本編のIFでも続編でも構わない!
とりあえず、成長するシンの話を考えよう
誰か2とってやれよ
, 、 、 , -=.v:/=-、__ -ッ7
{: : : :ハ::.\'⌒><、>'::.::./: : l
l: : ミ、 _>/7 、 \_ノ 彡': :l __
'.: : // / l: \/ヽ . : : j′ / \
∨: ' /ハ i:. l:.=' ´\.:. 、: :ハ ノ `、
//:/ //l:.|l. :.、、:.ト、:.:.:.:.:.:ヽ:.V. }、 / ご く 勘 {
〃'{::l ::|!十ト、:.卞、≧尤、:、ハ:.:.:. }` { 主 だ.弁 |
| l:ハ:、::代丕,、ト、ト 'ゝ≠d`}j }:.从! l 人 さ し .′
|l ヘ从'.""" i \""".゚ , ィ/j ′_j 様.いて l
, -―ト、 _ __、 .イ'|/>fォ--、、 : _ノ
/ /7>、 ^ ,∠'.-v' _/ / '、ゝ─ '′
.′ ,i { 、〉二く , - j´/ / l
l :l {-=ハ___ ,V=ヘ' / } チ
ト、 , -ィ { l 弋ィ'、 {} ̄人_ノ {/ ,′ リ
>ソ/シ '. :l .7 /T:T´∨´ / / .
__>ム7{ ゚ __. --ヘ l v { :|¨l V / / :
7心ハ、 }ノ_°_.:::´::::::::::::::::::'. l | l | l ,j }/ /`丶、 ン
<v'_丿 /.::::::::::::_ - ¨'. l トー'ノ ゝ' ~ 7 ./、:::::::::::\
> Z'′.::::::/´>ィノ-,. '. l l : : :,′ / ,イ> 、:::::\
、、{ ム'´_ ゚.:::, ´、_くイノ>/シ__ '. :l l . : : : : ィ /ο{乂 __j、\:::::ヽ
_j イ.:: .::.:::ド=ニ三V>r≠、 j '、 、: : : : : ノ ./ ト、_ 7@ハV}、 >、:::
{{! |、::ハ{´ }v<7ハ7_ヾ, `ー'、' '. : : : : :/ ` ,イ 、>fハx≧ィ7ィ /::
>、ヘヘ、≦<>水77ム }、 '. : : / /: { |ム'ィ7_ノ_..::´::::::ノ
……正直、今更だと思うぞ。
ふつーにその辺にあるだろうが……
ところで、どこのIFが好き?
(直リンはもちろん禁止)
シン主役のSSとかあるの?
いくらでもある
1じゃないが、俺は読んだことないな
所詮、シロウトの書くものだし・・・
このテのシンスレは、カガリ否定、キラ倒し、アスラン越えがあるから、たいがい荒しに会うもんだが、荒しの活動が緩慢な今だから、良いかもしらんね。
カガリとは否定っつーか和解して欲しかったな
もちろん両方が互いの非を認め合ってな
カガリが親離れしないと、シンカガ和解は無理だろう。
シンが自分の視野が狭かったことと、
カガリが自分が奇麗事を言っていたことに気づけば、
和解できると思う。
今更カガリネタもいい
新しいネタがいいな
シンが実はナチュラルで、最後は種割れに頼らず最高のコーディネーターのキラを倒す
議長は、シンがナチュラルだということを知っており、一見コーディネーター有利と思われるDプランの
守り手にシンを配置することで、Dプランによる相互融和を目指したという話を妄想した
クロスオーバースレが主な俺
Night Talker
のよろず小ネタ掲示板に
ヨシさんのこれが私の生きる道!
ANDYさんのシン君の目指せ主人公奮闘記!!
これ以外にも他のサイトにいっぱいあるから探してみろ
鉄也さんスレ行け
シン主役の話ならこの板にもあるよ
ガンダム種死でSSを作るスレとか
シン女難スレとか?
シンカガで終われば紙アニメだったのに
シンルナ死ね
女難スレはシン主人公のスレというのだろうか…
クルーゼスレとか色々あるじゃないか
今は外部にいったアレとか
そーねー
やっぱシンには「ヒーロー気取り」or「感情に任せてつっぱしる」つー部分に改善を期待したいねー
シン・レイサイドは「自分の役割=運命を引き受け信じる道を行く」側として
キラ・アスランサイドの「自由に正義しちゃっていいじゃない?」に対抗するべきものであって
「アンタが悪いんだー」だの「全部ぶっつぶしてやる」だの言ってちゃならんのですよ
「確かに社会や軍隊に組み込まれて、義務に縛られることは苦痛だし
腹が立つこともあるけど、その社会とか義務とかを作ってる人の思いってのは
そう悪いもんでもないと思う」
「むしろ、逃げてばっかで何も成し遂げられないほうが怖いんだ」
とかキラのアンチテーゼしたりして。テレビの前の厨房に説教したりして。
でもって最終回
無限正義をシャイニングフィンガーで粉砕・行動不能に
レイに「止めをさせ、それがお前の運命だ」と命令を受けるが、あえて撃たずにアスラン確保
「もうあいつを殺す必要はない! 自分の運命は自分で選ぶ!」
でもってレクイエムの暴発から我が身を盾にシンを守るアスラン。 腐女子感涙だねー
レクイエムを失ったプラントは連合・オーブと和平
運命に正面から挑むシン
自由を貫くキラ
そして光の中に消えたアスランは……
続きは劇場でねー
シン仮面ライダースレとか
声優ネタでなんでも殺せる眼を持ってるとか…>シンが主役の話
OKそれでラクシズを解体してもらおうじゃないか
俺はヒーローきどりなところや突っ走るところが好きなんだが
あんま完璧な主人公でもつまらんしなあ
>>29 そういう人が多いと思うよ。ただいわゆるラクシズが無法行為(泥棒、脱走、テロetc)をしても責められないけど、
シンが軍規違反をすると責められるのがSEED世界。アスランがシンに鉄拳制裁するのが正しい世界だからな。
シン「ようこそ、この素晴らしき幸福空間へ」
とかが見たいの? ラクシズヘイトで断罪とか? スパシン風に
常識が通用するまともな種死が見たいんだろ
同意
ラクシズ断罪とかやんなくても、あいつら自滅するよ。
だって馬鹿だもん。
414:白い巨塔バージョン :2006/07/22(土) 21:33:06 ID:??? [sage]
財前五郎→シン
東教授→カガリ
義父→議長
里見助教授→アスラン
415:砂の器バージョン :2006/07/22(土) 21:52:29 ID:??? [age]
和賀英良→シン
今西刑事→アスラン
吉村刑事→キラ
三木謙一→トダカ
あさみ→ステラ
関川→レイ
田所代議士→議長
田所綾香→ルナ
>>34 あれは種死とまでは言わんけど、無印種ばりに話が糞だから
変身のデザインと音楽だけは良いんだがな
Xスレ来いよ。
カガリ否定なしでキラもガロードと二人がかりで辛勝。
ちなみにキラはガロードを一方的にぼこってたので、嫁補正付きと思われる。
(ガロの攻撃は全て回避され、キラの攻撃は全弾命中。
MSどころか並みのスーパーロボットより遥かに硬いDXでなければ何回死んでた事か。)
ラクシズが一方的な踏み台になっていないシン主人公物だぞ。
アスランとユウナの男前化のおかげで、奴らと一緒にいると影が薄くなるがw
あれはどっちかというとガロードが主役のような…
まあ、シンも副主人公ぐらいの位置にはいるが
もう、どうしようもなくなったらあれがあるじゃないか。
何だっけ、ユウナに仮面かぶらせてたやつ。すんごい叩かれてたけど。
クルーゼスレとか・・・あそこはシンいい子ちゃんだからなぁ
自分はシン主人公かつダークヒーローみたいなの見たいな・・・
ダークヒーローシンいい!
「死ね!ザコどもめ」とかいったり、
敵倒して高笑いとかして欲しい。
なにその噛ませ犬(´・ω・)
スターウォーズ元ネタでやろうぜ
>>43 いや、別にそういうわけでもないけど
ピカレスク物では、そういう主人公は珍しくない
シンがバリバリ主人公やってるといえばプロキラスレ
ホモネタや下ネタをギャグと笑い飛ばせる嗜好が必要だが、許容できるのであれば熱さと狂気に満ちた世界を堪能できるぞ
バラモススレは…アレは少し趣旨が違うか
ぷろきらってはじめてきいた
どこにあるのかわからん…
シン・アスカ
理不尽な家族の死に止め処もない悲しみと怒りを覚えた少年は
その命を奪った軍人となった。
守りたい者を守れなかったという想いは「力」を欲したのだ。
しかし戦場に守るべき者があろう筈は無く,
彼はただ怒りのままにに「敵」を打ち倒すだけであった。
その時現れた少女ステラルーシェ。
成し得なかった想いは彼女に向けられた。
しかし,その思いも無残に消えた。
「守る物」「守りたい者」をまたしても失った彼が代わりに得た物は,
パイロットとしての「絶対なる力」と
ギルバート・デュランダルによる「絶対なる正義」。
揺るがぬ「力」と「信念」を得た今,
シン・アスカは最強のパイロットとして君臨するのだ。
あーそこか!
初めての人は第二次から読むのがいいかも知れんな
たまに第一次の頃の話が出てくるので、そしたら読み返すようにした方がとっつきやすいかと
ちなみに正確には第一次の最後のスレ終盤あたりから第二次のストーリーに入っていく
流離う翼たちは
オーブ侵略前後以降は間違いなくシンが主役
シン主人公で書いてるブログもあったような…
プロキラスレってシン主役なんか
初めて知った
正確に言えば群像劇だが、シンが物語の鍵を握る一人なのは確か
表題のプロは主人公というよりは決戦兵器みたいな扱いだし、キラに至ってはプロのオプションって感じだからなあ
2代目主人公で扱いが良かったキャラって少ないような
気がするけどなんか恵まれてる2代目っていたっけ?
ジョジョは一部よりたぶん二部のほうがおもしろかったから、
二部のほうがめぐまれてたんじゃないか?
でも、よく考えるとなかなかないよな。
三部だけど、グレンダイザーのデュークフリードは恵まれてた。
そのかわり初代ヒーローの兜甲児は手作りの円盤に乗って「大介さ〜ん」と
叫ぶキャラになってしまったが。友人は初恋の人の甲児が受けになったのに、
ひどい不快感を覚えたといっていた。そのあと立派な腐女子になったが。
初恋相手がアニメキャラという時点で十分に腐女子だ
捕手
今、プロキラスレが物凄いことになってるわけだが
運命カッコいいよ運命
種系のSSで有名なのどこよ?
俺は決闘王の駄作ぐらいしか知らんw
パクリ元のカミーユからして恵まれてるつかちゃんと主人公してるじゃんよ。プロははっきり言ってシンに境遇近いな
友人が今、シン主人公でFINAL PLUS後の話を書いてる。年末には彼の
HPで公開予定。
>>68 さっきその友人に確認した。9月中には1、2話がうpできるそうだ。
72 :
70:2006/08/31(木) 23:41:03 ID:???
>>71 うpされたら、ここでさらしてもいいかな?
73 :
通常の名無しさんの3倍:2006/09/06(水) 00:39:01 ID:xQG4MLxB
hosyu
>>72 つか友人が〜とか言ってるが、お前が書いてるんだろ?
晒していいかどうか聞く相手はここじゃなくて書いてる人間だ
あと2chに晒すってことのリスクもわかってるよな?
アスラン「シン!!もう止めろ!!お前が今、守ってるものが何なのか・・・・・・・わかっているのか!?」
シン「わかっているさ、そんな事!!でもあれは、戦争のない平和な世界を作るために必要な力だ!!
デスティニープランを成功させるために!!」
アスラン「間違っている!!そんな力で…強制された平和で…本当に人は幸せになれるのか!?」
シン「だったら、どうすればいいって言うんだ!?あんたらの理想ってヤツで戦争を止められるのか!?」
アスラン「何!?」
シン「戦争のない世界以上に幸せな世界なんて……あるはずがないっ!!!だ か ら 俺 は あ っ ! !」
アスラン「??はっ速いっ!!」
シン「これがデスティニーの力だ!!」
最低でもこれ位は最終回で言ったらな……
76 :
70:2006/09/06(水) 21:41:28 ID:xQG4MLxB
>>74 いや、書いてるのはほんとに友人。許可は取ってあるよ。ちなみにオレはそこの絵師。
投下投下
保守
hosyu
ちょっとまて、シンは最初から主役だろ
81 :
通常の名無しさんの3倍:2006/09/22(金) 05:15:03 ID:rue5QZnR
82 :
通常の名無しさんの3倍:2006/09/22(金) 05:33:26 ID:RVB6Ctsq
過疎??
>>81 合体シーンのBGMとの同期にシビれた。
上手いなこれの作者。
>>81 本編のOPより出来がいいと思ってしまった
>>81 歌詞との合わせも上手いですね。
「深い闇〜」のあたりとか
昔シン主人公でパラレル超能力物考えたけど挫折したの思い出した。
>>90 オレもアホなネタ思いついたことがある。
シンがリノのエアレースに出場するという・・・
俺なんてウルトラマンを考えた
>>93 あー、オレも。
怪獣の攻撃で植物状態の妹を守りたい一心で、防衛軍に入るシン・・・て感じだったけど。
必殺技はパルマフィオキーナ光線か
普通にソルジェント光線じゃないのか
そんでもって3タイプに変身できるんだろ
それなんてアスカ・シン?
シンを日本名にするとしたら、「明日香 真」と「飛鳥 真」
どっちがイイと思う?
まあ、直す必要があるかどうかは分からんが。
ウルトラマンは良く分からんなー
そんな俺は仮面ライダー派
光の翼で分身とか、ちょっとZXっぽいな
101 :
98:2006/10/14(土) 00:14:49 ID:???
>>100 なんとなく、オレ的に。「シン」のまんまで、姓は漢字もイイけどね。
台湾だと、「眞飛鳥」だったな
信・新・伸・・・・・・・・・・
うーん、やっぱ真か眞がしっくり来るな
「眞」がイイんじゃね?
普段は使わない字だから、見た目のインパクトがあると思うし。
主人公保守
保守
>>90 俺ももしシンがポケモンの世界に来たらなんてのを考えてた
途中でむなしくなったが
それでも俺はシン主役のSSを書き続ける
推理物の場合シンは謎解きをする主人公ではなく
謎解きをする人物と一緒にいる主人公タイプな気がする
有○川の書く火○シリーズのア○スとか
金○一少○の美○とか
・・・・・・アレ、2つ目はヒロインじゃん
別のとこで書いてるんじゃない?
保守
燃料投下してみてもいいですか?
種のキャラをそのままナデシコに当てはめただけの駄文ですけど・・・
OK!
じゃあ、投下してみます
・・・最初は会話だけで後から戦闘描写が入るのは気にしないで下さい。
・本編:第一話:『男らしく』で行こう!・・・・・無理!
いきなりバッタ・ジョロとの戦闘
―――エレベーター内―――
シン「もう、あいつらに怯えるのは嫌だ・・・!
俺はこのマシンで奴らを薙ぎ払う!!」
(いきなりコミニュケが開く)
ハルバートン「誰だ!?君は!」
シン「え!?」
ハルバートン「パイロットか?」
シン「い、い「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!あいつ!俺のゲキガンガーを!」
ハルバートン「所属と階級を「提督、ここは軍ではありませんよ?」む・・・名前を言いたまえ」
シン「シ、シン・アスカ、コックです」
一同(シンとバルトフェルドを除く)『コック〜〜?』
キラ「カガリ・・・あの人・・・(小声)」
カガリ「ああ・・・シン・・・・・・(小声)」
イザーク「ぬぅわんでコックが俺のエステに乗ってるんだよ!!
・・・・・・それ以前にコネクタはどうした!?」
バルトフェルド「彼は火星出身でねぇ・・・先程コックとして雇ったんだよ」
イザーク「だからなんでコックがエステバリスを!?」
カガリ「シン・・・シン・・・ああ!!」
(モニター一杯にカガリの顔が映し出される)
カガリ「シン、シン。お前、シンだろ!?」
シン「うわぁ!?」
カガリ「懐かしいなぁ〜、シン。
なんでさっき知らない振りしてたんだ?相変わらず、照れ屋なのは変わってないみたいだな!」
シン「ちょ、ちょっと待て。なななな何でお前、そんな所にいるんだよ!?」
キサカ「彼女はこのナデシコの艦長だ」
シン「な・・・何ぃぃぃぃぃぃ!?」
カガリ「驚いたか?私はこの船、ナデシコの艦長なんだぞ。」
キラ「ちょ、ちょっとカガリ、知り合いなの?あの人」
カガリ「ああ、私の・・・婚約者だ。いつも危険な時には助けてくれた・・・」
シン「俺は認めていない!!・・・というかそれ、小さい頃の遊びで決めたことだろうが!!」
(ついでにその危険なことの大部分はカガリが原因だったりもする)
カガリ「でも、シンをおとりになんて出来ない。危険すぎる」
シン「おい、なんだ、おとりって」
カガリ「分かってるぞ、シンは私を・・・いや、私達を守るために出てくれるんだからな。」
シン「おいちょっと!」
カガリ「わかった。(少し涙目になりながら) ナデシコと私達の命はお前に預ける。必ず、生きて帰ってこいよ。」
シン「おいこら!待て、テメー!人の話を・・・!!」
ステラ「・・・エレベーター停止・・・地上に出るよ・・・?」
ラクス「がんばってくださいね」
シン「え、いや、ちょ「俺のゲキガンガー、壊したら承知しないからな!!」
うるせぇー!!」
ガクン
(エレベーターが地上に着いた音)
キサカ「作戦は十分間。とにかく敵を引きつけて逃げろ。幸運を祈る」
シン「はぁ?くっ・・・」
(こいつらが・・・こいつらがマユを・・・ユートピアコロニーを・・・!)
(妹と、故郷を滅ぼされた怒りから攻撃しようとするシン)
回想(ナデシコと私達の命はお前に預ける。必ず、生きて帰ってこいよ。)
シン「・・・・っ!・・・・くっそーー!!汚ねえよ、泣くなんてよ!!」
(ブースターで飛び上がり、そのままローラーダッシュで逃げ始める)
ここまでが第1話の前半です。
オリジナルの欠片も無いのは自分に文才が無いからだと思います
後半は少しだけ戦闘描写いれるつもりなんですが・・・
・・・コレでいくとカガリとシンがくっ付いてしまうのだが・・・・
マユが説明おばさんになってそうだ。
ナデシコを知らないのでよく分からない…
アキト→シン
ユリカ→カガリ
ジュン→キラ
ステラ→ルリ
まではわかった
が、他がいまいちわからん
hosyu
127 :
通常の名無しさんの3倍:2006/11/19(日) 05:47:07 ID:8TZjz5Eh
なぁ、シンが38歳になってる話を知ってるヤツいる?
おまえしつこいな
129 :
通常の名無しさんの3倍:2006/11/19(日) 11:57:35 ID:2s0SFJS4
待て待てww
ID違うと思うから別人だってwww
舞台設定は5年後で
キラはフローラー(アグニスの姉設定で)結婚して子持ち(男子)もうすぐ二人目誕生予定。
ラクスは大失恋の末に、プラントに戻りプラント最高評議会議長になり、シンとは愛人関係に。
シンはインパルスのパイロットでラクスとは愛人関係にある。
これでどうよ。
>>130 どこから突っ込んでいいか悩むが、とりあえず
>シンはインパルスのパイロット
何で5年も経ってるのにまだインパ?
公私混同するラクスなら、愛人のシンには和田もびっくりの厨性能MS与えるだろ
インパルスデスティニーwww
シン18歳、ラクス22歳、キラ22歳
無印の5年後設定で、シンがプラントに来たのは13歳で。シンとラクスの出会いは、ザラ派の残党に依るラクス暗殺未遂事件で、シンが助けたのがきっかけ。
シンの逆行SS冒頭部分だけ書いてみたんだが投下してもおK?
冒頭部分はアスカ一家、ステラ、カガリしか出てこないけど。
投下お願いします
138 :
通常の名無しさんの3倍:2006/11/26(日) 09:07:08 ID:MOCYCnKM
期待アゲ
キラがプラントに居て白服で艦長かなんか(SEED後プラントへ)
やってれば前線に出てこないからシンが主役になれる。
イザークみたいに僕も出ようで一回か二回出撃する程度なら問題ない。
キラはDプラン推進派でラクスは反対派でマルキオ邸へ。
やっぱり、フレイの生存が前提条件になってくる。
この線で、話しを作るとしようか……。
オノゴロ島に本社施設を置くオーブの軍需企業モルゲンレーテ。その敷地内、一般人のための待合所に
二人の子供がいた。
「パパたち遅いね」
茶色の髪の少女―マユ・アスカは傍らに佇む兄に言った。
妹に話しかけられた黒髪の少年―シン・アスカは、先ほどから不安げな表情で港のある方角を
窓から眺めていた。
そんな兄の表情に感化されたのか、マユの声音にも恐怖が混じる。
「マユたち、ちゃんと逃げられるかな?」
そんなマユの様子に気づいたシンは、心の中で自分を叱咤し、いつもの自分らしくマユに答える。
「大丈夫だよ。もしもの時のために避難するだけだから」
シンは不安を感じてはいるものの、どこか楽観的に考えていた。
「オーブの理念はマユも知ってるだろ?オーブは戦争なんかしないよ」
シンにとってオーブは平和な国であり、何よりも安全な場所だと思っていた。コーディネーターと
ナチュラルが共存する国。世界に誇れる国だと。シンはそのことを信じて疑わない。
「それに―」
そして、純粋な信頼を言葉に滲ませて言った。
「オーブが、この国が、きっと僕たちを守ってくれるよ」
爆音と地響きに支配された森を駆けていた。
シンはマユの手を引き、自分の少し前を走るを両親を必死に追いかけていた。
モルゲンレーテの施設から休み無く走り続けていたため息が上がり、体が疲労を訴える。
それでも走る速度は落ちなかった。死の恐怖と、繋いだ手から伝わる妹の温もりがシンを
奮い立たせていた。
「がんばれ!港はもうすぐだ」
「マユもがんばって!」
両親の言葉を聞き、シンの心に少し安堵感が広がる。そのときだった。
自分の体が何かに引っ張られた。正確には自分が手を引いていた妹が突然立ち止まっていた。
「あっ!マユの、マユの携帯!!」
山の斜面を転がり落ちていくピンクの携帯電話。マユはシンの手を振りほどいて、
携帯を追いかけようとした。
「そんなのいいから!マユ!」
「いや!だって、あれは…!」
あの携帯はマユの宝物だった。大好きな兄が誕生日にくれたプレゼント。家族とすごした大事な思い出が
沢山つまった大切なものだった。
シンも、妹がどれほどあの携帯を大事にしていたか知っているため行動は素早かった。
「僕が取ってくるから!先に行ってて!」
言って斜面を滑り降りる。
「シン!」
「お兄ちゃん!」
軽い身のこなしであっさり携帯の元にたどり着いたシンは、すぐに家族の姿を探すため斜面を見上げた。
さっきの場所からは動かずにこっちを見守っている家族の所に斜面を登り始める。
斜面を登り始めたシンの視線の先―家族の背後に広がる空に、翼を広げた一機の
青いモビルスーツが飛び込んできた。
「…え?」
シンが戸惑う間もなく、青いモビルスーツはその全火砲をシンたちのいる山に向かって放った。
閃光と衝撃。シンの世界はただ、それだけに包まれた。
ひどい痛みを感じながらゆっくり意識が覚醒していく。ぼやけた視界の中で、
世界の輪郭がはっきりしていく。
「…っ…あ…マユ?…父さん…母さん…何処?」
酷く緩慢な動作で体を起こし、ふらふらと家族の姿を探す。
抉れた地面の陰からマユの小さな腕が見えた。
「……っ!マユっ!!」
さっきまでの鈍い動きが嘘の様に駆け寄る。
「マユ!怪我は……っ!!!」
シンが目にしたのは腕だった。ちぎれた小さな腕だけがそこに転がっていた。
目の前の光景をシンは理解できなかった。いや理解はできていても、感情がそれを拒む。
「マユっ!!父さんっ!!母さんっ!!」
助けを求めるように家族の姿を探す。きっとこれは嘘だ、と。
自分の様にどこかで倒れているだけだ、と。そう自分に言い聞かせて。
だが、この願いはあっけなく砕かれた。
抉れた山の斜面に家族がいたから。
何よりも無惨な姿で。
「…う…あ…」
ばらばらになった父。
体中があり得ない方向に曲がった母
そして、ついさっきまで繋いでいた腕を失い、ズタズタにされた妹。
「うぅ…あ…あぁ…っ!!」
声にならない泣き声をあげ地面に跪く。様々な感情がシンの中に渦巻き、溢れる。
「うあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
空を仰ぎ、叫ぶ。そうして少しでも感情を吐き出さないと壊れてしまうから、とばかりに。
叫び続けるシンの瞳に、家族を撃った青い機体の姿が映り続けていた。
ミネルバの戦記 PHASE−01 【怒れる瞳】
「シン」
「おい、シン」
「起きろシン」
誰かが自分を呼ぶ声が聞こえる。それと同時に肩を揺すられ、シンは眠りから覚めた。
目を擦りながら自分の周りをキョロキョロと見まわす。
「…あれ?ここ…俺…何で……レイ?…ああ…そっか…プラントか…」
夢から覚め、段々と頭が覚醒してきたシンは、自分が工業プラント『アーモリーワン』に居ることを
思い出す。だが、何故いまさら最近は見なくなったあの夢を見たのか。シンは不思議そうに首を傾げる。
目の前でボーっとしたまま首を傾げるルームメイトに、金髪の少年―レイ・ザ・バレルは
溜息をつきながら言った。
「…シン。非番の時の居眠りはかまわないが、明日の式典のミーティングの最中に同じ事はするなよ。
今期のアカデミー卒業生とミネルバ全体の恥になる」
あまりに淡々と言ってのけるレイにシンは少しムッとなって言い返した。夢の事はすでに
気にならなくなっていた。
「仕方ないだろ。こっちは朝からルナとメイリンの買い物に付き合わされてクタクタだったんだ。
ヴィーノは仕事が残ってたからしょうがないけど、ヨウランもショーンもゲイルも俺に押しつけてさ!
ホント、途中でレイが来てくれて助かったよ」
自分の言い様に怒っていたはずが、気がつけば自分に対し感謝を述べてくる。
くるくると表情や感情が変わる友人に苦笑しつつレイは返した。
「友人の休暇に付き合うのは、友人として当然だろう?」
レイらしい、持って回った言い回しに笑いながらシンは
「…それで、ルナとメイリンは?」
「寝ているおまえを俺に押しつけて買い物を続けている」
なんだよそれ、とシンが文句を言っていると曲がり角から赤い髪の二人の少女が歩いてきた。
「お待たせー!ってシン起きたんだ。情けないわねーあの程度で疲れるなんて」
鍛え方が足りないぞー、と赤い髪をショートにしている少女―ルナマリア・ホークはからかうように言い
「ごめんね。荷物たくさん持たせちゃって」
と謝り、赤い髪を頭の両側で括って所謂ツインテールにしている少女―メイリン・ホークは
シンの座っているベンチの、シンのすぐ横に目を向けた。
そこには人一人が持つには明らかに許容範囲を超えた、紙袋やビニール袋の山。それをちらりと一瞥し
シンはうんざりとした口調で言った。
「大体こんなにたくさん何に使うんだよ。生活必需品なら支給されるだろ?」
「仕方ないじゃない。女の子には色々あんのよ。それに私とメイリンの分だけじゃなくて、アビーや
他の子の分も頼まれてたの。私の分が一番少ないんだから。安心しなさい、買い物はこれで終わりだから。
それじゃシン、レイ、荷物お願いね」
ニッコリ笑ってお願いし、必要最低限(自分の分)だけを持ってルナマリアは歩きだした。
レイはやれやれといった仕草で荷物を手に取り、シンはしょうがないなといった感じで
袋の山に手を伸ばす。
「あの…ごめんね?」
メイリンが申し訳なさそうに二人に言う。シンはレイと顔を見合わせ苦笑する。なんだかんだ言って、
いつもこんな感じなのだから。
「気にしなくていいって」
そう言ってシンは、自分よりいくらか低いメイリンの頭をぽんぽんと、撫でるようにたたいた。
「なっ?!ちょっ!」
子供にされるような事をされて恥ずかしいのかメイリンは頬を赤くして抗議する。シンは
気にしないとばかりに、ふっと笑ってレイと歩きだした。
「もー、私の方が誕生日早くてシンよりお姉ちゃんなんだからー!!!」
そんな、賑やかで騒がしい会話をしながら四人はミネルバへ帰っていった。
ほぼ同時刻―
アーモリーワン軍事工廠の一角。モビルスーツ格納庫。
「なーんかさ、拍子抜けってやつ?」
そう言って水色の髪の少年―アウル・ニーダはくるっと周囲を見渡した。周りには血の海に沈む
十数人のザフトの兵士たち。その中にはエースの証である、赤い軍服を着た『ザフトレッド』の姿もある。
「油断すんなよ。大事なのはこれからだぜ?」
逆立てた髪と鋭い目つきの青年―スティング・オークレーはアウルを注意しながらも、眼前に横たわる
一機のモビルスーツから視線を外すことができなかった。その顔には獰猛な笑みが浮かんでいる。
「…ねぇ……早く貰って行こ」
ふわふわといった印象の金髪の少女―ステラ・ルーシェはのんびりとした口調で二人の少年に先を促す。
「だな。時間かけるとネオにおいて行かれちまう」
三人は会話を打ち切り、それぞれ目標の機体に乗り込んでいった。
「くそ!何だって、こんな!」
愛機に駆け寄りながらシンは毒づいた。ミネルバに戻ってきた直後にコンディション・レッド発令の
アラームが流れ、モビルスーツでの出撃を命じられたのだ。
その命令内容は強奪された、最新型のG三機の捕獲。
「一体、誰が!」
口では文句を言いながらも発進準備を進めていく。現時点では強奪犯の所属勢力などは
何も分かっていない。だが、相手によっては…。
「…っ!!」
ギリっと歯ぎしりをする。
また戦争が始まる。あれだけたくさんの命を失ってまだ二年。
それなのに、戦いの火種になろうとするもの達がいる。
許せない。
唐突に、さっき夢で見た光景がフラッシュバックする。
最悪の記憶。
この道を歩む切っ掛け。
そして、生まれた願い。
「そんな事…させるもんかっ!!」
決意を込めて呟く。全てを失ってから二年。大切な友人、仲間ができた。守る為の力も手に入れた。
もう絶対に、何も奪わせやしない。
《コアスプレンダー、発進どうぞ!!》
オペレーターであるメイリンの声が聞こえる。シンは一度、深く息をついて言った。
「シン・アスカ!コアスプレンダー行きます!!」
白い戦闘機がカタパルトから飛び出していく。
怒れる瞳の少年を乗せて。
「ちっ!このヤロウ!!」
スティングは苛立っていた。その原因は目の前で対峙する一機のザク。
同じ新鋭機同士といっても、相手はしょせん量産機であり、自分が搭乗しているのは超高性能な
ワンオフ機であるGなのだ。機体の慣れなどを差し引いても、自分と互角に戦っているという事実が、
スティングのプライドを傷つけていた。
撃破するためビームライフルを放つがギリギリのところで回避され続け、
決定的な一撃を加えられずにいる。そして、そのまま膠着状態に陥っていた。
だが、その均衡はあっさりと崩れた。周囲の敵を掃討したガイアが背後から襲いかかり、
不意を突かれたザクの左腕を切りとばした。
《スティング、大丈夫?》
ザクと相対したガイアから通信が入る。普段ののんびりとした口調では無く、
鋭さと厳しさを含んだ声音でステラが聞いてくる。
「ああ、少し苦戦しただけだ」
ステラの気遣いに冷静さを取り戻し、スティングは自分達の目的を思い出す。こんな敵にいつまでも
構ってはいられない。
「ステラ、あいつを落としてさっさとずらかるぞ。アウルに文句言われちまう」
周辺の格納庫に片っ端から砲撃を加え、敵の足止めをしている仲間の名を出す。
《…うん》
スティングのカオスがガイアの横に並び、連携を取って一気に勝負をつけようとする。
だが、今まさにザクに襲いかかろうとしたカオスとガイアにミサイルが飛来した。VPS装甲に
守られているカオスとガイアにダメージは無いものの、彼らは動きを止め、ザクを救う結果となった。
「ちっ、新手か?!」
スティングがレーダーを見ると、そこには光点が四つ。
《…戦闘機?》
ステラの疑問を含んだ声が通信から漏れる。モニターで視認したスティングも同じ感想を持った。
(たかが戦闘機で何をするつもりだ)
だが、このスティングの疑問はあっさりと驚愕に変わった。戦闘機と三機の飛行物体が空中で
変形・合体し一機のモビルスーツに姿を変えたからだ。
二本の対艦刀を持った、白と赤を基調としたモビルスーツは、対峙を続けるカオス、ガイア、ザクの
間に降り立ち、その巨大な刃をスティング達に向け構えた。
「こいつも、新型だと?!」
驚きを感じるをスティングに聞こえてきたのは、赤いモビルスーツからの憤りに満ちた声だった。
《なんでこんな事……また、戦争がしたいのか?!!あんた達はっ!!!》
続く
149 :
141:2006/11/27(月) 18:37:25 ID:???
本編の再構成物を書いてみた。
勢いで初めてしまったが後悔はしていない。
問題なかったら、ヨロシク
ついにキタ!
いいよいいよ、続き待ってます!
期待アゲ
シンラクなら主人公になれるかも……。
・・・でもシンがピンクの電波にやられるのは嫌だなぁ
ラクスが電波じゃなければいいんだよ
電波じゃない時点で
”ラクス”という名前のオリキャラだな
大っぴらにアストレイと絡めても良いかもね?
シンラクよりシンセトとか見てみたいのさ、俺は…
シンセト・・・
やばい、想像したらなんかけっこういいな。
戦場に降り立った四機目のG―ZGMF−X56Sインパルス―のコクピットの中、シンは怒りに燃える
赤い瞳で、対峙するG二機を睨み付ける。
ミネルバからの発進後、この場所に到着するまでに見たアーモリーワンの、炎と黒煙に彩られた全景が
シンの怒りに火を注いでいた。
「ここで仕留める。逃がすものかァ!!」
気迫の叫びと共にカオス、ガイアに飛びかかる。二対一という戦力差を物ともしないその踏み込みに
二機のGは面食らったように、咄嗟に回避する。
回避しながら放たれたビームライフルの光芒をシールドで受け止め、シンは更に追いすがる。
目標は、ほぼ真正面に位置する黒い機体―ガイア。
格闘戦になるとふんだか、ガイアもビームサーベルを抜き構える。
近接戦を得意とするシンは躊躇なく接近しガイアの放った横薙ぎの斬撃を回避する。回避された事により
生じた隙を突いて振るわれた、レーザー対艦刀エクスカリバー≠ヘすんでのところでシールドに阻まれ、
ガイアにダメージを与える事はできなかった。のけぞるガイアに追撃を加えようと再度接近を試みた
シンに、カオスが正確な射撃でライフルを放ってくる。
「くそっ!!あいつ!」
後退して距離を取り、二本の対艦刀の柄同士を連結させる。アンビテクストラス・フォーム≠ニ
呼ばれる状態だ。一本の巨大な双剣となったエクスカリバー≠左手に預け、フリーになった右手で
腰部のハードポイントに装着されたビームライフルを抜き、撃ち返す。
数的に不利な状況で決定打を与える事ができない。シンは歯がみをしながら、隙を作るべく牽制を続ける。
自分達の間に割って入り、G二機と戦闘を開始した新たなG。それに気を取られ少しの間呆然としていた
アスランは戦場から離脱すべく、ザクを後退させた。
「なっ?!オイっ、アスラン!!」
敵の注意がこちらに向かなくなったと判断し、撤退を始めたアスランにカガリが咎めるように言う。だが
「俺たちの目的は戦闘じゃない!!それに、君は怪我をしているんだぞ!?」
正論で返されカガリは口を噤む。結果的に自分たちを助けてくれた機体を置き去りにすることに、感情的に
反発したが理屈ではこれが正しい。今の自分は一国の代表なのだ。こんな所で死ぬことは許されない。
悔しそうに俯いてしまったカガリを一瞥し、アスランは複雑そうな表情をする。
彼女の分かりやすい、真っ直ぐな性格は一人の人間としては美点だが、代表として国を背負い、政治の
場に立つ身としては危なっかしい。
先の、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルとの会見の時も、その性格ゆえかうまく
あしらわれ、手玉に取られている印象を受けた。
「……とにかく安全な場所を探そう。浅い怪我に見えるかもしれないけど、ちゃんと治療してもらわないといけない」
アスランは思考を打ち切り、慰めるように言った。今の最優先事項は彼女の身の安全の確保だ。
「……ああ」
カガリは頷き、力なく答えた。
ミネルバの戦記 PHASE−02 【女神の船出】
ドッグに停泊している鉛色の巨大な船体。それは、明日に進宙式を控えたザフトの最新鋭艦ミネルバ=B
整備作業の最中だったのだろう。船体の各所にケーブルが繋がれ、リフトや足場などが寄せられている。
そのミネルバの頭脳とも言うべき艦橋部―ブリッジ―では慌ただしく状況の把握や命令の伝達、発進準備の
為のやりとりがなされていた。
「アーサー!!艦のモビルスーツの発進状況はどうなっているの!!」
蜂蜜色の髪の女性―ミネルバ艦長タリア・グラディスが凜とした声で、副官のアーサー・トラインに問う。
「はっ、はい!各種ウィザードの整備が完了していないため換装はできませんが、固定武装のみで構わない
のならば、レイのザク・ファントムとルナマリアのザク・ウォーリアが発進可能とのことです」
慌てながらも正確に情報を伝えるアーサー。タリアは一瞬の内に判断を済ませ、命じる。
「構わないわ。すぐに発進させて、シンの援護に回して!!」
了解です、と言ってアーサーは、オペレーターのメイリンに指示を出す。
一通り指示を出し終え、つかの間の空白の時間を得たタリアはシートにもたれ、呟いた。
「どこの部隊かしらね?こんな大胆な作戦…」
モニターにはシンのインパルスと対峙する、カオスとガイアの姿が映っていた。
「くっ!援軍はまだなのか?!」
ガイアの放ったビームを回避しながらシンは叫ぶ。最初の奇襲から立ち直ったカオスとガイアは、卓越した
連携でインパルスを追い詰め始めた。
更に後退し、距離を取ろうとしたシンの前でカオスとガイアに大量のミサイルが降り注いだ。
初期の混乱から立ち直ったディンの編隊が、インパルスを援護すべく小型ミサイルランチャーを一斉射
したのだ。
ようやく到着した援軍にシンの気が少しゆるんだ。そのときだった。
横合いから放たれた大口径のビームが、ディンの編隊を一撃でなぎ払ったのだ。
「なっ?!そんな!?」
慌てて辺りを見まわすシンの目に入ったのは、両肩の丸みを帯びたバインダーが特徴的な青い機体。
強奪された最後の一機。ZGMF−X31S―アビスの姿だった。
「スティング、ステラ何やってるんだよ。もたもたしてると『バス』いっちまうぜ?」
合流したアウルは、いつもと同じ軽いノリの口調で問いかける。
《ちっ。しょうがねぇだろ。あんな奴がいるなんて聞いて無かったんだ》
苦々しさが滲んだ口調で、スティングが吐き捨てる。予定外の事態に対する苛立ちか、はたまた
たった一機の相手を仕留めることができない自分への憤りか。
「で、どうすんの?逃げる?それともやっちゃう、あいつ?」
リーダー格であるスティングに意見を求めながら、アウルは視線をインパルスに向ける。言葉とは裏腹に
その目には好戦的な色が浮かんでいる。
《……そうだな。追撃されても面倒だ。ここで―》
《…スティング、アウル…また、増援…来た》
スティングを遮ってステラが敵の増援が来たことを告げる。
「はぁっ?!またかよ!?ほんとどれだけ居んだよ!」
アウルがうんざりしたように声を上げ、レーダーの示す方角に目をやると、白と赤の二機のザクが
こっちに向かって飛んでくる姿が映し出されていた。
《…仕方ない。振り切って逃げるぞ》
若干の執着の色を残しつつスティングは撤退を決めた。アウルはとくに反対せず、先ほどのやる気が嘘の
ように、あっさりと従った。
「へいへい、了〜解。ほらステラ、さっさと行くぜ?」
《……わかった》
こちらはアウルと違いかなり不満の残った様子だ。敵を仕留める事ができなかったのが、よほど
悔しかったようだ。
行動は素早かった。三機は乱れの無い動きで迅速に撤退を始めた。
ついさっきまでの猛攻が嘘の様に、あっさりと撤退していく三機のGに、シンは少し戸惑ったが
すぐに気を取り直し、追撃しようとした所で通信機から仲間の声が聞こえてきた。
《シン、大丈夫か?》
《シン、無事ね?》
ほぼ同時に、狙ったように同じ事を聞いてくる二人の戦友に、戦場のまっただ中だというのにシンは、
少しおかしくて笑いを零してしまった。
「…ああ、大丈夫。俺は何とも無いよ。それより…!!」
《わかっている。すぐに奴らを追うぞ》
《ええ。やりたい放題やった、落とし前をつけさせてやるわ》
三人はすぐに追撃を始めた。ここまでやられて逃げられるなど、許せるせるはずがない。
「…こんな好き勝手されて、逃がすもんかっ!!」
先制の奇襲攻撃が上手くいき、仮面の男―ネオ・ロアノークは笑みを浮かべた。
彼のかぶった仮面の、瞳の部分にはめ込まれたクリアパーツの映す先では、ザフトの宇宙巡洋艦
ナスカ級が爆発に飲まれ、消失するところだった。
「さて、そろそろスティングたちが脱出してくる頃だが。付近の制圧はどうなっている?」
二つ並びになっているシートの隣に座った男―彼の副官で、この艦の艦長でもあるイアン・リー少佐に
ネオは聞いた。
「はっ。ミラー隊はドッグの破壊に成功。ヨーン隊もナスカ級を一隻撃沈との事です」
「ふむ。こちらは順調か……」
「何か気になる事でも?」
何事か考え込んでしまった上官を不審に思ったのかリーが聞く。
「…嫌な予感、と言うのかな?プレッシャーの様な物を感じる」
「プレッシャーですか」
リーの声に自らの上官を馬鹿にするような響きは無い。彼は知っているからだ。この、仮面の男は
戦場において異常に鋭い第六感を発揮することを。
「念の為だ。私も出撃の準備をしておこう。リー、後は任せたぞ」
「はっ。…整備班に伝えろ。エグザス、出るぞ!!」
席を立ち、ドアの向こうへ消えていくネオを見送り、後を任されたリーは指示をだす。部隊の最高指揮官が
最前線に出るということに、まったく気にもしない様子だ。それもそのはずだ。この部隊に置ける最高の
エース・パイロットは事実、彼なのだから。
撤退の為、脱出の為、プラントの外壁である自己修復ガラスに攻撃を加えていたステラたちは、ついに
インパルス等に追いつかれた。
この自己修復ガラスの強度は思ったより高く、モビルスーツの携帯火器程度では十分な熱量を得られず、
素早く破壊することができなかったのだ。
「…あいつ!!」
背後から迫るインパルスを視界に捉えステラは忌々しそうに呟いた。アレは自分たちの邪魔をしただけでは
無く、自分を苦戦させたのだ。
幼い頃より最強の兵器たるべくして育てられたステラにとって、それは何より許せない事だった。だが復讐
せんとするステラを止めたのは、彼女の仲間だった。
《ステラはここで、外壁の破壊に専念しろ》
「…っ!あいつは…私がっ!」
気勢を削がれたステラは、自分を止めたスティングに食ってかかる。
《馬〜鹿。そんなに頭に血が上った状態で戦えんのかよ?》
「……わかった」
アウルにまで冷静さを欠いている事を指摘され、渋々と矛を収める。熱くなっているという自覚はあるのだ。
《じゃあ、頼むぜ?こっちもそろそろパワーがヤバイし、置いていかれたらシャレになんねーし》
カオスとアビスがインパルス等に向き直り前に出る。ステラは外壁への攻撃を再開した。
ガイアを残し、こちらに向かってくるカオスとアビス。シンは直ぐに相手の意図に気づいた。
「時間を稼ごうってのかよ?!」
そうはさせじとインパルスを突っ込ませる。自分は突破できなくとも、レイかルナマリアがガイアの元に
たどり着き、妨害する事ができればいいのだ。
だがその目論見はあっさりと崩れる事となった。カオスの背中に装備された筒状のユニットが、カオスの
本体から分離し、意志を持ったように襲いかかってきたのだ。
《ちょっと!!何よこれ?!》
《ちっ!ドラグーンの一種か?!》
「くっ!…機動兵装ポッド!」
思ってもいない攻撃にルナマリアとレイは困惑し、シンはカオスのソレを見て驚愕を表す。
正式な配属になる前、インパルスのテストパイロットも兼ねていたシンは、同じくテスト中だった他の
セカンドステージの機体の事はそれなりに知っていた。
だが、カオスのあの装備は、いくら簡略化したとはいえ初めて扱う人間にはとても使いこなせる物では
無かったはず。事実、カオスのテストパイロットは苦戦していた。
しかし、今はそんなことに考えを巡らせている時では無かった。なんとしてもこの二機を抜き、ガイアを
止めなければならないのだ。シンの焦燥感がどんどんと増していく。そのとき、レイが言った。
《シン!換装しろ!フォースシルエット≠ネら奴らを振り切れるはずだ》
レイの一言で決意を固める。出し惜しみをしている場合じゃない。今、何よりも優先すべきはあの三機を
止めることだ。
「メイリン!ミネルバ!聞こえるか!?フォースシルエットを射出してくれ!!」
休む事無く攻撃を続けていたガイアのコクピット内に、新たに接近する機体を知らせる警告音が鳴った。
「…何?」
背後の様子を映すモニターにはカオス、アビスと交戦するインパルスとザク二機。そして、その場に
接近する、やや特殊な形状の戦闘機の様な物。
訝しがるステラの前で、常識では考えられない事が行われた。
赤と白を基調としたモビルスーツ―インパルスは巨大な双剣を背部ユニットに戻すと、それを分離。その
バックパックの無くなった部分に飛行してきたパーツがドッキングしたのだ。装備が変わるとともに、機体の
色もトリコロールカラーへと変わっていく。一瞬の内にモビルスーツが入れ替わったかの様な錯覚をステラは
覚えた。
《―コイツはっ!!》
《装備を換装した?!》
ステラと同じようにスティングたちも驚いていた。だがそれが致命的な隙になった。高機動装備である
フォースシルエット≠ノ換装したインパルス―フォースインパルスは一気に加速。ガイアに肉迫した。
「…コイツっ!!」
咄嗟にライフルを向け、ビームを放つがあっさりと回避される。外壁への流れ弾を恐れたのかインパルスは
ライフルを使わず、ビームサーベルを抜き放ち斬りかかってきた。ステラはソレをABシールドで受け止め
こちらもサーベルを抜き、斬り返す。
「…何なのよ…コイツはっ!!何なのよっ!!」
ステラは苛立っていた。情報には無かった四機目のG。搭乗しているパイロットも腕が立つ。
戦場のど真ん中で、全く異なる装備に換装しながらも、初めからそうであったかのように違和感の無い
戦い方。そして、何よりも苛立たせるのはこのしつこさだ。執念すら感じさせる勢いでこちらを追ってくる。
「…いい加減にィィっ!!」
怒りのままに刃を振り降ろさんとするステラに―
《ステラっ!!》
《そこ、どけぇ!!》
仲間の声に反応し、機体を退く。つい先ほどまで自分が居た空間を、幾重にも重なったビームの奔流が
駆け抜けていく。タイミングが狂えば、ステラごと巻き込んだであろうそれは、ガイアのライフルを浴び
耐久の限界に迫っていた自己修復ガラスの一面に、ぽっかりと大穴を作った。
《ステラ、穴は開いた。撤退するぞ!》
《あ〜今のでほとんどスッカラカンだ》
カオスとアビスはその穴に向かいだす。スティングは撤退を促し、アウルは自機の状態についてぼやく。
カオスとアビスは全砲門をタイミングを合わせ一斉射したのだ。狙い通りに外壁の破壊には成功したが、
もうひとつのターゲットであり自分たちが狙った、穴の開いた外壁の射線上でガイアと斬り合っていた
インパルスには、被弾した様子は見られなかった。おそらくこちらの意図に気づいた奴の仲間が警告を
発し、回避したのだろう。
だがそんなスティングたちの思惑は知らず、ステラはもやは暴走していると言っていい状態になっていた。
どこまでも墜ちないインパルスに苛立ちが募り、頭に血が上りきっていた。
「…何故!なんで墜ちないっ?!!」
《おい!!撤退だ!!ステラ!!》
スティングの声など届いていないようにインパルスへ襲いかかろうとする。しかし、それを止めたのは
アウルの言葉だった。
《ちっ!あーもー、『死』んじまうぞ、ステラ!!》
「………っっっっっ!!!?!?!」
アウルの言葉に凍り付いた様に硬直し動き止める。ステラはさっきまでの激情が嘘のように虚ろな瞳で
虚空を眺める。
「……死…?…死ぬの…?」
《おいっ!!アウル、お前っ!?》
《仕方ないじゃん!!こうでもしない止まんないだろ?!》
「…死ぬのはダメ!!…イヤっ…!…怖い!!」
恐慌状態に陥り、ステラは何かに怯えるように、外壁の穴から漆黒の宇宙へと飛び出した。そして
カオスとアビスがそれに続く。
タリアは頭を抱えたくなる衝動を必死に押さえていた。
アーモリーワンから脱出した、強奪犯の乗る三機のGを追って、インパルスとザク二機も宇宙に飛び出して
しまったのだ。インパルスのエネルギーは危険域に迫っており、このままでは遠からずバッテリー切れを
起こすこととなる。アーモリーワンの外にはどうやら敵艦がいるようで、下手をしたらインパルスまで
失いかねない。
「議長…ミネルバを出して構いませんね?」
タリアはゲストシートに座る、腰の辺りまで届こうかという長髪の、黒髪の男―ギルバート・デュランダル
に確認を取った。彼がミネルバに避難してきた時は厄介に思ったものの、何かしらの許可を取る際にこの
プラントの最高権力者が直ぐそばにいるのは心強い。無論、デメリットもあるが。
「ああ、頼む。ここで、あの三機を逃がすわけにはいかない」
ギルバートは迷った素振りも見せずに肯定した。
タリアは頷くと、帽子をかぶり直し前を見据えながら言った。
「ブリッジ遮蔽、それと同時に発進シークエンスを開始」
タリアたちの居る展望ブリッジの床が下降し、薄暗いCICと一体化する。分厚い装甲板が上部を覆い
展望ブリッジと、この空間を遮断する。
剥き出しのブリッジは古来より戦闘艦の弱点であり、モビルスーツが戦場の主役となってからは特にそれが
顕著となっていた。それを補う為のアイデアがこの遮蔽ブリッジだ。
艦外ではケーブル、リフトや足場なども次々と外され発進の準備が整っていく。ドックの下部が開き
ミネルバの巨大な船体を宇宙港へと運ぶ。
「状況オールグリーン。艦長、いつでも行けます」
アーサーの報告に一つ頷き返し、タリアは宣言するように言った。
「機関始動、ミネルバ発進する!!」
続く
今回の投下終了
筆と、話の展開が遅いぜ orz
GJ!
続きが気になるぜ
167 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/03(日) 19:30:49 ID:72wUI3qg
キターーーーーーーー!!
GJ!
機動戦士ガンダムSEEDDESTINY
『覇王ラクス編』
C.E.74.10.01.
プラント最高評議会議長ラクス・クラインは、テレビでザフトサンディエゴ基地での、ブルーコスモスの自爆テロのニュースを議長室で見ていた。
「この映像は、ブルーコスモスの自爆テロの瞬間の映像です………」
「……このままで、良いはずがありませんわ……」
それは、ラクスの静かな覚悟と決意の意思表明であった。
「シン、そろそろ帰還の時間のはずだぞ」
「了解レイ」
シンと呼ばれる少年は、特殊機能を備えたコアスプレンダーを操縦していた。
「もう、俺は、無力な子供じゃない」
そう呟くと、蒼く輝く地球を睨み据えて機体を翻してアーモリーワンへと、機体を操縦する。
「プラント政府は、大西洋連邦に厳重に抗議をすると同時に、事件の再発防止を要求する模様です」
〈ピピー〉
「私です」
ラクスは呼び出しのコールがなるとスイッチを容れて呼び出しに応じた。
『クライン議長、アーモリーワンへの出発のお時間です』
「解りました!」
ラクスはゆっくりと立ち上がると、テレビのスイッチを切り鞄を持って議長室を後にした。
〈キラ!、私の邪魔だけは認めませんわ〉
ラクスはそう内心で呟きながら、随員達と一緒に迎えの車に乗り込んだ。
169 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/04(月) 23:04:35 ID:/c1zDQLP
『シン・アスカハード』
自由を落とし、凸も葬り主役の地位に君臨するシン・アスカ。
だが、それは福田の巧妙な罠だった。
「シン・アスカの主役の地位は 私に崩される為に築いてきたんですものね」
「いつもの力が出せれば…こんな凸なんかに…!」
「よかったじゃないですか 嫁補正のせいにできて」
「んんんんんんんっ!」
「へへへ おい、ストフリを用意しろ。タイトルバックを奪ってやる」
(耐えなきゃ…!!今は耐えるしかない…!!)
「シン・アスカの生出番ゲ〜ット」
(いけない…!クレジットが三番目になったのを悟られたら…!)
「生シン・アスカ様の生握手を拝見してもよろしいでしょうか?」
「こんな奴らに…くやしい…! でも…握手しちゃう!」(ビクッビクッ
「おっと、ラクシズ入りが決定してしまったか。甘い敗北感がいつまでもとれないだろう?」
170 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/05(火) 00:19:36 ID:Q+zI3Fcy
保守
シンです……ジャスティスにやられて、気が付いたら知らない場所だったとです。
シンです……愛機のデスティニーがなくなっています。服もいつの間にか私服になっていて不気味です。
シンです……アスハがシェルターに押し込まれています。入ろうとしたら満員だったとです。
シンです……目の前でMSが暴れています。男女4人くらいのグループと一緒に必死になって逃げ回ってます。
シンです……巨乳のモルゲンレーテ社員に銃で脅されています。どうやら地球軍のの軍人さんらしいです。
シンです……この後どうなるんでしょうか?
シン、自由に乗るの拒否りそうだな
もしくは射撃武装を全部とっぱらって、グランドスラム一択とか
シンは射撃も出来るっつの。ルナマリアだって雑魚相手だと結構当ててる。
まぁ、やっぱりソードの活躍に比べると見劣りするが
むしろ正義をGETします
キラがストライクに乗れって強要されてる時に
自分がやるって言い出すんじゃないか?
つーか、このシンは16歳?13歳?
隠者にやられた直後なんだから16だろ
メサイヤ戦が73年の何時だかは知らないが、もし9月以降だったら17の可能性もあるがな
180 :
178:2006/12/15(金) 01:01:18 ID:???
いや、時を遡った影響で肉体だけ13・4歳になるのもありかな・・と
無印の頃にシンが居るのって面白いかもね。
種死の本編でコーディ、ナチュの差別をまったく気にしてないキャラだったし
(ロドニアの一件で憤ってた描写くらい)
差別の激しい無印でどうなるかとか、オーブに侵攻した地球軍に素直に協力
するか、なんて色々想像できるな。
とりあえず言える事は、凸とは絶対に和解することなく最後まで決着つけるだろうな
キラはカガリに平手をかましたが、シンの場合は拳か蹴りが飛びそうだ
いくらカガリ相手でも女の子に暴力は振るわないんじゃね?
でもぶつかり合って、お互い健全に成長しそう
>>172です……シンがヘリオポリスに逆行するSSが読みたかったとです。
正直おもいつきで書いただけだから、設定や続きなんか皆が妄想してくれお(^ω^ )
それにしても新しいって事はないのか……誰かシンの逆行物のSS書いてみてくれないかな(´・ω・`)
前、逆行じゃないけどキラとシンを逆にスレで14歳シンがヘリオ組と一緒にいて
家族は地球降下時にイザじゃなくて凸にやられるってネタでSSやってる人いたけど
落ちちゃって結局見れなかったな
似たこと考えたことある。
シン、ヘリオポリスに逆行。
シェルター前で揉めてるキラ、カガリ発見。カガリにいろいろ問い詰める為に無関係のキラをシェルターに押し込む
マリュー、カガリとストライクに搭乗。キラと違って逃げ回りながらOS修正してザフト部隊を撃退。
AAクルーと対面、その後現状の理解が追いつかないシン、唯一の知り合いのカガリに詰め寄るか逆行者であることがバレル。
シン、現状を正しく認識、連合のオーブ進攻による家族の死を防ぐ為、カガリに協力を要請。
読んでみたいなぁ(´・ω・`)
職人さん来ないかな?
「もしもシンがヘリオポリスにいたら」
でスレ立てた方がいいかもしれないね。
いや、とりあえずはここでいいだろ、スレ違いではないわけだし
まだ誰か書くかどうかも分からんのにいきなりスレ立てしても即死する可能性が高い
191 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/17(日) 04:12:50 ID:rqYYNSfI
期待アゲ
hosyu
193 :
ネタ振り:2006/12/20(水) 01:18:29 ID:???
無印の頃のオーブ攻防戦で、家族を守る為にM1に乗って戦う。ってのはどうだろう
外見は無事だけど中の人はミンチになったM1に乗るとか?
プラスモードやってたらラウの超パワーで時間を逆行したので、
「最後の力」でアスランに敗れる
↓
ラウとレイの超パワーで、シンがCE71のオノゴロにタイムスリップ
↓
そこから、ザフト編、地球連合編、オーブ編などの様々なIFを体験
みたいな妄想をした
>>193 んー
史実とは違い港(orシェルター)への避難はギリギリ間に合ったけど
護衛のMSがやられた挙句攻撃を食らって死屍累々
駐機状態で船に載せる途中とかだったリニアガンタンクに乗って以下略
とかどうよ?
死亡フラグにしか見えんのが玉に瑕だが
>>196 じゃあ、避難中の船にM1が落ちてきて避難民数人死亡を目の当たりにする(一応家族は無事)
M1のコクピット見るとパイロットは怪我して操縦出来そうにない
M1に無理矢理乗って戦闘(家族は当然止めようとするが聞かない)
船はなんとか避難完了、でもシンはオーブ軍の人たちにとっつかまる
なし崩しにパイロットに
・・・・・・なんだこの厨設定orz
別スレより
843 :通常の名無しさんの3倍:2006/12/20(水) 03:12:27 ID:???
>【シン・アスカ】
>C.E.70のオーブ防衛戦においてフリーダムの戦闘に巻き込まれて家族を喪い、力を得るためにザフトの兵となり、
C.E.73の混迷を極める戦場を駆ける。
>不殺の戦いを意識せずに行える程の高い戦闘能力と、敵対している者をも引きつけるカリスマ性を持ち合わせ、
フリーダムに雪辱を果たして戦争を終結させる。
>その後、理想の違いから対立してしまった戦友レイ・ザ・バレルとの戦いの最中、復活したラウ・ル・クルーゼが乱入。
シンを信じる仲間達の協力もあり何とか退けるものの、それをきっかけに以前から兆候はあった時間移動能力が完全に発現。
C.E.70のパラレル世界と73の世界を行き来することになる。
>ちなみに趣味は親密になった相手を妹の携帯電話で写メし、戦闘前に眺めること。
>…というのが連ザUPLUSモードのあらすじである。嘘は書いていない。
>【PLUSモード】
>上記の通りかなり狂っているが、
>・ラクス討伐に必ず核持ち出す連合
>・もしも種初期5機が全部バスターだったら?
>・ハイネの特殊命令内容「パイロットがあの歌を熱唱」
>・ディアッカ特殊命令名「グレイト!」
>等々、ぶっ壊れている。
ロボゲ版の図鑑スレより
祝・全編主人公、良かったな、シン
・・・・・・・・・・・・「以前から兆候はあった時間移動能力が完全に発現」コレを使わない手はないな
しかし、連座はいい燃料になったな
プラスモードの各キャラとの協力ミッションはいろんな妄想が浮かんでくる
200 :
172:2006/12/20(水) 22:27:56 ID:???
シンは夢を見ていた。死んでしまった少女の夢。少女はうれしそうにシンに語りかけてくる。
――――ステラ、昨日を貰ったの。やっと
――――だから分かるの。どっちだか分かる、明日。嬉しいの!
――――シンにも昨日をあげるの
――――だからね、また明日
それだけ言うと、彼女はいつの間にか去ってしまった。夢の中、シンは自問自答していた。
――――どうしてこんな事になってしまったのだろう
――――本当はオーブを撃ちたくなかったのに
――――コーディネーターもナチュラルも差別をしない、そんなオーブが大好きだったのに
――――大事な人を守る力が欲しかっただけなのに
ふとシンは自分を呼ぶ声に気が付く。もう戻らなくちゃ。シンは声のする方へ向かって行った。
201 :
172:2006/12/20(水) 22:29:23 ID:???
――――様の……裏切り者っ!!!
甲高い少女の叫び声、響く銃声の中シンの意識は急速に覚醒する。
眼前に横たわるMS、ザフト軍とオーブのモルゲンレーテ社員との銃撃戦、シンは状況が飲み込めなかった。
「なんだ…?」
警戒の為にシンは腰の銃に手を伸ばそうとして違和感に気が付く。彼が着ていた筈のパイロットスーツは昔着ていた私服になっていた。
それだけではない、彼の手足は若干だが細く、そして短くなっていた。
(おかしい……俺はアスランと戦っていた筈、それに体も縮んでいる……)
「なら、1人だけでも! お願いします、女の子なんです!」
銃撃戦をしている場所には不釣合いな少年の声にシンはそちらへ視線を向けた。そこに居る人物を目にしシンの目が見開かれる。
オーブの代表カガリ・ユラ・アスハの姿がそこにあったからだ、少年に即されるようにしてシェルターに押し込まれていくカガリ、
シンがシェルターの前に付く頃にはもうカガリはシェルターの中に入ってしまっていた。
「くそっ! アスハの奴……一体ここはなんなんだよ!」
叫びながらシンはシェルターのドアを拳で叩きつける。そして、シェルターの前に居た少年に問いただした。
「おい、あんた! 一体どうなっているんだよ、ここは!?」
「ぼくにもよくわからないよ! くそっ、どうしてザフトがヘリオポリスに…」
(ヘリオポリス……崩壊したはずじゃ? もしかすると過去だったりするのか? そんなわけないよな……)
シンが沈黙したのを見て、少年は話しかけてきた。その顔には焦りが見える。
「そんな事よりここのシェルターはもういっぱいなんだ! 僕と一緒に向こうのシェルターへ行こう」
「わかった、案内たのむ」
シンはそう返事を返して少年の後を付いて行く。シンはザフト兵に事情を聞こうとも思ったがこの状況じゃ無理だと悟った。
それにもし自分の予想が当たっていたら、迂闊な事は言えないと思ったからだ。
202 :
172:2006/12/20(水) 22:30:33 ID:???
「ハマナ、ブライアン、早く! X105、303を起動させるんだ!」
キャットウォークの下から女の声が響いた。前を走っていた少年がキャットウォークの下を見ている。シンもつられて下を見ると、
丁度モビルスーツの陰から、モルゲンレーテの作業服姿の女性がザフト兵に撃たれそうになっているのが見えた。
「「後ろ!!」」
シンは危ないと思った瞬間に声を上げていた。前にいた少年も同じように声に出していたようだ。
彼女は二人の声に反応してザフト兵を撃ち殺した。そして、その上に居たシンと少年に目をとめる。
「子ども…!? それに二人も…」
彼女はザフト兵に撃ちかえすと、二人に向かって怒鳴り声を上げた。
「来い!」
「僕達は左ブロックのシェルターへ行きます! おかまいなく!」
少年が大声で返すと、彼女は銃を撃ちながら叫び返した。
「あそこはもう、ドアしかない!」
その言葉に目の前に居た少年は足を止めた。そして、シンの向けて言った。
「行こう…」
「おい、ちょっと…」
シンの返事を待たず彼はそれだけ言うと、ためらいもなくキャットウォークから飛び降りた。
少年は5、6メートル程下にあるモビルスーツの上に綺麗に着地した。少年の行動に作業服姿の女性とシンは目を見開いた。
(こいつコーディネイターか…?)
