ!」
〜前線を突破しようとするダガーやらなんやらのMSを撃退するディアッカのザクファントム〜
連合兵A「くっそ!こっちは数的有利だというのに!いまだに突破もできんとは!?」
連合兵B「まだアドバンテージが向こうにあるってことかよ!?」
〜なかなか突破できないことに苛立ちを隠せない連合兵士たち〜
〜左方防衛線の連合軍の突出部をつぶしにかかるシホ〜
シホ「私が突破口を開きます。皆さんはサポートをお願いします!」
ザフト兵A「了解しました。シホちゃん!」
ザフト兵B「わかりました。シホお姉さま!」
ザフト兵C「合点承知。姫!」
〜顔を真っ赤にするシホ〜
シホ「・・・あっあっあー!!なんでこんなろくでもないメンバーばっかりなのよ!!呼ばれるこっちが恥ずかしい!!」
〜突出部に殴りこむシホのドムトルーパー
〜ザフトの防衛線、連合側の後方に着地する3機のドムトールーパー〜
ヒルダ「あの防衛線を突破すれば・・・レクイエムはすぐそこってわけだ」
ヘルベルト「はん。俺たちなら楽勝だろ?」
マーズ「まぁな。・・・ヒルダ、連中のドサクサにまぎれて突っ込むか?それとも・・・」
ヒルダ「・・・そうだねぇ。中央部分が手薄な感じだねぇ・・・連合の連中はよくがんばってるよ」
マーズ「・・・・・・んじゃ決まりだな」
続
247 :
通常の名無しさんの3倍:2006/10/27(金) 12:59:12 ID:YChQRrCW
っほ
つい最近、隻腕の少女読んだが、けっこう良かった。続きまだ?
>>246 なんでシホこんな大人気w
あ、ちなみにシホの痔への呼び方は「ディアッカ」と呼び捨てが正しい
シホは一度ザフトを裏切った痔をあまり好ましく思ってないから
>>249 > あ、ちなみにシホの痔への呼び方は「ディアッカ」と呼び捨てが正しい
> シホは一度ザフトを裏切った痔をあまり好ましく思ってないから
実にらしいし俺も同意見だがソース(好ましくない)キボンヌ
そこんとこの理由明確に書いてる資料まだ見てないんで。
俺もよくは知らんのだが、ゲーム(確か「終わらない明日へ」)で
シホの痔の事をボロクソに叩いてたとか聞いた事がある。
>>252 TNX.ボロクソと言うほどじゃないが辛辣だな。
敬愛する隊長が裏切っちまった時の心中やいかに……
って、自分も一緒に裏切ってますwww
まぁ、あくまで無印種時代での呼称だがな。
種死時代もそのまま呼び捨てかどうかはコレだけじゃわからん。
もっとも、このスレでやってるのはあくまでも二次創作。
必ずしも原作準拠の呼称を使わなければならないわけじゃないしね。
各作品の作者さんたちが、それぞれふさわしいと思った表現を使っていけばいいと思う。
255 :
舞踏の人:2006/10/27(金) 22:11:31 ID:???
前回の投下より大分間が開きましたが
運命の舞踏17話投下します
「カガリ、俺をプラントに行かせてくれないか」
アスランが放った一言から、まるで時間が止まったかのように訪れた静寂。
先ほどまで、一体彼がどんなお願い事を言うのだろうと、目を輝かせて待ち構えていたカガリは、
笑顔の表情そのままに、ほんの少し瞳の輝きを翳らせる。
「……一体、急にどうしたんだ? お前」
驚きのあまり、どういう表情をしていいのか分からないまま、とりあえず作ったようなぎこちない笑み。
ぎこちなく唇を動かしながら、カガリは目の前に立つアスランを見つめる。
「実は先日、デュランダル議長からのメールを受け取ったんだが……
もう一度プラントに戻って、ザフトに復隊してもらえないかとの内容だったんだ。
俺の能力を高く買ってくれて、今のザフトに必要な人材だとまで言ってくださった」
「そうか、議長が…か。
なあアスラン。 それでお前は、本当にザフトに戻りたいのか?
まさか、議長に頼まれたからってだけの理由じゃあないよな?」
アスランの説明を聞くうちに、少しずつ強張りの溶けてくる娘の表情。
ふう、と一つ大きく息を付いてから、彼の真意を確認する言葉を口にする頃には、
彼を見つめる橙色の双眸にも、いつもの力強さが取り戻されつつあった。 本心を見抜こうとする、強い輝きが。
「ああ。 議長に乞われる以前から、考えていたことなんだ。
アーモリーや、移民船団の襲撃の際に戦場に出て分かったんだ……
俺の力が発揮出来る場所は、やはり戦場なんだ。 戦うことぐらいにしか能がないんだ、俺は」
何度か言葉を詰めながら、息を飲みながら。
慎重に言葉を選び、たどたどしく話す彼は、それでも揺るぎない眼差しを見せながらカガリへと語っていく。
「…お前には本当に世話になった。
死を選ぼうとしていた時に、生きる方向へと俺を呼び戻してくれたのは、お前だったな。
その上、家族も立場も失くしてしまった俺のそばに居てくれた。 いくら感謝しても、足りないぐらいだ。
俺はお前を支えたかった。 国のために心血を注ぐお前の、力になりたいと思っていた。
――だけど、すまない。 俺はプラントへ行きたいんだ。 国を守るために」
言葉の終わりに、辛そうな表情で深くうなだれたアスランへと、
カガリは心配した様子で手を伸ばし、言葉をかけようと口を半開きにさせていたが、
それよりも先にアスランは顔を上げて、声を発した。
「頑張っているお前に、こんな事を言うのは悪いとは思う。 だが、言わせてほしい。
…正直言って、今の世界の流れは着実に開戦の方向へ動いている。
近いうちに、地球とプラントの間で再び戦火が上がることになるだろう。
俺は、そんな状況を黙って見ていられなくなったんだ。
もし、議長の言うように、俺に戦う力があるのならば、それを使って守りたい。 俺の祖国を」
「――そうか。 ようやっと、やりたい事を見つけられたか」
それまで、黙って彼の言葉に耳を傾けていたカガリ。
うわずり気味の明るい声を上げた彼女の顔には、笑みが深く刻まれていた。
カガリの言葉の意味を即座に理解出来なかったアスランは、え、と困惑の声を上げるが、
そんな彼を気にかける様子もなく、彼女は後ろ手を組んだままゆっくり歩みを進める。
「私がお前を護衛に付けたのはな、何もやりたい事がなさそうだったからだ。
ただでさえぼんやりしてるってのに、二年前の戦争以来、無気力な感じで過ごしていたからなあ。
だから、私のそばに置いて、色んな所に連れ回すようにしていたんだ。
自分が歩みたいと思う道を、見つけるキッカケになればと思ってな」
面食らった表情で立ち尽くすアスランの前を、ゆらりゆらり、足を揺らしながら横切る娘。
にまりと、白い歯を覗かせて満面の笑顔を見せる彼女を、アスランはただ眺めることしか出来なかった。
「ようし、お前の意気込みは分かった! すぐにプラントに行けるよう、手配してやろうじゃないか。
――そうだな、オーブの特使という名目なら、容易に行けるだろう。
アスラン、ちょっとひとっ走り出てって、議長に伝えてきてくれ。
私たちの同盟の考えと、敵対の意志がないという事をな」
「なッ……そ、そんな大役を俺に?」
「大丈夫だって。 先方には既に文書で連絡してある内容だからな。
まあ形式上、口頭でも伝えておいた方がいいんだよ。 その方が丁重だしな。
で、その役目を遂行し次第、お前はクビな! あとはザフトに入隊しようが何しようが構わん」
「く、クビっておい……」
「じゃなきゃ、ザフトに入るわけにもいかんだろう。
まあ心配するな! オーブに戻ってくるようなら、また職を用意しといてやるよ」
軽口を交えながら、カガリは軽い調子で提案してくる。
恐らくそれは、彼女の有する権限の範疇で、最も安全かつ速やかにプラントへと向かえる方法だったのだろう。
――全力をもってして、自分を送り出そうとしてくれている。
そう理解したアスランは、感極まったかのように顔を伏せ、深く吐いた呼気と共に言葉を紡いだ。
「……本当に、なにからなにまで、すまない」
彼の謝辞に、いいってことだ、とカガリは笑いながら答え、デスクの上に置かれた内線の受話器を手にする。
早速話を通すつもりなのだろう。 ハキハキとした声で指示を伝え始めた彼女を、アスランは横目で眺めていたが、
やがて、静かに瞑目する。 彼女の優しさに対する感謝と、彼女を欺いた事に対する懺悔の念から。
正確に言えば、彼女に対して話した内容に嘘偽りは無いのだが、
ただ一つだけ、伝えられなかった言葉があった。
それは、自分がザフトに戻ろうと決めた、もう一つの理由。
大西洋連邦の軍服を纏う、彼女の双子の弟。 姿をくらましていた自分の親友が、一体何をしようとしているのか。
彼の目的を知りたいがために、そして彼がもしも危険な行動に出るのなら、彼を止めるために。
……だが、それをするには、この国はあまりに制約が多すぎた。
中立の立場を掲げるオーブに居ては、彼について調べる事も、制止する事も叶わないのだ。
電話相手に対して、相当無理を言っているのだろうか。 少々荒っぽい声で話しているカガリを見ながら、
アスランは、彼女に全てを伝えられない事を悔やんでいた。
それから一日と半分が過ぎた頃には、カガリはその言葉通り、全ての手はずを整えていた。
早速アスランをプラントへの特使に任命し、デュランダル議長へと口頭で伝えると共に渡す文書も用意させ、
現在、不安定な状況下から運休状態の続いているプラント行きのシャトルも、あっという間に用立ててしまう。
――そして、出立の時間が来た。
アスハ邸の庭。 空港から迎えのヘリが来る予定の場所に、アスランと見送りのカガリは少し早めに出て来ていた。
夕焼け空の下、トランク一つだけを下げた人影と、それに寄り添う少し小さな人影が長く伸び、建物の壁へと姿を焼き付ける。
「身体には気をつけろよ、アスラン。
食事抜いたり、無理しすぎて睡眠不足なんてこと、無いようにな」
「分かってる、そんなに世話焼かなくったって大丈夫だって」
「どうだかな! お前って、一つのことに集中してると、自分のことにズボラになるタイプだからなあ。
結構心配してんだぞ。 ただでさえ、一度抜けた軍に戻ろうとしてるんだからな。
同僚や上司からいびられて、胃を痛めてそうな気がする。 うん、お前だったら有り得るな」
「何言ってんだカガリ、俺だってお前のこと――…」
そこまで言いかけて、アスランは息を飲んで黙り込んでしまった。
これ以上は言えなかった。 心配しているなんて、自分には口にする権利も無いのだから。
「……すまない、カガリ。 薄情過ぎるよな。
今、一番大変な時期だっていうのに、支えることも出来ない。 むしろ、心配させてばかりだ」
辛そうに顔をしかめながら、アスランはもう一度すまないと呻いた。
アーモリーワンでの出来事以来、考え続けていたプラントへの帰国――
それを今の今まで伝えられなかったのは、カガリに対する恩義、そして愛情があったからだった。
そんな想いを振り払った上での決断のつもりだったのだが、やはり後悔の念が消えることはなかった。
恐らく、ザフトに復隊してからもずっと考え続けるだろう。
既に取り返しのつかないほど過去の選択であろうとも、いつまでも。
彼、アスラン・ザラは、そんな難儀な性格の人物だった。
暗い表情で俯き、黙り込んでいる青年の前に立つカガリ。
しばらくは、眉をひそめながらも静かに彼の様子を見守っていたが、
長い無言の空気に、いい加減業を煮やしたのだろう。
はあ、とわざとらしく溜息をついてから、大げさに頭を振って唸り声を上げた。
「たーっく、いつまでもウジウジ考え込んで…いい加減にしろよな?
決心したんだろう? 迷ってないで、さっさと行ってこき使われて来い!!」
口を曲げて怒りを露わにしながら、彼女はドアをノックするかのように彼の胸元を二三度小突き、
呆然とした、冴えない表情を浮かべている彼の顔を睨み上げる。
女らしさの欠片もない、彼女の口調と立ち振る舞い。 荒っぽいそれの中から覗く、彼女の想い。
乱暴にラッピングされた、労りと激励の言葉を受けて、やっと彼は微笑んだ。
「そうだ、カガリ。 お前に渡しておきたい物があるんだ」
立ち直ったアスランは、思い出したようにそう言うと、スラックスのポケットを探り始める。
彼の動作に興味を覚えたカガリが、なんなんだ、と言いながら身を傾け、相手の手元を覗き見る。
無言で急かしてくる視線に苦笑を見せながら、彼が取り出したのはビロード地の張られた小箱。
手の平に乗せ、顔を寄せてきていたカガリの目の前に差し出してから、蓋を開けた。
「その、なんだ。 何かをあげたりなんて、したことなかったからな。
あれだ、上手い言い方が見つからないんだが……
俺はお前を手放したくない。 だがら、その証にこれを渡しておく」
翼を思わす三本の曲線を添えたホワイトゴールドのリングに、鮮やかな真紅のレッドスピネルを添えた指輪。
見せられたそれを前に、驚きのあまり目を丸めたカガリは、指輪と彼の顔を何度も見比べた。
「……驚いた。 まさかお前がこんなに気が利く奴だとは、思わなかった」
「たまにはそういう時もあるってことだ。
大体、あの人が居るから安心出来なくて、渡しておくんだよ。 臆面ない愛情表現をしてくるから」
心底意外そうに娘が呟けば、赤面した青年は憮然とした表情でそっぽを向きながら、言い放つ。
あの人――とはきっと、紫髪のキザな男のことなんだろう。
具体的に名前を挙げなかった人物について予想しながら、カガリはふふっと笑い声を立てた。
そして、自ずからケースへと手を伸ばし、指輪を取り出すと自分の指にはめた。 左手の、薬指に。
小麦色の肌に映える純白の環と真紅の光の粒を夕日にかざして見つめる娘の顔には、喜びの色が浮かび上がっていた。
「ありがとうな、アスラン。 礼ほどの価値はないが、私からもプレゼントをやるよ。
お前がプラントに行くと聞いてから、急いで作らせたんだ」
そう言って、娘はジャケットのポケットに手を突っ込み、握りこぶしの形のまま彼の前へと突き出した。
もったいぶることなくパッと開かれた手中には、揃いの銀細工が二つ、包装一つない裸の状態で転がっていた。
――それは、たてがみをなびかせる白獅子の横顔に、大輪のカサブランカを添えた意匠のピンバッヂだった。
かつて、カガリがMSを駆って戦場に赴く際に、愛機の肩に描いたエンブレムと同じデザインだ。
「一個お前にやるよ。 効果があるかどうかは分からんが、お守りになるかもしれん」
「あ、ああ。 ありがとう」
不意打ちのプレゼント返しに、アスランは戸惑いを覚えながらも礼を言う。
自分のエンブレムだなんて……妙な物を渡してくるものだ、と心中では思いながら。
カガリはといえば、相手の返事に気を良くしたようにニマリと笑うと、
青年のジャケットへと手を伸ばし、広い襟元に銀の記章を留めた。
「なあ。 お前、カサブランカの花言葉って知ってるか?」
「……いや、知らないな」
「だろうなあ。 そういうの、興味なさそうだもんな。
いいか? カサブランカの花言葉はな……『高貴』って言うんだ」
持ち上げていたアスランの襟から手を離すと、自信たっぷりの表情でそう語る。
高貴、と彼女の言葉をオウム返しに口ずさんだアスランの顔を、カガリはじっと見上げた。
そして、重々しく口を開き、掠れた小声を洩らす。
「お前さ、良いヤツ過ぎるんだよ。
周りの意見全部、律儀に耳を傾けてさ。 他人の立場に立って考えようと、真剣に考え込むクセがある。
…それ自体は、良いことなんだけどな。 度が過ぎてるから、周りに振り回されやすいんだよ、お前は」
心配するように僅かに眇められたオレンジの瞳が、アスランの顔を真摯に見つめる。
「お前は、他人の考えを否定するよりも、肯定する方向に考えようとしてる。
優しいから、相手を理解しようとする。 だから、お前はいつも悩むんだろう。自分が正しいのかどうかをな。
――少しぐらい自信をつけて、胸を張れよ。 そのぐらいが丁度いいと思うぞ。
お前は自分で思っている以上に、立派な人間なんだからな! 獅子のように、気高く生きていけ!!」
最後は、強く言い切る口調と共に、大輪の花が開いたかのように、晴れやかな笑みを見せた。
その笑顔を前に、言葉を失ったアスランは、自分に向けられた彼女の言葉を胸中で反芻させていた。
――きっと、この飾りは彼女の言葉をいつでも思い出せるように託されたのだろう。
無意識に己の胸元へとそっと手を置きながら、青年は目を閉じる。
銀の獅子と花に篭められた、娘の想いを確かめるように。
「私もこれを付けて、頑張っていこう。 ルージュのエンブレムの代わりにな。
…もう、今までみたいに、MSに乗って前線で戦うようなことも出来ないだろうから。
これからは政治の舞台を、身一つで戦い抜いてみせるさ」
アスランの仕草から、まんざらでもない様子を感じ取ったカガリは満足そうに頷くと、
残った片割れの銀細工を、彼と同じように自分のスーツの襟に留めながら、そう告げる。
決意の篭った表情で姿勢を正したカガリ、彼女の右の胸元で、獅子の横顔がキラリと瞬いた。
惜しむ時ほど流れは速いもので、やがてアスランの出立する時刻となる。
空港から迎えに来たヘリが、アスハ邸の敷地内に降り立つ。
アスランの他に、乗り込む者も無ければ大荷物も無い。
僅かな私物と、何着かの着替えを詰め込んだだけのトランクを携え、アスランはヘリに向かい、歩み始める。
二歩、三歩。 四歩目を踏み出そうとしたところで、彼はカガリの方を振り返った。
「それじゃあ、元気でな。カガリ。
落ち着いたらメールでも送るよ。…とは言え、こまめな返事は期待しない方がいいと思うが」
「なぁに、私もマメな方じゃない。そこはお互い様だ。 …元気でな」
斜陽に照らされる青年の横顔へと笑いかけながら、カガリは言葉を投げかける。
二人の間に広がる、ぽっかりと抜け落ちたかのような空間。
しかしカガリは歩み寄らない。別れは既に終わらせたと考えていたから、空間を埋めたりはしない。
その場から動かずに、ただ穏やかな笑みを湛えながら彼を見送る。
それが、彼女が貫こうとした、理想の姿だった。
「――あ、アスラン、いっ……!!」
取り繕っていた笑顔に綻びが走り、強張った口元から叫ぶような声が吐き出される。
途切れた会話を合図に、背を向けて歩きかけていたアスランだったが、突然響いた大声に振り向く。
面食らったように丸められた、翡翠色の瞳。 ただ驚きのみが浮かぶ彼の顔。
それを見て、カガリの心は急速に冷静さを取り戻していった。
「行ってこい! もう悔いなんか残してくるなよっ!!」
「…ありがとう、カガリ! 必ずここに戻るからな!!」
彼女の激励に、片手を上げて応えたアスラン。 微笑みを残して、ヘリへと乗り込んでいく。
ローターの回転数が上がり、ゆっくりと浮き上がっていくヘリを、
吹きつける砂塵から目を守るように腕で覆いながら、カガリはその場で眺めていた。
遠く去っていって、点ほどにも見えなくなっても、彼女はそこから動かずにずっと見送っていた。
さて ここで一旦、世界情勢についておおまかに纏めてみよう。
二年前のユニウス条約締結以来、綱渡り状態の危なげな様相を見せながらも、
平和と呼べる程度の静けさを取り戻していた世界は、今まさに戦乱の過去へと巻き戻ったかのようだった。
宇宙で起きた未曾有の殺戮劇……セレネ移民船団襲撃事件の報を皮切りに、国家間に亀裂が走る。
ザフト製MSによる移民船団への襲撃映像という、決定的な視覚情報が存在することから、
プラントは世界中から非難を浴びせられることとなる。 国家、メディア、民衆、ありとあらゆる者たちから。
対して、プラント側はあくまでも自分らの関与を否定し、
ザフト軍を利用した、何者かによるテロ行為の可能性が高いと、むしろ自分たちは被害者だと訴えかける。
彼らの主張は、おおむね正しいものだった。
事実として、ザフト製無人MS部隊の暴走の原因は、
大西洋連邦軍少将ケイ・サマエルと、同国の工作員による仕業だったのだから。
無論、すぐにザフトは、かつての敵対国家である大西洋連邦によるテロ行為ではないかと疑った。
しかし、肝心かなめの物的証拠を見つけることが出来なかったのだ。
無人機動兵器統括システム『レギオン』のホストコンピューターを積載したテスト艦と、
その端末である、計60機のレギオンシステム搭載MSは、全て回収も出来ないほど周到に破壊されていたのだから。
かくしてプラントは、十万人近くにも及ぶ民間人…
しかも、戦争で焼き出された哀れな被害者たちを殺した悪逆非道な国家として、世界中から槍玉に挙げられる形となった。
セレネ事件で自国からの移民希望者を亡くし、彼らの遺体回収に要した費用及び遺族への補償問題、
移民船団に提供した船舶の損失など、多大なる被害を受けた国々は、プラントに対して要求を突きつけてきた。
一つに、被害を受けた国家への賠償金の支払い、あるいはその額面相当のエネルギー供給。
一つに、今事件における最大の原因である新型兵器を試験運用していた、ザフト軍の全武装解除及び組織の解体。
更には現政権の解体、連合理事国によるプラント政府への監視員派遣、地球連合軍の進駐などなど。
これらの要求はどう見ても、プラントの国力を多く削ぐことと、
かつてのように、連合理事国によるプラントの完全支配を狙っているとしか思えない内容であった。
流石に、これほどまで国家の生命に関わるような要求に、プラント側が素直にイエスと頷くはずがない。
テロ行為ではないという主張を繰り返しながら、もっと要求内容を軽減してくれるように訴えかける。
勿論、いわれのない疑いだという考えが頭にあるのだから、喧嘩腰とも呼べる態度でだ。
大西洋連邦を中心とした国家群もまた、プラントを地球人類に対する脅威であると見なし、
自分たちの出した条件を飲まない場合は、武力制裁に出ることも辞さないとの意志を表明する。
まさに爆発寸前とも呼べる両陣営の間で、双方の剣を収めさせようと試みる者たちもいた。
中立国家の方針を掲げるスカンジナビア王国の元に集った、いくつかの国家。
オーブ連合首長国、赤道連合、南アメリカ合衆国。 彼らは世界中に向けて、開戦反対の宣言を発した。
彼らの目的は、地球連合とプラントに二分された世界に、新たな可能性を孕んだ選択肢を加えるというものであった。
現在の世界の流れは、二つの勢力によって半ば両極化されたような状況で、
双方とも相手に対して、争いも辞さないほどの強硬姿勢なため、全体を巻き込んだ戦争になりかねないものだった。
そこで、そのような状況を望まない中立国家らは、高まりつつある戦争の気運を止めるべく、
自分たちは連合とプラントの戦争には一切参加しない、今争いを起こすことは愚かな所業だという姿勢を明確にした。
四つもの国家が連名で宣言を出すことによって、少しでも主戦派国家に牽制をするための行動だった。
しかし、事態は既に手遅れの域まで進んでいて、彼らの宣言も大して影響を与えることはなかった。
開戦への気運は破裂寸前まで高まっていて、
戦争参加に対しても開戦反対に対しても消極的な姿勢を示していた国家をも巻き込んで、事態は進んでいく。
それこそ、全てを飲み込んで肥大化し、加速していく。 雪山の頂上から転がした雪玉のような勢いで……。
――所変わって舞台は宇宙。 月面基地、アルザッヘル。
地球連合軍が所有するかの基地には、大西洋連邦の宇宙軍が各地より集結していた。
他方に月面基地にも、連合に加盟する国々から派遣された軍が集まりつつある。
数ある地球国家の中で列強として名の挙げられるユーラシア連邦、東アジア共和国、
そして、連合内で一番の影響力を持ち、代表的な反コーディネーター国家でもある大西洋連邦。
多くの宇宙戦艦と機動兵器を有するかの国家らからの軍勢が、月及びその周辺拠点へとかき集められていく。
彼らの敵、罪無き弱者たちの命を奪った悪逆の徒、宇宙に巣食う調整者達……プラントを討つために。
出港するものと入港するもの、無数の艦船が低空域を行き交う景色を望む、司令棟の一室。
そこには、現在アルザッヘルに滞在している大西洋連邦軍の主だった将官たちが集っていた。
「先ほど、ワシントンより通達があった。
明日、00:00をもって開戦を宣言するとのことだ」
この基地の主にして、大西洋連邦宇宙軍を統括する総督である男は、部屋に集う面々を見渡しながら告げる。
彼の言葉に、将校たちの間からざわめきが上がる。
が、それは戸惑いといったものではなく、むしろ嬉々とした感情すら見え隠れするものだった。
その中、一人の将校が進み出て、総督へと質問の許可を乞う。
総督が鷹揚に頷く仕草でそれを許可すると、将校は口を開いた。
「ユーラシアがプラント重要拠点に対するピンポイントでの核攻撃で、
短期決戦を付けようと主張していると聞きましたが…我々もその軍勢に加わるのでしょうか?」
「一応、途中まではな。 だが、あとは諸君らも承知の通りの筋書きに動く。
彼らは一番槍の名誉と、それに付随する富と権利を求めて性急に走るだろうが、まあ気にすることは無い。
我々はあくまでも、足並みを乱さず往くだけだよ。 『竜』たちと共にな」
「なるほど、彼らは囮なのですか。 …いやはや、安心しました。
『アレ』の情報を掴んでいるというのに、道連れにされては困りますからな。
ならば、せいぜい頑張ってもらいましょうか。 彼らには」
総督の説明に合点のいった将官は、シニカルな笑みを浮かべながら、愉しげな口調で言う。
周囲からも笑い声が立つ。 同様に、他国軍への嘲りと憐れみを含んだ、冷たい音が。
その中で総督は、静かな凄みを含んだ薄い笑みを口の端に刻んでいたが、
やがて、部屋に集う者たちの方へと向き直ると、朗々たる声を放った。
「この戦の勝者に相応しいのは、青き清浄なる世界の守人たる我々だ。
さあ、プラントの連中に、身をもって教えてやろうじゃないか。
宇宙は人間のものであって、化け物の所有物ではないことをな!」
その後、作戦行動の確認を兼ねた、雑談にも近い会話を交わしていた将校たちの耳に、
重要な放送の合図である独特のビーブ音を伴って、艦隊第一陣の発進を知らせるアナウンスが飛び込んできた。
スピーカーを通して伝わってくる、現場の慌しい会話のやり取りと共に、港湾部より次々と戦艦が発進していく。
10隻以上の艦艇によって構成された艦隊は、司令室の将官たちに見送られながら、暗い星の海へと発っていった。
「で、今後の予定はどうなっている?」
「以降、2時間間隔で3度に分け、本隊以外の艦艇を出航させます。
先行艦隊はそれぞれ別に、暗礁宙域に潜みながら微速航行を行い、作戦地点を目指す予定です。
そして、ヴァリトラ級宇宙空母……今回はヴァリトラ、ティアマト、ヨルムンガンドが出陣しますが、
これらを含む本隊の出撃は、00:00の開戦宣言と同時に行うようにと、本国から伝達がありました」
「そうだろうな。 『竜』の巨体は、周囲の目を眩ますにはうってつけよ。
敵も、味方ですらもアレこそが本命だと思い込むはずだ。
それに、集結しつつあるユーラシアと東アジアの軍勢が加われば、それだけでインパクトは十分だ」
問うた相手、秘書官から返ってきた答えに、総督はくく、と笑い声を洩らして目を眇める。
たった今、アルザッヘルから出発した艦隊は、本来参加する予定の無い……
地球連合に所属する他の国家に提出した、出撃リストの中には含まれていない戦艦ばかりだった。
そして、これから出発していく艦隊もまた同様で。
リストに記載されていない員数外の戦力は、戦艦を数えただけでも40隻は下回らない。
対して、リストに載っている軍勢――最後に出発する予定の本隊の数は、約80隻。
それは他国から出撃する軍勢と比較して、同等あるいはそれ以上の規模だったが、
しかしこの艦隊は、他のものとは一線を画す物を保有していた。
それが、1000m級超大型宇宙空母”ヴァリトラ”シリーズだった。
宇宙を生活圏とし、高度な技術力を有するザフトですら、
一隻しか所有していないとされている、全長1000m規模の宇宙空母。
それが、3隻も同時に姿を見せるのだから、敵味方問わず強烈な威圧感を与えることはまず間違いないだろう。
更に、驚異的なのは外見だけではない。
MSやMAなどの機動兵器を大量に収容する能力に長ける宇宙空母、しかも規格外れの巨大さ。
その中に一体どれだけの機動兵器が積載されているのか……そう考えた者は、愕然するに違いない。
しかし、これだけスケールの大きい兵器が、ただの豪華な張子虎という役目を与えられているのだ。
ただ、40隻あまりの艦を隠すためだけに使われるというのだ。
「これでいい。 これで上手く事は運ぶだろう。
彼らが我々の目標に気付いた頃には、既に時は遅い。 作戦宙域には先発部隊が揃っていることだろう。
作戦は完璧だ。 彼らの慌てふためく愉快な姿が、ありありと目に浮かんでくるよ」
既にただの光点と見分けつかないほど、遠ざかりつつある艦隊の後姿を眺めながら、
総督は確約されたも同然な自分たちの勝利を、早々に杯に注ぎ入れ、酔いしれていた。
――離れてから、もう二年も経つんだな。
久方ぶりに訪れた、馴染み深い故郷の風景を、硝子のチューブ越しに眺めながら、
アスラン・ザラは静かな感慨を胸に満たしていた。
宇宙港に用意されていたチャーター機で宇宙へと上がった、アスランを含むオーブ特使たちは、
プラントの行政中心地でもある、首都アプリリウスへと向かった。
港のゲートでは、オーブの大使館員が彼らを迎えるために待ち受けていた。
ちょうど、砂時計から零れ落ちる砂の流れのように、中心に通された高速エレベーターの中で、
アスランたちは、大使館員から現在のプラント情勢についての説明を聞く。
「とにかく、世論は大荒れですよ。 プラント市民は皆、怒っていますからね。
こちら側が、暴走事故が起きた時点で、事故の詳細と警告を伝えたにも関わらず、
その説明をろくに取り合わず、増援も送らなかった地球連合にも非はあるじゃないか、って意見が強いです。
全ての責任を押し付けられた上に、この要求じゃあ誰も納得いきませんよ。
多額の賠償金に、連合軍の駐留。 国家としての活動を窒息寸前まで締め上げるのが目的としか思えません」
大使館員も、不安に心揺り動かされているのだろう。
感情的な声でまくし立てながら、しきりに首を横に振っている。
彼の激しい動揺も、まあ無理もないことで。
戦争になりかねないこの現状。 もしも不意打ちで攻め込まれたりでもしたら、
国外退去も間に合わず巻き込まれる可能性だってあるのだから。
隣に立つ大使館員を観察しながら、アスランはそう思う。
「今、地球連合は宇宙軍を動かしているんでしょう? プラントを攻撃しようとして」
「ええ…ここに来る途中、立ち寄った月で俺たちも見ました。
戦艦が編隊を組んで航行しているのが、肉眼でも視認出来ました」
「世論も爆発寸前だというのに、そんな挑発行為をされては、こちらも大騒ぎですよホント。
プラント政府は、あくまで言葉による交渉での解決を模索しているようですが……
しかし、それを大人しく待つ相手でもないでしょう。 このままでは、開戦も時間の問題です。
市民の間からは、弱腰な態度のデュランダル議長への批判も高まってきています。
表沙汰にはなっていませんが、おそらく軍部も同じことでしょう……」
「……そうですか」
大使館員と言葉を交わしていたアスランは、暗い面持ちで顔を伏せる。
ある程度は予想がついているから、自分では覚悟出来ているつもりだったのだが、
いざ、想像以上に混迷を極めている祖国の状況を聞いてしまうと、動揺を隠すことが出来なくなっていた。
「あの、デュランダル議長との面会に関してはどうなりそうですか?」
「しばらくは時間を割けない状況だから、都合が付き次第連絡するとの事でした。
今は予断を許さない状況ですからね。 数日の間に、とはいかないと思います。
…アレックスさんも急ぎの旅でお疲れでしょう。
面会の予定が決まるまで、大使館でゆっくりお休みください」
「わかりました。 ありがとうございます」
僅かに微笑みながら謝辞を述べたところで、身体に伝わっていたGが普段のものへと戻る。
話している間に、高速エレベーターは終点へと着いていたようだ。
開かれた扉をくぐりながら、アスランは思う。
自分はここで、一体どれだけのことが出来るだろうかと。
大事な人を置き去りにしてまで選んだ道に、果たして満足がいくぐらいの結果を残せるのだろうかと。
その日の深夜……正確には翌日へと日付が移行した直後、世界中のマスメディアがにわかに騒がしくなる。
音声に映像、文字の羅列、ありとあらゆる形でばらまかれた同一の情報は、
大西洋連邦大統領、ジョセフ・コープランドが全世界に対して発した声明の中継だった。
『――これより私は、全世界の皆さんに、非常に重大かつ残念な事態をお伝えしなければなりません……』
カメラの角度や、映像に重なるテロップこそ微妙に違えど、
全く同じ場面を映す無数のモニターの壁を前にしながら、部屋の主は悠然とブランデーグラスを傾けていた。
何十個と同じ顔を連ねる白人の男が、時に淡々と、時に抑揚をつけて語る姿を眺めつつ、
豪奢なソファーに深く身を沈めた部屋の主……ロード・ジブリールはくく、と喉を鳴らし笑い声を立てた。
「いよいよ開幕だな。
若干予定の狂いはあったが、ここまでこぎつけることが出来た」
「ええ、そうですね。
ようやく始まります。 僕らの求めた戦争が」
ジブリールが零した呟きに応えてか、彼の後方から声が響く。
部屋の一部を占めるモニター群と最低限の照明以外、光源のない仄暗い部屋。
帳のように厚い闇の下りる部屋の奥から、大皿を片手に持つ黒尽くめの青年が、足元に黒猫を伴って歩いてきた。
「振り返ってみれば、案外時間かかりましたね。
争いの火種を作ることぐらい、簡単な話だろうと思ってたんですけど」
「ただ作るだけならな。 だが、それでは何ら意味を成さないのだよ。
自分たちの正当性を確保した上で、こちらで自由に制御可能な発火装置でなければならなかった。
――苦心した甲斐があって、最高のきっかけを作ることが出来た。 今はそれを祝おうじゃないか」
「……そうですね。 今となれば、その苦心の意味も理解出来ます。
最初は、なんでこんなまどろっこしいことをするんだろう、って不満を感じていたんですけどね。
でも、いざこの場に立ってみれば分かります。 いいですね。 思う通りに世界を操作するって気分も」
ジブリールの座るソファーの真横で足を止めたケイ・サマエルは、
紫電の瞳にモニターの光を受けながら、そんな感想を口にする。
「これが、古来から受け継がれる『戦争屋』の手技というやつだよ。
まあそれでも、今回は例外とも言える。 とりわけ入念に準備する必要があった」
傍らに立つ青年に向かい、ちらりと視線を流したジブリールは、
紫のルージュ引かれた薄い唇をついと釣り上げる。
「これは、旧き世界を葬り去るための戦争。 そして、新たな世界を創り上げるための、いわば儀式だ。
せいぜい、派手に盛り上げていこうじゃないか。 誰もがしばらく戦争を望まなくなるほど、盛大にな」
「折角こんな立場で参加する機会を頂いたんですから、存分に楽しませていただきます。
――ああ、本当に嬉しいなあ。 これで、僕の望みが叶うのかと思うと」
端正な貌に悪意無き微笑みを湛えながら、ケイはモニター群へと視線を動かし、そう述べた。
多少の表情の差異こそあれど、二人の男は同様にやり遂げた満足感を見せていた。
そこで、彼らの足元から聞こえてきた、うなぁんと鳴き声。
そろって視線を落せば、不満そうな様子でケイの靴に爪を立てている猫の姿がそこにはあった。
「ごめんミヒャエル、お腹すいてたんだね?
