もしシンじゃなくてマユが主人公だったら12

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1纏め人 ◆rw1maYUY1g
このスレは、機動戦士ガンダムSEED DESTINYの主人公がシンではなく妹のマユだったらという
二次創作SS小説そして妄想スレです。
必読事項↓
・マユ・アスカが主役で、運命キャラがメインです。
・概要抜粋型(短い)と小説型(長い)どちらでも可
・シリアス及びギャグ何でも可
・煽り荒らしは、スルーしましょう(重要)
・作者叩きは、禁止
・「○○イイ!○○○イラネ」などの特定職人マンセーはあまりよくないです。
意見がある人は各職人様にアンカーをつけてレスしてみましょう。
その際
「○○○の部分が、○○○のようにおかしい」
「○○○のような書き方は気をつけた方がいいと思う」
等、言いたいところをできるだけ「丁寧に」書いてレスして下さい。
誠意ある質問には必ず誠意ある返答がある筈です。
質問は見やすいようにコテハンをつけておいてもよいかもしれません。
より良い作品・スレ作りにご協力下さい。
「面白い」って意見も、ただ「乙」とか一言で済ませるんじゃなくて、「○がよかった」「○に感動した」とか書き込むと、
物書きにとっては何よりの応援になります。
その作品にのめり込んでるなら、その作品でキャラが起こした行動自体に対して、叫ぶのもいいと思います。

・職人常時募集中

避難所兼雑談所のアドレスは、過去ログ(パート2)にありますのでご自分で探索してください。

前スレ
もしシンじゃなくてマユが主人公だったら11
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1136115638/

その他関連スレ↓
新キャラメインでDESTINY学園開校5
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1136183145/

まとめサイト兼過去ログ置き場
http://members.ld.infoseek.co.jp/rurukubo/mayukako.htm

絵板
http://bbs4.oebit.jp/mayuseed/bbsnote.cgi
2通常の名無しさんの3倍:2006/01/27(金) 20:28:00 ID:???
まあ、マユを主人公にすると―― (パート1 710より)

1.子供だけど赤服。努力と才能と、周りのサポートで頑張る努力型の主人公という前作との差別化。
2.1.と付随して周りのキャラが主人公を面倒見ているので戦艦内の人間関係の描写が濃密になる。
3.種持ちとはいえ、決して天才ではないので時には失敗する。その挫折を乗り越えるクライシスと成長ドラマが主軸になる。
4.才能はあるとはいえ、子供。故に戦争というものを多角的に見えない。戦争の現実を直視することにより、視聴者にも問い掛けることができる。
5.戦争で家族を失った遺族側の視点で前作への問題提起。それにより改めて遺伝子操作やそれに伴う差別問題を浮き彫りにできる。
6.5.に並んで国家と国民の有り方、理想と現実。そして、享受できる平穏と犠牲となる存在、為政者の義務、前線で戦う兵士の悲哀などを生々しく描写できる。
7.死んだと思っていた兄との対面、思想の違いによる対立を生む戦争の悲劇。そして、マユという妹から一人の人間としての成長を描ける。
――こんな感じで激動の時代に巻き込まれた一人の人間とそれを取り巻く環境の変動を主軸にしたドラマが描けて面白いんだよね。
シンよりさらに人間的に未熟な分、周りの人間の意見を聞く――色々な視点・意見を知る――ことにより、
現実はそう単純なものではないってことが演出できるわけで。
3通常の名無しさんの3倍:2006/01/27(金) 21:21:26 ID:???
新スレ乙
4ほのぼのマユデス。MAYUDES BLOOD:2006/01/27(金) 23:08:01 ID:???
新スレ乙です。
ほのぼのさんが話も書かずに何してたかっていうと必死こいてこれ書いてました。
とりあえず・・、ハイネ隊だけ。その他のキャラもがんばって製作予定。
きっかけをくれた絵版の風さんに感謝。

キースの扱いについては何も言わないでください。だってこれ以外なかったんだもの。

ttp://members.ld.infoseek.co.jp/rurukubo/cgi-bin/img-box/img20060127230358.jpg
5通常の名無しさんの3倍:2006/01/27(金) 23:14:03 ID:???
>>4
とうとう絵までやっちまったか。
ほのぼのさんが型月に染まりきってんのは本文見りゃ分かるが、これはちと
やりすぎじゃねーの?
6通常の名無しさんの3倍:2006/01/27(金) 23:56:35 ID:???
ほのぼのさんよ、月ネタはマジ自重してくれ
7通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 02:33:52 ID:???
乙です
8通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 04:56:23 ID:???
スレ立て乙であります!
>>5-6面白いから別にいいと思うけどね?湧いたらやめるってことで良くね?
9通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 05:42:47 ID:???
そもそも湧かせないほうが何倍も重要だろ。湧いてからじゃ遅すぎる。
10通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 08:19:22 ID:???
湧かせるために執拗なほど型月ネタ繰り返してんじゃ・・・? と思っていた時期もありました
11通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 10:13:10 ID:???
>>10
そんな言い草はないんじゃない?
12通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 10:22:16 ID:???
乙>>1
ほのぼの氏の月ネタはな…漏れの記憶だと過去に一度やめようって話になったはずだが、いつの間にかまた月ネタだらけになったな。
現に今荒れそうになってるし、ほのぼのさんやっぱり自重すべきかも…
13通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 10:23:04 ID:???
月がなにかを知らない漏れはついてけん・・・・・・
「月」・・・「ライト」・・・「デスノート」・・・月でヲタク連想できるのはこの程度。
14通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 12:11:36 ID:???
月で連想できるものなんて言われても月光蝶くらいしか思い浮かばない小生ギンガナム
15通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 12:29:55 ID:???
俺は、月といったらセーラームーンだろと言いたくなるなw
16通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 13:12:47 ID:???
前スレで舞乙opが隻腕にマッチするなんていわれてたから考えてしまったorz
素材がなさすぎてマッド作れねえじゃんorz

<チラシの裏>

イントロ。
洋上を進んでいくミネルバが映し出され、甲板上に並ぶ4体のMS。
インパルスの横顔バストアップ、正面斜め上アングルの無限正義、レジェンドは正面から、腕を組み画面を睨みつけているようなデスティニー。
彼らの見る先には戦闘の光。MSを何機も打ち落とし連結ライフルを構えるストフリ、タイトルロゴ(種死のopのアレ)

歌開始。(〜ここに立ってる〜まで)
ステラ、スティング、カガリ、タケミカヅチクルー、そしてアウル。
散っていった(一部そう思われる)人達の白黒映像(バンク?)をバックに、目を閉じたマユの横顔。
最後に発狂したような様子のシンが画面に向かって手をのばしたところでマユが目を開く。頬には涙。空を見上げ場面転換。

(〜本当の意味を〜まで)
豪奢な椅子に座り猫を撫でながら指示を出すジブリール、それを直立しうすら笑いを浮かべ聞くネオ。
ライブにはげむミーアと、劇場のボックス席から見下ろすデュランダル。微笑から、悔やむような表情に。
キラ、マリュー、虎、ラクス、サイetcの登場済みAAクルーが並び、ストフリの掌に立つマユを見上げている。

(〜引き返せない〜まで)
憂える表情で義手を撫でるマユ、背景はストフリフルバースト。
ドラグーンを放つレジェンドを背に何かに腰掛考え込むような姿勢のレイ。手には例の薬。
フェイスの証を見つめるアスランのバックでは無限正義が雑魚を切り刻む。
そして狂った目つきのシンは顔面を抑え、デスティニーがアロンダイトを構える。
(この辺種死OPのキャラ立ち絵+MSの見せ場のやつを連想してください)
ストフリがAA(クサナギでもいいかも)から発進していく。

(〜光のない世界でも〜まで)
インジャスとストフリが切り結ぶ。アンカーをかわし、接近するもサーベルつきキックに一旦距離を。
そこに降り注ぐドラグーンの一斉放火。両腕のビームシールドを展開しそれを防御、腹のビームで反撃。
二機が離れていくのを不審に思った様子でストフリが振り返ると、そこにはアロンダイトを頭上に掲げたデスティニーが。
振り下ろされる斬艦刀。とっさに動くことのできないストフリ。片腕を切り落とされるも、ビームライフルを抜き左肩を打ち抜く。

(あなただけみつけられる〜まで)
(↑から続いている)画面二分割され、それぞれに咆哮し向かっていくコクピットのマユとシン。
今にもお互いをサーベルとアロンダイトが切り裂こうというところで絵がとまり、薄暗い色調に。
それを背景に画面両端で、互いを見据えるシンとマユの横顔でop終了。

<チラシの裏>

隻腕作者氏スマソ
17通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 15:14:58 ID:???
>>16
くそう、曲聴きながら想像しちまった
個人的にはマユにストフリに乗ってほしくないんだが、上手いじゃねぇか
18通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 15:20:25 ID:???
>>13-15
月は出ているか?

>>16
>>1-1000の中に、アニメの描けるお客様はいらっしゃいませんか
19通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 16:22:19 ID:???
どの作品とも、ここまでの舞乙隻腕OPとも
まったく関係の無いところで妄想した物を投下してみる。
ttp://members.ld.infoseek.co.jp/rurukubo/cgi-bin/img-box/img20060128162017.jpg
20通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 16:35:24 ID:???
>>19
GJ!!
どの作品を念頭に置いてるんだろ・・・・象徴的でいい絵ですな

絵師の方々にも、もっと色々見せて欲しいなァ
21通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 16:38:58 ID:???
>>16
最後のシーンは、3期のラストで運命とストフリが斬り結んでるあの一枚絵が良くないか
あの絵だけはマジで格好良いと思った
結局、同人アニメじゃ実現しない幻のシーンで終わってしまったが…
22通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 16:52:45 ID:???
ストフリとデスティニーが斬り合う場面といえば
確かコロコミかボンボン(だかは忘れたが)に掲載されてたとか言う
お互いがボロボロに破壊されながら、それでも戦い続けようとしてる絵がよかったなぁ
保存し忘れたからうp出来ないのが残念だorz
23通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 17:36:29 ID:???
24通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 17:40:10 ID:???
単発設定小話 「マユとステラ」

〜ディオキア沿岸、崖の先端。水平線を眺めていたマユ〜
ステラ「fhhu〜n...fufufyu〜ruru,rururyu〜♪」
マユ「ん・・・あの人・・・・・・」
ステラ「fufu〜fhh・・・―――」
〜崖の先端から突然姿を消したステラ〜
マユ「わぁ!?お、落ちたっ!!・・・え、え〜!!えっとえっと・・・あ、助けに行かないと・・・」
〜とりあえず下を覗くマユ〜
マユ「わ、やばいじゃん。あの人溺れてるよ!」
ステラ「ん〜!!わっぷ、ごぼごぼ・・・ぶく・・・・・・わぷ!!ひゃ〜ひゅひゅ・・・・・・」
〜崖を下り、海に飛び込むマユ〜
マユ「ちょっ、大丈夫ですか!?あ、ちょ、暴れないで!くぅ、あっぷ・・」
ステラ「んん〜!ごぉぅふっ、うぷっひゃ、ひゃ・・・」
マユ「暴れないでって・・・死んじゃうよー!ねぇ!ちょっ」
ステラ「<ギュビィン>あ、あ、死・・・ぬ?・・・イヤーー!死ぬの・・いやぁぁぁ!!」
マユ「!?えっ!なに?あ、暴れないでよっ!!・・・もうちょっとで岸辺だ、だからね!」
〜なんとか岸辺にたどり着いたマユとステラ〜
マユ「・・・この人・・・・・・なんだろ。コーディネイター・・・じゃないわよねぇ。なんか、違和感が・・・」
ステラ「・・・ん、・・・・?ここ・・・。あなた・・・だれ?」
マユ「あ、気がついたのね!大丈夫ですか?」
ステラ「うん・・・ステラ・・・溺れた・・・・・・の?」
マユ「ステラさんね。もう大丈夫よ。さっきエマージェンシーコールしておいたから。すぐ私の友達がくるから」
ステラ「ステラ、戻らなきゃ・・・」
〜焚き火にあたるマユとステラ〜
アスラン「あそこか。ったく、なにをやってるんだ。マユは・・・」
〜迎えにきたアスラン〜
アスラン「お〜い。マユ!大丈夫かぁ?」
マユ「アスランさ〜ん!ステラさん!行きましょ」
ステラ「うん・・・・!?あ、スティング!」
〜同じくステラを探しにきたスティングとアウル〜
アウル「ステラ〜!無事かぁ?」
スティング「ザフトの隊員さん。すいませんね。うちのがご迷惑おかけいたしまして・・・」
アスラン「ん、ああ。いやお互い様です。とにかく無事でよかった」
〜小走りにかけよるマユとステラ〜
マユ「ふふ、じゃここでお別れね。ステラさん」
ステラ「・・・うん。ありがとう・・・・・・」
アスラン「マユ!帰るぞ」
〜アスランの車に乗り込むマユ〜
アウル「ステラ〜。カフェに忘れ物しちゃダメだぞ?」
ステラ「あ、シンの携帯。・・・うん、アウルありがと・・・」
〜アウルの言葉に反応するマユ〜
マユ「!!・・・あの携帯!?それに、シンって言った?・・・ステラさん、あなた・・・・・・まさか・・・ね。」

25通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 18:14:44 ID:???
>>19
神画ぐっじょぶです!!
いい構図ですね…セル画っぽい塗りもきまってますし。
速攻保存しました! すばらしい絵をありがとう!!


確かに、絵師様が少ないのよねこのスレ……
自分も下手なりに描く人間なんだけど、SSとは掛け持ち出来ないんだよなぁorz
26通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 18:18:25 ID:???
>>23thx
スレ住人の妄想を具現化したような素晴らしい一枚
27通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 18:45:49 ID:???
ところで、マユが主人公だったらふたご姫やプリキュアみたいに
マユの絵が描いてある子供用の赤服が売り出されるんだろうか
28通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 18:49:31 ID:???
少女向けガンダムってどうなのよ?見てみたいような、見たくないような…
どちらかというとヲタグッズの方に商品展開すると思うんだが
種だし
29通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 18:53:20 ID:???
小林源文に書いてもらおう>マユ種
30通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 18:59:50 ID:???
とりあえずどっかのバカ親がコスプレさせそうだが

コアな客向けでない商売、成立させる余地あるかなぁ
てか、そういう商売するような路線で行ったら、このスレの今の住人のかなりの部分が呆れて去ると思うw
31通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 19:17:05 ID:???
>>29 隻腕じゃなくてマユが隻眼になるぞw
32通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 19:23:00 ID:???
隻腕マユだったらタケミカズチの施設を再現したおもちゃが出そうだ
「アニマル横町商店街」みたいに人形つきで。
33通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 19:27:54 ID:???
>>31 詳しく
34通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 19:31:18 ID:???
>>31
マユが「俺のケツを舐めろ!」とでも言い出すのですか?
35通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 19:44:29 ID:???
滝沢聖峰でもいいな。
36通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 19:48:56 ID:???
>>34 いや、こうだろ

キラ「君はどうして戦うの?」
マユ「うるせぇ!このオカマ野郎!」

BLAM!

キラ「ひでぇこれだよ」
37纏め人 ◆rw1maYUY1g :2006/01/28(土) 19:57:49 ID:???
>>19
まとめサイトのTOP絵に、使用させていただきました。

もし問題ありなら、前のに戻します。

3816:2006/01/28(土) 20:25:06 ID:???
>>21
極力ロゴ以外は同人ウニメと全く同じ絵は使わずにやろうと思ったもんで。
てかもともと前スレで誰かがあうんじゃねーかって言ってた
vestigeにあわせたやつを妄想してたんだよね。
16で書いたのが運命とストフリの後期仕様なのはそれも理由だったり。
でもそういわれるとそれもありかも>ラスト

てか俺は人の作品で何勝手に妄想opやってんだorz
39通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 20:50:47 ID:???
同人言うの辞めような。頑張ってる同人に失礼
40通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 21:10:29 ID:???
隻腕書いてるものです。

16様、前スレ578様、好きに弄ってもらって構いませんよw
>>16のOP……いくつか違ってくる部分ありますが、最も大事な雰囲気は非常にマッチしてますし。
(どこが違うかはネタバレになるので伏せさせてもらいます)

これからも好きに弄ってもらって構いません。
正直、自分はガンダム以外はほとんど見ないもので……
こういうことでもない限り、この曲もスルーして知らないままだったでしょうしね。
4119:2006/01/28(土) 21:50:41 ID:???
レスくれた方どうもです。
でもアニメOPのマリューとネオのヤツ意識して描いただけですよー。

>>纏め人様
問題ないです。恐縮です。
42舞踏の作者:2006/01/28(土) 21:59:14 ID:???
運命の舞踏9話を投下します。

今回はマユの回想中心です…
43舞踏9話 1/18:2006/01/28(土) 22:00:39 ID:???

ざぁん、ざぁんと。
規則的なリズムで紡がれる水音が、海に立つ波によるものだと気付いた時。
アスランは、気絶こそしなかったものも極度の疲労の影響で朦朧としていた意識を、ようやっと確かなものとさせる。
熱で焼けたせいか、ノイズとデッドピクセルが五割がた埋め尽くす正面モニターには
呆れるほど真っ青に突き抜けた、晴空が広がっていた。

自分が機体ごと、仰向けに寝転がってる姿勢に気付いた彼は
次に、現在の状況を把握すべく、脳内に散らばってしまった記憶のピースを、のろのろと拾い集めはじめる。

確か自分は…ミネルバと共に無人機を追い、地球へ降下する際
無人機の特攻を受け、降下軌道外に跳ね飛ばされたインパルスを連れ戻すべく
スペック上はギリギリ可能だったとはいえ、大気圏真っ只中を駆け抜け、
引き寄せたインパルスともども、ミネルバの後部甲板に命からがら着艦したところまで、思い出す。

――それから、どうなった?

続く記憶の破片を見つけられず、困惑したように顔をしかめる青年。
波の音が間近ですることと、伝わる振動が海上で揺れる船のそれと同じことから、
ミネルバと共に、地球に降下していることは明らかだった。
問題は、何処にいるかだ。
疲労のため重くなった腕をゆっくり上げて、コンソールのキーを数度叩く。
画面の隅に立ち上がるマップ画面。 自機の位置を示す赤い光点と、地図の全景を見比べ…

「オーブ領海に近い…か。 少しはマシな場所だな」

掠れた小声で呟きながら、アスランは目を閉じる。
ミネルバから伝えられていた予定降下ポイント、カーペンタリア基地周辺からは大きく離れていたうえに
少なくともプラントと友好的な関係ではない国家、大西洋連邦の領海内に着水した模様だったが
ミネルバに乗艦しているカガリが代表を務める、オーブ連合首長国の領海に比較的近い位置だった。
これが不幸中の幸いと言えただろう。 迅速に動いてオーブ領海に入れば、ミネルバの安全はまず保証される。
44舞踏9話 2/18:2006/01/28(土) 22:02:00 ID:???
安心したところで、もう一つ浮かんだ疑問。
自分が助けたインパルスに乗っていた少女、マユ・アスカの安否――。

「大丈夫か? マユ・アスカ」

確か、大気圏中で回収した際には、呼びかけに応答がなかったはずだ。
一抹の不安を覚えながらアスランは、もう一度同じ言葉を繰り返す。

『………大丈夫です。 さっき、気がつきました…』

幾らかの間を置いて返ってきた、少女の声。
苦しそう、というよりは気だるげと表現した方が的確な響きに、怪我はなさそうだと判断したアスランは、安堵の息をついた。
念のため相手の機体状態を確認すべく、ザクのモノアイカメラを横手へと動かす。
すぐ隣に見えた、白いGの姿。 今の自分と同じように、甲板の上で手足投げ出して仰向けに転がっていた。
見た感じ深刻な外傷のないそれを見て、アスランはインパルスの性能に舌を巻いた。
同じように大気圏突入をしたというのに、四肢の駆動系が完全にやられ、指一つ動かせない自分のザクとはえらい違いだ、と。

『……助けてくれてありがとうございます、アスランさん』

思考していたところに唐突にかけられた、少女からの感謝の言葉。
一瞬、何のことやらと他人事のように目を瞬かせていたアスランは、やがてその意味に気付き、微かに笑み見せる。

「ん? …ああ、当然のことをしただけだ。
 それよりも、そっちは動けるだろう? 早く機体をデッキに入れておくんだ。
 君も、コクピットシートよりは自室のベッドの上で休みたいだろう?」
『はい…そうします』

彼の言葉に促され、軋むパーツが奏でる盛大な駆動音と共に、インパルスがゆっくりと身を起こしていく。
その過程をなんとなしに眺めていたアスラン。
不意に。 彼の耳へと、機械を通した少女の小さな声が届く。
45舞踏9話 3/18:2006/01/28(土) 22:03:24 ID:???
『…あの、アスランさん』
「うん? なんだ?」

若干固い響きで綴られた、自分の名を呼ぶ声にアスランは小首を傾げる。
あいにくと通信系統がイカれているため、声のみの彼女がどんな表情をしてるかは分からないが
どこか、ためらいながら話しているように感じていた。

『あの、なんで……なんで貴方ほど強い力を持つ人が、オーブなんかに留まっているんですか。
 非戦を掲げる国より、プラントに居た方が多くの人の力になれるはずなのに…』

腹の底から搾り出したような、囁きほどの音量の言葉を聞いて、藍髪の青年は驚いたように目を丸めたが、
やがてゆっくりと瞼を下ろすと、ふっと吐息してからゆっくりと口を開いた。


「…情けないヤツ、って言われるかもしれないがな。 俺はもう、戦いたくなかったんだ。
 あの戦いで、あまりに多くの人を失った。 親を、友達を、同胞たちを…。
 そして、それと同じぐらいの人々を傷付け、殺した」

ぽつりぽつりと、青年がゆっくりと語る言葉に傾聴しているのか
長い間を置いて紡がれていく言葉に、割り入る声はない。

「…戦場で人を撃つのは、最初は怖いがすぐに慣れる…って、言われたことがあるよ。
 誰かを撃つこと、誰かと殺し合うこと。 そんな非日常的な事態にも、人間はすぐに順応できるんだと。
 …だがな、いくら慣れたとしても、それは感じないだけで無くなったわけじゃない。確実に積み重ねられていく。
 そして、人を殺したという罪の存在に気付いた瞬間、人間はその重さで動けなくなってしまう」

元来、彼は多弁とは程遠い人間なのだが。
まるで水槽のコルクが抜けたかのように、密やかに胸中で渦巻いていた感情が、言葉の奔流となって流れ出る。
それは初対面の少女が向けてきた疑問よりも、自分が再び戦場に立ったことによる影響が大きかったかもしれない。

「死んだ父の躯が目の前で浮いているのを見たとき、俺はそれを思い知らされた。
 …直接殺したわけじゃないが、俺が選んでしまった道の末に、父は死んでしまったんだと考えてるよ。
 ずっとザフトにいて、父の命に従い父を守っていれば、たった一人の肉親が死ぬことはなかったんじゃないのか、とな」

そう、彼がそれに気付き、今まで自分が歩んできた道をかえりみた瞬間。
人の骸のような無数のMSの残骸と、路傍の石さながらに転がる人間の髑髏(どくろ)の数々を、幻視したのだった。
46舞踏9話 4/18:2006/01/28(土) 22:05:02 ID:???
「…あの時、俺はここで死のうと思ったよ。 もう、何処にも行けないほど、重い罪を背負っていたから。
 せめて、父が最後に残した大量破壊兵器を道連れに壊すことで、少しでも罪を償おうと考えていた…。
 だがまぁ、どこかの誰かに説教されてな。 結局命永らえ、今はそのお節介なヤツの所で世話になっている」
『アスハ代表…ですか?』

沈黙を破り、そっと聞いてきたマユの声に、そうだと答える。

「もう、決してMSには乗りたくないと―― 思ったよ。
 命を奪うことの罪深さを知り、臆病になってしまった俺はオーブ軍に所属するのではなく、
 彼女のSPとして働く道を選び、今に至るというわけだ」

柔らかく目を閉じたまま、微かな自嘲の笑みを口元に刻んだアスランは、そこで言葉を切った。
一体彼女は、どんな感想を口にするだろうかと…多分、罵られるだろうなと思いながら彼女の言葉を待つ。


――十秒、二十秒と。 無言の二人の間には、長く感じる時間を置いて、それは紡がれた。

『……それでも、貴方は再び戦場に戻ってきたじゃないですか。
 多くの民間人が巻き込まれた事件に向かって、MSに乗って立ち向かっていったじゃないですか。
 貴方は……誰かを守るために、戦ったじゃないですか』

言葉を選びゆっくりと、しかしはっきりと聞こえる音量でマユは言う。
彼女が、どんな表情で喋っているのかは窺い知ることが出来ないが
それは静かに、それでも確かにアスランの行動を肯定するものだった。
そして、直接言葉に含まれていたわけではないが、彼には少女がこう言っている気がした。

――貴方は戦える。 誰かを守るために、戦うことが出来ると。

「……ありがとう」

立ち上がり、慎重な歩みでモビルスーツデッキへと還っていくインパルスの背を見つめながら
アスランはただ一言、少女へと礼を述べた。
そして、ゆるりと上げられる瞼。
その裏に隠れていた青年の瞳には、銅の燃ゆる緑色の炎に似た、固い意志の光が宿りつつあった。
47舞踏9話 5/18:2006/01/28(土) 22:06:24 ID:???
先ほどまでの暗い宇宙空間から一転し、平穏な青空と凪の海をスクリーンに映すブリッジ内では
艦長と副長が難しい顔をつき合わせ、今後の行動について話し合っていた。

「ともかく、すぐにでもこの領海を離脱する必要があるわね。
 このまま留まっていれば、大西洋連邦の艦隊に包囲されるのも時間の問題だわ」
「しかし艦長…この損傷じゃあ、カーペンタリアまで随分と時間がかかりますよ………」

口元に手を当てながら発言したタリアに、クリップボード型のモバイルと睨み合うアーサーは
参ったように頭をガシガシと掻きつつ、嘆息交じりに応える。

地球降下の際、突入形態を取っていたところで無人機の特攻を受け、
体勢を崩した状態で大気圏突入を行ったミネルバは、その影響で相当な被害を負っていた。
船底部の装甲は焼けただれ、機関部は熱の影響で調子の悪い状態だ。
その状況で、カーペンタリアまで迅速に向かうなどということは随分と無茶があった。
頭痛がしそうなほど深刻な事態に、二人は暗い顔で深い嘆息を付く。


そんな彼らの様子を見ていた第三者が、横合いから会話に入ってくる。

「艦長、オーブ領海へ向かおう。
 ここからなら、カーペンタリアへ向かうよりはよほど近い」
「アスハ代表…よろしいのですか?」

タリアはこちらへ歩み寄ってきた金髪の娘、カガリへと視線を向け、聞き返す。
いくら中立を宣言するオーブでも、他国の戦艦に領海進入されることを見逃すはずはないと考えながら。
しかし、カガリは大きく頷いてみせると、白い歯覗かせニカリと笑った。

「ミネルバには、私を安全にオーブまで送り届けるという任務があるんだぞ?
 これは正当な理由だ。 オーブ艦隊には、私から連絡しよう」

気風良くそう語った娘。 驚いたように顔を見合わせる二人の軍人を前に、きりと表情改める。

「今はまだ非常事態だ。 あれやこれやと気にせずとも、あとでつじつまは付けれるさ。
 このままじっとしていては、厄介な事になる…今はこれが最良の選択だと私は考える」
「…ありがとうございます。 ご配慮に感謝します」

恐縮したように淡く笑みながら、タリアは彼女の厚意に感謝し、それに従うことにした。
48舞踏9話 6/18:2006/01/28(土) 22:07:39 ID:???
『――これより本艦は、オーブ本島へと向かいます。 繰り返します、これより本艦は……』

メイリンによる艦内放送で告げられた、船の針路を耳にしながらマユは枕の上で、頭をころんと横向ける。
寝転がるベッドの上で、体勢を仰向けから側臥に変えると
眼前で掲げる携帯電話の彼方に、隣のベッドで横たわる赤髪の少女の姿が見える。
よほど疲れていたのだろうか、緩んだ表情で熟睡するルームメイト、ルナマリアの寝姿を見ながら思う。
自分がモビルスーツデッキに戻ってきた時は、あんなに騒がしかったのに…と。


艦内に帰還し、インパルスから降りたマユを待ち受けていたのは
彼女の身を心配し、ヤキモキしていた人々だった。
真っ先に駆け寄ってきたルナマリアには苦しいほどきつく抱き締められ、怪我はないかと何十回も聞かれ。
今にも泣き出しそうな表情を浮かべたアゼルからは、馬鹿馬鹿、マユの馬鹿などと繰り返し言われ。
仲の良い整備兵、ヴィーノとヨウランからはしつこいほど、医務室に行こうと世話を焼かれ。
いつも以上に口を固くへの字に曲げたレイには、任務より優先すべき事項を忘れるなと、くどくど説教された。

大勢の人間に詰め寄られ、マユは目を白黒させたりなだめたり、自分が無事である事を繰り返し説明し…
ついにはあまりのしつこさに、全員へ向けて悲鳴交じりのかんしゃくを起こす始末だった。

けれども、自分の無事を心から喜ぶ彼らからの、『おかえり』の言葉に
マユは思わず込み上げてきた涙をこらえつつ、『ただいま』と満面の笑顔で言った。


その後、医務室で簡単に検査を済ませ、優良の太鼓判を頂いた彼女は
休息を許され、姉のルナマリアと共に自らの士官室へ戻り、睡眠を摂るべくベッドに横たわる。

しかし…ルナマリアのようにすぐさま寝付くことが出来ず、一向に重くならない瞼は上げられたまま。
そして、手持ち無沙汰な様子で携帯電話を弄っていた。
パールピンクのカラーリングのそれは、本来なら鮮やかな色合いだったろうが
今となっては薄汚れ煤けていて、大小さまざまな傷もたくさん付いていた。
マユは思い出す。 自分の愛用する携帯が、このような姿に変わってしまったその瞬間を。
これから向かう場所、かつて住んでいた自分の故郷、オーブで遭った出来事を。

「…もう、2年近くに経つんだ…」

微かに開いた口元から零れ落ちた、小さな言の葉。
ぼうとした表情で携帯の画像ライブラリを見る彼女の菫色の瞳には
自分の両親や兄、友達、そして彼らと共に写る幼い自分の姿が、スライドのように順々に映りこんでいた。
49舞踏9話 7/18:2006/01/28(土) 22:09:05 ID:???
あの日、家族と共に、避難場所を求め走っていた時。
あの瞬間、目の前を飛んだMSと、激しい閃光を目にした時。
意識を失った私が、再び目を開けた時、真っ先に視界に飛び込んできたのは、眼前を埋め尽くす緑色だった。
節々が痛む身体をなんとか動かし、周囲を見回せばそれが木の枝葉なのだと気付く。
…どうやら私は運よく、爆発で倒れ込んできた木の茂みに入り込んでいたようだった。
多少の打ち身や擦り傷はあるものも、我慢できないほどの痛みでもないし、五体も無事で動かすことは出来た。

――とりあえず、今の状況がよく分からない。
目の届く範囲には、お父さんとお母さん、お兄ちゃんの姿も見えなかった。
家族の姿を求めて、私は枝葉をかき分け木の下から這い出す。
先ほどの爆発の凄まじさを思い出しながら…それでも、家族も絶対無事なはずだと、心に言い聞かせつつ
葉っぱを押しのけて外に出た私の目に飛び込んできたのは、見るも無残に抉られ焼き払われた荒地だった。

つい昨日まで緑溢れる場所だった、歩きなれた山道の面影はなく
燻ぶり燃える木々と、引きちぎられたような断面晒す根元ばかり散らばっていた。
その光景を前に、私は言葉も出せないまま呆然と立ち尽くすばかりで。
あまりの衝撃のせいか、何を目にしても心が動かない。
山肌に叩きつけられ、真紅を飛び散らせて転がる、壊れた人形のようなお父さんたちの姿を前にしても
叫び声一つ、涙の雫一つ出なかった私の心はすっかり凍り付いていたんだろう。

「……お兄ちゃん…?」

ふと、お兄ちゃんの姿が見当たらないのに気付く。
もしかしたら生きているかもしれない、私を探してどこかをさ迷ってるかもしれないと
絶望的な状況の中で唯一の希望を抱きながら、ふらつく足をなんとか支え、歩みだす。 一歩、二歩と。
五歩目の足を伸ばし、地面を踏んだ瞬間。 ピルルと場違いなほど高音のメロディが鳴り響いた。
それが自分の携帯のアラーム音だと気付いて、何処にあるのだろうと足元を探したその時。
…私は見てしまった。 時刻を告げる音楽奏でるピンク色の携帯を握る、お兄ちゃんの手を。
右手の肘から下だけしか残ってなかった、お兄ちゃんの姿を。
50舞踏9話 8/18:2006/01/28(土) 22:10:37 ID:???
まるでつっかえ棒を失くしたかのように、膝から力が抜け、ガクンと崩れ落ちる。
倒れ込む身体を反射的に腕が支えたけれど、それ以上動けない。 動きたくない。


誰もいなくなってしまった。 私の家族は。
みんな消えてしまった。 お父さんもお母さんも、お兄ちゃんも。
その事実を理解した瞬間、厚く氷張っていた心の湖面に亀裂が走り
大粒の涙と一緒に、途方もない量の感情の波が押し寄せてきた。


悲しくて悲しくてしょうがなかった。
幼い自分の小さな世界を形作っていた、一番大きなピースが突然無くなった。
寂しくて寂しくて胸が苦しくなった。
自分を愛してくれた人たちがいなくなったと理解した瞬間、心臓も肺もまるごとくり貫かれたかのように
胸にぽっかりと大穴が開いたように空虚な、そのくせ重くズキズキとした痛みが生まれた。

――もう、私には何も残ってない。

真っ白に焼かれた頭の中に、ただ一つ浮かんだ言葉。
その考えを否定したくて、私は震える手を眼前の『兄』へと伸ばし、引き寄せてかき抱いた。


それは以前のお兄ちゃんの手とかけ離れていた。
人ごみの中で、はぐれないように手を引いてくれた力強い手ではなかった。
壊れてしまったオモチャをまるで魔法のように直してくれた、器用に動く手ではなかった。
私が初めて焼いたクッキーの味を褒めながら、頭を撫でてくれた優しい手ではなかった。
マネキンのそれのように、動きもしないただの冷たいモノだった。


――神様、カミサマ。 本当に居るのなら、お兄ちゃんにこの腕を返してあげて下さい。
  どこかに行っちゃったお兄ちゃんは、腕が無くてきっと困ってます。どうか返してあげて下さい。


それまで自分は、神様の存在なんて信じていなかった。
見えもしないモノだったし、少なくともその恩恵を実感したことはなかったから。
だけど、もし居るのなら…と。 お兄ちゃんの腕を抱き締めながら、天空を仰いだ。
51舞踏9話 9/18:2006/01/28(土) 22:11:55 ID:???
溢れる涙のせいで、水面下から見上げたように揺れる不確かな空には
まるで舞い踊るように飛び交う、たくさんの人型のシルエットが見えた。
…その中の一つ。 一際目を引くMSに、私は心奪われる。


蒼い翼を広げ、鳥のような優美さで飛ぶ、真っ白なMS。
スマートなフォルムのそれは軽々と銃弾を避けながら、何機ものMSを相手に戦い、次々と撃墜していく。
その時の私には、その白いMSがまるで戦争に終わりをもたらす天使に見えて。
助けて下さい、と祈りながらその姿へと手を伸ばしてしまった。


――けれど、その考えは間違っていた。


思い出した。 お兄ちゃんから携帯を受け取ろうとした瞬間、爆発の直前に見た光景を。
私たちの頭上を飛んでいた、青の翼背負う白いシルエットを。


――アレが、私たちを撃ったんだ。


「っあ………いやああああああああぁぁッッ!!!!」

込み上げてきた感情が、喉を突き抜ける。
あのMSが自分たちを撃ってきたなんて確証はなかった。なかったけれど。
それでも…少なくとも私たちのことを見殺しにしたんだ。天使のようなあれは、私たちを守ってくれなかったんだ。

胸中に生まれた激しい憎悪のままに、私は空へ向かって叫び、泣いた。
でも、たった一人の女の子の泣き声なんて、今もなお戦いを繰り広げる彼らに届くはずもなかった。
52舞踏9話 10/18:2006/01/28(土) 22:13:12 ID:???
神様なんてモノは、やっぱりいないんだろう。
天使かと思ったあのMSでさえ、多くの人を、私の家族を殺したんだから。
だから、助けてもらえないお兄ちゃんの手はお父さんたちに預けてきた。
子どもが二人ともそばにいなかったら、心配するだろうと思って。
せめてお兄ちゃんだけでも、お父さんたちのそばに居てて欲しいと思ったから。


…本当は、自分も一緒に死ねたら幸せだったんだろうけど。

それでも、一人だけでも助かった命をこの場で投げ出したら、家族に怒られるような気がして
兄の手の中にあった携帯電話を握り締めながら、行く当てもなくふらふらと歩き続ける。


いまだ頭上で絶えない、裂かれる空気の悲鳴と鉄人形の駆動音が
ショックで真っ白に焼かれた私の心を、ぐしゃぐしゃに掻き回していく。
涸れることを知らない眼から伝う雫を拭う気力もないまま、私は軍港の近くを歩いていた。

「…なんだったんだ、あの黒いMSは…」
「詳細までは分かりません…しかし、連合のダガーシリーズと合致する特徴がいくつかありました…」

遠く遠くから、男の人たちの声が聞こえてくる。
向かいからこちらへ歩いてくる、軍服姿の人たちが話しているみたいだけど
私にはまるで、妖精の囁きのような別世界の出来事にしか感じられなかった。

「…っ?! そこの君、大丈夫か! 家族は何処に……」

私の方を見て、驚いた様子で一人の軍人さんが駆け寄ってくる。
しゃがみ込んで目線を合わせ、私の肩に手を置きながら覗き込んでくるそのおじさんの顔は、とても心配そうで。
多分、お父さんとお母さんを二人一緒に並べるため、運んだ時に体中に付いてしまった血糊のせいだろう。

「ここはもうすぐ危険な状態になる。 私たちと一緒に行こう!
 君の家族のことも、必ず探してあげよう!」

大丈夫です、おじさん。 お父さんたちの眠っている場所はちゃんと覚えてるから、大丈夫です。
そう答えようとしたのだが、ずっと前から唇が震えていて、全然いうことを聞いてくれないので上手く言葉にならない。
ああ、とかうう、みたいな呻き声しか出せない私を前に、おじさんはひどく悲しそうな表情を浮かべてた。


遠雷のように、どこからか鳴っていた爆発の音が、不意にそう遠くない場所で鳴り響く。
間髪入れず襲いかかってきた、黒煙交じりの突風に吹き飛ばされそうになった私の身体を
軍人さんが大きな手でしっかりと掴まえて、倒れないようにぐいと抱き寄せてくれた。
そしてそのまま、私の身体を抱き上げて走りはじめる。

私は、おじさんの広い腕の中で爆風から守られながら
せめて、せめてこれだけは絶対に失くすまいと、携帯電話を強く握り締めていた。

――もう、私の家族の姿はこの中にしかないのだから。
53舞踏9話 11/18:2006/01/28(土) 22:15:05 ID:???
私たちが軍港の施設に避難して、間もなくの話。
オーブ連合首長国代表…つまり、私たちの国のリーダーであるウズミ・ナラ・アスハは
今回、地球連合軍が侵略してきた目的だったマスドライバー『カグヤ』と
有数の軍需企業だったモルゲンレーテ本社を爆破し、自らも五大氏族の代表たちと共に、カグヤを焼く炎の中に消えた。

爆破の直前、残存していたオーブ軍の一部はマスドライバーで宇宙へと上がったらしい。
そして、防衛のために残留していたオーブ軍は全て武器を捨て投降し、連合軍に対して降伏した。
…私たちの国は、負けたんだ。


私はといえばあの後、助けてくれた軍人さん…トダカさんの家で厄介になっていた。
保護された時の私の精神状態が酷かったことを心配して、自分の家で預かると申し出てくれたらしい。

トダカさんは、連合軍の占領下にあるオーブの状況を少しでも良くするために
毎日毎夜、人命救助や瓦礫の撤去、被害者に対する救済活動なんかに忙しくて、滅多に家に帰ってくることはない。
でも、時々家に休憩に戻ってくる時は必ず私の様子を見に来て、心配してくれているし
家で一緒に暮らしているトダカさんの奥さんも、私に対してすごく優しくしてくれた。


――けれど、けれど私はここにいたくなかった。

トダカさんの家に、じゃあない。 この国、故郷であるオーブにいたくなかったの。
傷ついて、ひとりぼっちになってしまった私を温かく迎えてくれたトダカさんたちには
すごく感謝しているし、すごくすごく大好きな人たちだって思ってた。

でも、この国は私にとって、あまりに辛い場所になってしまった。
お父さんとお母さん、それにお兄ちゃん。 大好きだった家族を、一度に全員失ってしまった場所だから。

それに、子どもながらに私は、この国の偉い人たちのことを心から憎んでいた。
オーブを戦火に晒す失態を起こした原因であろう首長、アスハ家のことを。
それを止めることが出来なかった、無能な政治家や将軍たちのことを。
私が心から愛していた家族と故郷を守れなかった『国家』を、軽蔑していた。
54舞踏9話 12/18:2006/01/28(土) 22:16:56 ID:???
けれど、トダカさんのことを考えて、その思いは絶対に表に出さないように心がけていた。
トダカさんは、困っているオーブの人たちをなんとか助けようと頑張っている軍人さんだったから。

でも、私の思いにトダカさんは気付いていたのかもしれない。
ある日、トダカさんに訊ねられたのだ。 プラントに行かないか?と。


彼の話によるとオーブ政府に、プラントから難民受け入れの申し出があったらしい。極秘裏に。
連合軍占領下にあることで迫害される恐れのある、コーディネーターの保護が目的とのことだった。

私もお兄ちゃんと一緒で、コーディネーターとして生を受けた人間だ。 
もっとも、コーディネイトされた部分は健康面だけなのだけど、コーディネーターには変わりないだろう。


ニュースを見ていた時、流されていたコーディネーター排斥運動の映像について、お父さんが説明してくれたことがあった。
地球に住むナチュラルの中には、ブルーコスモスと呼ばれる巨大な組織があると。
彼らはコーディネーターの存在を否定し、それらを滅ぼすか、あるいは徹底的に管理しようと目論んでいると。

一緒に聞いていたお兄ちゃんは、怖い人たちなんだねと言いながら深刻な顔をしていたけど
この国に住んでる限りは大丈夫だよ、と私たちを安心させるようにお父さんは笑っていた。


けれど、今のオーブは地球連合軍の占領下に置かれている。
その地球連合軍の中核を成す、大西洋連邦にはブルーコスモス関係者が多く、強権を握っているとの話だった。
もう、オーブは昔のようにコーディネーターの安全が確約された国じゃなかった。


屈みこみ、目線を合わせて私を見つめてくる、トダカさんの眼差しを受けながら
私は、意を決して頷いた。 プラントに行きます、と。

言われたその場で決断したのは、オーブに居たくないという理由も大きかったけれど
6年前、お母さんの弟、つまり叔父に当たる人がプラントに移住していることを思い出したからだった。
小さい時のおぼろげな記憶の中、よく私とお兄ちゃんと遊んでくれた穏やかな青年の姿を思い浮かべながら
もう一度大きく頷き、プラントに行く決心をトダカさんに伝えた。
55舞踏9話 13/18:2006/01/28(土) 22:18:13 ID:???
その話を聞いてからの経過は早く、プラント行きのシャトルは二日後には出発準備を完了していた。
私は僅かな私物をバッグに詰め、空港の出国ゲートの前に立っていた。
僅かな休暇を使って私を空港まで送ってくれたトダカさんは、今も私を見送るためにいてくれる。


「プラントに問い合わせたところ、君の叔父さんはセプテンベル市に居るそうだ。
 向こうについたら、入国管理官の人に聞きなさい。 すぐに住所を教えてくれるだろう」
「はい。 …本当、なにからなにまでしてもらって……。
 ありがとうございました。トダカさん」

深々とお辞儀をして、顔を上げると。 トダカさんが微笑んでいるのが見えた。

「一人で、見知らぬ土地に行くのは不安だろうが、きっと大丈夫だよ。
 落ち着いたら、連絡してくれ。 家内も、君のことを気がかりに思っているから」
「はい、必ず連絡します」

大きく、少しでも安心させようとしっかり頷く。
その拍子に、目の縁に溜まりつつあった雫がこぼれそうになったので、少々慌てたけれど。
――館内にアナウンスが鳴り響く。 そろそろ、シャトルに乗らなきゃ。


「…マユ君。 いつか、全てが落ち着いたら我が家に遊びに来てくれ。
 私も家内も、いつまでも待っているよ」

私の両肩に乗せられる、大きな手のひら。
あの時、私を包んで守ってくれた力強い手のひら。
トダカさんの顔を仰ぎ見れば、微笑みにはいつの間にかほんの少しの寂しさが混じっていた。

「…はい。ありがとうございます。
 いつかきっと…遊びに行きます!」

涙こらえながら、精一杯の明るい笑顔を作って、お辞儀と共に背を向け搭乗ゲートへと歩みを進める。
そんな私の背中を、トダカさんは無言でぽんと押してくれた。
優しい恩人の見送りを受けながら、私は振り返らずにシャトルへと歩いていった。
56舞踏9話 14/18:2006/01/28(土) 22:19:35 ID:???
初めて乗ったシャトルの舷窓に映る宇宙空間に、時間を忘れて見入っているうちに
シャトルはプラントの首都、アプリリウス市へと到着した。
入港すると、すぐさま大勢の係官さんが私たちの元に訪れ、別室へと案内してくれた。


その道中、一緒のシャトルに乗ってきた人たちを見ていて、気がついたことがあった。
乗客は、ほとんどが大人だったのだ。 子どももほんの数人いたけど、みんなお父さんお母さんと一緒だった。

…つまり、私のような戦災孤児は一人だけだったんだ。
両親の間で手を引かれながら、見慣れぬ場所を物珍しげに見回している小さな男の子を見ながら
不意に寂しさに襲われた私は、ポケットの中にある携帯電話をぎゅうと握り締めた。


連れて来られた大部屋で、係官からの入国手続きについての説明が始まる。
まずは乗客の遺伝子を調べ、コーディネーターであるかどうかを。
そして、どういった箇所をコーディネイトされているのかを調べ
そのデータを元に、適性のある職業を斡旋する目的もあるとのことだった。


どうやらここは宇宙港に併設された医学施設らしく、検査はすぐさま開始される。
人々は順々に別室に呼ばれ、血液採取や問診を受け、その結果が出ると用意されたホテルへ案内される。
その後は、与えられた住居や職場で生活していくことが出来るらしい。


比較的早い段階に検査を受けた私は、置かれた長椅子に座りながら結果を待ちわびていた。
…けれど、それがなかなか来ない。 私より後に検査を受けた人も、多くが移動しているというのに。
何故か自分の結果だけが後回しにされたかのように来なくて、ずぅっと待ちぼうけていた。
部屋に大勢いた乗客たちは、次々といなくなっていく。

結果を告げられ、係官さんに案内される親子連れの、お母さんらしき人が足を止め
ぽつんと残っている私の方を不憫そうな眼差しで見ていたけど、やがて係官さんに促され、退室していく。


……完全に、一人になってしまった。
室内が寂しくなってしまったことにしょぼくれながら、いつまで経っても来ない係官さんにぶーたれながら
子ども一人には広すぎる長椅子の上で、私はこてんと身を横倒しにした。
57舞踏9話 15/18:2006/01/28(土) 22:20:41 ID:???
「――スカ…………マユ・アスカ君?」
「…ふぇっ?! は、はいっ!」

頭上から降りかかった声に私は目覚め、慌てて身体を跳ね起こした。
…不覚にも、ヒマすぎて寝ていたらしい。 授業中、不意に先生に当てられた時のように、心臓がバクバクしている。
私の慌てっぷりに、声をかけてきた男の人は不思議そうに目を瞬かせていた。
その人は丈の長い白衣を羽織っていて、本当に理数系の先生みたいに見えたのはナイショだ。

「疲れているところすまなかったね。 こちらの手違いで遅れていた検査の結果が出たよ。
 君がコーディネーターであることは確認した。 我々プラントは、君を国民として迎え入れよう」
「あっ、ありがとうございます!」

雪のように白い肌と黒髪のコントラストが際立つその人の、やんわりとした笑みと言葉を前に
私は立ち上がり、姿勢を正しお辞儀した。


「それでだ、アスカ君。 君に二、三確認したいことがある。
 どうやら君は一人でここに来たようだが…ご家族は?」
「……私の家族は、みんな死にました。 オノゴロの戦闘に巻き込まれて…」
「ん、やはりそうか…。 すまない、不躾な質問だったね」
「いえ、大丈夫です」

返答に、微かに表情を曇らせた男の人へ、私は努めて笑顔を作る。
とはいえ、鏡がないから自分がちゃんと笑えたかどうかは分からないけれど。

「ところで、君はプラントに頼れる知人は居るのかい?
 ……もし、当てがないようだったら、私の所に来ないかい?」

片膝をつき、身を屈め、私に目線を合わしながらのその言葉に、私は面食らった。
…流石に、今出会ったばかりの名も知らぬ男性に、一緒に暮らさないかと言われてためらわない女の子はいないと思う。
小首を傾けて私の顔を覗き込んでいた彼も、十秒ほどしてようやく気付いたのか、苦笑めいた笑いを浮かべた。
58舞踏9話 16/18:2006/01/28(土) 22:21:57 ID:???
「ああ、これは失礼した。 名乗っていなかったね。
 私はギルバート・デュランダル。 職業は…遺伝子研究をしている、しがない科学者さ。
 今回の難民受け入れに際して行われた、入国検査の責任者を任されている」

差し出された彼、デュランダルさんの手をなんとか握り返すものも
どうやら偉い立場にいるらしい彼の意図をいまいち掴み切れず、私ははぁ、と生返事を返すことしか出来ずにいた。
そんな私の様子がおかしいと感じたのか、ふむと言いながら考え込む仕草を見せるデュランダルさん。


「いやいや、すまない。 説明が足りなかったね。
 プラントでは現在、少子化の傾向が強くてね…君のように身寄りのないコーディネーターの子どもを
 子宝に恵まれない家に養子として斡旋する制度があるのだよ。
 君に頼る人がいないようなら、私が君の保護者になりたいと思っているのだが、どうかね?」

説明を聞いて、ようやくプラントの事情というのを理解できた。
もしかしたらトダカさんはこれを知っていて、私が天涯孤独になることはないと思って送り出したのかもしれない…。


「あの。 一人だけいるんです、親戚が。
 母方の叔父が、6年前にプラントに移住していて…セプテンベル市に居るらしいんですけど…」
「ふむ…そうか。
 分かった。 その人の住所を調べて、連絡を入れておこう。 して、名前は?」
「お願いします。 名前は、エイジ・カザハラさんです」

おじさんの名前を告げると、何故かデュランダルさんは一瞬驚いたような表情を浮かべて

「セプテンベル……まさか、彼女の所の…」

などと、ブツブツ呟きながら難しそうに眉根を寄せていた。
見ている感じ、放っておいたらずっと考え込んでそうな様子だったので、私は何か声をかけようと口を開きかけたが
ちらりと私の顔を見てきた彼は、再び表情を笑顔に変えて

「ああ、すまない。 すぐにプラントの住民管理局に連絡し、調べてもらってくるよ。 少し待っていてくれ」
59舞踏9話 17/18:2006/01/28(土) 22:22:55 ID:???
その後、10分ほど経ってから。 別室に移動していたデュランダルさんが戻ってくる。

「マユ君、分かったよ。 君の叔父さん、エイジ・カザハラ氏はセプテンベル1に在住している。
 現在はとある屋敷に住み込みで働いているようだが……」

そこまで言って、彼は困ったように少し表情を翳らせる。

「少々、込み入った事情があるようでね…すんなり会うことは出来ないようだ。
 連絡したところ、向こうは君の受け入れを是非ともと希望していたんだが…」
「えっ……ダメ…なんですか?」

告げられた言葉に不安を感じて問い返すと、彼は私をなだめるように笑顔を作り、言葉を続けた。

「何とか出来ないことはない。 私がなんとか掛け合ってみよう。
 とりあえず、今日のところは手配したホテルで休みなさい。 必ず吉報を持ってこよう」
「…ありがとうございます。 よろしくお願いします!」

デュランダルさんの親切な言葉に、私は感謝を覚えながら深く深く頭を下げた。
当然のことだよ、と答えた彼に連れられて、私は空港近くのホテルへと向かった。


用意されたホテルはいかにも高級そうな場所で
美味しいご飯に広い部屋、暖かいお風呂と至りにつくせりだったけれど。
灯りを消し、大きなベッドに寝転がって天井を見上げていると
これが、自分が初めて経験する、一人ぼっちの夜だということに気付いた。

お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、恐怖で寝つけない私のそばにずっといてくれた、トダカさんの奥さんも。
自分の部屋で一人で寝ることは出来るし、大丈夫だと思っていたけれど
それは、家に家族がいるという安心感のおかげだったんだって、今更ながらに痛感する。


部屋包む暗闇と静寂の中、私の心は静まることなく。
目を閉じても、瞼をスクリーンにしたかのようにあの日の光景が見えてくる。
耳を押さえても、洞窟の中で反響するように爆発の轟音が身体の内側で再生される。
怖くて怖くて、さみしくてさみしくて眠れないまま
私は初めての、長い長い孤独の夜の中でずっと泣きじゃくっていた……。
60舞踏9話 18/18:2006/01/28(土) 22:24:36 ID:???
「……マユー?  ……おーい、マユったらー!!」
「ひゃぅっ?!!」

耳元で叫ばれた呼び声に、ベッドに横たわっていた少女はがばりと飛び起きる。
目を忙しく瞬かせながら、巣穴から周囲探る小動物のようにキョロキョロ辺りを見回してるマユへと
声の主、ルームメイトのルナマリアはあきれたような苦笑で笑いかける。


「もうとっくに起床時間よぉ? 早く身支度して、朝食食べに行きましょ!
 ご飯食べたら、訓練規定のスケジュールが入ってるんだからね? ほら、ちゃっちゃと動いた!」
「う、うん、ごめんなさい!」

急かすようにパンパンと鳴らされた手拍子に促され、ベッドから這い出して制服に着替え始めたマユ。
赤いコート様の上着を羽織りながら、ふと先ほどまで見ていた夢のことを思う。

まったく、酷い夢見だった。 時々こんな風に昔の夢を見るのだけれど
場面は決まって、自分が一番辛かった時期の光景ばかりなのだ。
…こういうのをトラウマって言うのだろう、と彼女は思う。
寝付けずに、携帯のライブラリに収められた昔の写真ばかりを見ていたせいで、こんな夢を見たのだろうか、と。

制服のボタンを合わせながら、心地悪い夢の余韻にぼうとしていた少女。
その横顔に、突然ぺたりと水気のある物体が当てられる。

「うぁっ?! な、なに…ルナ姉ちゃん?」

濡れたタオルを顔に当ててきた少女へと、マユは悲鳴交じりの困惑を見せる。
相手はといえば、その態度に構うことなく濡れタオルをマユの顔に押しつけゴシゴシと擦りながら笑う。

「そんな顔で出て行っちゃ、みんなに要らない心配かけられるわよ」

そう言われ、マユはようやっと自分の状態に気付いた。
どうやら寝ながら泣いていたようで、顔は涙でグシャグシャのパリパリになっていることに。
お湯に浸けて絞られたのか、暖かいタオルで顔を拭かれながら
ルナの、姉らしい世話焼きっぷりと幼い子どものような自分の扱いに少し苦笑いする。

…内心では、今の自分が置かれている幸せな環境に、感謝しながら。
多くのものを失った夢を見た後だから、余計に身に染みて感じられる。
新たな家族、大勢の友達、大切な居場所を得ることが出来た自分の幸せを。
それらの大切さを噛み締めながら、サッパリした顔に満面の笑顔を浮かべながら
マユはルナマリアに、ありがとうと礼を述べた。

意識が目覚めていくにつれて、自覚し始めた空腹を抱えながらルナマリアと共に部屋を出るマユの
ベッドの上に残された携帯電話の画面には幼い少女と、共に並ぶ彼女の兄の笑顔が映し出されていた。
61舞踏9話 あとがき:2006/01/28(土) 22:25:30 ID:???
思ったより長々とした内容になってしまいキリがつかなくなって困ってた舞踏の人です。
一話で書ききる予定だったのですが、収まりきらないため前後編に変更ですorz
回想シーンのため、だらだらとした読みにくそうな内容となってしまいましたが
ここら辺はキチンと語りたいなと思っていたので、あまり場面を省略せずに書きました。

冒頭のアスランの語りは、本編であまり過去の事を振り返って語ることがなかった印象があったので、書きました。
バンク映像でだったら嫌というほどあったのですが…(禁句
戦場で人を撃つこと云々は無印種であった語りです。 そこらへんを、ちょっと自分の解釈を加えてみました。

次回も引き続きマユの回想です。 リアルが少々忙しいため投稿ペースが遅くなりがちですが、頑張っていきます…
62通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 23:00:18 ID:???
舞踏様GJ!
アスランが……アスランがマトモだ……!w
マユの過去話は、やはり議長が黒いですなw

今後これがどう繋がるか期待!
63通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 23:52:10 ID:???
さりげなくDプランがすでに一部実行されているな
回想がちゃんと伏線の一部になってるのは上手い
64通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 23:56:56 ID:???
舞踏乙。
うーん。この作品のアスランはホントによく考えて動くなぁ。
ホントに格好いいキャラクターってのはやっぱ芯が通ってないとね!
あと、トダカさんええ人やぁ……
65通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 06:38:50 ID:???
PP17話目投下します。また長くなってしまいましたorzいつものようにお眼汚しを……
661/30:2006/01/29(日) 06:39:48 ID:???
ユーラシア連邦主要都市のひとつモスクワ――
この地にはユーラシア連邦最大の領土を誇るロシア共和国の行政府クレムリンがある。
また、不思議なことにここクレムリンには、ユーラシア連邦軍の最高司令部が存在する。
ユーラシア連邦の首都はブリュッセル―が、人口も最大規模のロシアには一つの役割があった。
旧世紀以来の軍事ノウハウがあること、また最大の兵員供給国であるが故――
世界最大の連邦国家の国防は、長らくこのロシアを中心に運営されていた。

そして、今このユーラシア連邦軍最高司令部では、幕僚クラスの会合が開かれていた。

「西ユーラシアの情勢はどうなっている?」
「スペインは事実上の独立状態に、またドイツやフランスといった国々にも動きがあります。
 西ユーラシアと言うより、ヨーロッパ方面と言った方が適切ですが、これらは抑えようがない」
「仕方あるまい。大国ロシアの影響下にあった旧CIS諸国と違い、彼らは纏まりに欠ける。
 悲しい話ですが、我が国は所詮寄り合い所帯の連邦国家……ということですかな?」
「そんな言葉で済ませられる状況ではないだろう。
 東側でも徐々に独立の気運が高まっている。小国の民族会議を中心とした運動が始まった」
「ザフトに踊らされているとも分からん馬鹿共が……クソッ! 最早穏便には済ませられん!」

各幕僚の話は進むが、最後の者の罵声で場が静まり返る――
ややあって、それら幕僚の中で上座に座っていた一人の老人がゆっくりと口を開く。

「諸君、問題は何だ? まずはそこから考えねば解決できないだろう」

その言葉に、一応は各人幕僚の地位に就いている各人が、次々と意見を述べる。

「……元帥、独立運動そのものはユーラシア各所に昔から存在したものです。
 今彼らの運動が活発化しているのは、ザフトがそれらの運動を後押ししているからであります」
「同時に、独立運動家の中でも武力闘争に及ぶテロリストと連携を取っているケースがある。
 そういった者達が力ずくで独立を叫び、これを実現すれば……我が国は早晩崩壊する!」
「ザフトを我が国から追い出せれば万事解決だが……奴等は強力だ。
 ジブラルタルという拠点があるし、各所に基地も建設されている。正直現状では……」
「大西洋連邦を始めとする連合の援軍を待ってザフトを叩くことになるな。
 なら、まずは独立運動の芽を摘むのだ。下手をすればユーラシア中央まで及ぶことになる。
 ザフトに加え、ユーラシア全土で独立運動が展開されれば、手の打ちようがなくなる」

問題点の明示せよとの元帥の言葉に、幕僚達の方針は徐々に固まりつつあった。
672/30:2006/01/29(日) 06:40:39 ID:???
しかし、その会合は突如として空気が一変する。末席に座る男の言葉に――

「独立運動の芽を摘むのであれば……生贄が必要ですなぁ」

全員がその言葉―とりわけ生贄という単語に鋭く反応する。
ある者は露骨に不快感を示し、またある者は形相鋭く末席の男を睨みつける。
それでも、当の本人は意に介する風でもなく、先ほどより更に声を大にして再度発言をする。

「独立運動に身を投じる者達、彼らの中には武力闘争を掲げる者達もいる。
 そのような者達は、最早テロリストと呼んでも過言ではない。死を以って贖って貰いましょう。
 彼らに協力する市民も同罪だ。見せしめ……と言っても宜しいでしょう。彼らを処分すべきです」

末席に座る男―その風貌は、頭こそ禿げ上がっているものの、眼光は鷹の目のように鋭い。
体格は長身痩躯ではあるが、眼光と相まって精悍さすら漂わせている。襟には中佐の階級章―

「皆さんが仰っている独立運動のユーラシア全土への波及阻止……
 つまり、ヨーロッパ方面より東側に対する対策こそが急務といえましょう。
 そう、さし当たっては、最も激しい独立運動を展開している国のテロリスト共を殲滅しましょう」
「……それは何処かね?」
「カフカス山脈北にある小国……ノフチー共和国は如何でしょう?
 彼の国には、懸案の独立運動家の間で英雄と持て囃される男もおります」

最後の言葉に各幕僚から声が上がる。その声に、中佐は次々と答える。

「イワン・ザンボワーズか!? まさか……ハイペリオン3号機も一緒にあるというのか?」
「はい。開戦以来足取りが掴めませんでしたが、つい先週確認されました」
「ノフチーというと……先日落とされたガルナハンと山脈を隔ててすぐだ。ザフトは?」
「まだザフトは山脈を越えていません。先に手を打ちませんと、何かと不都合かと……」
「しかし、ヤツを捉えようとして既に何機ものMSが破壊されている。やれるのか?」
「それにつきましては、妙案がございます。ご安心を」

各幕僚からの質問が終わる――
だが、最後に元帥からの問いが始まった。

「……イワンの件は兎も角、ノフチー共和国をやるとなると国際世論が黙っておるまい。
 それに小国とはいえ一国を壊滅させかねない作戦だ。政治家どもの言質は取っているのか?」
683/30:2006/01/29(日) 06:41:41 ID:???
その問いに中佐は―ゆっくりと立ち上がり、大型スクリーンを弄りながら答え始めた。

「政治家どもの言質につきましては、ロシア共和国大統領からの支持を取り付けております。
 と言っても、つい先ほどですが。この国の大統領が良しといえば、東側の各国も同意します。
 また、国際世論についてですが……先ほど妙案と申しました件と合わせてご説明します。
 まずはこのスクリーンに今から表示される二枚の写真を……ご覧下さい」

一つの写真には黒髪の青年が、もう一枚の写真には茶色の髪の青年が写っている。
黒髪の青年は大西洋連邦の黒の軍服を、茶色の髪の青年はオーブの青と白の軍服を着ている。

「茶色の髪にオーブの青と白で色分けされた軍服を着ているのがキラ・ヤマト三尉。
 ユーラシア連邦軍では少尉に相当する階級ですが、彼は今回一兵卒として参戦しております」
「キラ・ヤマトだと? あのフリーダムの……」

フリーダムのパイロットという代名詞付きで、キラの名は幕僚達の耳にも届いていたようだ。
全員内心驚愕しつつ、続けろとばかりに男に視線を向ける。再び促され、中佐は話を続ける。

「もう一人はゲン・アクサニス中尉。件の第81独立機動軍のMS小隊長を務める者です。
 二人とも、ザフトによるヨーロッパ方面への侵攻を食い止めるべく連合が送ってきた増援です。
 キラ・ヤマト三尉はオーブから、ゲン・アクサニス中尉は大西洋連邦からやってきております。
 元三隻同盟のキラ・ヤマトが、何故この戦争に積極参加しているのかは不明ですがね……。
 そう……今度の作戦で、3号機の奪還若しくは破壊を、この二人にやらせてみようと思います」

幕僚全員が息を呑む――キラ・ヤマトは仮にも元三隻同盟――
かつてのテロリストに、テロリスト殲滅作戦をやらせようというのだから、無理もない。

「万一負けたところで我々の懐が痛むわけではありません。彼らはユーラシアの同胞ですらない。
 大西洋連邦やオーブの人間が死んだところで、大した損失ではありますまい。如何でしょう?」

呆気に取られたこともあるだろうが、誰も反論する術を持たなかった。
成功にしろ失敗にしろ全てを大西洋連邦とオーブに押し付けようと言っているのだ。何より……

「ノフチー一国を潰すのに、その2カ国の者が共犯となれば彼らは黙らざるを得ない。考えたな」
「はい。3号機を駆るテロリストと独立を望む小国を一挙に潰す……一挙両得です」

元帥の言葉に、中佐と呼ばれた男は力強く頷いた。
694/30:2006/01/29(日) 06:42:33 ID:???
だが、纏まりかけたその話を一人の中年男がぶち壊す。

「ま、待ってくれ! キラ・ヤマトは……アイツのせいでアルテミスは潰れたんだぞ!?」

ジェラード・ガルシア少将――
キラ・ヤマトとアークエンジェルが立ち寄った要塞アルテミスの元司令官である。

「おまけにアイツはコーディネーターだ! あの疫病神がッ!」
「……確か、報告ではブリッツに潰されたとあった筈ですが?」
「そ、それは言葉の綾だ! アイツがブリッツを呼び寄せたも同じだ!
 ハイペリオンも、元はといえば私が開発計画の指揮を執っていたんだ!
 大体、あのハイペリオン3号機も私の管轄だったものだぞ!?それを破壊などと……」
「その虎の子のハイペリオンを貴方は2機も失い……最後の一機は……
 こともあろうか、あのイワン・ザンボワーズの手に渡った! 貴方の責任ではないのか!?」

今度は中佐が激昂する番であった。
相手の剣幕にガルシアは色を失うが、中佐はなおも反論を止めなかった。

「ハイペリオン計画は再度ロシア共和国の許可を得て再開された!
 あれは我が国を護るための兵器だ! テロリストの手においておくことはできんのですよ!」

その言葉に再反論する術を持たぬガルシア、また幕僚達からの援護も得られなかった。
最後に後味の悪い議論がなされたが、元帥の言葉どおり中佐の方針を認めることとなった。


それでもガルシアは、会合終了後も元帥に食って掛かった。

「元帥! あのような男の言葉を真に受けるなどと! ヤツはカーゲーベーの亡霊……
 ユーラシア連邦の暗部を知り尽くしている情報部の人間ですぞ! そんな人間を……」
「中佐か……確かに彼は情報部の人間で、ロシア共和国縁の者だ。
 が、独立運動に対し牽制をせねばならない軍としては、そう悪くない提案だったろう?」
「し、しかし……!」
「元はといえば、全て君の失態だ。彼の指摘は正しい。もう私は帰らせてもらうよ」

そそくさと元帥も席を立ち、最後にはガルシア将軍一人が取り残された。その一室では……
やがてキラ・ヤマトに呪いの言葉を吐きながら、地団太を踏んで悔しがるガルシアの姿があった。
705/30:2006/01/29(日) 06:43:29 ID:???
情報部の中佐と呼ばれた男は、翌日バイコヌール基地を訪れた。
ファントムペインとキラ・ヤマトがこの基地に着いてから3日目のことであった。
その日、基地の一室にゲン、アウル、スティング、ステラ、そしてキラの五名が呼び出された。

「はじめまして。私はユーラシア連邦軍情報部のイワン中佐だ。以後宜しく」

イワンは自己紹介も程ほどに、ゲン達にここに来た目的を明かす。

「ガルナハンでの撤退作戦の話は聞いているよ。お陰で犠牲を最小に食い止めることが出来た。
 感謝しているよ。ロアノーク大佐から依頼されていた君達の移送の件も、手筈がようやく整った。
 ノヴォロシースクまで、MSと君達を輸送する手筈が整ったんだが、一つ頼みたいことがある」

男は一枚の写真をゲンに渡す。写真には精悍な男の横顔が写っていた。
そんな男の顔も、ゲンには見覚えのない顔だったので、アウル達3人に渡す。
アウルもスティングもステラも知らない顔だと首を振る。最後にキラに見せたが同じことだった。
イワンはそんな5人を見て、その人物を知らないことを確認してから話し始める。

