ディアッカ・エルスマンについて語るPart113

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428通常の名無しさんの3倍
after school


夕闇が迫る校庭には様々な音で溢れかえっていた。
部活動の掛け声や、ボールの跳ねる音、下校途中の少女達の黄色い声。
少女の一人が顔を上げ、五階の窓を見た。
「あ、ミリィちゃんセンセー!」
手を振る少女につられ、他の少女達も顔を上げた。
社会科教室という学校の一番外れにある教室の窓には、カーテンを背に窓から覗いている若い女教師の顔が見えた。
教師が手を振り返すと、少女達も楽しげに手を振り返す。
「ミリィちゃんセンセーは何してるのぉ?!」
「…スト…、採…点…ッ」
風の向きのせいなのか、教師の声は切れ切れに聞こえてきた。
夕日と女教師の眼鏡の反射のせいか、その表情は伺えない。
若いオンナの新任教師と言えば男子生徒垂涎の存在の筈だが、色気よりも健やかさがまだ色濃い社会科教師、ミリアリア=ハゥは少々そーゆー意味にはとられなくて。
だが生徒達からは友達のように扱われつつも、その優しげな笑みと朗らかな性格で男女に問わず生徒達には人気だ。
「がんばってねー!」
手を振りながら門を向かう少女達に女教師は手を振って答えた。
いつもなら「気をつけて帰るのよー」とこっちに負けない位の声で叫んで、部活動で校庭を泥塗れになってる男子生徒達を少しだけ優しい気持ちにさせる喝を与えてくれるハズなのに。
ふと門近くの少女がもう一度五階の窓を見てみたが。
丁度カーテンが翻りながら窓が閉められた。
柔らかい印象の女教師らしくない、少し乱暴な勢いで。




「も…ッ!やぁぁっ」
ミリアリアは窓の桟にしがみ付きながら、必死に背後からの動きに耐えた。
もぉ我慢が出来なかった。
脚はすでにがくがくと震え、力なんて入らない。
窓の桟にしがみ付いた手も既に崩れ落ちそうだった。
じゅぶじゅぶと響くイヤラシイ水音と肉の当たる音の不協和音にミリアリアは耳を塞ぎたかった。
「ナニがイヤなのさ。ココはもっとって咥え込んでるぜ?」
腰を掴んでいた片方の手が、ミリアリアが耳を塞いでしまいたい音を出すその場所へ回ってきた。
びくん、と強張る躯にニヤリと笑いながら、その褐色の細い指がミリアリアの小さな釦を撫ぜる。
「きゃぅん!だ、だめ!だめええ!」
一番弱い箇所を急に攻められ、ミリアリアの躯は一気に走り出す。
「ヤダ!お願い…ッ!だ、めぇ!」
「カワイらしいイク顔を見せてよ」
ね、センセ?
強く腰を突き上げながらの耳元に降る艶やかな囁きに、ミリアリアは一気に走り出した躯をどうすることも出来ず。
それでも必死に唇を噛み締めて、悲鳴は上げずに果て、意識を飛ばした。
背後でくすくすと笑う男を殴り殺せたらいいのに、と思いながら。
429通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 00:17:09 ID:???
気付けば、世界は夕闇に染まっていた。
窓の外からは既に先程の喧騒は聞こえない。
目を瞬かせて、机の上に寝転んでいる状態と気付いた。
身動ぎをして、脚を広げたままだと気付くが、先程の激しい責めで脚は油が切れたブリキ人形のようにぎしぎしと軋んでいる感じだ。
「気付いた?」
目の前にぐい、と楽しげな笑みを浮かべた顔が現れた。
ミリアリアは視線を逸らし、身を起こそうとするが、彼はそれを許してくれない。
「どいてよ」
「やーだね」
「そろそろ下校時間でしょ?私もテストの採点の続きをするの」
「んじゃオレの採点もしてよ。今んのはどーでした?」
ミリアリアセンセ
耳元で囁かれ、思わず躯が小さく跳ねた。
漏れそうな吐息はなんとか飲み込んだが、目の前の反応を見逃してくれる程彼は甘くない。
「そんなにオレの声ってキます?」
ねえ、センセ?
耳朶を甘咬みされながらの艶やかな声の囁きに、ミリアリアは小さく震えながら耐える。
「学校、よ!ココ…は・ぁッ」
びくびくと震える躯を押さえ込まれながらの叫びなんて、目の前の男には安易な誘いの声にしか聞こえないのか、ぐい、と腰を押し付けられた。
「だって、センセってばオレの採点教えてくれないじゃん。だから自主的に追試?」
にやり、と笑いながら、彼は蕩かすことなく、強引に腰を進めた。
先程までの余韻が残っているとはいえ、既に一度は波は落ち着いていたので、ミリアリアの中はとても狭い状態で。
彼はそれでも容赦無く突き進んでいく。
「ふぁあああ!」
一気に奥まで埋め込まれた熱い塊にミリアリアは慄きながら。
彼の───ディアッカ=エルスマンという生徒の背に縋るかのように、手を回した。




