「むう、参ったな…」
自業自得はいえ、散々だ。
「シンジ君に続けて、大失態だな…カトル君、まだあのテクを知っていなかったとはな…。
てっきりヒイロやトロワたちに手ほどきされているかと思ったが…悪い噂、たたなければいいが…」
ぼやきながらアークエンジェルの通路を進んでいた俺は偶然顔見知りを見つけた。
それは最近αナンバーズに配属されたMSパイロット、キラ・ヤマトだった。
キラはぽつねんと通路に立ち尽くしている。どうも様子が変だ。
地球に降りてからのキラは元気がない。
そのまま素通りしようかと迷ったが、結局俺はキラのいる通路へと進んだ。
俺の気配に気づいて振り返ったキラに声をかける。
「キラ君!こんなところに一人でどうした?」
「別に……なんでもありません……」
虚ろな目で俺を見つめながら抑揚のない声で答えた。
「なにかあったんだろう?俺に話してもいいんだぜ?」
「……あなたには、関係ありませんから。放っておいてくれませんか?」
キラの投げやりなもの言いに、俺は何故か無性に腹がたった。
「そういう言い方はないだろう!キラ君!俺たちはともに戦う…」
肩をつかもうとしたが、
「さわらないで下さいっ!」
キラは俺の手を払いのけた。
「キ、ラ君…」
俺は呆然と声を失った。キラは震えていた。
「…僕に触れないで下さい。一人に…してください…お願いします」
両肩を抑え涙を堪えながらキラはそこから立ち去った。
(そんなに苦しんでいるのに、何故俺に相談しない。俺が信用出来ないからか?
一緒の小隊で戦い、君は俺を援護してくれたこともあった。俺が君を庇ったことだってあった。
それなのに、君にとって俺はそれだけの存在でしかないのか?)
「キラ君…」
俺はその場から背を向けた。一度振り返って目をやると、
反対方向へ進んでいたキラが両手で顔を覆い……泣いていた。
俺は一瞬目眩を感じて、愕然とした。
(何故、キラ君だけを他の奴らと同じように見れないんだ…俺は)
夜…眠気がささない.
戦闘の疲れは溜まっているのだが…
目を閉じると心臓の鼓動が俺の頭の中に響く。
俺の神経は今、かなり研ぎ澄まされている様だ。
ここ数日の敵との激しい戦闘は、俺の心に無意識のうちに、
しかし確実に恐怖心を植え付けたらしい。
「戦闘のプロともあろう者が…」
夜、独りになるとこの恐怖心が俺を蝕みはじめる。
安らぎだとか、闘争心だとか言った生きる武器を
俺から奪って行く。それが夜通し続くのだ。
だから俺は眠れない。眠らせられない。
「……。」
キラ・ヤマト…新人のMS乗りか…
今日、俺はあいつのMSをかばった。
運悪く、グレートの装甲が耐えうる威力の攻撃ではなかったらしい。
グレートは中破した。アストナージが言うには整備に数日はかかるらしい。
グレートが治ると聞くまで、俺は心の中で震えていた。
正直言ってぞっとした。俺からグレートを取ったら何も残らない。
皆の足手まといになるのが恐かった。
俺のところへ詫びを入れに来たキラは相当脅えていた様だった。
新人が入ってきた時、俺はどうも恐い奴だと思われがちらしい。
目に涙を浮かべて必死で俺に謝るキラをなだめるのには骨が折れた。
それにしても…いっちゃあ何だが キラは美形だ。
人の器量にどうこう言うのはあまり好かないが、初めて彼を見た時は
本当に女だと思った程だった。
サラサラとした茶髪に紫がうっすらとかかった黒い瞳、
これでロボットの操縦ができるのかと疑ったくらい細く、すらりとした手足。
要するにどれを取っても俺とは対照的な訳だ。
人は自分と違うものを持った人に惹かれると聞いた事があるが…
…ん?惹かれる?
ここまで考えて俺は自分で吹き出してしまった。
バカバカしい。男が男に惹かれるなんて…
…汗をかいた。なんだか鼓動が少しばかり早くなった気がするが、例の恐怖心のせいだろう。
4 :
通常の名無しさんの3倍:2006/02/09(木) 09:14:31 ID:DcfdGrE0
ああえあたあああああ
あ
あああああ
ううう
なはゆあ
なまた
かかかかか
たた
あ
あ
おくかなにた