まりすみぜる
まあ、マユを主人公にすると―― (パート1 710より)
1.子供だけど赤服。努力と才能と、周りのサポートで頑張る努力型の主人公という前作との差別化。
2.1.と付随して周りのキャラが主人公を面倒見ているので戦艦内の人間関係の描写が濃密になる。
3.種持ちとはいえ、決して天才ではないので時には失敗する。その挫折を乗り越えるクライシスと成長ドラマが主軸になる。
4.才能はあるとはいえ、子供。故に戦争というものを多角的に見えない。戦争の現実を直視することにより、視聴者にも問い掛けることができる。
5.戦争で家族を失った遺族側の視点で前作への問題提起。それにより改めて遺伝子操作やそれに伴う差別問題を浮き彫りにできる。
6.5.に並んで国家と国民の有り方、理想と現実。そして、享受できる平穏と犠牲となる存在、為政者の義務、前線で戦う兵士の悲哀などを生々しく描写できる。
7.死んだと思っていた兄との対面、思想の違いによる対立を生む戦争の悲劇。そして、マユという妹から一人の人間としての成長を描ける。
――こんな感じで激動の時代に巻き込まれた一人の人間とそれを取り巻く環境の変動を主軸にしたドラマが描けて面白いんだよね。
シンよりさらに人間的に未熟な分、周りの人間の意見を聞く――色々な視点・意見を知る――ことにより、
現実はそう単純なものではないってことが演出できるわけで。
隻腕書いてるものです、
>>1乙です。
今書いてるところですが、途中文化の日なども予定が入っており。
次の投下は週末になるかと思われます。もう少しお待ち下さい
PP書いてる者です。
>>1さん乙です。
お礼がてら12話目投下いたします。
お目汚しを……
8 :
1/21:2005/11/01(火) 21:16:31 ID:???
天空から火の矢が次々と放たれる―
ネオ・ロアノーク大佐指揮の元、総勢30機を誇るウィンダムによるミサイル攻撃がミネルバを朱に染めた。
その頃、ミネルバのMS隊も危機的状況にあった。
「くそっ……こいつら!数が多すぎて、切がねぇ!」
「泣き言を言うな!あと10分少々、耐えるしかないだろう!」
ハイネ隊最古参のパイロット―ショーン・ポールとゲイル・ラッセル。
ミネルバの防衛に回った彼ら二人は、群がるウィンダムの牽制に追われていた。
緒戦はハイネ隊優位で進んだこの戦いも、時間が経つにつれて形勢は完全に逆転していた。
ニーラゴンゴの側を離れられないミネルバが動きを止めている間に、連合はミネルバに攻撃を集中。
彼らは連合のウィンダム部隊と戦いつつも艦を護るという、困難きわまる戦闘を強いられていた。
だが、それは彼らだけではなかった。
「隊長、こちらアスラン!ご無事ですか!?」
「何とか……な!機体はかすり傷ばかりだが、黒いストライクが執拗でなぁ……キツイわ、実際」
「自分は……くっ!この……カオスとやりあってますが、セイバーのバッテリーがやばそうです!」
「ちっ……!こんなときにかい!」
ハイネ・ヴェステンフェルスは舌打ちした。
よくよく考えれば、膨大な火力を持つセイバーは敵の出鼻を挫くため、再三ビーム砲を放っていた。
そのため、ハイネや部下のショーン、ゲイルの乗るグフに比べ、格段に消耗も早くなっていたのだ。
まさに、こんなときに……という状態だが、バッテリーが切れればアスランとて仕様がない。
やむを得ずハイネは断を下した。
「やむを得ん!アスラン、デュートリオンビームで補給しろ!
ひっついてるカオスは……マユ!インパルスで相手をしてやれ!」
「隊長……!それは!」
「うだうだ喋ってる暇はない!上官命令だ!照射ポイントまで急いで向かえ!」
「……了解!」
ハイネの指示に若干食い下がりかけたアスランであったが、上官命令には逆らえない。
ハイネも喋りながらストライク相手に応戦を強いられ、彼の反論に耳を貸す余裕などありはしなかった。
しかし、それでもハイネはアスランの心配の種、マユ・アスカに声を掛けるのは忘れなかった。
「マユ!聞こえているか!」
『はいっ!』
「アスランが苦境らしい。敵さんがやたら強いんだが……ちょっとでいい!相手をしてやってくれ!」
『了解!』
全く迷いのない、元気な声が返ってきた。その声にハイネも安堵を覚える。
年若いマユを強敵にぶつけることには彼自身にも躊躇いはあったが、この状況では逡巡する余裕はない。
アスランのセイバーが補給を終える間だけでも、彼女に支えてもらうしかなかったのだ。
そんな上官の思いを知ってか知らずか、マユは勇躍してカオスに挑んでいった。
9 :
2/21:2005/11/01(火) 21:17:19 ID:???
「このっ……また逃げるってのか、赤いの!」
カオスを駆るスティング・オークレーは、愛機のコクピットでセイバーの動きに毒づいていた。
先ほどまでミネルバを護るべく、逃げるのをやめ戦闘に応じていたセイバーであったが……
突如として踵を返し一転母艦に向けて飛び、戦域を離脱しようとしたのだ。
スティングはこれまでのセイバーとの戦いの中で、相手パイロット―アスランの強さに些か惹かれていた。
大気圏内をセイバーで縦横無尽に駆ける姿は、僚友であるゲンと同等の技量を持った相手にすら思えた。
そこまでの高評価を相手に与えていたのだが……一転して逃げられれば、何やら裏切られた気分になる。
ムッとしながらも、セイバーを追撃しようと身構えたが、彼の眼前を白い影が過ぎった。
「てめぇは……!」
白いMS、インパルスが突如としてスティングの目の前に現れる―
アーモリーワンでのカオス、ガイア、アビス強奪時に行く手を阻み、脱出戦の折りも戦った仇敵。
新たな敵の出現に、彼は先ほどまでのセイバーとの戦いの中で抱いた想いを彼方に追いやった。
まずはこの目の前のMSから倒す―!
「これはこれは……いつぞや散々お世話になった白いMSじゃねぇか?
久しぶり……と言いたいところだが、今日でお別れだ!踊っちまいな……いけっ、ドラグーン!」
言うや否や、スティングは機動兵装ポッド―ドラグーンを放った。幾本もの火線がインパルスを襲う―
スティングは愛機の力に絶大な信頼を寄せていた。空戦専用のセイバーには遅れをとったがそれはそれ。
インパルスはこれまでの彼の経験から、セイバーのパイロットやゲンに比べれば格下の相手と思われた。
踊れ―そう言ったときの彼は、脳裏にドラグーンの放つビームに穿たれ踊るインパルスを思い描いた。
だが……
「……何ッ!?」
一瞬の後、スティングの双眸は驚愕に見開かれた。
インパルスは、カオスの放つ幾本ものビームを舞うかのごとく交わし、あるいは盾で防いで見せたのだ。
寸前まで撃墜を確信した彼だが、落とせないばかりか返す刀でインパルスからのビームの返礼を浴びる。
カオスもシールドで防ぐが、スティングは相手の動きに目を見張った。
強くなってやがる―!
それがインパルスに抱いた新たな印象であった。
アーモリーワンで戦ったときや、その後のミネルバとガーティ・ルーとの追撃戦よりもマユは成長していた。
スティングが愛機に馴染んできたのと同じように、行く度の戦闘を経て、マユもインパルスに馴染んでいた。
が、そんな新たな強敵の出現にも彼は動じるどころか、逆に昂ぶる気持ちを抑えられなかった。
「……随分成長したな! 赤いのには振られちまったが、お前と戦うのも悪くない……いくぜっ!」
一度のドラグーンで倒せないのなら、二度三度と放つだけのこと―
スティングは更に膨大な火線をインパルスに見舞った。
10 :
3/21:2005/11/01(火) 21:18:08 ID:???
「このビームの数……なんて性能なの!」
昂ぶるスティングとは対照的に、マユ・アスカは放たれるカオスの砲火を交わすので精一杯であった。
スティングから見れば華麗に交わしたように見えても、マユにとっては手に汗握る防戦に違いなかった。
一見美しくも見える赤いビームの稜線だが、それに捉えられればたちどころに命を奪われる。
だが、アスランがセイバーの補給を終えるまではカオスを彼の元に近づけるわけにはいかない。
ハイネから敵を倒せとは言われず、味方を護れと命令されたことで戦闘への嫌悪感は消えていたが……
それでも恐怖感までは消えるものではない。少女は、内心恐怖に怯えながらも必死に抵抗していた。
「でも……このカオスもユーリ博士が作った……
それを奪って、戦争を仕掛けて……!そんな人たちに、負けるもんか!」
カオスの存在―それは少女に一つの影を落としていた。
プラントで養父になろうと言ってくれた人物、ユーリ・アマルフィが手がけたセカンドステージのMS群―
無論、目の前のMSもユーリの手が加えられ完成に至っていた。だが、それは奪われ今は敵……
そして今ミネルバを砲火に包んでいる者達により、カオスは操られていた。
自らを鼓舞するかのように叫び、マユも反撃の狼煙を上げる。
「インパルス!ちょっと無茶するけど……頑張ってね!」
意を決し少女は前に出た。カオスの膨大なビームの前に、離れていては勝機がない。
インパルスのビームライフルで一発撃つ間に、カオスはライフルとポッドを含め4,5発撃ってくるのだ。
一か八か接近して勝負するしかない―マユはインパルスの盾を構え、斜に機体を傾けカオスに向かった。
機体を半身にさせることで、被弾を最小限に防ぐ意図であった。更に機体を加速させ、相手に迫る。
当然、その動きはスティングにも知るところとなる。
「……離れてちゃ勝負にならないから、近づこう……ってか。
まぁ、考えとしちゃ悪くはないが、そう上手くいくと思うなよ!」
インパルスの意図を察したスティングは、インパルスの速度に合わせてカオスを後進させる。
本来バー二ア代わりの機動ポッドを放ちながらの後進であるから、後退速度は多少落ちるだろう。
が、それでも火力を失わなければアドバンテージはなくならない。相手が追いつくのが先か、それとも……
「俺がお前を落とすのが先か……試してみようじゃねぇか!」
万が一接近されたら、そのときはそのとき。カオスも接近戦で応じればいいだけのこと―
スティングはそこまで腹をくくった上で、インパルスとの戦闘を続行した。
11 :
4/21:2005/11/01(火) 21:19:01 ID:???
上空では激戦が繰り広げられていたころ―
もう一人のファントムペインのパイロット、アビスを駆るアウルはというと……
「生かさぬよう殺さぬようって言われたけど……この先どうすりゃいいの?」
任務を達成してしまった彼は、途方にくれていた。
ニーラゴンゴの機動力を奪うことが任務―即ち、彼の任務は既に終了していた。
あとはこの場にとどまり件の潜水母艦を監視し、異常があれば上官ネオ・ロアノークに指示を請う手筈……
なのだが、緒戦でグーン3機を倒してしまった彼は戦う相手もおらず、この先どうするべきか困惑していた。
従って、ニーラゴンゴの周りをうろうろしながら、状況の推移を見守るほかなかった。
そんな彼を忌々しげに件の艦長は睨んでいた。
「……我々を"足枷"にしたつもりか!くそっ、これではミネルバの足手纏いではないか!」
「艦長!先発する脱出用小型潜水艇の発進準備、整いました!」
「上でドンパチやってる状況下でどうなるか分からんが……出すしかあるまい」
「はっ!」
エンジンブロックをアビスのビームランスに貫かれ、航行能力を失ったニーラゴンゴ。
彼の潜水母艦は、艦長の言ったとおりミネルバの足手纏いに他ならなくなっていた。
だが、アビスに撃沈される可能性もあったため、クルーはいち早く脱出用潜水艇に移動しつつあった。
これが奏功し、脱出準備は思いのほかスムーズに進んでいたが、艦長には以前不安も残った。
脱出してもミネルバが沈んでしまえば回収先はなくなる。だが、ここにいても為す術がないのもまた事実。
戦力にならないニーラゴンゴに固執するわけにもいかず、やむを得ず艦長は脱出命令を下した。
「あ……!逃げた……」
そのニーラゴンゴの脱出の光景は彼の眼に当然留まった。異常があるのだから連絡せねばならない。
彼は暇だったせいもあってか、すぐにネオに通信を繋いだ。
「ネオ、潜水母艦のクルーが逃げ出したぜ?」
『ああ、そんな連中に構うな。無視していいぞ』
「……いいの?」
『無抵抗の連中を殺したところで何にもならんさ。他に異常は?』
「海中はいたって静かだよ。そっちに応援に行こうか?」
『いや、下手に動かれて、水面付近でミサイルに当たられても困る。そのまま待機しろ』
「……了解」
脱出するニーラゴンゴのクルーを眺めるアウルは一息ついた。
先発する脱出用潜水艇がゆっくりとニーラゴンゴから離れてゆく。そんな光景を見て彼は一人呟いた。
「……お前等、命拾いしたじゃん」
敵ながら若干の笑みを湛え彼らを見送る―無力な相手を殺すことにはまるで興味がないアウルであった。
しかし、それが彼らニーラゴンゴのクルーにとって最大の幸運であり、最悪の不幸の始まりでもあった。
12 :
5/21:2005/11/01(火) 21:19:55 ID:???
「……チッ!しつこいヤツだ!」
ニーラゴンゴのクルーが脱出を始めた頃、ハイネはゲンの乗るストライクと戦っていた。
ミネルバに群がるウィンダムの群れを追い払おうと、母艦近くまで後退したものの……
追撃してくるMk-Uに阻まれ、思うように母艦を援護できないでいた。
「お前に構ってる暇は……ないんだよっ!黒いの!」
手甲に備え付けのドラウプニル4連装ビームガンを放つが、直後に警告音が鳴り響く。
モニターでは弾丸の形をした残弾数を示すランプが赤く点滅している。
「……弾切れかよ!こんなときに!」
これまでのウィンダム隊への牽制と、目の前の黒いストライクとの戦いで既に弾丸は切れかけていた。
舌打ちしながらヒートソードを引き抜きMk-Uに切りかかるが、そのグフを見るゲンは微笑を浮かべる。
彼は、自らの追撃をかわしつつウィンダム隊を牽制するハイネの技量に内心舌を巻いていた。
多対一の戦闘において、圧倒的不利な状況にも関わらず、持ちこたえていた緋色のグフ。
ゲンにしてみれば、弾を切らし応戦してくるハイネ機は……
「やっと俺と戦う気になったか……いくぞっ!」
待ち望んでいた一対一の勝負に持ち込めたわけである。彼は量の手に力を込め操縦桿を握りなおした。
ビームサーベルを引き抜きつつ、ハイネ機のヒートソードと交錯する―
互いの機体を掠めつつ、両機の剣は鍔迫り合った。だが、それも一瞬のこと。
大気圏内においては姿勢制御のバー二アを吹かせつつの戦闘になる。
宇宙空間でやるような、力押しでの鍔迫り合いなどできようはずも無かった。
短い接触の後、両機は互いに散開し、距離を取った。直後に再び切り結ぶべくバー二アを吹かす。
お互い次に切り結ぶ体勢に入りつつあったが、そのときゲンの乗るMk-Uのモニターが点滅する。
だが、警告音は鳴らない―モニターは近くに高出力のエネルギー反応が発生したことを示していた。
「何だ……?ミネルバの方向から……」
見ればミネルバからビーム砲が放たれていた。
しかしそれはウィンダム隊を切り裂くものではなく、自軍の機体に向けられたものであった。
ミネルバから出撃していた赤い機体がそのビームを浴びている―
「……何をしている?」
訝しがるゲンだが、疑問はすぐに氷解する。
光線を受けた赤い機体は傷つくことも無く、ビーム放射がやんだ後勇躍してウィンダム隊に挑みかかった。
ミネルバに群がるウィンダム隊にファーストコンタクトで放った、膨大な光の束幾度も放つ。
不意を突かれたウィンダム2機が逃げそこない爆散して果てる。
この期に及んで燃料や残弾がそう豊富にあるはずが無い―では赤い機体が受けたビームは……
「……バッテリーをビームで補給したってのか!?どういう発想だよ!」
13 :
6/21:2005/11/01(火) 21:20:44 ID:???
「凄いな……このデュートリオン送電システムは」
瞬時に補給を完了したセイバーに乗るアスランも、システムの有用性に目を見張る。
ミネルバに搭載されたデュートリオンビーム送電システムは、MSへの瞬時の電力補給を可能とする。
バッテリー式MSにとっては、性能が高まれば高まるほど電力の消耗は著しいものとなる。
補給する際には充電されたバッテリーとの交換を余儀なくされ、母艦への帰還が必須ともなる。
核エンジン搭載MSならばこれらの問題はある程度解消され、長時間の戦闘が可能になるが……
ユニウス条約により核の兵器としての利用は制限され、核エンジンをMSに搭載することも禁止された。
また人口に応じた各国間のMS保有数なども決められていた。言い換えればプラント封じ込めの施策―
だが、プラントの科学力はそれら不利な点を意外な発想でカバーしつつあった。
ウィザードを用いることで汎用性を高めたザク、あるいはシルエットで武装換装可能なインパルス……
そして、インパルス他セカンドシリーズMSの一部に対応したデュートリオン送電システム―
「兎も角、これは……使える!やれるぞっ!」
これが、デュートリオン送電システムを活用したアスラン・ザラの率直な感想であった。
牽制のために放ったアムフォルタスとフォルティスの両ビーム砲で、無警戒のウィンダム2機を瞬時に撃破した。
そして、最初に自分が戦っていた相手―スティングの乗るカオスを探す。自分の代わりにマユが戦っている筈だった。
見ればマユの乗るインパルスが盾を構えつつカオスに接近を試みていたが、ドラグーンのビームに阻まれている。
「……無茶だ!マユ!」
思わず声を上げインパルスとカオスの方向へセイバーを駆る。
確かにドラグーンを使う相手に距離をとり戦うのは不利であろう。だが、近づけばいいというわけでもない。
見ればインパルスは直撃こそ受けていないものの、盾でカバーしきれない脚部等に被弾していた。
ドラグーン使いの相手には、一対一では圧倒的に不利なのだ。2機以上の連携攻撃こそが最も有効―
故にアスランはマユの援護に向かった。遠距離からフォルティスを放ち、牽制しつつマユの援護に回る。
「マユ!大丈夫か!?」
『……は、はいっ!あれ……補給終わったんですか?』
「ああ、すぐにね。けど……一人でコイツと戦うなんて無茶だぞ!」
『でも、命令では"アスランと交代しろ"って……』
「……注意をひきつけながら逃げてくれれば良かったのに……まぁいい、よく支えてくれた。
ドラグーンを使う相手には複数で対抗するのが一番だ。二人で倒すぞ!」
『はいっ!』
インパルスとセイバーが連携して攻撃を仕掛ける。
初めてコンビを組んだマユとアスランだが、意外に息のあった攻撃にスティングは舌を巻く。
「タイマンだったのがツーマンかよ、ふざけやがって!男らしくねえぞ!!」
それを受けてのスティングの弁である。確かに二対一になって数的には不利である。
だが、そもそも数の上で圧倒的に有利なのは彼ら連合―それにインパルスのパイロットは女性であった。
的外れな怒りを向けながらも、今度は彼が防戦一方になっていった。
14 :
7/21:2005/11/01(火) 21:21:37 ID:???
デュートリオンビームを受けたセイバーの様子は逐次ゲンも確認していた。
目の前のグフと戦いながらも、僚友の乗る機体が攻撃を受ける様子に心穏やかではいられない。
彼はグフとの戦いを中断し、やむを得ずカオスの援護に向かう。
「……弾切れのMSなんて、相手にならないからよ!お前は後回しだ!」
グフの異変にはゲンも気づいていた。離れたい位置では常に牽制の弾幕を張っていた相手―
だが、それは先ほどから不自然なまでに途絶えてしまっていた。それはゲンの知るところともなる。
弾切れの相手に死闘を演じるよりも、苦戦の味方を助けるほうが先―そう思い、ハイネと戦うのを諦めた。
「……攻撃を止めた?どういうつもりだ?」
ハイネは訝しがったが、すぐに疑問は解ける。
カオスとインパルス、セイバーのいる方向にストライクが向かったからだ。
「アスラン!マユ!そっちにストライクが向かったぞ!」
『了解!』
『こっちは大丈夫です!ハイネ隊長も頑張ってください!』
「お、おう……頼んだぞ!」
ハイネの心配をよそに両者からは元気な声が聞こえた。
とりわけマユからは励ましの言葉まで貰ってしまった―ハイネが励ますつもりだったのだが……
ハイネはモニターの戦闘時間を見た。現時点で戦闘が始まってから15分弱……
「あと少し!もう少しで相手のバッテリーは限界……皆、頼んだぞ!」
「「「「「「了解!」」」」」」
部下全員から通信で応答がなされる。全員健在のようで、まだ戦死者は出ていない様子であった。
その事実に一安心するハイネであったが、直後にウィンダム隊に向き直り、応戦を始める。
ウィンダム隊のミサイル攻撃はまだ断続的に続いていた。彼らを食い止めねばならないのだ。
しかし、応戦しようとした矢先、異変が生じる。
ウィンダム隊の中に攻撃に参加せず、ミネルバと距離を置き滞空しているMSがいたのだ。
「なんだ……?あいつら、なにをしている?」
訝しがるハイネ―
だが、その頃ウィンダム隊は意外な敵の出現に戸惑っていた。
15 :
8/21:2005/11/01(火) 21:22:23 ID:???
ハイネが気づいたウィンダム隊の異変―その事実は既にネオも知るところであった。
動きを止めたウィンダム隊からの通信が、ネオのウィンダムのコクピットに木霊する。
『E小隊!こちらE小隊!ロアノーク大佐、聞こえますか?』
「どうした?」
『E小隊、ミサイル全弾打ち尽くしました!』
「……なにぃ?」
『B小隊、こちらも同じく!』
「撃ち尽くしたのなら、こっちの援護に回ればいいだろう!」
『それが……バッテリーが、基地まで帰る分を考えると……あと僅かしか持ちません!』
基地の30機のMSは、AからEまで5小隊各6機ずつで構成され、各隊には隊長格が一人ずつ存在した。
5小隊のうち、2小隊からミサイルを打ち尽くしたとの報告、更にはバッテリーの欠乏との悲鳴が飛びこむ。
彼らも、ミネルバを攻撃する前まで、敵MSのグフやセイバーを追い回していたため欠乏が早まったのだ。
流石にこれはネオも予想外の事態であった。更に報告は続けられる。
『C小隊!こちらも同じく撃ちつくしました!』
「……くそっ!AとDの各小隊長!そっちはあとどのくらい残っている!?」
『A小隊、こちらは……ミサイルは各機まだ数発ありますが、バッテリーが……』
『D小隊、こちらもA隊と同じです!』
「……何てこった。どうするかね、これは……」
部下に聞こえないように小声でネオは呟く。
佐官用に特別にカスタムされているネオのウィンダムはまだ余裕があったが……
通常機体のウィンダムにはこの長時間の戦闘は堪えていたのだ。ストライクやカオスはまだ余裕があろう。
だが、これではミネルバを落とそうにも落とせない。見れば、ミネルバは各所で煙を吹いているが……
沈む気配は一向に見受けられない。攻撃を強行しても沈められる保障はない。
「ここまで頑丈だとはね……ザフトはとんでもないものを作ったんだなぁ……」
ウィンダム隊はビーム兵器を装備しているが、それは艦への更なる接近を要する。
ミネルバの高性能CIWSはウィンダム隊のミサイルを3割程度は落としただろうか……
だが、それでも7割程度は当たっているにもかかわらず沈まなかった。
ウィンダム隊に更なる接近を求めることは、相応の犠牲―3割近くは落とされてしまうかもしれない。
本来ならばこちらも母艦を近くに置き、補給しつつ時間をかけて落とすのが常套手段。
しかし、基地の所在が分かれば秘密基地の意味がなくなるし、母艦があればミネルバに狙われよう。
前者を避けるために遠回りしてミネルバに接近したし、後者を避けるためJ・Pジョーンズは置いてきた。
それがこのような形で裏目に出ようとは―ネオですら予想し得なかった。
「残念だが、ここまでか……」
強行すればウィンダム隊にも相応の犠牲は出る。そうなれば基地の防備が手薄になる。
彼としては作戦を中止する以外、選択肢が存在しなかった。
16 :
9/21:2005/11/01(火) 21:23:18 ID:???
ネオの乗るウィンダムから閃光弾が発射される。それは戦場にいた誰もが目にすることになった。
「何だ……?あの閃光弾は……増援でも来るのか?」
「冗談じゃねぇ……もうこっちはバッテリーも弾もないんだぞ……」
ショーン・ポールとゲイル・ラッセルは、閃光弾が増援の要請かと一瞬絶望的な気分に陥った。
「いや、それはありえない。増援が来るならとっくに来てるでしょう……後退信号、かもしれません」
「レイ……ホント!?じゃあ、この戦闘私たちの勝ち?」
ミネルバの甲板で応戦していたレイとルナマリアが応じる。
純粋に勝利を収めたわけではなく、相手の指揮官が冷静に判断した故の撤退ではあったが……
この場合、攻められていたのはミネルバであり、ある意味でハイネの作戦は的中したことになる。
「諦めてくれたか……」
ハイネ・ヴェステンフェルスはホッと息をついた。
見ればウィンダム隊は次々とミネルバから離れ、距離をとり後退していく。
なにやら恨めしげに去っていくウィンダム隊の姿は、レイの推察どおりの後退命令だったのだろう。
ストライクとカオス相手に戦いを始めたセイバーとインパルスもその光景は見えた。
レイの発言を裏付けるようにストライクとカオスも去っていく。
「逃げていくの……?攻めているのに?」
「彼らもバッテリーが切れそうなんだよ……隊長の作戦は的中したのさ」
先ほどまでバッテリー欠乏に陥っていたセイバーのアスランがマユを諭す。
ユニウス条約の締結により、現時点でのMSは無限の兵器ではなく、有限の力しか発揮できなかった。
電力を動力にしている以上、これは仕方の無いことであった。それは両軍とも同じ……
「……チッ!あと少しじゃねぇか!ネオ!何で攻めないんだよ!」
『ウィンダム隊はあくまで基地の警備用だ。作戦を強行して潰すわけにはいかん』
「……MSの一機も落とせませんでしたね」
『ゲン、それは仕方ないだろ?俺たちの目的はMSの撃墜じゃなくミネルバの撃沈だったんだ。
ミネルバを落とせなかった時点でどの道作戦は失敗……MSを落としたところで結果は変わらんよ』
スティングの不満とゲンの落胆は、ネオの説明する作戦の本旨によれば仕方の無いことであった。
MSにしても、基本的に敵はこちらと戦うのを避けつつ、ミネルバを護ろうとしていたに過ぎない。
互いに相手を殲滅しようとして刃を交えていたわけではないのだ。それが無撃墜という結果に現れた。
優秀なパイロットが逃げに入ったのを落とすのは、ファントムペインでも至難の技であった。
舌打ちしながら引いていくしかなかった。
「……次こそ、落としてやろうぜ?今日は全軍撤退だ!」
指揮官である彼こそが最も悔しい思いをしていたが、それでもネオは撤退の断を下した。
17 :
10/21:2005/11/01(火) 21:24:05 ID:???
ネオたちの撤退の様子はミネルバからも視認できた。
タリアだけでなく、艦の全員がホッと息をつく。艦はミサイルの嵐を受け、相応のダメージを負っていた。
「損傷状況確認中……ああ、こりゃ酷い。
まず上部、主砲トリスタンに損傷……右舷のCIWSは4割がお釈迦……あと火災発生箇所あり。
負傷者もおり、現在消火活動中ですが……修理には相当の時間がかかりそうとのことです。
あとは中部以下、ああ……MSデッキに損傷、エンジンブロック近くにも被弾箇所……
右の補助エンジンがちょっとやられてますね。メインエンジンは無事です」
安堵した副長のアーサー・トラインがダメージコントロール要員からの報告を受け、艦長に伝える。
時間と共に報告の数は増えであろうが、それでも最大の危機は脱したのだ。
タリア・グラディスも安堵の声を漏らす。
「アーサー、報告は後でいいわ。甚大な部分の報告だけ優先的にお願い。
メイリン、MS隊を戻して頂戴。流石に無傷というわけにはいかないでしょうし、修理を頼むわ。
補給も一緒に……最優先でお願いする……そのようにエイブス整備班長に伝えて頂戴」
「了解!」
心なしかメイリン・ホークの声も弾んで見える。
負傷者もいただろうが不謹慎と責める訳にも行かない。事実タリアこそが一番安堵していたのだから。
そして、もうひとつ、傷ついた僚艦に話は及ぶ……
「ニーラゴンゴのクルーは脱出したの?」
「先発は5分前に脱出し、後発は間もなくとのことですが……」
「そう、彼らもミネルバに乗せないとね……」
「では、そのように伝えます」
だが、タリアはそこまで指示を出してあることに気づいた。
先発した脱出者たちは一体何処に言ったのだろうか―?すでに脱出したというが、何処へ―?
海中にはアビスがいたわけで、戦闘をしていたミネルバの近くにいたわけが無い。
そこまで思いついて、彼らの行方を知ろうとタリアはメイリンを問いただす。
「ちょっと待って!5分前に脱出したって言ったけど……
なら、その先発したクルーはいまどこにいるの!?」
「あっ……!」
メイリン・ホークは慌ててモニターを見る。少しずつ少女の顔が青ざめる。
「大変です!ウィンダム隊が後退していく方向に……!本艦から距離5000の位置!」
「何ですって!?急いで呼び戻しなさい!」
「はっ、はいっ!」
タリアの脳裏にふと最悪の事態が過ぎる。だが、彼女は過ぎった後ですぐそれを打ち消そうとした。
18 :
11/21:2005/11/01(火) 21:25:09 ID:???
撤退を始めた連合軍―
ゲンやスティングは忌々しげにミネルバを見ながら引き上げつつあった。
「クソッ!あと少しなのに……」
「……どうにもミネルバはミサイルだけじゃ落とせないらしいな。そういえばあの赤いMSは?」
「……強かったぜ?パイロットも……アンタと同等の力は持ってるかもしれねぇ」
「へぇ……そりゃ楽しみだ」
「楽しみ……だと?ったく付いて行けねぇよ」
赤いMS―セイバーに話が及ぶ。
ゲンが問うセイバーの能力にスティングは最高の評価を下していた。
事実、火力もずば抜けていたし、パイロットもスティングを翻弄しつつウィンダム隊と戦っていたのだ。
だが、ゲンは逆に次の戦闘を楽しみだという。彼にしてみればグフに逃げられフラストレーションがあった。
それほどの相手なら、奇襲でなく正面を切った戦いなら間違いなく威力を発揮するだろう。
今の不満は次の戦闘までとっておこう―それがゲンの思考であった。
「おい……あれ、何だ?」
「……ん?潜水艇……か?」
突如スティングが異変を伝える。海面を見るカオスの視線を、ゲンがストライクの目線で追う。
見れば自分達が今いる真下に、ニーラゴンゴから脱出した先発の潜水艇が海面まで上昇していた。
陸地のほうへ移動しているのだろうか―自分達と同じ方向に後退しつつあった。
「ネオ、アレはどうするんだ?」
『ああ、アウルから報告があったやつだろ?放っとけ』
「……いいのか?」
『逃げる敵っていっても……あんなのを撃っても楽しいか?』
「いや、全然」
『ならいいだろう。見逃してやれ』
スティングは上官に指示を求めたが、見逃せという指示しか与えられなかった。
元より敵を撃つ気はあったが、無抵抗な無力な存在を消したところで何の自慢にもならない。
戦略的に意味を持つ行為でもなくネオも無視することに決め込んでいたし、スティングもそれに倣った。
だが―
ファントムペインが拒絶した行為を、今まさに行なおうとする者がいた―
「へっ……敵の真ん中に脱出するとは……運の無い奴等だ。
この戦闘で仲間がやられてるんだ……ミネルバを落とせなかった上、お前等まで見逃すってのは……
……承服できない命令だぜ?大佐さんよ……」
ウィンダム隊の一人が―
自機に残っていたミサイルの一発を―
ニーラゴンゴから脱出した先発隊の、脱出用潜水艇に向けて放った―
19 :
12/21:2005/11/01(火) 21:26:02 ID:???
脱出した先発隊には二つの不運があった。
ひとつは余りにもあっさりとアビスが彼らを見逃したこと―
見逃されたものの、彼らはニーラゴンゴの中でアビスから受けた死の恐怖に動揺していた。
九死に一生を得た喜びはあったが、この戦場から逃げねば生き延びられないという強迫観念に駆られた。
二つ目は彼らが逃げるために使った脱出艇に損傷があったこと―
これは発進してから気づいたことであったが母艦が攻撃を受けた際、潜水艇の一部に亀裂が認められた。
海中では僅かな損傷でも潜行能力に影響を及ぼす。海中深くに滞留するわけにも行かなかったのだ。
アビスがニーラゴンゴの側を離れず、またミネルバは猛攻を受けたため、脱出艇のクルーは考えた。
ミネルバは撃沈するだろうと―船体の損傷もあるため、一刻も早く潜水艇からも脱出せねばならなかった。
故に彼らは陸地を目指した。一番近い陸地は、ウィンダム隊がやってきた方向にあった。
そのため彼らはその陸地を目指した。陸地から救難信号をカーペンタリアに出せばほどなく救出される―
そんな考えから彼らは水面ギリギリまで浮上しつつ逃げるという選択肢を選ばざるを得なかった。
だが、それは一人のパイロットの目に留まった。
ミサイルを放ったウィンダム隊のパイロット―彼はA小隊の隊長格であった。
彼の小隊は、ミネルバ攻撃の際に艦に接近したとき、セイバーに自隊の仲間2機を撃たれていたのだ。
ミネルバを撃つこともままならず、味方を、部下を失ったため彼の心理状態は通常のそれではなかった。
仲間の仇―ただそれだけの考えで、脱出したニーラゴンゴのクルーに目掛け、彼は火の矢を放った。
爆散する脱出用潜水艇―
轟音と共に爆発した潜水艇から火の手が上がった―
「バカヤローが!撃ちやがった!」
スティング・オークレーはその一部始終を見ていた。そして叫んだ。
敵ではあるが無力な存在―そんなものを撃つつもりは彼には無かった。
一応は敵として戦い、アビスに力及ばず敗れた者たち―敵ながら彼らに対して悪意は抱かない。
見逃せと命令されたが、敢えて彼らを撃とうとは思わなかった。
だが、それは他の者の手で実行された。
「てめぇ!どういうつもりだ!?」
『……敵だから撃っただけだ。
別に投降信号を発していたわけじゃない。アレは敵だ。だから撃った……文句があるのか?』
「なにを……!無抵抗の相手だぞ!!」
『だからどうした?
次の戦闘にあいつらが武器を持って参加することは考えないのか?
敵の数を減らす……戦争じゃ当たり前のことだ。それに仲間を二人やられたんでね……』
「……私怨じゃねえか!」
『……否定はしない。上官に訴えるなり何なりしろ。
もっとも……降伏もしてないコーディネーターを殺したくらいじゃ、罪には問われないだろうがな』
「キサマああぁぁ……!!」
20 :
13/21:2005/11/01(火) 21:26:51 ID:???
スティングは男の言葉に激怒した。彼には男の言葉は納得できなかった。
一応軍人だが、その前にスティングは一人の男であった。彼は戦闘そのものを勝負の世界と捉えていた。
勝てば生き残れ、負ければ死ぬ―そして全てを失う。単純だが、エクステンデッドとして育った彼の観念―
それは形の上での軍人となり、尉官となった後も変わることは無く、彼を支える勝負哲学ともなっていた。
無抵抗の相手を殺す―それは彼の理念に反するものであった。
怒りに駆られスティングはカオスの銃口をウィンダムに向ける―
カオスの持つビームライフルは男のウィンダムをロック・オンしていた。
「ふざけるなよ……!」
『へぇ……撃つのかよ、味方を?軍法会議ものだぜ?』
「……てめぇ、それでも……」
『人間か……とでも言うつもりか?
強化人間の分際で偉そうな口を利くなよ。
噂になってるぜ?ファントムペインは薬漬けの強化人間のガキ共で構成されてるって……な』
「上等じゃねぇか!」
悪びれもせず男は言い返す。その言葉はスティングの逆鱗に触れた。
激昂したスティングはライフルの引き金を引こうとする―が、目の前に黒いMSが現れたことで中断される。
「止めろ!仲間で殺しあってどうする!」
「ゲン!邪魔するな!こいつは……こいつは!」
「……ヤツのいうとおり……降伏した相手を撃ったわけじゃない。
相手はコーディネーターだし、軍の上層部はブルーコスモスで構成されている……罪にも問われない」
「けど……!」
「言いたいことは分かる……だが、お前が撃てば俺たちはどうなる?今は……堪えろ」
僚友の言葉にスティングも我に返る。
この場でエクステンデッドである彼が味方を撃てば、軍法会議以前の問題。
すなわちラボで再調整を余儀なくされ、下手をすれば抹殺される可能性すら存在した。
また、他のエクステンデッド―アウルやステラにも類が及ぶことは容易に考えられた。
何も出来ない悔しさに歯噛みしながらスティングは銃を下ろした。
「……命拾いしたな」
『お前が……だろ?黒いストライクの……仲間に感謝しておけよ』
「クソッ!」
やり場の無い怒り―スティングは操縦桿を殴りつける。
だが、その直後、終わったはずの戦闘が再開されることになった。
「敵一機……ミネルバの白いやつが来ます!」
ウィンダム隊の他のメンバーからの報告に再び緊張が走る―
もう一人怒りに駆られた人間が―収束したはずの戦闘を再び開こうとしていた。
21 :
14/21:2005/11/01(火) 21:27:48 ID:???
「よくも……よくも!無抵抗の人たちを殺すなんて……!!」
ミネルバから再度発進したインパルスが、撤退しつつあったウィンダム隊を狙う―
ミネルバにも、ニーラゴンゴから脱出した先発隊の異変は伝えられていた。
タリア・グラディスは危険を承知でインパルスとセイバーを援護に向かわせようか逡巡していた。
だが、その間に悲劇は起きた―
インパルスに乗っていたマユ・アスカは、不幸にもその光景を目撃してしまった。
怒りに駆られ哀しみに我を忘れた彼女は、無謀にもインパルス一機でウィンダム隊に向かっていった。
慌ててそれをセイバーに乗るアスランが諫めるが、インパルスはすでに発進していた。
「マユ!落ち着け!今は負傷者の収容を……撃たれた彼らを助けるのが先だろう!」
『許さない……許さない!』
「聞いているのか?マユ!応答しろ!」
アスランの声もマユには届かない。
マユ・アスカの脳裏にはあの時―オーブのオノゴロで家族が死んだときの光景が蘇っていた。
何の力も持たない彼女の家族を、攻めてきた大西洋連邦のMSと応戦するMSとの戦闘が奪った。
無慈悲にも殺されたニーラゴンゴのクルーの姿は、そのときの家族の死と重なって見えたのだ。
だが、アスランにはその事実など知る由もない―
『アスラン!マユを追え!こっちのグフはバッテリー切れで追えん!彼女を止めろ!』
「……了解!」
ハイネの命令でセイバーも離艦し、飛行形態に変形しインパルスを追う。
しかし、先行した上に全力でウィンダム隊を追うインパルスとは、すでに大分距離が離れていた。
「チッ……!寝た子を起こしちまったか……」
ネオは迫るインパルスを見て舌打ちする。
彼はただスティングとウィンダム隊の小隊長のやり取りを止めずにいた。
彼としては、スティングの上官としてかれの心情を慮ってはいたものの、撃った人間もまた慮っていた。
上官の立場としては、部下が殺されて黙っていられる道理はない。やり方は汚いものだが……
ウィンダムの小隊長がそのような行動に出た気持ちは分からないでもなかった。
故に静観していたのだが……
インパルスはみるみる近づいてくる。
スティングが激昂したように、ミネルバのパイロットもまた激昂していたのだろう。
「くるぞ!こっちのバッテリーも残り少ないが……各自後退しつつ弾幕を張れ!」
やるせない思いで指示を出す―苦い思いをしつつ、彼もまた戦闘に入っていった。
22 :
15/21:2005/11/01(火) 21:28:38 ID:???
インパルスをウィンダム隊のビームの雨が襲う―
マユの駆るインパルスは既に敵の射程圏内に飛び込んでいた。
彼女の脳裏にはまだ先ほどの惨劇が生々しく残っていた。爆散した潜水艇の光景が―
「無抵抗の人を殺すなんて……許さない!!」
怒りと共に少女の中で何かが弾けた―
対するウィンダム隊―その中で潜水艇を撃ったA小隊の隊長は小躍りしていた。
他のウィンダム隊のメンバーは、一度終わった戦闘が再び始まったことに戸惑っていたが……
「わざわざ獲物が飛び込んでくるとはなぁ!
ミネルバのMSを一機も倒せないでイライラしていたんだよ……お前には死んでもらうぞ!」
戸惑い及び腰になっていた仲間の陣から、彼一人抜け出しウィンダムをインパルスに差し向ける。
だが、インパルスの動きは先ほどまでと明らかに違っていた。ビームのシャワーを事も無げに交わす。
そして機体を急降下させ、真下から彼のウィンダムに挑みかかってきた。
「し……下だと!?」
人間の目とは左右の動きにはいち早く反応できるが、上下の動きには一瞬反応が遅れる。
目は横に広がっているから当たり前といえば当たり前なのだが……マユはその一瞬の遅れを見逃さない。
人間の反応の遅れはMSの反応の遅れに直結する。
直後、インパルスは機体を急上昇させ、ウィンダムを手持ちのサーベルで切り裂く―
悲鳴をあげる間もなく、そのパイロットは機体ともども爆散して果てた。
ウィンダム隊の陣形から、その男のMSだけが飛び出したことも仇となった。
彼の機体がインパルスと重なる格好になっていたため、同士討ちを避けるため各機とも攻撃を手控える―
その隙を利用し、更にマユはインパルスを駆った。
「隊長が……やられた?」
「くそっ、よくも……!」
「野郎……敵討ちだ!」
隊長が撃たれ、残されたA小隊の3人のパイロットたちはネオの命令を無視し機体をインパルスに向けた。
彼らの攻撃は他のウィンダムの及び腰の攻撃とは違い、意を決した物で連携の取れた攻撃だったが……
それすらも怒りに駆られたマユの―インパルスの敵ではなかった。
3機が矢継ぎ早に放つライフルを交わし、返す刀でサーベルを放り投げる。
ビームサーベルの出力は機体を離れると徐々に小さくなるが、ウィンダムに届く頃には小刀程度であった。
その小刀を向けられ、注意を奪われた一機が動きを止める―小刀を避ける為盾を構えた。
その隙を突き、マユはもう片方の手に握られたビームライフルを放つ―盾の間隙を抜き、本体を貫く。
余りに常人離れしたインパルスの動きに残りの2機も動揺を隠せない。
更に彼らの動揺した一瞬にインパルスからビームライフルが向けられる―
動きを止めた的を射抜くなど、今のマユには造作も無いことであった。
23 :
16/21:2005/11/01(火) 21:29:25 ID:???