シンは少年の身のこなしから、コーディネイターだと悟った。シンが少年を見たまま固まっているのをみて、
少年は何かに気が付いたように困った顔で言ってきた。
「ごめん、君はあっちから降りてきて…」
彼が指差した階段付近は激しい銃撃戦が続いていた。
(それに天然か? どうする気だったんだ?)
シンは一瞬考えるそぶりをして、少年と同じようにキャットウォークから飛び出した。
203 :
172:2006/12/20(水) 22:31:47 ID:???
「ラスティ! くそぉっ!」
シンはすると同時に着地と同時に聞き覚えのある声に気が付いた。そして彼の名前がシンの口からこぼれるように出た。
「アスラン…?」
こぼれた言葉に横に居た少年は僅かに反応した。しかし、シンは目の前の声を叫び発した人物集中していた為気が付かなかった。
アスランは叫び、仲間を殺した男を撃ち殺す。撃たれた男は崩れるように倒れた。
「ハマナ!」
作業着姿の女性が叫んだ瞬間、アスランは振り向きざまに彼女を撃った。
「あうっ……!」
銃弾は彼女の肩に命中した、弾切れををおこしたのか、アスランは銃を捨て、ナイフを手に持ち替え彼女に遅いかかる。
目の前に居た少年が、彼女の身を守るように駆け寄った。少年とアスランはお互いを見合って。小さくつぶやいた。
「……キラ?」
「……アスラン?」
小さな声だったが、コーディネータの優秀な耳はその言葉をしっかり聞き取っていた。シンの中にドス黒い気持ちが湧いてくる。
(やっぱり、こいつがアスランだったのか!! こいつ、オーブを守るとか言ってこんな事して…)
「あんたはいったい何なんだぁっ!」
シンは女性が持っていた銃を奪い取り、感情にまかせアスラン目掛けて叫びながら撃ち込んだ。
アスランが付けていたヘルメットが弾け飛ぶ、そこにはシンの知っているアスランより少し幼くて、
デコが広い髪形になっているアスランの顔があった。
204 :
172:2006/12/20(水) 22:43:39 ID:???
待ってるよりも自分で書いてみようと思ってちょっと小説片手に書いてみた。
難しすぎる…文才がほしいなと切実に思った。
それと改めて職人さんの偉大さがわかった。
はっきり言って反省はしていない。誰か職人さん来ないかな(´・ω・`)
ちなみに続きはありませんよと…
おもしろいじゃないか。時間と気力があったら書いてくれ
206 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/20(水) 23:19:45 ID:ZXxoiaPu
オーブ解放戦直前に逆行も見てみたいな。カラミティ、フォビドゥン、レイダー、ジャスティス、フリーダムみんなまとめてシンのデスティニィーの餌食だな(`・ω・´)
207 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/20(水) 23:50:30 ID:Z3uNaq/6
一機、また一機。デスティニーのパルマフィオキーナの餌食に。シン「こんの〜、くたばれ〜」。その他「こいつ!速い!」
>>206-207 そこに行ったんだったらシンは辛味&自由の砲撃から家族(含む自分)を守る方を優先するんじゃね?
209 :
172:2006/12/21(木) 20:32:11 ID:???
誤字と脱字が多いなorz
しかも何回か読み返してから投下したのに……アルコール入ってたのがいけなかったのかな。
>>205 レスありがとん。
年末なんであまり時間とれそうにないけど、
こんな感じで良ければ投下しちゃいますよ。
おkマターリ待つw
おkマターリ待つw
>>デコが広い髪形になっているアスランの顔があった。
ごめんw吹いたw
hosyu
キラサメスレで話題になったダイナ的なノリでシンが頑張る種死SSを誰か作ってくれないかなあ
あのスレみてたらもう辛抱たまらんのだが俺には筆力が全く無い・・・orz
カガリ一時退場させるとシンがAA側に付く理由が無くない?
AAは元の時間では敵艦だしこの時点では連合所属。
乗組員も全員知らん人間だしCE70の知識もザフト視点での多分教科書レベル。
ザフト軍人なのにアスランと敵対する為に仇の連合に付くようには思えんし
多分エルちゃんの為に乗るのさ
当時民間人のキラを操縦できるからって乗せようとする連合の人々
戦うことを望んでいない人間に無理にやらせようとするのに激怒
売り言葉に買い言葉で「俺が乗ってやる!!」
引っ込みつかなくなって乗る
でいいんじゃね
OS弄らずに戦闘して何とか撃退→戦闘後AA無いにてサイ等と共にOSの改修を重ねる
って事やれば回を重ねる毎に強くなる&キラOSとは段違いの完成度に成りそうじゃないか?
ストライクのコクピットで魔乳の乳と尻につぶされるシン・・・
久々のラッキースケベ発動!!
理想郷で、やはり逆行したシンがフレイにステラの面影をなぜか重ねて咄嗟に守るというのがあったな
共通点は声だけやんとか、2話で放置されたとかツッコミどころは満載だったが
スポ根+昼メロ=の物ならシンを主人公に持って気安いのだけど……。
主人公は熱血の野球選手で、ヒロインは担当の新任女教師。それに嫉妬するマネージャーメイリンと、それを諌める女子ソフトボー部所属の姉ルナマリアの構図で。
何故、野球!?
そう言えば前に「逆境ザフト」ってスレがあったな
やはりやり直すとしたら第9話と第12話になるだろうな。
第9話でジュール隊+ハイネ隊+キラ?VSファントムペインに。
第12話でミネルバ隊+ヨップVS地球軍南大平洋艦隊に。
ここらへんを手直ししてラクス暗殺未遂事件をなくすと。
連ザプラスの全内容を上手く繋げてSSに出来るような猛者は現れんかなw
同じ戦場で敵味方第三勢力すべてにシンが居るような状況をどう処理する?
アレの内容をあえて一本道にすると、大筋はこんな感じか
ザフトの一員として、連合やオーブ、ラクシズを相手に戦うシン
最後はメサイヤ戦で裏切ったアスランを倒し、キラとの最終決戦
↓
あらかた敵を倒し終わった後、議長が遂にかねてよりの計画を実行に移すべく本格始動開始
偶然、その真相を知ってしまったシンは、命を狙われかろうじて軍を脱走
ミネルバを始めとするかつての仲間達に追われる事に
↓
軍という強大な組織を相手に、孤立無援の戦いを強いられるシン
その元に、かつて戦場で戦いを通じて絆を結んだ者達が陣営を越えてかけつける
↓
遂に議長の喉元まで迫ったシンは、レイと対峙する
だがその時、真の黒幕であったクルーゼが時空を越えて登場
↓
その戦いの最中、時空震に巻き込まれたシンは、CE71の世界へ
2年前の悲劇の歴史を塗り替えるべく、シンはあらゆる戦場に介入する
↓
数多の戦場と悲劇を乗り越え、遂にシンは再びクルーゼと激突する
生存か破滅か、人類の、CEの未来を賭けた、最後の戦いが始まる……
>>226 すげー面白そうだけど、あれだな
ガンダムっていうより、ドラえもんの映画みたいな内容だな
実際ほぼこういう内容だしなぁプラス
>真の黒幕であったクルーゼが時空を越えて登場
ラウ「そうかい、悲しいなァ……ギルバート……
っつーかぁ、クローンに頼るなッ!!」
これ思い出した
でもさあ、シンはどう答えを出すんだ。ナチュラルとコーディネイターの対立を。本編にしろ小説にしろ、力でナチュラルを押さえ込むか、押さえ込めないナチュラルは殲滅するかになったのだろう。
そもそもシンは、ナチュとコーディの差異とかについてどう思っているのやら
シンの関わった人間関係って、ほとんどコーディだらけだし、会話したナチュなんてステラとコニールぐらいだろ
カガリも忘れんといて
カガリに関してはナチュコディ依然の問題だからなぁ
シンは殊更、サトー達のテロ活動を全面的に否定した訳でもないしな。
保守
237 :
172:2007/01/04(木) 20:55:17 ID:???
少し書きためてたんだが、姉貴にPC貸したらPCが逝ったorz
とりあえず携帯からなんで投下は無理ぽ(´・ω・`)
>>172 あ〜、残念です〜。
自分も似たようなことが以前にあったですよ。
自分、自宅にPCあるけど諸事情でネット環境にないんで
長めのネタ投下時は、FDに書きためて個室のネットカフェなんかで投下してたんだけど
ある日FD開こうとしたら、開けなくなってそのまま書きためてた分
全部消えたことあったんだよ。
自分の場合は逝ったのがFDだけで、PCは無事だったから書き直せたけど
PC逝っちゃうと再度書く気力も薄れるんですよね〜。
もし、PC復活後再開できるようであれば待っていますよ。
>>226 批判するつもりは無いんだが、+では議長常に後見人みたいなイメージなんだよ俺
Dプランに反対してもそれを受け止めてるような・・・以下すごいネタバレだが
・まずストーリー開始時点で議長「人間関係」が大事だと説明
・本編のストーリーをなぞってミッション「キラ・ヤマト」へ
本編ラストのキラvs議長の台詞「果たして人々が望むのはどちらだろうね?」
そして好感度高いキャラ味方に、低いキャラ敵に、次々と増援として現れる
さながら多数決のように
・クリアすると敵味方逆転ミッション登場。この時点で既にタイムスリップだと
(シチュエーションそのまま立場逆だし)また、「逆立場」という一つの歴史でもない
(例えばサトーに協力するのとババに協力するのは同じ歴史ではないと思う)
つまり何度もタイムスリップしていると
・で、レイとも対立するわけだが、レイ個人的に
「生きてるうちに議長の示す世界が見たいから」戦ってるふしあり
議長のために戦ってるんだが、議長の意思そのものかどうか・・・
・ラウ登場から無印の歴史に遡った段階では、過去の人間との対立ミッションばかり
(敵の敵である過去の人間と結果的に協力することもあるが)
一通りこなすと協力ミッションもできる
・最終ミッション「PLUS」は議長から「私のかつての親友、ラウを倒してくれ」と
その直前に“自分との戦い”ミッション「シン・アスカ」もある
あたりがネタにならんかと・・・そういうネタで自分で書けって話ですね
つうか226はなるべくすっきり一本にまとめようとしたわけだし
繰り返しますが「これが正しい解釈だ!」とか言うつもりはないです
自分で作品纏め上げる自信の無いヘタレが個人的妄想垂れ流してるだけです
チラ裏スマソ
保守
種死の設定を元にシンを主人公に書くって結構難しいよな
シンが全然自分の事情を話したりしないからな
まぁ現実的といや現実的なんだが
アカデミー時代にルナやレイあたりに話しておいたならまた
違った展開もあったかもしんないけど
ってかそういう感じで一度考えたけど俺種死見たことないんだ
hosyu
>>181 亀だがそれいいな
少し書いてみよう
「どうだシン、カレッジには慣れたか?」
「何とか、今の所は」
「それはよかった」
「……あ、そろそろシン君もサークルとか決めた方がいいんじゃないかな」
「あ、そうか。ここにはどんなサークルがあるんだ?」
「だったら、今日は僕達のところに来てみる?」
―――そんな会話が、数時間前。
今は、こうだ。
ザフトのMSが現れた。
冗談じゃない。
オーブは中立で、本国にいた頃は攻められたりしなかった。
なら。
なら、この火の海は何だ。
親父の仕事の都合で宇宙に上がったのが運の尽きとでも?
冗談じゃない。
俺はまだ転校したばっかりなんだ。
やっと友達も出来たんだ。
死んでたまるか。
今は避難するしかない。
「くそっ、あそこ一人しかスペースなかったなんて!」
「まだ間に合うよ、他もいくつかルートは分かるから。……ここはこっち」
俺ことシン・アスカは、ここで知り合ったキラって奴と一緒に
シェルターへの道を急いでいた。
途中で一人、女の子を助けたはいいが、シェルターは一人しか受け入れてくれなかった。
必然的にあぶれた俺達二人は、ひたすら走るしかなかった。
「ちくしょうっ、男って、こういう時に、つらい、よな!」
「……だよね」
途中、倒れている人を見かけた。
「―――うわ、酷い」
「全く、何でザフトはこんな事をするんだ」
しかし、感傷に浸っていては逃げられなくなる。
先を急ごうとした時。
「……シン、か?」
「と、父さん!?」
微かな声が聞こえた瞬間、振り返る。
そこには、血まみれの親父がいた。
「……これ、を」
「な、なんなんだよ。どういうことなんだよ、父さん!」
いきなりディスクをぽん、と出されてもどう反応したらいいか。
「早く……ザフトは、気づいてない……持っていけ……」
「シン君!」
キラが急かしてくる。
確かに、時間をかけたら俺達までアウトだ。
だけど。
「……ほら、立って! 早く、父さんも逃げなきゃ!」
「俺は……これでは無理だ。お前の重荷には、なりたくない」
「そんな……」
だが、現実は非情だ。
足音が聞こえてくる。
「……逃げろ! ザフトが来たら終わりだ!」
「……ダメだ、シン君!」
手をキラにとられ、俺はディスクを持ったまま逃げなければならない。
逃げて若干の時間が経過、俺は親父の死を悟った。
爆発が親父のいる通路から聞こえ、追い討ちに銃声。
駄目だ、現実感が沸かなすぎる。
泣くにも泣けず、ただひたすらに先を目指す。
まだ余裕のありそうなシェルターを目指し。
……ぬう、眠気が限界。
投下途中だけど、明日また続き投下するわ。
携帯でじゃ無理があった。
走る。走る。走る。
喉が乾く。銃声が聞こえる。血が見える。
この世にいながら地獄を見るような。
今は、走るしかない。
「……あ、あれは?」
ふと視線を脇に向ける。
灰色の機械的な何か―――MS?
「何だ、これ……まるで強奪でもしてるような……」
「真逆、それが目的でザフトは? ―――あ、危ない!」
キラが飛び出した。
見てみると、MSの上でナイフを突きつけられた女性がいる。
「ば、馬鹿! 何やってんだよ!」
こんなところで何をやっても、民間人の俺達に何ができる?
……所詮それらも一瞬の思考に過ぎなかったのだが。
「さ、下がってろ、キラ!」
己も飛び下り、落ちてた銃を拾い上げ、放つ。
当然ながら外れる。
だが、一瞬の隙を突いて女性がMSの中に潜り込む。
キラを連れて。
「な、ちょ、キラァァァ!?」
「クッ……しまった、目標を変更するべきか」
赤い服の奴は別の場所に行った。
後には、俺一人が残される。
「ど、どうすりゃいいんだ!?」
転校してあまり日がない俺は、ただ呆然としているだけ……否。
思い出せ。俺は『何故転校することになったのか』。
親父は技術者をやっていた。
ザフトに殺された。
今俺が持っているディスクは狙われている。
―――って、ことは?
「親父、真逆MSの関係者!?」
こうしてはいられない。
ザフトに取られたら大変だ、逃げるしかない。
どこに。
安全なところには行けそうにないのに。
ふと、自らの立っているところを思い出す。
背後に、MSらしきものが一つ残っていた。
「安全なところ……」
迷わず飛び込んだ。
これなら歩兵からは攻撃されないだろう。
そして急いでシステムを起動―――できない。
「データディスクが入ってません……? これか!」
親父の持っていたディスクを挿入する。
『パイロット確認。OS起動、通常システムオンライン』
そして、その巨躯は「上半身」を起こし。
「う、動いた! 奇跡でも起こってるんじゃないのか!?」
実際そうだろう。
「とりあえず、武器、武器……」
あった。銃らしきものがひとつ、壁にセットされていた。
ヘルプのマニュアルを開き、それに従いながら必死にMSを動かし、手に取る。
幸い音声認識形式だったのが救いか。
「……あれ、『通常機能では射撃にプロテクトがかけられています。
パイロット登録作業をしてから起動させてください』?」
するとパネル画面には、名前と暗証番号、声紋を登録してください、と出てきた。
「名前はシン・アスカ、暗証番号は……。」
『シン・アスカをパイロットとして登録完了。ストライクR、戦闘システムオンライン』
何だかわけがわからないが、これで射撃もできるようになった。
ザフトに教われたら困るし。
だが、少し歩かせると。
「あ、あのMS……!?」
鋭角的なフォルムに見覚えあり。
色は違うけど、ヘルプで調べたらPS装甲の能力だとか。
―――って、戦闘やってる白い奴の中にキラがいるじゃあないかよッ!
えー、と。このMS、自動で照準補正してくれるみたいで。
白くない方を撃とう。
なるべくなら、ザフトがこの機体をとったと思ってくれればいいんだが、
そうもいかないのでとにかく速攻で射つ。
光線が敵を穿ち、背中の一部を破壊する。ビーム銃か!
そして逃げ出す白くないMS。
『そ、そこのパイロット! 動かないで……』
『シ、シン君! 何で君がそれに!』
やっぱりか。
「よ、良かった……無事だったんだな」
『良くありません!』
キラの後ろの女性が、声を張り上げる。
『……二人とも、軍人として命令するわ。今すぐそれを降りなさい』
……俺、今日いくつヤバいことした?
昨日投下できなかった分終了。
マユについては、序盤のうちに触れることになるかも。
GJ!もしかしてシンの方がキラより年上?
マリューさんとの修羅場が目に浮かぶぜ。
生年月日をそのままにするなら、あのヘリオでの強奪時点でシンは誕生日がきてないから13歳のハズだが
この感じだとキラよりちょっと上か同じくらいに見えるな
255 :
245:2007/01/13(土) 11:12:13 ID:???
>>253-254 13歳でMSはきついかな、と思ってシン達は年齢を死種時のものとしてる。
あと、同級生にした方が絡みを書きやすいし。
256 :
254:2007/01/13(土) 13:32:45 ID:???
なるほどッス
保守
最後まで自分の意思でアスハはおろかオーブ側は完全否定がいい。
俺の守りたいものを偉そうな面をしながら奪い続けたのはいつもこいつらだ。アスハよ、強い力で争いを最も読んでるのはお前だったな。
こんな薄っぺらいヤツ等の為にマユやステラは犠牲になって来たのか、みたいな。
強いて言うなら昔あったリバイバルがそんな話だな。
あそこのはカガリ達も最大限好意的に解釈してかなりマトモにしようとしてたが。
リバは今でもちゃんと続いてるぜ
最近、20話まで完成したようだ
ドム戦以降、シンの出番まだ無いけど
>>260 出来たのは19話までだよ
とはいっても一話三部構成なんで、実質もう50話以上行ってる勘定になるが
あそこのラクシズはかなりまともだね
シン主役でラクス完全否定ならX運命とかだな。
クロス系はそういうのが多いけど。
508 :平成三監督 :2007/01/18(木) 17:11:34 ID:???
今川「やめておきます。自信ないですし」
池田「途中で逃げてもいいんですかね?」
高松「3クールで打ち切りですが、それでよろしければ」
保守
「さて……とんでもないことをしてくれたわね」
「すみません、夢中で……」
やばいことになってる。
どうやら地雷踏んだというより地雷原に突入したようで。
マリュー・ラミアス大尉。
この人の名前だ。
俺たちは今、銃を突きつけられている。
やべぇ、死ぬかも。
「……それで、シン君。あなたは何故あのストライクRを起動できたの?
あれを動かし、射撃ロックを外すには起動ディスク、
それもパイロット登録を済ませたものが必要よ」
嘘をついても無駄みたいだ。
仕方なく、真実を話す。
「このディスクは……倒れていた親父が俺に渡してきたものです」
「親父……?
まさか、モルゲンレーテのOS開発スタッフの代表がアスカさんだったわよね……」
「モルゲンレーテ?」
「民間のMS開発企業よ」
「ッ!!」
知らなかった。
親父がそんな会社に勤めてるとか、全く。
正直、ショックは大きい。
「……いい、シン君。このMSはパイロット登録制なの。
あなたが試作ディスクを使ってしまったから、
別のパイロットを登録することは今のところ不可能なの」
「え、それじゃ……」
「今このストライクRで戦えるのは、貴方だけなの」
マジかよ。
親父のディスクひとつでこんな事になるなんて。
「……ごめんなさい。あまりに荒唐無稽な話だと思うけど」
「いえ、悪いのはザフトです! あなたは何も悪くありません!」
そうだ、悪いのはザフトだ。
こんな事をして、民間人とかはどうでもいいってのかよ!
「……とにかく、今はこの状況を切り抜けないと」
「副長!」
軍人が一人、マリューさんと話を始めた。
と、その後ろには―――
「サイ、カズイ! 無事だったのか!」
「トールにミリアリアも!」
「そう簡単に死ぬわけないだろ」
軍人の後ろには、友達がいた。
シェルターには乗り遅れたみたいだけど、無事だったか。
どうやら保護されたらしいが。
「ホント、どうしたらいいかでパニックだったわよ」
「お前たちの方が心配だったんだぞ、俺は」
「つ、疲れた……」
「非常時だってのに、お前達なぁ」
「うん、まあ、僕達も同じようなものだし」
和やかな雰囲気。
しかし、それも長くは続かない事を知っていた。
そして、それを破ってしまったのは、マリューさんだった。
「あなた達、こうなってしまったら軍事機密も何もないわ。
ストライクを誘導するから、ついてきて。
私達の艦―――あそこなら、今は無事に避難できる」
今日はここまで。
鈍速ですまない。
GJ!とっくに予測はついてたが、ここは突っ込むのが礼儀なので言おう。
「なにそのドラグナー」
しかし、ドラグナーといえば主役が主人公から敵のエースに交代という……
ドラグナーでも良かったんだ
あんな駄目福田作品見るくらいなら、まんまドラグナーでも良かったんだ、、、!!!!
つまり、GJ!!
そういえば連結サーベルもドラグナーからだったな
GJ、タイトルか鳥付けてくれるとありがたいかな
今回の奴は、演出で福田監督の関わったドラグナーよりアイデアを拝借。
過去作のいいところは取っていかないと。何でもかんでもとは言わないけど。
個人的にはこっちの方を取って欲しかったという思いはある。
あと、シンの親については殆んど語られてなかったんで、
今回は父親をモルゲンレーテ社員にしてみた。
……タイトル決めてなかった。
後で考えよう。
あげ
あげられてなかった
ドラグナー=マイヨ・プラート物語
276 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/24(水) 09:18:46 ID:nayl/1fy
>>224-230 >>239 むしろキラ・ヤマト→敵対・協力ミッション増加→レクイエムは誰のために(ry
といった様に話の大まかな流れは同じとして
最後の力までは本編をなぞり、オリジナルのミッションは外伝的な話として
キラ・ヤマト以降は各戦場で戦いを終らせる度に、また次の戦場にシンが
飛ばされるというのはどうよ?
例えば意識が戻るとサトー隊の一人としてゲイツに乗っていて当然戸惑うんだけど
敵だったサトー達は自分を仲間として扱うし、アスランやイザーク達は
自分に攻撃してくるしでやむを得ず戦闘開始
何とか勝利すると今度はオーブ軍の一人としてムラサメに乗っている
こんな事を何度も繰り返した末にクルーゼとの最終決戦
ぶっちゃけ、ひぐらしな訳だが+を小説にするなら、いっそこれ位
ぶっ飛んだ話にした方が良さそうな気がする
プラスの小説化は非常に面白そうな気がするし、かつ壮大過ぎて個人の手に
負える気がしないので意見出し合ってまとめて行ったり
小説にしていくのはどうだろう?
>真の黒幕であったクルーゼが時空を越えて登場
ノ ./:::ヽ、 l
r''"´ 〈::::::::::`丶、__,,,.. -ォ 、 \
l /´ヾl「 ̄ ̄`Τ´ ,' \ ヽ
ノ ノ::.r'7^゙、 l: ,'\ l:....:. ヽ:.....:./
. / ゙y´ :{ ヽ /ヽ ...}イ |:::::λ:l::::::j
. 〈 {l N-‐''゙ 〈 〉 ヽl::::/リノ::: (
ヽ!: リ、| ,.-‐-、. `Y:| ィ'" ̄ヽリノ /:::::::: i
|l: / ヽ_イ......._ノ |:l ヾー┬''゙ /:::::::::: |
|l ∧ ``T´ |! _,」 〈:::::::::::: ', 時刻を超えて、オレ参上!
. }!. { l', ゙r──‐┬'"´ レ''"`7!::::: :: ヽ
ノ::. l ドf ̄`ヽl ,_,. ===-、, 。 ,'::|!:: \
(:.:::::} ト-゙、 {l::r'"`:i:'"`lリ ゚ ノ::::'、: ',
. ヽ::l: !:::::::ヽ ヾ、__,〃 ,イ:::::::::\ ト、i
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.{_|:::::::l:::. ヾ`ー':::l:.:.:.:.:.:.:.:.:.、`''''''''i゙| 「:/| :.:.!:::::::::::::_ノ /
まさにコレかい?
保守
シンのヘリオポリス逆行物なら、サーヴァントスレにこんなネタが投下されてたな。
すげぇ楽しそうなんだが、惜しい事にSS化はされとらん。
284 :通常の名無しさんの3倍:2006/11/14(火) 23:29:25 ID:???
よし、まず凸に落とされたところで意識が途絶え、そこでタイムスリップしたという題で妄想してみようか。
→目を覚ましたら、シンは種第一話でカガリを追って爆風に吹き飛ばされたキラの体に入ってました。
→キラ:「テメェ、アスハァァァァァ!!!」目の前に現れたアスハに一瞬で切れるシン。
→キラ:「忘れたとは言わせねぇぞアスハ!!アンタあの行動で誰が被害にあうかキチンと(ry」
カガリ「いや、そんな事言われても私はお前なんか知らないぞ?」
お互いギャアギャアわめきあって、そこでようやく自分の現状に気付くシン。
CE71年? マジ!!?
→紆余曲折の末シェルターにたどり着くも、わめきあってたお陰でシェルター入り口は既に潰れてる
その後別のシェルターに行こうとするもカガリの横槍によって脇の戦場のマリューが助かり、ラスティが死亡。
その報復に今度は凸の銃弾でこっちがザフトに狙われる。
→アスハの大馬鹿野郎!! と毒づきながらも生きるためにストライクの方に飛び降りるキラ(中身はシン)
そしてそこでナイフを構えるアスラン=ザラと宿命の再会……
アスラン:「キ……ラ・・・・・?」
キラ(中身はシン):「アス……ラン? アンタ……」
→キラ:「……アンタって人わぁぁぁぁァァ!!! ッて言うかオーブが巻き込まれたのはアンタ達が原因かー!!!」
過去(未来)で散々偉そうなこといいながら、オーブ崩壊で家族死んだのも俺が苦労したのも、そもそもの原因はザフトでアンタ達か!!
沸点突破、正義は我にあり、ブチギレて素手で凸殴りかかるキラ(中身はシン)。
不意を突かれて顔面にモロくらい、軽々と吹き飛ばされた凸をさらにマリューから奪った拳銃で追撃、歯茎が折れても許さない!!!
→凸、思わぬ展開に混乱したまま逃走、イージス奪えないままに命からがら逃げ出す。
キラ:「アァァァスラァァァァン! ザァァァッァラァァァァァァァァァァっッ!!!」
鬼もかくやという形相でアスハと技官の女性(マリュー)をコックピットに蹴り落として自分も乗り込む。
OS起動、状態チェック、パラメータに不具合多数。流れるようにパラメータを調整するも思うようにいかない。
どうやらOS自体に不具合がある模様。
……そこまで確認して、脳裏に違和感を覚える。自分は、OSの調整は苦手だった筈だ。なのに、変に理解できる。
この身体は、変に良く動く。物覚えも、反射も異常なくらいに良い。どう言う事なのか。
しかし、その疑問も凸への殺意によって一瞬で塗りつぶされた。
「しぃぃぃねぇぇぇぇぇぇ!!!」
ガンダム、起動。必要な処理系を機体制御に振り分け。使える武器は、アーマーシュナイダーと自身のマニュアル動作による格闘能力のみ。
そしてキラの身体に入ってしまったシンは、ストライクを動かし、爆炎吹きすさぶモルゲンレーテから脱出した――
こんな流れになるのかな?
うーん、自分はあくまでもシンはシンでいて欲しいからな〜。
ちょっとそれ微妙かな〜。
俺もだな
シンがシンのまま介入するのが良い
シンはOS関係が苦手そうなので、未完成ストライクを自分の腕だけで動かすって方がキラと違いが出て、いいかも
最初はロクに動かせないのを火器管制プログラムを削って接近戦のみのOSで戦うわけですな?
んで、カトウゼミの方々との友情のプログラム改良で徐々に使えるようになっていく、と
武器はグランドスラム一本で
>>282-283 むしろキラ、マリューと共にストライクに転がりこんで、キラがOSを書き換えるんだけど
ド素人も良いとこのキラの操縦にキレて操縦幹奪ってジン撃退とかは?
シンの操縦にGで気絶したキラのあまりの不甲斐なさに、時空を超えたシンへの友情で謎の存在が憑依!!
「時刻(とき)を越えて、オレ参上!!」「オレはこういうのがやりたかったんだぜ!!」「言っとくがオレは、、、最初からクライマックスだぜぇッ!!」
それにしてもこのレイ、ノリノリである
無理にネタに走らなくて良いから
ていうかそのキャラならデュオ辺りにしといた方が説得力ありそう
289 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/29(月) 22:09:41 ID:1fmSRBUm
>>285をアレンジして
まず、マリューよたよた操縦
→シンが口出しする前に、キラがマリューどかしてOSいじり
(そのさいシンのいる方にマリューが来た為、マリューに潰されラッキースケベ)
→キラ、OSに集中して敵の接近に気づけない
→シン、とっさに操縦桿の足で動かしキラ&マリューに抗議されるが無視して敵に集中
→マリューをなんとか押しのけて操縦するも反対側の操縦桿とペダルに届かない
→キラを怒鳴りつけ自分が届かないところの操作をさせる
→なんとか敵を撃退
って流れが思いついた
シンがCE71に行くのはいいが、MS乗り立てのキラに4人がかりで勝てなかった旧赤服4人組じゃ、
シン相手にしたらそれこそ勝負にならんから、ハンデが必要だよな
しかしOSにしたってキラがその場にいるなら改良やってくれそうだし、
シンにしたって戦闘中でないなら独力でのOS調整ぐらいできるから、
最初のミゲル戦しのげば結局機体のハンデは無くなってしまう・・・
うーむ・・・
じゃあストライクはシンとキラの2人乗りで
ストライカーパックが全部故障中にするとか?
少ないエネルギーをやりくりしてジン相手にはアーマーシュナイダー(だっけ?)、G相手にはビームライフルを駆使して戦うんだ!
293 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/30(火) 00:55:09 ID:0gvXk56G
流れを読まずに、ふと思いついた最終回・・・<その1>
「デスティニープランなんて、そんな決められた世界なんて、運命なんて僕は認めない!」
「世界はもう変わらなきゃいけないんだ!戦争のない平和な世界の為に!」
ジェネシス宙域にて、戦い続ける赤と青の翼を持つMS
その戦いの中、どこからか流れてきたビームがキラの視界を一瞬遮る。
「何っ!?」
わずかな隙を逃さずに、アロンダイトを掲げ襲いかかるデスティニー。
「いつもそうやって…やれると思うなァァ!!」
アロンダイトがSフリーダムに届く直前、Sフリーダムが不思議な青い光に包まれる。
「キラ、大丈夫か」「貴方は私が守る・・・」
前戦で失われたトールの、フレイの懐かしい声がキラに呼びかける。
「・・・トール・・・フレイ」
「…ッ!?そんな…、なんなんだよ、これは!」
勝利を確信していたシンにとってこの光は・・動作は理解できなかった。
それと同時に、MSとは思えないスピードでデスティニーの背後に回るSフリーダム
アロンダイト特攻の為に今度はデスティニーの体勢が崩れたままである。
「これで決める!」
デスティニーに標準を合わせ、素早くトリガー押し込むキラ。
Sフリーダムの全砲門から光が放たれ、デスティニーに襲いかかる。
<続く>
294 :
通常の名無しさんの3倍:2007/01/30(火) 00:56:21 ID:0gvXk56G
流れを読まずに、ふと思いついた最終回・・・<その2 続き>
ハイマットフルバーストがデスティニーに当たる直前、
デスティニーに不思議な赤い光に包まれ、HFBは打ち消される。
「お兄ちゃん」「シン…まもる…」
死を覚悟していたシンの耳に、守りたい人の声が聞こえる。
「・・・マユ・・・ステラ」
お互いの機体からでる光が混じりあい、それぞれの思いをのせ全宇宙に行き渡る。
操縦桿を操作しても、何故か戦う行動が取れない。
動いてるのは生命維持装置と無線くらいなものだった・・
オノゴロ島での上空に飛ぶフリーダム…、ベルリンでサーベルを掲げるフリーダム
イージスに撃墜されるスカイグラスパーや、目前でドラグーンに打ち抜かれるシャトル…
「そんな…これは…!?」
「な…これは!?」
Sフリーダムやデスティニーだけでなく、∞ジャスティスやレジェンドなどのMSや
戦艦もその光に包まれ戦闘行為を停止させた。
コロニー撃墜やクローンの悲劇などの悲しみや思いが乗り、
人類は、もはや戦争行為をすることができなかったのだ。
「僕達は…何をやっているんだろう…。そして一体何処へ向かっていくんだろう・・・」
「運命でも自由でもどちらでもいいさ・・・戦争のない平和な世界に向かうのなら」
うう、稚拙な文かつ、どっかでみたような厨設定だなぁ
これじゃ負債バカにできんかも・・・orz
むしろストライカーパックが全部破壊されて
たった一つ残されたコンテナパックの中にあったグランドスラムを使用して接近戦オンリーで戦えばいいと思うよ?
じゃあ、後にザフトの砂漠基地にストライクが墜落したら
そこに偶然ヘリオポリス崩壊のドサクサに紛れて強奪されて搬入されてたストライカーパックがあったりするわけか?
>>290 そんな所まで本編再現しなくて良いだろ
データ解析が終った機体から順次、クルーゼ隊に支給される事にして、支給後も
整備や改造のために中々、二体以上が揃う事がなくて、大気圏突入時にようやく四体が
全て揃い見事な連携で第八艦隊とAA組をメチャクチャ苦しめるとかでも良いじゃん
二次創作位でなら遠く離れた場所からデブリに紛れてAAやストライクを
精密な遠距離射撃で苦しめる狡猾な痔が操るバスターにランチャーストライクで
カウンタースナイプを挑む話とか有っても良いだろ?
っていうか少数精鋭とかゆーの自体が無茶苦茶なんだから素直に物量戦闘に巻き込めばいいのに
大体ストライク自体が当時的にはPS装甲にビーム兵器とあわせてバッテリーがアレな欠陥機だぞ
ましてストライカーパックを削ればその役立たず度はデュエルを下回る
普通、シンでも同世代の機体で赤服に囲まれて苦戦するよ。
大体凸のキラキュン補正がかかってないからガチりあいじゃん? 連携してくる四馬鹿だぞ?
苦戦する要素は十分以上、僚機はフラガさん
……アレ? なにやらシンにフラグが立ちそうな気配であります。
アークエンジェルの格納庫。
中にはMAが一機、MSは二機。
「……少ないな」
『奪われたからでしょ』
ツッコミを入れる程の余裕を見せたキラは、既に所定の位置に移動している。
二機のうち一機はこいつか。
そういや、キラはこういうこと得意だったか。
「そういやキラ。そっちはプログラムどうなってるんだ?
登録制OSじゃないみたいだし……」
『ああ。もう必死で書き換えたよ。まだ途中だけど』
そりゃあれで最後までいったら凄いというかあそこでやろうとしたことに正気を問いたくなる。
答えは出てるけど。
『だから完全に書き換えるまでは……降りられないかな。
早く終わって欲しいし、こんなこと……』
同感。
こんなこと、長く続いて欲しいなんて誰が思うんだよ……
「―――ここまで」
同戦艦ブリッジ、マリューは悲痛に顔を歪ませていた。
とんでもない損害、死者―――それは、この戦艦でも同じ事。
当初のクルーからも、だいぶ死者が出ていた。
「深く考えても仕方ないさ。今は俺達と、この戦艦が生き残ることを考えようぜ」
「……ええ、フラガ大尉」
生き残ったメンバーは、このフラガ大尉を入れても戦艦のクルーとしては数が足りない。
さらに、彼はMAパイロットだから実際クルーとしては扱えない。
絶望的なまでに追い込まれている。
「先ずは立て直しをしなければなりません。
ラミアス大尉、階級としては貴方とフラガ大尉が最も高位です。ご指示を」
そう言って、意思を仰ぐのはナタル・バジルール中尉。
「……私より貴方の方が、専攻で士官教育を受けている分艦長として優秀だと判断します。
貴方がこの艦の指揮を取って。私は救援を得られないか連絡を取ってみます」
「はっ」
彼女なら安心できる。少なくとも自分よりは。
直感で、マリューはそう確信していた。
「じゃあ、俺はハンガーかな。坊主達にも顔を合わせておくよ」
「お願いします」
そして、慌ただしくブリッジが動き出す。
生き抜くために。
(しかし、何故彼らはああも立ち回れたんだろうか)
マリューは考える。
此処はいわゆる秘密兵器の開発をしていたため、外部に機密を漏らすことのないように、
厳戒体制を取っていた筈だ。
なら、何故全てが筒抜けになっていたのだろうか。
「……ヘッ、今頃バタバタと湧いてさ」
同戦艦、独房。
誰もいない筈の其処には、確かに「それ」が存在していた。
「やっぱり馬鹿の集まりだよ、ナチュラルなんてのは」
混乱の消えない艦内、それでも生きようとする人間を嘲う影ひとつ。
彼は、コーディネイターであった。
もう少し進めたかったけど今日はここまで。
タイトルつけてみた。
シンをいきなり戦場に放り込まないで、先ずはキラの家に居候させるのはどうよ。ヤマト家ならあっさりと、シンを受け入れても不思議じゃない。
種死後、少しずつ成長していくヤマト総司令やクライン議長やアスハ代表やザラ一佐
それでも世界にはレジスタンスやテロリストがたくさんいる
そんなテロリストを倒すシン・アスカ隊長の日々が読みたいです
ルナマリアの介護日記のほうがまし。
戦後、シンは軍をやめて戦災復興のNGO団体のメンバーとして地球を巡り
現地の人々と交流し、時には友情を深め、時には拒絶され
ナチュ・コーディの架け橋になっていくってのは?
『ブレイク・ザ・ワールド』の被災地が、未だに反コーディネイター感情が強い可能性を考えると、真っ先に殺される危険が付き纏う。
むしろそれはラクシズがやれよといいたいが無理だな
ラクシズだしな
むしろMS乗りの腕を活かして僅かな給金でNGOや赤十字(有るのか?)の護衛を
やってるってのは?
もうさ、ラクシズが奴等の脳内デスティニープランを実行しろよ
そうしたら一応世界は平和になる。
実は生きてたPP&ドミニオン連中と傭兵部隊を細々と・・・
あかんわ、パラレル現代物しか作れそうにないわ……。
age
313 :
通常の名無しさんの3倍:2007/02/07(水) 20:27:46 ID:p+TEFJl1
ここはいつでもSS投下おkなのか?
いつでもおk
318 :
315:2007/02/11(日) 13:49:28 ID:???
周りは物凄い爆音の嵐と木や土が焼けた匂いがし、空には人型機動兵器、
いわゆる[モビルスーツ]と呼ばれるロボットが縦横無尽に飛んでいる。
ただ、それらは自分達の間で憧れの[アストレイ]ではなく、見たことの無いロボットだったが。
「シン、急げ!」
父さんの声がする。
「シン、早くしなさい!急いで避難艦に逃げなきゃいけないのよ!」
母さんのあせる声も。
「待ってよ、皆早いってばぁ」
そして妹―マユの息の切れた声も。
勿論自分だって精一杯だ。手に持てるだけの荷物を持って、
今まで走った事の無い距離を全力で走ってるんだから。
いくら自分達が遺伝子を操作した人間―コーディネーターでも、体力には限界がある。
だけど、両親がここまで急いでいる理由も分かるから余計な事は言わない。
シン達が暮らすこの国―オーブは今戦争中なんだから。
シンには何がどうなってこんな事になってしまったのかは分からない。
ただ、「地球連邦軍はオーブが邪魔なんだよ」と父さんが言っていたのは覚えている。
(ユウキの家は大丈夫なのかな・・・)
シンは、父親がオーブ軍将校の同級生を思い出した。
おじさんは戦争に参加してるんだろうか?
シンの父親が軍用モビルスーツのプログラムを作っている関係で、家族ぐるみで仲良くしていた。
そういえば、確か父さんは新しいプログラムの試作型とかを自分のディバックの中に突っ込んでいたはずだ―
と、考えを巡らせていたシンのすぐ横が爆発した。それがシンの考えを一瞬で現実に引き戻す。
「あぁっ、マユの携帯っ」
ピンクの携帯が急斜面を転がっていく。多分爆発の衝撃で落ちてしまったんだろう。
「マユ、行っちゃダメ!」
拾おうとするマユを母さんが止める。
「マユの携帯―っ」
マユはこんな時なのに駄々をこね始めた。仕方ないとも思う。
マユは携帯を買ってもらってから、ずっと大事にしてたんだから。
それにあの中には、いろんな写真も入っていたはずだ。とっさにシンの体が動く。
「俺が行く!」
手に持っていた荷物を下におろすとシンは急斜面を降りていく。
(よし、もうちょっとだ・・・)
木に当たって止まった携帯に手が届きかけたその時、2体のモビルスーツが頭上を飛び去る。
そして、その一瞬の後、後ろが爆発した。
319 :
315:2007/02/11(日) 13:52:38 ID:???
「つっ・・・」
あの爆発の中、携帯を拾い上げたのはいいものの、爆発で吹き飛ばされて体を地面に叩きつけられたシンはようやく立ち上がる。
後ろを見ると、さっきとは風景が全然違っていた。木がなぎ倒され、今まで走ってきた道も分からない。ゲームとは全然違う、本当の爆発。
「なんだよこれ・・・・・父さん、母さん、マユは?」
自分のすぐ後ろで爆発が起こったのだ、じゃあ、後ろにいた皆は―
いやな汗が頬を伝う。人影―ここの近くにいた軍人が駆け寄ってきたが、何を言ってるのか聞こえない。
多分、爆発音が強すぎて耳がおかしくなっているのだろう。
だが今のシンにはそんなことは関係ない。痛む体を引きずり、必死に家族を探すシンの目に、小さい手―たぶんマユだろう―が見えた。
手から先は倒れた木が邪魔で見えないが、多分自分と同じように吹き飛ばされたのだろう。シンは安堵する。
「マユ、大丈夫か?おい、マユ?」
自分でもよく聞こえない声を出しながらマユに近づく。
「おい、マユ、おき―」
歩くシンの体が硬直した。
確かに手はある。だが―――――肘から先が―――――無い。
「マ・・・マユ?」
そんなウソだ、マユはさっきまで自分と一緒に走ってて、普通に喋ってて、そして、そして――
後ろから来た軍人がこの光景を見て息を飲む。
「―――――み、―――――へい―――」
軍人の声はシンには届かない。その時、また頭上を一機のモビルスーツが飛んでいく。
天使のように羽を広げ、自分はここだと自己主張するかのような、絶対的な姿―――
後に[平和を作った英雄]として全世界の人類が崇める[フリーダム]―――――
地面に這いつくばっている自分達をバカにするように空を飛び回る姿。
シンはこの光景を絶対に忘れない。
あいつらがマユを殺したんだ・・・・
今まで感じた事の無い憎しみ、悲しみ、怒り、ありとあらゆる感情が十四歳の体を飲み込んでいく。
彼は、吼えた。
喉が枯れるほどに。
あのモビルスーツを跡形もなく壊してやりたかった。
だが、自分にはそんな力が無い。それが死ぬほど悔しかった。
だから、力を手に入れる。そしてあの時、マユたちを殺した奴に同じ思いをさせてやる。絶対に、絶対に・・・
それから2年の時が過ぎたCE73、宇宙のコロニー国家、[プラント]から物語は始まる――
320 :
315:2007/02/11(日) 13:55:22 ID:???
調子に乗ってなんか書いてみた。反省はしてるようでしていない。
地球に下りるとこまでは本編とあんまり変わらず。設定はいろいろいじくる予定。
こんなんでよかった?
乙!
このSSでは完全にフリーダムがシンの仇っぽいのかな?
今後の展開にも期待。
>「―――――み、―――――へい―――」
なみへいって読んだ
乙。続き楽しみにしてる。
一件だけツッコミ。
>ただ、「地球連邦軍は
大西洋連邦は
又は
連合は
じゃねーかなと。
324 :
315:2007/02/12(月) 03:11:42 ID:???
325 :
315:2007/02/12(月) 03:13:00 ID:???
「・・・ン、シン!」
自分を呼ぶ声にシンはいやいや目を開けた。
「もーシン、起きなさいよ!こんなとこで眠りこけるなんてみっともないわよ?」
「あぁ、分かって・・・・・・ってうわぁっ!!」
シンは後ろに飛びのいた―と同時に世界が反転した。頭と背中に鈍い痛みが走る。
簡単に言えばベンチから落ちたのだ。
「シンってば何してるの?」
「それはルナが・・・いや、やっぱいい」
シンは口から出てきそうだった言葉を慌てて飲み込む。
彼女の―ルナマリア・ホークの顔がすぐ近くにあって驚いたなんて言おうもんなら、どんなにからかわれるか分かったもんじゃない。
「どうせルナマリアの顔が近かったから驚いたんだろ、このスケベ」
ヨウラン・ケントの半笑いの声が聞こえる。
「そうそう、シンってばむっつりだからねー」
ヴィーノ・デュプレもにんまりしながらこっちを見ている。
―なんか好き勝手言われてるな。
シンはむっとして言い返す。
「ヨウラン、勝手な事言うな!ヴィーノ、お前の方がむっつりだろ!大体この前だって・・・」
「へー、シンってば私の顔が近かったから驚いたんだー、へー」
・・・ほら来た。
「ルナうるさい!別にそんなんじゃないって!」
「そうなんだ、シンってば・・・むっつりなんだー」
シンは頭を抱える。まったく、ヨウランとヴィーノのお陰でまたからかわれる材料が一つ増えてしまった。
艦に帰ったら二人とも一発殴っておこう―とシンは心に決めた。
「ハァ・・・・・・で、メイリンは?」
「メイリンならまだ店にいるよ、なんか欲しい服が選びきれてないみたいでさ」
ヴィーノから答えが返ってくると、腕時計を見たシンはまたため息をつく。
(まったく、買い物に何分かかってるんだ、メイリンは?だから女の子の買い物についていきたくなんかなかったんだ。
ホント、艦内でレイと一緒に射撃訓練でもやっていればよかった・・・)
シンが皆と買い物に来たのを後悔し始めてからたっぷり時間が経った頃、ようやくメイリン・ホークは戻ってきた。
326 :
315:2007/02/12(月) 03:15:36 ID:???
「おまたせー、待った?」
ヨウランが余計な口を開く。
「お帰りメイリン、さっきさぁ、シンって・・・・・・ってぇ!!!なにすんだコノヤロ!!」
「うるさい!これ以上その事を言うんならあの事バラすぞ!」
ヨウランの顔が青くなる。ついでにヴィーノの顔も。
「分かったって!ったく、冗談が通じねぇ奴だなぁお前は」
「俺はそんな冗談は嫌いだって前から言ってるだろ!」
ヴィーノがシンの首にチョークスリーパーをかけていつもより低い声でつぶやく。
「あれをだすのは卑怯だろう、シン君?」
負けじとシンも言い返す。
「そうだな、ヨウランとヴィーノが二人でルナたちの3サイズ想像してたなんて言ったら殺されるからなぁ」
「「フフフフフ・・・」」
二人が顔を見合わせて気味の悪い笑い方をしていると、ヨウランがこの場を凌ごうと喋りだす。
「も、もういいだろ、早く船に帰るぞ、ほら、メイリン達も」
「ハイハーイ、分かってるってぇ」
皆でヨウランがチャーターした車の方に向かう。
「お姉ちゃん、何でそんなに荷物少ないの?」
「メイリンこそ、なんでそんなに色々買いこんでるのよ?」
「だって、ミネルバは一回月軌道に配備されたらしばらく戻ってこれないじゃない」
歩いているシンの後ろから、ホーク姉妹の会話が聞こえる。
(メイリンも買いすぎだけど、ルナももうちょっと女の子した方がいいんじゃないのか?)
と、シンが考えながら何気なく反対の歩道側を見やると、不思議な三人組が見つけた。
よく分からないインナーを着ている緑髪の男。
ベルトがたくさんついている服を着込んだ青髪の男。
そして、片方の肩が出たドレスを着ている、フランス人形みたいな金髪の女の子。
シンがその三人組を見ていると、またヨウランから茶々が入る。
「なーに見てんだ、シン君?」
「いや、別に・・・」
なんとなく見てただけだ、と言葉を続けようとしたとき、聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「あの子の胸大きいなぁなんて考えてたんじゃないの、シン」
・・・また余計な事を。
「ヴィーノ、お前だけには言われたくない!お前等この前ルナ達の3サイズが―――」
「3、サイズ?」
ガシッと肩を掴まれた。
―――――やば。
「・・・どういうこと、シン?」
いや、ルナマリアさん怖いです、額に青筋出てます。
「いや、えっと、その・・・・・・行くぞ、ヴィーノ!」
「馬鹿シン!結局バラしてんじゃんか!」
「ちょっとシン!待ちなさい!どういうことなのそれはーッ!?」
シン、ヴィーノ、それにルナマリアは車とは逆の方向に走っていってしまった。
しかもしっかり荷物をその場に置いて。
「・・・・・・運ぶか、メイリン」
犯人の片割れ、ヨウランはつぶやく。
「・・・そうだね」
よく状況が飲み込めないメイリンが返事をする。
―――艦に帰った後、すべてをばらされた男三人が女の子二人に殴られたのは言うまでもない。
327 :
315:2007/02/12(月) 03:17:40 ID:???
コードギアスを見た直後に投下。
普段のミネルバ組を書いてみた
>>325-327 乙。ほのぼのしていいな。
ただ一話の復讐心全開のシンからすると少し違和感があるかな。
二年の間にシンも変わったって事か。
日常じゃこんなもんでしょ。
365日24時間目を血走らせてるわけにもいかんし。
きっかけがあれば爆発するだろうけど。
トリップ出来てるかな?
なんか申し訳無いんだけど、前に投下した文章の改良版、最初から投稿していいかな?
短い+説明足りずで自己嫌悪なんだよ
今だいぶ書き溜めてて、しばらくは順調に投下できそうだし
>>331 いいんじゃないか?
何もないとスレがさびしいし、納得の良く文章ができたなら
読んでみたいし。
じゃあ投下します。
シンの家族殺したのはキラに固定したんで、SEED組好きな奴は勘弁
CE71、オーブ、オノゴロ島の山道を、シンは家族とともに走っていた。
周りは物凄い爆音が響き、木や土が焼けた匂いが漂っている。空ではミサイルやビームが飛び交い、
人型機動兵器、いわゆる『モビルスーツ』と呼ばれるロボットが壮絶な戦闘を繰り広げている。
「なんかすっごいなぁ、これ・・・」
走りながら空を見上げたシンは、真っ黒な髪をかきあげながら一人ごちる。
いくら面白いゲームでも、この迫力には勝てないだろう。『戦争』の実感がいまいち湧かないシンはぼんやり考える。
残念だったのは、空で戦っているモビルスーツは、シン達の間で憧れの対象になっているオーブ軍の『アストレイ』ではなく、
見たことの無い種類のモビルスーツだった事だ。
「シン、急げ!」
いつのまにか足が止まっていたシンを父さんが怒鳴りつける。
「シン、早くしなさい!急いで避難艦に逃げなきゃいけないのよ!」
母さんのヒステリックな声も聞こえる。
「待ってよ、皆早いってばぁ」
そして妹―マユの息の切れた声も。
勿論、自分だって精一杯だ。持てるだけの荷物を持って、今まで走った事の無い距離を全力で走ってるんだから。
いくら自分達が遺伝子を操作し、身体機能や頭脳を強化された人間、コーディネーターでも、体力には限界がある。
だけど、両親がここまで急いでいる理由も一応は分かっているつもりだから、余計な事は言わない。
シン達が暮らすこの国、オーブ首長国連邦は今、戦争中なんだから。
シンには何がどうなってこんな事になったのかは分からない。
ただ、「大西洋連邦はオーブが邪魔なんだろう」と、父さんと母さんが話していたのは聞いていた。
まあ、その話を聞いても、シンは身近に『戦争』が迫ってきたと言う実感はなかったのだが。
(そういえば、ユウキの家は大丈夫なのかな・・・)
シンは、父親がオーブ軍将校の同級生を思い出した。おじさんは軍人になんか見えない優しい人だったが、
やはりこの戦いには参加してるんだろうか?
シンの父親がモルゲンレーテというオーブの国営会社でモビルスーツのプログラムを作っている関係で、家族ぐるみで仲良くしていた。
そういえば、確か父さんは『お前のバックに入れといてくれ、無くすなよ』
と変なディスクを自分のディバックの中に突っ込んでたな、あれはなんなんだろう―
と、考えを巡らせていたシンのすぐ横が爆発し、飛んできた木の破片がシンの頬を掠める。
頬を触って見ると、かすかだが血が出ていた。
さっきまで遊び半分だったシンの頭を冷やし、代わりに心の中で鎌首を擡げてきたのは―――恐怖。
そうだ、これはゲームではないのだ。
当たれば人は怪我をするし、下手をすれば死ぬ。
初めて感じる『死ぬかもしれない』という恐怖がシンの心を包み込んでいく。
「あぁっ、マユの携帯っ」
ピンクの携帯が急斜面を転がっていく。
「マユ、行っちゃダメ!」
拾いに行こうとするマユを母さんが止める。
「マユの携帯―っ」
マユは栗色の髪をなびかせて駄々をこね始めた。二人の声でとっさにシンの体が動く。
アレを無くしたらマユは悲しむだろう。それに、出来るだけ体を動かして、心を支配しかけていた恐怖を払ってしまいたかった。
「俺が行く!」
手に持っていた荷物を下におろすとシンは急斜面を降りていく。
(よし、もうちょっと・・・)
木の根元に引っかかって止まった携帯に手が届いたその時、2体のモビルスーツがシンの頭上を飛び去る。
携帯を手にとり、後ろを振り返ったシンの赤い目に、銃を発射する、十枚の翼を持つ天使のようなモビルスーツが見えた。
そして、その真っ赤な光が迸った一瞬の後、シンの目の前が爆発した。
「つっ・・・」
携帯を拾い上げたのはいいものの、爆発で吹き飛ばされて体を地面に叩きつけられたシンは、ようやく立ち上がった。
自分たちがさっきまでいた山道を見て、シンは唖然とする。
さっきとは風景が全然違っていた。
木がなぎ倒され、今まで走ってきた道も、どこが道だったのか分からないほどめちゃくちゃになっている。
シンが初めて見た、戦争のゲームなんかとは全然違う、リアルな爆発の跡。
「な、なんだよ、これ・・・・・父さん、母さん、マユは?」
さっきまで自分たちがいた場所で爆発が起こったのだ、じゃあ、後ろにいた皆は―――
いやな汗が頬を伝う。人影―ここの近くにいた軍人が駆け寄ってきたが、何を言ってるのか聞こえない。
多分、さっきの爆発音で耳がおかしくなっているのだろう、とシンは混乱した頭で、変に冷静に考えた。
だが今はそんなことは関係ない。家族を探さないと―――痛む体を引きずり、必死に家族を探すシンの目に、小さい手が見えた。
手から先は倒れた木が邪魔で見えないが、多分自分と同じように吹き飛ばされたのだろう。
マユは無事だったらしい。シンは安堵する。
「マユ、大丈夫か?おい、マユ?」
自分でもよく聞こえない声を出しながらマユに近づく。
「おい、マユ、おき―」
歩くシンの目が見開かれ、体が硬直する。
確かに手はある。確かに手は。だが―――――肘から先が―――――無い。
「・・・・え?」
理解出来ない状況に、シンは混乱する。いや、錯乱と言った方が正しいか。
そんな―――ウソだ、マユはさっきまで自分と一緒に走ってて、普通に喋ってて、そして、そして――
後ろから来た軍人がこの光景を見て息を飲む。
「―――――み、―――――へい―――」
手を差し伸べてくる軍人の声はシンには聞こえない。いや、聞こえていたとしても届かなかっただろう。
目の前の映像はシンにとって、それほど衝撃的なものだった。
壊れたように周りを見渡すと、さっきまで父さんが着ていたジャケットが血まみれで地面に落ちていた。
それに、母さんのお気に入りだったバックも。
マユ、父さん、母さん―――――シンの脳裏に、昨日まで幸せだった家族の様子が浮かび上がってくる。
「な・・・ん・・・・・で・・・・・・」
死・・ん・・・・だ?皆?
なんでマユたちが死なないといけなかったのだ?自分たちは何も悪いことはしていない。
なぜ?どうして?だれのせいで?
混乱したシンの頭で、昨日テレビで中継されていた、オーブの代表、ウズミ・ナラ・アスハの演説が反芻される。
「我等は誇りを捨てる事は出来ない――」
再び頭上を一機のモビルスーツが飛んでいく。
天使のように羽を広げ、五つの砲口から迸るビームで複数のモビルスーツを一気に破壊する絶対的な姿。
十枚の翼を広げ、地面に這いつくばっている自分達をバカにするように縦横無尽に空を飛び回る姿。
後に『平和を作った英雄』として全世界の人類が崇める事となる『フリーダム』――――
あいつがマユ達を・・・・
今まで感じた事の無い程の憎しみ、悲しみ、怒り、ありとあらゆる感情がまだ十四歳の小さな体を飲み込んでいく。
シンは獣のように吼えた。そうしなければ正気が保てそうに無かったから。
空を飛んでいるあのモビルスーツを跡形もなく壊してやりたかった。
むちゃくちゃに壊して、中のパイロットを引きずり出してやりたかった。
だが、自分には力が無い。あれを壊すための力が。
それが死ぬほど悔しかった。自分の無力さが腹立たしかった。
だから、力を手に入れる。
そしてあの時、マユたちを殺した奴、
そしてそういう状況を作り出した全ての奴らに同じ思いをさせてやる。絶対に。
そしてシンは、気を失った。
それから2年の時が過ぎたCE73。宇宙のコロニー国家、
コーディネイターの国『プラント』にある、一つのコロニーから物語は始まる――――
乙!
前のに比べるとやっぱ今回のが良いな。
シンとキラの関係をこれからどうしていくかが難しそうだけど
期待して続きを待ってるよ
シンはうなされていた。
嫌な夢だ。何かが――家族を――――
「・・・ン、シン!」
この声は誰だろう?シンの頭はまだぼんやりしているままだ。
「もーシン、起きなさいよ!こんなとこで眠りこけるなんてみっともないわよ?」
眠っていたシンの頭はようやく活動を始める。
「あぁ、うん、分かって・・・・・・ってうわぁっ!!」
目を開けると、いきなり赤毛の少女の顔がアップで目に入ってきた。
シンは後ろに飛びのいた―と同時に世界が反転した。頭と背中に鈍い痛みが走る。
―――簡単に言えばベンチから落ちたのだ。
「もー、シンってば何してるの?」
「それはルナが・・・・・いや、やっぱいい」
シンは口から出てきそうだった言葉を慌てて飲み込む。
彼女の―ルナマリアの顔がすぐ近くにあって驚いたなんて言おうもんなら、
どんなにからかわれるか分かったもんじゃない。
「どうせルナマリアの顔が近かったから驚いたんだろ、このスケベ」
黒髪に浅黒い肌のヨウランが半笑いで話し掛けてくる。
「そうそう、シンってばむっつりだからねー」
赤のメッシュが入った茶髪がトレードマークのヴィーノもにんまりしながらこっちを見ている。
―なんか好き勝手言われてるな。
シンはむっとして言い返す。
「ヨウラン、勝手な事言うな!ヴィーノ、お前の方がむっつりだろ!大体この前だって・・・」
「へー、シンってば私の顔が近かったから驚いたんだー」
・・・ほら来た。
ルナマリアはニヤニヤしながらシンをからかい始めた。
「ルナうるさい!別にそんなんじゃないって!」
「そうなんだ、シンってば、へぇー」
シンは頭を抱える。まったく、ヨウランとヴィーノのお陰でまたからかわれる材料が一つ増えてしまった。
艦に帰ったら二人とも一発殴っておこう―とシンは心に決めた。
シンはオーブで家族を失った後、そこに居合わせたオーブの将校に助けられた。
目の前で家族を失ったためか、シンの記憶からはどのモビルスーツが家族を殺したのか、という記憶だけすっぽり抜けていた。
世話してくれた将校、トダカ一尉もそんなのは思い出さなくていいと言っていたし、
シンも家族を殺したモビルスーツなど思い出したくなかった。
ただ、連合とオーブに家族は殺されたのだ、という意識は残っていたが。
その後、トダカ一尉の計らい、そしてシン自らの希望でシンはプラントに移住した。
もうオーブには居たくなかったし、皆が自分と同じコーディネイターの国に行きたかった。
そもそも先の大戦は『遺伝子を何もいじっていない人類、ナチュラルVS遺伝子を操作し、
圧倒的な身体能力と頭脳、容姿、ありとあらゆるものがナチュラルより優れているコーディネイター』という構図だったため、
コーディネイターであり、オーブからの難民であったシンは、簡単にプラントの市民権を手に入れる事が出来た。
『生きるためには働かなきゃな?』と役所の人から貰った資料には自分が出来る仕事の選択肢が数種類あったが、
シンは迷わず職業軍人になるためにザフト軍の学校に入った。
力が無いのが悔しかった。あの時自分に力があったなら―――そう思ったから。
そして、死に物狂いで努力したシンは軍学校をトップ20以内で卒業し、トップエリートだけが着る事を許される赤服を着る資格を得た。
そして、最新のザフト艦、『ミネルバ』に配属が決まったのだ。ここにいる皆、それにここにはいないもう一人の同期と一緒に。
シンはため息をついた後、誰となしにもう一人の同行者の行方を尋ねる。
「ハァ・・・・・・で、メイリンは?」
「メイリンならまだ店にいるよ、なんか欲しい服が選びきれてないみたいでさぁ」
ヴィーノから答えが返ってくると、腕時計を見たシンはまたため息をつく。
元々買うものはあまり無かったため、外出許可が出ても外出はせずに射撃訓練でもしておこうとシンは思っていたのだが、
『シンは黙ってついてくればいいの!』というルナマリアの一言で、この買い物に同行させられたのだ。
まあ、荷物持ちとしてだったのだが。
(まったく、服なんかに何分かかってるんだ、メイリンは?だから来たくなんかなかったんだよ、
ホント。レイと一緒に射撃訓練やっていればよかった・・・)
シンが皆と買い物に来たのを後悔し始めてからたっぷり時間が経った頃、
ようやくもう一人の同行者、ルナマリアの妹でもあるメイリンは戻ってきた。
「おまたせー、待った?」
「お帰りメイリン、さっきさぁ、シンって・・・・・・ってぇ!!!なにすんだコノヤロ!!」
シンは余計な事を言おうとしたヨウランの頭を引っぱたく。
「うるさい!これ以上その事を言うんならあの事バラすぞ!」
サーーーーッとヨウランの顔が青くなる。ついでにヴィーノの顔も。
「分かったって!ったく、冗談が通じねぇ奴だなぁ、お前は」
「俺はそんな冗談は嫌いだって前から言ってるだろ!」
ヴィーノはヨウランに文句を言うシンにチョークスリーパーをかけ、いつもより低い声でつぶやく。
「あれをだすのは卑怯だろう、シン君?」
負けじとシンも言い返す。
「そうだな、ヨウランとヴィーノが二人でルナたちの
3サイズ想像してたなんて言ったら二人とも殺されるもんなぁ」
「「フ、フフ、フフフフ・・・」」
二人が顔を見合わせて気味の悪い笑い方をしている。
ヨウランは頭を抱えると、この場を凌ごうとやや早口で喋りだす。
「も、もういいだろ、二人とも。早くミネルバに帰るぞ。ほら、メイリン達も」
「ハイハーイ、分かってるってぇ」
メイリン達にそう告げると、ヨウランは二人の耳元で一言つぶやく。
「シン、絶対言うなよ?ヴィーノ、そんなに騒ぐな。二人に気づかれるだろ」
「分かりましたよ、『スケベ』のヨウラン君」
「・・・・・・さっき俺が言った言葉をそのまま返すな、性格悪いぞ」
とりあえず場が治まり、五人は買い物のためにレンタルした車の方に向かう。
「お姉ちゃん、何でそんなに荷物少ないの?」
「メイリンこそ、なんでそんなに色々買いこんでるのよ?」
「だってぇ、ミネルバは一回月軌道に配備されたらしばらく戻ってこれないじゃない」
歩いているシンの後ろから、ホーク姉妹の会話が聞こえる。
(メイリンも買いすぎだけど、ルナももうちょっと女の子した方がいいんじゃないのか?