ちゃんとご馳走は用意してもらってるから、まずはお祝いしてから食べよ」
パリパリと革靴を引っかく黒猫へと苦笑を向けると、
ケイは手にしていた大皿をソファーの前のテーブルの上に置いて、彼の頭を一撫でした。
大皿には、飾り物のように色鮮やかに盛り付けられたカナッペが並べられている。 彼の狙いは、これだったのだろう。
その隣には既に、ジブリールがグラスに注いで用意していたワイングラスが二つ並べられていた。
「また一つ、計画の大きな節目を乗り越えることが出来た。
君には感謝しているよ、ケイ・サマエル。 これからも頑張ってくれたまえ」
ジブリールの言葉を合図に、チンと打ち合わされる二つのワイングラス。
その向こうには、たった今始まったばかりの地球連合軍宇宙艦隊の出陣風景が、透けて見えていた。
『――コンディションイエロー発令、コンディションイエロー発令。 全保安要員は直ちに配置に……』
そのアナウンスで眠りから覚醒したマユは、飛び上がらんばかりの勢いでベッドから身を起こした。
驚きのあまり心臓が高鳴る中、一体何があったのだろうと思考を走らす。
今いる場所はミネルバの自室。 そしてミネルバは未だ修理のために、オーブ軍港に停泊中。
危険な地域に居るわけでもないのに、警戒態勢が発令されたという事は……なにか情勢が変わったに違いない。
軍服に袖を通しながら、そう考えていたマユ。 彼女の耳に、廊下を走る複数人の足音と共に、話し声が届いた。
――それは緊迫した声色で、『開戦した』という内容。
それを聞いたマユは、髪を結わないまま部屋を飛び出していった。
『――我々はこの事態を打開すべく、幾度となく協議を重ねてきました。
が、いまだに納得出来る回答すら得られていないのが現状です。
この未曾有の事件を実行したテロリストを特定する所か、原因についてすら十分な回答がありません。
……あのような、危険極まりない悪質な兵器の実験を警告なしで行い、
また、それによって引き起こされた惨劇の非すら、認める姿勢を示していないのが現状です。
このまま不誠実な態度を取るのならば、我々はプラント政権を『地球の脅威』として見なさざるおえません』
……警報にたたき起こされたクルーたちが集まっていたレクルームに、マユが辿り着いた時。
レクルームのモニターに映されている演説は、既に後半に差し掛かっているところだった。
緊迫した空気が漂う室内に、なんとなく気まずい思いを覚えながらも、そろそろと忍び足で中へと踏み入る。
モニターの前に立ち並ぶ人垣の間から、画面を覗き見るべく背伸びをしたり屈んだりしていたマユ。
そんな彼女にマユ、と横手から名前を呼ぶ声がかかる。 見れば、声の主はルナマリアだった。
「あ、ルナ姉ちゃん。 …ええと、どうなってるの?」
「どうもこうも、戦争開始よ。
地球連合の主戦派国家総出で、攻撃艦隊出撃させてるみたいよ」
ルナマリアは眉目を曇らせ、要約した演説内容を伝える。
更に視線で画面を指し示せば、そこには月を眼下にしながら飛び立っていく戦艦の群が映し出されていた。
それは、月面基地に集結していた、地球連合宇宙軍の艦隊だった。
『――よって、先の警告通り、世界安全保障条約機構全加盟国は、
本日午前零時を以って、武力による排除を行うことを、プラント現政権に対し通告しました』
沢山のマイクに囲まれながら壇上の中央に立つ大統領が放った、その一言。
レクルームに集っていたクルーたちの間から、罵声混じりのどよめきが湧き上がった。
突然の事態を飲み込めず、呆然とする者。 隣同士で顔を見合わせ、故郷を心配する思いを口にする者。
しかし、そんな反応をする人間よりも、憤りを露わにする者の方が遥かに多かった。
”ふざけるな。” ”俺らがやったんじゃない。”
”これはただの事故じゃないか。” ”いいや、ナチュラルの陰謀だ。”
そういった内容の言葉が激情のままに紡がれ、地団太を踏む音や、壁を叩く音が上がる。
その中でマユはといえば、ただ立ち尽くすばかりで。
これからプラントはどうなるのだろうか? 親しい人たちにまで被害が及ぶのだろうか?
世界中で戦争が起こったら、戦争を拒んだこの国は一体どうなるのだろうか?
――あの時、移民船団を守るために必死に戦った自分たちの行動は、全くの無になってしまうのだろうか。
そんな思いばかりが頭を支配していて、隣で心配そうに見つめてくるルナマリアの視線にも、全く気付いていなかった。
午前零時の開戦宣言――いや、それ以前より地球軍の動きを察知し、体勢を整えていたザフトは、
プラントを目指し進軍を開始した地球軍艦隊を迎え撃つべく、艦隊を編成して前進させつつあった。
「――おい、状況は! 状況はどうなっている!?」
ナスカ級高速戦艦『ヴォルテール』のブリッジ内。
開閉するシャッターをくぐり入室してきた、白の軍服纏う青年は、
定規で引いたかのように切り揃えられた銀髪を振り乱しながら、ブリッジ内のクルーたちへと問う。
「開戦宣言の放送前から、各地より集結しつつあった連合艦隊は、現在本土防衛ラインへ向けて侵攻中です。
艦隊の辿った航路を元にして、出撃ポイントを計算した結果、
おそらくこの艦隊は、東アジア、ユーラシアの混成艦隊と予想されます。
なお、これらに遅れてアルザッヘルより、
件の新型空母と同型と思しき大型の艦艇3隻を含む、大西洋連邦軍の出撃も確認されています」
艦長からの説明を受けた部隊長、イザーク・ジュールは戦略図を投影するテーブルへと身を寄せる。
ホログラフで浮かび上がる、敵味方の戦力とその配置を示すシンボルの群へと、ざっと視線を走らせた彼は、
利かん気の強そうな印象を見せる直線的な眉目をしかめさせ、口を開く。
「……妙なことをする。 何故、足並みを揃えて進軍して来ないのだ」
怪訝そうな声と表情を露わにしながら、イザークは疑問を口にした。
敵軍の布陣に、纏まりが見られないのだ。
先行する艦隊の戦列には、随分と前後に伸びているように見えたし、
その後方に位置する後発の艦隊は陣形をしっかり固めてはいるものも、前の艦隊に大きく後れを取っている。
これの意図を読まんと、イザークは口を固く曲げ、鋭い眼差しで幻光の盤上を睨む。
そこに、彼の横手から身を乗り出してきた褐色肌の青年が、盤上を見ながら言葉を発する。
「どーもこーも、ただ纏まりがないだけじゃない?
先行してる艦隊は二国家の混成なんだし、多分功を争ってるだけだと思うぜ、俺は。
後ろのはー……これも多分、デカブツ空母が足を引っ張ってるんじゃないのか?
わざわざ、たまに足止めて待ってるぐらいなんだからさ。 問題ないっしょ。
まっ、どちらにせよ対処さえ間違わなければ、こっちに有利なのは確かじゃん?」
「どうも腑に落ちんのだ。 何か思惑が隠れているような気がする」
「あったとしても、そりゃ敵さん同士の利害関係だろーよ。
先に飛び込んでいって一番の手柄を取るか、そいつらが失敗した隙に横取りするか、って感じのさあ」
自分よりも格下である証の緑服を纏う青年、ディアッカ・エルスマンの軽口混じりの言葉。
イザークはそれを無礼だと咎めることもなく、神妙な様子で耳を傾けていた。
それもそのはず。 彼らは、今でこそ地位の差は出来たものも、
二年前は同じ赤服を纏い、肩を並べてきた戦友同士だったのだから。
友人の意見には、特に問題があるわけではない。 むしろ、真っ当な推測だとイザークは思ったが、
それでも、何か喉につかえたような違和感は消えず、彼は小さく唸っていた。
「ともあれ、我々がすることは大体決まっている。
後方の艦隊が追いつくまでに、こっちが前進して先鋒を叩くほかない。
戦列が伸びきってる間に、さっさとだ。 合流されては手が付けられん。
…先日、こいつらが見せ付けてきた演習での空母の運用法から考えれば、
MS部隊だけではなく、例の大型MAも多く保有している可能性が高いからな」
青く輝く盤上に、ついと軌道を描くように指を滑らせながらのイザークの説明に、
だな、とディアッカは簡潔に同意しながら一つ頷く。
横に流した視線でそれを確認すると、イザークは身を乗り出していたテーブルから離れ、踵を返す。
「――出るぞ。 ディアッカ。
艦長、あとの指揮は頼む。 以後はゴンドワナの指揮下に入るように」
「仰せのままに。 んじゃま、行きますか!」
「はい、お任せ下さい。 御武運をお祈りします、隊長」
口元に好戦的な笑みを深く刻んだディアッカは、
返事も待たずにシャッターへと向かうイザークを追い、自らも床を蹴って勢いをつけ、無重力の中を飛んだ。
そんな青年二人の背中を、艦長は敬礼をしながら見送っていた。
「お前さ、イラついてる? もしかして」
格納庫へ続く通用路を進み行く途中、ディアッカは目の前に浮かぶ白軍服の背中へと言葉を投げかける。
それは、ブリッジで交わした会話の声色、立ち振る舞いに見え隠れする荒々しさからの推測で。
移動中少しも口を開かない彼へと、なあ、ともう一度声をかける。
「――あの時だ。 あの時、俺たちの行動がもっと迅速ならば、こんな事態にはならなかったんだ!」
しばしの沈黙のあと、苦いものを吐き捨てるかのようにイザークは言い放った。
それは、いつ何時の、何のことかを示す言葉を含まない内容だったが、
聞いた先から瞬時に理解したディアッカは、苦い笑いを見せた。
「イザーク、それを今言ってもどうしようもないぜ。
あん時どんだけ頑張ったって、移民船団全てを守れたとは思えないし、
例え被害を百分の一以下に抑えられたとしたって、イチャモン付けられてる現状は変わんねーだろうよ。
今は目の前に集中しなきゃな。 クールヘッドで行こうぜ、大将」
「そんなのお前に言われんでも分かっている。
分かってるさっ……今は敵の侵略を防ぎ、勝利することこそが我らが唯一の使命だ!
どちらに非があるかだの、どちらに正義があるかなんぞ気にしていられるかッ!
――プラントだけはやらせはせん。 守りきってみせる、絶対に!」
ぎり、と険しい表情で歯を食いしばっていた青年は、吠え立てる狗のように強く叫ぶ。
冷静になれと言われながらも、その態度はむしろ更に油を注いだように激化していたが、
ディアッカはそれを普段通りの反応だと思い――言葉から察するに、冷静になりつつあると判断した。
先ほどまで、燃え盛るようにチリチリと揺れていた、アイスブルーの眼光も幾分和らぎ、
知性の輝きを含んだ静かな眼差しで、イザークは正面を見据えていた。
その様子を横から覗き見ていたディアッカは、片眉を上げておどけたような笑顔を浮かべると、大仰に息をついた。
「やぁれやれ、手間かかるぜホント」
「貴様ァ! 一体誰のことを言ってるッッ!!」
一方、プラントの防衛線へ向けて進撃し続ける地球連合宇宙軍艦隊。
中でも一番先頭をひた走っていたのは、ユーラシア・東アジアの混成部隊だった。
その旗艦であるアガメムノン級宇宙母艦のブリッジ内では、艦隊司令が副官へと不満を零していた。
「――全く、一体何をもたついているのだ? 大西洋連邦は。
我々に追いつくどころか、距離は開いていく一方ではないか」
「連絡によりますと、例の新造空母にトラブルがあったとの理由で、行軍が遅れているとのことです。
例え今から速度を上げたとしても、こちら側の戦線への合流は相当遅れるかと予想されます……」
「はっ、所詮は図体ばかりの見掛け倒しだったか。
しかし、そんな役立たずの不良品を、この重要な戦に持ち込んでくるとはな……」
副官の報告内容を鼻で笑った艦隊司令は険悪な表情を浮かべていたが、やがて考え込むかのように瞑目する。
「もういい。 連中に手柄を分けてやる必要はない。 戦闘後にゴミ掃除でもさせておけ!
――作戦は我々だけで遂行するぞ。 状況開始だ。各部隊に出撃命令を出せ!!」
彼の命令はほどなくして統括下に置かれた部隊全体へと伝わり、
方々の戦艦から次々とMS部隊が射出されていき、やがて巨大な群を構成していった。
対して、ザフト側もそれと大差ない時刻には、既にMS部隊を展開していた。
両軍とも真っ向から向かい合い進軍を続け、相手が射程内に入ったところで、砲撃を開始する。
巨大な流星のように空間を焼いて迸る、敵味方の艦砲射撃を掻い潜りながら鉄人形たちは飛び交い、舞う。
早くも最前線は、混戦模様になりつつある状況で、
遠距離射撃をしのいできたMS同士が、近接武器で鍔迫り合う光景すらみられていた。
敵機体が爆散したことによるものなのか、あるいは味方のものなのか見分けの付かない爆塵を突き抜け、
スカイブルーカラーのスラッシュザクファントムが、アックスを横手に構えながら敵へと向けて肉薄する。
部隊の前衛を張っていたダガーLが繰り出してきた斬撃を、身を捻っただけの最低限の動きで避け、
そのまま部隊の中核に向かって走り、後方に控えていた射撃手のダガーLへ向けてポールアックスを振るう。
ドッペルホルンを構えていた射撃手は、そのスピードに対応しきれず抵抗出来ないまま、一薙ぎで胴を両断された。
「でぇぇぇいっっ!!」
青色のザクファントムを駆るイザークは、己の闘志を鼓舞させるように吼えながら、戦斧を振り翳す。
ぐるりと大きく半回転、機体を後方に振り返らせる動作の延長線上、
弧を描く軌道で横に振られた戦斧が、ザクファントムの背後に迫ってきていた前衛のダガーLの腕を断ち切った。
相手が一瞬怯んだ瞬間、訪れた僅かな空白を破るように、
ザクファントムの肩部に積まれたガトリングビーム砲『ハイドラ』が、紅色の火花を撒き散らした。
「数に怯むな! なんとしてでも押し返すんだッ!!」
敵MS部隊の陣形の只中に飛び込んでいっては内側から突き崩す、危険極まりない奮戦振りを見せる彼は、
自分の指揮下にあるMS部隊全体へと、喝を入れるように呼びかける。
彼の戦い方は、おおよそ一つの部隊の指揮官とは思えないほど大胆なものだったが、
元よりその実力に尊敬と信頼を置いている部下たちは、彼の獅子奮迅の活躍に奮起していく。
迫り来るMSを、その後ろに控える艦艇を次々と撃破していくザフト勢。
だが、敵軍はそれを上回る勢いで、湧き出るかのように後方から続々と姿を現し、彼らに襲いかかって来る。
『くっそ、キリがないぜェこりゃあ!!』
味方機に襲いかからんとしていた敵機を、横合いから撃ち抜きながら、
ディアッカは多くの敵が飛び交う周囲を見渡し、呻くように毒づく。
現在のところはまだこちらが優勢なのだが、このまま絶え間なく増援をぶつけられ続ければ、
ザフト側の戦線が崩れる可能性は高く、しかもそう遠い先の話ではないと思われていた。
――更に、ずっと後方ではあるが、かつて辛酸舐めさせられた相手、大西洋連邦が迫りつつあるのだ。
その事実はザフト兵たちの心深くに根差す恐怖心と怒りを刺激し、焦りをも生み出していった。
「防衛線を崩すな! 絶対死守だッ!!
もうじき、こちらにも後続が到着する。 それまで敵に抜かせるなよ!!」
焦燥の色見せる部下たちを叱咤しながら、イザークは眼前のダガーの半身をシールドごと断ち切る。
――本当は、自分こそ現状を呪い、喚き叫びたかった。
この絶望的な戦況で、自分の大事な部下たちが、果たしてどれだけ生き残れるのだろうかと思えば。
しかし、感情のままにそうしたところで現状が好転するわけでもなく、
むしろ味方の士気を著しく下げる行為だということは、彼も十分に理解していた。
だから彼は、口を開く代わりに武器を振るい、呪詛を唱える代わりに雄叫びを上げる。
自らの恐怖心を、そのまま恐怖の対象へと叩きつけることで、今の自分に不必要な感情を全て戒めていた。
チカリ、チカリと。 星が輝くには強く大きく、あっという間に闇に飲まれる儚い輝き。
今そこで破壊と殺し合いが繰り広げられている事を示す狂光が、次々と瞬いては消えていく場所、
遠く離れたそのフィールドを、隕石群に船体を紛れさせながら潜む10隻ほどの艦艇。
エンジンをすべて止め、音も熱も抑えた状態で隠れていた母艦から、静かにMSが射出されていく。
見るからに携帯性に難のありそうな、長方形に近いフォルムの大型ミサイルランチャーを肩に担ぐ、ダガーL部隊。
それらもまた、帯のように広がる小隕石の海に紛れながら、ゆっくりとプラント目指し、進み始める。
「さあて、一気にケリをつけてやるぞ」
離脱していくMS部隊を見送りながら、ブリッジの艦長席に座る指揮官は、ニヤリと不敵な笑みを見せた。
――彼らの行動が成功すれば、この戦争は自分たちユーラシア連邦の大勝利に終わると確信しながら。
大西洋連邦の音頭によって始められたこの戦争、実は主戦派国家からも歓迎されていない部分があった。
その理由は、時期尚早。
先の大戦によって疲弊した国力と戦力を、回復しきっていない国家から発された意見だった。
彼ら、ユーラシア連邦もそんな国家の一つで。 大西洋連邦からの共闘の打電に、当初は難色を示していた。
前大戦で、本土を主戦場としたために多大な被害を被ったユーラシア連邦は、
戦前のレベルまで国力を回復するのに十数年はかかると予想されていて、戦争を行う余裕など無い状態だった。
しかし、彼らの意見は後に一変し、開戦賛成派へと回ることになる。
大西洋連邦から囁かれた内容……それは今回の戦争に勝利した暁には、
戦功を考慮したうえで、最も勝利に貢献した国にプラントから奪った利権、資源等の優先分配を約束する内容だった。
この甘い囁きに突き動かされたユーラシア連邦は、戦列に加わることを決めた。
もしも一番功を手にすることが出来たなら、国力は以前の水準に回復するどころか、それを超えるものになるだろう。
その可能性に賭けた彼らは、他に比べてやや劣る戦力をどのように活用するべきかと模索していく。
国力に乏しい彼らにとって特に避けたい事態は、長期戦と消耗戦。
特に長期戦は戦艦や兵器、弾薬の数、果てには燃料すら若干心もとないユーラシア連邦にとって、特に危険だった。
……故に、必然的に導き出されたのは、奇襲による短期決戦という策。
敵の虚をついてプラント本土へと踏み入り、
首都アプリリウスと、食糧生産プラント群であるユニウス市を襲撃し、プラントの生命線を絶つ作戦だった。
司令を下す頭脳と栄養さえ奪えば、プラントはあっという間に戦闘続行不可能となり、降伏するだろうという算段だ。
しかし、この作戦を行うには相応の力が必要だった。
防衛線を突破し、かつ宇宙に人間の居住空間を作り上げる、巨大で堅牢なオブジェを破壊しなければならないのだから。
そこで計画に上がったのが、少数部隊でも運用可能な『核兵器』による奇襲という案。
核ミサイルならばプラントを破壊することが可能という事実は、血のバレンタイン事件で既に明白となっている。
完璧な作戦かと思われたが、ここで一つの問題が浮かび上がってくる。
核ミサイルの不足――正確に言えばNJC(ニュートロンジャマーキャンセラー)の不足だった。
現在、地球とその周辺宙域では『核』を利用した兵器や機関は、使用不可能な状況になっている。
それは、地球連合の手による核ミサイル攻撃で、ユニウスセブンを破壊されたプラントが行った報復措置……
核分裂を抑制するフィールド発生装置、ニュートロンジャマーの存在によるものだった。
例外として、先ほど述べたNJCを搭載すれば核分裂を阻害されることもなく、正常に起動するのだが、
これは開発されて間もない技術であり、更に極稀少なマテリアルで製造するせいもあって、普及していないのが現状だ。
現に、ユーラシア連邦もほんの僅かにしか所有しておらず、必要数のプラントを破壊出来ない懸念があった
そこで彼らは、NJC開発技術とレアマテリアルを独占する大西洋連邦へと、協力を要請した。
NJCの提供、ないしは同装置装備の核ミサイルを提供してほしいと。
地球連合における、対プラント主戦派国家の筆頭である大西洋連邦ならば、力を貸してくれると踏んでの交渉だった。
しかし、大西洋連邦の反応は予想に反して、芳しくないものであった。
食糧生産プラント等、宇宙活動において必須な重要施設をあまり失いたくないと言うのが、彼らの意見だった。
だがここで、はいそうですかと引き下がっては話は進まない。
今回の作戦は大西洋連邦の協力なくしては、失敗するのは目に見えていたからだ。
ユーラシア連邦はなおも食い下がり、自分たちは多くを破壊するつもりはないという意志を示し、
同時に、無益に味方の命を散らすことなく勝利を掴むには、少々荒っぽい戦術は必要だとも告げる。
交渉は最終的にどうなったかと言うと、折れた大西洋連邦側がNJC装備の核ミサイルを提供する形で収まった。
とりあえず武器だけは提供するから、あとはそちらの裁量に任せるとだけ伝えて。
ユーラシア側としては、戦術にああだこうだと口出しされることを覚悟していたので、
あっさりとした大西洋連邦の態度に拍子抜けしたものも、これはこれで好都合だと考えた。
東アジアや大西洋連邦を上手く囮に使い、こちら側はその虚を突いて作戦を実行すれば、
自分たちの被害を最小限に抑えた上で、プラントを屈服させることも十分可能だと。
――もしこの作戦でプラントの中枢機能を壊滅出来れば、自分たちだけで手柄を独占することも夢じゃない。
不意に目の前に転がり込んできた名誉と富を得るチャンスを前に、ユーラシア連邦の上層部は息巻いていた。
ユーラシアが命運をかけて立ち上げた作戦を取り巻く現状は、今のところ順調。
ザフト防衛部隊は、現在地球連合軍が押し寄せてくる方面へと集結している。
対して、核ミサイル攻撃部隊はそちらとは正逆の方向に位置するデブリ帯の中。
核ミサイル装填済みの、大型ランチャーを装備したダガーL部隊が飛び立った後、
彼らの母艦もまた、石礫の海からゆっくりと離れ、後に続くように進み始める。
もし、攻撃部隊に与えた弾頭が不足するようならば、艦に積載した予備弾頭を速やかに補給させるためだ。
両軍入り乱れる戦線から遠く離れたこの宙域にはザフトの艦影も、MSの機影すら見当たらない。
その状況が逆に安心できないのか、艦長はしきりに索敵オペレーターへと報告を求める言葉を投げていた。
「我が国の前線部隊と、後方の大西洋連邦の軍勢に注意が向いてるとはいえ、厭なものだな。この空気は」
「確かに、順調に事が運び続けると、逆に恐ろしくなってくるものです。
しかし問題ないでしょう。 容易な任務だと高を括るよりは、細心の注意を払う方がよろしいかと」
眉間に気難しそうな皺を刻みながら、小さく唸る艦長へと、副官はなだめるように話しかける。
そこで、間髪入れず響き始めた電子音。 続いて索敵オペレーターが、緊迫した面持ちで艦長を仰ぎ見た。
「艦長。 ザフト軍の一部が反転し、こちらに接近しつつあります」
「ふむ、流石に気付いたか。 ……だがまあ、遅過ぎたな。
MS部隊へ伝達! 全速力で進撃せよ!!
今なら敵が到達する前に、プラントを射程圏内に収められるぞ!!」
艦長の朗々たる声に触発されたかのように、ブリッジ内はにわかに喧騒の場へと姿を変える。
「――何ィ!? 核攻撃部隊だとぉ!!?」
コンソールモニターの一角に表示された、通信文の内容にイザークは驚き、そして怒りを露わにした。
それは、ザフト全軍に向けて発信された指令――
極方向からプラント目掛けて迫ってくる、ユーラシア連邦の核ミサイル装備部隊の迎撃命令だった。
ザフトは、押し寄せてくる地球連合軍艦隊の物量に、目を眩まされていたのだ。
戦力を配置していない死角方向から突き進んでくる、その部隊の狙いは間違いなくプラント本土の直接攻撃。
しかし、それに気付いた時には既に遅く、核攻撃部隊とプラントの間の距離は、相当狭まっていた。
「くっそおぉっ! 絶対に撃たせてなるものかぁッ!!」
機体を反転させたイザークは、背部のスラスターを全開まで吹かし、宇宙空間を疾走する。
彼の蒼いザクの背を追って、周囲の機体も次々と身を翻し、プラントの方向――その彼方を目指す。
先ほどまで最前線で戦っていたジュール隊だったが、今は補給とほんの僅かな休息のために後退したところだった。
他の部隊と比べてプラント側に比較的近い位置に居たイザークは、命令を聞くが否や部下を引き連れて転進する。
近いとはいえ――間に合うかどうか、可能性は決して高いものではなかった。
しかし、彼を含めてザフト軍の兵は迷う時間すら惜しむかのように、新たな脅威に対して躊躇いなく立ち向かう。
その場に居る、全てのコーディネーターの脳裏に浮かんでいるであろう記憶……
地球連合の核攻撃によって砕け散ったユニウスセブンの映像に衝き動かされながら、兵士たちは戦場を走った。
機体スペックの限界値すれすれの加速度を維持しながら、暴れ馬のように振動する乗機をなんとか制御しながら、
先陣を切って疾っていたイザーク機のレーダーに、敵機の存在を示す光点が徐々に姿を現していく。
敵の編成は送信されてきたデータの通り、先行する数十機単位の核装備MS部隊と、その後方に位置する10隻ほどの艦艇。
「っ、あいつらだな……」
真正面に見える機影を見とめてから、イザークは自分の愛機の状況をざっと確認する。
既に補給を終えていたので、バッテリーと武装の残量は十分。
しかし、ここに辿り着くまでに無茶をし過ぎたせいか、スラスターを含めて幾つかの箇所に異常が出始めている。
今のところはさほど差し支えないだろうが、いざという時にトラブルが起こる可能性も否定出来ない。
横手のモニターへと視線を流し、その内容を確認していたイザークは、一つ舌打ちをすると前に向き直る。
――この状況で、もしも核ミサイルが飛来してきたら?
ふと予想した、最悪の状況を頭に思い描いたイザークは苦々しい表情で歯を食い縛っていたが、
やがて、脱力したように眉目を緩めると、口元に微かな笑みを浮かべた。
その時は、持てる武器全てを使って一つでも多く叩き落すまでだ。
弾薬が尽きれば斧で切り裂けばいいし、斧がへし折れれば身体ごとぶつけて、弾頭を握り潰せばいいだけ。
自分の身一つで少しでも被害を防げれるのならば、あとはどうなってもいい。
極限の状況下で彼は、恐怖心の麻痺した頭でそう考えていた。
核兵器を担ぎ押し寄せてくる敵機と、特攻同然の勢いで立ち向かっていくザフト軍。
その間には、転進してきた部隊よりも先に到着していたらしき、3隻のナスカ級戦艦が並んでいた。
しかし、そこに居るべき僚機は一切見当たらず、戦艦に至っては砲門を回頭させる素振りすら見せない。
ただ、何をするわけでもなくその場に居るだけなのだ
イザークはその味方部隊の異常な行動に、怒りを覚えると共に異様さを感じるが、
少なくとも、あの数では核攻撃部隊を止めることは出来ないだろうと考え、存在しない戦力と片付けた。
「おおい、イザーク! ちょっと前出過ぎだぜェ!!
こっちはお前ほど無茶苦茶に動けないんだからさぁ!!」
『今は律儀に隊列を整えてるような状況ではない!
いつ相手の攻撃が始まってもおかしくない距離なんだ……早く潰さねばならん!!』
前方を駆ける蒼いザクファントムから返ってきた返事は、怒鳴り声同然で。
先に言葉を投げかけたディアッカは、鼓膜を震わせた大音量に顔をしかめ、そして肩をすくめた。
軍司令本部から伝えられた、核攻撃部隊出現の報を聞いてすぐに動き出した彼らの指揮官は、
危なっかしいほどのスピードで先陣を切っていき、皆はその後に続く形になっていた。
迫り来るデブリや石礫を減速一つせずにかいくぐっていくその姿を見たら、間違いなく整備班の人間は蒼ざめるだろう。
スクラップにする気か、と悲鳴を上げる姿を頭の片隅で想像しながら、
ディアッカは空いた方の片手で、しきりにコンソールを叩き続けていた。
無数のコードと識別記号を表示する、通信システムのモニターへと視線を流していた彼は、
目当ての記号羅列を探し当てると、すぐさま通信回線を開いた。
「こちらジュール隊所属パイロット、ディアッカ・エルスマンだ。
哨戒機、応答願う。 別働隊の動きを報告してくれ」
ディアッカが通信を送った相手は、核装備の別働隊を発見した哨戒機だった。
発見後、間違いなく情報収集するために追跡任務に当たっているだろうと予想しての行動。
……その予想は的中していたらしく、僅かな間を置いて、彼の求めた情報が通信に乗って飛んでくる。
『…現在のところ、プラントへ向けて進軍中。 撃つような挙動は見られない。
だが、つい5分前ほどから進軍速度の加速を確認している。 そろそろ、やらかすかもしれない』
「了解、教えてくれてありがとよ。 急いで現場に向かう」
哨戒機からの、緊張の色を含んだ応答に、ディアッカは短い謝辞を添えた言葉を返した。
とにかく、今はまだ決定的な事態は起きていないようだ。
そう受け取ったディアッカは、聞いた内容をイザークへと伝えるべくコンソールを操作し始める。
――血気盛んな友人が指揮官だと、副官である自分が色々と気を回さなければならない。
苦笑い交じりに、そんな事を考えていた彼。
前方をひた走る指揮官を名前で呼び、注意を引こうとしたその時、
『――ッ! 敵別働隊の核ミサイル発射を確認!!