瞬時にインパルスによってA小隊の残り2機も狙撃された。
その光景にはスティングもネオも瞠目せざるを得ない。
「何なんだ……こいつは!」
瞬く間に4機を撃破したインパルスの動きにゲンは驚嘆した。同時に余りに異質な動きに目を見張る。
彼がこれまで戦ってきた強敵はファントムペインの3人、グフを駆るハイネ、ザクを駆ったアレックス……
経験上強敵と認めた者達の更に上を行く動きを見せられ、流石の彼も動揺を隠せないでいた。
だが、敵はまだ後退の意思すらみせず、こちらを見ている―
「……まだ戦いたいなら、やってやるぜ!」
友軍をこのまま壊滅させるわけには行かない。
そう思ったゲンは敢えて漆黒のストライク―Mk-Uの機体をインパルスに向ける。
ストライクとインパルス―かつてユニウスで共に破砕作業をした両者が剣を交える―
牽制の弾幕を張りながらゲンはインパルスへの接近を試みた。
友軍は萎縮していたし、ウィンダム隊の弾幕で落ちる相手ではないのは、先ほど実証されていたからだ。
接近してストライクのパワーで圧倒する―
単純だが、今だ嘗て力負けしたことの無いストライクMk-Uの性能をゲンは信じていた。
インパルスに迫るストライク―
しかし、ゲンの目の前に思わぬものが飛び込んでくる―
黒い物体……
「……ライフル!?飛び道具を放り投げたのか!?」
手持ちのビーム兵器を放り投げるという行為に一瞬動揺した。更にその物体を避ける為の運動に入る。
が、それはゲンですら攻撃から防禦に切り替える一瞬の隙を垣間見せる結果となった。
避けたと思ったところに、白い機体が迫る―
「……くそっ!サーベルを!」
戸惑いながらも、接近戦で使おうとしていたビームサーベルを展開する。が、既に目の前にインパルスが―
インパルスは手持ちのサーベルを既に展開し、その赤い閃光でストライクのライフルを切り裂く―
そして返す刀でストライクが左手に展開しようとしていたサーベルごと、左手首を切り落とした。
「……っ!!」
ゲンが両手に持っていた武装は瞬時に破壊された。
やむを得ず、彼はストライクの頭部バルカン砲を牽制に後退を試みるが……
「……フェイズシフトか!」
被弾覚悟でインパルスはストライクを沈めに掛かってきた。
万能ではないが、多少の物理攻撃は無効化できるのがフェイズシフト―
死の恐怖がゲンを襲った。
24 :
17/21:2005/11/01(火) 21:30:14 ID:???
だが、その恐怖は現実のものとはならなかった。
インパルスがストライクを捉える直前で、両機の間をビームの束が襲う。
「ゲン!大丈夫か!」
「ス、スティング……か?」
「こいつは……さっきまでとは動きが違う!迂闊に接近するなんて無謀だぞ!」
「あ、ああ……すまない」
両機の攻防―すでにインパルスの一方的攻勢だったが―はカオスのドラグーンにより寸断された。
ゲンは危ういところで命を救われた。スティングの言うとおり、先ほどまでとは別人のインパルスの動き―
我に返ったゲンは残った右手のサーベルを引き抜く。インパルスに手持ちの火器は存在しなかった。
2機で攻めれば落とせるか―再び戦意を取戻したゲンが応戦しようと身構えたとき―
カオスとストライクに向けて膨大なビームの束が向けられる。
『マユ!大丈夫か!?』
アスラン・ザラのセイバーがインパルスの援護に駆けつけていた。
彼の声に、先ほどまで怒りに支配されていたマユ・アスカも我に返っていた。
「あ、アスラン?」
『一人で突っ込むなんて無謀だ!周りは敵だらけだぞ!』
「う……うん。でも……」
『"でも……"じゃないだろう!ここは引け!ハイネ隊長の命令だ!』
アスランに諭されマユ・アスカはようやく戦闘を停止した。
連合のウィンダム隊はインパルスの圧倒的攻勢の前に萎縮したのか、攻撃をしてこない。
また、目の前のストライクとカオスも、攻撃の意図は見せなかった。
もっともこの二人の場合、新手のセイバーの出現を警戒したからかもしれないが……
警戒する姿とは裏腹に、撤退するセイバーとインパルスの姿に心のどこかで二人とも安堵していた。
「……撤退していく?」
「向こうも……突っ込み易いヤツとそれを諫めるヤツがいたのかも……な」
「……悪かったよ、スティング。お陰で命拾いした」
「お前がやられそうになるなんてな……驚いたぜ」
ゲンとスティングはその様子を見ながら、心のどこかで安堵していた。
それほど先ほどインパルスが―マユが見せた動きは異様であり、異質なものであった。
どちらが壊滅したわけでもなく、双方とも意図したかのごとく、この戦闘は収束しつつあった。
だが、その途端に再び異変が起きる。
水中から高々と水柱が上がり、戦場にいた誰もが目を見張った。
ネオ・ロアノークがいち早くその異変に気づき、その原因と思われる人物を問いただした。
「アウル……ボズゴロフ級を……沈めたのか?」
25 :
18/21:2005/11/01(火) 21:31:12 ID:???
その異変はセイバーのアスランも知るところであった。彼はその理由をミネルバに問いただす。
「ミネルバ!ニーラゴンゴは自沈したのか!?」
『い……いいえ。ニーラゴンゴは……
後発の脱出部隊を出した後、艦長以下ブリッジのクルーが……アビスに特攻を……』
「そんな……馬鹿な……」
絶句するアスランであったが、それを伝えたメイリン・ホークの声もまた震えていた。
彼女の報告どおり、ニーラゴンゴはアビスに特攻を掛け、逆に沈められてしまったのだ。
だが、その特攻は最初から予定されていたものではなかった。後発隊が脱出する直前に異変が起きる。
先発隊がウィンダム隊によって沈められたとの一報を、ブリッジにいた艦長以下が知るところとなった。
艦長は断を下した。
グーン隊の3機を屠られただけでなく、部下を乗せた無抵抗な脱出用潜水艇を撃たれたことに激怒した。
その矛先は目の前にいたアビスに向けられた。ブリッジのクルーは艦長の指示に従わず艦に残った。
艦長は特攻の決意を告げたが、それでも部下達は後発の脱出用潜水艇への移乗を拒んだ。
彼らもまた、このまま逃げるわけにはいかないとばかりに、激情に駆られ特攻に賛同したのだ。
メインエンジンは破壊されていたが、補助エンジンが無事だったため、直線的にアビスに攻撃を始めた。
魚雷を撃つたびに艦に異常が発生するが、彼らはそれに構わず攻撃を敢行した……
『アウル……ボズゴロフ級を沈めたのか?』
ネオは静かにアウルを問いただした。自沈で無いとすれば、彼が手を下したに相違ないからだ。
しかし、上官の命令を無視するほどアウルは戦闘に没入していたわけではない。
彼が手を下したからには相応の理由があると見たからだ。答えるアウルの声は震えていた。
「ああ……沈めたさ!何なんだよ、あいつ等!
折角人が見逃してやったのに……どうして……どうして死にに来るんだよ!?」
『……ボズゴロフは……攻撃してきたんだな?』
「ああ、攻撃してきたよ!碌に艦も動かないのに……馬鹿じゃねぇの!?
なんで……なんで死にたがるんだよ!おかしいよ!あいつら……ホントに!」
『……もういい、アウル。J・Pジョーンズに帰還しろ』
「……言われなくたって帰るよ!こんな……馬鹿どもに付き合いきれないよ!」
そう言ってアウルは一方的に通信を切った。彼はニーラゴンゴのクルーの特攻に今だ怯えていた。
戦力的に彼に分があるのは間違いなかったのだが、彼には敵の考えていることが分からなかった。
見逃してやったのに攻撃される……しかも、戦えば彼らは間違いなく負けるのに……
その行動が理解できず、彼はただその死をも厭わぬ行為に戦慄したのだ。
震える手で魚雷を放ち彼らを沈めたが……彼の手は未だに震えていた。
その手で拳を握り、アウルは操縦桿を叩き続けた。
「……馬鹿だよ……なんで死にたがるんだよ!
死んだら……死んだら何もかも終わりじゃないか!何で……どうして……!」
26 :
19/21:2005/11/01(火) 21:32:23 ID:???
戦闘が終わった後2時間が過ぎていた。
辛うじて危機を乗り切ったミネルバ―だがクルーの表情は一様に暗かった。
ニーラゴンゴの船員の半分を失った上、みすみすその特攻を止めることさえできなかったのだ。
「戦果は……ハイネ隊長がウィンダムを2機、アスランも同じく2機撃墜。
そして、マユ・アスカの乗るインパルスが……最後に敵4機、いずれもウィンダムを撃破しました」
アーサー・トラインの報告にタリアは無言で前を見詰めていた。
いや、見ているのかどうかも定かではない。何やら物思いに耽っている風でもある。
「そして……その、被害状況なんですが……」
「アーサー、もういい。もういいわ。先ほどまで散々それは聞かされたから」
「は……はい」
「……本艦に移乗してきたニーラゴンゴのクルーは……どうしているの?」
「先ほど会って来ましたが、とても声を掛けられる状況では……」
「そう……彼らはマハムール基地で下ろすけど……それまで彼らの心のケアを……しなきゃね。
アーサー、あなた暫く副長としての任務から外れて頂戴。彼らの……話し相手になってあげて。
勿論落ち着いてからね。医療兵は負傷者の手当てで精一杯でしょうから、貴方が中心になって、ね」
「了解であります」
タリアはアーサーに指示を出した。この指示がどれほど彼らの心に届くかは分からないが……
それは兎も角、彼女はこのまま彼らを放ってはおけなかった。アーサーも嫌な顔一つせず応じた。
彼としても、残されたクルーの心情は察するに余りあるものがあったからだ。
その頃、MS隊も同じように沈鬱な表情で埋められていた。
理由はマユ・アスカの暴走ともいえる行為についてであった。
が、ハイネ・ヴェステンフェルスは怒ることも無く、ただマユの報告を聞いていた。
報告が終わってから、彼は徐に口を開いた。
「マユ……怒りに我を忘れたって言ったが……そいつはダメだ。
冷静さを欠いた状態で戦闘に入ればどうなるかは……さっき分かっただろう?
アスランが、もしセイバーがあの場にいなかったら、どうなっていた?」
「多分……敵に囲まれて……」
「……そうだろうな。まだ軍人じゃない、テストパイロットに要求するのは酷だが……な」
「でも……無抵抗な人を殺して……!」
「なぁ、マユ。そうやって悲しむのは一向にかわまない。俺も悲しいしな。
でも……だ。憎んじゃダメなんだ。憎めば我を忘れて、さっきまでのようになっちまう。
そうなったら……今度はお前が死んでしまうぞ」
「………」
「そんなことになったら、俺たち皆が悲しむ。
俺もアスランも、ショーンもゲイルも、ルナマリアもレイも、整備班の皆も、タリア艦長やアーサー副長も。
だから憎んじゃダメだ……常に冷静に……冷静にだ。わかるか?」
「はい……」
マユ・アスカは全てを納得したわけではなかったが、最後の言葉だけは理解して返事をしていた。
27 :
20/21:2005/11/01(火) 21:33:30 ID:???
同じ頃、ネオ・ロアノークも、件の基地の司令室で司令と面会していた。
ミネルバと同じく戦果の報告と被害状況、及び彼の場合は指揮と作戦の結果全てを報告していた。
「……A小隊全滅の理由は分かった。要らぬ犠牲だったな」
「申し訳ありませんでした。無理を言っておきながらの失態……お詫びの仕様もありません」
「……話を聞けば自業自得だ。損傷は4機と……4機……計8機か。痛いな……」
「すぐに増援の手配はさせて貰います」
「ああ、そうしてくれ。君は上層部に顔が利くらしいからな」
MS隊を借りたときとはうって変わり、ネオは厳粛な面持で出頭していた。
ミネルバの撃沈を果たせず、撃ったのはアウルによる潜水母艦一隻とグーン3機だけ……
基地の保安用のウィンダムを借り、8機の犠牲を出して釣り合うものでもなかった。
彼としては叱責されるのを覚悟して司令の元に赴いたが、彼は意外にも声一つ荒げなかった。
司令にしても、部下の行為は褒められたものではなく、ネオを責める気になれなかったのかもしれない。
司令室を辞した後、ネオはJ・Pジョーンズに戻った。彼を出迎えたのはゲンだけであった。
「……スティングとアウルは?」
「命令どおり検査を受けましたけど、両名とも強度のストレスが認められたので……最適化を」
「そうか……ステラは?」
「……帰還したアウルに駆け寄ろうとして、拒絶されたとかで……部屋に篭っちゃいました。
それと……先ほどの検査結果なんですけど、どうにもアウルは……かなり重症らしいですよ」
「……特攻なんで味わえば無理も無いさ。
そういうお前はどうなの?白いヤツに沈められそうになってたけど……」
「……スティングにも説教されましたが、迂闊でしたかね」
「いきなり動きが変わったからな……キレちゃったのかね、アイツも」
「そうかも……しれませんね」
仮面とバイザーで表情はお互い分からないが、互いに暗い気分であった。
ファントムペインに犠牲が出たわけではないが、友軍に8名も死者を出したうえ戦果も碌になし……
指揮官とMS隊長としては、暗澹たる気分にもなろう。スティングとアウルは最適化を受けていた。
アウルは重症でもあり、後に記憶の抹消までせねばならないほど、心理的に追い詰められていた。
ゲンとネオは二人とも無言のまま、J・Pジョーンズの甲板に出ていった。
暫く無言のまま時間は過ぎたが、やがてゲンが口を開いた。
「大佐……あの時、何故潜水艇を撃ったウィンダム隊の小隊長に……何も言わなかったんですか?」
「ん……あれか。もし……お前やスティングがやられていたら……俺はどうしていただろうかと……ね」
「……もしそうだったら、大佐も撃ちますか?」
「……難しい質問をくれるなぁ。やるかもしれんし、やらないかもしれん。その時にならんと分からんさ」
「………」
「そういうものさ。ただ、ゲン一つだけ覚えておけ。
お偉方は色んなお題目を唱えて戦争を正当化するが……実際はこんなもんだ。
英雄なんていないし、いるのは薄汚い連中ばかり。憎みあい、殺し合い、奪い合う……それが戦争だ。
お前は……そうなるな。それと……お前は何があっても死ぬな。俺達が皆死んでも……だ」
「………」
28 :
21/21:2005/11/01(火) 21:34:22 ID:???
ゲンは沈黙した。
最後の言葉だけが妙に彼の言葉に引っかかったからだ。
もしファントムペインの仲間が全員死んだとして……自分はどうするだろうか―
おそらくそんな事態はないだろうが、仮にあったとして、自分に生き残る理由は存在しない。
特攻を掛けたボズゴロフ級の船員たちも、今の自分と同じことを考えたのか―?
そんな考えさえゲンには浮かんでいた。
「返事は……なしかい?」
「……ファントムペインの皆が死んだら、俺に生きる価値はあるのかと……思いましてね」
「極論だが、もし俺たちが全員死んでも……
ファントムペインの誰かが生き残れば、ファントムペインが死んだことにはならない……
そういう風には……考えられないか?」
「……何でそんなことを言うんですか?」
「今日の戦闘で得た教訓さ。逃げる無抵抗な敵を撃ったヤツと、特攻したヤツ……
そいつらが俺たちに残してくれたものって……何だろうかとおもってね」
そこまで言ってネオは話を切り上げ、甲板から船内へと戻っていった。だが、ゲンはそれを制する。
「大佐、最初の命令には従いますが……あとの命令には従いませんよ」
「……ん?」
「俺は仲間を死なせはしません。スティングもアウルもステラも……」
「……ふぅん。じゃあ、俺は死んじゃってもいいわけだ……酷い部下だな」
「じゃあ、大佐も……」
「"じゃあ"って何だよ?……ったく、酷い部下を持ったモンだ。
……冗談はおいておいて、あの白いヤツとミネルバ……本気で対策を練らないとやばいな」
「……そうですね。俺もやられそうになりましたし……」
「ゲン、MSの戦闘データを集めてもってこい。揃えたら二人で分析開始だ。
スティングもアウルも当分作戦会議には参加できそうも無いしな……ステラは休ませておけ」
「……了解!」
最後の返事にゲンは力を込めた。
彼自身もミネルバの脅威、とりわけ白いMSの力は身にしみて分かったからだ。
仲間を死なせず、また自分も生きるため―彼は己が任務に取り掛かった。
勢い良く艦に戻るゲン―彼はそっと呟いていた。
「俺は死なせない……誰も……スティングやアウル、ステラ……あとネオも……な。
まずは白いヤツ、お前だ!お前が一番強くて危険だ……だからお前を……必ず倒す!」
白いMS―インパルスの名を挙げる。
だが、今の彼には、それが彼の実の妹が操る機体であることは知る由もない。
やがて二人は互いの全てを賭してぶつかり合う―
かくして序章曲は幕を閉じる―やがて始まるは激戦の次章曲―
>ファントムペイン作者様
GJ!
なんというか……敗戦の味、ってのを上手く書ききってる感じがしますね。
考えてみれば、種も種デスも、負けた側は怒るだけで底が浅いんですよねェ
今後、シンとマユの戦いがどうなるかも楽しみです。乙!
PP戦記作者様GJ!
スティングとアウルがマジかっこいいよ。
スティングなんかすげぇ良い漢だし。
何かPP戦記読んでこの二人がかなり好きになった。
ところでゲンよ、ネオは三人のオマケなのか?
PP戦記乙!
沈着冷静で硬派なスティング、お調子者だけど脆いところもあるアウル。
そして指揮官としての才覚も責任感もあるネオ。こんな彼らが本編でも
見られれば……ッ!
今回おるすばんだったステラの活躍も期待しております。
PP激しく乙!面白かった!
戦闘にハラハラしました。まだ終わらないのかおいまたやっちゃうのかよと。
ショーンとゲイルの身の心配してたんですが生き残って良かったw
一機も落とせず落とされずの結果なのにちゃんと得るものがあるのが素晴らしい。
マユの種割れ?もカッコイイ!裏主人公なだけはありますなあー。
突然ですが調子に乗って、前スレの続きの1話を投下して見ます。
話全体のタイトルは「Injustice」で統一させてもらいます。
アストレイと似たような意味なのですが他に思いつかなかったので。
あと設定変更を一つだけ、マユの年齢は無印種の時点で12歳ってことにお願いしますorz
34 :
1/11:2005/11/02(水) 06:59:01 ID:???
マユ・アスカが家族を亡くしてから2年――
空は曇り、海は荒れくる。
つい数時間前、世界を砕くと思う程の衝撃が地球を襲いとある島のとある海岸も海水により洗われた。
2年前の戦争、この海岸で起こったありふれた悲劇。
戦闘の流れ弾で一瞬にして燃やされたある家族。
もはやその悲劇を記憶する人も。その死を悼み慰霊に訪れる人もいない。
ただその地にひっそりと置かれる小さな石の慰霊碑だけがその事実をとどめる。
この忘れ去られた惨劇の地にぽつんと立つ人影……
その影は慰霊碑の前に膝を付くと、何かを確かめるかの様にゆっくりとその慰霊碑にふれる。
そこに刻まれているものは家族の名前。
父と母、それに妹……そして――
『シン・アスカ』
自分の名前――――
Gundam Seed Injustice 第1話『復讐』
35 :
2/11:2005/11/02(水) 06:59:58 ID:???
「ブレイク・ザ・ワールド事件」から3日。
『……ユニウス7……落下…………に大きな被害が…………以前わかっておりません。引き続き……』
街頭の大型モニターから無感情なアナウンサーの声が聞こえる。
ときたま足を止め見る人間もいるが、大多数は見向きもせず通り過ぎていく。
プラントザラ派テロリストによるユニウス7の地球への落下。
この地球人類滅亡の危機も、目立った被害も無かったこの国の人間には所詮は人事。
自分には関係の無い事、テレビの中の出来事のように思っている。
人は実際に日常が崩れなくては分からない。わずか2年前、その日常がいとも簡単に崩れたと言うのに……
「やはり、こういった所は全く変わっていないんだな……この国は」
モニターの声を聞きながら道行く人を見つめ、何をするわけでもなく街角に立っていた彼はそう吐き捨てるかの様に小さくつぶやく。
ここはオーブ連合首長国、オノゴロ島。
オーブの商業、工業、国防の中心地であり、2年前悲劇の戦場になった島。
しかし今はもう表面上復興し、繁華街は多くの人で賑わっている。
この平和で華やかな街をその雰囲気に似つかわしく無い影が行く。
その髪は乱暴に短く切られ、それから覗く顔は白く透き通りまだ幼さが残る少女の様にも見える。
しかし上は地球連合陸軍のパイロットジャケットを着込み、下はジャングル迷彩のズボンに軍靴を履く。
そして何よりも、少女にしては鋭すぎる眼光が見るものに威圧感を与え。誰も彼を少女だとは思わない。
彼は表道をしばらく歩くと人目を避ける様に路地裏へと入っていく、そしてまたしばらく歩くと先ほどまでの喧騒が嘘の様な
不気味な静けさが漂い、裡捨てられた廃屋や廃ビルが立ち並ぶ。
そこにたむろするのは浮浪者や売女ども。
36 :
3/11:2005/11/02(水) 07:00:49 ID:???
―――これが今のこの国の現状。
表向きは
「わずか2年で復興した奇跡の国」
「18歳の少女が治める平和の国」
などと呼ばれているが、一皮剥けば暗黒街が広がり強盗、売り、クスリ、殺し、人身売買……
それを糧とするマフィアやギャング達が跋扈するオーブの闇が広がる。
2年前の戦争、それがこの国の運命を決めてしまった。
大西洋連邦が主導する地球連合による『オーブ解放作戦』、自爆によるマスドライバーとモルゲンレーテの喪失。
2つ主力産業の喪失と戦争による破壊は大量の失業者と家を奪われた多くの難民を生んだ。
戦争が終わり、ユニウス条約によりオーブが独立を回復してもこの問題がそう簡単に解決できるはずも無く、
また新政府が完全に失った防衛力と国営企業モルゲンレーテ、マスドライバーの復活に力を入れたため民間の復興はさらに遅れた。
政府の無策に不満をつのらせた難民や失業者による略奪、暴動。
それらに対応できぬ警察や軍。
それによる急激な治安の悪化はオノゴロ島だけではなく、オーブ全体に深刻な社会不安を招き、混乱は深く暗い闇を社会に作った。
そしてその社会不安の広がりはオーブに未曾有の大混乱と国家の危機を起こしかけた。
その時手を差し伸べたのは意外にもその原因を作った大西洋連邦を中心とする地球連合だった。
連合は人道的支援を名目に、復興への資金と難民対策の器材を無償で援助した。
それは当然善意からの支援では無く、オーブの優れた技術力を失う事を恐れた事と
半永久的にオーブを連合の影響下に置く事を目的としていたが……
ともかくこうしてオーブの復興は軌道に乗った。だがそれまでに抱え込んだ多くの闇を取り払うまでには到らなかった。
何よりその闇もオーブを形作る物の一つになっていたのだから……
37 :
4/11:2005/11/02(水) 07:01:36 ID:???
その暗黒街の片隅を歩く彼自身もまた、ある意味でのオーブの闇が生んだもの。
表道からかなりの距離を歩いた後、彼は半地下へと続く階段を下り廃屋の一つへと入って行く。
戦前はバーで在ったと思われる薄暗い室内、そのままにされているカウンターやビリヤード台がその当時を窺わせる。
部屋の真ん中には椅子に後ろ手に縛られ口をガムテープで塞がれた40代の男、ドアの開く音に気付いたのかハッと顔を上げた。
「何だ、起きていたのか?」
彼は友達にでも接するかの様に軽い調子で男に話しかけ、近くに転がる椅子を持つと男の前に置き腰掛ける。
「始めまして……と言った方が良いかな? リュウジ・カワサキ、さん?」
男は口をふさがれ、椅子に縛りつけられながらも静かな迫力のある目で彼を睨みつけている。
「―――そんなに睨まないでくださいよ。今ガムテープ外してあげますから」
彼は素早く男の口を塞いでいるガムテープを剥がす。
男は一つため息を吐くと、自分を拉致した張本人に怒りを滲ました声で問いただす。
「……どこの誰だか知らんが……俺にいったい何の用だ?」
「この状況でずいぶんと冷静ですね? カワサキさん?」
38 :
5/11:2005/11/02(水) 07:02:25 ID:???
カワサキは自分の置かれた状況を把握するため辺りをうかがう。
いつもと同じように仕事を終え自宅に帰る途中、突然羽交い絞めにされたかと思ったら気が遠くなった。
気が付いた時にはこの部屋に縛りつけられ、放置されていた。
この部屋にはどうやら2人だけ、この後自分がどうなるか分からないがろくな事にならないだろう。
時間を稼ぎつつ、だれかの助けを期待しなければならない……
そこまで考えた後自分を嘲笑うかの様にしゃべる彼の挑発に乗らないよう、怒りを抑えながら質問に答える。
「ただ殺すのならこんな回りくどい事をしない……何か俺に用事があるんだろ? 金か? それとも商売関係か?
言ってみろ、お前の期待に答えてやるかも知れんぞ?」
「そう、用事と言えば用事ですね。 さすがこの辺りのマフィアの元幹部にして人身売買の元締めだった男、器が大きい」
彼はあくまでもふざけたような口調。
リュウジ・カワサキ、オノゴロに暗躍するマフィアの元幹部であり人間を商品にしていた男の名。
そしてマユ・アスカを連れ去った男の名前……
もっとも今は一年前に足を洗って普通と言える生活を送っているが。
「なあに、妹があなたにお世話になったのでそのお礼に伺ったまでですよ」
「……復讐ってことか?」
ギリ……
口の中を噛み締める、その答えはカワサキが想定した中でも最悪に近いものだった。
足を洗ったとしても自分のやってきた事は消えない。
いつか来ると思っていたが……
復讐、どう転んでも自分は殺される事になる、話し合いなんか通じる相手ではない。
最悪自分だけならいいが、もしあれを知られたら――
カワサキは助けが来ることを期待して少しでも時間を稼ぐために問いかける。
39 :
6/11:2005/11/02(水) 07:05:13 ID:???
「妹さんの居場所を知りたいのか?」
「いや、そんなことはどうでもいいんだ。 そんなことより……これ、な〜んだ?」
彼はさも愉快そうに笑いながら、懐から写真を取り出す。
そこには優しく微笑む目の前の男と寄り添う同年代の女、そして楽しそうに笑う10歳前後の少女。
「あんた見たいなゲスの子供にしては可愛いくて素直な子だったよ、奥さんも美人で、残念なことを……くく……」
彼の言葉にカワサキは顔面蒼白で固まった。その写真に写っているのは自分と妻、そして愛娘。
家族の存在は誰にも知られていないはずだった。
組織にも家族がいることは話していない、家族も自分がマフィアだったとは知らない。
そんな男に彼はさらに追い詰めるかのように楽しげに語りかける。
「奥さんも可哀相に、子供を連れて行く時に抵抗さえしなければ楽に死ねたのになぁ……
ああ、安心してくれ娘さんは生きてるよ。」
40 :
7/11:2005/11/02(水) 07:06:34 ID:???
カワサキはその言葉に思わず立ち上がろうとした。
当然椅子に縛りつけられていて身動きなど取れるはずも無く、床に無様に転がる。
それでもなお顔を目の前のクズに向け怒りに任せ叫ぶ。
「貴様、家族に! 俺の子供に何をした!!」
「何をって……お父さんの職業を体験してもらったんですよ。」
「お前、まさか……」
「ええ、高く売れましたよ。あんたの子供」
「貴様! 貴様ぁ! 家族は何も知らなかったんだ!! 復讐したいのなら俺だけにすれば良いだろう!!」
ドゴ!!
カワサキがそう叫ぶと同時に、彼は床に倒れている男の腹部を蹴り上げ頭を踏みつける。
そしてその言葉が彼の笑みを狂気で塗りつぶしていく。
「それがどうした……お前は今まで何人の人生を壊したと思っているんだ?
そのお前が……そのお前がなに1人幸せに生きてやがる!」
そこまで叫んで彼は突然頭を振る。
「いや違う、そうじゃ無い、俺は別にお前がやってきた事なんてそんなことどうでも良いんだ
そうさ、俺が殺したいからお前も、お前の家族も、血反吐を吐き散らしのた打ち回って絶望の中で殺してやるよ」
41 :
8/11:2005/11/02(水) 07:09:17 ID:???
引きつった笑みを浮かべたまま懐のホルスターから黒光りする大型拳銃を右手で抜く。
軍でも使用しない重く大きい拳銃を。
それをそのまま床に転がる男に向ける。
それでもカワサキは、銃が見えないかのようにわめき続けている。
「よくも俺の妻を! 娘を! 殺してやる! 殺してやる! お前は必ず俺が殺してやる!!」
「ああそうかい、でもそれは無理だ」
ガンッ!!
一発の銃声、それに続くのは重い沈黙。
部屋をしんと静まり物音一つしない。
弾丸はカワサキの眉間を打ち抜き、その運動エネルギーは頭の上半分を吹き飛ばしていた。
彼はその無残な死体を見下ろしたまま動かない。
そして自身が撃ち殺した男に向かい小さな声で話しかける。
「……なんてな……さっきの話は全部嘘さ、俺が殺したいのはお前だけだ。 関係ない奴を巻き込むかよ」
復讐の引き金を引いた彼は先ほどまでとうって変わり、無表情でその顔からは感情を読み取る事はできない。
「って聞こえるわけないか……頭半分吹き飛ばされちゃ……な」
42 :
9/11:2005/11/02(水) 07:11:48 ID:???
ギイ……
彼の背後でドアの開く音。
「よう、終わったようだな。シン」
ドアを開け部屋に入ってきたのは30代の男。
よれよれの白いスーツを着き、2枚目を気取っているのか知れないが
アゴに無精ひげをはやしその締まらない顔はお世辞にもかっこいいとは言えない。
男が話しかけてもシンと呼ばれた彼は反応もしない。
それでも男は気にせずしゃべり続ける。
「しかしお前、役者になった方がいいんじゃないか? 迫真の演技だったじゃないか」
「仲介屋、盗み聞きとは趣味が悪いな……」
シン・アスカはやっと振り返ると男――
『仲介屋』の軽口に答える。
「俺のカワイイ、カワイイシンちゃんに怪我がないか心配で来たのに酷い言い草だなぁ」
「で、お前の用事は何だ?」
シンは男の言葉を無視する。
男はその文字のごとく『仲介』を仕事としている。
その手は広く、ジャンク屋から傭兵。果ては連合、プラントザフトまで恐ろしく広い。
シンとは2年前とある事をきっかけに知り合い、自身はシンの相棒を語り付きまとっているが
それとは裏腹に深入りしてくる事はない。
43 :
10/11:2005/11/02(水) 07:13:35 ID:???
「無視するなよ。 まあそんなところもカワイイんだが……」
「いいから早くしろ……」
「ハイハイ。 シン、お前商売道具は持ってきているよな?」
「ああ、ジャンク屋の倉庫に預けてある」
「じゃ昨日オーブに入港して来たプラントの船を知っているか?」
それは有名な船だった
ザフト所属宇宙戦艦「ミネルバ」
ブレイク・ザ・ワールド事件で最後までユニウス7の破壊を試み。
実際ユニウス7を割り、地球の危機を救いそのまま地球におりて来た。
一部では世界の救世主とまで言われている。
そしてその艦は今、ミネルバに乗り一緒におりてきたオーブ代表首長カガリ・ユラ・アスハを送り届けオーブにいる。
「仕事の依頼なら受ける」
「おいおい、まだどんな依頼か話してないんだぞ? それに今ザフトの依頼は……」
「……そんなことはどうでもいい」
シンはカワサキを殺しても気は晴れなかった。
当然後悔などしていない、それでもこの何とも言えないつまらなさを発散させたかった。
今はどんな『仕事』だろうが大歓迎だった。物事を考える暇さえ無くなれば……
44 :
11/11:2005/11/02(水) 07:16:34 ID:???
「詳しい内容は後にしてくれ、今はそんな気分じゃない」
「はぁ〜たく。 お前も女の子なんだから仕事ばかりじゃなく、もっと自分を大切にしろよ……」
投げかけられた男の言葉に外へと続くドアへと歩いていたシンはピタリと立ち止まる。
シンのその茶色い髪がユラリと揺れ、赤紫の瞳は怒りに歪み、左腕で自分の『生身の右腕』を血が出るほど強く握った。
男の方に怒りで体を焦がしながら振り返る。
「俺は男だ、女じゃ無い……」
彼の体の名前はマユ・アスカ――
あの日、全てを失い連れ去られた少女は。
その心を2年という歳月の中で壊れて亡くし。
あの日、閃光の中に消えた少年の亡霊と狂気をその身に宿し原点へと帰ってきた……
To be continued ?
投下終了、お目汚しすみませんでした。
そして投下直後に間違えに気付く俺は馬鹿orz
>>41 >部屋をしんと静まり物音一つしない。
>部屋はしんと
重ね重ねすみません
おはようございます。
出掛けに覗いたら新作キター!
やさぐれた感じのマユもいいですね、新鮮です。
続き楽しみにしてますねノシ
自分で世界観を構築しましたが、設定の差異が激しい、キャラクターやメカニック等については、
説明する書き込みをしていきます。
増え過ぎた人類が、地球を食い潰す前に、宇宙へ生活の場を広げようとしたのは必然であったのだろう。
絶滅の危機の実感が、地球圏の統一を地球連合という形で成し遂げさせ、
人類は種の存亡を賭けて新たな舞台に上がった。地球連合の結成から半世紀の後、
人類初のスペースコロニー群が完成。それから更に半世紀を掛けて、
第十番スペースコロニー群までの建造と、宇宙への移民が完了する。
これを以って、西暦に代わる年号、コズミック・イラが制定され、人類は賭けに勝ったかと思われた。
しかし、地球連合にとってスペースコロニー群は植民地でしかなく、その自治権は限定されていた。
年月が経つに連れて不満の声を増大させる各スペースコロニー群に対し、
地球連合は軍事力による恫喝という強硬な手段で事態の収拾を図るが、
互いの隔たりを取り返しのつかないものとするだけであった。コズミック・イラ30、
地球から最も遠く離れて位置する第七番スペースコロニー群はプラントを名乗り、独立を宣言した。
プラントは独立に賛同した他のスペースコロニー群を併合、保有の戦力を再編成して国軍を設立する。
コズミック・イラ36、地球連合とプラントは戦争状態になる。
幾度の勝利と敗北が繰り返されても戦争は終わらず、人類は疲弊していった。コズミック・イラ70、
休戦協定としてユニウス条約が締結されるが、軍備の回復が目的の時間稼ぎである事は明らかだった。
そして、コズミック・イラ73、仮の平穏は破られる。
マユ・アスカ
年齢:15歳
身長:159cm
体重:45kg
3サイズ:B75cm/W54cm/H78cm
ザフト特装艦ミネルバ所属の機動兵器パイロット。戦争で両親を失った事を契機に強硬派となる。
史上最年少でフェイスに選ばれ、その優秀さと扱い難さは有名。無愛想だが稀に優しさを見せる。
アビー・ウィンザー
年齢:22歳
身長:168cm
体重:51kg
3サイズ:B84cm/W57cm/H84cm
ザフト特装艦ミネルバ所属の艦載機オペレーター。理論を重視する傾向があり、不確定要素を嫌う。
誠実な性格で、周囲から厚い信頼を得ている。また、恋愛に疎い様だ。
アーサー・トライン
年齢:27歳
身長:180cm
体重:65kg
ザフト特装艦ミネルバの艦長。穏健派で、呑気そうに見えるが、慎重さと大胆さを兼ね備え、
先見の明を持つ策士である。ぐっすりと眠る事が何よりの楽しみらしい。
いやぁ・・・PP戦記にまたどえらい新作と凄いなぁ
>>PP戦記作者
今読み終わりましたが・・・・・・、なんかSS読んだだけで疲労感感じるなんてすげぇや
もはや俺から言える事は何もありません
完結目指してこれからも頑張ってください
>>Injustice作者
隻腕と同じ(?)出だしでもこっちはベクトルがそちらに向くんですな
兄の名を語るマユか・・・、またヘビーで鬱っぽい展開がコワイヨー(・ω・)
ともかくこちらも期待度大でんな。続き期待してますよ
ガンバー(゜∀゜)ノ
しかし両人とも、よくこんなすげぇの書いておいてお目汚しとか言えるなぁw
ちと嫉妬するでホンマ(;´Д⊂)
設定を先に書く読み物に碌なものは無い
というか大抵設定羅列してそこで終わるよね。
設定なんて己の内でまとめて物語の中に反映させるものだし。
見よ、世の中に溢れる最低作品の群れを。
みーんなそれを理解せずにオナニー設定を見せ付けてそこで燃え尽きる。
文句ばっか言うなよ、可哀相だろw
ただ、設定を先に列記してしまうと、そこで「満足してしまう」傾向が強いのは確かだ。
頼むからここで満足せず、お話を魅せて欲しい。
ついでに言えば……ぶっちゃけ、身長・体重・3サイズは情報の重要性として極めて低い要素かな。
データブック等ではよく出てくる数値的データだから、勘違いしやすいんだけど。
大雑把な体格を語った方がかえって読者はイメージしやすいし、他にももっと語らねばならない情報はあるはずだ。
性格とかも、「設定」として語るべき内容じゃない。文章から感じ取ってもらうべきものだろう。
こういう風に出してしまうと、「設定に書いてあるだろ、だから読み取れよ」という態度に(無意識のうちに)なりやすい。
その辺を注意して書いていってもらえば、一番ありがたい。
アビーの「恋愛に疎い」とか、アーサーの「先見の明」とか、それだけで1エピソードできそうだしね。
頼むから、机上の設定に終わらせないで。
>Injustice作者様
これは……今後の展開、どう転がってくか見当もつかないですねぇ。
腕についても、なんというか……気になります。
「?」マークなんてつけないで、是非続きを!
まぁ確かに言いすぎだとは思うが、
さすがにスリーサイズ見たときはなぁ・・・
まぁとにかく本編を見ないことには判断できないしな
killing ranker作者さん、頑張れ
「皆、こっち!」
「おい!!マユ!!」
マユはアウルの声を気にせず走った。
自分がこれからやることが生きてミネルバに帰ってくることも難しくて
たとえ帰ってきたとしても銃殺刑に値する事も解かっている、それは覚悟の上だ。
ハロがアキラと話していた会話に、こう言うものがあった。
「十困ってる者がいれば、九助ける代わりに一を捨てなければならない。」
あのオタク二人組がなんであんな難しい会話をしていたのかは解からないが
それは今の自分に似ていると思った。
アウル達を助けるために自分が犠牲になるのだ。
死んでも寂しくはない、どうせお兄ちゃんとお母さんとお父さんが待っているのだ。
叱られるかもなぁ・・、なんて事を考えながら私はMSの格納庫まできた。
『・・・マユ。』
突然の声に驚くと、そこにはハロが立っていた。他に誰もいない。
『マユ、悪いがここは通せない。』
そう言ってハロは立ちふさがる。
「なんでよ!!ハロには解かるでしょう?!」
ハロはマユの『兄』だ。マユの思考回路なんて簡単に読んでしまうだろう。
『確かに、俺にはマユの言う事は理解できるし納得もできる。』
「だったら!!」
『だが、行かせられない。俺の存在理由は「マユ」だ。俺はマユの為に存在する。マユがいれば俺は「ハロ」であり
「シン・アスカ」だ。けど・・、マユがいなかったら俺は唯の兵器だ。ただ人殺しの道具の試験品。
いらなくなったら捨てられる・・・、唯の道具だ。でも、マユがいれば俺は『シンハロ』だ。
だから、俺はお前を止める、マユ。
そもそも、スティング達が連合に戻って人として扱われなくなるのは『機械』として認められない。
しかし、プラントに戻ってもダメだということも理解している。
けど・・、、マユがスティング達を返しに行ったらマユが殺される。それはだめだ。
「シン・アスカ」としても、「シンハロ」としても許されない。だから・・・・・。』
ハロの言葉はそこで止まった。マユが抱きついたからだ。
「ごめん。」
マユはそう呟いてこの人型ボディのレイと自分しか知らない緊急停止スイッチを押す。
シンハロの体がビクンッと震えてそのまま倒れこむ。
こうすれば誰かが『ハロ』の体に人格データを転送するか、メンテナンスプログラムが完了するまで動かない。
「おい!!まさかお前本気で・・。」
スティングが困惑した声を上げる。
「本気の本気。そこのヘリ使うから・・、あ。ハッチどうしよう・・・・。」
マユは一瞬壊すかとかも考えたがそれはちょっと・・・・、と考えを改めた。
「・・・・・・マユ?」
声に驚いたマユが後ろを向くとメイリンがいた。
「くっ・・・・・!」
これがハイネ隊とかレイだったら余裕で撃滅なのだがメイリンは攻撃できない。
しかたがないのでこっそり持ち出してきたいざという時の為の睡眠薬噴射装置を投げようとする。
が・・、メイリンは慌ててとんでもないことを口にした。
「待って!スティング達を帰しに行くなら・・・私も協力する!!」
「え・・・・・?」
メイリンのとんでもないセリフにマユは目を丸くした。
「何で・・?メイリンが・・・?」
マユは確かにメイリンがステラ達とそれなりに仲良くしているのは知っているが・・。
「だめだ!!」
スティングがメイリンの両肩を掴む。
「見なかったことにしろ!!さっさと部屋に戻れ!!」
スティングは叱り付ける様にメイリンに言う。
「だって!!私スティングに迷惑かけてばっかで!!」
メイリンも負けじと言い返す。
「だってじゃねぇ!!迷惑かけたくないなら部屋に戻れ!!」
「いや!!私だって・・私だって・・・・。」
それからはもうステラはすやすやと寝だし、アウルとマユはマンガを読みながら二人のケンカを聞いていた。
その二人の言葉から理解する二人の馴れ初めや話はもうそりゃ少女マンガ真っ青の青春ぶりである。
寝ているステラはともかく、アウルとマユはおそらく25mプールが埋まるであろう
量の砂糖を口から吐いている。
「マユ・・、口直しに武装○金読みたいから貸せ・・。頭の中がストロベリーだ。」
「いいよ、じゃあアウルもジョジ○貸して・・・。頭の中がディ・モールトやばい。」
「ネオ・・・・ゲン・・・・・。」
結局、マユがスティング達を返すためにミネルバを出発するのは予定より遥かに遅くなった。
なにい!?
いつの間にかステ×メイが成立していただとう!?
ヤバい、ぶっちゃけメイリン関係で初めて萌えたww
>>44 to be continued ? なんて言わずに
是非続けておくれやす
to be continued !! と力強く書いていただけると嬉しい
単発設定小話「マユとザフトの鰯」
マユ「あ〜!また副長ったら、こんなところでサボってるんだから〜!」
アーサー「ギクッ!ま、マユじゃないか。や、やぁ〜君もいまから食事かい??」
マユ「違いますよ!こんな遅い時間に食事なんかするわけないじゃないですか、もう」
アーサー「そ、そうか?じゃ、じゃここへは、な、なにをしにきたのかなぁ〜?」
マユ「夕食にときにハンカチをなくしたみたいなんですよ〜。副長、みませんでしたか?」
アーサー「・・・・・・もしかして、この牡丹の花が刺繍されているやつかい?」
マユ「あ!それです!・・・・・・え?ふ、副長?その、黒いシミは・・・・・・?」
アーサー「ハハ、いやなにね。その、あの、しょ、しょうゆがね、あのね・・・・」
マユ「あ〜もう!このハンカチは私の大事なものなんですよ!それを雑巾にしちゃうなんて〜!」
アーサー「ご、ごめん。ほんとーにごめん。ちゃんとクリーニングしてシミひとつなくして返すから」
マユ「え〜?」
アーサー「本当にごめん」
マユ「もう、そんなだからいつも艦長に怒られるんですよ!本当にぬけてるんだから〜」
プツン・・・
アーサー「ちょいちょいちょい、私だって怒られたくて怒られてるわけじゃないよ!・・・う、ひっく」
マユ「副長?」
アーサー「これでもがんばってるんだよ〜。なのにさぁ〜みんなが好き勝手にするから〜その後始末を引き受けてるのに・・・」
マユ「あ〜・・・そうですようね〜みんな結構自分勝手ですもんね〜・・・(しまった〜ブロックワードいっちゃたかな〜?)」
アーサー「うっうっ・・・赤毛の姉妹は好き勝手暴言するし、レイは無視するし、整備の人たちは片付けないし・・・」
マユ「あ、あのさ、ハンカチはいいから。・・・副長明日は早番でしょ?もうお部屋に戻りましょ?」
アーサー「くぅ〜、私だって昔はザフトの鰯という肩書きでパイロット候補生として輝いてた時期もあるんだよ〜」
マユ「ざ、ザフトの鰯ですか?」
アーサー「どうせ私は狭間の世代にコーディネイターですよ!うっうっうっ」
マユ「・・・・・・(誰かたすけて〜)」
完
話が多すぎてどれがどういう話だったかわからなくなってきました…。
過去ログを読めばいいのは解ってるんですが、続きが投下されたときに、
「はて? これはどういう流れだったっけ?」と混乱するわけで…。
誰か、それぞれの話の短い紹介文を作ってくれませんか?
