もしシンじゃなくてマユが主人公だったら15

このエントリーをはてなブックマークに追加
1纏め人 ◆rw1maYUY1g
このスレは、機動戦士ガンダムSEED DESTINYの主人公がシンではなく妹のマユだったらという
二次創作SS小説そして妄想スレです。
必読事項↓
・マユ・アスカが主役で、運命キャラがメインです。
・概要抜粋型(短い)と小説型(長い)どちらでも可
・シリアス及びギャグ何でも可
・煽り荒らしは、スルーしましょう(重要)
・sage進行で、お願いします。
・作者叩きは、禁止
・「○○イイ!○○○イラネ」などの特定職人マンセーはあまりよくないです。
意見がある人は各職人様にアンカーをつけてレスしてみましょう。
その際
「○○○の部分が、○○○のようにおかしい」
「○○○のような書き方は気をつけた方がいいと思う」
等、言いたいところをできるだけ「丁寧に」書いてレスして下さい。
誠意ある質問には必ず誠意ある返答がある筈です。
質問は見やすいようにコテハンをつけておいてもよいかもしれません。
より良い作品・スレ作りにご協力下さい。
「面白い」って意見も、ただ「乙」とか一言で済ませるんじゃなくて、「○がよかった」「○に感動した」とか書き込むと、
物書きにとっては何よりの応援になります。
その作品にのめり込んでるなら、その作品でキャラが起こした行動自体に対して、叫ぶのもいいと思います。

・職人常時募集中

避難所兼雑談所のアドレスは、過去ログ(パート2)にありますのでご自分で探索してください。

前スレ
もしシンじゃなくてマユが主人公だったら14
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1143032598/

その他関連スレ↓
新キャラメインでDESTINY学園開校7
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1141559512/
【SS】新シャア板の職人相談室【イラスト】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1141485657/
まとめサイト兼過去ログ置き場
http://members.ld.infoseek.co.jp/rurukubo/mayukako.htm

絵板
http://bbs4.oebit.jp/mayuseed/bbsnote.cgi
2纏め人 ◆rw1maYUY1g :2006/04/23(日) 22:01:53 ID:???
まあ、マユを主人公にすると―― (パート1 710より)

1.子供だけど赤服。努力と才能と、周りのサポートで頑張る努力型の主人公という前作との差別化。
2.1.と付随して周りのキャラが主人公を面倒見ているので戦艦内の人間関係の描写が濃密になる。
3.種持ちとはいえ、決して天才ではないので時には失敗する。その挫折を乗り越えるクライシスと成長ドラマが主軸になる。
4.才能はあるとはいえ、子供。故に戦争というものを多角的に見えない。戦争の現実を直視することにより、視聴者にも問い掛けることができる。
5.戦争で家族を失った遺族側の視点で前作への問題提起。それにより改めて遺伝子操作やそれに伴う差別問題を浮き彫りにできる。
6.5.に並んで国家と国民の有り方、理想と現実。そして、享受できる平穏と犠牲となる存在、為政者の義務、前線で戦う兵士の悲哀などを生々しく描写できる。
7.死んだと思っていた兄との対面、思想の違いによる対立を生む戦争の悲劇。そして、マユという妹から一人の人間としての成長を描ける。
――こんな感じで激動の時代に巻き込まれた一人の人間とそれを取り巻く環境の変動を主軸にしたドラマが描けて面白いんだよね。
シンよりさらに人間的に未熟な分、周りの人間の意見を聞く――色々な視点・意見を知る――ことにより、
現実はそう単純なものではないってことが演出できるわけで。


3通常の名無しさんの3倍:2006/04/23(日) 22:02:21 ID:???
4通常の名無しさんの3倍:2006/04/23(日) 22:31:29 ID:???
乙です。
前スレは舞踏氏への感想と多少の雑談で埋まる感じですかね?
5通常の名無しさんの3倍:2006/04/23(日) 23:08:54 ID:???
      )::::::::::::::::::::,  ´    )::::::::::::::===彡::::::テ
       (::::::::::::::::://    ヽ:::_:::::::::::::::::i  l::::l:::::ハ二))
      >:::::::,.'  ′    |   ):::::::::::::::l  i:::i:::::(、二))
        て::::/   ll  l |  !|   {::::::::::::::::|  l::i:::::::::ハ〈
         しl |  l |  | | _!H‐'フ|/て::::::::::彡ミ::::::::(  !l
         l l  l _L | |ノ  rT´_ | (::::::::ミ彡::::::ィ  l|l
            ll ヽ ´ rr、    ヽ__ソ | l! {::l l::::;:::) |  リ ローゼンメイデンの第五ドール真紅が
            ハ v)       l l | リ /:://   |  |   優雅に>>5ゲットなのだわ!
            ,' ハ 丶      リ ,| |//´  | |   この指輪に誓いなさい!
            |  〉 、 `    lレ' | h、     |  |
            l / ||  > - ィ 〃 | | l7      |  |
            ノ'  |r j / rr、 〃  | | 〈 \    |  |
            /'   ノl j/ _ト(  ノ l (   \  |  |
           ヽヽ/ヽ j!    > ´ / /     ハ |  |
>>1久アリス輪舞曲 私の主演作パクらないでよ!
>2りはプリキュア  作画手伝ったのは、雛苺?
カードキャプター>3くら 奇声なんか発して、かわいいとでも思ってるの?
か>4まし      脚本家も視聴者も、想像以上に下劣ね!
おねがいマイメ>6ディ あの変な詩、とても聞くに堪えないわ。
エウレカ>7     視聴率1%割れなのに、どうして4クール続いたのかしら?
りりかるなの>8   あんな娘が最萌え優勝?
お>9さまは魔法少女 淫乱なコスチューム着て、レディとして最低ね!
ガンダムSee>10   あのラクスとか言う電波女の声、誰かさんに似てほんと腹立つわ!

>11-1000は、お茶を入れて頂戴!
6通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 05:20:13 ID:???
避難所アドレス
http://jbbs.livedoor.jp/anime/2892/
7通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 20:45:37 ID:???
>>1
乙&即死回避保守
「あ、アスラン!気がついた?!」
アスランが目を開けると、そこにはラクス・・・いや、ミーアの顔があった。
どうやら彼女は衣装のまま着替えもせずに自分を見てくれていたらしい。

そして、彼女に膝枕されていると気づくまで数秒。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
大急ぎで起き上がるアスラン、だがミーアはそれを許さず無理矢理体を倒す。
「まだ無理しちゃだめよ!昔カルマも倒れた事があってね、大変だったんだから・・。
やっぱりコーディネーターって無茶する人が多いのよ。」
そう言ってミーアはアスランの頭をなでる。
その仕草にアスランは思わず母を思い出し、笑ってしまう。
「?私、何か変なこと言った?」
「・・いや、何でもない。」
きょとんとするミーアに笑いながら答えるアスラン。
そのままゆったりと時間はながれアスランがミーアに話しかける。
「なぁ、ミーア。」
「何?アスラン。」
「・・・・・友達がさ、悪い事をやっているって自覚もないまま周りに迷惑をかけてたらどうする?」
アスランがそう言うと、ミーアははっきりこういった。
「それはね・・・・。」

----------翌日---------
「ハイネェ〜、マユゥ〜。」
情けない声を上げてミーアが二人の所へやってくる。
「どうした、ミーア?」
アスランがミーアの頭をなでるとミーアはやはり情けない声で話し出した。
「アスランがねぇ、友達を更正させるにはどうすればいいのか相談してくれたのぉ〜。」
「おぉ、ミーアお姉ちゃんチャンスじゃん。」
「だけどねぇ、私の答えをいったらさらにアスラン悩んじゃって・・・。」
「・・・・ミーア、お前なんつったんだ?」
「『男なら顔面なぐってばっきゃろう!!って言わなきゃ!!拳で語りあえばいいのよ!』って・・・。」
「「「「「「そりゃだめだ。」」」」」」」
ミーアの言葉にそれまで会話の外にいた奴らまで一斉につっこんだ。
9通常の名無しさんの3倍:2006/04/25(火) 00:14:21 ID:t8qa2+Xp
保守
10通常の名無しさんの3倍:2006/04/25(火) 17:57:58 ID:???
>>6
いっぺん死んでみる?
どういう意味で>>1にリンク貼ってないかわかってんの?
11通常の名無しさんの3倍:2006/04/25(火) 19:04:02 ID:???
>>10
気持ちはよく分かるけど、ここは黙って流すのがいいよ。
目立たないようにしよう。
12通常の名無しさんの3倍:2006/04/25(火) 21:54:26 ID:???
>>1
13通常の名無しさんの3倍:2006/04/25(火) 22:08:29 ID:???
age
14通常の名無しさんの3倍:2006/04/26(水) 21:59:05 ID:???
保守
15通常の名無しさんの3倍:2006/04/26(水) 22:50:17 ID:???
職人さん達みんな充電中かね?
寂しいぞ
16通常の名無しさんの3倍:2006/04/26(水) 22:55:42 ID:???
皆さん色々あるでしょうし、大型連休明けくらいまでは我慢ってとこですかね。
17通常の名無しさんの3倍:2006/04/26(水) 23:15:56 ID:???
大型連休というと、結構なSS界で大型新人が現れる時期だといわれているな。wktk
18通常の名無しさんの3倍:2006/04/27(木) 18:35:34 ID:???
保守

>>10
つか業者の宣伝スレ立ちまくってるじゃん。
それに現状、一部の愚痴垂れ流し場にしかなってないし。
ある程度は周知しとかなきゃ「避難所」の意味がない。


別に>>1

・避難所兼雑談所のアドレス
http://jbbs.livedoor.jp/anime/2892/

みたいに加えても良いと思う。
19通常の名無しさんの3倍:2006/04/27(木) 19:06:38 ID:???
>>18
そういうことを相談もせずに、いきなりアドレス貼るのはマナー違反では?
自分だけでなく、他人の考えを聞いてからでも遅くはありませんよ。
事前になんの相談もなく、誰かの勝手な判断で物事を決定されたら気分を害するでしょう?
自サイトではなく、共有のスレッドなのですから。
20通常の名無しさんの3倍:2006/04/27(木) 19:20:04 ID:???
>>18
おまえな、張るくらいならその場所の過去ログちゃんと読め。150も行ってないんだから全部読めるだろ。
で、読んだならその場の空気も分かるだろ。
去年の年末あたりのやりとりを読んでなおそんなこと言えるとは到底思えないんだが
21通常の名無しさんの3倍:2006/04/27(木) 19:23:55 ID:???
自分のやることは正しいと思ってるんだよ。
善意の迷惑というやつだ。
22通常の名無しさんの3倍:2006/04/27(木) 20:19:35 ID:???
>>18
氏ね
23通常の名無しさんの3倍:2006/04/27(木) 20:39:02 ID:???
>>21
それ、何てラクシズ?
24通常の名無しさんの3倍:2006/04/27(木) 23:48:28 ID:???
単発設定小話 「再会」クレタ沖海戦D

〜通信を受けるアプテンティス〜
シン「なっ!?撤退だと!?・・・大佐ー!どういうことだよっ」
ネオ「スティングも押されぎみでやばそうだ!それにな、お前はそいつにかまいすぎなんだよ!」
シン「っく・・・」
ネオ「とにかく俺たちはここを去る!お前も早く戻って来い!」
シン「くそっ!」
〜フリーダムとの戦闘から離脱を試みるアプレンティス〜
キラ「・・・このアストレイ速い!・・・・・オーブのものとは違うっていうの!?・・・そこ!」
シン「くそ!撤退だと!・・・・・・またお前を倒せないのか。・・・っち、ちょっとは仕事してやるよ」
キラ「このMS・・・離脱を考えているの?・・・・・・でもその力は危険だよ!」
シン「キラ・ヤマト・・・・・・まあいい。お前とはいずれ決着をつけてやる」
〜バーニア出力を最大にしてフリーダムから一気に離れるアプレンティス〜
シン「ふん。あの赤いとろそうなのは手土産に落とさせてもらうぜ!」
〜いまだに戦闘区域にいたルージュに向けてビームを放つアプレンティス〜
カガリ「!!なんだ!直撃された!?」
キラ「カガリー!」
シン「はん!赤いMSってのは雑魚専用かよっ!」
〜落下するルージュ〜
キラ「・・・灰色のー!あたれ!!」
〜フルバーストするフリーダム〜
シン「来るとわかってたものにあたるほど馬鹿じゃねぇよ!俺はっ!」
〜ロックオンされていたのをかわすアプレンティス〜
〜その頃のインパルスとカオス〜
スティング「アウルの奴!さっさとやられやがって!使えねぇやつだとは知っていたけどよ!」
マユ「逃げるのだけは早いわね!カオスもさっさと返しなさい!」
スティング「っけ、シンは!?・・・なんだと?2機沈めただと!?ちっ、じゃあ俺はお前をだっ!」
マユ「もうっ!あなたもはやく逝きなさいっ!大気圏内でカオスがフォースシルエットに勝てるわけないのよ!」
〜小回りの利くインパルスがカオスの機動力を上回って、カオスを追い詰める〜
スティング「あっちのほうが速いのか!・・・ぐっ・・・・・・ぐわっ!」
マユ「そこっ!ハイネにいちゃんの分!アスランさんの分!・・・はやく・・・はやく沈みなさいよっ!」
〜ほうほうのていで離脱するカオス〜
マユ「・・・っち、やり損ねた!・・・・・・!?」
シン「スティング!・・・・・・やっぱりお前は俺がやらないとな!・・・・・・時間もないからな、一気にいかせてもらうぜ!」
〜早々に自機のまわりにドラグーンを配置するアプレンティス〜
シン「これで打ち止めだ!死ねー!!」
マユ「<ピキューン>・・・何時の間に!?お、お兄ちゃん!?そんなものっ!」
〜10本の光線のうち6本がインパルスに命中する〜
シン「!っち。沈みきらなかったか!?っち、離脱だ・・・・・・」
マユ「お兄ちゃん・・・ああ、遠ざかってゆく・・・・・・。今しか機会がないかもしれない・・・でも・・・・・・迷ってられないわよね」
〜通信回線をオープンにするマユ〜
マユ「灰色のアストレイ!・・・お兄ちゃんでしょ!?私よ、マユよ!」
シン「こいつ・・・つくづく自分の会話を他人に聞かせたいらしいな。俺がお前の兄だと?前もそんなこと言ってたな・・・」
マユ「ねえ!あなたシン・アスカなんでしょ!?」

完  ・・・クレタ沖海戦Eへ続く
25付き人 0/12:2006/04/28(金) 10:24:06 ID:???
歌姫の付き人 第七話 書きあがりましたので投下します。
26付き人 1/12:2006/04/28(金) 10:24:55 ID:???
五秒以上の直進は避ける、加速度を常に変化させる、出来るだけ頻繁に背後を確認する。
宇宙でのMS戦で生き残るコツ、パイロットに抜擢されたとき教官に嫌というほど叩き込まれたことだ。
戦争中も、ナチュラルとの停戦を選択した政府に耐えられずザフトを抜け出してからも、彼はそれを忠実に守って生き残ってきた。
そして今、ユニウスセブンを地球に落とそうとしているこのときも、その三ヶ条は彼に安全を保障している。
右旋回と同時に減速、首をねじって背後を振り返り、後ろについている二機のゲイツを確認する。
機体を僅かに左にずらし、二機の射撃をかわす。砕かれたユニウスセブンの破片に紛れ込み、やり過ごす。
ゲイツはジンを見失い、二、三度旋回した後母艦へと戻っていった。

「下らんな」

仲間内からはサトーと呼ばれているジンのパイロットは、そう呟くと破片の外に機体を出す。
あっさりと自分を見失い、すんなりと引き上げていったゲイツ。それを見たとき彼が感じたのは、安堵ではなく落胆だった。
あまりにも脆く、そしてふがいないザフト軍。この程度で敵を見失うなど、自分が在籍していた頃には考えられないことだ。

『サトー隊長!』
「ああ、今行く!」

無線に応じ、機体を降下させる。向かった先は、三つに割れたユニウスセブンの一つ。今なお、地球に向けて落下を続けているものだ。
政府も、評議会も、そして軍すらも変わってしまった。二月十四日のあの出来事を、この地で起こったあの惨劇を、
まるで忘れてしまったかのように。その議会を、評価するものもいる。その軍に、残ったものもいる。そうして戦後の穏やかな日々に、
舞い戻っていった者たちもいる。彼等の選択は、おそらくは正しい。地位も名誉も生命でさえ、そうすれば保証されるのだから。
『残党』、『テロリスト』、『殲滅主義者』、etc.
そのような名を冠せられ、さらには命を危険に晒し、このような行為に及ぶことに利点などどこにもありはしない。
どちらが利口な選択かは、ちょっと考えれば子供だって分かる理屈だ。
それでも、耐えられない。理解は出来ても納得は出来ない。この地を焼いたナチュラルと馴れ合うことなど絶対に。
馴れ合えないから彼等は焼いた、焼かれたからこそ我らは立った。真にあるべき世の中を、コーディネータの世界を作るため。
でなければ、自分の妻や娘、そしてここで暮らしていた多くの人々は何故死なねばならなかったのだ?
それではまるで、無駄死にではないか。彼等の死には何の意味もなかったと言っているようなものではないか。
そんなことが、あるはずがない。あって、よいはずがない。たとえ事実がどうであろうと、俺は決して認めない。
だから落とす、ユニウスセブンを。だから作る、コーディネーターの世界を。その邪魔は、誰にもさせない。

「フクヤマ、イトー、敵艦はもういい。全機ユニウスに戻れ、これ以上砕かせるな!」

無線で味方に命じつつ、加速を続けてユニウスに向かう。細かく機体を左右に振って、後の様子も確認する。
振り向いて見たジンの背後では、数機のゲイツが母艦ルソーへと戻っていった。

27付き人 2/12:2006/04/28(金) 10:25:48 ID:???


           歌姫の付き人

         第七話   分かれ道


「降下シークエンス、フェイズ1移行完了!」
「よし、フェイズ2移行準備、ならびにタンホイザー起動!」

ミネルバ艦橋に、タリアの声が響く。

「MS隊は帰還した?」
「いえ、まだです」

メイリンの言葉に、顔を曇らせる。高度は既に高軌道衛星と握手できるくらいまで低下している。艦の外装温度も、上昇を開始していた。
今のうちに艦に戻らないと、MSは砕きに行ったユニウスセブンもろとも宇宙の塵になりかねない。いや、もろとも塵になってくれる
のならまだいい(もちろん、乗っているパイロットたちにとっては『まだいい』で済まされる問題ではないが)。
最悪なのは、落下中のユニウスセブンの破片が未だ摩擦で燃えて塵になるには十分に大きすぎるということだ。
最後の頼みの陽電子砲にしたところで、降下しながら何発撃てるか……。

「タンホイザー、現在稼働率六十パーセント。あと二分弱で発射可能です」

アーサーの報告に、頷く。

「分かったわ。メイリン、もう一度MS隊を呼び戻して」
「はい」

外見上は平静を保ってはいるものの、内面では激しい葛藤が渦巻きはじめている。地球への被害軽減を考えれば、
タンホイザーは起動後すぐに放つ必要がある。たとえ、射線上に味方がいる可能性があっても。
激しくなった電波障害のせいで、MSの位置は特定できない。だが、ここから発進した四機はまだあそこにいるはずなのだ。
なのに、何故戻ってこない? 何か、トラブルがあったのか?
再び信号弾が打ち上げられ、メイリンが無線機で必死に呼びかける。赤いザクのパイロット、ルナマリアが、
彼女の姉だったことを思い出す。その脇ではアーサーが、陽電子砲起動のためにあたふたと邁進している。
タリアは不謹慎だと自覚しつつも、全てのMSが帰艦するまで砲の発射準備が整わないことを願わずにはいられなかった。

28付き人 3/12:2006/04/28(金) 10:26:38 ID:???

タリアの懸念通り、トラブルは発生していた。据え付けられた推進器の爆発、それに伴って発生したユニウスセブンの崩壊に、
マユの乗るインパルスは巻き込まれていたのだ。
バランスを崩したインパルスは、地球への自由落下を開始する。Gに耐え切れず剥離したユニウスの欠片が、表面装甲を叩く。
コクピットの中のマユは必死で操縦レバーを引くが、効果は少ない。降下速度は多少小さくなったものの、落下を回避できる
ほどのものではなかった。多少設計者の趣味が入ってはいるものの、基本的には民間機であるインパルスに
大気圏突入能力は付いていない。このまま落ち続けることが何を意味するかは明らかだった。

「マ…ん……」

耳元で、声が聞こえた。一瞬天国からお迎えが来たのかと考えて、すぐに声の出所が機体スピーカーであると気付く。

「マユちゃん、だいじょうぶ!?」

ルナマリアからの無線通信だ。機体頭部を動かして、右後ろにいる赤いザクを見つける。

「機体が、持ち上がらなくって」
「持ち上がらないって……当たり前でしょ! 右手にそんなもの持ってたら」
「右手……あっ!」

思わず、声を上げた。どうりで機体が思うように動かないはず、インパルスの右手は巨大な質量を持ったメテオブレーカーを
しっかりと握り締めたままだった。

「早く放しなさい、離脱できなくなるわよ」
「うん……ううん、やっぱりダメ!」

一端は同意したマユだが、すぐに首を横に振る。隣では、ユニウスセブンの巨大な破片も地球へと落ち続けている。
せっかく持っている砕く手段をむざむざと手放すなど、決してやってはいけないことに思えた。

「分かったわよ、しょうがないわね」

マユの考えていることを理解したルナマリアが、しぶしぶ同意する。バーニアで加速、インパルスの進行方向に回り込み、
メテオブレーカーを押し上げる。二機分の推力で支えられることで、地球の引力に引きつけられるままになっていたメテオブレーカーは
からくもバランスを取り戻した。
推力を同調させてユニウスを目指す。大質量を持つメテオドライバーの左右に、MSが一機ずつ張り付いて引っ張っているのだ。
少しでも二機の速度がずれると、遅いほうの機体を中心にしてすぐに円運動を始めてしまう。それを防ぐため慎重に、
緩めの速度でユニウスに近づく。彼女たちの進路では、未だ十機ほどの機体が舞い踊っていた。
29付き人 4/12:2006/04/28(金) 10:27:33 ID:???


「あの機体、凄い!」

戦闘状況を確かめようとしたルナマリアを、マユの声が抑えた。彼女の視線の先では、緑色のザクが瞬く間に
二機のジンを撃ち落していた。その操縦の巧みさは、素人のマユが見ても他の機体とは一線を画している。

「あれ、アスランさん?」

ザクの発している認識コードに、ルナマリアが気付く。ジンを撃ち落した銃は、おそらく敵の機体から奪ったのだろう
(これは、彼女の勘違いだった。ジン部隊が装備しているビームガンは、ジン本体からのエネルギー供給がないと使えない。
今アスランが使っているのはディアッカから借りたビーム突撃銃であった)。
彼の活躍により、構造物左の敵が一時的に排除される。その戦力の空白地帯へと、ルナマリアは機体を進ませる。

「なんで戻ってきた!」

レイの声が、無線に飛び込んでくる。白いザクの機体が、いつの間にか背後についていた。

「もう帰艦信号が出ているぞ」
「分かってるわよ!」

ルナマリアが、レイに言う。マユと共同して、メテオドライバーの設置準備を始める。
レイのザクがミサイルを発射して、近づくジンを牽制した。

「でもこのまま落ちるの見てるのも後味悪いでしょ。これを作動させたら帰るわよ」
「作動させるのにどれくらいかかる」
「二人でやれば一分強!」

ルナマリアの答えに、レイは顔をしかめる。数瞬の沈黙の後、言う。

「ルナ、お前は先に戻れ」


30付き人 5/13:2006/04/28(金) 10:28:53 ID:???

三人の前面で、アスランはジンを翻弄していた。ディアッカから借りた突撃銃が、予想以上の活躍を見せている。
連射により形成されるビームの弾幕。敵を落とすより味方を守ることを要求されるこの状況では、それは大威力の
オルトロスなどよりよほど使い勝手がいい。
帰艦信号に従って、味方のゲイツがルソーへ戻る。ディアッカのザクも、最後のオルトロスの咆哮でジンを一機堕とすと撤退した。
ミネルバからも帰艦信号は上がっている。マユたちがメテオブレーカーを作動させたら自分も引くべきだ。
メテオブレーカーに向かいかけたジンを突撃銃で撃ち、レイに作業状態を確認しようとする。上空(正確に言えば、
乗機が踏みしめているユニウスの破片の逆方向)から、三機のジンが覆いかぶさるように襲ってきたのはそのときだった。
ジンの銃撃が左肩の装甲を焦がす。正確な狙い、いい腕だ。アスランはそれに答えるように突撃銃を構えると、
狙いを隊長らしき機体に定め引き金を弾く。高温に加熱された粒子が、銃口から亜光速で飛び出――さなかった。
最悪の事態というのは何故かいつも最悪のタイミングで起こるものだ。ディアッカから借りた突撃銃もその例に漏れず、
考え得るかぎり最悪のタイミングでエネルギー切れを起こしていた。普段の彼なら残弾の計算くらいはするのだが、
今回は借りた銃ゆえ何発撃てるかすら把握していない(さらに言えば、ビーム兵器にもかかわらずエネルギー源を
機体本体に依存していない武装、などというものを扱うのもアスランにとっては初めてのことだった)。
当然、代わりのエネルギーパックなども用意していない。アスランは単なる鉄の塊となった銃を投げ捨ると、ヒートホークを抜き放った。
左後方に跳び引いて、体勢を立て直す。ジンのビームが、機体を襲う。かわしきれなかった一撃で、右肩に付いていたスパイクが砕けた。


一方、サトーのほうもアスランの動きに目を見張っていた。先ほどまでの素人どもとは、明らかに動きが違う。

「まだ少しは……出来るやつが残っていたか!」

ビームガンを撃ちかけながら距離をつめる。ヒートホークの視界に入る直前で、鞘から斬機刀を抜き放つ。
コクピットを両断するかと思われたその刃は、逆にヒートホーク上に形成されたビームによって断ち切られる。
溜まらず一歩引いたところにミサイルの追い討ち。フクヤマのジンが、足に被弾し擱坐した。

「それほどの腕を持ちながら、何故分からぬ!? 貴様とてコーディネーターだろうに!」
『分からぬ? 一体何を分かれというんだ』
ザクのパイロットが、答える。イトーの斬撃を左手で防ぎ、逆に彼のジンを斬り払う。
「貴様は、もう忘れたのか? この地で何が起こったのか、ナチュラル共が何をしたのか」
イトーのジンが、爆散する。あれでは、パイロットは助からない。
「忘れていないのなら気付かぬのか? パトリック・ザラの執った道こそが、我らコーディネーターにとって唯一正しきものと!」
ザクの動きが、停止した。

31付き人 6/13:2006/04/28(金) 10:29:49 ID:???


ディアッカが、後ろ髪を引かれながらもルソーに戻る。ミネルバと違い、ナスカ級には大気圏突入能力がない。
どんなに降下するにしても中軌道より下がることはできず、必然的にMSもミネルバ隊より早く戻らねばならないのだ。
ディアッカのザクが、艦に収納される。その作業と並行して、小破したゲイツが艦外に放棄される。それを恨めしげに
見つめているのは、ゲイツのパイロットだろうか。通常ならもちろん修理されるところだが、ボルテールの機体まで
収納しなくてはならないため機体の収納スペースが足りないのだ(放棄する機体がその一機で済んだのは、
ユニウスセブン上で多数の機体が撃墜され帰艦しなかったためだった)。
ルソーに収容された内火艇から、二人の人物が降り立つ。プラント評議会議長ギルバート・デュランダルと、
平和の歌姫ラクス・クライン。周囲の兵たちが、振り向いて敬礼する。デュランダルはそれを抑え、ブリッジに向かう。
格納庫の出口に着いたところで、ラクス・クラインは振り返る。作業を続ける兵たちに向け、微笑んだ。

「皆さん、ユニウスセブンの破砕作業への尽力、ありがとうございます。
我々にとって墓標でもあるあの地を破壊することは、大変辛い作業だったと思います。ですが皆さんのおかげで、
地球に住む多くの人々の命は救われました。そのことを、あの地に眠る人々も、きっと、よろこんでくれていると思います」

途中俯きながらも、何とか言葉を続ける。その後半は、半分以上自分自身に言い聞かせているようだった。顔を上げ、再び言う。

「お疲れだとは思いますが、どうか引き続きボルテールの救助作業をよろしくお願いします。
一つでも多くの命が助かりますように」

一礼して、格納庫を出てデュランダルの後を追う。一拍の後、格納庫は兵たちの歓声で埋め尽くされる。
気の早い数人のパイロットは、ボルテールからの脱出艇改修に向かうため未だバッテリー交換すら終わっていない
自らの愛機へと駆け出した。
32付き人 7/13:2006/04/28(金) 10:30:40 ID:???
「大丈夫かね?」
ブリッジへ向かう途中、デュランダルはミーアへ声をかける。
「はい」
どこか思いつめたような表情で、ミーアは答える。ユニウスセブンには、彼女の両親も眠っているのだ。
格納庫で述べた言葉を自分がどこまで信じているのかは、ミーア自身にも分からなかった。
多分まだユニウスに留まっているだろうマユのことも、気にかかる。普段の彼女なら、いても立ってもいられなかっただろう。
今彼女のことを支えているのは、『ラクス・クライン』という役目。『ミーア』ではなく『ラクス様』なら、
きっとこんな時だってしっかりしていらっしゃるはずだから、そして今は、自分がその『ラクス様』なのだから、
なら無様な様子なんて、決して晒すわけにはいけない。
「大丈夫ですわ。行きましょう、議長」
そう言ったミーアの顔は未だ青ざめてはいるものの、笑みのようなものを浮かべることに一応は成功していた。
「ああ、そうだな」
デュランダルは微笑むと、歩みを速める。自動ドアが開く間も惜しみ、ルソーのブリッジに上がりこむ。
いきなり入ってきた二人に、ブリッジのクルーが全員が振り向く。いや、一人だけ、ボルテールから移って指揮を取っていた
イザークは、珍客二人に気付かないかのようにモニターを睨み付けていた。

「状況は、どうなっている?」
「! 議長!」

話しかけられ、驚いたように顔を上げる。どうやら、本当に気付いていなかったらしい。

「よくはありません、こちらを」
一歩引いて、モニターの画面をデュランダルに見せる。画面に目を走らせて、デュランダルも顔色を変える。
「ミネルバに緊急通信を! いや、通常回線でいい、最大出力で呼び出せ!」
イザークが、管制官に向かって叫んだ。


33付き人 8/13:2006/04/28(金) 10:31:29 ID:???


ミネルバに二つの報告が届いたのは、ほぼ同時だった。

「ルナマリア機、確認。ユニウスセブンと本艦の中間地点です」
僅かに声を上ずらせて、メイリンが言う。
メインモニターが開いて、そこにイザークの顔が表示される。
『ミネルバ、そこを引け』
通常の連絡手順を一切省いて、イザークは言った。

『そこにいると落とされるぞ!』
「落とされる?」
『地球からユニウスセブン破砕を目的としたミサイルが多数発射された。
その位置だと、破片の一部とみなされて撃ち落されかねん』
「なんですって!」
『ザフト軍地球基地からの連絡だ。向こうはおそらく我々のことを認識していないし、認識したとしても気にかける余裕などない。
砲による破砕作業は諦め……急いでてっ…い………と――――』

画像と音声が急速に乱れ、ルソーとの通信は途絶えた。大気圏突入時に生じる電波障害だ。
艦の高度は、既に低軌道近くまで落ちていた。

「ルナマリア機は? それに、あとの三機はまだ戻らないの?」
「ルナマリア機は、現在本艦への着艦体勢に入っています。ルソーとの通信でメインモニターがふさがっていたため、
独断でサブモニターにより連絡を取りました。レイ機とマユちゃんは現在ポイント1038でメテオドライバー設置中、
アスランさんはポイント1040でジンと交戦中、陽電子砲発射の場合、射線をそこから外すようにとの要請です。」

メイリンからの報告、それを受けてタリアは考える。
ルナマリアの判断は、正しい。機体の位置さえ判明していれば、メテオブレーカーと陽電子砲での破砕作業は両立できる。
MSはぎりぎりまでユニウス上での作業を進め、限界がきたら近くにいるミネルバに帰艦、そのまま大気圏降下してしまえばいい。
危険ではあるが不可能ではない、士官学校卒業したての新兵がいかにも立てそうな、無謀だがどうにも魅力的な案だ。
おそらくはレイあたりが発案して、機体が損傷しているルナマリア(彼女の機体の右膝から先がきれいに欠けていることは、
ミネルバのレーダーでも確認できた)を、位置報告のため帰艦させたのだろう。だが、その前提はルソーからの報告で崩れた。
地球から発射されたミサイルは、MSはおろかミネルバにとっても危険な代物だ。大気圏突入過程での被弾は、
戦艦といえども致命傷になりかねない。
34付き人 9/13:2006/04/28(金) 10:34:00 ID:???

「タンホイザー、起動完了しました」

アーサーが、報告する。振り返った彼の目にも、迷いが浮かんでいる。取れる選択肢は二つだけ、ユニウス付近に留まるか引くか、
MSパイロットの命を取るか艦全体の安全を取るか。ああ、せめてMS隊と連絡が取れたなら……
電波障害がひどくてこの距離じゃあ通信も届かない。

――この距離じゃあ、届かない?

なら、届くようにすればいいじゃないの。

簡単な事実に気付いて、思わず笑みをこぼす。無謀だが、不可能ではないはず……だけどこんなことを思いつくなんて、
私もレイたちと大して変わってないということかしら?
「機関全速、進路そのまま! ユニウスセブン上のMS隊を回収する」
タリアの言葉に、クルー全員が息を呑んだ。

「危険すぎます!」
「でも、それしか方法はないわ」
アーサーの反論を一蹴する。
「地球から放たれたミサイルの目標はあのユニウスセブンよ。彼等を残して引くわけにはいかない」
「艦全員の命を、危険に晒してもですか?」
「ええ」
当然といった顔で、頷く。まるで勧められた紅茶のお代わりに応えるかのように。
「その程度の危険のために仲間を見捨てるものなんてザフトにはいないはずよ。
それに、私は誓ってしまったの、あの子のことは任せなさいと」
彼女が言っているのは、艦を後にするラクス・クラインにかけた言葉のことだった。
「なのにあなたは、私にその約束を破らせるつもり?」
「……分かりました。機関全速、進路ユニウスセブンの残骸」
アーサーが折れ、命令を復唱する。進言が聞き入れられなかったにもかかわらず、どこか嬉しそうな口調だった。
「ミサイル発射管にナイトハルト装填! 味方機以外はMSでもコロニーの破片でもちかずくもの全てを撃ち落せ!」

ミネルバのレーダーは下方から上昇してくる人工物を捕らえていた。

35付き人 10/13:2006/04/28(金) 10:34:49 ID:???


ザクの動きが、静止した。理由はもちろん分からない。目前の機体に乗ったパイロットが自分の言葉で何を思ったかなど、
サトーには決して知りえない。が、多くの戦場をくぐり抜けてきた彼の勘は、その隙が罠でないことを告げていた。
そして今の彼にとっては、それで十分だった。振りかぶり、切りかかる。ザクは、まだ動かない。が、サトーは斬機刀を
振り下ろさずに横に飛びのいた。彼の攻撃を止めたのは後方から放たれたミサイル群。それをかわし、発射地点を確認する。
白いザク、機体形状が目前の緑とは微妙に違う。その更に後ろには、見慣れぬ新型らしき機体もある。だが位置は離れすぎている。
今のミサイルにしたところで、味方のザクへの誤射を恐れた牽制以上のものではなかった。
ならば、あちらは無視していい。最優先で始末すべきは、動きの緩んだ緑のザク。振り返ろうとしたサトーのジン、
その足もとが、いきなり割れた。

「やった!」
「ああ」

最後のメテオブレーカを打ち込まれ、ユニウスセブンの残骸はさらに二つに分断された。ちょうど割れ目の辺りにいたジンが
大きくバランスを崩す。アスランの乗る緑のザクが、慌てて分断面から離れた。

「アスランさん!」
「あ、ああ、大丈夫だ」

声をかけたレイに、アスランが動揺つつも答える。ヘルメットの奥の表情は、モニター越しでは読み取れない。

「高度が危険域を割っています、急いで戻りましょう」
「ああ」
「はい!」

ミネルバがいるだろう方向に機体を向ける。三機が飛び立とうとしたところで、足元の大地が大きく揺れた。
36付き人 11/13:2006/04/28(金) 10:35:39 ID:???

「きゃあ!」

マユが出撃してから何度目かの悲鳴をあげ、インパルスが震える大地に倒れこむ。揺れに呼応して残骸上に残っていた
建造物がばらばらと崩れ、その一部はインパルスの上に降り積もった。
レイとアスランが、慌てて助け起こす。ユニウスの振動は、未だ収まらない。地球方向から昇ってきた何かが残骸へと喰らいつき、
更なる振動が発生する。地球の各国基地から放たれたミサイルだ。次から次へと上がってくるそれは、ユニウスからの脱出路を
ほぼ完全に塞ぐ。軌道衛星破壊用に開発されたそれは、一発でも当たればMSなど跡形もない。だがだからといって
ここに留まれば、大気摩擦で燃え尽きてしまう。
いや、もしかしたらそんな心配すらもはや無駄かもしれない。インパルスを助け起こす間に彼等の高度はさらに下がり、
モニターに映し出される機体は、摩擦熱で表面を赤くしている。コクピットにはアラームが鳴り響き、温度上昇による
機体異状を知らせていた。仮にミサイルの危険がなかったとしても、これではミネルバに戻るまで機体のほうが持ちそうにない……

焦りを絶望へと置き換えつつあったレイの前にさらに五発のミサイルが迫り――その全てがユニウスの手前で爆発した。
いや、したのではなくさせられたのだ。艦載ミサイル、ナイトハルトによって。それを放った宇宙戦艦によって。
「ミネ……ルバ……」
まだ進宙式も済ませていないザフトの新造新鋭艦は破片でその身を傷付けつつも、ユニウスセブンの残骸の上に
覆いかぶさるように到達し、格納庫の扉を開く。インパルスが、ザクが、摩擦熱と重力に耐えながら、そこを目指して飛び立った。

37付き人 12/13:2006/04/28(金) 10:36:39 ID:???

「MS……三機とも、収納完了。パイロットはいずれも健在です!」
メイリンの報告を聞いて、ミネルバブリッジに安堵の息が漏れる。
「まだよ!」
緩みかけたその空気を、タリアの声が引き締める。
「降下シークエンス、フェイズ3です」
更なる声に、唾を飲み込む。低軌道から対流圏までを降下するフェイズ3の範囲では、艦載ミサイルの発射どころか
満足な回避行動さえままならないのだ。それをこのミサイルの雨の中、無事に降りられるかどうかは運を天に任せるしかない。
「降下地点はいくらずれてもいい、艦をなるべくユニウスから遠ざけて!」
操舵手のマリクに、タリアが命じる。マリクは、艦の突入角度を適切に維持できるぎりぎりの姿勢で面舵を掛ける。
艦の鼻先を、ミサイルが掠めてとんだ。

「中間圏到達、ミサイル第五派、全弾回避! 続いて第六派、この高度は……対弾道弾用と思われます」
「総員、対ショック体勢、機関再始動用意! カガリ代表、安全ベルトを!」
「ああ、すまない。それにしてもこのミサイルは……うちの国からのものだな」

カガリとタリアが顔を見合わせる。思わず、笑いがこぼれた。
国を守るため放たれたミサイルが国家元首の命を危険に晒すとは、ブラックジョークにしても悪質だ。

「今の国防責任者は……セイランか。帰ったらとっちめてやる!」

顔を意図的にしかめて言う。その口調は、帰れなくなる可能性など微塵も考慮していない。
なんとも場にふさわしくないカガリの軽口に、ブリッジの数名が吹き出す。アーサーが感心したように口笛を吹いた。
オーブから放たれた28発の防空ミサイル、そのうちの23発は迷走後自爆し、4発はユニウスの破片に当たって
その落下角度を変更する。最後の間抜けな一発が命中したのは、大気圏突破中の人工物だった。

38付き人 13/13:2006/04/28(金) 10:37:27 ID:???


地球への降下の最終段階にはいったミネルバ、その遥か上空で、ルソーは180度回頭した。ボルテールの救助作業は既に完了している。射出された救命ポットは、全て回収していた。今周囲に漂っているのは、破砕されたユニウスの破片だけだ。
回頭後機関全速、最寄のコロニーへと急ぐ。艦内には先ほどの作業と戦闘で発生した多数の負傷者が収容されているのだ。
中には、一刻を争う重傷者もいる。彼等を早急に医療施設の整った場所へ移送する必要があった。
宙域を離れるルソー艦橋の窓際で、ミーアは外を見つめる。ミネルバがどうなったのかは、まったく分からない。
電波障害とユニウスセブン落下の混乱で、地上との連絡が一時的に途絶しているのだ。代わりにプラント本国からは、
議長の無事を確かめようとする通信がひっきりなしにかかってくるらしい。

ガラス一枚越しの真空の世界。今の戦闘では、一体そこでいくつの命が失われたのだろうか。
そして、砕ききれず地球に落ちたユニウスセブンの破片では?

ガラスから離れ、用意されていたいすに戻る。歌う気には、とてもなれない。本物のラクス様は戦闘後の
アークエンジェルでも歌っていたというけれど、一体どういうお気持ちだったんだろう?

艦橋から見えるユニウスの破片。次第に小さくなっていくその向こうでは、太陽系の第三惑星が蒼く輝いていた。



ルソーが立ち去ったその宙域に、一隻の船が近づいた。側弦に、ジャンク屋のマークを付けている。
早くも戦闘を聞きつけて、破損、廃棄されたMSを回収に来たのだろうか?
その船の接近に合わせるように、無数に砕かれたユニウスの残骸で何かが動く。原形をとどめているものはほぼいないが、
軍にかかわりのあるものが見ればなんだかはすぐに分かるだろう。ザフトを代表するMS、ジンの後期生産型だ。
先ほどまでユニウスセブンを守ろうと戦っていたものたちの機体。皆ぼろぼろで、数も五機にも満たない。
船はジンを素早く回収すると、逃げるようして立ち去った。

その船の乗組員も、回収されたジンのパイロットも、まったく気付いていなかった、
自分たちの後方に存在する、姿の見えない一隻の艦に。
39付き人 14/13:2006/04/28(金) 10:58:34 ID:???
投下、完了です。
マユは地球に、ミーアは本国に、ファントムの御一行は……さて、どこ行くんだろう?(おい!
三者がばらばらに、という意味で『分かれ道』でしたが、題として適切だったかどうかは少々不安。
やっぱりサブタイ考えてから本文書いたほうがいいのかなあ?

ユニウス落としの皆さんには、もう少しいきのこってもらうことにしました(いや、本編だってジンを整備してた連中とか
いるはずだから全員が死んだわけじゃないんですけど)
これでいったん戦闘は終わり、次はおそらくオーブです。

あと、この時期(および戦争開始意向)のオーストラリア大陸がどうなっていたか、どなたか分かりませんか?
40通常の名無しさんの3倍:2006/04/28(金) 17:28:32 ID:???
戦闘カコヨス
こういう話も描けるんだったね。

最後の一行には答えられないなぁ。まあ、このスレの住人は結構な設定通が多いから
誰か知ってるでしょう。
41通常の名無しさんの3倍:2006/04/28(金) 18:40:17 ID:???
>>39
GJです! MS同士の戦闘もさることながら、戦艦の描写もカッコよかったなぁ…
ユニウスセブンに接近するミネルバの姿を脳内でアニメ再生するとすごく燃えました!


で、オーストラリア大陸については…あそこは大洋州連合にあたりますね。
無印の頃は親プラント国家で、オーストラリアに存在するカーペンタリア基地は大洋州連合によって提供されてるそうです。
カーペンタリア基地が運命の時も存在するということは、いまだにその関係は崩れてないのではないでしょうか。

あまり資料がないので、推測も含んだ考えですが参考になりましたら…
42通常の名無しさんの3倍:2006/04/28(金) 21:22:49 ID:???
オーストラリアは基本的に親プラント一色と見て良かったはず
停戦の時期もあそこだけは色分け地図上でプラント寄りとされてるし
43通常の名無しさんの3倍:2006/04/28(金) 23:39:48 ID:???
カーペンタリアからオーブを攻めてるみたいだし、
運命の後期までずっとプラント寄りとみて間違いないと思う。
44通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 05:53:06 ID:???
sageで保守します。
大型連休だけど、どうなりますかね?
4518:2006/04/30(日) 22:48:11 ID:???
避難所で議論してるのかと思ったら、結局あれから1レスも付いてないし。
一部の住人の過剰反応ってことか。
46通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 23:02:30 ID:???
>>45
あのな、どこまで空気読めないんだ?
47通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 23:21:18 ID:???
>>18
黙ってROMってろよ
48通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 23:40:36 ID:???
>>46
>>20で指摘されたとおり、該当箇所を読んだ上の発言なんだけど。

「そこまで神経質になる必要はないだろう」というような意見もある中、
一部の住人が勝手にパス付だのアドレス隠蔽だので避難所を建て、既成事実化して今に至る。
改めて過剰反応にしか思えなかった。

ここでこういう事書くのもよろしくないんだろうが、こう言うとき機能すべき避難所が
隠しすぎていたせいで機能していないんで。
49通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 23:50:19 ID:???
なんか「周りのヤツがとりあえず避難所アドレス張った奴叩いてるから俺も叩いとくか」的な
厨房思考が透けて見えるような希ガス。
50通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 23:57:37 ID:???
相談もなく勝手にやったのはまずかった気がするがね。
「俺が正しい。俺は親切」って感じた。
51通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 00:01:06 ID:???
つーかまず自分が最初に相談しろよ避難所で
話そうともせずにアドレス貼って、自分は悪くない他の奴の過剰反応ってか
52通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 00:16:43 ID:???
それは思った。当の避難所で話してからできる話だろうに。
あと、避難所の機能を勝手に規定してるのかな? 他スレの避難所か何かの機能を勝手に期待してるのかな?
何の疑問もなく「機能してない」「こういう時に機能すべき」などと発言するのを見るに。
53通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 00:35:23 ID:???
避難所をオープンにするべきと言ってるくせに、
自分が避難所で相談しないのはギャグですか?
誰かが相談するのを待つんじゃなくて、
自分が相談を持ちかけるという思考がないのはギャグですか?
54通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 00:50:34 ID:???
典型的な視野狭窄・唯我独尊型の自治厨
良スレが滅びる時は、荒らしよりこのタイプの善人が最後の引き金を引く
悪意も何もないままに
55通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 00:57:49 ID:???
避難所なんて見ない俺にとってはお前らの議論全てが鬱陶しい。
雰囲気が悪くなるだけだからお互い相手にせず黙ってろよ
56通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 01:12:16 ID:???
176 名前:通常の名無しさんの3倍 :2005/05/10(火) 23:53:08 ID:???
ネタスレの一生

スレが立つ

ネタがちょこちょこ出始める(大体はここで終了)

いわゆる神職人登場

職人が職人を呼び、ネタ投下数が増加(全盛期)

流れに乗じてDQN、厨房がネタ大量投下。スレ全体の質が下がり始める

DQN、厨房の糞ネタが職人の良ネタを数で上回ってくる(衰退期) このころになると無駄な雑談も目立つようになる

白けた職人がスレから離れ始める

DQN、厨房だけが残り、完全な糞スレに成り下がる

モウダメポ
57通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 01:16:03 ID:???
>>45は避難所で語れ。以上。
ここからは作品待ち↓
58通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 03:35:57 ID:???
>>48
避難所の住民も>>55みたいに考えてスルーしてたんだと思うよ
59通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 03:45:39 ID:???
>>付き人氏
コメディタッチもシリアスな話もいけますね。
ナデシコが乗り移ったような熱い宇宙戦艦がテラカコヨス。
そしてかゆいところに手が届くような描写。
GJ以外に感想が必要だろうか。いやない(反語)
6018:2006/05/01(月) 05:46:17 ID:???
確かにそれは一理あるか。
まずは避難所で議論提起し、それが機能しないようなら
ここに改めて持ち込むと言うことで。
61通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 06:05:31 ID:???
つーか避難所なんてあったこと自体を知らなかった
62通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 06:06:42 ID:???
>>60
持ち込むな。
今までなんの問題もなかったことをわざわざ取り立てて空気を悪くしてるんだぞ?
避難所にその在り方を論議するレスをして反応がなかったら、それは現状維持でいいってことだ。
というか、なぜそこまでこだわる?
おまえがアド貼りなんてしなければ良かっただけ。
自分の満足のためにスレを変えようとするなよ。
負債と同じ考え方だな。
63通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 06:16:57 ID:???
ま、とりあえず避難所の方には書いたんだが、
負債と同じなんて言われたら相手しないわけにはいかないなw

>>62
こだわる、というか疑問に思ったから。そう言う意味で問題提起をしたかった。
さんざん批判があるけど、よくよく見るとアドレス公開自体への建設的な意見はひとつもない。
指摘されてるとおり何の事前手続きもなくいきなり貼ったのは完全にこっちが悪いと思ってるけどね。

あと、
>今までなんの問題もなかったことをわざわざ取り立てて空気を悪くしてるんだぞ?
>避難所にその在り方を論議するレスをして反応がなかったら、それは現状維持でいいってことだ。
ここには同意できない。


まぁ、とりあえず避難所の方もよろしく。
64通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 06:30:11 ID:???
>>63
自己中心的な考えだな。
とにかく避難所で語れ。もうこちらへは持ち込むなよ。
このレスにも返事しないでな。
個人的に、あんたみたいな偉そうな態度の奴に賛成なんかしないけど。
65通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 08:21:31 ID:???
>>64
そう一方的かつ感情的に言い逃げられても困る。
人を批判するなら理由を示してくれ。
66通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 08:54:09 ID:???
>>65
おまえは避難所行けよ。文章が読めないのか。
>>64
おまえも最後に余計な事は言わなくていい。
こちらではこの話題はスルーで↓
6765:2006/05/01(月) 09:01:02 ID:???
>>66
読めなきゃ書き込めないでしょうに。
いや、一方的につっかかってきて反論するななんて看過できないもので。
6865:2006/05/01(月) 09:02:24 ID:???
69通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 09:20:04 ID:???
>>65
アドレスを貼るか貼らないかの議論をしようとしながら、
その結論が出ていないのに、また勝手にアドレス貼るのは凄いな。
つーか、決まるまでこっち来んな。ウザイ。SS投下の邪魔っていうか荒らし。
7065:2006/05/01(月) 09:25:18 ID:???
>>69
お前さんの主張も分かるけど、誘導しなきゃ延々とここで議論が続くだけでしょう。
後、最後に余計な煽りを入れるのは控えた方がいいよ。荒れる元。
71通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 09:46:40 ID:???
それじゃここでは名無しの読み手に戻りますかね。
72通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 14:07:23 ID:???
正直もうここで議論は勘弁してくれ('A`)コレイジョウアラサナイデ
73通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 14:22:52 ID:???
ぶっちゃけ避難所の存在すら知らなかった俺としては機能してない避難所がどうなろうが知ったこちゃねーからな。
自治厨気取りの自称古参ウザイだけ。
74通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 14:26:41 ID:???
一人で何レス消費してるんだかな。
いらない事まで書き込んで、ただの目立ちたがりだろ。
75通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 18:11:44 ID:???
住人もそろそろ落ち着いてくれ。
76通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 18:25:00 ID:???
>>73
新参乙
と一応言っておこう
77通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 18:49:52 ID:???
78通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 19:51:02 ID:???
避難所貼った所で何に困ってる訳?業者?厨房?
79通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 19:54:18 ID:???
議論するなら避難所行け
こっちにレスするな
80通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 20:05:37 ID:???
>>78

小さい頃の秘密基地みたいな感覚?
そりゃ違うか。

81通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 20:17:43 ID:???
空気悪いな。
これじゃ荒らされてるのと変わらない。
結論が出るまでこっちで避難所の話はよせって。
職人さんが投下したくても無理な雰囲気じゃんか。
こんなくだらない事で職人離れ&過疎落ちか?
82通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 21:07:06 ID:???
単発設定小話 「再燃」クレタ沖海戦E

〜ミネルバ〜
メイリン「・・・・・・艦長、インパルスの通信が開放されています」
タリア「あのMSのパイロットが・・・マユのおにいさんですって・・・?」
アーサー「しかし、艦長。マユのお兄さんは先の戦争で亡くなられているはずでは?」
タリア「・・・ええ。軍部からもマユ本人からもそう聞いているわ・・・って、そんなことじゃないのよ!アーサー!」
アーサー「はいぃっ!」
タリア「あの通信を止めさせなさい!」
〜ミネルバ艦橋では〜
ルナマリア「お兄ちゃんって・・・マユのお兄さんってコーディネイターじゃなかったっけ?」
レイ「確か、そのはずだが・・・・・・」
ルナマリア「じゃあ、なんで連合なんかにいるのよっ!」
レイ「・・・・・・ガンダムを奪取していったやつらな、ブルーコスモスの息のかかった部隊じゃないかってもっぱらの噂だぞ」
ルナマリア「なにそれ!?じゃあますますコーディネイターなんて居場所ないじゃないの!それともなに?マユのお兄さんもあの女みたいに実はエクステンデッドでしたって!?」
レイ「・・・・・・そこまではわからんがな。そんなことよりも、あいつら撤退するようだな」
ルナマリア「え?でもオーブの連中はまだはりきっているわよ!?」

〜ガーティ・ルー〜
ネオ「・・・シン・アスカだってさ。あいつ妹いたんだな」
リー「ほんとですかね?」
ネオ「さあ?・・・まあとで本人に確認するさ。収容急げよ」

〜インパルス〜
マユ「なんで、答えないのよ!お兄ちゃんってば!!・・・もう、なんで・・・・・・」
〜インパルスに襲いかかるムラサメの群れ〜
マユ「なんで・・・・・・あんたたち・・・・・・オーブの軍人でしょ!自分の国の人間をなんで助けてくれないのよ!」
〜ムラサメを射的の的ようにつぎつぎに打ち落とすインパルス〜
マユ「あんたたちはいつまで、他人の目ばかり気にして中身の空っぽな国をまもっているのよっ!!」
〜ムラサメをあらかた片付け、ミネルバに近づくインパルス〜
マユ「ミネルバ!デュートリオン照射お願い!メイリン姉ちゃん、ソードシルエット出して!」
メイリン「艦長!」
タリア「マユの言うとおりに。決着つけるわよ!レイ、ルナマリアは全力でインパルスをサポート!ミネルバも一気にいくわよ!」
メイリン「デュートリオン照射。ソードシルエット射出、どうぞ!」
〜ソードシルエットに換装し、オーブ艦隊へ突っ込むインパルス〜
マユ「・・・今度こそ、あんたたち全員沈めてやるんだから!」

〜オーブ艦隊〜
トダカ「・・・ここまでだな。ユウナ様、下船準備願います」
ユウナ「え、え?そそうだよね?あいつらもとっと逃げちゃうしね。そ、それに僕が死ぬわけにはいかないからね」
トダカ「・・・・・・ええ、その通りです。さぁ早く、準備ください」
〜一目散にブリッジを逃げ出すユウナ〜
トダカ「行ったか。・・・アマギ。あとはお前たちの判断に任せる。アークエンジェルに行くもよし、ユウナさまに付き添うのもよし」
アマギ「一佐!しかし・・・・・・」
トダカ「早く行け!あとは私が責任を負えばいい・・・」
アマギ「・・・っく。・・・・・・トダカ一佐に敬礼!・・・・・・ではっ!」

完  クレタ沖海戦Fへ続く。
83通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 21:23:49 ID:???
単発さん乙ー。
そして投下してくださった英断に敬礼。
84通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 22:53:26 ID:???
85通常の名無しさんの3倍:2006/05/01(月) 23:57:37 ID:???
単発さん乙です!敬礼。

自分も恥ずかしながら投下させていただきます
隻腕版マユのオーブパイスーを妄想
ttp://vista.x0.to/img/vi4649511937.gif

特に記述が無かったため色は勝手に付けてしまいました・・
ファントムペインの3人と並べても被らず
カガリとキラのオーブ仲間と並べても被らず
シンと兄弟で並(ry
かつ主人公ヒロインらしい色合いを目指して
86通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 00:14:06 ID:???
>>85
GJ!!
黄色とは予想外でした。大胆さがまた主人公らしくていいです。
87通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 00:28:01 ID:???
>>85
黄色でオンナのコとなると、左から二番目あたりか。
88通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 02:01:23 ID:???
この必死な持ち上げ具合は見てて痛々しいな。
正直褒められるほどの出来ではないと思うが。
89通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 02:46:50 ID:???
>>85
GJ!
いいよ、いいよー
15スレッド消費してパイスー姿は初めてのような気がするね
(間違ってたらごめんなさい)
90通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 03:13:30 ID:???
えーと、スペシャルエディション第一巻前半部分ですが、
アスランとカガリがオーブを出発するシーンが新規であった以外は単なる総集編でした。
あと、宗教のなくなった世界なのに聖書から引用した台詞をモノローグで使っていました。
シンは完全に主役じゃなくなりました。
それくらいです。影響はゼロですね。
91通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 04:14:54 ID:???
まぁ元々スペエディは凸視点と謳ってたからな
とりあえず俺はハイマニューバ二式のビームカービンの音に萌えた
92通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 06:41:55 ID:???
>>85
連ザのパイロットセレクトの立ち絵に使っても違和感ないでつね。
93通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 08:32:10 ID:???
マユのパイスー
ザフトサイド(マユ種 PP等)
シンと同じデザインらしいので、書ける方お願いします。
オーブサイド
>>85
ゲン(PP)は、スティングらと同じデザイン?
94通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 11:22:11 ID:???
ごめん。
パイスーと聞いてなんかやらしいな、と思ってしまいました。
短縮の仕方が……ねぇ?
95通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 12:18:44 ID:???
>>85
でもこの子片手と片足ないんだよね
96通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 13:45:13 ID:???
>>85
細身の躰をトラ色のスーツに包み
翳りを隠す活発な瞳にKOされますた。
一言、GJ。
祝・1/100∞ジャスティス発売決定。グラップルスティンガー別パーツ。……って我ながら遅すぎ。
お久しぶりになってしまいました、パチ組メインのヘタレモデラー、隻腕書いてる人です。
4月は色々と大変だったもので。5月はもう少しマシになる予定ですが、まだ分かりません。
投下頻度が落ちても続けていくつもりなので、見捨てないで下さい。

>>85
うわ、うわわっ……! 感激です!
「並べても被らない」、確かにその視点は考えつきませんでしたね。
GJ&激しく感謝です!


では、27話からの続き。

ジブリールの拘束と駐留する連合軍の排除を狙って、オーブに押し寄せたザフト艦隊。
キラの乗るアカツキが奮戦する戦場に、マユのSフリーダムとカガリのムラサメが到着します。
死んだと思われていた2人の帰還、それはこの戦いの行方をどう変えていくのか……?

98隻腕28話(01/27):2006/05/02(火) 21:41:03 ID:???

唐突に現れた黄金のMS。始まった戦闘。
そして、天から舞い降りてきた「フリーダム」と、海の果てから飛んできた「黄色いムラサメ」――
オーブにいるほとんどの者が、急転を続ける状況について行けない中で。

「――やれやれ。まさかあの2人が生きていたとはね。
アカツキとやらも、『あの』キラ・ヤマトが乗っているようだし……
ザフトは撃退できるかもしれんが、それでも厄介なコトになりそうじゃないか、ウナト?」
「…………!」

セイラン家の所有する、とある施設。山の中に掘られた、軍事基地にも似た内装。
その広い空間の中、巨大なモニター越しに事態の推移を見守る男たちがいた。
ブルーコスモス盟主ロード・ジブリールと、オーブ宰相ウナト・エマ・セイラン。

「し、しかしジブリール卿、彼女たちは始末したと貴方が……!」
「ふむ――確かに不出来な部下を持ったことについては、謝らねばならぬようだな。
 だが、1つ2つ予想外の事態が起きた程度で揺らいでもらっては、困るのだが?
 この国はキミのモノなのだろう? なら、キミが何とかしたまえ。
 あのお姫様もフリーダムも、ニセモノとでも言い張って部下をまとめたまえ」

必死に食い下がるウナトに、ジブリールは笑みすら浮かべて言い放つ。
嫌味の篭った歪な笑み。とてもではないが、自らの不始末を謝罪する態度ではない。
ウナトは脂汗をダラダラ流しながら、奥歯をギリリと噛み締める。
カガリを陥れ表舞台から消し、ユウナというブレーキ役を封じて以来、好き放題やってきた彼。
連合に寄り添い連合のご機嫌を伺う一方、オーブでは威張り散らし増税し国民の不満は聞かず……
そんな状態だったから、オーブの国民も軍人たちも、帰ってきたカガリを諸手を上げて迎えるだろう。
この今の状況、とてもウナトに収拾できるモノではない。
――そういった事情をすっかり把握しているジブリールは、ニヤリと嫌な笑いを浮かべる。

「ふむ。もはや、なんともならないようだね――
 ウナト。こうなった以上、どうやらキミにできる仕事は1つしかないようだ」
「……仕事?」
「そう。コレは、ワタシがキミに与える最後のチャンスだよ。
 ――忘れるな。レクイエムが宇宙(そら)に流れる時、勝利を掴んでいるのはワタシなのだ。
 その時キミが、そしてオーブが救われるためには、何をすれば良いかは分かっているだろうね――?」

セイラン家の秘密基地、とでも呼ぶべき広い空間の中。彼らの背後にある巨大な影。
それは、どうみても宇宙船。セイラン家の紋章の入った民間用のシャトル。
マスドライバーを持つオーブでは逆に珍しい、単独で大気圏脱出できる、ブースター付きの代物――!


              マユ ――隻腕の少女――

             第二十八話 『 新たなる道 』

99隻腕28話(02/27):2006/05/02(火) 21:42:05 ID:???

戦場が沈黙したのは、一瞬だった。
最初に動いたのは――Sフリーダムに後ろ足を打ち抜かれ、地面に倒れこんでいた赤いガイア。

「フリーダム……!? フリーダムなのかァッ?!」
「あなたは……? え、まさか、コニールなの?!」

絶叫しながら瞬時に人型形態になり、一本足で大地を蹴るガイアR。翼を広げSフリーダムに迫る。
そのパイロットの正体に気付き、一瞬驚いたマユだったが……

「マユッ……! お前さえ……お前さえ居なければッ! オーブが、最初っから無かったらッ!」
「…………ごめん、コニール。あたしのことは恨んでくれていいよ、でも……」

互いにビームサーベルを両手に握りしめ、空中で交差する2機。駆け抜ける閃光。
通り過ぎ、一呼吸の間を置いて――ガイアが、ガイアだけが、動きを止める。
赤い両腕が、残された足が、頭部が。ズルリと落ちて、小さな爆発を起こす。

「くッ……! マユ、お前だけはぁぁぁッ!」
「でもあなたは、あんなことをするような人じゃなかったはず……。
 あなたはどこで間違えたの? どこでそうなってしまったの?
 ……ううん、違うね。誰があなたを、そんな風にしてしまったの……?」

呪詛の叫びを上げながら落ちてゆくコニール。哀しげな目で呟くマユ。
しかしマユには、ガイアRの残骸を最後まで見送る余裕が無い。
コニールから僅かに遅れて、もう1機、混乱と恐慌のままに突進してくる機体がもう1機――

「マぁぁぁぁユぅぅぅぅッッ!?」
「――え?! お兄ちゃん、なの!?」

光の翼を広げ、何も持たぬ手をかざして突進してくるデスティニー。
――いや、武器はある。掌に仕込まれたパルマ・フィオキーナ。それが光を放っている。
だがこの武器、破壊力は抜群だが、射程は短い。ビーム砲と名付けられてはいるが、格闘用の武器だ。
それに一種の隠し武器であり、こんな見え見えの体勢では当たるものも当たらない。
デスティニーとは初めて対峙し、その機能も性能も知らぬマユだったが――

「お前は、お前はお前は、俺が、俺が俺が殺した殺した殺したはずはずはずはず……」
「…………ごめん、お兄ちゃん」
100隻腕28話(03/27):2006/05/02(火) 21:43:05 ID:???
それはあまりにも分かりやす過ぎる、素人のような突撃だった。
マユは小さく謝罪の言葉を口にする。その目元に僅かに涙を溜めて。
ゆらり、と静かな、必要最小限の動きで、Sフリーダムはデスティニーの突進をかわす。
空振りしたデスティニーの右掌底、その腕が途中から断ち切られる。通り過ぎざまの静かな斬撃。
空中で、標的を捉え損ねたデスティニーが、呆然と動きを止める。

「あ……。お、俺は、今、何を……? ま、また、マユを殺そうと……??」
「お兄ちゃんも――違うんだね、もう」

マユの哀しげな呟き。シンがはッと振り返ろうとしたその時には、背後から迫るSフリーダムの足。
デスティニーは背中に鋭い蹴りを受けて、無様に海面に落下していく。
とても、先ほどまでアカツキ相手に神業のような技量を見せていたMSとは思えない。
海面に、大きな水しぶきが上がる。

「また、戦うかもしれないって覚悟は、あったけど……。
 何か、おかしい……。あたしが生きてることに、ただ驚いたって反応じゃない……!?」

考えるよりも早く身体を動かし、デスティニーと戦いながらも、マユは敏感に違和感を感じ取る。
コニールもシンも、何かがおかしい。そして、この「おかしさ」について、既に知っている気がする。
そもそもナチュラルであるコニールが、ガイアに乗ってあれだけの動きをするのも、普通ではない。
そう、ザフト側の兵士とは言え、これではまるで……。兄のあの反応も……!

「!!」

しかしマユにはゆっくり考えている時間は与えられなかった。
回転しながら飛んでくる、巨大な光の刃。マユは紙一重のところで仰け反るようにして回避する。
とてつもなく巨大なビームブーメラン。大きく弧を描いて、戻る先に目をやれば……!

「……シン。その状態では戦闘続行は不可能だろう。
コニールのガイアを回収しつつ、一旦ミネルバに戻るんだ。コイツは、俺が相手をする」
「あ……アレックス・ディノ?! いや、アスラン・ザラ!」
「まったく、キラといい、カガリといい、お前といい……! 次から次へと……!
 だが俺は、もう迷わないと決めたんだ!」

間髪入れずにSフリーダムに襲い掛かる、第三の敵。
コニールやシンと異なり、怒りつつも冷静さを失っていないアスラン。その構えには、全く隙がない。
三隻同盟軍で最強を誇ったMS、フリーダムとジャスティス。2年前には共闘したオーブの空。
その改造機と後継機が、今、同じオーブの空で剣を交える――
101隻腕28話(04/27):2006/05/02(火) 21:44:07 ID:???

戦闘が再開されているのは、Sフリーダムの周囲だけではなかった。
カガリの唐突な言葉に一瞬動揺した兵士たちだが、しかし。
ザフトや連合軍には従う義理はないし、オーブ軍の兵士たちも反撃せねば生き残れない。
カガリは「意思」を示したが、正式かつ現実的な「命令」でなければ「軍人」は従えない。
そして今、彼女は正式な命令を出せる立場になく、また戦況も把握できぬため現実的判断もできない。

「くッ……! やはり無理かッ……!」

黄色いムラサメの中、ザフトからの激しい攻撃をかわしながら、カガリはギリリと歯を噛み締める。
このムラサメ、アマギたち派遣艦隊の生き残りが所持していた、唯一にして最後の「戦力」。
脱出できた数少ない兵たちの中に居た3機のムラサメ。イケヤ、ニシザワ、ゴウの3パイロットの機体。
しかしそのどれもが中破あるいは大破に近い損傷を受け、とても戦える状態にはなかったのだ。
彼らの立場や潜伏場所を考えれば、オーブ軍最新鋭MSのパーツなど手に入らない。
仕方なく、3機の使えるパーツだけを継ぎ合わせ、共食い整備で仕上げたのが、このカガリのムラサメ。

黄色く塗ったのは……本当はアマギたちは金色に塗りたかったのだ。金色の代用としての黄色である。
オーブ軍では一部の例外を除き、MSの色はその位置付けによって変えられることになっている。
赤は一般機。青はカスタム機や局地対応機。金色、あるいは黄色はスペシャル機。
アカツキが金色なのも、故のないことではないのだ。
カガリの前の愛機、ストライクルージュも金色にする案があったが、これは技術的問題で見送られた。

黄色いムラサメ――その色に込められた意味、オーブ軍の兵士には分かる。
カガリ機に向けられる攻撃、その間に割り込むようにして、ムラサメの1部隊が翼を広げる。

「カガリ様! 本当にカガリ様なのですね!?」
「ああ! 戻るのが遅れて本当に済まない! 私は正真正銘、カガリ・ユラ・アスハだ!」
「我々が援護します! カガリ様は国防本部へ! そこからご命令なされば、きっと……!」
「……分かった、ではここは頼む!」

カガリは大きく頷くと、ムラサメを大きく傾け、国防本部へと向かう。
背後で彼女を庇ったムラサメ隊の1機が、被弾し爆発する。が、振り返りもしない。
己を守って散った派遣艦隊の兵士たち、今こうして自分を守る兵士たち。
その想いの全てを背負って、カガリは急ぐ。
102隻腕28話(05/27):2006/05/02(火) 21:45:10 ID:???