繰り返す、敵は核ミサイルを発射した!!』
『何ぃッ!!?』
「くそっ! あと少しで到着するところだってのに!!」
未だ回線を繋いだままだった哨戒機から、伝わってきた報告。
それをディアッカの回線を通して聞いたイザークが、叫び声を上げる。
敵が存在する方角を見れば、先ほどまでは見えなかった光点が闇の中でチカチカと瞬いていた。
その数は10ほどか。 近づいてくるミサイルが目指しているのは、間違いなく自分たちの後方に広がるプラント群。
――プラントの食糧生産を一手に担っている農業プラント群、ユニウス市が敵の狙いだった。
「間に合えぇぇぇッッ!!!」
姿を現した光点の群れへと向けて、蒼のザクファントムは戦斧を振り上げ、疾りだす。
ミサイルと攻撃対象のユニウス市との距離は、無慈悲にも縮まり続ける。
残された僅かな時間で全てを叩き落せるか――何発止める事が出来るかすら分からない。
少しずつ鮮明になっていく光点に、眩い閃光の幻影が、へしゃげ折れていくプラントの姿が重なって見える。
――今まさに、ユニウスセブンの悪夢が再び繰り返されようとしていた。
ディアッカの駆るガナーザクが、携えた大型ビームライフルの銃口を正面へと向け、トリガーを引く。
後続のジュール隊所属のパイロットたちも、迫り来る核ミサイルへ向けて、雨霰のように激しい火線を放つ。
イザークは一刻を争う状況に戦慄を覚えつつも、己の闘志を鼓舞させるように猛り叫び、
プラント目掛けて飛来してくるミサイル群へ向けて、ビームガトリングガンを撃ち続けた。
――次の瞬間。 目の前いっぱいに、紅色の稲妻が蜘蛛の網のように広がる。
突然生じた輝きに、反射的に細められたイザークの瞳に飛び込んできたのは、宇宙に咲いた無数の光の華だった。
それは、空間を走り抜けた閃光の網に絡め取られた核ミサイルが、それを撃ったMSが、
はるか後方に控えてきた、連合の戦艦までもが爆発した光だった。
しかし、その爆発の規模は、明らかに通常の域を超えていた。
このような爆発が傍で起きれば、堅牢なプラントといえど吹き飛んでしまうかもしれない。
そんな事を思いながら、突然の百花繚乱の光を呆然と眺めていたイザークだったが、
ふと、真顔に戻ると瞼を伏せ、考え込む。
「――まさか、暴発したというのか?」
一つの予想に辿り着いた彼は、それでも納得がいかないような表情を見せながら呟く。
暴発する原因が、正確にはそれが艦隊に積載された物を含めて、
全ての核兵器の間で起こったことに対して、不可解だと感じていたのだ。
難しく眉間に皺を寄せながら思考し続けるイザークだったが、その元に届いた通信で我に返る。
『なーんか、よく分からないうちに、どうにかなったみたいだな?
んでイザーク、どうするよこれから?』
「……とりあえず今判断出来るのは、先ほどの原因不明の爆発で核攻撃の危険性が消えたことだけだ。
引き返すぞ! あとは残った連中を押し返すだけだッ!!」
自分の部下たちへと向かい、高らかに宣言すると、イザークは機体を転進させる。
彼のあとに続き、MSの群れはもと来た道を引き返していく。 次なる脅威を、殲滅させんと追い求めながら。
程なくして、核攻撃隊の消滅の報を受けて浮き足立ちはじめた連合軍は、ザフト軍の攻勢に圧されはじめる。
逃げ腰の体を晒す連合艦隊へと、ザフトは容赦なく攻撃を重ね、相手を駆逐していく。
そして、ついに追い込まれた連合軍は、撤退を開始した。
『敵攻撃軍、撤退を開始しました! プラント群は全て無事です!!』
「虎の子のニュートロンスタンピーダーを出したかいがあったな!
ナチュラルどもめ、奇襲が失敗した途端、ここまで逃げ腰になるとはな」
「一度撃退すれば、次からはそうそう攻め込んでは来ないだろう。
初戦は我らの勝ちだな!!」
軍本部からの報告に、議長の執務室に集っていた評議会議員たちの間から、歓声が上がる。
最初の勝利と、プラントを襲った核攻撃部隊を退けた達成感が、彼らの心を沸き立たせる。
しかし、その空気の中。 デスクに鎮座したまま顔を伏せて黙していた部屋の主は、鋭い声を発する。
「まだだ、後続の大西洋連邦軍の存在を忘れるな!」
部屋の主である彼、ギルバート・デュランダル議長の言葉に辺りは静まるが、
人々の間には、考え過ぎだと言わんばかりの不遜げな表情を見せているものも少なくはなかった。
集まる視線を気にする様子もなく、デュランダルは傍に控えていた男へと言葉を投げかける。
「各部隊、すぐに補給と修理を行わせてくれ。
それと大西洋連邦軍艦隊の位置を急ぎ調べるように」
デュランダルの指示は、国防委員を通じてすぐさま軍本部へと伝わる。
――その数分後、軍よりもたらされた情報は、室内に奇妙な空気を生み出した。
『大西洋連邦軍は、前線艦隊の撤退の直前に、既に反転を開始していた模様です。
ルートからして、恐らくはアルザッヘルへと帰還しようとしているかと……』
「――なんだと? 一体どういうつもりだ…」
その内容は、問いを投げたデュランダル自身の予想の範疇に含まれなかったもので。
部屋の中にいる誰よりも、戸惑うような表情を見せながら首を傾げていた。
288 :
あとがき:2006/10/27(金) 22:56:37 ID:???
超難産な作品で疲れ果てましたな舞踏の人でございます…(ガクリ
ようやっと開戦編に入れました。 アニメでは9話辺りでしょうか。 話の展開が遅過ぎます(汗
アスカガ描写が多いのは作者の趣味です。 時間と愛情を篭めてぎっちり書いてしまいました。
連合は…はい、狐と狸の化かし合いですwお互い利用して出し抜くことばっか考えています
次回も、プラントに渡ったアスランを中心に話が進んでいく予定です。
シホが思ってたのとずいぶん違うキャラで驚いた
シホの場合はゲームが原作にあたるのか?
>>289 本編に名無しで登場後、やたらファンが付いたらしく
急遽名づけられた…という経歴らしいから
一応は本編キャラなんでね?
こんな謎だらけの大西洋連邦が見れる日が来るとは・・・マジで展開が読めねぇ・・・
いったいジブリールとキラは何たくらんでんだよ! 滅茶苦茶先が気になるじゃねーか!
そしてマユの影の薄さにはひどいものがあr(ry
「ここが置手紙に書いたあった神殿だな。」
アスランが目の前の巨大な建物をみて言う。
MSほどの大きさはあろうかと思われる扉のついている、白い大理石でできた建造物の前にいた。
だがそれは夢の中らしく現実味のない騙し絵のような外見である。
「扉開くのかな?」
マユが少し不安そうに言う。
【おっきい。】
ステラがスケッチブックを掲げる。これで会話しなさいとスティングに手渡されたのだ。
とりあえず、真っ先に進んでいたアスランが扉を押してみる。
「ん・・・・っ!!だめだ・・・・開かない・・・。」
なので今度はアスラン、グレイシア、アウルで押してみた。
「そりゃっ!!」
「えいっ!!」
「でぇいっ・・・・・!」
だがそれでも扉は開かない。
「まさか引き戸とかそんなオチか?」
「それは多分ないと思う。全員で押してみよう、幸いほとんど男性になったし。」
ため息交じりのスティングにゼロは答える。
全員で扉に手をつく。
「「「「「「「いっせーのーせっ!!」」」」」」」
ギィ・・・と巨大な音を立てて扉は・・・・開かなかった。
ドタバタドタンッという全員が勢いつけすぎてあっさり開いた扉と共に倒れこむ。
ほぼ全員顔面をぶつけている。全員言葉にならない痛みのせいでうずくまっている。
数分してから全員立ち上がった。
「・・・・・全員だと多すぎたんだな。」
ルナマリア(男)がぽつりとつぶやく。なんとも言えない空気が周りに流れる。
「先に進もっか。」
ふとだれかたつぶやいた言葉に全員なにも言わず巨大な廊下を走り出した。
「だせー!!ここからださんかたわけー!!」
「ミーアが!!ミーアがたいへんなことにー!!」
「おじょうさまー!!」
「せまいんだよここー!!」
「このすがたまぎうすすたいるのアルみたいだー。」
かわいらしい声で文句がきゃーきゃーと聞こえる。
それを聞いているのはアズラエルは豪奢な椅子に座ってラスボス気取りだった。
目の前にはマユ達の様子が映っている巨大なモニターが。
「ふふふ・・、無駄ですよ。今の君達はお人形さんのようなものですからね。」
アズラエルの横には巨大な水晶玉があった。
そしてその中には手のひらサイズにかわいらしくデフォルメされたMS達がいた。
擬人化バージョンでSD化されたような外見でふわふわ飛んだりどうにか出ようと暴れていたりする。
「だいたいこのすがたはなんなのだ!わらわはこんなじぶんのすがたはみたことないぞ!」
赤い羽根から炎を出して飛んでいるデスティニー、先ほどからさんざん体当たりしていたのか少しボロボロである。
「うむ、どうやらあのおとこ。シンハロにつかった手段とおなじものをわれわにもやったようだ。」
レジェンドがふわりと飛んで来た。
「シンハロのばあい経験やせいかくプログラムを吸い取られたがわれわれのばあいせんとうようのプログラムのぬかれたのだ。
ゆえに!!せんとうするためのものであるわれわれMSがそのそんざいのめいんであるせんとうプログラムをぬかれたとき!!
こんなあいらしいすがたになってしまったのであろう!!さすが余!みごとなすいり!」
「ひらがなばっかりでちょうぶんはよみにくいですあにうえ!!あとあんまりすいりとかそんなかんじではありませぬ!!」
二人がぎゃーぎゃー騒いでいるとモニターのマユ達が立ち止まる。
どうやら最初の敵にたどり着いたらしい。
「最初の敵ってだれだろう。」
カルマがふと呟く。
扉をくぐるとそこはコンサートに使われるセットの巨大なホールだった。
「たつのおとしごだろう。七将軍で最初にやられるといったら。」
そして印象に残らない、とミーア(男)が付け加える。
「まぁどっちにしろ袋叩きだな!」
爽やかにシンが言う。
『こらー!!主人公サイドが卑怯でどうするー!!』
突然聞こえる声。ハイネの声だ。
「・・・・ハイネ、いま突っ込みいれた?」
「まさか、俺も袋叩きする気満々だし。」
『ひでぇ!先輩がそんなんだから部下もそうなるんスよ!』
ハイネは喋っていないのに、ハイネの声が聞こえる。
「・・・ミゲル、バイトってこんなことだったのか?」
『いや、結構おっさんのアホに付き合うだけでいい給料もらえるんっすよ。』
ハイネが声の主の名前を呼ぶと、とつぜんステージの右斜め上にスポットライトが当たる。
『はーっはっはっはっは!!よくきたな!!』
その声とともになにやら派手な衣装をきた青年がワイヤーでステージまでフライングする。
「ジャニー○かよ!!」
「打ち落とせ!!打ち落とせ!!」
全員手に拳銃をもって打ち落とそうとするが、器用に相手はひらりひらりと避ける。
『はーっはっはっはっは!!』
笑いながらひらりと華麗にステージ中央に着地。
『七将軍が一人、【ボイス】のミゲル・アイマンのステージへようこそ!!』
激しいエレキギターの旋律とともにステージのライトが全てつく。
そしてスモーク、うしろでは花火があがってモニターにはミゲルのドアップが。
「なんだ、私のコンサートのほうが派手じゃないか。」
『何?!そこの男何者なんだ!!』
ふん、と鼻で笑うミーア(男)、ミゲルは自分のステージを嘲笑されて憤慨している。
誰なんだ、という質問に全員顔を見合わせてから、声を合わせて言う。
「「「「「「「「「ラクス・クライン。」」」」」」
『嘘つけ!どう考えてもテニス部の部長みたいな声してねぇよラクス・クライン!!』
そんなこといわれてもなぁ、と思う全員。
「とりあえず!ミゲルとやら!!そこを通してもらうぞ!!」
何気にのりのりなルナマリア(男)が構える。
それに続いて全員それぞれ戦闘の姿勢に入る。
メイリン(男)は非戦闘要員なので隅っこに避難した。
『甘い!ここは【ボイス】の結界に包まれている。もうお前達の仲間にも効果が出ているぞ。』
しかし多勢に無勢ながらもミゲルは余裕の表情を崩さない。
「どういう意味だよ!」
『ふ、お前の隣のつんつん頭を見てみな!』
アウルがそう言われて隣にいるスティングを見る。
「ぐ・・あ・・・・あぁぁぁぁぁ!!!」
「スティング!!」
ステラ(男)が思わず声を出してスティングに駆け寄る。
彼が頭を抱えて苦しそうに頭を抱えてうめいている。
「お・・お・・・・・・・・。」
「「お?」」
何か言いたげなスティングにステラとアウルは耳を傾ける。
「お・・・俺様の美技によいなぁぁぁぁ!!」
「うげぶっ!!」
突然起き上がったスティングの頭がアウルに命中する。
「な・・・・・!一体何なんだ!!」
アスランがスティングを羽交い絞めにしながら言う。
『ならば教えてやろう!!この空間は声・・つまり声優ネタを活性化させる力があるのだ!!』
「・・・・あんまり期待していたよりかっこよくない。」
アキラがため息をつく。
『黙れ!ほぉら!!そこのスティングとか言う奴とアスランは既にテニスの試合を始めちまったぜ!!』
パコーンパコーンとラケットでボールを打つ音が響く。
「うわぁぁぁぁ!!ハイネが脱ぎ始めた!!そしてネクタイをどこから?!」
「ホワイト○レス歌いだすぞ!!」
「ステラが・・・・!!いやだぁぁぁぁ!!」
中の人などいないオリキャラであるハイネ隊も暴走するメンバーにてんてこ舞いである。
『さーて、俺もいかせてもらうぜ!!今日の一曲目はお馴染み「ミーティア」!!』
てんてれれ♪てててってって♪×2ちゃーらーらーらーらーらーらー♪と前奏が流れ始める。
「・・・・嫌な予感がする。」
アキラがふとつぶやく。
『ふれててもーつめたいゆびさきー♪こおりついたーつきにてらされてー♪』
「グレイシア・・・・ミーティアってどういう意味だっけ?」
「隕石よ。」
天井からゴゴゴゴゴゴ・・と音を立てて灼熱の隕石が落ちてくる。
「「「「「「「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」」
一部の人間は理性を取り戻し逃げ惑う。
『ひびわーれたーこころがー♪もえつきるよるをだくけどー♪』
「スティングたちまだテニスやってるぞ!!」
「映画版のノリだな!!」
「あ!!恐竜が絶滅した!!」
隕石を絶妙によけながらテニスの試合を続けるスティングとアスラン。
だがそんなのは理性を取り戻したメンバーには特に関係なく必死に隕石をよけ続ける。
「・・そうだ!!声優ネタならルナマリア・・・!!」
アウルが某FFのヒロインの最終魔法を思い出してルナマリア(男)の方を向く。
「いや、今はKUSAOボイスだから。白マテリア無理。」
雷剣の兄ちゃんも忍者カエルも隕石は止められないなーと答えるルナマリア(男)。
「隕石・・星・・・・・おいミーア!!お前の今の声確か・・・二代目のさぁ・・!」
そう言うとジョーは頭の上で腕をクロスさせる、するとミーア(男)は何のことか理解したらしい。
「嫌だ!!できれば初代がいいんだ声優は!!」
しかしわがままを言うミーア(男)。
「文句いうな!!新声優さんだっていいじゃないか!!皆気合いれて演じてくれてたじゃないか!!
この状態じゃ全員やられるぜ?!ほのぼのマユデス冥王ハーデス編に突入だぜ?!」
ジョーの説得に納得したのかミーア(男)は悔しそうな表情をしながら言う。
「くぅぅ・・・・・・・声は二代目でもこのミーア・キャンベル!!魂は初代にささげます!!」
そう言うとミーア(男)の周囲の空間が変わる。そこは、星が浮かぶ宇宙だった。
「え・・・?!あれやっちゃうの?!」
「だって星砕いてるじゃん!!」
【おこられそう・・・・。】
もうかなり切羽詰った状態のせいか大慌てしていて誰も困惑するが止めようとはしない。
「見るか・・・・星々の砕け散る様を・・・!!」
かなりノリノリでセリフを言うミーア(男)、ミーア(男)が構えるとその体を光が包み込む。
「「「「おぉーー!」」」」」
全員が思わず声を出す。少年の血が騒いでいるらしい。
ゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・。
「食らえ・・・・!!カンブリアン・エクスプロージョン!!」
「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」」」」」」
全員拍子抜けした声を上げる。
そして、次の瞬間ビチビチビチッと音を立てて大量の魚介類が降り注いだ。
「いやーー!!うねうねしてるぅぅ!!」
「服に・・・っ!!服の中になんか入った!!」
プラント育ちのメンバーが大混乱する。生きている魚介類に触るなんて都会っ子は水族館のふれあいコーナーが精一杯である。
「うわ!!カブトガニ?!ウミユリもいる!!こっちはアノマロカリスだ!!」
「お兄ちゃん昔化石とか集めてたからね・・って!!なんでこんな古代の生物が?!いだだだだだ!!」
マユの頭を齧っているアノマロカリスを見て目を輝かせるシン。
頭を齧っているアノマロカリスを必死にマユははがそうとする。
「えーっと・・・昔生物の授業でなんか出てきた気が・・・・・。」
レイが思い出そうとするとゼロが解説を始める。
「カンブリアン・エクスプロージョン、カンブリア紀の大爆発と言う場合もある。
カンブリア紀に入った時、それまで三十種類しかいなかった生物が一気に一万種類に増えたことから
大爆発と呼ばれている。ちなみにこの時生物があまりに大量になったためカンブリア紀が初めて
生物が現れた時期と勘違いされていた。」
「それだそれ、その時のテストの成績70点台だったんでショックすぎて記憶封印してた。」
さらりと嫌味なセリフを吐いて答えるレイ。
ちなみにアスランとスティングはまだテニスの試合を続けている。
二人の周囲ではミーア(男)が召還した古代生物がどんどん進化を遂げている。
「おぉ、さすがテニプリ。すごいな。」
「テニスっつーか、古来中国に伝わる殺人球技『手丹守』って感じだよな。」
メインつっこみのアスランとスティングが暴走中のため突っ込み要員が足りない。
全員が生物がどれくらい進化するか見てみようと思った瞬間。
『ギャーーーーッ!!』
キーンというマイクの甲高い音とともにハイネと似た声の悲鳴が響く。
見ると古代生物達がミゲルの方へにじり寄っている。相当怖い。
「あ、歌がとまったから隕石もなくなってる。」
カルマが天井を見上げて言う。天井は元の姿に戻っていた。
『うわーー!!気持ち悪いーーー!!助けてーー!!』
半べそでわめくミゲル。
「・・・・・・どうする?降伏するかどうか聞く?」
「いや・・、あいつは俺の後輩だ。容赦する必要はない、殺れ。」
ハイネがそう言った瞬間、全員は武器を手にミゲルに向かっていった。
【いきてる?】
ステラ(男)がそう描いたスケッチブックを持ちながら棒で原型をとどめていないミゲルをつつく。
「まったく、あの後アスラン達を止めるのが大変だったぜ・・。」
ジョーがタバコに火をつけながらぼやく。
「ここ広いからシンハロ迷子にもなっちゃったしねー。」
マユがシンハロの頭を撫でながら言う。
「お、アノマロカリスうま!」
カルマが鍋で茹でられたアノマロカリスを食べながら言う。たれはみそだれだ。
「ウミユリも結構いける!」
「クワガタうめー。」
「食べるな食べるなお前ら。」
アウルもカルマと一緒に古代生物を食べていたがスティングに止められた。
「おいミゲル、なんか先に進む扉とかねーのかよ。ほら。」
原型とどめていないミゲルを足蹴にするハイネ。
「うわぁ、死者に対して敬う気持ち全然ないっすね、先輩。」
原型をとどめていないミゲルが蠢きながら言う。
「ハイネー、これ飼っていい?サヤって名前つけるー。」
「だめですアキラ。決して事故にあっても美少女に見えないから。」
「えー?じゃあショットガンで・・・・・。」
原型をとどめていないミゲルはアキラにペットにされそうになったと思いきや退治されそうになる。
原型をとどめていないミゲルは慌てて話した。
「わ・・・解りました!!ここの下にある非常口が次の通路へに入り口です!!」
「おい!お前ら聞いてたか?!行くぞ!!」
「ハイネ!!本当にアノマロカリスうまいよ!!」
「まだ食ってんたんかーーーーーーー!!」
女性陣変身後の声優について決める際のほのぼのの思考。
ミーア:思いっきり元の声はキャピキャピしてるから渋く行こう。
誰にするか?もてあますか?いや、でも・・・・・・。
そうだ!確かおきあゆ結構ジャ○プアニメ出てるし・・・ミーアは渋くこれにしよう!!
メイリン:メイリンはショタになりそうだよなぁ・・・・・じゃあこれでいっか。
ステラ:若本、若本にするか?いやいや、やっぱりメイリンと一緒にショタ・・・いやいやいや。
でも若本はないよな・・。じゃあ緑川でいいか。BLだと受けもやってるらしいし。
ルナマリア:ルナかぁ・・・・、山崎たく○とかかなぁ・・・・でもそしたらどことなくなぁ・・・。
子安はネオのおっさんだし・・・・・。
よし!いっそのこと爽やかボイス!!爽やかな声・・・・・・KUSAOだな!!
あの人自分の知る限りじゃ好青年系しかやってないし!!
単発設定小話 「灰色の戦い 清浄なる世界編@」最終章 16
〜ガーティ・ルー〜
リー「やっと始まったか・・・」
スティング「ああ。・・・宇宙の戦場ってのは憎らしいほど綺麗だな」
〜モニターには戦場のビームの光があわられては消え、収縮と膨張を繰り返している〜
リー「・・・・・・おもちゃ箱で休まなくてもいいのかね、軍曹?」
スティング「・・・っち。・・・へんな隠語使うなよな」
リー「はは、すまんすまん。ついクルーたちが使っている言葉を使ってしまったよ」
スティング「・・・・・・もうあの部屋は・・・いらない。戻ることはないだろうからな」
リー「そうか・・・。よかった、これで我々も全てをなげうって戦うことができる」
スティング「・・・艦長・・・・・・あんた・・・」
リー「まぁ最終手段だよ、それは・・・・・・」
〜モニターに映る光を眺めたままのスティングとリー〜
リー「軍曹・・・・・・デストロイは一部、人口知能を使用しているそうだな?」
スティング「・・・ああ。回避系と攻撃系で一つずつ搭載されている」
リー「ふむ。・・・・・・それを・・・あの二人に任せてみないかね?」
スティング「・・・あの二人?」
〜スティングと顔を合わせ口に微笑を浮かべるリー〜
リー「そう。あの二人、アウル・ニーダとステラ・ルーシェだよ」
スティング「は!?なにいってんだよ?・・・アウルはMSとともに爆死、ステラは目の前できっちり死んでるんだぜ?」
リー「エクステンデットから得られる情報をもとに、人口知能の開発も行っていたんだよ」
スティング「!・・・アウルとステラのデータをもとに・・・・・・人口知能を作ったのか?」
〜リーの顔を驚愕の表情で見るスティング〜
リー「彼らの死は決して無駄ではないことを・・・証明してくれ」
〜スティングに黒いディスクを渡すリー〜
スティング「・・・アウル・・・ステラ・・・、うっ・・・」
リー「気に入ってもらえたかな?」
スティング「・・・リー艦長。感謝する」
〜リーに向かいなおし敬礼するスティング〜
リー「・・・っぷ・・・ははっはっは。くっくくく・・・やめたまえ軍曹。そんなことをするような柄じゃないだろう?」
スティング「・・・そうだな。・・・まぁ感謝だけはさせてくれ」
リー「・・・ああ。・・・・・・・そろそろデストロイに戻りたまえ、軍曹。少尉もすぐに帰ってくるだろう」
スティング「そうだな。・・・なぁ、シンがコーディネイターだってことは知ってるんだろう?」
リー「知っているとも・・・」
スティング「ブルーコスモスのあんたが・・・なぜシンの存在を許容することができる?」
リー「・・・いまさらブルーコスモスのことを語るつもりもないが、そこまで潔癖じゃない人間もいるってことだ」
スティング「ふーん・・・・・・」
リー「少尉はな・・・できそこないのコーディネイターなんだよ。身体能力なんかナチュラルの平均以下だったしな」
スティング「シンがナチュラルの平均以下だって?」
リー「ああ・・・少尉は被害者だ。人の遺伝子を調整するなどという傲慢な考えのな」
スティング「そうか・・・そういう理由か」
リー「もういいだろう、いけ。軍曹」
スティング「・・・・・・了解」
〜ディスクを片手に持ちガーティ・ルーのブリッジを退出するスティング
続
ラクスさんとミーアさん。
二人とも今は同じ人。
だけど、全く違う人。
動き始めたラクスさんと、そしてミーアさん。
どちらにも傷付いてほしくない。でもそれは、難しいと思う。
自分を騙る偽物がいるラクスさん。
自分が偽物だと思い知ることになるミーアさん。
ワタシは、二人とも違うから、二人とも好きなのに。
〜I and I and I〜 第十九話「シンデレラ」
「さ〜て、ラクス、ヴィアちゃん、用意はできたかー?」
「はい、よろしいですわ」
「えっ?あの…」
突然ブリッジに呼び出されたヴィア。
そして、アンドリューとラクスに戸惑う。
「ほら、やっぱり…マユちゃん驚いてる」
苦笑してそう言うと、事態の発端を知っているキラはマユに事の説明を始めた。
「ラクスが、プラントの今の状況を調べるために、宇宙に上がることにしたんだ」
「それとワタシに、なんの関係が…?」
キラの説明を聞いても、マユは理解は理解できずにいる。
そんなマユを見詰めながら、ラクスはゆっくりと語りだした。
「マユさんの言葉を聞いて、わたくしは決意できました」
答えを探すこと。
答えを見つけること。
「答えは自分自身で見付ける。もしそれが間違いならば、後でそれに気付けて、直していけばいい」
キラも、ラクスも、マリューやアンドリューも皆、自分達の答えを探そうとし、そして今も探している。
マユの言葉は、本来ラクスも心の奥底では感じていたことだ。
だが、それは感じていただけで、今の今まで行動には移せていない。
「この戦争、プラントも、そして地球も、何処かが、何かが、おかしいのかもしれません」
「それは、ミーアさん…いえ、今プラントにいるラクスさんも、ですか?」
キラ達と再会した時、アスランに向けてキラが言った言葉が、マユの中で蘇る。
「確かに、あのラクスさんは本物じゃありません。でもあのラクスさんは、偽物でもないんです!」
ディオキアで二人で食事をし、短い時間だったがミーアとはたくさんの会話をした。
マユの中で、ミーアの表情が一つ一つはっきりと思い出される。
ラクスと瓜二つの容姿でも、そこにはラクスとは似ても似つかない別人がいた。
「今の私はラクスだって…でも、本当の私のファンがいるからラクスでいられるって」
本当なら、ラクスではなくミーアとして舞台に立ちたいと思っているだろう。
マユの中で、行き場のない感情が溢れた。
「遅いですよ…遅すぎる。もっと早ければ、ミーアさんはミーアさんでいられたのに…」
涙が一気に零れ、マユはその場に崩れ落ちる。
「その方には、大変申し訳ないことをしてしまいましたわね…」
力なく床に座るマユを、ラクスは優しく、覆うように抱き締めた。
「あの頃のわたくしは、歌うことでプラントの人々の心を癒せると思っていました」
評議会議長シーゲル・クラインの娘、平和の歌姫。血のバレンタインの後、ラクスはそのように呼ばれてきた。
彼女の歌声は戦争によって心身共に傷付いたプラントの民衆やザフトの兵士達にとって、救いでもあったことも事実である。
「でも、いつからか、わたくしはただの籠の鳥なんじゃないかって…思うようになったんです」
「籠の鳥…?」
「ただ歌を歌えばいい。ただプラントの人々に笑顔を見せればいい。そうすれば、癒されるのですから」
それではただの操り人形ではないか。
そんな思いが、マユの頭を横切った。
「でも、それならわたくしを癒してくれるのは誰?わたくしに笑顔を向けてくれるのは誰?」
「ラクスさんは、独りだったんですね…」
「クラインの娘。それだけで、わたくしはお姫様扱い…おかしいですよね?わたくしは、わたくしなのに」
ラクスは笑って、そう言う。
マユはただ、笑顔に見えない笑顔を向けるラクスを見ていることしかできなった。
「だからあんな突飛なことをしたのかもしれません。わがまま……でしたわね」
「プラントも連合もオーブも巻き込んだ、大きなわがままだったがなぁ」
ラクスの話に、アンドリューが言葉を挟む。
誰からというわけでもなく、笑い声が漏れた。
ただ、マユとラクスは、笑顔ではなくて。
「今わたくしがしようとしていることもまた、大きなわがままなのかもしれません」
「でもしなくちゃいけないことだと思います」
今一度、二人は顔を見合わせる。
「遅いなんてこと、きっとないから」
「はい」
ロドニア、地球連合軍研究施設。
エクステンデットの研究施設だったようだが今は破棄され、内部は見るも無惨な状態になっていた。
ミネルバが調査に赴いたが、そのことは地球連合にも知れ、ステラがガイアに乗って飛び出した。
ガイアはインパルスとセイバーとの戦闘の末、戦闘不能に陥る。
「あぁ、ガイアは例のルートを通してファクトリーに回してくれ」
アーサーがこそこそとどこかと通信を交す。
ガイアは回収され、施設の調査は再開された。
「そうだ、バルトフェルド隊長なら上手く扱ってくれるだろう。よろしく頼む」
手短に話を済ませ、アーサーは通信を切った。
「ご苦労さん」
「うぉわっ!?ハ、ハイネ!」
「お前も大変だなぁ」
「な、な〜んのことだか…」
誤魔化すアーサー。
しかし、そんな誤魔化しは、ハイネには通用しなかった。
「演技はやめろよ。そんなので騙せる仲じゃないだろ?」
「……はあ。相変わらずだな、灰色の猫さんは」
大きな溜息をつき、アーサーはハイネを見た。
目付きは、いつもの情けないアーサーではない。
「報告したいならしろ。私は構わん」
「報告?なんのことだ、お前が報告してたたんだろ。上に」
ニヤリと、ハイネが笑う。
「だから嫌なんだ。自分で言っておいてお前という奴は……」
「五人の中じゃ、俺だけ浮いてたしなぁ。赤を着てたのは、俺だけじゃなかったのに」
「ヒルダか、懐かしいな。二人でスコアを競いあったりしてたな」
「確か三人はもういないんだよな、ザフトには」
これが駆け引きであることは、アーサーも気付いていることだった。
昔話に花を咲かせるほど、年老いてもいない。
「手の内を明かすほど、私は下手な男じゃないぞ」
「ほう。なら手の内に何かあるってわけか」
「うっ…」
「素直すぎんだよ、お前は」
そう言って、ハイネは笑った。
「アーサー、俺はさ、ほんとのところどうでもいいんだ」
「ハイネ…?」
「一度じゃないからな。だから俺は、俺なりに楽しんでる。この世界を」
ハイネの言葉をアーサーは理解できなかった。
灰色の猫という異名。
灰色は白でも黒でもない、はっきりしないということ。
猫は、気まぐれということ。
ハイネを表したような、異名だった。
「じゃあ、俺は行くわ」
「あ、あぁ」
わけのわからないまま、終わってしまった会話。
アーサーは、その場からも話からも取り残される。
ザフト軍、軍空港。
一台のリムジンが停まる。
リムジンから出てきたのは、ラクス達だ。
「はいはい、どうもどうも」
「みなさ〜ん、お疲れ様で〜す」
アンドリューとラクスのあからさまな演技に、マユは呆れてうつむいてしまっている。
「ラクス様、随分早いご到着で」
「時間がないんや、シャトルの準備はよしてんか」
「しかし定刻より少々早いご到着なので、その…」
「急いでるから来たんや!せやからそっちも急いでぇな!」
キングに扮したアンドリューが将校とやりあっている。
アンドリューの圧しに焦ったのか、将校は敬礼の姿勢を取った。
「はっ……わかりました。それはそうと、そちらの少女は?」
「え?あー…この子はやなぁ…」
「付き人です。マユ・アスカ、軍内での行動許可も出ているはずですので、必要でしたら照会してください」
言葉が出ないアンドリューに代わり、静かにマユが言う。
「さぁ、行きましょう。ラクス様」
何故か、すんなりと演技ができた。
すらすらと嘘がつけた。
シンとアスランがかけあってくれたおかげで下りた行動許可。
それが無効になってないか、この発言は怪しまれないか、マユは心配になる。
だが、そんな心配をよそに、前を歩くラクスと擦れ違う士官達の目は輝いていて。
本物なのは当然なのに、ラクスがラクスであることが本当なのだと、マユは正直に驚く。
笑顔を振り撒くラクス。
だが、それは籠の鳥としての役目。
そのことを知っていると、マユは何が本当なのかわからなくなった。
マユ達がシャトルに乗り込む。
アンドリューや他の者達が手際良く元いた搭乗員達を気絶させていった。
「なんだか、テロリストみたい」
「あながち間違ってもいないからなぁ……」
素直に感想を漏らすマユに、アンドリュー頭を掻きながら苦笑する。
そんな二人の会話を聞きつつ、ラクスは申し訳なさそうに気絶した搭乗員達に手を合わせた。
そんな中、外が騒がしくなる。どうやらミーアが、今現在本物であるラクスが到着したようだ。
「すまんな、ちょっと遅かった。さて、では本当に行きますよ」
操縦桿を握るアンドリューの拳に力が入る。
シャトルは加速し、機体は宙に浮いた。
事態に気付いたモビルスーツ隊が次々と追撃してくる。
シャトルにミサイルが迫るその時だった。
ミサイルは全弾撃ち落とされ、弾幕の先には、フリーダムの姿があった。
「ラクス!」
「キラ!」
「ご苦労さん!大胆な歌姫の発想には毎度驚かされるがなぁ」
モニターに映るキラの顔に、歓声にも似た声が広がる。
「だが、これでオーケーかな?」
ニヤリと、アンドリューが笑みを浮かべた。
「やっぱり心配だ、ラクス。僕も一緒に…」
「いえ、それはいけません。あなたはアークエンジェルにいてください」
「でも…」
「わたくしなら大丈夫ですわ。必ず帰ってきます。あなたの元へ。だから!」
キラの心配、それはわかる。
たが、ラクスの決意は揺るがなかった。
「ここまで来て我が儘言うな。俺がちゃんと守る。お前の代わりに、命懸けでな」
「バルトフェルドさん!」
「信じて、任せろ」
「……わかりました。お願いします」
画像と音声に乱れが生じ始める。
「ほんとに気を付けて、ラクス。それに、ヴィアちゃんも」
「ついで、ですか?」
意地悪そうに、マユは言ってみた。
「そういうわけじゃ……」
キラが困った表情をしたまま、通信は途切れる。
笑いに包まれる操縦室内。
シャトルは、宇宙へ。
シャトルが宇宙へ出て、フリーダムも追撃を振り切っていなくなった。
空港は未だに慌ただしい。
「もう!なんなのよ!」
ミーアが荒々しく声を上げた。
本物が現れたことの焦りと苛立ち。
「ミーアはん、落ち着いて……」
「落ち着いてなんかいられないわよ!!」
なだめようとしているキングの言葉も効果はなく、ミーアは荒れていた。
「失礼します。ラクス様に少々拝見してもらいたいものが……」
「えぇ?なに!?」
「そ、その……ラクス様を騙る偽物と同行していた少女からの手紙だと思われます」
「少女?誰?」
「マユ・アスカとか。検査したところ危険物反応は出ませんでしたのでお渡しに」
その名前を聞いた瞬間、ミーアとキングは瞳を丸くして驚いた。
「中身は!?見たの!?」
「えぇ。ですが別にこれといった内容ではなかったのですが……」
「いいから貸して!」
将校から手紙を奪い取ると、ミーアは将校を追い出した。
焦りながら手紙を取り出し、恐る恐る目を通す。
『ラクス・クライン様
本物に負けないほどの贋作でも、それは偽物に変わりない。
偽物が本物に勝る時、それはもう本物を真似た偽物ではない、別の物。
自分を偽らないでください。
誰かを装っても、何もならないから。
貴女自身が、本物なんですから。
あなたのファンより』
何も知らない者が見たら、この手紙の意味など理解できないだろう。
短い文面なのに、伝えたいことが全て入っているようで。
手紙を持つミーアの手は震えていた。
瞳は、涙で濡れていた。
「ねぇ……なんでだろ」
声が震えている。
「全部見透かされてて凄く悔しいのに、とっても嬉しいの」
振り返ってキングに顔を向けたミーアは、泣きながら、笑っていた。
続
4ヶ月ぶりで何がなにやら……
10/10なのに11とかorz
ミーアの最後の台詞、GJですねぇ。
お久しぶりの投下、ご苦労様です。
315 :
241:2006/10/31(火) 09:48:33 ID:???