最初は些細なキッカケだった。
社会科教室の手前にある生徒会室の副会長であるディアッカ=エルスマンと会話するようになったのは。
授業の受け持ちも違うし、担当する学年も違う、特に接点の無い二人だった。
たまたま生徒会室の給水室の調子がおかしくなって、隣の社会科教室の給水室を貸してほしいという話をしてきたのだ。
お茶程度しか入れないので、勝手に使ってくれと言ったミリアリアに笑顔でお礼を言ったトキのディアッカ=エルスマンは、確かに生徒会副会長の名に相応しい爽やかな笑みを浮かべていた。
教師の中でも良い評判と悪い評判で評価が真っ二つに分かれる彼だったが、ミリアリアには常に笑顔で接していたので、好印象すら持っていた。
それどころか、教師達から聞いていた悪い評判の根拠すら疑ったものだ。

しかし。

その判断の方が事実だと知ったのは、ディアッカ=エルスマンと楽しく会話をするようになってそう時間が経過しない、ある放課後だった。
430通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 00:17:27 ID:???
お湯くっださーい」
軽いノック音のアト、立て付けの悪い引き戸がガラガラと開いた。
「勝手にどぉぞー」
ミリアリアは採点をしながら、顔も上げないで返事をしながら、ぺたぺたと歩く足音にこっそりと笑った。
女子達にも大人気で、他校の生徒も時たま校門で待ち伏せしたりする人気者のディアッカ=エルスマンだが、気が抜けたトキは長い脚をだるそうに動かすのか、ぺたぺたと可愛らしい音を立てて歩く。
背格好は最高にいいし、甘いマスクと女の子を喜ばせる軽い口調でとてももてるが、それでも歳相応の可愛らしさがミリアリアは少し気に入っていたりする。
「『1077年教皇グレゴリウス7世にローマ皇帝ハインリヒ4世が破門された〜〔○○〕の屈辱』。 ○○にあてはまる言葉を入れよ───『跪いて足をお舐め』っておいおいおい!」
突然耳元に振ってきた美声による笑い声に慌ててテストを躯で隠す。
「なんだよ?!その珍答は!」
「ちょっと!ヒトのテストを見ちゃダメでしょ?!」
「だって、めっちゃ面白いじゃん!センセ、採点しながら笑わないのォ?」
「笑うより情けなくなるわよ!教えてる意味がないんじゃないかって!」
思わず本音を怒鳴り返すと、「そりゃそーだ!」とやはり爆笑していた。
「とにかく、コッチに来ちゃダメ!採点中なんだから!」
ぐい、とディアッカの背を押すが、びくともしなくて、ミリアリアは口を尖らせた。
確かに彼は自分より20センチも高い身長で、幼い体型のミリアリアより大人っぽい少年ではあるが、自分は教師で、彼は生徒なのだ。
言う事を聴いてもらわないと困る。
「今度からお湯あげないわよ?」
睨みながら言うと「あー。それは困りますねぇ」と笑って答えて。
なんとなく、その大人臭い表情がムカついた。
ふい、と身を返し、机に広げていたままのテストを纏めた。
少し気が緩んでいたのかもしれない。
今までディアッカは生徒会役員として教師慣れしてるから、テストの採点中は傍によらないでくれたりと小さな気遣いをしてくれていた。
それに甘え過ぎていたのだ。やはり教師として守るべきラインは守らないと。
考えながら纏めていたから、いつの間にか背後にディアッカが近付くのがわからずにいて。
だから。