簡単なあらすじや展開だけでいいので。
つか、必要なら自分で作れ。
「約束どおり一人出来たぞ!!」
ネオがそう言ってウィンダムを降りる。
そこにはステラ達三人組。そしてその前に一人の少女が仁王立ちしていた。
・・・・バズーカに二挺拳銃、そして何より何かのスイッチを手にして。
「ふん、来たか・・・・・。」
明らかに見かけとはま逆の口調で話す少女。
たぶん言葉だけ聴けば微笑ましいが、そこに詰まった殺気は大人でも震えるほどだ。
「この通りステラ達は無事よ。私はステラ達を返しに来た・・・・交換条件つきでね。」
「交換条件だと?」
ネオは眉をひそめた。
「そうよ・・、これ以上ステラたちから・・・・・。」
『ステラーーーーッ!!』
マユの言葉をさえぎり大声と共に上から黒い人影が降ってくる。ストライクMk-Uだ。
ぷちっと上司と思われる仮面の男をあっさりつぶすストライク。
「ゲン!!」
ステラの顔が輝く。
ストライクのパイロットはMSから降りるやいなや、ステラの元へ高速で駆け寄った。
「ステラ無事?怪我はない?体調は?ザフトに変なことされなかったか?
ご飯はちゃんと食べてる?歯磨きはきちんとしなさい?あとお外からかえったら
きちんと手を洗ってうがいしなきゃだめだよ?」
「・・・・おーい、途中からおかんになってるぞー。」
スティングが突っ込むがストライクのパイロットは止まらない。
「・・・聞いてねぇ・・。つーか、俺ら眼中になし?」
アウルがため息をついてぼやいた。
しかし、そんな中、マユはストライクのパイロット・・ゲンをみてなにやら震えている。
「その・・何かしらネジが全て抜け落ちてる言動・・・・異常なまでの粘着質な愛情・・・
そのこと意外は一切目に見えてない執着心・・・・・まさか・・。」
マユはガタガタと二挺拳銃を構えたまま震えている。
「・・・・・・マ・・、マユ?」
スティングがマユの異常に気づきそーっと近寄ると・・。
「何やってんだーーーー!!こんのくそみそ兄貴!!」
と、さけんでゲンの頭に回し蹴りを叩き込んだ。
「死んだと思ったら連合でなにやってんのよ?!修正するわよ?!」
まるで二挺拳銃をトンファーのように構えながら叫ぶマユ。
「なっ・・、何なんだよ!あんたは!!オレはあんたなんか知らないぞ!!」
「ふーん・・、あんだけしつこく兄妹じゃなかったら裁判して訴えて人生ぼろくそにするぞー
ってくらいストーカー行為を繰り返してたお兄様が記憶喪失?ふーん・・・血祭りじゃあ!!」
「なぁっ!!本気で撃ってくる奴があるかー?!」
「うるさい!!その趣味悪い仮面ごと脳髄をぶちまけてやる!!」
「うわぁ!!こんな妹いらねー!!」
「気にしないで!私ツンデレだから!!」
「ツンデレじゃない!!こんなのツンデレじゃない!!」
追いかけっこを始めるマユとゲン。
いや・・、それは追いかけっこといっても生死をかけたものなのだが。
「すげー、マユ。あのゲンを本気で追い詰めてる。」
「確かに・・、あいつはマユみたいな年下・・いや、年下の女の子には手を出せなかったからなぁ
・・・。」
「マユ・・・ガンカ○・・・うぇーい・・。」
エクステンデッド三人組はそれを微笑ましく見守っている。
「しねぇぇぇぇぇ!!オレの下であがけぇぇぇ!!」
「ひぃぃぃぃぃっ!!」
マユの狂気じみた姿にゲンは恐怖する。
「そこまでだ!!」
突然の制止の声にマユはピタッと止まって声の方を見る。
すると、そこにはウィンダムに乗っていた男がビシッとヒーローよろしく立っていた。
といっても、生きているのが不思議なくらいボロボロだったが。
「いや、ヘルメットがなかったら即死だったな。」
「ヘルメットがあっても即死だ、ネオ。」
仮面の男に容赦なくスティングの突っ込みがはいる。
「俺は不可能を可能にする男だからいいんだよ!!・・・・で、お嬢さん?
君はステラ達を俺に返しに来たわけでそこにいる男を殺しに来たわけじゃないんだろ?」
ネオが話しかけるとマユははっとして手を下ろした。
「そうだった・・、バカ兄貴が記憶喪失なんてことになってるから・・。」
「お前なんてしらな・・・・。」
ズキューンッ!!
マユはゲンに当たるすれすれの所を撃った。
「返すのついての条件は一つよ・・・・。
別に戦場から離せとか、そう言う不可能かつ難しいことは言わない。
ただ・・・・・・これ以上、ステラ達から何も奪わないで。」
マユは今にも泣きそうな声で喋った。
「解かった・・約束しよ・・。」
「約束じゃだめ。契約よ。」
マユはネオに言い放った。
「約束を大人は必ず破る・・、だから契約。
契約だったらペナルティがあるから、大人は破らない。
そうね・・、契約違反したら・・必ずあなたを殺す。
ううん・・だめ。コロスだけじゃ飽き足らない・・・。
ずっとずっと苦しめば良い・・、それこそ理性がなくなっても限りない苦痛に悶え死ねばいい・・。」
少女の姿に不釣合いな怨嗟と狂気・・、しかしそれは少女の『大切な人』を守りたいと言う
無垢で純粋な美しい意思から生まれでた物だった。
「解かった・・?これは契約。約束なんて薄いものじゃない。」
少女の目が暗く沈んだままネオを見返す。その目は本気だった。
「・・・・解かった・・・、これは契約だ・・・。」
ネオはしばらくの沈黙のあと、答えを出した。
「うん、それならいいや。」
そう言うとマユはステラ達に別れを告げる。
「またね、ステラ。またお茶しよ?」
「マユ・・・・。」
ステラは悲しそうな目でマユを見つめる。
「またね、スティング。メイリンは必ず私が守るから。」
「・・・・・頼む。あいつ、誰かがついてやらないとだめなんだ。」
スティングはまっすぐな目をマユに向けた。
「じゃあね、アウル。戦場であったらまっさきに襲い掛かるから。」
「なんで俺のだけそんなセリフなんだよ?!」
マユの突然のセリフに突っ込むアウル。
「決まってるでしょ?!私のデザートを食べたものは万死に値するの!!」
「そんなてめぇのルールしるか!!」
「うっさい!氏ね!」
「死ぬのはお前のほうだ!チビ!」
ステラ達から見ればいつも通りのケンカを始めるマユとアウル。
しかし、今日は流石に勝手が違っていた。
アウルの顔面の前でマユは拳を停止させる。
「・・・あんたとの決着はまだついてない。生きてまた生身で私と戦いなさい。
今よりずっと強くなってコテンパンに伸してあげる。」
「ふん!それはこっちのセリフだね!お前なんか圧縮してやるよ!」
あまりにも子供っぽいが、あまりにも悲しい別れの挨拶。
「そう、あと最後の一人・・・。おい、バカ兄貴。」
マユは先ほどのバーサーカー状態になってゲンを見つめる。
ゲンはビクッと身構えるが・・・。
マユはにっこり笑ってこう言った。
「早く思い出して迎えに来てよね、お兄ちゃん!」
そう言って、マユは背を向け、乗ってきたヘリに乗り込んだ。
>>60 そこまで面倒見切れるか、ボケッ 犬以下だなてめぇは・・・乞食が
>>67 まあまあ。
お前の言いたい事もわかるがもっとまったり行こう。
>何かしらネジが全て抜け落ちてる言動・・・・異常なまでの粘着質な愛情・・・
>そのこと意外は一切目に見えてない執着心・・・・・
ひでえw
まさにくそみそだが、シン厨の俺ですら否定できないのがさらにワロスw
くそみそ兄貴ワロタww
マユがゲンを兄貴呼ばわりしてるのにステラ達は動じないのは何故でしょか。
伏線?
ステメイの行方が果てしなく気になる俺がいる
>>70人型シンハロのせいかもな でもそうなるとゲンがシンハロに会ったときどんな顔するか楽しみだw
とゆうかステメイがステラとメイリンに見える件について
スティメイと表記すればよろし。
別にレズ好きではないが、ステラとメイリンもありかなと思ってしまった。。
75 :
70:2005/11/03(木) 23:42:44 ID:???
>>72 なるほど!たしかにシンハロいたもんな。
ゲンがシンハロに出会ったときどんな反応するか禿しく気になるww
ほのぼの成立?
アウマユ
シンステ
スティメイ
あと何かあったか?
アーモリーワン――。プラントに属するスペースコロニーで、大規模な軍事施設を有し、
アステロイドベルトに於けるザフトの重要拠点である。ここにミネルバは寄港していた。
「何故、戦闘を強行したんだい?」
「彼我の戦力差を考慮し、私のみで敵勢力の排除が可能と判断したからです」
「あー、そうじゃなくてさ……」
ミネルバの艦長室。マユはアーサーの問い掛けに答える。
「あれが、領域を侵犯していた地球連合軍の部隊だと確認は出来たよ。けど、やり方が乱暴じゃないかな?」
「プラントの脅威に対して寛容である必要は無いでしょう」
「警告を与えるくらいはするべきだね。あの時点で敵勢力だと見なすには情報が少なかった」
「武装して領域を侵犯していれば、攻撃する理由には十分です」
溜め息を吐いて、アーサーが椅子の背もたれに寄り掛かった。
「見解の相違かな?」
「はい」
きっぱりと返事をするマユに、アーサーはもう一度溜め息を吐く。
「武力行使は一つの手段でしかないよ」
「極めて有効ですが」
「……まあ、良いさ。適当に報告書を――」
机に備え付けられた端末のコールが鳴り、アーサーが通話の操作をすると、
ディスプレイに開かれたウインドウに映ったのは、ハイネ・ヴェステンフルスだった。ミネルバの副長だが、
はっきり言って、艦長のアーサーよりも威厳が有る。
「何かな、ハイネ君?」
「イザーク・ジュール議員から、艦長とマユに出頭要請です」
「ん?」
「案内はさせるそうです」
「……直ぐに行くよ」
通話を終えると、アーサーは椅子から腰を上げてマユに言う。
「それじゃ、付き合って貰おうかな」
「はい」
「心当たりが多過ぎて、何の事で呼ばれたのか分からないね」
「そうですか」
「…………その原因の殆どは君なんだけどな……」
アーサーは困った顔をして呟いた。
訂正です。
「プラントの脅威に対して寛容である必要は無いでしょう」
↓
「プラントへの脅威に対して寛容である必要は無いでしょう」
アーサーはヤンポジか
ホス
「・・・・・・・・・・・・・。」
マユはミネルバの格納庫に戻り、黙ってヘリから降りた。
周りを銃をもった男に囲まれる。
その中に、一人なんの武装もしていない男がいた。
「ゼロお兄ちゃん・・・・?」
特に自分と関わりのない彼がどうしてここにいるのだろうと考えていると・・。
突然、頬を叩かれた。
「え・・・?」
まさか予想もしていなかった痛みに呆然とするマユ。他の面々も驚いている。
「どうして余計なことをした!!」
ゼロが普段からは考えられない怒りの声をあげる。
「あと少し!!あと少し苦しみに耐えるだけで!!彼らは『兵器』から『人間』に戻れたんだぞ!!
それをキミが余計なことをして連合に戻した!!キミさえいなければ・・・・!!」
冷静な仮面を完璧に崩して激昂するゼロ。
「ゼロ!落ち着け!!」
ようやく追いついたと思われるハイネ隊の面々がゼロを取り押さえる。
「離せ!!許さない!!絶対に許さない!!」
ゼロは暴走を続ける。
「ゼロ!今は過去を悔やむよりこれからの事を考えろ!お前らしくないぞ!!」
ハイネの言葉にハッとしてようやく冷静になるゼロ。
「・・・・・すまない。」
そう一言言うとゼロはバッと包囲を振りほどきそのまま帰っていった。
「どこ行くんだ!!ゼロ!!」
「射撃場!!」
ゼロはまだ怒りが収まっていないらしくずんずんと行ってしまった。
「・・・ゼロが・・射撃場?」
カルマがぽつりと呟くとハイネ隊の顔からさぁっと血の気が引いた。
「やばい!!ゼロをとめろ!射撃場が使い物にならなくなる!!」
ハイネ隊はわーっと慌てながら騒がしく去っていった。
「あぁ・・・。」
射撃場についたアキラは絶句した。
的という的は全て真っ二つにされ時には何百もの破片にされてるものもあった。
「やっちゃった後だったわね・・・。」
グレイシアが頭を抱える。
ゼロは息を荒くしながら射撃場の中心にいる。
その手には拳銃ではなく、一枚の布だった。
「はぁ・・はぁ・・・・・っ!!」
いまだに興奮しているらしく、さらに真っ二つになった的を布で切り裂く。
またある的は布地で締め付け、砕く。
「・・ゼロのこの技、MSに生かせないのが残念だよねぇ・。」
キースが他人事のように呟く。
「布で鉄を切り裂くなんて少年漫画みたいなことやっちまうのは凄いんだけど・・、対人ならともかく
MS戦じゃあビーム兵器にやられて終わりだし・・・・それに。」
ジョーが呆れながら言う。
「それ以前にそんなこと行っても軍の上層部は信じてくれないしね。」
ましてや問題児の集まりの『ハイネ隊』なんかじゃさ、とカルマがため息をついて続きを言う。
「ハイハイ、ゼロ君そこまで。」
ハイネがゼロの肩をぽんっと叩く。
「ハイネ・・・。」
ゼロは相当汗をかいていた。無駄な事を嫌う彼はめったに汗をかかない。
「落ち込んでるゼロ君に嬉しいお知らせv」
「?」
ウィンクするハイネに?マークを浮かべるゼロ。
「ハロに頼んどいた物がジブラルタルに届いたそうだ。きっと気に入るぞ。」
「???」
ゼロはハイネの言葉にさらに?を浮かべた。
しかし、ハイネは満面の笑みを浮かべてゼロを見つめるだけだった。
オリキャラと既存キャラを交互に紹介していくことにしました。
キャラクターファイルそのB
ゼロ
無表情なお兄さん。ハイネ隊のドラえも〇的存在であり最終兵器。身長177cm。
年齢不明。アキラと同室。
過去が不明の人だがたぶん読者は気付いているだろう。ハイネ隊のメンバーも一
応知っている。
性格は冷静沈着、どんなことでも慌てない。携帯のメールは何故かギャル文字。読みにくい
。寂しがり屋さん。
ネオロマシリーズ出ても違和感のないくらいの雰囲気を持っているが、
濃いハイネ隊のキャラの性でまったく生かせてないので、女性陣はノーマークだったりする。
布を使った超人的戦闘方法はもの凄いのだが、対人戦限定なのであまりお披露目する機会に恵まれない。
また、必ず体のどこかに何かを持っている。その何かは気分によって変わる。
シンマユの2年前フィギュアに萌えてしまうのは正直このスレのせい
age
廃れてるな…一時期が嘘のようだ
良いよ別にこんな感じで
雑談スレじゃねぇんだからさ
まぁ落ち着いてきたってことで
単発設定小話「アスランとラクス」
ラクス「確かに、あなたはアスランなのかもしれません」
アスラン「!?」
ラクス「でも、アスランである前に戦士なのでしょう?」
アスラン「えー!?俺の人格は後回しなのかよ!?」
ラクス「・・・きっと、そういうことなのですわ・・・・・」
アスラン「え、いや、あのさ、え、えー!」
メイリン「・・・・・・(こいにのついてきたの失敗だったかも・・・)」
ラクス「ジャスティスは、あなたのお好きなようにしてくださいな」
アスラン「・・・・・・あの、もうちょっと俺の人格について話し合わないか・・・?」
ラクス「・・・やりたい、と思ったときに力がないのはつらいものですからね・・・」
アスラン「そういうことじゃなく・・・」
ラクス「自爆コードは以前のジャスティスと同じにしてあります」
アスラン「はっ!?」
〜ジャスティスで発進するアスラン〜
アスラン「アスラン・ザラ、ジャスティス。出るぞ!」
ミリアリア「ジャスティス、発進どうぞ!」
〜AAから発進するジャスティス〜
アスラン「もう、マユに泣きつくしかないじゃないかー!」
メイリン「・・・・・・(やっぱこの人ヘタレだわ)」
完・・・「マユが主人公じゃなくても」ということは言わないで。。。
↑一箇所修正
誤:メイリン「・・・・・・(こいにのついてきたの失敗だったかも・・・)」
正:メイリン「・・・・・・(こいつについてきたの失敗だったかも・・・)」
単発屋さん、別に長文でなくても時系列順でなくてもいいから、「全部繋がった話」作らんかな
もちろん、マユが主人公でなきゃ意味ない部分で
94 :
単発屋:2005/11/06(日) 23:13:04 ID:???
>>92 釣るきはないよ。ただマユをださないでマユをなんらかのかたちで語れないかと
思って作っただけっす。まぁ、難しいというのが結論でしたが。。
>>93 「マユが主人公でなきゃ意味ない部分」ごもっともです。
「全部繋がった話」はどうだろ?一通り設定をつくらないかんよねぇ。。
>>94 毎回、マユを直接出す必要はないと思うけど。
何かしら、シンと入れ替えた影響は出ないとスレ的にはどうかと思う。
今回の小品、最後の一言が「別に他の人名言ってもいいじゃないか」という感じだから。
連載長編なら、それまでの2人の関係を示せるから、一言のオチで十分だったのかもしれないけど。
話を転がしながら設定の出来上がる部分もあるから、最初から全部作る必要もない。
ただ、背骨に当たるような所は、作っておかないと逆に話に流されて収拾つかなくなる。
どの設定が骨幹でどの設定が枝葉か、ってのは見極め難しい部分だけど。
とりあえず――マユの位置づけだけ決めておけば?
単発屋さんの場合、他の書き手と被ることを恐れる必要はないと思う
……しかし自分で名乗られますか単発屋さんw 適当に呼んだだけなのにw
>>単発屋さん
実は楽しみにしているので頑張ってください。
自演乙
まぁ保全代わりに書いてくれたんだろ<単発屋さん
おもんないシリーズを延々と続けられるよりずっといい
一行余計なんだよ
102 :
通常の名無しさんの3倍:2005/11/07(月) 20:30:38 ID:or0ENeJX
保守
「・・・ごめんね、メイリンお姉ちゃん。巻き込んじゃって。」
「別にいいよ、私も自分がやりたくてやったわけだし・・。」
ここは独房。メイリンとマユは連絡がつくまでここで拘束されている。
「メイリン!マユ!」
突然の声に驚くと、独房の前にルナマリアが立っていた。
「何でこんな馬鹿な事やったの?!」
ルナマリアは目に涙を浮かべながら叱咤する。
「何で・・・!!何で捕虜を帰すなんてバカな真似したの?!
軍人だったらそれくらいわかるでしょ?!自分が殺されるのよ?!」
ルナマリアは怒りながらボロボロと涙を流す。
そんなルナマリアにメイリンは申し訳なさそうに、一言言った。
「・・・お姉ちゃんはさ、好きな人を守るのに理由がいるの?」
そして、メイリンはまっすぐルナマリアに視線を向けた。
「スティング達がプラントに送られたら、散々身体をいじくられて、人として
見られなくて、最後には殺さるかもしれないのに・・・私は黙っていることなんて出来ない。」
「でもっ・・!!メイリンが何でっ・・・・!スティング達は私達のこと忘れちゃうのに!!」
「・・・記憶に残るとかそう言うのは関係ないよ、お姉ちゃん。私はスティングのことがすき。
それは絶対の事実で、スティングの思い出がなくなっても変わらない。
スティングが生きれるっていうなら、たとえ私のことを覚えてなくてもかまわない。
私はスティングが・・、ちょっとでも幸せを感じて生きてくれるなら・・・それだけで充分。」
メイリンはそう言って両手を胸に当て重ねる。
まるで大事な宝物を守るように。
「・・・・おーい。二人ともー?もしもーし?」
その頃、隣の独房のマユは完璧に置いてけぼりだった。
ガッ
今日日ぬるぽとか5年ぶりくらいに見た
恥ずかしいから止めなよ・・・古いよそれw
>>106 古いてか俺はなぜか毎日のように目にしていたりするわけだが何故だろうな
それはさておき俺は今までPP戦記以外読んでなかったわけだが隻腕をはじめて読んでみた
なんでいままで食わず嫌いしてたのか疑問になるくらい良作だったorz
食わず嫌いイクナイw
俺はトリアーエズ全部見ている。
別のスレで小ネタ書いてる俺としてはそれぞれの作品に
作者の個性が出ていて大変勉強になる。
俺もマユ種以外食わず嫌いだった
いざ口にしてみると、今まで嫌いだった自分を罵倒して月光蝶に巻き込んでやりたくなるくらい面白い作品だった
てか種のSSって良作が多い気がする
学園ものの方もあるし
やっぱり種シリーズは迂闊で残念な作品だったのかしらね
基本的にキャラ設定は結構魅力的だし、美味しい伏線もたんとあるからな。
まぁ、問題はそのキャラ設定も伏線も本編が全然消化しきれなかった事にあるのだが・・・
種シリーズは素材はいいんだ。
ただ料理人の負債がどうしようもなく無能だっただけ。
腐女子以外が書いたSS見てるとそれ痛感する。
そもこのスレの発端も「素材はいいんだからマユをダシにして作り直したらどうなる?」って
妄想から始まってるからな・・・素材はいいんだよ、ほんと。
それでここ以外にも終わりの見えてこない大作(褒め言葉です)リバイバルスレや
連合サイドスレ、スティングスレなどが生まれたわけだ
そう、繰り返しになるかもしれないけれど、「種は素材は悪くない」んだよねぇ…
俺は隻腕以外読んではないが、解釈を深めるために設定を付け足したり変えたりしているという姿勢を評価してる
何もかもしっちゃかめちゃかにメス入れて、原型をとどめてないような作品にははらわた煮えくりかえる思いだな
消えてくれてせいせいしたよ。誰とは言わないけど。
素材は良いのにそれでできたものが糞すぎて・・・
だからこそこんなにも素敵なSSがある
そう考えると種、種死の糞っぷりはあれで良かったとも思えてくる
負債は糞だが
突然ですが2話前編を投下させてください。
ちょっと長くなりそうなんで前編だけ……
117 :
1/9:2005/11/08(火) 21:30:37 ID:???
赤い髪と、ピンと跳ねたくせ毛が特徴の少女――
ルナマリア・ホークは宇宙戦艦ミネルバ内のMS格納庫を歩く。
本来なら十数機のMSが並んでいるはずの格納庫には、自分の搭乗機の赤いパーソナルカラーに塗られたザク・ウォーリアと
予備機のノーマルザク・ウォーリア1機の計2機だけ。
ミネルバには他にも1機、別にMSがあるがザクの1機は予備機なので戦力になるのはたったの2機。
強奪事件による芋ずるしきの出撃と、その後の戦闘で元々定数に満たなかった搭載機は、ほとんどやられてしまった。
その格納庫はガランとしてなぜか寒々しく感じる。
Gundam Seed Injustice 第2話『戦争屋(前編)』
1
119 :
2/9:2005/11/08(火) 21:32:22 ID:???
「お? なんだ、ルナマリアも見に来たのか?」
後ろからかけられた声にルナマリアは振り向く。
そこにはアカデミーからの友人、オレンジ色の前髪が特徴的なMS技術スタッフのヴィーノ・ディプレと
同じく友人でMS技術スタッフのヨウラン・ケントが笑いながら立っていた。
「違うわよ。 私は任務!」
「そうなのか、俺はルナマリアもゲストを見に来たのかと思ったよ」
「そうそう、だってルナマリアはこういう話題好きそうだもんな〜」
ミネルバ艦内は今、これから来るゲストの話題で持切りだった。
ゲストと言っても本当に客人と言った訳では無く、ミネルバに不足しているMS戦力を一時的に補うために司令部に雇われた傭兵のことだ。
苦肉の策だが、中立国に補給を送ることも世界情勢が悪化している昨今、カ−ペンタリアの戦力を動かす事もザフトには出来なかった。
かと言って新造戦艦のミネルバをそのままにしておくことも出来ない。
そのためフリーの傭兵を雇い戦力を補うことになった。
ルナマリアの任務とはその、これから来る傭兵の出迎えと案内だ。
「でもさ、ゲストってどんな奴なんだろうな?」
ヴィーノの言葉はルナマリアも持っていた疑問だった。
アカデミーを卒業して間もないルナマリアは当然傭兵に会ったことなどない。
簡単なプロフィールなどは教えられていたが顔などは知らない、イメージとしては……
筋肉質で厳つい男。
交戦的で笑いながら人を殺せる卑劣漢。
そこまで考えて顔を思わずしかめた。
わずかな間とはいえ自分は同じパイロットとして同僚になるのだ、そんな人間は出来れば勘弁してもらいたい。
とその時、艦内放送がかかり聞きなれた妹、MS通信官制担当のメイリンの声が流れ出す。
120 :
3/9:2005/11/08(火) 21:34:20 ID:???
『“ゲスト”が着艦します。 各員、持ち場に付いて下さい』
放送と同時に格納庫の扉が開き、巨大な影がゆっくりと進入してくる。
ルナマリアはその影へ一歩進み出る。
「おい、ゲストのMSってダガーLじゃないか!」
その影を見てヴィーノは思わず叫んでしまった。
ルナマリアも当然その格納庫に入ってきたMSは知っていた。
プラントの宿敵である地球連合軍の主力MS「ダガーL」
そのダガーLは正規軍のスタンダードカラーとは違い、深い緑のジャングル迷彩に塗られ
右肩の前面部には串刺しにされたライオンのエンブレムを付けている。
「あの背中の、あれが連合のジェットストライカーか……腰には各種グレネードホルダー、胸や肩に付けてあるのは対人スチール・レインか?
結構イジってあるな。 特に対人装備がかなり充実してるみたいだ」
後ろでは、誰も聞いていないのにヨウランがゲストのMSの解説をしている。
ルナマリアも目の前で動くMSを見上げる。
中立国内なので武装を外しているようだが、あちらこちら傷つき歴戦を窺わせる外見だ。
そのMSは誘導員にしたがいハンガーに固定されると、すぐにコックピットが開いた。
(いよいよ降りてくる……)
ルナマリアはガラにもなく少し緊張する。周りにいるスタッフも同じようだ。
121 :
4/9:2005/11/08(火) 21:35:57 ID:???
降りてきたのは予想に反して小柄な人影だった。
宇宙用の密閉型パイロットスーツではなく、少し大きめの連合空軍の戦闘機用パイロットスーツを着ている。
そのヘルメットをゆっくり取ると、短い茶色の髪が広がりその顔がのぞく。
現れたその顔はルナマリアの想像とはかけ離れていた。
目の前の傭兵は、ルナマリアより少し幼いくらいの少女に見えた……
「あなたが……シン・アスカ?」
「ああ、そうだ。 まあヨロシク頼む」
その言葉とは裏腹にその傭兵は蔑むような笑みを浮かべ
そこからは本当に友好関係を結ぶ気などカケラも感じられなかった。
122 :
5/9:2005/11/08(火) 21:37:30 ID:???
オーブ行政府。
そこではユニウス落下テロと、それに続き大西洋連邦から突きつけられた安全保障条約への加盟、それへ対応に追われていた。
「ダメだ、ダメだ、ダメだ! 同盟など認められるはずが無い!!」
居並ぶ閣僚を前にし、オーブ代表首長カガリ・ユラ・アスハは孤独に自身の考えを訴え続けている。
しかし閣僚達はその訴えを本当に真面目に聞いているのか、白けきっている。
皆分かりきっているのだ、こんな会議をしたところでオーブが進む道は一つしかない事に……
そんなカガリに、閣僚の1人ウナト・エマ・セイランは苦虫を噛み潰したような表情の顔を向ける。
「代表……あなたも分かっているはずです。 我がオーブにはこの同盟を跳ね除ける事など出来る訳がありません」
確かにカガリにもわかっていた。
今のオーブにはこの圧力にあがなうことは出来ない。
でもしかし、それでも……
「それではオーブ中立はどうするのだ! それをよりによって2年前、オーブを焼いたその国と同盟を結ぶと言うのか!」
「ですがオーブを復興させたのもまたその国です。 それにオーブ資本にも深く食い込まれているのです。
もはやオーブが大西洋連邦に反抗する事など出来ないのですよ……それともプラントとでも結ぶつもりですか? 代表は?」
123 :
6/9:2005/11/08(火) 21:38:21 ID:???
オーブを復興させるにはどこか、支援国が必要だった。
それを名乗り出たのが大西洋連邦だった。
そしてオーブ復興に関して、大西洋連邦は多方面でその影響力を落としていった。
実質、属国と言っても差し支えが無いほどに。
今大西洋に付かないということは中立どころか孤立になってしまう。
それが嫌だからと言ってプラントに付くわけにも行かない。
ブレイク・ザ・ワールド事件は全世界的な反プラント感情を生み出し。
それこそ、ブルーコスモス強硬派に匹敵するプラント殲滅論が当たり前に聞かれるようになった。
そのプラントに付けばオーブも全世界から同じ憎しみを向けられることになる。
「しかし! それでは父上の……」
「文句ならその父上、ウズミ様に言う他に無いですな。
大元の原因を作ったのはウズミ様なのですから」
ウナトの突き放すような言葉にカガリは力なく椅子にうなだれた……
そしてそのまま閣議は終了し、カガリと閣僚は一同に重い足取りで部屋を出て行く。
それを見送りつつウナトは一つ、深くため息をついた。
124 :
7/9:2005/11/08(火) 21:39:36 ID:???
「憎まれ役も辛いですねぇ父上♪」
締まりの無い声、それはウナトの実の息子。
カガリとの話し合い中には一言もしゃべらず、傍観を決め込んでいたユウナ・ロマ・セイランだった。
閣議が終了しガランとした室内にはセイラン親子2人だけ……
「大西洋連邦との同盟、それはいいとしてプラントはどうするのです?」
「戦端がひらかれたらアレックス……いやアスラン・ザラに行ってもらう」
「へぇ〜カガリの恋人様をねぇ。 役に立つのかい、そいつは?」
ウナトの答えにユウナは少し思案する。
ユウナとカガリは親が決めた結婚相手、許婚同士。
しかしユウナからはその相手を思いやる気配など微塵もしなかった。
「アスラン・ザラ個人には何も期待していない、必要なのはザラの性だ。
それにもうプラントと話は付いている。 プラント、議長にはザラが必要なのだ。
議長の傍らにパトリック・ザラの息子が付いている……それは旧ザラ派を納得させるにはもってこいだ。
連合と戦争になるときにザフトを一つにまとめねばならぬからな
それにオーブのプラントへの交渉チャンネルにもなる。 チャンネルは多ければ多い方がいい」
「なるほど、それはいいよ。 でもカガリが承知するかな……?」
「どんな事があろうと、カガリ様には承知してもらう」
125 :
8/9:2005/11/08(火) 21:41:05 ID:???
ウナトは強い口調でそう断言し、ユウナは少し眉をひそめる。
「まあ仕方ないね、そこら辺は僕に任せてよ。
しかし僕達がこんなにも国の事を考えてるのにカガリは中立、中立……それしか言えないのかね?」
「そう言ってやるな、カガリ様とて頭ではわかっておるのだ。 ただ……」
「ただ……なんです?」
ユウナはあくまでヒョウヒョウとした態度でどこまで真剣なのかわからない。
ウナトはその息子の様子に心底疲れたと言うような顔をする。
また一つため息をするとゆっくり口を開く。
「今は亡き父、ウズミ様の亡霊にいまだ取り付かれているのだ。
カガリ様はまだお若い、それに代表としての経験も未熟だ。 父の取った中立政策が一番良いことだと思い込むのも無理はない。
本来ならばもっと経験をつむ時間が必要なのだ。 だが今のオーブにはそのような事も言ってはられぬ……
だからこそ我々はカガリ様を支え、正しい方向に導かねばならん」
ウナトの表情には深い苦悩が浮かんでいるかのようだった。
126 :
9/9:2005/11/08(火) 21:41:54 ID:???
「そんな役立たずの代表なら、いっそのこと更迭して父上が代表になれば良いのですよ」
さもいいことを思いついたかのように、ユウナは愉快そうに恐ろしい事を口走る。
「な! 馬鹿のことを言うな、そのような事をすれば下手をすれば国が割れるぞ!!」
「たしかに、アスハ派の海軍や宇宙軍は『セイランがオーブ代表を手に入れるため、カガリ様を更迭した』などと言い出して暴発するかもしれないね。
でも陸軍はこちらに付いてくれるよ。 彼らは2年前を忘れたわけではない……」
「ユウナ、いい加減にしないか! オーブの代表は常に綺麗であるべき、影であるセイランではだめなのだ。
オーブ代表首長のためのアスハ家であることは、お前も分かりきっていることではないか!!」
ユウナの言葉は事実上のクーデターを起こせと言っているも等しい。
さすがにウナトもそれを聞き流す事はできなかった。
「父上、冗談だよ。ジョ・ウ・ダ・ン♪」
「冗談でも言っても良い事と悪い事がある!」
ユウナは何でも無いかのように笑みを壊さず、おちゃらけた口調でウナトに答える。
しかしウナトは、その目が全く笑っていないことに気が付いてはいなかった……
To be continued
以上です。お目汚しすみませんでした。
>>127 リアルタイムで見ました、乙です!
>>114 だから空気悪くするなって。おまいが消えてくれ
マジでインジャスティスは展開が読めんなぁ。そういう形でミネルバに入るか。GJ!
てかダガーLが強そうなのはなんでだろw
単発設定小話「マユとレイとアスランとメイリン」
〜逃げるグフ、追いかけるディスティニー、レジェンド〜
マユ「なんで?なんでなのアスランさん!?なんで裏切るのよー!」
アスラン「っちぃ。マユ!やめろ!」
レイ「マユ!いまのアスランにはなにをいっても無駄だ。油断してるとお前がやられるぞ!」
アスラン「く、レジェンド?レイか!?」
レイ「アスラン!なぜギルを裏切る!裏切り者はどこまでもいっても裏切り者ということですか!」
アスラン「マユ、レイもやめろ!議長の言葉は心地よく聞こえるかもしれない。」
マユ「アスラン!いまならなんとか、わたしがなんとかするから。戻りましょう!」
アスラン「マユ!議長の言うことはお前という人間がいなくなることを意味してるんだぞ!それに気づけ!」
レイ「フン、戯言を言う。じゃあ、あなたは、あなたのお仲間たちは何を示してくれるのですか!?
なにも示そうとしない、導く気もない。ただ嫌だとしか言わない。そんなもの、わがまましか言えない子供でしかありませんよ!」
〜ぼこぼこにされつつあるグフ〜
アスラン「・・・くそ、グフがもたない?メイリン!お前だけでも脱出するんだ。もうグフがもたん!」
メイリン「アスラン・・・いや、いやよ。もうあそこには戻りたくない!」
マユ「!?メイリン姉ちゃんもグフに乗っているの!?」
レイ「アスラン!メイリンまで道連れにしているのですか!」
メイリン「マユもレイも聞いて!議長のプランはアスランの言うとおり、私たちをなくしてしまうのよ?自分がいなくなるなんてもうたくさんなのよ!」
マユ「・・・メイリン姉ちゃん?なにをいっているの?」
メイリン「ミネルバで私は少しずつ自分をなくしていったのよ!お姉ちゃんはマユにとられるし、アスランさんはマユばかりかまうし、
挙句の果てにあんたはフェイスになってインパルスで勝手にでていって私の仕事さえも奪って!・・・わたしのもっていたもの、ほしいもの、やるべくこと。
ぜんぶ、ぜんぶあんたがとってたんじゃないのよ!!」
マユ「・・・・・え?メイリン姉ちゃん!?」
メイリン「あんたなんて、いなくなっちゃえばいいのよー!」
アスラン「(マユの動きが止まった!?・・・メイリンのことはともかく!)・・・・・・そこっ!」
マユ「!?直撃?・・・・・・スラスターが、効かない?お、落ちるっ!?」
レイ「マユ!だから油断するなと!・・・・・・アスラン!」
アスラン「グフもここまでか・・・ええい、あとはどうにでも・・・」
メイリン「う、ひっくひっく、うぇ、ううっ」
レイ「アスラン!俺は許しませんよ!ギルを裏切るなんて!」
〜海に沈むグフ、着水するディスティニー、ディスティニーを救出するレジェンド〜
マユ「・・・・・・メイリン姉ちゃん・・・わたしはなにをすればいいの?どうすればもとにもどるの?」
レイ「マユ、大丈夫か?」
マユ「わたしは、わたしはいったいなにがしたいのよー!」
完
GJ!
レイのセリフでマユに聞かれたらミネルバに帰れなくなりそうなのがあるなwでも本編でもこれぐらいは言ってもよかったよな
あとはメイリン…う〜んセリフはシリアスかギャグかきっちり絞った方がいいぞ
ほのぼのみたいに最後の最後で落とすのはちと難しいからな
インジャスティスさん乙です! 序盤からドキドキする展開、のめり込めますねー
個人的にはセイラン家の描写が良かったです。今後の動向に期待w
お目汚しなんておっしゃらずバンバン書いてください!楽しみに待ってます
○月☆日
独房は激しく暇なので、たまってたプラモデルを作る事にする。
レイ兄ちゃんにライトや道具も持ってきてもらってレッツトライ。
・・・・・・・独房は空調があまり聞いてないのを忘れてスプレーを使いとんでもないことになった。
メイリンお姉ちゃんにお詫びにアイスをおごる約束をした。
本日のおやつは紅茶のシフォン。
ふんわりクリームとの絶妙な甘さのバランスがたまらない。
○月■日
ルナマリアお姉ちゃんがNAN○を持って来てくれたので、メイリンお姉ちゃんと二人で読む。
CDも聞いて、映画のキャストについて文句をいったりする。つーかナオ○出番すくなっ!
ノリノリでレ○ラと○ナの物まねで歌っていたところをご飯を届けに来たハイネお兄ちゃんに目撃される。
笑われると思いきやみっちり歌のレッスンをさせられた。疲れた。
今日のおやつはニホンのオキナワって所のドーナツ「さーたーあんだぎー」
アキラお兄ちゃん特製であげたてサクサク。
○月△日
アキラお兄ちゃんがモニターつきゲームを持ってきてくれた。
これでTVがなくても遊べる!やったね!嬉しーど!
アキラお兄ちゃんが持ってきてくれたゲームソフトは・・・・・。
『王子○Lv1、Lv1.5』
・・・・・・本気かいな、あの人。
ちなみにメイリンお姉ちゃんはNAN○のゲームを貸してもらったらしい。ずるい。
今日のおやつはクッキー。
飲み物のココアにはマシュマロが浮かべてあった。
○月×日
王子が育たない!!何故ですか?!
メイリンお姉ちゃんもノ○を落とせないと騒いでいた。
何故か一番嫌いな○クミばかり好感度が上がるらしい。世の無常よのぉ。
今日はおやつは遠慮しておいた・・・。
さすがにコーディといえどそろそろやばい。
○月♪日
・・・・・・・緊急事態で、インパルスが必要になったらしく私が呼ばれる。
メイリンお姉ちゃんもブリッジに一時的に戻る事になった。
まだ、この時私はあんな事になっているなんて想像もしなかった。
マユ「レイ・・戦闘中にストライクのパイロットと何を話していたの?」
レイ「説得を試みた。『お前が連合の為に戦うのはおかしい。コーディネーターならお前もザフトに来い』と。」
ルナ「ばかねぇ。そんな事しても却って嫌われるだけよ。『キモイ』って」
マユ「そうですね(笑)・・・ってアスラン隊長?どうしたんですか?」
アスラン「いや・・・頼むからそっとしておいてくれ」
135 :
くまくま:2005/11/09(水) 22:21:06 ID:???
シン「くまぁぁぁああぁ!!!」
マユ「クマー!」
アスラン「くま!?」
レイ「……クマ」
ルナマリア「くま☆」
タリア「クマ…#」
アーサー「くまぁ!?」
デュランダル「クマ」
ハイヌ「くまぁっ!」
捨て裸「……く……ま……」
キラ「クマ梶v
ラクス「くま♪」
くまくまくまくま
まちがえた。ごめんなさい。
むしろイ`
age
>>140 これって確か韓国の絵師の仕業じゃなかったか?
5体合体ゴッドインパルスもあそこの絵だったなぁ
「で・・、最適化したステラ達はどうだ?」
ネオ・ロアノークはエクステンデッド担当の医師に言った。
「はい、なにやら報告によると前とだいぶ変わった所があるようで・・、
まぁ、戦闘に支障はないでしょう。お聞きになりますか?」
「あぁ。」
医師の報告にネオは耳を傾けた。
「まず、ステラ・ルーシェについてですが・・、なにやら食後にデザートを
求めるようになったようです。」
「は?」
ネオは思わず間抜けな声をあげる。
「しかも、ガトーショコラだのバナナオムレツだの今まで食べさせたことの
ないようなものばかり求めるそうで・・・。」
「もういい、他の奴らは?」
ネオは気を取り直して言った。
「ゲン・ヘーアンについては他のエクステンデッドから聞いた話なのですが
なにやら・・・美少女ゲームをやりながら『そうだよなー、マユ。マユはお兄ちゃん
のこと大好きだもんなー。』と無意識のうちに喋っているのを聞いたそうです。」
「・・・・・・・・・。」
言葉を失い頭痛のする頭を抑えるネオ。
「そして、スティング・オークレーですが、なにやらステラ・ルーシェの髪を
二つに頻繁に結んでいるようです、というか気がつくと勝手に結んでいるらしいです。」
「・・・・・・戦闘に支障はないが、ろくなもんがないな。」
ネオは思ったままの言葉を口にした。
「あ・・、しかし最後にいい方向に変化している奴がいます。」
と、なると残りのひとりだろう。
「アウルか?」
「はい、何やら急に体を鍛え始めたそうです。」
そうして医師は最後まで報告をして戻っていった。
「・・・・・・・いくら消しても本当に大切なもんは消えないのかねぇ・・。」
そう言ってネオが見たモニターの先には、巨大なMSの図があった。
ゲン以外元ネタわからんがワロスwww
ミネルバクルーと生活してたからだろうなw
ステラ←ルナ
ゲン←アーサー(最後のマユの蹴り?)
スティング←メイリン
アウル←マユ(喧嘩で負けたくないから?)