同じ頃、戦場の別の一角で――
黄金のMS、アカツキは、レジェンドと激しい空中戦を続けていた。

マユとカガリ、2人の乱入で仕切りなおしの格好になった、ミネルバの面々とキラとの戦闘。
頭に血が上ったコニールとシンはSフリーダムに突撃し、アスランは一瞬どうすべきか迷った。
決断を促したのは、それまで静かに戦況を見守っていたレイ・ザ・バレル。

「アスランは2人を助けに行って下さい。あの様子では勝ち目はない。
この金色のは自分が押さえます」
「しかし――」
「大丈夫、盾のない今なら、レジェンドでも色々とやりようがありますから――」

そして∞ジャスティスはSフリーダムに襲い掛かり、レジェンドはアカツキと1対1の戦いに入った。
4対1、3対1だった時には控えめな支援しかしてこなかった彼だが、今は……

「――やはりアスランは甘い。隙を見せたその瞬間に攻撃を加えられぬようでは。
 やはりどこまで行ってもかつての戦友同士、というわけか」

口の中で呟きながら、レイはレジェンドで激しい攻撃を加え続ける。
背中の6本のドラグーン、それが前方を向き、アトランダムに雨のようにビームを浴びせ掛ける。
流石のアカツキも、その全弾を跳ね返すことはできない。
かといって、受け流せばその流れ弾が、味方やオーブの市街地に飛んでいきかねない……
暴風雨のようなビームの嵐の中、回避に徹するしかないアカツキ。
たまに1発2発ビームを反射するが、これはレジェンドのビームシールドで受け止められてしまう。

アカツキの中、操縦桿を握るキラの額に汗が滲む。
実のところ、レイの放つ大量のビームは、直接当てようとして撃たれたものだけではなかった。
アカツキの進路を遮り、回避の選択肢を狭めるような攻撃も取り混ぜていて、実に厄介。
キラの技量とアカツキの性能があって初めて掻い潜れているような代物だ。

キラの中で、過去の記憶がオーバーラップする。
目の前のレジェンド、それに良く似た姿形をした、あの強敵。その戦い方、その殺意。
似ている。MSの外見や性能だけでなく、パイロットの性格や雰囲気も、また――!

「くッ……! き、君は!? クルーゼ……なのか!?」
「フ。良く気付いたな、キラ・ヤマト。究極のコーディネーター。メンデルの兄弟」
「…………!」

レイの答えに、キラの目が驚きに見開かれる。動きを止めるアカツキ。
その一瞬の隙を見逃さず、レジェンドのバックパックから1本の光の槍が放たれる。
ビームスパイクを伸ばした片方の大型ドラグーンのが、アカツキを貫かんと飛び出して……!

「そうだ、キラ・ヤマト! 俺は『ラウ・ル・クルーゼ』だ!
 未完成だったラウの『完全版』、それが俺、レイ・ザ・バレルだッ!
 『俺自身』の仇――ここで取らせてもらうッ!」
103隻腕28話(06/27):2006/05/02(火) 21:46:10 ID:???

オーブ、国防本部前。
この本部にも戦線が近づきつつある中で、建物の中から駆け出してきたのは。
ごく少数の護衛を連れただけの、ユウナ・ロマ・セイランだった。

「早く車を回してくれ! 急いで行くぞ!」
「しかしユウナ様、今は危険です! もう少し戦闘が落ち着いてから……」
「そんなの待ってたら間に合わなくなる! 戦場を突っ切って最速で行くんだよ!」

制止する部下たち、怒鳴るユウナ。
と、唐突に……そんなユウナたちの眼前の地面が、盛り上がる。砕け散る大地。

「!?」

コンクリートを突き破り、顔を出したのは……巨大な灰色の影。
ザフトの水陸両用機、グーンを改良した地中用試作MS、UTA/TE−6Pジオグーン。
地中からオーブの国防本部を叩くつもりで来て、しかし顔を出す座標が少しズレてしまったのだ。
ジオグーンのモノアイが、ギラリと光る。巨大な目が、ユウナたちを見下ろす。
そしてジオグーンは、ユウナたちの頭上に、その大きな腕を振り上げて……!

「……させるかァッ!」

そんなジオグーンを、頭上から貫く一条のビーム。ユウナたちは爆風と閃光に目を細める。
大きな爆発を起こすことなく、その場で動きを止めるジオグーン。
窮地を救われた皆の視線が、空に向き……そこに翼を広げている影を見た。
MS形態の、黄色いムラサメ。ゆっくり国防本部前に降り立つと、そのコクピットハッチが開く。

「大丈夫か、ユウナ!」
「……お陰さまで助かったよ。
 そして――お帰り、カガリ。本当に生きてたんだね」
「私は悪運が強いって言っただろう? 約束は、守るさ」

カガリとユウナ。柔らかい微笑を浮かべ、見つめ合う2人。その表情は、すぐに引き締まる。
互いの無事や再会を喜んでいる時間は、どちらにもない。

「つい先ほど、隠れていた父が見つかった。僕はこれから現場へと向かう。
 何とかジブリールの決着をつけなきゃ、ザフトも引くに引けないだろうしね」
「そうだな。連合軍の方については、撤退させる意思を示す――それでいいんだな?」
「ああ。国防本部はクサナギのクルーを使って、既に押さえてある。
 後は全て任せる。代表代理としてのボクの権限も、口頭で済まないがこの場で返上しておくよ」
「任せておけ。戦闘は続いている。市街の方にも近づいているようだ。気をつけてな」
「カガリも。連合軍の士官がまだ中に居る、奴らも変なことはしないと思うけど――気をつけてね」

カガリとユウナは、国防本部の前で互いの手を打ち合わせて。
そのまま2人は、別の方向に向けて駆け出していく。カガリは国防本部の中へ、ユウナはウナトの所へ。
オーブという国を、守るために――
104隻腕28話(07/27):2006/05/02(火) 21:47:07 ID:???

海面近い低空で、赤い影と白い影が何度もぶつかり合う。
アスラン・ザラの駆る∞ジャスティス。マユ・アスカの駆る、Sフリーダム。
∞ジャスティスが、左手のシールドのビームブレードを振るう。紙一重で交わす。
∞ジャスティスが、右足のビームブレードで蹴りつけてくる。ビームシールドで押さえるように受ける。
∞ジャスティスのリフターが、本体の背中から瞬時に離れて突進。……これは、避けきれない。

「……ッ!!」

息もつかせぬ連続攻撃に、マユは一瞬で決断する。咄嗟に右手を伸ばしてリフターを受け止める。
その突端の実体剣を、右の手で握るようにして止める。片手での真剣白羽取り。
――否、受け止め切れるものではない。リフターの先端から伸びたビームの刃が、その右腕を貫く。
貫いて、吹き飛ばして……けれど、Sフリーダムは胴体へのリフター直撃を回避する。
マユは右腕1本を犠牲にして窮地を逃れ、大きく距離を開ける。
距離を開けつつ、腹の複相ビーム砲が∞ジャスティス本体を狙って火を噴く。
だが足を狙ったその攻撃は、悠々と避けられてしまう。戻ってきたリフターに飛び乗る∞ジャスティス。

一方的に押し続ける展開になったアスラン。けれど、彼の表情には苛立ちが滲む。困惑が滲む。
Sフリーダムを、マユを倒しきれないから――ではない。
彼女の強さは既に良く知っている。容易な敵でないことは知っている。むしろ、だからこそ。

「フリーダム……! お前ッ、俺を殺すつもりがないのかッ……!?
 この期に及んで、なお殺さずに勝ちを得るつもりなのか……!?」

――アスランとマユだけが知る、真実がある。
ベルリン上空、セイバーとフリーダムの死闘。セイバーの手足を奪われたあの一瞬の刹那。
マユはあの時、確実にアスランの命を取りに来たのだ。
目にも留まらぬ速度で振るわれたビームサーベルは、一瞬の間に生死を賭けた二択を強要した。
腕を切り飛ばされるか、コクピットを切り裂かれ即死するか。
足を切り飛ばされるか、動力炉を切り裂かれ無力化するか。
頭を切り飛ばされるか、推進剤のメインタンクを焼かれ爆死するか。
片方を防げば片方は免れぬ、そんな状況の連続。王手飛車取りのようなエグい攻撃。
それがあればこそ、セイバーはバラバラにされたのだ。
アスランの高い技量と判断力があればこそ、セイバーは達磨のような姿になっても生き延びたのだ。
あれが並大抵のパイロットなら、途中で判断ミスを犯し即死しているか、墜落死しているかだろう。

だが、先ほどマユがコニールとシンに対してした攻撃は。
結果こそ似通っていたが、まるで意味が違う。まるで意図が違う。
今のマユは、最初から相手を殺さずに無力化することを狙っているとしか思えない。

相手が未熟だったり、機体性能が低かったり、冷静さを失っていたりすれば、それでも勝てるだろう。
けれど、アスランはそうではない。技量も互角かあるいは上、機体性能もおそらく上。
なのに、マユはなお、アスランを「殺そう」としない。「殺しかねない」攻撃をしない。
相手が自分に勝る存在であることを認識しつつも、その戦い方を変えようとはしなかったのだ。
己の命を、危険に晒してまで。

「……どういうつもりだッ!」
105隻腕28話(08/27):2006/05/02(火) 21:48:03 ID:???
アスランの脳裏に、過去のフリーダムの戦いが蘇る。
マユが乗るよりも前、2年も前の戦い。キラ・ヤマトが駆っていた頃の戦闘。
……思えばキラのフリーダムまた、「敵を殺そうとしない」MSだった。
ストライクとイージスの相打ち以降、彼の内面に何が起きたのか、アスランはよく理解できていない。
理解できなかったが、しかし戦闘スタイルの大幅な変化だけは良く分かった。

「キラと同じなのか……? いや、違う……」

似ている。しかし、やはり違う。
それでもキラは、結局は敵を殺している。殺さずには済まない攻撃を何度かしている。
戦艦をミーティアの刃で真っ二つにしたり、プロビデンス相手に容赦のない攻撃をしたり……。
何を基準に判断しているかまでは分からなかったが、それでも彼は、マユとはまた違う。

「お前らは……お前は何を考えているッ!
 戦争をしているんだぞ!? 殺し合いをしているんだぞ!? なのに……!」
「殺し合い……それが嫌だから、あたしは戻ってきたんです」

アスランの苛立ち混じりの声に、マユは反撃しながら、しかし静かな口調で応える。
残された腕に連結ライフルを持ち、両腰のレールガンと共に∞ジャスティスに反撃を加える。
だが、攻撃の狙いがMSの末端だと分かってしまえば、アスランに防ぎきれないはずもない。
どれもかわされ、あるいは左手のビームシールドで受け止められる。

「……傲慢だな、マユ・セイラン!
 おまえは――強さを手にして、ヒトの生死を自由にできる権利でも得たつもりか?!」
「あたしは、人を殺したくない。そして、殺させたくない。シンプルにそう思っただけ。
 そのために精一杯頑張ることが『傲慢』だと言うなら――あたしは、傲慢でもいい!」

マユの叫びと共に、Sフリーダムの翼が大きく広げられる。
海面近くにホバリングしていたSフリーダム、その翼の先端、ドラグーンからビームが放たれて……
続けざまに、海面を撃つ。もうもうと舞い上がった水煙が、Sフリーダムの姿を隠す。

「!!」
「憎しみの連鎖……『断ち切れる』ものじゃない、誰かが『受け止め』ないと止まらない。
 なら――あたしが受け止める! 受け止められる限り、ココで受け止める!」

水煙に紛れ、突進をかけるSフリーダム。一瞬虚を突かれたように見えた∞ジャスティス。
けれど、全身の勢いを乗せた鋭い飛び蹴りに、アスランは対応してみせた。
リフターの上に立ったまま、Sフリーダムの蹴りに自分の回し蹴りを重ねる。
足に仕込まれたグリフォン・ビームブレイド。通り過ぎざまにSフリーダムの左足を斬り飛ばす。

「……やはりお前は、傲慢だッ! そんなことができるなら――俺だってッ!」

多対1の戦いを志向したフリーダム。1対1の格闘戦向きのジャスティス。
その特性は、それぞれの後継機にも色濃く引き継がれていて。
アスランの叫びと共に、ビームブーメランが投擲される。片足を失い姿勢の崩れたSフリーダムは……!
106隻腕28話(09/27):2006/05/02(火) 21:49:04 ID:???

「……ユウナ、貴様ッ……!」
「父上……いや、ウナト・エマ・セイラン。探したよ」

――山の中のセイラン家の施設、ではなく、そこから程近い宇宙港の建物の1つ。
後ろ手に縛られ椅子に座らされた格好のウナトは、部屋に入ってきたユウナを睨み付けた。
2人を取り囲むのは、完全武装したレドニル・キサカ一佐とその直属の部下たち。

「聞きたい事は色々あるけど――まずは教えて貰えるかな。ロード・ジブリールの居場所について」
「ユウナ……お前は、分かっておらんッ。
 この先、我々が生き延びるには、奴との関係を切るわけには……!」
「分かってないのは、貴方の方だよ」

ユウナは醒めた目で実の父を見下ろす。窓の外には、遠くの戦闘。
やがてこのあたりも戦場になるかもしれない。ユウナはあまり時間が残されていないことを感じ取る。

「……まあ、貴方が語ってくれなくても、見当はつくけどね。
 大体、こんな時期にこんな場所で貴方が1人で捕まっていること自体、不自然なんだよ。
 ワザとボクたちに見つかるような行動を取った……そういうことなんだろう?」
「うッ……!」
「ジブリールに時間稼ぎでも命ぜられたかな? でも、貴方が稼げる時間はたかが知れているよね。
 貴方をこの場所で捕まえた、というのも重要だ。直前まで奴と一緒に居たはずだからね。
 ……となると、この近くだとセイラン家の隠し基地あたりが怪しいか。
 そういえばブースター付きのシャトルが1機、直接宇宙に出られる形で用意してあったよね?」
「ううッ……!」
「キサカ。コイツはもういい。キミは部下を率いて、今言ったトコを当たってくれ。急げよ?」
「了解だ。では失礼する」

足早に出て行くキサカとその部下たち。後に残されたのは、ウナトとユウナ、ユウナの護衛の兵2人。
ユウナは自分の護衛たちにも部屋の外で待つように促すと、2人きりでウナトと向き合った。

「……貴方の負けだよ、父上。分かっているんだろう、それくらいのことは?」
「…………」
「何で身体張ってまで助けたかな――。命を救われた恩など、あの男はまるで気にも留めないはずさ。
 あの男は、ある意味『誠実さ』からは最も程遠い男だよ。確かに有能ではあるけれどね」
「…………」
「それとも何か逆らえないような話でも聞かされたかな? ま、ハッタリもアイツの有力な武器だが」

芝居がかかったいつもの調子で、天を仰いでみせるユウナ。
そんな彼の耳に、父親の小さな呟きが飛び込んで来た。一度では聞き取れず、思わず聞き返す。

「ん? 何だって?」
「……『レクイエム』。月面にレクイエムが響けば……我らがオーブなど、ひとたまりもない」
「レクイエム……?」

鎮魂歌、葬送曲を意味するその単語。意味が分からぬユウナは首をかしげる。
しかしウナトは、もうそれ以上のことを語る気が無いようだった。
107隻腕28話(10/27):2006/05/02(火) 21:50:03 ID:???

ザフトと連合軍の戦いは――ここに来て、少しだけザフト側が押し始めていた。
先ほどのカガリの唐突な登場と停戦勧告によって、オーブ軍の一部が混乱した隙に押し込まれたのだ。
僅かに押されて、主戦場が海上から島の海岸沿いへと移行する。
オーブ軍の基地、そしてそこに駐留を続ける連合軍の後方部隊にも、ザフトのMSが近づく。
当然、未だ出撃していない部隊は、いささか混乱と恐慌に襲われる。

「ロッティ! あたしらのデストロイはまだ出せないのかい!?」
「おかしなことを言わないで下さい、エクステンデッド07サニィー・エルマ。
 貴女の機体は両腕損傷、本体にも被弾しており、戦えるような状態では……」
「敵が来てるんだよ! 動けばいいんだ!
 オーブの連中なんてどうでもいいんだけどね――こっちから裏切るような真似は御免なんだよ!」

防菌服に身を包んだ女研究者を、浅黒い肌の娘が吊るし上げるようにして揺さぶる。
彼女たちの背後には、巨大なMSデストロイが2機。うち1機は装甲などを外して修理中。
カーペンタリア攻撃に参加した4機のうちの、生き残った2機。彼らもオーブに逃げてきていたのだ。

と――突然。
サニィーの乗機ではない、もう1機のデストロイが、軋みながら動き出す。
こちらのデストロイも無傷ではない。右腕は肘から先が欠けている。他にも小さな損傷は多い。
けれど構わず、立ち上がって……。

「れ、レイア!?」
「何をする気です、エクステンデッド05! まだ正式な出撃命令は出てませんよ!
 それにデストロイを出せば、オーブの街や友軍にも甚大な被害が……!」

2人の驚きの声に、しかし少女は答えない。
レイア・アスト。デストロイのパイロットたちの中でも比較的小柄で、子供っぽい雰囲気の少女。
そんな彼女が、厳しい表情で操縦桿を握り締めて。

「ミネルバが、来てるんだから……! ダーボやガルの仇が、来てるんだから……!
 あたし、じっとしてなんて居られないよ……!」

少女を突き動かしていたのは、激しい憎悪。お団子にまとめられた髪が、フルフルと揺れている。
常に素直に感情を示すレイア、その彼女の表情は、今は激怒に染め上げられ。
周囲の制止も動揺もの声も聞かず、過剰な火力の塊、デストロイを戦場に踏み出させた。
108隻腕28話(11/27):2006/05/02(火) 21:51:09 ID:???

『改めてザフト、連合軍、オーブ軍の全てに告ぐ。
 私はカガリ・ユラ・アスハ、オーブ連合首長国の、代表首長である』

カガリの言葉が、戦場に響く。
全軍に向けられた映像通信。途中で着替えたのだろうか、カガリはパイロットスーツではなく軍服姿だ。

『オーブ軍の諸君に告ぐ。
 まずは、様々な障害により、オーブに戻ってくるのが遅れたことをこの場にて詫びたい。
 戦闘の混乱が続いてはいる最中ではあるが、オーブ軍の指揮権は私が取り戻した。
 己の職権を濫用していたウナト・エマ・セイラン宰相は、我が手の者が拘束している。
 正式な裁きは後ほどになるが、ここに私の権限において、彼を宰相の任から解くことを宣言しよう』

オーブ軍に向けた、カガリの実権回復の宣言。
動揺と混乱の中にあったオーブ軍の士気が、一気に高まる。一部では歓声まで上がる。

『続いて、ザフトの諸君に告ぐ。
 重ねて申し入れる、軍を引かれたい。戦闘を停止されたい。
 先ほどオーブ軍に向けて言ったように、セイラン元宰相は更迭された。オーブの方針は大きく変わる。
 私はこの戦闘終了後、セイラン元宰相の独断で受け入れた連合軍艦隊に、撤退を求めるつもりである。
 諸君らの作戦目標の1つが、これで意味を失うはずだ。
 またプラントが重要なテロリストとして追うロード・ジブリール氏についても、現在捜索中である。
 捜索中ではあるが、戦闘の混乱により未だ所在を把握できずにいる状況だ。
 彼の捕縛に我々の全力を注ぐためにも、戦闘の停止をお願いしたい』

ザフトの攻撃部隊に向けたカガリの言葉。
手順に則った停戦交渉など、している時間はない。あけすけに事情を曝け出し、停戦を求める。

『最後に、連合軍とオーブ軍の諸君に告ぐ。
 このような事情であるから、防戦に徹し、敵が逃げても決して深追いするな。
 そしてザフト側が戦闘を停止した場合、速やかに戦闘を停止せよ。
 これは正式な命令である。連合軍駐留艦隊に対しても、これは艦隊司令も認めた命令だ。
 そして、『命令』として以上に……カガリ・ユラ・アスハ個人として『お願い』したい。
 この無為な戦いを、止めて欲しいのだ』

連合軍に向けたカガリの言葉。画面の片隅には、苦虫を噛み潰したような連合軍士官の姿。
確かにこの命令、彼らも承認したのだ。承認せざるを得なかったのだ。
先ほどカガリがザフトに向けて言った連合軍の撤退要求、これは実は、政治的な話だ。
まだ正式な決定がされていない以上、現場の軍人は、まだ同盟関係が維持されているとするしかない。
また、先ほどまでオーブ軍が連合軍に従っていたのは、代表代理の名による命令による。
しかしその命令はユウナによってウナトの越権行為と暴かれ、また代表であるカガリが全面否定した。
そうなれば――形式上、連合軍艦隊の司令より、カガリの方がこの場は発言力が上となるわけで。

『もはやこの戦闘、誰にとっても意味はない! だから……!』

カガリが大声で訴えた、まさにその時――
事態が、動いた。それも、2箇所同時に。
109隻腕28話(12/27):2006/05/02(火) 21:52:08 ID:???

アカツキに迫る、ビームスパイク付きの大型ドラグーン。
避けられる体勢ではない――そう思われた攻撃だったが。
アカツキの背中に装備されていた航空戦闘用オプション、「オオワシ」。
それが切り離され、アカツキ本体は落下、オオワシ自体は航空機のような姿になって上昇。
ドラグーンは虚しく両者の間を空振りして……アカツキの振り返りざまの射撃に、撃ち抜かれる。
オオワシはアカツキの下に滑り込むように、大きく旋廻。アカツキはその上に着地する。

かつてキラが愛機としてきたストライク、その流れを汲んで作られたアカツキ。
その専用装備の1つである「オオワシ」は、エール装備とランチャー装備を融合させたようなもの。
機動力と火力の両立、という発想は、フリーダムの設計思想にも通じるものだが……
同時にこのオオワシ装備、ジャスティスのリフターのコンセプトも取り入れている。
本体の推進ユニットになるだけでなく、MSを乗せて飛ぶことも、単独で飛行し戦闘することも可能。
三隻同盟軍に参加し、その戦いを見てきたエリカ・シモンズ設計の「いいとこ取り」装備なのだ。

思いもかけないその機能に、流石のレイの猛攻も一瞬止まった、その時である。
カガリの放送が、彼らの所にも流れてきたのは。


Sフリーダムに迫るビームブーメラン。
片足片腕を失い、バランスを失ったように見えたSフリーダムだが――その翼が、弾ける。
翼に仕込まれたドラグーンの射出。もっともこのドラグーン、地上では単独飛行はできない。
つまり、使い物にならないのだが……その射出の反動を利用し、Sフリーダム本体が大きく動く。
まるでドラグーンを捨て去るような格好で、回避困難なブーメランを避けるマユ。
8本のドラグーンは海へ落下していき、スリムになった翼を広げてSフリーダムは姿勢を立て直す。

仕切り直しの体勢となり、互いの隙を伺うマユとアスラン。そのタイミングで始まるカガリの放送。
マユもアスランも、思わず攻撃の手を止めてそれに聞き入る。


『もはやこの戦闘、誰にとっても意味はない! だから……!』
『カガリ様! ロード・ジブリール、見つかりました! セイラン家の施設です!
 現在キサカ一佐が身柄確保のために戦闘中とのこと!』
『……!? おい、デストロイが動いているのか!? 誰が出撃など命じたか!』
『セイラン家の地下基地、ハッチ開きます!
 シャトル射出準備に入ってる模様……いや、今打ち上げられました!』

国防本部に響く怒鳴り声。それはカガリの手元のマイクに拾われ、全ての者に届けられる。
いや、状況は放送を聞かずとも明らかだ。戦場のどこからでもそれは見える。
オーブ軍の基地、連合軍に接収されていたエリアから、街の方へと出てきた巨大な影。
連合軍駐留艦隊の中で最強最悪の決戦兵器、デストロイ。
宇宙港の近く、山肌に偽装されていた大きなハッチが開き、天に向けて飛び出していくシャトル。
この戦闘の中、強引に宇宙への脱出を図るなど、ジブリール以外にありえるはずがない。
カガリは叫ぶ。全軍の全部隊に向けて流していた通信をそのままに、大声で叫ぶ。

『……誰か止めろ! どの軍の誰でもいい!
 あのシャトルとデストロイを……止めてくれ!』
110隻腕28話(13/27):2006/05/02(火) 21:53:10 ID:???

カガリの叫びが響く中、ミネルバを倒すべく戦場へと踏み出したレイアのデストロイ。
そもそもデストロイを出さなかったのは、敵への攻撃以上に味方の巻き添えが懸念されたからだ。
手加減のできないその破壊力、放たれればオーブの街や環境にどれだけの被害を及ぼすか分からない。
けれど、カガリの放送を聞いても彼女が止まることはなく。それどころか。

「もう戦いやめるって言うなら……邪魔される前に、さっさと倒しちゃうんだから!」

距離を詰める間も惜しんで、砲撃体勢に入るデストロイ。
背中に背負われていた巨大な4連装砲を、沖合いに留まるミネルバに向ける。
その射線上にはオーブの街、そして友軍機がかなりの数存在していたが、気にも留めない。
4連装砲の砲口から、溢れんばかりの光が全てを薙ぎ払おうと……!

「……やらせないッ!」

もはや誰にも止められない、そう思われた砲撃の前に飛び出してきたのは。
左手を欠いた、黄金色のMS。
キラのアカツキが、自殺願望でもあるかのように、砲口の直前に飛び出して……!

「着弾予測プログラムOFF前方に単純反射設定、全エネルギー注入ヤタノカガミ出力全開!
 ……間に合ってくれッ!」

放たれる高出力のビーム。街を守るべく、それを至近距離で受けるアカツキ。
眩いばかりの光は、アカツキを守る不可視の力場に受け止められて。
そのあまりの圧力に、アカツキも空中に吹き飛ばされるが……ビームは全て、跳ね返される。
跳ね返されて、デストロイ自身に、攻撃を放ったビーム砲自身に叩きつけられる。
円盤状のデストロイ、その上面がごっそりと削り取られ、巨体はその場に横倒しに倒れる。

「な……何よ何よ何よ! 何で邪魔するのよ!」

レイアは泣き叫ぶ。オーブサイドからの理不尽な妨害に、泣き叫ぶ。
コイツが邪魔しなければミネルバを討てたのに。ザフトを蹴散らせたのに。
大好きなみんなの仇を、取ることができたのに――

しかし満身創痍のデストロイは、泣きながらもなお立ち上がる。
使い物にならなくなった円盤部分を背後に倒し、人型形態をとってよろめくように立ち上がる。
せめて一矢。一矢報いねば――

「……いや、駄目だな。ミネルバには、指一本触れさせん。この俺が許さない」

よろめきながら立ち上がったデストロイ、その眼前に立ち塞がった灰白色の影。
それは、つい先ほどまでアカツキと死闘を繰り広げていたレジェンドだった。
その背から円錐状の槍が射出される。咄嗟にビームシールドで身を守ろうとするレイア。
しかし大型ドラグーンは、掻い潜るようにして回りこみ、そのままコクピットに吸い込まれる。

エクステンデッド04、レイア・アストの意識は、そして閃光の中に消えて。
暴走しかけていたデストロイは、オーブに破壊を撒き散らすことなく、ゆっくりと崩れ落ちた。
111隻腕28話(14/27):2006/05/02(火) 21:54:09 ID:???

崩れ落ちるデストロイを、眼下に見ながら――
遥か高い青空に向け、ブースター付きのシャトルが飛んでいく。
ムラサメが、バビが、グフが追いすがるが、しかし速度が違う。追いつけるものではない。
彼らは追いながらもビームやミサイルを放つが、シャトルを捕らえることはない。
最高速度で飛びながらの遠距離射撃、そうそう当たるものでもないのだ。

「フフフ……。こうして脱出が間に合ったことも、こうしてキミたちの攻撃が当たらぬことも。
 ワタシが世界に必要とされているということの証明なのだよ!」

シャトルの窓から眼下を見下ろしながら、ロード・ジブリールは笑う。
自分は神に、世界に運命に愛されている――そう彼は考えている。その自信がある。
多少は汚い手段も使いはするが、それも全ては勝利のため。正義のためだ。
勝てば、全てが許される。

と――ジブリールはふと、眼下の様子に気付き、眉を寄せた。
ぐんぐん引き離されていくMSたちの中で、唯一距離を縮めつつある機体があった。
赤い航空機風の影。アスラン・ザラの∞ジャスティス、そのリフターだけが飛んできているのだ。

∞ジャスティス、その本体ごと追えば、ムラサメやディンのように追いつけない。
けれど、重荷を取り除いたリフター、ファトゥム01だけなら。
攻撃はAI任せとなり、命中精度は格段に落ちてしまうが、追いつける可能性が出てくる。
ブルーコスモスの盟主を止める可能性が、出てくる。

「届けッ……!」

その後方、本体だけの推力で追いかけながら、アスランは祈る。アレが追いついてくれれば――!
……しかし、アスランの祈りは届かなかった。
シャトルから切り離された、加速用のブースター。
それが、後方に流れ落ちていき……ファトゥム01の進路を遮ったのだ。
大質量との正面衝突。リフターはブースターを突き破るが、速度が大幅に落ちてしまう。距離が開く。

「悪いな! ワタシにはまだまだやらねばならぬコトがあるのだよ!
 ザフトの『正義』とワタシの正義……この場は、ワタシの勝ちだ!」

そのままシャトルは大気圏を突破。青空を抜け、地球を俯瞰できる大宇宙へと飛び出した。
もう完全に追撃がありえない高度にまで達してから、ふと思い出したように呟く。

「しかし――危ういところだった。
 機動力と狙撃能力とを併せ持ったMSに狙われたら、ワタシも逃げ切れたかどうか。
 例えばそう、カーペンタリアで大暴れしたあのMSのような、ね――」
112隻腕28話(15/27):2006/05/02(火) 21:55:07 ID:???

……天に消えていくシャトル。それを見送るMSたちの中に、Sフリーダムの姿もあった。
その左腕には連結ライフル。狙撃専用MSにも匹敵する、射程と命中精度を誇る武器である。
広げた8枚の翼は、ドラグーンを失っているが、それでも量産航空MS並みの機動力を備える。
それはまさに、ジブリールがまさに危惧していたMS。
しかし――マユは結局、撃てなかった。
追いかけながら、銃を向けながら……結局、1発もビームを撃てなかった。
傍から見れば、機体に受けたダメージのせいで狙いが定まらなかったように思えただろう。
実際、片腕片足を失ったこの状態では、撃っても当たったかどうかかなり怪しい。
だが……

「あたしは……殺したく、ない……。
 けど、あの人をここで止めないと……」

シャトルは――シャトルを撃つとなると、MSの手足をもぐようには行かない。
当たれば大破、乗員の死亡は確実だ。即死しなくても墜落死は免れない。
マユはそのことに思い至り、撃てなくなってしまったのだった。

生きたまま無力化しようとして、しかし当たり所が悪くてうっかり殺してしまっても。
後悔はするだろうが、やらないよりはマシだったと信じられただろう。
無力化した後、誰かがトドメを刺してしまっても。
それはかえって残酷なことになってしまうのだろうが、彼女にはその罪を背負う覚悟があった。

けれど、確実に殺すしかない、という状況では。
殺す以外に止めようがない、という状況では。
……マユは思わず、迷ってしまった。動きが止まってしまった。
再び戦場に戻る覚悟を決めた時、色々と考えていた状況。
できうる限り殺したくない、その単純な思いを現実に近づけるための、様々な方策。
――けれどそれは、基本的にMSや戦艦などを相手にしての戦闘で。
今回のような、非武装で無力な存在を狙撃せねばならぬ状況は……考えてなかった。
マユは、誰にともなく呟く。

「あたしは――どうすれば良かったの?」

あのシャトルに乗っているというロード・ジブリール。マユも過去1度会ったことがある。
今思い返せば、彼は確かに危険な人物だ。この場を生き延びてしまえば、必ず大きな災いとなるだろう。
それがわかっていて、なお、マユは……

「あたしは……」
113隻腕28話(16/27):2006/05/02(火) 21:56:15 ID:???

白い煙の尾を引いて、天に上がっていくシャトル。
後ろ手に縛られたウナトを連れ、建物から出てきたユウナは忌々しげにそれを見上げた。

「……逃げられたか。まいったねェ。
 捕まえておけば、連合にもザフトにも有効な切り札になったかもしれないのに」
「…………」
「たぶん彼は、父上を助けたりはしないよ。利用価値がなくなれば容赦なく切り捨ててしまう人間だ。
 ボクが以前、貴方に奴との協力を進言した時には、それも計算に入れた上のことだったんだけど……
 父上はちょっと深入りし過ぎたね。本来なら奴が逃げ込んできた時点で拘束するべきだったんだ」
「…………」
「さて――急いで移動しよう。恐らくカガリが改めて停戦を呼びかけるはずだが、まだこの辺は危険だ。
 早く遠くへ……」

いつも以上に饒舌に、いつも以上に早口に。何かを誤魔化そうとするかのように喋り続けるユウナ。
それを俯いたまま、黙って聞いているウナト。
ユウナの部下が車を回してきて、ウナトをその中に促そうとした、その時……。

「……!! な、何をッ!?」

諦めきったかに見えたウナトが、急に抵抗を始めたのだ。
護衛の1人に体当たりして倒してしまうと、そのまま必死の形相で道の向こうに駆け出す。

「な――父上、いやウナト・エマ・セイラン! 往生際が悪いぞッ!」

今のウナトに、逃げるあてなどあるはずもない。
ユウナとカガリによる電撃的な「クーデター」によって、もうほとんど何も残されてはいないのだ。
なのに、逃げる。あてもなく逃げる。後ろ手に縛られた太った体を、ヨタヨタとよろめかせながら――

「――父上ッ!」


――ウナト・エマ・セイランにとって、世界は理不尽に満ちていた。
セイラン家。第6の氏族。予備の血筋。名門と呼ぶには立場は弱く、庶民と割り切るには歴史は重く。
ウナト自身、未練がましく「予備の血筋」の出番を待ち続けていたために、結婚は遅くなってしまった。
結局見合いによって迎えた若い妻。愛のない結婚。最初から冷え切っていた夫婦関係。
遅くになって得た1人息子、ユウナに対しても、ついにウナトは親子の情を抱けなかった。
その有能さを喜びこそしたが、あくまでユウナは「セイラン家の跡継ぎ」でしかなく。
ここまで自分が背負わされ運ばされてきた、ずしりと重いバトンを受け渡す相手でしかなかった。

だが――2年前の大戦で、ウナトを取り巻く世界は大きく変わる。
アスハ家の外交上の大失策。五大氏族有力者たちの相次ぐ死亡。
そして明かされたカガリの出生の秘密。ついにやってきた「予備の血筋」セイラン家の出番。
ウナトは、セイラン家代々の悲願が達成されると喜んだ。
鬱々と過ごしてきた長い人生、遅咲きにも程があるが、ともかくようやくにして、花開く時が来たのだ。
114隻腕28話(17/27):2006/05/02(火) 21:57:07 ID:???
けれど――世界はなお、ウナトに対して残酷だった。
あるいは、どこかで彼は間違えたのだろうか? 何をどう間違えたのだろうか?
表向きカガリを立てることで、将来の義父として手にしたオーブの実権。
権力を握り富を溜め、宰相の地位を得、国を仕切り外交を仕切り。
代々のセイラン家当主の悲願を、ここぞとばかりに実行していった。
自分には、その権利があると思っていた。
これまで舐め続けてきた辛酸の分、甘い蜜を啜る権利があると思っていた。疑いもしなかった。

少しずつ、歯車が狂っていく。
テロリストの急襲から始まった、この新たな戦争。
その強さを信じ寄り添うことを決めた地球連合は、失策を重ね。
自分と同じ思いだったはずのユウナは、しかし途中からウナトに反発。
良かれと思って接近した秘密組織「ロゴス」は、存在を暴かれその信頼と地位を大きく落とした。
目の上のタンコブ、お飾りにしては勝手に動き過ぎるカガリの抹殺に成功したと思えたのも束の間。
ユウナとの対立は決定的なモノとなり、国民からは嫌われ、やること成すこと全て裏目に出て。
挙句の果てに、抹殺したはずのカガリがこうして帰還し、頼みの綱のジブリールは自分を見捨てて……。

「何故だ……! 何故、自分だけが……!」

ウナトは逃げる。息を切らして、走って逃げる。
どこに逃げるかなど、考えることもできない。ただただ世界を呪いながら、あてもなく駆ける。
彼には、自分が悪かったのだ、などと考えることはできない。思いつきもしない。
オーブ建国以来、五大氏族の影・セイラン家に積もり積もった怨念が、彼の魂を縛っていた。

「何故……! 何故、こんな……!」
「父上! 止まって、危ないッ!」

追いかけてきていた、息子の足音が急に止まる。恐怖の混じった声色。
そして突然曇る空。荒い息をつきながら走っていたウナトは、ハッとして見上げる。
頭上に迫る、青い影。
コクピットを貫かれ、コントロールを失ったグフ・イグナイテッドの身体。
圧倒的な、破滅的な質量が、ウナトの頭上に避けようもない速度で迫り来て――

「なぜ……自分だけが、こんな……!」

ウナトの呪詛の言葉ごと、青い巨人の身体は、無慈悲に全てを押しつぶした。
呆然と膝をつく、ユウナの眼前で。
115隻腕28話(18/27):2006/05/02(火) 21:58:07 ID:???

――遠くで崩れ落ちる、デストロイの巨体。天に昇っていく、止め切れなかったシャトル。
ミネルバのブリッジで、タリア・グラディスは大きな溜息をついた。

「艦長、デスティニーとガイアR、帰還しました。
 早速ベリーニら専属スタッフがパイロットを確保、治療と再調整に入るとのことです」
「そう……。後で色々聞かせて貰いたいところだけど、今は彼らに委ねるしかないわね。
 レイとアスランも帰還させて。2人とも消耗しているはずよ。機体も、パイロットも」
「はい、分かりました」

新オペレーターのアビーの報告に、タリアは淡々と指示を与える。
アビーは優秀なオペレーターではあったが、艦に来てまだ日が浅い。
先任のメイリンと違って、シンたちに対して少し機械的に対応する部分があった。
メイリンなら、もう少しシンの身を気づかってくれたのだろうが……

「……今さら考えても仕方ないわね、そんなこと」
「どうかしましたか?」
「別に。――そうね、セントヘレンズに通信を繋いで」

タリアは愚痴っぽくなりかけた考えを振り払うと、別のことに思考を向ける。
もはやこの戦い、カガリ代表の言う通り、誰にとっても意味のない戦いだ。
軌道上から降下してくる手はずの増援部隊も、姿を現さない。
彼女はザフト艦隊の旗艦、潜水空母セントヘレンズに通信を送る。

「ミネルバ艦長、タリア・グラディスです。僭越かとも思いますが、司令に進言します。
 ここはもう、撤退すべきです。
 当艦所属のエースたちも消耗激しく、作戦目標も――」


――やがて戦場に、信号弾が続けざまに上がる。
ザフト全軍に向けた、撤退命令。タリアの意見が採用されたのだ。
水が引くように下がっていくザフトのMSたち。対するオーブ軍も連合軍も、それを追うことはしない。
オーブ軍はこれで作戦目標を達成したわけだし、連合軍としては単独で意地を張っても仕方がない。
先ほどのデストロイのように暴走する兵もなく、極めて紳士的に、戦闘は速やかに終了して――


こうして、オーブを巡る一連の戦闘は、終結したのだった。
オーブ軍側としては、街にいささか被害が出たものの、かなりの部分で目標を達成。
ザフト軍は、ジブリールこそ逃がしてしまったものの、連合軍撤退の言質を取った格好で。
連合軍には不満の残る結末ではあったが、しかしこれを認めねばオーブ軍をも敵に回しかねず。
オーブ軍とザフト、双方を同時に敵に回せば、この場の連合軍艦隊は間違いなく全滅してしまう。
それぞれに痛みを受けながら、一応の戦闘の終結を受け入れたのだった。
116隻腕28話(19/27):2006/05/02(火) 21:59:05 ID:???

オーブ、国防本部前。
全ての戦闘が終結し、防衛ライン外にザフトが撤退した頃。
この戦いの関係者が、この場所に集まっていた。

国防本部前に、片膝をついた黄金のMS、アカツキ。その左腕は途中から無く。
同じく国防本部前に、座り込んだSフリーダム。こちらは右腕と左足が無い。
カガリが乗ってきた黄色いムラサメも、その場に停められたままだ。

アカツキから降りてきたキラ。その肩に止まる緑色の鳥型ロボット。
Sフリーダムから降りてきたマユ。義足と義手が、軋んだ音を立てる。
国防本部から出てきたカガリ。国防本部に戻ってきたユウナ。
カガリのムラサメを吐き出した後、空っぽの輸送機で追いついてきたアマギたち。
キラの出撃を支援したエリカ。ユウナの作戦を助けたキサカ。
大勢のオーブ軍兵士に、未だ苦虫を噛み潰したような表情を崩さぬ連合軍の士官――

「――みんな、ありがとう。みんなのお陰で、なんとかオーブを守りきることができた」

カガリが頭を下げる。その場の全ての者に対し、素直に感謝の意を伝える。
そして彼女は、取り巻く人々の片隅に隠れるようにして居た、連合軍の士官たちに向き直る。

「特に連合軍の諸君。君たちにとっては異国であるオーブのために、よく戦ってくれた。
 ……残念ながら、君たちの上層部が進もうとしている方向には、もうついていけない。
 これからオーブは、諸君らとは道を違えることになるだろう。同盟も破棄されるだろう。
 けれど、私たちは――私たちのために戦ってくれた諸君らに、本当に感謝しているんだ。
 また我々が一緒に同じ道を歩ける日が来ることを、諸君らも祈って欲しい」

カガリの丁寧な感謝の言葉。連合兵たちは、思わず顔を見合わせる。
素直に感謝している。共闘した戦友への共感もある。でも、政治的には、もう一緒には行けない。
――連合軍の士官たちの全てが納得できたわけでもないようだったが、それでも、何人かは。

「――カガリ」

静かに、呟くように彼女の名を呼んだのは……どこか落ち着いた表情となった、ユウナだった。
彼はゆっくりカガリに歩み寄ると、静かに言った。

「まだ、終ってない。まだ、やらねばならないことがある」
「……どういうことだ?」
「外に向けて示さねばならない。オーブの進む道が大きく変わったことを。
 以前までのオーブと、違うということを。
 誰の目にも明らかに、分かり易く、示さねばならない」
「ユウナ……?」

深い覚悟に満ちたユウナの言葉に、カガリは首を傾げる。
一体彼は何を言っているのだろう?
ユウナは……そして、自らの両手を揃えて差し出しながら、静かに言った。
117隻腕28話(20/27):2006/05/02(火) 22:00:02 ID:???

「カガリ……ボクを逮捕するんだ。
 ここまでの間にオーブが犯した過ち、その責任者として――逮捕するんだ」
「ええッ!?」
「ゆ、ユウナ!?」

思いもかけぬ発言に、カガリも、マユも、キラも驚きの声を上げる。
だが、ユウナの表情はどこまでも真剣だった。

「実際に舵取りをしていた父は、つい先ほど、死んでしまった。
 そしてあの父の死は――あんな死に方をさせてしまったのは、ボクのミスだ」
「いや、しかし!」
「それに父のやっていたことは、全て代表代理であるボクの名を利用して行われている。
 ボクが認め、代表代理として判を押したことになっている。ボクに罪が無いわけではない」
「でもお前は! お前は実際には……!」
「それにね。犯人も容疑者も何もなく、全てを死人に押し付けては、人々が納得しないよ。
 他の国々に対する、アピールのためにも……分かりやすい『犯人』を上げてみせる必要がある。
 失敗した時に責任を取るのが、トップに立つ者の最後の仕事だからね」
「ユウナ……!」

どこか寂しさを含んだ表情で、微笑んでみせるユウナ。言葉に詰まるカガリ。
それは、ユウナなりの贖罪だった。大事な時に動けなかった自分の罪に対して課す、罰だった。
同時に、冷徹な政治家としての判断だった。オーブの今後の国際的な信用を考えての、決断だった。

「罪状は、そうだな。『国家反逆罪』あたりでいいんじゃないかな?
 セイラン家の私利私欲のため、オーブという国を危機に陥れた罪だ。
 ……まぁ、極刑さえ逃れられるなら、ボクは何でも喋るさ♪
 捜査にも積極的に協力しよう。刑務所の中に入った後も、模範囚になってみせるよ♪」
「ユウナ……」
「ほらほら、早く。問題は山積みなんだからさ。ボクの問題で時間を無駄に浪費すべきじゃない。
 ……あ、後処理を押し付けちゃう格好になるけど、それは勘弁してくれな♪」

いつもの茶目っ気を取り戻し、ウィンクまでしてみせるユウナ。
カガリは泣き出しそうになる自分を押さえこみ、大きく深呼吸すると頷いた。

「……誰か、手錠を」
「本当にいいのか、カガリ?」
「ああ。確かにユウナの言う通りだからな。
 セイラン家の重ねてきた罪、正式な法廷の場で明らかにするべきだ。
 良い弁護士をつけてやる。」

キサカの持っていた手錠。ウナトとジブリールの捕縛に使うつもりだった手錠。
カガリはそれを受け取り、ユウナにかける。

「ユウナ・ロマ・セイラン元代表代理。国家反逆罪の容疑で、逮捕させてもらう――!」


118隻腕28話(21/27):2006/05/02(火) 22:01:02 ID:???



――力が無いのが、悔しかった。

突然の戦禍に巻き込まれた一家。バラバラになった両親。千切れた妹の腕。
家族「だったモノ」をその場に残し、岸を離れる避難船の中で。
思い出の品を掴み損ねた手は固く握り締められ、己の掌を爪が食い破る。
何気なく仰いだ青い空には、なお続く戦闘。青い翼を広げたモビルスーツの姿。
少年はふと、思ってしまった。
そしてその思いは、彼の脳裏に強烈に焼き付けられた。
もし自分にあれだけの――いや、アレをも凌ぐ、圧倒的な『力』があったなら――

――力が、欲しかった。

地球連合に打ち倒されたオーブ。国に留まることに危険を感じた、一部のコーディネーターたち。
少年は彼らの群れに混じり、単身プラントに渡った。政治亡命者として受け入れられた。
何の後ろ盾もなく何の特殊技能もなく、ただ「コーディネーター」という生まれのみが頼りの亡命。
見知った者が1人もいない、異郷の地。
目の前の日々を生き抜くため、少年が「売る」ことができたのは、「己の未来」のみ。
すなわち、ザフト軍人になることを確約した上での、アカデミー入学だった。
衣食住は保障され、在学中に給料すら出るが、卒業後の就職の自由は失われる。
人生で最も輝ける10代後半から20代半ばまでの間を、ザフトに縛られザフトのために働かねばならない。
これではまるで、自分の未来を売り渡したようなものだった。

それでも、少年は喜んだ。素直に喜んだ。
これで『力』が手に入る、と。『力』が手に入るなら『未来』などいらない、と。
今も時折浮かべる、あの歪な笑みを浮かべ――喜んだ。

――力は、そして彼のものとなった。

入学時には目立つもののなかった彼だったが、しかし彼はめきめきと頭角を現していった。
格闘も射撃もMS操縦も、全て初めて触れることばかりだったが、貪欲に学習し習得して。
そもそも、気迫が違った。覚悟が違った。目指す境地が違った。
同期の仲間が家族の下に帰る休暇の期間も、帰る場所なき彼は1人で自主訓練を積み重ね。
やがて卒業する頃には、数々の逸話と無数の異名をその身に纏うことになる。
同期の仲間とのささいなトラブルから、相手を半殺しにし。
ナイフ格闘術の教官相手に「手加減できずに」重傷を負わせ。
MS操縦において、あらゆる戦闘について驚異的なスコアを叩き出した。
狂犬。フレッド殺し。血染めの赤。暴力装置。オーバーキル。黒髪のジョーカー。狂戦士。
彼を表す無数の異名。アカデミー史上に残る最強の優等生にして最悪の問題児。
そして与えられた、あの時点で最新最強の剣。1機で3機の特性を持つ万能MS、インパルス――

けれども彼の渇きはなお癒されず。彼の魂は血を求めて叫び続けた。
もっとだ! もっと力を! さらなる力を! 圧倒的な力を! 何者にも邪魔されぬ力を!
彼はさらに暴力に傾倒し、再び始まった戦争の中、笑いながら駆け抜ける。
時折不安げな表情を浮かべるルナマリアを傍らに従え、無口なレイと背中を守りあい。
彼は、力そのものになった。望んでいた力を手に入れたと思っていた。
119隻腕28話(22/27):2006/05/02(火) 22:02:04 ID:???

――力は、しかしそのためのものではなかったのか。

戦いの中に、ルナマリアは散った。
またも守れず、手の届くような距離、紙一重の状況で。
もはや大事な者など作らぬつもりでいた彼。遊びのつもりで関係を持った彼。
けれども、失われて初めて気付かされる、ルナマリアは彼にとって本当に大切な――

力を。もっと力を。さらなる力を。誰よりも優れた力を。
そのためには、怒りすら邪魔だ。憎しみすら邪魔だ。思い出すら邪魔だ。
機械のように正確に。ナイフのように鋭利に。結晶のように純粋に。
ただ、力だけを目指し、極限まで己を研ぎ澄ました。自己の限界、その向こうにまで到達した。

――力は、そして仇を捕らえた、はずだった。

激闘の末、全身の勢いを乗せた対艦刀エクスカリバーがフリーダムの腹を深々と貫いて/
でもフリーダムに乗っていたのはすっかり死んだと思っていた実のい/
勝利を祝福する仲間たちしかしアスランが叫んだ真実は/
力が無いのが悔しかったでも元はと言えば/
2年前転がる腕あれは/
再びオーブに舞い降りてきた白いMSそれに乗っていたのは間違いない確かに殺したと思ったマ/


――暗闇の中。
いつしか断片的な思い出は遠くに遠ざかり、彼の周囲は淡い光に包まれて。

いつの間にか彼は一糸纏わぬ姿で虚空に浮かび。
心地よい暖かさと、虹色の光が彼を包み込む。
どこかから、声が響く。虚空に浮かぶ彼を、包み込むような声。

『 思い出しては、いけない……。
  あの時の哀しみ、思い出してはいけない。あの時の後悔、思い出してはいけない。
  思い出したら、戦えなくなるから。思い出したら、また傷つくから。
  けれど、忘れることなどできはしない。そうでしょう?

  だから――鍵をかけよう。鍵をかけて、心の奥底に、隠しておこう。
  そうすれば貴方は、悪夢を見ることもない。
  そうすれば貴方は、哀しみも恐怖も動揺もない、無敵の戦士になれる―― 』

知る者が聞けば、それは催眠術師の口調そのもの。
知る者が聞けば、それはエクステンデッド調整マニュアルに書かれた文章の丸写し。
設定されていた禁句、それに触れてしまったエクステンデッドを元に戻す、基本的作業の1つ。
けれども、それは光の海に浮かぶ彼にとって、唯一示された救いの言葉で――

『 では、良く聞いて。
  貴方のトラウマを閉じ込める鍵、『ブロックワード』は、―― 』
120隻腕28話(23/27):2006/05/02(火) 22:03:04 ID:???

『 ―― 五 月 蝿 い ! 』

――それは、唐突に。
何人たりとも抗することなどできぬはずの深い深い催眠術。その真っ最中にあって。
心地よく魂に染み込むはずの声を、彼は遮った。
かッと見開いた赤い目。彼は激情も露わに、歪みに満ちた笑みを浮かべる。

『この程度の催眠術で、この俺が縛れると思ったか!?
 この程度のトラウマで、この俺が竦むと思ったか!?
 こんな下らないモノで、俺を支配できると思うな。俺を操縦できると思うな!
 俺は―― 俺 こ そ が 『力』 な ん だ ! 
  俺 こ そ が 最 強 な ん だ ! 』

シンの激しい一喝。世界を震わすほどの声。虹色の光に照らされた世界が、真紅に染め上げられる。
そして、彼を取り巻く幻の世界は、粉々に砕け散って――!


「きゃあッ!?」

――オーブで撤退を余儀なくされ、カーペンタリアまで戻ってきたミネルバの一室で。
エクステンデッドの再調整を行っていた研究者、ヘンリエッタ・ベリーニは悲鳴を上げる。
突如響き渡った打撃音。粉々に砕け散った、調整ベッドの透明なカバー。
そして、それを内側から叩き壊した者は――

「――『力』だ。さらなる力が必要なんだ」

煌く破片のが飛び散る真ん中で、赤い目を見開き、全裸のまま仁王立ちしていた。
シン・アスカ。コーディネーターをベースとした改造人間「オーバーエクス」の、第一号被検体。
それが、彼を「創造」した研究者たちを傲然と睨みつけ――

「――記憶を寄越せ。中途半端な術を解け。邪魔っけで動きづらいだけで何も得る物がないぞ。
 俺の『改造』に関するデータを見せろ過去の実験データを見せろ全ての資料を見せろ。
 お前らが何をやり何を狙い何を成さんとしていたのか、全て俺の前に曝け出してみせろ!」
「で、でも、これは極めて専門的なモノで、貴方などには……」
「俺のことは俺が一番良く知っている。お前たちに強化された脳は、お前たちよりも鋭い。
 コニールがナチュラルを越えた存在であるように、俺も既にコーディネーターを超えた存在さ。
 ここから先は俺自身が指揮を執る。とてもとてもお前らのような連中には任せておけない。
 高みが見たいんだろう?! ヒトの能力の限界が見たいんだろう!? なら、俺に従えッ!」

シンは叫ぶ。怯え、震える声で抗弁するベリーニを、シンは圧倒する。
狂気と、傲慢と、確信とに満ちた声。もはや誰にも止めること適わぬ絶対的な迫力。

「痛みを忘れることで到達できる境地など、たかが知れている!
 俺が必要としているのは――俺の望んだ『力』は、もっともっと先の世界にあるんだ!」
121隻腕28話(24/27):2006/05/02(火) 22:04:05 ID:???

――オーブから遠く離れたプラント。首都アプリリウス市。
最高評議会議長ギルバート・デュランダルは、ここしばらくの状況の推移に頭を抱えていた。
目の前のチェス板、その駒の1つを指で弾く。ドミノ倒しのように続けて倒れる、いくつかの駒。

「やれやれ……悪いことというのは、重なるモノだね」

スエズ基地を奪取したところまでは、良かったのだ。順調だったのだ。
だが、地球連合の足並みの不一致を突いてヨーロッパに広げた勢力圏は、結局取り戻され。
ヘブンズベースに対して仕掛けた総攻撃は、完全に失敗して敗退。
プラントのアイドルとして作り上げた「ラクス」ことミーアの正体が暴露されるオマケ付きだ。
続くカーペンタリアへの攻撃を撃退できたのは良かったが、その後オーブに向けた反撃は。

「オーブが連合を離れ、中立に戻ったのはまあ悪くない結果ではあるが……
 ジブリールを逃がし、降下ポッドを失い、連戦連勝のミネルバに土をつけてしまったのはな」

デュランダルの政治は……実は、政策論争などはさりげなく回避している。
中道寄りの穏健派。良くいえば柔軟。悪く言えば日和見主義。明確な方針らしい方針を持たぬ彼。
そんな彼が代わりに多用したのは、アイドルやヒーローを演出し、その人気を利用する方法だった。
ミーア、アスラン、ミネルバの面々。彼の脚本・演出による『デュランダル劇場』の役者たち……。

しかしその方法も、今行き詰まりかけている。危機にある。
ここしばらくの間にプラントにおけるデュランダル政権の支持率は大幅にダウン。
この調子が続けば、やがて彼は今の地位を失うことになるだろう。
いや、おそらくそれは、そう遠い日のことではないはず……

「……動かねばならないか。
 今、議長の座を追われてしまったら、永遠に機会は巡って来ないだろうからな。
 実験データもまだまだ足りないが、それでも道筋を示すための最低限のモノは……」

デュランダルは立ち上がる。この局面で、大きな賭けに出ることを決断する。
本来はもっとザフトの優位が固まって、連合サイドが反論できなくなってから出すつもりだったプラン。
しかし考えようによっては……

「それに新たなる道を示すことで、この不利な戦局を打開できるかもしれん。
 ガルナハンの住民のような、ザフトに協力する者も増えるかもしれん。
 いずれは実行せねばならぬことだ、ならば今、この時に……!」

そしてデュランダルは、決断した。
あのプラン、戦後統治に使うつもりだったプランを、起死回生の一手として使うことを。
122隻腕28話(25/27):2006/05/02(火) 22:05:03 ID:???

『親愛なるプラントの皆さん、そして、地球に住む全ての皆さん――
 私は今、皆さんに1つの提案をしたいと思います』

オーブへのザフトの攻撃が失敗に終った、その2日後。
その放送は、敵味方全ての陣営、全ての人々に向けて発信された。
偽ラクスの件や作戦失敗の件で、ここのところ責められ続けていたデュランダル。
モニターを背負い、演台に立った彼は、静かに語り始めた。
最高評議会を通すことなく独断で始めたこの放送、おそらく謝罪なのだろうと誰もが思っていた。
しかし彼は、人々の予想もつかない話を始めたのだった。

『みなさん。この戦争の大元を、もう一度思い出してみて下さい。
 2年前、プラントと地球連合の争い、という形式をとって戦争が始まりました。
 けれども問題の中心には、常にコーディネーターとナチュラルの間の対立があったのです。
 コーディネーターとナチュラル、この両者がどのような世界を作るのか。それが争点でした』

デュランダルは大きな身振りを交えて語る。ごく当たり前のことを、まずは整理していく。
指を4本立てて見せて、1つ1つ折って見せる。

『ナチュラルに有利な条件でコーディネーターを封じ込めたかった地球連合。
 コーディネーターの能力を存分に発揮させたいと考えたプラント。
 この両者の間の争いは、やがてさらなる過激な思想を生みました。
 コーディネーターの存在そのものを全否定するブルーコスモス。
 ナチュラルの存在そのものを全否定する、パトリック・ザラとその信奉者たち。
 このどれにも属さぬ中立の陣営も、無いわけではありませんが、ここでは省略しましょう。
 これら4つの立場を踏まえた上で――私は、さらに新たなる道をここに示したい』

デュランダルはここで軽く間を空けた。
極めて簡単に、各陣営の基本的な考え方を示し、それが聞き手に浸透するのを待つ。その上で。

『そもそも我々コーディネーターは、ナチュラルにはない2つの特徴を持っています。
 1つは、ナチュラルよりも優れた能力。
 もう1つは、己自身の天性の適性を知る者が少なくない、ということです』

デュランダルの言うコーディネーターの特徴。後者については説明が必要だろうか。
第一世代コーディネーターは、意図をもって設計され、生まれてきた「デザインされた子」だ。
ある者は運動能力を主眼に据えて。ある者は高い音楽的才能を。ある者は美しい容姿を。
その「デザイン」の内容を知ることができれば、コーディネーターは己の適性を知ることができる。
もちろん、全てのコーディネーターが実際に知っているわけではない。
親の方針で伏せられていたり、データが失われたり、意図しない特徴が現れたりすることもある。
けれど、「ナチュラルと違って」知ることができる余地があるのもまた事実で。
第二世代以降のコーディネーターについても、両親のそれらの特性が分かれば容易に推測できる。

『しかし同時に、我々コーディネーターは、出生率の問題を抱えています。
 第二世代以降の大幅な出生率低下……残念ながら、これに対する有効な策は見つかっていません。
 僅かに可能性があるのは婚姻統制のみ、それとて十分な結果を得られていません』
123隻腕28話(26/27):2006/05/02(火) 22:06:03 ID:???
デュランダルは、溜息をついてみせる。見ている人々を意識した、計算づくの溜息。
実は――この事実を公式に認めてしまうのは、最高評議会議長としては極めて危険なことだった。
デュランダル自身、「現在研究が進められている」などと言ってお茶を濁し続けてきた問題だ。
しかし、認めてしまう。手詰まりとなった現状を、彼ははっきりと言ってしまう。

『我々は過去の人類より優れた能力を持ちながら、それを次世代に継げずにいるのです。
 これは現在のプラントのみならず、未来の人類にとっても大きな不幸と言えるでしょう。
 コーディネーターとプラントによって得られた高い技術力が、いずれ失われてしまうのです。
 ……誰かに、受け継いでいかねばならない。
 我らの能力、そして、より高みを目指すこの想い。継いでいかねばならない』

デュランダルは力説する。
彼の背後のモニターに映るのは、ファーストコーディネーター、ジョージ・グレンの映像。
ジョージ・グレンが示した人類の可能性。彼の登場が変えた世界。

『さて、ここで考えて見て下さい。
 もし……もしもの話です。
 ナチュラルが後天的に、コーディネーター並みの能力を得られたとしたら。
 我々コーディネーターと同等の能力を獲得できたとしたら。
 プラントの後継者の問題も、一挙に解決します。技術も想いも、彼らに受け継がせることができる。
 それだけではない、そもそもコーディネーターとナチュラルが争う必要も無くなるのです。
 ナチュラルとコーディネーターの能力格差、それを埋めることが出来れば』

……夢物語だ。両者の格差が大きなものだから、そして埋められないから、対立が生まれたのだ。
ナチュラルの一握りの天才はコーディネーターをも越え得るが……それにしたって、極めて珍しい話。
しかしデュランダルは構わず言葉を続ける。

『そして――その夢の実現の時が、近づいているのです。
 天性の適性を知るために、遺伝子の解析技術が。
 そして、後天的に高い能力を得るために、『エクステンデッド』技術、人体強化技術が。
 それぞれ、現実的な可能性が見えてきたのです!
 既に、プラントに協力的な地域の住民から志願者を募り、実験を開始。
 様々なデータは、彼らがコーディネーター並みの能力の獲得に成功したことを示しています。
 中にはザフトに参加し、コーディネーター用のMSで絶大な戦果を上げている者も居るのです!』

デュランダルの背後に映るのは、赤いガイアの勇姿。
もちろん、オーブの戦いでSフリーダムに一方的にやられるシーンは採用されていない。
ミネルバとの合流前、模擬戦闘の映像が主体だろうか。それでもその動きは乗り手の能力を感じさせる。
その映像をバックに、デュランダルは高らかに宣言する。

『ナチュラルの皆さんの天性の才能を、遺伝子解析で割り出して。
 その能力を、人体強化技術で高みに引き上げる。
 コーディネーターとの格差を、後天的に解消する――
 そして、終わりのないこの対立に、本当の意味で決着をつける。
 これが私の提案する『デスティニープラン』。人類の最終解答なのです!』

124隻腕28話(27/27):2006/05/02(火) 22:07:06 ID:???

――唐突に提示された、デュランダル議長の『デスティニープラン』。
同時に、断片的ながらも公開された、一部の実験データ。
それは、世界に激震をもたらした。
ナチュラルとして生まれた者がコーディネーターに「成れる」という、その可能性。
ここまでの戦争の枠組み全てをひっくり返す、新たな発想。
オーブの人々も。連合の人々も。ザフトの人々も。全ての人々が、大きな驚きに包まれる。
エクステンデッドの存在を知っていた人々も、その発想の飛躍に衝撃を受け。
アスランやタリアなど既に知っていた者たちも、このタイミングでの発表には驚きを隠せない。


そんな中――オーブ連合首長国、主の戻ってきたアスハ家の屋敷。
カガリと共に、屋敷の一室で放送を見ていたマユは、呟いた。

「おかしい、よ。
 だって――だって、もしそんなコトができるなら――」

『あー、いいねー、そういう『普通の生活』……」
『僕にもできるのかな、そういう普通の生活……こんな僕にも、さ……』

「あの時、アウルが泣く理由がない――」

マユの脳裏に蘇るのは、スエズでアウルと交わしたあの会話。
まるで『普通の生活』ができないような事を言っていたアウル。
あの涙の意味は、何だったのだろう? あれは、どういう意味だったのだろう?
マユは思う。議長のプランには、ひょっとして何か、致命的な落とし穴が――!?


                    第二十九話 『 人の夢、人の業 』 につづく

いやはや長くなってしまいました。これだけのボリュームですから仕方ないんですが。
オーブ攻防戦の総括的な話はかなりカット、その一部は次回以降に。
オーブで再会した面々、ミネルバに戻った面々には積もる話もあるはずですが、
全部書いていては何枚あっても足りないので。

・カガリ専用ムラサメ(黄色いムラサメ、トラサメ)
 オーブ軍での色分けはアストレイから。黄色が金色の代用というのはオリジナル解釈です。
 しかしああは書きましたが、金色のストライクルージュ、実現できなくて本当に良かったw
 ちなみにイケヤ・ニシザワ・ゴウの3名はアマギらと共に生存。後から輸送機で追いついています。

・マユの「非殺」
 初期構想では27話と28話を一話にまとめ、その上で批判なり何なりを頂くつもりでした。
 大筋はほとんど最初っから出来てましたが、しかしこんなに間が空くとは……。
 ちなみに既に出ている批判の一部については、ま、仕方ないかなとも思ってます。
 ただこの作中のマユを絶対正義とする気は皆無ですから、それだけはご了解の程を。
 どうやら早速、壁にブチ当たっているようです。

・デストロイのパイロット
 募集キャラ、再登場です。サニィーは生き残りました。
 まだデストロイに乗って出てきてない募集キャラも何人か居ますね。

・ユウナの逮捕
 まあ冷静に考えればカガリに逮捕権なんて無さそうですが、緊急の応対として。。
 この後、正規の手続きと処分に移行します。法廷ではウナトの政治の実態解明が図られるのでしょう。

・デスティニープラン
 ナチュラル総エクステンデッド化計画、それが隻腕版の運命計画です。
 マユの疑問のみならず、ツッコミ所満載の計画です。が、その辺はまた後ほど。


次回、遠い過去のお話。予知能力者ラクスに並ぶ、隻腕版の大幅設定変更の中核に踏み込む予定です。
126通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 22:22:12 ID:???
GJすぎるぜ隻腕さんよぉ!くぅ〜どこから感想を言えばいいのか分からん…
127通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 22:29:19 ID:???
乙でした。
焦らず、じっくりとご自分の納得のいくように書かれてください。
お身体には気をつけて。


















本編では生きているキャラが死んだり、ひどい目にあう生け贄キャラがでた時点で違和感があったんですが、
マユの非殺はともかく、ウナトの死にかたやシンの扱い、“悪い”デスティニープランには納得いかず、
読むのが辛くなったので、私はここまでです。
128通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 23:01:54 ID:???
なにいってんのっっっ
129通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 23:19:04 ID:???
乙です!今回もまたハラハラさせられました!

個人的に見所だった場面はウナトの想いとその最期、
ユウナの進言による自身の逮捕、シンの洗脳打破と最強宣言あたり

シンの場面は温泉の時同様、画面上で必死に股間を見せない構図にしてるのが
目に見えるようでちょっと笑ってしまいましたw

さっそく壁にぶち当たったマユの名誉挽回を祈りつつ続きを楽しみにしてます
130通常の名無しさんの3倍:2006/05/02(火) 23:39:48 ID:???
GJです!!
次回も期待して待ってます、じっくりと納得のいくまで書いてくだされ

今回も戦闘シーンに緊迫感があってよかったです
というか、Sフリも暁もボロボロだ
Sフリの損傷が右腕と左足なのは、やはり意図的ですか?