皆様、GJです
ほのぼの氏、自分のアホな質問にお答え頂いてありがとうございました
敬語の使い方を間違えているのが気になってストーリーが楽しめなかった。
久しぶりで勘が鈍っているのだろうけど、次からはもっと気をつけて欲しい。
誰の?
ラクスならラクス的な話し方だと思われ
単発設定小話 「灰色の戦い 赤色編A」最終章 17
〜ザフト艦隊の外周をすべるように飛び、戦況を収集するサラ〜
サラ「物量は・・・やはり向こうが断然上回っているのね。エターナル、アークエンジェルは・・・ここからじゃまだ捕捉できないか」
〜オーブ艦隊、連合艦隊へミーティアの正面を向けるサラ〜
サラ「・・・・・・早いうちに頭を抑えておかないとね!」
〜オーブ艦隊、連合艦隊へ向け加速していくミーティア〜
〜中継コロニー、ステーションワンへ向かう途中でオーブ小隊に出くわすマユとルナマリア〜
マユ「もうこんなところまで!?・・・ルナ姉ちゃん!」
ルナマリア「わかってるわよ!マユはあっちからね、私はこっちから」
〜マユに指示をだすルナマリア〜
マユ「わかった。・・・むこうはムラサメか。ルナ姉ちゃん、一気にいこう!」
ルナマリア「もちろんよ!マユ、アロンダイトを抜きなさい!私もソードにシルエットに!」
〜ソードシルエットに換装するインパルス、アロンダイトを抜くデスティニー〜
ルナマリア「いくわよー!」
〜インパルスとデスティニーを確認するオーブ小隊〜
オーブ兵A「敵を確認!こんなところで遭遇するとは・・・!」
オーブ兵B「本部の情報もあてになんねぇな!まぁたった2機だ、さっさとやっちまうぞ」
〜意気込むオーブ兵たち〜
オーブ兵C「!?おい、あれって・・・・・・インパルスと・・・オーブに攻め入ってきた新型のMSじゃないか?」
オーブ兵A「なんだと!?」
〜モニターを確認、データベースと照合させるオーブ兵A〜
オーブ兵A「・・・間違いない。インパルスと新型だ・・・ど、どうする?」
オーブ兵B「どうするもなにも!・・・いまさら回避できる距離じゃねぇよっ!」
オーブ兵C「戦うしか・・・ない」
〜戦闘態勢に入るオーブ小隊、そして戦闘がはじまった〜
マユ「ルナ姉ちゃん、敵が編隊を解き始めたわ!」
ルナマリア「ブラストで牽制をかける。まとめていくわよ!」
マユ「了解!」
〜ブラストシルエットからオーブ小隊へ牽制のミサイルが発射される〜
オーブ兵C「なっ・・・MSのいない方向から攻撃だと!?もう一機いるのか?」
オーブ兵A「くっそ・・・なんてすばやいんだ」
オーブ兵B「左右から来るぞ!散らばれ!・・・あ・・・・・・」
〜デスティニーのアロンダイト、インパルスのエクスカリバーで蹴散らされるオーブ小隊〜
マユ「邪魔なんてするから!」
ルナマリア「ひとつ、ふたつ、みっつ・・・これで!ラストォー!!」
オーブ兵A「がぁっ!!」
〜全機が戦闘不能になるオーブ小隊〜
オーブ兵B「く・・・ぉぃ・・・・・・生きて・・・いるか?」
〜呼びかけに答える仲間はいなかった〜
〜ステーションワンに急ぐアスラン〜
アスラン「もうあんなに光が広がっている・・・・・・間に合ってくれよ・・・」
続
>「失礼します。ラクス様に少々拝見してもらいたいものが……」
例えばここだな
これのどこがおかしいのか分からん香具師はまさかいないよなw
拝見だと謙譲語になるわな
拝見…「見る」をへりくだって言う言葉
ただしいのは 「お見せしたい物が…」 あたりかな。
尊敬語って難しいね
敬語は使えて当然なところがあるけど
関西弁とかも人によってはネックだよな
>>319 確かにおかしいが、「ストーリーが楽しめなかった」なんていうから誰だよって思った
ストーリーに関わる程の大物で敬語まがいの言葉を使う奴(ラクスとかラクスとかラクスとか)のことかと思ったら名無し兵かよw
指摘はした方がいいが、そんな脇役(しかも後半の後半)の言葉一つでストーリーが楽しめなくなるなんて凄いな
俺なら脳内スルーしてるとこだぜ
いやでも、台詞がおかしいと状況がしまらないぞ
違和感が気になると話に入り込めなくなることあるし
「あーこの作者は国語の成績悪かったんだろうな」と自分の心の中で思うだけで
適当に脳内補正して読むから無問題
あまりにも頻繁だとさすがに気になるかもしれんが
まあ、次から気を付けてくれれば良いことだとオモ。
亀レスだが、IandI作者氏GJ!
久しぶりにヴィアタソを堪能させて頂きました♪
そう。次から気を付ければ桶。
あんまり引っ張っても不毛な話題だしな。
すいません。誤爆しました。
埋めかわりに…
独断による『おりがみ・マスラヲキャラ』強さランキング
欄外 マリアクレセル アペイロン
S+ 億千万眷属 はうはう リップル 覚醒鈴蘭
S アウター達
A+ 鈴蘭 クーガー 黒龍伊織
A 枢機卿 ST VZ エルシオン 睡蓮 翔香
B+ 勇者 傭兵魔人 エルシア
B キョウジ チャン 沙穂 大強者 大佐
C ベルロンド リュータ ヴェロッキア
D+ 一般魔人 婦警
D 対魔機関一般兵 ジャバン
E ヒデヲ 伊織
また誤爆…本当にすいません…
二回はわざとだろw
新手の嵐か
ブランク長いと歓迎してもくれないんだな
つか色々あったから住人が減ったんだろ。
まあ、皆お前と違って忙しいってのもあるが
単発設定小話 「灰色の戦い ぶつかりあう翼編A」最終章 18
〜戦場を転々するフリーダムwithミーティア〜
キラ「・・・!また、いっぱいザフトのMSが来る!?」
〜波のようにオーブ軍、連合軍に迫るザフトのMSたち〜
キラ「こんなにまだいるなんて・・・!レクイエムは止めなきゃいけないんだ。だから・・・行かせるわけにはいかないっ!」
〜ザフト軍のパイロットたち〜
ザフト兵A「急げっ!先にいるやつらを見殺しにするな!俺たちが主権を手に入れるんだ!」
ザフト兵B「ルーキー達は無理すんなよ!俺たちが先行するからバックアップしろっ!」
ザフト兵C「非常時とはいえ・・・まだ若すぎだぜ。あいつら・・・」
ザフト兵B「いいじゃねぇか、いきなりザクが配備されてんだから」
ザフト兵A「!?・・・前方に敵影発見!・・・回避するぞ!」
〜MSで作られる波の一角にロックオンするフリーダムwithミーティア〜
キラ「ロックオン確定・・・・・・当たれぇー!!」
〜ミーティアのミサイルがポッドから次々と発射される〜
ザフト兵A「なぁ!・・・いかん!?ルーキー達が・・・」
ザフト兵C「お前ら散らばれぇー!」
〜まごつくルーキー達がのるザク〜
ルーキーA「やばっ!逃げんぞ!」
ルーキーB「ダメだ!あ、あたる・・・」
ルーキーC「きゃーっ!!」
〜ルーキー達のザクにミーティアのミサイルが襲い掛かる〜
ルーキーD「ぁあっー!!・・・・・・は、はずれた!いや・・・違う!?」
〜紫の光の膜がルーキー達のザクの前に張られている〜
サラ「まったく・・・訓練が全然足りてないのよ・・・・・・」
〜シールド展開していたドラグーンを戻すデスティニーインパルスwithミーティア〜
キラ「!?・・・外れた?あの光の膜は・・・あの時の黒いミーティア!?」
〜とりあえず安堵するザフト兵たち〜
ザフト兵A「あれは・・・?」
ザフト兵B「ルーキー達を守ってくれたのか!?」
ルーキーA「た、助かった・・・・・・」
サラ「こちら特務隊所属、サラ・ビギンズ。聞こえるわね!・・・あれは私が引き受けます。あなた方は早く応援へ!」
ザフト兵A「フェイスだって!?・・・すまん、あのMSは任せた方がいいらしい。先を急がせていただく!」
サラ「返信確認。御武運を!」
〜先を急ぐザフト軍MS部隊〜
〜仕切りなおすデスティニーインパルスwithミーティア〜
サラ「・・・・・・まさか・・・一発目でキラ・ヤマトと出くわすとは・・・・・・」
キラ「僕の攻撃を・・・また受け止めた・・・・・。今度はっ!」
〜先に動くフリーダムwithミーティア〜
キラ「ここであなたを止めさせてもらいます!」
サラ「先に動くとは・・・ずいぶんと自信があるようね!こちらこそ望むところよ!」
〜デスティニーインパルスwithミーティアも加速し接近する〜
キラ「はぁー!!」
サラ「威勢がいいわね!ミーティア対ミーティアなんて開発した人も考えなかったでしょうねっ!!」
〜互いのビームソードがぶつかり合い、強い光が放たれる〜
続
住人減ったよな
板自体減ってるから何もおかしいことじゃないんだが
>>335 ミーティアVSミーティア、良いっすね。しかも格闘戦だし、でかいのが暴れてますなw
>>336 意外と書き込まないだけで減ってなかったり・・・ということはないか
新シャアとして人が減ったのは間違いないな
更新停滞してる作品がちょい増え気味なのも理由かと
以前は1日に4作投下なんてときもあったから…
カワユス
キースが可愛すぎる…GJ!
ほのぼの作者氏の多芸さに嫉妬
GJ!
マユがなんだかポツネン、としててカワユス♪
かなり前のネタになるけど…まとめサイトで『ほのぼのマユデス。嘘ゲーム計画。』を見ていて思った。
攻略可能キャラ
シンハロ…機械
レイ…クローン、短命
スティング…エクステンデット
アウル…エクステンデット
ゲン…エクステンデット(ソキウス?)
一緒に幸せになれそうなキャラがいねええぇぇw
単発設定小話 「灰色の戦い」最終章 19
〜巨大なビームソードを器用に操るキラとサラ〜
キラ「・・・強いね。・・・でも、この人なんか・・・おかしい?」
サラ「はぁっ!フリーダムは新しくしても、ミーティアは・・・古い型のままなのね!」
〜サラはビームソードを伸ばし、キラのミーティアを牽制する〜
キラ「っく・・・向こうのほうが小回りがきいているのか?・・・・・・でも・・・なにがおかしいのか・・・たぁー!」
〜サラのビームソードを押さえつけ詰め寄るキラ〜
〜レクイエムへ急ぐアカツキとムラサメ小隊〜
ムウ「ムラサメ小隊!ついてきてるな!」
オーブ兵A「はいっ!一佐にぴったりと我々ついてきております!」
ムウ「よし。レクイエムを撃たせるな!避けな戦闘は極力さけていくぞ!」
オーブ兵「了解!」
〜加速していくアカツキとムラサメ〜
〜ステーションワンに到着したマユとルナマリア〜
マユ「ルナねえちゃん!もう戦闘がはじまってるわ!」
ルナマリア「ええ!・・・いくわよ、マユ!」
マユ「うん!・・・・・・<キュピーン>・・・?・・・この感じ?」
〜戦闘地域から離れた真っ黒な宇宙空間に視線を移すマユ〜
マユ「・・・光が、近づいてくる。・・・この感覚。・・・アスランさん?」
ルナマリア「え?マユ、何か言った?」
マユ「・・・アスランさんが近づいてきてるわ。ルナねえちゃん!」
〜マユのデスティニーが指差す光に目をこらすルナマリア〜
ルナマリア「・・・あれは・・・ミーティアよね?・・・!あの赤いMS、ジャスティス・・・・・・」
〜ステーションワンに接近するアスラン〜
アスラン「あれが・・・ステーションワン。・・・・・・!?こっちに向かってくるMSだと?」
ルナマリア「アスラァンっ!!」
〜向かってくるジャスティスwithミーティアに突進するインパルス〜
〜レクイエム〜
ザフト高官「報告!」
ザフト兵A「充填率 85%を越えました!各部最終チェックに入ります」
ザフト兵B「ステーション配置完了・・・!各ステーション近辺にて戦闘発生した模様です!」
ザフト高官「っちぃ。ステーションの防衛まではここからどうにもできん。・・・防衛隊にがんばってもらおう。お前たちも急いでくれ」
〜照射までの最終調整に入るレイクエム〜
〜月面、交戦中のイザークたち〜
イザーク「えぇい!まだレクイエムは照射されんのかっ!そこぉっ!!」
〜レクイエムの照射が遅れていることに文句をいいながら、オーブ軍を気散らすイザーク〜
ディアッカ「シホの方は!?」
シホ「連合の突出部をほぼ解消。直ちに前線を立て直させます!」
イザーク「!?ディアッカぁーっ!!第二波がくるぞ!!」
ディアッカ「ったく、まだいるのかよ?・・・・・・!一番後ろから・・・なんか来てるぜ?」
〜砂埃を巻き上がらせながら月面をすべるように突進してくるMS〜
続
保守
単発設定小話 「灰色の戦い 赤色編B」最終章 20
〜インパルスの接近に気づくアスラン〜
アスラン「インパルスか!?・・・ルナ・マリアか?」
ルナマリア「こぉんのぉぉっー!!」
〜ビームサーベルを両手に持ち突っ込むインパルス〜
アスラン「今はお前の相手をしている場合じゃない!邪魔するな!」
マユ「ルナ姉ちゃん!その大きいのを外させないとっ!ブラストに換装して!」
〜ルナマリアに冷静な判断を伝えるマユ〜
〜インパルスとデスティニーをかわすジャスティスwithミーティア〜
アスラン「くっ・・・やはりここが一番の激戦地か!?」
〜急いで先行するアスランを追いかけてくるアークエンジェルとエターナル〜
マリュー「バルトフェルド隊長、そちらの状況は?」
バルトフェルド「ああ、キラとアスラン。それにヒルダたちも出て行ったからなぁ機体が軽いもんだよ」
マリュー「こちらも同じようなものです。アスランくんとは?」
バルトフェルド「ん・・・ミーティアなんてでかいからな。艦のカメラでもう捉えられるんじゃないか?」
〜ブリッジのモニターにいくつもウインドウが開かれ様々な戦場を映す〜
マリュー「もうこんなに戦場が拡散しているのね・・・・・・」
ミリアリア「ジャスティスを捉えました。モニターに回します」
〜アークエンジェルとエターナルのモニターにジャスティスとミーティアが映し出される〜
ラクス「アスラン・・・・・・」
バルトフェルド「よし、アスランをバックアップするぞ。アークエンジェルは後方支援をお願いする」
マリュー「わかりました」
バルトフェルド「エターナルの方が小回りがきくからな。全速前進。敵をひきつけて仲間を楽にしてやれ!」
ダコスタ「了解!全速前進、防御シールド展開!」
〜加速していくエターナル〜
〜ステーションワン〜
アスラン「落ちなくてもいい!少しでも動かせさえすればっ!!」
〜ミーティアの全てのミサイル、ビーム砲を発射させるアスラン〜
ザフト兵A「・・・なんだ、あの大量のミサイルはっ!?」
ザフト兵B「くそぉー!防ぐんだっ!ステーションワンを守れ!」
ザフト兵C「ガナーウィザード部隊!撃ち落せっ!」
〜ミサイル郡に向けビーム砲が発射される〜
アスラン「それだけで落とせるとは思ってないっ!!」
〜ミーティアのビームソードを展開させステーションワンに切りかかるアスラン〜
オーブ兵A「おい!俺たちもザフトなんかになめられてんじゃないぞ!あいつを援護しろ!」
オーブ兵B「おうよ!」
オーブ兵C「オーブを二度と撃たせてたまるか!」
〜防衛一方のザフト軍に襲い掛かるオーブ軍〜
アスラン「てぃやぁーっ!!」
〜ステーションワンを切りつけるミーティア〜
アスラン「まだ・・・まだ間に合う!?・・・・・・デ、デスティニーだと?・・・マユまで・・・ここにいたか」
〜ミーティアの前に立ちはだかるデスティニー
続
次の部屋の扉の前に立っていた。
それは場の雰囲気に似合わないガラス製の自動ドアで、アーケードゲームのポスターが張ってある。
そしてその中からは騒がしい音が聞こえている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
全員が疑問を持ちながら中に入ってみると・・・・・・。
『いらっしゃーい!【ゲーム】のラスティのステージへようこそー!!』
そこに並ぶのはアーケードゲームやらファミコンやらPSPやらとにかく古今東西のゲームが並んでいた。
そしてその中心にあるステージに立つのはオレンジ色の髪にサイバーチックな服を着た少年だった。
「今度はラスティか・・。」
アスランがため息をつきながら言う。
「何?アスラン、あいつ強いのか?」
「あぁ、ラスティはゲームがそりゃあ何をやらせても強くてな、いっつもイザークが切れるんだ。」
アスランが遠い目をしながら言う。どんだけ昔のジュール隊長ひどかったんだと全員が考える。
『さぁ始めるよ!!始めのゲームはポップ○ミュージックから!!』
マイペースな性質なのかアスランの言葉を気にせず続けるラスティ。
だけど、それが彼の悲劇の始まりだとは、だれも思わなかったのです。
ダンッダンッダダダダダダダッダダンッ ダッダッ
「う・・・・うそだ・・・。」
顔面蒼白のラスティがつぶやく。
「すげぇぇぇ!!マユ強っ!!」
「腕の動きが見えない・・・・・!!」
「マッハ超えてね?」
周囲がから驚愕の声が聞こえる。
両手だけでなく肘打ちなども駆使し、完璧なタイミングでマユはボタンを押していく。
「・・・っ!!じゃーもう次!!俺負けたから次!!」
ラスティが切れながら次の勝負に移した。
すたんえっじ!!はぁっ!たぁっ!!らいどざらいとにーんぐ!!
「なぁっ・・・?!」
「馬鹿めっ!いまや声も同じになったカ○・○スク使いの俺に勝てるとでも?!」
とんでもない悪人面ではーはっはっはっは!!と笑うルナマリア(男)。
目の前のモニターには格闘ゲームの画面が映し出されており、ルナマリア(男)の操る
金髪の王子様っぽい白いコートの男がラスティが操る紙袋を被った白衣の生物を圧倒している。
そして最大必殺技らしき技でルナマリア(男)はラスティのキャラにとどめをさす。
『「いい勝負でした!!」』
まったく画面のキャラと同タイミング、同発音でルナマリア(男)は自分の勝利を告げた。
ブロロロロロロロ・・・・・・・ギュォォォォォオッ!!
画面の中で真っ赤な車が失踪する。
ギリギリ後ろに黄色い車がついているが今にも引き離されそうだ。
「・・・・・うざいなぁ、引き離しちゃえ。」
ぼそっっと呟きアクセルを踏むメイリン(男)。
急なコーナーが迫っているというのに一切スピードは落とさない。
そしてそのまま極力スピードを落とさないでコーナーを曲がる。
絶妙なタイミングでハンドルを切りラスティの車を引き離す。
「・・・・メイリン怖い・・・・・。」
「メイリンの運転する車の乗り心地は最悪だぞ・・、なぁマユ。」
スティングの呟きのレイが答える。
そしてレイに話しかけられたマユはビクッっと震える。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいやめてとめてさわらないでおじいさんがーおじいさんがー!!」
ガクガクブルブルと振るえ始めるマユ。
「マユハナサナイデテヲハナサナイデハナシタラオレハハテシナクコロガル・・・・。」
シンハロも魂の奥にまで悪夢が刻まれているらしくブツブツ言いながら震えている。
「・・・・・・これで終わりっと。」
あっけらかんとメイリン(男)が言う。
見るとラスティの車は事故って炎上していた。
「雑魚だね、勝負にならないよ。」
そう冷たく言い放ったメイリン(男)にその場の全員が震えた。
【えもーしょん!きっとこのそらはゆめのかたちー♪】
画面にはザクに乗ったラクス・クラインが踊り歌っている姿が映し出されている。
「ミーア・・、声は出すなよ声は。」
アスランがため息をつく。
「ミーア!!手の振り付けはいらない!!今の自分の外見を考えろ!!」
大慌てでミーア(男)をとめるジョー。
「つーか懐かしいよな、ダンスダンスレボリューショ○。」
シンが懐かしそうにアキラに話をふる。
「昔あれで母さんがダイエットしようとして三日でやめたよ。」
そのあと親父と一緒にハードオ○に売って帰りにドラクエ買った、と答えるアキラ。
【しずーかにめをとじてだーきしめーる♪】
画面に表示される矢印を同じ方向の床の模様を踏むミーア(男)。
ステップはミーア(男)が普段やっているものをそのまま流用しているからなのか
ミーア(男)は目をつぶって踊っても完璧にステップを踏んでいる。
「はい!おしまい!!」
いつものノリでポースを決めるミーア。
「ミーア、今のお前・・・男だから。」
アウルがげんなりした顔で告げる、
「読者にはダメージがないけどこっちにはまともに入ってくるから。」
レイも目を背けながら言う。
【みんなにせいしんてきに450のダメージ!!ステラも・・・・うぇー・・い・・。】
テンションの低い顔でスケッチブックをかざすステラ(男)。
「なんで!!なんでそいつそんなに踊れるの?!アイドルオタク?!」
ラスティが地団駄を踏む。
「「「「「「いや、本人だから。」」」」」」
「アスランの婚約者が男でたまるかぁぁぁ!!」
本当のことを全員で言ったのがからかわれたのかと思ったのかラスティはブチギレる。
「こうなったら・・・・。」
そう言うとラスティは何をするかと思えば壁に付いていた電話で内線をかける。
「トール!!ニコル!!助けてーーー!!」
結局、その電話を受けてトールとニコルが助けに来たのは20分後だった。
嘘ゲーム計画、別に幸せにならなくてもストーリーがよければいいんだよ。
むしろストーリーだよストーリー、いまどきBLゲーでもキスにたどり着くまで
七時間くらいかかるんだよ、美形がいるだけじゃ満足しないんだよ。ほのぼのです。
七将軍つってもまとめて相手にして時間短縮。
ラスティのキャラについてはほとんど情報がないため適当になんか劣性カルマみたいな感じに
なってしまった・・・・・。
なんかこのまま某ソードマスターみたいな感じで終わろうかなぁと血迷ったり。
ほのぼの氏GJ!!
ラスティは・・・まあ、あんなカンジでいいんじゃないですか
スペエディでちこっと喋ったの聞いたカンジじゃ結構軽めの性格に思えましたし
353 :
でも ぼくも・・・。:2006/11/10(金) 01:51:01 ID:XS3Hu49z
なんでアソコで種割れしねぇ!! シン!!
単発設定小話 「灰色の戦い」最終章 21
〜デスティニーに突っ込むジャスティスwithミーティア〜
アスラン「どけぇー!マユ!こんなもの・・・いまさらオーブに撃ったところでどうなる!無駄に人が死ぬだけだぞ!」
マユ「アスランさん!・・・なにが・・・自分で何がしたいのかわからない人が!いまさら邪魔しないてください!」
〜突っ込んでくるミーティアをかわすデスティニー〜
アスラン「すこしでも・・・軌道をずらすことができれば・・・・・・」
〜ステーションワンを何度もきりつけるミーティア〜
〜レクイエム〜
ザフト兵A「・・・レクイエム充填完了しました!」
ザフト高官「目標、オーブ本島ヤラファス!・・・照射!!」
〜レクイエム発射口の中心に光が集束し、そして立ち昇る〜
〜月面〜
イザーク「やっと発射されるかぁ!!ディアッカ、持ちこたえろよ!」
ディアッカ「うぉっと!・・・あの十字の目・・・・・・真面目にやらないと駄目かな?」
〜砂煙を立ち上らせる黒っぽい三連星〜
ヒルダ「レクイエムが!?・・・っく・・・えぇえいっ!!」
マーズ「ヒルダ、突破口を作るぞ」
ヘルベルト「はっはっはっはぁー!行こうぜっ!」
ヒルダ「もちろんさぁね!いくよっ!」
マーズ「ジェット!」
ヘルベルト「ストリームッ!」
ヒルダ「アターック!!」
〜ザクの群れに突入する黒っぽい三連星〜
〜アークエンジェル〜
マリュー「遅かった!?・・・ステーションワンの状況はっ!?」
チャンドラ「変化ありません!・・・いや・・・・・・若干位置がずれてます!」
マリュー「もう一息ってところね・・・だけど・・・・・・」
ミリアリア「左舷よりザフト軍MS接近!」
マリュー「回避!付近の友軍に援護を!」
〜混戦にまきこまれつつあるアークエンジェル〜
〜ステーションワンを攻撃し続けるジャスティスwithミーティア〜
アスラン「くそっ!!ミーティア全弾発射、ビームソード出力最大!切り裂けぇっー!!」
〜ステーションワンの一箇所に集中し攻撃をかけるジャスティスwithミーティア〜
マユ「アスラン・ザラァ!邪魔をするなと言っているのにっ!!たぁっー!」
〜ミーティアに取り付くデスティニー〜
アスラン「っく・・・マユ!」
ルナマリア「アスラァン!!堕ちなさい!」
〜ミーティアに突っ込むインパルス〜
アスラン「ルナマリア!!」
〜ステーションワンをレクイエムの光が通過しようとする〜
続
マユ達がプチ連ザU大会を開始していると自動扉がウィーンと開く。
「もー、ラスティってば普通幹部はまとめて敵に襲い掛かっちゃいけないんですよ?」
「チャン○オン買ってきたけど読む?」
入り口からとぼとぼと明らかに私服な服に身を包んだ二人がやってきた。手にはコンビニの袋である。
「お前らバイトの途中で何やってんの?!」
ラスティが突っ込む。
「だって暇なんですもん、ミゲルをさっさと突破したからこの調子でラスティもあっさり
殺ってくれるかなって思ったんですけどね?」
「遅いからさぁ、近くのコンビニに立ち読みとお菓子買ってきた。あ、のだ○も買ってきたぞ?」
「読むかぁぁぁ!!真面目にバイトしろぉぉぉぉ!!これだから学生は!!」
トールの持っていたの○めをはたいてラスティは怒る。
「えー?デスティニー使いにくいー。」
「うわっ!!ミーアの技反則だろ!!」
「命を大切にしない奴なんか大嫌いだ!死ね!!ってこのフリーダムのパイロットは言いたいんだよな?」
「そうだな、「君は君だ!!」て説得した瞬間敵を打ち抜いてるからな!!」
マユ達は勝手に連ザUで盛り上がりまくっている。
「お前らも遊ぶなぁぁぁぁぁ!!」
ラスティの中の何かが弾けた。
「で、何で勝負するんです?ゲームはラスティが勝てないんじゃ無理ですよ。」
ラスティによって作られたタンコブをつけた一同は輪になって話し合っていた。
「とりあえず確認すると私たちが勝ったらお前ら三人分の部屋を通してもらえてチャンピオ○ももらえるんだよな?」
「やらねーよ!!何勝手に付け加えてんだよあんた!!」
真剣な顔で言うミーア(男)にトールが叫ぶ。
「忙しくて買えなかったんだよ!!じゃあ、袋とじの所だけでいいから見せて!!」
「あんたザフト兵なんだろ?読みたかったら立ち読みじゃなくて買えよ。」
おそらく元の姿だったら通じただろう交渉も今の野郎の姿では全然成立しなかった。
「勝負の方法でしょ、ミーアちゃん。今考えてるのは。」
グレイシアがミーアの頭を叩く。男の姿なのか手加減がなく、ゴガッとものすごい音がした。
「じゃあこないだその雑誌に載ってたハンカチを使いながら戦うアレをやるか?」
「ガチで殴り合いは多分死人がでるからやめろ。敵は全員死んでるけど。」
ジョーの提案をアスランが却下する。
「じゃあアレにするか?トール。」
アキラが自分の親友の方を向く。
「あぁ、あれかぁ。」
トールも思い当たったらしくうなずく。
「つーかお前あんだけ感動の別れしたのにこんな形で再開ってかっこ悪いよな。」
「うるせぇよ、つーか最近カズィの奴の様子が解らないんだけど何か知ってる?」
「え・・・・あぁ、トールと同じ研究室だったあいつ?
