まあ、マユを主人公にすると―― (パート1 710より)
1.子供だけど赤服。努力と才能と、周りのサポートで頑張る努力型の主人公という前作との差別化。
2.1.と付随して周りのキャラが主人公を面倒見ているので戦艦内の人間関係の描写が濃密になる。
3.種持ちとはいえ、決して天才ではないので時には失敗する。その挫折を乗り越えるクライシスと成長ドラマが主軸になる。
4.才能はあるとはいえ、子供。故に戦争というものを多角的に見えない。戦争の現実を直視することにより、視聴者にも問い掛けることができる。
5.戦争で家族を失った遺族側の視点で前作への問題提起。それにより改めて遺伝子操作やそれに伴う差別問題を浮き彫りにできる。
6.5.に並んで国家と国民の有り方、理想と現実。そして、享受できる平穏と犠牲となる存在、為政者の義務、前線で戦う兵士の悲哀などを生々しく描写できる。
7.死んだと思っていた兄との対面、思想の違いによる対立を生む戦争の悲劇。そして、マユという妹から一人の人間としての成長を描ける。
――こんな感じで激動の時代に巻き込まれた一人の人間とそれを取り巻く環境の変動を主軸にしたドラマが描けて面白いんだよね。
シンよりさらに人間的に未熟な分、周りの人間の意見を聞く――色々な視点・意見を知る――ことにより、
現実はそう単純なものではないってことが演出できるわけで。
纏め人様、乙です。
即死回避カキコ推奨。やりすぎはいけないけどね。
4 :
舞踏の人:2006/01/01(日) 22:13:07 ID:???
新スレ 乙でするー
オツカレーション!纏め人さんの更新速度に度肝抜かれました
新年更新乙!
あけおめことよろ
保守。
新年あけまして乙
乙
職人さんキテー
即死しそうな悪寒
なら、保守するしかないじゃないか!
何はなくともとりあえず保守。
正月だしなぁ。
16 :
マユ種のひと:2006/01/03(火) 19:55:27 ID:???
前スレ>262、>263>264の続き
第三十六話
インパルスと共に、ミネルバに戻ったマユは目を白黒させていた。みんながマユを囲んで、口々に心配と歓喜の言葉を交互に並べていた。それは約束をすっぽかされた筈のレイやルナ達も同様だった。
マユはすぐに現状を理解した。ミーアのコンサートで色めく中、敵と遭遇し、たった一機でこれを撃退。しかも、相手は因縁深きガンダム三機。それだけしか知らなければ、華々しい勝利以外、何物でもなかった。
ちっとも嬉しくない。マユは、最悪、銃殺刑も覚悟して戻ってきた。それは捕虜を逃がしたことを打ち明ける覚悟があったから。そして‥‥。
その時、ヒルダが肩を組み、そっと耳打ち。自分の手で決着をつけたいなんて意気込んでいたから心配していたが、まさか全員返り討ちとはやるじゃないか、安心しろ、お前が連中の呼び水に捕虜を連れ出したことは黙っておくから。
ヒルダの勘違いに、マユの緊張の糸は切れ、ふっと意識がなくなった。マユは大声で叫びたかった、自分は行き場を失くした捕虜を一人殺したと、ステラを殺したと。
プラント最高評議会。デュランダルの前で、他の議員達は盛んな議論を交わしていた。
今、宇宙は混沌としている、連合は開戦当初から大規模なゲリラ戦を仕掛け、相手がコーディネーターであれば軍・民を問わない有様だ。
ならば、もっと宇宙の戦力を増強させよう。地上ではちゃんと戦場を形成して戦っているというし、戦線も後退させて守りを固めているそうだ。これなら地上に回す分を減らして、宇宙を充実させられるだろう。地球の制宙権を握ることが最優先だ。
それらの意見を受けて、デュランダルは口を開く。
制宙権を握ることは大切だが、自分としては宇宙の混乱した状況をまずは収めたい。今すぐこの状況が収まるなら、形の上での敗戦もやむなしと考えている。
具体的な方法を問われ、デュランダルは明確な答えを述べる。
現在の地上の情勢で戦争の勝ち負けを決めたい。幸い、宇宙の現状を覆い隠すため、シンとラクスの活躍を中心に地上最前線の近況を大々的に喧伝してきた、国民も納得させやすい。あとはこちらで地上での決戦を設定、演出し、その結果で以てこの戦争を締める。
そのように提示されたデュランダル案を中心に議論はより活発になった。
コニールはその日、たくさんのお金を持って家に戻った。コニールの父親は、娘が大金を持っている理由を尋ねた。コニールは、マユに貰ったといい、また、これはきっとマユの全財産だろうと思った。
画面越しにロゴスのメンバーと対面するジブリール。
ロゴスのメンバーから。ミネルバを始めとしたザフトの戦力がオーブに向かっている。よって、オーブと協力してこれを打ち倒せ。これは戦後、プラント側から有利な条件を引き出すために必要になる。
最後に、カガリ・ユラ・アスハの暗殺や、高い金をかけたデストロイとMA群のような失敗を繰り返さないようにとも言われた。そして、画面が消える。
ジブリールは部屋の奥に控えていたネオに言った、君の妹には煮え湯を飲まされてばかりだ、と。しかし、ドレス姿の可憐なマユと、デストロイを屠る荒々しいインパルスを思い浮かべる彼は、言葉とは裏腹に恍惚の表情だった。
ネオは自分が呼ばれた用件を尋ねる。ジブリールは嬉々として語る、エクステンデッド全体の安定度が着実に上がっている事実と、それに伴って計画を次の段階に進めることを。
オーブへの航路を行くミネルバ。その格納庫で、マーズは遠目にマユの姿を見掛け、声を掛けた。マユは応じるものの、雑談さえ切り上げてインパルスの調整に戻った。マーズはマユの態度に、つい小言をもらす。
その有様を見ていたヘルベルドは、マユはオーブの出で、恐らく次の作戦のことでナーバスになっている。自分が声を掛けた時もそうだったし、あの若い連中が声を掛けても同じ有様だった、と説明した。
そう言われると、マーズは大人として納得しない訳にはいかなかった。
17 :
マユ種のひと:2006/01/03(火) 20:00:05 ID:???
プラント。ザフトのオーブ侵攻を前に、カガリは自らの無力を嘆く。その胸の内を、かつての仲間、ミリアリアに語る。だが、当のミリアリアは、誇張と美談に彩られたシン・アスカを報じる新聞を読んでゲラゲラ笑うミーアの相手をしていた。
本音を無視されたカガリの怒りの矛先はミーアに向いた。尤も、ミーアは気だるい受け答えで、貴方は宇宙で一番暇なのだから、宇宙で一番忙しい自分の話題作りがてらの休養に協力しなきゃ、と。その一言で、カガリの我慢は振り切れた。
二人の間に割って入るミリアリア、思うところは色々あるが、カガリが元気そうなのは嬉しく思った。
レイとルナ、あからさまにマユの行き合いが悪くなった。メイリン、マユから人間味が薄くなっている気がした。ヴィーノとヨウラン、マユが一日中インパルスに篭もるのも珍しくなくって不安になった。そんな各人の思いを打ち明けながら、五人は艦長室を目指した。
マユのことでタリアから呼び出しを受けた彼等は、約束の時間よりも早く部屋の前に。そこでは中のマユとタリアのやり取りが漏れて聞こえる。構わず中に入ろうとするレイをルナが止めたことで、一同、立ち聞きすることになった。
タリアは、艦内で公然の秘密になっている捕虜の脱走幇助の真相について問う。マユは事実と認め、兄と戦い、その後にデストロイのパイロットを殺したと語った。
すると、タリアは悲しげにつぶやく。ジブリールとタリアが会談した時、気絶したマユに駆け寄って必死になって介抱したのは、他でもない、そのデストロイのパイロットだったことを告げる。そして、マユに、もしかして友達を殺したのか、と重ねて尋ねた。
マユはそれを認め、言葉を続ける。敵なら殺します、例え相手が友達でも、実の兄でも、命を助けてくれた人でも、生まれ故郷の人でも、誰でもです。命令された通りに殺します。自分は所詮、人殺しの道具でしかない。だから‥‥。
言い終わらぬ内に、レイはノックもなく中に飛び込み、マユを思い切り殴り飛ばした。激しい怒りを顕にするレイを、ルナはなだめる。遅れてメイリン、ヴィーノ、ヨウランが入ってきた。
場に全員揃ったのを確認して、タリアはマユに命令した。彼等に全てを話しなさい、マユがコーディネーターにされた仕打ちも含めて、全部。マユはきょとんとした。タリアは、デュランダルから全て聞いていたと告白し、一人部屋から出た。
マユは悩む。そして。
夜遅く。コニールは高いびきをかきながら眠っている。寝床にはもう一人、少女がいる。彼女は寝付けず、月を眺めていた。その少女とは、髪を茶色に染めたステラだった。
疲れきったマユを部屋まで送るのを買って出たメイリンは、マユの部屋で泣き疲れ、そのままベッドで眠った。マユは部屋を出た、格納庫に向かう。途中、ヴィーノとヨウランを見る、夜の海にただひたすらバカヤローと叫んでいた。
格納庫、コアスプレンダーの前で、レイとルナに会った。二人は、マユの話を聞いて、無性に見ておきたくなったという。マユは、何のご利益もないよ、と苦笑い。
ルナは、ステラの生存を改めて問う。マユは肯定。そして、ハイネやオレンジ・ショルダーのみんなを忘れた訳ではない、と言った。ルナは何も言えなくなった。
マユは語る。今まで、インパルスの中でなら死んでも良いなと思っていた。でも、ステラに、生きて帰って、そして一緒に暮らすことを約束して、だから絶対に死ねないと思った。それは生まれて初めての感情だから、変に気が張っていた。
そう前置きして、マユは二人に、改めてよろしくと頭を下げた。レイは、そんなマユの頭を撫でた。
レイ「今更になって、やっと仲間を信じる気になったか」
マユ「そういう意地悪な言い方しないでよ」
P.S.あけましておめでとう。年を跨いでしまった己の不甲斐無さに歯噛みしつつも、完結に向けて頑張ります。
時間なら大丈夫さ、あまり気にするな。自分の好きなようにやるが良い
GJ
マユ種新作キター
ステラ生き残ったんですね、あと久々のカガリ登場。
今年も、期待しております。
マユ種新作乙!
自分のペースで桶桶。
マユ種乙。
茶髪のステラッスか。
マユを殴るレイカッコヨスw
男だねぇ。いざというときはたとえ女の子でも態度で示さなきゃ。後で謝るのは必須だけどな!
このスレまとめサイトらしきものってある?
スレの冒頭をよく見ましょうやw
保守
PP戦記書いてる者です。16話目投下します。お目汚しを……
26 :
1/24:2006/01/05(木) 05:01:38 ID:???
赤道連合管轄下アンダマン基地に停泊するJ・Pジョーンズの艦内―
薄暗い司令官室で、ネオ・ロアノーク大佐はモニター越しに一人の男と対峙していた。
「……ミネルバのデータはご覧になったでしょう?現有戦力だけではとても彼らを落とせない。
どうあってもあの艦を撃沈せよと仰るなら……増援が欲しい。かなり大規模な戦力を……ね」
いつもは指揮官然とせず、会話にもどこか洒落っ気を絶やさないネオであったが……
このときの彼は、完全に指揮官の顔であり真剣そのもの。仮面で表情は分からないが……
相手に対し、一歩も退かない構えで、増援を要請していた。
モニター越しの相手は、ため息をつきつつ、それでも彼の要請に応える。
『開口一番それか……分かっているよ。そのために今日は連絡をした』
「……で、どこの部隊が増援に?ハッキリ言って、足手纏いになる連中では困ります」
有無を言わさぬ口調で、ネオは問いただしに掛かった。
中途半端な戦力を送ろうものなら、突っぱねてやろうと言わんばかりに強い口調―
それを見た相手は少し顔をしかめたが、敢えて咎めることなく話し始めた。
『まずは、大西洋連邦からの増援だ。太平洋艦隊のあるハワイ基地から三個小隊を送る。
腕は……ファントムペインのパイロット達には遠く及ばないが、彼らを合わせれば……
ちょうど一個中隊規模の戦力にはなる。使い方は……君に任せる』
「……それだけ?」
『大西洋連邦からは、それだけだ。彼らも本国の防衛とユーラシア連邦への援護に必死だ。
君の部隊にばかり集中して部隊を送ることなどできんよ。これ以上は……な』
「……他の国からは?」
『……オーブから、ユウナ・ロマ・セイラン少将率いる第一機動艦隊が明朝出航する。
空母一隻、護衛艦艇四隻……MSの戦力は新型のムラサメと、改良されたM1アストレイだ』
その言葉にネオは瞠目する。意外な国からの、余りに大規模な増援に―何より、あの国には……
「オーブを?まさか、盟主……彼を使うと仰るのですか?」
『ああ、彼を……キラ・ヤマトを……な』
盟主と呼ばれた男―ロード・ジブリールは、先ほどまでとは違い何やら楽しげな表情に変わる。
これから起きること全てが楽しみで仕方がない―という風に口元を歪めていた。
27 :
2/24:2006/01/05(木) 05:02:42 ID:???
前日、ガルナハン基地からの脱出に成功したファントムペイン。
彼らは脱出後、ユーラシア連邦カザフスタン共和国の特別区バイコヌールに向かった。
ユーラシア連邦軍管轄バイコヌール基地―
カザフスタン共和国領であるが、この基地は古くから宇宙基地として活躍していた。
世界初の人工衛星スプートニクや、世界初の有人宇宙船ボストークが打ち上げられた地―
歴史ある基地はコズミックイラ73年現在も、ユーラシア連邦の宇宙基地として今だ健在であった。
また宇宙基地であるだけでなく、巨大軍事施設を置くユーラシア連邦の一台橋頭堡でもある。
ネオとジブリールの通信から数時間後……
ゲン・アクサニスはこの基地の通信施設で、上官ネオ・ロアノークからの連絡を待つ身であった。
やがてユーラシア連邦の通信兵がゲンに、J・Pジョーンズからの回線が繋がったことを知らせる。
頷きつつ、ゲンは目の前のモニターを凝視する。やがて、上官の顔が映し出された。
『よお!ガルナハンでは大変だったらしいな?いつもながら、ご苦労さんだ』
「……大変どころの騒ぎじゃありませんでしたよ、大佐」
開口一番―ネオはいつもの口調でゲンの労をねぎらった。
先ほどとのジブリールとの会合が嘘のような、酷く明るい口調で部下に話しかける。
そんな上官にゲンは些か呆れつつも、心のどこかである種の安堵感を覚えていた。
前日のガルナハン基地からの撤退……
ローエングリンゲートを破られたユーラシア連邦軍と共に、ファントムペインは撤退戦を始めた。
そんな中、彼らファントムペインはガルナハン基地から最後に撤退する役目―殿を務めていた。
マーズ・シメオンの駆るバビからの追撃を受け、あわやというところまで追い詰められもした。
一連の経過は既に報告書として纏めたデータで、遠く離れたJ・Pジョーンズまで転送したが……
それでも、その苦労は事務的な報告書で言い表せるものではない。
生きて再び上官の顔を見ることが出来たことに、ゲンは少々ホッとしていた。
『報告書は読ませてもらったよ、苦労のお詫びに……何れ休暇をやるよ』
「……休暇をくれるのは嬉しいですけど、それよりも何故アイツがガルナハンに来たんですか?」
『アイツ?ああ……彼か』
「彼か……じゃないですよ。寸でのところで助けられはしましたけどね。
けど、なんでアイツが先遣部隊として俺たちの元に来るんです?そんな話、聞いてないですよ」
28 :
3/24:2006/01/05(木) 05:03:39 ID:???
彼―ゲンとネオの会話に上ったのは、キラ・ヤマトのことである。
オーブから先遣隊として送られた彼は、幸運にもゲン達ファントムペインの危機に現れる。
そしてムラサメを駆り、敵MSバビを撃破―余りにも颯爽とした登場は、同時に不自然でもあった。
何故、キラ・ヤマトがあのタイミングで、あの場所に居たのか……それをゲンは問いただした。
『そりゃあ、お前……偶然だよ、偶然』
「なら、その偶然……ってヤツを説明してくださいよ」
『……ったく、分かったよ。一部始終説明してやるから、よく聞け』
部下に請われ、ネオはキラがガルナハンに赴くことになった一部始終を説明し始めた。
ゲン達がガルナハンに発った日、ジブリールの手配でオーブが増援に来ることになった。
表向きはユーラシア連邦での対ザフト戦のための派兵だが、実際はファントムペインの増援―
つまり、ミネルバと戦う上での戦力として、オーブが軍を派遣することになったのだ。
だが、ここで派遣軍の指揮官―ユウナ・ロマ・セイラン少将は意外な行動に出た。
ジブリールからの要請に際し、先行するファントムペインの行動の詳細を聞き出していたのだ。
ゲン達ファントムペインのMS小隊がガルナハンに向かったと聞くや、彼は行動に出た。
即ち、前線の偵察と索敵行動と称し、先遣隊を派遣―その任にキラ・ヤマトを選んだ。
『ま、お前等は彼に助けられたというよりも……セイラン少将に助けられたわけだ』
「……あのボンボンが、そんなことを……」
「こらこら。仮にも増援部隊の司令官様だし、将軍様でもある。迂闊なこと言うなよ」
上官の窘める言葉は既にゲンの耳に届いてはいなかった。ゲンはユウナのことを考えていた。
ユウナ・ロマ・セイラン―オーブ五大首長の一つ、セイラン家を預かるウナト・エマ・セイランの子。
ゲンはユウナと面識があった。オーブでのラクス・クライン誘拐に際し、彼からも協力を得ていた。
無論、相応の対価も支払いはしたが……その際、ゲンとユウナは諮らずも邂逅を果たしていた。
そのときのユウナとのやり取りを思い浮かべていたが……
ゲンには、良家のボンボンにしか見えなかった彼に、そんな先見の明があるとは思わなかった。
諮らずも先遣隊のキラに助けられたことで、ゲンはユウナに心の中で感謝していた。
疑問は氷解したが、それで仕事が終わったわけではない。彼は次の任務を上官に尋ねた。
「で、俺たちはこれからどうすれば良いんです?」
『ああ、取り敢えずは……しばらくそこにいてくれ。赤道連合の巡航機は帰して構わん。今……
お前等とMSを乗せるための輸送機を手配しているところだ。あとでまた連絡する。少し休め』
29 :
4/24:2006/01/05(木) 05:04:36 ID:???
ネオから下された命令は待機命令であった。
即ち、J・Pジョーンズとオーブの第一機動艦隊がスエズ運河を越えユーラシアに来るまでの間―
母艦となる艦隊の寄港基地が何処になるかも今だ分からず、手配するのにも数日掛かる。
また、ゲン達の乗るMSと合流するための手筈も整えなければならなかった。
それらが決まるまでの間、ゲン達はバイコヌール基地で待機……という訳だ。
「助かった……これで少しは休めるな」
ネオとの通信が終わった後、ゲンは誰に言うともなく呟いた。
前日の撤退戦から今の今まで、彼は一睡もしておらず、また休みもしていなかった。
ファントムペインのMS小隊の指揮官はゲンであったため、基地に着いてから今まで……
破損したMSの修理の手配、武器弾薬の手配、MSを収納する格納庫の手配エトセトラ……
あらゆる雑務をこなさねばならず、また上官にこれから先の指示を乞わねばならなかった。
故に、今の今まで彼は働きづめであった。
「う……ね、眠い」
連戦の疲れもあり、ここに来てタフなゲンにも疲労が蓄積されていた。
バイコヌール基地の司令官から宛がわれた仮の兵舎に向かうべく、彼は通信棟を後にした。
ユーラシア連邦軍の撤退戦で活躍し、また殿という大役を務めたファントムペイン―
彼らはバイコヌール基地から暖かく迎え入れられた。殿とは撤退戦に際し最も危険な任務である。
逃げる敵を追う勢力とは、いつの時代も勝ち戦の余勢を駆り、波に乗っているもの……
そんな敵との戦いは必然的に危険度が増すし、一番死傷者を出しやすい任務であった。
重責を果たした彼らは、ユーラシア軍の使う兵舎を優先的に宛がわれ、休むことが出来た。
時刻は昼を過ぎたところであった―
ゲンも、バイコヌール基地に着いてからも、時間を見つけて軽食は取っていたが流石に腹も減る。
とりあえず、宛がわれた部屋に戻り、食事をしてからシャワーを浴びて眠ろう……
そんなことを考えつつ、彼は兵舎に歩を進めた。
やがて、ゲンは宛がわれた部屋の前まで来る―
が、部屋の中から声が聞こえる―アウルやスティングの声が。時折笑い声も混じっていた。
「何だ?あいつら、人の部屋で……何やってるんだ?」
部屋のキーは自分しか持っていない筈―訝しがりながらも、彼はカードキーを使い部屋に入った。
30 :
5/24:2006/01/05(木) 05:05:33 ID:???
ゲンが部屋に入ると、部屋の前で聞いた声の主であるアウルとスティングがいた。
「よお、お帰り」
「随分遅かったな。みんなもう飯食っちまったぞ?」
二人は手にトランプを持ち、床に座りながらゲンを見上げる。
まずアウルが労をねぎらい、次にスティングが昼食を済ませたことを告げた。
だが、ゲンが二人から視線を外すともう一人の人影が見えた。その人影を追い、顔を確認する。
ステラではなく、男―それも、自分達とは違う軍服を着た青年が、にこやかにこちらを見る。
「……おかえりなさい」
微笑みながら青年が―オーブ軍の軍服を未に纏ったキラ・ヤマトが労をねぎらった。
「……え?」
ゲンは訳が分からず、またその場にキラが何の違和感もなく溶け込んでいることに唖然とした。
見れば、キラの手にはアウルやスティング同様、トランプのカードが握られている。
だが、問題はそれではない。何故、キラ・ヤマトがゲンの部屋にいるのか―である。
ゲンは彼―キラを問いただす。
「……何で、お前がここにいる?」
「しょうがないじゃん。キラはゲンと相部屋になっているから。昨日からだけど、知らなかった?」
キラではなく、代わりにアウルが応じる。
基地から宛がわれた部屋割りでは、キラもファントムペインの一員と見なされた。
アウルとスティングはガーティー・ルーでもJ・Pジョーンズでも相部屋であったが……
今回は、これまで一人部屋だったゲンと、新たに来たキラとが相部屋にされてしまったらしい。
ユーラシア連邦から見れば、キラもゲン達同様他国からの増援だったので一緒に扱われたのだ。
「……そ、そうだったのか。とりあえず食事にいってく……る!?」
とりあえず食事に行くと言い、部屋を出かけたとき……彼は予想外のものを発見した。
相部屋であることが漸く分かったが、よく室内を見れば二つある部屋のベッドに人が居たのだ。
ファントムペインの紅一点であるステラ・ルーシェが、彼の荷物の置いてあるベッドで寝ていた。
ゲンの荷物はバッグ一つしかないが、それを抱えたまま寝入っている。
31 :
6/24:2006/01/05(木) 05:06:32 ID:???
その光景に困惑しながらも、ゲンは再度室内の人間に問いただした。
「何で……俺の荷物を抱えて、ステラが寝ているんだ?」
「ああ、お前の荷物をさっきステラが運んできたんだが……ご覧の通り寝ちまった。
大方、疲れていたのと昼飯食って腹一杯になったんで、お昼寝してるんだろ。邪魔するなよ」
今度はスティングが応える。だが、理由が分かってもゲンの困惑は消えない。
帰って休もうと思っていた部屋にはキラ・ヤマトが居て、更には自分のベッドでステラが寝ている。
アウルとスティングはキラと一緒にカードゲームに興じている……状況は大体把握は出来た。
しかし、ゲンは何だか自分の知らない世界に入り込んだような気がして、面食らっていた。
「……と、とりあえず飯食ってくる」
「あ、疲れてるんでしょう?なら……ボクが買って来るよ」
(……何だと?)
ゲンは驚愕した。突然、何を言い出すのかと思えば、キラがゲンの昼飯を買ってくるという。
キラが自分に気を使ってくれていることは分かったが、唐突な申し出に逡巡してしまう。
戸惑うゲンを他所に、スティングがトランプのカードを放棄し、サッと立ち上がる。そして言った―
「いえ、自分が行きます。キラ先輩のお手を煩わせることじゃありません。ゲン、何がいい?」
「あ、ああ……適当に選んでくれ」
「OK。パンとか適当に見繕ってくる」
何故かスティングがキラの代わりに買出しに出かけると言う。
だが、その前にスティングは何か言っていた―あまりに意外な単語を……
(今アイツなんて言った?……キラ……"先輩"だと?)
ゲンは言葉には出さずに、心の中でスティングが言った言葉を反芻していた。
彼には訳がわからなかった。いまだ嘗てスティングがそんな単語を発したことなどない。
これまでのことから、ゲンが言えることは一つ―彼を取り巻く周りの空気が明らかに違っている。
スティングの言葉といい、昨日までとはなにやら違う世界に迷い込んでしまった気分であった。
やがて、彼はそんな世界に戸惑いつつ、今度は口に出して状況を推し量ろうとした。
「スティングがキラ"先輩"……だと?一体、何がどうなってるんだ?」
32 :
7/24:2006/01/05(木) 05:07:29 ID:???
周囲の変化に戸惑いながら、またスティングの言葉に驚いているゲン―
そんな彼を察したのか、アウルが口を開き状況を説明し始めた。
「ああ、スティングのこと?確か昨日からだっけ、キラ"先輩"とか言い始めたのは。
ほら……前々から、ゲンがキラのことを軽く紹介してたじゃん。ええっと……確か……
"俺の前にストライクに乗っていたパイロットが、キラ・ヤマトだ"って言ったじゃない?
出会ってから、スティングはキラにゾッコンラブってヤツ?いろいろと世話を焼いてさあ……」
ファントムペインの危機を救ったキラは、ムラサメとともにゲン達の乗る大型巡航機に着艦した。
ゲンはキラに無線で礼を述べた後、すぐに巡航機のブリッジに上がり状況把握に努めていた。
ブリッジに上がってからはレーダー監視をしつつ、バイコヌール基地に着くまでずっとそこにいた。
基地に着いてからは、先述の通りファントムペインのMS隊長としての雑務の連続……
今部屋に帰ってきたこのときまで、キラと顔を合わせることすらなかったのだ。
それまでの間、スティング・オークレーがゲンに代わりキラ・ヤマトとの応対役を務めていた。
アウルやスティングは、ゲンからキラが嘗てストライクを駆った歴戦の戦士だと教わっていた。
嘗てのストライクを駆ったパイロット……アークエンジェルとストライクの伝説は今も健在である。
たった一機のMSを駆り、ザフトのクルーゼ隊やバルトフェルド隊を向こうに回し戦った英雄。
パイロットの名前こそ公にされていなかったが、その伝説は連合兵の語り草にさえなっていた。
そんな英雄を目の前にして、アウルやスティングが興味を抱かないわけがなかった。
アウルは興味本位で接していたが、スティングはキラを尊敬と羨望の眼差しで見つめていた。
カオスを駆り戦う彼にしてみれば、強力なザフト軍を相手に一機で戦場を潜り抜けたキラは……
例えるならば、アイドル―つまり憧れの人として、キラと接するようになっていった。
やがて、スティングは喜色満面でキラの接待役へと変貌したのだ。
「……ようするに、ゾッコンラブ。まさにこれだね」
自分で言ったことに対し、アウルは納得顔で話を締めくくった。
ゲンにも、何となくではあるがスティングがキラに対し敬語を使い出した理由は分かった。
だが、彼にはアウルのその言葉が気色悪く聞こえた。
「男同士で……何言ってるんだ」
……ったく、ホモじゃあるまいに―
心の中で呟きつつ、ゲンはシャワーを浴びに部屋に備え付けのシャワールームに脚を運んだ。
33 :
8/24:2006/01/05(木) 05:08:24 ID:???
ゲンがシャワールームに消えた後……キラは、アウルに耳打ちをしていた。
「ねえ、アウル。バイザーをかけてた彼が……隊長さん?」
「そそ。ゲン・アクサニス……階級は中尉、俺たちMS隊のリーダーだよ」
「そう……彼が……」
呟きながら、キラはバルトフェルドから聞いた言葉を思い出していた。
ラクスを帰して欲しければ戦場に戻れ―そう告げた人間は、バイザーを掛けた特殊部隊の人間。
ファントムペインのゲンが特殊部隊の人間であるか、確たる証拠があるわけではなかった。
それでも、平素からバイザー掛けている人間などそういるわけではない。
何か予感めいたものもあり、キラはゲンがその人物であろうと考えた。
一方のゲンも、シャワーを浴びながらキラのことを考えていた。
ゲンは予てからキラ・ヤマトという人間のことを、ジブリールから教えられていた。
嘗てストライクを駆った人物―だが、彼はその後連合に反旗を翻しラクスと共に三隻同盟に参加。
先の大戦で最強と謳われたフリーダムを駆り、連合・ザフトと戦い戦争を終結に導いたのがキラ―
その強さは、嘘か真か単騎で連合・ザフト両艦隊を翻弄するほどであったという。
そして、ジブリールはゲンにアクサニスという名を与えたが、それはキラと関係があるらしい。
アクス・ア・ニースという言葉―Anti Killer Ultimate Seed And National Insane Secrets
また、キラが嘗て操縦したストライクの後継機―Mk-Uを自分が操っていること……
どうやらキラとは浅からぬ因縁があるのかもしれない―そんなことをゲンは考えていた。
そして、ふと一つの可能性が思い浮かぶ。
「アイツ……俺がラクスを攫ったって知ってて、わざわざここまで来たのか?」
口に出してみたものの、やはりそれはありえないことだと思いなおす。
ネオの話ではキラを派遣したのは指揮官のユウナらしいし、キラが独断で来る筈がなかった。
だが、キラが目の前に現れたタイミングの良さに対する不可解さは拭い去ることができなかった。
あるいはキラとユウナの間で何らかのやりとりがあったのか……
「ま、俺があれこれ考えても仕方ない……よな」
その言葉を最後にゲンはキラがゲン達の元に送られた経緯について詮索をするのをやめた。
どのように考えたところで、所詮それは推測の域を出ない話―本人に聞けば済む話なのだから。
34 :
9/24:2006/01/05(木) 05:09:20 ID:???
その後のことはゲンもよく覚えてはいない。
スティングが買ってきた軽食を取り、あとはキラのベッドを借り、泥のように眠ってしまった。
それから何時間たったのだろうか―
ゲンが起きたころには、すでに部屋の窓から日の光は差し込まず、外は闇に包まれていた。
また、眠った頃に居た筈のアウルやスティング、ステラの声も気配もまったく感じられなかった。
ゆっくりと見慣れぬ部屋を見渡すと、自分のベッドに人らしき物体が横たわっているのが見える。
おそらくはキラであろうが……腕時計を見ると時間は朝の4時を指しているところであった。
ゲンは、都合半日近く眠り続けていたことになる。
「さてと……どうするかな」
呟いた後、ゲンは寝ているキラを起こさぬようベッドから出、ゆっくりと普段着―軍服に着替える。
軽く体を動かしてみたが、疲労感はそこそこ抜けており、散歩がてら基地内を歩くことにした。
二度目の惰眠を貪るのも悪くはなかったが……どうも見慣れぬ人間が側にいると落ち着かない。
つまりは、ゲンは知らず知らずのうちにキラと一緒の部屋にいるのを避けていたのだ。
兵舎の階下には兵員用のラウンジがあり、そこは24時間明かりが点いている。
軍の基地であるから夜間警戒中の軍人もいるし、そういった兵員が休息を取るためのエリアだ。
兵舎に来たとき予めその場所をゲンは確認していたが、実際朝の4時にそこにいるのは彼一人。
自販機でコーヒーを購入し、まだ熱いコーヒーを手に取りラウンジの椅子に腰掛ける。
疲労が抜けたことで、ある程度脳の働きが良くなったゲンは、一昨日のことを思い出していた。
ガルナハン基地からの撤退―予め司令官も想定していた撤退とはいえ、犠牲は多く出た。
基地司令は戦死、MS隊は大隊長以下パイロット達の大多数も帰らぬ人となった。
ミネルバのMS部隊は以前より数が増えており、ユーラシア軍は敵ではなかった。
「……完敗だったな」
完敗―どう考えてもその一言に尽きた。
自軍の戦果を考えたが、基地の兵員とファントムペインが無傷で脱出できたことくらいが精々。
数の上ではユーラシア軍が勝っていたかもしれないが、ミネルバはそれを物ともしない。
連合はザフトに、ミネルバに勝てるのだろうか―?
新たに加わったオーブ軍の戦力を加味しようにも、当てになる戦力と呼べるものは見当たらない。
35 :
10/24:2006/01/05(木) 05:10:29 ID:???
だが、ゲンはそこまで考えて一人の人物に、思索が行き当たった。
「いや、一人いるな……」
強力なミネルバと戦う上で、ファントムペイン以外に強力な味方と言える人物の名を―
同時に、先ほどまで同じ部屋にいた人物の顔を思い浮かべるが、一抹の不安は残っていた。
それは、キラ・ヤマトのパイロットとしての資質というよりも、性格に対する不安……
ゲンの知るフリーダムの伝説は二つあった。
一つは、最強のMSとして一騎当千の力があることの伝説―
そして、もう一つは、敵に対し極力殺生を避けるという、「不殺のフリーダム」という伝説―
ストライクに乗っていたときのキラ・ヤマトがそんな戦い方をしていたとは、聞いた事がなかった。
つまり、キラが戦い方を変えたのは、フリーダムに乗って以降……ということになる。
ゲンには、キラが戦い方を変えた理由は分からなかったが、一つだけ確かなことがあった。
「甘い……甘すぎる」
相手に止めを刺さないということは、ゲンにとってはどう考えても異常なことであった。
相手を戦闘不能にすれば、確かにその敵との戦闘は終わるだろう。
だが、それはあくまでも一時的なものに過ぎない。
その時殺す機会を逸したことで、別の機会にその相手に殺される危険を孕む行為……
同時にそれは、相手を殺さなかった本人だけでなく、友軍に危難が及ぶ可能性も否定できない。
「ったく、何考えてるんだ……」
思えばガルナハン基地脱出の際も、バビの猛攻からキラはゲン達を救ってくれたが……
そのときも、相手を撃とうと思えば撃てたのに、相手を戦闘不能にしただけで、殺しはしなかった。
つまり、敵のパイロットは無事―ということは、別の機会にあの手ごわい敵と再び戦うことになる。
相手が投降しているのならまだしも……如何にキラの立場で考えようとしても、理解不能だった。
「分からないな……言えることはただ一つ。甘すぎるんだよ」
キラ・ヤマトのMSパイロットとしての資質は、ゲンと同等、あるいはそれ以上かもしれない。
ストライクとフリーダムを駆り先の大戦を潜り抜けたキャリアも、今のゲンのそれよりも上だろう。
だが、戦士としてはどうだろうかと考えたとき、キラの戦い方は大きなマイナスになる。
相手を殺さなければ、次の戦闘で自分や仲間に危険が及ぶに違いないのだ。
36 :
11/24:2006/01/05(木) 05:11:24 ID:???
ゲンがこれからの対ミネルバ戦で、当てになる戦力を探しては見たが……
結局キラは未知数であり、当てになる戦力ではないとの結論に達していた。
「……やっぱり、甘すぎるぜ」
「そんなに……甘い?」
「甘い、甘いよ……大甘だよ」
「なら、ブラックにすれば良かったのに……」
「……おいおい、誰がコーヒーの話をしてるんだよ?俺は……」
ゲンの独り言に反応する人物の声に釣られ、彼は後ろを振り返った。
相手と視線が交わる……一瞬の沈黙と共に、ゲンはこの場に居た堪れなくなった。
ラウンジには誰も居ないものと思い、勝手にこれからの戦闘のことに思いをめぐらしてはいた。
だが、そこに当の本人―キラ・ヤマトが、いつの間にかゲンの後で微笑んでいたのだ。
恥ずかしさでこの場から消えたくなったゲンだが、困惑しつつ相手を問いただす。
「何で……お前がここにいる?」
「……ああ、君が起きたのが分かったから、ボクも起きようと思って……」
「……いつからここに居た?」
「今ついたところだよ。甘い甘い……って君が言うから、ここのコーヒーそんなに甘いのかなって。
ボクはいつも砂糖入れる派だから、ここの自販機のコーヒーを、どうしようかって考えていたの。
でも、コーヒーのことじゃなかったんだね。ボクの早とちり……かな」
「……俺は無糖派だ」
「そっか。じゃあ、ボクは……やっぱり砂糖は入れようっと」
言いながら、キラは自販機に歩み寄り、コーヒーを購入する。砂糖入りのボタンを押しながら……
その様子を眺めながら、ゲンは眩暈がしそうになっていた。まさか、当の本人が後ろに居たとは―
自分の余りの間抜けぶりに、些か頭痛もしてきた。そんなゲンに、キラは微笑み言った。
「あ、言い忘れていたけど……隊長、おはようございます」
「……隊長って、俺のことか?」
「……え?だって、アウルに聞いたら君は中尉で……隊長をやっているって聞いたから」
「……けど、俺はお前の隊長じゃないぞ」
「でも、今は一緒にお世話になっている身だから。……ええっと、自分はオーブ軍―」
「……一昨日聞いたよ。それと隊長呼ばわりしなくていいし敬語も要らない、ゲンでいいよ」
「じゃあ……改めて……おはよう、ゲン」
「……お、おはよう」
37 :
12/24:2006/01/05(木) 05:14:05 ID:???
グッドモーニングがあるなら、今日は差し詰めバッドモーニングってヤツだな―
ゲンは、ニコニコしながら向かいの席に座り、コーヒーを美味しそうに飲む青年を見ながら思った。
キラ・ヤマト―彼の駆ったストライクもフリーダムも、戦場では鬼神の様な強さを誇ったと聞く。
だが、目の前にいる青年は、どう見ても気の良さそうな普通の青年に過ぎなかった。
そんな青年が、再びゲンに話しかける。ゲンの思いも寄らぬことを……
「ねえ、聞いてもいいかな?」
「……どうぞ」
「ラクスを攫ったのは……君?」
「……ッ!!」
キラの単刀直入過ぎる問いかけに、ゲンは唖然として声も出なかった。
会ってからほとんど時間も経っていないのに、まるで全て知っているかのような問いかけ……
この男―キラ・ヤマトという人物は何もかも知っていて自分の前に現れたのではないか―?
先ほどいつの間にか自分の後に居たことと相まって、ゲンにはそんな考えさえ頭に浮かんだ。
だが、問題はこの問いに如何に答えるかである。顔の色を失った自分をキラが見逃しはすまい。
ここまで単刀直入に聞いてくるということは、彼にはある程度の確証があるのだ。
嘘をついたところで、結果的にそれは認めたことと同じ……諦め半分、ゲンは正直に答えた。
「……ああ、そうだ。彼女を……ラクス・クラインを攫ったのは俺だよ」
「……そう……なんだ」
責めるでもなく、憤るでもなく、嘆くでもなく……ただキラは短く言葉を発した。
意外な大人しさにゲンも内心拍子抜けしてしまったが、それから暫く気まずい沈黙が流れる。
誘拐犯とその被害者の親しい関係者……なんとも穏やかならぬ関係なのが、ゲンとキラである。
再びこの場に居た堪れない雰囲気になり、ゲンは途方にくれていたが、再びキラが話し始める。
「バルトフェルドさんから聞いたよ。ラクスを攫ったのはバイザーを掛けた青年……
ラクスを帰して欲しければ戦場に戻れ……ボクにそう伝えろって、君は言ったんでしょう?
だから、ボクはこうしてオーブ軍に入隊して、戦場に戻った。ラクスは……元気かな?」
「さあな。盟主はどういうつもりでラクスを攫って来いって命令したのか、俺にも分からない。
が、殺すつもりなら俺には誘拐ではなく、暗殺命令が来ていた筈だ。気休めかもしれないが……
あの歌姫が大人しくしている限りは、盟主は彼女を傷つけたり殺したりはしない筈だ」
ゲンにもジブリールの本心は分からなかったが、状況から推察できる限りで楽観論を述べた。
そんなゲンの言葉に、キラは苦笑いをした。キラには気休めになったのだろうか……
38 :
13/24:2006/01/05(木) 05:15:08 ID:???
だが、キラの話を聞いていたゲンは、一つの疑問が頭に浮かんでいた。
キラはラクス誘拐事件を機にオーブ軍に入隊したと言ったが、その経緯がよく分からない。
それに、キラがゲンの言葉に素直に従い戦場に戻ったことも解せなかった。
不殺のフリーダムのパイロットが、素直に戦場に戻るなどと……
不可解さが頭をもたげ、ゲンは問いたださざるを得なくなった。
「……戦場に戻れと言ったのは、正確には俺じゃなくて盟主だ。どういうつもりかは分からないが。
けど、随分素直に従ったな。お前……フリーダムに乗ってたんだろ?あの伝説のフリーダムに。
最強にして、不殺を信条とするのがフリーダムのパイロットなら……何故素直に戦場に戻る?」
「……素直に従ったわけじゃないよ。それ以外に、やりようがなかったから……」
あの日―
ゲンがラクスを攫い、アウルがヨップ・フォン・アラファス以下ザフトの特殊部隊を葬り去った日……
夜が明けると、前日セイラン邸に泊まっていたキラはユウナと共に変わり果てた我が家に戻った。
間借りしていたアスハ家の別宅は半壊しており、近くの海岸にアッシュの残骸が転がっていた。
バルトフェルドとマリューは無事だったが、ラクスは連合の特殊部隊に連れ去られていたという。
最初は状況の呑み込めず、ただ呆然としていたキラに、バルトフェルドが言った。
「全てを知っているのは、お前の隣にいる男―ユウナ・ロマ・セイランだ。
俺はね、長年軍人をやってきたからわかるが、どんな戦場でも偶然が重なることはそうはない。
精々重なるのは2つまで……一度の戦場に3つの偶然が重なることなんてない。
3つ目があるとすれば、そこには何らかの必然が存在する筈……つまり―」
あの日、偶然連合の特殊部隊がラクス・クラインを誘拐しに来たこと。
あの日、偶然ザフトの特殊部隊がラクス・クラインを暗殺しに来たこと。
あの日、偶然キラ・ヤマトは不在で、セイラン邸で宿泊していたこと。
「ザフトとセイランが繋がっていることは考えにくい。繋がっているとすれば連合だ。
ラクスが誘拐されちまったことも、その日キラが不在だったことも予め仕組まれていたこと……
なあ……俺は何か間違ったことを言っているか!? ユウナ・ロマ・セイラン!!」
砂漠の虎と呼ばれた猛将の大声が周囲に響き渡る。だが、名を呼ばれた本人は臆してはいない。
相変わらず薄ら笑いを浮かべたまま、いつもの調子でバルトフェルドの問いに応えた。
パチパチと手を鳴らし、拍手をしながら―
「流石は砂漠の虎とまで言われたアンドリュー・バルトフェルド将軍!見事な推察、大正解だ!!」
39 :
14/24:2006/01/05(木) 05:16:06 ID:???
少しも悪びれる素振りもなく、ユウナは飄々と事の経緯を説明し始めた。
ラクス・クライン誘拐の指示を出したのは、ブルーコスモス盟主ロード・ジブリールである、と。
ジブリールからの依頼を受け、ユウナ・ロマ・セイランはラクスに関する情報を提供したらしい。
キラやラクス達が間借りしているアスハ家別宅の見取り図や、住人達の生活パターン他……
そして、キラが家に居合わせないよう、セイラン家での会食に睡眠薬を混ぜたことも白状する。
その事実が俄かに信じられないという風に、キラはユウナを問いただす。
「……どうしてです?何故ラクスを攫う必要があるんですか?」
「そりゃあ、決まっているさ。大西洋連邦にとっても、ブルーコスモスにとっても彼女は怖いのさ。
考えてもみなさい。先の大戦で彼女率いる三隻同盟は、僅か三隻の艦隊で戦争を終わらせた。
フリーダムやジャスティスの活躍があったにせよ、彼女は連合にとって脅威以外何者でもない。
だから、戦争が終わるまでの間、彼女に勝手なことをされちゃ困るから攫った。それだけさ」
「……そんな!それに……何でユウナさんが加担するんです!?」
「何でって言われてもねぇ……大西洋連邦やブルーコスモスを敵に回したくないから、かな?
先の大戦でオーブは戦場になった。彼らの意向に逆らったが為に……ね。
同じ過ちは二度繰り返してはならない。ボクだってラクスさんに恨みなんかないさ。
でもね、為政者としては国民の生命、身体、財産の保全こそ主たる仕事さ。私情は挟めないよ」
「……ラクスが殺されたらどうするんですか!?」
「そのときは……花を持って墓参りでも行こうかな。でも……殺されたりはしないと思うよ」
「……え?」
「彼女は攫われただけ、つまり殺しちゃいけない存在ってことだ。彼女は安全弁でもあるからね」
ラクス・クラインは、極めてナチュラル寄りなコーディネーターの一人であった。
ナチュラルとの融和を心から願う人物でもあり、彼女を慕う人間はナチュラルにも多くいる。
類まれなる歌声とその容姿からも、プラントの内外を問わず、支持するものは少なくない。
そんな彼女が、先の大戦の最中に唯一政治的なパフォーマンスを見せたザラ派との演説戦……
「あのときの彼女の言葉、覚えているかな?
コーディネーターは決して進化した種ではない。婚姻統制をしても生まれてこない子供たち。
すでに未来を作れぬコーディネーターに未来はない……みたいなことを言っていたよね?
だから、彼女は戦争を止めてナチュラルと仲良くやっていこう……そう演説していた筈だ。
大西洋連邦大統領ジョセフ・コープランドは、ユニウスセブンの落下で戦争を始めちゃった。
でも、勝つにしろ負けるにしろどんな戦争でも、落としどころってやつは必要だ。
連合が勝てばプラントの現政権とザフトは解体される。でも、負けたプラントの国民はどうなる?
友人や兄弟が殺された腹いせに、テロに走らないとも限らない。そんな国民を静めるには?
つまり……大西洋連邦は、そんな彼らを静める役目を……彼女にやってもらうつもりなのさ」
40 :
15/24:2006/01/05(木) 05:17:05 ID:???
ナチュラルに敵対するつもりのない人物だから―ラクス・クラインを攫ったのはそんな理由だろう。
ユウナはそう言って、彼女が大西洋連邦にとってもブルーコスモスにとっても必要だと説明した。
だがキラは、大西洋連邦は兎も角、ブルーコスモスが彼女を攫ったということが分からなかった。
「でも……どうして、ブルーコスモスがラクスを?」
「そこまでは分からないけど。ただ、ジブリールはムルタ・アズラエルと同じ強硬派ではあるが……
殺すつもりなら攫ったりはしないだろうし、何なら彼には僕のほうから聞いておいてもいい」
「……その人とは……知り合いなんですか?」
「何度か会ったことはあるし、コンタクトを取ることもできる。僕だって鬼畜生じゃないよ。
情報を提供する際、口約束ではあったけど、彼女が敵対行為をしない限り殺しはしない……
そんな約束は取り交わしておいたから、彼女が下手なことをしなければ大丈夫だと思うよ。
それにね、キラ君。君は僕らを責める権利なんてないよ。分かっているの?」
「……え?」
「そりゃあ、誘拐したのは悪いとは思うけどさ。考えてもご覧よ。昨日来たザフトの連中。
あいつらを君がどうにかできたかい?ここはアスハ家の別宅。MSも碌に有りはしない。
君がここにいて、彼女を守ることが出来たのかな?」
「そ、それは……」
「地下にフリーダムが隠してあって、君が歌姫の危機に並み居る敵をバッタバッタと薙ぎ倒す?
そんな話はB級アクション映画か漫画の世界の話……あれ、フリーダムってどうなっていた?」
ユウナの言葉に、キラはやっと状況を冷静に分析できる状態に戻った。
思えば、キラの嘗ての愛機フリーダムは先の大戦で大破、戦後オーブ軍の某工廠に隠蔽された。
工廠は軍関係者のごく一部しか知ることのないところで、ここから大分距離もあった。
現実的に、襲撃者からキラやバルトフェルド、マリューが応戦したところで高が知れている。
結果論ではあるが、ブルーコスモスの盟主やユウナの謀略に救われた格好……
「ま、フリーダムはどうでもいいや。ああ、ええっと……バルトフェルド将軍、他に質問は?」
「……最後にラクスを攫ったヤツが言っていたぜ。
ラクスを帰して欲しければ戦場に戻れ……キラ・ヤマトに伝えろといわれた。それについては?」
「ああ、僕はそれについてはよく分からないけど……そういえばお届け物があったな。
元大西洋連邦軍少佐、アークエンジェル艦長マリュー・ラミアスさん……ああ、いたいた」
キラへの質問を遮ったユウナは、バルトフェルドからの質問にマリューを名指しした。
「大西洋連邦から先日連絡があってね。アラスカ以来の脱走の罪、ヤキンでの敵対行為等等。
アークエンジェルのこれまでの敵対行為の全てを不問にするって、知らせがありましたから!」
41 :
16/24:2006/01/05(木) 05:18:07 ID:???
バルトフェルドの隣でユウナを睨みつけていたマリュー・ラミアスは、その言葉に瞠目する。
「不問にするって……どういうこと?」
「だから、言葉どおり……アークエンジェルのこれまでの罪一切問わないことにしたらしい。
貴女だけではなくクルー全員、生きて再び祖国の土を踏める……ってことですよ。
ま、例によって条件付ですけどね。アラスカ以来の事件について、余計なことは喋るなって」
「……それ以外は?」
「ああ、希望するなら復隊も認めるって書いてありましたけど……します?」
「……ッ! 誰がするもんですか!!」
マリュー・ラミアスは、ユウナの言葉に激昂した。正確には大西洋連邦からの通達に、だが。
アラスカ―ザフト軍が展開したオペーレーションスピリットブレイクのターゲットとなった地。
彼の地には、連合の最高司令部があり、ザフトは一気呵成に彼の地を攻め落とそうとした。
だが、その情報は事前に漏れ、逆に地球連合側から罠を仕掛けられることになる。
即ち、大量破壊兵器サイプロクスを使用し、自軍ごとザフトを殲滅しようと画策したのだ。
アラスカでの防衛戦の任務を与えられたアークエンジェルは、寸前で危機を回避するが……
味方を生贄にしてまで勝とうとする軍上層部の姿勢に、マリュー達は軍を脱走することになる。
「……酷い裏切りだったわ。命からがらヘリオポリスから逃れて……やっと地球に着いた。
そして下った命令がアラスカ行き。そこで……ザフトともども、全員殺されるところだったわ!
おまけに命令を下した上層部の人間はとっくに逃げていた……何様よ! 今更……ッ!!」
上層部がアークエンジェルを切り捨てた背景には、キラ・ヤマトの存在があった。
コーディネーターをストライクに乗せていたアークエンジェルクルーを処分する目論見と共に……
何れにせよ、軍上層部はアークエンジェルを邪魔者扱いし、抹殺を図ったのだ。
マリューが激昂するのも無理からぬことであった。彼女は更に、目の前の軽薄な男に当たった。
「あなたに分かる? 軍の上層部から邪魔者として殺されようとした私たちの気持ちが!?」
「……でも軍隊ってそういうところなんじゃないですか?」
「基地を護って死ねというなら話も分かるわ。でも……基地ごと敵と心中して死ねなんて!
あの時の軍の上層部はブルーコスモスに支配されていたって聞いているわ……だから!
私はブルーコスモスの盟主の口約束なんて信じないし、貴方のことも信じてはいない!
覚えておきなさい! ラクスさんにもしものことがあったら……私は貴方を殺すわ!!」
あまりの剣幕に反論する気力も失せたユウナは、すごすごとキラの元へ向かった。
そしてある事を告げる―
42 :
17/24:2006/01/05(木) 05:19:21 ID:???
「キラ君。もしも戦場に戻れという盟主の命令を実行したいのなら……僕のところに来なさい。
近々オーブも出兵せざるをえない状況だ。まぁ、詳しくは軍本部に来てくれたまえ。それじゃ!」
そして、相変わらず鬼の形相で睨んでいるマリューにも、ユウナは言った。
「マリューさん、大変申し上げにくいんですけどね……」
「言いたいことがあるなら、さっさと言いなさい! そして早々に消えて頂戴!!」
「……大急ぎでフリーダムとアークエンジェルの修復を、お願いできませんかね?」
「……え?」
「元技術将校でしょ?近々造船課から軍の施設への出向命令を出す予定です。
僕だって大西洋連邦やジブリールの意のままに動くわけじゃない。保険は必要ですから」
「あ、貴方まさか……」
「別に僕を殺しても構いませんけどね、もうちょっと待ってもらえますか?
こっちも国の命運が掛かっているので、見かけによらず必死なんです。頼みましたよ」
最後の言葉を発したユウナの顔からは一切の笑みが消え、眼光鋭くマリューを射抜いていた。
あまりの鋭い視線に、マリューはこの男の真意が何処にあるのか測りかねて呆然とする。
だが、それも一瞬のこと―すぐにいつものニヤケ顔に戻っているユウナがそこにはいた。
「ああ、そうそう。マルキオ孤児院の子供たちの家もすぐに確保しますから。
セイラン家の別宅でいいかな。後で迎えの者をよこします。ちょっとだけ待っていて下さいね」
その言葉を最後に、ユウナは廃墟と化した旧アスハ家の別宅を後にした。
後に残されたキラとバルトフェルドとマリューは、暫くの間その場に立ち尽くしていた。
10分も経った頃だろうか、キラが口を開いた。
「……軍本部に行きます」
「……え?」
「それで良いのか?こいつはセイランとブルーコスモスの罠だぞ。分かっているのか、キラ」
自分の耳を疑うマリューと、セイランとブルーコスモスの思惑について指摘するバルトフェルド。
だが、当のキラは意に介した風もなく、すぐに軍本部へと足を向ける。
「ここにいても、ザフトは次にボクを狙ってくるかもしれない。
一緒に住んでいる孤児院の子供たちに危険が及ぶことは避けたいですから。
連合も……ボクが安穏とオーブで暮らしていることを、黙って見過ごすとは思えません」
43 :
18/24:2006/01/05(木) 05:20:17 ID:???
キラは先ほどまでの動揺からすっかり立ち直っていた。
彼は決して愚鈍な人間ではない。ユウナの言葉から即座に自分の置かれている状況を把握した。
そして、自分がいま居るべき場所はここではないことを悟り、すぐさま行動に出ようとする。
「ま、それもそうだな。確かにキラの安全を考えれば、オーブ軍に行くことが最善かもしれん。
だが俺は……そういうわけにはいかないんでね。ここからは別行動とさせてもらうか」
次にバルトフェルドが行動に出る。彼は半壊した邸宅に戻ろうと、足を向けた。
そんな彼をマリューが問いただす。
「貴方……どうするつもりなの?」
「俺もここで暮らしていたら、またザフトの連中が殺しに来るかもしれない。
とりあえずプラントに行く。ラクス暗殺を企てたのがどこのどいつか、心当たりを当たってみる」
「正気なの?だって……昨日来たのはプラント政府が放った暗殺者の可能性が……」
「多分そうだろうな。あるいは最高評議会議長ギルバート・デュランダルかもしれないが……
それでも、今プラントがどうなっているのかだけでも、調べておく必要があると思う。
大丈夫、昔の伝を頼れば……まあ、何とかなるだろうさ」
諫めるマリューの声を意にも介さず、バルトフェルドも歩み始める。
そう―平穏な日々は終わりを告げたのだ。最早、この地は彼らの安住の地ではなくなったのだ。
そのことはマリュー自身も分かっていた。そして、彼女も動き始める。
「……大西洋連邦に戻る?それだけは論外!
私は……まずアークエンジェルのクルーを集めて、さっきのユウナの言葉を伝えなきゃ。
あとは各人の意思に任せて……とりあえずはフリーダムとアークエンジェルを治そうかな」
状況がどう転んでも、フリーダムとアークエンジェルを治しておいて損はないように思えた。
ユウナの指示に従うのは釈然としなかったが、他にやりようもなかった。
マリュー・ラミアスも、やがて不沈艦アークエンジェルの艦長時代の顔に戻っていく。
キラ・ヤマト、アンドリュー・バルトフェルド、マリュー・ラミアス……
三者三様であるが、それぞれに進むべき道を見出していた。
だが、キラ・ヤマトの場合には一つだけ問題が残っていた。
彼女の姉にして、オーブ代表首長国代表カガリ・ユラ・アスハである。
そしてユウナは、マリューのとき以上の剣幕で迫られ、最大の被害者となってしまう……
44 :
19/24:2006/01/05(木) 05:21:13 ID:???
キラがオーブ軍に入るという話を聞いたカガリは激昂した。
「ダメだ! ダメだ!! ダメだ!!! そんなこと認められるか!!!!」
オーブ軍本部にある司令部にある一室では……
キラとユウナから事の次第を聞いたキラの姉カガリは、弟のオーブ軍入りを文字通り全否定する。
そして、事の発端に関与したユウナ・ロマ・セイランに掴みかかる。
「ユウナ……キサマ、どういうつもりだ!ラクス誘拐に加担した上に、キラを戦場に戻すだと!?」
「か、カガリ、落ちついて!」
「うるさい! 黙れ! よくもそんなことができるな!!」
「で、でもさ、君はそのブルーコスモス盟主の申し出を、断れば良かったって言うのかい?」
「あ た り ま え だ !!」
凄まじい剣幕で、ユウナの襟首を掴み上げ、掴みあげる。
ユウナの方が長身だが、力はカガリのほうが上であり、ユウナは苦しそうに顔を上げている。
キラが止めに入るが、カガリは構わずユウナを吊るす。
止まらないカガリに、息を切らせながらユウナは反論を始めた。
「ぶ、ブルーコスモスの盟主に逆らうと大変なんだよ!」
「何が大変だ!?」
「だ、だって……先の大戦でオーブが焼かれたのは……彼らに逆らったからじゃないか!」
「逆らうだろう! 普通は!?」
「今はもう戦時下だ。既にあいつ等も普通じゃないんだよ。
仮に断ったとしても、ブルーコスモスが黙っていると思う?それに……」
「それに……何だ!?」
「ぼ、僕らがラクスを攫ってなかったら、君の弟君は死んでいたかもしれないんだぞ!!」
最後の言葉に、ようやくカガリも我に返り、掴んでいたユウナの襟首を離す。
けほけほと咳き込みながら呼吸を整えるユウナを、キラが申し訳なさそうに背中をさする。
呼吸を整えたユウナは、皺になった襟を正しながら、話し始めた。
「君らがどんな高尚な理想を持っていたところで、三隻同盟関係者はテロリスト扱いさ。
大西洋連邦とプラントという二つの国に楯突いたんだから。連合とザフトからも狙われる。
幸い、オーブは大西洋連邦と同盟関係にあるから、彼ら連合はそう無茶なことはしないよ。
だから、ラクスさんも殺さないし、キラ君やマリューさんたちも穏便な処置で済んでいるんだ」
45 :
20/24:2006/01/05(木) 05:22:08 ID:???
ユウナは、これまでキラ達に伝えた事の真相全てを話した。
カガリは最初こそ憤っていたが、次第に怒りも収まり徐々に悲しげな表情になっていった。
やがて、今度はキラに向かって話し始めた。
「もうキラにとってオーブは……安心して住める地じゃない。
だから、ブルーコスモスの盟主の意に従って、軍に入るって言うのか?」
「……そうだね」
「そんな! 私はお前の姉で、オーブの代表だぞ! 弟一人くらい護ってやる!」
「ありがとう。でも、とても嬉しいけど……もう決めたことなんだ。それに、ラクスを取戻したい」
「彼女が帰ってくる保障なんて、どこにもないんだぞ!?」
「分かっている。でも、何れこうなることは……ラクスも覚悟していたから」
「覚悟……?何の話をしているんだ?」
ラクス・クラインは戦後しばらくの後、キラ達にこう言っていたという。
『戦争を否定するために、私は銃を取り戦争を終わらせようとしました。
でも、それは力に頼った解決であって、結局は戦争をしたがる者達と本質的には変わりません。
力に頼るものは、何れ力によって滅ぼされる。それは歴史上、多くの事例が示している通り。
ですから、いつかは私も討たれるかもしれません。けれど、それは仕方のないこと。
過ちを過ちと知って、私は戦ったのですから。そのときの覚悟だけは、私もしておきます』
ラクス・クラインは、自らが三隻同盟の盟主であったことから、そのような覚悟をしていたという。
だが、そのような覚悟は自身だけに止まっており、それをキラ達に強要したりすることはなかった。
狙われるのは、恐らく盟主のラクスだけ―だから、その時もし彼女が死んでも、それは天命。
決して復讐に走ったりしてはならない……そのようにラクスは、キラ達に言っていたらしい。
しかし、そんな話はカガリも聞いた事がなかった。当然カガリはその疑問をキラにぶつける。
「私は……そんな話聞いたことがないぞ?」
「カガリはそのときもうオーブの首長だったし、アスランもプラントで裁判を受けていたし。
ラクスがプラントで裁判を受けなかったのは、もうこれ以上プラントを混乱させたくないって……
アスランは……お父さんのこともあるからどうしても行かなきゃって、プラントに戻っちゃった。
知っているのは、ボクとバルトフェルドさんと、マリューさんだけだよ」
ラクスの秘められた覚悟に、カガリは瞠目した。
彼女は、何れ何らかの形で連合かザフトに命を狙われることを覚悟していたのだ。
46 :
21/24:2006/01/05(木) 05:23:04 ID:???
「あ、あの〜」
キラとカガリの会話に、ユウナが入ってきた。先ほどから彼を無視して話が進んでいた。
気まずそうに、だが彼は何かの書類を持って、カガリにそれを見せたがっているようだ。
「代表、お取り込み中申し訳ありませんが……」
「……何だ?」
「これに目を通していただきたい」
「……ん?オーブ軍第一機動艦隊を……ユーラシア連邦に派遣するだと!?」
「一応、明日の閣議でも議題に上るんだけどね」
「み、認められるか!? 第一機動艦隊はオーブ防衛の要だぞ!?
それにタケミカヅチを……スエズ運河を通過させる?まさか、最前線に送るつもりか!?」
「……ああ」
「……また、大西洋連邦からの要請か?」
「……先日、要請があったんだ」
キラとの会話で落ち込んでいたカガリだが、見る見る顔に怒気が漲る。
「お前も、親父のウナトも! お前等は大西洋連邦の犬か!? あの国は国を焼いたんだぞ!
コープランド大統領は理性的な方だが、あの国はロゴスやブルーコスモスに牛耳られている!
そんな国の、そんな要請に……同盟条約のときもそうだ! 兵が血を流すのに……それを!」
「……貴女に言われるまでもなく、そんなことは分かっている!!」
いつの間にか、今度はユウナまでも怒りを孕んだ顔つきに変わっていた。
「誰が……誰が好きであんな国に尻尾を振るものか!! 誰のためかって? 国のためだよ!
あの国にロゴスがいようがブルーコスモスがいようが、諍いを起こすわけにはいかない!
狂っている国だろうと、その狂っている国に、再び国を焼かれちゃお終いなんだ!!
どんな理想があって、中立を掲げていたって……! 国が焼かれて、民が死んだら……!!
「ゆ、ユウナ……」
「ち、父だって好きでやっているわけじゃない!
父の兄、先代セイラン家の当主はウズミさまと一緒に死んだんだ!!
実の兄を殺したような連中と……いつも笑って、ご機嫌をとって……!!
だっ、だから……僕のことは罵ってくれてもいい! けど、父を悪く言うのは止めてくれ!!」
いつの間にかユウナは涙声になり、言葉にも詰まりながら泣き顔でカガリに抗議していた……
47 :
22/24:2006/01/05(木) 05:24:08 ID:???