シンのブロックワードが結局わからなかったような
まぁ、たぶんマユで間違いないだろうが・・・・・・
131通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:02:45 ID:???
>>128
捉え方は人それぞれ、て議論は何スレか前に散々されてるはずだが?
132通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:05:36 ID:???
批判意見に信者装って噛み付いて雰囲気を悪くする新手の荒らしだったりするかもよ
133通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:08:04 ID:???
>>132
なんか最近そんな気がしてきた
避難所のほうもあれっきり動かないし
ひょっとするとこのスレを潰したくて仕方のない香具師がいるのかもね
134通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:08:18 ID:???
まあ感じ方や考え方は人それぞれです。

俺は心からGJと言いたい。
それにしてもシンが濃い!ムラケンボイスを想像すると噴き出しそうになるが気にしない。
あー、ムラケンに隻腕シンを演じて欲しいなあ。
135通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:10:15 ID:???
GJ
しかし何ていうか
『俺がこの手で殺してやる、そしたら戦わずにすむだろ』って言いたくなるような
136通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:20:56 ID:???
アニメでは何を意図してるのかよく分からなかったデスティニープランだったが、
隻腕では「出生率問題」等と絡める事で説得力が随分増しているように感じた。

今後のマユの苦悩・成長に期待します。
137通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:28:25 ID:???
>>127
ルナマリアファンは隻椀では不遇だ。割り切れよ、でないと(ry
138通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:35:31 ID:???
アッサリマユの非殺が解決しなくて良かった。
やっぱりグチグチグダグダ悩んで、その上で成長するのが主人公だと俺は思っているので。
マユのとても良い悩みっぷりに惚れ直した。GJ!


俺って変態?
139通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:38:00 ID:???
・・・・・・レクイエムが(自主規制)に落ちて、思いっきり後悔に押し潰されそうになるマユを幻視した
140通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:44:47 ID:???
>>137
ルナ厨だが本編よか全然扱い良くて感動した
不遇度に関しては死ぬ、死なないじゃ測れないな
141通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:45:07 ID:???
>>127 >>137
未練たらしくグチグチ言ってんな
オリキャラじゃなくわざわざ原作キャラが死んだんだから
作者が少なからずルナ嫌いだっただけだろ
もう殺されたんだし、言っても無駄だっての
142通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:47:38 ID:???
嫌いだから殺したって感じじゃなかったと思うが
143通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:51:31 ID:???
このスレを潰したくて仕方のない奴がいるって本当みたいだな
144通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 00:57:52 ID:???
>>142
少なからず、だよ
生存してるキャラを殺すか普通
145通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 01:08:47 ID:???
だって隻腕なんだぜ?
ルナはもう居ないんだ!割り切れお前ら!!

本編でちゃんとした死に方をした奴っているのか?

それだけでもOKだろ
某SSなんてカガリもAAもラクスも死んだぜ?
146通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 01:09:14 ID:???
ハ、自分の主観を他人に押し付けようっての?
かっこ悪いってンじゃねー?そういうの。
147通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 01:17:35 ID:???
殺したから嫌いだったんだ、と決め付けられたら、この先職人方はキャラ殺すのに困っちゃうぞ
生存キャラが全員生存して、死亡キャラが全員死亡するって縛りあったら読んでても先読めてつまらんし

隻腕はマユかシンどっちか死ぬんじゃね? もしくは両方死亡。
148通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 01:25:57 ID:???
キャラが死ねば感動なのさー
人気キャラなら尚更ー
隻椀に釣られたんだよー
149通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 01:28:39 ID:???
全滅エンドでいいじゃん
むしろ救いがあったほうが、ハァ?だろ
いままで散々殺したくせにってやつ
150通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 01:29:44 ID:???
これが黄金厨というものか・・・
151通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 01:38:59 ID:???
ああ、IDが見えてたらすごく面白いのに!
152通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 01:45:21 ID:???
イデエンドだったら神認定
153通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 02:11:50 ID:???
隻腕さん、乙でした。
マユの苦悩、カガリの心からの言葉、ユウナの進言など非常に良かったです。
とりあえず私はあと何度、あなたのマユが思い出すアウルに泣かされればいいのでしょうか。・゚・(つД`)・゚・。
154通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 02:12:50 ID:???
イデ以外だったら駄目かよ?
駄目かな…
155通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 02:34:50 ID:???
今回の隻腕も色々濃かったが、シンの最強宣言で全部吹っ飛んだw
まさか自分から洗脳の殻をブチ破って鬼神化するとは思わんかった
アニメでこれぐらいイッてる奴だったら神として全ての視聴者に崇められたに違いない
156通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 03:29:45 ID:???
スペシャルエディションは総集編でしたw
157通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 03:59:50 ID:???
とりあえずシンとアトリが被ってしょうがない
皆を守ることに目覚めて雲霞の如き敵の群れに戦いを挑んだりしたらノエインを思い出して泣いてやる
158通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 04:19:26 ID:???
生まれ持った「才能」を上回り
人並み外れた「努力」と「経験」を重ねても飽き足らず
あげくにエクステンデットへの「改造」をも超えた……

あのシンの境地に達するには
「思い」や「決意」でも足りるまい……

「運命」というヤツが、シンをあそこまで高めたのか……
159通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 04:45:46 ID:???
そんなにシンの描写って良かったか?
俺はなんか萎えたけど……。
いやアンチじゃないよ信じて。
160通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 04:51:09 ID:???
>>137>>148
ヒント:隻腕が隻椀になってる
口調は違うが、こんな偶然あるかね?
161通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 05:15:58 ID:???
まぁアニメのシンはgdgdなりに「力を以って平和を守る」という一貫した視点を持ってたのに対し隻腕シンは完全に目的と手段が入れ替わってるからねぇ。
萎えるというよりお前誰だよって感じ。
こっち方向に突き抜けたキャラは居なかった(しいて言えばラクシズ狂信者ドム三馬鹿ぐらいか)から新鮮だけどな。

俺としては人類みなエクステンデッドな方向と国家反逆罪に激しくツッコミたいけど隠し玉があるみたいだからここはじっと我慢だ。
続き楽しみにしてるぜ。
162通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 06:07:45 ID:???
>>160
自演乙
163通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 08:43:53 ID:???
>>161
まあ、お前誰だよつったら他の連中もみんなそうだろ
キラは自分の所業を振り返って自らの責任を全うしようとするような殊勝な奴じゃないし、アスランも大義と私情を都合良く使い分けて恥じない
ユウナだってあまりに立派すぎるしな
キャラが変わってるのは誰も一緒だけど、ただ同人アニメと違ってそれぞれの心の動きがある程度納得できる仕上がりになってると思うがな
164通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 08:45:19 ID:???
>>163
アスランについては、アニメの奴がってことね
165通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 09:22:24 ID:???
ジブたんレクイエム発射マユ落ち込む
ミーアあぼんマユテンションアップ
マユシズ大勝利議長サイドあぼんしまくり希望の未来にレディーゴー
シンはコニールに抱かれて泣いて、ルナ死ななくて良かったじゃん、ああシンコニがしたいのね
こんな所だろ
166通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 09:40:53 ID:???
165
167通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 09:42:41 ID:???
>>165
その内容をお前が書くのと隻腕さんが書くのとで違うから俺らは隻腕さんを楽しみにしてるんだよ
168通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 10:13:16 ID:???
デスティニープランの内容はさすがに原作に軍配だが、
これからどう転ぶか分からんのでとりあえず待つ。
169通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 10:38:38 ID:???
>>165
www
170通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 11:36:06 ID:???
>>165
ルナの死は十分必要性ありだったと思うんだが。

>>168
>デスティニープランの内容はさすがに原作に軍配だが
それは本気で言ってるのか?
そりゃあの内容にアスランが同意したのかっていうとちょっと???
だと思ったが。

171通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 12:28:29 ID:???
>>137だが、
俺、自演してないよ?(´・ω・`)
ああ、だけど否定する証拠がない……。

ルナのことは納得してるって。黒富野な作風だったんだし。
や、最近のマユの非殺とか種な作風になって作中で露骨な理由づけしたりは納得してないっていうか、
それで最終的にシンコニだったら邪推もしちゃうけど。
うわ駄目だ俺荒らしと変わらね、吊ってきますorz
172通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 12:29:43 ID:???
シンに関しては、我は英雄王を思い出した。
「俺を洗脳したくば、その三倍はもってこいというものだ」

あとグフプレッシャーをみて「またかよ隻腕…(´Д`;)」と思ったが、
ユウナタイーホを見てGJ!に変わった。
まあ、親父の死に様に不満がなくなったわけじゃないけどな
173通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 12:29:52 ID:???
お前ら本当に隻腕好きなのなw 文句いいつつ読んでるしw
174通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 12:56:24 ID:???
>>170
全容はまだ語られてないと思われ
175通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 13:14:49 ID:???
隻腕はどんどんただのSSになってくな
こんなに盛り上がらなかったか
176通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 13:19:20 ID:???
ただのって・・・・何だと思ってたんだよ
177通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 13:54:16 ID:???
何か今回の隻腕シン見てたらHELLSINGとか思い出した。
178通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 13:55:31 ID:???
隻腕作者氏乙。今回は盛りだくさんでどこにコメントしていいやら。
とにかく、迷いが少し晴れた筆致に安心しますた

個人的にはシンは原作の口調と雰囲気を残して欲しかった。
でもラスボスまっしぐらなオマエも大好きさ!・゚・(ノД`)・゚・

セイバー達磨事件の新解釈はなかなか良かったです
179通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 14:01:56 ID:???
>>175-176
178ですが、二つ三つ前の話まで神懸かってたと思う。
しかしみんなの過剰なプレッシャーと要望が少々重すぎた。
俺だったら筆を折、もといキーボードを放り投げたかも知れない
180通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 14:43:26 ID:???
隻腕キタコレ
レイとユウナがテラカコヨス

もうこの作品を乙とかGJなんて使い古された言葉で評価したくない。
でも評すべき言葉も思いつかないw
181通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 15:21:23 ID:???
>>180
じゃあPJ(Perfect Job)とでも評しておこうぜ
182通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 16:34:38 ID:???
不満ならみなきゃあいいのに、種厨のツンデレっぷりには恐れ入る・・w

こうやって荒らすのは職人さんの気概を殺ぐのが目的なのか?

隻腕自分的にはキタキタキターだった。GJ!
183通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 16:38:11 ID:???
>>180
GOOD JOBからOをひとつ削って
GOD JOBなんてのもありますが。
184通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 16:41:41 ID:???
>>182
まあ不満や批判もある程度必要だとは思うがね。
俺は隻腕支持だけどね。

ようは住人同士の喧嘩腰の議論を無くせば良いだけの話だ。
185通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 16:44:48 ID:???
>>125
シンはどんどんすごいことになっていきますなw
けど修羅のシンは好きだ・・・。ほどほどに悩むアスランも良いなあ。
まあ「隻腕」登場人物はみんな好きなんだけどw

それと隻腕版ディスティニープラン。個人的にはナイスと思いました。
お体に気をつけて今後も頑張ってください

GJ!! でした
186通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 17:41:16 ID:???
ユウナがテラカッコヨス!!!
隻腕ユウナに惚れ惚れしますよ!

マユの非殺に対しても、あっさり解決せずに苦悩していますが、個人的に
「あたしは、傲慢でもいい!」という台詞に感じるものがありました。
今後マユがどこまでその『傲慢』を突っ走れるか、
あるいは同人アニメキラ凸のように半端モンに陥るのか…
幾つもの壁はあるでしょうが、マユ自身の『答え』にうまく行き着いて欲しいです。

最近色々と荒れ気味ですが、隻腕作者さん含め、皆様頑張って下さい!
187通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 17:44:41 ID:???
文句が出るのも人気作の証拠。
ホントにどうでもいいなら投下されてもスルーされるだけ。
188通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 18:18:19 ID:???
ユウナにはハッピーになって欲しいなあ。
自分の意志とはいえ逮捕されて、親父グフに潰されて、義妹が脱セイラン宣言してるのはさすがに可哀想だ。

マユの「シンプルにそう思っただけ」の一言がちょっと富野っぽくて格好良かった。
189通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 18:23:04 ID:???
隻腕マンセーを強制する様な雰囲気は何とかならんのか
ここの住人ならマンセー必須ってか
ラクス帝国かよ
190通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 18:24:45 ID:???
信者ウザス
191通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 18:28:23 ID:???
>>189
ならば君がそれ以上に住人にマンセーされる作品を書けば良かろう。
隻腕なんて駄作だよね、と住人に思い知らせるほどの名作をな。
192通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 18:40:54 ID:???
>>191
あのね。隻腕そのものを叩いてはいないよ。
隻腕なんだからマンセーしろって雰囲気がおかしいって言ってるんだわ。
盲目的な称賛をして反対意見を排除するのは、アニメ種厨も隻腕厨も変わらないんじゃない。
もちろん荒らしや煽りは撲滅するべきだけど、このレスも荒らし扱いかな。
数スレ前なんて隻腕信者がマンセーとアニメ叩きで進行させてたでしょ。
193通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 18:42:55 ID:???
194通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 18:45:50 ID:???
こーゆースレでは、面白いと思ったらレスしてつまらんと思ったらスルーする。
そういうもんじゃないの?
荒れるでしょ。そうでないと。
195通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 18:49:16 ID:???
荒らしも信者も自演してるんだろ
196通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 18:54:18 ID:???
信者だとアンチだろうが俺たちはみんな同じ人なんだ!
なのになんで煽りあう!
気に入らない内容はスルーすればいいだろ!
197通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 18:59:14 ID:???
信者の一部は確かに調子に乗りすぎ。浮かれすぎ。
間が開いたから、飢えてたのは分かるよ。でもほどほどにな。

で、アンチの一部は八つ当たりするとこ間違えすぎ。
特定の問題発言叩くならともかく、「雰囲気」叩いても仕方ないよ。
苛立ちも分かるけど、我慢しような。
198通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 19:00:15 ID:???
信者の過剰な持ち上げに引いて隻腕嫌いになった奴もいる。
今日だってGODだのPERFECTだの、それに満足したら負債叩きに移行だし。
負債は叩かれてもしょうがないが。該当スレがあるのに。
199通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 19:00:53 ID:???
OK、とりあえずここ最近の発言は全てスルーしておけばいいんだな
投下は除く
200198:2006/05/03(水) 19:02:32 ID:???
悪い。スルーするわ。
201通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 19:04:07 ID:???
隻腕作者本人も某所で怖いって言ってたね
202通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 19:41:50 ID:???
読者の発言に対する絡み合い(要は喧嘩)を禁止することをテンプレに加えた方がいいんじゃないか?
感じ方なんて十人十色なんだし、それに対して文句言われたって「実際そう思ったんだから仕方がない」としか言いようないじゃない?
実直な意見を言える雰囲気が職人を育てることになると思うし、意見が統制されたらスレの未来はそうないと思う。
自分と違う意見でそれに反論したくなっても、そこをぐっと我慢して絡まなければスレの読者の質は上がると思う。

自分のレスで気を悪くした方はどうかスルー願いたい。
203通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 19:48:19 ID:???
そうねぇ。ある程度歯止めが必要かなぁ。

ただ、テンプレとなると文面が難しいねぇ。
SSを肴にした雑談を妨げないようにしつつ、ケンカは防ぎたい。
投下が乏しい時期に、雑談さえもできないと痛いしね
204通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 19:54:09 ID:???
さあみんな!オープンに避難所で話し合おうではないか!
205通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 20:00:07 ID:???
>>204
お前ワザとギャグで(それもかなりブラックなジョークとして)言ってるだろ、それw
マジ切れする奴が出る前に謝っとけw
206通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 20:29:31 ID:???
厨房受けする展開満載なんだから厨房が集まってくるのは当然
信者とアンチの言い争いに荒らしも便乗してもう・・・

207通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 20:32:37 ID:???
第2のしのはら氏?
208通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 20:44:01 ID:???
議論しだすと止まらなくなるのは分かってる筈なのにな。
議論してる奴全員嵐でFA。
クールかつ殺伐とスレを進行するのが最良です。
209通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 20:48:03 ID:???
ネタスレやネタ投下スレでの議論は厳禁。
そんな事も分からん奴は、月並みだが半年ROMれ。
210通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 20:54:07 ID:???
・住人同士の議論は禁止。感想、批判のアンカーは職人さん限定で。他人の意見への個人的な干渉は正直困ります。友軍誤射はしないように。

とかどう?
211通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 20:58:18 ID:???
>>210
そんな感じで良いと思うよ。
他人の意見への干渉云々について、『作品の批評』議論禁止ってのを分かり易く前面に押し出した方が良さそう。
雑談禁止と誤解されてはマズいし。
212ほのぼのマユデス。まゆずきんちゃん。:2006/05/03(水) 21:26:52 ID:???
「俺の為に劇を?」
「うん、皆で準備したんだよ!」
マユの言葉にアスランが微笑む。
ここ最近、色々あって元気のないアスランのために皆で劇をすることになった。
題材が皆が知っている『赤頭巾ちゃん』。もちろんアレンジが加えてある。
と、いうわけでほのぼのマユデス劇場のはじまり。はじまり。


題名『頭巾戦隊 ガールズファイブ!』

アスラン「なんじゃそりゃぁぁぁぁぁ!!」


むかしむかし、あるところにお母さん(レイ)と五人の女の子が住んでいました。
全員ずきんを被っていたので、上からルナずきん、メイずきん、ステずきん、ミアずきん、そして末っ子はマユずきん。
そんなある日、おばあちゃんが病気になってしまったのでお母さんはお見舞いに行かせようと思いました。
 「ルナずきん、一番上のお姉さんだからお前が一番先に向かいなさい。」
 「えー、めんどくさ・・・・・。」
 「シキアキ本やるから言って来い。」
 「シキティヤッフー!!」
あっさり同人誌につられてルナずきんはパンとワインをもっておばあちゃんちに向かいました。
 「狼に気をつけなさいよー。」
お母さんの忠告も聞かずに走るルナずきん、もう頭の中ではめくるめく電波攻です。
しかし、これが悪かった。ルナずきんは狼達の卑劣な罠に引っかかってしまったのです。
ルナずきんがおばあちゃんの家に行く途中に、見かけないお店がありました。
 「こんなお店、あったかしら?」
そう言ってルナずきんちゃんがお店の中に入ると・・・・・・。
 「「「「「「クラブ・ヴェステンフルスへようこそ!!」」」」
ずらーっとならぶカッコイイお兄さん達。そう!そこはホストクラブだったのです!
きっと永久指名制とかそんな感じにちがいありません!
あっさり入店してお酒を頼みまくるルナずきんちゃん。ドンペリ一本入りましたー!

アスラン「おい、いいのか。それでいいのかルナマリア。」
213ほのぼのマユデス。まゆずきんちゃん。:2006/05/03(水) 21:28:19 ID:???
 「・・・・まったくあの子は・・・。」
その頃、お母さんはニュータイプ能力でルナずきんの様子を感じ取っていました。
お母さんはため息をつくと、メイずきんにお見舞いを頼みます。
メイずきんはとってもいい子なのできっと大丈夫だろうと思って、ブランデーとクラッカーを持たせました。
 「いってきまーす。」

そう言っておうちを出たメイずきん。
よりみちすることなくまっすぐおばあちゃんのお家へ向かっていましたが・・・・・。
 「きゃっ!」
 「悪い!大丈夫か!?」
森の途中で誰かにぶつかってしまったメイずきんちゃん。
ぶつかった相手は狼のスティング・・・・・・。
違う種族ながらも優しいスティングに引かれていくメイずきん・・。二人の恋の行方は?!
『ふたりのよるに』
近日ロードショー!!

アスラン「おい!!」

その頃、お母さんはまたニュータイプ能力で娘の失敗を感じ取っていました。
ため息一つ、うちの娘はろくにそだたない。もうどうしようかしらお父さん。
そんな悩みは置いておき、次は二人でいかせることにしました。
ミアずきんとステずきん、どちらもおてんばな娘です。
お母さんは二人にテキーラと大福をもたせて送り出しました。
 「いってきまーす♪」
 「うぇーい♪」
ミアずきんとステずきんは仲良く『深海の孤独〜きゃんべる☆りみっくす〜』を歌いながらおばあちゃんちへ向かいます。
すると・・・・・・。
 「まてまてーーい!!」
水色のどことなく幼い顔つきの狼が茂みから襲い掛かってきました。
ピンチだ!狼アウル!
「へ?」
とぼけた声をだす狼をよそに、振り返った二人の手には・・・。
鉈、注射器。やっぱりお約束でひぐらしがなくきます。

------------暗転----------

アスラン「アウルーーー!!なぁ、無事なんだよな?!」
214ほのぼのマユデス。まゆずきんちゃん。:2006/05/03(水) 21:30:36 ID:???
お母さんはまたもやニュータイプ能力で娘たちが暴走したことを悟りました。
こうなったら一番最後の娘にまかせるしかありません。
「おっしゃーー!!」
久々の活躍の場面で興奮するマユずきん。もう人気投票がおこなわれることはないだろうに、かわいそうなくらいはしゃいでます。
お母さんはおもわず涙しながらマッコリとキムチをマユずきんに持たせました。
マユずきんは愛用のマシンガンを持っていそいそと出かけます。ヴァンパイ○ハンターですね!
しかし、そのころお婆さんの家にはなんと狼が来ていたのです!

----------ばーさんち---------

「やだなー、バーさんもやだけど男もやだなー。」
文句をたれながら来るのは不可能を可能にするエロ狼です。
お婆さんの家の前に進入し、今にもお婆さんをたべようとしています。
「はぁ・・・・、ステラとマユ。はやくこないかなぁ、他の奴らはどうでもいいや。」
これまた自分の欲望に忠実に文句をいうお婆さん。
むこうでなにやら「ネオシン?!あらたな境地!!」とか言っているアホ毛がいますが、気にしないようにしましょう。
「まぁ、仕方がない。と、言うわけで食うぞーーー!」
「食われてたまるかーーー!!」
お婆さんは狼が出てきたのと同時にショットガンを持ってきました。
サブガンとして腰にはオートマグが。間違いなく殺る気です。
「おい、チョット待て。本気か?本気なのか?」
「うん、だってあんたがいるとステラ独占できないし。」
ガシャコンと、弾をショットガンに詰めるおばあさん。目的のためなら手段をえらびません。
そして、マユずきんが付く頃には・・・・。
「わぁお・・、おにいちゃん・・じゃなかったおばあちゃんちが戦場になってる。」
もう全壊です。壊れすぎです。原型とどめてません。
「死ねぇネオ!!」
「のうわぁぁぁ!!」
手榴弾を投げるお婆さんに伏せるエロ狼。
「どっち助けよう・・・?」
マユずきんは悩みます。これできっと人間に戻れるかどうかが決まったり攻略できるキャラクターが変わったりするので
慎重に選ばなければいけません。
『あ、マユずきんちゃん。』
向こうから猟師さんがやってきました。さすが普段から命がけで獣を狩っている男、何があってもどうじません。
「シンハロ・・じゃなくて猟師さん、どうしよう、これ。」
微妙に途方にくれつつ猟師さんに話しかけるマユずきん。
『そんなことよりさ、君のお母さんにお姉さん達を回収するよう頼まれたんだ。一緒に探してくれないか?』
「うん、いいよー。」
こうして乱闘する二人をよそに、猟師さんとマユずきんは仲良くお姉さん回収の旅に向かいましたとさ。めでたしめでたし。

-----------the end---------------

アスラン「('A`) 」

へんじがない ただのしかばねのようだ
215通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 21:44:04 ID:???
>>ほのぼの氏



216通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 21:49:21 ID:???
ほのぼの作者様、乙。
一番上のお姉さんが一番どうしようもない気がw

あとこのタイミングでの投下にGJ!
217通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 22:20:00 ID:???
ほのぼの氏乙。本当に乙。
218通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 22:24:09 ID:???
ほのぼの様乙です!
娘っ子たちの赤ずきん姿を想像すると可愛いな…誰か絵に描いてほしいくらいだw

…気になるのはレイ母ちゃんの旦那さんが一体誰なのかが。
219通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 22:36:06 ID:???
夜王ネタでリシャール吹いたww
220通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 22:39:27 ID:???
ほのぼの様乙!
マユずきんだけでなく、クラブ・ヴェステンフルスの面々もちと絵で見てみたい気がする。

レイ母ちゃんの旦那はやっぱ議長…?
221通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 22:41:44 ID:???
ひぐらし吹いたWWW
222通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 22:59:58 ID:???
ほのぼの乙!久しぶりにほのぼのしたよ

レイが渡すものがどんどん変なものになってるし結局戦隊ものの話じゃねえしww
223通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 00:11:02 ID:???
ほのぼのGJ!
つうか今回ネタの積み込み具合が凄過ぎ。
ほとんど一行ごとに何か仕込んでるw
224通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 00:54:00 ID:???
単発設定小話 「再転」クレタ沖海戦F

〜一人タケミカヅチに残るトダカ〜
トダカ「・・・・・・アマギ・・・カガリ様を頼むぞ。・・・・・・しかし、あのMSのパイロットがあの時の少女だとはな。これも当然の報いかもしれん・・・・・・が、オーブを滅ぼすことはできん」

〜オーブ艦隊をソードシルエットで駆逐していくインパルス〜
マユ「この!あんたたちはどっちの味方なのよっ!コーディネイター?なわけないわよね。それともナチュラルかしら!?・・・それも違うわよね!そうよ、あんたたちの味方は自分たちに都合のよい方が味方なのよねぇっ!!」

〜タケミカヅチのトダカとインパルスのマユ〜
トダカ「・・・君の戦争はまだ、終わらないのか・・・・・・」
マユ「これがオーブの旗艦ねっ!・・・最後ー!!」
〜艦橋に飛び乗り、タケミカヅチの船体をエクスカリバーが振り下ろされる〜
トダカ「・・・・・・死ぬんじゃないぞ」
マユ「えぇーいっ!!・・・・・!?ブリッジの人影・・・え、ええ!?・・・ダメ!なんで?なんで、そこにいるのよ!!トダカのおじさんっ!!」
トダカ「さらば・・・・・・」
〜インパルスに向かい、敬礼するトダカ〜
マユ「ダメよぉー!!なんで?・・・・・・エクスカリバーが止まらない!!なんで!なんでよっ!!」
〜タケミカヅチはエクスカリバーにより船体を真っ二つされ爆散した〜
マユ「おじさんっ!!なんでそんなとこにいるのよ!!」
〜悲壮感に打ちひしがれるマユ〜
マユ「・・・そんな・・・わたし、わたし。なんてことを・・・・・・そんな・・・。人違い?・・・いや違う。見間違えじゃないわ・・・。わたし・・・なにを・・・・・・」

〜ミネルバに帰還するインパルス〜
タリア「インパルスは?」
アーサー「無事、帰還完了です・・・ですが・・・」
タリア「・・・なに?」
アーサー「マユがコックピットから出てこないそうです・・・・・・」
タリア「そう・・・。いいわ、自分ででてくるまでそっとしておいてあげて。・・・セイバーは?」
アーサー「セイバーのサルベージはなんとかできました。アスランも目立った外傷はないそうです」
タリア「よかったわ・・・・・・グフは、やはり・・・・・・」
アーサー「・・・・・・破片しか・・・回収・・・・・できませんでした・・・・・・」
タリア「アーサー・・・ハイネのご家族への連絡はあなたがなさい」
アーサー「は・・・い・・・・・・」
タリア「・・・しかし。こんな消耗戦ばかりでは・・・・・・議長はなにを考えていらっしゃるのかしら?」

クレタ沖海戦編 完
225通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 03:40:37 ID:???
一番萎えるのはレスが伸びてるから作品投下だと思ってwktkして開いたら
感想・議論レスの山だったとき。

作品より長くレスしてどうするんだ…
226通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 04:35:31 ID:???
>>225
もう流れが変わりかけているんだから、我慢ですよ。
227通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 22:22:48 ID:???
>>224
レスのタイミングを逸しかけてるけど単発さん乙
ここのマユの周りが見えていないというか、自分の感情に正直なところも好きなのだが、
今回のことでターニングポイントが来たかなこれ
228通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 22:48:25 ID:???
うまくぶったぎってくれたな。

内容はともかく、こういうタイミングで投下してくれるあたりは神だな。
229通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 00:11:47 ID:???
マユで検索かけたら新スレ立ってた
一瞬喜んだがなんかアンチスレっぽい
マユ小説好きなだけにちょっとガカーリorz

だがマユが携帯を落としたことを責められる作品も読みたい俺ガイル
「お前のせいで家族が死んだんだ!」とか
230通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 00:38:58 ID:???
他スレの否定的な話は控えましょうね♪
ていうかあのスレは、ああいうシチュエーションにした負債への疑問を語ることに、
早々と流れがシフトしていますが?
231通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 12:28:18 ID:???
人に控えろと言っておきながら自分も余計な一言を付け加える心理が分からん。
232通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 13:37:13 ID:???
また他人のレスに喧嘩腰?
233通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 15:19:50 ID:???
また他人のレスに喧嘩腰?
234通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 16:58:35 ID:???
はいはいGWGW
235通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 17:21:19 ID:???
スルーして静かに投下待ちー
236ほのぼのマユデス。再び動き出す。:2006/05/05(金) 18:41:48 ID:???
ここは会議室。今度あらたにつく任務についてハイネ、ネオ、アスランが説明をしていた。
 「おい、お前らよーく聞け。これから議長と『ラクス様』の護衛で宇宙にあがる。
 こら、そこ。夏コミ申し込んじゃったとか言うな。あきらめろ。
 キース、今のうちに給料つぎ込んで酒買おうとか考えるなよ。
 レイ、何気に居眠りするな。お前優等生キャラだろが。
 マユ、堂々と電子辞書のフリしてDSをやるな。そりゃ国語の時間しか通用しない。」
ハイネがだーっと銀○的ノリですっかりだらけたメンバーに任務を説明する。
 「今度の任務はジュール隊と傭兵との合同任務だ。」
アスランの言葉にばつの悪そうな顔をするミーア。
何せジュール隊隊長の機体を盗んで大暴れ。あとで口止めに大変苦労したのだ。
 「一応ミーアはずっと『ラクス様』ってことになる。ボロは出さないようにな。」
 「はい、解かりましたわ。ハイネ様。」
にっこり笑うミーア。確かにラクスだ。
 「なぁ、ペガサス流星○ってどうやるんだっけ?」
 「え!!だ−かーらー!こうやって・・・・。」
 「・・・・・と、ミーアはこの調子だから全員少年マンガの話は控える事。」
はーいと素直に答えるマユデスメンバー。
しかし地球出身の何人かは寂しそうな顔をしている。
むしろアスランは反対に青ざめた顔をしている。
 「はぁ・・、イザークかぁ・・・。春色キャベツスーツかぁ・・・・。」
非常に意味深なため息をはくアスラン。
 「アスランお兄ちゃん、確かジュール隊の人って同期の赤服じゃ・・・。」
 「そうなんだけどな・・、いや、比較的まともなのが大半戦死してしまって残ってるのはおかっぱとグゥレイトチャーハンなんだ。」
アスランの言葉に一体どんな化け物が待っているんだとマユは思う。大丈夫、ここにいるのは大半化け物で、何気に人外もいる。
 「久々の宇宙だからって気を抜くなよー。それじゃ解散。」
ハイネはそう言ってからからアスランを呼ぶ。
 「おい、お前確かジュール隊のメンバーにヘリオポリスに一緒に侵入したやついたよな。」
 「あ、あぁ・・。二人ほど。」
ボソッっと小声で話すハイネに小声でアスランは答える。
 「・・・・その話題はやめておけよ。」
 「なんでだ?」
 「何でって・・お前。マユとか・、シンとか・・・・・。」
アスランは納得する。確かに自分は彼らの祖国が戦争に巻き込まれる一因を作ってしまった。
 「は、大丈夫だと思うけど・・・・・アキラだ。前の殺人未遂話聞いたよな?」
アスランの脳裏に依然聞いたハイネ隊合宿殺人未遂事件『歌姫のそっくりさんは見た!!』が浮かんだ。
やばい、ばれたらまずアキラに殺される。うん、きっとすごい方法で。
 「恐ろしいぞ・・、チェーンソー使われるかもしれなしし薬漬けでルナマリアへのささげモノとか
 真っ裸にしてそのまま大気圏突入とかめくるめくるBLの世界へご招待とか・・・・・。
とにかくあいつはその気になったら手 段を選ばない。なにせエロゲの公式予約ができなかったからゼロにハックさせて無理矢理予約したからな。」
ちゃちいなぁ、と内心思いつつアスランは背筋を寒くするのであった。
237通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 20:34:41 ID:???
とりあえず>>230
「雄弁は銀、沈黙は金」という言葉を覚えておくべきだな。
揚げ足取りが多いから、下手に諭すよりスルーを徹底した方が良い。
238通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 20:42:35 ID:???
ほのぼのさん短い間隔で投下乙です
239通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 20:54:27 ID:???
>>236
マユ、英語の時間でもOKw
ミーアの腕がペガサスの星座の軌跡を描いたわけかw
240通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 23:00:20 ID:???
レイのキャラがどんどん壊れてるww
241通常の名無しさんの3倍:2006/05/06(土) 02:27:02 ID:???
流れ引き戻してくれるのは良いが正直最近のほのぼのはわからん。
242通常の名無しさんの3倍:2006/05/06(土) 02:30:33 ID:???
だがそれがいい。
このまったりとした空気はほのぼのでしか出せないしな。
243479:2006/05/06(土) 20:39:46 ID:???
お久しぶりです!
ただいまより投下します
244I and I and I(1/8):2006/05/06(土) 20:42:07 ID:???
生きたいと、生き続けたいと…
そう思うのは罪ですか?
希望を抱くのはいけないことですか?
未来は感じることができますか?
太陽の光は浴びれますか?
暗い暗い夜は明けますか?
明日は誰にでも来ますか?
例え、もう生きていなくても。



〜I and I and I〜 第八話「アナタハ、イキテイマスカ」



無事、宇宙に出たマユとアスランを乗せたシャトル。
向かう先は、マユにとっては待ち人のいないプラント。
「ヴィア、この辺りがヤキン攻防戦で俺達が戦っていた宙域だ」
窓の外の宇宙を見ながら、アスランは隣に座るマユにそっと声をかけた。
だが、返事はない。
不思議に思い、アスランが顔を向けると、マユは静かに寝息を立てていた。
「なんだ…眠っているのか」
苦笑してそう呟くと、アスランはまた窓の外を眺める。
この宙域は、自分達にとって深く記憶に残っている。
「アレックスさん、知っていますか?」
すると、同行しているオーブの役員がそっと近寄ってきた。
「なんですか?」
「最近、この辺りの宙域で幽霊船が目撃されているようです」
「幽霊船…?」
245I and I and I(2/8):2006/05/06(土) 20:43:47 ID:???
「私も先程耳にしたばかりですが、いったいなんなんでしょうねぇ?」
役員は不思議そうな顔でアスランにそう話すと、自分の席に戻っていく。
幽霊船などという話を、もちろんアスランは信じていない。
だが、幽霊船は実在するのかもしれない。

気付くと、マユはどこかの通路にいた。
シャトルではないとすぐに理解する。
明かりがついていない、薄暗い通路。
「ここは…」
夢と現実の狭間のような、不思議な感覚であった。
恐怖といったものはなく、ただマユは先に進む。
自分が何故ここにいるかもわからないのに、迷いはなかった。
「ボス敵到達!滅殺!」
突然聞こえた声に、マユはビクッと体を震わせた。
怖くて体を震わせたというよりは、驚かされてびっくりしただけである。
「〜〜♪〜♪〜〜〜♪」
今度は、どこからか音漏れした騒がしい曲が聞こえた。
そしてビートを刻む鼻唄。
「うっせーよお前等!読書の邪魔だ!」
また声が聞こえた。
先程の二人に向けられた言葉。
何故、自分は淡々と、こんなやりとりを傍聴しているのだろう。
マユは自分でも変に思いながら、聞くことをやめはしなかった。
246I and I and I(3/8):2006/05/06(土) 20:45:50 ID:???
「何を騒いでいるか、お前達!」
すると、今度は女性の声が聞こえる。
「まぁまぁ、別にいいんじゃないですかぁ?」
男性の声も続いた。
「しかし…」
「だって僕達…もう死んじゃってるんですから」
男性の言葉に、マユはハッとする。
そして、その言葉をきっかけにするように、場面が一瞬にして変わった。
マユの横を、モビルスーツが通りすぎる。
生身でマユは宇宙空間を漂っていた。
その宇宙空間では、モビルスーツ戦、艦隊戦が繰り広げられている。
マユに、一機のモビルスーツが近付いた。
ぶつかる!
そうマユが心の中で声を上げた。
だが、モビルスーツはマユを擦り抜けて、そのままいってしまう。
「うらぁー!撃滅!」
「オラオラオラァー!」
「はぁぁぁー!!」
誰かの叫ぶ声が聞こえた。
先程の声だ。
「ローエングリン、1番2番…テェーッ!」
「さぁ、どんどん撃って敵を倒してくださいよ。じゃないと、僕達は生き残れませんからねぇ」
別の場所で、戦艦からビームが放たれる。
誰かの声が、またマユの中に響いた。
「隙だらけだぜ…必殺!」
一機のモビルスーツが鉄球を放ち、敵らしきモビルスーツを撃破する。
247I and I and I(4/8):2006/05/06(土) 20:48:18 ID:???
「ウザイんだよ」
別の一機が鎌を振り、敵モビルスーツを分断する。
「ヒャッハァ!狙い撃ちだぜコラァッ!」
また別の一機が、ビームを放ち敵モビルスーツを爆散させる。
そんな彼等の声が、マユに届く。
「何故、あなた達は戦っているの?」
そんな疑問が、浮かんだ。
「殺らなきゃ殺られる、それだけだろーが!」
「殺されるよりは殺すほうがマシってね」
二人の少年が、そう返す。
「殺らなきゃ殺られる?殺すほうが、マシ?」
二人の言葉にマユは困惑した。
戦場で、人を殺す意味など知らない。
殺すことは間違っているのか、正しいのか。
そんなことを考えていると、少年達の乗るモビルスーツの一機に向けて、ビームが撃たれた。
「誰だよ?俺を撃とうなんて奴は!」
撃たれたビームはモビルスーツの装備により弾かれるが、激昂した少年は反撃に向かう。
敵機を撃破し、ニヤリと笑う。
「生きたいから…殺す?殺さなくても生きる方法はないの?」
「そんなこと僕は知らないね!」
マユの疑問を撥ねつけるように、敵機を破壊し続ける三機。
「ウザイけどさ、やんなきゃなんないんだよ…生き続けるためにさぁ!」
248I and I and I(5/8):2006/05/06(土) 20:50:10 ID:???
彼等の手によって、次々と撃たれるモビルスーツ。
そのモビルスーツにも、人が乗っているというのに。
「違う…違うよ」
「違かねぇよ!それが俺達の、やり方だ!!」
「そんなの違う!」
マユが叫ぶと、全てが消えてなくなった。
シートが並び、レーダーやセンサーなどの機械が置かれた場所。
そこにマユはぽつんと立っていた。
目の前には、三人の少年が、後ろには女性と男性が立っている。
「彼等はブーステッドマン、軍では消耗パーツ扱いだ」
「そんな…酷い……」
「ですが、僕達は戦争をしているんです。勝つためには手段を選べません」
「それっておかしいです。ただの言い訳です!」
生体CPU。
飢餓の曼延する地球に溢れる孤児達を集め、非人道的な利用を行う地球連合。
実験、投薬、記憶操作……
様々な情報が、マユの中に流れ込んだ。
「そんなことをしたから、この人達を生きるため戦いじゃなく、人を殺すための戦いに引き擦り込んだんじゃないですか!!」
マユは男性に罵倒を浴びせる。
「生きるために戦わせて、戦いの中で死んだら用無し、戦いが終わったら用済みって…」
249I and I and I(6/8):2006/05/06(土) 20:51:48 ID:???
苦しみ、痛み、生きることに対する執着、死に対する恐怖。
「そんなの…そんなのないよ…」
マユは力無く、床に膝をついた。
「君は優しいのだな」
そんなマユを見て、女性が声をかける。
「私は、そんな訴えがあったとしても…飲み込むことしかできなかった」
全てを滅ぼせばそれで終わる。
彼女は確かにその通りだと思った。
だが、それが根本的な解決にはならないこともわかっていた。
「その間違いを正そうとした時には、自分の命を引き換えにするしかなかった」
隣の男性をチラッと見て、女性はそう言う。
「…僕にだって果たすべき役目があります。それを無視することはできません」
「その役目は、本当に正しかったんですか!理事!」
「コーディネイターが僕に…僕等ナチュラルに何をした!?奴等を滅ぼせば、全て終わるだろ!!」
「地球にも、地球連合にも、コーディネイターがいることをお忘れですか!!」
口論が続いた。
しかし、女性の最後に放った言葉に、男性は黙る。
「私は知っています。戦争に巻き込まれ、やむを得ず同じコーディネイターと戦った一人の少年のことを」
かつては同じ艦に乗っていた。
250I and I and I(7/8):2006/05/06(土) 20:53:23 ID:???
友人を守ろうし、友人に銃口を向けたコーディネイターの少年。
ナチュラルの視点のままでは、軍人の視点のままではわからなかった。
わかった時には、そんな彼とも、同じ艦に乗っていた仲間達とも、敵同士になっていた。
「貴方は、自分に降りかかり払えなかった火の粉を、もうありもしないのにまた払おうとしているだけです」
核心を突かれ、男性は言い返すこともできない。
私怨を含んでいたことは事実だ。
それが、原動力にもなっていた。
「なら僕はどうすれば良かったんだ…」
自分のしたこと全てを否定され、男性は絶望したような表情を浮かべる。
そんな顔を見上げて、マユは口を開いた。
「探しましょう?」
この男性は、自分が正しいと思ったことをした。
間違っていたと思っても、これは正しいのだと自分に言い訳して。
「ワタシの人生なんて、ちっぽけなものかもしれませんけど…。ここにいるよりは、ね?」
何が正しいか、何が間違っていたか。
どんな答えが正解なのか、マユにはわからない。
答えなどないのかもしれない。
だが、マユは生きている。
探せる力がある。
251I and I and I(8/8):2006/05/06(土) 20:56:03 ID:???
「ねぇ、ゲームやるかい?」
「そんなもんよりこれ読めよ。おもしれーぜ!」
「……聴く?」
三人の少年が寄ってきて、楽しそうにそれぞれの持っていた物を勧める。
女性と男性は互いに顔を見合わせ、笑っていた。

「ヴィア、起きろ。プラントに着いた」
「……え?」
目が覚めると、アスランの顔が映った。
不思議そうに辺りを見回す。
そこはシャトルの機内。
「やっぱり、あれは夢?」
「どうした?」
アスランに訊かれ、マユは慌てて首を振る。
だが、マユはしっかりと覚えていた。
シューティングゲーム、ジュブナイル小説、デスメタルの音楽。
渡され、困惑しながらも、しっかりと受け取った数々の品。
そして、五人の顔をマユは忘れず、しっかりと瞳の奥に残っていた。

252479:2006/05/06(土) 20:57:16 ID:???
うーむ…なんか妄想駄文に成り下がってる気がする…
まだまだ精進が足りませんね

今回の話は番外編だったのですが、丸々一話出来てしまったので本編の一話として差し込みました
旧連合三人衆、ナタルはいいのですがアズラエルだけは解決していないので彼のための話がまたありそうです
ではまた!
253通常の名無しさんの3倍:2006/05/06(土) 23:24:14 ID:???
I and I and I作者様、GJです。
アズラエルの話も期待してますので。
254通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 00:28:59 ID:???
age
255通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 00:33:56 ID:???
何故ageる
256通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 01:19:24 ID:???
300が400くらいだったからじゃね?
まあ600くらいでageが理想だけどさ。
257通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 01:27:10 ID:???
戦って勝たなきゃ生きていけないのは、三人組もアズラエルも同じだと思うんだけどね
具体的に『こうすればよかった』なんて答えが出るのかな
次に期待します
258通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 01:27:17 ID:???
落ちるのは書き込みの間隔次第だと何度(ry
…まぁ、過疎スレ住人でもある身としては羨ましい限りよの
259通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 02:40:25 ID:???
アズラエルも(シブリールもだが)本編でその妄執の背景が
語られることはなかったからなあ。
人を偏狭に駆り立てるのは、薄っぺらい理由とか幼い頃からの洗脳だけじゃなく
もっと違う何かのような気はする。それが何なのかわからんが

479氏の掘り下げと考察を期待
260エイサップ鈴木 ◆6VLCsKw82Y :2006/05/07(日) 06:32:09 ID:???
>>1-259
この板では種の話題は禁止だわかったら失せろゴミ共
261通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 06:48:18 ID:???
>>260が見えない
262通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 11:19:17 ID:vLyexauF
まぁスルー最高ってことで…
263通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 12:21:59 ID:???
相変わらずIandマユは霊感バリバリだな
そこがいいんだが
一歩間違えばホラーなのに・・・w
264通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 16:20:26 ID:???
映画化だそうで、公式に情報が更新されています。
このスレ的にはどうなんでしょうか?
265通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 17:03:09 ID:???
>>264
現時点では、なんともいえませんが多分影響はないでしょう。
キャラとMSが利用できるくらいかと。


266通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 21:37:11 ID:???
単発設定小話 「cry」刹那の夢編@

〜修理と補給中のミネルバ。艦長室にて〜
タリア「あのMSのパイロットがお兄さんだと・・・。根拠のひとつが、この携帯電話。これはあなたのもので間違いはなさそうね・・・・・・」
マユ「はい・・・・・・」
タリア「いいでしょう。でも・・・あれはブルーコスモスよ。コーディネイターであるお兄さんが『存在』を許されるとは思えないけど・・・」
マユ「ボギーワンにいる経緯はわかりません。でも、あの声、あの姿はわたしの兄に間違いありません・・・」
〜マユの瞳をじっと見つめるタリア〜
タリア「・・・いいでしょう。レポートは後で提出してちょうだい。下がっていいわよ。・・・携帯電話はあなたに返すわ。・・・・・・あまり気にしちゃだめよ?マユ」
マユ「・・・兄のことですか?それとも・・・・・・」
タリア「そうね・・・どっちもよ。兵士は相手を選べない。たとえそれが友人でも血のつながった兄妹でも同じこと。・・・悲しいけどこれが戦争なのよ」
マユ「わたし自身のことは、戦争とは関係ありませんよね?・・・・・・すいません、失礼します」
〜涙を浮かべたまま敬礼し退出し、ミネルバの艦橋に早足で駆け上がるマユ〜
マユ「・・・お兄ちゃんはまだ生きているもの。まだ、まだ会えるチャンスはあるもの!でも、トダカのおじさんにはもう会えないのよー!!」
〜艦橋の真ん中で叫ぶマユの前に立つアスラン〜
マユ「!・・・・・・アスランさん。・・・ごめんなさい、大丈夫です。・・・アスランさんこそ大丈夫なんですか?」
アスラン「・・・・・・ああ、俺は問題ない。お兄さんの件は・・・」
マユ「兄のことはいいんです。・・・それよりも・・・・・・アスランさんは大切な人を自分の手で殺してしまったことがありますか?」
アスラン「・・・殺したこと、か。・・・殺すつもりで戦ったことはある。あの時は充足と後悔が頭の中をぐるぐるとまわっていたよ」
マユ「相手の人は、どうなったんですか?」
アスラン「相手は・・・・・・生きていたよ。再会したときはまさかと思ったけどね」
マユ「・・・・・・オーブの旗艦・・・タケミカヅチというんですって。わたしが最後に切った船です。あのブリッジにね、人が残っていたんですよ。オーブの軍服がとっても似合っていた・・・」
アスラン「・・・逃げないで残っていたんだな。・・・・・・責任感の強い人だ」
マユ「うん。わたし、前の戦争でプラントへ疎開するときに支えになってくれた人がいたんです・・・それがその人・・・トダカのおじさん。・・・あの状況じゃ助かりっこない」
アスラン「・・・・・・」
マユ「勇気付けてくれて、わたしの絶望をぎりぎりで引き止めてくれて、お兄ちゃんが生きていることを思い続けさせてくれた。わたしはそのおじさんを・・・・・・殺してしまった」
アスラン「マユ!もういい、喋るな!」
マユ「・・・アスランさんには・・・わかりませんよね?・・・だって生きていたんだもの、キラ・ヤマトは・・・。わたしは・・・殺したくて殺したんじゃありませんっ!!」
アスラン「・・・!」
マユ「・・・・・・はぁ、はぁ。・・・・・・ご、ごめんなさい。わたし、自室に戻ります・・・・・・」
〜艦橋をよたよたと歩きながら船内に戻るマユ〜
マユ「・・・だめよ、マユ。あんなひとにあたっても何も意味がないわ・・・・・・」
〜医務室にて〜
医療スタッフA「だめです。どの薬も効果がない・・・このままでは」
医療スタッフB「議長の命だ。死ぬの覚悟で搬送するしかないな・・・移動する準備を整えよう」
〜医務室の前を通りかかるマユ〜
マユ「え・・・ステラさん良くならないの?・・・・・・あの人もボギーワンから来たのよね。お兄ちゃんとの唯一の接点か・・・・・・」
〜医務室から出てくる医療スタッフB。廊下の角に隠れるマユ〜
マユ「・・・・・・気はあまり乗らないけど・・・・・・後悔はしたくない。・・・・・・いくわよ、マユ!」
〜医務室に入るマユ〜
マユ「どうかしら?その人良くなった?」
医療スタッフA「あら、マユちゃんじゃない。その人ね、なかなか薬が効かなくてね・・・」
〜医療スタッフAの首裏をたたき、気絶させるマユ〜
医療スタッフA「!っぐ・・・なに・・・を・・・・・・」
マユ「・・・わたしでもたたくとこたたけば落とせるのね。初めて格闘訓練が役に立ったわ。ごめん!」
〜ストレッチャーに乗っているステラを運び出すマユ〜

267通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 01:23:40 ID:???
PP書いてる者です。23話目投下します。
2681/31:2006/05/08(月) 01:24:34 ID:???
黒海沿岸の都市ディオキア――
観光地としても栄えているこの街は、黒海南部の交易の場であることと相まって活況を呈している。
戦時となりザフトの支配下となった後も、その賑やかさは変わらない。

さて、この街の中心部にほど近いコンビニエンスストアに2人の若い男がやって来ていた。
サングラスに黒髪の少年と、彼より少し年上に見える茶色の髪の青年。彼らは雑誌売り場に足を運ぶ。
2人とも何かを探しているかのように、雑誌を次から次へと流し読んでいく。

ふと、黒髪の少年の手が止まる。彼は一冊の雑誌を捲りながら……読み耽り始めた。
その様子に気づいた隣の青年が声を掛ける。

「……ゲン、何か見つかったの?」
「………」

問われた黒髪の少年は、隣の青年を無視し、無言で雑誌を読み続ける。
内心ムッとしつつ、青年はかがみ込みながら、顔を上に向け雑誌のタイトルに目をやった。
少年の見ている雑誌のタイトルは……『HAT DOG PRESS』。ティーンズ向け、とりわけ男子用の雑誌だ。
ちなみに、特集は『ガールフレンドと夜を過ごす秘策!』であった。雑誌の内容が分かるや、青年はため息をつく。

「そんなものを見てどうするの?」
「……え? こういうのは、読んじゃダメなのか?」
「……あのね、何事もマニュアル道理に事が進むわけじゃない。君はMSで戦いながら、マニュアルを読む人?」
「い、いや……そんなことはないけど」
「なら、今はマニュアルに頼る時じゃないでしょ? 戦局は、待ってはくれないんだから」

なにやら訳の分からない会話をしているが、どうやら2人は"戦局"に立ち向かうらしい。
青年は手馴れた手つきで雑誌類から2冊の本を選び、カウンターへ向かった。
タイトルは『ディオキア観光地100選』と『ディオキアの食めぐり』。
会計をカードで済ませるや、青年は少年を引っ張るようにして店の外に出た。

「よし、最低限の物資は確保した。あとはブリーフィングだ。いくよ、ゲン」
「……Sir、Yes Sir」

キラ・ヤマトはゲン・アクサニスにきびきびと指示を出す。本来階級的な立場は逆なのだが……
こうして作戦は着実に進み出した。ディオキアの時刻は間もなく昼に差し掛かる。
2692/31:2006/05/08(月) 01:25:23 ID:???
同じくディオキアの繁華街。こちらは若い男女計3名が、大きな建物の内部をフラフラしている。
青い髪の少年に、緑の髪の少年、そして金髪の少女……彼らは物珍しそうに周囲を見渡している。
やがて、青い髪の少年が、緑の髪の少年に問う。

「……で、ここどこさ?」
「ショッピングモールだ。表の看板見なかったのか?」
「いや、そういうことじゃなくてさ。何でこんなところにいるのかってこと」
「そりゃあ、お前……キラがゲンにレクチャーしている間の、暇つぶしだ」

スティング・オークレーは、アウル・ニーダの言葉に素っ気無く答えた。
キラがゲンを"指導"している間、ファントムペインの3人は手持ち無沙汰。よって、この地に足を運んだのだ。
エクステンデッドであり、軍人を生業とする彼らにとって、このような人の多い繁華街に来ることは稀である。
また、買い物に来ること自体滅多になく、生活に必要なものは軍の施設を介し購入することが常であった。

「お前、この間バッシュ欲しがっていただろ? ここなら多分売っている筈だ」
「OK、納得。スポーツシューズなんて、軍じゃ手に入りにくいからね。この機会に買っておくのも良いかも」
「そういうことだ。行こうぜ」

ここに来ようと言い出したのはスティングであった。目的はバッシュ、即ちバスケットシューズ。
スポーツ用品扱いのため軍では中々手に入りにくい品であり、スティングはこの機会に購入しようと考えていた。
アウルも反対することなく従う。すぐに同意したのは、2人の共通の趣味であるが故。
しかし、少女にとっては共通の趣味ではない。とりわけ、この少女には……

「ねえ、ゲンとキラは……何処にいるの?」
「……お前は気にしなくて良いの。理由を知ったら、先の楽しみが半減しちゃうぜ?」
「そうそう。お前の為に2人は出かけたんだ。後で会えるから、楽しみにしていろよ」

ステラ・ルーシェは仲間2人の不在を不審に思い尋ねる。
元々、ゲンとキラはステラに内緒で出かけていた。ゲンとキラが内緒で出かけた理由……
それは、ゲンとステラの2人が自然に振舞える関係になるための、最適な手段を探しに行くためであった。
キラが購入した雑誌二冊は、そのためのアイテムである。内緒にした理由はスティングもアウルも先刻承知。

だが、不在の理由を聞いても、釈然としない答えしか返ってこない。
やがてステラは、先を歩く少年二人と少しずつ距離を置き始めた。そして、少女は別方向に歩き始める。

「……ここには、いない。そっか……なら、私が――」
2703/31:2006/05/08(月) 01:26:16 ID:???
コンビニエンスストアで雑誌を購入したゲンとキラ。2人はカフェに場所を移し、雑誌の中身を吟味し始めていた。
ゲンは『ディオキアの食めぐり』を、キラは『ディオキア観光地100選』をそれぞれ眺めている。
その状態で10分ほど経過した頃、キラが口を開いた。

「ねえ、観光地の中に『奇麗な夕陽の見える海浜公園』ってのがあるんだけど……どうかな?」
「……あ、ああ」

キラの読んでいた雑誌『ディオキア観光地100選』の中にあるスポットのひとつ。
それは、タイトルどおり海浜公園は丘陵の上に位置し、街を一望できる上に奇麗な夕陽が見える場所であった。
ディオキアの西に位置するこの丘は、雑誌によるとデートスポットとして人気……らしい。

「……悪くないな」
「そう? なら、これは候補に入れておいて。次ぎの場所を、探すから」
「……え? 一つ決めるだけじゃないのか?」
「一箇所でそんなに時間が潰せるわけがないでしょ? デートスポットは、複数箇所探しておくものなの」
「……は、はい」

キラの指導にただ従うだけのゲン。経験豊富なキラの前では、ゲンは出来の悪い後輩に過ぎなかった。
落ち込み気味にゲンも自分の読んでいる雑誌の吟味に戻る。
『ディオキアの食めぐり』を眺める彼も、色々と考えてはいたのだ。ステラは肉でも魚でも好き嫌いはしない。
とはいえ、女性相手であるからアッサリした食べ物にすべきか。ならば、魚介類の店にしよう――
……などという程度ではあるが。
そんなゲンに、キラは別の話題を振る。

「ところで……ステラとどんな話をするか、考えている?」
「は、話? 何の話だ?」
「はぁ、君はもう、ホントに……あのね、折角二人だけになっても、会話がないと困るでしょ?」
「話のネタを……考えろってことか?」
「まぁ、そうだね。今はプライベートなんだから、趣味の話とか……あるでしょ?」

趣味……ステラの趣味……
ゲンとステラの2人は、互いの趣味の話などしたこともないし、彼女の部屋に入ったこともない。
何が彼女の趣味やら、ゲンには皆目検討もつかなかった。
応えに詰まるゲン。

そんな彼を見て、人生の先輩は頭を抱えながら……再びレクチャーを始めた。
2714/31:2006/05/08(月) 01:27:16 ID:???
「趣味が分からないのなら、直接ステラに聞けば良いじゃない? それも会話を弾ませる手段にすればいい」
「そ、そうか……」
「他には、共通の話題とかはないかな? 2人の間ですぐに打ち解けられるような話題とか」
「共通の話題……か」
「あるのなら、教えて欲しいな。それを上手く使えるかも知れない」

思い巡らすゲン。二人の共通の話題……
――あった。2人の間ですぐに打ち解けられそうな、共通の話題が確かにあった。

「たとえば……」
「たとえば? どんな話題があるの?」

キラも興味津々である。元々、好奇心からゲンとステラの仲立ちを買って出た側面もあった。
かつて恋人のラクス・クラインとオーブの方々を巡った日々のことを振り返り、懐かしく思いながら……
頬杖をつきながらキラは問う。しかし、そんな彼の意図とは真逆の答えを、目の前の少年は出してくる。

「――最近ガイアの調子、どうだ? とか……」
「……ッ!?」

ゲンが持ち出した話題は、寄りによってMSの話題。
仕事とプライベートは分けて考えるキラにとっては、予想外の答えであった。
あまりの答えに、キラは思わず頬杖を崩し、顔面を強かにカフェのテーブルに打ちつけた。
自分の答えが相手の期待はずれだったことを悟ったゲンは、慌てて訂正する。

「ダメか? なら、使いやすい機銃メーカーの話題とかは? ザスタバの新型マシンガンの話とかは?」
「………」

キラは本気で頭を抱え出した。目の前の男、ゲン・アクサニスは徹頭徹尾軍人である。
ソキウスであるが故、暇なときも戦いのことを考えていたりする生真面目さが、この時は完全に仇となっていた。
しかし、キラはそんなゲンの事情を慮ることはなかった。彼が理解したのは唯一つ……

(ダメだこいつ……早く何とかしないと……)

頭を抱えながらキラは再び思考をめぐらす。だが、ゲンからステラに出来るアプローチ手段は底をついていた。
キラは男である。所詮男性である彼は、同性であるゲンにしかアドバイスは出来ない。
彼からゲンに出来るアプローチ手段などそう多くはない。助言は困難を極め、キラは万策尽きかけていたのだ。
2725/31:2006/05/08(月) 01:28:11 ID:???
キラは思う。こんなときラクスがいれば、どんなことを言うだろうかと。
彼を導くかのように接してくれた女性――それが、ラクス・クラインであった。
三隻同盟の戦いを終えオーブに隠遁した後も、キラはラクスと共にあった。
付き合う、付き合わないの話以前に、2人の関係は成立していた。
それは、相手がラクスであるが故なのかもしれない。

そこまで考えて、キラは別の考えに行き着く。
即ち、男女の関係がどうなるかは、ある程度付き合う女性のタイプで決まってしまうのでないかと。
例えば、フレイ・アルスターのような奔放なタイプの女性と、ラクスのような思慮深いタイプの女性。
嘗てキラが関係を持った女性は、何れも真逆の性格であった。

前者には少々振り回され、後者には導いてもらい……
よくよく考えてみれば、キラ自身は受身の女性関係しかなかった。
そのことに思いをはせたキラは、ため息混じりに呟く。

「結局、ボクはお尻に敷かれているだけなのかもしれない」
「……え?」
「い、いや。何でもないよ」

先程以来、ゲンは落ち込んでいた。
キラとのやり取りで、自分が普通の人間関係を構築できない、社会不適合者なのではないかと思っていた。
そこに、過去の人間関係において受身の女性関係しかなかった人物、キラも一緒に落ち込み始めてしまった。
昼時のカフェに男2人、雁首並べて頭を抱える。傍から見れば奇妙な光景が、そこにはあった。

「こんなとき、他に女性がいればステラの立場に立って考えてくれるんだけど……」

キラはそれだけ言うのが精一杯。策の尽きた彼には、そんな有り得ない話しか出来なくなっていた。
ステラはファントムペインの紅一点。つまり、彼女以外に女性はいない。
相談しようにも、キラのアークエンジェル時代の、マリューのような人物はいなかった。

――その時、である。
ゲンの持っていた携帯の着信音が鳴る。ディオキアに入った折に購入していた、プリペイド式携帯だ。
本来仲間同士連絡を取り合うために、この場合他の3人との連絡用に使う筈であったが……
それが鳴ったと言う事は、何かがあったのだ。慌ててゲンは連絡を受けとる。

「俺だ。どうした? 何かあったのか?」
2736/31:2006/05/08(月) 01:29:07 ID:???
『あ、あのな……ゲン、拙いことになった』
「スティングか? 一体、何があったんだ?」

電話を掛けてきたのはスティングであった。彼の声からは、何やら戸惑いのようなものも感じられ……
少なくとも、異常が発生したということはゲンには十分に感じ取れた。再度彼は問う。

「何かあったんだな? 何だ?」
『……ステラが、いなくなっちまったんだ』
「――!?」
『さっきまでオレとアウルが、スポーツ用品店で買い物してたんだ。気がついたら、いなくなって……』
「馬鹿ッ! 何で一人にした!?」
『う、後ろから付いてきてると思ったんだが……今アウルと2人で探しているんだが、見つからないんだ』

スティングが知らせてきたのは、ステラ行方不明の一報。
その知らせに驚きながらも、ゲンは己の為すべきことを考える。
ステラ・ルーシェという少女は、戦闘時には尋常ならざる能力を発揮するが、普段は温厚そのもの。
……いや、温厚というより天然、どこか抜けた感じのする少女である。
それに、ここはディオキア。地球とはいえ、ザフトの管轄下である。
一見普通の少女とはいえ、敵地で彼女を一人にしておくわけにはいかない。ゲンは即断する。

「分かった! 俺も直ぐに探しにいく。見つかったら連絡する」
『頼む。こっちも見つかったら、すぐに連絡――』

ブツン――と、通話を切る鈍い音が聞こえる。
ゲンは言うや、スティングの答えを待たずに電話を切った。そして、キラに向き直る。

「済まない、キラ。ステラが居なくなった。お遊びは終わりだ!」
「……え? ステラが、いなくなっちゃったの?」
「そういうことだ。悪いが、俺はステラを探しにいく。それじゃ!」

ゲンは席を立ち、風を巻いて走り去った。カフェの会計も済ませずに……
一人取り残されたキラ。2人が座っていたテーブルの上には、読みかけの雑誌が取り残されている。
ステラ行方不明という事態は飲み込めたが、キラは呆気に取られ、ただ一言呟いた。状況を嘆く言葉を。

「……この後、ボクにどうしろっていうのさ?」
2747/31:2006/05/08(月) 01:30:04 ID:???
ディオキアの海岸線を一人の少女が歩いている。人気のない浜辺には彼女一人。
海が珍しいというわけではないのだろう。少女は海を見ていない。

栗色の髪を束ねた少女は、殆ど足元を見たまま……
浜辺に打ち寄せる黒海の波と、砂浜との境界線を時折眺めるだけ。
その視線も"見る"という行為ではあるものの、何処か無機質。表情も暗い少女の瞳は、虚ろでさえあった。

「これから、どうしよう……」

呟いた少女の名は、マユ・アスカ――
呟いた言葉は、先のことを考えているそれではなく、絶望に近い嘆きの声……

先ほどミネルバの艦橋で聞いた知らせは、彼女の故郷の軍隊、オーブ軍の詳報であった。
オーブ軍の派遣艦隊は、ジブラルタル基地攻略に向かう気配なし。つまり……
マユたちのいる黒海方面に向かう可能性が高まっていた。

マユは2年前の大戦で家族を失い、プラントへ移民として渡っていた。
既に彼の国で市民権を得て、テストパイロットとしてザフトに入隊までした身の上。
それでも、袂を分かったとはいえ故郷の軍と戦うことに躊躇いがない筈がない。

オーブで共に過ごした友人達の父親や兄弟の中には、軍に入った者もいるかもしれない。
また、戦災孤児となった自分の身を案じてくれた軍人、トダカ一佐も派遣軍の中にいる可能性がある。
そんな者達へ、刃を向けられるのだろうか――?

プラントと地球の各国が戦争状態とはいえ、オーブに非がある戦争ではない。
開戦の切欠がユニウスセブンの落下事件である以上、地球の海洋国オーブもまた被害者といえた。
被災の規模こそ甚大ではないものの、宇宙からコーディネーターが隕石を落してきたのだ。
戦争に参加する理由は、十分過ぎるほどあった。

しかし、今はプラントの市民として、そしてザフトの兵卒として生きる少女には……
戦うべき大儀もなく、ましてや故郷の人間と刃を交えることに納得できる筈はなかった。
自問自答しても、答えが出るはずもないが……それでも少女は、呟くほかなかった。

「ミネルバとオーブが戦場で出会ったら、私も戦うしか……ないの?」
2758/31:2006/05/08(月) 01:32:18 ID:???
マユがテストパイロットとはいえザフトに籍を置いている以上、オーブ軍と出くわせば闘う他ない。
例えば、タリア・グラディスなどはマユのことを慮り躊躇くらいはするだろう。しかし、次の瞬間には……
フェイスである艦長には、即戦闘指揮を執ることが要求される。彼女は、一瞬の後間違いなく己が任務を果たす。
そうなれば、マユも軍属である以上、上官の命令に背くことは出来ない。

「やっぱり……戦うしか、ない」

自明の理に辿り着く。が、やはり納得できる筈はない。
彼女がザフトにいる以上、オーブ軍も彼女を慮りはしない。
降伏、投降すれば別であろうが、そうでなければ銃口を向けられるのだ。そして次の瞬間、銃口は火を噴く。
ならば、マユに残された選択肢は二つ。生きるために彼らを撃つか、自らが撃たれるか――

「戦わなきゃ、私は生き残れない……でも」

マユはオーブ領海付近での、連合艦隊との戦闘を思い出す。
ミネルバを護るため、自分が生き残るために艦艇6隻を沈めたことを――
この先も、自分がザフトにいる限り、また人を殺すのだ。今度は、故郷の人間を。
そこまで考えて、マユはもう一つの疑問に突き当たる。

「そうまでして、私が生きる事に……何の意味があるの?」

敵とはいえ、大勢の人間を殺め、あるいやこれから故郷の人間を殺める。
若干13歳の少女には、その事実に愕然とし、また……自らの存在理由に疑問すら抱いていた。
もし、2年間家族と共に死んでいれば、こんなことにはならずに済んだ。人を殺さずに済んだ。
マユは、自らの両の手をじっと見詰める。汚れのない、奇麗な手……
だが、この手で既に何人もの人を殺していたのだ。
そう考えると、一見奇麗な自らの手には、恰もべっとりと血糊がついているような錯覚さえ覚える。
血まみれのこの手で、また幾人も殺めていくであろう、己の未来。その運命に、少女は愕然とする。

「私は、生きていちゃいけない人間……かもしれない」

彷徨う少女は、あらぬ方向へ答えを求めていた。見れば目の前は海。入水自殺という手段もあったろうか。
……少しずつ、少しずつ少女は両脚を海に向ける。そして、黒海の水に踝が、膝が、次々と浸かっていく。
しかし、彼女の行為は寸前の所で咎められる。後ろから、誰かマユの手を引っ張る。悲痛な声と共に――

「――ダメっ!!」
2769/31:2006/05/08(月) 01:33:17 ID:???
同じ頃――
ディオキアの郊外を疾走するバイクがあった。真っ赤なバイクを駆るのは、黒髪の少年。

「国道方面にはいなかった。ってことは、まだ街中か! 畜生、何処行っちまったんだよ、ステラッ!?」

ゲンは、キラと分かれて直ぐレンタカーショップでバイクを借りた。
車より小回りもスピードも出し易いこの乗り物で、ステラの捜索に向かったのだが……
街に入る検問近くまで行ってみたものの、彼女と思しき人影はない。慌てて彼は街へ戻ろうとする。

街への道を、ひたすらに急ぐ。
街の治安は、実質的にこの地を支配しているザフトに委ねられていた。
万が一、連合軍人であるステラが見咎められ、露見を恐れたステラとザフトが戦闘になってしまったら……
最悪の事態を想定し、ゲンは慄然とする。兎に角、急がねば――

その彼が急ぐ道の先、数キロのところを歩く少女がいた。
燃えるような赤い毛の彼女は、爪を噛みながら何やら思案している。

「ったくもー! マユったら、何処行っちゃったのよ!?」

赤毛の少女は叫ぶ。どうやら、彼女も人を探しているらしい。
当てもなく街を探すより、ザフトの治安部隊にでも聞けばハッキリする。そう思って、方々を訪ね歩いていた。
しかし、街中ではマユらしき人物を見かけたという話は聞かず、街の外に出たものの……
やはり、姿など見えない。

「……大丈夫かな、マユ? オーブがこっちに来るからって、ショックなのは分かるけど……」

尋ね人の名を再び上げ、彼女は思いをめぐらす。
ショックを受けているのであれば、何故自分に相談してくれなかったのだろう。
同室であり、姉代わりを自負していたのに……実際、件の人物は自分をアテにしてくれてはいなかった。
その事実が、赤毛の少女の心に影を落していた。

「やっぱり私は……あの子のお姉さんには、なれないのかな」

考えながら、彼女は少しずつ道を外れていた。自動車のセンターライン、道路の中央部にまで足を踏み入れる。
――しかし、その時異変が起こった。
突如として彼女の目の前に、赤い物体が――少年の乗るバイクが飛び込んできた!
27710/31:2006/05/08(月) 01:34:03 ID:???
バイクの乗り手と赤毛の少女は、互いを認めるや大声で危機を叫ぶ――!