姉妹といっても性格は全然違うんだな・・・・)
妹、と言う言葉が頭に浮かんだ瞬間、シンの脳裏に妹―マユの笑顔がちらつく。シンの胸に鈍い痛みが走った。
「・・・・マユ・・・」
―――ああ、まだこの苦しみは消えていないのだ。と、安堵、それからわずかな悲しみがシンの心を支配する。
(ああ、ダメだダメだ、今こんな気分になっちゃ態度にでちまう)
と、シンが黒い気持ちを抑えながら何気なく反対の歩道側を見やると、不思議な三人組を見かけた。
よく分からないインナーを着ている緑髪の男。
ベルトがたくさんついている服を着込んだ青髪の男。
そして、片方の肩が出たドレスを着ている、フランス人形みたいな金髪の女の子。
そんなに珍しい光景でもなかったのだが、なんとなく目立つ雰囲気を醸している。
(なんか、目立つ奴らだなぁ・・・)
シンがその三人組を見ていると、ヨウランから茶々が入る。
「なーに見てんだ、シン君?」
「あ、いや、別に・・・」
なんとなく見てただけだ、と言葉を続けようとしたとき、聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「あの子の胸大きいなぁ(はぁと、なんて考えてたんじゃないのか、シン」
・・・また余計な事を。むっとしたシンは、つい口を滑らせる。
「ヴィーノ、お前達だけには言われたくない!お前等なんてこの前ルナ達の3サイズが―――」
「3、サイズ?」
ガシッと肩を掴まれた。
―――――やば。
「・・・どういうこと、シン?」
額に青筋を浮かべたルナマリアは、シンに問い掛ける。
女の子のこんな顔を初めて見たシンは、思わず後ずさる。
「いや、えっと、その・・・・・・」
「さぁ行こうかぁ、シン!」
ヴィーノから引きずられ、二人は走り去っていく。
「ちょっとシン!それにヴィーノ!待ちなさいよ!どういうことなのそれはーッ!?」
「ちょっとシン!それにヴィーノ!待ちなさいよ!どういうことなのそれはーッ!?」
ルナマリアも二人の後を追いかけていく。
しっかり自分たちの荷物をその場に置いて。
「・・・・・・運ぶか、メイリン」
犯人の片割れ、ヨウランは、この後起こるであろう惨劇に身震いすると、とりあえずつぶやく。
「・・・そう、だね」
よく状況が飲み込めないメイリンが返事をする。
―――艦に帰った後、すべてをばらされた男三人が、女の子二人に殴られたのは言うまでもない。
とりあえず今まで投下した分の改正分を。
>>339 リアルタイムかよww
俺はシンが好きなんで、シンに愛を込めて書く予定w
キラは種でフリーダムを手に入れてからすっかり電波になってしまったのでそこを書けるように頑張るよ
それにしても自分で気合入れてみて分かった、リウはすげえ。
じゃノシ
保守
あげ
89:通常の名無しさんの3倍 :2006/10/01(日) 14:51:11 ID:??? [sage]
以前カキコした、友人のシン主人公での種運命アフター小説、うPされました。
下の検索サイトから「全角でSEED」で検索できます。
よろしければご覧下さい。
ttp://www.newvel2.jp/ ↑見て来た。
全てを読む気にはなれなかった。
デス種キャラがただのダシに見えた。
遅ればせながら315氏GJ!
面白かった。自分もシン好きなんでとてもうれしい
続き楽しみに待ってるよ
職人待ち
職人町
保守
人少なさそうだし、SS投下してみる
「きゃあ!」
「ッツ!?」
断続的に響く振動と音、それらを掻き消すかの如く響いた爆音に思わず俺の体が硬直した。
「怖い……マユ怖いよ、お兄ちゃん」
「大丈夫、大丈夫だから」
青ざめた顔でこちらを見上げる俺の妹、マユの震える肩に手をおく。
(今のは近かった……クソっ、ここも安全じゃないのかよ)
咄嗟に辺りを見まわすが、自分達の求めるもの――避難用のシェルターらしき物は何処にも存在しない。
それどころか照明の無い、懐中電灯だけが頼りのこの通路が何処まで続いてるのかすら俺には分からなかった。
(一体何でこんな事に!?)
俺――シンは、心の中で毒づいた。
CE71年6月15日
何時までも続く普遍なもの、そう信じていた平和は脆くも崩れ去った。
突然の大西洋連邦からの宣戦布告、そしてオーブへの侵攻。
オーブの国営放送が知らせたのは、そんなとても信じられないような内容だった。
固まったシンに対してマユは愕然とTVを指さす。
そこに広がってるのは幾多もの空母と戦艦、そしてモビルスーツ。
それらがアスカ家が住んでいるここ――オノゴロ島へと侵攻してるのだという。
「どうしよう!お兄ちゃん!」
「と、とにかくここから逃げないと!」
未だ放送され続けている国営放送からは、オノゴロ島外への避難勧告が報じられている。
避難船の停泊する港の場所、出航する時間をキャスターが淡々と報道していた。
「でも、お父さんとお母さんがまだ会社に……」
「ッ!」
シンとマユの両親は二人ともオーブの国営企業――モルゲンレーテ社の本社に勤めている。
そしてその本社はここ、オノゴロ島に存在している。
大西洋連邦の目標は、オノゴロ島のモルゲンレーテの技術接収とカグヤ島に設置されているマスドライバーの奪取。
その程度の事はシンは理解していた。
だからこそ、今モルゲンレーテ本社にいる両親がいかに危険な状況かを。
マユも理解しているのか、不安げな表情をシンに向ける。
「父さん達なら大丈夫、きっと避難してるさ」
だから自分たちだけで避難しよう――そう言外に仄めかしたシンの提案を、マユは受け入れられなかった。。
「嫌!」
「マユ!」
「嫌ぁ!お父さんとお母さんは帰ってくるよ!」
マユは泣き出しそうに目を潤ませながら、その場にしゃがみこんだ。
両親が帰ってくるまで決して動かない、そんな固い意志を屈んだ小さな背中から感じたシンこそ泣き出しそうな情け無い表情をする。
こうなると梃子でも動かなくなるのを、シンは理解していた――だからこそ苦悩する。
「……しょうがない」
「?」
長い逡巡を経て得た答えは、決して現状ではベストとは言えないいもの。
しかし、今来るとも知れない両親をただ待つよりはベターなもの。
それを、マユに提示した。
「直接モルゲンレーテに迎いに行こう」
待つより行動する、それだけだった。
避難船の停泊している港は、大西洋連邦が侵攻する南側から反対の北側。
そして、モルゲンレーテ社はオノゴロ島の中央――山の中にある。
丁度、シン達がいる住宅地域と避難船の間にモルゲンレーテ社が存在している。
例えモルゲンレーテで両親と合流できなくとも、すぐに避難船に向かえる。
シンは家から持ち出す荷物の準備や、移動にかかる時間を計算し大丈夫だろうと判断した。
「さぁ、早く荷物の準備をしよう」
「う、うん!」
(やっぱり、無理にでもマユと避難船に向かうべきだった……!)
マユだけでなく、自分も両親の事が不安だった――だからこその妥協の判断。
しかし、その甘い判断が自分達を追い込んでいた。
モルゲンレーテに続く坂道をマユの手を引いて、懸命に走った。
その上空を、戦闘機と戦闘機同士が空中戦を広げている。
既に大西洋連邦とオーブの戦闘域は、オノゴロ島を覆うまでに広がっていた。
「危ないッ!」
上空から、炎を纏いながら落下してくる鉄の塊――撃墜されたオーブの戦闘機。
咄嗟にマユの手を引き、道の横に広がる森林地域に飛び込む――背後の熱気と爆音で吹き飛ばされそうになる。
「マユ!こっちだ!」
「うん!」
最早モルゲンレーテに行けそうに無い、そう判断し避難した森林地帯を周回するようにして避難船の停泊する港へ向かう。
「お兄ちゃん、あれ……」
「オーブ軍が、M1が――ッ」
森と森の継ぎ目、そこから沿岸部での戦闘を見ることが出来た。
そこで奮闘しているオーブ製のMS――M1アストレイを確認できた。
両親の仕事場であるモルゲンレーテで何度かシミュレーターを使用したり、実際に乗った事もある。
まさに技術大国であるオーブを象徴するかのような高性能機、そのM1が――
「そんな……!?」
「畜生ッ!」
なぶり殺し、この単語をそのまま表現するかのような惨状。
いくら高性能でも、その数倍の数の大西洋連邦のMS――ストライクダガーによってたかって攻撃されている。
そして奮戦するM1部隊の一機が、ダガーのビームライフルから放たれたビームを避け切れず爆砕する。
次々と上陸してくるストライクダガーの大群、そしてそれを抑えきれず撃墜されるM1の部隊。
(オーブが……負ける?)
「――…ちゃ…!」
呆然とする自分、心の中ではまさかと考えないようにしていた最悪の予想が鎌首を上げてくる。
(そんな、そんな事って……)
「お兄ちゃん!上!」
「――ッ!?」
心が空っぽだったからだろうか、妹のマユの切羽詰った声を意識した瞬間に俺の体は考える暇なく動いていた。
「――!?」
暴力的なまでの爆音と衝撃が、先程まで突っ立っていた場所に突き刺さる。
その衝撃は付近の土を吹き飛ばすだけでなく、咄嗟に腕の中に庇ったマユと俺の体も一緒に吹き飛ばされた。
悲鳴すら出せないその衝撃から妹を守る為に、体を斜面に転がす。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
「だっ……大丈夫」
ようやく止まった俺の体の腕の中から、マユが引き摺り出てくる。
転がったままの姿勢の俺を、心配そうに見下ろすマユに引きつった顔を見せる。
その言葉に偽りは無く奇跡的とも言うべきか、それともコーディネーターに生まれた事に感謝すべきか。
ともかく、すり傷はあるものの骨折や捻挫といった体の異常は見られなかった。
「マユは大丈夫か?」
「うん、お兄ちゃんが守ってくれたから」
服のあちこちが土まみれになってるのを除けば、確かに大丈夫だった。
思わず安堵の胸をなでおろした。
落ち着いた所で周囲を確認する、かなり転がり落ちたようだった。
「お兄ちゃん、あそこに扉があるよ」
マユの示した場所には確かに扉、それもかなり頑丈そうだった。
「もしかして……避難用のシェルターの入り口か?」
オーブには非常時用のシェルターが幾つも用意されている、そう学校では習った。
とすると、この扉は近くのモルゲンレーテ社員に用意されたシェルターへの入り口かもしれない。
どうしたものかと、思考にふけようとした時、右肩に重さを感じた。
「お兄ちゃん……」
見れば、不安げに怯えるマユが自分の袖を掴んでいた。
そうだった、ここが何時まで安全か分からない。
そして避難船が停泊している港まで、無事に辿り着く保証も無い。
それなら、このシェルターの中でジッとしていたほうが安全かもしれない。
「とりあえず、入ってみよう」
「うん」
そう言って、俺は扉のハンドルに手を掛けた。
中に入ってまず驚いたのが、明かりが無い事だった。
電気系統が死んでるためか、それとも何か別の理由があるのか。
ともかく、家から持ち出した懐中電灯で先を照らし進んでいく。
辺りが暗いのが怖いのもあるだろうが、断続的に続く振動はまだ戦闘が行われている事を知らせている。
その事が原因だろうか、マユはずっと俺の右腕にしがみついて離れない。
おかげで腕がつりそうだが、頼り無い懐中電灯に照らされた表情を見せられると離れろとも言えない。
お互い無言で歩いている、音といえば二人の足音と時折聞こえる爆発音。
この先の見えない通路を歩いている間に、色々と考えることが出来た。
(もしかして……)
先程から歩いている間にずっと考えていた事、この『施設』は、もしかしてシェルターなどでは無く
(モルゲンレーテの施設そのものか?)
山中のあの扉から入り、ずっと真っ直ぐ歩いている。
シンの記憶が正しければ、今自分達はモルゲンレーテ本社へと直線的に進んでいる筈だ。
そして、その推測を裏付けるように所々に存在するロックの掛かった扉――いや、掛かっていた扉の存在。
電気系統が死んでいる為なのか、ロックが外れ自分達でも通れるようになっている。
これは俺の予想だが、ここは恐ろしくセキリティレベルの高い施設なのだろう。
つまり――
(大西洋連邦の本命……)
マズイ……非常にマズイ
妹に不安を与えない為、そして兄の面目を保つ為、今自分の表情は素面そのもの。
しかし、内心は狼狽している。
それはそうだろう、何せ安全な場所を目指していた筈が自ら一番危険な場所へと足を踏み入れたのだから。
だからといって、今引き返しても到底避難船の出航に間に合うことも出来ない。
そして別のシェルターを探すにしても、また戦闘区域のど真ん中を突っ走らなければいけない――つまり本末転倒。
「お兄ちゃん、光が!」
と、あーでもないこーでもないと、打開策を講じていた俺の耳に嬉しそうなマユの声が届く。
確かに、懐中電灯の様な頼りない光ではなかった。
ようやくこの暗闇から抜け出せるのが余程嬉しかったのか、止める間もなくマユはその光の元へ駆け出した。
必要の無くなった懐中電灯を荷物袋に放り込むと、マユの元へと向かう。
「?どうしたんだマユ」
立ち尽くし、何かを見上げるマユに首を傾げながらもその光の中へと入る。
「なッ!?」
光――人工的な照明に照らされたそこは、巨大な格納庫だった。
そして、その大きさと場に最も相応しいものがそこに鎮座していた。
「モビル……スーツ?」
シンを本編そのままの設定で、種のほうに絡ませてみようという試み。
続きは一週間以内に頑張って投下しますんで、よろしくお願いします。
職人降臨燃えるじゃないの
職人さんキタ━(゚∀゚)━!!!
GJ!
かなりさくさく読めて、場面のイメージも頭に浮かんだ。
逆行ものじゃなくてシンが種のほうに絡むのは
あんまり見ないから続きを期待して待つよ!
これを機に元いた職人さんたちも帰ってこないもんかね〜
珍しい設定だな
どうしても種死からだと矛盾とかでてくるからこっちのがいいと思う
めっちゃ難易度高い気がする…
シン以外の種死キャラはでてくるのかマユや両親は生存しているのか
キラたちはどう絡んでくるのか
全く先が読めません
この地下にあった機体はやっぱりアカツキなのかな
違うんじゃないかな
保守あげしとくな
続き続き続き!
GJ
隠されているMSは何だろう?
金色装甲が未完成でフレーム剥き出しor発泡金属貼り付けたアカツキと見た!
SS投下します
天井に設置された照明は格納庫だけでなく、そこに鎮座している『兵器』も浮き彫りにしている。
この『兵器』が何なのか、俺は理解していた。
「モビルスーツ……」
妹のマユが、呆然とした口調でその名を口にする。
こんな反応をするのも仕方ないと思う。
親の職場で何度か見ただろうが、こんな近くで見たことは無い筈だ。
かくいう俺は何度か、実機に乗ったことがある。
だからこそ分かる。
(M1じゃ……無い?)
オーブに正式に採用されているMS――M1アストレイ。
そのM1には存在しない、複雑なライン。
左手に持たされた黒色のシールドは、量産機の物とは一線を画していた。
背後に畳まれた巨大な翼を模したスラスター。
そして、何より
「何で外装が無いんだ?」
目の前のMSには、申し訳程度に取り付けられた黒色の装甲が関節部を覆ってる程度に過ぎない。
しかし、その異様さがMSの迫力を貶める所か、逆に強烈な威圧感となって俺達を圧倒する。
(試験用のMS?けど、そんな話父さんからは聞いた事無いぞ……)
「お兄ちゃん、これからどうしよう」
目の前の巨人に見下ろされながら思考に陥りそうになった所で、マユの声に現実に戻らされた。
マユを見てみると、口を横一文字に結び不機嫌そうにこちらを見上げている。
お兄ちゃんって、何かあるといっつも考え込んでマユの事忘れちゃうんだもん」
「ぁ!いやごめんなマユ、ついうっかりとさ……」
頬をかきながら、謝罪する俺。
「もう知らない」と、拗ねた風に顔を背けるマユ。
家でも時々あるような、どこにもでもある兄妹の風景。
この場にそぐわない空気、それらを一気に吹き飛ばす轟音と振動。
「きゃあ!」
「くッ、マユ!」
反射的にマユは、自分の体にしがみついてくる。
一時でもここが戦場である事を忘れた自分を殴りたい。
例え屋内に逃げ込んだからといって、いやむしろ敵の目標とする建物の中に逃げ込んでしまった。
俺のこれからの判断で、もしかしたらマユの事を守る事が出来なくなるかもしれないのに。
「とりあえず中に入ろう!」
マユの反応を待たずに、腕を取ると多少強引に格納庫の中――謎のMSの前へと進む。
(さっきの振動と音は俺達の後ろ、歩いてきた通路から聞こえた)
何かが落ちる――いや崩れる音から判断すると、通路が崩れたんだろう。
つまり、戻ることは出来ない。
だからこそ、中に入り他の出入り口を探そうとしたのだが、別の方向からの『衝撃』に襲われる事になった。
「お兄ちゃん、これに乗って逃げよう!」
「……は?」
マユ……ナニ言ってるのかな?
恐らく酷くマヌケな顔を晒したのだろう。
マユがこっちに指を指しながら笑ってる――って
「無茶を言うな!俺達が乗っていい訳無いだろう!」
「でもお兄ちゃん、出口はどこにも無いよ」
「うぐ」
確かにそうだ。
天井の照明のおかげで格納庫の隅々まで、判別が出来る。
そこにあるのは、様々な用途がイマイチ判別のつかない機器だけであり、脱出口のような気の利いたものなんて置いてやしなかった。
そして、ここが崩れ無い保証は無かった。
だからといって……
俺の逡巡を嘲笑うかのように起こる轟音、それは先程のよりもさらに近い場所から響いてきた。
思わずマユと顔を見合す。
「……」
不安げに揺れる瞳に見つめられる。
そうだ……俺が守らないと――ッ
「ぁ、」
マユの頭の上に手を置き、左右に撫でる。
何時もだと髪がクシャクシャになるって怒る筈なのに、ボーっとこちらを見上げて反応しない。
「大丈夫、マユは俺が守るから」
「ぁ……うん!」
ようやく再起動を起こしたマユは、いつもの活発な姿に戻っていた。
それを確認した俺は、目の前のMSに乗り込む為に行動を起こす。
「マユはそこで待っててくれ!俺はリフトを起動させるから!」
照明が生きているって事は、ここの電気系統は死んでいない筈。
だから、俺はまずMSの足元にあるリフトの起動確認に向かった。
「ORB――やっぱりオーブ製のMSなのか、コレは」
MSに乗り込んだ俺はまず機器の立ち上げを行い、情報を確認する。
一緒に乗り込んだマユは、座席の後ろのスペースに入り込むと興味津々にコックピット周りを見回している。
『General
Unilateral
Neuro-link
Dispersive
Autonomic
Maneuver Synthesis System』
「M1のOSと少し違うみたいだ――」
「お兄ちゃん!」
見た事もないOSに首を傾げてる所に、後ろからの音の不意打ち。
驚き後ろを振り返ると、目を爛々と輝かせた妹が身を乗り出して迫ってきた。
「な、なに?」
「これ、ガンダムだよ!ガンダムタイプのOS!キラ・ヤマトの!」
「が、がんだむ?キラヤマト?」
恐る恐る聞いてみると、大音量で答えが返ってきた。
耳元で大声を出さないで欲しい――そういった諸々の気持ちを込めた視線はあえなく無視されてしまったが。
しかし、知ってる単語が出てきた――キラ・ヤマト。
地球連合軍に属する不沈艦アークエンジェルのMSパイロット。
だがオーブ、いやモルゲンレーテ社にとってはそれ以上の意味を持っている。
MSのOS、それもナチョラルでも十分に性能を引き出させる事を可能にさせる――そんな大それた物への技術協力。
彼の協力のおかげでナチョラル用MSのM1は真の完成へと、こじつける事が出来た。
完成したその日、モルゲンレーテは凄い騒ぎだった。
特にM1の設計主任の喜びようといったら――
「このOSの大部分は、キラ・ヤマトの搭乗機に使われてるOSの流用みたい」
「よく分かるな――て、そういえばマユはこういうの詳しかったな」
後ろでキーボードを叩きながら「お母さんの直伝だもん」と、自慢してきた。
ソフト系の開発部に属する母さんに、マユはよくノートパソコンを手に色々と教えてもらっていた。
将来マユはお母さんのようになるの、と後ろからマユはまだ何か言ってるが今は流す。
「全兵装の起動確認、火気管制システムオールグリーン」
コックピット内部に火が入っていく。
それに伴い情報がスクリーンに表示されていく。
「兵装は機体内臓式の機銃2門にビームサーベル2本、そしてビームライフル――これだけか」
「お兄ちゃん、でもこのMS飛べるよ」
「なッ」
このMSは何かの試作品だと当たりをつけていただけに、貧弱な武装は予想通りだった。
それだけに、妹の何気ない一言によって愕然とさせられた。
そんな俺の様子に気づいて無いのか、OSの解析を続ける妹は信じられない話を続けている。
「空中での姿勢制御プログラムや、固定翼による巡航システムとか色々入ってるみたい」
凄いねーこのMS、とマユはのん気に言ってるが俺はそんな気分にはなれなかった。
専用設計機以外には不可能とされている、重力下での空中戦闘を可能にするMS。
そんなMSの開発など聞いたこともなかった。
(こんなMS、本当に必要なのかよ)
機体への疑問は、転じてオーブ首長のアスハへの不信になった。
TVで聞いた事があるウズミ・ナラ・アスハの演説。
『他国を侵略せず・他国の侵略を許さず・他国の争いに介入しない』
この理念と法さえ守れば、コーディネーターでもオーブは受け入れてくれる。
父さんと母さんは、そこが気に入ってオーブに来た。
どちらもコーディネーターだし、技術力は持っていた。
だからモルゲンレーテ社に勤めているのも、仕方ないと思ってた。
M1にしたって、オーブの理念と平和を守るためには必要だと言っていたし俺もそうなんだろうなって納得してた。
だけど――ッ
(こういった物があるからオーブは狙われるんじゃないのか?)
なんなんだよコレは、本当に必要なのかよ。
大西洋連邦が何で突然オーブに侵攻してきたのかは分からない。
だけどオーブは、裏でこんなモンを作ってて――!
「ッ!?」
思考の渦に陥りそうになった俺の意思は、今までのソレより遥かに強い小刻みに発生する振動によって回帰した。
MSのレーダーを使わなくても理解できる――ここの格納庫が崩れる一歩手前にある事は。
「システムを戦闘ステータスで起動させる」
「お兄ちゃん……」
今は考えてる場合じゃない。
外には大西洋連邦のMS――敵がまだいる筈。
(マユは、俺が守ってみせる)
そっと後ろを見ると、不安げにシートにしがみ付くマユの姿に決意を新たにする。
マユを守る為なら、守る事が出来るなら、このMSが何なのかはどうでもいい――ッ
「ガンダム!発進する!」
M1のテストパイロットから習った、MSの発進時の掛け声。
確かこんな感じだったよなと思いながら、格納庫上部の射出口へと機体を発進させた。
投下終了。
次の投下は出来る限り早くするんで、よろしくお願いします。
黒アカツキktkr
次回も期待している
するってぇと、アカツキに対してタソガレとか
クロツキキタ――――!
背負い物はオオワシからビーム砲取っ払った物かな?
次回も期待してます。
ガンダムだろ、常識的に考えて
暁製造にシンの親は関わっているのか
GJ
hosyu
ss投下しますー
「B−11ポイントの制圧完了しました。」
「51機動部隊、敵M1隊との交戦を開始。」
「ポイント01沿岸部の制圧確認、強襲揚陸艦が着岸しました。」
前線の指揮を任された男は刻々と変化する戦況を、ブリッジのオペレーターからの報告という形で耳にする。
顔をしかめながら、男は帽子の鍔を直している。
「もうじき落ちますな、オノゴロは」
「そうだ、それは決定事項だ。」
鍔を直した帽子を男はかぶり直す。
「だからこそ不要な損害は避けねばなるまい」
「しかし艦長、これだけの戦力があれば用心する必要もないでしょう」
「しかしだ副長。
これだけの戦力があるにもかかわらず、初日でオーブは落ちなかったのだ。」
「そ、それはあの新型の……」
「新型があったのはこっちも同じだよ、それも3機。
盟主殿の力も絶対では無いという事だ――」
「そんな事はありません!あの力で必ずや空の化け物どもを――ッ」
「分かった、分かった。
分かったから落ち着きたまえ、副長」
憤慨する副長を適当にあしらいながら、何事かとこちらの様子を伺うオペレーターを手で振る――気にするなというメッセージを込めて。
未だに顔を赤く染める副長を横目に、男は胸の内で溜息をつく。
(上はブルーコスモスの盟主様、下はブルーコスモスの信者達。
地球連合軍もどうなってるのかね。)
『オーブ解放作戦』
地球連合の再三の協力要請に応じないオーブに対し、ザフト支援国家と見なしての武力侵攻作戦。
これはパナマのマスドライバーを失った地球連合が、マスドライバー施設の確保する為の口実なのは明らかだった。
しかし、要求しているのは地球最大規模の連合であり、技術立国とはいえ弱小のオーブに断れる筈も無かった。
が、オーブの実質的指導者ウズミ・ナラ・アスハは、通告を拒否――そして会戦となったのが昨日。
昨日の段階でオノゴロ島のモルゲンレーテ、オーブ本島の行政府、そしてカグヤ島のマスドライバーを制圧している――筈だった。
(オーブの底力か……)
予想を上回る数のMSと防衛戦力、そして――アークエンジェルと謎の新型MS。
何故ここにアラスカで沈んだ筈のアークエンジェルが、オーブ軍と共に連合軍相手に戦ってるのかは不明だが、不沈艦の名に相応しい活躍をしてくれた。
また、新型MSの圧倒的機動力と殲滅力によって自軍のMS部隊が侵攻できずにいた。
さらには虎の子の新型MSも、期待される程の活躍もせずに補給の為撤退してしまった。
結局、これ以上の戦闘続行は不可能と判断され、初日は両者痛みわけの結果となった。
(これ以上の不確定要素は出てくれるなよ)
男は堅実な軍人だった――だからこそ突発的なアクシデントは好まなかった。
半ば祈る気持ちで、今日の朝を迎えたのだった。
「目標01上空にMS確認」
「32機動部隊より、敵影を確認――え、カラス?」
「熱核照合――該当無し、新型です!」
「なッ!?」
「神はおらず、か。
旗艦に報告しろ、盟主殿にお伺いを立てる」
愕然とする副長を尻目に、男はかぶりを振りながら指示をした。
オノゴロ島――上空
陽光を背に、黒色のMSが背後のスラスターを展開する。
「そんな、酷い……」
「くそッ!」
黒色のMSのコックピットから、眼下を確認したシンとマユは悲鳴を上げる。
二人の目には、あちこちで黒煙を吹き上げる無残なオノゴロ島の姿だった。
「オーブ軍は何を――!?」
「お兄ちゃん……」
「ッ、ごめんマユ。
そうだよな、落ち着かないと」
激情に駆られそうになったシンだが、マユの不安そうに声にハッと顔を上げる。
落ち着いたシンはモニターに目をやり、現状を把握しようと努める。
「オーブ軍はもういない?――オノゴロは見捨てられた……」
「そんな!?」
非難の声を上げるマユ、シンもやりきれない気持ちもあったが戦力差を知っている彼は幾分冷静だった。
それでも、そんな状態なのに何で戦争を開始したのか理解できない、いやしたくもなかったが。
思念を振り切るように、かぶりを振るシン。
「とにかく、何処か安全な場所へ――」
「お兄ちゃん!アレ!」
「あれは――避難船!何でまだいるんだ!?」
MSのメインカメラが捉えたのは、出航している筈の避難民を乗せた避難船。
もうとっくに出航したと思っていた避難船が、未だに港に留まっている事に動揺の色を隠せないシン。
しかし、戦況はそんな動揺を与える時間さえ与えはしなかった。
「ロックオンアラート!?」
「きゃあ!」
咄嗟にフットペダルを踏み抜き、回避行動を取る――先程までいた空間をビームが灼く。
しかし、それだけでは済まなかった。
「くッ!」
「――!?」
幾条ものビームが、シン達を襲った。
回避行動を取りながら、下の状況を確認する。
「いつの間にッ」
そこには何機もの大西洋連邦のMS――ストライクダガーが編隊をもって攻撃をしかけていた。
機体を左右に振りながら、回避に専念するシン。
傍目には、黒色のMSが何機ものストライクダガーを猛攻を危げなくかわしてるように見えるかも知れない。
しかし、その中で操縦しているシンは初の実戦の為か歯がうまく噛み合わなかった。
だが、しかし――
「マユ、今から無茶を言う。
あの避難民が出航するまで、ここで踏みとどまって敵の足を止める。」
「――」
「マユにこのMSの搭載武器の確認をして欲しい。
一つだけロックが掛かってて、詳細の確認が出来ないから……」
「うん、」
噛み合わない歯を無理やり噛み締め、眼下のMS群を見やる――その真紅の瞳には決意の光が宿っていた。
「……」
操縦の邪魔にならないよう、必死に声を殺すマユの命を預かっている。
戦う力を持たない避難船が、自分達の後ろに存在する。
その判然たる事実がシンを戦わせようとする――ッ
「うおおおおおおおお!!」
咆哮と友に、
その叫び声は恐怖を振り切る為なのか、戦意を高める為に叫んだのかは本人であるシンにも分からなかった。
だが、そこには何かを守る為に敵に立ち向かう――それだけの事実があった。
今、黒色のMSはその獰猛な嘴をもって眼下の敵へと襲い掛かる――!
to be continued!みたいな感じで。
続きは出来る限り投下しますんで、よろしくお願いします。
GJ!
守られるべき人を守る為に無茶を始めるシンが良い。
GJ!
AAとクサナギはもう逃げちゃってるのか?
続きが気になる…
GJ
シンもマユも生き残れよ
GJ
保守
hosyu
ss投下しますー
「また空を飛ぶMSかよ」
ストライクダガーのパイロットは、誰ともなしに毒づく。
自身のMSには飛行能力なんて大層なものは、持ってはいない。
だからこそ、仕方なくビームライフルで撃ち落そうとしているのだが――
「何が平和の国だ、くそったれ!」
昨日は2機の訳が分からないMSのせいで、作戦が失敗に終わった。
今日はその2機もおらず、ようやく敵対勢力の排除が完了したかに見えたのだが、そうはいかなかった。
新たな敵MSが出現したという――しかも新型。
対象の撃墜命令が下ったMS部隊は目的地に急行し、撃墜しようとしているのだが――
「全く当たりやしねぇ!――ん?」
一機だけで無い、何機ものストライクダガーからビームを放っているのだが一向に当たる気配がしない。
愚痴を零すパイロットだが、目標の異変に気づいた。
「降りて来る?……まるでカラスだな――」
戦闘中にも関わらず、呑気な感想を零すパイロット――しかし、彼の感想は的を得ていた。
横に大きく伸びたスラスター、黒で染め上げられた機体――そして、前面に突き出された鋭く尖った巨大なシールド。
その体勢のまま、こちらに向かってくる様はまるで猛禽が獲物に狙いを付けて急降下をしかけるよう――
「――ぁ」
『猛禽』の『嘴』に隠された鋭い『爪』に引き裂かれる事になった、ストライクダガーのパイロットの3秒前の思考だった。
「ぐッ」
猛禽に例えられた黒色のMSを駆るシンは、急降下のGに耐えながら必死にMSを制御する。
右のマニピュレータにビームサーベルを握らせると、急接近した敵のストライクダガーの胴を薙ぐ。
ビームサーベルの刃は、ダガーの胴体で一瞬の拮抗を見せるも――切断。
初めて人を殺した、その事に対し特にどうとも思わなかった事に対して、逆にシンの冷静な部分は愕然とする。
しかし、状況がそんな無駄な思考をさせる猶予は与えない。
ダガーの部隊は即座に銃口を、味方を撃墜した黒のMSに向ける――そして発砲。
しかし、そこには既に目標はいなかった。
狼狽するダガー部隊に、上空からのビームの連射に数機が撃ち抜かれ爆砕する。
ビームサーベルで撃墜したと同時に、シンは着地する事も無く上空へと舞い戻っていたのだ――まさしく猛禽の如く。
敵の上方に常に位置を取り続け、アドバンテージを崩さぬようダガーの部隊にビームライフルを撃ちつづけるシン。
しかし突如機内に響く警告音に反応し、咄嗟に機体を急上昇させる。
「戦闘機!」
機銃の雨、そして続く戦闘機群。
戦闘機の群れは、反転すると黒のMSにミサイルを放つ。
シンは、盾を構えようとするが一瞬の逡巡で思い直し、機体を左右に振りながら頭部の機銃で撃ち落す。
ミサイルの爆炎を潜り抜け、通り過ぎようとする戦闘機を、シンは機銃で撃墜していく。
しかし、またもダガー部隊のビームに襲われる。
「チィ」
シンもビームライフルで応戦するも、たがが一機の反撃では高が知れた。
(せめて、シールドが使えれば――ッ)
兵装欄に表示されないシールド、情報をロックされてるようで詳細が分からない。
そんな不確かな物に、自身とマユの命を賭ける事など出来ない――余りの不利な状況に、思わずシンは歯噛みする。
「また増援かよッ」
レーダーに現れる新たな敵影。
河に落ちた獲物に襲うピラニアの如く、ストライクダガーの集団は黒のMSに絶え間なく襲い掛かった。
カグヤ島――マスドライバー施設
現在ここは放棄したオノゴロ島の国防本部の代わりとして、臨時の軍司令部が配置されていた。
その軍司令部には、オーブの実質的な指導者ウズミ・ナラ・アスハとその娘カガリ・ユラ・アスハ。
そして、オーブに身を寄せていたアークエンジェルの主だったメンバーが顔を揃えていた。
彼らは、現状のままではオーブが敗北する事は確実だという事実を確認すると、
アークエンジェルと、オーブの残存戦力の全てを宇宙に脱出させる事を結論付けた。
その準備として、アークエンジェルのクルーは持ち場へと急ぎ、ウズミは最後の指揮を取ろうとしていた。
そんな非常時に、とんでもない事実が飛び込んできた。
「何ィ!オノゴロの避難民を乗せた船が出港してないだと!?」
「は、はい!
トラブルが発生し、避難船及びその護衛艦がオノゴロ島を出航できずにいると……」
「何て事だ……すぐにM1部隊を救助に向かわせろ!」
オーブの獅子として内外に恐れられるウズミの裂帛に、報告に来たオペレーターは言葉を詰まらせながらも必死に報告する。
と、そこへ新たな報告が入る。
「現在、謎のアンノウンがオノゴロ島でダガー部隊と戦闘を行っていると……」
「何だと?」
「映像を回します。」
足元のオペレーターが、手元のコンソールを操作し発令塔にある巨大スクリーンに映像を映す。
「何だ……アレ」
「連合軍と戦っている?」
「――ッ」
驚きは三様だった。
一緒にスクリーンを見ていたカガリは呆気に取られ、傍のキラ・ヤマトは見たままの感想を口に出す。
そして、一番驚愕していたのはウズミであった。
最大限に見開かれたその目には、スクリーンの中――圧倒的な数のダガーを前に、単騎奮闘する黒いMSの姿があった。
その尋常でない反応に気づいたカガリは、不審げに首を傾げる。
しかし、父への不審も足元のオペレーター達からやおら上がった歓声にかき消された。
「カラス――あれは八咫烏じゃないか?」
「そうだ!あれは我らを勝利に導く八咫烏だ!」
「おぉ!オーブはまだ死んではいないのだ!」
オペレーターの一人が、スクリーンに映るMSをカラスだと称する。
その声に同調した何人かは、興奮した面持ちでスクリーンに映るMSを見つめる。
確かに、横に大きく突き出た黒いスラスターは羽に、そして鋭利な下部を持つシールドは嘴に見立てられるなと、扉の傍に控えているアスラン・ザラはそう思った。
だが、カラスは分かる――しかしヤタガラスとは一体何だ?
そんなアスランの疑問は、都合のいい事にキラがウズミに代弁していた。
「あの……ヤタガラスとは一体?」
「……オーブに伝わる古い神話、それに登場する架空の烏。
そして言い伝えでは、戦勝を導く存在だとされている」
何処か憔悴した様子のウズミに、キラは心配そうに表情を暗くする。
そんなキラの様子を見たウズミは、娘のカガリと見比べ目を細める。
ウズミは、傍のキラとカガリの肩に手を置きしばらく見つめると、足元のオペレーター達へ命令を下す。
「クサナギの発射シークエンスを予定より遅らせる!」
オペレーター達は突如変更された命令に、一瞬どよめくが直ぐに立ち直り作業に取り掛かった。
それを確認したウズミは、キラとアスランに視線を向ける。
「キラ・ヤマト、そしてアスラン・ザラ。
二人に頼みがある。」
投下終了ー。
おかしいね、今回でMS戦が終わってる筈だったのに……。
次の投下は、出来る限り早くします。
投下乙です
しっかし、ヤタガラスなぁ・・・
ウズミパパは何たくらんでたん?
乙!
シールドがなんなのか気になるところだ。
いきなりの実践になったシンは今後どうなっちまうんだろ
八咫烏→3本足→隠し腕ktkr
というのは深読みし過ぎか
やはり、オーブとくればヤタガラスなのだろうか?
XinC.E.スレにも同名の戦艦が出てくるし
乙です。
するっと初殺しをやっちまったなぁ、シン。
これが地獄の入り口だぜフゥーハハハー!な展開がきちゃうんだろうか
「初めて人を殺っちまったが、思ったよりなんてことなかったな」
を地でいってるからな
「オマエにダイヤモンドの様な輝きを見たと思ったが……堕ちたなゲス野郎の目に」
ってならなきゃいいけどな
戦闘が終わってからクるんじゃないか?今はまだいっぱいいっぱいだし。
やらなきゃやられる
だから敵は撃つ
敵も人間っていうことにシンはまだ気づいてないとか
戦闘後、人を殺してしまったのに、何にも感じなかった自分に嫌悪とか・・・
それでマユに八つ当たりして泣かす
保守
みんなが真面目な予想やら考察やらをしてるなか、
ヤタガラス→三本目の足→股間の紳士→シンのハーレム展開かッ!!
と卑猥な連想をした俺がちょっと遅めに通りますよ
乙
ウズミ、せっかく隠してたのを出されたのに逆ギレしてそうな気がする。
せっかくなので自由と正義相手に戦って欲しいところか。
投下しますー
戦闘機には機銃を浴びせ、不用意にこちらに跳躍して接近戦に持ち込もうとするダガーには機動力を生かしてビームサーベルで引き裂く。
編隊をなしてビームを撃ってくるダガー部隊に、ビームライフルで応戦する。
「――ッ」
飛行できるアドバンテージを最大に生かし、一機でなんとか大部隊を足に引き止めていた。
しかし、長時間の戦闘と始めての実戦というプレッシャーは、シンの精神を容赦なく磨り減らしていく。
(避難船は、オーブは?)
流れる汗を拭う暇も無く、機体を操縦する。
散り散りになりそうな精神を、どうにか紡ぐシン。
永遠に続くと思われた戦闘だが、変化は突然に起きた。
「……引いていく?」
モニターにはシンの搭乗機を示すマーカーから、離れていく敵機のマーカーが確認できた。
それを確認したシンは、固まった体で伸びをしようと操縦桿から手を離そうとするが、手が硬直し離す事が出来なかった。
「マユ、大丈夫だったか……」
操縦桿から手を離す事を諦めたシンは、最愛の妹の無事を確かめようと後ろを振り返り――
「お兄ちゃん、上!」
「――ッ」
妹の切羽詰った声に、フットペダルを踏み込む。
「――!?」
「きゃあ!」
マユの声に遅れて機内に響くロックオンアラート――その音と同時に機体のすぐ傍を通る赤の奔流。
横を掠める、圧倒的な死の気配と急激なGに、シンは苦悶の息を吐き出す。
「MA!?――って!?」
機体の横を過ぎ去る黒いMA――その影から緑色のMSが姿を現す。
シンには見た事も無いMS、しかし問題なのはそのMSの肩、胸部、両腕に持つ火器の銃口がこちらに向いている事実。
反射的に機体を無理やり捻り、不恰好にも斜線から機体を外させる――直後にビームの束が横切る。
ビームの余波で加熱するコックピット内部、シンは突如現れた2機のMSを確認しようとするも――
「お兄ちゃん、危ない!」
またも妹の警告に体が反応し、その場を引く――横切るプラズマ砲。
安堵の息をつきそうになるシンに、マユが背後から乗り出して悲鳴を上げる。
「横からまだ来る!」
その言葉通り、避けた筈のプラズマ砲が、こちらに曲がってくる。
シンは使うまいと決めていたシールドを、思わず構えてしまう。
詳細の分からない兵装を使う事に大きな抵抗があったシンは、このシールドが一撃も耐えれず崩れる事態を危惧していた。
だが、今さら回避する時間も無い――シンは歯を食いしばり目の前に迫るプラズマ砲を睨む。
シールドに着弾――着弾したプラズマ砲は、紫電を散らしながらも大気の中に掻き消されていく。
帯電する大気の向こう、深緑のMSが発射体勢を解除し、手に持つ得物――大鎌を構える。
撃墜という最悪の結果を回避したシンだが、目の前の2機のMSと1機のMA――いや、MAから変形したMSを加えた3機のMSを前に冷や汗をかく。
「こいつら……今までのMSと違う!?」
戦慄するシン、3機のMSは狼狽するシンのMSに襲い掛かる。
「放棄された筈のオノゴロにたった1機残して、どういうつもりですかねぇアスハは」
「しかしアズラエル理事、あの正体不明機がオーブの物と決まったわけでは無いでしょう」
オーブ侵攻作戦を指揮するムルタ・アズラエルは、横に控える軍人の言葉に仕方ないといった様子でかぶりを振る。
「あんな見苦しいMS、モルゲンレーテから這い出て来たに決まっているでしょう――ちょっと考えれば、すぐに分かる事です。」
「だとしたら、なおさら分かりませんな。
オーブは一体どういうつもりで、あのMSを投入したんでしょうな。」
アズラエルのいかにも人を小馬鹿にしたような口ぶりに、軍人は憮然としながらも言葉を返す。
二人の視線の先のモニターには、自軍の新型MS――カラミティ、フォビドゥン、レイダーの3機が正体不明機を追い詰めている。
アズラエルはその様子を見ながら、目を細め口許の角度を上げる。
「そんな事、アレを捕らえればすぐに分かる事です。
だからこそ、あの3機に目標の確保を命令させたんでしょう。」
「そのお陰で、戦力をカグヤ攻略に集中できます――が、あの3人にMSの確保など器用な真似ができますかな?
理事がご自慢の製品も、先程の戦闘を考えると疑問を抱かずにはいられませんな。」
軍人の意趣返しに、アズラエルは冷静を装いながら無表情に視線をモニターに戻す。
しかし、抑えきれない感情が滲み出ているのか組まれた手先は強く握り締められていた。
「まぁ見ててくださいよ、ねぇ」
オノゴロ島――上空
蒼天の下に激闘は続く。
MSの軌道が空を彩り、幾つもの火線が空を塗りつぶしていく。
「いい加減に堕ちろー!!」
唯一空戦に参加しない緑色のMS――カラミティに搭乗するオルガは、一向に当たらないMSに苛立ちをぶつける。
「何処狙ってんだよ、このヘタクソッ!」
変形機構を有し、空中での高機動を可能とする黒色のMS――レイダーに搭乗するクロトは、カラミティの砲撃に巻き込まれそうになり、
額に血管を浮き上がらせる。
「お前ら邪魔だよ」
変幻自在に空を飛びまわり、手に持つ大鎌と曲がるプラズマ砲で獲物に強襲する深緑のMS――フォビドゥンに搭乗するシャニは、
下方から襲い掛かるカラミティから放たれた高出力のビーム砲を、シールドで捻じ曲げる。
「何なんだよコイツらは、滅茶苦茶だ!」
3機のMSの強襲に、反撃する暇すら与えられないシン。
連携を考えず味方すら巻き込みかねない苛烈な攻撃は、シンに回避行動しか取らせない。
地上からのカラミティの砲撃に加え、空中からはレイダーとフォビドゥンが襲い掛かる。
防戦一方のシンは、反撃の糸口を掴もうと目の前のフォビドゥンにビームライフルを向け連射するも、その全てをシールドによって弾かれる。
それだけで無く、シールドを構えたままのフォビドゥンに接近を許してしまう。
「サーベルを――!」
「遅いよ」
慌ててビームライフルを仕舞い、ビームサーベルを構えようとするシンの機体に蹴りを入れるフォビドゥン。
その衝撃で大きく後退してしまうシンは、ビームライフルを取り落としてしまう。
「ビームライフルが!」
「お兄ちゃん、上!」
「ッ――!?」
予期せぬ事態に一瞬の硬直を見せるシン。
その一瞬の隙を、上空から伺っていたクロトは好機とばかりに強襲する。
「これで滅殺!!」
MAから変形したレイダーが、手に持つ鉄球をシン目掛けて振り下ろす。
「うわああああ!?」
「きゃあああああ!」
間に合わない回避――鉄球の直撃を受けたシンの機体は、壊れた人形の如く地表を目指して墜落する。
迫る地表、衝撃に気が飛んでいたシンは衝突する寸前で機体を何とか制御し地面に着地する。
いや、着地というよりも落下といったほうがいいだろうか。
機内のモニターを埋め尽くすエラーを無視しながら、機体をどうにか立ち直そうとする。
「くそっ、こんな!」
「ねぇ、お兄ちゃん……」
「どうしたんだマユ、今はそれどころじゃ――」
「お兄ちゃん!私たちのお家が!」
「……え?」
戦闘に集中していたシンは、いつの間にか住宅地域にまで戦闘区域が及んでいる事に気づかなかった。
妹の泣き出しそうな声を聞き、周りの状況に目を走らせる。
無残な大穴を晒す舗装されていた筈の道路、美しく整った並木道は、見る影も無い。
ガスか何かに引火したのだろうか、近くの森林に火が燃え広がっている。
だが、シンの目に映っているもの――それは、目の前の瓦礫の山と化した自分達の家だけだった。
平和なオーブの生活の日々――その象徴である筈のソレからは、もうその残照しか感じられない。
「こんな事って……酷すぎるよ」
マユは泣き声が、遠くに聞こえるシン。
しかし、その泣き声すら上空からの襲撃を知らせるアラートに掻き消されてしまう。
「迎撃が――ッしまった!?」
咄嗟にその場から離脱しようとするも、隙無く近づいてきたカラミティの砲撃で上空に逃げる事が出来ない。
「落ちな」
そんなシンの葛藤を知ってか知らずか、凶彩を顔面に貼り付けたシャニは容赦なく鎌を振り下ろした。
振り下ろされる大鎌――その鋭い刃先をシンは知覚する。
数秒後にはその刃先が、MSのコックピットを貫き殺される――
何で――どうして――誰が
マユが殺される?誰に
大西洋連邦?目の前のMSの持つ巨大な大鎌によってコックピットを貫かれる
こんな奴に、オーブを蹂躙する、こんな奴に
こんな奴に負けられない――ッ
とめどなく吹き荒れる感情の嵐。
シンの精神の昂りが最高潮に達し、瞳から光が失われると同時に何かが砕ける音を――
そんな刹那、事態は思わぬ方向へと進む。
突然、上空から襲われたビームの奔流に、たまらず後方へと離脱する深緑のMS。
地面に着弾し、吹き荒れる粉塵が近くにいたシンのMSを襲うがレーダーは問題無く稼動し、新たに現れたMSの存在を示している。
「助けて……くれた?」
目まぐるしく変化する事態に、思わず頭に浮かんだ単語が口に出るシン。
レーダーに示される新たなマーカーが、シン達を襲う3機の前に立ち塞がるように対峙している。
敵なのか味方なのか、少ない判断材料を元に懸命に考えるシン。
そんなシンの耳に、ずっと沈黙し続けてきたコックピット内のスピーカーから天の助けとも言うべき声が飛び込んできた。
『――聞こえますか?これよりそちらを援護します』
粉塵が吹き止み、クリアになるモニターにその『援軍』の姿を現す。
シン達からは逆光になり、そのライトイエローのツインアイがこちらを見下ろしている事が辛うじて分かる。
また、そのシルエットから背後に羽の如きスラスターのような物を背負っている事が分かる――あれはまるで……。
「まるで天使みたい……」
マユの感極まったような感想だが、シンはその正反対の想いを抱いていた。
シンは、自分達を助けてくれた相手に対する感想じゃないと自重したが、その感想は頭からどうしても離れる事は無かった。
黒いシルエット、爛々と輝かせるツインアイ、その背後から鋭角的に突出する多数の翼はまるで――
『まるで悪魔みたいだ』と。
また同じ間隔で投下しますんで、よろしくお願いしますー
リアルタイムでGJ
続き待ってます
GJ!
ついに出てきたか…真打ちって感じ?
思い付いたんでちょっとタイトル案置いときますね。
【夜明けの黒曜】
GJ!
自由の介入でシンの種割れは未遂に終わったんだろうか
GJ
いや割れたのではないかな
最初から自由か
なんか連合を応援したくなるわw
読み返してみたんだけどやっぱ割れてないかも……
最後の台詞敵対に向かっていきそうだね
キラはザフト兵なのだろうか
とりあえず自由と正義の援助を受けるシンが、連合三機が撤退した後どうするやら
GJ
保守
保守
以前見かけたネタをいじってみた。
凸に落とされたところで意識が途絶え、そこでタイムスリップしてヘリオポリスへ。
目を覚ましたら、目の前にカガリがいる。
カガリ「目が覚めたか。お前こんなところで倒れて……」
シン「おまえ、アスハァァァァァ!!!」目の前に現れたアスハに一瞬で切れるシン。
シン「忘れたとは言わせないぞアスハ!!アンタたちの所為でみんなが(ry」
カガリ「いや、そんな事言われても私はお前なんか知らないぞ?」
カガリ「だいたい、助けてやったのに変な言いがかりはやめてもらおうか」
カガリがキラと出会うフラグは消滅。出会うのはもっと先になる。
そこでようやく自分の現状に気付くシン。 CE71年? マジ!!?
お互いギャアギャアわめきあっている最中に警報。ザフトの襲撃。
紆余曲折の末シェルターにたどり着くも、わめきあってたお陰でシェルター入り口は既に潰れてる
その後別のシェルターに行こうとするもカガリの横槍によって脇の戦場のマリューが助かり、ラスティが死亡。
その報復に今度は凸の銃弾でこっちがザフトに狙われる。
アスハの大馬鹿野郎!! と毒づきながらも生きるためにストライクの方に飛び降りるシンとカガリ。
そしてそこでナイフを構えるアスラン=ザラと宿命の再会……
アスラン「民間人……?」
シン「アス……ラン・ザラ……?」
キラ:「……アンタって人わぁぁぁぁァァ!!! ッて言うかオーブが巻き込まれたのはアンタ達が原因かー!!!」
過去(未来)で散々偉そうなこといいながら、オーブ崩壊で家族死んだのも俺が苦労したのも、そもそもの原因はザフトでアンタ達か!!
沸点突破、正義は我にあり、ブチギレて素手で凸殴りかかるシン。
不意を突かれて顔面にモロくらい、軽々と吹き飛ばされた凸をさらにマリューから奪った拳銃で追撃、歯茎が折れても許さない!!!
凸、思わぬ展開に混乱したまま逃走、イージス奪えないままに命からがら逃げ出す。
シン「アァァァスラァァァァン! ザァァァッァラァァァァァァァァァァっッ!!!」
鬼もかくやという形相でアスハと技官の女性(マリュー)をコックピットに蹴り落として自分も乗り込む。
OS起動、状態チェック、パラメータに不具合多数。パラメータを調整するも思うようにいかない。どうやらOS自体に不具合がある模様。
ガンダム、起動。FCSを切り離して機体制御をマニュアルに切り替える。必要な処理系を機体制御に振り分け。
使える武器は、アーマーシュナイダーと自身のマニュアル動作による格闘能力のみ。
シン「しぃぃぃねぇぇぇぇぇぇ!!!」
カガリ「ちょっ落ちつけシン」
マリュー「勝手に機密兵器を……!」
カガリ「狭いんだから暴れるな!」
シン「黙ってろ!」
そしてシンは、ストライクを動かし、爆炎吹きすさぶモルゲンレーテから脱出した――
……正直ビミョー
シンは歴史を知っている
ただキラがいないことから微妙に歴史がくるっている
歴史通りにはいかない
おもしろいんじゃないかな
>キラ:「……アンタって人わぁぁぁぁァァ!!! ッて言うかオーブが巻き込まれたのはアンタ達が原因かー!!!」
↑
これシンの間違い?
確かそこは、433が元ネタを改変ミスっただけでしょう
確か元ネタは「シンがキラの体に逆行したらどーだったろー」って考えで
勢いで作ったネタでしたから。
hosyu
職人さん待ち保守。
種死前半までの主人公はどう見てもシン
>>441 アンタは……あの1クールを見てもそんなことが言えるのかー!
保守
保守
保守
446 :
通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 19:56:55 ID:ScO27Rro
シンは主人公じゃないのか
俺の中では主人公だ
主人公のうちの一人という感じ>福田の結論
職人様待ち
リュウタロスの性格で種死やり直してみようぜ!
まだ予告にしか出てないからキャラ良く分からないが。
声優繋がりか。ならこれもありだな
レイ「シン裏切り者を討つぞ!」
シン「やっぱ俺こういう手荒い仕事向いていないよ...」
アスラン「シン!これがお前が本当に望んだことなのか!?」
シン「黙れ裏切り者」
保守
保守
保守。
アカツキの職人さんとかどうしたんだろ(´・ω・`)
うーん忙しいのかな…行き詰まっちゃったかな…
hosyu
保守
…ガンダムじゃないパラレルとかのネタでもアリ?
過疎ってるから何でもアリ
461 :
458:2007/05/07(月) 21:05:08 ID:???
…頑張ってみるけど…あんま期待しないで
そこそこ期待しておくw
463 :
458:2007/05/08(火) 20:13:39 ID:???
言い直す
全然、期待しないで・・・
文章書くの遅い上にヘタだから・・・
俺なんてまったく書けないから大丈夫
保守
保守
hosyu
種死最終話後のシンが何故かリリカルなのは世界で魔法少年(?)リリカルシンになって、
理屈をすっ飛ばして、ヘリオポリスに居合わせてマリューと撃ち合いしているアスランに、
「……アンタって人わぁぁぁぁァァ!!! ッて言うかオーブが巻き込まれたのはアンタ達が原因かー!!!」
とぶち切れて魔法でぼこぼこにした後、八つ当たりでジンと生身で戦闘。
地球連合に所属している虎の首のマユ、ザフトのトリッパー・カイト、
そして恐るべき能力を持つ最強のオリキャラ達・・・・・・。
シンの魔法少年として(生身で)の戦いが、今始まる!!
っていうSRCシナリオは、ここでよろしいでしょうか?
469 :
通常の名無しさんの3倍:2007/05/16(水) 23:57:55 ID:m6LNoQ3m
他所でやれ
>>14のifを大筋にしてSSを書きたいんですがかまいませんね!
すいませんでしゃばりすぎました(´・ω・`)
>>470 いいんじゃないですか、書いていただけるなら待ちますよ
>>470 敵前逃亡か!?
ぜひ書いてください御願い。
>>471-472 ありがとうございます、なら頑張ってみたいと思います(`・ω・´)
ただシンには一応SEEDは持たせたいと思ってます。
質問としては
・なんかオリキャラでも出さん限りどうあがいても安置ラクシズになりそう
・凸をオーブに居残らせたいけどそうするとセイバーが余っちゃう
といったところでしょうか。
つーか和田隠者ドム作ってた時点でラクスまた戦争やる気マンm(ry
シンにとってラクシズはアンチテーゼ
ラクシズにとってシンはアンチテーゼ
凸のセイバーはシンが受け継げば良いじゃない?
衝撃はルナと見せかけてステラの襲撃を軽症で生き残ったマーレさんが受け継ぐ
まあ、別にレイでも良いが
荒れそうだけど…でもどうせ誰かを敵として配置しなければならないし
あまり荒れるとか考えるとおもしろいの書けなくなりそうだし…
よし!投下してくだされ
手段がどうしようもないだけで目指すところは一つの正義に違いないんだから
そこらへんからつついてみたらどうだろう?
種終戦前後から改変させてしまうのが手っ取り早くもっともらしくなると思うが。
セイバーはハイネにって手もありますよ
それとか本編ではさっさと死んだけどショーンとかデイルとか
>>473 和田隠者ドムはザフトが開発してたのをラクスがパチったんじゃなかったっけ?
>>478 ザフトからデータを盗んでファクトリーで造ったと俺は聞いた
480 :
470:2007/05/19(土) 10:16:28 ID:???
ぐおお、昨日書いて起きたらこんなに回答がw
>>478-479 そういえばそんな設定がありましたな;
機体と人物の位置付けは可能な限り変えたくないので、つじつま合わせにえらく苦労します…
あと今日はこれからサークルとバイトで死ねるので投下は早くても明日かと…
和田は元々ザフトが自由の量産機として造ってたが、ユニウス条約のドサクサにまぎれて
ラクスがデータごとパチった挙句、データを消されてしまったそうな
んで、ザフトにいるターミナル構成員からセカンドステージ機のデータを横流ししてもらい、
隠者共々完成に至ったとの事
隠者については詳細不明だが、和田の経緯を考えると元々正義の量産機として造ってたものを
和田同様にラクスがパチった説が濃厚
知れば知るほどラクシズがただのテロリストとしか思えなくなる設定の数々は
負債の知らない所で設定屋が精一杯の反逆をしてるのかとか疑いたくなるな。
hosyu
485 :
458:2007/05/23(水) 10:34:35 ID:???
書いてるんだけどなかなか進まない・・・
頭に映像が浮かぶんだがそれを文章にするのに四苦八苦
まだまだ、時間がかかります
つーわけで
>>470さん頑張って投下して下さい!
まってます
486 :
470:2007/05/23(水) 23:08:52 ID:???
もう少しで書きあがるんですが、見てる人いるなら質問しておきますー
最初のキャラ説明ってあまり細かくしないほうがいいんでしょうか(・ω・)
キャラを立たせるには、地の文でキャラ背景を長々と説明することは極力避け、
可能な限り会話や行動によってキャラの性格を確立していくのが重要
初っ端にいきなりダラダラした説明から始まると、それだけで読む気無くす人もいるし
もっとも、こう言うと簡単だが、実際にはそれが難しいんだよね…
ともかく、期待してるんで頑張ってください
488 :
470:2007/05/24(木) 01:14:01 ID:???
一話は書けた…だがパンチ一発程度の一話だけだ…
というわけで拙作投下いたします
489 :
470:2007/05/24(木) 01:15:58 ID:???
――それは、あまりにも澄みわたった青空の日。連合軍は次々とオーブへと攻め入り、その市街地を蹂躙していった。
しかし、彼にとってはそんな事はもはやどうでもよかった。今目の前にある事実が、まだ幼い彼の心を打ち砕いてしまっていたからだ。
「なんで…こんなことに…」
彼の眼には、何らかの砲撃によって大きく抉られた山地と、ヒトだったものが映っていた。
「父さん…母さん……マユ……!うわあああぁぁぁぁ……!!」
力なく天を仰ぎ叫ぶ。逆光と涙でよく見えないが、そのMSの翼らしきものだけは彼の心に強く焼きついた。
その少年――シン=アスカは、その日、全てを失った。
「――っ!?……はあ、はあ、……また、あの夢か…」
飛び上がった先が自室のベッドであることを確認すると、シンはようやく呼吸を落ち着けた。だいぶうなされていたのが自分でもよくわかる。部屋には自分ひとりで、同室のレイはもう外に出ているようだった。
と、そこにノックの音が聞こえた。
「おーい、シンまだ寝てるの?いい加減起きなさいよ!」
どうやら同僚のルナマリアのようだった。声がマユにそっくりだからよくわかる。
「今日が式典前日だってことわかってるの?ヨウランとヴィーノが待ってるわよ」
「ああ、ちょうど今起きたとこだよ。すぐに着替える」
「じゃあ、そう言っとくわね。お先に!」
ルナマリアは緊張と喜びが入り混じったような声で去っていった。
「これから、式典、か…」
シンは枕元にあるマユの携帯―唯一つの遺品―をしばらく握り締め、それから戻し、自室を後にした。
(父さん、母さん、マユ。今の俺を見たら喜ぶかな、それとも怒るかな…?)
シンはふとそんなことを考えながら、通路を駆けていった。
――C.E.071年、そしてユニウス条約の締結。
プラントと地球連合はお互いのなりふり構わぬ総力戦に疲れ果て、ついに休戦条約という、一時的にせよ「手を取り合う」という道を選んだ。あれから2年。世界は平穏に回っているように見えた。
だが、その平和も長くは続かなかった――
490 :
470:2007/05/24(木) 01:17:46 ID:???
C.E.073年、L4プラント・軍事衛星アーモリーワン。
ここでは、明日にザフトの新造戦艦「ミネルバ」の進水記念『式典』が行われることになっていた。
周りのザフト部隊は式典の準備に大忙しであったが、当のミネルバは物資の搬入や艦内のメンテナンス程度のもので、事前にある程度済ませてあったためにそれほどの鉄火場ではなかった。それでも忙しくないわけではないのだが。
「MS用のパーツや推進剤が気持ち少ないわね。もう少し積み込んでもらえるかしら」
ミネルバの艦長、タリア=グラディスは副官のアーサー=トラインに言った。
「わかりました。しかし、それにしてもこれほどの最新鋭戦艦に新兵ばかりを乗せるなんて、上はどういうつもりなんでしょうね?」
アーサーの意見については彼女も思う節があったのだろう。タリアは少し眉をひそめて答えた。
「さてね。このまま平穏が続けば、なんて思ってるのかしらね。どうあれ、私たちには破格の待遇だわ、きちんと仕事はしましょう」
「了解しました。……あれ?あれは……政府専用機?」
アーサーは艦橋の窓の向こうに航空機をとらえた。どうやら機体の型から、政治家が乗っているようである。
「そういえばデュランダル議長がお出ましになると聞いたわね、多分それでしょう」
「なるほど。明日式辞がありますからね」
「……」
別に何の事はない話である。確かにアーサーの言う通りだが、タリアは何か胸騒ぎがしていた。
式典会場の中をシンはヨウラン、ヴィーノと一緒に見て回っていた。式典が始まればもう暇は無くなってしまうから、今日は遊びに遊んだ。
「さーて、飯も食ったし、そろそろ帰るか?」
「そうだなあ、しかしジンとかゲイツのフィギュアの作りこみは熱かったよな!俺もあんな芸術に整備してみたいや」
色黒のヨウランと茶色の地毛の中のオレンジ色が特徴的なヴィーノ。シンと同時期に入った友人達だ。
「ああ、確かにあれは面白かったな。帰り道はそこの角を左だっけ?」
「確かそうだろ、あーこれで休みも終わりかあ」
明日からのことを考えるとヨウランは憂鬱を感じ始めた。
「確か配属は月基地のほうだっけ?」
「予定ではそうだけどな…って、うわあ!」
「きゃぁ!」
曲がり角をよそ見して歩いていたものだから、シンは女の子とぶつかってしまったようだった。
すんでのところで転びはせず、なんとかシンはその少女を受け止めた。
491 :
470:2007/05/24(木) 01:19:00 ID:???