「男の名前はイワン・ザンボワーズ。国籍不明、年齢不詳、生物分類不明。
 推定年齢20代後半から30代前半らしいが、コーディネーターかナチュラルかも分からない。
 どうも前大戦以後ユーラシア連邦に流れ着いた人物らしい。少なくともわが国の人間ではない。
 ……私と同じ名前だが、この国ではありふれた名前だ。あまり気にしないでくれたまえ」

イワン・ザンボワーズ―
先の大戦後、ユーラシア連邦に流れ着いた彼は、ユーラシアの独立運動に身を投じる。
独立運動家の間では"英雄"と讃えられ、事実ユーラシア小国を分離・独立に導いた経歴がある。
また、彼は武装闘争家でもあり、MSを駆りユーラシア軍に対し敵対行動をも見せていた。

「君達に頼みたいのは、この男の逮捕ないし抹殺……そしてもう一つ。
 彼の乗っているMSを奪還ないし破壊して欲しい。そうそう、そのMSというのは、これでね」

更に男は、もう一枚の写真を見せる。今度は映っているのは人ではなくMS―白い機体の―

「2年前に我が国が極秘裏に開発したMS、CAT1-X3/3ハイペリオン3号機だ」

背部に巨大な砲門のような装備を付けたガンダム――
アクタイオン・インダストリー社が開発した純正ユーラシア連邦製MSがそれであった。
716/30:2006/01/29(日) 06:44:18 ID:???
中佐の話では、これから武装闘争をするテロリストの殲滅戦を展開するとの事であった。
今度の戦争でユーラシア西側の独立運動が激化し、呼応するかのようにイワン達も動き始めた。
イワン・ザンボワーズは現在、カフカス山脈北に位置する都市でユーラシア軍と戦っているらしい。
ところが、その作戦は展開しづらい状況にあった。件のイワンである。

「ヤツの手にハイペリオンが渡った経緯は不明だがあのMSは……
 先の大戦の最中、我がユーラシア連邦の技術力の粋を集めて作られたものだ。
 ハイペリオンは2年前の機体でも、ダガーLやウィンダムよりもスペックも装備も上なのだ。
 無論、イワン・ザンボワーズ本人の腕もあろうが、その機体の性能と相まって難攻不落でね。 
 これまで幾つもの部隊が彼の前に苦杯を舐めている。そこで……だ」
「そこで俺たちファントムペインと、キラの出番ってわけですか」
「その通りだ、中尉」

沈黙を護ってきた5人だが、相手の意を察したゲンが代表して応えた。
もとより、彼らMS隊に廻ってくる任務といえば、ある程度想定できる類のものであったが……
とはいえ、ここはユーラシア連邦。同じ連合とはいえ、指揮系統が違うので即答はできない。

「けど、我々の上官やキラの上官に許可を取る必要は……」
「確かに、指揮命令系統は違うが、この件はユーラシア連邦軍最高司令部からの依頼だ。
 相手は凄腕のテロリストでね。手をこまねいてヤツを逃せば、火種が拡散しかねない。
 ここで勝負を決めたいのだよ。了解してくれたら、今後ユーラシア連邦での活動は……
 我々の出来うる限りの便宜を図らせてもらうつもりだ。物資の補給等も最優先でね。どうかな?」

ネオ・ロアノークやユウナ・ロマ・セイランといえども断れるものではない。ゲンの立場では……

「……なら承諾するしかありません。上官達にも連絡はしておいて欲しいですが、ね」
「了解した。で、君はどうするね? キラ・ヤマト三尉?」

話を振られたキラだが、彼もゲンと同じことを考えていた。遠い異国の地の作戦行動。
その中で、最優先で物資等の補給が可能になれば、オーブ軍にも多大な恩恵を与えるだろう。

「参加させていただきます」
「では、アクサニス中尉とヤマト三尉は、それぞれのMSを基地の輸送機に載せてくれ。
 残りの三名は、3時間後にこの基地に着く別の輸送機で、ノヴォロシースクまで直行して欲しい」

ゲンとキラの言葉に、イワン中佐は満足げに頷いた。
727/30:2006/01/29(日) 06:45:13 ID:???
しかし、最後の言葉はゲンには引っかかるものがあった。ゲンとキラだけの作戦行動――

「……俺とキラだけで行けと?」
「余り大人数で行って、イワンに警戒されて逃走されては元も子もない。
 幸い連合を代表するMS、ストライクの新旧パイロットが揃っているからね。二人で十分だろう」

男の言葉に、ゲンとキラの二人は互いに顔を見合わせる。
この男は、最初からキラのことも調べていて、彼の過去を承知で依頼に来たのだ。
あるいは、キラがフリーダムのパイロットであったことも知っているのかもしれない。

「作戦には私も同行させてもらうよ。では、一時間後に出発だ。頼んだよ」

そう言って、中佐は席を立った。後に残された五人の中で、真っ先にアウルが不満顔を見せる。

「あのさ〜、こういうのって差別じゃないの?幾らゲンとキラでもさあ……
 俺さあ、ガルナハンでは碌に戦ってないし、今度も外されるし……ったく、何だかなあ」
「ま、そういうなよ。気持ちは俺も同じだが、作戦の内容が内容だ。仕方ないさ」
「二人とも……頑張ってね」

いつもの様にアウルを宥めるスティングと、ゲンとキラを案じるステラ。
それでもゲンは、3人が任務から外されたことに内心安堵していた。
3人はエクステンデッドであるが故に、連戦への不安が残る。投薬で状態は安定しているが……
最適化もしていない状態での遠征には、いつ何時不測の事態に陥るか分かったものではない。
コーディネーターであるゲンやキラの方が、タフさでは勝っているのもまた事実。

「すまないな。でも、楽しい任務じゃない。後で、ノヴォロシースクで会おう」

ノヴォロシースクは黒海沿岸にあるユーラシア連邦軍の軍港がある都市――
おそらくは、その地でJ・Pジョーンズやタケミカヅチの到着を待つのであろう。
そうゲンは侘びつつ、3人に先立ちキラと席を立った。そして、小声でキラに耳打ちする。

「断らなくて正解だったな。あいつ、お前の過去もそれなりに知っているみたいだ」
「うん。オーブ軍のためになればと思って引き受けたけど、それが幸いしたかな。
 昔のことは……やっぱり簡単には赦してもらえないだろうし、これからも気をつけるよ」

嘗て連合に反旗を翻したキラとしては、情報部の男の言葉にはある種の含みを感じていた。
738/30:2006/01/29(日) 06:46:02 ID:???
カザフスタン共和国内にあるバイコヌール基地から中継地テンギスまでの空路―
一路、ゲンとキラ、そして情報部のイワン中佐を乗せた輸送機は、カスピ海に差し掛かった。
MSは格納エリアに置かれ、輸送機内の一室に3人はいた。飛行機に乗ってから数時間……
その間ほとんど会話らしい会話はなかったが、唐突にキラがイワン中佐に話しかける。

「あの……」
「ん? 何かね?」
「イワン・ザンボワーズという人物はどういうことをしたのですか?」
「簡単に言えば、テロ行為だな。独立運動に参加する者たちに武力を貸すというものだ。
 彼はどこからか我がユーラシア連邦が作ったハイペリオンを手に入れ、独立運動に手を貸した。
 ただ、そのやり方というのが拙くてね。そう、今や彼は第一級のテロリストになってしまった」

情報部の入手した情報を総括すれば……

先の大戦後、ユーラシア西側の小国、特に経済的に弱い国々では独立の気運が高まった。
ザフトが長い間駐留したジブラルタルに近い、ヨーロッパでそれは顕著であり、また活発だった。
彼ら小国が何故独立したか―?それはひとえに世情不安のなせるものといわざるを得なかった。
大戦の最中、連合・ザフト両軍は、ユーラシア、アフリカ、カオシュン、オーストラリア等等……
世界各地で戦ったが、緒戦でジブラルタルを得たザフトは、ヨーロッパ西側と密接な関係となった。

開戦当初は、プラントのコーディネーターが、連合各国に独立戦争を仕掛ける形となった。
その中で、地球の住民には、ナチュラルとコーディネーターとの戦争という意識を与えはした。
しかし、実際ザフトの占領政策は好意的なもので、占領地を横暴に支配することは少なかった。
元々、ザフト自体が、プラントの民間人が多く参加している民兵組織ということもあったのだろう。
ザフトに支配された地域では、住民の抵抗も皆無ではなかったものの、概ね平和が保たれた。

戦後、ザフト軍はカーペンタリアやジブラルタルといった大規模拠点を除き、撤退した。
しかし、残された住民達には疑問が残った。彼らは本当に自分達の敵だったのかという疑問だ。
コーディネーターはナチュラルを殲滅しようとしている。それは連合各国が振りまいた喧伝だった。
だが、パトリック・ザラのような人物を除けば、ザフトは支配地の住民には概ね友好的に接した。
プラントのコーディネーターは、本当は敵ではなかったのではないか―そんな疑問が残った。

やがて戦争が終わると、戦後復興の問題が残った。
戦争で国土が戦場となったユーラシア連邦の復興には、莫大な費用が必要となった。
大西洋連邦からの支援はあったものの、荒れ果てた国土の住民には必然的に増税が課された。
戦争で酷い目にあったのに、なお政府は重い税金を貸すのか―?彼らの不満は徐々に募る。
749/30:2006/01/29(日) 06:46:50 ID:???
それは、戦争に巻き込まれなかった地域も例外ではない。巨大な連邦国家ユーラシア連邦……
彼の国には、巨大な連邦国家であるが故、各国の経済格差を埋めるため、富の再配分があった。
豊かな国から貧しい国へと、必然的に支援が必要となる。富める国の住民にも不満は残った。
やがて少しずつにではあるが、ユーラシア連邦の各地域に独立運動が芽吹き始めた。
とはいえ、ユーラシア連邦政府がそんな勝手を許す訳がない。
独立を容認すれば、早晩巨大連邦国家は崩壊するかもしれないからだ。
ユーラシアの為政者が、そのような独立運動の取締りに躍起になったのも無理はない。

が、その取締りは逆効果となった。
ユーラシア連邦政府が独立を容認せず、弾圧に走るのなら無理にでも独立してしまおう――
そんな空気は、やがてザフトが嘗て支配した地域には蔓延することとなる。
戦後復興の問題にしても、戦後支配地域へのプラントからの補償は行なわれていた。
最早、頼るに値しない連邦政府よりも、戦争の最中親しくなったプラントと友好関係を結ぼう――
嘗てザフトに支配されたユーラシア西側の小国には、こんな考え方まで広まってしまった。

「真に、困ったことだよ。
 独立運動の影には、資金面でプラントの企業が支援しているという情報もあるが……
 それは兎も角、そんなユーラシア西側の独立運動に、イワン・ザンボワーズは身を投じる」

独立運動を弾圧するユーラシア連邦に対し、イワンはハイペリオンで武装闘争を展開する。
その姿は政府を戦慄させる。何しろ、たった一機のMSで連合のMSを薙ぎ倒すのだ。
躍起になってユーラシア連邦軍は討伐隊を出したが、何れも敗退する始末。
やがて独立運動にあって、彼は"英雄"とまで持て囃されることになる。

「彼の正体は今もって不明。あるいはコーディネーターではないかという噂もある。
 だが、彼がナチュラルであれコーディネーターかは問題ではない。彼の存在が問題なのだ。
 戦争が始まっていなければ、彼を正規の方法で逮捕したかったが……
 最早手段を選べん。最悪、殺害も已む無しというのが政府の方針だ」
「彼は……強いのですか?」
「強い。これまでに計20機のMSが破壊、ないし戦闘不能にまで追い込まれている。
 倒されたのは何れもユーラシア連邦のダガータイプ、ダガーLタイプもあったか……
 そんな訳で、恥ずかしながら君達の手を借りざるを得なくなったのだよ」

イワン中佐は頭をかきながら、キラへ説明を終わらせた。
武装した独立運動家という話は聞いていたが、単騎でダガー20機を屠るのだから只者ではない。
キラは、その情報に、手ごわい相手との戦いになると気を引き締めた。
7510/30:2006/01/29(日) 06:47:38 ID:???
「そいつに……協力者がいるはず。どんな連中なんです?」

突如、ゲンが話しに割って入る。だが、イワンは意表を突かれたという風もなく、平然と応えた。

「彼がノフチー共和国に入ったのは先週。独立運動を展開しているテロ組織を頼っているらしい。
 あの国は、昔からユーラシアから分離・独立を望んでいて、自前のテロ組織も供えていてね。
 幾度も混乱状態にあった国で、イワン・ザンボワーズもそのテロ組織の食客扱いだが……」
「何故今頃になってイワンを必死に追うのです? もっと早く手を打てば良い筈では?」
「……もっともな質問だ。だが、それは得策ではなかった。少なくとも戦争が始まるまでは。
 イワンに限らず武装した独立運動家――テロリストは殺しても殺しても新顔が出てくる。
 かといって、変な輩に暴走されても困る。テログループにしても同じだ。組織も人も……
 恒久的な安寧を望むなら、組織を壊滅させるのではなく、存続させてコントロールするのも手だ」
「……イワンもテロ組織も、ある意味では連邦政府が飼っていたと?」
「そうではない。が、どんなテロリストでも行動を把握できれば、それは脅威ではない。
 殺せば良いというのは短絡的に過ぎるよ。それに、下手に殺して英霊扱いされても困る」
「それでも、一部を容認することに代わりはない……違いますか?」
「……信義よりも効果だよ、アクサニス中尉」

イワン中佐は、そう言うとポケットからタバコを取り出し、一服始める。
煙がゆっくりと部屋の上部にまで立ち込めたころ、再び彼は話し始める。

「この国は病んでいるのだよ。軍、麻薬、テロ、マフィアの連携は巨大で暴走も多い。
 大西洋連邦やオーブでは考えられないことが日常的に起きている。ユーラシアは広大だが……
 同時にその病巣も大きく根深いものがある。あまり多くは語りたくないが……まあ、察してくれ」
「……目的地は何処です?」
「ノフチー共和国の首都、雷帝の街だ」
「……?」
「……知らんのか? イワン雷帝の街だ。ロシア語で恐怖の名を持つ街だが……
 そういえば不思議だな。これから行く街もイワン、戦う相手もイワン、そして私の名もイワンだ」

言葉遊びのつもりなのだろうか――
イワン中佐はなにやら愉しげにその事実を指摘する。
食えない男だとゲンは感じたが、相手は中佐である。その思いは口には出さない。

やがて輸送機はカザフスタンの西、テンギスに到着した。
7611/30:2006/01/29(日) 06:48:30 ID:???
中継地テンギスからは、直接MSに乗り込んでの移動となった。
ゲンはストライクMk-Uをフライングアーマーに乗せ、キラはムラサメを飛行形態にして準備する。
同行する情報部のイワンも、フライングアーマーに乗り込み同行することとなった。
彼の機体は、独立した戦闘機ともなり得る機体だったからだが……

「あまり無茶はしないでくれよ。私は乗り物に強くはないんだ」
「中佐も物好きですね。そこまでしてついてくる必要はないでしょう?」
「これも仕事でね。現地の状況を確認しなきゃならんのだ」

イワンは愚痴りつつ、同行することをゲンに了解させた。彼もまた軍人ではあったのだ。
とはいえ、フライングアーマーは移動用にしか使えないことになる。ゲンは内心舌打ちした。
そんなやりとりを、キラが見つめつつ、イワン中佐に話しかける。

「あの……」
「……ん? 何かね?」
「我々の任務は、イワン・ザンボワーズの逮捕が第一ですよね?」
「そうだ。無傷で逮捕できればそれに越したことはない。だが、相手は凄腕のテロリスト。
 おそらく、そう簡単に逮捕など出来まい。最悪、殺傷もやむを得ないだろう。
 君達は、気にせずいつも通りやってくれればいい。後の始末は私がやる」

キラとイワンのやり取りをゲンも見ていた。だが、彼はキラの言葉に一抹の不安を感じていた。
初めてキラと共に作戦行動をする以上、不安を取り除く必要がある―
そう思ったゲンはキラを問いただす。

「お前、生け捕りにしようって思っているのか?」
「できれば……」
「やめておけ。相手は相当の腕だぞ。加減の出来る相手か?」
「でも……」
「俺たちは神じゃない。万能でないだけ、鬼になる必要もある」

最低限の釘を刺し、ゲンはキラの元を離れ、愛機へと向かった。
そんな様子をイワンは不思議そうに眺める。そして、会話が終わるとキラに言った。

「君達は……あまり仲が良くないのかね?」

良くないわけではないが……ゲンとキラの思考は、明らかに食い違いを見せていた。
7712/30:2006/01/29(日) 06:49:17 ID:???
ゲン達がテンギスを出てから数時間後―
ゲン達の目的地の街に、件の男―イワン・ザンボワーズはいた。
彼の周りには大勢の男たちがいる。彼らは皆銃を持ち、一見して堅気には見えない。
そんな中にいるイワンを、一人の男が呼ぶ。

「イワン、来てくれ。大佐が呼んでいる」

男に呼ばれ別室に通されたイワンを、大佐と呼ばれる人物が迎える。
髭を蓄えた壮年の男だが、その顔はやつれている。暫くして、男が口を開く。

「イワン、もうすぐ空爆が始まる。ユーラシア軍からの通告があった」
「市民の避難は?」
「他所にアテのあるものは済んでいるだろう。だが、そうでない者はまだ多くいる。
 一時しのぎではあるが、なるべく安全な場所へ向かわせるよう、指示は出しているが……」
「……俺はどうすればいい?」
「……街を出たまえ。ここで君が出来ることは終わった。
 相手が重爆撃機ならMSでは手も打てない。今日まで……ありがとう。よく戦ってくれた」

それだけ言うと、大佐と呼ばれる男はアタッシュケースを取り出し、イワンに遣した。

「もって行ってくれ。今日までの礼だ」
「……金が目的でやっているわけじゃない」
「だが、これからの君の活動に必要なものだろう? それに、せめてもの感謝の印だ」

暫しの黙考の後、イワンはケースに手を伸ばす。ケースを受け取った後も再び沈黙が続く。
やがて、大佐と呼ばれた男が手を伸ばし、握手を求める。

「我々の戦いもまだ終わったわけではない。また……いつか会おう」

イワンも手を伸ばし、大佐と握手を交わす。だが、そんな部屋に一人の男が駆け込んでくる――

「イワン! 街の北からMSが2機迫っている! 早く脱出を!!」

男の言葉に大佐とイワンは頷きあう。ユーラシア連邦はイワンの逃走を逃しはしないということだ。
そのことは予め二人も承知していたのだろう。覚悟の上といった表情で、イワンは部屋を出る。
その姿に、大佐と部屋に駆け込んできた男は無言で敬礼をした――
7813/30:2006/01/29(日) 06:50:09 ID:???
愛機ハイペリオンに乗り込むイワン――
情報どおり、北からMSが2機迫っているが、どちらもユーラシア連邦の識別コードではない。
一機は大西洋連邦で、もう一機はオーブであった。遠く離れた両国のMSが何故この地に――?

「事情は分からないが……敵であることに変わりはないな」

言うや、戦闘モードに切り替えハイペリオンを起動させ、激戦の幕が開けた――


その頃もう一人のイワン―ロシア情報部のイワン中佐は、ゲンとキラに指示を出していた。

「ああ、二人とも。街の外で待っていろ。街には入るな」
『どういうことです?』
「あのイワン・ザンボワーズという男は、市民のいるところでは戦闘はしない。
 彼の傾向からすると、街の外でいつも戦闘を仕掛けてくる筈だ。
 こちらが少数だから、尻尾を巻いて逃げるとは考えにくい。
 返り討ちにしようとする筈だから、やつの誘導に従え」
『ちょっと待ってください! こっちに地の利はないんですよ?』
「頼りないことを言わないでくれ。二人とも、伝説のストライクの新旧パイロットだろう?
 いつもこのくらいの難局は、難なく突破してきたのではないか? 頑張ってくれたまえ」

ゲンの抗弁にも彼は意にも介さない。やってみせろという風に言うだけであった。
食えない男だ―そうゲンは思ったが、状況が変わるわけではない。目の前の戦闘に集中する。
フライングアーマーの速度を上げ、キラのムラサメに先行した。

「キラ、信用していないわけじゃないが……
 ブランク明けのアンタより俺が先に出た方がいいだろう。俺が先行するから、援護に廻ってくれ」
『了解』

そんなやりとりをしているうちに、イワン・ザンボワーズは街の西へと移動を始める。
モニターは、ハイペリオンの動きを逐次捉えおり、ゲンもキラも自機をその方向へと向ける。

「む……ヤツが向かっているのは、森林地帯の方向だな」

情報部のイワン中佐は、フライングアーマーのコクピットの中で、先にあるものを告げる。
数的有利を帳消しにされるな―ゲンは舌打ちするが、彼もMk-Uを森林地帯の方向へ向けた。
7914/30:2006/01/29(日) 06:51:03 ID:???
Mk-Uとムラサメが森の近くまで到達した頃、既に森林の奥へとハイペリオンは去っていた。
ゲンはMk-Uをフライングアーマーから下ろし、キラはムラサメをMS形態する。
二人は森の前でMS越しに話し始める。

「逃げたのかな?」
「いや、ここで俺たちを倒すつもりだろう。レーダーを見ろ。奥で動きを止めている」
「あ……ホントだ」
「……いくぞ」

キラの疑問にゲンが答える。見ればハイペリオンは前方数km先で動きを止めている。
二人がMSを進ませようとしたとき、異変が生じる。通信機器にノイズが混じり始めたのだ。
すぐに雑音が強まり、無線が使えなくなる。やがて、全ての帯域で通信不能になった。

「くそッ……ジャミングか!」

ゲンはストライクのコクピットでその異変の正体を察知する。
多対一の戦闘では、まず一の方が多の連携を封じるのが上策といえた。
教科書どおりといえば教科書どおりなのだが、オーソドックスな手法でも効果は絶大。
木々に阻まれ、自由に動くこともままならなくなった。完全に数的有利は帳消しにされたのだ。

「イワン中佐! アンタはここで待っていてくれ! もう一人のイワンをすぐ連れて来る!」
「生死は問わんよ。上手くやってくれたまえ」

互いに無線ではなく、拡声器を使ってのやり取りだが、情報部のイワンは落ち着いて言った。
それに応えるように、ゲンのストライクMk-Uとキラのムラサメは森の奥へと入っていった。


「ストライクとムラサメか……妙な組み合わせだな」

イワン・ザンボワーズは、森に入ってくる両機を訝しがった。
ストライクといえば大西洋連邦が開発したMSで、ムラサメはオーブの最新鋭機……
しかし、そんな接点のない両機体は、ジャミングに動揺する風でもなく森に入ってくる。
その光景にイワンの手は汗ばみ、それがグローブ越しに全身に緊張を伝える――

「相当の手練か……いよいよ俺も年貢の納め時か?
 だが、俺はまだ死ねない。俺を受け入れてくれたユーラシアの国々が自由を手にするまでは!」
8015/30:2006/01/29(日) 06:51:53 ID:???
森林地帯に分け入るMk-Uとムラサメ―
針葉樹林の樹木は、MSが通れるほどのスペースはあったが、その程度の幅でしかない。
今攻められれば、機敏な対応はできまい―ある程度覚悟していたことではあったが……

「拙いな……」

敵の術中に嵌りつつある―ゲンはそう感じざるを得なかった。
やがて、敵MSまで数百mというところまで迫ったとき異変が起きる―
二人の小爆発が次々と起ると、周辺の地表が一斉に爆ぜる。

「煙幕だ! 来るぞ!」

相手に聞こえもしないのにゲンはキラへ言葉を発する。
視界の悪い森林地帯に加え、煙幕でこちらの視界を潰しに掛かる―完全にプロの使う手だ。
状況は最悪といえた。この時のゲンの言葉は、キラへのものというより自分への叱咤に近かった。
ゲンはストライクMk-Uのシールドを構えながら横へ数歩移動を始めたが……

「クッ……! 樹が邪魔で動きが!!」

舌打ちする間もなく、ストライクを膨大な光の束が襲う――ビームキャノンフォルファントリー
ハイペリオン最強の破壊力を持つビームキャノンは、数秒前までMk-Uが居たところを通過する。
後手に廻ればやられる―確信したゲンは機体を無理やりに加速させる。
シールドがあろうと、フォルファントリーは防ぎきれるものではない。止まれば死を待つのみだ。
ストライクMk-Uは左右にステップしつつ、バー二アを吹かせることで距離を詰めようとする。

「……見えた!!」

モニターに相手の姿―ハイペリオンの姿が確認される。距離にして500mほど――
その距離まで迫ったとき、今度は威力の小さいビーム砲火がストライクを穿った。
ザスタバ・スティグマトと呼ばれるビームサブマシンガンは、無数の閃光となりゲンを襲う。
しかしここで足を止め、相手に距離を取られれば再びフォルファントリーに穿たれよう。
モニターが点滅し被弾箇所を知らせる―それでも、ゲンは無謀な突貫ともいえる攻撃を強行した。

「捉えたッ!!」

ビームライフルの射程圏内に納め、ここぞとばかりにゲンはライフルを放つ――
8116/30:2006/01/29(日) 06:52:39 ID:???
が、その弾道は逸らされる――ハイペリオンの左腕を結晶のような粒子の膜が包んでいた。
ハイペリオンの左腕に装備されたモノフェーズ光波シールドが、それを阻んだのだ。
接敵するまでゲンがライフルを放たなかったのは、一重に自分の位置を相手に悟られないため―
撃てば確実にいる場所を相手に悟られ、フォルファントリーの餌食となるからだ。
しかし、視認できる距離まで接近しても、肝心の攻撃が阻まれては仕様がない。
最早、超接近戦でのサーベル攻撃以外に敵を仕留める手段はないと言えた。
ゲンは機体を飛翔させ、これまで以上に強引に距離を詰める―

ハイペリオンも、そうはさせまいとサブマシンガンの光弾を放つ。一発一発が死のバレット――
その弾幕がゲンを襲う―シールドで受けるストライクであったが、衝撃はコクピットを容赦なく襲う。
コクピット内で、激震に見舞われながらもゲンは意識を保ち、あと数歩のところまで迫った。

刹那、敵の攻撃がやむ―
ハイペリオンのビームサブマシンガンは、パワーセルを入れたマガジンで装弾される。
つまり、その弾が切れた一瞬を迎えたのだ。即座にマガジンの再装填を行なおうとするが……
その一瞬はゲンにとっての最大の好機――

「今だッ!!」

Mk-Uはシールドもライルフもかなぐり捨て、ビームサーベルを引き抜き相手に切りかかった。
狙いは敵のコクピット周辺―そにはMSの機能が集中しており、そこを切り裂けば敵は止まる。
もっともコクピットの近くであるから、操縦者を殺傷する可能性も高いが、手段は選べない。
相手はまだサブマシンガンを抱えたまま―確実にゲンの距離であった。
が、目前でMk-Uのサーベルはハイペリオンに防がれる―

「何ッ!?」

驚愕するゲン―ハイペリオンは、その手に持つサブマシンガンから一筋の光が見える。
サーベルと呼べるほどではないが、ナイフ状のビーム粒子が、Mk-Uのサーベルを阻んでいた。

「銃剣かッ!!」

舌打ちする暇もなく、ハイペリオンはその銃剣と化したサブマシンガンで切りかかってくる。
ハイペリオンは、2年前の機体とはいえ、その能力は現行のどの量産機よりも優れていた。
同時に、数は少ないものの、遠中近どの距離でも戦える装備も備えてる。
その汎用性には、ゲンも瞠目せざるを得なかった。
8217/30:2006/01/29(日) 06:53:29 ID:???
だが、ゲンの驚愕もよそに、戦闘はなお続いていた。
切りかかってくるハイペリオンをいなしつつ、ゲンは相手の力量を測っていた。
手加減しながら勝てる相手ではない―と。手段を選ばず勝ちに行かねばならない、ということだ。
意を決し、ゲンは再度サーベルを振りたて、ハイペリオンに切りかかる――
再びハイペリオンは銃剣で応じるが―その時、Mk-Uの頭部バルカンがその砲門を開いた。

「もう……手加減なんてできねぇぞ! 逝っちまえッ!!」

切り結んだ一瞬に、Mk-Uの頭部から実弾の一斉射が放たれる――
シールドを展開せず、またフェイズシフトを装備していないハイペリオンには防ぐ手段はなかった。
あたかもダンスを踊る人形のように、後方に弾き飛ばされながら無数の弾丸を浴びている。
頭部、胸部、上腕部を中心にMk-Uの20mmのバルカン砲はハイペリオンを穿っていた。
数秒間ではあったが、射撃の的となったハイペリオンは崩れ落ち、無残にその残骸を晒す……

「……殺しちまったか」

胸部も無残に穿たれ、コクピットの周辺にも弾傷は刻まれていた。
遺体を確認するまでもない状況に、些かの後味の悪さはあったが、相手はテロリストである。
その力量と相まって、手加減している暇などなかったのだ。仕方がないことだと、ゲンは諦めた。

「終わったぜ、キラ。帰る準備をしよう」

戦闘が終わったことをゲンはキラに告げる。
森林地帯での密着戦に持ち込んだ時点で、キラは援護の仕様がなかった。
また、緒戦でムラサメのライフルで射撃をしたところで、位置を知られる危険があった。
正確な位置を知られれば、彼のフォルファントリーの一撃で、自分が狙われる虞があったのだ。
キラが碌に援護らしい援護もできなかったのは、やむを得ないことであった。
だが……

「キラ? おい、キラ! 返事をしろよ!? 無線が……まだ通じない」

無線で呼びかけるが、雑音が入り相手に声が伝わらない……
ジャミングはまだ続いていた。しかし、テロリスト本人はたった今ゲンが倒したのだ。
ジャミングの発信源がハイペリオンではないということか――?
ということは……まだ戦闘は終わっていない―他に発信源があるか、仲間がいるのか――?
ゲンはストライクを反転させキラの姿を追ったが、一瞬後にゲンは信じられない光景を目にする。
8318/30:2006/01/29(日) 06:54:20 ID:???
キラの駆るムラサメは、一機のMSと対峙していた。
敵機種は見覚えのない機体、だが一瞬後にゲンはその機体の名を思い出した。
レイスタ――ジャンク屋が主として使う工作用MSで、オーブのM1アストレイに近い性能を持つ。
なぜなら、レイスタ自体がアストレイのパーツを流用してくみ上げられたものだからだが……

「キラ!?」

ムラサメはライフルを構えているが、レイスタは樹木を盾にビームナイフを一本持っているだけ。
キラがそれを放てば、勝負は一瞬にしてつく筈であった。しかし、キラはライフルを撃とうとしない。
そうこうする内、レイスタは木々を器用に抜け、距離を詰めようとする―

「何をやっている!? 撃て! 撃つんだ!!」

ゲンは思わず言葉を掛けるが、キラはその意に反しライフルを投げ捨てサーベルを引き抜く。
近接戦闘で相手を止めようというのだ。相手と対等の立場で戦いたいからするのではない。
キラは相手の命を慮ったのだ。木々に身を隠した相手の手足を狙い打つことが出来ず……

「馬鹿……野郎ッ!」

ゲンがストライクMk-Uで援護に向かおうにも、ライフルはなくバルカンも残弾が尽きていた。
遠距離からの支援などできよう筈もない。距離にしてMk-Uとムラサメは2、300mは離れていた。
舌打ちするゲン――だが、最早キラ本人の力量に期待せざるを得なかった。

サーベルを引き抜いたムラサメは、一気呵成に迫るレイスタのビームナイフを持つ手を両断する。
勝負は一瞬にしてついたかに見えたが、それでもレイスタは前進をやめず、ムラサメに組み付く。

――武器を失ったのに、何をする気だ?

ムラサメに組み付いたレイスタに鬼気迫るものを感じるゲン。その答えはすぐに明らかになる。
レイスタの切断された右腕はそのままに、残った左手が自機の足元に伸びる―
次の瞬間、レイスタの足元から何かを取り出す―もう一本のビームナイフを――

「キラ! 敵はまだやる気だ! 早く仕留めろ!!」

ジャミングで届かぬゲンの声がMk-Uのコクピットに木霊する。
だが、状況は既に最悪の方向へと向かい始めていた。
8419/30:2006/01/29(日) 06:55:10 ID:???
キラのムラサメも、すぐさまそのレイスタの動きに反応するが……
ビームサーベルは言わば長剣、木々が隣接する森林内では思うように振り回せない。
小回りの聞くレイスタのビームナイフの方が、近接戦闘では遥かに小回りが効いていた。
流石のキラも、武器の性質の違いから反応が遅れる――

その間隙を縫いレイスタのナイフが、ムラサメの胸元を抉った――

一瞬遅れてムラサメのサーベルの一撃が、残ったレイスタの左腕を切断するが……
両機は互いにそこまでで動きを止め、数秒の間をおいて互いにゆっくりと仰向けに倒れこむ――

「キラああッ!!」

ゲンの絶叫も虚しく、キラの乗るムラサメはピクリとも動かない。
今だジャミングは健在で、無線で安否を知ろうにも阻まれ手の打ちようがない。
ゲンはストライクをムラサメの元に向かわせ、倒れたムラサメの側で停止させる。
次に、応急用の救命道具を手に、ゲンはキラの元へと向かった。

仰向けに倒れているムラサメのコクピットによじ登り、コクピットに辿り着く。
胸部にはビームナイフで切り裂かれた傷跡が、無残に残ったまま……だが、直撃ではなかった。
幸い、コクピットブロックからは若干逸れており、誘爆の危険を除けばパイロットは無事だろう。
すぐさまゲンはコクピットのハッチを強制解放し、キラを救おうとする。

「キラ、無事か!?」
「……うん、何とか」
「……血が出てるじゃないか」
「う、うん」

見れば、コクピットに座るキラの左肩口からは、血が流れている。
切り裂かれた衝撃でコクピットの機材が破損したのだろうか、焦げ臭い匂いも立ち込めていた。

「兎に角、傷の具合を見るのが先だ。立てるか?」
「……うん」
「あまり無理をするな。俺の手に掴まれよ」

ゲンは手を伸ばし、キラをコクピットから助け出す。
ムラサメの機体の外に出た二人―すぐさまゲンはキラの傷の処置に入った。
8520/30:2006/01/29(日) 06:56:07 ID:???
ゲンは、キラのヘルメットを取り、パイロットスーツの上腕部までを肌蹴させる。
幸い、出血量は大したものではなく、傷も浅かった。コーディネーターであれば全治一週間程か。
大事には至っていないことに安堵しつつ、消毒と簡単に傷口を応急用の絆創膏を貼った。

「……これで、とりあえずの処置は済んだ。あとは帰ってからだ」
「ありがとう、ゲン」
「……ありがとう、じゃないだろう!? お前は、何を考えている!」
「……え?」
「何故あの時撃たなかった? 撃てばお前はこんな怪我を負う羽目にはならなかった筈だ!」
「………」

詰問するゲンに沈黙するキラ―暫しの沈黙が流れるが、キラから答えは返ってこない。
だが、その答えは意外なところから返って来ることになる。

「大方、俺の逮捕命令がでていたんだろうな。そして、そいつはそれを忠実に実行した」
「「!?」」

二人の目の前に、件の男―イワン・ザンボワーズが銃を構え立っている。
ゲンは腰を見やるが、今の彼はキラを助けるべく丸腰で飛び出していた。愛用の銃はここにない。
舌打ちするゲンだが、最早後の祭りであった。テロリストの銃口が鈍く光二人を捉える……

「馬鹿な! イワン・ザンボワーズは……ハイペリオンは俺が倒した筈だ!」
「多分、リモートコントロールで操っていたんだ」
「何……?」
「気づかなかった? ジャミングの中で、ある高音帯域にノイズが混じっていたのを。
 そのノイズは恐らく、ジャミングに阻まれない特殊な電波送信方法の筈。
 レイスタの中からリモートコントロールを使って、その周波数からハイペリオンを操っていたんだ」

嵌められていた――キラの言葉で、ゲンは全てを悟った。
目の前の敵に目を奪われ、周囲が見えていなかったのは彼であった。
キラはその状況で冷静に相手の戦法を読み、レイスタを操る者こそイワンであると悟ったのだ。
全てはイワン・ザンボワーズの手のひらの上で、彼操られるように戦っていたに過ぎない。
舌打ちするゲン―だが、状況は絶体絶命。イワンは銃を手に、残酷にそのことを告げる――

「大したものだ。あの短時間でそこまで判断できる人間がいるとはな。
 だが……まだ俺は死ねない。加減してもらって悪いが、お前等には死んでもらうぞ」
8621/30:2006/01/29(日) 06:56:54 ID:???
「なあ、アンタ……コーディネーターなのか?」

唐突に――余りに唐突にゲンは質問をした。
銃口を向けられ、今正に死に瀕しているというのに――

「……そいつが人生最後の質問か?」
「……自分を殺す人間がどんなヤツか、知っておきたくてね」
「俺は……コーディネーターだ。親も兄弟もいない。作ったのは誰かも分からない。大方……
 親の気に入らない姿で生まれた為捨てられたんだろう。"サーカス"っていう組織に育てられ……
 戦闘訓練を受け傭兵紛いのことをやらされていたが、嫌気がさして俺はサーカスを脱走した。
 けど、外界で俺に行くアテなんてなかった。そんな俺を受け入れてくれたのがユーラシアだ。
 ある小国で俺は独立運動の手伝いをし、その国は独立を果たした。そして今日まで生きて来た」
「……そうか、アンタはコーディネーターなのか。間違いないな?」
「ああ。さて、そろそろお喋りは――」
「俺もアンタの余計なお喋りは聞き飽きたよ。今度こそ――」

ゲンが話を途切れさせるや、彼の左腕部に異変が起きる――
インナースーツの繊維が弾け飛ぶや、彼の左腕からは漆黒の機銃が現れる――

「――逝っちまえよッ!!」

ゲンがその言葉を発してから連続して数秒間――森に弾音が鳴り響いた。

「……語っている暇があったら撃つんだよ、間抜」

ゲンははき捨てるように、イワン・ザンボワーズだった肉塊を罵った。
ゲンの周囲には薬莢の欠片が散乱し、辺りには硝煙の匂いが立ち込める――
隠し銃――前腕浅指屈筋の辺りから飛び出した20cm程の小型マシンガンとも呼べる兵器……
それがゲンの切り札であり、イワン・ザンボワーズを仕留めた、文字通り最後の武器であった。

「何で俺が生き残ったか、最後に教えてやるよ。それは、俺が軍人で、お前がテロリストだからだ。
 テロをやるような人間が持つ思想とか、そんな下らないモノ、俺は生憎持ち合わせちゃいない。
 俺はGenocider Enemy of Natural……ただナチュラルの敵を殲滅するだけの兵器だ。
 お前は成ってない、敵を見たら撃つんだよ。最も、お前がナチュラルなら殺せなかったけどな」

テロリストの出自を聞いた代わりに、ゲンはその人物の遺体に自らの出自を語った――
8722/30:2006/01/29(日) 06:57:55 ID:???
「こいつを使うとインナーも上着も、左腕の服が破れるから本当は使いたくはないんだよ、クソッ」

カシャン、カシャン―――
金属同士がぶつかり合う音が聞こえ、すぐにゲンの左腕は元通りになっていた。金属製だが……
手も普通の人のそれと大差なく見え、今しがた左手から物騒なものが生えていたとは思えない。
義手が正常に機能するか確かめるように、2,3度手のひらを伸ばしてから拳を作る動作をする。
問題がないことを確かめた後、ゲンはキラに向き直る。

キラはただ、呆然とゲンの腕と、目の前に横たわるイワン・ザンボワーズの遺体を見比べていた。
やがて、それが終わると、彼はゲンを責める様な眼で睨みつける――

「………」
「何だよ? 何か言いことでもあるのか?」
「殺さなくても……殺さなくても、良いじゃないか!」
「……は?」
「彼の逮捕が目的だった筈だ! なのに、どうして殺したんだ!!」
「命令が変わったんだよ。お前には伝えていなかったけど、イワン中佐から秘匿回線で言われた。
 最初は生死を問わないと言ったけど、後から相手が投降した場合を除いて対象を抹殺しろ……
 ってな。お前がどうにもやる気なさそうだったから、あのおっさんも不安になったんじゃないか?」
「そんな……! どうして!?」
「裁判に掛けていたら面倒だからじゃないのか? 大概テロリストの末路なんて、あんな物さ」
「そういうことを言ってるんじゃない! 君なら相手を殺さずに捕らえることも出来た筈だ!」

次第にキラの語気は荒くなって――
それに呼応するかのように、ゲンもキラの胸倉を掴み上げ、相手を罵り始める。

「俺が……あのイワン・ザンボワーズに慈悲の手を差し伸べてやる必要が何処にある!?
 大体、お前も俺もアイツに殺されるところだったんだぞ! 平和ボケも大概にしろ!!」
「君は……ガルナハンでレジスタンスの少女を殺さなかったって聞いた!
 そんな君ならあのテロリストだって、やろうと思えば殺さずに捕らえられた筈だろう!?」
「……ふざけるなッ!!」

ガルナハンでの一件を指摘され、ゲンは頭に血が上った。
情報の出所は大方アウルやスティングだろうが、そんなことは問題ではなかった。
先日ゲンがした "兵器"としては相応しくない行為は、自身が何より気にしていたことであった。
一番触れられたくない部分にストレートに触れられたことで、ゲンの精神のリミッターは、キレた。
8823/30:2006/01/29(日) 06:58:43 ID:???
ゴッ――!
鈍い打撃音が森に響く。ゲンは拳を握り締め、キラは地に臥せっていた。
やがてゆっくりと顔を上げるキラの左頬には、ハッキリと打撃痕と分かる腫れが見えた。
地に臥せながらも、しっかりとゲンの眼を見据えて再び口を開く――

「……どうして、どうして殺すんだ!」
「どうしてもこうしてもあるか! 敵だから殺す! 当たり前のことだ!!」
「生かす人間と、殺す人間を……君はどうして決めるの?」
「俺はなぁ……戦闘用コーディネーター、ソキウスなんだよ!
 課された命令は二つ! "ナチュラルのために戦え、ナチュラルを殺すな"だ!
 ラクス・クラインを攫えって命令を出した、ブルーコスモス盟主から命令を受けて動いている!
 ガルナハンでコニールを何故殺さなかったか? 簡単な理屈さ、アイツがナチュラルだからだ!
 コニールが……アイツがコーディネーターだったら殺していたさ!!」
「………」
「お前だって、ラクス・クラインだってそうさ!
 命令が出たらお前だって殺すし、ラクスだって殺していた。それが俺だ!!
 Genocider Enemy of Natural……ナチュラルの敵を殲滅するための兵器が、この俺だ!!!」

ナチュラルの敵を殲滅するための兵器――
その言葉を聴いたキラは、先ほどまでの怒りを帯びた表情とは異なる……
それとは真逆の、静かな瞳で――その瞳に哀しみの色を濃くして言った。

「君は……兵器なんかじゃない」
「……あ?」
「君は兵器なんかじゃないって言ってるんだ。君は……人間だ!」
「………」
「バルトフェルドさんから聞いたよ。君は襲撃者からラクスを庇ってくれたって。
 あの夜、襲撃者が自爆したのを庇ったのか、君の背中は血に塗れていた……って。
 ただ命令で動いているだけの人間は、絶対にそんなことはしない。君には人としての心がある」
「……だから、俺は人間だって?だが俺がソキウスである事実は変わらない!奇麗事を言うな!」
「奇麗事じゃない! ……なら、何で今君はそんなに辛そうな顔をしているの?
 君はそうやって相手を無理やり憎んで、本当は殺したくないのに……相手を殺している」

あの夜――マルキオ孤児院をザフトの特殊部隊が急襲した夜――
バルトフェルドは、どこからかゲンとラクスの行動を見ていたのだろうか……
キラには何らかの確信があるのか、ゲンの歪んだ表情を見て"辛そう"と言った。
8924/30:2006/01/29(日) 06:59:33 ID:???
「俺が……辛そう、だと?」

人は鏡を用いずには、正確に己の表情を知ることなどできはしない。
憤怒の情がそうさせているのか、それともキラの言うように辛苦の想いがそうさせているのか……
ただ、確かにキラの言葉どおり――ゲンの顔は歪んでいたのだ。

そんなゲンとキラのやり取りは、意外な闖入者により中断されることとなる――

「なあんだ、二人とも実は仲が良いんじゃないか」

いつからか、ユーラシア連邦軍情報部のイワン中佐が二人の側まで来ていた。
横たわるイワン・ザンボワーズの亡骸に一瞥くれると、ご苦労さんという風に二人に拍手する。
先の皮肉の言葉と今の拍手に、キラは露骨に不快な表情を見せ、イワン中佐を睨みつける。

「……どうして、この人を殺せと……ゲンに命令したのですか?」
「キラ君、それは政治的配慮だよ。この戦争の最中、裁判に掛けるのは手間だろう?」
「……ッ!」
「それに……ヤマト三尉、君は他人のことは気にしている余裕があるのかね?
 君にとっては、このイワン・ザンボワーズのことは、他人事じゃないだろう?」

情報部のイワン中佐は笑みを浮かべながら――やがて、冷徹なまでにキラに残酷な宣告をする。

「どんなテロリストでも行動を把握できれば、それは脅威ではない……そう教えた筈だ。
 つまり、裏を返せば君たち三隻同盟の連中も同じことだよ。君は不思議に思わないのかね?
 我々連合もザフトも、二年もの間オーブで暮らす君達に対して何もしてこなかったことが。
 理由は簡単さ。君たちの行動が把握できていたからに過ぎない。それだけのことだ」
「把握……?」
「常に君達は監視されていたのだよ。テロリストの一団としてね。
 賢明なことに、ラクス・クラインはこの2年間市井の人として生きる道を選んだ。
 だから、我々は彼女の行動から脅威を感じず、ただ放置していただけのこと……
 しかし、ユニウスセブンの落下で状況は一変した。戦争が始まったからだよ。
 戦争に際し、連合はテロリストとザフト、二正面の作戦を展開するとなれば相当の負担となる。
 それはザフトにとっても同じこと。だから、ザフトは、いやプラントはラクスを排除しようとした。
 イワン・ザンボワーズにしてもそうだ。国家が管理できないテロリストに生きる場所などないのだ」

キラと向かい合ったまま、情報部のイワン中佐はタバコを口にする。
9025/30:2006/01/29(日) 07:00:20 ID:???
「私にはザフトがラクス・クラインを消そうとした理由がよく分かる。
 連中は怖いのさ。また彼女にしゃしゃり出て来られると、思うように戦えない。
 だから、暗殺部隊まで差し向けて消そうとした。その気持ちは実によく分かるよ」

ゆっくりと煙が立ち昇り、煙が宙を舞う――キラはただその煙の先を虚ろな表情で眺めていた。
イワン中佐がタバコを吸い終わると同時に、彼は再び口を開いた。
彼の言葉に些かショックを受けているキラ・ヤマトを、今度は慰めるかのように……

「まあ、それはさておきヤマト三尉、君は実に良いタイミングでオーブ軍に入った。
 連合に敵対した過去の罪が帳消しになるわけではないが、これで君も体制の側の人間だ。
 過去の罪の清算は、戦果を挙げることで相殺されよう。せいぜい頑張ってくれたまえ」

それから2時間後、迎えの部隊に連れられてゲンとキラはその場を後にした。
後詰と思われるユーラシアのダガー4機が、損傷したムラサメをトレーラーに積み込む。
そして、件のテロリスト、イワン・ザンボワーズの亡骸も一緒に――
だが、意外にも物々しい装備をした軍人たちの姿があり、穏やかならぬ様子であった。
移動のためゲンとキラも損傷したMSを降り、用意されたトレーラーに乗り込んだが……
只ならぬユーラシア連邦軍の兵士たちの様子に、ゲンは不審に思いイワンを問いただす。

「作戦は終わったんじゃないのか?」
「ああ、イワンの抹殺は終わったよ。だが、もう一つの作戦が残っている。時機に始まるよ」

東から轟音が聞こえる――重爆撃機から無数の爆弾が嵐のように投下されていたのだ。
先ほどまでイワン・ザンボワーズがいた街は、やがて紅蓮の炎に包まれ、東の空も紅に染まった。
陽が沈む方向とは真逆の方向が――気味の悪いほど赤い血の色に塗りたくられる――

「何だよ、アレは!?」
「言わなかったかね? 今度の作戦は、あの街に巣食うテロリストどもを一掃するというものだ。
 君達がイワンを抑えてくれた作戦も、その一掃作戦の一部に過ぎない」
「普通の、一般市民の避難は済んでいるのか?」
「一応、警告は済ませたよ」
「……それだけか? まだ避難していない市民がいたらどうする!?」
「さあな。あの国は独立を掲げ我が国から離反しようとした。穏健派も無論いたが……
 武装闘争を掲げる者もいた。イワンもその一人だ。だから、始末する必要があったのだよ」

テロリストごと――住民ごと――根こそぎ焼き尽くす死の炎は、やがて街の全域を包み込んだ。
9126/30:2006/01/29(日) 07:01:09 ID:???
遠目だが、凄惨な光景を見たゲンが憤る。あの街にまだ住民がいるとすれば……

「おい! それじゃ、あの街にまだ住民がいるってことか!?」
「いるかもしれんな」
「そんな馬鹿なことがあるか!? 彼らもユーラシア連邦の国民だろう!」
「その通り。だが、独立運動に参加し、武装闘争を掲げる者たち―テロリストが問題だ。
 彼らは一般市民に紛れて行動している。困るんだよ、見分けがつかなくてね……」
「だから、爆撃で一掃しようっていうのか?」
「ああ。警告を出した日から、街の外に出た連中を検問でチェックしている。
 それらしい者がいたら、逮捕か……尋問を受けることになっていた。それを拒む者は……」
「テロリストと見なし、殺すって言うのか……動けない者や、避難を拒む人間はどうする!?」
「……もう、君には見当がついているんじゃないのか? お察しの通りだと思うが……」

察しの通り―今イワン中佐たちは虐殺とも呼べる行為に手を染めていたのだ。
その事実を指摘しても、顔色一つ変えない情報局の男に、ゲンは敬語も忘れ激昂する。

「これでは……虐殺だろう!」
「だったら、何だというのだ? この事実を公表し、我が国を糾弾するかね?
 だが、君達はあくまでこの作戦の参加者だよ。そのことを分かっているのかね?」
「……ッ!! キサマ等は最初からそのつもりで俺とキラを……!?」
「……大西洋連邦とオーブにはこれからも友好な関係を築いていきたいものだ。
 君は特殊部隊の人間だが、大西洋連邦の上層部にも顔が利く部隊にいるのではないか?
 ヤマト三尉は確か……オーブの代表の弟だったか? 非公開の事実だったと思うが……
 大変だなあ……そんな大それた人間が虐殺に加担したと分かれば、なあ?」
「ふざけるなッ! 俺たちを……使いやがったな!?」
「ふざけているのは君のほうだろう! 考えてもみたまえ、テロを止めるのは国家の役目だ!
 この戦争の大事に、敵国プラントの軍隊ザフトとテロリストが連携してみろ、どれだけの脅威か!
 手段を選んでいる暇などないのだよ! 少し考えれば分かることではないのかね!?」
「……クッ!」
「戦争はヒーローごっこではない! 少数精鋭の特殊部隊だか何だか知らんが分をわきまえろ!
 軍人は歯車だ! 国家のために戦う歯車だろうが!! 何のために貴様らは戦っている!?
 正義とでも言うつもりか? だがその正義は貴様らの正義ではない! 国家の掲げる正義だ!
 それとも……軍を離れ、嘗てのヤマト三尉のように、国家を敵に回すテロリストでもなるか?」
「……ッ!」
「……君たちには幾ら感謝してもしきれないよ。イワンを倒したばかりか、我が国を救ってくれた。
 これで表向き今回の作戦を大西洋連邦やオーブから責められる事は、なくなったのだからな」
9227/30:2006/01/29(日) 07:01:59 ID:???
燃える街――その光景を満足げにイワン中佐は眺めていた。
ゲンはそれに怒りを露にし、隣のキラは何にも言わず、ただ顔を伏せ絶望していた。

「このノフチー共和国は、昔から独立運動を長いことやってきた国でね。
 一応は小国として存在しているにも関わらず、なおユーラシア連邦からの独立を望んでいる。
 ユーラシア連邦が出来る以前から、ロシア連邦の時代からもう何百年も独立運動をやっている。
 そんな国だから、中央ユーラシアでは独立運動もかなり激しく展開していてなぁ……」
「周辺国への……見せしめのために空爆したって言うのか?」
「独立運動の芽を摘むためだ。
 そもそもは……ザフトがユーラシア連邦の独立運動に介入したのがこの悲劇の始まりさ。
 憎むなら私やユーラシア連邦ではなく、むしろザフトの連中を憎んで欲しいものだな」

イワン中佐の言葉は、半ば責任転嫁とも取れる発言……
しかし、プラントとの戦争が始まり、ユーラシア西側で独立運動が展開される――
そんな状況ではユーラシア連邦も手段を選んでいる暇などなかったのかもしれない。
それでも、なおゲンやキラにはやり場のない哀しみだけが、心のしこりとして残っていた。
次第に、最初から沈痛な表情のキラに加え、ゲンも中佐を睨むのを止め悲しげな表情となる。
その様子に、慰めるつもりなのかイワン中佐はゲンに声を掛ける。

「中尉、君はガルナハンで善行をしたそうじゃないか。それは確かに良いことだよ。
 でもそれは人として良いことではあっても、軍人としては褒められた行為ではないな」
「………」
「君くらいの年齢なら、ああいうケースで使命感に燃えたりするのは必然かもしれないが……
 若者らしい正義感なんぞ、軍隊ではクソ食らえという扱いでね。所詮それは感傷に過ぎん」
「……言いたいことは、ハッキリ言ってくれ」
「なら言わせてもらおう。ヤマト三尉は君を兵器ではなく人間だと言ったが……その通りだ。
 君は兵器としては不完全すぎる。完全な兵器を目指すなら、ああいう類の感傷は捨てるべきだ。
 人生は絶え間なく連続した問題集と同じだ。揃って複雑、選択肢は極少、時間制限もある。
 さらに戦争に参加する軍人であれば、その問題集は超難問、選択肢も時間制限もシビア――
 分かるか?敵を見て躊躇する暇は……ない。その時間があればあるだけ、死に近づく」
「………」
「ザフトもテロリストも――それに加担する者も、軍にとっては同義……
 敵と認めたものは、最短の方法で且つ最速で殺さなければならない……ということだ」

兵器であるべきか―――それとも、人間であるべきか―――
この時のゲンにはどちらが正しい答えなのか、二者択一にも関わらず――分からなかった。
9328/30:2006/01/29(日) 07:02:48 ID:???
それから数時間後――
ゲンとキラは、中継地テンギスに戻りユーラシア連邦軍の施設に留め置かれた。
各所にハイペリオンの銃撃を受けたストライクMk-Uと、レイスタに切り裂かれたムラサメの修復。
キラの負った傷の手当てを……

その医務室の前――
ゲン・アクサニスは、一人キラが出てくるのを待っていた。先ほどの戦闘のことを考えながら……
そして、キラから言われた言葉と、情報部のイワン中佐から言われた言葉を――

「……俺にどうしろって言うんだ。俺に何が……できたんだ」

ゲンはただ命令どおり、イワン・ザンボワーズを抹殺しハイペリオンも破壊した。
ミスはテロリストのジャミングのカラクリを見抜けなかった程度で、彼は己の任務を成し遂げた。
最後に街で行なわれた空爆――軍務に一切の私情を挟むなと言ったイワン中佐――そして……

「アイツは俺が……辛そうな顔で戦っていると言った。俺が……人間だとも」

そんな言葉を言われたのは初めてだったし、ハッキリ人間と言ったのもキラが初めてであった。
ジブリールは言わずもがな、上官のネオ・ロアノークやイアン・リーもそんなことは言わなかった。
彼らはあくまでゲンを兵器としてしか見ていなかったし、ゲン自身そのことを熟知していた。
ソキウスであり兵器であることは、ゲンにとって余りに当たり前のことであった。それなのに……

「アイツは……一体、俺にどうしろって言うんだ!」

数分後、部屋から出てきたキラには――左肩から腕に掛けて包帯が巻かれていた。
傷はそれだけではなかった。何よりもキラの顔には――左頬には、絆創膏が張られていた。
考えてみればゲンは両腕とも義手――金属の腕である。それで殴られたのだから……

「……さっきは殴って悪かった」

一時の感情に任せキラを殴ってしまったことと、また己の腕のことも省みず殴ったこと――
二つの謝罪の意味を込めて、ゲンはキラに頭を下げた。そんなゲンを苦笑いしながらキラは……

「……いいよ。気にしてないから」

ただ、それだけの言葉でゲンの行為を赦したのだった。
9429/30:2006/01/29(日) 07:03:43 ID:???
二人は宛がわれた部屋へと向かった。今日はこの地での宿泊――
その部屋へと向かうまでの間、互いに一言も口を開かず、ただ二人は歩き続けた。
ゲンはその間口は開かなかったものの、幾度か口を開きかけてはいた。話を切り出すために……
やがて、ゲンは先ほどまで抱いていた疑問を口にする。

「なあ……俺は今日どうすれば良かったんだ? 」
「今日のこと? ボク達がイワン・ザンボワーズと戦おうと戦うまいと……街は爆撃されただろうね」
「……ッ! 俺は……自分が兵器だと思っているし、俺の周囲もそう思っている。
 けど……俺は、あの情報部のイワン少佐のようには考えられないッ! どうすれば……!」

堰を切ったようにゲンはキラに言葉を紡ぐ――奔流となった想いを――

「俺は、ガルナハンでレジスタンスを保釈させた。それは使命感でも正義感でもない。
 ナチュラル同士が争うのを見ていられなかったからだ。ザフトに踊らされている連中を……!
 そんなことが続く限り、地球連合とプラントの戦争も終わりはしない……だからッ!!」
「広義において戦争が終わることなんて……ないのかもしれない。
 あの街――今日空爆が行なわれた街がどういう街だか、君は知っている?
「……いや」
「今軍医さんから聞いたけど、あの街の名前はグロズニー、ノフチー共和国の首都らしい。
 あのノフチー共和国では、もう200年以上昔から、ユーラシアやロシアから独立を望んでいる。
 その度に独立運動に参加する国民は武器を持ち、抑えようとする体制側と戦ったって話だ」
「……200年? そんなにも長い間戦っているのか?」
「途中何度か平和だった時代もあったらしいけど、旧世紀から通算すると200年以上も……
 その間、あの国の人たちは何万人も犠牲になったし、体制側にも大勢死者が出ている。
 こんなことがCEの時代の今になっても続いているのが、この世界なんだ」

200年以上――その途方もない年月に、ゲンはただ唖然とするほかなかった。
そんなゲンを見ながら、キラは歩く足を止め、語り始めた。

「そんなにも長い間戦いが続く理由……ボクは、それは憎しみの連鎖が原因だと思っている。
 例えば、親兄弟を始めとした親しい人たちが殺されれば、皆殺した人を憎んでしまうだろう。
 殺されたから殺して、殺したから殺される。そんなことを繰り返している限り、戦争は終わらない。
 そう思って、戦争を止めたい一心で、ボクは先の大戦でフリーダムに乗った」

やがて――
今度はキラの方が、堰を切ったように話し始める。
9530/30:2006/01/29(日) 07:04:47 ID:???
「大戦は確かに終わった。けど、局地的な紛争は世界のいたるところで繰り返されている。
 戦争が終わってからの2年間、皆がどうしたら幸せに暮らせるか、それを考えていたけど……
 答えは見つからない。今この時も、どうすれば良かったかは分からない。でも……」

青年は、ある確信を秘めた眼で――
ただ一つだけ、自身が信じていることを告げた。

「誰も人の命を奪う権利なんてない……これだけは確かに言えると思う。だからボクは――」
「人を殺さない……って言うのか?」
「我侭なことだとは思う。戦争に参加しているのに、手前勝手な理屈……だよね。
 自分でも分かっている。けど、これがボクの戦いなんだ。君には嫌われるだろうけど……」

理想論ではあるが――突き詰めて考えれば、キラの話は一応理屈ではあった。
だが、それで全てを納得できるゲンでもなかった。

「……お前の乗っているのはフリーダムじゃない。量産機のムラサメなんだぞ?
 力があるって言っても、性能差という明確なアドバンテージがない限り、命の保障なんてない」
「戦場に戻った時点で、命の保障なんてないよ。たとえムラサメでも……ボクは自分を貫きたい。
 そして……どうしたら戦争のない平和な世界が実現するのか、その答えを見つけ出したいんだ」

自分が死ぬのは覚悟の上――そこまで言われてしまっては、反論も出来ない。
それに、そもそも二人の理論前提条件がまるで違うのだ。ゲンが戦う理由、それは……

「俺は……この戦争で、アウルやスティング、ステラには命を救ってもらったから……
 あいつらにはその貸しがある。俺はこの戦争をあいつらと生き残る――それだけを考えている」
「でも……でも、できるだけ殺さない戦い方って、できないかな?」
「俺はアンタみたいに最強のMSに乗っていた訳じゃない。今の俺はアンタほど強くはないし……
 だから、俺には……アンタみたいな戦い方、できっこない。生きるためには、殺すしかないんだ」
「……そう」
「……でもな、降伏した相手を殺すほど無慈悲でもないから……それで勘弁してくれ」

ゲンとキラの間にはなお埋めがたい溝はあった。それでも、最後にキラは少しだけ笑顔を見せる。
その笑顔で、テロリストとの戦いで傷ついた二人の関係は、些か修復されたのだろうか――
ゲンは、キラと情報部のイワン中佐から出された問題は今だ答えを見つけられないでいた。
兵器であるべきか――それとも、人間であるべきか――
今だ見つからない答えの存在が、なおゲンの心に影を落としていた。
96通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 07:21:13 ID:???
PP書いてる者です。

イワン・ザンボワーズについて補足ですが、この人はアストレイのキャラ(?)らしいです。
本来は、開戦前にサーペントテールのイライジャと戦い、敗れて死んだ人らしいですが……
独立運動に参加していたのは本当ですが、サーカス出身と言うのは私が勝手に付け加えた話です。
このあたりの経緯は、拙作オリジナルの大嘘ということでご容赦くださいませ。

あとはシンの左腕について補足。
ぢつは、私ゲンの初期設定をまるで理解せず今日の今日まで書いておりましたorz
私の脳内ではシンが失ったのは「両脚だけ」の筈が、先日スレッドで「四肢ないでしょ」と指摘されて焦った焦った@@;
何も考えずに適当に話を書いてきたことがバレバレですね。ははは……orz 急な後付設定ですが、勘弁してくださいませ。

中盤のグダグダな話が数話続いてますが、今回も御笑読いただければ幸いです。


97通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 08:58:16 ID:???
乙〜
98通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 10:13:59 ID:???
>>96
私はPPさんのゲンは両足のみ義足と思って読んでましたよ
99通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 11:43:26 ID:???
PP戦記乙です!
グダグダなんてとんでもない
キャラの掘り下げという意味で非常に重要な回だと思いました
こういう積み重ねがあってこそ後半の展開が生きてくるというもの

しかし、ヘルシングといいトライガンといい、PPさんはアワーズ好きだなあw
100通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 12:08:24 ID:???
>>96
いや、でも隠し銃いい。
バレットっぽいけど。
101通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 12:57:12 ID:???
一瞬FF7ACのバレット銃を装備したシンが頭に浮かんだけどさすがにオーバーテクノロジーで強すぎるので却下だな
あの変形機構はありえんw
102通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 13:23:27 ID:???
>>96
なんと言うか、圧巻の一言でございます。
政治情勢と軍の論理、テロリスト(レジスタンス?)、の論理のぶつかり合い
が良いですな。

そして、俺はあなたの書く、キラ・ヤマトは好きです。
というか、キラって種ではこういうヤツだったような?
それがあんな人形みたいなヤツに成り下がってしまって・・・。

ストーリーもですが、あなたの書くキラ・ヤマトがどう考え、どういう風に動くのか
すごく楽しみになってきました。どうか頑張ってくださいませ。

超・超GJ!!
103通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 17:12:14 ID:???
そういえば、ミナさまが認めてくださる、カガリてどれくらいいる?

俺は、隻腕カガリくらいだと思うな。
 PP戦記は、描写が少ないから保留、
 舞踏は、まだ話が序盤でそこまでいってないし。
104通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 17:15:38 ID:???
しのはらカガリ
105通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 17:38:31 ID:???
暗黒女帝はちょっと・・・w
106通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 18:17:48 ID:???
>>104 認めるというかミナ様と同等かもw
107通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 18:27:39 ID:???
これはガルシア閣下がアルテミスでメサイアに特攻するな、間違いない。
108通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 18:52:51 ID:???
PP戦記作者様GJ!