オーブで学生を卒業してから俳優になって今凄いよ。プラントの雑誌にもインタビュー載ってるもん。」
「マジで?!」
「そういえば本島にあったあの駄菓子屋さぁ・・・・・・・。」
「身内の話で盛り上がるなぁぁぁぁ!!」
ラスティがまたもや突っ込む。
「で、お前らの言うアレって何なんだ。」
「それは・・・・・・・・・。」
「第一回!チキチキ古今東西卓球大会(おそらく某テニスアニメくらい過激)ー!!」
マイクを手にしたトールが叫ぶ。
「・・・・・ちょっと待て。」
マユが突っ込む。
「説明しよう!!古今東西卓球とは『古今東西』つまり連想ゲームをしながら
卓球のリレーをしていくと言う苛烈な格闘技である!!類似品に某ジャンプマンガのテニスが上げられる。
ちなみに同じ言葉を二度言うのはだめだぞ!」
どことなくナレーター風に説明するトール、マユのセリフは無視である。
「流石アキラの親友、ノリが普通じゃねぇ。滅茶苦茶だ。」
ジョーがノリノリのトールを見て言う。
【だれがでるの?ステラ声だせないからできない。】
ステラがスケッチブックを掲げる。
「アキラ、お前が責任を持って一人目はやりなさい。」
「はーい。」
ハイネに命令されてラケットを持つアキラ。
「そうだな・・・、マユ、主人公だから行けよ。」
「こんな時だけ主人公扱い!?」
「主人公だから頑張れよ!」
アウルに背を押されてレイに強制的にラケットを持たされるマユ。
「じゃあラスティとニコル頑張れよ!俺ナチュラルだから!!」
「うわぁ、こう言う事自分でひっかき回しといていざとなると俺たちに押し付けるよね。」
「普段は常識人ぶっといてこう言うことは大好きですよね、トール。」
「うるせぇ普段滅茶苦茶なてめーらに付き合わされてストレスたまってんだよ遺伝子組み換え食品。
こんな時くらい俺の役に立ってくれ。」
にこやかな顔に怒りマークを付けたトールがラスティとニコルにラケットを渡す。
かくして、第一回チキチキ古今東西卓球大会(おそらく某テニスアニメくらい過激)の幕は開いたのだった。
単発設定小話 「灰色の戦い 赤色編C」最終章22
〜ステーションワン〜
アスラン「!?なんだ・・・機体がステーションワンに引き寄せられていく・・・・・・」
〜ステーションワン周囲のデブリが引き寄せられている〜
マユ「!・・・ルナ姉ちゃん!」
ルナマリア「わかってる!通過中は無茶しないわよ!」
〜ステーションワンと距離をとるマユとルナマリア〜
アスラン「ちぃっ!オーブに当てさせはしない!」
〜ミーティアとの接続を切り、ミーティアのビームソードを最大に展開させたままステーションワンへぶつけるアスラン〜
アスラン「つぅあぁー!」
〜ステーションワンから離れるアスラン。そしてレクイエムの光はステーションワンを通過し曲げられてゆく〜
アスラン「カガリィーっ!」
〜オーブ本国、司令部〜
カガリ「なっ二発目が発射されただと!標的は!?」
オーブ兵A「不明です。ただ・・・わが国である可能性は・・・極めて高いかと!」
〜机を拳でたたくカガリ〜
カガリ「そんなことはわかってる!わが国のどこに当たるかときいているんだ!」
オーブ兵A「はっ。至急に!」
〜オーブ上空からまぶしく光る光線が落ちてくる〜
カガリ「くるぞっ!!・・・・・・うわぁー!」
〜レクイエムの光はヤラファスをかすめ、海上に吸収されていく〜
オーブ兵A「ヤラファス付近に照射されたもようです。被害は・・・不明です」
カガリ「ヤラファスの映像をまわせ!」
〜司令部のメインモニターにヤラファス島の映像が映し出される〜
カガリ「・・・被害はなさそう・・・だな?・・・!?」
オーブ兵A「衝撃波・・・きます!」
〜映像にうつるヤラファスの建物が一部崩壊していく〜
カガリ「な・・・直撃していないのに?」
オーブ兵A「威力が・・・1度目よりも高かったようです」
カガリ「・・・・・・宇宙の連中には心配ないと伝えておけ」
オーブ兵A「は?・・・はっ了解しました!」
〜カガリの発言に一瞬躊躇するオーブ兵〜
カガリ「ヤラファスには救援部隊をっ!急げ!」
〜指示を出し、すぐにモニターに視線をうつすカガリ〜
〜ステーションワン〜
アスラン「オーブは!?」
〜エターナルから通信が入る〜
ラクス「アスラン、オーブ本島への直撃は回避できたようです」
アスラン「ラクス!・・・そうかオーブは無事か」
ラクス「・・・月面に至急向かってください。月面で苦戦しています」
アスラン「・・・ああ、わかった」
〜月面へ進路をとろうとするジャスティスの前にフォースインパルスがたちはだかる〜
ルナマリア「・・・・・・もう・・・どこへも行かせはしない。・・・・・・妹を・・・メイリンを・・・・・そんな力があるのに・・・なんで・・・」
続
単発設定小話 「灰色の戦い 赤色編D」最終章23
〜崩壊していくステーションワン〜
ルナマリア「マユ、レクイエムの防衛に行きなさい。・・・アスランは、私がやる」
マユ「ルナ姉ちゃん!そんなことを言っている場合じゃ」
ルナマリア「アスランにはメイリンを奪った責任を、私にはメイリンを助けてやれなかった責任を・・・取らさせて」
マユ「・・・そんな・・・残されたわたしは?」
ルナマリア「大丈夫よ、マユ。必ず・・・生きて戻るから」
マユ「・・・・・・ルナ姉ちゃん」
〜ステーションワンから離れていくデスティニー〜
〜ジャスティス〜
アスラン「ラクス、すまないが・・・ちょっと遅れる」
ラクス「・・・了解しました。なるべく、急いでくださいね」
アスラン「ああ・・・・・・」
〜月面へ移動し始めるエターナル〜
〜一定の距離を保つジャスティスとフォースインパルス〜
アスラン「・・・どうしても・・・戦わなければいけないのか」
ルナマリア「そっちからこないなら、こっちからいくわよっ!いやぁっー!!」
〜ビームサーベルを構え突進するフォースインパルス〜
アスラン「くっやめろ、ルナマリア!メイリンは、メイリンはもう死んでしまった!お前まで死に急ぐ必要はない!」
〜応戦するジャスティス〜
ルナマリア「たぁー!あなたが・・・あなたがミネルバに来なければ、メイリンも死ぬことなんてなかったかもしれないのに!」
アスラン「ルナマリア、やめろ!こんな戦いに何の意味がある!?なにも意味はないさっ!だから・・・どくんだ!」
ルナマリア「手加減なんてしてんじゃないわよ!あなたは・・・そんなのだから・・・一人の女の子も守れないのよ!」
〜懸命にジャスティスに切りかかるフォースインパルス〜
アスラン「っち・・・仕方ない。どけぇー、ルナマリア!!・・・・・・<シュパァーン>」
〜シャイニングエッジをフォースインパルスに向け投げ放ち、グリフォンとグリフォン2を展開させるジャスティス〜
ルナマリア「こんなものっ。ブラスト!」
アスラン「なに!?・・・別方向から攻撃だと?・・・他の敵か・・・・・・いや、あれは・・・ブラストシルエットだと?」
〜ケルベロスとデリュージーの長距離砲につづき、ミサイルを発射するブラストシルエット〜
アスラン「シルエット単体で連れてくるとは!・・・あの動き・・・人が乗っているわけじゃあるまいに!えぇいっ!」
〜ブラストシルエットにファトゥムゼロワンを本体から分離させ、ブラストに向け射出させるジャスティス〜
アスラン「そんな小ざかしいやり方が通用するとでも思っていたか!」
ルナマリア「ユニットを切り離すなんてね!これでそっちよりもこっちの機動力の方が上回ってるわよね!」
〜ジャスティスに再度突進するインパルス〜
アスラン「ルナマリアァッー!!・・・なにっ!?」
〜突進してくるインパルスの合体が解け、チェストフライヤーとレッグフライヤーがジャスティスにまとわりつく〜
アスラン「こんなもの!!」
〜チェストフライヤーとレッグフライヤーを切り裂き排除するジャスティス。その陰から突っ込んでくるコアスプレンダー〜
アスラン「な!?・・・特攻だと・・・・・・なんて馬鹿なことを!!」
ルナマリア「てっぇやぁー!!」
〜寸で避ける体制をとっているジャスティス。衝突津直前で転回するコアスプレンダー、姿を現すソードシルエット〜
アスラン「!!・・・な・・・・・・」
続
うわ、何気に燃える戦闘が。
ルナがアスランに勝てるのか!?
そういやPP戦記の職人一ヶ月以上来てないな
(´・ω・`)サビシス
ルナVSアスランが熱い! 決着が楽しみです!!
363 :
362:2006/11/13(月) 01:06:57 ID:???
全角の間違いだった…
スペックで上回る相手を変則で振り回す。
やっぱインパルスっていい機体だよな。がんばれルナ!
365 :
舞踏の人:2006/11/13(月) 22:59:19 ID:???
失礼します。 今回は閑話の方を投下させていただきます。
今回はオリキャラが結構出張っておりますので、苦手な方はご注意下さい…。
――黒塗りの大きな車に乗せられて去っていったケイを見送った後、
私はその場に立ち尽くしたまま、とりとめのない事ばかり考えていた。
豪華な車の送迎で仕事に出かけていった彼の、いまだ教えられていない職業についてとか、
たくさん買っていったお土産が、一体どんな人たちの元に届けられるのだろうとか。
…もしかしたら、実はケイってどこかの国の王子様とかで、
こうやって、偶然の出会いを重ねるたびに仲良くなっていって、
いつか、両手いっぱいの花束でも持って迎えに来たりするんじゃないかとか。
ついには、空想か妄想のような内容に発展していく想像の世界……
「マユ、待った?」
「うひゃあぁっ!!? ま、待ってないですゴメンナサイッ!!」
不意に横からかけられた声に、私は驚いて大声を上げてしまった。
ありえない方向へと進み始めていた想像から、一気に現実に引き戻された瞬間、急に恥ずかしくなったもんだから。
声をかけてきたアゼルの方はと言えば、赤い瞳を真ん丸にさせながら、スクーターのそばで突っ立っている。
向こうも驚いたのか、あるいは私の様子を気にしているのか、不思議そうな顔で微かに首を傾けていた。
「こっちこそゴメン。 迎えに行くの遅くて。
少し、ルナたちにも呼ばれてて、行ったり来たりしてたんだ」
「姉ちゃんたちに? なんかあったの?」
「うん。 沢山服を買ったから、取りに来てって。
それで、一度ミネルバに帰って荷物置いてきたから、遅くなっちゃった」
と、いつものように淡々とした調子で言う。
それって、いいようにこき使われているんじゃない、って言おうと思ったけれど、
向こうは全然気にしてないような雰囲気だったから、わざわざ指摘する必要はないだろうから止めておく。
――間が抜けているというか、不器用というか、とにかくお人好しで損な性格だと思う。
…ああでも、私がそんな事言えたもんじゃなかった。
私だって、ルナ姉ちゃんたちと同じように、彼のことを頼っているのだから。
「ごめんね、アゼル。 休暇中なのに、迎えなんて頼んで」
「うん? そんなの、気にしなくていいよ。 出かけたついでだし」
「出かけたついでって……」
一度ミネルバに戻っているのだから、全然ついでなんかじゃない。
そう言いかけたのだけど、全く理解していないように目を瞬かせている相手を見ると、言葉が詰まってしまって。
困惑を覚えながら口篭っていると、アゼルの方が先に口を開いた。
「…じゃあ、僕のお願いも聞いてよ」
「え?」
「案内してほしいんだ。オーブを。 マユの育った国のこと、知りたいから」
にこりと微笑みを浮かべながら言った、その言葉。
それが、私と彼の短い短い旅の始まりだった――
舞踏閑話 ― trip trip ―
前世紀の映画で出てきそうな、古めかしいデザインのスクーターにまたがり、私たちは走り出した。
ちなみにこれは、アゼルの所有してる物ではなく、軍港近くのレンタルショップで借りたのだと聞いた。
店の外観もそうだったが、相当アンティークな車種だと彼は言ってた……確かベスパ、って名前だったかな?
丸みのあるレトロなフォルムと、真っ黄色なカラーリングがカワイくて、すごく気に入った。
乗る前に渡されたヘルメットを被り、よそ行きのワンピースの上に借りたブルソンを羽織って。
落っことされないように運転手の腰にしがみつきながら、私は横を流れていく景色に見入っていた。
今走っているのが、湾岸沿いの道路だというのもあって、蒼い海が視界いっぱいに広がっている。
――昔、私が住んでいた家も、こんな景色が望める海際の小高い丘に立っていた。
懐かしい映像が瞼の裏によみがえると、きゅうと軋むように胸が痛んだ。
「僕ね、地球に行く機会があったら、見たいと思ってるものがあるんだ。
昔、おじいちゃんが何度も聞かせてくれた話に出てきた、美しい花の咲く樹。
春になると枝いっぱいにピンク色の花を咲かせて、花びらの雨を降らすんだって聞いた」
「もしかして、桜のこと?」
「ああ、そう、それ。
ねえマユ。 オーブでサクラって見れるのかな?」
「見れないことはないけどー……今は秋だから、花は咲いてないよ?」
「うん、それでもいい。 見てみたい」
そう言いながら、真剣な表情で頷いたアゼルの希望を叶えるべく、
私たちはスクーターに乗って、オノゴロ島の西端へと向かって走っていく。
本来、赤道直下に位置する常夏のオーブで、ジャパンに自生する桜の樹があるはずないのだが、
しかし、一箇所だけ例外があった。 戦乱で国を追われた人々が造り上げた、四季の存在する場所が。
「ねえ、そこに行けば色んな樹が生えてるの?」
「そう。 すごく大きな公園…というか温室みたいなのかな。
でも、暖かいんじゃなくて冷やしたりするの。時期に合わせて。
空調とか、ドームの天井で日光の量を調節したりして」
「ってことは……コウヨウ、ってのが見れるんだよね。 今の時期なら」
「あっ、そっか! 桜は見れなくても、今なら紅葉は見れるね!」
吹きつけてくる向かい風に逆らって、ヘルメット越しの言葉をやり取りする中、
そういえば今の時期なら、紅葉を見せることが出来るのに気がついた。
咲き誇る桜も確かに綺麗だけど、あちこちの木の葉っぱが鮮やかに色付くのも、素晴らしい光景だったから。
紅葉という単語をスイッチに、脳内で過去の記憶が再生され始める。
踏みしめる柔らかな腐葉土の上にも、私の髪や肩の上にも、
こちらに向かってくる風の上にも乗っている、真っ赤な葉っぱ。
赤ちゃんの手の平みたいにちっちゃな葉っぱが、はらりはらりと舞い落ちる中、私は笑いながら走っていた。
それはどうして? かけっこの勝負を、私が言い出したから。
どこを目指しているの? キャンピングカーのそばで、お弁当を広げて待っているお父さんとお母さんの所。
誰が一緒にいるの? お兄ちゃん。私より少し年上の、優しいお兄ちゃん。 後ろから私の名前を呼んでいる。
私自身、運動神経は良い方だし、走るのはその中でも特に得意な部類だった。
もっとも、年上のお兄ちゃんが追いつけないのは、私がフライングスタートしたという理由もあったんだろうけど。
余裕を感じていた私は、後ろを振り向いてみた。 少し離れて、追いすがって走るお兄ちゃんの姿が見える。
待てよマユ、と。 真っ黒な髪を揺らしながら呼びかけてくるその人へと、私は笑い声だけを返した。
よおし、と後ろから聞こえてきた声。 本腰を入れて追いつこうとしているんだろう。
お兄ちゃんも私に劣らず、運動神経良かったから。 きっと、すぐに追い越されるだろう。
あの頃は、無心になってはしゃいでいた。 あったかい家族に囲まれながら、笑っていた。
みんなで過ごした平和な日々の光景を思い出しているうちに、じわりと目頭が熱くなる。
零れ落ちないうちに涙を拭いたかったのだけど、二人乗りをしているせいで手が離せない状態。
しょうがないので、自分の肩を顔のすぐそばまで上げて、ゴシゴシとなすり付けておいた。
――その時、前触れもなくコロリと転げ落ちてきたかのように、一つの記憶が浮かび上がる。
よく、家族で遊びに行った場所。 これから私たちが行こうとしているその場所は、私の家のすぐ近くにあるんだった。
確か家のそばを通らないと、あそこには行けなかったはずだ。
その考えに至った私は、思わず抱きつく両腕に力を篭めていた。
スクーターの速度が徐々に緩まり、やがてキッとブレーキ音を立てて停止する。
何事だろうと思いながら、顔を上げて運転手を見上げれば、
相手もまた、こちらを振り向きながらゴーグルを上げ、じっとこちらを見つめてきていた。
「…どうしたの? アゼル」
「マユこそ。 困った顔、してる」
そう言いながら彼は、心配そうな表情で私を見ていた。
異変の原因を知ろうとするかのように、まっすぐな視線を向けてくる。
今私が抱いている思いは、口にするべきじゃないって分かっていた。 間違いなく、彼の望みを妨げてしまうから。
しかし、真摯な眼差しに晒されるうちに心が揺らいで…観念した私は、全て話すことにした。
「…そっか。 マユは、家に帰りたくないんだ」
「帰るって言ったって、多分もう無いと思う。
家のある近くでも戦闘してたし……それにあそこ、お父さんの会社の社宅だったから…」
路肩にスクーターを寄せ、スタンドを立ててから、私たちは座席に並んで座りながら話していた。
行き交う車と、その向こうに広がる海の青を眺めながら、お互いぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
私は正直に話した。 かつての思い出の場所が、壊れたり消えたりしていたらどうしよう、って。
好きだったモノが無くなってしまったりでもしたら――それこそ本当に、この国の事が嫌いになっちゃうって。
アゼルはと言えば、時々相槌を打つか、あるいは私の言ってることを要約するように呟くぐらいで、
私が腹の中に溜めていた不安を全て吐き終えるまで、ただ静かに耳を傾けてくれていた。
話すことが無くなって、黙り込んでしまえば訪れる無言の時間。
車の音と、波寄せる音だけが私たちの周囲を満たしていく。
――キシと音を立て、微かにスクーターが揺れたので顔を上げると、
腰を斜めにずらして、身体ごとこちらに向き直ってきたアゼルの姿が見えた。
「……多分さ、ミネルバはすぐに宇宙に上がらないと思うんだ」
「え?」
「それに、生きていればまた地球に来ることもあると思う。
…いつか、地球と宇宙が仲直りして、自由に行き来できるようになる日も来るよ、きっと」
脈絡の無い言動に驚く私を前にしながら、彼は笑うように目を細めた。
「だから僕は、今サクラやコウヨウが見れなくても大丈夫。
マユが嫌なら、辛いと思うのなら行くのはやめよ」
「っ?! で、でもっ」
「それで良いの。 ……それより、マユの事が心配だ。
折角、故郷に来てるってのに、昔のことで怯えなきゃいけないなんて、悲しいよ」
公園に行くのを止めようというアゼルの言葉に、私はその考えを思い留めようと声を上げたが、
それを遮るように、幾分強い抑揚で彼は言い放った。
「…マユは今、大事な時を迎えていると思う。
自分の故郷を本当に嫌いになるか、好きになれるかの分かれ目に。
だけどね。 その選択にすら知らないふりをするのは、良くないと思うんだ。
今の姿から目を背けたままじゃあ…また、どっち付かずの思いのまま、モヤモヤを抱え続けるよ」
頭を、突然トンカチで殴られたような。 そんな気分だった。
私は逃げに決め込もうとしていたんだ。幸せだった過去へと。 直視したくない現在から、背を向けて。
アゼルの言葉に、それを思い知らされた私は、愕然とした思いを覚えた。
恥ずかしかった――よくもこんな自分が、カガリさんの事を非難出来たものだと。
あの人は辛かった過去をしっかりと抱き止め、
波乱模様を見せる現在を真正面から睨み据えて、先の未来をも見越して、真剣に悩み続けている。
……それに比べて自分はどうだろう。
大事なものを失った過去を憎むことしかせず、今それがどうなってるのかを知ろうともしないなんて。
そろりと持ち上げた両手を、見つめる。 頼りなく小刻みに震える、自分の手の平を。
視界がじわりとぼやけていく。 目の縁がきゅうと熱く、痛むように切なくなっていく。
耐え切れなくなった私は、そのまま両手で顔を覆い隠した。指の間から零れる前髪を、強く掴みながら。
「――行こう、アゼル。
あたし、今のままでいたくない。 ちゃんと、知りたいよう」
私が落ち着くのを待ってくれてから、アゼルは再びスクーターを発進させた。
海沿いの道路をしばらく走り、オノゴロ島の東端側にある緩やかな丘の方へと向かっていく。
ここのてっぺんに私たちの目指す公園が、そして途中の道沿いに、私が住んでいた家がある。
私の住まいは、陸の中腹にある見晴らしのいい住宅地に建てられた、モルゲンレーテ社の社宅だった。
庭付き一戸建て。 壁は真っ白に塗られていて、映画にでも出てきそうな可愛い外観が、私は大好きだった。
海を望める景色は最高だったし、庭や目の前の道路には花も樹も溢れていた。
そんな素敵な場所で兄と私は生まれ、何一つ不安の無い、幸せな生活を送っていた…つい、二年前までは。
「そこの角を右に曲がって。 そしたら、もうすぐ見えてくるはず」
「うん」
ナビゲート役をする私の声に、短く応答した運転手はゆっくりと身を倒し、スクーターを右折させる。
角を越えれば、なだらかな傾斜に差し掛かる道路。 丘の中腹に作られた住宅地は、上り坂の途中にあったはずだ。
昔、毎日のように通った家路の光景を思い起こし、目の前の風景と重ね合わせながら場所を確認していく。
道路は新しいものに変わっていた上に、幾分幅広くなっていた。 復旧ついでに、区画整理でもしたのかもしれない。
……この角を曲がれば、そろそろ家が見えてくるはずだ。
と、思った途端少しだけ怖くなったけれど、意を決して私は前方の斜め上を見上げた。
そこには、以前と少しも変わらない姿の白い家があった。
「ここ?」
「…うん、そう」
「あったかそうな家だね」
家から少し離れた路肩にスクーターを止め、私たちは門の近くに立って家を眺める。
アゼルの洩らした感想は、常夏のオーブにいるということを考えれば奇妙な表現だったけれど、
恐らく、室温どうこうよりも家全体の雰囲気を評しているんだろう。 そう考えたら、理解出来た。
かつての我が家は、皆で仲良く一家団らんに暮らしていたあの頃と、ほとんど変わらない姿で建っていた。
白い木製の壁面と屋根は、二年の年月を感じさせない色を保っていたから、一度は塗り直してあるかもしれない。
お母さんが趣味を兼ねて手入れしていた庭の草花は、以前植えられていたものとは違う種類に変わっている。
でも、広い庭の中で太い枝を両手広げるように真上に広げている樹は、そのままの姿だった。
その枝のうち一本にかけられた、お父さんお手製の小さなブランコも。
料理好きのお母さんがキッチンのそばに植えていた、バジルとローズマリーが生い茂るハーブの花壇も残っていた。
二年ぶりに帰ってきた家の前で、私は我を忘れて立ち尽くしていた。
いっそ、何も残っていなかったらその場で泣くことが出来ただろうけど、
私の家は、ほんの少し姿を変えただけで同じ場所に建ち続けていたのだから。
もしかしたら、本当はみんな生きていて、昔のようにこの家で暮らしているのかもしれない。
家を出たまま、いつまでも帰ってこない私のことを心配して、帰りを待ちわびているかもしれない。
そう思った私はいつの間にか、玄関に向かって歩き出していた。
――途端、後ろから両肩をしっかりと持たれ、ぐいと後ろへ引き下げられる。
それ以上進めなくなった状態に苛立ち、押し止める相手へと振り返れば、悲しげな眼差しとかち合った。
こちらを見つめてくるアゼルは、小さく首を横に振ると、何かを指し示すように顔を前へと突き出す。
彼の示した先へと向けば……家人らしき人影が玄関から出てきて、隣のガレージへと移動する姿が窺えた。
……もちろん、出てきた人は見知らぬ顔だったし、ガレージに止められている車も親が乗っていたものとは違っていた。
「マユ……」
「やっぱり、別の人が住んでたね。
って言うか、とっくに予想はついてたんだけどね。 ここ社宅なんだから当然の話だよ」
心配そうにかけられた声に、私はまくし立てて言葉を返した。 相手に、二の句を告げさせないように。
そして、家の門からさっさと離れ、スクーターの横へと向かう。
「確認出来たからもういいよ。 行こ?
紅葉見に行くんだから、日が暮れないうちにね」
そう言って努めて笑顔を作れば、向こうはええ、とかああ、とか呻き声を上げていたけれど、
こちらがヘルメットをかぶって座席に座ったのを見てようやく折れたらしく、門から離れていった。
座席の前部に腰を下ろし、エンジンをかけているアゼルの背にもたれかかりながら、
私は固く目を閉じて、あれを見ないようにした。 もう、我が家ではなくなった白い家を。
再びスクーターを走らせ、丘陵を取り巻く緩い坂道を登っていく。
最初の目的地だった植物園は、この丘の一番上に建てられていた。
……改めて思えば、そこは幼少の頃の思い出の中で、頻繁に舞台となる場所だった。
休みの日には家族揃って、お弁当持参で遊びに行っていた覚えがある。
なぜ頻繁に遊びに行っていたのか。 それは、気軽に行けるほど近くにあったからかもしれないけど、
私の両親が日系人だった、というのも理由に上げられるだろう。
その植物園は、前世紀の末期にオーブへと移住してきた者たちの手によって建てられたものだった。
当時起きていた、世界再構築戦争にて敗北した母国を泣く泣く離れた日本人たちが、
四季の変化豊かな故郷を懐かしむあまり、巨大なドーム型の庭園として再現させたのだ。
自在な光量の調節を実現させた偏光ガラスでドーム全体を覆い、空調システムで季節の移り変わりを再現させる、
プラントの環境システムと同等レベルの技術を注ぎ込んでまで。
それが可能だった理由としては、元々科学技術の発達していた日本からの移民の中に、技術者が多く居たのと、
それらのノウハウを活かしてオーブで事業を起こし、成功を収めた起業家が存在していたことが上げられるだろう。
彼らが自分たちの持てる技術と多くの私財をつぎ込んでまで、庭園を造ろうとしたその情熱の源は、
激しい戦争で荒れ果て、二つの国家に引き裂かれ、もう自由に帰ることも叶わない祖国に対する思慕だったかもしれない。
私の両親は日系人ではあるものも、日本の地を踏むこともなかったと聞いていた。
けれど、その四季にどことなく心地良さを感じるから、あの植物園が大好きなんだとも聞いていた。
その考えは私とお兄ちゃんも一緒で、家族全員で植物園に遊びに行くのが、何よりもの楽しみだった。
――すごく、懐かしい。
いいようもない切なさと共に高鳴った胸を押さえながら、私は遠く先を見つめた。
自分の携帯のメモリーに入れられたフォトデータにも、時々見る昔の夢の中にも出てくる、思い出の場所。
二年ぶりにあそこに行けるのだと思うと、嬉しさがこみ上げてくる。 同時に、それと同量の不安も。
方向性の違う二つの感情を抱えながら、私は正面を見つめて待ちわびる。 ガラス製のドームが姿を現す瞬間を。
しかしそのうち、透明な半球がいつまで経っても姿を見せないことを不審に思い始める。
「ねえ、まだ先?」
「ううん……もうすぐ見えてくるはずなんだけどー……」
向かい風に乗って前方から飛んできた声に答えながら、視線をさ迷わせる。
道を間違えたのだろうか……いや、あれだけ何度も行った場所を忘れるはずがない。
首を傾げながら正面を見続けていたが、やがて視界は開け、オレンジ色の光が目に飛び込んでくる。
丘の上に辿り着いた私たちは、止めたバイクの横から歩き出せずにいた。
着いた先にあったのは、あの大きな硝子張りのドームではなく、瓦礫の点在するただの荒地だったのだから。
見ればその瓦礫は、植物園の下側の壁だったコンクリートの残骸で、時折分厚い硝子の破片も散らばっていた。
おそらく、点在する瓦礫を線で繋いだら、大きな円の形になるんだろう。
――私の思い出の場所は、既に失われていた。
「……無理もないよね。 丘の上だなんて目立つ場所に建ってたんだから。
あの時の戦いで、壊されたんだと思う」
まだ新兵だけど、軍人になった今だったら壊された理由も分かる。
こんなに目立つ施設があれば、軍事施設の可能性があると判断されて、真っ先に破壊されてもおかしくないのだ。
おそらく、これだけ破壊された状態では中の植物も駄目になっているだろう。
例え、火災や爆風の被害から免れたとしても、赤道直下のこの地では、
環境システムの恩恵無しでは生育も難しく、すぐに枯れてしまうはずなのだから。
「ごめんね。 無駄足になっちゃったね」
不思議なことに、私の心はこの光景を目の当たりにしても平静だった。
泣くほど悲しいとか、壊されたことに対する怒りとか、そういう思いが浮かんでこない。
無くなっちゃったんだなあという落胆と、紅葉を見せようと連れてきた彼への、申し訳ない思いがあったぐらいで。
「……帰ろ。 紅葉を見るのは、またいつかの機会にしようよ」
勿論、その『いつか』がいつだなんて見当も付かないし、
『機会』とやら本当に有るのか無いのか、それすら保証出来ないのだけど、気休めのつもりで私はそう言った。
――返事は戻ってこない。
その代わり、ざりと音立て地面を踏み、歩き出す気配だけが伝わってきた。
「ちょっ、待って。 行っても無駄だよっ。
絶対なんにも残ってないってば!」
一瞬、その行動を理解出来ずに呆けていたのだけど、彼が植物園の跡地へと向けて歩いているのに気がついて、
既に随分先を歩いている背中を追っかけて、私は走り出した。
声をかけると彼は少し顔を動かしてこちらを横目で見たけど、歩みを止めようとはしない。 返事もしない。
その態度にムカッときたものも、一応口には出さずに私はその後姿についていった。
いびつで所々欠け落ちたコンクリートのリングを踏み越えて、植物園だった場所へと入る。
……そこは、やはり外側と同じ廃墟の地だった。
敷地内を二分するように流されていた人工河川はとうに涸れていて、白く乾いた泥と丸い石ころがあるばかり。
季節を彩っていた桜や紅葉の林は、枝も葉も幹すらも残っていない。 あるのは地面に張り付いたままの切り株だけ。
多分ここは、破壊された後申し訳程度に掃除されたまま、放置されていたんだろう。
放置しておくと危険な、大きな硝子や建材の破片。 あとはなぎ倒された木の幹を片付けただけで。
出来れば、こんな有様を見たくはなかった。
昔の名残を見るに絶えない形で残した光景を目の当たりにしながら、私は胸焼けのような不快感を覚えていた。
「……ねえ、帰ろうよう。
こんなの見たって何にもなんないって……むなしくなるだけじゃないっ!!」
ずんずん前を進んでいくアゼルを呼び止めようと発した声は、自分でも驚くほど上ずっていた。
「――ちょっと来て、マユ」
今までずっと無言だったアゼルが、突然言葉を発したのに驚いて彼の方を見れば、
その場に屈みこみ、地面へと真剣な眼差しを落している姿があった。
彼が一体何を考えているのか――恐らくそこにあるモノを見せたいのだろうけど、
何を見せようとしているのか見当も付かなくて、私は苛立たしさを覚えながらも彼のそばへと近づいた。
「なによう、いったい」
「いいから見てよ。 …これって、コウヨウってやつだよね?」
そう言いながらアゼルが指差した先、そこにあったのは切り株から伸びる一本の枝と、
それにほんの数枚くっついている、小さな赤い葉っぱだった。
――無いと思っていたはずのモノが、そこにあった。
思わず私はその場に座り込み、赤く染まった葉っぱへと顔を寄せた。
記憶しているものと比べて小さい気がしたけど、手の平を思わす形は間違いなくモミジの葉っぱだった。
…このモミジは根っこだけになっても、赤道直下の炎天に晒されながらも生き続けていたんだ。
切り株の側面から伸びている枝は、突風が吹いただけで折れちゃいそうなぐらいか細かったけれど、
しゃんと背筋を伸ばすように空に向かって伸びていて、赤く染まった葉っぱを旗のように掲げていた。
それを見つめるうちに、胸の奥底がじんわりと熱くなってくる感覚を、私は感じていた。
驚きと呼べばいいのか感動と呼べばいいのか分からないけど――心揺さぶられるような衝動がこみ上げてくる。
もしやと思い、改めて自分たちのいる辺りを見回せば、
切り株から、あるいは地面から、幹や枝を頼りなく伸ばしながらも立派に色付く紅葉が見えた。
――思い出の場所を彩っていた木々は、打ちのめされても諦めることなく、元の姿に戻ろうとしていたのだ。
「ねえ、この黄色い葉っぱもコウヨウ……どうしたのマユ?」
何処かを歩き回っていたのか、そばを離れていたアゼルが戻ってきて、
後ろから声をかけてきたのだけど、私は顔を上げることも返事することも出来ずにいた。
目尻と鼻の奥が、つんと痛む。 目の縁が震えて、その上に溜まっていた熱いモノが耐えかねたように零れ落ちる。
不思議なことに、嗚咽だけは上がらない。 ただ、涙だけが栓でも壊れたかのようにぽろぽろと溢れてくる。
それは、安堵だったかもしれない。 ただ一つでも、思い出の場所が残っていたことに対しての。
今までとは違う姿だったけれど……私たち家族が大好きだった木々はそこに居続けていて、私を迎えてくれたんだ。
生きられないはずの環境の中、細々と成長しながらも、しっかりと木の葉を秋の色に染めた姿で。
その姿は弱々しいものだというのに、とても眩しく見えた。
私じゃ到底及ばないぐらい、力強さと希望に溢れた存在に思えた。
いつの間にか前に回り込んできていた少年が、私の頭に手を乗せてくる。
撫でるわけでも包むわけでもなく、遠慮がちに触れてくる手の平から伝わってくる相手の体温。
その温もりに安堵を覚えながら、私は涙を流し続けた。 辺りを朱に染め始めた斜陽の光の中で。
「……帰ろっか」
「うん。 コウヨウ見れて、よかった」
「……そうだね」
「また来る時には、もっと大きくなってるかな」
「きっと、大きくなってるよ。
今度は春に来ようか。 桜の樹も残ってたし、桜が咲いているのも見れるかもしれないよ」
「いいね。 そうしよう」
あれからしばらくして、ようやっと涙の止まった私は袖で顔を拭いながら、その場から立ち上がった。
泣き止むまでそばにいてくれたアゼルと共に植物園を見渡しながら、私たちはたわいもない言葉を交わす。
「そうだ、今度はエイジさんたちも呼ぼうよ。
エイジさんにとっても、オーブは久しぶりの故郷なんだし。
……あ、でも。 この際ここだけじゃなくて、もっと沢山の場所に行きたいな。 せっかくの地球なんだし」
「そうだね……どうせだったら世界中回りたいよね!」
「じゃあ、それまでに何か乗り物のライセンス取っときたいなあ。
ねえ、航空機とかクルーザーのライセンスって、取るの難しいかな?」
「んー……なんとかなんじゃない?
