【チャット・age厳禁】デス種失敗の理由 Part83

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580575 その1
>>577
んじゃまちょっと長くなるけど失礼します
誤字脱字は見逃してくれ(汗


 ガンダムが描く戦争

格差社会、下流社会。パラサイト、ニート、オタク・・・
・・・現代社会を表するキーワードの背景に、高度成長を支え
た団塊世代と、そのジュニア世代との微妙な関係が透け
て見える。戦後文化で、何が受け継がれ、何が変容した
のか。二世代間の対話で4回にわたり解き明かす。第1
回は、「機動戦士ガンダム」の生みの親の一人、漫画家の安彦
良和氏(58)とガンダム世代を自任する作家の福井晴敏氏(37)。
アニメを通じて描かれた「戦争」とは。


壊れかけた枠組み


安彦 福井さんの世代あたりから、自然体で政治を語れる若
者がやっとい出てきたなという気がしているんです。僕らの世代
以後、政治の話をするのは非常にダサいというムードになって
しまってね。

福井 戦後日本で思想的に右左という場合、米ソの冷戦構造
がそのまま持ち込まれたところがあって、そのゆがみから抜け
られなかった。その枠組みが壊れたところで、新しい言葉を探
してるのが自分たちの世代なんだと思います

安彦 そういう、右も左もないところで発言できる人が現れ
るまでに時間がかかった。団塊イコール政治の時代と言われる
けど、実際に政治を選んだのは一割くらいで、文学や映画のよ
うな、青春の選択肢の一つだった。その一割の選択肢も消えて
しまった。

福井 自分は、団塊ジュニアより少し上ですが、その世代の
作家には逆に違和感を感じたりします。瞬間の気分をぱっとと
らえるのはうまいけれど、実はきちんとものを言ってない。
一方団塊はものは言うけれど、すぐに右とか左に分けたがると
ころがある。
581575 その2:2006/01/04(水) 22:28:33 ID:???
挫折からアニメへ


安彦 僕は北海道の田舎育ちで、「学生運動をやる」なんて
意気込んで青森の大学に行ってた。でも全共闘もダメで退学に
なって、たまたま虫プロのアニメーターになった。「転向左翼
がアニメ業界に逃げ込んだ」なんて言われるけれど、転向なん
てカッコいいものじゃなかった。左翼も政治も消えちゃった
んだから。しかもその体験から何も生み出せなかった、ダメな
世代だと思っているんです。

福井 でも、自分の親くらいの世代が何を作ったのかと見回
した時、自分にとっては極端な話「機動戦士ガンダム」しかな
かったんですよ。60年代以降に生まれた世代で、それに火を付
けられ、息を吹き返した人が大勢いたわけで。

安彦 いや、原作・監督の富野由悠季を含め、僕たちはサブ
カルで新しい文化を作ろうとか、そんな野心は全然なかった。
「ガンダムは戦争を描いている」と言い始めたのは、僕らより少し
下の、いわゆるシラケ世代以後の連中ですよ。僕らは「アニメなん
か見てないで勉強しろ」とかいってスタジオに来る若い子を追い返
すくらいだったから。

福井 しかし、団塊世代が社会に出たころは、邦画もテレビ
も下火の時代だった。そこでアニメというマイナーな業界に入
った人々は屈折をバネにして、ゲリラ的に、メジャー業界にで
きないことをやったわけでしょう。

安彦 メーンカルチャーが立ち消えて、総じてサブカルにな
ってしまった。自虐的な「どうせ僕たち日陰者」みたいな枠が
りができなくなっているのはかえって不安を感じるんですよ。

福井 今やマーケット的にはメーンとサブが逆転しています
から。また、メーンカルチャーを継続しようとする人がオタク
化してるんですよね。文学にせよ、映画にせよ。
582575 その3:2006/01/04(水) 22:29:59 ID:???
サブカルの功罪

安彦 今、勝ち組み・負け組みとか、下流社会とか、いろいろ言
われてるけど、知性や表現力、また人格や身体能力も含めて、
両極化してるんですよね。大人になれない奴がたくさんいる。
そのことに、サブカルはかなり責任があるんじゃないかな。
アニメや漫画は、かなりヤバイものを含めて文化だから、今の
若者の精神形成に影響を与えないわけがない。
作り手は心しなければならないのに、「ジャパニメーションは
すごい」なんて持ち上げられると、その怖さ、責任がどんどん
あいまいになっちゃう。