いやー、ガルシア閣下がいい味出してるなぁ。
残念なのはハイペリオンの全周防御が出なかったくらいか……まあ地上では難しいか

何と言うか、軍人とテロリスト双方の論理に、逃げずに真正面から取り組んでるのが凄いと思います。
今後悩めるこの2人がどこに行くのか、楽しみにしています。
109通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 18:54:10 ID:???
単発設定小話 脇話「シンとネフェルテム、サラとミーア」

■シンとネフェルテム
〜シベリア上空のシン〜
シン「・・・ベルリンに着く前にネフェルテムをテストしておかないとなぁ。この辺でいいか?」
〜林に着陸するムラサメ。発射準備に取り掛かるシン〜
シン「半径50km圏内に施設は特になしっと。適度に視界は開けてるな。じゃ、さっさとデータをとってベルリンへ向かうとするか。・・・発射は3度、初発と2発目は30度角度を変えて、3発目は回転しながらだな」
〜<ピィシュュュゥゥゥィィイィーン>初発を放つネフェルテム〜
シン「立ち位置移動、2発目・・・・・・」
〜<ピィシュュゥゥィイィゥィーン>2発目を放つネフェルテム〜
シン「一旦休止。機体自動チェック開始。・・・どれ、外に出てみるか」
〜ムラサメの肩へ上るシン〜
シン「これは・・・すげぇな。3km先まで道ができちゃったよ・・・・・・3発目いくか」
〜コックピットに戻るシン〜
シン「・・・ネフェルテムの出力に機体が持っていかれないようにしないとな。・・・ラストォ!」
〜<キュィィーンピィシュュゥキュゥゥィィーン>回転しながら放つネフェルテム〜
シン「ッく!これはっ・・・機体が・・・とっとっと・・・・・・」
〜ネフェルテムにより焦土と化したツンドラの大地〜
シン「こんな小さい機体でこの威力。やっぱ核エンジン!・・・いいなぁ。アプレンティスに欲しいな。・・・さて、データも取れたし。早いとこベルリンにいってファントムペインに戻るとしようかねぇ!」
〜何事もなかったように飛び立つムラサメ〜
〜どっかの宇宙ステーション〜
?「あれがネフェルテムの光・・・・・・」

■サラとミーア
〜車に乗り込むミーア〜
サラ「ラクス様。昨日はお疲れ様でした。ラクス様の歌声で隊員たちの士気が高まりましたわ」
ミーア「ありがとう。私にはこれしかできないもの。素直にうれしいわ」
サラ「ふふ、ご謙遜なさらないでください。お疲れのところ申し訳ありませんが・・・」
ミーア「大丈夫。新曲のデモディスクも持ったし、全然疲れていませんから・・・」
サラ「今日は各艦への慰問が中心になりますから、艦の名称等々覚えておいてくださいませ」
ミーア「わかりました。今日も宜しくお願いします」
〜動き出す車。イヤホンを耳につけるミーア。カーステでデスメタルを大音量にしてかけるサラ〜
ミーア「・・・・・・っ・・・・・・あの、サラさん・・・・・・」
サラ「〜♪」
ミーア「・・・サラさん!」
〜カーステレオのボリュームを下げるミーア〜
ミーア「・・・あのボリュームをもうちょっと下げてもらえませんか?」
サラ「うっさい!ボケ!あんた下心が丸見えなんだよ!少しはインパルスの嬢ちゃん見習って気張ってみろ!」
ミーア「・・・・・・はい」
サラ「声が小さいっ!」
ミーア「はい!」
〜再び大音量で流れ出すデスメタル。半泣きのミーア〜
ミーア「・・・う、うぅ」
サラ「・・・・・・(本当に根暗な娘ねぇ。大切なのは容姿じゃなくて、気持ちなのに。いつ気づくのかしら?)」

110通常の名無しさんの3倍:2006/01/29(日) 19:15:38 ID:???
PP乙!
シビアだなー……ホントにシビアだなー。
まったく、露助ってのは恐ろしい生き物です。はい。
111通常の名無しさんの3倍:2006/01/30(月) 01:44:55 ID:???
>>98
両足のみ義足ってのもおかしな表現だな
腕に義足は付かないんだからな





・・・すまん、吊ってくる
112通常の名無しさんの3倍:2006/01/30(月) 11:47:33 ID:???
>>111
「両足のみ義肢」だな。
113通常の名無しさんの3倍:2006/01/30(月) 13:17:13 ID:???
両手両足に義足をつけてガイアのマネ、とかやったらステラは喜ぶのだろうか
「最近朝起きれないんだ・・・・・。」
「あー、じゃあ目覚まし変えたらどうだ?」
「なぁなぁ!つよきすがPS2だってさ!!」
『マジ?!予約しなきゃ!!』
「マユ・・・ぴーまん食べて(こそこそ)」
「ステラ・・・・食べなきゃダメだよ。」

いつも通りの朝食の風景。雑談しながらわいわいとしている。
すると。突然そこに事件が起こった。
「のうわっ!!」
突然アウルの横に突き刺さる矢。何やら紙が付いている。
「大丈夫か?アウル。」
ドキドキして動けないアウルの代わりに壁に刺さった矢をシンが抜く。
「あー。久しぶりだねー。」
カルマが矢を指差して言う。
「本当だ。ミネルバ配属になってから全然こなかったなぁ、それ。」
ジョーがトーストをかじりながら相打ちを打つ。
「・・・・・何なんだ?それ?」
アスランが疑問に思って聞くと、ハイネはこう答えた。

「んー、ハイネ隊入隊申請書もとい果たし状。」
「いやね、俺ってばアイドルじゃない。もう激烈売れっ子の。
だからハイネ隊に入りたいってファンも多くってさぁ・・。でもダメっていってもねちっこいのがいるのよ。
だからさぁ、そいつらを懲りさせるために入りたいならこーしやがれ!ってのを決めたんだ。」

その@ 入隊志願するものは矢文でその旨を伝える。
そのA 楽器が弾けること。
そのB 料理が出来ないとダメだよ。
そのC ハイネの本性をしっても絶望しないこと。
そのD 現隊員の屍を越えていけ、つまり一人選んで倒せ。

「と、言う過酷な試練があるんだ。まー、それでも入ろうとして撃沈した奴らだけだけど。」
食後の紅茶をすすりながら話すハイネ。
「うわ・・、今回三人もいるわ・・・。」
グレイシアが思わず呟く。
「帰ってきた早々これ?私これ手加減できないから嫌いなんだけどなぁ・・・・。」
さらりと怖い事を言うミーア。
「んー、めんどいなぁ・・。僕ひ弱に見えるからよく選ばれるんだもん。」
これまた面倒そうにいうキース。
マユはわくわくしていた。ハイネ隊の面々は正直生身での戦闘が物凄く強く、一度本気で戦っているところを見たかったのだ。
『なぁなぁ、ハイネ。じゃー・・・・・ごにょごにょ。』
「ふんふん、おっ!面白そうだな・・・。」
シンハロがハイネになにやら話す。

果たしてハイネ隊入隊希望者は生き残れるだろうか?
116通常の名無しさんの3倍:2006/01/30(月) 23:58:35 ID:???
タイミングはずしているかもしれませんが、PP戦記作者様へ。

私もこの話ではゲンが失ったのは両足だけだと思っていたので、今回の補足で
さらに悲惨になっちゃたなあというのが正直な感想です。両足ならともかく、
両腕も金属となると水に沈んじゃうんだろーな、泳げないんだなあ、ステラが
溺れてても助けられないんだなあと、ストーリーとは関係のないことで落ち込
んだりしました。

あと、PPでは『「アスカ一家殺害犯=キラ」設定はあります。』とのことで
したので、ゲンの四肢を奪ったのは自分だと知ったときのキラの反応が気にな
りました。

あと前の話になりますが、スティングのキラへの態度を見ると、彼らに小説版
のような「コーディネイターは悪だ」という刷り込みはされていないようです
ね。重箱のすみをつつくようで申し訳ないですが、この設定があるかないかに
よって、正体を隠しているゲンの、私生活でのストレスがかなり違ってくると
思ったので、聞いておきたいと思いました。

それでは次回作、楽しみにしています。
117通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 01:37:15 ID:???
ゲンのスーパーメカニックハンドは水中用モーター内蔵だから沈まないお
空中戦もお手の物だお
⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン
118通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 01:40:45 ID:???
>>117
あんま茶化すなよー。
119通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 01:50:50 ID:???
外部の人来てる?
120通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 04:43:34 ID:???
来てるのかもね。
ところでアルカディアかどっかにアド張られたってマジ?何月号?
121通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 12:37:27 ID:???
>>115
ほのぼのさん乙
ハイネ隊が個性的で超人的な面子で構成されているのも、篩い分けがあればこそだったわけか
矢文があの時代にあるまじきレトロさを発揮してますねww
12216:2006/01/31(火) 14:22:53 ID:???
この前ちらっと舞乙版を書いたとき言ったvestige版を最後まで考えてみた。相変わらずチラシの裏だが。
<チラシの裏>

イントロ。
タケミカヅチ上に並び立ち徐々に朝日に照らされていくフリーダム。
ブリッジから見守る仲間達(スティング→腕組み微笑、アウルサムズアップで笑顔、心配そうなステラとその肩に手を置くカガリ、オーブ軍面々はその後ろ)
コクピットのマユが映り、アームレイカー押す映像と共にフリーダムが飛び立っていく。PS装甲をオンにしながら。
合体し迎え撃つインパルス。ライフルをむけあう二機にパイロットスーツのマユとシンが重なる。
そこにタイトルロゴ「ガンダムseed destiny 隻腕の少女」がかぶさりop開始。

歌開始。(〜血を流す掌〜まで)
作業着姿のマユが目を閉じ胸に当てた義手を握り締めている。カメラを引くと廃墟と化した街。そっと目を開け空を見上げるマユ。
右後方にはパイロットスーツカガリと直立ルージュ。左の後方にはフェイズシフトダウン状態の片膝をついたフリーダム。
マユが目を落とし見つめながら拳を開いたところで空にかざされたシンの掌へとその手が移る。

(〜どこにも行けずに〜まで)
赤ん坊マユを抱えるシン→オーブ時代のシン→マユと生き別れた際と変化してゆき、その横には狂犬の現在のシンの横顔。
背景はそれぞれソード→ブラスト→フォースが見栄を切る映像(アニメ本編のopで使われてたやつ)。最後に横顔だけとなり、背景は空。
横顔からシン全体像が映るまでカメラが引かれ、彼が草叢に寝転んで掌を見つめているのがわかる。
何かに気が付いたシンが起き上がり振り返るとフォースインパルス、ザク二機をバックにレイとルナ。ルナがシンを呼んでいるような仕草。
(アスラン復隊後にはセイバーとアスラン&寄り添うミーア、ハイネ加入後には更にハイネとグフが追加)

(〜星を思う〜まで)
ラクスとキラへの罵倒、怒鳴るマードックと作業用MSに乗るマユ、フリーダムとの出会い、ユウナをおもいきりひっぱたく光景、
インパルスに守られながらメテオブレイカーを支えるフリーダム。タケミカヅチ艦内通路でカガリとネオ、
二人の保護者の前をステラたち三人としゃべりながら歩くマユ(軍服)。窓からは甲板に並ぶガイア、アビス、カオスが見えている。

(間奏)
キラとマリュー、アンディがパソコンを見ながら意見を言い合っている場面。キラが着席、二人はその後方。アンディの手にはコーヒー。
後方を横目で睨みつける表情のユウナ、その後方で黒く笑うウナト。
二分割された画面で笑みを浮かべるデュランダル(右側)とジブリール(左側)のバストアップ。
デュランダルは微笑みを、ジブリールは自信に満ちた笑みを。

(ラストまで)
ルナザクの砲撃をかわし、変形状態でつっこんでいくガイア。レイのザクのミサイルの雨がそれを止めるべく発射され、
ガイアはそれも避け離脱する。爆風でおこった土煙の中アビスが変形しながら現れる。ザクをかばうようにセイバーが盾で槍を受け、
距離を一旦置いてアビスがフルバースト。上昇したセイバーがスーパーフォルティスで反撃。カオスの兵装ポッドを変形して振り切り、
MA形態で低空飛行するセイバーを追って今度は上空のフリーダムがフルバースト。大地がえぐれていく。
亀裂の突き進んでいく先、フリーダムの視線の先にフォースインパルスが。
二機の激突を止めようと手を出すセイバー、アビスを振り切って二機は互いを目指す。
ライフルを捨てサーベルを背中から振りかぶるインパルスに対しフリーダムも腰のサーベルに手を伸ばし、
画面がサーベルのアップに。勢いよく噴出するビーム。斬りあうフリーダムとインパルス。
二機の三度目の鍔迫り合いでビームの光が激しく干渉し、画面が真っ白に染まる。
光が晴れると背中合わせに立つマユとシンが。
そのバックに浮かぶフリーダムとインパルスで終了(無印種opラストの正義と自由のような配置)。

<チラシの裏>
一応前期opのつもりでやってみた。・・・・どうでしょう隻腕作者氏ort
123通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 15:05:46 ID:???
>>122
あんたがいけないんだ・・・あんたがマユスレのMADの話なんかするからァ! 見たくなっちゃたじゃないか
素人の眼で一番素材がありそうに感じたマユifか隻腕の少女OPシンverのを作ってほしくなった今日おのごろ
なら、作るしかないじゃないか!!と、いうわけで駄MADです。
重いくせにあんまり出来はよくないです。マユよりシンのほうが出番は多いし・・。

tp://s-io.dyndns.org/up/2/_/

トダカさん達は出せませんでした。ところどころ曲と少しずれてます。
マユよりフリーダム大活躍です。
そんなのでよろしかったらどうぞ・・・・。
125通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 17:44:09 ID:???
>>124
あんたは一体なんなんだ〜〜!

GJ!!
素材少ない中頑張った、っつうか、ルナ・・・・・゚・(つД`)・゚・
126通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 18:11:35 ID:???
>>124
DLの仕方が分かりませんorz
127通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 18:13:46 ID:???
>>124
一応乙
でも、うpする前にもっと練習した方がいいかも
128通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 18:16:07 ID:???
>>126
やれやれ、こまった仔猫ちゃんだ
ttp://s-io.dyndns.org/up/2/_/jump/1138695109361087.UzrP2u
のページのどこかに「ダウンロード」の文字を見つけたらクリック
129126:2006/01/31(火) 18:22:23 ID:???
>>128 様 ありがとうございました・゚(ノД`)゚・ 無事DL出来ました!
130通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 18:44:59 ID:???
>>124
なんつーか、よくぞ作ったという感じでございます。
GJ!
131通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 18:48:37 ID:???
誰か、絵師の方はいらっしゃいませんか〜?

これあと1つ2つ使えるマユのカットがあれば格段に違うんでね?
赤服のマユの絵はあるけど、隻腕版はないから
132通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 19:22:11 ID:???
>>128
へんな文字列が、でるだけで落とせません。
133通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 19:24:43 ID:???
隻腕版OPに必要な絵を上げるとしたら…
・初期のツナギ姿(マードックさんとおそろい?)
・オーブ制服バージョン
・お約束裸バージョン(マテ

ってとこでしょか。
134通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 19:29:30 ID:???
制服と裸だけでいいだろ
白手袋と義手が分かる2カット、ってとこだが
135通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 19:35:52 ID:???
裸の方はこう、膝を抱え込ませて閉じこもるように身体を曲げているのがいいなぁと思うのだけど…
さて、描けるかどうか
136通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 20:43:20 ID:???
>>132
Ctrl+Fを活用するべし
パスは前の書き込みをよく読めな?
137132:2006/01/31(火) 20:53:40 ID:???
>>136
すいません、あきらめます。
138通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 21:07:29 ID:???
>>137
自分も「ダウンロード」の文字を見つけるのに苦労した。
ちなみに、広告バナーのど真ん中に埋もれるように表示されてる。。。
139通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 21:20:10 ID:???
マユはアニメのほうでの出番が少ないし素材が少なくても
仕方ないかとも思うが活躍の機会がもっとあっていいはずのMSの
素材さえ結構限られてくるんだよなこれ
140通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 21:29:17 ID:???
隻腕書いてる者です。舞踏作者様、PP戦記作者様、単発屋様、ほのぼの様、乙&GJです。

で……な、なんなんですか、この流れはw
16様の案も、ほのぼの様のMADも……!
好き勝手書いてるだけの駄文に、これだけ色々楽しんでくれるというのが本当に嬉しいです。

で、楽しんで頂いてる中申し訳ありませんが、24話、ちと遅れそうです。
前にも少し言いましたが、この先しばらくは、今までみたいな週1前後ペースでの投下は無理っぽいです。
でもちゃんと最後まで続けていくつもりなので、気長にお待ち下さい。
141通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 21:39:33 ID:???
MAD関連は、前スレ向けだと思いますが。

142通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 22:04:10 ID:???
>>140
つーかあれだけの作品を週1で投下し続ける方が異常だと貴方は気づくべきだ
何度も言われているが、作者が自分のペースで書かなければいい作品も出来ないぞ
ゆっくりまったりと次回を練ってくだされ。また寒さ戻るらしいから風邪には気をつけてナ
143通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 22:12:49 ID:???
今日たまたま休み取れたんで、まとめサイトで隻腕&PP&舞踏を全部読み返してみた







モウオナカイッパイデス      げふっ
144通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 22:15:42 ID:???
>>143
無茶しやがるw
145通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 22:39:03 ID:???
>>145
俺も読み返したくなった…
今から始めたら明日寝坊決定だけどな!
146通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 23:51:09 ID:???
age
147通常の名無しさんの3倍:2006/02/01(水) 00:19:24 ID:???
>>124
サーバーがdjみたい
ダウソできない
もう駄目ポ
148通常の名無しさんの3倍:2006/02/01(水) 00:28:40 ID:???
>>124

ミタイケドミレナイヨ orz
149通常の名無しさんの3倍:2006/02/01(水) 06:29:41 ID:AymBIXaq
>>136
パスワードが分かりません。教えてください
150通常の名無しさんの3倍:2006/02/01(水) 10:26:15 ID:???
>>149
ヒント:目欄
ってかそれくらい探してくれ。
151通常の名無しさんの3倍:2006/02/01(水) 10:33:09 ID:???
少しは調べてから書け。あと上げるなよ・・・・。

とりあえずメール欄チェックは基本だ。
予め言っておくが見れないとか解凍できないとか言い出す前に自分で調べろよ
要は半年ROMれ
152通常の名無しさんの3倍:2006/02/01(水) 17:38:11 ID:???
MAD上げるのはいいけどこういう初心者みたいなのが出てくるから控えて欲しい
153通常の名無しさんの3倍:2006/02/01(水) 18:01:13 ID:???
窓スレあるしね。次からはそっちに投げてくれれば
154ほのぼのマユデス。危険な試験。:2006/02/01(水) 21:16:32 ID:???
『で、この機械で仮想空間に精神をとばしそこで戦闘を行ってもらう。
攻撃プログラムと戦闘してもらい、それをハイネ隊のメンバーの誰かより一番
多く倒せればよしとする。今回対戦するメンバーはゼロ、キース、ミーア、アキラだ。
身体的にも精神的にも問題はない。ただ、プログラムにやられた時は現実と同じ苦痛を伴う。
もしそれで何か異常が起きても一切責任は取らない。以上。』
以前ファンタジー世界に入る時使った機会の前でハイネの説明が終わる。
微妙に参加者である青年と少女は震えている。
「・・・・あー、ハイネ隊の存在意義もろくすっぽしらないで来るからこーなるんだよ?」
カルマが諭す様に言う。
「俺たちは基本的にMS以外にも生身で殺し合いとかする任務もやらなきゃだから、平和な時は特に。
だからそう言うのが怖いならやめときなよ?まぁ、今回はこんなシステムでラッキーだよ。
前回までは直接こっちが実力みるから全治三ヶ月とかばっかだったし。」
さらにカルマがぺらぺらと脅すように話す。
「・・・・私、やめます。」
「おっ・・!俺も!」
二人の参加者はそそくさと帰っていった。残ったのはタダ一人。
真っ黒いコートを着た背の低い人物だった。
「ハイネ、こんないかにも怪しいのいいのか?」
スティングがこそこそと話しかける。
「ん、へーきへーき。どうせうちの馬鹿達には適わないって。」
小声で平然と話すハイネ。
それぞれ蓋の開いている機械に横たわり全員が横たわると蓋が閉まる。

その後ろの巨大モニターに映像が映し出される。一面青い光の空間で、いかにもサイバーな雰囲気だ。
画面が分割され、そこに戦うメンバーが一人ずつ登場する。

『身体能力はほぼ現実と同じだが、武器は自由に想像したとおりの物が出てくるようになっている。それをうまく利用してくれ。
それでは・・・・・・、スタート!!』



155ほのぼのマユデス。危険な試験。:2006/02/01(水) 21:39:44 ID:???
それぞれのモニターに人型の影が現われ攻撃を仕掛けていく。
「・・・・・・・・・・・。」
ゼロはその手にいつも自分が使う布をイメージし、出現させる。
そして向かってきた敵を上半身と下半身に切る。手ごたえは軽い。強度は人間よりないようだ。
「・・・・問題ない。」

「・・・・・・・・ーーーーーー♪」
キースは酔っているとは思えない動きで敵を打ち砕いていく。
手には武器はなく、爪が獣のようにとがっている。ただ、それだけだ。
首を割き、肺をえぐり、心臓をつらぬく。
人型の影は忠実にその存在を消す。
「んぅ・・、もうちょっと手ごたえがあった方がいいかなぁ・・・。なんかすり抜けるみたいで気持ち悪いや。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
アキラは巨大な剣を手に敵をなぎ払う、が、その目は静かだ。
世界がアキラに侵食されていく。そこは、ただ月が浮かんでいるだけの荒野になっていた。。
だが、月の光を浴びた瞬間アキラが暴走する。防御など考えない、ただ、敵を倒せば済む事。
「邪魔だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

さて、問題はミーアである。彼女はしばらく実戦を離れていたため、成績はどうか。
得意の長刀を振るっているかと思いきや・・・・・・。
「ぶちまけなさい!!」
太もものについた銀の飾りから枝の先に葉の代わりに刃が生えているような武装である。明らかにぶどうソーダ練乳金時。戦乙女スカート。
もちろん、長刀を手に持って懐に飛び込んでくる敵をなぎ払っているがメインはその武装だ。
「ほらっ!!次!!・・・ていっても臓物がないからぶちまけられないのよね・・・・はぁ。」

黒いコートが踊る。まるで凍った湖のなかにカラスがいるようだ。
敵は避けてばかりのコートに襲い掛かる、が。次の瞬間、彼らの知能は自分の体がいくつもの片に別れたことを認識できただろうか?
見ると黒コートの周りにキラキラと輝く物が見える。ワイヤーだ。
どんな物でも指を動かせばたちまち細切れとかすだろう。


「おいおい・・・、ハイネ。こりゃマジじゃね?」
ジョーが汗をたらしながら呟く。
「うぇーい・・・かづっちゃんだー。」
無邪気に黒コートの攻撃をマンガのキャラだと思ってはしゃぐステラ。
「・・・・・・本当に危なくないか、ハイネ。各自に連絡を入れたほうが・・・・。」
アスランが心配しながらいうが、ハイネはただモニターを見て考え込んでいるだけでそれ以上は何もしなかった。
156通常の名無しさんの3倍:2006/02/02(木) 11:47:59 ID:???
新入りって……ブギー◎ップ?w それともウォル◎ー?w
157通常の名無しさんの3倍:2006/02/02(木) 22:22:59 ID:???
個人的には新宿の煎餅屋を推す。
158通常の名無しさんの3倍:2006/02/02(木) 22:42:43 ID:???
近頃やっとほのぼのの楽しみ方が分かってきた気がする

要は最終絶叫計画やホットショットなんだな
159通常の名無しさんの3倍:2006/02/02(木) 22:45:05 ID:???
ジグザグだな。新旧どっちか知らんが
160通常の名無しさんの3倍:2006/02/02(木) 22:53:06 ID:???
>ほのぼの作者様
乙であります。
ぶどうソーダ練乳金時は大好物です。
161通常の名無しさんの3倍:2006/02/03(金) 00:30:24 ID:???
単発設定小話 脇話「トダカとユウナ、キラとカガリ」

■トダカとユウナ
〜スエズへ向かうタケミカヅチ〜
ユウナ「ふぅ〜。いやぁ〜、連合の大佐さんはいかつかったねぇ?」
トダカ「はぁ・・・」
ユウナ「ふふん、オーブもああゆう仮面を導入してなめられないようにしないといけないかな?」
トダカ「確かに見た目は強面になりますが・・・」
ユウナ「ぷ、ふっはっはっは!ごめんごめん、君たち軍人に聞いた僕がばかだったよぉ〜?」
アマギ「・・・っく」
ユウナ「君たちも僕をみならってユーモアてものを磨かなきゃ。ねぇ?鼻ポットくん」
アマギ「っく、あ、あなたという人はー!!ご自分の立場がっ」
ユウナ「!?っひぃ!・・・」
トダカ「止めたまえっ!アマギ一尉!!持ち場にもどれ!!」
アマギ「しっかしトダカ一佐!連合などと協力体制をとるとは!?オーブの理念はっ!?」
トダカ「大ばか者!われわれ軍人が規律を守れないでどうする!?貴様はブリッジから立ち去れい!」
アマギ「一佐!!」
ユウナ「・・・そう、そうだよ!僕はオーブ軍最高司令官だよぉ!?僕が命を危険にされしてまで来てるんだから、君たちは僕を全力でまもらなきゃ!お、お前なんか軍法会議で裁いてしまうぞ!!」
アマギ「っ!!」
〜敬礼するアマギ〜
アマギ「申し訳ありませんでした!自分は独房室にて自省してまいります!!」
〜ブリッジから退出するアマギ〜
ユウナ「ったく。あんな奴ばかりだから連合なんかに僕がなめられるんじゃないか!!一佐!!スエズに到着する前にみんなに再教育しておいてくれよ!!さっきのような事態になったら君は降格だっ!!」
トダカ「・・・承知いたしました。全ての艦へ再教育を徹底させます。」
ユウナ「頼んだよ!!じゃ、僕は自室で休んでいるからね!!」
〜自室に戻るユウナ〜
トダカ「・・・フリーダム・・・・・・カガリ様を頼むぞ・・・・・・」
〜ブリッジより水平線を見つめるトダカ〜

■キラとカガリ
〜アークエンジェル内〜
キラ「カガリ!本当に大丈夫なの?」
カガリ「ったく、お前は本当に心配性だな。弟一人を危険な場所に放り出すわけにはいかないだろ?」
キラ「でも、前の戦争からほとんどMSのってないじゃないか。いきなりは危険だよ」
カガリ「それはお前も同じだろ?大丈夫大丈夫。お前はピンクのお姫様を心配しろよ」
キラ「カガリ・・・」
カガリ「・・・オーブは虚構の国なんかじゃない。そしてお前もラクスもアスランも無為に過ごしきたんじゃない」
キラ「・・・カガリ?」
カガリ「ああ?ああ、と、とにかくだ!私はルージュででるからな!足引っ張るなよ!?」
〜強がるカガリ〜

162通常の名無しさんの3倍:2006/02/03(金) 21:42:34 ID:???
保守
163ほのぼのマユデス。危険な試験。:2006/02/03(金) 22:11:36 ID:???
「おい!ゼロ、キース、ミーア、アキラ!!新入りの実力を試せ!!
全員で本気で襲い掛かってかまわない!シンハロ、頼む!!」
『はいはい・・・。』
ハイネの指示にシンハロがパネルを叩く。
雑魚敵が消え、モニターが一つに統一される。
黒いコートを囲むように現われるハイネ隊のメンバー。
すぐさまワイヤーに気づいたのかむやみに襲い掛かるようなマネはしない。
「キース!私がやるから後はよろしく!」
「オッケー!」
ミーアはキースに合図すると同時に駆け出し、長刀と武装でワイヤーを切り裂いていく。
その間を縫うようにキースは向かっていくが、敵も馬鹿ではない。
さらにワイヤーを繰り出し防御の合間を縫って攻撃を仕掛ける。
細く透明な糸は避けるのが難しく、なかなか二人は敵に攻撃をしかけられない。

そのころのアキラとゼロ。
「アキラ、アキラ。」
ちょいちょいとアキラを手招きするゼロ。
アキラか近づくとなにやらこそこそと話し始めた。
「えー・・、それ大変じゃん。」
「だからこそ・・・・・。」
「んー、とにかく威力のある攻撃だな。とにかく倒すんだな。」
そう言うとアキラはわくわくした表情で構える。
アキラの周りの空間が赤と黒にそまる。
「黄昏よりも昏きもの
血の流れより紅きもの
時の中に埋もれし・・・・・。」

ーーーーーーーーーーーーリアルワールド。
「・・・・なんかどっかで聞いたことある呪文だなー。」
マユがぽつりと呟く。
「ほら、スレイヤー○で主人公が使うさぁ、山一つぶっとばす魔法あるじゃない。」
ルナマリアがマユにモトネタを教える。
「そっかー。」
「そうよー。」
「「っておい!!」」



「等しく滅びを与えん事を!ドラグ・スレイ○!!・・・あ、あそこの詠唱呪文あってたっけ?」
その瞬間、目標どころかアキラとゼロも巻き込んで赤い光が世界を包んだ。
164ほのぼのマユデス。危険な試験。:2006/02/03(金) 22:23:51 ID:???
「「アキラァァァァァァァァァッ!!」」
「おいまて!!落ち着け!!アレはゼロ・・ギャァァァアァァァ!!」
ミーアとキースにアキラはそっこーでボコされた。
しかし、ゼロは一人だけ黒コートの人物のところに行く。
ザッと身構える黒コート。
その場にいた全員が思わず武器を取り出した、次の瞬間。

ぼこっ!

ゼロは無言で黒コートを殴った。
頭を抑える黒コート。しかしゼロはそのまま容赦なく怒鳴る。
「何しに来た!ウェンディ!!」
そう言って黒コートのコートを脱がす。
すると、そこには地球連合の制服を着た、マユより一つ上くらいのゼロに似たショートの少女がいた。
「いたたたた・・・・・何しにって!!兄さんを連れ戻しに着たんです!!」

「「「「「「「「「にいさーーーーーーーーーん?!」」」」」」」」」

全員の叫び声が聞こえる。
「おい!アキラ知ってたか?!」
「知らないッスよ!さっき兄弟だってことは聞いたけど妹とか言ってなかったから!!」
「俺だってそうだ!あんなまさか妹がいるなんて知らなかったぞ!」
ハイネの問いにテンパリながら答えるアキラ。完璧に混乱している。
「マユ!落ち着け!!」
「お前は少し錯乱している!」
「レイ兄ちゃん、お兄ちゃん離して!そいつ殺せない!これ以上妹キャラが増えたら・・・・!!」
自らの沽券のため抹殺しようとするマユ。それを抑えるレイとシン。

『えーっと、二人ともここは騒がしいから応接間のほうに案内するよ。』

大混乱にしている部屋からゼロとウェンディと呼ばれた少女を連れ出すシンハロ。
実際、彼は驚いていないわけではない。むしろむっちゃ驚いている。
この時ばかりは自分は機械でよかったなぁ・・と思うシンハロであった。
『はい、と言うわけで別室でモニター観察はお約束☆』
まんまと二人を応接間に送ったシンハロはマユ達が騒いでいる部屋のモニターに
二人の様子を映し出せるようにした。
『はいはいー、皆ちゅうもーく。』


「ウェンディ、何しに来た。勝手な行動は許されない。」
ゼロは紅茶のカップを片手に厳しい表情でウェンディを見つめる。
「それはこちらのセリフです!兄さん!兄さんはなんの勤めも果たしていない!」
バンッと机に手を突いてウェンディは語る。
「兄さんときたらあくまで報告だけで他の行動は何かしましたか?!」
「強化人間の成功体との接触、治療。さらに直接ジブリールに接触したことのある人物の身柄も。」
ゼロの冷静な言葉にさらに彼女は言葉を荒くする。
「そうではありません!アレは結局マユ・アスカという少女の行動の結果ではありませんか!!兄さん個人は何もやっていない!」
「ウェンディ、いい加減にしろ!!いつもお前の計画は急すぎる!!全体の思想とはまったくの反対なんだ!『弟』達の考えとも!
長としてお前の考えを受け入れる分けには行かないと何度言ったら解かる!!それにお前の態度も気に入らない!
お前は俺の言葉さえあれば周りの者が意見を変えるから俺に話すだけだろう!?少しは自分の能力で他人の賛同を得たらどうだ!!」
ゼロは普段は見せない感情をあらわにしてウェンディを怒鳴りつける。
「私達の役目はナチュラルを守ることです!なのに皆いつか・・いつか・・といま苦しんでいる人のことは・・!」
「やっているさ、お前が意固地になって見ないだけで。しかし、お前は存在を確かに示し、導きたいんだろう?それではだめだ。
導くのではなく、背中を押す。それが絶対だ。」
「しかし・・私達ソキウスは・・・!」
そうウェンディが言った瞬間、ゼロは良い音を立てて頭を机につっぷす。
「なっ・・・・兄さん?!」
困惑するウェンディをよそにゼロは肩を震わせながら言葉を搾り出す。
「ウェンディ・・・、ここはどこだ・・・・?」
「・・・・?ジブラルタル基地に決まっているでしょう?」
「そうだ・・・・一言で特徴をあげろ。」
「ザフトの地上における最大の基地ですね。」
「そうだ・・・で・・・・、お前は。どうしてそこに監視カメラがついてて当たり前だと思わない。」
ゼロの言葉にあ・・・・と呟くウェンディ。
「あの・・・あの人たち能天気そうだったし・・・・。」
「その裏でとんでもないことしてるんだけどなぁ・・・・。」
笑いあう二人。
「ふふふふ・・・。」「ははははは・・・・・・・・・お前ってやつはぁっ!!」
ゼロは何処からか出したのか豆をウェンディに投げつける。
「こーゆー秘密はもっと重いときに言わなきゃなのにっ!お前って子はっ!」
「あぁっ!!兄さん!節分だからって痛い!痛い!なんかパチンコ玉混じってません?!」
パチンコ玉&ビー玉いり大豆をウェンディにぶつけるゼロ。
166ほのぼのマユデス。ソキウス。:2006/02/03(金) 23:10:06 ID:???
「・・・・・・・・・・と、言うわけでこの愚妹がばらしたので告白します。
ゼロ・クライト。本名ゼロ・ソキウス。全てのソキウスのはじめにして長。
ろーどおぶざそきうすです。」
いつもの調子で語るゼロ。ハイネ隊以外のメンバーは呆然としている。
「・・・・ソキウスって・・・・、あの連合の?」
一応軍の上層に位置するアスランはその存在を知っていたらしく目を見開いている。
向こうの方では解からないルナマリア、メイリン、アウル、マユ、ステラのためにレイが
「よいこのれんごうこうざ:哀・ソキウス編」をやって説明している。

「元々現在のソキウスは一体の連合製コーディネーターから作られましたが、それらは脱走したためどれを使えばいいか研究者は迷いました。
なので残っているその遺伝子データでいったんサンプルを作り、さらにそれらのどれかを母体としてソキウスを作ろうと言う話になりました。
それが僕達です。元となったコーディネーターは五人。それを男性、女性に分けて合計十体のプロトソキウスがいます。
それらは1の桁がゼロの番号を付けられ、『ゼロシリーズ』と呼ばれています。
彼女は20(トゥエンティ)、そして以前あった彼が10(テン)です。そして、00(ダブルゼロ)。それが自分です。
ソキウスに必須であるナチュラルに従う服従遺伝子はこの時はまだバランスを崩す危険があるため、ほんのわずか作用しないようにされました。
人を殺せなかったら困りますから。僕達は個性のある外見を後に利用して暗殺にでも使い予定だったのでしょう。それでも洗脳教育はされましたけど。
さらにそれぞれ別々の戦闘方法を教育され、育ちました。そして、ある日脱走した。
最終的にソキウスの母体になることが決まった僕以外は処分されることになったのです。全員。
僕は嫌だった。なので、僕は皆を脱走させました。僕にはソキウスのリーダーとして『絶対権限』が与えられていました。
これはナチュラルに危害を加える事意外はどんなソキウスもその命令に従うと言う・・服従遺伝子の実験でした。
結局、まぁこうして僕は生きてるわけです。」
ソキウス計画もよくおじゃんにならなかったものですね。と呟くゼロ。

その壮大すぎる過去にぱくぱくと口を開閉するアウル。
もう呆れるしかないアスラン。
冷静にここの会話をすべてシャットダウンするシンハロ。
知っていたのか黙っているハイネ。
「・・・・・・そんなあっさり話しちゃって良いの?」
マユはおそるおそるゼロに聞く。
「大丈夫、シンハロが改ざんしてくれるから。」
ゼロの言葉になんだよ・・、俺って結局そういう役割かよと呟くシンハロ。

「別にナチュラル相手でも容赦しないし、まぁこれからもヨロシクでソキウス。」
少しおどけながらゼロは微笑んだ。
167ほのぼのマユデス。ソキウス。:2006/02/03(金) 23:39:04 ID:???
久々に長文書いたら頭がくらくら、甲板ふらふら、ほのぼのです。
今回はゼロスペシャル。ゼロ尽くし。いかん、はやくマユを目立たせないとマユが
デスノー○を使って全てをなぎ払いつくしかねん。
ソキウスうんぬんについてはなんかうまくまとめれなかった感が少しありますが・・・うん。
結局黒コートの結果はツンデレドジッ子妹キャラでした。魔界都市とか死神とか関係ありません。
ウェンディについては兄貴を自分の考えに賛同させようと接触するためこっそりザフトに侵入しただけなので
別にハイネ隊に入るわけではないです。
彼女の外見についてはノーマルソキウス女の子バージョン、十四歳くらいを想像してください。

そろそろバレンタインデーですね、それでは。
168通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 02:32:13 ID:???
ウェンディ……テューディーという名前の双子の姉がいたりして。









まぁピーターパンのほうがメジャーだけどさ。
169通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 02:34:10 ID:???
どいてそいつ殺せない、ってオイ……!w


いつになったらその辺のあざとい発言がことごとく裏目に出てることにほのぼのマユは気づくんだろうw
170通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 12:59:19 ID:???
隻腕マユってこういう感じでよろしかったでしょうか。
ttp://members.ld.infoseek.co.jp/rurukubo/cgi-bin/img-box/img20060204125749.jpg
171通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 13:35:25 ID:???
>>170
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
172通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 14:23:51 ID:???
>>170
絵師様キタ━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
とてもGJGJGJGJGJ!!!!!!
173通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 17:38:11 ID:???
他のSSスレからの転載だがストライクMk-2カコイイ!

327 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2006/02/03(金) 22:39:38 ID:???
神ホント調子のってごめんなさい・・・
如何せん、まだでてないキャラの扱いがわからないので意にそぐわない部分も大いにあるかと思いますが・・・

ttp://up.viploader.net/src/viploader5696.zip.html

DL great pass great
174通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 18:00:24 ID:???
>>170大正解!!!!
175170:2006/02/04(土) 18:45:32 ID:???
軍服の色を一部間違えてることにたった今気付いたw
スマンorz
176通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 19:43:06 ID:???
>>175
なぁに、かえって免疫力がつく。

白いミニスカ可憐だよマユたんハァハァ
177通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 20:40:49 ID:???
>>170
クールな目つきがかっこいいね。
制服もよく似合ってるし。GJ!
178通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 20:59:17 ID:???
>>170
マユかっちょいいよマユ
インナーピンク!ピンクときたか!可愛い
179170:2006/02/04(土) 21:07:09 ID:???
一応、些細な修正版。よろしかったら。
ttp://members.ld.infoseek.co.jp/rurukubo/cgi-bin/img-box/img20060204210527.jpg

前のは0時頃になったら消します。
180通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 21:27:04 ID:???
マユ胸ないよマユ
181通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 21:29:42 ID:???
>>180
だがそこがイイ!!
182通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 22:43:13 ID:???
うわー、絵師様GJ!
183マユ種のひと:2006/02/04(土) 23:09:06 ID:???
前スレ>585、>586の続き

第三十八話
 ユウナが捕らえられ、オーブ本国のセイラン家もあっさりと降伏。そのため、ザフトもオーブもほとんど無傷で戦争は終わってしまった。
 オーブに堂々と入港したミネルバ。一度はオーブに降りたことのあるルナ達は、前とは打って変わっての物々しい空気に息が詰まる思いだった。しかし、マユはこの空気を知っている、連合との戦争を前にした、あの頃の空気とよく似ていた。

 プラント行政府。議長室に通されたカガリは、持っていた手荷物を机の上に叩き付け、散々乗り継いで、今まさに地球、つまりはオーブへあと少しという所で、半ば連行してまでプラントに連れ戻した真意を、デュランダルに問う。
 デュランダルはそれに答える前に現状を説明する。歴史的大勝利を収めたこの状況は、プラントにとって望ましいものではない。打倒セイランを掲げながらも、実際は、セイランはそのままで港を幾つか占領して睨み合ってくれるのが理想だった。
 今、連合が仕掛けている戦争は宇宙から地球への干渉を嫌う者達が引き起こしたもの、ならばプラントのオーブ統治などその者達を最も刺激する行為だ。
 オーブにしても、ユニウスセブン落下事件で宇宙への不信感が根付いたまま、中心が不在でそれ以外は健在という現状、かなり直接的な反発も起こりうるし、それを助長させようとする何らかの働きかけがあることも充分に考えられる。
 そこでカガリが割って入る。だから自分は一刻も早くオーブに戻りたいのだ、と。しかし、カガリをただ帰してはこちらの目的、連合との停戦は予定していたほど前進しないだろう、そうデュランダルは続け、やっと本題に入る。
 カガリの帰還は我々の手で大々的に執り行いたい。それは一般市民には目に見える形での終戦となるし、ロゴスにはプラントがオーブ統治を諦めた取り敢えずの証にもなる。オーブにしても、カガリが返り咲くためのいい準備期間になるだろう。
 すると、カガリは打って変わって冷静に、見返りは停戦締結への協力か。あとはより良い国交を、とデュランダルは付け加える。が、それは今後の外交次第だ、と言い放ったカガリは、叩き付けた手荷物を持って議長室を後にした。

 総司令に手を上げて拘留中のキラ、カガリが戻るまで身を隠しているというラクスの伝言を旨に秘め、明日の我が身を案じる。すると、キラは特命のために釈放となった。そして、出てきたキラを迎えたのは、同じく特命でミネルバとの合流を命じられたアレックスだった。
 タリア、マリューの両艦長に下された命令は、ミネルバとアークエンジェルでオーブに降下するカガリの護衛だった。全宇宙で最も有名な現ザフト艦と元連合艦がオーブ要人をエスコートする画はあまりにも露骨だ、というのが、二人の率直な感想だった。
 何はともあれ、タリアからミネルバクルーにその命令が伝えられる。その日はまだ先だが、クルーの多くは終わりが見えたことで、少し肩の荷が降りた。しかし、マユは違った、それを聞くなり、いつもより険しい顔でインパルスの調整に臨んだ。
184マユ種のひと:2006/02/04(土) 23:11:46 ID:???

 カガリを乗せ、ミーアに見送られて出発したシャトルは、つつがなくミネルバやアークエンジェルと合流。ここまで護衛をしてきたザフト艦隊との引き継ぎを済ませ、別れる。あとはシャトルが両戦艦を連れて大気圏を抜ければ、オーブに到着である。
 まさにその時、蒼き地球を背に、一機のMSが彼等の進路を塞ぐ形で突如として現れた。謎のMSのビームライフルから放たれた一発目はシャトルを掠め、その飛行能力を奪い、続けて二発、三発と放たれたビームはアークエンジェルが体を張って防いだ。
 本当に来た。タリアはマユの言葉通りになって頭が痛くなった。自分達の敵は劇的なものを好む、だからカガリの帰還には何か起こる、と。劇的だから、ただそれだけの理由で、停戦への足がかりを打ち砕くのか。しかし、タリアは考えるのを止めた。今は火の粉を払うだけだ。

 謎のMSのパイロット、ネオは、新しい愛機・デスティニーに戦闘の始まりを告げる。そして、デスティニーは光の翼を広げ、シャトルに向けて、その身を走らせる。
 マリューはバルドフェルド隊をシャトルの周りに配備、アークエンジェルは引き続きシャトルの盾。そうして、カガリの身柄確保をミネルバに打診。タリアはそれをアレックスに任せ、さらに他の伏兵の可能性を示唆した上で別れたザフト艦隊に救援を求む。
 何度か殺し合った間柄だが、タリアの早い対応が心強いマリュー。しかし、デスティニーが気軽に撃ってきたビームライフルの威力は、戦艦の主砲を思わせる。故に、あれはMSという枠では捉えきれない底知れなさを、マリューは感じていた。
 優先的に守りを固める中、先陣を切ったヒルダ、マーズ、ヘルベルトの黒いザク三機。必殺の連携を仕掛けるが、デスティニーは幾つもの残像を作り出し、全く噛み合うことなく一気に通り過ぎた。

 キラは考えた、突如として現れたのがミラージュコロイドによる効果なら、先程の残像もそれの応用。ならば、消えても増えても全て吹き飛ばすまで。マユも、結論のみは同じようだ。
 猛スピードでシャトルに向かうデスティニーの進路に、ブラストインパルスとフリーダムが並ぶ。マユとキラ、呼吸を合わせ、同時一斉発射。対するデスティニーはビームシールドを展開、攻撃の全てを弾きながら、勢いそのままに突っ込んでくる。
 デストロイを彷彿とさせる防御力。二人は、二機の凄まじい火力をより集中させた。が、すり抜けた。途中、デスティニーは残像と入れ替わり、自身は姿を消していた。
 姿を現すなりデスティニーはビームライフルを撃ち込む。直撃は避けたものの、ダメージまでは免れることはできなかったインパルスとフリーダム。それを確認し、デスティニーは光の翼を羽ばたかせ、より勢いを増してシャトルを目指す。
185マユ種のひと:2006/02/04(土) 23:13:34 ID:???

 近づけさせないと、バルドフェルド隊とアークエンジェル、レイとルナのザクにミネルバが分厚い弾幕を展開。しかし、デスティニーはそこで高エネルギービーム砲を構えた。狙うはカガリの乗るシャトル、引いては、その前に陣取るアークエンジェル。
 アレックスは、カガリのみを回収してシャトルを離れた。それはシャトルの同乗者達の総意、停戦を願う者達の総意だった。
 アレックスから回収完了の一報を受け、回避するアークエンジェル、他のMS達も退いた。一瞬遅く、デスティニーより放たれた凄まじい熱量のビームは、一機のシャトルを蒸発させた。

 物凄まじいビームの通過に誰もが呆然とする中、レイは逸早くビームライフルでデスティニーを狙う。その時、違和感を持ち、閃いた。あのデスティニーは残像、本体はもうすでに。
 レイの必死の呼び掛けはアレックスの警戒を喚起、同時に、姿を現したデスティニーはセイバーの間近にまで迫っていた。セイバーはビームサーベルを抜き、向かってくるデスティニーに切り付ける。
 自らに迫る光の刃に、デスティニーは手をかざし、掌よりビームが撃たれた。その一撃はセイバーのビームサーベルを貫通して左腕を打ち砕いた。そして、もう一撃が決まる、より早くレイの援護が間に合った。
 攻撃の機を逸したデスティニーに、コアスプレンダーが、ソードインパルスが追いついた。二本の対艦刀を抜くインパルス、ビームまとう大剣・アロンダイトを構えるデスティニー。
 全速で、全力で、対艦刀を振り下ろすインパルス。アロンダイトで迎え撃つデスティニー。剣と剣が、真っ向からぶつかった。
 振り抜いたのは、デスティニー。対艦刀は折られ、インパルスの首は飛ぶ。そして、愛機が全力を持って放った一撃を弾き返された衝撃は、マユの体に叩き付けられた。インパルスは当たり負けた。だが、デスティニーの勢いは止まった。
 勢いを殺され、ザフトの艦隊も接近している、今が潮時とネオは判断した。マユはやらせない、レイとルナのザクが詰め寄る中、デスティニーはアロンダイトを納め、幾つもの残像を作り、消失し、戦闘から離脱した。

ネオ「試運転なら、これぐらいでいいだろう」
186通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 23:22:00 ID:???
乙一番乗り。GodJob。運命が強すぎる。
・・・いや、もし旧型機と戦ったらこんなもんか?デストロイも全く問題にしなかったし・・・
187通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 23:31:49 ID:???
マユ種GJ!
カガリが……!?
いや強いな運命。
188通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 00:08:01 ID:???
カガリはどう決着着けるのかと思いきや、ここにきましたか…GJです!
ミネルバとアークエンジェルの共闘に舞い上がりました
にしてもその二艦と搭載MSを手玉に取るネオと運命・・・ミラコロ分身っていらない設定じゃなかったんだ・・・
189通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 01:13:08 ID:???
あの分身はなあ…
190通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 03:29:31 ID:???
運命分身は媒体によって設定違うしねぇ。

・運命が超速いだけ。ただの残像
・ミラコロ使って視覚的に撹乱
・視覚的どころの話でなく弱いながらECM効果まであり、立派な武装
191通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 09:45:40 ID:???
一番強い設定ではちゃんと直接攻撃力までありますよ
まあそこまで無くても、ミラコロ分身だけでもちゃんと使えば十分強いというのが分かった
アニメじゃマジで誰ひとりあの現象にツッコミ入れてなかったからな
192通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 11:31:25 ID:???
マユ種新作、お疲れ様です!
いや〜強いな、ネオ&運命。あれだけ暴れて
「試運転なら、これぐらいでいいだろう」ってテラカッコよい
・・・イメージ的には火器持ったエピオン?
色もトリコロールじゃなくて、ダークブルーと紅が似合いそうな。

>>191
HJの運命レビュー時の写真はストロボで残像表現されていましたね。
一番強い設定なら、あのハッタリにも説得力が出たのにな・・・ただの張りぼて
と化したのはやはり厨設定の攻撃自由のせいか・・・
193通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 11:54:27 ID:???
あげ

他職人様、ご苦労様です。

>>まとめ人様
遅い修正になりますが、読み返していてふと気付いた致命的なミス。
21話16/18、中ほど。
>己の身体を無防備に晒しつつ、肉眼でインパルスの姿を捉える。
→己の身体を無防備に晒しつつ、肉眼でフリーダムの姿を捉える。

に修正お願いします。
ダメですねェ、勢いよく筆が走る時は、時折こんな風に入れ違ってしまいます……
たぶんこの文章も、「インパルスは」にするか「フリーダムを」にするかで悩んでたんだと思いますが。


>>170
思わず口を開けて見入ってしまいました。素晴らしいです。
白手袋の醸し出す(意図的な)「異物感」も、こちらのイメージ通りで。
大人びた憂い顔、制服のアレンジなどに至っては、こちらの予想を遥かに上回ってて……
本当に感謝です!

……出遅れた自分としては、「間違えた方の1枚」も気になるのですが……


では、24話投下です。
ラクスたちに助けられたマユは、そして知られざるラクスの真実を知ります。
一方、ザフト側では、ヘブンズベースへの大規模な反撃作戦が計画されていました。
しかしパイロット不足から、そこには参加しないことになったミネルバ。
出発前、ミーアはアスランに抱きつき、そして……!
195隻腕二十四話(01/22):2006/02/05(日) 12:01:57 ID:???
――カーテンの隙間から、朝日が差し込む。
ベッドの上の女は、軽く呻いて目を覚まし――隣に寝ていたはずの男が、居ないことに気付いた。

「…………?」

目をこすりつつ、シーツ一枚身に纏い、彼女は起き上がる。
一瞬形の良い尻が露わになるが、どうせ見ている者などいない。
彼女は、まるでホテルの最高級スゥィート並みの部屋の中、男の姿を探す。

……彼は、寝室の隣の間で、すぐに見つかった。
ガウン一枚羽織っただけの姿で、窓際に立ち、朝日を浴びるジブラルタル基地を見下ろしている。

「やぁ、起こしてしまったかね」
「……別に構わないわ、ギル」

ギルバート・デュランダルの言葉に、タリア・グラディスは溜息交じりに答える。
――そう、最高評議会現議長と、ザフト軍最新鋭戦艦ミネルバ艦長は、古くからそういう仲なのだ。

プラントに帰れば夫も子供も居るタリアだったが、ギルバートとの関係に罪悪感を感じたりはしない。
彼女も夫も、子供欲しさにプラントの婚姻統制のシステムに従っただけなのだ。
家族愛や親子の愛情はあるが、夫婦の間に男女の情愛はない。夫もこの不倫関係を承知している。
むしろ男女の関係ということなら、彼女とギルバートの関係の方が結婚生活よりも長いくらいなのだ。

それでも、タリアは考えてしまう。
もしこの男との間に子供を授かることが出来ていたら、どうなっていただろう、と。
彼と、結婚できていたら――

――いや、それを考えていたのは、タリアだけではなかったはずだ。
若き日のギルバートは、まさにそのために研究を重ねる、情熱的な研究者だったのだ。
遺伝子工学を駆使し、婚姻統制に拠らずして子を成すための様々な方策を探っていたはずなのだ。
けれど――優秀だった彼は、優秀過ぎた彼は、残酷な真実を解明し、証明してしまった。
婚姻統制に従う他、方法がないことを示してしまった。
どうしても子供が欲しいと思っていたタリアは、彼に別れを告げ、今の夫と結婚するしかなかったのだ。

――それ以来である。彼女にもギルバートの真意が分からなくなってきたのは。
彼は研究のテーマを大きく変え、政治にも積極的に参加するようになり……ついには最高評議会議長まで上り詰め。
そして、その権限を最大限に使って――

「ねぇギルバート……貴方は、何を考えているの?」
「何を、とは?」
「とぼけないで。貴方、単に売られたケンカを買っているだけではないでしょう?
 皆に言ってないことがあるでしょう? 何をコソコソ企んでいるの?」
「また人聞きが悪い言い方をするものだね、タリア」
「わたしも、こういう言い方はしたくないのだけど――
 可愛い部下が次々と犠牲になり、オモチャにされるのを見ているとね。
 いくら貴方でも、許せなくなりそうだわ」
「…………」
196隻腕二十四話(02/22):2006/02/05(日) 12:03:04 ID:???

ギルバートは彼女の鋭い視線を受け、表情を引き締める。
2人の付き合いは長い。誤魔化せること・誤魔化せないこと、誤魔化して良いこと・悪いことは、自然と分かる。
彼は真面目な表情のまま、窓の外に視線をやる。眼下の基地ではなく、もっと遥か遠くに向けた視線。

「なあ、タリア……君は『養子』を考えたことはあるかね?
 養子が取れるなら私と家庭を持っても良い、と思ったことはあったかね?」
「実の子供を諦めて、ということ?
 ……そうね、当時そういう話があったなら、考えていたかもしれないわね。
 けれどコーディネーターの孤児なんて、居ないも同然だったじゃない。戦争を経た今ならともかく……」
「ナチュラルの孤児では、駄目だったかね?」
「それこそ非現実的だわ。コーディネーターとナチュラルの対立は、あの頃からあったし。
 それに……明らかに私たちより劣っているような子を、ずっと愛していく自信なんて……」

ギルバートの問いに、タリアは首を振る。
タリア自身、さほどナチュラルに対する差別意識はない方ではあったが……
それでも、自分自身のこととして考えれば、どうしてもそういうことを考えてしまうのだ。
そもそもギルバートに言われるまで、選択肢にすら上がらない、発想すらできないことなのだった。
……恐らく、多くのコーディネーターが同じような感覚を抱いているのではないだろうか?
決してナチュラルを軽視しているわけではないが、自分たちの「優秀さ」は譲れないアイデンティティの一部。
実の子に対する執着を脱することができたとしても、その点を考えないことには……

――そこまで考えて、タリアはハッとした。
ミネルバの艦長であり、ギルバートの愛人である彼女だからこそ分かった、彼の真意。
今まで不可解でしかなかったいくつもの事実が、合致する。
彼女はようやくにして彼の思惑を理解し――愕然とする。

「ま、まさか……! な、何てことを考えているの、貴方はッ……!」
「私はね、タリア」

その発想に圧倒され、言葉を失ったタリアに対し……
ギルバート・デュランダル、朝日に照らされたその顔は、真剣だ。
彼は己の正義と使命に深い確信を抱き、はっきりと言い切った。

「人類の未来を、より良いものにしたいだけなんだ。
 より高みに、押し上げたいだけなんだ――!」



              マユ ――隻腕の少女――

            第二十四話 『 天国は遥か遠く 』

197隻腕二十四話(03/22):2006/02/05(日) 12:04:03 ID:???

――ほぼ同時刻、スエズ基地。経度の関係上、既に日は高く昇っているこの地で。
メイリン・ホークは、浮かぬ顔で軍病院から出てきた。思わず溜息が漏れる。

「……どこ行っちゃったんだろ、シン……」

メイリンは、病院の建物を見上げる。
……確かに彼女は聞いたのだ。艦長から直接聞いたのだ。「シンはスエズの軍病院に搬送されることになった」と。
ザフトが接収してからさほど間のないスエズ基地、他に病院などありはしない。ありはしないはず――なのに。

「入院してない、記録にもないって……どういうこと?」

これが何かのミスで、他所の基地に回されたとか、搬送が遅れているとかなら、まだ分かるのだが。
事情を話し、親切な看護師にこっそり許して貰って、メイリン自ら病院のネットを検索しても……

 そもそもシン・アスカは、ザフトの病院に収容されたことにすら、なっていない――

では、あの時ミネルバからシンを連れ出した白衣の男たちは何だったのだろう?
医療関係者独特の匂いを身にまとった彼らは、病院の人間ではなかったと言うことなのだろうか?
シンは今、どこに居るというのだろうか?

メイリンは、首を捻る。まるで見当がつかない。つかないが……何か、嫌な予感がする。
自分自身、あまり頭の良い方だとは思っていない彼女ではあったが、しかしこういう嫌な勘だけは良く当たるのだ。
しかし、何をどうして良いのか分からないのも、また事実で――

病院の外は、能天気なまでの青空。なんだか取り越し苦労をしているような気分になり、再び溜息。
そのままトボトボと、メイリンは基地を出ようとした、その時……

「……だーかーら! 取材許可は取ってあるって言ってるでしょ!」
「取ってあっても駄目だ! ここは部外者以外立ち入り禁止、撮影禁止!
 何度言ったら分かるんだよ! これだからナチュラルって奴は、頭が悪くて困るんだ……」
「あーッ、今の差別的発言よッ! 訴えてやる、雑誌に書いてやるんだからッ!」
「ええい、うるさい奴め!」

……何やら基地の一角で、トラブルが起きているようだった。
病院にも程近い、建物の前。やけに装備の充実した歩哨と、バンダナをしたジャーナリスト風の娘が揉めていた。
何故か気になったメイリンは、なんとなく、事情でも聞こうかと思い、不用意に彼女たちに近寄って……

「キャッ!」「!!」

とうとう、兵士に突き飛ばされたその娘とぶつかってしまった。2人揃って、地面に尻餅をつく。
尻餅をついたまま、互いの顔を見合わせる。

「あ――ご、ゴメン!」
「い、いえ、こちらこそ……」

2人の娘は、反射的に謝りあって――それが、メイリン・ホークと、ミリアリア・ハウの出会いであった。
198隻腕二十四話(04/22):2006/02/05(日) 12:05:09 ID:???

「へぇ、ミリアリアさんはカメラマンなんですか」
「まだ写真だけじゃ食べてけないから、今は“何でもあり”のジャーナリストなんだけどね」

――スエズ基地の近く。基地の「城下町」とでも言うべき市街。
かつて連合軍がこの地を支配していた頃は、連合兵向けの店ばかり並ぶ街であったが……
基地の主がザフトとなった今、そのほとんどが手の平を返したようにザフト兵向けの店と化していた。
この基地で権勢を振るっていた大西洋連邦自体、元々の住民にとっては余所者だ。義理立てせねばならぬ理由はない。

そんな街の大通り、オープンカフェでコーヒーを楽しんでいたのは、メイリンとミリアリアの2人だった。
基地から追い出されるように出てきた2人は、何となく意気投合して。こうして互いに自己紹介をしあっていた。

「さっき揉めてたのもね……最初はあたし、基地に拘束されてたはずの、ガルナハンの人たちに接触したかったのよ」
「ガルナハンの?」
「連合軍が支配してた頃、ここにはレジスタンスを収容してた施設があったそうでね。
 で、スエズが落ちた時に、捕虜のほとんどは解放されて、故郷に帰ったんだけど……
 『ローエングリンゲート』のガルナハンは、まだ連合の支配地だからね。帰れるハズがないの。
 で、色々調べたら――そのメンバーの一部が、未だこの基地に拘束されてるらしい、って情報があって」
「それで、あんな騒ぎに?」
「消去法で、居るとしたらあの建物かな〜、ってね。追い出されちゃったけど」

茶目っ気たっぷりに舌を出して見せるミリアリア。メイリンはコーヒーのカップを手に持ったまま、少し疑問を抱く。

「ミリアリアさん……」
「ミリィ、でいいわよ」
「……ミリィさんは、何でガルナハンの人たちを探してたんですか?」
「ん〜、あの人たち、『ラクス・クライン』のコンサートを見ているはずなのよね。それも、かなり近くから。
 あたしが調べてたのは、『ラクス・クライン』……正確には、2年の沈黙を破って出てきた『最近のラクス』よ」
「最近……の?」
「もう1人とは、案外簡単に接触できたんだけど……そうなると分からないのが、『アッチのラクス』なのよ。
 ま、調査を依頼してきた人とは、今ちょっと連絡取れない状況なんだけど……」
「……??」

何やら遠い目で呟くミリアリア。事情の分からぬメイリンは、混乱する。
最近のラクス? あっちのラクス? もしかして、『ラクス』が2人居る?
メイリンはミネルバのブリッジで見てきた『ラクス・クライン』、その奇妙な言動を思い出す。
あの時の様子を――ひょっとしたら、このミリアリアにしっかり語るべきなのではないだろうか?
いやしかし、ブリッジで見聞きした事は守秘義務に抵触する危険がある。除隊してもその種の義務は残るわけだし……

と――メイリンが1人悩む間に。
ミリアリアは急にハッと顔を上げる。急に腰を浮かし、メイリンの腕を握る。

「え? ええ?」
「伏せて、メイリン!」

ミリアリアが叫び、メイリンの手を引っ張るのと同時に。
ヒュンッ、と何かが彼女の頭を掠め――少しタイミングがズレて、銃声が2つ、響き渡る――!
199隻腕二十四話(05/22):2006/02/05(日) 12:06:04 ID:???

スエズの基地「城下街」、その裏通りを、2人の少女が駆ける。
メイリンのツインテールは、片方が失われて垂れ下がり、奇妙な髪型になっている。
けれど、「この程度で済んだ」こと自体、僥倖と言う他ないだろう。
頭を直撃するはずだった狙撃弾が、僅かに狙いを外し髪留めを吹き飛ばしたのだ。

「ちょっ、ちょっと、ミリィさん! な、何がどうなってるんですか、コレ!?」
「知らないわよ、私だって!」

咄嗟に危機を察知し、メイリンを救ったミリアリアも、事情を把握できていないようで。
ひとまず狙撃手に狙われやすい大通りから逃げ出し、路地に駆け込んだものの……この先の当てがあるわけでもない。

「貴女とあたし、どっちを狙ってきたのかしらね……メイリン、何か心当たりある?」
「こ、心当たりなんて……大体、誰に狙われたかも分からないのに……!」
「狙ったのは――きっとザフトよ。間違いない」
「ど、どうして?!」
「他に、今この街でこんな真似できる組織なんて有りはしないからよ。
 まぁ、ザフト正規軍が知ってるかどうかは分からないけど――要は、プラントの関係者ね。
 真昼間から街中に死体2つ、平気で転がそうってんだからね。他の連中なら、別の手段とタイミングを選ぶわ」

それは、修羅場を幾つも潜り抜け、危険な事件に何度も首を突っ込んできた者だからこその、確信だった。
よく見れば――ミリアリアのこめかみあたりからも、血がにじんでいる。
メイリンの髪留めが跳ばされたのと同様、彼女もまた狙撃を紙一重で避けていたのだ。バンダナが血に染まっていく。

「あたしか、貴女か、それともその両方か――
 どうも、突っ込んじゃいけない領域に首突っ込んじゃったみたいね」
「そんな――」
「――居たぞ! あっちだ!」

ミリアリアの苦笑に、メイリンがショックを受ける間もあらばこそ。
路地に、銃を構えた男たちが駆け込んでくる。どう見てもそれは、ザフト軍の一般兵。
彼らが銃を向けるよりも早く、ミリアリアはカメラを構え――彼らに向け、小さなスイッチを押す。
薄暗い路地が、眩いばかりの閃光に包まれる。

「……! 目晦ましかッ!」
「メイリン、こっちよ!」
「え、ちょっと、待って!」

カメラのフラッシュが改造されていて、閃光弾並みの光を放ったのだ――とメイリンが理解するよりも早く。
ミリアリアは、メイリンの手首を掴んで、路地を駆け始める。
少し遅れて、兵士たちが動揺から立ち直ったのか、2人の背後から銃弾が飛んでくる。2人のすぐ傍を掠めていく。
けれど、ミリアリアは動じない。2年の経験に裏打ちされた、度胸と意思力、そして思い切りの良さ。
かつてアークエンジェルが陥った絶望的な危機の数々を思えば、この程度で諦めてなどいられない。

「こうなったら……逃げ延びてやるわよ!
 それだけ大事なコトに、あたしたちが近づいてたというなら……こんな所では、死ぬわけにはいかないわ!」
200隻腕二十四話(06/22):2006/02/05(日) 12:07:03 ID:???

――大規模な艦隊が、大西洋を北上していた。
ザフト、及び親プラント国家からかき集めた、ありったけの地上戦力。
圧倒的なまでの、大艦隊。
それが、連合軍の最大の拠点、アイスランド島『ヘブンズベース』を目指し、静かに進んでゆく――

最初から、こうすれば良かったのだ。
ヨーロッパ等に進出し、無闇に支配域を広げて維持できなくなるくらいなら。
施設を占領し、支配を維持するための歩兵戦力は、連合軍に比べザフト側は圧倒的に少ない。
けれど――MSやMAを中心とする決戦戦力ならば、決して連合に見劣りしないのだ。

だから、ザフトが本来取るべき基本戦略は、敵の要所を強襲し、敵の頭を討って決着を図る路線だ。
事実、2年前パトリックが議長を兼任するようになってからのザフトは、基本的にそのような戦い方に徹している。
このあたり、軍事が専門でないデュランダルの弱い部分が出てしまった、とでも言うべきか。
パトリックよりも政治的パフォーマンスは上手だったが、はっきり言って戦争は下手なのだ。

ただ一方で、状況に合わせ柔軟に対応できるのがギルバート・デュランダルの強みだ。
1つの手段や方法に固執することなく、間違いを犯せば修正し、より良い方法があれば取り入れる。
議長になる以前、ただの評議会議員だった頃から、彼はそういう存在だった。

要するに、全ては、手段。
ナチュラルの殲滅が目的化し、過激な方法以外は取れなくなったパトリック。
ナチュラルとの融和を目指すあまり、攻撃の手を緩めざるをえなかったシーゲル。
このどちらとも、デュランダルは異なっていた。
少なくとも――そう見られていた。

では、彼の目的は――? 交渉も戦略も「手段」に過ぎぬなら、それを駆使する「目的」は?
……それを知る者は現時点でも何人か居たが、しかしこの艦隊を率いる「総大将」は、どうやら知らないようだった。


「ラクス様、そろそろお時間ですが……」
「あ、ちょっと待って、サラさん」

艦隊の旗艦の一室で。
呼びにきた部下、マネージャー的な存在であるバイザーの女に、彼女は慌てて返事をする。
鏡を見てメイクの最終チェックをし、カツラを被る。
纏め上げられた黒髪が隠され、桃色の髪が「まるで最初から生えていたかのように」彼女の頭に装着される。

「……あまり気を抜かないで下さい。そんな無防備なお姿で。
 貴女は『ラクス・クライン』なのですよ? 私の前では構いませんが、他の者の前ではしっかりして頂かねば……」
「……ごめんなさい」

サラの冷たい言葉に、ミーア、否、『ラクス・クライン』は哀しそうに俯く。
必要とされているのは『ラクス・クライン』。『ミーア・キャンベル』では、ない。
皆が求めるのも、従うのも、命を賭けて守るのも――『ラクス』なのだ。
それはとうの昔に承知し、納得していたはずのことだったが――
201隻腕二十四話(07/22):2006/02/05(日) 12:07:57 ID:???

 『……君は、『ミーア・キャンベル』だ。『ラクス』じゃない』

うな垂れた彼女の耳に、出発前のアスランの声が蘇る。
このパイロットスーツ姿のまま、絨毯の上で抱き締めあったあの夜。

 『君が演じるのは、『ラクス・クライン』という『役目』であって、そのプライベートじゃない。
  だから……』

ミーアは、俯いたまま、立ち上がる。
桃色のパイロットスーツのファスナーを上げ、きっちりと首まで閉める。

 『だから、これは……ラクスの代わりだからすることじゃあ、ない。
  『ミーア・キャンベル』に対して、『アスラン・ザラ』がすることだ。
  君が演じるのは、そうせねばならない時だけで、いい』

そして、重ねた唇の記憶。
ミーアは己の唇を、静かに自分の指でなぞると――その顔を上げた。
そこに浮かんでいたのは、掴み所のない微笑。多くの者が想像する『ラクス・クライン』の微笑。

「――では行きましょうか、サラさん。わたくしを待って下さっている、みなさんのために」
「は……はい……!」

すっかり「スイッチ」が入り、完全に「理想の歌姫」の生き写しと化した彼女。
そんな『ラクス』の姿に、サラはその険しい表情を崩して、頷いた。
狂信者特有の、恍惚とした笑みで――!



『勇敢なるザフト兵のみなさん。そして我らプラントに協力して下さっている、地球のみなさん。
 わたくしは、ラクス・クラインです』

その放送は、北上する艦隊が間もなくヘブンズベースを射程圏に捉えるか、というタイミングで始まった。
艦隊の全ての艦に映像は届けられる。手の開いているものはモニターを見上げ、作業中の者も耳を傾ける。
いつもの際どい舞台衣装ではなく、薄桃色のパイロットスーツ姿の彼女。胸元にはフェイスの徽章。

『わたくしたちは、これまで、地球のみなさんとの共存を望み、行動してきました。
 けれど……ロゴスに牛耳られた現在の連合軍は、これを常に踏みにじってきました………』

それは、ザフト側の正義を主張し、連合側の非を責める演説。
要約すれば大したことのない内容を、計算されつくした表情と口調で、少々オーバーに訴えかける。
連合軍の最重要拠点、ヘブンズベース攻撃を目前としての、兵士たちの戦意高揚と世界に対する自己正当化。
分かりやすいが、それだけに効果は大きい。
大きい、のだが……
202隻腕二十四話(08/22):2006/02/05(日) 12:09:45 ID:???

「クックック……! 来たぞ、来たぞ、来たぞ……!
 待っていたのだよ、『ラクス・クライン』が直接出てくる、このチャンスを!」

その『ラクス・クライン』の生放送を聞き、含み笑いを隠せぬ男がいた。
――ザフトの関係者ではない。プラント関係者でもない。それどころか、彼の居るのは大西洋連邦は北アメリカ。
ロード・ジブリール、その人である。
これだけ分かり易いザフト側のやり方、彼に読めないはずもない

「悪いな、ネオ。今ワタシは少しばかり忙しくてね。そこにいる彼女の件も含め、詳しい話は後で聞こう」
「分かっていますよ。お気遣いなく」
「おい誰か! 至急、例の映像を準備しろ! ワタシも直接出る!」

ジブリールは、無数のモニターが並ぶ部屋で声を上げる。
仮面の大佐はニヤリと笑って、部屋の隅に身を引く。
その大佐に連れてこられた、場違いなツナギ姿の女性は……事態の推移に、まるでついていけない。
ただ呆然と、TV局のスタッフらしき人々がセッティングを進める様子を、見守るしかなく――


――それは、『ラクス』の演説が佳境に入った、まさにその時。
突然、画面が乱れる。音声が乱れる。
ノイズが一通り走った後に、現れたのは――

『放送中、失礼させて頂きたい。ワタシは、ロード・ジブリール。
 無礼を承知で、今まさに、皆さんに見て頂きたい映像があるのです――!』

そう――それはエキゾチックな服をまとい、毛並みの良い猫を膝の上に乗せた、中性的な男の姿。
デュランダル議長のロゴス糾弾演説以降、自らTVなどに出ることも増えていた、大西洋のメディア王――

いや、演説を行っていた『ラクス・クライン』も、未だ画面に映っている。
画面の片隅、分割された小画面に、事態が把握できずに動揺している姿がそのまま映っている。
電波ジャック――以前、スエズ攻防戦の時にザフトにやられたことを、より洗練された形でやり返した格好だ。

『見て頂きたいのは、こちら。この写真です!』

ジブリールが片手を上げると、虚空に浮かぶ(おそらく画像合成による)モニターに、一枚の映像が映る。
歌姫の装束をまとった、黒髪の娘の写真。どうやら雨の中、橙色のザクファントムの盾の下で雨宿りしている様子。
手元には、見覚えのある色合いの桃色のカツラ。それには、今や見慣れてしまった星型の髪飾りのついたままで――!