「だ、大丈夫?……あ」
なんと、後ろから右手で胸、左手でスカートの脇、というなんともまずい体制になってしまっていた。さっと血の気が引く。
「ご、ごめん!」
とっさに手を離して弁解する。と、彼女の後ろからけたたましい笑い声が聞こえてきた。
「ぎゃははは、ダッセーのステラ!バカみたいに踊ってるからだよ!」
「おい、やめとけアウル」
「なんだよスティング、別に嘘は言ってねーだろ?」
「それでもだよ。……おい、うちの連れが迷惑をかけた、すまない」
スティングと呼ばれた、緑の刈り上げた頭の男が謝ってきた。
「いや、とんでもない。こちらこそ」
「……ッ!」
ステラと言うらしい金髪の少女は何を言うでもなくこちらを睨みつけていた。
(そりゃ無理もないよな…)
ルナマリアやメイリンにやったらビンタ一発じゃすまない所だ。
「よし、戻るぞお前ら」
「じゃーなお前、ステラとぶつかれてラッキーだったな!ははは」
アウルと呼ばれた水色頭も呑気に笑いながら二人の後を歩いていった。
「……なんだったんだ、ありゃ?」
「……さあ」
うしろから戻ってきたヴィーノがシンに問いかける。しかしシンは軽く相槌を返すのみだった。
(……あの腰に入ってたものの重さ、尋常じゃなかった。しかもあの形状…ナイフか?だけど…)
そんな風に考えていたシンの考えをヨウランが遮る。
「それじゃあ、気を取り直して行こうか、ラッキースケベ!」
「な、なんだよそれ!そりゃ確かに…って、そうじゃなくて!」
(まさか、な……)
シンはそこで考えを打ち切り、帰り道を歩き出した。
492 :
470:2007/05/24(木) 01:20:57 ID:???
現プラント最高評議会議長であるギルバート=デュランダルは、アーモリーワンの基地に到着すると、護衛を数人従えて軍用敷地を歩き出した。
そして会見が行われる部屋へとたどり着くと、数分後に会見相手が現れた。
「お待ちしておりました、ガガリ=ユラ=アスハ、オーブ国家主席代表」
「お招き頂いて感謝する。ギルバート=デュランダル議長」
議長の言葉通り、今回非公式ながら会見に現れたのはカガリとそのお付けとしてのキサカだった。
今は亡きウズミの遺志を継ぐ、という名目でカガリは『お飾り』として国家元首に据えられた。もともと政治学を学んだわけではないカガリはオーブの官邸内ではただの小娘としてしか評価を得られていないのである。
それは今も同様であったが、『オーブの難民を受け入れてくれたプラントへ謝辞を行いたい』という名目で、カガリは単独で動く事を許されたのだった。
「しかし、この情勢下、代表はお忍びで、それも火急な御用件とは?一体どうしたことでしょうか?」
「2年前からオーブの民を受け入れてくれていることには心から感謝を表したいと思う。だが…」
カガリはそこで言葉を切り、一呼吸してから継いだ。
「聞くところによると、ザフトはまた新たなる戦艦を設計し、なおかつ最新型のMSまで多機種開発しているそうではないですか。オーブの技術士に協力を依頼して」
「ええ。その通りです」
カガリの言葉にデュランダルはさも当然というように、平然と答える。
「なぜ!私たちは2年前に誓ったはずでは、二度と同じ過ちは繰り返さないと!どうしてあんなものをまた!」
「カガリ様、無礼です」
怒気を含み始めるカガリに、流石にキサカが肩を掴んで制止する。
「構いませんよ。しかし代表、お気持ちはわかります。ですが、それは理想論に過ぎません。争いは永遠になくなりませんが、戦争を抑制することはできる。そのための力なのです」
「しかし……!」
デュランダルの言い分はもっともな話だが、カガリにはまだ呑み込めない様子であった
「……視察もかねて、少し式典会場を見回りましょう。付いて来てください」
デュランダルはそう言うと席を立ち、カガリを後ろにつけ、さらにその後ろから護衛が後に続いた。
カガリはデュランダルにろくな反論を思いつかないまま、ただ彼についていくことしかできなかった。
(……)
キサカは護衛の緑服の一人に見知った顔がいることに気がついたが、この場で言うことでもないと思い、何も言わなかった。
493 :
470:2007/05/24(木) 01:21:51 ID:???
「やれやれ、にしてもザフトもザルだねえ。こんなにあっさり潜入を許すなんてね」
「テロには屈しない、って政治的アピールだろ?だから一般人も気軽に会場に入れる」
「……」
声の主はアウル、スティング、ステラ―先ほどシンと接触した三人だった。
そしてその彼らの下には肉塊となったザフト兵たちが無残にも転がっている。
「まあ、そのお陰でここまで楽できたんだからよしとすっか」
三人は得物―二丁拳銃、マシンガン、そして大型ナイフ―を懐に戻し、そこに横たわる3つの機体に目をやった。
「よし、乗り込むぞ!ステラ、アウル!まずはハンガーを潰す!」
「OK、暴れるぜえ!」
「わかった…」
三人がそれぞれ決めてあった機体に乗り込む。まだ息のあったザフト兵が緊急スイッチを押し、そこで息絶えた。
戦端が、また開かれようとしていた。
突如鳴り渡る警報に基地内は騒然とした。
「警報だと、どうした!」
「6番ハンガー…新型Gの格納庫からです!」
「あ、アビス、カオス、ガイアが動き出しました!強奪された模様です!」
「何だって!しかしここの装備は式典用の模擬弾で…うわああ!!」
次々とジンやディン達が三機だけのGに撃墜されていく。模擬弾ではPS装甲を発揮させることすらできないので、牽制にもならないのだ。
デュランダルたちにも即座にその情報は届いてきた。
「何ということだ」
デュランダルが顔をしかめる。
「警護隊のゲイツR、2割が破壊されました!」
「タリア艦長からです、ミネルバのインパルスが応援に出られるようです!」
護衛たちが通信で情報を必死にたぐっている。
「インパルス…?まだこれ以上に新型があるというのか?」
「話は後です。代表は早くシェルターへ急いでください。護衛を付けます」
カガリの言葉を遮り、デュランダルは避難を促した。
「アレックス、君に代表を任せる」
「……」
緑の制服に黒いサングラスをかけた青年が敬礼をし、カガリとキサカの先導に回った。
「こっちへ来い」
「……!おまえ、やっぱり……!」
その声はカガリにははっきり聞き覚えのあるものだった。
「君をこんな所で死なせるわけにはいかない」
淡々と、しかし熱のこもった声で、『アレックス』は答えた。
494 :
470:2007/05/24(木) 01:25:16 ID:???
「出撃!?」
帰ってきて間もなくの警報にシンは動揺を隠せなかった。
「はい。可能な限りアーモリーワンに被害を出さないように、ソードインパルスでお願いします!」
「……っ!」
怒りと恐怖、そして考えてはならない『欲望』にシンは武者震いをした。
「大丈夫だ……シミュレーションなら何百回としてきたじゃないか!」
シンはそうして自己暗示をかけ、コアスプレンダーへと向かった。
格納庫エリアからの避難は思っていた以上に困難を極めた。
逃げようにもミサイルやビームの雨嵐で思うように移動できないのだ。
「くそ…!」
思わず舌打ちをするアレックス。と、そこへ展開が一変した。
「あれは!」
ミネルバから戦闘機らしきものがはっきりと見えた。
カガリにはそれが何を意味するのかわからなかったが、彼と、キサカも事情を飲み込んだようだった。
「……やむを得ないか。こっちへ来い」
「あ、ああ!」
アレックスが向かった先はシェルターではなく、ミネルバだった。
「こっちは違うんじゃないのか?アレックス殿」
キサカが質問というより確認を投げかける。
「ああ。シェルターは遠すぎる。事情を話して保護してもらえ」
「お前はどうするんだ?」カガリが問う。
「俺はインパルスを援護する。あれでな」
そう言ってアレックスは格納庫から飛び出してきた無人機を指差した。式典で公開されるはずだったザフトの新型量産機『ザクウォーリア』だ。
「あの三機とまともに戦えるのはインパルスとこいつぐらいだろう。1対3じゃ分が悪すぎる」
「……そうか。了解した。カガリ様、行きます」
「でも!」
「心配するな、俺は必ず生き延びる。必ずな」
「……ああ、わかった。お前はそういう奴だったな、『アレックス』」
カガリはそう言って、キサカと共にミネルバへと駆け出した。
「……お前もな、カガリ」
アレックスも軽く微笑んでから、すぐさまザクの方へと走り出した。
「ほらほらほらぁ、そこだ!」
アビスが連装砲を撒き散らかしている所に背後から機銃が飛んできた。右翼を集中砲火され、アビスは左側に仰け反って倒れる。
「な、何だ!?」
そのわずかな隙を使ってその戦闘機――コアスプレンダーは変形合体を行った。そしてその完成形は――
「――Gだって!?」
アウルを初めとして、スティングとステラもまさかの出来事に驚いた。そんな機体は彼らの情報にない。
その赤と白を基調にした機体――ソードインパルスは、背部から掴んだ双剣を繋ぎ合わせ、大見得を切った。
「何でこんな事――」
シンの赤い瞳が彼の怒りを表しているように色濃く揺らめき、そして見開かれた。
「――また戦争がしたいのか、あんた達は!!」
495 :
470:2007/05/24(木) 01:26:41 ID:???
ここまでです。原作改変も甚だしい。
シンの出番が少ないような気がしていたが別にそんな事はなかったぜ!
GJ!
シンが主人公ぽくっていいね!
あれ目からなにかが・・・
GJ!
一番気になる点としては、やはり緑服凸か。
そして、これからのシンの主人公ぶりにwktk
GJ!
主役なシンにwktk
保守
保守
ほしゅあげ
保守
最近シャニティアを見たが、これ酷過ぎるなw
思わずシンが全ヒロインの心剣を抜いて、ストーリー滅茶苦茶にしたい衝動に駆られた
シャニティアッー!相手なら何をやっても許せる俺、参上
キリヤもソウマも両方ムカつくしな、声も含めて
やっちゃえやっちゃえ
505 :
470:2007/06/18(月) 21:58:16 ID:???
やっと少し時間ができたのですが、CEのビームサーベル同士って重なりあうとすり抜けるんでしたっけ?
>>505 設定上鍔迫り合い不能だけど、やっちまった。
だから、そんなことは気にしないのが一番
大丈夫、本編ですら干渉してるシーンあるから
負債も覚えてなくてまともに活用もしてない設定を、俺らが律儀に守ってやる必要ねーべ
空から光が落ち多くの民が消え
地の民は怒り空の民は猛然と微笑む
起こりし戦は一応の終息を見るも
未だ火種は残り続ける
戦により多くの者が辛酸を舐めた
紅き眼の男児もその一人なり
復讐を誓いしその眼は
未だ褪せず輝き続ける
レッツ・中二病☆
・・・・何やってるんだ俺('A`)
され竜みたいな暗ーいSS書こうと思ったけど時間がなくて出来ない・・・・
一区切り付いたら投下しますのでそれまで持ってくれー>このスレ
470氏頑張って下さい!
510 :
470:2007/06/24(日) 23:43:12 ID:???
「――なんだよ、スティングあのMS!?」
その新型―シンの乗るソードインパルス―と対峙したまま、アウルは訊いた。
「俺も知るかよ!だけど一機なら何とか凌げ、俺もそっちへ向かう!ステラも!」
「うん…!」
そういった通信がなされる一方、シンもすぐさま動き始めた。あの3機のデータはシンの頭に何度となく叩き込まれている。
総合的な性能はどれもこれもインパルスに引けをとらない機体たちを相手に、単騎である。
それなら3機が散っている今のうちにこのアビス、つまりいちばん地形適正の弱い機体を制圧するのが最善というシンの判断だった。
「でやあああっ!」
シンは走りながら牽制でビームライフルを1発放ち、即座にアビスへと斬りかかった。
それを肩部のシールドで防いだ後、アウルもビームランスを抜き放つ。
「ちっ、小回りが効かねえ!やるしかねえ、か!」
エクスカリバーをビームランスで受け止めるアビス。しかしそれは間違いだった。
互いのビームが衝突するや否や、アビスは後方に吹っ飛ばされて、バランスを崩した。
「うおわっ!?」
アウルが驚いたのも束の間、なんと向こうは対してのけぞってもいない。
「こいつ…接近戦はまずいな」
直感。それを伝えようとした矢先、ガイアを駆るステラが変形を解除してこっちに近づいてきた。
「アウル!よくも…」
「待て、ステラ!迂闊に近づくな!あの剣はなんかヤバイ!」
「このぉっ!」
アウルの静止も聞かず、ステラはビームサーベルを構えてSインパルスへと斬りかかった。
「このパターンなら!」
そうシンは言うやいなや、左肩の盾を構え、ガイアのサーベルを受け止めた。
「え…?」
ステラは一瞬嫌な予感がして機体を急バックした。その際に左腕で盾を突き出したが、その上部がなんと『斬り捨てられた』。
機体を後退させていなかったら恐らくガイアは真っ二つになっていただろう。ステラも、そしてアウルも戦慄した。
511 :
470:2007/06/24(日) 23:44:21 ID:???
ビームサーベルは電磁場をその空間内に発生させることでコロイド粒子を吸着させ、エネルギー場を生成して剣状にしたものである。
その特徴をさらに強化したのが対艦刀「エクスカリバーだった。
この剣はサーベル部分をアンチビームを施した実剣部分で覆ったもので、早い話がサーベル部分に電場がより収束するため通常のビームサーベルより非常に大きな出力を出すことが可能となる。
この大剣の利点は二つ。まず、その出力ゆえにアンチビームコーティングを施した盾でさえも軽く両断できるという点。そして、もう一つはビームサーベルと斬り結んだ場合である。
通常、ビームサーベル同士が斬り結んだ場合、その電場同士の反発によって一瞬交錯した後互いに反発力を受ける。しかし、先ほどのアビスのように、エクスカリバーと斬り結んだ敵機はより強い反発力によって大きく吹き飛ばされる。
しかしインパルス側はその重量ゆえに大した反動を受けないのである。もっとも、その重量は当然ながら最大のネックにもなるのだが。
512 :
470:2007/06/24(日) 23:46:22 ID:???
「アウル、ステラ!大丈夫か?」
「スティング!」
アウルが体勢を取り直し、再びSインパルスへと向き直る。
「…どうやら、かなり極端な接近戦仕様の機体みたいだぜ、アレ」
「なら、距離を取りながら後退して、撤退するぞ」
そこへ、アウルが一つ提案をした。
「それなんだけどさ、あいつ捕まえね?」
「なんだって!?」
「どうも、あいつ動きが新型のパイロットにしては硬い。なんか剣の性能に振り回されてる感じがするんだよね」
「実戦経験が浅い…か?」
「そうそう。てなわけで、うまく斬られない程度に距離を取ってればじれてくるんじゃない?」
「なるほどな…よし、ステラ?」
「うん?」
「ここならお前の機体がいちばん動ける。うまくあいつをかき乱せ」
「…わかった」
「俺とアビスは向かってくる警備隊の相手をしながらうまく下がりながら散開しろ」
「オーケー!」
そうして、三人は後方へと散った。
513 :
470:2007/06/24(日) 23:47:32 ID:???
シンは、三人が散った直後に艦へと通信を入れた。
「艦長、ルナやレイ、ショーンとゲイルは!?」
「…ルナとレイのザクは損傷で応急処置。しばらく動けないわ。ショーンとゲイルは…」
「まさか…」
シンが問い返すも、タリアは首を横に振ることしかしなかった。
「あいつら…くそぉっ!!」
「待ってシン!冷静に…」
シンはそこで通信を切り、真っ直ぐにガイアへと向かっていった。
「若いな…」
3機へと突撃していくシンを見て、アレックスは苦々しげにつぶやいた。
ビームライフルで牽制しながら、徐々にガイアは怒りのシンを懐へと誘い込んでいった。
「よっし、予定通り!」
「先に俺が行くぞ」
ガイアが突然動きを緩めたことにシンは不審がったが、既に遅かった。
「両側に反応…カオスにアビス!」
こんなことは演習じゃやっていない。シンは大いにうろたえた。
「行くぜ!」
カオスが腕と脚のビームサーベルを展開して斬りかかる。
「くそおっ!」
すぐさまカオスに向き直ろうとするも、直後にアビスの連装砲がSインパルスの背中を直撃した。
「うわあっ!」
思わず体勢が前に崩れるシン。反射的に盾を構えるのが精一杯だった。
「もらった!」
腕のビームサーベルは盾で防ぐも、脚のサーベルが完全にフリーだ。
やられた…!
そうシンが覚悟したが、1秒経ってもシンはまだ生きていた。
「な…んだと?」
スティングは驚いた。なんと、1キロ程度の距離からザクがカオスの脚を打ち抜いたのだ。
無事とわかるやシンの判断は素早かった。すぐさま距離を取る。
「無事か?」
淡々と、それでいて力強い声がモニターに映るサングラスの男から聞こえてきた。
「あんたは…?」
「お前の味方だ。それで充分だろう」
「……」
「援護する」
そうして、きょとんとしたシンを尻目に、ザクウォーリアはインパルスの背後に追いつき、その単眼を煌かせた。
514 :
470:2007/06/24(日) 23:50:23 ID:???
今回はここまでです。
斬り結べるようにしちゃいました☆(うわあ
あとエクスカリバー超強化しましたが、まあ「対艦刀」ならこんぐらい格闘強くないと、と思ってこんなんに。
それとシンがいくら資質があっても新兵だし、エクステンデッド3機なら実際は多分こんなもんじゃないでしょうか。
乙。誰もいねえのか?
アスランクワトロ化はともかくショーンとゲイルにもスポットがあるのか?
格闘戦がかっこいいな。対艦刀の強化はまあ…それくらいしてやらんとぶっちゃけ存在意義が(ry
今後も期待してるぞー
>>470氏
GJ!
対艦刀の超強化は問題なしだと思いますね。
てか、今までの対艦刀が不遇すぎる……
この設定ならきっとアロンダイトもやってくれるに違いないと早くもwktk
超強化つか、あんなデカ物振り回すデメリットを考えれば、このぐらいの威力がなきゃ本来やってられん
デカい刀が人気あるのは一目見ただけで強いと確信できる見栄えの良さと、ド派手な破壊力ゆえだというのに
ビームサーベルにボキボキ折られるだけのハリボテを誰がカッコいいと思うだろうか、福田はそれすら考えなかったのかね
刀はロマン
白状するまでもない(´・ω・`)ついに見つけましたよ
>>470
シンとカガリは刺し違えでもして死んでくれw
どっちも他キャラに関わらせんなw
>>520 なんという・・・・・ここシンスレなのに
シンとカガリは刺し違えでもして死んでくれw
どっちも他キャラに関わらせんなw
シンとカガリは刺し違えでもして死んでくれw
どっちも他キャラに関わらせんなw
シンとカガリは刺し違えでもして死んでくれw
どっちも他キャラに関わらせんなw
シンとカガリは刺し違えでもして死んでくれw
どっちも他キャラに関わらせんなw
シンとカガリは刺し違えでもして死んでくれw
どっちも他キャラに関わらせんなw
シンとカガリは刺し違えでもして死んでくれw
どっちも他キャラに関わらせんなw
キラとラクスはは刺し違えでもして死んでくれw
どっちも他キャラに関わらせんなw
>>524 やめとけ、アホに関わるとろくなことがない
527 :
470:2007/07/10(火) 15:12:40 ID:???
例によってこっそりと質問。ウザくてすいません。
PS装甲って色変わってないとこ(FIの白いとことか)の強度は変色部分に依存してるんですかね?じゃないと意味ないし。
PS装甲には着色出来ないし通電しなければ色もグレーのままなので
通電してなくても色が付いてる部分は逆説的にPS装甲ではないと思われる。
「――援護する、だって?」
シンは先程の連装砲の衝撃でふらつきながらも言った。ソードの高いPS装甲に救われた。でなければシンはただではすまなかっただろう。
「ああ」
「この状況ではいそうですか、なんて言える訳無いだろう!せめて身元ぐらい明かせ!」
もっともらしい反論に、アレックスはやれやれといった風に答えた。
「……アレックス・ディノ。議長の護衛の一人だ」
「議長の?アンタ―」
シンがそう言いかけた直後、タリアが通信で言葉を遮った。
「シン、大丈夫?……あなたが、アレックス?」
「そうです。タリア・グラディス艦長」
その短い返答にタリアは満足し(シンは腑に落ちない顔をしていたが)、シンに命令だけを告げた。
「……そう。シン、この人は信用できるわ。協力してあの3機を追い詰めなさい」
「え、ちょっと―」
「詳しく話をしている暇はないわ。とにかく出来る限り逃さないで」
そこで通信は切れた。
「ちぇ、勝手な事を!……で、アンタ、これからどうするんだ?あいつらを」
「いいのか?」
あっさりと手の平を返したシンにわずかながらアレックスは驚いた。
「艦長がそういうからには正しいんだろうさ。俺よりかアンタは強そうだし」
自嘲を込めた言葉にアレックスは昔を思い出し、苦笑した。
「…物分りがいいな。なら、結論から言う。3機は倒せない」
ガイアから放たれてきたビームを受け止めながらアレックスは言う。
「――だろうね、せめてレイかルナがいれば、だけど」
そういう間にシンも再び3機へと距離を詰めて走り出した。
「希望的観測は死に繋がる。そこで、狙うならカオスだ」
「宇宙に出られたらあいつがいちばん怖いんじゃないのか?」
「ああ。だからこそあいつは前に出てくるはずだ。ANBACに多少支障が出るくらいで、奴が一番動けるはずだからな。その殿を2人で叩く」
「……つまり、宇宙にはわざと逃がすわけか」
「民間人の避難は完了したようだしな。それが一番だろう。敵の援護も充分念頭に入れておく必要があるが、な」
「わかった……せめて一機だけでも討ってやる!ミネルバ、フォースシルエットを準備してくれ!」
シンの瞳には同僚をわかるだけで2人も殺された怒りがありありと灯っていた。
「は、はい!」
シンの怒気を孕んだ要請に、メイリン―ルナマリア・ホークの妹でミネルバの管制官―が応え、シンは相手との距離を測り始めた。
突然のテロリストの来襲はミネルバ内部も大混乱を呈した。
「ハッチは開くのか!?」
焦りを帯びた声でレイが整備員に声をかけた。
「レイのはもう少しでなんとかなる!ルナマリアのは瓦礫が邪魔で時間がかかりそうだ!」
「少しでも開けばいい、入る!先に行くぞルナマリア」
「あ、ちょっと…きゃあっ!」
レイはコクピットを強引にこじ開けて中に入り、すぐさま飛び去っていった。
「ったくもう…私もすぐに追いつくわよ!シン、無事でいて!」
時間にして1,2分の差だが、それでも彼女の焦りは大きかった。いつ同僚が死ぬかもわからないのだ、それに自分も初陣である。
「くっ…ルナマリア・ホーク、出るわよ!」
そうして彼女のガナーザクウォーリアも発進し、整備員達はミネルバの中へとすぐさま戻っていった。
ミネルバのブリッジ内でも別件で騒動が起きていた。
「デュランダル議長!?」
アーサーが驚いたままに、デュランダルがミネルバ内へと入ってきたのだ。
「状況がわからぬままシェルターにのうのうと逃げ込むわけにもいかなかったのでね…タリア、しばらく匿ってもらうぞ。本当にすまない」
「いえ、状況が状況ですから。まさか、相手がこれほどの規模だったなんて」
タリアが苦々しげに呟いた。アーモリーワン外の外部隊が敵部隊の奇襲によって壊滅したという報告が既に届いていたためだ。
「メイリン、シルエットのシークエンスは整った?」
「はい、もうすぐです!」
「よし、フォースシルエットの発進後すぐに本艦も敵を追撃する!」
タリアの号令と共にザフトの新造戦艦「ミネルバ」は進水式もままならぬまま胎動を始めたのだった。
一方で、シン達の戦いも一進一退であった。
厳密に言うならば数で勝るスティング達が押しているのだが、撤退しながらの応戦というものは思っている以上に困難なものである。
「このっ!」
ステラが四足形態から突撃銃を連射するも、アレックスはそれを射線を先読みしてかわしていく。
(クラッカーが使えれば多少は楽なんだがな)
炸裂型の手榴弾など使おうものならこの状況では味方を巻き込みかねないため、ザクの武装でまともに使えるのはビームライフルとビームトマホークしかないのだ。
そうこうするうちに、ついに後方に回っていたカオスが収束ビーム砲「カリドゥス」によってアーモリーワンに穴を開けた。
「っ…潮時だ、脱出するぞ!アウル、ステラ」
「はいよ!」
「うん…!」
それを言うが早いか、3機は宇宙空間へと吸い出されていった。
もちろんシン達とてそれは例外ではないのだが、ソードで宇宙空間に飛び出すのはあまりに危険極まりない。
「シン!」
「わかってます!……先行っててください!」
「ああ、わかってる!」
そういってアレックスは先行し、シンはソードシルエットを分離させた。後ろから追いついてきたフォースシルエットがその背中に収まり、インパルスはその色を青く変えた。
「あいつら…逃がすもんかっ!!」
遅れること数十秒、シンもすぐにザクの後を追った。
「ちっ、まだ追ってきやがるか!アウル、ステラ、お前達は先に行け。ここは俺が抑える!」
「スティング…」
「だけどお前片脚が!」
「この程度なら支障は無い。それに宇宙ならお前達よりは戦える」
「わかったよ。だけど、絶対無理はすんなよ!」
「待ってる…」
「わかってる!…っと、おいでなすった、早くしろ!」
アウルとステラは戦闘を離脱し、スティングがその場に残った。
「さてと、こいつを試させてもらうぜ!」
スティングは向かってきたザクに対してポッドを展開し、同時に3本のビームを発射した。
「これは…ドラグーン!?」
アレックスは角度を変えて襲ってくるビームをなんとかかわしながらライフルで応戦する。
「くっ…!」
なんとかかわしていくも、彼はドラグーン自体と交戦したことはない。というより、したことがある方が珍しい部類の兵装である。
「初乗りでこうも使いこなすとは…何者なんだ」
アレックスは冷や汗をかいた。と、ついにポッドのビームがザクのライフルを撃ちぬいた。
「しまった…!」
あわててライフルから手を離すも、その爆散で視界が乱れる。
「もらった!」
そこへ間髪いれずビームを打ち込んだ。
が、ザクにそれは命中しなかった。というより、ザクの方がその場から動いた。
「ぐっ…シンか!」
「ムチャやってすいませんね、待たせました!」
シンがフォースインパルスをザクにわざとぶつけ、盾でカオスのビームを防いだのだ。
「そんなことはいい、それより俺に構わず奴を」
「わかってます!」
シンが急速にスティングへと接近していく。
「速い!」
スティングは咄嗟にビームサーベルを抜き、シンのサーベルに合わせた。反発で双方が弾かれる。
「でやあああっ!」
シンはなおも盾を構えながら斬りかかる。
「ちっ、制御がうまくできねえ。こんな単調な動きに!」
すると、カオスに通信が入った。
「ネオか!了解、後退する!」
カオスは二機と距離を調節しながら後退をしていった。
「待て!」
「シン、やめろ!何かが変だ」
「っ…!そういえば」
さっき自分達がやったことをトレースされているような奇妙な感覚。
すると、その異変はすぐにやってきた。
「これは、MA!?速い!!」
シンは咄嗟にそこを離れると、またも二方向からビームが飛んできた。
「これは、ガンバレル!」
「私の情報ミスは私の手で始末するよ、慎ましくね」
そのMS「エグザス」の仮面をつけたパイロット「ネオ・ロアノーク」が言った。
先ほどのカオスを上回る5つもの有線砲門が精度の高い射撃を行ってくる様に、シンとアレックスは顔をしかめた。
「なんて操作だ、四方八方から…これが本物のガンバレル!」
驚くシンをよそに、アレックスは可能な限りMAに接近していった。
敵はMAだけでなく、何体かMSも後方からやってきている。なんとかMAの注意をシンから引き離さなければシンがやられる、という咄嗟の判断だった。
「ほう、ライフルも無いのにこっちに挑んでくるとは!面白い」
よほど腕前に自信があるのか、それともただの馬鹿か。
ネオは巧みな操作でガンバレルを躍らせる。その弾幕をアレックスはかわし続けた。というより防戦一方だった。
「かなり、やる。だが!」
死角を狙い続けるネオの攻撃に、遂にアレックスは左肩を打ち抜かれた。
「ぐっ…!」
しめた、とネオが思った瞬間、誘導型のミサイル弾が急速接近してきたのを感知した。
「何!?この感じ…」
ガンバレルを全回収し、全てを砲弾の破壊にまわす。なぜか、その攻撃はネオにはレーダーより早く感じられた。
「レイ!」
「シン、何をやってる!足を止めるな、後ろから敵の増援も来るぞ!」
「あ、ああ!」
「こいつは俺が!お前は増援を叩け!後ろからルナマリアとミネルバも来る」
「アレックスさんは?」
「俺はすまないがもう参加できないようだ。ミネルバへと後退させてもらう」
「了解!」
一方でネオの存在を感知していたレイもエグザスへと向き直った。
「この白いの…まさか」
「……」
レイは無言のまま、エグザスへとミサイルを展開した。
レイとネオが対峙を続けている間、シンの方にもダークダガーLが3機、前3方向から現れた。
「これは、ストライクダガー?黒いけどそっくりだ!」
シンは動きを止めないようにして、相手の攻撃に備えた。
すると、3機から一斉にバズーカ砲が放たれた。
「くそっ、またか!」
シンは左から来たものだけを打ち落とし、後は盾で防いだ。そしてまた動きをつける。
実体弾のバズーカ砲といえども、直撃すれば装甲は壊れなくとも先ほどのアビスの連装砲のようにシンの方が昏倒する可能性が高い。
それを考えると誰かに背をさらすことになるサーベルは当然危険だし、残りエネルギーを考えるとライフルも乱発できない。
そうして防戦一方だったシンに遂に援軍が現れた。
「シン、大丈夫!?」
長い砲塔を持った赤いザクからシンに通信が入る。
「ルナか!なんとかな、でも3機いる!」
「良かった…って、良くないわね…」
「ああ。俺が注意を引き付けるから後は頼む、ルナ!」
「あ、ちょっと!もう、なんでもうあんなに慣れてるのかしら…もともと適応能力は高いほうだけど」
はあ、と一つ溜息をつきながらルナマリアも機体を動かし始めた。
シンは急激に機体を接近させ、細かく切り返しを入れながら相手の注意を引く。
「ぐぅ…!」
急速度からの制動はかかるGも大きい。シンは思わず苦悶を漏らした。だが、敵の目がルナに向かったら意味が無い。
シンが必死に敵の砲撃をかわし続けている間に、ルナマリアはダガーに狙いをしっかりつけた。
「さあて、やらせてもらうわよ!」
ザクの長距離砲「オルトロス」が火を吹いた。
目標となったダガーのパイロットは盾を構えたが、
「な、うわあああああ!!!」
なんと、ABC(アンチビームコーティング)が施されている盾を貫通してダガーLは爆発した。
「なんて威力だ!」ネオがレイと交戦しながら舌打ちするのも束の間、
「隊長、後ろからミネルバも来ます!」
俄然攻勢に回ってきたシンのインパルスを必死に抑えながら、部下が通信を入れた。
「わかった、全機後退するぞ!」
ネオ達は一斉に旗艦「ガーティ・ルー」へと撤退を始めた。
「くそ、逃がすか!」
「待てシン!お前の機体はもうエネルギーがないだろう、帰還しろ」
レイが状況を冷静に見つめて言った。
「だけど!」
「あのガンバレルは守りに入っても相当優秀な武装だ。あのレベルの使い手じゃ俺達だけじゃ倒せない。それに敵の戦力も不明なままだ」
「そうね。少なくとも、私のオルトロスでも戦艦クラスのラミネートは貫けないし」
「く……」
確かにその通りだ。シンは歯噛みしながらそれに応じた。
「わかったよ、レイ、ルナ。悔しいけど着艦しよう」
そこで誰が待っているのか知らぬまま、シン達はそうしてミネルバへと帰還した。
ここまでです。結局やっと初陣終わった程度。
ルナマリアは射撃が成績優秀、という設定にしました。
GJ!
ルナの射撃が当たった! と驚愕しちまいましたw
とはいえ、本編ではガナーしか使ってなかったんだし、
本来これぐらい余裕でやってもらえんと困るわなw
アスランも本編よりシンを導いてくれそうだし、
3人のチームワークも良さそうだし、今後にwktk
保守および支援
ほしゅ
保守
保守
俺も書こうかな…文章力ないけど…
とりあえずパッと思いついた設定
シンはガンダムに乗らない予定。
種運命の軸で時が流れるが、本編のストーリーとは直接関係なく、
アーモリーワンの高校で展開する学園ラブコメ?物語…の予定。
シン・ノガミ(旧姓:シン・アスカ)
オーブ侵攻戦(あれ?こんな名称だっけ…)で家族を失い、
ショックで記憶喪失&黒髪が白髪になる。
その後、運ばれたオーブ国際病院でノガミ夫妻と出会う。
ノガミ夫妻&トダカの勧めで夫妻の養子になり、プラントへ渡る。
アーモリーワン高校(名称未定)在学中。1−Cであり生徒会書記。
副担任のアイリ先生から好意を持たれている。
シン自身は自分の過去に全く興味なし。
友人達には自分の過去を適当にごまかしている。
そして、友人達にも興味なし。立場上、便利だから付き合ってるだけで
名前もろくすっぽ覚えてない。
よく喧嘩を売られ、その度に種割れして返り討ちにしている。
一人称は『ボク』。基本的に無気力気味。
キャサリン・ノガミ(34歳)
シンの義母。専業主婦。
着物好きで外出時は常に着物。しかし、家ではフリマで買ったボロジャージ着用。
温厚だが、酒が入ると窓ガラスを割る癖がある。
テツザエモン・ノガミ(35歳)
シンの義父。技術者。
技術者としては超一流だが、一般教養は皆無。
好きな四文字熟語は『便所掃除』
シンの友人達…シンが大して興味ないため友人A、Bと表示予定。
…って設定長くね?どうしよう…書こうかな…。
(;^ω^)
(;^ω^)
(;^ω^)
(;'A`)……。
顔文字自重wwww
まああれだ、再構成なら下手に設定いじくるのはやめた方がいいかもな
正直、叩かれるだけか無視されるかのどっちかしかないと思うよ。ソレ
きつい事言うようだけど
シン「あんた、こんなとこでなにやってんだ!」
キラ「何を言われても、僕には謝ることしかできない・・・ごめん」
シン「ふざけるな!二年前、フリーダムで戦ってたのはあんただろ!それが今になってこんなところでのうのうと暮らしているなんて!」
キラ「僕のことが気に入らないなら殴ってくれても構わない」
シン「・・・!」
鈍い音がした。キラはシンに殴られ、無様に地に伏した
キラはゆっくり立ち上がり、正面からシンを見据える
シン「ふざけるな・・・ふざけるなよ!」
シンは勢いあまってキラの胸倉を掴んだ
シン「俺にとってあんたは『家族の仇』だ!だけど俺の周りのやつは、みんなフリーダムを『英雄』だと呼ぶ!あまりにもみんながはやし立てるもんだから
俺も興味がわいた・・・『英雄』のフリーダムに乗っていたのはどんな奴かって!それがこんな・・・こんなっ・・・こんな腑抜け野郎だったなんて・・・こんな奴のために父さんや母さんや・・・マユは!」
気がつけばシンの真っ赤な瞳からは大粒の涙が流れ落ちていた
キラ「どうしようもないんだ・・・」
シン「なに・・・!?」
キラ「何を言われても、今の僕には何もできやしない!僕にはもう力がないんだ!おとなしく殴られてやることくらいしか、僕には・・・!」
シン「何をあまったれた事を!」
キラ「君も苦しんだのかもしれない・・・だけど僕だって苦しいんだ!」
シン「だから何もしないのか!力がないなら、力がなくてもできることを考えろ!」
キラ「何も知らないくせに・・・そんな都合のいいもの、あるもんか!!」
シン「ッ!!・・・なら望みどおりいくらでも殴り飛ばしてやる!!」
シンは更にキラを殴り飛ばした。[殴り殺してやる]激情していたとは言え、シンは本気でそう思っていた。
しかしある一声が響き、シンは思いとどまった。声の主はアスハの娘とアレックスとかいう護衛者だ。
アレックス「何をやっている!?おい、やめろ!!」
カガリ「キラ、大丈夫か!?・・・お前ッ!」
二人はシンに批難の視線を浴びせたが、シンは眼中に留めなかった。
シン「キラ・ヤマト・・・俺は絶対にあんたを許さないからな!!」
そうはき捨て、シンはその場を去った。カガリが引きとめようとしたが、キラがそれを制した。
以上、オーブ碑前のシンとキラ邂逅シーンの妄想おわり。
要所要所とかセリフとかだけなら普段からいつも妄想してるんだけどねぇ・・・
ほ
>>547 その後の展開がなかなか楽しくなりそうですな。
シンとキラにちゃんとした因縁ができますし。
って言うか、本編でもちゃんとした面識を持たせるべきだったんだよなぁ……
「敵艦の動きはどう?」
「駄目ですね、ミラージュコロイドを撒きながら慣性移動しているようです。熱源が探知できません」
メイリンがタリアの質問に答える。
「つまり、敵側を追えないということか。周到な用意だな」
デュランダルは表情を曇らせながら、冷静に言った。
「ある程度までの方向は割り出せますが…この進路はデブリ帯にぶつかります」
「そこで迎え撃とうって腹なのかしらね…?何にしても見過ごせはしないわね。追撃しましょう。議長と代表はどうします?」
暗に脱出を促すタリア。
「私は気にしないでくれたまえ。状況が状況だ」
「……私も議長と同じでいい」
議長は即座に、カガリは一瞬考えた後、ここに残ると宣言した。
「しかし―」
「私にはこの事件を見届ける権利がある。頼む、タリア」
「迷惑だとは思うが、私にも状況を見据えさせて欲しい。それに―」
「?」
「―いや、なんでもない」
どうせ私が早く帰ったとしても、という言葉を呑み込んで、カガリは答えた。
「……わかりました」
そうタリアが返答したところで、来訪者がブリッジへと入ってきた。
「アレックス・ディノです」
そう言って敬礼をしたアレックスにクルー達が敬礼で返すと、
「アレックス、議長から話は聞いています。早速ですが、アスハ代表たちを個室へと案内してくれますか?」
「了解しました。こちらへ」
再び敬礼をし、カガリたちを促すアレックス。そこへ議長が声をかけた。
「アレックス君、代表の無事を確保してくれて感謝するよ。他の兵達も着艦したようだし、彼らに挨拶もしたい。同行していいかな?」
「勿論です」
「では、行こう」
そう言って議長は立ち上がり、アレックスら共々ブリッジを後にした。
「――相変わらず、勝手な人」
それを尻目に、タリアはふと溜息をついた。
ミネルバの通路内でカガリはふと思ったことを議長に言ってみた。
「ラクス・クライン“議員”はどうしています?」
「ラクス?ああ、彼女ならお父上の後を継ぎ穏健派の一人として私の力となってくれていたよ。もっとも今はこの事件でてんやわんやかもしれぬがね。彼女とは旧知だったのでしたね?」
「ええ。それでふと気になったので。しかし、それにしても――」
カガリは話題を変えるように一呼吸おいた。
「あのようなテロが起きたのは…Gのような高性能MSを作り出したからではないのか?」
「カガリ様、それは―」
カガリの言葉にキサカは言葉を失った。デュランダルの態度には乱れたところは見えないが、心中はわからない。その時、ブリーフィングルームの中から声がした。
「さすが、綺麗事はアスハのお家芸だな…!」
「!」
はっとしてその場に居た全員が振り向くと、赤い瞳をした少年がカガリを見据えていた。
「シン!」
あわててルナマリアとレイが制止に入るが、なおもシンは言葉を続けた。
「理想論で国を守ろうとしてるんだから、おめでたい一族だよまったく!国民の都合なんか考えもしないで」
「……!」
カガリはあまりの鬼気迫る批判に言うべきことが見つからなかった。そこへ助け舟を出したのはなんと議長だった。
「シン・アスカ君だったね。君の言い分もわかるが、その辺にしておきなさい。アレックス君、代表を案内して差し上げなさい」
「はい」
「しかし…」
「今の貴方では水掛け論だ」
そうアレックスは冷めた声で言うと、カガリの腕を掴んでいささか強引に連れ出した。
残された議長とシン達3人は、改めて挨拶をした。
「先程は済まなかったね。あんな事件の後で―ショーン君とゲイル君、だったか―気が立っていたのもわかるのだが、代表の言い分も少しは理解してあげてくれ」
「……」
シンの瞳は相変わらず冷ややかなままだった。
「君の怒りはもっともだが、彼女も未だ政治家としては未成熟なのだ」
「まったく、考えるより先に口が出るんですからシンは」
ルナマリアが少し恐縮した様子でシンをたしなめた。
「ところで、アレックス…さんといいましたか、彼は何者なんですか?」
レイが議長に問う。
「あの操縦技術、緑服はおろかそこらの白服をも凌ぐ技量に見えましたが」
「ああ、彼はザラ議長の時代に問題を起こしてしまい、以来昇進せずにそのまま終戦したのでな。私が説得したのだが、出世には興味がない、と首を横に振られてしまったよ」
「……なるほど」
議長の返答はなんとも要領を得ないものであったが、3人は深く詮索はしなかった。知りたければ本人に聞け、ということであろう。
「さて、あまり長居するのも気を使わせてしまうだろう。そろそろお暇させてもらうとするよ」
そうして議長は席を立ちあがった。そして部屋を出る前に立ち止まると、
「シン君、彼女を赦せとは言わない。だが、彼女の言い分をまず呑み込んでから、ゆっくりと噛み砕いてみることだ」
そう言って議長は立ち去ったが、シンはそれに対して何も答えなかった。
「どういうつもりだ!」
個室の前まで無理に手を引かれたカガリがアレックスに詰め寄った。
「あの言い方から察するに、彼は多分戦中にオーブに居たんだろう。何があったかはわからないが、想像するのは難くない」
「っ!」
そう言われるとカガリは何も言い返せなかった。なおもアレックスは言葉を続ける。
「それに、綺麗事は綺麗事だ。そこは覆せない」
「――だけど、お父様だって考えあぐねた末に決めたことなのに……」
カガリは2年前の無力な自分を思い出して歯噛みした。
「…だが、国民の反応はあれだった。というのは受け止めるのが責務だろう?カガリ」
アレックスの顔がサングラス越しにかすかに穏やかになったのをカガリは見過ごさなかった。
「――まったく、お前ってやつは。すまない、やっと落ち着いたよ」
「なら今はゆっくりと休め。彼の事情は俺から探っておくよ」
「わかった。頼む」
そうしてカガリが個室に入ろうとしたときに、後ろから呼びかける声があった。
「カガリ」
「なんだ?」
「あいつは――キラは、どうしている?」
「……外見上は、立ち直ったように見える」
カガリはためらいがちにそう言った。
「……そうか。では、また」
そう言うと、アレックスはそのまま踵を返した。
アレックスは議長が去った後のブリーフィングルームへ向かったが、そこにシンの姿はなかった。残っていた2人に軽く挨拶を済ませて、シンに話を聞こうと居場所を尋ねた。
「シンなら、ちょっと体を動かしてくるって言ってたからシミュレーターにでも向かったんじゃないかしら」
というルナマリアの言葉を受けて、そこへ向かってみると彼はそこに言った通りにいた。
強奪された三機と謎のガンバレル装備MAのデータを入力して模擬戦を行っているようだった。
「復習か。精の出る事だな」
後ろからそう呼びかけると、シンが首を振り向いた。
「……確か、あんたは」
「アレックス・ディノだ。さっきは悪かったな」
さっきとは戦闘中に首を突っ込んだことに対してだった。
「……別に、気にしちゃいませんよ。一体何です?」
「いや、軽い挨拶をな」
「そうですか」
シンはぶっきらぼうな返答でまた画面に顔を戻し、黙々とシミュレーションを再開した。
アレックスも別にそれに対して何を言うでもなく黙っていたが、どれだけか時間が経った後に、ふと口を開いた。
「――なあ」
「はい?」
「アスハは、憎いか?」
「ええ」
何の躊躇いもなく言い切った。こりゃ難儀だな、とアレックスは心中で舌打ちをする。
「自分の家族を殺してった奴を憎まないはずないでしょう」
「全員か」
「ええ」
アレックスは再び押し黙った。この年で、いや少なくとも1年以上前に天涯孤独の身となったのだ、この少年は。優劣などあろうはずもないが、まだ自分のほうがマシなのかもな、と思った。
「……あんたは、何も言わないんですね」
「ん?」
「説教するでも同情するでもないんですね」
「聞き飽きてるだろうし、お前もそんなもの求めちゃいないだろう?」
「……」
それにシンは答えず、再び沈黙が場を覆った。
そしてしばらくした頃に、事態が再び動いた。
「敵艦を捕捉しました!デブリ帯での戦闘となります!各員、第一戦闘配備でお願いします!」
メイリンの声が艦内を響き渡ると、シンはすぐさま電源を落として動き始めた。
「あんたはどうするんです?」
「余った機体があるか?」
「……ゲイツRなら」
シンの声には何となく刺々しさがあったが構っている暇はなかった。
「それで十分だ、行くぞシン!」
そうして先を行くアレックスに、シンは不思議な感情を抱いていた。
「――変な人だよ、全く。でも、ああいうの嫌いじゃないな」
久しぶりに投下です。
今までにいろいろ事件がありすぎて筆が進みませんでしたが、最近ようやく落ち着いてきました。
盆までに地球に降りれるように頑張りますが、あまり期待しないで下さい(´・ω・`)
nice work!
なんだかキラだけ今どんな状況にいるのかわからないね
いろいろ想像してみたくなるなあ…
GJでした。次も待ってます
558 :
通常の名無しさんの3倍:2007/08/11(土) 16:31:14 ID:TkStYuNc
空気を読めてないかもしれないけど、
SSを投下します。
559 :
RE.DESTINY:2007/08/11(土) 16:33:08 ID:TkStYuNc
――C.E.071年――
プラントと地球連合の世界を巻き込んだ泥沼の戦争も第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦をもって双方とも疲弊しきり、ようやく休戦し、和平条約が締結されて世界に平和が訪れたかに思えた。
いや、一部の者達を除いて皆そう思いたかった……
――C.E.073年――
L4プラント・アーモリーワン。
最近に建設された軍需プラントで、今日、ザフトの新造戦艦の進水式が行われる。
その進水式が行われる基地の近くにある町中を二人の少年が買った物が入った袋を持って歩いていた。
「進水式まであと、どれくらいの時間が残ってたっけ?」
赤い瞳の少年シン・アスカはもう一人の少年ヨウランに時間を聞かれ、「あと一時間半くらいは残ってる」と答える。
「それにしても、大丈夫なのか?」
「何がだよ」
「今回の進水式。一般にも公開してるんだろ?平和になってから、まだ2年しかたってないんだ。だから、新型の戦艦とかは公開しないべきなんじゃないのか?」
「そんな事、俺に聞くなよ」
「俺に聞くなよ。って…、のわぁ!」
そんな会話に夢中になっていた為、シンは店のガラスの前で踊っていた金髪の少女に気づかずにぶつかってしまう。
気づいていたら何故かその少女の胸を触っていた。
「いっ、」
シンは慌ててその少女から離れる。
「ひょっとして、これは何かあるんじゃないですか、ラッキースケベさん」
ヨウランにノリで言われた言葉にシンは思わず顔が赤くなる。
金髪の少女は何が起きたか理解できてないのか、ぼーっとしながらその様子を見ていた。
黒いコートを着た女性がその光景を見て、さりげなくクスクス笑っている事にシン達は気づき、笑っている女性の方を向く。
その女性はコートだけでなく、ズボン等まで黒一色で統一されており、被っているフードのせいで顔はよく見えないが赤銅色の髪をしている。
年齢は外見で判断するなら、二十代半ばくらいと思われる。
560 :
RE.DESTINY:2007/08/11(土) 16:34:17 ID:TkStYuNc
「ふふ、ごめんなさい。もし私の息子がきちんと生まれてきていたら、あなた達みたいに人生を満喫していると思うと、なんだかおかしくなってね」
女性もシン達がこっちを向いた事に気づき、声を掛けてきた。
「よかったら、喫茶店かどこかで何か話さないかしら」
少し考えたあと、シンとヨウランは進水式まですることがなくて時間に余裕があったので、金髪の少女も特にすることがないのか、女性の誘いに応じた。
琥珀色の瞳をした女が護衛を連れて緑服のザフト兵に案内されながら新造戦艦の進水式が行われる基地の中を移動していた。
その女がオーブ五大氏族アスハ家現当主カガリ・ユラ・アスハ。
彼女がこのアーモリーワンを訪れたのは、現最高評議会議長ギルバート・デュランダルとの非公式の会見の為である。
最もこれは殆どカガリの独断であり、他の氏族は全員、全くあてになどしていない。
それもそうだ。なぜなら、カガリは大して政治学を学んではいない。
2年前、オーブは地球軍に侵攻され、抗戦した前代表のウズミ・ナラ・アスハは地球軍を退けるどころか、敗北し、自国のマスドライバーを爆破させ、死亡。オーブは地球連合の支配下に置かれ、結果的に多くの国民を危機にさらしてしまった。
これにより、大戦後に行われた形骸と化していた五大氏族の代表から国家元首を決める選挙で圧倒的大差で敗北するなど、アスハ家の権威が完全に失墜しているということも他の氏族達からあてにされていない理由の一つだった。
緑服のザフト兵に案内され、会見が行われる部屋に辿り着く。
「お待ちしていました」
そう言って現最高評議会議長ギルバート・デュランダルが数人の護衛を置いてカガリ達を迎える。
デュランダルは自分が席に座ってから、席に座るように促し、カガリが席に座ったのを確認して口を開く。
「早速ですが、いか程の要件でわざわざこの非公式会見を申し込んだので?」
「聞いた話ではかつてオーブが地球軍の傘下に置かれた際にそちらに流出したオーブの技術と人的資源を使い、新造の戦艦や新型MSを開発していると」
「そうですが、それが何か?」
デュランダルは何事もないかのように平然とカガリの言葉に答える。
「私達は誓った筈です!2年前に!二度と同じ過ちは繰り返さないと!」
「気持ちはわかりますが、現実はそう上手にいきません。それに自らの身を守り、意思を通すために力が必要なのはあなたとてご存じのはずだ」
「しかし…」
そう言われ、カガリはなおも食い下がるが反論の言葉が出ない。
561 :
RE.DESTINY:2007/08/11(土) 17:48:06 ID:TkStYuNc
「…このまま帰っても骨折り損のくたびれ儲けです。進水式会場を見て回り、視察のようなものでもされてはいかがですか?私自ら案内しましょう」
そう言ってデュランダルは席を立って部屋から出ていき、カガリは言われるままにそれに付いていき、さらに後ろから双方の護衛が付いて行く。
「わかります?その話」
「わかるわよ。それくらい」
「私は…わからない」
「わからないの?ちょっと流行に遅れてるぜ」
シンとヨウランはオープンカフェで飲み物を飲みながら金髪の少女や黒いコートの女性アリーシア・ミカイールと雑談していた。
不意にヨウランが一つ質問する。
「そういや、息子が生まれる前に流産したって言ってましたけど。一体、何年前の話ですか?」
「おい、ヨウラン」
シンはアリーシアの心の傷を抉るかもしれない質問にシンはさりげなく制するがアリーシアは態度を変えずに「かまわないわ」と言って、15年以上前と答えた。
「15年以上も前なんですか?見た限り二十代半ば位に見えますけど…」
「よく二十代と勘違いされるわ。本当は四十代のオバさんだっていうのにね。それにしても流産か…、まあ一応はそうなるのかしら…」
アリーシアが最後に言った言葉にシンは疑問を覚えたが大して気にもせず、金髪の少女の方を向く。
「さっきはごめん。あれは…事故っていうか…」
「?」
シンは今更であるが金髪の少女にさっきのことを謝ろうとするも、やってしまった事がどうにもいえない事なので謝罪の為の言葉が中々思い浮かばない。
「(シンの奴もうちょっとテキパキといこうぜ)」
「(まあまあ、私達は黙って見ていましょう)」
ヨウランとアリーシアは二人には聞こえないように小声で会話を交わしながら、それを鑑賞していると、
「こんなとこにいたのかよ」
「心配かけさせやがって」
「あっ…アウル、スティング」
不意に駆け寄ってきた二人の少年に対して金髪の少女はきょとんとした声を上げる。
562 :
RE.DESTINY:2007/08/11(土) 17:50:06 ID:TkStYuNc
「時間がないから、さっさといくぞ」
金髪の少女は緑髪の少年スティングに言われるまま椅子から立ってシン達三人の方に振り向いたあと、先に歩きだした二人に付いて行った。
金髪の少女を含めた三人を見送ったあと、シン達は雑談を少し続けていたがシンはポケットから携帯電話を取り出して時間を確認すると進水式までの時間に余裕がなくなったことに気づく。
「もうこんな時間か。俺たちもこの辺で」
「そう、じゃあ縁があったらいずれまた会いましょ。」
シン達とアリーシアは別れて告げてそれぞれ椅子から立って歩きだした。
「あれが我々の次期主力MS、ザクです」
そう言ってデュランダルは緑色をした一つ目のMSを指さす。
「これだけでなく、他にも新型MSを開発中です。最も全ては見せられませんので、そこのところは…」
「デュランダル議長」
「何でしょうか?アスハ殿」
デュランダルが振り向いた先にいるカガリの表情には怒気が混じっていた。無理もないと言えば無理もない。
プラントの軍備拡大は彼女の予想を超え、プラントに流れ込んできたオーブの技術者達がそれに加担しているのだから。
「たしかに自らの身を守ったり、意思を通すのにある程度の力が必要なのは事実ですが!大き過ぎる力は争いを呼ぶ!」
「いいえ。争いがなくならぬから力が必要なのです。あなたの言うとおり、争いがなくて力が全く必要でないのなら、それに越したことはありませんがね」
僅かながら怒気を含んだカガリの声にも全く動じずにそう答える。
次の瞬間、突如として倉庫の一つが爆発し、炎と煙を上げ、そこから三機のMSが飛び出し、周辺の起動していないMSを破壊していく。
ようやく起動して戦える四機のジンやガズウートが三機のMSを捕獲しようと立ち向かうが苦もなく撃墜される。
「何事だ!?」
「カオス、ガイア、アビスの三機が強奪されました!」
「なんだと!」
駆け寄ってきた兵士の報告に思わず、デュランダルは驚く。
「今、捕獲を試みていますが強奪した奴らは凄腕のMSパイロットなのか、逆に蹴散らされる一方です」
563 :
RE.DESTINY:2007/08/11(土) 17:53:50 ID:TkStYuNc
「ならば、撃墜してかまわない。ミネルバにも応援を頼め。強奪されるという最悪の展開だけは防がなければ」
「デュランダル議長」
「アスハ殿。至急、我が軍の新造艦ミネルバに避難してください。避難シェルターは民間人が押し寄せ、混乱しているやもしれませんので。私もあとからそちらに向かいます」
「わかりました」
護衛の一人に案内されながら、カガリは護衛と共に歩きだす。
「警報!?」
ミネルバに帰ってきたシン達は警報が鳴っていることに驚き、近くにいた兵士からカオス、ガイア、アビスの三機が強奪された事と出撃命令が出ていることを知ったシンは急いで赤いパイロットスーツに着替えて格納庫にある自分の機体のもとへ向かう。
基地内では相も変わらず、強奪された三機のMSが暴れていた。
撃墜の許可が出たが兵士達が格納庫等にあるMSに乗り込んでも起動する前に撃墜されてしまう。
それにこの基地に配属されている兵士のおよそ半数が実戦経験がほとんどない新兵であるため、状況は大して変化していない。
「………」
「こんなもんかよ。警備もザルだし、ザフトは平和ボケしてんなー」
「こんなMSを作っていたんだから、そうとも言い切れないだろ」
新型MS、ガイア、アビス、カオスに乗っているのはシン達とオープンカフェで雑談した金髪の少女ステラ・ルーシェとアウル・ニーダ、スティング・オークレーの三人。いや、もう一人…
『あんた、本当にネオと知り合いなんだろうな?』
アビスに乗っている水色の髪をした少年アウルが不信感を剥き出しにしながら、ガイアを操縦しているステラの隣にいる黒コートの女性アリーシアに確認の為に尋ねる。
「そうよ。あなた達のような末端が知らないのも無理もないけど、あとで彼に聞きなさい。無事にここを出られたらの話だけど」
アリーシアとアウルのやりとりの直後、こちらのほうに飛んでくる一機の戦闘機と三つの妙な物体に四人とも気づく。
次の瞬間、戦闘機と妙な物体が変形して合体し、一機のMSになる。
564 :
RE.DESTINY:2007/08/11(土) 17:55:52 ID:TkStYuNc
「新型!?まだあったのか!?」
「あれ!?…何だ!?」
「例の新型は三機じゃなかったのかよ!?」
「やはり、そう容易にはいかなさそうね」
赤と白を基調とした彼らの情報にない新型MSを目にして、スティング、ステラ、アウルの三人は驚き、アリーシアは冷静かつどこか楽しそうに一人呟く。
赤と白のMSソードインパルスは勢いよく着地し、対艦刀の柄同士を連結させて構える。
ソードインパルスのコックピットの中でシンは目の前にいる戦争をしたいであろう者達に対して怒りを込めて叫ぶ。
「また戦争がしたいのか!あんた達は!」
565 :
RE.DESTINYの人:2007/08/11(土) 18:00:38 ID:TkStYuNc
設定の補足
アリーシア・ミカイールについて
彼女は一応、オリキャラではありません。
ある意味ではマユが主人公だったらスレのマユみたいなものです。
正体はバレバレだと思います。
読んでいて不愉快だったら消えます。
sageさえしてくれればおk
「ふふ、ごめんなさい。もし私の息子がきちんと生まれてきていたら、あなた達みたいに人生を満喫していると思うと、なんだかおかしくなってね」
女性もシン達がこっちを向いた事に気づき、声を掛けてきた。
「よかったら、喫茶店かどこかで何か話さないかしら」
少し考えたあと、シンとヨウランは進水式まですることがなくて時間に余裕があったので、金髪の少女も特にすることがないのか、女性の誘いに応じた。
琥珀色の瞳をした女が護衛を連れて緑服のザフト兵に案内されながら新造戦艦の進水式が行われる基地の中を移動していた。
その女がオーブ五大氏族アスハ家現当主カガリ・ユラ・アスハ。
彼女がこのアーモリーワンを訪れたのは、現最高評議会議長ギルバート・デュランダルとの非公式の会見の為である。
最もこれは殆どカガリの独断であり、他の氏族は全員、全くあてになどしていない。
それもそうだ。なぜなら、カガリは大して政治学を学んではいない。
2年前、オーブは地球軍に侵攻され、抗戦した前代表のウズミ・ナラ・アスハは地球軍を退けるどころか、敗北し、自国のマスドライバーを爆破させ、死亡。オーブは地球連合の支配下に置かれ、結果的に多くの国民を危機にさらしてしまった。
これにより、大戦後に行われた形骸と化していた五大氏族の代表から国家元首を決める選挙で圧倒的大差で敗北するなど、アスハ家の権威が完全に失墜しているということも他の氏族達からあてにされていない理由の一つだった。
緑服のザフト兵に案内され、会見が行われる部屋に辿り着く。
「お待ちしていました」
そう言って現最高評議会議長ギルバート・デュランダルが数人の護衛を置いてカガリ達を迎える。
デュランダルは自分が席に座ってから、席に座るように促し、カガリが席に座ったのを確認して口を開く。
「早速ですが、いか程の要件でわざわざこの非公式会見を申し込んだので?」
「聞いた話ではかつてオーブが地球軍の傘下に置かれた際にそちらに流出したオーブの技術と人的資源を使い、新造の戦艦や新型MSを開発していると」
「そうですが、それが何か?」
デュランダルは何事もないかのように平然とカガリの言葉に答える。
「私達は誓った筈です!2年前に!二度と同じ過ちは繰り返さないと!」
「気持ちはわかりますが、現実はそう上手にいきません。それに自らの身を守り、意思を通すために力が必要なのはあなたとてご存じのはずだ」
「しかし…」
そう言われ、カガリはなおも食い下がるが反論の言葉が出ない。
保守
保守
>>470 GJです
この時点でラクスが議員ということは、ミーアはミーアとして出てくるのかな?
アスランといい、ちゃんと事後処理を行おうとしているあたりは、
いつになく好感が持てますなw
>>565 ある程度想像はしてますが、あの人(正体が私の想像通りだとして)の存在が
物語をどう変えていくかは、未知数ですな。
今後の展開に期待。
あと、566も言ってますが、sageして下さいね
470氏まだー?