キラとカガリが宥めようにも、ユウナの言葉は止まらなかった。
これまで内心にとどめ、決して他人に漏らす事のなかった心情を吐露するかのように……
その言葉にキラもカガリも言葉を失う。
「ち、巷で何て言われているかも、知っているよ。せ、セイランは大西洋連邦の犬だって……
でも、でもそうするしかないんだ! か、カガリはまだ若いし、相手は老練な策士達だ。
だから、僕等が犬って蔑まれたって、やるんだ! やらなきゃ国が、また焼かれる……
……嫌だ、そんなのは嫌だ! だから……僕等がやらなきゃならないんだ!!」
「「………」」
「……父はね、医者から酒を止められてるんだ。
戦争が終わってからの2年間、いつもいつもカガリの代わりに大西洋連邦の相手をしてきた。
でも、やっぱりストレスは溜まるんだ。溺れるほどじゃないけど、酒を飲まずにはいられない」
「「………」」
「何故父が酒に頼るか、わかるかい? 現実が辛いからさ。忘れたい現実が有るからさ。
今父は体を壊しかけている。もう……こんなことに、戦争に国を、民を巻き込みたくないんだ。
それでも現実に戦争はある。オーブは戦争にならなくても、増援を請われれば断れやしない。
だから、今回僕が指揮官になっていくことにした。兵を死地に赴かせるんだ、せめてもの……」
そこから先……ユウナの言葉は声にならず、ただ顔を片手で覆い、天を仰いでいた。
カガリは視線を落とし、先ほどの書類に目を通す。指揮官の欄に、ユウナの名が刻まれていた。
いつも、彼女の前では軽薄な笑みを浮かべているユウナ……だが、その影では……
彼も父ウナト同様に、苦しみもがいていたことは、この時の彼を見れば一目瞭然であった。
「……ッ!すまない、ユウナ……私は何も……すまない!」
カガリはその言葉を最後に部屋を飛び出した。
彼女が何も知らなかったというよりも、ユウナやウナトが悟られまいと振舞っていたのだ。
若い代表に何ら非はなかったが、それでも彼女は自分の不知を嘆いていた。
司令部の一室を飛び出した彼女は、やがて自室の最高司令官室に飛び込んだ。
慌てて彼女を追いかけてきたキラは、そこで咽び泣く姉の姿を目にすることになる。
数刻の後、キラは泣き止んだ彼女からオーブ軍入隊の許可を得ることとなる。
階級は、大西洋連邦の志願兵だったころに就いた最高位の少尉―即ち三尉……
だが、それはあくまで後日の話である。
カガリから許しを得た後、キラはユウナの居た部屋に戻った。
48 :
23/24:2006/01/05(木) 05:25:16 ID:???
ユウナ・ロマ・セイランは、相変わらず天を仰いだままだった。
既に涙も止まってはいたが、ぼんやりとキラを見る目は虚ろであった。
しばらくしてから、愚痴交じりにキラに話しかける。
「……言っちゃったよ。親父と一緒に、墓の下まで持ってく筈の話を。
最悪だよ、僕は。格好悪いったら、ありゃしない。父の話を出汁に、女の子を説得なんて……
あー、最悪だ。僕は最低の男だ。キラ君、笑いたかったら笑ってもいいよ」
「……笑えませんよ」
「……優しいねぇ、君は。恋人のラクスを攫ったのは僕も同罪だよ?
そんな人間に優しい言葉を掛けるなんて、君は甘い。甘すぎるよ、ホント」
「カガリから伝言です。ボクをオーブ軍に入れることを認めるって。
ユウナさんと一緒に、タケミカヅチに乗って……絶対に全員死なずに帰って来い、だそうです」
「……そっか、ははは……優しいな、二人とも」
翌日にはいつものユウナに戻っていたが、この日一日彼は元に戻ることはなかった。
そんな彼はふと、あることを思い出して言った。
「ところで……アレックス君は、いやアスラン・ザラはどうしたの?彼、最近見ないけど?」
「プラントに渡ったきり、音沙汰無しです」
「……ひょっとして、殺されちゃったかな」
「……そんな!」
「親友だったよね、君と彼とは。心中察するよ。でも、最悪の事態は彼が謀殺されることじゃない」
「……え?」
「万が一、いや僕はこっちの可能性のほうが高いかもしれないって思うんだけどね。
ひょっとすると彼、ザフトに復隊したかもしれない。政府や軍の人間が認めていれば……ね」
「まさか……」
「いや、国のために必死になるってことは、政治家も軍人も同じさ。
今オーブが戦争に巻き込まれて大変な以上に、プラントはもっと大変な筈さ。
アスラン・ザラが生粋の軍人で、祖国プラントを愛する人物だとしたら……ありうる話さ」
「でも、アスランは……!」
「僕が彼ならそうする。裏切り者の汚名を着ても、戦うさ。国が焼かれるよりはマシだ」
虚ろなユウナの視線は、それでもキラを捉えて離さなかった。
そんなユウナの視線に、幾分キラは怯えた。だがそれはユウナの目線のせいではなく……
アスランがザフトに戻っていれば、最悪自分たちと戦うことになるのかもしれないということ―
その考えに悪寒が走ったが、それでもキラは自分の進むべき道を歩もうとしていた。
49 :
24/24:2006/01/05(木) 05:26:26 ID:???
話はバイコヌール基地に戻る―
キラは、これまでの経緯をゲンに語って聞かせた。
「……だから、他にやりようがなかったんだ」
冒頭の言葉でキラは話を締めくくった。相変わらず苦笑いを浮かべつつ、キラはゲンを見た。
そんな彼に、ラクスを攫った本人は掛ける言葉も見当たらず、言葉に詰まった。
ゲンの心情を知ってか知らずか、キラは言葉を続ける。
「あ、話長かったね。もう2時間も経っているよ。食堂に行く?」
「朝食にはまだ少し早いだろう。それよりお前……俺のことを恨んでないのか?」
「恨む?どうして?」
「ラクスを攫ったのは俺だ。彼女の事が好きなんだろ?それを誘拐したのは……」
「でも、君が来てくれなければ、ラクスもバルトフェルドさんもマリューさんも、皆死んでいた。
だから、ボクは君を恨まないし、ブルーコスモスの盟主も恨んではいないよ。そうだ……」
言うや、キラは右手をゲンに差し出す。戸惑うゲンを尻目に……
「まだ、お礼を言ってなかったね。ありがとう……ゲン。そして、これからもよろしく」
「………」
「ダメかな、こういうの?」
「あ、いや……」
ゲンにはどうすれば良いのか分からなかった。
恨まれることを覚悟していたし、憎まれても仕方がないと、会う前から思い込んでいたのだ。
だが、彼もラクスも、全て覚悟の上で生きてきたのだ。それを知ったとき、ゲンは言葉を失った。
(何て奴等だよ……三隻同盟は、こういう甘いヤツの集まりか?)
内心皮肉ってみたものの、その潔さを利用しようとした自分達が酷く薄汚く思えた。
その思いは消えることなく、ゲンの心に影を落とす。やがて、ゆっくりとゲンも右手を差し出した。
「よろしく、キラ・ヤマト三尉。それと、アウルもザフトの襲撃者を退けたんだ。覚えていてくれ」
握手を交わす二人……
いつの間にか上っていた陽の光が窓から差し込み、ゲンとキラを包み込んでいた。
こんな時間にGJ
だが一応言っておく。寝れ
PP書いてる者です。
こういう展開、ダメかな?
……という訳で、酷く臭い話を書いた後ですが、シンとキラはこの後対立します。
まあ例によってシンが噛み付いちゃうわけですが、その辺は後々のお楽しみということで……
>>50 ははは、ご冗談を。これから働きに行かねば……orz
まあ、昼間寝ちゃってたりしたんですけどね。
とりあえず生活時間戻さねば……
GJ
だが休養はちゃんととれw
お疲れです。ですが、休養は取りましょう
不規則な就業シフトな私が言うのもなんですが。
>こういう展開、ダメかな?
いえ、大好きです。ホモ展開なんかより数段上等!理屈と感情のせめぎ合い
は小説の特権(アニメだと出にくい上に、相応の技量が必要)です。
スティングの「先輩」発言に吹いたw
どうイメージしても想像できない
スティングは、強い奴だったら対抗意識燃やさずにはおかない性格だと思ってたから余計に
こっちでは「アスカ一家殺害犯=キラ」設定は無かったんだっけ。
隻腕とか混ざってきて記憶がごちゃごちゃになってるw
PP作者様、GJです。
キラや虎、マリューの扱いがまともだ……
補正を省い
PP作者様、GJです。
キラや虎、マリューの扱いがまともだ……
補正を省くとこんなにスマートで読みやすいとは。
>>55 同じく。
更新されたのを読む前に前回のを読むこともしばしば。
アニメのようにOP前に前話の
ダイジェストが欲しくなりますね。
>>55 いや、隻腕のアスカ一家殺害犯はカラミティ
自由が地上スレスレまで降下したところをカラミティが砲撃し、
自由はこれを躱したが、その付近にいたアスカ一家がその砲撃の巻き添えになった
マユもその事知ってて、3話ではキラに「そんなに守りたいって言うなら躱さないで、全部受け止めてみせろ」とか言ってた
>>55 マユ種は、キラ自身が認めている描写があります。↓
>キラ「もし、どうしても死にたいのなら、僕を殺してからにしろ!
>僕は君の家族を殺して、君の愛機を壊して、君の人生を滅茶苦茶にした、フリーダムのパイロットだ!」
>PP作者様。
同人アニメで問題ありキャラを、ここまで良補正できて凄いと思います。
次回も期待しております。
PP作者様GJ!
なんかキャラがイイ……。どいつもこいつもすごくイイ……。
酒に逃げつつ現実と戦うウナトに惚れた。ユウナの「カッコ悪い」告白がすごくカッコいいです。
>>55 アニメ本編、元々「キラのせい」だったはずなのに、結局「誰もそのことを認識してない」展開になったからな。
おそらくは最初はそれでシンとキラを因縁づけるつもりが、キラを汚したくない嫁補正のせいで歪んだんだろう。
実際に因縁となったステラの一件も、かなり歪な展開になってしまっていた。
シン・キラ双方が認識している必要はないけど、誰かが知っているべき事件だったと思う。
もっとも、「キラのせい」と言っても、どういう風に彼のせいになるのかは不明だったしな。
ここを逃げずに取り組むなら、各作者が作りこまなきゃいけないところだろう。
ちなみに本編では、結局撃ったのはカラミティにされたようだ
>>57 ダイジェストですか。
隻腕書いてる者なんですが、以前投下した「今までのまとめ」的なものを御所望でしょうか?
あんな感じのを、毎回事前に投下しておいた方が良いでしょうか?
あれも、「もうちょっと詳しく」or「もうちょっと簡潔に」、どっちの意見が多いんだろうと不安なんですが。
なんか前回投下した分は、行数とか自縄自縛でちょっと中途半端なのがいくつかありましたしね……
あ、13話以降、今まとめてますので……。今日か明日にでも投下できれば、と思っております。
そこまで職人さんに負担をかけるのはどうかと思う、漏れは>ダイジェスト希望
隻腕あにぃ、毎回ダイジェスト入れるだなんて難儀なことは気にせず
バリバリ隻腕育んでおくれ
マユはディスティニーの中で、デストロイの戦闘を分析したゼロの言葉を思い出していた。
『おそらく、あのデストロイのパイロットはステラの時を反省して「使い捨て」にするつもりらしいね。
完全にバーサーカー状態、廃人寸前。たぶん徹底的にクスリと頭を弄られてる。
・・・・・・・助けられる可能性はないし、助けたとしても今の状況じゃとても・・・・。』
うつむきながら告げたゼロの言葉が胸に刺さる。
『・・・・・ッ、クラクラスる・・・。』
シンハロがポツリと呟く。
「大丈夫?なんか怪しい海外サイトでもいったの?」
『違ウッ!あー・・・、やっぱアノデッカイMSが五機もイルトつらいワ。』
シンハロの頭にはケモノのような声が響いていた。
コロス。
コワス。
ナクス。
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス
『・・・あーもー!!お前らは某この世の全ての悪かーー!!』
「・・・・・最近シンハロ独り言多いよ。」
赤い翼を輝かせてディスティニー・ブロークンは曇天を駆ける。
『華よ散れ!』
ディスティニー・ブロークンが手を目の前のウィンダムの大群にかざす。
そしてその手のひらからまるで桜吹雪のようにビームマシンガンが吹き荒れる。
その機動力を生かし移動しつつ大量の敵を撃破する。
「鳥よ啼け!」
マユが叫ぶとビームシールドが変形してサーベルとなる。
巨大なビームサーベルはまるで翼のような光の軌跡を描いて敵を切り裂く。
「シンハロ!この音声反応システムってすっごい面白い!!」
『ダろ?!』
シンハロがディスティニー・ブロークンに取り付けた機能の一つがこれだ。
その多様性を生かすために各武装のモードを切り替えるのに音声の認識を利用したのだ。
これなら戦闘の最中に隙ができることもなくなる。なにより・・・。
『なんか少年マンガ気分。』
・・・・・・・これが一番の理由だったりする。
「ステラ!!右っ!!」
「うん!ゲン!」
漆黒の獣に乗った赤い剣士が海岸沿いを駆ける。
次々にダガー達を、上陸したフォビドゥン達を切り裂いていく。
その動きが目に止まったのか、デストロイがそちらへ近づいてくる。
しかし、二人はそれを無視するかのように雑魚を切り捨てていく。
デストロイが二人を攻撃しようとしたその瞬間。
「いまだよ!!レイ!!」
ステラが叫ぶと何もいなかった大地からレジェンドが現われる。
背中に付いたドラグーンを一斉発射しつつデストロイに近づく。
不意打ちにデストロイはレジェンドに攻撃しようその腕を発射する。が。
「させるかっ!!」
「行け!!」
遠距離から飛来する赤い救世主と緑の混沌の片割れ。
カオスは兵装ポッドでその動きを封じ、機動力で一気にその腕を切り落とすセイバー。
ドラグーンシステムの制御に集中していたパイロットに隙ができる。
「隙だらけだよっ!!」
海中から水柱が上がり、その中からビームランスを構えたアビスが登場する。
そして、そのままレジェンドを踏み台にし、デストロイのコクピットを切り裂いた。
「ごめんね、ボク達だけ助かっちゃってさ。」
アウルは誰にも聞かれないようにその言葉を呟いた。
『マユ!レイ達が巨大MSヲ一機撃破!!』
「・・・うっ!!こっちの方に雑魚が多いと思ったら!!いいとこどり?!」
『でも、結構連携でどうにかしてるミタイだったカラ、ディスティニー一機じゃ無理だって。』
「えぇー・・。」
二人は次々に現われるウィンダムを切り裂きながら言う。
正直、この真っ赤な羽は相当目立つ。
いかにも「お、こいつがボスだ!!経験値!!金!!」といった漢字で雑魚が群がってくる、
『お困りだなぁ、マユ!手伝ってやるよ!!』
戦場でも不安を感じさせない明るい声が聞こえる。
すると目の前の敵が真っ二つになり、次々に他の敵も真っ二つになる。
そこには従者を従えた緋色の騎士がいた。
「ハイネ兄ちゃん!アキラお兄ちゃん!ゼロお兄ちゃん!」
『雑魚は俺達量産期にまかせて、マユはあっちのでっかいのにいきな!!』
ハイネのグフはここまで駆けつけるために、結構な戦闘をくぐってきたらしく角が折れていたり、
ところ所がかけていたりする。だが、それでも戦闘に支障のあるような負傷はない。
『ここは俺達で大丈夫です。今回は俺も対雑魚用の一斉掃射武装ですから。』
なにやらアキラのザクは丸腰だった。なにやら片手で剣を持っているようなのだが肉眼では見えない。
『アキラ、約束サレた勝利の剣はすでにインパルスに・・・。』
『これはエクスカリバーではありません。エクスカリ「ヴァー」です。』
『うわっ!!セコッ!!』
アキラとシンハロはいつもの調子で会話をする。
『マユ、つらい役目を押し付けてゴメン。』
ゼロが本当に申し訳無さそうにいう。
しかし、マユはしっかりとした声で答えた。
「別に平気だよ!私だってザフトの赤服!」
えっへんと胸をはるマユ。
すると、向こうからさらにウィンダムがやってきた。
『ほら!!ぼさぼさするとまた捕まるぞ!!行け!!』
「うん!」
マユはハイネの言葉に答えると、そのままデストロイに向かって駆けて行った。
「ていやーーーっ!!」
「落ちなさい!!」
ルナマリアとグレイシアは他の部隊と協力しながらデストロイと対峙していた。
時間が過ぎると共に減っていく味方。
『グレイシアお姉ちゃん!ルナお姉ちゃん!!』
マユがディスティニーと駆けつける。
「マユ!」
「マユちゃん!」
二人はマユを歓喜の笑顔で迎え入れるが、途中でマユの動きが止まる。
『・・・・あれ。何?』
マユの声に二人がマユが見ている方向を見ると、そこでは山が割れていた。
「・・・・・・・・・・・・・?」
キースはふと攻撃の手を止めて前を見る。
前にはただ、山があるだけだ。なのに?何故か違和感がある。
『おいっ!!ぼけっとしてんじゃねぇ!!』
キースのザクに迫っていたダガーをジョーが打ち落とす。
『キース!!しっかり!!』
カルマの盾の中からミサイルが飛び出し、さらに敵機の数を減らしていく。
「・・・何なんだろう・・・。」
そう思っていると、突然、山が割れた。
その瞬間、キースはそこへ向かっていた。
アレは危ない。あれでたくさん死ぬ。あれは殺すものだ。
キースの直感が彼に語りかける。
本能は逃げろと言っている。しかし、彼の心はその制約を受け付けなかった。
『キース!!何処に行くんだよ!!』
『単独行動はだめだよ!!死んじゃうよ!!』
二人の声が聞こえるが、それも枷にはならない。
キースがそこにたどり着くと、それはジェネシスのような機械だった。
考えてる暇はない。今すぐとめなければ降下部隊は全滅だ。
しかし、間違いなく失敗すれば自分ごと死ぬ。
「・・・・・母さん、父さん、ごめんなさい。」
キースは自分を『人間』にしてくれた養父、養母、にあやまる。
「カルマ、ジョー、皆、ごめんね。」
最後に、大事なもう一つの家族の姿を思い浮かべて、キースはその兵器を攻撃した。
PP書いてる者です。
>>54 ご指摘ありがとうございます。うーん、確かに私の表現力不足でしたね。
スティングはその設定が基本なんですけど、私的には硬派な体育会系ぽい男の子をイメージしています。
野球に例えるなら、キラ=イチローみたいに海外で名をはせたバリバリの日本人メジャーリーガー
で、シンとスティングはプロだけどまだ未知数の部分が多い、巨人のドラ1、ドラ2の新人選手ってところですかね……
スティングのシンに対する感情は同期同僚への対抗意識、キラへの感情は超有名人への憧れみたいなものでしょうか。
それはさておき、スティングにとってキラは超えるべき目標というより、尊敬する人物ぽく描きたいです。
ご指摘は何れ拙作の中でも反映させようと思います。
>>55 一応「アスカ一家殺害犯=キラ」設定はあります。災厄と自由に巻き込まれた形ですが……
マユは自由を見たら思い出すかも程度で、シンは洗脳で記憶消されちゃってるのでシラネーヨ状態ですorz
この辺は熟考の上書いてみたいと思います。
PPのキラは本編以上につかみ所のない感じがするわ。
無印種初期のラクスに近いのかな・・・?
これがキャラ的・ストーリー的に良い方向に行くことを切に願います。
やべー、キースやべー
同人アニメ45話のルナを見てる心境になってきた
そろそろこのスレも飽きてきたな・・・
単発設定小話 「マユとアスラン、ステラと携帯電話」
〜マユのほほをひっぱたくアスラン〜
アスラン「マユっ!自分だけで勝手な判断を下すな! 力を持つ者なら、その力自覚しろ!」
マユ「っ痛・・・アスランさん・・・・・・」
ルナマリア「アスラン!はたかなくてもいいでしょう!」
アスラン「黙れ!マユ、お前はまだ幼いかもしれない。・・・でもお前も先の戦争の被害者でもあるだろう!
そしていまやザフトのパイロットだ。その力、無自覚ではあるまい!?」
マユ「でもっ!あそこの人たちは強制的に働かされて、罪もないのに捕らえられて、無抵抗なまま殺される
ことだってあったってゆーじゃないですか!私のしたこと、間違ってますか!?私は戦っている人としか
交戦してません!・・・やらなきゃ・・・・・・やられちゃうじゃないですか!」
アスラン「俺もかつてはそんなふうにしか戦えなかった・・・でもな、ある人にこう言われたよ。殺されたから
殺して、殺したから殺されて、それで最後は本当に平和になるのかってな・・・」
マユ「それがなんだっていうんです!?・・・私は、私はそんなに単純じゃありません!!」
〜振り返り駆け出すマユ〜
アスラン「おいっ!マユ!まだ話は・・・」
ルナマリア「アスラン!その辺でいいでしょう・・・」
アスラン「ルナマリア・・・しかしっ!あんな戦い方をしていては・・・・・・」
ルナマリア「あんな戦い方がどうだっていうんです!?あの子だって一生懸命なんですよ!そこをわかってあげてください」
アスラン「っく・・・・・・、あんな戦い方を続けていたら・・・自分を傷つけるだけだぞ・・・・・・」
〜歩きだすアスラン、その場に残されるルナマリアとレイ〜
ルナマリア「ふぅー。アスランがあんなに怒るなんて・・・な〜んかイメージじゃないわねぇ。ね、レイ?」
レイ「・・・俺に振られても知らん・・・・・・」
ルナマリア「・・・・・・いけず・・・」
〜反省会中のスティング、アウル、ステラ〜
アウル「・・・・・・ごめん・・・」
ステイング「・・・ふぅー。アウル・・・」
アウル「・・・はい」
スティング「お前、戦う前になんつった?」
アウル「・・・・・・俺がしゅやく・・・っと」
スティング「ああ、そういった。・・・ミネルバのMS、一機も沈んでないな・・・・・・」
アウル「・・・うん」
ステラ「・・・ステラ、アウルにサポートしろっていわれた・・・・・・」
アウル「・・・・・・すいませんでした」
スティング「まぁいい、もともと俺たちは3人1セットなんだ。それを忘れるなよ!?」
アウル「・・・次は負けないさ・・・・・・」
スティング「で、ステラお前さっきからなにをいじってんだ?」
ステラ「・・・うん、これ。。シンからもらったの・・・・・・」
〜ピンクの携帯電話を見せるステラ〜
アウル「それってシンが分解して壊しちゃったやつじゃん」
ステラ「うん・・・・・・ほしいっていったら、シンくれたの・・・・・・」
スティング「へぇ。けちなやろうだとおもってたんだがな・・・」
完
>>63 ある程度進んだとこでまとめが入るとわかりやすいとは思うが毎回なんてしなくていいと思うぞ
1つ前の話も思い出せない奴なんて置いていけ
総集編をやりすぎると某アニメのように(ry
さて、今日更新の筈だが・・・・wktk
山が爆発した。そんな表現が正しいのだろう。
山間から現われた兵器は、たった一機のMSによって防がれた。
ただ、そのMSがどうなったかは解からない。
「キースッ!!」
カルマが被弾したザクを無理矢理動かし、キースがいると思われる方向に向かおうとする。
『何やってんだよタコ!!死にたいのかよ!』
ジョーが必死にカルマを抑えるも、カルマのザクは向かおうとする。
「いやだ離して!!キースがっ!!キースが死んじゃう!!」
すると、緋色の剣士が突然現われ、カルマのザクを掴んで飛び去った。
『なっ!!ハイネ!!』
「心配すんな!こいつは俺がどうにかするからお前はアキラ達の所へ行ってくれ!!」
ハイネはジョーにそう告げるとそのまま前線を離脱した。
------------そのころのアキラ達。
「射貫け!ゲイボルク!!」
アキラの掛け声と共に細身の銃身から何弾かの砲撃が行われる。
はるか高く打ち上げられたそれを敵は落とそうとバズーカで打ち抜くが、その途端それは鋭い破片となって一気に敵MSを打ち抜く。
「ゲイボルクはアルスターを守った槍だ、一度投げるだけで幾人もの心臓を貫く。」
致命傷とは行かないものの、ウィンダムの一群は大半が動きが鈍くなる。
すかさずアキラの目つきが変わる。獣のような目つきから、誇り高き騎士の目へ。
「これで終わりです・・・・・。しのはらさんの所にゲスト出演していた頃から楽しみにしていたフェイトのアニメ!!
見れなかった報い、わが刃の露となり償うが良い。」
訂正、誇り高き騎士ではなく、晩御飯のおかずを虎にとられたはらぺこライオンの間違いだった。
『絶対なる勝利をもたらす物よ・・・。』
呟くと、手に持った装備のミラージュコロイドが解ける。
そこから現われたのは光を集める剣。それは一見実剣のようだが、間違えてはいけない。
たしかに、あれは光ではない。しかし、光を刃とすることは出来る。
『エクス・・・・・・カリヴァーーー!!』
アキラの手に持った剣が光を形作り、それはビーム砲撃と見間違うほどの超大型のサーベルとなる。
そして、そのまま敵軍を切り裂いた。
「充電しなきゃ。」
寂しくゼロは呟いた。
アキラが暴走中なのだ。しかも大技ばかり使って、敵をギタギタと倒しまくっている。
そして自分に出来る事といえば、過度なエネルギー消費で死にかけのアキラザクに充電するくらいだ。
グゥルにエネルギー貯蓄量をかなり強化したが、数回の艦との行き来でなんとかその状態を保っている。
「もうちょっと、節約して欲しい。」
「ペガサーーースッ!!」とか叫びながら白い光に包まれてグゥルごと突撃するアキラ。
スクリーニングニンバスが搭載され、かなりスピードを上げられたグゥルはギッタギッタとウィンダムをやっつける。
しかし、またエネルギー不足。きっと身動き一つ取れなくなるだろうと思い、アキラの元へ向かう途中ゼロは気づいた。
「アキラ・・・!」
ゼロは自分を責めた。何故もっと早く気づかなかったのか?
巨大なMSが、二体こちらに向かっていた。
『・・・・・・・・・・・・・・。』
先ほどからカルマは静かだ。どうやら気絶したらしい。
好都合だ。このまま目的の艦まで運んでしまおう。
・・・・正直、ムセイオンともミネルバとも離れすぎた。
なおかつ、近い艦は全てとてもじゃないが戻れる状態じゃない。
だとしたら・・・、おそらく一番安全なのはラクス・クラインが乗っているジュール隊の船だ。
「くそっ!!間に合え!!」
戦場に残してきた部下や仲間たちを思いつつ、ハイネは目的の艦へと向かった
「何をしている!!この船も前線にでるぞ!!」
ジュール隊隊長、イザーク・ジュールの声が響く。
彼はもう見ていられなくなったのだ。同胞がやられていると言うのにこのまま黙っている訳には行かない。
「隊長!!ラクス様は・・・・。」
「別の艦に受け入れを用意してもらっている!お連れしろ!!」
部下の声に答え、パイロットスーツのイザークはそのまま格納庫へと向かった。
「ラクス様、こちらです。」
「あ・・、はい。」
ミーアは静かに笑った。今の自分はラクスだ。不安な顔をしてはいけない。
そのまま士官につれられ、格納庫へと向かう。
この戦闘にはミネルバも参加しているという、そして・・・・・。
(みんな・・・・・・・・。)
ミーアは先ほどまで、こっそりパソコンの中にある日記を見ていた。
それは、自分があそこにいたときの写真だった。
華やかではなかった、ガラスの破片だらけの道をはだしで歩いていた。
でも、それでも。手をつないで、一緒に歩いてくれる人がいた。笑ってくれる人がいた。
おかえり、って言ってくれる人がいた。『ミーア』の歌を聴いてくれる人がいた。
(このままで・・、いいのかな。)
大事な物を捨てて、大事な人を裏切ってまで選んだ道。
ビロードのじゅうたんの上を、薔薇に囲まれて歩く事はできたけれど、その手は空っぽだった。
身近に笑ってくれる人はいなかった。豪奢な部屋で一人だった。『ミーア』の歌はじゃなくて『ラクス』の歌になった。
そんな事を考えていると、突然格納庫がさらに騒がしくなった。
「おい!!ハイネ・ヴェステンフルス!!何を考えている!!」
ジュール隊の隊長の怒鳴る声が聞こえる。
『ちょっくら母艦に帰れる状況じゃなくなったんでな!!そいつよろしく!!』
そう言うなりボロボロのオレンジ色のグフイグナイテッドは飛び去った。
思わずミーアがキャットウォークからそこを覗くと、見慣れたオレンジショルダーを持ったボロボロのザクが。
そのコクピットから救出された少年はも、ボロボロだった。
ところ所にMSのコクピットの破片と思われるものが刺さっている。命に別状が無さそうなのが幸いだった。
救出され、担架で運び出されそうになると、その少年は突然目を覚まし、暴れ始めた。
「やめて!!離して!!戻らなきゃっ!戻らなきゃキースが死んじゃう!!死んじゃうんだよぉ!!」
涙で顔を歪めながら、ボロボロの身体を引きずってザクに乗り込もうとする少年。
暴れる患者を治療するための麻酔を打ち込み。ようやく少年は大人しくなるが最後までこう呟いていた。
「戻らなきゃ。戻らなきゃ。守らなきゃ。大事な人を。」
「・・・・・・・・・・っ!!」
ミーアはその瞬間、決意した。大丈夫、棒一本、MS一体、グゥル一体あれば事は足りる。
「ラクス様?どうなされ・・・・・・ぎゃっ!!」
「ぐわっ!!」
自分の護衛の士官を転がっていた鉄パイプでなぎ倒す。
驚く整備員もどかないならなぎ倒す、ぶっ飛ばす、蹴り上げる。
そのままキャットウォークを走りつつ、自分向けのMSを探す。
・・・・・・・・・・・・・・・・あった、青いMS。
あれの装備はおそらく格闘戦用のものだ。それもグゥルがきちんとついている。
どうやら早くしないと砲撃専用に換装されてしまいそうだ。自分の射撃の成績は最低ランク。
仕方がない、強行手段だ。
「おい!!ラクス様が何故ここにいる!!」
「はぁ、俺しらねーよ!!」
ジュール隊の隊長がこの青い機体のパイロットらしき色黒の緑服の男に話しかける。
ミーアはそのまま走り、気絶する程度に殴る。
「ディアッカ!!」
「ごめんなさい!!この機体借りますね!!それとカルマ!!大丈夫!私が助けてあげるから!!」
MSに乗り込みながらミーアは緑服の青年に謝罪し、大事な人に声をかける。
「みーあ・・・?」
カルマはぼんやりとした意識の中で、目立ったところはないけれど、ひまわりのように笑う黒髪の少女の姿を見た。
「おかえり、みーあ。」
その笑顔につられるように、カルマも今出来る精一杯の笑顔で笑った。
「誰も・・・・、誰も死なせないんだから!!」
そう呟きながら、ミーアはMSをチェックする。
武器のビームランスは自分にうってつけ、それもこの機体にはちゃんとグゥルが付いている。
「ハッチ・・は、破ればいいわよね。よしっ!!ミーア・キャンベル!!出ます!!」
誰も聞いているわけではないのに、ついつい癖で名前を叫んでしまうミーア。
「はははははは、議長に殺されちゃうかなぁ・・・。でも、いいか。」
まぁ、あの過保護な『兄』たちにかかれば自分を殺した議長も即座に殺されるだろう。
何せ自分達は臭いものにはふたをしろ、ようするに汚いことを押し付けろ。
普通のザフト軍人ならやることのない生身の戦闘が主な任務だったからだ。つまり、生身の殺し合い。
「キース、ジョー、アキラ、ゼロ、グレイシア、ハイネ、それに・・・アスランにマユ!!待っててね!!」
ミーアは薔薇を燃やし、ビロードのじゅうたんを取り払った。
そしてまっすぐガラスの破片だらけの道を再び走り出した。
今、心の底から思った。
ミーア死なないでくれええええええ・゚(ノД`)゚・
ミーアかっこええええええええええええ!!!!!!
ほのぼの作者様、超GJ!!!!
このスレ飽きた(´・ω・`)
ほのぼのGJ&乙!!
鳥肌立ったわw
>ほのぼの作者様
GJです!
ビームランスでの立ち回りに期待です!
それにしてもハイネ隊がボロボロだし、次回が楽しみだけどちょっと怖いなあ・・・
やるな、ほのぼのデスマユ作者さん!
つーかここでミーアの燃えシーンが来るとは思わなかったよ。
二次創作、特にアニメの場合はある意味で話の予定進行表が見えてしまっているのが難点だけど、
こんな風に良い意味で予定調和に従ったこっちの予想を突き崩してくれる時が
二次創作を読んでいて一番楽しいときでもあるよなあ。
ほのぼのデスマユに限らずこのスレには良いサプライズが沢山あって嬉しい。
他職人の皆様、まとめ人様、いつもお疲れさまです。
新年1回目の投下をさせていただきます。
前ちょっと顔出した時は、今までのまとめを投下するようなことを言いましたが……
まとめを書いているうちに、自分でも「その先」が「読みたく」なってしまいまして。
結果、こっちが先に出来上がってしまった次第。
後日この1話分も含め、改めて13話からの「今までのまとめ」を投下するつもりです。
――ベルリンでの死闘の末。
ステラの乗ったデストロイは、シンの手によって倒されました。
敵味方双方に大きな被害を出した闘いは、しかし、連合軍の侵攻を前にミネルバが逃走し――
――森に囲まれた高原の湖に、雪が降る。
周囲には人の気配どころか、生き物の気配すらなく。
湖面は静かに澄み渡り、舞い落ちた雪が音も無く溶けてゆく。
そんな、世界から見放されたような湖に、金属的な足音が響き渡る。
湖の中をゆっくりと進む1機のMS。フリーダム。
それは腰まで水に浸かったところで歩みを止め、コクピットハッチを静かに開ける。
座席が上にスライドし、中から出てきたのは――1人の少女。パイロットスーツ姿の、マユ・アスカ・セイラン。
その腕には、彼女よりも大柄な、金髪の少女を抱えていて。
見かけよりも力強い腕。普段は思い出しもしない、コーディネーターの筋力。
けれど流石に、脱力しきったステラの身体は、少し重い。
「――本当は、アウルと同じ海まで、連れて行ってあげたかったんだけどね」
マユはステラの遺体を抱えたまま、差し出されたフリーダムの腕に飛び降りて。
しっかりした足取りで腕を伝い、掌の上まで歩み出る。
水面の高さに固定されたその手の先で、彼女はゆっくりと、ステラの身体を湖面に浮かべる。
「――ここで、我慢して。アウルや、オーブ軍のみんなと同じように――自然に、還ろう」
透明度の高い高原の湖。ステラは満ち足りたかのような笑顔を浮かべたまま、深い湖底へと沈んでゆく。
それを見守るマユの顔には――表情が、ない。
怒りも。哀しみも。喜びも。笑みも。
全ての感情が欠落したかのような、不思議なまでに落ち着いた顔つきで――
「――ラボの標本の1つに、されるくらいなら――ここで、静かに――」
きびすを返して、コクピットに戻るマユ。
フリーダムの腕にはうっすらと雪が積もっていて、彼女が歩くまま、小さな足跡がつく。
胸の上、外に露出したままの座席の上で、どこかと通信を繋ぐ。
「――うん――分かった。こっちは大丈夫。
……意識不明? でもスティングは生きてるんだね? なら良かった。
ネオは? ……指揮官って大変だね。後片付け、頑張って。大丈夫、1人でもやれるから。
ターゲットの座標を送って。あたし、直接行くから。向こうの隊長さんにも、そう言っておいて」
無人の湖に、少女の声が響き渡る。通信機を置き、マユは一回だけ湖の方を見る。
ステラの身体は、もう見えない。
「――ミネルバ、見つかったって。
ステラ、アウル、カガリ、馬場一尉、トダカ一佐、タケミカズチのみんな……
あたし、行ってくるよ。今度こそ、全部、終らせてくる――」
マユの身体は、座席と一緒に降りてゆく。フリーダムは再び翼を広げて、湖から飛び起つ――
マユ ――隻腕の少女――
第二十壱話 『 終着点 』
――雪の積もった渓谷を、巨大な影が飛んでゆく。
引き絞った弓矢のような美しいフォルムの万能戦艦。ミネルバだ。
その巨躯に向け、様々な角度から放たれる幾筋もの光。
ミネルバは大きくその身体を傾けて避け、空振りに終った攻撃は雪の積もった山肌に突き刺さる。
避け切れなかった数発が命中し、ミネルバの巨体を大きく揺らす。
「後方にスカイグラスパー5! ランチャー装備3、ソード装備2!
さらに右前方に、ダガーL6機! こちらは、連装無反動砲のようです!」
「台地の影に回りこんで! 砲戦ダガーは艦砲で牽制! 振り切るわよ!」
「目標、ダガーL隊! イゾルデ、てーッ!」
ミネルバのブリッジに、激しい声が飛び交う。誰もが必死だ。
外では垂れ込めた空の下、インパルスが単機奮戦している。
「……ふうん、戦果が欲しいってか。だがな、俺は翼の星の1つになってやる気は、さらさらないんでなッ!」
ランチャー装備の制式スカイグラスパーが、その大型ビーム砲・アグニをミネルバに向けるが……
閃光が放たれるその前に、抜刀したフォースインパルスが襲い掛かる。
スカイグラスパーの隊列にインパルスが飛び込んで、通り過ぎざまに次々に切り裂き、あるいは蹴り飛ばす。
しかし、インパルスは1機、スカイグラスパーは5機。数の差はいかんともしがたい。
ソード装備のスカイグラスパー2機が、猛る狩人の手を逃れ、ミネルバに迫る。
対艦刀を機体の下にぶら下げるように伸ばして、ミネルバを切り裂こうとするが……
ミネルバの側、思いもかけぬ角度から放たれた一条のビームに、撃ち抜かれる。砲塔も何もないはずの場所。
艦の左舷、開けっぱなしのMSデッキから顔を出していたのは、白いザクファントム。
ガナーウィザードを背負い、立て膝の姿勢で……いや、違う。
右足を半ばから失った、傷ついたままの姿で、それでもなおオルトロスを構えていた。
「……流石、ルナマリアの遺品だ。良く調整されている。照準と着弾のブレがほとんどない」
ザクファントムのコクピットで、レイが感心したように呟く。
MSでの狙撃を得意としていたルナマリア。彼女が愛用し、ほとんど彼女専用となっていた砲戦用装備。
レイのザクが構えていたのは、まさに「その」ガナーウィザードだった。
彼は亡き戦友を想いつつ、さらにトリガーを引く。スカイグラスパーがまた一機、打ち落とされる。
傷つき、固定砲台のような役目以外は何もできない、ザクファントム1機。
母艦に置いていかれぬためにはフォース以外の装備を使うわけにはいかない、インパルス1機。
――それが今、連合勢力圏にたった一隻取り残されたミネルバの、全戦力だった。
ベルリンの戦闘と前後して――
地球上の両軍の勢力図は、大きく塗り変えられていた。
スエズ基地陥落と、ロゴス糾弾の勢いに任せ、あらゆる戦線で大きく拡大したザフトの勢力圏。
しかし――いささか、彼らは調子に乗りすぎていたのだ。
勢いだけでは、いずれ息切れする。実力を超えた頑張りは、長くは続かない。
ロゴスへの非難も、連合側からの反論が重ねられると、やがてその効果も弱まってゆき。
連合の大反撃が始まったのは、そういう下地があってのことだった。
デストロイの投入は、そのほんの一部に過ぎない。
ヨーロッパに南北に広がったザフト勢力圏、それは東西からの大軍に磨り潰され、瞬く間に削り取られて。
ほぼ全てが、再び連合軍の支配下に置かれることになってしまった。
取り残されたザフト軍は、みな撃破され、あるいは捕虜となり。
失った戦力を考えれば、ザフト側はスエズ基地奪取で得た優位をすっかり相殺されてしまった感さえある。
デストロイ打倒のために急行したミネルバも、同じような窮地にあった。
ベルリンに来る時に通った道は、既に連合軍がひしめく敵地だ。そのまま引き返すこともできない。
さりとて進むにしても、四面楚歌のこの状況。一体どこに向かえば良いのか――
散発的に、しかしアトランダムに攻撃を仕掛けてくる連合軍。
ミネルバはこれを撃墜し、あるいはそのスピードを活かして振り切ってゆく。
この無敵戦艦を落とせる火力はそうそうないし、この高速戦艦に追いつける兵器もそうありはしない。
だが、先の見えない逃走戦、休む間もない連戦は、戦力を、そしてクルーたちの精神を確実に削り取っていて――
「――艦長! これは……友軍からの緊急入電です!」
「何!?」
「ミネルバは自力で海上に脱出せよと! 北海沿岸まで、ボズゴロフ級1隻が迎えに来てくれるそうです!
合流ポイント、今モニターの方に出します!」
「――! こ、こんなところまで、わざわざ!?」
「ああッ! み、見捨てられたわけじゃ、なかったんですねぇッ!!」
その一報は、まさにブリッジの空気が絶望一色に染まろうとしている時に飛び込んできた「蜘蛛の糸」だった。
メイリンの言葉と共に示されたデータに、タリアは驚き、アーサーは涙と鼻水を撒き散らして歓喜する。
こんな距離までデータを送ってきたということは、向こうは通信・偵察用のコマンドザクでも使っているのだろう。
示された潜水母艦の位置は、ミネルバの現在地から北北西の沿岸付近。ミネルバの足なら、決して遠くない。
連合は陸上部隊を主力としてヨーロッパの制圧を行っていたが、海軍による制海権の掌握は少しだけ遅れている。
その隙間を突いての潜水艦派遣、なのだろうが……救出に来たボズゴロフ級にとっても、これは危険な任務だ。
ザフト軍上層部がどれだけミネルバ1隻を重視しているのか、これだけでも分かろうというものだ。
「メイリン、シンを一旦戻して。空の敵を片付けたこの間に、僅かでも補給と休息をとらせてあげて!
――進路変更! 合流ポイントへ、向かうわよ!」
――ミネルバのMSデッキに、インパルスがMS形態のまま着艦する。
座り込んだ格好のまま立てない白いザクと、整備兵たちが彼を迎える。
「お疲れ様。急いで補給するよ。何か調子の悪いとこ、ある?」
「いや、大丈夫。俺よりも、レイのザクを急いで直してやってくれ。
あっちも交換したらどうだ? インパルスのようには行かないだろうけどさ」
シンは昇降用ワイヤーで降りながら、ヨウランたちと言葉を交わす。
ヘルメットを取って溜息をついた彼に、ストロー付きの容器に入ったドリンクが差し出される。
同じように休息に入っていたレイだった。彼のもう片方の手には、自分用の飲み物。
「――ご苦労だったな、シン。」
「レイこそ、あんな状態で良く当てたよな。助かった。……それより、アスランの容態は?」
「緊急手術は成功したそうだ。とりあえず危機は脱したが、未だ意識は戻らん」
「そうか……」
互いに労をねぎらい、またここには居ないもう1人の心配をしつつ、2人は格納庫の片隅に腰を下ろす。
慌しく整備が行われる自分たちの愛機を見上げながら、2人はしばしボーッとする。
「……改めて思ったんだが……『戦う』って、凄いことなんだな」
「? どういう意味だ?」
しみじみと呟くシンに、レイは眉を寄せる。まるで彼の言葉の意図が掴めない。
シンもまた、自分が掴んだ感触をどう伝えるべきか迷っているようで。
「いや、最近さ……戦っている敵の、感情とか事情とかが――漠然とだけど、分かるようになってきた。
MSで向かい合ったその瞬間に、動きの端々や、まとっている雰囲気でな。
『コイツ怯えているな』とか、『復讐に燃えてるな』とか。『功名心に逸ってるな』とか」
「…………」
「俺、今さらだけどさ。何で自分が戦いに惹かれていたのか、分かったような気がする。
戦いは――殺し合いは、最高のコミュニケーションだ。一瞬の攻防が、一万の言葉にも勝る。
お互い必死だからな。口では嘘が言えても、命までは嘘はつけない。余すところなく、理解できる」
「…………」
「ステラは、怯えていた。デストロイという巨大な鎧を着込んでなお、世界そのものが怖くて泣いていた。
さっき斬ったスカイグラスパーは、撃墜マークを増やしたかったらしい。ライバルでも居たのかな。
2番目に斬った奴は、そんな隊長にうんざりしていた。3番目の蹴り潰した奴は、全部仕事だと割り切ってた」
「…………」
「人それぞれに人生があって、人それぞれに戦う理由があるんだ。人それぞれに、正義があるんだな――」
レイは何も言わない。静かに、しかし熱を込めて語るシンを、冷たい目で観察し続けている。
レイは、問わない。問うてしかるべき疑問を、彼に問うことをしない。
「何故お前は、そこまで理解していながらなお、そんな平然と殺すことができるのか」などとは……。
『……ミネルバは先ほど、突如進路を変更した。今、最新の情報を送る』
「了解です。――これ、ずっと当ても無く逃げていたのが、急に目標を見つけたような動きですね」
『おそらくその通りだろう。ひょっとしたら、救援の部隊でも来るのかもしれんな。
だがこちらもようやく準備が整った。決して逃がしはしないぞ』
「ミネルバの戦力は?」
『自由に動ける艦載機は、どうやらインパルス1機のみだ。
あとザクが1機いるが、こちらは脚部を損傷しているそうだ。艦の上で砲を撃つのが精一杯らしい』
「それは、好都合ですね。弱っている今こそ、容赦なく叩かせてもらいましょう――」
――灰色の空の下。再び雪が降り始め、ちょっとした吹雪の様相を呈してきた。
スカイグラスパー隊を撃墜し、ダガーLたちを振り切ってからは、敵の姿もない。
おそらくその姿は捉えられているのだろうが、タリアたちは構わず艦を進める。
一応、支配権を取り戻したとはいえ、連合軍にもさほどの余裕があるわけではない。
彼らもここまでの戦闘で疲れているし、制圧したばかりの街を維持するにも、戦闘力は必要だ。
そして、その上で使える余剰戦力の中で、ミネルバの進路と速度に合わせて出せる部隊となれば、これは限られる。
限られるが――しかし、限られるからこそ。本格的に仕掛けて来られたら厳しい戦いになると、直感できた。
この状況下でシンたちに休息を取らせたのも、タリアのその直感に拠るもので。
途絶えた攻撃に、ブリッジでも僅かに弛緩した空気が流れ、激戦続きだった彼らは少しだけ息をつく。
と――そんなブリッジクルーの1人が、目の前のモニターに灯る光点に気付き、はッとする。
一瞬で緊張感を取り戻し、声を張り上げる。
「前方進路上、MS1! 待ち伏せです! ――同時に、後方からも大型MA3機、接近中!」
「ええッ!?」
「熱紋確認……後方のモビルアーマー、ライブラリーに該当なし! 新型です!
前方のモビルスーツは……こ、これはッ!」
ミネルバの光学センサーが、最大望遠で前後にいる敵を映しだす。
後方から迫るのは、雪の大地を滑るように走る、3機の見慣れぬMA。
流れるようなラインのボディから突き出した、2本の大きな砲身。一見しただけで、高い攻撃力と速度が想像できる。
そして――ミネルバの進路上上空、立ち塞がるようにホバリングしていたのは。
10枚の蒼い翼を大きく広げた、告死天使。
舞い散る雪を背景に、神々しくも寒々しい、その姿は――
「――フリーダム、です!」
フリーダムのツインアイが。マユの醒め切った冷たい目が。
視線も鋭く、ミネルバを睨みつける――
『か、カタパルト推力……正常……。い、インパルス、発……はっし……!』
「……どうした、メイリン?」
通信画面の向こう。発進指示の途中で言葉に詰まったメイリンに、シンは不審を感じて問いかける。
見れば、メイリンは――深く俯き、その身を小さく震わせて。
彼女は――泣いていた。
『て、敵は……フリーダム、だよ。
お姉ちゃんも、ハイネ隊も、ハイネも、アスランさんも……みんな、やられちゃった、フリーダムだよ?
なのに、シンが1人でなんて、そんな……!』
「メイリン」
悪い予感に、怯えるメイリン。そんな彼女の名を、シンは優しく呼びかける。
狂犬、狂戦士とまで呼ばれた彼の、別人のように優しい微笑み。メイリンは泣くことも忘れ、見とれてしまう。
「大丈夫だ。俺がみんなを守ってやる。ミネルバを、メイリンを、守ってやる。
メイリンは、俺にとっても家族のような、妹のようなものだからな。今度こそ、守ってやる」
『シン……』
「それに、俺1人で戦うわけじゃない。ハイネやアスランと一緒に考えた『策』が、いくつもある。
メイリンも一緒に戦うんだ。ひょっとしたら面倒な指示出すかもしれないが、ちゃんとやってくれ。な?」
『……うん』
「ベルリンじゃ『これで最後』とか言ってたけど……メイリンの仕事、予定よりも伸びちゃったな。
でも、今度こそ本当に、これで最後だ。だから――俺をちゃんとサポートしてくれ。な?」
『うん……』
シンの優しい言葉。義理の兄になっていたかもしれない青年の言葉に、メイリンは無理やり笑みを浮かべる。
どうやら彼には、あのフリーダム相手にもそれなりの勝算があるらしい。
ならば……オペレーターは、そんな彼を笑って送り出し、しっかりフォローするのがその仕事だ。
だけど――と、メイリンは思う。
顔では頑張って笑みを作っても、どこか暗さが拭いきれない。
胸の内に湧き上がる、この嫌な予感は何なのだろう。
今ここで、シンとフリーダムを戦わせてはいけないような気がする。
フリーダムの強さを抜きにしても、この戦い、何か、絶対にやってはいけない理由があるような気がしてならない。
メイリンの中に、確信めいた予感がある。予感と呼ぶには強すぎる何かがある。
予感があるのに――その理由が、見つからない。止める理由も口実も、もはや思いつからない。
それに、今ここでシンが出撃しなければ、ミネルバが沈むだろうことも、間違いないのだ。
彼女は後ろ髪を引かれる思いのまま、己の責務とシンの優しさに背を押され、インパルスの発進を告げる。
『――カタパルト推力正常。進路クリア。インパルス、発進して下さい!』
「シン・アスカ。フォースインパルス、行きますッ!」
――迫るミネルバから、閃光弾がいくつか撃ち出される。
それはマユの目を焼き、フリーダムのセンサーを一瞬マヒさせる。
「ジャミング弾!? くッ!?」
艦から発進してくるその瞬間、あるいは合体の際の隙を狙い撃ちするつもりだったマユは、その機先を制されて。
距離を置きセンサーが回復したその時には、目の前には盾とライフルを構えたフォースインパルスの姿。
彼女は素早く頭を切り替えて、こちらも盾とライフルを構え、迎え撃つ。
互いの放ったビームが、お互いの盾の表面で弾けて――
空中で、目まぐるしい高速戦闘が開始される。
「セイラン少尉は、予定通りインパルスを足止めしてくれてるようだな……
我々も行くぞ! デストロイの仇、この『ユークリッド』で討つッ!」
その様子を後方から見ながら声を上げたのは――先ほどマユと交信していたMA隊の隊長。
ホバーで雪を蹴立てて走りながら、大型MAはビームを放つ。
ミネルバからも反撃が来るが、機体前方に張り出した部分が蓋を開けるように開き、光る板が出現する。
その光の板が攻撃を受け止めて……爆煙の晴れた後には、傷1つない。その速度も、まるで衰えない。
「ユークリッド02はミネルバの右に回りこめ! 03は左からだ!
我らの自慢のこの新型……足の速さでは、ミネルバにも負けん!」
TS−MB1B、ユークリッド。
同時期に製作され実戦投入されたデストロイが、とことんまで攻撃力を突き詰めた機体だとすれば……
このユークリッドは、総合的な能力のバランスを追及した機体だった。
攻撃力。防御力。速度。そして、量産性や操作性、整備性といった面でも。
武装の数と種類こそ少ないが、1つ1つの威力と命中精度は十分以上に高く。
展開方向こそ限られているが、リフレクターを標準装備しており、防御力も高い。
空こそ飛べないが、そのスピードと加速はMAならではの圧倒的なもので。
そして新型機を一度に3機も投入できること自体が、習熟訓練やコストの面でも効率が良いことを示している。
問題点と言えば、母艦や基地での多数運用を困難にする、50mを超えるそのサイズくらいのものだ。
大型化を許すことで多くの相反する命題に折り合いをつけることに成功した、モビルアーマーの佳作機。
それが、このユークリッドだった。
恐るべき猟犬たちに駆り立てられ、流石のミネルバも逃げるしかない。
反撃を加えながら、ただひたすらに合流地点目指して駆ける。
ユークリッドからの砲撃を避けきれず、ミネルバの巨体が大きく揺れる。
――振動と共に、医薬品が棚の上でカタカタと音を立てる。
医務室に響く耳障りな音に――1人の青年が、呻きながら意識を取り戻す。
「――ッ!」
「あ! アスランさん! 先生、アスランさんが!」
状況が理解できないまま、アスランはベッドの上で起き上がろうとして、痛みに呻く。
身体を起こしきるだけの力が出せず、再び柔かなベッドに沈み込んでしまう。
ふわりとはだけたシーツの下には、包帯が巻かれた裸の胸。
「無理しないで下さい! 縫ったばかりの傷が、また開く恐れが……」
「……ダムは」
「え?」
「フリーダムは……どうなった……?」
どこまで回復しているのか、イマイチ判断できぬ虚ろな雰囲気のまま。アスランは医療スタッフに問いかける。
彼女はアスランのシーツを掛け戻しながら、優しい口調で彼を諭す。
「もう心配しなくて、いいですよ。大丈夫ですから。今はそんなこと考えずに、早く傷を治さないと……」
「……フリーダムはどうなった、と聞いているッ!」
「キャッ!」
アスランは、誤魔化そうとしたスタッフの言葉を、強い口調で遮って。
戻したシーツを離そうとしていたスタッフの手首を、捕まえる。厳しい目で、睨みつける。
半死人とは思えぬその握力に、彼女は思わず悲鳴を上げる。アスランの恐ろしい形相の前に、あえなく屈する。
「教えろ! あれから、フリーダムは一体――!」
「――あれから……アスランさんが倒されてから、ハイネさんが挑みましたけど……返り討ちにされました……」
「ハイネも!? ハイネはどうなった!?」
「機体の回収も、できませんでした……。恐らくは……戦死されたかと……。
現在ミネルバはベルリンを放棄し、連合軍に追われて逃走中です。
追っ手には例のフリーダムも居ますが、あの巨大MSも倒したシンさんが頑張ってますから、きっと……」
ガタンッ!
医療スタッフの言葉が終るか終らぬかのうちに、医務室に大きな音が響く。
アスランが荒い息をつきながら、無理やり立とうとしたのだ。
とても起きれるような身体ではないはずなのに、なお起き上がる。
点滴用のスタンドが倒れ、腕から何本もの針がはじけ飛ぶが、アスランは気にも留めない。
「ダメだ! お前たちは、戦ってはいけないんだ!」
「アスランさん! 落ち着いて下さい! あなたはまだ、絶対安静で――」
「うるさいッ! シン、お前だけは、お前だけはダメなんだ――!」
アスランの必死の叫び。数人がかりで押さえ込まれてなお、彼は怪我人とも思えぬ怪力で暴れ続ける。
彼の声は、医務室の外、廊下にまで響いていたが――艦の外、闘い続けるインパルスまでは届くことなく――!
――世界が、回転する。
雪に埋もれた灰色の世界。吹雪の中、2機のMSはアクロバティックな飛行を続ける。
急降下で振り切ろうとしているのは、インパルス。ぴったりと追うのはフリーダム。
インパルスの背後からフリーダムがビームを浴びせ、インパルスは回転しながら回避する。
激しいGに双方のパイロットは揺さぶられ、白一色の世界の中で大地の方向を見失う。
地面スレスレまで勢いを落とさずに降下したインパルスは、急激な方向転換で地面との激突を回避する。
インパルスを追うことだけを考えていたフリーダムは、減速が間に合わずそのまま雪に突っ込む――
――かと思いきや、こちらもギリギリで方向転換に成功する。つま先が雪を掠め、新雪が大きく舞い上げられる。
この一瞬の隙を突いて、振り返ったインパルスがフリーダムを撃つ。攻守が入れ替わる。
「お前はッ……フリーダムッ、お前はどうしてこうも、俺たちの邪魔をォッ!」
「やっぱりインパルスッ、あたしの邪魔をするのはッ!」
互いの声は、聞こえない。互いに通信など入れている余裕はない。
けれども、2人は叫びながら。再び雪降る空に舞い上がる。
嵐のようにビームを撃ち続けるインパルス。だがいずれも避けられあるいは盾で防がれて、有効打はない。
「お前のせいで、みんな死んだ! お前に殺されたッ!」
インパルスの中で、シンが絶叫する。
彼の脳裏に、フリーダムに倒された仲間たちの姿がよぎる。
ハイネ隊の面々。ルナマリア・ホーク。ハイネ・ヴェステンフルス。アスラン・ザラ――
シンの中で、何かが弾けて、光が溢れ出す。
「お前のせいでぇぇぇぇッ!」
絶叫と共に、インパルスはその左手の盾を投げる。投げると同時に、インパルスは右手の銃を構える。
だが、その銃口が向けられていたのはフリーダムではなく――マユの対応が一瞬遅れる。
放たれるビーム。それは、浅い角度で投擲したインパルスの盾に当たって……
いくぶん拡散し威力を減じながらも、盾に弾かれたビーム粒子の奔流が、そのままフリーダムに襲い掛かる。
アンチビームシールドの理論上、入射角によってはありえる現象ではあるのだが……まさか、実戦で応用するとは。
これにはフリーダムも、完全には避け切れない。左肩をビームが掠めて、肩アーマーが抉られる。
左肩の大型スラスターが破損し、一瞬フリーダムの姿勢が崩れる。
PS装甲の防御力を信じ、あえて実体弾の直撃を受けたことはある。ビームを盾で受けたこともある。
模擬戦ならば、ビームサーベルを避けきれない状況に陥ったこともある。
しかし……実にこれは、マユがフリーダム本体に許した、初めてのビームの直撃だった。
シンも流石にそこまでは知らない。知らないが、しかし、奇策の成功に、唇の端に笑みを浮かべる。
マユも、決して只者ではない。やられっぱなしではいない。
この攻撃のためにインパルスが盾を失ったとみるや、即座に反撃に入る。
翼を広げビームサーベルを抜いて、一気に距離を詰める。
「あなたのせいで……みんな死んだ! あなたに殺されたッ!」
フリーダムの中で、マユも絶叫する。
マユの脳裏に、インパルスに倒された仲間たちの姿がよぎる。
アウル・ニーダ。オーブ軍ムラサメ隊の面々。ステラ・ルーシェ。ネオ・ロアノーク――
マユの中でも、何かが弾けて、光が溢れ出す。
「あなたのせいでぇぇぇッ!」
絶叫と共に、フリーダムはビームサーベルを振るう。
ゆらり……と幻惑するかのような切っ先の動き。
シンも、避けようにも避けきれず、盾で受けようにも盾はなく。
たった一回振るわれただけのサーベルに、まとめて一度に頭と左腕を斬り飛ばされてしまう。
肩のスラスター1つとでは、まるで割りに合わない大損害。
それでも、シンはまるで動揺していなかった。
微妙に焦点の合わぬ目のまま、彼は母艦に向けて叫ぶ。
「メイリン! チェストフライヤー! フォースシルエット!」
『は、はいッ!』
そしてシンは――予備のパーツの到着を待つことなく、インパルスの上半身をシルエットごと切り離す。
切り離されると同時に、フォースシルエットのバーニアが、最大出力で噴射される。
思いもかけぬ行動に、マユは即応できない。首と左手のない上半身の特攻を、真正面から受け止めてしまう。
フォースシルエットの推力に、空中で押さえ込まれるような格好。
「だぁぁぁッ!!」
さらにコアスプレンダーが、その機首のバルカンを乱射する。
インパルスの上半身もろともフリーダムを……いや、明らかに、フォースシルエットを狙って。
バルカンの衝撃にフォースシルエットは激しく振動し、そのまま大爆発を起こす。
マユの側からは、何が起こったのかまるで把握できない。至近距離で起きた爆発に、混乱する。モニタが乱れる。
回転しながら墜落していくフリーダムの姿に、シンはニヤリと笑う。
「レイの推測通りだ……! コイツはイケる……!
今日こそ、今度こそ、フリーダムを倒すことができるッ……!」
『あのフリーダムの、最も恐るべき点は何か、分かるかシン?』
『恐るべき……点?』
シンの脳裏に、レイの声が蘇る。
スエズ攻略戦直後の、4人での作戦会議。戦闘データを赤服4人がかりで研究していた時の一幕。
『フルバーストの火力……とか? それとも、核エンジンのパワー?』
『違う。確かにそれらも脅威ではあるが、しかしそれらはただの機体性能でしかない。
真に恐るべきは、あのフリーダムのパイロットの、学習能力だ』
『学習能力?!』
突拍子もない発言に、思わず声を上げるシン。
レイは手元のノートPCを操作して、いくつかの映像を出す。
『まずはユニウスセブン破砕作業の際。宇宙は初めてだったにも関わらず、戦闘の終盤はまるでベテランの動きだ。
続いてビームサーベルの扱い。これもユニウスセブンの頃はまるでダメだが、ここ最近の成長は著しい。
フルバースト射撃も、初期は狙いがブレていたのか直撃がないが、最近はしっかり胴体にも当ててくる』
『言われて見れば……』
『確かに、剣の腕はメキメキ上がってるんだよな。相変わらず足グセも悪いけどよ』
レイの分析に、アスランもハイネも納得の声を上げる。
映像は、さらに次々に切り替わる。
『さらに細かく分析すると、初めて目にしたMSや武装に対しては、最初は動きが鈍いことが分かる。
一番良く分かるのは……ほら、コレだ。ハイネ隊のワイヤー攻撃。一回目はあっさり捕まっている。
アキラの剣は見え見えだったから対応が間に合ったが、それだって紙一重だ。
逆に、例外的なのはハイネのグフだが……これはどこかで予め映像でも見ていたのかな』
『なるほどな』
『だから、逆にあのフリーダムを倒すには――アイツの知らない攻撃を出せば良いことになる。
知らない攻撃には、対応が一瞬遅れる。あるいは一旦受ける。知らないことは、学習できない。
それぞれたった一回きりだが、『あの』フリーダムに、一撃を加える余地はあるんだ』
『持てる『隠し札』、全て注ぎ込むくらいの勢いでやらなきゃダメってことか』
アスランの呟きに、4人はそれぞれに考える。
武装そのものは、既に知られてしまっている。ならばそれをどう使うかだ。いかに知られていない方法で使うかだ。
『じゃあ――オレはスレイヤーウィップのあの技だな。自分にもダメージが来るから、普段は絶対やらないんだが』
『トリッキーな攻撃なら、ジャスティスが一番向いていたんだが。セイバーで、どうやるかだな』
『残念ながら言い出した俺自身、ザクでは手持ちのカードがそう多くはない。アスランのセイバーの方がまだいい』
三人三様、それぞれに構想を練る仲間たちを見ながら。シンはじっくりと深く考え込む。
『意表を突く戦い方か。シルエットの交換や排除は見られているから、それ以上のものを用意しないと――」
遥か高空から、爆風で叩き落されたフリーダム。
雪の斜面に叩きつけられる寸前、かろうじて姿勢を回復し、足から雪の中に着地する。
着地はできたが――勢いは止めきれない。
フリーダムは雪を舞い上げながら斜面を滑落していく。コクピットの中が、激しい振動とGに襲われる。
「………ッ! ………クッ!」
操縦桿を握り締め、マユは必死で機体をコントロールしようとする。
唇の間から、思わず苦痛の呻きが漏れる。
上空では――インパルスがこの隙に、悠々と予備のパーツと空中ドッキングを行っていた。
吹雪の中でフォースシルエットを装着し、ツインアイをギラりと光らせる。
新たな盾も手にしている。ダメージもない。先ほどの攻防で受けた損傷を、完全にリセットしてしまった格好。
インパルスはそのまま、ビームサーベルを抜いて、斜面を滑り落ちていくインパルスに斬りかかる。
フリーダムはギリギリでコントロールを取り戻し、飛び退がってそれをかわす。
激しい剣さばきに、積もった雪が一直線に切り裂かれ、蒸発する。
フリーダムは再び上空に避難するが、マユは動揺を隠せない。
「そんな……ッ! そんなッ!!」
斬り飛ばしたはずの頭と腕。全く残っていない損傷の跡。
いや、パーツを交換しただけ、というのは彼女も分かっている。そのパーツも、決して無限ではないことも。
だがしかし……一体、インパルスの予備パーツは、どれだけあるというのだろうか?
どれだけの頭と腕を斬り飛ばせば、相手を止めることができるのだろうか?
果たしてインパルスを倒しきるまで、フリーダムは持つのだろうか?