っていうか、仮にもMSパイロットなんだから、それぐらいすぐに乗りこなせなきゃカッコワルイよ!」
「それって、別の問題だと思うけど……まあいいや、頑張ろう。
また、ここに来ようね、マユ」
「うん、絶対にね」
お互い、曇りのない笑顔を向け合ってから、私たちは植物園の外に置いてきたバイクの方へと歩き出した。
赤く白く焼けた東の空と、闇のヴェールを掛けられ、蒼暗く染まり始めた西の空が、天辺で入り混じる時刻。
まだ足元が見えるほどに保たれている明るさの中、丘の下り坂を走っていく黄色いスクーター。
その座席の後ろに座りながら、私は横手を流れていく景色に見入っていた。
――本当は、あまり訪れたくなかった故郷。
慣れ親しんだ場所へ行けば、悲しい記憶ばかりが思い起こされる地。
最初は祖国にいると思うと、艦の中にいても居心地の悪さを感じるほど厭だったのに、
今となっては、心は穏やかに静まり返っていて、むしろ心地良い懐かしさすら感じるようになっていた。
自分でも、この心変わりの理由はよく分からない。
あの植物園の光景を目の当たりにしたことで、自分の中で何かが変わったのだろうとは思うのだけど、
それでも、自分の考えがどのように変化したのかを未だに理解出来ずにいた。
理解出来ないままの頭で、かつて自分の日常の一部だった風景を愛おしく思いながら眺めていた。
目に飛び込んでくる風景が、よく見知った場所に変わった時、ふと思い立って私は運転手へと声をかけた。
「あ、ちょっと止めてくれない」
「うん? どうかした?」
キッとブレーキ音を立ててスクーターを止めてから、アゼルはゴーグルを上げて私の方を振り返ってきた。
こちらを見てくる彼へと、ちょっとね、と短く言葉を返してから、私は右手側へと顔を向けた。
そこには、庭付きの白い家が建っている。 少し前に立ち寄った、あの家が。
かつて、私と家族が住んでいた我が家。 もう、違う誰かが住むようになった家。
その姿をもう一度だけ見たいと思って、門の近くにスクーターを止めてもらった。
改めて見直した家の窓からは、優しげな暖色系の灯りが洩れている。
薄く漂ってくる温かい匂いは、野菜の煮える匂いだろうか。
さっき見た時には無かったモノを感じ取りながら、家の敷地内を見渡す。
――と、そこで耳に飛び込んでくる音。 甲高く幼い、子どもの笑い声だ。
ボーっとしていた私は、人が近くにいるのかもしれないと思いながら、身を強張らせて辺りを見回した。
探している途中にもう一度上がった歓声に、そちらの方を見れば庭木のそばで遊ぶ、小さな姿が二つあった。
きゃあきゃあと楽しそうに笑い声を立てている彼らは、私の半分ほどの年頃の男の子と、それよりも小さな女の子。
木から垂れ下がるブランコに乗る女の子の背中を、男の子が押してあげていた。
揺れるブランコにまたがる女の子はもちろん、彼女を遊ばせている男の子もまた、無邪気な歓声を上げていた。
あれは、昔お父さんが作ってくれたブランコだ。
アニメかドラマかで見た、大きな木の枝にロープで結わえ付けられたブランコに憧れて、お兄ちゃんと一緒にねだりにねだって作ってもらった、お気に入りの遊具だった。
ロープ製のブランコは、金具で繋がれた公園のそれとは違って最初の漕ぎ出しが難しくって、
作ってもらったばかりの頃は、お兄ちゃんに背中を押してもらって揺らしてもらっていたことを、ふと思い出す。
「――ああ、そっか」
その瞬間、抱いていた疑問が氷解して消え失せた。
思い出の場所は、無くなったわけではなかった。 ただ、少し形を変えて別の人へと受け継がれていったのだ。
私とお兄ちゃんが遊んでいた思い出のブランコが、あの子たちの思い出のブランコとなっていくように。
私たち家族が暮らした白い家も、可愛い庭も、あのブランコも、今はこの家に住む人たちのものだ。
けれどそれは、現実の中でだけの話で――私が覚えている思い出の中では、確かに私たちの物であったことに変わりはないんだ。
無くなったからって、卑屈になって記憶まで捻じ曲げようとする必要もない。 記憶を忘れさえしなければ、胸の中にしまって大事に愛し続けていれば、それで十分なんだ。
「私……やっぱり、ここに来てよかったよ」
「そっか」
二人並んでスクーターにもたれかかりながら、言葉を交わす。 返ってくる返事は、相変わらず素っ気ない。
「何か変わった?」
「ちょっとはね。 昔のこと、整理出来たと思う。 ……自分はこの国のことが大好きだって、言い張れるぐらいにはね」
「なら、良かった」
短く問い、短く返してきたアゼルは、私の方を向いて微笑んだ。 まるで、私の悩みが解決したことを我が事同然に喜ぶかのように。
その表情を見て、なにかこそばゆいような感じを覚えた私は、それを隠したくてわざと声を大きくさせた。
「帰ろっか、アゼル! 夜間の外出届してないし、早くミネルバに帰らないと怒られちゃうし」
「あっ、そうだったね。忘れてた。 じゃあ、ちょっと飛ばしてくからしっかり掴まってて」
再開したスクーターのエンジン音を耳にしながら、座席に深く座り直した私は、もう一度顔を上げて家を仰ぎ見た。
「――今まで、お世話になりました」
生まれた時から過ごしてきた我が家へと、深くお辞儀をして別れの挨拶を告げた。
今まで私たち家族の生活を見守ってくれてありがとう、と感謝の気持ちを篭めて。
やがて、ゆっくりと発進し始めたスクーターに乗せられながら、小さくなっていく我が家を見送った。
これからも無事であり続けますように。新しい住人たちを守ってくれますように、と祈りを胸にしながら……。
本編でマユ分が不足し始めた頃に閑話投下で補給する舞踏の人ですっ。
今回の閑話は、前回、ちらりとしか出てこなかった我らが主役マユちゃん中心のお話でした。
時間的には、冒頭にもあったようにケイと別れたあとの話です。
この日のマユは目まぐるしい体験をしてきたというわけです……あとで知恵熱起こさないかしらん。
植物園に関しては完全でっち上げです。 というか、こうでもしないとあの回想シーンが説明つかないのですw
赤道直下の国で、日本の気温を再現するのだからさぞ金食い虫だったでしょうね…電気とか。
まあ、オーブは十分な電力の確保が出来ている国ということなので大丈夫なのでしょうけど。
……ちなみに、普通紅葉というのは冬ぐらいの気温まで下がらないと色付きません。
気合で色付いたのか、はたまた病気にでもなってたのかもしれません(嫌
次からは本編再開、開戦編の続きとなります。
アスラン中心で……ああっ、またマユちゃんが目立たなくなるorz
>>381 舞踏作者様、GJ乙です。
じんわりと泣ける、良いお話でした。本編も頑張ってください。
単発設定小話 「灰色の戦い 赤色編E」最終章 24
〜コアスプレンダーが転回し、ジャスティスの目の前にエクスカリバーを突き出したソードシルエットが現れる〜
アスラン「ソードシルエット!?・・・くぅ、間に合わんか!?」
〜コアスプレンダーを避けようとしたためソードシルエットをかわしきれないジャスティス〜
ルナマリア「私は・・・マユやレイ、そしてあなたほど才能はないから、インパルスをこんな使い方しかできない」
〜斜めに傾き、ジャスティスに突き刺さるエクスカリバー〜
アスラン「がっ!!・・・ま、まだ・・・やられてはいな・・・・・・」
ルナマリア「アスラン!・・・・・・祈りなさい!メイリンのために!」
アスラン「ぐぅ・・・・・・!?」
〜ジャスティスにさらに衝突する物体〜
アスラン「かはっ!!・・・フォー・・・スシルエットだと?・・・は、はは・・・総動員させてきたか・・・」
〜フォースシルエットの衝突によりジャスティスに刺さっているエクスカリバーがジャスティスへの切り込みが深くなる〜
ルナマリア「これで・・・終わりよ!死ねぇぇっー!!」
〜動きが止まったジャスティスにコアスプレンダーの火器全てをぶつけるルナマリア〜
アスラン「がっふ・・・ルナマリア・・・・・・そうか・・・メイリンの死は・・・ちゃんと伝わっていたんだな・・・」
ルナマリア「・・・うっ・・・っ・・・ぁああぁ・・・メイリン・・・」
〜爆発寸前のジャスティス〜
(カガリ「殺されたから殺して、殺したから殺されて、それで最後はホントに平和になるのかよ!」)
アスラン「はははっ・・・・・・殺したから・・・殺されてか・・・すまん・・・カガリ。・・・メイリン・・・・・・ごめんな」
ルナマリア「ひっくっひぃ・・・メイリン・・・メイリンメイリンメイリンっ!!」
〜操縦桿を握り締め、唇をかみ締めるルナマリア〜
ルナマリア「早く・・・早く爆発しちゃいなさいよっ!!」
〜ところところで配線がショートし火花が散るジャスティスのコックピット〜
アスラン「・・・・・・ルナマリア・・・これで・・・満足したか?・・・・・・ぐふっ・・・はぁっ・・・・・・」
〜ジャスティスが強い光を放ちながら爆発する〜
ルナマリア「あっあっ・・・私は・・・私は・・・・・・あなたが・・・」
〜光りが集束していく〜
ルナマリア「あなたが・・・・・・うぅぅ・・・・・・」
〜ルナマリアはコアスプレンダーのエンジンを切り、ステーションワンのデフリとともに漂流させる〜
〜レクイエムに到着したデスティニー〜
マユ「<キュピーン>!?・・・ルナ姉ちゃん・・・・・・」
〜エターナル〜
ラクス「<ピキュピキューン>・・・はっ!?・・・ダコスタさん!アスランの・・・ジャスティスの反応は!?」
ダコスタ「え・・・はい・・・!?・・・・・・・ジャスティスの反応が・・・ありません」
バルトフェルド「なんだとぅ!・・・アスランが・・・やられたってゆうのか?」
ダコスタ「も、もう一度確認します!」
〜センサーの感度を高め、必死でジャスティスの反応を探すダコスタ〜
ダコスタ「ダメです・・・ジャスティスの反応がありません」
バルトフェルド「・・・・・・レクイエムの余波が残って感知できんだけかもしれん。・・・月面へ・・・急ぐぞ」
ダコスタ「は、はいっ」
〜瞳孔が開いたままのラクス〜
ラクス「アスランが・・・・・・まさか・・・いえ、でも・・・・・・」
〜月面へまもなく到着するエターナル〜
続
舞踏の人乙です。
帰郷ってそれだけで一つのドラマだよなあ。
マユのような過去の持ち主なら尚更。
時が流れというのはどうしようもなく無慈悲な癖してどこか優しい。
そして単発小話氏ー!?
ルナ、真逆の勝利。
アスラン、おまえは遂に何も出来ず、何にもなれないまま終わったなあ。
そして大量発生するNT、一体何が。
単発さんのとこのアスランは正にキング・オブ・ヘタレだな
(戦闘能力のみに関しては)終盤で挽回した本編よりもヘタレだ
おまけにメイリン死なせてルナの心がやや壊れてしまいそうだし…
ヘタレどころか疫病神?
アスランは…
ストライクを討った頃は絶頂期だったのに、種死ではキラ補正がないと
何も出来ない男に成り下がっちまった。
悪い奴じゃないんだ…悪い奴じゃ…ただ、つるんだ仲間がいけなかったんだよ
本編で凸は終始かなり嫌な奴だったけどな
舞踏GJ
>>387 俺の中でジエッジが本編と認識されているw
原作アスランは説明不足で話わからんキャラに見えるけど
強いて言えばお節介な優柔不断。
優柔不断が取れればシンの超えるべき手本になったろうに
俺の中ではボンボン版アスランがかなり好印象
キラ対シンに船でやめろ!とか言っていないで颯爽とバビで割り込んだり
メイリン連れて行かないし最終回でシンにかまう理由もちゃんと話していたし。
「それじゃお題は・・・・。」
審判は公平を期して両方からトールとアスランである。
トールが箱の中に手を突っ込んでお題の書いた紙を取り出す。
そしてそれをアスランに渡し、アスランが読み上げる。
「えーっと、『それぞれの設定にあったセリフ』!!」
次の瞬間、マユとアキラの後ろにベタフラが走る。
「な・・・・・!私に妹キャラらしいセリフをしゃべれと!!」
「マユちゃんに妹キャラだとぉ!!卑怯な!!」
「じゃあその子は何キャラなんですか。」
緊迫する二人にニコルがつっこむ。
「それじゃあ始めるぞ、サーブはラスティからだ。」
「アスラン・・・・お前は生きろ!!」
『死んでしまった親友』
ぱこーん。
「お兄ちゃん・・・・!!どうして・・・!!」
『生き別れた兄と戦わざるをえない妹』
ぱこーん。
「音楽はいいですね・・・・・。人間が生んだ文化の極みです・・・。」
『音楽少年』
ぱこーん
「殺してやる・・・・!!ナチュラルもコーディネーターも皆死に絶えればいい!!」
『親友を殺され復讐心を持っている。』
「ストライクは俺ものだ!!」
ぱこーん
「私・・・・・普通の女の子でいたい・・!!」
ぱこーん
「このブリッツの攻撃・・・かわせますか?!」
ぱこーん
「何で・・・何で俺ばっかり・・っ!!」
ぱこーん
「一つだけお願いがあります・・・・バンクでいいから俺のこと・・・思い出してください。」
ぱこーん
「本当は・・・・・戦いたくないの!!」
ぱこーん
「アスラン、お弁当作ってきたんですけど・・・・・・。」
ぱこーん
「理想を抱いて轢死しろぉぉぉ!!」
ぱこーん
あまりに難しいお題に全員あっという間に迷走する。
「何か・・・マユのセリフは本来シリアスシーンで言うべきせりふじゃないか?」
「そうだな・・、本来本編でこんなシリアス皆無なギャグ番外編で言うべきセリフじゃないよな。」
レイとスティングがはぁ、とため息をついて話す。
ーーーーーー十分経過ーーーーーーー
「これでも食らえぇぇぇ!!」
十分経過の時点でもはや半分格闘技とかし、お題は完全に忘れ去られていた。
ラスティが気合を込めて玉を打ち返す。なにやら黄金色のオーラに玉が包まれ飛んでいく。
「何のっ!!はぁぁぁぁぁぁっ!!」
マユもラケットで打ち返す。その体は黄金の気で包まれている。
「でいやぁぁぁっ!!」
マユは叫びながら打ち返す。するとアキラは両手を前に突き出す。
「星○識延!!!」
するとアキラの背後から黄金に輝くピンポン玉に良く似た光弾が大量に現れ光速で走る。
それはピンポン玉に追いつき不規則な動きでラスティ達に襲い掛かる。
「なっ・・・どれが本物・・?!つーか卑怯!!」
ラスティは何とか
「それなら僕だって・・・・・・!!」
そう言うとニコルは何処からともなくピアノを出して曲を弾き始める。
激しい曲をニコルが引き始めると何処からとも無く火の鳥が召還された!!
火の鳥が羽ばたくと周囲が炎に包まれた。
「あぢぢぢぢぢ!!元ネタが解りにくいぞお前ら!!一つはマニアックだし一つは古いって!!」
余波で前髪が燃えそうになったハイネが四人に叫ぶ。
見ると他のメンバーも必死に炎から逃げている。
「マユゥゥゥ!!消火できるか?!」
「えぇーっと・・・・シャ○ン・アク○・○リュージョーン!!」
「なんの!!僕は聖獣の水の守護聖だぞ!!」
「うぉっ!!水が帰ってきた・・!!なんの!!宝具!太極○印!!電気分解!!」
既に夢の中なのをいいことに必殺技の嵐である。卓球のボールは悲しく審判席のところに転がってきた。
トールとアスランはお互いに顔を見合わせる。
するとアスランとトールの上からするすると紐が降りて来た。
二人は頷きあいその紐をくいっとひっぱる。
ごーーーーーん
巨大な金だらいが天井からマユ達の頭の上に落ちてきた。
「なんで!!なんでもいいんでしょ!!」
「卓球じゃないからだめ。卓球してればいいけどしてないとだめ。」
頬をふくらますマユにトールはあっけなく言う。
「被害も多いしな・・、だれかポー○ョンいるか?」
「「「「「「「いらない。」」」」」
マユ達の乱闘に巻き込まれたその他一同はボロボロである。
でもポーションは飲みたくない。コーディに発がん性物質が効かないとしても。
「で、そっちに卓球してない奴らも負傷させられたから通させてもらぞ。
でないと謝罪と賠償を要求するニダ!!」
アウルが怒りながら言う。
「暴走したのは両方のせいの気もするけど・・・。」
「「「「「いいから通せ。」」」」」」」
トールが不服そうに言うと全員が殺気だちながら言う。
余計な怪我をして確実に全員機嫌が悪くなっていたのだ。
ステラでさえスケッチブックに達筆で『殺』の字が書いてある。
「わ・・・、わかったよ!俺とニコルの部屋を素通りできるようにする!!」
そう言うとトールは壁に付いていたタッチパネルのようなものをいじる。
「はい!!これで開いた開いた!!解ったらその武器の数々を下ろして!!
あんたらザフト軍と地球連合軍じゃなくてヤクザとかマフィアとか族とかだろう実は!!」」
トールが悲痛な声を上げる。
全員はいぶかしみながらも鞭やら釘バットやらデザートイーグルやら竹槍やらをを下ろした。
単発設定小話 「灰色の戦い」最終章 25
<時間を少し巻き戻しましょう>
〜交戦中のキラとサラ〜
キラ「レクイエムがっ!」
サラ「はっ!助けに行きたければ行きなさい。私には、あなたがこの戦場の全てではないのだから!」
〜ドラグーンを展開させるサラ〜
キラ「っぐ・・・・・・」
〜ビームソードを前方に突き出し突進する〜
サラ「闘牛にでもなったつもり!?」
〜キラの突進をぎりぎりでかわすサラ〜
キラ「ええぃっ!」
サラ「・・・あらら、戻ってこないわね。ふふ・・・まぁあなたを倒すのは私じゃないほうがいいしね。さてと・・・」
〜突進しそのまま離脱したキラ。次の戦場を探すサラ〜
サラ「ステーションワンは・・・落ちるわね。じゃレクイエムは用済みね。・・・とすれば首根っこを押さえに!」
〜サラもその場を離れる〜
〜メサイア〜
デュランダル「状況は!?」
ザフト兵A「オーブ、ヤラファス島付近へ照射確認。目標地点をそれましたっ!」
デュランダル「・・・そうか」
〜椅子に深く座りなおすデュランダル〜
デュランダル「二発目照射準備。目標はレクイエム司令部に任せる」
ザフト兵A「はっ!了解いたしました」
デュランダル「そろそろこちらも行くとしようか・・・・・・」
〜立ち上がるデュランダル〜
デュランダル「メサイア、移動開始」
ザフト兵B「メサイア移動します。目標地点アルファ3。ミラージュコロイド解除、シールドシステム発動させます」
デュランダル「ネオジェネシスをすぐに使えるようにしておけよ」
ザフト兵B「了解しました!」
〜姿を現し移動するメサイア〜
〜月面〜
シン「・・・ありゃぁ・・・オーブを狙ったな?」
〜ゆっくりと上昇していくアプレンティス〜
〜レクイエム到達直前のアカツキとムラサメ小隊〜
ムウ「ここまでくると・・・さすがに攻撃きつくなるねぇ・・・・・・」
オーブ兵A「ムラサメの底力を、ザフトの連中に教えてやりますよ。いくぞ!」
オーブ兵B「おうよっ!」
〜編隊を解き、三位一体の攻撃をザフト軍に仕掛けるムラサメ小隊〜
ムウ「おいおい・・・しょうがねぇな・・・・・・」
〜ドラグーンを展開し、防御重視でレクイエムに接近するアカツキとムラサメ小隊〜
〜レジェンド〜
レイ「・・・・・・見つけたぞ」
続
>>舞踏
マユかわいいよマユ。
てか某スレとのギャップが激しすぎて
二重の意味で泣ける…w
>>ほのぼの
ネタがわからない…
かろうじて封神〇義はわかったがw
>>単発
サラつよいよサラ。
セリフが男前だよwww
…単発殿のルナが死にそうな気が……
>>390 ボンボン版はシンもちゃんと主人公で良かった
あらゆる点で本編より上
>>ほのぼの氏
乙
ほのぼのマユは普通の妹キャラらしくしてた方が人気取れそうw
>>397 テンポ良かったよな。エンジェルダウンとかセンスない作戦いちいち発動しないで
デストロイ撃墜→そのままAA撃墜命令って流れだったし。
絵があんまり綺麗でないのが唯一惜しかった。
ハイネはちゃんと先輩してるし
インジャスを圧倒する格好いいデスティニーが見れるし。
ボンボン版はホント凄かったな
普通アニメの漫画版は尺が足りなくてgdgdになるのが多い中、
ボンボン版の方が普通に良かった種っていったい……。
それとも、種は1年なんて長期にやらないでボンボン版くらいに端折った方がおもしろかったのか?
単発設定小話 「灰色の戦い 暁編A」最終章 26
〜ザフト軍から猛撃を受けるアカツキ〜
ムウ「くそっ!ここを抜ければっ!」
オーブ兵A「一佐ぁっ!ここは我々が引き受けます。はやくレクイエムを!」
ムウ「はぁ?何言ってんだ!お前ら死ぬ気かよ」
オーブ兵B「二発目はなんとしても阻止せねばなりません!」
オーブ兵C「もうオーブだけの問題じゃないんです!あれを・・・地上に照射させるわけには行きません!」
ムウ「お前ら・・・・・・っつ・・・わかった。必ず落とししてくるから・・・お前たちも死ぬんじゃないぞ。いいな!」
オーブ兵「了解!」
〜ムラサメのサポートでザフトの攻撃をかわし、レクイエムへ到達するアカツキ〜
ムウ「・・・くっそ。出戻りの俺なんかのために・・・あいつら。・・・<ピキューン>!?白のボウズか?」
レイ「そこまでだ!・・・ネオ・ロアノーク・・・いや・・・・・・ムウ・ラ・フラガ!」
〜攻撃を受けるアカツキ〜
ムウ「っち。邪魔するんじゃないよ!お前ら・・・そんなに自分で職探しするのが嫌なのかよ!」
レイ「・・・議長の・・・ギルの邪魔はさせなしない。貴様は・・・ラウ・ル・クルーゼと一緒に果てていればよかったんだ!」
ムウ「あぁーっ!まだ俺の影を踏むのか!親父ぃっ!!」
〜ドラグーンを展開するアカツキ、レジェンド〜
〜ザフト軍と戦闘中のアークエンジェル〜
マリュー「ゴッドフリート照準!続けてバリアント展開・・・撃てぇー!」
〜ザフト軍戦艦、MSをまとめて攻撃するアークエンジェル〜
チャンドラ「左舷ナスカ級、中破1。右舷ナスカ級、小破1。ローラシア級、中破1」
マリュー「・・・上々ね」
ミリアリア「後方よりザフトMS接近!」
マリュー「っと・・・次々に・・・・イーゲルシュタイン、ヘルダート発射!」
〜応戦するアークエンジェル〜
ミリアリア「・・・アカツキ、ザフト防衛ラインを突破しました!」
マリュー「サポートにいける?」
ノイマン「・・・行くしかないでしょう!」
〜うなづくマリュー〜
〜ミネルバ〜
アーサー「・・・我が軍おされ気味ですね」
タリア「なにを悠長に言ってるの!・・・アーサー!全速前進!レクイエムを守るわよ!」
アーサー「は、はいぃっ!」
〜タリアの言葉に冷静に対応するアビー〜
アビー「ミネルバ、全速前進」
タリア「・・・おそらく・・・アークエンジェルもレクイエムを目指しているでしょうね」
アーサー「この混乱の元凶ですね・・・」
〜目を丸くするタリア〜
タリア「アーサー・・・たまには真実もちゃんとわかっているのねぇ・・・」
〜アカツキとレジェンドの戦闘を見つけるシン〜
シン「・・・待ちくたびれたぜ!!大佐っー!」
続
>そんなに自分で職探しするのが嫌なのかよ!
クソワロタw
しかしムネオよ、それはキラに言ってやれ!
そしてシン来たーっ!
>>397 いや、あの絵がボンボン版の味だと思うのだが・・・そもそも高山先生のガンダムコミは
外伝の「蒼き死神〜ブルーデスティニー」がスタートで野戦メインだったから
(08小隊と同時期)気にならないというか、汚れてないと高山版ぽくないナイwww
>>400 案外種もサイバーみたく途中で1クール削るとかすれば、名作とは行かないまでも
佳作ぐらいまでいけたのではないかと思う。素材は良いんだし
(高山版種や外枠無印時代、後藤リウ版見れば尚更)
種、種死じゃマシンの汚れまで書かなくなって(いやPS装甲のせいかもしれんが)ちょっと残念だったなぁ。
あと1巻の目玉全機抜刀シーンの後方に1機だけ妙なモン持った奴がw
グフとハイネの運用も美味しすぎるし
みんなの高山版に対する高評価はよくわかったが、いい加減スレ違い気味じゃないか?
まぁ保守代わりには丁度良い
そこまで入り込んだ話ってわけでもなさそうだし
>>397さんのコメント見て思った事を勇気だして言います
普通の妹キャラのほのぼのマユなんかほのぼのマユじゃなーーーーい!!
>>407 激しく同意
人気取りに躍起になってこそのほのぼのマユ
つまりこういうことか?
人気取りのために普通の妹キャラを演じるも
アッサリ化けの皮が剥がれてこそほのぼのマユ
>>409 ほのぼのマユの場合人気取りに水着とかの手段は使っても
普通の妹キャラを演じることはまずないと思われる
さもなくば自分より人気のあるキャラは抹殺するんじゃね?
少し前のほのぼの人気投票が分かりやすい例かも
すごい言われようだな>ほのぼのマユ
同意する意見ばっかだけど
さすが隻腕シンや舞踏キラを超えかねない凶悪キャラ…
言われ放題だなw
隻腕シンは悪い子じゃない
ただハメをはずしすぎてしまうだけで
隻腕シンはどうみてもヘルシング
>さすが隻腕シンや舞踏キラを超えかねない凶悪キャラ…
たしかにそうだが、ほのぼのは他の連中もある意味似たり寄ったりだから…
むしろある意味一番タチ悪い凶悪のが一箇所に集まったのがほのぼのミネルバだから…
その中で最凶なのがマユなだけで…
隻腕・・・俺はいつまででも待ってるからな
最凶は、Wの所のマユだろ ?マリューハンバーグ…
一つ言えるのは、どのマユも最貧だとい/
何が貧しいのかは言うまでも無/
待て、今の音は何/
窓に、窓/
マ/
研究者のノートは、破られたこのページを最後に真っ白なページが続いていた。
>>418 マユはとうとう外なる神の一柱となったか…((||゚Д゚)))
アウルもスティングもかっこよすぎるぜ!GJ!!
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もうやだ。ミーア達の声このままでいーじゃん。」
「文句言うなぁ!!片っ端から開けるんだぁぁぁ!!」
トール、二コルのステージを素通りしてから一同を待っていたのは大量の扉が浮かんでいる空間だった。
「・・・・よくゲームとか漫画であるよな!こういうの!!」
カルマが明るく言う。
「うる星やつ○とか遊戯○とかでもあったよね!!」
ミーアも明るく返す。
「心の部屋と未来の扉だっけ?」
アキラが話を振る。
「そこのおまえらぁぁ!!現実逃避してないで早く調べろ。」
「シンハロ、面白そうなモノがあっても入っちゃだめだからね?」
「ん!」
マユがチビシンハロにそう言う。
他のメンバーは既に扉を調べていた。
「うわっ!!ジャングルだ!!」
アウルが驚いた声を上げる。
「・・・・なんかダンジョンっぽい建物。」
ゼロが重い扉を開けて言った。
「うわぁ・・・・、広い草原だ・・・。」
メイリンがプラントではありえない風景を見て感嘆の声をあげる。
「海の底に遺跡がある!!」
「ギリシャの遺跡・・でも観光客いない・・まさか!!」
「あ、ごめんなさい。お邪魔でしたね。」
「・・・・都会・・・の・・上空百メートル?!あぶねっ!!」
「白熊!!白熊!!真っ白銀世界!!」
「コミケ会場・・・・いつのだろ。」
「普通の町並みだけど・・・。」
「ドラク○のSMA○がやってたミュージカルやってる!!」
一つ一つ調べをいれるメンバー達。
だが探せど探せど七将軍のいる扉はみつからない。
「あーもー見つかんねぇよ、こんなの!!」
切れかけたアウルが扉とドンっと蹴る。
「確かに・・・、切りがないな・・・。」
レイもため息をついて同意する。
「大体なんで直接バトルしないんだよ、あと三人もいるんだろ?」
スティングも同じような調子で言う。
「もうさ、これで良くいないか。」
アスランがこう言った。
最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…! ほのぼのマユデス第1巻は、発売未定です。 ほのぼの作者
マユ「ハァァァァァ!くらえ名前も知らない七将軍E!新必殺『お兄ちゃん激流投!!!』」
七将軍E「さあ来いマユゥゥゥ!オレは実は兄を投げつけられただけで死ぬぞオオ!」
(マユモエー)
七将軍E「グアアアア!こ このクリスタル幻想と呼ばれる七将軍Eが…こんな小娘に…バ…バカなアアアア」
(ドドドドド)
七将軍E「グアアアア」
七将軍F「七将軍Eがやられたようだな…」
キョウアーク「ククク…奴は七将軍の中でも最弱…あんな人気無しごときに負けるとは悪役の面汚しよ…」
マユ「くらえええ!新必殺『マーレ翔鳳斬!!』」
(インパルスハオレノモノダー』)
2人「グアアアアアアア」
マユ「やった…ついに七将軍を倒した…これでアズラエルのいるアズラ○ガーの扉が開かれる!!」
アズラエル「よく来たな最凶とうたわれるもの、マユ…待っていたぞ…」
(ギイイイイイイ)
マユ「こ…ここがアズラ○ガーの間だったのね…!感じる…盟主王の力を…」
アズラエル「マユよ…戦う前に一つ言っておかなければいけません
貴女は私を倒さないと女性陣が元に戻らないと思っているようですが…別に倒さなくても戻ります。」
マユ「な 何だって!?」
アズラエル「そして貴女達のMSはもう旧型になったので最寄りのファクトリーへ解放しておきました
あとは私を倒すだけですねフッフッフッフッ…」
(ゴゴゴゴ)
マユ「フ…上等よ…私も一つ言っておくことがある この私に生き別れた兄がいるような気がしていたが別にそんなことはなかったわ!」
アズラエル「そうですか」
ヤマト「はぁぁぁぁぁぁ!」
アズエル「さあ来いマユ!」
マユの人気への執着が世界を救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!
単発設定小話 「灰色の戦い 暁編B」最終章27
〜ドラグーンで牽制しつつ鍔迫り合いする暁とレジェンド〜
ムウ「つぅ・・・やるねぇ。が、しかし!」
〜レクイエムに攻撃をしかけるも、ビームははじかれる〜
ムウ「!?バリアだとっ」
レイ「ふん、当然だ。貴様みたいな馬鹿がたかられたらかなわないからな!えぇいっ!」
ムウ「簡単にあきらめるわけにはいかないんでね!外がダメなら中から破壊させてもらおうか」
〜レクイエム内に突入しようとするアカツキ〜
レイ「ちぃっ」
〜アカツキを追いかけるレジェンド〜
ムウ「この機体なら・・・進入はできるはずだ!・・・・・・<ピキューン>!・・・シンっ!」
〜レクイエムに突入しようとするアカツキとレジェンドにむけドラグーンを放つアプレンティス〜
シン「大佐ぁっー!」
ムウ「こんなタイミングででてくるとは!」
レイ「貴様もここで葬ってやる!」
〜レクイエムのバリアに到達し侵入を試みるアカツキ〜
ムウ「よし、行けた!これで・・・終わりだっ!」
レイ「そうはさせないさ!」
〜アカツキに遅れてレクイエム内に入り込むレジェンドとアプレンティス〜
ムウ「おまえはここで飛び道具は使えないだろう!」
〜ドラグーンを展開しようとするアカツキ。アカツキに切りかかるレジェンド〜
レイ「こんな狭いところでドラグーンなど使っても簡単に落とされるだけということもわからないのか!」
シン「両方とも落ちちまえよ!」
〜アプレンティスのドラグーンがアカツキとレジェンドに襲い掛かる〜
レイ「なっ!?・・・こいつ!」
〜レクイエム司令部〜
ザフト兵A「!?レクイエム発射口内にMS侵入!・・・1機はミネルバ所属のレジェンド。残り2機は敵MS!」
ザフト高官「くそっ!侵入を許すとは何たる体たらく。充填は継続、発射時にはレジェンドに警告しろ。後はもう知らん!」
ザフト兵A「りょ、了解!」
〜レイから通信が入るレクイエム司令部〜
レイ「ミネルバ、レジェンドのレイ・ザ・バレルだ。レクイエムは準備終わり次第照射してかまわん!」
ザフト高官「言われるまでもない。貴様こそレクイエムに傷をつけさせるんじゃないぞ!」
レイ「・・・了解した」
〜劣勢なアカツキ〜
ムウ「っと・・・俺だけ1対2か〜?はぁっ!」
〜レジェンドに切り返すアカツキ〜
シン「大佐!俺はあんたが裏切ったとは思ってない。・・・裏切るも何もハナから仲間じゃなかったんだからな!」
〜アカツキを側面からビームサーベルで切りつけるアプレンティス〜
ムウ「シン!まだ気は変わらんのか!?・・・このままじゃ・・・・・・」
シン「思い出を大事に思うなら・・・俺たちのことも思ってくれよな!戦場にもでって来るべきじゃなかったんだ!」
〜アカツキとアプレンティスがビームサーベルの打ち合いをしているところをまとめて襲い掛かるレジェンド〜
レイ「期待外れのナチュラルと出来損ないのコーディネイターに不確かな存在のクローンで戦い合う・・・笑ってしまうよ!」
続
ソードマスタームサシかよ!