夏風邪で少し遅れましたが、
続きを投下します。
「くっ、どうなってんだ!?例の新型は三機のはず!」
一瞬だけ睨み合ったあとカオスに乗っているスティングは毒づきながらビームライフルを連射。
ソードインパルスはそれを回避しながら接近し、一番近くにいるガイアに斬りかかる。
「こいつ!」
ガイアはシールドでそれを受け止めたところをアビスが横からビームランスで突き刺そうとするが間一髪のところで距離を取ってそれを避け、フラッシュエッジブーメランを投げる。
ガイアとアビスはそれを跳んで避け、アビスが胸から複相ビーム砲を発射。
インパルスがそれを回避した直後を狙って上空にいるカオスが機動兵装ポッドから多数の誘導ミサイルを放つ。
インパルスはシールドでそれを防いでビームライフルでけん制する。
「でやぁああぁぁ!」
MAに変形したガイアがビームブレイドで切り刻もうとするも、なんとかそれを受け流す。
『シン、撃墜許可が出ているがあの三機はきちんと捕獲するんだ!あれは我が軍の…』
突如、ミネルバからその副長であるアーサー・トラインからインパルスに乗っているシンに無茶ともいえる命令が届く
「無茶言わないでください!こいつらかなりの使い手です!それより!なんで、カオス、ガイア、アビスの情報がこうも簡単に!」
シンはアーサーの通信に怒鳴りながら必死でインパルスを操り、三機のMSの攻撃をなんとかしのぐ。
『情報が漏れた原因を究明するのはあとよ。今はその三機をどうにかして』
ミネルバの艦長タリア・グラディスはそう言って通信を切り、外に潜伏していると思われる敵母艦のサーチを指示する。
だが、アーモリーワンの近辺宙域ではその指示が全てのザフト艦に行き届く前に何条ものビームと大量のミサイルがどこからともなく突然放たれ、ローラシア級戦艦を撃墜する。
撃墜されたローラシア級戦艦の近くにいたナスカ級戦艦のレーダーには敵艦らしき物は何も映っていない。
「ミラージュコロイドか!」
ナスカ級戦艦の艦長はすぐに熱源探知を行うよう指示するがその直後に放たれたビームによってそのナスカ級戦艦はブリッジを破壊される。
次の瞬間、蒼色の戦艦がミラージュコロイドを解いたのと同時に多数のMSが発進する。
そのMSは地球連合軍が前大戦後期に投入したストライクダガーの後継機ダガーL。
彼らはその場に残っているローラシア級戦艦と、その一隻から出撃した四機のゲイツRに襲いかかり、一機ずつ確実に撃墜していき、戦艦を沈めたあと、軍港を破壊する。
「奇襲はひとまず成功ですな。ロアノーク大佐」
蒼色の戦艦ガーティー・ルーの艦長イアン・リーはその場にいた敵艦と軍港が破壊されたのを確認して今のところ作戦が成功している事に一瞬だけ安堵したあとで再び顔を引き締め、隣の席に座っている仮面を付けた男ネオ・ロアノークは不敵な笑みを浮かべる。
「二時の方向にナスカ級です」
「新手か」
「俺も出よう。艦長。その間、この艦の指揮と彼らが脱出しやすくなるように砲撃でこのプラントに穴を空けておいてくれ」
ネオはリーにそう指示したあと、一人ブリッジを出ていく。
アーモリーワン内部ではインパルスとカオス、ガイア、アビスの戦闘が続いており、良くも悪くも戦況は変化していない。
「どーすんの?このままだと、バスが行っちゃうぜ」
アウルはアビスを操りながら他の三人に意見を求める。
『私としては…』
『こいつを落とす!』
アリーシアが何か意見を言おうとしたのを遮ってステラは短く自分の意見を叫んだあと、ビームライフルを連射しながら再びビームブレイドでインパルスを斬り裂こうとするがインパルスとMA形態のガイアの間に横から一条のビームが割って入る。
ビームを撃ったのは白いザク。
『無事か』
白いザクの搭乗者レイ・ザ・バレルがシンに声を掛ける。
「レイ!」
シンは同じ艦に属する仲間が援軍にきたことに安堵の笑みを浮かべ、彼と共に強奪された三機のMSと再び対峙する。
「援軍が来たか、引き揚げるぞ」
このまま長引けば形勢が不利になると判断したスティングは撤退を促し、カオスをMA形態に変形させてその場から離脱を試み、アウルも逃げる為の隙を窺うがガイアだけは積極的に攻撃を仕掛けていた。
『ステラ、聞こえなかったのかよ。逃げんぞ』
「私がこんなぁぁ!」
ステラはインパルス達を排除するのに躍起になっており、スティングやアウルの通信など聞こえていない。
『じゃあ、隣にいるお荷物と一緒に死ねよ!じゃな!』
自分たちの指示に従わないステラに対してアウルはそう吐き捨てる。
「……死ッ!」
突然、ステラは凍りついたように動かなくなったあと、「死ぬのは嫌!死ぬのは嫌!」と錯乱し始める。
『アウル!状況を悪化させてどうする!』
スティングは状況の悪化に苛立つ。
アリーシアは「仕方ない」と一言呟いたあと、錯乱しているステラの顔を両手で無理やり自分に方に向けさせる。
「死にたくなかったら、操縦を代わりなさい」
アリーシアが放つ何かに押され、錯乱していたステラは急におとなしくなり、怯えながら言われるままに操縦を代わって、震えながら隅に引っ込む。
ガイアが急に動きを止めた事にシン達は不審に思うも絶好のチャンスと思い、インパルスはガイアに接近して斬りかかろうとするが、途端にガイアはビームライフルでけん制。
それで作ってしまった相手の隙を利用し、ガイアはMA形態に変形してインパルスやザクとは正反対の方向に勢いよく助走をつけ、ジャンプしたあとMS形態に戻り、勢いよくスラスターを吹かして逃げる。
カオスとアビスもそれに付いていく。
「逃がすか!ミネルバ、フォースシルエットを!」
シンはそうミネルバに要請しながら迷わず追いかけ、レイもそれに続く。
次の瞬間、無数のビームがアーモリーワンの外壁を破壊する。
無数のビームに貫かれてアーモリーワンの外壁に大きな穴があき、空気が外に吸い出されていく。
「なんだ!」
突然起こった出来事にシンは動揺を隠せない。
「おそらく、奴らの戦艦が主砲か何かで壊したのだろう」
レイはシンとは対照的に動じず、冷静に答える。
「くそ、あいつら!」
シンはソードシルエットを切り離し、後ろから来たフォースシルエットに換装。
その際、色が赤と白だったのが青と白に変化する。
ソードからフォースに換装したのは接近戦仕様のソードより高機動戦闘を重視したフォースの方が広い宇宙での戦闘ではよいと判断したからだ。
「逃がすもんかーッ!」
インパルスと白いザクはプラントの外壁に開けられた穴から吸い出される形で出て、辺りを見回し、遠くにいるカオス、ガイア、アビスの姿を確認し、シンはインパルスの速度を上げ、レイのザクを抜いて三機を追う。
「追いついて来たみたいね。…私たちの情報になかったあのガンダムは換装できるの」
「マジかよ。しつけーな」
「…ガンダム…?」
アリーシア達も換装したインパルスを確認し、その際、アリーシアが言ったガンダムという単語にステラが震えながら首をかしげる。
「気にしないで。こっちの話だから」
ステラの疑問にそう答えて、突如アリーシアはガイアを反転させ、インパルスの方へ向かう。
「おい、何しにいくんだよ!?」
「少し遊んでくるわ。大丈夫よ。既にネオもいるだろうし、私は強いから。あなた達は先に戻っていなさい。ステラ、悪いけど付き合ってもらうわよ」
「うん…」
「ちっ」
アウルとスティングはアリーシアに言われるまま、近くにいたダガーLに護衛されながら強奪した新型と共に蒼色の戦艦ガーティー・ルーに帰還し、アリーシアはインパルスに向けて機体を加速させる。
ガイアがこちらに反転してきたのにシンは気づくが、その瞬間に二条のビームが割りこんできた。
シンはそれを咄嗟に回避するが今度は四方向から赤紫の物体がビームを放つ。
「なっ!これは!」
多方向から攻防一体にビームが放たれることからシンはアカデミーで学んでいた頃に教科書で読んだドラグーンシステムを思い浮かべる。
ドラグーンシステムはラウ・ル・クルーゼのような一部の例外を除けば、ザフト赤服のエースパイロットでもカオスに搭載されている兵装ポッドと同じ数の二基程度が限界のはずだが、今自分に襲いかかっているドラグーンと思われる物体の数はその倍。
四基の赤紫の物体ガンバレルに翻弄されながらもシンは赤紫のMAを見つける。
「ほう、粘るか。特機を与えられているだけのことはあるな」
赤紫のMAエグザスを駆るネオは骨のありそうな獲物を見つけて楽しそうな笑みを浮かべる。
「だが!」
ネオはインパルスにできた死角を見つけ、そこを突く。
死角を狙われてシンは慄くが割って入ってきた白いザクがそれを肩のシールドで防ぎ、エグザスに向けてビームライフルを撃つ。
『何をしている!ぼっとしていたら、ただの的だぞ!』
レイはそう注意したあと、ガイアがこちらに向かってくることに気づく。
『シン。MAは俺が抑える。お前はガイアを。せめて、あれだけでも』
「わかった」
シンはガイアに向けて機体をとばす。
シンはガイアを狙ってビームライフルを連射するがガイアは回避するまでもないのか、全てビームサーベルで斬り払い、一気に接近する。
接近してきたガイアに対してビームサーベルで斬りかかるがガイアは身を逸らしてそれを回避し、インパルスの腹部を蹴り飛ばす。
「くっ!」
シンはガイアと距離を取りながら、ビームライフルを連射するがこれも全て切り払われる。
「動きが単純ね。ひょっとして新兵かしら」
アリーシアは挑発のようなことを口にしながら、ガイアをMA形態に変形させて背中のビームライフルでけん制しながらビームブレイドでインパルスの頭部を切断しようとする。
シンは咄嗟に機体を降下させてそれを回避するがインパルスの上空でガイアはMS形態に変形して片足で勢いよくインパルスを蹴り飛ばす。
「ぐあっ!」
コックピットまで伝わる衝撃にシンは必死で耐える。
ミネルバの方でも騒ぎが起きていた。
「デュランダル議長!?」
その場にいたミネルバのクルーは自国の国家元首が緊急事態とはいえ、いきなり乗ってきたことに驚きを隠せない。
「至急、ブリッジに案内してほしい。それとアスハ殿やその護衛がこの艦にいるはずだ。彼女らも至急、ブリッジに案内してきてくれ」
「アスハって、オーブの…」
「そうだ」
その時、赤服の少女ルナマリア・ホークは二人の民間人が緑服の兵士に案内されてこの艦に入って来たことを思い出す。
「こちらです」
ルナマリアに案内され、デュランダルはブリッジに向かう。
「デュランダル議長!?」
やはり、ブリッジにいるクルーも驚く。
「すまない。非常事態が起きているのに、その場にいる国家元首が避難シェルターにおめおめと逃げるわけにはいかないのでね。このミネルバに避難させてもらった」
その直後、カガリも二人の護衛と共に緑服のザフト兵にブリッジへと案内されてきた。
その際、デュランダルはカガリの護衛に見覚えがある事に気づくが、今指摘しても無駄な騒ぎを起こすだけだと思い、気づかないフリをする。
「デュランダル議長」
「アスハ殿。この艦はこのまま出港します。よろしいですか?」
「かまいません」
デュランダルとカガリがゲスト席に座ったのを確認し、タリアは指示をだす。
「ミネルバ、発進シークエンススタート!本艦はこれより、戦闘ステータスに移行する!」
その直後にブリッジが遮蔽され、艦の外でもミネルバのクルーではないザフト兵がミネルバから離れていき、ケーブル等も外されてドッグが開き、宇宙港へ運ばれていく。
「全システムオールグリーン」
「機関最大。ミネルバ発進!」
アリーシアにガイアの操縦を代わらせたのは
シンとアリーシアの戦いの一戦目をやる他に自分なりの考えあってのことですのでご容赦ください。
それにステラはブロックワードによって錯乱しているのに、あんな都合よくプラントから脱出できるとは思えませんでしたので
DESTINY氏乙です
宇宙戦も楽しみにしてます
紅蓮の修羅とかって評価はどうなんだろ?
>>571 ぐおお、拙作を待たれてるとは恐縮です(´・ω・`)
遅筆ですいませぬ…リアルで最近また忙しくなった上に明日からサークルの合宿なんで、
早くても次は今月末になりそうですorz
それとRED DESTINY氏の作品にも密かにwktkしてます、頑張ってください
よく見たらRE.DESTINYでしたね…無駄にレス消費してすいませんorz
(ここに書き込むのは初となります……SSと言うべきか否かの、というかはっきり異なる妙な体裁の何かを投下してみます)
(スーパーロボット大戦などシミュレーション物のデモ会話でも想像して貰えれば、と)
(このスレの色から外れてなければ続きを投下します)
それは、恐らくは人の幼さが紡ぎはじめた物語
「己の血を受け継ぐ者へ、よりよき未来を」
生まれ来る仔を待つ親ならば、誰もが抱くささやかな願い
その願いが叶えられると知ったとき、約束されると知ったとき
世界は少しずつ、軋みはじめた
〜 5年前、オーブ首長国オノゴロ島 〜
(絶え間なく響く砲撃の音、爆撃の音。時折衝撃に揺さぶられる林間の山道を、人々が麓の港を目指して懸命に走っている)
マユ 「……寒いよ、お兄ちゃん……何も……見えないよ……」
シン 「頑張れ、マユ。もうすぐ、もうすぐ手当してもらえるからな。船に着くまで、頑張るんだ!」
マユ 「お父さんは……? お母さんは、どうなったの……? そこにいるの? お兄ちゃん……」
シン 「あ……ああ! きっと、きっと無事だよ! 心配するな!」
マユ 「本当……? マユの友達も……大丈夫かな……」
シン 「ああ、もちろんだ! だから諦めるなよ! 俺達は、俺達は絶対生き残るんだ!」
マユ 「……お兄ちゃん……?」
シン 「ぐっ……はぁ、はぁ、し、死ぬもんか……こんなところで、死ぬもんか……!」
マユ 「……」
(その時、これまでにないほどすぐ近くで、爆発が生じる。地面が激しく揺れ、爆風に煽られ、人々は悲鳴を上げて我先にと逃げ惑う)
シン 「うわっ! くそっ……マユ、マユ! どこだ!」
マユ 「お兄ちゃん……」
シン 「マユ! よかった、さあおぶされ、走るぞ!」
マユ 「もういいよ……お兄ちゃん、一人で逃げて……」
シン 「マ、マユ? 何言ってんだ、ほら早く……」
マユ 「えへへ……マユ、もう……だめなんでしょ? わかっちゃったもん……こんなに、こんなに、血だらけ……! うっ、ゴホッ!」
シン 「マユ!」
マユ 「お、お父さんも……お母さんも……みんな……。そうでしょ、みんな……えへへ、うぐっ……うぅ、げほっ」
シン 「あ……ああ……」
マユ 「……お兄ちゃん、逃げて……マユ、もう、いいから……逃げてよ……」
シン 「あ、諦めるな、馬鹿! 父さんもいつも言ってただろ! なんだよこんな傷、こん……な……」
マユ 「……泣かないで……。お母さん、いつも言ってたよ……お願いお兄ちゃん、逃げて……泣いてちゃ、だめ……」
シン 「マユ……マユ……!」
マユ 「………」
シン 「あ……う、うぐっ、ああああ……!!」
(山肌が吹き飛び、爆音が連鎖する。人の気配の途絶えた山道を震わせる少年の叫びが、爆音にかき消され……)
コズミック・イラ70
遺伝子調整を施され誕生した人間、コーディネーターと
自然なままに生まれた人間、ナチュラルの間の確執は
コーディネーター側の被った無差別殺戮事件・血のヴァレンタイン以後急速に高まり
ついには両者の間で全面戦争が勃発した
主に宇宙空間を居住区とし、既にその総人口は大国を形成するに至っていたコーディネーターは
居住するコロニー群「プラント」を防衛するため、義勇軍ザフトを結成
地球に住むナチュラルは反コーディネーター思想者・通称「ブルーコスモス」が中心となり
コーディネーターを「地上に住む全人類共通の敵」とし
圧倒的な物量を持って戦火を開く
戦いが激化する中、ナチュラルとコーディネーターの共存する洋上の中立国である「オーブ」もまた
どちらに与するかの選択を強いられた
当時のオーブ元首であったウズミ・ナラ・アスハは軍門に下るよう迫る連合軍に対し、これを拒否
地上中の勢力を呑み込み巨大な戦力を手中とした連合の総攻撃を受ける事となった
後に最終決戦地となった宇宙要塞の名を取り「ヤキン・ドゥーエ戦役」と呼ばれることになるこの戦争は
両陣営の継戦能力の喪失を主な理由とし停戦条約である「ユニウス条約」の締結をもって終幕を迎える
そして時は流れ、戦後へと舞台は移る
時に、コズミック・イラ76……
〜 現在、プラント・アーモリーワン、ザフト工廠 〜
(格納庫内を映すモニターに囲まれ、ザフトの軍服姿の成長したシンが一人コクピットに座っている)
ヴィーノ 『あめんぼ赤いなあいうえお、っと。シン、準備はいいか?』
シン 「いつでも。ところでヴィーノ、何だそれ」
ヴィーノ 『メイリンの真似だよ。今日は俺がオペレートするからな。滑舌は良くしとかねーと』
技師 『すみませんね、先日機体の最終チェックが終わったばかりだというのに、また呼び戻すようなことをして』
シン 「気にしないでください、これも任務ですから。それにミネルバの進宙式も近いですし」
ヴィーノ 『そうそう、機体をより完全な状態に仕上げるのはこっちとしても望むところ。それにこういう実戦形式の模擬戦は、
シンにとっても良い訓練になりますからね。大事な俺達の艦の門出の式で、ヘマなんかされちゃたまらないですから。いつかの
派手な墜落みたいに。なあ、シン』
シン 「ちっ……あの時は悪かったよ、ヴィーノ。プラントの内部重力を甘く見てた」
技師 『プラントではその構造上、高度によって重力が変動しますからね。地球生まれのシン君は戸惑われたことでしょう』
ヴィーノ 『ま、それが今ではエリートパイロットであるザフトレッドの一人で、新世代モビルスーツのフラッグシップである
インパルスのパイロットだ。ナチュラルでありながらここまで来た努力と根性は敬服に値しますよね』
シン 「……いつまでも無駄口を叩くなよ。さっさと始めてくれ」
ヴィーノ 『照れんなよシン。まぁいい、調整に調整を重ねた事実上お前専用機のインパルスだ。万が一にも無様晒すなよ?』
シン 「当たり前だ。ジン10機くらい、3分で片付けてやる」
ヴィーノ 『ほ、言いやがったな! んじゃー主任、容赦なくやっちまってください』
技師 『わかりました。ではシン君、頑張ってください。増援は波状パターンで行きます』
シン 「了解です」
ヴィーノ 『よし、インパルス、ハンガーオフ!』
(格納庫の扉が開き、ロックを解除されたハンガーから歩き出すインパルス。その勇姿が、日の光を浴びる)
STAGE1 青き衝撃
【ステージ:アーモリーワン軍事基地】
【自機:ネイキッドインパルス(シルエット非装着)】
【敵機:ジン×10】
【勝利条件:敵機の全滅】
【敗北条件:自機の撃破、またはタイムオーバー】
(ミッション開始)
シン 「敵機確認、攻撃に移る!」
ヴィーノ 『まずはお手並み拝見ってとこだな』
(初期登場2機撃破)
ヴィーノ 『やるじゃん。さっそく次、来るみたいだぜ?』
シン 「見えてる」
(増援2機撃破)
ヴィーノ 『お次は3機まとめて来るぜ。戦力比10倍、どう乗り切る?』
シン 「腕に決まってるだろ!」
(増援3機撃破)
ヴィーノ 『やるなあ。見ててほれぼれするぜ。同時にハラハラもするけどな』
シン 「お前、オペレートしてくれるんじゃなかったのか?」
(増援3機撃破、勝利条件達成・リザルト)
ヴィーノ 『お見事! その調子なら、これからの任務も期待できそうだな!』
〜 アーモリーワン、ザフト工廠 〜
ヴィーノ 「見ました? 主任。あいつ、本気で3分以内に片付けましたよ」
技師 「ええ、やはり大した腕前です。……ただ、少し気にかかることがあります」
ヴィーノ 「何です? インパルスは特に問題なく動いてたように見えましたけど」
技師 「機体は、確かにそうですね。しかし、このOSの動きを見てください。何か、引っかかりませんか?」
ヴィーノ 「え? いや、特には。……いつも通りじゃないですかね。的確に良い速さで処理してると思いますけど」
技師 (……確かに、傍目にはそれだけに見えるだろう。ただの、高性能なOS……しかしこれは、私の思い違いではないはず)
シン 『目標を達成したぞ』
ヴィーノ 「おう、お見事だったぜ、シン」
シン 『ところでヴィーノ、照準とトリガーの反応速度が前と微妙に違ってないか? もう少し、早くできそうな気がする』
ヴィーノ 「何? セッティングはこの間と同じはずだぜ。てことはシン、お前のスピードの方が上がってるんだよ」
技師 (……やはり)
シン 『じゃあ、また調整してくれ』
ヴィーノ 「OKOK。しかし、これでとうとうルナの奴を追い越しちまったな。この分だと、レイやハイネ隊長クラスまですぐ手が
届くんじゃないか?」
シン 『簡単に言ってくれるなよ。ザフトの本物のエースがいる領域までは、まだまだずっと先さ』
技師 (いや……案外、そう遠くはないかもしれない)
技師 (インパルスに搭載されているこのOSは、通常のOSと何かが違う……まるで、パイロットである彼の限界を常に探り、
それを突破させようと促しているように見える)
技師 (戦後、プラントの新たな防衛戦力を謳い、開発が進められたセカンドステージシリーズ……その筆頭であるインパルス
に組み込まれたこの不思議なOSと、前代未聞の、ナチュラルのザフトレッド)
技師 (どちらも、あのデュランダル最高評議会議長の指示と推薦によるものだ……そして、現にシン君とインパルスが弾き
出しているこの数値、この止揚……この先、彼がどこまで成長するのか、興味は尽きない)
技師 (ただ、同時に不安でもある……幸いなのは、今が戦時中ではないことだ。彼が無理な成長を強いられるような事態は、
そうは起きないと思いたいが……)
ヴィーノ 「よし。これでお前の操縦データは更新したぜ。でもこの数字だと、コクピット周り以外も改めて調整した方がいいかもな」
技師 「そうですね。では、思い切ってフルメンテしてみましょうか。インパルスの構造なら、明日の昼までには終わるはずです」
ヴィーノ 「お、いいっすね! シン、そういうわけだから格納庫に戻ったら分離だ。続きは明日だな」
シン 『ああ、了解』
〜 ザフト工廠近郊、リバーサイドホテル 〜
アウル 「ん? なんだ、もう終わりかよ。格納庫入っちまうぜ」
スティング 「他の新型に比べると、随分と地味な機体だったな。地上戦での運動性は高いようだが、それだけだ」
アウル 「いい絵撮れたか? スティング」
スティング 「カメラアイの動きから排熱のタイミングまで、細かくな。さすが、オーブ製は物が違う」
アウル 「モビルスーツからビデオカメラに至るまで丁寧に作りますってわけだ。あいつらは生かしといてもいいって気になるよな」
スティング 「それにしても、無防備なことだ。仮にも一般公開前の軍用機を、町外れの基地なんかで平気で動かすとはな」
アウル 「それだけ平和ボケしてんじゃねえの? 見せろよスティング、じっくり鑑賞会と行こうじゃん」
ステラ 「じゃあ……それ貸して、アウル。双眼鏡」
アウル 「なんだ、今頃起きたのかよステラ。もう報告漏れの新型は家の中だぜ」
スティング 「ここまで長旅だったとはいえ、ベッドに座るなり寝てしまうとはな。やはりお前には監視任務は無理だったな」
ステラ 「だって……退屈だったもの。二人もいたし……ね、貸して」
アウル 「あー、わかったわかった。なぁスティング、このパイロット、機体はともかく面白い動きしてんじゃね?」
スティング 「そうだな。コーディネーターにしては動きの中に無駄がある。しかしまんざら、反応が鈍いわけでもないようだ」
アウル 「案外、乗ってんのはナチュラルだったりしてな」
スティング 「ふん、さすがにそれは無いだろう」
ステラ 「……!」
アウル 「ん? どうしたよステラ」
スティング 「つまらん街だが、何か見えたのか?」
ステラ 「大変……!」
スティング 「おい待てステラ、どこに行く?」
アウル 「血相変えてすっ飛んで行きやがって……何だってんだ? アイツ」
〜 ザフト工廠近郊 市街地 〜
シン 「パイロットは休むのも仕事のうち、か。そりゃ、俺じゃメンテの戦力にはならないけど、いきなり自由時間って言われてもな」
シン 「しかも、夜までだなんて……一体何やって時間潰せばいいんだ」
シン (……そういえば、ザフトに入ってから訓練ばっかりで、あんまり遊んだ記憶がないな)
シン (いや、そうじゃない。あれから、ずっとだ。……遊んでなんていられなかった。ずっとずっと、がむしゃらだった)
シン (……あれから、もう5年も経つんだな。お前は天国で元気にしてるのか? マユ……俺も、今は空の上にいるよ)
シン (知ってたか? 宇宙に浮いてるプラントにも、川は流れてるんだ。魚だって泳いでる。人間ってすごいよな、マユ)
シン (こんなに凄いものが作れるのに、なんであんな酷いことが起きたんだろうな。……本当に、なんで……)
通行人 「うわ……どうするんだよ、あれ」
通行人 「何やってんだよ、まったく……」
シン 「ん? なんか騒がしいな……あの、何かあったんですか?」
通行人 「ああ、ほら、下見てみなよ、下」
シン 「下?……川? なっ……! が、崖に女の子が……張り付いてる!?」
通行人 「どうも、そこのフェンスに開いてる穴から向こう側に出たらしいんだけどね。危険防止用のフェンスなのにねえ」
シン 「こ、この高さ……下は川だけど、あの子、もし、このまま落ちたりしたら……」
通行人 「ああ、河川敷といってもほとんど絶壁の角度だ、転がり落ちたらただじゃ済まないだろうねえ」
通行人 「下手すると死ぬかもな」
シン 「あ……あの、レスキューは?」
通行人 「もちろん呼んだけど、今度の基地のお祭りの準備とか観光客とかで、結構渋滞してるからね。いつ来るやら……」
シン 「……」
シン 「工事用のワイヤー……それに、スチールの杭……。よし」
通行人 「お、おい君、そんなの持ってどうする気だ?」
シン 「あの子を助けに行きます。あれじゃいつ落ちてもおかしくない!」
通行人 「若いの、無茶なことはやめたほうがいい、君はレンジャーか何かか?」
シン 「ザフトのパイロットです。みなさん、通してください!」
通行人 「何、ザフトだって!?」
シン 「よし、降りられる……うっ、焦るな、焦るなよ……クライミングの訓練の通りにやれば……」
少女 「……?」
シン 「き、君、大丈夫か? そのまま、つかまっていられるかい!?」
少女 「う、うん……あなたは?」
シン 「俺は、シン! シン・アスカっていう! 助けに来た、すぐにそっちに行くから!」
少女 「シン・アスカ……。私は……」
シン 「くっ……よし、さあ、俺の腰に手を回して! いい? 帯をつかむよ? 君も俺のベルトをつかんで! 一緒にゆっくり登るよ!」
少女 「う、うん……!」
通行人 「ほぉ……やるもんだ」
通行人 「ザフトのパイロットってのは本当らしいな」
シン 「も、もう少し……地面がある、手をかけて」
少女 「うん……あ、大丈夫」
シン 「そのまま、登って……! はぁ、はぁ、やった……」
通行人 「おお、二人とも登ってこれたぞ!」
通行人 「大したもんだ」
少女 「……ありがとう。えっと、シン……」
シン 「はぁ、はぁ……無事で、良かったよ。でも、なんであんなところに?」
少女 「それは……この子が」
小犬 「クゥゥ……」
シン 「……犬?」
男の子 「クド! クド、大丈夫かい!」
少女 「あなた、この子の飼い主……?」
男の子 「うん……ごめん、ごめんよクドリャフカ、僕が目を離したから!」
シン 「……そうか、この小犬がフェンスの外に落ちてたのを見て、君が助けに?」
少女 「うん。……途中で、動けなくなっちゃったけど。よかったね、この子が帰ってきて」
男の子 「ありがとう、お姉ちゃん、お兄ちゃん……本当にありがとう……」
(その時、レスキューのサイレン音が近づいてくる)
通行人 「お、レスキュー隊の車だ。今頃来たか」
少女 「……!」
シン 「どうしたの? 急に立ち上がって」
少女 「ここにはいられない……」
シン 「え?」
少女 「あなたには用事がある、一緒に来て」
シン 「え、ちょっと……うわっ!」
男の子 「お姉ちゃん……?」
少女 「その子を大事にしてあげて」
男の子 「う、うん……」
シン 「ちょっと待って、君、手を……っ!」
男の子 「……」
小犬 「クゥ……」
少女 「ここまで来れば……」
シン 「はぁ、はぁ、あの……」
少女 「?」
シン 「その……手、放してくれるかな」
少女 「あ、ごめんなさい……」
シン 「それで、君……なんで、急に走り出したりしたの? まるであそこから逃げたかったみたいに。それに俺まで連れて……」
少女 「……ステラ」
シン 「え?」
ステラ 「ステラ・ルーシェ。それが私の名前。ステラって呼んで」
シン 「あ、ああ。ステラだね。俺の名前は……」
ステラ 「シン・アスカ。さっき、最初に教えてくれた」
シン 「……そ、そうだったね。じゃあ俺はシンでいいよ」
ステラ 「うん、そう呼ぶ。シンの一つ目の質問への答えはね」
シン 「え……? ああ、うん」
ステラ 「私は、面倒なことはあまり好きじゃない。面倒ごとに巻き込まれるなとも言われているの。いつも」
シン 「あ……そ、そうなんだ」
ステラ 「それで、二つ目ね。私、あなたに用事があったの。大切な用事」
シン 「俺に、大切な用事?」
ステラ 「うん。シン、私を助けてくれてありがとう。嬉しかった」
シン (……っ!)
ステラ 「お礼をきちんと言いたかったの。そして、名前も知って欲しかった。本当は、無闇に人に教えるなって言われてるけど」
シン 「いや……そんな、礼を言われるほどの……。ステラか、綺麗な名前だね……」
シン (なんか……ちょっと、不思議な感じもするけど。……すごく可愛い笑い方する子だな)
ステラ 「誉めてくれてありがとう。私も、この名前が好き。母様がつけてくれた名前だから。星みたいにきらきら光りなさいって」
シン (……お母さん、か)
ステラ 「あっ。……三つ目があったみたい」
シン 「え?」
ステラ 「シン、手を出して。左手」
シン 「左手……あっ、やっちゃってたか……ワイヤーで切ったんだな」
ステラ 「それほど深い傷ではないみたい。でも、後でちゃんと病院に行った方がいい……」
シン 「そうだね。あ、いいよ、別に! ハンカチなんて巻かなくても……」
ステラ 「動かないで」
シン 「でも、こんな綺麗なハンカチなのに」
ステラ 「いいの。……これでいいわ、私のせいで怪我をさせてしまって、ごめんなさい」
シン 「ううん。……君、優しいんだね。ステラ」
ステラ 「優しいのは、あなたよ。あんな所へ、誰かに命令されたわけでもないのに助けに来る人なんて、普通いない」
シン 「それは君も一緒なんじゃないのかい? 飼い主でもないのに、犬を助けに危険なところに降りていったんだし」
ステラ 「……面倒ごと。余計なことはするなって、いつも言われてる。でも、あの時ああせずにはいられなかった。あの子、助けを
求めて震えてた」
シン 「……」
ステラ 「シン、あの子を見つけたのが私でなくあなただったら、きっとあなたも同じことをした」
シン 「……たぶんね。でも俺、意気地なしだからな……」
ステラ 「……ザフトにも、あなたみたいな人がいるのね。ふふ、知らなかった」
シン 「え?」
ステラ 「さっき、誰かが言ってたのを聞いたの。あなた、ザフトの人なんでしょう?」
シン 「ああ、うん。まあ……」
ステラ 「私、ザフトは好きじゃない。……だから、もう行かないと」
シン 「そ、そう……」
ステラ 「でも、あなたのことは嫌いじゃない。だから、教えておいてあげる」
シン 「……?」
ステラ 「進宙式の日は、そこにいないほうがいい。それが、あなたのため」
シン 「え……どういう意味?」
ステラ 「さようなら、シン。……あなたに会えて、嬉しかった」
シン 「……ありがとう、ステラ。……それじゃ……」
to Next Stage.
>>596 GJです。
色々な意味で斬新な作品ですな。
特にナチュラルに設定されたシンが今後燃える展開を呼びそう。
シンがしっかり主人公してるし、続きも気になるところですし、
今後も投稿してもらえるとありがたいですな。
ステラがアホの子じゃないのがいいな
やっぱ不必要に池沼なのよりもこっちのほうがいいな
続きを投下します。
アーモリーワンの近辺宙域での戦闘は続いていた。
レイの白いザクファントムとネオが駆るエグザスの戦いはほぼ互角であったが、シンのインパルスとアリーシアが操るガイアとの戦いはアリーシアのワンサイドゲームと化していた。
「くそっ、あんたは一体何なんだ!」
シンは必死にガイアを落とそうと必死になるが完全に遊ばれており、顔に焦りが浮かぶ。
アーモリーワン内部で戦っていた時も確かに強かったが、自分にとって圧倒的といえる程ではなかったのにアーモリーワン内部で一瞬動きを止めたあの瞬間から別人が乗っているかのように圧倒的に強い。
「こんなに弱いのにガンダムを与えられているということは、大器晩成型なのかしら。それとも人材不足?」
アリーシアはインパルスのビームライフルから発射されるビームを斬り払いながら、目の前にいる相手について考える。
白いザクファントムと交戦しているネオは赤と灰色の戦艦がこちらに近づいてくることに気づく。
「タンホイザーを除く全武装機動。目標、敵所属不明艦」
「タリア。彼らは助けないのか?」
タリアの指示にふと疑問に思ったデュランダルはタリアにそう尋ねる。
彼らとはインパルスに乗るシンと白いザクファントムを駆るレイのことだ。
「ですから、敵母艦を攻撃するんです」
デュランダルの疑問に少々あきれ気味に答えたあと、再びクルーに指示をだす。
「欲張っては元も子もないか」
ネオは自分達の母艦であるガーティ・ルーが赤と灰色の戦艦に攻撃されているのを見て撤退を決める。
「撤収するぞ!」
ネオは白いザクファントムを振り切り、ガイアに音声のみの通信を入れ、急いで自らの母艦に帰還し、その通信を一方的に受けたアリーシアも機体を反転させてガーティ・ルーに帰還する。
「艦長。エグザス及びガイアが着艦しました」
クルーの報告を受けたリーは、一瞬、躊躇ったあとに指示を出す。
「両舷の推進剤及び予備タンクを分離後爆破!アームごとで構わん!その爆発を目くらましにして最大戦速で一気に逃げるぞ!」
ガーティ・ルーは赤と灰色の戦艦に丁度激突するように推進剤と予備の燃料を切り離し、最大戦速で逃げ始める。
ミネルバは推進剤と予備の燃料を切り離すという予想外の行動に虚を突かれ、咄嗟に撃ち落とすがその爆発で視界を塞がれた為、その隙に最大戦速で逃げる敵所属不明艦に大きく距離を稼がれてしまった。
とりあえず、信号弾を発射してインパルスとザクファントムを帰還させる。
「申し訳ありません。議長」
「随分、手強い部隊のようだな…」
デュランダルはカオス、ガイア、アビスを強奪された事実に頭を抱えて大きなため息をつく。
「議長。所属不明艦の追撃の許可をいただきたいのですが…」
「私は構わない。この火種、放置すればどれほどの大火になって戻ってくるか…アスハ殿は?」
「私も構いません。今は何であれ世界を刺激することは絶対にあってはならない」
「ありがとうございます。アスハ殿ならきっとそう言ってくれると思っていました」
こうして、ミネルバの方針が決まる。
「あの所属不明艦をボギーワンと命名。これより追撃を行う」
ミネルバは加速し、ボギーワンを追う。
そのボギーワン…ガーティ・ルーの方では調整室へ運ばれたステラと一緒にガイアに乗っていた人物にネオとリーは驚く。
「何故あなたがガイアに乗っていたんですか!?」
「久し振りに休暇が出から、敵陣視察も兼ねてアーモリーワンで行われる新造艦の進水式を見に行ったの。そうしたら、色々あって彼らのガンダム強奪にはち合わせたという訳」
「はぁ」
リーの質問に何事もなかったかのように答えるアリーシアにネオはため息をつく。
三人はブリッジへ移動しながら会話を続ける。
「スティングから聞いた話ではアウルがステラにブロックワードを言ってしまったようです」
「アウルの奴、面倒なことをしてくれたな。調整に時間がかかるぞ。ラボはもう少しまともなのは作れなかったのか?」
リーの報告に苛立ったネオは八つ当たり気味に呟く。
「それでも前のよりはマシでしょう。何より今は何もかもが試作品。この部隊にこの艦、彼らや強奪したMS。そして、この世界も。いかなる試作品でも完成品にするには、多くの過程を踏み、試作品の修正あるいは排除するべき点を修正するか排除することが必須。そして…」
「そして、この世界においてその排除するべき点は、あのコーディネイター共ということですな」
リーは彼女が最後に言うであろう結論を先に言う。
「オーブのアスハ?」
「そっ、私も知った時はびっくりしたわよ。こんな所に前大戦の英雄が来るなんて思ってもみなかった」
「でも、アスハって、落ちぶれているんだろ?だからそう騒ぐほどの事でもない」
シンは適当なところでルナマリアとの雑談を終わらせようとするが、ルナマリアはオーブのアスハとは別の話題を出す。
「アスラン・ザラって知ってるよね?」
「それがどうしたんだよ」
「アスラン・ザラって聞いた話ではオーブに亡命したって聞くじゃない。ひょっとしたら、そのアスラン・ザラもこの艦にいたりして、偽名を名乗って、アスハの護衛としてね」
シンは「お前、馬鹿だな」と突っ込みたくなったが、それをこらえた。
なんだかんだ思いながらもルナマリアと雑談していたシンは上の通路で議論する声が聞こえたので何となくそっちの方を向くとデュランダルとカガリが護衛を連れてその場で軍備拡張について議論していた。
細かいことはわからないが、デュランダルが現実論、カガリが理想論いわゆる綺麗事を言っていることはシンにも大体わかる。
アスハはあんな事があっても、まだ綺麗事を吐いているのか。
そう思うと苛立ちと怒りがこみ上げてくる。
「流石、綺麗事はアスハのお家芸だ!落ちぶれてもまだそんな事が吐けるんだからな!」
シンはそう吐き捨ててカガリに憎悪の視線を向けたあと、その場をあとにする。
カガリは一瞬動揺するがすぐに落ち着きを取り戻す。
「デュランダル議長。彼は?」
カガリの護衛であるアレックス・ディノはデュランダルに赤服の少年が何者か尋ねると。
「彼はオーブからの難民だそうだ。家族は全員、戦火に巻き込まれて死亡しているらしい。…それにしても本当に申し訳ないことをしました、アスハ殿」
「いや、平気です」
デュランダルの謝罪にカガリはそう答えるが完全に平静でいる訳ではない。
その場に重い空気が流れる。
ミネルバとガーティ・ルーの距離は約9000にまで縮まっていた。
戦艦の性能を決める要素の一つはレーダー等の最大索敵範囲。
相手よりも索敵範囲が広ければ広いほど、相手より先に攻撃の準備をすることができ、戦闘に有利な状況を作れるからだ。
「敵艦を捕捉。例の艦と思われます。距離9000」
先に敵艦を捉えたのはガーティ・ルーの方。
「やはり、追ってきたか」
クルーの報告にブリッジの艦長席でリーは毒づくように呟く。
「物事は常に最悪の事態を予想するべきだ。特に戦場においてはな」
ネオはそう語る。
「さて、奴らを迎え撃つ策はもう考えているんだが、誰を時間稼ぎに使うべきか…」
「ステラ達は、どうですか?」
「いや、ステラがまだ調整中だ。それに強奪した三機もデータを取り終えてない以上、使うわけにはいかない。ダガーLも殆どが整備と補給を終えていない」
ネオは考えた末に自分が出るという結論に達した直後、
「なら、私が出るわ」
不意にそう言ったのはアリーシアだ。
「待ってください!もし、ご自身の身に何かあったら困ります!」
「でも、この艦が沈んだら元も子もないでしょ。ひょっとしたら、少しは楽しめるかもしれないし。そんなに心配だったら、整備と補給がある程度終わったダガーLでも一、二機護衛に付ければいい」
ネオはアリーシアを遮るがアリーシアは聞かない。
「MSは?」
「試作型のウィンダムが一機余っています」
「じゃあ、それに乗るわ」
アリーシアは笑みを浮かべながらブリッジを出ていく。
ネオはわからないといった具合にため息をついたあと、指示をだす。
「ボギーワンを捕捉。距離8000」
ボギーワンとの距離が約8000を切ったところでミネルバはボギーワンを捉える。
CIC要員でルナマリアの妹であるメイリン・ホークの報告を聞いて皆が配置につき、デュランダルとカガリもブリッジに戻ってゲスト席に座り、タリアは指示を出す。
「総員戦闘準備。ボギーワンとの距離が6000を切り次第、MS部隊は発進せよ」
「シン」
「レイか」
パイロットスーツを着て待機しているシンにパイロットスーツ姿のレイが声をかけてきた。
「シン。さっき、お前が言ったことも正しい」
レイは淡々と言う。
「当たり前だ。で?本題は?」
シンに訊かれ、レイは真剣な表情になる。
「お前はアーモリーワン内部で一瞬動きを止めたあの瞬間以降のガイアと戦っていた。お前は俺が戦ったあのMAとも戦っていたな?」
「それがどうしたんだよ?」
「あの瞬間以降のガイアとあのMA。どっちが強かった?」
シンは少し黙ったあと、一言だけ「ガイア」と答える。
赤紫のMAとの戦いも自分が押されていたが、まだ戦いといえる内容だった。
しかし、あの瞬間以降のガイアとの戦いは戦いとはいえず、ガイアの一方的なワンサイドゲームであった。
「もしあの時、俺があのガイアと交戦していたら、どうなっていたと思う?」
シンはレイの質問に答えようとしたその時、不意に放送が流れる。
『ボギーワンとの距離が6000を切りました。シン・アスカとルナマリア・ホークの両名は各々のMSで出撃し、先行してください』
シンは放送を聞いて急いで自分の機体に乗り込む。
ルナマリアが乗る、赤いザクウォーリアは近〜中距離戦に特化したスラッシュウィザードを装備して発進準備を整える。
「ルナマリア・ホーク。ザク、出るわよ!」
赤いスラッシュザクウォーリアが出撃したのに続けてシンが乗るコアスプレンダーも発進準備を整える。
「シン・アスカ。コアスプレンダー、行きます!」
コアスプレンダーが発進したのと同時にチェストフライヤーとレッグフライヤーが射出され、それらが合体してインパルスになり、続けて射出されたブラストシルエットを装着。
カラーリングが変化し、砲撃戦と対艦攻撃に特化したブラストインパルスになる。
二機のMSが先行する光景を見ながら、不意にデュランダルは、
「ここにいる我々がボギーワンと呼んでいるあの艦。本当の名前は何と言うのだろうね」
デュランダルはアレックスの方を向いて話を続ける。
「名とはその存在を示すものだ。もし、その名が偽りならば、その存在そのものが偽りということになる。そうは思わないかね。アレックス君。いや、アスラン・ザラ」
今のところ、殆どアニメ等に沿った展開です。
今を含めて本当の意味で少し展開が変わっていきます。
607 :
シンルート:2007/09/01(土) 17:44:49 ID:???
(こちらも続きです)
(一話ずつといきたいですが長すぎて連投制限に引っかかりそうなので時間を分けて投下)
〜 進宙式当日、港湾基地ドック内ミネルバ艦橋 〜
メイリン 「あ、あめんぼあかいなあいうえお、うきもにこえびもおよいでる……」
アーサー 「メイリン」
メイリン 「かきのきくりのきかきくけこ、きつつきこつこつかれけやき……」
アーサー 「メイリン! メイリン・ホーク、少しは落ち着きたまえ」
メイリン 「はっ、はい! すみません副長、わ、私、緊張しちゃって……」
アーサー 「たかが開会式のアナウンスじゃないか。もっと楽に構えていいんだよ?」
メイリン 「で、でも、議長や議会の皆さんに、オーブみたいな地球からのお客様方とか、それにこんな……大勢の人達の前で
喋るなんて。た、たかがじゃないです、こんな大役、私みたいなぺーぺーの新人がやっちゃって本当に良いんでしょうか……」
グラディス 「ミスさえしなければね」
メイリン 「か、艦長……!」
グラディス 「ふふ、なあに? 夜道で夜叉にでも会ったような顔をして。私、今までそんなにこの子達を厳しく躾てきたかしらね。
ねえ、アーサー」
アーサー 「傍目には、割と鬼だったと思いますが。メイリンに限らず、この船のクルーに対しては分け隔て無くたっぷり鞭を
降らせていたと記憶してます。時々泣かしちゃうくらいに」
グラディス 「まあ、そうだったの? メイリン。それにアビー?」
メイリン 「あ、あわわ……」
アビー 「い、いいえ! 滅相もありません! かのヤキン・ドゥーエ戦役を生き抜いた英雄の一人であるタリア・グラディス艦長の
薫陶を受けられたことは、我々クルーの誇りであります!」
グラディス 「まあ、嬉しいことを言ってくれるじゃない。メインオペレーターのメイリンは自信なさげだし、急遽サブのあなたが代役
に立ってみる? アビー・ウィンザー」
アビー 「はっ!? ……あ、あの、私はっ……いえ、ご、ご命令ならば……」
メイリン 「……」
アーサー (ふむ……)
メイリン 「あの……やっぱり私がやります、予定通り、私にやらせてください、艦長」
グラディス 「あらメイリン、あなた緊張してるんじゃなかったの? 大丈夫なのかしら?」
メイリン 「だっ……大丈夫です。冷静に乱れなく、簡潔に丁寧に、臨機応変に、やってみせます。任せてください!」
アーサー (ザフトアカデミー通信科の心得か)
グラディス 「なら、予定通りあなたに任せましょう。やってごらんなさい、メイリン・ホーク」
メイリン 「あ、ありがとうございます!」
アビー (ふう……良かった、二重の意味で)
グラディス 「ま、これもあなた達にとっては貴重な訓練になるはずよ。ミスの許されないプレッシャーに慣れておくことは、戦場に
出た時にも必ず役に立つ。頑張りなさい、当てにしてるわ」
メイリン 「はいっ!」
グラディス 「……それにしてもアーサー、今日は本当に賑やかね。一般からの来場者で、基地がまるで行楽シーズンの遊園地
だわ」
アーサー 「それだけ、今日の式の開催に及んで民間からの関心も高いということでしょう。外観も性能も従来のザフト艦とは
一線を画する新造艦ミネルバ、擁するは一騎当千のモビルスーツとして名高い新型のGタイプを現時点でも4機。更に、その
パイロットはアカデミーが輩出したトップガン候補であるザフトレッドで固められています」
アーサー 「加えて、その部隊の想定している任務の内容が、今も続いているモビルスーツによるプラントへのテロ行為の警戒
及び鎮圧とくれば、その船出の日が人々に期待をもって迎えられるのは当然の事ではないかと」
グラディス 「確かにね。ザフトの粋を集めて結成された、人々の安全を守るために戦う最強の遊撃部隊。実に分かり易く、実に
ヒロイック。名も実も大衆には好まれるわね。特に男の子なんかは凄く憧れたりするのかしら」
アーサー 「きっとそうでしょうね、立案時にはこの私も年甲斐もなく胸が躍りましたから」
グラディス (それも計算のうちなんでしょうね、ギル。いえ、ギルバート・デュランダル議長。でも、私も理解しているつもりよ)
グラディス (私達という明確な守護者像を提示することによって人々に安心感を与え、とりあえずの信用を維持する。それは
確かに意味のあることで、必要不可欠なことでもある。しかし……)
グラディス (現実として、今のプラントに真に必要なのは、ミネルバ隊ではない。どこへでも届く強力な一本の槍ではない。求め
られているのは、頭数の揃ったモビルスーツ。そしてパイロット。旧式でも良い、アカデミー出でなくても良い、ざっと今の10倍の
数の兵力があれば、それが一番理想的だった)
グラディス (おそらくは反コーディネーター主義者、ブルーコスモスによって繰り返されているテロは、年々頻度が増加している。
その攻撃からより多くの人を確実に守るには、充分な数の、一見には過剰なほどの数の楯を、兵士を揃えるしかない)
グラディス (けれど、ユニウス条約に定められた軍縮を忠実に守り続けるには、これ以上の数のモビルスーツを配備することは
不可能。……ならば、個々の戦力を可能な限り高め、能力で数の不備を補うしかない。セカンドステージシリーズは、最初から
苦肉の策だった)
グラディス (戦後、プラントはナチュラルとの共存を強く意識して動いている。少なくとも、デュランダル議長はそういう政治を
行っている。ナチュラルとの関係を硬化させてでも条約の改正を求めるべきだとするソラス派を抑えるためにも、私達はその
苦肉の策で乗り切るしかない)
グラディス (厳しい戦いになる……その戦いに負けないために私ができることは、この艦を、遊撃隊ミネルバを、その名の通り
戦女神の振るう最強の槍として鍛え上げる。それしかない)
グラディス 「正直、この年で英雄の役なんて、あまり引き受けたくはないものだけどね。それでも、期待されているのなら応え
たいものね。アーサー」
アーサー 「はい、艦長」
アビー 「式典開始、10分前です」
グラディス 「しっかりね、メイリン」
メイリン 「はいっ!」
〜 ザフト工廠、格納庫 〜
シン 「コアスプレンダー、OS起動……各部チェック開始……システムオールグリーン。続けて待機レベルでの暖機開始、と」
ヴィーノ 「シン、随分はりきってるじゃないか。お前の出番は午後だろうに、もう火を入れちまうとはな。しかも着替え済みかよ」
シン 「ああ。警戒態勢やパイロットスーツで過ごすのにも慣れておかないといけないしな。……あ、花火だ。始まったな」
ヴィーノ 「メイリンのアナウンスでライブ放送だそうだぜ。休憩室のテレビで見ないか?」
シン 「悪い、俺はここで遠目に見てるよ。コクピットにもモニタはあるし」
ヴィーノ 「そうか? へへ、お前実は緊張してんじゃねえの?」
シン 「そりゃ、ちょっとはな。後でコーヒーでも貰いに行くよ、ヴィーノ」
ヴィーノ 「おう。ま、気楽にやろうぜ、シン。門出の式とはいっても、こいつはお祭りみたいなもんなんだからよ」
シン (お祭りか……確かにそうだよな。向こうはすごい賑わいだ。オーブの夏祭りもあんな感じだったっけ)
シン (……「そこにいないほうがいい」、か。ここは確かに、「そこ」じゃないよな。でも、何を言いたかったんだ? あの子は……)
シン (胸騒ぎがする……)
〜 港湾基地、格納庫 〜
ハイネ 「ちょっとは落ち着いたらどうだ、ルナマリア。ていうか、そう何度も立ち上がるんじゃない。画面が見えないだろ!」
ルナマリア 「す、すいません隊長。ああ、でも、メイリンたらめちゃくちゃ緊張してる。ああもう、大丈夫かしらあの子」
ハイネ 「そんなに妹の仕事ぶりが心配か? なかなかどうして、綺麗なアナウンスじゃないか。なあ、リロイよ」
リロイ 「そうですね、僕も今のところ特に問題はないかと思いますが」
ルナマリア 「これはあの子がテンパってる時の声なのよ! 分かんないかな、ほらもう、今にも噛んじゃいそうな感じなの!」
ハイネ 「さっぱり分からんが、ともかくマイクの向こうのテンションまでしっかりお見通しってわけか。ま、さすがは姉貴だな。
今はどっちかっていうと親馬鹿の母親みたいだが」
ルナマリア 「あたし全然そんな年じゃないです! アカデミー卒業したてのエリートパイロットですよ、格闘限定ですけど!」
リロイ (……ふん)
ハイネ 「規定違反ぎりぎりの丈のスカートから覗く元気な太股見てりゃ分かるよ。ひらひらして整備班の若人達の目の毒だから、
おとなしく座ってろ」
ルナマリア 「は、はい。……ところで今のセクハラですか? ハイネ隊長」
ハイネ 「気にするな。それよりどうだ、結局順調にアナウンスしてるみたいじゃないか。こいつは心配するまでもないと思うが?」
ルナマリア 「……」
ハイネ 「確かに最初は俺の目から見ても、気弱で上がり症でどもり癖のある駄目なオペレーターだったがな。実力ついたぜ、
お前の妹は」
ルナマリア 「……はい」
ハイネ 「格闘限定ではあるが、その一本でザフトレッドを勝ち取ったお前と肩を並べたくて必死に頑張ったんだろうよ。後で
誉めてやろうぜ。やりゃあできるじゃないかってな」
ルナマリア 「はい。……そうします」
ハイネ 「それにしても、メイリンといいシンといい、この艦には鍛えて極端に伸びた奴が多いな。特にシンを見ていると、俺達
コーディネーターとナチュラルは実は大して違わないんじゃないかとさえ思えてくる。俺達もうかうかしていられんぜ」
リロイ (……それは買いかぶりってやつですよ)
ハイネ 「ん? どうした、リロイ」
リロイ 「ちょっと風に当たってきます。ここはどうも空気が悪いので」
ハイネ 「そうか? ま、俺達の出番はまだ先だから構わんが、落ち着いたら早めに戻ってこいよ。あ、こらルナマリア。だから
無闇に立つなって言ってるだろ!」
リロイ 「……」
リロイ 「ふぅ……ここなら少し静かだな。多少オイル臭いが、我慢しよう。……ルナマリアめ、取っ組み合いしか能のないガサツ
な女が、いい気になりやがって」
リロイ 「ハイネ隊長もだ。あの人は全く分かっていない。何も分かっていない。奴に、実力などあるものか」
リロイ 「カオスに、アビスに、ガイア……何度見ても、良い機体だ。素晴らしい機体だ。……忌々しいほどに」
リロイ 「気に入らない……全く気に入らない。あの伝説のGタイプが4機も配備されるというのに、なぜ僕はザクなんだ。なぜ、
僕はザフトレッドじゃないんだ?」
リロイ 「アカデミーの最終試験、モビルスーツ同士の模擬戦で奴に敗れなければ、ザフトレッドになっていたのは間違いなく、
この僕だった。あの敗北は、僕のミスではない。奴のまぐれ勝ちだ。もう一度やれば、必ずこの僕が勝つ。そうだ、どんなに
浅ましく努力しようと、ナチュラルごときが僕達コーディネーターに勝てるはずがないんだ」
リロイ 「シン・アスカめ……お前は、いずれ必ず馬脚を現すさ。劣等人種であるお前が、高度な対テロリスト戦についていける
はずがない。その時こそ、この僕が、このリロイ・バアルがお前に取って替わってやる。インパルスには、僕こそが相応しい!」
リロイ 「ふぅ、ふぅ、フフフ……そうとも。チャンスはこの先、いくらでもあるさ」
少年兵 「あの、すみません、新型のパイロットの方ですよね。警備部の者ですけど、差し入れに来ました」
リロイ (……?)
リロイ 「ああ、ご苦労様。どうかな、会場の様子は」
少年兵 「もうすごい賑わいですねぇ、空調が追いつかなくて、この暑苦しい制服なんか脱いじゃいたいくらいですよ」
リロイ 「そうなんだ。よく分かるよ、それ。ところで、差し入れの中身はなんだい? 冷たいものかな?」
少年兵 「それはですね……」
(リロイが突然少年兵に銃をつきつける)
リロイ 「おっと……その袋から手を抜くなよ。その中身、鉄だな? 銃か? ナイフか? 随分と歯に優しくなさそうな差し入れだね」
少年兵 「え……あの、何を……」
リロイ 「銃かな。オートマチックが二挺……袋の持ち方で分かるんだよ。いくら自然に装っても、独特の重さはなかなか隠せない」
リロイ 「いや、正直、まさかと思ったけどね。ようこそ、小さなテロリストさん。歓迎してあげるよ」
少年兵 「……」
少年兵 「……ふぅん。対テロリスト用の精鋭部隊って触れ込みは、まんざらハッタリでもなさそうじゃん」
リロイ 「君達みたいな手合いの相手は、ちょくちょくやらされてきたんでね。それで、本当の警備部の連中はどうしたんだい? 今日
の式は、全体的に少し多いくらいに人数配分されてたと思うんだけど」
少年兵 「あー、確かに、精一杯優秀そうなのを掻き集めたんだろうなとは思ったよ。けど、チームワークがなってなかったな。数も
半端、質も半端。おまけに連携も取れてない。あんな警備、俺から見れば畑に立ってるカカシだね」
リロイ 「一理あるよ。本当に必要なのは、無能を排除した少数精鋭の体制だからね。もっと良いのは、忠実な駒としての集団を
優秀な人間が支配するコミュニティだけど。とりあえず君には、僕がそこまで上がるための最初の手柄になってもらおうかな」
少年兵 「はは、カカシが何か寝ぼけたこと言ってやがる。与太話してる暇があったら、仲間でも呼びゃ良かったのによ」
リロイ 「何……?」
少女兵 「……」
(いつの間にか現れた少女兵が、リロイにナイフを突き立てる)
リロイ 「えっ……うっ、うわああっ! コ、コンバットナイフだと……っ!?」
少女兵 「抜こうとしない方がいい……そのまま寝てた方が楽」
リロイ (刺さっている……刺さっている! この僕が、気配をまるで感じられなかっただと……軍事訓練を受けたコーディネーター
であるこの僕が!なんなんだこいつらは……ただのテロリストじゃない、ば、化け物……!)
少年兵 「ちっ、いつまでも俺の陰に隠れてんじゃねえよ馬鹿。それになんで急所を一撃でやっちまわないんだ?」
少女兵 「……」
リロイ 「け、警報を……警報を鳴らさなければ! 早く、早く助けを……」
少年兵 「仲間を呼ぶってのは、そういうことじゃないんじゃね? この場合」
(少年兵が、リロイに拳銃を撃ち込む)
少年兵 「セキュリティは事前にスティングが騙くらかしてるっつっても、あんまり待たすとまた雷落ちんぞ。さっさとお宝頂戴だ」
少女兵 「うん……」
リロイ 「ぐふっ……ち……畜生……あいつら……僕をこんな目に遭わせやがって、許さない……!」
リロイ (お宝……まさか、いや間違いない、あいつらの狙いは……!)
〜 港湾基地ドック内、ミネルバ艦橋 〜
(ノイズの走るメインモニタ。激しい銃撃音が粗い映像を揺らしている)
メイリン 「お、お姉ちゃん! どうなってるの、よく聞こえないよ! お姉ちゃん!」
ルナマリア 『だから……何者かの襲撃を受けてんのよ! Gタイプの格納庫が! ハンガーのキャットウォークの方……いきなり、
機関砲が! 休憩室の窓を……やられちゃったのよ、ジェレミーもアンリも! ちくしょう、ちくしょうあいつらああ!』
アーサー 「……つまるところ、賊に侵入を許したというのか? あの厳重な警備とセキュリティが、今日のために敷かれた警戒態勢
が、こちらの知らぬ間に突破されたと? ……馬鹿な!」
グラディス 「アーサー、冷静に。ルナマリアも落ち着きなさい。そちらには何人残っているの? 生存者は?」
ルナマリア 『は、はいっ……現在、無事なのは私と整備スタッフが6人、シドとマーティン、ジェニファーにキザキ、クストンとドニー
……ハイネ隊長はサブマシンガンで応戦してますが、左肩を負傷してます……。他は……9人全員……』
メイリン 「うっ……」
グラディス 「ルナマリア。あなた、機関砲と言ったわね。……それは、今も続いているこの銃撃音……いえ、砲撃音のことね?」
ルナマリア 『は、はいっ、そうです!』
アーサー 「……まさか、この砲音は……メイリン! 格納庫に、いや、そこにあるGタイプにアクセスを試みろ。急げ!」
メイリン 「りょ、了解です! ……え? スリープモードにあるはずのGタイプが……げ、現在起動を始めています! この砲撃は、
OSの起動ファースト・フェイズから手動で管制された、カオスの頭部機銃です!」
グラディス 「……やはり。こちらからの緊急停止コードの入力を許可します。AからD、全てよ」
メイリン 「了解です!」
グラディス 「ルナマリア、その格納庫の休憩室には、地下通路に抜けられるルートがあるはずよ。ハイネも含む生存者を連れて、
すぐにそこから避難しなさい。反撃しようなんて考えないで。あなた達はそこから生き残ることだけを考えなさい」
ルナマリア 『は、はいっ!』
グラディス 「アビーは司令部に再度連絡を取りなさい。格納庫へ向かっている警備兵に加えて、避難誘導とモビルスーツによる
包囲の要請を。体裁を気にしている場合ではないと強調しなさい。侵入者の目的は、Gタイプの奪取です」
アビー 「りょ、了解です!」
アーサー 「……どうなっているんだ。基地の警備態勢だけでなく、Gタイプの第一級のセキュリティまで抜けられたというのか!?