福井 それは、間違いなく毒と薬の両面があった。

安彦 オタク世代にとって、戦争とは「面白い対象」でしか
ないわけで、ガンダムなんかで戦争を語らないでくれと思う。
実際の戦争というのは、自分の彼女がレイプされたり、家族が
死んだり、家を焼かれたりするもの。アニメで戦争なんか見た
って、そういった感情は磨耗するだけ。反戦がテーマだなんて
合理化しちゃいけない。

福井 でも、少なくともガンダムは、「自分のやったことは
自分で責任を取れ」と、自分たちの世代に初めて厳しく言って
くれた作品でした。

安彦 なるほど。実は今、ガンダムを自分で漫画として書き
直していて、「これは大人の話なのだナア」と確認してるんで
す。いい大人がたくさん出てくる。ブライトやミライだって本
当は大人の年齢だろうし、彼らと少年たちが単純な対立じゃな
くて、社会というまさに同じ船に乗っている。「ガンダムは人
間ドラマだ」って言い続けてきたのは、そういうことだった。
583575 その4:2006/01/04(水) 22:31:08 ID:???
大人の不在


福井 最近放送されてるガンダムの新シリーズを見ていて
きになるのは「大人」が描かれてないな、ということです。で
もそれは、現実社会に大人がいないということかもしれない。

安彦 大人を描くってことは、カッコ悪い部分も描くとい
うことなんだよね。生活に疲れてたり、仕事で破滅してたり、君
たち今は分からないだろうけれど、そのうち分かるよっていう。
それにしても、ガンダム大好きという福井さんが、「亡国のイ
ージス」などで非常に大人をうまく描く。これは喜ばしいことです。

福井 作り手が、どれだけ他人や社会を信じているかという
ことが作品に表れると思うんですよ。他人を信頼する、仲間を
作るという点において、団塊とジュニア世代では根本的に異なっ
ている気がします。例えば携帯メールでのつながりを見ても、
通信相手は多いけれど、それはみな「友だち未満」で、本当の
意味での友だちはいないんじゃないかな。彼らは、究極的には自
分も社会も信じていない。


不戦の国から


安彦 我々はとても無責任な世代だったと思う。戦後日本は、
常に問題を先送りにしてきたサボタージュ国家でしょう。でも戦
争に負けたからしょうがないと思い続けてきた。それに対して
我々は「カッコ悪い」と罵声を浴びせてきたんだけど、反面
冷戦構造も日米関係も変わりっこないんだとも思ってきた。と
ころが、特に9・11以降、若い人たちも政治を語り始め、日本
も小泉流という危ないカタチではあるけれど変わり始めた。じゃ
あサブカル屋として何が言えるのか、何ができるのかと考えて
いるわけです

福井 一応、戦争をしない60年間を過ごしてきた国は、人類
史でもかなり貴重ですから、これからはそこを起点に考えたら
どうかというのが自分の考えですけれど、今は、何を言っても
絶望的になってしまう空気がある。しかし作家としては、「こ
ういう風に見りゃ、世の中まだ希望にあふれてるでしょ」とい
うものを書きたいんです。
584575 その5:2006/01/04(水) 22:33:20 ID:???
既存の権威、打破する力


メモ 
未来の戦争に巻き込まれる少年少女の
戦いをリアルに描いた「機動戦士ガンダム」の初放映は1
979〜80年。いまだに続編が作られ、関連市場は現在1
000億円と言われる。放映時、小中学生だった30代には
熱烈なファンが多く、その世代の’常識’といわれるほどだ

1アニメが
ここまで影響力を持ち得たのはなぜか。ガンダム世代の1
人としての疑問に、2人は応えてくれた。福井氏の評価に
対して、安彦氏はアニメの罪の部分を危惧するが既成の
権威を打破する新しい文化は創作者たちの意図を超えて、
次世代に受け継がれるものなのだろう。      (佐)

2006年1月4日(水曜日)夕刊読売新聞3版(4面)


暇つぶしのタイプ練習ついでにやったので
段落が変だったりするのは勘弁してくれ