『少し荒いですが、動画もあります。是非、ご覧頂きたい――』
203隻腕二十四話(09/22):2006/02/05(日) 12:10:38 ID:???

「――ミーア! ジブリール! まさか、あれって……あ、あたしの……!」

その一連の映像、『ラクス』の演説からジブリールの割り込みに至る流れは、中立国スカンジナビアにも届いていた。
丁度ジャンク屋の少女に義足の調整をしてもらっていたマユは、思わず立ち上がろうとして、盛大に転ぶ。
ジャンク屋の少女は、慌ててマユを助け起こす。雪に埋もれた温室ではちょっと寒々しい印象の、ヘソの見える服装。

「ま、マユちゃん!? 大丈夫!?」
「うう……だ、大丈夫です、樹里さん。それより、これって……!」

助け起こされながらも、マユの視線は壁のモニターに釘付けで。
その写真と映像、見間違えるはずがない。かつてマユが、『ラクス・クライン』誘拐を試みた時に撮ったもの。
あの桃色の携帯電話で撮影し、ネオに見せ――当時連合の基地だったスエズで、ジブリールに渡したあの映像だ。

音声はないが、あの日あの時のミーアの表情が世界に流される。
ラクスの顔を模した特殊メイクのまま、彼女が浮かべるのは『ラクス』にはない表情。
小分割されたサブ画面の中では、そのミーアが見るも哀れに困り果て、慌てている姿がありありと映っている。
途中でザフト側も利用されていることに気付いたのか、やがて小画面の映像は乱れ、消えてしまったが……
それでも、ここまでの間に映ってしまった映像だけで、ほとんどの人々には分かってしまっていた。
ジブリールの指摘の通り、『あの』ラクスは、偽者だったのだと――

「あたしの……せいだ……」

マユは肩を震わせる。自分の考えなしの行動が、敵同士ながら共感し合ったミーアを、今になって追い詰めている。
自責の念が、マユを責め苛む。幻肢痛に襲われ、右腕の断端を押さえて呻く。
と……そんな時。

「あらあら……大変ですわね」
「!!」

温室に、場違いな程に呑気な声が上がった。
マユが振り向いて見るまでもない、車椅子の上の彼女――もう1人の、『本物の』ラクス・クラインだ。
例によって曖昧な微笑を浮かべたまま、アンディに車椅子を押され、温室に入ってくる。
そんなラクスを、マユは一瞬激しい憎悪の視線で睨み付けたが――すぐに必死な表情になり、すがりつく。

「ら、ラクス!」
「……はい、何でしょう?」
「お願い! ミーアを、あの子を助けてあげて!
 こんなことになっちゃったのも、全部、あたしが悪いから……だから……!」

言葉の途中で、マユは涙ぐむ。
ミーアを、助けたかった。マユのせいで陥った窮地から、救いたかった。けれど、マユには何の力もなくて……
ラクスがマユのために「何でも便宜を図ってくれる」というなら、今こそ力を貸して欲しかった。

「……大丈夫、分かっていますわ。
 バルドフェルド隊長――あの準備、もう出来てますわよね?」
204隻腕二十四話(10/22):2006/02/05(日) 12:12:05 ID:???

画面の中では、なおもジブリールの糾弾が続く。
いつからラクスが『入れ替わって』いたのか、詳細な検討が始まる。容赦なく、偽りの歌姫の仮面を剥ぎ取っていく。

『ですから――ラクス・クラインは、その再登場の頃から既に……』

と、またもや唐突に。
ジブリールの映っていた画面が、乱れる。まるでジブリールがザフトの映像をジャックした、その時のままに。
やがてノイズが収まった時、そこに映っていたのは――

椅子に腰掛け、どこかの室内で穏やかに微笑む、『ラクス・クライン』だった。

パイロットスーツ姿で演説していた彼女と、瓜二つの彼女。
ただ、衣装は比較にならぬほど穏やかで落ち着いたものとなり、髪飾りの形状も違っている。
古くからの『ラクス・クライン』のファンなら、すぐに気が付いただろう。
その髪飾りは、2年前の彼女がステージ上でも私生活でも愛用していたソレと、同一のデザインだということに――

『――あまりわたくしの『影武者』を虐めないで下さい。
 わたくしは、いえわたくしが、『ラクス・クライン』です』

彼女は、穏やかな微笑みを浮かべたまま、言い放つ。
ジブリールは――今度はジブリールが、画面の隅の小画面に閉じ込められた格好。逆転した立場。
信じられない、という表情を浮かべた彼をよそに、『後から出てきたラクス』は淡々と語り続ける。

『『もう1人のわたくし』については、好きにすれば良いと思っていたのですけれどね。
 非難されている姿を座して見ているのは忍びなく、こうして割り込ませて頂きました。
 失礼ですが――貴方に、他人を非難する資格があるのでしょうか? 偽りを用いていると非難する資格が?
 ロード・ジブリールさん。誰もが知る、大西洋の若きメディア王さん。いいえ――』

そして、『もう1人のラクス』は、余裕たっぷりに、その真実を暴露した。

『――『ブルーコスモス』現盟主、『ロード・ジブリール』!』


「――! 止めろ! あの映像を止めるんだ! 早く!」

その一言に、思わず息を飲んだジブリールは……正気を取り戻すと同時に、椅子を蹴って絶叫した。
優秀な彼のスタッフが、二重の電波ジャックからの回復を試みる。
やがて回線への侵入路を特定し、即座にカットしたが――致命的な一言は、既に放たれてしまっている。
がっくりと椅子に腰を下ろすジブリール。
と、数秒遅れて映像のコントロールが回復していることに気付いた彼は、慌てて自分たちの映像もカットして――

最後はグダグダに、訳の分からない状態のまま――その世界を揺るがす一連の放送は終了したのだった。
205隻腕二十四話(11/22):2006/02/05(日) 12:13:05 ID:???

「……えらいことになりましたなァ」
「……ちょっと黙っていてくれないかね、ネオ。
 ワタシとしたことが、少し混乱しているようだ……」

――電波ジャックを打ち切った、ジブリールのスタジオ。
慌しく「二重電波ジャック」の犯人の逆探知などに取り掛かる部下をよそに、ジブリールはこめかみを押さえる。
彼が自ら告白するまでもなく、普段の冷静さを失っているのは傍目にも分かる。
苛立ちを隠せぬ彼の様子に、愛猫さえも膝の上から逃げ出してしまった。

ブルーコスモスの盟主――つまりリーダー。
しかし、「ブルーコスモス」は元々非公式な地下組織。その組織構成やトップの情報は、本来は伏せられている。
自ら盟主であることを公言していた先代盟主ムルタ・アズラエルの方こそ、例外的存在だったのだ。
ロード・ジブリールが盟主であることも、当然、極秘事項の1つであって……

それを、こんな場で暴露されてしまったのだ。
この種の秘密は、そうと分かってしまえば不思議と傍証が沢山出てきてしまうもの。
1つ1つでは証拠としては弱すぎるものが、確信と共に集められることで、立体的に事実を裏打ちする。

ジブリールがブルーコスモスの盟主だ、という事実が一般に浸透すれば……
それは彼の一番の武器であるメディアグループの信頼にも響く。
そして非合法なテロ組織である、ブルーコスモスの実態解明の動きにも繋がりかねない。

これが違う形で発表されていたなら、ロゴス糾弾の時と同様、しらばっくれた後に反論する手も取れたのだが……
あの『もう1人のラクス』が取ったやり方は、まさにジブリールが『偽のラクス』に仕掛けたのと同じ手法。
生放送で暴露し、同時に本人の反応を示すことで、見ている者に強い説得力を感じさせるやり口――!

「ええいッ……忌々しいッ! 今頃になって『本物』が出てくるなどッ……!」
「……あー、じゃあ、盟主殿はちょっと忙しそうなんで。
 俺たち、後から出直しますわ。この件についちゃァ、俺の出る幕もなさそうですしね」
「ああ、そうしてくれッ! 全く、ふざけてるッ……!」

苛立ちを滲ませながら、それでも慌しく対策を練る『盟主』に、ネオは軽い口調で断りを入れて。
傍らに立つマリューを促し、外に出る。部屋を出た途端、マリューは堰を切ったように質問をぶつける。

「……どういうことなの? あのジブリールが、ブルーコスモスの盟主、って……!」
「まあ――そのまんまさ。アレが今の盟主殿。アズラエルとはちょっと違うだろ? 自称・頭脳派だとさ。
 前の戦争で武闘路線に傾き過ぎて自滅しそうになってた組織を、上手いこと立て直した功労者でね。
 確かにキレ者なんだが、ちとアクシデントに弱いのがタマに傷ってとこかねぇ。で、同時に……」

仮面の大佐は、ちょっと言葉を切って、ニヤリと笑う。

「同時に、アレが俺の『後ろ盾』でもある。俺が色々と好き勝手やれるのも、アイツの力がバックにあるからさ」
206隻腕二十四話(12/22):2006/02/05(日) 12:14:15 ID:???

スカンジナビア王国、旧クライン邸――

「……ふぅ。切られてしまいましたわね。もう少し話したいこともあったのですが」
「おいダコスタ君、逆探知とかはされないだろうな? ココが突き止められると厄介だぞ」
「大丈夫ですよ、隊長。こっちはプラント政府のお膝元で、何度も地下放送してきた経験がありますから。
 中継点をいくつも重ねてるんで、ここまでは辿り着けないでしょう。
 ……とはいえ、これで『仕込み』は全部使っちゃったんで、暫くはこんな真似できませんけどね」

屋敷の一室で、二重電波ジャックを行っていた面々が、作戦の成功に顔を綻ばせていた。
ラクスは椅子から車椅子へと移り、アンディは彼女にコーヒーを差し出す。
アンディの部下らしい「ダコスタ」と呼ばれた青年が、手馴れた様子で機材を片付けていく。
そんな室内で、1人黙り込んでいるのは――

「…………」
「ん? どうした、マユ? そんな怖い顔して」
「ひょっとして……あたしが頼まなくても、同じことしてた?
 ひょっとしてラクス、最初っから全部『知ってた』? 『知ってて』準備してたの?」

荒削りな状態ながら、一応の調整が済んだ義足で立ち、新調した義手で腕組みし、彼らを睨んでいたのは――
さっき温室で取り乱していた、マユだった。本気で怒っている。

マユの疑問は、もっともだろう。そして、当たっているはずだ。
これだけの準備と仕掛け、マユが言い出してから準備していたのでは、とても間に合わない。
いや、ジブリールの放送が始まってから準備しても、間に合わないはずだ。
正確な日時まで把握してたかどうかは分からないが、しかし予めこの展開を予測し、準備をせねばこうはできない。
そして――そんな真似を可能にする、ラクスの「ある特異な能力」についても、つい先日聞いたばかりだった。

「本当はこうなる前に何とかしたかったのですけれど。これは次善の策に過ぎません。間に合って幸いでした」
「だからって……! もう、これじゃ泣いて頼んだあたしが馬鹿みたいじゃない!」

ラクスの微笑に、マユは癇癪を破裂させる。
全く、人が悪いとはこのことだ。分かっている範囲だけでも教えておいてくれれば、こんな思いをせずに済んだのに。

「けれど……マユさんの訴えは、無意味ではありませんでしたよ」
「……どういうこと?」
「わたくしは、ギリギリまで迷っていたのですよ。ミーアさんを助けるか、突き放すか。
 けれど、マユさんの言葉で……助けてあげようと、決めたのです」

果たして、ラクスが語ったあの短い言葉のどこで彼女を「助けた」ことになるのだろう?
マユには分からない。分からないが、多分、助けることになるのだろう。ラクスが「見た」未来において。
……とりあえず理解はしたが、未だ納得のできないマユは、ふてくされたように吐き捨てる。

「……それでも、ムカツクの! 全くムカツクったらありゃしない! ほんと大ッ嫌いだわ!」
『ムカツク! ムカツク! ラクスゥ! オマエモナー! ……ピギャーッ!!』

マユの罵声にも、ラクスはただ微笑むだけで。
傍らで騒ぐ桃色の球体に、マユは思いっきり八つ当たりの蹴りを叩き込んだ。電子音の悲鳴が部屋に響く。
207隻腕二十四話(13/22):2006/02/05(日) 12:15:27 ID:???

――ザフトの艦隊は、混乱していた。
自分たちが慕い、敬愛していたラクス・クライン、この艦隊の総隊長が――ニセモノ。
何をどう考えて良いのかも分からない。

だが、敵を目の前にして、ただ混乱しているわけにも行かない。
作戦の時間は既に決まっていて、動かせないのだ。
軌道上からは、艦隊の攻撃に合わせて降下作戦も行われる予定になっている。
彼らが遅れたら降下部隊は孤立し、死に追い込まれることになる――

だから彼らは、混乱しつつも進軍を続けるしかなかった。彼我の射程圏内に入る。
海上を進む艦船の上に、MSたちが出てくる。
バビ。ノクティルーカ・ザク。そして、正式に量産の始まった、青いグフ・イグナイテッド――

一方、連合軍側も少しの混乱があった。
ブルーコスモス盟主の暴露。これが、軍に潜んでいた少なからぬブルーコスモス構成員に動揺を与えていた。
末端構成員の多くは、盟主の名前も知らない。「自分たちはテレビ屋などのために戦っていたのか」と疑問が湧く。
逆に、軍の上層部には、盟主を既に知っている者が何人もいたが、彼らは彼らで動揺する。
「ジブリールの次には自分たち幹部構成員が暴露されてしまうのではないか」と。

しかし動揺していても、敵は構わずやってくる。
彼らもまた、出撃を開始する。
ダガーL。105ダガー。そして――ネオに先行配備されていた最新鋭量産機、ウィンダム。
ジェットストライカーをつけたそれらMSに加え、大型MA・ユークリッドが、海面を滑って飛び出していく。

そして――互いの軍は、それぞれに動揺を抱えたまま。
明確な始まりの合図もなしに。
両軍は、双方の大軍は、真正面から激突を開始した。


海上に出てきた双方の軍勢は、ほぼ互角に見えた。
全体で見れば、ザフト側が少し質重視、連合側が少し数に勝る、といったところか。
グフとウィンダム。どちらも勝負を賭けて投入した新型MSは、ほぼ同等の戦力アップをもたらしていた。
ただ、連合側には固定砲台などの火力が、ザフト側には軌道上から直接降下・攻撃する別働隊がある。
ぱッと見、双方互角に見える戦場だったが――

海の中では、その均衡は大きく崩れているのだった。
あるいはそれこそが、この戦いを大きく覆しうる、ザフト側の隠れた切り札なのか――?
208隻腕二十四話(14/22):2006/02/05(日) 12:16:12 ID:???

蒼い影が、水面下を駆ける。
防衛側のフォビドゥン・ヴォーテクスの部隊が、三叉の槍を構え迎撃しようとするが、遅い。
正面から魚雷を撃ちながら突っ込み、通り過ぎざまに速射砲。
ヴォーテクスの側の決死の反撃も、PS装甲に弾かれて――あえなく、撃沈する。
個々の性能ならザフト系水中MSを大きく上回るはずのフォビドゥンヴォーテクスが、まるで赤子扱いだ。

「ハーッハッハ! このマーレ様の『アビスインパルス』は、無敵だ!」

蒼い影の中、パイロットが哄笑する。
それは、そう、以前スエズ攻略戦で苦汁を舐めさせられた、マーレ・ストロードその人。
彼が乗るMSは――全身青一色の、「アビス」と「インパルス」を足して2で割らないような、奇妙な機体だった。

ZGMF−X56S/ε、アビス・インパルス。
「インパルスバリエーション」の一形態である。
元々インパルスは、シルエットの換装によって様々な戦局に対応できる設計になっている。
しかし、チェストフライヤーやレッグフライヤーもまた、さらなる拡張性を与える換装可能部品なのだ。

このアビスインパルスでは、チェストはノーマルのものを使用。
レッグは水中用の推進器を備えたパーツを用い、シルエットもアビス同様のバインダーを備えたものが用意される。
そして、VPS装甲を活かし耐圧性を高めた設定を選べば、汎用MSのインパルスが水中用MSに変身できる。
元々のアビスと比べれば、少々性能は低下していたが、それでも並大抵の水中用MSよりも高いスペックを誇る。

他にも半獣半人の四足歩行形態を取るガイアインパルスや、ガンバレルを備えたカオスインパルスもあったが。
この戦いでマーレが選択したのは、己の得意分野であり、また苦い思い出のあるアビスを模した、この装備だった。

「フフフ……! 見ている者は見ているのだ! このMSが回ってくるとはな!」

敵を蹴散らしながら、マーレは笑う。
元々水中戦の得意な彼に、このMSだ。誰も勝てるわけがない。

もっとも……マーレにこのインパルスが回ってきた経緯を考えると、なお少し苦い思いが湧き上がるのだった。
このインパルスと追加装備――元々は、ミネルバに配備されるはずだったもの。
ミネルバで待望されていた予備のコアスプレンダー、予備のパーツの数々、新型の追加装備……
それらが、ミネルバ側の事情、パイロットの脱落という現状を受け、急遽「お下がり」で回ってきたのだ。
つまりは、マーレが彼らを越えたわけではない。今なお、マーレはそれよりも劣る存在と見られている――

「……ふッ。なに、戦果を挙げれば良いだけのことだ! ナチュラルを沢山殺してな!」

少し弱気になりかけた自分を、マーレは首を振って振り払う。少し汗をかきながらも、苦笑で不安を吹き飛ばす。
見れば、水中の敵は大方倒してしまったようだった。
友軍のゾノやグーンが倒した分も多いが、一番撃墜数の多いのは間違いなくマーレ。

「では、少し上の敵も叩いてやるかな――我が戦果を目撃する者も、多い方が良い――」

彼は、さらなる戦果を、分かりやすい戦果を求め、機体をゆっくりと浮上させた。
209隻腕二十四話(15/22):2006/02/05(日) 12:17:03 ID:???

――隠しているカードがあったのは、ザフト側だけではない。
準備に少し手間取ってはいたが――真の恐怖が、ヘブンズベースの地下から出現しようとしていた。

『――生体CPU、リンケージ同調率87%。システムオールグリーン』

黒い巨体がヘブンズベースの地下からせりあがってくる。周囲の連合MSが、怯えるように道を開ける。
その偉容に、敵味方双方の視線が集中する。どちらにとっても、恐怖を具現化したようなその姿。
どこか壊れたような笑い声に、オペレーターの事務的な声が重なる。

『X1デストロイ、発進スタンバイ。スティング・オークレー中尉、発進願います』
「ヒッヒッヒ……ヒハハハハ……! ……さぁ、行くぜェ!」

――スティング・オークレー。「ファントムペイン」、3人のエクステンデッドの最後の生き残り。
その血走った目は、かつてマユたちと笑い合っていた頃の雰囲気を、まるで残していない。

「……おるぅぁア!」

しっかり両足を張ったデストロイは、その円盤状のパーツを前に引き倒し、その巨大な砲をザフト艦隊に向ける。
ケタ外れに巨大なデストロイ、その身長にも匹敵する長さの巨大な砲身。それが4本。
冗談の塊のようなその大砲が、まとめて一気に火を噴いて――比喩でも何でもなく、海を割る。
一発の射撃で、何隻もの戦艦が吹き飛び、生き残った艦艇も大波に揺れる。
敵味方合わせ、巻き込まれたMSの数も数え切れない。

「ヒャーハッハッハ! 最高だぜェ!」

スティングは叫ぶ。この上ない戦闘の歓喜、破壊の光景に、狂い笑う。
今度は円盤外周にズラリと並んだビーム砲が続けざまに火を噴き、基地に迫ろうとしていたグフを次々と貫いていく。
海中のアビスインパルスの奮戦どころの話ではない。たった1機で、戦況を変えてしまう悪魔の兵器――!


「ちぃッ……! デストロイが、もう1機あったとはな!
 だが――ソイツは既に、このインパルスが倒しているのだ!」

海面に出てきたマーレは、この強敵の出現を目撃してなお、唇の端を強気に吊り上げた。
強敵だが、機体のスペック的には勝てぬ相手ではない。マーレとしては少し悔しいが、シンが証明してくれている。
ただ――この装備では、少しマズい。マーレは予備パーツを収納している潜水母艦に向け、叫ぶ。

「換装するぞ! フォースシルエット、射出しろ! あと、ソードシルエットもだ!」


――その姿は、スティングの側でも察知できていた。
水中から飛び出した、見慣れぬ1機のMS。アウルの乗っていたアビスに似ているが、微妙に違う。
それは空中でバックパックを外し、新たなバックパックと合体し――色を変える。間違いない。インパルスだ。

どうやら下半身は水中用そのままのようで、アビスのディティールを一部に残していたが……
機能的には、ほぼノーマルの脚部と遜色はない。推進器を装備した分、フォールディングレイザーがないくらいだ。
フォース装備のインパルスは、飛んできたソードシルエットからエクスカリバーだけを受け取り、しっかりと構える。
210隻腕二十四話(16/22):2006/02/05(日) 12:18:04 ID:???

「ヒャハハハ! 面白い! ミネルバも居ないのに、インパルスとはなァ!」
「フハハハ! これぞインパルス最強形態! フリーダムも倒したこのインパルスは、無敵だァ!」

双方のパイロットは、哄笑を上げる。哄笑を挙げつつ、インパルスは接近し、デストロイはMS形態に変形する。
横槍を入れようとする者は居ないわけではなかったが、しかしどちらにとっても大した敵ではない。
インパルスの行く手を阻もうとしたウィンダムは斬り落とされ、デストロイに銃を向けたバビは撃ち落される。
誰にも、邪魔できない。

「そのデストロイ……接近戦に弱いのは、既に割れてるんだよォォ!」

デストロイの側からは恐るべき威力と数のビームが浴びせ掛けられるが、マーレは的確にかわして距離を詰める。
水中戦の戦果ばかりが指摘されがちなマーレではあったが、実は総合的な実力もまた一級。
並大抵のパイロットなら足の竦むようなビームの嵐の中、果敢に接近する。
が、しかし……唐突に。攻撃が当たったわけでもないのに、デストロイの両腕が、爆発音を発して――外れてしまう。

「ハハハハハハ…………は?!」
「ヒャーッハッハ! お前は――『いつのデストロイ』を相手にしているつもりだ!?
 俺の2号機はなァ……ステラが乗せられていたような、『未完成品』じゃねぇんだヨ!」

距離を詰めるマーレの哄笑が、途中で凍りつく。今度はスティングが笑う番だった。
「本体」から切り離された「両腕」は、それぞれが独立した生き物のように空を舞い、角度を変えてマーレを襲う。

そう――それは、以前「計画を前倒しして」投入された1号機には、間に合わなかった機能だった。
奪ったカオスの技術を応用した、量子通信による遠隔操作ユニット。鈍重なデストロイの欠点を補う特殊装備。
1号機はその運用に際し、対MS用の護衛を必要としたが……「完全なデストロイ」には、最早必要ない。
ましてやスティングは、この種の兵器を扱うスペシャリストでもある。適性のない者に対処できるものではない。

「ふ、ふざけるな! こ、この形態のインパルスは、無敵のフリーダムさえも倒した……」
「無駄だァ! この腕も、守りは万全だからな! ……ほらほら、背中がお留守だぜェ!?」

インパルスがデストロイの片腕に向けて撃ったビームライフルの一撃は、腕の外側に張られた光の壁に遮られて。
逆に射撃の際、片手に持った大剣の重さでバランスを崩す。その隙を見逃さず、背後からもう一方の腕が襲いかかる。
5本の指先から放たれるビームを、マーレは回避しきれない。翼が吹き飛び、両足が吹き飛び、頭が吹き飛ぶ。

――どちらも、機体は十分に強かったのだ。どちらも、腕は良かったのだ。どちらにも、勝ち目はあったはずなのだ。
けれど、この結末は――機体性能に頼ってしまった者と、機体性能を十二分に引き出した者との格差。
あるいは、単に「フリーダムを倒した」という事実にのみ着目し、その理由を考えなかったマーレの迂闊さ。
エクスカリバーのような「余計な重量」を握っていなければ、あるいは避けきれたかもしれないのに――!

マーレは慌てて本体を捨て、コアスプレンダー単機で脱出を図るが……
スティングはなおも容赦しない。小型機の片翼をビームが掠め、コントロールを失った機体は墜落していく。

「ち、畜生ッ……! だから、ナチュラルはッ……!」
「ヒャハハハハハ!」

マーレの呪いの言葉は、海面に上がる飛沫に遮られ――後には、スティングの哄笑だけが響き渡る――
211隻腕二十四話(17/22):2006/02/05(日) 12:19:13 ID:???

スティングとマーレの闘いに決着がつこうとしていた、その頃――
ヘブンズベース上空でも、この戦いを左右するもう1つの決着がつこうとしていた。

軌道上から、円錐形の降下カプセルがいくつも投下される。MSを何機も載せた、大気圏突入用カプセルだ。
いわば、MS規模、宇宙的規模での空挺降下。
いくつもの流星が、アイスランドを目指して赤い尾を引く。

先の戦争でも、ザフトはこの作戦を多用することで優位を作り出してきたのだ。
通常の空挺降下なら制空権を押さえることで妨害もできるが、軌道上からのこの攻撃を防ぐ手段は皆無。
敵の急所に直接MSを送り込めるこの方法で、ザフトは数多くの基地や拠点を落としてきた。
この作戦が使えなかったのは、地下の大空洞に基地を構えていたアラスカ攻略の時くらいのものだ。
2年前のパナマ攻略の際には、MSではなくグングニルを投下することで決着をつけている。

今回もザフトの面々は、この攻撃に絶大な自信を持っていた。
断片的に入った降下直前の情報では、地上の部隊は苦戦を強いられているようだったが、しかし構いはしない。
彼らが敵防衛隊の後方に降りることで、敵を挟撃することもできよう。
あるいは、防衛隊が地上部隊に引きつけられている間に、敵司令部を落とすこともできよう。
どちらで行くかは、降下してから判断することになるが――彼らは、絶対の自信を持っていた。

降下カプセルが大気圏を突破する。減速用のパラシュートが広がり、ふわりと風をはらむ。
青い空の下、雲の間を抜けながら、降下カプセルの殻を脱ぎ捨て、収容されていたMSが飛び出してゆく。
空の色が変わって見えるほどの、MSの大部隊が出現する――

――と、突然。
ヘブンズベース目指して降下していた彼らは、眼下の基地の近くに、異様なモノを見る。
それは事前の衛星写真では映っていなかったはずの、巨大な構造物。
山が割れ地下から出現した、巨大な臼砲――のようなモノ。
その砲口は、天に向けられている。天以外には向けられない構造になっている。
一体何のために、こんな代物が――!?

その疑問は――程なくして、彼ら自身が身をもって思い知ることになった。


マーレのコアスプレンダーが撃墜され、海面に落下したのと、ほぼ同じタイミングで――
ヘブンズベースの空が、閃光に染まる。
山の中から空に向けて放たれる、目も眩むほどの光。円錐形の広い範囲に撒き散らされた、破壊の光。

暗号名『ニーベルング』。北欧神話における冥界の名。あるいは旧世紀の歌劇における、地下に住む小人の一族。
その実体は、基地の地下に固定された巨大な拡散陽電子砲。最強にして一発限りの対空砲。

それは、ザフトの降下作戦に苦しめられ続けた連合側が、基地防衛のために開発していた秘密兵器だった。
大規模な降下部隊を丸ごと飲み込めるその照射範囲。掠めただけでMSを戦闘不能に追い込むその破壊力。
それらの代償に、設備は大型化し、地下に据え置きになり、また一発の照射で自壊してしまうのだが――
この戦闘においては、十分にその役割を発揮していた。防げぬはずの空挺作戦を、完膚なきまでに叩き潰していた。

降下部隊は、戦うよりも先に大損害を受け――かろうじて生き残った者も、その多くが既に戦える状態ではなかった。
デストロイに蹴散らされる地上の艦隊も含め、この戦い、どう見てもザフトの負けだった。
212隻腕二十四話(18/22):2006/02/05(日) 12:20:03 ID:???

「ああ……! あああ……!」

そんな、総崩れとなったザフトを後方から見ながら――ミーアは、震えていた。
グゥルに乗った桃色のザクの中、彼女は顔面を蒼白にして、震えていた。

『ラクス・クライン』としての虚飾を引き剥がされた彼女。
せめて自分にできることを、と思い、愛機に飛び乗り、出てきたのだが……
けれど最早誰も彼女に従おうとはせず、ザク1機で出来ることなどほとんどなくて。

 『お前のせいだ……!』
 『お前がウソなんてつくから……悪いことと知ってながら、話に乗ったりするから……!』
 『調子に乗っていたんだろう? 皆に『ラクス様』と慕われて、嬉しかったんだろう?』
 『責任は、取らなきゃいけないよなァ?』

弱気になった彼女の耳に、幻聴が聞こえる。四方八方から責め立てられる。
『ラクス』のために、と思って戦場に立ち、散っていった兵士たちの呪詛の声――だと、彼女は認識する。
それは本当は……偽りを貫くにはいささか善人過ぎた、ミーア自身の良心の声。

もう、戦場の勢いは止められない。
総隊長・ミーアの信頼の急落で、指揮系統は乱れきっている。各部隊の隊長が、勝手に判断をし、行動する。
踏みとどまって戦う者あり、逃げ出す者あり、撃墜された仲間の救助を試みる者あり……
そして、そんな連携の乱れる彼らを、デストロイと、それに従うユークリッドやウィンダムが狩り立てていく――!

いつしか、後方にいたはずのミーアの所まで、敵の流れ弾が飛んでくる。
呆然としていた彼女の機体をビームが掠めるが、彼女は避けようともしなかった。

「ああ……ここで死んじゃった方が、いいのかもね……」

虚ろな微笑みを浮かべ、彼女は小さく呟く。
敗戦の将の役割は、敵に討たれることだ――どこかで聞いたようなフレーズが、彼女の脳裏に浮かぶ。
遠くで、デストロイが巨大な砲身を向けるのが見える。
ああ。あの閃光に飲み込まれるなら、苦しまずに逝けるだろう。間違いなく死ねるだろう――

「……バカヤロウッ!!」

そんなミーアの自殺願望交じりの思念は、唐突に割り込んできた通信に断ち切られた。
黒い影が桃色のザクに抱きついて、勢いのままにグゥルを蹴り、大きく飛びのく。
直後、デストロイから放たれた太いビームが、寸前までザクが居た空間を飲み込む。グゥルは跡形もなく消滅する。

「……何やってんだ、アンタッ!?」

それはドムトルーパーだった。肩に刻まれた数字は003。ヒルダ隊隊長、ヒルダ・ハーケンの機体。
熱狂的な「ラクス信者」とでも言うべき彼女は、そのラクスの名を騙っていたミーアを、容赦なく叱りつける。
213隻腕二十四話(19/22):2006/02/05(日) 12:21:03 ID:???

「そりゃ、アタシらも言いたい文句は山程あるけどね――
 こんなとこで犬死されちゃ、アンタのために命張った部下が浮かばれないんだよ!」
「ヒルダ、さん……!」
「とりあえず、偽者でもパチモンでも飾りモンでも、アンタが指揮官だ! 役割を果たしな!
 アタシらは軍隊だ! 命令なきゃ動けない奴も、少なくないんだよ!」
「…………!」

ヒルダの厳しい叱責に、ミーアは少しだけ自分を取り戻す。
そうだ。確かにそうだ。自分には、やらねばならないことがある。
罰を受けるのも裁きを受けるのも、その後だ。
彼女は震える手を伸ばし、通信機のスイッチを入れる。

『こ、こちら、『ラクス・クライン』……う、ううん、『ラクス様の影武者』です。
 あ……あたしは代理だけど、そ、それでも、艦隊総隊長として、命じます!
 ……総員撤退! 作戦目標の達成を諦め、各自の判断で撤退して下さい!』

それは、多くの者が望んでいた正式な命令。同時に、ヘブンズベース攻略戦の敗北を告げる一言。
各艦艇から全面撤退を告げる信号弾が上がる。通信が届かなかった者たちも、撤退を開始する。

「……よーし、上出来だ。アタシらも帰るよ! しっかり捕まってな!」
「は、はいッ!」

ヒルダはニヤリと笑うと、桃色のザクを背負うような格好で、ドムトルーパーのホバーを全開にする。
海面を滑るようにして、転進を始めた旗艦に向かう彼女。残る2機のヒルダ隊のドムも合流する。

「……そういえば、ニセモノさん」
「な、なんですか?」
「アンタ、本当の名前は? 『ニセのラクス様』じゃ、呼びづらくて仕方ないよ」

ヒルダの問いに、彼女は数秒躊躇ってから。ゆっくりと、答える。

「……ミーア。ミーア・キャンベル、です」
「へぇ。結構普通の名前なんだね。
 ……ミーア、アンタも色々あったんだろうし、これからも大変だろうけど………………頑張りな」
「ヒルダ、さん……」

てっきり文句なり嫌味なりを聞かされると思っていたミーアは、思いもかけぬ応援の言葉に、目をしばたかせる。
ヒルダは構わず、優しく呟く。何かと誤解されやすい隻眼の容貌、しかし今浮かぶのは、意外と柔らかな微苦笑。

「ラクス様の名を騙ったのは許せないけど、でもアンタ、悪気があったわけじゃないだろ。
 アタシらと同じように、『本物のラクス様』を慕ってただけだ。居なかったから、代役してただけだ。
 ……近くに仕えてずっと見てりゃ、それくらい分かるよ。ずっと変だと思ってたんだ」
「…………」

その言葉に――ヒルダのドムの背の上、桃色のザクの中で、ミーアは思い出す。
アスランと2人きりでの、あの夜のことを。
同じように『ラクス』としてでなく、『ミーア』として言葉をかけてくれた、男のことを――
214隻腕二十四話(20/22):2006/02/05(日) 12:22:10 ID:???

――それは、あの夜のその後。

 『――すまない、ミーア。今日は、これで勘弁してくれないか』
 『アスラン……?』

 絨毯の上、唇を重ねあった2人。だがアスランは、ゆっくりと身体を離す。
 これで終わり、とは思ってなかったミーアは、ちょっと肩透かしを食らった格好で。
 桃色のパイロットスーツの合わせ目から豊かな胸の谷間が覗くが、アスランは視線を逸らし、見ようとしない。

 『『ラクス』という役割上のことじゃあないから――俺はこれ以上することができない』
 『どういう……こと?』
 『俺にはもう1人、決着をつけなきゃいけない相手がいる。義理を果たさねばならない相手がいる。
  彼女との関係を綺麗にするまで……俺には恋愛などをするような、資格がない。権利がない』

 床に直に座り込んだアスランの横顔は、苦渋に満ちて。
 ミーアも同じくぺたんと座り込んだまま、見つめることしかできない。

 『カガリを――1度は愛を誓い、未来を誓った相手を、俺は討ったんだ。この手で、倒してしまったんだ』
 『…………』
 『彼女が生きているかどうかは、分からない。ただ、死んでも仕方ないと思って、俺は斬りつけた。
  仕方ないとは思ったけれど――白黒はっきりさせるまで、不義理なことは、できない』
 『…………』
 『戦争が終ったら、あるいは一段落したら――俺は、彼女を探しに行くつもりだ。
  生きていたなら直接、死んでいたなら墓前に、返さなきゃならないものがある。言わねばならない言葉がある。
  それまで俺には――不誠実なことは、できないんだ』
 『…………』

 アスランは、服の胸元、首から下げたお守りらしきものを握ったまま、呟く。
 そんな彼に、ミーアは寂しく微笑むことしかできない。
 ……なんでこんなに不器用で、なんでこんなに馬鹿正直で、そして、なんでこんなに優しいだろう。
 その不完全な誠実さが、かえって人を傷つけてしまうことなどまるで自覚なくて。
 でもそれこそが、ミーアが、後暗さを抱えつつ『ラクス』を演じる彼女が、彼に惹かれる理由でもあったから――

 『わかったわ。もう、アスランを困らせたりしない。貴方の気が済むまで、急かしたりしない』
 『……すまない』
 『ただ――もう一度だけ。もう一度だけ……キスして。
  あたしがこれからも、頑張れるように。アスランがこの先、迷ったりしないように――』
 『…………ああ』

 そして2人はゆっくりと、今度は勢い任せではない、深い口付けを交わして――
 2度目のキスは、微かに涙の味がした。


「……みんな、優し過ぎるんだから……!」

彼女の呟きと一滴の涙は、誰にも届くことはなく。ドムトルーパーとザクは、海面を走り続けて。
ヘブンズベース攻略戦は、ザフトの全面敗走で、ここに決着する――!
215隻腕二十四話(21/22):2006/02/05(日) 12:23:05 ID:???

『……ヘブンズベースを巡る連合軍とザフトの戦闘は、ザフトの撤退によって決着しました。
 連合軍は、遭難者及び投降者は、捕虜として丁重な扱いを行うと明言し……』

――そこは、どこかの病院らしき建物。夕陽差し込む広い部屋。
つけっ放しのニュースの音声が、聞く者もない病室に響く。

「んッ……!」

いや――その音声のためかどうか分からぬが。
ベッドの上の人物が、呻き声を上げる。綺麗な金髪が乱れ、彼女は久しぶりに、その目をゆっくりと開けた。

「……ここ、は……?」

声が掠れる。周囲を見回すが、まるで見覚えのない景色。
ベッドの上に起き上がろうとして、また呻き声。身体が自由に動かない。起き上がれない。
彼女は自らの右腕を目の前に持ってきて、左手で触る。前腕の筋肉の落ち具合を、確認する。

「……この様子じゃ、2週間くらいは経ってるようだな。
 そんなに長くさぼったことないから、正確な日数までは分からんが……」

趣味・筋力トレーニング。そう公言して憚らぬ彼女だから分かる、自分の身体の異常。経過した時間。
彼女は苦しみながらも、今度こそ頑張って身体を起こす。腕に刺さっていた点滴を引き抜く。
窓の外には――オアシスらしき景色と、その向こうに広がる砂漠の光景。
ここは、どこだろう?

と、彼女は、ふとあることに気付く。
ペタペタと自分の身体を触り、服装が病人用のパジャマになっていることに気付く。
周囲を見回し、枕元のサイドボードにでも置かれているかと探してみるが、見つからない。
彼女はがっくりと肩を落とす。

「……仕方ないか。命があっただけでも儲けものだ。大事なのはモノじゃなく、その思いだから――」

彼女が寂しげに呟いた、その時。
病室の戸が開き、数人の男がワラワラと入ってきた。誰もが入った途端に、驚きに凍りつく。
制服姿でなく、地味な私服姿だったので一瞬分かりにくいが――先頭の男の角ばった顔は、間違いない。

「か、カガリ様! お目覚めになられたのですか!?」
「……アマギか。どうやら心配をかけたようだな」

大いに驚き、また大いに喜ぶ部下たちに、カガリは鷹揚に応える。
彼らの涙を見るまでもなく、彼らがどれだけ心配していたのかは容易に想像がついた。
想像はついたが……だがしかし、彼女にはそんな感傷に浸っている余裕はない。

「アマギ。私はどれだけの間眠っていたんだ? あれからスエズは、タケミカズチはどうなった?
 何故私は助かった? 他の者たちは? ここは一体、どこなんだ?
 ……どうやら私には、知らねばならぬことが沢山あるようだな」
216隻腕二十四話(22/22):2006/02/05(日) 12:24:07 ID:???

スカンジナビア王国、旧クライン邸――の近くの、とある工場。
2人の男が、今まさに組み立て途中のMSを見上げていた。

「……どうかね? コイツは使い物になるのかい?」
「ん〜、どうしたって全般的な性能低下は免れないぜ。
 何せ完璧にブチ壊されちまってるからな。もし材料があるなら、ゼロから作り直した方が早いくらいだ」

男の問いかけに、バンダナを巻いた青年は答える。しかしその言葉とは裏腹に、どこか楽しげな口調で。

「でもだからこそ、俺の腕の見せ所、ってわけでね。幸い、地上で仕入れたジャンクパーツもあるし……
 『最強』は約束できないが、『最適』なモビルスーツに仕上げて見せるぜ!」
「頼もしい話だな」
「それに……アンタらが用意した、この『追加パーツ』も使ってみたいしな。久しぶりに腕が鳴るぜェ……!」

隻眼の男の言葉など、ほとんど聞いてないバンダナの青年。ワクワクしているのが傍目にも分かる。
そんな彼の様子に、バルドフェルドは肩を竦めた。

「ま、世にジャンク屋は山ほどいるが、1人でMSをデッチ上げちまうのはお前くらいのモノだからな。
 いい仕上がりを期待してるよ、ロウ・ギュール――!」


旧クライン邸、屋敷の本館。
どうやらリハビリ用に整えられたらしい、板敷きの大きな広間。壁際には歩行介助用のバーが張られていたりする。
そんな部屋で、マユは義足の微調整をしていた。走ってみたり、歩いてみたり。跳ねてみたり、しゃがんでみたり。
時折ジャンク屋の樹里が近づいて、様々なデータを確認し、さらなる微調整を加える。

その広間にも、モニターが1つ。カガリが見ていたのと同じような、ヘブンズベース攻防戦の顛末が流されている。
マユは歩みを止め、モニターを見つめる。淡々と流れるニュースに、右腕の疼きを覚える。左足の断端もまた、疼く。

と――同じく広間にいたラクスが、すッと立ち上がる。ずっと無言でマユを眺めていた彼女。
どうやらこのリハビリルーム、元々はマユのためというより、ラクスのために用意されたものらしい。
けれど、車椅子から降りた姿は、ここに来て初めて目にするものだった。
綺麗な姿勢の立ち姿。大女優さながらに、ただ立つだけで人の目を惹き付けるオーラがある。
そうして立ち上がったラクスの目は……モニターを見ながらも、見ていない。
目の焦点は、モニターの映像の、はるか向こうを見つめている。はるか向こうを見つめながら、ラクスは断定する。

「ヘブンズベースが落とせなかった以上――次は、オーブです」
「え…………!」

それは……その宣言は、間違いない。
ラクス・クラインが持って生まれた特異な能力。必ず当たってしまうという、あの「予言」。
その宣言に――未だ自分の進むべき道を見出せていないマユは、動揺を隠せない。

窓の外には、なおも降り続ける雪。悩んでいられる時間は、もうあまり残ってはいない――!


                      第二十五話 『 運命の道化師 』 につづく

……ということで、ヘブンズベース攻略戦は失敗に終りました。
デストロイは1機のみ投入、ジブリールやロゴスは、最初っから基地に篭っていません。
あと、ようやくカガリ復活。結構長く意識dでましたね。
ようやく、反撃開始。世界情勢は未だ予断を許しませんが……。

・議長の真意
 まだ秘密です。といっても、もう大筋は分かってしまった方もいるかとは思いますが。
 で……分かってしまったら余計に「???」な方、「ちょっと待て!」な方も中には居るかと思いますが。
 その辺は、もう少しお待ち下さい。……てか、もう少し引っ張らせて下さいw

・隻腕におけるデスティニー・アストレイ(デストレイ)の扱いについて
 アーモリーワン編(インパルス取材編)の途中までは、デストレイ本編にほぼ準拠しています。
 ただし、そこから先は大幅にストーリーが変化しています。原型留めてません。

 ……ぶっちゃけ、デストレイの進行が遅いのが悪いんです。面白いネタはいくつかあるのですが。
 全体の構想を練っていた時期に間に合わなかったので、仕方なくその大筋は無視させてもらいます。
 ロウも樹里も、この時期に地球のこんなとこに居ることができるかどうか、ちょっと怪しいものなのですが。

・アビスインパルス
 感想レスで先回りして予言された時は、本気で焦りましたw

・ニーベルング
 どうやら陽電子砲らしい、というソースの怪しい情報は見つかったのですが、細かい部分はほぼ創作です。

・ロウの作ってるモノ
 現時点ではまだ、組み立て途中のシルエットだけ公開ということで――

・次話タイトル
 感想の文章の中からパクらせて貰いました。あまりに良いフレーズだったので……スイマセン&感謝。


次回、ラクスの「予言」通り、オーブ攻防戦!
……ではなく、1つ別の戦闘を挟む予定です。
218通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 12:58:31 ID:???
超乙!

凸が真人間になってるww
219通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 13:10:57 ID:???
GJです
220通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 13:15:10 ID:???
GJ!
マーレワロスw
221通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 13:15:55 ID:???
ミリアリアとメイリンの絡みきたよ、これ
222通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 13:42:36 ID:???
GJです
映像だと尚更ギルタリベットシーンをアスミアキターと間違いそうな。
男の子じゃなくて漢(の子)だったアスランと再登場の元オペこたちに乾杯
223通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 14:00:32 ID:???
ヒルダ・・・。いいキャラに仕上がっておりますな。
ミーアもいい。それとアスラン、なかなか男だなw
嗚呼、スティング・・・。

GJ!!
224通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 14:04:25 ID:???
GJ!
先の展開がムチャクチャ気になるよ。
ロウの作ってるモノはやっぱりストフリかなぁ。まぁマユが乗ると思うが
キラはどうするんだ?個人的にはストライク(もしくはルージュを修理・改良したやつ)に乗って欲しいんだが。
225通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 15:26:08 ID:???
メイリンとミリィに真人間凸にヒルダにミーアにラクスにロウにジュリにカガリに…
もう今回はキタ━━━(゚∀゚)━━━!!の嵐ですたよ。
すげえよもう。キャラへの愛がひしひしと伝わってくる。

そして次は運命の道化師クル━━━(゚∀゚)━━━!!
226通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 15:51:59 ID:???
メイリンとミリアリアのコンビが激楽しみです!(*´Д`*)
GJですよGJ!!!
そろそろ色々な店先にチョコレートやら赤い包装紙やらが出回り始める時期。
そう、バレンタインデーである。決してスティング・オークレーwithエクステンデッド・ボーイズとかで歌わない。
プラントだと男があげるんだろうと思うが、ここはほのぼのワールドなので気にしないで欲しい。

-----------ミネルバ乙女(仮)会議。-------------
「(仮)って何?!」
「グレイシアがいるからじゃない?」
「いや、むしろルナマリアだと思うわ。」
ここはメイリンとルナマリアの部屋。ここではミネルバ女子軍(仮)による対バレンタイン会議が行われていた。
「まず、とりあえずクルー全員に上げといたほうがいいよね?」
メイリンがノートPCを叩きながら言う。
「そうね・・、あ!あと本命っていうか手の込んだチョコは誰にあげる?私アスランさん。」
ルナマリアが真っ先にアスランをキープしようとする。
「ジョーには上げといたほうが絶対いいわよ。もう何千倍返しのホワイトデーが来るわ。」
ミーアが皆に話す。
「うぇい・・?どう言うこと・・?あ、ステラはネオとゲンとスティングとアウルにあげるの・・・。」
ステラはやはりいつものファントムペインメンバーに上げるらしい。
「ほら・・、ジョーって・・その・・過激なホストみたいなもんじゃない・・・・。
だからすっごい高い時計とか財布とかいっぱい貰ってて・・・・・・・・。
しかもわざわざ女物じゃないからってそれ売ってブランド物の鞄とかくれるのよ、あの隠れ金持ち・・・・。」
ステラ以外の目が一気に輝く。
「ホント?!じゃあ私がんばらなくちゃ!!あ、ハイネも金持ちよね?」
「うん、なんでも高級マンションのいっちばーん上の階丸々ハイネのだから。」
「レイ兄ちゃんと・・、ギルパパ・・、シンハロは食べられないんだよなぁ・・・。あとお兄ちゃんとアウルか。」
「私大きいチョコレートケーキ作る予定だから皆でたべましょ。」
「ちょこれーとって・・・・お鍋に入れて炒めれば良いの・・?」
「ステラ!それ焦げる!」

男性陣の運命やいかに・・・。
------------その頃の男性陣--------------

「バレンタインデーか・・・・。」
アキラは思わず瞼を閉じる。そこには亡き友の思い出が。

『アキラ、これミリィがバレンタインデーチョコだって!』
『うそ?!マジ?!ミリィちゃんに今度お礼言わなきゃなぁ・・・・。』
『よし、じゃあ食べよーぜ!』
『おうっ!じゃあ、いただきまーっす!』

ピーポーピーポーピーポー・・・・・・・・。

「凄い味だったなぁ・・、あの黒い物体。」
あの後二人して失神して病院に運ばれた事を思い出す。
トール必死こいて料理覚えてたなぁ・・・・。将来に向けて。

「・・・・・・・・・・・・・・この時期が来たか。」
ハイネはいつもいつも鬱になる。大体この時期にくるチョコレートは全て食べずに供養しながら燃やすのだ。
やっぱり人の思いがこもった物をを燃やすのは忍びないがとてもじゃないけど食べれる量じゃないのである。


「はっはっはっはーーー!!今回は俺の勝ちだな偽物!!」
『くそっ!!覚えていろ雑種!!』
シンハロVSシン第4523回目の勝負はどうやらシンに軍配が上がったようだ。
シンハロはロボットなのでチョコレートは食べれないのだ。

「おう、スティング〜♪楽しみだなぁ、愛しい彼女からのチョコレートは?」
「なっ・・・・ネオっ!!」
ネオのからかいの言葉に真っ赤になるスティング。
「あーおーのーめろでーぃをー♪こもりうたにーーーー♪」
すっかり部屋の隅っこで絶望しているアウル。正直もう恋愛イベントはうんざりである。
周りはぜーんぶくっついて、自分だけ何もない。残ったのはおっさんだけ。
「すてきぃーだぁねー♪ふーたりてをとりあーるーけーたーらー♪」
このまま一輪の花を歌いかねない勢いで、アウルは深く沈んでいった。
229通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 18:34:57 ID:???
新たなる翼・フリーダム改クル━━━(゚∀゚)━━━!?


>次は、オーブです

原作の同じ台詞には『は?何で???』とTVに突っ込ませていただいたものです。
いやお見事
230通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 19:17:22 ID:???
隻腕マユには、あの幻と消え去ったデルタフリーダムへの搭乗を希望・・・っ!
231通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 19:20:06 ID:???
しかしつくづく反則だ、桃色サヴァン
マジ性格悪いしw
232通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 19:31:46 ID:???
我等が愛すべきHETARE・マーレ君はあと何回撃墜されるのか。
非常に楽しみであります(マテ

しかしまさかロウが出てくるとは思わなかった!
隻腕の作者さんはキャラの置き所、出し所、動かし所を実に心得ていらっしゃる。
233通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 19:41:14 ID:???
マーレアホスwwwwwwwwwwwww
234通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 19:42:43 ID:???
>>230
じゃあ俺は幻の彼方に消え去った『スーパーフリーダム』に乗るの期待しちゃおうかなww






ごめん、調子に乗りすぎた。
235通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 19:52:59 ID:???
隻腕……!
なんてGJなんだよ……!
いや、ほんとに。ヘブンズベースにおけるザフトの敗北。これは読めませんでした。
まぁ考えてみれば、ミネルバの支援がなくて運命、伝説がないんだからねぇ。
しかしミリアリアとメイリンのコンビですか……なんとなく名コンビな予感。
カガリ復活はよしとしても、やはり凸との間は破局ですか。ご愁傷様です。

続き、楽しみにしてます。
236通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 20:01:15 ID:???
隻腕マーレにはぜひ月基地攻略戦にも登場して欲しい。
デストロイと正面から戦って生き残っただけでも凄いことなんだぞ?w
237通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 20:25:18 ID:???
次はドクターの出番だな。
238通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 22:12:28 ID:???
単発設定小話 脇話「シンと記憶」

〜ガーティ・ルー〜
ネオ「リー。現状を報告してくれ」
リー「オーブ艦隊はおおむね順調に目標地点へ移動中。本艦隊もほぼスケジュールどおりです」
ネオ「・・・不確定要素はどうだ?」
リー「不確定要素?・・・ああ例のやつらですか。いまだ発見できず・・・と連絡をうけております」
ネオ「ガーティ・ルーのセンサーはどうだ?」
〜首を横にふる、リー〜
ネオ「そうか・・・鉢合わせになると厄介なんだがなぁ。・・・・・・リー、シンと通信できるか?」
リー「少尉ですか?ベルリンにいれば可能かと思いますが」
ネオ「よし、つないでくれ」
〜ベルリン、連合基地〜
シン「・・・じゃあ調整は完了ってことですね。あ、はい」
研究員A「お疲れ様、少尉。これでこの子も運用できるわ」
シン「はは・・・どうですかね。使われないことを祈りますよ、俺は」
研究員A「まぁ?ロアノーク大佐の腹心ともあろうお方が、そのようなことを・・・」
シン「戦いは・・・互いがぶつかり合うから楽しいんですよ・・・・・・」
〜<トゥルトゥルトゥル>電話の呼び鈴が鳴る〜
研究員A「はい。D研です・・・はい、おりますが・・・変わりますね。・・・少尉、ロアノーク大佐から通信ですわ」
シン「え、大佐から?・・・」
ネオ「(よぉ!調子はどうだ?)」
シン「大佐。調整は終わったよ。これから戻る」
ネオ「(そうか!悪いがな、急いで戻ってきてくれ。)」
シン「!?・・・早まりそうなのか?」
ネオ「(う〜ん・・・というよりはなぁ、敵さんだけなら急かすようなことはしないんだが・・・)」
シン「・・・アークエンジェルか」
ネオ「(そういうこと。あのムラサメなら、とばせばすぐに合流できるだろ?)」
シン「ネフェルテムを外したしな・・・大丈夫だと思う・・・」
ネオ「(!?外したのか?・・・あちゃ〜どうすっかなぁ・・・・・・)」
シン「何かほかの武装探して持っていくよ。じゃ、切るぜ?」
ネオ「(すまんな。待ってる)」
シン「了解」
〜受話器を置く、シン〜
シン「・・・聞いてたよね、今の会話?」
研究員A「ええ。武器はいいのがあるわよ。お姉さんが無理やりにでもムラサメに引っ付けてやるわ?」
シン「ネフェルテムの代わりだぜ?そんなレベルの武器あんのかよ?」
研究員A「ふふ。・・・シュトゥルムファウストをあなたにあげるわ。武器にもなるし、補助ブースターとしても使えるわよ」
シン「・・・マジで?」
〜うなづく研究員A〜
シン「・・・こりゃムラサメのOS書き換えないとダメだな。・・・・・・アプレンティスのOSをもってきといて正解だったな」
研究員A「・・・それと・・・・・・待たせたわね。これがジブリール卿からの贈り物よ」
〜シンに黒いディスクを手渡す研究員A〜
シン「このディスク!?・・・エクステンデット用の規格?・・・・・・2枚あるけど」
研究員A「中身は聞いてないわ・・・。1枚はあなたに、もう1枚はロアノーク大佐に渡してね」
シン「・・・大佐にエクステンデットのディスクを・・・・・・?」

完  (・・・・・・アニメもわざわざJPジョーンズに乗り換えんでもよかったのになぁ。とおもった今日この頃)
239通常の名無しさんの3倍:2006/02/05(日) 22:28:28 ID:???
マユ種新作やっと読みました。
運命かなりの強敵扱いなので、マユ達がどのように戦うか楽しみです。

>>238
ガーディ・ルー、アニメ終盤の扱いひどすぎ。
240通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 00:57:45 ID:???
これがアニメ本編だったら、ディアッカ、アーサーに並ぶネタキャラになってたな、マーレは。
241通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 01:28:43 ID:???
せっかくなんで、隻腕マーレの輝かしき未来をアニメ本編に準じた形で予想してみる。

<ダイダロス基地レクイエム攻防戦>
正式なインパルスのパイロットとなったマーレ。
ブラストシルエットで出撃。レクイエム破壊の大役をおおせつかる。
そして見事ミッションコンプリート!ついに彼にも日の光が!

<デスティニープラン発表>
アルザッヘルに修理したレクイエム発射。
お・・・俺がせっかく壊したのに・・・orz

<第1ステーション→レクイエム・メサイア攻防戦>
メイ「インパルス、ウザスwww」
ミリ「キラ、よろwww」
キラ「おkwwww」
インパルス撃沈。
242通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 01:43:26 ID:???
>>240
「マーレが次に撃墜されるMSを予想するスレ」とか「真の黒幕はマーレ様」とかそんなノリか。
243通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 02:24:19 ID:???
やっべ、隻腕マーレがドクター並に萌えキャラだ。

次はきっとマユ辺りに撃墜される筈。
244通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 02:31:07 ID:???
待て待て、インパルスなんだから

「ジャスティス!キサマ議長を裏切るかァ!!」
「俺は議長のやり方がおかしいと言っているだけだ!そこをどけ!」
ブーメランひゅーん
「ぐっ!だがインパルスには換装が……」
「遅いッ!」
あっという間に至近距離に詰めるジャスティス
絶・天狼抜刀牙炸裂
「ンノォォォォォ!?」
「悪いが進ませてもらうぞ!」
マーレ放置でとっとと先へ行くジャスティス
「ま、待て!待たんか!」
よーやくパーツが飛んでくるが既にジャスティスは豆粒の如く
「……俺を無視するなァァァ―――――!」
245通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 03:26:37 ID:???
絶・天狼抜刀牙って・・・えらく渋いところ突いてきたなおいw
246通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 03:51:23 ID:???
>隻繭
ところでコニールたんにお兄ちゃんと呼ばれたいオーバーエクステンデッドの出番マダー
ミリイはGJ! このままAA乗らないでジャーナリストとしてがんがって
247通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 04:16:29 ID:???
遅いけど…。
隻腕キテタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
メイリン&ミリィのコンビキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
ヘタレのマーレ君またキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
イカレたスティングキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
男前のヒルダキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
カガリ復活キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
ジャンク屋キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
そして遂に…運命の道化師が…クル━━━(゚∀゚)━━━!?
248通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 10:04:33 ID:???
IDでマーレに撃墜されてあげるスレ

とかあったら日参するぞw
249通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 12:53:28 ID:???
隻腕板での、この頃のスレ状況はだな・・・・

1: IDでマーレに撃墜されてあげるスレ(584)
2: ロウが作ってた新型の名前を考えよう(342)
3: マーレが次に撃墜されるMSを予想するスレ7機目(384)
4: 最強】真の黒幕はマーレ様4【無敵】(823)
5: デスティニープランって(72)
6: 【男の子?】アスラン(*´Д`)ハァハァ8【でなく漢!】 (253) 
7: ラクス様が何でも予言します(45)
8: 【レイアンチ】レイに本気で殺意を覚えたやつの数4000+(198)
9: ミーアを抱けないアスランは不能(8)
10: マーレワロスwwww(265)
11: 【正体バレで】ミーア・キャンベルlove14【ピンチ】 (703) 
12: オクレ兄さん壊れた(14)
13: マユが次に失う部分を予想するスレ2本目(134)
14: シン>>>>(越えられない壁)>>>>マーレ(109)
15: 目覚めたカガリにあることないこと教えてあげるスレ(225)
250通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 16:28:09 ID:???
ワロスwww
でも、>13: マユが次に失う部分を予想するスレ2本目(134)
ここに泣けたぜちくしょう
251通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 17:44:55 ID:???
みんな元気だなー
ほのぼのでバレンタインデーネタみて欝になったやつはおらんのかの
・・・あーおーのーめろでーぃをー♪こもりうたにーーーー♪
252通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 18:43:18 ID:???
>>250
泣けるというか、引いた
そういうのもネタにするのか…
253通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 18:51:16 ID:???
>>249

16:もしマユじゃなくてシンが主人公だったら
も追加キボン(・∀・)
254通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 19:05:31 ID:???
>>249
>9: ミーアを抱けないアスランは不能(8)

立ってそうだなww
255通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 19:20:01 ID:???
>>252
何時の時代も人間というのはそういうものなのさ
256通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 20:32:57 ID:???
>>250
きっと荒れまくりだろうな
常識的立場から延々と批難するスクリプト荒らしとか居付きそうだ
257通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 21:04:20 ID:???
>15: 目覚めたカガリにあることないこと教えてあげるスレ(225)
これは極初期の某日記スレ並みに盛り上がりそうな希ガス。
参加してぇw
258通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 21:57:07 ID:???
PP板とかどうなんのよ?

1.ゲンの腕にいろいろな火器を装備するスレ(326)
2.【新旧】ゲンとキラの関係を生暖かく見守るスレ2【主人公】(67)
3.


……うーん、あんまいいのが思いつかん
259通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 22:23:33 ID:???
ほのぼの板

1: マユの人気upのための方法 2000+ (125) 2: 月厨ウザイ (768) 3: それでもハイネ隊に入りたい人
の数→ (659) 4:【運命嬢】MSたちが語り合うスレ7【萌え】 (225) 5: よその作品に出荷されたハイネ
隊を語ろう ドナドナ3唱目 (334) 6:ムセイオン艦長アーサーの航海日記 4フォンドゥヴァオゥ! (525) 7:八頭身
のシンハロはキモイPHASE-12「シンの逆襲」 (399) 8: もしゼロでなくウェンディがハイネ隊だったら (45) 9:
暗黒女帝カガリ・シーノハーラ (960) 10: 【腐】ルナマリアの妄想4冊目の801【腐】 (115) 11: シンとシ
ンハロを閉じ込めてみた〜監視記録3枚目〜 (362) 12: もしもほのぼのがシリアス路線なら3 (220)
260通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 22:24:39 ID:???
>>258
ムスリムのおじいさんに関するスレができるだろうな。まちがいなーい。
261通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 22:42:48 ID:???
そういえば、ほのぼのってストーリー方面では後はオーブ帝国とラクシズ倒すだけ?
262通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 22:54:59 ID:???
>12: もしもほのぼのがシリアス路線なら3 (220)

激しく読んでみたいんだが
ちゅーかほのぼの作者氏、なんとかなにませぬか?





と適当に言ってみる(´∀`)
263通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 22:55:26 ID:???
いくらでも寄り道できるからな、ほのぼのはw
264通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 23:01:46 ID:???
ほのぼのにメインストーリがあるなんて初めて知ったってヤシ挙手
265通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 23:51:22 ID:???
【被】マーレを語るスレ66【撃墜王】(191)
マーレを撃墜した奴の数→4000+(555)
ザフト芸人オールスターズ「痔」「麻」「稀」(870)
八頭身のマーレはキモイ シンハァハァ11回目(63)
【デストロイ】スティマレスレ【アビスインパルス】(168)
266通常の名無しさんの3倍:2006/02/06(月) 23:55:09 ID:???
俺もシリアスほのぼの(?)激しく読みたいな〜。今のままでも面白いけどなw
267通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 00:35:02 ID:???
>>264
おいおいw

・・・デストロイを倒すとこまではちゃんとあったような?
そっから先はもう何がなんだかだけどw
けど俺もほのぼの作者さんの、シリアスは読みたいかも。
筆力あるし、速筆だし。

ただ・・・最近ちょっとオリキャラマンセーになりすぎてないかなあ? と
思うのだけど。
268通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 00:48:49 ID:???
>>267
それは最近ほのぼのマユがつねづね気にしている
ヒ ロ イ ン な の に 目 立 た な い という奴ですか
そのことに関しては作者さん本人がちゃんと気付いているから大丈夫 なはず
269通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 00:56:03 ID:???
マユがめだたないだけじゃなくて、オリキャラが目立ちすぎってことじゃね?



隻腕メイン読者としては、正直誰がだれだかわからんのだけど
270通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 01:04:12 ID:???
出てきた当初は、定型化することで分かりやすく……という工夫かと思ったんだが>ハイネ隊オリキャラ
女好きとか、酒好きとか、オタクとか、オカマとかね。良い意味で「よくあるパターンのキャラ」って奴。
良い意味で期待を裏切らないというか、予定調和的というか。脇役として割り切るなら、それは決して手抜きじゃないと思う。

ただ、キャラ転がしてく過程で設定が広がっていくのは仕方ないのかな
実際個々のキャラに注目すれば、設定悪くないし。存分に種の設定使い切ってやろうって意図も見えるし
271通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 01:13:40 ID:???
>>270
だけど、多すぎると思わない?
覚えきれない上に、言いたくないがメイン晴れるほど立ってもいないんだよな・・・。
ああこいつだ、とパッと出てくるほどじゃない(俺にとってはだけど)
確かに脇役としてならいいキャラ達だったけど、最近でしゃばりすぎ・・・かなと。

それなら、レイやルナマリア、といった既存のキャラを動かした方がと思うわけ。
それにマユが目立ってないと作者さんは気にしてるようだが、
俺はこのマユスレの中にはたくさんマユがいるけど一番強烈で面白いと思ったんだがなあ。

デストロイのとこなんぞギャグ調だが、見事だと思った。
最近はオリキャラが内輪で何やらやってるなという印象しかないのがちょっとね。
272通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 01:19:04 ID:???
オリキャラの使い方って難しいね。出張れば本編のキャラの出番が減るし。
とりあえずさじ加減は職人さんに任せるとして、あまり叩くなw
こういう書き込み見てほのぼの作者さんも考えるところはあるでしょうし。
273通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 02:10:57 ID:???
なにはともあれ…ほのぼの作者様、我らはいつでもお待ちしておりますぞw
274通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 02:31:24 ID:???
単発設定小話 脇話「ミネルバ艦長 タリア・グラディス」

〜ミネルバ艦長室〜
タリア「・・・・・・これで三人目のフェイス・・・か」
ハイネ「形式的ですが・・・」
〜敬礼するハイネ〜
ハイネ「特務隊所属、ハイネ・ヴェステンフルス!着任いたしました!」
タリア「はい、ご苦労様。こちらも形式的にいくわよ?」
ハイネ「ふふん。どうぞ」
タリア「本艦の指揮権は艦長に一任されるものとし、常時及び非常時においても絶対的優先権を有します」
ハイネ「・・・ただし、特務隊に属するものは議会からの直接指揮を除いた全ての指揮権を超えて、考えうる全ての最善策を講ずる権利を有す」
タリア「そういうことね。一応私もフェイスなのよね。・・・常時のときは私に従ってもらっても?」
ハイネ「もちろん」
〜肩をすくめるハイネ。息を吐くタリア〜
タリア「フェイスが三人も揃うなんて、異常よ・・・」
ハイネ「ハハ。フェイスっていっても何も変わりませんよ。フェイスの先輩として言わせてもらえるのであれば・・・」
タリア「あれば?」
ハイネ「気を負うな。ですね。意識することは何もないですよ」
タリア「そうね。私もアスランもまだまだ新米のフェイスだから、あなたからいろいろ学ばさせてもらうわよ」
ハイネ「学ぶところがあればいいですが。・・・さてっと、しかしこの艦は若い連中が多いですね。訓練艦かと思いましたよ」
タリア「そうねぇ。アスランでもまだ10代だしねぇ。ブリッジ要員、技術スタッフ、パイロット・・・みんな若いわよねぇ」
ハイネ「そうそう、マユ・アスカですか・・・。彼女がインパルスのパイロットだとはね」
タリア「ええ。若いというよりは幼いって感じでしょ?」
ハイネ「ふっふ、はっはっは。そうですね。幼い、まさにその通り」
タリア「でも腕は確かよ。アスランともいい勝負だと思うんだけど」
ハイネ「ええ。聞いた限りではその通りだと思いますよ」
タリア「そういってもらえると保護者としてはうれしいわね。・・・さてと、まだ自分の荷物ほどいてないんでしょ?」
ハイネ「その前に一つお願いしてもよろしいですか?」
タリア「・・・なにかしら?」
ハイネ「アスラン、レイ、ルナマリア、レイ、マユ・・・それぞれのデータを見せていただけませんか」
タリア「・・・いいわよ。あとで電算ルームへ案内するわ」
ハイネ「ありがとうございます。・・・・・・そうそう、もう一つフェイスの大事な心構えを教えますね」
タリア「もう一つ・・・?」
ハイネ「生者は勝者。生き残ることが勝ち抜くことなんですよ」
〜艦長室をあとにするハイネ〜
タリア「生者は・・・勝者・・・・・・か」

完   (・・・・・・やっとタリアがまともにしゃべった。いままでアーサーのツッコミ役でしかなかったからな。。。)
275271:2006/02/07(火) 02:44:20 ID:???
>>272
いや、叩いたつもりは・・・。てまあ、叩きかw
けど注文をついつけたくなっちゃうくらい、惜しいと思うというか
期待させられる作者であるというかさ。そんだけだ。
276通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 03:10:04 ID:???
というかさ、隻腕でアビスに負けた時にマーレが死んだと
思ったのは俺だけ?
277通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 04:29:26 ID:???
前も同じようにやられてたし
278通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 07:19:01 ID:???
ふと気が付けばマーレはアウルにやられオクレにやられ
あと一回ステラにやられてればコンプだったんだなorz
279通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 08:06:33 ID:???
生きてても連合の捕虜とかありそう
あ、でも撃墜された仲間の救助をしてる連中もいたのか
280通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 09:33:54 ID:???
>>278
確か、G3機強奪のときマーレを倒したのはステラだお!