一体何者なんだ、あそこにいるのは!」
グラディス 「質と量……そんな単純な問題ではなかった。私も、平和惚けしていたのかもしれないわね」
アーサー 「え……?」
メイリン 「艦長、緊急停止コード全て拒絶されました! 3機全てに防壁が構築されています、プロトコルまで……いえ、OS自体が
言語系からリライトされている可能性が! き、起動フェイズ、終了します……!」
アーサー 「……この短時間で……。化け物か……」
グラディス 「アーサー、艦長権限で艦載機登録されている全ての機体に実弾装備と出撃許可を出します。代理で手続きを。30秒
で済ませて」
アーサー 「りょ、了解しました!」
アビー 「格納庫搬入口、内部から破壊されました! アビスのビームハルバートです!」
グラディス 「総員に通達。本艦に配備予定であった新型Gタイプ、カオス、アビス、ガイアの3機が何者かに奪取された。ザフト非常
時通則特例により、現時刻をもってミネルバは進宙式のプログラムから外れ、対MSテロ遊撃部隊として活動を開始する。作戦目的
同3機の奪回、もしく撃破である。これは演習ではない。繰り返す、これは演習ではない」
グラディス (どこかに隙があったのかも知れない。隙を無理矢理作らされたのかもしれない。そして、あるいは……。私達の戦いは
既に始まっていたということね。デュランダル議長)
〜 港湾基地 観覧席 〜
デュランダル (戦いはとっくに始まっていた、ということか……鮮やかな手並みと言うほかはない。しかし、それだけではないな)
議員A 「ええい、何が一体どうなっているのだ! い、今の爆発は何だ!?」
議員B 「格納庫エリアの方からだった。こんなデモンストレーションがあるとは、聞いていない!」
議員C 「あれは、火の手が上がっているのではないか? ここからでも煙も見えるぞ!」
文官 「た、ただいま状況を確認中であります!どうか今暫くお待ちください、議員の皆様」
議員A 「急ぎたまえ! 何万人の見物客がいると思っているのだ、怪我人でも出たらソラス派に糾弾の的を与えることになるぞ」
議員C 「デュランダル議長、万一ということもあります。すぐに避難された方が!」
デュランダル 「……アスハ代表は、今どちらにおられますか?」
議員C 「先ほど、基地を見て回られると、外へ行かれたはずですが……議長!」
デュランダル 「彼女には護衛の彼もついていた。ご無事でいらっしゃれば良いのだがな……」
文官 「た……ただいま、報告が得られました。東側第13番格納庫が何者かの襲撃に遭い、本日一般公開予定であった、新型
モビルスーツ3機が……ご、強奪されたようであります……」
デュランダル (だろうな……今日この式典を狙うのならば、標的はそれしか考えられない)
議員A 「……はは、例のGタイプが奪われたと……? 一体何の冗談だね。それは」
議員B 「全くだ。全く質の悪い冗談だ。責任者をここへ呼べ!」
レイ 「議長、ミネルバが非常時特例により動き出しました。私にも出撃命令が下っています」
デュランダル 「そうか。幸運を祈るよ、レイ。では議員の皆さん、我々もより安全な所へ避難するとしましょう。議論や責任の追及は
生き残った後で存分に。ここにいては、基地の方々の邪魔になります」
議員B 「くっ……」
デュランダル (この状況でうまくやってくれとはとても言えんな。しかし、最善を尽くし生き残ってくれることを祈るよ。シン・アスカ君、
グラディス艦長。そしてミネルバ隊の諸君……)
〜 ザフト工廠、格納庫 〜
シン 「では、来場者の避難誘導は……」
グラディス 『ええ、最優先で行っているわ。でも万単位の人間を収容できるシェルターはこの基地には無い。現場の付近から逃がして、
施設内に避難させるしかないの。今は守備隊のザクが足止めをしているから、あなたも彼らを援護して。Gタイプをそこから移動させず、
友軍機と協力してこれを奪回する。それが本作戦の最高目標です』
シン 「はい」
グラディス 『そして、それがかなわない場合は、撃破も許可します。民間人に被害を出さず、あれを逃がさないこと。それを心掛けて』
シン 「はい」
グラディス 『初出撃にこんな無理難題を押しつけてしまって申し訳ないと思っているわ。でも、現状で主戦力になりうるのは、あの3機を
止められるのは、同じGタイプであるあなたのインパルスに他ならない。頼んだわよ』
シン 「了解です。これより、出撃します。通信終わります」
ヴィーノ 『なあ、シン……これ、現実なのかな』
シン 「……現実なんだろ。艦長が日頃言ってるみたいに、予想外の出来事が起こる戦場に、とっくの昔に入り込んじまってたのかもな、
俺達は。チェストフライヤーとレッグフライヤーはどうなってる?」
ヴィーノ 『今、急いでカタパルトに乗せてるとこだ……』
シン 「コアスプレンダーはすぐに出られる。一足先に行ってるよ。発進ナビゲーション頼む……」
ヴィーノ 『ああ畜生、せめてシルエットがこっちにあれば、現場で合体、ネイキッドのまま戦闘なんて危ない橋渡らせなくても済むのによ』
シン 「すぐにミネルバが出してくれるさ。それにあそこには味方もいるはずだし、レイだってきっと援護に来る」
ヴィーノ 『……シン、お前なんでそんなに堂々としてられんだ? 怖くないのかよ? あの、あの3機が敵に回って、乗ってる奴は得体の
知れない、絶対ヤバいテロリストで! 格納庫の整備班は吹き飛ばされて! ハイネ隊長やルナ達だって、今も無事かどうか……』
シン 「きっと無事だ。無事に決まってる。二人とも、こんなところで死ぬかよ。……これ以上こんなのに巻き込ませるかよ、誰も……!」
ヴィーノ 『……シン、お前……』
ヴィーノ 『……進路、クリアだ。帰って来いよ!』
シン 「了解だ。シン・アスカ、コアスプレンダー、発進する!」
〜 ザフト港湾基地、施設内 〜
アレックス 「代表、お怪我はありませんか?」
カガリ 「大丈夫だ。人間、その気になれば速く走れるものだな。しかし、逃げるというのは……やはり怖いものだな、アレックス」
アレックス 「代表……」
カガリ 「まさか、オーブも開発に関わったミネルバの進宙式に招かれて、このような事態に巻き込まれるとはな。……こんなことなら、キサカ
を説き伏せてルージュを持ってきておくのだった。……しかしあの3機、議長が言うだけあって強力だな。どこの誰だか知らないが、テロリスト
などに好きにさせておくには、あまりに危険すぎる……。一体何故、こんなことになった……くっ、また一機、やられたか」
アレックス 「あのザクという量産機、決して性能の低いものではありません。それがまるで相手にならない……あれを奪った連中は、相当な
手練れです。ゲリラ的なテロリストとは思えません」
カガリ 「組織的な奴らだというのか? そいつらが、この進宙式に狙いを定めてあれを盗みにやって来たと? 随分と冒険心のあることだな」
アレックス 「……かつて、それをまんまと成功させた盗賊がいました」
カガリ 「……! そうか、それか……この既視感は。やっと得心がいった。ならば、これは意趣返しとでも言うのか?」
アレックス 「今はそこまでは断定できません。しかし、これが計画的なものであることは間違いないでしょう。事前の調査、シミュレーション、
そして何より……。Gタイプに掛けられた厳重なセキュリティを推測すれば、突発的なテロでは絶対にありえません」
カガリ 「……生きて帰れたら、議長ともう一度会わねばならんな。そして首長達を招集する必要もある。……この事件、まだ大きくなる」
アレックス 「私も同じ考えです。こんなことが可能な連中が、これでお終いにするはずがない。そして、こんなことが起きたという事実は……」
カガリ 「……たくさんの人を不幸にする。よく知っている……知っているさ。反吐が出るほどにな」
男性 「お願いします、こっちにも包帯と薬を! 弟の腕が……腕がぁ!」
女の子 「あああ、わああああ、ママ、ママあぁ!!」
女性 「あなた……なんでこんなことに……」
〜 ザフト港湾基地、上空 〜
(コアスプレンダーが基地の上に到着する。基地の惨状が、逃げ遅れ踏みにじられた人々の姿が、そのコクピットに座るシンの目に飛び込む)
シン 「……はぁ、はぁ……・」
マユ (……寒いよ、お兄ちゃん……何も……見えないよ……)
シン 「……はぁ、はぁ、はぁ……」
マユ (もういいよ……お兄ちゃん、一人で逃げて……)
シン 「うっ、ぐ……うう……」
マユ (……お兄ちゃん、逃げて……マユ、もう、いいから……逃げてよ……)
シン 「落ち着け……落ち着くんだ。マユはもういない。殺されたんだ……。こんな……こんな目に遭って……! だから、俺は……!」
士官 『くっ、ダメか、やられるっ!』
シン 「させるかーっ!」
(コアスプレンダーがミサイルを放ち、目の前で一機のザクにとどめを差そうとしていたガイアを退かせる)
シン 「早く態勢を立て直してください! 援護します!」
士官 『ミネルバ隊か!? 助かった、しかしそんな戦闘機で!』
シン 「この状態じゃ長くは保ちません、だから早く!」
士官 『す、すまん!』
シン 「やめろ……。やめろよお前! その機体から降りろっ!」
ガイア 『!』
シン 「その機体は、そいつらはな! お前等が今まさにぬけぬけとやってるようなことを、無意味な破壊と争いに他人を引きずり
こむような真似を、理不尽な暴力を叩き潰すために生まれてきたんだよ! それを、お前等はぁぁぁ!!」
ガイア 『……? ……!?』
(コアスプレンダーの動きを追いながら攻撃をためらうようなガイアに、なおも仕掛けるシン。そのモニタにウインドウが開く)
ヴィーノ 『シン、待たせた! チェストとレッグ、そっちに着くぜ! 見せてやれ、インパルスの本当の姿をな!』
士官 『ミネルバ隊のパイロット、そちらの仕組みは聞いている。今度はこちらが援護する、合体を!』
シン 「了解!」
ガイア 『!?』
士官 「邪魔はさせんぞ!」
シン 「チェストフライヤー、レッグフライヤー捕捉! ガイドレーザー接続! ベクトル修正、ドッキングフェイズ!」
(コアスプレンダーを挟み込む形で飛来した2機のパーツが合体し、ネイキッドインパルスがその姿を現す)
シン 「合体完了……オールグリーン……!」
ガイア 『……』
シン 「……絶対に返してもらう。コクピットをこじ開けて、引きずり出してでもっ!!」
STAGE2 怒れる瞳
【ステージ:アーモリーワン港湾基地】
【自機:ネイキッドインパルス(シルエット非装着)】
【自軍:ザクウォーリア(士官)×1・ザクウォーリア(一般兵)×2】
【敵機:カオス・アビス・ガイア】
【勝利条件:敵機の全滅、またはタイムオーバーまでの生存】
【敗北条件:自機の撃破、または避難エリアへの被弾】
(ミッション開始)
シン 「作戦内容、再確認……区画の境界に、避難に使われている施設が一棟。……あそこか。向こうを避けて戦闘する!」
シン 「まだ逃げるつもりはないみたいだな。基地を荒らせるだけ荒らしていくつもりか? 油断している間に、動きを止めてやる!」
(ガイアと接触)
シン 「ハイネ隊長が乗ってる時とは、まるで動かし方が違う……動きが読めない……! だけど!」
ガイア 「……」
シン 「捕まえてみせる。必ずっ!」
(カオスと接触)
カオス 「工場にいた奴か。意外に早いお着きだったな」
シン 「一体、どんな奴が動かしてるんだ? この動き、並じゃない……!」
カオス 「ふん……この機体、俺によく馴染んでいる。お前、相手が悪かったな。その機体じゃ勝ち目はない」
シン 「反応は俺よりずっと早い……! でも、だからって怯むかぁっ!」
(アビスと接触)
アビス 「あっははは、面白え! すげえパワーだ、今まで乗ってたのとは比べものになんねーぜ!」
シン 「くっ! アビスのパワーに捕まったら終わりだ、距離を取らないと!」
アビス 「逃げても撃ち殺すぜ? 覚悟決めな、ひょろっちいの! お前もカカシだ! はははっ!」
(開始1分経過、またはインパルスのライフ半減、または敵機いずれかのライフが75%)
シン 「くそっ、強い……。やっぱり、あの3機相手にシルエット無しじゃ対抗できないか……!?」
グラディス 『シン、待たせたわね』
シン 「艦長!」
グラディス 『ミネルバからソードシルエットを射出したわ。装着シークエンスを。なんとか持ちこたえてちょうだい』
シン 「了解!」
(ネイキッドインパルス、飛来したシルエットを装着しソードインパルスへと換装)
カオス 「色が変わった……あの機体、ストライクと同じ換装システムを持っていたのか」
アビス 「面白え仕掛けじゃん。せっかくだから、あいつもいただいてかねえ!?」
ガイア 「……」
(開始2分経過、または敵機いずれかのライフが半減)
カオス 「ふん。武器を背負ったにしても、よく粘るな。3対1だぞ?」
アビス 「ま、あと一息ってとこじゃね? 勢いだけじゃ勝てねえっての」
シン 「はぁ、はぁ……ま、まだだ……! 取り戻して……!」
レイ 「シン、持ちこたえていたか」
(レイ・ザ・バレルのブレイズザクファントム、援軍として登場)
シン 「レイ、来てくれたか!」
レイ 「遅くなって悪かったな。デュランダル議長の警護をしていて難を逃れる形になった。議長は現在、他の議員と共に
湾内に潜行したミネルバに避難している。あれは俺達の隊の機体だ、奪回を目指すぞ」
シン 「了解だ!」
(タイムオーバー、またはカオス・アビス・ガイアいずれかの撃墜時)
シン 「よし、行ける!」
レイ 「このまま追い込むぞ」
カオス 「ちっ……こうまで手こずるとはな。奴らを少々甘く見たか」
アビス 「そろそろ逃げた方がいいんじゃねえの? このまんまじゃせっかくのお宝に傷がつくし、早くしねーと迎えの船に
置いてかれちまうぜ!」
カオス 「そうだな。さて、どこから逃げるか」
ガイア 「……」
(ガイアが不意に、高速で基地内を移動する。咄嗟にそれを追うシン)
シン 「逃がすかっ! ……この方向、こいつっ!?」
(足元にブレイズザクファントムからのミサイル攻撃を受けながらも、ある地点にたどり着くガイア。それに僅かに届かなかった
インパルスが、近距離で対峙する。ガイアの横には、防衛目標である避難施設。そこへ、ガイアはビームライフルを突き付ける)
シン 「しまった……あいつ、避難してる人達を……!」
レイ 「抜かったな……ああまで速力を引き出せるとは。あの施設では、モビルスーツの攻撃には到底耐えられん。これでは
こちらは動けんぞ」
カオス 「よし、お前にしては上出来だ。後は退路を確保するだけだな」
アビス 「任せろよ、派手にやってやるぜ。さて、どこがいいかな」
(アビスが胸部の大口径砲にエネルギーをチャージし始める)
レイ 「どうやら、アビスのカリドゥスの最大出力でプラントの壁を撃ち抜いて逃走するつもりらしいな。……高度によっては人が
吸い込まれるぞ」
シン 「くっ……レイ、俺達はどうすればいい! 黙って見ているしか、方法はないのかよ!」
レイ 「二者択一だな。避難エリアの人々の命を無視すれば奴らを攻撃し、機体を奪回できる可能性はある。避難エリアを頑なに
守るつもりならば、俺達はこのまま身動きが取れない。いずれにしろ、死人が出るのはおそらく避けられまい」
シン 「……」
シン 「聞こえるか、お前達。そのGタイプに乗ってるお前達のことだよ。聞こえてるんだろ? 答えろ!」
ガイア (……!)
レイ 「シン、何のつもりだ? テロリストと交渉でも試みるつもりか」
シン 「黙っててくれ、レイ。……お前達、何をしようとしてるのか分かってるのか? お前達の目的は何だ? その機体を奪うことか?
ミネルバの進宙式をメチャクチャにすることか? まぁ、何でもいい……お前達、このインパルスのパワーを舐めてるだろ」
カオス 「……あいつ、何を言ってやがる?」
アビス 「さあ……苦しまぎれのハッタリじゃねえの」
シン 「インパルスの総推力……この装備でも、ベクトルさえ揃えればカオスと五分だ。その緑のだよ。分かるだろ?」
カオス 「……」
シン 「そして……リミッターを解除すれば、もっと速い踏み込みもできる。この距離なら、こいつの剣は……届くんだよ。そっちが
銃爪を引く前に。少なくともお前にはな。ガイアのパイロット!」
ガイア 「!」
アビス 「……へえ」
シン 「何が言いたいか分かるか? 俺はこれから、お前を斬る。斬るか突くか、どっちでも良いんだけどな。動いた俺を見てお前が
反応して、お前が銃爪を引き始めて、引き切るまでの間に、剣はお前に届く。そこにいる人達を焼き尽くすビームが放たれる前にな」
レイ (……確かに、可能だ。あの距離ならば、スペックの上では、インパルスはそういうこともできる。だが……)
シン 「もちろん、そんな無茶をすれば俺だってただじゃ済まない。たぶん、加速に潰されて助からないだろう。でも……そんなことは、
どうでもいい。俺は……もう、許せないんだよ、こんなのは。俺はお前達みたいな奴らを許さない。これは警告なんかじゃない……」
レイ 「インパルスのスラスターが……。シン、まさか本気なのか!」
シン 「これは、俺の遺言だっ!」
ガイア 「待って!」
(推力を蓄えたインパルスが突撃しようとしたその瞬間、ガイアが反応を見せた)
シン 「!?」
少女兵 「やめて、シン」
レイ 「ガイアから応答があっただと……? この少女が、ガイアを奪ったテロリスト……」
シン 「あ……あ……」
ステラ 「……また会ったね、シン」
レイ 「シン……この少女を、知っているのか?」
シン 「ステラ……なんで、そこに……」
スティング 「……どういうつもりだ、ステラ」
ステラ 「シン、ここにはいないほうがいいって言ったのに……来ちゃったね。でも、シンもパイロットなら、戦わなきゃいけなかったよね
……私達と」
シン 「ステラ……」
ステラ 「詳しい事は、話せないの。でも、私達はこれを持って帰らなきゃいけない……そういう役目があるの」
シン 「ステラ、君は……」
シン 「……最初から、そのつもりだったのか? あの日、俺と会った時も、最初からこういうことをするつもりで、こんなことに荷担する
つもりで、このアーモリーワンに来てたのか!?」
ステラ 「そうよ。……テロリストって呼ばれても、仕方ない」
シン 「人が死んだんだよ! 何人も! 周りを見てみろ! 足元を見ろよ! 君は……君は、自分が何をやってるのか!」
ステラ 「……わかってる。でも、本当は殺したくなんかない」
スティング (……なんだと?)
ステラ 「シン、だから自分から死にに来るようなことはやめて。私達は、もう行く」
シン 「ステラ……む、無駄だ! 俺は、惑わされたりなんかしない! 行かせない、俺は君達を倒す!」
ステラ 「アウル、プラントの壁の、できるだけ上の方を撃って。街の人達から遠いところを。お願い」
アウル 「……何? おいスティング、こいつ何を……」
スティング 「ここは言う通りにしてやれ。さっきの奴の気迫、はったりとは思えなかった。下手に刺激して再び死に物狂いで向かって
来られるよりはマシかもしれん。全く、随分危ない奴が新型を任されたものだ。人のことは言えんがな」
アウル 「……ちっ、分かったよ。これでいいのか?」
レイ 「アビスが射角を上げた……街から狙いを外すというのか?」
シン 「ステラ!」
ステラ 「シン、追ってきたら、この施設を撃つ。あなたの剣からライフルを守りながら撃つ。でも見逃してくれたら、撃たない。これは
本当で、本気。さっきのあなたと同じように」
シン 「くっ……」
レイ 「……手玉に取られているな。しかし、今は耐えろ、シン。次の手はすぐに打てるはずだ。グラディス艦長を信じろ」
シン 「レイ……」
レイ 「だから、早まった真似はするな。お前とあの少女がどういう関係なのかは知らんが、冷静に対処しろ。冷静に最善を尽くせ」
シン 「……あ、ああ……!」
レイ 「プラント管理局へ緊急連絡。こちらはザフトミネルバ隊所属レイ・ザ・バレル。間もなくプラント壁面が内部から砲撃される。
事後の速やかな対処を要請する。予想される高度はハイトA。繰り返す、予想される高度はハイトA」
ステラ 「シン……もう一度伝えておく」
シン 「また……俺に、揺さぶりをかけるつもりか……?」
ステラ 「違う……そうじゃない。私、あなたに会えて嬉しかった。こんなことになってしまったけど……他の人のために一生懸命な、
あなたをもう一度見られて嬉しかった。あなたはやっぱり優しい人……だから、もう会いたくない……」
シン 「……」
ステラ 「また会ったら、きっとやっぱり、こんなことになってしまう……心が痛くて、たまらない……でも、私とあなたは、きっとまた
戦うことになる。そんな気がする。だから、その時は……」
(アビスの大口径砲が放たれ、アーモリーワンの空を貫く。背後からの光にシルエットとなったガイアの眼が、揺れる)
ステラ 「その時は、私はあなたを殺す。あなたも私を殺しに来て。きっとそれが私達の運命」
(空が暗くなり、激しい風が吹く。空気が、アーモリーワンの空に開いた穴から宇宙空間へ吸い出されていく。そして、その穴へ
向かって、3機のGタイプが上昇していく)
シン 「ステラ……!」
ステラ 「追ってくれば、上空からでも基地を狙い撃つ。この3機の火力なら、それができる。あなた達もよく知っているはず」
レイ 「……」
シン 「くっ……ステラァァーッ!!」
(身動きできずに奪われたガイア達を見送るしかできないまま、憎悪とも哀惜ともつかないシンの叫びだけが響く)
to Next Stage.
投下乙、続き楽しみにしています
GJです
これは初っ端からかなりのアツい急展開!
援軍にアスランザクが無かったということは、
今後の展開もまたかなり変わってきそうな予感
投下乙です。
熱い展開に今後に期待しています
627 :
RE.DESTINYの人:2007/09/08(土) 13:29:39 ID:PTSV7ule
続きを投下します。
前に展開が殆ど変わらないと言いましたが、
よく思ったら、変わっていく部分は結構あります。
「ア、アスラン・ザラって、あの伝説の!?」
デュランダルが言った事にアーサーは大きな声を上げて驚く。
いや、彼だけではなく、その場にいるミネルバクルーの全員が驚きを隠せない。
無理もない。アスラン・ザラといえば、
元最高評議会議長パトリック・ザラの息子で、クルーゼ隊に所属し、当時最強といわれたストライクを討ってFAITHに転属、第二次ヤキンドゥーエ攻防戦においては3隻同盟のもとで地球軍の核ミサイルとザフトのジェネシスを破壊し、世界を救った英雄である。
「デュランダル議長!」
カガリはデュランダルを制そうとする。
「私は何も君を咎めようというのではなく、本来の君と話がしたいのだよ。アスラン」
さらに話を続けるデュランダルに、アレックス、いや、アスランは気まずそうに顔を背ける。
先行しているシンのブラストインパルスとルナマリアの赤いスラッシュザクウォーリアはプラントの残骸や岩塊が漂うデブリ帯を移動していた。
『あたし、デブリでの戦闘とかは苦手なのよね』
「んな事、言ったってしょうがないだろ。敵はお前の都合なんか知らないぞ」
シンはルナマリアの愚痴にそう返す。
インパルスと赤いザクウォーリアの姿を漂うデブリの中でも一際大きいのに隠れて確認している三機のMSがあった。
『敵MSを二機確認しました』
「こちらでも確認したわ」
そこに潜んでいるのは二機のダガーLと青いMS。
青いMSウィンダムに乗っているのは、黒コートの女性アリーシアだ。
「特機の方は私がやるから、あなた達は赤い量産機を」
『了解…』
ダガーLのパイロットはアリーシアがパイロットスーツを着ないで私服であるフードの付いた黒コートのままMSに乗って出撃した事を不思議に思っていた。
ロアノーク大佐も軍服のままで出撃するがそれは自身の腕に撃墜されない自信があるからだ。
彼女も同じ理由なのだろうか?それとも何か特別な理由があるのだろうか?
いや、そんな事を気にしている場合ではない。
今は敵を討つことに集中しなければ。どうしても気になるなら、あとで訊けばいい。
ダガーLのパイロットは敵を討つ為に感覚を研ぎ澄ます。
ボギーワンを追って先行していたシンとルナマリアはデブリにしては新しすぎる一発のミサイルのような物を見つける。
それはガーティ・ルーの識別コードを持っていた。
「まさか、デコイ!?」
シンは自分達が囮に惑わされたことに気づく。
が、次の瞬間、二条のビームがインパルスと赤いザクウォーリアに襲いかかる。
二機は咄嗟にそれをかわしてビームが飛んできた方を見やると、デブリの中でも一際大きいデブリから、二機のダガーLと見慣れないMSが出てきた。
それと同時にミネルバのレーダーからボギーワンがロストする。
「ボギーワン。レーダーからロスト」
メイリンの報告を聞いたタリアは自分たちから逃げ切る為にミラージュコロイドを使ったのかと判断した直後、ミネルバの背後からデブリに隠れていたガーティ・ルーが姿を現す。
「再び、ボギーワンを捕捉。距離500!背後を取られています!」
「なんですって!」
いきなり、近距離でしかも背後を取って現れたことに皆驚く。
「デコイか!」
その時、アスランはボギーワンの策を理解した。
その策は、デコイを発射したあと、レーダーや熱源探知に引っ掛からないようにワイヤーか何かでデブリに貼り付いて機関を停止させながら身を隠し、デコイに惑わされてそれを追うMS部隊を何機かのMSで時間を稼ぎ、その隙に事実上孤立したミネルバを背後から襲うというものだ。
ミネルバの背後にいるガーティ・ルーから大量のミサイルとビームが放たれ、エグザスが発進する。
「その艦、実戦はこれを含めてまだ二回しか経験していないのだろう?哀れなことだ。だが、沈んでいただこうか」
ミネルバの対空砲火はそのガーティ・ルーの放ったミサイルとビームに半数が相殺され、ネオのエグザスは対空砲火をくぐり抜けながらガンバレルを展開して素早くミネルバの左舷エンジンと一部の武装を破壊し、爆発の衝撃でミネルバの船体が大きく揺さぶられる。
衝撃に耐えながら、タリアはレイを出撃させるように指示を出す。
出撃命令が出たレイは自分の機体である白いザクファントムに乗り込み、アーモリーワンの時と同じ高機動戦を重視したブレイズウィザードを装備し、発進準備を整える。
「レイ・ザ・バレル。ザク、発進する!」
ミネルバから出撃したレイはエグザスを確認した直後、アーモリーワン宙域で交戦していた時と同じ感覚に襲われ、戸惑う。
ネオもその感覚に襲われていたが大して気にせず、敵艦の左舷エンジンと武装の一部を既に破壊している為、ガーティ・ルーだけでも敵艦を沈められると判断し、ガンバレルを展開して白いザクファントムに攻撃を仕掛ける。
レイはそれを回避し、ビームライフルを連射して大量のミサイルを放つ。
ネオはビームをかわしてガンバレルのビームで壁のような物を作ってミサイルを防ぎ、ガンバレルのビーム刃で白いザクファントムを斬り裂こうとするもレイはそれを回避してビームトマホークで四つあるガンバレルの内の一つを破壊しようとするが寸でのところでかわされる。
かなりの使い手だ。これで二番となると、一番強いであろうガイアのパイロットには自分でも勝てないかもしれない。
目の前のMAと戦いながら、レイはそう思った。
シンとルナマリアの方も苦戦を強いられていた。
「この泥棒が!」
ルナマリアの赤いザクウォーリアはビームアックスをダガーLに振り下ろすが、ダガーLはシールドでそれをなんとか防いでビームサーベルでコックピットを突き刺そうとする。
ルナマリアは距離を取ってそれを回避し、両肩のガトリングビーム砲を連射。
二機のダガーLは直撃こそ避けたが、一機は両足を破壊され、もう一機は片腕を持っていかれる。
しかし、二機のダガーLは赤いザクウォーリアの装備が近接戦に特化したものだと気づいたのか、遠くからロケット弾ポッドで執拗に攻撃し始める。
ルナマリアはそれを回避しながらビームライフルを連射するがどれも当たらない。
「ちょっと!正々堂々と戦いなさいよ!」
そんな事を叫んでも無駄なのだが、ルナマリアはそう叫ばずにはいられない。
「このッ!」
シンは長距離ビーム砲を放つがウィンダムはそれをかわして他目的ミサイルを放つ。
シンは斜め後ろに飛んでそれを回避し、4連装ミサイルランチャーを放つが全てイーゲルシュテルンとビームサーベルで防がれる。
シンは再び4連装ミサイルランチャーを放ち、続けて長距離ビーム砲を放つ。
アリーシアはつまらないと言った具合にため息をついて、ミサイルをイーゲルシュテルンとビームサーベルで防ぎながらビームをかわすがミサイルの爆発の直後、目の前にはビームジャベリンを構えて一気にウィンダムのコックピットを貫こうとするインパルスの姿がある。
だが、アリーシアはビームジャベリンが自機のコックピットを貫く前にビームジャベリンの柄を斬り、インパルスを蹴り飛ばして距離を取りながらイーゲルシュテルンを連射しながらスティレットを勢いよく投げ飛ばす。
バランスを崩したインパルスは回避できずに直撃を受ける。
もしこれがビームだったら、間違いなく撃墜されていた。
「ぐっ!」
シンは衝撃にひるみながらも咄嗟に長距離ビーム砲を放つがウィンダムは難なくそれを回避する。
「あいつ…やっぱり!」
額に汗を滲ませながらも機体を立て直したシンは今戦っているMSのパイロットがアーモリーワン宙域で自分を圧倒したガイアのパイロットだと気づく。
そして、そのパイロットは自機の捕獲を前提に戦っていることにも。
ミネルバはガーティ・ルーに対して圧倒的不利な状況にいた。
左舷エンジンが破壊されて思うように動けないのと操舵手を含めたクルーの半数近くが実戦経験の乏しい新兵だというのも原因である。
新造艦に多くの新兵を配属せざるを得なかったのは前大戦で多くのザフト兵が戦死あるいは退役し、人材が枯渇しているともいえる状態にある為だ。
そして、圧倒的不利な状況に完全に冷静さを失った操舵手の致命的なミスでミネルバは自ら小惑星に突っ込んで刺さってしまう。
「何をやっているの!こんな時に!」
ブリッジにまで伝わる衝撃に耐え、タリアは怒鳴り声を上げて苛立つ。
「出撃させられるMSはもうないのか!?」
「MSは余っています!しかし、非常事態でしたのでパイロットがいないんです!」
慌てるデュランダルの質問にタリアはそう大きな声で答えて現状をどうするか考え始める。
タリアの答えを聞いたあとデュランダルは先ほどの慌てた様子が嘘のような落ち着いた様子でアスランの方を見る。
アスランを含めて皆、その事に誰も気づいていない。
「手間取っている時間なんかないのに!」
自分達がデコイに誘い出され、ここにボギーワンがいないということは、間違いなくミネルバはボギーワンに隙を突かれ、襲われている。
一刻も早くこの場にいる敵機を退けるなり撃墜なりしてミネルバに加勢しなければならない。
しかし、今自分が戦っている敵は自機の捕獲を目的に戦っており、シルエットの中で一番エネルギーの消耗が激しいブラストで戦っている以上、エネルギーを無駄に消耗するわけにはいかず、しかもこのブラストは他の二つに比べてMSとの戦闘があまり得意ではない。
そんなシンを嘲笑うかのごとく、インパルスのエネルギー残量が危険域に入る。
シンはエネルギーの残量が少なくなっている事に気づくとほぼ同時に一機のダガーLと交戦しているルナマリアを斜め後ろからビームライフルで狙撃しようとしているもう一機のダガーLを見つける。
だが、ルナマリアは目の前にいるダガーLに夢中になっているのか、それに気づく気配はない。
「くそぉ―――ッ!!」
そう叫んでシンは思わず、長距離ビーム砲をルナマリアの赤いザクウォーリアを狙撃しようとするダガーLに向けて放つ。
「何ッ!」
赤いザクウォーリアを狙撃しようとしたダガーLのパイロットは不意を突かれて驚き、咄嗟にシールドを構えるがシールドごと機体を撃ち抜かれ、撃墜される。
その光景を見て、もう一機のダガーLのパイロットは不意を突かれたとはいえシールドを構えたにも関わらず仲間が一撃で葬られた事に動揺し、ルナマリアの方はもしシンが助けなかったら自分が撃墜されていたであろう事実に驚く。
そして、一足先に我に返ったルナマリアはガトリングビーム砲でダガーLを蜂の巣にする。
「私に遊ばれて周りが見えない程に精一杯かと思ったら、案外そうでもないのね。でも、そろそろ限界なんじゃない」
アリーシアがそう指摘した直後、インパルスの色が灰色になり、動きが止まる。
それはインパルスが事実上エネルギー切れになった事を意味している。
「まさか!今ので!」
シンは必死でインパルスをどうにかしようとするがどうにもならない。
「さて、その機体も頂こうかしら」
アリーシアは動かなくなったインパルスを回収しようとするがルナマリアの赤いザクウォーリアはインパルスとウィンダムの間に割って入り、ビームアックスでウィンダムに切りかかる。
「……あなたに用はないのだけれど、仕方ないから遊んであげる」
アリーシアは面倒くさそうな態度でそれを回避し、ビームライフルで赤いザクウォーリアのビームガトリング砲を撃ち抜く。
ルナマリアの赤いザクウォーリアは装備していたビームガトリングの爆発による衝撃に大きな隙を晒す。
ミネルバは小惑星から脱出しようとするが、ガーティ・ルーの砲撃に晒されて動けずにいた。
レイは危機的状況に追いやられているミネルバを護らなければならないのだが、ネオのエグザスに阻まれてそれができない。
ブリッジにいるミネルバのクルー達は今の状況を切り抜ける方法を必死で考えるが有効的な案がない。
そんな中、アスランは今の状況をどうにかできる方法を思いついたがそれを言えずにいた。
もし、自分が提案した方法でこの状況を切り抜けたら、デュランダルの指摘した事に対して自分から「ハイ、そうです」と言うようなものだからだ。
デュランダルはそんなアスランの葛藤に気づく。
「何かいい方法が思い浮かんでいるのなら、言ってくれないか。我々はここで死ぬわけにはいかないのだよ」
デュランダルにそう言われたアスランは悩んだ末、脱出方法を提案する。
「ちょっと待ってくれ!そんな事をしたら…」
「いいわ。やってみましょう」
アスランの案を否定しようとしたアーサーを遮って、タリアはその案を実行することを決め、指示を出す。
「右舷全砲発射!右舷エンジン全開!総員、対ショック姿勢!」
ミネルバは小惑星に右舷の全砲を撃ち込み、その反動を利用して小惑星から脱出して回頭する。
その際、ガーティ・ルーの放ったミサイルが数発直撃し、ミネルバの船体に大きなダメージを受けるがまだ戦える。
「陽電子砲タンホイザー起動!撃て!」
ミネルバは陽電子砲タンホイザーを起動させ、ガーティ・ルーに向けて放つ。
「回避!」
ガーティ・ルーは急旋回して直撃を避けるが掠めた部分が融解する。
「ええい、あの状況をひっくり返すとは」
白いザクファントムと交戦していたネオはその光景を見てこれ以上の戦闘は無意味と判断し、撤退を決める。
「艦長、撤収だ」
「わかりました」
リーは撤退合図の信号弾を発射させる。
「あら、もう時間切れ?少し遊び過ぎたみたいね」
アリーシアはガーティ・ルーから放たれた撤退合図の信号弾を確認して一人残念そうにしながら、その場を離脱する。
ミネルバからの信号弾を確認したシンとルナマリアは圧倒的な技量を持つ敵に遊ばれるという悪夢のような時間が終わった事に安堵した。
「申し訳ありません、議長。艦の損傷具合から判断して、これ以上の追撃は無理かと」
「そうか…」
タリアの報告を聞いたデュランダルは深いため息をついたあと、カガリ達の方を向く。
「アスハ殿。とりあえず、アーモリーワンから迎えを呼んで送ります。部屋を一つ空けておきますので、それまでそこで休むなり、この艦を見学して暇を潰すなりしてください」
「わかりました」
カガリがそう答えながらゲスト席を立って、アスランと共に空き部屋へ移動しようとした時、ゲスト席に座ったままのデュランダルはカガリ達に背を向けた状態で言う。
「それにしても先ほどは君のおかげで助かったよ、アスラン。流石だね、数多くの激戦をくぐり抜けてきた君の力は」
それを聞いたアスランはカガリと共に逃げるようにその場をあとにする。
ミネルバに帰還してMSから降り、軍服に着替えて移動するシン達をメイリンが迎える。
「お姉ちゃん、シン、レイ。お疲れ様、大丈夫?」
「大丈夫じゃないわよ。敵の中にスーパーエース級の奴が居て、スラッシュウィザードを壊されたんだから。シンは途中でインパルスがエネルギー切れになるし」
「何言ってんだよ、ルナ。あいつと戦ってたのは俺だろ。ルナは途中から割って入っただけだ」
「いずれ、そいつとはまた戦うことになるだろう。それまで腕を磨いておかないといけないな」
四人は先ほどの戦闘について和気藹々と話し合う。
だが、彼ら四人の歩く道は1つの意味で大きく分かれることになる。
彼ら四人の歩く道は………
最初にsage忘れました。すいません。
ルナマリアにガナーではなくスラッシュを装備させたのは
彼女は射撃が苦手という設定を考慮してのことです。
カオス、ガイア、アビスが出なかったのは
強奪したMSの投入がいくらなんでも早すぎると思いましたので。
GJ
637 :
シンルート:2007/09/09(日) 22:09:22 ID:???
(続きです、時間を空けて投下します)
〜 ザフト港湾基地、作業用大型エレベータ・カーゴ 〜
レイ 『プラント内気圧が正常に戻った。外壁の充填剤が固着し、穴を塞ぎ切ったようだな』
シン 「そうか……」
レイ 『被膜が張るまでこちらを覗き込んでいたようだが、明言通り基地へは砲撃して来なかったな。お前との約束を守ったというわけか。あの少女は』
シン 「……そう、だな」
レイ 『シン、虚脱するのも消沈するのも任務が終わってからにしろ。俺達に下された命令は重ねて二つ。あの3機の逃走を防ぐことと、可能な限り犠牲者
を出さずにこの作戦を終えることだ。そして、作戦はまだ終わってはいない』
シン 「……ああ。すまない、レイ。まずは指示通り、この焼け残った作業用エレベータでプラントの底部ブロックに降りる……」
レイ 『到着後、消耗したエネルギーと弾薬を補給し直ちに底部宇宙港から再出撃する。確かに宇宙港ならば、仕切り直すには恰好のポイントだ。あのまま
奴らを追いかけるより、リスクは余程少ないだろう。あの少女の恫喝も含めてな』
シン 「……。問題は、タイムロスだな。いくらカタパルトがあるといっても、向こうに全力で逃げられたら、後から俺達が追いつくのは難しいんじゃないか」
レイ 『確かにな。しかし、俺達より先に奴らに追いつける者がいるとしたらどうだ? その彼らが、奴らの足を遅らせるとしたら?』
シン 「何?」
レイ 『こと機動性においては、Gタイプは現状、他のいかなる機動兵器よりも優れていると言える。しかし、長距離の移動速度となれば、その限りではない。
ましてや俺達との戦闘で多少なりとも消耗した状態では、航続距離もそう長くはないだろう。つまり、高速戦艦ならば奴らにも充分に追いつけるということだ』
シン 「そうか……ミネルバか!」
レイ 『そういうことだ。既に俺達よりも先に宇宙港へ辿り着き、発進準備に入っているはずだ。しかし俺達に補給後の追撃の命令が出ている以上、ミネルバ
単艦で事を運べるとは艦長も考えていないのだろう。そして、艦長にはおそらくもう一つ狙いがある。奴らなら、用意していないはずがない。逃走用の船をな』
シン 「……!」
レイ 『アーモリーワンの外、そう遠くない宙域のどこかに、必ず潜んでいるはずだ。奴らは間違いなくそこを目指す。現在、アーモリーワン外部にいたナスカ
級2隻が、外に出たGタイプの足止めをしている。戦力差は歴然だが、それでも多少は時間が稼げるだろう』
レイ 『その間に、ミネルバが俺達に先んじて宇宙港から発進し、Gタイプを追う。直接奴らの足を止めにかかるか、逃走用の船を押さえるかは分からんが、
俺達が合流できるまでの時間は、更に稼いでくれるはずだ。全てが上手く運べば、奴らを一網打尽にできるかもしれん』
シン 「さっきミネルバがドックから湾内に潜ったっていうのは、海中を経由して宇宙港から外に出るためだったのか。そして、事態がどう転んでも、奴らの
逃げ道を押さえるために……。俺達があいつらと格闘してる間に、艦長はとっくに次の手を打ってた。本当にお前の推測通りだったんだな」
レイ 『進宙式の有様を見れば、あのまま奴らを生かして帰すわけにはいかんということだ。何としてでもな。俺達の働き如何で、今後のミネルバ隊の、
引いてはデュランダル議長の立場が変わってくる。心しろ、シン』
シン 「ああ、分かってる。手心なんて加えられないさ。あの子は、もう俺達の敵だ」
シン (そうだ。許すわけにはいかない……。どんな理由があったって、あんなことをしでかした奴を許すわけにはいかない。だけど……なんでだよ、ステラ。
君は一体……)
〜 アーモリーワン底部宇宙港 〜
議員A 「ふぅ……避難誘導された先がミネルバだと知った時はさすがに驚いたが、すぐに降りることができて何よりだ」
議員B 「しかし、よもや戦艦で安全圏まで移動することになるとはな。これは誰の指示なのだ?」
議員C 「タリア・グラディス艦長自身による指示だそうです。確かに、他のエリアからも人々が殺到していた最寄りのシェルターへ駆け込むよりは、観覧席
の目と鼻の先に停泊していたこの艦で潜る方が、より安全だったかもしれませんな」
議員A 「まぁ、一理ある。先ほどの揺れは、奪われたGタイプが外壁に穴を開けた衝撃によるものだそうだ。……地上にいたならば、どうなっていたことか」
議員B 「だが我々の無事を確保したからといって、Gタイプを奪われ基地の破壊を許した不手際が許されるものではない」
議員A 「うむ、当然だ。ソラス派の糾弾の前に、責任を負うべき者を決めねばならんな。大体あの基地の司令官は、前から腑抜けた男だと思っていたのだ」
デュランダル (やれやれ。取りも直さず、おめでたい方々だ。しかし、私も笑えんか……覚悟を決めるには、まだ幾ばくかの心残りがある。間に合うかな)
デュランダル (果たして、何人が気付くだろうか。まずは、判断材料を揃えなければならないが……さあ、誰に行き着くかな。手繰る革命者の糸は……)
〜 ミネルバ艦橋 〜
メイリン 「ギルバート・デュランダル議長以下、収容していた評議会議員の方々、及び護衛官全員の下艦を確認しました。乗降用ゲート、閉じます!」
アビー 「ドック内減圧開始、真空状態へ移行。艦船用ゲート開きます。ガントリークレーン、テンションフリー!」
アーサー 「艦内全システム、無重力に対応。オールグリーンです」
グラディス 「よし。ミネルバ、発進!」
(ミネルバがアーモリーワンの底に口を開けた宇宙港から宇宙空間に泳ぎ出る。艦下部にたたまれた巨大な翼が開き、推進光を吹かした)
グラディス 「各レーダーシステムを戦闘レベルで作動。アーモリーワン周辺宙域を探索開始。まずはGタイプの現在位置を捕捉せよ」
メイリン 「了解。……反応ありました! 本艦より相対距離およそ750、奪取された3機が編隊を組んで逃走している模様です。先頭にカオス、両翼にアビス
とガイアです」
アビー 「インパルスは、ザクファントムと共に宇宙港への到達を確認しました。再出撃まで5分程度と思われます」
アーサー 「交戦していたナスカ級の2隻はどうした?」
アビー 「……確認しました。ラザフォードは艦体中破により撤退、タウンゼントは機関部への直撃により、撃沈しています。同艦のモビルスーツ部隊も、半数
以上が撃破された模様です……」
グラディス 「それでも、時間は稼いでくれたわ。速力上昇、最大戦速へ。これよりGタイプを追撃します」
アーサー 「了解。……しかし、派手にやってくれましたね、連中……まさか、我々の戦力になるはずだった虎の子の機体が、我々の基地と同胞を踏みにじる
姿を見なければならないとは……」
グラディス 「ならばこそ、この落とし前は必ず、私達の手でつけさせてもらいましょう。総員、ミネルバ隊としての意地を見せなさい。レーダーシステムは3機
の進路上を警戒。その先に必ず、敵の迎えの船がいます」
メイリン 「了解です!」
グラディス 「艦載機の状況はどうか?」
アビー 「潜水時に収容した護衛のゲイツRが2機、共に実弾兵装で出撃準備を完了しています。パイロットはショーン・スパークスとデイル・カテクト」
アーサー 「ゲイツR……。いかにあの二人がベテランパイロットとはいえ、3機のGタイプとやり合うには、戦力的に心許ないですね。シンとレイが合流してくる
まで、部隊の展開は控えた方がいいのではないでしょうか。艦長」
メイリン 「Gタイプとの相対距離、650……現在の速度差で追撃した場合、およそ5分後には接触可能と思われます!」
グラディス 「迎えの船らしき反応は?」
メイリン 「最大範囲で探索していますが、未だにありません!」
グラディス 「分かったわ。さて、それも正しい意見だとは思うけどね、アーサー。あの3機と事を構えるならなおのこと、ミネルバといえどモビルスーツの手が
必要だわ。かといって今、援軍の到着を待つために足を緩めるわけにもいかない。取り逃がしたら、全てが水の泡なのよ。あなたが悼んでいる同胞の死もね」
アーサー 「あ……」
グラディス 「ショーンとデイルの身を案じているんでしょうけど、それは彼らに対する侮辱だと私は考えるわ。アビー、先ほどのGタイプ達の戦闘データは彼ら
にも回っているわね」
アビー 「あ、はい! リアルタイムで検証していたそうですが……お二人とも、潜水前に乗艦してから、ずっと臨戦態勢のようです……」
グラディス 「二人とも、最初からあの機体で奴らと戦うつもりでいるということね」
アーサー 「……」
グラディス 「まだ敵の迎えの船が確認できていない今、泳がせて船まで案内させるのも一つの作戦でしょう。でも、彼らの他の戦力がどれほどのものかまるで
分かっていない以上、Gタイプに追いついたならばこちらは直ちに仕掛けます。搭乗者の腕は確かに底知れないけれど、私達の知っている3機きりでいる今が、
最も確保しやすいとも考えられる。足を止めるのは我々ではなく奴らの方よ。逃がしはしない。いいわね」
アーサー 「……了解です!」
メイリン 「……Gタイプとの相対距離、610……アーモリーワンより、1270。間もなく安全宙域へ出ます、同時にGタイプ、主砲の射程に入ります!
……え? これは……艦長、Gタイプのうち1機が、カオスが停止しました。いえ、反転……こちらへ向かってきます!」
アーサー 「何……?」
グラディス 「アーモリーワンから離れ、後続部隊が無いと見て、こちらを叩きに戻るとでも? あるいは、他の2機を逃がすための足止めをするつもりかしら。
そうならば殊勝なことだけど。ゲイツR両機、発進! 同時に各砲塔用意。フォーメーション・クレインCで迎撃、モビルスーツと砲塔の十字砲火の網に捉えろ!
レーダーはカオスの動向と同時に、引き続き残り2機の進路上を警戒。主砲トリスタン、副砲イゾルデ照準。砲撃開始!」
〜 (???)艦橋 〜
艦長 「良いのですか? 噂の新型Gといえど、暴れてきた後にあの艦を相手に単騎で殿とは。あれが何枚切り札を隠し持っているのか分からないのですぞ?」
仮面の男 「仕方がないさ。このまま素直に追いかけっこを続けさせても、どうやらこちらの懐に辿り着く前に追いつかれる計算だからな。となれば、いざという時
逃げられそうな奴、最も素早い奴が囮になるのが合理的だ。なに、心配ない。スティングとあの機体の相性は、私が見たところ最高だ。そう滅多なことは起こらない
さ。少なくとも、アウルとステラが戻るまでの時間は確実に稼いでくれる」
艦長 「仮に奪回されたならば?」
仮面の男 「そうなるくらいなら艦橋に突っ込んで自爆くらいのことはするかもしれんが、その時は私がフォローに回るとするかな。まぁ、いざというときの為の囮
は、いざという時に秤にかけて選ぼうじゃないか。なぁ、艦長」
〜 アーモリーワン底部宇宙港 〜
シン 「シン・アスカ、フォースインパルス、行きます!」
レイ 『レイ・ザ・バレル、ブレイズザクファントム、発進する』
(宇宙港から伸びたモビルスーツ用カタパルトを滑り、シンのインパルスとレイのザクファントムが装いも新たに撃ち出される)
シン 「出航する時に、高機動用のフォースシルエットと予備のブレイズウィザードを用意しておいてくれたなんて、やっぱりさすがだよな、副長も」
レイ 『そうだな。こちらのブレイズウィザードにはプロペラントブースターも増設されている。使い捨てだが、ミネルバに追いつくまでは保つだろう。フォース
インパルスの最高速度にも追随できるはずだ』
シン 「よし、じゃあ限界まで飛ばすぞ!」
レイ 『了解した。急に加速しすぎて押しつぶされるなよ』
(インパルスとザクファントム、細い推進光を後に引き、二本の矢となって一文字に宇宙を飛ぶ)
STAGE3 予兆の砲火
【ステージ:宇宙空間、ミネルバ付近】
【自機:フォースインパルス】
【自軍:ブレイズザクファントム(レイ)・ゲイツR(ショーン)・ゲイツR(デイル)】
【敵機:カオス(スティング)】
【勝利条件:敵機の全滅】
【敗北条件:自機の撃破、またはゲイツRの撃破】
(ミッション開始)
シン 「あれは……カオス? ミネルバがもう追いついていたのか!」
レイ 「いや、それにしてはカオスより速力で劣る他の2機がまだ大分遠い。……意図的に残ったと考えられるな」
グラディス 『さすがはレイね、私も同じ見解よ』
シン 「艦長! ……すみません、俺はあいつらを……」
グラディス 『任務を失敗したわけでもないのに謝るとは何事なのかしら、シン。あなたが目標の半分、避難エリアの防衛を達成したことは知っているわ。
そして残り半分はこれから片付ければいいだけのことよ』
シン 「艦長……」
ショーン 『フン。つまり俺達で、このレイの乗るはずだったカオスと!』
デイル 『向こうを逃げてやがるハイネのガイアと、ルナマリアのアビスを置き引き野郎から取り戻せばいいってことだ! 力を合わせてな!』
シン 「ショーンさん、デイルさん!」
デイル 『さあ、そういうわけだからシンにレイ! ボケッとしてねえでお前等もしっかり手伝えよ! この野郎、小癪にもあの機動兵装ポッドを2基とも使いこなして
やがる。まぁ、レイほどの器用さじゃあねえがな! いや、どっこいか?』
ショーン 『つまり向こうは実質、3機分の手数を持っているということだ。俺とデイルで1機、シンとレイで2機で丁度釣り合う計算だな』
レイ 「ならば、フォーメーションで速やかに制圧しましょう。クレインCからクレインEへの切り替えを提案します」
デイル 『了解だ。俺とショーンはミネルバの両翼から攻撃する。お前達は飛び回ってクチバシで鋭くついばんでやりな!』
シン 「はい! 行きます!」
レイ 『了解』
(カオスと接触)
シン 「ステラは向こうか……。いや、余計なことは考えるなよ、数で勝ってたって油断できる相手じゃない!」
スティング 「こいつ、また装備を換えたか。あそこからここまで飛んで来た上に、まだこれだけのスピード……この分だと、他にも極端に能力を特化させた
装備がありそうだな!」
(ザクファントムのライフが80%)
レイ 「機動兵装ポッドを使いこなしているというのは本当のようだな。無重力空間でこの縦横無尽の機動……その才能は認めてやってもいい」
スティング 「こいつ、どうやらこの武装に慣れているらしいな。本来のパイロットか?」
(カオスのライフが75%)
ショーン 「奪回が理想とは言っても、そいつがそう簡単に壊れないのは知っているんでな。手荒く行かせてもらう!」
スティング 「旧式が、味な真似を!」
(カオスのライフが60%)
デイル 「おらおらおらおら! どうした盗人野郎! こいつがベテランの匠の技ってやつだ、思い知ったかよ!」
スティング 「ちっ、闇雲に弾を撒き散らそうが、この装甲は抜けやしないぜ……!」
(ゲイツRショーン機のライフが50%)
ショーン 「ぐあっ! 一撃がこの威力……ライフルの威力ではない、照準の精確さによるものか!」
スティング 「機体も腕も違いすぎるってことだ。ロートルは潔く引っ込んでればいいものを!」
(ゲイツRデイル機のライフが50%)
デイル 「へっ、まだまだよ……俺はしぶてえぜ!」
スティング 「蜂の巣にされなければ諦めがつかないのか? なら、望み通りにしてやる!」
(カオスの撃墜時)
スティング 「……なるほどな。ミネルバ隊、確かに侮れん。半分以下の戦力で、この俺が押さえきれんとはな。残りのエネルギーも乏しくなってきたことだし、
さて、どうするか……」
デイル 「なんだ、やっとエネルギー切れか? 今更逃げようったってそうは行かねえぜ! 俺が取っ捕まえてコクピットをこじ開けてやる!」
メイリン 「あ……」
グラディス 「どうしたの? メイリン」
メイリン 「あ、その……ガ、ガイアとアビスの反応が、消失しました! レーダーシステムの索敵外に出たわけでもないのに、突然……!」
グラディス 「消えた……? よく確認しなさい。間違いないの?」
メイリン 「間違いありません、ほぼ2機同時に! 相対距離380の地点で、いきなり……」
アーサー 「消えた……その領域に入った瞬間に……。まさか!」
アビー 「機影1、新たに確認! 相対距離360、Gタイプの反応が途絶えた座標とほぼ同一です!」
メイリン 「……! ま、間違いない、この座標です! 機種、不明! す、すごいスピードです!」
ショーン 「なんだ、何かが近づいてくる……速い!」
デイル 「どうしたショーン、流れ星でも来たか?」
ショーン 「……この位置取り、俺しか間に合わんな。後は頼むぞ、相棒!」
メイリン 「ア、アンノウン、本艦への砲撃位置です! 敵弾反応、急速接近! 艦橋への直撃……」
(アンノウンが相対位置を固定して放った狙い澄ました弾丸が、間に割り込んだゲイツRショーン機のシールドと胴体を貫き、もろとも艦の後方に吹き飛ぶ)
メイリン 「きゃっ……あ、ああ……?」
アビー 「……て、敵弾、逸れました……ショーンさんのゲイツが楯となり、弾道を変えてくれたようです……」
グラディス 「アンノウンに対し弾幕を張れ! 本艦に対し定位置を取らせるな! ……ショーン機の状態は?」
アビー 「た、大破です……シグナルは……」
ショーン 「どう……やら、ミネルバは無事……か? フン、なら、いいさ……」
(吹き飛んだゲイツRが、ミネルバの後方で爆発四散する)
アビー 「……シグナル、ロスト……」
メイリン 「ショーンさん……そんな……」
デイル 「……へへ、相棒よぉ。ちと早すぎやしねえか……?」
シン 「……ショーンさんが、撃墜された……?」
レイ 「出現したアンノウンの砲撃から、ブリッジを守ったようだ。高い加速率を持つ、リニアレールガンだろう」
シン 「ショーンさん! くっ……誰が! 誰が、どこからやった!?」
(フォースインパルス、レールガンで狙撃してきたアンノウンを探し、弾かれたように飛び出す)
仮面の男 「ほう、味方がやられて動揺しているのか? 若いパイロットだな」
スティング 「ネオか? 相変わらず来る時はいきなり出てくるんだな。普段は放任主義のくせによ」
ネオ 「颯爽と現れると言ってほしいな。本当に危なくなるまでは助け船を出さない、逆境でこそ人は成長する。これも親心というやつさ、スティング」
スティング 「へ。俺達を人間として扱ってくれるのは、あんたとリー艦長くらいのもんだぜ」
ネオ 「その艦長も今か今かとお前の帰りを待ってる。早いとこ、この場からおさらばしなけりゃならんからな。さあ、逃げるぞ。エグザスの上に乗れ」
スティング 「了解だ」
(アンノウンがインパルスを軽々とかわし、レールガンをミネルバへ向けて放つ。初撃ほどの速度はないが、カオスについたデイルのゲイツRを退ける)
デイル 「ちぃっ、くそったれが……!」
スティング 「ははっ。あばよ!」
シン 「待て、逃げられると思うなよ!」
(追いすがるフォースインパルスだが、アンノウンの上に乗り飛び去るカオスとの距離をなかなか縮められない)
シン 「なんなんだ、あの機体……フォースインパルスより速度を出せるのか? カオスを背中に乗せてるのに!」
グラディス 「シン、一旦止まりなさい! レイ、デイル、艦の守りはもう良いわ。あなた達はシンのフォローに回って」
レイ 「了解」
デイル 「了解……!」
アーサー 「艦長……あの座標が、彼らのゴールですね。迎えの船は、あそこにいます。間違いなく」
グラディス 「……そのようね。アーサー」
メイリン 「え? で、でもっ、レーダーシステムには、何の反応もっ……」
アーサー 「熱探知、動体探知、金属探知、光学探知……現在有効とされるあらゆる探知システムを複合したミネルバのレーダーシステムでも、まだ
捉えられないステルスシステムが一つだけ残っていたということさ。すなわち……ミラージュコロイド」
アビー 「ミラージュコロイド!? あれは、5年も前に隠蔽目的での使用を禁止されたはずでは!」
アーサー 「そう、あれは各軍で封印された技術だ。しかし、進宙式に潜り込んでGタイプを奪って行くようなテロリストに、今更ユニウス条約など説いても
意味がない」
グラディス 「ここで重要なのは、あそこには見えざる何かが確かに潜んでいて、カオスとアンノウンが辿り着くのを待っているということよ。そしてあれが
ミラージュコロイドによる隠形であるならば、その隠れ蓑を剥ぎ取る手段はある。その後が本番よ。広域電磁性誘導弾グリーンナイト、及び有線誘導式
対艦ミサイルガウェイン用意! モビルスーツ隊はその場に留まり、対電磁波防御!」
シン 「くっ、消えた……! どうなってるんだ、あいつら何もない所でいきなり消えたぞ! レーダーにも映らない!」
デイル 「落ち着けシン、下がるんだよ。ミサイルが来る。電磁波防御だ、急げ」
シン 「デイルさん……でも……!」
レイ 「なるほど、そういうことか」
(インパルス、ザクファントム、ゲイツRを追い越して前方へ飛んでいく10発ほどのミサイルが、何もない場所で炸裂する。するとそこから、まるで幻影が
吹き飛ばされたかのように、一隻の戦艦がみるみるその巨大な姿を現した)
シン 「こ、これ、戦艦…か…!? こんな大きな戦艦が、今までどうやって隠れてたんだ!?」
レイ 「不用意に近づくなよ。ミネルバの放った電磁性ジャミング弾と、対艦ミサイルの衝撃で磁場が乱れている。ごく一時的なものだろうがな……」
シン 「一体どういうことなんだ、レイ」
レイ 「この戦艦が、奴らの逃走用の船だ。お前も知っているだろう、特殊粒子を磁場で固定することで、ほぼ完璧なステルスを行えるミラージュコロイド。
それで艦全体を纏うことで、レーダーからも視界からも完全に姿をくらませていた。磁場の乱れでその隠れ身が破られた、今の今までな」
シン 「……ミラージュコロイド……。モビルスーツを隠せるステルスだって聞いてはいたけど、戦艦まで見えなくできるものだなんて……。でも、これが、
あいつらの!」
デイル 「やれやれ、こりゃたまげたぜ……だがどうやら、ここでお縄にして終わりってわけにはいかなそうだな……!」
シン 「モビルスーツハッチが開く……! 来るか!」
(戦艦が開いたハッチから、黒塗りのモビルスーツが次々に出てくる。そのいずれもが軽装備だが、動きには全く躊躇がない)
(敵増援:戦艦ガーティ・ルー、ダーク・ダガー×10)
シン 「Gタイプじゃない……量産機か?」
デイル 「ダガータイプだな。ヤキン戦役で地球連合が使用した量産機に似てやがる」
シン 「じゃあ、こいつらは地球連合と関係があるんですか?」
デイル 「さあな。ダガータイプは、そうでなくてもすげぇ数が作られた機種だ。乗ってるのがどこの誰かは開けてみるまでわからねえぜ」
アーサー 「戦艦は、足を止めています……発進したモビルスーツは、量産型と思しき機体のみ。逃げずに応戦するつもりなのでしょうか?」
グラディス 「戦艦の動きに注意を払って。まずは、敵モビルスーツの撃破を!」
(敵機全滅時)
レイ 「敵機、全機撃墜。敵艦も、各砲塔は沈黙……」
シン 「……まだ、出てくる様子はない……。カオスがあれだけ戦って行ったんだ、ガイアとアビスも、まだ余力はあるはずなのに……」
デイル 「降伏の相談でもしてやがるのか? いや……どうもキナ臭え。レイ、お前はどう思う」
レイ 「私も同じ考えです。まだ何かある……そんな気配があります」
シン 「……艦橋に、誰かいる……一人? ……女、か?」
デイル 「おい、シン。偵察するにしても、あまり近づきすぎるんじゃねえ、何があるか分からねえぞ」
シン 「は、はい、でも……」
(インパルス、引き付けられるように戦艦の艦橋の前に接近する。艦橋には、パイロットスーツ姿の若い女が一人立ち、インパルスを見つめている。
他には、人の姿はない)
シン 「……あれが、俺達の敵なのか? なんで、他には誰もいない……」
女 「何人死んだかな」
シン 「!?」
(突然、インパルスの通信機から女の声が流れる。電磁波の乱れの影響かノイズが走るが、それでも聞き取ることはできる。艦橋にいる女が、通信機
のマイクに向かって話していた)
シン 「……お前が話してるのか?」
女 「そうだ、私だ。見ていたぞ、お前ずいぶん死なせたな」
シン 「……何?」
女 「そんなご大層な機体に乗っているのに、なんだ、あの様は。仮にも対モビルスーツテロリズム用と銘打った部隊なんだろ? 何人死なせた?
あの基地、すごい入場客だったな。でも何人も、何十人も死んだな。そいつらを守ろうとしたモビルスーツも、何機も壊されたな。お前、一体何人守れた?」
シン 「……」
女 「その後、戦艦も沈んだな。ついさっき、お前の仲間もまた一人死んだ。そうやってどんどん減っていくぞ、お前の周りから。人が……フフッ」
シン 「ぐっ……」
女 「お前達では、何も守れないし、何も変えられはしないよ。お前達は無力だ。現に、これだけ戦ってお前達が得られたものは何だ? 何か取り戻せたか?」
シン 「……と、取り戻せる! この艦を拿捕すれば、奪われたGタイプは戻って……!」
女 「あはは、おめでたい子だな」
シン 「何!?」
女 「一度手からこぼれてしまったものは、そう簡単に戻っては来ない。二度と見つからないことの方が多い。それが世の中の仕組みだよ。知らないわけじゃない
だろう? 坊や」
シン (……マユ)
シン 「お前、一体何者なんだ……テロの首謀者じゃ……ないのか?」
女 「誰だっていいさ。名乗るほどのものじゃない。名前もどうだっていい……私はステラみたいに、絶望以外のものを見出すことはできなかったんだから」
シン 「ステラだと!?」
女 「……? 今のお前の声、なかなか良かった。ステラの知り合いか? 一体いつ? ……ま、いい。私をここまで追い込んでくれたご褒美に、いいことを教えて
やろう。お前は、楽になれる。ステラもそのうちにな。……そして私は、今すぐにだ。やっとな」
シン 「……どういう意味だ?」
女 「アハハ。意味なんて、つけようがない。だからさ……」
(女が、インパルスの目越しにシンを覗き込むような視線で、嗤った)
女 「楽になれるってことだよ」
(それまで沈黙していた艦のエンジンが、突如として激しく炎を噴き出す。戦艦の急激な直進に巻き込まれたインパルスが、艦橋の下に叩き付けられる)
シン 「ぐあっ! な、何を……ふ、艦のエンジンが……!?」
(戦艦の装甲の奥から振動と熱がみるみる膨れあがり、インパルスにまで伝わる)
シン 「エンジンを暴走させたのか……? いや、自爆する気か!?」
(フォースシルエットの推力で離脱しようとするインパルスを、両側から押さえ込むものがある。ハッチから這いだしてきた、4機のダークダガー)
シン 「こいつら……ま、まだ生き残りがいたのか!? 離せ、お前ら、命が惜しくないのか!」
女 「惜しいわけがないだろ? だって、元々そいつらには……」
(もがくインパルスのそばに、ゲイツRが降り立つ。そして、ダークダガーをかきわけてインパルスを引きずり出した)
デイル 「やれやれ……だから近づきすぎるなっつったろ。あんまり世話かけさせんな、シン」
シン 「デイルさん……」
女 「お前、無粋だな……大事な時に」
デイル 「ま、そう言わんでくれやお嬢さん。話はよく見えんが、要は道連れが欲しいんだろ?」
女 「そういうわけではないが……なんだ、お前は」
デイル 「なに、あんたがあんまり良い女だからナンパしに来た、しがない中年のパイロットさ」
(デイルのゲイツRがインパルスを押し出すと、ダークダガー達と格闘を始め、たちまち組み付かれて身動きが取れなくなった)
シン 「デイルさん!」
デイル 「まぁ……そういうわけ、だからよ……あんなガキはほっといて、俺と遊ぼうや……」
女 「ナンパか……。生まれてこの方、そんなことを経験する羽目になるとは思わなかったぞ」
デイル 「中年のヒゲは……嫌いかい……?」
女 「好き嫌いという概念はいまいち分からなくてな。まぁいい、お前でも」
デイル 「ありがとよ……お嬢さん。俺には、腐れ縁の相棒がいてなぁ……」
シン 「デイルさん!」
デイル 「ケッ……せっかくのランデブーに水差すんじゃねえよ。お前らにゃ、50年は早え」
女 「……長生きをしたな」
デイル 「馬鹿言いなさんな、俺はまださんじゅ……」
(事態を悟り、戦艦から逃げる形で距離を取っていたミネルバの頭上で、巨大な火の玉が弾けた)
メイリン 「……敵戦艦、撃沈しました……衝撃波、来ます……!」
アビー 「ゲイツRデイル機、シグナルロスト……」
アーサー 「……動きを止め、沈黙したかのように見せかけていたのは、こちらを自爆に巻き込む意図によるものだったということか……」
グラディス 「シンのインパルスと、レイのザクファントムは……?」
アビー 「インパルスは、近距離での爆発の衝撃によりフェイズシフト装甲が機能を麻痺しています……ザクファントムは、距離を保っていたために
目立った損傷はありません……」
メイリン 「……悪い夢みたい。ショーンさんも、デイルさんも、一度にいなくなっちゃった……ねぇ、アビー……なんなの、これ」
アビー 「メイリン……」
グラディス 「……インパルスとザクファントムに、帰還命令。テロリストの艦艇の撃沈をもって、ひとまず任務を終了したと判断します。残骸の回収と
捜索は、後続の部隊の到着を待って行います」
アーサー 「了解……司令部に打電します。……艦長、我々は勝ったんでしょうか?」
グラディス 「それは、上が決めることね。そして……この戦いが、本当の意味で終わる時にならなければ、分からないことだわ。きっと……」
シン (……俺は、何をやってるんだ。理不尽な暴力を叩き潰すために生まれた……このインパルスに乗っていながら、一体何を……)
シン (何を守れた……何を取り戻せた……見えない、お前しか見えないよ……)
シン (マユ、お前が……お前の冷たい感触しか、思い出せない……!)
シン 「こんなことで……こんなことで、俺は……!」
To Next Stage.
>>635 >>648 まずは両氏ともGJです。
>>635 基本原作通り、といった流れですが、
シンとルナのコンビネーションが良い感じですな。
ただ、アリーシアさんが強すぎる(ネオより上?)のが
なんか引っ掛かります。
>>648 ショーンとデイルがカッコイイ!
