ディアッカ・エルスマンについて語るPart113

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310通常の名無しさんの3倍
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二人の時間 2

シャワーを浴びながらディアッカはこの隙にミリアリアは部屋を出ていくだろうと考えていた。気が付けば部屋の外はすでに静かになり彼女が部屋を出ることをためらう必要は無かったはずだった。
彼女を抱きたい気持ちが本気でないわけでは無かったが無理強いをするつもりは更々なかった。
ミリアリアが並べ立てる可愛い言い訳を切り捨てながら本音はからかう気持ちが大部分を占めていた。
だから今はまだそこまでは出来ないとミリアリアが思うのであればまた待つつもりだった。再び会って、想いを確認しあうことができたのだから待つことは苦痛ではなかった。

シャワーを浴び終えて、部屋にまだミリアリアが居ることに彼は正直驚いていた。
そして何も言わないままに入れ替わるようにシャワーを浴びるミリアリアにさらに驚いた。

流れる水音が聞こえるまでにも、そしてその音がやんでからもの長い沈黙の時間にも彼女の戸惑いを感じ取ることが出来た。
ミリアリアが服を着て出て来たのならその気持ちに沿ってやるつもりだった。
彼女の砦を無理にこじ開ける必要はない。自ら開くのを待つ、いつまででも待ってみせる。
しかしミリアリアはバスタオルを体に巻いただけの姿で現れ、着ていた衣服をロッカーにしまった。
それが彼女の答えであるとわかってディアッカは体が熱くなっていくのを感じた。
「シャワーで溺れてるのかと思った」
その興奮を気取られねぬようにいつものような斜に構えた態度を取り繕ってそれだけようやく言えた。
白く浮き上がる肩にバスタオルの下から覗く細い素足に目を奪われた。
それでも努めて平静を装いゆっくりと手を差し出すと静かに「おいで」と呟いた。

その言葉にミリアリアが息を飲んだのがわかった。
顔を背けたままなかなか一歩を踏み出そうとしない彼女をディアッカは静かに辛抱強く待った。真っ直ぐにミリアリアを見つめながら。
無理強いはしない。したくない。
きっかけは与える。だが最後は彼女自らの意志でそう望んでくれなければだめなのだ。
逃げ道を用意しているようでいて結果、全ての逃げ道をふさいで追いつめようとしている。姑息で卑怯な男だと自覚していた。
それでも無理矢理押し倒されたから抱かれたのだと言い訳を許す愚行はするまいと思っていた。
そしてその思惑通り張りつめて重い空気を最初に揺らしたのはミリアリアだった。
ディアッカに向けて素足の一歩を戸惑いながらも踏み出し、差し出した手にそっと左手を重ねられた。
その小さな細い手を大きな男の手がゆっくりと握りしめた。
掴んだこの手はもう二度と離さない。そう意志が込められた力強さで。
座ったままミリアリアの腰に左手をまわし握りしめた手を軽く引くとなんの抵抗もなく彼女はディアッカの腕の中に落ちてきた。
そのまま片腕で腰を抱え上げ膝の上に横抱きにした。素直に膝の上に収まったが酷く緊張して体を硬くしているのがわかった。相変わらず胸元のバスタオルを手が白くなるほどに握りしめている。
ディアッカは握りしめたままの細い手を自分の背中へと持っていき巻き付かせるようにしてから離した。そして離した自分の手をそのまま彼女の背中から、首筋へと滑らせ頭を肩へもたせかけてから耳元で低く囁いた。
「もう逃げらんないぞ?」
「うん、もう諦めた」
ディアッカがらしからぬ真剣さで言った言葉に対してミリアリアの返事はとても軽かった。
「なんだそりゃ」
ディアッカは思わず笑ってしまう。
「だって、諦めろって言ったのアンタでしょう」
恥ずかしさを誤魔化すように口を尖らせて言うミリアリアの言葉にそういえばそうだったと思い出しまた笑った。
ミリアリアはディカッカの首筋に一度頬を擦りつけるようにしてから離れると俯き加減な上目使いで恥ずかしそうに彼を見つめた。
ディアッカはそんなミリアリアを覗き込むように顔を寄せると軽く唇を触れさせた。
一度離れた唇はまた引き合うように触れあい段々と深く交わっていく。
ミリアリアが薄く開けた唇の隙間にディアッカの熱い舌が差し込まれる。歯列を割って柔らかな舌を探し当て絡め取るように求めていく。
ミリアリアもそれに応えるように自らの舌を動かした。お互いを吸いつくすかのように激しく口づけながら二人はベッドへと倒れ込んだ。