「なら……胴体を、コクピットを狙うまでよッ!」
空中に逃がれてもなお、インパルスの猛攻は止まらない。
機械のように正確に、閃光のように素早く、正統派の太刀筋で。誰もが認める、最善最良の剣さばき。
対するフリーダムは……ゆらり、と揺れるような動きで、酔拳のような回避を見せる。
空中でふわり、と、後方宙返りをするかのように回転する。宙返りしながら、ビームサーベルを構える。
幻惑されたシンが気付いた時には、逆にフリーダムがインパルスの胴を薙ぎ払うべく、突進してきていて――!
「…………ッ!?」
しかし、マユの剣はインパルスを捉えることはなかった。
回避不可能、と思われたその攻撃を、インパルスは咄嗟に腰から下を切り離し、回避したのだ。
インパルスの上半身と下半身の間で、虚しく空を切るビームサーベル。
予想外の動きに一瞬呆然とした彼女に、背後から衝撃が加わる。
すぐさま再合体したインパルスの、振り返りざまのライフルの一撃。
フリーダムの左の翼が、根元から吹き飛ばされて――!
――ミネルバが、揺れる。
ユークリッドの砲撃を受け続けて、とうとう艦の装甲が限界を超える。
ミネルバのそのボディ、ビームの直撃を受けた場所から、もうもうたる黒煙が噴き出す。
被弾した部署では悲鳴と断末魔の叫びが上がり、紙一重で難を逃れた者たちは、嘆く間もなく消火と救助を始める。
「エンジン出力、12%低下! 艦内に火災発生!」
「パルシファル、もうそろそろ残弾がありません! 撃ち尽くします!」
「レイは!? レイのザクはどうしたの!?」
「今、修理を終えました! すぐに出ます!」
ミネルバのブリッジに、怒号が飛び交う。
脂汗を滲ませながら、タリアは疲れているはずのクルーたちに檄を飛ばす。
「あとちょっとよ! 海岸線まで辿り着けば、迎えが来ているはず! それまで、頑張って!」
――ブリッジだけでなく、ミネルバの廊下もまた激しく揺れていた。
健康な者でも立っていられないような衝撃。アスランは無様に転倒する。
遠くで、鈍い爆発音が響く。
どこからどう伝わったのか、爆風の余波が廊下の空気を震わせ、倒れたままのアスランの髪を揺らす。
「くッ……! こんなところで、倒れているヒマなど……!」
医療スタッフたちを強引に振り払い、医務室から飛び出したアスランだったが、しかし身体は自由にならず。
呻きながら、苦労してなんとか立ち上がる。胸に巻かれた包帯に、じんわりと血が滲む。
本来なら、動くことなどできない程の重傷だ。それでも彼は、気力だけで強引に身体を動かす。
「あの2人を……! あの2人を、止めなくては……!」
どこか熱に浮かされたような表情で、アスランは呟いて。
なおも揺れ続ける艦内を、壁に手をつきながら、ヨロヨロと進み続ける――
雪に覆われた大地を、3機のユークリッドが駆ける。
ホバーを吹かして湖を越え、スラスターを吹かせて障害物を飛び越えて。
隊長の言葉の通り、足自慢のミネルバにまるで遅れることなく。つかず離れず、追撃を続ける。
ミネルバからの攻撃はリフレクターによってほぼ全て防がれて、一方的にダメージを与えている状況。
「セイラン少尉には悪いが――このまま、ミネルバは我々が沈めさせてもらう!」
彼らは後方と左右からミネルバを包み込むような体制のまま、なおも攻撃を続ける。
と――その時、左からの攻撃を担当していた1機が、ミネルバの上に新たな影を見た。
「……ザクファントム!? 損傷しているという1機か! 何故今頃になって……!」
そのザクはしかし、『両足で』しっかりミネルバの上に立つと、構えたオルトロスを撃ち放ってきた。
彼は咄嗟にリフレクターで防御しようとしたが……レイの狙いは、最初からユークリッド本体ではない。
ユークリッドの眼前、雪に覆われた平原に突き刺さった強烈なビームは、激しく雪煙を上げ、MAの視界を奪う。
「なっ……!?」
思わぬ目潰しに混乱した彼は――しかし、次の瞬間、さらに信じられないものを見る。
目の前のモニターを突き破り、突如出現した板状のビーム。迫る確実な死。
彼は状況を理解する間もなく、ビームの刃に脳天から真っ二つに焼き斬られて。
コクピットにビームトマホークの直撃を受けたユークリッドは、そのまま真っ直ぐ暴走し、崖に激突。爆発した。
「――まずは1機」
ユークリッドの撃墜を確認し、レイは静かに呟く。すぐに愛機を翻し、ミネルバの反対側へとジャンプする。
そのザクファントム。全身、彼の専用色である白と薄紫に塗られていたが……ただ一箇所。
右足がその付け根から丸ごと、真っ赤なまま。
――背負っているガナーウィザード同様、主を失ったルナマリア専用機から、急遽移植したのだ。
塗装を塗り替えているヒマなど、ありはしない。まるでちぐはぐな滑稽な姿だが、それだけ必死だということだ。
「ヴィーノ! 格納庫にあるビームトマホーク、ありったけ掻き集めて、出しておいてくれ!
やはりあのリフレクターには、ビームの刃を防ぐ力はない! コイツが有効だッ!」
レイは残るユークリッドたちに牽制射撃を続けながら、格納庫の整備兵たちに叫ぶ。
先ほど倒したのも、トマホークの投擲によるものだ。しかし、あんな方法が何度も通じるとは思えない。
本当は接近戦を仕掛けられればそれが一番良いのだが、ザクの足ではミネルバに置いていかれてしまう。
2本装備のうち1本投げて、残るは1本。残る敵は2機。かわされる可能性も考えれば、もっと必要だ。
格納庫に予備の戦斧を取りに行くタイミングを計りながら、レイはミネルバの上から砲撃を続けた。
ミネルバとユークリッドの死闘を横目に見ながら。
インパルスとフリーダムもまた、死闘を続けていた。
翼一枚失ってなお、フリーダムの動きは衰えない。機体性能の低下、バランスの崩れを乗り手の腕で補う。
対するインパルスも、先ほど両足を吹き飛ばされ、レッグフライヤーを交換したばかり。
シンも態度にこそ出さないが、実はこれでインパルスの予備パーツは打ち止めである。
マユの不安とは裏腹に、シンの方にも余裕などない。
余裕などないのだが……彼の顔には、うっすらと恍惚とした笑みさえ浮かんでいて。
「ああ……分かるよ、フリーダム。セイランの小娘。お前も、俺と同じだ」
激しいビームの撃ち合い。その合間に、インパルスの左手から放たれる小さなナイフ。
フォールディングレイザーの投擲。その直撃をカメラアイに受けそうになって、フリーダムは仰け反る。
ナイフはなんとか避けたものの、続けて放たれたビームライフルは避けきれない。
右手に持っていたビームライフルが撃ち抜かれ、手の中で爆発する。
「詳しい事情までは分からないが……お前もかつて、全てを失ったんだ。
既に一度、死んだような身なんだ。だから、何も怖くはない。……そうだろう?」
シンは読み解く。フリーダムとの戦い、その究極のコミュニケーションの中から、そこまで見通す。
まるで歪んだ鏡を見ているような気分。
――実のところ、他にも何か、感じるものはあった。
懐かしさのような、愛おしさのような、何か漠然とした親近感のようなもの。
けれども、それは戦いのためにはむしろ邪魔になるような種類のもので――シンはあえて踏みにじる。
「どこか、似ているな……そういえば、声も似ていたっけ。忌々しい。
――けれど、騙されはしない。
俺の妹は――マユは、もう、居ないんだ! お前らオーブに、殺されたんだ!」
戦いながら、2機は海に近づく。ミネルバもろとも、海に近づく。
水平線上には、迎えに来た潜水母艦、ボズゴロフ級の姿が見える。おそらく水陸両用MSも搭載しているだろう。
ならば、海の上に出ることができれば、その時点でユークリッドはもはや敵ではない。
ホバー式だから海上走行もできるが、真下、すなわち水中からの攻撃はリフレクターの死角になるのだ。
追うユークリッドもそれを認識しているのだろう。今まで以上に激しく、攻撃を加えてくる。
インパルスとフリーダムは、いつしかミネルバを追い抜き、先に海の上へと飛び出して。
「……メイリン! ソードシルエット射出! 早く!」
――シンの推測も、シンの叫びも、シンの狙いも知らぬままに。
マユはインパルスを振り切って、ミネルバの前方に回りこむ。
浮上したボズゴロフ級の存在は、フリーダムの側でも認識している。ならば、海上に逃がすわけにはいかない。
ミネルバの足を止めるべく、ミネルバの進路を遮るように、腰のレールガンを撃とうとして――
「――!?」
と、そのフリーダムに向け、大きく弧を描いて飛んでくる、光る飛翔物。ビームブーメランだ。
思いもかけぬ武器による攻撃に、咄嗟にマユは盾で受けることしかできない。
不十分な体勢で受けた盾は大きく切り裂かれ、フリーダムは海の上に弾かれるように姿勢を崩す。
マユは、知らなかったのだ。シルエットの諸武装は、別に背中に背負わなくても使えるということを。
シルエットフライヤーごと呼び寄せれば、フォース装備のままでソードの武器をも使えるのだということを。
マユも姿勢を崩しながらも、インパルスへ反撃を加える。
ミネルバに撃つつもりで伸ばしていたレールガン、それをそのままインパルスに向けて撃つ。
ちょうど対艦刀を受け取っていたインパルスは、その虚を突かれて。
PS装甲が欠如している数少ない弱点、顔のツインアイに直撃を受ける。
砕け散るインパルスの両目。乱れて急に見えなくなる、シンの目前のモニター。
「だからってなぁ……ここまでやっといて、止められるかよッ!」
完全に視界を奪われたにも関わらず、シンの勢いは止まらない。
対艦刀エクスカリバーを右手に構え、開いた左手で、なんと自ら自分のコクピットハッチを引きちぎる。
インパルスのコクピットハッチは、合体機構の関係上、二重構造になっている。
MS外側のハッチ、PS装甲の防壁が剥ぎ取られ、コアスプレンダーの透明なキャノピーが露出する。
己の身体を無防備に晒しつつ、肉眼でインパルスの姿を捉える。
視界の隅に、ビームトマホークが2本刺さったユークリッドが、滑るように海面に暴走していくのが見える。
レイがまた1機倒したのだ。暴走したソレは、海の上で大爆発を起こす。
激しい波飛沫が、爆風が、インパルスとフリーダムの真横から襲い掛かってくる中――
「今日こそ、お前をォォォォォッ!」
「今日こそ、あなたをォォォォォッ!」
インパルスが、巨大な剣を構えて突進する。
フリーダムが、ビームサーベルを構えて迎え撃つ。
インパルスの手にしたエクスカリバー、そのリミッターが外され、先端の実剣部までもがビームに包まれる。
対艦刀自身を痛めるため多用はできない、最強形態。これもまた、インパルスの隠し札の1つ。
「お前を……」
「あなたを……」
「「倒す!!」」
波飛沫の中、2機の影は交差して――
「――――え?」
長い闘いに決着をつけんとした、その瞬間。
世界が急に色を失い、スローモーションのようにゆっくりと動き出す。
インパルスの腹にカウンターで突きを叩き込もうとしていたマユは、目の前の敵の姿に、凍りつく。
剥ぎ取られたハッチの下、コクピットの中。操縦桿を握るインパルスのパイロット。
その顔は、ユニウスセブンの時と違い、ミラーバイザーで隠されてはおらず。
そういえば、あのヘルメットにも見覚えがある。ユニウスセブンで助けてくれた、紅いザクの女性パイロット。
しかし、そんなことよりも何よりも、それを被っている青年の顔は――
有り得ない。
それは、もう居ないはずの顔。永遠に失われたはずの笑顔。けれど、見間違えるはずなどない、あの人の顔。
「うそ――だって、お兄ちゃん、は……!」
――衝撃。
この状況でこの一瞬の動揺は、文字通りの命取りとなった。
マユの呟きは、構えた盾に真っ向から突き刺さったエクスカリバーの衝撃に遮られる。
ちょうど、その位置は――盾のその位置は、つい先ほど、ビームブーメランで深々と抉られた場所。
マユは、悪夢を見るような気分で、スローモーションのまま、盾を貫いて顔を出す切っ先を見つめる。
その刃は盾を貫いてなお勢いは止まらず、そのままマユの方へと――!
「――シン、ダメだ! そのフリーダムには……!!」
ミネルバの格納庫。
這うようにして、ようやく辿り着いたアスランは……
整備兵たちが見上げるモニターの中に、最悪の結末を見た。
フリーダムとインパルス。その双方の剣は、互いの身体を捕らえていた。
フリーダムの突き出したビームサーベルは、インパルスの首の付け根から突き刺さり、背中へと抜け――
インパルスのエクスカリバーは、傷ついた盾を貫通し、フリーダムの腹部をも貫通して――
「あ…… あ……! あああッ……!!」
アスランが唇を震わせ、わななく中――2機は激しい爆発の中に消える。
やがて視界が晴れたその中に、ただ1機立っていたのは――
――1機生き残ったユークリッド、あのMA隊隊長の機体が、諦めて引き返していく。
ミネルバを単機で落とすことは無理だと判断したのだろう。
それを視界の隅で認識しながら……
「フ……フハハ……」
シンは――笑っていた。
激闘を終え、メインバッテリーがついに尽きる。PSダウンの音が、ボロボロになったコクピットに響く。
コアスプレンダーのキャノピーは砕け、その破片がいくつか身体に刺さっていたが、シンは気にも留めない。
己の傷すら意に介さず、彼は壊れたように笑い続ける。
「ハハハッ…… フハハッ……!!」
インパルスもまた――酷い有様だった。
自ら引き剥がしたコクピットハッチや、フリーダムにまた壊された頭は言うまでもなく。
エクスカリバーを握っていた右腕は、負荷に耐え切れずにもぎ取られ。
咄嗟にコクピットを庇った左腕は、これもまた途中から失われている。
原型を留めていること自体、不思議なくらいの損傷。シンが生きているのが奇跡のような状況。
しかし――倒されたフリーダムは、それどころの話ではなく。
その姿は、既に海上にない。爆発し、四散して――海の中に、沈んでいった。
いくつかの破片は海面に浮かんで、ゆらゆらと虚しく揺れている。
『シン! インパルス、帰投願います!
これ以上の追っ手が来る前に、早くこの場を離れないと……!』
「ハハハ……ハハハハハハハハッ! やった、やったぞルナ……! やっとこれで…… アハハハハハッ!」
メイリンの必死の叫びにも、シン・アスカは応えることなく。
その両目から涙を流しながら、誰もいなくなった海面で、虚ろに笑い続ける――!
――かくしてミネルバは、敵地からの脱出に成功し。
オーブ軍派遣艦隊は、その残党の最後の1人に至るまで、完膚なきまでに、使い潰された。
マユ・アスカ・セイラン三尉は――ミッシング・イン・アクション、戦闘中行方不明として、本国に報告された。
フリーダムは、オーブの守護神は――死んだのだ。
第二十二話 『 そして、なお終らぬ世界 』 につづく
主人公のマユが倒されてしまったので、マユ――隻腕の少女――は、ここで終わりです。
長い間、ご愛読ありがとうございました。次回作にご期待下さい。
……嘘です。まだ続きます。マユの生死はともかく、お話としてはこれじゃ終われません。
てなわけで、本編34話。攻防を入れ替えてみました。あの戦闘、殺陣は大好きなんですよ。
殺陣だけなら、歴代ガンダムの決闘の中でも5本の指に入るかもしれない、とまで思います。
ということで、あの辺の絵は下手に弄らず、素直に色々とパクらせて貰いました。
あの一話、AA側のムラサメ温存の事実と、AAの面々のちょっと困った発言の数々さえなければ…… orz
ああ、でも、一番の問題はそのサブタイトル『悪夢』か……。
・制式スカイグラスパー
MSVです。デストレイにも出てました。無印種のスカイグラスパーの色違い・量産版です。
そうである以上、色々なストライカーパックが装備できるわけで……
……まあ、スカグラでソード装備は、使いこなせる人間が限られるような気がしなくもないですが。
・ユークリッド
本編の扱いがあんまり過ぎたので、アークエンジェルの代わりにミネルバと雪上戦をしてもらいました。
状況さえ噛み合えば、本当は強い子のはずなんですよ。
・フリーダムの『非殺』(回想でのレイの分析)
蛇足な説明です。これひょっとしたらコメントしない方が良いのかもしれませんが……
確か2話の頃の感想で、「キラの非殺は設定されたものだったのか!」という感想がありました。
その時は黙っていましたが……実は、決してそうではなかったのです。
当時のマユはまだフリーダムに慣れてませんでしたし、照準と着弾に微妙なズレが出るのは実際の銃でもよくあることです。
ただ、それでもなお初期の彼女が「殺人を犯さずに済んでいた」のは、ある意味偶然ですが、ある意味偶然に留まりません。
無印アストレイの、レッドフレーム対アマツの対決。あの時の「マシンの意志」みたいなイメージで動かしていました。
元々の乗り手であった、キラの残留思念のようなものですね。
最終的に、マユはそんな「フリーダムに遺された思い」を振り切る領域まで到達してしまったわけですが……。
・インパルスの数々の機能
けっこー強引ですが、なんとか説明してみました。盾のビーム反射とかエクスカリバーの先端ビームとか。
だってあの殺陣、とってもイイんだもの。何度も繰り返して言いたいくらい、良いんだもの。
設定と燃える演出がぶつかりあった場合、道を譲るべきは設定の方です(断言)。辻褄合わせが設定屋の仕事です。
……まあ、それも程々ですが。
……途中まで、分母表記間違えてました。まとめ人様、お手数ですが収録の際修正お願いします。
次回、どうしたものですかね。まだ重要な部分を悩んでいたりします。
隻腕様GJです…。
今回は思わずアスランの心境になって見てました…。
面白い…面白いんだけど…マユゥゥゥゥゥ!!!
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∧||∧
( / ⌒ヽ 吊ってみるか…
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∪ / ノ
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∪∪
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-━━-
隻腕様GJです、悲しい兄妹対決にこちらが泣けてきました
主役死亡?逝っちゃった?嘘ぉ!?
ところで隻腕ってキラ出てたっけ?ストフリの存在は如何に……。
おかしいね、涙が止まりませんよ
見た感じ、オクレ兄ーやんは生きてるみたいだけど… そんぐらいしか救いが無いよorz
墜とした相手が実の妹だと知ることがあれば、シンはどんな反応を示すのだろうか…
しかし、相変わらずの見事な戦闘描写!
畳みかけるように、短い文字列の行で描きながら、脳内でアニメ再生できるほど分かりやすい文章!
やっぱ勝てないなぁと痛感しました。 もっと勉強せねばと思った一職人でした…
GJです隻腕様!! 続きが非常に気になります…
……とりあえずユークリッド隊の頑張りに拍手を送って現実逃避してみるぜ!
やべえ、ユークリッドってどんな機体だったか全然思い出せねえ・・・
後書き読むまで、隻腕オリジナルの機体だと思ってた
>>112 お前は悪くない! 悪いのは負債だ!
とりあえず公式ページのメカニックの欄で見れるぞ。第三クール以降の地球連合だ。
しかし強そうだこのユークリッドは
ただの幼女がマジで強いとなんか歯がゆいっていうか努力の否定っぽい気がするな
115 :
112:2006/01/08(日) 15:14:28 ID:???
見てきた
ザムザザーやゲルズゲーに比べるとスマートでなかなか格好良い
ヘブンズに配備されてたと説明されても、なお思い出せないのがアレだが・・・
ついでにウィンダムの格好良さに驚いた
おかしいなあ、何で全然記憶に残ってないんだろう・・・
隻腕作者様、GJです!
なるほど、こうしてフリーダムを落とす隙と
シンの生存判明を持ってくるとは。
それにあの戦闘、好きなのであのままでも全然OKですよ。
……次回アスランは何の躊躇や配慮もなく
マユのことを伝えるんだろうなぁ。
(;-_-)=3 フゥ
>>114 確かに隻腕のマユは軍属じゃないが、努力はしてるよ
自由に乗る前から作業用MSに乗ってたし、オーブ軍に入ってからは馬場やカガリ相手に特訓してる
後はやっぱり自由の性能で勝ってるという面が大きいと思う
なんたって、現時点の隻腕MSの中では最強の機体だし
×軍属じゃない
○最初から軍属じゃない
とりあえずED・・・
I wanna go to a place where I can say
That I'm all right and I'm staying there with you〜
ほーらマユとお兄ちゃんが楽しそうに〜
最後の18/18の省押すときはかなりドキドキしましたよ…GJ!
そして悩んでることってもしかして…マユだけは…マユだけは…!orz
>>119 てめぇ! このタイミングでなんて脳内映像見せやがるんだ! ・゚・(つД`)・゚・
さぁみんな!!一緒に吊ろうぜ!!
∧||∧
( ⌒ ヽ
∪ ノ
∪∪
まぁどうせ死にやしないでしょ
主役なんだし
そう言い切れないのがつらひorz
∧||∧
( ⌒ ヽ
∪ ノ
∪∪
俺も俺もアw背drftgyふじこlp;@:「」
便乗させてもらうゼェ!!!!
||
∧||∧
( / ⌒ヽ あぁ〜明日仕事逝きたくねぇ…
| | |
∪ / ノ
| ||
∪∪
;
-━━-
おまいら、気持ちは分かるがいい加減にしろw
つーかこれでマユが生きてるというのも嫌だなぁ
同人と同じになっちまうし
まぁそこは隻腕作者ならなんとかしてみせるか
次回も楽しみにしてまっせ(´_ゝ`)b
>>119 こういうことか。
/_,. -;:=;;´
〃´::::::::::::::::`゙:;;=-
/:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
f::::::::::::l::::::l::::l、';::::、ヽ
リ::::::::ヽト、ヽ::lぅヽ::l;::}`
ヽ:::::ヽゞ' `` , jヽ!リ
``lヽ、 < 7/l____ _,,.........,,_
_,ヘ 7` ''''{ / } /::::::::::::::::::ヽ
,.-''´ `'ー,_r‐'′ ,、___ r'、 {::::、:::;ィ::::::::::::::ヽ
. { r‐-、 l `ヽ、/ `ヽ‐`ヽ、 ゙;y'`'rヘ::::::::::::::::::\
', ノ `r'1 ,. -┐ r-、`ー''`ー 、 '、-, ´ヽ:::::::、:::::::::::\
{7 , l l ゙,- _」 | `ヽrー-、} Y__,. へ:::::ヽ:::::::::::::\
_フ ハ l / ~ { _}__ } rl::;ヘ,.ィ"´`r''l`ー、;r‐く`-、
,イ' / 丶.ll } /, }/ー――r く_ ,{ l ハ:.:リ ヽ ` -丶
/ l / }l _ハ `'-t-ニ'_ r1l }-' ゙` ヽ
/ l / `7ニ~T~ ̄ニ-'' 丶  ̄ ̄`1 ヽjl, l -‐ ヽ
/ .7 l ll┴ '´ `ー-、 ノ 〃 !l ` - 、 \
. j, / } ll `ヽ、 l 厂ヽ_`! `ヽ 丶
/ヽ、_/ } ll ヽ .!| ,.┘ヽ ノヽ ヽ
/,.-ィ./ ノ ll l . ∨ / / ヽ , 1`ヽヽ 丶
'' ゙′ / ll | / / / '、_,. イ ヽ `ヽ }_
/ ll | j / / } | ヽ /`ヽノ ゙}!
{! lヽ ll `7 / | l ヽ/ `‐、ノ
ll l 丶 _ノ」 l,.-1 l | 」
ヽ | l _-シ´ ヽr、_ L__ y‐''´!
ヽ l | _ -‐ニ- ' l ̄ ヽ |
>>119 しかし確かその曲って死人が出たは英語…
いや、なんでもない
これでシンが後追い自殺をしてあの世で再会ハッピーエンドだな。
ああ、このごろシン達に感情移入しててそういやマユが主役だったの忘れてたw
アスランに聞かされた後は多分こうだな
1 それがどうした
2 驚くが割り切る
3 錯乱って元々狂ってるか
お兄ちゃんは強い
たぶん2
運命だったのだと割り切る
んで議長にディスティニーを与えられて、その名を皮肉に思いつつ
さらに運命めいたものを意識する
……とか。
隻腕様GJです
相変わらず続きが気になる終わり方。次回をwktkして待つぜ!
隻腕お疲れ様です・・・鳥肌立ちまくりの自由VS衝撃決戦でしたよ。
同人アニメのぬるま湯のような状況なんて微塵もない凄惨な激闘。
フリーダムは?マユはどうなるの!?そして要
(カガリは行方不明・ユウナは現在錯乱状態)を欠いたオーブは!?
なんか次回を見るのが怖いです。
>>131 2でしょうか?ここ最近のシンを見ていると。同人版と比べて、明らかに成長
しているし。これまで「撃ってきたら何でも殺す」→
「銃を突きつけた相手に対して『護りたいもの』を守るために割り切って
切り捨てる」という風に心理変化しているので。
(凸との対比にも繋がる。もちろん良い意味で)
>>132 それだと、デスティニー受領の時に一波乱ありそうですね。凸の逆切れ無しで。
この展開だとシンとメイリンがカップルになりそう・・・
隻腕GJ!
んー、いいなぁ。哀しい兄妹対決!
お兄ちゃんに軍配が上がった上にマユはシンの生存を知っちゃいましたか……
すっげぇ視力。流石コーディネーター。
アスランにマユの正体を知らされたシンのこれからや如何に!?
てーかそろそろ運命&伝説登場ッスね。
運命はシンとして、伝説に乗るのはもしや……wktk
最初は憎しみだけで戦っていた兄が戦士として成長し
最初は平和への思いを胸に戦っていた妹が憎しみに呑まれていく
この対比が見事
だけど、マユもシン生存を知ったし、ここから生還すればダークサイドから抜け出す第一歩になるか
マユにはダークサイドを極めてほしい。
なんかシンがすげえかっこいい
何に驚いたって、まずアスランが重傷を負っていたという事に驚いた
いや、普通ならそれがむしろ当たり前なんだが、どうやら自分でも知らないうちに同人アニメに毒されていたらしい
危険位置だから 書き込みであげよう〜
隻腕シンやっぱカッコイイ
人気投票で迷いなく投票した甲斐があるというものだぜ
141 :
通常の名無しさんの3倍:2006/01/08(日) 20:50:35 ID:bVdT13fj
隻腕GJです!!
アニメの展開をなぞりつつ、すばらしいアレンジを加えるこの作品が、マユデスの作品の中で一番好きです><
次はアスラン脱走?
ミネルバ側で唯一フリーダムパイロット=マユを知るアスランがこの悲劇を受けてどう動くのか?
メイリンのラボおよびデスティニープラン発表時の伏線らしきものはどう作用するのか?
たのしみにしてます!
そういや、作品別の人気投票ってやらんのか?
全作品まとめた人気投票やったんだからもういいんジャマイカ?
>142
それはやったらダメだと思う。
各作者さんのやる気を奪うだけで良い事ないよ。
コックピットハッチの引き剥がしといえば、クロボンを思い出す
そういえば、キンケドゥもコックピット直撃でも生きてたな
>>145 天下のセーフティーシャッターを忘れること無かれ
お久しぶりです。
初めての方、マユIFなど忘れたという方もいると思いますが、以前このスレでSSを投下していた者です。
ちょっとした事故でネットに繋げず、スレには全く来られない状態でした。
年が明けてやっと接続できるようになったのですが、携帯かネットカフェか何かで投下できなくなると報告したほうが良かったですね…。
スレが変わらず続いていて安心しました。
何も言わず消息を絶ってこんなこと申すのは大変心苦しいのですが、マユIFの続きを挟み込める隙間はあるでしょうか?
>>148さん、
>>149さん
ありがとうございます!
暖かい人達がいるのも変わらない…。
では、これよりマユIF再開します。
151 :
マユIF1:2006/01/09(月) 00:59:34 ID:???
機動戦士ガンダムSEED DESTINY〜IF STORY MAYU〜
PHASE−24 重なりあう視線
誰もいない会議室のドアがゆっくりと開いた。
入ってきたのは、軟禁状態から解放されたカガリ。
首長席に座り、カガリは深い深い溜息をつく。
口から出任せを言ったわけではない。
こうしてここに座っているのは、紛れもなく自分が行動を起こしたからで、現にオーブは新たに動きつつある。
世界安全保障条約機構を脱退したわけでないが、オーブは大西洋連邦の圧力に屈せず自国の理念を曲げない道を選んだ。
課せられた存在意義はより大きくなり、外交での身動きも更に悪くなる。
だが、ここで負けてしまったら、それこそ前大戦でのオーブの二の舞になる。
それだけは絶対にしたくない。
「マユ…私はやるよ…必ずな」
誰もいない会議室でぽつり、カガリが呟いた。
戦闘終了後、ポート・タルキウスに着いたミネルバ。
「資材はすぐにディオキアの方から回してくれるということですが、タンホイザーの発射寸前でしたからねえ。艦首の被害はかなりのものですよ」
「はぁ…」
152 :
マユIF2:2006/01/09(月) 01:01:00 ID:???
エイブスの報告を受けて、タリアは頭を抱える。
タンホイザー自体の被害、タンホイザーが爆破された際の艦への被害、そしてタンホイザーの爆発を付近で受けたクルーの被害。
「さすがにちょっと時間がかかりますね、これは」
「そうね。ともかく、出来るだけ急いで頼むわ。いつもこんなことしか言えなくて悪いけど」
「いえ、解ってますよ、艦長」
軽く頭を下げ、エイブスは作業に戻っていった。
それと代わるように、今度はマユがタリアの元にやってくる。
「あの、艦長…」
「マユ、どうかしたの?」
「お願いがあるんです」
潮風に当たりながら、マユはぼーっと海を眺めていた。
『自由時間が欲しい?でも、ディオキアでそれはあげたでしょう』
『はい…でもちょっと考えたいことがあって。艦内じゃ集中できないというか、駄目というか…』
『要するに外へ出たいということね。…しょうがない。いいわ、許可します』
すんなり許可が出て、マユは安心した。
許した当の本人は渋々といった感じで、タイホイザーに加えて問題が更に増えたとまた頭を抱えている。
そんなことなど知らず、マユはただ静かに考えたかったからタリアに願い出た。
153 :
マユIF3:2006/01/09(月) 01:02:42 ID:???
戦うことの意味。自分がここにいる理由。
幼い自分は、いったい何ができて、そして何をすればいいのか。
「そんなところにいると、危ないわよ」
不意に声をかけられて、マユは振り返る。
そこには、カメラを首から下げた女性が立っていた。
「波が荒れてきてるみたいだから。地元の子じゃ、ないんでしょ?」
マユが艦を離れた直後。
『尾行?どうして?』
艦長室を訪れたハイネが、マユの尾行を申し出た。
だが、タリアはその意図がわからず、思わず聞き返す。
『いえ、女の子が一人で出歩くってのは、危ないでしょう?』
飄々と返答されはその言葉は、今ここにいないアーサーでも何か裏があるというぐらいわかるだろう。
ハイネがフェイスで、ミネルバに寄越された時から、タリアは警戒していた。
『……いいわ。でも、ルナマリアもつけます。異義はないわね』
『えぇ…別に何も』
ハイネがマユを監視するというのなら、ハイネにはルナマリアという監視をつければいい。
“マユ自体”に何かあるのか、それとも“マユの後ろ”に何かあるのか…。
立て続けに入ってくる問題に、タリアの心配は尽きない。
カフェで、マユと首からカメラを下げた女性が何か話をしているのを、物陰から眺めなるハイネとルナマリア。
154 :
マユIF4:2006/01/09(月) 01:04:07 ID:???
マユはとても深刻そうに話をしている。
「マユ…どうしたのかしら」
真剣にその光景を見ながら、ルナマリアがぽつりと漏らした。
「案外あの子、オーブか連合のスパイだったりして」
冗談ぽく言うハイネを、ルナマリアが睨む。
「ば、馬鹿なこと言わないでください。マユは、私達と違うんです。
この前のオーブのことだってあるし、色々悩むことがあって…」
そう自分に言い聞かせている。
それを確認させるような自分の言動が、ルナマリアを余計に嫌な気分にさせた。
(独りで悩むくらいなら、私に相談してくれたっていいのに…)
心の中で、自分を信用してくれないマユに対して文句が出た。
ユニウスセブン破砕の前は自分に胸の内を話してくれたのに、と。
「そう…貴女も色々苦労してるのね」
ミリアリア・ハウと名乗った女性は、マユが話してきたことを一つ一つ飲み込んで、口を開いた。
「でも話して良かったのかな?ミリアリアさん、戦争を扱ってる記者さんでしょ?」
「大丈夫っ!これでも私は口が堅いのよ。それに、こんな大事な話を公にするほど、人のこと考えない人間じゃないしね」
155 :
マユIF5:2006/01/09(月) 01:05:28 ID:???
そう言って、ミリアリアは安心させるように笑ってみせた。
「それでマユちゃんは、本当はどうしたいのよ?このままパイロットを続ける?それとも降りる?」
そして、本題はそこになる。
戦うことができる自分。
だが、戦うことを嫌がる自分。
「……」
マユはうつむいて黙り込んでしまった。
「それで迷ってるからこうなっちゃってるのよねぇ…。でもね、あなたの本当の気持ちが、正しいんだと思うよ」
本当の気持ち。
顔を上げて、マユはミリアリアに見る。
「今は迷って、迷って迷って迷って、それで結論を出せばいいじゃない」
ミリアリアの笑顔は変わらなかった。
「それとも、今すぐに答えが必要なのかな?」
親身になって考えてくれるミリアリアに、マユは笑って首を横に振る。
まだわからない。
だが、もやもやとしたものは少しずつだか消えていくような気がする。
「それじゃ、私はもう行くね。そうそう!うじうじ悩んでもいいけど、自分を責めちゃ駄目だからね〜!」
乗り出して、マユの頭をくしゃくしゃ撫でた。
マユは楽しく笑う。
156 :
マユIF6:2006/01/09(月) 01:08:23 ID:???
そしてミリアリアは席を立ち、ボーイにマユの分も含めた料金を渡すと、マユに手を振って店を後にした。
マユもミネルバに戻ろうと立ち上がる。
「マユ!」
すると、そこにルナマリアとハイネが慌てながら走ってくる。
「ルナ、ハイネ隊長、どうかしたの?」
「レイが、レイが倒れたって!」
「えッ!?」
「研究施設の調査任務に出たみたいでな。ガスかなんかを吸ったか…ま、とにかく戻ろうや」
ハイネの言葉に、レイはもちろんシンにも何かあったのではないかと心配するマユは深く頷いた。
そんなマユを、ハイネは気付かれないように、凝視する。
――レイ。レイ。
(だ…れ…)
遠くから声が聞こえる。
聞いたことのある、懐かしい声。
――私だよ。私は、君自身だ。
懐かしく、そして自分も同じ声の持ち主で…。
その声がどこから聞こえるのか探しても、わからない。
(どこにいるの?顔を見せてよ)
――何を言っているんだ。私はここだ。
(どこ?どこなの?)
こ
こ
だ
157 :
マユIF7:2006/01/09(月) 01:10:17 ID:???
レイはゆっくりと瞼を開いた。
目覚めたばかりとあって初めは意識が朦朧としていたが、数秒してそこがミネルバの医務室だということに気付く。
閉められたカーテンの外から、シンと軍医の話声が聞こえた。
レイはカーテンを開き、ベッドから降りる。
「すみませんでした。もう大丈夫です。ありがとうございました」
軍医に礼を言う。
まだ休んでいてもいいと心配してきたが、レイにはそんなつもりはなかった。
「いえ、本当にもう大丈夫です」
冷たさを含む言葉。
シンもレイを心配そうに見ているが、レイは黙って医務室を出ていく。
その姿は、どこか別人のような気が、シンにはした。
NEXT MAYU IF...
おお、これ確かシンがセイバーに乗ってる話だったよね?
すっかり諦めてたが、まさか続きが読めるとは思わなかった、GJ!
マユIFは基本原作ベースでマユもシンも普通に生き延びたという感じです。
原作ベースですが、オリジナルもちょくちょく入ってきます。
マユIF様、お帰りなさいGJです
え〜私も書いてみたのですが…
マユがエクステンデッドとか
シンが記憶喪失だとか
そんな設定はあり?
ダメなら自粛します
>>161 ちょwwwwwwおまwwwwwww
見るからに鬱展開の悪寒プンプンじゃねーかwwwwww
別にNG設定では無いだろう
要はマユ視点のお話であればいいだけなんだし
是非是非投下!投下!
手厳しい言い方をすれば「予防線張るな」ってトコかな。
読み手は作品読まなければ出来不出来を論じられないし、
書き手は作品を書かなければ出来不出来や是非を論じて貰えない。
だから、「ダメならやめます」じゃなくてまずは書いて投下すること。
投下した作品に対する反響を見て、それからどうするかを決めれば良い。
では投下させていただきます
「マユッ危ない!」
「お兄ちゃん!?」
後ろから兄、シンにタックルされる形でマユが崖から転がり落ちた瞬間、立っていた場所で大きな爆発が起こる
蒼い翼を拡げたMSと緑と黒MSの戦闘で蒼いMSの放ったビームの一発がこちらに流れ自分達に襲い掛かってきたという最悪の結果だった。
「あいたたた…うぅ…お、お兄ちゃん…お兄ちゃんはどこにいるの?」
崖の上から突き飛ばされ腰を強く打ったものの他に怪我もないようだった、腰の痛みに耐えつつ何とか立ち上がりシンの姿を捜す
「え……?」
最初に視界に入ったのは
自分達がつい先程まで立っていた崖、そこはビームの熱で大きな穴があいていたそして次に見たものは
「これ…お兄ちゃんの…携帯…それに…血が…」
シルバーの携帯を拾いあげたマユは携帯にびっしりとついた血に驚き、すぐさまシンの名前を叫ぶ
「シンおにいちゃん、どこぉ?」
血がこびりついていたという事はシンは大怪我をしているに違いない、そう考えるとマユはいてもたってもいられず捜し始めた
上空では未だ戦闘が続いており、いつ巻き添いをくらうか分からない状況で何度も呼び続けたが返事がない変わりに表れたのはオーブの制服を着た一人の大人だった。マユの手を掴みここから連れ出そうとする
「おい君、こんな所にいたら死ぬぞ!こっちへ」
「え…離してください、まだお兄ちゃんが近くにいるはずなんです」
「いやここには君以外の人間は見当たらなかった…さあ」
「いやぁ、はなしてぇ、お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
軍人に抱き抱えられる形でマユはこの場から連れ出される、マユは上空のMSを睨む、瞳に宿るのはマユには似付かわしくない怒り、憎悪、軍人にすら聞き取れない小声で呟く。
「あいつらが、あいつらさえいなければあ!」
連合のオーブ侵攻から一月ほどの月日が流れたある日の朝マユは同じ場所を訪れた
「お兄ちゃん…」
シンが死亡認定され天涯孤独の身になってしまったマユは今日の昼に連合の施設に預けられる事なり最後にとここを訪れたのだ
「私、忘れないから…何年、何十年たっても死んでもお兄ちゃんのこと忘れないから…」
シンの形見となってしまった携帯を握り締め、そう決意し振り返ることなく立ち去る。
ロドニアの施設について事前に聞いた説明によると、マユと同じくらいの年頃で似たような境遇の子供が保護され共同生活を送っているということだ。
オーブにこれ以上居たくなかったしナチュラルの自分ではプラントで受け入れられるはずもなく…悩みに悩んだ末の決断だった。
待ち合わせ場所に行くとすでに迎えの人間が立っていた。
「すみません、お待たせしてしまって」
「いえいえお気になさらないように、では行きましょうか」
「はい」
おそらくはチャーター便なのだろう小型飛行機に乗せられる、機内には数人の子供が座席に座っていた。
マユで最後だったのだろうすぐに扉が閉められしばらくして離陸し始める。
(さようならオーブ、さようならお兄ちゃん)
心の中で呟くと疲れていたのか睡魔が襲ってくる。
(あれ…ねむ…くなっ…てきた)
朦朧とした意識でおぼろげに聞こえるのは大人達の会話
「ラボにつきしだい…」
「記憶…消…」
「面倒…みる…ないじゃないか」
と言う会話が聞こえた気もするがマユの意識はそこで途絶えた。
その後マユ・アスカと言う存在は消され一人の狂戦士が生まれる
ガンダムSEEDDESTINY LostMemory序章「別れ」
あれ?マユってナチュだったんだっけ?
まぁ別に細かいことは気にしなくてもいいか
まだここまでじゃ何とも言えないんで感想云々は止めておくが、個人的には期待
次回も楽しみにしてるぜ(´_ゝ`)b
単発設定小話 脇話「シホとヒルダとヘルベルト」
〜ザフト本部〜
ヒルダ「フフン、いよいよあがってきて下さるのかい。いつまでもぼうや達に任せておけないからねぇ」
ヘルベルト「ヒルダ、大きな声だすなよ。あっちに着いてからはしゃげよ・・・」
ヒルダ「はいはい。ヘルベルトは神経質だねぇ・・・。ところでマーズはどうした?」
ヘルベルト「あいつは先にエターナルへ向かったよ。よっぽど新型が気になるらしい」
ヒルダ「・・・そう・・・・・・。ん」
〜廊下の影より〜
シホ「おひさしぶりです。ヒルダ教官・・・・・・」
ヒルダ「あらまぁ、姫さまじゃないの。・・・ディープアームズの件以来かしら?」
ヘルベルト「俺はついこの前あったばっかだけどな」
ヒルダ「なんであんたがあってて私はあってないのよ?」
ヘルベルト「まあ、シホんとこの隊長さんがちょっとな・・・」
シホ「・・・お恥ずかしい限りです・・・・・・」
ヒルダ「ああ、プロトタイプジンにしたんだって?えげつないことするわねあんたも・・・」
ヘルベルト「ま、あそこにはほかの赤服連中もいたし、一般兵でも腕の立つやつがいたしな。冗談だったんだがなぁ」
シホ「・・・おかげさまで。わがジュール隊は大活躍できましたよ」
ヒルダ「さっすが赤服が3人もいる部隊だねぇ・・・ん?ああ、ディアッカは緑に降格されてたんだっけか」
ヘルベルト「俺あいつの担当教官だったんだがなぁ」
ヒルダ「不出来な弟子でねぇ。・・・・・・さて、くだらないことはこの辺にして・・・・・・なんのようだい?姫さま」
シホ「・・・最近クライン派の動きがあわただしいと耳にはいってきましてね。何か情報もっていないかと思いまして」
ヒルダ「クライン派ねぇ・・・ヘルベルト!あんたなにか知ってるかい?」
ヘルベルト「ああ?連中はヤキンの戦い以後、解散したんじゃないのかぁ?大体ラクス様もアイドルに戻ってるし」
ヒルダ「そうよねぇ?デュランダル議長ががんばってるじゃないの。クライン派もラクス様にならってるんじゃないのかねぇ」
シホ「そうですか・・・。それと、最近小惑星帯のファクトリーの動きがおかしいようです」
ヒルダ「小惑星帯・・・。あそこは機密が多いからだろ。昔からおかしいってゆーか怪しいというか・・・」
ヘルベルト「そうだな。まぁ俺たちは仕事柄行くことが多いが、最近になってってゆーのはないぜ」
シホ「噂ではエターナルがどこかに隠れているとも聞いておりますよ・・・」
ヘルベルト「エターナルぅ!?おいおい、そんな巨大なもの近づいてきたら普通にわかるだろ?」
ヒルダ「そうそう、考えすぎだよ。ひ・め・さ・ま」
シホ「・・・ヒルダ教官、その姫さまとゆーのはおやめください」
ヒルダ「あらら怖い顔しちゃって。かわいい顔が台無しだぞ?」
〜シホのあたまをくしゃくしゃいじるヒルダ〜
ヘルベルト「ヒルダ・・・そのへんにしとけって。・・・まぁなんだ、とにかく何かきづいたら教えてやるよ。それでいいか?シホ」
ヒルダ「じゃこのへんで失礼させてもらうよ?」
〜場と立ち去ろうとするヒルダとヘルベルト〜
シホ「そうそう。・・・あのラクス・クラインが本物ではないっていう噂も知っていますか?」
ヒルダ「!?なにいってのよ。あんな目立つ人ほかにいるわけないでしょう!」
ヘルベルト「・・・変な憶測に惑わされるなよ。クライン派はラクス様とともにある」
シホ「・・・・・・そう、ですか」
〜ヒルダとヘルベルトとすれ違いながら返答するシホ〜
ヒルダ「あの娘、大人っぽくなったわね・・・」
ヘルベルト「ああ、お前に似なくてよかったよ・・・」
〜「ガツッ!」鳩尾に一発喰らうヘルベルト〜
ヒルダ「一言多いんだよ!お前はっ!」
完
>>164〜
新人に毎回お節介焼いてる者です。タイトルが好きですが、気になった点をば。
一行が長いです。
一行の文字数が多いと、行ごとに視線の移動する距離が長くなり目が疲れます。
ですので、30〜40文字ぐらいで強制的に改行を突っ込むことをお勧めします。
それと、「。」が入っていたりいなかったりしてます。
文末には基本的に「。」を入れて統一、台詞に限ってはこの限りではありませんが
台詞以外の文の最後に何もないとどうも半端です。
最後にお決まりの一文。
以上に述べた訂正点などはあくまで個人的趣味・嗜好に基づくものですので
職人さんの書き方を強制するものではありません。ですので、華麗にスルーしていただいても
一向に構いません。
そしてGJ。頑張って新人。
マユIFお疲れ様です。お久しぶりです。私的にはこちらの作品では
ニュートラルなマユ像なので、安定感があって好きです。
ロドニアのラボ話はシンの担当で、マユはミリィと邂逅ですか?
他作品にない展開が逆に楽しみです。では・・・
「・・・・・・・っ!!くそっ!!」
ハイネは焦っていた。自分のグフの出力はかなり落ちている。グゥルの速度にも劣るだろう。
そもそもかなり疲弊した状態だ。本来ならば一度母艦に戻るべきだろう。
しかし、彼は逃げるわけには行かない。戦闘不能にならない限り、『家族』がいる戦場に戻らなければ。
「ちくしょうっ!!もっとはやく動けよ!!」
MSに思わず当たるハイネ、それほど彼は焦っていた。
すると、突然入る通信。
『ハーイーネッ!お先に!』
通信してきた人物の顔が、あのラクス・クラインだ。
しかし、それ以前に彼女の髪の黒髪が、そして雰囲気、声が、自分の良く知る『妹』だと語っていた。
「ミーアッ!?ミーアなのか?!」
ハイネは我を忘れて叫ぶ。だが、その声ははるか先に飛び去った青いザクには聞こえなかった。
「アキラ!!時間稼げる?!いったん母艦に・・・・。」
「ふん、かまわん。キミだけで行きたまえ。それに・・・別にアレを倒してしまってもかまわんのだろう?」
だいぶ負傷したゼロを片手に装備されたビームシールドでかばうアキラ。
軽口を叩いているが、アキラも結構ダメージを食らっている。
重なった七枚の花びらのようなビームシールドのうち、耐え切れなかったのか半分以上が壊れる。
「くそっ!!アイアスが・・・・・。」
アキラは悪態をつきながらも、グゥルから巨大な弓とドリルを取り出す。
そして、それを二体の巨大MSのうちの片方に放つ。
だが、実弾系であり、遠距離攻撃であるそれはシールドに弾き返される。
「くぅっ!!ゲイボルクもだめ!!ガラドボルクもだめ!!ペガサスとエクスカリヴァーは燃費が激しいし、アイアスも壊れてきた!!
後は何だ?!ここでおれにアヴァロンでも出せと?!それともバビロン?!はてやデウスマキナかー?!」
万事休す展開に素の状態に戻り混乱するアキラ。
そうしている隙にもデストロイは二人を殺そうと向かってくる。
「・・・・・ゼロ、俺がペガサスでアレを一体倒します。その隙にムセイオンに。・・・もう友達が死ぬのはうんざりです。」
アキラはヘルメットの中に内蔵された紫のバイザーをかけ、ペガサスの準備をする。
しかし、ゼロは怒ってその場を動かない。
「ふざけるな!!絶対生きてみんなであそこに行くって・・・・約束したじゃないか!!」
ゼロは叫ぶ。それは、まだ平和で、一人もかけていなかったときの約束。
「・・・どっちにしろ、ミーアはもういないんです。だからその約束は向こうでしょう。・・・・・下がってください。」
そう言ってアキラが構えた瞬間。
『勝手に殺すなーーーーーー!!』
聞きなれた歌姫の声、しかし、この明るい声は間違いなく、自分達の『妹』のものだ。
急に爆発し、崩れ落ちるデストロイ。その後ろには。グゥルに乗った青いザクが。
『久しぶり!遅くなっちゃった!』
そう言って通信画面に映ったミーアの顔は、前とずいぶん代わっていた。
しかし、その黒髪、その声、そしてその笑顔が十分すぎるほど彼女だと語っていた。
「・・・・ベルレフォー・・じゃなくてペガサーース!!」
もう一体のデストロイが呆けている隙に一気に突撃するアキラ。ある意味卑怯である。
『ちょっと!!そこは感動して私と話してからやるシーンでしょ!!順番間違ってる!!』
ミーアはアキラの対応に怒る。
「ここは戦場です。油断してはいけません・・って、あら?・・・ゼロ、通信できないくらいやばい。」
へーぜんとした顔でアキラは対応するが、無茶がたたってエネルギーがもう少数一桁くらいらしい。
『早く行って!私が後は何とかするから!』
ミーアはゼロにアキラを母艦に戻すよう促す。ゼロはそれに従った。
「そうだ、ミーア。良い忘れてた。」
ゼロは一度背を向けてから言う。
「お帰りなさい、ミーア。」
彼は普段滅多に見せない笑顔で言った。
『・・・・・ただいま。』
ミーアは泣いていた。自分だとこんなにあっさり信用してくれるとは、思ってもいなかった。
何より、皆ずっとこの家出娘を待っててくれたのだ。
ゼロは「あー!ゼロが貴重な笑顔という名の必殺技でミーアを落とそうとしているー!」とか叫んでいる
アキラを引きずって、母艦の方向へ向かった。
「・・・・くそっ!!これじゃあいつらの所に行けないじゃねーか!!」
ジョーは一人で孤軍奮闘していた、でっかいMSはいないものの後の敵が多すぎる。
『おい!!坊主無事か?!』
すると向こうのほうから漆黒のストライクが飛んできた。ネオだ。
「おっさん!助かったぜ!」
『おっさんじゃない!!』
「・・・・・じゃあおじさまとか?」
間違った訂正をするジョー。
『そんな趣味はない!!』
「ご主人様。おにーちゃん。ぱぱ。ネオちゃん。」
明らかに変態の香り漂う呼び方の例を次々と上げていく。
『あーのーなー!!俺はそう言う趣味はない!!いくら綺麗でも男はゴメンだ!!』
「いや、俺の見立てだとあんたは結構目覚めるよ。うん。」
『目覚めたくないわー!!』
ネオの絶叫がザクのコクピットに響く。
すると、メールが入った事にジョーは気づく。ゼロからのメールだ。
「んだよ・・、俺文字読むの遅いからこーゆーのはやってほしくないって・・・・。」
ジョーの文句は途中で止まった。そこにはこう書いてあった。
『家出娘の帰還、青いザクに乗ってきた。顔はだいぶ変わってるので注意。』
と、ギャル文字で書いてあった。読みにくい。
『・・えっ?!ちょっと何なのよ?!ミーアちゃんが帰ってきたですって?』
通信していたグレイシアから驚きの声が上がる。
「どうしたの?!」
なんとかオルトロスを命中させようとするルナマリア。しかし、シールドに防がれる。
「・・・・ミーアお姉ちゃんが?!」
マユは本気で驚く。確か彼女は今は『ラクス』のはずだ・・、それなのに。
『・・・・・よぉしっ!!俄然気力アーップ!マユちゃん!!!片足だけ足止めするからその隙にやっちゃってちょーだい!
あ、ルナマリアちゃん。悪いけどパワー足りないんでいっしょに掴んでくれる?』
「あ、了解。」
「う・・、うん。」
グレイシアのハキハキとした対応に呆気に取られる二人。
『さー行くわよ!ミーアちゃんに良いとこみせなくっちゃね!』
そう言うよグレイシアは再びフィッシュボーンを構えた。
ミーアちゃん大影響、ほのぼのです。
いやぁ、ミーア活躍に対する反響が大きくて個人的には大満足です。
書いているうちに愛しくなって仕方がありません。ミーア。
でもエモーションはあまりにメロディーがアレすぎてあんまり好きじゃないです。
個人的なミーアのテーマはAi○の『鳥の詩』に、Fat○の「disillusion」。
チョイスがオタクすぎるとか言うんじゃありません。いい曲は良い曲なんです。
他にもキャラクターの個人的テーマはありますね・・・・・やっぱギャルゲー曲多いけど。
さて、ミーアが加わったことでどーなるミネルバ軍勢!!
アスラン争奪戦の勝者は?!ハイネ隊の対応は?!つーか忘れてるけどキースはどうなる!
次回をお楽しみにー。
ほのぼの乙
やっベー、このミーアすごい好きだ
しかし、ノリが賑やかだから目立たないが、なにげにこのヘブンズ戦はかなり激しいな
ミネルバ・ファントムペイン・ハイネ隊、とこれだけタレントが味方側に集中してるのに全員ボロボロの大苦戦
それだけに連合との圧倒的物量さが際立ってる
>>167 原作設定では両親が第一世代コーディネーターだから二人そろってコーディネーター。
けど、まあ原作改変型二次創作なのでちょっとした設定の変更なんぞ誰も気にしない罠。
元々原作の同人アニメじゃマユ自体あぼーんしてんだし。
177 :
通常の名無しさんの3倍:2006/01/11(水) 00:44:13 ID:uY7qod32
保守age
LostMemoryを書いている者です。第一話投下前にメイン2キャラの説明をさせて頂きます。
ユカ・アスマ
本編主人公、マユ・アスカのエクステンデッド化した後に名付けられた。
コーディネーターは全て敵と教育されており、老若男女問わず平然と殺す事ができる。外見は子供の為か潜入工作、偵察が得意分野
搭乗機はストライクMKU。
シン・アスカ
記憶喪失のマユの兄、本編と同じでインパルスのパイロット、栗色の髪の少女の出会いがきっかけで何かを思いだしかける。
ガンダムSEEDDESTINY LostMemory第一話「すれ違う兄妹」
コズミック・イラ73 地球、プラント間で休戦条約が結ばれてから早二年。
軍事プラント『アーモリーワン』では数時間後に控えた新造戦艦と新型MSのお披露目を一目見ようと多くの人でごった返していた。
特に宇宙港は出入りがもっとも激しくナチュラルである三人の少年少女の存在を気に留める人間も会話を聞く人間も誰もいなかった。
先頭をきびきびと歩くのはリーダー格のスティング、アウル、ステラも後ろにつづく。
「凄い人の数だなあ」
「ステラ…ひとごみきらい…」
二人のマイペースぶりにあきれつつスティングは先を急ぐようにせかせる。
「ユカが首を長くして待ってるぞ、アイツの事だから迷子になったり変なことに巻き込まれてたりはしないとは思うがな」
「へいへい、アイツ起こらせると後が面倒だからなぁ」
「ユカ…おこるとこわい…」
三人はエクステンデッド最後の一人であるユカ・アスマの怒り狂う姿を想像すると背筋を凍らせつつ先を急ぐ。
そのユカはというと。
「準備は完了、あとはスティング達待ちかぁ」
一足先にアーモリーワンに潜入し強奪から逃走ルート確保までの段取りを終えたユカは特に何をするわけでもなく人混みに紛れ歩いていた。
皆、新型MSや新造艦がお目当てらしく聞き取れる会話は主にそれらの話題ばかりだった。
(フフッもうすぐその新型が大暴れするっていうのに呑気なものよね)
ザフトの次期主力MSが連合の手で使われ使用されコーディネーターが大勢死ぬ。
そう考えただけで笑いが止まりそうもなかった、不満があるとしたら自分の担当がサポートな事だ。
「私にはストライクMKUがあるからいいけど、なんか納得できない〜」
不満を漏らしながら合流予定の人気のない公園に辿り着く。
「みんなまだ来てないのか、まあいいけど」
隅にあるベンチに座り途中店で買ったポテトチップスをつまみ始める。
作戦開始前の幸せな一時にユカも顔がにやけ、怪しげな男の接近に全く気が付かずにいた。
「おそいなぁルナの奴…ん」
ミネルバ乗艦の為に同僚のルナマリアを待つシン・アスカは公園のベンチに座る少女に目を止める。
「あの娘…どこかで…会ったことが」
思い出そうとするがやはり記憶にない、もしかしたらプラントに来る前の俺の知り合いかもしれない。
過去の事をどうしても知りたいシンは少女に話し掛けようと決心したその時。
「ちょ…離してよ!」
「ヘヘヘ…可愛いじゃないかオジサンといい事しないかい、お嬢ちゃん」
不振者に絡まれている様子を見てシンに怒りが走るのを疑問にも思わず助けに走りだす。
「おいお前、その子の手を離せ!」
「なんだアンタ、この娘の知り合いかよ」
「そうだよ、なんか文句あるか?」
「チィくそ、覚えてろよ」
お決まりの捨てゼリフを残し男は立ち去り残ったのはユカとシンの二人だけ
「あ…あの、ありがとうございました」
「いや…怪我はないか?」
「はい、おかげさまで…」
(な、何で…コーディネーターは憎いはずなのに、この人は…)
(やっぱりこの娘…俺は知っている…)
何かを聞こうとするが喋りだせない二人、残酷にも時間は流れ
「お、いたいたユカー」
「何やってんだよ?こんなとこで」
「ユカ…あいたかった」
「ステラ、スティング、アウル、ごめんなさい友達がきたみたいなので、これで」
「あ、ああ」
仲間らしき三人組のもとに走るユカを見送るシン。
三人が立ち去るのを見届けるとルナマリアとの約束を思い出しユカ達とは逆方向へと歩きだす。
(向こうも知らない見たいだし気のせいなのかな)
「なぁユカ、今の誰だよ?」
「変なオジサンに絡まれたところを助けてくれたの」「へぇユカが絡まれるとはねぇ」
「ユカ…かなしいこと…あったの?」
スティングの質問にあったがままを答えるユカをアウルがからかい、ユカを横から見ていたステラはユカの異変に気がつく。
「えっ?あれ、なんでかな?悲しい事なんてなかったのに…気にしないで任務、任務」
さっき助けてくれた黒髪の青年の事を考えると何故か涙がこぼれ始めたが袖で涙を拭うと気を取り直し作戦の説明を始める。
二年振りに再会した兄妹だったが再び別れる次に会う時は敵同士である事も知らずに。
後書き
いきなり再会しちゃいました・・・orz
次に再会するのはいつになるやら・・・指摘があったマユはコーディネーターと言う話ですが仕様です。気にしないでください
次回は戦闘メインです、
戦闘描写できるかちと不安です。
また新たなマユにワクテカです!
GJ!!
どうでもいいが絵板はいつまでNEWなんだ?
設置してかなり経つだろ…
>>158さん、
>>160さん
ありがとうございます。
励みになります!
>>170 一応は原作を重視しているもので。
でも原作と代わり映えしない話は嫌ですから、マユにはマユの話というものを作っています。
それでも飽きてしまうという方はごめんなさい…。
全編総集編は別として、原作の1話=マユIFの1話という形ですから、マンネリに感じる方もいるんだろうな。
早くオリジナルストーリーに移行したいところですが…。
では、これから投下していきます。
その後、一気にデストロイを全て失った連合はザフト軍に敗れた。
さて、そんな中ミネルバパイロッツはそれぞれの母艦に帰っていった。・・・はずだったが。
まぁ、何やらミーアの事が皆気になるらしくどうやってMS無しで行ったかは不明だが
全員ミーアが乗り込んでボロボロにした元イザークザク(現ディアザク)の下に集まっていた。
カルマはなんとか意識を取り戻し、戻ってきたがキースはいまだに保健室・・ではなく医療室である。
そーっとハッチの影から顔を出そうとするミーア。だが、すぐひゅっと戻ってしまう。
「ダメだ。人が多いから怯えてるな。」
「ハイネ、ミーアは小動物じゃない。」
ハイネのボケにゼロが突っ込む。
「・・・・・・ミーア、最近のジャン○について語りなさい。」
アキラの言葉にミーアが反応する。
すると、ミーアはMSから飛び降り、アキラに語りだした。
「つーかさー、最近のジャンプは婦女子狙いすぎなのよねー。ブ○ーチ、○ルト、ミス○ルはいいんだけど
テニ○リはだめ。だってもうテニスじゃなくなってるし、CDとか出てる時点で終わってるし。
○スノも面白いんだけどなんかジャン○のコンセプトとは少し違う気がするのよねー。
Dグレはつまらなくはないんだけど、○ャンプっていうよりガン○ンとかそっち?ファンタジー色濃いし。
もて蔵○ーガは結構パロディが面白いから気に入ってるんだけど・・・・・。
でも武○錬金が打ち切りになったのは許せない!なんであんな正統派少年マンガが・・・・。」
熱く少年マンガについて語りだすミーア。ルナマリアとは対極に位置するマンガ好きらしい。
「「「「「「「よし、間違いなくミーア。」」」」」」」」
「「「「「「「「そうなの?!」」」」」」」」
うなずくハイネ隊一同につっこむその他メンバー。
「さて、降りてきた所でミーア、おにーちゃん達に話すことがあるだろう。」
ハイネがずいっとミーアに詰め寄る。
「・・・・・まず、その格好とあんな雰囲気で歌ってた理由を百文字以内で答えよ。」
「議長の趣味。」
激しくどうでもいいことから聞くハイネ。
「ご飯とかはちゃんと食べてたのか?」
「それは大丈夫!ちゃんと三食バランスよく食べてたわ。」
「ストーカーとかは?」
「後悔するまで絶望を叩き込んだ。」
「よしよし。MSはしばらく乗ってなかっただろ?何に出撃したのか?」
「・・・・・・ごめんなさい、でも!どうしても黙ってられなくて!!」
「まぁ、ミーアはそう言う子だからしょうがないな。生きてるから不問にしてやろう。
これが最後の質問だ。・・・・・・・帰ってきて一番初めに言う事は?」
ハイネはおちゃらけた雰囲気を一転させて優しく微笑む。
すると、ミーアは涙を目にためて答えた。
「・・・・・・ただいま。」
188 :
マユIF1:2006/01/11(水) 23:22:18 ID:???
PHASE−25 僕たちの行方
ロドニア。
シンとレイが調査に向かった施設だ。
今、本格的な調査部隊が組織され、内部をくまなく調査している。
マユ達が戻ったことを確認すると、ミネルバもロドニアのラボに向かった。
そして、ミネルバでも今一度、施設内を調査するメンバーが組まれることとなった。
タリア、アーサー、ハイネ、シン。彼等がラボへ向かう。
マユ、レイ、ルナマリアは艦内待機を言い渡され、三人は談話室でじっと皆の帰りを待っていた。
「ねぇレイ、本当に大丈夫?」
やはり気になっていたのか、マユがレイに訊く。
「あぁ、なんともない。気にしなくていい」
素気なく返された答えに、マユは少し寂しそうに「そっか」と呟いた。
そして話題もなく、しばらくの沈黙が流れる。
誰も喋らない。喋ろうとはしない。
段々と気まずい空気が漂っていた。
「マユこそ大丈夫なわけ?」
そんな沈黙を打ち消すように、ルナマリアが声を発する。
ルナマリアの声と顔は怒気を含み、荒れていた。
マユはそれに少々恐さを覚え、何故ルナマリアがこんな態度なのか不思議に思う。
189 :
マユIF2:2006/01/11(水) 23:23:59 ID:???
「私は別に大丈夫だよ。なんでそんなこと訊くの?」
「だって…なんか悩んでたみたいじゃない」
ルナマリアの言葉に、マユはハッとした。
心配してくれていたルナマリアに、マユは心が暖かくなる。
「もうあれはなんでもないの。ごめんね、心配させて」
これ以上の心配をかけまいと、マユは笑って否定した。
だが、それが作り笑いだとわかったのか、ルナマリアの顔は緩むどころか余計に強張っていき…
「なんで!?なんで私には何も相談してくれないわけ!?」
糸が切れたように、憤慨したルナマリアが怒鳴りつける。
「ルナ……」
それに対しマユは、驚いてただ唖然とルナマリアを見ているしかできない。
「そんなに私は信用されてない?」
「違うよ…そうじゃないの!」
制服の袖を掴まれ、必死にすがる瞳がマユに訴えかける。
しかし、もう気にする必要はないのだ。
わかってほしいのに、マユは言葉が見付からない。
曖昧なマユの態度がルナマリアを更に逆撫で、掴んでいた袖を振り払うと、込み上げる怒りと共に立ち上がった。
「もういい!どうせ私なんか頼りにもならない、ただの同じパイロットなだけですからね!!」
190 :
マユIF3:2006/01/11(水) 23:25:33 ID:???