原作通りお亡くなりになられたのが勿体ない。
最後にでてきた女性も、今後キーキャラに? と思っていたら
こちらも自爆で、勿体ないw
続きを投下します。
ユニウスセブンと呼ばれるプラントの残骸で外接フレアモーターが起動されていく。
フレアモーターを起動させているのは、ジンやシグー、そしてゲイツなど。
このユニウスセブンは前大戦の休戦条約が締結された場所であり、かつて地球軍の核攻撃により破壊されて前大戦勃発のきっかけになったプラントでもある。
ユニウスセブンが軌道を変えて移動する。移動する先は地球。
「100年単位で安定軌道にあるはずのユニウスセブンが地球へ向けて移動している!?原因は!?」
デュランダルから伝えられた事にカガリは驚く。
「原因はわかりません。ですが、今も動いているのです。我々は原因の究明に全力を挙げています。申し訳ないのですがミネルバも現地へ向かわせるように命令しました」
「いえ、これは私達にとっても、むしろこちらにとっての重大事です。しかし、どうやって…」
カガリの疑問にデュランダルはこう答える。
「砕くしかないでしょう。あれだけの質量を持つユニウスセブンの軌道を変えるなど不可能に近い。故に衝突を回避したいのなら砕くしかありません。あそこで眠っている者たちに悪い気もしますが、あれが地球に落下したら地球には何も残りません」
休憩室でシン、レイ、ルナマリア、メイリン、ヨウランの五人は雑談していた。
最初はどうでもいい話ばかりだったが、しだいに話はユニウスセブンの件へと移る。
「それにしてもアーモリーワンでの強奪騒ぎが片付いていないのに、次はユニウスセブンが地球へ移動中?ほんと、どうなっちゃってんの?」
ルナマリアは不機嫌を露にする。
「原因は何なのか?何がどうなっているかは現地に着けばわかる筈だ。わからなくてもヒントぐらいは手に入るだろう」
レイは何事もないかのように自分の考えを言う。
「でも、何よりユニウスセブンの落下を食い止めるのが先決だよね」
メイリンはそう言って、手に持っている缶ジュースを飲む。
「むしろさあ、ユニウスセブンが地球に落下するのを手伝った方がいいんじゃない。そうすれば、面倒な事が全部なくなるぜ」
丁度その時、デュランダルとの話し合いを終えたカガリとアスランが休憩室の前を通りかかり、ヨウランの発言を聞いて、とりあえず、その場を覗いてみる。
「笑えない冗談を言うなよ。その不用意な発言をアスハの馬鹿が聞いていたら、面倒なことになりそうだからな」
シンはそう言って、缶コーヒーを飲む。
途中から自分たちの会話を覗き込んでいるカガリ達に敵意の視線を送りながら。
シンの視線に気づいたカガリは静かにその場を去っていき、アスランもそれに付いていく。
ガーティ・ルーの方でも緊急の命令が届いていた。
その命令は「ユニウスセブンが地球に向かっている原因を調査し、対処可能であれば対処せよ」というものだ。
「ユニウスセブンが地球に向けて移動中。まさしく未曽有の危機、地球滅亡のシナリオね」
地球の命運に関わるかもしれない重大事であるにも関わらず、アリーシアは平然としているどころか、むしろ笑みを浮かべて楽しそうにしている。
リーはそんなアリーシアに一瞬不快を露にする。
何を考えているのだ彼女は。
優秀な人物であることは認めるのだが何を考えているか全くわからない。
下手すれば地球人類が滅亡するかもしれない重大事にも他人事だといわんばかりの反応を示す。
アリーシアに対してリーは密かに畏敬の念を持つ。
「書いた者がいるのでしょうか?」
「それを調べろ。ということだろ」
リーの疑問にネオは自分の推測を言う。
彼もまた、地球の命運に関わるかもしれない重大事であるにも関わらず、平然としている。
「この艦はこのまま現地に向かうことになりますがよろしいですか?」
ネオはゲストであるアリーシアに一応の確認をとる。
「構わないわ。ひょっとしたら、ロイヤルストレートフラッシュが出せるようになるかもしれないし」
二隻のナスカ級戦艦が地球に向けて移動するユニウスセブンに辿り着く。
彼らが来たのは「メテオブレイカーを用いてユニウスセブンを分断せよ」という命令を受け、それを実行するためだ。
「それにしてもでかいよな。本当に砕けるのかどうか」
「でかいのは当たり前だ。俺たちも同じような所に住んでいるんだからな」
ナスカ級ヴォルテールのブリッジで会話しているのはこの部隊を指揮するイザーク・ジュールとその副官であるディアッカ・エルスマンの二人。
一応、二人は上司と部下であるが、かつては二人ともクルーゼ隊に赤服として所属していたこともあり、ただの上下関係ではない信頼関係にある。
「たっぷりと時間があるわけじゃない。ミネルバも来る。手際良く動けよ」
「了解」
イザークにディアッカは敬礼で返して破砕作業の為にブリッジを出ていく。
ミネルバも遅れてユニウスセブンの周辺宙域に辿り着く。
格納庫でシン、レイ、ルナマリアの三人は発進準備を整える。
『今から十五分後に発進。そのあとは先行しているジュール隊の指示に従うように』
「破砕作業の支援って、何すればいいのよ?」
『さぁな』
アーサーが言った指示にルナマリアとシンは何となくそんな疑問を浮かべる。
ミネルバのブリッジではアスランがMSを一機貸してほしいと頼んでいた。
「民間人にMSを貸せると思うの?ましてや、あなたは他国の人間。到底、無理な話よ」
タリアはアスランの頼みを一蹴しようとする。
当たり前だ。だが、
「私が許可しよう、議長権限の特例でね。作業できるMSは一機でも多い方がいい」
デュランダルはあっさりと議長権限の特例であっさりと許可を出す。
その事にタリアは不審に思ったがすぐにそれを振り払う。
許可を得たアスランがブリッジを出ていくのをカガリは複雑な心境で見送る。
アスランは事情を聞いた兵士からサイズの合うパイロットスーツを貸してもらい、それに着替えて余っているMSに乗り込む。
「なんでアスハの護衛も出るんだよ!」
『そんな事はどうでもいい事だ。それに支援できるMSは一機でも多い方がいい』
「わかったよ」
カガリの護衛が自分たちのMSに乗って破砕作業に参加する事になった事実に文句を言うシンをレイがなんとか納得させる。
ジュール隊のMS部隊はメテオブレイカーを設置し、破砕作業を行っていた。
この場にいるほとんどの者が何もなく、破砕作業を終えられると思っていただろう。
ユニウスセブンを地球に移動させた者たちを除いては…。
隠れていたジンやシグー、ゲイツといった旧式のザフト製MSが次々と姿を現し、破砕作業を行っていたジュール隊を襲撃する。
ジュール隊のMSパイロット達は咄嗟の事態に対応できず、次々と撃墜されていく。
「どこの機体だ!?」
ディアッカは毒づきながら、自分達を襲撃しているザフト製MSの識別を確認する。
襲撃しているMSの識別はどれも所属不明を示すUNKNOWNの文字。
「UNKNOWN!?IFF応答なしだと!」
破砕作業を行っていたジュール隊が所属不明のザフトMSに襲撃されている知らせがミネルバに届く。
「UNKNOWNって、まさか!」
「これで状況が変わったな」
「一体どこの馬鹿!?」
「…またMSで戦う日がくるとは……」
発進三分前の時点でその知らせが届いたシン、レイ、ルナマリア、アスランの四人は急いで戦闘の準備を始める。
そんな中、ルナマリアがアスランに声を掛ける。
『状況が変わりましたね。危ないですよ。お辞めになります?』
「馬鹿にするな」
ルナマリアの挑発にアスランは少しムキになって、言い返す。
ミネルバから、フォースインパルス、ブレイズザクファントム、ガナーザクウォーリア、ブレイズザクウォーリアが次々と飛び立つ。
武器をほとんど用意していなかったジュール隊のMS達は所属不明MSに次々と撃墜されていく。
「こんな奴らに!」
所属不明のゲイツに乗っているパイロットはビームクローでザクのコックピットを貫く。
メテオブレイカーを持って移動する二機のゲイツRの前に二機のジンとシグーが立ちふさがり、メテオブレイカーを持っている為に何もできないゲイツRをシグーがガトリング砲で撃墜し、ジンがマシンガンでメテオブレイカーを破壊する。
彼らは自分達が所有しているMSの中である程度性能が時代遅れでないゲイツ等が戦える敵MSと戦闘して時間を稼ぎ、完全に次代遅れのジンなどがその隙に戦えないMSやメテオブレイカーを破壊するという方法を取っていた。
この方法ならば、時代遅れのジンなども活かすことができ、無駄な犠牲もある程度防ぐ事が可能だ。
部下が撃墜されていく光景をヴォルテールのブリッジで見ていたイザークは艦の指揮を艦長に任せ、自らは青いザクファントムに乗り、スラッシュウィザードを装備して出撃する。
「どういう奴らだよ。一体!」
毒づきながらディアッカはオルトロスでゲイツを撃墜するが、その直後に三機のジンハイマニューバU型が襲いかかる。
「破砕作業を続けろ!」
イザークはメテオブレイカーを破壊しようとするシグーをビームアックスで叩き斬り、部下に破砕作業を続けるように指示を出す。
その頃にシン達もユニウスセブンに辿り着き、ジュール隊を襲っているMS部隊と交戦し始める。
ユニウスセブンの周辺宙域から離れた位置でそれらを見ている者たちがいる。
「ここでザフトのMSとは、一体どういう事でしょうか?」
「さぁ、何はともあれ、この騒動。神の気まぐれによるものではない事は確かね」
リーの疑問にアリーシアは今わかっている事を言う。
「スチィング達を出せ、様子を見たい。記憶もできる限り撮っておけ」
ネオはそう指示を出す。
ガーティ・ルーはユニウスセブン周辺宙域まで一気に移動し、カオス、ガイア、アビスを発進させる。
ミネルバや二隻のナスカ級のレーダーにガーティ・ルーやカオス、ガイア、アビスが確認される。
「ボギーワンとカオス、ガイア、アビスを確認!グリーン25デルタ!」
メイリンからの報告にミネルバのブリッジにいる者たちは皆驚く。
「冗談じゃないぜ。こんなところでドタバタと!」
「お前らのせいかよ。こいつが動き出したのは!」
スティングは機動兵装ポッドでジンを撃墜し、アウルは複相ビーム砲でザクを撃ち抜く。
彼らからすれば破砕作業をするミネルバやジュール隊もユニウスセブンを落下させたテロリスト達も全部ユニウスセブンを地球に移動させている犯人であろうザフトに見えるので無差別に攻撃を仕掛ける。
「あいつら!」
シンは機体をとばしてビームサーベルでガイアに斬りかかる。
「こいつ!落とす!」
ステラはそれをかわして距離を取りながらビームライフルを連射したあと、ビームサーベルを抜き、インパルスに急接近して斬りかかり、双方とも相手のビームサーベルをシールドで受け止めて鍔迫り合いのような状態になる。
ほんの少しその状態が続いたが双方とも激突するように勢いよく距離を取り、シンはビームライフルを連射し、ステラはガイアをMA形態に変形させてビームをかわしながら勢いよく突っ込む。
ガイアの突進をまともに受け、インパルスは大きく仰け反るがシンはそれを利用して機体を宙返りさせ、ガイアの顎を蹴りとばす。
大きな隙をさらしたガイアにシンはビームサーベルで斬りつけるようとするがガイアは間一髪でそれを回避して距離を取り、MS形態に戻る。
「ふざけてるのか!あんたはッ!」
シンは思わず叫ぶ。
アーモリーワン近辺宙域やデブリ帯での戦いで自分を圧倒していた奴が急に自分と互角程度にまで弱くなる訳がない。
つまり、目の前にいるガイアのパイロットは自分に合わせて戦っている。
それがシンの闘争心に怒りの火をつける。
ルナマリアもカオスを見つけ、オルトロスを放つ。
「殺る気か。赤いの!」
赤いザクウォーリアの放ったオルトロスをかわしながらスティングは機動兵装ポッドを展開させて二方向から多数のミサイルを放つ。
ルナマリアは機体を高く上昇させてそれをかわすが、MA形態に変形し、さらに上の位置にまで上昇していたカオスは上から下にいるルナマリア目掛けて複相ビーム砲を撃つ。
「何をっ!」
それを回避したルナマリアはカオスに向けてビームトマホークを投げるが回避される。
長くてかさばるオルトロスと大容量のエネルギータンクを背負っているガナーザクウォーリアと強襲型で高機動戦闘に特化したカオスとでは、1対1の状態で戦っている以上、今は互角に見えるであろう戦いもどんどん不利になっていく。
長引けば確実に撃墜されるだろう。
ルナマリアは思わず舌打ちをする。
ミネルバから出撃した自分以外の三人が出撃準備の際、高機動戦に特化した装備を選択していたので、とりあえず自分だけ砲撃戦に特化したガナーウィザードを装備して出撃したのだが、それが逆にあだとなっていた。
ミネルバでは乱入してきたボギーワンをどうするか相談が交わされていた。
「議長。現時点でボギーワンをどう判断しますか?地球軍?それとも海賊と?」
タリアはデュランダルの判断を仰ぐ。
「私は地球軍と判断したくはないな。…それに彼らが地球軍でも海賊でも彼らに対する対処は同じだ」
結局、ボギーワンに対して国際救難チャンネルで協力を仰ぎ、協力したくなかったら破砕作業の邪魔をしないよう呼びかけることになった。
その頃、地球ではユニウスセブン落下の情報が世界中に広がり始め、各国で会見が開かれ、危機が迫っているのを多くの人が知ることになる。
ガーティ・ルーでは電文を読み、この場をどうするか相談が交わされていた。
「いかがいたしますか?」
ネオはアリーシアの判断を仰ぐ。
最も、彼らとしては敵戦艦の電文の内容をそのまま信じるわけにはいかない。
だが、アリーシアは意外にも。
「協力しましょう」
それを聞いてその場にいる者達は全員、耳を疑った。
「本気ですか!?奴らの言っている事が本当とは限らないんですよ!むしろ、奴らがあのユニウスセブンを落下させている可能性とて!」
「緊張緩和進めているこの国際情勢下で地球に甚大な被害が出るかもしれないこの事態を彼らは引き起こせないし、楽観してもいられない。ユニウスセブンにいるザフトを殲滅してユニウスセブンを壊すにしても私たちには地球へ向けて落下するユニウスセブンを破壊する術がないわ」
ネオの反論を退け、アリーシアは返事の電文を打たせてスティング達にザフトに協力するように指示する。
「ザフトに協力しろって、マジかよ」
最初に反応したのはアウル。
『マジよ。とりあえず、破砕作業部隊を守りながら、それを攻撃しているテロリストを殲滅して。電文によるとテロリストが使っているMSはその殆どが旧式らしいし、コードはザフトのものを持っていないわ』
「クッ、了解」
それを受けたスティングは赤いザクウォーリアとの交戦をやめ、ビームライフルで近くの破砕作業部隊を攻撃しているテロリストのジンを撃墜する。
カオスの取った行動を不審に思うも、ルナマリアは襲いかかるジンハマニューバU型に向けてオルトロスを放つ。
ミネルバに送られてきた協力するという返事の電文を読んでデュランダルは安堵する。
「どうやら、わかってくれたみたいだな」
「……」
一方、カガリはボギーワンのあまりに誠実過ぎる返事に何か裏があるのではないかと疑う。
「連中と協力!?」
『はい、彼らと協力して作業部隊の護衛とテロリストを殲滅してください』
メイリンを通して伝えられてきた思いがけない命令にシンは驚く。
そのあと目の前にいるガイアを見据える。
むこうも協力命令を聞いたのか、こちらへの攻撃をやめたかに見えた。
だが、突如としてガイアはビームライフルを構えてインパルスのほうに向けて撃つ。
シンは咄嗟にシールドを構えるがビームが命中したのは背後からインパルスを襲おうとしたゲイツ。
「どうやら…、本当に協力する気みたいだな」
シンはそう呟いて背後にいたゲイツにビームライフルで止めをさす。
レイは多数のミサイルを放ち、後ろにあるメテオブレイカーを破壊しようと迫るシグーとゲイツの内のゲイツを撃墜するがシグーに突破され、後ろのメテオブレイカーと作業部隊が攻撃されると思ったその時、何条かのビームがシグーを貫く。
ビームを放ったのはアビス。
「前に戦った奴らと共闘するのって、変な感じだよな。まったく」
シグーを撃墜したアウルは愚痴をこぼしながら次の敵を求めて移動する。
それを少し見送ったレイは目の前のジンと対峙する。
ガーティ・ルーがミネルバとジュール隊の味方になったことで戦況が変化し、遂にメテオブレイカーによってユニウスセブンが半分に分断され、半分は軌道を変えて地球とは全く関係ない方向へ移動を始めた。
「グレイト!やったぜ!」
ユニウスセブンが分断され、地球が滅ぶという最悪の事態を回避できたことにディアッカは喜びの声を上げる。
「まだだ!もっと細かく砕かないと」
確かに半分は軌道を変えたがもう半分は未だ地球へ向けて移動しているのだ。
安心はできない。
アスランは即座にディアッカのそれを否定する。
「アスラン!?」
ディアッカはかつての仲間がこの場にいたことに驚く。
「貴様!こんな所で何をやっている!」
「そんな事はどうでもいい。それより破砕作業を急ぐんだ!」
突っかかるイザークにアスランはそう言う。
なんだかんだ言いながらも三人は再会を喜ぶ。
三人はそれぞれ自分の機体を駆り、テロリストを圧倒する。
「やめろ!」
アスランのザクウォーリアはジンハイマニューバU型のビームカービンを苦もなくかわしながら、一気に懐に飛び込む。
「何だこいつ…強い!」
ジンハイマニューバU型に乗るテロリストは斬機刀を抜こうとするがその前にビームトマホークでコックピットを薙ぎ払われる。
「イザーク!」
「うるさい!今は俺が隊長だ!命令するな、民間人がぁ!」
イザークも負けじとビームアックスでゲイツをあっと言う間に叩き斬る。
「やれやれ」
続くディアッカもオルトロスでシグーを撃ち抜く。
「あいつ、あんなに強かったの…」
出撃する前にアスランを馬鹿にしていたルナマリアは第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦を生き延びたイザークやディアッカにひけをとらないその実力に驚く。
「何をしている!」
レイに注意され、ルナマリアは我にかえる。
戦況は、ミネルバやジュール隊、ガーティ・ルーの有利で進み、メテオブレイカーで次々とユニウスセブンが砕かれていき、外部からの砲撃か何かで攻撃すればその殆どが大気圏で燃え尽きる程までに細かく砕かれた。
だが危険高度に達した為、これ以上の破砕作業の継続を危険を判断し、作業を終了させて皆それぞれの母艦に帰還する。
そんな中、未だメテオブレイカーで唯一大きく残ったユニウスセブン残骸の破砕作業を続けているMSが一機。
シンの乗るインパルスだ。
自らの母艦に帰還しようとしてたステラは破砕作業を続けるインパルスを見つけて何となく通信を入れる。
『戻らないの?』
通信で互いの顔を見てシンとステラは相手がアーモリーワンの時に出会った人物と知り、驚くがすぐに平静を取り戻す。
「ああ。まだこれが残っているから破砕作業を続けないと。もしもこれがどこかに落ちたら、その場にいる人たちが死んじゃうからな」
真剣な表情で答えるシンの「死」という単語を聞いてステラは突如として怯え出す。
『死ぬの…!?死んじゃうの…!?』
「そうさせない為に俺たちがユニウスセブンをどうにかするんだろ!地球にいる人たちを守る為にここに来たんだろ?」
『…守る…?』
真剣に言うシンのそれを聞いたステラは徐々に落ち着きを取り戻していき、作業を手伝い始める。
『私も手伝う』
そう言うステラからはさっきの怯えた表情はなく、どこか凛としている。
破砕作業を続ける中、シンはある事を思い出す。
「そう言えば、あの時は名前を聞いていなかった。…名前は?」
「…ステラ、ステラ・ルーシェ」
「俺はシン・アスカ」
それぞれ名前を名乗った直後、生き残ったテロリストが二人に接近してくる。
数はもうジンハイマニューバU型が一機しかいない。
シンはステラに作業を続けさせ、自らはテロリストを迎え撃つ。
「我が娘の墓標!落としてやらねば世界は変わらぬ!」
自らの想いを叫びながらジンハイマニューバU型に乗るテロリストは斬機刀でインパルスに斬りかかる。
自らの想いを伝えたいのか、インパルスとガイアに通信を入れながら。
「娘!?」
シンは動揺しながら斬機刀をシールドで防ぎ、ビームサーベルでジンハマニューバU型の片腕を切り落とすがジンハマニューバU型は怯まずにシールドで殴りかかる。
「ここで無惨に散った命の嘆きを先の大戦で散っていった命の嘆きを忘れて撃った者たちと何故偽りの世界で笑うか!貴様らは!今のザフトは!」
ジンハイマニューバU型に乗るテロリストは戦いながら叫ぶのをやめない。
「このユニウスセブンで起きた血のバレンタインで愛する家族が!友が!一瞬で死んだ!それを何とも思わないクラインの奴らに騙され、ザフトは変わり果ててしまった!我らコーディネイターにとって、パトリック・ザラの取った道こそが唯一正しき道だった!」
テロリストが叫び終えた直後にメテオブレイカーによって唯一大きく残っていた残骸も分断され、それに注意が逸れたジンハイマニューバU型をシンは苦々しい思いを抱かえながらビームサーベルで斬り捨てる。
これでテロリストを完全に殲滅したのだが、インパルスとガイアは地球の重力に引かれて母艦に戻ることができず、大気圏に入る。
ミネルバとガーティ・ルーは未だ戻らないインパルスとガイアを切り捨てユニウスセブンと共に降下しながら、戦艦の主砲で残ったユニウスセブン残骸の破砕の続行を決断。
その際、タリアはデュランダルとカガリにヴォルテールへ移動するように指示する。
デュランダルは救命艇へすぐさま移ろうとするが、カガリは自分だけが逃げては申し訳が立たないと言ってこれを拒否する。
「アスハ殿がそうお望みでしたら、止めはしませんが…」
デュランダルは、いいのだろうか?といった様子でブリッジを出ていく。
ミネルバとガーティ・ルーは降下シークエンスに入り、デュランダルは救命艇に乗り込んでヴォルテールへ移動する。
そこから地球に降り注ぐかもしれない数あるユニウスセブンの残骸とそれを破砕しようとするミネルバとガーティ・ルーを見下ろしながら、
ここでシンとステラを再会させたのはフラグを立てるなら、
まずここかな。って、思いました。
ガーティ・ルーとミネルバを共闘させたのは
その他にも考えがあってのことです。
GJGJ
662 :
シンルート:2007/09/17(月) 23:28:17 ID:???
(こちらも続きです、やっぱり長いので分けて投下します)
〜 一ヶ月後、プラント・ユニウス領近宙域 〜
テロリストA 「見えたぞ。あれが今回の我々の標的、ユニウスプラント群だ」
テロリストB 「ふん。コーディネーターどもの食料生産区ってことは、中の連中はさぞかし腹一杯食ってやがるんだろうな」
テロリストC 「さあ、少なくとも2年や3年先の飯を作る用意はあるようだがな。なにせ、例の条約から最初にコロニーが増設されたのはこの辺り
だって話だ。プラント全体を通しても、飯が行き渡らずに飢えた生活してる少し前までの俺達みたいな奴らは、もう少ないかもな」
テロリストB 「気に入らねえぜ……元は俺達、あるべき地球人の植民地だったくせして、不相応に優雅な生活しやがってよ。品種改良の飼い犬
どもには、俺達に尻尾振って餌恵んで貰ってるのがお似合いだってんだ。最初の頃みたいにな」
テロリストA 「血のヴァレンタインを為し得た我らが同志達も同じことを考えたのだろうな。そして今、歴史は繰り返されるというわけだ」
テロリストC 「核の炎に二つに割られて、葬られた仮初めの大地……その跡に再び築かれた大地もまた、同じ末路を辿る、ってな。もっとも今度
のは核じゃなく、毒ガスだがな」
テロリストB 「ククク……楽しみだぜ。連中、苦しんで死ぬんだろうなぁ、一人残らずよう。なんせ逃げ場はねえからな。逃げたって隔壁の奥の奥
まで追い詰めて吹き込んでやるぜ」
テロリストA 「そのためのモビルスーツと装備だ。警備の機体は、反対側から接近した同志達が誘い出している。頃合いだ、我々も行くぞ」
テロリストC 「おう。塵は塵に、灰は灰に、赤い土は黒い土に」
テロリストB 「そして化け物どもは、元の鎖に」
テロリストA 「青き清浄なる世界の……」
?? 『停船せよ』
テロリストA 「……何っ?」
?? 『そこの貨物船、速やかに航行を停止し、応答せよ。こちらはプラントMSテロ対策委員会直属、独立遊撃隊ミネルバ。貴船にはユニウス領
へのテロ行為の企図、ないしはテロ行為との関連について嫌疑がかけられている。速やかに停止し、応答せよ』
テロリストB 「ミネルバ隊だと……ど、どこから見られてる? まだプラントに気付かれるような距離じゃねえはずだぞ!」
テロリストC 「……映った。今頃こっちのレーダーに飛び込んできやがった。モビルスーツがユニウスエイトの反対側から一騎駆けしてきてやがる。
かなりのスピードだ……」
?? 『なお、この警告に従わない場合、こちらには貴船への武力制圧が許可されている。……最後の通告だ、止まらなければ撃つぞ』
テロリストC 「おい、どうする。ミネルバ隊といえば、この所片っ端から俺達の作戦を潰しにかかってる、あの神出鬼没の部隊だろ」
テロリストA 「ああ、我々の間では既にその名を知らぬ者はいまい。だが、今更引けるものか。ここまで詰め寄りながら、忌むべきコーディネーター
どもに一太刀もくれずに降伏したとあっては、我らが盟主に顔向けできん。それに、現れたのは一機のみ。アーモリーショックで奴らが晒した醜態
を鑑みれば、母艦さえいなければ、恐るるに足らんはずだ。構わん、足は止めるな」
テロリストB 「……それに、こっちには切り札もあったしな。いざとなればガスの詰まったミサイルで脅してやりゃあいいか。ク、ククク」
テロリストC 「そうと決まれば、最初に身の程を知ってもらうか。切り札はたっぷり用意してあるんだ。まずは10発ばかり撃って逆に戦意を萎え
させるというのはどうだ。この距離なら充分プラントに届く」
テロリストA 「悪くないな。では、早速出るか」
(その瞬間、貨物船が大きく揺らぐ)
テロリストB 「うおっ! どうした!?」
テロリストC 「ちっ……野郎、こっちの船の翼を撃ち抜きやがった。もうそこまで近づいてきてやがる。右主翼が落ちるぜ」
テロリストA 「警告通りに攻撃してきたというのか、コーディネーターめ……! ハッチをパージしろ!」
(バランスを崩した貨物船の上部搬入扉が吹き飛び、中から3機のモビルスーツが現れる。この時代では、国籍に関係なく使われる機体である)
テロリストC 「船はもうダメだな。だがミサイルは持ち出せたぜ」
テロリストB 「先に行って後出しが常套のコーディネーターの分際で、先に仕掛けてきやがった礼だ。てめえの無力を思い知らせてやる!」
テロリストA 「撃って良いのは半分までだ。半分は残しておけよ」
テロリストB 「はっ、それで充分だっての!」
(3機の武装化モビルスーツ、レイスタ・リモデライズドが散開しそれぞれの位置から背負った高速ミサイルを次々に放つ)
(……だが、飛来した機体が携えたライフルから矢継ぎ早に放ったビームは、ミサイルをことごとく、プラントへの接近を許さずに撃ち落とした)
テロリストB 「何だと……あの数のミサイルを、たった一挺のライフルで!」
テロリストC 「……そうか、あれがミネルバ隊のフラッグシップ……アーモリーショックの後に唯一残されたザフトのGタイプ、インパルスか」
(ユニウスプラントを背後に背負い、舞い降りるフォースインパルス。その緑の眼光が、テロリスト達を射抜く)
シン 「既に通告はした。プラントへのテロ攻撃もたった今確認した。もう言い逃れはできないぞ、テロリストども……俺はお前達を許さない」
テロリストB 「こいつがこの青い奴のパイロットか。……噂通り、ガキじゃねえか。こんな奴に許すだの許さないだの言われる筋合いはねえぜ!」
テロリストA 「かくなる上は、こいつを押さえて残りのミサイルを一発でも二発でもプラントに撃ち込むぞ。血のヴァレンタインを再び我らの手で!」
シン 「……お前等は……!」
【ステージ:宇宙空間、プラント・ユニウスエイト近宙域】
【自機:フォースインパルス】
【敵機:レイスタR×3】
【勝利条件:敵機の全滅】
【敗北条件:自機の撃破、または毒ガスミサイルのユニウスエイト到達】
(ミッション開始)
シン 「消えてなくなればいいんだ……お前達みたいな奴らは。そのためなら、俺は……!」
(レイスタR、1機目撃墜)
テロリストC 「なんてスピードだ、まるでハヤブサ……相手が悪すぎたぜ……」
(レイスタR、2機目撃墜)
テロリストB 「くそっ、コーディネーターが! この品種改良の犬どもがあっ!」
シン 「……」
(レイスタR、3機目撃墜)
テロリストA 「こ、これが新型Gタイプの実力か……。こんなのが4機も揃っていたなら、今頃我々は……」
シン 「終わりだ。お前達の別働隊は、ミネルバが押さえている。武装を解除し降伏しろ。そうすれば、とりあえずこの場では死なずに済むぞ」
テロリストA 「小僧が、知ったような口を……。我々は貴様等コーディネーターには屈さぬ。自然の摂理に背く傲岸なる貴様等に、天の裁きを!」
(半壊したレイスタRが、残った毒ガスミサイルをミサイルサイロから引き出す。その瞬間、レイスタRの胴体をインパルスのライフルが撃ち抜く)
シン 「この、馬鹿野郎が!」
テロリストA 「フフ、馬鹿は、貴様だ……」
(動きを止めたレイスタRの視線の先、インパルスの後方で撃墜されたはずのレイスタR2機のミサイルサイロが開く。そして、3発の高速ミサイルが
ユニウスエイトへ向けて放たれた)
シン 「何!?」
テロリストA 「ハハッ! パイロットが死んでもミサイルくらい撃たせられる。我々の執念を甘く見るなよ、間抜けなコーディネーターめ! 死ぬが良い、
青き清浄なる世界の為に!」
シン 「ちっ!」
(即座に反転しミサイルを追うインパルスの背後で、レイスタRが爆砕する。だがインパルスがミサイルとの距離を次第に詰め、上方から照準を重ねる
直前に、ミサイルはプラント側から放たれた小口径のビームの連射で撃破された。オレンジ色の僚機グフが、既にそこへ駆けつけていたのだった)
ハイネ 「よう、シン。遅れて悪かったな。ミサイルはこれで全部か?」
シン 「ハイネ隊長……。ありがとうございます、助かりました」
ハイネ 「なに、俺はおこぼれに預かっただけさ。お前が脇目も振らずに先行してくれなけりゃ、こう綺麗には片づかなかっただろうよ。よくやってくれた」
(減速したインパルスと向き合うハイネのグフが、おもむろにテロリスト達の機体やミサイルの残骸を見回す)
ハイネ 「しかし、とうとう毒ガスまで持ち出して来るとはな。テロリストどものやり口も、近頃どんどんエスカレートしてるか。この辺の宙域はきれい
さっぱり、ガンマ線……いや、焼却か化学消毒する必要がありそうだな。俺達の機体も念入りに洗浄せにゃならんぞ」
シン 「……そうですね。消えてなくなればいい……汚いものは、全部」
ハイネ 「……シン?」
シン 「……何が、青き清浄なる世界の為に、だ。……ふざけるなよ……!」
〜 アプリリウス領、プラント最高評議会 〜
ソラス 「わたくしも、彼らは実によくやってくれていると思うのです。デュランダル議長」
デュランダル 「……」
ソラス 「彼らはアーモリーショックで被った多大な痛手にも膝を折ることなく、残った戦力をもって、当初の予定の通りにモビルスーツ・テロリズムの
強攻警戒と鎮圧に今もなお全力を尽くしている。ミネルバ隊の姿勢と戦果には、わたくしは称賛を惜しむものではありません。……ですが」
デュランダル (……来るな)
議員D 「アーモリーショックによる被害も含めるならば、ミネルバの就任後にテロによって死傷した市民の数は、実に576名に上ります」
議員E 「ミネルバ隊が対応可能であったモビルスーツに関するテロによる死傷者は、うち306名。テロによる行方不明者も含めるならば、400名を
悠に越えるものです」
デュランダル 「……」
議員A 「……それはつまり、あなた方はミネルバ隊が本来守れるはずであった市民が犠牲になったものであると仰りたいのですかな?」
議員D 「そうは申し上げていません。ソラス議員の仰る通り、ミネルバ隊はよくやってくれています。彼らのできる範囲でね」
議員B 「そうとも。ミネルバ隊が関わった事件におけるプラント側の死者は、アーモリーショックを除けば未だに出ていないのだ。負傷者も僅かに17名
に過ぎん。これは歴史を顧みても、その規模から言えば例がないほどに優秀と言えるのではないか」
議員C 「加えて、作戦の成功率は現在、100%を維持している。これもまた史上、理想的とされながらも、前例を見出すことの困難な数字だ。全く何も
恥じるところなどない」
議員E 「ですから、申し上げている通りですよ。あなた方が弁護されるまでもなく、私共もミネルバ隊の能力には疑いなど持っていないのです。彼らは
非常に優秀だ。実質、その戦力の半分以上を失っていながら、戦力不足による任務の失敗や民間への被害拡大は生じていない。驚嘆すべきことにね」
ソラス 「それらはひとえに、彼らの能力と日々の精進、そして強固な使命感によるものであるとわたくしは考えています。……では、それでもなお、市民に
犠牲が出ているのは果たして何故でしょうか?」
議員A 「そ、それは……」
デュランダル 「……それは、手が届かないからでしょうな」
議員B 「議長……」
デュランダル 「ミネルバ隊がいかに迅速かつ強力な戦力であろうとも、彼らは結局のところ一部隊に過ぎない。もしも同じ時刻に、両端に離れた異なる
場所に火種がこぼれたならば、それを同時に掬い上げることなど物理的に不可能です。つまりミネルバは同時に発生したテロには対応仕切れない」
ソラス 「そう仰られるのなら話は早いですわ、デュランダル議長。このようなことを申し上げねばならないのは真に遺憾ではありますが、それではミネルバ
隊の存在は、プラントを脅かすテロ行為への根本的な解決とはならないのではありませんか?」
議員C 「ソラス議員、それは……!」
デュランダル 「いや、貴女の仰るとおりでしょうな。しかしお言葉を返すようだが、テロ行為を根本的に解決する手段など、残念ながら未だに発見されて
はいません。それを今の我々が行うためには、革命の意思や憎しみや絶望、利害に至る全ての思考活動を人々から奪い去らねばならないでしょう。
それもプラントだけではなく、地上も含めた全世界からです」
ソラス (ここで極論を出してきましたか。けれど、ごもっともですわね)
デュランダル 「ゆえに、私は最低限守るべきプラントの領域であれば、どの場所であろうと速やかに手が届く遊撃部隊としてミネルバ隊を立案したのです。
テロの発生を防げないのであれば、発生の初期の段階、または発生が予測できた段階でこれを速やかに排除する。互いの戦争に対する意識を回避する
目的でもユニウス条約に明確に定められた軍縮の中では、それが唯一の選択肢であると私は考えたのです。その支援態勢も敷いた上で、です」
ソラス 「限られた保有数ならばより強力な機体を、限られた人員は精鋭へと成長させ、質と連携によって数を補う。セカンドステージプランとミネルバ計画
については、無論よく存じ上げておりますわ。しかし、それでは限界があることが浮き彫りになったと、わたくしは改めて申し上げたいのです」
デュランダル 「つまりは、前々からあなた方の提案されていたユニウス条約の改正について、地球各国に申し入れる時期が来たと?」
ソラス 「はい」
デュランダル 「私は、それについては未だ賛同しかねます」
ソラス 「答えは変わらない、と仰るのですね? けれども議長、それではどうなさるおつもりなのですか? 議長のお作りになったミネルバ隊は、一部隊と
しては見事なお手並みではあるけれど、全てを守ることなどできない。ならば条約の改正を求め、充分な数のモビルスーツを各プラントに配備し、鉄壁の
守りを固めることこそがベストであるとわたくしは考えますが」
デュランダル 「ソラス議員、それはまだ時期尚早ではないでしょうか。セカンドステージプランによる、従来機から新型機への機種変更は未だに終了して
はいない。それが達成されたならば、各プラントに配備された部隊もまた、ミネルバ隊のモビルスーツ部隊に準じる強力な機体を得ることになる。あなた
の言われるモビルスーツ・テロに対する防衛能力も確実に上がり、ミネルバ隊も唯一の対抗戦力などではなく、各プラントの援護という役回りへと変化
していくでしょう」
ソラス 「では、それまでに犠牲となる人々については、どうお考えになるのですか? セカンドステージの機体は強力であるが故に、量産体制を敷いても
なお、配備には時間がかかるのでしょう? しかし従来機であれば、同じ工廠を利用しても量産の速度は遙かに早いはずです。用意はそれこそ、今すぐ
にでも始められますわ」
デュランダル 「……」
ソラス 「……」
デュランダル 「……それでは、こうしましょう。ソラス議員は、条約改正についての草案を再三検討してください。今日より一ヶ月後、その時期の状況を
見て、現状のままミネルバ隊の活動とセカンドステージプランを続行するか、貴女の仰るように地球各国へユニウス条約の改正を申し入れるか、決定
しようではありませんか」
ソラス 「分かりました。議長が地球各国との共存を約束したユニウス条約を大変重んじられているのは、わたくしも重々理解しているつもりです。けれど、
それに縛られ守るべき市民を守れないのでは本末転倒……くれぐれも、公正にして冷静な判断をお願い致しますわ。わたくし達が手を取り合いたい地球
各国が本当にプラントと共存できるのかどうか、その事もお考えになった上で。なにしろ、これまでに逮捕されたテロリストの殆どは、ナチュラルであった
という事実があるのですから」
デュランダル 「……」
議員A 「議長、あれでは……!」
デュランダル 「遅かれ早かれ、追及は免れなかった件ですよ。ミネルバ隊と国防、ユニウス条約に関するジレンマについては、評議会の議員であれば
誰しもが考えていることですから。ならば、ソラス派の方々にも早々に意見を明確にしてもらった方がこちらも動きやすい」
議員B 「確かに。しかし、あと一ヶ月で全てのプラントにセカンドステージを配備するなど……全くぎりぎりのラインではありませんか」
デュランダル 「それについては、言葉通りに受け取らずとも良いのです。要は供給する場所の的確な選択と、情報操作です」
議員C 「と、仰いますと?」
デュランダル 「今回は、まだ確たる証拠が揃っていないので議題には上げませんでしたが……皆さん、おかしいとは思われませんか? ミネルバ隊の
手が届かず犠牲の出たテロはことごとく、彼らの最初に向かった場所とは大きく離れた場所で起きている。遠く離れた所で同時に、いや、僅かな時間差
を設けて行われている。これはなぜでしょう?」
議員A 「テロリストが組織だった動きをしている……そうとしか考えられませんな。偶然ではありえない」
デュランダル 「私もそう考えます。その多くが例の組織に属しているであろうことも、容易に想像はつきます。しかし、それだけでは説明のつかないことが
ある。狙われているのは決まって、他と比べて警備の手薄な所です。それも外部から、あるいは傍から見て、調べただけでは脆いと分からない、そういう
所が狙われる。例えば、あの日のアーモリーワンのような」
議員B 「……!」
デュランダル 「進宙式の当日、その数日前まで遡った基地の警備状況を入念に調べさせました。そして分かったのは、綿密に立てられたはずの警備
計画に綻びがあったということです。そしてそれは、計画を俯瞰できる立場にいる者にしか知りようのない事だった」
議員C 「では……何者かが、基地の司令クラスやそれ以上の地位にいる者が、テロリストに情報をリークしていたと?」
デュランダル 「そう考えるのが自然です。責任を取って辞職した、あの基地の司令官には気の毒なことをしました。おそらくは彼もまたテロの被害者
でしょう」
議員A 「では、一体誰が……」
デュランダル 「それが特定できていないので、まだ公にするつもりはないということです。だが、情報が漏れているのならそれを逆手に取れば良い。
今後はセカンドステージの配備計画に偽の情報を噛ませましょう。ここからはテロの予兆を察知するだけではない、味方の中に紛れている裏切り者との
腹の探り合いもしなければなりません」
議員B 「まったく、なんということだ……地球各国との友好関係の維持、資源取引の交渉、代表を事件へ巻き込んだ件に対するオーブへの謝罪……
ただでさえ頭が痛い事が多いというのに」
デュランダル 「最後のオーブの件に関しては、代表との通信で先に謝罪は済ませてあります。後に正式に私が地球へ降りるつもりですが、彼女の身柄
が無事であったのがまだしも救いでした」
議員C 「オーブは、プラントと地球各国の関係を補強してくれている貴重な友好国ですからな。ミネルバや新型Gタイプの完成も、彼らからの技術協力
あったればこそと言える」
デュランダル 「……ただ、残念なことに代わりに気がかりな事が増えました。先ほども話題に出たミネルバ隊の任務達成率についてですが、100%
はどうやら90%へ落ちこむことになりそうです」
議員A 「それはどういうことです? 今朝方発生したユニウスエイトへのテロについては、ミネルバ隊が未然に防いだとの報告でしたが」
デュランダル 「確かに、今朝の件は相変わらず見事な手並みでした。問題は、これもまたアーモリーショックに遡るのです」
議員B 「何か分かったことがあるのですか? テロリストの正体についてなど」
デュランダル 「ええ。自爆した敵の母艦、破壊された敵のモビルスーツ、艦内から見つかった機体の残骸やデータ、そしてそれらを取り巻く状況……
謎の多かったあのテロリストに関するいくつかの点が、ようやく明らかになりました。その中で最も重大な事柄は、やはりこれでしょうね。事件は、まだ
終わってはいない。終わったように見せかける彼らの策略に、まんまと嵌ってしまったという事実そのもの」
議員C 「それは、一体どういうことです?」
デュランダル 「自爆したあの艦は、囮だったのですよ。艦からは、奪われた新型Gタイプの破片は全く発見されなかった。ミラージュコロイドを使用して
あの宙域に潜んでいた艦が、もう一隻いたのです。3機の新型Gタイプは、そのもう一隻に運ばれ、現在も行方不明ということです」
〜 ミネルバ、シミュレータールーム 〜
シン 「はぁ、はぁ……ルナ、もう一本頼む」
ルナマリア 「ちょ、ちょっと待ってよシン! いくらシミュレーターでも、格闘戦って結構揺れるしきついのよ! もう20本もやってるじゃない、勘弁してよ!」
レイ 「では、俺が替わろう。メニューはこのまま格闘戦で続けるのか?」
シン 「ああ、頼む。手加減なしで来てくれ」
レイ 「わかった」
ルナマリア 「ふぅ……もう、汗びっしょり。シンってば、いくらなんでも頑張りすぎよ。こんなんじゃ、スクランブルがかかった時に体が動かなくなっちゃうわ」
ハイネ 「それでも、まだしっかり勝ち越してるんだからお前もさすがだぞ。ルナマリア」
ルナマリア 「へへ、どうも……でも、あたしの土俵の格闘戦で4−6まで迫ってくるなんて……今のシン、なんか普通じゃないですよ。特に気迫っていうん
ですか、なんか、怖い感じが」
ハイネ 「アーモリーショックの直後から、あんな感じでいる事が多くなったな。まぁ無理もないが……初戦があんな状況で、一緒に過ごした仲間が目の前
で死んだのが相当堪えたんだろうな」
ルナマリア 「ショーンさんとデイルさん……まだ時々信じられないですよ。ミネルバで訓練するようになってから、あたし達をさんざんしごいたあの二人が、
もう死んじゃってたなんて。整備班のみんなも目の前で一杯死んじゃったし……思い出すと、まだ足が震えますよ……」
ハイネ 「負傷者も多かった。リロイの奴も、一人でいた所を狙われて重傷だ。それでも生き残ってくれた分だけ、まだお互い運があったがな」
ルナマリア 「隊長は、もう肩の傷は大丈夫なんですか?」
ハイネ 「ああ、抜糸も済んでるしそのうち傷痕も薄くなるだろう。何より、残ったGタイプがインパルスだけでパイロットの手も足りないこんな状況で、俺だけ
のんびり休んでなんてられるか」
ヴィーノ 「シン! ああ、いたいた……と思ったら、レイと対戦中か」
ハイネ 「どうした、ヴィーノ」
ヴィーノ 「ええ、シンに頼まれてたインパルスの反応速度の調整が終わったんで、テストさせようと思って来たんです」
ルナマリア 「また? この間もデータ更新したばっかりだって言ってなかった?」
ヴィーノ 「そうなんだよ。この一ヶ月で、これで5回目のアップデートになる。シンの伸びは前々から見所あるとは思ってたけど、いくらなんでもこのペースは
ちょっとな……なんか逆に不安になってくる」
ハイネ 「……」
ルナマリア 「ヴィーノもそう思うんだ……。シンって、本当にナチュラルなの?」
ヴィーノ 「それは間違いないよ。遺伝子調整はまるっきり受けてないし、ついでに言うと天性の才能なんかも全然無かったはずだ。それはザフトアカデミー
のパイロット養成科で同期のお前の方がよく知ってるだろ」
ルナマリア 「うん……。あの頃は、なんでか知らないけど紛れ込んだナチュラルがなんか頑張ってるかな、くらいしか思ってなかった。正直、こんなになる
なんて全然思ってなかった」
ハイネ 「……議長は、分かってたのかもしれないな」
ルナマリア 「え?」
ハイネ 「シンにあって俺やルナマリア達にないものは、今まさに俺達が見てるシンの姿勢、そのものなのかもしれない。だとしたら……まるで、縮図だな。
進歩と停滞の……。もっとも、今のあいつはちょいと不安定すぎるがな」
ヴィーノ 「ハイネ隊長、それって?」
(3人の会話の最中、シミュレータールームのスピーカーからシグナルと共にアナウンスが流れ出る)
メイリン 『こちらブリッジ。全乗組員へ緊急連絡。ザフト諜報部及び監視衛星からの情報により、L2プラント・レウォンティンへ進路を取る未確認艦艇の
存在が確認されました。艦砲射撃も視認されていることから、対策委員会はこれを危険度Aと認定。本艦は直ちにレウォンティンへの進路を取ります」
ルナマリア 「L2といえば、月の裏側よね」
ヴィーノ 「ああ。レウォンティンは確か一基だけでそこに浮かんでる、外宇宙の観測なんかが主な役目のプラントだ」
ハイネ 「やれやれ、本日2度目の出撃は、随分遠いところまで出向かにゃならんようだな。ただでさえ引っ張りだこなんだ、出かけてる間に他の事件
でも起きなきゃいいがな」
メイリン 『レウォンティンへの到着は90分後を想定します。パイロット各員はブリーフィングルームへ集合して下さい』
ルナマリア 「……あの子も、随分オペレーターが板についてきたものね。そこは姉としてちょっと頼もしいけど。シン、レイ、お呼びがかかったわよ」
シン 「ああ、聞こえてたよ。すぐ行く……」
ルナマリア 「それで、あんた達の勝敗はどうだったの?」
レイ 「お前と同じ、今回は俺の辛勝だ。もっとも、次にやる時にどうなるかは分からんがな……」
〜 1時間後、ラグランジュ2領域付近、ミネルバ艦橋 〜
メイリン 「目標、捕捉しました。視認可能、モニターに出します!」
グラディス 「思ったより早く追いついたわね。これならレウォンティンに流れ着く前に仕留められるかしらね」
アーサー 「こちらの三度の警告に対しても応答は無し……この辺は珍しくもありませんね。しかし、見れば見るほど似ていますね。……忘れがたい
あの艦に」
グラディス 「そうね。船型といい、艤装といい、これは同型艦と考えていいでしょうね。同じ組織の物なのか、あるいはどこかの工廠が造船したものが
テロリストに渡っているのか。どちらにしても、時々混じってくる個人や小規模グループのテロリストではなさそうだわ」
アーサー 「しかし艦長、あれが仮に我々が交戦したあの時の艦と同一の由来を持つのならば、これはまたとない好機ではないでしょうか」
グラディス 「……議長から改めて連絡のあった例の話ね。囮にした艦を沈めることで完全なスケープゴートを作り上げ、追撃の手を振り切ったもう一隻の
船、か。コクピットを開けてもことごとくがもぬけの殻だったダガータイプ、女と見られる炭化した1人分の死体だけが浮いていたブリッジ、殆どが自動化
されていたらしい艦のシステム……そして消えた3機のGタイプ。全ての謎を紐解く糸口が、あの艦を戦うことであるいは見つかるかもしれないわ」
アーサー 「拿捕できれば、それが理想的ですが……迂闊に近づいてまた自爆でもされたら、洒落になりませんね」
グラディス 「そうね。そしてそれを言うなら、あの艦がずっと私達の前に姿を晒したままなのも少し気になるわ」
アーサー 「……ミラージュコロイドで姿を消せるはずだと?」
グラディス 「まったく同じ性能を持つのならば、ね。姿を消せない理由があるのか、元々備わっていないのか、できるのに敢えてしないのか。更には、
地球圏の外を見る天文台としての役割しかないはずのレウォンティンに、一体何をしに行くのか……あれもまた、分からないことだらけの艦ね」
アーサー 「確かに。その点、今朝のユニウスエイトへのテロは見事なほど分かり易いものでしたね。虫酸は走りますが」
グラディス 「何にせよ、私達には結局のところ、戦うことで水際で被害を食い止めることしかできないわ。調査は後で軍外の専門家を呼ぶとして、今は
あれを仕留めるわよ。いつも通り、迅速にね。メイリン、敵艦の動向に注意を払って。艦載機を出してくる可能性が高いわ。アビー、モビルスーツ隊発進
スタンバイ」
メイリン 「了解!」
アビー 「了解です!」
STAGE4 分かれた枝葉の先で
【ステージ:宇宙空間、プラント・レウォンティン近宙域】
【自機:フォースインパルス】
【自軍:グフ・イグナイテッド(ハイネ)・ブレイズザクファントム(レイ)・ガナーザクウォーリア(ルナマリア)】
【敵機:戦艦エルズリー】
【勝利条件:敵機の全滅】
【敗北条件:自機の撃破】
(ミッション開始)
アビー 「全システムオンライン。進路クリア。インパルス、発進どうぞ!」
シン 「了解。シン・アスカ、フォースインパルス。行きます!」
(ミネルバのカタパルトから射出されたインパルスが、敵艦を視認し速度を上げる。続いて射出されたハイネ達の機体がそれに追従するが、速度差から
追いつくことができない)
ハイネ 「シン、速度を落とすんだ。あの敵艦は何があるか分からんから、今回は先行するなとブリーフィングで言っただろう!」
シン 「! す、すみません……」
(我に返ったように速度を落とすインパルス。ようやく追いついた3機とインパルスでフォーメーションを組み、敵艦に徐々に接近していく)
レイ 「シン、また冷静さを欠いているぞ。訓練ではそれでも良いが、実戦で集中の方向を間違えれば死ぬことになる。いくらGタイプに乗っていてもな」
シン 「……分かっている……分かってるさ」
レイ 「大方、ブリーフィングで、他のクルーに先んじて俺達に伝えられたあの情報が気になっているのだろう。奪われた3機は艦の自爆に巻き込まれた
のではなく、今もどこかに潜んでいる可能性が高い、と」
シン 「……」
シン (俺は、あの時あんまり驚かなかった……実際戦ったから分かる、あんな奴らがあのまま終わるはずがないって、どこかで思ってたんだ)
シン (でも、考えないようにしてたんだ。あの事件はあれで終わって、ショーンさんも……デイルさんも、死んじまって……俺はアーモリーワンをあんなに
したテロリスト全部を憎んで、この怒りを奴らにぶつけてきた。俺自身への怒りもぶつけながら、この一ヶ月、俺は戦ってきた……)
シン (……なのに、俺はほっとしたんだ。ステラが生きてるかもしれないって知らされた瞬間、俺はほっとした……)
シン (あんな、ほんの僅かな時間話しただけで、その本性はアーモリーショックなんて名前をつけられたあの事件を引き起こした、凶悪なテロリスト……
そんな女が生きてることに、なんで俺は安心なんかしたんだ……!)
ハイネ 「二人とも、お喋りはそこまでだ。そろそろ何か起こる距離だぜ、臨戦態勢を崩すなよ」
シン 「……りょ、了解です!」
ルナマリア 「ボヤボヤしてんじゃないってことよ。ヘマしたらあんたのインパルス、あたしが手ぇ出しちゃうからね」
メイリン 「モビルスーツ隊各機へ! 敵艦の前部カタパルトハッチが開放された模様、艦載機が出てきます! 各砲塔も、動き出しました!」
ハイネ 「そら、おいでなすったぜ!」
メイリン 「お姉ちゃん、頑張って」
ルナマリア 「OK、任せなさい!」
(敵増援:ダークダガー×10)
レイ 「データベースと照合……どうやらアーモリーショックで遭遇したダガータイプと同一機種のようだな。艦の形も同じなら、艦載機も同じというわけか」
シン 「……」
ルナマリア 「シン、レイ、あんたらあいつらと戦ったことあるのよね。弱点とかないの?」
レイ 「総合性能で見ればザクよりも明らかに劣る。それが弱点だ。油断せずに戦闘を運べば力で押し切れる。ただし、あくまで油断しなければだ」
シン 「……」
ルナマリア 「ふん、そんなの基本中の基本じゃない。シン、あんたもいい加減シャンとしてよ! 言ってみれば、デイルさんとショーンさんの弔い合戦でしょ、
これ!」
シン 「!」
レイ 「なるほど……そうとも言えなくもないな」
ハイネ 「さて、何機出てくるか分からんから部隊を展開される前に切り崩すぞ。ダガータイプだけじゃなく、敵艦からの艦砲射撃にも注意を払え。シンは
高機動戦で攪乱しつつ各個撃破。ルナマリアはカタパルトから出て来た奴から打ち落とせ。俺は艦尾側から接近戦を仕掛ける。レイは戦況を見て俺達を
援護しろ。各機、攻撃開始!」
ルナマリア 「了解です!」
レイ 「了解、上方に回り込みます」
シン 「了解、行きます……!」
(敵3機撃破)
ルナマリア 「よし、狙いは完璧よ。あたし、格闘以外もいけるじゃない!」
ハイネ 「調子に乗って俺達に誤射してくれるなよ、ルナマリア。シミュレーションじゃ何度か当たってるんだからな」
ルナマリア 「えっ!?」
(敵6機撃破)
ハイネ 「こいつら、何だ、この手応えは。……まさか艦長が言っていた、無人機なのか?」
レイ 「その可能性は高いでしょう。今コクピットをこじ開けて確かめるわけにもいきませんが」
ハイネ 「……何が起こるか分からん戦場に対応できる制御ソフトを開発した奴がいるのか? それとも遠隔操縦か? どっちにしろ、嫌な気配がするぜ」
(敵9機撃破)
シン 「落ちろっ! 落ちろっ! 落ちろっ!」
レイ 「機体性能だけでなく、手応えまで全く同じか。やはり工夫が見られんな。……まさか、このまま終わりではないだろうな」
(敵全滅)
シン 「これで、ラストだ!」
ハイネ 「さあ、後は戦艦だな」
グラディス 「各機、敵艦の動向に注意しつつ距離を保って砲撃せよ」
ハイネ 「ルナマリア、エネルギーは残ってるな」
ルナマリア 「はい、ばっちりです!」
ハイネ 「よし、最大出力でお見舞いしてやれ」
ルナマリア 「了解!」
シン 「……今度は、何も起きない……起きずに済むのか? 本当に……」
レイ 「……」
ルナマリア 「いっけー!」
(ガナーザクウォーリアの放った砲撃が、艦をかすめる。敵艦が、いつの間にか高速のバレルロールで回避運動を行っていた)
ルナマリア 「……は、外した? 嘘!?」
ハイネ 「何だ、今の旋回は! あの大きさの戦艦にできる機動じゃないぞ!」
レイ 「……こちらへ向かってきます。跳ね飛ばすつもりのようですね」
ハイネ 「くっ、みんな避けろ! あの速度、かすっただけで吹き飛ばされるぞ!」
ルナマリア 「わっ、わああっ!」
シン 「あ……」
(ハイネ達が四方に散る中、シンだけが硬直しその場から動けない。こちらへ向かってくる戦艦の艦橋の奥には、前回と同様にただ一人の人影
だけがある。その人影は艦長席に座っており、体格的には若い男のようだったが、シンの耳には女の声が幻聴となって聞こえる)
女 (お前達は無力だ。現に、これだけ戦ってお前達が得られたものは何だ? 何か取り戻せたか?)
シン 「くっ……こんな時に! マユ、俺は……」
女 (お前達では、何も守れないし、何も変えられはしないよ)
シン 「うう……!」
(近づいてくる艦橋の奥で、そこにいる青年は感情のない目でインパルスを見つめている。その姿に気圧されたシンは、ライフルの銃爪を引く。だが……)
(……放たれたビームは、流れるように楯となった半壊したダークダガーの胴体に吸い込まれて威力を失った。胸に大穴の開いたダガーはそのまま敵艦の艦体に
ぶつかり、粉々に砕け散った)
シン 「……また……」
ハイネ 「ええい、シン!」
(その場に硬直したままのインパルスの腕に、長く伸びたグフのスレイヤーウィップが絡みつき、艦の進路上から辛うじて引っ張り上げた)
シン 「……隊長……」
ハイネ 「……シン、お前はすぐに帰投しろ。何があったのかは知らんが、今のお前は本調子じゃない。後は俺達だけでやる。急げ!」
シン 「……」
(茫然自失とするインパルスをその場に置き去りにして、グフが通り抜けていった敵艦をザクファントムとザクウォーリアと共に追う)
ルナマリア 「隊長、シンは!」
ハイネ 「よく分からんが、戦意を無くしている。今は放っておけ! それよりこの艦は、ミネルバへ特攻をかけるつもりなのか!?」
レイ 「その可能性も考えましたが……どうやら、違うようですね。進路が逸れます」
(それまで進み続けていたレウォンティンの方角からミネルバの方向へと転進した敵艦は、再び方向を変えて今度は真横へと向かい始めていた)
ハイネ 「……分からん。あの艦の狙いは一体何だ? どこへ向かっている?」
レイ (逃走……いや、違うな。もしや、何かを探しているのか? この辺りにある、何かを)
ルナマリア 「……ね、ねぇ、隊長……なんか、なんか変じゃないですか? あの艦……見えにくくなってませんか?」
ハイネ 「何? ま、まさか……」
レイ 「……そのようですね」
(艦の巨大な姿が、宇宙空間の闇に次第に溶け込んでいく。そしてそれはすぐに、レーダーからも反応を消した)
ハイネ 「ミラージュコロイド……。そこにいるはずだというのに、まるで見えなくなった。レーダーからも……。噂には聞いていたが、まさかこれほどとはな……」
ルナマリア 「まるで、お化けみたい……」
グラディス 「……とうとう使ってきたわね」
アーサー 「やはり、大したものですね。前回使用した手段で行きますか? 艦長」
グラディス 「いいえ、あれは隠れた相手の現在位置がある程度特定できていなければ有効とは言えないわ。それに、磁場を乱して味方にも影響が出るから、
あくまで最後の手段よ。ここは先日装備されたばかりの、あれを使いましょう」
アーサー 「了解しました。メイリン、ミラージュコロイド・デテクター起動!」
メイリン 「了解です!」
グラディス 「特殊粒子によって視界からもレーダーからも姿を消すミラージュコロイド。その粒子自体を探知するレーダーもまた、非公式ながら戦時中に開発に
成功していた。これがもしも公になっていたなら、彼らもおいそれと姿を消そうなんて考えはしなかったでしょう。本当に、技術というのはイタチごっこね」
メイリン 「反応ありました。探知図をレーダーに重ねます!」
アーサー 「もう逃げ隠れしても無駄ということですね。多少一方的すぎる気もしますが、あれと同型の艦には返しても返しきれない借りがあります……!」
グラディス 「その通りよ。有線誘導式対艦ミサイル、ガウェイン用意。着弾座標を入力。主砲トリスタン、副砲イゾルデ、同じく焦点座標を入力! 一斉発射!」
(ミネルバが視覚においては全く何も無い空間に対して放った一斉砲撃が目標の座標に届いた瞬間、そこに戦艦が炙り出され、爆発の中に黒いシルエットを
浮き彫りにした)
メイリン 「全砲門、全弾、命中を確認! 敵艦の損傷状態を推定します!」
アーサー 「調べるまでもなく、あれはもう長くは保たないでしょうね。直撃です」
グラディス 「入るべき手が決まったならば、勝負とはそんなものよ。降伏勧告を行いましょう」
メイリン 「了解です。……え? これは……?」
アーサー 「どうした、メイリン。勧告以前に敵艦のダメージが深刻すぎるか?」
メイリン 「……いえ。デテクターを含む各レーダーシステムで走査した所……敵艦もまた、先ほどまで使用していたようなんです。ミラージュコロイド・デテクターを」
アーサー 「……何?」
グラディス 「彼らもまた、デテクターを保有していたというの? いえ、それはまだ分かるわ。でも、何のために使用していたの? 彼らは、ザフトがミラージュコロイド
を使えないことを知らなかったとでもいうの?」
アーサー 「デテクターで、奴らもまた、何かを探していたんでしょうか? ミラージュコロイドで隠れていた、何かを。例えば、味方の艦……」
グラディス 「メイリン、デテクターを最大範囲で展開。この周囲に、何かが存在していないか、探してみて」
メイリン 「了解……、……!? か、艦長、これは!!」
グラディス 「……? 何ですって……」
アーサー 「ば……馬鹿な、こんなことが!?」
ルナマリア 「敵艦、あんなところにいたんですね。でも、一斉砲撃で一撃……」
ハイネ 「ミネルバが居場所を見破ったんだろう。デテクターといったか? あのレーダーが無ければ、逃げられていたかもな」
レイ 「ふむ……」
シン 「……隊長、すみませんでした」
ルナマリア 「シン! あんた、大丈夫なの? 戦意喪失とかハイネ隊長が言ってたけど……やっぱりシミュレーターとかで無茶しすぎてたんじゃないの?」
シン 「……そうかもしれない。ごめん、迷惑かけた」
ハイネ 「帰投しろと言ったはずだがな。戦場で動けなくなるのは、自分だけでなく仲間も危険に晒すことになる。よく覚えておけ、そして気をしっかり持て。いいな、シン」
シン 「……はい」
ルナマリア 「ま、なんにしても、この件はこれで解決で、あたし達の仕事も終わりよね。遠くまで出張ってきた割には、早く片づいて良かったわ。みんな無事だったし」
レイ 「そうだな」
シン 「……ああ」
メイリン 「……モビルスーツ隊各機へ。敵艦の沈黙を確認、速やかに帰投してください。……各機、速やかに帰投して下さい」
ルナマリア 「?」
ハイネ 「よし、みんな、帰投するぞ。……ルナマリア、どうした?」
ルナマリア 「いえ、なんでも。……メイリン、何かあったのかしら? 久しぶりに、すごく動揺してるみたいだけど……」
〜 宇宙戦艦、艦内個室 〜
ステラ 「……ネオから聞いてきたわ。ついさっき、アルフレッドが死んだって」
スティング 「そうか」
ステラ 「……それだけ? 他には、何もないの? スティング」
スティング 「なら、あいつは例の物は見つけてから死んだのか?」
ステラ 「……見つけたそうよ。ミラージュコロイド・デテクターで、位置を割り出して、それが届いたって……」
スティング 「じゃあ役目を果たして死んだんだな。結構なことじゃないか」
ステラ 「……」
スティング 「うん? 不満そうだなステラ。お前、あいつとそんなに仲良かったか?」
ステラ 「違う……そういうことじゃないの。アンネが死んだときも、そうだった。あの二人は、スティングと同じ系列で育った。スティングの友達じゃなかったの?」
スティング 「ああ、つるんでたってことか? 一緒に行動していれば、何かと都合が良かったからな。大事な空間認識能力のトレーニングにも丁度よかった。ま、
いなくなったんなら今後は多少訓練が面倒にはなるがな」
ステラ 「……その時は、ネオにでも相手をしてもらえばいいって、そう言う?」
スティング 「そいつは名案だな。賢いじゃないか、ステラ」
ステラ 「……どうして? どうしてなの?」
スティング 「ああ?」
ステラ 「どうかしている……みんな、どうかしている。……なんで、みんなそれに気がつかないの?」
スティング 「……ステラ。お前……」
ステラ 「……」
スティング 「前々から、様子がおかしいとは思ってたんだ。そう、アーモリーワンの件からだな……何かあったな、お前」
ステラ 「……」
スティング 「いいか、ステラ。こいつだけは言っておく。俺達は兵士だ。任務を果たさなければ意味はない。そして任務さえ果たせば、後は生死は問われない。
使い捨ての道具なんだ。俺も、お前もな」
ステラ 「……違う」
スティング 「違わない。与えられる任務をこなし続けて、しくじれば死ぬ。用がなくなれば死ぬ。ただ、この艦にいてネオやリー艦長の下にいれば、少なくとも死ぬまで
の間は人間扱いしてもらえる。それは錆びた格納庫の片隅で寝るより、雑草や蛇を食いながら銃を撃つより大分マシだ。それで充分だ。ただそれだけのことなんだよ」
ステラ 「……」
スティング 「……来い、ステラ。少し多めに沈静剤でも打てば、動揺も収まるだろう」
ステラ 「嫌……」
スティング 「来るんだよ。これで次の戦闘に支障でもきたせば、次に処分を受けるのはお前かもしれないんだぞ。死ぬまで人間扱いされて生きたけりゃ、役に立たない
ってとこだけは見せるな。いつも言ってるだろうがよ……!」
ステラ 「……」
ステラ (……私、やっぱりこのまま生きなきゃいけないみたい……つらいよ、でも、まだ死にたくない……あなたなら、終わらせてくれる? 怖くしないで、私を終わらせて
くれる? ねぇ、シン……)
〜 プラント・レウォンティン近宙域、ミネルバ艦橋 〜
メイリン 「モビルスーツ隊、全機収容しました……」
アビー 「パイロットへは、ハンガー固定後ブリーフィングルームへ集合するよう指示を送りました……」
グラディス 「ご苦労様。……さて、これをどう捉えるべきかしらね」
アーサー 「にわかには信じられません。まさか、あの艦はこれを探していたのでしょうか? ……これを探すために、ここまで……」
グラディス 「何にしても、帰ったら議長にお目通り願うほかはなさそうね。議長がこのことを知っていても、あるいは知らなくても……こんなものが、ここに隠されて
いた事実は、由々しきことだわ。その目的が何であるにせよ、ただごとではない……」
アーサー 「……見てはならないものを見てしまったことに、なりはしないでしょうか」
グラディス 「さあ、どうかしらね……」
(艦橋のレーダーには、ミラージュコロイド・デテクターから割り出された粒子の散布濃度を元に、そこに存在する見えざる何かの姿が描き出されている)
(鉢植えから引き抜かれた樹。進化の系統樹のような、芸術性のある形状を持つその物体の高さは10キロ以上。根を包み込む天秤の皿のような土は、直径にして
8キロを超えている)
(それは、コーディネーターの住むプラントコロニーの成れの果て。そのような惨状に成り果てるほどの攻撃に晒された唯一のプラント)
(血のヴァレンタインと呼ばれる核攻撃に晒され、そして分断された、ユニウスセブンの大地の片割れだった)
to Next Stage.