「――うわッ、危ないッ!?」
「キャアアッ!!!!」

迫り来るものの正体を知った赤毛の少女は、悲鳴をあげ目を閉じた。

………

………

………・

……襲ってくる筈の痛みは、ない。少女は、恐る恐る目を開ける。
彼女の目の前には何も見当たらない。次に、少女は背後を振り返る。見れば……
転倒したバイクと、うずくまる一人の少年が目に飛び込んできた。

「ちょ……ちょっと! 大丈夫!?」
「……い、痛てぇ……」

慌てて少女は、倒れこんでいる少年に駆け寄る。少年に意識はあった。

少年と少女がぶつかる、あわや――! というところで、バイクを駆る少年はハンドルを切っていた。
真っ赤なバイクは、赤毛の少女を寸前ですり抜け……体制を崩しながら倒れ込んでいた。
2人が通っていた道は、海岸線の道――切り立った崖が視界を遮る道で、兎角見通しが悪い。
おまけに高低までついていた分、バイクの操縦者である少年が、赤毛の少女を見咎めるのが遅れたのだ。

それは兎も角、倒れこんでいた少年に赤毛の少女が声を掛ける。

「ねえ、君、怪我はない?」
「……ああ、なんとか……」

バイクに乗っていた少年、ゲンは体の節々を触り、何とか体を起こす。
腕も脚も義肢であり、作り物であることが幸いした。特注の義肢は頑丈で、動作に支障はなかった。
やれやれと、ゲンは立ち上がり事なきを得た……かに見えた。
が、事態が悪化するのはここからであった。
27811/31:2006/05/08(月) 01:35:01 ID:???
その頃、ディオキアの海岸――
マユは、突然何者かに己が手を掴まれていた。恐る恐る少女は後ろを振り返る。

金色の髪、肌蹴た肩口から見える真っ白な肌……
年のころはマユよりも4,5歳ほど上であろうか、年嵩の少女がマユの手を掴んでいた。
戸惑うマユは、相手の顔を確認する。
見れば、金髪の少女は少しキツイ目付きでマユを見つめている。

「貴女……今、いけないことを……しようとした。ダメ……! こっちに……来て!」
「……え!? ちょ、ちょっと……」

金髪の少女の言葉に、マユは瞠目した。
やがて少女は、マユの手を強引に引っ張り、浜辺へと脚を向ける。
ふと気づけば、マユは腰の辺りまで海水に浸かっていた。少女はマユを引き摺るように歩き出す。
そして……マユは浜辺へと戻された。
浜辺に戻るや、少女とマユは互いに見詰め合う。
マユは気まずそうに、金髪の少女は相変わらずキッとマユを睨んでいる。
眼光の鋭さに、流石のマユもビクッと怯え……とっさに彼女と視線を交わすのを避け、足元に目線を向ける。

相対する少女と間を置けたことで、マユは己の行動を振り返り始めた。
つい先ほどまでの行為――オーブと戦うことに躊躇いを覚え、半ば入水自殺をしようとしていたことを。
しかし、冷静に考えると、敢行しても達成できるかは甚だ疑問であった。

元来、マユは泳ぎに自信があったのだ。生来のコーディネーターであり、スポーツもほぼ万能に近いためか……
亡き父や母の話では、幼少の頃家族で行った海水浴においても、誰に習うともなく水に浮き泳いでいたという。
そこまで考えて、マユは恥ずかしさを覚える。
最初から達成不可能なことをやろうとしていたのだ。恐らく、溺れようとしても本能的に泳いでしまっていただろう。
冷静になって己を取戻し、やろうとしたことを振り返ると……次第に恥ずかしさで顔が上気していった。
そして、達成不可能とはいえ愚考を阻止してくれた目の前の恩人に、礼を述べようと向き直る。

「あ、あのっ! ご、ごめんなさい。 わ、私は……」
「海に入っちゃ……ダメ。 ステラは……いつも言われているの。溺れるから、海に入っちゃダメ……って」
「……ええ、そう……って、違うッ! わ、私は泳げますッ!」
「そう……なの?」

マユは、相手の思い違いに慌てて反論する。そして、この時がマユとステラとの邂逅であった。
27912/31:2006/05/08(月) 01:35:56 ID:???
前線の兵士の自殺、これは必ずしも正確な数が明かされるわけではないので、実数は定かではない。
例えば、ベトナム戦争における米兵の自殺件数は、軍の公式発表では10万人中15.6人だったと言われている。
多いと見るか、少ないと見るかはそれぞれであろう。
が、この数は公表された数、表沙汰なった数である。少なくとも1万人に1人か2人は、自殺していたことになる。
また、自殺が最後に行き着く手段であることを考えれば、その一歩手前で踏みとどまった者達も多くいる筈。
精神的ダメージを被り本国に送還される兵士は、自殺者の数倍、数十倍に登ると言われている。

この時代は、MSや艦隊戦といった機動兵器を駆り戦う時代。
生身で兵士と兵士が戦い、その各人が凄惨な光景を目にする機会は減ったものの……
兵士が自殺や精神障害を起すケースまでゼロになったわけではなかった。
先ほどのマユの自殺未遂(?)も、精神的なダメージを被った突発的な行為。
作中でのマユの年齢は13歳という設定。その年齢での精神的負担は、読者のご想像にお任せしたい。
さて、話を戻そう。


数分前……顔を真っ赤にしていたマユは、自分の再びの勘違いに少し落ち込んでいた。
てっきり、自殺しようとしているのをステラと名乗る少女に看破されたものと思い、礼を述べようとしたのに……
こともあろうに、ステラはマユが自分と同じく泳げない者であると誤信し、止めに入ったのであった。
キッと睨んでいたステラも、自分の勘違いに気づいたのか、今度はキョトンとマユを見つめている。
今度は、先ほどまでとはうって変わったあどけない表情。
その表情に、落ち込んでいたマユも思わず和んでしまった。
今度こそ正気に戻ったマユは、改めてステラに礼を述べる。

「と、兎に角……止めてくれて、ありがとう」
「……え? ステラは……貴女の邪魔をしたのに?」
「ううん、違うの。ちょっと……他に、悪いこと考えていたんだ、私」
「……そう、なんだ」

やはり、お礼はしておこう――
そう思って礼を述べたマユだが、強いて詮索してこないステラに再び心の中で感謝する。

「貴女、ステラっていうんだ」
「……ステラは、ステラ・ルーシェ」
「良い名前だね。私はマユ、マユ・アスカ」

期せずして自己紹介が始まり、二人は和やかな空気に包まれていた。
28013/31:2006/05/08(月) 01:36:51 ID:???
だが、こちらの二人は、マユとステラの和やかな雰囲気とは真逆の……
険悪とさえ言える雰囲気が立ち込めていた。

「ちょっと、アンタ! 謝りなさいよ!」
「何でオレが謝らなきゃならないんだ? 道の真ん中歩いていたのは、お前だろう?」
「交通法規を知らないの? 車だのバイクだの乗るんなら、歩行者に気をつけるのは当然のことでしょう!?」
「……道路の真ん中歩いている馬鹿に、そんなこと言う資格があるのかよ!?」
「馬鹿とは何よ!? 私には、ルナマリア・ホークっていう、ちゃんとした名前があるんですからね!!」

ゲン・アクサニスと、赤毛の少女――ルナマリア・ホークの対決、その第一ラウンドのゴングは打ち鳴らされた。

事の発端は、二人のどちらに事故発生の原因があったのか……であった。
ゲンはステラをいち早く探すため、少々スピードを出して走っていた。
一方、ルナマリアの方もマユを探しつつ悩みを深め、慣れぬ道ということもあり道路近くを歩いていた。
結論はどっちもどっち、双方に過失があるわけだ。
だが、互いに負けん気の強い二人だったことが仇となる。
最初にどちらかが「悪かった」と言っていれば丸く収まった筈……だが、その一言を二人とも言い出せなかった。
やがて、互いに互いを詰りあう険悪ムードへ――
不毛な言い争いはなおも続く。

「そう……なら、出るところに出ましょうか?」
「出るところ……って、何だよ?」
「この街にはね、今ザフトっていう軍隊が来ていて、その人たちの支配下にあるの。
 彼らが街の治安を維持するために、部隊まで派遣しているって話は知っているわよね? 私、訴えようかしら?」
「……!! ちょ……! それは、それは困る!」

ルナマリアの発案に、ゲンは大いに困惑する。
仮にそんなところに訴えられたら、連合の兵士としては最悪の事態となってしまう。大慌てでゲンは阻止を試みる。

「お、オレは仕事でこの街に来ているんだ! 夜には仕事に戻らなきゃならないし……
 それだけは勘弁してくれ! 頼む!!」
「あ〜ら、それはそれは……なら、ちゃんと謝ってもらおうかしら?」
「……う、ううっ」

形勢は一気にルナマリア有利に傾く。謝ろうか謝るまいか迷うゲン……
考え込むゲンとそれを見つめるルナマリア。こんなインターバルを挟んで、二人は第二ラウンドへと入っていく。
28114/31:2006/05/08(月) 01:37:43 ID:???
一方のマユとステラ、こちらは相変わらず和やかムード。
時刻は昼過ぎ――ディオキアの気候が暖かいため、二人とも濡れた服が乾くまで待つことにした。

「へぇ。ステラは、お仕事でこの街に来てるんだ」
「うん……。アウルとスティング、ゲンとキラ……皆で来ているの。今日のお仕事は……終わった」
「私は……仕事のお休みを貰ったの。でも、ちょっと嫌なことがあって……
 海に入れば全部忘れられるかなーって思って、入ろうとしたんだけど、良く考えたら服来たまま。
 ステラが止めてくれなかったら、私は今頃ずぶ濡れだよ」
「……そう。良かった……」

マユは、先の出来事を上手い具合にはぐらかしていた。
また二人とも、互いに本当の身分は明かさず、取り繕いつつ会話を弾ませる。

「ねえ、一緒に来てるお友達って、どんな人?」
「……アウルとスティングとは、昔からずっと一緒。ゲンとは……半年くらい前かな?
 キラは、最近になって……私たちのところに来た。スティングはキラを……先輩って呼んでる」
「へぇ……仲が良いんだね」
「アウルとスティングは、兄弟みたいなもの。子供の頃から一緒……
 ゲンは……働いているの。ずーっと、お仕事、お仕事。でも、最近はキラとばかり一緒……」
「……兄弟……か」

マユはステラの言葉に声を落す。亡くなった筈の兄のことを思い出したのだ。
俯き、表情が陰るマユに気づいたステラは、心配そうに声を掛ける。

「マユ……どうしたの?」
「う、ううん。何でもない。兄弟って、良いなって思ったの。私には……もういないから」
「もう……?」
「あ、何でもない! 何でもないの!」

言葉尻に敏感に反応するステラに、慌ててマユは話を打ち切る。
怪訝な顔をするステラだが、マユとしては折角愉しくなりかけた雰囲気を壊したくなかった。
気まずい沈黙が続いたが……やがて、ステラはハッと我に返る。

「あ……! 忘れてた……ステラは……ゲンを探しに来たの」

彼女がアウルとスティングの元を離れたのは、ゲンが原因。ステラは、彼を探しに来たのだった。
28215/31:2006/05/08(月) 01:39:30 ID:???
自分のやろうとしていたことを思い出し、ステラは立ち上がる。既に、海水に濡れた彼女のスカートも乾いている。
マユは別れのときが来たと思い、少々残念そうに立ち上がろうとするが……

「あー! いた! 見っけ!」
「……ったく、こんなところにいたのか。探したぜ、ステラ」

後ろから声が聞こえ、マユとステラは振り返る。
青い髪の少年と、緑色の髪の少年がステラを認め駆け寄ってきていた。

「アウル! スティング!」
「探したよ、ホント。街中にはいないし……」
「お前、海が好きだって言ってたろ? 覚えていたから見に来てみれば……ん? この子は……誰だ?」

アウルとスティングはステラの近くまで来て、マユの存在を訝しがる。
遠めにはただの通行人同士に見えたが、近くに来てみればマユはステラと男二人を交互に見ている。
素性を気取られてはいまいか――
スティングは一瞬表情を強張らせるが……マユの次の行動に、そんな疑念は霧散してしまう。

「あ、あのっ……! 私はマユ・アスカといいます。ステラとは、さっき会って、その……」
「お前は……ステラの友達、なのか?」
「え、ええと、友達というか、その……」

友達――
会って直ぐのマユとステラでは、果たしてそう呼べる仲なのか不安に思い、マユはステラを覗う。
しかし、そんなマユの不安も杞憂に終わる。ステラの一言で。

「そう。ステラとマユは……お友達……」
「なら、安心だ。オレはスティング・オークレー。こっちのは、アウル・ニーダ。ステラの仕事仲間さ」
「そういうこと。ヨロシク!」

スティングは正体が露見していないことに胸をなでおろしつつ自己紹介を、アウルもそれに倣い軽い挨拶をする。
マユも軽く会釈をし、男女4人で打ち解けかけたその時……

「あー! マユちゃんいた! 見つけた! もう……探したんだからね!!」

4人のはるか後方からもう一人、マユを探しに来ていた赤毛のツインテールの少女が駆け寄ってきていた。
28316/31:2006/05/08(月) 01:40:41 ID:???
「私は、メイリン・ホークって言います。
 ミネ……じゃなかった、情報処理関係の仕事で、マユとこの街に来たの」

メイリンも、スティングがしたのと同じように自己紹介から始まった。
彼女がミネルバと正規の職業を伏せたのは、スティングやアウル、ステラを地球の民間人と思ったから。
如何にザフトが軍全体で地域住民と友好関係を築こうとしても、軍属と分かれば無用な不安を抱かせかねない。
相手への配慮、それ故メイリンは身分を伏せて相手に自己紹介をしたのだ。情報処理……も嘘ではないが。

「俺達は荷運びの仕事さ。戦争で飛行機が使えないから、この仕事は需要があってね」
「……じゃあ、この土地の人じゃないの?」
「ああ。仕事は夜からまた始まるが、それまでこの街で休もうかと思っていたんだ。なあ、アウル?」
「そうそう。なのに、ステラが突然いなくなっちゃうんだもの。ビックリしたぜ。
 休んでいくつもりが、ステラを探さなきゃならなくなったんだから」
「……私と同じね。私も、マユがいなくなっちゃったから、探しに来たの」

メイリンは直ぐに打ち解け、スティングと話し始める。
アウルもスティングから話を振られ、事の顛末を話して聞かせた。
マユとステラ、二人の行方不明者はこうして無事互いの保護者に確保された。

「へぇ……そうなんだ。ねえ、マユちゃん。この後どうしよっか?」
「え、ええと……」
「そうだ! ステラが世話になったことだ……一緒にお昼食べに行かない?」
「アウル!」
「いいだろ、スティング。こんな機会でもなけりゃ、他所の子と話したり出来るチャンスは……ないもんね」
「……ったく、分かったよ。でも、そっちは大丈夫なのか? 仕事の方は大丈夫なのか?」
「ええ。私達は構わないです。マユちゃんも、いいよね?」
「う、うん」

突如アウルの発案で、このまま5人でランチに行くことに。
スティングは難色を示したが、折角の休暇である。ましてや、相手はただの民間人。警戒は不要か――
思いなおし、アウルに同調することにした。メイリンもマユも依存はない。彼女達も休暇で来たのだから。

「少し待っていてくれ。ちょっとゲンに……ああ、一緒に来てる仲間に連絡する」
「あ、私も! お姉ちゃんに連絡しておかなきゃ。誘ったら、来るかな?」

スティングとメイリンは、互いに携帯を取り出し連絡を始める。それぞれの関係者に――
28417/31:2006/05/08(月) 01:41:44 ID:???
その頃のゲンとルナマリア。二人の戦いは早くも終焉を迎えようとしていた。

「さぁ、どうするの? 謝るの? 謝らないの?」

既に勝負有り。ザフトに話を持っていかれれば、ゲンとしては最悪の展開だ。
ここは逃げの一手。謝ってしまうほかない。そう思って、実行に移そうとしたとき……
彼のポケットの携帯が鳴り響き、会話は寸断される。

「す、済まない。ちょっと、仲間から連絡が来た。……オレだ、どうした?」
『ああ、ゲン、こちらスティング。無事にステラは見つけたぜ。女の子と遊んでいただけだ。今から皆でランチ』
「そうか……良かった」
『お前も来るか?』
「い、いや、こっちはその……ちょっと時間が掛かりそうだ。心配ない、直ぐ終わる」
『そういえば、夕方の予定は? ステラと何処で遊ぶんだ?』
「あ、ああ。海浜公園。ディオキアの海浜公園で、そうだな……午後6時で」
『OK、伝えるよ。それじゃ』

ゲンは携帯を切り、ホッと息をつく。懸案のステラは無事。どうやら友達まで出来たらしい。
改めてルナマリアに向き直り、謝罪の言葉を述べる。サングラスを外し、頭を下げる。

「済まない。オレが悪かった。赦してくれ……」
「分かれば良いのよ、ボク?」
「ぼ、ボク!? ちょっと、お前……それは!」
「相手は女の子? 今のはデートの話?」
「い、いや、違う! し、仕事の打ち合わせだ!」
「嘘。顔が赤いわよ。へぇ……海浜公園で夕方からデートねぇ? あ、携帯……ちょっと待って!」

折りよくルナマリアの携帯にも着信が。相手は勿論、彼女の妹メイリン・ホークである。
メイリンもスティングと同じくマユの無事を知らせてきていた。ルナマリアもゲン同様、胸を撫で下ろす。

『お姉ちゃんはどうするの? こっちと合流する?』
「そうね……それも良いけど、止めておくわ」

ルナマリアは妹の申し出を断る。そしてゲンの方を見ながら、笑みを浮かべる。妖艶な笑みを――

「ちょっとからかい甲斐のある子、見つけちゃったから……」
28518/31:2006/05/08(月) 01:42:37 ID:???
10数分後のとあるディオキアのレストラン。
黒髪の少年と赤毛の少女は、向き合う形でレストランの一角に腰掛ける。
昼時であり、些か混んでいる店内ではあるが、運良く二人分の席は残っていた。しかし……
少女はニコニコしながらメニューを見入っているが、少年の方は落ち込んでいる。この上ないほど。
やがて、俯いてた少年は、愉しそうにしている少女に問う。

「何で……俺達はここにいる?」
「謝罪は済んだわ。でも、直ぐに謝らなかったのは失敗ね」
「だから 何 で !?」
「謝罪は終われど、賠償は済んでないからよ。あ、ウエイターさん、このスペシャルランチコース二人分ね♪」

そう、賠償――である。
ルナマリアはゲンが直ぐ謝らなかったことに、ご立腹である……わけがない。
彼女としては、からかい甲斐のある少年を見つけたことで、暇を潰そうとしたのだ。
妹やマユと合流しても良かったが、女三人でいるより一人の男を捕まえていたほうが愉しいに違いない。
つまり、遊び心でゲンに賠償を要求、ランチを奢れと命令していたのだ。

「流石土地の人ね。良いお店を知っているじゃない?」
「……違う。俺はこの土地の人間じゃない」
「へ? じゃあ、なんでこんなお店知っているのよ?」
「それは、さっき調べ……い、いや、何でもない」
「……デート目的で調べていたのね? 見かけによらず、やるじゃない」
「う、うるさいっ!!」
「はいはい、こんな奇麗な女の子と一緒にランチが食べられるのよ? 下調べしておいて、良かった良かった♪」
「……!!」

ゲンは、一応このレストランをステラとのディナーに用意していたのだ。
しかし、何故かこの店でランチを、それも半ば自分を脅迫している少女に詰め寄られ、使う羽目になってしまった。
仮にランチを奢るのを拒否しても、それを理由にザフトに駆け込まれては堪らないから――であるが。

「さて、聞かせてもらおうかしら? 貴方と意中の子との馴れ初めを♪」
「ち、違う! そんなんじゃない! お、オレとステラは……」
「へぇ。ステラって言うんだ。良い名前じゃない。ね、どんな子? 可愛いの?」
「ひ、人の話を……!」

ゲンの抗弁に一切の耳を貸さず、ただルナマリアはゲンを出汁に、目一杯遊ぶつもりであった。
28619/31:2006/05/08(月) 01:43:36 ID:???
ゲンがルナマリアとの延長戦に入った頃……こちらは相変わらず和やかムード。
アウルとスティングとステラ、そしてメイリンとマユ。5人は日当たりの良いオープンテラスを有するカフェにいた。
ここを選んだのはメイリン。本来なら姉とマユと3人でおしゃべりをして過ごすために用意していた店だ。
しかし、姉は来ず代わりに見知らぬ男女3人と一緒。
が、レストランに行くより長居できるのがカフェの利点。結局この場所に落ち着いたのだ。

「けど、心配したわよ。急にいなくなっちゃうんだから」
「ご、ごめんなさい。ちょっと、一人で考えたいことがあったから……」
「気持ちは分かるけど、私やお姉ちゃんに相談くらいしてくれても良いじゃない? 一人で悩むのは、良くないよ」
「ありがとう……」

開口一番、メイリンはマユの行動を窘める。マユが忽然と消えた理由はメイリンも承知していた。
だからこそ、同僚である自分や姉に相談くらいはして欲しいと、フォローもしていた。マユもそれに感謝する。
そんな二人に……

「ねぇ、悩み事があるの? オレも相談に乗るぜ?」

二人の会話を聞きつけたアウルが声を掛ける。スティングもステラも少し真剣な顔でマユを見ていた。
その言葉にも感謝しつつ、マユは掻い摘んで事の次第を話し始めた。真相は伏せたまま。

「私ね、戦争で両親と兄を亡くして……プラントに移住したの。
 でも、今度は故郷のオーブが連合について、今生活している国と、故郷が戦争になって……」

軍属であることは伏せ、マユは話し始めた。真相はもっと深刻なのだが……
戦争で、間接的にではあるが故郷に刃を向けることになるかもしれないことに悩み、彷徨っていたとだけ告げた。
その言葉にアウルとステラは頷くが、スティングだけは違った。彼は少し警戒の色を浮かべる。

「あんた達、プラントのコーディネーターだったのか……」
「ご、ごめん。隠していたわけじゃないの。でも……」
「私もマユもコーディネーターだけど、地球の人とは仲良くしたいって思っているわ。
 ユニウスセブンが落下したのも、ほんのごく一部の人がやっただけ。
 プラントの人たちのほとんどは、ナチュラルの皆との共生を望んでいるわ。ホントよ! だから……」

マユとメイリンは、スティングの言葉に言外の警戒の色を感じ、弁解を始めた。本心からの、弁明を――

「だから、厚かましいお願いかもしれないけど、どうか……どうか、私たちを嫌いにならないで欲しいの」
28720/31:2006/05/08(月) 01:44:31 ID:???
「嫌ってなんか、いないぜ。なぁ、ステラ?」
「うん。私はマユのこと……好き。メイリンも……」

マユとメイリンの不安は杞憂に終わる。アウルとステラは、気安いほどに警戒すらしていなかった。
逆に、二人がコーディネーターであっても、全く構わないという風ですらある。
唯一警戒していたスティングも、それを見て態度を変える。

「オレも、二人のことは嫌いじゃない。ただ……早いとこ戦争は終わって欲しいだけさ。気を悪くしないでくれ」

彼の言葉に、マユもメイリンも安堵を覚える。
スティングはコーディネーターを嫌っているわけではないが、この二人の親族にザフトにいる者がいれば……
スティング達は、必然的に彼らを殺めてしまうかもしれない。そうなれば、悲しむのはこの二人。
そんな複雑な気分ではあったが、彼もマユとメイリンは受け入れるつもりになった。同時に警戒も解く。

「で、昔の故郷と今の故郷が戦争になった……って言ったけど、マユは天涯孤独ってことか?」
「……そうなる……かな」
「なら、俺たちと一緒だ。俺もアウルもステラも、皆孤児院育ちなんだ。なぁ、アウル?」
「そういうこと。俺らは皆、親の顔は知らないし、兄弟もいない」
「……え? そ、そうなの?」

スティングの口から、またも衝撃的な言葉が飛び出し、マユは言葉に詰まる。
マユが辛い過去を吐露した後、3人が自分と程近い境遇であったことに驚きを隠せない。
ただ、期せずして辛い境遇を尋ねたことにだけ、申し訳ない気持ちになる。

「ごめん。辛い過去を、聞いちゃって……」
「別に、辛くなんかないぜ? 俺達は、ずっと3人一緒だったから、寂しくなんてない」
「オレもアウルも、ステラも……兄弟みたいなものさ。だから、孤独ってわけじゃなかった。それに、今は……」
「ゲンも、キラも……いる」
「ああ、ステラが言ったのは俺たちの仕事仲間。スティングもステラも、ゲンもキラも一緒に仕事してるんだ。
 ゲンは半年くらい前、キラは最近知り合ったんだけど、結構仲良くやってるんだぜ? 皆、仲間さ」

アウルもスティングもステラも……辛さなど微塵も見せず、あっけらかんと話す。
仲間がいる――その事実が、ファントムペインの3人が孤独感を感じさせない理由であった。
それぞれに天涯孤独ではあったが、それ故……仲間同士の結びつきは強固。その言葉をマユは反芻する。

「仲間……か。良いな、そういうの」
28821/31:2006/05/08(月) 01:45:23 ID:???
「へぇ……仕事仲間の女の子と、仲良くなりたいんだ。ふぅん……」

一方、ルナマリアはゲンの言葉に唸っていた。
ステラの名をうっかり口にしたことで、ゲンはルナマリアに執拗な尋問を受けた。
結局は折れてしまい、掻い摘んで話す羽目になった。
軍人であることは伏せ、運送屋の仕事仲間5人のうち、紅一点の少女――ステラに好意を持ったことを。
それを聞いたルナマリアの顔からは……先ほどまでの好奇心旺盛さは失せ、何やら物憂げな表情に変わる。

「そういえば、ここは地球だったわね。いいな……」
「……? 何が良いんだ?」
「一生、自由な恋愛が出来る世界が……羨ましいって、言ってるの」
「……? 何言ってるんだ?」

ゲンは、ルナマリアの言葉の意図が分からず、首を捻った。
そんな彼の様子に、ルナマリアはため息一つつき、羨ましがった理由を話し始める。

「言ってなかったわね。私はプラントのコーディネーター。プラントではね、自由恋愛が出来ないのよ。
 婚姻統制って、知ってる? プラントの人口は、第二世代以降減り続けているの。
 人口的に遺伝子を弄った代償……適性のある人としか、子供を作れないのよ」
「そ、そうなのか?」
「地球の人は、知らないわよね。第二世代以降に適用されるのが婚姻統制。私は第三世代だから、適用対象。
 恋愛……出来ることは、出来るんだけどね。けど、最終的に思い人と結婚まで行ける例なんて、皆無なの。
 だから、結婚するまでに……恋愛しなきゃいけないんだ。出来れば、燃えるような大恋愛を、ね」

プラント政府が発令した婚姻統制令。
これは自由恋愛を禁止したわけではない。恋愛はあくまで自由。ただし――
結婚の段階においては、出産の適性のある者同士にしか結婚を認めてはいなかった。
理由は明快、子供を作れないからである。
結婚の段階で、プラントのコーディネーターで恋愛している男女は、決定的な選択を迫られる。
一つは、結婚を諦め、事実婚の状態で共同生活を営むか。
もう一つは、ルナマリアの考えるように、恋愛と結婚を割り切る考え方。
即ち、結婚段階においては別の相手との共生を認め、恋愛相手とは別れる方法である。
前者の事実婚にも、弊害は生まれる。社会的な弊害……

「事実婚も、出来なくは無いんだけど……周囲の、プラントの大人達は認めたがらないから。
 周囲の大人たちは婚姻統制を受け入れているんだから、事実婚なんて赦される雰囲気じゃないのよ」
28922/31:2006/05/08(月) 01:46:27 ID:???
事実婚すら許容され難い、歪んだ社会――それがプラント。

「貴方、想像したことある? 自分の好きだった人が、自分以外の人間と寝て、子供も作ったりすることを」
「………」
「考えたら、ゾッとするわ。でも……受け入れるしかないの。私の生まれが、プラントのコーディネーターだから。
 ……貴方が羨ましい。ナチュラルなら、好きな人同士で結婚できるんでしょう? いいなぁ……」

能力的に如何にコーディネーターが優れているといっても、生殖能力でナチュラルに大きく劣る点は致命的。
ルナマリアは、コーディネーターに生まれたことについては親に感謝していたが、この点だけは不幸であると思う。
プラントの制度を受け入れるにせよ、果たして自分は好きでもない男の子を生めるのだろうか――?
そんなことまで考えているルナマリア。
だが、これは彼女だけが抱える悩みではない。第二世代以降の女子であれば、誰もが通る道なのだ。
改めて己の境遇に頭を悩ませるが、そんな彼女をゲンの一言が現実に引き戻す。

「オレは……ナチュラルじゃない。コーディネーターだ」
「……え?」
「オレはコーディネーター。地球生まれの、コーディネーターだ」

意外――
ルナマリアにとっては、まさに意外の一言で。呆気に取られた彼女は、驚きながら問う。

「こ、コーディネーターなら、大変じゃない? ブルーコスモスって、あるんでしょ?
 コーディネーターなんて皆死んじゃえって、言っている人たち。周りにそんな人がいたら……」
「ああ、俺の上司はブルーコスモスだ。だから、周りにはナチュラルだって言い張っているのさ」

ゲンが挙げた上司とは、ロード・ジブリールのこと。ゲンは元々シン・アスカというコーディネーターである。
シンのように、地球で生まれたコーディネーターも少なからず存在する。
彼らはブルーコスモス思想のない国、オーブやスカンディナビア王国、あるいは大洋州連合で生きる他ない。
もし、そうでないとすれば……
例えば、大西洋連邦やユーラシア連邦、東アジア共和国のような連合主要国であれば、通常生きられない。
コーディネーターと分かれば、主義者に狙われる虞があるからだ。
そうなると、ゲンのようにコーディネーターであることを隠して生きねばならない。
流石にルナマリアもゲンを気遣う。

「貴方も、大変なんだ」
「……まぁね」
29023/31:2006/05/08(月) 01:47:16 ID:???
「ねぇ……その娘は、ステラって娘は……貴方がコーディネーターだって、知っているの?」
「……いや、知らない。知らせていない。
 正体が分かると、今の職場にも居づらくなってしまうから……」
「ダメ。そんなの、ダメよ」
「……え?」

ルナマリアは、話を突如ステラに向ける。ゲンがステラに己の出生を隠していることを、聞きとがめた様子――

「私が、その娘の立場だったら……付き合う以上は、ちゃんと相手のことを知っておきたいと思う。
 だってそうでしょ? 最終的に貴方とその娘がどうなるかは、分からないけど……
 上手くいって、結婚まで意識し始めたときに、突然相手がコーディネーターって知らされたら――」
「――知らされたら?」
「間違いなく、ショックを受けると思うわ」
「それは、俺が嘘をついたから?」
「嘘……っていうのは、仕方ないと思う。だって、ここは地球なんだし。
 でも、好きな相手にずっと秘密にされるって言うのは、自分のことを心底信頼していない裏返しじゃない?
 そういうのは……嫌だな。勿論、私がその娘だったら……の話よ」

ルナマリアの言葉にゲンは瞠目する。
次に、彼女の言葉を何度も何度も脳裏で反芻し、熟考を始める。
確かに、ルナマリアの言葉に理はあった。
ゲンとしては、自分がコーディネーターであることを隠すのは必然。
しかし、その必然をステラの前でも使うべきか――?
少年は思い悩む。

人と人との付き合いの中で、最も重要なのは信頼関係である。
同性同士であれ、異性間であれ、友情や愛情とは信頼関係から発展するもの。
ならば、最初から相手との信頼関係に影を落すような事実を秘めたままにしておくのは……
やがて、ゲンは目の前の少女の言葉が正論であり、真理であることに気づく。

「やっぱり、話しておいた方が、いいよな?」
「私は、そう思う」
「そっか……そうだよな」
「うん……」

ゲンに限らず――この時代のコーディネーターとナチュラルの人間関係とは、かくも複雑であった。
29124/31:2006/05/08(月) 01:48:07 ID:???
ゲンとルナマリアが妙な形で打ち解けている頃……
ファントムペインの3人と、ミネルバの2人の方はメイリンが意外な過去を吐露していた。彼女の過去を……

「私も、天涯孤独……みたいなものかな?」

一同がギョッとする。まさか、全員が天涯孤独であるとは思いはしない。
しかし、マユは不可解に思い問おうとする。彼女には、姉であるルナマリアがいるからである。明らかにおかしい。

「ルナマリアは? お姉ちゃんでしょ?」
「うん……でもね、家庭が……ないの。お姉ちゃんと私、二人だけなの」
「……え?」
「両親、離婚しちゃったんだ。元々、好きで結婚したわけじゃなかったの。
 二人とも、政府の方針と周囲の進めに従って結婚しただけ。私を生んで直ぐ、離婚したわ。
 養育費くらいは払うけど、私もお姉ちゃんも……二人から愛されたりしなかった。
 愛し合って結婚した両親じゃないから、その間に生まれた子も愛されない……ってのは、必然なんだけど」

婚姻統制の悲劇――
第二世代以降に適用されるこの制度は、メイリンとルナマリアの両親にも適用された。
半ば二人が結婚した頃は試験的に始められた制度だったが、制度に従って結婚してみたものの……
心底愛し合ってない、制度的・義務的な肉体関係しかなかった二人は、メイリンを生んですぐに離婚。
互いに愛してはなかったメイリンやルナマリアを引き取らず……
政府関係の施設に預けられ、二人はそのまま公的な仕事、つまりザフトの仕事に従事することになる。
マユが生活費を工面するために軍幼年学校に入ったのと同様、二人は義務教育課程を経た後アカデミーへ。
結局、素養のあった姉はレッドにまで上り詰め、美声の妹は通信兵へ……
婚姻制度の歪みは、二人の姉妹に家庭と愛を与えることまではしなかったのだ。

「だから、お姉ちゃんと二人だけ。私の家族は、お姉ちゃんだけなんだ」
「……そんな!」

そういえば、マユはルナマリアやメイリンが両親と連絡を取っているのを見たことがない。
その理由は、メイリンの過去を知れば自ずと分かるが……
まだ幼いマユには、メイリンやルナマリアの抱える悩みまでは察せなかった。
形を変えた天涯孤独――
それが、プラントのホーク姉妹の過去であった。
流石のファントムペインの3人も、余りの話しに二の句が継げず……
ただ、メイリンの心情を察し、俯くだけであった。
29225/31:2006/05/08(月) 01:49:12 ID:???
「でもね、寂しくはないよ。お姉ちゃんがいるし、マユも、皆もいるから!」

無理やりに笑顔をつくり、健気にメイリンは振舞ってみせる。
両親がごく初期の婚姻統制適用者であったため、彼女は不幸な境遇にあった。
中には、婚姻統制下で結婚しても愛情が芽生え、夫婦生活・家族生活を継続できるケースもあったのだが……
それでも、姉がいたことでメイリンは随分と孤独を味合わずに済んだ面はあった。
マユの名を挙げたのは、先の気遣い故……

「マユちゃんも、一人で生きているわけじゃないでしょ。お姉ちゃんも私もいるし、アスランもレイもいる。
 だから、一人で悩まないで。私やお姉ちゃんなら、いつでも相談に乗るからさ」
「……! ありがとう……」

メイリンの言葉に、マユは涙ぐんでしまう。孤独というものは、人の心を蝕むもの。
先のマユの入水は、孤独も原因の一つであった。
自分は一人であると思い込むが故、彼女はただ一人ミネルバを飛び出したのだ。
仲間の存在――
アウルの言葉とメイリンの言葉に、マユは蝕まれた心を癒されつつあった。

「一人で生きてるわけじゃない……か、良いこというね」
「俺らもそうだな。一人じゃダメ、仲間がいるからやっていけるんだよ」
「仲間……皆、仲間……」

アウル、スティング、ステラがそれぞれに同意を言葉で示してみせる。
が……そんな彼らの後ろから、人影が声を掛ける。ずっと前から、忘れ去られていた"仲間"が。

「皆……ボクのことは放っておいて、皆仲間だ……なんて、あんまりだ!」
「――!? き、キラ!? いつからそこに!!??」
「ずっと……ずっとこのカフェにいたんだ!! 
 なのに……皆ボクのことに気づかないで、女の子二人と喋ってる! 酷いっ!! 酷すぎるッ!!」
「ちょっと、先輩! ゲンと一緒にいたんじゃないんですか!?」
「昼前に……置いていかれた。彼も酷い。酷いよ……」
「キラ……泣いちゃダメ」

突然の闖入者は、キラ・ヤマト――
ゲンに置いていかれ、挙句の果てには忘れられ……ステラに慰められながら、キラは本気で泣きだす。
彼の両手には握りつぶされた雑誌が二冊……その惨状が、彼の孤独を現していた。
29326/31:2006/05/08(月) 01:50:18 ID:GOUAwp6N
夕刻――別れの刻は迫る。
ゲンは街中をバイクで駆る。今度は、スピードは控えめに。後ろには、赤毛の少女を乗せて――
二人は、やがてプラント関係者が寝泊りする施設の近くまで来ていた。
やがて、バイクは止まり……赤毛の少女、ルナマリアはバイクを降りる。

「送ってくれて、ありがと」
「謝罪と賠償は、これで済んだのか?」
「……十分よ。今日は愉しかった。ありがとう」
「そりゃ、どーも」

ゲンとしては、あまり愉しくはなかった。
ただ女の子と普通に喋れたことで若干の自信はついていた。この調子で、ステラとも話せばよいと。
そして何より、他人と付き合う上で、最も大事なことをルナマリアから教わった気もしていた。
そんなゲンのことは露知らず、ルナマリアは再び話を向ける。

「ねぇ、ステラって子は、ナチュラルだったよね?」
「……そうだよ」
「なら、結婚できるじゃない。コーディネーターとナチュラルの間には、普通に子供は……出来るそうよ」
「そ、そこまで考えてないぞ! オレはッ!!」

結婚、子供――先走るルナマリアの話題に、ゲンは顔を真っ赤にして反論するが……
ルナマリアは腹を抱えて笑い出している。心底、愉しそうに。

「あははははっ!! 貴方やっぱり面白い! 弄り甲斐があるっていうか、ホント……面白いわ」
「……お褒めの言葉と、受け取っておくよ。なんだっけ、名前……」
「――ルナマリア・ホーク。ルナ……って呼んでくれて、いいわ」
「ありがとう、ルナマリア」
「……アンタ、馬鹿?」

赤毛の少女は走り出しながら……ゲンを振り返り、舌を出して少しふくれて言う。別れ際の言葉として。

「いい? 名前じゃなくて、愛称で呼んで良いって言われたときは、愛称で呼ぶものよ。
 女の子と付き合う以上、ちゃんと相手の言葉に耳を傾けなさい!
 ……それと、ちゃんと彼女のこと、守ってあげなさいよ!」

"ルナ"の最後の言葉は弾んでいたが、対照的にゲンの心には重く響いていた。
29427/31:2006/05/08(月) 01:51:18 ID:???
2つの人影を、4つの人影が見送る。
見送られるのはマユとメイリン、見送るのはキラを加えたファントムペインの3人。
見送りながら、アウルは呟く。

「お別れ――か。ちょっと寂しいね」
「あの小さいほうの、マユ……だっけ? お前とお似合いだぜ」
「はぁ? 何言ってんの? スティングだって、あの赤毛のツインテールの子とお似合いだぜ?」
「へぇ……そう見えたか。悪くないな」

スティングはからかうつもりでアウルに言ったが、言い返されても彼は否定しない。
普通の恋愛など、自分たちエクステンデッドには無縁のもの――スティングはそう思っていた。
だからこそ、せめてステラは女の子としての時間を過ごさせてやりたくて……
ゲンという相手を見出し、二人の仲を進めようとしていたのだ。

しかし、今日はマユやメイリンと愉しく過ごせた気がする。
もしかすると、戦争が終わり、平和になり……人として過ごせる時間が来るのならば、あるいは――
今日のように、自分もスティングも、人として普通に恋をして、先の人生を生きられるのかもしれない。
それは、ほんの僅かな希望――
だが、軍人であり明日をも知れぬ者としては、それは一筋の光明に思えた。

「生き残ろうぜ、アウル。生きてりゃ、今日のようなことも、あるさ。今日は、愉しかっただろう?」
「――その記憶も、明日には、消されちまうかもしれない。それでも?」

エクステンデッドは、戦闘に不要な記憶は消される定め。特に、休暇中の記憶などは……
アウルはそこ事実を指摘する。スティングもそれは承知。だが、だからこそ、彼は思う。

「どんな記憶も、何れは薄れ、何れはなくなっちまう。大事なのは記憶じゃない。
 過去を、明日を生きるための糧にすること……キザな言い方だが、オレはそう思っている」
「……そっか。そういう考え方も、有りか」

二人は終始小声で話していた。キラやステラには聞こえぬよう……
時刻は、間もなく6時に差し掛かる。スティングはそれに気づくや、ステラに声を掛ける。

「さあ、ステラ! ゲンが海浜公園で待ってる! 行って来いよ」

そして、件の二人の時間が始まる――
29528/31:2006/05/08(月) 01:52:05 ID:???
ディオキアの海浜公園――ここは、この土地有数のデートスポット。
が、今は戦時。この場所を利用するようなカップルなど、いる筈もなく……
そんな中、バイクに持たれかかり、一人ゲンは佇む。

出会った頃からステラが好き――というわけではない。むしろ、最初は命を狙われさえしたのだ。
が、時が経ち、親しくするにつれ……曰く形容し難い感情を、彼女に対し抱くようになる。
果たして、それは恋愛感情なのか?
恋愛というものをしたことのないシン・アスカ、その後のゲン・アクサニスには分からなかった。
が、唯一つだけ、心に決めていることはあった。
一つの告白と、一つの誓い――
その二つを、今日この時に伝えたいと思った。
やがて、一人の少女が眼に入る。金髪のショートヘア。見慣れた彼女が……

「や、やあ……」
「………」

早足のステラは、あっという間にゲンの側まで来て……ゲンを見る。
つい、ゲンも彼女深い瞳の色をじっと見入ってしまう。
その瞳は、彼の考えていることを、全て見透かしているかのよう――
意を決して、ゲンはステラに声を掛ける。

「今日は、どうしても話しておかなきゃならないことがあるんだ」
「……?」
「お、オレ……今までずっと、ナチュラルって言ってきたけど、本当は、その……コーディネーターなんだ。
 ソキウスっていって、連合が作ったコーディネーター。オレは……その、最後の生き残りなんだ」

ずっと、秘密にしていた事実――ゲンはそれをステラに明かした。
受け入れてくれるかは分からなかった。が、これを秘密にしたままステラと関係を深めることはできない。
そうゲンは思っていた。それ故、この話から切り出したのだ。それに対し、当のステラは……

「……そう」
「………」
「別に……私は、構わない。ゲンが……コーディネーターでも……」

ステラは、意に介する風もなく、呟くようにゲンの嘘を赦した。
ただ時間だけが過ぎる――
29629/31:2006/05/08(月) 01:52:57 ID:???
二人の間に沈黙が流れる。ゲンは、己の出生だけは明かそうと思っていただけ。
仮に拒絶されても、その事実を受け入れる覚悟はあった。
しかし、ステラはその覚悟すら無に帰すほど淡々としている。
拍子抜けしたゲンは、安堵のため息をつき次の言葉を待ったが……それがない。
ステラは、無言で地面を見詰めるだけ。
果たして、ステラの言葉が真実であるのか、ゲンとしても不安になったが……
彼のほうから出来るアプローチは、最早なかった。
やがて、ゆっくりとした口調でステラが語り出す。

「私も……ゲンに、話さなきゃいけないことが……あるの」
「……?」
「私とアウル、スティングは……能力開発研究所にいて、そこでエクステンデッドになったの。
 でも、そこでは……薬を飲まされるの。能力を高めるための……薬。
 私は、聞いた。研究所の人が、薬の副作用があるって……言っているのを」
「副作用? 何だ、それは?」
「ゲンが、エクステンデッドなら……同じだった。
 でも、コーディネーターなら……違う。私たちとは、長くは……一緒にいられない」
「どういうことだ? 何を言っている?」

ゲンは、これまで新型エクステンデッドとして連合に登録されていた。
しかし、コーディネーターであると分かった途端、ステラはある事実を話し始めた。
それは重く、辛い真実。
ステラの瞳は憂いを帯び、今にも泣き出しそうな顔になって……

「エクステンデッドの、薬の副作用って何だ?」
「この話は、アウルもスティングも……知らされていない。
 まだ子供の頃、私だけが……偶然研究所の人が、話しているのを……聞いた」
「……それは、一体……」
「あのね……」

今度はステラが意を決し話した。
己の運命を――彼女と、仲間に残された時間を。

「ステラ達は……30まで生きられない。子供の頃から、薬で体を……作り変えたから。
 その代償……私達は、もう人生の半分を……生きちゃってるの。だから……だからッ!!」
「――!?」
29730/31:2006/05/08(月) 01:53:48 ID:???
驚愕にゲンの両目は見開かれ、その言葉に耳を疑う。
聞いてはいけない事を、聞いてしまった――その想いが、心を支配する。
体は硬直し、思考が纏まらない。何を、どんな慰めの言葉をステラに言って良いか、全く分からない。

ステラとしても、本来は話すつもりはなかった。
だが、昼間の出来事がステラの心に変化をもたらしていた。
ゲンは仲間――ファントムペインの仲間。3人に新たに加わった新型エクステンデッド……の筈だった。
が、ゲンの告白で、彼女は話さねばならなかった。自分達の定めを――
アウルやスティングに秘密にしているのは、彼らを不安に陥らせないため。
3人が同じ運命なら、共有できる苦痛となるから。しかし、ゲンは――

「話すつもり……なかった。ゲンが、同じ……エクステンデッドなら……」
「………」
「だから、ごめん……ごめんッ!!」

泣き崩れるステラ。
どんなことをしても、ステラの寿命は30を前にして尽きる。
その事実がゲンに重くのしかかった。
ルナマリアの話した婚姻統制と比しても、その悲劇性は余りある。
彼女は恋愛以前に"生きられない"のだ。

それでも――
ゲンは答えを出さねばならなかった。彼女を受け入れるか、否かの答えを。
ゆっくりとステラを抱きかかえ、ゲンは言った。ある決意を言葉に代えて。

「済まない。辛いことを聞いて……でも、オレはそれでも皆と……いや、ステラと一緒に生きたい!」

こみ上げる感情を抑えようとするが、激情は迸り――

「あと10年は生きられるんだろう? なら……なら!
 普通の人が生きられる5,60年くらい、充実した人生を、ステラと送る! 約束する!」
「……いいの? それで……いいの?」
「ああ! 構わない! だから、この戦争でも、ステラを死なせやしない!
 必ず護る! オレが……ステラを、皆を護るから!!」

――彼は誓う。ステラを、仲間を護ることを。
29831/31:2006/05/08(月) 01:54:41 ID:???
陽が暮れて、辺りがすっかり闇に包まれた頃――
ゲンとステラは手を繋ぎ、アウルやスティング、キラの待つ運送会社へと向かう。
休暇は半日、あとはまた戦争の日々が始まるのだ。が、今はそのことすら忘れ、二人は歩いていた。

「……あ、忘れてた。これ、お土産……」
「ん? これは……貝殻?」

ステラがゲンに見せたのは、薄紅色の小さな貝殻。それは、マユと会う前に浜辺で拾った品。
二枚貝の貝殻は、珍しいことに両の貝殻がくっついたままの状態であった。

「半分、あげる……ね」
「ありがとう……」

贈り物を見たゲンは、素直に喜ぶ。二人揃って、同じ貝を持てることが、ゲンには何となく嬉しかった。
が、ファントムペインとキラの下に戻ったとき、この贈り物は思わぬ事態を迎える。
二人を出迎えた他の者達が、手に握っているそれらに気づいて……

「貝殻……そうだ! 良いこと思いついた! ちょっと……二人とも、それを貸して」

キラである。何やら彼は運送会社の工具を漁り、細いが丈夫な糸を借り、せっせと工作を始める。
やがて出来上がったのは……

「ネックレス……か?」
「そう。貝殻のネックレス。オーブの海沿いの観光地で、こんなのがあったんだ」
「奇麗……とっても、奇麗」
「でしょう。あのね、二枚貝の貝殻には、言い伝えがあるの。
 この二つのネックレスを思い人と首に下げておくとね、恋愛が成就する……って話。
 二枚貝は、元は一つの貝だから、やがて一緒になる……っていう意味らしい。実は、ボクとラクスも――」

最後の言葉は、ゲンとステラには耳に入っていなかった。
ただ、二人ともお揃いの手製のネックレスを首にさげ、互いに微笑みあっている。
アウルもスティングもそれを微笑ましげに見ている。

ソキウスのゲン、エクステンデッドのステラ。
二人とも人の手により作り変えられた存在、人であるが兵器――
だが、今この時の二人は、ごく普通の少年と少女に戻って……束の間の安息を得ていた。
299通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 03:58:43 ID:???
更新乙です
>しかし、キラはそんなゲンの事情を慮ることはなかった。彼が理解したのは唯一つ……

>(ダメだこいつ……早く何とかしないと……)

ちょwwwキラ違いwwww
300通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 05:30:49 ID:???
乙です。
ああ、それにしてもキラのキャラがw
301通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 06:19:21 ID:???
PPの作者様GJ!

ただ一つ気になったのですがこれの主人公ってマユですよね?
影が薄くなるのはインパルスに乗るものの定めなのか・・・
どう見てもゲンが主人公です。本当にありが(ry

それはともかくこれからも更新頑張って下さい
302通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 08:41:47 ID:???
更新お疲れ様ですー。
ほら、マユはシンからミラコロ主人公特性も受け継い(ry
303通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 08:50:16 ID:???
過去にも何回かその話でたけど、PP戦記の主人公はゲン
PP戦記はもともと、マユ種に続く古参作品で、当初はシンがファントムペインしていたら?という趣旨でスタートした
まだスレの方針が完全に定まっていない時期だからこそ誕生し得た、例外的な作品と言える
304通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 10:32:19 ID:???
スレタイがもしマユが生きていたらだったら手放しでGJできる作品
何はともあれPPGJです
305通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 11:30:17 ID:???
ああ……すれ違う兄妹!
PP作者様、GJ!
ルナマリア、悪女だw小悪魔だwでもいいキャラだw
306通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 12:40:04 ID:???
PPワロス。
キラとかルナとか面白すぎだよ。
307通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 13:57:06 ID:???
こう、嫁がやったら間違いなく単なる腐女子のイタい妄想同人話になるであろう色恋要素を
ここまで自然に読ませる技量に圧倒された。

おっと、負債叩きは禁止だっけ。以後は控えるよ。
308通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 19:39:39 ID:???
ルナマリアオソロシスwww

コーディネーターの出生率問題上手いこと絡めてあるな〜
309通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 20:31:07 ID:???
俺の頭が悪いせいか、
種見てたときは出生に関する疑問なんてコレッポッチも考えなかったけど、
PP読んで始めて議長の苦悩?が分かった気がする。
兎も角PP面白かったです。
310通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 22:33:58 ID:???
……やられた。やられました、PP作者様。
あの公式設定からの掘り下げ方がGJです。コーディの歪んだ社会やら、エクステンデッドの問題やら。
ホーク姉妹に不自然に家族の影がないことの処理も、すごく上手いです

敵わないと思いつつ、自分は自分なりに別の鉱脈目指して掘り下げてみます。
「サーペントテール?!一緒に護衛する傭兵さんってサーペントテールなの?!」
「あぁ、そうだ。知り合いなのか?」
「うん!」
アスランの言葉にマユが目を輝かせながら答える。
ここはジュール隊の母艦。一旦挨拶の為に全員で挨拶に来たのだ。
『えーっと、サーペントテールはまだ任務が終わってないらしくて後で合流だ。
 とりあえず俺達はジュール隊に挨拶してそれからは待機だ。』
シンハロがマユにざっと説明する。
そしてイザーク達が待っている扉の前までやってきた。
「失礼する・・・・のうわっ!!」
ハイネがそう言って入ろうと扉を開けた瞬間、なにやら横を掠める物が。
それは一直線にルナマリアにとんでいき、ルナマリアはそれをアホ毛で弾く。
「待っていたわ・・・・ルナマリア・ホーク!」
ばばんっ、登場する赤服の少女。
「まさか・・・・シホ?!シホ・ハーネンフース!!」
一気に二人の世界に巻き込まれる皆。
「そうか・・、そういえばあんたはジュール隊だったわね。」
ふっと不敵に笑うルナマリア。バックに何でも引き寄せる老け顔中学テニス部部長が見える。
「ここであったが百年目・・・・、今日こそ決着をつけてやるわ!」
何やら燃えているシホ。バックにはスティングボイスで私服のセンス最悪なお坊ちゃま中学テニス部部長が見える。
ゴゴゴゴゴ、と炎を待とう二人。
 「おいおい、ハイネってば部屋間違えてんじゃん。」
 「やっべー、俺ってばうっかりさん☆」
 「ハイネお兄ちゃん、きもい。シンハロ、正しい部屋わかる?」
 『おっけおっけー。よーし、いこうぜー。』
何やら壮大な対決を始めるルナマリアとシホを強制的に思考から排除して、全員その部屋を後にするのであった。

312通常の名無しさんの3倍:2006/05/09(火) 05:29:57 ID:???
萎えた
313通常の名無しさんの3倍:2006/05/09(火) 07:25:19 ID:???
萎えたりはしないけど…ふたりの間になにがあったの?
314通常の名無しさんの3倍:2006/05/09(火) 18:24:56 ID:???
アホ毛で弾いたあたりにワロタwwww
315通常の名無しさんの3倍:2006/05/09(火) 18:51:19 ID:???
>>PP作者氏
乙です。
わかりやすいけど、少し文体が冗長かも。
軽めの描写の時は軽めに書いて文のテンポを生かしてみては

それにしても上手い…ラブコメと思いきやコーディ問題をここで持ってくるとは。
ルナともしっかり絡め、そして締めが何とも切ない。
なんていうか、いいものを読ませていただきました。

>>310
wktkして待ってますよ〜
316479:2006/05/09(火) 20:06:15 ID:???
ただいまより投下します
317I and I and I(1/8):2006/05/09(火) 20:08:04 ID:???
ワタシには見える、あなたの顔が。
顔で笑っていても、きっと心で泣いている。
その顔が、偽物とか、嘘とか、そんなことは言えないけど。
でも、自分の心を偽ることだけはやめてください。
平気で笑って、嘘をつくのはやめてください。
本当の顔が、泣いているから。



〜I and I and I〜 第九話「本当の顔」



プラントに到着して数時間が経った。
オーブ大使館役員と合流し、アスランはプラント評議会現議長であるデュランダルとの面会を希望する。
だが、この数時間、プラント政府からの連絡は無い。
地球連合との関係でごたこだしているのはわかる。
プラントは今、全圏に戒厳令が敷かれ、言い知れぬ空気に包まれていた。
「そうだ、ヴィア。君の兄さんのこと、聞いていなかったな」
「あ、そうでしたね」
「どんな人なんだ?名前は?」
「知っているという人に話を聞いただけだからどんな人かはわかりませんけど、名前はシン・アスカっていいます」
そうか。アスランはそう言うと、話は終わる。
そしてどちらとも喋ることなく、沈黙が流れ…
「シン!?シン・アスカだって!?」
…沈黙は流れず、アスランが驚いた顔をしてマユに向き直った。
318I and I and I(2/8):2006/05/09(火) 20:09:25 ID:???
「は、はい…。プラントに移住したけど、その後はよくわからなくて…」
だからアスランに同行し、デュランデルか誰か適任者に兄を探してもらおうとしているのだ。
事の真相を知ったアスランは大きな溜息をついて、頭を抱える。
「シン…そうか、シンか」
シンとはアーモリーワンでのモビルスーツ強奪事件で行動を共にした。
その際にシンは、オノゴロ島でアスハに家族を殺されたと言っていた。
マユはマユで、オノゴロ島でモビルスーツの戦闘に巻き込まれ、カズイ達に発見された生存者である。
繋がる箇所は数ある。
恐らくは、いや確実に、これは一本の線で結べてしまう。
「知ってるんですか?その、シン・アスカさんを」
「あぁ…俺がプラントからオーブに戻るまで乗っていた艦のモビルスーツパイロットだよ」
「オーブに戻るまでって、じゃあ…」
「オーブに寄港したザフト艦、ミネルバは今、地球さ」
出発する前に聞いておくべきだった。
そうアスランは後悔した。
シンの居場所を聞いたマユは、落胆していた。
決別か和解かが、また遠退く。
それとも今、ここで決断してしまうべきなのか。
「ちょっと、顔を洗ってきます…」
319I and I and I(3/8):2006/05/09(火) 20:11:06 ID:???
アスランは立ち上がる。
それに呼応するように、マユも立ち上がった。
「ワ、ワタシもトイレ…」

自分がプラントにいる理由がなくなり、どっと力が抜けた。
マユは鏡に映る自分の顔を、ぼーっと見つめている。
「どっちが本当の顔なのか、はっきりさせようと思ったのに…」
マユ・アスカ。
記憶を失う前の自分の名前。
両親がいて、兄がいる。家族に囲まれた自分。
ヴィア。
記憶を失った後の自分の名前。
家族はいない。だが、大切な人にたくさん出会えた。そんな自分。
鏡に映る自分は、果たしてどちらなのか。
未だ、答えを出すきっかけがが得られない。
トイレから出ると、アスランも丁度トイレから出てきた。
「すまなかった。前もって聞いておけば、すぐに会えたんだがな…」
「ワタシこそごめんなさい。先に言っておけば…」
お互い、気苦労が絶えない。
苦笑混じりの会話を続けながら、マユ達は通路を進む。
「えぇ大丈夫。ちゃんとわかってますわ」
戒厳令のせいで、自分達以外は全くいないはずの中で、声が聞こえた。
それは聞いたことがあるような、知人によく似た声。
「時間は後どれくらい?……なら、もう一回確認できますわね」
320I and I and I(4/8):2006/05/09(火) 20:12:42 ID:???
「ラクス…?」
アスランが、驚いたような声を上げる。
その声に気付いたのか、くるっとその人物は振り返った。
「アスラぁンっ!」
狂喜乱舞しそうな声を出して、その少女は一目散に駆け寄ってくる。
「わぁ、嬉しい…やっと来てくださいましたのねっ!」
少女は満面の笑みを向け、アスランに話かけてきた。
混乱して、どぎまぎとするアスラン。
マユは、ただ少女の顔を見つめ、眉間に皺を寄せていた。
「ラクス…さん?」
マユの脳内に浮かんだ疑問は、何故オーブにいるはずのラクスがプラントにいるのか。
ではなく、何故アスランはこの少女をラクスと呼んだのか、だった。
声質はラクスとよく似ている。
髪飾りはラクスのものとは違ったが、別の種類だと言われればそれで納得できるような物だった。
だが、顔や髪色は、マユの目にはどう見てもラクスには見えなかった。
「ラクス様」
「はい、わかりました。それでは、また」
スーツの男に声をかけられると、ラクスと呼ばれた少女はアスランに微笑み、そして行ってしまった。
呆然とするアスラン、不思議そうにするマユ。
そんな二人の元へ、評議会の面々がやってくる。
321I and I and I(5/8):2006/05/09(火) 20:14:16 ID:???
「やあ、アレックス君。それと…君はヴィア君だったね、話は聞いているよ」
面々の中心に、デュランダルはいた。
「君達とは面会の約束があったね。いや、だいぶ待たせてしまったようで、申し訳ない」
「あ、いえ…あの…」
「ん?どうかしたかね?」
「いえ……なんでもありません」
先程の出来事を引きずっているのか、アスランは頭を振って自分を落ち着かせる。
デュランダルと目があったマユは、静かに頭を下げた。

面会の準備が整い、マユとアスランとデュランダルは、三人だけの話を始める。
まず上がった話題は、アスランの訊きたかったプラントの情勢でも、マユの訊きたかった兄のことでもなかった。
開戦し、核を装備した地球軍がプラントへ侵攻したという話題だった。
驚愕するアスラン、そして顔を曇らせるマユ。
ニュートロンスタンピーダーによって被弾こそしながったが、プラントが危険であったことに変わりはない。
「事態を隠しておけるはずもなく、知れば市民は皆、怒りに震え叫ぶだろう」
『報復を!!』
マユは思わず片耳を塞いだ。
デュランダルの声が響くだけの室内だというのに、誰かの声が耳の中に響き渡った。
322I and I and I(6/8):2006/05/09(火) 20:15:44 ID:???
「今また先の大戦のように進もうとする針を、どうすればいいんだね?」
『守るためよ、戦うわ!!』
『犠牲が出てからでは遅いんだぞ!!』
『もう話し合える余地などない!!』
各々の叫びが、マユの耳の中に木霊する。
マユにとっては、耳にしたくはない罵詈雑言の数々。
「怒りと憎しみだけで、ただ撃ち合ってしまったら駄目なんです!」
不協和音に耐えるマユの横で、アスランはデュランダルに訴えた。
「アレックス君…」
「俺は、アスラン・ザラです!二年前、どうしようもないまでに戦争を拡大させ……」
アレックスの苦渋に満ちた声が、室内に響く。
「愚かとしか言いようのない憎悪を世界に撒き散らした…あのパトリックの息子です!!」
アスランは狂ったように叫んだ。
また戦争を起こさせたくはない。
その一心が、彼をこんなにも乱れさせる。
「いや、そうじゃない、アスラン」
デュランダルが、そんなアスランを静かになだめた。
「君が父親であるザラ議長のことをどうしても否定的に考えてしまうのは、仕方のないことかもしれないが」
優しく、落ち着かせるように、デュランダルはアスランに語りかける。
323I and I and I(7/8):2006/05/09(火) 20:17:22 ID:???
「だが、ザラ議長とて、初めからああいう人だったわけではないだろう?」
そういえばと、アスランは思い出した。
アスランの母親であり、パトリックの妻であったレノア。
彼女が亡くなった後だろうか、パトリックが地球を討つことだけに目を向け続けたのは。
「思いがあっても、結果として間違ってしまう人はたくさんいる」
だから自分達はそうならない道を選んだのだと、アスランは思い出す。
「また、その発せられた言葉が、それを聞く人にそのまま届くとも限らない」
だが、今また、戦争が始まろうとしている。
「受けとる側もまた、自分なり勝手に受け取るからね」
「議長…」
間違っていたのは、言葉を発する側なのか、受け取る側なのか。
それとも、どちらもか。
「みなさん…」
室内でただ点灯していたモニターから、突然誰かの声が聞こえた。
「私はラクス・クラインです。皆さん、どうかお気持ちを鎮めて、私の話を聞いてください」
マユはまた、顔を強める。
ラクス・クラインと名乗る少女。
だが、マユにはラクスとは似ても似つかない少女に見える。
マユはモニターから、アスランとデュランダルに目線を移した。
324I and I and I(8/8):2006/05/09(火) 20:18:51 ID:???
アスランは本物のラクスを見るような目で、デュランダルは当然とばかりの表情で、モニターを見ている。
「ラクスさんじゃないのに…」
「何か言ったかね、ヴィア君」
「あの人…ラクスさんじゃない。声は一緒だけど、顔も髪の色も違います」
マユの顔に、アスランとデュランダルの顔が変わった。
このラクスがラクスでないことは、アスランもデュランダルもわかっている。
ただ、顔と髪の色が違うというのは、おかしな話だった。
「ヴィア君、それはどういう意味かね…」
「だって髪の色は少し濃い灰色だし…顔だってラクスさんとは違う顔だし…」
そうじゃないんですか?そう付け足して、マユは不安げな顔をする。
アスランとデュランダルは、顔を見合わせた。
「議長、彼女には不思議な力があるようです。目には見えないものが見えるとか…」
「見えないものが、見える……」
最初は疑いの眼差し。
だがすぐに、そんな眼差しは、深みのある微笑に変わった。
「俄かには信じられんが、もしそんな力があるのなら、全ての人が理解しあえるかもしれない」
マユを見ながら、デュランダルの話は続く。
「発せられた言葉を、全ての人が何の邪気もなく受け取れる術は……ないものかね」

325通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 00:53:47 ID:???
女性との会話中に先に手洗いに行くとは紳士失格だぞアスラン。
まぁそれは置いといて、IIIのマユは整形した顔の「違いが分かる」程度の話じゃなくて本当に前の姿を見抜けるのか。相変わらず超能力者ですね。

今回は次に繋がる話かな。本編と似通った感じだが、霊能者の存在が誰にどう影響を与えるのか楽しみだ。
326通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 01:02:56 ID:???
乙。
マユはララァな感じでしょうか?w
327通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 03:12:09 ID:???
>>325
I and I and IでIIIか
なるほどw

というわけでIII氏GJ!
328マユ種のひと:2006/05/10(水) 11:24:16 ID:8rDy6vlT
前スレ>268,269,270の続き

第四十三話
 宇宙。マユの乗るレジェンドがドラグーンを展開、さらに射撃。編隊を組むウィンダムの足並みが乱れる。そこを透かさずイザークの号令の下、ディアッカを始めとしたザク達のビームがウィンダムを脅かす。ウィンダムは堪らず撤退する。
 敵の撤退を確認して、アビーはマユ達にヴェサリウスへの帰艦を呼び掛けた。

 戦場より離れて、姿を隠しているガーディ・ルーのブリッジにて。敵の戦力を測るリー。傍らには、新型であるレジェンドの性能を目の当たりに、にんまりと笑うアウルがいた。

 ヴェサリウスは、一般市民もいる近くのコロニーに入った。市民達はヴェサリウスを大きな歓声で迎えた。観衆の誰かが、マユがブリッジの窓際に立っていることを指摘した。
 こういう時、人目につくところに立って応えるのも仕事と割り切るマユ。その最中、観衆の中に、多分、幼い妹を肩車する兄の姿を見つけた。彼等がじゃれている隣の中年の男女は、きっと二人の両親。マユは、彼等に向けて微笑んで、そして、手を振った。

 その模様はニュースで流れる。議長室、アイリーンはそれを楽しげに見る。そこに入室したエザリア。
 アイリーンは上機嫌のまま、国をあげてマユを祭り上げたのは正解だった、と立案者にいう。なにせ、マユが行う、ゲリラ戦を仕掛けてくる連合軍のモグラ叩きの成果を報告するだけで、プラント国民の意識を戦時中の緊張状態に繋ぎ止めておけるのだから。
 エザリアは肯定する。アイリーンは月への交渉の経過を尋ねる。もう一押し、エザリアはそう答える。万事順調に進む事態に、アイリーンは今一度破顔する。しかし、エザリアにそれはなく、月のことは当初の予定にはないこと、とアイリーンを嗜めた。