保守
150 :
通常の名無しさんの3倍:2005/11/12(土) 07:21:04 ID:zp4suB+I
保守
職人さんマダー(AAry
でも女が主人公のガンダムってのは悪くないかもしれん
さじ加減間違えるとキモウニメになる可能性あるけど
ポケ戦のクリスは正確には主人公じゃないしな
>>152 同じキモさでも主人公が女のほうが男のおれにとってはいい
「くそっ!!何なんだよ?!あのバケモンは!!」
ジョーは悪態をつきながらパイロットスーツに着替える。
「何だって地球であんな事やってるのよ連合は!!」
グレイシアは髪を纏めながら言った。
「・・・・・・・・・・。」
ゼロは黙っているがそのスピードは普段よりずっと速い。
「・・・・所でハイネは?」
カルマの言葉に全員が固まった。
「ちょっとー?!ハイネー?!」
ハイネは部屋に閉じこもったまま出てこない。
「・・・・・・まさか・・・・。」
「こんな時に・・・・。」
ハイネ隊は全員汗を流す。
そして、キースは呟いた。
「ハイネ・・!こんな時に『ほーこたんコレクション』を見始めちゃったなんて・・・!!」
もうこうなったらハイネは絶対扉を開けないことをハイネ隊を知っている。
だったら・・、力ずくで引きずりだすしか方法はない。
「うし、下がってろ。」
ジョーがどこからともなくバズーカを取り出す。
「オラオラオラァ!!行くぜぇっ!!」
何かが取り付いてるように見えるが、気のせいである。
ジョーはバズーカの嵐を容赦なく扉にぶつける。
しかし・・・・・・。
「フェイズシフト装甲だと?!」
そう・・、他の壁と変わらない色だった扉はオレンジ色に変化していた。
これではビーム兵器でも持ってこないと破壊は無理である。
その後もハイネ隊によるハイネ引きずり出し作業は続いた。
「そんな・・、たかがドアロックにこんな複雑な防壁が?!くっ・・・・・。」
ドアロックを解除しようとしたり。
「ほらー?ハイネー?ignitedだよー?俺達で歌っちゃうよー?」
ハイネの習性を利用したり。
「ハイネ、灰色+同盟のドラマCDよー?主役ほーこたんよー?」
ほーこたんにはほーこたんを。
「エクスカリヴァーーー!!」
「だめだ!!そんなことしたら・・!!」
天岩戸のごとく急にとんでもない芝居をしてみたり。
「俺は・・・失敗作なんかじゃないーーっ!!」
「うわーー!!カルマが壊れたー!!」
中には精神崩壊し始める者まで。
「で、そんなことしててハイネ隊の皆が体力使い果たしちゃったんで私が釈放されたんですか?艦長。」
『・・・・・・・・・・・・そうよ。』
マユが乗ったコアスプレンダーはハロが既に準備を整えてくれていて今すぐにでも発進できる。
『コアスプレンダー、発進どうぞ!!』
メイリンの声がコアスプレンダーに響く。
「マユ・アスカ」
『MH-P Shin-HARO!!』
「『コアスプレンダー、行きます!!』」
キャラクターファイルそのC
レイ・ザ・バレル
ベル薔薇お兄様。身長等は同人アニメどうり。
基本的な設定は元々のままなのだが、マユが来た事によりいろいろと暴かれている。
例えば、胸は大きいだけじゃダメで美乳が好きなこととか、
ギルに対する恨みつらみを子供電話相談室に愚痴ってるとか。
ギルに対する愛情(?)も元のレイと同じはずだが扱いはぞんざい。
彼の信念は
『ギルは裏切っちゃだめだけど蹴ったり殴ったり容赦なく罵声を浴びせたり
冷たい態度を取ったりはしてもいい。』だからだと思われる。
特技はピアノ、よくマユにゲームの曲を弾かされている姿が見られる。
ちなみにマユには逆らえない。だって秘蔵のエロ本の隠し場所を知られているから。
キャラクターファイルそのD
シンハロ
正式名称『mobile human -prot Shin-HARO』。
よーするに人間のようにしゃべって動くロボットのプロトタイプ。
全長、人間体時は195cm。ペットロボット体時は30cm。
長い青い髪の青年の姿か黒いボディに赤い眼のハロの姿を取る。
本来はマユの子守用のはずなのだが、子守どころか一緒に暴走する。
シンの携帯のデータが彼の中には入っており、その他マユから聞いたりした
シンの思い出を参考に人格データが構成されている。
ちなみにマユが持ち出したシンの恥ずかしい日記帳のデータも入っている。
それゆえ人格の根本は『シン・アスカ』だが機械的な思考と設定年齢の『25歳』
と言うプログラムから本編のシンよりかなり大人びている。
性格はマユ大好き、つーかマユの為に彼は存在している。
なんでもまだ体が出来ていたなかったときに人格プログラムがネットに飛び出して
しまった事があったらしい。その際にかなり間違った方向のサイトへダイブしてしまい現在のオタクに。
親友はマユの兄仲間のレイとオタク仲間のアキラ。
彼自身が機械なので、『MSのココロ』が解かるらしい。なので彼が格納庫で独り言を喋っていても
MSと会話しているだけなので決してキモイとか思ってはいけない。
その高度なコンピューターをフル活用して株とかしちゃったりして大資産家だったりする。
自分自身の工場をもっていたり世界の情勢を見極めるためスパイを各地に送ってたりする。
これも全部マユの為、やりすぎだぜお兄ちゃん、作者もはやくゲンと会わせたくて仕方がない。
他にも色々と秘密があるらしい・・・。
158 :
638:2005/11/12(土) 21:22:27 ID:???
>ほのぼのマユデス作者さま
乙です!しかし、シンハロって「25歳」だったの!?20歳前後だとばかり・・・
自前の工場まで持っているとは・・・早くゲンに会った姿が見たい!!
レイはほどよ〜くいじられているな^^;や、ボケもツッコミもOKでいいと
思いますよ。
GJ!!
ハイネ引篭りっぷりまでアグレッシブすぎwww
それにしても、このスレのハイネは皆輝いてるなぁ
えーと、ひょっとしてさっきまでキッズでデス種観てなかった?
>>シンハロ
そのうちインパルス(デスティニー)を操縦しそうな気がする。
>>ハイネ
動かしやすいことと、殺しても文句が出にくいことかな。
単発設定小話「マユとトダカ、そしてシン」
〜戦禍から逃げ惑うアスカ一家〜
マユ「はぁっ、はぁ・・・」
マユ母「マユ!がんばって!もうちょっとだからね!」
マユ「っきゃ!あっマユの携帯!」
マユ父「マユ!携帯なんてほうっておきなさい!また買ってやるから!」
マユ「でも、友達のメモリーがいっぱいなんだもの!」
シン「・・・っつ。俺が取ってきてやるよ!(たまにはアニキっぽくしないとな!)」
マユ「!お兄ちゃん!」
マユ父「シン!やめろ。戻ってこい!」
マユ母「離れないで!シン!」
〜上空を滑空するフリーダム。応戦するカラミティ〜
シン「あったあった。これで日ごろのヘタレアニキの面目躍如だぜ」
マユ「お兄ちゃん!!?・・・<キュピーン>・・・!?みんな!そこから早く逃げて!!」
シン「!?」
父&母「!?」
―フリーダムのフルバーストで林一帯が燃えあがる―
―崖から転がり落ちるシン、吹き飛ばされる父&母―
マユ「・・・・・・っ、痛!・・・お兄ちゃん?パパ?ママ?・・・!?」
父&母「・・・・・・(服のこげた切れ端だけが残っている)」
マユ「!・・・ママ、どこ?パパー!どこにいるのー!・・・お兄ちゃーん!」
―マユに走り寄るオーブ軍人―
トダカ「キミ!そんなとこにいては危険だ!早くシャトルへ行きなさい!」
〜強引に抱えられるマユ〜
マユ「いや、ちょっと!パパとママがまだあそこに!」
トダカ「っ知っているさ!遠目だがみてしまっていたからね。ご両親はかわそうだった・・・」
マユ「そんな、まだ生きてるかもしれないじゃない!」
トダカ「あのままあそこで止まっていては君まで吹き飛んでしまうぞ!!」
マユ「!お兄ちゃんは?私の兄は!?」
トダカ「もう一人いたのか・・・おにいさんは確認していない!」
マユ「!?そんな、わたし戻る!お願い、あそこに戻してー!」
トダカ「馬鹿なことを言うんじゃない!もしお兄さんが生きていたときに君がいなければ意味がないだろう!」
マユ「・・・ママ・・・パパ、お兄ちゃん・・・・・・」
〜プラントへ向かうシャトル内〜
トダカ「・・・・・・お嬢ちゃん。もう落ち着いたかい?」
マユ「おじさん・・・うん。。あの時は・・・わがままいってごめんなさい」
トダカ「いや誰だってああなるさ。これからが大変だとは思うが・・・必ずこの戦争は終わらせてあげるからね」
マユ「うん、ありがと。おじさん、お名前教えてよ」
トダカ「わたしはトダカという。見ての通りオーブ軍の者だよ」
マユ「わたしマユ、マユ・アスカです。おじさん、また・・・会えるよね?」
トダカ「・・・もちろんだよ」
〜そのころのシン〜
シン「ハハ、な〜にやってんだ?俺は?ってか、どこだここ?いやいや誰だ俺は?」
完
遅くなって本当に申し訳ないです。
しかも今回は作画がダメダメっぽいなぁ…… orz
とりあえず、行きます。
ここまでのあらすじは、前スレ参照のことでひとつよろしくお願いします。
では。 ↓
谷底に横たわる、まだ焦げ跡も生々しいバクゥの残骸の上を、矢のような大きな影が通り過ぎていった。
草一本ない枯れた峡谷、飛んでゆくのはザフトの無敵戦艦、ミネルバ。
彼らが向かう先に待ち構えるは、連合軍屈指の要塞、ローエングリンゲート。
その名の元になった陽電子砲台が、山の上から彼らを狙う。
防衛MSがわらわらと湧き出す中、先手必勝とばかりに先に仕掛けたのはミネルバの側。
艦首に据えたこちらも陽電子砲、タンホイザーを遠距離から撃ち放つ。
岩肌を削り地形を変えながら、固定砲台に迫る閃光。
しかし――その圧倒的な破壊の光は、割り込むように飛び出した一機のMAに遮られる。
蜘蛛のような6本足。とってつけたようなダガーの上半身。怪しい光を放つ陽電子リフレクター。
かつてオーブ沖でミネルバを苦しめたザムザ・ザーの流れを汲む、新型機ゲルズ・ゲーだ。
その光の盾は、またしてもタンホイザーを完全にシャットアウトし――そしてすぐ、その場をどいてしまう。
ゲルズ・ゲーが射線から避けた途端、お返しとばかりに砲台から放たれるローエングリン。
ミネルバは、戦艦とは思えぬほどの敏捷性で機体をロールさせ、紙一重でそれを回避する。
翼の突端が岩山に触れ、大きな土煙を上げて大地を削る。
大砲の撃ち合いではラチが開かないと見たか、双方はMSを全面に押し出して交戦を始める。
……しかしこの戦闘、誰が見てもミネルバの不利は明らかだった。
ゲルズ・ゲーを倒さんと突進するセイバーを、無数のジェット装備のダガーLが阻止する。
逆に、ミネルバの足を止めようと襲ってくるダガーLの群れは、2機のザクだけでは止めきれない。
ミネルバは何発も被弾し、その巨体が大きく揺れる。
このまま、またしてもザフトの攻勢は失敗するのか、と思われた、その時――
固定砲台近くの山肌が、何の前触れもなく突然、爆発する。
土煙の中から飛び出したのは――コアスプレンダー。
その後を追うように、チェスト、レッグも飛び出してくる。
現地のレジスタンスの協力で知った、忘れられた廃鉱山の坑道の情報。
常識的にはMSなど通れぬ狭い道だったが――この分離合体式MS、インパルスならば。
「――俺がキめるッ! 俺が……ミネルバのエース、シン・アスカだッ!」
砲台の眼前で合体したインパルスは、絶叫と共にローエングリンを撃ち抜いて。
難攻不落のローエングリンゲートは、その最大の武器を失った。
そこから先は、一方的な乱戦だった。
戦意を失いつつも引くに引けない連合軍MSを、ミネルバ側が容赦なく落としていく。
赤いザクウォーリアも白いザクファントムも、1発撃つごとに1機のダガーLを落とし。
セイバーはゲルズ・ゲーをスピードで翻弄した挙句、その2門の大砲を背中に押し付けゼロ距離射撃。
これでは、無敵の盾・陽電子リフレクターも、使いようがない。
そして――陽電子砲を落としたはいいが、1人大量の敵の中で囲まれる格好になったインパルスは。
しかしその危機をものともせず、むしろ嬉々として大立ち回りを演じる――
――場面変わって。ここは連合軍の一大拠点・スエズ基地。
大河にも見間違う人工の水路、スエズ運河から枝を出すように作られた港に、艦隊が到着する。
長旅の果てにここまで到着した、オーブ軍艦隊である。
途中、何度かザフトとの遭遇戦を経験していたが、しかし艦隊にさほどの損傷はない。
彼らは基地に入港し――しかし、せっかくの援軍の到着だと言うのに、出迎える連合兵はほとんどいない。
たまたま通りかかった兵士たちも、むしろどこか冷たい目で――
――そんな様子を、運河の反対側から望遠レンズで捉える人物がいた。
茶色の髪をバンダナでまとめた、1人の娘。いかにも戦場カメラマン、という風体。
古風なデザインの――しかし、中身は最新鋭の――カメラを構えて、艦隊や基地の様子を撮影する。
伏せて藪に姿を隠したまま、基地の様子を窺う。
「もう少し近づきたいんだけどなァ。これ以上は、見つかっちゃうだろうしね。
……ん? あれは?」
と……彼女はふと何かに気付いて、オーブ艦隊から視線を外す。
港だけでなく、スエズ基地に併設された空港の方にも、動きがあったのだ。
一機の飛行機が、音を立てて着陸態勢に入る。
「おかしいわね……定期便の時間は、もっと先のはずなのに」
時計を一瞥してそう呟くと、今度は停止した小型機にもカメラを向ける。
望遠レンズの向こうに、降りてくる細い人影と、ペコペコと頭を下げる基地司令の姿を捉える。
「……!! あの人は、確か……。
って、何でジブリールグループの総裁がこんなトコに来るのよ!?」
2年のキャリア持つ戦場カメラマン、ミリアリア・ハウは、伏せていることも忘れて思わず叫ぶ。
そう、まるでオーブ艦隊の到着とタイミングを合わせるように、スエズの地に降り立ったのは――
「これは盟主殿、わざわざこんなところまで」
「頭を上げたまえ、基地司令殿。事情を知らぬ者に見られたらどうする気かね?」
「はッ、いやしかし」
「表向き私は、ただのテレビ屋だからね。将官クラスの軍人に頭を下げられる理由がないのだよ」
「……以後気をつけます。それより、ご用件は?」
「そうだな……どこか、内密な話のできる部屋はないかね?
ちょっとばかし、大事な話を聞き出さねばならない相手がいるものでね――」
その会話は、ミリアリアの耳には届かぬが――その中性的な横顔は、カメラにしっかり捉えられる。
大西洋の重鎮の1人、メディア王、ロード・ジブリール……!
マユ ――隻腕の少女――
第十三話 『 蒼い秋桜(コスモス) 』
スエズ基地に錨を下ろした、タケミカズチ――
そこから降りてくるのは、カガリを中心としたオーブ軍の指揮官たち。
「まったく、ロクに出迎えもないとはな。連合はこの同盟を本気で維持する気があるのか?」
基地司令の中を歩きながら、カガリは愚痴る。
実際――連合軍の態度は、遠路はるばるやってきた「友軍」に対するものとは思えぬほど冷たかった。
特に、何といってもカガリは一国の長。名誉職的なものとはいえ、今は階級的にも将官クラスの軍人扱い。
本音はどうあれ、本来ならば基地司令自ら歓迎の意を表明すべき存在。
それを、はるかに格の劣る部下に出迎えを任せ、逆にカガリの方に挨拶に来い、などと言うのは――
「いくらオーブが小国とはいえ、これはちょっとした国辱ものだな。
なあネオ、連合は我々と共闘したいのか? それとも我々と戦争したいのか?」
「悪気はないんじゃないですかねぇ。司令だって『忙しい』って言ってたんでしょ?
ほら、なんか北のガルナハンの方が大変なことになってるらしいし、その関係じゃないかなぁ?」
同じようにJ・Pジョーンズから降りてきたネオと合流しつつ、カガリは愚痴る。
彼らの背後では、一般のオーブ兵たちも久しぶりの陸地に続々と上陸して。
東インド諸島で寄港してから一ヶ月弱、ずっと海の上だったのだ。
ザフトとの遭遇戦を恐れる心配もなくなり、どの兵士の顔もどこか緩んでいる。
「……しかし、カガリ様。本当に良かったのですか?」
「何がだ?」
「兵士達の、上陸許可です」
心配そうに口にしたのは、カガリに付き従っているオーブ軍人の1人、トダカ一佐。
カガリたちと歩きながら、背後の兵士たちを振り返る。
「ここは連合の後方にある巨大基地です。猫の手も借りたい前線基地とは、事情が異なります。
ナチュラルの兵は問題ないでしょうが……もしかすると、コーディネーターの兵は……」
「……まさか、大丈夫だとは思う、んだがな」
オーブ軍には僅かではあるが、コーディネーターの兵士も混じっている。
あるいは、コーディネーターへの偏見持つ連合兵とトラブルを起こしたりはしないか?
トダカの心配に、カガリも眉を寄せる。
「まあ、いい。その件についても、基地司令にしっかり言っておくことにしようか」
スエズ基地から北北東に遠く離れた、山中に――ガルナハン、という名の街があった。
険しいハゲ山に挟まれた、枯れた峡谷。小さな盆地に作られた、小さな街。
一応、南北の平地を繋ぐ天然の関所のような地形ではあったが、しかし他にいくらでも迂回路は存在し。
むしろ、いくつかあるルートのうち、比較的狭く通りにくい道だったため、あまり栄えてもいなかった。
だがユニウスセブンの落下が、この街の運命を変えた。
この街そのものには、落ちていない。運良く直撃は避けていた。
しかし――このあたり一帯には、運悪く多くの破片が降り注いで。
無数の隕石の襲来に、ほとんどの交通路はズタズタに寸断され、復旧の見通しすら立たず。
奇跡的に、地図の上に一本の線を引いたように残されたのが『ガルナハンルート』。
東西どちらかに回って海に出るか、ガルナハンを通るか。陸路に拘るなら、避けようのない場所。
ちょうど、連合・プラント双方の勢力圏の境界近くに位置していたことも、この町にとっては不幸だった。
小規模な部隊なら山越えもできようが、大部隊を敵勢力圏に進出させるにはガルナハンルートが唯一の道。
一夜にして、この小さな街の戦略的価値は急上昇したのだった。
その重要性にいち早く気付いた連合軍は、開戦とほぼ同時にガルナハンを制圧。
そして、この拠点の防衛のため、ガルナハンルート上の隘路に巨大な砲門を据えた。
難攻不落の要塞、『ローエングリンゲート』の誕生である。
最強の攻撃力を誇る陽電子砲と、最強の防御力持つMAゲルズ・ゲー。
この、無敵の矛と盾の組み合わせは、開戦以来ザフトの攻勢を何度も退けてきた。
強圧的支配を受けたガルナハン住民の一部がレジスタンスとして抵抗したが、これも力で退けて。
この地における連合軍の優位は、揺るがないものと思われていた――
ミネルバが、ローエングリンゲートを突破するまでは。
ローエングリンゲートから少し入ったところにあるガルナハンの街は、歓声に沸いていた。
街の人々に嫌われていた連合軍が、完膚なきまでにザフトに敗北したからだ。
力で街を支配していた連合兵たちが、レジスタンスの面々に拘束され、打ち倒され、その場で処刑される。
人々は降り立ったザフトのMSの周りに集まり、彼らの健闘を称えて喜びの声を上げる。
特に人の集まっていたのは、支配の象徴だったローエングリンを破壊した、インパルス。
ワイヤーを使って降りてきたシンを、街の人々が取り囲む。
みな、口々に英雄を称えて――
「あの、その……さっきは、ごめんな」
「ん? ああ、ミス・コニールか。別に構わないよ。君のお陰で、連合軍が倒せた」
モジモジしながら出てきた少女に、青年は自信に満ちた笑顔で応える。
この少女こそ、坑道の存在をミネルバに伝え、この作戦を成功させた功労者。
その際、彼女はシンの実力を見くびって、ちょっとしたトラブルになっていたのだが――
もはやわだかまりも何もなく、笑いあう。
――スエズは、大きな基地である。
陸・海・空・宇宙、全ての軍に対応した、連合軍の一大拠点。自然と規模も大きくなる。
そもそも、このスエズ地峡という土地。有史以来、地政学的に極めて重要なポイントであった。
陸地に目をやれば、ユーラシア大陸とアフリカ大陸を繋ぐ重要な陸路。
海洋に目をやれば、地中海の航路と紅海の航路が最接近する重要な地峡。
ましてや、スエズ運河が開通し、地中海と紅海が直接繋がれるようになってからは。
そこから得られる収入、そして軍艦の交通による軍事的利益を求め、各国は相争うことになった。
19世紀に開通したスエズ運河は、当初フランスとエジプトの共有とされ、次いでイギリスが支配し。
その後、数段階に渡る紛争と交渉を経て、エジプトが完全に支配、国有化することとなったが……
コズミック・イラのこの時代。
かつての国家の枠組みが崩壊し、新たに大きな国々に編成し直された、再構築戦争に伴う紆余曲折の末に。
この運河は――かつてのイギリスの流れを一部汲む、大西洋連合が実質支配する飛び地となっていた。
綺麗事で手に入れた土地ではない。多くの血を流し、恨みを生み、それでもなお武力で押さえられた土地。
そして、その大西洋連邦は――地球連合所属の各国の中でも、特に『ブルーコスモス』の力の強い国でもある。
「……あぁん!? 何だ、このガキは?」
「おいおい、オーブの軍服に……少尉さんの階級章までつけてるぜ!」
「何? こいつ、ひょっとしてマジで少尉なわけ? コスプレじゃなくて!?」
「オーブってそんなに人手不足なのかよ?」
基地の一角――人通りの少ない建物の影で。1人の少女が、4、5人の兵士に絡まれていた。
上陸許可を取ったはいいが道に迷ってしまったマユと、通りすがりのスエズ基地所属連合兵。
道を尋ねたマユに、しかし兵士たちはニヤニヤと、馬鹿にしつつも敵意を滲ませて……
「あ、その、確かにあたしは三尉ですけど……。それに、オーブは人手不足なんかじゃないですよ」
「じゃあ、なんでガキが少尉なんてやってられるんだよ?!」
「それは……その、えーと……あたしが、コーディネーターだから……」
必死に抗弁するマユ。オーブでは一度だって受けたことのない理不尽な反応に、ただ混乱するだけで。
だから彼女は――自分の言葉の持つ意味を理解せず、素直にあっさり、その単語を言ってしまう。
「………!」
「コーディかよ、この糞ガキ!」
「遺伝子弄ってるから、子供でも戦争できます、ってかァ!?」
「宇宙の化け物は宇宙に帰れってんだ! 何オーブなんぞに潜り込んでこんなとこに居やがる」
「お前らさえ最初からいなければ……!」
マユの小さな身体に叩きつけられる、強烈な敵意。
単なる『コーディネーターへの反感』だけでは片付けられないその攻撃性に、マユは身を竦ませる。
彼女には、どう対処すれば良いのか、どう言い返せば良いのか、全く分からない。
と――そこへ。
「おい、お前ら――ウチの仲間に何やってんだよ」
「す、スティング!」
男たちの背後から声を掛けたのは――そう、マユも良く知るカオスのパイロット、スティング・オークレー。
マユを囲む男たちを哀れむような目で見ながら、大胆に近づいてくる。
連合の制服を着崩した、頼れる「白馬の騎士」の登場に、マユは少し安心する。
「な、なんだよお前は!」
「てめぇ、連合のクセにコーディの味方をするのかよ!」
「お前らさぁ……こんな子に何をビビってるんだよ? コーディってだけで怯えすぎだぜ。
それに、この子はこう見えてオーブのエースだぞ? お前らが何人束になろうと……」
「う、うるせぇッ! コーディはコーディだ、俺たちの敵だッ……!」
兵士たちはスティングに対しても罵声を浴びせるが、明らかに両者の『格』が違う。
余裕たっぷりな彼は悠々と歩を進め、兵士たちは及び腰で道を明ける。
スティングがマユに歩み寄り、彼女の肩に手をかけ微笑んだ、その時――
「なんだよ、お前は! ひょっとしてお前も――その『宇宙の化け物の仲間』かよ!?」
「!!」
何気ない兵士の一言に、スティングの顔が強張る。
マユは不思議そうに彼の顔を見上げるが、彼の視界に既にマユの姿はないようで。
傍から聞いている分には、今までの罵りとほとんど何も変わりはしないのに――
「い、今……な、なんて、言った? 『化け物の』……『仲間』?」
「なんだよ、耳も悪いのかよ、コイツは?! 『化け物の仲間』はロクなのがいないな!」
「ば、化け物……同類……コーディネーター……仲間……に、似たようなモノ……」
「ちょっと、スティング?! しっかりして!?」
「なんだぁ、こいつ??」
心配そうに顔を覗き込むマユも、不審がる兵士たちも無視して――いや、反応もできずに。
スティングは焦点の合わぬ目で、ガクガクと震えながら、ブツブツと呟いて――
「あーあ、知らねーぞ、お前ら」
「スティング……『ブロックワード』……」
その場にいる全員の視線が、スティングに集まる中――呑気な声と共に、新たな影が現れる。
ボリボリと頭を掻く青い髪の少年と、スティングを心配そうに見る金髪の少女。
「アウル! ステラ!」
「お前らさー、止めといた方がいいと思うぜー。いやマジで。
俺らは――そこにいるスティングも含めて、『第81独立機動軍』でさ」
先ほどのスティング同様、兵士たちを舐めきった態度で近づくアウルとステラ。
兵士たちは、彼の名乗りに一気に蒼ざめる。
「81、って……ファ、『ファントムペイン』!?」
「ウワサの死神部隊……スエズに来てたのかよっ!」
「か、勘弁してくれ! 冗談じゃねぇ! 関わっていられっかよ!」
ただ一言、その部隊名を言っただけで――兵士たちは色を失い、後ずさり、散り散りに逃げ出した。
アウルはいつもの笑みを浮かべたまま手を振って見送り、ステラは膝をついたスティングに歩み寄る。
「さいなら〜。ったく、弱い犬ほどよく吼えてよく噛み付くんだよなァ。
逃げるぐらいなら、最初っから手出しすんなよ。よりによって一番の禁句を言っちまうし」
「スティング……大丈夫、ステラたちが、傍にいるから……」
「ステラぁ……ヒック、すて、ステラぁ……!」
一連の展開についていけないマユは、ただ目の前の状況を見守ることしかできない。
その場に膝をつき泣きじゃくるスティング。子供のように涙をこぼす彼に、いつもの余裕や強気は見られない。
そんな彼に近づいたステラは、優しくその頭を抱き、肩をさする。慈愛に満ちた優しい微笑み。
「ヒック……お、俺ッ、ば、化け物じゃない、化け物じゃ……」
「分かってる。スティングは人間だから。ステラたちと同じ、人間だから……」
ステラの胸に顔を埋め、優しく肩を抱かれて。青年の慟哭は、少しずつ収まってゆく――
――基地の中、マユたちが騒ぎを起こした場所から建物2つ向こうの道で。
オーブ軍人を引き連れたカガリが、足音も荒く歩いていた。
「全く、なんだあの基地司令の言い草はッ! 我々を馬鹿にしくさって……」
「実務的な件については一応対応して頂けましたが、しかし誠意ある態度とはとても……」
前もロクに見ず、部下たちと怒りながら歩く彼女が、道の角を曲がったその時――
彼らは反対側から歩いてきた1人の人影とぶつかりかける。慌てて足を止めるカガリ一行。
「あ、す、すまん――って、お前――」
「いえいえ、って――か、カガリさん!?」
反射的に謝ったカガリは、相手の姿を確認し、目を丸くする。こんなところで会うとは思ってなかった相手。
そこに居たのは、首からカメラを下げ、戦場カメラマン風のいでたちをした――
「ミリアリア! ミリアリア・ハウじゃないか! 久しぶりだな、おい!」
――ガルナハンの街は、ザフトの兵士で溢れ返っていた。
この街の「解放」を実現した、ミネルバの兵だけではない。
別の地に向かうことが決まっているミネルバ、その後を継いでこの地の防衛に当たる部隊。
何やら山肌に防衛用陣地を構築している工兵隊に、南の連合勢力圏に攻撃をかけようとする大部隊。
行くもの・来るもの・通り過ぎるもの、それらがこの一時、全てガルナハンに留まっているのだ。
混雑しない方がおかしい。はっきり言って、街の許容量を越えている。
「なんでこんなに人がいるんだよ!」
「谷の方見なかったの? MSで埋め尽くさんばかりだったわよ。地上戦艦もいたわね」
「だから、なんでその連中が、みんな揃って街に出てるんだよ!」
緑色のザフト兵がひしめく、ガルナハンの目抜き通りで。一組の赤いカップルが言葉を交わす。
ぶつくさ文句を言うシンと、その腕にしがみつくように従うルナ。
2人は自機の整備を終えて休憩を貰い、艦長から直々に「街で遊んできたら?」と言われ出て来たのだが――
これではとても、デートどころではない。ただでさえ怒りっぽいシンは、苛立ちを隠せない。
と――その頭上に、何やら影が差す。同時に耳をつく、航空MSの飛翔音。
「なんだ!?」「敵襲!?」「何かあったのか!?」
シンも、ルナも、ザフト一般兵たちも。頭上を見上げて――そして、見る。
目にも鮮やかな、桃色の色彩。手の平の上に乗った、派手な舞台衣装の娘。
『みなさーん! こんにちわー! ラクス・クラインでーす!
勇敢なるザフト兵のみなさん! 心優しきガルナハンのみなさん! ご苦労様でーす!』
「あ、あれって……ラクス・クライン?」
「誘拐未遂されたって聞いたけど、また前線近くに出てきてるのかよ……!」
シンもルナマリアも呆然と見上げる中。
橙色のグフと、通常型のディンに抱えられた桃色のザクは、街外れの空き地に着地して――
『ラクス・クライン』のサプライズ・ライブは、この乾いた街で唐突に始まった。
――スエズ基地の外れ。
マユたち4人は、運河の見える小広場に来ていた。
ようやく泣き止んだスティングの背を、ステラがなおもゆっくりさする。
「大丈夫、スティング? 『ベッド』の手配……する?」
「いや、もう落ち着いたよ。お前のお陰で助かった。ありがとな、ステラ」
「おーいスティング、元気になったならマユに説明してやれ。どこまで喋るかは任せっから」
親密な空気の2人に、取り残された格好のアウルが、声をかける。
近くにあった自販機の、紙カップのコーヒーをスティングに渡し、少し距離を置く。
柵にもたれ、スティングはコーヒーを啜る。そして、1人困った顔をしていたマユを手招きする。
ステラは静かに身を引いて――スティングとマユは、2人で柵越しに運河を眺める格好になる。
「……さっきは格好悪いとこ見せちまったな」
「ううん、ありがとう。あたしのこと、守ろうとしてくれたんだよね?
スティングの様子には――正直驚いたけど」
おずおずと、言葉を選ぶマユ。何から聞いていいものか、迷って言葉が出ない。
スティングはコーヒーを一口含むと、遠い目で虚空を見上げる。
「俺は正直、分かるんだ。分かっちまうんだ。あの連中の気持ちが。
マユに因縁つけてた、あの下らない連中の気持ちが、さ」
「気持ち、って?」
「奴らは……憎いよりも何よりも、『怖い』んだ。コーディネーターという存在が。自分とは違う存在が。
――連中自身には、そんな自覚持つ余裕もないと思うけど、よ」
目の前の運河を大きな船が通り過ぎてゆく。大西洋の旗を掲げた商船。
それを何とはなしに目で追いながら、スティングは言葉を紡ぐ。
「俺も、昔はああだった。コーディネーターが嫌いで、コーディネーターが憎くて。
奴らを見返したい、奴らに仕返ししたい、ってずっと思っていた。
あんな『化け物』、この世に居ること自体が間違ってると……本気で思っていた」
「…………」
それは、マユには想像もできない話。オーブでは、まるで聞かない話。
かの国では、コーディネーターかナチュラルか、という問題は、そこまで深刻な対立にはならないのだが――
「それで、俺は……ある筋から聞いたエクステンデッドの実験体に、志願した。
コーディネーター並の、いやコーディネーターを越えるほどの力が手に入ると聞いて、な。
確かに、ラボの奴らの言っていたことは嘘じゃなかった。けれど……」
「けれど?」
「気がつけば――俺も既にヒトではなくなっていた。忌み嫌っていた『化け物』と同等の存在になっていた。
いや、ある意味、コーディネーターよりタチが悪いぜ――定期的にクスリや『調整』が必要なんだから。
一部の能力に限って言えば、平均的なコーディネーターより遥かに高い能力があるんだから」
いつも皮肉っぽい笑みを絶やさぬスティングが、今はその虚勢の鎧を脱ぎ捨てて。
どこか諦めたような表情で、あけすけに己のトラウマを語る。
「だから、今はよ――コーディネーターというもの、それ自体は、そんなに嫌っちゃいない。
連中も、生まれた時からこんな気分だったのかな、って思うとよ。ちょっと憎いとは思えねぇ。
少ないながらもマユみたいに、イイ奴もちゃんといるしな」
「……ねぇ、スティング。一つ聞いてもいい?」
「ん? 何だ?」
「あの、さっきのスティングのことだけど、ステラの言ってた『ブロックワード』って……?」
マユが疑問を口にした、その時。
運河を眺めるスティングとマユ、少し離れたベンチに腰掛けるステラとアウルに――声を掛ける者が。
「おー、こんなトコいたのか! タケミカズチに問い合わせても外出中って言われてさァ」
「……ネオ!」
「どーしたんだい、いったい? 確かしばらく任務はねーって聞いたけど?」
そう、それはファントムペインを率いる仮面の大佐、ネオ・ロアノーク。
ベンチから立ち上がり迎えるステラとアウルを無視して、彼は柵にもたれる2人に近づく。
「今用事があるのは、マユの方でね――。
スティング、お話中のとこ悪いが、ちとこちらの『お姫様』を借りてもいいかね?」
「文句は言えねーけどよ。一体何があるって言うんだ?」
露骨に眉をしかめるスティングに、ネオは口元だけを歪めるような笑みを浮かべて。
「いやなに――お前らも良く知る、とある『お方』が、マユに直接会いたいんだとさ♪」
――タケミカズチ艦内。
応接室のようなソファの置かれた部屋で、2人の若い娘が向き合っていた。
その雰囲気は、とてもではないが再会を懐かしむ少女たちのものではない。
「――では、最後の質問です。
艦隊派遣の延長もありうる、というお話でしたが、その際代表はどうなされるおつもりですか?」
「それは私の決めることではないな。その種の外交上の決断は、本国にいる代表代理に全権委任している。
もし、彼が延長を決めたのなら、私が異論を挟むことはないし――そのまま私も前線に留まるだろう。
今の私は、代表としての権限を凍結した、ただの将官に過ぎないからな」
「分かりました。ではこれで――インタビューを終わります。ありがとうございました」
どちらも硬い言葉で、相手に応えて。
ミリアリアが音を立てて取材メモを閉じた途端、2人の間の空気が弛緩する。
「――ふぅっ。カガリさん、なんか本当に代表っぽくなってない?」
「そりゃ、この2年間で鍛えられたからな。ミリィも、ジャーナリストが板についてきたんじゃないか?」
「んー、でもやっぱりまだまだね。今の質問だって、オーブの本社から送られてきた文章そのまんまだし」
とりあえずやらねばならない「お仕事」を終えた2人は、すっかりリラックスした様子で。
ぬるくなってしまった紅茶で、揃って唇を潤す。
「「――ところで」」
紅茶を口から離し、話題を変えようとした2人は――タイミングが合いすぎ、思わずハモってしまう。
互いに顔を見合わせて、互いに譲り合う。
「あー、ミリィ、そっちからどうぞ」
「いえいえ代表、偉い人からお先どうぞ♪」
「『3SAFA(スリーサファ)』の仲間に「偉い」とか言って欲しくないんだけどな……まあいいや」
頭を掻きながら、カガリはソファの上に座りなおして。
ミリアリアの顔を見つめて、真剣な表情で切り出す。
「なあミリィ――お前さ、今の『ラクス・クライン』について、何か詳しいことを知ってないか?」
――ガルナハンの街。
唐突に始まった『ラクス・クライン』のゲリラライブは、大盛り上がりのうちに終了し。
彼女が手を振ると、ステージになっていたザクの手の平の上にスモークが満ちて……
煙が晴れた時には、彼女の姿は魔法のように消え失せていた。マジックショーじみた、過剰な演出。
「……全く、頑張っているな、ミーアも……」
群集に紛れてその様子を見守り、溜息をついたのは――赤服に身を包んだアスラン・ザラ。
以前、テレビの前で競演した2人だったが、彼女をミネルバから下ろした後は接点もなく。
アスランはミネルバと共に前線で、『ラクス』は各地の慰問活動で、それぞれ名を上げていた。
なし崩し的に全面戦争に入ってしまったザフトが士気を維持できているのも、この2人の存在が大きい。
コンサートが終わり、再び人々が動き出したガルナハンの街で、アスランもまた歩き出す。
彼もまた、休みを貰っていたのだが……しかし、こんな小さな街ではやることもない。
ミネルバに戻ろう、と彼が身を翻そうとした、その時だった。
「……あッ、いたいた! アスラーン!」
「……み、ミーア!?」
そう、大声を挙げて手を振っていたのは、アスランも良く知る黒髪の娘。
何やら不自然なコートを着て、ハイヒールを鳴らして駆け寄ってくる。
「あたしのライブ、見てくれましたかぁ!? 上からはちゃーんと見えましたよ、アスランの赤い軍服♪
あ、他にも赤いのが、2人いましたねー☆ あの2人ってひょっとして、付き合ってるんですかぁ?」
「こ、こらミーア、声が大きい! 正体バレたらどうするんだ!?」
開けっぴろげなミーアに対して、アスランは気が気でない。
周囲を見回し、誰も注目してないことを確認すると、彼女を人気のない路地に引っ張り込む。
「……全く。声は『そのまんま』なんだから、もっと気をつけろよ。
それにしても、やけに早く着替えたな? ついさっきまで歌ってたってのに」
「んー、カツラ取って、メイク落としでちょっと顔拭いただけですからー。この下は、ホラ♪」
「ぶッ!!」
ミーアは何も恥じることなく、コートの前を開けて見せる。下に着てたのは、さっきまでのステージ衣装。
素顔と、羽織ったコートと、きわどいレオタードの組み合わせが妙に卑猥で、アスランは慌てて目を逸らす。
「ば、バカッ! は、早くしまえって!」
「むーっ☆ もっとあたしのこと見て下さいよー。婚約者でしょ?」
「婚約者だったのはラクスだ、ミーアじゃない! それに、アイツはもう……!」
「そーでしたね。アスラン捨てて、別のオトコと一緒に、田舎の孤児院に引き篭もっちゃったんですよね?」
慌てるアスランを、挑発的にからかうミーア。
彼女が何気なく言った一言で、アスランの雰囲気は一変するが……ミーアはそれに気付かず言葉を紡ぐ。
「ひどいですよねー、ラクス様って☆ あたしがラクス様だったなら、ちゃんとプラントで頑張ると思うのに♪
あと、なんでアスラン捨てて浮気するかなー? いくら英雄って言っても、裏切り者の元連合兵なんて……」
「…………おい、ミーア」
「え?」
ドンッ!
唐突に、アスランはミーアのコートの襟元を捻り上げて。彼女を近くの壁に叩きつける。
壁に押し付けるような形で、彼女を吊るし上げる。厳しい表情。
「キャッ! ……ちょ、ちょっと、アスラン!?」
「……誰に聞いた。そのこと、どこで聞いた」
戸惑うミーアを射抜くアスランの目は、強い怒りに燃えていて。底冷えする低い声で、ミーアを問い詰める。
「……ラクスとキラが、孤児院で働いていることを知ってる者は、限られている。
俺やカガリといった、ごく親しい数人だけのはずだ。
それこそ、議長だって知らないことだぞ!? 俺にはっきり『知らない』と言っていたんだぞ!!
なのに――何故キミが知っている! 一体どこで、誰に聞いた!」
「そ、それは、その……!」
「回答次第では――タダでは済まさない。生半可な嘘で誤魔化せるとも思うな」
見た事もないようなアスランの剣幕に、ミーアは竦みあがる。
頭の中に、グルグルと「あの時」の記憶が蘇る。生きた心地もしなかった誘拐未遂事件。
雨宿りをしながらマユと過ごした1時間。「あたしが言ってたってことは、秘密だよ?」と念を押す少女の笑顔。
――しかしアスランの怒気に押されたミーアは、ついに、口を開いてしまう。
「あ、あのね、それは……この間、誘拐された時に――」
――タケミカズチ艦内、応接室。すっかり冷めてしまった紅茶。
「残念ながら――私も今のラクスさんとは接点がないわ。孤児院にいたはずだ、としか」
「そうか……」
「何かあったの?」
ミリィの言葉に、カガリは落胆を隠せない様子で。
「いやな、ここに来る途中、ザフト艦にいた『ラクス』と対峙したんだが……なんというか、違ったんだよ」
「違う、って?」
「顔も声も、確かにラクスだ。だけど……雰囲気といい、言ってることといい、まるで別人だ。
誰かに洗脳でもされたのか、それとも、『そっくりさん』の演じるニセモノなのか……
それこそ、別の教育受けたクローンだ、と言われても納得してしまうような感じだった」
「…………」
「ま、私もラクスの全てを知ってたわけじゃないからさ。
アイツに、私の知らない一面があっただけなのかもしれないが、それでも……な。
なんというか――裏切られたような気分だよ。誰が裏切ってくれたのかは、まだ分からないけれど」
しみじみと、カガリは溜息を吐く。
「バルドフェルドさんやマリュー艦長は何て言ってるの? 確かあの2人が『連絡係』よね?」
「虎とマリューは……例のフリーダムの騒動で、姿を隠したっきり。連絡も取れない」
「アスランは? ずっとオーブにいたんでしょ、彼も? なんかTVに出てたけど」
「アイツには、私から頼んでプラントに戻ってもらった。
そっちからも便りがないから……きっと余裕がないのかな」
「そっか。一応貴女なりに努力した上での相談なわけね」
「ああ。正直言って、八方塞がりでね。微妙な話だから、オーブの情報部も動かしたくはない。
私としては『3SAFA』の仲間に力は貸しても、力を借りる気はなかったんだが……」
「……わかったわ。私もちょっと、調べてみる。何か分かり次第、連絡するわ」
「すまないな。こういう立場になってしまうと、簡単には動けなくて」
カガリはミリアリアに頭を下げる。と、何かを思い出したように、顔を上げて。
「ま、こっちはコレでいいとして――さっきミリィが言いかけてたのは、何だ?」
「ああ、アレね。そう、ちょっと警告しとこうと思って」
「警告?」
眉を寄せるカガリに、ミリアリアは膝を摺り寄せて。真剣な表情で、その名を口にする。
「今、スエズには要注意人物が来てるわ。大西洋のメディア界の大物、ロード・ジブリール――
貴女が直接何かされることはないと思うけど――くれぐれも、気をつけて。
真実を伝えるジャーナリストとは対極に位置する、情報を操作しヒトの心を惑わす『魔術師』だから――!」
――スエズ基地の、一室で。
マユは、その『魔術師』とも評された男と、向き合っていた。
カガリやミリィ同様、応接室のような一室――ただし、その調度類は、いささか豪華で。
セイラン家での生活で多少の贅沢には免疫の出来たマユも、ちょっとばかり萎縮する。
「ああ、緊張しなくても良いのだよ、フリーダムのパイロット殿。リラックスしてくれたまえ」
「あの……あたしに、何の用ですか?」
目の前の男はにこやかに微笑むが、マユとしては居づらくて仕方がない。
助けを求めるように、同行してきたネオに視線をやるが、彼は無表情に壁沿いに控えたまま。
ソファに座ろうともしない。大きすぎ、柔らかすぎるソファに、マユは居心地悪く何度も座りなおす。
「まずは自己紹介せねばなるまいね――ワタシの名前は、ロード・ジブリール。
『大西洋広域放送』を始めとして、いくつかの新聞・テレビを所有する――いわゆる、テレビ屋だ」
「ロード・ジブリール……」
その名はマユも聞いたことがあった。反コーディネーター寄りの報道を繰り返す一大グループの長として。
彼らのグループはオーブにも支社を出していたが、正直、あまり評判は良くない。
しかしまさかその支配者が、こんなに若く、こんなに線の細い、中性的な雰囲気の男だったとは……
テレビ屋、という粗野な自称も似合わぬ貴族的な男。イメージとの違いに、マユは少し混乱する。
「あ、あたしはマユ・セイランです。オーブ軍でフリーダムに乗ってる……」
「知っているよ。しかし――ワタシの記憶が正しければ、ウナト氏には娘も愛人もいなかったハズだがね?」
「…………」
「まあ、いい。今日キミを呼んだのは、そんなツマラナイことを聞くためではないのだよ」
黙り込んでしまったマユを、含みのある笑みで見やって、ジブリールは本題を切り出す。
リモコンを操作して、壁面にあったモニターに1枚の写真を映し出す。
マユははッとして、ネオの顔とその映像を見比べる。
ネオ・ロアノークは相変わらず仮面に表情を隠し、彼の感情は全く伺えない。
「ネオとは、古くからの知り合いでね。だからこの写真も、ワタシが真っ先に手にすることになった。
さて、マユ・セイラン――この写真の意味、詳しく話してくれないかね?」
そう、その映像は、マユが携帯で撮った「ラクスの装束を着たミーア」の写真。出来心でネオに渡した映像。
ジブリールの、蛇のような視線を真っ向から受けて――
マユは、自分が「友人」ミーア・キャンベルに対して行った「裏切り」を、早くも後悔した。
――ガルナハンの街の、乾いた路地裏。ミーアの話を聞いたアスランは、腕を組んで考え込む。
「……秘密ですよ? アタシが言ったってことは」
「ああ、分かってる……」
アスランの厳しい追求に、それでもミーアは可能な限りマユの情報を伏せようとした。
伏せようとしたが……それでも、孤児院やラクス・クラインに関わる話は余すところ無く聞きだされ。
ミーアが隠し通せたのは、せいぜいマユの本名と、マユが孤児院に入る以前の事情くらいのものだった。
「……そうか……セイランの娘、どこから沸いてきたかと思ったら、孤児を養子にしたわけか……」
「あ、アタシは何も言ってませんよ!? あの子の名前とか、立場とかッ! 秘密にするって約束だしッ!」
「あのなぁ。俺もオーブに居たんだよ。『フリーダムに乗ってる女の子』って言われたら、大体わかる」
いまさら慌ててみせるミーアに、アスランは溜息をつく。彼女の様子に、それ以上突っ込む気力が失せる。
……アスランは、知らない。自分が追求の手を緩め、聞きそびれてしまった数々の事実、その重要性を。
――彼は後に、ここでミーアをもっと厳しく問い詰めておかなかったことを、激しく後悔することになる。
「お、いたいた! おーい、ミーア!」
「あ、ハイネ!」
アスランの思索は、遠くからかけられた声に遮られた。見れば、路地に入ってくる、一人の赤服の男。
その顔はアスランにとっても初対面ではない。東インド諸島で一度会っている、一部隊の長。
「……っと、アスランも一緒か。そーいや久しぶりだもんな、お前ら2人も」
「お久しぶりです、ハイネ隊長。お元気でしたか?」
「『隊長』なんていいよ、ハイネでいい。……ま、俺は元気だけどさ、部下が3人も病院送りにされちまった。
そのうえミーアの護衛も首になって、こんな辺境で拠点防衛。まったく、やってられないよ」
大袈裟に肩を竦めて見せる、ハイネ・ヴェステンフルス。大いに嘆きながらも、どこか仕草が芝居臭い。
と、何かを思い出し、ミーアの方に声をかける。
「……あ、そうだ。ミーア、なんかサラさんが『ラクス様』を探してたぜ? まだ仕事残ってるみたいだったぞ」
「げッ!? や、やっばー……! あ、ありがとハイネ! じゃ、アスランさん、また今度ッ♪」
見るからに顔色を変え、慌てて走り去るミーア。何事にも物怖じしない彼女も、サラのことだけは苦手らしい。
その背中を見送って、2人の男はようやく互いの顔を見合わせる。
「……ハイネも、ミーアの正体を知ってるんですね」
「ああ。奴は元々、ウチの隊の部下だったからな。ああ見えても、結構パイロットとしての腕はいいんだぜ?