キッと睨み、ルナマリアは激しく靴音を鳴らして談話室を出ていった。
ルナマリアを追おうとするマユだが、レイに腕を掴まれそれを制止させられてしまう。
「今行っても逆効果になるだけだ」
「でも…でもこんなのヤだよ!心配かけたくなかっただけなのに…こんなことになるなんて…」
涙が溢れ出した。
ずっと信頼してくれていたルナマリアの心を、自分が踏みにじってしまった。
マユは、ルナマリアも艦の皆も大好きで、だから心配かけまいと一人で考えようとしたのに。
結果としてそれが、思わぬ災難を導く。
「俺が様子を見てこよう。マユはしばらく、ルナマリアとは接しないほうがいい」
暖かい言葉をかけるでもなく、レイはそう言うと、談話室から出ていった。
一人残された部屋で、マユは止まらない涙を流し続ける。
『自分を責めちゃ駄目だからね〜!』
不意に、ミリアリアから言われた言葉がマユの中に響いた。
しかし今のマユにはそれも戒めにはならない。
「でも…これは私のせいだよ……」
両手で顔を覆い、マユはうめきあげる。
談話室からは、マユのしゃくり泣く声が、ただただ聞こえていた。
しばらくして、ラボに行っていたメンバーが戻ってくる。
191 :
マユIF4:2006/01/11(水) 23:26:54 ID:???
ラボの惨状、ブルーコスモスのエクステンデット育成施設。
その情報は、瞬く間に艦内に知れ渡った。
それはマユも例外ではなく、赤く腫らした双眸で、入ってきた情報に目を通す。
「………酷い」
ぽつりと、呟きが漏れた。
ルナマリアと同室であるため部屋にも帰れず、行く場所もなく独り格納庫の隅でいる。
膝を立てて蹲るように座り、床の冷たさが伝わってくるが、マユは構わない。
「マ〜ユ!」
「どうかしたか?」
そんな時、やってきたのはヴィーノとヨウランだった。
「なんでもない」
顔を上げて笑ってみせる。
その顔はとても笑顔には見えなく、二人を慌てさせるだけだった。
「マ、マジでどうしたの?お腹でも壊した!?」
「馬鹿。俺達コーディネイターだろ」
「でもさ、てかこれって普通じゃないって!」
「まぁ…確かにな。マユ、本当にどうしたよ?」
心底心配して、覗き込むヨウランとヴィーノ。
角度なのかなんなのか、マユには二人のその顔が面白く見えて、思わず吹き出す。
「えぇ!?なになに?」
「やっぱりどこか痛むのか?痛みが上回ると逆に快感になるって」
「それなんか違くない?」
192 :
マユIF5:2006/01/11(水) 23:28:28 ID:???
そしてコントのような二人の会話が、余計にマユを笑わせる。
「アハハハハッ!アハッ…はぁ…はぁ…。ごめ、ごめんね、本当にもう大丈夫なの」
腹を抱え笑って、笑いすぎて疲れてしまうほどだった。
二人に向けた今度の笑顔は心地良く、明るさに満ちている。
「なんか二人見てたら元気出たし、ありがとう♪」
礼を言われた当の本人達は、複雑な顔をしていた。
「そりゃどーも…」
「まぁ、マユが元気になってくれて万々歳じゃない?」
「なにぃ?このポジティブヤローが〜!」
意地悪そうな笑みを浮かべたヨウランが、ヴィーノにプロレス技をかけ始めた。
「うわっ!ギブギブ〜!!」
「許さん!落ちるまでやってやる!」
二人を見て、マユはまた笑いだす。
心の中では、次に会ったら絶対にルナマリアに謝ろうと誓って。
そんな和やかな雰囲気を打ち消すように、アラートが鳴り響いた。
そしてメイリンの声が続く。
「コンディションイエロー発令!モビルスーツパイロットは、搭乗機にて待機願います」
アナウンスを聞き、マユは立ち上がった。
「じゃあ私は行くね!二人共、本当にありがとうっ」
193 :
マユIF6:2006/01/11(水) 23:30:18 ID:???
笑って走っていくマユを、ぼーっと見送るヨウランとヴィーノは、エイブスにどやされるまでそこに立ち続けているのだった。
木々を薙ぎ払い、ガイアがラボへ突き進む。
「母さん、守る」
自らブロックワードを口にしてしまったアウルが苦しみながらうめいた。
母さんが死んじゃうじゃないか、と。
それに連動するように、ステラは飛び出していた。
ラボの有り様など知らぬステラにとっては、守るもののために戦うだけ。
「はぁぁッ!!」
目の前に飛び込んできたインパルスに、ステラは叫ぶ。
「くぅぅぅ!」
ぶつかりあい、弾き跳んだ二機。
衝撃に揺れるコックピットの中でマユが声を上げる。
迎撃に出たのはインパルスとセイバー。
特殊な装備を持っているかもしれないため、爆散させずに倒せとハイネから命令されている。
「大丈夫か、マユ!」
「平気!」
「回り込めるか!?」
「やってみる!」
近付くガイアを引き付けつつ、インパルスは距離をとる。
そして、素早く背後に回り込み、ガイアの注意をそらした。
「お兄ちゃん!今ッ!!」
「よし!てえぇぇいッッ!」
セイバーの一撃が、ガイアのコックピット付近に入った。
194 :
マユIF7:2006/01/11(水) 23:31:23 ID:???
「あ!キャアアァァッ!」
激しく揺さ振られ、コックピットハッチの残骸が内外問わず舞い散る。
ガイヤは地面に倒れ、動きは止まった。
インパルスとセイバーのカメラが、コックピットの中の映像を映す。
「…え?」
マユが、小さく声を上げた。
「あの子…」
シンも呟く。
映し出されたコックピットの中にいたパイロットは、二人にとって見覚えのある顔。
それは、ステラ。
NEXT MAYU IF...
ほのぼのマユデス作者さんすみません!!
投下邪魔してしまった…orz
いや、こっちもちゃんと確かめなかったのが悪かったですort
↓続き。
「フィーーーシュッ!!」
急に白いシーツにぐるぐる巻きにされるハイネ。
そしてそのまま格納庫の隅に転がされる。
「おかえり、ミーア。」
秘技:滅多に見せない笑顔でミーアに話しかけるゼロ。ミーアは戸惑い気味だ。
「ゼロ、ちょっとどきなさい。」
急に鎖でがんじがらめにされるゼロ。
そしてそのまま明後日の方向に投げられる。
「ミーアちゃん!もうこの馬鹿娘!!」
「グッ、グレイシア!!苦しいっ!!」
ミーアに抱きつくグレイシア。ミーアは本当に苦しそうだ。
「おい、姫。ちゃんとよけろよ。」
すると突然グレイシアに命中するバズーカ、ミーアは髪一つ焦げない。
「おい!ジョー!お前も抜け駆けするのかよ!俺だってミーアと話したいのに!!」
どこからともなく出した日本刀を構えるアキラ。
「あー!!俺も俺も!!」
怪我をしてるのにどこからともなくナイフを取り出すカルマ。
『・・・・兄ちゃんとしようよ?』
「何の話だ、シンハロ。」
そして、しばらくしてから議長が駆けつけた。もちろん、SP付きでだ。
(まさかミーアがあんなことをするとは・・・仕方がない。消すか。)
そう思い、格納庫に入ると・・・・。
アスランの胸で泣いているミーア、なんか殺気立ってる雰囲気。
だが、実際に戦闘が起きているわけではない。その殺気は全て、ギルバート・デュランダルに注がれていた。
「よしよし・・、つらかったな。ミーア。」
そう言いながらミーアの頭を優しくなでるアスラン。
「・・・・・・議長、話は全てミーアから聞きました。」
ハイネの鞭が生きているかのように動く。
「ギル・・、あなたと言う人は・・・・・。」
レイも本気でキレているようだ。左手に金属バット。右手に釘バット。
「サイテー・・、女の敵よね、ステラ。」
「うん・・・・。」
ステラはナイフを、ルナマリアは拳銃を構える。
「・・・・・ギルパパ、流石にこのセクハラは酷すぎない?ミーアお姉ちゃんよくがんばれたよねぇ。」
マユはにっこり笑いながらトンファーを構える。
後ろにいたハイネ隊のメンバー(ちょっとボロボロ)も、ステラがそんなことされたら・・と思ったスティングとアウルと、
そしてシンハロとシンもばっちり臨戦態勢だった。
「皆、遠慮はいらない。俺がいればどうとでも言い訳できる。・・・・・・思う存分ギルを殺れ!!」
「たぶん今なら名誉の戦死でどーにかなるから!!」
『いざとなったら金の力でどうにかするし。』
レイ、マユ、シンハロのセリフを火蓋に、ギルバート・デュランダルは川の向こうにいる仮面をつけた親友に会うことになった。
むーざんむーざんな議長ワロスw
後顧の憂いがなくなったところで、いよいよ後は真の敵を討つだけか
だんだん終わりが近づいてるのかと思うと、ちょっと寂しいな
ほぼ同時に別々の話が二本うpされると
どっちかに応援も感想が片寄る罠
感想「も」な
まぁ二人とも乙
>マユIF作者様
乙です。
本編と違って二人がステラを知る分、
行動の説明は容易くなるんでしょうか?
>ほのぼの様
相変わら笑わされます、GJ!!!
俺も武装○金大好きでした!!
ってかミーアはあのセクハラ衣装気にしてたんだw
もしかして冬の赤丸もネタにする気あります?
タイミングって大事やね(´・ω・)
そーゆーこと言い出すと職人が投下しにくくなるからヤメレ。
投下できるタイミングが限られてる人も少なくないはず。
感想書く方が気をつければそれで良し。
職人の方々には、申し訳ないが頭越しの感想文に寛容になってもらうしかないかと
マユif様、このあたりからの展開が楽しみですね。どう話が変わっていくのか楽しみです。
ほのぼの様、やっとほのぼのに戻った感じが。ミーアいい趣味しとるのぉ
まったり保守します
205 :
マユIF1:2006/01/14(土) 12:26:38 ID:???
PHASE−26 決意と覚悟と、大切な約束
機体から降り、マユとシンは一目散にガイアへ走った。
「ステラ…何で君が…」
「ステラぁ…しっかりしてぇ…」
ステラを抱き起こすシンと傍らで涙を浮かべるマユ。
頭部を打ち付けたのか血を流し、ステラは血の気はどんどん退いていく。
咳き込み、意識があるのかないのかもはっきりしない。
「…死ぬの…駄目ぇ…」
かすれた声で、ステラが呟いた。
「怖い…まも…る…」 うめくその声は弱々しく、シンとマユは互いに顔を見合わせた。
考えは、同じだ。
シンがステラを抱き上げて、セイバーに乗り込んだ。
ステラを助けたい。
マユもインパルスに乗ってセイバーに続いた。
二機が緊急帰艦するとあって、ミネルバは慌ただしくなる。
「インパルスとセイバーが帰投?」
振り向いて、ヴィーノがヨウランにきいてみた。
ヨウランもわかるはずなく、ただ首を傾げるばかり。
「なんだいきなり?」
「わかんないけど…」
顔を見合わせて、二機の帰りを待つ。
セイバーが着艦し、ステラを抱いたシンが険しい形相で降りてきた。
「なんだよシン、いったい…」
206 :
マユIF2:2006/01/14(土) 12:28:00 ID:???
「ウルサイ!どけッ!」
ヴィーノを突き飛ばし、周りに目もくれずシンは先へ進む。
「ヴィーノ、ごめんなさい!お兄ちゃん待って!」
続いて到着したインパルスから降りたマユが一言謝ると、シンを追った。
シンの酷く焦った険しい顔に対し、マユはとても深刻な暗い表情だった。
どちらもステラを助けたいという思いは変わらない。
鬼気迫る表情でシンは通路を駆け抜けた。
マユは必死でそれを追う。
「…守る…」
ステラがまた、声にならない声を絞り出した。
「大丈夫、もう大丈夫だから!君のことはちゃんと、俺がちゃんと守るって!」
「ステラ、私もいるからね!だからしっかりして!!」
二人は医務室へ入る。
「先生!この子を!早く!」
「怪我してるし!体調も悪いみたいなんです!!」
叫ぶシンとマユに、軍医と看護兵が驚いて振り向いた。
だが、ステラを見ると更に驚きが増した顔になる。
「恐い…守る…」
またステラが声を上げた。
ステラの顔はみるみる血の気があせていき、今にもう息が絶えそうな…
「お願いします!!ステラが……ステラが死んじゃったらどうするのよッ!!!!」
涙を溢れさせ、マユが声を張り上げて叫んだ。
207 :
マユIF3:2006/01/14(土) 12:29:43 ID:???
大人しいマユがこんなにも顔を歪ませ声を荒げた姿に、シンは目を疑う。
そしてマユが叫んだことによって起こった、腕の中のステラの異変にまた驚くことになる。
「あぁ…死ぬのは…駄目ぇ…」
瞳孔が見開かれ、焦点が定まらない。
「うわわぁぁ!!」
突然声を上げ、シンの腕を振り払うと、ステラはマユに飛びかかった。
「きゃあぁッ!!」
「やめろ!ステラ!」
「うェェい!!」
ステラとマユはそのまま倒れ込み、仰向けになったマユの上にステラが覆い被さる。
生き延びること。
それだけを必死に、ステラは目の前の標的を排除するのみ。
「うぅ…ぅぁ…」
ステラはマユの首を絞め、マユは苦しげに声を上げた。
ステラはただ唸るような声を発し、手の力を強める。
薄れそうな意識の中、マユは自分の手をなんとか動かして、ステラの手の上に重ねた。
そして、暖かい微笑みを浮かべる。
「ごめんね…ステラ」
かすれた声でマユが言った。
ステラがハッとする。
「もうあんなこと言わないから…安心…して…」
ステラの力の入った手が少しだけ緩んだ。
マユはシンに目配せし、こちらへ呼び寄せる。
208 :
マユIF4:2006/01/14(土) 12:31:13 ID:???
「…ステラは…私と、お兄ちゃんが守るから…ね?」
「そうだよステラ。俺達で君を守るから」
ステラの背中を、シンが包んだ。
「マユ…シン…」
二人を名を、ステラは呟く。
首から手を離れた。
動きが止まり、ステラが大人しくなったのだと、マユとシンが安堵した直後、
「うわあ゛あ゛ぁ!!」 再び発狂し、ステラは叫ぶ。
「いやあぁぁぁ……」
そして、気を失った。
事態は一旦の終結を見せ、マユとシンはタリアにこってりと説教と注意を受けた。
軍法に違反と抵触し、軍人としては明らかに失格である。
その後、ステラとの関係を訊かれ、二人は渋々と答えた。
タリアもねちねちとこんなことしたくはないのだ。
だが、彼女は二人の上司であり、二人より大人で、二人が大切だからこそ、注意しなければならない。
その後、医務室から通信が入る。
どうやら、ステラについて何かあるらしい。
「あぁ…何でこんなこと!怪我人なんですよ彼女は!そりゃさっきは興奮して…」
医務室に入るなり、シンが声を荒げた。
全身をベルトで縛られ、拘束されたステラ。
衝撃的な光景だが、衝撃はそれだけではなかった。
209 :
マユIF5:2006/01/14(土) 12:33:02 ID:???
軍医がステラはエクステンデッドではないかと話す。
検査をしたところ、ステラの身体から異常な数値が検出された。
予想していたのか、タリアが「やっぱり」と呟く。
シンとマユは余りのショックで、絶望したような表情になりながら、ステラを見つめた。
タリアと軍医が話を続ける中、ステラがゆっくりと目を覚ます。
「あ!ステラ!」
「大丈夫!?ステラ?」
絶望したような表情から一転、笑顔になったシンとマユが駆け寄る。
しかし、そんな二人にステラは冷たい視線を向けた。
「……何だお前等は…」
敵意に満ちた声。
そして自分が置かれた状況に気付き、ステラは暴れだす。
ベッドが激しく上下し、力を入れた拳の間から爪が食い込んで血が流れ出る。
そんなステラを止めるため、シンはステラを抱き締めた。
「ステラ!大丈夫だよ!俺達がいるから!!わかるだろ?シンとマユだよ!」
一瞬、動きが止まり、ステラが二人を見る。
「…知らない…あんた達なんか知らない!!ネオォッ!ネオォォッ!」
二人の知らぬ名をステラは叫び、体を揺さぶる。
意識や記憶も操作されている。だから無駄た。そう軍医がマユとシンを止めた。
210 :
マユIF6:2006/01/14(土) 12:35:47 ID:???
その軍医の言葉だけで人を殺せそうだと、マユはそう感じる。
「黙れ!!」
怒りに包まれた形相のマユが、軍医を睨みつけた。
「あなたになにがわかるの!?無駄なんかじゃない!無駄なわけあるもんか!!」
ステラに笑いかけ、マユは口を開く。
「私とお兄ちゃんと、ステラとスティングとアウルで、一緒に海を見たでしょう!?
怪我したステラはお兄ちゃんにハンカチ巻いてもらって、ステラはお兄ちゃんに貝殻をあげたよね!?」
必死に訴えかけるマユを、ステラは黙って見つめていた。
ステラの瞳は段々と、怒りや恐怖が薄れていき、安らぎを生む。
「マ、ユ」
「ステラ…わかる?」
「うん。シンも、わかる」
シンを見て、ステラは笑った。
「二人に会いに来た」 その言葉とその暖かい表情に、マユとシンは涙を流して喜んで、ステラの手を握る。
「私とお兄ちゃんはいつでも側にいるから、今ゆっくり休んで、ステラ」
「うん。おやすみなさい」
「おやすみ、ステラ」
マユとシンと見つめ続けながら、ステラは瞼を閉じる。
そして、寝息を立て始めた。
マユを涙を拭うと、また軍医やタリアを睨む。
211 :
マユIF7:2006/01/14(土) 12:36:55 ID:???
「ステラに酷いことしたら、私は絶対に許しません。
ステラはステラ。物じゃない、私達と同じ人間なんです」
マユの言葉は、その幼い年齢に見合わない凄みがあり、タリア達は巨大な圧迫感に襲われた。
「軍の規則なんか関係ない。ステラに何かするなら、私があなた達を…」
「マユ!…それ以上は言っちゃ駄目だ」
シンが制止する。
ハッとして、マユは口を塞ぐ。
「俺も同じ気持ちです。ステラは確かに連合のパイロットだったけど、無理矢理戦わされてただけだった。なら、助けます」
ステラのベッドの前に立ち、守るように行く手を阻んだ。
二人の決意と覚悟は、揺らがない。
NEXT MAYU IF...
この時間帯なら大丈夫かなと思い投下。
原作と変わらNEEEEEEE!
構成力が足りなくて歯がゆい…
>>212 いや、
>「マユ!…それ以上は言っちゃ駄目だ」
>シンが制止する。
この文があるだけで少なくとも原作より遥かにまし。
ちゃんとシンが自分達の行動に問題ありとわかってるGJ
自分たちが何をしているのかを、それがどういうことなのかを理解しているからこそ成長もできるさ
乙
マユifのマユはおとなしめに書かれてるから、逆ギレすると恐いな
元のシンは常にキレてたからあんま恐さ感じなかっただけか?
216 :
170:2006/01/14(土) 18:54:59 ID:???
マユIFお疲れ様です。自重するシンと普段大人しいのに、キレルと威圧感
があるマユがカッコいいです。
>>212 さん同様
>「マユ!…それ以上は言っちゃ駄目だ」
>シンが制止する。
があるとないでは大違い。これからも期待します。
ほのぼのマユデスの特徴の一つとして、『兄』属性キャラの多さが特徴にあげられる。
レイ、シン、スティングを筆頭に男性キャラのほとんどが兄属性を持っている。
と、いうわけで、作ってみた。
ttp://members.ld.infoseek.co.jp/rurukubo/cgi-bin/img-box/img20060114210456.jpg 主人公はマユ、ステラ、ミーア、メイリンから選べる!それぞれの主人公によって各キャラの落としやすさが変わる!!
ちなみにルナマリアは姉属性なので主人公にはなれませんでした。なのでフカヒレポジです。よーするに友達ポジです。
攻略キャラはシンハロ、レイ、アスラン、ハイネの他にアウル、スティング、ゲン、それにハイネ隊が攻略できる!
残念ながらネオ、デュランダルは攻略できません。現在進行中の「ぱぱきす!」をお待ちください。
・・・・・はい、というわけで今回のコラはギャルゲーパロディです。
たまたま手に入れた画像がそれっぽかったので。
ここで書いていることは全部嘘です。「ぱぱきす!」も大嘘です。
それでは。
正直、画像きんもーww
糞ワロタwww
いつも笑わせてくださるネタをありがとう
>>211軍の規則を守る気がないなら軍をやめろと言いたい
こっからそれが問題になってくるんだろ この展開は明らかに
ひょっとしたらこの辺から兄妹の運命分岐するのかな
まとめ人様、他職人の方々、お疲れ様です。
人気のない夜中に、これまでのまとめをコソーリ投下。
……埋め立て待ちの旧スレとかがあれば、そこが一番適した投下先なんですがね。
番外編のゼロ話、まとめ書いているうちに18話と19話の間くらいが良い気がしてきました……まぁいいや。
第十三話『蒼い秋桜(コスモス)』 【ガルナハン解放 マユとミーアそれぞれに秘密の曝露】
とうとう連合軍の重要拠点、スエズ基地に到着したオーブ派遣艦隊一行。
しかしスエズ基地はブルーコスモスのナチュラル至上主義に染まっており、マユはトラブルに巻き込まれる。
そして対面したのは、ロード・ジブリール。マユはミーアに関する話を、洗いざらい聞き出されてしまう。
その頃、スエズから東北に離れた要所ガルナハンは、ミネルバの手によってザフトの支配下となっていた。
そこでアスランは、ミーア・キャンベルからマユ・セイランに関する話を聞き出して……。
第十四話『タンホイザーを討て!』 【ガルナハン再奪還 マユとコニール】
ガルナハン再奪還のため、侵入を試みるマユとアウル。彼らはそこで、レジスタンスの少女コニールと遭遇する。
心を通わしかけたマユたちだったが、街に駐留するオレンジショルダー隊と出くわし、マユは拘束されてしまう。
一方、攻撃を開始したオーブ軍とファントムペインの面々は、「タンホイザーゲート」の前に苦戦を強いられる。
だがギリギリ間に合ったアウルの破壊工作によって陽電子砲台は沈黙、要塞の突破にも成功。
マユはカガリたちに救出され、街も制圧して彼らは勝利を手にする。が、その直後、連合軍が……!
第十五話 『エクステンデッド』 【温泉♪ ロドニアのラボ ガイア撃墜】
ガルナハンの件で鬱に沈むオーブ軍は、ネオの提案で休暇を取り、温泉に行くことになった。
スパリゾートで一時のバカ騒ぎを楽しむ人々。笑い合い、そして決意を確かめ合う面々。
そんな中、スティングとアウルはロドニアのラボで再調整を受けていた。ヒマを持て余すステラ。
そんなラボに突如現われたのは、議長の意を受け、ラボのデータを奪いに来たミネルバだった。
後輩を引き連れ防衛戦に出るステラのガイア。激戦の中、ルナマリアのザクが倒れた時、シンに異変が……?
第十六話 『生命(いのち)の価値』 【アル・ダ・フラガの影 ステラ返還】
ロドニアのラボを制圧し、ステラを捕虜にしたミネルバの面々。だが、とある銅像を見たレイの様子が……?
施設を奪還するため、ミネルバに攻撃を仕掛けるオーブ軍とファントムペイン。
膠着した戦いの末、ミネルバは逃走。データの持ち出しに成功する。
助けたラボの中を覗き、ショックを受けるマユたち。ミネルバ艦内で、調べ物をするメイリンとアスラン。
やがて夜も更けた頃、レイが意外な行動を起こす。協力するルナマリア。その姿を見つけたシンは……?
第十七話 『破滅への船出』 【Dプラン スエズ沖海戦前夜 ロゴス糾弾】
地上に降りてきたデュランダル議長。彼はレイたちの犯した罪を不問としてしまう。なにやら策謀する議長。
先の任務の真意を議長に問い糾したアスランは、逆に議長から『デスティニープラン』の詳細を聞かされて……?
その頃、ミネルバにはハイネ隊の面々が赴任。ザフトのスエズ基地攻撃を前に、両陣営に緊張が高まる。
カガリとユウナ。ウナトとジブリール。キラとマリューとアンディ。マユとアウル。シンとルナ。それぞれの会話。
そしてスエズ沖で相対する両軍、しかし、まさにその時、デュランダル議長が『ロゴス』の名を……!
第十八話 『散りゆく生命(いのち)』 【カガリvsアスラン アウル・ルナ死亡 オーブ艦隊壊滅 スエズ陥落】
議長の演説に、動揺するオーブ・連合軍。しかしカガリは一喝してその動揺を吹き飛ばすと、自ら陣頭に立つ。
互角にぶつかりあう両軍。海中で圧倒的多数を相手に奮戦するアビス。ハイネ隊を前に苦戦するマユとスティング。
そんな中、戦い続けるカガリの前にアスランが現れる。彼は、彼女に戦う意味を問い、彼女を切り捨てるのだった。
カガリ撃墜、その機を逃さず決着をつけようと、ミネルバはタンホイザー発射準備に入る。狙われるタケミカズチ。
馬場隊の特攻でも止めきれず、放たれる陽電子砲の閃光。その惨劇を前に、マユは……!
第ゼロ話 『怒れる瞳』(番外編) 【3G強奪事件 紛争開始 アーモリーワン崩壊 ミネルバ出航】
宇宙難民受け入れのため、新規に建造されることになったL4コロニー群。その第一コロニー、アーモリーワン。
難民の本格的な受け入れを目前にし、大規模な式典が開かれようとしていた。
だが……来訪者に賑わうアーモリーワンで、突如事件が発生。3機の新型MSが強奪され、暴れだしたのだ。
成す術もなく倒されてゆくザフトのMSたち。そこに、インパルスを筆頭としたミネルバのMSが立ち向かう。
崩壊していくアーモリーワン。コロニーの残骸漂う空間で、インパルスは黒いストライクと対峙する――!
第十九話『凍てつく魂』 【コニール解放 ヨーロッパにザフト大進出 デストロイ登場】
ロゴスの存在の暴露、オーブ派遣艦隊の壊滅、そしてスエズ基地の陥落。世界は大きく動き出す。
ウナトは笑い、ユウナは怒って。コニール達は解放され、ミネルバの面々は失われたものの大きさを噛み締める。
ザフトはその戦線を広げ、ヨーロッパまで進出していたが……しかし、それはいささか調子に乗りすぎであった。
ザフト勢力圏、東欧の古い街。コンサートに来ていた「ラクス・クライン」一行は、恐るべき敵の襲撃を受ける。
恐ろしく巨大な、黒いMS・デストロイ。それを守るカオス、ウィンダム、そして……フリーダム!
第二十話『交差する刃』 【ベルリン戦 マリュー捕わる ハイネ死亡 ステラ死亡】
ヨーロッパを転戦するデストロイたち。甚大な被害を生む彼らを止めるため、ミネルバが急行する。
古都ベルリンにて、ぶつかり合う両陣営。街を破壊しながら、激しい戦闘を繰り広げる。
フリーダムを止めようとしたアスラン。しかしマユとシンの関係を知ってしまった彼は、動揺し、堕とされる。
ネオのウィンダムが落とされ、スティングのカオスが落とされ、ハイネのグフが落とされ……
双方に多くの被害が出る中、インパルスのシンはデストロイのステラに囁く。「俺が救ってやる」と……!
第二十壱話『終着点』 【フリーダムvsインパルス、決着】
連合の大軍に、再び制圧されたヨーロッパ。敵地に孤立したミネルバ。
救援の手を差し伸べられ、脱出を図る彼らの前に、ステラを水葬に伏したマユのフリーダムが立ち塞がる。
新型MA・ユークリッドの猛攻に傷ついてゆくミネルバ。インパルスとフリーダムの死闘。
揺れるミネルバ内、重傷を負っていたアスランは意識を取り戻して、叫ぶ。「お前たちは戦ってはいけない!」
だがアスランの叫びも虚しく、凍てつく海の上、ついに決着が――!
次回22話は、近いうちに投下できるかと思います。
ではまた。
225 :
通常の名無しさんの3倍:2006/01/15(日) 02:37:42 ID:/yLiaLZm
隻腕作者様
深夜の投下。お疲れ様です。
いよいよ展開が佳境に入りますね。
22話楽しみにしています。
がんばってください。
隻腕作者様まとめ乙です
あらすじ読んでたら一話から読み返したくなってきましたw
22話wktkしながら待ってます
隻腕作者様、まとめ乙です。
こうやってまとめられてるのをみるとコレから先への伏線がいっぱいあるんだなー、と実感しますな。
それらを回収し、物語が収束に向かう第三部、最終段階とも言えるコレからが楽しみです。
無理をせずマターリとガンがってくらさい。
隻腕DVDの発売マダー?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
>>222-224を見て、徹夜で第一話から全話読み返しちまったぜ、あぁー眠い…(´д`)
しかし改めて、これだけのクオリティを維持し続けつつ、
一定の間隔で作品を投下し続けられる隻腕作者殿の凄さを感じたよ
やっぱ職人達はすげぇや、今年もよろしくお願いしますm(__)m
隻腕のopにはヴェステージがいいと思う。種死曲の中では。
ダイジェストだけで何この感想の嵐
まあGJだけども
232 :
舞踏の人:2006/01/15(日) 18:27:47 ID:???
運命の舞踏8話投下しまっす
またまた長いですがご容赦を
セレネ移民船団の集結ポイントで勃発した、『レギオン』部隊とザフト軍の交戦開始より、遡ること約一時間前――
アガメムノン級ウィルソンを旗艦とした艦隊は、月のアルザッヘル基地を発ち
護衛部隊として派遣される予定の部隊の到着を待ち、月外周の宙域で待機していた。
安全な宙域に待機している状態ということもあり、
時折思い出したように微かな電子音と、通信士の声が流れるばかりの静かなブリッジ内。
出入口に近い、後方に据え置かれたオブザーバー席に座っているのは、穏やかな雰囲気纏う茶髪の青年。
膝の上に薄型のモバイルコンピューターを乗せ、液晶画面に視線を置きながら時折キーボードを叩いている。
中央の艦長席に着いている中年男性…ウィルソンの艦長は、そんな彼を横目で見やり、密やかにため息をつく。
全くもって理解できない。
こんな、士官学校出たばかりのヒヨっ子にしか見えない若造が、自分よりも上の地位にいることが。
彼を早急に地球へと送り届けるために、自分らが動かねばならないことを。そのような命令を下してきた上層部を。
そして、突然ブリッジを訪れ、暇だからここにいてもいい?などと言って居座り、仕事をしている彼の考えが。
最近の若者はいったいどうなってるのやらと、頭を痛めていた艦長の下に、報告が訪れる。
「艦長、シュヴァルツヴィント旗艦ケルビムより入電です。
…我、セレネ行きの移民船団からのSOSを確認。 火急の事態につき、現場へ急行する…との事です」
「む……ではこちらへ来ないというのか?」
合流される予定だった護衛部隊からの電文の内容に、艦長はあからさまに不快感を面に見せる。
こちらも急ぎの『送迎』だと言うのに、待ってなどいられない。 どうするべきかと思案しはじめたが
「あの、月司令部より入電が…
セレネ移民船団の合流予定宙域、ポイント67付近の艦隊は全て、船団の救援に向かわれたし、とのことです」
「なに…? それほど緊急のことなのか?」
続いて入ってきた司令部からの命に、唸る艦長。
当初の任務を後回しにしてでも、援軍として馳せるべきかと司令部に問おうかと考えていたのだが。
「向かってください、艦長。 民間船が襲われているんだ。僕ら軍人が守らなきゃいけないでしょ?」
それまでモバイルの画面へと落としていた視線を上げ、若き上官はそう言った。
「は……それでは、我が艦隊も向かわせていただきます。サマエル閣下」
送り届ける対象である賓客、ケイ・サマエル少将からの促しを得て、彼は救援へ向かう事を決定する。
艦長からの命を受け、にわかに慌しくなりはじめたブリッジの後方で、ケイは密やかに笑み作る。
「……全て予定通り。 頑張ってね、シュヴァルツヴィントの諸君?」
この時、この事態が訪れるのをわざわざブリッジで待ちわびていた青年は
喧騒の中、誰にも聞こえないような微かな声で呟いた。
そう、全ては彼と彼の主が描いたシナリオ通りの出来事。
特殊作戦軍が誇る部隊、シュヴァルツヴィントをわざわざ宇宙に呼びつけたのは、自分の護衛として使うためではなく。
元々、『予定』されていたセレネ移民船団への襲撃に立ち会わせ、
いくつかの役目を果たしてもらうために宇宙へ来させたのだ。
一つは、撮影班として。
ザフト所属のMSたちが移民船団を攻撃している様を、克明に記録してもらうための。
一つは、処理班として。
現場に駆けつける恐れのある、ザフト軍の手に『レギオン』搭載機を渡さないために。
あれには自分が開発し、エージェントに送り届けたコンピューターウィルス『グレムリン』が常駐している。
ザフト軍によって無人機が捕縛され『グレムリン』が解析されるような事態は、あってはいけないのだ。
自分たちが望む『戦争の理由』を得るためには、仕掛けを完璧に仕舞わねばならない。
…一応、保険として『グレムリン』には証拠隠滅の出来るような行動パターンをプログラムさせてあるのだが
万が一のことを考えて、それ以外の手立てとしてシュヴァルツヴィントを派遣した。
好戦的かつ義侠心溢れる気質の彼らの思考を考えれば、必ず全てをスクラップ以下に変えることだろうから…。
モバイルの液晶パネルを伏せると、その上に組み合わせた両手を置きながら、小さく息付く青年。
ここに至るまでの経緯は時間、タイミング、運…様々な点において綱渡りのようなスケジュールだった。
しかしそれも、ほぼ予定通りに運んだ。 もう、あと一押しを加えるだけで事は済むだろう。
その顔に浮かぶのは、一仕事終えた達成感を含んだ、晴れやかな微笑み。
最初の大仕事は終わった。 そして待ちかねていた本番が幕を開ける。
それは彼が望んでやまなかったもの。
自分が憎む世界を叩き潰すための、殺戮と破壊の葬送曲。
もうすぐ仕上がるその舞台で、自分は指揮棒を振るう。
――ああ、ようやく始められる。
僕から君を奪ったあいつらに、罰を与えよう。
生命を脅かされる恐怖を、大切なモノを奪われる絶望を、そして、死を。
待っててね、待っててねラクス。 君を慰めるための歌宴はこれからだよ。
――そして、時は戻り。
移民船団を攻撃する『レギオン』とミネルバ、ジュール隊で構成されたザフト軍MS部隊が交戦する最中。
混乱を極める宙域に、新たな勢力が乱入してきた。
20機のウィンダムと、2機のGタイプで構成された漆黒のMS部隊。
大西洋連合軍所属の識別を掲げるそれらは、『レギオン』の防衛部隊のいない反対側の宙域から船団に接近し
移民船団を取り囲み、攻撃を続けている部隊へと強襲する。
…彼らの動きは、実に迅速、かつ統率の行き届いたもので。
どれもが無人機1機に対し3機の、小隊単位で襲いかかっていく一対多数の安全策を取っていた。
そして、際立つのは作戦だけではなく、個人個人の技量も見事なもので。
ナチュラル用OSでは考えられない反応速度で相手の動きを追い、的確な射撃で行動を阻む。
2機のウィンダムに周囲を取り付かれ、放たれるビームを回避しきれずシールドで防ぎ続けるザク。
自分を取り囲む檻を作るかのように、向けられる火線から逃れようと逃げ回るそこへ
別のウィンダムが横合いから飛びかかり、ビームサーベルをコクピットに突き立て、破壊する。
そして、その機動停止を認めると、再び3機の編隊を組み新たな敵を求めて飛び立った。
『おいおいおいイザーク! なんかとんでもないお客さんが来ちまったぜぇ!!』
防衛部隊の陣を無理やり突破し、船団を攻撃する部隊のいる宙域まで移動し、
民間船へと銃を向けている無人機たちと交戦していたイザークたちの近くにも、彼らはやってくる。
宇宙の闇に紛れる黒の機械兵たちの姿を認めたディアッカは、ひどく驚いた様子で声を上げた。
『なッ、あいつら……シュヴァルツヴィントっ!!』
「どうしたんだ、二人とも。 知ってるのか?あの部隊を」
狼狽というよりは、怒りに近い響きの声を上げるイザークへと、アスランは問いかける。
突如現れた黒尽くめの部隊。 その鮮やかな手並みに興味が沸いて。
『連中とは、4ヶ月前に交戦したことがあってな…気に食わんが、侮れん連中だ』
『かんなり痛い目に合わされちまったんだよねェ、この俺たちが。
で、気になってあとで調べてみたところ……どうも構成メンバーの大半がコーディネーターらしいんだな』
『余計なことまで言わんでいい!!
俺たちと同じコーディネーターだというのに、連合軍に所属してるなんて…まったく、信じられん話だ!!』
返ってきた答えに聞き入りつつ、アスランは彼方に走るブースターとビームの軌跡を見ていた。
敵を捕らえこみ、翻弄しつつ確実な一撃で墜としていく見事な手際。
これだけの力量を個人のエースパイロットではなく、集団として有しているということは
コーディネーターで構成された部隊と考えれば、納得がいくものだった。
『お前ら! 俺たちも負けてられんぞ!!
あいつらばかりにやらせてなるものか! ザフトの意地を見せてやれ!!』
『はいよっ、さすがに部外者に全部持ってかれちゃあ面目潰れるもんねぇ』
彼らの動きを見て、いきり立ったように高らかに叫ぶイザークと、追随するディアッカの声を聞きながら
自分はもうザフトじゃないんだけどなぁ、などと呟いていたアスランの耳に、通信を知らせる電子音が届く。
スクリーン端に生まれた映像ウィンドウに映るは、ミネルバ艦長であるタリアの姿。
『こちらミネルバ。 ジュール隊長、大変なことになったわ。
たった今、軍本部から命令変更が来て…一機でいいから、本体を壊すことなくレギオンを捕縛するように、と。
そして、連合側の手に渡らないように、残りは全て完全に破壊しろとの事よ』
『なんだと!? なんだその無茶苦茶な命令は!! 本来の作戦に支障をきたすではないか!!』
『暴走事故の原因究明のためには、どうしても必要とのことよ。
それにもし、連合の手に渡ったりでもしたら軍事機密が漏洩する上に、今回の事故について難癖付けられかねないわ』
反論するイザークを落ち着かすように彼女は理由を語るが、自身も納得出来ても同意しかねるのか表情をしかめている。
なにしろ、手強い無人機相手に手加減して、AIを搭載したコクピット部分を潰さぬように持ち帰るという
難解かつ、生命の危険を伴う任務だ。
そのような危ないミッションを、部下にさせたくないというのは、当然の思いだったろう。
「…ともかく、やるしかないだろう。
なんとかして、上手く四肢を武装を奪えば抵抗は出来ない。そうすれば可能だ」
『うっはー、これまた随分と難易度上がったな!
でもま、俺らでやるっきゃないよなァ、コレは』
アスランの言葉に応えたディアッカは、悲嘆するように大げさに表情を変えてたが
しかしその眼光は、決意したかのように力強いもので。 にまり、と口の端に深い笑みを刻む。
イザークの方はといえば、不満や怒りといった感情が胸を渦巻いているのか、険しい顔つきのまま口を引き縛っていたが
やがて、自分の心を押さえ、整理をつけるようにぶるぶると頭を振ると、怒りをかみ殺した低い声で呟く。
『……仕方ない。 なるべくその要求に沿うようにしよう。
だが、先決なのは船団の安全の確保だ! 捕らえるのはあとでいい!! いくぞお前ら!!』
方針を定めた彼は、奮起するようにビームアックスを掲げ上げ、再び船団を襲う無人機たちの方へと駆け出す。
当座のところは船団を襲う部隊を一機でも多く潰し、被害を抑えてから捕獲任務に移るという彼の方針に
深い頷きで同意を示した二人もまた、彼の後を追って加速し始める。
ザフト軍や連合軍から派遣された救援部隊の奮戦により、『レギオン』の数は着実に減りつつあったが。
未だに半数以上…30機を超える無人機が残存し、今もなお軍と交戦しつつも、移民船団へ向ける攻撃の手を緩めない。
しかし、防衛部隊のいない方角から襲撃した、シュヴァルツヴィントの行動により船団を囲む包囲網に綻びが生じ
数機のウィンダムたちによって、事故の起きないよう順々に先導されながら、移民船は少しずつ宙域を脱出していく。
それまで窓に張り付き、外の惨状に悲鳴を上げていた搭乗客たちの間からも、少しずつ希望の声が上がり始める中
船の傍らを、守り警戒するように寄り添って走り抜けていくまばゆい閃光が一筋。
他のMSよりもより明るく太い、ブースターの軌跡を描いて宙を駆けるのは、翼持つ漆黒のGタイプだった。
「あれはっ…他所からこっちに回ってきたのか!!」
包囲網から逃れる船めがけて、彼方より飛来する数機のMSを見止め、ストライクmk−2を駆る少年、シンは声を上げる。
他の先導係と共に、船の守備に付いていた彼は敵機の来襲を防ぐべくその場を離れ、真っ向から立ち向かっていく。
背部に装着された、従来のストライカーパック『エール』よりも推進力を強化した『ストーム』のブースターを吹かし
まさに一陣の旋風を髣髴とさせる速度で、敵との距離を詰めていく。
それは現行の機体のスペックを越える、段違いの速度で。
それだけに中のパイロットにかかる反動も、とてつもないもので。
「くぅっ……ぅ! 落ちろぉぉッッ!!」
体内の血流を乱され一所に寄せられる不快感と、暗くなる視界に苦しみ、歯を食いしばりながらも、
敵機の接近に反応し、応戦の構えを取ろうとするゲイツへと、携えた対艦刀を肩口に向け振り下ろす。
紅色に輝くビームの刃を引く長大な剣は、相手の身体を袈裟に引き裂き、二つに分かつ。
僅かな沈黙とスパークの光を残して、それが爆散したのを見届けて
シンは少し離れた場所で足を止めている無人機めがけて、再び突進する。
迫るシンに対し、相手であるゲイツは距離を開けようとこちらを正面に捉えたまま後退していく。
加速して追えばすぐさま取り付けるだろうが、先ほどのブラックアウト寸前の負担が響いて、それもままならない。
頭部に感じる不快感に顔を歪めるシンは、やむなく牽制を試みる。
手にした対艦刀を逆手に返し、柄部分に内蔵されたビーム砲を構え、敵に向けて放つ。
相手の後退する先にあるデフリへ着弾させ、衝撃で一瞬動きを止めた隙に肉薄する。
「もらったぁッッ!!」
横薙ぎに、一閃。 狙い澄ました一振りは頭のすぐ下、胸部の一部を両腕ごと切断した。
切り離された上胸部と腕は間もなく爆発し、武装を完全に失った相手を見て、小さく安堵の息をつくシン。
敵を無力化出来たと思い、彼は気を緩めてしまった――だから、その先の出来事に反応しきれなかった。
胴と脚部だけで、身動き一つせずに空間を漂っていたゲイツ。
それがおもむろにバーニアを吹かせ、移動を開始し始める。
その方向は自分を破壊したストライクmk−2の方とは、全く見当違いのもので。
バーニアが暴走したのか?とシンは最初に考えたのだが……
上半身の一部を失った影響でバランスを狂わせ、迷走しながらも向かっていく先に見えたのは
部隊の仲間たちの手によって、新たに開かれた包囲網の穴から抜け出してきた、一隻の小型移民船。
そこでようやっと、シンは相手の思惑に気付き、戦慄を覚えた瞬間。
戦う術を失ったゲイツは『群』の使命を果たすべく、己が身を弾頭へと変え…!
目の前で、欠けた人形が弾ける。
船へと吸い寄せられるように接近し、その外壁もろとも爆発を伴って。
ヘルメットのバイザーを突き抜け、シンの瞳に投げかけられる、一瞬の輝き。
爆発の衝撃を受けてか、ぐらりと大きく進路を揺るがせる船を目の当たりにしながら、少年は慄き震える。
「…そ、そんっ…な………ぁああああああぁぁっっ!!!」
震える口元から迸った、絶叫。
完璧にトドメを刺さなかった自分の失態に。外壁に開けられた空洞から破れていくように、崩壊していく移民船に。
惨状を目の当たりにして、脳裏に甦った悪夢の光景。 煤けた空、視界埋め尽くす瓦礫、散乱する人間の残骸に。
少年は怯えるようにガクガクと身体を震わせながら、頭を抱え込み叫ぶ。
守れなかった、またもや守れなかったと。 胸中で繰り返すコトバは、自身の心をさいなみ、追い詰める。
『なにやってやがる! シンっっ!!!』
――それは闇を裂く閃光のように、少年を包む悲観思考の檻を断ち切った怒声。
聞きなれた男の声を耳にし、シンは伏せていた顔を跳ね上げる。
それとほぼ同時に、少し離れた横手で生じる爆発。 ビームに穿たれ、砕け散るジンの姿が見える。
恐らくは先ほどの声の主…父親であり部隊長であるラガーシュが乗る、ウィンダムの攻撃によるものだろう。
小刻みに、速く荒れた息のまま、その爆発をぼうと見ていた少年へと、声は再び飛んでくる。
『落ち着け! 動転すんなこの阿呆が!!
手前の不手際で起きた結果に泣き喚く前に、少しでもあがけ!
目ぇ開けてしっかり見ろ! 何もまだ、終わっちゃいねえぞ!!』
粗雑な口調の叱咤が鼓膜を激しく揺さぶり、精神的なショックに朦朧としていた少年の心を現実に引き戻す。
大きく見開かれた真紅の瞳に飛び込んできたのは、視界を埋め尽くす何隻もの船の外壁。
仲間たちが突破した包囲網から、次々と脱出していく移民船団の姿だった。
目の前を流れるように過ぎ行く船体。 その窓から窺える、恐怖に色失った人々の顔、悲嘆に歪む表情。
――自分の失敗に嘆き悲しんでいる間にも、悲劇的な事態は現在進行形で。
手を休めている暇など、一瞬たりとも無いことに気付く。
『…お前一人の手で、全てを守れると思うな。
守れなかったことを嘆くよりも先に、より多くの者を守るために一撃でも多く剣を振るえ』
「……ごめん、親父………ありがとう」
先ほどまでとは異なり、幾分和らいだ声で綴られた父親の言葉を、胸の奥に仕舞い込むように大きく息を吸ってから
シンは小さく掠れた声で、感謝の言葉を口にした。
その目の縁は微かに濡れているが、宿る眼光には少しずつながらも確実に意志が戻ってきている。
『シン、まずは複数で協力し周辺宙域を掃討、脱出する移民船団の安全を確保しろ。
いいか? 自分の手に余ることを望むな。 出来ることをやれ』
「了解!」
そう告げると通信を切り、ラガーシュのウィンダムはストライクmk−2の側を離れ、飛び去っていく。
恐らく、他の箇所でも繰り広げられているであろう、船団の包囲を破るための戦闘に加勢しに行くのだろう。
安全な場所に留まることなく、駆け回る指揮官の後姿を少しの間見送っていたシンは
新たに他方から接近してくる無人機たちの存在に気付き、そちらへと向き直る。
ごめんなさい、ごめんなさいと―― 目の前で破壊された船にいたであろう名も知らぬ人々に深く詫びながら
一人でも多くの人を守ると―― 固い決心を胸にしながら、少年兵は再び閃光の刃を抜き放つ。
ザフト軍と連合軍による二方面からの挟撃――図らずもそうなったのだが、不利かつ複雑な方向に戦局が変化したため
当初、有利かと思われた『レギオン』は戦力を半分にまで削がれ、作戦の遂行も滞り始める。
狙いである移民船団を包囲する部隊も、敵へと差し向けた迎撃部隊が次々と落とされていったため、
一部の戦力を割いて、迎撃行動へと回らざるおえない状況となっている。
当初は、船の行く手を煽ることで船同士を衝突させ、破壊させるという作戦に出ていた『レギオン』
そのような間接的な作戦を取る理由としては、残弾やエネルギーの問題があった。
…そも、遥か遠くプラント防衛圏から軌道上まで移動した彼らは
消耗を抑えるべく巡航モードで移動したものも、積載した予備バッテリーを含めてエネルギー残量は少なくなっていた。
ゆえに消耗を避け、船同士を衝突させるという消極的な方法を取っていたのだ
しかし、戦力の格差が縮まり、切迫していく戦況下。
更に、包囲が破れつつあることによって、船同士の密度は徐々に低くなっており、
今までの、船同士の衝突を誘発させる戦法はもはや通用しなくなっている。
悠長に構えていられなくなった『レギオン』は、消耗を抑えるものから、より積極的なものへと戦法を変更する。
――このままでは全滅も遠くない事態。 ならばせめて一隻でも多くの船を墜とし、道連れとせん。
それが電脳兵士が弾き出した、任務の達成度を上げるための作戦だった。
船団へと、シールド内蔵のビームクローを構えたゲイツが突撃し、ザクウォーリアもビーム突撃銃を携え接近する。
暗い宇宙空間に稲妻が如く走る閃光と、船全体を揺るがす衝撃に人々が悲鳴を上げる中
攻撃を仕掛けている無人機のすぐ目の前を、ザフト軍識別を示す緑のブレイズザクが駆け抜ける。
往き過ぎた瞬間、途絶える船団への火線。
直後、無人機たちの手にしていた携帯火器の銃身が二つに分断され、暴発する。
武器を失う突然のアクシデントに対応できず、動作と思考を止めているそれらから少し離れた場所で
緑のブレイズザクは、手にした長大な槍斧を再び構え直す。
10秒満たぬ空白を置き、再び動きを見せる『レギオン』たち。
当面の攻撃対象を移民船団から目の前のザクへと変更し、それに沿って行動を開始する。
こちらへと向かって接近してくる3機の無人機を――まるで待っていたかのように
睨み合うように動かなかったブレイズザクもまた、彼らに背を向けて加速していく。
背を見せて逃げる一機のザクを追い詰めるべく、飛行する無人機たちは徐々に船団から遠下がっていく。
『――よおっし、バッチシよアゼル!!』
ブレイズザクのコクピット内に響いた、気合篭もる少女の声。
それを皮切りに、無人機の群の横合いから飛んできた太いビームの奔流。
一撃、二撃と。 短い間を置いて放たれたオルトロスの光流に、
あるいは上半身を抉り取られ、あるいは動力部を撃ち抜かれ爆散し、2機の無人機が撃破される。
そして残された1機のゲイツは、急旋回し詰め寄ってきた追跡対象が携える
ビームハルバードの鋭い一閃によって、頭部から縦真っ二つに両断された。
「…もう、どのぐらい倒したかな?」
ふ、と小さく息をついて緊張を緩めた緑服の少年は、同僚である狙撃手
離れた場所で、壊れた戦艦の艦橋ブロックを足場にして狙撃体制を取っていた、赤いガナーザクに向かって問う。
『さぁねー。 こっちだけじゃなくて、連合側の撃破数もあるからね。正確には分かんないわ。
デブリも増えるばかりだし、レーダーも当てにならないっぽいわよ』
「そっか。 …とりあえず、この近辺にはもういないみたい。
次のポイントを探そう、ルナ」
『オッケー! やっぱやりやすいわ、フォワードに敵引っ張ってもらった方が。
私のオルトロスだと、貫通弾が船団に当たりかねないからね』
「でも、僕にまで当てないでね?
さっきの二射目、近かったからちょっと焦った」
『ちょっとちょっと〜〜! 私の射撃成績は覚えてるでしょ?
万が一当たったとしても、装甲を軽ーくあぶるぐらいだろうから、大丈夫よ!』
「……不安だなぁ」
敵を牽制し船団から引き離す前衛と、それを追う敵を狙撃する後衛という分担する作戦を立てたアゼルとルナマリア。
それが上手くいった事に喜びを示し、軽口を言い合いながら彼らは移動を開始する。 次なる敵の姿を求めて。
ザフト軍と連合軍の共同戦線を前に、ついには残すところ20機ほどまで追い詰められた『レギオン』――
更に劣勢に追い込まれた彼らは、再び命令の優先順位を変更する。
『各機へ通達!
移民船団から寄せられた報告により、『レギオン』全機が船団への攻撃を停止したことが判明しました。
船団の安全は確保されましたので、これより『レギオン』の掃討及び捕縛任務に就いてください!』
「…船団の心配をしなくてもいいということか。 了解した」
母艦であるミネルバから発信された、メイリンの言葉を聞いたレイはそう呟いて
眼前に立つジンを見据えながら、肩部シールドから引き抜いたビームトマホークを構える。
相手もその挙動に気付いており、対抗するように重突撃機銃の銃口をこちらへと向けてくる。
が、互いが互いの動きを警戒しているせいもあり、双方動き出せずにいる。
命無き機械とはいえ、戦力が激減している今、思考ルーチンも慎重なものと化してきているのか。
そう考えつつ攻めあぐねていたレイだったが、ふと後方にいる友軍機の存在に気付き、通信を送る。
「こちらミネルバ所属、レイ・ザ・バレルです。
これより『レギオン』捕縛を試みますので、手を貸して頂けますか?」
『了解した! 射撃で援護すればいいな?』
「その方向でお願いします。 こちらが懐に飛び込み、敵の武装を無力化させます」
ジュール隊所属を示すゲイツRのパイロットと、短い言葉のやり取りで作戦を立てる。
ゲイツRから放たれたレールガンがジンの脇の空間を抜けると同時に
薄紫のアクセントを施した真白のザクが、両肩のブースターを最高出力まで高め、疾る。
ジンの右手側を走り、すれ違いざまに重斬刀を持つ右腕をビームトマホークで切り落とし
そのまま、自らの高機動性を生かした鋭いターン。そして再加速。
ツバメ返しを連想させる鮮やかな動作をジンの背後で行った白のザクファントムは
ジンが左手に携えるビーム突撃銃を戦斧で破壊し、その手もろとも爆発させる。
とりあえず、目に見える武装は全て破壊した。
それを確認したレイは、傍らに寄せてきたゲイツRにジンの捕獲と艦への持ち帰りを頼もうと、口を開いたその時。
武器と、扱うための両腕を失い立ち尽くしていたジンが突然、加速し迫り来る。
突然の行動に、とっさの反射で飛び退いたレイのザクファントムの横をすり抜けて
近くにいたジュール隊所属のゲイツRへと、全身をもってして体当たりした。
次の瞬間、巻き起こる大きな爆発。
シールドをかざしながら、眼焼く輝きに顔をしかめていたレイの視界に入ったのは、残骸だけが四散する空間。
「ただの爆発じゃない…これは…
『レギオン』には自爆機能が備わっているということかっ!」
少しでも反応が遅れていれば、自分がそうなっていたであろう事態に、額に汗の玉浮かべながら呻いた少年。
彼はその目でしかと見ていた。 ゲイツRへ肉薄したジンが、衝突する前に自ら爆発した光景を。
やがて、無表情がちな白面に忌まわしげな表情を浮かべる。
――捕獲任務なぞ、遂行できるはずがないのだ。 相手が自爆という手段に出れば。
その命を下した上層部は、果たして自爆機能の存在に気付いていないのか…それとも知りながら無理を言うのか。
秀麗な容貌を歪めながら、レイは小さく唸った。
レイが任務の危険性に気付いたその頃、各地でも同様の行動が続発していた。
ある者は弾を撃ち尽くし、ある者は四肢や武装を破壊され
戦闘能力を失った『レギオン』は皆一様に、近くの船やMSへと向けて特攻し、自爆する。
かくして、上層部から下された『捕獲命令』に縛られたザフト軍は、その被害を受け、更に数
とりあえず、目に見える武装は全て破壊した。
それを確認したレイは、傍らに寄せてきたゲイツRにジンの捕獲と艦への持ち帰りを頼もうと、口を開いたその時。
武器と、扱うための両腕を失い立ち尽くしていたジンが突然、加速し迫り来る。
突然の行動に、とっさの反射で飛び退いたレイのザクファントムの横をすり抜けて
近くにいたジュール隊所属のゲイツRへと、全身をもってして体当たりした。
次の瞬間、巻き起こる大きな爆発。
シールドをかざしながら、眼焼く輝きに顔をしかめていたレイの視界に入ったのは、残骸だけが四散する空間。
「ただの爆発じゃない…これは…
『レギオン』には自爆機能が備わっているということかっ!」
少しでも反応が遅れていれば、自分がそうなっていたであろう事態に、額に汗の玉浮かべながら呻いた少年。
彼はその目でしかと見ていた。 ゲイツRへ肉薄したジンが、衝突する前に自ら爆発した光景を。
やがて、無表情がちな白面に忌まわしげな表情を浮かべる。
――捕獲任務なぞ、遂行できるはずがないのだ。 相手が自爆という手段に出れば。
その命を下した上層部は、果たして自爆機能の存在に気付いていないのか…それとも知りながら無理を言うのか。
秀麗な容貌を歪めながら、レイは小さく唸った。
レイが任務の危険性に気付いたその頃、各地でも同様の行動が続発していた。
ある者は弾を撃ち尽くし、ある者は四肢や武装を破壊され
戦闘能力を失った『レギオン』は皆一様に、近くの船やMSへと向けて特攻し、自爆する。
かくして、上層部から下された『捕獲命令』に縛られたザフト軍は、その被害を受け、更に数を失う結果となった。
レイからの報告を受け、悔しげに顔をしかめさせたタリアは、MS部隊全機へと通信を送る。
「全員に告ぐ。相手が自爆する以上、捕獲は不可能だわ。
せめて連合軍側の手に渡らないよう、『レギオン』の完全破壊を優先するように」
…その言葉を、マユは一箇所に集結していた無人機部隊へと静かに接近しながら、聞いていた。
情けないことだが、自分の経験の浅さを考えれば非常に困難だと思っていた
捕獲命令が撤回された事に、安堵を覚えていた少女。
命令の縛りが一つ無くなったところで、さぁ目の前の部隊をどう攻めるべきかと考えていたが
ふと、その部隊が移動を開始し始めたことに気付く。
その行く先は船団からも討伐部隊からも離れた、地球方面。
「にげ…てるのかな?」
こちらに背を向ける形で離れていく無人機たちを、マユは不思議そうな顔で見やっていたが…
ぞくり、と。 悪寒にも似た緊張が背筋に走る。
戦闘宙域から離れていく6機の部隊、その行く手をピックアップし、映像の拡大率を上げていく。
「っ…船! まだ集結完了してなかったの!?」
ウィンドウの中に映る拡大映像には、地球から上がってきて間もないと思われる、数隻の移民船の姿があった。
それはパナマから打ち上げられた直後に、襲撃の報を受けたものも
一旦、マスドライバーで打ち上げられては戻ることも出来ず、宇宙に上がらざるおえなかった最後の便だった。
――あの移動していく部隊は、敵のいない位置にいるあの船たちを攻撃する気だ。
彼らの意図を読んだ少女は、ためらうことなくインパルスを加速させ、部隊の追跡を開始した。
「やらせないっ…!!」
先ほどまでの慎重さを投げ捨て、多数の敵がいる場所へと駆け寄っていく彼女は
もうこれ以上、戦争で人を死なせたくないという――使命感にも似た思いに衝き動かされていた。
接近してくるインパルスを察知してか、敵部隊のうち3機が転進し、こちらに向かってくる。
先鋒を行くジンが振りかぶってきた重斬刀を、インパルスは手にしたシールドで受け止め
そのままの状態でバックパックの大型ブースターを激しく吹かし
シールドで押しのけるような形でジンの体勢を崩させ、その胴へとビームサーベルの一撃を打ち込む。
両断したジンの爆発から身を引いたところで、背後に敵機が接近してきたことを報せるアラームが鳴り響く。
暇を与えず、断続的に襲いかかって来る相手に辟易しながら
背後から迫り来る、新たなジンへと振り向いた次の瞬間、思いもよらぬことが起きる。
相手の重斬刀とインパルスのビームサーベルが接触する寸前、
ジンは突如横合いから放たれたビームに撃たれる。
それは彼女の味方からではなく…同じくインパルスへと迫ってきていたゲイツから放たれたものだった。
胴に直撃弾を受け撃破されたジンの爆発を、至近距離で見舞われたインパルスは
反動で吹き飛ばされ、二転三転ときりきり舞いになる。
「きゃあああっっ!!!」
激しく揺さぶられるコクピットの中で、少女の悲鳴がこだまする。
パイロットスーツを着て、シートに身体を固定させているとはいえども
予期せぬその大きな衝撃は、小柄な少女の意識を失神まで陥らせる。
少し遅れて、自動的に発動した姿勢制御システムによってなんとかインパルスの回転は止まるものも
ぐったりと慣性のままに浮かぶ、無防備な体勢。
そんなインパルスへと、慈悲持たぬゲイツはコクピット部分を狙いライフルの銃口を向ける。
シートの上でぐったりと倒れこんでいるマユ。動かぬインパルス。 続く彼女の死は、目に見えていたのだが
ゲイツの背後の空間。 満天の星輝く宇宙空間が、真っ黒い人型にくりぬかれる。
ビクリ、と突然背を反らし硬直するゲイツ。
その腹部から伸びるのは、鮮やかな紅の光で作られた切っ先。
背後から突き立てられたビームの刃が、引き抜かれることなく真横に払われ、ゲイツの腹部に大きな亀裂を刻み付ける。
やがて、亀裂からへしゃげるように砕けていったゲイツの残骸の向こうに、黒いMSの姿が見えてくる。
意識を取り戻したものも、先ほどの衝撃のダメージから立ち直りきれてないのか、虚ろな様子の少女。
ぐったりとシートに身を預けている彼女の耳に、何処からかの通信の声が入ってくる。
『――…じか…っ………ザフトのパイロット……ッ』
誰を呼ぶのか。ザフト所属のパイロットなんてここには大勢いるというのに。
ぼんやりとした思考で、彼女はその言葉を他人事のように聞いていたのだが…
突然、雷光のように頭を駆け抜けた閃きに、目を見開き飛び起きる。
――そう、私はこの声を知っている…それは、もう聞くことも出来ないはずの……!
『…おい、無事なのか?! 応答してくれ!!』
見れば、眼前のモニターに映る、真っ黒いMSの姿。
まるで人が心配して、顔を覗き込むかのようにこちらを見ている。
その顔は、インパルスや強奪された新型機と酷似した、特徴的な面差しで。
マユはようやっと気付く。かのMSがインパルスを引き止めるように肩を掴んできていることに。
大方、反動で流れていくままの自分を止めてくれたのだろう……だが、そんなことよりも。
ぼんやりとしていた意識を叩き起こした、もっと重要な事柄。
それは、接触回線で呼びかけてくる相手の声が、死んだ兄とそっくりの声だということ。
「ぇ……う、うそ……その声、おにい…ちゃん?