 ヴェサリウスの医務室。出入口付近に腰掛けるアビーは、戦闘後のマユの健康診断が終わるのを待っている。終わって、マユが上着に袖を通す最中に、ノックの音。マユの了解を得て顔を出したのはディアッカ。
 この後に予定されていた、マユと市民の交流会が、市民の選考で不正があったのを理由にイザークがキャンセルしたことを伝えた。マユは再び了解し、それから医務室を出る。
 すれ違いざま、ディアッカからマユに、最近ミリアリアと何かしら連絡を取ったことがあるか、と訊いてきた。マユは唐突にミリアリアの名前が出て少し驚くが、ない、と正直に答えた。ディアッカは目に見えて残念そうに頷いた。
 マユは改めて部屋を出る。アビーはその後を追い、行き先を尋ねる。レジェンドの調整、と一言で済ませ、艦内にいるのに監視をするつもり、と質問を重ねる。アビーは笑ってごまかした。
 すれ違う隊員達と気軽に挨拶を交わす。ふと、マユは、ここの人達は自分を見る目が他の人と違う、と漏らした。それには理由というか因縁があるから、とアビーはいう。マユは興味を持った。
 アビーはまず、ガンダム三機を強奪した一味が正体不明の戦力としてプラントの勢力圏を荒らしていた、と説明。そう言われてマユは、あの事件の背後関係が公になっていないことに気付く。そして、あの時、ステラからどれだけのことを搾り出そうとしていたのかも。
329マユ種のひと:2006/05/10(水) 11:25:36 ID:???
 アビーの説明は続く。宇宙の秩序を乱すこの敵を討つため、プラントはかなりの力を割いてきた。この隊の前身であるジュール隊もその例に漏れず、戦い、辛酸を舐めた。
 こちらの作戦は読まれ、イザークとディアッカは愛機を失い、隊員の三分の一は死亡し、三分の一は重傷。その重傷者の中には、イザークが懇意にしている女性もいた。
 そんな因縁があるから、この前、ウィンダム隊と核動力のフリーダムを倒すまで、マユがあの強敵達を打ち倒したインパルスのパイロットという事実を、古参の隊員ほど信じていなかった、と語った。
 すると、マユは不思議そうな顔をしてアビーを見上げた。アビーは必死に、でも今は、みんな真面目に尊敬している、と懸命になって言葉をつなぐ。

 その時、艦内に警報が鳴り響く、ガーディ・ルーがコロニーに迫っていたからだ。隊員達の動きは素早く、マユから指示されるまでもなく準備を整える。そして、コロニーからの正式な要請を受けて、ヴェサリウスは、ガーディ・ルーを迎え撃つために出港する。
 そうして、マユがレジェンドのシートに座った時、アビーの戸惑う声が通信で伝わった。その理由は、あろうことかガーディ・ルーからマユ宛の電文が届いたからだった。内容は、オーブの会食の続きはコロニーでしよう、と。
 そんなものは無視しろ、というイザークを遮って、マユは単独で戻ると言った。驚きを隠せない隊員達、それはイザークもだが、彼はそれを飲み込む。詳しい話は後で聞くが、戦うべき敵は同じか、とマユに問う。マユは、もちろん、と答えた。
 コロニーに向けて飛び立ったレジェンド。ザクもまた発進。同時にガーディ・ルーもMSを四機、出す。正体不明の四機、イザークは嫌な顔をして、部下に警戒を呼び掛ける。そして、それは的中する。接近し、目視した四機は、蒼いジャスティスだった。

 外部作業用のMSの出入口から、ゲイツと隔壁を次々に破壊して侵入する、MSが一機。コロニー側の警備MS・ゲイツ隊は、最終手段として中で待ち構える。
 最後の隔壁が破られる。猛スピードで飛び出した飛行物は、ゲイツの後方まで一気に抜ける。ゲイツ隊は、咄嗟に向き直ってビームを撃つ。その中の一機が、ワイヤーに捕まり、煙も立ち上る隔壁跡に引きずり込まれた。
 敵がいる。ゲイツが再び前方にビームライフルを構えた刹那、煙を払って飛び出したMSは、先に飛び出した飛行物は、同時にビームの刃を展開、それぞれが瞬く間にゲイツを切り裂く。飛行物・ファトゥム01は、MS・∞ジャスティスと合体、コロニーに入る。
 ∞ジャスティスのパイロット、アウルは、尚も群がるゲイツの奥に、レジェンドの姿を見つけた。そして、突っ掛ける。目が合った瞬間から、こっちに仕掛けてくる確信したマユ、距離においては自分が先手を取れる筈が∞ジャスティスの瞬発力はそれを覆す。
 図抜けたMS二機が交わす一合。マユはこの時、アウルの語りかけをはっきり聞いた、自分達はこのコロニーを潰しにきた、と。

 蒼いジャスティスに苦戦するイザーク率いるザク隊。その最中、ディアッカがイザークに語り掛けた言葉は、あれはジャスティスではない、だった。
 レジェンドの記録を見る限り、フリーダムは、ほぼそのままフリーダムだった。だが、蒼いジャスティスの動きの基本はウィンダムのそれ。恐らく、動力の大幅な強化がなされ、それに伴って武装等も強化されたウィンダムが、蒼いジャスティスの正体だ。
 要するに、対ジャスティスではなく、対ウィンダムで臨めということか、とイザーク。ディアッカは肯定。イザークも納得の上で、部下に改めて命令を出す。とはいえ、そっちの方がずっと質が悪い、ともイザークは漏らした。

330マユ種のひと:2006/05/10(水) 11:26:24 ID:???
 マユは、ドラグーンでは追尾しきれない程の速い敵に、振り切られないようにするだけで精一杯だった。アウルは、∞ジャスティスを縦横無尽に動かし、コロニーの支柱を壊して回るが、レジェンドを振り切れないのが面白くなかった。
 ゲイツ隊は∞ジャスティスの性能をきちんと把握していなかったため、事態に対処できず、右往左往する格好となり、結果的に敵を助け、対処できているマユの邪魔になった。
 コロニーの市民は頭上を仰いでそれを見る。市民の誰かが、∞ジャスティスがコロニーを壊そうとしている、と指摘。その通りの動きをするから、市民は戦々恐々した。同時に、それを阻もうとするマユとレジェンドに、多くの市民は希望を見出し、声援を送った。
 これ以上の破壊行為はコロニーの瓦解を招く。ゲイツ隊は一か八か、∞ジャスティスが選べる進路の一つに集まり、壁を作る。そして、この企ては成功した。マユは呟く、自分ごと撃て。ゲイツ隊は、前方より迫る∞ジャスティスとレジェンドに向けてビームを乱射した。
 乱射の直前、レジェンドはドラグーンを、∞ジャスティスはファトゥム01を、分離。そして、ビームシールドを張る二機。同じく、ビームを展開したファトゥム01が突入、早々にゲイツの壁に穴ができる。
 ∞ジャスティスはそこに飛び込む。尚も行く手を塞ごうとするゲイツを両手両足のビームサーベル切り裂きつつ、またわざと討ち漏らしてレジェンドから狙い撃たれないための壁として利用し、一気に抜けた。
 あとは支柱へ一直線。前方で行く手を阻む者も、後方から追いつく者もいない。アウルから笑みがこぼれた。その直後、∞ジャスティスがロックされた。
 レジェンドは、まだゲイツの壁の向こう。だが、縦に、横に、大きく、広く、展開されたドラグーンは、確かに狙いを定めていた。ドラグーンの狙撃、∞ジャスティスを頂点に閉じようとする光線の網の目、それでも回避しきる、アウルの反応が勝って。
 ∞ジャスティス、数瞬の遅延。ついに、レジェンドが追いついた。
 レジェンド、ビームジャベリンの突撃。∞ジャスティス、ビームシールドで受け流しながら、ビームサーベルを伸ばした脚で蹴り上げる。同時に、レジェンドは腰に一門だけ残したドラグーンからビームを放つ。
 相打ち。しかし、凄まじい速度の中で厳しい体制からの攻撃は決め手にならなかった。両機は空中での制御を失い、同じく凄まじい速さで落下した。
 ∞ジャスティスは、分離していたファトゥム01に自身を攫わせ、ゲイツ隊が呆然としている間に逃げた。そういう機能のないレジェンドは、落下速度を減速しつつも、地面への落下を免れることはできなかった。

 レジェンドの中、マユは、あの速度で落下して、自分がまだ息をしていることを素直に嬉しく思った。その後で、周囲の様子を探る。被害は出ている。避難の遅れた市民はレジェンドの墜落に巻き込まれて、阿鼻叫喚だった。
 その中に、マユが微笑みかけて、手を振った兄妹の姿があった。両足を失くし、瞳孔が開いて横たわる兄。その近くで、視力を失くした妹がその場をぐるぐる回っていた。そして、兄に躓いて、転んだ。妹は、わっと泣き出した。

少女「お兄ちゃん、どこぉ、どこ行ったの、お兄ちゃん、返事して、どこにいるのぉ」
マユ「……それだよ」
331通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 20:16:36 ID:???
マユ種の新作キター
ウィンダムベースの無限正義というのは、面白いアイデアだと思いました。

次回も期待しております。
332通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 21:54:40 ID:???
作者さん乙です
最後の二行が、なんつーか鳥肌たった。
333通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 23:24:46 ID:???
マユの立ち居地が見ていて辛いですな。
レイとルナ早く来てくれー。
あと戦闘シーン超GJ、アニメでこういうのを見てみたかった。
もっとも実際にアニメで見たら最後のシーンでかなり凹みそうですが。
334通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 23:30:16 ID:???
アニメじゃなくてもヘコんだよorz
だがGJ
335通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 00:41:31 ID:???
やっぱり今日投下しておくべきだったなあ・・・
336通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 14:49:24 ID:???
なんか賑やかと過疎が極端すぎるなぁ

じゃあ保守ついでにまとめ人さんへ要望
マユ戦記とか完結してあるものは更新停止ページに持っていくのはいかがなものかと
更新停止も何も終わってるんですからw
337通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 14:51:59 ID:???
あぁそっか
マユ戦記はリメイクした後から更新停止だからそうなのか
早とちりスマソ
338通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 22:00:41 ID:???
なんかPPは一斉に死亡フラグが立った感じ。

ゲン:25%・・・主人公だからまだ死なないだろうけど、終盤なら充分ありえる。
ステラ:80%・・・なんかもうビンビン。種3大死亡フラグの一つ、「CV:K島法子」を持つ。
アウル・スティング:40%・・・ガンダムには強化人間は必ず死ぬ、というジンクスがあるそうで・・・。
マユ:20%・・・ゲン同様、終盤までは大丈夫っぽい。
ルナ:40%・・・ゲンとのやりとりが死亡フラグの成立にも見えるし、恋愛フラグの成立にも見える。
メイリン:10%・・・非パイロットだけに、それほど危険はなさそう。死ぬときはタリアやアーサーも一緒さ!
アスラン:15%・・・今回のやり取りに加われなかっただけに、死亡フラグは回避できたか?
ハイネ:80%・・・「K島法子」「S俊彦」を抑え、種3大死亡フラグの筆頭に輝く「CV:N川貴教」。
キラ:2%・・・本編の嫁補正が強すぎた影響か、PP氏がそう書いているが故か、死を微塵も感じさせません。
イザーク・ディアッカ:60%・・・慢性的な死亡フラグに悩まされるこの二人。
339通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 22:07:08 ID:???
>>338
イザークとディアッカは出番なくても死亡フラグ立ったちゃうのかよ!
340通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 22:16:37 ID:QiFKerFc
>>339
だってイザークとディアッカだぜ?
341通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 23:45:10 ID:???
>>338
21話からの予想

議長=地球に隕石落す。間違いない。
キラ=アムロ。νフリーダムで隕石押し返す。
アスラン=シャア。キラに「ラクスを奪ったお前に言えたことか!」とか言っちゃう。
イザーク=隕石押し返す。その後爆発して死ぬ。
ディアッカ=隕石押し返す。その後弾き飛ばされる。生存。

♪ああ〜メビウスの輪から〜♪
342通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 23:59:40 ID:???
ちょっと悪ノリしすぎ、抑えて抑えてw
343通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 00:19:41 ID:???
>>341
待てwwwそれじゃシャアが2人になっちまうwwww
344通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 01:02:49 ID:???
>>343
「情けない奴」=議長で、艦長に「大した役者だな、ギルバート!!」といってもらう
・・・・・・待て待てwwそれじゃ艦長がハマーン様になってまうジャマイカwww

アスランはちょっとギュネイ分加えて、ガチンコで殴りあった後、胴体隕石に叩きつけてられ
て行方不明、実は・・・・・・なんてオチは駄目?
345通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 02:37:30 ID:???
単発設定小話 「それぞれの憂鬱 〜忘れられていた人々〜」

■ジブリールとぬこたん
〜いくつものモニターに囲まれた部屋にて〜
ジブリール「ふぅん・・・シン・アスカ・・・・・・か。何も反応がないところをみると・・・あのディスクは使っていないようだな。
まぁいい。記憶を取り戻してくれたほうが面白くなりそうだったんだがな・・・・・・。それよりも、少々不甲斐
なさすぎやしなかね・・・ガーティ・ルーの連中は・・・スウェンたちを戻すか。・・・・・・いや彼らをあの任務
から外すわけには今はいかんな。やはり次はあれを使わなければなるまいな」
〜テーブルのスイッチを押すジブリール〜
ジブリール「ガーティ・ルーにつないでくれ・・・・・・ん、どうした?息苦しかったかな?」
ぬこたん「ぬ、ぬぅぁ〜〜」

■議長
デュランダル「彼女のお兄さんが生きていたとはな・・・・・・。シン、といったか。しかし、彼もコーディネイターではなかったかな?」
〜手元のコンピュータからデータベースを検索する議長〜
デュランダル「・・・そうか。彼もまた被験者・・・クラスDだと?こんなクラスの人種がなぜMSを操れる・・・OSでは補正しきれまい?」
〜再びディスプレイに目をやる議長〜
デュランダル「ふん、ブルーコスモスめ。エクステンデッド化を図ったか・・・・・・。まったく厄介な連中だよ・・・ロゴス」

■ラクスと黒っぽい三連星
ラクス「これが新しいMSですか?」
ヒルダ「こちらはザフトが途中で開発をやめていた試作機になります。キラ様の新型はこちらになります」
〜ヒルダはドムの影に隠れるように配置してあるMSを見上げる〜
ラクス「こちらですのね?おやまぁ、翼が大きくなっていますわね。間接の箇所が金色になっていますね・・・」
ヘルベルト「ええ。翼にはドラグーンシステムを採用しております。キラ様であれば扱えるでしょう」
ラクス「ドラグーン・・・・・・?それはどんな武器でしょうか」
ヒルダ「翼の先端部分がビームポッドの端末を無線で操るシステムでございますよ。・・・先の戦争でラウ・ル・クルーゼが使用していたシステムです」
ラクス「・・・・・・そう、ですか。・・・久しぶりにそのお名前をお聞きしましたわね」
〜ハッとするヒルダ〜
ヒルダ「!申し訳ございません。嫌な思いをさせてしまいましたか・・・?」
ラクス「いいえ。それはいいのです。彼もまた、他人に運命を背負わされてしまったかわそうなお方なのですから・・・・・・」
ヒルダ「・・・・・・」
ラクス「そういえば・・・お聞きになりましたか?ザフトのあの少女、マユさんとおしゃったかしら。彼女のお兄さんが連合側にいたとか・・・。彼女のお兄さんも運命を他人に背負わされてしまったのでしょうか?」

■愉快な三人組
イザーク「・・・・・・マユのアニキが生きていただとっ!?グァッ!!」
〜ちゃぶ台をひっくらかえすイザーク〜
ディアッカ「おいおい、イザーク落ち着けよ?ま、よっかったじゃないか。死んでいたよりもよっぽどいいじゃないか」
イザーク「ちっとも良くない!マユのアニキの座は、このオレが狙っていた。いいや!オレ以外にはありえんっ!」
ディアッカ「・・・お前はマユを彼女にしたいのか、それともアニキになってやりたいのか。どっちなんだ!?」
イザーク「なにをわけのわからんことっ!そんなもの・・・・・・両方ともに決まっているだろうがっ!!」
シホ「このバカ隊長!そんな恥ずかしいこと力いっぱい答えてんじゃないわよ!!」
〜ディアッカがもとに戻したちゃぶ台を再びひっくらかえすシホ〜
イザーク「・・・っちぃ。シホ!隊長に向かってなんだ!その口のききかたはっ!?」
シホ「バカをバカって言ってなにが悪いっていうんですか!」
〜イザークのほほに平手一発をきめたシホ〜

346通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 23:58:19 ID:???
さじずめ絶頂期を過ぎて低迷期とでも申そうか・・・
347通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 10:58:07 ID:???
夏のギャグ編と言って欲しい
348通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 17:14:55 ID:???
なんかネタに、どうぞ。スペエディのチラシ。
ttp://members.ld.infoseek.co.jp/rurukubo/cgi-bin/img-box/img20060514171139.jpg
349通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 23:12:53 ID:???
単発設定小話 「BOY MEETS GIRL」刹那の夢編A

〜レイの助けもあって、インパルスにステラを乗せミネルバを発つマユ〜
マユ「ガイアに残っていた通信記録を使って・・・向こうの回線につなげれば。・・・聞こえますか。こちらザフトのマユ・アスカです」
〜ノイズを掻き分けてマユの言葉はガーティ・ルーに届く〜
通信兵「!?艦長、ガイアのアクセスコードで通信が入っていいます!」
リー「ガイアだと?・・・通信をこっちにあげろ。・・・・・・大佐」
〜首をかしげるネオ。ブリッジ内にノイズがまじった通信が開かれる〜
(マユ「・・そちらのステラという兵士を預かってます。こちらの要求を聞いていただければ、この兵士をお返しいたします・・」
リー「っち、やはり敵に捕まっていたか・・・」
(マユ「・・・で待っています。こちらの要求は、灰色のアストレイのパイロットだけでこちらに来てください」)
リー「・・・・・・ははぁ。先日の続きを向こうはやりたいようですな。大佐」
ネオ「おそらくな。向こうも懲罰覚悟だろうな。しかし、罠かもしれんしなぁ・・・。まあいい。リ、要求に答えてやれ。」
リー「・・・・・・了解しました」
〜ネオの命令でアプレンティスに乗りマユのもとに向かうシン〜
シン「っち。罠の匂いしかしねぇぜ、こんなの。本当にステラが戻ってくんのかよ?」

〜マユの指定した場所へ到着しアプレンティスから降りるシン。そこにはすでにマユが居た〜
シン「・・・・・・ご指名どおり来てやったぜ?」
マユ「・・・あなた・・・ううん、お兄ちゃん一人で来たのね?」
シン「またそれか・・・。お前のお兄ちゃんかどうかは知らねぇが、俺一人なのは間違いない。さあ、ステラを返してもらおうか?」
マユ「この人は返すわ。はやく適切な処置をしてあげてね・・・」
シン「ふん、こんなになるまでほかって置きやがって・・・・・・!?」
〜シンに向かって拳銃を構えるマユ〜
シン「どういうつもりだ?お前の要求どおり、俺が来てやったっていうのに!」
マユ「お兄ちゃん・・・本当に記憶を失っているの?私のこと、パパやママのことも覚えていないの?」
シン「・・・ああ知らないね。大体なにを根拠にそんなことを言っているんだ?」
マユ「この携帯電話。その人が持っていたものよ」
シン「俺がステラにあげたものじゃないか・・・」
マユ「この携帯電話・・・どこで手に入れたのですか?これは先の戦争で戦禍から逃げている際に私が落としたものです・・・・・・」
シン「あっそ、それがお前のものならそれでいい。それはお前に返す。なぁ、もういいか?」
マユ「・・・携帯電話は返すわ。私には必要ないもの。・・・お兄ちゃん、お兄ちゃん!本当に記憶をなくしたの?本当に私がわからないの!?」
〜拳銃を構えた腕は小刻みに震えている。シンはしつこい問いかけに苛立ちを隠せない〜
シン「ったく、しつこいな!俺がかつて何者だったかなんて興味はないっ!そんなにお兄ちゃんとやらが大事なら、お前はずっと過去に引きづられて生きていればいいだろ!?」
マユ「お兄ちゃん!」
シン「いい加減にしろ!!これを解読して思い出に一生浸ってろ!ほらよっ!」
〜シンは懐から黒いディスクを取り出しマユに投げつける〜
マユ「!・・・・・・これは?」
シン「俺の記憶を戻すためのソフトだとよ!俺には不要なものだ!・・・俺は、たぶんお前に兄だろうさ。でも俺はそれを知らない。もうお前の兄じゃないんだ!」
マユ「だったら、なんで?なんでこのディスクを使って記憶をもどさないの?自分が誰だったのか知りたくはないの!?」
シン「俺は俺だっ!いらいらさせる奴だな、本当に!・・・死ねよ!」
〜シンは腰の銃をすばやく抜き、マユを撃つ。とっさに射線上から体をそらすマユ〜
マユ「!きゃっ!?」
〜アプレンティスのコックピットにステラを運び入れ、そのままその場を去るシン〜
マユ「・・・お兄ちゃん。本当に、なにも覚えていないの?」
〜地面に膝をつけ、大粒の涙を流すマユ〜

刹那の夢編 完
350I and I and I(1/8):2006/05/14(日) 23:19:16 ID:???
その旋律を耳にした時、ワタシの体は震え、聴き惚れてしまった。
鍵盤の上を走る滑らかな指。
そこから奏でられる、時に情熱的で、時に冷淡な音色。
様々な楽曲が響き渡るコンサートステージ。
観客は、ワタシだけ。
ワタシの耳にしか、この曲は届いてくれないのかもしれない。
ワタシにだけ聴こえた。
そして、きっとあなたにも。



〜I and I and I〜 第十話「ピアノ」



マユ自身の問題は、少しも解決しないのに、事態は身勝手に動きだしていた。
開戦。本物でなはないラクス。
そんな話題を含んだ面会は終わり、アスランとデュランダルは、二人だけでどこかへ行ってしまった。
先に泊まる予定のホテルに戻ったマユは、ベットの上でゴロゴロとしている。
何もすることがない。
したかったことも、もうプラントでは叶わない。
そんなマユがベッドでゴロゴロを続けていると、どこからか音が聞こえた。
「ピアノ…」
起き上がり、音の出どころを探す。
ホテルでかかっているBGMというわけではないようだった。
マユは、ゆっくりと部屋のドアを開き、廊下のきょろきょろと見た。
351I and I and I(2/8):2006/05/14(日) 23:20:57 ID:???
音は外から聞こえていたが、廊下や他の部屋から聞こえているわけではなかった。
マユは廊下に出ると、また音のする場所を探す。
ピアノが鳴り止まないように祈って、一歩一歩、確実に近付いていく。
階段を下り、先へ、先へ。
そして辿り着いたのは、ホテル内のレストランだった。
ウェイターに気付かれないように中に入ると、マユは音のする方へ急ぐ。
「……わぁ…」
思わず声が漏れた。
そこには、グランドピアノがあった。
そして、鮮やかに演奏を行う、ウェーブのかかったモスグリーンの髪の少年がいた。
「こんなに綺麗な曲なのに誰も聴いてない…」
周りを見てみると客は誰も曲に耳を傾けていないように思える。
本当にただのバックグラウンドミュージックなのかと、マユは顔を歪めた。
しかし、少年はそんなこと苦にもせず、楽しそうに演奏を続けている。
そんな彼の弾く曲を、周りを気にせずに聴き続けたい。
マユは周りなど気にしないで、また曲を聴き始めようとした。
「ヴィアじゃないか」
「えっ?」
だが、突然の呼びかけに、マユは振り返る。
「アスランさん…」
「君も夕食か」
「あ…いえ…ピアノの音が聞こえて」
352I and I and I(3/8):2006/05/14(日) 23:22:58 ID:???
アスランとその後ろでひょっこりと顔を出すミーアにそう言うと、マユはピアノに顔を向けた。
しかし、そこにいたはずの少年は忽然と消え、音ももう聞こえない。
「おかしいですわねぇ。今日はピアノの演奏なんてないはずですけど」
「え……でもワタシ、部屋にいたらピアノの音が聞こえて、確かにさっきも…」
「ちょっと待ってくれ。ヴィア、俺達の部屋がある階から、本当にここのピアノの音が聞こえたのか?」
考えてみるとおかしな話である。
レストランと部屋は、階が離れすぎていた。
そんなに離れていて音は届くのだろうか。
「それに私達のいたVIPルームにもそんな音聞こえませんでしたわよ。ねーアスラーンっ?」
「そ、そうだな」
べったりとくっつき同意を求めるミーアに、少々顔を引き吊らせて頷くアスラン。
マユは苦笑して、自分の勘違いだったと返した。
そう返したが、勘違いではないのはわかっている。
また自分だけ体感してしまった。
嫌なわけではなかったが、とても寂しかった。

その翌日、マユはアスランに呼ばれ、部屋を訪れる。
「これから出かけるんだが、ヴィアも気晴らしに一緒に行かないか?」
353I and I and I(4/8):2006/05/14(日) 23:24:33 ID:???
「どこに行くんですか?」
マユの質問と同時に、部屋に来訪者がやってきた。
質問に答えよう開いた口を閉じて、アスランはドアへと向かう。
誰かとドアを開いた直後、アスランは目の前の顔に驚愕した。
「イザーク!?」
「貴様ぁ!これはいったいどういうことだ!?」
「ちょっ、ちょっと待て!」
苛立ちを顔の全面に詰め込み、切り揃えられた銀髪を乱して迫ってくる。
アスランはたじろぎながら状況を把握しようと必死になっていた。
声に気付き、どうしたことかと駆け寄ってきたマユは、彼等の後ろにいる褐色の肌をした呆れ顔と目があう。
イザークとディアッカ。
かつてのアスランの戦友達。
「俺達は無茶苦茶忙しいというのに、評議会に呼び出され、貴様の護衛監視だと!?」
「護衛監視…!?」
「外出を希望してんだろ、お前」
「ディアッカ…」
お久しと、軽く挨拶をするディアッカ。
未だ気が立っているイザーク。
「誰か同行者がつくとは聞いていたが…それが、お前達?」
「そうだ!!」
「そゆこと。で、そこにいる嬢ちゃんは誰なんだ?」
ディアッカがそう訊くと、アスランもイザークもマユを見る。
354I and I and I(5/8):2006/05/14(日) 23:26:21 ID:???
裾だけの右腕に驚きつつも、そんなことより、マユが何者なのかが気になった。
「彼女はヴィア。説明すると長くなりそうだな…」
「時間がない!歩きながらで構わん!」
「おいおい…すまないね、ヴィアちゃん」
「いえ…」
こうして、マユ達一行は部屋を出る。
アスランはマユの事情を一通り話し、イザークとディアッカは理解を示す。
イザーク達もイザーク達で、自分達がアスランのかつての仲間であることを話した。
「互いの自己紹介が済んだとこで、どこに行きたいんだよ」
「これで買い物とか言ったら、俺は許さんからな!」
「そんなんじゃないよ」
その言葉の刹那、アスランの顔に影の差し込む。
「ニコルの墓にな…」
アスランの言葉に、イザークとディアッカも顔を曇らせた。
わからないままのマユも、決して明るくなどないこの雰囲気を察する。

アスランは、一つの墓に花束を手向けた。
死んでいった仲間達の墓石が並ぶ霊園。
同じザフトレッドだった者達、緑の軍服の先輩達。
ヴェサリウス、ガモフのクルー達。
アスラン、イザーク、ディアッカは、追悼の念を込める。
「積極的自衛権の行使。やはり、ザフトも動くのか」
355I and I and I(6/8):2006/05/14(日) 23:27:48 ID:???
そんな中でも、やはり気にかかるのはプラントやザフトのことだった。
アスランは、ゆっくりと自分の疑問を口にする。
「仕方なかろう。核まで撃たれ、それで何もしないというわけにはいかん」
重い口調で、イザークが返す。
「それでオーブは?どう動く?」
「……まだ、わからない」
戦友であり、友人だった彼の墓石を見つめながら、アスランは答えた。
動きたくとも、元は他国の人間であるアスランでは、簡単にはどうにもできない。
話を聞けるカガリも、側にはいない。
そんな歯痒さが、言葉に表れていた。
「戻ってこい!アスラン!」
アスランをしっかりと見据えて、イザークは力強く言った。
「事情は色々あるだろうが、俺がなんとかしてやる。だからプラントへ戻ってこい」
イザークの瞳がアスランを捉え続ける。
ディアッカも、アスランだけを見ていた。
「俺もこいつも、本当ならとうの昔に死んでいた」
敵、味方、そして軍人ではない者。
殺して、死なせて、自分は生きている。
生きたくても生きれなかった者達の屍の上で、自分達は生きているのだ。
「だから俺はまだ、軍服を着ている」
356I and I and I(7/8):2006/05/14(日) 23:29:19 ID:???
そんな連鎖を止めるために、また軍人に戻るというのは矛盾した話だが、だが自分にできることいったらそれぐらいしかない。
「それしかできぬが、それでしかできないこともあるだろう。死んでいった仲間達のためにも」
「イザーク…」
「だから戻ってこい!それ程の力、無駄にする気か!?」
迫るイザークの顔が、アスランの心を責める。
力ある言葉は頼もしいが、迷いは薄らぎはしない。
だが、プラントに来たのは、オーブよりもプラントが気になったからだ。
自分のいるべき場所は、プラントではないのか。
アスランの心は、大きく揺らぐ。
そんな時だった。
どこからともなく、ピアノの音色が響いてくる。
「この曲…ホテルで聴いた曲…」
思わずマユが呟いた。
どうやら、アスラン達にも聞こえているようで、不思議そうに辺りを見回している。
「ニコル…なのか」
アスランが言った。
「何を言っている、アスラン?」
アスランには、思い当たる節があった。
ピアノを弾くのが大好きだった少年。
眠ってしまったが、彼のコンサートに招かれたこともあった。
今、聞こえているこの曲は彼が奏でているのはわからない。
357I and I and I(8/8):2006/05/14(日) 23:30:24 ID:???
だがこの曲が、前に進めるように自分の背中を優しく押してくれているような気がした。
「おいおい…なんだよこりゃ」
「わからん。だが…」
ディアッカとイザークは、アスランに顔を向ける。
アスランは、何かを決めたことを感じさせる確かな表情を浮かべていた。
そんなアスランを見て、イザークとディアッカは安心する。
マユは、三人をただ遠くから眺めていた。
三人の絆と、三人を包むもの。
それは、誰にも崩せはしないもの。
ピアノの音はゆっくりと、守るように三人の中に吸い込まれて、終わろうとしている。
三人の側には、マユが昨日出会った少年が立っていた。
少年はマユを見て礼を言うように微笑むと、ピアノの演奏が終わるのにあわせて、その場からいなくなる。
背中を押してくれたことによって、歩きだせた足。
その足が、行き着く先は……

358479:2006/05/14(日) 23:31:40 ID:???
挿入曲 別れの曲(ショパン)
359通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 02:24:11 ID:???
投下の質が落ちてきた・・・これではスレの冬が来てしまう
360通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 02:59:21 ID:???
というかお二方の投下の後にいうセリフがそれか
361通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 03:12:09 ID:???
単発氏、III氏乙ー。




>>359
軽率な発言には注意されたし
362通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 04:26:51 ID:???
>>358
別れの曲がわからなかったので、代わりに夜想曲第二番変ホ長調が流れてますた
これもいい曲だー

マユは小手川ゆあの幽霊が見える生霊な少女みたくなってきた件。
ピアノつながりでレイも絡んだら面白いんだけど
今はオーブ沖で戦ってる頃なんだよな…
363通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 06:41:15 ID:???
>>361
作品のレベルの低下は事実じゃね?
364通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 07:21:32 ID:???
>>363が書いてくれるらしいです


365通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 08:10:39 ID:???
>>363のすばらしくレベルの高い作品に超期待。
ガチで。
366通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 10:46:19 ID:???
投下後の反応と作品の質は関係ない
そもそも誰の評価が正しいのかといっても答えは出ないし
評価なんて人それぞれだし大衆の意見なんてあてにならない

それに>>358は作品の質のことを言ったのか?
俺には投下の間隔に見えたんだが
10や20軽くレス消費する職人がいるんだ
そんな二、三日で投下されるわけないだろ
IIIは投下が早いがいっても7,8レスだしこれでも充分長い方だ
短いからってつまらないわけでもない
過去の作品も、今の作品も

まぁ俺の作品評価の水準が低いだけかもしれないがな
367通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 11:41:40 ID:???
ホント煽り耐性がない連中ばっかだな…

>>366
「人それぞれ」って言葉は安易に場をなだめる言葉として使えるものじゃないんで気をつけた方が良いぞ。
大抵の場合主張に自己矛盾を生じさせてしまうから。
368通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 11:44:46 ID:???
住人のふいんき(何故かry)作りもあったもんじゃないな
369通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 11:49:02 ID:???
避難所騒動でかなり減ったと思うよ>住人
残っているのはなんだろね?
自称古参とか、何もせずただ言うだけの椰子とか、悪乗りする椰子とか

そんな俺も自称古参
マターリ具合も嫌いではない
370通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 12:04:12 ID:???
まったり時期があってもいいじゃない
複数の職人さんがいてまとめサイトも避難所もある
充分に恵まれてるよ
潜伏住人数も新シャアじゃ多いし


ま、避難所の論争を呼んだ人はあれから姿を見せてないし、
彼だか彼女だかが姿を現わした時期と結構に荒れた時期が重なってるし、
怪しい要素が多いねぇ
371通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 12:34:02 ID:???
住人が減るとかさ、本当にそう思ってるのか?
避難所の騒動とか鬱陶しいと思っているだけで、定期的に巡回してる俺のような人間だっている。
くらだない議論を見たいんじゃなく投下作品が読みたくてな。
だからお前ら黙ってろ。議論したきゃ、それこそ避難所でやれ。
372通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 12:44:23 ID:???
住人のふいんき(何故かry)もあったもんじゃないな(本日二回目)
373通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 13:10:42 ID:???
怒られたし、黙って投下待ち↓
374通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 15:54:05 ID:???
ワクワクテカテカ
375通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 18:02:05 ID:???
質が落ちたと思うなら、どこがどう落ちたかちゃんと述べればいいのに。
マンセー強要すんのはガキだけだよ。身のある批判ならみんなが読む。
376通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 18:16:24 ID:???
というか最近投下だけな件
妄想しよーぜ
ネタないけど…
377通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 21:45:26 ID:???
>>370
呼んだ?
つーか、こっちでの書き込みを控えたら控えたで勝手にレッテル貼られちゃたまらんよ。
ここで避難所公開の話をすると議論以前に嫌がる人がいるから、指摘通り自粛してたわけで。
まぁ、向こうでも一段落付いたから現時点でこれ以上どうこうすることもないんだけれども。
378通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 08:40:31 ID:???
黙って待つのみ。
379通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 10:53:03 ID:???
スレのありかたがなんかおかしいのはわかるんだが・・・
それが漠然としていてはっきりとは説明できないのがもどかしい。
380通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 12:11:50 ID:???
たとえ糞でも投下して貰っているだけありがたいよ。
とある小説スレに投下が全然無くなったスレ住人が言ってみる
381通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 13:01:33 ID:???
だーかーらー議論は避難所ー

>たとえ糞でも
くまーくまー
382380:2006/05/16(火) 18:05:30 ID:???
何でクマーと言われているのか分からない(´・ω・`)
別に作品のことを糞と言っている訳じゃないんだ。
あくまで例えだ
383通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 18:21:17 ID:???
すいませんが、ゲンってこんな感じ?
http://turibori.net/sup/300k/src/up1882.jpg
384通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 18:25:31 ID:???
>>383
脳内ではもっときりっとした顔で、アキトみたいなバイザーつけてる
385通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 19:13:50 ID:???
>>382
だからもうまともな話をしようとしても無駄なのよ。
386通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 19:15:59 ID:???
無くしたものがわかった
住人のみんなの妄想具合と、投下後の作品に対する軽い雑談だ
それがないから俺的に最近のスレに?なだった

以上チラ裏
387通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 19:22:16 ID:???
>>382
>例え糞でも
今投下されている作品に対しての比喩に思われたのでは。

>>385
そういう発言もまた「まとまな話をしようとしても無駄」の実例。

>>386
過去スレ見てこの空気いいなぁと思うの私懐古厨。
388通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 19:29:45 ID:???
黙って待つか既存の作品に妄想して待つかすればいいじゃない
議論は避難所でいいじゃない
389通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 19:56:17 ID:???
今までの馴れ合い具合と比べれば今の方が幾分はマシかね。
390通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 19:59:45 ID:???
千差万別っていうか…
人によってどんなスレがいいのか違ってくるかな
賑わってた方がいい
マターリしてた方がいい
馴れ合いしてた頃がいい
馴れ合いなんかなくていい
議論は避難所で!
避難所なんか無くていいべ
391通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 20:00:06 ID:???
よし流れを変える為に.....
連合版シンの序盤の機体はストライクMK-2。
で後半の機体はどんなのが良いと思う?
392通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 20:51:30 ID:???
候補といえばこんなもんか

@デスティニー ◎最有力。ユーリから奪ったディスクの中身は運命?
Aデルタフリーダム ○かつての有力候補。連合製フリーダムは伊達じゃ(ry
Bアカツキ △オーブはまだ連合なので可能性はある。色は黒?
Cストフリ ×キラと主役交代なら可能性あり。大穴

個人的にはシンが乗るんだからやっぱり運命かな
黒色の運命もいいかもしれない
393通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 21:13:05 ID:???
最後まで…最後までストライクで…!
394通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 21:27:58 ID:???
あえてストライクノワールを持ってきてみよう。
395通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 21:29:59 ID:???
アッガイ
396通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 22:13:22 ID:???
そこでグランドスラムですよ





そこ、意味ないとか言わない!
397通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 22:21:36 ID:???
無難に運命で


そうするとマユは何に乗るのだろうか
398通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 22:26:43 ID:???
デストロイに乗って本当の恐怖を教えて欲しい俺は少数派?
あれ、デカいだけのやられキャラにすんの勿体無いんだが
399通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 22:53:33 ID:???
ガイア+アビス+カオスな機体に乗って欲しいのは俺だけですかそうですか。
400通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 22:58:36 ID:???
>>399
それ何てダークネス?
401通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 23:00:36 ID:???
絵師 or 模型師 が同時降臨するならいいんだが、文章だけのオリメカは想像しづらいからねぇ
Mk-2の色変更くらいが限度だと思う。
402通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 23:04:28 ID:???
>>397
@インパルス継続 ◎可能性高し。終盤はデスティニーマユパルスか?
Aデスティニー ○マユティニー。女の子には似合わんが
B新ザフト製フリーダム △ハイネが死んだらくるかも。名前はスーパー(ry
Cスターゲイザー ×OVA次第ではひょっとすると。超大穴
403通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 23:07:22 ID:???
ここは幻のスーパーフリーダムを(ry
404通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 23:09:02 ID:???
そういえばルージュとアカツキでマーク2のプラモ作った人どこいったんだろ?
新発売のストライクノワールよりあれ欲しい俺がいるw
405通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 23:17:11 ID:???
インパルスに運命のシルエットがあったじゃん?
あれをインパかMk−2に付けるとか
406通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 00:04:39 ID:???
>>404
今絵板に出てるMk-2のプラモ、2つあるよな。
灰色系でエールストライカー着けてる奴と
黒で(未完成ながら)IWSP2着けてる奴。
407通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 00:19:25 ID:V2k2ogpY
シンにはストライクMkUにディバインストライカーとトリケロス改装備させたものに乗って欲しいな
408通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 00:32:24 ID:???
>>400
ダークネスって何
409通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 00:55:58 ID:???
スティングスレの主役機じゃなかったか>だーくねす
カオス、アビス、ガイアのパーツを元に作られたMSでオクレ兄さんが乗るらしい。
410通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 01:06:38 ID:???
>>409
こう書くと強そうというか厨臭そうに思えるが、かろうじて無事な各機体のパーツを強引に組み合わせただけのシロモノなので、
念入りにメンテナンスしないとすぐ動かなくなるし、戦闘時間そのものが短いという欠陥ありまくりの機体なのだ
411通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 01:37:23 ID:???
単発設定小話 「第2クール そうまとめ」

〜新聞を読みつつコーヒーに口をつけるサラと紅茶をすするミーア〜
サラ「ふーん・・・。フライングして第3クール分の刹那の夢をやっちゃったわね・・・」
ミーア「ま、まぁいいじゃないですか?サラさん。今回は第2クールのまとめですし・・・そっちのお話をしましょうよ」
サラ「いいけどさ・・・・・・。どうでもいいけど第2クール長かったわね・・・第1クールの何倍かけてんのよ?」
ミーア「振り返ってみると、ハイネさんの活躍ばかりが目立ってしまいましたわね。・・・サラさん、同期なんでしょ?」
サラ「そうよ。仇名で『ザフトの〜』の冠を持つのはハイネと私、そしてアーサーよ。ハイネは黄昏、私は西風、アーサーは鰯ね」
ミーア「・・・あのぅ、なんでアーサーさんだけ鰯なんてへっぽこなんですか?」
サラ「そりゃあんた、なにをやっても下手糞なんだもの。群れにまぎれることしかできないからよ。・・・まぁそこがいいんだけど・・・」
ミーア「・・・ぁぁそうですか・・・・・・(よくわかんねぇや。次いこ)。そういえば第2クールではかなりつっこんだところもありましたね」
サラ「そうね。マユの秘密とか、携帯の隠された機能。ネオの記憶とかね。ああそうそう、フリーダムのガンバレルって練習になったのかしら?」
ミーア「・・・さぁ、どうでしょうか?すぐに落とされてしまいましたしねぇ・・・・・・。で、マユちゃんの秘密ってなんだか変なとこに入り込みそうで・・・」
サラ「人工進化ね。あれは進化というよりは変化というべきものよね。突然変異とでもいうのかしら」
ミーア「でもストーリーの便宜上、進化といったほうが仰々しくていいと判断して使ったみたいですね」
サラ「所詮、どこまではったりできるかなのよね。知ってた?マユは第二世代の被験者よ。シンもね」
ミーア「じゃぁ第一世代の人工進化の被験者もいるってことですか?」
サラ「そうゆうこと。もっとも、第一世代は出生率の問題解決とかではなくて、純粋にどんな変化がでるのかを目的にしてたみたいだけど・・・」
ミーア「へぇ。そうなんですねぇ〜・・・・・・なんでそんなことを知っているんですか?サラさん」
サラ「それはまた今度。・・・・・・次の話題いきなさい。次の話題」
ミーア「はぁい。ネオさんは記憶を取り戻したようですが?」
サラ「それ、補足説明していいかしら?」
ミーア「あ、じゃあどうぞ」
サラ「ネオが記憶を取り戻したのはロドニアのラボよ。最初の頃にラボでネオとシンがマユに銃を突きつけられて床につっぷしている話があったでしょう」
ミーア「あーはいはい。なんかありましたねぇ」
サラ「あのときにラボの装置を使って記憶を戻したってことなの。シンはやらなかったみたいだけど・・・・・・」
ミーア「へぇ。ガーティ・ルーの設備じゃだめだったんですかねぇ?」
サラ「詳しくはわからないけれど・・・エクステンデッドとはフォーマットの仕方が異なるのかもね。記憶操作だけだもの・・・」
ミーア「なるほどぉ・・・」(よくわかってない)
サラ「あんた・・・ほんとうに理解できてるの?」
ミーア「え?・・・いや、やだなぁ。理解できてますって、ほんとうに。つ、次いきますね。・・・そういえばハイネさんがアニメよりも長生きしてますよね?」
サラ「アニメはいくらなんでも短すぎだと思うわね。TMRの声も思っていたより違和感なかったし・・・」
ミーア「そうですねぇ。私の無理したきゃぴ声より違和感なかったですよねぇ。・・・最後にMSについてはいかがでしょうか?」
サラ「MSねぇ。核エンジンつんだムラサメとかあったけど・・・あれはガーティ・ルーに保管してあるのかしらねぇ?」
ミーア「デストロイの片鱗もちらっとでてきましたね」
サラ「あとはなにが目新しかったかしら?フリーダムとかルージュとか・・・あ!アビスがあっさりやられたわね」
ミーア「アウルくんも特に目立つことなく、汚名も返上できずに死んじゃいましたね」
サラ「ま、あんなものよ。初めから顔に死相がでていたもの。当然の結果ね」
ミーア「そうですか・・・。ではサラさん。締めのお言葉を」
サラ「ずばり言うわよ。ステラとあんたと私は死亡確定だから!ステラとあんたはアニメと同じ場面でね。私は秘密よ」
ミーア「えぇぇええぇっ!!最後にそんな死亡宣告しないてくださいよっ!」

412通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 18:28:56 ID:???
台本形式のSSは萎える
413通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 19:17:38 ID:???
萎えるなら読まなきゃいいのに(´・ω・`)
でも最近「見なきゃいい」「読まなきゃいい」「来なきゃいい」って行っちゃ駄目らしいね

それはそうと単発さんはほのぼのに続く数少ない短文系SSだからなぁ
設定も色々だしそういうのがデキル方って貴重です
414通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 19:31:15 ID:???
むしろ短文で纏める方がすごいなと思ってるSS書きがここにひとり。
設定も独自のものが多くて、ふむふむと思いながら読んでいるんだけどなぁ。
特にここのアーサーの設定は大好きだ。ザフトの鰯とかwwww
415通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 22:17:40 ID:???
>>413
最近と言うより、どんなスレでも、
>「見なきゃいい」「読まなきゃいい」「来なきゃいい」
こんなレスは嫌われると思うんだが。
416通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 22:34:56 ID:???
マユ種で登場した蒼い無限正義

ttp://seedplamo.sakura.ne.jp/img/img-box/img20060517061756.jpg
417通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 22:40:20 ID:???
>>416
うお、いい!
つか全然違和感無い
418通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 00:21:26 ID:???
>>416

その機体の愛称を選べ

つ<テスタロッサ>
つ<ゼルべリオス>
つ<ベルゼルガ>

……いや、青の騎士だしさ、ね?ダメ?
419通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 02:19:06 ID:???
>>416
俺、こっちのカラーリングの方が良いかも
420通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 10:32:49 ID:???
>>415
だが萎えるだのなんだのいう奴よりマシだと思うのだが
書き捨てるだけの中身のない誹謗が一番最悪じゃないか?
なら、読むな、見るな、来るな、と思うのは当然だろう
2chだからどんなレスしてもいい、ネットだからどんなこと言ってもいいなんてこと有り得ない
421通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 10:47:50 ID:???
中身がないならスルーしろと言いたくなるが・・・
そんなレスの後に擁護するのも大変だ。
例え面白い作品であってもそんなくだらないレス一つに左右される人間もいちゃうわけで。
422通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 17:53:00 ID:???
「萎えた」だの「つまらん」だのと
結果だけ書き捨てていく自己顕示欲の塊みたいなヤツがどこのSSスレにも出てくるな。
「何に」萎えたとか「どこが」つまらんかなんて文章に纏められもしないしそんな勇気も無いんだろうけど。
423通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 18:13:00 ID:???

議論はここまで

以下から妄想再開

424通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 18:28:08 ID:???
死亡フラグ結構立ってるけど
強化三人組の中で誰が生き残って欲しい?
425通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 18:56:24 ID:???
三人とも生き残ってほしいけどな。
426通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 19:54:09 ID:???
殺すという言い方はあれだけど、ちゃんと話を持たせて死なせるやり方もありといえばあり。
427通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 20:31:00 ID:???
脳内妄想で悪いが、とりあえずカオスガイアアビスは一時退場(ガイアはラクシズにパクられる)
その後はオクレニダステラは改造ダガーで同時期に機体を失ったシンのサポートをする。
シンに新たな力が必要と思って、禁断症状に冒されてる体を押しながらもシンの新型機を入手。
最期はシンにマユとの過去を思い出させ、自由に、平和に生きて欲しいと願い満足のうちに力尽きる

こういうのを考えてた。
因みにその時考えてた新型機は>>391と違い、
D新型イージス(ストライクノワールやブルデュエルと同系統のもの)
Eラクシズ製リジェネレイト(ラクシズに一泡吹かせる&原型機の特性上、マユティニーとの連携キボンヌ)
というものだった。
428479:2006/05/18(木) 20:42:34 ID:???
I and I and Iただいまより投下します
429I and I and I(1/7):2006/05/18(木) 20:46:59 ID:???
やっと会える。
でも、会ってどうなるというのだろう。
どんな顔をしたらいいのだろう。
笑えばいいのかな?
それとも、真面目な顔?
どんな話をすればいいのかな?
喜べる?嬉しい?
ちょっと、わからない。
だってワタシにとっては、初めて会う相手なんだから。



〜I and I and I〜 第十一話「見知らぬ兄との再会」



雲を抜け、戦闘機形態のモビルスーツが一機、オーブへと向かう。
セイバー。アスランに与えられたモビルスーツだ。
パイロットスーツ、胸には勲章。
FAITH。議長直属の特務隊。前大戦時、アスランはクルーゼ隊からFAITHに異動したことがある。
そんなアスランの座るシートの脇には、マユがいた。
マユもアスランと共に地球に降り、兄がいるミネルバに向かえることになっている。
兄であるシンとの逸早い再会を配慮し、特例中の特例として、民間人のマユに軍内での行動の許可が下りたからだ。
勿論それは、シンに会えるまでの許可である。
「オーブコントロール、こちら貴国へ接近中のザフト軍モビルスーツ」
アスランはオーブの管制塔へ通信を送った。
430I and I and I(2/7):2006/05/18(木) 20:49:41 ID:???
「入港中のザフト艦、ミネルバとの合流のため入国を希望する。許可されたし。…オーブコントロール?」
管制塔からの応答はない。
アスランは疑問の声を上げた。
そして、レーダーが機影を確認する。
「ムラサメ…?」
「どうかしたんですか?」
「わからない…。何ッ!?ロックされた!?」
「えっ…!?」
ミサイルがセイバーに向けて飛んできた。

マユにしっかり掴むまっているよう促すと、アスランは機体を回避させる。
「こちらに貴国攻撃の意思はない!何故撃ってくる!!」
「寝惚けたことを言うな!オーブが世界安全保障条約機構に加盟した今、プラントは敵性国家だ!!」
一機のムラサメから、罵声にも似た返答が寄越された。
「どういう作戦のつもりかは知らないが、既にいもしないミネルバをだしにするなど、間抜けすぎるぞ!」
アスランはまた驚き、衝撃を受ける。
だが、この状況が事実だとしたら、マユをオーブで降ろすこともできない。
オーブで再会し、その喜びを互いに分かち合う。
それにオーブには、マユの、いやヴィアの帰れる家があるのだ。
そう思っていたのだが、そんな考えも軽く裏切られる。
431I and I and I(3/7):2006/05/18(木) 20:51:51 ID:???
悔しいが、仕方なくアスランはセイバーを反転させた。
「すまない、ヴィア…」
「いえ…ワタシは、平気ですから」
アスランは唸るような言葉に、マユはアスランがこれ以上思い詰めないような言い方をするしかなかった。

ザフト軍基地カーペンタリア。
オーブから何とかミネルバを追ってきたセイバーは、この基地に降り立った。
ミネルバの格納庫に収容し、アスランはマユを抱えて、コックピットから降りる。
ざわめく場内。
アスランとマユを囲む人混みの中から、赤い瞳が特徴的な少年が、顔を出す。
「ねぇ、さっきの……」
少年…シンは、絶句した。
アスラン、そして、忘れることなどできるはずもない肉親の顔。
「マ……ユ…?」
だが、信じられなかった。
生きているはずがない。
あの時、オノゴロ島で、妹は死んだ。
血塗れの家族。蘇る記憶。
「落ち着け、シン・アスカ。彼女は正真正銘、君の妹だよ」
諭すようにアスランは言うと、整備士のマッドに艦長のタリアの居場所を訊いた。
側にいたパイロットの一人、ルナマリアが案内を買って出る。
「ヴィア、説明は君からしてくれ。兄妹同士、募る話も…」
432I and I and I(4/7):2006/05/18(木) 20:54:00 ID:???
アスランの喋る口が、一瞬止まった。
記憶がないマユに、話すことはあるのだろうか。
「とにかく、頼む」
そう言って、アスランはルナマリアと共に格納庫を後にした。
マユとシンが気になりつつも、散り散りになる野次馬達。
「本当に、マユなのか?」
「はい。今は、ヴィアって…呼ばれてますけど」
「え…?」
「ワタシ、記憶がないんです」

「記憶喪失…それに腕も…」
「全生活史健忘っていう、自分に関することだけを忘れちゃってる記憶障害なんだそうです」
二人きりになったマユとシン。
マユは、オノゴロ島であの後、自分に何があったのかを淡々と説明する。
「じゃあ、俺のことも?」
「はい。お兄さん…なんですよね、ワタシの」
やはり、実感は湧かなかった。
目の前にいるのは血の繋がっているはずの兄なのだが、他人に感じる。
懐かしい。そんな感情もない。
「そうだ!」
何か思い出したのか、シンは懐を探った。
そして、あるものを取り出す。
ピンクの携帯電話。マユの持っていた物だ。
「ほら、俺とマユが写ってる。それにこれは、家の前で撮ったやつで」
必死にシンは、携帯電話の画面に写る写真を見せた。
433I and I and I(5/7):2006/05/18(木) 20:56:38 ID:???
確かに、そこに自分が写っている。
両腕のある自分が。
「ワタシ…覚えてないです」
「じゃあこれは?留守電のメッセージ」
携帯電話から、自分の明るい声が流れた。
楽しそうで、嬉しそうで。
そんな声を聞く自分達は、何故こんなに焦っているのか、疑問に思う。
「わからないです…」
「そうか。俺の唯一の形見だよ…これさ」
あくまで冷静にシンは言う。
だがその節々に、悔しさが滲んでいた。
「避難船から家に戻ったら家なんか跡形も無くて」
あの時の思い出、感情がシンの中で蘇る。
「家族を死なせたこんな国なんかいられるかって、プラントに来たんだ」
絶望、憎悪、憤怒……
「なのに、マユは生きてて…でも記憶がないって、なんだよそりゃあ!!」
シンは感情に任せ、壁を殴り付けた。
そんなシンを見ながら、マユはゆっくりと口を開く。
「でもっ…」
「え…?」
「でもワタシは、ちゃんとここで生きています」
シンと、マユは向き合った。
そして、しっかりとその言葉を口にする。
「今は…マユじゃないけれど、ワタシはここにいます。だから、誰も恨まないでください」
今はマユじゃない。
434I and I and I(6/7):2006/05/18(木) 20:59:07 ID:???
自分で言って、心がチクッと痛くなった。
だが、そんなことよりマユは、シンを気にする。
「誰も悪くないんです。悪いのは…それは戦争です。誰かが誰かを殺さなきゃいけない、そんな戦争が」
誰かに、何かに、怒りをぶつけなければ収まらなかったのだろう。
「だから、誰も恨まないでください」
しかし、それはなんの解決にもならない。
それを自分は知っている。
無くした記憶も、亡くした片腕も、全ては戦争が原因だ。
自分をこうした人間を恨んでも仕方ないし、戦端を開いた人間を恨んでも意味はない。
「……」
「……」
沈黙が二人を包む。
マユの真剣な眼差しに、シンは驚いていた。
自分の知っている妹は、無邪気で明るく、そして幼かった。
ここにいるマユは、マユであって、マユでない。
それでも、目の前にいるマユを、ヴィアではなくマユとして見ているのは、シンが肉親だからなのだろうか。

ミネルバはカーペンタリア基地を出発した。
ミネルバには、マユも乗艦している。
マユには帰る場所がない。
オーブは閉ざされ、プラントには簡単に行くことはできない。
435I and I and I(7/7):2006/05/18(木) 21:02:01 ID:???
ザフトで保護するといっても、基地などいつ襲撃されるかわかったものではなかった。
カーペンタリアに置いていくことに異議を唱えたのはシンとアスランである。
マユを心配するあまり半ば我儘を通したシンと、この戦時下ではどこにいても同じだと訴えるアスラン。
そんな二人が言葉を曲げるはずもない、頭を抱えつつもタリアは承諾する。
そんなミネルバは、ニーラゴンゴと共に、海上と海中を進んでいた。
だが、出発して間もなく、連合がミネルバを襲う。
慌ただしい艦内。
マユはパイロットルームにやってきていた。
「シンさん…」
「マユ!お前は部屋に戻ってろ!」
兄であるのに、シンに敬称を付けている自分がいる。
そして、マユと呼ばれることに多少なりとも戸惑っている自分がいる。
シンはマユに声をかけると、足早に行ってしまった。
ついで、先程までブリッジと通信を交していたアスランが、マユに気付く。
「ヴィア、危ないから部屋にいるんだ」
「はい。さっき、シンさんにも言われました」
やはり、ヴィアと呼ばれる方がしっくりとくると、マユは思った。
「シンさん、か。やはり、兄さんとは呼べないみたいだね?」
「……初めて会った人ですから」
苦笑してマユはそう言う。
その場にいるのがいたたまれなくなって、マユは割り当てられた自分の部屋に、逃げるように戻っていった。

436通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 22:30:13 ID:???
III氏GJ!
願わくば、マユがシンを正しい方向へ導いていってくれますように…
437通常の名無しさんの3倍:2006/05/18(木) 22:57:03 ID:???
おお・・・。考えてみりゃこういう展開は初めてだな。
さて、マユが生きていたことがシンにどういう影響を
もたらしていくのか。 楽しみにさせていただきます。
GJ!
438通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 02:23:40 ID:???
「人それぞれ」は魔法の言葉じゃないってこった。
439通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 09:34:35 ID:???
同じキャラでも各作品によって大きく違うが…
SEEDの弊害で退行していまい、悪い事をやっているって
自覚もないまま破壊をもたらす、ほのぼののキラ
色々とあったらしく暴走気味で隊長みたいになっちまいそうな舞踏のキラ
どっちがタチ悪いだろうか……
440通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 11:54:06 ID:???
あぁ……シンがシスコンだw
でも記憶がないから切ないなぁ。
今後、どう続いていくのかが楽しみでつ。
441通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 15:00:56 ID:???
『Result』をOPにして妄想(マユ機はデスティニー前提で)

『輝く未来は僕のために』
左向きで見上げるマユ。「僕のために」に合わせてデスティニーも同じ構図でバックに

『愛しい記憶は君のために』
右向きで見下ろすシン。「君のために」に合わせて新型機も同じ構図でバックに

『絆はいつでも繋がってる あの日の約束』
曲のリズムに合わせてキラ&ストフリ、アスラン&隠者、ラクス&カガリ&アカツキが
上にスクロールされる形で登場

『胸に僕等は奇跡を叶えてく』
マユがデスティニーを起動させる一連の動作をする

『イントロ』
ミネルバからデスティニーが発進し、プラントをバックにバックターン
上昇し背中からアロンダイトを抜刀し、構えてポーズ――タイトルバックへ

『抱きしめる』
昼間の市街をバックに歩くマユ。背後にはデスティニー

『ものが無い』
夜の軍事基地をバックに歩くシン。背後には新型機

『腕…夢以外に』
マユ以外のミネルバメンバー全員勢揃い

『手に入れた強さは寂しさの』
キラ達AA組の例のシーン

『別の呼び名』
リズムに合わせて「カガリ&ルージュ」「ミリアリア」
「ハイネ隊」「イザーク&ディアッカ」の一枚絵が
442441:2006/05/19(金) 15:12:15 ID:???
『現実を』
両手で拳銃を構えて前を見るマユ。
背景にアロンダイトを構え、光の翼を広げるデスティニーのバンク

『受け入れた』
小銃を構えるシン。背景に突進するアクションの新型機

『時』
アスラン。背景にサーベルを抜刀するインジャス

『翌日(あす)が見えた』
キラ。背景にハイマットドラグーンフルバーストするストフリのバンク

『過ぎた日も』
カガリorムウ(ネオ)。背景に防御後ビーム砲を撃つアカツキ

『他人(だれ)の事も』
レイ。背景にドラグーンを展開するレジェンド

『きっと』
ルナマリア。背景にフォールディングレイザー持って構えるインパルス

『変えられない』
ラクス。背景にミーティアがドッキング→一斉掃射のシーン

『出逢いにも別れにさえ』
手を伸ばしたマユのシルエットを背景にレイ、ルナマリア、メイリンの活躍するシーンが映し出される

『理由だけを探してた』
手を伸ばしたシンのシルエットを背景にステラ、スティング、アウルの活躍するシーンが映し出される

『あの頃』
マユとシンのシルエットの手が重なる
443441:2006/05/19(金) 15:26:12 ID:???
『間奏』
ドム3人組→ジャンク屋→サーペントテール→サハク家の順に1枚絵のカットが入る

『輝く未来は僕のために』
バックにデスティニー。「僕のために」のテンポに合わせてマユとシンの姿が出てくる

『愛しい記憶は』
バックにインジャス。OP恒例のアスラン女難シーン

『君のために』
ストフリをバックにキラ&ラクス

『絆はいつでも繋がってる』
激しくぶつかり合い、斬り結ぶデスティニーと新型機。最後にマユとシンの顔が映し出される

『あの日の約束』
地球をバックにミネルバ、ガーティ・ルー、AAの順に上昇していくシーン

『胸に僕等は奇跡を叶えてく』
上記3隻の戦艦を追い抜く形で、
新型機、アカツキ、インパルス、インジャス、レジェンド、ストフリ、デスティニーの順に
光の尾を引きながら上昇

『終わり』
マユとシンが前面に映り、背後にスポットライトが当たったデスティニーと新型機が並ぶ
444441:2006/05/19(金) 15:31:15 ID:???
以上、駄文妄想失礼しました。
自分でマユ種作品やりたいなと思った際にこの構図が頭に浮かんだので…
文中上手く表現出来なかった部分が多々あり、その辺のバリエーションも勉強したいです。

個人的な心残りは連合3人組の出番が少ない点とシンハロの出番を入れられなかった所か…orz
445通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 16:09:14 ID:???
んー…乙…なんだけれども、
ちょい前にOPとかは歌で荒れたりするからなるべく避けようって話があったようななかったような。
446通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 17:03:54 ID:???
まあ、良いんじゃね。
各人がマターリを心がければ。
447通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 18:00:04 ID:???
伝えようとしてることが伝わらなきゃただの自己満足だもんな。
駄文って付け加えれば何しても良いってもんでもないだろう。
448通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 19:19:14 ID:???
とりあえず>>441はお前は俺かと

RESULTもいいけど最近のはSILLY GO ROUNDもなかなか合いそうで想像するだけで脳汁が(ry
449通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 19:43:20 ID:???
種のOPに似合う曲を模索するスレ
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1141811330/

こんなスレもあるよと誘導してみる
450通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 20:21:52 ID:???
あー、以前に隻腕op案妄想して投下してた者だけど。
お前が言うなって感じかもしれんが、種死のopで既に使われてる曲に
合わせるのだったらいいんじゃない?あれは舞乙opの曲を使ってたから
揉めた、ってのもあるんじゃないかと。
451通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 20:32:06 ID:???
歌ネタってイメージしにくいからどうでもいいw
知らん曲ならなおさら
452通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 22:28:42 ID:???
いっそ、MADとかフラッシュとにすればいい。
453通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 01:40:13 ID:???
MAD職人まで現れたらこのスレは恵まれ過ぎだなw
454通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 02:25:24 ID:???
マユがMS乗ってる画像無いんだから無理じゃね?w
以前無理矢理合成したのはあったけど、お世辞にも綺麗とは呼べない出来だったしな。
おっと、職人さんを責めてるんじゃなくて材料不足が原因だが。
455通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 05:44:40 ID:???
歌ネタは避難所でやりゃいいのに。
456通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 08:18:02 ID:???
>>455
なんでもかんでも避難所っていい加減にしてくれ
荒らしと見なすぞ
457通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 08:30:26 ID:???
議論はともかく、
歌ネタくらいはいいでしょ。
458通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 09:40:18 ID:???
>>453
既にいると思われ、某職人のHPの予告MADの中に少しだけだがPP戦記MADのカットがある。
459通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 09:40:38 ID:???
妄想の種はいつか職人さんの中に作品を咲かせてくれるよ。
「一緒に妄想しよう!」
460通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 11:15:36 ID:???
>>456
そのレスしっかり保存しとく。
461通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 17:38:53 ID:???
>>459
それじゃ妄想を投下。連合側の新MSとして、前作登場したカラミティ等の後継機とかどうだい?連合のMSバリエーションが少ないからさ。指揮官用の機体とかに良いかなと思って。
武装に大きな変更がなければ姿もイメージしやすいだろうし。
462通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 18:19:03 ID:???
ウィンダムのカスタム機(ネオのみたいなの)に
旧三人組の機体のシルエットをつけたりしてもいいかも
463通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 18:39:44 ID:???
厨機体とか、スパロボ的なワンオフスペシャル機は種の汚点の一つだから
量産機のカスタムや戦力バランスを考えた新型機なら考えてみてもいいかも試練。
464通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 18:50:05 ID:???
>>461
俺はオクレニダステラ用の改造ダガーとか考えてみたんだが。
オクレ兄さん用はカオスの残骸かデストロイの腕を流用したドラグーンパックみたいな奴装備で、
ステラ用はガイアインパルスみたく四足獣に変形でき、その状態でストライカー付けれる奴。
アウル用はゲシュマイディッヒパンツァーストライカー装備の防御偏重型。

機体性能はカオスガイアアビスに劣るが、パーツの流用がやり易くなり、
整備性信頼性が向上したってのを考えた。

本当はウィンダムをベース機にしたかったんだが、プラモ化してないのが…orz
465通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 20:52:16 ID:???
ステラにワイルドダガー。
466通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 21:29:57 ID:???
超トローイプロトデストローイ@かませ役
467通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 21:41:18 ID:???
意外とトールギスみたいに強いかもよ
「重くなった重量分を補うために追加ブースターくっつけてみました」

468通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 22:43:47 ID:???
>>466
かませっていったらマーレ様しかいなくね?
469通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 23:32:01 ID:???
>>468
あとドクターとか?
あのお方はデストレイ時点じゃザフト辞めてるっぽいが。

デスティニーインパルスで思い出したんだが、
一応インパルスも量産機なんだよな。そんなに数ないが。
470通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 23:34:01 ID:???
>>469
ドクターは軍医やってるよ、相変わらずドクター以外の部隊員は全滅するけど。
471通常の名無しさんの3倍:2006/05/20(土) 23:55:14 ID:???
噛ませ犬じゃないがガルシア閣下なんかどうだ
472通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 00:07:39 ID:???
>>471
マユに迫る閣下の魔の手ww

シン達PPは使いっぱしりになるんだろうか、それとも…
473通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 01:08:14 ID:???
単発設定小話 「負け犬」

〜ステラを逃がしたことで、営倉に拘束されたマユに話しかけるアスラン〜
アスラン「マユ・・・どうして、そんなことを・・・・・・」
マユ「私は、私は兄に会いたかっただけです。あれは間違いなく兄でした・・・・・・」
アスラン「・・・会いたいのはわかる。死んだと思っていた肉親が生きていたんだからな。だからといって捕虜を敵に返していいってことにはならないんだぞっ!?」
マユ「会うにはあれしか思いつかなかったんです。ザフトの隊員として自分のしたことがとんでもないってこともわかってます。それでも、それでも私は兄に会いたかった!」
アスラン「・・・お前のしたことは銃殺刑レベルだ!?せっかく会っても自分が死んだら意味なんてないじゃないか?そこまで頭が回らなかったか?」
〜アスランの言葉にうんざりするマユ〜
マユ「そうですね。でも私も銃殺刑レベル以上のことをした人を知っていますよ?」
アスラン「?」
マユ「今私の目の前で、もっともらしく偉そうなことをいっている人のことですよっ!」
〜アスランをにらみつけるマユ。虚をつかれたアスラン〜
マユ「アスランさんが先の戦争でしたこと!あんなのに比べたら私のしたことなんて大したことないですよ!!」
アスラン「っく・・・・・・しかし!」
マユ「もういいですっ!あなたからは何も得るものはありません!ハイネ兄ちゃんじゃなくて、・・・あんたが死ねばよかったのよっ!!」
アスラン「マユっ!!・・・っく・・・・・・」
〜マユの一言に深くうなだれるアスラン〜
アスラン「・・・・・・また、来る・・・」
マユ「・・・・・・」
〜営倉から退出するアスラン〜

〜艦長室では〜
タリア「・・・で、評議会からの回答は?」
アーサー「・・・・・・一切不問とのことです。・・・艦長」
タリア「そう・・・。ご苦労様、アーサー。休んでちょうだい」
アーサー「艦長!・・・これでは他のクルーに示しがつきません!!」
タリア「わかってるわよ!そんなことぐらい!!・・・・・・下がりなさい。アーサー」
アーサー「艦長・・・・・・」
タリア「この件はこれでクローズよ。明日マユの拘束を解きます。その後はミーティングよ。・・・戦力が半減したんですもの・・・・」
アーサー「りょ、了解しました・・・・・・」
〜艦長室を退出するアーサー〜
タリア「一切不問ですって!?・・・・・・ギルバート・・・あなたってひとは・・・・・・」
〜グラスの中のウヰスキーを回しながらいらいらを隠せないタリア〜
〜翌日〜
ルナ「で、んぐ・・・レイも不問だったのかしら?っふ・・・ぐむっ」
メイリン「お姉ちゃん・・・食べながら喋るのお行儀わるいよ?」
ルナ「ごむ・・・ぐっ・・・うっさいわね・・・。でもさ・・・むぐ・・・償いは戦いでってことなのかしらね?」
メイリン「そうなのかなぁ・・・?」

474通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 03:44:58 ID:???
>あなたからは何も得るものはありません!ハイネ兄ちゃんじゃなくて、・・・あんたが死ねばよかったのよっ!!
マユの若さゆえの暴走ぶりは気になるが、視聴者の大半が思った台詞を堂々と言ってのけたのには痺れたw
アニメで、シンもそれくらい言ったれば良かったのに、まあ嫁が書くわけないけど
475通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 05:34:50 ID:???
PP書いてる者です。24話投下します。
4761/20:2006/05/21(日) 05:36:05 ID:???
夕陽が街を染め、二人の少女の顔を染める。
その内の一人、まだ幼さの残る少女に――声を掛ける。

「なあ、プラントに住んでいるって言っていたけど……プラントの何処に住んでるんだ?」
「え? ええと……養父になってくれるって、言ってくれた人がいたの。
 あるご夫婦が、家族のいない私を引き取るって。だから、その人の……奥さんの所に行くかもしれない」
「確か、プラントって市が一杯あるんだろう? どこの市だよ?」
「……ユニウス市。農業コロニーの、ユニウス・ワンだよ。でも、まだ分からない。戦争が終わるまでは――」

……? 何で悲しそうな顔をするのさ? お前には新しい家族が出来るんだろ?