槍だったか、棒だったかを持たせたら、生身の戦闘もかなりのモンだし。自分の身はちゃんと守れる。
――ま、こないだは、それで失敗したわけだが。奴の正体……バレてなきゃいいんだけど」
――スエズ基地。
「……なるほどね、良く分かったよ。キミのお陰で、この戦争はより早く終るかもしれないな。
もしそうなれば、キミはザフト兵を千人殺すにも勝る戦果を、上げたことになる」
「…………」
「実に、素晴らしい戦果だよ」
長い足を蜘蛛のように組んだジブリールは、満足そうに頷く。
褒められたマユは、しかし自責の念と居心地の悪さに、晴れない顔で俯いたまま。
あれから小一時間――
可能な限り、あの日の出来事を隠し通そうとしたマユだったが、しかしジブリールの話術は巧妙で。
おだて、あおり、先読みし、カマをかけ。時に「キミは戦争が終らずとも良いのか!」と叱責し。
抵抗も空しく、ほとんど全ての事実関係を聞き出されてしまっていた。
偽ラクスのことのみに留まらず、自分の生い立ちから、孤児院の真のラクス・クラインの様子に至るまで――
マユがなんとか隠し通せたのは、せいぜい偽ラクスの本名「ミーア・キャンベル」くらいのものだった。
「確かに違和感はあったのだよ。我々とてこの2年、姿を消した『ラクス・クライン』を探していたのだ。
それを、デュランダル如きに出し抜かれ、あのように利用されるのはどういうことかと思っていたが……
アレがニセモノで、本物はマルキオの奴が匿っていたとなれば、全て納得だ。全て辻褄が合う」
「あ、あの……導師様のこと、ご存知なんですか?」
ジブリールの言葉に、マユはひっかかるモノを感じた。
あの温厚な盲目の導師を良く知るような彼の口調に、思わず問いかける。
「マルキオは――アレは、危険な人物だよ。ある意味、ワタシよりも危険な人物だ。
奴はね、『平和』のためなら何でもするのだ――『平和』のためなら、手段も、目的さえも選ばん。
無視しきれぬほどの力とコネクションを持つクセに、次に何をしでかしてくれるのか、全く読めん。
あの、誰が見ても長持ちしそうになかったユニウス条約、アレの強引な締結にも、奴の力が関わっていたのだ。
ラクス・クラインも――有名人とはいえ、所詮は小娘1人。世に知られぬよう匿うくらい、苦でもあるまい」
「……導師様って……そんな凄い方だったんですか……」
マユは嘆息する。自らを危険人物と告白するジブリールに突っ込む余裕もなく、嘆息する。
確かに孤児院も留守にしがちで、偉そうな人々が頻繁に訪れ、夜中まであちこちに電話していたが……
当時は、そんな大物だとは夢にも思わなかったのだ。
「ま、マルキオのことなど、今はどうでも良い。
マユ・セイラン、キミのもたらしてくれたこの情報、大事に使わせて貰うよ。
そのために――1つ、約束だ」
「約束……ですか?」
「そう、約束だ。
キミが今、ワタシに向かって喋ってくれた、ラクス・クラインに関するこの話――
そして、今日ここでワタシと会い、この話をしたという事実そのもの――
これらを、秘密にして貰いたい。誰にも喋って欲しくないのだ。
ラクス・クラインに関するこの情報、タイミングを見計らって明かしてこそ、価値あるものだからね。
どこかからウッカリ漏れてしまう危険性を、可能な限り排除したいのだよ」
「……分かりました」
マユは気乗りしない様子で、しかし頷いて。そんなマユの前に、ジブリールは手を差し出す。
フレンドリーに、握手を促す仕草。信頼を示す動作。あくまでにこやかに、あくまで紳士的に。
「何度でも繰り返そう。コレは、実に立派な戦果だ。
キミが落ち込む必要なんかない、胸を張って良い――ワタシとの『約束』を守る限りにおいては」
――マユが去った後。
ジブリールたちが居た応接室、そこに隣接した洗面所に、水音が響く。
鏡の前、顔を歪めて神経質そうに手を洗うのは、ジブリールその人。
先ほどまでの余裕も風格もかなぐり捨て、病的な潔癖症を剥き出しにして、洗い続ける。
「……ったく、なんだかなァ。ねぇ盟主殿、そんなにイヤなら会わなきゃイイじゃないですか」
呆れた声を上げるのは、ジブリールの後ろ、壁に背を預けるネオ・ロアノーク。
なおも執拗に流水に手をさらす彼は、鏡越しに仮面の男を睨みつけ、怒鳴りつける。
「仕方があるまいッ! 憎っくきコーディの情報を持つのが、他ならぬコーディの小娘だと言うならッ!」
「コーディネーターが嫌いでも、触るのも嫌ってのはどういう感覚なんですかねェ」
「貴様には分かるまいよ。本来なら、同じ空気を吸っていることさえ耐え難い事なのだ」
「嫌がる気持ちまでは、まあ想像つきますがね。別に、遺伝子操作が感染するってわけでもあるまいし」
「フンッ! 実害はなくともな、『ケガレ』は感染るのだよ!」
ようやく水を止め、ふやけきった手を――マユと握手した手を、丁寧にタオルでぬぐう。
何度もタオルを換え、一滴の水さえ許さんとばかりに手を拭いていた彼だったが――ふと、部下の沈黙に気付く。
「――どうした、ネオ?」
「遺伝子弄ったコーディネーターが『ケガレ』だと言うなら……俺は一体、どうなります?
盟主殿もご存知でしょう? 俺はある意味、奴ら以上の――」
「気にするな。オマエは別格だよ」
珍しく気落ちした様子のネオに、ジブリールはニヤリと笑う。
振り返り、ネオの胸を軽く拳で叩く。
「オマエの存在は、むしろ祝福だ。奴らの行き詰まりを体現する、蒼き清浄なる世界の生んだ奇跡――
だからこそ、オマエはワタシの下にいる必要があるのだよ」
――ガルナハンの街が、揺れる。
地響きを立てて、枯れ谷を埋め尽くしていたMSたちが、動き出す。
バクゥ、ガズウート、バビ、ディン、ゲイツR。ホバーで動く、大型の陸上戦艦の姿もある。
それらが一斉に、南へ向かって。
「攻撃部隊のみなさーん! 頑張って下さいねー!」
空中にホバリングするグゥルの上、桃色のザクの手の平の上で、桃色の髪の歌姫が手を振る。
去り行くMSたちも、あるものは拳を突き上げ、あるものは銃を振ってアイドルの応援に応える。
一気に兵士の数が減り、がらんとした街の中で。
進軍する部隊の背中を眺める、2人の姿があった。
「……俺もアッチに参加したいな。なんで俺たちは後方なんかに」
「シン……あんた、あんな激しい戦闘した直後だってのに、まだ戦いたいの?!」
戦闘の気配にうずうずして仕方ないシンと、呆れてその横顔を見上げるルナマリア。
と、そんな2人の背後に近づく2人の、これも赤服。
「……軍にはそれぞれ、役割ってものがあるんだよ、シン」
「そーそー。それにさ、あいつら勝ち目薄いと思うぜ? あんたらがここに残されてる、ってことはさ」
「アスラン! それに……ハイネ、さん」
「ハイネでいいよ」
アスランとハイネ、2人はシンとルナマリアに並ぶ位置まで近づき、一緒に遠ざかる部隊の背中を眺める。
地上部隊の姿は既に入り組んだ渓谷の影に隠れ、上がる土煙で大体の位置が分かるだけ。
「勝ち目ないって……それ、どういうことです?」
「あいつらはさ――そもそもは、このガルナハンを『落とし損ねた』部隊なんだよ。
結局ミネルバが落としてくれたけど、それって連中にとっちゃ面目丸潰れでさ。
あのスエズ攻撃計画だって、名誉挽回を狙って、連中が強引に上層部から許可取ったわけだが……
もし、軍上層部が完勝できると踏んでたなら、ミネルバを参加させないわけがない」
「……??」
ハイネの言葉に、シンもルナマリアも首をかしげる。アスランだけが、どこか疲れたような表情で。
「つまりな……俺も含めて『ミネルバ』というのは、今やザフトの『看板』なんだよ。
シンは、アカデミーをトップで卒業した有望なエース。
レイも、シンとほぼ同成績のNo.2。
ルナだって、ザフト全軍でも史上3番目という女の赤服だ。
そして、俺、アスラン・ザラも……」
「前大戦のエースで、パトリック・ザラの息子で、父親の暴走止めた英雄、だもんな」
「……否定はしないよ、ハイネ。
少なくとも、そういう風に見られているから、わざわざミネルバに配属されたのだろうしな」
「……じゃ、何? あたしたちって……?」
「戦意高揚のためには、分かりやすい『英雄』が求められるのさ。
オレのハイネ隊とか宇宙のジュール隊みたいに、既に自分の隊を持ってる奴らを除外すれば……
ミネルバ隊ってのは、今のザフトで考えうる限り最高の『ドリームチーム』だからな。
機体だって、最新鋭のワンオフ機2機に、最新鋭の量産機2機、しかもパーソナルカラーだ」
「で……そのドリームチームに、華々しい戦果を上げさせて、大々的に報道する。
すると味方の士気は上がり、敵の士気は落ちる、と。そういうカラクリさ」
「……あんまいい気分はしないッスね、それって」
「見方を変えれば、期待されてるってことさ♪」
ガルナハンを出て行った部隊の姿は、もう見えない。
4人は誰からともなく向きを変え、街の中を歩き出す。
「あいつらの作戦、悪くないと思うんですけど……」
「オレもそう思う。そして連中の作戦通りに進めば、スエズは落ちる。ミネルバが参加するなら、なおさらだ。
けど、そうさせないってことは……上層部は、何か不安要素を掴んでいるのかもな」
「不安要素、って?」
「さぁ? 攻撃隊にもソレは伝えられてるハズだから、判断の分かれる内容ではあるんだろうなァ。
例えば……戦力を評価しづらい援軍がいる、とか」
連合軍側の、スエズ基地への援軍――
4人の脳裏に、揃ってある国の艦隊が思い浮かぶ。しばしの沈黙。
街から消えたのは攻撃に参加する兵士だけではなかったようだ。工兵隊も陣地構築の仕事に入ったらしい。
巨大なビーム砲らしき機械が、輸送用ヘリコプターに吊り下げられ、どこかに運ばれてゆくのが見える。
砕岩用のドリルや、太いエネルギーコードを抱えたワークスジンたちが、それを追うように歩いてゆく。
それを見るとも無く見上げながら、ハイネが再び口を開く。
「この街の防衛は、俺たちハイネ隊が中心になってやることになったけど……この後ミネルバはどーすんの?」
「ディオキアの街まで『ラクス・クライン』を護送し、ヒルダ隊に護衛役を引き継ぐ、としか」
「ずーっと戦いっぱなしだったから、そこで長めの休暇もらえるらしーけど……別に休みなんて貰ってもなァ」
「ちょっと、シン! せっかくの休みなんだから、もっと喜んでよ、もうッ!」
恋人との時間よりも戦いを欲するシンの態度に、頬を膨らませるルナ。
アスランは、そんな2人のやりとりを眩しそうに、どこか羨ましそうに見やって……
ハイネは、そんなアスランの様子に、少しだけ眉を寄せた。
――スエズ基地、港湾部。タケミカズチに戻ってきたマユは、カメラマン風の娘とすれ違う。
軍の空母では見慣れぬ私服姿に、思わず目で追いかける。
「お、マユ! どこ行ってたんだ?!」
「あ、カガリ……」
ちょうど、ミリアリアを見送りに出ていたカガリが、マユに声をかける。
マユはしかし、いつもの元気の欠けた覇気のない姿で、力なく応える。
「……別に……ちょっと、基地の中を散歩してただけ」
「そっか。なんか元気ないぞ、体調でも悪いのか?」
「そんなこと、ないけど……」
マユは短く答えただけで、通り過ぎようとして。
そのまま見送ろうして――ふと何かを思い出したカガリは、その背に声をかける。
「ああそうだ、マユ。いくらでも散歩してくれていいんだけどさ」
「何?」
「くれぐれも、言動には気をつけてくれよな。
なんか今、スエズ基地には『ジブリール』って奴が来てるそうだから」
「ジブリー……ル?」
「そう。マユも知ってるだろ? 例のブルーコスモス的な言動の目立つテレビの。
マユなんかはコーディネーターだから、目をつけられたら厄介だしな」
「……………」
思わず黙り込むマユ。流石に不審を抱いたカガリが、声をかけようとしたその時――
タケミカズチの中に、そしてスエズ基地に、警報が鳴り響いた。
――モビルスーツの出現は、戦争のあり方を大きく変えたと言われる。
戦闘力。大型の工作機械も兼ねられる柔軟性。MAには不可能な高い格闘戦闘。
しかし、それにも増して大きかったのは――その、進軍速度である。
単純な最高速度なら航空機やMAに劣るが、しかし敵地に斬り込んで行く能力で言えば。
前衛・支援砲撃・空戦・防空。全ての戦闘を、MSのみで行えるMSなら。
それ以前の時代の混成部隊以上のスピードで、進軍することができる。
いわゆる、『電撃戦』を、さらに圧倒的な速度で、より少ない戦力で、行うことができるのだ。
コスト的な問題を抱える地上戦艦なども、まさにその速度について行くことを目的に採用されたものだ。
そして、ガルナハンを破ったザフト軍は、その速力を存分に活かし、一気にスエズに迫っていた。
途中の小規模な連合軍部隊を蹴散らし、細かい陣地や街は占領すらせずに通り過ぎ。
目標はただ1つ、スエズ基地。それも占領は考えてもおらず、基地機能の破壊が目的。
港、空港、宇宙港……それらの機能を喪えば、このあたり一帯の戦力バランスは大きく崩れることになる。
攻撃部隊は、スエズ基地の防衛体勢が整いきる前に、強烈な一撃を加えんと――
「間もなくスエズです。斥候のディンの報告では、小規模な部隊が出ているものの、まだ混乱しているようだとか」
「よし。このままゆく……ぞ……」
副長の報告を受け、勢い良く頷きかけた地上戦艦の艦長は、途中で言葉に詰まる。
遮るものなき乾いた大地の上――偵察用ディンが打ち落とされ、無数の影がスエズの上に湧き出してくる光景に。
航空機のようなシルエットを持つ無数の量産機、ムラサメ。
それらを率いて飛ぶ、ストライクルージュ。
天駆ける緑の鷲、カオス。大地駆ける黒い豹、ガイア。翼を広げ飛ぶ、紫のウィンダム。アビスは後方に控えて。
そして――10枚の蒼い翼を広げて先頭に立つのは、オーブの守護神、フリーダム――
そう、スエズまでの航海の最中、常に不意の遭遇戦の緊張に晒されていたオーブ軍は。
ローエングリンゲートに全幅の信頼を置き、いつしか安心に慣れていたスエズ駐留軍よりも、素早かった。
混乱する連合軍をよそに、即座に戦闘態勢に入った彼らは、そのままザフトの部隊と交戦に――!
――混乱続くスエズ基地の、空港で。
ジブリールはしかし、悠々と小型ジェット機に乗り込む。
スエズの士官が、血相を変えて小型機の戸に手をかけ、ジブリールに呼びかける。
「ジブリール様、危険過ぎます! ここは一旦シェルターに避難して頂いて……」
「あいにく、この先も予定が詰まってるものでね。こんなところで穴蔵に篭ってるヒマはないのだよ。
今日のうちにはロンドンに着いてなければならんのだ。それに……」
対照的に落ち着き払った態度で、彼は遠くに見えるビームと爆発の閃光に目を細める。
「オーブ軍とファントムペインが出たなら、もう勝負はついたようなモノだ。
あの国のお姫様は、バカがつくほど真面目な性分だからね。頼まれずとも手を抜くことはあるまい。
キミたちも、せいぜい連中を上手く使うんだね。
こうなってしまった以上――ミネルバを見逃がした彼らに、ガルナハンのツケを払って貰っても良いだろう」
遠くでは、フリーダムが奮戦している。ムラサメ隊が、バビたちと激しいドッグファイトを繰り広げる。
動き出した飛行機の中からその姿を眺め、彼は静かに笑う。
「毒には毒を。せいぜい頑張ってくれたまえ、マユ・セイラン。そしてオーブ軍の諸君。
キミらが何を願って戦うのかは知らんが、利用させてもらうよ。蒼き清浄なる、世界のために――」
ジブリールを乗せた小型機は。マユたちの想いとは真っ向から反する巨悪を乗せた小型機は。
命がけで戦う彼らを横目に、蒼く深い空の彼方に消えてゆく――
第十四話 『 タンホイザーを討て! 』 につづく
・スティングのブロックワード
こういう二次創作やる場合、彼のブロックワードがないのは大きな問題です。
ですがここは逆転の発想として、「決まってないから好きに決めてよいのだ」と考え直しました。
他2名も含め背景を深く設定しなおし、それに連動するようにブロックワードも設定しました。
>>162 の「破滅」ってのは知らなかったですねぇ。はっきりしたソースが欲しいところ。
ま、もっと詳しい情報が出てきても、このお話のスティングは「化け物の仲間」で通させて貰いますが。
残る2人については、ブロックワードは基本的にそのまま。また出てきた時に詳しく。
・3SAFA(スリーサファ)
会話の中で唐突に出てきた、オリジナル設定。といっても、完全オリジナルなのは名前だけですが……。
実は既に別の呼称で出てきてるのですが。詳しいことはまた今後。
・カガリが「ラクス」に抱いた疑惑
色々推測して下さったようですが、はいその通り、違和感は感じていました。
ただし他の仮説(本物ラクスの変心も含めて)も含め、決め手を持てずにいるのが現状。
ちなみに……温泉に一緒に入ったことはないので(天使湯に入る機会がないので)、胸のサイズは把握してません。
せいぜい「あんなに着痩せするタイプだったのか」くらいでしょう。あるいは「すごいパッド入れてるな」か?w
・地形
スエズについては、実際の知識から。民族問題とか宗教問題抜きにしても、あそこは戦略的に重要な地形です。
ガルナハンについては、色々と補完。位置的にビミョーなんですが。
次回については、流石にここまで遅れることはないと思いますが。確約しかねる、というのが本音です。
どうか、気長に……
隻腕乙です!
いやー。待った甲斐がありました♪
すっげぇ面白いです。
ジブの旦那の腹黒具合が最高ッスね。
原作のつまらない小悪党ではなくもっと大人物でいて欲しいものです。
これからも期待してます。マイペースで頑張ってください。
乙でした!
オクレのBWは意外だったがいい感じですね
それぞれキャラがどういう背景なのか気になる
もしかしたらそうであったかも知れない彼等の可能性に心躍らされます
隻腕13話お疲れ様です!
ジブリールの大物ぶりは良かったのですが、マユ(コーディ)に対する感情が過剰
すぎるような・・・構成員が過激思想でも、トップが冷静な方がより「大物」ぽい
感じがすると思うのですが。ミリアリアのポジションが本編以上に重要に
なる予感ですね。本編ではアスランからしか接触が無かったし(しかも偶然)
アスランもミーアから聞き出していたし、情報戦の様相が・・・これからの活躍
に期待大です!
>隻腕作者様
相変わらず面白いですね!
ミーア好きとしては、ほのぼのマユデス作者様とのコラボですか、あの設定好きなんですよね。
TV版が終わってミーアにハラハラすることはもうないかなあと思っておりましたが、このスレでこれからの展開を楽しみにしております。
マユがミーア絡みで心に傷を負いそうでそこもハラハラですね・・・
あと
>>162はその、全ての作者様にご参考になるかもということでカキコしました。
「公式ソースがわからない」ところでカキコしたことは軽率だったと思っています。
隻腕作者様、およびスレの皆様に申し訳ないです。すみませんでした。
ただ仮に「破滅」だと「catastrophe, destruction[もとになった動詞は destroy(破壊する])等」なので、
連想イメージでスティングが「デストロイ乗れなくなっちゃうんじゃないの?→どうなのよ種死設定担当の人」と個人的には思ってはいます。
このスレの1ROMとしては、ファントムペインのBWって作者様の独自の色、解釈が見えるポイントだと思っているので、
「化け物」を含め、彼らのBWにどのような展開が待っているのかワクワクテカテカしています。
これからも頑張ってください!!
>>189 ジブの潔癖症ぶりは個人的にツボ。
しかも本人の前じゃ平然としてて、握手さえしてみせるってのが・・・・
GJ!だと思ったが。
マユは艦長室を出るアーサーの後に続きながら、思考する。
(アーサー艦長は、イザーク議員の目論見に気付いているの?)
アーサーの心当たりが、ミネルバに配属されてからのマユの行動に起因するものならば、それは杞憂だ。
フェイスは直接にプラント国防省の指揮下に置かれ、最終的に自らの判断で行動する事が許されているが、
これに伴う責任はフェイス自身が負うのだから、マユの所為でアーサーが責任を追及されはしない。
(そんな事はアーサー艦長だって分かっている筈だわ。それでも、
心当たりの原因の殆どが私だと指摘するのは、出頭要請の理由をある程度予想しているからでしょうね)
そこまで考えて、ふと疑問を懐き、マユはアーサーに声を掛ける。
「アーサー艦長」
「ん?」
「案内をする人物と何処で会うのかはご存じなのですか?」
アーサーは、再び困った顔をして、片手で頭を掻きながら返事をする。
「あー、訊くの忘れてた……。まあ、良いさ。何とかなるよ」
「…………」
アーサーに非難の視線を向けて、マユが黙っていると、ハイネの声で艦内放送が響き渡る。
「アーサー艦長、取り敢えずの合流場所に指定されたのは、
アーモリーワン第二番港湾ブロック到着ロビーです」
「ああ、丁度良かったね」
艦内放送を聴いて、アーサーが満足気に言う。
「……時々、私は貴方が有能なのか無能なのか判らなくなるのですが」
マユの暴言にも、アーサーは呑気に微笑むだけだった。
>>192 面白そうなんだけど短すぎるッス
もっと書いて!
>>192 ちょこちょこ書くよりもある程度まとめて投下した方がいいと思われ
読む方としてもその方が読みやすい
「・・あれ?ハロ。今日、なんかいつもと違わない?」
『ふっふーん、なんと俺オリジナルインパルスなのだーvようやく仕上げが終わってさーv』
マユがチェストフライヤーなどを見て言ったの問に自信満々に答えるシンハロ。
「おおう、なるほど。じゃあちょっくら見せてもらいましょうか。」
そして、インパルスが合体すると・・・・。
通常のMSより遥かに大きい腰のスカート部分、そこからはバーニアが噴出している。
そして手の部分の装甲は花びらのような飾りがついている。
・・・・・・そして、全体的な色はピンクと黄色と白である。
「・・・・・ハロ、これ何?」
『マジカルインパルス。』
マユはシンハロが答えた瞬間バシバシとシンハロを叩き始める。
『いたいたいたいたいたい!!外見はふざけてるとか思うかも知れないけど
性能は折り紙付だって!!』
「ほほう、ならばいってみせい。」
脅すマユにハロはインパルスのモニターに図形を出現させる。
『えー、まずこの腰の部分のバーニアによってフォースシルエットをつけてなくても
同等の推力が得られます。ようするにソードシルエットとかでも空を飛べます。』
「それで?」
『武器はマユに合わせたトンファーを特別に作りました。ビームガンとしても使えます。
あ、もちろんビームサーベルにも。』
「ふむふむ。」
『インパルスの合体機能を利用して一からフレーム構造を見直し、より格闘戦向きに仕上げました。
ほぼマユの思った通りに動いてくれます。』
シンハロは一通り説明を終える。
「でさ、このデザインは?」
『・・・・・・・・・・・・だってさ、魔女っ子ってステキじゃん。』
「あんたってメカはぁぁぁぁっ!!」
悪乗りしすぎだハロw
ハロも有能なのか無能なのかよくわからんなw
>マジカルインパルス
GJ!!いや、良い趣味してるなあシンハロw
白と黄色とピンクは魔女ッ子の基本カラーだが、私的にはロングスカートが良い
と思います。そんでもってインテリジェント・デバイスを持って「リリ・・・」
マユデスマユなら遠距離より接近戦メインだからRHよりBDか?
……ちと悪乗りしすぎでね? 正直ヒイタ
や、一過性のネタとしては良いが、延々コレでやられると思うと……
このノリがほのぼのマユデスの売りだと思うんだがなぁ
「嫌なら読まなければいいorスルーすればいい」
俺からはこれしか言えない
そういうことだな
読まなければいいっつっても、読まなきゃ面白いか面白くないかもわからないだろ
スレの雰囲気守りたいのはわかるが、言ってることメチャクチャだ
つまらないと思った作品は「以後」読まなければいい
レスとかも気に入った作品にだけすればいい
こういうことじゃないか?
好きだからこそ問題点を指摘、って可能性は?
これがそうかは知らないですが、ね。
マンセーか無視かの2択しかないのは逆にキモチワルイです。
こちらも作品書いてる身ですが、耳の痛い意見も続きを書く時の糧になってます。
必ずしも、指摘された方の意見に従順に従うというわけでもないですが……。
ほのぼのさんは匙加減難しいラインを意識して攻めてるようなので、色んな反応があるのが自然なはず。
評判良い意見も多いみたいだし、後はほのぼのさんの考えることでしょう。
一読者として、続きに期待。
「昔のあなたに戻って」と言ってはいかんのか
最近はついていけない・・・・orz
悪意のあるもの以外は割りと自由に意見言ってもいいんじゃまいか?
まあその(批判的)意見に対しても意見がつくのもまた通り。好みは人それぞれだから。
気にするな、俺は気にしてない。
「行くよっ!!シンハロ!!」
『了解っ!!』
気を取り直して私は巨大なMSに向かって飛んでいく。
確かに外観はふざけているが、性能は申し分ない。
・・・・後で外見のデザインと名前は変えさせよう。うん、絶対。
『マユ、おそらく敵はあのビームバリアのおかげで遠距離攻撃は効かない。
攻めるなら一気に距離を詰めろ!!』
シンハロの言葉どおりに私は一気にアクセルを踏み込み加速する。
しかし、そんな私の目の前に三体のウィンダムが立ちふさがった。
一体は青、もう一体は緑、そして最後の機体は・・紫。
「っ・・!!まさかあの変態ネコミミ仮面・・!!」
マユは激昂する。・・結局あの男は自分との契約を何一つ守らなかったのだ。
『・・・マユ・・?マユ・・・・・?マユ・アスカさーん?』
普段とは明らかに違うマユの様子にシンハロは不安な声をあげる。
「上等よ・・・、あのおっさん・・・。24時間フルアスランお兄ちゃんコンサートの刑よ!!」
『マユー!!それだけはダメだーーー!!たとえどんな人間だとしてもあれは人に
聞かせて良いものじゃないーー!!止めるんだー!!』
「シンハロ!!メイリンとあの緑のウィンダムを通信できるようにつないで!!」
『えっ・・?!何で・・?!』
マユの唐突な言葉に困惑するシンハロ。
「いいから!!愛の力でどうにかなるの!!やれ!!」
『は・・っ、はい!!』
マユに脅されシンハロの目の部分が点滅する。
そして、通信がつながったらしい緑のウィンダムの動きが止まる。
・・・・・・十秒経過。
『すまねぇネオ!!俺は愛に生きる!!』
『おい!!こらスティング!!』
シンハロを通じて相手の回線の会話を聞く。・・・スティング説得完了。
・・・・・青のウィンダムは・・・・。
「てりゃっ!!」
緑のウィンダムを呆然と見てた隙にフリーダムヨロシクに青のウィンダムをだるまにする。
そのまま落ちていく青のウィンダム。・・・・アウル説得完了。
『今の全然説得じゃないよ!!』
「肉体言語で語ったのよ!!」
『あんたって人はぁぁぁぁ!!』
シンハロの言葉を無視して
紫のウィンダムは・・・・・雑魚だからほっといても大丈夫だろう・・。
さて、最後の問題は・・・・。
「ステラ・・・・。」
マユはおそらく巨大なMSに乗ってるであろう友達の名前を口にした。
ここでゲンがどう出るかワクテカ
・・・どうも、ほのぼのです。
マジカルインパルスについてちょっとした意見が出てるようですがアレは
あくまでシンハロがノリで作った『試作品』、プロトタイプです。
つまり、まだまだ問題点があるので活躍はそんなにしない予定・・・です。
さすがにあんな派手派手のピンクのMSが前線で活躍してたらザフトのイメージが・・。
あれ・・、てーことはアカツ(ry
ミーアのザクはライブ用だから別にいいと思うんですけど・・。
とりあえず、マジカルインパルスについては今回限りのMSV的存在になるのか
発展してちゃんとしたMSになるのかはちょっと考え中です。
それでは、そろそろ師走ですので他職人の皆さん、スレ住人の皆さん、
くれぐれも体調にはご注意を。
>>203 つまらないの一言を悪意としか取れないんだねぇ君は
たとえその時はつまらなくても、面白いものが書けるようになれば面白いと言ってあげたいじゃないか
評価はその時その時で変わるものじゃないのか
君の中だと作者の評価は一定なのか?
折角頑張っても読んでもらえないって悲しいぞ
単発設定小話「マユとキラ」
〜夕暮れの海岸、夕暮れに染まる慰霊碑〜
マユ「・・・ママ、パパ。いままで会いに来れなくてごめんね。・・・・・・ここに来る機会はいくらでもあったのに、
勇気がでなくて来れなかった。マユね、いまザフトのパイロットをしているのよ。・・・兵隊さんになっちゃった。
でもね、あの戦争のあと私と同じようにザフトに入隊する戦災孤児は多かったのよ。あのときの私の持ち物
なにもなかったもの。そうあのとき、あのときマユの携帯を拾いに行かなければお兄ちゃんも一緒に来れた
のにね。・・・お兄ちゃんはまだみつからないの。オーブでもプラントでも死んだことになってしまったけれど、
マユはお兄ちゃんが死んだとはとても信じられない。今でもどこかでおちゃらけている気がするの。。」
〜慰霊碑に近づく人影〜
キラ「・・・安らかに・・・・・・?君もお参りかい?」
マユ「あ、うん」
キラ「そう・・・」
マユ「お兄ちゃんも誰か亡くしたの?」
キラ「うん。・・・大事な人をたくさん亡くしたんだ・・・・・・」
マユ「そっか、私もね大事な人を亡くしたの。ママにパパ。二人ともMSの攻撃で吹き飛んじゃった・・・」
キラ「えっ・・・じゃあ今は一人ぼっちなの?」
マユ「ううん。ママとパパはもういないけど、いまは家族同然の人たちに囲まれているもの、一人ぼっちじゃないわ」
キラ「・・・君は強いんだね。」
マユ「一人残されてしまったもの、仕方ないわ」
キラ「そう。・・・・・・君はオーブで暮らしているのかい?」
マユ「いまはプラントで暮らしているの。疎開してそのままプラントへ移住したの」
キラ「なぜオーブに戻らなかったの?」
マユ「・・・わたし、コーディネイターだもの。プラントのほうが落ち着けるとおもったから・・・」
キラ「君、コーディネイターなのか・・・」
マユ「お兄ちゃんもコーディネイターなんでしょ?」
キラ「え、見ただけでわかるの?」
マユ「ふふ、偶然よ。ぐ・う・ぜ・ん!」
キラ「そっか。すこしびっくりしたよ」
マユ「姿をみただけでわかるわけないじゃない。そんなの超能力者しかいないわ。ふふ」
キラ「そうだよね。さぁ、僕はもう行くね」
マユ「うん。あ、お兄ちゃん!お名前教えてよ」
キラ「僕は、キラ・ヤマト。君は?」
マユ「マユ。マユ・アスカよ」
キラ「マユちゃん、またおいでよ」
マユ「そうね。お兄ちゃんがきてくれるならまた来るわ」
キラ「はは、うん。待ってるよ。じゃ」
〜立ち去るキラ〜
マユ「・・・あれがキラ・ヤマト。ママとパパを殺めた人。あの時、あなたも必死に戦ってたんだと思うけど、やっぱり
割り切れないわ。・・・ママ、パパ、そしてお兄ちゃんも怒らないでね。私、あの人だけは許せない。会ってみて
やっと決心がついた。キラ・ヤマトだけは、絶対に許せないっ!」
完
>>211 お前はつまらないの一言からどれだけの善意を読み取れるのかと(ry
>>204の、問題点があれば指摘して欲しいって意見が職人の本音だろう
前スレみたいな議論はもううんざりなんだ・・・勘弁してくれorz
まあたしかに一言じゃ善意か悪意か判断できん罠
>>212 これ、ひょっとして
>>163の続編?ってーか同じ世界観?
とすれば深刻なマユとは裏腹に記憶喪失になったシンがどこかで馬鹿やってんだろうなぁ……
シリアスマユカワイソス
そもそも今回の件で「つまらない」なんて言った香具師おらんだろ
「つまらんと思うなら読むな」と斬り捨てた香具師ならいたが、そもそも誰も「つまらん」とはいってない
単にほのぼののネタがやりすぎてる、って批判しただけだろ?
まっとうな批判ですらまともに見られなくなったかわいそうな人が粘着してるようですね。
まぁ、批評関係で前スレ荒れたからな。過剰反応しても仕方ないよ。
以後、何事も無かったかのごとくマユスレ再開。
いちいち制約つける私物化キチガイうぜぇなぁ・・・お前のスレじゃねぇだろw
それでモチベダウンするならもう書かなくていいよ
単発設定小話「マユとハイネとアスラン」
ハイネ「・・・ここにいたのか」
アスラン「ハイネ・・・ああ」
ハイネ「・・・戦いたくないか。オーブとは」
アスラン「・・・・・・はい・・・」
ハイネ「じゃあお前、どことなら戦いたい?」
〜二人の背後より〜
マユ「ハ〜イ!マユはアスランさんと戦いたいですっ!」
ハイネ「マユ!?」
アスラン「おいおい、マユなにを・・・」
マユ「だって〜、マユまだアスランさんからシューティングで勝ったことないもん」
アスラン「いや、いまそういう話をしてたんじゃ・・・」
ハイネ「っぷ、あっはっはっ。ひぃ〜っひっひっひ」
アスラン「ハイネ・・・」
ハイネ「そうかぁ、マユはアスランと戦いたいかぁ!っくっくっく。あ〜っはっはっはっは」
マユ「・・・ふぇ?」
ハイネ「アスラン、やっぱりマユにはかなわねぇなぁ?」
マユ「ゲームの話じゃないの?」
アスラン「・・・はぁ。・・・いや、そういう話だよ」
ハイネ「いや〜アスラン君!君の悩みなんて無邪気の前にはあまりにもちっぽけすぎるな!」
アスラン「・・・はい。・・・そうですね・・・・・・」
マユ「・・・アスランさん、なにか悩んでいるんですか?」
ハイネ「マユ。アスランはなぁ、愛しい人に会えなくてブルーになってるのさ」
アスラン「ハイネ!?」
マユ「え〜、アスランさん今は会いづらいんじゃないですか〜?」
アスラン「はぁ?」
マユ「ルナ姉ちゃんとはあんなことしてるし、メイリン姉ちゃんともそんなことしてるし。その他の女性クルーとだって・・・」
アスラン「おい、あんなことやそんなことってなんなんだよ!何もしていないじゃないか!」
ハイネ「アスラン。許婚がいるのに他の女性に手をだすなんて・・・いけないぞ!(にやにや)」
アスラン「ハイネまで!?俺はなにもしていませんよ!」
マユ「ふ〜ん。とにかく、アスランさん!言いふらしてほしくなければ、今からシューティングルームで私と勝負よ!」
ハイネ「よし!俺も参戦するぞ。赤服の先輩として、そしてフェイスの実力を見せ付けてやるよ!いくぞ、アスラン!」
アスラン「え?いや、俺は・・・」
ハイネ「いいから!早く来い!」
〜アスランの首に腕をまわすハイネ〜
ハイネ「割り切れよ。じゃないと・・・死ぬぞ」
アスラン「・・・・・・ハイネ」
完
保守
>222
うはっwwwシンハロwwwwwテラカッコヨスwww
笑いましたーGJです!
元絵なんなんだろ。シンかなりかっこつけだが。
↑こことは微妙に違うでしょ
キャベツとレタスくらい
227 :
HP3:2005/11/17(木) 20:08:36 ID:???
>>222 シンハロカード作ったものです。
もしよろしければ人間形態もカード作ってよかですか?
効果はシンをベースにするつもりなんですが、希望の効果とかありましたら是非。
>HP3さん
どうぞどうぞ!期待してます!
効果かぁ・・・、よくガンダムウォー知らないからなぁ・・・。
強いて言うなら擬似SEEDシステム・・ですかね。
後はマユがいると攻撃力アップ・・とか?
本当にわからないんでこんな答え方ですみませんort
「ステラーッ!!」
マユは叫びながら巨大なMSに向かう。
しかし、敵のMSは容赦なく攻撃してくる。
『シールド発動!!』
シンハロがインパルスの両手を前にかざすと手首部分の花びらのような飾りが
持ち上がり、そこからビームシールドが幾重にも重なるように出てくる。
それは巨大なシールドとなり無慈悲な攻撃からインパルスを守る。
「おぉっ!!」
思わず感嘆の声をあげるマユ。
『後でアキラに怒られるなー・・、『そのシールドは俺が使いたかったのに』とか言われそう・・・。』
マユ、ハロともに不敵な笑いを浮かべながら進んでいく。
しかし、その前にさらに黒い影が浮かび上がった。
「ストライクッ・・!!!あんのバカ兄貴!!」
マユはトンファーを取り出し、さらにそこからビームサーベルを出す。
ストライクもサーベルを構えるが、その時、突然巨大MSにビームの嵐が突き刺さった。
むろん、それらは塞がれたがそれでもその鮮やかな攻撃は出現したモノの存在を示すのに
充分だった。
「フリーダムッ・・!!何でこんなに悪いことが立て続けに起こるの・・・!!」
マユは思わず舌打ちをする。
『バカマユッ!!チャンスだっつーの!!』
シンハロはマユを叱咤し自らインパルスを操作してフリーダムに注意を向けた
黒いストライクの横を抜けていく。
スピードを上げてステラの所へ向かうがすぐに黒いストライクが追いついてくる。
「くっ・・・・・・。」
しかし、突如ストライクに突撃する緋色の影。
『マユ!!』
聞きなれたもう一人の『兄』の声が聞こえる。
「レイ兄ちゃん!!なんでグフイグナイテッドに・・・?!」
『ハイネ隊が隊長が使い物にならないのでこれででてくれ、と。
マユ、黒いストライクは俺が引き受ける。それに・・・。』
レイが指した方向を見ると自由の死神に裁きを下す赤い救世主。
「セイバー!!アスランお兄ちゃん?!」
『アスラン?!』
マユとシンハロは驚く。確かセイバーは動けはするものの万全の状態ではないはずだからだ。
『まだエネルギーラインの調整が終わってないのでビームライフル、ビームサーベルは
使えないが本体に直接ついているビーム砲、そしてハイネ隊のメンバーから
借りた実弾兵器を装備している。倒すのは無理だが時間稼ぎなら大丈夫だそうだ。』
レイが笑いながら告げる。
『行って来いマユ!!お前なら大丈夫だ!!ステラ達を助けて来い!』
レイに励まされマユはまっすぐ巨大MSへ向かう。
「・・・・・大丈夫、私はもう一人じゃない!!」
マユの言葉に答えるかのように駆動音を上げるインパルス。
仲間がいて、相棒が支えてくれる。マユにはステラを助けられない可能性が考えられなかった。
妙な時間に14話投下。なんか眠れないうちに書き上げてしまいました。
……あらかじめ、宣言しておきます。
今回、ちょっと鬱展開です。
そーゆーのが苦手な方は、注意して下さい。
無事にスエズについたオーブ軍艦隊。
しかし、スエズの北の守りである、ガルナハンのローエングリンゲートが、ミネルバに突破されてしまいました。
スエズに来たジブリールは、「ミネルバを逃がした彼らに責任を取ってもらえ」と無責任な発言。
さて、それから連合・オーブサイドは反攻作戦を練ったようですが、果たして……?
では、続きをどうぞ ↓
枯れた谷を、走る一台の四輪駆動車があった。
オープンカー仕立ての座席に座るのは、小柄な2つの影。どちらも私服姿。
「確かにこれは、すごい地形ねー。なんかスケール感覚おかしくなりそう」
「そーかな? ま、確かにオーブにはねぇかもな。……おっとッ!」
助手席の少女は周囲の様子に感嘆の声を上げ、ハンドルを握る少年は慌てて目の前に迫った残骸を避ける。
通り過ぎざまに見てみれば、それは上半身が綺麗に消滅した、ダガーLの下半身。
「なぁマユ、見たかいまの!? 切り口がすっげー綺麗でやんの。
やっぱ陽電子砲ってシャレになんねーな!」
「そ、そりゃいいけど……ちゃんと運転してよねアウル!」
青い髪の少年は運転しながら何度も振り返り、急ハンドルにひっくり返った少女は文句を垂れる。
そうこうするうちに……彼らの進路に、何やら複数の人影と、バリケードらしきものが見えてくる。
ゲリラ風の戦闘服に身を包んだ彼らは手に手に銃を持ち、険しい目で近づく車を見据える。
「止まれ! そこの車、止まるんだ!」
バリケードの前、小銃を手に声を上げたのは――年の頃ならマユにも近い、小柄な女の子。
前髪を後ろにひっつめた、キツそうな雰囲気の少女の声に、アウルはゆっくり減速し、停車する。
「……へぇ、女の子だ。それもその格好、地元のモンなのか?