生身だったけど
281通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 09:42:59 ID:???
うわ既にコンプされてるw

じゃあ次はネオあたりか
282通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 11:53:05 ID:???
ところで単発話って、一本筋のあるストーリーなのか?
いや、毎回読んでるんだけど、読み返してみても時間軸が順不同でバラバラなので、話の筋や設定が今イチ分からない
まあ作者さんも、あえて深い事を考えないようにそう書いてるのかも知れないけど
283通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 12:01:32 ID:???
>>282
確かに。レス付けづらいんだよなw
「アキラーーーーッ!!」
突然横にしか開かないはずの扉を蹴破ってルナマリアが部屋に侵入してきた。
吹っ飛ばされた扉は部屋でアキラから締め切りのすぎたの報告書を取りに来たハイネに見事命中する。
「助かった!!・・ってどうしたんだ、ルナマリア。」
「・・・・・・惚れ薬の作り方教えなさい!!」
ルナマリアの用件はこうだった。なんでもアスランにチョコレートを渡すのでそれにいれる惚れ薬を作りたいとのことだった。
「惚れぐすりねぇ・・・・。ちょっとまって。」
そう言うとアキラは部屋の隅からダンボール箱をもってくる。
そこには古めかしい骨董価値のありそうな本から最近のマガジ○などがごちゃごちゃになって入っていた。
「えーっと、これとこれとこれか。」
そう言うとアキラは数冊本をとりだしてルナマリアに見せる。
「まずチョコレートにいれるならハーブがいいよね・・・・、あ、どれくらい効くのが良いの?」
アキラの口調が変わる。何か耳がエルフ耳に見える気がする。
「もう期成事実作っちゃうくらい。」
即答ルナマリア。
「媚薬か!」
そう言うがアキラは本をめくり見せる。
「えーっと、やっぱりだとしたら「ディル」と「バジル」だな・・・。」
「チョコレートにはあんまり向かないハーブじゃない!」
ルナマリアの文句にアキラは別の本を開く。
「だとしたら宝石の粉末は?昔は薬として使われていたから体に害はないよ。
ローズクォーツ、ガーネット。それに・・ムーンストーンだね。どれも愛関係の効果があるよ。」
「それだけだと不安なんだけど・・・・。」
まだルナマリアは不安らしく文句を言ってくる、アキラはまた別の本を取り出した。
「むぅ・・、じゃあルーン文字の×を刻む?これは贈り物を表すルーンだから関係が深まるよ。
後は・・愛染明王のマントラとか梵字とかも活用したら?」
「・・・・とにかくぜーんぶやればいいわよね?!ありがとアキラ!買いに行って来るわ!」
そう言うなりルナマリアはぴゅーっと部屋を出て行ってしまった。
「・・・・・・・あ、なくしてた金糸葉篇こんなとこにあった。」
嵐の過ぎ去った部屋でアキラはぽつりとつぶやいた。

285ほのぼのマユデス。マユが来る!!:2006/02/07(火) 18:17:13 ID:???
『「「何ぃっ?!今年はマユの手作り?!」」』
レイとシン、そしてシンハロのマユブラザーズは一斉に固まる。
「何かまずいのか?嬢ちゃん達は今日材料買いに行くってお出かけしたぞ?」
ネオの言葉に震えだす三人。
「あぁぁぁぁっ!どうして俺達はこんなところに来てしまったのだろう?!俺達の世界は!!」
『おい!雑種!!!おちつけおちつけ!!レイも何か言ってやれ!』
「死ぬしかない死ぬしかない死ぬしかない死ぬしかない死ぬしかない死ぬしかないしぬ・・・・。」
『レイ!!愛用の釘バットで自殺しようとするのはやめろ!!逃げるな生きるほうが戦いだ!!』
慌てふためく三人を見てアウルは呆れた。
「まったくさぁ・・、別にマユも食べれる材料で作ってんだからいくらまずくても身体に害はないじゃん。」
「『「甘い」』」
アウルの言葉を真っ向から否定する三人。
「いいか・・、お前そんなことしたら異界いくぞ。」
絶望した表情で告げるシン。
「あのな・・、体から霊体が抜けて死神代行になるぞ。」
まるで夏休みが終わって宿題が終わってないときのような表情をするレイ。
『アウル・・、アレは人間の食べるもんじゃない。きっと冥界の味。たべたらこっちに帰れない。』
食べれないシンハロまで青ざめた表情でかたる。
「あー、アウル。どうもマユはお前のこと気に入ってるから絶対渡してくるぞ。」
最後に、エンディミオンの鷹が爆弾を投下した。
286ほのぼのマユデス。マユが来る!!:2006/02/07(火) 18:34:50 ID:???
今日のお昼の放送でバレンタインキッス(テニプリの氷の学校部長バージョン)流した奴だれだよ!、ほのぼのです。
オリキャラでしゃばりは正直気にしてました・・・・、さじ加減が難しい。
以後どうにかしていきたいと思います。
余談ですがほのぼのC.E.ではバレンタインを祝うのは二月十四日の前です。
二月十四日は皆で「血のバレンタイン」や戦争での死者を弔うという設定です。

おまけ:ほのぼのがシリアスだったら。

1、シンハロの性格がガラっと変わる。寡黙なマユのボディーガード。感情回路は未発達。後に成長する。
2、マユがすっげぇ迷う。もう迷いすぎて迷子。
3、アキラが復讐に燃えている。キラとアスランどころかザフトもオーブも連合も滅ぼそうとしている。
4、人が死ぬ。たぶんここまで進んだらスティング、キースは死んでるかもしれない。他にも死んでるかも。
5、ハイネがほーこたんファンじゃなくなるのでタダの西川。

きっとこんな感じ。
287通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 22:29:34 ID:???
ほのデスさんGJ。
マユブラザーズの妙な一体感で噴いた。
288通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 22:36:42 ID:???
連合vsZ.A.F.T.DX(仮)まで要望を語るスレ
168 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2006/02/04(土) 07:38:42 ID:???
マユキボンヌ
171 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2006/02/04(土) 13:52:52 ID:???
>>168
マユスレ再現してえなー……
マユ&インパルスVSシン&ストライクとか
マユ&フリーダムVSシン&インパルスとか



べっ、別に他のスレでマユ種の話が出てきたことが嬉しかった訳じゃないんだからね!
勘違いしないでよ!
289通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 22:38:32 ID:???
>>288
ツンデレ乙。
でもそれ確かにマジやりてぇw
290通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 22:41:05 ID:???
――マユが隠しキャラで実装される光景を幻視した。
291通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 22:45:34 ID:???
>>282
久々にレスがついたので回答を・・・
時間軸がバラバラなのは以前に、『別に長文でなくても時系列順でなくてもいいから、「全部繋がった話」作らんかな』
とのアドバイスに甘えきったためです。すいません。。。
一応、つながった話を書いております・・・が、深く考えていないことも確かなので困ったものです。すいません。。。
基本的にはアニメのストーリーを軸としておりますので、書いていない場面はアニメと同様の展開になっていると
お考えください。すいません。。。
第二部あたりが終了したころに、一度設定などをまとめようかなと深く考えずに考えております。すいません。。。

なんか謝ってばかりで東横インの社長みたいになってしまいました。すいません。。。
292通常の名無しさんの3倍:2006/02/07(火) 22:48:30 ID:???
マユ機のビームがシン機に当たったときの会話

シン「なにす」
マユ「お兄ちゃんどいて、そいつ殺せない!」


マユルナ対戦時
マユ「なによ、この豚マリア!」
ルナ「来たわね、このキモウトがーっ!」

どうみてもシンマユおるすばんスレ住人です、本当にありがとうございました
293通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 06:45:08 ID:???
>>292バロスwとてもじゃないけど教育に悪過ぎて実装不可能w
294通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 12:02:41 ID:???
マユ「汚物は消毒だぁ〜!」
295ほのぼのマユデス。連合VSザフトinマユ:2006/02/08(水) 20:05:00 ID:???
と、言うわけでほのぼののお約束嘘ゲーム妄想ですよ。


たぶん全作品のキャラが出る。L2、R2ボタンで作品切り替え。

各オリキャラ、オリジナルメカは隠しキャラ。がんばって。

もちろんアストレイも参戦。つーかさせてよ。

終わらない明日への要素も取り入れて、サポートキャラ、ショップ、ムービー、一枚絵、ストーリーモード搭載。

ショップではいろいろなマユやゲンが店番している。君は聞き分ける事が出来るか?!

アイテム例:シンハロヘッドホン「パイロットのセリフがMSのセリフに変わる。愚痴多し。」
       ナニカチガウロボ「どんなシリアス作品でも戦闘前に某ぷよぷ○風漫才デモが入る。」などなど・・。

サポートキャラとの相性はたとえ同じ「人物」だとしても相性がいいとは限らない。

ちなみにユウナはどんなマユと組ませてもいまいちだぞ!かわいそうな兄さん!

ストーリーモードの時はジェネCEとは違って顔だけじゃなくて立ち絵もあるといい。

ボイスもフルボイス。声優さんは演じ分けで死ぬな、きっと。




・・・・・・以上妄想でした。とてもじゃないけどDVDじゃ入らない気がする。
      
296通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 20:30:53 ID:???
DVD以上の容量を誇る記憶デバイスってないんかね

3枚組みと1万超えな予感w
297通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 20:44:41 ID:???
マジで演じ分けで死にそうだなwwww
298通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 20:57:39 ID:???
声優の力を信じるんだ!


鈴村の演じ分けに関してはまったく不安を抱いていない俺ガイル
☆はキラのなよ声のほかは全部カズマ声で頼むよ。
凸?一部は大塚明男がやるから大丈夫w
299通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 21:18:33 ID:???
今標準規格を争ってる、次世代ディスク2種類ならどうにかなるんじゃないか?
300通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 22:27:31 ID:???
ブルーレイか
今のやつより何倍ぐらい多いんだっけ?
301通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 22:36:51 ID:???
>>300
DVDの6倍
PS3で採用するらしい
でも声優さんツラスwwwww
302通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 22:38:33 ID:???
3倍











スマソ
303通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 22:39:26 ID:???
age
304通常の名無しさんの3倍:2006/02/08(水) 23:14:45 ID:???
何人声優使うんだか
305通常の名無しさんの3倍:2006/02/09(木) 00:54:36 ID:???
基本的な問題としてマユ役は誰がするの?
坂本真綾1人2役?
306通常の名無しさんの3倍:2006/02/09(木) 01:46:41 ID:???
>>305
隻腕は真綾前提だろ?
307通常の名無しさんの3倍:2006/02/09(木) 10:11:12 ID:???
ほのぼののシンハロは若本規(ry
308通常の名無しさんの3倍:2006/02/09(木) 11:24:57 ID:???
マユ戦記カガリは井上喜久子w
309通常の名無しさんの3倍:2006/02/09(木) 12:02:09 ID:???
>>307
それ何て音速丸?
310通常の名無しさんの3倍:2006/02/09(木) 23:16:19 ID:???
絵板いいなぁ
311通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 18:33:19 ID:???
保守
312通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 19:18:41 ID:???
急に静かになったなオイ
313通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 19:41:07 ID:???
次回作こいつらに作らせろ(製作チ−ム)
ttp://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1138447037/

原案     マユ種作者
監督     PP作者
シリーズ構成 隻腕作者
脚本     ほのぼの作者/マユif作者/Side−C作者/舞踏作者/Injustice作者/
       Hina/しのはら/マユが行く作者/killing ranker作者
プロデューサー 纏め人
キャラクターデザイン サバミソ(絵板絵師)、siao(絵板絵師)
メカニックデザイン ハ(絵板絵師)、名無しB(絵板模型師)、99%ROM(絵板模型師)
制作協力    新シャア板


名前の漏れた方スマソ
314通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 20:14:46 ID:???
しのはらが脚本した回は実況が祭りになりそうだなw
315マユ種のひと:2006/02/10(金) 20:44:35 ID:???
>183、>184、>185の続き

第三十九話
 オーブの報道で大きく扱われるのは、華々しい帰還を果たしたカガリと、間近に迫ったオーブで行われるプラントと連合の停戦協定の調印式だった。その一方で、デスティニーの襲撃はなかったことにされた。
 カガリやアークエンジェルと共にオーブに戻り、留まるミネルバ。誰が言い出したのかは定かではないが、ミネルバクルーは艦の大掃除をしていた。戦争の終わりを迎えるにあたって、何かしらしておきたかった。

 オーブに入り、厳重に警備された宿泊施設の一室で、やっと一息ついたデュランダル。部屋で一人、今まで気を張っていた反動か、デュランダルはまどろむ。

 さすがに疲れた。これからのことを考えると休んでもいられんが、今はこうしていよう。
 しかし、私がプラント最高評議会議長になろうとは、あの頃は考えもしなかった。
 まだ学生だった頃、私はラウ・ル・クルーゼとタリア・グラディスという友人を得た。ラウは肚を割って話せる間柄で、タリアとは程なく恋人の間柄になった。三人の関係は良好だったが、学生の終わりにこの関係は終わった。
 ラウが突如として音信不通となり、結婚を考えていたタリアからは、遺伝子不一致で二人の間に子供が作れず、それを理由に結婚を断られた。

 それから三年、遺伝子研究者として過ごしていたある日のこと、ラウから連絡が入り、秘密裏に遺伝子の検査を頼み込んできた。様子は少しおかしかったが、再会の喜びは私の目を曇らせた。ラウの希望通り、ラウと、ラウに似た子供の遺伝子を検査した。
 そして、検査結果から導き出された結論は、二人は何者かのクローンという事実だった。
 結果を知ったラウは、連れてきた少年を殺そうとした。私は体を張って、それを止める。しかし悲しいかな、ラウに一方的に打ちのめされた。格好はつかなかったが、それでも食い下がって子供の殺害を食い止めた。私はその子供、レイを引き取った。
 その日以来、ラウはたまに私を訪ねてきてくれるようになった。しかし、失踪のきっかけや、失踪中どこで何をしていたのかは、ついぞ語ってはくれなかった。

 レイを引き取って以来、私はコーディネーターの差別意識について調べるようになった。調べる前から薄々知ってはいたが、遺伝子の調整度合いで人間を判断する風潮が、これほど深く根付いているとは思わなかった。
 これではナチュラルどころか、同じコーディネーターの中でも軋轢が生まれる。ましてや、最初から老化した細胞を持って生まれるラウやレイなどは‥‥‥。
 私はその風潮を少しでも解消すべく活動した。その活動はシーゲル・クラインの目に留まった。私は氏の元に赴き、幾度も意見を交わした。そして、氏を通じて政治の世界へと足を踏み出した。
 私が政界でも一角の人間として評価され、自身である程度は立ち回れるようになった頃、血のバレンタインが起こり、世界は戦争へと傾いた。
 その最中、シーゲル・クラインは死に、私も政治の中枢から遠ざけられた。戦争の様相が、ナチュラルの、またコーディネーターの駆逐に移行していく中、ラウは、あの激しい憎悪の中で己を見失い、狂気の赴くままに振舞った挙句、死んだ。
 あの戦争は双方が指導者を亡くし、プラントは私が属するカナーバ一派が、連合はロゴスが舵を取ることで一気に終息した。
316マユ種のひと:2006/02/10(金) 20:47:08 ID:???
 戦後、アイリーン・カナーバは臨時最高評議会議長に納まり、国としての機能回復に尽力した。その仕事に目処がたつと、カナーバ女史は議長の座を退いた。独裁者の是正が目的の政権奪取、故に長く居座るわけにはいかないという考えからだった。
 地球側のMS技術の確立、ニュートロンジャマーキャンセラーのリーク、抑止力であったジェネシスの喪失。連合も良い材料は少ないだろうが、プラントはロゴスのように一枚岩ではない、それが一番の問題だ。そんな中、カナーバ女史の後任は私に選ばれた。

 私は最高評議会議長として、プラント国民やオーブ等の難民を食わせていくため、いかなる苦労も厭わなかったつもりだ。
 一方で、クライン嬢の役割をミーアに割り振った。人心をまとめるためもあるが、これは戦中のクライン嬢が行ってきた地下活動を、現政府がある程度認めたことも意味する、つまり、このままではコーディネーターに未来はない、と。
 新しい未来、いわば新しい社会の構築、私にはその構想があった。遺伝子から成長の傾向等を予測して、ある程度の人生設計をたてる。その計画書を元に適当な環境を幾つか用意し、選択させる。コーディネートなど、その微調整であればいい。

 多忙を極める中、レイがザフトに志願した。私はその成長を嬉しく思う反面、遺伝子差別の根強いこの社会にレイを送り出すのは不安だった。レイは私以外の人間には決して弱味を見せまいと、頑なに心を閉ざしている。しかし、一度こうと決めたレイの意志は強かった。
 それから私とレイは、互いに筆不精ながらも、手紙でやり取りするようになった。
 ある日のこと、レイはザクのテストパイロットの一人に選ばれた。それについてレイは、手広くデータを採るという意図がなければ選ばれなかった、と。謙虚で綴られた手紙を寄越してくれた。
 そういえばテストパイロットという人種で一人、気になる人間がいる。大人達が満足に扱えない試作MSを、見事に乗りこなす少女。その少女はコーディネーターらしいが、どの程度の調整かは明らかになっていなかった筈だ。
 そう考えた私は、その少女、マユ・アスカの調査を命じた。

 仕事が落ち着き始めたことを実感する日々の中、マユ・アスカの調査結果を受ける。彼女の能力を数値化して仔細に記されているが、そこに至る要因は特定できなかった、と。つまり、件の少女は特別なコーディネーターではない、ということが証明された。
 私はこの調査結果と共に、マユ・アスカという少女の名を記憶した。遺伝子の調整だけが絶対的価値でないことを証明してくれた、この少女のことを。

 数日後、私宛の手紙に見慣れない名前があった、差出人ルナマリア・ホーク。レイがすごく悩んでいます、会って話しをしてやって下さい、と非常に簡素な内容だった。逆にそれが気になった。奇跡的に時間のとれた私は、その四日後、レイと会う。
317マユ種のひと:2006/02/10(金) 20:55:36 ID:???
 久しぶりにレイと顔を合わせた。レイの隣には同年代の女性がいた、彼女がルナマリアか。レイが私への挨拶を済ませると、隣の彼女に、私の手を煩わせたことに対して謝罪するように言った。ルナマリアは心配かけたレイが悪い、と返し、二人は口論になった。
 二人の話をまとめると、クローンという事実が重荷のレイ、原因は知らないが軽い気持ちで相談に乗ろうとしたルナマリア。そして、今のような口論。売り言葉に買い言葉で自分の出生を告白したレイ、ルナマリアはそれがどうした私は双子で妹がいると豪語。そして今に至る。
 要するに、初めての大喧嘩で仲直りの仕方がわからず、ルナマリアの方が私に助けを求めたが、私が来た頃には二人の関係はすっかり元通りになっていた。そういうことだな。
 私は取り敢えず、二人を言い包めて互いに頭を下げさせることで決着とした。そして今後、二人の問題は二人で解決するように言い聞かせ、この場を去った。他愛もない出来事に振り回された。しかし、悪い気はしなかった。

 ミネルバ進水式。ザフトの新MSのお披露目であり、言い換えれば、戦後のプラントが行ってきたことが、どの程度実を結んだか披露する場でもあった。ところが、式に出るMSにインパルスの名前はなかった。
 私がそのこと問い合わせてみると、パイロットのマユ・アスカが検査中のため出せない、という答えが返ってきた。私が依頼した調査の結果は出ているのに、一体何を調べているというのだ。胸騒ぎを覚えた私は、その検査データを寄越すよう、手配した。
 後日、送られてきたデータに目を通して、私は愕然とした。検査した者達は、この少女の体から、コーディネーターがさらに強化できる要因を、徹底して暴きだそうとした。私は即刻中止を命令した。
 私は考えた。この凶行、私が構想する新しい社会の中では、珍しくないのかもしれない。システムの中で例外とされた者は、その原因究明という大義の下、徹底的に検査されるのではないのか。そして、システム維持という大義は、他、多くのものに適用される、と。
 明くる日、私は予定の全てをキャンセルして、まだ生きているマユ・アスカの迎えに行った。その時の私は、何の心の準備も出来ないまま、出会った。不思議そうに私を見るマユの姿は、あまりに少女然としていて、あの凶行を忘れそうになった。

 デュランダルは目を覚ました。夢を見たついでに、もう少し、マユのことを思い返してみる。
 もし、進水式で何も起こらなければ、デュランダルはその席でマユを大々的に紹介するつもりであった。あの凶行についても、一部公表していたかもしれない。しかし、戦争という状況はそれを許さなかった。
 自らが構想する社会の構築を諦めたデュランダルだが、悪い気分ではなかった。やり直せばいいだけだ、マユや、レイや、ルナや、ミーアや、ラウや、タリアを思い描き、ただ静かに、心中で決意を固める。もうすぐ、戦争が終わる。

 その時、誰かがデュランダルの部屋に、そっと入ってきた。その誰かとは、赤服を着こなしたシン・アスカだった。
 合成写真の中にしかいない筈の人物が目の前にいて、デュランダルは呆気にとられる。次の瞬間、デュランダルの胸は数発の銃弾に貫かれた。

ネオ「運がなかったな、デュランダル。マユの存在を公にしていれば、ジブリールの悪趣味に巻き込まれなかったろうに」
318通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 21:06:52 ID:???
スレが、停滞気味の中マユ種新作キター。
レイは、やはりクローンですか。でもアニメの唐突な告白よりは良いです。
それにしても、議長死亡?ですか。

次回に期待してます。
319ほのぼのマユデス。ハッピー☆シンハロ:2006/02/10(金) 21:23:41 ID:???
あんたがいけないんだ・・・。あんたがシンハロが若本だなんていうからぁぁぁぁっ!!

ttp://members.ld.infoseek.co.jp/rurukubo/cgi-bin/img-box/img20060210211607.jpg

を、見ながら・・・・・。

ttp://up2.viploader.net/mini/src/viploader8700.mp3


を聞いてください。


マユ種さんの後にこんなの投下してる自分って・・・。
320通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 21:58:46 ID:???
なんでハッピーアナゴwwwwwwww
321通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 22:07:42 ID:???
マユ種乙です。
ここでこういう形であの合成写真が絡んでくるとは!
なんかもうこれからどうなって行くんでしょう。すんごく気になります。


ほのぼのさん……あんたって人はー!w
こういうことされると、告白しちゃいますよ?

>>307の書き込みしたの、私です。
ついでに言えば、隻腕書いてるのも私です……(←マジ)
自分の方がちょっと行き詰ってたものだから、つい小ネタに走ってしまいました……w
322通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 22:09:45 ID:???
マユ種キター!
レイとルナの仲良しっぷりに悶えました!!w

そして、こっちのギルは物事をしっかりと考えてますね…。
TV版の、矛盾だらけで暴走してたギルよりもよっぽど地に足が着いてる。
コーディネーター全体の意識とかそういう問題も気にしていたんだね…
死んじゃったのかどうかが気になります。 あと、ラウがレイを殺そうとした理由も…
323通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 22:18:27 ID:???
マユ種GJ!!
こっちのレイは幸せそうでいいなぁ…本編はアレはアレで幸せだったんだろうか。
各キャラを掘り下げつつ、本編よりもさらによいものに仕上がっててホントにすごいっす。
で、議長死亡!?こっからどうなることやら…楽しみです。

>>322
多分、「アル・ダ・フラガのクローン」というのが許せなかったんじゃないかと。
ラウって確か自分の存在も否定してたよね?世界を道連れに自分も死のうと。
違ってたらスマソ…
324通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 23:03:02 ID:???
>>319
KH2終わった直後にこれはwwwww勘弁してwwww
325通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 23:31:03 ID:???
議長〜・゚・(ノД`)・゚・
マユ種の人乙です! こんないい議長が・・・グスン
ネオの赤服もかなりの衝撃。ラクスのミーア成りすましなんて目じゃないぜ。
326通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 23:54:14 ID:???
マユ種版ネオは今のところ全作品中で一番強いネオだな
運命を駆った時の強さは言うに及ばず、指揮官として有能であり鉄の意思を持った兵士、そして神出鬼没の暗殺者
今まで暗殺で一番凄いのはPP戦記でユーリ暗殺したときのゲンだと思ってたが、今回はそれを超えてしまった
327通常の名無しさんの3倍:2006/02/10(金) 23:59:04 ID:???
マユ戦記ネオも強かったけど最後は…orz
328通常の名無しさんの3倍:2006/02/11(土) 02:07:45 ID:???
隻腕ついに読破!
こんなにおもしろいんなら初めから読んでりゃよかった
次はマユ種読まなきゃ…
329通常の名無しさんの3倍:2006/02/11(土) 12:03:48 ID:???
マユ種、お疲れ様です!これから世界が動き出すという矢先の議長の退場・・・
Zのブレックス准将みたいですね。突如求心力を欠いたプラント、カガリ帰還
で沸くオーブ、ジブリールの暗躍著しい連合・・・確実に混迷の道を
走ろうとする世界でネオは?レイは?そして、マユは何処に向かう・・・
続きも楽しみにしております。では、お体に気をつけて・・・
「ゲン!これ!」
ステラが満面の笑みと共にかわいらしくラッピングされたチョコレートを渡してくる。
「ありがとう、ステラ。あけていい?」
「うん!食べて!」
中身はチョコレートのマフィンだった。形はぼこぼこだったが味はいい。
「形・・へんになっちゃったけど・・・・。」
「大丈夫!美味しいって!!」
激しくラブ空間。
「スティングって甘いの大丈夫?」
「ん、結構好きなほうだ・・。でもこないだアウルにチョコパフェ頼もうとしたら止められたんだよな・・・。」
「それはねぇ・・。」
嬉しそうにトリュフを食べるスティングに突っ込むメイリン。またもやラブラブ空間。
その向こうでは・・・・・・。
「アスランさん!これ・・・。」
「ルナマリア・・ありがとう。」
アスランの笑みに真っ赤になるルナマリア。ここらへんまだ常人である。
そしてアスランが包みを開けようとすると。
『アスラン!開けちゃだめです!』
・・・・何かニコルの声が聞こえてきた。・・・・気のせいだろう。
『アスラン!お前死にたいのか?!』
・・・・・・何かミゲルの声も聞こえてきた・・・・気のせいだろう。
『こっちにおいでよー・・。』
『ラスティ何やってんるんですか?!』
『うるさい!同室だったくせに俺のこと思い出さない奴なんて・・・死んじゃえばいいのよ!』
『セリフをパクるな!!』
『こらー!お前ら!!何やってんだ!休みの日だからって遊んでないで家の手伝いしてくれよ!』
『あ!トールが来た!にげろーー!!』
『『逃げろーーーーー!』』
『こらっ!洗濯物たためー!あと自分の部屋片付けろー!!』
・・・・・・・・・・?疲れてるのか?
まぁ、いいや。ミーアたちにはさっき貰ったし、チョコレートは部屋で食べよう、アスランはそう思いその場を去った。
・・・・翌日、アスランが倒れているのを朝食に呼びに来たハイネが発見した。
「はい!レイ兄ちゃん!シンハロ!アウル!ハッピーバレンタイン!!ハイネ隊の皆にネオも!」
そう言ってマユはチョコレートを渡してきた。・・・・・・外見は普通だ。
「・・・・シンハロ、お前こないだ身体、バージョンアップしちゃったんだよな・・・。」
『あぁ、栄養になるわけではないけどとりあえず味の理解と少しなら食べれるようになっちゃったんだ・・・。』
遠い目をするアウルとシンハロ。
「・・・・・・・。」
レイはとりあえず、ハート型のチョコレートを割ってみる。
すると、そこからなにか赤黒いものがでろりと・・・・・。
「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」」」
ハイネ隊のメンバーとネオが渡されたのは白い缶に青と黄色のライン・・・・「メッコール」と書いてある。
『・・・・・あ!だめ!生まれるぅぅぅ!子牛ぃぃぃ!!』
分けのわからない事をさけんでシンハロが屈みこむ。
「あぁっ!穴子が!!みんな!!」
この瞬間、とにかく全員の心が一つになった。逃げよう、一緒に。
「邪魔だぁぁぁぁぁぁっぁっ!!」
「バーサクはやめてください><」
「舞い踊れ俺たちっ!!」
「なぁ、とりあえず部屋につれていなかいか?アウール?」
「知るか!!でも、とりあえず連れて行こう!!」
「つけもー。」
「パーレイ!」
「誰にだよ!!」
どこはかとなくスレ違いな会話をしつつシンハロを抱えてその場から逃走する男性陣。
「・・・・・・・・−−−−−−−♪」(お好きなラスボス戦の曲をどうぞ。)
マユは歌を口ずさみながら、トンファーを構えた。
シンハロが穴子だったらゲンはもてあますじゃなきゃなぁ・・な自分無体、ほのぼのです。
今回のネタは微妙にスレ違いどころか板違い。でもとりあえず心で感じろって脚本家がいってたよ!
バレンタインネタはとりあえず終わり、たぶんルナのチョコは後で清めた上で処分されたことでしょう。
マユのメッコールはこの間本物を見つけた衝撃で。単発さんすみません、微妙に使わせてもらいました。
韓国で売ってるそうです・・・・、香港だと砂糖入り麦茶とかあるんだよな・・。

シンハロは自分の脳内では鈴村ボイスで想像してました、今もだよ?地球皇帝のボイスで流してないよ?
自分、声優にあんまりくわしくないのでハイネ隊の声とかはてきとー再生。その他はアニメ通り。
マユの声も適当想像だな・・・・・。だって原作の声少ししかでてないんだもん。

次回は鼠ーランドに行こう編です。タリアさんの息子さん登場。
333通常の名無しさんの3倍:2006/02/11(土) 23:40:27 ID:???
>>332
ほのぼのさんGJ!
鼠ーランドといえば、随分前に議長とマユとサーペントテールで
プラントデスティニーランドに行ってましたね。
334通常の名無しさんの3倍:2006/02/12(日) 03:01:49 ID:???
単発設定小話 「シンとキラ」ダーダネルス海峡編@

〜ダーダネルス海峡で交戦中のミネルバ〜
マユ「もう!本当にだらしのない国ね!オーブは!!」
ハイネ「マユ、レイ!お前たちは左側を頼むぞ!ルナマリアと俺は右側だ!」
ルナマリア「了解!っでも数が多いですね!」
ハイネ「泣き言うなよ!?ここを踏ん張れば、まだ次へ行ける!」
レイ「マユ。ブレイズで援護する。お前は仕留めそこなった奴の息の根をとめろよ」
マユ「OK、レイ!アスランさんは?」
ハイネ「セイバーは一番機動力が高いからな。遊撃をお願いしたよ!」

〜ガーティ・ルー〜
ネオ「さて、オーブ軍のお手並み拝見といこうか・・・」
リー「奴は間に合いませんでしたなぁ」
ネオ「ふむ。ま、いいさ。まだ、あいつらは出てきていないしな」
リー「大佐。まだ彼らは出撃させないのですか?」
ネオ「オーブの状況をみて判断するよ。急かすなよ?」
〜ガーティ・ルー MSデッキ〜
アウル「あ〜あ、まだ出番来ないのかねぇ?」
スティング「おい、アウル。この前の落とし前はきっちりつけるんだぞ?」
アウル「・・・っち。わーってるよ!・・・・・・負けない・・・さ・・・・・・」
ステラ「・・・シン・・・・・・まだ来ない・・・」

〜ミネルバ〜
タリア「・・・なんとか突破しないと・・・・・・!?右舷が開いた!?アーサー!」
アーサー「右舷、敵艦隊がら空きです!!」
タリア「タンホイザー照準!右舷オーブ艦隊を薙ぎ払う!一気に突破するわよ!!」
〜エネルギー充填を開始したタンホイザー〜
〜タケミカヅチ〜
オーブ兵士A「!?敵艦、陽電子砲エネルギー充填確認!左翼艦隊に照準!」
トダカ「!!回避行動!射線エミュレート!」
ユウナ「え・・・?なに?ねぇどうしたんだよう?」
〜ミネルバ〜
アーサー「タンホイザー充填!」
タリア「タンホイザー、撃てぇっー!!
〜<シュバァーン!>タンホイザーと撃ち抜く二つの光線〜
タリア「!?なに?タンホイザーが撃たれた!?っく!!一体どこから!?」

〜フリーダム&ムラサメ〜
キラ「えっ!?僕以外に・・・?」
シン「なっ!?俺以外に撃った奴がいるっていうのか!?」

335通常の名無しさんの3倍:2006/02/12(日) 15:00:30 ID:???
キラとシンの鉢合わせがどうなるかワクテカ
336通常の名無しさんの3倍:2006/02/12(日) 21:16:57 ID:???
age
337通常の名無しさんの3倍:2006/02/12(日) 21:58:59 ID:???
>>332 ほのぼの様
メッコールネタ使っていただいてありがとうございます。
メッコールは、コニールの気分を和らげるために一笑い欲しいなあと使ったネタです。
マイナードリンクだと思っていたのですが、皆さん結構知っていたようでちょっと
メッコールへの認識が変わりました。
ちなみに単発はコーラ好きなのですが、強い炭酸はあまり得意じゃないので
夏場は麦茶割りにしてメッコール気分を味わっています。

>>335
タンホイザーをキラとシンが同時に射抜く場面までやっときました。
この場面は当初から考えていたネタなのでやっとひとつクリアしたかなと思ってます。

さて、正直なところ二部(アニメ14話〜28話)は細かく修正が必要な話が多いかなぁと感じてます。
逆に三部は(29〜39)デストロイ戦さえやってしまえばかなりとばして(アニメ通りのストーリーで)
いけるかなと考えてます。四部にいたっては全修正って感じですね。そこまでいければですが・・・orz
338通常の名無しさんの3倍:2006/02/12(日) 22:36:21 ID:???
メッコールは「怪しげドリンク」通称「あやドリ」の筆頭だからな。実際に飲んだことなくても知ってるやつ多数
339通常の名無しさんの3倍:2006/02/13(月) 21:03:03 ID:???
保守
340通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 00:06:28 ID:???
hoshu
それはある日のことだった。なんでも、タリア艦長の息子さんがこっちに遊びに来るそうだ。
なんでもザフト兵の家族への議長の配慮らしい。が、艦長の旦那さんがこれないらしく息子さんが一人で来るらしい。
しかも、なんでも一週間滞在だがどうしても月曜日ははずせないらしく私達にこう頼んだ。
「息子と一緒に遊園地に行ってくれないかしら?チケット代は全員分私が持つわ。」

「と、言うわけでタダで鼠ーランドだぜこのやろーーーっ!!」
「「「「「「「「わーーーーーーっ!!」」」」」」」
テンション上がりまくりなミネルバパイロッツ+メイリン。なんだかんだいって遊びたいお年頃である。
「と、言うわけで伏字徹底!当サイトはD社とは一切関係ありませんっ!!お前らー!!心がほしいかーっ!!
でっ!明日です!!あくまで一種の任務なので浮かれるなよっ!!危険物の持ち込みは禁止だっ!特にカルマ!!
夢の国の中の人に迷惑はかけないように!!以上かいさーーっん!!」
周りにオレンジ色の花を咲かせながらノリノリでハイネは去っていった。





『いーなーっ!僕も鼠ーランド行きたいのだっ!』
幼い少女の声(シンハロ曰く)が聞こえる。カルマザク、『カルーア』だ。
『まったく・・、MSの僕達が行ってどうするんだい?』
呆れたように言うのグレイシアザク、『グラッド・アイ』。文字で書くと男性のようだがぶっちゃけ鍋である。
『まぁまぁ・・、でも確かに行ってみたいよね。一気に色々な雰囲気が楽しめるし。』
穏やかな声はジョーザク、『ジャバウォック』だ。彼は様々な風景を見るのが好きなのだ。
『でもさー、どうせ鼠ー版権なら楽死ぬたんのグッズとかだしてくれればいいのになぁ。』
一人まったく別のことを話しているのはアキラザク、名前は『アルディラ』。性格はまんまアキラだがこちらのほうが大人びている。
『・・・・流石に名前を出すのは伏字でも。』
抑揚のない声はゼロザク、『ズーム』だ。こいつもゼロとほとんど変わらない、ただ、こっちのほうが幼い。
『にぃ、別にシンハロにお土産たのめばー?たぶんキーホルダーか何か買ってきてくれると思うんにゃけど・・。』
大方予想のつく喋り方はキースザク、女の子だから安心して。名前は『キティ』結構そのままである。
『鼠ーランドかぁ・・、ミーアが楽しんでくれるといいなぁ・・・。』
彼はミーアザク、『メイデンズドリーム』。通称はイデン。塗装は通常のものに戻してあり、オレンジショルダーである。ミーアのことが大好きだ。
『まぁまぁ、いーじゃなの♪シンハロの奴にみやげたのもうぜぇ♪』
『『『『『はーい。』』』』
皆が素直に言う事を聞くのはグフ・イグナイテッドである。実はかれは第一機であり、この中で一番年上なのだ。名前はまんまで『イグナ』。
そんなにぎやかハイネ隊MSの向こうでただひたすら人間がみてもわかるほど暗くなっているMSが。
『ルナリア・・・・・・・・・・。』
元レイザク、現ルナザクである。ずっといなくなった恋人を思って物思いにふけっている。
毎日メールしまくりだけどね!



342通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 20:04:06 ID:???
楽しそうだなぁ、ほのぼのの連中……。


お前ら、戦争の合間に余暇楽しんでるんでなく、余暇の合間に戦争してるだろ?w (←責め言葉でなく褒め言葉)

343通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 20:18:11 ID:???
まあ、ほのぼの世界はもうほとんど戦争終わっちゃってるからなw
後は、ピンクの軍勢を根絶やしにすれば…
344通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 22:26:09 ID:???
っても、ラクスは孤児院で頑張ってるようだし、ミーアも戻ってきたし、キラも撃墜されたし。
ラクシズすら居ないんだなあ。
平和だな。(褒めてるぞ)
345通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 22:48:05 ID:8vtquZto
保管庫のファントムペイン戦記PHASE15を見て思ったンだが、またZのセリフを劇中で使ってくれないかなぁ。そういうの嫌がるスレ住人もいるかもしれんが。マユが「まだ抵抗するのなら…!」と言って種割れしたり。ゲンと対決する時に言ってほしい。
346通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 22:50:42 ID:???
ゴメン!ageてしまった。
347通常の名無しさんの3倍:2006/02/14(火) 23:17:08 ID:???
マユ「てめぇに明日を生きる資格はねぇ!お前のために何人の人間が死んだと思ってんだ!?」


カガリ「聞きたいか?昨日までの時点では99822人だ」

みたいな展開希望(ry>各職人様
348通常の名無しさんの3倍:2006/02/15(水) 00:47:48 ID:???
単発設定小話 「カガリ」ダーダネルス海峡編A

〜タンホイザーを同時に射抜いたシンとキラ〜
シン「っつ!!おいしいところを独り占めできると思ったのによぉー!!」
〜シュトゥルムファウストをムラサメの背中に戻るシン〜
キラ「黒い飛行機がムラサメにドッキングした?・・・なにあのMS?」
シン「機体照合!・・・フリーダムだとっ!・・・ふふ、はは・・・そうか・・・お前がスーパーコディネイター、キラ・ヤマトかっ!」

〜タンホイザーを破壊されたミネルバ〜
アーサー「タンホイザー、完全に破壊されました!もうちょっと遅かったら艦ごと爆発するところでした!」
タリア「アーサー!!敵を褒めてどうするの!?っもう。バカなんだから!ますます逃げ道がなくなったわ・・・」
アーサー「艦長〜!所属不明艦が現れました!・・・照合結果では・・・・・・アークエンジェル級です・・・・・・」
タリア「アークエンジェル・・・・・・大天使様のご登場ってわけね。体制を立て直す!MS隊と通信!」
〜ハイネ以下と通信を開くミネルバ〜
ハイネ「艦長!あれが敵か味方かわからんが、俺たちはこのまま行くぜ?ミネルバの援護は・・・そうだな。アスラン!お前に頼む」
アスラン「え・・・あ、了解した」
ハイネ「おいおい、集中してくれよ?なんか知らんが今が絶好のチャンスだ!」

〜フリーダムの横につくルージュ〜
キラ「・・・カガリ、本当にいいんだね?」
カガリ「今の私にどれだけの力があるかわかならいけどな・・・やるしかないだろう?」
キラ「わかった。・・・でも聞き入れてくれなかったら・・・いいね?」
カガリ「ああ、次の機会を待つさ。じゃ、回線オープン。」
〜通信、拡声器でカガリの声が戦場に響く〜
カガリ「私はオーブ連合首長国の代表首長、カガリ・ユラ・アスハだ!オーブ艦隊へ通達する。オーブ軍は直ちに撤退だ。これは命令だ!・・・(すぅ〜)オーブの理念を忘れたか!!大ばか者達!!」
キラ「・・・カガリ・・・・・・最後のは余計だよ」
〜アークエンジェル内ブリッジ〜
マリュー「あ、やっちゃった・・・」
バルトフェルド「・・・はぁ、あのガキ。親の顔が見てみたいぜ・・・・・・」
ラクス「カガリさん・・・わたくしにはとても真似できませんわ」
ブリッジ内全員「真似せんでいい!」

〜オーブ艦隊〜
ユウナ「・・・はは、なんだありゃ?一佐、説明してみたまえ・・・・・・」
トダカ「・・・あの声は、カガリ様に間違いないでしょう。後ろの艦はアークエンジェルでしょうな」
ユウナ「僕はそんなことを聞いているぅんじゃないんだよ!ああ、もう!あいつらになんて弁明すればいいんだよぉう・・・」
〜ガーティ・ルーより通信〜
ネオ「・・・司令官殿、ご説明いただけるんでしょうな?あれもオーブ軍なのかね?もっとわかりやすく言おうか?あのMS、艦は味方か敵か、どちらですかな!」
ユウナ「えぇ・・・ぼ、僕たちが撤退なんかするわけないだろう?そう、そうだよ。あいつらは裏切り者。て、敵に決まってるじゃないか!」
ネオ「・・・そう。でしたら戦意をなくすような戯言は止めていただきたい!」

〜フリーダムを見つめ続けるマユ〜
マユ「フリーダムなのね?・・・パイロットもキラ・ヤマトなのよね?・・・ねぇ、フリーダム・・・・・・」

完  ・・・あと2話ぐらいでダーダネルス海峡編を終わらせられるかな?
349通常の名無しさんの3倍:2006/02/15(水) 00:50:07 ID:???
>>347
虎「ちょっwwwwエレガントすぎwwwww」
350通常の名無しさんの3倍:2006/02/15(水) 01:15:04 ID:???
>>347
しっかし、本当に名台詞だよなあ。
始めてみたときは爆笑してその後、閣下が無茶苦茶好きになったよ
351通常の名無しさんの3倍:2006/02/15(水) 18:05:45 ID:???
>>347
まとめサイトのカウンターにしたらいいんじゃね?
なんか違うまとめみたいだがw
352通常の名無しさんの3倍:2006/02/15(水) 18:17:20 ID:???
>>347
それなんて暗黒女帝?
注:ここはほのぼのワールドなので鼠ーランドの補足をしておきます。まず、シーとランドが自由に行き来できます。同じ敷地内にあるわけです。
基本的な内部構造は千葉にあるやつと変わりません。作者は小さい頃に鼠ーワールドに行ったことがありますがもう覚えてません。なので千葉にあるやつです。
場所は突っ込むな。突っ込んだ奴は格納庫の裏にこい。心と身体をばらばらにしてやる。



「らいおねる・ぐらでぃすだ!れおんってよんでくれ、よろしくなにーちゃんたち!」
満面の笑みを浮かべて挨拶するグラディス少年。しゅたっっと手を上げる仕草が愛らしい。
「いがいー。艦長の息子さんだからもっと大人びてるかと思ってた。・・・・・ショタっ子ハァハァ(ぼそっ。)」
「おい、ルナマリア。夢の国に立ち入り禁止になるぞ。」
興奮するルナマリアをレイが抑える。
「キース!何本入ってるんだ!中では飲酒禁止!それとジョー!タバコもだめだ!カルマ!!ナイフをマシンガンも拳銃も全部出せ!!」
持ち物を取り上げられるハイネ隊仲良し三人組。カルマはどうやら昨日の微妙な注意をまったく聞いていたなかったようだ。
「アスランお兄ちゃん、トンファーはOKだよね?」
「いや、だめだぞ。マユ。」
アスランに聞くまでもない質問をするマユ。
「ねぇねぇ!みっ・・・・・もがっ!」
「ステラ!王様がどうしたの?!」
「あ・・うん、王様に会える・・・?」
「王様はいるよー、王妃様もね。あと宮廷魔術師と騎士団隊長。それにぐみ船の整備員もね。」
「うぇーい!楽しみー!」
ついつい住人の本名をしゃべりそうになるステラ。明らかにわかりにくくキャラを言うシン。



「にぎやかだなー。にいちゃんたち○しもとか?」
『違うよー、ザフトはお笑いプラダクションじゃないよー?ミネルバとムセイオンだけだったら微妙だけどねー?』
レオンの頭をなでながらシンハロは否定するのであった。

354ほのぼのマユデス。みんなシャッフル!:2006/02/15(水) 19:26:07 ID:???
うわ・・、すごい人ごみ。」
マユが思わず呟く。ここはシーの方である。
「よし、全員離れるなよー。」
ハイネが引率の先生のごとく言って皆で人ごみの中に入る。



ーーーーーーーーーーーーーーー五分後。


「はぐれたな。」
アスランが呟く。

「あーいーつーらーっ!!」
キレそうになるハイネ。

「・・・・・困ったな。携帯も通じない。」
「くっそーっ!せっかく遊びに来たのにこれかよ?!もう隊長やめよかなーっ!!つーかアスランお前落ち着きすぎ!!」
「いや・・・、お前たちといたら自然とこうなるぞ。」

アスランの目が虚ろになる。なんかひぐらしの鳴く声がどこはかとなく聞こえてくる。

「まったく・・・、なんで俺の周りにはいつもいつも・・・・あはははははははははははは!!」

なんかアスランの手に血にぬれた鉈が見える。

「おっ!オヤシロサマーーーーッ?!ちょっ!!まてよまーてーよー!!ほらっ!あれだっ!!罰ゲー・・って・・・ギャーーーッ!」
「ったく!なんであんたと一緒なのよ!」
「こっちのセリフだ!俺だってステラとデートしたかったんだぞ!」
言い争いをしている赤毛の少女と黒髪の少年。シン・アスカとルナマリア・ホークである。
ここは客船をもしたレストランの甲板部分である。
「もう!せっかくルナマリア美少年コレクションに鼠ーランド編が加わる予定だったのに!」
「この間の盗撮って趣味だったのか?!」
ルナマリアの叫びにシンが突っ込む。

・・・・・・・・・・・・・・・・おとずれる沈黙。

「ねぇ、シン。」
ルナマリアが静かに言う。潮風が髪をなでる。
「なんだよ、ルナ。」
シンも静かに答える。
「あのさ・・・、変なんだけどさ・・・。誤解しないでよ?あんたはステラの彼氏で、わたしはあんたに恋愛感情はないわ。」
ルナマリアは前置きを言ってから告げる。
「私さ・・今シンと一緒にここにいて嬉しいだよね・・・。二人っきりでさ。その・・・良くわからないのよ・。
でも、嬉しいの。本当に嬉しいの・・・・おかしいわよね。ずっと来たかった気がするの、会ってからあんまり時間たってないし、好きでもないのに。」
ルナマリアは寂しげに微笑みながら言う。少し困惑の色も見える。
シンは、それに静かに答えた。
「実はさ・・・・、おれもなんだ。」
シンも少し寂しげな目で答える。
「俺も、ルナのことは友達レベルでしか見てない。けど・・・、そのやっぱり嬉しい。ずっと一緒に来たかった気がするんだ、俺も。」
頭をぽりぽりとかくシン。
「どうしたんだろうな、俺達。」
「ほんとうに、どうしたんだろうね。」



「あーもーっ!みんなどこ行っちゃったのよ!」
ミーアが叫ぶ。ラクス・クラインの顔なのに目立っていいのだろうか?
「ミーア、落ち着けよ・・・。」
スティングがミーアの後ろからとぼとぼと付いてくる。
ミーアは相変わらずキョロキョロとあたりを見合して・・・どうやら何やら発見したようだ。
「あれ!あれルナマリアとシンじゃない?!」
「・・・・人違いじゃねぇか?だって服・・・。」
「どう見てもそうじゃない!」
「あ、マジだ。・・・?どうしたんだ、俺?」


スティングは混乱した。どうして二人がザフトの赤服を着ていたように見えたのだろう?

356通常の名無しさんの3倍:2006/02/15(水) 22:07:26 ID:???
オヤシロサマに噴いた
357通常の名無しさんの3倍:2006/02/16(木) 00:38:28 ID:???
罪滅ぼし編?
ていうかほのぼの作者さん、あんたどれだけの属性を隠し持っているんだw
358通常の名無しさんの3倍:2006/02/16(木) 00:59:01 ID:???
ルナマリアとシンの会話、いいなあ・・・。
こういう、しみじみとしたのもいいと思います
GJ!
359通常の名無しさんの3倍:2006/02/16(木) 08:06:00 ID:???
ほのぼの乙

そろそろ暗黒女帝の復活キボン
360マユ種のひと:2006/02/16(木) 17:03:26 ID:???
>315、>316、>317からの続き

 第四十話
 夕暮れ時、オーブの兵士がミネルバを取り囲んだ。訳のわからないクルー達、これを指揮する人間は、タリアにデュランダル暗殺と容疑者シン・アスカという事実を伝えた。

 その少し前、カガリは車の中からプラントとの話し合いを済ませた。先方の混乱がひどく、ほとんどのことは臨時議長が内定するまで保留ということになった。ただ一つ、ミネルバの捜査権は取り付けた。
 尤も、マユを知るカガリは、ミネルバに犯人がいるとは思っていない。とはいえ、ポーズだけでもとっておかなければならない。プラントもそう考えたから、オーブという第三者の捜査をあっさり認めたのだ。
 カガリは、プラントと連合の間に立つ者として、これからの自分の采配がどれだけ重要かわかっていた。だからこそ、その前に、どうしても確かめておきたいことがあった。
 カガリが訪れた場所、そこは敗戦責任の追及を待つユウナが軟禁された屋敷だった。カガリ訪問の喜びを全身で表現するユウナ、しかし、カガリは素っ気なく、単刀直入にユウナがわかる範囲で、今回のことがロゴスの本意かを問う。
 すると、ユウナは世界の新聞を何部か手渡す。その新聞の赤丸で囲んである記事に目を通す。全て違う事件だが、政財界で名を馳せたが今は一線を退いた古老達の死亡記事だった。カガリは難しい顔をした。何故なら、彼らがロゴスのメンバーと知っていたからだ。
 まだ死亡記事はあると断った上で、ユウナ曰く、プラントからの停戦を協議するため、一度、ロゴスの中でも有力者の集会があった。死因はまちまちでも、死亡の日付はその協議以降になっている。その事実が表に出たのは、大体、今日の朝刊の時点で、だ。
 この暗殺事件、どうやらロゴスの暗躍ではなく、ブルーコスモスの暴走のようだ。
 しかし、周到な企みとカガリは読む。望みは戦争の継続、目的はコーディネーターの抹殺かその後の宇宙での利権の独占か。何か違う、いや足りないのか、ブルーコスモスとその支持者以外の、何者かの動機が深く絡んで、ロゴスにまで牙を突き立てたのだ、と。

 夜、ミネルバ。最初は戸惑ったクルーだが、事情を説明され、今は落ち着いてオーブの監視下にいる。最初にこの国で受けた仕打ちを思えば、充分、筋が通っている。
 自室にて、タリアはデュランダル暗殺という事実を前に、悲しみよりも先行きの不安が大きかった。それは、三人でいたあの頃とはもう違い、今は部下の命を預かる身であることを実感した。
 ルナは、レイの部屋を訪ねた。机に向かうレイはいつもの調子で、今は一人にしてくれ、と呟く。ルナは拒否。人前では泣けない、とレイが返す。レイの場合、一人でいても泣くのを我慢する、とルナは語る。そんなことはない、レイが否定したその時、初めて涙を滲ませた。
361マユ種のひと:2006/02/16(木) 17:10:32 ID:???
 インパルスの中、マユは一人、デュランダルに謝った。ネオと戦って、刺し違えてでも殺さなかった、自分の落ち度について。今度こそ、兄を。決意を固めるマユ、しかし、その決意が強ければ強いほど、胸が苦しくなる。戦争はまだ終わらない、マユはそう思った。

 連合領内の空港にて、空港利用客は近頃発表があったオーブでの暗殺事件を話題にする。そんな数ある客の中、「ゲン・ヘーアン」を名乗る車椅子の男が、荷物とパスポートを受け取り、空港を出た。彼は、外で待っていた高級車に迎えられた。
 車中で変装を解いていく車椅子の男、ネオは、車中で待っていたジブリールから労いの言葉を貰うが、彼は煩わしそうに、ジブリールにここに居る理由を問う。ジブリールは鼻息荒く、プラントを糾弾し、その精神を打ち砕く会心の原稿が完成したので目を通してくれ、と。

 やっとの思いで時間を作り、キラはオーブ国内にあるラクスの隠れ家に到着。そこでキラが目にしたのは、部屋の一室でテレビやらラジオやらパソコンやらで作った壁を凝視し、足元に読み終わった各種新聞を散らかしているラクス・クラインの姿だった。
 キラが声を掛けるより前に、ラクスは真後ろのキラに質問。本物のインパルスのパイロットとはどんな人ですか。キラは、普通の女の子、としか答えようがなかった。ラクスは、質問の意図をもう少し詳しく説明する。
 先日、空白だったプラント最高評議会臨時議長はアイリーン・カナーバが就任したが、他のメンバーの多くが、エザリア・ジュールを筆頭に前大戦で抗戦派だった人間と入れ替わっている。デュランダル暗殺が停戦を望まぬ人間の仕業なら、これは都合が良いことになる。
 その一方で、プラント・オーブの両マスメディアで容疑者を特定していなかったのに、一部連合のメディアは第一報の時点でシン・アスカを容疑者として報道した。これが犯人の仕業なら、何故にプラントの世論の怒りを、外ではなく内に向けさせるようなことをするのか。
 ラクスの言葉に嫌な予感を覚えたキラは、マユの過去を打ち明ける。直前、ラクスの用意した情報媒体全てが、連合大統領の演説を生中継した。
 大統領は、デュランダルの死に、改めて哀悼の意を述べ、地球と宇宙の平和を願うデュランダルを亡き者とした犯人は、巷で騒がれているシン・アスカではない。それどころか、その犯人は実在しないシン・アスカなる人物をでっち上げてまで、この凶行に及んだ。
 そして、その証拠を示した。マユ・アスカが研究対象にされていた頃の記録映像を、証拠として。

362マユ種のひと:2006/02/16(木) 17:13:23 ID:???
 ミネルバの甲板の上で、ルナは、マユが託してくれた携帯電話を握り、うなだれていた。
 連合大統領のあの演説、あれからあとは聞くに堪えなかった。ユニウスセブン落下事件、マユへの非人道的な研究、これらを並べてコーディネーターの差別意識を誇張し、結局、暗殺事件の背後関係は有耶無耶に片付けられた。
 それはともかくとして、艦のみんなは驚きを隠せなかった。一時、マユは腫れ物のように扱われたこともあったが、レイやルナ達が注意を重ねていくうちに、マユを囲む環境は元通りになった。マユはそれがとても嬉しくて、ルナの前で少し泣いた。
 物思いに耽るルナを、時間が来た、とレイは呼ぶ。ルナは艦内に戻った。同様に、作業中の人間も、このひと時は手を止め、各自、モニターを見た。プラントもまた、演説という形でメッセージを発信する、その壇上に、マユも上がる予定だった。

 最初に壇上に立ったアイリーン・カナーバは、奇しくも二度目の臨時議長就任の不幸を踏まえて挨拶し、暗殺という卑劣極まる行為は毅然とした態度で臨むことを宣言した。そして、アイリーンは下がり、マイクをマユに譲った。マユは、壇上に立つ。
 集まった聴取や、カメラのおびただしい視線に、マユは少し目眩を覚えた。やっぱり、現実感がない。ここでの自分の仕事はわかっている、あの研究には自分から体を提供して強制の事実を否定すること。そうすれば、特別待遇の社会保障を受けられる、要するに口止め料。
 マユの弁明の後、連合のエクステンデッドの存在を公にし、今度は連合の罪悪を喧伝する予定になっていた。自分の、心も、体も、踏みにじって、今度はステラ。意を決する。
 マユは、おもむろに上着を脱いだ。そして、大きな傷跡が残る上半身を衆目に晒した。心静かに、ゆっくりと、声を張って、あの時体験した全てを、包み隠さず話した。もう、戦争を続けたくないから。

マユ「こんなことを、軍人の私が、みなさんにお願いするのも、変、なのかもしれません。でも、私は、謝罪も、補償も、いりません。みなさんが、家族と、友人と、恋人と、過ごしたいと思う、ただ、平和な時を、私に下さい」


P.S.あと10話
363通常の名無しさんの3倍:2006/02/16(木) 18:03:42 ID:???
ま、マユ種の人God Jobです・・・
思わず声も震える40話、政治も白熱して画面の前で大興奮
マユの演説に泣いた(;´д⊂)
364通常の名無しさんの3倍:2006/02/16(木) 18:58:28 ID:???
マユ種スレ初の作品であり、看板とも言えるタイトルが、いよいよ最終章に入ったな
なんだかものすごい感慨深いぜ
365通常の名無しさんの3倍:2006/02/16(木) 19:03:05 ID:???
本気でこんな機動戦士ガンダムSEED DESTINYを見てみたかったです。

なんて言うか、これしか感想が浮かびませぬ。
途中からの独自路線に初めの内は少々戸惑っていましたがこう持ってきましたか。
流石です。
366通常の名無しさんの3倍:2006/02/16(木) 20:52:10 ID:???
マユ種新作読みました。
「ゲン・ヘーアン」が、出てきて驚きました。
果たして、この戦争どう落とすのか?
>>P.S.あと10話
完結期待しております。
367通常の名無しさんの3倍:2006/02/16(木) 22:16:01 ID:???
なんかもうほのぼのについていけん…
368通常の名無しさんの3倍:2006/02/16(木) 23:28:49 ID:???
>>367
確かに突っ走り杉感は否めないな。
だが、感じ方は人それぞれだ。俺はまだまだいける。
369通常の名無しさんの3倍:2006/02/16(木) 23:49:54 ID:???
自分はオリキャラ出てきた時点から目が自動で滑り出した
他の作品のオリキャラとは何か違うんだよな
370通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 00:27:03 ID:???
>>4を見てドン引きした俺は
それまでとりあえず読むだけ読んでたほのぼのをキッパリ切り捨てたよ

そもそもマユ種なのかこれは???
いや別にギャグが駄目とかじゃ無いんだが
それにしたって種から離れすぎだと思うのだが
371通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 00:29:21 ID:???
最近は既存キャラメインにシフトしてきてるよ
372通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 00:31:02 ID:???
>>371

うむ。それに既存キャラ同士の描写は、やっぱり上手いと思うわけで。
それになあ、ほのぼのさん、が書いてくれなきゃ、このスレ過疎リまくってるぞ今頃w

そういうわけでほのぼのさん、頑張ってくれ〜
373通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 00:39:17 ID:???
なんだかんだ言っても投稿間隔も圧倒的に早いし、
俺は十分に楽しめてるからほのぼのさんは必要。
374通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 00:44:01 ID:???
もしほのぼのたんがいなければ、しのはら大恐慌から抜け出すのに相当な時間がかかっただろう
375通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 00:52:17 ID:???
しのはら大恐慌…? いや、触れないでおくか…
376通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 00:59:55 ID:???
隻腕の鬱ももっと酷かったに違いない
377通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 01:06:40 ID:???
所で時期的に隻腕さんのが投下されてもおかしくない時期なのだが
378通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 01:16:01 ID:???
単発設定小話 「フリーダム」ダーダネルス海峡編B

〜ムラサメ(シン)&ガーティ・ルー〜
シン「ガーティ・ルー!聞こえるな?俺はこのまま戦闘に入る。かまわないよなー!」
リー「大佐。よろしいので?」
ネオ「フフン。よろしいもなにも・・・こちらもMSだすぞ!カオス、ガイア、アビス、出撃!」
スティング「やっと出番ってわけだな!カオス出るぞ!」
〜ハイネたちに襲い掛かる3機のガンダム〜
ハイネ「あれが強奪されたガンダムたちかよ。とにかく道を切り開くぞ!」
ルナ&レイ「了解」
マユ「・・・フリーダム。ふふ・・・きれいなシルエットね。なんて、なんて憎たらしいのかしらー!」
〜フリーダムへ突進するインパルスの前に立ちふざがるグフ〜
マユ「どいてよ!ハイネー!!」
ハイネ「そこまでだ!マユ・アスカっ!!気持ちはわからんでもないが・・・今は順番が違う!」
マユ「そんな、私は・・・私はっ!」
ハイネ「今はミネルバを脱出させるのが先決だ。ただでさえ戦力がないんだからな!余計なことをさせるわけにはいかんのよ!わかるな、赤服ならば」
マユ「・・・了解」

〜アークエンジェル&フリーダムの介入で戦場は一層混乱に陥る〜
シン「フリーダム!お相手してもらおうか!」
キラ「!?なに?この感覚・・・また黒い飛行機が分離した。あの動き・・・厭な感じだ。君は・・・君はいったい?」
〜シュトゥルムファウストを操りながらフリーダムに切りかかるムラサメ〜
キラ「っく。君は・・・それにこのパワー、スピード。君のムラサメは・・・」
シン「ここが宇宙なら、もっと面白くできるんだけどなぁ!」
キラ「君だけを相手にしていたら・・・・・・!?接近する機体?」
〜フリーダムとムラサメの戦いに介入するセイバー〜
アスラン「止めろ、キラ!お前の、お前のしていることは戦場に混乱を与えているだけだ!なぜ今頃のこのことでてきた!?」
キラ「・・・アスラン。カガリは、今泣いているんだ!こんなコトになるのが嫌で、今泣いているんだぞ!何故君が、それが分からない!?」
アスラン「キラ!」
シン「・・・あんたらは一体なんなんだー!俺を無視してんじゃねぇぞ!両方沈んでしまえー!!」
〜フリーダムに切りかかりつつ、シュトゥルムファウストでセイバーを狙い撃ちするムラサメ〜
アスラン&キラ「お前こそ、一体なんなんだー!」
シン「なにっ!?」
〜フリーダム&セイバーのコンビネーションでムラサメの腕は落とされ、シュトゥルムファウストは沈められる〜
キラ「アスラン!僕は戦いを終わらせたいだけなんだよ!どいて!」
アスラン「キラ!俺にお前を撃たせないでくれ」
〜セイバーを振り払い、格闘戦へ移行するフリーダム〜

〜その間のミネルバ〜
タリア「ハイネたちはよくやってくれているわね。混乱に乗じて道が開けつつあるわ・・・」
アーサー「艦長!オーブ艦隊左翼、開きました!」
タリア「よしっ!全速前進、MS隊は敵を牽制しつつミネルバに続くこと!今度こそ駆け抜けるわよ!!」

379通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 02:27:47 ID:???
まぁオリキャラもほどほどにしなさいってこった
なんか主役置いてけぼりでキラばっか活躍してた原作みたいに思える

あと小話乙
380通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 05:59:42 ID:???
>>379嫌ならNG指定すれば?ここは藻前の日記帳じゃねーんだからさ

支持派の俺にはウザいことこの上ない
381通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 08:19:17 ID:???
喧嘩すんなよ……
人それぞれなんだから、それでもういいじゃないか……
382舞踏の人:2006/02/17(金) 09:33:32 ID:???
おはようございます
流れをぶった切りますが舞踏10話投下します

オリキャラの話についてはこちらも考える必要があるなぁっと見ていました
出来るだけメインキャラの邪魔をしないように考えていこうと思ってます
383舞踏9話 1/16:2006/02/17(金) 09:35:57 ID:???

眩しい陽光が射し込むミネルバの通用路。
真っ青な空と海を映した舷窓並ぶ壁沿いを歩く藍髪の青年は、時折痛む頭を抑えている。

…彼、アスランはインパルスの収容が完了してずいぶん後に、ようやくコクピットから出ることが出来た。
なにせ、大気圏内での無理な行動のせいでコクピット周りの装甲が溶け、
コクピットハッチはまさに溶接されてしまったような状態となり、出られなくなっていたのだから。

整備員たちにハッチをこじ開けてもらい、ようやっとゆっくり休めると思えば
今度は中で待ち構えていたカガリから、怒声交じりの説教をされる羽目になる。
よほど心配性なのか、あるいは自分がそれほど危なっかしい行動をしていたのだろうか。
大馬鹿野郎だとかいつまで経っても危なっかしいヤツだとか、ずっと耳元で怒鳴られてしまった。
長々と続いた説教だったが、オーブ本国と連絡を取るという用事が出来たカガリは
もう一度念を押すように、これからは気をつけろよと告げてから

「…ともかく、ありがとうな。 よく頑張ってくれた。 部屋に帰って、ゆっくり休んでくれ」

笑み添えられたねぎらいの言葉に甘え、アスランは用意されていた士官室へと帰ることにする。

…しかし、身体は疲れているにも関わらず、ベッドに入っても全然眠気がしなかった。
どうにも、短い間にあまりに多くの出来事が起きたせいか
様々な思いが頭の中を飛び交い、頭痛と化して彼の入眠を邪魔するのだ。
固く目を閉じてベッドに横になること3時間ほど。
ついには寝ることをあきらめたアスランは、気分転換がてらにミネルバ艦内を散策することして、今の状況に至る。


穏やかな凪の海を窓から望みながら、アスランは現状について思案を巡らせていた。
自分が目の当たりにした事件。 そこに垣間見えた、世界に渦巻く不穏な空気。
この先、世界はどう変化していくのだろうか…そう思いながら、今後の動向について予想していく。

自分も身を投じた戦闘…メディアでは『セレネの悪夢』と銘打たれたあの事件。
いまだプラントに対して敵対意識を持つ地球連合軍は、嬉々としてそれに飛びつき、プラントを糾弾することだろう。
……いや、それだけで終わるはずがない。 地球連合軍は再び戦争を行うだけの準備を、既に整えている。
それは、所属不明艦を追跡する道中に遭遇した、あの新型大型空母を含んだ大艦隊を見れば一目瞭然だった。

「……また、戦争になるのか」

聞く者も誰もいない廊下で、ぽつりと零された呟き。
うつむく青年の横顔には、悲嘆と苦渋が皺となって刻まれていた。
384舞踏9話 2/16:2006/02/17(金) 09:37:13 ID:???

――タァン、と廊下の果てから届いてきた音。
それが銃声だと理解したアスランは、とっさに周囲を見回し警戒してしまう。
…しかし、同じ場所から流れてきたと思われる、複数の人間の歓談の声に気付き
事態を把握できないまま、それでも危機的な状況ではないのだろうと考え、音のする方へと足を運ぶ。


…やがて、外に面した扉の前に立ち、ガラス越しに外の様子を覗いて、彼は状況を理解した。
甲板の一角に設置された射撃練習用の標的ブース。その前でたむろしていたのは、赤と緑の軍服纏う少年少女たちだった。



「………おかしい。 これ、壊れてる?」
「こーわーれーてーないっ!
 アゼルねぇ、あんたの壊滅的なまでに下手くそな射撃を、モノのせいにしちゃだめよ?」

着弾点どころかかすり傷一つない、まっさらな標的の前に立つ緑服の少年。
彼は隣に立つ活発そうな赤服の少女にどやされつつ、手中の拳銃をこねくり回しながらしきりに首を傾げている。


「…っかしいなぁー。 MSで射撃する時は、ちゃんと当たるのにぃ…」

更に隣では、拳銃を構えた姿勢のまま、難しい顔で唸っているマユの姿があった。
マガジンを替え、再び標的を狙い撃つ姿を見ているところで、アスランは彼女の不調の原因に気付く。
エリート軍人の証である赤服を着ているものも、やはり幼い少女であるマユには、実弾拳銃の反動は強すぎるらしく
拳銃を支えきれず、ちゃんと狙いを定めていてもその通りに撃てないようだった。
上手く的の中に全弾を収めることが出来ず、困り果てた様子で俯くマユへと、隣から声がかかる。

「マユ、お前はもう少し脇を締めて撃つ方がいい」

一人黙々と標的を撃ち抜いていた金髪の少年は、ちらりとマユを見下ろしそう言う。
そして、訓練を再開し、標的の中心を的確に穿っていく様子を、マユは呆然と見ていた。

「レイってすごいよねぇ…」
「うん…レイ兄ちゃん、なんでもそつなくこなすもんねぇ」

同じくその姿に見入っていたメイリンと共に、感嘆の声を上げていた。
385舞踏9話 3/16:2006/02/17(金) 09:38:09 ID:???