うそ! お兄ちゃん!? シンお兄ちゃんなのっ!!?」
最初は、信じられないとばかりに呆然と呟いていた彼女だったが
きっと兄に違いないと信じ、相手に向けての通信ボタンを押しながら、身を乗り出し大きな声を上げる。
だが、彼女の必死な声が向こうに伝わることはなかった。
新手のゲイツが姿を現し、二機めがけてビームを撃ってくる。
それにいち早く気付いた黒いMSはインパルスを後ろへ押しやり、パッとそちらへ飛びかかっていく。
離れた互いの手。 彼女が通信を開く直前に、接触通信の回線が途切れる結果となった。
もはや自分の方を顧みることもなく、携えた対艦刀をもってしてゲイツと対峙する黒いMS…
ストライクmk−2の背を凝視しながら、マユは震える口元で呟く。
「お兄ちゃん…ねえ、違うの…? なんで…なんでこんなとこに……」
少女の掠れた弱々しい声は、踊るように無人機たちと刃交える漆黒のガンダムには、もう届かない。
今にも泣き出しそうな表情のまま、動き出せずにいるマユ。 その元に、母艦からの通信が来る。
『――インパルス、至急ミネルバに帰投して下さい。
本艦はこれより…『レギオン』を追って大気圏へ突入します!』
セレネ移民船団の合流ポイントである宙域に、姿を見せる五隻の連合軍艦艇。
月司令部からの命を受け、移民船団の救助に駆けつけた『ウィルソン』とその僚艦らだ。
60機の無人機が移民船団を襲撃したのが、この事件の始まりだったが…
現在はミネルバ、ジュール隊のザフト軍、そして地球連合軍特殊部隊シュヴァルツヴィントの迅速な行動によって
敵部隊を残すところあと5機という状況にまで押さえ込んでいた。
しかし、ここに至るまでに起きた船団の被害は甚大なものだった。
今回の移民計画で、新造月都市セレネへと移住する予定だった人間の数は約15万人。
それらを乗せた船団の、半数以上が暴走した『レギオン』によって沈められたのだ。
犠牲者は控えめに見積もっても、8万人を超えているであろうと予想されていた。
――その事件の元凶は、ザフト軍が極秘裏に開発し、実験を行っていた『レギオン』システムで。
これほど凄惨な死亡事件を起こしたプラントに、世界中の人間から激しい非難が向けられることは目に見えていた。
「……酷い状況だね」
船の残骸と人間の遺骸に溢れかえるデブリの海を目の前に、ウィルソンのブリッジクルー全員が言葉を失ってる中
後方座席に座る一人の青年が、柳眉をひそめながら悲しげに呟く。
――心中では、目の前の結果にほくそ笑みながら。
この事件を企てたのは、他でもない彼、ケイ・サマエル少将だった。
計画の立案だけではない。 直接的に工作を行ったわけではないものも
『レギオン』を狂わせ、船団を襲撃させる命令を書き込むためのプログラム『グレムリン』を製作した本人でもあった。
プラントを陥れるために立てられた、この計画の全容を知るものは彼と彼の主を含め、片手で数えるほどもいない。
作戦の結果は成功……いや、予想していた以上の数の船団を沈めていた。
これもまた、彼の望みに叶っていた。
人が死ねば死ぬほど、それに連なる家族や友人といった人々は
プラントに対して憎悪を抱き、自分たち戦争を望む者へと順風を送ってくれるのだから。
ここまで進めば、もう自分の役目は終わり。
命持たぬ功労者たちも、既に駆逐されたことだろう……
「………あれ?」
ふと、宙域の一点に視線を向けて、青年は小さく不審げな声を零す。
見れば、未だにビームの光が飛び交っている場所がある。 交戦はまだ、続いていたのだ。
悲しみにひそめられていた表情は、そのまま微かな憤りを含んだものへと変わる。
せっかく、シュヴァルツヴィントを呼びつけてまで後処理の準備をしていたというのに、暴走機体はまだ残っていた。
彼らの怠慢か、あるいは『レギオン』のスペックがこちらの予想を上回っていたのか。
ゆるりと余裕に構えていたケイの心中に、僅かな焦りが生まれる。
あれらには、任務を終えたら早々に消えてもらわねばならないのだ。 万が一、回収されては全てが水泡に帰すのだから。
もしも、自分が仕掛けたウィルスプログラムの存在を気付かれたら、求めていた完璧な戦争理由を得ることが出来ない…。
仕方ない、と。 小さくため息をついた彼は、膝の上に置いていたモバイルを開き、操作し始める。
タタン、トタタンと、素早くもピアノを奏じるような優雅さで、キーボードの上で両手の指を躍らせる。
締めくくるように、大仰にキーの一つを強く叩く。
それと共に、周辺で騒がしくやり取りが行われている国際共通の救難用通信チャンネルに一瞬、耳障りな高音が紛れ込んだ。
周囲の人間は全て、救援活動や無人機への攻撃に集中していたため気付かなかったであろうそれ。
例え気付いたとしても、ただのノイズにしか認識されないだろうが…それはケイの下した『命令』だった。
彼の生み出したノイズは『レギオン』たちに伝わり、暗号として解読される。
…いや、正確にはそれを乗っ取る『グレムリン』へと。
その音は『グレムリン』への命令コード。 それを認識した『グレムリン』は命令内容を指定通りに書き換える。
僅かばかりの間を置いて。 討伐部隊に抵抗していた無人部隊は突如戦闘を中止し、逃走を開始し始めた。
その唐突な動きに、交戦していた部隊の反応は遅れ、追跡を開始するまでにかなりの距離を開かれる。
今まで襲っていた移民船団に背を向け、彼らが向かう先に見えるは、虚空に浮かぶ蒼い惑星。
――『レギオン』が地球に向かっている、との報告を受けたザフト軍上層部は、騒然としていた。
『レギオン』搭載機の回収または全てを破壊することによる隠蔽が、彼らの目的だったのだが
地球に逃げ込むような素振りの無人機たちを見て、慌てふためく。
逃走中の無人MS、5機のうち4機は型遅れの機体で、大気圏突入にはまず耐えられないのだが
残り1機は、スペック上では大気圏突入が可能なザクウォーリアだった。
これが問題だった。 もし、突入し燃え尽きなければ『レギオン』を連合側に回収される恐れがある。
これまで撃破された部隊はよかった。
破損しても動く危険性のある無人機を、最初に駆けつけた連合部隊は念入りに破壊していたから。
しかし、『レギオン』がもしも地球に逃げ込んだりでもしたら…
自分の庭先に落ちてきたそれを、連合がみすみす見逃すとは到底思えなかった。
あれを連合側に回収されるわけにはいかない。そして、原因究明のために、こちら側は一機でも回収しなければならない。
緊迫した状況下で、話し合いが行われる。 いかなる方法なら、この任務を遂行できるか。
その末、出された一つの案――それが可能な戦艦は、ここに集まっている中にただ一隻。
意見がまとまったところで、艦隊司令が通信オペレーターへと告げる。
「ミネルバに通達!
これより、地球へ逃走する『レギオン』を追って大気圏突入し、回収任務に当たるようにと!」
「…突然すぎます! 何の準備もなしに、我々にあれを追いかけろだなんて…」
『貴艦しかおらんのだよ。この宙域で、大気圏突入が可能な戦艦は。
我らザフトの命運と沽券が関わる、非常に重大な特務だ。 やり遂げてみせろ』
ミネルバ艦長、タリアの反論も全く聞き入れず、艦隊司令は一方的に任務を伝え、回線を閉ざす。
困惑と苛立ちの表情を浮かべたまま立ち尽くしていた彼女は、深いため息と共に身を投げ出すように席に着く。
「何を考えてるのかしら…この艦には国賓を乗せているというのに!」
「艦長、私のことは気にしないでくれ。 ザフトとしてはあれをどうしても回収したいのだろう?
この惨劇の原因を究明するためには、必要だということは理解している。気にせず、任務に赴いてくれ」
不機嫌さを隠せない様子で、固く眼閉じている艦長へと、後ろの席に座るカガリは労わるように声をかける。
「…ありがとうございます、代表」
彼女の配慮ある言葉を前に、心労露わにした表情のまま、タリアは微かに笑みを浮かべながら頭を下げる。
その言葉を受けた相手もまた、活気のない笑顔を見せながら口を開いた。
「このような事態になって、無力な上に足手纏いになるのは嫌だからな…」
追撃の特務を受けたミネルバ隊は、タリアの指示の元、戦線を離脱し地球方面へと向かう。
前線で戦うMS部隊については、道すがら収容していく算段を立て、その旨をMS各機へと伝える。
クルーに対する指示を終えたタリア。 彼女の元に、困惑した表情の添えられたメイリンからの報告が届く。
「あの…艦長、艦隊司令より通達です。
インパルスは大気圏突入の際、ミネルバ後部甲板に待機せよ、と……
降下終了後、迅速に『レギオン』搭載機の回収を行わせるためとの事ですが…」
「ええっ?! そんな無茶な!!
いくらインパルスのスペックでも、パイロットの負担は大きいですよ!!」
言いづらそうに歯切れ悪く伝えられた言葉に、真っ先に声を上げたのは副長のアーサー。大仰な驚きの形相と共に。
続くようにカガリもまた、席を立ちながら抗議を口にする。
「無理だ艦長! あんな子どもに、そのような危険な任務をやらせるなどっ…!!」
「仕方ありません代表! これは命令なのです」
遮るようにピシャリと発されたタリアの声。 カガリは怯むことなく、更に反論しようと口を開きかけたが
正面モニターを睨みすえるその険しい横顔、食いしばられた口元。
艦長席の肘置きの上で、色失くすほど固く固く握られた拳に気付き、ハッとする。
彼女もまた、命令と己の良心の狭間で、悩み苦しんでいるのだ。
「それに…お忘れにならないでください。 彼女、マユ・アスカは幼くもザフトレッドなのです。
赤服を纏う者は、兵士たちの先頭となり、彼らを守りながら誰よりも戦う義務があります。
どうか、信じてあげてください…少女ではなく、一人の戦士として」
「……分かった。
すまない、タリア艦長。 外部の者が口出しするような問題ではなかったな」
腹の底から搾り出されたような、悲痛さ秘めた低い声を聞きながら、
カガリはうな垂れ、自らの軽率な考えと発言を恥じていた。
無言のまま、タリアは会釈のみで彼女の言葉に応えてから、メイリンへと再び指示の伝達を始める。
『ミネルバ所属MS各機に通達。
これよりミネルバは、地球方面へと逃走する暴走部隊を追跡する任に就きます。
地球降下を行う可能性が高いので、MS部隊はただちに帰艦してください…――』
少女オペレーターの告げる連絡事項を耳にしたアスランは、足を止めて後ろのミネルバの方へと振り向く。
徐々に大きくなっていく艦影に、他所で船の誘導作業に参加していたレイたちのザクが寄り添っている姿を見る。
これから自分が追おうとしていた部隊を追って、ミネルバは征くのだろうとアスランは推測した。
彼と同じく、逃走した部隊を追っていたイザークとディアッカもまた、足を止める。
『イザーク、戻ろうぜ。
さすがに俺らじゃもう追えない。 一緒に大気圏突入して、蒸し焼きになるわけにはいかないぜ?』
『っ… いちいち言わんでも分かっている!
悔しいが、ここから先はお前たちに任せるしかないな、アスラン』
『っちゅーわけで、俺らはここまでっ。
じゃあな、アスラン! 今度プラントに来ることがあったら、俺たちに連絡しろよー?』
『…ディアッカの言うとおりだ。 貴様には言うべきことが山ほどあるからな。
それに、プラントに来たのだったら一度ぐらい隊の皆のところへ挨拶に来んか! この無礼者が!!』
随伴していた青と緑のザクは、喧しく言い立てながら反転し、船団のいる宙域へと引き返し始める。
そんな、かつての同僚二人を見送りながら、アスランはどこか懐かしむように目を細めながら、微かに笑む。
「ああ、分かった。 今度は必ず連絡する。
挨拶にも、必ず行くよ……二人とも、元気でな」
そう伝えてから通信を切り、彼もまたミネルバに収容されるためにそちらへ向かい進みだす。
「……うん?」
救援活動で騒々しいウィルソンの艦橋で、退屈そうにそれらを眺めていたケイは、ふと怪訝そうに首を傾げる。
シートに据え置かれたコンソールを操作し、傍に設置された小型モニターに、外部の映像を映し出す。
即席デブリの海にひしめく、救助活動中の戦艦の群から離れ、ただ一隻地球へと向かう船の姿をピックアップし
拡大映像でその詳細な姿を確認した彼は、口元に手を当てながらふむと息を漏らした。
「あの艦…確か、ミネルバとかいったかな」
周囲の者に聞き取られないほどの小声で独り言つ、ケイの脳裏に浮かんだのは
アーモリーワンでの『グレムリン』の受け渡し、そして新型機強奪作戦の際に追跡してきたザフト艦の姿と名前。
よくも縁があるものだ、と思いながらその艦影を眺めていた。
…そして、微かに眉寄せる。
艦の後部甲板に、ただ一機身を屈めながら待機しているトリコロールカラーの『G』の姿に。
不自然な位置で待機しているそれを見ながら、しばし表情を真剣なものに改めながら考え込むケイ。
――もしかして、甲板で待機させたまま地球に降下して、無人機を回収するつもりか。
早々に浮かんだ仮説を裏付けたのは、自らの経験。
かつて、あれによく似た機体で自分も単独大気圏突入を成功させたことを思い出しながら、彼は目を細めた。
「……頑張るね。 それじゃあ、これはどう?」
地球のすぐそばまで接近しつつあるミネルバに対し、にこりと微笑を向けながら
ケイは再びモバイルの上に指を踊らせ、命令の合図を奏でた。
その頃、大気圏間際でミネルバと合流し、着艦するべくハッチのそばに近づいたアスランは
ふと、ミネルバの後部甲板で片膝ついてうずくまるインパルスの姿に気付く。
もうすぐ大気圏突入するというのに、なぜ船の中に入らないのか。 疑問に思い、管制官へと問う。
「なぜ、インパルスを収容しないんだ。 今から突入するのだろう?」
『あ…その、インパルスは地球降下終了後、大気圏突入の影響で稼動停止すると予想される『レギオン』搭載機の
回収及び破壊作業を行う予定で…迅速に動けるよう、後部甲板で待機中なんです…」
「なっ……!」
オペレーターの少女自身も納得が行かないのか、力なく説明した内容に、アスランは絶句する。
あのような子どもに危険な任務をさせるというのなら、いっそ自分が代わろうかと考え、口を開こうとしたその時。
コクピット内に響いた、敵機の接近を知らせる警告のアラーム音。
弾かれたように顔を上げ、周囲を見回した彼の視界に入ったのは、こちらへ向けて接近しつつある追跡対象らの姿だった。
逃走する無人機部隊の行動に生じた、突然の変化。
ミネルバから逃れるように地球へと落ちていきながらも、相手に距離を詰められつつあった彼らは
突如、進路を反転させ、最大加速でミネルバへと接近し始めた。
既に重力の腕に捉えられ、勢いのまま降下していたミネルバと、急上昇しだした無人機たちとの距離は一気に縮まる。
逃れていた相手が、急にこちらへと接近してきた。 その行動を、今までの彼らの行動と照らし合わせれば…見えてくる。
――彼らの目的は、ミネルバへの特攻。
その予想にすぐさま辿り着いたアスランは、入ろうとしていた艦のハッチから離れる。
今は艦内に入る余裕などない。 むしろ、一人残っているインパルスを援護するべく、ここに残らなければと。
後部にマウントしていた突撃銃を手にしながら、背後を振り返り見た彼の目に
甲板からふわりと離れ、ブースターの光を尾のように引きながら前方へと疾るインパルスの姿が映った。
「止めないで! マユが!マユが危ない!!」
「無理だアゼル! 大気圏に入っている、もう出撃不可能だ!!」
ミネルバのモビルスーツデッキ内で響く、少年の叫びと彼を抑える者の声。
赤い髪を振り乱しながら暴れ、愛機に乗り込もうとしているアゼルを、レイが押さえ込んでいる。
放送で報じられた外の状況を聞いた瞬間、それまで心配そうな表情を見せながらも大人しく待機していた少年は
マユを助けに行く、と言い張りながら出撃しようとしたのだ。
そばにいたレイがなんとか捕まえているものも、彼自身もそうしたいのか…悔しげに顔を歪めている。
「……行かせてよ…マユに…大切な家族に何かあったら…っ」
がくりと膝から崩れ落ちた少年は、力無く俯きながら肩震わせ、うわ言のように呟く。
無力を痛感した絶望からか、うずくまり動かない彼のそばで、レイもまた同じ思いから、舌打ちしながら壁を殴った。
その様子を遠巻きから黙って見つめていたルナマリアも、モビルスーツデッキに集うクルーたちも
為す術ないまま、深刻な表情でただ幼い少女の無事を祈ることしか出来なかった。
急に反転し、こちらへ向けて接近してくる無人機たちに気付いたマユは、
取り付いていたミネルバの甲板から離れ、そちらへ向かい飛び立つ。
彼女もまた、その狙いにすぐさま気がついたのだ。
この期に及んで接近してくるということは――ミネルバに攻撃を仕掛けるつもりだと。
「やらせないっ!!」
手にしたビームライフルから光条を立て続けに放ちながら、少女は気合の声を上げる。
インパルスの接近を察知した『レギオン』たちは、先ほどまでの密集陣形から散開し、
それぞれ、別々の方向からミネルバを攻撃すべく、襲いかかる。
こちらを無視し、脇を通り過ぎようとしたゲイツへ向けて、マユはライフルの照準を合わせる。
が、次の瞬間。 インパルスを襲う、激しい衝撃。
ゲイツと同じように素通りしかけたジンが、突然インパルスに向けて突進し、
ショルダーアタックで体勢を崩させると、後ろから羽交い絞めにしてきたのだ。
「えっ!? このっ、何するのよぉ!!」
驚きの声を上げながら、彼女はジンを振りほどこうと腕や足を動かし続けるが、どうにも相手は強情で。
真後ろに張り付く相手に、ライフルなぞ使えるはずもなく。
なんとか腕を腰まで近づけ、収納されている対装甲ナイフを手にしようと試みる中
正面でパッと閃いた光に、顔を上げたマユの目に飛び込んできたのは、花咲くように生まれた爆発。
ミネルバの対空砲火による迎撃をかいくぐった無人機の一機が、船体に取り付き自爆した輝きだった。
母艦を襲った爆発を見て、あっと悲鳴を上げる少女の元にも、危機は近づく。
ジンに動きを抑えこまれたままのインパルスの前に現れた、長大な砲を手にした緑の機影。
ガナーザクの構えるオルトロスの銃口が、真っ直ぐ自分を捉えていることに気付き、彼女は戦慄した。
ジンの目的は、はなからこれだったのだろう。
実弾装備しか持たず、装備も随分型遅れなジンでは
インパルスを撃破することは出来ないし、ミネルバへの攻撃も特攻以外に大したダメージを与えられない。
だから、こうやってインパルスを捕らえて自由を奪い、他の機体に自機ごと撃たせる。
それがジンの目的であり、『レギオン』が下した最も効率よい戦闘手段だった。
移動し避けることも、盾を構えることもままならない。 オルトロスが発射されるのも、ほんの数秒のうち。
もう、何も手立てがない――もたらされるであろう死を恐れながらも、絶望し観念したマユが目を閉じたその時
ミネルバの艦首部分から身を乗り出した、一機のザクが突撃銃でオルトロスごと右腕部を撃ち、爆破した。
『――何をしてるっ! 動け、マユ・アスカ!!』
恐怖に凍り付いた思考を張り飛ばしたのは、ザクを駆る青髪の青年の声。
呼び声に正気を取り戻したマユは、やっとのことで握り締めたナイフの刃を、ジンの腕関節へと突き立てる。
緩まる拘束――すかさず相手を振り払い、飛び退いたインパルスは振り向きざまにライフルでジンを撃ち、撃破する。
その間に、今度はビームトマホークで襲いかかろうとしていたザクは
アスランの狙い澄ましたビームによって、残る四肢を撃ち抜かれ奪われていた。
『大丈夫か?』
「はい…。 助かりました、アスランさん」
既に、残る『レギオン』は全て彼の手によって倒されていたようだ。
脅威が全て排除された宙域で、彼女はふっと安堵の息を漏らす。
『いつまでもそこにいては、新型機とはいえ辛いだろう。
早くミネルバの上に来るんだ』
確かに彼の言葉通り、とうに大気圏に突入したインパルスのコクピット内は、急激に室温が上がり始めている。
大気圏突入体勢をとっていれば緩やかなものだったろうが、戦闘行為を行っていたのだ。 無理もない。
アスランの呼びかけにはい、と応じながら自分の背後で降下体勢に入っているミネルバへ向かい、身を翻す。
ミネルバを遮蔽物代わりにすれば、あとは安全に大気圏突入できるだろう。マユはそう思い、安心していた。
しかし、道中で彼女は気付く。
四肢を奪われ、眼の輝きを失った機動停止状態で落下しつつある、胴体のみのザクに。
先ほどミネルバへ特攻を仕掛けた4機は撃破され、大気層で粉微塵に砕かれ燃え尽きている。
残るはこの一機の胴体部分のみ。 しかも、突入シークエンスも取らないままだと、大破する恐れがあった。
「あれ、回収しなきゃ」
上層部から下された特命を思い出したマユは、ミネルバに向かう進路を変更し、そばに浮かぶザクへと接近した。
――この時マユは、完全に警戒心を失っていた。
指揮官に指示を仰ぐことなく、回収行動を行おうとしていた。 その判断が、不覚を取った。
伸ばされたインパルスの手が、ザクの肩を掴んだ瞬間
カメラ部分にらんらんと輝く赤い一つ眼が灯り、キュンと動いてインパルスを見た。
してやったり、と言わんばかりの悪意を錯覚させる、その視線。
ビクリと身を強張らせたマユが、危険に気付いた瞬間にはすでに遅く
――胴だけとなった、だるま姿のザクは自らの自爆装置を作動させ、爆散した。
少女がこちらに来るのを待ちながら、ミネルバの上から眼下を見下ろしていたアスランは、叫び声を上げる。
インパルスがこちらに向かう途中、思い立ったように進路を変え、ザクの胴体へと近づくのに気付き
念のため警戒しろと、呼びかけようとした矢先に生まれた爆発。
巻き込まれた白いMSの体躯に、目立った損傷はないものも
衝撃を受けた機体は、放り投げられたブーメランのように回転しながら大きく横に吹っ飛んだ。
「っ!? マユ・アスカっ!!」
下から吹き上げる大気の波にきりもみされながら、自分らの針路上から大きく離れていくインパルスへ向けて
アスランは精一杯の大声で呼びかけたものも、向こうからの返事が返ってこない。
爆発の衝撃で気を失っているか、怪我を負ったか、あるいは――!
そう思った瞬間、ミネルバの外壁を蹴り、迷うことなく飛び出したアスランのザク。
遥か眼下の地球から伸ばされる重力の手を振り払いながら、行く手を阻む空気の壁をかきわけながら
機体全体を襲う、激しい揺れと熱気に歯を食いしばりつつ、アスランは必死に走り、手を伸ばす。
力なく手足を投げ出したまま、母なる星へと墜ちていくインパルスに向けて。
途方もなく長く感じる十数秒のうちに、なんとかその片足を掴んだアスランのザクは
反転し、空気との摩擦により生じたプラズマによって真っ赤に輝きはじめたミネルバへと向かう――。
――これで証拠隠滅完了。 計画は大成功だ。
最後に残っていた『隊長』機が自爆し、全てのレギオンが消え去ったのを見届けたケイは、心中で呟く。
彼らに全ての命令を送っていたノート型モバイルを閉じ、小脇に抱えると席を立つ。
つい先ほど、自分の乗るシャトルの発進準備が出来たと副官が報告に来たばかりだ。
今回の仕事は完遂したが、すぐに次が待っている。
多忙な自分の身をふと思った青年は、困ったような苦笑いで小さく息を付き
そして、見やる。 赤く染まりながら、青い星に下りていく一隻のザフト艦を。
「…無事だったら、また何処かの戦場で会えるかもね。
さようなら、戦の女神。 そして白いガンダム」
辺りの者に聞こえないほど小さく紡いだ別れの言葉の後、彼はブリッジを後にした。
265 :
あとがき :2006/01/15(日) 19:07:00 ID:???
14番最後がちょん切れてしまいました
纏め人さんお手数ですが14は後から投稿した方をHPに上げてください orz
今回も死にそうなまでに長くてヒーヒー苦しんでました舞踏の人ですっ。
こんなに長いととっつきにくくなるかなと思いながらも
同じ場面を何話分も引っ張るのもどうかということで、全部まとめて投入です!
これにてセレネ編は終了です。 これからは開戦編に入ります
途中、シンやマユの過去を語る回も入れる予定ですが…。
特にシンは、TV版と全然性格が違う感じになってるので、説明したいところです(汗
レギオンの自爆装置について
元の段階から緊急時の証拠隠滅用に自爆装置が装備されていましたが
ケイはプログラムをいじって自爆行動を取る設定を大幅に増やしています
まぁ……入力した主の性格がよく反映された嫌らしい奴ですw
舞踏作者様、GJ!
ここでこうやって地球降下させますか……見所多くてお腹一杯。
この先の展開が気になります。
舞踏さん乙!
強すぎないマユというのもまたいいですな
それは、朝食の時のマユの一言が原因だった。
ジブラルタル基地の食堂で、彼女はこう言った。
「ひますぎる、プールとか行きたい。」
しかし、ミーアのこともある。ミーアは普段は返送しているが人の多い、それも軽装になるプールなどに行ったならば
おそらくばれてしまうだろう。そう皆は言った。
しかし、マユ・アスカはくじけない。
「シンハロ、町にあるあのおっきいプール。貸切にして。」
おい、お前はどこのいりやすふぃーだちびっこ聖杯だ。アキラがそう突っ込んだ。
「なんだ、その程度でいいのか?なんだったら買っちゃうけど。」
おい、お前はどこの金ぴかだ、慢心王だ。ハイネがそう突っ込んだ。
と、いうわけで。
ガラス張りの天井越しにそそぐ太陽光。白い人工の砂浜、まるで蛇のようにうねるスライダー。
そう、ここはジブラルタルの町にある巨大レジャープールである!!
「はぁ・・、どーせならさー。こんな野郎にかこまれてるよりもっと女の子に囲まれたいよー。
贅沢は言わないです神様。セイバーもとーさかもいいです、さくらでいいから僕にください。」
『激しくさくらファンに失礼だな。』
浜辺にぽつーんと体育座りしてるアキラに近づくシンハロ。
高い身長、長い青の髪はポニーテテールに纏めてある。
さらに首にネックレスが掛かってて、もし人がいたら間違いなく逆ナンされるであろう姿である。
他にも、相変わらずその美形っぷりを振りまくジョー、ショタなお姉さまにはたまらないカルマ、明るい笑顔のキース。
フランス人形のようなレイ、さっそくはしゃいでるアウルとシン、それに注意するスティング。
ハイネとアスランは二人で向こうのほうでなにやら話している。と、言ってもハイネがはしゃいでテンションをあげているだけのようだ。
そんな奴らは・・・・・、そろいもそろって美形だった。
「どこの学園プリ○スだ!!○狗の血か!!!耽美○想マイネリーベか?!テニミュか?!KH2はBLゲーム!?」
ブチキレて女子のオタク市場の話題を叫ぶアキラ。はっきりいって、外見はこの中で最低レベルである。
体は筋肉があまりついていない、クラスに一人はいるやせっぽちで白い男子だ。顔はそこそこだが、美形集団であるミネルバ組ではかなり地味である。
「嫌だー!!俺の萌えポイントなんて眼鏡しかないじゃないか!!眼鏡声?!」
砂浜をごろんごろん転がりまわるアキラ。やっぱりキモイ。
『落ち着け!ほら・・がんばれ我が友よ!』
「ふん、無理だね!今の俺はフンババの前のギルガメッシュ同然だ!!」
『いや、だったらエンキドゥの呼びかけで勇気をだすだろう。』
「おれはギルガメッシュはギルガメッシュでも我様だからな!」
舞踏乙です。
いやぁ外道ですな、ケイ君。
しかしこの調子ではラクス嬢はプラントの手勢にやられちゃったのかね。
すっかり隊長みたいになっちゃって……
熱血少年シンとマユの今後も楽しみですね。
そんな二人がやりとりをしていると、向こうから黄色の水着を着たマユが走ってきた。
「おまたせー!!」
マユの水着はワンピースタイプだった。明るい色はよくマユに似合っている。
しかし、そのスカート部分がきわどい。その、なんとゆーか、かなりチラリズムがある。
「どう?似合ってる?」
『うん、一番マユがどきっとした。』
「まだ他の子の見てないのに?!」
マユがシンハロに突っ込む。他の男性陣もマユの方向に集まってきた。
「おー、すっかり俺マユはスクール水着でくるとおもってたー。」
いっさい邪な念は入っていないカルマのセリフ。
「うん、いやね。スク水は既に隻腕さんとこのマユちゃんにやられてるらかさ・・・・。
他にも白スク水とか考えたんだけど、もうこうなったらチラリズムで対抗しようと思って!」
あまりに必死なマユの様子に思わずみんな涙が出る。
マユ、そんなにシンハロに越されたのがショックだったのか、人気投票。
「みんな!!」
更衣室から一直線に走って・・・・・・こけた。
「ステラ!大丈夫?!」
急いでシンがステラに駆け寄る。
「うぇーい・・・・いたい・・・。」
ステラの水着はセパレートタイプで、布地が胸の部分までしかなく、背中が大きく開いている。
胸元にはピンクのリボンの飾りがあり、それがステラの子供っぽい可愛さをさらに演出していた。
「立てる?捻挫してない?あと水着似合ってる。」
テンパって分けのわからないセリフ回しをするシン。
「ホント?!」
似合っているという言葉に顔を輝かせるステラ。
「うん、ステラに一番どきっとした。」
「「「「「「まだマユとステラしか見てないのに?!」」」」」」
本物も偽者も、馬鹿なところは大して変わらないらしかった。
「あ・・・、ごめん!まだお姉ちゃんとミーアさんまだみたいで・・・。」
向こうからメイリンが走ってくる。彼女は以外にもビキニだ。
だが、彼女のビキニの上はタンクトップタイプで決して露出度が高いとはいえない。
「・・・あの、お姉ちゃんに進められて買ったんだけど・・・どうかな。」
あぁ、露出度は少ない、少ないさ。でもな!この微妙な恥じらいの仕草!!
それが総合的にすばらしい萌え効果を発揮している!これこそアヴァロン!!
以上、アキラ君の脳内解説でした。
メイリンは既にスティングの方へ言ってしまってる。しかし、メイリンよりスティングの方が顔が赤い始末だ。
だが、メイリンの破壊力は予想以上に大きかったらしい。
「・・・・メイリン、結構すごかったな。」
「うん、ていうかあの恥じらいは天然なのかな?・・・・・天然だよね。」
「フリーだったら速攻口説いてる・・・・。くそっ、以外な伏兵だった。」
ハイネ隊三人組は口々にひそひそと言い合う。
メイリンは皆の話し声に顔を赤くする。
だが。
「メイリンお姉ちゃん、バイバイ。」
「皆!!待たせたわね!!」
マユの言葉にメイリンは反応すると、そこには赤いビキニでバンッと立っているルナマリアがいた。
あかいあくま、まさにそんな言葉が彼女には似合う。
真っ赤なビキニはギリギリ、アスランが恥ずかしがらない程度だが、問題は彼女のプロポーションだ。
普段はあの濃い性格と地味な軍服、そして属性であるアホ毛とニーソに隠れていたが・・・・すごかった。
出る事は出て、細いところは細い。それも、程よく。すばらしいさじ加減で。
・・・・・・くそっ、理想を抱いて溺死するしかないじゃないか。
以上、シンハロの脳内解説でした。
メイリンはプールサイドでマユとともにがくがく震えている。
「くそっ・・、嫌いだ。嫌いだ。胸のでかいやつは消えちゃえ。」
「真の敵はお姉ちゃんだったのね・・・。」
二人の様子にルナマリアは勝ち誇った顔をする。
「ふふん、これで真のヒロインは私に決定ね、次回からこの話の題名は「ほのぼのルナデス」よ。」
激しくスレ違いな妄想をするルナマリア、が、次の瞬間、周りの男性陣がルナマリアを憐憫の目で見始めた。
「あー、その、ルナマリア、がんばれ。」
アウルがたどたどしく言う。
「うぇーい、これが・・・ぎおんしょーじゃ?」
ステラが呟く。
「みんなー!ごめんなさーい!!」
ミーアが走ってくる。なんか、胸に付いたものが揺れてる。
もう、なんというか、それを見た瞬間、脳内がはじけたっていうか、うん、私、も だ かゆ うま 。
以上、ルナマリアさんの脳内解説でした。
「ルナマリアーーー!!」
鮮血を吐いて倒れるルナマリア。
「だから言ったんだ!!ミーアに勝てるわけないって!なのに・・・なのに!!」
倒れたルナマリアを抱きかかながら語りかけるアキラ。
「ふっ・・・、アキラ。女にはねぇ・・・これだけは譲れないものがあるのよ・・。」
口端を血でぬらしながら喋るルナマリア。
「解からない!わかんないよ!!どうして?別に爆乳じゃなくても良いって人はたくさんいるのに!!」
涙を流しながら言うアキラ。
「それでも・・・・私たちは・・・・・がはっ!!」
鮮血を吐き、うなだれるルナマリア。
「ルナマリア・・・!ルナマリアーーーーー!!」
「あの・・、ルナマリアさん・・・・?」
「ミーアさん、気にしないでください。」
困惑するミーアにレイは優しく語りかけた。
「・・・・なんか戦場になってるわねぇ・・・。」
「・・・・・・・?」
散らかっていた男性陣の更衣室を片付けて、遅れてやってきたゼロとグレイシアも分けがわからなそうにしている。
ちなに、グレイシアは上はタンクトップタイプで下は男性ものの水着で短いタイプの物を着用している。
ひと時の平和、泡沫の夏、それでも、この時。
僕らは、普通の学生のようだった、
ほのぼの版ルナの声は、自分の中ではなぜか南里侑香(舞HiMEの奈緒の人)の声に脳内変換されるなw
他の作品がどれだけ激しい戦いやったり、鬱展開だったりしても、ほのぼのでホッと一息つける
デザート的味わいのある作品だと思います
>ほのぼの
何か数ヶ月前に見たことあるような(w
ルナマリアにはチューブトップ系の方が似合いそうだとか思ったり。
ミーアだけは何故かうたたね画でイメージされたり。
ルナがあかいあくまって事は……まだまだ育ってるのか!!(ぉ
>舞踏
こういうシンも良いですねえ。
そしてこういうキrゲフンゲフン、ケイというキャラも実に良い。
他の方々と一風変わった作風で、続きがとても楽しみです。
隻腕作者様
同じ素材を使いながらここまでハマれるものができるのか…と感嘆してます!
ガンバって下さい!
ほのぼのマユ……不憫な子だ……w
おじさんもスク水で来ると思ってたのに……そうか、可愛い系で来たか……w
……まとめだけなのに反応し過ぎです、皆さん……。
あとほのぼのさん、スクール水着先にやってしまって申し訳ありませんw
さて、過大な期待に激しくプレッシャーを感じつつ、運命の22話投下します。
連合の包囲網を脱出にかかるミネルバ。その前に立ち塞がった、新型MAユークリッドと、因縁深いフリーダム。
互いに持てる戦術の全てを尽くし、インパルスとフリーダムはぶつかり合います。
ただ1人兄妹の真実を知るアスランの制止も、間に合いません。
とうとう、シンのインパルスは、マユのフリーダムを深々と貫いて――!
雪の舞う北海の上。滑るように進むミネルバの中――
母艦に帰還したシンは、整備兵たちの拍手と歓声に迎えられていた。
傷だらけのインパルスから降りてきた彼を、皆が囲む。
「よぉ、やったなシン!」
「いや、ほんと凄いよ。あんな戦い方があるなんて」
「ご苦労様! こりゃもう勲章モンだな!」
皆、強敵の撃破に笑っている。仇を討てたことを喜んでいる。
彼らとて――機体の整備を預かる者として、忸怩たる思いでいたのだ。
フリーダムに齎された被害、その責任の一端を感じていたのだ。
特に、ルナマリアの死に関しては、彼らは今なお激しい後悔を抱えていて。
だから――自分たちが必死に整備してきたインパルスの勝利を、まさに自分自身のこととして素直に喜ぶ。
ボロボロになってしまったことは少し哀しいが、また頑張って直せばそれで良いだけのことだ。
「上手く策が嵌ったようだな、シン」
「ありがとう。レイの分析のお陰だ!」
白と赤の入り混じるザクから降りてきたレイも、シンを称える。
彼のザクもまた被弾し、今度は左腕を肩から失っていた。ユークリッドとの激戦の跡だ。
2人はしっかりと握手を交わす。互いに、深い信頼に満ちた視線を交わす。
シンは周囲の皆を見渡し、改めて頭を下げる。
「レイだけじゃない。ハイネも、アスランも。メイリンも。整備のみんなも。
これは、みんなの力があっての勝利だ。決して、俺1人の力じゃない。
みんな……本当にありがとッ……!」
「頭を下げる必要はない。やり遂げたのは、お前だ」
「そーそー。いつもの自信たっぷりの態度でいいんだよ、シンはさ!」
「全くどうしたんだ、いつもの狂戦士は? こっちまで調子狂っちまうよ」
珍しく素直に感謝を表すシンに、レイも、整備の面々も逆に気恥ずかしくて。
お世辞でもなんでもなく、シンを持ち上げる。素直に、シンの能力を讃える。
思い起こせば、アーモリーワンの襲撃事件から始まった、このミネルバの激戦の旅。
因縁深いファントムペインの面々。彼らとミネルバとの縁に、途中からフリーダムも深く関わって――
最初は味方。やがてその仲は絶たれ、渋々ながらの対立を経て、最も憎しみ深い敵と化した。
いわば――この勝利によって、開戦以来ミネルバに付きまとっていたライバルとの因縁が、全て片付いたのだ。
こちらも失ったものは少なくない。犠牲も数多く出してしまった。
けれども、最終的に、勝ったのは彼らであり。
そんな彼らが、半ば浮かれたような高揚感に酔い痴れるのは、致し方ないことだろう。
彼らの長く辛かった闘いは、彼らの勝利で幕を閉じ――
「――シンッ! お前ッ!」
――それは、唐突に。
格納庫に満ちた明るい雰囲気を打ち砕く、厳しい叫びを上げたのは――
アスラン・ザラだった。
壁に手を突き荒い息を挙げ、脂汗を顔に滲ませて。
裸足に、上半身裸。胸にはきつく包帯が何重にも巻かれ、しかしそれでもうっすらと血が滲み。
アスランは、シンの苦労を讃えることもせず、厳しい目つきで彼を睨みつけ。
しかし高揚し興奮していたシンは、彼の目つきにも体調にも気付かず、そのままの表情でアスランに近づく。
「アスラン! 怪我はもう大丈夫なんですか!?
結構心配したんですよ。でも、思ってたより傷は軽いのかな。なら、良かった」
「シンッ……! お前ッ……お前はッ……!」
シンは何の邪気もなく、アスランの身体の心配をする。
全ての憑き物が落ちたかのような、すっきりした表情。今まで見たこともないような、明るい笑顔。
そこには、狂犬とも狂戦士とも呼ばれた戦闘狂の面影は、まるでない。
そんなシンの表情に――アスランは、躊躇する。動揺する。混乱する。
一体、何をどう言えばいいと言うのだ。あるいは、どう黙っていればいいと言うのだ。
こんな、幸せそうなシンを前にして――
アスランの目の前で、世界が回る。シンの笑顔が、底抜けに明るい笑顔が、目の前で歪む。
無理が祟ったのか傷が開き、包帯のシミがゆっくりと広がっていく。貧血を起こす。
意識が朦朧とする。考えがまとまらない。周囲の声は、まるでエコーがかかっているかのようだ。
「アスランが提案した戦法、インパルスのパーツの自爆に巻き込む作戦も、使って見ましたよ。
結構効果あったようで――お陰で、仇は取れましたよ! セイバーの分も!」
シンはアスランの傍に歩み寄り、誇らしげに報告する。実に晴々とした笑顔。
それが――その一言がその表情が、とうとう我慢の限界を越えさせてしまった。もう、耐えられなかった。
「シン……お前って奴はあッ!」
バシッ。
発作的に繰り出された拳が、真正面からシンの顔面を捉える。格納庫に響き渡る打撃音。
だが――殴られたシンよりも、むしろ殴ったアスランの身体の方が、グラリと崩れる。
鼻血1つ出ないシンが呆然と、状況を理解できぬまま、それでも反射的に、アスランの身体を抱いて支える。
周りを取り囲んでいる整備兵たちも、唖然としたままで。何がなんだか、分からない。分かるわけがない。
「なッ……い、一体何をッ!?」
「仇だと……あれが、仇だとッ!?」
シンに抱えられたまま、アスランは荒い息をつきつつ、小さく叫び。
シンの両肩に手を当て、身体を引き剥がす。肩の肉に、アスランの指が痛いほどに食い込む。
「あれは――フリーダムに乗っていたのは、お前の妹、マユ・アスカだッ!!」
「は――!?」
「あれは、2年前の戦争で片腕を失い! 両親を失い! 兄さえも失ったと思い込んだ……お前の、妹だ!」
「ちょっ、なっ……! た、タチの悪い冗談は……!」
「どういう縁でセイランの養女になり、どういう経緯でフリーダムに乗ったかまでは知らないが……
――お前と同じように戦い続けてきた、お前の妹なんだよ!」
涙を流しながら、声を震わせて叫ぶアスラン。
今まで勝利に沸いていた格納庫は、一瞬にして静まり返る。
――紅葉舞う中はしゃぎあった2人。普段から仲の良かった兄妹。2年前のオノゴロ島の悲劇。
ユニウスセブンでの邂逅。オーブの軍港で割り込む灰色のフリーダム。オーブ沖海戦。カーペンタリア湾。
ロドニアのラボ。スエズ沖。ベルリン。そして、北海での決着――。
妹との記憶が、そしてフリーダムと戦いの記憶が。一瞬でシンの中を駆け抜ける。
そんな事は有り得ぬと頭から決め付け、憎しみに捕らわれ目を背けた、数々の符合。
戦いという「最高のコミュニケーション」の中で、感じながらも無視してしまった、あの違和感。
勝利を目前にして、「命は嘘をつけない」と言った己の言葉も踏みにじり、自分自身の命に向けてついた嘘。
「確かに、アイツには討たれるだけの理由はあった。フリーダムは、俺たちの敵だった。
けれど……けれど! おまえが討っては、いけない相手だったんだよッ!」
「そん、な……!」
最後の叫びと共に、アスランは倒れこむ。全ての気力を使い果たしたアスランは、その場で意識を失ってしまう。
シンは、そんな彼を、気にする余裕もなく。ポカンと、口を開けたまま――
がっくりと、膝をつく。格納庫の真ん中、気絶したアスランのすぐ傍に、膝をついた。
整備兵が、レイが、2人の名前を呼ぶが――その全ての声が、シンにとっては遥かに遠く――
シンは、『戦士としての』シン・アスカは、こうして『終った』のだ。
マユ ――隻腕の少女――
第二十二話 『 そして、なお終らぬ世界 』
ゴポッ……。
暗い海に、泡がゆっくりと上がる。吹雪の海も、その海面下に潜れば、実に穏やか。
暗い海の中、2つ並んだライトが灯っていた。
自らライトで辺りを照らし、長いアームを伸ばす潜水艇。
いや――これは、潜水艇ではない。水中作業用の、MAだ。
宇宙では一般的な作業用MA、ミストラルを海中でも使えるよう、仕様変更したものだった。
そのライトの間には、六角ナットを模した、黄色と黒の六角形のマーク。ジャンク屋ギルドの正式メンバーの証。
海の中、ミストラルはアームで巨大な塊を捕まえる。ミストラル自身にも匹敵しようかという、巨大な金属塊。
ミストラルの背面につけられていた大きな籠に入れようとするが、入らない。籠よりも大きい。
仕方なくジャンク屋のミストラルは、その塊を抱えたまま、海面に向かって引き返す。
――よく見れば、その籠の中には、既にMSの手や足の一部らしきものが入っている。
海面には、寄り添うように2隻の船がいた。片方はジャンク屋ギルドの旗を掲げた船。もう片方は、連合軍の船。
ジャンク屋の船の船底には大きな入り口が開いており、水中用ミストラルが直接船内に帰れる構造になっている。
拾った荷物を抱えたまま、作業用MAは船の中に入る。
海水と一緒に飲み込まれる。入り口が閉じて、ゆっくりと水が引けていく。
『――どうだい、ボウズ! 目的の品は見つかったかい!?』
「はい! ――あ、いえ、そ、その……み、見つかりませんでした……」
船に回収された、ミストラルのコクピットの中。青年は、一旦思わず頷きかけ、慌てて言葉を濁す。
画面の向こうに居たのは、連合の士官。隣の船からの通信。
人懐っこい笑顔を浮かべた、人の良さそうな髭面の男だが、一見して出世には縁のないタイプだとも思える雰囲気。
『ああ、いいって、いいって。ソッチの事情も分かってるからよ。
――じゃ、上には『見つからなかった』って報告しておくぜ。海流に持ってかれちまったようだ、ってよ』
「……本当に、すいません」
『いいってことよ! アルスターの親父さんには、返せなかった恩もあるしな!』
「いや、もう僕は『彼女』とは……そもそも『彼女』は、もう……!」
『――知ってるよ。でもこれも何かの縁だ。今がどうこうって話じゃねぇ。
何より俺ァ、ボウズが気に入っちまったからな! クソッタレでブルーコスモスな今の上官よりもよ!』
画面の中、大口を開けて笑う髭面の士官。
青年は――色のついた眼鏡をかけた青年は、彼の気遣いに頭を下げる。
『なぁに、上層部が欲しいのは、『一応探した』という建前だけさ。
本気で助ける気があるなら、ジャンク屋が出てくる前に、自分らでMS隊出して海底攫ってるさ。
だからボウズ、とっとと行っちまえ。そのハコ開ける前に行っちまえ。
こちとら任務上、友軍の兵士見つけたら回収せにゃならんからな』
「本当に……ありがとうございますッ」
ジャンク屋サイ・アーガイルの言葉に、髭面の男は茶目っ気たっぷりのウィンクで答え。
2隻の船は、別かれて別の方向に進んでいく。青年と髭面の男は、別々の方向に向かう――
――ミネルバは進む。北海を抜け、北大西洋に出て、そのまま大西洋を南下。
地中海の入り口、ジブラルタル基地に到着する。
海上に浮かぶ滑走路を中心にした、大きな基地。今はもう揺るぎもしない、ザフトの一大拠点だ。
「ふぅー、疲れましたねェ艦長。ここまで来ればよーやく一安心、ってとこですか」
「それにしても……混んでるわね。何か大規模な作戦でも始めるつもりなのかしら、ギルバートは……」
アーサーを無視してタリアが呟いた通りに。ジブラルタル基地は多くの艦船で賑わっていた。
MSも多く集められているらしく、輸送機から続々と降りてくる姿が見える。
特に目を引くのは、青一色のMSたち。かつてハイネが乗っていたグフイグナイテッドの、量産バージョンだ。
満身創痍のミネルバは、兵士たちの歓迎の声を浴びながら。
基地の港に、入港していく――。
ミネルバが入港する、ちょうどその上空を。
1機の小型飛行機が、ジブラルタル基地に入っていく。
その機内では、1人の男が通信画面と向き合っていて――
「――そうか、よくやったベリーニ。第一陣のテストは、成功か」
『まだまだ成功率は低いですがね。やはり『ブロックワード』は無くてはならぬようです。
2名ほど、調整不要なタイプの成功例も出来ましたが……やはり、総合能力で劣ります。
せいぜいハーフコーディネーター程度の能力かと』
「……それでは使えんな。まあ、ハーフ程度でも、才能の方向性と努力次第だが……。
我々が欲しいのは『コーディネーター並の存在』だ。誰の目にもそうと分かる存在だ。
今後は基本的に、ブロックワードを使う方向で進めてくれたまえ。
……それで? すぐにでも使えそうな成功例は、あるのかね?」
『1名、成長著しい者がおります。本人の意欲が高いのか、MS操縦訓練で素晴らしい成績を上げている者が。
現在すでに最終調整に入っています。近いうちに実戦投入できるレベルになるでしょう』
画面の向こうにいるのは、金髪の女性研究員。白衣の上に縦ロールが揺れる。
彼女の報告に、黒い長髪の男は満足そうに頷く。
「それは頼もしいね。では、そろそろこちらも発表の準備をしておこう。――ああ、それと」
『なんでしょう?』
「キミがこの前、提案していた『オーバーエクステンデッド』計画の件だがね――
ひょっとしたら、ちょうどいい『素材』が手に入るかもしれない。
もしそうなれば、これもそちらに送ることにするよ」
『ありがとうございます、議長』
「なぁに、それもこれも、全ては我らの未来のため、全ては『デスティニープラン』のため、さ――」
ギルバート・デュランダルは、その端整な顔にニヤリと不敵な笑みを浮かべて。
彼を乗せた飛行機は、ジブラルタル基地に着地する。
――ジブラルタルから見て、地球の反対側。
オーブ連合首長国行政府、代表首長執務室、改め、代表首長代理執務室――
「――ユウナ、おるか? ……おお、相変わらずか」
何やら書類片手に部屋に入ってきたのは、ウナト・エマ・セイラン。頭頂部には、一筋の傷跡。
薄暗い部屋の中、彼は散らかったゴミを避けながら、壁際に丸まっている影へと近づく。
そう――部屋は、かつての整然とした執務室は、荒れ果てていた。
壊れた調度類が散乱し、紙くずや食べかけのオニギリなどが乱雑に散らばって。
高級そうな壺が、半ばから割れて部屋の片隅に転がる。
名のある画家の絵が、投げつけられたインク瓶そのままに大きなシミをつくり、傾いたまま壁にかかっている。
電気をつけようにも、電燈すらその大半が割れているようで――
そんな荒れ果てた部屋の中、青年は壁に背を預け、膝を抱えていた。
仕立てのいいスーツはすっかり皺になり、常にセットし整えていた紫の髪は乱れたままで。
ろくに食事も取っていないのか、その頬は痩せこけ、顎には無精髭が伸び。
香水を欠かす事のなかった彼の身体からは、何日も風呂にも入ってないのか、饐えた体臭まで――
「ユウナ。おい、ユウナ」
ウナトの投げやりな呼びかけにも、彼は答えようとはしない。
膝を抱えたまま、虚ろな目で、床を眺めていて――
「まったく、仕方のない奴だな。いい加減、シャキッとしたらどうだ。
連合軍が基地を借りる件でな、議会を通すのに代表代理の印が必要なのだが……勝手に押すぞ?」
「…………」
ウナトは一方的に尋ね、反応がないのを見ると執務室の机に向かう。障害物を避けながら。
汚れていない面を探して書類を置き、机の上に放り出されている代表代理の認印を、勝手に押す。
「……ったんだ」
「ん?」
ふと、ウナトは何かが聞こえたような気がして、振り返った。
見ればユウナが、相変わらず呆けた顔のまま、唇を僅かに動かしている。
「……妹がね……妹が、ずっと欲しかったんだ……小さい頃から、ずっと欲しかったんだ……」
「ほぉそうか。良かったではないか、短い間とはいえ妹ができて。実に良く役立ってくれたよ」
「ボクは……ずっとカガリに頼ってばかりだったから……ボクを頼ってくれる妹が、欲しかったんだ……」
ウナトの嫌味な言葉も、聞こえぬようで。延々と、ブツブツと、ユウナは呟き続ける。
虚ろな目から、涙が溢れる。
スエズ沖での派遣艦隊壊滅、その直後の動揺が収まると――彼はひたすら、待ち続けた。
カガリ発見の一報を。彼女の無事を信じて。彼女の悪運を信じて。
けれど、2日たち、3日たち、やがて1週間を過ぎても何の報告もなく――
そんな所に入ってきた、フリーダム撃墜のニュース。カガリと同様、マユもまた連合軍に見捨てられたという事実。
――これが、とどめとなった。
大切な女性2人の、事実上の死亡報告。ある意味、彼自身が殺したとも言える2つの悲劇。
その自責の念が、ユウナの決して強靭とは言えぬ精神を粉々に打ち砕いた。
彼は一切の職務を放棄し――いや、一切の職務を遂行する力を失い、すっかり廃人同然となって――
そして――今やオーブの政治は、宰相であるウナトが、ほしいままにすることとなった。
ユウナが作り上げた優秀な官僚組織を自由に使い、連合の圧倒的な力を背景に議会を動かし。
セイラン家に反発する者たちも、カガリというシンボルを失い、そのまとまりを欠いていて。彼を止める力はない。
今ここにウナトが来たのだって、オーブ軍の基地を、連合軍が利用する手続きのためだ。
同盟締結時には「艦隊派遣の代わりに基地利用などは一切求めない」と約束していたにも関わらず――
「――これでよし、と。ではまた来るぞ、ユウナ。いい加減忘れるのだな」
「……妹が……欲しかった、ん、だ……」
ユウナの呟きは、誰にも届くことなく。
ウナトは廃墟と化した執務室を後にして。扉がゆっくりと、閉ざされる――
『アハハハハ……! こっちこっち!』
『もぅ、待ってよお兄ちゃん! ……ウフフ……!』
――夢の中に響くのは、無邪気な笑い声。
紅葉舞うリゾート地。2人は追いかけっこをし、木に隠れ、笑い合う。
彼女がクルクルと動く度に、そのカーディガンが、プリーツスカートが、束ねられた髪が揺れる。
『お兄ちゃん……』
『ん?』
急に動きを止め、兄を見上げる少女。
次の言葉はもう知っている。『お兄ちゃん大好き!』だ。彼も大好きな、とびっきりの笑顔で。
少年は期待を込め、そのセリフを待つが――
『お兄ちゃん……あなたの、あなたのせいでぇぇぇぇッ!』
周囲の世界が、急速に色を失う。急激に様相を変える。
舞い散る紅葉は白い雪となり、穏やかな秋の高原は寒々しい冬の海と化し。
そして、愛すべき妹の姿は――
妹の幻影と入れ替わるように出現したのは、フリーダム。蒼き翼の悪魔。
彼らの敵。恨みつのる怨敵。絶対に許すことなどできぬ、諸悪の根源。
青年の心が、一瞬で激情に染まる。
『フリーダムッ……! お前の……お前のせいでぇぇぇぇッ!』
いつしか彼自身も、機械の身体。エクスカリバーを持った、フォースインパルス。
フリーダムとインパルスは、凍てつく海の上で、激しくぶつかりあって――
手にした巨大な剣が、フリーダムの腹を見事に貫く。しっかりとした手ごたえ。彼の顔に笑みが浮かぶ。
『やった……やったぞルナ……! ハハハハッ……』
『……お、お兄ちゃん……どうして……!』
『!!』
彼の高笑いは――掠れる少女の声に断ち切られる。
周囲はいつの間にか、雪降る北海から紅葉舞い散る高原に戻っていて。
フリーダムも居なければ、インパルスもない。あの2機と同じ間合いで、抱き合うように向き合う兄妹。
そして――彼の手をゆっくりと濡らす、赤く熱い液体。
いつの間にそんなものを持っていたのか、凶悪な輝きを放つ日本刀が、彼の手に握られていて――
その刃は妹の腹を貫き、背中側に突き抜けている。のどかな風景とはまるでそぐわない、凄惨な光景。
『そ、そんな……俺は、俺は……!』
『ひどい……お兄ちゃん、ひどい……!』
『ち、違う! 俺は知らなかったんだ! ま、まさか、こんなことになるなんて……!』
『あたしの大事な人たちを、みんな殺して……! あたしまで、殺して……!』
狼狽する少年。致命傷を負った少女は、俯いたまま、荒い息をつきながら、しかし淡々と呟いて……
彼女の顔が、ゆっくりと上げられる。刀に貫かれたまま、シンを睨みつける。
その口の端から血を垂らし、その目は憎悪に染め上げられた、実に恐ろしい形相で。
『許さない……! 絶対に、許さないんだから……!』
『う、うあ……ま、マユゥゥゥゥッ!!』
「マユゥゥゥゥゥッ!!」
――絶叫しながら、青年は飛び起きる。
そこは、ミネルバの一室。荒れ果てた室内。ユウナの執務室にも勝るとも劣らない、散らかり具合。
ベッドの上で――シンは、何度も繰り返される悪夢に、荒い息をつく。再びベッドの上に、倒れこむ。
顔を覆った両手の隙間から、もはや枯れ果てたと思っていた涙が、また溢れ出す。
「マユ……! 畜生ッ、なんでお前が……! ゴメンよマユッ……!」
彼はベッドに横たわったまま。いつまでも、いつまでも、混乱した叫びを上げ続ける……。
――ジブラルタル基地の、一室で。
デュランダル議長は、金髪の青年を迎え入れた。
「色々と苦労かけたね、レイ」
「いえ、構いませんよ、ギル。これが私の仕事ですから」
「で――身体の方はどうかね? クスリは足りているかね?」
「まだ、大丈夫のようです。お気遣いなく」
臨時の議長執務室の一角。彼はレイにソファを勧め、紅茶のセットを持ってくる。
深々とソファに沈み込む議長。対するレイは、やや浅く、姿勢を崩すことなく腰を下ろす。
「で――やはりダメかね、シンは」
「予想以上に妹の存在は大きかったようです。それ以前にも危険な兆候はあったのですがね」
淡々と、レイは語る。「親友」と認識しあっていた仲間のことを、冷静に分析して丸裸にする。
「彼は元々、自らを『戦争の被害者』と規定することによって自己正当化を図っていた部分がありました。
自分がやられたのだから、やり返しても良いのだ――まるで子供の論理ですが、それだけに強力です。
『狂犬』とまで呼ばれた苛烈な態度の裏には、そんな無意識の自己欺瞞が見え隠れしていました」
「ふむ。誰もが陥り易い過ちではあるな」
「しかし、最近になって彼は、『敵の気持ちが分かる』ようなことを言い出すようになっていました。
人それぞれに戦う理由があるのだ、とか、人それぞれに正義があるのだ、とか。
しかし、そのことに気付いてしまえば……彼の子供じみた自己弁護は、早晩崩れざるを得ません」
「その向こうになお戦う理由を見つけられれば良かったのだがね。彼はそこまで到達できなかったか」
「もう少し時間があれば、あるいは……。タイミングが悪かった、としか言いようがありません」
「妹と出会ってしまったのが不幸ということか――」
「あの妹を含む家族の死こそ、彼の原点でしたからね――」
いままさに一皮剥けようとしていたその時に、出くわしてしまった最悪の悲劇。
脱皮が完了すればさらに強くなれたのかもしれないが、しかし脱皮の最中というのは最も無防備な時でもある。
デュランダルは、レイの分析に腕を組んで考え込む。
しばし考え込んで――紅茶を一口含み、決断を下す。
「しかし、その妹も今は居ない。見方を変えれば、もう彼を縛るモノはない。
――シンには、一旦ミネルバを降りてもらうことにしよう」
「ミネルバを?!」
「スエズに送る。あそこには今、『専門家』がいるからね。
シン・アスカ、『裏切りのフリーダム』を倒したザフトの英雄は、今や無くてはならん存在なのだ。
壊れたままで居てもらうわけにもいかん。
彼自身がどう思うにせよ……早く『直して』戦場に復帰させなくば、私が困るのだよ――」
ジブラルタル基地、軍病院。
多くの看護婦や医師、それにザフト兵が歩き回るその病棟の個室で。1人の青年が、見舞い客を迎えていた。
「……そうか。シンも結局、入院か――」
「なんでもスエズ基地に、精神科で腕の良いお医者さんが来ているとかで……。
ついさっき、飛行機に乗せられて、出発してしまいました……」
ベッドに腰掛け、赤い軍服の上着に袖を通していたのは、アスラン・ザラ。いくぶん血色も良くなってきている。
見舞いに来ていたのはメイリン・ホーク。いつもの緑の軍服ではなく、かなり砕けた私服姿だ。
あれから再び医務室送りとなり、再度の緊急手術を受けたアスランは。
ジブラルタル基地に到着後、麻酔で意識を失ったままの状態で、すぐにこの病院に運び込まれた。
心身の回復が進むにつれ――あの時、シンにしてしまった真実の暴露を、激しく後悔したが。
それでも、吐いてしまった言葉は取り返しがつかない。彼にできることは、その後のシンを心配することだけだった。
「アスランは、もう大丈夫なんですか?」
「まだ激しい運動やMS搭乗は許されてないけどな。ちょっと強引に退院許可を貰ったよ。
シンのこともあったから、早く出たかったんだが……そうか、スエズか……」
手早く退院のための荷造りをしながら、アスランは呟く。スエズ基地は同じ友軍基地とはいえ、いささか遠い。
アスラン自身が言う通り、本当は彼もまだ退院が許されるような体調ではない。
それでも寝てはいられない、と半ば無理矢理に、フェイス特権すら利用して、条件つきで退院を認めさせたのだ。
しかし……それすらも、今のシンの状態には、少し遅かったようで。深い溜息が漏れる。
「なんでだろうな。俺は、いつもそうなんだ……。いつも、遅すぎるんだ……」
「アスラン……」
「――メイリンは、本当に艦を降りるのか?」
「え、ええ……。昨日、後任のアビーさんに引き継ぎを終えまして。
艦長の力添えもあって、今朝からもう、立場上は民間人です。
軍籍離れると、色々面倒なんですね。アスランのお見舞いに来るのにも、手続きで手間取られちゃいました」
唐突に自分に振られた話題に、メイリンは慌てて答える。
自分1人、軍務から解き放たれ自由になってしまった彼女。しかしこれから一体、何をすれば良いのだろう?
「これからどうするんだ? 一旦プラントに戻るのか?」
「いえ……待ってる家族も居ませんし、懐にも少し余裕ありますし。
もうちょっと考えがまとまるまで、色々と地球を見て回ろうかな、って。
とりあえずは、スエズ基地までシンのお見舞いに行こうと思ってます」
「そうか……気をつけてな。シンに、よろしく」
メイリンの言葉に、寂しげに笑うアスラン。赤服の襟を正し、まとめた荷物を持って立ち上がる。
病室を出ようと背中を向けた彼。その後姿に、何かを「感じた」メイリンは――
――衝動的に、その背に抱きついていた。
「……どうしたんだ、メイリン?」
「アスランッ……! あ、あなたはッ、どうするんですかッ……!?」
背中にしがみつくメイリンに、振り返りもせずに問うアスラン。落ち着き払った口調。
メイリンは、自分でも良く分からぬ衝動に、声を震わせながら。
「どうする、って……?」
「これからずっと、ザフトで戦うんですか? このまま、続けるんですか……?」
「……? まあ、そうだな」
アスランには、メイリンの問いの意図がまるで分からない。
戦い続ける以外、他にどうすれば良いというのだろう? 2人は共に、これまでの戦いを思いだす。
カガリを倒してしまった、スエズ沖の戦い。マユを止められなかった、ベルリンの戦い。
そして、兄妹の悲劇を止められなかった、北海の戦い――
「俺は――今度こそ、やり遂げなければならないんだ。決めたんだから、やり通さなければならないんだ。
でないと、ここまでの犠牲が全て無駄になってしまう。シンと妹の悲劇も、無意味になってしまう。
だから、俺は――」
「アスランは――あなたは、軍を辞めた方が、いいと思います」
アスランを遮ったのは、メイリンの意外な一言。同じ記憶をなぞりながら、まるで違う方向を向いていた2人の考え。
思わずアスランは、彼女を振り払うようにして振り返る。
メイリンは俯いたまま、自信のなさそうな口調で。しかし、言葉にしにくい種類の確信に支えられて。
「なんだかアスランは――周りが見えなくなってるような気がします。このままじゃいけないような気がします」
「そうかな。確かにあの時は、身体の調子も悪かったし――」
「シンのことだけじゃなくて――もっと前から。多分、スエズ攻略戦の頃から」
「…………」
「アスランは……アスランも、一度このあたりで、ちょっと離れたところから見直すべきじゃないんですか?」
「…………」
「今を逃したら、もうアスランには、立ち止まるチャンスも無くなっちゃうような気がして。だから……!」
声を震わせながらメイリンは、おずおずと右手を差し出す。まるで「一緒に行こう」とでも言うように。
それに対し、アスランは。
「ありがとな。メイリンはメイリンなりに、俺のこと心配してくれてるんだ」
「う……そ、そういうことじゃなくて……!」
「でも、悪い。メイリンとは、一緒に行けない。
俺はもう、立ち止まらないと決めたんだ。俺のせいで壊れたシンの分まで戦うと、決めたんだ」
アスランの手は、メイリンの手を取ることなく。彼女のツインテールの間に手を載せ、クシャクシャと撫でてから。
厳しい表情で身を翻し、病室を出て行く。
取り残された格好のメイリンは、その顔に不安を浮かべたまま。彼の背を見送るしかなく。
窓の外を見上げれば、そこは青空。残酷なほどに晴れ渡った、曇りなき空――
――見上げれば灰色の雲の下、未だに雪が降り続くベルリン。
連合軍の部隊が大々的に展開し、いくつもテントを張っている。
瓦礫の下敷きになった人々の救出、家を失った難民の支援、食料支援に衛生管理。献身的な救援を進めていた。
要するに――厳しいムチの後には、しっかりとアメを、ということだ。
またこの救援により、この被害は「街を盾にして戦った」ザフトが悪いのだ、とアピールすることも狙っていた。
被害を受けた人々は釈然としないものを感じながらも、しかし目の前の支援の手を取らぬわけにはいかず……。
そんな状況にある街の一角。
奇跡的に生き残り、連合軍に接収されたビルの1つにて。
「よぉっ、美人さん♪ ご機嫌いかが?」
「……良い訳ないでしょう。こんな扱いされて……!」
軽い調子の声を上げながら、1人の男が部屋の戸を開ける。黒い軍服を着た、仮面の男だ。
そんな彼を睨みつけたのは、ツナギ姿の女性。その片足には錠つきの輪がかけられ、鎖で壁に繋がれている。
彼女が自由に動けるのは、この狭い部屋の中、硬いベッドと片隅の仮設トイレの間のみ、という状況で。
「……どうして貴方が生きているのか、どうして連合軍なんかにいるのかは、今は聞かないわ。
けど……捕虜だとしても、犯罪者として扱われるとしても、この扱いはないわよ!