ガルナハンはザフトに占領されたって聞いてたんだけど」
「占領ではない。我々レジスタンス有志と協力して、連合の支配から解放してくれたんだ。
ただ彼らも、治安維持にまでは手が回らないから。検問などはコッチで受け持っている」
アウルのからかい半分の質問にも、自称レジスタンスの少女は生真面目に答えて。
銃を油断なく構えたまま、身振りで降りるように指示をする。
アウルもマユも、素直にそれに従う。
そのまま武装したレジスタンスに囲まれ、バリケード近くの質素な小屋に連れて行かれる。
と――小屋に入る直前、マユはあるものに気付き、頭上の岩山を見上げる。
少女は足を止めたマユに、一瞬不満そうな顔をしたが、彼女の見ているものに気付くと表情を緩める。
むしろ、どこか誇らしげな表情になって。
「あそこにある、機械みたいなのは……?」
「ああ、あれか。あれは――『タンホイザー』だ。ガルナハンの、守り神だ」
マユの見上げた岩山の上、棚のような天然の地形の、その上に鎮座していたのは――
配線もむき出しの、急造された巨大砲。ザフトの陽電子砲、タンホイザーを転用した強力な砲台――
かつてこの谷にあった連合軍の『ローエングリンゲート』の発想を、そのままコピーして反転して。
これは連合の反撃を強固に跳ね返す、ザフトの築いた『タンホイザーゲート』。
今回の、マユたちの攻略対象だった。
マユ ――隻腕の少女――
第十四話 『 タンホイザーを討て! 』
――少し、時間を遡る。
マユたちがタケミカズチの巨大会議室に集められたのは、スエズ基地への不意の襲撃から5日後だった。
上座にはカガリと並んで連合の上級士官が座り、マユの隣にはファントムペインの面々が座る。
「――というわけで、スエズ防衛のためにも、ガルナハンの奪回は急務となっている。
先日も、連合軍の一部隊が奪回のために向かったが……失敗に終った。
その最大の理由が、コレだ」
やや暗い部屋の中。
スクリーンの中では、ダガーLを中心としたMS部隊が、ガルナハンへの隘路を進軍していた。
だが突如彼らを襲うのは、通常兵器ではありえない巨大な光。
まとめて十数機のダガーLが爆発し、吹き飛ばされる。
光を放ったのは、そう、陽電子砲タンホイザー。
「どうやら、かの地にあった『ローエングリンゲート』のエネルギープラントをそのまま転用したらしい。
まあ、そうでもしなければ、こんな巨大兵器をこんなに素早く設置できまいが……
ともかく、これを真正面から攻略するのは、実に難しい」
「さてそこで、俺たちの出番なわけだ」
連合軍の真面目そうな士官の言葉を受けて、立ち上がったのは仮面の大佐ネオ・ロアノーク。
惨敗する連合軍の映像が消え、会議室が再び明るくなる。
「まずこの作戦、あのタンホイザーを避けられる、機動力のある機体が必要になる。それも1機や2機じゃない。
となると――オーブのムラサメ隊の出番だろう。
回避できずとも空中に散開すれば、被害は最小限に抑えられる。
俺のウィンダムやスティングのカオスも似たようなモンだし、ステラのガイアもあの地形なら」
「フン、簡単に言ってくれるな。で、避ける算段はいいが、どうやってあの難所を落とすんだ?」
「あ、ネオ、俺のアビスはどーすんの? 悔しいけど枯れ谷じゃ動きニブいぜー?」
憤然とした態度を隠そうともしないカガリと、自分のポジションを問うアウル。
その2人に、ネオはそれぞれ片手ずつを上げて応えて。
「あー、今からそこ話そうと思ったのに。焦りなさんな、お2人とも。
……確かにアビスは動き鈍いし、自慢の火力もあの地形じゃ使い道ないからな。
アウルには、今回はMSに乗らずに、別の任務をお願いしたいと思ってる。
で――オーブ軍の側からも、誰か1人、コッチの方に回して欲しいんだが――」
ガルナハン入り口、レジスタンスの詰め所にて。
「……そうか、ロアノーク商会、ね……聞いたことのない運送会社だけど」
「ま、この業界じゃ新参者だからね、オヤジの会社も。規模も小さいし。
厳しい競争を生き残るためには、大手が避けるルートを確保しなきゃなんねーのよ。
それで、この『ガルナハンルート』を通させてもらおうと交渉に来たわけ。
連合勢力圏とザフト勢力圏、この2つをまたぐルートは、持ってると俄然有利だからな」
「…………」
紹介状を胡散臭げに眺めるレジスタンスの少女に、アウルはいつもの軽い態度で堂々とウソをつく。
周囲を武装した兵に囲まれているというのに、パイプ椅子の上にふんぞり返るような格好で。
一緒にいるマユは、いつこの嘘がバレるかと、気が気でない。
「で、なんであんたらみたいなガキが使いに出されるんだ? その『オヤジ』とやらが来ればいいだろうに」
「アンタがガキとかゆーなよ。どーみてもアンタの方が年下だろ?」
「『アンタ』とか言うな! あたしには『コニール』という名前がある!」
からかうアウルに、怒り出すコニール。どうやらこの少女、かなり激しやすいところがあるようで。
周囲の大人のレジスタンスが、暴走しかけた彼女を宥めに入る。
「まぁまぁ、ミス・コニール。落ち着いて。
俺たちも、コニールの疑問はちゃんと聞きたいところだ。なぜその『オヤジ』さんが来ない?」
「オヤジはさ、見るからに『軍人』って顔つきなんだよ。実際、元々連合の軍人だったしさ」
「連合、だと!?」
「あ、誤解しないでくれよ? とっくに軍を抜けて、あんなトコ辞めちまってるから。
でも――そんなんだから、今この街に来たりしたら、絶対トラブルになるって思って。
ロアノーク商会としての渡りをつけた後ならともかくさ」
「……少し考えすぎのような気がしなくもないが、ま、事情は分かった。
しかしお父さんがそうでも、他にも大人は居そうなものじゃないか。
例えば、そう――『お母さん』とか」
「……え?」
男の何気ないセリフに、アウルの顔が凍りつく。
だが男はそれに気付かずに。
「そう、お母さん。あ、死んでるのか? いや別にお母さんでなくてもいいけどよ。誰か大人いないの?」
「……母さん……死ぬ……シャトル……爆発……かあさん……目を開けてよ、かあさん……!」
「ん? どうした、このガキ?」
「……ッ!」
急に目の焦点を失い、ガクガクと震えだすアウルの様子に、それまで黙り込んでいたマユはハッとする。
この反応は――見覚えがある。つい最近見たことがある。
何気ない会話の途中に突然起こる、発作的反応。何気ないセリフを引き金に起こる、呆然自失状態。
スティングが見せたのと同じ、『ブロックワード』とやらに関する過剰反応――!
「大丈夫か、コイツ?」
「何だってんだ?」
地面に膝をつき、頭を抱え込むアウルを、不審感も露に男たちが見下ろす。コニールも驚きに目を丸くして。
――咄嗟にマユは、アウルの頭を胸の中に抱え込んだ。
ステラがスティングにやっていたように、優しく抱いて背中を撫でる。
なおも震えるアウルを胸に、マユは脳みそを急回転させる。泳いでいた目線が、しっかり定まる。
「あ、あたしたちッ!」
「?」
「あ、あたしたち、孤児だからッ! 母親とか、もういないからッ!」
「孤児って……でもさっき、お父さんって」
「あたしもアウルも、元々は兄妹でも何でもなくてッ! ロアノーク商会のお義父さんに、拾われてッ!
だ、だからあたしたち、お義父さんのために、頑張んなきゃって思って、それでッ、あたしたちからッ……!
自分で、ガルナハン行くって、何かできることないかって……ッ!」
「…………」
必死に叫ぶマユ。アウルを守るように抱きしめながら、必死に。
その迫力に、レジスタンスの面々も気圧される。
そう――マユは必死だった。
面倒な交渉事は全て担当するハズだったアウルが、急に「使い物にならなく」なって。
万が一にもここで正体がバレれば、下手すれば2人とも命はない。
即興の拙い嘘、言い慣れぬ嘘、だからマユは本当に必死で……
だからそれは、計算してのことではなかった。
嘘の中に実感伴う真実を混ぜたことも。切羽詰まる口調で大人たちに訴えたことも。
喋り過ぎないことで、聞くものにその先を想像させたことも――
「大丈夫だからね、アウル。もうお母さん死んだりしないから。落ち着いて。大丈夫だから……」
「ま、マユゥ……。マユは死んだりしないよね? ボ、ボクを置いてったりしないよね?」
「うん。置いてったりしないから。大丈夫だから……」
マユは必死で泣きじゃくるアウルを抱きしめ、なだめる。
触れてはいけないトラウマに触れてしまった格好になったレジスタンスの面々は、バツが悪そうに視線を逸らし。
「……分かった。マユ……とか言ったっけ。あんたらの事情は良く分かったよ。悪いこと聞いちゃったな。
そっちのアウルが落ち着いたら、街の方に案内してあげる。ザフトの連中にも話を繋いであげるよ」
「ほ、本当!?」
ミス・コニールの言葉に、マユは顔を輝かせる。
そう、マユの一生懸命な態度は、その迫力でもって拙い嘘に信憑性を持たせ、見るものの心を動かしていた。
少しずつ落ち着いてきたアウルの頭を抱いたまま、マユはようやく安堵の溜息をつく。
――車は検問を越え、北にある街に向けて進む。タンホイザーゲートの真下を通り過ぎる。
車の前後はレジスタンスの車に挟まれていたが、この車に乗っているのはアウルとマユの2人きり。
「……さっきは済まなかったな。ほんと助かった」
「ううん。でも良かった、あたしがついてきて」
風に吹かれながら、2人は微妙に視線を合わせずに。乾いた道を車はなおも進む。
「……マユの言った通り、俺も孤児でさ。俺以外の家族全員、コーディのやったテロで死んでんの。
前の大戦が始まる、ずいぶん前の話なんだけど」
「コーディネーターのテロって……あのザフトが?」
「ザフトやプラントがちゃんとまとまる前は、コーディ至上主義者のテロって結構あったんだぜ?
その頃は、俺もまだまだ小さなガキでさ。俺だけがかすり傷で済んでさ。死体と一緒に閉じ込められてさ。
母さんが、苦しみながら死んでくのを何時間もかけて見守りながら……何もできなかった」
つまりは、それが彼の出発点。彼がヒトを辞めエクステンデッドになった理由。
ハンドルを握るアウルの横顔は、どこか寂しげで。
マユはなんだか、彼の普段の陽気さの持つ意味が、分かったような気がした。
「あたしもね……本当に、孤児なんだ。2年前の戦争で、みんな死んじゃった。あたしのすぐ近くで」
「そっか」
「だから、さっき言ったこと、半分くらいは本当なんだ。
あたしを拾って、助けてくれたみんなのために……頑張んなきゃ、って」
「……そっか」
しばらくの沈黙。
やがて、行く手にガルナハンの街がの一部が見えてくる。地形の関係で、その全貌はなかなか見えない。
「そーいやさ。マユって――おっぱいあんましねーのな」
「ッ!!」
「よーやく正気に戻って、なんか硬いモンが顔に当たってるなー、と思って良く見たらマユでさ。
いやー、『洗濯板』っつー比喩の意味がよーやく分かったぜ。あれアバラが当たるのな、マジで」
「……アウルのバカーッ! バカバカバカッ!」
「わッ、ちょッ、運転中はヤメろって、オイ!」
ポコポコとアウルを殴るマユ、防御しつつ蛇行運転するアウル。マユはちょっと本気で怒っているようで。
でもどちらの表情も、普段の2人に戻っていて――
「おーい、そこの2人ー! ちゃんと運転しろー! あとそろそろ到着だからー!」
「はぁーい!」
先行するレジスタンスの車から、大声で呼びかけるコニール。
首をすくめるアウルに代わって、マユが手を振って応える。
車列は曲がり角を曲がり、街の全貌が視界に入る――
キキッ!
――突然、アウルは急ブレーキをかけ、停止する。その顔が、今度は驚愕に凍りつく。
先導していたコニールの車は先に行ってしまい、後ろを固めていた車はあわや追突しそうになる。
「ばっか野郎ッ! 何止まってやがる!」
「どうしたの、アウル?!」
後続車の罵声も耳に入らぬ様子のアウルは、マユの問いかけに前を見たまま、黙って腰を浮かせて。
そこに居たのは――1機のザクウォーリア。街を守るべく歩哨に立っていたザフトのMS。
その右肩は、目にも鮮やかなオレンジ色に染められて――
『よぉ、コニール。どうしたの、検問してたんじゃなかったの?』
「あ、カルマー! いやー、こっちの2人がさー、ロアノーク商会の使いだとかで……」
機外スピーカーの声に、大声で答えるコニール。
ザクはギュルン、とモノアイを回して2人の姿を捉え、その姿を拡大して……
「あーッ! お、お前ら、あの時の……!」
「や、やべッ! 逃げろマユ!」
「え? ええッ!?」
困惑のあまり動けないマユ、咄嗟に車を飛び降り駆け出すアウル。
――そう、ザクのコクピットハッチを開き、2人を指差し驚きの声を上げていたのは。
かつて、『ラクス・クライン』誘拐未遂の際に遭遇した、幼さの残る茶髪の少年兵――!
――ガルナハンから南方に、少し離れた連合軍の前線陣地で。
苛立ちを隠そうともせず、カガリが北の空を眺めていた。腕組みをしたまま、チラチラと時計を見やる。
「……心配かい、マユたちのことが?」
「当たり前だッ!」
後ろから声をかけたネオに、カガリは振り返りさえせずに怒鳴り捨てる。
視線は遠く、北の険しい山々に向けたままで。ネオはその隣に並ぶようにして、一緒に山を眺める。
「しかし、確かにマユは適任だったからねぇ。
軍人に見えなくて、自分の身を守れる力はあって、機械にも強くて。
ついでにチャンスありゃあっちの機体奪えるように、MSにも通じてる奴。
おたくの軍人さんたちって、見るからに『軍人』って奴ばっかしなんだもの。ダメだよアレじゃ」
「分かってるッ! 仕方ないのは分かってるッ! だがなッ……!」
「分かってるなら、そろそろ準備してよ。作戦時間は守らんと、奴らの身がかえって危険に晒される」
「……それも、分かってるッ!」
隠しようのない怒りを、隠そうともせずに。カガリはネオに応えると、身を翻した。
彼らの向かう先には――出撃準備を終えた、ムラサメを中心としたMS隊の姿。
アウルたちの作戦が成功していることを前提とした、攻撃態勢――!
「……ここにでも、入ってろッ!」
「キャッ!」
罵声と共に突き飛ばされるように放り込まれたのは、鉄格子の部屋。マユは悲鳴を上げて床に転がる。
ガチャンと下りる鍵の音。連れ込まれた時に見た建物の看板から考えて、ここは警察の留置所だったらしい。
今はおそらく、レジスタンスが不審者を放り込む、簡易牢獄。
「ミス・コニール、ここは頼む。俺たちはマザコン野郎を探してくる」
「前はあいつら、格納庫に潜り込んでMSを奪ったんだ。そっちの警備もした方がいい」
「何か破壊工作するつもりなのかもな。ライフラインとかも注意せにゃならんか」
「コニール、後からちゃんと尋問するつもりだが、今のうちにこの小娘から聞けるだけ聞いておいてくれ」
「全く、人手不足だってのに面倒なことに」
わいわい騒ぎながら、レジスタンスとザフト兵の混じった男たちは、牢の前から出て行って――
その場にはマユとコニールだけが残された。おそらく建物の前には、他にも警備の者がいるのだろうが。
どうやらレジスタンスたちは、逃げ遅れたマユよりも、姿をくらませたアウルの方を脅威と見ているようだった。
鉄格子を挟んで、気まずい沈黙。
後ろ手に手錠をかけられたマユは、身体を起こし壁によりかかり、コニールは看守用の椅子に腰掛ける。
アウルはまだ逃げ回っているのだろうか。遠くから、散発的に銃声が聞こえてくる。
「……まさか、あんたらが連合のスパイだったとはね。一瞬でも気を許したあたしらがバカだった」
「…………」
「あんたたちの演技、上手すぎたよ。急に泣き出したり、叫んだり……」
「…………」
「何とか良えよ、この嘘つき!」
激昂するコニールとは対照的に、マユは感情を噛み殺すように黙り込む。
この任務を受ける際、ネオに言われたのだ。「尋問を受けてもとにかく黙っていろ」と。
「生きてさえいれば、たとえ捕まっても必ず救い出してやる」と。
震え出しそうになる自分を懸命に励まし、アウルが目標を達成してくれることを祈る。
「孤児だって言うから、あたしも助けてやろうと思ったのにッ!」
「……そこは、嘘じゃない」
「だったらなおさらだッ! なんで、あんたらは連合なんかにッ……!」
「……どうして、ミス・コニールはそんなに連合を憎むの?」
マユが急に話に応え始めたのは、ネオの言葉を忘れたからではない。コニールの意識を逸らすためだ。
身体の影で、手袋に包まれた右手がゆっくりと歪んでゆく。可動範囲ギリギリの動きに、微かな軋み音を立てる。
生身の左手で触って、人体にはありえぬ形に変形した右手が、いつでも手錠を抜け出せるのを確認する。
……その動きに、しかしコニールはまるで気付くことができずに。
熱い目でマユを睨みつけ、絶叫する――
「なんで憎むか、って!? あたしの両親はね――あいつらに殺されたんだよ! あたしもおんなじだ!」
そんなマユたちの様子を――鉄格子の嵌った高窓から覗く影が1つ。
人目を忍ぶように身を縮め、庇にぶら下がるようにして建物に身を寄せている。
「へぇ、良かった。てっきり拷問でも受けてるかと思ったけど、まだ余裕ありそうだなー。
しっかし、もっとマユの方に人手を割いて欲しいんだがなぁ」
ちゃっかり1人で逃げ出した、アウルだった。
彼にはしかし、女の子を見捨てて逃げ出したことへの後ろめたさはない。
任務遂行が第一。マユにも覚悟はあるはずだ、という前提で動いている。
マユとの友情と矛盾無く彼の中に存在している、プロ意識。
この留置所の所に来たのも、別にマユを助けるためではなく――
「……いたぞ! 青い髪のガキだ!」
「うわ、もう来た! ったくしつけーな!」
窓に張り付くようにしていたアウルは、路地の向こうから駆けてきたレジスタンスにうんざりした表情を浮かべ。
窓のところから飛び降りると、再び逃げ出す。
逃げながら、レジスタンスの兵士から奪っていた小銃を、狙いも定めず後ろに向けて、弾をバラ撒く。
――思いもかけず捕らわれたマユを発見できたのは収穫だが、しかし状況は全然好転していない。
「あーもー、全然振り切れねー。なんでこんなに頑張るんだよ、こいつら」
入り組んだ街の中を縦横に駆け抜けながら、アウルは愚痴る。
この街の構造は、連合が支配してた頃に得た地図を入手し、頭に叩き込んである。
だから地の利の面では不利もなく、むしろ逃げ回るに当たって有利な立場にあったのだが……
いかんせん、レジスタンスの数が多すぎる。
逃げて倒して隠れて走って、武器を奪ってフェイントをかけて。
アウルも持てるスキルの限りを尽くしているのに、振り切れない。
しかも、ターゲットとなる攻撃目標のあたりは警備も厳しく……
「ああ、畜生ッ。もうこんな時間じゃねーか。攻撃が始まっちまう!」
時計を一瞥して吐き捨てると、アウルはさらに急いで走り出す。
目の前の路地から飛び出してきたレジスタンスたちに、迂回する時間も惜しむように、小銃を向け突撃した。
「邪魔だ、どけぇッ!」
ガルナハンの街に銃声が響いていた、ちょうどその頃――
マユたちが足を止めた検問の近く、タンホイザーゲートの付近でも、銃声が響いていた。
ただしこちらは歩兵用の小銃ではない。MSサイズのビームライフルの発射音だ。
時折、それらの発射音を打ち消さんばかりの、雷鳴のような轟音が走り抜ける。
「……タンホイザーはまだ生きてるのかッ!」
「ザフトでも名高いオレンジショルダー隊……流石に、強いッ!」
「マユたちは失敗したのか!?」
狭い渓谷の中、ムラサメ隊は苦戦を強いられていた。
防衛側のザフトMSは、いずれも最新鋭量産機である、ザクウォーリア。
機体性能が高いところに加えて、陽電子砲台との絶妙の連携だ。
タンホイザーが、撃つぞ、撃つぞと狙いをつけて砲身を動かすと、ムラサメたちは逃げざるを得ない。
そしてその逃げる進路を先読みして放たれる、ザフト側の弾幕。
スラッシュ装備のビームガドリングが、ブレイズ装備のミサイルが、ムラサメの貧弱な装甲に襲い掛かる。
しかし、その弾幕を避けてしまえば――放たれるのは、タンホイザーの絶対的な破壊の光。
飲み込まれたムラサメは、跡形もなく蒸発する。
戦いが始まって十数分。
既に2機のムラサメが撃墜され、4機のムラサメが被弾して後方に下がっていた。
はっきり言って、ジリ貧である。
状況を打開しようと、オーブ側はエースを前面に出す。
ガイアが切り立った山肌を駆け、カオスが上空から砲台に迫る。
しかしこの2機も、タンホイザーを向けられたら逃げるしかなく――その隙をついて、橙色の影が襲い掛かる。
緋の戦士ハイネ・ヴェステンフルスの駆る、グフ・イグナイテッド。
「このオレンジ野郎ッ、なんて腕前だッ!」
「うっとおしいッ!」
「へッ! 盗んだMSに乗ってるような連中に、負けるかよッ!」
2対1、という数の優位も、タンホイザーの向きに常に注意し逃げ回る中では、大した意味がない。
ただ相手を牽制し足を止めれば良い、という防御側に有利な条件の下、オレンジのグフは奮戦する。
カオスが展開した機動兵装ポッドが鞭に捕らえられ、爆散する。
「くそッ、アウル、まだか!? まだなのか!?」
彼らが作戦の失敗を覚悟し、撤退を考え始めた、その頃――
「――これで、オレたちの勝ちだッ!」
アウルは街外れに向かって駆けながら、叫ぶ。
小銃同様、レジスタンスから奪った棒状グレネードを、3本まとめて投擲する。
ポテトマッシャーが放物線を描き飛んでゆく先には、周囲が大人の胴まわりほどもある、巨大なコード。
連合が作った街外れのエネルギープラント。そこから街を迂回して、タンホイザーゲートまで続くライン。
急造ゆえに剥き出しのままだった、タンホイザーゲートの、文字通りの生命線――
背後で息を呑むレジスタンスたちを尻目に、アウルは身を翻して物陰に飛び込み――
勝負を決する、爆発が起こる。
――異変は、すぐに渓谷の方で戦う両陣営のMSの知るところとなった。
グフに補足され、左後ろ足を切り飛ばされた四足形態のガイア。
そのままタンホイザーの射線上に蹴り出されてしまったが――雷鳴が、響かない。
死を覚悟しギュッと目を閉じていたステラは、恐る恐る頭上の大砲台を見上げる。
「……撃てない、の?」
「ステラッ、ボーッとするなッ! 作戦は成功だッ!」
一瞬タイミングを失い、追撃しそこねたオレンジのグフと切り結びながら、スティングが叫ぶ。
MS形態のカオス、そのつま先から伸びたビームサーベルの蹴りを避けながら、グフは大きく後ろに下がる。
「……別働隊でもいたのか!? 火力プラントの方がやられたか。
ジョー! キース! ガルナハンの連中には悪いが……撤退するぞ!
一旦街まで戦線を下げ、工兵隊や砲兵隊の撤退を支援しつつ、後方に下がる!」
橙色のグフの中、ハイネは端整な顔を歪めながら、部下に指示を飛ばす。
個々の戦闘力では負ける気はない、勝つ自信はある、しかし――数では劣っている。
タンホイザーという絶対的な優位が失われた今、公平に言って勝てる見込みは少ない。
そして、勝てない戦ならば、可能な限りの戦力を逃がすことで、軍の損害を最小限に食い留める――
目先の優勢に捕らわれず、冷酷に撤退の決断を下せるハイネは、確かに優秀な指揮官であり、兵士だった。
後退に転じたザクたちの動きを見て、オーブ軍はさらなる援軍を呼び寄せる。
ムラサメよりも低コストな量産機、M1アストレイ。そして、連合軍の歩兵を満載した、装甲車の群れ。
タンホイザーゲートが健在なら、いい的にしかならない兵力。近づくこともできぬ兵力。
けれどタンホイザー亡き今は、街を確実に押さえ、奪還するための制圧力なのだった。
残酷なまでの「数の暴力」を載せた増援部隊が、枯れた谷を進軍し、街に迫る。
留置所の外を、激しい足音が走り回る。遠くに聞こえていた爆発音が、どんどん街に近づいてくる。
「コニール! ここはヤバい、早く山に逃げろ!」
「逃げろって、何が起こったんだ!?」
「タンホイザーゲートが突破された! あのマザコン野郎に、ラインが切断されたんだ!
じきに、オーブの連中が街にまで来るぞ!」
留置所に男が首を突っ込み、大声で叫んでそのまま走り去ってゆく。
コニールはしかし、すぐには動かない。傍らに立て掛けてあった小銃を手に取り、ゆらりと立ち上がる。
鉄格子越しに不穏な空気を感じ取り、マユも手錠をしたまま慌てて立ち上がる。
「フフ……フフフ……。連合にしちゃ何かおかしいと思ったら、オーブだったのか……。
ふざけんじゃないよ、ええッ!!」
「!!」
俯いて、虚ろな笑いを浮かべていたコニールは――唐突に、顔を上げて。
凄まじい形相で、牢の中のマユに小銃を向ける。
マユは反射的に右手を手錠から引き抜き、自由になった両手で身構えるが……
この至近距離、鉄格子の隙間から自動小銃を乱射されたら、避けることなどできはしない。
窓の外には、近づいてくる戦闘の音。建物を揺るがす振動。
早く逃げろ、と仲間に言われたコニールは、しかし逃げることさえすっかり忘れて。
「なんであんたらはこんなことできるッ! わざわざ、海を越えて、地球半周してッ!
あたしたちは、単に生まれ育った場所で平和に暮らしたいだけなのにッ!
ただ、普通に暮らしたいだけなのにッ! なのに、何故ッ!」
「そ、それは……!」
狂気すら滲ませ、涙を撒き散らして叫ぶコニールに、マユは言葉もない。
何も、言えるはずがない。マユも、目の前の銃のことも忘れ、泣きそうになる。
だって、同じだったから。
自分たちも、生まれ育って愛着あるオーブという国を、守りたいだけだったから。
ただ、オーブを守りたい、二度と連合に蹂躙されたくない、そんな利己的な理由で――
――海を渡り、異国の地で、同じように郷土愛のために銃を取った人々を、蹂躙している。
「なんとか言えよ、マユッ!!」
答えられぬマユに、コニールが叫んだ、まさにその時――
一際近い、振動音と共に――留置場の天井が、崩れ、壊れ、陽光が差す――!
「大丈夫か、マユ! 応援呼んできたぜ」
『無事だったか!?』
「え……? か、カガリ……? アウル……!?」
振動と粉塵が収まった時、眩しさに目を細めたマユが見たものは――
留置場の壁を突き崩して顔を覗かせる、薄桜色のストライクの姿。
そしてその肩に腰かけた、青い髪の少年の笑顔。
「やー、ごめんねぇ、マユ。助けに来るのが遅れちゃってさー」
『怪我はないか!? ちゃんと立てるか!? ゲリラたちに何かされなかったか!?』
「あ、ぶ、無事といえば、無事なんだけど……」
スピーカーを通して心配そうな声をかけるカガリに、生返事を返しながら、マユは周囲を見回す。
崩れた建物。瓦礫の山と化した留置場。アウルの情報のお陰で、マユは傷1つない壊し方だったが……
「……コニールは?!」
周囲を見回すが、影も形もなく。
瓦礫に押しつぶされていることもなく、どさくさ紛れに逃げ出していて――
『それより、マユ。戦闘は続いてる。お前の力を貸してくれ』
「え、ちょっと、マジ!?」
どこへ、というマユの疑問は、ストライクルージュの向こうに見えた異様な光景に吹き飛ばされる。
留置場に向かって、飛んでくるのは――
2機のM1アストレイに抱えられ運ばれてくる、ぐったりと脱力した風に見えるフリーダムの姿――
――戦況は、もはや決定的だった。
フリーダムまでも加わったオーブ軍MS部隊の戦力は、圧倒的で。
天下に名の知れたオレンジショルダー隊でさえも、ザフト兵やレジスタンスの撤退を、支えきれない。
1機、また1機と、ザクの手足がもがれ、戦闘不能になる。
「カルマ! ジョー! ……畜生ッ!」
ガルナハンの街の中に墜落し、動きを止めてしまった仲間の姿に、ハイネは歯軋りする。
長く苦楽を共にした仲間、助けに行きたいが――彼自身、目の前のフリーダムの攻撃を捌くのが精一杯で。
ただでさえ性能は拮抗しているのに、目の前のフリーダムの戦いぶりは何かを吹っ切らんという勢いで。
フルーバストで足を止めておいて、ハイマットで自分の弾を追いかけて斬りつけ、通り過ぎてまたフルバースト。
嵐のように間絶のないヒット&アウェイに、グフの身体が翻弄され、細かい傷が増えてゆく。
それに、ハイネが守らねばならないのは、直属の部下だけではない。もっと多くの、兵士たちがいる。
MSの前では無力な存在に過ぎない、歩兵や砲兵たちが。
彼らは続々と兵員輸送ヘリに乗り込んでいるが、しかし急な事態の推移に、撤退作業は遅々として進まず。
絶望的な戦いを続けるハイネの視界の隅に、街に到着する連合の装甲車の姿が映る。
その脇腹が開き、蟻のように湧き出してくる無数の連合兵。逃げ遅れた街の住民に、片っ端から襲い掛かる。
――その様子を確認したハイネは、苦汁の決断を下す。
「……撤収準備の済んだ者から、すぐに街を脱出しろッ! 乗り遅れた者は諦めるんだッ!」
「し、しかし、隊長ッ!?」
「仕方ないだろッ! このまま全員での脱出に拘れば、ここで全滅するぞ。
逃げ遅れた者は、抵抗を辞めて投降しろッ! 間に合わぬ者にはそう伝えろ!
捕虜になっても、必ず捕虜交換の時に救い出してやる! だからッ!」
ハイネは、自身も信じきれない言葉を、血を吐く思いで仲間に叫んで。
動こうとしない部下たちの尻を蹴るようにして、撤退を開始させる。
やがて、乗り遅れた者たちの絶望の叫びを後に残し、ザフトの輸送ヘリが空に飛び立つ。
橙色のグフも、数を減らし傷ついた部下のMSと共に、ヘリを守りつつ、北の空に去ってゆく――
オーブ軍も、必要以上の追撃をしなかった。
あくまで目的は、タンホイザーゲートの突破と、ガルナハンの街の制圧。
深い追いすればザフトの勢力圏に踏み込んでしまうし、意味も無く死者を増やすこともない。
彼らが引き返してこないよう、街外れまで追い出してからは、その姿が見えなくなるまで見送って。
ファントムペインのカオスもガイアも、ネオのウィンダムも、単独で追うような無理はしない。
ようやく、戦闘は終った。犠牲を出しつつも、与えられた任務は達成した。
心地よい脱力感と達成感を抱いて、彼らは引き返して――
――そして、地獄を見ることになる。
――ガルナハンの街に雪崩れ込んだ連合兵たちは、暴虐の限りを尽くしていた。
両手を上げ投降したザフト兵を、道端で射殺する連合の歩兵。
個人の家々に踏み込んで、手当たり次第に漁る者もいる。
街のあちこちに、リンチされ無惨な屍を晒すレジスタンスの男たち。
街の中、両手両足をフリーダムに斬り飛ばされ、頓挫したザクウォーリアに兵士たちが群がる。
中から引きずり出されたのは、マユに声をかけたあの茶色の髪の少年兵。
泣き叫び、命乞いする彼に、銃剣を手にした連合兵たちが群がって――
「やめて! もうやめてよ!」
マユは思わず、絶叫する。絶叫しながら、街中の広場に着地する。
フリーダムのコクピットハッチを開け、身を乗り出して兵士たちに訴える。
しかし……
「うるせぇ! ヨソから来たお前らに、この土地の事情が分かるか!」
「俺の隊の仲間たちも、こいつらに殺されたんだ! この街がザフトの手に落ちた時に、殺されたんだ!
白旗上げてたのに! 投降するって言ってたのに!」
「やられたらやり返さなきゃならんのだ!何も知らないガキが、黙ってろ!」
マユの叫びを聞いた兵士たちも、苛立ち混じりの声を返すのみで。
もうマユは何も言えず、震えながら目の前の惨劇を見守るだけで。
と――マユは、視界の隅に見覚えのある人影を見つける。
複数の連合兵に引きずり出されたのは、レジスタンスの少女・コニール。
どうやらどこかに隠れていたようで、その頬は煤で汚れている。
この窮地を物陰に隠れてやり過ごそうという彼女の思惑は、しかし果たせず。
武器を奪われ、路地に座り込むコニールに、下卑た男たちのにやけ顔が迫る。
無骨な手が、少女の身体に迫る。血と暴力に酔い痴れた男たちの視線がギラつく。
複数の腕が抵抗する少女の衣類を掴み、引き裂き、脱がし、その柔肌が陽光の下に――
「やめてぇぇぇッ!!」
無駄と知りつつ、目の前の有様に、マユがたまらず叫んだ、その時――
ビームの閃光と発射音が、暴力に狂乱する乾いた街に響き渡った。
『……それくらいにしておけ』
誰もが目を奪われた、その視線の中心には。
そこにいたのは、天にライフルを向けて立つ、薄桜色のMS。
肩に煌く紋章は、百合を咥えた白獅子の横顔。
『連合兵諸君に告ぐ。
こちらは、オーブ軍指揮官、カガリ・ユラ・アスハだ。
軍規に反する狼藉、ただちに停止せよ』
最大音量のスピーカーで、カガリの凛々しい声が響く。
ただ言葉だけで、ほとんど全ての兵士の動きを止めてしまう。
『これより先、諸君らの逸脱行為があった場合――
全て我が軍のMSが撮影し、記録し、しかるべき筋に提出させて貰う。
ことと次第によっては、我が国を、そして世界を敵に回すことも覚悟しろッ!
そしてもし、そのような外交問題となった場合――責めを負うのは、諸君ら自身と知れッ!』
カガリの声は、ガルナハンの街に響き渡って。
彼女の決意を肯定するかのように、街を取り囲むようにムラサメ隊が着地する。
少しの死角も許さんとばかりに、兵士たちに目を光らせるムラサメたち。
その厳しい態度に、連合兵士たちの興奮も醒め、恐怖に震える投降兵たちも安堵の息を漏らし――
――夕日の差す、ガルナハンの街。
あちこち破壊された街の外れで、一箇所に集められた捕虜たちの収容が始まっていた。
カガリの強い一声で、急遽全員まともに捕虜にされることになって。
あの後、捕虜を運ぶだけのための追加の車両が到着し、ようやく移動が開始された。
「ねぇ、ネオ……あの人たち、どうなるの?」
「おそらく、一通りの尋問の後、連合の捕虜収容所に送られることになるんだろうなァ。
戦争ってのは、ルールのない殺し合いじゃない。投降し捕虜となった彼らの生命は、保障される。
少なくとも――それが建前だ」
「彼らは、ずっと捕らわれたままなの?」
「ザフトの連中は、捕虜交換で向こう側に戻れるかもな。けど、レジスタンスの連中は……。
そもそも奴らの場合、戦争捕虜ではなく犯罪者として扱われる可能性もあるしねェ。正規軍じゃないからさ」
輸送車に乗せられる捕虜たちを並んで見ながら、ネオはマユの問いに答える。
その表情は、やはり険しい。
今、この場は、カガリやオーブの兵士が監視しているから、まだいい。
けれどこの先、ずっと彼らを見守っているわけにはいかないのだ。
オーブの目が届かなくなった時、果たして彼らは……。
と、マユは捕虜の列の中にある人影を見つけ、息を呑んだ。
思わずネオを置いて、そちらに走る。
「ミス・コニール!」
「マユ……!」
手錠をかけられ、連合兵に小突かれながら歩く少女。
その上着は無残に破かれ、かろうじて彼女の身体を隠しているような状態で。
そんな姿であるにも関わらず、コニールは衰えぬ怒気を目に、マユを睨み付ける。
連合兵が「歩みを止めるな」とばかりに少女に銃を向けるが、マユは片手を挙げて兵士を制止する。
2人の少女は夕日の中、向かい合う。
「立場、逆になっちゃったね、オーブのスパイさん」
「…………」
「けど――あたしがここで捕らわれても、ガルナハンの同志が必ず復讐を完遂するよ。
山に逃げきった仲間もいるんだ! 何年かかろうとも、絶対やり遂げるぞ!」
「…………」
「そうだ、あんたらオーブも復讐の対象だ! あたしらが復讐してやる!
必ず、あんたらの国にも、同じ目に会わせてやるからなッ!
あんたらの姫さんがあんなこと言ったって、許すもんかッ! この偽善者どもがッ!」
マユを睨み、叫び、復讐を誓う少女。
そんな彼女に、静かに歩み寄ったマユは……どういう表情をしていいのか分からない、といった顔で。
哂うような。困ったような。今にも泣き出しそうな。呆けたような。
「何だよ、その目は! 殴るなら殴るがいいさ!」
「ミス・コニール……。
あたしには、あなたを殴れない。殴れないよ……」
とうとう、マユはコニールの前で、膝をついて泣き出してしまう。
いったいどっちが勝者なのか分からぬ、構図の中。
動けぬマユを尻目に、コニールは連合兵に小突かれ、再び歩き出す。
傾きを強め、山あいに沈む太陽に照らされ、延々続く捕虜の列と、祈るような姿勢のマユのシルエット。
マユの左手首になおも虚しく垂れ下がった手錠の輪が、チャリンと音を立て、夕日に揺れる――
第十五話 『 エクステンデッド 』 につづく
・今回の位置関係。
位置関係が微妙かもしれません。
多少、渓谷は入り組んではいますが、乱暴に南北に伸びる直線と考えてもらえば、北側から順に
『ローエングリンゲート(跡)』→『ガルナハンの街』→『タンホイザーゲート』→『コニールたちの検問』
と並んでいます。
ここから北に行けばザフトの勢力圏、南に行けば連合の勢力圏、そしてスエズ基地、です。
・タンホイザーゲート
絵的には、『見るからに急ごしらえのローエングリンゲート』です。
配線が一部むき出しになっている上、ローエングリンゲートのような収納機構はありません。
・コニール嬢
個人的に好きなキャラ、というより、「もっと使いようあったんじゃないの?」というキャラの筆頭でもあります。
両親について明言されてなかったので、連合兵に殺されたことにしておきました。
ひょっとしたら外伝かどっかの資料本でフォローされてるのかもしれませんが……。ま、この話はこれで。
なお、いろいろ展開を考え直した結果、以前公開した「予告」とは、多少セリフが変わっています。
次回はロドニアのラボに絡むお話。
この辺、オリジナルと比べるとお話の順番も弄る予定なので、随時「前回までのあらすじ」などでフォローしたいところ。
ま、順番変えるというより、すっきりまとめて直すイメージではありますが。
では、また次回。
リアルタイムお疲れ。
「ミス・コニール」だけは勘弁して欲しかった。
いやマジで。
隻腕作者氏
乙です
相変わらず文が上手い……それに比べ俺はorz
それでは、誰もいない時間に2話後編をこっそり投下
252 :
1/9:2005/11/18(金) 04:44:15 ID:???
広い部屋の中心には大きな円卓。それを囲む初老の男達……
企業複合体ロゴス、それは国家の枠を超えた世界企業による複合体。
それに所属する企業は家電生産から軍需産業、サービス業にいたるまで多岐に亘る。
決して歴史の表に出ては来ない組織だが、大なり小なりその影響力の及ばない国家は地球上に存在しない。
「ローマ、上海、ケベック、フィラデルフィア、そして大西洋北部……どれ程の死者と被害が出たか。
我々の同志も幾人か犠牲になった。テロリストどもがやってくれましたな……」
ある男は、それぞれの前に置かれたモニターが映すユニウスセブン落下に伴う被害報告を睨みながらつぶやく。
ユニウスセブンの地球への落下、その破片は世界中に降り注ぎ幾多の都市をなぎ払った。
円卓にも空席が歯が抜けたように所々に開いている。その空きが周りに重苦しい空気を落とす。
「何を沈んでいるのです。 この事件は確かに大惨事です。 大惨事だからこそ最高のカードに成りうるのですよ!」
そんな室内に漂う沈んだ空気を打ち払うかのように立ち上がり、周りに訴えかける男――
――ロード・ジブリール、反コーディネーターの急先鋒ブルーコスモス盟主。
Gundam Seed Injustice 第2話『戦争屋(後編)』
253 :
2/9:2005/11/18(金) 04:46:31 ID:???
「今こそチャンスなのです! 憎きコーディネーターを殲滅する!!
地球に住む人間なら誰しも思うでしょう。 なぜこんな事に! 誰がこんな事を! と。
我々はただ教えてやればいい、包み隠さずありのままの真実を!
市民達は怒り狂い恐怖するでしょう、地球を破壊しようとする確かな脅威が自らの頭に存在する事に!
もはやどの国も中立などと言っていられない、全ての国は当事者なのですから!
そう! 地球を統一し、空の化け物どもから地球を守らねばならないのですよ! 我々は!!」
ジブリールは熱弁を振るう。それはまるで舞台役者が演劇を演じるかのようだった。
他の円卓を囲む者たちはそんなジブリールを見て、皆苦い表情をしている。
「本来ならプラントを滅ぼすのなら時を待てばよかったのだ。 連合とプラントの戦力はひらく事があっても縮むことはない。
彼らには武器はあってもそれを扱う人間がいないのだから……何にせよ予想外の事は起こるものだな」
「ただ注意することは奴らの技術力、それで前大戦では痛い目を見ましたからなぁ」
「そのためのプラント威力偵察隊、第81独立機動群『ファントムペイン』だったのだが……結局、彼らには別の目的で動いてもらうことになるな」
「テロリストどもはMSを使っていた。 プラントに協力者がいることは確かです
の捜索を拒否したのはプラント政府だ!」
「被害を受けた地球の民達はこのまま黙ってはいられまいよ、世論が動けば国も動かざるおえん。 戦争は避けられまいて」
254 :
3/9:2005/11/18(金) 04:47:40 ID:???
居並ぶ男達も口々に開戦は不回避と口にし、ユニウスセブン落下への報復戦争への意見がまとまる。
それをジブリールは満足げに見守ると声高らかに宣言する。
「連合諸国への後押しと、コーディネーター殲滅は私に任せてもらいたい! 必ずや期待に答えて見せますよ」
今まで沈黙を守っていたロゴス長老格の老人は円卓の男達を一人ひとり見る。
そして――
「……やって見たまえ、ジブリール」
「ありがとうございます。 では私は早速行動に移したいと思います。」
この決定がなされたまさにその時、プラントとの戦争は不回避で決定的なものになった。
ジブリールは目当ての言葉を上手く引き出せたことにニヤリと笑うと、長老に一礼し部屋から出て行く。
「…………所詮はブルーコスモスもまた秩序を乱すものか」
255 :
4/9:2005/11/18(金) 04:48:27 ID:???
長老はジブリールが完全に部屋から離れた事を確認するとポツリともらす。
「軍を掌握するのに役立つかと思いましたが、甘やかしすぎましたかな」
他の男も長老の言葉にうなずきながら答える。
「元々ブルーコスモスの思想を我々は必要としましたが、組織としてのブルーコスモスなど必要としていない」
「奴は勘違いをしておる……地域紛争ならまだしも国家の全面戦争など誰も望んではいないのだ」
「企業にとって大事なのは安定した秩序、ロゴスはその秩序を創り守るもの。
それを乱し壊すプラントは排除しなければならない。 ブルーコスモスもまたしかり」
男達は先ほどまでジブリールに追随する言葉を吐いていたのが嘘のかのようにブルーコスモスを批判する。
そしてその言葉は淡々としていて酷く冷たい。
「やはり我ら自身が直接力を持たねばならん」
長老がそう断言し、脇に控える側近に支持を出す。
「ピンクの歌姫に連絡を取ってくれ」
と……
256 :
5/9:2005/11/18(金) 04:49:25 ID:???