「…訓練規定か、懐かしいな」

不意にかけられた声に皆手を止め、振り向くと。 そこにはドアを開け、甲板に出てきたアスランがいた。
突然の来訪者に、面々は会釈をしたり、今は軍人ではないにも関わらず敬礼をする。
…しかしただ一人、マユだけは憮然とした表情でアスランの顔を一睨みし、そっぽを向いた。

「こんにちわ、アスランさん。 お散歩ですか?」
「ああ、オーブに着くまで用事もないことだし、少し艦内を見学させてもらってた。
 銃声が聞こえたから何事かと思ったが…なるほど、射撃訓練だったのか」
「ええ、待機中とはいえボーっとしてるわけにもいきませんから。
 どうせやるんだったら、外でやった方が楽しいかなと思って、ここでやってるんですけどね」

気さくに話しかけてきた赤髪の少女、ルナマリアの話を聞きながら、なるほどねとアスランは頷いた。
確かに青天下の甲板の方が、密閉された狭い射撃練習場よりも開放的だろう。
わざわざ練習場から甲板へ運び出されたらしい、標的ブースを見やりながらそう思う。

「…そうだ。 アスランさんって、ザフトのトップガンだったんですよね?
 もしよろしかったら、可愛い後輩たちに一つお手本見せていただけませんか?
 不出来な子が、約二名ほどいますんで、ぜひお願いします♪」
「えっ…?」
「ちょ、それってあたしのこと?!」
「………あぅ」

突然ルナマリアが発した提案に、目を丸めたアスラン。
その目の前で、マユが驚きの声を上げ、アゼルががっくりとうな垂れる。
…どうやら当たりだったようで、ルナマリアは二人の頭をくしゃくしゃ撫で回しながら笑った。

「そっ、あんたたちよー。
 ほら、アスランさんが手本見せてくれるから、しっかり目開いて見ときなさい!」

いつの間に決まったんだ、とアスランは心中で呻いていたのだが
彼の困り顔の理由を解すことなく、ルナマリアは早速準備に取りかかっていた。
386舞踏9話 4/16:2006/02/17(金) 09:39:20 ID:???

「あっちゃー……負けちゃった。やっぱかないませんね」
「いや、いい勝負だったじゃないか。 危うくこっちが負かされるところだった」

アスランの射撃の腕前の披露から、いつの間にかスコア対決にまで発展していた射撃練習。
銃構える腕を下ろし、表示された点数を見比べてぼやくルナマリアへと、アスランは勝負の感想を述べる。
生真面目な性格で、世辞や嘘を上手く言えない彼のその言葉は、社交辞令を交えない正直な評価だった。

「ホント勉強になりました。 ありがとうございます、アスランさん。
 …ほら、次はマユが行きなさいよ。 悪いとこがないか、見てもらう良い機会だからさっ」

アスランへと照れ笑いを向けながら、ルナマリアはそばにいるマユを促すように、ぽんと肩を一押しする。
…しかし、マユは不機嫌そうな顔のまま、ふるると首振ってそれを拒否した。

「いい。あたしはいらない。別の訓練してくる。
 行こっ、アゼル!!」
「えっ、なに、どうしたの……うわっ」

そう言うなり、驚いている緑服の少年の腕を掴むと、強引に引っ張りながらマユは甲板から立ち去っていった。

「ちょっと、マユ! 待ちなさいっ!!
 ………もうっ、頑固なんだからあの子は…」

咎めたにも関わらず、飛び出していった少女と引きずられる少年の背姿を見送りながら
ルナマリアは腰に手を当て、ふうっと大仰にため息をついた。

「すみません、アスランさん…。
 あの子、ホントは良い子なんですけど…なんか最近ツンツンしちゃってて」

反抗期なのかしら、と困った顔で呟いている少女へと、藍髪の青年は

「ああ、いや…俺は気にしてないから。
 彼女が俺に対して、良い感情を持ってないのも当然だから…」

と、言いながら笑顔を作っていたが、
それはひどく不器用に歪んだ、悲しげな笑顔だった。
387舞踏9話 4/16:2006/02/17(金) 09:40:24 ID:???

つかつかつかと。 私はミネルバの通路を早足に歩いていく。
一刻も早くあの場を離れたかったんだ。 アスランさんがいる場所を。

…なんというか、あの人を見ていると胸がむかむかしてくる。
彼は本当に英雄の力量を有してると思う。 さっきの見事な射撃を、先日の戦いぶりを見れば納得がいく。

――けれど。 けれども彼は私たちのオーブを救ってくれなかった。
  オーブを踏み台代わりにして宇宙へ飛び立ち、私たちを見捨てて逃げていったんだ。

これは二年前からずっと抱いてきた、私の恨みだった。
ウズミ・ナラ・アスハも、娘のカガリも、アスランさんも……
そして、あの時。 家族が死んだ時に、間近で戦っていた蒼い翼の天使…フリーダムのパイロットのことも憎んでいた。

もう、あんな悲劇を見たくない。 傷付き死んでいく人たちを捨てて、逃げたりなんてしたくない。
私は、誰かを助けることが出来るほどの力が欲しかった。 
見捨てられ、全てを失った私だからこそ、あの人たちのような過ちは絶対に犯すまいと常に思っていたから。
彼らを憎むことで、彼らを反面教師とすることで
ザフトに入隊する道を選んだ私は、どんな苦難にもくじけまいと頑張ってこれたんだ。


だけどそれが、私の心を支えてきた感情が今、少しずつ揺らぎ始めている。
憎むべき対象と現実に顔を合わせた時、胸中で描いていた人物像と、実際の彼らの姿の違いに気付いてしまったから。
…どうにかしてる。 さっき、アスランさんの独白を聞いた時も
自分でも驚いたことに、彼の行動を肯定してしまうような発言を口にしてしまった。


――自らの責任を認め謝罪しつつも、故人である父親を庇った、凛とした眼差しの娘。
彼女、カガリ・ユラ・アスハは世界中にくすぶる戦争の火種を見据え、平和のために自分はどう動くべきかを模索している。

――幾多の戦場を駆け抜けた力を持ってして、多くの無人機を破壊し、移民船団を守った青年。
彼、アスラン・ザラは先の戦争で受けた心の傷と背負った罪と向かい合いながら、それでも人々を救うために再び立ち上がった。


あの二人を見ていると、胸が苦しくなってくる。
心の奥底で、今の彼らの姿を見て許そうとする自分と、頑なに憎悪を貫こうとする自分がせめぎあっている。
どうすればいいのだろう。 抱いていた憎しみが消えた時、自分はどうなってしまうのだろう。
そう思うと、不安と焦燥が込み上げてきて、あの場にいられないほど辛くなってきた。
388舞踏9話 6/16:2006/02/17(金) 09:41:41 ID:???

大股歩きで乱暴に、通路を歩いている途中。 突然右手がぐいと引っ張られた。
振り返れば、甲板から引きずり連れてきていたアゼルが、じっと私の顔を見つめていた。
…お兄ちゃんに似た、紅玉みたいに鮮やかな赤の瞳が悲しげに細められる。

「ねえ、マユ。 あの態度はないと思う。
 アスランさんは、マユのことを助けてくれたんだよ?」

困ったような顔で、彼はそう諭してきた。 いつもと同じ、気弱な印象与えるぼそぼそ喋りで。
威厳も凄みもないような声だというのに、真っ直ぐ見つめてくる視線は心中を見透かしそうで、無視することが出来なかった。

「…分かってるよ、ちゃんと。
 でも、あたしはあの人たちを許せないの…っ!」

頭の中をかき乱す、幾つもの思いを振り払うつもりでぶんぶんと頭を振った。
彼らのことをもっと理解したいという思いと、馬鹿と言われてもいいからこれ以上理解したくないという願いが入り混じる。
心の整理が付かない私は、自分でも驚くぐらいとても動揺していた。

「……そっか。
 じゃあいつか、許せるようになったら謝りに行こう」

私の叫びに、思いのほかすんなりと納得し頷いたアゼルは、そう提案してきた。
そして、付け足すようにこう言った。 その時は、僕も一緒に謝りに行くよ、と。
……アゼルはいつもこうだ。 レイ兄ちゃんほどでもないけど説教するし、なにかと世話を焼いてくる。
私が目上の人から注意を受けてる時も、一緒にその場で怒られている。 お兄ちゃんぶってるというかなんというか。

とはいえ実際、アゼルは私のもう一つの『家族』の一員であり、一つ年上の兄とも呼べる人なのだけど…。
389舞踏9話 7/16:2006/02/17(金) 09:45:33 ID:???
――ふと、思い起こすアゼルとの出会い。

プラントに入国した私は、デュランダルさんという偉い科学者さんに色々取り成してもらい
セプテンベル市に住んでいる、私の叔父さんと一緒に暮らせるように手続きまでしてもらった。

滞在していたホテルを出て、叔父さんの元へと向かう日。
わざわざ見送りに来てくれたデュランダルさんは、叔父さんの住所を書いた紙と紹介状を渡してくれた。

「遅くなってすまなかった。 なかなか許可が下りなくて、時間がかかったんだ。
 しかし、安心してくれ。 少々小細工をしたが、叔父さんの下で暮らせるように手配したよ」

そして、何か困ったことがあったらいつでも自分に相談してくれ、とも言ってくれた。
…まぁ、本音としては初対面の私に、これだけ良くしてくれるデュランダルさんのことを不審に思うことはあった。
なにせ突然、一緒に暮らさないかと言ってきた人だ。

非常に悪いとは思うのだけど、裏があるんじゃないだろうかと警戒しちゃうんだよね。
そんな思いはあったにせよ、とにかくデュランダルさんに今までのお礼を伝えた後、
私はシャトルに乗り、セプテンベル1区へと向かった。
 
390舞踏9話 8/16:2006/02/17(金) 09:47:02 ID:???

「ええっと……この近く…のはずなんだけど」

緑の並木に囲まれた、緩やかな坂道を上がりながら、私は周囲を見回す。
…デュランダルさんからもらったメモに書かれていた区画まで辿り着くのは、そう難しくなかったんだけど
そこは複雑に入り組んだ路地で、しかも周囲にある家はどれもやたらに大きく、豪華なものだった。
信じられないことに、叔父さんはこんな超高級住宅街で暮らしているらしい…。

「うう、標識なんてないし…番地すら書いてないや…」

広告一つすらない、新品同様の表面晒す電柱を眺めながら、私は大きくため息をついた。
誰かに道を聞こうにも、閑静な住宅街の道路には平日の昼間ということもあってか、人一人歩いていない。
どこかの家で直接尋ねようかとも思ったけど…どこも高い塀に囲まれ、そのずっと奥に重厚な扉があるような
気軽に入ろうなんて微塵も思えない、豪邸ばかりだった。

……ああ、住所や番地だけの紙じゃなくて、地図を描いてもらえばよかった。
そんな後悔が生まれたが、もうそれはとっくの昔に過ぎたことで諦めざるおえない。
誰か通りがかってくれないだろうか、と祈るように思いながら、
見事に生い茂った一本の街路樹に、私は背を預けるようにもたれかかった。

「…ねえ、もしかして迷子?」

不意に、頭上から降りかかった声。 びっくりして、頭上を見上げると
そこには、街路樹の枝に腰下ろす一人の少年がいた。


突然声をかけられた驚きで、返答に迷っている間に
樹上の彼は、腰かけていた太い枝に手をかけぶら下がると、そのまま私のそばに飛び降りてきた。
赤い髪を後ろで結わえた、赤い瞳の男の子。 年頃は私とあまり変わらないぐらいに見える。
彼は、黙っている私を不思議そうな顔で見つめながら、首を傾けていた。
あー…なんか言わないと。 どうやら私がなにも喋らないもんだから、困ってるみたい。

「うん、そう。 人を訪ねて来たんだけど…住所だけしか知らなくて、迷っちゃったの。
 地図でもあればよかったんだけど…」

そう説明すると、少年はふぅんと相槌を打って、

「それじゃあ、僕の家においでよ。 この辺りの地図、あるから」

にこと、はにかむように控えめな笑顔を浮かべながら、ついて来てと手招きした。
ずっと一人で歩いていて心細かったし、相手は近い年頃の子どもだったということもあって
安心した私は、礼を言いながら彼のあとについて行った。
391舞踏9話 9/16:2006/02/17(金) 09:48:54 ID:???

「そっか、マユは地球から来たんだね」
「うん。 こっちに住んでる叔父さんを頼ってね」
「…じゃあ似たもん同士だ。 僕も知人を頼ってプラントに来たんだ。二年前に」
「アゼルも地球生まれ?」
「ううん、デフリ海にある、廃棄コロニーで生まれたんだ」

彼、アゼル・ノーデンスと名乗った少年の家に向かう道中
私たちはお互いに気を許し、今までの経緯や雑談を交わしながら歩いていた。
てくてくと、住居立ち並ぶ坂道を登っていると、アゼルが前方を指差した。 自分の家はあそこだと言いながら。
……大きな屋敷だ。 この高級住宅街の中にあっても、かなり目立つほどに。
それに、見れば玄関先には制服で身を固めた男の人が二人立っている。
それがプラントにおいて、どんな役職の制服かは知らなかったけど…警備員かなと推測してみた。

「…友達って言えば通してもらえるかなぁ」

隣でアゼルが、困ったようにため息をつきながらぼやいてたけど

「行こう。 多分大丈夫」

と、言うなり私の手を掴んでスタスタと足早に向かっていった。

「ん? その娘はなんだ」
「来客です。 僕の友達なんです」

頭ごなしにじろりと、威圧するような視線を向けてきた怖い顔の門番さんに
アゼルは怯むことなく堂々と、私のことを説明している。
…ちょっと、分からなくなってきた。アゼルはこの屋敷の子っぽいのに、門番さんは随分と偉そうな態度してる。
事情を理解できなかった私は、とりあえず全てを彼に任せておいて、黙って立っていることにした。

「しかし…部外者を入れるわけにはだなぁ」
「いや、ちょっと待て。 お嬢ちゃん、その書類を見せてもらえるかな?」

渋る男の人の隣にいた、もう一人の門番さんが私のそばに近づいてきて、手を差し伸べてきた。
突然のことでまごまごしてしまったけど、私は言われるままにデュランダルさんから渡された封筒を手渡した。

「ああ、なんだ。 通っていいよ」

中の書類に目を通した門番さんは、私の顔を見ながらそう言ってくれた。
すんなりと下された許可に、私もアゼルも驚いて互いの顔を見合わせたけど
とりあえず、気が変わらないうちにと思いながら、足早に門をくぐって屋敷の中へ入っていった。
392舞踏9話 10/16:2006/02/17(金) 09:50:00 ID:???

とにかく頑丈そうで、とにかくおっきい木製の扉を押し開けて屋敷の中へと入る。
二階との吹き抜けになった広いエントランスに呆然と立ち尽くしながら、私は内装の豪華さに圧倒されていた。
アゼルは辺りをキョロキョロ見ながら歩き回り、口に手を当てながら大きな声を上げていた。

「どこですかー、エイジさーん」

アゼルが口にした言葉に、私は驚いて彼を見た。 彼の呼んだ名前、それは私の叔父の名前と同じ音だったから。
まさか、そんな偶然があるわけない…と自分の考えを疑っている間に
屋敷の奥から、はぁいと間延びした男性の声が返ってきた。
ぱたぱたと靴音響かせながら、やがて廊下の一角からひょろ長い体格の男の人が顔を出した。

「はいはい、どうしたんですかアゼル?」
「あ、エイジさん。 この辺りの地図を見せてください。
 この子、道が分からなくなって困ってたんです」

アゼルのそばに近づき会話する、品の良い白のワイシャツに黒のベストとスラックスを身に着けたその人は
多少の印象の違いはあれど、確かに幼い頃の記憶にある、私の叔父さんだった。

「それはそれは。 災難でしたねお嬢さ…」

穏やかな笑顔浮かべながら、こちらへ向き直った男の人は、私の顔を見て言葉を詰まらせた。
まるで夢幻から目覚めようとするかのように、ぱしぱしと何度も目を瞬かせていた彼は
やがて、満面に笑顔を浮かべながら私の身体を抱き締めた。

「マユ、よく来てくれた……本当に、よく生きていてくれた」

ああ、やっぱりエイジさんだった。 
肉親と再会した嬉しさのあまり。そして今まで張り詰めていた気が緩んだせいもあって
私は叔父さんの身体にぎゅうとしがみ付き、涙を零していた。
393舞踏9話 11/16:2006/02/17(金) 09:51:16 ID:???

どうやら後で話を聞いたところ、私が来るということは家の者全員が知っていたとのことで。
あの門番さんも、私の顔を見てピンと来て通してくれたようだった。
…ちなみに、アゼルはその事を知ってはいたのだけど、まさか私だとは思ってなかったらしい。

「……だって、顔写真も見せてもらってなかったし…。
 名前も、その、忘れてたんだ」

あとでその事をからかった時、彼はすねたようにうつむきながらブツブツと言い訳してた。
まぁ、アゼルは初対面の時から大ボケっぷりを披露してたというわけ。


彼とは、その日以来2年もの付き合いだった。 同じ家で養子として、兄妹同然に暮らしてきた。
……ううん、正確には違うかも。 私にとっては年差の優劣を感じさせない、双子のような存在だったかもしれない。
一つ屋根の下で、一緒に勉強をしたり家事仕事を手伝ったり、遊んだり。
そして、ザフトのアカデミーに入ったのも、一緒だった。
お互い目的は異なっていたけど、目標は二人ともMSパイロットで。
操縦マニュアルを見ながら頭を痛めたり、成績の芳しくない科目は遅くまで練習したり。 いつも二人で協力してきた。

今となっては、ルナ姉ちゃんやメイリン姉ちゃん、レイ兄ちゃんに…大勢の友達が出来て、苦楽を共にしているけど
気兼ねなく付き合える、相棒と呼べる存在はやはりアゼルだろう。
……もっとも、気兼ねなさ過ぎるのと、小動物のように無害な性格というのもあって
その天然ボケっぷりをけなしたり、面倒事を押し付けてしまうことをしょっちゅうしてしまうのだけど
けれど、いつも私を守るようそばにいて、見守っていてくれる彼は本当に大切な家族だった。


「……マユ?」

目の前の少年は、昔と変わらない仕草で、こてりと首を傾げている。
レイ兄ちゃんと同じように、あまり感情を顔に出さない男の子だというのに、
何故かアゼルの場合は、レイ兄ちゃんのようにクールとは言えず、ただぼんやりしているように見える。
私が内心で呟いた酷評に気付かない彼は、ただただ不思議そうにまばたきを繰り返すばかりで。
可笑しくて、なんだかさっきまで痛んだ心のトゲトゲが、若干短く丸くなったような気がした。

「なんでもないよ、アゼル。 さっ、行こ!」
「そうだね。 特訓特訓」

私が笑ったのを見て安心したのか、穏やかに目を細めながら彼も笑顔を浮かべ、
再びトレーニングルームへと向けて歩き出した私の後ろを、今度は手を引かれることなく自分からついてきてくれた。
394舞踏9話 12/16:2006/02/17(金) 09:52:30 ID:???

降下地点より、オーブ領海方面へと針路を進めていたミネルバ。
休息が明け、クルーが集まりはじめた艦橋内に、索敵官の一声が生じる。

「艦長、前方にオーブ所属の艦隊を確認。 数3」
「…艦長! オーブ艦隊より通信が入ってます。 メインモニターに回します」
「ええ、お願い。  …代表、オーブ艦隊からです」

続いて告げられたメイリンの報告を受け、タリアは頷き返し、背後の女性へと声をかける。
オブザーバーシートに座り、ノートブック型のモバイルとにらみ合っていた彼女、カガリは呼びかけに顔を上げた。
メインモニターに映し出されたのは、オーブ軍のものである白基調の軍服を着た壮年の男。
実直を絵に描いて額に飾ったかのような佇まいの男は、敬礼しつつ口を開く。

「オーブ軍、第二護衛艦隊所属、トダカ一佐であります」
「こちらはザフト軍所属ミネルバ艦長、タリア・グラディスです。
 我々の呼びかけに対しての、貴軍の迅速な対応に感謝します」
「いえ、先日の騒動において最前線で戦った貴艦を、我々地球の者が助けるのは当然のことです。
 なにより、あの混乱の中、我が国の代表カガリ様を無事に守り抜いてくださった」

トダカと名乗った軍人は、タリアの謝辞にそう応じると深く一礼した。
後方からその姿を眺めていたカガリが、朗々とした声を張り上げ、彼へと話しかける。

「ご苦労だったな、トダカ一佐」
「代表、ご無事なようでなによりです」
「随分と心配をかけてしまったな。
 着いて早々ですまんが、そちらの艦へ戻りたい。 迎えを寄こしてくれないか?」
「はっ。 すぐにお迎えにあがります」

…それらのやり取りのあと、今後の航程などについて艦長同士で打ち合わせを行う。
やがて通信を終えたタリアは、後ろで慌しくモバイルをしまっているカガリの方を見た。

「代表、お急ぎのようですが…いかがなされましたか?」

急ぎで艦を発つ様子の娘へと問うと、彼女は席を立ちながら答えた。

「向こうの通信設備を使って、本国や友好的な関係にある各国と連絡を取る必要が出てきた。
 今は少しでも早く、多くの情報が欲しい。 この事態、悠長に構えていては取り返しのつかない事になりそうだからな」

凛と引き締まった面差しを見せながら、カガリは語る。
それはまるで己自身を奮い立たせるかのように、力篭められた声で。
年頃の娘とは思えない気迫を纏う彼女を、タリアは驚きを覚えながら見入っていた。
395舞踏9話 13/16:2006/02/17(金) 09:54:40 ID:???

それからしばらくして、オーブ艦隊より飛び立った一機のヘリが今、ミネルバの甲板に降り立たんとしている。
プロペラの風立つその場にいるのは、ヘリに乗り込む予定のカガリとアスラン。
そして、見送りとして立ち会うのはタリアとアーサー、そしてMSパイロットたちだった。

ゆっくりと甲板に着陸したヘリのドアが開き、トダカを先頭に数人の軍人が降りてくる。
彼らの姿を認め、前へと進み出てきたカガリへと、軍人たちは敬礼をした。

「お迎えにあがりました、代表」
「ああ、ご苦労。 本国に着くまでの私とミネルバの護衛、よろしく頼んだぞ」

鷹揚に頷いた彼女は、彼らに笑みを向けながらねぎらいの言葉をかける。
そして、後ろに並ぶミネルバクルーたちへと振り向く。

「グラディス艦長、この度のことは本当に感謝している。
 色々ワガママを通してもらった詫びとして、貴艦の補給と休息を約束しよう」
「はい。 寛大な配慮に感謝します、代表」
「それでは、のちほどオーブ本国で会おう!」

艦長であるタリアへと手を伸べ、握手を交わした。
続いて、隣に控えるパイロットたちへと向き直ると、大気打つプロペラの音に負けぬように声を張り上げ呼びかけた。

「お前たちには本当に世話になった! オーブに着いたら、存分に羽を伸ばしてくれ!
 …それとマユ! 時間が作れたらまた話がしたいんだが、いいな?!」
「はい! でも、仕事サボっちゃだめですよ!!」
「ああ、分かってる!!」

マユのからかいの言葉に、苦笑いを浮かべながらカガリは叫び返す。
その時、彼女らのやり取りを耳にしたトダカが驚きの表情を浮かべた。
396舞踏9話 14/16:2006/02/17(金) 09:56:08 ID:???

「む…もしかして、マユ君か?!」
「あっ…トダカさん!」

不意に発された呼び声にそちらを見た少女は、声の主の姿を見て声を上げ、
久方ぶりの再会に今の状況を忘れ、喜びをあらわに男の元へと駆け寄っていった。
向こうも同じだったのか、軍人としての表情を崩し、笑顔で彼女の両肩に手を置いた。

「先月アカデミーを卒業したとは聞いていたが…まさかこんな所で会うとは。
 少し、背が伸びたようだな?」
「育ち盛りの割にはあんまり伸びてませんけどね。
 …それにしても、よかったぁ。 トダカさん元気そうで」

年相応の少女らしい、はにかみ笑みを浮かべながらマユはかつての恩人の顔を見上げた。
そんな二人の姿を、目を丸めて眺めていたカガリが口を開く。

「なんだ、知り合いだったのかトダカ」
「はい。 先の戦争の際に出会い、しばらくの間家で預かっていました」
「そうか…よかったな、会えて」

トダカの返答に、カガリは眩しそうに目を細めながら笑った。 彼らの再会を喜ぶように。
…ふと、大事なことに気付きトダカは表情を硬くし、姿勢を正してカガリへと向き直った。

「失礼いたしました代表。 お急ぎのところを申し訳ありません」
「はは、構わないさ。 そう気にするんじゃない。
 …とはいえ、それで聞くお前じゃないか。 船へ戻るぞ」
「はっ、了解しました」

敬礼をした男は、ヘリへ向けて歩き出した娘の後に続いていく。
離れ際ぽつりと、積もる話はオーブについてからしよう、とマユへの言葉を残して
彼らを乗せたヘリは、日の傾き始めた青空へと飛び立っていった。
397舞踏9話 15/16:2006/02/17(金) 09:57:56 ID:???

――所変わって、オーブからは随分と離れたとある国の、とある施設。
自然の光の一切射さない廊下を、一人の青年が歩きゆく。
飾り気一つ無い、鈍色の鉄で四方を囲まれた薄暗い廊下に、彼の纏う暗色の軍服はよく馴染む。
…やがて、一つの扉に辿り着いた彼は、扉の横に掛けられた機器の前で身元照会を行い、開かれた扉をくぐる。
そこで、秘書官と二、三言やりとりを交わした彼は、更に奥に続く大部屋に通された。

自動開閉のドアをくぐれば、まず視界に飛び込んでくるのは前方全てを占める大小様々、無数の画面。
左右の壁を見回しても、その画面を管理しているらしき機材やコンピューターに埋め尽くされている、実に殺風景な部屋。
…その中で、マホガニー製のアンティークな様式のデスクとソファーは、水と油の如く見事に馴染んでいなかった。

「ただいま戻りました、ジブリールさん」

青年がデスクに向かって声を投げかけると、今まで背もたれ側を向いていた椅子はくるりと半回転し
そこに座る銀髪の男が、来訪した青年を迎えた。

「長旅ご苦労だったな、ケイ」
「なかなか有意義な時間を過ごせました。 それなりの成果も出せましたし」

ベージュ色のマオカラースーツを纏う、三十代前半と思われる男性は、ケイ・サマエルへとねぎらいの言葉をかけた。
彼の言葉に応じる、ケイの声に反応したのか。 男の膝の上で丸まってくつろいでいた黒猫が、不意に目を開ける。
そして、するりと音無く床に降り立ち、ケイのそばへと近づいてその足元に纏わり付いてきた。
ごろごろとご機嫌そうに喉を鳴らしながら、身をすり寄せてくる毛足の長い猫を抱き上げて、ケイは笑う。

「やあ、ご無沙汰。 元気だった?」

腕の中でくつろぐ猫を撫で回しながら無邪気に話しかける彼を、飼い主である男はムッとした顔で見やっていた。

「……随分と懐いてしまったようだな。
 君が来るたびに、その子は私を放ってそちらへ行ってしまう」
「はは、なんででしょうね。 なんだか僕のことを、気に入ってくれたみたいで」

飼い猫を奪われた男の不機嫌さを露わにした言葉に、ケイは曖昧に苦笑していた。
それを見ながら、まあいい、と呟いた男はデスクから立ち、脇に置かれたソファーへと移動した。
ソファーに座った彼が、無言の視線で促してくるままにケイも向かい側に座ることにする。…猫は膝の上に置いて。
398舞踏9話 16/16:2006/02/17(金) 09:59:06 ID:???

「それで……セレネの件、いかがなものでしたか?」
「ああ、完璧だよ。 見事なまでに無駄のない、そして人心に訴える素晴らしい演出だった。
 君が選んだ撮影班も良い仕事をしてくれたよ。 見たまえ。なんとも恐ろしく、誰もが息飲む卑劣な光景だ」

ケイの問いかけにその男、ロード・ジブリールは満足げに喉鳴らしつつ笑み零すと
手にしていたコンソールを操作し、壁面のモニター群の中でも特に大きい画面の映像を操作した。

――そこに映し出されたのは、MSによって攻撃され、次々と破壊されていく艦船の群。
今、マスコミの間でも『セレネの悪夢』と銘打たれて繰り返し報道されている悲劇の映像の
更に上を行くほど克明で、より凄惨な光景が大画面に映し出されていた。

「間もなくこれも各地のメディアに提供される。 無粋なシーンを省いてね。
 …ふっ、くくくっ……これを見てからの大衆の反応が楽しみだよ」
「これで世界中の世論も一つにまとめられる、ってワケですね?
 それで…ご老人方はいつお集まりになるんで?」
「6時間後だ。 それまでに、まずは我々だけで祝杯をあげようじゃないか」

事が全て上手くいったという喜びから、すっかり上機嫌になっているジブリールはそう言いながら
隣室に控える秘書へと飲み物の準備をするようにと指示をした。


――やがて、血のように深い赤の注がれたグラスが彼らの手の中に用意される。

「…まずは、作戦の第一段階の成功を祝して」
「これに続く、僕たちの計画の成就を願って」
「「乾杯」」

彼らの声に続いて、グラスが打ち合わされる涼やかな音が、室内に響いた。
399あとがき:2006/02/17(金) 10:01:23 ID:???

ぬこ様はいいですね

難産でしたがなんとかマユ過去編後半を書き上げました舞踏の人です(ふらふら

アニメ本編でもありました訓練規定の場面を、ちょこちょこ手を入れながら書いてみました。
その、あまりにルナがへっぽこで情けなかったのでw そしてお姉さんぶり炸裂です。

今回は当方オリジナルのアゼルについての描写も少々入れました。
年上ばかりのマユちゃんですので、同じ年頃の友達がいてもいいじゃないのかな、ってのが彼を作った経緯です。
まだまだ語り切れてない部分が多いですが、そこはメインキャラの活躍を邪魔しない程度に
折を見て少しずつ語っていきたいところです……。
マユの過去についてもまだ空白部分が多いので、これも折を見て書きます。
閑話としてワンシーンのみの短いものも書くかもしれません。


次回はシンを中心とした話になります
アニメの中の設定であったにも関わらず、ちっとも語られなかった
ブルーコスモスに所属するコーディネイターについても語りたいと思います
400通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 10:47:46 ID:???
舞踏乙です。
少し上の方でオリキャラ云々で少々もめたみたいですが、まぁ見たくなきゃ見なきゃいいわけで。
ぬこ可愛いよぬこ。
401通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 10:51:42 ID:???
>>399
いやいや、しっかりと作られたオリキャラなら大歓迎ですぞ。
こっちも未知の小説を読んでいる気分になれますし。
GJ!です
これからも楽しみにさせていただきます。

後、ほのぼのさん、気にしないで、書きたいものを書いてください
自分は応援しております。
402舞踏の人:2006/02/17(金) 11:02:23 ID:???
ご感想どうもです、そして今気付いた…10話なのに9話って打ってるorz
纏め人さん、毎度毎度ミス多くてすみません…
オリキャラがメイン張る時は読まなくても本編に差しさわりの無い
閑話という形で書いていこうかなぁっと思ったりもしてます
403通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 12:23:59 ID:???
舞踏さんGJ!
オリキャラっていってもマユ自体がオリキャラみたいな
ものだと思うんでそれほど気にすることじゃないかと
404通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 12:35:36 ID:???
舞踏の人乙です。
自分もSS書いてるから、その苦労と苦悩は良く分かります。
とりあえず自分の場合……

・話の都合上、必要なキャラなのに本編に該当者がいない→オリキャラ作成へ
 (本編キャラを膨らませて補えるところは、できるだけそうした方が無難かと)
・本編キャラと違って説明が省略できない(共有するイメージがない)から、そこは意識して要説明。
 そのため、あまり凝った設定は避けた方が無難。端役に延々説明割くのはバランスが悪い
・オリキャラ同士だけで話を進めることは避ける。(本編キャラ置いてきぼりではダメ)
・MarySueにならないように強く自戒する。特にオリキャラの恋愛・活躍については要注意

……この辺がオリキャラの作成・運用における重要なポイントかと思ってます。
殺すための味方(いわゆるシュラク隊)とか、敵の中ボスとか、大人なキャラとか。種死には欲しいのに欠けてるピースが沢山あります。
またオリジナルのミネルバ隊は、シンと絡めるために設計されたキャラ(にしては少し設計失敗かと思うが)だから、確かにマユを持ってくると不足もあるかと思います。
特に『メアリ・スー』にだけは要注意。現時点では全然大丈夫かと思いますが。知らないならググって調べておくことをオススメします
405通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 16:46:14 ID:???
>>403
マユは顔も声も回想シーンもついた立派な原作キャラです

>>404
疑問が氷解した。
オリキャラだけが所狭しと暴れ回っていたら、それはもう死種ではない
406通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 17:01:58 ID:???
種&種死にはアニメ史上最強のメアリ・スーたるキラ&アスランが居るしな・・・
407通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 19:08:31 ID:???
メアリ・スーについてググってみた…なるほど、創作や二次創作作品を読む上で漠然と感じてた不満が理解できた。便利な言葉だ!

そして、検索で上位に反映されたメアリ・スー関連のスレを見たら…

http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/2chbook/1124053470/

すぐにキラとラクスが指摘されていてワロタ
すみません、鼠ーランドネタがどうも思いつかなくなってきました・・。
あと小話を何話か入れたいんですけどそれがちょっと思いつかない・・・・なので。

『ゲンとシンハロを一緒に閉じ込めてみた。』

いってみよー。





目を覚ますと、そこは何処かの部屋だった。テーブルに、置手紙一つ。

【お兄ちゃんとシンハロへ、あまりに二人の仲が悪いので強硬手段にでます。その密室で二人で生活してください。
食料とかはちゃんと補充補充♪します。その他の買い物は友達とかに頼んでください。メールは出来ます。それでは。】

二人はちょっとしたマンションくらいの大きさの部屋でその手紙をみて、絶望した。
「何で俺がお前と生活しなきゃなんだよ!!」
『こっちだって願い下げだ!!こんくらいの壁!!』
シンハロが壁を思いっきり殴る・・・・が、壁は砕けない。

キック、パンチ、スラッシュ、大スラッシュ、グリ○ーイズゴールド、ミス○ファイナー、「それ○俺の名だ。」。

『くそっ!!こんなに攻撃してもひび一つ入らない?!』
「やっぱり若本なんだな。ロボカ○じゃないのか。」
体内温度が上がってきたのか激しく呼吸を繰り返すシンハロに突っ込むシン。
『うるさい!俺だって・・・俺が若本だったらお前俺の部下だろ!!言う事聞かないと腰細にするぞぉっ!!NO.9!!』
「だまってろーい!穴子!!」
ぎゃーぎゃー二人が口論していると・・・・。

ズガーーッンっと、金ダライが落ちてきた。

沈黙する事三十秒。
『・・・・・っ、喧嘩すると落ちてくるのか・・・・。』
「やめよう・・・無益な争いは・・。」
頭を抱えながら二人は言った。
「・・・・・・・・。」
シンはひたすらTVでワイドショーを見ている、今は物がなくそれ以外することがない。
後ろでは机でシンハロがパソコンをいじっている。
「・・・・・腹減った。」
思わずぽつりと呟く。できるだけシンハロに聞こえないように。
『なんだ、腹減ったのか?』
「!!!!!聞こえたのか?!」
小さな声で言ったのに聞かれたことに驚くシン。
『あのなぁ、俺はロボットだからきこえるっつの。ちょっと待ってろ。何か作ってやるから。』
そう言うなりシンハロは台所へと歩いていった。
「・・・・・・・あいつ、料理なんて出来るのか?」
自分の昔の家庭科の成績を思い出してシンは身震いした。

ーーーーーーーーーーー一時間後。
『ワリ、ちょっと遅くなったわ。ほら、冷めないうちに食えよ。』
そう言ってシンの目の前に出されたのは白いご飯にさばの味噌煮、大根とねぎの味噌汁におしんこと言う和食だった。
何か入ってそうな気がしたが、腹が減っては戦はできぬ。その匂いに負けてシンは箸をつけた。
「・・・・・・・うまい・・・・。」
思わず素直な感想を口に出す。ふっくらと美味しく炊き上がったご飯にほどよいしょっぱさのおしんこ。
さらに鯖と味付けが似ないように工夫された味噌汁、それは単純に美味しかった。
『やっぱ兄弟だなー。マユが前わがまま言って食べたいって言ったもの作ってみたんだ。』
なるほど、自分は記憶を失っていたからともかくマユにはふるさとの味が懐かしかったに違いない。
味噌汁をすすりながらシンは思った。
『あ、デザートに桜餅があったんだけど食べるか?』
「・・・・・食べる。」
なんとなく餌付けされてるような感覚がしつつも、シンは素直に答えた。
410通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 20:31:10 ID:???
ほのぼのさん、あんた最高だw タイトルはトリビア風に読めばよいのか?
何かと大変かもしれないけど、あんたの道貫いてくれ!
411通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 21:59:57 ID:???
もうあれだ、シンハロはマユとゲンのお兄ちゃんになってしまえばいいと思う。

ほのぼのさんGJ! やっぱほのぼの楽しいw
412通常の名無しさんの3倍:2006/02/17(金) 22:39:27 ID:???
ほのぼのさん乙!
やっぱしあなたはこのスレに必須な職人だわ。
413通常の名無しさんの3倍:2006/02/18(土) 00:31:15 ID:???
禿ワラタ
シン…殆ど弟だな…(´∀`)

ほのぼのは「マユ種公式同人誌」とかなわけだから、ある程度賛否両論出るのは仕方ないな。
これからも宜しくお願いしますと。
414通常の名無しさんの3倍:2006/02/18(土) 18:33:47 ID:???
シンハロがどうやって味見しているのか気になるこの頃
415通常の名無しさんの3倍:2006/02/18(土) 21:31:20 ID:???
むしろシンハロならキッチン行かずとも調理機能内蔵してそうな気がする
416通常の名無しさんの3倍:2006/02/18(土) 22:31:30 ID:???
保守age
417通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 09:34:01 ID:???
保守

実生活上の多忙と体調不良が重なり間が開いてしまいました、隻腕です。
いや、他作者様の作品をROMったり、ちょっとした小ネタやる余裕はあったのですが(マテ
お待たせしました、25話投下です。


ザフトの総力を挙げた作戦・ヘブンズベース攻略戦は、失敗に終りました。
偽ラクスの存在も暴露され、ザフトは戦力的にも心理的にも大打撃……。
そんな中、ミネルバは宇宙に上がるため、わざわざオーストラリアのカーペンタリア基地に向かうのですが……

419隻腕25話(01/18):2006/02/19(日) 11:26:25 ID:???
「おー、凄いですな〜、エアーズロック。撮影でもしておきますか?」
「……呑気なものね、アーサー」
「はい?」

ブリッジの外、左舷方向には、地上最大とも言われる巨大な一枚岩の姿。
しかしそんな圧倒的な光景にも、ミネルバのブリッジは無感動なままで。
たった1人歓声を上げていた副艦長は、艦長に呆れられてもなお、そんな空気が読めてないようだった。

『ラクス・クライン』影武者の曝露。ブルーコスモス盟主の曝露。『もう1人のラクス』の登場。
再度のデストロイの登場に、ニーベルングによる降下部隊の撃滅。そして、ヘブンズベース攻略戦の失敗――

その衝撃的なニュースは、カーペンタリアを目指すミネルバにも届いていた。
速報が入ってから既に丸一日以上経ってはいたが、なおブリッジの空気は暗いままだ。
南氷洋を経由し、オーストラリア南岸から上陸したミネルバは、静かに大地を北上していく。

「……アスラン、貴方、あの『ラクス』のこと知ってた?」
「ええ、私の役割上、最初から……。ただ、喋る訳にもいかなかったもので……すいません」
「……ふぅ。ギルも本当に人が悪いわ。ま、知らされていたところで、どうなったものでもないけれど――」

ミネルバのブリッジで、タリアは嘆息する。アーサーを無視し、アスラン相手に愚痴り続ける。
一方のアスランは、問われるままに生返事をしていたものの、彼もまた混乱しており、まるで上の空だ。

彼には――アスランには、本物のラクスの意図がまるで読めない。何が目的で、何をしようとしているのか。
ジブリールの放送に介入するなど、生半可な準備ではできるはずもないのに。
そこまでして、何を? 今まで沈黙を続けてきたのに、何故このタイミングで動き出す?
付き合いの長いアスランにも、まるで訳が分からない。

……いや、アスランには過去の長い付き合いを通しても、ラクスの考えが読めたためしはない。
思考は飛躍しがちで、理解不能で、不可解で、でもどうやら悪気はないらしくて。
生真面目な彼にとって、彼女はとことん「分からない」存在だった。分からないながらも、憎めない存在だった。
ある時など、お茶の席で秘密めかして「未来が分かる」ようなことを打ち明けられたこともあったが――
アスランは、それを冗談だと受け取った。笑いどころの良く分からないジョークだと思って、流してしまった。

――アスランは、知らない。
彼が、何の気もなしに笑い飛ばしたその瞬間――ラクス・クラインがアスラン・ザラを「諦めてしまった」ことを。
常識に囚われ、まともに聞こうともしない彼の態度に、彼女が寂しげな笑みと共に溜息をついたことを。
以来、ラクスは真の自分を理解してもらう努力を一切放棄して――
アスランは、そんなラクスの変化に一切気付くこともなく――
2人はいつまでもどこまでも、丁寧ではあるが、少し距離のある関係を維持し続けて――
とうとう今に至るまで、アスランはラクスを理解していない。ラクスはアスランに期待していない。
互いに、大事な存在だとは思ってはいるのだが。

「……まぁ、それでもラクスは大丈夫だろう。彼女はあれで結構タフだし、傍にはキラも居るはずだ。
 むしろ心配なのは、ミーアの方か……」

アスランは口の中で呟く。
彼女が襲われ、殺されかけたことを知らぬアスランは、ラクスについては楽観的に見ていた。
それよりも心配なのは……こんな形で正体を暴露され、糾弾されてしまった「替え玉」の方だ。
420隻腕25話(02/18):2006/02/19(日) 11:27:25 ID:???

果たしてこれから、ミーアはどうなるのか。議長はどうするつもりなのか。
ミーアは、本物のラクスのようにタフではない。キラのように支えてくれる者も、身近には居ないはずだ。
アスランには、心配でならない。

一方、おざなりな返事を返されたタリアの方も、心はここにない。
ようやく理解したギルバート・デュランダルの真意。
しかし、彼がそれを実現するためには、様々な困難が待っているはずだ。
おそらくあの「偽ラクス」の起用も、そのための方策の1つだったのだろうが……

ブリッジに、沈黙が降りる。ミネルバは、乾いたオーストラリアの大地を淡々と進んでいく。

と――静かに作業を続けていたブリッジに、小さな電子音が鳴る。
画面を覗き込んだブリッジクルーが、タリアの方を見上げる。

「カーペンタリア基地、通信可能域に入りました」
「そう。じゃ、こちらの到着予定時間と、基地司令への挨拶の言葉、送っておいて」
「分かりました。……え? これは!?」

新顔のオペレーター、アビー・ウィンザーは、タリアの言葉に従おうとして……急に驚きの声を上げる。

「どうしたの?」
「いえ、何やらカーペンタリアから通信が……今モニターに出します!」
『ミネルバか? 今こっちはそれどころじゃ……ああ待て待て、むしろ急いで来てくれ!』
「何があったのです!?」

画面に映ったのは、明らかに混乱している基地の管制室の様子。
慌しく人々が行き交い、罵声が飛び交っている。

『連合軍の艦隊が迫っているんだ! カーペンタリア湾の中にまで!』
「なんですって!?」
『もうすぐ攻撃が始まる! 長旅で疲れているところ悪いが、防衛戦への協力を要請したい!』

画面が切り替わり、敵艦隊の位置や数が送られてくる。大小取り混ぜ、その艦艇の数、およそ30余り。
その情報に、アスランもタリアも驚きを隠せない。
ザフトの庭先とも呼べるカーペンタリア湾、そこに既にこれだけの軍勢が?
こんな距離まで押し寄られる前に、察知し、体勢を整え、迎撃できるはずなのだが――

「それは構いませんが、しかし一体、どこからそんな艦隊が――」
『オーブだ! あの国に、こっそり少しずつ部隊を集結させていたんだ! 完全にしてやられた!』


              マユ ――隻腕の少女――

            第二十五話 『 運命の道化師 』

421隻腕25話(03/18):2006/02/19(日) 11:28:44 ID:???

オーストラリア北岸・カーペンタリア湾に臨む一大拠点、カーペンタリア基地。
この基地の歴史は、そのままザフトの地上作戦の歴史と重なり合う。

前の戦争の初期、ニュートロンジャマーの大量投下作戦、『オペレーション・ウロボロス』。
――その混乱に乗じ、カーペンタリア基地は一瞬のうちに地上に「出現」した。
軌道上から基地施設を分割降下させ、同時に降下したMSの手で組み立てるという驚くべき作戦。
わずか48時間で基地の基礎は出来上がり、慌てて妨害を試みた連合軍艦隊は、混乱のままに大敗している。

以来長らく、この基地はザフトの地上における要、橋頭堡としての役割を果たし続けてきた。
地上におけるザフトの中心、と言っていい。

周囲にも目を向ければ、この地がザフトの支配下にあり続けた理由が分かるだろう。
まず、オーストラリア亜大陸は、親プラント国家の筆頭である大洋州連合の土地である。
彼らは基地の土地を提供したのみならず、軍事的にもザフトと連携。
前の大戦末期にも、連合はカーペンタリア攻略を狙う大作戦を展開したが、大洋州連合との協力で撃退。
とうとう休戦まで持ちこたえてしまった。

さらに周囲を見渡すと、オーストラリアの周囲には細かい島々が散らばっている。
大洋州連合の他の島々、赤道連合、そしてオーブ。いずれも中立、あるいはザフト寄り、あるいは内乱状態。
連合の体勢が磐石な土地は、ほとんどない。連合寄りの大規模基地もない。
カーペンタリアに攻勢をかけるには、東アジア、あるいはアメリカ大陸から延々艦隊を派遣せねばならない。
この地は、極めて安全な拠点だったのだ。

だが――実は既に、その「安全」は崩れていた。
オーストラリアの北東に浮かぶ群島、オーブ首長連合国。小国ながら、技術大国であり経済大国でもある島国。
オーブは先のユニウスセブン落下事件の後、地球連合との同盟を、半ば強引に結ばされた。
カーペンタリアと目と鼻の先に、連合寄りの立場を掲げた国が出現したのだ。

それでも――その時点のザフトでは、そのことを脅威に感じた者は少なかった。
なぜなら、オーブの少なからぬ者がこの同盟を快く思っていない、ということが分かっていたからだ。
表向きは伏せられていた、「艦隊派遣の他は一切協力しない」という協定も、プラントには筒抜けだった。
あの派遣艦隊を除けば、オーブ本国は相変わらず中立国も同然、と見られていたのだ。
そうであるならば、この国をあえて本格的に敵に回す必要はない。あえて虎の尾を踏む必要はない。


だが……派遣艦隊が壊滅し、カガリが倒れ、MIAと認定され姿を消した後。フリーダムが倒された後。
オーブは、急速に連合に近づいた。ウナト・エマ・セイランの専横体制、それを止められる者もなく。
ザフト側が気付くよりも早く、オーブ軍の基地は連合軍の臨時前線基地として作り変えられ、部隊が集結し……

奇しくも、ザフトが地上での勝負をかけるべく、ヘブンズベース攻撃を決定したのとほぼ同時期に。
連合側も地上での決着をつけるべく、ここカーペンタリアの急襲を決定したのだ。

そして、元より数で劣るザフト側は、その戦力の多くをヘブンズベースの方に回していて……!
422隻腕25話(04/18):2006/02/19(日) 11:30:01 ID:???

カーペンタリア湾を、連合軍の艦隊が進む。
「湾」とは言うが、しかしカーペンタリア湾は巨大な湾だ。その対岸は見えず、西には水平線が広がる。
北に向かって大きく開いたコの字型の湾、その東岸に沿って、艦隊は南下する。

対するザフト側も、慌てて艦隊を発進させ、迎え撃たんとする。
カーペンタリア基地は、海上に浮かぶ空港を中心に作られている。
ここに流れ弾が着弾するだけで、基地の機能は著しく低下してしまう。なるべく遠くに防衛線を張る必要があった。
概してザフト系の基地は、連合系基地に比べて空港等の使い勝手が良い反面、防御をさほど重視していない。

「しかし……守りきれるのか……?」

次々と港を出発する艦を、そして羽を広げて飛び立つ航空MSを見ながら、基地司令は脂汗を滲ませる。
救援要請は各地に出したが、しかし応援は間に合うまい。少なくともこの第一波は、自力で凌がねばならない。
しかし――

「グフは全てジブラルタルに回してしまったし、ノクティルーカウィザードも、水中用MSも……!
 手持ちの部隊で……支えきれるのかッ!?」

そう、ヘブンズベース攻撃のため、カーペンタリアにあった強力な部隊は、大方出払っていたのだ。
最新鋭航空MSグフイグナイテッド。海上の戦いで便利なノクティルーカザク。そして水陸両用機。
これらはほとんど姿を消しており、代わりにあるのは、旧式のディンやゲイツR……。
あとは、かろうじてバビが十数機いる程度。出し惜しみする余裕もなく、全て飛び出していく。

と――基地司令は、管制室のモニターに、連合側艦隊の動きを見る。
どうやらこちらの迎撃の動きを見て、向こうもMSを出撃させたようだった。
その様子を見た司令の顔が、さらに青ざめる。

「……い、一体……何機いるのだッ!?」

連合艦隊から飛び立ったのは――いずれも、航空用のジェットストライカーをつけたMSたち。
全て、最新鋭の量産機、ウィンダム。ヘブンズベースでグフと互角の戦いを繰り広げたという強敵。
それが――比喩でも何でもなく、空を埋め尽くさんばかりの勢いで、次々と飛び立つ。
数十機……いやひょっとすると百機以上も居るだろうか? あまりにバカらしくて、いちいち数える気さえ萎える。
さらに海面には、生半可な艦艇よりも巨大なMAユークリッドの姿も、10機ほども……!


地球連合の一番の強みは、その国力。
ヘブンズベース防衛とカーペンタリア攻略、その両面作戦を可能にするだけの、基礎体力。
その数の暴力を存分に活かし、彼らは攻撃を開始した。
北から迫る連合軍、南から迎え撃つザフト。双方のMSが、基地の沖合いで衝突する。
423隻腕25話(05/18):2006/02/19(日) 11:31:04 ID:???

『……どうも情勢は思わしくないわ。とんでもない数のウィンダムと、ユークリッドが出てきているそうよ。
 防衛隊は、押されているみたい。レイも、気をつけなさい』
「はい。ミネルバもお気をつけ下さい。私も注意しますが、艦の防衛まで手が回らないかもしれません」

ミネルバのパイロット控え室。
パイロットスーツに身を包んだレイが、モニタの向こう、ブリッジのタリアに厳しい表情を見せる。
ミネルバは山を越え砂漠を越え、ようやくカーペンタリア湾が見える位置。水平線上に戦闘の光が見える。

と――そんな控え室の戸が開き、入ってくる者があった。
専用パイロットスーツにフェイスの徽章も目に眩しい、アスラン・ザラだ。
彼はつかつかと通信用モニターに近づき、真剣な表情でタリアに訴える。

「艦長、私も出ます。出撃の許可を」
『アスラン!? で、でも貴方はまだ傷が……』
「もう大丈夫です。何より、この状況でジャスティスを遊ばせておくわけには行きません」
『…………』
「艦長!」

判断に悩むタリア、強い口調で返答を迫るアスラン。
しばし考え込んだ末に、タリアは渋々決断を下す。

『……いいでしょう。あなたがそう言うのなら。
 ただし、決して無理はしないこと。少しでも無理してるようなら、帰艦を指示します。
 その時はちゃんと従って。いいわね?』
「ありがとうございます。では」

アスランは敬礼すると、通信画面を切る。そして大きく溜息。
そんな彼に、レイが声をかける。

「……本当にいいんですか、アスラン」
「まだ100%とはいかないけどな。でも、やるしかないだろう?」
「オーブが絡んでるから、ですか?」

射るような視線のレイ。アスランはそれを真正面から受け止め……しばし考える。

「そうだな……そういう部分もあるかもしれない。
 だが俺は、冷静だよ。……少なくとも、冷静なつもりだ」
「なら、いいでしょう」

何が良いのか問いただすヒマも与えず、レイは身を翻す。
出撃準備がすっかり整った自分の新たなる愛機、レジェンドへと向かう。
彼の小さな呟きは、同じく愛機∞ジャスティスに向かうアスランには、届くことはなかった。

「思ったより落ち着いている。これならしばらくは、大丈夫か……」
424隻腕25話(06/18):2006/02/19(日) 11:32:03 ID:???
太陽が西の空に傾きつつある、カーペンタリア湾。
雲ひとつない空は、しかし立て続けに起こる爆煙に、僅かに煙っていた。

「じょ、冗談じゃねぇ……!」

バビのパイロットの1人が、恐怖の声を挙げる。怯えながらも、ミサイルを乱射する。
蝗の群れのように押し寄せるウィンダムの大群、もはや狙わずともどれかに当たる。
当たるのだが……しかし向こうは慌てて避けたりせず、しっかりと盾で防御して。
何機かがバランスを崩しフラフラと落ちるのが見えたが、しかし大多数はお返しとばかりにライフルを構える。
撃ち放った無数のミサイル、それに数倍するビームの雨が、バビ目掛けて降り注ぐ。
バビも必死に避けるが、避けきれるものではない。とうとう翼と両腕に被弾し、海面に向けて落ちてゆく。

「このままじゃ……! 誰かいないのかッ! フリーダムを倒したインパルスのような、ヒーローはッ!」

なんとか海面に軟着水できた彼だが、もはや戦闘力はない。頭上を飛んで行く敵の大群を、絶望的な目で見上げる。

と――その時だった。
急に、ウィンダムの編隊が乱れたと思ったその途端――目も眩むほどの閃光が、空を駆け抜ける。
逃げ遅れたウィンダムが何機もその光に飲み込まれ、爆発する。
この光、そしてこの破壊力。間違いない。最強クラスの威力を持つビーム兵器、陽電子砲の一撃――!

「あれは……ミネルバ! 勝利の女神が来てくれたのかッ!」

赤みがかかり始めた空の下、南から飛んでくるのは、そう、タンホイザーを展開したミネルバの姿。
さらにその左右のカタパルトから、2機の見慣れぬMSが飛び出してくる。
彼らはウィンダムの群れの中に飛び込んで――そして彼は、そこに待ち望んでいたヒーローの姿を見た。


「ウィンダムか。手強い機体だが、ネオ程のパイロットはそうそう居ないはずだ。やれますね、アスラン?」
「数が多い。俺が突っ込む。レイは……」
「大丈夫です。フォローは任せて下さい」

一瞬で作戦を決めると、アスランとレイは雲のように広がるウィンダムの隊列に突っ込んで行く。
∞ジャスティスのリフター、ファトゥム01が背中から分離して、翼を広げ機首を伸ばし――
その翼と機首に、ビームの刃が展開される。MS本体は、リフターの下側にぶら下がるような格好でとりついて。
そのまま、リフターごと体当たりするように切りかかる。赤い疾風が駆け抜ける。
あまりのスピードと迫力に、盾を構える間もなく次々と切り裂かれるウィンダム部隊。
なんとか盾でリフターの刃を受け止めた1機も、その衝撃に大きく体勢を崩して。
追い討ちのように放たれた、ビームの刃の張られたMS本体の蹴りを、避けきれない。綺麗に真っ二つにされる。

隊列の乱れたウィンダム隊は、それでもこの自殺志願まがいの突撃兵を仕留めんと、ライフルを構える。
だが彼らが引き金を引くよりも早く、彼らの側面からビームの嵐が襲い掛かる。正確無比な十数本のビーム。
レイの駆るレジェンド、その背中の円盤から突き出した6本の突起が前を向き、それぞれビームを放っていたのだ。
本来は射出してドラグーンとして使用するユニットなのだが、このように本体の固定武装として使うこともできる。
単体のMSとしては非常識なまでの大量同時射撃に、ウィンダムは次々に撃ち抜かれ、爆発する。

多勢に無勢であるにも関わらず、鬼神の如き奮戦を見せる2機のMS。無為に損害を増やすウィンダム隊。
その姿に、連合軍艦隊の側も、作戦の変更を考え始めていた――
425隻腕25話(07/18):2006/02/19(日) 11:33:04 ID:???
『……で、俺らの出番ってわけかァ? 情けねぇなァ、一般人って奴ァよ!』
『もー、ガルってばそういうこと言わない! 感じ悪いよッ☆』
『あーあ、可哀想だな、ザフトの連中。俺達を引っ張り出さなきゃ、もっと楽に死ねたのに』
『どっちにしたって、あいつらはあたしらの敵なんだ。全部やっつけるまでさ』

通信越しに会話を交わすのは、4人の若い男女。4人とも、肩当のついた独特のパイロットスーツを着ていて。
銀髪の青年あり、明るい少女あり、目つきの悪い小柄な青年あり、姐御肌の浅黒い少女あり。
そう……彼らはかつて、ロドニアのラボにいた4人である。それぞれに思い思いの感想を口にする。
そんな彼らの会話に、割り込む通信が1つ。

『おしゃべりはそこまでです、エクステンデッド04、05、06、07。新しい指令は理解しましたね』
『うーい。ダーボ・ダルチェ、了解だよ』
『いちいち確認すんな。視線恐怖症の臆病モンに言われなくても分かってるよ』
『だーかーらー、ロッティさんにそーゆーこと言わない方がいいと思うよー?』
『放っておきな、レイア。コイツはそういう口の利き方しかできないんだ』

防菌服に身を包んだ担当の女研究者は、相変わらず話を聞こうとしない彼らの様子に、溜息をついて。

『全くおかしな人たちですね。こんな風でも戦闘になれば急にしっかりするのですから。
 もう、さっさと出撃して、さっさと終らせてきてください――!』


「……ん? 何かあったのか?」

その異変を最初に察知したのは、敵の大群の真ん中で奮戦していたアスランだった。
左手の盾、そこに仕込まれたアンカーで補足した敵機を、右手のサーベルでぶった斬ってから、気付く。
次の犠牲者を探すが、手の届くところにはもう居ない。いつの間にか、足並みを揃えて後退していく。

「……敵が引く?」
「ウィンダムだけではないな。海上のユークリッドもだ」

低空にホバリングして並びながら、アスランとレイは目の前の光景に首を捻る。
文字通り潮が引くように、あれだけ大量に押し寄せてきていたウィンダム隊が下がっていく。
後には∞ジャスティスやレジェンド、そして何とか頑張っていた基地防衛隊のMSだけが取り残されて。
しかし――撤退、というには少しおかしい。敵の母艦そのものは、全く引こうとはしていない。

と――連合の艦隊、その中でも一際大きな1隻の空母に、動きが起こる。
空母の中心、大きなドーム状のハッチが開く。通常のMSにはいささか大きすぎる、巨大なハッチ。
そして、その中からせり上がり、姿を現したのは――

「で……デストロイ!? ヘブンズベースの他に、こっちにももう1機、用意していたのか?!」
「いや……どうやら、それどころの話ではなさそうですよ……!」

戦慄を隠せぬアスランの呟きに、レイが絶望的な声で応える。常に冷静な彼には珍しい、震える声。
見れば、目の前の空母の後方、同型の空母3隻の中からも、同じように黒い巨体がせり上がってきていて――!

そう、ウィンダムとユークリッドが引いたのは、これから起こるであろう圧倒的な破壊の巻き添えを避けるため。
かなり傾き赤みを帯びてきた太陽に照らされて、4機の巨大な怪物が海面に滑り出してゆく――!
426隻腕25話(08/18):2006/02/19(日) 11:34:10 ID:???

――日がだいぶ傾いた、海の上。
1隻の船が、静かに波の上を進んでいた。スケイルモーター技術を応用した、最新鋭の高速輸送艇である。
護衛の戦艦など一切つけず、しかしそれだけに相当なスピードで海を渡っていく。

そんな船の揺れる舳先に、1人の青年が立っていた。
口元に浮かぶのは、不敵な笑み。赤い服の裾が、黒い髪が、潮風に揺れる。

「……なんだか楽しそうだね」
「分かるか?」
「何が楽しいのかまでは、分からないけどね」

背後から声をかけたのは、小柄な少女。いやあるいは、その体格に見合う程の年なのだろうか?
緑の軍服。男物のズボン。ぶっきらぼうな口調。髪は後ろに高く纏め上げられ、見るからに動き易そうだ。

「匂いが、するんだ」
「におい?」
「戦場の匂いだ。俺の大好きな匂いだ。
 オイルのにおい。硝煙のにおい。焼ける鉄のにおい。
 血と、失禁と、ブチ撒けられたはらわたの臭いが入り混じった――そんな匂いだ」

青年は歌うように呟く。陶酔した口調で呟く。
こんな距離で、嗅覚で察知できるはずがない。Nジャマーの影響下とはいえ、レーダーもまだ利かぬ距離なのだ。
けれど、青年は確信を込めて言い切って。
夕陽に染まる甲板の上、太陽よりなお赤いその瞳で、虚空を見つめる。

「そろそろ準備をしておこうか。楽しい楽しい地獄が、俺たちを待っている――!」 


ウィンダム隊が引き、急にがらんとなった海上で。
夕陽の中、恐ろしいまでのビームの嵐が吹き荒れる。
翼を広げたディンが、グゥルに乗ったゲイツRが、海面から顔を出したグーンが、次々に撃ち抜かれる。
そんな中――空中で奮戦するMSが、2機。

「くッ……! あの腕、予想以上に厄介だッ……!」

海上に浮かぶデストロイに、果敢に接近をかける∞ジャスティス。
しかし、その進路を遮るように、左右から攻撃が浴びせ掛けられる。宙を舞う2本の腕だ。
咄嗟に突進を諦め、左手の盾で受ける。盾の表面に張られたビームシールドが、∞ジャスティスの身を覆う。
四方八方から襲いくる大火力の攻撃に、それ以上距離を詰めることができない。
苦し紛れに放ったビームライフルの一撃も、デストロイの張る陽電子リフレクターに、あっさりと弾かれる
あるいは体調が万全であれば、∞ジャスティスの機動力を最大限に使い、接近できたかもしれないが……

「近づけば……手の届く距離に入れば、なんとでもなるんだがッ……!」
427隻腕25話(09/18):2006/02/19(日) 11:35:04 ID:???

「見え見えだッ……! しかしッ……!」

一方、レイの駆るレジェンドの方は。
同じく身を捻りながら、襲い来るビームを避け続けるレジェンド。
どうやら彼には空中を舞う腕の動きが予測できるらしく、∞ジャスティスよりも多少は余裕が感じられる。
こちらも左右の手の甲にビームシールドを展開し、最小限の動きで距離を詰める。
しかし……彼のレジェンドには、デストロイに対する有効な武器が、ない。
先ほどウィンダムに対して圧倒的な威力を見せたドラグーン砲の一斉射撃も、全てリフレクターに弾かれる。

「だが、あのリフレクターがユークリッドと同じ性質のものなら……!」

両腕の猛攻を掻い潜った彼は、デストロイ本体から攻撃が放たれるよりも速く、手から光る短槍を投擲する。
デファイアント改、ビームジャベリン。レジェンドの脚部に収納されている、ビームサーベル兼用の武器だ。
それはレイの目論見通り、一瞬リフレクターと干渉して火花を散らし、そのまま光の壁を突破する。だが……

「……! まるで応えてないッ……!」

コクピットを狙ったその投擲は、僅かにズレてデストロイの脇腹に突き刺さる。
しかし、見たところ何のダメージも感じさせない。まるで動きは衰えない。
……言ってみれば、巨象に針を突き立てたようなものだ。
この巨大MS、決して強力とは言えないジャベリン程度では、よほど上手く急所を狙わぬ限り仕留められない。
レイの端整な顔が、思わず歪む。


有効打のない戦闘、それでも諦めずに奮戦を続ける∞ジャスティスとレジェンド。
4機のデストロイのうち、2機がこれに足止めされる格好になっていたが――しかし、残る2機は。
他のザフトのMS、基地の防衛隊を蹴散らしながら、さらに前進する。
前進して、ザフト側の艦隊、ミネルバ、そしてその向こうのカーペンタリア基地へと近づく。

「ど、どうします艦長! こ、こっち来ますよ!」

慌てるアーサー。ギリッ、とタリアは奥歯を噛み締める。悩んだのは一瞬、彼女は決断を下す。

「……タンホイザー起動! 目標、接近するデストロイ!」
「えええッ!? で、でも、あいつらには……」
「利かないだろうことは分かってるわ! でも、リフレクターで防御している間は、足が止まる!
 少しでも多く時間を稼げば、アスランとレイが間に合ってくれるかもしれない……だから、急いで!」

ミネルバ艦首の陽電子砲・タンホイザーが、再び顔を現す。
ウィンダム隊を蹴散らした時と同様、すさまじい光量のビームが撃ち放たれる。
対して、接近してくるデストロイたちは……陽電子砲着弾の直前、2機が急に寄り添うように接近して――
タンホイザーとリフレクターがぶつかり合い、激しい光が起きる。海水が蒸発し、視界を遮る。

やがて、閃光と爆煙が晴れた後には……
防御姿勢を取り、陽電子リフレクターを大きく展開していた1機のデストロイと。
その影に隠れ、円盤の上、4本の馬鹿でかいビーム砲の発射態勢を整えた、MA形態のもう1機。
1機が盾になることで、もう1機は悠々と攻撃準備をしていたのだ。まるで足止めの役に、立ってない。
428隻腕25話(10/18):2006/02/19(日) 11:36:04 ID:???

「…………ッ!」

デストロイの身長そのものにも匹敵するほどの、巨大なビーム砲4門。
その黒い巨体に過剰に搭載された火器の中でも、とりわけ威力の高い武器。
当初連合側がデストロイを温存しようとしたのも、これをカーペンタリア基地に直接叩き込みたかったため。
そんな、戦術レベルからいささかはみ出したような巨砲が、ゆっくりとチャージされ、光があふれ出す。
目標――陽電子砲を抱える最も厄介な戦艦、ミネルバ。

「悪いな、スティング……! ステラとアウルの仇は、俺がここで取っちまうぜェ!」

デストロイの中、エクステンデッド04、ガル・ゼファンが壊れた笑みを浮かべる。
この距離、この状況でミネルバを外すことは有り得ない。そして当たれば一発で沈めることができる。
目の前で盾になってくれた仲間、もう1機のデストロイが射線から避けるのを確認し、彼は引き金を――!


「……フン。やらせるかよ」

それは、唐突に。
今まさに放たれんとしていた、デストロイの4連装ビーム砲。
それが――爆発する。
はるか遠く、誰も予想していなかった方向から飛んで来た、細くも強力なビームに撃ち抜かれ、爆発する。
当然、ミネルバに攻撃が放たれることはなく。巨砲を撃ち抜かれたデストロイは、大きくバランスを崩す。

「……なッ!?」
「誰だ!? どこから!?」

腰を抜かしたアーサーが、覚悟を決めかけていたタリアが、事態を把握しきれていないアビーが。
それぞれ、自分たちを救ってくれた者の姿を探す。
北に向いて布陣していた自分たちの、左側から飛んで来たビーム。しかしそちらには友軍も敵軍もいないはず。
大海原の広がる西の方角に、光学カメラが向けられる。見上げたモニタの中に、大きくズームアップされる。


――そして彼らは、見た。
今まさに水平線に沈もうとする夕陽をバックに、近づく一隻の高速輸送艇。
甲板の上、燃える太陽の中に威風堂々立っている、2つのシルエット。

1つは力強い人型の影。背中には大きな翼を畳んでいるらしい。
1つはその足元に、忠実な犬のように従う四足獣の姿。
人型の方の左脇には、ケタ外れに長い銃が抱えられているのが分かる。
……まさか、こんな超遠距離から狙撃を成功させたとでも言うのだろうか? こんな常識外れの距離から?

誰もが唖然とする中――新たに現れた2機は、それぞれ翼を広げて、輸送艇を蹴る。
海の向こうに沈み行く太陽の最後の光に照らされた、その姿は……

「あれは――ガイア?! しかし前とは色が違う……それに、空を飛べるとは……!」
「それに、あのもう1機は、一体……!?」
429隻腕25話(11/18):2006/02/19(日) 11:37:17 ID:???