一体少佐は、わたしをどうするつもりなの!?」
「『少佐じゃない』って何度言えば分かるんだ。勝手に殺したり降格させたりしないでくれ、マリュー・ラミアス。
俺は、ネオ・ロアノーク、たー、いー、さー! 」
「大佐」の部分を強調して言うと、ネオは屈みこむ。ベッドに腰掛けたマリューの足元。
懐から取り出したのは、小さな鍵。マリューの足を束縛していた足枷を、カチャカチャと外し始める。
「変なことは考えるなよ〜。俺が傍にいなきゃ、アンタは未だに即時射殺もOKな重罪人なんだからな」
「……庇ってくれている、とでも言うつもり?」
「そーゆーこと。俺としても、アンタを死なせちまうのは惜しいんでね。
ちょっとばかし移動するぜ。ようやくベルリンの敗戦処理が済んだんでな」
鍵を外し、立ち上がるネオ。自由になった足をさすりながら、マリューは不審の目で仮面の男を見上げる。
ネオの狙いは分からなかったが……しばらくは抵抗しない方が良いと見たのか、素直に従う。
そんな彼女に、ネオはやけに馴れ馴れしい口調で愚痴りだす。
「いや〜、もう散々でね。可愛い部下たちはみ〜んなやられちまうわ、俺自身も撃墜されちまうわ。
おまけにマユまで返り討ちと来た。こりゃアンタくらいのお土産がなきゃ、冗談抜きに降格されちまう」
「……!? ちょっと、今、何て!? マユちゃんがどうしたの!?」
彼の何気ない言葉に、血相を変えて詰め寄るマリュー。
対してネオは、飄々とした態度を崩さぬまま、彼女を伴い部屋を出る。
「まぁ……その辺の事情は、ゆっくり機内で語り合うことにしよう。こっちも聞きたいことあるしねェ。
ここから北アメリカまで、フライト時間はたっぷりかかっちまうからな――♪」
――暗い格納庫の中、2人の人物が人を待っていた。
1人は、プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダル。
何やら感慨深い顔で、暗がりの中に立つ巨大な影を見上げている。
1人は、星型の髪飾りをつけステージ衣装を着た、歌姫「ラクス・クライン」。足元では赤いハロが跳ねている。
しかし彼女はハロに構いもせずに、胸元につけられたペンダントらしいきものを弄るともなく弄っている。
いや……それはペンダントではない。翼を模したバッジの形、それが意味するものは――
「――ミネルバ所属、レイ・ザ・バレルです。同艦所属、アスラン・ザラを連れて参りました」
「お久しぶりです、議長」
暗がりに声が響く。見れば、格納庫の向こう、通路の先に、2人の赤い影。
2人は敬礼をすると、デュランダルと歌姫の所に歩み寄る。
「ご苦労だったね、2人とも。特にアスラン、傷の方はもう大丈夫かね?」
「ええ、まだ本調子とは言いかねますが……」
「――アスラァンッ♪」
議長に答えようとしたアスランの言葉は、甲高い声に遮られる。
ステージ衣装姿の歌姫が、何の遠慮もなく彼に飛びつく。その勢いに思わずアスランは顔をしかめた。
「……痛ッ!」
「あッ! 怪我してるんでしたっけ! ごめんなさいアスラン、大丈夫?!」
「も、もう少し気をつけてくれ、ミ……ラクス」
大袈裟に両手を合わせて頭を下げる歌姫を、アスランは眉を寄せて。
文句の1つでも言ってやろうと彼女を睨んだ彼は、ふとあるものの存在に気付く。
先ほど彼女が体当たりした際、柔らかい胸の感触と同時に伝わってきた、硬いアクセサリーの感触――
「ラクス……それは!? その勲章は……!」
「ああ、わたしもこの前のデストロイの一件で、『フェイス』の一員に任命されましたの♪」
「なッ……!?」
「ピンクのザクをわたくし専用にして頂いて〜、ヒルダ隊のみなさんを、わたくしの部下にしてもらって〜。
これからは、『歌って踊って戦えるアイドル、ラクス・クライン』で行くのです♪ ……ね、議長?」
「実際、彼女の戦闘力は意外に高いものでね。正直驚かされたよ。
いささか危険も伴うが……今回のようなことがあると、かえってこうしておいた方が安全だろうと思ってね」
「これからは、同じ立場ですわね。一緒に戦いましょう、アスラン?」
「あ……ああ……うん……」
楽しげに報告する歌姫。楽しそうに語る議長。アスランは驚きのあまり、言葉もない。
ニッコリと微笑む歌姫が、呆然としたままのアスランの手を取り、強引に握手してしまう。
そんな3人に……レイは1人、冷静なままで。
「それより議長――我々をこんなところに呼んだ御用件は、そのようなことではないでしょう?」
「……ああ、そうだったね。2人には、見てもらいたいものがあるのだ」
「時にアスラン。キミを『フェイス』に命じた時の、スエズでの会話を覚えているかね?」
「はぁ……一応は」
議長の唐突な言葉に、曖昧な声を上げるアスラン。あの時、どんな会話をかわしたのだったろうか?
確か、信頼を表すためには勲章くらいしか方法がない、とか何とか――
「その時に――私は約束したね。キミが乗るに相応しいMSを、建造中だと。
セイバーをも凌ぐMSを、用意している最中なのだと」
「そういえば、確かに……」
「残念ながらベルリンの戦いには間に合わなかったが――見てくれるかね!?」
カッ! カカカッ!
議長が片手を振り上げるたのを合図に、格納庫の中に明かりが灯される。
照らし出されたのは、通路を挟むように並ぶ、2つの巨大な影。
「こ、これは――!」
「ZGMF−X19S、インフィニットジャスティス。ZGMF−666S、レジェンド。
アスラン、そしてレイ。キミたち2人の、新しい機体だ」
アスランが息を飲んだのも、無理はあるまい。
そこに鎮座していたのは――どこか見覚えのある、しかし細部はかなり異なる、2体のMS。
全身灰色なのは、PS装甲を採用しているのだろうか。その点もあのMSたちと同様だ。
大型のリフターを背負い、突き出したトサカのような頭部を持つ1機。
円盤状のパーツを背負い、無数のドラグーンらしき装備を備えた1機。
間違いない、この2機は―ー
「見ての通り、2年前の名機・ジャスティスとプロヴィデンスを、現在の技術で作り直したもので――
本来は、『連合側についた』フリーダムに対抗する、ザフトのシンボルとして作らせたものだ。
幸か不幸か、フリーダムはもう倒してしまったが……それでもこの2機が優れたMSであることは変わりない」
「…………」
「ジャスティスのコンセプトを受け継いだ後継機、インフィニットジャスティス。
これには、アスランに乗ってもらうつもりだ。いいかね?」
「はい……!」
アスランは新たな愛機を見上げ、頷く。彼は思わず考えてしまう。
もし、この機体がベルリンの戦いに間に合っていたら。
セイバーよりも強力で、セイバーよりもトリッキーな攻撃を可能とする、このMSがあの時あったなら。
――ひょっとしたら、自分がフリーダムを止められていたのではないか。
シンとフリーダムとの、あの悲劇的な戦いそのものを、回避できていたのではないだろうか。
もしもあの時、この力があったなら――!
「そしてこちらのプロヴィデンスの発展機、レジェンドには……レイ、キミに乗ってもらおう」
続いて議長の発した言葉に、アスランはハッとする。
どうやらこのレジェンド、新型ジャスティス以上に原型機からは大きく変化しているようだった。
ボディはいくぶんスリムになり、背負った円盤状のパーツは2つに分けられ、どうやら可動するらしく。
円盤、そして腰のサイドから突き出したドラグーンにも、いろいろと変更が加えられている。
アスランは思い出す。かつて、プロヴィデンスに乗っていた1人の男のことを。
ラウ・ル・クルーゼ。仮面に顔を隠した、謎の男。
最初は、変わり者だが優秀な上官。アスランにとっては、尊敬の対象ですらあった。
しかし紆余曲折の末、彼は敵となり……やがて、彼が世界滅亡という野望のために動いていたことを知った。
最良の上官であり、最悪の敵。クルーゼの持っていた二面性は、アスランの中では未だに整理のつかない問題である。
そのクルーゼの最後の乗機プロヴィデンス、の上級機が、こうして仲間の機体として目の前にある。
確かに味方となるのなら、これほど頼もしいものはない。敵に回せばこれほど恐ろしい敵もそうそう居ないが。
アスランは複雑な感情を胸に、レジェンドを見上げる。
「私に、扱いきれるでしょうか……?」
「大丈夫さレイ。ラウは見事に使いこなしてみせた。キミにできないハズがない」
珍しく不安を滲ませるレイに、デュランダルは優しく答える。
その問答に、隣で聞いていたアスランは首を傾げる。
レイが問うたのは、おそらく扱いに特殊な才能と技量を要する遠隔操作兵器、ドラグーンについてだろう。
しかし――今の会話は、一体どういうことなのだろう? 「ラウ」とは……クルーゼ隊長のことか?
ちょうど彼のことを考えていたアスランは、不審を抱く。
「議長、それは――」
「分かりました。ではレイ・ザ・バレル、議長のご期待に沿えるよう、精一杯頑張らせて頂きます」
思わず問いかけようとしたアスランだったが、しかし背筋を正したレイの言葉に遮られて。
機を逃したアスランは、軽い溜息をついて視線を逸らす。
視線を逸らしたはずみに――彼はふと、格納庫の片隅に、もう1機見慣れぬMSがあることに気付く。
そんなはずみでもない限り、気付くことはなかったであろう心理的な死角。
「――どうしたのかね、アスラン?」
「あれは――あのMSは、何なのですか? ジャスティスやレジェンドと同じ、新型でしょうか?」
先ほど言おうとしていた疑問を飲み込み、アスランは反射的に「それ」を指さす。
スポットライトを浴びるジャスティスやレジェンドと違い、闇に半ば隠れたままの1機。
輪郭や全体の印象を見る限り、ザフトの量産系MSではなく、ガンダムタイプの試作機の系列だろうか。
背中には、何やら翼らしきものが見える。これもPS装甲なのか、今のところ灰色一色だ。
自分たちに与えられた2機と異なり、ベースになった機体も一見しただけでは分からない。
「ああ――あれは、『失敗作』さ」
「失敗作? 弱いのですか?」
溜息交じりのデュランダルの態度に、アスランは首を傾げる。
ガンダムタイプのMSは、大抵は採算を無視して作られる、最高級の試作機、あるいはワンオフ機だ。
企画の時点で既に失敗が許されないし、また何らかの意味において強力な能力を備えているはずだ。
失敗作、という評価そのものが、ちょっと普通ではない。
「いいや、弱くはないよ。むしろ強いな。強いどころの話ではない、『最強』だ。
攻撃力、防御力、機動力、信頼性。全ての点において、インパルスなどセカンドステージMSを大きく上回る。
単体の戦闘力、スペック上での強さなら、現時点で『最強』だと言い切って良いだろう」
「では、どうして失敗作などと――」
「あれは、『強過ぎる』のだよ」
デュランダルは、呆れたように言い放つ。
暗くてよく見えないが、見たところ大きさとしても普通だし、遠目に見たところ特に変わった武装もない。
背中に何やら2本、大型の武装を持っているようだが、強いて言えばそれだけだ。
けれども、デュランダルが言うには――
「私はMSの開発者たちに、『最強のMSを作って欲しい』と依頼したのだ。
MSが想定しているあらゆる距離・あらゆる局面において、常に最強でありうる機体を作って欲しい、と。
――彼らは、忠実に私の注文に応えてくれた。だがいささか、忠実過ぎたようでね」
「?」
最強にして万能のモビルスーツ。それは万人の夢だ。パイロットにとっても軍の上層部にとっても、それは夢だ。
……あくまでそれは夢であり、現実には実現不可能。不可能だから、様々なアプローチが試される。
特定の地形に専門化させて使い分けたり、武装を換装することで状況に対応したり。変形機構もその試みの1つ。
しかしどこまで行っても決定打が見えないのが、この問題。
一体何をどうすることで、その不可能を可能にしたというのか?
「確かに、出来上がったモビルスーツは最強だった。あらゆる距離に対応でき、あらゆる戦闘が可能だった。
けれども――それに対応できるパイロットが居なかった。乗り手がついていけなかった」
「パイロットが?」
「アレに乗るということは、そうだな……
ナチュラルが何の調整もないコーディネーター用MSに、無理して乗ることに近いかな。
反射神経。対G耐性。情報処理能力。空間認識能力。直感の鋭さ。それこそ、第六感のようなものに至るまで――
あらゆる面において、我々コーディネーターの手にも余るのだよ。最強最悪の、暴れ馬だ。
テストパイロットの中には、狙撃や格闘のように、特定の得意分野に限ればなんとか対応できた者もいたけれどね。
全ての能力を引き出せた者は1人としてない。そんなことは誰にもできないと、彼らは揃って断言したよ。」
「確かにそれでは、個々の分野に特化したMSを作った方がマシですね……」
過ぎたるはなお及ばざるが如し、ということか。
彼らは様々な想いを胸に、その「暴れ馬」を見上げる。
強過ぎるが故に、戦えぬもの。最強にして、無用の長物。
その力強いシルエットは、何故か同時に寂しさをも感じさせるもので……
デュランダルの唇から漏れた小さな呟きが、まさにその機体の全てを言い表していた――。
「まるで、道化だな――!」
――白い光が、辺りを包んでいた。
全てのリアリティが喪失した、夢のような世界で、少女は気がつけば1人。
穏やかな風に、髪留めが揺れる。プリーツスカートが揺れる。
『…………?』
周囲を見回す。
まるで、雲の上に立っているような風景。
青空は眩し過ぎず、太陽は見当たらない。空気そのものが光っているかのように、光に包まれる。
辺りの温度は寒くもなく熱くもなく、ちょうど良い暖かさで。
『……何やってるの、マユ?』
『こっちだよ。大変だったね』
優しい声をかけられて、少女は振り返る。
いつの間にそこにいたのか。穏かな笑みを浮かべた夫婦が、そこに揃って立っていた。
『パパ! ママ!』
『おーい、早く来いよ、マユー! 一緒に遊ぼうぜー!』
『……マユ……もう、恐いもの、ないから……』
両親の姿を認めた少女は、さらに彼らの背後に湧き出すように出現する人々を見る。
アウルが、笑いながら手招きしている。ステラが、安心した笑顔を浮かべている。
オーブ軍の軍人たちが、みな、優しい笑顔で見守っている。
少女は、彼らの方に手を振る。気が付けばその右腕も、生身のものに戻っていて。
『うん――!』
少女は、駆け出す。笑顔を満面に浮かべて、駆け出す。
幸せそうに微笑む大切な人々の所に、もう少しで手が届く――
『――?!』
それは、唐突に。
何もないところで少女は、転倒する。
この光溢れる世界に、足を取られるようなものは何もない。なのに、転ぶ。
彼女はうつ伏せに倒れたまま、何故そうなったのか知りたくて、自分の背後を振り返る。
左足が――千切れていた。
2年前のあの日、自分の右腕を見た日のように。
悪趣味な冗談のように、自分の足が転がっている光景を見た。膝下で断ち切られた足が、そこにあった。
血は出ているが、痛みはない。あるいは、痛みを感じられなくなっているだけなのか。
これじゃあ転んで当然ね――少女は妙に醒めた気分で、納得する。
『――そうか、マユはまだ来れないのか』
『――まだ終われないんだな、この子は』
見守る人々のざわめきが、マユの耳にも入る。彼女は伏したまま、はッと彼らを見上げる。
あと少しで届きそうな距離。彼女の大切な人々は、一様にどこか寂しげな、しかしホッとした表情を浮かべて。
『まだセイラン三尉には、やるべきことが残っているということなのだろう』
『済まんな。我らの不始末を、君のような若者に押し付けてしまって』
『待って! せっかく会えたのに! あたしは、あたしも――!』
馬場一尉が、トダカ一佐が、少女を「拒絶」する呟きを漏らす。
片足の少女は、それでも必死で立ち上がろうとするが――その途中で、右腕が煙のように消えうせる。
少女は突然支えを失って、再び倒れこむ。
見れば右腕もまた、上腕で断ち切られていて。袖の垂れた服越しにも分かる、見慣れてしまった丸い断端。
『行かないで! あたしだけ置いて、行かないで!』
少女は泣き出す。涙が溢れて、視界が滲む。
何か決定的な一線が引かれてしまったことを直感し、彼女は哀しみに飲み込まれる。
みんな、遠ざかっていく。せっかく会えた大切な人々が、遠ざかっていく。
『……お願いが、あるの』
ふと声をかけられ、泣いていた少女は顔を上げる。
滲む視界の向こう、はて、これは誰だったろう?
1人の女性が、彼女のすぐ側に屈み込んでいた。去り行く人たちの群れに従わず、1人残っていた。
どこかで見覚えはあるのだが――名前が思い出せない。あるいは、名前など最初っから聞いてなかったっけ?
短い赤い髪の、お姉さん。
『シンを、助けてあげて。彼を、救ってあげて。
きっとアイツ、今頃やさぐれちゃってると思うから――』
『お兄ちゃん、を……?』
『シンってばいっつも強がってるくせに、妙にモロいとこあんのよね。ま、そこが可愛いんだけど――』
どこか苦笑するような、赤い髪の女性の言葉。その彼女も、彼女の声も、急速にぼやけてゆく。
そのまま、世界は白い光に染め上げられて。
少女の意識は急激に、「向こう側」に引き戻される――
……雪が、降っていた。
空から、白い雪が降っている。
舞い落ちてくる雪を、横たわって見上げながら……彼女はぼんやりと、目を開ける。
ここは、どこだろう。
あれから、どうなったのだろう。
未だ霞がかかったような意識。夢と現実の境界が、曖昧になっていて。
世界は、周囲の景色そのままに、白くぼやける。
白い。全てが白い。
雪が降っている。白い雲から降っている。
だけども、身体は暖かい。周囲は春のような暖かさ。
横たえられた身体を柔らかく包むのは、降り積もった雪ではなく、白く清潔なベッド。
雪降る外界と暖かな内界を遮るのは、ガラス張りの壁と屋根。
ガラス屋根に舞い落ちた雪が、じんわりと溶けて、雪空が滲む。
雪の降り続ける、大きな屋敷の広い庭。その庭の中の、一番真ん中。
――そこは、温室の中に置かれた、大きなベッド。
寝かせられた少女の形に、シーツがやんわりと盛り上がって……
けれどもその輪郭には、揃うべきものが揃っていない。
上腕の半ばから途切れた、右腕のふくらみ。
太腿の半ばから途切れた、左脚のふくらみ。
少女は――今いる場所が、雪に半ば埋もれた温室の中だと認識してなお、現実味のないこの光景に呆然として。
静かだった。暖かかった。白かった。美しかった。
あまりにも突飛で幻想的な光景に――夢の続きにしか、思えなかった。
「……あらあら、お目覚めになられました?」
「心配したぜ。ずーっと眠り続けてたからな」
急に、沈黙が破られる。
温室と屋敷を結ぶ、温室同様にガラス張りの廊下。
そこを渡って、温室に顔を出したのは――
「お気分はどうですか、マユ・アスカさん」
「マユには余計な苦労かけちまったな。あの日から、ずっと」
「テヤンデイ! ハロハロ〜! オマエ、ゲンキカ!? ハロ、ラクス!」
「…………」
車椅子の上で微笑む、桃色の髪の娘。花びらを重ねたような、金の髪飾り。
その車椅子を押す、隻眼の男。微かに薫る、コーヒーの香り。
彼らの周囲を跳ねまわる、場違いに騒がしい桃色の球体。
それらの姿を、ぼーっと眺めながら……
マユは、自分がまだ生きているのだということを――ようやくにして、理解した。
目から、一筋の涙がこぼれる。
死闘の舞台から北海を挟んだ対岸、スカンジナビア王国。
かつて、クライン一族がプラントに移住する以前に暮らしていた旧邸。
全てを包み込むように、雪は降り続ける――
第二十三話 『 彼女の真実 』 につづく
――ということで、マユ生存、シンリタイア。あの桃色の彼女も(多くの皆さんが読まれていた通り)生存確認……。
今回は戦闘なしです。今まで少しハードな戦いが続いたので、小休止ということで。
・水中用ミストラル
適当な存在がなかったので、オリジナル機を出してみました。ナチュでも簡単に乗れる水中用機体です。
元のミストラルには、無印種のユニウスセブンで氷塊を回収する際、ヘリオポリスの学生達が乗っていました。
あるいはアストレイの「キメラ」の素体、と言った方が分かる方もいるかもしれません。
宇宙世紀の「水中用ボール」同様、推進器を水中用にするなど、マイナーチェンジを施しただけの存在です。
・髭面の海軍士官
完全オリキャラですが、まぁ連合兵も悪人ばかりではないということで。
いい人なんだけど……こーゆー性格だと、出世はできんだろうなァ……。
・サイ・アーガイル
というわけで、ジャンク屋になっていました。何故か本編で出てこなかったので、勝手にその後を設定。
人当たりが良いので、連合兵とも良好な関係を築いている模様。ちなみに船には他のジャンク屋仲間も居ます。
色々と設定や背景もあるのですが……話の筋に関係ないので大幅割愛。彼なりに濃厚な2年間を送ってきたのです。
・インフィニットジャスティス
純正ザフト製という他は、ほぼ本編そのままです。型番の最後だけ、AでなくSにしました。エンジンも違うかな。
どう考えても、アスランのために用意してあげるならレジェンドではなくこちらでしょう。
・クライン家旧邸
シーゲルがこの国の出身、というのは公式設定の内です。この旧邸そのものは隻腕オリジナル設定です。
外見的には、プラントにあったクライン邸をほぼそのまま一面の雪の中に移植したようなものと思ってください。
細かいところでは、寒さ対策に窓が二重になっていたり、暖炉用の煙突があったりするのですが。
温室のベッドは元々あるものではなく、後からマユのために運び込まれた代物です。
次回、総集編。といっても、種時代をメインに、ユウナ総集編で取り漏らした部分を中心に。
ある人物の過去、そしてその内面に、独自解釈で深く切り込んで行こうと思っています。
次回こそが、この隻腕マユの物語である意味一番難しい部分になるかと思っていますが……果たしてどうなるやら。
何て言うか、レイ、てめえはやっぱりシン達をコマとして考えとったんかい外道が、とか
ネオは、ちょっとは部下の死を悲しめやボケとか
アスラン、てめえは軽率すぎるぞアホとか、思ったら作者に踊らされてんだろうなあ、
とか思うのだが、思ってしまう。こんなに感情移入して読むのは久々だ・・・。
何ていうか、二次創作をやってる人間舐めてましたよ、ええ。
>>294-295なんて、本当に一瞬ウルっときました。
最高です。超・超・GJ!
やばい、マジで泣いた
3つ目ゲット!!
乙彼!!!!!
哀れなものだ、負債にも隻腕作者さんやPP戦記作者さんの1/10ほどの才能でもあれば・・・・・・
とル・カインしてみる。
GJ、最近涙もろくなった気がするのはなんでだろう…
このマユの目覚めシーン、何か既視感が……洗脳の脅威迫る?
>>303 と、思ったお前も多分手のひらの上だと思う
マユは何と戦えばいいのかわかった気になったりはしない!
はず
>>304 ここはいいギナの掌で踊る名無しの多いインターネッツですねw
さて、矢張りシンは再起不能と来ましたか
ですがその後の強化計画で本能だけの状態で現れる事が・・・・
ふむ、未だ不明の方々やらまだまだ目の放せない展開
物語りも既に後半、スパートはこれから、次回も首を長くしてお待ちしております。
死人がいい感じに活きてるなぁ
思わずうるっときたよ
>>隻腕作者様、GJ!
キャラ厨が通りますよ、ミーアがフェイスに・・・楽しみだが怖いよー
マユがボロボロですね・・・がんばれマユ、とにかくがんばれマユ!!
凸がいいキャラしてるよなぁ
センター前だろうと隻腕はしっかり読んじゃう受験生が通りますよ。
ホントに読んでて先の展開にワクワクします。
最後のページ辺りにくると「もう今回分が読み終わってしまう!!あー早く続きが読みたい!!!」ってな気持ちになります。
マユ生存は予想してましたが何やらデジャヴを感じますねw(そんな俺も手のひらの上ww)
洗脳の危機にマユがどうなるのかいろんな意味で楽しみです。
そして廃人になっちゃったシンに迫る議長の魔の手も気になります。
そんな隻腕の今後の展開にワクテカしながら俺は現実に立ち向かいますorz
あと、密かにサイの濃い2年間が気になるヤシがここに(´・ω・`)ノシ
しかし、こっから先の展開がマジで読めん
連合はいまだ健在どころか、結局開戦前まで勢力図を逆戻りさせられたし、プラントには大駒がゾロゾロ
まあ一番不安なのは、洗脳の危機に瀕している我らが主人公の行く末なのだが・・・・
セイラン嬢より
シンちゃんの行く末の方が既に気になっている俺
シンちゃん…超がんばれ
乙&GJです!
311
受験ナカーマWWW
隻碗様GJでしだ、先の展開に期待です
ところでピンクの歌姫って死ななかったですか?
隻腕作者様GJでした。
二十一話の後、
・あなたは今、失った心肺機能をこのストライクフリーダムで補っているの。
降りたら死ぬわ。
という電波が聞こえたのですが、それより遥かに面白い展開でした。
>>316 撃たれはしたけど、明確な死の描写は無かったはず。
隻腕作者様乙。相変わらずキャラを魅せますねぇ…
ところでデュランダルの「道化」発言に誰も突っ込まないのか?
319 :
通常の名無しさんの3倍:2006/01/17(火) 04:38:08 ID:bq28Pmp+
317>>AIはシンハロしてますか。
>>317 シンがムラサメかセイバーに乗らなきゃいけなくなるだろw
ビッ○バイパー・・・
>>317 兄弟機に乗ったアスランは
「ジャスティスは素晴らしい…想像を絶する…」
とか言うんだろうかw
隻腕乙!
とりあえずアスラン脱走がない&マユが生きてるで安心した俺ガイルっとw
個人的にあれはエクステンデッド表現ではないと思うんだが…
そういやあそこにカガリいなかったってことは…やつの悪運はまだ尽きてないってことかw
とにかくいいとこにルナが活きてる!フリーダムも一緒に回収されたっぽいし…頑張れマユ!兄貴を修正してやれw
で、そのシンちゃんは…ペリーニの曰わくオーバーエクステンデッドになるのかな…
思うに
ナチュラルのエクステンデッド=コーディ
じゃあコーディをエクステンデッドにしたら…?
ってやつだと思うんだけど…いや思うだけ
だってこれならシンVSキラになるしねw
あと最後に
最初の方のシンの台詞でみんなのおかげで〜!って部分
あの場面でほぼ故人扱いのハイネを出すのはちょっと…いただけないような.゜(つД`)゜にしてもホント泣けるよ…
あとメイリンはアスラン[さん]だったような…恋愛感情じゃなくて一応先輩に対する敬意の表れだと思うんだ>さん付け
長くなりましたがとにかくこれからもwktkでGJ!な作品を期待してますよ!頑張って下さい!
GJです!
個人的にマユやシンも気になったがメイリン振られる&アスラン、分岐点をスルーの回
このアスランなら脱走はないので今後の展開が楽しみだ
ちなみに調整中のナチュラルのエクステンデッド、コニ○ル?
と思ってしまうあたり私も手のひらの上なのかな……
運命が・・・・ドラゴン殺し?w
個人的にはアスランが脱走しないとガンダムが3対1になってしまうので、
演出上やむを得ないと思うのだが・・・
要は脱走に説得力があり、かつかっこよければいいわけで・・
とりあえずユウナさんをたすけてあげてください=△=
>>325 君ぃ、オクレ兄さんを忘れてやしないかね
>>325 そうだ、オクレ兄さんなら、マユとステラとアウルの仇を討つために
生き残りのロドニア組と一緒に、ザフトに一矢報いまくってくれるさ!
そんで、傷心のマユを慰めてヒロインもゲットという無敵の未来に進んでくれる・・・・・・といいなあw
マユvsシン
ネオvsレイ
スティングvsアスラン
こんな感じで予想
お前ら気持ちは分かるが、先の展開の予想は少し自重しろw
つまりエピタフ禁止?
全くするなとは言わんが、願望書き出されるとな。職人も書きにくかろう
フリーダム撃破の決着から、どう料理するんだろうと不安に胸を膨らませること幾星霜。
納得の読後感は、隻腕氏の中でキャラがちゃんと生きたり死んだりしていているから
なんだろうな。本当にGJです。
>デジャヴ
このEDはRIVER(石井竜也)じゃない感じ。
何が合うかな?
>道化
言われてみれば、顔の配色がピエロ?
デスティニーは道化、本当の主人公は違うんだぜと
デザインで嘲笑っていたのか負債
残念ながら俺はそんなデスティニーが大好きだ
やばい、運命燃えの俺にこの設定はたまらんぜ
>>332 まるで血涙を流しているように見えるとも、ピエロ顔とも言われていた
俺はシンの心情と、運命に翻弄される者という、二つを表現したデザインだと解釈している
普通に描写すればかなり美味しい設定のはずだが、まあ負債的にはどうでも良かったんだろうからマジでそう思ってた可能性は大いにありえるな
「ピエロ」ってのはアンチ運命厨がよく運命を指して使う蔑称。
そこを逆手に取った感じ?
運命の道化師 燃えー
隻腕GJ!
いやー、まさか「これでは道化だよ」。
シャ○のあの名ゼリフを運命とからめるとは!憎いねぇ〜この!
にしてもマユタン両足を失いましたか。
これで四肢の残りは左腕のみ……うわーん、達磨だー(泣き)
それはそうと、今後の展開が楽しみでつ。
∞の乗り手、てっきりマユと思ったんだけどなぁ……よもや、ザフトが開発するとは!
心が暖まるお話でした。
まだ右足は残ってるよ!
・・・やば、さらに手足を失ったマユの姿を予想していたら、当たってしまった・・・
普通、機体が撃墜されたらこの程度でもマシなほうだよね?
被弾で撃墜じゃなくて完全に破壊されて撃墜だからな
バーニィになるのが普通さ
まあ突き刺さっても自爆されても無傷な人がいますからw
隻腕様GJ・・・。
あらかた言いたいことは言われているので1つだけ。
フレイ厨の俺としては作中に「アルスター」の名が出てきただけで美味しかったり。
回想で何度も爆死したり、EDに1カット出てくるよりよほどいいよ・・・。
隻腕マユの次の乗機はパイルバンカーを装備したフリーダム・テスタロッサだな。
隻腕作者さん
ホントにGJです!!!
ここまで続きが気になった事はあまり記憶に無いです。
期待して待っていますのでぜひ頑張ってください!!!
346 :
170:2006/01/17(火) 20:49:46 ID:???
隻腕21話お疲れ様です!!シンが・・・シンが壊れちゃったよ!?
ここ何話かのシンが物凄く良かっただけにショックがでか過ぎ・・・
無限正義が純ザフト製になったのは説得力があってGJ!!やっぱアスランには伝説
より正義でしょ!!しかし、議長の「ラウ」発言はアスラン脱走伏線?
ミーアのフェイス任命はフイタw歌って踊って戦うアイドルってどっか聴いたような?
「運命の道化師」・・・ナニ、このかっこいい渾名!?シンの未来をイメージ
した不吉だが、明確なまでの名前・・・マユとの再会は!?
そして、マユ生存・・・でも左足が無くなるって・・・パイロットに戻れるの!?
それとも攻撃自由はキラが乗っちゃうの!?マリューさんは!?
ところで、ラストの歌姫はどう動くのだろう・・・
残念ラクスデバイスは出なかったか。
正直歌姫は、大人しくしていてもらいたいが。
やつが、台頭するとろくな事にならない。
>>348 割り切れよ。隻腕世界のラクスと、この前の同人アニメのラクスは別人なんだって。
俺だって、同人アニメのアスランとキラは死ぬほど嫌いだが、隻腕世界のアスランとか
PP戦記のキラは結構好きだぞ。
>>343 フレイには学園スレの方とか
旧フレイ板とかであったSSとかで結構活躍してるからいいじゃまいか
そんな俺はこういうSSの所為でフレイ厨になってしまった
後はユウナとマユ(*´д`)
>>348 冷静に考えてみるんだ
ある意味ではラクス・クラインは嫁補正の一番の被害者だ
世迷いごとばかり言って、理想のことしか考えないで
腹黒でパルパティーン皇帝で
こんな性格にされちゃった彼女はシンなどとは違って嫌われたままなんだ
ラクスはPPでは誘拐、運命の舞踏ではお亡くなり?にして
うまくストーリーからフェードアウトさせているな。
彼女を前面に押し出してしまうととんでもないことになるからねぇ。
某無印種二次創作じゃ電波を極めてる節があるし。
原作でしでかした事を考えると扱いが難しいと思うよ。
「シンハロー、名前を言ってはいけないアレごっこしよー。アキラおにいちゃんも誘ってー。」
「うし、じゃあ俺とアキラと・・、マユとステラとカルマか。これだけいれば出来るな。」
アスランはその様子を見て笑った。おそらくハリーポッ○ーごっこだろう。素直にそういえば良いのにと、彼は思った。が。
次の瞬間、その微笑は石になった。
シンハロはなぜがエレキギターを、アキラは小さな浮き輪を両手に持ち、マユはでっかい夜店で売っているビニールハンマー。
カルマはピコピコハンマーでステラはビート板。
「じゃあお互いに二十回攻撃が当たったら終わり名。」
「わかったー、じゃ、スタート。」
すると突然、水柱がプールに上がった。
「舞い踊れぇ!水たち!!」
ここの施設のコンピューターにアクセスして水を操っているのか次々に水柱が上がる。
あ、キースがふっとばされた。
「うぇーい!!」
ステラがビート板を投げるが、アキラの浮き輪が浮き輪とは思えない速さと強度で打ち落とす。
「この程度じゃ俺達には通用しない、記憶したか?」
・・・・あ、名前をいっちゃいけないって・・あれか、大人の事情でいっちゃいけないのか。
アスランは呆けるしかない。あ、アウルが吹き飛ばされお星様に。
マユ達がたくみに水による攻撃を避けるたびに他のメンバーが犠牲になって言った。
福田が言うには運命の顔は子供にも分かるように悪役っぽい顔にしたそうだ。
まぁそこが好きだけどな
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
結局、マユ達は怒られてその日の昼ごはんはガリガ○君一本になった。
「シンハロだけ・・・・意味ないじゃん。」
カルマが不満そうに呟く。
「ねぇねぇ・・・お塩かければ・・・しーそるとアイス。」
ステラの呟きにアキラが目を輝かせる。
「本当だ!よし!ウォータースライダーの上でトワイライ○タウンシチュで食べようぜ!ちょうど四人だし!!」
騒ぐ外見年齢及び精神年齢お子様組に一人だけ取り残されるシンハロ。
その後、一人寂しくずっと流れるプールで流れていたそうだ。
「まったく、皆お子様ねぇ。」
「まってお姉ちゃん。その防水カメラとシュノーケルは何?」
ばっちし装備のルナマリアにメイリンが突っ込む。
「何って・・・・こんな無防備な美形どもがよりどりみどり・・・。」
「おねえちゃーん!!やめてー!!お姉ちゃんみたいな人がいるから女のオタクは肩身が狭いんだよ?!」
犯罪を犯そうとする姉を必死に止めるメイリン。
「いってきまーす。」
そのままスススススス・・と音もなく水中に消えていくルナマリア。目立つはずの赤い水着はまったく見えない。
「おっ・・お姉ちゃんが妖怪じみてきた・・・・・!とりあえずスティング・・・。」
その瞬間、メイリンは殺気を感じ取る。
「メイリン?!何かあったのか?!」
泣きながら向かってくるメイリンを心配するスティング。
「ごめんね・・・・私弱くてごめんね・・・・。」
メイリンは泣きながらあやまるだけだった。
財布なくした、ほのぼのです。
このシチュはほろーあたらくしゃーをプレイした時からよし、やっちゃえ。と思ったシチュでした。
きっとこのゲームの表紙にはルナマリアだけ正規ヒロインなのに書いてないというオチ。
裏はまとめサイトにあるハイネ隊の絵。きっとそんなオチ。
ーーーーちょっとしたおまけ。−−−−−−−
シンハロ「おい、雑種。こっちこい。」
シン「ポンコツ!俺のこと雑種ってよぶな!!」
シンハロ「だまってろ!お前より俺の方が偉いんだよ!!」
シン「なんでだよ!!」
シンハロ「だってマユ以外で絵版に描かれてる回数が一番多いのっておれだもん。」
シン「?!」
何気にこいつ絵版でけっこう書かれてるんですよね・・・・。
作者が中途半端に絵描きでコラするから書きやすいのか・・・・。
それでは。
隻腕氏GJ!
燃える展開になってきたなあ
シンとアスランの未来がこうなるだろうなあってのが微妙に予想できちゃったけど
華麗に裏切ってくれる事を期待してるよ!
隻腕読んだおおおーーー
最近の隻腕シンを見てると、中の人がマユだったんだよ!と言われても
それがどうした、アイツは敵だった、討たなきゃならなかった!
とみんなの前では言って、その後また戦闘にのめりこんでいく…
今回の言い回しを借りると、脱皮を果たすんじゃないかと思ってたんだが、
壊れてブーステッド化かあ…やべえ、ハピーエンドがまた一歩遠くなったお!
>>ほのぼの
地方妖怪マグマリアワロスw
お前、なにやってんのw? 隻腕で姉マリアぶりを発揮したと思ったらwwwww
もしも……もしもだ。
……隻腕の作者の正体が嫁だったなら。
ショックでリアル死者がでるんじゃないだろうか……
361 :
sage:2006/01/17(火) 23:47:53 ID:DWXQ1Jev
>>360 もしもそんなんだったら、冬の東尋坊にダイブします。
362 :
361:2006/01/17(火) 23:51:08 ID:???
やっちまった… OTZ
363 :
360:2006/01/18(水) 00:04:41 ID:???
ヤられちまった……orz
だが、だ
もしもそうなら何故そのことを本編でしなかったのか糾弾したい
とりあえずもう感想だけで結構いってるのな
ミーア厨の俺としては舞踏でケイがミーアの事知ったとき
何するか怖いんだが…
もしもそうならば過去に俺の立てた仮説が真実になりそうだ
つまり、嫁はその天才的な脚本能力と演技力で
無能な腐女子を自ら演じ、作品をグダグダに終わらせる
だがしかし、そのグダグダ具合を見事に
「こうすれば面白かったのに」「何故ここでこうしないんだ」
と思わせるように調節し、多くのSS職人やガノタの妄想を広げるために・・・
スマンカッタ(´・∀・`)
コラコラ、ありもしない仮設をたてるんじゃないよwww
368 :
通常の名無しさんの3倍:2006/01/18(水) 06:17:19 ID:H11lGT3L
ありえ・・・ないか。
どんなにうつてんかいでも
らくすさまにしたがえば
しあわせになれるよ!
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ なれるよ!
ヽ 〈
ヽヽ_)
騙されるな!
ヤツは身内にしかその守護力を行使しない。神は死んだのだ!
書き手の一人です
変な質問なんですけど、オーブの経度及び緯度はどのあたりなんでしょうかね?
スレ違いかもしれませんがスマソ
赤道直下という以外、詳しい事は分かりませんねえ・・・
赤道直下なのになんで紅葉があるんじゃいというツッコミは不可(参考:シンの回想)
あれは紅葉のようにみえる熱帯植物じゃないのかな
あるいは温帯を再現した巨大な植物園の中か・・・
>>371 大まかに言うと東経約170から約175度、南緯約5度から約10度。大体ソロモン諸島の北東ぐらい。
おまいら、右足以外全て切断されてるってシチュ平気なのか?
隻腕が面白いのは間違いないんだが、ちと今回ばかりは引いた…
所詮作り話とはいえ、ここまでくると耐性の無い俺にはキツスorz
オーストラリアの近くだったかなー>オーブ
超時空要塞マクロスにおける南アタリア島、
ASS-1の落下地点直撃ってあたりにあった気がする。
サルファで種参戦の頃に話題になって、αの時点でオーブ滅んでるじゃんw
ワロスwwwwwwと爆笑した記憶がある
サルファではラクスポエムは全キャラにスルーされてたな。
378 :
371:2006/01/18(水) 20:44:21 ID:???
ありがとうございます
しばしお待ちを…
>>376 その後、日系資本の支援で復興した国がオーブだったりしてw
>>375 生きてるだけでも奇跡だろうからなぁ…というか、虎と同じ状態になったのかな?
いずれにせよ、戦場に出りゃこういう事もあるだろう。どこぞの無敵主人公でもない限り。
>>375 賛否両論あるから誰もつっこまなかったのに。
五体満足で復活よりは当然話は重くなってハンドリングは難しい。
でも隻腕氏ならいつものようにうまく料理してくれると信じてる
一応左手も残ってるし、この世界は義手義足技術が発達してるから
日常生活にさほど支障はない。
また戦えるかどうかはわからんが…
>>375 お前は俺か?ほんと隻腕は面白いが、最近鬱腕だよ
コニタンレイプでドン退きした俺はもうついていけそうもないわ
作者さんには作者さんの考えがあるでしょーが、きついわ
実際はマンセー意見ばかりでここの住人は皆こういうの好きなのかと思うと・・・
このスレを去ろうかと思ったが他の作品の続きが気になるからまだいるw
>>383 そこでフロントミッション5に出てきたS型デバイスですよ!
ドリスこるの使った旧型のやつになりかねん
鬱なのは確かに悲しいし辛いけど、それを遥かに上回る魅力があると思うな。 隻腕には
正直2次創作で何度もボロ泣きさせられたのはこの作品だけorz
>>383 不屈の精神を持ったMS乗りにあっては、
自己に与えられた過酷な運命こそ、かえってその若い闘魂を揺さぶり、ついには…
隻腕のMS乗りの刃は、敵機を断つことが出来るのか?
出来る 出来るのだ
まあまあ、そう熱くなりなさんな
色々と言いたいこともあるだろうが、胸のうちに秘めておくのも重要だぜ
「ひゃっほーーーーっ!!」
ウォータースライダーを降りるハイネ。一緒に乗っていたレイは目を回している。
「何だお前?苦手なのか。よく赤服になれたなぁ・・・。」
「関係ありません!!」
カシャッ!
「おりゃっ!!」
「甘い甘い♪」
ビーチバレーをしている。アウルの強力なアタックをあっさり弾くキース。
カシャッ!
「○○○○ッ!!騙されるな!!」
「二人は・・・親友だもの・・・。」
「名前いっちゃいけないからつまらないね・・・。」
相変わらず大人の事情で名前をいってはいけないゲームごっこをするお子様組。
カシャッ!
『・・・・・・・?』
シンハロは流れるプールで流れながらCPにアクセスし、監視カメラの映像を見る。
・・・・・・・おかしい、ルナマリアがいない。
あいつがいつもやることはとんでもない。世のまっとうにマナーを守る腐女子さんに申し訳ないくらい。
『メイリンのところに行くか。・・・・・・あと一周したら。』
やけで回っていたわけではなく、純粋にこのロボットは流れを楽しんでいるのだった。
二次創作で泣くとかいってる香具師は頭大丈夫?
ラノベじゃなくて普通のちゃんとした小説読んだことある?
キモいポエムまで書く香具師までいるし・・・
このスレも雰囲気変わったな
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!」
『いや・・、そんなに泣かなくて良いから、メイリン。』
号泣するメイリンにあたふたするシンハロ。スティングがむっちゃ睨んでる。
「・・・・・お前ら、ルナマリアの気配に気づいてたか?」
男性陣、女性陣ともに首を振る。
「僕でも気配を察知できないなんて・・。」
キースが悔しそうに呟く。彼の感覚はコーディネーターさえ上回る。
「ルナマリアが出てくるまで待つのもな。」
「盗撮されてながら遊べるか!!」
「これって訴えられる?」
皆口々に文句を言い始める。
うーむ、と考え込むハイネ。
「ハイネ、俺に策がありまーす。」
アキラがハイネに提案する。ルナマリアに聞かれないようにごにょごにょと話す。
「・・・・・アキラ、お前できるのか?」
「別に?」
「・・・・じゃあいいけどよ。じゃあシンハロとアキラでルナマリアを探してくれ。」
「『うぃーす。』」
シンハロとアキラは皆から離れた場所で二人でルナマリアを探している。
「いないなー。」
『・・・・・・・そうだな。』
シンハロは意味深に答えると、アキラに背後から近寄る。
「・・・・・わっ?!」
アキラは驚いた声を上げる。シンハロに急に抱きしめられたからだ。
『アキラ・・・・・。』
「えっ?!あのシンハロ・・・?!それアキラ違い!!おれはトシマのアキラじゃないから!!」
(・・・・・・・ちっ。ばれたかしら。)
ルナマリアは水中で呟く。頃合を見て逃げたほうがいいだろう。
人気のないほうに移動すると、突然声が聞こえてきた。
「ばか・・っ!こんな所でっ・・・・!!」
『なーに言ってんだよ?二人っきりになりたくてハイネにあんなこといったんだろ?』
「ち・・・・違うっ!!何考えてんだこの馬鹿!!」
ルナマリアさん、リミットブレイク。
(え・・・?!嘘?!やっぱり前からあの二人怪しいと思ってたけど・・・いやったぁぁぁぁぁ!!)
ルナマリアはこそりこそりと移動し、その場所が見えやすい高台まで移動する。
「こらっ!!このポンコツ!!こんなところで始めるやつがあるかっ!」
『いーじゃん、たまにはこーゆーシチュでもさ・・・。』
(きゃーきゃーきゃーーーーーっ!!)
思わずルナマリアは良く見たい一身で、ゴーグルをはずす。
そのとたん。後頭部に鈍い痛みが。
「ルナお姉ちゃん!ちゃんとしようよ!やりすぎ!!!」
背後からマユの声が聞こえてくる。どうやら潜んでいたらしい。
「ふっ・・・・、マユ。悪いけど逃げさせてもらうわ!!」
そのとたん、ルナマリアは下に飛び降り・・・・滑ってこけた。その手からデジカメが落ちる。
『こらっ!!御用だ!!!』
シンハロががっちりルナマリアを掴む。
「騙したわね!!信じてたのに!!」
『ふっ・・、ついついクラスの男子を怪しく思ってしまうのは腐女子のサガさ・・・。』
かっこよくシンハロが言うが、何やら向こうのほうでアキラが固まっている。
「・・・アキラお兄ちゃん?」
マユが階段をおり近づくと・・・・。
「○月▽日晴レ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
隠し撮りに俺の写真だけなかった。
許さない。 」
その瞬間、アキラの雰囲気が変わる。
髪を纏めているリボンは解け、真っ黒いオーラが出てくる。
『うわっ?!黒アキラ?!なんかやばい感じ?!』
「どーすんのよこれ?!」
ルナマリアを掴んだまま冷や汗(イメージ)をたらすシンハロ。
「シンハロ、ルナお姉ちゃんを生贄にしてターンエンド!」
『流石だな!マユ!!』
マユの声に即座に反応し、ルナマリアをアキラの方向になげるシンハロ。
「ちょっとーーー!!女の子に何すんのよ?!」
『うるさいっ!!全世界の女の子にあやまれっ!!』
「うわっ・・?!なんか黒いうにょうにょが見えるのは気のせい?!」
「え・・・・・?アキラ・・・?何・・っ?!ごめんって・・・・キャーーーーッ!!」
財布、マジみつからない。ほのぼのです。
ごめんねぇ!!腐ネタでさぁっ!!
絵掲示板のシンハロがラ○ダー発言をうけてそれっぽくしてしようと思ったら
アキラが人気ない子になってました。
アキラとシンハロのあれは抱きつきながらカンペ読んでるだけです。一応捕捉。
ホモっぽくするならこれくらいホモっぽくしないとね!ギャルゲーのホモネタくらい!
あんな中途半端にあからさまでモノホンっぽいホモなんて腐女子でもいらねぇよ。同人アニメ。
プール編はこれで終了です。・・・でもそれが終わったらネタがないよー。
単発設定小話 脇話「シンとぬこたん、キラとラクス」
<ピーピーピー>
〜通信音が響くムラサメコックピット内〜
シン「・・・ん、なんだ?こんな寒地で通信かよ・・・。(がちゃ)はい・・・こちらコウノトリ」
ジブリール「やぁ。君がシンかね?」
シン「!?・・・あんた・・・ジブリール・・卿・・・・・・か?」
ジブリール「そうだ。君と話をするのは初めてかな?」
シン「そう・・・だと思います。・・・無礼な態度、失礼いたしました!」
ジブリール「ふ、はっはっは!かしこまることはないさ。音声しか通じていないのだからね」
シン「はっ!」
ジブリール「さて、簡潔に用件を伝えよう。ベルリンでの例のMSの調整後に渡したいものがある」
シン「渡したいもの・・・ですか?」
ジブリール「そう。君のためのプレゼントだよ。受け取ったらファントムペインと早急に合流してくれ」
シン「了解しました!」
〜通信を切るシン。猫と戯れるジブリール|
ジブリール「いい返事だな。・・・なぁ?ぬこたん?」
猫「ぬぁ〜」
〜アークエンジェル内、休憩中のキラ&ラクス〜
ラクス「キラ・・・フリーダムはいかがですか?」
キラ「え?ああ、どうかな?そんなに違和感はないよ」
ラクス「そう、ですか・・・。私はあなたに再び剣を渡してしまいましたわね」
キラ「ラクス・・・・・・。ラクスが気にすることはないよ。僕が自分で望んだことだし。あの時は違うよ」
ラクス「キラ・・・」
キラ「・・・オーブをあのままにしておけないし・・・・・・」
ラクス「・・・そうですわね」
キラ「それにね、前の戦争でオーブから出て行ってしまった人たちが安心して戻ってこれるようにね」
ラクス「戻られる方々のため・・・。キラ、わたくし用事を思い出しましたので失礼いたしますわ」
キラ「えっ?ああ、うん」
〜小走りに立ち去るラクス。ポカーンと間抜け顔のキラ〜
〜自室で軽快な音楽に聞き入るバルトフェルド〜
バルトフェルド「う〜ん。いいねぇ。実にいい」
ラクス「あら〜具体的にどのあたりがよろしいんですの?」
バルトフェルド「ん〜なんというかこのぉ・・・ってラクス!?何時入った?ここは俺の部屋だぞぅ?」
〜バルトフェルドの部屋に『勝手に』入ったラクス〜
完 ・・・キラとラクスの方は、ラクスのSUIT CDに収録されてるエピソードを続けてみました。
ほのぼの乙!
あっさり引っかかるルナにワロタwいゃったああ!ってムルタかおまえはw
やっぱり時事ネタがいいんじゃないでしょうか?この時期はやっぱり雪合戦とか
>>397 マユ「あなたは何がしたいの!?」
ラクス「刑事的訴追の可能性があるためお答えできません」
「×月凸日曇リ☆☆☆☆☆☆☆☆
ほのぼのマユデスの元ネタが全て分かると友人に話したら( ´,_ゝ`)プッって顔をされた。
次はない。 」
>>393 ルナマリア・・・最早完全に向こう側へ逝ったなw
>>401 グロ耐性とか言って残酷なもの進める行為は何か勘違いしているとしか思えん。
グロが嫌いって人はいて当然。そして、グロになれる必要などない。
>>401 ベクトルが全然違うだろ
流石にそれは引くわ
>>401,403-405
気持ちは分かるが全員スレ違い。
社会問題語りたいなら、その板へ。そしてグロ云々を語りたいなら
あるかどうかしらないが、相応のスレを探してそこへどうぞ。
隻腕氏GJ!
ところで、シンがうなされてた夢、
最初見た時、ユウナの妄想と思って吹きかけたの俺だけ?
>>407 ・・・・・・同士がいたよ。いや、ホントにユウナの妄想だと思った。
ユウナがあまりにもいい兄貴やってるもんでね。
けど、カガリは一体何やってるんだろ? 早く戻ってやればいいのになあ。
ふと思った
マユの足が片方無いとか、腕が片方無いとか言ってるがさ
PP戦記のシンは全部無いんだぞ?(´・ω・`)
義手義足技術テラスゴスな種世界
やっぱ新しい義手にはサイコガン仕込んでいるのかなあ
義足にはグレネードランチャーとか・・・車輪?
んでもって、外すと爆弾になるとか
某改造戦士の○○4?
某宇宙戦艦の真○さん?
>>410 ゴメン。素で忘れてた。そういえばそうだったな。
>>413 カ○ウ○ルミも混じってる・・・
これはほのぼのマユデスに期待するしか(何を?)
下手に外部で紹介されたり話題になっちゃったってのもあるのかねぇ?
この読み手のレベル低下みたいなのは。
確かに。
つまらないことでレスする奴が増えたよな
なんで色々な職人の邪魔になるとわからないかね
好き好んでグロに傾倒する奴はそう多くないだろうが、あの本編見てる時点である程度耐性できてる奴の方が多かろう。
ここの作品は、お茶の間で不意打ちで流してるんじゃない。あの本編見てなお好き好んで二次創作見てる奴ばかりだ。
それでもなお苦手な奴もいるかもしれんが、ま、なら読まなきゃいいだけのこと。
それ以上に、本編じゃキラの無傷の帰還が叩かれまくってたからな。新シャア板向けの作品としちゃこうなることもあろう。
外から来た人には、キツいのかもしれん
>>417-418 せっかく収まってるのに蒸し返してどうするよ?
SSの話題以外でスレが埋まるのは荒らしを招くからやめようぜ。
考え好きかもしれんが、俺の好きだった某SSスレが蟻の一穴、ってなもんで
議論から崩壊しつつあってさ・・・。マターリやろうぜ、マターリ。
と言われてもなぁ
嫁仕様の種、種死では体が破裂して北斗の拳のように吹っ飛んだり
∀のウィルゲィムさんは手だけだったり
てかマユ自体手千切れて死んでるじゃん(´・∀・`)
1・マユ・アスカ
私の名前はマユ・アスカ。逆から読むとカスア・ユマ。
なんとなく名前になっているようで、なってない。微妙。
これでもザフトアカデミーのエリートの証である赤服を着ることが許されている。
前から思ってるんだけど『赤服』てPCで変換したら、『赤福』になる。オーブではよく食べてた。
ちなみに東アジア共和国の中の日本とかいう場所が発祥の地らしい。だからどうした。
・・・少し混乱気味らしい。さっきルナ姉と歩いていたら、いきなり一人の男とぶつかって胸を触られた。
そいつが不届きにも謝りもせずさっさと行こうとしていたので、一緒にいたルナ姉が怒り狂って、猛抗議していた。
ルナ姉とは、私の同期でザフトの赤服、ルナマリア・ホークのことだ。
さばけた性格で面倒見がよく、アカデミーで私の面倒をよくみてくれた。ルナ姉には本当に感謝している。
容姿端麗でスタイルも抜群。なのに、彼氏がなかなかできないのはなぜだろうか?
一度、しっかりもの同士、レイ兄ちゃんとなら上手くいくんじゃないかと思って、
どう? と言ったら『マユはまだお子ちゃまねえ』と言われて頭をなでられてしまった。
男女の仲というのは、私にとっては未知の領域。アウターゾーンというやつだ。古い。しかも多分違う。
まあ正直、一度彼氏ができると、その男以外目に入らない時期があるらしいので、
ルナ姉が男と付き合うことになんかならなくて良かったとも思うのだが、これは内緒。
話がそれてしまった。・・・何の話だったっけ? ああそうそう、ぶつかってきた男の話だ。
そいつは、私達の抗議に。
『そう言えば、女性というのは胸部とかを触られると不愉快に感じるんでしたね。大変失礼しました』
と、何やら気味の悪いことを言ってくるので、さっさとその場を後にした。触らぬ神に崇りナシである。
あんな奴に触られてしまったというのは、痛恨事だった。チョベリバってやつ。コレ覚えている人いるだろうか?
――――違うか。
私が今、少し混乱しているのは、その男がシンお兄ちゃんに似ていたからだ。
ちょっと私にかまいすぎなとこがあったけど、いいお兄ちゃんだった。優しくて、真っ直ぐで。
そのお兄ちゃんはもういない。オーブで地球連合のクソッタレどもに殺されたからだ。
マスドライバーがどうしても必要だった地球連合軍は、再三引渡しを迫り、最後通牒をつきつけて
オーブに侵攻してきた。そして、私達家族は逃げる途中で戦闘に巻き込まれ、
お兄ちゃんも、お父さんもお母さんも死に、私は右腕を失った。
四文字熟語で言うと天涯孤独。全然笑えない。
その後、オーブは陥落。ウズミ全代表は自殺。戦力が足りてないのにツッパラかったのは
失政だったとは思うが、悪いのは無理矢理侵攻した地球軍だし、責任とって死んだのだから許してやろうと思う。
ちなみにその娘は、スタッド・ポーカーででロイヤルストレートフラッシュがでるぐらいの幸運に恵まれて、
前大戦の英雄になり、今はオーブの元首になっている。どうもお飾りらしいけど。
親の失敗の責任を娘が取る必要もないと思うし、地球軍を大分殺ったらしいので、こいつも許そう。
許せないのは地球軍とその黒幕、ブルーコスモスの奴らだ。色々調べた結果分かったのだが、
どうも地球軍の後ろにはブルーコスモスという集団がいて、オーブ侵攻にもその親玉、
ムルタ・アズラエルとかいう奴がからんでいたらしい。
大戦は終わったけど、この集団が解散したなどと言う話はまったく伝わってこない。
―――それなら私が殺してやる。そのために手に入れた力だ。
サド入ってんじゃないかと思う教官達にしごかれて手に入れた力だ。
血反吐を吐くまで訓練して手に入れた力だ。・・・本当に出た時は流石に休養したけど。
大丈夫。ブルーコスモスってのは、コーディネーターを一人残らず殺しつくさなくては気がすまない集団だ。
おそかれ速かれ、何かしかけてくるのは間違い。私が現役の内にもう一度くらいはあるだろう。
11歳であることに感謝、だ。
戦いになったら、思う存分地球軍の奴らを殺して殺して殺してを殺して殺して殺して・・・・殺してやる。
にしても、あの男、本当にお兄ちゃんに似ていた。金髪ですみれ色の瞳でなかったら、
お兄ちゃんが生きていたと思ったかもしれない。
・・・よそう。こんなことを考えるのも、まだ私に未練が残っているからだ。
お兄ちゃんは死んだ。そして二度と生き返られない。それが非常な現実というやつだ。
さて、久々のオフだし、やることは・・・・昼寝にきまっている。
平日の昼間から寝られる喜びを存分に貪り尽くしてくれるわ!
2. ステラ・ルーシェ
「ステラ、目立つことすんなよなぁ。」
迎えの車を待っている時にアウルが声をかけてきた。
さっきの一件をどうやら見ていたようだ。怒るのも無理はない、どんなことが原因で
任務に支障がでるか分からないのだ。まったくもって僕のミスだ。
「すいません。けどまさか、手が触れただけであんなに怒るなんて・・・。」
「何やったのさぁ?」
「女性の胸部に触っただけですよ。」
「そんだけぇ?」
「そうですね。」
「わっかんねぇ、何でそれであんなに怒るわけぇ?」
「僕に聞かれても。」
にしても、それだけしっかり見ていたなら、助け舟ぐらい出してくれても良かったと思うのだけど
それは、言わないでおこうと思う。
「・・・お前等、そろそろ黙れ。時間だ。」
「へいへい。」
「失礼しました。」
スティングさんに怒られてしまった。
彼は僕らのリーダーだから何かと色々他に気を配らなくてはならない。
大変だと思う。できるだけ力になろうと思っていたのに、早速迷惑をかけてしまった。
この失敗は教訓として、二度と同じことをやらないようにしなければ。
同じ失敗は許されない、それがラボの掟だ。
僕はステラ・ルーシェ。今まであった大半の人間が僕が自己紹介すると怪訝な顔をした。
何でも、この名前は女性の名前らしい。
ラボではコンピューターがランダムで名前を選ぶのだが、どういうわけかこういう名前になってしまった。
別にどっちでも良いだろうと思うのだけど、外の世界では大問題らしい。
分からない。ラボの外は不思議に満ちている。
特に分からないのが、男、女、という区別だ。色々男にはやってはいけないことがあって、
それを破るとさっきのようにトラブルになってしまう。気をつけなくては。
しかも、本来男というのは女性に『欲情』したり『恋愛感情』を抱いたりして大変らしい。
僕らは投薬の影響でそういうのから開放されているから、そういう悩みとは無縁だけど。
投薬の影響といえば、髪の色と目の色が変わってしまうというのがある。
それもとんでもなく奇抜な色に。僕は前は黒髪で真紅の瞳だったらしい。
別に変わったからといってもどうとは思わないけど、余りにも奇抜だと人に覚えられやすく、
潜入任務とかには不利という欠点がある。困ったものだ。
おっと、流石コーディネーターだ。まだ生きている。ナイフを投げてとどめを刺しておく。
危ない所だった、警報など押されたら任務に支障が出る。
スティングさんとアウルの方に目をやると、二人は首尾よく全滅させていた。流石だ。
僕はまだまだ精進が足りない。ナイフの角度が甘かった。基地に戻ったら練習しなくては。
・・・ついでに、戦闘中に余計なことを考えるこの癖も直さないと。
任務はここからが本番。ええと、この機体は・・・『ガイア』か。よろしく、『ガイア』。
3. マユ・アスカ
炎の中、私は笑っていた。込み上げてくる笑いが抑えられなかった。
艦長は敵の正体は不明と言っていたが、トップクラスの軍事機密である新型MSのハンガーやら
パスワードを入手し、それに乗っていきなりスムーズに動かせる技量を持つパイロットを擁している組織、
そんなものは・・・。
「・・・また、戦争がしたいの? あんた達は。」
まったくもって嬉しい奴らだ。やはり、最後の一人になるまで殺しあいたいらしい。
上等!! それなら、私はこの『インパルス』で全てを薙ぎ払ってやる。
私は、インパルスに対艦刀・エクスカリバーを大きく振りかぶらせ、目の前の『ガイア』に突進させた――
第一話は以上です。
>>427 GJ、これからの展開に禿しく期待。
マユのやさぐれ加減が個人的にツボ入ったw
でもステラは英語でヒロイ(ry
いや、いいんじゃないか?
431 :
運命の兄妹作者:2006/01/19(木) 19:55:38 ID:6N641+eg
やっちゃった・・・。どっかで聞いたことあるフレーズかもしれないと思ったら
「隻腕の少女」のPHASE04の題だったわけか・・・。ちゃんと調べておけば良かった。
隻腕作者さん、本当にごめんなさい。
ということでタイトルは『運命の兄弟』をやめて、『マユが行く』に変更します。
隻腕作者さん、もう一度謹んで謝罪申し上げます。すいませんでした
「うーん・・・・・・。」
マユは悩んでいた、人気のことについてだ。
前回の人気投票では自分はシンハロ以下だった・・・・・屈辱である。
なので・・、新しい可能性を考えて見よう・・・・・そうだ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーもし、ほのぼのマユデスキャラの性別が逆だったら。
弟系キャラでやんちゃっ子なショタ・・・・・!!いける!コロコ○の主人公みたいだ!!
・・・・・じゃあ、他のキャラは?