――オーブ、戦艦ミネルバ。
その船内をシンは歩く。
ルナマリアと名乗った赤い服の少女が先導し、監視するかのように両脇を小銃を抱えた保安員が固める。
その扱いは当然なので良いのだが、先ほどから船員とすれ違うたびに浴びせられる好奇に満ちた視線。
見世物にされたみたいでいい気分はしない。
それにすれ違う船員に目に付くのが16〜7才程度に見える若い新兵。
その頼りなさにシンはこの仕事を請けたことを少し後悔し、仲介屋の話をよく聞かなかったことを大いに後悔した。
「艦長、ゲストをお連れしました」
ルナマリアがある部屋の前で立ち止まり、モニター越しに会話したあと部屋の扉が開かれる。
シンはルナマリアに勧められその部屋へと入っていく。
そこに待っていたのは一見して上官職と思われるデスクの椅子に座った白い服の女性と、その傍らに立つ副官らしき黒服の男。
そして壁際にはルナマリアと同じ赤い服を着き、金色の長髪が特徴の男が立っている。
257 :
6/9:2005/11/18(金) 04:50:41 ID:???
「あなたがシン・アスカね? 私がこの戦艦ミネルバの艦長、タリア・グラディスです。
そしてこっちが副長のアーサー・トライン」
「ああ、俺がシン・アスカだ。 あんた見たいな女が艦長とは驚いたよ」
タリアの挨拶にシンは相手を挑発するような物言いと態度で答える。
そのシンの態度に副長であるアーサーは露骨に顔をしかめ、シンを睨む。
しかしタリアは内心はどうであれ、怒る訳でも無くむしろシンに対し笑みを浮かべ……
「それはよく言われるわ。 たとえ信頼できなくても信用してもらうしかないわね。
さて、挨拶も終わったことだし依頼内容を確認します」
タリアはシンの挑発を軽く受け流し話を続ける。
「シン・アスカは地上におけるミネルバの作戦行動の援護、またミネルバの護衛
依頼中はザフト軍の指揮下に入ること、つまり私の指揮下に入ってもらいます。
その代わりMS整備と弾薬補給、その他諸々の消費物資については全てこちらが負担するものとする。
あなたの艦内での待遇はパイロット待遇ですが行動は制限させてもらうわ。
あなたが立ち入っていいのはMS格納庫、各厚生設備、訓練室、ブリーフィングルーム、自室についてはまた支持します。
いいわね?」
258 :
7/9:2005/11/18(金) 04:51:54 ID:???
「了解、それで問題ないよ」
「そう、それじゃあなたの同僚になるMSパイロットを紹介するわ。 アーサー、後を頼むわね」
「はい」
アーサーはタリアの指示にシンの一歩前に進み出る。アーサーのシンを見る顔は硬い。
そして視線をシンから逸らし、タリアとの会話中ずっと後ろで待機していたルナマリアと
そのルナマリアと並び、同じく待機していたもう1人の男に目配せをする。
「こっちの彼女はもう挨拶をしたと思うが、ザクウォーリアのパイロット、ルナマリア・ホークだ。
そしてこちらの彼はインパルスのパイロット、レイ・ザ・バレル。
インパルスとはこのミネルバに搭載されている最新鋭MSのことだ。
2人とも若いが腕は保障する。 同じMSパイロット同士だ、うまくやってほしい。
私からは以上だ」
「ルナマリア・ホークです。 改めてよろしく」
「レイ・ザ・バレルです。よろしくお願いします」
「ああ、ヨロシク」
2人はサッとザフト式の敬礼をする。そんな2人にやる気の無い返事を返しながらシンは一つ疑問を持つ。
その疑問を、まだ自分を鋭い表情で睨んでいるアーサーにぶつけて見る。
259 :
8/9:2005/11/18(金) 04:52:31 ID:???
「なぁあんた、この船にMSパイロットはたったの2人か?」
「そうだ。 だからお前が雇われた」
チッ!
シンは聞こえないように小さく舌打ちをする。
ミネルバには自分のを含めMSがたったの3機、少なすぎてまともな作戦で使える数じゃない。
いくらザフトの新造戦艦と最新鋭機だろうが、小規模な連合艦隊にでさえ攻撃されたら戦闘にもならない。
一方的にやられてしまう。
苦しい状況だがシンは傭兵、いくらでもやりようはある……
「まあいいさ、俺は給料分働くだけだ」
シンは今回の依頼で、前金だけでも新品のMSが買えるほどの額をすでに貰っていた。
傭兵も信用商売、もらった金額分ぐらいは働かないと次から仕事の依頼が来なくなる。
「それじゃ……ルナマリア、レイ。 アスカに艦内を案内してあげてちょうだい」
一通りの顔合わせが終わった事を確認すると、タリアは2人に指示をだす。
「ではシン・アスカさん、行きましょう」
ルナマリアにそう促され2人と共にシンは部屋を出る。
260 :
9/9:2005/11/18(金) 04:53:06 ID:???
シンの前を歩く2人は何処から回ろうかと話し合っているみたいだが、シンは先程の続きを考えていた。
前の2人と自分を合わせてMSがたったの3機、そして新兵ばかりのミネルバ……
もし連合と戦闘になったらとても勝ち目は無い、だが依頼を受けたからにはそれなりの義理を果たさなければいけない。
(そうさ、俺は給料分働くだけだ)
シンは誰にも聞こえないよう小さく、またそうつぶやく。
もし戦闘になれば前金分働き、それから頃合いを見てずらかればいい。それならばザフトへの義理も立つ。
その後ミネルバがどうなろうが自分の知ったことではない。
無理してまでミネルバを救う理由はないし、そもそもザフトなんかと心中するつもりなどシンには全く無かった。
(まあ、そもそも戦闘が起こらないことを祈るか……)
そうシンは思い、考え事中に少し開いた前の2人との間をつめる。
だがその願いを打ち破る脅威が近づいている事を知る由も無かった。
To be continued.....
設定の変更点だけ
・ロゴスは軍需産業だけだと弱いので、さまざまな大企業の組合にしました。
以上お目汚しすみませんでした。
>>261 現実世界でも軍産複合体ってものすごい金が動いて
それなりの人数もいて票田にもなる弱いなんていえない存在だよ
>>262 それと国の保護を受けてるよな、普通
国には優秀な兵器が必要なんだし
>>261-263 いや強い弱いの意味が違わないか?w や、そーゆー意味もあるだろうけどさ。
お話を作るうえで、キャラ付けとして、という意味だと思ったが。
本文読んだら余計に。
>>インジャスティス作者様
つーわけでGJ!
今後「ピンクの歌姫」がどう絡んでくるのか気になりますな。やっぱロゴスなのなアレw
続きを期待。
>>隻腕作者様
忘れられてるけどこっちもGJ!
やっぱ隻腕はカガリがカコイイなぁ
「弱い」とはこれからの話で動いてもらう都合上の事です。
軍産業が弱いと言う意味ではありません。
誤解を招いたみたいですみませんorz
「キラ!!やめろ!」
アスランはキラを説得しようと試みる。
『アスラン・・・?!どうして・・・・。』
「おまえこそ一人でどうした?!アークエンジェルは?!」
アスランはキラに問い返す。
『皆は・・正式なオーブ軍になったから・・、だからボクだけ・・。』
キラの話から読み取るに、アークエンジェルはオーブ軍の正式な所属となり、戦闘を止める
ような事はやめたのだろう。
しかし、キラはそれに反対し、オーブ軍を単独で抜けた・・・そんなところだろう。
「キラ!!おまえ一人でそんなことしてどうする?!カガリにも迷惑がかかる!!ラクスだって・・・。」
『違う!!ラクスはボクの味方だ!ボクは・・・ラクスの為に・・・、世界の為に・・!』
「・・・・・・キラ・・・。」
おそらく、キラは怖いのだろう。今までたくさんの人を殺して、大事な人が逝ってしまって・・。
だから、ラクスと言う『女神』にすがっているのだろう。
だが、アスランの頭に疑問が残った。確か、今ラクスは孤児の世話をしていたはずだ。
世界の平和の為に歌うのではなく、大事な人達の為に歌う。それを彼女は非常に気に入ってたはずだ。
『私・・・、小さな幸せに憧れてたんです・・。普通の女の子に。だから、今の生活がとても嬉しくて・・・。』
アスランが見たこともないような華やかな笑顔で笑うラクスを思い出す。
・・・・・なぜあんなに幸せそうだった彼女があの生活を放棄してまでキラに賛同しているのか・・。
『だから・・・!キミがボクの敵というなら・・!!』
キラは本気の攻撃をアスランに仕掛けてくる。
「待て!!キラ!!」
そして、赤と青のダンスが再び始まった。
「・・・・・・・・!」
レイはストライクのパイロットの存在を一対一となって改めて感じ取る。
そう・・・、この感じはマユ・・、そしてシンハロに良く似ている。
「まさか・・・・!」
レイは刃を交えながらもストライクのパイロットの存在をより深く感じようとする。
それは、マユと非常に良く似た炎を纏っていた。何かの為に燃え続ける炎だ。
だが・・、しかし何か壁のような物に包まれていてよく解からない。
しかし、この燃え方は・・・・。
レイの結論は出た、おそらく間違いないだろう。
「マユの兄・・・・シン・アスカか!!」
レイは黒いストライクとの回線をつなぐ。
『何だよ?!俺に降伏するか?!』
興奮した様子でストライクのパイロットが笑う。
「・・・・・おまえ、シン・アスカか?」
その名を呟いた瞬間・・、ストライクのパイロットの動きが止まった。
『シン・・?シン・・・ア・・・・スカ・・?しん・・・しん・・・。』
ストライクのパイロットは急に何かに怯えるかのように震えだす。
「あぁ・・、言い忘れたな。『マユ・アスカ』の兄、シン・アスカか?」
『マユ・・・アスカ・・?シン・・マユ・・・兄・・・・・・。』
マユの名前を言った途端、急に体の奮えが止まる。レイが訝しく思った瞬間。
『うぅぅぅぅう・・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
急にストライクのパイロットは暴走し、切りつけてきた。
(・・戦女神の加護を与えてしまったか・・・。しかし・・、間違いない!!)
「シン・アスカ!!」
『ガァァァァァァァァッ!!アアアアウウウウウウゥゥゥウッ!!』
壊れた機械のように吼えるストライクのパイロットの真の名を、レイは呼び続けた。
「ステラ!!」
マユはステラに語りかける。
『おまえぇぇぇぇぇぇっ!!よくもアウルを!!』
アウルを倒されたステラは怒り、マユにひたすら攻撃する。
「・・・くっ!!」
マユは必死に攻撃を避け、防ぐ。
『まぁ・・、狙いがこっち向く分民間人の犠牲は減るかな・・・っ!!』
シンハロがとっさにインパルスを分離させ、ミサイルを避ける。
が・・・・、マユが見たミサイルの先にはそこで死んだ母親を起そうとする子供がいた。
「・・・・・っ!!」
ミサイルを打ち落とそうとするが遠距離攻撃がない今のインパルスでは届かない。
マユの目が絶望の色に染まった時、突如ミサイルが打ち落とされた。
『ごめん!マユちゃん!ちょっと遅くなっちゃった!』
そこには一見オレンジショルダー以外は普通のザク・・、カルマのザクがいた。
「カルマ!!」
マユは驚きのあまり叫ぶ。
『民間人は俺達ハイネ隊が全力で守る!だからマユちゃんはそのMSを!』
「解かってる!!」
カルマの力強い言葉に、涙ぐみながら、マユはステラにふたたび語りかける。
今度は叫ぶのではなく、物語を読み聞かせるように。
「ステラ・・、一緒にさ、ハイネ隊の劇の衣装で着せ替え遊びしたよね。
その時、ステラってばドレスの裾ふんで転んじゃって・・・。」
インパルスは武装はせず静かに巨大MSに近づいていく。
「皆でカラオケ大会もしてさ・・・。アスランお兄ちゃんの歌、すごかったよね。
ステラの歌も可愛かったよ?そういえば私の歌の感想まだ聞いてないな。」
マユは巨大MSの胸部に来る。そこは巨大なビーム砲の正面であり、指一つでインパルスは消滅する。
「シンハロのゲームの体験版ですっごい酷い目にあったよね。
物凄い強い敵と戦わせられたり・・。ステラ、私を助けにお城に乗り込んでくれたよね。ありがとう。」
そして、インパルスのハッチが開き、パイロットの姿が見える。ヘルメットをとった少女の目には涙が流れていた。
「ステラ・・・、ちょっとの間だけだったけど、私達友達だよ。
こんなに、ステラ達との思い出がある。それを考えただけで、こんなにあったかい。だから・・・・。」
マユは全てを受け入れるように腕を広げる。
「おいで・・、ステラ。一緒に、アウルもスティングも・・・。皆一緒に。」
マユが告げた途端、巨大MSのハッチが開き、ピンク色のパイロットスーツの少女が出てきた。
「マユ!!」
ステラは巨大なMSのコクピットからインパルスのコクピットに飛び込む。
二人の少女は固く、涙を流しながら抱擁する。
「マユ・・、ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・ステラ・・・。」
「いいんだよ・・、ステラは悪くないから・・・。」
『よし!!離脱するぞ!!』
シンハロは急いでハッチを閉じ、巨大MSの前から離脱する。
ステラはマユのジャマにならないように移動する。
『メイリン!ソードシルエット!!』
シンハロがメイリンに指示を出し、ソードシルエットを装備するインパルス。
剣の重さでスピードは減じたものの、問題はない。
これから倒すのは目の前の動かぬ破壊自身なのだから・・!
剣を構えるマユの手に、ステラの手が添えられる。
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」
二人の掛け声と共に、ベルリンを蹂躙した破壊は静かに幕を閉じた。
シンをうっかりシオンって打ち間違いそうになりました、ほのぼのです。
デストロイ戦終了です、いや・・この話は前から考えていたのですが、
数パターンあってどれにするか悩みました。
そのパターン例。
@アスランの『Quiet night C.E73』で三秒で撃沈なデストロイ。
Aスティングが乗ってメイリンが説得する『最終兵器彼氏』
Bアウルが乗ってマユが説得する『ステキだね。』
考えててギャグにしようかシリアスにしようか悩みましたが、結局シリアスにしました。
隻腕さんやインジャスティス作者さんのようにはいかなかったかも知れないですが、
面白いと思ってくだされば幸いです。
全国見積もって14人のハイネ隊ファンの皆さん、次回はハイネ隊がそれなりに
活躍する予定です。MSはないですが。お楽しみに!
巻末ふろく:この話をギャグにするセット。
その1:シンがじぶんとマユのなまえをつぶやくシーンはマユたんはぁはぁな思い出を
おもいだしてるゲンだとおもってね!
その2:マユとステラがだきしめあうシーンではステラの肩のアーマーがシンハロにごつごつあたってるとおもってね!
その3:さいごのシーンはけっこんしきのケーキにゅうとうなステラとマユをそうぞうしてみてね!
ほのぼのさん乙
パターン例&ふろくにウケすぎて腹が痛くなっているうちに
キラの登場を忘れてしまったじゃないか。
今更ながら隻腕乙。
シリアスな展開、GJです。
リヴァイブスレ住人としてはコニールがヤヴァかったのは辛かったですが、物語とキャラクターとの兼ね合いとしては
すごくよく出来てると思いました。
インジャも面白くなってきましたね。次の展開が楽しみです。
ほのぼのは次からどうほのぼのするのかちと読めませんなあ。
エクステンデット三人衆(シンも入れたら四人かも)、薬なくして生きられない人たちですから。
隻腕にInjusticeにほのぼの、今日は豊作だなぁ
皆様GJです!
>>Injustice作者様
そこはかとなくアーマードコアのHっぽいロゴスメンバーの活躍(暗躍?)に期待してますw
274 :
あとがき:2005/11/18(金) 22:03:12 ID:???
書いているうちにかなりサイズが大きくなったので話数を分けて投下します
隻腕さん
カガリがとてもかっこよくて素敵です。続きを楽しみにしています
インジャスティス作者さん
ここでラクスが絡んでくるとは予想外でした。先が読めません
これからも頑張ってください
ほのぼのさん
パターン例とふろくに笑いました
個人的にはパターン1が激しく見てみたかったですw
ぐへ、名前のトコみすってる・・・orz
投下開始します
276 :
1/8:2005/11/18(金) 22:06:01 ID:???
アーモリーワンで発生した、何者かによる新型機強奪事件。
逃走した三機の新型機と、それを追撃する部隊が飛び出していった直後のコロニー内部。
現在進行形で起きる爆破音は消えたとはいえ、そこにはいまだ兵士たちの喧騒と警報音が満ちあふれていた。
無残にも破壊された工廠からは黒煙が絶えず立ち上り、瓦礫が無数存在する路面は、進むこともままならない。
どれほどかは判断できないが、死傷者も出ているようだった。
担架で運ばれる者や、路傍で応急処置を受けている者はまだ幸運だった方なのだろう。
大勢の人間の手によって撤去されている途中の、瓦礫の山。必死な呼び声が響くその下には、人がいるのだろう。
「…酷いもんだな」
周囲の惨状に目を向けながら、コクピットのシートに座る藍髪の青年は眉をひそめる。
脚部の欠損は無いとはいえ、転倒の拍子に壊れた可能性のある機体なので、その歩みは慎重。
片腕の無い姿で、バランスを取りづらそうに歩いていくザクの中に、彼はいた。
「アスラン、どこへ行くんだ?」
ザクを操縦する青年…アスランと呼ばれた彼の腕の中に収まる、臙脂色のスーツを着た娘が口を開く。
彼女、カガリの声にはいつもの小気味良い快活さが見られない。
普段は血色良い顔も蒼ざめている。金の髪にべったりとついた血の色が、余計にそれを際立たせていた。
――強奪された新型機と接触し、下手に抵抗してしまったから、こんな怪我をさせてしまった。
まだ意識が朦朧としているのだろう。頭を抑え、きつく目を閉じているカガリを見つめながら
彼、オーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハのSPであるアレックス・ディノ…いや
先の戦争でザフトのエースとして活躍し、のちに敵対組織に身を投じた彼。アスラン・ザラは後悔の念に駆られていた。
「例の、進水式が行われる予定の新造艦へ行こう。 先ほど議長が向かわれる姿を確認した。
…今回の会談も表向きには公表されてないからな。事情を知る彼を頼るのが、一番手っ取り早くて安全だ」
カガリの問いにアスランは答える。だいぶ近づいてきている、大きな戦艦用ドックを視線で指し示しながら。
そうか、と彼女は頷きながら目を伏せる。 それは疲労というより、深い落胆であり、哀感を含んでいて。
「今回はとんだ災難だったな。ギルバート議長との会談中に、まさかこんな事件に巻き込まれるなんて…」
うつむくカガリへと、いたわるように優しい口調でアスランは語りかけた。
277 :
2/8:2005/11/18(金) 22:07:20 ID:???
しかし彼女は面を上げ、まっすぐ彼を見ながら口を開く。
「いや、そうは思わない。 この現状にこの眼で、直に見れたことを私は幸運に思っている」
突然の思わぬ発言に、しぱしぱと目を瞬かせている青年へと、彼女は笑顔を見せる。
「…私はバカだから。 物事を見る視野が狭くて、どうにもならん。昔っからそうだった。
世界全体を上手く見ることが出来ないから、目の届く範囲…自分の国が平和だったらそれで安心していたんだ。」
浮かぶ笑顔は苦味を含んでいて。 自分の欠点を素直に恥じている様子で。
「あの事件の時だってそうだ。
二年前に、私もお前も…誰も彼もが、あんなに苦しくて悲しい思いをしながら、やっとの思いで戦争を終わらせたんだ。
…そうまでして得た平和だ。誰もが戦争はもう嫌で、平穏に暮らすことを望んでいるのだと思ってた。
けれども、それは思い込みだった。 そのせいで、地球でくすぶり続ける争いの火種に気付けなかったんだ」
それは独白。 まだ年も若く、経験も少なく…それでも国の旗頭となるべく立ち上がった獅子の子の、懺悔。
「だから、な。 こうやって実際に、危機的状況を体験するぐらいの方が私にはイイ薬なんだよ。
バカだから、また平和ボケしてしまって、忘れてしまわないように…平和を厭い、戦争を望む者たち存在を」
そう言いながら、まっすぐな視線で周囲の惨状を見ているカガリを前に、アスランは言葉を失くす。
それは獅子の雄々しさには程遠いほど、自分の弱さをさらけ出した拙い言葉だったが。
以前の、ただがむしゃらに走り回り、目の前のものを守ることしか出来なかった彼女とは少し違っていた。
…一年前に、オーブで起きた何者かによる大規模テロ。
国民と、自分の大切な人たちを巻き込んだその惨事が、カガリにこのような考えを与えたのだろう。
その、僅かながらも確かな成長が、二年間ずっと彼女のそばに付いていた彼としては嬉しくて。
微かに口の端を上げながら、その思いを誤魔化すように冗談めく。
「…そうか。なら、俺はもっと頑張らないとな。薬のつもりで、怪我されるのはもうかなわんからな」
「っ、失っ礼だなー。 お前に心配されなくても、上手く立ち回ってみせるぞ、私は」
アスランの言葉に、強気な軽口で答えるカガリ。軽く口を尖らせてみせながら。
「ああ、分かった分かった。 …とりあえずはもう少し休んでおけ。 着艦したら、起こすから」
そうなだめるように言いながら、彼女の額をそっと撫でる。
カガリ自身も疲れを感じていたのか、素直にわかった、と呟きながら目を閉ざした。
やがて、穏やかに規則的な息を立てはじめた彼女の顔から視線を離し、アスランは正面を見ながら機体を歩ませていく。
…今、この場で起きている出来事のことを考える彼の心には、不安のさざ波が絶えず揺れていた。
過去に自分がザフト軍で遂行した、ヘリオポリスの新型機強奪作戦と、何者かによるアーモリーワンの新型機強奪事件。
その、ほぼ完全に一致しながらも、標的の所有組織という点で全く正反対の事件。
彼は感じていた。その奇妙に符合する事件を発端に連なるであろう事象もまた、似てくるのではないのかと。
自分が経験してきたあの争いが。 父親、友、多くの人を捲き込み轢き潰していった、あの戦禍が再び起こるのではないかと。
カガリと同様に彼もまた、自分たちが手に入れたはずの平和に対して、疑念を抱いていた。
278 :
3/8:2005/11/18(金) 22:08:06 ID:???
逃げ出した三機のMSによって、プラントの外壁に開けられた巨大な風穴。
内外の気圧差の影響で、宇宙へと移動する猛烈な気流に乗って飛び出していく彼らを、マユもまた追う。
外部までの追撃の命は出ていない。しかし、彼女はそれが当然出されるものだと思い、先走っていた。
『っ、マユ?!』
『深追いするな! 外にはまだ敵が!』
コクピット内に飛び込んできた、仲間たちの制止の声。
しかし彼女はそれに答えず、スラスターの推力を上げる。
「絶対に、逃がさないんだからっ!」
追う標的の後姿は既に遠く、三つの色の点としか視認出来ないが…フォースシルエットなら追いつけるかもしれない。
自らの機体に対する信頼、そしてなによりも相手に対する怒りが、彼女を駆り立てる。
アーモリーワンは、彼らの不必要なほどの破壊行動によって軍事施設は当然のように、
居住区や商業区といった一般エリアまでもが滅茶苦茶にされた。
自分と同じザフト軍の兵のみならず、コロニーの住人や旅行客も騒乱に巻き込まれた。死傷者も出ているだろう。
そのことを思うとマユは、胸が焼けるように疼いて、居ても立ってもいられなかった。
それは――彼女が愛する家族と故郷を失った、あの日の戦火と今の事態が重なって見えていたからだった。
彼女が疾るその方向、三機のGの前方に巨大な影が見える。
無色透明の帳を取り払ってもなお、その暗いブルーグレイの色彩で宇宙空間に紛れ込む一隻の大型戦艦。
三機が迷うことなくまっすぐ目指しているということは、あれは彼らの母艦なのだろう。
――あれに逃げ込まれたら、手遅れになる!
焦りを感じたマユは、インパルスの速度をさらに上げ、三機に追いすがる。
279 :
4/8:2005/11/18(金) 22:08:57 ID:???
真正面に捉えた標的ばかりに注意が向けられていたその時。突如コクピットにけたたましい音が響いた。
何者かにロックオンされたことを示す警告音。
驚き、敵機の位置を確認すべくレーダーへ視線を向けた瞬間、揺れがマユを襲う。
「敵?! どこからっ…」
見開いた彼女の瞳に映ったのは、赤紫色に塗装された流線型の物体。
先端から放たれる一条のビームをシールドで防ぎながら、ビームライフルで応戦するもそれの動きは素早く。
こちらのビームを回避した物体を撃たんと、再び照準を合わした途端、背後から急接近する何か。
接近に気付き、機体を捻らせそれと向き合う。 視界に飛び込んできたそれは、さっきの物体と同型だ。
さらに、その後方に見える同色の戦闘機らしきMA。それを中心に、四つの流線型が複雑な機動を描きだす。
「カオスと同じ兵装ポッド? でもこれはっ!」
それらの動きは完璧なコンビネーションで。 インパルスの周囲を絶えず移動しながらビームを放ってくる。
正面に気を取られれば、側面か背後から。 撃たれた方向へ向けば、すかさず異なる方面から。
その動きから、マユはカオスに装備された無線式兵装ポッドを思い出す。
だがこの機動力も反応速度も、彼女が知るそれを凌駕している。 同時に操作できる数も、その倍だ。
タイミングを図って向けられる攻撃に囲まれ、檻に捕らわれたように動けなくなるインパルス。
絶え間なく、位置を変えて、網をなすように放たれるビーム。ついには反応しきれず、直撃のコースを狙われる。
おののきのあまり、銃口を前にして目を閉じる少女。
『何をしている! ぼぅっとしていたらただの的だぞ!』
その声にハッと顔を上げるマユ。 インパルスは、撃たれていなかった。
シールドを構え、インパルスの前に立ちはだかる白い姿。レイの駆るザクファントムによって自分は助けられていた。
『あれはガンバレルだ。 有線式で射程範囲は限られるが、その分カオスのポッドより正確に操作される。
相手の間合いに入らないように、回避しながら撃て!』
「ありがと、レイお兄ちゃん!」
ガンバレルと呼称された兵器へ向けて、けん制するようにライフルを撃ちながらのレイのアドバイス。
マユは頷きながら謝辞を述べ、彼の援護により途切れたビームの檻から脱出した。
280 :
5/8:2005/11/18(金) 22:09:53 ID:???
レイと同じく、マユを追って飛び出してきたアゼルも彼女の元へ追いつき、MAと戦うレイへ共に援護に入ろうとする。
だが、その行く手を阻むように彼らの横を閃光が横切る。
それは背後から。ガンバレルの稼動圏とは正反対の方向から放たれたビームに、マユは振り向く。
「えっ…ザク?」
視線の先に佇んでいたのは、ビームランチャー『オルトロス』を構えた、基本カラーである緑色のザクウォーリア。
援護に来た味方の誤射ではないだろうか、と一瞬考えるが、モニター上に表示された文字がそれを打ち消す。
機体自体はザフト軍のものだが、それに重なる文字の羅列はアンノウン。
今戦っているMAと同様に、ライブラリにない識別コードを発してた。
とっさの判断が出来ず、動きを止めていたマユたちへと所属不明のザクが再度銃口を向ける。
その発砲よりも先に、全速力で前面に飛び出したのはザクウォーリア。
軍制式のポールウェポンよりも長大に改造されたビームハルバードを、突きに構えながら肉薄する。
しかし、相手の反応は素早く無駄のないものだった。
銃身を支える右肩部を狙う閃光の槍から、ただ身を捻り右半身を後ろへ引くだけの動作で逃れる。
そして、避けられた突撃の勢いを逆噴射で殺し、体勢を立て直そうとしたアゼルのザクへと。
身を逸らした勢いを利用して背後に振り向いたアンノウンは、即座に銃口を突きつけた。
その距離はごく至近で。 メインカメラの画面ど真ん中に映った巨大な銃口に少年は絶句する。
崩れた体勢で、逃れられない距離で、放たれようとする砲撃に死を感じた。
「まずは一機、っと」
呟きながら、かすかに笑みを浮かべるのは、鹵獲したザクを操るケイ。
果敢にも自分の懐に飛び込んできた同系機へと、オルトロスの照準を定めながらトリガーに指をかける。
「やらせないっ!」
いざ撃たんとした瞬間、横合いから急接近してきたトリコロールカラーの機影。
背中のビームサーベルを抜き放ち、ビームランチャーを狙い斬りかかるインパルス。
両手のふさがっていたケイは舌打ちをし、機体を急上昇させてそれから逃れる。
その行く手を阻むべく、マユはザクへ狙いを定め、ビームライフルを連射する。
だが、どの弾も命中しない。小刻みな動作で左右に機体を振り、回避行動を取るザクの脇を通り過ぎていくだけで。
その原因は、相手の技量の高さというものもあったのだろうが。
いまだに状況が掴みきれず、致命的な箇所を狙うことをためらっていたマユの心理状況が影響していただろう。
281 :
6/8:2005/11/18(金) 22:10:41 ID:???
「やめてよね! そんな狙いじゃ、いくら撃っても無駄だよ」
ビームを容易くかわしながら、インパルスへ向けてせせら笑うケイ。
冷酷に、蔑むような笑みをそのままに、肩部シールドに収納されたトマホークを引き抜く。
「新兵なのかな? 相手を撃つ時に迷ってちゃダメだよ」
小馬鹿にするように敵への批評を口にしながら、機体の軌道を後退から一変。インパルスへと距離を詰める。
腕部をしならせ、鋭く投擲されたザクのビームトマホーク。その刃が、インパルスのライフルの銃身に突き立つ。
「きゃあっ!!」
へしゃげたライフルをとっさに手放すも、それは機体の間近で爆散。
コクピットまで及んだ衝撃に揺さぶられ、マユは悲鳴を上げた。
大きな隙を晒すインパルスを見て、ニィと口元に邪悪な笑みを刻むケイ。
相手をなるべく無傷で、行動不能に陥れるべく、頭部に照準を合わせてオルトロスを構える。
『…閣下、新手ですよ。 追撃部隊の母艦と思われるヤツが接近しています』
低い男の声。 エグザスから入ってきた通信に、ケイは眉をひそめた。
見れば、コロニーの宇宙港の方角。 小さく灰色の艦影がこちらへ接近しつつあるのが確認できる。
「残念、潮時か」
『これ以上の戦闘は、無謀かと思われますが』
つまらなさそうに呟き、肩をすくめる青年へとネオは苦笑い交じりの見解を伝える。
「うん、分かってるよ。 撤収しよう」
決断すれば、返す身は素早く。 反転したザクは速やかに母艦へ向けて撤退を始める。
その後に続き、飛び去っていく赤紫色のMAの後姿を、呆然とした様子でマユは見ていた。
後方から追ってきたミネルバから打ち上げられる、撤退を示す信号弾の光。
それに照らされる少女の横顔には極度の疲労と、体感した命の危機に対する恐怖の色が表れていた。
282 :
7/8:2005/11/18(金) 22:11:41 ID:???
作戦目標であった三機のザフト製新型MSを格納した後、微速で後退していた蒼の艦ガーティー・ルー。
帰還を待ちわびていた指揮官のMAと、艦の貴賓が乗るザフト製MSを着艦させると、最大戦速で戦域を離脱する。
エグザスから降りたネオは、休む間もなしにブリッジへと移動していく。
近辺に敵は確認されていないが、この宙域はまだプラントの勢力下。
事態に備え、ブリッジに詰めておくのは指揮官として当然であり、重要なことだろう。
一方、ケイの方は鹵獲してきたザクを格納庫のハンガーに収め、足元からその姿を仰ぎ見ていた。
「んー…新型のようだけど、所詮は一般機かな。 どうにも僕には似合わないや」
それに一つ目は嫌いだしね、と呟いて自らの戦利品の批評を終え、その場を離れていく。
と。彼の耳に飛び込んできた、耳をつんざかんばかりの女の悲鳴。
驚き、眉をひそめそちらの方を見やると、強奪した三機が収められたハンガーの方だと分かる。
「くっ、落ち着け!ステラ!!」
「いやぁっ!死ぬのはいやぁぁぁっ!!死にたくない死にたくない!!!」
MSの足元に集まる人垣。そこへ近づくと合間から、暴れる少女とそれを押さえつける少年の姿が伺えた。
ケイはその二人のことを知っていた。作戦前に顔を合わせ、話す機会があったからだ。
喉を潰すのではないかと思うほどの大声で、死にたくないと叫んでいるあの子は、ステラといったか。
あの、人に慣れた小動物のようにおっとりとしていた少女が、今は赤子のように必死の形相で泣き喚いている。
色白の肌に、とろんとした穏やかな瞳が愛らしかった彼女の顔は
恐れによってくしゃくしゃに歪み、頬は涙に濡れて赤くただれ、泣き腫らしている様子だった。
ずっと泣き続けて疲れているであろう少女を、緑髪の少年は必死に押さえつけている。
それだけ彼女の力が強いのだ。 後ろから押さえつけ、羽交い絞めても気を抜けば振り解かれそうなほどに。
人垣をかき分け、彼らの前に出てきた白衣の人物が何事かを少年に伝えつつ、手提げカバンから何かを取り出す。
しっかり押さえとけ、と。 あたりに反響する慟哭に混じって、微かな声が耳に届く。
暴れる少女より少し離れた場所から、白衣の者が銃に似た機器を構え、トリガーを引く。
途端、叫びは急に小さくなり消えうせ、少女の身体が糸を切れたかのようにぐらりと崩れた。
283 :
8/8:2005/11/18(金) 22:12:54 ID:???
「…ラボご自慢の、エクステンデット2ndロット…か」
一連の行動に目を向けながら、ぽつんと小さく落とされたケイの呟き。
いつの間にか傍らに近づいてきていた、自分の下に付く副官へと振り向く。
「ねぇ、あれで大丈夫なの?」
緑髪の少年、スティングの腕の中で意識を失ったステラが、白衣の男に託される。
その様子を視線で示しながらの問いに、副官の男は頷く。
「1stロットよりは随分マシになりました。
普通の軍人同様、人間としてのコミュニケーションも十分取れますし、作戦行動を的確に理解し忠実に遂行します。
1stでは必須だった、薬物投与による生命活動維持は必要ありません。
ただ、恐怖や躊躇といった余計な感情を抱かせないように定期的にメンテナンスを行い、記憶の調整をする必要がありますが」
なるほどね、とその言葉に耳を傾けながらケイは小さなクリップボード状のモバイルを取り出し、指先で操作する。
「その1stの事をよく知らないからなんとも言えないけど、確かにパイロットとしての技能は見事なものだね」
極薄のボード全体を構成するタッチパネル画面に触れながら、そう話していた彼。 ふと、怪訝な顔つきになる。
「ああ、彼らのスペックはそちらには載っていません…失礼」
彼の表情の変化を見て、理由を察知したのか。
副官が断りをいれてから、横からモバイルの画面へと手を伸ばす。
ガーティー・ルーの乗船者リストの画面から何度か分岐を引き返し、別のルートを辿っていく。
最終的に開いた場所は、MS用の機材や備品が羅列されたページ。
その中に混じる人名の文字列と少年少女の顔写真は、なんとも奇妙で不自然で
『生体CPU』というパーツ名を冠した三人の名前を目にしたケイは、僅かに目を伏せた。
「帰還してすぐでお疲れでしょうが閣下、盟主より例の件について報告の要請が来ております」
「…せっかちだね。 じゃあ僕は自室に戻らせてもらうよ」
かけられた言葉に対して顔を上げ、鷹揚に頷いたケイはモバイルをしまい、格納庫の出入口へと歩みを進めていった。
ドアをくぐる前。 ふと後ろをかえりみると、スティングがアウルに詰め寄り、何事かを言い争っている姿が見えた。
「兵器だというのなら、言い争うなんて無駄なことはしないだろうに」
それは、隣にいた者にも伝わらなかったごくごく小さな呟き。
捨てるように言の葉落として、ケイはその場を後にした。
284 :
あとがき:2005/11/18(金) 22:15:15 ID:???
上手く筆が進まず前回から随分間が空きましたorz
今回はカガリとアスランが登場です。
カガリについては無印種の頃から大好きなキャラだったので思い入れも深いです…
ちょっと本編と違う雰囲気になっていますが、これにはちょいとした訳がありまして。
オーブのリーダーとしての思念、そして戦争に対する意識の変化の転機
これが本編よりもずっと前に起きている、ってことになってます。
彼女がこの後、どのように成長していくかも物語の根幹となる予定です。
設定について少々補足です
マユ対ケイ
この話の時点でのマユは実戦経験が無く、まだまだ発展途上といった所なので
今回は一方的に押される形になりました
エクステンデット
本編と多少設定が変わっています、基本的には精神面でのメンテナンスのみですが
一定周期ごとに投薬を行います、れを行わないと徐々に能力が低下していき最終的
には普通の人間と変わらない状態に戻ります
1stロットは無印で出てきた3人の事です
次回はマユとカガリのやりとり、連合の情勢などを書いていきます
リアルタイムでGJです。
相変わらずKがヤベェw
隻腕作者様、Injustice作者様、マユデス作者様、運命の舞踊作者様
力作投下お疲れ様です。
「ケイ」という単語から某和風伝奇ホラーを連想してしまう俺は駄目人間orz
とにかくGJでした
MS戦闘の描写がイイ!量産機でマユとアゼルを圧倒するケイが目に浮かぶようでした!
これからも頑張って下さい!
どうも、隻腕書いてるものです。
Injustice作者様、ほのぼの作者様、運命の舞踏作者様。どれも目が離せませんねぇ。3人ともGJです。
こちらも頑張らねば。
さて、読者参加企画! ……というのも、何か変ではありますが。
半ば実験的な企画として、読んで下さってるみなさんに、ちょっとアイデアを分けて頂きたいのです。
正直な話、私は自分のネーミングセンスには、あまり自信がないもので……。
考えて頂きたいのは、『スティングたち3人の後輩に当たるエクステンデッドたち』の個人データ。
『アニメ本編の中で、量産デストロイに乗っていたパイロットたち』に当たる存在です。
以下の条件で、アイデアをお貸し下さい。
・以下の項目について、考えて下さい。
【名前】
【性別】
【外見】(簡潔に)
【性格】(一言で)
その他、【背景】なども自由に考えて下さっても構いませんが、こちらの都合で変えさせてもらうかもしれません。
・【年齢】は、「スティングたちと同じ程度orそれより少し下」で固定です。明確な数字を出す必要はありません。
年齢と不釣合いな外見も避けて下さい。
・また、元ナチュラル(現エクステンデッド)限定です。コーディやソキウス、ハーフコーディなどはちょっと困ってしまいます。
・発想に幅を持たせたいので、基本的に1人1エクステンデッド案でお願いします。
(と言っても、強制コテハンとかID出しとかしてもらっても面倒なだけですから、そこまではやりません。
自己申告で、1レスにつき1名のエクステンデッドでお願いします)
・万が一応募多数の場合、こちらの独断と偏見とバランス感覚で適当に選ばせてもらいます。
採用できなかった人が出たら、申し訳ありません。
募集は大雑把に言って、この週末のあいだ程度をメドに考えています。
使う人数は4〜6人を考えてますが、展開によってまた変わるかも。発表は本文の中で行う予定。
みなさんの力を、お貸し下さい。
単発設定小話「マユとステラとアウルとスティング」
ステラ「h〜♪hfi...fu〜」
アウル「おーい、ステラ!な〜にやってんだよ〜」
スティング「アウル、やめとけ。バカがうつるぞ」
アウル「あっそ。しっかしなんでショーウィンドウに写る自分みて楽しめるかなぁ〜?」
スティング「だからバカなんだろ?」
アウル「・・・スティング・・・そればっかだね」
スティング「別に・・・いいだろ?バカはバカなんだから」
アウル「はいはいっと。さて、そろそろ戻りましょうかねぇ?スティング」
スティング「ん・・・だな。見るべきもんは見たしな。アウル、ステラ呼んでこいよ」
アウル「え〜結局俺にやらせるの!?バカがうつるんじゃなかったの?」
スティング「いいから、呼べよ」
アウル「は〜い・・・お〜い、ステラ〜戻るぞ〜」
ステラ「・・・!?・・・ぁ、うん・・・・」
〜振り返るステラ、そこに路地から飛び出すマユ。ぶつかる二人〜
マユ「きゃ、あ、ごめんなさい!おけがありませんか?」
ステラ「・・・ステラ・・・だいじょうぶ。はい・・・?」
マユ「私のバッグ・・・拾ってくださってありがとうございます・・・本当におけがありませんか?」
ステラ「・・・うん・・・・・・」
アウル「お〜いステラ!なにやってんだよ。スティング、もうおかんむりだぜ?」
ステラ「あ、うん・・・いまいく・・・」
マユ「あ、お連れのかたですか?私の不注意でぶつかってしまって・・・」
アウル「ああ?・・・そうなの?」
マユ「あ、これ私の名刺です。なにかありましたらご連絡ください。すいません、急いでいるもので・・・」
ヨウラン「マユ!急げよ!艦長が怒ってるぜ!」
マユ「いまいくー!すいません(ぺこり)・・・おねえちゃん。ほんとうにすいませんでした。・・・でわ」
〜ヨウランの車に乗り込むマユ、きょとんとするステラ〜
アウル「いまどき名刺ねぇ。。っとステラ!もう行くぞ!」
ステラ「・・・うん・・・?マユ・・・アスカって読むのかな・・・?」
〜その場に捨てられるマユの名刺、それを拾う謎の男〜
?「・・・フン、あいつがインパルスのパイロット、マユ・アスカ。しかも赤服。けっ、な〜にがエリートだよ!」
〜ミネルバに向かうマユ〜
ヨウラン「でさ・・・なんで配属初日に遅刻するわけ?」
マユ「だってさ・・・ジュール隊に至急来いってメールがはいってたから・・・」
ヨウラン「はぁ?ジュール隊って、あのイザーク・ジュールの隊かよ!?」
マユ「うん・・・ほら、ジュール隊のシホねえちゃんってアカデミーでの指導教官だったじゃない?」
ヨウラン「ああ、鳳仙花の鬼教官ね。。」
マユ「配属前になにか言ってくれるのかなぁと思ってさ・・・」
ヨウラン「んで、なにか言ってくれたの?」
マユ「・・・・・・いやまぁ、なんというか・・・あ、あれがミネルバね!?」
〜その頃ミネルバでは〜
タリア「んもう!あのおかっぱ!シホちゃんとエザリア様から連絡なければ銃殺刑ものよ!・・・でそのカメラはなんなの?」
アーサー「いや〜最年少パイロットの姿を写真に収めておこうと思いまして」
タリア「・・・アーサー!あなたも馬鹿なことはやめなさい!」
アーサー「フォンドゥヴァオゥ!?」
完
皆様GJです!
隻腕作者様、じゃあさっそく考えてみたのでよろしくお願いします。
【名前】ダーボ・ダルチェ
【性別】♂
【外見】ライン(B系の人がよくやってるやつ)の入ったボーズ頭。黒髪。
目つき悪い。小柄。
【性格】外見に似合わず優しい人(捨て犬など見過ごせないレベルw)。
拙いですがこんな感じで…
>>288 【名前】ミシェル・クルスト
【性別】女
【外見】年齢は15歳くらいで、栗色のショートカットの少女。前髪が長く、そのせいで顔の上半分が見えづらい。隠れている目はたれ目気味。
【性格】普段はおとなしく無口で引っ込み思案。やや対人恐怖症の気があるのか、同期のエクステンデットの一人(これは他の方のキャラで)の影に隠れる感じで。
ただし戦闘になると人が変ったように激しい戦い方をする。(その際も口数は少ないが敵に対しては容赦しない)
こんな感じでどうでしょうか。ちとテンプレすぎかな?とも思いましたが。
>>288 【名前】ケリオン・レリアード
【性別】男
【外見】少し大柄でがっしりした体つきの青年。髪は茶髪の短髪。
【性格】普段は温和で気のきく性格だが、戦闘になると凶暴化する。格闘戦を好む。
こんな感じでどうでしょう?