「あれは……!」

4機のデストロイの内の1機と向き合うアスランも、その乱入者の姿に、驚きを隠せなかった。
あのMSに、見覚えがある。
白いボディ、青い肩、赤と黒の翼……色こそ初めて見るものの、そのラインは間違いない。

 『確かに、出来上がったモビルスーツは最強だった。あらゆる距離に対応でき、あらゆる戦闘が可能だった』

脳裏に、デュランダルの説明が蘇る。
先ほどの超遠距離狙撃は、明らかに砲戦専用MSにも匹敵する……あるいは、並みの専用機を遥かに超える。
急速に距離を縮めるそのスピードは、まるっきり空戦専用機。
そして、その速度を維持したまま、背中のウエポンラックから抜き放ったのは……MSの身長を越える程の大剣。

背中のビーム砲を失ったデストロイが、この生意気な乱入者に向き合い、迎え撃つ。
両腕が外れ宙を舞い、10本の指からビームを放つ。
しかし……大剣を構えたMSの翼から、赤い光の粒子が飛び散って。
暮れ行く海の上、光り輝きながら回避する。まるで残像が見えるかのような、激しい動き。いや――

「いや――目の錯覚、ではないのか?! これは……ミラージュコロイド!?」

それは完全に姿を消すミラージュコロイド・ステルスを、裏返して逆向きに使った新技術。
空中に残像が……いや、分身が無数に出現する。センサーでも肉眼でもまるで見分けのつかない、十数機のMS。
標的を決めかねているデストロイを嘲るように、その分身は一斉に剣を振り上げて――
そのうちの1機が、デストロイの片腕を空中で叩き斬る。攻撃が当たって、初めて「本物」が分かる。

「高機動戦闘も接近戦も、強いということか……しかし……!」

 『けれども――それに対応できるパイロットが居なかった。乗り手がついていけなかった』

「一体、誰が乗っているんだ!?」

アスランは絶句する。機体性能もさることながら、それを存分に活かしてみせる乗り手の技量に圧倒される。
どこかで見たことのある戦い方のような気もしたが……しかし、そいつはこんなに強かっただろうか?


「ZGMF−X42S『デスティニー』……ということは、乗っているのはアイツか」

アスランと同様、レイの視線も新たな援軍に釘付けだ。
『運命』、それはあのMSの名前。ギルバート・デュランダルの祈りを込めた名前。
そして、それが今ここにあるということは……

「思ったより、早い仕上がりだな。これほど心強い仲間もない……!」

デストロイの片腕を叩き斬った「デスティニー」は、光の翼を広げ、デストロイ本体へと肉薄する。
その姿を遠目に眺めながら……レイは、『彼』の勝利を確信した。
430隻腕25話(12/18):2006/02/19(日) 11:38:33 ID:???

「な……何なんだよ、コイツは!」

片腕を失い、背中の4連装砲を失ったデストロイの中で――銀髪の青年ガル・ゼファンは混乱していた。
デストロイは、最強のMSのはずだ。何よりも強いはずだ。
未完成だった1号機のステラこそ接近され過ぎて倒れたが、この完全版のデストロイにはそんな欠点はない。
なのに――

「なんなんだ、お前はァ! このデストロイが、怖くないのかッ……!?」

空中に浮かぶデスティニーの分身、その全てを薙ぎ払う勢いで攻撃を加えるデストロイ。
けれど、光の翼を広げたデスティニーの動きは、まるで衰えず……
なんと、分身ごと全ての攻撃を避けてしまう。中のパイロットが持つとは思えぬ、信じられない動き。

デストロイの顔のすぐ近くまで、デスティニーが迫る。
すっかり陽も落ち、急速に暗くなっていく海の上、しかし敵MSの顔は光の翼に照らされ、はっきり見える。
血涙を流しているような――あるいは、道化師のような、赤いラインの入ったガンダムタイプの顔。
この状況でその顔は、どんな悪魔よりも恐ろしい。
その悪魔が、何も持たぬその掌を、デストロイの顔面に向かって突き出す。
光る掌が、デストロイの巨大な顔面を鷲掴みにして――爆音と共に、その頭部を吹き飛ばす。
パルマ・フィオキーナ。ゼロ距離で放つことを前提として作られ、掌に仕込まれたビーム砲……!

メインカメラが吹き飛び視界を奪われたガルは、顔を引き攣らせる。
つい先ほどまでは、敵を狩り立てる側だった彼。恐怖を与える立場だった彼。今やその立場は全く逆転して。
いつものテンションの高さも口の悪さもすっかり吹き飛んで、彼の素顔が剥き出しになる。

『怖いのか……? 死ぬのが、怖いのか……?』

――声が聞こえる。悪魔の声だ。
乱れるモニタの片隅、サブカメラの捉えた映像に、光の翼を広げ巨大な剣を構えた悪魔が映る。
相変わらず無数の分身を従え、どれが本物かまるで見分けがつかない。

『生きる目標もなく、背負う物もなく、ただ死を厭うだけのお前が、怖いのか……?』
「あ、あ、あ……!」
『ヒドい人生だったんだろ? 同情するよ。共感するよ。お前がここで死なねばならぬ理由なんて、何もない』
「え……?」

あまりに意外な、通信越しの悪魔の言葉。恐怖に歪む青年の表情が、一瞬弛緩する。
しかし次の瞬間――デストロイのボディに衝撃が走る。
モニタを突き破りコクピットハッチを突き破り、ガルの身体に直接巨大な刃が迫り来る。悪魔が彼を嘲り笑う。

『だが――死ね。
 理由はないが、死ね。意味もなく死ね。ここで死ねとにかく死ね!
 無念と苦痛と絶望と敗北を噛み締めながら、己の運命を呪って死んでゆけ!!』
「い……いやだぁぁぁぁぁッ!?」

彼の悲鳴は、巨大な対艦刀アロンダイトに断ち切られ――
コクピットを大剣に貫かれたデストロイは、デスティニーが蹴るようにして離れた直後に、爆発した。
431隻腕25話(13/18):2006/02/19(日) 11:39:29 ID:???

デスティニーの信じられない強さに、残るデストロイ3機、そして背後に控えるウィンダム隊にも動揺が走る。
彼らとて、デストロイが無敵とまでは思っていない。ひょっとしたら被弾や撃墜もありえるか、とは思っていた。
だが――いくらなんでも、こんなにあっさりと倒されてしまうとは――

そして――アスランもレイも、その隙を見逃すような甘い兵士ではない。
もちろんデスティニーの活躍は気になったが、すぐに頭を切り替えて目の前の敵に挑む。

「要するに……幻惑できればいいんだなッ!」

アスランは叫ぶと、リフターを切り離し、単身突進させる。今度はMS本体はぶら下がらずにその場に残る。
ファトゥム01は、ビームの刃をその機首に突き出し、真っ直ぐデストロイ本体に突っ込んでゆく。
そのあまりに直線的な動きに、デストロイの両腕が向かい来るリフターを打ち落とそうとするが……

「……そこだッ!」

ビームがリフターを撃ち抜く寸前、後方に残った∞ジャスティスが、左手の盾のアンカーを放つ。
グラップルスティンガー、本来は敵を捉えるためのワイヤー付きの牙が、ファトゥム01を捕まえて……
後ろから急ブレーキをかけ、デストロイのビームを避けさせる。避けさせると同時に、その進路を大きく変える。
そのまま∞ジャスティス本体が、大きくリフターを振り回し……宙に浮くデストロイの片腕に、叩き付ける。
リフターは巨大な腕を貫通し両断し、再び∞ジャスティスの背中に戻る。奇策の成功に、彼は小さく喝采を上げる。

「まずは、腕1本! この調子で……!」


「なるほど、まずは腕からというわけか。むしろその方が良策か」

アスランの奇策を横目に見て、レイも唇の端に笑みを浮かべる。
再び背中の6本のドラグーンを砲撃体勢にし、デストロイに叩き付けるレジェンド。
当然、デストロイはリフレクターを展開し、ビームのシャワーは弾かれるが……その瞬間、本体の攻撃は止まる。

「今だッ!」

レイの短い叫びと共に、レジェンドのバックパック、上に突き出した2本の円錐が射出される。
レジェンドの切り札、大型ドラグーン。推力が高いので地上でも使えるが、しかし動きが大幅に制限される。
制限されるが……しかし、この状況なら。
それぞれの円錐の頂点に、光る刃が伸びる。大型ドラグーンだけが持つ武装、ビームスパイクだ。
高い空間把握能力を活かし、敵の腕の動きを読み、ドラグーンを突っ込ませる。
見事に2基が2基とも、それぞれにデストロイの腕を貫通し……空中で大爆発。敵の両腕を奪う。

「あとは……本体を残すのみか」

レイはレジェンドの持っていたライフルを背中に戻すと、開いた右手にビームサーベルを握らせる。
2本装備されているうち、1本は投げてしまったのでこれが最後の1本。
先ほど放った大型ドラグーンも、地上では片道通行、事実上の使い捨て。あとは肉薄して決着を図るのみ。
すっかり闇に覆われた海の上、レジェンドは光の剣と光の盾を手に、両腕を失った黒き巨人に突撃する。
432隻腕25話(14/18):2006/02/19(日) 11:40:40 ID:???

「レイア、サニィー! ここは一旦引くんだ!」
「でもダーボ、引くって言っても……!」

デスティニー相手に防戦一方になりながら、エクステンデッド06、ダーボ・ダルチェは仲間に撤退を促す。
デスティニーは分身で幻惑しつつ、平面的なリフレクターを回り込むようにしてビームライフルを放ってくる。
防ぎきれずに何発も被弾し、大きく体勢を崩しながらも、ダーボはなおもその場に踏みとどまる。

「2人だって腕壊されてるだろうがッ! 俺だってこの化け物相手じゃ、そう長くは持たないぞ!」

∞ジャスティスとレジェンド相手に防戦一方となった2機、ここにデスティニーまで加われば勝ち目はない。
ダーボの言葉に、∞ジャスティスの相手をしていたサニィーは下唇を噛む。

「……仕方ない、一旦撤退させてもらうよ! アンタもキリを見て逃げな、ダーボ!」
「ううッ、ごめんねぇ……!」

しんがりを務める格好となったダーボを心配するサニィー、悔し涙に顔を歪めるレイア。
2人が後退を始めたのを見て、彼は覚悟を決めて笑う。ラインの入ったボーズ頭から汗が一筋、顔に伝う。
と――そんなダーボのコクピットに、唐突に通信が入る。
目の前の敵、光の翼を広げたデスティニーからの声。地の底から湧き上がるような、そんな声。

『……優しいなァ。
 好き好んで人間辞めたはずの『エクステンデッド』のくせに、やけに人間臭いじゃないか』
「……!? な、なんでそれを……」

デスティニーの言葉に、ダーボは驚く。
何かと誤解されやすい彼の本質を見抜いたこともさることながら、強化のことも知ってるとは……?
動揺する彼に、デスティニーは攻撃を続ける。動きはやや遅くなり、分身の数も減らしながらも、射撃を続ける。

『知らないわけがないだろう? だって俺たちは……同類なんだから』
「ど、同類……俺たち?」
『そう、『俺たち』だ』

ニヤリと笑う、デスティニーのパイロット。妙に強調された、一人称の複数形。
ダーボがその意味に気付くよりも先に――デスティニーの分身の1つが、急に乱れる。
ミラージュコロイドの幻を突き破って出現したのは、真っ赤な別のMS。すっかり忘れていたもう1機。

「が、ガイア!? いつの間に……!」

完全な不意打ち、そして唐突に変化した動き。ダーボは咄嗟に胸のビーム臼砲で迎え撃とうとするが、もう遅い。
赤いガイアは空中で四足獣となって身を捻り、拡散するビームを避けると、そのままデストロイの肩に飛び乗る。
飛び乗ると同時に、ビームの張られた翼が一閃。デストロイの頭部が、腕が、背中の円盤が斬り飛ばされる。
そして視界を失い混乱する彼の機体の腹に、いつの間にか接近していたデスティニーが、その掌を押し当て……

『優しさを抱いたまま……人間らしさを抱いたまま、地獄に落ちろ!』
「――――!!」

ゼロ距離からの、パルマ・フィオキーナ一閃。ダーボ・ダルチェの意識は、光の中に蒸発して消えた。
433隻腕25話(15/18):2006/02/19(日) 11:42:07 ID:???

――カーペンタリア湾に、静けさが戻る。
切り札である4機のデストロイのうち、2機を失い2機を中破させられた連合軍は、そのまま撤退に入った。
残された大量のウィンダムを展開して反撃する手も、ないわけではなかったが――既に心が折れていたのだ
デストロイ2機を軽々と倒してしまった恐るべき悪魔、デスティニーの姿の前に、戦意を維持できなかった。

対するザフト側も、これを追撃できるだけの余力は残っていない。
あるいはひょっとすると、デスティニーなら追い討ちできたのかもしれないが……しかし、彼は追おうとはせず。
赤い光の翼を広げ、遁走に入る連合軍艦隊を見送りながら、彼は邪悪な笑みを浮かべる。

「……今は逃げるがいいさ。どうせすぐにまた会えるんだ、この場は見逃してやる――!」


すっかり暗闇に包まれたカーペンタリア基地に、ミネルバが帰還する。
この非常事態の中、基地に錨を下ろすことなく素通りしたから、帰還というのは少しおかしい表現かもしれない。
ともあれ、ようやく彼らは基地に着き、一息つく。ミネルバのすぐ近くに∞ジャスティスとレジェンドも着地。
愛機から降りヘルメットを取り、アスランとレイは疲れた顔を見合わせる。
ミネルバから降りてきたクルーたちが、彼らの奮闘を讃えんと、駆け寄ってくる。

と――そんな彼らの頭上を駆け抜ける2つの影。彼らは揃って頭上を見上げる。
デスティニーと、赤いガイア。2機のMSは、一旦上空を通り過ぎた後、大きく弧を描いて引き返してくる。
∞ジャスティスとレジェンドに向き合うように、ミネルバのすぐ近くにゆっくりと着地する。

「な……? どういうことなんだ……?」
「挨拶、ということでしょうね」

助けては貰ったがまるで事態の飲み込めていないアスラン。何やら知っている様子のレイ。
アスランが彼に問いかけるよりも先に、デスティニーとガイアのコクピットハッチが開く。
そして、昇降用ワイヤーで降りてきた、2人の人物は……!

「どうかしましたか? 俺たちの顔、まさか忘れちゃいないですよね?」
「お久しぶりです。こんなのに乗ってるから、驚かせちゃったかな」

聞き覚えのある声。いや、しかし、まさかこの2人が……?
ヘルメットを取り、2人はアスランたちの所に歩み寄る。基地の照明が、彼らの顔をしっかりと照らす。
黒髪の青年。髪を纏め上げた少女。どちらの顔にも、自信に満ちた不敵な笑みが浮かんでいる。
そして、青年の胸には――特務隊『フェイス』の証である、鳥の羽を模したような徽章が光る。

「……シン! それに、コニール! お前たちッ……!?」
「相手がデストロイだったから、もっと楽しめるかと思ったんですがね。だいぶ拍子抜けだ」

アスランは、何も言葉が出ない。質問したいことは山ほどあるのに、どれから聞いて良いのか分からない。
そんなアスランたちに、シンは自信に満ちた口調で、名乗りを上げた。

「――そういえば、自己紹介がまだでしたね。
 特務隊『フェイス』所属、『デスティニー』パイロット、シン・アスカ。
 アスカ隊隊員、『ガイアR』パイロット、コニール・アルメタ。
 以上2名――議長特命により、今日この時より、戦艦ミネルバに配属となりました。どうぞよろしく――!」
434隻腕25話(16/18):2006/02/19(日) 11:43:03 ID:???

――窓の外に、広がるオアシスと砂漠の光景。すっかり暗くなった空。
オアシスの街の夜はどこまでも静かで平穏で、この地上のどこかで戦争をしているとは思えぬ程だ。

「なるほどな――苦労をかけたな、アマギ」
「いえ、我らの力不足で、未だこのようなところで足踏みを……」
「いやいや、ここにこうして居られるだけでも、まだ幸いだったよ」

ベッドの上、長い長い話を聞き終えたカガリは、アマギたちの労をねぎらった。
申し訳なさそうに身を縮こめるアマギたちに、カガリは優しく微笑む。
もっとも……カガリの手には小さな鉄アレイが握られ、早くもリハビリの運動をしながら、ではあったのだが。

今カガリがいるこの病院、そしてその病院を含めたオアシスの街は――中東はムスリム会議に属する、とある都市。
一応は国を名乗るムスリム会議であったが、その内情は決して一枚岩でないことは既に述べた通り。
歴史的に根の深い対立が再び火を噴き、連合寄り勢力とザフト寄り勢力との間で激しい国内対立が起きている。
しかし、中には――そのどちらにもつかず、独自の路線を行こうとする少数勢力も存在する。
このオアシスの街は、そんな「中立路線」を行く勢力の支配下にあるのだった。

石油が主要なエネルギー源の地位を追われて久しいCE70年代ではあったが。
未だに細々と、一部の化学工業の原料として使われており、この国の有力な収入源となっていた。
特にこの街の近くから湧く石油は、工業国であるオーブにも多く輸出。昔から友好関係が築かれていた。
この街の一帯は「中立勢力」というより、むしろ「オーブ寄り」と呼んでも差し支えないのだ。

あの、スパリゾートでの馬鹿騒ぎの後――
連合軍との関係に懸念を抱いていたトダカ一佐は、万が一に備え、アマギ一尉に極秘の任務を命じた。
オーブ軍に何かがあった際、逃げ込んで身を隠せる場所の確保である。
例えばタケミカズチが沈んだ場合……スエズの連合軍が、真摯に捜索活動をしてくれるとは到底思えなかった。
むしろ基地司令から露骨に嫌われていたカガリだ。好機とばかりに、抹殺される危険すらあった。

そして実際、スエズ攻防戦の中、オーブ軍は見捨てられ――
撃墜され負傷したカガリを抱え、アマギとその少数の部下たちは、退艦命令の出たタケミカズチを後にした。
連合軍に助けを求めるわけには行かない。ザフト軍に捕らわれるわけにも行かない。
彼らは混乱続くスエズ一帯から密かに抜け出し、予め渡りをつけておいたこの街に逃げ込んだのだ。

「後で、この地の有力者の方々に、お礼を述べねばならないな――
 匿ってくれたこと、治療をしてくれたこと、そして、秘密を守ってくれたことについて」

親オーブ地域と言っても、彼らが慕っていたのはかつてのウズミ、そしてその後を継ぐカガリだった。
連合べったりの態度を露骨に示すセイラン家、及びその支配下にある「今のオーブ」ではない。
彼らはカガリたちを受け入れ、カガリに最高の治療を施し、そして、彼女たちを連合・ザフト双方の目から隠した。
オーブ本国からも、隠し通した。
435隻腕25話(17/18):2006/02/19(日) 11:44:03 ID:???

「本当は、本国の信頼できる者たちにだけでも、カガリ様の御無事を知らせようとしたのですが……
 なにぶん、我々は軍人。そのような方策には長けてはおらず……。
 まかり間違って国賊ウナトに嗅ぎ付けられてしまえば、暗殺などの手が伸びる恐れもあったもので」
「確かにな。ユウナは信頼できるとは思うが、聞いた限りではアイツも実権を奪われているようだし……」

カガリは考え込む。
一刻も早く国に帰り、実権を取り戻したかった。ウナトの暴走を止め、間違った方向に進む国を止めたかった。
けれど、ここからオーブまでの道のりには、連合・ザフト双方の勢力圏が延々と広がっている。
そして下手な手を使えば、自分の無事が伝わる前に、ウナトに察知される危険もある。
八方塞りの中、これまでアマギたちが動けなかったのも致し方ないだろう。

「そうだな――ここは『プロ』の力を借りるか」
「……プロ、とは?」
「アマギ――連絡を取って欲しい相手がいる。今の居場所は分からんが、探せばきっと見つかるはずだ。
 彼らならウナトにもマークされていないだろうし、彼らを使えばおそらくは――!」



――相変わらず、窓の外には雪が舞う。夜空の下、白い花びらのように舞い踊る。
ラクスの「予言」を受けてなお、マユは1人、考え続ける。
雪の中の温室で椅子に座り、アンディの入れたコーヒーを時折啜りながら、考え続ける。

本当は――今すぐにでも国に帰りたかった。
帰って、ラクスの言った危機に備えたかった。
心配しているであろうユウナを安心させ、ムラサメでもM1でもいいからMSを用意して、守りにつきたかった。

けれど――
マユの中で何かが、それを押し留めた。拙速に走ることを許さなかった。
彼女を躊躇わせたもの、それは……

「同じ過ちを、繰り返すわけにはいかない……。
 今このまま戻ったら、あたしはまた……」

ベルリンを始めとする、凍てついた街々での戦い。デストロイでの圧倒的な破壊を、無感情な目で眺めた自分。
今思い返しても、あの頃の自分の言動が信じられない。
なぜ、自分はあのような状態になったのか。あんなところに堕ちてしまったのか。
それを、はっきりさせないことには――

窓の外には雪景色。淡々と降り続く雪。
その単調な光景に、マユの記憶が無秩序に湧き上がり、目の前にちらつく。
ユニウスセブン。ミーア誘拐。スエズ基地。ガルナハン。スエズ沖。ベルリン……
436隻腕25話(18/18):2006/02/19(日) 11:45:12 ID:???

 『偽りの平和で、何故笑える! 何故敵と手を取り合えるか、偽善者どもめ!』
 『見てください、この非道の数々を!』
 『本当に欲しいのは、『ラクス・クラインが襲撃された』という事実の方でね
  これでビビって活動を自粛でもしてくれるなら、連合側としては十分ってこと』
 『コーディかよ、この糞ガキ! お前らさえ、最初からいなければ……!』
 『なんであんたらはこんなことできるッ!
  あたしたちは、単に生まれ育った場所で、平和に暮らしたいだけなのにッ! なのに、何故ッ!』
 『そう、我らの真の敵の名は――『ロゴス』!』
 『別に、いいんじゃない。恐怖を伝える者も、必要だよ』
 『オーブを守る、ためなんだから。オーブを焼かない、ためなんだから』
 『あなたのせいで……みんな死んだ! あなたに殺されたッ! あなたのせいでぇぇぇッ!』

いくつもの声が、マユの中で蘇る。ある声は誰かが言った言葉、ある声は自分が放った言葉。
この雪の中の屋敷で目覚めてから、何度も思い返した戦いの記憶。その中で、特に繰り返し蘇ってくる声。

「……怒り……憎しみ……その根っこにあるもの……。ああ、そうか……そういうことか……!」

微妙に焦点の合わぬ目で、マユは呟く。彼女はとうとう辿り着く。彼女の過ちの根源。
天を見上げた彼女の目から、涙が1筋、溢れ出す。

「……ようやく、分かった。やっと、見えた。
 あたしの間違い。あたしが間違えた理由。
 そして、あたしが戦うべきものが――分かった気が、する……!」

きりりと締まったマユの横顔。そこにはもはや、迷いはない。憂いもない。
すっきりした表情で、夜空を見上げる。

「帰ろう、オーブへ。どこまでできるかは分からないけれど、できる限りのことをするために――!」



――夜のカーペンタリア基地。
照明に照らされ、ミネルバの中に搬入されるデスティニーとガイアを、シンとコニールが見守っていた。
シンは不敵な笑みを浮かべたまま、夜空を仰ぐ。その横顔を、コニールが不思議そうに見上げる。

「……楽しそうだね」
「またすぐに戦いになるからな。顔も綻ぶさ」
「戦いになる? でも敵は撃退しちゃったし、向こうに続けざまに攻撃する元気なんて……」
「だったらこっちから行くまでだ。上の方もそう判断するだろうよ」

シンの顔は、実に楽しそうで。狂気に満ちた笑顔を、隠そうともせずに呟く。

「次は、オーブだ。連合に喜んで尻尾振る、腐りきったあの国だ――!」



                      第二十六話 『 黄金の意思 』 につづく

HG∞ジャスティス、なんでグラップルスティンガー別パーツにしてないんだろう……。最燃え武装なのに。
1/100無限正義の発売を本気で願う私。あとピカフリ出すくらいなら、運命のビッグスケール1/60を出せと。
……出てもパチ組+墨入れで精一杯ですけれども、ね。

閑話休題、では今回の設定補足です。

・量産デストロイのパイロット
 以前募集した公募キャラの一部、再登場です。
  ガル(エクステンデッド04 死亡)、レイア(エクステンデッド05 撤退成功)
  ダーボ(エクステンデッド06 死亡)、サニィー(エクステンデッド07 撤退成功)
 まとめ人様がまとめサイトに彼らのプロフィールを保管して下さっていますので、気になる方は再チェック。

・コニール
 思いっきり再登場が読まれてましたねw 緑の軍服、スカートのイメージではないので男物を着用です。

・ガイアR(赤ガイア、ガイア改)
 本編のバルドフェルド専用機を、コニール機に転用しました。虎のマーキングがない他は、外見そのまま。
 機能面も基本的にそのままですが、ただ1つ、短時間飛行可能な推力を追加しました。
 本編アニメのダーダネルス海峡戦、ハイネを断ち切ったあのシーンは、どう見ても空飛んでると思うのですよw
 このお話の設定上では、当初の黒ガイアにはない機能であり、回収され改修された時に追加されたものです。

・シンの再登場
 バレバレではありますが、脳内映像的には、顔全体が映るのはデスティニーから降りるシーンまで引っ張ると。
 そこまでは声だけ、あるいは口元だけ、目だけ、後姿だけ。これがアニメならそういう指示出しますw

・マユが分かったこと
 いずれはっきりと示します。某脚本のように投げたりしません。でも今はまだ、もう少しお待ちを。


次回、戦闘に入れるかどうか。副題だけは本編から借りましたが、果たして……?
438通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 12:08:12 ID:???
隻腕さんGJ!
シン凶暴化復活キターーーー!
ムスリム会議ってPP戦記さんにでてきたような
439通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 12:36:24 ID:???
>>隻腕作者様、激しくGJ! 

まず戦闘が面白かったです! これまでもそうだけどMSが己の持ち味を活かして戦ってますね
これならプラモを作るときに、「これがあのシーンで使われた武器か〜」という感慨が生まれますよ!
戦闘展開燃えました、無限正義&伝説、運命&ガイアR VS デストロイ部隊・・・
特にそんなに好きじゃなかったインフィニットジャスティスとガイアRの好感度大幅UPです、ガイアR購入決定(まだ売ってるか・・・?)
今回の戦闘は私の中で隻腕戦闘ランキング一位更新でした!

他にもシンとかコニールとか見所いっぱいでもう、そしてマユの決意!
まだまだ感想は書き足りないところですが、お忙しいところ、お体にお気をつけてください
次回をゆるりとそして、とても楽しみにお待ちしております!
440通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 12:41:38 ID:???
デスティニーが!
デスティニーが強い!
シン・アスカが強い!!
あの空気主人公が! シスコン負け犬主人公が!
 強 く て カ ッ コ イ イ !!
441通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 12:43:10 ID:???
隻腕さんGJ!乙でした!
戦闘で激しく鳥肌が立った…。隠者がこれほど輝いてるなんて…
運命伝説は持ってるんで、早速隠者とガイア買ってこようそうしよう
442通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 12:43:48 ID:???
この展開で、次回が「黄金の意思」・・・。
マユさんがアカツキに乗る可能性もアリか?
443通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 12:47:29 ID:???
ちょっとリフターにぶら下がってくる。
ノシ
444通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 12:50:43 ID:???
じゃあ俺はアンカーに捕まれてぶん投げられてくる
ノシ
445通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 12:52:21 ID:???
 >>『 黄金の意思 』 につづく
アニメだと、あの金メッキ初登場とウズミの失笑物の遺言が出た回ですが。
果たしてこちらは、どうなるか楽しみ。


446通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 13:00:11 ID:???
赤ガイアとはちょっと意外なチョイス。インパじゃないのか。
でもすんげぇいい! GJ!

>>438
汎ムスリム会議は、オリジナルにもある設定ですよ。
中東一帯をまとめた国。本編ではほとんど説明なかったけど。
PP版と隻腕版ではかなり違う解釈して違う広げ方してるっぽい。
447通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 13:15:21 ID:???
展開予想。
シンとコニールを改造したことにアスランがぶち切れて、議長に食って掛かり
レイに射殺される、もしくはシンに叩き切られる。
448通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 13:19:25 ID:???
隻腕マユ、お疲れ様でした!ヘブンズゲート戦で大敗したから、どこで帳尻が
合うのかな?と心配でしたが、こう来ましたか!?
何か、無印種のフリーダム光臨を思い出してしまいました。
つか運命登場時「Meteor」がリフレインしましたよ・・・鳥肌モノのカッコよさ
無限正義と伝説も見所あってGJ!(ドラグーンの使い捨てってνガンダムみたいで良い)

>>437
>HG∞ジャスティス、なんでグラップルスティンガー別パーツにしてないんだろう……。最燃え武装なのに。
>1/100無限正義の発売を本気で願う私。
同感ですね。本編でも使わなかったし、ブリッツのバンク流用でイケタような気がする
ピカフリ出るのはいいんだけど、運命のピカバージョンも出して欲しかった・・・
(光の翼発光だったり、パルマ・フォキーナ発光ならGJ)

こうなると副題が「黄金の意志」ということは暁登場みたいですが・・・
この作品のカガリなら、素で乗ってもカッコいいですよ^^;
それともオーブに残っているキラが?復活したマユ?
あとはフリーダム復活か・・・完全新規じゃないのが何かガンダムDXみたいw

お忙しいそうですが、どうかお体には気をつけて・・・お疲れ様でした!!
449通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 15:16:16 ID:???
隻腕さんGJ!オーブ戦ってことはアークエンジェルも活躍する…かな?
450通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 15:31:25 ID:???
艦長捕まってるし無理ジャマイカ艦載機が暁とムラサメだけじゃきついだろーし。そういやバスターはどうしたんだろうな。自由よりよっぽど修復楽そうだが。・・・素直に大天使の活躍を考えられるなんてウニメ版じゃありえんな
451通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 16:10:27 ID:???
強くなったのと記憶操作を除けば素と変わらんね>シンとコニール

それよりこの流れだとマユの復帰戦がいきなしデスティニーの悪寒
452通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 16:11:18 ID:???
なぜ、シンがデストロイに通信出来るのかが疑問と言うかザフトは連合の軍用ネットワークに介入出来るんなら負けないと思う。誤字指摘・最初のアーサーのシーンで、副艦長→副長
453通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 16:24:46 ID:???
>>448
キラを卑怯な金ぴかに乗せたら戦争終わっちゃうじゃないか

GXディバイダー…あれは良い機体じゃった。
シールドバスターライフル→二連装ビームマシンガン
(ライフルと一体の盾)→13連メガ粒子砲内蔵スラスター付き大型盾
月が出てないと無意味な背負い物→スラスター付きビームサーベルホルダー

果たしてフリーダム改の出来映えは?
454通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 16:27:28 ID:???
デュエルとバスターは大戦後廃棄されたとか

さて、マユの乗機が気になるわけですが
キラも出てくるのかも気になるわけですが
455通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 16:36:56 ID:???
>>452
目の前の敵とお話するのはガンダムのお約束。突っ込まないのもお約束。
負債版でも似たシーン山ほどあったでしょ
456通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 17:41:01 ID:???
接触通信はガンダムシリーズの基本ですよ。
457通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 17:54:49 ID:???
MS戦闘が実に燃えまくりでありました。GJ!

>>黄金の意思
アカツキ登場ですか、ユウナ復活もかっこよく書いていただきたいですな。
しかしアカツキは設定的に突っ込みどころのないところがない機体ですからな。
ぜひ納得の行く設定改変をしていただきたいです。
それとカガリが連絡を取ってくれといっていた『プロ』とはもしや彼らですかな、
C.E.世界最高の傭兵チーム、サーペント・テール!
劾のBFやイライジャのザクファントムの勇姿はもちろん、一種の潜入任務である以上、
ロレッタが白兵戦で所狭しと暴れまくる様が見られるわけですな!

ではでは、次回のお話楽しみにしております。
458通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 17:59:32 ID:riJGtpEk
隻腕シンがドラッグオンドラグーンのカイムにかぶるw
459通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 18:06:30 ID:???
強化人間同士で通信できる機能まで搭載されてるのかも知れんぞ・・・
460通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 18:07:12 ID:???
隻腕GJ!
しかし体調を崩されてたんですか。一つしかない体、大事に使ってやってください。
続き、楽しみにしてます!
今のカガリの様子じゃMSには乗れそうにないし、やっぱ乗るのは……?
461通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 18:51:37 ID:???
おもちれー!
ワクワクしたぞ
注:ここはぐるぐる不思議ワールドです。何が起こっても驚かないで。突っ込まないで。


「・・・・順調なようね。」
なにやら暗い部屋でモニターを見つめているマユ。
『主殿。』
マユの後ろに黒いコートを着た女性が現われる。その背には赤い鋼鉄の羽根が。
「ディスティニー、他のみんなはどうかな?」
マユに話しかけられ、ディスティニーはフードを取る。ウェーブの金髪が暗闇に輝く。
『アキラ殿はこちら側からシンハロ殿を助け出そうとしている。まぁ、しかし妨害は巧妙だ。
 他の皆がこの計画に賛同しているので問題はアキラ殿とアルディラのみだ。
 このような方法を取るのが気に入らない・・のではなく、一種のトラウマだな。
 友と離れ離れになっているのが不安のようだ。何か起こるのではないか、と。』
冷静にディスティニーは語る。
「そうか・・、まぁ、たった一人と一機で何ができるわけでもなし・・・この計画、邪魔はさせない!」
すっかり悪役のノリでばっと大げさな仕草で語るマユ。
「そう・・、これは馬鹿兄貴どもへの復讐!我が平穏を乱す者達へのレクイエム!
別に人の心あつめて何か作るとか旧支配者を呼び覚ますとか世界制服とかとは違うのよ!!
もうこうなったら監禁の末愛が芽生えるほどに追い詰めてやるわ!!」
『主殿、はじめのコンセプト忘れてる忘れてる。仲良くするのであって別に女性ファン獲得に尽力するわけではなく・・・。』
暴走するマユにちょいちょいと突っ込むディスティニー。
「かけてるのよ!ルナお姉ちゃんとシンハロとお兄ちゃん!どっちが受でどっちが攻か!!」
『かけるなー!身内をかけるなー!!そう言うのはネットでアンケートでもとればいいであろう!』
「だってさぁ!ルナお姉ちゃんが全否定!!シンハロ受全否定!!まじゆるせねー!」
『主殿ー!これ以上堕ちないでー!妾泣いちゃう!!』
大声で語るマユに泣きすがるディスティニー。なんだか金色夜叉みたいだ。
「何やってるんだ、お前ら。」
またもや黒コートをきた人物が現われる。レイだ。
「おおっ!レイ兄ちゃん!そのコートグレイシアお姉ちゃんに頼んで作ってもらったかいがあった!」
「・・・・マユ、十○機関ごっこがしたいならわざわざこんな計画しなくてもな・・強制着用かよ、しかも。」
「やだ、やるならいつでも本気が私のモットー。それにレイ兄ちゃんもあの二人の喧嘩には嫌気が指してたでしょう?」
まぁ、確かにそうである。人間の力量を超えた二人が喧嘩するのだ。
壁は壊れるは机は飛ばされるは格納庫ではPS装甲を作動させていないMS達が壊されるわ・・・・。
正直いって、レイは宇宙から生身で大気圏突入させたいくらいだった。
「ね?依存はないでしょう。さぁ・・、始めよう。」
ふふふふふっと笑ってマユは陶酔した。


『主殿がー・・。主殿がぁ・・・・。』
「泣くな、ディスティニー。残念だがマユは錯乱してるんじゃない。ノリノリなだけだ。」
463通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 19:19:15 ID:???
素直にキラとAAの登場に期待できる作品があるなんてGJ!
ユウナはかなりお気に入りのキャラなんでどう復活するか楽しみだ
464通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 20:10:09 ID:???
シンとコニールキタ━━━(゜∀゜)━━━!!!
運命つえーーーーーーー!!!!!!
隻腕さんマジでGJ!!!!!
本っ当に調理が上手いな…。
465通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 20:19:18 ID:???
>>453
GXDV、良い機体ですよね〜というかXの機体ってシンプルなのはシンプルなりに
ガンダムならぶっ飛んだ感じが良いのに、コンパクトに纏まったDVが一番良いの
ですよね〜^^;シリーズ随一のお気に入り主人公であるガロードと
大人なジャミルが乗るからというのもあるけどw

>シールドバスターライフル→二連装ビームマシンガン
ときた版KCだと「ビームマシンガン!どうだ!?超強力だぜ!!」と言ったのには
噴いたw、がそれでビット落としたんだから大したもんだよ(苦笑)

>(ライフルと一体の盾)→13連メガ粒子砲内蔵スラスター付き大型盾
シールド名が「ディバイダー」で、メガ粒子砲が「ハモニカ砲」・・・
ややこしいけど、スキュラより断然強そうだ・・・

>月が出てないと無意味な背負い物→スラスター付きビームサーベルホルダー
でっかいエネルギーポッドも付けて「12時間」の戦闘可能・・・ハイパーデュートリオン
、立つ瀬なしw
466通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 20:52:43 ID:???
キラ登場があるなら暁はマユが乗るのかな。でないと乗機が無いぞ。
カガリはさっさとオーブに行っていただくという事で。

そういやインパが余るがどうするよ
既に出オチのマーレが引き続き乗るか
467通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 21:21:27 ID:???
>>466
インパルスはマーレ様だろうな。
是非とも生き残りのエクステンデットに撃墜されていただこうじゃないか。
468通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 21:23:00 ID:???
>>466
マユとキラが逆でもいいかなとは思った

そしてマーレテラカワイソス
469通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 21:26:07 ID:???
>既に出オチのマーレ
適切な評価吹いたw
470通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 21:44:53 ID:???
隻腕ついにシンが復活だ〜
予想はしていたがコニールも再登場したし満足です
でも攻めたら手痛い反撃にあって負けるのはお約束?
471通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 21:48:25 ID:???
>>462
突っ込まないでと言われても突っ込んじゃう!!

マユもはや主人公じゃなーい!!
472通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 22:14:50 ID:???
怒涛の展開で流されてるがラクスに諦められた凸ワロスw ヘタレ大王w
473通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 22:28:00 ID:???
いきなり未来が解ると言われてアスランは正直困ったろうなあ、ラクスはただでさえ思考を掴みにくい人なのにそんな事言われたら
474通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 22:39:17 ID:???
>>471
違うよ! マユは主人公なんかじゃない、支配者なんだ!!
475通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 22:53:07 ID:???
てか擬人化運命www
476通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 23:00:10 ID:???
>>467
ドクターとコンビを組んで欲しいぜ。
477通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 23:03:01 ID:???
>>隻腕
シン復活キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
バトルかっけぇー
でもシンとレイの素晴らしいまでの悪役っぷりとコニタン改造で鬱…。
あー、ムラケンに今回のシンのセリフを言ってもらいたいなあ。
次回、マユとカガリはどうなるのか…、土器枠。

>>ほのデス
噴いた。
大分鬱が緩和されますた。ありがたい。
そして擬人化運命テラモエ
478通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 23:27:09 ID:???
単発設定小話 「ハイネとフリーダム」ダーダネルス海峡編C

〜ミネルバMS隊〜
ハイネ「ミネルバは・・・こっちにむかってるな。アスランは・・・!?あいつ!ミネルバを援護しろっていったのに」
〜フリーダムを追いかけるセイバー〜
アスラン「キラ・・・武装を狙っているのか?くっ、殺さないってのは立派だが、そういう問題じゃないだろっ」
キラ「それでも、僕は・・・僕は・・・・・・」
〜フリーダムのフルバースト連射〜
アスラン「キラァァー!!」
〜再びハイネ〜
ハイ「っち。うっとしぃな・・・レイ、ルナ!お前たちはミネルバの護衛に回れ!マユはそのまま戦線を維持。俺はフリーダムを黙らせる!」
レイ&ルナ&マユ「了解!」
〜スティングたち〜
スティング「おいおい、なんだよあいつは!それにしてもオーブ軍ってやつぁ弱いな!」
アウル「ねー、どっちにしても敵さんを逃がしたらだめなんだろ?だったら俺らがやることはひとつなんじゃないの?」
スティング「だな。それでも邪魔されるのはごめんだぜ。俺とアウルはミネルバを足止めさせる!ステラはあの頭がイカレてるやつの鼻っ柱を抑えろ!」
ステラ「・・・わかった・・・・・・」
〜フリーダムをけん制にかかるハイネ〜
ハイネ「お前がキラ・ヤマトなんだな!?スーパーコーディネイターだがなんだか知らんがなぁ!そんな独立愚連隊でなにができるっていうんだよ。戦うなっつといてお前が一番攻撃してるじゃないか!」
キラ「!あのオレンジ色のMS、僕の攻撃を避けている?」
ハイネ「アスラン、お前ってやつは・・・もういい、ここは俺がやる!お前はマユを応援にいけ!」
アスラン「しかし・・・」
ハイネ「しかしもくそもない!お前はザフトに戻ってきたはずだ!今の状況は理解できているだろう!こいつは俺が抑える!」
アスラン「!・・・わかった・・・・・・」
〜オーブ艦隊前線へ向かうセイバー〜
ハイネ「ふん、強いっていってももう型番落ちの機体じゃないか!おれのMSはザクよりも新しいんだよ、ザクとは違うんだよ!ザクとは!」
〜スレイヤーウィップがフリーダムの腕に巻きつく〜
ハイネ「ハッハ、捕らえたぜ。フリーダム!観念するんだなー!」
〜フリーダムを距離を縮めるグフイグナイッテド・・・の後方から二兎を得ようとするガイア〜
ステラ「・・・捕らえた・・・ふふ、あはは・・・あーはっはっは!捕らえた、捕らえた。ステラ、捕らえたー」
キラ「黒いのが迫ってくる!?この鞭みたいなのを解かないと・・・外れない?・・・オレンジのを盾にするしかないのか?」
ハイネ「ほらほらフリーダム!解けないだろう?っくっく・・・そんで俺を盾にって考えているんだろう?わかってんだよ」
ステラ「ふふ・・・捕らえたってゆってるのー!」
〜フリーダムの腕からスレイヤーウィップを解き、上昇しその場から離れるグフ〜
キラ「えっ!?だめだっ間に合わない」
〜反転し離脱を図るフリーダムの片翼に、ガイアのビームブレイドが喰い込む〜
ステラ「きゃーっはっはっは!だから捕らえたってゆったのよ!」
キラ「っが!・・・まだ、まだ翼は落とされてない」
〜ビームサーベルを抜き、その場で回転するフリーダム、はじかれるガイア〜
ステラ「!??っく・・・まだ動くの?・・・・・・」
キラ「これが・・・精一杯かな・・・?」
ハイネ「まだ敵っていう判断は出てないから殺しはしないけどなーっ!今は黙ってってもらおうか」
キラ「上!?」
〜フリーダムを真上から海上へ蹴り落とすグフ〜
キラ「うわー!!」
ハイネ「よし、次!ミネルバは?」

完  ・・・4話じゃ終わらんかった。(WF行ってきました。C3じゃないからガンダムないけどね・・・)
479通常の名無しさんの3倍:2006/02/19(日) 23:56:22 ID:???
隻腕GJ
俺はプロもいいが、ミナ様に協力して欲しいな。
次は、ユウナ復活だろけど彼は今どうゆう状態だろうか?
少なくとも、病気療養を理由に代表代理の座を剥奪の上軟禁状態じゃないと格好がつかないような。
480通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 00:36:28 ID:???
新型高性能MSの登場ってこういう風に描かれるべきですよねえ。
最近作った中では一番のお気に入りながらも複雑な目で見ていたHG運命をようやく曇りなき眼で見てやれそうです。
隻腕作者さんありがとう。
MGクラスの運命は自分も欲しいのですが各地のストフリ山脈の造成具合を見るに恐らく無理でしょうなあ。

あと、少し苦めの感想です。
最近少し気になっていたのですがシン関連の展開が急すぎな気が。
他のパートは相変わらずの高い水準を保っているだけに少し違和感があります。
お体を悪くしているときに言うのもあれですが、自由撃墜の時辺りから気になっていたので書き込んでみました。
481通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 01:05:51 ID:???
>>480
>シン復活云々
少し同意。
だが、これから書かれるであろう復活の過程を読めば、納得できるのではなかろうか、とも思う。
それに、復活が遅くてもなんだかなだし。
マユの復活と時期を合わせた所為だと思うが。
482通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 14:32:09 ID:???
弄ったのは心だけだろうからなぁ 肉体改造したわけじゃないし期間的にこんなもんじゃね?
483通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 14:35:25 ID:???
むしろマユがのんびり?
484通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 15:19:50 ID:???
ここどうよ?

魔法少女VSナチス生徒会


http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1134043106/
485通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 15:21:27 ID:???
誤爆スマソ
486通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 19:38:22 ID:???
隻腕のせいでトラガイア買っちゃいそうです、安西先生…
487通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 20:09:07 ID:???
>>486
ノンノン。
ありゃコニール専用ガイアだ
488通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 20:10:30 ID:???
最近散財してる人多いなー、って俺もだけど

この調子で金メッキも買わされてしまうんだろうか
489通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 20:22:29 ID:???
こうやって番台の策略に乗せられて種続編がでますよっと
490通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 21:10:58 ID:???
MGフリーダム買っちゃった('∀`;)
次はストフリか、それとも暁か…。
491通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 21:23:40 ID:???
>>490
ピカフリは?
492通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 22:03:38 ID:???
>>491
( ´゚ Д ゚` )
493通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 22:06:32 ID:???
>>491
ピカフリはあれ、ストフリでしょ。まだ出てきてないし
494通常の名無しさんの3倍:2006/02/20(月) 23:22:54 ID:???
関係ない話題で申し訳ないが、PP戦記のマユって他の作品よりも少し精神年齢が高そうな気がするんだ。
495通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 00:29:22 ID:???
フリーダム改とストフリかな・・・隻腕
496通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 10:23:58 ID:???
マユ種といい、隻腕といい、運命が思いっきりカッコいい。
これはPP戦記で運命が出てくる時、どういう活躍をしてくれるのか激しく気になるわけですよ。
既に伏線もあるし。
497通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 16:16:32 ID:???
>>494
マユに限らずゲンとか登場人物全員精神年齢高い気がする
話ももうこれ種じゃないよってところまで行ってる

話変わるけどノフチーを検索したらチェチェンの別名だった
ムスリムの話が出てきたあたりからやたら理屈っぽい話ばか
りだけど中高生は理解できるんだろうか?
大学生の漏れは楽しめてるが・・・






それより作者しゃん、ゲンマダー?続きまだー??
そろそろ一ヶ月経ちますお
498通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 16:41:40 ID:???
痛いなぁ
499通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 16:57:04 ID:???
>>497
急かすなっちゅーに。だまって待つのが吉。
作者さん達には都合ってもんがあるんだからな
500通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 17:16:30 ID:???
むしろ原作版のシンは幼すぎて嫌だ。
負債みたいなのが「今時の切れやすい子供ってこんなんじゃない」
って勝手にイメージした感じ
501通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 17:21:57 ID:???
>>500
負債が良く「今の子供は耳の痛い話を聞こうとしない」とか言ってるからな。
自分のことは棚に上げてw

批判されれば開き直り、話が支離滅裂だといわれると、読み取る能力が無いと視聴者叩き、
だて、誰が一番「耳の痛い話を聞こうとしない」のかとw
ここは縁側。そこでは二人の青年が将棋をしている。
片方は落語家のような服装の眼鏡の青年。もう片方は着物に袴と侍のような格好の青年。
『王手。』
『あ・・・っ!もう一回!ね?!』
『だめだ。さっきもそう言っただろう。』

『って!!何やってんだお前らーっ!』

突然庭から青い作務衣を来た少年が飛び出てくる。
『せっかく人間の姿に慣れたのになんでそんな爺くさいことやってんだよ?!そしてなんで俺だけ庭の手入れしてんだよ?!手伝え!!』
むきーっと怒鳴るフォース。
『そう怒んなさなって。第一旦那と若旦那いないんですから何しようとあっしらの自由でしょう?』
『お嬢様もディスティニーがすっかりお気に入りだしな・・。我らの何処が悪かったのか・・・・・。』
気楽なブラスト・・疾風とため息をつくソード。
『うぅ・・なんだよなんだよ!この精神ご隠居め!!いーもんねー!マークU誘って遊びに行って来る!!』
そのままだーっと飛び去るフォース。
『こらー!!庭の手入れをするなら木を動物型に切ったまま逃走するなー!!』



「くっそーっ!!こいつ倒せねーよ!!」
『だからリアクション使えよ。同じ声に負けてどーする。あ、掃除機かけるからどいて。』
二人の生活が始まって三日目。なんか、すっかり馴染んでいた。
『お前ネオから渡された勉強道具はどーしたんだよ。勉強しろよ。』
「やだーめんどいー。後でやるよー。あっ!!」
『そんなこといって後々泣く羽目になるんだから・・・・。』
なんだか夏休みの中学生とオカンみたいな会話である。
『いい加減日の光浴びたいよなぁ・・・。洗濯物もちゃんと干したいし・・。』
ぶつぶついいながら洗濯物をたたむシンハロ。
「・・・・なんか刺激がないよなぁ・・何か出せよ偽者。」
『知るか!俺はドラえも○じゃねー。』
その時である、突然、台所のほうからどかどががしゃんっっという盛大な物音だ。
「なっ・・・何だ?!ゴキブリ!?」
『いや、でかすぎるから。ゴキでかいから。』
二人は漫才をしながらそーっと台所を覗き込む。すると・・。
『いたたたた・・・・。一体ここどこだよ・・。』
青い作務衣の少年・・フォースと・・。
『よ、シンハロに元マスター。』
黒い服に黒い肌黒い髪、赤い目だけが輝いている少年がいた。
「・・・・・・誰?」
呆然とするシン・・・・それに対しシンハロは・・。
『え・・・・フォースに・・・・マークU!?なんだよその姿!!』
すぐに二人の正体を察し駆け寄るシンハロ。
「はぁ?!なんでMSが人間になってるんだよ?!」
『俺達もよくわかんねーよ。ま、突っ込んだら負けだぜ?マ・ス・タ・ア?』
ちっちっちと指を振りながらシンに言うマークU。
『騙されたー!ゲーセン行こうとか話してたら騙された!!』
『落ち着け落ち着け、どうやってきたんだ?』
『わかるかー!なんかマークUの奴と話しててなんかそれから・・・とにかくよくわかんねー!』
ぎゃんぎゃんとわめきたてるフォースとなだめるシンハロ。
「・・・・とにかく、冷蔵庫が外の世界に通じてるんだな・・・。」
『・・・・・・あぁ。』
がたがたがたがたっ!
お互いに確認をとった途端おもいっきり冷蔵庫に入ろうとする二人、だが、出られない。
「うっそーん?!」
『キャラは変わってる!!・・・・・はぁ、一方通行ってことか。』
肩を落とす二人。
『戻れないってことは・・・俺らもここで暮らすの?!』
『それ以外ねーだろ。あーあ、興味本位できたはいいけど。まさかこんなことになるなんてなぁ。』
・・・・男四人生活。暑苦しさパワーアップである。

「・・・お前ら二機は冷蔵庫で寝ろ!!現パイロット&元パイロット命令だ!」
『『マジ?!』』


504通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 20:55:54 ID:???
模型屋に行ったら帰りに運命、ガイア、赤い塗料が手元に・・・ハテw
やっぱプラモは出来云々より活躍があってこそ購買意欲が上がるってもんよ
505通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 21:50:46 ID:???
PPで、デスティニーが出たらマユが搭乗する悪役機か?

他作品みたいに、ゲンが搭乗か?

さてどうなることやら。

506通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 21:56:37 ID:???
>>505
悪役なんかじゃない。きっと最強の敵ってヤツさ。
507通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 22:14:55 ID:???
>>505
あれ?PP戦記のマユって一応もう一人の主人公じゃなかったけ?
アカデミーの話やアマルフィ家の養女になる話やら、結構描写があったから
無印の凸より断然キャラ立ちしているし・・・
508通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 22:58:14 ID:???
新しいSS思いついたんで投下してみます。
話の都合上インパルスの設定を滅茶苦茶にいじることになりそうなんですが、
そこのところは目をつぶってもらえるとありがたいです。
5091/4:2006/02/21(火) 23:02:10 ID:???
 私の生まれた国、オーブはある日突然戦場になった。理由は、正直よく分からない。
パパはマスドライバーを使わせてもらえないことに『連合』が怒って攻めてきたんだって言ってたけど、マスドライバーってそんなに大事なものなのかな?
よく分からないけどでもとにかく、戦場となったオーブでは、たくさんの人が死んだ。
たくさんの人が死んで、その中には私の家族も含まれていた。そして、私は一人ぼっちになった。
全てを失ったと思った。そんな自分が誰よりも不幸だと思った。
それが思い上がりだと気付かせてくれたのは、死んだ兄と同じくらいの年の一人の少女だった。
5102/4:2006/02/21(火) 23:03:31 ID:???


       歌姫の付き人   

   序


「いらない!」
これ以上ないほどに明白な拒絶。その声とともに、マユは渡されたサンドイッチを投げ捨てた。
「こんなもの、いらない。いらないから、だから……」
 うずくまり、泣き叫ぶ。
「返してよ! パパを、ママを……おにいちゃんを返してよ!」
 そうしたところでどうにもならないことは分かっている。でも、そうせずにはいられない。
平和な日々の、突然の崩壊。
共に暮らしていた家族との、突然の別離。
残酷などという言葉では、到底言い表しきれない現実。
まだ十一の少女が耐えるには、それはあまりに重すぎた。
5113/4:2006/02/21(火) 23:04:23 ID:???

「……でも、食べないと」
 おどおどした声が返ってくる。サンドイッチを配っていた少女だ。
ここ、プラトンにいるからにはコーディネーターであるはずなのだが、それにしてはパッとしない顔立ち。
ぼんやりした輪郭の内側に、目・鼻・口のパーツが機械的に配置されている。
目を離せばたちまちぼやけてしまいそうな薄い印象、そんな彼女が携わっているのが、地球からの避難民への物資配給のボランティア。
顔立ち同様目立たない仕事だが、それでも彼女は自分なりに頑張っているようだった。

「本当に……いいの?」
さらに何度か勧めたあと、少女は聞く。マユは顔も上げずにコクリとうなずく。
「食べないと、元気でないよ。ここ置いとくから、気が向いたら食べてね」
投げ捨てられたサンドイッチを拾い、代わりをマユの傍らにおいていく。
そのまま立ち上がり物資の入った箱を抱え、他の避難民のところへと運んでいく……
ありきたりな言葉しか掛けられない自分の不器用さに呆れながら。
5124/4:2006/02/21(火) 23:05:23 ID:???

少女が立ち去りしばらくして、それでもまだマユは床に座り込んだまま。
が、不意にその腹部から音が漏れる。本人にしか聞こえない、情けないほどにか細い音が。
時間が経てば腹がすく。物を食わねば生きられない。
それはたとえ戦争が起こっても、肉親が死んでも変わらない、この世の真理であるわけで、
マユの手は傍らに置かれたサンドイッチへとそろそろと伸ばされる。

手に取り、かじる。
パンとその間に挟まれたハムの味が、口に広がる。
おいしかった。丸一日以上何も口にしていなかったことを考えても、サンドイッチは憎らしくなるほどおいしかった。
それが悔しくて、そう感じてしまう自分が情けなくて、マユは涸れたはずの涙を再び流す。

「大丈夫?」
 声を掛けられて顔を上げる。ぼんやりした顔立ちの少女が前に立っている。
「飲み物、持ってきたんだけど」
顔立ちとは対照的な、独特できれいな声。
渡されたコップを受け取りながら、マユは相手の女性がさきほどサンドイッチを渡してくれた人であることに気付いた。

「ご両親は?」
 少女が、マユの隣に座り込んで聞く。マユはただ首を横に振って答える。
「そっか……じゃあ私とおんなじだ」
 少女があっけらかんと言う。その口ぶりに思わず聞き流し、その意味に気付いて驚いて振り向く。
「……あなたも?」
「あ、やっと喋ってくれた」
 マユの反応に少女は笑う。
そこには肉親を失った悲しみなど微塵も感じられなくて、マユは思わず口を開く。
「悲しく、ないの?」
「そう見える?」
「……うん」
 少女は首をかしげ、少し考えてから答える。

「うーん、どうなんだろ。自分でもよく分からないんだけどね。
 多分悲しいから、でも悲しいと認めちゃったらそれに耐えられるほどは私はきっと強くないから、
だから悲しくないふりしてるんだと思う。
それに私の親が死んじゃったのは血のバレンタインの時で、もうずいぶん経ってるから。
こう見えてもそのときは、ずいぶん泣いたのよ」

 そう言って、また笑う。決して整っているとはいえない顔に、笑みを浮かべる。
自分のことを『強くない』というその少女が、
でもまだ両目に浮かんだ涙が乾ききっていないマユにとっては、
とてもとても強く見えて、その強さがすごくうらやましくて、
いつか自分もそんな風になりたいと思った。
5135/4:2006/02/21(火) 23:06:14 ID:???

 サンドイッチを平らげて、コップのジュースも飲み干して、涙を拭いて、一息つく。
それを待って、少女はマユに聞く。
「そうだ……名前、聞いていい?」
 コクリとうなずいて、答える。
「マユ……マユ・アスカ」
「マユちゃん、か。あ、私はミーア・キャンベラ、よろしくね」
 返事は、返ってこない。
――何か不味いこと、言っちゃったかな?
 不安になって、振り向く。
サンドイッチでおなかが膨れたのか、散々泣いて泣きつかれたのか、あるいは、その両方か、
ミーアの隣に座ったマユは、心地よさそうに寝息を立てていた。
5146/4:2006/02/21(火) 23:16:20 ID:???
えー、いきなり分割間違えました。
隻腕様やらほのぼの様やらのミーア読んでたら彼女を中心においた話を見てみたくなりまして、
勢いで書き始めました。

ところでミーアのマネージャの関西弁(?)の男、正式な名前ありましたっけ?
『隻腕の少女』のそれらしき男にキングという名が付いていたと思ったのですが、
隻腕様、正式名称不明の場合名前お借りしてよろしいでしょうか?
515通常の名無しさんの3倍:2006/02/21(火) 23:20:06 ID:???
>>514
キングTAKEDAだったはず。

番組後半は、いなくなってましたが。
516通常の名無しさんの3倍:2006/02/22(水) 00:53:06 ID:???
>>514
誤字発見です。面白いですね。続き頑張ってください!

>>511
プラトン→プラント
>>513
ミーアキャンベラ→ミーアキャンベル
517通常の名無しさんの3倍:2006/02/22(水) 01:45:23 ID:???
単発設定小話 「アスランとハイネ」ダーダネルス海峡編D

〜アークエンジェル〜
バルトフェルド「な、キラがやられただと!?ここいらが潮時か・・・アークエンジェル、一旦引いたほうがよさそうだ。キラを拾って帰還する」
マリュー「そうね・・・まさかキラ君がやらててしまうとはね・・・・・・」
ラクス「キラ・・・」
カガリ「そ・・・んな。キラが・・・」
〜フリーダムを救助しつつアークエンジェルへ帰還するトラサメ。そして撤退するアークエンジェル〜
〜一方、ガーティ・ルー〜
ネオ「なにやってんの!腕がにぶったか?シン!」
シン「そんなんじゃねぇよ!後でたくさん反省してやるから、アプレンティス出すぜ!」
ネオ「わかった。あとでいびってやるからな!いってこい!」
〜その頃のミネルバ〜
タリア「よし!オーブ艦隊を通り抜けできたわね。後は振り返らずに逃げるわよ!MSが隊へ帰還命令を!」
アーサー「了解!・・・ハイネとアスランが本艦から離れすぎています!」
タリア「・・・とにかく本艦は全速前進!あの二人ならなんとかするでしょ・・・(なんとかしなさい。フェイスなら・・・)」
〜フリーダムを蹴散らしたグフに見入るアスラン〜
アスラン「ハイネ!?・・・キラ?帰還命令がでてるのか・・・・・・っく、俺は・・・」
〜飛行形態に変形し戦場から離脱、ミネルバへ向かうセイバー〜

〜ガーティ・ルーから飛び出すアプレンティス〜
シン「くそ、もうあんな遠くかよ!・・・ん?赤いのが遅れているのか・・・ええい、あいつでもいい。一機でも沈めないと気がおさまんねぇよ!」
〜セイバーを猛追するアプレンティス、それに気づき変形を解くセイバー〜
アスラン「なんだ、あいつは?灰色のアストレイだと?・・・そうか!あれがマユのいっていた奴か」
シン「さっきはよくもこけにしてくれたなぁ!」
〜ビームサーベルを抜き、競り合うセイバーとアプレンティス〜
アスラン「っく、これがアストレイの動きか?こいつは・・・一体?」
シン「その赤いMS・・・アスラン・ザラだな。ふん、拍子抜けだぜ。連合のデータベースは誇張しすぎだなぁ!」
アスラン「くそ、押されている?セイバーよりパワーもスピードもあるっていうのか!?・・・ハイネ!?」
〜セイバーに追いつくグフ〜
ハイネ「追いついた。アスラン!ぼけっとしてるなよ?目の前の敵に集中しろ!」
アスラン「ハイネ・・・すまん」
シン「フリーダムを蹴散らしたやつかー!」
ハイネ「飛び道具はないようだなぁ。格闘戦こそグフの見せ場なんだよ!アスラン!」
アスラン「了解!」
〜アプレンティスを両サイドから同時にけしかけるグフとセイバー〜
シン「こ、こいつら・・・コンビネーションだと!?オレンジの奴か・・・くそ、赤いのまで調子付きやがった」
ハイネ「アスラン、はじくだけでいいぞ!ミネルバに置いてけぼりにされるのはごめんだからな!時間はかけたくない」
アスラン「そうだな、ハイネ!」
〜グフのスレイヤーウィップがアプレンティスを牽制し、セイバーのサーベルがアプレンティスに切りかかる〜
ハイネ「腹ががら空きだぜ、灰色のー!」
〜アプレンティスにショルダータックルを喰らわせるグフ、海面に叩きつけられるアプレンティス〜
シン「ぐっ・・・うわぁー!」
ハイネ「アスラン!さっさととんずらするぜ」
アスラン「・・・ああ」
〜無事にミネルバへ帰還するハイネとアスラン〜

完  ・・・次回、それぞれの反省会編へ突入?
518舞踏の人:2006/02/22(水) 02:08:01 ID:???
本編がなかなか進まない中、なんとなしに思いついた小ネタを投下いたします…
マユちゃんは全然出てきません。 ケイとぬこ様のお話です。
5191/3:2006/02/22(水) 02:08:45 ID:???

とにかく大きく、とにかく繊細な模様の描かれた、いかにもゴージャスな絨毯を踏みしめながら
私は部屋の真ん中に置かれたソファーへと歩み寄り、真紅のビロウドの上に飛び乗った。
……うん、さっきの跳躍は我ながら見事なものだった。 98点というところか。
自らの華麗なる動きへの評価を付けて、満足した私はソファーの上に横たわり、身を丸める。

やや、申し遅れた諸君。 ご覧の通り、私は猫である。
名前は…………むむ? 私の名前は………………


……はて、なんだったろうか。



     舞踏閑話 ― ぬこ様とケイ。―



…突然取り乱してしまい、申し訳なかった諸君。
あまりに考え込んでしまったがためにイライラしてしまって、ついそこなクッションに当り散らしてしまった。
部屋中に舞い散る、極上のガチョウ羽毛が雪のようでなんとも美しい…そうは思わんかね、いやそういうことにしておこうよ。


しかし、どうにも腑に落ちない。 私の名前はいったいなんだったんだろう。
……あらかじめ断っておくが、私は決して下賎の猫のように阿呆ではない。
トイレの場所も熟知しているし、主であるロード・ジブリール氏の顔もよく覚えている。
更に言えば、私の品種名がノルウェイジャンフォレストキャットという長たらしいものだということも理解している。
どうだ、すごいだろう。 猫としては信じられないことだろう。 ささ、ここは褒めてもいいところだよ。


…おっと、自慢げにしている場合じゃなかったな。 さしあたっての問題が全然解決していないじゃあないか。
そも、ここしばらくの記憶を辿ってみれば、主が私の名を呼んだような記憶が無い。
呼びかけられるときはいつも、おい、だのキミ、だのしか言われていないような気がする…。
これは主とはいえ、あまりにヒドイ仕打ちではないだろうか! 
虐待だ、絶対に動物虐待だペット虐待だ、いわゆる一つのネグレクトというやつだ!
ふつふつと湧いてきた怒りのあまり、自慢のふさふさ尻尾がよりもっさり膨らんできたのを、私は実感した。


ううむ、ここは不満を主張すべく少々悪戯をするべきであろうか。
そう思った私は、さてどんな悪事を実行しようかと悪魔の如き頭脳を回転させていた。
…その時。 突然部屋に響く扉の開閉音。
不在の主が帰ってくるには早い時間ということもあり、私は驚き身体を跳ね起こした。

「あれ、やっぱりまだ帰ってきてないなジブリールさん。 ここで待たせてもらおっか」

部屋の中をキョロキョロと見回しながら、そう呟いた侵入者は
黒い軍服を着た、随分と若そうな人間のオスであった。
5202/3:2006/02/22(水) 02:09:48 ID:???
豪華な内装に物怖じした様子もなく、無造作にソファーへと近寄ってきた侵入者を
私は自慢のふっさり毛の奥に隠された、日頃から手入れを欠かさない鋭い爪を出す準備をしつつ、睨みつけた。
主不在の今、彼の無二のパートナーであるこの私こそが、この部屋の管理を任されているとも言えよう。
だから、不法侵入者がなにか一つでも不審な動きを見せれば、飛びかかって追い出してやろうと考えていた。
……しかしこの男、私の放つ殺意にも近い気迫にも全く動じず、平然と向かいのソファーに腰を下ろすではないか!