シンハロ:お姉ちゃんロボット。ぼっきゅっぼいん。
レイ:薄幸の美少女。ちょっとひんにゅーを気にしている。
アスラン:不器用な女の子。女の子らしくない趣味を気にしている。
ルナマリア:美形エリート赤服。でもアキバ。
メイリン:気弱な弟キャラ。しっかり者。
スティング:お母さんキャラ。やっぱ胸おっきい。
アウル:やんちゃな女の子。きっとひんにゅー。ブラとかしてないだろう。
ステラ:ほわほわ美少年。いるだけでマイナスイオン。
ネオ:大人の女の色気。
おにいちゃん:問題外。女の子だったらキモイだけだ。
ハイネ:姐さん。実は女王様。声優の☆が好き。
ゼロ:無表情なクール美女。きっと三人目。
アキラ:腐女子だけど眼鏡っ子。病弱。
キース:猫娘。お酒でいつもよいどれでしたったらず。
カルマ:永遠のロリ。
グレイシア:男装の麗人。ヅカ系。
ジョー:となりのおねいさん。きっととんでもなく美人でぼっきゅぼん。
ミーア:弟系キャラその三、明るいけど気弱、そのくせやる時はやる。
「・・・・・・・・勝てるわけねーーーーーっ!!」
マユの声が部屋に木霊した。
「・・・・・・やめよう、今の自分に出来る事を・・・・・。」
マユは首を振りながら再び思考を開始する。
服装はどうだろうか?いっそブルマでも。シンハロが着物に袴でシンハロ道場。
いったい誰を救済するのだろう?マユは別の思考に切り替える。
性格は・・・・・、変えるわけには行かない。急に性格が変わるなんてありえない。
外見的特長は・・・・・?
アホ毛は既にルナマリアが、ツインテールはメイリンに取られている。
ニーソもルナマリアのお家芸だし、ステラも少しそれっぽい。
「衣装のバリエーションならそれなりにあるのになぁ・・・。」
普段の軍服、私服、アウルたちに買わせたワンピース、セーラー、チャイナ。
「・・・、あれだ。トンファーをステッキに変えて魔女っ子狙うか。」
撲殺天使である。
「・・・・・ミュージカルやるか?人魚だし。だーりんあーたーしの♪」
KHのパクリか?
「あー、お兄ちゃんの呼び方変えるかなぁ?にーたん。にぃにぃ。にいさん。にぃや。」
一人で十二粒分おいしい?
「こうなったら・・・・ぬ・・・・・。」
「マユ、夕ご飯だぞ。」
レイが呼びに来た。
「ぁっ・・・・いっ!!!今行く!!」
見られてないよね?聞かれてないよね?とマユは思考する。どうやらレイは何も聞いていないし見えなかったらしい。
マユは急いでレイの後を追いかける。
(・・・・・・・そのしたたかで図太いところが人気がないんだと思うぞ。マユ。)
レイは心の中で妹に呟いた。
>>ほのぼの作者様
GJ!
>おにいちゃん:問題外。
ゲン…。・゚・(ノД`)・゚・。
そして>>纏め人様
纏めサイト10萬hit突破おめでとうございます!!
これからもサイト運営頑張ってください!
隻腕版アスランのおかげでやっと隠者のプラモが買えましたと。
このスレ見ていくつプラモを買ったことやらw
>>435 お仲間発見、このスレのせいで俺はプラモ買って、実はセイバーが格好良いことに気が付いた
もしかしたら隻腕氏に乗せられてクソフリとしか言いようのない
劣悪キットストフリシリーズ買っちゃうかもしれないなw
>>437 さすがにそれは無い
だが絵が無くともこのスレのお陰でモチベ上がりまくりだぜ
無印フリーダムとインパルスを購入した俺だが、隻腕が無きゃこんな機会絶対無かった
やっぱ良いSS、というか良い作品だと機体もかっこよく思えてしまうな
この前も、他のスレ発祥のSSだけどその影響で105ダガーを二機買ってしまった
こう・・・・技術に自信が無いから練習用と本番用で
>>432-433 これぞほのぼのマユ。萌えたwww
人気ないのは出番が減ったためと思われ…
アークエンジェルご一行が出しゃばってもないのにカワイソス
隻腕書いてるものです。
圧倒される膨大な感想には、コメントしてたらキリないので、申し訳ないですが沈黙させて頂くことにして……
(いや、耳の痛い意見も含め全て読ませて頂いてますが)
>>431 運命の兄妹orマユが行く 作者様
いや、いいんじゃないですか?
コッチはサブタイトルに過ぎないので、道を譲るならこちらが譲るべきところです。
タイトルは、重要ですよ。簡単に変えるべきじゃないと思います。書き手自身のテンションにも大きく関わってきますから。
私自身、サブタイトルをいちいち付けているのは、そういう意味もありますしね。
ただその分、ぶっちゃけ本編そのままのサブタイつけてる時もありますし、被りそうなサブタイトルも多いです。
検索上も、別に混同されたりはしないのではないでしょうか。何ならこちらが変えてもいいですよ?(ちょっと纏め人様にお手数かけますが……)
ただ、「こちらは構いません」ということを理解された上で、なおそちらが気になさるなら、それ以上しつこく言う気もありません。
どちらのタイトルで行かれるにしても、これから応援させていただきます。
最後に……レスが遅くなってしまったことを、お詫びします。
このスレはシンとマユの立場が逆だったらと言う趣旨のスレですか?
>>442 そうとは限らない。「マユが主人公なら」何でもいい。
最初は入れ替えるだけだったんだけどね。いろんな可能性が出てきてる。
1.アウル・ニーダ
僕の名前はアウル・ニーダ。
いっとくけどアウル・ニダじゃないから勘違いすんなよ。
今、バスを待ってる。ああバスって言っても走ってるバスじゃないから。
比喩的表現ってやつかな? こういうの。
『スティ〜ング! きりがない。』
『分かってる!』
スティングも大分イラついてるみてえ。
そりゃこんだけ馬鹿みたいな数に包囲されてりゃ、誰でもナーバスになるよね。
な〜にが、大した数は配置されてない、だよ。
この雑な情報もって来た奴 ぜってえ殺す!
ま、それ以前に生きて帰れっか分かんねーけど。
『同感です。そろそろパワー残量が心配ですね。』
・・・いたよ、全然ナーバスになってない奴。
ちなみにあいつ今、白い機体と鍔迫り合いやってる最中なんだけど。
どこまでマイペース貫いちゃってるわけぇ?
『あ、すいません。フォローどうも』
取りあえず援護で胸部のビーム撃ったら、律儀に通信が来た。
おい、ステラ、後ろ後ろ。白いのが剣、ぶん投げてきてるって。
あ、避けた。
なんか、あいつだけ余裕っぽくて結構ムカつくかも。
「うおっとぉ!」
やべえ、ちょっと今死ぬとこだった。ミサイルとビームの一斉射撃かよ。
ムカついたから、胸部の複相ビームと両肩の三連装ビームを、こっちも一斉射撃
ゲイツR3機、ジン一機撃破。
って・・・なんかまた6機も来たんだけど。
全然、意味ねーじゃんよ・・・
『・・・仕方ねえ、お前ら。使うぞ』
『ええ? マジぃ!?』
スティングが、無茶なこと言うから、ついクールなこの僕が
あんま、クールじゃないこと言っちゃったじゃないか。
そりゃ僕も考えないことはなかったけど、アレは、ぬけたときメッチャ苦しいんだよね。
『僕は、スティングさんの指示に従います。』
ま〜たそれかよ、ステラ。自主性がないってんじゃね? そういうの。
つーか、あの白い機体なんかやたらステラに執着してるんだけど。
あ、ステラの体当たりで吹っ飛んだ。
で、起き上がってまた突進してく。こりねーな、アイツ。
何? お前ステラになんかされたの?
そういやさっき、偶然あのパイロットが。
『また、戦争がしたいの? あんた達は。』
とか言ってたのが聞こえてきたけど、そんなこと俺らに言われても困るんだけど。
やりてーのは、多分ラボに金出してる奴とか、ネオの上にいる奴なんだからそっちに言ってくれってぇえのお!
大体めーわくしてんのはこっちだぜ。
コーディネーターなんてのがいるから、俺らみたいなのが量産されんだからさぁ。
あ、だけど何かその後、ゲラゲラ笑ってたから、ひょっとしたらザフトの強化人間かも。
だったら、あの狂ったみてえな行動も説明つくじゃんか!
きっとそうだって。
なあ、さっきからそこの壁に隠れて僕のこと狙ってるお前、そう思わねえ?
まあ、今吹き飛ばしちゃったから答えようないけどさ。
にしてもこの胸部ビーム砲、壁ごとゲイツぶっ飛ばすなんて、結構威力あるよなあ。
『おい! 聞いてるのか、アウル。』
「うん。聞いてる。』
悪い、スティング、全然聞いてなかった。
で、何?
『仕方ないだろうが。全方位から取り囲まれてんだぞ?』
ああ、アレを使うって話か。
ちなみに、スティングがそういうのはマジ。もう完全に囲まれてる。
このままだと、奮戦して死ぬコース一直線だね。
『分かった。』
『よし。』
『了解です』
僕は、手にはまってるブレスレットを触った。
血管に直接γ−グリフェプタンが注入される。
う・・・相変わらず・・・。
『最高だぜ、こりゃぁ――――――――――――――――――ッ!』
『全部落とぉおお――――――――――――――――――――す!』
最高にハイってんじゃねえええええええええ????? こういうのおおおおおおおおおおおお!!!!!
『あ、力が湧いてきました。相変わらずスゴイ効き目ですよね。』
だから、何でそうお前は――――――――――
「続く」って入れるの忘れた・・・。今日は以上です。
単発設定小話 「マユとコニール」
〜ミーティングを終えて〜
マユ「まって、コニール!」
コニール「マユ、さんだっけ?」
マユ「さん付けはいらないよ〜。私マユ・アスカ。ねぇ?ちょっとお話しない?」
コニール「・・・私はかまわないけど、これから支度だろ?」
マユ「へへ、今はあなたとお話するのが私の仕事よ。レストルームでお茶しよ?」
〜コニールの手を引くマユ〜
コニール「お。おい。引っ張るなって・・・」
マユ「いいからいいから」
〜レストルームのソファに座る二人〜
マユ「コニール、何飲む?」
コニール「ああ、コーヒーでいいよ」
マユ「OK〜。コーヒーね。じゃあマユは・・・メッコールにしよ」
コニール「ありがとう・・・」
マユ「コニール。砂糖とミルクは?」
コニール「私はブラックが好きなんだ。ところで、マユのそれはなんだ?メ・・・メッカル・・・?」
マユ「メッコールよ。簡単に説明するとコーラの麦茶割りね」
コニール「・・・プラントには不思議な飲み物があるんだな」
マユ「え?普通にあるんじゃないの?オーブでは売ってたんだけど・・・」
コニール「そんな気持ち悪いもの、ここいらじゃ聞いたことも無い・・・」
マユ「う〜ん・・・そういえばルナ姉ちゃんも知らなかったしな」
コニール「やっぱりマイナーな飲み物じゃないか」
マユ「あはは、そうね。メッコールって知ってる人しか知らないみたい。・・・へへ」
コニール「ふふ、あはっはっはっは・・・」
〜ゆっくり瞬きをしてうなずくマユ〜
マユ「やっと笑ってくれたね。コニール・・・」
コニール「?」
マユ「コニールったら、ず〜っとしかめっ面だったもの。そんなにしてたらしわになっちゃうわよ?」
コニール「そうか・・・そうだな。ふふ・・・ありがとう。・・・・・マユ、本当に頼むな」
〜真剣な顔に戻るコニール〜
マユ「うん。まかせてよ!これでもザフトのトップガンよ。アスランさんにはちょっと負けるかもしれないけどね・・・」
コニール「アスラン隊長がお前が適任だっていいっていた・・・信じていいんだよな?」
マユ「・・・あの洞窟はインパルスじゃないと通過できないのよね」
コニール「そうだ・・・」
マユ「だったら、やっぱり私が適任ね。私は誰よりもインパルスを上手く扱えるもの」
コニール「自信・・・あるんだな」
マユ「・・・自分を信じること。悔いは残らないほうがいいもの。・・・だから、コニールも自分を信じていてね」
コニール「わかった。私も自分を信じる」
マユ「うん。・・・へへ、これで私はいっぱいがんばれるね!」
コニール「ふふ。・・・さて、コーヒーご馳走様。私は支度があるから、戻るわ」
マユ「お粗末様でした。・・・じゃね、コニール」
コニール「ああ・・・作戦終了後にまた会おうな」
〜レストルームから立ち去るコニール〜
マユ「自分を信じる・・・か。じゃぁ、あのアストレイのパイロット・・・お兄ちゃんなのかな?」
完 ・・・メッコール・・・知ってる人なんていない・・・・・かな?
449 :
170:2006/01/21(土) 10:11:23 ID:???
>>448 いえ、知ってマスヨ^^;発売されたのって私が小学生の時かな?
当時買って皆で飲んだ感想が「ゲロまずうううう!!」の一斉砲火だったよな気が
(w
マユが行く作者さま乙!妙にやさぐれたマユと超素直なシンがワロタ
どんなシナリオになるかが楽しみ・・・
ところでγ−グリフェプタンって前作の常夏だけの設定だったような・・・
何か別の薬品にしたほうがいいかもしれないな。
γ(ryは中毒性があるので、一時的な戦闘力上昇薬として新しいのを作っても
問題は無いかと。
>>444-446乙。新タイトルはこちらの方が合ってる希ガス
ストフリが昔スーフリだったことを誰も触れないくらいに
>>450 投与すると一時的にスーパーコーディ並にパワーアップするが
副作用が大きいため廃止されたと推測。
今作の三人はあんまり強くなかったし
確かに今考えると常夏どもは強かったな…
連携という概念がまるで無い三人だったのに、キラアス二人掛かりの神連携でなんとか対抗できるレベルだった
それが新世代の三人は、連携をおぼえた三人掛かりでキラ一人に手も足も出ないとは……
γ−グリフェプタンどれだけ凄いねん、って感じだ
常夏はバッテリー機体で核エンジンMS相手によくがんばったよ
強くても「強いだけ」でお話に絡めないから、あいつら。
あの世界の人間たちにとっても文字通り生体CPUに過ぎない。人間じゃない。
まだ種死の3人の方が、ブロックワードとか絡みを作れる要素がある分マシ。
あとは、薬剤そのものは昔と同じでも、使い方とか他の部分の調整を変えた、って可能性はあるな
まあ普通に考えたら旧三人並に強いとミネルバが簡単に沈むからな
単純な力量も新旧で違ってるのもあるだろうが、
それ以上にキラが異常パワーアップしてるのも確か
新三人組はわざわざ戦艦にあんな設備が要るしなあ。
維持に手間食う分、成功率は高いのかもよ。
種のブーステッドマンは後にも先にもあの3匹だけだけど、
種死はデストロイがワラワラ出てくるくらいだ。
安定性と量産性に優れていたんじゃないかね
>>459 再生デストロイ軍団はあっという間にやられけどね。
>>458 某SSでは、あんな戦艦と一緒に特殊な設備が必要だったり毎回毎回調整が必要だったり
コストが高すぎてふざけんじゃないヨってアズラエル理事が怒ってた
普通に考えたらナチュ用のMSを改良して高性能にして量産したほうが効率がいいんだけどね。
種世界はなぁ……
スペシャルMS一機が要塞とそれが擁する軍を上回る世界だからなぁ……
攻撃自由が単騎で(永遠がおまけにいたが)メサイア沈めたのは呆れるしかなかったし。
あれってUCで言えばνに乗ったアムロが突っ込んでいってサザビー撃破した後は単独でネオジオンを殲滅したようなもんだろ……
>462
だから種死は馬鹿にされる
>種世界はなぁ……
>スペシャルMS一機が要塞とそれが擁する軍を上回る世界だからなぁ……
>攻撃自由が単騎で(永遠がおまけにいたが)メサイア沈めたのは呆れるしかなかったし。
もしこんな最悪な展開を、このスレで展開されたら・・・(涙)。
>>459 安定性ってステラが暴走していましたが…
だからこそ、種死を作り直そうって話になるんだろう。このスレに限らず。
>>465 そこは相対的な問題だろう、絶対的な問題じゃなくてw
種の頃のブーステッドマンは、常に暴走してるような状態だぞ。
ステラのアレ見る限り、まだまだ改良の余地があるのか、それともどんなに頑張ってもアレが限界なのか……
この辺りのことは、いずれ作中で材料にするつもりの私もいたりします……
……そういえば過去のブーステッドマンにはあまり触れられてなかったですね、ちょっとマズったか……?
ぶっちゃけ本編でもあまり触れられてない部分なので、作者ごとに作りやすいよう設定整えてやっていいところかと思います
>>462 極論すれば核ミサイル一発が小国の軍事力より価値のある
この現実世界はどうなるのさ
形は違えどストフリとかはあの世界の最終兵器なんすよ
いや、普通は持っててもつかわねえけどさ
ここはミネルバ格納庫、愉快なMS達がおしゃべりしたりダラダラしながら待機している。
そこに、ため息をつく一人(仮)のMSがいた。
【はぁ・・・・・・。】
彼女の名はディスティニー、ご存知マユの愛機である。彼女はその、マユの写真を見て(仮)ため息をついていた。
【む?どうされたのだ。元気がないな。お嬢様がどうかなされたのか?】
その様子を見て声をかけたのがソードインパルス(シルエット状態)だ。
【あぁ、ソード殿。いや・・・、そのちょっとな。】
すこしモジモジしながら話すディスティニー。
【ディスティニーさん、あっしらでよかったら力になりますぜ。】
【何?やっぱお嬢さんとハロの奴が無茶な操縦でもしてんの?】
残りのインパルスたちも次々と話しかける。すると、ディスティニーは恥ずかしそうに話し出した。
【その・・・・、主殿は・・愛らしいなぁ・・・と。】
【【【【【は?】】】】】】
その場にいるMS達が全員呆ける。
【いや・・、誤解するな!別に怪しい意味ではなく・・・その・・・可愛くない妾とは違うな・・と言う意味で。】
慌てて、そして人間で言うなら顔を真っ赤にして話すディスティニー。
【インパルス殿たちもうらやましい・・・あのマジカルインパルスというのは・・・・。】
【やめろ、あれは黒歴史だ。】
【聞きたくねぇ、聞きたくねぇよ。】
【あぁぁぁぁっ!!思い出しただけでおぞましいっ!!】
ディスティニーの悪気のない一言にトラウマをえぐられるインパルス達。
【わう。だいじょーぶ・・・ガイアも真っ黒だから・・・可愛くないよ?】
【何をおっしゃるか!ガイア殿!!ガイア殿のMA形態は・・・・わんこで・・・・非常に愛くるしい。】
ガイアのフォローも通用しない。ガイアを除いて他のMSは男性人格なのでなんともできない。
ファッションなどに精通し、何故か女性の扱いに長けているハイネ隊ザク一同がいればいいのだがあいにく彼らは別の格納庫だ。
【べつにさー。かわいくなくていーんじゃね?】
突然けだるげな声をあげたのがストライクMkUだ。全員、思わず凍りつく。
【なんだと・・・・!妾とてMSの身といえど女だ!貴公はそれを・・・。】
【だからさー、あんたはかわいいが女の魅力だと思ってんの?ばかだなぁ・・・。】
激昂するディスティニーに軽く答えるMkU。
【いいか?あんたは外見が可愛くないと思ってるんだろうけど、あんたは十分綺麗だよ。
とくに戦闘中なんかビームシールドで出来た剣と後ろの翼がすっげぇ綺麗だぜ?】
おれ見惚れちゃって被弾したぜー。と語るMkU。
【・・・・そうだろうか?】
やはりはずかしがりながらちらっとMkUを見る(仮)ディスティニー。
【そーだよ。俺が言ってるんだから間違いないって。それに・・・、あんた結構性格はかわいいぜ?】
【ななななななななななっ?!】
MkUの一言に真っ赤になるディスティニー。
【なぁ、MkUの野郎。ネオのおっさんが乗るようになってから変わったよな。】
カオスの声にうなずく(仮)カオスとガイア。
【それにしてもディスティニーさん、何で急にそんな事を?】
セイバーがディスティニー分けを聞く。
【うむ・・・・・その・・・・兄上(レジェンド)に言われて・・・・・。】
アノ野郎。全員心の中で呟いた。ちなみにレジェンドはドラグーンの調整で別の格納庫である。
>>469 それでも、ストフリ=最終兵器だということを想像し辛いから結局だめぽに。
デストロイ級サイズなのはアレだが、もっと巨大で、もっと凶悪なフォルムで、きっちり敵役ならアレもありだと思うけど。
絶望的なまでに圧倒的な敵戦力ってのは結構良いものだと思う。
ストフリを敵として描いてれば良かったんだよなあ。
攻撃当たらんし数分で艦隊殲滅するしファンネルまみれだし、
悪役として描けば、これほど恐怖を感じる相手はそうそう居ないだろう。
脱線した。すまそ。
>>ほのデス作者氏
GJ!
MkUのスケコマシめ
>>470 運命テラカワイスw
しかしまぁなんですなぁ。兄貴のナンパはMSにも伝染するんかい……
わ、妾…一人称が妾ってw
ヤッベ、メッチャツボったww
ちょっと脳内2chでMS擬人化祭り勃発させてくる。
対艦刀持ちは性格が古風になるのかw
つかMk2とられたゲンは一体何に乗るのだろう…
単発設定小話 「ハイネ見参」
〜ディオキアのホテル、ロビーにて〜
マユ「ルナ姉ちゃん。・・・機嫌悪い?」
ルナ「そんなことありません!フンッ!アスランの部屋にラクス様がいたからって私には関係ないです!」
マユ「・・・(メイリン姉ちゃん、ルナ姉ちゃん超ご機嫌斜めだよ〜)ひそひそ」
メイリン「・・・(こうなったらもうだめね。君子危うきに近寄らずよ!)ひそひそ」
ルナ「なに、ふたりでこそこそ話してんのよ!?」
〜マユとメイリンをにらみつけるルナマリア、そこに現れる軽い男〜
ハイネ「お、やっとでてきたな。っと、よぉ!お嬢さん方!グッモーニング!」
マユ「・・・・・・(なんだろ、あの人。)ひそひそ」
メイリン「・・・・・・(朝っぱらからナンパかしら)ひそひそ」
ルナ「・・・・・・(メイリン、マユ。近づいたらダメよ。)ひそひそ」
〜ハイネを無視して通りすぎていく3人〜
ハイネ「・・・・・・ぉおい!無視すんなよ!俺はハイネ、ハイネ・ヴェステンフルスだよ!通達あったろ?」
マユ「!?あ、あなたがフェイスの?失礼しました!」
〜敬礼するマユ、メイリン〜
ルナ「ハイネ〜?ああ、なんか張り紙してあったわね、副長のきったいない字で・・・」
マユ「ル、ルナ姉ちゃん。敬礼して、敬礼」
ルナ「ああ?そうね。<ビシッ>失礼いたしました。ルナマリア・ホークです」
メイリン「メイリン・ホークです」
マユ「マ、マユ・アスカです」
ハイネ「うんうん。じゃ改めて、ミネルバに配属になったハイネ・ヴェステンフルスだ。宜しくな」
マユ「はい。ハイネ隊長!」
ハイネ「ちっちっち、ハイネって呼んでくれよ。お堅いのはなしでいこうぜ?」
マユ「はぁ・・・」
ハイネ「お前がマユ・アスカかぁ。噂は聞いてるぜ。大活躍だってな」
マユ「いえ、そんな言われてるほどでは・・・」
ハイネ「フフン、謙遜すんなって。よし、お前ら朝飯は食ったか?俺の歓迎も含めて一緒に食おうぜ?」
ルナ「申し訳ありませんが、私達はこれから出かけますので・・・」
ハイネ「じゃ俺も一緒に・・・お嬢さんたち。俺も混ぜてくれよ?」
ルナ「いや、あの女の子だけで話したいこともありますので・・・」
ハイネ「大丈夫だって。俺着任したばっかりだし、いろいろミネルバのこと教えてくれ」
ルナ「あの、だから・・・女の子だけで・・・・・・」
ハイネ「いいじゃんいじゃん、なんでも聞いてやるぜ。どーんとこいよ!」
ルナ「<プチッ>しつこいわね!女だけっていってんだろが!気持ち悪い横わけしやがって!!」
ハイネ「えぇぇえぇぇー!?」
〜ディオキアのホテルのある一室で〜
アーサー「まさか、あいつがミネルバに配属されるとは・・・我が生涯のライバル。ザフトの黄昏・・・ハイネ!」
〜「コンコン」ドアを叩く音〜
アーサー「あ、は〜い。開いてますよ〜?」
タリア「アーサー!!唐突だけど、あなた明日からハイネ直属の部下よ!グーンの肩をオレンジ色にペイントしといたから!」
アーサー「えぇぇえぇぇー!?」
完
ほのぼのマユデスお疲れ様です!!ヤバイ!?デスティニークァワイイ!!
めっちゃツボだ〜〜^〇^それにしてもMk2は見事なスケコマシっぷりがw
インパルス達にとってマジカルは封印したいのね^^;
ところで伝説は天然?それとも計算高い?
狙ったかのごとく厨房臭いレスが登場
>>476 インパじゃなかったか?
コアスプレンダーがマユが使ってたやつぶっ壊れたからマユの臭いのない新品(うわ、卑猥だw)になってゲンがorzになってなかったっけ?
>>480ソレダ!!すっかり忘れてたよ!
つかレイが吊される話にもう一回ワロタw本編ではかなり真面目だったら(まあギルってとこでネタ適性あったが)余計にマユデスでのギャップが面白いw
このスレの作品でミナ様登場するのって何ありますか?
>>482 ちゃんとでてきたのは…マユ戦記ぐらいじゃねぇ?
隻腕で幼少時代があったな
度を過ぎた雑談はよそでやってくれ…ってのはちと我が儘か。
感想スレを別に立てたりして、仕切りが強くなりすぎると逆に廃れていくのがオチだし…
雑談ぐらいいいジャマイカ
>>485 まあ各作品や、それに関連する設定の話とかだったら一向に問題なかろ?
作品と全く関係なくアニメ版叩きに終始すんのはNGだけど
>>485 どのレスに対していっているのかはわからんが、2,3レス程度の返信回答ならいいんじゃね?
チャット状態はさすがに他所でやって欲しいが。。
一応避難所件「雑談所」もあるしな。
…という漏れのレスも余計なお世話だなorz(難しいなネチケットって)
つーかもともとはSS用のスレじゃないし
「シンじゃなくてマユが主人公だったらどーなってたか」を考査するスレだし
テーマに沿ってれば各々の予想ひけらかすも雑談するもいいだろ。別に。
1スレ目からしてそんな感じだ。
まぁ、確かにそうなんだけどさ
保守します
>>482 あとは影の戦記があるな。
まとめサイトの作品を見直してると、面白くなりそうだったのに久しく投稿されてない作品が多いなぁ。
影の戦記とInjusticeの続きが気になってしょうがないorz
ほしゅ
494 :
482:2006/01/23(月) 21:43:40 ID:???
レスありがとうございます
今から見てきます
>>492 すみません、何とか近日中には公開できればいいと思っていますが。
何だかんだと忙しく……orz
>>495 あんま急がなくて良いとオモ
義務感に狩られてss書くのも本末転倒な話だからな
自分のペースでガンガレ
しかしこのスレって早朝とかに作品投下する職人が他に比べて多いような気がするんだが気のせい?
497 :
単発屋:2006/01/23(月) 23:44:48 ID:???
ハイネの仇名を適当に「ザフトの黄昏」ってつけんたんだけど、
ミゲルが「黄昏の魔弾」って仇名を持ってたんだな。。シランカッタヨ……
中の人同じだし、カラーも同じだし、なんか性格も似てそうだし
福田らは何も考えてなかっただろうし
何も福田叩きにまで持っていかなくても
ハイネは原作版(のアオリ)を使うなら「緋の戦士」かねぇ。
名前に意味を持たせるようなモノでも書いてみようかしら
ハイネとミゲルは元チームメイト、という妄想もありかも
オレンジはパーソナルカラーでなくチームカラーという設定で
それはミゲルも元ハイネ隊だったということか!
それは無理ハイネ隊ができたの二次ヤキン戦以降だから
ちなみにそん時はホーキンス隊所属
Wikiの人物データを見ると、ハイネはミゲルが憧れていたパイロットと書いてあった。
ハイネにあやかって、機体をオレンジ色に塗ってたらしいぞ。
森田にしては上手い後付けだな
って事は前大戦の初期ごろには既に活躍していたって事か。そりゃベテランだわな
軍事的に見て面白い作品はどれだろ?
面白い作品はそれぞれが心の中で思っていればよいと思われ
ところでそろそろ次スレの時期じゃなかろうか?
まだ100KBあるが…まぁ投下が来たらあっという間か。
隻腕23話、投下します。
予め断っておきます。
今回、かなりの設定の捏造、自作があります。
その全ては、前作(無印種)のアニメ本編には矛盾しないようにしているつもりですが……
ひょっとしたら、小説版や設定本、あるいはスーツCDのような外伝秘話みたいなものとは、矛盾するかも。
(特にスーツCDは、全部はチェックできてないから怖いです……)
そのあたり、お含み置き下さい。
兄シン・アスカの駆るインパルスに、フリーダムを撃墜されたマユ。
彼女は――臨死体験を経た彼女は、何故か、雪の中の温室で目を覚まします。
彼女の目に飛び込んできたのは、桃色の髪の娘と、隻眼の男――
↓
――それは、過去の記憶。
緑溢れ、水が巡る人工の大地。天秤型コロニーの美しい景色を望む、大きなお屋敷の温室の中。
あらゆる苦難からシャットアウトされた、揺りかごのような屋敷の中。母は娘に語りかける。
「世界は、あなたのもの。
そしてまた、あなたは世界のものなのよ」
「わたくしの――もの?」
まだ幼い桃色の髪の少女は、その言葉の意味が分からない。分からないなりに、心に刻み込む。
それは母なりに、この特異な少女を想っての言葉だった。
決して論理的な言葉ではなかったし、上手な言葉でもなかったが……真に娘を想っての言葉だった。
特異な少女。
そう、彼女は――特異だった。
神の気紛れで生まれた、冗談のような存在。存在そのものが、何かの間違いのような存在。
何故か人を惹きつけるそのカリスマも、人の心を揺さぶる歌声も、全てはその余禄のようなもので――
今は、まだいい。幸い両親には金も権力もある。少女が幼い内は、様々なモノから守ることができよう。
けれど、いずれ彼女が成長すれば、その特異な能力は、必ずや世の中を大きく揺さぶることになるだろう。
必ずや、世界のありようとぶつかることになるだろう。
そしてその時、彼女はひどく傷つくことだろう。
だから、いつか来るであろう、その時のために――
「ラクス、あなたは……覚悟しておかねばなりません。
望みが必ずしも、全ては叶わぬことを。誠実に努力してなお、失敗してしまう可能性を――」
……それは、本来ならわざわざ言うまでもないこと。普通なら、成長の過程で誰もが知ること。
けれども、彼女には――ラクス・クラインには。
わざわざ言っておかねば、ならぬ言葉だった。
あるいは、この言葉もまた、ラクスには既に「見えていた」ものなのかもしれないが――
「生まれ出て、この世界にあるからには。いずれ死を迎え、この世界を去るからには――」
「――お母様」
「何?」
「それは……お母様が死んでしまってからのことですか?」
「あら、私は死んでしまうのかしら?」
「はい。大体あと、1年ほどで」
少女は何の憂いもなく、あけすけに、母の死を「予言」する。
それは、惑星の運行のように、既に決まって動かせぬ事実を、淡々と読み上げたような口調で――
――それから1年後、確かに彼女の母は、他界したのだった。
母の死を目の前にした時、桃色の髪を持つ少女は……全く、泣くことはなかった。
……覚えているかな? お前が飛び出していったその日、お前が一方的に言った言葉。
『帰ってきたら、全部しっかり説明する』って約束だ。
ま、帰ろうにもあの屋敷はもうないし、マリュー、つまりお前がマリアとして知ってるアイツも、行方不明だ。
だからまぁ、ここで俺が説明するしかないんだろうな。
マユ、お前には知る権利がある。そして――知っておく義務もある。
ただ、あの日あの場所にフリーダムがあった理由を説明するには、だいぶ歴史を遡って話す必要があってな。
そして『彼女』について、知られざる事実を説明する必要がある。お前の大嫌いな、アイツの話だ。
それらを話さない限り、この俺、アンドリュー・バルドフェルドについての話もできないしな――
そういえば、まだちゃんと名乗ってすら居なかったな。そう、俺の本当の名は、アンドリュー・バルドフェルド。
「砂漠の虎」という異名の方が知られているかもしれんな。ザフトじゃかなり有名なエースにして、指揮官だ。
……ん? 自分で名乗るな、って?
でもコレ、俺自身がプロデュースした戦術の一環だしなァ。ザフト入る前の本職は、広告心理学の専門家だったんだわ。
……かなり長く、複雑な話になるだろう。のんびり、焦らず、聞いてくれ。
とっておきのコーヒーでも、飲みながらな。
マユ ――隻腕の少女――
第二十三話 『 彼女の真実 』
――少女ラクス・クラインは、特別な環境に生まれ育った。
父は、シーゲル・クライン。
シーゲルは、ジョージ・グレンの告白の後、極秘裏に内密に作られた最初期のコーディネーターの1人だ。
彼の生まれた時代には、まだ公式にはコーディネーター作成が許されてはいなかったのだ。
けれども、決して少なくない数の人々が、子供の幸福を求め、あるいはもっと俗っぽい目的から、禁忌を犯した。
しばらく経って全世界的に巻き起こるコーディネーターブームは、この世代の存在によるところが少なくない。
またその生まれの事情から、この世代のコーディネーターには、1つ大きな特徴がある。
豊かなのだ。権力者なのだ。財力と権力を兼ね備えてなければ、この時期にコーディネーターを作ることはできない。
後にプラントが地球連合を相手に互角に戦えたのも、この世代が親から受け継いだ財産と人脈の効果が大きい。
もっとも、その双方を兼ね備えながらも手を出さない人々もおり、彼らは後にブルーコスモスの支援者となるのだが。
クライン家も、元は北欧はスカンジナビア王国にあった名門の1つである。
シーゲルもまた、財産と人脈をその親から受け継いでいた。彼は、その力を同胞たちのために活かそうとした。
プラントの初期からその自治に深く関わり、パトリック・ザラと共にザフトの旗揚げにも関与し。
やがてプラントを束ねる最高評議会議長として、強大な地球連合を向こうに回して戦うことになる。
ラクス・クラインは、そんな父の子としてプラントに生まれた。
生まれ持った美声で、歌手としての才覚をめきめきと伸ばし、やがてプラントのアイドルとして大成し。
政治家である父と、良い意味で相互に影響を与えあった。
しかし――彼女の真の特殊性は、彼女のそんな生まれにも、また彼女の歌唱力にもないようで――
「お父様、お疲れ様です」
「ああ、ラクスか……。確かに、疲れたな。ようやく国連事務総長が動いてくれたよ」
CE70年、1月も末。プラント、クライン邸。
帰宅したシーゲル・クラインは、襟元を緩めながら椅子に座り、大きく溜息をついた。
彼の娘であるラクスが、ペットロボットを連れて部屋に入ってくる。オカピの背には、湯気を立てる紅茶のセット。
「できれば本格的な戦争は、回避したいのだがな。地球の者も議会の者も、ここのところヒートアップするばかりだ。
あくまでザフトは牽制のために作ったというのに、パトリックたちはまるで分かっておらん。
来週のコペルニクスの会合で、なんとか話がつけば良いのだが」
「大変ですわね、評議会の議長というのも」
どこか他人行儀な言葉遣いで、父をねぎらうラクス。父と視線を合わせようとせず、紅茶を入れ始める。
そんな娘の横顔を眺めつつ、シーゲルは再び溜息をつく。
この父娘の関係は、いつもこうだった。
互いにどう接するべきか分からず、ついつい他人行儀になる。腫れ物に触るような態度、さもなくば沈黙。
彼の妻、彼女の母が亡くなってからは、ますますこの傾向は強まっていた。
……しかしそれは、どちらが悪いわけでもない。
「……ラクス。構わぬから、教えてくれ。もし分かるなら――包み隠さず、教えてくれ」
「何でしょう?」
「やはり戦争は――避けられぬのか?」
父の問いかけに、紅茶のカップを手にしていた娘の指先がピクリと動く。
評議会議長がアイドルの少女に向けるには、いささかおかしな問いかけ。
けれど、父も娘も、真剣そのもので。数秒の躊躇の後、娘は静かに語り始める。
「……そうですね。近く、大きな悲劇が起きるでしょう。多くの人が亡くなられます。戦争は、避けられません」
「それはいつ頃だ? 何人くらい死ぬ? 防ぐことは、できないか?」
「来月の内に、どこかのコロニーが何らかの形で失われてしまうかと。それから……」
「それから?」
「……お父様、最後の質問は、卑怯ですわよ。ご存知でいらっしゃるのに」
「…………すまん」
俯いた娘の顔は、長い髪に隠されて父には見えない。ただ、いつもの微笑みがないことは、彼にも分かった。
シーゲルはバツの悪い表情で謝ると、視線を逸らす。
――いつだって、そうなのだ。それは、彼女に問うてはならぬ問いなのだ。
シーゲルが娘との会話から得られることは、予め覚悟を決めることだけ。その先の対策を考えておくことだけ。
娘が悪くないことは、分かっている。娘には、父親として並々ならぬ愛情を持っているつもりだ。
けれど――それでも。
時折、シーゲルにも怖くなるのだ。何かこの娘自身が、未来を作ってしまっているような気がして――!
――それから、半月後。ラクスの言葉は、現実のものとなった。
コペルニクスでの会談は、爆破テロによって妨害されて。国連事務総長の死は、戦争回避の道を決定的に閉ざして。
そして告げられた宣戦布告。核による農業コロニーの破壊――いわゆる『血のヴァレンタイン』である。
……ラクス・クラインには、「未来が分かる」ことがある――らしい。
「らしい」ってのは、本人もあまり語ろうとはしないからな。傍にいる俺にも、良く分からんのだ。
だがラクスの「予言」は良く当たる。当たるどころの話ではない、「あること」がない限り、ほぼ100%だ。
超能力――と言っていいのかねェ。
俺の考えでは、アレは「直感」、あるいは「勘」の高レベルな代物じゃないか、と思うんだが。
「直感」や「勘」ってのは、実は当てずっぽうじゃあない。無意識下で行われる、「推測」「洞察」だと言われている。
人間が五感で得る情報の中には、言語化しづらく、意識上では処理しづらい種類の情報がある。
微妙な表情の違いとか、口調とか、雰囲気とか。匂いや振動、それこそ、第六感と呼ばれるものも含めて。
そういう言葉にならない情報を元に、無意識の内に出す予測が、「直感」あるいは「勘」として本人に認識される。
推論だから外れることもある。間違えることもある。少なくとも、一般人のレベルでは。
ラクスのアレも、そういう「直感」の延長線上、凄まじい精度で行われる無意識下の推論、なんじゃないかな。
コーディネーターの「頭の良さ」が、妙な方向に発揮されたようなもんでね。
もちろん、遺伝子操作の産物ではない。狙って生み出せる才能ではないよ。偶発的に生まれた、一種の天才だ。
……ま、占い師じゃないから、本人の知りたい未来を積極的に知ることはできないようなんだがね。
どこかから降りてくる気紛れな天啓、あるいは電波を受信しているようなもんだ。見たくもない未来を見せられる。
無意識下のことだから、本人にだって説明できない。
「どうしてそうなるの?」と問われても、最初っから言葉になんかできやしないんだ。
だからラクスの予言には、「過程」がない。常に一足飛びに「結論」が来る。そして「結論」しかない。
これが、普通の人よりちょっと勘が鋭い程度なら、何の問題もなかったろう。
けれど彼女の場合、その鋭さが並大抵ではなかった。
彼女には、見たくもない運命が見えてしまう。見えた未来は必ず現実になる。決して外れない。
……ここで、ちょっと想像して欲しい。
彼女の前には、今の状況と一緒に結果が示されるんだ。未来が同時に分かるんだ。
一体彼女の目には、どういう世界が映っていると思うかね?
良い未来が見えれば――喜びを先取りできる、と思うかもしれない。
けれど逆に言えば、実際にその「良い未来」に到達した時には、単なる予定調和だ。予め知っていたことだ。
それでは、著しく喜びが損なわれてしまう。先に結末を知ってしまえば、どんなドラマも感動は半減だ。
悪い未来が見えれば――しかし、それは覆らないのだ。
哀しい結末が見えれば、その時点で哀しい。でも哀しみを表面に出すことはできない、みんなは知らないのだから。
だが逆に言えば、その「悪い未来」が実際に来た時には、既に覚悟はできている。哀しみも乗り越えている。
……分かるかな? 決して外れぬ未来予知を持つ者の、哀しい運命(さだめ)が。
感情が、鈍磨するんだ。
喜びも哀しみも何もかも、到達した時には既に知っていることばかりだ。そこには驚きも、衝撃もない。
そんな彼女が、それでも優しくあろうとし、自分のせいで人々を不幸にしたくない、と思ったら――
できるだけ見たものを語らず、とぼけた言動で煙に巻き、空虚に微笑んでいるしかないんだ。
「歌姫ラクス・クライン」の微笑みは、そういう微笑みだった。
例えばコンサートならば観客の数だけ、喜びも哀しみも全て目の前にして――それでもなお、浮かべる微笑みだ。
――なぁマユ、想像、できるかい?
……ちなみに、俺が始めてラクス・クラインのその「能力」を聞いたのは、アイシャからだった。
ベッドで……あ、いやその、2人っきりでいた時にだな。
「――クライン議長のお嬢さんが、ねぇ。そりゃ胡散臭い話だなァ」
「ウフフ、やっぱりアンディ、信じてくれない」
ま、その時には俺自身も信じられなかったな。突拍子が無さ過ぎた。
確かにアイシャは、プラントの芸能界で歌姫とも接点あったから、突っ込んだこと知っててもおかしくはなかったが。
……ん? ああそうだ。元々は歌手だよ、アイシャも。エキゾチックな独特な雰囲気で、そこそこ人気あったな。
前線兵士の慰安コンサートのために地球に降りてきて、俺と出会って……仕事放り出して居ついちまったけどな。
あの写真でザフトの制服を着てないのは、そういうことさ。正式には入隊手続きを踏んでないんだわ。
「でも、あのコの言ったコトって、当たるのよ」
「ほう、具体的には?」
「あのコが言ったの。ワタシは地球で運命の人に会うだろう、って。
命を懸けるに値するような、大事な男性に出会うだろう、って」
「ほ〜お。そりゃまた、有難い予言だねェ」
そう答えながらも、俺は全然信じちゃいなかった。
何というか……ほら、雑誌とかに良く載ってる占いがあるだろ。
曖昧な言葉を並べておいて、受け取った側がなんとなく当たったような気になる、そんな感じのさ。
「あなたは旅先でステキな恋と出会うでしょう」……外れたところで、笑って忘れられるような、そんな占いだ。
……そう、思ったんだがな。
「あのコは、こうも言っていたわ。その人はきっと、とっても悩んでるって。
大きすぎる疑問を抱いて、身動き取れなくなってるんじゃないか、って」
「…………」
「ねぇアンディ、アンディもあのコに会ってみない? 多分、アンディも何かきっかけが掴めると思うの。
アンディの、あの悩みについてネ」
「…………」
そう――その頃の俺は、1つの問いが常に胸の中にあって離れない状態だった。
疑問そのものは、単純だ。
「一体どうすれば戦争は終るのか?」
……我ながら、まるで子供みたいな問いだ。あまりに単純で、純粋で、アホらしいような疑問だ。
しかしザフトの指揮官として部隊を率い、戦いを重ねるにつれ、この疑問は俺の頭にこびりついて離れなくなってね。
戦っても戦っても、全然和平に向かう気配がない。膨大な犠牲を双方に出して、なお事態は悪化していく。
どうすれば戦争は終るのか? 敵であるもの全てを滅ぼさねば、終らぬのだろうか?
いや、果たして本当に、それで終るのだろうか――?
そんな時に、このアイシャの言葉だ。何故か俺には、一筋の光明のような気がした。
これもいわゆる直感、無意識下の推測だったのかね? ともかく俺は、早速ラクス・クラインと会う機会を探り始めた。
……そんな折だ。俺が担当していたエリアに、「アークエンジェル」が降りてきたのは――
実際に歌姫に会えたその時には、もう俺の傍にアイシャは居なかった。
歌姫の残酷な予言そのままに、俺のために命を懸けて――
ラクス・クラインは、何も望まなかった。
彼女自身は、何の願いも持たなかった。
覆せぬ運命を日常的に見てしまうような娘に、どんな希望が持てると言うのだろう?
諦観を虚ろな微笑みで隠し、ただひたすら、自分の特異性が他者を傷つけぬよう、気をつけて。
国家的アイドルとして愛を語り、平和を訴えながら……誰よりもその虚しさをよく知り、誰よりも深く絶望していた。
――その日その時、その青年と出会うまでは。
「あらあら? まぁ、これはザフトの艦ではありませんのね?」
巨大なデブリと化した、ユニウスセブンの残骸近く。
救命ポッドを回収してくれたアークエンジェルの中で、ラクス・クラインはとぼけた声を出す。
周囲を取り囲むのは、一目見れば連合兵と分かる軍服の若者たち。確かめるまでもなく、ここは連合軍の艦だ。
――分かっては、いたのだ。
慰霊祭のためにユニウスセブンに向かった自分の船が、沈む運命にあることも。
人のいい勇敢な船員たちが、全て死ぬ運命にあることも。
自分だけは、助かる運命にあることも。
けれど……そんな運命を目の前にして、一体どうすればいいというのだろう?
彼女には、何もできないのに。
これがもし、初めて出くわした予知だったなら、彼女も無駄なあがきをしただろう。回避を試みただろう。
だがこれは、こういった悲劇は、彼女にとって日常ですらあった。物心ついた時から見て来たことだった。
――もう、何も感じなくなっていた。もう涙も枯れ果てていた。
彼女はただひたすら、「未来の見えない普通の人々」を傷つけぬために、とぼけた言動を続ける。
いや――その言動は、既に偽りではない。幾たびも繰り返されたそれは彼女の常態となり、本質となっていた。
鈍感になることでしか、その現実に耐え切れないからだ。理解しないことでしか、逃げられないからだ。
誰よりも鋭い直観力を持ち、誰よりも平和と平穏を愛しながら、誰よりも鈍い天然少女――!
彼女は――この時までの彼女は、たとえ己自身の死を知ったとしても、従順にその運命を受け入れただろう。
過去に予知した全ての悲劇と同様、醒め切った諦観のまま。虚ろな微笑みを浮かべたまま。
しかし――
「でも。貴方は、優しいんですね。ありがとう」
「僕も……コーディネーターですから……」
彼女は彼と、出会ってしまったのだ。
気弱な笑みを浮かべ、己の強さを「優しさ」というオブラートに包み込み。
彼女と同じように、周囲の人々を傷つけぬことを第一に考えて行動していた彼。
――少なくとも、その頃までの彼は、そういう存在であり。
ラクスは――生まれて初めて、心揺さぶられた。生まれて初めて、恋をした。
己の呪われた定めを、すっかり忘れてしまっていた。
青年の名は、キラ・ヤマトと言った。
恋は、人を変える。
ラクス・クラインは――その日、生まれて初めて、己の呪われた運命に挑みかかった。
「こちら地球連合軍、アークエンジェル所属のMS、ストライク!
ラクス・クラインを同行、引き渡す! ……イージスのパイロットが単独で来ることが条件だ!」
キラ・ヤマトの独断による、ラクス・クラインのザフト側への返還――
これまでの全ての人生と同様、従順に成り行きに従っていた彼女は……イージスに乗り移って後、気が付いた。
ストライクに襲い掛からんと飛び出してきた、ラウ・ル・クルーゼのシグー。彼に率いられた複数のジン。
「エンジン始動だ、アデス! アスランはラクス嬢を連れて帰投しろ!」
視界の隅にザフト側の動きを見たその瞬間――ラクスは、この先の結末を悟った。
彼女の無意識下の洞察力が、全てを見抜いてしまっていた。
ストライクは、ここで倒されるのだと。
バッテリー残量をチェックすることなく、母艦から飛び出してしまったストライク。
クルーゼらの猛攻の前に、やがてストライクはPSダウンし、シグーによって討ち果たされる。
軍規に反してまでも彼女を救おうとしたキラ・ヤマトの命運は、ここで尽きるのだと――
それを知った時、ラクスは――自身でも気付かぬうちに、動いていた。
親友同士の敵対宣言、それにさえ眉も動かさなかった彼女が、動いていた。
彼女の手が咄嗟に、イージスの通信機に伸びる。
「ラウ・ル・クルーゼ隊長! 止めて下さい。追悼慰霊団代表の私の居る場所を、戦場にするおつもりですか!?
そんなことは許しません! すぐに戦闘行動を中止して下さい!」
アスランもたじろぐ、鋭い視線。厳しい表情。
――それは、諦観から脱し、鈍感さという鎧を脱ぎ捨てた、ラクス・クラインの真の姿。
母が亡くなって以来、初めて人前に見せた彼女の「素顔」。
その鋭さに――百戦錬磨のクルーゼさえも、折れた。断念した。
あるいはその不意打ちに、いささか混乱したのだろうか。
「チッ! 困ったお嬢様だ!
……了解しました、ラクス・クライン」
舌打ちしつつも、兵を引かせるクルーゼ。
ラクスはアスランの膝の上で、この「予知の外の勝利」を噛み締めた。思わず、笑みが浮かぶ。
そんな彼女に、アスランはただ、目を白黒させるだけで――
……そう、彼女の「予言」は、覆る可能性のあるものだったんだ。
彼女自身、その時初めて知ったらしいが……絶対では、なかったんだ。
しかし、そのことで彼女を責めるのは酷というものだろう。
その後分かった「予知が覆る条件」を検討するに、まあそれまでの彼女なら仕方ないか、とも思う。
「ラプラスの悪魔」、というのを知ってるかな。旧世紀の数学者が思考実験の中に生み出した「全知の悪魔」だ。
仮にだ――無限の知覚力と無限の演算力を持った「悪魔」とでも呼べる存在が、居たと仮定しよう。
ソイツは無限の知覚力で宇宙の全ての粒子の位置を把握し、無限の計算力で全ての運動を一瞬で計算して……
結果、悪魔は未来を演算によって知ることができる。全く外れることのない予知ができる。
だがこの「ラプラスの悪魔」、思考実験の上においても、1つ論理的な破綻が起こるキズがある。
その悪魔自身がこの宇宙に居て、この宇宙に影響を与えるのなら――自己言及的な計算をせねばならなくなるんだ。
自分自身を計算に入れる必要が出る。そして自分自身を計算に入れることを、計算に入れる必要が出てくる。
合わせ鏡のように、無限に修正が重ねられて……結果、その計算量も無限になってしまう。
つまり、ラプラスの悪魔は、破綻する。
全知全能の神がこの世の終わりまで降りてこないように、絶対の観察者はこの世界に居ることができない、のかな。
ラクスはあくまでもヒトだから、知覚力も演算力も無限ではない。特に知覚の方はごく限られている。
ただ、演算力は、無意識のうちの予測能力は、尋常じゃない。人間離れしている。だから未来が確定的に推測できる。
推測できるが……それはあくまで彼女が「観察者」に徹した場合だけだ。
彼女が「観察者」の立場を崩したのなら、演算は無限の循環を起こし、彼女の処理能力をオーバーしてしまう。
観察対象に干渉することで、彼女の見た未来は間違いにもなりうる。
……少し難しかったかな? とにかく。
ラクス・クラインが、自発的に、直接行動を起こせば、予知は覆るかもしれない、ということだ。
ただこの「自発的」ってのと「直接」、そして「かもしれない」ってのが問題でな。
おざなりな態度なら、やってもやらなくても同じだ。
他人に流されるままに行動するだけなら、そこに彼女は「居ない」。未来推測の計算の中に組み込まれている。
そして彼女自身が直接そのことに関与できなければ、結局居ても居なくても同じこと。
「観察者」の立場を脱することができないからな。推測の材料は変わらんのだから、結果が揺らぐこともない。
それまでの彼女が諦観に捕らわれていたのも、まさにこの3条件があったからでね。
歌姫として議長の娘として、世界に関与はしていたものの、そこに積極的な意欲はあまりなかった。
また幼い少女の力では、どんなにじたばたしても世界の大勢は変えられない。
そして、頑張ったところで、必ずしも効果があるとは限らない。
物心ついた時から積み重ねてきた失望が……彼女自身の目を、曇らせていたんだ。
だが、このささやかな経験、キラ・ヤマトを救った経験によって、ラクスは動き出す。
すっかり諦め受け入れていた「破滅の未来」を覆そうと、彼女は動き出したんだ。
そして彼女は――やがて、さらに2つの限界に突き当たることになる。
「……ここ、は?」
「お分かりになります?」
「ハロ! ゲンキ! オマエ、ゲンキカ!?」
――目覚めたキラ・ヤマトは、混乱していた。
自分は、アスランと死闘を繰り広げ、最後はイージスの自爆攻撃の前に倒されたはずだ。死んだはずだ。
なのに……ここは。
ラクスが居る。初めて会う盲目の男、マルキオ導師がいる。ハロたちが居る。
温室の外に見える風景は、どう見てもプラントの内部。
「僕は……アスランと戦って……死んだ……はず……なのに……!」
マルキオ導師とジャンク屋ロウ・ギュールが助けてくれたことなど、分かるはずがない。
彼が助けられることを予見し、導師がプラントに連れてくるように画策していたことなど、分かるはずがない。
温室の中で目覚めたキラは、あまりに突飛な展開に、そして周囲の景色に、混乱する――
「……さっきから、聞きたかったんだけど」
「なんでしょう?」
「何であたし、こんなところに寝かされてるの?」
――バルドフェルドの長い昔語りの幕間。彼は追加のコーヒーを淹れるため、屋敷の本館に戻っていて。
まだベッドから起きれないマユは、食事を持ってきたラクスに尋ねる。
「こんなところ」とは、もちろん雪に半ば埋まった温室のこと。不快感はないが、不可解ではある。
2年前にもラクスは、キラに同じようなことをしていたと聞いたばかりだし――
ラクスは電動の車椅子を操り、器用にお盆を運び、マユのベッドの上、可動式のテーブルに載せる。
「だって、こちらの方が綺麗でしょう? お屋敷のお部屋から見る雪景色よりも」
「……それだけ?」
「はい♪」
あっけらかんと、嬉しそうに頷くラクス。どうやら本当にそれ以上の他意はないらしい。
その様子に、マユはげんなりした表情を浮かべて。
「……絶対、関係ないと思う。予知とか生まれとかとは無関係に……やっぱこの人、どっかおかしいよ……」
「どうかなさいましたか?」
小さな呟きは、ラクス本人には良く聞こえなかったらしく。
マユは大きく溜息をついて、ぶっきらぼうに言い放つ。
「……べつに。ただ、やっぱりあたし、アンタのセンスにはついてけないわ」
「そうですか。仕方ありませんわね、それは」
マユのはっきりした否定。しかし、ラクスの微笑は相変わらずで――
オペレーション・スピットブレイク――
連合軍パナマ基地への一斉攻撃として議会の承認を得た、大攻撃作戦だった。
プラントの政治と軍事ってのは、妙なシステムになっていてな。一定以上の計画は、議会を通さねばならん。
だが――それだけでは、戦争ができん。動きが遅くなる上、敵に全て筒抜けになっちまう。
だから最高評議会議長や国防委員長には、ある程度裁量権が与えられている。議会に相談せずに決定する自由がある。
とはいえ、この場合――
「シーゲル・クライン! 我々はザラに欺かれた!
発動されたスピットブレイクの目標は、パナマではない! アラスカだ!」
「なんだと!?」
攻撃目標の変更そのものは、パトリック・ザラの裁量権の範囲内だった。
当時の法の上では、議長と国防委員長、その両名の承認でできることだった。そして彼は、その両職を兼任していた。
だから、一応ルール違反ではないんだが――その変更の意味を考えると、これはエラいことでな。
当時のアラスカと言えば、連合軍の最高司令部だ。敵軍の「頭」だ。パナマのような「手足」とは違う。
作戦の持つ意味が、まるで違ってくるんだ。プラントの基本方針の根幹に関わってくるんだ。
議会を無視したこの態度、法には適うが仁義に反する、とでも言うべきかな?
そしてラクスは、それを発表されるまで、知ることができなかった。
……これが、彼女の1つめの限界だ。
知ってしまった未来は、確実に訪れる。あるいはその危機が訪れることを前提として、回避のための努力ができる。
しかし、知りたい未来・知っておくべき未来を、必ずしも察知できんのだ。知った時にはもう間に合わないこともある。
こんな大事件を、彼女は察知できなかったんだ。
とはいえ――どうやら、「近いうちに世界に危機が訪れる」という漠然とした未来像は、抱いていたらしい。
どうも彼女の予知は、ディティールが曖昧なことがある。で、その茫洋とした予感に従って、仕込みは既に済んでいた。
あとは、決断次第だった。何を守り、誰を助け、どういう行動を起こすのか。
――ここで彼女は、第2の限界に、初めて直面する。
「僕は……行くよ」
「どちらに行かれますの?」
「地球へ。戻らなきゃ」
プラント、クライン邸にて――
ラクスたちの庇護下にあったキラ・ヤマトは、スピットブレイク標的変更の一報を受け、言い切った。
「何故? 貴方お1人戻ったところで、戦いは終りませんわ」
「でも、ここでただ見ていることも、もう出来ない」
キラの強い決意。それを目にしたラクスは、激しく動揺した。魂の芯を揺さぶられた。
自分は……覆しようのない運命を目の前に、常に絶望に逃げ込み、動こうともしてこなかったのに。
この人は、この絶望的な状況を前にしてなお、諦めていない。無理を承知で、なお挑もうとしている――!
ラクスは――そして、ミスを犯した。致命的な過ちを、犯した。
「あちらに連絡を。ラクス・クラインは平和の歌を歌います、と――!」
「想いだけでも……力だけでも駄目なのです。だから……!」
ZGMF−X10A、フリーダム。
ラクス・クラインの手によりキラ・ヤマトに渡されたソレは、アラスカに降下し、戦闘に介入し……
アークエンジェルを始め、失われるはずだった命をいくらか救った。ザフトも決定的な損害は避けられた。
上手く行った、のだが……
ラクス・クライン、そしてシーゲルを含めた穏健派の面々は、反逆罪の疑惑を着せられ、追われる身となった。
ラクスの第2の限界は、まさにこれだ。
彼女には「放って置いたらどうなるか」は分かる。でも、「じゃあどうれば良いか」までは、分からない。
過程も何もなく、未来の一局面が見えるだけなんだからな。
見えない部分や対策は、「常人と同レベルの」意識上の洞察力を使い、自分で考えるしかない。
いや――ある意味、彼女のそういう能力は、常人以下だった。
両親の庇護と、その特異な能力から、彼女は「普通の人」が普通に身に付けるはずのソレを、学び損ねていた。
彼女の取った行動は、あまりに考えなしで、短絡的で、近視的だった。
確かにキラを救うことはできた。最悪の事態は回避できた。しかしその代償に陥ることになった危機は、深刻だった。
あとは……そうだな、彼女自身、自分の能力を過大に評価していたんだろう。
「この能力さえあれば何とでもなる」と。「どんな窮地も先読みして回避できる」と。
そうとでも思わなきゃ……あの能天気な、部下泣かせな態度は、ちょっと説明できんと思うなァ。
そんな、ある意味で傲慢な態度は、程なくして粉々に打ち砕かれることになった。
丁度それは、俺がエターナルごと、ザフトを、パトリックを裏切った頃で――
「父が……死にました……」
紆余曲折の末、プラントを脱出しキラと再会したラクスは――彼の胸で泣き出した。
それは、予見できなかった死。彼女の行動が招いた予想外の展開。
目の前に見えた落とし穴を避けようとして、別の落とし穴に落ちてしまったようなものだ。
運命に干渉できる、ということは、決してプラスの意味だけではなかったのだ。
時にその試みは、別の悲劇を招きうる。起きずに済んだはずの不幸に、自ら突っ込むことになる。
シーゲル・クラインは、ラクス・クラインが殺したようなものだ。
キラ・ヤマトを助けるために、生贄に捧げてしまったようなものだ。
――そんなつもりは、微塵も無かったというのに。
キラと直接顔を合わせた途端、堪えていたものが溢れ出す。気丈に支えていた彼女のポーズが、砕け散る。
それでも、キラは優しくて。
ラクスは、彼の胸で泣き続ける――
皮肉なモンだよねェ――俺の手足を奪い、片目を奪い、アイシャを奪ってくれたのは、他ならぬキラ君なんだぜ。
何度も戦って、殺し合って、俺の大切な部下を何人も殺してくれた奴なんだ。
……いや、もう憎んじゃいないがな。お互い様だし、キラ自身は悪い奴でもない。それは俺も良く知っている。
それでも――こういう巡り合わせに出くわすと、皮肉な運命だな、と思わざるを得んよ。
後から分かった、ことなんだがな。
キラ・ヤマトもまた、尋常なコーディネーターではなかった。
メンデルにおいて、人工子宮の中に生を受けた、コーディネーターを越えるコーディネーター。
ヒビキ博士の技術の結晶、スーパーコーディネーターだったんだ。
アル・ダ・フラガのクローン作成。その代償に得た莫大な資金をつぎ込んで、ようやく生まれた最初で最後の成功例。
キラもまた――その生まれゆえに、永遠の孤独を強いられた者だったんだ。
同じように世界から「浮いた」存在だったラクスとの間には、そういう共感があったのかもな。
「……え? アル・ダ・フラガを、知っているのですか?」
「うん。エクステンデッドを作ってた、ロドニアのラボでね。ネオが少し教えてくれた」
……既に知っていた思わぬ名前に、マユはバルドフェルドの昔語りを遮ってしまった。
食器を下げるために温室に戻ってきたラクスは、少し考え込む。
「……マユさん、そのお話、もう少し詳しく聞かせて頂けませんか?」
「詳しく、って?」
「これはそんな気がする、というだけなのですが……そのお話、今度の戦争の根幹に関わってくるかもしれません。
もちろん、バルドフェルド隊長のお話が終ってから、で構わないのですが……
そのラボの様子や、その『ネオさん』という方のことまで、詳しく聞かせて欲しいのです」
ラクスは真っ直ぐマユを見つめて、頼み込む。
――そう、ラクス自身は、決して「未来が見える」とか「分かる」とかいった表現を使おうとしない。
「そんな気がする」「かもしれない」といった曖昧な表現。
さもなくば、当たり前の決定事項のように、断定してしまう。
映画を見るようにヴィジュアル的にはっきりと「見えている」わけではないのだから、彼女も表現に困るのだろう。
ヒトの言語体系は、運命が分かってしまう娘のためには、作られていない。
――とはいえ彼女も、たった一度だけ、しっかりと「見えて」しまったことがあったのだ。
圧倒的な迫力で、全てを俯瞰するように、見えてしまったことがあった。
それは――
『私たちヒトは――おそらくは、戦わなくとも良かったはずの存在……』
――第二次ヤキン・ドゥーエ戦。2年前の戦争の、最後の大規模戦闘。
エターナルのブリッジで、ラクスは問う。
世界そのものに、己の能力そのものに、問いかけずには居られなかった。
『なのに――戦ってしまった者達。……何のために?』
戦いが続く。
ムウ・ラ・フラガのストライクが、ラウ・ル・クルーゼのプロビデンスの前に、被弾する。
既に、クサナギのM1アストレイ隊にも甚大な被害が出ている。おそらく、さらに増えるだろう。
『守るために? 何を? ……自らを! ……未来を!』
エターナルのブリッジから直に見えるところにまで、MSが流れてきて爆発する。
敵も味方も、次々と死んでゆく。
多くの命が散っていく中、ラクスは問いかけを続ける。
『誰かを討たねば守れぬ未来。それは――何? 何故?』
ラクスの中で、何かが砕け散る。眩いばかりの光が、溢れ出る。
極限の中で、彼女はその限界を突破する。彼女独特の知覚、それが無限の領域に到達する。
――その果てに見えたものを、はて、ヒトの言葉でどう表現すれば良いのか。
『そして、討たれた者にはない未来。では、討った者達は……?』
そこには――「世界そのもの」があった。悠久の歴史の流れがあった。
過去・現在・未来、その全てが彼女の目の前に広がり、俯瞰できる。その雄大さに圧倒される。
あらゆる時代の、あらゆる戦争。その結末。得たもの。失ったもの。繰り返される歴史。
あまりにもちっぽけな、自分たち。
『その手に掴む、この果ての未来が――幸福?』
無限に続くかとも思われた幻視は一瞬で去り、ふと見れば周りは未だ戦場の中。数秒も経ってはいない。
膨大な歴史の流れの中で、ほんの小さな一点にして、全てを集約したような一瞬。
ラクスは呆然としたまま、その唇はなお、祈りの言葉を紡ぎ続けて。
『…………本当、に?』
彼女の問いかけに、答える者はなく。
激戦は数多の死と嘆きを生みながら、やがて、終焉へと向かう――
ぶっちゃけ、その時ラクスが何を感じたかは未だに分からん。いくら説明してもらっても、俺にはピンと来なくてね。
ただ……その戦い以来、彼女は変わった。大きく、変わった。
一言で言えば、政治の前面に出ることを、辞めたんだ。
戦後混乱するプラントでは、実は彼女の帰還を望む声は少なくなかった。
パトリック政権をクーデターで倒したアイリーン・カナーバも、何度も政治への協力を要請していたんだ。
だが彼女は、その全てを断った。全てを断り、全ての仕事を拒んで、キラ・ヤマトと共に居ることのできる環境を求めた。
そして辿り着いたのが……マユとラクスの出会った、あのマルキオ導師の孤児院だったわけだ。
何でも彼女の「感じた」ところでは、ラクスはプラントで高い地位に押しあげられる運命にあったらしい。
お飾りの看板として祭り上げられ、身動き取れなくなり、何もできぬまま再び戦争に巻き込まれる――
――どこまで本当かは知らん。どこまで本当かは知らんが、ともかく彼女はその「運命」に、抵抗した。
自発的に、積極的に、どこまでも。
……さてね、俺も彼女の真意までは知らないね。
そのうちまたラクスも戻ってくるだろう。その時にでも、直接聞きたまえ。
ただ彼女が孤児院に身を隠すに際し、俺たちに託したものがあった。
「いずれ、オーブ正規軍にも連合・ザフト両軍にも属さない、独立した『力』が必要になる時が来る」
――そう言って、彼女は俺たちにフリーダムの修復と隠匿を依頼したんだ。
最後の戦いで大破したフリーダムは、ジャンク屋が回収していた。一番用意の難しいNJCさえあれば、なんとかなる。
元手になった金は、クライン家の遺産。マルキオ導師の力で、口の堅いジャンク屋を動員して。
様々な偽装工作には、カガリの姫さんの力も借りた。隠しておく屋敷を提供してくれたのも、姫さんだ。
そして俺たちは――俺とマリュー・ラミアスは、それを保管し守るため、あの屋敷に住み込むことになった。
これが、あの屋敷にフリーダムがあったその理由さ。
まさかマユが乗るとは思ってなかったんだがな。いずれキラが回復して、乗ることになるとばかり思っていた。
さもなくば――俺自身が中継ぎとして乗るか、だ。
あの屋敷にあったMSシミュレーターも、本来は俺自身のリハビリ用さ。マユの訓練に使ったのは、そのついでだ。
それからは――ほとんどマユが知ってる通りだ。
知らないだろうことは……ラクスが暗殺されかけたことと、俺たちが準備をし直したことくらいか?