「センセ」

突然の耳元の美声に身を震わせてしまったのだ。
ぞくりとする声に慌てて振り返ろうとすると、突然躯が動かなくなった。
「ちょ?え?」
「センセ、カワイイ」
ひん、と自分でも情けない位に甘い声が唇から零れた。
常日頃、イイ声だ、とは思っていたが、耳元で囁かれるとこんなにも甘く艶やかになるとは思ってもみなくて。
思わず数瞬意識を飛ばしてしまったが、背後から抱き締められてる、と気付いたトキにはブラウスの釦が数個外されていた。
「エルスマン君?!」
「あー。ディアッカ、って呼ばれたいかな?こーゆートキは」
そのまま重なってきた唇は躊躇することなく、ミリアリアの舌を絡めてきて。
ミリアリアの必死な抵抗を抵抗と感じるコト無い動きで、ディアッカはミリアリアを確実に、しかも容赦なく蕩かしていく。
そして、経験値の薄いミリアリアには対抗し得ることなど無かった。

それ以来。
甘い囁きと、力強い腕の力と、欲望の熱で。
ミリアリアとディアッカの放課後の行為は続いている。
431通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 00:17:40 ID:???






ガタガタとなる机の音が煩かった。
ばさん、と落ちる音は恐らく資料の本が机から落ちた音で。
それでもミリアリアはディアッカの首にしがみついて零れそうな甘い嬌声を飲み込んでいた。
「声上げればイイじゃん」
「や…!ココ、がっこ…ォ!」
ぐい、と奥まで届く突き上げにミリアリアはディアッカの肩を咬んで悲鳴を殺した。
「オイ、明日体育なんですが」
「だ、だ…ってェ…!あ、ダメ!だめえええ!」
がしゃん、とモノが落ちた音がしたが、それが何かをミリアリアはもぉ考えるコトなく、ディアッカにしがみ付く。
痺れていた躯が一気に跳ねようとしてる。

ココは学校で。
私は教師で。
彼は生徒で。

イケナイコトだらけなのに、何故か悦楽に流されている、とミリアリアは思った。
ディアッカは放課後、ミリアリアを抱く。
優しく応接用のソファーの上だったり、
先程のように、誰かに見られるかもしれないような窓際だったり、
今のように乱暴に机の上だったり。
抵抗したいのに、いつの間にか流されている。
ディアッカはどうして自分を抱くのかすらもわかっていない。
どう考えても、色気は薄いし、行為も不慣れだ。
彼ならどんな相手の女性も手に入れられるだろうし、実際手に入れてたのだろう。
どこかがオカシイ。
でもヤメラレナイ。
混乱した感情の中でも愉悦はいつも確実に目の前にあって。
432通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 00:17:46 ID:???




「ね、今夜センセんちに行ってもいい?」
突然の言葉にミリアリアは驚いて顔を上げた。
「ガッコでやるのも刺激的だけどさ、センセのカワイイ声も聞きたいんだよね、オレ」
ディアッカの言葉に首を傾げる。
「それにさ、名前で呼び合いたいじゃん?」
「な…まぇ…?」
「そう───ミリアリア、って」




ディアッカの真剣な表情に無意識に頷きながら、ミリアリアはディアッカの腕にしがみ付いた。




外は星達が降り注ぐ小さな光に染まりつつある世界。
明かりの消えた小さな教室は、甘い吐息と淫らな水音に埋め尽くされながらも。
何かが変ろうとしていた。
確実に、変ろうとしていた。