>>660 >>676 両氏ともGJ!!
>>660 ここで共闘がくるとは!
燃えました!!
>>676 かなり独自の路線でwktk
アスラン復帰フラグがさっぱり無い、
ということはセイバーは別の誰かに?
未だに執筆途中なんですが、考えてる話の流れがRE.DESTINY氏とそっくりすぎるんですよね…
自分の遅筆さと脳内整理力のなさに呆然としてますが、これって別にいいんでしょうかね?
ここが某七厨板筆頭なら「キニシナイ!!」というところだが。
ここはリア房リア厨多くて荒れる原因になるかも知らんね。
ただのスレ進行を「荒れてる」って職人叩きに繋げる馬鹿もいるし。
某所の氏のようにそれでも投下強行できる根性があれば良いが、
無ければやめておいたほうが良いかも。
どれぐらいそっくりなのかワカラン、ということもありますが、
個人的には「それでも投下していいんだぜ」と言いたい。
そもそも荒れるほどこのスレに住人がいるとは(ry
>>679 お前が言ってる某氏に何人か心当たりがあるぜw
というかこのスレほんと人いねえな
意外と書き直すうちに別物と化したので投下してみます。
「さて、ここからどうあの新型艦を撃退するか、という所だが…」
時は少し前、G3機強奪テロリストの旗艦『ガーティ・ルー』でネオが艦長であるイアンに言った。
「さすがに探知はされないにしても速さでは勝てんか。そろそろ潮時だな」
「このままデブリに入るのですか?」
イアンの確認ともとれる問いにネオは頷いた。
「そうだ。ある種の賭けではあるが、な。部下には苦労させるよ。アウルとステラはぼやいてたがな」
「あの2機はもともと宇宙用じゃありませんしね」
「ま、いつでも大丈夫なようにとは言ってあるんだがな」
まるで自分の子供をあやすような言い方である。
「わかりました。進路、デブリへ」
そうしてイアンの指示のもと、ガーティ・ルーはデブリ帯へと入っていった。
「何をやってるんですか?」
シンがフォースインパルスのコクピットでアレックスに通信を入れた。事前にもう一度フォースで出撃することになっていたので分離をせずに着艦したのだ。
「この機体のOSにちょっと手を加えているんだ。自分なりの癖に合わせるようにな」
アレックスはゲイツRのコクピットを弄りながら答えた。
「出撃、間に合わないんじゃないですか?」
「多分な」
「多分って…」
半ば呆れたような声でシンが答えた。
「まさか出撃(で)れるとは思ってなかったからな」
「……やっぱり、変な人だ」
「なんか言ったか?」
「い、いえ」
ぼそっと言ったつもりの言葉に反応されシンは少し吃驚した。
『戦闘宙域に入ります!パイロットは出撃シークエンスに従ってください!』
そうこうするうちにメイリンの放送が鳴り響いた。
「……先に行きますよ?」
「ああ、もうすぐ終わる。気をつけてな」
「……(本当、変な人だな)」
「ほらシン、行くわよ!」
「あ、ああ、わかった。シン・アスカ、フォースインパルス、行きます!」
ルナマリアの声で気を取り戻し、シンは発進した。
「自ら進んでデブリに入るってのも、変な話よね…何企んでるのかしらね?」
ルナマリアは訝しげに2人に通信を入れた。
「ただ逃げるよりは選択肢を出せるから、だろうな」
「選択肢?」
レイの答えにシンが問い返す。
「ああ。障害物によって逃げる方向も幅を出せるし、場合によっては奇襲もあり得る。もっとも、相当腕に自信がなければ枷になるばかりだろうがな」
「つまり、只者じゃないってことね、敵さんは」
「そういうことだ」
ミネルバからある程度距離が開いたところでシン達はデブリ帯を捉えてきた。陣形としてはシンのフォースが前に出て、レイとルナマリアはそのやや後方に位置し、ちょうど三角形のような形で進んでいる。
「あれは…ダガーか!」
「あの3機はいないわね」
「戦艦はまだデブリの中のようだが…ああも入口を固められては突破は難しそうだな」
「だけどあのままじゃ逃げられるぞ、どうする?」
「ミネルバはデブリの出口と思われる方向に進むようだ。悪いが俺はミネルバと共に『ポギーワン』を追う、そっちは頼む」
ポギーワンとはザフトがガーティ・ルーを便宜上名づけたものである。
「分かったよ、レイ」
そしてミネルバ側も取る動きが決まり、そこで戦闘は始まった。
シンが挨拶代わりとばかりにビームを撃つと、黒いダガー2機はそれをかわしてライフルを撃ち込んでくる。
「クラッカー…はまずいわよね、もう!」
ルナマリアも折角のオルトロスを肩に戻し、ビームライフルを撃ち込む。
デブリの中で榴弾など撃ち込もうものなら飛び火した破片で自分達も危機に陥るし、長距離砲を構えている余裕などないからである。
「ルナ、お互い離れないようにしよう!こいつら、上手い!」
シンが舌打ちしながら必死にビームを避けていく。バーニアの噴出方向を読んでいるのか、初弾をかわした方角から二発目が飛んでくるのだ。
「この条件なら量産機でも十分…ってわけか」
「悔しいけど、これが熟練ってやつなのかしらね…」
「感心してる場合じゃないな。足を止めるなよ、ルナ!」
「そっちこそ!」
お互いに喝を入れなおすも、デブリの中での膠着はしばらく止むことはなかった。
他方で、レイがミネルバへと戻る前に異変は起きた。
「!……この感じ…来ます!」
即座に通信のスイッチを入れ、タリアへと繋いで言った。
「レーダーにはまだ反応は有りません…っ!?」
メイリンの報告の直後、MAが凄まじい速度で迫ってきた。先日のガンバレル装備だ。
「やはり先ほどのは陽動か!くっ!」
急いで戦艦に追いすがろうにも、そのわずか1,2分がレイには非常にもどかしく感じられた。
「ここまで上手くいくとは思わなかったが、戦果は欲張らずにな!」
「わかってます!」
ネオは後ろに来るスティングに言ったのだった。
「さらに反応1!カオスです!」
「迎撃急いで!ナイトハルト、CIWS用意!」
「了解!てーっ!」
アーサーの声と共に弾幕が張られるも、致命傷を与えた様子はない。
ミサイルをシールドで受け止めながらカオスはポッドを展開させた。
「アウルやステラの分まで暴れさせてもらうぜ!」
ポッドから放たれたミサイルがミネルバへと向かう。ガトリングにより迎撃されるも、想定内とばかりにカオスは縦横無尽に動き回った。
「やはりビーム兵装ではいまいち効果が薄いか…と、ようやくご到着か」
レーダーに白いザクの映像を捉え、薄い笑いを浮かべるネオ。
「スティング、私はあの白坊主を抑える。手早く済ませろよ」
「OK!そりゃあっ!」
そう言ってネオはミネルバの後部へと走らせた。
ポッドを早くも使いこなしてきているスティングは、ポッドを上手く死角へと滑らせつつミサイルを放っていき、遂に撃ちもらされた数発が命中した。ミネルバ内を衝撃が襲う。
「推進部に被弾!航行速度が85%ほどに低下します!」
「どうやら敵さんの狙いはそこだけにあるみたいね。足だけを止めようとしてるわけ」
「感心してる場合じゃないですよ?」
「わかってるわよ」
タリアとアーサーのそんなやり取りの中、格納庫から通信が入った。アレックスだ。
「ハッチを開けてください、出ます!」
「え!?ですが今は敵MSに…」
「大方相手の狙いは手薄な底部から推進部を狙ってるって所でしょう、今なら出れます」
メイリンの問いにすぐさま答える。メイリンは驚いた。
「早くしないと気付かれます」
「わかったわ、ハッチ解放」
タリアの指示の元、手早く発進準備が整えられる。
「了解。アレックス、出ます!」
発進するゲイツR。その突然の出現にスティングとネオは驚いた。
「なんだこいつ、この状況で発進なんてくそ度胸!」
ポッドを一つ戻して増援に向けるが、容易く回避される。交わし様にビームを2連射され、逆に驚いた。
「こいつ、量産機の癖に動きが鋭い――只者じゃねえな」
チッと舌打ちをするスティングを尻目に、アレックスはレイの方へと援護に向かった。
「カオスを放置して2対1を作りに来るとは!」
並大抵の度胸ではない。できるか、馬鹿か?恐らく前者だろう。
これはまずいとばかりにレイのザクから大幅に距離を取り、カオスの方へと戻る。
「大丈夫か?」
「なんとか。しかし、俺はあのMAとは何か因縁があるようで」
「?……それは、」
「どうかしました?」
「いや、何でもない。シン達が気がかりだ、早く撃退するぞ」
(まさかな…)
かつての心当たりを頭の隅に思い出しながらも、それを脇に置いてアレックスは戦闘へと考えを戻した。
シンとルナマリアの戦闘も少しずつではあるが進展を見せていた。
二人にも伏兵の報告は入っていたのだが、戻ろうにもダガー達が目を光らせているのだ。
加えて敵の適度な距離調節によって未だデブリの領域から抜け出せずにいた。
「やるしか、ないのか!」
シンは同時にそれがどれだけ困難なことかも分かっていたが、必死に考えを巡らせていた。
(相手はガチンコで戦ったら向こうのが上だ…なら、虚を突ければ…!?)
そこに至って、シンに一つ策が浮かんだ。
「ルナ、俺が2機を引き付ける、オルトロスを構えろ!」
「なんですって?そんなことが…」
そこでシンは策を言った。
「無茶するわね…!でも一理あるわね、わかったわ」
そこでルナマリアは距離を少し離した。すると、シンのインパルスのビームサーベルが突然消え、機体の色が黒くくすんでいった。
「これは、フェイズシフトダウンか!丁度いい、こいつを先に仕留めるぞ!」
「ああ!」
ダークダガーのパイロットがシンに狙いを絞っていく。あのGは新兵のようだとアウルが言っていたし、バーニアの出力も落ちているように見える。
盾をコクピットの前に構えるだけで精一杯の様子だ。と、そこへ一人がビームサーベルを抜き放ち、下から迫った。
「悪いけど、これで一丁上がりだ!」
インパルスはそれをシールドで受け止める。男はニヤリと笑った。通常のビームサーベルといえど数秒に渡ってABCシールドに接触し続ければ切断できるからだ。
それがぬか喜びだと分かったときにはもう既に遅かった。
「何!?ぐあああ!!」
いつの間にか出現したビームサーベルにダガーの脇腹は抉られていた。瞬時にインパルスは真上に飛び去り、その体は色を戻していた。そして爆発するダガー。
「デコイだったのかっ……!?」
矢継ぎ早の変化に一瞬だが足を止めてしまったのが仇となった。正面に迫ってくる高出力ビーム砲に対応する暇もなく、盾ごともう一機のダガーも蒸発することとなった。
「はあ、はあ……」
安堵するシン。その顔には汗が無数に浮かんでいた。
「まったく無茶するわね。敵が真っ直ぐ止めを差しに来たからいいものの」
それは敵がシンを新兵だと侮ったことが要因となったのだが、二人はそれを知らなかったので結局未熟な策だったと言わざるを得なかった。
「わかってるよ、もう次は使えないだろうさ。ミネルバの援護を急ごう」
「そうね」
ルナマリアもそれ以上その場で追求するようなこともせず、二人は大急ぎで宙域を離脱した。
「なに!?彼等が!」
イアンからの報告にネオは驚きを隠せなかった。二人はネオも一目置く熟練であったのだ。
『はい。彼らの死は悼むべきことですが……どうも面白いことが起こったようです』
「なんだって?」
『はい。実は――』
その報告はにわかに信じられるものではなかったが、事実ならばとネオは眉をしかめた。
「そうか。ならば向こうもこんな小競り合いをしている場合ではないだろう。直ちに撤退しよう」
『それがよろしいかと』
「よし。撤退するぞスティング」
「わかったよ!」
スティングは目の前の只者ではない量産機に恨み言を吐きながら、変形して撤退した。
「ふう、なんとかなったようだな」
「……」(やはり、訊いてみる必要がありそうだな)
レイは心中でアレックスの技量に舌を巻きながら、疑心を募らせた。
その頃、ミネルバのブリッジもタリアが「ジュール隊」から受けた報告に騒然としていた。
「……ユニウスセブンが動いている……これは、テロリストどころの騒ぎじゃないわね……」
タリアは深く唇を噛み、カガリは怒りに体を震わせていた。しかし、デュランダルはかすかに顔をしかめているようではあったが、どこか淡々としているのだった。
以上です。凸がなんか迂闊で残念みたいになってますが気にしないで下さい。
今回は、あまり原作と変わらない感じですかね?
ルナの射撃が信用出来るっていいですなw
なんかアスランが(´∀`)化しそうな予感w
続きを投下します。
>>689 今更言うのもなんですけど、
ある程度、展開が同じでも構いませんよ。
インパルスとガイアが未だ帰還していないが破砕作業を優先し、ミネルバとガーティ・ルーはそれぞれ主砲でユニウスセブンの残骸を破壊していく。
言うまでもなく、大気圏内の高熱化で主砲を撃てば熱によって主砲がオーバーヒートし、使用不能になるのだが、今はそんな事を気にしている場合ではない。
母艦に帰還できないでいるシンとステラは自分の機体の姿勢を整え、シールドを構えて大気圏を突破しようと試みる。
すぐ隣ではユニウスセブンの残骸の破片が飛び交っており、普通に大気圏に突入するよりも無事に突破できる可能性が大幅に低くなっている。
とにかく無事に大気圏を突破できる事を祈るしかない。
ユニウスセブンが地球に落下するであろう事実に地球に住む全ての人々が恐怖と絶望に襲われた事だろう。
避難シェルターの中で状況をラジオで確認する孤児院の子供たちや大人たち。
安全な場所を探す家族連れ。
死ぬなら自分の家で死にたいと嘆く老人。
だが、あとで知らされる奇跡ともいえる結果に胸を撫で下ろす者たちがいるだろう。
奇跡ともいえる結果に歓喜する者たちもいるだろう。
そう、奇跡ともいえる結果に胸を撫で下ろし、歓喜する者達がいるだろう……
破砕作業を終えて大気圏を突破したミネルバとガーティ・ルーはそれぞれインパルスとガイアを探し始める。
インパルスとガイアを探し始めて二十分が経った頃になんとか大気圏を突破したインパルスとガイアを見つける。
『大丈夫…?』
「ああ、なんとか」
ステラに声を掛けられたシンはそう答えてミネルバを見つけて帰還、ステラもガーティ・ルーに帰還し、それぞれインパルスとガイアを収容したミネルバとガーティ・ルーは最大戦速で別々の方向にその場を離脱していく。
ミネルバの格納庫では帰還したシンを仲間が迎える。
「大丈夫か、シン」
そう言ったのはヨウラン。
「ああ、それよりユニウスセブンはどうなった!?」
「そう焦るな。被害状況はそのうちわかるだろう」
慌てるシンをレイが落ち着かせる。
後にブレイク・ザ・ワールドと呼ばれるこの大事件が滅びと革新の為の序曲となる。
そして、現時点でそれを知る者は……
それから四十分程経ち、首都プラント…アプリリウスでは、ある部屋でデュランダルと長いピンク色の髪をした女性がチェスをしている。
「ユニウスセブンが地球へ…、どうなるんですかね。被害は」
吞気に言いながら、女性は盤上のポーンを動かす。
「さあね、完全に破砕されて地球のどこにも被害がないのが一番なのだが…」
そう言いつつデュランダルも盤上のビショップを動かす。
それから、数手で勝負がつく。
結果はデュランダルの負け。
「やれやれ、私は弱いな」
勝負の結果にデュランダルは軽く頭を抱かえて苦笑する。
無理もないデュランダルはピンク色の髪の女性にチェスで一度も勝ったことがない。
「そんな事ないですよ」
デュランダルが弱いわけではない、女性が強すぎるのだ。
女性はチェスの配置を最初の配置に戻す。
デュランダルは席から立ち上がりガラス越しに外の風景を見ながら一人、妙な笑みを浮かべて呟く。
「これからだよ。本当に大変なのは…」
しばらく風景を見たあと、デュランダルは席に座ってピンク色の髪をした女性と再びチェスを始める。
ミネルバはとりあえず、カガリ達をオーブに送り届けることを決め、海面を移動してオーブへ向かう。
その間、ブリッジではユニウスセブンの残骸による被害状況を知る為、適当にチャンネルを拾ってテレビを見ていた。最もテレビには未だ何の番組も情報も流れていないのだが。
「それにしても綺麗ですね、海」
「そうね。どうやら、ここには残骸が落下しなかったようね」
ブリッジから見える綺麗に透きとおった海を見てタリアとアーサーはそんな会話を交わす。
その時、テレビに緊急のニュースが流れる。
それはミネルバだけでなく、世界中の人々が待っていた地球に向けて落下していたユニウスセブンに関するニュース。
「地球へ向けて移動していたユニウスセブンでしたが、地球軍とザフト軍の活躍でほぼ完全に破砕されました。……被害は世界各地に広がりましたがいずれも小規模で大した被害はないそうです」
その知らせを聞いてミネルバを含め、地球にいる者たちの皆が胸を撫で下ろした。
歓喜した者もいる。
「もう一時はどうなるかと思いましたよ!」
アーサーは大きな声を上げて喜ぶ。
「地球は救われたんだな」
カガリも安穏を言う。
だが、カガリとその隣に戻っていたアスランは嫌な予感が拭えないでいた。
根拠はない。だが、確かに嫌な予感がするのだ…。
ユニウスセブンがほぼ完全に破砕され、地球が救われたニュースはシン達にも伝わっていた。
「あん時、無茶してよかったな」
ヨウランはシンを称賛する。
「あ、ああ」
シンは少し不思議な気分でそれを受ける。
あの時、無茶してでも破砕作業を続けて良かった。
シンは胸を撫で下ろす。
その際、自分と一緒に破砕作業を限界ギリギリまで続けた金髪の少女ステラ・ルーシェの事を思い出す。
アーモリーワンで出会った時やユニウスセブンで自分と通信で話した時の印象は少しボケたところがあるがおとなしく、ふわふわとした性格で戦いとは殆ど無縁な感じの女の子。
だが、MSの操縦技能は自分より圧倒的に上。
彼女は一体どんな経緯でMSのパイロットになったのだろう…
そんな事を考えているシンにルナマリアがある事を尋ねる。
「それにしてもどんな奴らだったのかしら、ユニウスセブンを地球に落下させようとした連中。最後まで破砕作業してたんでしょう、何かわかった?」
訊かれたシンは、
「ああ。ユニウスセブンを地球に落下させよとしたのは旧ザラ派の人達でナチュラルを恨んでやったらしい…とりあえず、あとで艦長に報告しようと思っている」
ルナマリアは「ふーん」と言ったきり、その事について何も言わなくなった。
「何はともあれ、今は破砕作業を完遂して地球を救えた事を喜ぼう」
レイがユニウスセブンの件の結果等について、そう締めくくる。
ミネルバと別れ、移動するガーティ・ルーではアリーシアとネオがステラ達の調整に立ち会っていた。
そんな中、白衣を着た男がネオに尋ねる。
「ステラにあるこれら、どうしましょうか?」
ステラの記憶が写し出されている画面に映っているのは、ユニウスセブンでインパルスに乗るシンと通信で会話して共に破砕作業を続けている光景やユニウスセブンを落下させようとしたテロリストの心からの叫び、シンと共に大気圏を突破してそのあとの通信での会話。
「こんな物を残せる訳がないだろう。消せ」
アリーシアと共にそれを覗いたネオは迷わずにステラの記憶からそれらを消すよう指示する。
が意外な人物がそれを制する。
「それくらい、残して置いてあげたら」
アリーシアだ。
「何言っているんですか、こんなのは戦いの邪魔になるだけでしょう…」
ネオはアリーシアの視線に押され、黙り込む。
ネオとしては意外だと思った。
自分たちの中で最もステラ達を人間などとは思っていなさそうな彼女がステラをかばうような行動を取るとは。
そんなことを思いながら、ネオは調整室を出ていく。
それを見送ったアリーシアはゆりかごと呼ばれる調整ベッドで眠っているステラ達三人に哀れみの視線を送る。
「やはり、変わらないのね…」
アリーシアはそう呟いて一人、調整室を出ていく。
ミネルバの艦内を適当に散歩していたアスランは偶然、射撃練習をしているシン達を見つける。
射撃練習か、懐かしいな。
確か、射撃の成績はテストの日に風邪で欠席してしまって、二位になったんだっけか。
今となってはいい思い出だ。
アスランはそんなことを思いながら、シン達の射撃練習を見物することにした。
「あーもう、何で当たらないのよ」
いまいち的を撃ち抜けずに苛ついているのはルナマリア。
そんなルナマリアとは対照的にレイは的を確実に撃ち抜いていく。
「ねえ、次からはお姉ちゃんがブレイズでレイがガナーでいってみたら?」
メイリンは的を撃ちながらそう提案する。
「確かにルナより俺の方が射撃が得意である以上、試してみる価値はあるかもしれない」
レイは的を撃ちながらメイリンの提案に賛同する。
そんな中、ルナマリアが自分たちの射撃練習を見物しているアスランに気づく。
「一緒にやります?」
「いや、俺は…」
ルナマリアに誘われたアスランはただ見物したいだけなので遠慮する。
「MSパイロットとしての腕は確かなのに射撃は下手なんですか?」
ルナマリアに挑発されたアスランは仕方なく射撃練習に参加することにした。
アスランは次から次へと出現する的を寸分の狂いもなく正確に撃ち抜いていく。
結果、得点は満点。
「凄い、本当に何者なんですか!?あなたは!?」
「俺はアレックス・ディノ。大戦が終って、ボディーガードに転職する前まではオーブ軍にいた」
ルナマリアの質問にそう答えてその場をあとにしようとする。
「それ程の力がありながら、あの時オーブを守れなかったんですか?」
そう訊いてきたのはシン。
その声に憤りが籠っているのはアスランにもわかった。
「ああ、情けないことにな。今でも情けないと思っている」
そう答えてアスランはその場をあとにする。
本当に情けないと思っている。
オーブの件だけじゃない。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦ではジェネシスを破壊するという形でしか暴走する父を止められなかった。
数えたら、他にもまだ数多くある。
…本当に自分は何をしているのだろう…?
そんな疑問がアスランの頭の中を巡回する。
アリーシアは一人、ガーティ・ルー内で与えられた士官室に戻り、パソコンの電源を付けて回線をつなげる。
とある広い地下シェルターでそこにあるモニター群からは様々な映像が流れている。
その部屋の主を含め、回線を繋いだ人物達はある人物が出席するのを待っていた。
彼らの殆どが軍需産業に携わる世界有数の重工業会社の経営者あるいは世界的に有名な財政界の超大物などで占められている。
ある人物が出席した。
「遅いぞ!ミカイール!」
怒鳴り声を上げたのは部屋とアリーシアの主にしてムルタ・アズラエルに代わるコーディネイター排斥組織ブルーコスモスの新盟主ロード・ジブリール。
『そう怒鳴るなジブリール。彼女とて、遅刻したくてしたわけではあるまい』
モニターに映っている人物の一人がジブリールをなだめる。
『まさしく、奇跡。地球へ落下するユニウスセブンがほぼ完全に破砕され、世界各地に被害は広まったものの全て小規模で済んだ。一体なぜだね?』
『ユニウスセブンがほぼ完全に破砕されて地球が救われたのは、とある健気で若いザフト兵が自身の命を犠牲にしてでも地球を救おうと奮戦したおかげです』
モニターの人物の一人の問いに対してアリーシアは笑みを浮かべながら答える。
「では、その若いザフト兵には礼を言わなければならんかもな」
ジブリールは自分達にとって不都合なことであるにも関わらず、何故か愉快そうに言って語り出す。
「それにしてもこの度の事は正直申し上げて私も大変ショックを受けましてね。ユニウスセブンが!そんなまさか!?一体なぜ…!?まず思ったのはそんな事ばかりでした」
『前置きはいい。ジブリール』
ジブリール対してモニターの人物の一人が面倒臭そうに言う。
「いいえ。ここが肝心なのです。私がさっき言ったことはユニウスセブンが破砕された知らせを受けるまでは世界中の誰もがそう思った事でしょう。ならば我々はそれに答えを与えてやらねば…。既に答えを持っているのだろう?ミカイール」
『はい、これがその答えです』
アリーシアはいくつかのデータを転送する。
ジブリールを含め、その会議に参加している者達の元へ、カオス、ガイア、アビスのデータとザフト製MSがユニウスセブンを落下させている光景が写しだされた複数の画像が転送される。
『これはッ!』
『なるほど、そういうことか』
『面白い事になってきた』
それらを見たアリーシアを除く会議の参加者達はそれぞれの反応を示す。
データを見る限り、前大戦が終結してなおもザフトが地球圏内での活動を前提した新型MSを開発している事実。
そして、ザフト製MSがユニウスセブンを落下させたという事実。
これらを知ればユニウスセブン落下はナチュラル撲滅を企むプラントの仕業だと地球にいる皆がそう思うことだろう。
『一時はどうなる事かと思ったが、これなら安心して奴らに投資した巨額の富を取り戻す為の戦争を起こせそうだわい』
『だが、勝てるだろうか?開戦すればユニウス条約が事実上消滅するだろうから第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦のような泥沼になる可能性がないとは言い切れん』
『それなら心配はない。プラントがジェネシスのような物が作っておったとしても、その対抗策は考えてある』
『では決まりじゃな』
彼らのトップ3である長老連が話し合った末、結論を告げる。
『よかろう。依存はない。ジブリール、詳細な具体案は君に任せよう』
「ありがとうございます」
こうして、彼ら地球人類を牛耳るロゴスは戦争を起こす事を決めた。
その後、会議は解散となり、ロゴスのメンバーは次々と回線を切る。
そして、ロゴスの支配下にあるブルーコスモスの盟主ジブリールと幹部のアリーシアの二人だけが残った。
『これから忙しくなりますね』
アリーシアは嬉しそうに言う。
「随分と嬉しそうだな」
『ええ、私はコーディネイター撲滅を待ち望みながらここまで這い上がってきたのです。そして、ようやくそれができるチャンスを得たのですから嬉しくない訳がないでしょう』
そう、彼女アリーシア・ミカイールは自力で一構成員から幹部の地位にまで上り詰めている。
その経緯は並大抵のものではないだろう。
「それはそうと、デュランダルは既にユニウスセブンによる被害の復旧支援を始めている。変だと思わないかね」
『対応が早すぎますね。まるでこうなる事をあらかじめ予測していたかのように…』
ザフトが前大戦が終結してなおも地球圏内での活動を前提した新型MSを開発していた事やユニウスセブンの件やその後に関して迅速すぎるプラントの対応。
これらの事から、やはりプラントがよからぬ事を企んでいるという結論に二人は達する。
「まあ、奴らが本当は何を考えているかはどうでもいい事だ。我々はどうやって奴らを打ち負かせばよいかを考えればいい。そう、青き正常なる世界の為に」
本格的に運命の歯車が回り始める。
設定の補足。
アスランについて、
アレックスという人物の正体をアスランと知っているのは、
あの時、ブリッジにいたクルーだけです。
ロゴスについて
はい、原作より凄い事にしちゃったかもしれません。(汗
長老連と呼ばれる3人を頂点とし、その下に12名(既に死亡しているムルタ・アズラエルを除く)のメンバーで構成されています。10人で地球連合等を牛耳るなんて少し無理があると思いましたので。
ちなみにジブリールのbヘ12です。
アリーシアはロゴスメンバーとの交流はありますがロゴスのメンバーではなく、あくまでブルーコスモスの幹部です。
699 :
シンルート:2007/09/24(月) 23:55:15 ID:???
(こちらも続きを)
〜 同時刻、共同墓地 〜
サトー 「お前達取り巻きには用は無い。退けば見逃してもやるが?」
SP1 「ふざけるな。貴様ら、ここがどこで、このお方がどなたか、知った上での狼藉か!」
サトー 「知らいでか。その意味は、この私の方が重々理解しているとも。いや……お前達がまるで真実に気付いていないだけだとも言えるな」
SP2 「何を訳の分からんことを……。ともかく、貴様らは逮捕する。たかだか数人で我々専任警護官が護衛する要人に仕掛けるとは、無謀だったな!」
サトー 「無謀か……。考えが変わった。有能なようなら、いずれ訪れる正しき変革の暁に同志として迎えようとも思ったが、揃いも揃って状況も見定められん
莫迦ばかりのようだ」
SP1 「何?」
サトー 「世間はテロリスト共との戦いにあれだけ躍起になっているというのに、未だぬるま湯から出られずにいるお前達のような錆びた兵士など、我らには
必要ない。今後の世界の、どこにもな」
SP3 「お、おい見ろ! 天蓋の上に!」
SP1 「モ、モビルスーツだと!? 馬鹿な、一体いつの間に! 警備の機体は何をしていた!」
SP2 「侵入を許したというのか……セカンドステージのザクタイプが3機もいたんだぞ!」
サトー 「これだから腑抜けているというのだ……。あのような配置ではせいぜい、及び腰の素人どもに睨みを利かせるのが関の山よ。いかに一機が強力で
あろうと、断じて進む覚悟のある者を止められる道理もない」
SP3 「や、奴は……まさか、天蓋を落とすつもりか!?」
SP2 「いかん、早く彼女を通路へ逃がせ! このままでは逆に奴らに捕まるぞ!」
サトー 「聞いていなかったのか? お前達など必要ないと言っただろう」
(サトーの抜いた銃が、SPの一人に撃ち込まれる)
SP2 「うぐわぁっ!」
SP3 「お、おのれ! ここは我々の命に替えても通さんぞ!」
サトー 「その意気や良し。しかしお前達は残らず駆除すると決めたのだ。望み通りせめて使命に忠実にあり、散るが良い」
SP1 「お逃げ下さい、ラクス様!」
(天蓋の上からモビルスーツが突き入れてきた銃剣装備の機関銃が、SP達の体を粉微塵に吹き飛ばす)
ラクス 「あっ……あぁぁぁっ!!」
(金切り声を上げながら、少女が背後の通路へと逃げていく)
サトー 「ふん。始終付き添った護衛が肉塊に変わる様を見せつけられれば、無理もないか。やはり小娘よ」
部下 『いかが致しますか?』
サトー 「手筈通りだ。お前は外側からあの娘を追え。この墓地の天蓋はプラントと同じ構造だ、ぼやぼやしていると銃ごと充填剤に固められるぞ」
部下 『了解』
サトー 「さて、まずここまでは予定通りか。……来るならばあまり待たせるな、戦女神よ。復讐の神の憎悪と策謀は既に根を張り巡らせているぞ」
〜 現時刻、月軌道上・ミネルバ艦橋 〜
グラディス 「……ラクス・クラインがテロリストの人質に?」
デュランダル 『そうだ。定例の血のヴァレンタイン事件の犠牲者の墓参に訪れていたところを、待ち伏せていた犯人に狙われたのだ。30分程前の事になる』
グラディス 「それでは、場所はユニウスセブンですか」
デュランダル 『うむ。君達もよく知っている、あのモニュメント・ユニウスだ』
アーサー 「……」
デュランダル 『犯人側の要求は血のヴァレンタイン犠牲者に対する地球各国の正式な謝罪、またプラントへのテロに対する地球各国側の取り締まりの強化だ。
犯行声明はラクス・クラインの身柄が拘束された直後に、モニュメント・ユニウスの通信設備を用いて為されている。犯人側の正確な人数や装備は未だ不明だが、
警備のザクファントム1機とザクウォーリア2機は既に撃破され、ユニウスの施設は現在大部分が彼らに掌握されていると見て良い』
グラディス 「ヤキン・ドゥーエ戦役終結の立役者にして、今なおプラントの国民的アイドルとして慕われる平和の歌姫ラクス・クライン……少なくとも知名度と人気に
おいては、最高評議会議員の方々以上のVIPですわね。市民へ与える衝撃もさぞかし大きいことでしょう」
デュランダル 『その通りだな。いずれ彼女がテロの標的にされる危険性は充分考えられた。だからこそ、身辺の警備も徹底させていたはずなのだがね……』
グラディス 「起きてしまった事は仕方がありませんわ。議長直々のご連絡をいただいたということは、すぐにでもこちらの戦力が必要なのでしょう。幸い、先の
戦闘における本艦の消耗は微々たるものです。再出撃をご命令いただければ、この場からすぐにでも駆けつけられますが」
デュランダル 『では、直ちに急行してくれたまえ。現在、ジュール隊が評議会とのホットラインを繋ぎ犯人側との交渉を行っているが、これはあくまで時間稼ぎの
為のものだ。目標はラクス女史の速やかな救出、然る後のテロリストの制圧にある。ジュール隊と協力し、事に当たってくれたまえ』
グラディス 「了解しました。ミネルバ隊、直ちにモニュメント・ユニウスへ急行します」
デュランダル 『健闘を祈るよ。では、後ほど』
アビー 「通信、終了しました」
アーサー 「……さて、艦長。議長はどうやら、ご存知だったようですね。天体観測プラントのそばにあれが浮かんでいることも、そして我々がそれを見つけたことも」
グラディス 「そうね。あの口ぶり……後ほどというのは、後できちんと説明してくださるということかしら。ならば楽しみだわ。ともあれ、今は隠された謎のユニウス
よりも、私達のよく知っている目に見えるユニウスから片付けなくてはね。次から次へ、息つく暇もなくてクルー各員には申し訳ないけれど。ミネルバは針路修正、
モニュメント・ユニウスへ」
アーサー 「了解。針路、モニュメント・ユニウス」
メイリン 「でも……未だに信じられません。あれは本当にユニウスセブンだったんでしょうか? モニュメント・ユニウスから折れて分離したもう一方の大地は、今は
もう地球圏から漂い出て、どこにあるか分からなくなってるって……」
アーサー 「さあ、どうなんだろう。ただ言えるのは、僕達がミラージュコロイド・デテクターを通して見たあれは、モニュメント・ユニウスにそっくりだったということだ。
千切れて枝葉のように開いたメインシャフト、外壁の欠片がまとわりついた外枠、色んなものが融けて潰れて、ぼろぼろに朽ち果てた大地。あんな有様にされた
プラントがもう一基あったのだとしたら、それはそれで看過できないことだが」
グラディス 「奇しくも、と言って良いのかしらね。これからこの目で直に本物を見る事になるのだから、それからたっぷり見比べてみればいいことよ。アビー、回線
検索。ジュール隊母艦ボルテールと連絡を取りなさい。テロリストの傍受能力がどれほどのものか分からないから、とりあえず暗号化は三重に。被害や状況推移
の詳細、ラクス女史以外の生存者の有無と居場所、破壊されたザクの損傷の仕方や現在確認しうる敵戦力、とにかく少しでも多くの情報が欲しいわ」
アビー 「了解です。……ラクス・クラインさん、ご無事でいらっしゃれば良いのですけど」
メイリン 「モニュメント・ユニウスへのお墓参りで、テロに……。思い出した、確かヤキン・ドゥーエ戦役の時にも、慰霊団としてあそこに行こうとして、連合軍の艦
に捕まったことがあるんだよね、ラクスさん……」
アーサー 「縁深き事とも言えるし、残酷なようだが当然の結果とも言えるな。目立つ人間が目立つ場所へ赴く、これはそれだけで自ら狙われる可能性を上げると
いうことだ。かといって、ユニウスへの墓参は延期こそできても、しないというわけにはいかない。テロの頻度が上がってきてはいるといってもね」
グラディス 「一方、地球各国からの墓参は、そういう危険を鑑みて今年は来なかったから、尚更ね。せめて彼女はプラントの総意を代表して追悼に行かなければ
ならない。……なるほど、テロの犯人の要求にある地球各国の正式な謝罪とはこのことね。墓参りに来ないなら謝罪の意を改めて明確にしろ、と」
アーサー 「やっていることの割に倫理に訴える要求ですね。しかし、プラントのVIPを人質にとって地球各国への要求とは、少しちぐはぐな気もしますが。現在でこそ
友好関係を結んでいる国が多いとはいっても、お前達のかつての敵国の姫君の身柄が惜しければ要求を呑め、だなんて。国同士の絆でも試すつもりなんでしょうか」
グラディス 「……おためごかしのような気がするわね。この二つの要求を出した犯人は、他に何か狙いでもあるのではないかしら。ただ、間違いなさそうなことは
今の時点でも一つ分かっている。そこから犯人像はある程度推察できそうね」
アーサー 「それは何です?」
グラディス 「この件の犯人は、事件が発生するまで諜報部にも気取られなかったほどの手際から言って、何らかの後ろ盾やこの手の作戦の経験を持っている。
しかし、今朝方のミサイル騒ぎのような、プラントやコーディネーター自体への明確な敵対意志は見せていない。よって、例の組織でもないと思われる」
メイリン 「では……アーモリーショックの犯人や、先ほどのデテクターを使った艦と同じ組織の?」
グラディス 「それもおそらく違うでしょうね。ミラージュコロイドで姿を消し、無人のモビルスーツを手駒として使い、自爆させる前提で戦艦を一隻使い潰し、しかも
後には、おいそれと証拠は残さない……そういう連中の仲間なら、今このタイミングで顔も身元もすぐに割れる危険のある、有名人を人質にした犯行声明つきの
立てこもり事件なんて起こさないのではないかしら」
メイリン 「あ……」
グラディス 「これはあくまで今の時点での私の憶測に過ぎないけれど、ね。犯人はあるいは、血のヴァレンタインで近しい人間を失った、ザフトの関係者ではない
かしら」
アーサー 「それは……! い、いやしかし、今の段階ではまだ論理が飛躍しすぎではないでしょうか?」
グラディス 「そうね。だから、情報が届いたら作戦の立案も兼ねて改めて推理してみましょう。少なくとも、アーモリーショックやそっくりさんの艦よりは余程足取り
を辿りやすいわ。アビー、ボルテールからの返信は?」
アビー 「来ました! こちらと同じく三重式の暗号通信です。情報、モニターに展開します!」
〜 ミネルバ・シミュレータールーム 〜
ハイネ 「用意はいいか、シン。俺はグフ・イグナイテッド、お前はフォースインパルス。シルエットはやりにくいのなら自由に換装して構わん。時間が惜しい、すぐに
かかって来い」
シン 「は、はい。隊長」
ルナマリア 「……珍しいわよね。隊長からシンをシミュレーターに誘うなんて。いつもなら逆じゃない?」
レイ 「そうだな。だが、今回は隊長の意図が理解できる。帰投してから、俺もシンの様子をしばらく観察していたからな」
ルナマリア 「どういうこと? 確かに戦闘の間はちょっと様子がおかしかったみたいだけど」
レイ 「今もだ。そして、それが問題だ。一過性のものならば良いが、長く続くようならば、これは少しまずいことになるな」
ルナマリア 「……シンが、一体どうしたっていうのよ。分かり易く教えてよ」
レイ 「見ていれば分かる」
(ほどなくシンの乗ったシミュレーターが激しく揺れ、撃墜されたことを示す赤いアラートが点滅した)
ハイネ 「シン、どうした。遠慮はいらんぞ。次、来い」
シン 「は、はい!」
ルナマリア 「……今のは結構頑張ってたんじゃない?あの隊長の喉笛に噛み付こうとしてた」
レイ 「確かに、善戦していたようではあった。行動だけはな」
ルナマリア 「?」
レイ 「よく見ていろ。隊長はどうやら、早々に習性を把握したようだ」
ルナマリア 「習性って……あれ? ねぇこれ、さっきと同じ試合運びじゃない? ……もしかして隊長が、狙ってやってるの?」
レイ 「そうだろうな。互いの武装の間合い、機動力、突進力、それに癖……全て計算尽くで戦略を組み立てている。そして……」
シン 「くっ……!」
(再び、シンのシミュレーターが撃墜を訴えて激しく揺れる)
ルナマリア 「あれ……シン、何やってんのかしら。ハイネ隊長の直撃が入る前に、なんかちょっと腰が引けてたみたいよ」
レイ 「そうだな。まさに、そういうことだ」
シン 「くそっ!」
ハイネ 「次だ。来い」
シン 「はい……!」
(更に再戦を挑むシンだが、やはり手玉に取られて撃墜される)
ルナマリア 「もう、何やってんのよ、シン。まるっきり同じパターンでやられてるじゃない。まるでフィルムを巻き戻して見てるみたいだわ」
レイ 「シンはそれに気付いていない。気付いていたとしても、おそらく他の動き方が分からなくなっているのだろう。今の奴には、ただ目の前の敵を正面から倒し
に行く、そんな融通に乏しい行動しか取れていない。それだけならばまだ良いが……」
(更に、シミュレーターが激しく揺れる)
シン 「うぅっ……」
ルナマリア 「……また止まった。一体どうしたってのよ、シン……」
レイ 「今の奴では、俺やお前の相手にもならんな。病院にいるリロイを呼び出して戦わせたところで、シンは勝てはしないだろう」
ルナマリア 「わけわかんないわよ、スランプにしたっておかしいわよこれ。何が原因であんなになっちゃったわけ?」
ハイネ 「シン、次だ」
シン 「は、はい……」
ルナマリア 「見てらんないわ……」
レイ (……所詮はナチュラルだった、とは言わん。戦闘前のシミュレーションでは、がむしゃらなりに操縦技術は活きていた。ここで行き止まりに入ったのは、
技術ではなく……)
(そしてまた、シンのシミュレーターが揺れて、静まった)
ハイネ 「シン、構えろ」
シン 「……もう、勘弁して下さい……」
ハイネ 「そうか。わかった」
シン 「くっ……!」
レイ (……心が折れたか)
ルナマリア 「隊長……シンは」
ハイネ 「見ていたんなら、見ての通りってことだ。手遅れになる前に確かめておいて良かったということにしておくか。今のシンは腑抜けだ。不用意に出撃させれば
落とされる」
ルナマリア 「でも、分かりませんよ。なんでまた急に……。確かにさっきはいまいちだったけど、今朝はしっかり戦ってたそうじゃないですか」
ハイネ 「向こう見ずに突っ込んで相手をねじ伏せるだけなら、なんとかなってる。シンは突き詰めれば、そういう戦い方をしてたのさ。だが、それが通用しない敵
と出会った時、あるいは負けると思った時、お前はすくんじまうようになった。……そういうことだと思うが、違うか? シン」
シン 「……」
ハイネ 「お前のその戦い方自体は、その向いてる方向は俺も前々から知ってたつもりだ。お前達の隊長としてな。だが、その土壇場の弱腰は一体いつからだ?
さっきの戦いで、急に臆病風に吹かれたのか? それとも、もっと前からか?」
シン 「……俺は……」
メイリン 『こちらブリッジ。全乗組員へ連絡。本艦はおよそ20分後に、ナスカ級ボルテールと合流。モニュメント・ユニウスにおいて発生した籠城事件の解決の為、
ジュール隊と共同作戦を展開します。各員は速やかに配置についてください。パイロットは直ちにブリーフィングルームへ集合してください』
ルナマリア 「シンがこんな時でも、事件はお構いなしに起こるのよね。……ま、あのジュール隊と一緒なら、なんとかなるとは思うけど」
ハイネ 「行くぞみんな。シン、お前もだ。だが作戦内容によっては、お前を外すよう俺は艦長に進言する。いいな」
シン 「……はい」
レイ 「シン、少し話がある」
シン 「……なんだ?」
レイ 「今のお前の不調を、俺なりに整理した。聞け」
シン 「不調? ……見てただろ。俺の実力は、あんなものなんだ。ハイネ隊長にまるで歯が立たなかった。あんなんじゃ、テロリストにだって……!」
レイ 「テロリスト達に勝つということが、いや、戦いに勝つということがどういうことなのか、お前は少し見失っている」
シン 「……え?」
レイ 「本来はハイネ隊長の役割なのだろうが、彼はアーモリーショックでの戦闘を俺達と共に経ていない。だから俺が代わりにお前に諭す。お前は、ショーンさん
とデイルさんの死の意味が分かっているか? あの二人は、テロリストに負けたと思うか?」
シン 「……!」
レイ 「あれから一ヶ月、お前は随分苛立ちながら戦ってきたようだな。その怒りはテロリストに対するものと、そしておそらく……自分をかばって死んだデイルさん
へのやりきれない思いから成るものではないか? それを全て、相対するテロリストに向けようとした。つまりお前は、憤りで戦ってきた……違うか?」
シン 「……ああ。その通りだよ……。デイルさんは、俺のせいで死んだ。俺がもっとうまくやってれば、デイルさんだけじゃない、死ななくて済んだ人達だって、絶対
いるはずなんだ。アーモリーワンの基地でも。だから俺は、もっとうまくやり続けなきゃいけない。これ以上あんな奴らに好き勝手にさせるわけにはいかない。俺は
もう絶対に負けられないんだよ!」
レイ 「……なければいけない、させるわけにはいかない、するわけにはいかない、か。それだ、シン」
シン 「何?」
レイ 「被害を完全に防ぐ手段などないんだ。俺達が手の届く所にいる敵をことごとく撃滅したとしても、敵は手の届かない場所にも、目の届かない場所にもいて、
奴らの理屈で行動を起こす。それは俺達にはどうしようもないことだ。つまりその時点で、俺達は奴らの好き勝手を許している」
シン 「……」
レイ 「そして、お前は先刻の戦闘で、あの敵艦の突進から逃げることができなかった。凍り付いたように動けなかった。そう俺には見えた。……アーモリーショック
でデイルさんがお前の身代わりになった時の状況と、よく似ていたな」
シン 「ぐっ……」
レイ 「負けられないはずが、好き勝手にさせられないはずが、あの時お前は怯え、心の中で奴らに負けを認めたのではないか? だから、お前は今、ハイネ隊長と
何度戦っても、負けると思った時に萎縮して身動きが取れなかった。違うか?」
シン 「……」
レイ 「俺は本来、精神論を語るのはあまり好きではない。だが、まだ隊長や俺には及ばないとはいえ、お前の実力の伸びは認めていた。だから個人的には惜しい
と思っている。とりあえず、嘔吐感に耐えられないのなら体を軽くしてから来い。その程度の時間の余裕はあるはずだ」
シン 「……」
レイ 「それと、もう一つ言っておこう」
シン 「……なんだ……」
レイ 「勇気という言葉は、お前に似合うのではないかと思っていたよ。俺は」
〜 モニュメント・ユニウス宙域付近、ミネルバ・ブリーフィングルーム 〜
イザーク 『ジュール隊隊長のイザーク・ジュールだ。宜しく頼むぞ』
ハイネ 「ミネルバモビルスーツ隊隊長、ハイネ・ヴェステンフルスです。宜しくお願いします」
グラディス 「顔合わせも終わったところで、改めて状況の説明を行います。イザーク隊長、お願いしますわ」
イザーク 『はい。諸君も聞いての通り、およそ一時間前に眼下に見えるモニュメント・ユニウスが、正確には管理施設を中心とした再構築エリアが、何者かに侵入
を受け、占拠された。墓参に訪れていたラクス・クラインは、それとほぼ同じ時点で、ドーム状の天蓋のある共同墓地にて襲撃を受けたと思われる。ラクス・クライン
付きの専任警護官は全員が消息を絶ち、彼女の携帯している発信器は、この地点から信号を送っている』
ハイネ 「大地の縁……ほとんど崖際ですね。非常用のルートの先にあるシェルターの一つですか」
イザーク 『そうだ。このシェルターは一度機能すれば外部から生命維持系に干渉されることのない独立した構造を持ち、モビルスーツの流れ弾程度なら一撃二撃
では破壊されない程度の強度も備えている。犯人側の声明とシェルター内の監視カメラの映像によれば、ラクス・クラインはここに一人きりで逃げ込んだことになる』
ルナマリア 「じゃあ、消息を絶った専任警護官の人達は……」
イザーク 『犯人側から明確な言及はないが、発信器は携帯している者の生命反応を感知して作動する。おそらくは、全員が既に死亡していると見るべきだろう』
シン 「……」
イザーク 『なお、人質となったラクス・クラインもまた、当然生命の危険に晒されている。シェルターの付近には、犯人側が襲撃時に投入してきたモビルスーツが
一機、現在も留まっている。機種はジン・ハイマニューバ、携帯火器は銃剣装備のマシンガンだ。犯人側との交渉には、ボルテールからの通信で俺の部下である
シホ・ハーネンフースが当たっているが、これが決裂し銃爪が引かれたならば、ラクス・クラインの元へ弾丸が届くまで10秒とかかるまい』
レイ 「彼女はプラントにとって大きな存在感を持つ人物です。それを躊躇無く殺害するというのならば、それがブラフである可能性は?」
イザーク 『否定はできんな。しかし、保証もできん。何より、彼女の安全を無視しててでも犯人の捕縛を優先した、そのようなザフトを民衆は認めはすまい。さりとて
犯人側の要求を素直に呑むという選択肢も評議会の本意ではないそうだ』
グラディス (……そうでしょうね。彼らがかつての仇敵に頭を下げてもらうために自ら頭を下げるとは思えない。仮にデュランダル議長がそうしようとしたとして、全力
で止めるでしょうね)
イザーク 『……よって、交渉により時間を稼ぎ、その間にラクス・クラインをシェルターより救出するのが本作戦の骨子となる。確認されている敵の戦力と配置だが、
これは全て黒塗りのジン・ハイマニューバで統一されている。まず先のシェルター付近のマシンガン装備の一機。そして占拠した管理施設の直衛用と思われる一機。
こちらは、背部スラスターを中心に大型化が為されている。更に、我がボルテールの前を塞ぐ形で都市跡の上に11機が布陣を組んでいる。なお、この計13機は、
全て対モビルスーツ用の実体刀を所持している』
アーサー (ザフトのファーストステージ・モビルスーツ群で最多の生産数を記録したジン、しかし貴重な上位カスタムタイプであるハイマニューバタイプが13機とは、
確かに尋常じゃない。しかも……)
イザーク 『また、パイロットの力量だが、警備に当たっていたザクファントム1機とザクウォーリア2機は、先の銃剣のハイマニューバ1機によって突破され、その直後
に現れた3機によって個別に撃破されている。いずれも接近戦で、それも接触から30秒以内にな』
ルナマリア 「30秒……ですか。ジンで、ザクを……」
イザーク 『性能差は、ザクタイプを擁しているお前達も熟知しているだろう。ハイマニューバが高機動化されたタイプとはいえ、総合性能ではジンよりもザクの方が
遙かに上だ。にも関わらず、実質的には一対一で全機が撃墜されたのは、奇襲であった為もあるだろうが、奴らが並のパイロットではない証明とも言える。その後に
現れた残りの機体についても、同様に油断は禁物だ』
ハイネ 「実質、向こうにもザクが13機いると考えた方が良さそうだな。連携で一斉に来られたら、ミネルバでも沈むかもしれん」
イザーク 『だが、いずれこいつらは俺達の手で片付けねばならん。作戦に当たっては、ミネルバとボルテール両艦のモビルスーツ隊を2隊に編成する。まず第1隊は、
ラクス・クラインの身柄の保護を目的とする突入隊だ。これはシェルターの見張りの銃剣に気付かれることなく接近し、これを速やかに撃破。敵側の応援が駆けつける
前にラクス・クラインを救出、離脱する。そして第2隊は、第1隊の離脱に合わせて総攻撃を仕掛け、連携によってハイマニューバを各個撃破、殲滅する』
ルナマリア 「ちょ……ちょっと待ってください。 その第1隊って、一体誰がやるんですか? 崖っぷちのシェルターに、見張りを倒せるような機体で気付かれずに近づく
なんて、どうやって……ミラージュコロイドでもあれば話は別ですけど」
イザーク 『ミラージュコロイドなどなくても、接近は可能な環境だ。あのシェルター周りに、見張りが一機しかいないのには理由がある。戦力を割り振るまでもなく、
敵が、即ち我々が迂闊に接近できない場所であるからだ。それは見晴らしの利く位置だというばかりではない。周辺に岩塊や氷片、更には構造物の残骸といった、
モニュメント・ユニウスからこぼれた大量のデブリがそのまま密集して浮いているためだ』
ルナマリア 「は、はい。モビルスーツの大きさじゃ、どんなに注意して飛んでも必ずぶつかるし、でも楽に身を隠せるような大きさのデブリも少ない。それにあんまり
もたもたしていても、熱源を探知されたらすぐばれる……これじゃ、近づく方法が」
イザーク 『何を言っている? それらの条件を全てクリアできる機体がミネルバ隊にはあるのだろう。熱源も質量も大きさも分割して網をくぐれる強力な機体がな』
シン 「!」
ルナマリア 「イ、インパルス……そっか、確かに……!」
レイ 「なるほどな、いつもとはまるで違った意味で、インパルスがこの作戦の全ての鍵というわけか」
ハイネ 「……」
〜 モニュメント・ユニウス宙域付近、ミネルバ・モビルスーツデッキ 〜
ハイネ 「作戦の内容は、各自頭に入っているな。第1隊は、こちらからはインパルスを出す。ユニウスに辿り着き、銃剣のハイマニューバと接触した時点で、ボル
テールからも長距離狙撃による援護が入る。第1隊に加わらなかった者は、第2隊に合流して作戦第2段階の掃討戦に出撃する。なお、パイロットの選出は出撃
の段階で俺に一任されている」
ルナマリア 「……」
ハイネ 「インパルスはレッグフライヤーの腰部ハードポイントに、救出後の為の小型救命ポッドを取り付けてある。各パーツとコアスプレンダーは分離状態で射出し、
稼動状態を極力抑えたままデブリの中を移動させ、シェルターの下方から接近。合体し銃剣のハイマニューバを撃破する。インパルスで出撃するパイロットだが……
これは本来のパイロットは言うまでもなくシンだが、お前達も知っての通り、今の状態を考えると戦闘に耐えられるとはとても思えん。しかもジンでザクを倒すような
あの連中が相手ではな」
シン 「……」
ヴィーノ 「……じゃ、じゃあ、どうするんですか? シンには今回、休ませますか? ですよね、こいつ最近ちょっと頑張りすぎだったし、調子が悪いなら無理して……」
ハイネ 「そうだな、少し楽をさせてやろうと思う。ヴィーノ、インパルスには専用OSの他に、サブシステムとして通常のOSも組み込んであったな?」
シン 「!」
ヴィーノ 「はい、一応。あくまでサブなんで、本来の性能の70%がいいとこだと思いますけど……それでも、ザクと互角までは行けるはずですよ」
ハイネ 「それで充分だ。さてみんな、聞いてくれ。俺に妙案がある」
支援
>>698 GJです
今回は大きな動きはなさそうですな。
結局ステラの記憶消去されたのかな?
デュランダルよりチェスが強いミーア(?)……
ミーアラスボスフラグ?www
>>708 こちらもGJです
いいチームメイトに囲まれてよかったねぇ、シン
本編でもこういう話が見たかったなぁ……
続きを投下します。
ミネルバは大平洋を移動して遂にオーブ領オノゴロ島に辿り着き、入港する。
「アスハの姫も面倒なもので帰ってきてくれたものだ…」
ミネルバをガラス越しに見てため息をついているのは、オーブ連合首長国現代表ウナト・エマ・セイラン。
セイラン家は元々大西洋連邦寄りで前大戦時にオーブが占領されるまでは国民からは目も当てられなかったのだが、前大戦時にオーブが地球軍に占領された影響で国民は保守的になり、アスハとは反対の思想を持つ彼らの当主であるウナトがオーブの代表として選ばれた。
「だが、冷たくあしらうわけにはいかんか…。仮にもこちらの要人を送り届けてくれた訳だしな」
ウナトは一人呟いて自らミネルバのほうへ向かう。
ミネルバから降りたカガリ、アスラン、タリア、アーサーの四人をウナトら官僚達が出迎える。
「オーブ連合首長国代表ウナト・エマ・セイラン。我が国の首長の一人を送り届けてくれて感謝する」
「ミネルバ艦長タリア・グラティスです」
「副長のアーサー・トラインです」
三人はそれぞれ機械的に自己紹介等を済ませる。
「もし、今すぐにでも修理がしたければモルゲンレーテのドッグを1つ貸すのでそこで行って欲しい」
「わかりました」
本来ならばすぐにでもカーペンタリア基地に移動し、きちんとした修理と補給を行わなければならないが、ボギーワンとの戦闘やユニウスセブンの件でミネルバの船体はあまりにも損傷が激しい為、とりあえず補給と船体修理をオーブで行うことにした。
「それとカガリ、早速だが行政府に」
「わかりました」
カガリはウナト達と共に行政府へ向かい、アスランは報告書を作成する為にその場をあとにし、タリア達もミネルバをドッグへ移動させる為に艦内に戻る。
シン、ルナマリア、レイ、メイリンの四人はミネルバのでそれらの光景を見ていた。
「いいのかな?この国に泊まって」
「いいんだろ、オーブなんてろくでもない国だけど」
「あんた、それが聞こえていたらどうすんの?」
「なんだっていいだろ」
シンはそう言って一足先に艦内へ戻る。
「はぁ、本当に子供なんだから」
軽くため息をついたルナマリアは艦をモルゲンレーテのドッグに移動させるという放送を聞き、レイやメイリンと共に艦内に戻る。
「大西洋連邦と同盟条約を締結!?」
オーブ行政府で、もたらされた知らせに驚いているのはカガリ。
「話によれば、小規模ながらも世界各地でもたらされたユニウスセブンの被害や行動を開始した旧ザラ派のテロリスト達に世界各国が連携を取って迅速に対処しようというものだ。そして…」
ウナトはいくつかの画像を提示する。
無論、その画像は地球圏内での活動を前提に作られたザフトの新型MSカオス、ガイア、アビスのデータとザフト製MSがユニウスセブンを落下させている光景。
カガリはこれらを見てボギーワンがブルーコスモスの特殊部隊だったと確信する。
「ユニウスセブンを落下させた元凶であるプラントに一致団結して対抗しようとも言っている」
「大西洋連邦が音頭を取ろうとしているだけなのでは?」
カガリは咄嗟に疑問を言うが、
「これらは民衆に知れ渡っています。ユニウスセブンの件だけならまだしも、自衛の域を超えたMSを開発していたとなれば、プラントが地球侵略を企んでいると民衆が信じ込むのも無理はありません。我らも地球にいる以上、痛みを分かち合うべきは同じ地球にいる者達です」
官僚の一人が大西洋連邦との同盟を締結するべきと自分の意見を言う。
「一応、水に流しているとはいえ、一度我らが国を焼いた者達と同盟を結ぶのですか!」
カガリは反論する。
「一応とはいえ、水に流れているのだ!それにさっき言った通り、世界中の大衆はプラントが地球侵略を目論んでいると思っている!我らが孤立しない為にも、それと戦おうと言っている大西洋連邦と同盟を結ぶのは極自然な流れだ!」
カガリと先ほど自分の意見を述べた官僚は激しい口論になる。
ウナトが仲裁に入り双方を落ち着かせる。
結局、意見は纏まらずに今回の閣議は閉会となった。
ミネルバをモルゲンレーテ社のドックでモルゲンレーテの整備員と共に修理を行っている光景を見ながら、アーサーは色々と心配していた。
「あの、艦長…」
「何?」
他国で修理するとなると下手をすれば軍事機密どころではなくなります。と言いたいのだが、彼の場合は相手が自分より立場が上の人間ともなると自分の意見があっても、それを言えなくなる。
今回も例外ではない。
「言いたい事は大体わかるけど、そんなに不満ならば上層部に報告する?」
「いいえ、そんな!」
タリアに思っていたことを指摘され、アーサーは思わず声を上げて後退りする。
カガリから上陸許可が出ており、戦時下でもないのでルナマリア、メイリン、ヨウランなどの若いクルー達は歓楽街へと繰り出す。
そんな中、シンとレイは自室にいた。
自室のベッドで悶々としているシンにレイが声を掛ける。
「上陸したかったんじゃないのか?出たろ、上陸許可」
そう言ってレイは部屋を出ていく。
レイが自室を出て行ったあともしばらくベッドの上で悶々としていたがシンはとりあえず、始まりの場所へ行ってみることにした。
報告書を提出したアスランは特にする事がないので愛車でドライブしていた。
その途中で散歩する二人の知り合いを見つけ、車を止めてクラクションで呼びかける。
そんなアスランに気づき、呼びかけに答えたのは彼の親友キラ・ヤマト。
彼はかつてGAT−X105ストライクを駆って幾多の戦果を上げ、親友であるアスランとの死闘の末、撃墜されるも奇跡的に生存したあと、ラクス・クラインの思想に共感し、三隻同盟の元でラクスから託されたZGMF-X10Aフリーダムを持って戦争終結の為に奮戦した。
最も彼自身はアスランのように英雄として知られている訳ではない。
そして、彼の隣にいるピンク色の髪をした女性が元プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの娘にして三隻同盟の長を務めたラクス・クライン。
キラとラクスはアスランに車で家まで送り届けてもらうことにした。
「やはり、ユニウスセブンの落下はあたかもザフトの仕業だと大西洋連邦から地球全体に伝えられているんだな?」
「うん…。ザフトのMSがユニウスセブンを落下させている光景が写されている画像とザフトの新型MSのデータを証拠としてそう言ってる…」
ユニウスセブンの件に関するアスランの問いにキラは暗い表情で答える。
「私達は台風の目の中にいただけなのですね…。てっきり、止んだとばかり思っていましたが…」
ラクスも暗欝になる。
自分たちが戦争を終結させたのは無意味だったのか?ただの先延ばしだったのではないか?
そんな疑問が頭から離れない。
「本当に何をしているんだろうな…俺たちは…」
アスランはそう呟く。
ファーストコーディネイターであるジョージ・グレンによって、人為的な遺伝子操作技術や鯨石がもたらされた時は皆がこんな事になるとは夢にも思わなかっただろう。自分たちには輝かしい未来があると思ったことだろう。
だが、今の世界はナチュラルとコーディネイターに大きく別れて争い、一度は止まったかに見えたが再び争おうとしている。
どうしてこんなことになってしまったのだろう…。
目的地に到着し、キラとラクスを降ろして今自分が帰るべき所へ車を走らせる。
その途中である事を思いつき、それを忘れる前に車を運転しながらカガリに携帯電話で電話を掛ける。
今日この時間なら、会議等は終わっている筈だ。
「カガリか、俺だ」
『なんだ?わざわざ、電話を掛けるなんてお前らしくもない』
電話をかけてきたアスランに対してカガリはいつもの調子で答える。
「カガリ、俺をプラントへ行かせてくれないか?」
『どうして、また?』
電話越しにいるカガリの態度が真剣なものになる。
「アーモリーワンやユニウスセブンの件を見て思ったんだ。デュランダル議長に限って前のような泥沼に突っ込む事はしないと思うが、何かしら動かなければ手遅れになる気がするんだ」
真剣に言うアスランのそれを聞いてカガリは、
『わかった。プラント行きのシャトルは私が手配しよう。…アスラン…』
「?」
『ちゃんと帰ってこいよ』
「わかっている」
そう答えてアスランは電話を切る。
二人は知らない。
もう既に手遅れである事に。
ラクスの言った通り、人は台風の目の中にいただけに過ぎないという事に。
そして…
オーブについて
1話で説明された通り、カガリが代表ではないので、代表はウナトです。
ユウナは排除しました。ヨウランとヴィーノのどちらかと同じく居るだけ無駄なのと例の花嫁強奪事件を防ぐためです。
717 :
通常の名無しさんの3倍:2007/09/29(土) 14:43:18 ID:7/MSfOVk
シンが主役・・・
北斗の拳か?
>>716乙です。
ユウナはカットですか……
「国はあなたの(ry」は好きなセリフだったんですがね。
しかし、拉致事件が無しとなると、結構展開変わってきそうでwktk
週末から読み始め、ようやく追いつきました。
Re.Dさん、シンルートさんGJです。
>>716 キラ登場。大筋原作にそった展開ですが、シンとどう絡むのか期待です
投下待ってます!