「なあ、何で悲しそうな顔をするんだよ?」
「……ううん、何でもない。ちょっと……そのご夫婦に不幸があったらしいの。それを思い出したの」
「………」

不幸って何だろう? 聞いてみたいけど……何故か聞いちゃいけない気がする。
……拙い。メチャ気まずい雰囲気だ。変なこと聞いちゃったかな? とりあえず、黙っておこう。

「………」
「……ひょっとしたら、ユニウス・ワンにはいないかもしれない。けど、移民局を訪ねれば、分かるよ。
 私はオーブからの移民だから、特定は直ぐに出来る。71年に移民したから、覚えておいて」
「……なぁ、マユ。お前のファミリーネームって、何だっけ?」
「アスカ。マユ・アスカだよ。ひょっとすると、アマルフィって名前になっているかもしれないけど」

アマルフィ――? 何処かで聞いた名前だよな。何だっけ……? ま、良いか。

「じゃあ、戦争が終わったら会いに行くよ。地球土産でも持ってさ」
「……戦争、終わるかな? 早く終わって欲しいけど……」
「すぐに終わるって。俺が、終わらせちゃうから!」
「……え? アウル、今何て言ったの?」

やべっ……! 口が滑った!! と、とりあえず用件だけ、伝えておこうっと。

「な、何でもないよ。戦争が終わったら、プラントに行く。こんな戦争、すぐ終わっちまうさ。マユ、約束だ」

良かった、笑顔が戻った。またな、マユ。戦争が終わったら、お前の所に遊びに行くから。
4772/20:2006/05/21(日) 05:37:05 ID:???
何だろう。何処かから声が聞こえる。何だろ、コレ?

「――!!」

「――きろよ!!」

「おい、アウル! 起きろって!!!」

聞きなれた声。何だ、スティングじゃん。何怒鳴ってるんだ?
折角マユたちと仲良くなれたんだから、約束くらい取り付けても罰は当たんないだろ?
ハイハイ……お前は真面目だよ。

「何言ってんだ!? 起きろ! 作戦に戻るぞ!!」

作戦? 何でさ? 休暇中だぜ? 今日って休暇だろ? 真面目すぎると、体に毒だぜ?

「アホぉ!! もう休暇は終わりだ! アビスをさっさと起動させろ!」

………

……何だ、一昨日の夢か。ちぇっ……

そして、少年は夢から醒める。目の前に広がるのは、現実の世界。
いや、目の前にあるのは顔。見慣れた同僚にして旧友、スティング・オークレーの、憤怒の表情が飛び込んでくる。
アウル・ニーダはこうして現実に引き戻された。寝ぼけ眼のアウルを叩き起こしたスティングは、まだ怒っていた。

「……ったく、休暇ボケも大概にしろよ。ゲンもキラもステラも、もうとっくに起きて準備しているぞ」
「……わりぃ。今、何時?」
「10時だよ。食堂は終わっちまったぞ。7時と8時、二回も起してやったのに。お前は飯抜きだ」
「げ! 取っておいてくれよ〜〜 ……ったく、友達甲斐ないなぁ」
「昼前には出発だ。さっさと着替えて、出撃準備。ブリーフィングは10分後、格納庫でやるらしい。遅れるなよ!」

そう――アウルたちファントムペインは、今日クレタ沖で停泊する地球連合軍艦隊と合流する日なのだ。
着替えながら、アウルはそのことを考えていた。また、彼の戦争が始まるのだ。夢と現実をすり合せ、結論を出す。

「ま、さっさとザフトの連中潰して、戦争を終わらせちゃおう! そんでもって、マユのところに遊びに行くかな」
4783/20:2006/05/21(日) 05:38:07 ID:???
アウルが夢から醒めた頃……
ちょうどミネルバのパイロット達も愛機の整備中であった。アウルの夢に出てきたマユはというと――

『へぇ〜、やるじゃない。ちゃっかり男の子と約束取り付けるなんて』
「べ、別にそんなんじゃないよぉ!」
『ハイハイ、否定したって無駄無駄。顔が赤いわよ?』
「えっ!?」

コア・スプレンダーの操縦席に乗り込んでいるマユは、ザクのコクピットに座るルナマリア・ホークと話している。
本来MS整備の時間は、準待機命令が下されている最中。私語など慎まねばならないのだが……
通信機器のチェックと称し、ルナマリアはマユに回線を繋いだ。
話は軽い挨拶から始まったものの、お決まりの女の子同士の長いお喋りに。
やがて、先日の休暇を如何にして過ごしたかが話題となり……ルナマリアがマユを尋問するに至る。
マユは結局折れ、一部始終を話す羽目になってしまう。
二人の別れ際に交わした約束は事実。つまり、アウルが見た夢とは、一昨日本当にあった出来事なのだ。

ルナマリアの指摘を受け、顔に手を当てるマユ。
が、通信相手がモニター越しにケラケラと笑っているのが見え……遊ばれていることにようやく気づく。

「ルナ……私のこと、からかっているでしょ?」
『怒らないの。良いことあったんでしょ? 素直に喜べば良いのよ』
「……そういうルナは、あの日私やメイリンと合流しないで、一体何やってたの?」
『そうねぇ……差し詰め、迷える子羊を導いていた……ってところかしら?』
「こ、子羊?」
『例えよ、例え。その子で遊んでいたのは、事実だけど』

マユは何のことかさっぱり分からず、首を捻るばかり。
対照的にルナマリアは、先日の出来事を思い出したのか、何やら笑いをかみ殺している。

『調度、今みたいなことをやっていたのよ』
「………」
『貴女と私が遊んでいた子、どこか似ているのよねぇ』
「……その子、可哀相……」

ルナマリアは一昨日、ゲン・アクサニスという少年をからかいつつ、遊んでいたのだ。
そんな彼女をモニター越しに眺めつつ、マユは話に上った人物に深い同情の念を禁じえなかった。
4794/20:2006/05/21(日) 05:39:17 ID:???
整備が終わった後、ルナマリアはマユとの通信回線を遮断し、ホッと息をつく。深いため息を――

「あの子の調子は、ある程度戻っているみたいね……」

ルナマリアの言う"調子"とは、マユのコンディションのこと。
彼女はただからかっていたのではない。会話を進めつつ、マユの状態をチェックしていたのだ。
オーブ軍との戦闘の可能性が高まるにつれ、次第に塞ぎこんでいったマユ。
彼女の姉代わりを自負するルナマリアは、彼女の様子に心を痛めていた。
先日、マユがミネルバを飛び出したことを受け、いち早く行動に出たのも彼女。
捜索は無事に終わり、妹のメイリンがマユを見つけるに至り、事なきを得たが……
いまだルナマリアの心配は解けず、こうして彼女なりのアプローチを試みたわけだ。

「でも、今後もどうなるかは分からない。万が一オーブとぶつかったりしたら……」

地中海にまで進軍してきたオーブ軍は、いまだジブラルタル基地ヘは向かっていないとのこと。
つまり、黒海方面かスエズ方面、どちらかに向かう公算が高まっていた。
今ミネルバがいるのは黒海沿岸の都市ディオキア。
なおミネルバとぶつかる可能性は否定できなかった。

「……どうしたらいいの?」

悩める少女の時間は過ぎる。

10数分後、ザクのコクピットを降りたルナマリア。
整備班のクルーに異常がなかったことを伝え、部屋に戻ろうとするが……
ちょうど、隣の白いザクから同僚のレイ・ザ・バレルが降りてくるのが見えた。
挨拶代わりに軽く手を振るルナマリア――だが、レイは軽く手を挙げ返事をするだけ。二コリともしない。

「レイ……か。相変わらず愛想ないわよね」

無愛想な同僚に、小声で毒づくルナマリア。が、そんな彼を見て、少女はあることを思い出す。
――それは、マユには兄がいたという事実。生きていればレイと同じ年頃の少年の筈。
オノゴロで戦災にあい、行方不明となったマユの兄。このほど、正式にオーブ政府から死亡認定もされた。
少女の兄に思いを馳せるルナマリア。彼女はマユの姉代わりを自負していたものの、限界を感じていた。
マユに兄はいても、姉はいなかったのだ。自分はマユという少女の心の隙間を埋める存在足り得ない――
そんなことを思っていたルナマリアは……やがてある決心を秘め、無愛想な僚友の元へ向かった。
4805/20:2006/05/21(日) 05:43:44 ID:???
「俺に、マユの兄代わりをしろ……だと? 何を言っている?」

ルナマリアの突拍子もない提案にレイは、首を縦に振るでも横に振るでもなく……
真意を測りかねるといった表情で、その意図を問う。
無理もない――そう思いつつ、少女は説得を試みる。

「マユさ……ここのところ、ずっと塞ぎこんでいるのよ。休暇で少しは楽になったみたいだけど。
 レイも知っているとおり、今は私とメイリンがマユと親しくやっているわ。
 けど、私たちじゃダメなのかもしれない。だって、あの子にお兄さんはいても、お姉さんはいなかったんだから」
「……だから、俺に彼女の兄代わりをやれと?」
「頼めないかな?」

レイはルナマリアの意を察したのか、暫く考え込むが……
やがて、彼は返事をする。否定的な回答と共に。

「――断る。大体、俺よりマユと親しくしている人間はいる。整備班のヨウランやヴィーノ、彼らの方が適任だ」
「あの二人はダメ、整備班よ。普段から一緒にいる人間の方が、絶対向いている筈」
「なら、ハイネ隊長やアスランがいるだろう。
 隊長は気さくな方だ。アスランはプライベートでは少々頼りないところもあるが、俺よりは向いているだろう」
「隊長は上官でしょ? 何を言っても命令に聞こえてしまうわ。
 アスランは……あの人はストライクを討った人物なのよ? 幼年学校にいたマユにとっては、雲の上の人。
 それに、あの人もオーブにいたから同じ悩みを抱えている。辛気臭いのが雁首並べたら……ダメじゃない?」

なおもルナマリアは食い下がる。
レイとしては、マユを嫌っているつもりなど毛頭なかった。が、どうしても自分に向いているとは思えず……
整備班の名物コンビのヨウランとヴィーノ、MS隊の上官・同僚であるハイネとアスランらの名を挙げる。
しかし、ルナマリアは明確な理由を添えてそれらの人物を否定する。

「確かに……そうだが」
「ダメ? 絶対に、ダメ? マユのこと、そんなに嫌い?」
「……! 嫌いではないが……」

こういうとき、ルナマリアは強い。説得というより脅迫。"絶対"という単語を持ち出し、さらに"嫌い?"とまで迫る。
相手を萎縮させる作戦――頼んでいるのはルナマリアだが、実際はマユのため。全ては、幼い少女のため。
断ったら、悪いことをしているように思えてくる――次第に、雰囲気的に断りづらい状況が出来上がる。
作戦は見事に当たり……レイは更に考え込み、再検討を始めていた。
4816/20:2006/05/21(日) 05:44:41 ID:???
やがて、再度レイは口を開き、あくまでクールに、かつ理路整然と応える。

「やはり、ダメだ。仮に俺がマユの兄代わりを務めたとして、俺が戦死すれば……彼女はまた兄を失うことになる。
 そうなれば、マユは二度兄を失うことになる。そうなれば、あの子は酷い精神的ダメージを被るだろう。違うか?」
「……! 変な例え話、出さないでよ。縁起でもないわ」
「だが、可能性としてはある。あの子のためと言いながら、実際その逆になる可能性も、考慮に入れねばならない」
「それは、そうだけど……」

今度はルナマリアが考え込む番。レイの指摘は確かに正論であった。
兄代わりが出来たとして、レイが戦死すれば、再びマユは苦しむことになってしまう。
反論する術を考えながらも……ルナマリアは心のどこかで安心していた。
無口で無愛想なレイは、一応マユのことを気にかけていたのだ。
そうでなければ、こんな仮定の話まで出すことはないから――

「そうね、そのとおりね……でも、それはちょっとおかしい理屈よ」

が、ここで引き下がるルナマリアではない。
口には出さないものの、レイがマユのことを慮っていることが分かり、勇気百倍。
可能性が一気に高まったことで、コーディネーターの頭脳をフル回転させて反論にかかる。

「なら、あの子がレイより先に死んじゃったら、どうするの?」
「……どういう意味だ?」
「軍人なら、常に戦死の可能性は付きまとうわ。でも、それはマユも同じ。
 あの子がこのまま……悩み苦しんだまま死んじゃったら、これほど残酷なことはないでしょう?
 私達はもう成人、大人よ。でもあの子はまだ子供。愉しいことも、嬉しいことも、これから一杯あるのに」
「………」
「思い悩んで、苦しんで死んでしまうよりも……
 例え仮初でも、お兄さんの代わりの人が出来て、良い思い出が出来て死ねれば……まだ救いはあるわ」
「……お前も、縁起でもないことを言う」
「でも、事実でしょ?」

レイと全く同じ論法で、ルナマリアは切り返す。
この時代のプラントでは15歳で成人。比してマユは13歳。まだ子供の扱いである。
愉しい思いでもなく死なすのは可哀相――
縁起でもない話ではあるが、これも可能性としては否定できない。
更に悩みの深まったレイは、今度こそ退路を断たれてしまった。
4827/20:2006/05/21(日) 05:45:43 ID:???
愛機のザク・ファントムの整備を終え、部屋に戻ったレイ。
同室者のアスラン・ザラがまだ戻っていない部屋で、一人彼はベッドに仰向けに転がった。そして……

「……俺に、何ができる?」

誰に問うとも無しに、レイはただ天井に向かい呟く。独り言である。
結局、ルナマリアの申し出を快諾することは出来なかった。
兄代わりなど、出来るかどうか分からなかったから……
それでも、マユと一緒にいるときには、これまで以上に彼女に話し掛けるようにしよう――
それだけは約束し、ルナマリアとは別れた。
彼女は一応、納得はしてくれたようだ。

が、現実にそれがマユにとって救いとなるという確信はなかった。
それと同時に、もう一つ――彼にはルナマリアの申し出を、快諾出来ない理由があった。
ふと、レイはベッドから上体を起こし、自室の私物を漁り出し……
クスリのような物の詰まった小瓶を取り出し、眺める。

小瓶を見つめながら、レイの顔は次第に歪む。
普段は他人に絶対見せる事のない表情――悩みや苦しみ、歪んだ表情が顔に出る。
苦悶、そう呼んでも差し支えないほど、苦しげな金髪の少年は……
やがて、搾り出すような声で、己の運命を呪う。

「――あと何年生きられるか分からない俺に、何が出来る!?」

それは、マユに対する思いとは別の――自らに残された時間を呪う言葉。
小瓶を握った彼の手は、次第に震え出し……やがてその震えは、全身にまで広がる。
悪寒によるとともに、次第に嗚咽の声まで漏れ出す。彼の体の変調は、いつ終わるともなく続いていた。

しかし、その苦悩の時間は、同室者の帰りで寸断される。
部屋の扉を開ける音が――軽い空気圧を示す、乾いた音が、レイの耳に届いたから。

「どうした、レイ? 電気もつけないで、何をしているんだ?」
「――! アスラン!! い、いえ、何でもありません」

アスランの声に、震えはピタリと止まり――小瓶をすぐさまアスランの視界に入らない位置に移す。
この時すでにレイは、周囲が認める、いつもの沈着冷静なレイ・ザ・バレルに戻っていた。
4838/20:2006/05/21(日) 05:46:41 ID:???
それから数時間後――
黒海北に位置するユーラシア連邦領ウクライナ共和国の領空を、5機の戦闘機が西に高速で移動していた。
いや、正確には戦闘機と呼べるのは一機のみ。
これは戦闘機形体に変形したオーブの可変型MSムラサメ。
残りの4機は、戦闘機の上にMSが屈んだ体勢で載っている。
2機の黒いMSと、青いMS、緑のMS。それらは、フライングアーマーに乗ったストライク、ガイア、アビス、カオス。

そのストライクMk-Uのコクピットに、一人の黒髪の少年が乗り込んでいる。
少年は、モニターで現在位置と目的地を照らし合わせ、仲間に通信を繋いだ。

「全員、聞いてくれ。現在ウクライナ領空を飛んでいるわけだが……
 問題がなければ、このままクレタ沖まで向かう。この速度なら、あと2,3時間で辿り着ける筈だ」
『なぁ、ゲン。どうしてこのルートなんだ? わざわざ遠回りしているじゃん?
 黒海の真ん中突っ切っちゃえば、時間節約できるぜ?』
「アウル……ブリーフィングで、話聞いていたか?」
『あ、腹減っててさ……実は、あまりよく覚えてないんだよね』
「……いいか、もう一度だけ説明するから、よく聞いておいてくれよ」

アウルは、事の次第を問う。この時、ファントムペインとキラは、ウクライナ経由でクレタ沖に向かっていた。
確かに、アウルの言うとおり、黒海の真ん中を西進した方が、時間と燃料の節約になった筈。
しかし、それが出来ない理由があった。
それは、一重にザフトの存在。

トルコのディオキアを支配下に置いたザフトは、その余勢を駆り黒海南部をほぼ手中に収めていた。
敵対する地球連合軍で、この地を有するユーラシア連邦は、東のロシア北のウクライナ領からにらみ合う状態。
つまり、黒海中央部は連合とザフトが入り乱れており、時折海戦も行なわれている危険地帯であった。

「だから、俺たちはわざわざウクライナ経由でクレタまで向かう……ってことだ」
『納得。でも……腹減ったよ〜、途中で休んでいかない?』
「却下。休むのはクレタに着いてからだ。飯だって……アビスの中に、携行用の非常食があるだろう?」
『もうない。食べた』

やれやれと頭を掻くゲン。通信を繋いでいた仲間のうち、キラやスティング、ステラからも忍び笑いが聞こえる。
ウクライナにも連合の基地はあり、休むことは出来たのだが……
ゲンにはどうしても急ぎたい理由があり、アウルの申し出を拒んでいた。
彼には、一刻も早く確かめたいことがあったのだ。彼の直属の上司、ネオ・ロアノークに。
4849/20:2006/05/21(日) 05:47:43 ID:???
そのゲンたちが向かうクレタ沖――
そこに停泊するのは、地球連合軍大西洋連邦第81独立機動群所属J・Pジョーンズ。
加えて、オーブ軍第一機動艦隊旗艦タケミカヅチ、並びにその護衛艦艇4隻。

艦艇群が停泊するこの地、ギリシャ共和国領最大の島であるクレタ島は、地中海の要衝である。
古くは紀元前3000年ごろから1400年ごろまで栄えていたヨーロッパ最初の文明、ミノア文明発祥の地。
また、第二次世界大戦の最中の1941年には、この地に軍を駐留させていたイギリス軍をドイツ軍が攻撃する。
彼の有名なマーキュリー作戦で、ドイツ軍が連合軍に対し大規模な空挺部隊を派遣。
双方に甚大な損害が出たこともあり、有数の激戦地として後世に名を残すこととなる。

タケミカヅチの艦橋。オーブ軍の上級将校である三人男達が、一人の連合軍佐官を迎えていた。
迎えるのはオーブ軍ユーラシア方面派遣部隊司令ユウナ・ロマ・セイラン中将、トダカ一佐、アマギ一尉。
やってきたのは、仮面を付けた異様な指揮官、ネオ・ロアノーク大佐である。

「ああ、この仮面は気にしないで頂きたい。先の大戦の折、ザフトとの戦闘で顔面に酷い傷を負ったものでね。
 素顔をお見せできなくて恐縮だが、何分醜い面相なんだ。そういうわけで、ご容赦願いたい」
「ふ〜む、正に生きる戦鬼ですねぇ、大佐殿は」

対面して直ぐに、ネオは仮面姿であることを率直に詫びた。
対して、オーブの者達は、トダカとアマギは一瞬何事かと面食らっていたものの……
ユウナだけは気にも留めず、何食わぬ顔でお世辞交じりの社交辞令を返していた。

「で、セイラン中将。目下我々の任務は、ザフト軍の最新鋭戦艦ミネルバの追討です。ご協力願えますな?」
「勿論。そのために来たのですから。さて、手っ取り早く作戦会議に入りましょうかね」
「流石セイランの若君、聡明でいらっしゃる。こうなると、こちらとしても話易くて助かりますよ」

サクサクとユウナは話を進める。ネオは、その手際の良さに素直に感心しつつ、両軍首脳は作戦会議に入った。
だが、開口一番ネオの提案した作戦は大きな波紋を呼ぶこととなる。ネオの提案にアマギが激昂する。

「――ふざけるな! 貴官は、我々に囮役をやれというのか!?」
「まぁ、ぶっちゃけるとそうなんですが」

ネオの提案は、オーブ軍にとってはとんでもない作戦であった。早い話が、オーブ軍が割を食う提案――
即ち、緒戦で脅威となるのはミネルバの陽電子砲。これを潰すためにわざとタケミカヅチが囮となって……
その隙を突いてファントムペインのMS隊が急襲。陽電子砲とブリッジを潰し、作戦を有利に進めるというもの。
自軍だけが危険を被る作戦に、アマギは怒った……というわけだ。
48510/20:2006/05/21(日) 05:52:13 ID:???
「まあまあ、アマギ一尉。詳しい話を聞いてからでも良いじゃないの?
 ロアノーク大佐、相当に自信のある作戦のようですが……その作戦、成功するんでしょうね?」
「無論。我々ファントムペインには、ミラージュコロイドの機体があります。
 最低でも陽電子砲さえ潰してしまえば、作戦は優位に――」
「――何故、我々だけが割を食う!? 貴官らの旗艦、J・Pジョーンズが囮をやれば良いではないか!!」
「アマギ!」
「し、しかし……トダカ一佐、こんな無茶な話がありますか!?」

アマギを宥め、話を進めるユウナだが、ネオの言葉に彼は更に激昂する。さらに、それをトダカが諫めるが……
部下の怒りに、やれやれと言った風にユウナは頭を掻く。
一方のネオは、仮面なので表情は窺い知ることは出来ないが、恐らくは同じ想いであろう。
アマギが静まるのを待ってから、再度ネオは説明を始める。

「確かに、J・Pジョーンズでも囮は出来ます。しかし、この艦はうちの艦よりはるかに大きい。
 また、戦力的にもオーブ軍はとても充実していらっしゃる。
 私がミネルバの艦長なら、J・Pジョーンズではなく、先にタケミカヅチを狙うことでしょう」
「だが! 万が一タケミカヅチが打たれればどうなる!?」
「では、逆にお伺いします。ミネルバは緒戦で陽電子砲を使うことは明白。
 これをアマギ一尉は如何様にして防ぐおつもりか……お聞かせ願いたい」
「そ、それは!」

ネオの問いにアマギは言葉を失う。
これまでの連合軍の調べで、ミネルバに陽電子砲が搭載されていることと、再三それを使用した事実が判明する。
地球では、オーブ領海、ユーラシア連邦軍ガルナハン基地……いずれも、緒戦で強力な一撃を見舞っていた。
先の戦いでは、連合に陽電子リフレクター付きのMA、ザムザ・ザーとゲルズ・ゲーがあったのだが……
今J・Pジョーンズとタケミカヅチのどちらにも、そのような装備を持ったMA・MAは存在しなかった。
つまり――

「あのミネルバの陽電子砲を潰さなければ……我々は、間違いなく陽電子砲に焼かれる。
 それを防ぐためには、なんとしてでも先手を打たねばならないのです」

オーブの3人の上級将校には、それ以上反論する術を持たなかった。
タケミカヅチがJ・Pジョーンズより大きく、積載MSも多いことから、ミネルバが先に狙うのは本艦……
その事実は、認めざるを得なかった。黙考の後、ユウナはネオの申し出を受諾する。

「止むを得ませんな。やりましょう、その作戦。その代わり……万が一失敗したら、恨みますよ?」
48611/20:2006/05/21(日) 05:53:28 ID:???
「納得できません! ユウナ様は、何故あのような作戦を受けたのです!? ご説明頂きたいッ!!」

作戦会議が終わり、ネオがタケミカヅチの艦橋を後にしてしばらく……
怒りの収まらないアマギは、今度はユウナにその矛先を向けた。
反論する術がないのなら、申し出を蹴ればよい。そして、早々にオーブに帰ってしまえばよい――
そう言わんばかりの剣幕で、アマギはユウナに迫る。

「アマギは一尉、君はそんなに大西洋連邦の連中が嫌い?」
「……! き、嫌いであります!」
「そう。なら、セイランのことも、ボクのことも……嫌いかい?」
「そ、それは……!」

アマギの意を察したのか、ユウナは話題を変える。それは、アマギの真意が分かったから……
元々、アマギに限らずオーブ軍の兵士たちのほとんどが、大西洋連邦との同盟条約への加盟に懐疑的であった。
かつて国を焼いた軍隊と、共に作戦行動をせねばならない――
その不満だけでなく、今回は更に囮役を任されてしまったのだ。
かつての敵に対する複雑な思いは、些か感情的に過ぎるほど言葉の端々に現れていた。
ユウナの問いにアマギは間を置いて答える。

「恐れながら……大西洋連邦の言いなりになるユウナ様のことは、嫌いであります」
「アマギ! 司令官に向かって、言葉が過ぎるぞ!!」
「良いよ、トダカ。ボクが聞いたのだからさ。率直な意見を聞けて、嬉しいよ」

あまりに素直なアマギの答えに、流石にトダカが諫めに掛かる。が、ユウナは平然とそれを遮る。
アマギの答えを受け、ぽりぽりと頭を掻きながら、ユウナの視線は宙を彷徨う。
彼は考えていた。如何にすれば、アマギを……いや、大西洋連邦に反発するオーブの兵を宥めるかを。
ユウナには今回の派兵で、格別の心配事があった。
それは兵の士気の問題。
大西洋連邦との共同作戦ともなれば、オーブ軍の士気は大いに低下してしまう。
案の定、アマギなどはネオに不快の念を禁じえず、態度にまで出てしまう。
これでは円滑に作戦を進められる筈などない。

「アマギ、ボクは後ほど艦内放送で訓示をやろうと思う。
 本当はもっと早くにやるべきだったんだろうけど……君の疑問への答えは、そのときで良いかな?」

いつもは飄々とした顔のユウナだが、この時だけは真顔に戻り、指揮官の顔で答えていた。
48712/20:2006/05/21(日) 05:54:44 ID:???
『私は、オーブ軍ユーラシア方面派遣部隊司令官、ユウナ・ロマ・セイラン中将である。
 これより全オーブ軍兵士らに訓辞を行なう。作業を行なっているものは、手を休めて聞いて欲しい。重要な話だ』

1時間後、ユウナは予告どおり艦内放送での訓辞を始めた。
オーブ軍のチャンネルを使い、タケミカヅチだけでなく護衛艦の艦内にまでこの放送は伝わっていた。

『諸君らは、オーブの大西洋連邦との安全保障条約締結、派遣について些かの疑義を抱いていることと思う。
 本来中立である筈のオーブが、ユニウスセブン落下事件を機に連合側につくことになってしまった。
 国家政策上仕方のないこととはいえ、皆は少なからず不快に思っているだろう。
 私はこの訓示で、諸君等にその疑問に対する答えを示したい』

アマギだけではなく、全てのオーブ兵が聞き入る。
セイランは大西洋連邦寄りの政治家であるため、あまりオーブ軍人に受けが良いわけではない。
それでも、そのセイラン家の跡継ぎが、皆の疑問に正面から応えるとあれば、聞き逃すわけにはいかなかった。
全艦を静けさが支配する中、ユウナの声は流れる。

『中立……そう、オーブは中立の理念を持つ。その中立は、一度は侵された。ユニウスセブンの落下で。
 ザフト出身のテロリストが起したという発表がプラント政府からあったのは、諸君らも知ってのとおり。
 だが、それだけではない。今、この地、ユーラシア連邦でも異変は起こっている』

ユウナは説く。
プラント政府は和平への道を模索しているものの、一方でザフト軍はユーラシア連邦の独立運動に介入。
独立運動の支援をする過程で、混乱を助長し、悪戯に戦争を長引かせる結果となっている。
それ故、タケミカヅチはユーラシアに派遣されたのだ。

『オーブ代表首長国前代表のウズミ様は、先の大戦で大西洋連邦から選択を迫られた。
 即ち、連合につくか、それともザフトにつくかと。
 我々は中立国。そんな選択を迫られる言われはない。ウズミ様はその選択を蹴られた。
 結果は大西洋連邦との開戦に至り、我がオーブは……敗北を喫した』

話は、二年前の大西洋連邦のオーブ侵攻に及ぶ。
記憶に新しい敗戦の記憶は、兵士たちに生々しい過去を喚起させた。

『開戦前の首長会議で、ウズミ様はこう申された。"大西洋連邦は、どうあっても世界を二分するつもりか!"と。
 私はこの言葉をよく覚えている。あの時、ウズミ様が怒りに震え申されたのだから。
 ……その言葉を、今皆に伝える。その上で、皆も考えて欲しい』
48813/20:2006/05/21(日) 05:58:23 ID:???
『そう。世界が二分されたから、オーブは大西洋連邦から侵攻を受けた。その事実を踏まえ、考えて欲しい。
 現在の世界情勢を思い起こせば、プラント政府の味方と呼べるのは、大洋州連合のみ。
 親プラント国も、今回はプラントにつかず、じっと戦争の成り行きを見守っている。
 今、世界は二分されているだろうか? 圧倒的多数の連合国と、プラントと大西洋連邦の二ヶ国。
 幸いにして、世界はまだ二分されるような状態にはなっていない。

話と話の間に一呼吸おきつつ、聞く者に考える猶予を与えて――
更にユウナの訓辞は続く。

『しかし、現実に世界は今、二分されようとしている。
 ユーラシア連邦の情勢はどうだ? プラントは新たな味方を欲し、独立運動を支援している。
 これがもし成就すればどうなる? 独立運動が実れば、ユーラシアは混沌とした情勢になろう。
 連合につく国と、プラントにつく国……ユーラシアの国々がそうなれば、世界はどうなるだろう?』

ユウナの言葉は次第に熱を帯びてくる。
疑問と答えを交互に織り交ぜ、聞く者の問題意識を喚起させつつ。

『そうなれば、今は成り行きを見守っている親プラント国も、公にプラントについてしまう!
 まただ……また、世界を二分する戦いになる! 
 オーブの理念、中立を掲げる国の理念は、二度と戻ることはなくなる!』

段々と言葉は感情的になり……
訓辞ではなく、ユウナが思いの丈を伝える演説に近い形となる。

『今度の我々の戦いは大西洋連邦のためか? 違うっ!
 我々の祖国の理念、オーブの理念を取戻すための戦いだ!
 世界が二分されれば、二度とオーブは中立を取戻すことができなくなる!
 オーブが中立を取戻すには、なんとしてもユーラシアで跳梁跋扈するザフト軍を叩かねばならない!』

そして――訓示は絶叫に近い形で締められる。

『プラントに、ザフトにユーラシアの独立運動を支援する理があろうか!? 否ッ! 断じて否だ!
 今カガリ代表は、オーブで非公式ながら連合とプラントの和睦の調停をなさろうとしている。
 それなのに……狡猾にも彼らプラントの人間は、代表の思いとは裏腹の行為に出ている!!
 だから、我々がこの地に来た! 早期に戦争を終結させるために!!
 オーブの理念を再びこの手に取戻す――! そのために、皆の力を貸して欲しいッ!!』
48914/20:2006/05/21(日) 05:59:34 ID:???
タケミカヅチ艦橋で、訓示を終えたユウナはホッと息をつく。
その後、艦内ではときおり歓声が上がっていた。タケミカヅチだけでなく、僚艦の艦内でも同じ現象が起きる。
しかし、それらの歓声は、ユウナに対してではない。
ユウナの訓示の中に出てきた、ウズミの想い、カガリの想い……そして、オーブの理念に対してである。
戦うための大儀がないまま、オーブの兵は戦場に出ようとしていた。
そうなると、士気の低下は避けられない。
故に、ユウナは国民に人気の高いアスハ家の新旧代表の名を借りて、正当性を訴えたのだ。
訓示は奏功し、オーブ出国以来下がりっぱなしの派遣部隊の士気は、大いに高まっていた。

ユウナたちは訓示が終わるや、艦橋から指揮官用のブリーフィングルームに向かい移動を始める。
そんな中、今だユウナに怪訝な顔を向ける男がいた。アマギである。

「ユウナ様……申し上げにくいのですが」
「何だい、アマギ? 叫びすぎて喉が痛いんだよ。手短に頼む」
「ユウナ様の想いは理解したつもりです。しかし……
 しかし、我々が大西洋連邦との共同作戦で、囮役を務める理由にはなりえないと思うのです」
「……ありゃ? しまった! そういう話だったっけ?」
「……ええ」

ユウナは完全に誤解していた。
アマギの大西洋連邦嫌いを払拭することのみを考え、肝心の問いに対する答えを失念していたのだ。
これは、彼の悪い癖。
相手の意図の、裏の裏まで探ろうとする、若き政治家としての習性が出てしまったのだ。
問いの本質的な部分には応えたものの、当初の疑問への答えにはなっていない――そんな矛盾が生じていた。

「う〜ん、強いて言えば、大西洋連邦と今後友好関係を築けるかどうかの、テストかな?」
「て、テストでありますか?」
「そ。皆はあの国のこと、嫌いじゃない? ボクもあまり好きじゃない。けど、敵対関係になるわけにもいかない。
 だから、彼らを試すんだ。万が一、今度の作戦で大西洋連邦がボクたちを見捨てたりしたら……」
「見捨てたら……どうなるのです?」
「大西洋連邦との同盟条約は、破棄される手筈になっている。ボクの戦死が条件だけど。
 ほら、異国の地に呼び出して、何の援護も無しに見捨てられたら、同盟を破棄する大義名分は出来るでしょ?」

アマギは呆気に取られ声も出ない。
ユウナのようなセイラン家の跡取りが戦場に借り出された真の理由――
それは、今後大西洋連邦との友好関係を築けるかどうかを試すことであった。
49015/20:2006/05/21(日) 06:01:24 ID:???
指揮官用のブリーフィングルームに入り、外に声が漏れない状態になってから……ユウナは事の顛末を語る。
赤道直下の小国オーブ。この国は中立を掲げることで、世界の混沌とした情勢とは一線を画す立場にあった。
しかし、先の大戦でオーブは戦渦に巻き込まれた。
大西洋連邦の威勢の前に屈する形で。

その後のオーブの政治家達は、理念と同時に実効を念頭に置くようになっていた。
即ち、如何にして国を焼かれないようにするか、である。
オーブの政治家達は考えた。このまま大西洋連邦を中心とした連合が勝ち進めばそれも良し。
万が一形勢が悪化し、連合の敗色濃厚となれば……オーブは最悪、大西洋連邦と手を切る覚悟はあった。
しかし、連合が負けそうだから同盟を破棄するというのは、如何にも体面が悪い。

そこでユウナたちの出番である。
万が一、大西洋連邦がオーブの派遣部隊を嘗ての敗戦国と侮り軽んじ、死地に取り残すようなことがあれば……
戦局が悪化した場合、それを口実に同盟条約を破棄さえしてしまおう。それがオーブの意図であった。
今のところ、プラントにとってオーブは敵国であれども、オーブは少なからずコーディネーターも住む国。
同盟を破棄すれば、プラントもザフトもオーブに侵攻して来はしまい。
彼らの敵は大国、大西洋連邦やユーラシア連邦、東アジア共和国といった国々だからだ。

つまり、オーブは大西洋連邦や連合各国と心中する気など毛頭ない。いざという時は……
狡猾といえば余りに狡猾だが、それとて国を焼かせないための知恵。

「実質国を取り仕切っているのはボクの父、ウナトだ。
 実子であるボクが戦死すれば、大西洋連邦とて具合が悪い。お得意の強権を振るうことも、躊躇われるだろう?
 ま、戦局が連合不利になれば、大西洋連邦にはオーブを咎める余裕もないだろうけど」
「ま、まさか……そのためにユウナ様はタケミカヅチに?」
「当たり前じゃないか! 何だと思っていたんだい?
 まさか、ボクが物見遊山でこの艦に乗り込んでいたとでも?」
「い、いえ! そのようなことは、決して!」
「ふふふ……嘘だろ。 顔に書いてあるよ?」

愉しそうに、心底愉しそうに笑いながら、ユウナはアマギの顔を眺める。
飄々とアマギに説明する青年政治家――だが、その彼こそが生贄に選ばれたのだ。
オーブという国を焼かせないための、究極の手段として。
この手段は、代表のカガリ・ユラ・アスハを除いた主要なオーブの政治家たちが画策したこと。
主立った人物は、彼の実父ウナト・エマ・セイランやカガリの叔父ホムラ・アスハといった首長会議の面々である。
笑い続けるユウナ――そんな中、儚い青年の行く末を案じ、トダカは黙ったままユウナの顔をじっと見入っていた。
49116/20:2006/05/21(日) 06:03:31 ID:???
日が暮れようとする頃――
タケミカヅチの指揮官用ブリーフィングルームには、ユウナとトダカだけが残っていた。
ユウナは、先の話は他言無用とアマギに釘を差した上で返した。
事の真相を知ったアマギは顔面蒼白。返す言葉もなく、呆然と帰っていった。
対照的に、トダカは何事もなかったかのようにユウナと相対する。

「……心中、お察しします」
「へ? 何言っているのさ? こんな話聞いて驚いていちゃダメさ。大変なのは、寧ろこれからだよ」

先ほどまで笑っていた筈のユウナの顔は、いつの間にか真顔に戻り……
眼光鋭くした司令官、ユウナ・ロマ・セイラン中将の顔になっている。

「ボク達はいわば生贄部隊……笑えない話だ。
 だが、ボク達が死ねばどうなる? オーブの守りの要は、この第一機動艦隊だ。
 本国にいるのは第二以下の二線級の軍。ボク達が死んだら、いざというときオーブを護れないじゃないか?」
「いざというとき……とは?」
「どう転ぶか分からないのが戦争だ。常に最悪の事態は想定しなきゃいけない。
 ザフトが本国に侵攻することも、頭の片隅においておかなきゃならないだろう」
「……では、どうしろと?」
「――生きるんだ。なんとしてもこの戦いを生き残るんだ。それが、代表からの至上命令だからね♪」

最後は笑顔で、ユウナは言った。
カガリから伝えられた言葉、『全員生きてもどれ』という言葉を――

首長会議はカガリに対し、事の真相を明かしてはいない。
ユウナたちを使い大西洋連邦との友好関係を築けるかを確かめ、最悪捨て駒に使うという話を。
だが、ユウナは思う。
あるいは、カガリは気づいていたのではないだろうか。
何の実戦経験もないユウナが、名義上とはいえ総司令官に収まり、戦場に出ること――
彼女は、代表に就任してから僅かに2年とはいえ、その最中権謀術数の政治の世界に身を置いたのだ。
ユウナが司令官に据えられ、前線に出された意味を、ひょっとすると感づいているのかもしれない。

「だから、カガリはボクに、『全員を生きて帰せ』じゃなくて……
 全員、ボクを含めて生きて帰って来いって、言ってくれた――そう思うんだけど、考えすぎかな?」

ユウナの言葉に、トダカは瞑目する――何としてもこの戦争で、皆を生きて返そうという決意を秘めて。
49217/20:2006/05/21(日) 06:06:36 ID:???
ファントムペインのMS隊とキラは、そのすぐ後にクレタ沖にやってきた。
ゲンの駆るストライクMk-U以下、ファントムペインのMS4機はJ・Pジョーンズへ。
キラの駆るムラサメは、オーブ軍旗艦タケミカヅチへ。

ゲンは、ストライクを載せたフライングアーマーを着艦させるや、すぐさまあるところを目指す。
早足、というより駆け出す格好で、J・Pジョーンズの艦橋へと一目散に駆ける。
艦橋に着くや、彼はネオの元へ――

「大佐! お話があります。別室へお越し下さい」
「――? どうした? 何かあったのか?」
「……ここでは、憚られる話です」

暗に、場所を移せと上官に示唆する。
ネオは何事か変事があったものと思い、ゲンと共に司令官室に向かった。
部屋に入り、外に声が漏れないことを確認したうえで、ゲンはネオに向かう。
そして、激しい口調でネオを問い詰めた。

「大佐! ステラたちが……長くは生きられないという話は、本当なんですか!?」

ゲンは開口一番、先日ステラから聞かされた話の真偽を、上官に問う。
いや、問うというより、詰問口調。押し黙ったままの上官を見て、さらに攻撃的な口調で上官を罵る。

「エクステンデッドが30まで生きられるかどうか……大佐は、それを知っているんですか!?」
「………」
「どうして!? どうして、応えてくれないんです!?」
「……ステラから、聞いたのか」

ネオは仮面のままで表情は窺い知ることは出来ない。が、声のトーンは重苦しい。
上官は何事か思案するといった風に、再び押し黙る。
やがて、意を決したように普段の声色で話し始めた。

「ステラが死を怖がっているって話……聞いているな?」
「……ええ。だから、ステラの前では、"死"という言葉を使うなって、大佐は仰いました」
「そうだ。研究所でステラがその事実を知ったときから、彼女は極端に死を恐れ始めた」

ネオの話はファントムペインが結成された頃の話にまで及ぶ。
49318/20:2006/05/21(日) 06:07:53 ID:???
エクステンデッドたちは、殆どが身寄りのない者達で構成される。
一応は能力開発という体裁をとり、そんな若者たちに志願させ研究所に入れ、人体への強化を開始する。
やがて、投薬を終えた者は実戦訓練を始め、戦闘訓練を受けるようになる。
多くの者は投薬の過程で命を失うか、戦闘訓練で身体に故障を抱えて研究所を去っていったが……
最終的にアウル、スティング、ステラの3人は、エクステンデッド――即ち、"能力を伸張された者"と認められた。

が、彼らに対し、研究所の者達は常に一定の警戒を怠らなかった。
磨き抜かれた戦闘能力で研究員達に刃向われること、脱走され研究所の所業が口外されることを恐れたのだ。
だから、エクステンデッドが常に支配下にあるよう、ある洗脳を行った。それがブロックワード――

「それには、ある心理的トラウマってヤツを利用するんだそうだ。
 ステラは研究所に来るまで殆んどそんなものはなかったそうだ。だから、研究所の連中は……」
「ステラが寿命のことを知って、死を恐怖した。だから、彼女に暗示を?」
「そういうことだ。万が一にも俺たちを裏切られちゃたまらんから、今もそれは生きている」
「それが、"死"……ですか」

アウルには"母"という言葉が使われていらしい。
何でも、過去にある種のトラウマがあり、彼の場合もそれを利用したのだとか。
スティング・オークレーだけには、ブロックワードというものが与えられなかった。

「何故、スティングにはそれがないのです?」
「あいつは、生粋の研究所育ちだ。物心ついたときから研究所関連の施設育ち。
 だから、背いたり裏切ったりする危険性は殆どない……ってことで、与えられなかった」
「アイツも、孤児院育ちじゃなかったんですか?」
「だから、その施設……ってのが、研究所直営の孤児院だったんだよ」

吐き捨てるようにネオは言った。
彼としても、初めてそれらの事実を知ったときは吐き気を催した。
戦争に勝つためとはいえ、ナチュラルがコーディネーターと対等に渡り合うために、そこまでするのかと――
ある種実験的な試みとはいえ、幼い少年少女を艱難辛苦に陥れる行為に、彼は嫌悪した。
だが、軍人である限り、私情は挟めない。ましてや、特務に従事する人間であれば。

「恨むなら、俺を恨んでくれて構わん。現場で彼らを使っているのは、この俺だからだ」
「………」

バイザー越しに、ゲンは視線を上官に向ける。が、先ほどまでの睨むような目線でなはく、悲しい視線であった。
49419/20:2006/05/21(日) 06:10:05 ID:???
気まずい二人の沈黙が流れる。
暫くその沈黙が続いた後、ゲンは徐に口を開いた。

「……アイツらを、少しでも生き延びさせる方法って、無いんですか?」

ソキウスであり、コーディネーターであるゲンにも多少の投薬はなされている。
しかし、それは極端に寿命を縮めるものではない。
あるいは、戦争が終われば人並みに生きられるのかもしれない。
が、仲間は、エクステンデッドたちは……
持って、あと10余年しか人生が残されていないのだ。
儚い命の仲間たちに、一筋の光明でも見出したい――それがゲンの本心であった。

「……方法は、あるかもしれん」
「……! ほ、本当ですか?」
「考えてもみろ。彼らは薬物のせいでそんな寿命になっちまうわけだが……
 その薬物の摂取量を減らして、少しずつ普通のナチュラルに戻すこと。これは、理論上可能な筈だろう?」
「た、確かに……」
「恐らく、それは可能だろう。だから、彼らを救うための方策は、一つしかない!」

ネオは、高らかに宣する。
目の前の少年兵に向かい、彼に与えられた至上命令を、再び――!

「ナチュラルの敵を滅ぼせ! それがステラたちを救う唯一無二の手段だ!!」
「……分かっています」
「まずはザフトだ。目の前に現れるザフトの犬どもを、皆殺しにしろ。そうすりゃ連合が勝って、戦争は終わる!」
「分かっています! それが、俺の役目――!
 "ナチュラルの敵を滅ぼす者"――Genocider Enemy of Naturalとしての、俺の使命ですから!!」

ゲンはネオに最敬礼する。
ステラを、仲間を救う手段は、それしかない。
それが分かった今、彼のやるべきことは一つ。目の前の敵を全て叩き潰すことだ。

「そうそう、お前のブロックワードも……教えてやろうか?」
「そいつを聞くと、戦えなくなっちまうんでしょ? 聞きたくありませんよ、大佐!」

冗談交じりの上官の言葉を受け流し、来るときと同じくゲンは駆けるようにして司令室を後にした。
49520/20:2006/05/21(日) 06:12:56 ID:???
ゲンが去った後、ネオは一人司令室の椅子に腰掛け、上を向く。
やがて……一人になったことで、彼は仮面を脱いだ。
仮面の下からのその素顔には、ユウナたちに話したとおり、真一文字に切り裂かれたかのような傷跡が――
その傷を撫でつつ、彼は一人呟く。

「やれやれ、酷い大人だねぇ……俺は。
 出来るかどうかも分からないことを、平気で出来ると安受けする。これって、ウソツキじゃないか?
 お前のブロックワードは……"妹"か。なぁ、シン・アスカ君、本当にこれを聞いたら、お前はどんな顔をする?」

デスクの引き出しから、彼はゲンのプロフィールを取り出す。
書類には、ゲンがシン・アスカであるという事実、更にオーブオノゴロで誘拐された者であることが書かれている。
そして、ロード・ジブリールとある契約を交わした上で、ソキウスとなることを選んだ――と。
ネオには大方の予想はついていた。
ゲンの知られざる過去。それは、エクステンデッドたちに劣らぬ、艱難辛苦の人生であろうと。

――その時、ネオの部屋に通信が入った。艦内から、それもエクステンデッドの研究員たちから。

『大佐、3人の最適化を始めても宜しいでしょうか?』
「……あ! もうやるのか?」
『はい。何分、ガルナハン以降は長旅でありました。すぐにでも……と思いまして』
「最適化は明日以降にしろ。まずは全員の体のチェックからだ。心身に異常が無いか、ゲンを含め調べてくれ」
『は、はぁ……わかりました』
「あ、それとだな……ちょっと聞いても良いか?」

ネオは改まって問う。彼自身、仮説を立てたものの今だ解けない疑問について。

「あの3人、人間に戻すことは出来るのか?
 例えばだ、投薬の量を減らして、普通の人間並みに生きることって、可能なのか?」
『……それは、恐らく理論上は可能ですが――』

研究員の言葉に、ネオは一瞬心を躍らせる――が、次の言葉は再び彼を、冷酷な現実に引き戻す。

『大佐、彼らはもう兵器ですよ? そんなことをする必要なんて、ないのではありませんか?』

兵器――もはや、人に戻す必要など無い兵器。だから、彼らに戦後の人生設計などする必要は無い。
己の所業を再認識させられ、ネオは言葉を失った。

指揮官が絶望する中で、再び戦端は開かれる――
ファントムペインとオーブ連合軍、相対するはザフト軍艦ミネルバ。
刻一刻とその時は迫っていた。
496通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 06:17:35 ID:???
リアルタイム乙。
497通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 08:43:49 ID:???
GJです
小悪魔ルナの魔の手がマユにまでww
ユウナのタケミカヅチ乗艦の理由にただただ圧倒
ユウナかっこいいよユウナ
498通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 10:52:36 ID:???
ゲンとマユのすれ違いばかりが気にされているPPだが、
何気にキラと兄貴もすれ違っている。
499通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 12:20:10 ID:???
キラ(どこかで見たような・・・)
兄貴(誰だっけ…?)
「「よろしくお願いします」」
キラ(デジャブかな)
兄貴(ま、気のせいか)

って感じ?
500通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 13:15:16 ID:???
いくらなんでも健忘症だよそれじゃw
501通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 13:25:35 ID:???
>ファントムペイン作者様
マユを含めたミネルバ面子のやりとりが良かったです。
ルナはホントに良いお姉ちゃんですね、マユだけでなくゲンも含めてw
今後マユとレイの関係の変化も楽しみです。

連合側は自嘲気味に悩むネオが良かったです。こんなネオが見たかったんですよ・・・
次回、または次々回は決戦ですか? ものすごく楽しみです。GJ!
502通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 19:29:24 ID:???
あげ
503通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 22:43:25 ID:???
PP作者様乙。
レイが議長至上主義じゃなくてもの凄い人間臭くて良かったです。
504通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 23:39:48 ID:???
PP作者様、GJ。
このユウナはいいなぁ。本当にいい。
時間が空いてしまいました、隻腕を書いている者です。
PP作者様の直後で申し訳ないのですが……こちらも今夜を逃すとまた時間が開きそうなので。
29話、投下させてもらいます。

あ、ちなみに今回、16話『生命の価値』と非常に密接にリンクしています。
すっかり忘れていて、かつお時間のある方は、予め流し読みしておくと分かりやすいかも、です。


オーブをめぐる連合軍とザフトの激突。
ジブリールには逃げられましたが、デストロイの暴走も止められ、オーブは守られました。
最も、その戦後処理こそが問題なのですが……。
そんな中、ギルバート・デュランダルは『デスティニープラン』を発表します。
ナチュラルを全てエクステンデッドにしてしまおう、という突飛なる計画。
世界は大きく揺れますが……

では、29話、どうぞ。
506隻腕29話(01/21):2006/05/21(日) 23:48:24 ID:???

 『彼』は、天才だった。掛け値なしに、天才だった。

 緩やかに没落しつつはあったが、名と歴史のある名門の家に生まれ。
 学生時代から文武両道に優れ、容姿端麗で弁舌は爽やか。
 大学には主席で入学、主席で卒業。
 その一方で、大会自体が形骸化しつつあったとはいえ、オリンピックの代表選手にもなっている。
 創立されたばかりの宇宙軍に入れば、たちまちエースパイロット。
 単に操縦の技量が高かったのみならず、画期的な新兵器の開発にも関わっていたとも言われる。
 除隊後は投資家に転身、またたく間に大西洋連邦でもトップクラスの大富豪となる。
 名実ともに、『彼』はたった一代で家を再興させてしまった。
 『彼』は天才だった。あらゆる分野において、オールマイティに才能を発揮できる天才だった。

 だが『彼』の才能は、正当には評価されなかった。
 『彼』より前に、『彼』より偉大で、『彼』より衝撃的な『天才』が居たからだ。
 その『天才』は、オリンピックで銀メダルを獲得した選手だった。
 その『天才』は、ノーベル賞候補にもなった学者だった。
 その『天才』は、海軍のエースとして名を馳せた。
 その『天才』は、木星探索で世界を揺るがす発見を成し遂げた。
 その『天才』は、それ以降の世界のありかたそのものを大きく変えてしまった。

 その『天才』の名は、『ジョージ・グレン』。
 後に『ファーストコーディネーター』と呼ばれる存在である。

 ジョージ・グレンの存在は、偉大過ぎた。そして鮮烈過ぎた。
 いかなる天才の成したことも、その業績の前には小さく見えてしまう。
 また、経済分野での成功は、学問の分野での成功に比べ正当に評価されにくい。
 特に投機での成功については、彼は幸運に恵まれたに過ぎない、と見る者がかなり多かった。
 神懸り的な直感に基づく大胆な決断、しかし周囲の人にはその才能が理解できなかったのだ。

 さらに、ジョージ・グレンの存在はこの時代に成功を収めた者たちに向け、ある疑いを投げかけた。
 木星探査出発時の『ジョージ・グレンの告白』。遺伝子操作された『コーディネーター』の暴露。
 その驚きの真実を聞かされた人々は、当然、他の有能な人々に対してもこんな疑いを抱いた。

  『普通の人に、あんなことができるはずがない。
   彼もまた、ジョージ・グレンと同じように『コーディネーター』なのでは?』

 ……多くの場合、事実無根であった。けれども、事実無根であることを証明するのは困難だった。
 どんな物事でも、「そうである」ことの証明に比べ、「そうでない」ことの証明は数段難しい。
 特に『彼』のように多分野において成功を収めた者は、この疑惑からは逃げられなかった。
 どんなに精度の高い検査をしてみせても、その検査結果自体が捏造ではないかと疑われる。

 コーディネーターへの羨望と、羨望の裏返しである憎悪。その双方が高まりつつある時代。
 『彼』に対して向けられた執拗なコーディネーター疑惑は、その時代性あってこそのものだった。
507隻腕29話(02/21):2006/05/21(日) 23:50:07 ID:???
 「だが――私は間違いなくナチュラルなのだ! 正真正銘、ナチュラルなのだ!
  ジョージ・グレンさえ居なければ、誰もが私を称えただろう! 誰もが叫んだだろう!
  『アル・ダ・フラガは天才だ』と。『彼こそ人類史上最も優れた人間だ』と!」
 「はぁ…………」

 CE46年、遺伝子研究コロニー『メンデル』。その中に建つとある研究所。
 アポも無しに押しかけてきたその客の演説に、ユーレン・ヒビキ博士は目をしばたかせていた。
 何の臆面もなく、自分は天才だと胸を張る男。そしてその自信に見合う実績を背負う大物。
 色々な意味で、只者ではない。
 天は二物を与えずと言うが、彼は多彩な才能と共に余計なモノまで授かっていたのだろうか?
 そんな自称天才、アル・ダ・フラガは、しかしヒビキ博士の困惑にも構わず、語り続ける。

 「この天才である私でさえ、かのジョージ・グレンを憎んだことがあった。恨んだことがあった。
  この優れた頭脳と肉体を、ブルーコスモスの屑どもに売り渡してやろうかと思ったことさえある。
  だがしかし――私は、思いついてしまったのだよ」
 「何をです?」
 「私はナチュラルであるにも関わらず、これだけの能力を持ち、これだけの成果を挙げてきた。
  それこそ、下手なコーディネーター程度では、足元にも及ばぬほどにね」
 「はぁ……それで?」

 確かにそれは事実だった。
 当時世に出始めていた第一世代コーディネーター。その誰よりも、アルは優れていた。多才だった。
 しかし急に目の前で自慢大会をされても、ヒビキ博士はただただ困惑するしかない。
 そんな博士の反応に、天才アル・ダ・フラガは前にも増し大きな声を上げる。

 「……『それで?』ではないよ! これまでの話を聞き、キミは何も感じないのかね?!
  私ほどではないとはいえ、キミもこの分野では天才と呼ばれている存在なのだろう?
  『最高の人類』を作る研究をしているのだろう? 優れた素材が必要なのだろう?
  私という『最高のナチュラル』を前にして、何故そんな頭の悪そうな態度が取れるのだ?!
  最高の素材と莫大な資金が自ら飛び込んで来たのだ、もう少し嬉しそうな顔をしたらどうだ?」
 「最高の――素材?」
 「その通り! ……何度でも言おう。私は天才だ。ナチュラルとしては最高の人間だ。
  では、もしも、もしもだよ――」

 アル・ダ・フラガ。この世紀の怪人物は、満面の笑みを浮かべたまま、ヒビキ博士に問いかける。
 それは、あまりに無邪気な発想。あまりに肥大した自己評価。
 そして――それは、全ての歪みの始まり。狂気の夢。

 「この私、アル・ダ・フラガが、『本当に』コーディネーターだったなら――
  この天才である私に、さらにコーディネーターの能力が『上乗せ』されたなら――
  いったい、どれだけのことができるとお思いかね?
  それこそが、『人類のさらなる進歩』だとは思わんかね――?」


              マユ ――隻腕の少女――

            第二十九話 『 人の夢、人の業 』
508隻腕29話(03/21):2006/05/21(日) 23:51:25 ID:???

――大西洋連邦、北アメリカ大陸東海岸の北部。
落ち着いた古い町並みの中を、まるでそぐわぬ格好の男女が歩いていた。
男は、黒い連邦軍制服に、ヘルメットのようなマスク。
女は、地味で色気のないツナギ姿。
ネオ・ロアノークと、マリュー・ラミアスである。
2人は人の少ない町をのんびりと歩いている。先導するネオに、マリューが従う形。
その奇異な服装を除けば、傍目からは恋人同士が散歩でもしてるかのような構図だったが。

「この辺は伝統ある町でさ〜。歴史浅いこの新大陸じゃ、最も古い町の1つだろうね。
 ほら、ご先祖様がメイフラワー号に乗ってやってきた、とか名乗ってる古い家、よくあるじゃない?
 そんな家ばかりなんだな。この辺りにあるのは。
 ……もっともこの手の連中の先祖が、本当に全員メイフラワー号に乗ってきてたとしたら、
 清教徒たちのボロ船は、北アメリカに辿り着く前に乗員オーバーで沈んでたハズなんだけどね♪」
「……何のために連れ出したかと思えば、歴史の講義?」

軽い口調で語るネオの横顔。隣を歩くマリューは不審に満ちた目で睨みつける。
ベルリンで偶然遭遇し、拘束され……以来、彼女の置かれた状況はいささか不可解だった。
ホテルに監視つきで軟禁され、行動と通信の自由は奪われたものの、その扱いはかなり丁重で。
軟禁中もテレビや新聞などは自由に見れたから、激動を続ける世界情勢はしっかり把握できた。
一回だけ、ジブリールとの面会の予定が組まれたが、ラクスの放送ジャック騒動でうやむやとなり。
その後、何度かネオが訪ねてきて他愛も無い話をしていったが、それきりだ。

マリューは考える。
どうやら彼らは、彼女を断罪する気はないらしい。処分する気もないらしい。
むしろ彼女を何らかの形で利用するつもりなのだろうが……しかし何をさせる気なのか?
これまでの軟禁生活は、おそらくは時間稼ぎだ。準備が整うまでの。
こうしてようやく連れ出したということは、とうとう何かがあるのだろうか?
行く先は軍の施設などではないようだが、一体どこに連れて行かれるのだろう?

……警戒を強める一方で、マリューは横を歩く男自身への関心を押さえきれない。
その声。その体格。今は仮面に隠された、その素顔。
別人であるはずがない、けれど、あの人であるはずもない……!
マリューの心は、揺れる。表面にこそ出さないが、激しく揺れる。

「歴史の講義……? う〜ん、そうだなぁ。
 うん、『歴史のお話』から始めた方が、いいかもしれないな。
 君にちゃんと理解し、納得してもらうためには、ね」

思い悩むマリューを横目に、仮面の大佐ネオ・ロアノークは呟く。
仮面から覗く口元に、微かに微笑みを浮かべる。全てを見通したような笑み。

「こんな好機だってのに、逃げ出す素振りもなくついて来るってのは、アンタも興味津々なんだろ?
 俺の思惑と俺の正体、見極めないと落ち着かないんだろ?」
「なッ……!?」
「ま、安心しな。今日は全部話してやるよ。洗いざらい全部な。
 そうだな――まずは、あの『クソ親父』の話から始めなきゃならんかな。
 奴の名は『アル・ダ・フラガ』。全ての歪みの始まりとなった、救いようのないエゴイスト――」
509隻腕29話(04/21):2006/05/21(日) 23:52:44 ID:???
 「……こちらが現在研究中の人工子宮です。
  遺伝子は、持っているだけでは十分ではありません。適切な形で発現させる必要があります。
  この人工子宮は遺伝子発現のための母胎内環境をコントロールできるため……」

 ヒビキ博士は珍客アル・ダ・フラガを連れ、研究所の中を案内する。
 彼らの眼前に並ぶのは、巨大なガラスの容器に怪しげな機械。中には人工羊水に浮かぶ胎児。
 最先端科学の研究所というより、中世の錬金術師の実験室の方がイメージ的に近い。

 いや――ある意味ここは、錬金術師の流れを汲む実験室なのだ。
 ホムンクルス。瓶の中の小人。賢者の石や万能薬と並ぶ、錬金術の究極目標の1つ。
 ヒトの手により作られ、ヒトの胎を経ずして生まれ、ヒトよりも優れた『完璧なヒト』……
 未だ完成の見えないコズミック・イラのホムンクルス創造。
 既存のコーディネーターを越える、完全なるコーディネーター。最高のコーディネーター。
 この研究所で平行して進められていた幾つかの研究の中で、中核となっていた研究である。
 『人類のさらなる進歩のために』、それが彼らの合言葉だった。彼らの正義だった。

 「というわけで、この人工子宮に限った話ではないのですが……
  この研究所は、生まれてくる赤ん坊の能力をいかに高めるか、という研究をしているのです。
  残念ながら『大人を後天的にコーディネーターにする』研究はしていません。
  フラガさんの援助の申し出は有難いのですが、我々には……」

 研究所を案内しながら、ヒビキ博士は申し訳なさそうに頭を下げる。
 喉から手が出るほど欲しい、研究資金。しかし畑違いのことを要求されてもどうしようもない。
 無茶苦茶な要求をする大富豪に、納得して帰ってもらうつもりで案内していた博士だったが……

 「……やはり私の見立ては正しかったな。この施設なら、私の考えていたコトができそうだ。
  その『スーパーコーディネーター』とやらも、私のプランに統合できれば面白い」
 「あ……あの、フラガさん?」
 「私はね、博士―― 別に、『この私自身』を『コーディネーターにする』気はないのだよ。
  私の能力を後天的に高めるつもりもない。
  いや、そういう研究をさせたことはあったけれどね。アレはダメだ。使い物にならん。
  連中は計画を変更して『強力な生体兵器』の創造にテーマを移したようだが」

 彼の言う『使い物にならない研究』は、後にエクステンデッドへと繋がるが、これはまた別の話。
 アル・ダ・フラガは、ヒビキ博士の説明に、逆に笑みを深くする。

 「私はただ、見たいだけなのだ。私がコーディネーターだったらどれほどの事が出来るのかを。
  そして後を託したいのだ。『私の才能』と『コーディネーターの能力』を併せ持つ者に。
  ……とはいえ、私の子供をコーディネーターにするのではおそらく足りぬ。
  息子のムウもそろそろ3歳になるが、半分でも他の血が入ってしまえばただのヒトだね。
  まるでダメだ。育て方も間違えた。天才の私には到底及ばんだろうよ」

 血を分けた実の息子さえも「ただのヒト」と切り捨ててしまうアル・ダ・フラガ。
 豊富な才能と引き換えに、人間として何か大切なものを獲得しそびれた彼。
 彼はそして、禁じられたタブーを口にする。

 「私が君にコーディネーター化処置して欲しいのは、私の『子供』ではない。
  下らん法律が創造を禁じている、しかし君たちなら作れるであろう、私の……!」
510隻腕29話(05/21):2006/05/21(日) 23:53:59 ID:???

――オーブ、行政府。
先の防衛線の混乱続くこの国で、その代表首長の座に戻ってきたカガリは。
忙しい仕事の合間をぬって、その客を迎え入れていた。

「やっほー。お久しぶりね。怪我はもう大丈夫なの?」
「ミリアリア! 良く来てくれたなぁ!」
「ごめんね、ラクスさんについての調査も間に合わなかったし、今さらって感じなんだけど……」
「いや、構わないさ。それより、そっちの子は? どこかで会ったような気もするが……」

互いの再会と無事を喜ぶ、カガリ・ユラ・アスハと、ミリアリア・ハウ。
しかしもう1人、ミリアリアと共にカガリを訪れていた者がいた。
ミリアリアの後ろで、居心地悪そうに身を硬くしている、赤いロングヘアの女の子。

「こっちは……メイリン。メイリン・ホークよ」
「初めまして――ではないですね、カガリ代表。
 でも、こうしてちゃんとお話するのは、これが始めてじゃないかと」

私服姿のメイリンは、言葉を濁す。何をどう言うべきか、考え悩む。
言いにくそうに、何度か言葉を詰まらせながら、それでもメイリンは口を開く。

「私は……今はもう除隊しましたが、元ザフト兵です。
 軍に居た頃は……ミネルバの、オペレーター席に座っていました」
「言われてみれば……! ひょっとしてお前、髪をまとめてなかったっけ? こう、頭の左右に。
 ようやく思い出した。そうか、あの折は色々と迷惑をかけたなァ」

本当に嬉しそうに、ツインテールを身振りで表現しながら、カガリは笑う。
その表情に、メイリンはどう反応したらいいか分からない。

確かに、苦労を共にした時期もある。互いに同じ目標のために戦った時期もある。
けれどその後、互いに銃を向けあったというのに。
メイリンも姉を奪われたし、オーブ軍もまた、ミネルバからは大損害を受けたはずなのに。
……沈黙したメイリンの表情の中に、そんな困惑を読み取ったのか。カガリの表情も少し翳る。
翳りが差したが――それでも、微笑みは残したままで。

「――そうか、ミネルバのクルーか。色々、不幸な成り行きになっちゃったな。
 そちらにも少なからぬ犠牲が出たんだよな。ウチの部下が、手を下してしまったんだよな。
 恨まないでくれ、なんて言ったらムシが良すぎるのかもしれないが――
 一緒に、これからのことを考えよう。平和への道を、探していこう」

2年前の戦争の時は、カガリもザフトという軍そのものを憎み、恨み、戦った時期もある。
けれど、今の彼女は。
恨みも憎悪も無くしたわけではないが、しかしぐッと腹の底に呑み込んで。
……黙って2人の様子を見ていたミリアリアは、カガリの変化に小さく笑うと、口を開く。

「そうね――これからのことを、考えないとね。そのために、私たちは来たんだから。
 私たちが今日来たのは、あの『デスティニープラン』についての話。
 このメイリンが見てきた、エクステンデッドとアル・ダ・フラガについての話、よ――」
511隻腕29話(06/21):2006/05/21(日) 23:55:25 ID:???

 アル・ダ・フラガがヒビキ博士に突きつけた命題は、ある意味簡単なモノだった。
  『自分のクローンを作り、それをコーディネーターにせよ』

 コーディネーター化技術は、人工授精技術と合わせて使うことを前提としている。
 一方の体細胞クローンの作成、これも作られたクローン胚を母胎に戻す所は人工授精と同じだ。
 この2つを組み合わせれば、ナチュラルのクローンをコーディネーターにできるのでは……?
 天才アル・ダ・フラガに、コーディネーターの能力を上乗せした超人が作れるのでは……?