単発設定小話 「灰色の戦い 暁編C」最終章 28
ムウ「シン!聞けっ!」
〜切りかかってきたアプレンティスをぎりぎりでかわし腕を掴むアカツキ〜
シン「大佐!?」
ムウ「お前の相手は必ずしてやる!今は・・・このレクイエムを破壊させてくれ!」
シン「な、何を言うかと思えば!あんた本当に大佐かよ?・・・記憶が戻っておかしくなったんじゃねえのか!?」
〜掴まれたことと、ムウの発言に戸惑うシン〜
ムウ「ここを破壊できれば、多くの人の死ぬ可能性を回避することができる!だから・・・邪魔するんじゃない!」
シン「・・・・・・そんなもの・・・俺たちには関係ないっ!はぁぁっ!」
〜アカツキを振りほどくアプレンティス〜
レイ「はん!二人仲良く死ねば万事解決するだろうに」
ムウ「・・・お前はぁっー!」
〜アカツキとレジェンドのビームサーベルがぶつかりあい強い光を放つ〜
〜メサイアを確認するガーティ・ルー、デストロイ〜
リー「あれが・・・本拠地だな。・・・・・・少尉からの連絡は?」
クルーA「まだありません・・・」
リー「・・・ふむ。周囲の状況は?」
クルーB「敵影ありません」
リー「・・・・・・よし。メサイアへ接近後、ミラージュコロイド解除。軍曹を呼び出せ!」
クルーA「はっ」
〜モニターにスティングの映像が映る〜
スティング「こちらデストロイ。艦長、どうした?」
リー「ガーティ・ルーはこれよりメサイアへ接近する。悪いが・・・囮として先にミラージュコロイドを解除してもらえんかね?」
スティング「!?・・・シンはまだ戻ってきてないぜ?」
リー「強引に戻させるんだよ。・・・いいな、スティング・オークレー軍曹?」
スティング「っ・・・・・・わかった」
〜ガーティ・ルーの動きを確認し、ミラージュコロイドを解除するデストロイ〜
〜メサイア〜
ザフト兵A「!・・・新たな敵影確認しました。・・・これは・・・・・・連合軍・・・デストロイです!」
デュランダル「デストロイだと?・・・まだあんなものを持っていたというのか?連合は・・・」
ザフト兵A「デストロイより熱反応!・・・こちらに照準を合わせているようです!」
デュランダル「・・・・・・まだ距離はあるな。・・・この距離なら十分防げるだろう。撃たせておけ」
ザフト兵A「了解」
デュランダル「・・・レジェンドをこちらによこすよう通達しろ。急げっ」
〜レイを呼び出すオペレーター〜
〜アカツキ、レジェンド、アプレンティスは互いのビームサーベルを打ち付けあう〜
シン「ちゃぶ台背負ってるくせに・・・なんて動きのすばやい!」
ムウ「お前らやめろ!自分がなにやってんのかわかってんのかよ!?」
レイ「出来損ないの人間どもがっ!・・・・<ピー>・・・通信?・・・・・・こんなときに・・・」
ムウ「このっ・・・悪ガキめっ!」
レイ「・・・・・・メサイアに急行しろだと!?・・・っちぃ・・・・・・ここはもう用済みということか」
続
ちゃぶ台……言い得て妙だなwww
ねぇ……ヴィア、僕達が出会ったときのこと、覚えてる?
僕はずっと忘れててたんだ。
なんでだろ。君の顔も思い出せない。
ただ、あれだけは、ずっと覚えているんだ。
〜I and I and I〜 第二十話「君と一緒に食べたアイスクリームの味を、僕は忘れない」
宇宙は、とても静かで。
それが、とても不気味で。
ありもしない危険を、感じてしまったり。
シャトルを乗り捨て、ファクトリーに着いたラクス一行。
「ラクス様、ご無事で何よりだ」
「お久しぶりです、ヒルダさん。みなさんも」
「隊長!お久しぶりです!」
「おぉマーチン君、ひっさしぶりだなぁ」
出迎えには、マーチン・ダコスタ、ヒルダ・ハーケン、ヘルベルト・フォン・ラインハルト、マーズ・シメオン。
そして、
「コーディネイターばかりで場違いですけど」
「お久しぶりです、バルトフェルド隊長」
アークエンジェルのクルーであったジャッキー・トノムラと、ロメロ・パル。
「いや、お前達の力も充分に必要さ」
「で、隊長さん。そこにいるちっこいのは誰なんだい?」
出迎えに来た皆の視界には入っていたマユ。
ヒルダがそれを尋ねる。
「ヴィア・アスカ。んー……俺達のマスコット、かな」
「バルトフェルドさん……」
「冗談冗談、そう拗ねるなってヴィアちゃん」
頭をこねくり回しながら、バルトフェルドは言う。
納得できないような表情を浮かべながらマユは、バルトフェルドを見上げる。
「彼女も大切なわたくし達の仲間ですわ」
「仲間、ねえ。ま、よろしく頼むよ。ちっこいの」
ラクスの言葉にヒルダは意地悪く笑って、そうマユに言った。
「ちっこいのじゃありません。ヴィアです」
バルトフェルドのせいで拗ねるていたというのに。
マユの頬は、膨れに膨れ上がっていた。
「あーはっはっは!これは失礼したねぇ、ヴィア」
だが、ヒルダはマユの目の前まで顔を寄せ、
「よろしく」
ニッと笑い、そう言う。
呆気に取られるマユだったが、周りを見てみれば、ダコスタもヘルベルトもマーズも、
トノムラもパルも、勿論ラクスとバルトフェルドも、笑っていた。
心地よい。暖かい。
自然と、マユの口元も柔らかく、緩んでいく。
「ヴィアです、よろしくお願いしますっ!」
和やかなファクトリーのは逆に、地球・クレタ島沖では戦闘が繰り広げられていた。
ザフト・ミネルバ隊、そして連合軍とオーブ軍の共同戦線、更にはフリーダムやアークエンジェルも入り込んだ混戦状態である。
ある者は砲を放ち、またある者はそれを受け命を散らす。
こんな状況にヴィアがいたら……。そんなことを、アスランは考えたりもした。
しかし、そんなことばかりも考えてはいられず、執拗に攻撃を仕掛けてくるカオスや、
できることなら戦いたくはないキラ達に振り回され、必死だった。
セイバーとフリーダムが牽制しあう中、セイバーを狙うカオスが漁夫の利とばかりにビームライフルを発射する。
だがフリーダムとセイバーはそれを回避。
フリーダムはそのままカオスに向かい、カオスを戦闘不能に追い込んだ。
「やめろ、キラ!」
アスランが叫ぶ。
シンはアビスに追いかけ回されているのにも関わらず、フリーダムを見た。
「どこ見てんだよコラァ!!」
一瞬動きを止めたインパルスに、アウルは敵意を剥き出しにする。
放つ連装ビームはインパルスのブラストシルエットを捕らえるが、インパルスはそれを分離させ爆煙の中に消えた。
「なにっ……」
アウルは言った。それしか言えなかった。
煙の中から、インパルスのビームジャベリンが飛んでくる。
そしてそれは、アビスのコックピットに……
「ここ、どこだろ……」
アウルはふと呟いた。
声はどこまでも限りなく響いている。
「アウル!」
ネオの声が聞こえた。
「ネオ?」
けれど、そこには誰もいない。
そこ?そことはどこ?
どこでもない。そこは存在しない。
「僕は、何をしてたんだっけ……」
アウルはもやもやとした気持ちだった。
「アウル」
「あ!スティング!」
目の前にスティングがいた。
手を伸ばして触れようとしたら、スティングはふっと風になびく砂埃のように、掻き消えてしまった。
「アウル」
「誰?君は誰?」
金髪の少女が、微笑んでアウルを見ている。
「ステラの家族は、ネオに、スティング、それにアウル!」
「ステラ?そう、お前はステラ!」
思い出した。
目の前にいるこの子はステラだ。
また手を伸ばす。
けれどまた消えてしまう。
「はい、アイスクリーム」
声が聞こえた。
いつの間にか、手の中にはアイスクリームがあった。
「これ……凄い甘くて美味いやつ」
だがそれを、いつ、どこで、誰と、食べたのかを思い出せない。
「ワタシ、ヴィアです」
「ヴィア……」
どこかで聞いた。
忘れたらいけない名前だ。
忘れたくない名前だ。
「ほっぺたにクリームついてるよ」
「えっ」
見上げると、可愛い笑顔があった。
「ほんとだ。甘くて美味しいね」
笑顔に照らされる。
この笑顔を、ずっと忘れていたなんて。
「ヴィア」
手を伸ばす。
けれども、やはり姿は掻き消され……
「ヴィア……ヴィア!!」
「え?」
振り向くと、そこはもうファクトリーのドックではなかった。
ラクスもバルトフェルドも、出迎えにきた者達もいない。
「ここは、どこ?」
歩きだす。
足が勝手に動いている。
いや、自分で動かしているはずなのに、勝手に動いているような感覚。
「ヴィア!!ヴィアヴィアヴィアヴィアヴィアヴィア!」
「誰?ワタシを呼ぶのは誰?」
深い霧の中で、何かを探すように。
足を進めた先には、一人の少年がいた。
「ヴィア……」
「アウル、なんで泣いているの?」
すんなりと名前が出た。
この名前が彼の名前だと、考えることなく口から出ていった。
「もう会えないんじゃないかって……」
「だって約束したでしょう。また会おうって」
「ヴィア……ヴィアぁぁぁぁ!!」
「はいはいアウル」
抱きついてきたアウルの頭を、マユは優しく撫でる。
自分より背の高い赤子を、あやすように。
不思議だったのは、アウルの存在がとても繊細だったこと。
この繊細さはなんだろう。
誰しもどこかに持っている刺々しさが全くない。
「アウル、あなたは……死んだの?」
顔を上げたアウルは、動揺もせずにマユを見た。
「死んだ?僕が死んだ?」
巻き戻される記憶。
インパルスが放つビームジャベリン。
アビスに突き刺さるビームジャベリン。
「死んじゃったんだ……僕……」
受け入れるというよりも、受け入れざるを得ない状況なのか。
「じゃあなんで、なんでワタシは、アウルと……?」
ここにいる自分。
ふと浮かんだ疑問。
「それは君が、魂を導くことのできる存在だからだ」
第三の声。
マユが振り返ると、そこには……
タケミカズチ。
船体が撃たれようとも、突き進み続ける。
もうこの艦には、自分しかいない。
「思えば、様々なことがあった」
走馬灯のように巡る記憶というのは、死期が近いということの表れだろう。
「死に急ごうというのだ。無理もない」
清々しいものがあった。
火の手はすでに、自分の周りを取り囲んでいる。
逃げられない。逃げるつもりもない。
「できることならせめて、あの二人のその後が知りたかった」
オノゴロ島で保護したあの少年、シン・アスカは今頃どうしているのているのだろうか。
そのシン・アスカに会いにいったあの少女、マユ・アスカは兄妹の再会を果たせたのだろうか。
少しばかり残ってしまった悔いだが、仕方がないと素直に諦める。
目の前に降り立つインパルス。
対峙するトダカ。
振り下ろされる、エクスカリバー。
巻き戻されたトダカの記憶。
「私は死んだ。そしてその少年も」
トダカは言う。
「インパルス……あれにはシンさんが」
「私を、いやタケミカズチを討ったのはあの少年だ。そしてまた、君にも出会えた」
死して知ることができるとは思ってもみなかった。
「私は死を選んだ。それに悔いはない」
トダカは笑う。
だがまた真剣な表情をして、マユを見た。
「だが、あの戦闘、いやこの戦争、そして前大戦で無念に散っていった者達の魂は、今も地球の周りでさまよい続けている」
魂を導く。
トダカはそう言った。
「君には力がある。それが君の存在だからだ」
「ワタシの……」
「君は数々の魂と邂逅してきた。それは君がその役目を果たすためにいるからだ」
「でもワタシ、何をしたら……」
さまよい続けている魂。
マユは思い出す。
砂漠で会った女性……
ガルナハンで会ったモビルアーマー乗りの少年……
プラントへ向かう途中、艦で会った者達……
プラントで聞いたピアノの少年……
アークエンジェルで見た赤い髪の少女……
核やジェネシスを撃たれ散っていった戦士達、ユニウスセブンの落下で失われた人々……
そして目の前にいるアウル。
「ワタシは見えるだけです。見えるだけ、何もできません」
「できないと……そう決めつけるのか」
「え……?」
何ができるのか。
導くということがどういうことなのか。
「何をすればいいのか、わかりません」
「死んだ者だけではない。生きている者達もだ」
「ワタシはナイチンゲールじゃありません。ましてやジャンヌ・ダルクでもないんです」
「私は君の存在が、人々を導けると信じている」
マユと初めて会ったあの日、トダカはマユの強い信念を感じた。
その信念、考え、気持ちが、今世界に生きる人々を導けると。
自分のような上に立つ者の導きとは違う、一人の人間としての導き。
「なぁ、ヴィア」
マユの後ろで、アウルが声を上げた。
「行けよ」
「アウル……ごめん、でもワタシどうすれば」
「謝るなって。ヴィアは謝るより、笑ってろよ」
アウルはそう言う。
アウルはマユの笑顔が好きだった。
マユに救われたのだ。
アウルは、ぽんとマユの背を押した。
「え……」
現実に引き戻される。
暖かい者達がいるファクトリーに戻ってくる。
戻ってくる。というよりは、体は残り、意識だけが別の場所にいるような感覚だった。
時間としては、一秒も経ってはいない。
それなのに、永遠にも感じたあの出来事。
(ワタシは、笑っていられるのかな……アウル)
続
アウルゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
トダカのおじさぁあああああああああああああああああん
V氏おつです。
なんだろう目から涙が……(ノД`)
ヴィアタンキター♪
I×3氏乙です。アウルはアニメで不遇だったせいか、どこの話でも少しでも報われるようにと書く方が
多いようですね。
とりあえず、隻腕に続いてマユに「イイコイイコ」してもらった彼には、禿しく嫉妬でありますww
>>437 ほのぼのアウルならもれなくマユにボコボコにされるんだぜ
III氏乙
ヴィアたん相変わらずカワイス
最近立て続けにアウルが死んでる。みな笑って逝ったのが救いだが…
殺しやすいのかな?
生き残るルート一つくらいあってもいいのに
本編では憎たらしいキャラでしかなかったんだ。
ここまで掘り下げてもらえるだけマシさ……
それにオクレなんか……
それよりもマユの相手役になってることが多くて微妙だ
マユの相手出来るのがアウルしかいないからか
スティング、キラ、アスラン、レイは大人っぽ過ぎるしシンは大抵陣営違うしなぁ
歳が近いから、気になる男の子として描ける=お兄ちゃん離れ(精神的な成長)の一環使える>アウル
って事でない?
肉体年齢と精神年齢がだいたい同じだとすると、精神年齢がダブってるのアウルぐらいしか居ないからなじゃない?
オリキャラと絡まれても微妙だしな
アウル以外だとロリコンの十字架を背負うからな……
>>439 まあ、ここでの死は本編のままだし、よほど変わった展開の話では無いかぎり
仕方ない気はする。
単発設定小話 「灰色の戦い 暁編D」最終章 29
〜レクイエム〜
ザフト兵A「レクイエム充填完了!照射準備整いました!」
ザフト高官「よーし・・・照準、大西洋連邦首都 ウェリントン!」
ザフト兵B「警告だします」
〜レクイエム内で戦闘中のレジェンドに警告を発する〜
レイ「・・・っく・・・ぎりぎりまで・・・粘らせてもらおうか!」
〜アカツキとアプレンティスへの攻撃の激しさを増すレジェンド〜
シン「こ、こいつ・・・っ!?・・・レクイエムが・・・二発目がくるな」
〜レクイエムの中心が淡く光りだすのを確認するシン〜
ムウ「もう時間がないっ!・・・・・・覚悟を決めるしかないかな?」
〜ドラグーンを展開するアカツキ〜
レイ「身を投げ捨てでもここを破壊する気なんだな!貴様は!・・・っくっくっく、はぁっーはっはっは!愚かしい・・・」
〜アカツキに集中して攻撃を仕掛けるレジェンド〜
シン「大佐!?・・・くそっ!そんなんであんたを倒しても・・・なにも・・・なにも変わらない!てぃぇーっ!」
レイ「こいつ・・・邪魔をするな!お前もそこの愚かな人間とおなじだ・・・ここで果てるがいいっ!」
シン「つっつ・・・・・・ドラグーン、散開!」
〜ドラグーンを全て展開させレジェンドを攻め立てるアプレンティス〜
レイ「当たるものか!」
ムウ「・・・・・・シン・・・」
シン「はんっ!ドラグーンってのは当てるものじゃないんだよっ。当たりにこさせるものなんだ!」
〜数発、レジェンドに命中する〜
レイ「っぐ・・・あたった?・・・・・・出来損ないのコーディネイターががんばるじゃないか!?・・・っち・・・時間か」
〜レクイエム〜
ザフト兵A「レクイエム照射開始!」
〜レクイエム中心部の光りはますます強くなり、アカツキ、アプレンティス、レジェンドを飲み込んでゆく〜
レイ「・・・・・・っくっくっく、ここで心中すればいいさ!」
〜レクイエムを脱出するレジェンド〜
シン「大佐ぁー!!」
ムウ「もう少しで・・・・・・<ピロリロリーン!>あぁぁっー!!」
〜アカツキのドラグーン全てがレクイエム中心部に向けビームを発射される〜
ムウ「こ・・・れで・・・・・・終わりだ!」
シン「やば・・・い・・・早く・・・・・・逃げないと・・・くっそ間に合ってくれ・・・よ」
〜レクイエムの膨張する光りに完全に飲み込まれたアカツキとアプレンティス〜
レイ「・・・・・・ふん・・・あんなものよりも・・・メサイアを守りにいかねば・・・・・・」
〜メサイアに進路をとるレジェンド〜
〜レクイエム〜
ザフト兵A「・・・な・・・・・・レクイエム、照射・・・・・・失敗しました・・・・・・」
ザフト高官「たった・・・たった2機のMSにだと」
ザフト兵B「!これは・・・・・・総員直ちにレクイエムより脱出せよ!・・・内部から爆発を起こしているぞ!」
ザフト高官「なんだと!?」
〜すさまじいエネルギーが行き場所を失いレクイエムの設備は崩壊を始める。そして光りが立ち上るレクイエム〜
続
大西洋連邦首都はワシントンですぞー
……ウェリントンってニュージーランドの都市だぞ。
いくらなんでも一般常識が無さすぎでは?
叩きイクナイ
これが叩きに見えるってお前…
このスレって過保護っつうか、変にピリピリしてるよな…
いくら言っても単発氏なら黙々と続けそうな気がするぜw
オーストラリアにもウェリントン市がある
富山市の姉妹都市になっている
公式設定ではないのだとわかっている俺は勝ち組
>>451 確かにそれは思う。
当初の勢いが無くなって、職人が減ったせいもあってか
どうも過保護な対応が増えた気が。
その割には……いや、荒れるからやめておこう
過保護な割には、作品に対する感想少ないよな。
過保護っつーか、間違ってんならそれの指摘だけしとけばいいものを
>いくらなんでも一般常識が無さすぎでは?
とか余計な一行付け足してるから叩きに見えるんでしょ。
どうみても作品ではなく作者への個人攻撃です。
本当にありがとうございました
このスレはまだ職人いるだけまし
読んでるの今一個も無いが
隻腕の人、カムバ〜ック!
PP戦記の人マダー?
463 :
通常の名無しさんの3倍:2006/11/25(土) 20:09:55 ID:7+Dg41ua
PP戦記の人マダー?
PP戦記の職人全然見ないな…
「そうだね、それで行こう。」
「それが早いな。」
「ちょってまてぇぇぇぇ!!内容なんだ!!私ってなんだ!!一体どんな存在なんだぁぁ!!」
『こらこらこらぁぁぁぁ!!何勝手に展開決めてんですかぁぁぁぁ!!』
マユ以外全員が同意した瞬間、アズラエルの声が聞こえてくる。
「お、突っ込みが入ったな。」
アスランが何処から声がするのかと辺りを見渡す。
「ほらとっとと七将軍の残りだせ。全力でミンチ通り越して分子にまで崩壊させるから。」
ハイネがはぁ・・っとため息をつきながら言う。
「無視するなぁぁぁぁ!!答えてよ!!」
マユが必死に叫ぶが無視される。
『それでもあなた達主人公サイドの人間ですか。』
アズラエルがあくまで冷静につっこむ。
『まぁ、いいです。こっちには人質とMS質もいますしね。』
そう言うと空中に映像が映し出される。
『そうせいがったい!』
『ごー!』
『いんぱるす!!』
『アクエリ○ンよりおれデモ○ベインのほうがいいー!!』
『だまれおたく!!』
デフォルメ化されてすっかりコンピューターまでレベルが下がったのか楽しそうに遊ぶMS達。
どうやら抵抗をあきらめたらしくすっかりごっこ遊びで盛り上がっている。
『何一万年と二千年前から愛し合ってるのよあいつら。あ、プレア。お茶まだある?』
『ありますよー。マフィンは入ります?ヴェイアが焼いてくれたんですよ。』
『あー、ヴェイアのマフィンね・・・。美味しいんだけどダイエット中だからパス。』
水筒に入った紅茶と元々持っていたおやつで牢屋のなかで優雅なティータイムを繰り広げているフレイとプレア。
「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」」」」」」
『・・・・・・・・・うわーーーー!!そんな・・・・そんな目で見るなぁぁぁぁぁ!!』
マジ泣きする声が聞こえる。
「もうおじさん、満足したでしょう?早くシンハロとルナお姉ちゃん達戻してよ。」
マユが今まで聞いたことも無いような優しい声で言う。
『ま・・・まだです!!まだ君達との勝負はついていません!!』
そう言うと周りの扉が全部開け放たれる。
するとそこからその世界が洪水のようにあふれ出してき、マユ達はそれに飲み込まれた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
「・・・・アザラシの群れみたいだなお前ら。」
そこに固まっているのはプラント出身のコーディとオーブ出身のマユ兄弟だった。
何とか耐えているのはアキラ、それにファントムペインのメンバー。
そして平然としているのは先ほどのセリフを言ったジョーとゼロである。
「まだ何とか行動できる人たち!!カマクラつくって!!イザカマクラ!!」
ハイネが震えながら話す。暖かい気候のプラント育ちにこれはきつい。
「マユ・・・・父さんと母さんが見えてきた・・・・・。」
「お兄ちゃん・・・・・!!」
南国出身であるアスカ兄妹も多いに震えている。
「皆大丈夫か?ステラとアウルなんかアザラシ狩りにいったぞ。」
ずさーっとアザラシのマネをして滑走するステラとアウル。
「・・・・・・・・あれが狩りか?」
アスランが疑問の目でみる。
「ああやってアザラシをだましてその相手が油断した隙にこう・・・ずさっと。」
そう言って手で突き刺す動作をするスティング。
「なんでそんなの知ってるのさ。」
キースが顔を真っ青にしながら聞く。
「いや・・・、なんでもゼロに習ったらしい。」
「懐かしい・・・昔逃亡していた頃は・・・・・・。」
スティングにそう言われて遠い目をする。
きっと彼の脳裏にはアザラシを内臓までしっかり食べている幼い頃の自分と『兄弟』の姿が映っているのだろう。
「と・・・とにかくどうにかしないと・・・・死んじゃう・・・・。」
メイリン(男)が歯をガチガチ言わせながら言う。
「落ち着け・・素数を数えるんだ・・・でも寒い・・・。」
「普段あの格好のミーアが言うセリフじゃないよ!!」
「私的にはルナおねえちゃんのミニスカも信じられない!!」
「ふ、甘いぞマユ!!何のために普段ニーソを着用していると思っている!!」
騒ぎ始めるメンバー。
すると、なにやらドドドドドド・・・・・・と言う音が・・・・。
「うぇーーーーーい!!」
「何やってんだよステラ!!」
見るとステラ(男)とアウルが白熊に追いかけられていた。お約束通り、二人はこっちへ走ってくる。
「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」
全員思わず寒さを忘れて逃げ出す。
「だ・・・・誰か!!!お客様の中にトカレフを持っているお客様はいらっしゃいませんか?!」
大慌てでキースが叫ぶ。
「54式手槍ならあるけど?!て言うか何故にトカレフ?!」
メイリン(男)がなぜか中国製トカレフを取り出す。
「普通に狩猟用のショットガンでえぇやん!!拳銃にこだわるならマグナム弾のリボルバーでもよくね?!」
ストッピングパワーのある奴だろやっぱ!!と言うジョー。
「だけどスピードローダーあってもリボルバーで大群はだめだろ?」
アスランがマシンガン持って来い!!と叫ぶ。
「銃火器談義している場合じゃないでしょう!!」
グレイシアが血走った目で怒鳴る。
「皆、うろたえるな!!ここは多分あの盟主王が作った世界!!
今はあいつに主導権を握られているからこんな世界だが、ここは夢の中!!要するに精神しだいだ!!
たぶんきっと皆で力をあわせて別の世界をイメージすればこの世界を打ち砕けると個人的には思う!!」
力強く、だが口調とは正反対に説得力のない説得をするアキラ。そろそろ彼も限界っぽい。
「そんな自分の憶測を勢いで通そうとするな!!・・・・でもマジでどうしよう。」
アキラにレイが突っ込みを入れるがその後すぐに顔が絶望でそまる。頭が既に熊に齧られている。
「任せろ!!皆もんのすごく耳を塞いでくれ!!むしろ聴覚を失くす勢いで!!」
そう言うとルナマリア(男)はどこからともなくマイクを取り出し大声で喋る。もちろん皆はしっかり耳を押さえているので聞こえていない。
すると、突然周りの風景がパリーンと割れて何も無い真っ白な空間が残った。
「おぉっ!!すごいぞルナマリア!!」
「どうやったの?!」
「いつもの電波ソングか?!」
皆に口々に褒められるとルナマリアは誇らしげに言った。
「なぁに・・・・『飲み込んで・・・・僕のエクスカリバー・・。』を暗唱してやったまでよ。」
このあと、ルナマリアはマユによる『MMI-710「エクスカリバー」レーザー対艦刀』攻撃、
アキラによる『約束勝利剣(エクスカリバー)攻撃、ミーアの『聖剣(エクスカリバー)』攻撃の
三段攻撃を「あやまれぇぇぇぇ!!○○○○にあやまれぇぇぇぇ!!」と食らわせられるのであった。
とこどき、ほのぼのマユデスと単発設定の存在がすごく頼もしく見えるときがあるんだ。
単発設定小話 「灰色の戦い 暁編E」最終章 30
<時間をちょっと巻き戻します・・・ジーコジーコジーコ>
〜光が立ち上り続けるレクイエム〜
シン「大佐ぁっー!!」
ムウ「俺だってなぁ・・・これと心中する気はないんだよっ」
〜アプレンティスを押し出すようにレクイエムからの脱出を試みるアカツキ〜
ムウ「シンっ!お前もぼけっとしてないで脱出を手伝えっての!」
シン「お・・・おぉぉぉっ・・・・・・ちょ・・・光に・・・包まれていく!?」
ムウ「下だけ・・・カバーできれば・・・っ」
〜アプレンティスはアカツキを掴み光の中を駆け抜けていく〜
シン「くっそ!・・・ああぁっー!・・・あの光りの膜は・・・大佐のドラグーンか!」
ムウ「はあぁぁっ!もってくれよ!」
〜レクイエムの光から飛び出してくるアプレンティスとアカツキ〜
シン「っぷはぁっ!・・・・・・はぁはぁはぁ・・・大佐」
〜月面に乱暴に着地するアプレンティスとアカツキ〜
ムウ「いやぁ・・・・・・なんとかなるもんだねぇ。なぁ、シン?」
シン「・・・大佐!どうして俺も助ける!?」
ムウ「どう・・・って。そりゃお前を死なせたくないし・・・アカツキだけじゃ脱出は難しいと思ったからだろ」
シン「大佐・・・変わったな。いや、元に戻ったというべきなのか・・・・・・」
ムウ「・・・・・・シン」
シン「もういい。ネオ・ロアノークは・・・もう居ない。・・・俺たちの邪魔をしてくれなければ・・・あんたに攻撃もしない」
ムウ「・・・確かに・・・・・・時間が経つにつれムウ・ラ・フラガの記憶は次々と甦りネオ・ロアノークの記憶は薄まっていっている」
シン「黙れっ!」
ムウ「シン!けどな、お前やスティング、ステラ、アウル、リー達との記憶・・・いや思い出が消えたわけじゃない」
シン「黙れと言っているんだ!・・・記憶なんて・・・思い出なんて・・・・・・あんたにそんなこと言う資格があんのかよ!」
ムウ「・・・・・・」
シン「ネオ・ロアノークは死んだ。・・・ムウって言いましたっけ?ドラグーンもない、装甲のぼろぼろのそのMSでは俺に勝てない」
ムウ「シン・・・」
シン「あんたみたいに弱い人間は・・・後方支援でもしてりゃいいんだよ!」
〜飛んできたシュトゥルムファウストに飛び乗り、その場を去るアプレンティス〜
シン「・・・・・・っち」
〜デストロイとガーティ・ルーに通信を入れるシン〜
シン「デストロイ、ガーティ・ルー聞こえるな?こっちはケリがついた。・・・?なんだ・・・あいつらもう始めてやがる」
〜デストロイ、ガーティ・ルーそれぞれから返信の代わりに戦闘状態のステータスが返ってくる〜
〜月面に残されたムウ〜
シン「・・・そうか・・・・・・ネオ・ロアノークはもう死んでいたんだな。俺は・・・亡霊にしがみついていたのか」
〜アークエンジェルから通信が入る〜
マリュー「ムウ!・・・無事なのね?」
ムウ「ん・・・ああ。なんとか・・・任務は完遂したぜ」
マリュー「・・・・・・ええ。しかっりと確認させてもらったわ。・・・こちらへは自力で戻ってこれますか?」
ムウ「戻るだけならな・・・坊主たちは?」
マリュー「・・・・・・アスランくんが」
ムウ「そっか・・・・・・取り合えず戻るわ。まだ戦闘は続いているし・・・立て直さなきゃな」
続
>>470 よぉ俺
ただ最近どっちもマユの存在が薄いのが悲しいぜ!
マユデス作者はもう言っても無駄だから勝手にやれって感じだな。
もはや、良くも悪くも話の腰を折る働きしかしてない。
おいらはむしろこのスレに来ている理由の75%はほのぼの氏を見る(読むではない)為なのだが・・・
別にそれが悪いことだなんて誰も言ってないわけだが?
好みは人それぞれだし。
ただ煽りたいだけの奴は来るな、と。
単発設定小話 「灰色の戦い 途中経過報告」最終章 中休み
〜瓶コーラを一気飲みするミーア。頭にはワッカが光っている〜
ミーア「ぷっはぁ〜やっぱコーラは一気飲みよねぇ!」
サラ「・・・・・・あんたね、ラクスのフリしないでいいからって行儀悪いわよ」
ミーア「いいじゃない、もう何も怖くないんだから!」
サラ「そりゃ・・・もう死んじゃってるものねぇ。っと、そんなことはどうでもいいのよ。はい、話続けて」
ミーア「はいはいっと・・・一場面ごとにやってるため、作者の頭がだいぶ混乱してるようだから今回は総集編よ!」
サラ「アニメ本編みたいに総集編が多いわよね・・・」
ミーア「・・・・・・話・・・すすめますからね。っということで、キャラクターごとに現状を以下の通りまとめてみました」
サラ「ステータスの後ろの( )内はそれぞれの時間軸の説明ね。その場面になったらそこまで時間をもどしてからReSTARTね」
ミーア「それでは、いってみましょう!」
<ザフト側>
マユ ⇒ ステーションワンからレクイエムへ移動中(レクイエム崩壊ちょっと前)
ルナマリア ⇒ アスランを撃破。ステーションワンのデプリとともに浮遊中(レクイエム崩壊中)
レイ ⇒ レクイエムから脱出。メサイアへ移動中(レクイエム崩壊中)
サラ ⇒ キラとミーティア同士での戦闘後。戦場を移動中(レクイエム1回目照射直後)
タリア(ミネルバ) ⇒ レクイエム防衛中(レクイエム崩壊ちょっと前)
議長(メサイア) ⇒ メサイアの姿をさらす(レクイエム崩壊中)
ジュール隊 ⇒ 月面にて防衛中(レクイエム1回目照射直後)
<オーブ・連合>
キラ ⇒ サラとの戦闘後、レクイエムへ移動中。アスラン死亡はまだ知らない(レクイエム崩壊ちょっと前)
アスラン ⇒ ステーションワンを破壊した後、ルナマリアとの一騎打ちで果てる(アスランは永遠を手に入れた)
ラクス(エターナル) ⇒ 月面へ到着。アスラン死亡を確信する(レクイエム崩壊ちょっと前)
ムウ ⇒ レクイエムの破壊に成功するもアカツキはズタぼろ。アークエンジェルへ帰還中(レクイエム崩壊中)
マリュー(アークエンジェル) ⇒ 月面で戦闘中(レクイエム崩壊中)
カガリ ⇒ レクイエムの照射をくらうものの必死で強がり中。アスランの死亡はまだ知らない(レクイエム崩壊中)
黒っぽい三連星 ⇒ ジュール隊が防衛する月面の前線で戦闘中(レクイエム1回目照射直後)
<ファントムペイン>
シン ⇒ レクイエムから脱出。「ネオ・ロアノークは死んだ」としてメサイアへ移動中(レクイエム崩壊中)
スティング ⇒ デストロイのミラージュコロイドをときメサイアへ攻撃を開始する(レクイエム崩壊中)
リー(ガーティ・ルー) ⇒ ミーラジュコロイド展開中。アプレンティス待ち(レクイエム崩壊中)
ミーア「さて、なんだかんだで次回は一旦各キャラの進捗をこまごまといれてと・・・その後は?」
サラ「時間を再び戻すわよ。レクイエム崩壊前から、月面の華編を再会する予定よ」
ミーア「では最後になりましたが、ここでゲストの紹介でーす。・・・アスランさん、どうぞ!」
〜突然姿を現すアスラン。もちろん頭の上にはワッカが光っている〜
アスラン「なっ・・・ミーア!?えぇ?ちょっ」
〜アスランに抱きつくミーア〜
ミーア「えへへへ・・・私のアスラン♪」
〜人影がもう一つ増える〜
メイリン「ちょっと!私のアスランさんに抱きつかないでください!」
アスラン「・・・メイリン!?」
〜火花を散らすミーアとメイリン。そしてサラは〜
サラ「っちょ・・・わたしはまだ生きてるのよ!なんで死んだ奴ばっかでてくんのよ〜!!」
続
>>477 「総集編」乙です。
アスランはラクスあたりが錬金術でもせんと復活不能‥南無阿弥陀仏。
>サラ「っちょ・・・わたしはまだ生きてるのよ!なんで死んだ奴ばっかでてくんのよ〜!!」
サラ死亡フラグ?!