ああ、そうだ。ラクスに協力を断られ続けていた、プラント政府の人間だろうな。
暗殺者自身もそういう言葉を吐いていたというし、あの「偽ラクス」が登場したのは彼女が倒れた直後だし。
俺たちがこの国に来たのも、ヨーロッパを飛び回っていた「偽ラクス」と接触したかったからだ。
オーブに留まっているより、多少は近いスカンジナビアに居た方が動きやすい。クライン家の縁で、色々と無理も利く。
マユを助けたのは――本当は、マユを助けるハズだったのは、マリュー、つまりマリアだった。
お前を止めようとヨーロッパに入ったんだが、どうもベルリン以降、音信不通でね。
ただ、マリューと一緒にいたジャンク屋の仲間がお前の回収に成功してな。俺たちのところに、連れてきたんだ。
……ん? 偽ラクスと接触して、どうする気だったか、って?
さて、どうする気なのかなァ。俺には俺の目的があるんだが、ラクス本人が何考えてるかまでは知らん。
ラクスと俺は、別に主従関係を結んでるわけでもないしな。目的が重なってるから、行動を共にしているだけさ。
それも、直接聞くんだね。
「――いくつか、聞いていい?」
「どうぞ」
全てを語り終えたバルドフェルドが去った、雪の中の温室で。
おずおずと、マユは尋ねる。まだ自由にならぬ身体、それをラクスに拭き清めてもらいながら、彼女に問う。
聞きたいこと、問いただしたいことは幾つもあったが……少し悩んだ末、最初にその疑問をぶつける。
「結局、アンタって……キラってオトコ1人のために、何もかも放り捨てたってことなの?」
あくまでマユの言葉は硬い。バルドフェルドには抱いていた親密さを廃した、冷たい態度。
対して、ラクスはどこまでも柔らかな笑みを浮かべたままで。
「そうですわね……。結局、そういうことになるのでしょうか?
キラは、今のわたくしにとって一番大切な方ですわ」
「……よく臆面もなくノロケられるわね……。責任とか感じないわけ? エターナルのリーダーだったんでしょ?」
背を拭いてくれているラクスを、マユは半ば振り返って睨みつける。
しかし、その厳しい視線にも、ラクスは全く揺らがない。
「感じてますわ。だからコレは、引責辞任のようなモノです」
「……詭弁じゃないの、それ?」
「かもしれませんわね」
ラクスは、少し顎に手を当てて考え込む。言葉を探す。
「ただ……あの日、マユさんに怒られてから、色々考えました。
わたくしたちが本当に守ろうとしていたのは、何だったのかを。
一体、どこの誰を守っているつもりだったのかを」
「…………」
『『皆さん』って誰よ! 一体どこの誰を守ってるつもりだったの、あなたたちは!』
「そして――気付きました。わたくしはこれまで、ソレを知らないままに来てしまったのだ、と。
ごくあたりまえな、『普通の平和な暮らし』を知らずに、来てしまったのだと。
それを教えてくれたのは、わたくしがお世話するつもりでいた、孤児院の子供たちでした」
「…………」
「人々の『普通の暮らし』、それこそが、奇跡の連続です。特に子供は、無限の可能性を秘めています。
皆、定められた『運命』があるというのに、それに挑んで……軽々と、克服してしまう。
わたくしが働きかければしっかり受け止めて、己の『運命』を変えてしまう。
もちろん……わたくしの力不足を思い知らされることも、多いのですが。
孤児院の仕事は、本当にやりがいがありますわ。プラントの芸能界などより、ずっと」
「…………」
「キラも、もうかなり立ち直られましたけど――彼も今は、孤児院のお仕事に生き甲斐を見出してらっしゃいます。
いずれわたくしたち2人、マルキオ導師の下から独立して、新たな孤児院を作ろうと思っているのですよ」
「…………」
マユは、答えない。背中を優しく丁寧に拭かれながら、何をどう言うべきか迷う。
ラクスは、そんなマユの肩に手を当てて、身体を回すように促す。
車椅子のラクスでは、簡単にはベッドの反対側に回り込むことができないのだ。
マユは仏頂面のまま、しかし素直に身体の向きを変える。今度は真正面から、2人の顔が向き合う。
「今のわたくしたちがあるのも、マユさんのお陰ですわ」
「……え?」
「あの日のマユさんのお叱りは、かなり応えました。わたくしにとっても、キラにとっても。
そして、恥じました。お会いした初日、最初の挨拶から、自らを偽り誤魔化そうとした自分を。
未来ある子供や少年少女にこそ、誤魔化したり偽ったりせず、真正面から向き合わねばならない――
そのことを教えてくれたのは、マユさん、あなたなのですわ。本当に、ありがとう。
キラも、あの日から色々と変わりました。彼が立ち直れたのも、貴女のお陰でしょう」
「…………」
深々と、頭を下げられる。本当に嫌味でも何でもなく、真摯にそう感じたのだと分かる態度。
それに対し、マユは――
「それでも――それでもあたしは、アンタのこと、大ッ嫌い」
「……そうですか」
「あたしがもし、同じような立場に居て、同じような力を持っていたとしても……
ラクスみたいな選択は、しないと思う。ラクスみたいな態度は、取れないと思う。
説明してもらった今なら、前よりも事情は分かるけど……それでも、あたしは、認めない」
きっぱりと、ラクスを拒絶する。
そんなマユの態度に、それでもラクスは、笑みを浮かべたままで――
「嫌われたものですわね。でも――わたくしはマユさんのこと、好きですわ?」
「……変なこと言わないでよ、もう」
ラクスは――この特異な能力を持つ娘は、既にこのマユの否定を「知っていた」のだろう。
マユだけではない。事情を知ったとしてもなお、少なからぬ者が今のラクスを否定するだろう。非難するだろう。
そして、ラクスは――それを「既に知った」上で、なお己の道を行こうとしているのだ。
とうの昔に、ラクスの精神は、マユのような正論を受け止め、検討し、反省した後なのだ。
そして、なお浮かべる微笑。なお貫く自分のやり方。
そこには昔のような諦観も、昔のような傲慢さもない。真正面から世界に向き合っている。
自分の信じるやり方で、諦めることなく、生きて行こうとしている。
だから、それが分かってしまったマユは――少しだけ、表情を緩めて、苦笑した。
「……ったく、敵わないなァ、ここまで無責任突っ走られると」
――それは、身体を清め終わったマユが、再び服を着終えた、その時だった。
屋敷の本館の方から、足音も荒く男が戻ってくる。バルドフェルドである。
「おい、動きがあったぞ。今『同志』から情報が入った」
「どうしました、バルドフェルド隊長?」
「例の偽ラクスだ。近く行われるヘブンズベース攻略戦で、前線に出てくるらしい。
多分名目上だけなんだろうが――攻撃部隊の、総隊長扱いだとよ」
「まぁ……」
「ミーアが?」
バルドフェルドの言葉に、2人は思わず声を上げる。
……数秒の沈黙。3人は顔を見合わせて。隻眼の男は、マユに問いかける。
「……誰だマユ、『ミーア』ってのは?」
「…………あ」
「――ミーア、居るかい?」
「あ……アスラン!」
大規模作戦の準備で慌しい、ジブラルタル基地。その一角。
フェイスの徽章を身に付けた赤服のエリート、ザフトの誰もが知る英雄アスラン・ザラが、一室を訪れていた。
彼を案内してきた、大きなバイザーを付けた女・サラが、黙ったまま一礼し、部屋を出て行く。
「あれは……サラとか言ったか。彼女は無事だったんだな」
「コンサートスタッフのほとんどが、まだ行方不明なんだけど……彼女は単身、敵地を突破して脱出してきたんだって」
「凄い人だな。特殊部隊並みじゃないか」
ミーアの説明に、思わずアスランは笑う。ミーアもつられて、微笑みを浮かべる。
ここは、ジブラルタル基地における彼女の部屋。部屋といっても、豪華なホテルのスゥィート並みの間取りと設備。
その一室で、ミーアはどうやらパイロットスーツの試着をしていたらしい。
薄いピンク色の、専用スーツ。胸元には、アスランと同じくフェイスの徽章。
仕事の後特殊メイクを落としていないのか、顔は「ラクス・クライン」のまま。ただ桃色のカツラは取っている。
「ラクス・クライン」の顔に、長い黒髪……いささか、違和感のある絵ではある。
「どう、このスーツ? 可愛いでしょう?」
「ああ。似合ってるんじゃないかな」
クルリとその場で回転してみせるミーア。アスランは微笑みながら、背もたれのない椅子を引っ張りだし、腰掛ける。
身体を動かしたはずみで、痛みに顔を歪める。そんな彼の様子に、ミーアの顔からも微笑みが消える。
「まだ……痛むのですか?」
「だいぶ、良くなったけどね。ドクターに聞いてみたが、次の作戦への参加は、まだ認められないそうだ」
「……そうですか」
「ミネルバは、ヘブンズベース攻略戦には参加できない。今回、俺たちは見ていることしかできない」
そう――ザフトの総力を上げての大決戦、ヘブンズベース攻略戦。
だが、そこに今回ミネルバは、参加しないのだ。
艦の修理は既に9割がた完了している。
だがアスランが未だドクターストップで、補充のパイロットもMSも届かぬ現状では。
実際に戦えるのは、レイのレジェンドただ1機ということになってしまう。
これでは、ミネルバを投入するメリットはあまりに少ない。
「代わりにどうやら、カーペンタリアの方に向かわされることになりそうだ」
「カーペンタリアに?」
「正確には、カーペンタリア経由で宇宙に上がる、ということらしいな。
なんでもあの基地に、ミネルバの大気圏脱出用ブースターが置いてあって……
ブースターを運んでくるより、ミネルバの方から行ってしまった方が早いとか」
大気圏内でも、ミネルバの俊足に敵うような輸送機はそうそうない。ましてや、そんな大きな荷物ともなれば。
連合・ザフトの今の勢力圏を考えれば、大西洋を南下し南氷洋経由でオーストラリアに向かうことになるのだろう。
北大西洋を北上しアイスランドのヘブンズベースに向かうミーアたちとは、ちょうど逆方向になる。
「宇宙でも不穏な動きがあるからな。途中で補充人員を加えて、月軌道に向かうことになるらしい。
行って見なければ分からないことが多いけれど……」
「じゃあ……次に会えるのは宇宙で、ということになるの?」
「多分な」
アスランの言葉に、ミーアはうなだれて。
椅子に座っている彼に、ゆっくりと近づいて……突然、首筋に抱きついた。
「み、ミーア?」
「怖い……怖いの! あたし、怖いの!」
ミーアはその胸をアスランに押し付けたまま、泣き始める。堪えきれずに、泣き始める。
「で、デストロイに襲われた時も、あ、あたしのために、た、沢山死んだし……!
また今度は、あたしの号令でみんなが死んで行くのかと思うと……あたし、あたし……!」
「ミーア……」
ミーアの肩が震える。演技でも何でもない。重いプレッシャーに、怯えている。
彼女は――ミーアは、普通の女の子なのだ。ごく普通に生まれ、ごく普通に育った女の子なのだ。
ザフトにいたとはいえ、軍での生活は短かったし――何より、自分の危険は覚悟していても、他人の犠牲はまた別だ。
今さらながら彼女は、「ラクス・クライン」という自分の「役割」の重みに、押し潰されそうになっていた。
そんな彼女を前に、アスランは――少し戸惑い、躊躇した後、その肩を抱きしめる。
「本物の」ラクスにも、カガリにもなかったその弱さ。
それを目の前にして突き放せるほど、アスラン・ザラという青年は非情でも無情でもない。
「……大丈夫だよ、ミーア。君が責任を感じる必要はない。君は、自分の仕事を果たせばいい」
「アスラン……」
「君も決めたんだろう? 『ラクス・クライン』としての仕事を果たすと。なら、やり遂げなきゃいけない。
大丈夫、君は1人じゃないんだ。支えてくれる人が沢山いるんだ。だから……」
「――アスラァンッ!」
ミーアを励まそうとしたアスランの声は、途中で遮られて。
彼女は、そのまま彼を押し倒す。椅子が倒れ、柔らかく高級な絨毯の上に押し倒す。
アスランは、逃げるより先に、咄嗟にミーアが傷つかないよう受け止めて……
2人の顔は至近距離で向き合う。アスランの上に、ボディラインも露わなパイロットスーツのミーアが、覆い被さる。
アスランを見下ろすミーアの瞳は、熱く潤み。しばしの沈黙の後、ゆっくりと2人の顔が――
――夜空が見える。
スカンジナビアの、旧クライン邸。雪は止んで雲も晴れ、温室のガラス越しに素晴らしい星空が見える。
屋敷のどこかでは、どうやらラクスが歌っているらしい。
誰に聞かせるつもりもない歌のようだが、静かな夜の空気を伝わって、微かに温室まで聞こえてくる。
彼女の歌を聴きつつ、星空を見上げつつ、マユは1人考える。静かに自分との対話を続ける。
自分は――どこで、何を間違えたのだろう。どうすれば良かったのだろう。
これから、どうすれば良いのだろう?
ラクスたちは、好きにして良いと言っている。好きなだけこの屋敷に留まって良いと言っている。
欲するなら色々と便宜も図ろう、壊れた義手や、失われた足の代わりになる義肢も用意しよう、と言っている。
その一方で、迷惑をかけた代償だ、とも言って、マユには何も要求しようとしない。
……そのあまりの「優しさ」が、かえってマユに迷わせる。
当てのない思索を続けるマユは、いつしかこれまでの記憶を思い出していた。
ラクスの柔らかな歌声に導かれるように、ゆっくりと思い出す。
家族4人の、平凡だが幸せな暮らし。突然起こったオノゴロ島の悲劇。マルキオ導師の孤児院。
ラクスたちに反発し、飛び出した孤児院。アンディとマリアとの出会い。岬の上の屋敷での、穏やかな日々。
静かな この夜に 貴方を 待ってるの
あのとき 忘れた 微笑みを 取りに来て
アッシュの襲撃、そしてフリーダムとの遭遇。撃退、防衛、そして、拘束。
ユウナ。ウナト。オーブ軍の人々。ユニウスセブン落下の危機、そして宇宙へ――
あれから 少しだけ 時間が過ぎて
思い出が 優しくなったね
空の上での戦い。インパルスとの出会い。共に突入した大気圏。迫る戦争。インパルスの前に飛び出すフリーダム。
オーブを、世界を守るため、必死で駆け抜けた日々。
星の降る場所で 貴方が笑っていることを
いつも 願ってた
今遠くても また会えるよね
オーブ沖海戦。艦隊派遣決定。カーペンタリア湾での、インパルスとの衝突……そして、思い知らされる自分の未熟。
彼女は初めて、「戦争」というものの片鱗を見る。
いつから 微笑みは こんなに 儚くて
ひとつの 間違いで 壊れてしまうから
ミーアとの出会い。ジブリールとの出会い。コニールとの出会い。
オーブを出た少女が初めて知る、世界の様相。多面的な世界。それぞれの思惑、それぞれの正義。
大切な ものだけを 光にかえて
遠い空 越えてゆく強さで
スパでの馬鹿騒ぎ。ロドニアのラボ。スエズ防衛戦。ベルリン。北海での決着。フリーダムの、敗北。
傷つき、凍てついた心に映る光景には――色がない。モノクロームの記憶。
星の降る場所へ 想いを貴方に届けたい
いつも 傍にいる
その冷たさを 抱きしめるから
今遠くても きっと会えるね――
静かな 夜に――
考えねばならぬことは山ほどあり、考えねばならぬ相手も何人もいる。
けれど、マユはまず思ってしまう。一番最初に、考えてしまう。
――果たして、兄は、シン・アスカは――互いに向け合った刃のあちら側で、どんな光景を見てきたのだろう?
フリーダムを倒しマユを倒した今、どんな想いでいるのだろう?
彼は――微笑むことが、できているのだろうか?
マユは横たわったまま、ピンクの携帯電話を握り締める。
回収されたフリーダムのコクピットにあったという、思い出の品。今の彼女と過去を繋ぐ、唯一の絆。
マユの唇が、小さく動く。
「お兄、ちゃん…………」
「………ュ」
――真夜中の、スエズ基地。
ザフトの一大拠点となったこの基地の片隅に、部外者の立ち入りが厳しく制限されているエリアがあった。
建物には夜中でも煌々と明かりが灯り、何やら作業をしているようだが、その内容を知る者はほとんど居ない。
暗闇の中、建物の前には、自分が何を守っているのかも知らぬ歩哨がしっかり武装して立っている。
その、建物の中で――
「……今、何か聞こえた気がしましたが……気のせいですわよね?」
白衣の女性研究者が、首を傾げた。肩の前で螺旋を描く金髪が揺れる。
彼女は書類を手にしたまま、その部屋の中央に並ぶ巨大な装置に歩み寄る。
「それとも……『彼』が夢でも見て寝ぼけたのでしょうか?
まあ、調整中は眠っているも同然ですから、ありえなくもないですが……」
彼女は可能性を検討しつつ、その中を覗き込む。
虹色に光るソレは――カバー付きの卵型のベッド。それが部屋の中にズラリと並べられている。
その中の1つに、裸の青年が1人、横たわっている。ピクリとも動かない。
「夢の中でなら――いくらでも思い出に浸って頂いて構わないのですがね。
オーバーエクス・オメガワン。
どうせ起きている間は、思い出すこともできなくなるのですから――」
そういって、彼女は微笑む。歪な笑み。
カプセルの中には、眠り続ける黒髪の青年。
かつてインパルスを駆り、裏切りのフリーダムを撃破したザフトの英雄。
狂犬。血染めの赤。暴力装置。オーバーキル。ジョーカー。狂戦士。
数多の異名の上に、今や「フリーダム殺し」の名を抱く、シン・アスカ――!
「……マユ……」
青年の口元は、再び小さく呟いて。
眠ったままのその目から、涙が一筋流れる。
建物の外、延々と広がる砂漠の上は、晴れ渡った夜空。今にも降ってきそうな満天の星空。
夜はどこまでも静かで、どこまでも穏やかで――
第二十四話 『 天国は遥か遠く 』 につづく
……ということで、ラクスについて大胆解釈。
桃色サヴァン、ラプラスの悪魔。ラクス・クライン。
過去かなり設定に手を加えている自分ですが、正直、彼女が一番難しかったです……。
あと、これはあくまでラクス側からのお話。もう1人の当事者については、いずれまた少し……。
・アイシャ
CVビビアン、のイメージから、元・芸能人にしてしまいました。いやビビアン声でなくて良いのですがw
あの青いボディスーツは、一般人の着る服ではないと思うのですよ。でも元々ステージ衣装だったならアリかと
・ラプラスの悪魔
知らない人はググってみて下さい。ちなみに「ラプラスの魔」で検索するとゲームやら小説が出るので注意w
ちなみに……普通は、自己言及的な計算以上に、ハイゼンベルグの不確定性原理の方が問題視されます。
量子力学の発展した種世界、虎が知らないはずもないのですが……そこは説明の都合上、意図的なものかと。
・ミーア専用パイロットスーツ
本編で、ラクスが∞ジャスティスに乗っていた時に着ていた、あのスーツと同デザインです。
完全にラクスの扮装(ウチのミーアは特殊メイク&カツラ使用です)をすれば、髪飾り以外はあの姿になります。
ラクスが専用スーツを仕立てているのはどう考えてもおかしいですが、ウチのミーアなら無い方がおかしいかと。
・静かな夜に
悪い曲じゃないと思います。歌詞やメロディは結構好み。
・オーバーエクス
なんかもう感想でかなり見通されてますねぇw
ま、読みやすい伏線から読みにくい展開まで、色々取り混ぜて準備してるので、そういうこともあるでしょうが……
・アスラン
ラクスから見た彼の話、挿入することができませんでした……(話の展開とか冗長になりそうで)
これから先の展開で、多少なりともフォローできれば、と思ってますが。
次回、ヘブンズベース戦。ようやく大戦闘。
……かなり容量使ってしまいました。次スレよろしくお願いします。
感想等は次スレへ
とりあえずまだ新スレは、立てなくても大丈夫です。
感想は、このスレでもいけるでしょう。
というわけで感想書かせていただきます。
むぅ……ラクスは魔法士だったのか!!!byウィザード・ブレイン
とまぁ冗談はさておき、必殺電波娘ことラクスの扱いは難しそうですからねぇ。
種、死種とその行動はあからさまにちぐはぐでしたから。そのアンバランスさをうまく処理する設定を考えたのはすごいと思います。
しかしシン。すっげぇ状態になりつつありますな。オーバーエクス・オメガワン。
すごく強そう……
なんか凸とミーアにフラグがたった、どころかあからさまに……
初めてリアルタイムで読めたあああああああああああ(*´▽`*)
まさかラプラスの悪魔なんて単語が出てくるとは思わなかったゼ
しかしこういう解釈もラクスだと不自然じゃねぇなw
上手いなぁと感心しましたよ
そして遂に隻腕でもシンのエクステンデット化か・・・、先読むのがコワヒヨー
次回を楽しみにしつつ、隻腕作者とにかくGJ!!!
まあ、ラクスだけはなあ・・・。あれを理解すんのは無理だろうし。
その辺をなんとか料理した、隻腕さん、乙でした!
ラクスの設定が凄いですな。お見事です
あ、そいや凸とミーア遂にセッku( ゜д゜)・∵.パーーーン!!
コホン、失礼
アスランめ、あのたぷーんを思うが侭に……羨まし過ぎる
隻腕ミーアには幸せになってほしいものだな。
隻腕作者さん、いやまあ、なんていうかお疲れ様です。
個人的にアレは女王蜂の遺伝子でも組み込まれたものかと思っていました。
もしくはブギーポップに出てくる「世界の敵」の一種っぽいものとか。
兄妹共々凄い状況に追い込まれ、物語もこれから先どうなるか予想もつきませんが次回を楽しみに待っています。
>ハイゼンベルグの不確定性原理
位置と大きさを同時に確定できないって話だったかな。(超うろ覚え)
事象の変異確率に拡張するのはSF的お約束?
正確には「原子の運動量と位置を同時には計れない』
ただしこれは粒子などの極小の世界のことであって、巨視的な世界においてはこの両者は限りなく確定に近づく
世界を確定できないという理論ではなく、むしろ逆で、世界を確定的にとらえるための原理である
以上チラシの裏
ラクスの色んなアレな行動もこの設定なら説明つけれそう
シーゲル死んだところちょっと泣きそうになった。アニメ本編ではうぉおおおおい!だのにw
アスランおめええええ!まあカガリ死んでる(今の時点では)もんな
これが放映したらやばいくらい祭りになるwww
ちょっと最近の均等死亡や正体バレイベントでだれてたがまた面白くなってきた!
桃色サヴァン設定に度肝抜かれたぜ・・・うにーとか言い出したらどうしよう
二次創作なのにここまでの大胆設定を組んで破綻ない隻腕さま乙!
さりげなくアイシャ(自分の中ではビビアンボイス)がでてきて小躍りしてます
にしてもアスランも男の子だったのねとしみじみ・・・
>>545 アスラン自身はいちおーカガリをなますにしたときに、逃げに徹すれば無事だろう、
と自分で言っていたんだから彼女が死んだとは(殺したとは)思ってないのでは?
無事な姿も確認していないわけでもありますがww
単発設定小話 脇話「それぞれのディオキアの休日」
■アスランとミーア
アスラン「ミーア・・・お前まだそんなことをっ!」
ミーア「ちょっと!大きな声ださないでよ。ここでは私がラ・ク・ス!なんだから」
アスラン「・・・お前は本当にそれでいい・・・・・・のか?」
ミーア「昨日のライブ見てくれたでしょう?ここが今の私の全てなのよ!私はプラントへ恩返ししたいの!」
アスラン「恩返し?・・・ミーアお前・・・・・・」
ミーア「私はオーブからの移住者よ!あなたが無為に過ごしてきた国の元国民よ!」
アスラン「っつ。お前もオーブに戻りたくないコーディネイターの一人なのか・・・」
ミーア「アスランだって、ザフトに戻ってきたじゃない!?・・・あなたこそオーブに戻りたくないんじゃないの!?」
〜次の仕事のためホテルをあとにするミーア〜
アスラン「・・・・・・ラクスはもう動き始めてるんだぞ。・・・議長はどうするおつもりだ・・・・・・?」
■ハイネとサラ
〜ルナマリアにキレられて落ち込むハイネ〜
ハイネ「・・・あ〜あ、難しいねぇ。今の女の子は・・・・・・」
サラ「あんたが強引すぎるのよ。ほんっと成長しないわねぇ?」
〜ハイネの背後から声をかける女、振り返るハイネ〜
ハイネ「!?サラ!・・・お前もここに来ていたのか」
サラ「ご無沙汰ね。ハイネ?まだ女の子のおしりを追いかけているのかしら?」
ハイネ「・・・っち、お前も変わって・・・るなぁ。熟してきたってゆーか・・・」
サラ「年取ったっていいたいのかしら?ザフトの黄昏さん?」
ハイネ「・・・懐かしいな、そう呼ばれるのも・・・。なぁ、ザフトの西風。なんでここに居る?」
サラ「議長の勅命でね、ラクス様のガードナーをしているのよ」
ハイネ「ラクス〜?あの女の護衛かぁ。・・・なぁ、あいつ偽者だろ?」
サラ「やめなさい、そういう物言いは。余計な手間を取らせてしまうわ・・・・・・」
ハイネ「おぉ〜、怖いねぇ」
サラ「じゃ、仕事に戻るわ。・・・・・・そうそう、アーサーに愛してるって伝えといて」
ハイネ「へ〜いへい」
〜立ち去るサラ〜
ハイネ「なんであんな美女がとっろいアーサーなんか好きなのかねぇ・・・・・・?」
■マユとルナマリアとメイリン
ルナ「ふ〜。たっくさん買ったわねぇ・・・・ちょっと買いすぎたかしら?」
メイリン「いいんじゃない?買い物なんてめったにできないんだし・・・。マユはほとんど買ってないわね?」」
マユ「あ、うん。ルナ姉ちゃんに圧倒されちゃって・・・」
ルナ「あらら。ダメよ、圧倒されてちゃ。そんなことじゃショップのバーゲンや、福袋戦争を乗り切れないわよ?」
メイリン「お姉ちゃんは極端なのよ!それよりさ、お腹すいっちゃった。どこかでランチにしない?」
ルナ「そうね。マユ、なにか食べたいものある?」
マユ「ルナ姉ちゃん。私、海岸沿いへ行ってきていいかな?」
メイリン「私は別にいいけど・・・お昼食べてから行ったら?」
ルナ「・・・そうね。私とメイリンは夕方からシフトが入ってるし一緒に行けないわよ?」
マユ「へへ、このあたりって景色きれだし気分転換にいいかなっておもって・・・」
ルナ「うん了解。行き先は私が変更連絡しておくわ。とりあえず、ランチに行くわよ?」
マユ&メイリン「は〜い!」
完 ・・・・・・ディオキア編はもうちょい続く。。。
ラクソの話読むだけで不愉快になるな
>>549 気持ちはわかる。でもおれ隻腕のラクスなら好きになれそうな気がする
というか今の段階でだいぶ嫌いがなくなってきた。
隻腕マジ凄い。負債はラクスが解っているのは負債だけ、とのたまったらしいが、
隻腕によって、隻腕ラクスのことなら在る程度理解できた気がする
生存情報が来たときは (.;´;_ゝ;`:,);゙;`;:゙;`;:ヤメテヨネ って感じだったけど
今なら言える! 隻腕GJ超GJ!!!
最近パラダイスロスト見たお!
オメガワン様が木場@海道長田死亡時の暴れ泣き張りに
泣き崩れる姿が早く見たいお…
希望をかなえるため、あえてここはオメガ=オーガマンセー!と言わせて貰う!
まぁ、な
思うに、ラクスやキラを不快に感じるのは福田嫁Verだからなんだよ
様々なスレのSSに登場するキラやラクスは良い感じのも多い
>サラ「じゃ、仕事に戻るわ。・・・・・・そうそう、アーサーに愛してるって伝えといて」
ちょwww
フォンドゥヴァオゥ吹いたwwww
負債はラクス=超越キャラとしてしか設定してねーだろうからな
そのくせ人間らしい女の子らしい一面もあるんです天使のように純真なんですよーとPR
最低キャラかよ。超越してるなら人間らしさも超越しとけやと(ry
俺が行くようなネタスレなんかではキララクは腹黒で固定だからなー
ラクス黒幕説ね。アニメ版じゃ状況証拠揃いすぎてるからなぁ。
キラが動くまで撃たない暗殺者、ザフトからリークされすぎる情報、あまりに多すぎる賛同者、ありすぎる権力と財力。
ターミナルはむしろザフトの諜報機関そのものと言っても良いほどあらゆる情報を垂れ流す。
和田と隠者を作ったターミナル。その和田と隠者に使われている技術はエンジンを除けばどれもセカンドステージの技術。それも最新鋭。
和田:腹砲→アビス 誰にでも動かせるドラグーン→レジェンド 連結砲→バスター? ビームシールド
隠者:リフターカッター、すねカッター→ガイア ビームシールド
そしてエンジンは核融合。運命伝説の核分裂を鼻で笑う超高出力。勝てたのは機体性能のおかげといわれてもおかしくないほどに。
種死世界から見ても明らかに一歩未来の技術を何の苦労もなく和田隠者に搭載するその技術力は一国家、それもコーディネイター揃いのプラントを軽く凌駕する。
これでラクス本人はただの歌姫だとよ。笑わせてくれるぜ。
ラクスは超越キャラというよりも記号の塊なんだろう。
天然。アイドル。聖女。優秀な指導者。父を亡くした可哀想な少女。傷ついた男を包み込む母性。
もちろん、場面によって詰め込まれる記号が異なるのは言うまでもない。
俺たちはラクスを人間として捉えるから、これらの流れの根底に何か一つ芯となるべきものが存在すると考える。
負債もそう思ったようで、「天然」という当初の予定を覆して「あれは演技」なんて台詞吐いてるがな。
ところが実はそうではない。状況にあわせた「最適(魅力的)な女性像」が吐き出される、いわば人工無能のような存在なわけだ。
神がその状況に最も適した女性をラクスに当てはめる。ただそれだけの行為。ただそれだけの為の存在。負債の萌えの権化。それがラクス。
当然この過程で犠牲になるのは人間味だ。連続して視聴すればするほどラクスという存在が分からなくなる。
状況によって全く異なる人間になってしまうのだから当たり前なんだが。
1シーンごとにラクスという「萌え記号のタマネギ」の皮を剥がしていくと、最後に残るのは醜い「監督・脚本の欲望」。
皮肉なもんだな。
負債も記号化するラクスに対するアンチテーゼとして、「歌好きな少女」としてミーアを出したんだろな。
でも、結局「監督・脚本の欲望」があまりにも強すぎて、それも失敗したわけだが……。
アンチテーゼなんて物言いをするものだから当然ジンテーゼとして共闘だな共闘なんだなと思い込んでいた
そんな時が俺にもありました。orz
根底にあるものが「しっかりとした人格」じゃなくて「記号」ならそりゃつかめないよなぁ・・・
隻腕超GJ!!
未来が見えてるってのは上手いと思う あの超越的な性格が演技ってのも良い!たまにでる裏ラクスが本来のラクスとか…チグハグな行動が全て繋がった感がありますね 神業的な追加設定に感服しました
そして
>>555の説明に妙に納得。状況に合わせた最も良いラクスの記号がその前後の行動に関わらず連鎖してるってのがアニメのラクス
寧ろ状況に最適過ぎるから不自然で人間身がない=感情移入出来ない薄っぺらな糞キャラになっちゃうんだよね
それに比べてミーアたんは…最 高 だ
隻腕乙です
マユをストフリに乗せようかなと考えているんですけど、シンハロをサポートメカ(8みたいな)としてストフリに組み込むのはアリでしょうかね?
隻腕さんGJです。
GoodJobじゃなくてGodJobといいたいくらいGJです。
このラクスならあれだけ叩かれる事もなかろうに・・・。
あぁ、映像化してみたい、いや、無理ですが。
ホント、このスレを見てると同人アニメがいかにアレかがわかりますなあ。
素材は一級、シェフの力量次第・・・愛の○プロンみたいだw
ラクスは、その善意と能力の双方を満たしつつ説明するのがほぼ不可能だからな。
腹黒にするか、無能にするか、あるいはその両方を兼ね備えるか。
隻腕版は異能だけど無能にして善意を確保した形か。
PPでは父殺し陰謀論を採用するようなので、その辺りの説明が出てくるのが今から楽しみ
>>559 いいんじゃない? 既にほのぼのがそんな状態だし
厳密に設定考えると、8はあの世界でもオーパーツだから、昔のガキなシンなんかに同等のものを簡単に作られたら困るんだけどなw
量産できない理由とかついていれば別に構わないと思う。
とりあえず負債叩きがしたいだけの奴はそのスレでやってくれ。
隻腕様、GJです。
話自体は楽しく読ませていただきました。
ただこの前からの流れで議長が悪、な展開っぽかったので
今回の電波受信ラクスには面食らってます。
同人アニメの保管がしたかっただけか?と思いもしたり。
これまでの複雑人間模様なストーリーからの変わりように
思考と感情が上手く揃わない、というか。
しかも自分、アンチラクスとまではいかなくても、同人アニメが
大嫌いになった一人なもので……。
この作品を否定している訳ではありません
長々とチラシの裏、申し訳ない。
。
次回も期待しています。
m(_ _)m
スパロボスタッフも放置するしかなかったラクスに挑むとは……
>>564 お前はどの表現に議長が悪だと感じたんだ?俺は全く感じなかったが
多分同人アニメの印象を被せたせいだろうが…そもそも正義とか悪とかは一概に言えるものじゃないということぐらいは分かるだろ?
>>567 エクステンデットの研究をしてたくさんの被験者を必要としてたりシンの記憶を消してオーバーエクステンデットにしようとするのは悪役っぽいけどね。
理想のために手段を選ばない、というタイプは物語の中では悪役のすることですよ。
固定観念に囚われすぎていると思うのだがね
もともと連合が研究してたんだから、どっちが一方的に悪とかないから。
議長のうさんくささはかなりヤバイけどなw
何はともあれ、同人アヌメでは破綻に破綻を重ね続けたダメ人間の行動を、
ここまで辻褄を合わせてくるってのは、素直に凄いと思う。
つかさ、同人アヌメとこのスレを一緒にすなや。
隻腕のラクスはキラにストフリ与えて大量虐殺したわけではあるまい。
清濁併せ呑むって奴じゃないカナ?
ラクスの行動で一番理解できなかったのが、
キラが連合軍のAAを助けにアラスカに行くためにフリーダムを強奪して使わせたことだな。
同人アニメの補完や再構築はどんどんやっていいんじゃないかな。
というかそういうスレでいいんじゃないかと。
あのキャラクター達と設定、世界観はあのアニメにしておくにはもったいなさすぎる。
とりあえず隻腕さんGJ!!と言わせてください。
負債やラクスをここで叩いてるヤシ等、気持ちは分かるが板違いだ。
叩きたいだけのヤシはどうかアンチスレで頼む。
隻腕作者様GJ!!
料理しどころの難しい(負債の電波に多くさらされた所為で固定観念的に嫌われやすい)ラクスをうまく調理してしまったことには驚きを隠せません。
一つ設定を入れるだけでこんなに見方が変えられるとは……さすが隻腕作者様です。
シンの方も大変なことになってきて先が気になるばかりです。
兄妹はまた新しい機体に乗って戦うのでしょうか?
出来ればみんなに救いのあるエンドを期待しつつ次の投下を待っています。
おもうんだが、前回といい今回といい、
隻腕アスランは死亡フラグをもれなくゲットし続けている感がある。
立ち位置的にすっげーヤバイ位置にいそうだ。
舞乙が新OPになったのだが、その曲が隻腕のイメージにかなりマッチした
kwsk
俺、関西組だからよう……
ガンダム以外のアニメはほとんど見ないからな・・・・
>>579 重ね合った日々 記憶の奥へ閉じ込め
昨日と違う 私が今 ここに立ってる
降りてきた闇は 全てを優しく抱いて
語りかけるの 守ることの本当の意味を
無限に広がる星を 何度も見上げていた
あの夜を忘れない 引き返せない
失うものは何もない
溢れ出してくエナジー
熱く強くたくましく
たとえ光の無い世界でも
声を感じて
貴方だけ見つけられる
見つけ…られるといいなぁ…(泣)
こう?
>>578 アリカ→マユ
ニナ→シン
マシロ→ラクス
>16、>17の続き
第三十七話
打倒セイランを掲げて迫りくるザフトを前に、オーブは騒然としていた。国民は各々が戦禍から逃れるべく行動し、軍人は迎え撃つ準備を整え、政治家は緒戦の結果が出るのを待っていた。
出航前のアークエンジェル。キラとラクスは抱き合い、しばらくして身を離した。行ってくる、待っています。そして、二人は別れた。
オーブ近海。戦艦の砲撃が両陣営を行き交い、空母よりディンやムラサメが飛び立つ。そして、海中ではグーンやゾノと水中用M1アストレイが切り結ぶ光景が繰り広げられた。
一方、アークエンジェルはその遥か上空。下のザフト艦隊に攻撃する命を受けて、そこにいた。また、予測の範囲内ではあるが、アークエンジェルが目指すポイントを、ミネルバもまた目指していた。
報告を受けたマリューはその事実をクルーに伝えた。重ねて、最速にして最大の攻撃力を有する本艦は紛れもなくザフトの脅威であったこと、故に我々と同質のミネルバはオーブの脅威になる、よって我々が最優先ですべきことはミネルバの撃沈であることも伝えた。
出撃前の格納庫、バルドフェルドはキラに、本当にマユと戦えるのかと問う。キラは、どこにも居場所がなかった自分とラクスに、オーブは居場所を用意してくれた。この戦いはその恩返しでもあるし、たった一つの自分達の居場所を守る戦いでもある、だから誰が敵でも戦える。
アークエンジェルとミネルバが撃ち合う中、ムラサメを先頭にM1アストレイ隊が出撃。フリーダムは後方、アークエンジェルの傍、ここでザクやミネルバに対処する。
ミネルバより出た五機のザクとバルドフェルド隊は交戦。味方を釘づけにする敵MSに狙いを定めるフリーダム、同時に、MS同士の混戦を迂回しながら上空からアークエンジェルに迫る五つの機影も捉えた。
キラの意識がその五つの機影に向いた時、内三つの機影が重なる。合体、間違いなくインパルス。キラが狙う標的を変更すると同時に、フリーダムに匹敵する攻撃が寄越された。
それを回避するフリーダムと僅かに被弾したアークエンジェル。フリーダムは遠くのインパルスに打ち返す。その時、三つの機影はさらに重なってフリーダムの攻撃を軽やかにかわした。
想像だにしなかったインパルスの挙動に戸惑うキラ。しかし、ミネルバからの砲撃に苦心するアークエンジェルを見て、すぐさま戸惑いを打ち消し、インパルス迎撃のために飛び出す。現状で対艦装備の充実したインパルスがこられてはどうしようもなくなる。
キラは的確な牽制で相手に狙い打つ余裕こそ与えないものの、互いの距離が縮まる毎に攻撃の際どさが増していく。それでも、フリーダムの高い機動力を盾に接近し続けるキラは、ついにインパルスを目で捉える。
チェスト・レッグのフライヤーを空飛ぶ足場にして応戦するブラストインパルスの姿がそこにあった。
高出力ビーム砲を構えるインパルス、フリーダムはその狙いから逃れながらビームライフルを撃つ。足場の動きでビームをかわしつつ、インパルス本体はミサイルを繰り出す。追尾してくる攻撃をフリーダムはバルカンとシールドで以て切り抜ける。
キラは、マユがブラストを選んだ理由を理解した。今のような一対一でも、手堅い撃ち合いならバッテリー式で燃費の悪い今のフリーダムが先に息切れをする。後は遠くからアークエンジェルを狙い撃てばいい。
キラは覚悟を決めた。多少の被弾は覚悟の上で、フリーダムは手数を増やした。自分が攻めきるか、マユが凌ぎきるか、そういう戦いに持ち込んだ。
オーブ旗艦、タケミカヅチのブリッジ。ユウナはザフトの地上軍にオーブを攻める余裕なんてないのに、と、ため息混じりにいう。隣のトダカは、そこが使われる人間の辛いところです、と言い添えた。
気を取り直して勝算を問うユウナ、トダカの答えは、現状は拮抗しているが長期戦を乗り切れるのはオーブ側であり、連合からの援軍もあればこの戦いは有利に行える、と。
ユウナは一考。自分達は何ら特別なことはせず、じっくり戦えばよいのか。トダカは頷き、特別なことは彼等に任せましょう、と頭上を見上げた。
アークエンジェル、ミネルバ相手に苦戦を強いられ、バルドフェルド隊も敵ザク隊のために身動きが取れない。現状を伝える言葉が乱れ飛ぶ中で、フリーダムのエネルギー残量が危険域に入ったと報告を受けたマリュー。
いくらなんでも早すぎる、マリューはフリーダムに帰艦を指示、さらに艦をMSの乱戦の中を突っ切ってミネルバに攻めるようにも言った。悔しいが、こちらの方が先に切り崩される。できれば、敵に雪崩れ込むと思わせて、やり過ごせれば最高だが‥‥。
フリーダムの強引な攻めは何の実りにもならず、いたずらにエネルギーを消耗した。加えて、帰艦命令を受けて、思わず攻撃の手が緩む。すると、今まで抑えていたブラストの凄まじい大火力がフリーダムを襲う。
キラは回避の前に撃ち返す。そうして挟んだ一動作は直後に際どい瞬間を作ったが、それは撃ち返されたインパルスも同じだった。攻防の流れが途切れた。
この瞬間、キラは突撃を選んだ。ブラストの火力に臆することなく、牽制をまじえながら近づくフリーダムはビームサーベルを構えた。対するブラストはジャベリンを構え、切り結ぶ‥‥素振りに、キラは引っかかった。
ブラスト、分離。ジャベリンを構えたまま突っ込んでくる上半身をかわしたフリーダム。だが、その僅かな時間でフォースに合体したインパルスは、ビームサーベルで、同じくサーベルを握るフリーダムの腕を切り裂き、近距離からビームライフルを撃ち込んだ。
何とか堪えたフリーダム。残った腕でビームサーベルを抜く、がしかし、抜いた直後に光の刃は消え、ボディは色を無くし、そして宙に留まる力も失い、落ちた。
フリーダム、堕つ。この事実はアークエンジェル、ミネルバの両陣営を駆け巡った。
落下するフリーダム、その中でキラはミネルバを見る。この時を待っていた。フリーダムへの警戒が解かれる、この時を。キラの操作の元、フリーダムは生き返る。狙うはミネルバ、決めるは一瞬。
だがしかし、インパルスが追ってきた。フリーダムはインパルスのバルカンに弾かれ、射撃のタイミングを逸し、あまつさえ、応戦の間もなく抱きつかれ、背中にナイフを突き立てられた。キラは、それがフリーダムにとって致命的な一刺しであることを知っていた。
キラは、なぜ欺けなかったのかを訊ねた。マユは、キラには絶対に生きて帰ると約束した人がいることを覚えていた、だから、エネルギーの少なくなったフリーダムで敵に向かってくる筈がない、と答えた。そして、フリーダムは事切れた。
落下の勢いがつきすぎた機体を空中で立て直すことを諦めたマユは、何とか降りられる場所を探し、見つけた。激しい対空砲火を抜けて、フリーダムを抱えたインパルスが降り立った先は、なんと、タケミカヅチだった。
偶然にも、こんな派手な参上を決めたインパルスを、総司令であるユウナ自らが甲板に下りてまで出迎える。そして、降参の意思を、その口で伝えた。一瞬、我が耳を疑ったキラは、フリーダムから飛び出す。
キラを確認したユウナは、ここで変に意地を張って総司令が艦と運命を共にして、指揮が混乱したら大変だ、だから不本意ながら、また仕方なく降参をした、と弁明する。が、キラからの返答は言葉ではなく、強く、強く、握った鉄拳だった。
艦橋からそれを眺めていたトダカは、大きなため息をついてから、全軍にユウナの降服を伝えた。
ユウナ「僕だって本当は降参なんてしたくないんだよ。でもね、なんたって、ほら、僕って現場で一番偉い人間でしょ。だから、負けるなら負けるなりの命令を出さないといけないからさ。いや、本当は断腸の思いってやつで‥‥えぶしっ」
戦争おわってエクステンデット三人組生存って設定で
アウル「お腹の子どもおおきくなったなぁ。」
マユ「7か月ですもの、もう少しであなたもアウルもお父さんだね」
アウル「あはは、マユはもうお母さんだ、おかあ・・・・さん?母さん?
か……か……母さんが……あ……あ、母さんが……母さんが……
死んじゃうじゃないかぁぁぁぁ」
マユ「ちょっ、アウル!!アウル!!」
マユ種氏乙!
オーブなす術もなく陥落か
このユウナは有能なのか無能なのか良く分からんw
>>588 ほのぼのなのか悲劇なのか
隻腕さんとこのシンもブロックワードが『妹』だったら
戦争終わっても兄妹一緒に暮らせないんだろうな
マユ種新作キター
マユVSキラ良かったです、絵があったらよりいいのに。
ところで、オーブ戦はこれで終了ならちと物足りないです。
次回も期待しております。
金メッキが無いとヒュッケバインみたいだな
まあ職人次第だろうねえ
ただアカツキは下手したらストフリ以上に嫌われてるMSな上、同人アニメにおけるオーブの破綻と腐敗の象徴だからね
上手く使わないと難しいだろうし、そのリスクを覚悟してまで出す物語上のメリットがあるかというと大変微妙と言わざるを得んな
>ヤタノカガミ
>ナノスケールのビーム解析格子層と超微細プラズマ臨界制御層
>撃ち込まれたビームから機体を保護するだけではなく、
>本体のセンサーが追尾した敵機に向けて自動的にビームを送り返す、
>攻防一体のシステムである
味方ロボにつけるような装備とは思えん…
行きすぎた職人崇拝はちと目に余るものがあるな・・・
>>594 普通、そういうものをどうやって知恵と根性と友情で倒すか、が
話のキモだよなあw
ならばいっそ敵役として使うという手もあり・・・か?
連合に占領されたときに接収されたとか。
メサイアの中から超巨大アカツキが!
まさしくアロンダイトの出番じゃないか!
>>596 某スレでは今まさにそういう状況w
ドラグーン完備のコイツとシンが真っ向から激突中
ちなみにそのスレでのアカツキは「ユウナが国民の血税で造り上げた趣味のMS」という設定
>>594 アカツキは味方ロボではないぞ?
オーブやAAの機体は皆、敵メカじゃないか
>>602 なるほどね。
種死は悪役がもしも勝ったらっていうシュチュエーションコメディだったわけだ。
納得。
>>595 投下直後にGJレスが並ぶのはSSスレとしては普通の流れでしょ。
ただ、上の方でも言われてるけどそれをきっかけに原作叩きが始まるのはアレだけど。
マユ種GJ!
インパルスの手足を足場か……こりゃやるなぁ
キラの思惑見抜いた理由にも、これまでのお話が活きてるし。
天麩羅に追加すれば?
「キャラ叩きはスレ違い、アンチ板へ」みたいの
607 :
606:2006/01/28(土) 17:27:28 ID:???
間違えた。原作叩きだ。
同人アニメ叩きは、スレ違いがいいかも。
原作だとボンボン(高山版)があるので。
あの本編を「同人アニメ」と言うのもどうかと思うんだよな。
まあ気持ちは分からんでもないけど
むしろ、商業だから偉いわけじゃない・2次だから劣ってるわけじゃない、という証左なんだから、
同人アニメという蔑称は逆に良くないとも思うんだ
心情として、アニメと比較してしまうのは仕方がないと思うな。
ただ、それが「叩き」かどうかは、書き込む前に自分の文章を一考するべきかもなぁ。。
うん
原作以上のものを書きたくてSS作者はがんばっているんだから、
住人が満足して「GJ」と思ったならそれで十分じゃないのか。
いいものはいい。
原作は原作。
比べることはナンセンス
とりあえず「同人アニメ」って表現自体もなぁ・・・
最初は上手い表現だと思ってたけど、あまりにも連呼され続けると逆にしつこく思えてしまう。
つ[福田版]
確かによく考えてみれば同人に失礼だからな
ここは負債版、もしくはそれも気になるのであればただ「アニメ」と言っておけばよかろう
ではテレビでやっていたのは先行体験版ということで。
負債版。
てのは?
パート12で、ゲンの話題が出ていたので。
ゲン・ヘーアン(パート3より)
>地球連合軍所属のMSパイロット。
>実質的には彼もまたMSの制御ユニットという扱いで、義手義足の四肢をコクピット内でMSと繋ぎ、まさしく手足の様にMSを操る。
この時の書き込みだと両手両足がない設定ですね。
パート3 1より
>「お兄ちゃん、お父さんが――お兄ちゃんっ!?」見れば、兄の身体は血だらけで――両足がなかった。
これベースだと、両足がない設定ですね。
自分も、両足がないだけだと思ってました。
ゲンと言えば……
PP戦記マダー? と作者をあおってみるテスト
新スレに投下されてるyp
PP戦記作者は両足だけないと思って書いていたのか・・・
パート3 1より
>「お兄ちゃん、お父さんが――お兄ちゃんっ!?」見れば、兄の身体は血だらけで――両足がなかった。
ここを読んだとき「?」って思ったことを思い出したよ。
自分は両手両足がないもと思ってPP戦記を読んでおりました。
PP戦記作者さん、上手いな。
別に「PP版は両足だけですよ」と言ってもいいのに、こっちに設定合わせた上で上手く使ってくる。
器用だ
ところで、もし足だけだったらあの話どうオトすつもりだったんだ?
ロケットキック?
膝からミサイル
普通に格闘戦で仕留めるんじゃねーの?
それこそキラを囮に使うなりなんなりして。
その場合は普通の隠し銃でいいと思う
あとシンの(使われなかった)設定に「ナイフ術が得意」ってのがあるから投げナイフでも可
胴体や頭は生身だからダメだが、四肢であれば弾があたっても
格闘でなんとかなるやもしれんな。
>前腕浅指屈筋の辺りから飛び出した
PP戦記作者様って……医学系のヒト?w
オフ会・・・・無理かな
>>623 エアガイツってゲーム知ってますかァァー
ところでさ、ストライクMk−2のコアブロックシステムの内蔵って無茶だと思わない?
>>632 エーアガイツってゆうしょぼいロボットアニメならしってるぉ。
最近新作出てこない作者の方々が気になる
パート12より
>120 :通常の名無しさんの3倍:2006/01/31(火) 04:43:34 ID:???
>来てるのかもね。
>ところでアルカディアかどっかにアド張られたってマジ?何月号?
どんな風に、紹介されたか非常に気になります。
なんかやたらと気にしているヤツがいるが・・・
アルカディアって雑誌じゃなくてSS投稿サイトのほうだぞ?
SS紹介掲示板あたりで「2chで書かれているSSで面白いのあったら教えてください」みたいな内容だったはず。
>601 :通常の名無しさんの3倍:2006/01/27(金) 23:37:31 ID:???
>
>>596 > 某スレでは今まさにそういう状況w
> ドラグーン完備のコイツとシンが真っ向から激突中
> ちなみにそのスレでのアカツキは「ユウナが国民の血税で造り上げた趣味のMS」という設定
滅茶苦茶読みたいんだけど・・・
これ、どこのスレ??ヒントだけでも・・・
ヒント;新シャア 鉄也 ガチホモ やらないか
あのスレのシンは戦い方が凝ってるからなww
ユウナリンには結局は負けたが
642 :
通常の名無しさんの3倍:2006/02/02(木) 23:50:52 ID:2sA9m0ut
どうでもいいことだがマユってCE72で何歳くらいだっけ?
sage忘れたすんません
訂正で73でよろ
シンの年齢―5歳くらいだから11歳くらい、このスレでは作者により異なる。13歳〜くらいかな
小学校でたての年か・・・
コーディだからあと二年で成人だけどMSにのるの無理な年ですね
まあ別にSSの中では全然問題ないですけど
その辺を厳密につつくとこのスレ困るからな
あまり触れようとしない職人が多いのも無理からぬことだと思う
どうしても気になって仕方ない人は、残念だけどこのスレには向いてなかったんだねサヨウナラ……ということに
てかよく考えりゃ、原作の16歳少年兵士の群れもちとおかしいぞw
貧困にあえぐ国ならともかく、あんな生ぬるい生活しておいてなぁ
>原作の16歳少年兵士の群れ
あれはディスティニープランを実行するための布石だったんじゃないか?
議長の計画ではもうちょっと準備を整えてから開戦、ディスティニープラン実行。をしたかったのかもな
プラントの16歳成人ってのも、若い連中をだす為の方便みたいなものだからな。
まあ、そこんとこを上手くいじれば話の一つ、二つぐらいは作れるかもしれないな。
人間の身体って何歳まで成長するんだっけ?
十代か二十代で成長はストップしてあとは衰えるだけだと聞いたんだが…
人口が圧倒的に少ないようだから、若い連中が出てくること自体は不自然でも何でもないと思う。
不自然なのは「若い連中しかいない」というか、若いのしか目につかないことかな?
大人は現場にいないからある程度は仕方ないけどね。問題はマトモな大人が居ないことだと思う。いつもの「山を高く見せる理論」が出てるな。
前線に出張ってきててマトモな大人っつーとハイネとサトーとババ、ウィラードぐらいか。
どいつもこいつも数話以上出てきてないのがまた泣ける。
SS書いてる者ですが、マユの年齢は13歳ってことにしてありますね…。
あと、プラントの成人年齢である15歳より下回っているのに軍学校に入学できたということについては
先の大戦で多くの軍人を失ったために、少しでも多くの戦力を確保するために年齢制限を下げたという風に考えてます。
マユ13歳は、結構妥当な年齢だと思います。
下手に、年齢が高いと難しいようなきがする。
無印初期の設定だと13歳で成人だったよな>プラント
小説版だと15歳で成人扱いなんだったっけ?
アルカディアでどういう風に紹介されてるか気になって検索しえ見たお!
後悔したお……orz
657 :
通常の名無しさんの3倍:2006/02/04(土) 16:58:11 ID:X5u3I7T3
あれ?小説版では9歳だった気がするのですが・・・
いまは11歳で小学5、6くらいでは?
シンとの見た目での年齢差は4〜5歳もあるとは思えないんだよなぁ。。
当時シンが13〜14歳だとするとマユは10〜11歳に漏れには見えるから、
やっぱシンとの年齢差は2〜3歳ぐらいが妥当かなと思ふ。
無印種の折り紙少女・エルが何歳だったっけ
キラ×マユとかシンマユがキラに惚れるとかインパクトあったお
それだけ
あと外部にもマユが生き残ったらみたいなIFものあるみたいだが、
流石種、万能系オリキャラ大活躍って感じだお
((_
〃´ `ヽ
i .( (( )).ノi
ry *‘ω‘ *っ しんぽっぽ
`! i
ゝc_c_, .ノ
(
〃´ ̄ヽ )
l 从ノハ )(
ノ_ノ*^ヮ^)∩
ノ_ノ⊃ ノ
(ノ/ ⌒)
し'⌒ ̄
微笑ましいな
>649
人間の肉体のピークは24歳前後だとどこかで聞いた。
「う うう…… う〜〜ううう
あんまりだ…HEEEEYYYY ァァあァんまりだァァアァ
AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHHH!!
ああああああたしィィィィィのォォォォォうでェェェェェがァァァァァ〜〜〜〜!!
((_
〃´ `ヽ
i .( (( )).ノi
ry *‘ω‘ *っ しんぽっぽ
`! i
ゝc_c_, .ノ
(
〃´ ̄ヽ )
l 从ノハ )(
ノ_ノ*^ヮ^)∩
ノ_ノ⊃ ノ
(ノ/ ⌒)
し'⌒ ̄
生め
((_
〃´ ̄ヽ 〃´ `ヽ
l 从ノハ ) i .( (( ))ノ
いただきます! ノ_ノ ゚ ヮ゚)ハ (* ‘ω‘ *) しんぽっぽ
(ノ ( o(;;゚;;)o ( o(;;゚;;)o
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〃´ ̄ヽ 〃´ `ヽ ムシャムシャ
l 从ノハ ) i .( (( ))ノ
おいしいね! ノ_ノ ^ヮ^)ハ ((( * )‘ω‘( * )))
(ノ ( o(;;゚;;)o ( )
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l 从ノハ ) i ( (( ))ノ i
ノ_ノ;゚ ヮ゚)ハ ( ‘ω‘ * ) ・・・・・。
(ノ ( o(;;゚;;)o ( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
((_ ムシャムシャ
〃´ ̄ヽ 〃´ `ヽ
l 从ノハ ) i ( (( ))ノ i
・・・・・・・・・・・ ノ_ノ#TAT)ハ ((( * )‘ω‘( * )))
(ノ ( ) ( )
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〃´ ̄ヽ 〃´ `ヽ
l 从ノハ ) i .( (( ))ノ !
ノ_ノ#TAT)ハ (*)‘ω‘( * )))
(ノ ( ) ( )
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((_
〃´ ̄ヽ 〃´ `ヽ
l 从ノハ ) i .( (( ))ノ
ノ_ノTAT)ハ (* ‘ω‘ ) オエッ
(ノ ( ) ( o(;;゚;;)o
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
((_
〃´ ̄ヽ 〃´ `ヽ
l 从ノハ ) i .( (( ))ノ
そんなの ノ_ノ;TДT)ハ (‘ω‘ *) しんぽっぽ !
いらない。 (ノ ( ) (;;゚;;)o( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
_,. -''" ̄ ̄ ̄`丶、
f´ 丶
_/ ''彡 '、
〈 、_ _,.ィ´ >-、
\ `r、__;ニニ;≦;;ニ~ヽ }-、/ ! 埋めるぞ!
ノ {=;:-、`''´ ゞ'‐ | ヒ}{ !
~`ヾ,´ゞ' , z' 7ハ {
ハ 丶 __,、 `r7 ハ └-,,.._
Z ヽ r‐''´ _ノ / ヘ `ト / `ー、
~`ヽ、`''ニ´ / / ∨ 、/ ノ {-、
゙>, /'~ /~ 、 {_ / `ヽヽ__
ヽ「「 〈 `ヽL ∧ / } ト、ヽ、
____,.-''" { ',', _>、__ {丶}''-r1__,. _,.イ | ト, \
,.r‐''" ̄ ̄ __,,..ィフ ,- > { }} /く、__ヽ`て_ヽ、____ノ /./ ヽ‐r‐゙ヽ、
/ { ,ィ" ̄ _///_ -'´ ∨/ ゙ヾヽ ̄ _// 「ヾヽr'
/ ! / }_,.-ニ;-┘ ,.-''´ _>、ヽニニ-‐'´ ヾ{_`ヽ、
. / _>」 ト、ヽ/ / _ - '´_ ̄―''"ヽ 」 .「~``
/_ -''´ 〈 「 丶、ヽ、_/ _,. -‐_ニr=~―ニニ7 ト、___,. -''´{ j
/ _,.イ < Z"-‐_ニ-‐'"~ /ニ -――/ | l
. / _,ィ" 〉〈l , -'∠ ̄ /-――― 7 { /
_ク _ノ 丶 ハ ,{、_ノ,} L,. -――‐┘ /`r- ,,.._ _/
j j '、 } }_「,ィ「 _ -'´ /  ̄~
. ,.-'´r'´ L`´ ,1ll{ _ -'´ /
./ ノ / ゙r'´/lll r'´ /
,.r'ー'''''`=、'
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,';;;;;;;,;;,;;;;::;:;;:::::::::::i,ヽ
i;;;;;;;:;i:;;;i'、::;::;:::::、:、'!
' !;;;;ミ;:::ヾ'::::::;::::i ',!
ヽi゙'、 _!_ ノ'ヾ '
__,,,...r-‐'l`ヽ,、_ィ'//、,..
ヾ、:::,.、ヾ7::〉、| l/"'::;:ヘ、``'''‐i; 埋め立て……完了
!;/ ヾヽ ヽ'/,ヘ::|'、 `i::;'/
ト, '; 'ヾ、/'´ 'l i' i' |'/!
レ ハ `ト,ヽ`ー-- ' ,イ !'、!
{ ,.' ! ',{ヾ、ヽ i '! `i'
/ |,.-'、 !| _ヽ,ヽ r'‐:! ヽ
. i !;;;:/゙ヾー'__|__`ー,. lr'、ヾ, 'i,ィ、,_
ト!、 l;;;;::!::.. l|`ー'- '´ ヾーヘi ノ:| `ヽ、
|:::`ヽ';;::!::::::.. '、 `ヽ. `!:.:.|レ'´::::! 'i
!:::::::,l;;::i:::::::::::::ヽ、 ヾ '!:.:.!|:::::::::|、 '!,
|:::::,i;;;::l:::::::::::、:::::ヽ、 、ヽ. ;'l_,!.!:::::::::| ヽ、 丿
ノ'-、;;;:::i:::::::::::::',ヽ:::::ヽ、 、 |:::::::;::! `{
', /;;;;r〈:::::i、::::::::! '、:::::::l!ヽ、 ヽ `!,'´,_,.! '!
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