 「もっとも、ただそれだけでは不足だ。
  テロメアが短く、早く老いてしまうような超人を作っても意味がない。
  だが下らぬ法律のせいで凍結されているが、そのテロメアを伸ばす研究があったよね?
  その技術を、さらにここに加えることができれば……」

 細胞の分裂回数に応じて短くなっていく遺伝子配列、テロメア。
 体細胞から作ったクローンは、その基になった細胞が分裂した数だけ、予めそれが短い。
 つまり、細胞レベルにおいて、予め「歳をとっている」のも同然なのだ。

 だがこのテロメア、実は失われる一方ではない。極めて限られた条件において、復活する。
 『テロメアーゼ』という酵素の存在が知られている。失われたテロメアを伸ばす働きを持つ酵素だ。
 普通の生殖で生まれる子のテロメアが短くなったりしないのも、この酵素の働きのお陰。
 一方、ガン細胞が際限なく増殖を続けるのも、1つにはこの酵素を司る遺伝子の暴走による。

 旧世紀の終わり頃。初めて体細胞クローンが登場した時から、この酵素の利用は考えられていた。
 これを上手くコントロールすることができれば、体細胞クローンの寿命の問題をクリアできる。
 まあ、現実には数多くのハードルがあり、当時の技術では実現は不可能だったのだが……
 それでも、コズミック・イラのこの時代。基礎研究が少しずつ積み上げられて行った結果。
 数々の法により人間への応用は固く禁じられていたが、実現化の目途くらいは立っていたのだ。

 「それでも……クローンは違法です!」
 「法など変わる。倫理など変わる。しょせんは凡人(ヒト)が定めたモノだ」
 「しかし……」
 「苦労の末に手にした技術、使わんでどうする? 欲しいのだろう、研究資金が。
  『勝てば官軍』だよ、ヒビキ博士! 偉大なる成功が全てを正当化するのだ!」

 アル・ダ・フラガは笑う。自らを天才と認識する彼は、自信に満ちた笑みと共に断言する。
 世の研究者たちがなお躊躇する究極のタブー、それをあっさり侵してなお笑う。
 その圧倒的な自信と迫力に……ヒビキ博士は、呑まれた。魅入られた。虜となった。

 ユーレン・ヒビキ。確かに当時、彼の研究室は人工子宮の研究資金に困ってはいたのだが。
 彼とて、プライド高い優秀な研究者だ。札束で頬を叩かれただけで、折れたりはしない。
 アルの要求を呑んだのは、純粋に研究者として、彼の提案が魅力的だったからで……!

 CE46年。アル・ダ・フラガがヒビキ博士の研究所を訪れた、その年の暮れ。
 最初の実験体が、産声を上げた。
 生まれてきた赤子を見下ろし、アルはどこか不満げに呟いた。

 「…………ほんとにこれが、『私』かね?」
512隻腕29話(07/21):2006/05/21(日) 23:56:13 ID:???
――オーストラリア、カーペンタリア基地。
オーブへの攻撃に参加した艦隊が、かなりの損害を受けつつ帰還し、かなり混雑している基地で。
一隻の目立つ戦艦が、基地の片隅に泊まっていた。
アーモリーワンの事件以来、常に激戦区に居た万能戦艦、ミネルバである。
その、甲板の上で。

「……単刀直入に聞こう。レイ、君はクルーゼ隊長と、どういう関係なんだ?」

2人の赤服の男たちが、並んで眼下の喧騒を眺めていた。
∞ジャスティスのパイロット、アスラン・ザラ。レジェンドのパイロット、レイ・ザ・バレル。
どちらも落ち着いた表情で、しかし互いの顔を見ようとはしない。

それは、アスランが以前から抱いていた疑問だった。聞きそびれていた疑問だった。
ミーアやシンやカガリの事など、数多くの問題が出てきたために、後回しにされていたものだった。

「オーブでの戦いの時、君はキラに言ったな?
 『自分はラウ・ル・クルーゼだ』と。『完全版のラウ・ル・クルーゼだ』と。
 あれは一体、どういう意味なんだ?」
「……聞こえていましたか」
「あの時はこっちも戦闘中で、全く余裕はなかったけどな」

アスランの問いかけは、あくまで淡々としている。決して激しく問い詰めたりしない。
激しくはないが――中途半端な誤魔化しは許さない厳しさを込めた視線で。
対するレイも、淡々とした態度で応える。

「その問いに正確に答えるためには、こちらからも1つ質問せねばなりません。
 アスラン――貴方は、ラウについてどれだけの事を知っていますか?」

クルーゼのことを「ラウ」と名前で呼んだレイ。
その態度に、アスランは一瞬眉を寄せたが。

「俺が直接聞いた話ではないが……隊長はクローンだったと聞いた。
 アル・ダ・フラガという人物の、失敗作のクローンだと。失敗作ゆえ、寿命が短かったのだと。
 そして、その生まれを呪ってあんなことをしたのだと」

アスラン自身も、間接的にしか聞いていない話。
メンデルでの遭遇の後、キラやムウを問い詰めるのも憚られ、あまり詳しい話は聞かなかったのだ。
それでも、おそらく当時の三隻同盟軍の面々が共有していた情報は、過不足なく把握している。

「……やはり、理解が浅いようですね。ではこちらからも尋ねてみましょうか。
 どうして、『ただのナチュラル』のクローンがプラントに潜り込めたのでしょう?
 普通にクローンを作ったのなら、ナチュラルはナチュラルのままだ。MSの操縦などできない。
 たとえそれが、かつて天才と呼ばれたアル・ダ・フラガだとしても、まず不可能な話です」
「……言われてみれば……」
「ラウは、単なるクローンではありませんでした。クローンの上に、2つの処置を受けた身です。
 しかし不幸なことに、彼に求められた2つの要素がどちらも中途半端だったんです。
 両方を満たそうと欲張ったがために、ラウは寿命の短い、不完全なコーディネーターになった。
 そして、俺が受けたのは……確実を期し、片方だけの処置で……!」
513隻腕29話(08/21):2006/05/21(日) 23:57:23 ID:???

 第一号実験体。2つの処置を施された、アル・ダ・フラガの体細胞クローン胚。
 テロメア長の延長による、常人並みの寿命。コーディネーター化処置による、能力増強。
 2つのことを期待され、慎重に作り上げられた最初の1人。
 そしてそれは、アル・ダ・フラガが用意した代理母の子宮に入れられ、育てられた。
 CE46年、ラウ・ラ・フラガ、誕生――

 しかしその後、時間をかけ、生まれてきた赤ん坊を詳しく調べた結果。
 この第一号実験体は、『失敗作』と呼ばざるを得ないものであると、判明した。
 テロメアの長さは完全には戻らず、いずれ早老症を起こすことが予想され。
 コーディネーター化処置は不完全で、ハーフコーディネーター程度の能力上昇に留まり。
 2つの処置のどちらもが、中途半端な結果に終ってしまったのだ。
 どうやら、クローン胚に対して行った2つの処置が、相互に悪影響を与えてしまったようだった。

 「……ふむ、上手く行かないものだ。私のあとはコイツに継がせようと思っていたのにな」
 「早老症については、寿命そのものは伸ばせませんが、表層的な症状を押さえ込む薬があります。
  能力についても、元となった貴方の能力が高いので、並のコーディネーターよりは優秀でしょう。
  今後彼が順調に成長すれば、我々に貴重なデータを提供してくれるでしょう。
  しかし貴方の望まれたような才能と、その才能を存分に発揮する時間は、残念ながら……」
 「分かった。実験を続けたまえ。キミたちが満足行くまで、実験を重ねたまえ。
  簡単に成功すると考えていた私も、甘かったということなのだろう。
  ……しかし、成功か失敗かも分からぬうちに、『フラガ』の名を与えてしまうのは問題だな。
  今後は考え直さないとな――ラウの奴も、どこかの家に引き取らせよう――」


 ……検討の結果、アル・ダ・フラガのクローン作成は、2つのチームに分かれることになった。
 片方のチームは、テロメア長を伸ばし常人と同じ寿命を持つ、クローン人間の作成を。
 片方のチームは、コーディネーターの能力を100%付加した、クローン人間の作成を。
 一気に両者の統合を図るのではなく、それぞれの基礎研究を深めた上で、相互の影響を調べる。

 同時に、研究所の別のチームはコーディネーターのための人工子宮の開発を続けていた。
 母胎内環境を人工的に完全に管理することによって、コーディネーターの遺伝子発現を制御する。
 実現すれば、遺伝子操作の効果を100%引き出した、完璧なコーディネーターを作ることができる。
 アル・ダ・フラガは、当初この研究を知らなかったが……
 彼のクローン作成計画の最終段階には、この技術も統合することが検討されていた。
 アルのクローンに、人並みの寿命を与え、コーディネーターにし、人工子宮で育てるのだ。
 それが、彼らの思い描いた、実験のゴール。究極の人類。

 「フラガさん……テロメア延長実験のチームから、少しお願いがあるそうなのですが」
 「何かね、博士?」
 「どうも技術的に、フラガさんの年齢分、一気にテロメアを補うのは難しいようなのです。
  基礎技術の検証のため、もう少し若い人間、幼い子供の細胞で実験を重ねる必要があるとか。
  それも、できればフラガさんに遺伝的に近い人間が居れば有難いと……」
 「ふむ、そんなことか。
  良かろう、我が息子の細胞を好きなだけ使いたまえ。今年で5歳になる。
  まるで愚鈍で使い物にならぬガキだが、こういう使い道でもあれば、奴も幸せだろうよ――」

 そして、その狂気の夢は、あまたの愛されぬ子供たちと、胎児と乳児の屍の山を生み出して――
514隻腕29話(09/21):2006/05/21(日) 23:58:31 ID:???

――北アメリカ。古い町並みを抜け、林の中の道を歩くネオとマリュー。
ネオの昔語りを聞かされたマリューの顔色は、蒼白だ。

「じゃ、じゃあ……貴方は……!」
「そう。俺はムウ・ラ・フラガじゃあない。
 アンタが期待してたような、『実は奇跡的に生き残っていた』兄貴じゃない。
 ムウの体細胞から作られ、寿命を補填されたクローン人間。
 生まれた年の違う一卵性双生児みたいなモンなんだ」

ネオは淡々と、感情を抑えた口調で呟く。その表情は仮面に隠されて見えないが。
きっと、その声と同じく、仮面のように無感情な顔をしているのだろう。

「俺は――俺自身には、何の期待もされずに生まれた。
 メンデルの研究者たちの思惑通り、テロメアの長さは常人並みになったんだけどな。
 俺自身には、何の期待もされていなかった。何も求められず、何も望まれなかった。
 アル・ダ・フラガ、あのクソ親父の抱いたバカげた超人の夢の、踏み石の1つに過ぎなかった」

ネオの言葉に、マリューは何と声をかければいいか分からない。
彼女は、ムウのことを思い出す。2年前、深い関係にあった恋人のことを思い出す。
他に変わった所もないのに、子供の頃の記憶、父親の記憶だけが、すっぽり抜け落ちていたムウ。
ネオの話を聞けば、ある程度推測できてしまう。
息子に何も期待しなかった父親。父親が推し進める非人道的な実験の数々。不幸な子供たち。
幼いムウの無意識の防衛反応が、それらを「見なかったこと」にしてしまったのも、良く分かる。

「まあ、あの兄貴も、アレはアレなりに苦労も苦悩もあったんだろうがな……。
 俺も俺で、色々苦労してたんだぜ?
 あのクソ親父はさ、俺の成長のデータを取るため、生活の支援はしてくれたんだが……
 同時にその条件として、俺から『顔』を奪いやがった」
「……『顔』を?」
「何せ俺の顔はムウ・ラ・フラガと瓜2つだからな。
 事情を知らぬ人に顔を見られ、極秘のクローン実験が疑われたら親父にとっても破滅だ。
 だから俺は、仮面を被ることが義務付けられた。幼い頃から、この仮面こそが俺の『顔』だった」
「仮面って……顔の整形とかでなくて?」
「この顔が兄貴と同じように育つかどうかも、調査の対象だったんだそうだぜ。
 今から思えば、なんでそんなモンまで調べる必要あるんだよ、って思っちまうが」

淡々と抑揚なく話すネオ。彼は先の見えない林の中の道を、迷いの無い足取りで進んでいく。
マリューは彼を追いながら、その心のうちを想像する。

……まだ、分からないことがある。
ネオの出生の秘密は分かった。その呪われた生い立ちは分かった。
けれど、今の話だけでは、どうしてブルーコスモスなどに繋がってくるのか分からない。
彼が何を考え、何を目指して行動しているのか、分からない。
それを聞くまでは、いくら隙だらけの状況でも、逃げ出すわけには……。

やがて、木々が途切れ、開けた空間に辿り着く。
そこで彼ら2人を待ちうけていたのは、広大な、アル・ダ・フラガの栄華の跡……。
515隻腕29話(10/21):2006/05/22(月) 00:00:08 ID:???

 ……研究は、行き詰まっていた。
 第一号実験体、ラウ・ル・フラガ誕生後、順調に進むかに見えた研究。
 実際、ナチュラルそのままに寿命を延ばす実験は、すぐにネオという成功例が誕生。
 寿命を諦め、クローンをコーディネーターにする実験の方も、しばらく後に成功している。
 しかし……

 アル・ダ・フラガが初めてヒビキ博士の研究所を訪れてから、7年の歳月が流れていた。
 未だ2つの技術の統合は目途が立たず、問題点がどこにあるのかさえ分からない。
 人工子宮の研究も、遅々として進まない。
 どうしようもない閉塞感に、研究所は包まれていた。

 「何がいけないんだ……!? 一体、何が足りない……!?」

 ヒビキ博士は頭を抱え込む。
 彼ら研究所のスタッフは、この分野の専門家だ。この時代の最先端に居た者たちだ。
 逆に言えば、人倫を無視したこの研究、他に追随者もいない。疑問に答えてくれる仲間は居ない。
 何か、新しい発想が必要だった。新しい視点が必要だった。新しい才能が必要だった。
 技術的に隣接しつつ、異なる分野の専門家が、必要だった。


 「え……?! き、君が!?」
 「初めまして、ヒビキ博士。貴方の論文、全て読ませて頂きました。
  博士たちのグループの独創性には、毎回毎回驚かされます。
  もっとも、ここ数年、新たな論文発表がないようですが……。
  自分のような若輩者に声をかけて頂き、本当に感謝しています」

 コズミック・イラ53年。ヒビキ博士の研究所に、新たな若き科学者が迎えられた。
 彼の名はギルバート・デュランダル。
 当時、僅かに12歳。この年で既に2つの博士号を持つ俊才。
 コーディネーターの中でも、規格外の才能だった。
 白衣に身を包んだ黒髪の少年は、ヒビキ博士を見上げて穏やかに微笑む。

 「早速、実験データを見せてくれませんか。特にサンプルの遺伝子情報を。
  私の専門は、遺伝子の組み合わせから様々な情報を読み取ること――
  おそらく実験の失敗は、知られざる複数の遺伝子の組み合わせが原因でしょう。
  再検討すれば、何か新たなる発見があるかもしれません――」


 こうして3人の異なる天才が、メンデルという接点に集まった。
  傲慢にして多才なる究極のナチュラル、アル・ダ・フラガ。
  悪魔に魂を売り渡した善良なる科学者、ユーレン・ヒビキ。
  そして、怜悧な瞳の若き少年科学者、ギルバート・デュランダル。
 この3人がようやく揃ったことにより、実験は次のステージに進みだす――
 特に、この7年全く進展の無かった、人工子宮の研究の分野において。
516隻腕29話(11/21):2006/05/22(月) 00:01:09 ID:???
――プラント首都、アプリリウス・ワン。
薄暗い、最高評議会議長のための執務室の中。
ギルバート・デュランダルは1人、チェス盤に向かっていた。
忙しい業務の合間に、半ば無理やりに作った、1人の時間である。

先日の突然の「デスティニープラン」発表会見によって、プラント世論は大きく揺れていた。
親プラント派のナチュラルたちを、後天的に自分たちコーディネーターの領域に引き上げる――
そして、混血と養子縁組によって、現在のプラントの少子化問題に対応する。
それが、プラントの市民の側からみた、デスティニープランの形であった。

最初に来た反応は、困惑だった。続いて、反発だった。
何が悲しくてナチュラルどもの能力を引き上げてやらねばならないのか。
何でわざわざ、敵である連中を自分たちに匹敵するような存在にせねばならないのか。
それはかえって、プラントを危険に晒すことになるのではないか……?

しかし説明が重ねられるにつれ、彼らは議長のプランの裏の意図を理解する。
これは、プラント主導による、ナチュラルの管理計画にもなるのだ。
計画では、エクステンデッド化の処置はプラントの科学者たちが行うことになっている。
そして、エクステンデッドが能力を維持するには、定期的なメンテナンスが必要だとも言う。
メンテを一手にプラントが支配するのなら、それは、彼らに首輪をつけて繋いだようなものだ。
エクステンデッドがコーディネーターに反乱を起こすような事態は、避けられる。
……誰もそこまで露骨な表現はしなかったが、どう見てもこの計画はそういう意図なのだ。
コーディネーター並みの能力をエサに、彼らを鎖に繋ぎ、プラントの安全を確保する――

技術的な問題は、現時点では機密として一般には伏せられた。良い面だけが報道された。
評議会での激しい議論。プラント向けの放送。そして、親プラント国からの好意的な声。
少しずつ、デュランダル議長を支持する人が増えてきて――

『……やれやれ、キミは神にでもなったつもりなのかな?
 あんなもっともらしい預言を示したりして。キミは政治家よりも宗教家の方が向いているよ』
「……久しぶりだね、ラウ。私は、キミにすら見捨てられたかと思っていたよ」

暗い部屋の中、チェス盤に向かうデュランダルに、声がかけられる。当然のように応える議長。
いや、それは本当に声なのだろうか? 誰も居ないはずの空間から響く声。
チェス盤を挟むようにして、いつの間にか、ぼんやりと光る人影が座っていた。
奇妙な仮面を被った、白い軍服のザフト軍人。口元に浮かぶ、皮肉に満ちた笑み。
あるいはその全ては、デュランダルの精神の内にしか無いものだったのかもしれないが。

『キミは愚か者だよ。彼らと同じだ。神を気取り禁断の領域に手を伸ばした、愚か者さ』
「ふッ。自覚はしているさ」
『いいや、分かってないな。キミは上手くやっているつもりかもしれないがね。
 夢こそがヒトを殺す。パンドラの箱に最後に残されし『希望』、それこそが最凶の災厄なのだよ』

ラウ・ル・クルーゼは笑う。笑いながら、その姿が再び掠れていく。
たった1人、薄暗い執務室に残されたギルバート・デュランダルに呪いの言葉を残して。

『予言しよう。キミもまた、キミ自身が育てた『闇』に足元を掬われ、破滅するだろう。
 この、守るにも値せぬこの世界もろともにね。終末の時は、再び訪れる――!』
517隻腕29話(12/21):2006/05/22(月) 00:02:31 ID:???
 ギルバート・デュランダル――
 16歳の時点で、その能力は心身共にナチュラルの成人に相当する、と言われるコーディネーター。
 その社会においても、彼は極めて早熟で、かつ優秀な存在だった。
 8歳で大学入学、10歳で卒業、12歳までに2つの博士号を獲得。
 いくらコーディネーターが優れていると言っても、これは極めて異例なことだ。
 ……そんな彼の経歴は、12歳で大学院を出てから数年、公式記録上では途絶えている。

 彼が経歴を隠すのも、無理もない。彼はヒビキ博士の下で、禁断の実験に手を染めていたのだ。
 人倫と良識を蹴散らしながら最短距離を疾走するような、そんな実験の日々。
 勝てば官軍。法など変わる。それよりも、人のさらなる進歩のために。ただ、そのためだけに。

 「ヒビキ博士。新たに検討して頂きたいことがあります」
 「……ギル君か。何かね、また新しい発見でも?」

 ギルバートが研究所に来て、1年ほどの間に。
 彼はこの研究所にて、数々の問題を解き明かしていた。
 例えば、テロメア延長とコーディネーター化処理、この両技術が対立する機序の一部を解明。
 ヒビキ博士らのチームが数年がかりでも分からなかった謎を、大きく切り崩していた。

 あるいは、こう言えばいいだろうか。
 何か問題が起きた時、それを解決する能力については、ヒビキ博士は天才だ。
 一方のギルバートは、どこにどういう問題が起きているのかを見つけ出す天才だった。
 逆に言えば2人とも、相手の領域においては、さほど優れていたわけではなかったが……

 「人工子宮について、これまでの失敗の原因になっていたであろう因子を見つけました。
  既に人工胎盤と胎児との間の血流に、問題があることは指摘されていましたが……
  どうやらソレに関与すると思われる遺伝子を、突き止めました」
 「本当か!?」

 ヒトの遺伝子は、その「配列」だけならCEに入る前、旧世紀のうちに全て解明されている。
 けれども、その配列がどういう「意味」を持つのかは、未だに完全には解明されていない。
 どういう状況で、どんな遺伝子がどう働き、どんなタンパク質を作り出すのか。
 それを調べ見つけ出すことが、遺伝子工学博士としての、ギルバートの専門分野だった。

 「当該する遺伝子、そしてそれが生み出すタンパクの働きはまだわかりませんが……
  人工子宮と『相性のいい』サンプルを選出することは、現時点でもできると思います。
  検体提出者たちのデータバンクと、照らし合わせれば……」
 「よし、早速やってくれ。そして合致するサンプルを使って、次の実験に取り掛かろう」

 そして、数日後。ヒビキ博士は、ギルバートの提出したレポートを見て、絶句した。
 数々のサンプルの中、人工子宮との相性が最適とされた、その人工授精卵は……

 「私とヴィアの子が……最高最適の遺伝子型、だと!?」
 「本当です。私も信じられず、何度も確かめましたが、間違いありません。
  偶然なのでしょうが……しかしこれはもはや、運命とでも呼ぶべきもしれませんね」

 淡々と報告をするギルバート。大いに悩むユーレン・ヒビキ。
 しかし……しばらくの躊躇の後、ヒビキ博士は決断する。どうせ、やるからには……!
518隻腕29話(13/21):2006/05/22(月) 00:04:27 ID:???
――崖下に波が打ち寄せる、オーブの海岸沿いの道。
1台のオープンカーが、心地よい青空の下、のんびり走っていた。
ハンドルを握る青年。そして、助手席に座っている少女は……

「……メンデル、ね……。アンタも色々あったんだ」
「まあ、僕は育ての両親に恵まれて、何も知らずにのんびり過ごしてこれたんだけどね。
 詳しいことを知ったのは、だいぶ後になってからだし」

助手席でドアの縁に頬杖をつき、周囲を眺めているのは、マユ・アスカ。
ハンドルを握り、重い過去を柔らかな表情で語っているのは、キラ・ヤマト。
当面のゴタゴタを片付け、今はリフレッシュのために呑気なドライブ、といった風情。

かつて激しく憎悪し、嫌悪していたキラ・ヤマトという青年。
そんな彼の過去の話を聞かされて、マユはどういう態度を取っていいのか分からない。
少しムスッとした表情のまま、視線を合わさず、ボーッと景色を眺める。

キラは穏やかな微笑のまま、話を続ける。
実の父・ヒビキ博士の研究。自分の出生。ヒビキ博士の死。養父母の下での幸せな少年時代。
コペルニクスの幼年学校時代。ヘリオポリス。そして――先の大戦。

「僕は、前の大戦で、大切な人を守りきれなかった。敵であるクルーゼも、救えなかった。
 救えなかったどころか……僕は彼の言葉に、反論すらできなかったんだ」

 『知れば誰もが望むだろう! 君のようになりたいと! 君のようでありたいと!』
 『……力だけが、僕の全てじゃない!』
 『それが誰に分かる!? 何が分かる!? ……分からぬさ! 誰にも!』

それは、仮面に顔を隠し続けたクルーゼの、素裸の魂の叫びだった。恐るべき呪いの言葉だった。
世界を変える者として作られ、しかしそれに足る力が無いと断じられ捨てられた、クルーゼの歪み。
養父母の下で平和に育てられてきたキラは、その圧倒的な呪詛を受け止められなかった。
受け止めきれず、フレイも守りきれず、キラはクルーゼに引き摺られるようにして暴走し――
その果てに、キラは壊れた。
心を病み、魂に傷を負い、休息を求め流れ着いた孤児院。そしてそこで、彼はマユと出会って……

「……けれど、ね。僕は君のお陰で自分を取り戻したんだ」
「あたし、の……?」
「君の叫びで、僕は目が覚めた。君に叱られて、僕は気がついた。
 『フリーダムで暴れ』ることしかできないなら、僕は永遠にあの人の叫びとは向き合えない。
 すぐに答えが見えないにしても、あの問いかけへの答えを探そうと、決めたんだ――」

キラはそして、2年の間、与えられた目の前の問題に全力投球することにした。
すなわち、孤児院の孤児たちの世話。人々を凌ぐ力があっても、全く意味のない分野。

「当時の僕らは、立場的にも微妙だったしね。あまり世の中で目立つような仕事はできなかった。
 アスランのように、偽名を使って社会に入る方法もあったんだろうけど……
 けれど、孤児院の仕事に真面目に取り組み始めてから、僕は思い知ったんだ。
 人間の天職ってのは、遺伝子診断とか生まれ持った能力とかで、決められるものじゃない。
 本当の意味で、人間が『生きる』ってことは……」
519隻腕29話(14/21):2006/05/22(月) 00:05:36 ID:???
 「嘘つき! 返して! あの子を返して! もう一人の……!」
 「私の子供だ! 最高の技術で、最高のコーディネーターとするんだ!」

 CE55年。メンデルの研究所の一室で、怒鳴りあう1組の男女。
 男は、ヒビキ博士。女は……身重の女は、博士の妻ヴィア・ヒビキ。
 縋りつく臨月間近の妻を、ユーレンは苛立ちも露わに振り払う。

 「それは誰の為?! 最高のコーディネーター、それが『この子』の幸せなの!?」
 「より良きものをと、人は常に進んできたのだ! それは、そこにこそ幸せがあるからだ!」

 ヒビキ博士は吼える。己の中の僅かな後悔と迷いを振り払うように、大声で叫ぶ。
 そう、それこそが彼らの正義。彼らの拠り所。
 その正義の名の下に、数多くの胎児を実験材料にしてきたのだ。犠牲にしてきたのだ。
 今さら己の子だからと、妻が泣くからと言って、立ち止まることなどできはしない。
 泣き崩れる妻をその場に残し、ヒビキ博士は足早に実験室へと向かう。

 「まったく、この期に及んで何を言い出すかと思えば。
  ここまで来てしまったら、今さら引き返せるはずもないのに……」
 「……良いのですか、奥様を放っておいて。
  お腹の中にいるのはナチュラルとはいえ、今は大事なお体でしょう?」
 「……ギル君、盗み聞きとは趣味が悪いぞ」
 「あれだけ大声を上げられれば、嫌でも聞こえてしまいますよ」

 未だ怒り収まらぬヒビキ博士に声をかけたのは、ギルバートだった。
 今まさに成長期にある彼。研究所に入った時より2回りほど背が伸びたが、まだまだ小柄。
 幼さと大人っぽさの混在した微妙な顔つきで、彼は博士の顔を見上げる。

 「それよりヒビキ博士。また『ブルーコスモス』からの脅迫状が届いています」
 「やれやれ、またか」
 「研究員が家に帰る時はせいぜい注意しろ、みたいなことが書かれていましたよ。
  全く、三流の悪党の脅し文句だ」
 「この研究所は警備が厳しいからな。しかし連中め、どこでココの実験を聞きつけたのやら」

 そう、この時期ヒビキ博士の研究所は、ブルーコスモスからの執拗な脅迫に悩まされていた。
 ブルーコスモス、それはコーディネーター製作に激しく反対する過激な組織。
 『蒼き清浄なる世界のために、遺伝子操作の化け物たちを殲滅せよ』、それが彼らの正義。
 ヒビキ博士らの信念とは、真っ向から対立する存在だった。

 「警戒のレベルを上げておきましょう。
  もうすぐ博士のお子さんも生まれるのです、ここで邪魔されるわけには……」
 「博士! ギル坊! 大変よ!」

 ギルバートの言葉を遮ったのは、2人の所に駆け寄ってきた1人の女性研究員。
 ずっと走ってきたのか、息が荒い。

 「どうしたんですか、バレルさん。そんなに慌てるなんて、らしくないですよ」
 「フラガさんが……アル・ダ・フラガさんのお屋敷に、大きな火事が起きたそうで……!」
 「!!」
520隻腕29話(15/21):2006/05/22(月) 00:06:39 ID:???

――北アメリカ、林の中の広い空き地。
焼け焦げた、かつては豪奢な屋敷だったモノの跡に残る、打ち捨てられた廃墟。
かつてのアル・ダ・フラガの、栄光の跡に、ネオとマリューが並んで立っていた。

「なあ、マリュー。お前は、『ブルーコスモス』ってモノを、どう思ってる?」
「どうって……過激なテロリストが作った非合法な集団、じゃないの?」
「う〜ん、確かにテロ組織と言えば、テロ組織なんだが、
 『残虐なテロリストが集団を作った』というのは、順番が間違ってるぜ。
 個々の構成員を見れば、正義感が強く行動力もあり、仲間想いで家族想いで勇敢な連中ばかりさ」
「嘘!」

マリューは思わず叫ぶ。
『ブルーコスモス』と言えば、狭量なナチュラル至上主義に捕らわれた過激派、というのが定説だ。
そんなことを言われても、信じられるはずが……

「マリュー、君は歴史の勉強は苦手なのかな?」
「……何を唐突に、貴方は」
「歴史を少しでも知っていれば、知っているはずだ。
 旧世紀の第二次大戦、ファシストたちの多くは正義感が強く、仲間想いだった。
 また歴史上の独裁者の多くが、家庭では良き父親だったことが知られている。
 敗北し、悪人のレッテルを貼られ、正当に評価されることは少ないが……
 彼らは彼らなりに、自分たちの正義を信じ、それに殉じた者たちなんだ。
 ブルーコスモスも、また然り。アル・ダ・フラガも、また然りさ」

誰もが、己の正義を信じ、己の正義を掲げて戦う。
悪を掲げて戦う者など、子供向けの単純化された物語の中にしか居ない。
己の正義を信じているからこそ、殺し合いという究極の行為を行うこともできる。
正義は、常に自分たちの側にあるものなのだ。悪は、常に敵の中に見出されるものなのだ。

いやむしろ、一般に『悪』と呼ばれる行為に手を染める者たちほど、己の正義を強く欲する。
後ろめたさを振り払うために。躊躇を振り払うために。後悔を振り払うために。
ほとんどの人間は、悪いことと知りつつ悪いことを行えるほど、強くはない。
これは止むを得ないことなのだ、正義のためなのだ、と言い聞かせなければ、精神が持たない。

「まあ、ブルーコスモスの連中が、視野狭窄に陥っていることは認めるがね。
 それでも連中には、正義がある。信念がある。言い分がある。
 それがなければ、とてもじゃないがあんなことは出来ない。あれだけの組織はまとまらない」
「…………」
「それは……君たちも同じじゃないのかね、アークエンジェル艦長、マリュー・ラミアス?」
「…………!」

前の大戦で、脱走そして軍との敵対という、軍人にとって最大級の裏切りを働いたAAの面々。
しかし彼らにも正義があった。信念があった。言い分があった。
あったからこそ、途中で脱落者も出たが、最後まで戦いぬけた。かつての仲間にも銃を向けられた。
事情は全く違えども、そういう部分「のみ」を取り出せば、彼らもブルーコスモスも変わらない。
そんな、詭弁にも近いネオの論。マリューは咄嗟に反論できずに、しかし食い下がる。
521隻腕29話(16/21):2006/05/22(月) 00:07:53 ID:???

「で、でも……!」
「俺にも、俺の正義がある。
 アル・ダ・フラガに、ヒビキ博士に、何の期待も受けずに創られ、捨てられた身だ。
 復讐しようにも、アルはもうこの世に居ない。ヒビキ博士もこの世に居ない。
 誰かさんのように、世界そのものへの復讐を考える気もない。
 けれど、奴と同じ過ちを犯している連中がいる。同じ道を歩もうとしてる連中がいる。
 俺には、そいつらを許しておくことができない。
 俺はそんな連中と戦うために、ブルーコスモスに身を寄せ、組織の中に深く食い込んだ。
 ブルーコスモスの正義の一部が、俺の正義と合致したんだ」
「……ネオの、正義」
「そしてそれは、今の地球連合の正義とも一致する」
「地球連合の……正義」

それは――どういう「正義」なのだろう?
ネオが許せないという、アル・ダ・フラガと同じ過ちとは?
……そんなマリューの疑問は、しかし急に向けられた質問に掻き消される。

「マリュー・ラミアス。元地球連合軍少佐。
 君も、地球連合の正義と共に歩んだ時期もあったんだろう?
 君たちが、軍を裏切った経緯は、確かに同情に値するものだが……
 君たちの正義は、どこに行った? 君たちは、当初の正義をすっかり捨ててしまったのか?」
「私、は……」

マリューの脳裏を、ハルバートン提督の微笑みがよぎる。
そう、確かに、彼女たちの正義と地球連合軍の正義とが合致していた時期はあったのだ。
あったからこそ、徴兵されたわけでもないのに軍人になったのだ。
手酷い裏切りを受け、もう彼らの正義に期待が持てず、違う道を選ぶことになったのだが……

「……この、ペンダント」
「あッ……!」
「……中の写真、兄貴じゃないんだな。ムウと出会う前に付き合っていた、恋人か何かかい?」
「それは……!」
「別れた相手の写真を持ち続けているはずもないし…………死んだのか。戦死したんだな」
「…………」

マリューの首にかかるペンダント、それを手にとるネオの腕を、マリューは止められなかった。
力なく、彼の言葉に頷く。
MA乗りだった彼。喪われた愛。その後の傷を癒してくれたムウ。再び喪われた愛。
ネオは、うなだれるマリューを、優しく抱きしめた。

「……連合軍に、忠誠を誓えとは言わない。いつでも逃げられるよう、中腰でもいい。
 コッチがあんたを利用しようとしてるように、そっちもコッチを利用しても構わないんだ。
 だが……俺たちの正義と、君の正義。
 本当に、重なるところは無いのか……?」

優しく囁く、ネオ・ロアノーク。
その表情は、仮面に隠され、まるで見えない。ただ柔かな言葉が、マリューの心に染み渡って……。
522隻腕29話(17/21):2006/05/22(月) 00:09:31 ID:???
 「……終わりですね」
 「……そうね、もう終わりね、ギル坊」

 CE55年、5月の末。荒れ果てた研究所で、ギルバートとバレル女史は溜息交じりに呟く。
 壊れた機械が転がり、人の気配の消えうせた研究所。かつての活気は微塵も感じられない。

 研究所の最大のパトロンであった、アル・ダ・フラガは死んだ。屋敷の失火だった。
 放火殺人だったとも、ブルーコスモスのテロだったとも噂されたが、真相は闇の中だ。
 そして、アルの死とさほどの間も置かずに……ヒビキ博士もまた、死んでしまった。
 ブルーコスモスの構成員による、襲撃だった。妻のヴィアも同時に命を落とした。
 ヴィアの胎と人工子宮、それぞれから生まれた双子の赤ん坊は、行方不明となった。

 「あるいは……博士とフラガ氏は、ここで亡くなって、かえって幸せだったのかもしれない」
 「どういうこと、ギル坊?」
 「博士が襲撃された、まさにその日に――私はとうとう、解き明かしてしまったのですよ。
  クローンのテロメア延長技術と、クローンのコーディネーター化技術、この2つの対立の問題を。
  どうしてお互いに邪魔しあうのか、その仕組みを完全に解き明かして……
  同時に、この問題に解決方法がないことを、完全に証明してしまいました。
  ついでに、クローン人間が人工子宮と適合できない、という事実についても……。
  私がレポートをまとめている間に、博士は殺されてしまいましたがね」

 ギルバートは大きな溜息をつく。彼は問題点を探すことにかけては、天才だった。
 しかし、見つかった問題点に常に解決法があるとは限らない。
 「解決策は存在しない」という結論が真実なら、もはやどうしようもない。
 永久機関と熱力学第一法則の関係のようなモノだ。卓越した知性は、時に絶望しかもたらさない。
 アル・ダ・フラガとヒビキ博士、2の天才が望んだ、3つの流れの統合。
 それが不可能であることを証明してしまったのは、最後に生き残ったもう1人の天才だったのだ。

 「バレルさんは、何故、今頃になってこんな所に?」
 「ちょっと『忘れ物』を取りに、ね。こんな『お宝』を放置しておく手はないわ」

 ギルバートの問いに、ヒビキ博士のサポートをしていた研究員の1人、バレル女史は妖艶に笑う。
 肩から提げていたのは、大きなクーラーボックス。凍結した受精卵などを運ぶのに使われるものだ。
 この荷物の中からもう1人、不幸な青年が生み出されることになるのだが……それはまた、先の話。

 「坊やは、これからどうするの?」
 「メンデルにある別の研究所から、来て欲しいと言われています。
  しかしいずれは、プラントに渡るつもりです。そこで、力を蓄えます」
 「力……?」

 ……数年後。ギルバート・デュランダルは己の言葉の通り、プラントに渡る。
 タリア・グラディスと運命的な出会いをし、そして別れ……彼は、政治家への道を歩み始める。
 評議会のオブザーバー、そして評議会議員を経て、プラントのトップたる最高評議会議長へ。

 より強く、より先へ、より上へ。人類の進歩こそがより良き未来を切り開く――
 法など変わる。倫理など変わる。偉大なる勝利が、全てを正当化する――
 ……天才少年が多感な時期に叩き込まれた、アル・ダ・フラガとユーレン・ヒビキの信念。
 それは、ギルバート・デュランダルという男の中心に据えられて……
523隻腕29話(18/21):2006/05/22(月) 00:10:43 ID:???
――オーブの海岸に沿った道を進む、オープンカー。
幹線道路を離れた彼らの右手には、波の打ち寄せる美しい砂浜。

「僕はね……コーディネーターとしての可能性を、極限まで引き出された存在だ。
 良い意味でも、悪い意味でも」
「悪い……意味?」

キラの昔語りが一段落し、しばしの沈黙の後。唐突な話に、マユは思わず鸚鵡返しに聞き返す。

「たぶん僕の実の父親、ヒビキ博士は知る術もなかったことだろうけど……
 僕には、子供を作る能力がない」
「子供が……?」
「2代目以降のコーディネーターの、出生率低下問題は君も知っているだろう?
 僕は、形の上では第1世代だけど、生殖能力に関しては第3世代よりもなお劣る。
 ……これもまた、つい最近になって知ったことなんだけどね」
「…………」
「僕だけの問題じゃない。ラクスも、第2世代コーディネーターだ。
 プラントの婚姻統制で選ばれた相手との間にしか、子供を作れない身体だ。
 二重の意味で、僕たちの間には、子供が作れないんだ」

キラの横顔に、かすかに憂いの色が混じる。
人類の夢、スーパーコーディネーターとして生まれた彼に、密かに背負わされていた十字架。
誰よりも優秀な素質を持つのかもしれないが、しかし愛する人との子供を抱くことはできない……
それは本当に人類の夢なのだろうか? 人類の理想なのだろうか?

沈黙する2人。その行く先に、目的地が見えてくる。海沿いに立つ1つの建物。
ユニウスセブンの津波で崩壊した、かつての孤児院に良く似た新しい家。
キラの運転する車は、ゆっくり減速し、再建されたログハウスの前に止まる。

「……あ! おかえり、キラ!」
「お疲れさまー! どこ行ってたの?!」
「バカ、キラは僕らのために戦ってたんだよ! あの金色ので!」
「みんな、お留守番いい子にしてたよー!」

キラの帰りに気がついて、孤児院の中から子供たちが飛び出してくる。飛びつく子供もいる。
子供たちは車から降りたキラを取り囲み、騒がしくも暖かく迎え入れて。
キラはマユの方に振り返ると、爽やかに笑う。

「僕には子供は望めない。けれどね、マユ……僕は決して不幸じゃないんだ。
 僕には、愛すべき子供たちがいる。もう既に、ここにいるんだ」

子供たちの笑顔に囲まれて、キラは微笑む。父性愛に満ちた笑顔、そこにはもう、憂いの色はない。
彼の持つ生来の優しさと、彼が築き上げた自信とが融和して。実に穏やかな表情。

「僕が、力だけでないことを知る者は、ちゃんと居る。ここに居る。
 そして、そういう関係を築くためには、目の前の日々の生活を、積み重ねていくしかない。
 その『日々の積み重ね』こそが平和への道。僕らに課せられた『宿題』への、僕なりの解答なんだ。
 ――この答えを自信もって言えるようになるまで、2年もかかってしまったけれどね」
524隻腕29話(19/21):2006/05/22(月) 00:12:05 ID:???
……オーブの軍港から、連合軍の艦隊が続々と出て行く。
オーブに派遣されていた艦隊が、撤退するのだ。
出て行く彼らを、カガリ自ら港に立って、敬礼して見送る。

タイミングが違えば、もう少し交渉は難航していたかもしれない。
連合側との対立は避けられぬ情勢になったとはいえ、連合にはオーブを攻撃する選択肢もあったのだ。
と、いうより、その可能性を言い含められていたからこその、駐留部隊指揮官たちのあの態度だった。
誰だって、相手が敵になるかもしれない、と思えば、態度も固くなろう。トゲトゲしくもなろう。
彼らも、「人並みに弱さを持っていた」というだけで、決して生まれついての悪人ではない。

『……以上をもって、我がオーブは地球連合との同盟を破棄することになる。
 だが、これは決してプラントの側につくことを意味しない。
 プラントの方針、特に先日発表された『デスティニープラン』には、大きな疑いがある。
 我々は、デュランダル議長から提示されたそのプランを、受け入れるわけには行かない』

風に乗って、カガリの演説の録画放送の声が聞こえてくる。
連合軍撤退が正式決定する前、彼女がテレビを通して行った演説だ。
ミリアリアとメイリンの訪問を受け、デスティニープランに対する疑いを深めた上での決断。

オーブは再び、中立国に戻る。決してプラントの側につくわけではない。
この言質が取れたからこその、連合軍の撤退。連合軍の同盟破棄受け入れだった。
残されたオーブ軍の戦力は、決して多くはない。
Sフリーダムやアカツキなど、ごく僅かなエース級の戦力は優れているが、しかしそれだけだ。
連合側から見て、同盟関係を維持し走狗として使うことに、もうさほどの意味はない。
カーペンタリア基地への攻撃も失敗したし、オーストラリアへの橋頭堡としての価値ももう低い。
ならば、元の鞘である中立国に戻り、両陣営にとっての緩衝地帯になっても損は少ない……
連合側の思惑としては、こんなところだった。

『……我がオーブは、中立の立場に戻る。
 しかし、それは我が国に閉じこもり、国際情勢に無関心を貫くという意味ではない。
 どちらの陣営にもつかぬ者だからこそ、できることがある。
 我らは、仲介者を目指したい。
 両陣営の言い分、どちらも丸ごと受け入れられはしないけれど……でも、だからこそ。
 戦争の枠組みも、開戦当初からは大きく変わったのだ。ならば、話し合いの余地もあるはずだ』

かつてオーブは、『オーブの理念』として3つの方針を掲げていた。
侵略せず、侵略を許さず、他国の争いに介入せず。
……しかし、その理念を堅持したウズミは、最後には他国の侵略を許してしまい、自ら散った。
侵略を恐れたセイラン家は、最初の1つのために残りの2つを放棄した。
今、カガリは、他国の争いに積極的に、しかし可能な限り非暴力的手段で、介入しようとしている。


連合軍艦隊が、オーブを離れていく。
去っていく連合軍兵士の全てが、納得しているわけではない。
見送るオーブ軍兵士の全てが、彼らを許したわけではない。
それでも、カガリとオーブ軍は、最大限の礼をもって、敬礼をして彼らを見送る。
525隻腕29話(20/21):2006/05/22(月) 00:13:03 ID:???

「……カガリ様。お客様です」
「ん……こんな所に、か?」

水平線に消えていく連合軍艦隊を、いつまでも敬礼したまま見送っていたカガリは。
秘書に声をかけられ、振り返る。
ちょっと場違いな、油に汚れた作業員風のその男は……

「……マードック! コジロー・マードックか!」
「忙しい中すまねぇな、カガリの嬢ちゃん。
 ……ああいや、姫さん、いや代表殿にこんな口使いしちゃいけねぇか」
「いや、構わないさ。それより、どうした? 何か困ったことでも?!」

かつてのアークエンジェルの整備主任、コジロー・マードック。
スカイグラスパーで何度も無茶をしていたカガリにとって、彼は口うるさくも頼れる男である。
彼に限らず、カガリはかつての仲間が面会を求めた場合、可能な限り時間を割くことにしていた。

「困ったこと、と言うか……嬢ちゃんの耳には入れておいた方がいいと思ってな。
 黙っておくべきかどうか、かなり悩んだんだけどよ……」
「??」

何か言いづらそうに口篭るマードック。彼らしくもない煮え切らない態度に、首を傾げるカガリ。
マードックは、少しの躊躇の後、懐から1通の手紙を取り出す。

「艦長から……マリュー艦長の名前で、手紙が来てな。消印見ると、出されたのは北米からだ」
「ラミアス艦長から?!」
「ノイマンとかにも確認してみたんだが、どうもAAの元クルーの全員に同じ手紙が来てるらしい。
 何故かヘリオポリスからの学生組には、声をかけてないようだがね」

カガリたちにとって、ベルリンで音信を絶って以来、全く行方不明になってしまったマリュー。
そのマリューからの、手紙。元アークエンジェルクルーに対する、手紙。
それだけでも不可解なのに、ヘリオポリスからの志願兵たちは除外した、というのは……?

「で、彼女は何て?!」
「……脱走と反逆の罪が特別に赦され、復隊することが決まったそうだ。
 でもって、今なら俺たちも特別に赦されるから、共に復隊しないか? とさ。
 また一緒に仕事したいそうだ。当時のアークエンジェルのライトスタッフを、揃えたいんだと」
「なッ……!?」
526隻腕29話(21/21):2006/05/22(月) 00:14:02 ID:???
先の大戦の折、脱走兵として、反逆の罪に問われたアークエンジェルのクルーたち。
戦後、彼らは人事が一新された連合軍上層部と、1つの裏取引を結んだ。
連合軍は、彼らの罪を積極的に追及することはしない。事実上、これ以上の捜査もしない。
その代わり、彼らは軍から追放され、また見てきた全てのことについて、沈黙を要求された。
最高責任者であったマリューは、国外追放。地球連合の領内に戻ってきたら逮捕すると、脅された。
彼らに沈黙を強いるための『人質』は、地球連合の国内にいる、クルーたちの家族。

……そう、マリューと共にAAに残った兵士たちは、決して天涯孤独の者ばかりではない。
彼らはごく普通の連合軍兵士だったのだ。故郷もあれば家族もいる。
マリューやムウ、マードックのように家族の居ない者は、実は少数派だったのだ。

そんな彼らが連合軍に弓を引く覚悟を決めたのは、彼らにも正義があったからだ。
連合軍の進む道は間違っている、と。自分たちの反逆は、大局的に見て連合のためになるのだ、と。
ひょっとしたら家族に迷惑をかけることになるかもしれないが、それでも、彼らは……。

そんな想いで戦っていた彼らは、だから、その裏取引を受け入れた。
2年前の停戦の時点で、彼らの願いは達成されていたのだ。
アークエンジェルのクルーたちは軍服を脱ぎ、それぞれの生活に散っていった。
マリューは、オーブに渡って造船技術者に。ノイマンは、観光遊覧船の操舵手に。
マードックは、オーブの工事現場で、作業用MSの整備担当に……。

あれから2年。地球とプラントの間の戦争は再開され、連合軍は再び右傾化した。
アークエンジェルのクルーたちは、それを苦々しく思いながらも、何もできずに居たのだ。

そこに、このマリューの手紙だ。どう考えても、何かおかしい。
再び連合軍と戦うために召集をかける、のなら分かる。
なのに、今の連合軍に復隊する形で、かつてのクルーに彼女が召集をかけるというのは……。
いや、しかしだからこそ、何かマリューには計算と思惑がある、とも言えなくはないだろうか?

「俺も、判断に迷ってるんだがな。
 アークエンジェルの仲間たちの中で、今の連合軍の方向性を一番嫌ってるのは、多分艦長だ。
 たとえ脅されたとしても、言われるままにこんなことをする人でもない。
 筆跡も間違いなく艦長自身のモノだ。
 ……なぁ嬢ちゃん、コイツはどういう意味なんだろうな? 艦長は、何をする気なんだ?
 俺は、どうすればいい?」

マードックに問われても、カガリが答えられるわけがない。
もはや連合軍艦隊は水平線の向こうに消え、心地よい潮風がカガリの頬を撫でるが。
どこまでも青い青空の下、カガリたちは何か嫌な予感に襲われる――


                   第三十話 『 中立都市コペルニクス 』 につづく

・クローン絡みの考察
 実は微妙なところで嘘ついてます。でもまぁ、種の設定が根本的についている嘘の延長ですから。
 生物系が苦手な人には、煩雑な話になってしまって申し訳ないです。

・ギル坊
 年表などから計算すると、彼がメンデルに絡むためにはこういう年齢になってしまうのです。
 ちなみにメンデルとデュランダルの関係はオリジナル設定。
 情報面の辻褄合わせだけでなく、彼の人格の説明にもなっていれば幸いなのですが。

・フラガ邸炎上/アル・ダ・フラガ死亡
 実はこの事件、年表などの上には見当たらないのです。いつ起きたのか判然としません。
 回想の中のムウの容姿からある程度想像はできるのですが、解釈にも幅がありますし……。
 ここではヒビキ博士たちが襲撃を受けたのと同じ、CE55年という解釈で行きます。
 もし万が一、どこかに設定があったとしても、こういう風に設定変更した、ということで。

・ネオ・ロアノーク
 彼の話は、まだ不十分です。出生の話はこれで全てですが、ジブリールとの関係とかがまだ。
 マリューに対しては全てを話した彼ですが、読者の皆さんにはまた後ほど……。

・設定のまとめ
 クルーゼ:アルの体細胞クローン+寿命延長(中途半端)+コーディネーター化(中途半端)
 レイ  :アルの体細胞クローン+コーディネーター化(完全版) (研究所崩壊後に誕生)
 ネオ  :ムウの体細胞クローン+寿命延長(完全版)
 キラ  :ヒビキ博士たちの人工受精卵+コーディネーター化+人工子宮
 クローン+寿命延長と、クローン+コーディネーター化は、両立しない。無理やりやると両方中途半端に。
 クローンと人工子宮は、両立しない。人工子宮は、適合する人間がそもそも極めて限られている。


次回、コペルニクス編その1。……月面?!
オーブ攻防戦などでしばらく出番なかった人たち、久しぶりの再登場の予定。
528通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 00:30:02 ID:???
最強の職人2人の作品がキターーー!
それにしても話の展開やらキャラの動かし方が巧いなぁ
529通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 00:45:37 ID:???
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!

>PP
ルナマリア可愛いよルナマリア。
レイ哀しいよレイ。
ユウナカッコ良いよユウナ。

>隻腕
最初はぶっちゃけ「('A`) 」だった隻腕版運命計画も、
こういったバックグラウンドが明かされてくると途端に大道具としての説得力を持ってくるね。
良い感じで「SF」な嘘を構築できてると思いました。
530通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 01:05:30 ID:???
なにはともあれ乙。これは間違いなし。


で、あの…以前に偶然とはいえ二人の職人さんの投下が重なって、
お互いにあまり良い結果が得られなかったって事があったはず。
同時じゃないにしても一日経たずに長編を投下するのはどうかと。
間が空くのに焦らずどっしり構えるべきでは?

先に投下されたSSの感想が、どうしても後に投下されたSSの感想に飲み込まれてしまう気が。
二つのSSの感想が錯綜してしまっても…。
投下されれば流れは変わるもの。それが影響の大きいSSなら尚更。


とにかく乙。乙ー。
531通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 02:20:29 ID:???
PP戦記単体の感想数は8
まぁ同日じゃないならぶっちゃえこれだけ感想があればいいと俺は思ふ
532通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 04:59:45 ID:???
単発設定小話 「袂別」

〜ステラをつれて帰ったシン〜
ネオ「よう、お疲れだったな・・・」
シン「・・・・・・ああ。でももう二度と会いたくないな。あいつには」
ネオ「そうか・・・・・・?顔色悪いぞ?・・・今日はもう休め。明日、今後の方針についてミーティングするからな。遅れるなよ」
〜自室へ戻り頭を抱えたままベッドへ横たわるシン〜
シン「あいつの声が・・・顔が・・・あたまから離れない・・・・・・。なんでこんなにオレが苦しまなきゃなんないんだよっ!!」

〜艦長室で話し合うネオとリー〜
リー「なんですって!?地上に大佐たちを置いて我々だけで宇宙へ上がれですと!」
ネオ「リー、落ち着けって。宇宙へ上がるのはお前たちだけじゃない。シンも一緒だよ」
リー「大佐はどうされるのです!?軍曹たちは!?」
ネオ「オレとスティング、ステラは向かえにくるJPジョーンズへ乗り換えてドイツまで向かう。お前たちはジブリールの指示に従え」
リー「やつらは?ミネルバはどうされるのです?」
ネオ「仕方あるまい。これだけミスを重ねたんだ。担当をはずされるのは当然だろ?」
リー「・・・・・・それは・・・そうでしょうが。では、なぜ我々と少尉だけ宇宙へ?」
ネオ「・・・あいつはジブリールのお気に入りだからだろ。それにこの船は宇宙の方が向いている。」
リー「大佐・・・我々をかばっていませんか?」
ネオ「リー、それ以上言うな。オレがジブリールに進言したんだ・・・・・・」
リー「・・・・・・」
ネオ「ステラをデストロイに乗せる。スティングとオレが両脇を支える。そして都市を蹂躙していく」
リー「我々は宇宙でなにを?まさかザフト本軍と真っ向勝負しろとでも?」
ネオ「月面に・・・強力な兵器を建造中だ。ひょっとするともう完成しているのかもしれん」
リー「月面にですか?」
ネオ「そうだ。それを使ってプラントを、そして地上の都市も破壊する。そのサポートをお前たちにしてほしい・・・」
〜リーは天井を仰ぎ、自分の足元に視線を落とす〜
リー「・・・・・・承知しました。・・・しかし、ムウ・ラ・フラガに戻ろうとする人物とは思えない考えですな・・・・・・」
ネオ「オレはまだネオ・ロアノークってことさ・・・・・・」
〜次の日のミーティングで〜
シン「?スティングとステラがまだ来てないけど・・・・・・」
ネオ「ああ、いいんだ。あいつらは調整中だ・・・」
シン「ふーん・・・・・・」
ネオ「じゃ、始めるぞ。まず今後の方針だが・・・昨晩配布したとおり俺とスティング、ステラは数日後に合流するJPジョーンズに移る」
〜ミーティングルームの空気が一瞬静まる。それを打ち破るようにシンが言葉を発す〜
シン「はぁ!?移るってなんだよ?俺は?配布物って?俺は聞いてないぞ!?」
ネオ「お前ね、あれから艦のWeb掲示を一回も確認してないのか?」
シン「すいません。・・・・・・ってガーティ・ルーはどうすんだよ!?」
ネオ「・・・ガーティ・ルーはこのまま宇宙へ再び上がる。それにお前も同行するんだ」
シン「俺にあいつと・・・インパルスと決着をつけさせてくれよ!!」
ネオ「シン!何回チャンスを与えた?何回失敗した?ファントムペインはお前の物じゃないんだ!お前が単なる駒のひとつだってのを忘れるな!」
シン「っぐ、でも・・・納得できるかよっ!」
ネオ「・・・・・・お前が納得しようがしまいが関係ない。これはジブリール卿自らの指示なんだからな」

533通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 12:28:42 ID:???
>>527
つまり、マーレの出番を期待していいんだな?
534通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 14:35:43 ID:???
>>527
イヤー、どんどん謎が解き明かされていきますな。
しかしこうなると本編に関係ないとは言え、カナードやプレアの設定も気になるのはASTRAYかぶれの
サガというものでして。
あとこいつらも含めみんなそろって種無しということでいいのかな?
535通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 14:47:09 ID:???
>>527
イザークとディアッカ登場してほしいなぁ。あと無理だろうけどSEED MSVのキャラも。
536通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 14:50:38 ID:???
PP乙!でもなにやらヤヴァイフラグがちらほらと……
ルナマリアの小悪魔っぷりとお姉さんっぷりがえがったです。

隻腕乙!
伏線の回収が始まりましたねー。
そうですかー。ネオはムウのクローンでしたかー。ぶっちゃけ、こっちの方が説得力でかいですねー。
あと、キラ不能でしたか……カワイソス。
でも本人は満足してるようでよかったです。ここのキラは優しいですねぇ。
537通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 15:19:09 ID:???
>>536
不能つか、種無しってことだろう
秀吉みたいに
538通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 15:49:06 ID:???
それにしてはあっさりとしているな
子供を作れない苦しみなんて悟りを開けばどうって事なしか
世の中や遺伝子研究を恨んだりもしませんか聖人君主様は
身体の一部を失う事もそうだが、現実の人間がそんな簡単に割り切ってしまうものかね
まるで人形劇のお人形さんみたいだ
539通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 16:14:27 ID:???
リアルとリアリティは違うわけだが
540通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 16:19:56 ID:???
>>538
言ってることは理解できるし賛同する
確かにマユだったら腕や家族を亡くしたこと、今回の隻腕だったら子作り問題は
リアルの人間だったらどう思うか気になるところだろう

だが最後の一文が吐気がするほど物凄い気持ち悪い
541通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 18:07:30 ID:???
なにも、自分の遺伝子を継いだ子供でなくてもいいって事じゃ?
現実でも実の子をヌッコロス親もいれば養子を手塩に掛けて育てる親もいる。
観念と生物学的な繋がりは必ずしもどちらかが重いということはない。

最近、PPと隻腕のところどころが脳内でごちゃ混ぜになってきてカオスなのは俺だけ?w
542通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 18:11:07 ID:???
>>538
作中に書かれてないだけで、十分悩んでいると思うよキラは。
少なくとも愛する人との間に子どもができない、ってのはラクスを好きになった時点で分かっていたことなんだし。
二年も時間はあったんだ。 完全に、とは言えなくてもある程度は乗り越えられるだろうさ。
それに、そう割り切れるぐらいに孤児院での生活が、幸せで充実した日々だったってことでしょ。
543通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 18:24:33 ID:???
なら作中で書けよって話になるが。
そこんとこ脳内補完するのが読者だったりする。
544通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 18:24:34 ID:???
具体的に描かれてないのに「苦労したんだよ」と補完されたら
それじゃアニメのキラに対するキラ厨の「キラは苦しんでたんです><」と変わらない
キャラが変化する過程をすっ飛ばして重大であろうテーマをクリアされてもな
545通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 18:27:46 ID:???
後一秒でケコーンするとこだったw
546通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 18:35:05 ID:???
>>544
おまえは大変な勘違いをしている。
それは本編と違い、キラは主役でなく脇役に過ぎないってことだ。
Zでアムロの七年間が深く語られたか? 大して語られてないだろ?
あくまでサブなんだから、詳しく書く必要は無いと思わないか?
そんな尺があったらその尺でメインの分書けばいいんだから。
547通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 18:38:09 ID:???
・住人同士の議論は禁止。感想、批判のアンカーは職人さん限定で。他人の意見への個人的な干渉は正直困ります。
友軍誤射はしないように。
548通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 18:46:07 ID:???
>>546
アムロは地球連邦に軟禁同然の生活を強いられ、
精神的には一年戦争終了時よりも弱ってる状態だった。
劇中のアムロやクワトロやカツやフラウの台詞からもそれが分かる。
そこからベルトーチカを筆頭に仲間からの影響を受けて、
再びモビルスーツで戦えるようになるまでがきちんと描かれている。
アムロ自身「ここでの生活は地獄だよ」「僕は充分に戦った」とマイナスの発言もしている。
空白の七年がどのようであったかは、暗に示されていた。
それと、サブなら描写しなくていいというのは言い訳以外の何物でもない。
549548:2006/05/22(月) 18:47:27 ID:???
友軍への誤射をお詫びする。
550通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 18:57:45 ID:???
なんだか知らんがアニメのキラとこのスレの各キラをごちゃごちゃにしてる奴多いねぇ。
2次創作ということは忘れてはならんが、基本的には原型が同じだけの別キャラだと考えると良いと思うよ。
551通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 19:31:13 ID:???
みんな落ち着いて。内容に関しての指摘は駄目らしいよ。
読者のレスで台無しになるんだってさ。
職人様が投下してくださったら読者は無条件に受け入れれば良いみたいだね。
552通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 19:38:27 ID:???
>>551
よく嫁。
  可:作品批評
不可:住人同士で作品議論



釣られた?
553通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 19:41:27 ID:???
キラの「二年かかった」発言で何となく納得してしまった俺は少数派なんだろうな。
とチラシの裏。スルー推奨。
554通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 19:52:31 ID:???
>>552
避難所避難所ー
555通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 19:59:52 ID:???
隻腕で気になるのはただ一つ、ユウナが今後登場するかどうかだ。
556479:2006/05/22(月) 20:21:45 ID:???
要領大丈夫かなと思いつつ
連日投下大丈夫かなと思いつつ

ただいまよりI and I and I投下します!
557I and I and I(1/7):2006/05/22(月) 20:23:48 ID:???
誰かには、恋人がいました。
誰かには、家族がいました。
でももう、その誰かは、生きてはいません。
一人になっても、声が聞こえる。想いが伝わる。
悲痛な叫び。どうしようもない後悔。
ワタシは何もできないのに、ワタシに訴えてくる。
それとも、ワタシに何かできるのだろうか。
何をして、あげられるんだろう。



〜I and I and I〜 第十二話「マハムール基地、再び」



部屋で一人、マユは祈り続けていた。
声や姿、思いが伝わるのは初めてではないが、今回は特に強く感じている。
誰かが死ぬ、それが当然ともいえる戦場では当たり前なのだが、マユには少々負担がかかりすぎていた。
叫びが聞こえる。死への恐怖を感じる。
シンやアスランでないことだけが救いだが、撃ち落としているその本人が彼等だというのも、変えようがない。
戦争なのだから、誰かが誰かを殺すのは仕方ないのかもしれない。
ただ、人の死をダイレクトに受ける自分には、辛い仕打ちとなっている。
やめてくれ、そうは言えない。
マユは、この戦闘が逸早く終わることを祈り続けた。
「…あれ…」
ふと、別の声に気付く。
558I and I and I(2/7):2006/05/22(月) 20:25:37 ID:???
誰かが呼んでいる。
家族が必死に、鉄柵の向こうの家族を呼んでいる光景が見えた。
「何…?無理矢理働かされているの?側で戦闘も起こっているのに……」
信じられなかった。
疲労困憊になって、満身創痍になって、それでも作業を強制させられている人々がいる現実に。
マユは部屋を飛び出した。
ブリッジに行き、タリアにこのことを伝えるために。
信じてもらえるだろうか。
いや、そんな不安は、マユの中にはなかった。
「やめて…やめてあげて…こんなこといけない……」
ただ、この現実が自分を動かす。
別の場所では、戦闘が続き、撃墜されている。
様々なモノがマユの中に流れ込むが、なんとか意識を保っていた。
が、
「!!」
足が止まってしまった。
脳裏に再生される映像。
誰かには、恋人がいた。
「いや、いやぁ…!嫌ァッ!!」

「女の子の声?白いボウズ君…じゃないな」

「ルナマリア、何か言ったか?」
「アビスと交戦中なのよ!そんなことできるわけ…」
「そうか…」

仲良く二人でデートをした。
結婚をする約束もした。
愛していた。
「……なんでなの…」
歩む足は、ブリッジから格納庫へと変わっていた。
559I and I and I(3/7):2006/05/22(月) 20:27:52 ID:???
自分を覆う亡き者の思念。
力なく、だがそれでも必死に足を進めた。
一歩、一歩と……

なんとか辿り着いた時は、戦闘は終わっていた。
モビルスーツは帰投し、ざわめいている。
「殴るってんなら構いやしませんがね!けど、俺は間違ったことはしちゃいませんよ!」
パチンという音の後、シンの声が聞こえた。
「あそこの人だって、助かったんだ!」
マユが覗き込むと、シンはアスランに頬を叩かれていた。
「力があるのなら、その力を自覚しろ!」
アスランはそう一喝して、その場を後にする。
シンは納得のいかない表情のまま。
そんな中、マユはゆっくりと人混みをくぐってシンの前へ出た。
「あの…」
「マユ…どうかしたのか?」
言葉を紡ごうとした。
しかし、口を開いたままマユは硬直する。
シンを取り巻く、姿無き亡者達。
マユの異変を察して、シンが触れようとする。
「いやっ!」
とっさに、マユはそれを跳ね退けてしまった。
だが、姿無き亡者達はマユに気付き、求めるように近付いてくる。
「いやあああぁぁ!!」
絶叫を上げ、マユは気を失った。

「…リザ……エリ……ス…」
「誰?」
560I and I and I(4/7):2006/05/22(月) 20:29:51 ID:???
暗闇の中に、ぽつんとマユは立っている。
先の見えない闇。右も、左も、前も後ろも上も下も、見えない。
自分の姿が、かろうじて見えるだけ。
「…エリザベス…エリザベス……」
「エリザベス?ワタシは、その人じゃない」
相手に自分の声が聞こえているのだろうか。
相手はただ、誰かの名を呼ぶのみ。
「エリザベス…」
突然、闇の中から手が延びた。
「ヒッ……」
腕を掴まれる。
闇の中から、無惨な姿をしたそれが、マユの目の前に飛び込んできた。
「うわあああああぁぁッッ!!」
闇に木霊する叫び。
振り払おうとしても、びくとも動かない。
「ワタシはその人じゃない!だから連れていかないで!!」
闇は、自分を全て覆い尽そうとしていた。
そこから逃れようと、マユは掴まれている腕が手にしていたナイフで相手の腕に突き刺す。
何故、ナイフを持っていたのか。
マユはそんなことも頭になく、とどめを刺そうとナイフを振り上げる。
「…違う…」
手からナイフが落ち、闇の中に消えた。
「こんなの、違う!」
自分を守るために、誰かを殺す。
殺意を向けてくるなら、自分も相手を殺すしかない。
561I and I and I(5/7):2006/05/22(月) 20:31:41 ID:???
でないと、自分が殺されてしまう。
「でも、そんなことしてまで、ワタシは生きたくない……」
誰かを殺せば、その者もまた誰かに殺される要因を作る。
「ワタシは、殺されていい。それで終わるなら、ワタシは死んでいいよ」
笑って、マユは言った。
死ぬのは恐い。死にたくはない。
だが、もうそんなことどうでもよかった。
死人に魂を引かれているとしても、それで死んだ者達が救われるなら。
「いいよね……これで」
「まだ駄目」
闇が全て、光に包まれていく。
「あなたはまだ、こちらに来てはいけないわ」
優しそうな女性の声が、マユに語りかけた。
「あなたがこちらに来ること。それは誰のため?」
「ワタシが犠牲になればみんな救われるっていうなら」
「それは諦めよ。誰かのためにしていることではないわ」
「なら、ワタシは、どうすればいいの?」
姿が見えないが、優しく、暖かい。
その声の主は、マユをそっと導いてゆく。
「生きなさい。生きて、同じ生きている人を救うの」
「ワタシにできるの…?」
「それが人のため。そして、あなたのために……きっとなるわ」


562I and I and I(6/7):2006/05/22(月) 20:33:34 ID:???