今、思ったんだけど今回の総集編
ミーア→メイリンの手により死亡
メイリン→サラの手により死亡
アスラン→メイリンの姉のルナマリアの手により死亡
サラ→メイリンを殺害
ってこのメンツだけで一本泥沼の話が作れますわな
保守
戻れぬというのなら、時を私の望む形で進めていくだけだ。
私は知らない。知ることもできない。
レイ、ラウ……そして、マユ・アスカ。
心の繭、その中には何がある?
私は知りたい。それを!
〜I and I and I〜 第二十一話「帰り道はもうなくて」
ファクトリーに隠されたエターナル。
ブリッジには、来るべき時のために作業を続ける者達がいる。
この数日の間、ファクトリーに身を置いていたマユは、自分もその一人になるのかと考えた。
だがそれは、本当に自分が望んでいることなのだろうか。
ここにいることが、自分のためになるのか。
トダカの言葉が、頭の中を廻っている。
「どうかしたのかい、ヴィア」
ファクトリーの中を案内していたヒルダが、察して言った。
「ワタシは、どうしてここにいるんでしょう」
唐突なその言葉に、ヒルダは何も言えなかった。
「ラクスさんに言われてついてきてしまったけど、ここでワタシ、何ができるんでしょう」
あのままアークエンジェルにいたとして、自分が何かできたというわけでもない。
ただ、自分が何をすればいいのかが、見出せない。
笑っていること。アウルの言葉。
それはきっと、笑顔でいられるような、そんな世界にしてほしいということなのだろう。
しかし、世界そのものを変えるには、マユは余りにもちっぽけな存在である。
「青春だねぇ」
「は、はぐらかなさいでください!」
「そんなのあたしだってわかんないんだよ」
ヒルダは言った。
迷っているのは、この世界に生きる者全てにいえること。
キラと話した時、マユはそう言った。
「わからないのはわかってるんです。どうしたらいいのかが、知りたい」
ヒルダは困った。
的確な答えなどない。
それにマユは、恐らく自分に問いかけているのだろう。
気休めで何かを言うよりは、黙って彼女が納得するまで待つ方がいいとヒルダは思った。
だが、そんな悠長なことをしていられる場合ではなかった。
警報がファクトリーに鳴り響く。
「なんだい、ネズミでも入ったか」
ヒルダが通信機を繋ぐ。
「何!?侵入者?銃撃戦だと?」
ヒルダの喋り方に、マユはただならないものを感じた。
「ここから近いな……」
チラッとマユを見る。
「わかった。あたしも応戦に向かう」
通信機を切ると、ヒルダはマユの腕を引っ張り、歩きだした。
「どうやらテロリストらしい。いや、海賊かもしれないね」
「大丈夫なんですか?」
「なぁに、あたし達は姫を守るナイトだよ」
ニッとヒルダが笑う。
二人は作業員用のロッカールームに入った。
ヒルダは適当に空いているロッカーを選び、開いた。
「入りな」
「え?」
「ヴィア、あんたはあたし達の大事な仲間なんだ。死なれちゃ困るのさ」
ヒルダは懐から銃を取り出す。
そしてそれを、マユに渡した。
「片手じゃ当たるかわからないね……足音が近付いてきて、危険な奴だと思ったら迷わず撃ちまくりな」
「えっ……」
「でなきゃお前が死ぬ。生きたいなら撃ちな。わかったね」
ヒルダはマユの頭をポンポンと叩くと、安心させるように笑顔を見せた。
そして静かにロッカーを閉める。
遠くから、ドアが開き、閉まる音が続いた。
ヒルダが出ていったのだろう。
隙間から光が入ってくるだけの狭い空間の中、恐怖はなかった。
マユは、自分だけ世界から取り残されてしまったような、そんな感覚に包まれていた。
「そうか。それでそのシャトルを奪った者達のその後の足取りは?」
執務室で、デュランダルは報告を受けている。
「しかしよりにもよってラクス・クラインを騙ってシャトルを奪うとは。大胆なことをするものだ」
先のシャトル強奪事件。
全ての報告を聞き終え、デュランダルは通信を切る。
「だが、奴等が離れたというのは幸いか。ラクス・クラインとキラ・ヤマト。そして、マユ・アスカ」
キラ、ラクス……見え隠れする敵意。
「彼等がいつどこで、何故出会ってしまったのか、私は知らない」
席を立ち歩き始める。
向かう先は、執務室のその奥の部屋。
ドアを開け、デュランダルは部屋の中に消えていく。
真っ暗な部屋。
ぼんやりと明かりがついた。
部屋の中心には、カプセルのようなものが置かれているだけ。
デュランダルがスイッチに触れると、カプセルのハッチが音を立てて開いた。
そのまま、デュランダルはカプセルの中に入る。
ハッチが閉まる。
母の胎内のように、心地よい世界が、そこにはあった。
デュランダルはゆっくりと、その意識を手放していく。
霧がかったような空間が果てしなく広がっている。
デュランダルは、ゆっくりと歩きだした。
この場所が現実でないことを彼は知っている。
ここは彼が作り出した世界。いや、肉体という器が消え、魂が旅の途中に立ち寄る場所。
「やぁ、やっと会えたね」
足を止めたデュランダルは、瞳の中に映る相手に呼びかけた。
背を向けていたその相手は、静かにデュランダルに顔を向けた。
「ラウ。ずっと君に会いたかったよ」
再会を祝してワインで乾杯してしてしまいそうな、そんな口調でデュランダルが言う。
ラウ・ル・クルーゼという存在は、デュランダルに大きな影響を与えた。
「君は倒れた。その意志を継ぐつもりはないがね」
ラクスとキラの顔が浮かぶ。
「それでも魂が引き合う……定められた者達、定められた物事」
世界を恨み、人間を憎み、そして死んでいったクルーゼ。
「全てをそう言ってしまうなら、では我等が足掻きながらも生きるその意味は……」
自問するように言った言葉。
それを聞いて、ラウは口を開いた。
「全ての者は生まれ、やがて死んでいく。ただそれだけのことだ」
「だから何を望もうが、願おうが無意味だと?」
「そうではない。ただそれが我等の愛したこの世界、そして人という生き物だということさ」
死ぬことが答えだというのなら。
「どれだけ人は生きようと、いつかは死ぬ。それを忘れているのだよ、皆は」
だが死ぬことをいつも考えていたら、人は何もできないのではないか?
「だが私だけは忘れない。決してそれを忘れない」
しかしラウは、それでも生きてきた。
そんなラウは、何もしないで死んだわけではあるまい。
「こんな私の生に価値があるとしたら、知ったときから片時もそれを忘れたことがないということだけだろうがな」
「だが、君とて望んで生きたのだ。まるで何かに抗うかのように。求めるかのように」
生を受けたその日から、彼は誰かの代替品だった。
自己が存在する理由を、どこにも見付けられなかった。
だから世界を破滅させようと彼は望み、そのために生き、そして死んだ。
そんなラウだからこそ、デュランダルは彼と友人になった。
例え最初は互いに利用するためだったとしても、次第には、今のこの時のように意見を交わすような間柄になっていた。
「願いは叶わぬものと知った時、我等はどうすればいい?それが定めと知った時に……」
「そんなことは私は知らない。私は私のことしか知りはなしない」
ラウなら答えを知っていると思った。
しかしラウは、苦笑してそう言うだけだった。
「迷路の中を行くようなものさ。道は常に幾つも前にあり、我等は選びただ辿る」
世界は迷っている。
そしてその世界に生きる者もまた、迷っている。
「君達はその先に願ったものがあると信じて。そして私は……やはりないのだとまた知るために」
ラウは指をさした。
デュランダルはその指の先にいたある者を追って、振り返る。
「仕方がないの。もう決めてしまったの!私は子供が欲しいの……」
そこには、タリアがいた。
数年前。まだデュランダルとタリアが恋仲にあった。
「だからプラントのルールに従うわ。だからもう……貴方とは一緒にいられない」
デュランダルとタリアの間には、子供はいなかった。
何度体を重ねても、その兆候さえ見えなかった。
婚姻統制。それは出生率を高めるに取られた方法。
「……そうか」
言いたくない。
タリアを手放したくない。
だがデュランダルは、そう言ってしまった。
タリアは悲しそうな顔をしていた。
そんな顔をしないでくれ。そうデュランダルは思う。
そういう運命だったのだ。そうデュランダルは思う。
デュランダルは手を差し出した。
タリアがハッとしてデュランダルを見る。
二人は、握手を交わした。
この手を離したくない。
だが、握られた手は解かれ、タリアはデュランダルに背を向けて歩きだす。
陰からタリアを待っていたかのように、男が現れる。
婚姻統制で定められた相手か。
その相手も、子供を望むか。
デュランダルは振り返る。
「誰が決めたというのだろう、何を!」
こんな運命を望むはずがない。
仕方がなかった。そういって選んだそれは、本当に自分が望んだことなのか?
選んだのは本当に自分なのか?
「選び得なかった道の先にこそ、本当に望んだものがあったのではないか?」
「そうして考えている間に時はなくなるぞ」
嘲笑するように、ラウが言った。
「くっ……!」
デュランダルは悔しがって声を上げる。
「きっとそこにはあるもの。素晴らしいもの」
ラウは言う。
「それを求めて永劫に血の道を彷徨うのだろ?君達は」
また言う。
「不幸なことだな」
諦めか。
そんな言い方だった。
「救いはないと?」
「救いとは何だ?望むものが全て、願ったことが全て叶うことか?」
視線が合う。
「こんなはずではなかったと、だから時よ戻れと、その祈りが届くことか?」
そんなことできるはずもない。
「ならば次は間違えぬと確かに言えるのか、君は」
突き放したようにラウは言う。
「ならば私が変える!全てを!!戻れぬというのなら始めから、正しい道を!」
声を荒くして、デュランダルは叫び散らす。
その時だった。
ラウの姿が遠ざかっていく。
「アデニン、グアニン、シトシン、チミン……」
DNAの塩基を呟き続ける。
瞬きをしたその時には、デュランダルは元いたカプセルの中だった。
まるでそこは繭の中。
自分を包み、ありとあらゆるものから護ってくれる繭。
「試運転は、上々といったところか」
カプセルから出ると、デュランダルはゆっくりと呼吸を正していく。
「己の出来ること、己のすべきこと。それは自身が一番よく知っているのだから」
それが正しいと思うしかない。
それしか選べない。
もう後悔など、する気はないのだから。
マユはハッとした。
そこはロッカーの中。
うとうとしていたのか、夢を見た気がした。
侵入者のせいでファクトリーはピンと張り詰めているというのに、自分は寝ていたのだろうか。
「あれは誰?」
夢の中で、またアウルやトダカと会ったあの空間に行ったような気がした。
ただ、そこにはアウルもトダカもおらず、自分の存在もとても曖昧だった。
曖昧なまま、マユは霧の中に人の姿を見た。
誰かはわからない。
しかし二人の話していたこと。それだけは覚えている。
「ワタシは……いいえ、ワタシも」
マユは決心する。
手に力が入る。
その手には、銃が握られていた。
ヒルダから渡されたものだ。
こんなもの必要ない。
そう思った、その時だった。
誰かか室内に入ってくる。
緊張が走った。
「……」
気配を押し殺し、事態が過ぎ去るのを待つ。
しかし、足音はゆっくりと、マユの入っているロッカーに近付いてくる。
手が震える。持っている銃がより重たく感じる。
足音が、ロッカーの前で、止まった。
ドアが、開かれる。
「いやっ……!」
「落ち着きな、あたしさ」
「あ……ヒルダさん……」
安心して、張り詰めていた緊張が、一気に解ける。
「怖かったろ」
ヒルダは穏やかに笑って、マユの頭を撫でる。
「ここにも誰も来なかったようだし……」
辺りを見回して、またマユと向き合う。
「でも撃たなかったお前は……偉いよ」
「そんな……」
「撃ったら、あたし達と一緒さ。ヴィア、お前はあたし達みたいになっちゃいけないよ」
ヒルダの言葉の意味を、マユはわからなかった。
そう言ったヒルダの顔は、何か重大な罪を犯したような、とても深刻そうな顔をしていた。
はいともいいえとも、マユは言えなかった。
ただ、ヒルダを見ていることしかできなかった。
自分は何をすればいいのだろう。
その答えを、自分の存在する理由を、ずっと探してきた。
ただ今思うことは、ミネルバにいたあの日と同じ。
ここが自分の居場所では、ないということ。
続
次回より連合・ファントムペイン編へ
>>492 「霊界」編乙です。
「霊界」にはキララクも居そうなので、
ラウやデュランダルと「霊界討論」してホスィかった。
AA・ファクトリー編だったよな?
霊界編て何?
>>492 I×3氏、乙です!
今回はヴィアタンの出番が少ないけど、ヒルダ姐さんがイイですね。
がんがれ、職人様!
単発設定小話 「灰色の戦い」最終章 31
<時間はレクイエム崩壊前までまき戻る>
〜首根っこを押さえに行くつもりのサラ〜
サラ「・・・センサーを最大限に、マルチロックオンを応用・・・MSを排除、戦艦級を抽出」
〜コンソールモニターに表示されていた無数の点が減ってゆく〜
サラ「っつ・・・まだ多いわね。認識されているオーブと連合の戦艦を排除。レクイエム付近に限定。さぁ、どう?」
〜コンソールモニターの点は3つにまで減った〜
サラ「絞れたじゃないの。さあて・・・首根っこを押さえにいきますか」
〜モニターに光る点の一つにむけ発進するデスティニーインパルスwithミーティア〜
<レクイエム崩壊ちょっと前>
〜たかるザフトのMSをなぎ払うように『侵攻』するキラ〜
キラ「なんで・・・なんであんなものを使おうとするのさ!・・・<キュピーン>」
〜ミーティアのミサイル、ビームを放出するキラ。爆発するザフトのMSたち〜
キラ「はぁっ・・・・ん。!レクイエムがまた光ってるの?・・・・・・二発目なんか撃たせないよ!」
〜レクイエムへ急ぐキラに通信が入る〜
ラクス「キラ!聞こえていますね?」
キラ「ラクス・・・よかった無事なんだね?・・・レクイエムが二発目を!」
ラクス「キラ・・・アスランが・・・」
〜割ってはいるバルトフェルド〜
バルトフェルド「ちょっと苦戦しているだけだ。それよりもキラ!レクイエムはフラガ少佐っと一佐か。一佐をサポートに!」
キラ「え・・・わかりました。バルトフェルドさん、気をつけてください。あのときの黒いミーティアが・・・たぶん来ます」
バルトフェルド「・・・わかった。レクイエムは頼んだからな」
キラ「はいっ」
〜通信を切るバルトフェルド〜
ラクス「・・・すいません。バルトフェルド隊長」
バルトフェルド「ラクス・・・今は戦いに集中しよう。全部受け入れるのは終わってからでいい」
ラクス「はい・・・・・・」
〜警報が鳴り響くエターナルブリッジ〜
ダコスタ「!急速接近してくる敵影!モニターにだします!」
バルトフェルド「っと・・・早速おでましか。全速撤退!逃げるぞ!」
ダコスタ「はい!」
〜全速で逃げ出すエターナルに迫る黒いミーティア〜
サラ「ビンゴっ!あんたたち自分たちが旗艦ってことに自覚が足りないわよ!!護衛艦がまったくいないなんて馬鹿じゃないの!!」
〜ビームソードを展開させるサラ〜
<レクイエム一発目照射直後>
マユ「月面の防衛ライン?・・・?・・・あのMS・・・ドムっていったっけ?4機も・・・・・ってなんで新型同士が戦ってんのよ!」
〜月面で砂埃を立ち上げる戦場で3対3で戦っている集団を見るマユ〜
マユ「・・・あそこは・・・ジュール隊の管轄ね・・・ということは、グフはイザークさん、ザクがディアッカさんね」
〜白いグフと、物干し竿を背負ったザクが見える〜
マユ「ドムにはシホ姉ちゃんね!取り合えず・・・あそこをサポートに・・・・・・・!?敵のあのコンビネーション?・・・あれは」
〜3機のドムが一列にならびシホに向け突進してくる〜
マユ「危ない!」
〜月面に急降下するデスティニー〜
続
人は必ずしも、何かを犠牲にして生きている。
それで楽に生きれるなら、俺はそれで構わないと思うがね。
でも、それで苦しむことになるのなら、どうする?
諦めることと、割り切ること。
いったい、何が違うんだろうな。
〜I and I and I〜 第二十二話「誰も救えない力」
地球周辺軌道、大気圏突入ルート。
そこに近付く、一機のモビルスーツ。
「せ、狭いな……」
「パル、お前少しは痩せろよ……」
「し、仕方ないだろっ!」
狭いコックピットの中、成人男性が二人。
そして少女が一人。
乗るのはバスター。かつての大戦を勝ち抜いたモビルスーツの一機である。
突然、マユは地球に戻ると言い出した。
「勝手な言い分なのはわかってます……でもワタシ、後悔はしたくない!」
地球に戻って何ができるのかは、まだわからない。
どこに行くのかも何をするのかも、決まってはいない。
訴えている側の、目の前の者達は、何も知らない。
全てを伝えたところで、理解してくれるのだろうか。
言えば良かったのだろうか。
「わかりました」
ラクスは微笑んで快諾する。
それ以上、何も言わずに、何も追求せずに。
ラクスは信じていた。自分に力を与えてくれたマユという存在を。
「バスターかデュエルは使えますでしょうか?」
ダコスタを見てラクスは訊く。
「あ、はい!機体内部の改修もOSのバージョンアップも完了しています」
バスターとデュエルは、ヤキン・ドゥーエ攻防戦停戦後にエターナルが接収している。
その後、ファクトリーにて改良が加えられ、エターナルやアークエンジェルの戦力になるよう保管されてきた。
「来るべき時のために残していたが、こんな時に役に立つとはなぁ」
「イザークやディアッカには申し訳ない気持ちがありますけどね」
残念そうに苦笑しあうバルトフェルドとダコスタ。
だが、後悔はしていないようだ。
ラクスはマユの前にまでやってくると、目線があうように膝をつく。
「ヴィアさん、あなたはわたくしに、たくさんの勇気をくださいました」
優しい笑顔を向けて、ラクスはそう言った。
「今度はわたくしが、お返しする番ですわ」
優しい笑みから、心強いしっかりとした笑みに変わる。
「何に悩まれているのかはわかりませんけど、ヴィアさんのその悩みが解決できることを祈っています」
勇気を貰ったのはこちらだと、マユは思う。
ラクスの言葉、バルトフェルドの言葉、ヒルダの言葉。
言葉だけではない。こんな自分に色々としてくれたことが、ありがたかった。
「ありがとうございます!」
精一杯の感謝の気持ちを込めて、マユはそう言った。
ファクトリーに残った皆の顔を思い浮かべながら、マユはこの息苦しい状況を耐え忍んでいた。
大気圏突入までのルートは、連合・ザフト共に勢力圏外である。
バスターは武装が外され、大気圏突入におけるその一点においてのみ主眼が置かれた。
そのため、戦闘になったら、勝てる見込みは限りなくゼロに近い。
だからこそ勢力圏外のルートを選んだのだが……
突如、コックピット内にアラート音が鳴り響く。
「な、なんだ!?」
「敵!?」
トノムラとパルが慌てふためいている。
モニターは、宇宙空間に突如として姿を現した戦艦を映し出す。
「ミ、ミラージュコロイド!?」
「確かあれ、ザフトのモビルスーツ強奪事件の……」
ガーティ・ルーである。
そう気付いた直後、そのガーティ・ルーから通信が寄越された。
投降しろ。抵抗すれば撃墜する、と。
ガーティ・ルーからのモビルスーツの発進を確認する。
白旗を上げるしかない。
武装を解除するにしても、解除する武装もないのだが。
ガーティ・ルーに収容され、格納庫に降り立ったマユ達は銃を突きつけられた。
無理もないが、そのままマユ達はされるがままにあるところへ連れて行かれた。
ブリッジである。
「あんな旧式機を使うのは、かつてのアークエンジェルぐらいしかないと思っていたが」
艦長であるイアン・リーは、入ってきた三人を見るなりそう言った。
「データはロアノーク大佐より貰っている。ジャッキー・トノムラにロメロ・パル、どちらもアークエンジェルのクルーか」
自身のシートのモニターには、トノムラとパルの個人情報が映し出されている。
「まだ接触すべき時ではないのだが、これも好機か」
ネオならそう言うだろうと思いながら、リーはそう呟く。
そして次に見たのは、マユだった。
何故こんな少女が同行しているのだろうか。
状況からすれば、最初からおかしかったのだが。
いや、重要なのはむしろこの少女なのか。
リーは、まじまじとマユを見る。
上官も、下士官も、多くの人間を見てきた。
軍に身を置いて幾年、いつからだろう……世界の異変に気付いたのは。
マユを見ていると、そんなことを思った。
ミネルバは騒がしかった。
ステラを返還したことによってシンは逮捕、シンに手を貸したレイと共に、営倉入りを命じられた。
そんな二人がいる営倉を、アスランとハイネが訪ねる。
「……なんですか?」
アスランを見るなり、不機嫌そうにシンが言った。
「いや、すまなかったと思って」
そんなアスランの言葉に、シンは顔をしかめる。
「彼女のこと、君がそんなに思い詰めてたとは思わなくて」
「別にそんな思い詰めてたってわけじゃありませんけど。ただ嫌だと思っただけですよ」
ステラ。シンの大切な存在。
純粋に、助けたいと思った。
「ステラだって被害者なのに……なのにみんなそのことを忘れて、死んでもしょうがないみたいに」
「だがそれも事実ではある」
まるで呪詛のように言ったシンの言葉。
しかしそれを否定するように、アスランは言い、そして続けた。
「彼女は連合のパイロットであり、彼女に討たれたザフト兵も沢山いるということも事実だ」
アーモリーワンから始まった、様々な因縁。
「でも……でもステラは望んでああなったわけじゃない!わかってて軍に入った俺達とは違います!」
「ならば尚のこと、彼女は返すべきじゃなかったのかもしれない」
アスランの言葉に、シンはハッとする。
「自分の意志で戦場を去ることも出来ないのなら、下手をすればまた…」
「じゃあ!あのまま死なせれば良かったって言うんですか!?」
「そうじゃない!だがこれでは何の解決にも……」
「あんなに苦しんで怖がってたステラを!」
互いに譲らない問答が続く。
「もう黙れ、お前等」
その問答を終わらせたのは、ハイネだった。
「シン、お前のしたことは間違っちゃいない」
ハイネがそう言うと、シンはありったけの笑顔を見せ、アスランは驚きハイネに向く。
しかし、すぐさまシンの笑顔は消え、アスランは動揺した。
ハイネの瞳は、無という感情一色に満ちていたのだ。
「人間としては合格だ。だが、軍人としては失格。銃殺刑ものだ」
喜ぶに喜べないシンの顔が、ハイネの瞳に映り込む。
「アスラン、お前の言ってることも正しい」
「なら、どうしてあんなこと!」
「大切な者がいるお前は、シンと同じことをすると思ってな」
「なっ……!!」
ハイネの言葉に、言い返せない自分がいる。
「割り切る……いや、割り切れないから人間なのさ」
いつもの、洒落の一つでも言いそうなハイネの顔に戻った。
ハイネは言い終えると、営倉を出るのか、歩きだす。
「そうだ。レイ、お前はどう思う?」
訊かれたレイは、瞳だけを動かし、ハイネを見た。
「終わったことは終わったことで先のことは分からない。どちらも無意味です」
第三の意見。
しかしこれもまた、正しいのだろう。
「ただ祈って明日を待つだけだ……俺達は、皆」
大気圏を突入し、ガーティ・ルーはユーラシア・ロシア平原へと降り立つ。
ガーティ・ルーは、地上で活動していたファントムペイン・ロアノーク隊と合流する命を受けている。
しかし彼等には軍の命令以上に、何か別の目的があるようだった。
マユも、トノムラとパルも、連絡こそ取ることはできないが、拘束とは呼べない扱いを受けている。
その中でも、マユはかなり優遇されていた。
マユは勿論のこと、トノムラとパルが優遇されているのには理由があるのだが。
「リーさん」
「なんだ、ヴィア君」
ガーティ・ルー内の通路を、マユとリーは歩いていた。
あるところに向かうという。
マユ達は、リーにあることを伝えられた。
ネオ・ロアノークを中心に、連合内部で静かに動いている者達がいる。
世界がおかしいと、漠然と思う者達がいる。
ネオに従えば、きっとその世界から抜け出せる、変えられると思う者達がいる。
そのためにはネオや自分達だけでは力が足りない。
だが、連合やザフトだけでは力が偏る。
ネオはよく知っていた。連合、ザフト、オーブの、あの三隻ことを。
「だから力を貸すと思った……そういうことですか?」
「良い意味でも悪い意味でも、彼等は二つの種族の融和の象徴だ。我々の目指す形の一つでもある」
ジョージ・グレンの告白から始まったコーディネイターとナチュラルと確執。
互いに互いの人種を差別してきた歴史。
しかしそれは、些細すぎること。
簡単に手を取り合える。ただ、そうさせてくれない強欲な者達の妨害がある。
「遅かれ早かれ、連合ではクーデターが起こる。連合は変わるのだ」
地球連合軍の裏にある存在。
そんなものに影響されない。意志がある者達が動かす、新たなる地球連合軍。
「話が大きすぎて……ワタシにはよくわかりません」
顔色を曇らせてマユは言った。
「子供にはわからなくていいことさ。君達子供は未来を担ってくれればいい」
静かに、リーはそう言った。
二人は格納庫に着く。
格納庫では、先にリーの部下達が待っていた。
いや、リーの部下ではなく、
「お久しぶりです、大佐」
リーが敬礼を向けるこの者の部下と言った方が正しいか。
「少佐も月でよくやってくれたそうだな。感謝している」
リーや部下達が敬礼が向ける相手であるネオは、力強くそう言った。
ネオに、一般の連合兵士達、担架があわさったような生命維持装置に乗った少女。
そして……
「けッ!またえらく辺鄙なところへ連れてきてくれちゃって」
ネオの隣で、緑の髪の少年が言った。
「えっ……」
思わず、マユが驚いて声を上げる。
一度会っただけの、それこそ会話を少し交わしただけだったが、彼のことはよく覚えていた。
「スティングさん!!」
「あぁ?」
大声を上げて名前を呼ぶマユを見て、スティングは顔を歪める。
「……誰だ、お前」
少しの沈黙の後、スティングは突き放したように言った。
「少佐、このお嬢ちゃんが例の?」
動揺するマユをよそに、ネオはリーに訊く。
「えぇ。報告の通りです」
「そうか。ヴィアちゃんだっけ?ま、少しの間だけつきあってく」
パンッ。そんな音を立てて、ネオの頬が弾かれる。
マユに顔を近付けた直後、マユの平手が飛んだのだ。
マユの顔が、怒りに滲んでいる。
「なんでアウルを死なせたんですか!!」
マユの声が、格納庫に響き渡る。
「なんでアウルのことを知っているんだ?」
「ワタシにはそういう力があります。アウルがワタシのところに来ました」
ネオの問いに、マユは強くそう言い放つ。
「そうか、通りでな。助けられなかったことは残念だった。だが、戦争に犠牲はつきものだろ」
ネオの言葉に、マユの怒りは一気に頂点に達した。
マユはネオに飛びかかる。
制服を掴んだまま倒れ、ネオに馬乗りになるマユ。
「なにが犠牲よ!アウルも、死んでいった人達も救えないで、何が世界を変えるよ!!」
涙を溜め、マユが叫んだ。
「あなた達が目指している世界には、アウルはいらなかったっていうの!!」
掴んだ制服を揺すって、マユはまた叫ぶ。
「なんで……なんでたの……」
ネオの制服の上に、涙の雫が落ちた。
マユが怒りを露にしたのは、ネオの発言に対してだけではなかった。
自分の非力さが、心の底から悔しくて堪らなかった。
再会を約束したアウルと、生きて話がしたかった。
自分には力がある。
ただその力は、とても悲しい力だ。
こんな力よりマユは、誰かを失わないで、泣かないでいられるような、そんな力が欲しかった。
続
新スレたてます
512 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/03(日) 20:55:16 ID:CAH23oPn
埋め
ざまあねえなIII
梅酒。
感想がてら埋め
もう20スレ目になるんだな・・・。
/ // / / /| | ヘ \
/ // / / / | | | ハ 、.ヽ ヽ
i |/| | /|_,ム‐-!- .| | | | l. !
|. _', | /´V ___ V |\ | | | | |
| / 〉 !、. | r'ヌ:::::::}ヽヽ.!:::::\|`t-、 | | ト. |
| 〈. | ` トl {:::::::/ ::::::::::::::::_,..-、',. / ./ ./|/
| `‐|. |::::::::ー-'::::::::::::::::::::/::::::ケV / ./ .|/
| |. !::::::::::::::::::::::::::::::::{:::::/ ムィ /
|. | ! ',::::::::::::::::: .., ` ,〈. /ィ 黒みくるが
>>517ゲットよ!
/ | | ', ::::::: _ノヽ`ー. あのトンチキの世話、いつまでやってれば
. / .| | ヽ\: :::::.r ´ __ `__┐ l いいのかしら?
/ / ,r1 | ', ` 下、_ | ヽ ソ__ `ー
/ / / V | ', ヽ\`! l〈/ __` }
古泉>1樹 ホモは失せな(W
た>2川 流 いっぱしの文学者気取ってんじゃねえ(ドワラ
キ>4ン 私の胸元何ジロジロみてんだよ!!
>5ンピ研 オタク集団のクセして、調子こいてるからヤケドするんだよ(プゲラ
後藤邑子 キモオタなんか>6シケラぐらいにしか思ってないんだろ(ハライテー
>7が門有希 逝かれて校内で銃乱射でもしたら、面白いのに....................
>8ルヒ オマエに受けた屈辱、いつか倍返しにしてやる!!!
朝>9ら涼子 所詮バックアップはバックアップね!役立たず!!
い>10のいじ オタク好きのキモイ絵書いてんじゃねーよ!
>>11-1000はせいぜい家に引きこもって、アニメ絵でオナニーしてろ(ドワラ
/ // / / /| | ヘ \
/ // / / / | | | ハ 、.ヽ ヽ
i |/| | /|_,ム‐-!- .| | | | l. !
|. _', | /´V ___ V |\ | | | | |
| / 〉 !、. | r'ヌ:::::::}ヽヽ.!:::::\|`t-、 | | ト. |
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| `‐|. |::::::::ー-'::::::::::::::::::::/::::::ケV / ./ .|/
| |. !::::::::::::::::::::::::::::::::{:::::/ ムィ /
|. | ! ',::::::::::::::::: .., ` ,〈. /ィ 黒みくるが
>>518ゲットよ!
/ | | ', ::::::: _ノヽ`ー. あのトンチキの世話、いつまでやってれば
. / .| | ヽ\: :::::.r ´ __ `__┐ l いいのかしら?
/ / ,r1 | ', ` 下、_ | ヽ ソ__ `ー
/ / / V | ', ヽ\`! l〈/ __` }
古泉>1樹 ホモは失せな(W
た>2川 流 いっぱしの文学者気取ってんじゃねえ(ドワラ
キ>4ン 私の胸元何ジロジロみてんだよ!!
>5ンピ研 オタク集団のクセして、調子こいてるからヤケドするんだよ(プゲラ
後藤邑子 キモオタなんか>6シケラぐらいにしか思ってないんだろ(ハライテー
>7が門有希 逝かれて校内で銃乱射でもしたら、面白いのに....................
>8ルヒ オマエに受けた屈辱、いつか倍返しにしてやる!!!
朝>9ら涼子 所詮バックアップはバックアップね!役立たず!!
い>10のいじ オタク好きのキモイ絵書いてんじゃねーよ!
>>11-1000はせいぜい家に引きこもって、アニメ絵でオナニーしてろ(ドワラ