「あ、猫だ」

腰を下ろしてふっと息付いて、少しの間を置いた後、彼は私を見て声を上げた。
……どうやら、たった今私の存在に気付いたばかりのようだった。
周囲の気配に注意を払わない、間抜けな侵入者を前に、私は大きくため息をついて自慢の爪を引っ込めるのだった。


とりあえずのところ警戒を解き、再びソファーの上で丸まった私だが
真向かいにいる青年の、興味津々と言った様子の眼差しがなんとも鬱陶しくてのんびりくつろぐことも出来ないでいた。

「ねえ、こっち来ない? 待ってる間ヒマだから遊ぼうよ」

ずっとこちらを観察し続けていた彼は、自分の膝を叩いて示しながら声をかけてきた。
が、そんな誘いに尻尾振って行くほど私はお安くないのだ。 つんと顔を背けてその意志を示しておく。
すると彼は、なぜ来ないんだろうと言わんばかりに不思議そうな顔で首を傾げていた。
私は主の操るような、見事な猫じゃらし捌きでないと満足できないタチなのだ。あんな若造じゃあ、到底及ばないだろう。

一向に自分の方を向かない私を見て、青年はうぅんと唸り、考え込むように口元に手を当てていたが
やがて、ソファーの上に転がっていた猫じゃらしの存在に気付くと、それを手にした。
いや、だから無理だって。 主の卓越した猫じゃらし捌きじゃないと、私は乗らないんだってば。
なにも言わず、ただジト目で見ることで興味が無いことを伝えていた私だったが…

「ほら、ほらほら、おいで?」

そんな呼びかけと共に動かされた小さなもけもけは……まるで、活きのいいハツカネズミかと思うほど軽やかに動いていた。



さながら、炎に近づけられたひとひらのティッシュペーパーのように
私の理性は真っ白に焼かれ、あとかたもなく消え去っていた。

「うにゃぁぉん! うにゃんうにゃぉ!!」

私との距離が開いている時は、まるで怯えるかのように小刻みに震え、私の嗜虐心を刺激してきたが
それに誘われ、飛びかかると脱兎の如く私の手足の間をすり抜け、いずこかに逃走する。
着地し、相手の逃げた方を振り返れば、ニコニコと笑う青年の前で、共にあざ笑うかのようにトントンと跳ねる猫じゃらし。
まるで狩猟の獲物を思わすような、絶妙な猫じゃらし捌きを前に
私は、先ほどまでの怒りも退屈も忘れ、一心不乱にじゃらされていたのだった。
5213/3:2006/02/22(水) 02:10:56 ID:???
「…おや、ケイ。 来ていたのか」
「ジブリールさん、お邪魔してます」

主と、それに答える青年の声に我を取り戻した私は
青年の肩や足の影から誘うように、出ては引っ込む猫じゃらしを追うのを止めて、にゃあんとお帰りの挨拶を主へと向けた。
…もっとも、それは若干荒い息に乱された無様なもので、主はどうしたと言わんばかりの顔で私を見つめてくる。

「ねえ、ジブリールさん。 この子どういう名前なんですか?」

その言葉と共に、私の身体は不意にソファーから離され、青年の手によって膝の上に乗せられていた。
不覚を取った、と思いはしたのだが激しい動きでじゃらされたことによる疲れで、逃げ出そうにも身体がいうことをきかない。
……しかし、彼はまるで私の欲求を読み取ったように私好みの動きを繰り出しただけでなく
先ほどから私の心を悩ませていた疑問まで、代弁するように問うてくれた。
なんだ、ものすごくイイやつかもしれない。 青年に対する認識を変えた私は、彼と共に問いかけの視線を主へと投げかけた。

「名前…か? そう言えば、シュタウフェンベルグと名付けたはずだが……」

むむ、と困った風に眉寄せながら主はそう答えた。 なんか、妙に自信なさげな語尾が気になって仕方ない。
……しかし、なんと長い名前なんだろう。 いくら賢い私でも、何十回も呼ばれなければ覚えられないかもしれない。

「そんな長い名前じゃ、呼んであげれないでしょう。 もっと短くて分かりやすい名前にしてあげましょうよ」
「む、そうか……ならばどうするかな……」

…彼の指摘は、大当たりだったようだ。
主は、私にカッコつけた長い名前をつけたのはいいが、長すぎて自分でも使っていなかったのだ。
それを証拠に、あからさまに顔色を変えた主は、ブツブツと様々な名前を口にしては、
これはいまいち、とか可愛くない、だのと一人会議を繰り広げている。
今まで、主のことを一分の隙も無い完璧な紳士と思ってきた私だったが、
案外、いい加減な面があることを知って少々幻滅していた。

「じゃあ、"ミヒャエル"ってのはどう?」

不意に聞こえた、感じのいい響きは青年のものだった。 主にではなく、私を見ながらそう聞いてきた。
……ミヒャエル…ああ、けっこういいかもしれない。 短い上に、なんだが高貴な感じがする。
彼の提案した名前が気に入った私は、機嫌の良い声でにゃあと応じた。

「ほら、これでいいらしいですよ?」
「む、私が飼い主なんだが……しかし悪くない名前だしな…」

あくまで名付け親になりたかったらしい主は、少し不満げな顔をしていたが、最後には渋々納得して、頷いた。

「決まりですね。 …改めて、僕はケイ・サマエル。 よろしくね、ミヒャエル?」

名前をくれた青年、ケイは私を抱き上げると頭上高く持ち上げながら、にこりと笑った。
……彼とは、良い友達になれる気がする。
なんとなくそう思った私は、自分の中でもとびきり良い声で、にゃあおんと一声鳴いた。
522あとがき:2006/02/22(水) 02:14:17 ID:???
ぬこ様、公式にも名前が無いので勝手に決めてしまいましたorz
自分ところの話では、ジブリの出番も多いのでぬこ様もしょっちゅう出てくるかなー…と思って考えた次第です、はい。

きっと、ケイの猫じゃらし捌きがスペシャルなのは彼がスーパーコーd(ry


悪乗り的な内容でした。 お目汚し失礼いたしました…。
523通常の名無しさんの3倍:2006/02/22(水) 12:28:31 ID:???
>>514
新作期待。今後どう転がっていくのか激しく気になりますね。

>>522
ぬこ可愛いよぬこ。厳しい話の続く舞踏だけど、マジ和みました。GJ!


ところでどっかにオーブのマークのデカールないかな。1/100スケール用の。
コイツの所属はエターナルでもザフトでもないんだよ畜生。デカールの自作なんてできねぇよ畜生。
524通常の名無しさんの3倍:2006/02/22(水) 14:25:06 ID:???
種のサントラ聞きながら読むと面白さ二倍になるというのはガイシュツ?
525通常の名無しさんの3倍:2006/02/22(水) 14:50:20 ID:???
>>510-514
非常にこなれた文章ですな。世界にスッと入っていけました。
今後に期待させて頂きます
526ほのぼのマユデス。しんはろ!:2006/02/22(水) 20:32:38 ID:???
注:閉じ込めたネタは何かに詰まった時に使うことにしました。それでは本編くすくすごーごー。



「しーそると、にーちゃんはたべないのか?」
『んー、にーちゃんは出来るだけ食べないほうがいいんだ。消化できないからとりあえず保存するだけだし。』
「じゃーたまったのはどうするんだ?」
『聞きたいか?』
「いやだ!」
ベンチに座る小さい少年とでっかい青年。シンハロとレオンである。
『なぁ、艦長って家にいるときどんな感じなんだ?』
シンハロはふとレオンに聞いてみる。
「んー、いっぱんかていのかーちゃんだとおもうぞ。おこるとこえーしな。きおくしたか?」
ぱくぱくとアイスを食べながら答えるレオン。
『知るか!・・・俺さ、母親ってどんなものか解からないんだ。なんか、漠然としたイメージしかなくて。』
少し寂しげな顔をしてシンハロは呟く。
「そっかー・・、にーちゃんどらえも○みたいなもんだからな。どらえも○にはのび○のままがいるけどにーちゃんにはいないのか。」
アイスを食べる手をとめてずーんと落ち込むレオン、その姿にシンハロは大慌てでフォローする。
『あっ・・でも別に寂しくないぞ!!マユもいるしレイもいるしアキラもいるしとにかく家族はいるし!!』
「でもさー、にーちゃんはあまえるひとがいないんだろ?おれ、かーちゃんはあんまりかえってこないけどそのときはおもいっきりあまえるぞ。」
ずーんとレオンはあいかわらず落ち込んだままである。
シンハロは必死に自分のメモリーを探る。誰か頼れる人・・・・・・。
議長は絶対違う、アスランも違う、ハイネはあきらかに違う。MS達にもいない。
すると、突然『聞いたことのない』声を思い出す。

『いいかい?僕も君もいつか帰らなくちゃいけない。きっとその時、君は僕の事を覚えていないだろう。でもね、シンハロ・・・・。』

茶色い髪に、優しい目つき。それに・・・・青い・・・・・。

急にシンハロの身体がゆれ、その場に倒れこむ。
「にーちゃん?!」
レオンが驚きの声をあげる。シンハロは、全ての機能を停止させていた。
527ほのぼのマユデス。しんはろ!:2006/02/22(水) 20:41:35 ID:???
「うぇーい・・・・ガイアインパルス・・・。」
「ス?!す・・・そうだ、ステラ知っているか?ガイアインパルスは実在するんだ。」
「まじでか。」
「あぁ、ガイアモンとインパルスモンがジョグレス進化すると進化する究極体MSなんだ。」
ステラとのしりとりで危うくなったので大嘘でごまかすレイ。ひどいや。
すると、向こうの方で何やらあわてふためく少年が。
「・・・・あれは、艦長の息子さん?」
「たしか・・れおんくん・・・。」
するとレイ達を見つけたのか駆け寄ってくるレオン。
「・・・にーちゃんたち!しんはろのにーちゃんが!しんはろのにーちゃんが!」
安心したのか泣きじゃくるレオン。ステラはよしよし、と頭をなでる。
「シンハロがどうかしたのか?!」
「わかんないんだ・・・。話してたら急に倒れちゃって・・・。」
シンハロはロボットなのでキャストに言うわけにもいかなかったのだろう。とりあえずベンチに横たえることだけはできたらしい。
レイはシンハロの様子をみて、鞄からノートPCを取り出し、シンハロにつなぐ。
「・・・・大丈夫だ。ちょっとしたバグ、まぁ、人間でいえば貧血みたいなものだ。すこし時間がかかるから土産屋でも見てろ。」
レイは画面に目を集中させたまま言った。


「レイ・・・・おこづかい・・。」
「おれもー。」
「ええいっ!!それくらい自分の金で買え!!」


528通常の名無しさんの3倍:2006/02/22(水) 20:59:18 ID:???
>>524
この板にいるヤシなら二倍ではなく三倍と書き込むべきだ




いやどうでもいい事だなスマソ

>>514
ミーアの付き人かぁ、これは盲点であった
期待してまっせ(´_ゝ`)b
529通常の名無しさんの3倍:2006/02/22(水) 22:44:00 ID:???
ほのぼのさん乙〜
もしかしてシンハロ制作時にうっかりネットに流出したところがでてくるのかしら・・・wktk
ジョグレス進化懐かしいww デジモンも守備範囲かww
530通常の名無しさんの3倍:2006/02/23(木) 00:09:04 ID:???
一番シン(ネオ)が男気を見せた作品ってなんだろ?
531通常の名無しさんの3倍:2006/02/23(木) 01:39:17 ID:???
ゲンも入れていいなら圧倒的に満場一致でPP戦記だろうな
含めないならば…うーむ、やっぱ今のところマユ種かな、一番確固たる信念持ってるっぽいし
当然、今後の各作品の展開によって評価が変わってくるだろうけど
532通常の名無しさんの3倍:2006/02/23(木) 14:36:52 ID:???
>>530
シンはマユ戦記ラストで一気に爆発した>男気
533通常の名無しさんの3倍:2006/02/23(木) 15:58:46 ID:???
「俺はシン・アスカだ!」のくだりは神
534通常の名無しさんの3倍:2006/02/23(木) 18:59:04 ID:???
明らかにミリアルドのパクリだったがカタルシスを感じたよ
535通常の名無しさんの3倍:2006/02/23(木) 20:26:31 ID:???
このスレのせいで舞乙OP聞いてたら
脳内で隻腕OPが再生されるように…ちくしょうマジ観たいぜ、アニメ版隻腕
536付き人 0/14:2006/02/23(木) 22:18:21 ID:???
第一話、出来たので投下します。

515様、情報ありがとうございます。
さっそく登場させてみましたが……
方言はよく分からないので喋り方は激しくおかしいかも……
537付き人 1/14:2006/02/23(木) 22:19:18 ID:???

アーモリーワン……ここはユニウス戦役後プラトンが建設した軍事工業プラントである。
その軍事ブロックでは多数の人々が、彼等の操るMSが、式典の準備に追われている。
明日は初のポストユニウス戦役型戦艦ミネルバの進宙式。
巨額の予算を注ぎ多数の新技術を採用し、更に前の戦争の戦訓をふんだんに組み込んだこの艦には、
ザフト軍の、いや、プラトン全国民の期待が掛けられている。
それに応えるように、明日の進宙式では盛大な式典が予定されていた。

もっとも、このことに強い懸念感を抱くものもまた存在する。
特に先の戦争でザフト軍と対峙した連合首脳部にその思いは強い。
まあ相手に脅威を認識させ行動を制限する抑止力も軍事力の役割の一つであることも考えると、
その反応は艦建造の趣旨に必ずしも反するとはいえないわけではあるが……
そんなむづかしい話とは一切関係ない逃走劇が、いまこのプラントの片隅で繰り広げられていた。
538付き人 2/14:2006/02/23(木) 22:21:47 ID:???


     歌姫の付き人

    第一話  未知の衝撃


「あー、もー、バカバカ、ミーアのおバカ」
栗色の髪の少女が、買い物袋を手に路地裏を駆ける。
「そんなこといったってー、ばれると思わなかったんだもん」
桃色の髪の少女が、目深にかぶった鍔付き帽子を右手で抑えて疾走する。
その後方には、彼女たちを捜し求める人々(主に男性)の姿が……

「何が『ばれると思わなかった』よ。
少しは今の自分がプラトンの国民的歌手だって自覚を持ちなさい!」
「だってだってー」
「うるさーい! 喋ってる暇があったら足を動かせ!」
「あ、待ってよマユー」
「さっさと来て、気付かれたわよ!」

マユはミーアの手を引き道を急ぐ。
なんでこんなことになったのか……頭をかきむしりたい気分に襲われながら。
「出かける前にあれほどしつこく言っといたでしょ、
ピンクの髪は目立つから絶対帽子は取るなって」
「はーい、ごめんなさーい」
539付き人 3/14:2006/02/23(木) 22:22:53 ID:???



桃色の髪の少女、ミーア・キャンベルの職業は歌手である……
いや、正確に言えば彼女が舞台で演じる女性、ラクス・クラインが歌手なのだ。
だがこのラクス、確かに職業的には歌手に分類されるのかもしれないが、
やること、なすこと、その影響力は断じて単なる一芸人の持つそれではない。
出自からしてプラトン議会対地球穏健派の長、シーゲル・クラインの娘。
先の戦争中不運にもそのシーゲルが凶弾に倒れたあとは、急進的クライン派を取りまとめ自らも戦場に立つことで縦横無尽に活躍、
殲滅戦の様相を呈しかけていた戦争をついには終結へと導いた。
細かい業績は戦中の混乱で記録が定かではないが、プラトンの誰もが認める大功労者である。
その後彼女の発言力、影響力は大いに高まり、その気になればプラトン全てを牛耳れるほど……
に、なったのではあるが、当のラクスはそこで突然姿を消した。

困ったのはプラトン上層部である。
自国の精神的支柱であるはずのラクスが行方不明、それを公表すれば国民に与える動揺は計り知れない。
やむなく彼等はこの事実を隠蔽、だがいくら隠しても、ラクス・クラインが表舞台に姿を現さないという状態は残る。
それが続けば、やはり国民の動揺は避けられない。
そこでプラトン評議会現代表、ギルバート・デュランダル議長が立てたのが、ラクスの影武者、ミーア・キャンベルである。
540付き人 4/14:2006/02/23(木) 22:23:58 ID:???

このことは、もちろん国民には知らされていない。
表向きは長期休暇からの復帰と発表され、ラクス失踪を知るものには議長が彼女を見つけ出したとの報告がなされている。
影武者となったミーアの両親は先の戦争で亡くなっており、そこからばれることも考えられない。
真実を知るのは議長のごく周辺とミーア本人、彼女の活動をサポートする数人のスタッフ、そしてマユである。

ミーアとマユ、共に戦争で肉親を失った2人の間には、戦争終結前から既に家族同然の交流があった。
影武者の話がミーアに持ち出された時点でそれは当然マユも知る所となっており、さすがに議長側もそれを忘れろということも出来ず……
また、当時16のミーアよりさらに4つも年下のマユを単身で放り出せるわけもなく……
結果彼女もまた、真実を知るものの側へと引き込まれることとなった。
今のマユの立場はミーアの付き人、より正確に言うなら友達兼お目付け役、といったところであろうか。

なにしろミーア・キャンベル、人を疑うことを知らなければ人から疑われることも知らない。
その後先をあまり考えない行動は、常に周囲に騒動を振りまく。
いや、単なる一国民である分には何の問題も無いのではあろうが、
ラクス・クラインという立場は(たとえ偽者でなかったとしても)そのような甘いものではない。
今も買い物に出かけた店先で、不用意に変装用の帽子を取って……
ラクス・クラインの存在に気付いた熱狂的ファンに追いかけられ、マユに手を引かれて路地裏を逃走中、というわけである。
541付き人 5/14:2006/02/23(木) 22:26:35 ID:???

「で、もう今日は買い物はいいでしょ」
「えー、化粧品は買ったけどシャンプーがまだ……」
「それくらいあとで私が買っといてあげるから!」
「……分かったわよー」

必死に逃げながらの会話。かなりの速度で走っているのに、二人ともほとんど息を切らしていない。
さすがはコーディネーター……と、言いたいところだが、追いかけている相手もコーディなので、何のありがたみも無い。

「でもさ、明日の式典でやる予定だったサプライズコンサート、中止になったんでしょ?」
「うん、今朝議長さんから電話が会ったよ」
「じゃあ私、明日一日はオフなのよね」
「オフでもミーアにはやること一杯あるでしょ」

 細い道を右へ左へと曲がりながら、追っ手をまく。

「やること?」
「発声練習、歌の練習、踊りの練習」
「お、おにー!」
「鬼で結構!」

 そのまま路地裏から大通りへ、振り向いて後ろを確認して……
すると当然、前方は不注意になってしまうわけで、

「あー、ちょっと、マユ、前、前!」
「……まえもバカをやれよ、ば――おわ!」

とび出した通りの歩道で、マユは緑色の髪の青年に正面からぶつかった。
542付き人 6/14:2006/02/23(木) 22:27:47 ID:???

「マユ、大丈夫?」
「う、うーん、何とか」
倒れこんだマユを、ミーアが助け起こす。

「スティング、何だよ、これ?」
「俺に分かるか」
その横では、ぶつかった相手にその連れの青い髪の少年が話しかけている。
マユは起き上がると左手に持っていた買い物袋の中身の無事を確認し、
「やばい!」
路地裏から迫る追っ手の気配に顔をしかめた。

今ここでミーアがファンに取り囲まれる事態は、なんとしても避けたい。
とはいえ人の多いこの大通りで、鬼の数のほうが多い鬼ごっこに勝てるとも思えない。
ならばいったいどうするか……
あたりを見回したマユの目に、いまだ状況が飲み込めていない先ほどぶつかった緑毛とその連れの青毛が映った。

「ごめん、この子預かって! ミーア、私がおとりになるからそこで待ってて」
2人に有無を言わせずミーアを押し付け、そのまま大通りをわざと目立つように駆けてゆく。
ほぼ同時に、路地裏から何人かの男性がとび出してくる。
「おい、ラクス様どこいった?」
「わかんねーよ! ちくしょう、サインほしかったのに!」
「オイ、あの子……さっきラクス様と一緒にいた子じゃないか?」
「そーだそ−だ、あっちだあっち!」
彼等はマユを見かけると、彼女を追いかけて去っていく……男二人の陰に隠れたミーアのことに気付かないまま。

「スティング、アウル、あの男の人たち、なに?」
 ミーアが盾にした二人の男に、遅れてやってきた少女が尋ねる。今度の髪の色は黄色だ。
緑に青に黄色、なんか彩り豊かだなー……自分の桃色を棚に上げて、ミーアはそんなことを考える。
「さあ? 浮かれてる馬鹿だろ、本物の」
 スティングと呼ばれた青年が応える。その意見に、ミーアは内心で全面的に同意した。
「でもあいつら、あんたのこと追ってきたんだろ。そのわりにゃ落ち着いてるな、あんた」
 アウルと呼ばれた少年が、不思議そうに聞いてくる。
「ええ、慣れてますし。いつものことですから」
「……たいへんなんだな、お前も」
それを聞いたスティングが、心底同情するように言った。




543付き人 7/14:2006/02/23(木) 22:29:15 ID:???

「我々は中立国だ、自国の理念を……」
「それは我々とて同じです。しかし……」
「確かに議長の言われることも分かる、だがそれでも……」
 アーモニーワンの基地区画を歩きながら、一組の男女が論戦を交わせている。
長身長髪の男性がプラント評議会代表ギルバート・デュランダル、
彼と比べると二周りほども小柄な女性が、オーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハだ。
彼等から一歩下がった位置にいる護衛役の男性は、その会話を無視するように抜け目なく周囲を観察する。
会話の内容は、もちろん彼の耳にも入ってきている。それは彼の脳を刺激し、様々な思考を彼にめぐらせる。

――議長の言うことにも一理あるが……
――オーブとプラトンの国力を比較すると、それは……
――おい、カガリ! 乗せられているぞ。あの言い方だと議長の思うつぼに……

彼の考えは会話の内容だけでなく、その進め方、政治的駆け引きの優劣にまでのぼる。
が、それが彼の口から発せられることはない。それを発する資格は彼にはない……少なくとも彼はそう考えている。
だから、周囲に目を走らせる。何も考えずにすむように……何も考えていない振りが出来るように。
544付き人 8/14:2006/02/23(木) 22:30:34 ID:???

「これが……ミネルバか」
「明日、これの進宙式を執り行う予定になっています。
代表と……そちらの護衛の方もよろしければ参加いただけませんか? 特等席を、用意いたします」
「そうだな……そうだ、アレックス、お前はこの艦についてどう思う?」

鋼の要塞……そんな言葉の似合う戦艦の前で、二人の足が止まる。
護衛のセオリーどおり数歩下がった位置で立ち止まった彼は、数瞬の推考の後よどみなく応える。

「かなり、硬そうな艦ですね。対MS用の火器も充実していますし、何よりも全面に施された複合装甲。
多少の攻撃をかけても平然と耐えきられそうで……少なくとも自分は相手にしたくはありません」

この話題なら、話せる。ためらわずに、話せる。

「なるほど、代表の護衛を勤めていらっしゃる方にそのような感想をいただけると嬉しいですな。
ですがその視点の持ち方は、ひょっとするとアレックスさんはMS乗りで?」
「はい、前の戦争では」
「では、この艦に乗る側の立場に立った場合何か気付かれませんか?」
「乗る側、ですか? そういえば、やけにカタパルトの数が多いような……
それにそれぞれのカタパルトの形式が微妙に異なっている」
「気付かれましたか、実はこの艦……」


2人の会話からカガリは抜け出て、フウと小さく溜息をつく。
自他共に男勝りと認めるカガリではあるが、それでもこの兵器について熱く語る『男の子』の気持ちという奴はよく分からない。
それでもいつになく饒舌に話す彼の様子に、半分呆れ、半分ほっとする。
そして、決意を新たにする。

あのアスランが心を開く相手なのだ、議長は決して悪い人ではない。
時間はかかるかもしれない、だが諦めさえしなければいつかはきっと、自分の熱意は分かってもらえる。



545付き人 9/14:2006/02/23(木) 22:31:23 ID:???

「あ、いたいた」
街を一周して追っ手をまいて、マユはミーアと別れた場所に戻る。
そこでミーアたちの姿を確認して……
「ぷっ!」
吹き出した。

「ちょっと、なによ、マユ」
「いや、なんか信号みたいだな、なーんて」
「信号? あーなるほどね」
 
スティング、ステラ、ミーアを眺めたアウルが、マユの意見に同意する。
確かにマユのほうから見ると緑、黄色、ピンクの頭がきれいに一列に並んでいる。
その意見にスティングが呆れ、ミーアが頬を膨らませ、ステラはわけが分からず首をかしげる。
と、いったところで改めて自己紹介、ミーアはもちろん『ラクス』として紹介する。

「へー、でもラクスってそんな有名な人だったんだ。もしかして俺ら、すげーラッキー?」
「そーそー、ラクスに会えるなんて滅多にあることじゃないんだからね!」
「いや、なんでマユが威張るんだよ? あ、だったらさ、サインくれよ」
「はい、お安い御用ですわ」

 はしゃぐアウルを呆れ顔で見ていたスティングが、ふと腕の時計を眺める。

「おい、そろそろ時間だ、行くぞ」
「時間……仕事?」
「あ、ちょっと待って……」
「はい、出来上がり!」

 ミーアが携帯していたペンで、アウルの上着の裏地に名前を書き込んでやる。

「さっさとしろよ」
「今行くって! ありがと、じゃあねー」
「はい、お気をつけて」

ミーアの言葉にスティングが、無言のまま軽く右手を上げて答える
……目を離すとどこかに行ってしまいそうなステラを左手で抑えながら。
それを見たミーアは、くすりと笑う。

「どうしたの?」
「ううん、なんでもない。スティングも大変なんだなーって思って。
じゃあ、私たちも行きましょう」
「うん」
546付き人 10/14:2006/02/23(木) 22:32:35 ID:???
買い物袋を手に持って、大通りを行く。
ついつい帽子を取ろうとしたミーアを、マユが蹴飛ばす。

「そういえばマユ、なんで明日のコンサートって中止になったの?」
「えーと、確か議長さんは面倒な人たちが来ちゃったとか言ってたよ」
「ふーん」

二人が入っていったのは軍事区画の片隅の倉庫。
中のソファーで暇そうに雑誌を読んでいた男が、2人に気付いて顔を上げる。

「ただいま、キングさん」
「おお、早かったやないか。無事に買い物終わったんかいな?」
「それがきいてよ、ミーアったらさあ」
「あ、ちょっとマユ!」
「またファンに気付かれて、追い掛け回されて大変だったんだから」
「はー、そいつは災難やったなー。
ほんまミーアも一応年上なんやから、あんまマユに迷惑かけたらあかんで」
「なによ、その一応って!」

頬を膨らませたミーアを無視して、マユは倉庫の中央に向かう。
そこにはカタパルトに備え付けられた機体が四体、構造は一体一体が異なっている。
明日のコンサートでステージ代わりにするはずだったものだ。

「そういや、明日のコンサ−ト中止になったんやて?
こいつせっかく運び込んだのに無駄になってもうたなー」
「私もせっかく練習したのになー」
「大丈夫よ、あわてなくても。
来週にはまた別のコロニーでコンサートあるんだから、その時は操縦よろしくね」
「うん、まっかせなさーい!」
「でもこれ、なしてPS装甲なんぞ付いとるんや?」
「さあ? でもミーアのこと乗せるんだから、頑丈なほうがいいんじゃない?」

いつも通りのたわいもないおしゃべり……しかしそれは、突然の爆発音で遮られる。

「な、なんやー?」
「なんか今、すっごい音が……」
「なんだろ……ちょっと待ってて」

マユは倉庫の窓に駆け寄り、外の様子を覗いてみる。
窓の外に広がる軍事施設、そのちょうど中央で二度目の爆発が発生する。
上がる炎、立ち昇る煙、そして煙の中から人型の兵器が姿を現す。



547付き人 11/14:2006/02/23(木) 22:33:29 ID:???
「おい、アウル、早すぎるぞ!」
「はあ? スティングが遅ーんだろ」

 その兵器、アビスに乗っていたアウルは、早々にOSの立ち上げを終了させ、スティングの静止も聞かずに周囲への攻撃を開始する。

「有名人に会えてサインも貰えたし、今日の僕は絶好調!」
「お前なあ……」
「ステラ……出来た、出る!」
「お、おい、ステラまで……えーい、もういい、勝手にやれ!
ただしあまり離れすぎるなよ。それと、迎えの時間には遅れるな」
「分かってるって!」

煙の中からさらに二体、MSが出現する。それらが放つミサイルが、ビームが、ザフト軍の事態に対する対応能力を急速に奪い去っていく。

「ああ、強奪だ! カオス、アビス、ガイア、三機とも!
冗談? んなわけないだろ、そっちでも爆発音ぐらい聞こえねーのか?
ああそうだ、演習じゃあないぞ。セカンドシリーズの三機が奪われたんだ!」

彼等の足もとで、生き残りの警備員が状況を伝達する。
それは周囲の軍事施設に迅速に伝えられるが、
有効な対策を立てられる前に三機の破壊が施設を襲う。

唯一対応出来たのは、皮肉にも本来三機の母艦となるはずだった戦艦ミネルバ。
進宙式を明日に控えていたこの艦から、二機のMSが発進する。

「ルナマリア・ホーク、ザク、行くわよ!」
「レイ・ザ・バレル、ザク、発進する!」
「それにしても、なんでセカンドステージの機体が三機全部……」
「無駄口を叩くな、ルナ。同じ新型でもこっちは量産機、油断するとやられるぞ」
「分かってるわよ!」

『聞いてると思うけど奪われたと思われる機体はカオス、アビス、ガイアの三機、
六番ハンガー付近の他の機体は全て破壊された模様。
一番ハンガーから増援が出ることになってるけど、現場到着までに時間がかかるわ。
きついと思うけど、それまで2人で抑えてちょうだい』

ミネルバ艦長、タリア・グラディスが艦内から指示を下す……ミネルバに寄せられた情報に基づいて。
が、二機が現場に着く前に、そこでは新たな展開が発生していた。



548付き人 12/14:2006/02/23(木) 22:34:14 ID:???

「なんでこんな……くそ! 議長は」
突然起こった爆発に、カガリは戸惑いを隠せない。

「カガリ、こっちだ」
「おい、アスラン!」
「今は議長よりお前だ!」
 
護衛役のアスランが、カガリを引っ張って建物の影に。生じた爆発からとりあえず逃れる。
が、相手はMS、当然足もとなど見ていない。このままではいつ潰されてもおかしくない。
対策を求めて巡らせた視線が、乗り手がないまま置き捨てられた緑色の機体を発見する。

「来い!」
「え?」
「生身でうろついていたら危険すぎる!」

カガリを機体に押し込み、自らも中に。そのまま、機体を立ち上げる。
彼の判断は間違っていない、間違っていないがだからこそ同様の判断をするものもいるわけで、
そして彼はそのことをまったく認識していない。



549付き人 13/14:2006/02/23(木) 22:36:24 ID:???

「あれ、MSじゃ……って、マユ?」

 窓から外を覗いていたマユは、ミーアの手をとり機体の方へ。

「ここにいたら踏み潰されちゃう……出すから乗って!」
「乗ってって、これで出るの? 式典用でしょ、この機体」
「それでもここにいるよりはまし! キングさん、この子、発進させます!」
「なんやてー! つうてもこんな所でミーア死なせるわけにもいかへんし……
しゃあない、緊急的処置や! MS、発進させるで!」

狭いコクピットにマユとミーアの2人が詰めて座り、キングが倉庫のシャッターを開け放つ。
「エンジン始動、エネルギー状態良好、発進準備完了!
キングさん、カタパルト始動させたらすぐに逃げてください!」
「当たり前や! こんなとこにおったら命がいくつあっても足りんがな。
ほなマユ、悪いけどミーアのことよろしく頼むで!」
キングの操作によってカタパルトが始動、
三体の無人機と2人を乗せたコアスプレンダーがコロニーの空へと射出される。

「お願い、インパルス!」



550付き人 14/14:2006/02/23(木) 22:37:26 ID:???

「ねえレイ、報告よりも一体増えてない?」
「ああ、まさかザクまで奪われたのか……ルナ、左だ! 識別コードにない航空機、数4!」
「ちょっと、まだいたの!」

コアスプレンダーがチェストフライヤー、レッグフライヤーと接続、一体のMSへと姿を変える。

「赤と白の機体……型はこれと同じ、ザフト軍か?」
「おいアスラン、あれ……合体した!?」

さらにシルエットフライヤーを背に付け、PS装甲を起動させる。

「……赤、白、緑……もう一機!」
「ステラ、アウル、気をつけろ、新型だ!」
「はあ? なんだよそれ。ネオの話じゃ新しいのはこの三機だけだって……」
「いるんだからしょうがねーだろうが!」

そのまま姿勢を崩さず、コロニーの大地に降り立っ……たのはいいが――

「ねえマユ、なんかみんなこっち見てるみたいなんだけど……どうするの?」
「え、えーとー……どうしよう?」
「ちょ、ちょっとー!」

 六体のMSに睨まれたインパルス、そのコアスプレンダーのコクピットで、2人の少女がなんとも情けない声を上げた。
551付き人 15/14:2006/02/23(木) 22:44:58 ID:???
第一話、投下完了です。
マユデス史上もっとも決まらないインパルス登場シーンを目指してみましたが、いかがでしたでしょうか。

インパルスの設定は本編のピンクザクと同様にしました、そうでないとまだ軍人でないマユを乗せられないもので。
ただしまだコンサートで使ったことはないので、その存在はほとんどの人が知りません。

次回はアーモニーワンでの戦闘……よく言えばどたばた、悪く言えばグダグダになりそうです。
552通常の名無しさんの3倍:2006/02/23(木) 23:00:03 ID:???
>>536
惜しみなく言おう、GJと!!
前例のない設定なのに世界に入り込める。読みやすい。
そして面白い。

>>もっとも決まらないインパルス登場シーン
wwww狙ってのことかwwww

でもあえて言っておこうか…
プラトン→プラント  アーモニーワン→アーモリーワン
553通常の名無しさんの3倍:2006/02/23(木) 23:59:10 ID:???
>>536
いや、ホントGJッス! シンプルな文章で読みやすいうえに、世界に入り込みやすい面白い内容!
期待の新人さんが来てくれて、ほんと嬉しいなぁw
ミーアや三人組についても、キャラの性格描写が良くて分かりやすいし… 
ぽんやりしたステラと保護者のスティングがイイ!


…そして、もっとも決まらないインパルス登場シーンに吹いたwwwww
降り立ったインパルスの周りに、?マークが浮かんでる絵を想像してしまったよ…w
554通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 01:30:08 ID:???
単発設定小話 「ハイネとマユとアスラン」マルマラ海編@

〜ミネルバ内MSデッキにて〜
ハイネ「ミネルバもだいぶ傷ついちまったな・・・ここで修理が間に合えばいいがな・・・」
ルナ「ふ〜ん・・・珍しいですね。ハイネが感傷的になるなんて」
ハイネ「おいおい、俺だって人間さ。誰かが傷つけば心配もするさ・・・」
レイ「・・・・・・さすがフェイスですね。あなたがあそこまで強いとは思いませんでした」
ハイネ「・・・へ?っくっく、おい聞いたかマユ!レイが俺をほめてくれたぜ。く〜っくっく、こいつぁ傑作だ」
マユ「もう!私は不満いっぱいですよ!!もちろん状況はわかってましたけど〜・・・ハイネも私の過去を知った上で私からフリーダムとの交戦権を取り上げたでしょう!?」
ルナ「マユ・・・」
ハイネ「そうだな。お前たちの履歴を見させてもらったのは事実だし、それに対して俺は責められてもかまわない。フェイスの仕事は常に最善の策を講じていくことだ。それができないようならフェイスになってはだめだ。
・・・あのときマユがフリーダムを必要以上に気にすることは容易に想像できた・・・だから俺はマユとフリーダムを引き離し、逃げ道の確保に全力を注がせたんだ」
レイ「確かに、少ない戦力を余計なことに取られるわけにはいきませんからね」
ルナ「そうね。・・・マユ。あなたは自分の役割を十分まっとうできたのよ。それを誇りにするならともかく、自分を責めてはダメよ?まだチャンスはくるわよ」
マユ「ルナ姉ちゃん・・・。そうね、ねぇハイネ・・・。チャンスが巡ってきたら・・・邪魔はしないんでしょ?」
ハイネ「・・・邪魔はしないさ。でもそのときはきっちり相手を沈めろよ?それができるんなら、誰も止めやしないさ」
マユ「うん。約束よ!なら私の不満はお終い。ルナ姉ちゃん、お外でミーティングしましょ?」
ルナ「そうね。では、私とマユはここで失礼いたします・・・では」
ハイネ「そういうのには俺も混ぜてくれって!」
マユ「ダメよ。女の子ミーティングなんだから。男の人ははいってきちゃダメなの!」
ハイネ「あ〜はいはい。じゃな。ちっとは体も休めろよ・・・」
〜小走りに立ち去るマユとルナマリア〜
レイ「それでは、自分も休憩に入ります」
ハイネ「ん、ああ。・・・レイ、お前まだ大丈夫なのか?」
レイ「え・・・なにがですか?」
ハイネ「・・・いや、なんでもない。忘れてくれ。・・・たまには外の空気も吸ってこいよ」
レイ「お気遣いありがとうございます」
〜自室に向かうレイ〜
ハイネ「・・・はぁ・・・・・・さてと、一番の問題児と話してこようかね」
〜ミネルバ甲板〜
アスラン「・・・キラ、カガリ。なんでお前たちは・・・・・・」
ハイネ「よぉ、アスラン。お疲れだな」
アスラン「ハイネ・・・ふ、疲れてるのはお前のほうだろ?」
ハイネ「ああ、俺はもうくたくただ。年には勝てんさ」
アスラン「なにを年寄りくさいことをいっているんだか・・・」
ハイネ「ふふ・・・そうだな。なぁアスラン、お前あいつらともう一度じっくり話し合ったほうがいいんじゃないか?」
アスラン「あいつら?」
ハイネ「わかってんだろ?アークエンジェルのやつらさ。」
アスラン「キラたちとだって?」
ハイネ「そうだ。やつらが出てくるたびにお前があんな戦い方をしているなら・・・俺は、俺はお前を殺してしまいそうだ。おそらくそれが最善策となるだろう・・・」
アスラン「ハイネ!?」
ハイネ「俺には同胞を殺める趣味はねぇからな。頼むぜ?ヤキンの英雄クン」
〜アスランの肩をポンっと叩き、場を立ち去るハイネ〜
アスラン「・・・・・・っく」

555通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 01:39:09 ID:???
age
556通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 02:08:21 ID:???
単発設定小話のハイネはかなりいいな。
前にあった、タリアへの赴任挨拶の回でも思ったけど、いい先輩軍人って感じ。
こいつならフェイスに選ばれるよな、って思う。

作者様、ひっそりと楽しみにしています。 頑張ってください!
557通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 03:27:39 ID:???
>俺は、俺はお前を殺してしまいそうだ。おそらくそれが最善策となるだろう・・・

ゾクっと来たぜ
ホント、誰か一人ぐらいあの凸助にこんくらいガツンと言ってやる奴はいなかったのか
558通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 06:20:43 ID:???
>>551
上手い。非常に上手い、各キャラの口調とかもまんまだし
話も面白いよ。マユとミーアのコンビもいいし・・・。
GJ!!
559通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 07:17:46 ID:???
どんなにまりもがすきでも
げーむをかってきて
ぷれいをしたら


                 ハ_ハ  
               ('(゚∀゚∩ くわれるよ!
                ヽ  〈 
                 ヽヽ_)

560通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 07:18:32 ID:???
なんて朝っぱらからゴーカイな誤爆か・・・
561通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 07:19:36 ID:???
マブラヴの奴か・・・・
562通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 15:09:01 ID:???
スペシャルエディションでストーリーに変更があると嫁がアニメージュで発言したそうです。
どれほどであるかは予想するしかありませんが、このスレにとってはどうなんでしょうね?
563通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 15:53:48 ID:???
>>562
更なる改悪を重ねられたものになっている場合(高確率でこうなりそうだが)
怒る元気がある人は真っ赤になる
うっかり観てしまった職人さんが灰色になる(その所為で筆が進まないことも)
スペエディ+投下減にスレ住民がブルーになる
564通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 16:04:41 ID:???
小説や漫画だけでなく、二次創作の足まで引っ張る本編って…
565通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 16:15:52 ID:???
>ストーリーに変更
本編自体が既に二次創作。
566通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 16:59:58 ID:???
職人も皆、残酷な嫁の夢に囚われているのですよ
567通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 17:08:24 ID:???
>二次創作の足まで引っ張る

これはおかしい
568通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 17:15:10 ID:???
>>562
全4巻だったな。
569通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 17:30:06 ID:???
>>536-551
すごく…面白いです。
激しく続きキボン


>ストーリーに変更

SS作者各位と住人の妄想に応え、マユ生存キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!?
570通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 17:59:20 ID:???
>>551
ど素人のマユ達がどうやって虎口を脱するのか興味深いっす
楽しみにさせてもらいますぞ。
頑張ってください。GJ!!
571通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 18:42:34 ID:???
>>536
GJ!
〜浮かれてる馬鹿だろ、本物の件ワロタ
572ほのぼのマユデス。蒼い記憶。:2006/02/24(金) 18:57:24 ID:???
ザザザッ・・・ザザザッ・・・・・・。

『きみは特別な存在なんだよ。MSでもヒトでも人形でもない、とっても不思議なココロ。』

ザッ・・・・ザザザザザッ・・・・・・。

『ハイ、ドンナますたーデアレ守ルノガMSノ使命デス。』

ザ、ザ、ザ、ザザッ・・・・。

『うん、一緒に行く子もいるけどね。僕は付き合いきれなかったんだ。』

ザザッ・・・・・ザザーーーーッ。

『ほら、シンハロはお兄ちゃんになるんだろ?だったら泣いちゃだめだよ。』

ザザザザーッ・・・・・・・。


記憶メモリー 正常化

エモーション・システム オールグリーン

思考システム オールグリーン

起動まで、あと五秒。

573ほのぼのマユデス。蒼い記憶。:2006/02/24(金) 19:06:17 ID:???
『・・・・・・・・あ、俺どうしたの?』
起動したその瞬間、シンハロはそう呟いた。
周りにはレイのほかにスティング、ルナマリア、ミーア、シン、メイリンがいた。
「何って・・。はぐれたと思ってみんなのこと探してたらシンハロを起動させてるレイをみつけたのよ。」
ルナマリアが心配そうな顔で話す。
「レイに聞いても原因不明って言うしよ・・・・、みんな心配してたぜ?」
スティングもルナマリアと同じように心配そうだ。
『ごめん、でももう大丈夫だから!』
そう言って立ち上がるシンハロ、すこしよろけたが問題はないようだ。
「レイ、あんた一人だったの?」
「いや、ステラと一緒だ。あと艦長の息子さんがシンハロと一緒にいたようだ。
いまは二人で土産屋を見ている。迎えに行こう。」
レイにそういわれて全員土産屋に向かった。
574ほのぼのマユデス。蒼い記憶。:2006/02/24(金) 19:18:29 ID:???
「・・・・・あ!アキラだ!!」
カルマは向こうから向かってくるアキラを見つけて叫んだ。
「ほんとだ!」
マユも見つけて安堵する。
二人の頭には鼠耳のキャプテン帽子にセーラー帽。首にはポップコーンのバケット。
手に持ったビニール袋には貝殻のケース。きっとパスケースには○ァストパスが入っているに違いない。
ようするに遊び呆けていたのだ。探すのもめんどくさくて。
「おーい、アキラ・・・。」
二人がアキラに近づくが、アキラは・・・・・何故か気づかない。
ただ、見覚えのない男と楽しそうに会話をしている。
そのまま、マユ達に気がつかずに向こうへ行ってしまった。
「おーい!マユちゃーん!カルマー!」
向こうから走ってキースとグレイシアがやってきた。
「はぁはぁ・・・まさかアキラを追ってたら二人に会えるなんてね・・。」
走ってきたのか息を切らすグレイシア。
「アキラお兄ちゃんどうしたの・・・?」
「わかんないんだよ、こっちが何言っても気づかないし、人ごみが邪魔で近づけないし。」
キースは流石に息は切れていないようだが、それでも多少の汗が見える。
「あのアキラと一緒に歩いてた男は?二人とも知ってる人だった?」
カルマが二人に聞くが二人は首を横に振る。確かにそれが解かっていたらこんなに苦労しないだろう。
「わかった!『アキラは昔あこがれていた先輩に久しぶりに出会った。運命だと無邪気にはしゃぐアキラ。
       しかし、その後アキラは彼が泊まっているホテルの一室に誘われ・・・・・・。』」
「マユちゃん、そのルナマリア的思考はやめなさい。確実に読者が引く音が聞こえるわ。」
グレイシアはマユの肩に手を置いていった。
575通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 01:37:13 ID:???
このスレストは一体…?
576通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 02:12:13 ID:???
>>575
グレイシアが言うとおり、皆が引いたんだろw
…失礼、別にほのぼのさんを貶める気は無かったです。
ともあれ、ほのぼのさんGJ!
なんか、色々と不可思議な現象が起こっているようで、さすが赤い半ズボンはいた小粋な鼠がいる国ですなwww
577通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 02:19:59 ID:???
他の人が諦めようと俺はほのぼのさんを諦めない!!
アキラと一緒に居る彼は…もしかして…もしかして…もしかしなくとも奴?
578通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 03:06:23 ID:???
単発設定小話 脇話「キラとバルトフェルドとラクス、ふゅーちゃりんぐコジロー・マードック」

〜傷ついたフリーダムに駆け寄るラクス、コックピットから降りるキラ〜
ラクス「キラ!無事なのですか?」
キラ「ラクス・・・うん。僕は大丈夫だよ。でもフリーダムが・・・・・・」
マードック「なーに、任せとけって。坊主が何回やられてきてもここに戻ってくる限り俺が生き返らせてやるからな!」
〜キラの髪をがしがしとこねくりまわすマードック〜
キラ「マードックさん、すいません。お世話になります・・・」
ラクス「・・・キラ。本当に大丈夫なのですか?検査を受けたほうが・・・・・・」
キラ「本当に大丈夫だよ、ラクス。あ、バルトフェルドさんが呼んでる。じゃあ、あとでね。ラクス」
ラクス「キラァ・・・・・・」
〜休憩室へ向かうキラ、その場に立ち尽くすラクス〜
マードック「嬢ちゃん。あいつは大丈夫さ。落ち込んでいるわけじゃなさそうだし。男の子ってのは嬢ちゃんが思っているほどやわじゃない」
ラクス「コジローさん。そうですわね。男の子がやわではいけませんわね」
〜マードックに微笑みかけるラクス、照れるマードック〜

〜休憩室では〜
バルトフェルド「さてと・・・キラ。大丈夫だったか?」
キラ「なんとかですね。・・・すいません、手間取らせちゃって」
バルトフェルド「まぁ、死ななかっただけよかったとは思うが俺はちょっと安心したよ」
マリュー「なにが安心したんです?」
バルトフェルド「ふふん、キラでも負けることがあるんだなと思ってな」
マリュー「まぁ。そんなことに感心しないでください。バルトフェルド隊長?」
バルトフェルド「ああ、別に悪気はないんだがな。・・・今回は状況を含めて相手に分があったな・・・」
キラ「あのオレンジ色のMS。あのパイロット・・・強かったですよね?」
バルトフェルド「ああ、そうだな。格闘戦のプロフェッショナル。特務隊フェイスのハイネ・ヴェステンフルス、ザフトの黄昏だな」
キラ「ザフトの黄昏?フェイスってなんです?」
バルトフェルド「フェイスってのはな、議会直属の連中でかなりの裁量権をもった奴らのことさ。人数はそうだなぁ、10人いるかいないかぐらいだろ」
キラ「その一人が、彼ってことですか・・・」
バルトフェルド「ああ。で、ザフトの黄昏ってのは奴の仇名だ。たいした意味はないんだがな。かなり成績優秀なやつでなぁ、そんな仇名がついたんだ。
・・・たしかザフトの西風ってのもいたな。ハイネの同期で、こっちは女だったはずだ。実際にみたことはないが、ザフトの西風ってのは結構な美人だそうだぞ」
マリュー「コホン。隊長さん?話がそれてますわよ?」
バルトフェルド「へ・・・ああ、すまんすまん。いずれにせよ、フリーダムは修理せんとにっちもいかんし。キラ、データの整理とフリーダムのOS改修をしてみないか?」
キラ「OSの改修ですか?必要ないと思いますが・・・・・・まさか、バルトフェルドさん・・・」
バルトフェルド「うむ・・・ドラグーンの訓練が必要だろ?」
キラ「もう完成してるんですか?あれは・・・?」
バルトフェルド「それは実際にいって確かめてくるさ。フリーダムにはとりあえず・・・ガンバレルのシステムをドラグーンに移行したものを使えるようにしておこうか」
マリュー「ガンバレル・・・」
バルトフェルド「艦長には申し訳ないが・・・使えるものは使わせてもらいたい」
マリュー「いいのよ。あれは私のものではないし・・・持ち主も今いないのだから・・・・・・」
キラ「マリューさん・・・」
バルトフェルド「決まりだな。じゃ、俺はラクスのレッスンに付き合わんといかんからここいらで失礼させてもらうよ?」
キラ「レッスンってなんです?」

579通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 03:45:49 ID:???
>>575
単純にほのぼのがつまらんから。
必死にフォローしてる連中が泣ける。
580通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 04:21:42 ID:???
>>579
あのな?思っても口に出してはいけない事があることぐらいわかれよ
581通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 07:03:18 ID:???
>>579
ギャグ分が足りないからじゃね?
さすが夢の国ってだけあって俺は面白いと思うけど
582通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 09:40:19 ID:???
荒れるからやめれ
ってかそんなに文句ばっか言うんだったらお前らが書いてみろや
583通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 10:39:36 ID:???
>>579

万人に受ける作品などありえんのだから、ツマランと思うのは
自由さ。だが、スレの雰囲気を考えて、そういう不満はあえて
書かないのが大人の対応なんじゃねえの?

スレが荒れてたら他の人だって投稿しにくくなるし、荒らしが湧く
可能性だってあるんだから。
584通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 12:14:25 ID:???
今月号のガンダムエース、クライマックスUCの漫画の冒頭で、
壊れた『お兄ちゃん』と妹がMS戦闘をしてる件。
585通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 13:04:00 ID:???
>>579
俺ほのぼのアンチだけど読まないようにしてる
それでいいじゃないか
このスレは良いSS多いんだから荒れないようにしていこうぜ
586通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 15:13:25 ID:???
誰も言ってないから言っとくね。単発設定小話のひと乙!
587通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 17:25:01 ID:???
いや〜な空気変えるために次スレ立てませんか?
588通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 17:42:21 ID:???
長編投下したい方が、いらっしゃれば新スレ立ててもいいのですが、
現時点では新スレ移行は微妙です。
589通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 17:46:41 ID:???
>>582
出たw
一番頭の悪いコメントw


君頭大丈夫?
590通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 18:02:03 ID:???
スルーしましょう
591通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 19:29:17 ID:???
>>578
そうだよな
いくらスーパーコーディだからって練習もなしに
いきなしドラグーンが使えるのはどうかと思った

>レッスン
クライン砲乙
592通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 19:42:05 ID:???
>>579に対して冷静に諭してる住人がいるのが正直意外だった。
依存つーか崇拝が酷くなると激烈な叩きレスが並ぶものだし。
593ほのぼのマユデス。非武装時は小学生。:2006/02/25(土) 20:53:43 ID:???
「うっし!」
ここはガンシューティングのアトラクション、そこでは高得点をたたき出している青年がいた。
「・・・・なんかずるしてる気分になるよなぁ、俺達軍人だし、コーディネーターだし。」
「周りのお子様に申し訳ないな。」
一人はしゃいで本気を出しているジョーを観察しながら二人はため息をついた。
「ハイネ!アスラン!次はスペース○ウンテン行こうぜ!ファストパ○取ったんだろ?!」
初めての遊園地におおはしゃぎしているジョー。
「意外と精神年齢低いんだな、ジョーって。」
アスランがぽつりと呟く。
「ジョーはミーアと同い年だしなぁ、まぁ苦労してるせいか老けてるけど普段の殻がはずれるとあんなもんだ。
 ガキの頃遊べなかった分、いま遊んでんだよ。あいつは。」
ハイネがジョーを見ながら言う。当の本人は向かいの3Dアトラクションの待ち時間を見に行っている。
スペースマウンテ○に行きたかったのではなかったのだろうか?
「ハイネ!まだファストパ○の期限切れるまで時間あるからこっち先に乗ろうぜ!」
ぐいぐいとジョーにひっぱられるハイネ。アスランもそれを思わず微笑ましく見る。
ちなみに、それを遠くから見ていたアウルはこう語る。

『なんつーか、親子っぽかった。母さんと父さんと息子って感じ。』
594ほのぼのマユデス。非武装時は小学生。:2006/02/25(土) 21:04:56 ID:???

「ごめんなさい・・。ごめんなさい・・・・。」

ひっくひっくと泣き続けるステラ。
「大丈夫だって・・。混んでるからはぐれるのは仕方がないから・・・。」
「でも・・、ステラ・・お姉さんなのに・・・。」
シンの励ましを聞いても泣き続ける。ステラはレオンとはぐれてしまったのだ。
「困ったな・・・、携帯も通じないし。」
何故か全員の携帯が使えないのだ。レイが何度も試みているのだが。
『・・・・もしかしたら、何かあるのかも・・・・。』
シンハロが異常な電波障害に疑問を持つ。
「地上だけどこんな近距離でちゃんとした遊園地で通じないなんてねぇ・・・。」
ルナマリアもおかしく思う。そのアホ毛でどうにかならないのだろうか?
「キャストの人に聞いてもらったけど何処にもレオンくんらしき迷子はいないって。」
メイリンが向こうから歩いてきた。聞き込みをしていたらしい。
すると、向こうで聞き込みを続けていたスティングが集団でやってくる。
「おーい!レオンは見つかんなかったけどマユ達は見つかったぞ!」
スティングの後ろにはマユ、カルマ、キース、グレイシアがいた。
「おい、マユ。俺達のこと探すのあきらめて遊んだだろ。」
「違うよレイ兄ちゃん、遊びながら探してたよ。」
「いや、どうみても遊びすぎだ。」
「いや、そんなことないよ。」
マユとレイはいつまでたっても終わらなさそうな会話をする。思わず全員笑ってしまう。

だが、次の瞬間、一斉に全員の携帯が鳴りだした。
595ほのぼのマユデス。非武装時は小学生。:2006/02/25(土) 21:09:34 ID:???
妹がルナを書きました。どうみてデスノの月です。ありがとうございました、ほのぼのです。
今回はギャグ色薄いですが避難所でアキラサイドやって、そっちがものすごいです。よかったらそちらもどうぞ。
次回はギャグでちゃんと行きますよ!意外と鼠ーでギャグって思いつかない・・・・。
さて、鼠ー編が終わったら本編に戻ります。オーブとプラントが交渉します。
でも、きらきゅんもちゃんとでるよ!ぼくらのすーぱーこーでぃねーたー!

嫁補正って便利だなぁ、最強の敵を作るには。
596通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 22:45:51 ID:???

597通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 22:53:56 ID:???
PP書いてる者です。
遅ればせながら次の話が漸く完成しました。いつもより短いですけど……
容量も容量なので、新しいスレに移行したあたりで投下させていただきます。
598通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 22:58:35 ID:???
>>ほのぼの作者氏
まあ色々あるけど頑張れよ。俺は楽しみにしてるから。

>>597
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
599通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 23:12:12 ID:???
>>584
俺も今月号読んで「隻腕か!」とか思ったよ。
>>597
新スレが楽しみぃ!マユは出番ありますか?
600通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 23:15:39 ID:???
>>597
キタコレ!
601通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 23:33:45 ID:???
>>597
キタ!いいいぃやったああああ!!
602通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 23:37:19 ID:???
wktk
603通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 23:41:28 ID:???
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
604通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 23:48:17 ID:???
お前ら、叫んでないで誰か新スレ立てなさい。重複避けるために、ちゃんと宣言してから。
このスレ容量なら、もう次スレ行ってコッチは雑談でもいいでしょ。

……最近はまとめ人様が立てて下さっていたんだっけ?
605通常の名無しさんの3倍:2006/02/25(土) 23:49:00 ID:???
立てたくても立てられんよ。昨日立てたばっかだから・・・
606通常の名無しさんの3倍:2006/02/26(日) 00:09:48 ID:???
は、早く誰か立てるんだぁー!
…俺?俺はダメだったよ…
607通常の名無しさんの3倍:2006/02/26(日) 00:26:11 ID:???
数年ぶりにスレ立てしてみようかな・・・
608607:2006/02/26(日) 00:30:43 ID:???
新スレタテマツタ
↓もしシンじゃなくてマユが主人公だったら13
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1140881256/

じゃ、、こっちは以下雑談でヨロ
609通常の名無しさんの3倍:2006/02/26(日) 00:32:18 ID:???
610通常の名無しさんの3倍:2006/02/26(日) 00:39:35 ID:???
>>608
スレ立て乙!
611通常の名無しさんの3倍:2006/02/26(日) 03:27:44 ID:???
スレ立て乙であります。

全然関係ない話だが連座Uでマユが出てくれたら面白いだろうなあ。
このスレの作品仕様IFミッションとか作ってみたい。
612通常の名無しさんの3倍:2006/02/26(日) 06:19:35 ID:???
>>612
このスレにカプコンの中の人がいることを祈ろう
613通常の名無しさんの3倍:2006/02/26(日) 06:35:24 ID:???
埋め上げ
614通常の名無しさんの3倍:2006/02/26(日) 08:30:00 ID:???
>>612
自分にアンカーしてどうするw

もしかしたら、14歳シン+マユなんてものが出たり……するわけないか
615通常の名無しさんの3倍:2006/02/27(月) 02:47:34 ID:???
>>614
お前は俺か?

オノゴロ戦でシンがM1に乗り込んで…
とかいうミッションを妄想したのは俺だけでいい
616通常の名無しさんの3倍:2006/02/27(月) 12:04:39 ID:???
なんか、作品に土足で踏み込んでいくような感想が増えた気がする。
単純に厳しい意見とか、間違いの指摘とかいうんじゃなくて、何て言うかな…
読者が作品をコントロールしたがってるというか…
617通常の名無しさんの3倍:2006/02/27(月) 14:08:29 ID:???
>>616
作風そのものへの意見が増えたかんじがする…
作品の雰囲気が自分の好みに合わないことに文句(意見?)を言っている
場所柄、多様な価値観を持つ人間が集まるのは当然なのだが、合わなきゃスルーは鉄則だろう
618通常の名無しさんの3倍:2006/02/27(月) 16:32:34 ID:???
>>617
それ同感。なんか他様の作品を無理に自分の好みに強制(誤字にあらず)している。
619通常の名無しさんの3倍:2006/02/27(月) 22:49:21 ID:???
それらに耐えて己の信念を魅せつけることも職人の華よ。
620通常の名無しさんの3倍:2006/02/28(火) 12:51:02 ID:???
どの作品も最後まで完走して欲しいなー
621通常の名無しさんの3倍:2006/02/28(火) 16:53:16 ID:???
禿銅。
622通常の名無しさんの3倍:2006/02/28(火) 17:41:36 ID:???
>>620
今だに完結した作品が二つしかない罠
623通常の名無しさんの3倍:2006/02/28(火) 20:29:56 ID:???
まぁ、職人さんは実社会の荒波に耐えつつ書き込んでいる訳だからな。
完走するだけでも大変だろうよ。
624通常の名無しさんの3倍:2006/02/28(火) 22:01:47 ID:???
2つも完結したのは凄いよ。
625通常の名無しさんの3倍:2006/02/28(火) 22:03:04 ID:???
完走まで頑張るよ〜
626通常の名無しさんの3倍:2006/02/28(火) 23:15:07 ID:???
厳しい批評が名作を作るっていうのは幻想というか、ありえないもんな。
どんどん上がっていく許容範囲のボーダーライン、批評の皮を被った好みの押し付け。
こういった読み手のエゴに押しつぶされていく作者さんを沢山見てきたよ。
行き過ぎた馴れ合いも駄目だと思うが、ここは出来るだけ良作の芽を伸ばそうとする場所であって欲しい。

とまあ、最後に書き捨て。でも割と本音。
627通常の名無しさんの3倍:2006/02/28(火) 23:35:21 ID:???
こんだけ複数のSSがあるってゆーのもかなりスゴイと思うがな。
628通常の名無しさんの3倍:2006/03/01(水) 21:01:13 ID:???
>>627
最初に凄腕の職人さんが複数いた、というのが肝だよな
その集客力で新規投稿が増えたこともさることながら、複数の作品が林立してもよいという雰囲気が作られた。
こんなにうれしいことはない(;´д⊂)
629通常の名無しさんの3倍:2006/03/01(水) 22:09:11 ID:???
職人相互で良い影響与え合ってるのが嬉しいよね
630通常の名無しさんの3倍:2006/03/01(水) 23:04:26 ID:???
このスレの、人気作品。

マユ−隻腕の少女− 読んでません。

なんとなく好みにあわないので。

マユ、ザフトサイトが好きなもので以上失礼しました。 
631通常の名無しさんの3倍:2006/03/01(水) 23:13:56 ID:???
>>630
なんなんだ?
632通常の名無しさんの3倍:2006/03/01(水) 23:15:09 ID:???
よくわかんないけど俺はまずまとめサイト行って
最初から読んできまノシ
633通常の名無しさんの3倍:2006/03/01(水) 23:24:28 ID:???
いいんじゃない、好きでもないものは読まなくてもw
わざわざ断ることでもないと思うが。

ただ一部の観客の暴走のせいで敬遠してるなら勿体無いね
634通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 00:48:54 ID:???
むしろ隻腕とPPしか読んでなrftgyふじこぃここお
635通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 01:06:46 ID:???
>>634
それは俺も2強なんだが、最近は付き人にも注目。
この路線はうまく料理すればかなり面白くなりそうだ。
636通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 10:15:42 ID:???
確かに毎回毎回、投下された後にGJ→本家叩きの流れになりつつあるのは見ててなんだかなぁ・・・と思う。
637通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 11:59:57 ID:???
上手い作品は、ちょうど本編の持っていた問題点にメスを入れてくれるからねェ。
全てではないにせよ、職人にとっても動機の1つではあるだろうし。
ただ、本家叩きに夢中になる奴は、後だしジャンケンってことを考慮してないような。
638通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 16:40:24 ID:???
とりあえずきっちり埋まらないと気持ち悪いんでage
639通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 16:45:05 ID:???
AAでも貼ってさっさと埋めれば?
640通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 19:06:11 ID:???
〃⌒`⌒ヽ
i((`")从ノ
ゝ´Д`)i<埋めるぞ!
641通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 19:15:01 ID:???
               /  !'"´1   ∨゙ト、
                  __!   l   l.    ', ', 丶 ,1
             /! ',   ',  _」  .  l l  / !
            、 / { ',     T´ ヽ    ! l /. l,
           ',ヽ{  ', ',   l   ヽ  | 'l  l」
           ヽ \ ', ',   |     l   _」. l  j ハ        新スレも200いきそうだし……埋めるか
            ヽ `ヾ . ',  !    y ´ !└'´/l, \
                l、  ヽヽ ヽ、_ノ ./"フ / 」゙ヽ,、ヽ
             l に~'';―=;ヽ l  /ニ,´r'´ /::::::::゙ヾ;、
              /入`'‐ニ~ニ‐'´ l   」_j ,イ:::::::. . .. ::!
            // } \ '、_l__   l  / l / lj‐;: :::::::::::l
            /´ 〈 :. ::ヽ ',  `゙ニ´- - " /ノ ', . ::: :::'、,. -‐┐
                 ヽ、::::::::ゞ、 '"´-‐   , ヘ;ヘ '、:. . .. .. ..:. :.:ヽ、_
                 / ::{ rrゝ,、   /ヽヽソ,  j;ー、_:::::::::::;;;:::-‐;‐‐r‐‐ァ-、
              _ノ: ::::::', !!!l !  ̄「~    ',',lソ //    ̄ ̄   ./ / /  丶
             <´ .. ::::::::/ ,ト!l !l   !    ','"シ`ヽ、____   / / /    ヽ
              ヽ:::.:::;ヘ、ヽl l !   }     ´        j    ̄ ̄´    _ヽ
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         _,.-ァ'´/   /_/   ` ‐- 、!_   ,.-‐''´  ヾ`ヾ''‐r-、      ヽ └へ___
        ,イ  l  {  ヾ__/         ,`l ゙ヽ,.‐''´`1  l  ヽ \ \ /   ヽ
       / j  {  ヽ  ヽ ー- 、     _j! !  l `ヽ、l '、 ', ,1   〉  〉‐-、   丶
       ', ヽ  `l;ゝ、 `イ    \ _ノノ,イ  /  /  `T  !l  /  /   \   \
.      r'{_ハ  }  `‐'      /∠ノ / /    ` ‐'ヽノ` ‐'      ` ー- ニ
      `ー‐‐ ゙='フ`ー−-----―ヘ/   / /
642通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 19:17:13 ID:???
                     ,.-‐'''''''''''''''''ー- 、
                 ,.-'´          `ヽ
                j               `ヽ ,
              /                 }j}
               ヽ   \  ヽ、          ´,イ
               ノ   、{`ヽ   ` ‐ 、ー---;;‐ ''´イ
               `Y1 ト` ゝ、ー- 、_ `ー--'--;;ッ'
               {(j l  '_tゥ;``'′ ゙;ニ;Zニ゙7「
               ゙iソ . '、_      {  ̄´ / l
               ノ 丶、_ソ       ,    /.{ノ         よぉし! トダカ、埋めるぞ!
               ヽ r<     _,.....'_  /ー'`
               、__}∧ `ヽ、  / ̄.Y} , ィ
             l、__ゝ/ ヽ  丶 '、___ソ,.ヘ-ゝ
        _,,.. -‐''''777   ヽ  ` ,,....ィ  トr‐- 、___ ,.、
     ,.-‐''´ r7⌒て` ヘヽ  _ノヘ // //L_ { l __,.-''´ノ- 、__
    ∠- 、   `廴 '┐l丶ヽ {   ヽ.〉7 { {  ヾ 、 y'´,.-''´ー 、   `ス
.  /     ヽ、   ヽ_⊥-_'__」ヽ -‐┘ヽ| `''>‐r'′/‐ _二ニッ7  /. ',
.  /    / ヽ、 \<ヽ       ヽ,r''´ i  `ヽ、, ‐、',/./  /-、 ヽ
  j   /   /\ ヽ,、゙ヽ、     _/ ヽ  ヾヽ r'´  ノ .〃 , ヘ  `ヽ',
  {  /    /  、 ',  lL ヽ、ヽ、  __/ `‐、 `i ノ、_フ / // /   ト、ヽ ゙}
  l∠!   /   _   ゝ { 7 ヽヽ_/ /   `''''゙‐′ _ノ/l / 〈_ _{ ヽ「
   l  /  , ,ニ┘  .} l`ヽ `7! .{   -;‐ァ'て フ /, j/    _フ{{ヽ、 ゙!
    l /_ゝ、//     〈  l `y' ! { ヽ、  ´, '  }j /´_|/!    {. 〈、/ ``
    '"´ヽ〈Y      ヽ l/  '、ヽ  `‐ヘ  イ /'´_ ‐! l    ヽ ゙ヽ
     〈 丶     /‐7    `‐ 二 ーニニ〃‐ ´_ -l  l  _ -‐_ \ \
      ゝ ',   ィ  /           ̄  〃、 二--┘ }∠ ___  \丶
      ヽ 、', , '/   l            /   `「'''ー‐‐''――- 、 ヽ  `ヽ
      __ゝ、_レ' /   ヽ、__    _ /     ヽ          ヽ   ',
     `ー-`ヘ/           ̄ ̄フl !       ',                ',
       /,.l丶         / ノ }        ',               ノ
.      / / ,ヘ.        /`</           ',               /
      `''//>、   , ‐'´    ヽ` rr 、____」‐r‐- 、     _/
       (,∠-'´ / /`r '´        \.l !      l ノ   | ̄ ̄ ̄
           ゙''´  l            `!l      |'      l
               丶             !l      |     丶
643通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 19:20:10 ID:???
        _// ,.=;、 ヽヽ.  _ -ニ‐''´   _//_r' ⌒ヽ_ヽヽ     ゙ヽヽ.
      rニ-‐'´ _r<-;´`; ヽ、  ヽ{'"`     /  ヽ ヽ_  ノ`ノ ヽ       }
      '、__,.-‐'  `=‐' └、  _y‐、  ,.-‐'    ` ‐、jヒ-''´   ヽ    __ノ
       ヽ、 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /´  .  `{ r1―――――――――-`rィ´
        rヘ`゙‐ぃー―rぃ‐11   .  y'´`r、_             _j}{
        { 〈  ̄ ' ヽ ̄ j !     /;::.::.:;i -≧;、______,,.r'''´::::}
        `゙r!   、 _,.   f´     ト;::::;ヾ `'''´ ノ-‐'´、て;へ彳/::::/
         |  , -=-、  |      '、ヽ:l`     j      イ::;:イ      ご命令どおり……埋めます
          j、  `゙ニ゙´  ノ       ゙r1`            彳.ノ
        _ノl `ヽ、_,.-'´ハ         }:i!        '      iィ′
     _,.-‐ll  l    ||  / }`ー- 、    `ハ   { r'=== 、,.   j/      
. ,.-‐'"´  _」l  ヽ.  ||  /  l r-、  `ーイ`ヽ\  ゙ ー―‐ '  ,. イ
´  _,.-‐''´ ||  ,.‐;ヘ. ll. / `- コ'、、 `゙ y'´{l  `゙`ヽ  ̄ ̄ /‐' ト,_
. く     」 !く/  ヽii/     >r7  ヽ     `''r r‐ '´   .j. llヽ、
  l  _j-ニ-‐''     /  _,. -‐''´ //    l       | !    , '  'll `''−―-
 /r‐'´      _∠-‐'''´      | l     l      |.|    , '    ll
 ヽ、ヽ、   ,.-''´          | |     ヽ    |.!  /     ll_
 l  j7ヽ`y'´         _,.-‐''´l |     ,.-、'、   || , ' /ヽ、   l l `ー- 、__
 ヽ/   /ヽ     _,.-‐''´     | |  ,.-;;ニ-'' >ヽ  ||ノ  ヽ、ヽ_` ァヽヽ
  {  | }   r''"~     _ - ' !<-‐ニ‐''´   丶/     `ヽ.ソ  ヽ `ー、
644通常の名無しさんの3倍:2006/03/02(木) 19:24:12 ID:???
                                   、
                             __,.:-―-ゝヽ、 ,、
                            ,.-''"::::::::::::::::::::`::}
                           /::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
                         -='ィ:::::::::::::::;::;::::、:::}:i::::::::::;:'、
                          /;:::::/::i::::ハハ:::}ト;トl:::::::l、;ヾ       俺たちも埋めるか?
                             '"{:::{:::::l;:{リ , l/ ‐''jィ::::Kヽ、
                            ヽl;:::::ヾ   _  j::;ノ-ヽl`ヽ
                             ,ネ、lfヽ,´   ,イ"j  |{  ,>、
              _,,............,,_           {',', 1l  ,ニ「 ,-lニニ,」/  }     そうだね、続きは新スレで♪
            /:::::::::::::::::::::`丶       ',ヾrl '",ィヽト―1{ { //   /`r、     
             ,.'::::::::::::::::::::::::::::::::::::',       {ヽヾ´ノ }  !:::::::lヾ,/ - ニイ.  } ト、
          /::::::::::i;::::::i:::i;:ト;:::::::::::::!        ! `ヾ<__  !:::::::l rl  ´ 「  | |:::
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645通常の名無しさんの3倍

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