目を覚ますと、ミネルバの医務室のベッドの上にいた。
膝の上には、シンが眠っている。
「んっ…マユ、起きたのか」
「ワタシ…」
「格納庫で倒れて、何日も眠ってた。ミネルバは今、マハムール基地ってところにいる」
「シンさんは、なんでここに?」
マユの疑問に、シンは顔を赤らめた。
そして、もごもごと口を動かす。
「し、心配だからさ、マユのこと…」
シンの言葉にマユは顔を赤くした。
だが、すぐにそれが「兄妹」だからしていることだと気付く。
一瞬だけ、マユの顔が曇った。
しかし曇った表情を笑顔に変えて、マユは口を開く。
「ありがとう」
素直な礼を、マユは口にした。
真っ直ぐな瞳でそう言われ、シンは照れる。
「そんな…俺は大したことしてないし。じゃ、俺もう行くから。安静にしてるんだぞ」
シンは更に赤くした顔を隠すように、医務室から出ていった。
自分と軍医と看護兵がいるだけの医務室。
周りに聞こえぬように、小さく溜息をつく。
未だ曖昧な、自分と兄である存在との関係。
「失礼する」
そんなことを考えていると、医務室に意外な人物が訪問した。
「ラドル司令…」
563I and I and I(7/7):2006/05/22(月) 20:35:18 ID:???
「久しぶりだな、ヴィア君…今は、マユ君の方がいいかな?」
「どちらでも。それよりも、ワタシに…何か?」
マユの言葉に、ラドルは引き連れた部下と軍医達を下がらせると、ゆっくりと椅子に腰をかけた。
「最初に会ったとき、君とはろくに話せなかったからね。だからというわけでもないが…」
「お忙しいんじゃないですか?前とは、状況が違います」
以前にマユとあった時とは、平時と戦時と差がある。
平時だから暇というわけではないが、戦時中の今よりはだいぶ落ち着いていた。
「ガルナハンで少々ごたごたがあってね。その息抜きも兼ねて、かな」
「ガルナハン!?ガルナハンでどうかしたんですか!?」
ラドルの一言に、マユの表情は一変する。
「…今は地球連合の支配下だ。だいぶ抵抗はしていたようだがね」
苦笑するラドルと、落ち込むマユ。
「だが、ミネルバが解放戦力に加わることになった」
「ミネルバが、ガルナハンに行くんですか?」
「君はミネルバに保護されているんだったな。となれば、また行くことになるだろう」
何か微笑を浮かべて、ラドルは言う。
その笑みに気付いたマユは、きょとんとラドルの顔を見た。
「ガルナハンには、バスカーク君とアーガイル君がいるんだよ」

564通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 21:10:36 ID:???
大家族スペシャル!
今回は隻腕町のフラガ家の皆さんを密着取材!!

お父さんのアルダさんは自称天才、
長男のムウ君はスケベなお調子者、
次男のラウ君は仮面をつけた変態さん、
三男のネオ君はもっと趣味の悪い仮面、
四男のレイ君はHG。

ろくな奴がいませんね。こりゃ放送できません。
565通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 23:07:31 ID:???
で、声が同じなフレイパパはラウとかアルさんの親戚だったんですか?
フレイもフラガの家系だったんですか?
ああそうですか声優ネタをネタじゃなくて本気で放送したんですかそうですかそうですか

ぜんぜん輪郭違うのにフレイパパの顔を重ねられたラウ君カワイソス
566通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 23:16:41 ID:???
フレイパパの件は本編スタッフも投げっぱなしの話だぜ?
567通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 23:18:18 ID:???
レスが痛いので避難所にスレ立ててきた。
PP戦記→隻腕の流れで空気読めたんかなと思たが、読めん椰子もいたらしい。

それとも隻腕アンチ?
疑いたくはないけどね。
568通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 23:28:45 ID:???
単発設定小話 「合流」

〜オーブ残存兵が合流したアークエンジェル〜
アマギ「っぐ、カ、カガリ様っぁぁぁぁあー!!」
〜カガリを猛烈に抱きしめるアマギ〜
カガリ「うわっ!!この・・や、やめんかっ!!離れろよっ!セ、セクハラだぞっ!!」
アマギ「なにをおっしゃいますやら!我らがどれだけカガリ様を心配しておりましたかっ!」
マリュー「あの〜・・・落ち着きましょ。ね?えーと、アマギさん?」
〜カガリを抱きしめ続けるアマギを追いつかせるマリュー〜
アマギ「はぁ・・・いや、申し訳ございません。あまりにうれしかったものでつい・・・・・・」
カガリ「ついですむか!馬鹿者!!し、死ぬかとおもったぞ!」
キラ「まぁいいじゃない。カガリも落ち着きなよ」
カガリ「お前はあんなごついやつに抱きつかれたことがないから、そんなことが言えるんだ!ったく」
マリュー「まぁまぁ。・・・さてアマギ一尉以下皆さんをアークエンジェルは歓迎いたします。先の戦いのことはお互い忘れましょう・・・」
アマギ「おぉぉ、マリュー・ラミアス艦長!尊大なお心遣い感謝いたします。我ら粉骨砕身の覚悟でカガリ様を、そしてみなさまのお手伝いをいたします!」
マリュー「・・・・・・お手伝いだなんて・・・こちらこそよろしくお願いいたします」
カガリ「まぁそういうことだな。取り合えず、1時間後に今後についてミーティングをしよう。それまでオーブの連中は休んでおいてくれ」
アマギ「っは!了解いたしました!」
〜カガリに敬礼するアマギ。オーブ残存兵らは各自与えられた部屋と向かう〜
〜マリューらもブリッジへ戻り、キラとカガリだけその場に残る〜
キラ「・・・アスラン・・・・・・大丈夫だろうか?」
カガリ「なんだ、そんなことを気にしているのか?・・・あいつなら大丈夫だろ?」
キラ「でも・・・ザフトはちゃんとサルベージしてくれたのかな・・・・・・」
カガリ「・・・あのなぁ。そんなにぐちぐちいうなら最初からやらなきゃいいだろ!?でも、お前はやらなきゃいけなかった・・・」
キラ「僕をかばってアスランは・・・・・・」
カガリ「だーかーら・・・・・・なぁ、キラ。・・・アスランがなんで今もザフトに残っているのかは私にもわかならい。でもな、それでも・・・それでも信じてやるのが友達だろ?」
キラ「カガリ・・・・・・それはそうだろうけど・・・。カガリがこんなに苦しんでいるのに、アスランはそれをわかろうとしていないじゃないか」
カガリ「今はな。でも私はあいつを信じてる。・・・それじゃ不満か?」
〜口元に笑みを浮かべ首を横に振るキラ〜
キラ「ううん。カガリがそう思ってくれているならいい。アスランもきっと戻ってくると僕も信じているよ・・・」
カガリ「そいつは良かった。さっ、私もお前もちょっと休憩しよう。1時間後に大会議室だからな。遅れるなよ?」
キラ「うん、わかった」
〜自室に戻るキラとカガリ。・・・そして1時間後〜
アマギ「・・・ということで、トダカ一佐は・・・・・・」
カガリ「そうか・・・一佐が。それにしてもユウナは相変わらずだな!まったくセイラン家ときたら・・・・・・」
キラ「・・・そうだ。連合のMSに灰色のアストレイがありましたよね?あれはオーブから連合へ?」
アマギ「あのMSについては、われらも存じておりません。知っているのは、きゃつらの船が連合最新鋭のものであるということ。ザフトから強奪したMSが3機いたことだけ」
キラ「あの時は2機しかいませんでしたね・・・」
アマギ「あるいはユウナさまでしたらなにかご存知だったやもしれませんが・・・・・・」
キラ「ああ、いや。いいんです。ちょっと気になったもので・・・」
カガリ「なんだよ?キラならあんなやつちょちょいのちょいだろ?」
キラ「カガリ・・・・・・僕はそんなに強くはないよ・・・」
マリュー「キラ君・・・・・・。アマギさん。今後の方針なんだけれど・・・・・・」
アマギ「はい。そちらが本題でしたな」
マリュー「ええ・・・・・・。オーブの状況と、知っている限りの連合およびザフトの情報をください。私たちだけではどうしても限界がありましたから・・・・・・」
〜夜更けるまで、会議は続いた〜

569通常の名無しさんの3倍:2006/05/22(月) 23:42:45 ID:???
隻腕今回もGJっしたー!
全部のキャラがバラバラな動きしてるのに状況が読める
20レスさえ短いくらいに感じた
570通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 05:33:27 ID:???
>>547
アホな意見も言ったもの勝ちってか?
勝手に縛りを追加するな。
571通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 09:55:09 ID:???
ファントムペイン戦記
隻腕の少女
I and I and I
単発設定小話
(投下順)

まとめサイトにて更新されています。
レスに流れて見る気が失せたという方はまとめサイトに行ってみましょう。
572通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 10:01:44 ID:???
もう感想は避難所に感想専用スレでも立ててそこでやればいいだろう。
いっそのこと投下専用スレも立てて完全移転するのもいいかもな。

不用意な感想レスは控えろ、それを指摘するのも控えろと、
しまいにゃ誰も何も書けなくなるだろうな。
573通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 10:42:27 ID:???
あえて釣られるが、そういうお前の一言もな。
スレも外部へ移転しましょう、新シャアも外部へ移転しましょう、というの一緒。
なんの意味もなさない。
574通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 10:49:37 ID:???
何も書けなくなる
じゃなくて
どうしたらもっと書けるようになる
じゃないの?

前のレスにあったが「雰囲気作り」が本当に大切だよ
「書けなくなるな」じゃない
「もっと書けるようにしよう」「それにはどうしたらいいか」だろ?
575通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 10:52:40 ID:???
つうかこういう状態になるのって特定のSS投下があった時だけだが
576通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 11:11:59 ID:???
まあそうだな。で、特定のSSの作者の名前明言して追放でもする気かい?
577通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 11:17:46 ID:???
>>576
なんでそういう反応になるのか
皮肉や嫌味にしても度が過ぎてる
578通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 11:46:33 ID:???
III氏と単発氏カワイソス
579通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 11:49:21 ID:???
影響をモロに受けたからな。
普段の状態なら感想レスはちゃんとつくんだが。
580通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 12:06:51 ID:???
なんか誰も幸せになってないよ
581574:2006/05/23(火) 12:12:02 ID:???
というか話題反らし乙という感じにしか言いようがない
誰も解決策を提示しようともしないし
自治厨言いたかったら言え
こんなことが続くのはごめんなんだ
582通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 12:14:28 ID:???
そういうの考えられない人間達の集まりですからw

どんな流れだろうと、投下されたら乙と一言でも言えるはずなのにね。
583通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 12:36:44 ID:???
つーか>>456
都合が悪いのを何でも追い出してしまえばいいってもんじゃない。

独善的とまでは言わないが、ちょっと押しつけがましい奴が増えてきた気はする。(自分含めてだろうが)
船頭多くしてなんとやらだし、もうちょっとお互い感情を抑えた方がいい。
584通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 13:01:28 ID:???
>>583
なんで456?しかも今更
なんでもかんでも避難所でやればいいっていうのをいい加減にしろってレスだぞ
585通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 13:03:40 ID:???
あぁ、お得意の話題反らしか
586通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 13:29:58 ID:???
>>584-585
ああ、すまん。
確かにこれはこっちの説明不足だな。

前半2行は>>572辺りへのレス。
後半2行がお前宛のレスだ。
587通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 13:32:38 ID:???
だからもう感想以外何も書き込まないでいいじゃん。保守する必要もないんだし
こんな下らない論議してると職人さん投下しにくくなるしスレの見た目も悪くなるからまた厨が来るしいいことない
『何でもかんでも』じゃなくて『こんな話題』だからこそ避難所なんじゃないの?
作品を投下してくれる職人に乙の労いの言葉一つもなしに、荒らしの発言にだけはしっかり反応してる
それこそ職人さんがスレ離れちゃって本末転倒じゃん
一部スレを潰そうと無駄に頑張ってる馬鹿がいるけど、もともと話聞いてないんだからわざわざ説得する必要もないんだし放置しとこうよ?
しばらくすりゃいなくなるだろうしね。そしたらまた昔みたいに作品の議論が出来るようになるはず
588通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 13:34:26 ID:???
さらに補足。
>>584-585>>574だとした場合、な。

>>574は綺麗事だけ書き立てて具体的な方策が一つもない。
これじゃそうそう相手にされるわけが無いだろう。
話題反らしどうこう以前に、そこまで引っ張って取り上げる価値がなきゃどうしようもない。

589通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 13:54:15 ID:???
隻腕 PP IaI 短編乙

テカナにこの殺伐とした空気
590通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 13:56:10 ID:???
まーた荒れてるしさー。

もう思ってる事を正直に言っちまうよ。
投下する度に荒れてんじゃんよー。
信者もアンチもひきつれて隔離した場所でやってくんないかな。
読んでない人間からしたら他の作品にまで害が及ぶのが腹立つ。
591通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 14:06:15 ID:???
>>590
メール欄で弁解すりゃ何言って良いってもんじゃない。
スルーせずに首突っ込んだ時点でお前さんも同類。
592通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 14:48:21 ID:???
他の作品に害及ぼしてるのは>>590みたいなタイプ
593通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 15:04:22 ID:???
>>590
追い出し厨じゃないなら保管庫マジオススメ。
好きな時に好きなだけ、「作品だけ」を読める。

叩くなとは言わないし、マンセーするなとも言わない。
ただ大人であろうよ。
釣りの初心者にとって、今のこのスレは釣堀に見えるんじゃ無いかな。
594通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 15:30:09 ID:???
>>591-593
見え見えの自演乙。
595通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 15:42:20 ID:???
分かったよ。
雑談に加われないのは寂しいが、まとめサイトオンリーになる。

すまんね。ノシ
596通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 15:45:43 ID:???
そして誰もいなくなった
597通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 16:42:24 ID:???
>>594
スーパーハカー乙
598通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 16:55:15 ID:???
さて、そんじゃあスレルールに反しないよう注意しながら、作者さんへのレスをひとつ。
宛先は隻腕作者氏で。

フラガ家関連の設定、SFらしいバイオテクノロジーの乱用っぷりが好印象。
ただ、クルーゼは原作じゃ遺伝子的にはナチュラルだったんだけども、そこは
「根本的な設定の変更」が行われたという解釈でおk?

無限の(補給が確りしてれば)再生能力を持つ細胞は、生殖細胞と癌細胞のふたつ。
細胞を再生させるのに使うテロメラーゼをさらに再生する機能は
『テロメラーゼ活性』と言うそうで。
何かの役に立てば幸い。まあ、もうメンデルの話は粗方書いちゃったから使いどころは無いか。
599通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 17:22:34 ID:???
もともと超過疎SSスレの住人である俺からしてみれば、荒れ気味だろうが何だろうがここの活発さは羨ましい限り
数人いた職人さんが二人きりになり、住人も保管庫の人以外おそらく俺ともう一人きり
議論だろうがウザレスだろうが、過疎ってからわかるんだよ、人がいることのありがたさと喜ばしさは
600通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 17:59:57 ID:???
本当に終わったスレは、一部の住人が必死にage続け、
そこに荒らしAAが並ぶような感じか。
601通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 18:05:31 ID:???
たった一日でなにが終わると言うのさ…
普段通りの感想・妄想・雑談すればいいじゃん
602通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 18:51:40 ID:???
>V氏
サイとカズイに死亡フラグ立ったー?

というのは置いといて、少しだけマユのシンへの心証がUP
したんだろうか。霊感に巻き込まれてる者まで
出てくるのに少しびっくり。

死人出る辺りどうなるのか凄く心配だ。
603通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 19:51:14 ID:???
一言二言のセリフで誰だがわかるのが凄い

名前出てないけど
604ほのぼのマユデス。ジュール隊って。:2006/05/23(火) 20:46:53 ID:???
「ディアッカァ!!シホはまだ見つからんのかぁ?!」
「お・・俺に言われても・・・。」
イザークはいらついていた。
今日はアスラン、それにハイネ・ヴェステンフルスがくるのだ。
負けてはいられない。元民間人にあんな不良部隊の隊長に負けていられない。
そんな気合を入れて望んだというのに!
シホはいなくなるし部下はあんまり気合はいってないしディアッカは駄目だし!
どうしろというのだ!この俺に!
「貴様らぁぁぁぁぁやる気はあるのかぁぁぁぁ!!」
そう言ってイザークが吼える。思わず伏せる隊員たち。
「はぁ・・はぁ・・・まったく・・・ん?」
ふと気がついてみると。

どうやったのかわずかに部屋の扉を開けて中の様子を見ているアスランたちが。

全員そろいもそろって哀れむような目でイザークを見ている。
「・・・いや、イザーク。俺達は悪気は無かったんだ。ただなんとなく入りづらかったから
ちょっと扉をいじって少し開けて中の様子を見ようとしただけなんだ。」
「星飛○・・・・・っ!」
アスランの弁解の横で何やら呟きながら笑いをこらえるマユ。
「あ・・・ひとりぼっちのクリスマス?ぷぷっ・・・・あははははは!!」
アキラがマユの想像を理解してしまい思わず笑い出す。
「ハイネ、予定の時間を大幅オーバーしてる。」
「ありゃ、そうか困ったな。新曲のレッスンは中止か、ゼロ。埋め合わせヨロシク。」
「ステラ・・・お腹すいた・・・・。」
「そういやそろそろ昼飯だな。」
繰り広げられる混沌空間。好き勝手言う目の前の奴ら。そして、イザークの何かが切れた。
「おい!イザーク落ち着けって!!」
ディアッカが止めるがもう遅い。
イザークは拳を握る。体がオーラに包まれる。ここから先はいうまでもあるまい。
「きさまぁぁぁぁ!俺の拳が真っ赤に・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


605ほのぼのマユデス。ジュール隊って。:2006/05/23(火) 20:48:36 ID:???
「すみませんでした、調子乗ってました。」
頭にたんこぶと作って正座させられるマユ一行。悪い事をしてない人たちまで巻き込まれている。
「まったく!部下の手綱も握れないとは・・・。」
「そんなこといって昔俺の指示ちっとも聞いてくれなかったのは誰だよ。」
アスランのたんこぶが二段になる。
「ところでさぁ、おたくの赤服の女の子がうちの隊員と壮絶な戦いをくりひろげてるんだけど・・・・。」
「何?!シホがか!」
そう言うなりイザークは部屋を飛び出す。
残されるジュール隊緑組とマユ一行。
・・・・・・・なんともいえない沈黙。
「あ、お茶だすよ。」
「あ、すみません。」
いそいそと移動するディアッカに礼を言うハイネ。
「・・・・・スティング。メイリンに連絡しろ、ルナマリアとあの女の子のこと聞き出せ。」
ネオがスティングに指示する。
スティングは携帯(ファントムペイン使用)でメイリンに電話をかける。
「・・・・ここの部隊は大変そうだねぇ、レイ兄ちゃん。」
「マユ、うちの部隊が間違ってるんだ。」
ぽつりと呟くマユに、レイは静かにつっこんだ。
606通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 21:24:09 ID:???
単発設定小話 「袂別 -後編-」

〜JPジョーンズに乗り移ろうとするネオ、スティング、ステラ〜
ネオ「リー、後は任せたぞ。俺たちは地上から、お前たちは月面からお互いの任務を全うしようじゃないか?」
リー「ジブリール卿の勅命ゆえ我々は宇宙へ上がりますが、あのMA。エグザスはきちんと整備しておきますからな」
ネオ「ははっ。おいおいやめてくれよリー?まるで今生の別れみたいじゃないか」
〜ネオだけに聞こえるように、リーは小声になる〜
リー「・・・あなたはムウ・ラ・フラガに戻るべきだと私は以前言いましたが、個人的な気持ちを言わせていただければ・・・」
ネオ「・・・・・・」
リー「ネオ・ロアノークとして再びこの艦に戻ってきていただきたい」
〜リーの言葉に苦虫を噛み潰したような笑みを浮かべるネオ〜
ネオ「申し出はありがたいがな・・・次があればな・・・・・・」
リー「・・・・・・そうですな・・・・・・」

〜ステラとスティングに近づくシン〜
シン「スティング。・・・ステラを頼むな?」
スティング「・・・ああ。・・・・・・お前も生きていろよ?」
シン「もちろんだ。・・・宇宙で待ってるからな」
スティング「・・・・・・」
〜静かにJPジョーンズに移るスティング〜
シン「ステラ・・・これ返すよ」
〜マユから返された携帯電話をステラに渡そうとするシン〜
ステラ「?・・・・・・これ・・・なに?私・・・こんな趣味の悪いモノいらない・・・・・・」
シン「・・・そっか。そうだな・・・この色、趣味悪いもんな。・・・はは、そりゃそうだ。こんなのいらないよな!」
ステラ「ん・・・どいて・・・くれる?・・・あなたが邪魔で・・・私通れない・・・・・・」
シン「ああ・・・悪い悪い。・・・へへ・・・ごめんな?」
ステラ「・・・・・・うん・・・」
〜スティングの後を追うように移るステラ〜
スティング「・・・なぁ、ステラ?」
ステラ「なに・・・・・?」
スティング「さっきのやつ。知り合いか?・・・たく、妙になれなれしくしやがる」
ステラ「・・・私、あんなひと知らない・・・・・・。スティングの知り合いじゃないの?」
スティング「ばかいえ。あんな貧相なツラしたやつなんか知るかよ!」
〜ガーティ・ルーに取り残されたシン〜
シン「・・・・・・あいつらの頭の中には、もう俺はいないってことか・・・・・・」
〜しばらくしてJPジョーンズはガーティ・ルーから離れてゆく〜
〜ガーティ・ルー艦長室〜
リー「行ってしまったな・・・」
シン「ああ。・・・ガーティ・ルーはこのままビクトリアに向かうのか?」
リー「そうだよ、少尉」
シン「・・・そうか」
リー「だがね、少尉。この船が宇宙へ上がるまでには、まだ時間がかかると私は思っているよ・・・・・・」
シン「・・・・・・艦長・・・」
リー「間に合わんかもしれんが、このまま亡くすには惜しい人間たちだからな」
シン「艦長!感謝するぜ!・・・・・・しばらくMSデッキにこもってるよ!」
〜艦長室を飛び出るシン〜

607通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 00:10:09 ID:???
ほのぼの氏、単発氏、乙ー。
つーかほのぼのザフトはどの部隊もアレですか。
608通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 01:18:18 ID:???
ほのぼの氏乙です!
ジュール隊の人も気苦労耐えなさそうだなぁ…w
やっぱりあれだろうか、シホとルナは派閥の違う腐女子ライバルなんだろうか…

単発氏乙です!
前回に続き、寂しくなる内容ですね…二人の中のシンの記憶が消されたのが(;´Д⊂
作戦に支障をきたすからなんでしょうか…これからどうなっていくんだろう。
仲間思いのシンと、リー艦長の心意気がよかったです。GJ!!
609通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 10:47:16 ID:???
寒い
610通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 11:34:23 ID:???
いや、今日は割りと涼しい方だろ
日も出てきたし
611通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 11:45:11 ID:???
単発はなんだか淡々としたシビアさが印象的だなぁ
612通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 15:40:14 ID:???
空気を読まずに

>>PP作者氏
ここ数話、中の人が入れ替わったような路線変更。
キャラがよく動くようになって、今回特にテンポが良かったです。GJ
しかし画面の端に死亡フラグがちらちら…見なかったことにしよう

>>隻腕作者氏
ネオの正体をそっちに持って行きましたか。艦長カワイソス
メンデル周りはラウやらムウやらキラやらレイでごちゃごちゃしてて
劇中さっぱり理解できなかったのを見事に解説してくれました。
新解釈で原作の行間を埋める手法は相変わらず光ってますね。

フレイパパの件は無理矢理すぎて突っ込んではいけない領域と思われ…
運が良ければ気が向いた職人さんが暇つぶしに書く程度だろう
613マユ種のひと:2006/05/24(水) 16:08:05 ID:???
>328、>329、>330

第四十四話
 小汚い部屋で、ミリアリアは飲料水を飲みながらTVを眺める。ニュースは、マユ達が出港した模様を伝える。また、停泊していたコロニー内の戦闘で被害を最小限に抑えて敵を追い払い、戦災を被った僅かな人達に温情を注ぐマユの行いを讃えていた。
 ミリアリアはそれにうんざりする。と、同時に、部屋の隅の黒い袋がうごめく。ミリアリアはそれを開くと、中からラクスの顔のままのミーアが出て、自分は宇宙に捨てられたのに、と呟く。ミリアリアは手短に、自分が拾ったから、と答えた。
 ミーアは呆然として見つめ返し、それは現プラント政府に反する、と言った。必ずしもそうではないけれど、と漏らしてから、ミリアリアは少し自分の昔話を始める。
 前大戦の時、ザフトを抜けた友達がいて、そいつが戦後、軍事裁判にかけられた。極刑にしたくなくて証人として出廷したけど、実は自分もそいつと同じ身分で、地球に帰ったら連合の裁判が待っている。それを何とかしてくれたのがデュランダルだった。
 肉親も故郷も捨てざるをえなかったけど、後悔は、まあ、してない。それで、生前のデュランダルが自分に下した唯一の命令は、何があっても最後までミーアの味方であること。
 ミーアは、ミリアリアに泣きついた。そして、泣き喚いた。

 宇宙、ヴェサリウスのブリッジ。マユは、次の作戦の概要をアビーから説明されていた。連合の軍事拠点の攻撃に参加。占領の必要はなく、拠点の破壊を前提にした作戦である、と。マユはそこで疑問に思う、それ用の武装を積んでいない自分達の役回りである。
 アビーが答える言葉を選ぶ中、イザークが代わりに答える。重要な拠点を占領したいがために攻めあぐねていたが、状況は変わり、その必要もなくなった。元々はこちらが有利で、今は拠点を包囲している。自分達の任務は、この約束された圧勝に華を添えること。
 居ればいいだけ。マユはそう理解し、他には、と聞いてみる。新型MS、またMSの新武装などの新兵器を、テストも兼ねて多数投入する予定だ、とイザークは答えた。
 すると、マユは淡白に了解し、今回は自分が端役か、と付け加えた。マユが口にした端役という言葉に、イザークは出港前のことを思い出す。

 そこは病院屋上。私服のイザークは、男物の服を着て変装したマユと二人でいた。イザークは、目元を包帯で覆った少女が、結局は一言も口を聞かなかった、と語りかけた。
 あの少女が、自分の美談の端役として目の手術を受ける前に会っておきたかっただけで、最初から寛容は求めていない、とマユは言葉をつなげる。その時、カガリにすごく酷いことしたんだ、というマユの寂しげな独り言を、イザークは聞き逃さなかった。
 と、ここで、マユは唐突にイザークへ向き直り、フリーダムの動力は何か、と尋ねる。核に決まっている、と即答、他に何がある、とも言った。マユは微笑み、改めて話を聞いてくれるか、と、さらに尋ねてきた。イザークは頷く。そしてマユは口を開……。

 レジェンドの調整に行きます、マユのその一言で、イザークは現実に引き戻された。マユが退室してすぐ、ディアッカはイザークに、お忍びで外出に付き合った成果を尋ねた。
 敵が同じということを再確認しただけ、それ以外のこと、例えば敵との因縁等は何一つ語らなかった、イザークは答える。ディアッカは、不信の根が残ることを懸念した。最高評議会は本気でマユを試すつもりか、とイザークは漏らす。
 今度の作戦は、相手が軍人といえども恐らく無抵抗に近いナチュラルに徹底的に攻撃を仕掛ける、マユがナチュラルの命をどう扱うか試す上で絶好の機会となる、とイザークは言い切った。ディアッカは眉をひそめ、アビーは感情的に反発した。
 二人の反応を受け、イザークはブリッジ全体に聞こえるように言う。前大戦、ラクス・クラインが当時の体制に反旗を翻した時、プラント国民はどれだけ不安に陥ったと思っている。マユは今やラクスと同等かそれ以上だ。なら、早々にマユを見極める必要がある。
614マユ種のひと:2006/05/24(水) 16:10:16 ID:???
 静まり返るブリッジ。その中でアビーは訴える。前大戦中、地球でずっと捕虜だった自分に当時の宇宙はわからない、わかるのは、捕虜の時の、本当に辛い経験を経て凝り固まったナチュラルへの憎悪が、マユの言葉を受けて氷解し始めていることだけ、と。
 アビーの訴えは続く。きっと、自分と同じように受け止めている人間が他にもいっぱい居るに違いない。だから、こんな風にマユを試すのは嫌だ。しかし、イザークの答えは、仕事に戻れ、これは最高評議会の決定だ、とアビーを見ずに言った。

 連合拠点を包囲するザフト艦隊。それを指揮する人間達は、我等のジャンヌ・ダルクが到着するのは作戦開始からかなり後になる、なら彼女が来る前に地ならしを終わらせよう、それは名案だ、とのやり取りの後、作戦開始時刻と同時に拠点への攻撃命令を下す。
 ザフト艦隊の動きに合わせて、包囲の外で姿を隠していた黒い戦艦も動き始めた。

 ヴェサリウス。アビーが伝える、ガーディ・ルーと複数の蒼いジャスティスが包囲中のザフト艦隊に攻撃を仕掛けているという報告に、艦内は騒然とする。イザークが現場への急行を促すが、格納庫のマユはジャスティスの性能で大軍をどうにかできるのかを問う。
 そこでイザークは冷静に考える、あの組合せは高い機動力と突破力を備えてはいるが、大軍相手なら撹乱が精々。それに逃げ足も速い。別の、本命を感じた。
 イザークは前言を撤回し、今の速度を維持することを命じた。

 ザフトの新型MS・バビは為す術もなく、∞ジャスティスに狩られていた。パイロットのアウルは、不甲斐無い敵に対して、乗りこなせもしない新型に乗るな、と吐き捨てた。
 そんなアウルに、リーからの通信が入り、ヴェサリウスが静観の構えを取ったことを知る。アウルは、宿敵に振られた腹いせを、前菜にもならない不甲斐無い敵にぶつける。
 他方、ヴェサリウスの動きは、出撃前のコックピットに控えるスティングも知り、恐らくはこれから戦うであろうマユに、思いを巡らす。最初は赤服、次は私服、その次はパイロットスーツで、今は白服、軍服が似合っていない、そう思うに留めた。
 出撃の時がきた。スティングの駆るSt(ストライク)フリーダムがドミニオンから飛び立ち、黒いフリーダムもそれに続いて飛び立った。

 ドミニオン二隻とフリーダム七機に正体不明が一機、確認した直後、艦隊の一角は消滅した。ヴェサリウスの行く先は決まった。
 イザークより、包囲しているザフト戦力は拠点攻略用、もしくは慣れない新兵器群で多く構成されている。そのため、この宙域のザフト戦力で対MS戦最強は恐らく自分達だ。我々がもし敵・フリーダム隊に遅れをとれば、この戦闘の勝敗はわからなくなる。
 レジェンド、ザク、発進。直後、超遠距離から八機のフリーダムの一斉射撃が見舞われる。目も眩む弾幕を前に、ヴェサリウスは後退を余儀なくされ、ディアッカはイザークの言葉を一部訂正する、自分達が何とかできなかったら、この戦闘は負ける、と。
 ディアッカのザクは同じ距離から相手を狙撃。この距離なら敵もかわすが、その瞬間に弾幕の一部が薄くなり、そこからレジェンドやザクは接近を繰り返す。
 こちらに正確な射撃をさせない狙撃手の存在、それを信頼する淀みない動き。スティングは、単純に大火力を叩き付けるだけでは仕留められないと判断し、部下を散らせた。
 フリーダムに包囲されることを嫌ったイザークは、同じく隊を散らすしかなかった。その上で、マユ以外は二機ずつでフリーダムに当たる方法を選んだ。
615マユ種のひと:2006/05/24(水) 16:11:10 ID:???
 広く散開したザクと黒いフリーダム、その流れの中で一機になったレジェンドは、敵のドラグーンに脅かされた。咄嗟のビームシールドで事なきを得たマユとレジェンド、自分を襲ったドラグーンが戻る先に居たのは、スティングのStフリーダムだった。
 レジェンドはビームライフルを構え、Stフリーダムは全ての火器を構えた。二機とも、かわしながら撃ち合い、ドラグーンを飛ばす。この二機の周りは、ビームで満たされる。
 抑えきれなかった黒いフリーダムが、僅かな隙をついてレジェンドを狙い撃つ。ザクがそれを阻むためにビームで牽制すれば、別の黒いフリーダムがザクを狙い撃つ。
 イザークも、またディアッカも苛立った。ザク二機掛かりでも、撃墜どころか黒いフリーダムの攻め手を封じることで精一杯だった。前の蒼いジャスティスを相手にした時もそうだったが、MS以上にパイロットの性能が高い。
 マユが思い知った自分と眼前の敵の戦力差。一発撃てば十発返ってくる火力の差。オールレンジ攻撃の性能と運用の技術の差。そして何より、パイロットの体力の差。
 限界が近いと感じるマユは、隊員達に、他のフリーダムは一瞬だけ何とかするから、自分の前にいるフリーダムを一斉に狙い撃って欲しいという。全員が狐につままれる最中、イザークは迷わず受け入れた。その行為は、他の隊員の心も一つにした。
 それは同時の行動。全ザクの銃口がStフリーダムを狙い、レジェンドの各ドラグーンは黒いフリーダム各機に狙いを定め、撃った。一瞬にして攻撃を仕掛ける者全てが入れ替わった一斉射は、思考の死角をつき、その対応だけで一杯になる瞬間を敵全員に与えた。
 今しか懐に飛び込めない。レジェンドは、Stフリーダムに向かって飛ぶ。しかし、Stフリーダムが体勢を立て直す方が、一瞬早かった。良くても相手の火力に押し返される、マユが覚悟を決めた刹那、レジェンドの脇を抜けるビームが一閃。ディアッカだった。
 Stフリーダムは、ビームシールドを使わされた。ジャベリンでは受け流されると判断したマユは、そこにレジェンドのビームシールドを展開し、ぶつけた。反発しあう二機の強力なビームの防壁は、後に弾けて拡散し、どちらも傷つけ、吹き飛ばした。
 しかし、スティングはこの状態でなおドラグーンを正確に操り、レジェンドを狙う。ドラグーンのビームが一点に重なる直前、イザークのザクがマユのレジェンドを抱いて共に回避、そして一気に離脱した。

 レジェンドの中、大詰めを迎え、ザフト艦隊がより激しく連合拠点を攻め立てる様子を眺めるマユ、不意に、イザークから無事か、と聞かれて、慌てながら無事と答え、艦には一人で戻れるからイザークも早くディアッカ達の所に戻った方がいい、とも言った。
 イザークは了解し、ザクはレジェンドを離す。マユがイザークに、ありがとう、といったのはその時で、また同時に、連合拠点からザフト艦隊に向けて凄まじい熱量のビームが放たれたのも、その時だった。

 さらに二発目、三発目の圧倒的熱量のビームがザフト艦隊を焼く。
 連合拠点。高エネルギービーム砲を収めるデスティニー、パイロット・ネオは、今までしぶとく生き残り、戦い抜いた兵達に、今ここで反撃の狼煙が上がったことを高らかに宣言。そして、デスティニーは先陣を切り、連合兵も一丸となって切り込んだ。

 ザフト艦隊の指揮官は、不測の事態の連続に恐怖し、護りを固める指示を出す。そうして炙り出された艦隊の頭に、ガーディ・ルーは、∞ジャスティスは喰らいつき、仕留めた。

アウル「ごめんねぇ、強くってァ」
616通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 21:10:06 ID:???
またsageられてないぞw
617通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 21:25:13 ID:???
ドジっ子さんめw
ともあれ乙

マユが色々な苦況の連続ですね
どんでん返しかそれとも…?
618通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 22:27:48 ID:???
マユ種を読んでいるとVを思い出すなあ。
シビアな展開に胃がキリキリと締め付けられて痛いんだけどそれが心地良いと言うか。

ていうかマユ種の人、更新乙です。
どっちかというと機体性能よりも奇策に頼って生き残ってきたマユでも
三強相手の今回は流石にピンチですか。
逆転なるのか、そして物語の先行きはどうなるのか、先を期待して待ってます。
619通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 22:30:29 ID:???
アストレイ新作の主役MSの名前がΔアストレイの件について

…デルタフリーダムどうしよう?
アストレイ新作は火星絡みだから、新たなネタになるかもしれんが
620通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 22:40:24 ID:???
>>619
もともとはそれが元ネタなんだろうし、うまく補完して繋げてしまえば良いと思うよ<デルタフリーダムとアストレイ
621通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 22:53:36 ID:???
マユ種の新作キター
しかし敵が、強いな本当に。
攻撃自由 無限正義 運命 量産型フリーダム
これでミーティア付きならさらにやばいな。
がんばれマユ! 
次回も期待してます。

622通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 00:31:52 ID:???
4日ほどスレ離れていた間に次々と投下され、まとめ読みできて幸せいっぱいの俺勝ち組
623通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 02:05:19 ID:???
負け組だぁーorz
投下リアルタイム遭遇2回が自慢にならない自慢
624通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 07:00:20 ID:???
今回の話で一つ気になることが…バビって地上用じゃね?
ドラグーン飛ばしてるからどう考えても戦場は宇宙だし…
625通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 08:04:16 ID:???
スパロボ仕様です
626通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 09:41:57 ID:???
ギャプランやバイアランみたいに改修されたんだよ
627通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 12:04:22 ID:???
>>625
最近はスパロボも地上じゃファンネル使えなくなってない?
628通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 17:36:44 ID:???
>>627
一応使えるが、地形適応がBになってたりはするな。
ローゼスビットは流石に影響を受けないが。
629通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 18:51:38 ID:???
使えないのは確か推進力か何かだっけ?
630通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 19:15:45 ID:???
地上で使うとなると、重力に逆らって浮く分の燃料と浮力を確保せねばならない。
デストロイの腕やカオスのポッドはそれが出来るタイプだったが、小型のドラグーンは
地上で運用するには流石に浮力が足りないっぽい。

アプレンティススゴス
631通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 19:36:12 ID:???
まあデストロイのシュツルムファウストやカオスの兵装ポッドも
なんで宇宙戦以外でも使えるのって感じだがw
632通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 20:31:00 ID:???
>>627
使えないのはGジェネ。
地上じゃ天帝はドラグーン使えません。
633通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 20:44:08 ID:???
その辺も含めて作者ごとに好きにやりゃいいと思うがな。
作品内で整合性取れて説得力あればそれで無問題
634通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 20:49:41 ID:???
>>633
そこら辺はみんな分かった上で話してるから大丈夫でしょ
単にアニメの設定が突っ込みどころ満載なだけで
635通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 21:16:53 ID:???
ファンネルは地上で使ってたな
636単発屋:2006/05/25(木) 21:41:25 ID:???
>>630さんへ
細かな描写をしていないので申し訳ないのですが・・・

おっしゃるとおり、浮力をどう乗り越えるかが小型ドラグーンの課題でしょう。
で、戦闘の前にシンにアプレンティスのメンテを行うということを言わせました。
メンテの内容は、ドラグーン端末配置プログラムの作成&投入です。
このプログラムの投入によって端末はビームを射出する瞬間に円形になるようにしか配置できなくなります。
対象をロックオンし、端末が円形に配置された瞬間に対象にむけてビーム発射を実行します。
ビームを発射るする瞬間さえ動作が停止していればいいので、その瞬間はバーニア(でいいのか?)は出力ゼロ状態です。
自然の物理法則にしたがって自由落下が始まる寸前にビームを放つわけです。

とゆうことで、この場合シンができるのは、端末が作り出す円の位置を決めることだけです。
あとは端末が指示された場所へ移動しビームを発射するということです。
ってこんな妄想インチキ設定で浮力の問題を解決(自分の中だけで)させてます。

補足 端末の配置は円形でも星型でもいいと思います。

こんなでよかったでしょうか?
637通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 21:51:13 ID:???
何十トンもあるようなMSがちゃちな羽つけて飛んでる世界で何言ってのさ
638通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 22:06:21 ID:???
量産型フリーダムてこんな感じ?
頭 ダガータイプ
胴体 フリーダムの物をアレンジ
腰のレール砲 攻撃自由の形と類似
羽 八枚ではなく四枚プラズマカノンも装備
足の形状 ウィンダム寄り



639通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 22:06:56 ID:???
>>637
???
負債の世界の話でしょ?
640通常の名無しさんの3倍:2006/05/26(金) 00:03:25 ID:???
スターゲイザー公式ページ更新キタコレ
641I and I and Iマユ:2006/05/26(金) 07:13:49 ID:???
今日は二本立て、「ガルナハン、再び」前後編!
ワタシは、コニール、そしてカズイさんとサイさんに再会した
そして、二度目のガルナハンで、ワタシ達を待っていたものとは……
642I and I and I(1/7):2006/05/26(金) 07:15:43 ID:???
誰かを守ること。
誰かを殺すこと。
誰かのためにできること。
自分のためにすること。
やり遂げるだけの力、理由、必要性……
ガルナハンまでの道のり、ワタシはそんなことを考えていた。



〜I and I and I〜 第十三話「ガルナハン、再び(前編)」



通路をシンとルナマリアは歩いていた。
「ヴィアだっけ、あの子」
「マ・ユ」
「でもザラ隊長はヴィアって」
「ヴィナなんて、名前がわからないからとりあえずつけただけだろ」
頬を膨らませて、シンはルナマリアを睨む。
「今はマユってわかってるんだ。だからルナも、マユって呼べよ」
「ふーん、そんなものなの?」
「そんなものなの。も〜…黙れよ、ルナには関係ないだろ」
「そのセリフ、二回目なんですけど」
マユはマユだ。
そうシンは思っている。
成長していても、右腕が亡くても、記憶が無くても、マユはマユだという事実は消しようがない。
「あ、噂をすれば」
ルナマリアが呟く。
シンが顔を向けると、そこにはマユがいた。
その横にはラドルがいる。見送り、ということなのだろう。
「シンさん」
「ん?君が、ヴィア…いや、マユ君のご兄弟か」
643I and I and I(2/7):2006/05/26(金) 07:17:53 ID:???
敬礼するシンの手が、ぴくっと動いた。
「シン・アスカであります」
「そうか。この状況だ、いつまで一緒にいられるかもわからない。一緒にいられる今だけでも、守ってやってくれ」
「は…はい!」
ラドルの言葉に、思わず返事が強くなる。
「それではマユ君、まだ出口まであるが、見送り頼めるかな?」
「あ、はい」
「それでは、失礼する」
シンとルナマリアは敬礼して、その場で見送るだけ。
シン達を見送りに同行させないための口実を、さも自然と出た言葉のようにラドルは言ってみせた。
ラドルとマユ、そしてラドルの部下達は、また歩きだす。
「守るということは、ただその者の安全を守る、というわけではないがね」
静かに、ラドルはマユに向かい、そう口にした。
「安全を守り、そして守りたいその者に辛い思いをさせない。それが真に守ることだと、私は思う」
シンにそれができるのかを、言いたいのだろうか。
見上げるラドルの顔は、しっかりと前だけを見ていた。
「オーブが敵陣に下る直前だったよ、二人が基地を訪ねてきたのは」
前を見ながら、またラドルは話を始める。
「ガルナハンの状態が危ないことを伝えると、彼等は飛び出していった」
644I and I and I(3/7):2006/05/26(金) 07:19:52 ID:???
カズイとサイ。
二人とそしてミリアリアと一緒に日々を、忘れてはいない。
「戦うことを辞めた自分達にできることは守ることだと、そう言っていた。
国籍など関係なく、人種など関係なく、ただ困っている人々を助けたいと」
彼等らしい言葉だった。
それを聞いて、マユの心は暖かくなる。
話のしている内に、いつの間か出口にも着いていた。
「我が隊もガルナハンに向かうが、恐らく彼等と最初に再会するのは君だろう」
左手を、ラドルは差し出す。
「真の守ること。見届け、そして君もそれができる人間になってくれ」
「…」
差し出された左手を、マユはしっかりと握った。
「わかりました」
マユの言葉に、ラドルは力ある笑みを見せ、握る手を解く。
ラドル達はミネルバを後にした。
守るということ、それを噛み締めて、マユは部屋に戻ろうと歩きだす。
考えることはたくさんある。
自分に何ができるのか。
人のために、人を守る。
それが自分のためにもなる。
そういうこと、なのだろうか。
「ヴィア」
不意に、声をかけられた。
ミネルバでヴィアと呼ぶのは、アスランしかいない。
「デッキに出ないか?潮風が気持ちいいぞ」
645I and I and I(4/7):2006/05/26(金) 07:21:58 ID:???
アスランの歩調にあわせ、マユは足を進める。
「ガルナハンに行くんですね」
「知っているのか?」
「えぇ、前に一度、支援活動を手伝っていた時に」
「確か、サイ・アーガイル…達と」
そういえばと、アスランは思い出す。
マユはアフリカ、ユーラシアと、戦災被害を受けた各地の支援活動の旅を続けていたのだった。
「難しい戦いになるとは思うが、ヴィアがまた倒れないように力を尽すよ」
「わかって…いたんですか?」
「なんとなく、だけどね」
死んだ者が見えるなら、という確信と呼べる確信はなかったが、そうであろうという気はしていた。
他人の死を感じて、心労が祟ったのではないかと。
デッキに出る扉の前に着く。
扉が開きデッキに出ると、そこにはシンがいた。
「一人で…どうかしたか?」
「いえ別に。貴方こそ大丈夫なんでありますか?いろいろFAITHは忙しいんでしょう?」
マユに気付いていながらも、シンはアスランに悪態をつく。
「本当に君は…突っかかるような言い方しかしないな」
短く溜息を吐き、アスランはシンを見た。
「そんなに気に入らないのか?俺がザフトに戻り、君を殴ったことが」
646I and I and I(5/7):2006/05/26(金) 07:23:27 ID:???
「殴られたのは大したことありませんけどね。この間までオーブにいたのに、いきなりFAITHだの上官だのって…」
「それは…認めるよ。確かに君から見ればそうなんだろう」
両者の真っ直ぐな瞳がぶつかる。
「だが、だから俺の言うことは聞かないし、気に食わないから従わない、と」
「いえ、そういうわけじゃ…」
アスランの追撃に、シンは思わず返す言葉を失った。
アスランのパイロットとしての力量は知っている。
その物事に対する姿勢も。
「オノゴロで家族を殺されたと言っていたな」
「アスハにって言ったんです。マユは生きてたけど、父さんと母さんは死にました」
「ああ、そうだな。ウズミ様やカガリに殺された、そう思っていたければそれでいい」
言い方は冷たい。
だが、真っ直ぐな瞳はそのままで、瞳の中には熱いものが流れていた。
「だから考えたというのか?力があれば、復讐するための力があればと」
「な!なんでそんなこと言うんです!?」
「自分の非力さに悔やみ、泣いたことのある者は、誰でもそう思う。多分な」
熱いものが流れる瞳のその影で、悲しい色が顔を出す。
「けど、力を手にしたその時から、今度は誰かを泣かせ、君と同じ立場にさせる側となる」
647I and I and I(6/7):2006/05/26(金) 07:24:58 ID:???
それは、後悔を表した言葉だった。
動揺するシン。
二人の言い合いを黙って聞いていたマユは、ゆっくりと口を開く。
「誰かを殺せば、殺された誰かの仲間や家族や恋人が、殺した誰かを恨む」
シンに取り巻いていた姿無き亡者達のことが思い出された。
そして自分が、闇に引き込まれそうになったことも思い出す。
「そして、その殺した誰かを殺したくなる。それが繰り返される」
アスランの顔が、苦しそうに歪んだ。
「ワタシが単に平和ボケしてるのかもしれないけど、それってどこか変ですよね。
殺された人を想う誰かが、他の人にはこんな思いさせちゃいけないって、思うはずなのに」
甘い考えなのだろう。
安易な理想なのだろう。
「そういうものじゃないんですか?違うの、かな…」
だが、決して出来ないことではない。
ただ皆が皆、それを理解して、解決できるというわけではない。
それが頭に浮かび、マユは自信なさそうに、呟いた。

マハムール基地を出発し、一同はガルナハンの渓谷に入る。
しばらくすると、ミネルバは底部のハッチを開いた。
この作戦は、現地協力者による情報提供が必要不可欠である。
648I and I and I(7/7):2006/05/26(金) 07:26:35 ID:???
その現地協力者が乗ったカーゴを収容するため、ミネルバはハッチを開いたのだった。
ミネルバの中では、作戦会議のためパイロット以下主だったメンバーがブリーフィングルームへ向かっている。
マユも、シン達の後ろをついていった。
「けどさ、現地協力者って、レジスタンスのことだろ?」
「そうなんじゃないの。だいぶ酷いらしいから、助かるためならって感じでしょ、ガルナハンは」
シンの疑問にルナマリアは素気なく答える。
ルナマリアの言葉を耳にしたマユは不安になった。
前に一度訪れたガルナハンも、決して良い環境とは言えない。
それよりも更に酷い状況を想像し、マユはゾッとする。
「ヴィア」
そんなマユを、アスランが呼んだ。
マユが振り向くと、通路の角から顔を出したアスランが、笑って手招きしている。
不思議に思いながらも、マユはアスランに近付いた。
「どうかしたんですか?」
「驚かないようにな」
そう言って、アスランはマユの前から横へと場所を移動した。
「あ!みんなぁ!」
思わず、マユは声上げてしまう。
そこには、カズイ、サイ、コニール…懐かしき面々がいた。

649I and I and Iマユ:2006/05/26(金) 07:28:22 ID:???
まだまだ続く!I and I and I二本立てスペシャル!
チャンネル…じゃなくてスレッドは、そのまま!
650I and I and I(1/8):2006/05/26(金) 07:30:48 ID:???
何かのために、命を賭けよう。
今は、迷いはない。
それが違うって、正しくないって信じてるから。
ワタシの考えが間違ってるのかもしれない。
その時は、ワタシが間違っていたことを、素直に謝ろう。
ただ今は、目の前で起きているそれが、違うと言えるから。



〜I and I and I〜 第十四話「ガルナハン、再び(後編)」



数ヶ月前会っていないというだけなのに、もう何年も会っていないような感じがした。
思わず、マユはコニールを抱き締める。
「久しぶりっ!」
「あっ!わ!…久しぶりだな、ヴィア」
コニールはぽんぽんと頭を撫でた。
抱き締める腕は一本しかない。
目の前で何事もないように笑っている少女だが、何事もないわけではないことを再確認する。
「カズイさんも、サイさんも、無事で良かった」
「俺達は別に大したことはしてないから」
誤魔化すように笑って、カズイはそう言う。
「だって、ガルナハンは酷い状況だって…」
「そうだけど…だけどさ、俺達は戦ってたわけじゃないから」
サイのその言葉から、マユは悟った。
カズイもサイも守ることに徹していたということを。
「それで…町の皆さんは?」
651I and I and I(2/8):2006/05/26(金) 07:32:22 ID:???
恐る恐る訊いてみたマユだったが、カズイもサイもコニールも表情は思わしくない。
「ミス・コニール、そろそろ」
「あぁ、そうだな。じゃ、また後で」
アスランに急かされると、コニールはアスランと共にブリーフィングルームに向かった。
通路には、三人だけが残る。
「ミリィはいないけど、このメンバーで集まるのは久々だな」
カズイもサイも、再会を喜び、マユを見ていた。
「だが、なんでヴィアがザフトの戦艦に?」
「プラントにいたんじゃないのか?アスランも…」
不思議そうにするカズイとサイに、マユは苦笑して口を開く。
「プラントには行ったんです。それで、このミネルバに、お兄さんがいました」
とんでもない展開になっていることに、サイとカズイは唖然とした。
自分達も波乱に富んだ人生を歩んできたが、さすがにこんなことになっていると開いた口が塞がらない。
「た、大変だな…」
苦笑して何もない空間を見つめるサイ。
カズイは黙って、マユを心配して見続けている。
「ヴィア…」
マユと呼ぶべきなのか、言葉が詰まった。
だが、カズイは飲み込もうとした言葉を、尋ねてみる。
「その…記憶は、戻ったのかな?」
652I and I and I(3/8):2006/05/26(金) 07:34:17 ID:???
静かに重く、そう尋ねられ、マユは真剣な顔で首を横に振った。
「そうか…じゃあ、まだヴィアだね」
親が子を見るような優しい顔に変わり、カズイはマユの頭を撫でる。
「カズイさんっ!」
マユは、カズイに抱きついていた。
何も言わず、顔も見ず、カズイの腹に顔を埋めている。
マユであること。それが少くなからず負担になっていた。
ラドルと再会し、そしてカズイ達と再会したことによって、マユとしていなければという緊張が和らぐ。
「間もなく作戦開始地点ポイントBです。各員スタンバイお願いします」
スピーカーから、メイリンのアナウンスが聞こえた。
「ヴィア、俺達もコニールのところに行かなきゃ」
カズイがそう言うと、マユは顔を埋めたままで「はい」と一言、呟く。

作戦が始まった。
モニターの置かれた別室で、マユ達は作戦の状況を見守る。
「シンさん、頑張って…」
口にした応援は、妹が兄にかけるものではなかった。
見守るその表情も。
「あのシンてパイロット、お前のなんなんだ?」
マユの応援と表情に、コニールは少々眉をひそめてそう訊いてくる。
「え…お兄さん、だけど」
「えぇ!?それ本当なの?」
653I and I and I(4/8):2006/05/26(金) 07:36:29 ID:???
驚きながら更に訊くコニールに、マユはこくこく頷き続けた。
まだ兄とは思えないでいる。その言葉は、言えないでいたが。
「どうしてお前の兄さんがあんなヤツなんだ!まったく…」
唸りながら、コニールはモニターを凝視する。
ガルナハンの街を取り返してほしいと祈るその瞳は、そのままで。
マユ達も、作戦の成功を祈った。
ミネルバは、敵拠点に向けてタンホイザーの発射態勢を取り始めた。
「陽電子砲?ローエングリンかな?」
「それは連合の名称だよ。この艦のは確か、タンホイザー?」
モニターを見ながら、カズイとサイが話す。
ミネルバの前方には、リフレクターを装備したゲルズケーが姿を現した。
タンホイザーが撃たれるが、受け止められ、反動にミネルバは激しく揺れる。
「うわっ!」
「ヴィア、平気?」
「な、なんとか…」
「私の心配もしろ!というか、陽電子砲を持ってるのはこっちだけじゃない!!」
敵拠点の砲台から、ローエングリンが放たれた。
回避するためにミネルバはまた激しく揺れ、マユ達はショックに備えるのに必死だった。
それでも、マユに前の戦闘のような影響がないのは、側にカズイ達がいるからなのだろう。
654I and I and I(5/8):2006/05/26(金) 07:38:11 ID:???
絶体絶命に近いには変わりないが。

インパルスがローエングリンゲートを陥落させたのは、それから間もなくしてからのことだった。
作戦の成功に沸き立つ艦内、そしてガルナハンの街。
退艦の許可が下りると、高揚したコニールはミネルバを飛び出した。
マユ達もそれを追う。
マユは何か、嫌な予感がしていた。
街は騒然となり、決起した住民達が連合の施設に乗り込み、そして兵士を襲った。
逃げ惑い、捕まり、殺される。
その惨状を見て、マユの体は震えた。
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ありったけの声を振り絞り、叫ぶ。
広場から、マユの声が辺りに広がっていった。
住民の手が止まる。
水面に波紋ができたかのように、徐々に街の騒ぎは収まった。
皆、マユを見ている。
「あなた達が受けた苦しみは、確かに許せることではないけど…」
前にガルナハンを訪れた時を思い出された。
足をくじいたミリアリアを守るために、マユは撃たれそうになった。
「でも、同じことを相手に返して、それで満足ですか!?」
やられたらやり返せ。
今それを行うのが正しいのか。
マユは正しくないと感じる。
感じるからこそ、住民達に叫んだ。
655I and I and I(6/8):2006/05/26(金) 07:39:46 ID:???
「そうだ!!連合はみんな死ねばいい!」
「それにお前に何がわかる!俺達の苦しみなんざ知らんくせに!!」
返ってきた激しい罵倒。
だが、マユの顔は、訴え続けた時と変わらない。
「確かにワタシは何も知りません。でも、何かを恨んだり、憎んだりしたことはある」
マユは上着を脱ぎ捨てる。
何も通すもののない右腕の袖が、風になびく。
「こんな風に、なりたくなかった」
腕のことだけを言っているわけではなかった。
記憶を失ったことも含んでいる。
マユであることが、きっと当然なのだろう。
ヴィアとしてのマユが決していい存在ではないと、そう思ってしまう。
そんな思いするくらいなら、こんな風になりたくなかった。
ヴィアとしてのマユの、叫び。
「だけど、何かに恨んだり憎んだりしたままじゃ駄目なんです」
こんな風になりたくなかった。
だが、こうなったから、得たものがあった。
「こうならなかったからワタシは、どこかで戦争なんか他人事に思って暮らしていたと思う」
正しくない自分ではなかったら。マユのままだったら。
そんなもしもを考えたこともあった。
656I and I and I(7/8):2006/05/26(金) 07:42:01 ID:???
「ワタシは、大切な人達にたくさん出会えました。たくさんの思い出があります」
それは、カズイ達との出会いであり、シンとの出会いである。
そして、コニールとの出会いでもあるのだ。
「恨んだり憎んだりしてもいいです。でもその後は、笑いましょう?」
マユは、微笑んで、そう言う。
「きっとそっちの方が、ずっとずっと楽しいはずですから」

「では地球連合軍の士官達は、我々マハムール基地の面々が責任をもって、丁重に捕虜として扱いましょう」
「お願いしますわ、ラドル司令」
ミネルバの艦長室で、ラドルとタリアの熱い握手が交される。
「それにしても驚いたわ。まさか、あの子の言葉によって、街が沈静化するなんて」
タリアは、マユに心底驚いていた。
「まだ子供なのに…私でさえ、あんなこと言えないもの」
「いえ、幼いから、なのかもしれません。様々なものが見えますからな」
マユは地球連合の兵士達の命を守った。
そして、憎悪や憤り、それだけに満ちていた住人達の心を、動かしたのだ。
「もし彼女がいなければ、逃げ切れなかった士官達は恐らく皆殺しにされていたでしょう」
657I and I and I(8/8):2006/05/26(金) 07:43:29 ID:???
「全くね。敵だけど、そういうものは無い方が良いに決まっているわ」
「同感です。では、私は自分の艦に戻りますので、失礼」
ラドルは艦長室を出て、出口へと向かう。
もう二度とこんなことがないよう、心の中で強く願った。
「ラドル司令」
「おぉ、ヴィア君」
出口では、マユが待っていて、ラドルを迎える。
「お別れですね」
「あぁ。ミネルバはディオキアに向かう予定だそうだな」
「あの、ガルナハンはもう大丈夫なんですか?」
マユの言葉に、ラドルは力ある笑みを見せた。
「ザフトが駐留部隊を置くことになった。これで、地球連合も迂濶に手出しはできなくなるだろう」
「そうですか、良かったぁ」
安心するマユの笑顔に見ながら、ラドルは口を開く。
「最後は私達も街の住民達も、皆で笑えるように、しっかりと守ろう」
そう言うと、ラドルはミネルバを後にした。
そんなラドルの背中には、頼もしいほど力強さが溢れている。
ガルナハンの街から、張り詰めたような殺伐とした空気は、消えていた。

658479:2006/05/26(金) 07:45:45 ID:???
書いてて時々、マユの進む道に物凄く悩むことがあります
今回はそれがちょっと色濃く出たような回でした

それでは、良い一日を!
659通常の名無しさんの3倍:2006/05/26(金) 08:39:00 ID:???
朝から乙カレー
660通常の名無しさんの3倍:2006/05/26(金) 16:39:37 ID:???
ラクス式の洗脳術を昇華させたようなことをやってのけますな、IIIマユ(褒め言葉)
661通常の名無しさんの3倍:2006/05/26(金) 18:56:17 ID:???
III氏乙!
このまま行けばシンが良い感じに更正しそうな気がするw
がんばれヴィア!
662纏め人 ◆rw1maYUY1g :2006/05/26(金) 19:03:08 ID:???
新スレ建てました。
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1148637555/

III氏さま、投下お疲れ様。
663通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 05:17:42 ID:???
埋めage
664通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 05:19:07 ID:???
埋めage
665通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 16:10:39 ID:???
埋めついでに質問だが

マユの日記
ふたりでおるすばん
坂本真綾スレ

このスレ住人は他マユ関係のスレにも行く?
それともここだけ?
666通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 17:25:59 ID:???
他スレのマユは特に興味ない
普通の妹キャラって位置づけだからここと別人で当たり前だし
667通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 18:32:29 ID:???
SS系スレをいくつか周回しているが特に他マユにこだわることはない
668通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 23:07:17 ID:???
うめ
669通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 23:16:26 ID:???
埋めるのならageないで
670通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 23:19:08 ID:???
  ___,.、-――‐-..,,_
 ,.-‐''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶、
'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\    今日も二人でおるすばんだね
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. ::::::::::ヽ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :. :::::: :. ::::::::::::',
  :: .::::::::::::::::: : :: .. :::: ..::: . :. .::::::::::::、::'、
:::. :::::::::::::;:::::::::. .:. ::::::::l、::::::::::..:. :::::::::::::ト、!
::::..::::l、::::ハト;::::::::::::;:::::::l_ヽ:::l!:;::::::::::::::::;:'" ̄ ̄`ヽ
::::::、::l,.ヽ!ミ、';::::::::ハ::::/f''_テリf!::::::::;:−''" ̄ ̄`''┴ -..,,_
::::::',〃 {,.-''} ヽ/ `´┴―'´l::/'" ̄ ̄`ヽ       `ヽ、
::::::::ヽ"´ ̄  .::        ,.'´/::::::::::::::::O::j   ,.-― 、  ヾ´
::::::::::;ゝ     ',      /  ヽ、___,. ‐''´   ,'::O:::::::::ヽ  `
:::::::::::ヽ    ‐-- ‐''   ,'      .... ‘    l:::::::::::::::::::',
:::::::::::::::`ヽ、   ´  ,.ィ        `     ヽ:::::::::::::::::}
ゝ、::::::::::::::ヾヾ'' ー‐'' {               ` ー‐ ''
  `ヽ、::::::::::ヽ \  /ヽ
 ̄` 、`丶、__;>‐ァス''" ̄`ヽ、
_    \ ヽニフ'" ̄ ̄ ̄`''=r-;...,,,__
..`ヽ、   ヽ ' 、        l |      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ` 、   (        |  |
ー――- `ゝ、 {_       _,l_,!-- ....,,,_
__ - ァ‐''" ̄`ヾr‐r―‐''"´         ` ''−-..,,_
 /  _ ‐  ̄ ゙ヽヾ\                  `7‐- 、
/  /  _,. -―――‐ゝ、                /:::::::::::::
 /  /          `''ー-、            /:::::::::::::::

671通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 23:24:14 ID:???
       /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ミ
        /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
       /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:,、:ト、:!:.:.:.:.:.:.:.::.:.ヽ、
      /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ:.:.l´リ_!:ト、:.:.:.:.:.:.:.::.:ヽヽ
    /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ト、:.:.:.:.:.! ∨イノか ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.\
    |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l、|,.lA:.:.:.|    ゞ'"´  ',:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.\
    lハ:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:|イノか``        !、:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.ヽ__
      lハ:.:.:.:.l\:.:! ゞ'"´  ヽ ,.. 、   ハァ\:.:.:.:.:.:.:.:ヽ ィ´  `丶、
      ヽ:.:.|:.:.:.ヾヽ    <´ 丿 / /   `ト、:.:.:.:.:ヽ!     `ヽ、
          ヽ!:.:.:.:.:.:.:.丶 __   `´   / /     |  `` く,.ゝ、      `!
          ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.: ̄:.TT、´/      !    |ヽ:.:.:\     _|
          \:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:| ヽ/     , ‐ァ'⌒`ー 、__:.:.\     ``
            ヽ:.:.:.:.:|ヽ/ |/メ\  / / / ,.イ   \=、Tヽ  /
             ヽ:.:./´ //:::| / ヽl / // / / , -‐   ヽ| |  \
              /:.l |/:::,イ:::::! |   lイノ-/ / / / 、    ,イ !   \
               /:.:.| lヽ/ノ:::/ ! |\/ `´ト'='-<ヽ--イ//
            |!:.:/! !| ,.イ__/   | lo   o !  {ヽニニ二´ノ\
              |:.l } // //|   ! !     /  ``丶、     ゚ 。\
             V | Y // !   | \   /       \    ゚ 。ヽ
                | !`' | |    !  ``´           \
                l |  l  !   ヽ              `ヽ、

672通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 23:25:11 ID:???
マユ・アスカ     /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
     /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
    ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
    l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,、:.:.:.:.、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
    lイ.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.lメ.:.:.:.lヽ..:.:.:.:.:.lヽ.:ト、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
    ' l/ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l,.ィミ、:l \.:.:.:.l メニ弍、.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
.     i! l!.:.:.:.:.:.:.:.:ト;!ト-、)ヽ  ヽ、l 彳ヽ、,lヾ、l.:ト、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
 '"´ ̄ ̄`!.:.:.:.:.:.:.:l、'、ヾ―'      `  ゞ=‐'-  l.:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
      ヽ.:.:.:.:.:.:.トヾ'、     ' ::::::::       l/ヽ、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
―、     `ト、.:.:.:.ゝ     __`           r-イ`ヽ、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,.-‐'"
  \ \   ヽ ̄l \   l'´ ̄ヽ     , '  l    ̄ ̄ ̄ ̄\
    ヽ、 \  ヽ丶 ヽ、  `ー‐'   ,.、-'´   l           !
      ) ヽ   ヽヽ  ヽ、  ̄ _,.ィラ      l           l
         l    ヽ'、    ̄ /`lヽ      !          ∧_
         l     ヽ'、    / ヽ \    !           、 `ヽ

673通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 23:27:05 ID:???
        /                            ',
        /                             ヽ
      //                              ',       ,.イ,ィ
     -'-イ           ,ィ /      l  ∧         'r、__    / '´-‐ =‐
       /          ,イ/ lハ     /l /`゙ヽ ト,        l   `ヽ、/    /ィ
      l             //≡lミ|   / /´ィ'"テリミ!            ヾ',   /
      ! /       /,イ´,ノ:トl , '    ´ ビ´::::l `!            r'− '
     ,.‐j´       / 、ビ;;:シ |/        ̄` /,.ヘ         /
  _,,.ィ /        ∧ u      .:::::: '       /´ |ノヽ、     _,.∠__
ニ、__r'´        ノヾ', u        '         !イ フ−‐T     `丶、
  { {       ,.‐'´` r‐ヽ      ,. -=-、     , ' l/  /         }
―''ベ` ー r―'"´    |  \     {:::::::::::::::}   ,.ィ´  /   /          ',
    \ \     |   `丶、  `'‐:::::‐'  / /   /  /        /   '、_
  __....,,,,__\ ヽ     |       ` r 、 __ /    / , '        ノ      ヽ、_
 ̄    `ヽ、__l     !       /`ヾ        / /         j          `'' 、
         l    l     ,.イ|   }      /, '          /   /    /    \
         '、    l   /| !|  /ヘ     /′          !  /    /       `ヽ、_
         ,.ィヽ   ''ー''´ _j,.イ`'"r'",.ベ    /           /'´   ,. '´
      ,.-ィ´ !|     /ィ/rTl<   >、__ノ           /   /

674通常の名無しさんの3倍
                                   、
                             __,.:-―-ゝヽ、 ,、
                            ,.-''"::::::::::::::::::::`::}
                           /::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
                         -='ィ:::::::::::::::;::;::::、:::}:i::::::::::;:'、
                          /;:::::/::i::::ハハ:::}ト;トl:::::::l、;ヾ
                             '"{:::{:::::l;:{リ , l/ ‐''jィ::::Kヽ、
                            ヽl;:::::ヾ   _  j::;ノ-ヽl`ヽ
                             ,ネ、lfヽ,´   ,イ"j  |{  ,>、
              _,,............,,_           {',', 1l  ,ニ「 ,-lニニ,」/  }
            /:::::::::::::::::::::`丶       ',ヾrl '",ィヽト―1{ { //   /`r、
             ,.'::::::::::::::::::::::::::::::::::::',       {ヽヾ´ノ }  !:::::::lヾ,/ - ニイ.  } ト、
          /::::::::::i;::::::i:::i;:ト;:::::::::::::!        ! `ヾ<__  !:::::::l rl  ´ 「  | |:::
          l:;:::;:::/ぅ;、ルィぅミ::::::i、::}         |   {ヾヘ ト、:::::ヽ|   |  //:::
          "ヽl::} ゞ';::  "" l:::::l'::;'        |   」__「,.、」-ゝァ'-、  l  //:::::
             {::ヽ ‐-   ,イ::::i:::{       | -''"~ 」」;-<´      l ノ/::::/
            ';::::::;丶,.-'"ノ}:::ノ::::}   __{  __,r;´  \ヽ  _,.-''" ̄ ̄ ̄
           ,-r'、」´フ X´ .L/ ̄丶 ̄   /  ̄r'" ヽ   ヽ>'
          / / 、j:| 'ィメ゙ヽノj/   ,}    ,   /,  .r''`ー‐''"´
          / ト, /リ <ノl」 /l/f   /    ,  '、_,j!/
           /  ト,{.  i」!リ {「7  /!    ,
           /  |ヽ | ト、」y'  / !    ,
.        /   j  l } } j'   /  {     ,
       /.     { |/ Y   ,/   ',    ,
―――r―┴ュ_  j  l'`7   /    j   ,
   r;┴――┴-、!_」 /   /、_ ,.ィ   {            __,,.. ‐―‐ 、
.  r''"フ" ̄`ヽ、 ̄    ̄ ̄`丶、  ',   |     ,. -‐ ''"´ ̄
.  {  {    、 `ヾ=――‐''"   _, }___ |     /
  ヽ ヽ   ヽ、__ヽ  _ ‐'" _ ‐'  ノ‐'"´ ̄ ̄ ̄|
幸せだった日々