>>288 【名前】ログ・サントラ
【性別】男
【外見】大柄で筋肉質
【性格】ブルコスシンパ、几帳面で、規則や礼儀にうるさい
【背景】薬中の親の借金のため、麻薬商人に売られ、麻薬の密輸のため働かされていたところを、ブルコスシンパの軍人に助けられ、軍人に憧れるようになる
よかったら使ってください
【名前】クロス・アークハート
【性別】男
【外見】小柄で線が細いが引き締まった身体つき。金と銀のオッドアイで、肩まである燃えるような紅髪を後ろで縛っている
【性格】冷静で毒舌家。余り他人に心を開かないがスティング達3人は信頼している。
じゃ、変化球で・・・・
【名前】アニー・アニータ・アーナンダ
【性別】女
【外見】黒人。髪は天然パーマで短い。スリムで小柄
【性格】人懐っこくクルクルと表情が変わる。いつも楽しげで陽気で騒がしい。誰からも好かれるタイプ。
でも戦闘時には、一転して無表情に。感情のない機械のようになる
【背景】大西洋連邦出身。アフリカ系アメリカ人の血を濃厚に引く。
種世界には肌の黒い人が足りない! と思うので。
>288 レヴ
【名前】 ディーン・R・シュトルム
【性別】 男
【外見】黒紫で腰まで伸びる長い髪をヘアバンドでオールバックにした青年
【性格】人見知り 冷淡 傲慢
【B・W】 「嘘」 (他にあるならば何でもいいです)
【背景】戦災孤児:記憶は無い 恐らく日系
【名前】 サニィー・エルマ
【性別】 女
【外見】黒髪ストレート、肌の色茶色、東南アジア系
【性格】自分が仲間と思った存在以外は全て敵。裏切りは絶対に許さない。
【背景】こうなってしまったのは、幼い頃から裏切られることばかりだったから。
*種世界は、裏切りが肯定されている節があるので裏切りは許さないキャラがいてもいいかと。
住人(読者)参加企画はいいですね。
>>288 【名前】サヤ・ブラッディア
【性別】 女
【外見】 黒髪のショートカット・右頬に火傷の跡がある・左耳に大量のピアス
【性格】寡黙だが気を許した相手には意外と喋る。命知らず。
【背景】貧困街出身。親に売られてエクステンデットになる。
隻腕作者様いつもGJです。
【名前】ブラボー・田中
【性別】 男
【外見】 外見年齢は70代以上。カジュアルな服装で決めているが無理な若作りにしか見えない罠。猫背で何時も肩で息をして苦しそう
【性格】外見に似合わない口調で普段はマイペース、戦闘時は異常なほどハイになる。老人扱いされるのを極端に嫌うちょっと怒りんぼさん。
【背景】薬物投与の失敗で急激に老化が進んでしまった。
30分に一回は本気でボケて老人口調になってしまう。
本当は廃棄処分される筈だったのだが、5回に一回の確立で「時が見えてしまう」特殊能力を得た事で存命する。
五回に一回はどんな敵にも必ず当たり、五回に一回はどんな攻撃でも必ず避け、五回に一回は全ての先を見通す。
ただし老体の為20分以上戦闘行動が取れない。
【名前】ロッティー・フォス
【性別】女
【外見】全身を防菌服で包んでいる。顔は見えず。
【性格】ごく普通の性格だが己が姿を棚に置いて、
他人に「おかしな人ですね」と連発するので周囲の人間はその度に閉口してしまう。
【背景】他人からの視線に晒されるのを極端に嫌う。
それが進んで今では地肌での接触すらも出来なくなっている。
他人の事はよく見えるが、自分は全く見えてない困った人
【名前】ショウ・コースト
【性別】男
【外見】黒髪短髪しかし右前髪は少し伸ばしている。常に細長のサングラスをかけている。
【性格】他人をからかうのが生きがい、しかし戦闘や任務になると、途端に冷徹になる。
【名前】ヘンリエッタ・ベリーニ
【性別】女
【外見】金髪縦ロール、貧乳
【性格】プライドの高いお嬢様風
背景としては「身売り的に供された没落貴族の次女」といったところでしょうか。
細かい設定は却ってイマジネーションの妨げになりそうなので、シンプルに纏めておきました。
隻腕作者様
そろそろ打ち切らないとヤバゲ
しかしこの中から三人か・・・。
>>288 ――――――――――――――――――投稿部分↓――――――――――――――――――
【名前】レイア・アスト
【性別】女
【外見】口ほどにものを言う大きな瞳と二つお団子にした髪型が特徴
【性格】明朗(イメージ例:×「おはよう」→○「おっはよー!」)
喜怒哀楽が顔に出るタイプ(顔を見れば考えてることがだいたいわかる)
――――――――――――――――――投稿部分↑――――――――――――――――――
―――――――――――――――――個人的妄想部分↓――――――――――――――――
【年齢】ファントムペイン面子と同じくらい
【血液型】B
【星座】乙女座
【BW】あなたが好き(言っても言われても×)
【UBW】??
―――――――――――――――――個人的妄想部分↑――――――――――――――――
>隻腕作者様
面白い企画ですね! 作品を含めてこの企画を楽しまさせていただきます!
>306
>【UBW】
固有結界!?
隻腕書いてる者です。
うわー、予想以上の反響。正直びっくりです。
しかし、選んで捨てるのは勿体無いなァ……でもこんなに出せないし……。
多分半分以上は切り捨ててしまうことになるかと思います。
予め謝っておきます、出せない人ゴメンナサイ。
まあ、毎日スレをチェックしてる人ばかりじゃないとも思うんで、マターリ募集は続けたいと思います。
一応、昨夜言った「週末いっぱい」、日曜の深夜までは。
他の職人の方々、気にせず(ってのも難しいですかね?)作品を投下して下さい。
みなさんも、そちらへのレスもお忘れなくw
しのはらタソカムバックしてくれないかのぅ
デストロイは破壊された。それと同時にネオはザフト軍に拘束された。
で、ステラ達はと言うと・・・・・。
「マユゥゥゥウゥゥゥゥウッ!!お兄ちゃんおまえのこと忘れてたなんてぇぇぇえ!!」
ゲンは号泣しながらマユを抱きしめる。マユの顔が微妙に青ざめている。
はむはむはむはむはむ・・・・。
「美味しい?ステラ?」
こくりこくりこくり。
ステラはルナマリアにもらったマシュマロは頬張っていた。幸せそうな顔である。
「・・・・・・・。」
「・・・なぁ、忘れてたの謝るから許してくれよ・・。」
スティングはステラとバカップル状態でハートが回りに漂っている。
「・・・・・・・・・・。」
「気にするな、俺は気にしない。」
アウルは一人だけマユにより大怪我をさせられむっつりしていた。レイの励まし?も
聞こえていないようだ。
そして・・・、その頃のほかのパイロット達は・・・・。
「よしよし・・、大丈夫だからねー。」
白衣を着たカルマが泣き続ける少女をなだめる。
一見少年のような彼だが実年齢は22歳のれっきとした社会人である。
ザフトは市民軍なので本来の職を持っているものも少なくない。
カルマ、彼は実はれっきとした心理学者である。
彼の心理学というのは非常に幅が広く、小学校のカウンセラーから催眠術までばっちりだったりする。
なので彼の特技は手品、そして暗器使いだったりするのもこの人間心理の知識を応用したものだったりする。
「大丈夫です、いま国連やザフトの基地から救援物資がくるはずです・・。あぁ、住宅の方は・・・。」
ジョーは様々な年齢の人々の質問に対し、不安を与えぬよう適切に答えている。
彼の職もまた老若男女を相手にし、相手にどう接するかが非常に重要な職である。
ましてや、彼はスラム育ち。このような極限状態に自ら陥ったことも珍しくなかった。
プラント育ちのコーディネーターには思いもつかないような対応方法や技術を知っている。
今回の件ではそれが非常に役に立っている。
「それで・・、ウチの人は金髪に青いたれ目で・・・・。」
「はいはい・・・、こんな感じですか?」
アキラは鉛筆とコピックを走らせ、次々と行方不明者のモンタージュを作っていく。
死体や行方不明者の数は尋常ではない。遺伝子鑑定が出来ない以上
それの身元を捜すには視覚的に確認するしかない。
アキラの絵の技術は別にマンガだけではなく、それなりに似顔絵なども描ける。
家族の写真などを持っていない人々は、アキラの前に長蛇の列を作った。
「・・・・・・・・ここだね。」
キースは人間では移動できないような瓦礫をピョンピョンと飛んでいく。
空に向かって手を振ると、上からハイネのグフイグナイテッドとグレイシアのザクウォーリアが降りてくる。
『ここか?』
「うん、地図と看板の破片らしきものからして。」
『じゃ、やるわよ。ちょっとどいて。』
ザクとグフは瓦礫をどける。すると、そこにはまだ無事な包帯や薬のボール箱があった。
MSがの上空から見たのではこういった店の瓦礫などは見落としてしまう。
かといって、生身の人間が瓦礫を探そうとするにしても瓦礫を越えられない、
あわよくば崩れた瓦礫の下敷きである。
しかし、人でありながら猫の能力を有するキース。彼ならその運動能力で人間では無理な
高さの瓦礫も越えられ、なおかつ落ちてきたとしても避けられる可能性が大きい。
グレイシアのグゥルにダンボールを乗せる。
「二人とも!!ここから五キロ先に食料品の倉庫があるらしいんだ!僕は先に行くね!」
そう叫ぶとポンッと再び崩れた建物を飛んでいくキース。
『おい!!少しは休憩しろ!!』
ハイネがキースの体を心配して叫ぶ。しかし、キースは白い息を吐きながら夢中で壊れた町を駆けていった。
「・・・ひっく・・、ひっく・・。」
カルマとジョーだけでは人々全ての心のケアは不可能だ。ましてや親と離れた子供はどうしたらいいか解からない。
ここはそんな子供達は一箇所に集められていた。
すると、泣き叫ぶ少年の足元に何かがコロコロと転がってきた。
少年がふと足元を見やると・・・。
『ハロ!ハロ!』
その球体は耳のような物をパタパタさせながら跳ねる。
「あっ・・、すまな・・うわっ!!」
ザフトの赤服を着た青年がつまずき、持っていた段ボール箱を落とす。
すると、その中から次々と色とりどりのハロが現われ、子供達の所へ飛んでいく。
『アスランさん・・、よくこんなに作りましたね・・・。』
リヤカーをごろごろと引きながらシンハロが呟く。
リヤカーの中にはまだ色とりどりのハロが静止状態でいた。
子供達の顔につぎつぎと笑顔がうかぶ。
『リナ!リナ!』
『エルザ!エルザ!』
『ローエン!ローエン!』
次々とハロが子供達の名前を呼んでいく。
その声に気づいた何人かの大人がその子供達の所へ飛んでいった。
「さぁ、行くぞハロ!まだ泣いている子供達は大勢いるんだからな!!」
アスランはそう言ってまた移動を開始する。
『ちょっとアスランさーん、ロボットでもこの重さはきついですって・・・・・。
「シン」の奴に一発喰らわせてやろうかと思ってたのに・・・・・・アスランさーん?聞いてます?』
アスランの瞳は輝いている、彼は自分は戦いしか出来ないと思っていた男だ。
こんな形で人の役に立てるのは嬉しいのだろう。
『はぁ・・、俺ってば本当にお兄ちゃんだなぁ・・・・。』
シンハロはため息をつきながらもリヤカーを引いた。
場面は再び戻る。
マユ達がいるのは町の郊外である。
マユはゼロに『ステラ達を『人間』として生きさせたいなら来て。』と言われたので先ほどのメンバーでこちらに来たのだ。
すると・・、そこに小型の輸送機らしきものが向かってくる。
それは、マユ達の目の前に着地した。
ゼロは一歩前に出てその輸送機から降りてきた人物を迎えた。
「チャオチャオッ☆ いやぁ、久しぶりだねッ☆ゼロロン☆」
その人物は非常におちゃらけた調子で挨拶をした。
その長い金髪は軽くウェーブしており、顔にはめがね、さらに白衣。年のころはゼロと大差ないだろう。
なんか急に場違いな乙女ゲーの攻略キャラみたいな男が現われた。
「久しぶり、テン。元気?」
「この姿を見てどこか元気じゃないっていうのさッ☆」
二人は対照的な会話をする。ふと、テンと呼ばれた男がマユ達の方へ向かってウィンクし、自己紹介を始める。
「自己紹介が遅れたねっ☆僕の名前はテン・サルバトーレ☆ゼロロンとの関係は血のつながった兄弟ってとこかなっ☆」
・・・・・本当に兄弟なのか?確かに言われて見れば顔はよく似ているが、あまりにも印象が違うので全員困惑する。
「テンは強化人間を『人間』として生きれるようにする施設の職員なんだ。と、いっても職員はテンしかいないけど。」
預けられない!!こんな怪しい人にお兄ちゃんはともかくステラ達は預けられない!!
マユはそう心の中で叫んだ。
「あーっ☆疑わしいって顔してるなっ☆じゃあこれ見てよっ!」
そう言ってテンは懐からだしたカードを見せる、それはシンハロ(人間バージョン)の姿の写真が入った物だった。
「何々・・、私は・・・・・資金援助?!シンハロが?!」
マユは目を疑ったが実は金持ちかつ機械の癖にまったく行動が読めないシンハロのことだ、それくらいしてても不思議ではない。
「信用してくれたっ?大丈夫っ☆僕が責任を持って薬がなくても生きてけるようにしますっ☆」
・・・・シンハロが関わっているならまず信用できるだろう。奴はマユのデメリットになるようなことはしない。
何より、自分達にはステラ達を生かせることの出来る薬をもっていないのだ。彼に頼るしかないだろう。
「・・・・・・・・・・お願いします。」
マユはそう言って頭を下げた。
「うんっ☆まっかせて☆じゃあ、そこの子達はこれに乗って☆ちょっち遠いからさっ☆」
ステラはテンが気に入ったらしくルナマリアとマユにばいばいしてから輸送機にのる。
ステラが乗ったら他のメンバーに拒否権はない。
これからの人生に前よりはいいような悪いような微妙な気持ちになりながら
エクステンデッド男性陣は輸送機にとぼとぼ乗り込んだ。
……なんつーか、必死にほのぼのしようとしてるのは分かるけどデストローイが暴れて都市ぶっ壊れたところで
それをなした連中がほのぼのしてたらめちゃ不愉快なんですけど。
せめて現場でくらい真面目にいようよ。
やー、ほのぼのさんは難しい路線をあえて頑張ってると思うよー。
なんかダムAの犬ガンダムに近いモノを感じる。
普段のほのぼのさんには、あそこまで戯画化しちゃうとできないことで楽しませてもらってるけど、
こーゆーキツい元ネタの時はつらいわな。
注;ちょっと後の展開のネタバレアリ 次回予告程度ですが。
・・・・・ステラ達についてはこの後の展開でちゃんとこの後自分達のした事について
自覚してもらう予定です・・。はい・・。
ちゃんと説明した方が良かったですね。
これからステラ達の行く道は天国のように聞こえますが、それはまやかしです。
次回は施設に行ったステラ達の話にする予定です。
そこのところご理解をお願いいたします。
ほのぼの乙デス!となるとゲンはどうなるんだろ?期待してます!
あと間違い一個
スティングとステラになってるよ!スティメイだよね?
たまにはデストロイが活躍する話が読みたいのう
>>288 遅ればせながら、キャラを投稿させていただきます !
【名前】リューコ・ガーネット(Leuco Garnet)
【性別】男
【外見】短身痩躯。無色に近い白髪を短く刈り、立てている。(ディアッカみたく
瞳は淡い青緑色。肌は色白。どちらかというと童顔。
【性格】小学校中学年ぐらいの精神年齢。天真爛漫で、あまりヒネてない素直な性
格。
ただ、自分の仲間以外、特に敵に対しては興味も慈悲もない。
殺す事もアリの行列を踏み潰して歩くような感覚にしか思っていないよう。
【背景】幼い頃、事故で植物人間状態になった事があり、それ以来精神的な成長が止
まっている。
後に家族が戦乱で死亡し、身寄りのなくなった彼は処遇に困った医療機関に
よって
エクステンデットのラボへと売り渡された…薬物実験用のモルモットとし
て。
長い期間、試作薬物の投与実験を繰り返されていたが、ある日突然目覚め
る。
薬物の影響か、エクステンデットとしての能力を得て覚醒した彼は
実験生物としてではなく、兵器として生きる道を技術者たちに懇願した。
俺も考えてみた
【名前】ミラ・カンナギ
【性別】女
【外見】12歳位の外見。水色の髪を二つ束ねている。
【性格】普段は外観と同程度に振舞う。 その場合は自分を名で呼ぶ。
ただし、作戦行動中は至って冷徹になり、一人称も「私」となる。部隊のリーダー格。
【背景】エクステンデットとしては最後期型で、「指揮官型」にカテゴリされている。余計な調整を必要としない。
名前からするとオーブ出身の可能性あり。
パーソナルカラーは白。
>
厨房キャラの見本市やってて萎えた
323 :
321:2005/11/20(日) 01:21:39 ID:???
ミスった、ごめん……
>>228 ない知恵絞って考えてみました。
【名前】ブレイズ・フォックス
【性別】男
【外見】16歳くらい。やや長めの黒髪に黒目。スティングと同じくらいの身長で細身。
【性格】常に冷静で、感情が乱れることはほとんどない。
【背景】ラボに入る前の経歴は不明(自称、戦災孤児)。自らエクステンデッドの被験者に志願した奇特な少年。恐怖心を自分の精神力で制御しているため、最適化を必要とせず、ブロックワードも存在しない。最低限の身体強化処置で運用できるエクステンデッドの試作型。
極めて安定した強化人間というコンセプトで考えてみました。
オリキャラ募集でこれだけ投稿する人間がいるなら、毎回隻腕読んだ感想とかも書けよと思う
感想や批判だらけになるかも知れんがそれでもいいのか?
俺は毎回感想書いてるぞ。
だけどPPが最近来なくてちょっと寂しい。
>>322 ひどいの結構あるよな
と思ったけど、自分のがそう見られてたらどうしよう
自分は見本市にべっくらこいて思わず感想忘れて閉じたクチ
コニールはモッタイナスなキャラだったと本当に思うので、このスレでは
どのシリーズでも出てくるのが楽しみ
一度シン達が開放した後にマユ達がまた絶望に追い込んでしまうのが
鬱展開もいいとこだったけど逆に燃えた
しかし連合の描写が大分悪役っぽいのが色々と気になるw
>>325 うーん、そういう面もあるけどさ・・・
いつだったか作者さんも感想が何より嬉しいみたいなこと言ってたし
書き手がモチベーション失くしたらSSスレなんてそこで終わると思う
スレ存続のためなんて大げさに言う気はないけど・・・
精出してオリキャラ考えるならついでに感想も書けよと言いたかった
ただそれだけ
>>330 まー「これからも頑張ってください」の一言を添えるくらいは、というのは確かだな。
けどまあオリキャラを考えるってことは応援してるってことだからいいんじゃないの?
応援してない作品のオリキャラを考えるヤツって普通はいないと思うし。
これ、多重投稿してる奴いるんじゃねーかなーw
>>333 その可能性は否定できないなw
まーでもカキコがあるってのはいいことだよ
他のSSスレなんて過疎りまくりの消滅寸前だもんよ
保守
>>334 機動戦士GUNDAM SEED Revival
SEED DESTINYでSSを作るスレ
このスレだけ特別な顔すんなよ
単発設定小話 〜MS他基本設定編〜
インパルス
基本設定はオリジナルどおり。3つに分離しているときの操作には、ごく簡易型のドラグーンシステムを
使っている。ドラグーンシステムを利用し細やかな操作が可能となった。しかし、簡易型とはいえドラグー
ンシステム。乗り手を選ぶMSとなってしまった。
ザクウォーリア
ザフトの新しい主力MSシリーズ。ウィザードと呼ばれる武装換装パックによりさまざまな局面に
対応できるようにした。インパルスのように戦闘中に簡単に武装換装はできない。
角のある真っ赤なザクは通常のザクより3倍速い。といわれているがそのようなザクは確認されていない。
ただし、角なしの真っ赤なザクは確認されている。しかし速さは普通、おまけに射撃が下手と報告されている。
カオス、アビス、ガイア
連合に強奪されたMS。もともとはインパルスのデータ収集用として開発されたMSであったが、
予想以上にMSとして完成度が高かったためそのまま実線配備された。
ガイア補足:ガイアだけは先の戦争時にお蔵入りとなっていた設計を元に製造されている。
「砂漠の虎」と呼ばれていた元ザフト仕官が開発に携わっていたとかいないとか。
グフイグナイテッド
ザクよりも全体的な運動性能を高めたMS。ザクよりも制御が難しく、パイロット練度が求められる。
格闘戦、近接戦においてザクよりも武装強化がはかられている。主に部隊長が搭乗する場合が多い。
開発が遅れていたためザクよりも配備が間に合っていない。レイ、ルナマリアがグフでないのは、
武装換装ができるできないによるところが大きい。ミネルバにはグフよりも強力なインパルスがあるので
汎用性がザクよりも劣るグフは配備されなかった。
セイバー
インパルスのサポート機として開発されたMS。1回だけインパルスへのデュートリオンビーム照射可能。
あとは飛行形態へと変形できるだけで、それ以外にこれといった特色はない。
※単発話にはあまりMSでてこないので、設定作っても意味なかったかも。
でも設定を決めておくと伏線も作りやすくなるのでまあいいかなと。。。
以上です。
シンさえいれば世界なんてどうなってもいいというスタンスで、
シンに抱きついて「……あの女の匂いがする!!」とファビョり、
ルナを助けたら「なんであの女を助けるの?」とファビョり、
それが原因でシンと死別っぽくはぐれ、
実は強大すぎる力を利用され何時の間にかオーブのエースになり、
極悪マルチロックオン&フルバーストで虐殺の限りを尽くし、
諌めるシンの話も聞かず暴走を繰り返し、
仕方がないとミネルバが陽電子砲で狙撃したら「お兄ちゃんがマユを殺そうとした!!」とファビョり、
ミネルバを一撃の下に蒸発させザフト全軍をを壊滅状態に追い込み、
最後はシンと一騎打ちをして共に果てる種死マユルートならなんか嫁を愛せるかも。
某キモウトだけど。
それなんてエロゲー?
いや見ただけで吹くような凄まじいのを例に出されても困るんだがw
つーか平凡系であればこそ考えるのがめんどくさくなるんじゃないの?
一度に5,6人もオリキャラ。それもほぼ使い捨て確定なキャラを考えるのはめんどくさいでしょ。
ある意味平凡なキャラクターほど考えるのが難しくなると思うよ。数を考えると特にね。
【名前】ガル・ゼファン
【性別】男
【外見】白人のハーフ。目は青、髪は銀でミディアムウルフ。身長・体重は年並。
【性格】テンション高めで口が悪い。
【背景】
親が悪かったせいか人間不信で人の温かみを知らない。殺人を自己の防衛で正当化している。
特に生きることに目標もなく、死にたくないから生きている、といった感じ。
―過去―
母親を出産時の筍医者の医療ミスで失い、父親と2人きりで暮らしていた。父親は糞人間で殆ど家に帰らなかったため、
生活苦から盗みなどを度々起こしていたようだ。八歳ぐらいの時に 父親がコーディのテロに遭い死亡し、孤児院に入る。
しかしよく暴れたため手が着けられないと一年で院を追い出される。その後、生きるために街で犯罪を繰り返す日々。殺人にまで手を染めるようになる。
警察に捕まって適当に死刑になりかけたところを、ブルコスに拾われる。施設に流されエクテンデッドに。
久々に来たらなんか凄いことになってるw
こういうのは、まとめに掲示板でも置いてやる方がいいんじゃないか?
物語目当てに来てる人にとっては迷惑かもしれんし
あまり良い事では無いと思う
早めに打ち切ったほうがよいと思うのだが。
まだ問題になっていない時点で、打ち切れを連呼する事は
平地に乱を起こす
事と同じ
過敏に反応する対象を見誤っているな
350 :
運命の舞踏:2005/11/20(日) 17:27:36 ID:???
4話投下開始しまっす
351 :
1/11:2005/11/20(日) 17:32:11 ID:???
奪われた三機を載せて逃走する所属不明艦を追う、ザフトの新造艦ミネルバ。
そのMS格納庫の中は騒然としていて、まさに戦場そのものの様相だった。
収容された機体の修理や調整の為に、所狭しと走り回る整備兵たち。
その半分近くは、実戦未経験の新兵で構成されているため、皆一様に戸惑いを見せながら仕事に就いていた。
…ああ、あれはヴィーノだ。小さな身体でちょろちょろ走ってるところを、エイブス班長に呼び止められてる。
怒鳴り声で呼び止められてビックリしてた。この喧騒だから大声になっただけで、怒られたわけじゃないのにね。
「……はぁ」
キャットウォークの手すりにもたれかかりながら眼下の光景を見下ろしていたマユは、またもため息をつく。
ミネルバに着艦し、機体を降りたと同時に、慌しく始められた整備の様子をずっと見ていた彼女。
その幼い貌には、疲労よりもなお色濃い落胆が見える。
すっかりしょげたようにうな垂れ、本日何十回目かの嘆息をつく。
この艦に就いて初めての任務は、失敗だった。
奪われた三機の新型に散々暴れられた挙句、取り逃がしてしまったのだから。
そして、最後に現れたマゼンダカラーのMAと、鹵獲されたであろう自軍のザクウォーリア。
マユはそれらの前で、全く無力だった。
彼女の乗るインパルスは奪われた三機と同期の新型機なのだが、それでも相手に翻弄されてばかりだった。
そんな事実が重く重く、自分にのしかかってくるようで。
手すりに身を預けながら、深くうな垂れてコツンと額を打っていた。
「マユ」
かけられた、名前を口にするだけの簡潔な呼び声に少女は顔を上げる。
いつの間にやら隣に来ていた緑服の少年、アゼルの方へと向き、首を傾けるマユ。
「エイジさんとアイリーンさんの方に連絡入れといたよ。 いきなり、実戦に出ることになっちゃったからね」
「ぁ、そっか…心配するかもしれないしね。ありがと」
すっかり自分が失念していた事柄に気付き、少年へと礼を述べる。
今回の進水式は、コロニー周辺を巡航するだけで、一日で帰還する日程のはずだった。
二人共通の同居人たちへは、すぐに帰れる任務だと伝えていたので
おそらく家で待ちわびているであろう彼らに、アゼルが連絡を入れたことは適切だろう。
352 :
2/11:2005/11/20(日) 17:33:31 ID:???
「あれ? あのザク…」
辺りの整備風景に視線を巡らせていたアゼルが、突然驚いたような声を上げた。
つられて彼の向く方を見るマユ。 目に留まったのは、一機のザクだった。
一般機カラーのそれは相当な損傷を受けていて、特に右腕部の欠損が痛々しい印象を与える。
「ねぇ、あれって…」
「うん。 あの時居合わせたザクだ」
インパルスがカオスとガイアと交戦していた時、危機一髪の状況に割り入り手助けしてくれたザクだ。
損傷具合と、胸部装甲に刻まれたマーキングを見て気付いたマユとアゼルは、
キャットウォークから降り、ザクの足元へと駆け寄って、機体を見上げる。
「でもあれ、ミネルバ所属の機体じゃないよね。 誰が乗ってたのかな?」
所属部隊を示す印を指差し示しながら、首を傾げるマユ。アゼルはどうだろう、と言いながら首を捻っている。
彼女は知りたかった。 あの新型二機相手に、短時間とはいえ翻弄する見事な動きを見せたザクの乗り手のことを。
そして、礼が言いたかった。 自分の危機を救ってくれたその人へと。
「あー、いたいた二人ともっ」
あれこれと論議している彼女らへ向けて、横手から飛んできた声。
気付き、そちらへと振り向くと赤い軍服姿の少女が立っていて、二人へ向けてヒラヒラと手を振っていた。
「ルナお姉ちゃん!」
同じくミネルバ就きのMSパイロットであるルナマリア・ホークの姿を認め、マユが駆け寄っていく。
活発そうな容貌に満面の笑みを浮かべながら、両手を広げて迎えている彼女へ、ぽふんと飛びつく。
「お姉ちゃん、大丈夫だった? 怪我してない?」
「だーいじょうぶよ、私はなんともないわ。 ザクの方も、軽い修理ですぐ出せるようになるって話だし」
ぎゅうと一度強く抱きついてから顔を上げ、矢継ぎ早に聞いてくるマユへ、そう答えるルナマリア。
落ち着かせるように少女の栗髪をぽんぽんと撫でるように叩きながら、大きく頷く。
その答えに安心したのか、えへへと笑いながらマユは表情を緩ませた。
353 :
2/11:2005/11/20(日) 17:34:42 ID:???
「ルナ。 あのザクのパイロット、誰だか分かる?」
アゼルからの問いに、ああ、あれねと呟きながらルナマリアは頷く。
「あのザクね。 ミネルバの緊急発進前に着艦してきたのよ。怪我人がいるってことでね。
乗ってたのはね…なんと、オーブの代表とその護衛だったのよ!」
「えっ!? カガリ・ユラ・アスハが…?」
二人のやり取りを耳にしたマユが、驚きの声を上げる。
「ん? どしたのマユ」
「…えと、あのザクに助けてもらったの、あたし。 お礼が言いたくて探してたんだけど…」
うつむきながら、ごにょごにょと途切れがちに呟くマユの様子を見て、
ルナマリアは何かに気付いたように、ああ、と言い、さらに言葉を付け足す。
「なーるほど、そういうことか。
大丈夫よ。操縦してたのは代表じゃなくて護衛の方だったから、お礼ぐらい言えるでしょ」
それは、マユの煮え切らない様子を、ためらっていると感じ
恩人が国賓だとしたら、話す機会があるかどうかを悩んでいるのではと推測しての言葉。
「そ、そうなの…」
マユの思惑は他にあったのだが、それを隠すようにぎこちなく笑みを作る。
「たしか、アレックス・ディノって名乗ってたかな。
私よりちょっと年上の、けっこう…ううん、かなりイケメンだったわね!」
「へー…」
目を輝かせながらそう語るルナマリアを、気の抜けた眼差しで見やる少女。隣の少年もキョトンとした様子で。
そんな二人の肩を、両手で抱え込むようにぎゅっと引き寄せ、
にんまりとした笑みを浮かべるルナマリアは、二人の顔の間でこっそりと囁いた。
「でもその人、アスラン・ザラかも」
「「えっ?」」
思いもよらぬ名前が飛び出したことに、マユたちは揃って驚きの表情でルナマリアを見る。
「私ね、代表たちが着艦してきた時に居合わせてたもんだから、負傷してた代表を医務室へ案内していたのよ。
その時ね、代表が彼のことを『アスラン』って呼んだの。 間違いないわ!
ほら、アスラン・ザラって今はオーブにいるって噂だったでしょ?」
スクープでも撮ってきたかのように、エヘンと胸張り誇らしげに語るゴシップ好きの少女の前で、マユはポカンとしていた。
354 :
4/11:2005/11/20(日) 17:35:54 ID:???
――アスラン・ザラと言えば、ザフト軍に所属する…いや、プラント全体の人々なら、彼を知らない者はそういないだろう。
先の大戦時、プラント最高評議会議長の座に就き、連合との戦争を推進させたパトリック・ザラの息子であり。
ザフト軍においてはトップガンの証である赤服を纏い、多大な功績を讃えるネビュラ勲章を賜ったエースパイロットであり。
戦時中に軍を逃亡し、プラントと敵対する三隻同盟に身を投じ戦闘に参加したという、大罪を背負った人物であった。
戦後もプラントには一切戻らず、いずこかに逃亡した彼を裏切り者と称し、なじる軍人は多くいたが
見事な戦績と由緒正しい家柄、その英雄性に憧れる若者たちも少なくはなかった。
「すごいね。本物なら、一つ手合わせを願いたいな」
アゼルの方は後者で、素直に感嘆の表情を見せながらしきりに頷いている。
一方、マユはといえばしかめ面で、眉をひそめて黙りこくっていた。
彼女は知っていた。 彼が、軍を離脱した後、オノゴロ島のマス・ドライバーを巡る戦闘に介入していたことを。
島の大半を焼いてまでも連合の手中に入れまいと守られたマス・ドライバーを利用して、宇宙へと向かったことを。
…彼女が、自分の両親と兄を殺した元凶と信じて疑わない青い翼のMS、フリーダムと共に。
むすっとした表情のまま、その場を離れようと踵を返したその時。
「…今貴方がたが開発してる機体は、どうみても自衛のための物ではないことは明確だ!」
頭上、キャットウォークの方から響いた少女の声に、マユはパッと顔を上げそちらを見た。
355 :
5/11:2005/11/20(日) 17:36:31 ID:???
一方、混乱の最中ミネルバに乗艦したカガリたちは、受け入れを許可したギルバート・デュランダル議長と面会していた。
先ほど艦内で治療を受け、頭の包帯を巻いた姿に痛々しさを残すカガリは、彼から現在の状況の説明を受ける。
コロニーの被害状況、襲撃してきた敵の所属が未だ判明しないこと
そして、ミネルバはこのまま、新型機を強奪した敵艦を追跡し、奪還する作戦の中核に組み込まれることを。
カガリたちについては、既にオーブ本国に連絡済みで、しばらくすれば迎えの艦艇が来ることでしょう、と彼は言った。
一通りの情報交換と意見のやり取りを終えた後、カガリとアスランはデュランダルに誘われ、艦内を見学することになった。
彼女たちはデュランダルの、そのあまりに開けっぴろげな行動に、驚かされることとなる。
最初に向かった場所が、天井から床まで全て軍需機密で出来てるとも言える、モビルスーツデッキだったのだから。
悠々とした態度で歩む、彼の隣に付き従う赤服の少年兵は無表情で、その考えを読み取ることは出来なかったが
グラディス艦長と言ったか…ミネルバの女艦長は、提案を聞いた時明らかに驚きを見せ
モビルスーツデッキへの通路を進む今も、信じられないと言わんばかりの猜疑の眼を、自分たちの代表へと向けていた。
「これが、形式番号ZGMF−1000『ザクウォーリア』。
性能の方は、お二方もよくご存知でしょう。 これが現在のザフト軍の主力MSです」
デッキの壁面上部を取り囲むように設置される通路に出たデュランダルは、
アスランが乗ってきた緑のMSを指し示しながら、説明する。
「そして、あれがこの艦『ミネルバ』の最大の特徴たるインパルス専用の発進システムです。
こちらに来る道中に、インパルスもご覧になったそうですね?」
「ああ」
彼の視線の方向を自分も見て、頷くカガリ。
その目の前に立つのは、縦に長い四層構造の発進デッキ。
側面の壁がなく、丸見えの内部にはアーモリーワンで見た、白いGタイプのMSのパーツが収容されていた。
356 :
6/11:2005/11/20(日) 17:37:14 ID:???
「このシステムは、技術者たちに言わせるとまったく新しい、効率の良いMS運用システムなのだそうです。
…まぁ私は、遺伝子学の研究が専門ですので、違う畑のことはよく分かりませんが」
後半の言葉と裏腹に、随分と楽しそうに、得意げに語る黒髪の男はカガリへと向き直り、声をかける。
「どうですか代表。 何かご感想など頂けましたら嬉しいのですが」
「……私は、この艦に対して、従来の艦とは全く違うコンセプトがあると感じたな」
「と、申しますと?」
一旦言葉を切り、キャットウォークの手すりの前に移動し、彼女はデュランダルの隣に立つ。
そして、黄金の輝きにも似た、色濃い琥珀の瞳で真正面を見据えながら、口を開いた。
「本来、MSやMAといった機動兵器は、艦を守る為に存在する。 これが運用方法としての常識だ。
しかし、この艦は違う。 あの白いGを運用するために設計され、独自かつ専用のシステムを搭載している。
…これは、あのGのためにこの艦が存在しているということでないだろうか」
言葉を選ぶようにゆっくりと、しかしはっきりとした口調で語り続ける。
「私には、この艦は一騎当千とも呼べる働きのできる、このGを戦地に送り込むための物に思えるのだ。
そう、まるで戦地へと兵器を投げ入れる石弓<カタパルト>として存在しているとな」
そこまで語り、彼女はデュランダルの方へと向き直り、尋ねる。
「あの強奪された三機も、この艦に搭載する予定だったのか?」
「…ええ、その予定でした」
想像以上に語る彼女を、驚いたような眼差しで見ていたデュランダルは、思わず返答につまる。
「だろうな。
ならばこの艦はやはり、連邦のアークエンジェル級のように大気圏でも運用可能なのだろう。
陸、海、空。あの三機はそれぞれの戦闘地形に特化した性能だと伺った。そして、装備換装が可能なインパルス。
…まるで貴軍の新型機は、地球侵攻を前提としたような機体だな。 このミネルバも」
357 :
7/11:2005/11/20(日) 17:38:08 ID:???
その場に立つ者全員を見渡して、きっぱりと言い放った言葉。
カガリの鋭い視線と言葉を受け、あからさまに苦い顔をするデュランダル。
傍らに控えていたタリアも、彼女の推論の鋭さに驚きを隠せない様子だった。
そして、己がぽかんと間抜けに口を開いたままな事に気付けないでいるアスラン。
彼は心底驚いていた。
どちらかと言えば思考よりも行動を優先する、直情的なカガリがこれほど仔細な意見を口にしたことに。
この事件に立ち会えて幸運だったと笑った彼女は、ここで何かしらのものを得たのだろうか。そんな考えが浮かぶ。
「それと議長。私はアーモリーワンに来る前、月に立ち寄る機会があったのだが
彼らも、この度の進水式にかなり刺激されているような様子が見受けられた」
ふ、と胸に張り詰めていた空気を抜くように、小さく息をついたカガリはそう言う。
「対抗しているのだろうな。最近行っていなかった月周辺での艦隊演習を再開していたよ。それも大規模にな。
…この動きは、宇宙だけに限らない。
この所、大西洋連邦は立て直した軍事力をかざし、周囲を威嚇するような行動も取っている」
「ほう、そのような動きが……」
それを聞き、デュランダルは関心を持つように相槌を打ったが、カガリは横目で彼の顔を睨む。
「議長の耳に届いていないはずはないだろう、以前敵対していた勢力の動きが。
今は、ただでさえ難しい時期なんだ。 出来る限り余計な波風は立てないで欲しいと願っている」
「これはこれは…手厳しいですな」
こちらへ向けて流された琥珀の視線に、苦笑いと共にそう答える白装束の男。
曖昧に受け流された。どうやら、こちらの言葉を真摯に受け止める誠意はなさそうだ。
困っているようで、そのくせちっとも悪びれた様子のないデュランダルの顔を見ながら、カガリはまた溜息をつく。
358 :
8/11:2005/11/20(日) 17:38:48 ID:???
彼女が頭の中で思い描いていたのは、アーモリーワンへと向かう道中に見た光景。
月軌道上の近くで、陣形を組んで航行する、50隻近くもの連合軍の戦艦。
その行く手を先導し守るかのように、展開された無数のMS。
彼らが揃って砲門を、矛先を向けている方向にあるのは、プラント本国が存在する宙域。
遥か先に存在するであろう、砂時計の群れを彼らは意識して演習を行っていた。
「…今貴方がたが開発してる機体は、どうみても自衛のための物ではないことは明確だ!
そちらが軍備を増強すれば、あちらも対抗して同等のものを持とうとするのだ!
これがどれだけ無益なイタチゴッコなのか、分からない貴方でもないだろう!!」
デュランダルの、表面上には返答しながらも全く腹のうちを見せない態度に対し
ついにカガリは感情的になり、声を荒げてしまう。
「代表、落ち着いてください!」
熱くなった彼女にこれ以上話させると、都合の悪いことが起きるかもしれない。
そう判断したアスランが彼女の隣に駆け寄り、気を落ち着かせるようとその肩に手を置く。
ハッとした表情になり、息を呑む彼女。 気持ちを切り替えるべく、少しの間目を閉じて、口を閉ざす。
「…失礼した議長。 少々熱くなってしまったようだ。
だがこのような、自衛の範疇を超えた…
しかも地上での運用を考慮した兵器は、うかつに持つべきではないと私は思うのだ」
慎重に言葉を選びながら、カガリは謝辞と自分の考えを口にした。
それを聞き、ふむと息をついたデュランダル。 彼もまたそれに答えるべく口を開こうとしたその時
「……綺麗事ばかりね! そんなんだから、オーブを戦火に焼いてしまったのよアスハは!!」
幼く高いトーンの響きには似つかわしくないほどの、憎しみを込めた少女の怒声が響いた。
359 :
9/11:2005/11/20(日) 17:40:14 ID:???
その声の主であるマユは、モビルスーツデッキの床上から上の通路にいる金髪の女性を睨み据えていた。
いつもは明るい光を宿す菫色の瞳に、激しい憎悪の炎を揺らめかせながら。
ぎゅう、と血を滲ませんばかりに唇を噛み締めている形相は、年相応の少女とは思えないほど憤怒に染まっている。
こちらの声に気付き、驚きの視線を向けてくる頭上の女性。その唖然とした表情を見て、彼女はさらに声を荒げる。
「力を持つから攻められる? だから力を持つなって?
そんな悠長なこと言ってたから、周囲から戦争を仕掛けられるってのに反戦なんて貫くから!
貴方たちが無力だったから、みんな死んじゃったのよ! お父さんもお母さんもお兄ちゃんもみんなみんな!!」
髪を振り乱しながら叫んだ最後の部分は、聞き取りにくいほど哀しみと怒りに震えていて。
周囲の者は皆、彼女の突然の豹変とその気迫に驚き、凍り付いていた。
沈黙の中、最初に挙動を見せたのは赤服纏う金髪の少年。
議長へ対し、何かを告げるように目配せをすると前へ駆け出し、通路の柵を乗り越える。
一階分ほどの高さからのジャンプだったが、無重力エリアの中では落下の衝撃はほとんどない。
軽々と飛び降りたレイはマユへと駆け寄り、なおも身を乗り出し叫ぼうとする彼女の身体を抱え込んだ。
「なっ、邪魔しないでレイお兄ちゃん!!」
「デュランダル議長とオーブ代表が居られるのだ。口を慎め」
抗議の声を上げる少女へ構うことなく、無機質に言い放ったレイは
彼女の身体を小脇に抱え、ここを退出すべく入出口へ向かう。
「嫌よ!嫌よ!! あたしは絶対アスハを許さないんだから!!
オノゴロを焼いて、あたしの家族を奪ったあいつらを許さないんだからぁっ…!!」
泣きわめきながら、少年の腕の中で必死に抵抗するもデッキの外へと運び出されるマユ。
尾を引く叫びが、隔てる自動ドアによって断ち切られると、凍り付いた空気に動揺の色が漂いはじめた。
「申し訳ありません、姫。 このような事態になるとは夢にも思わず…」
いまだ無言で、呆然と立ち尽くしたままのカガリへとデュランダルが声をかける。
「……議長、彼女は…」
「マユ・アスカですか。 彼女はオーブからの難民です。
2年前に身寄りを失くし、プラントへと来たのですが…いやはや、あのような行動を取るとは」
白い細面に遺憾の意をあらわにしながらの彼の言葉を耳にしながら、深くうつむくカガリ。
「……無力、か…」
ただ一言、床に零した小さな呟きには、深い哀しみと後悔が滲んでいた。
360 :
10/11:2005/11/20(日) 17:41:15 ID:???
自分たち以外、人の気配がない空間。 モビルスーツデッキへと繋がる狭い通路の中。
ぐすぐすと、鼻をすすり鳴らしているマユ。 何をするわけでもなく、隣にたたずむだけのレイ。
国の来賓であるカガリに向かって暴言を吐いた彼女は
レイの手によって通路へと押し込まれた後も、ずっと泣きじゃくり続けていた。
先ほどの饒舌とは打って変わって何も語らなくなったが、その分だけ涙が零れているようで。
ほろほろと頬を伝い顎元から落ちる雫は、一向に途絶える様子がなかった。
ひっく、ひっくと。小さく少女の嗚咽が響く中、ずっと黙り続けていたレイはぽつりと呟いた。
「マユ。お前の言ったことも正しい」
頭上から降りかかってきた、思いもよらぬ言葉にマユは驚き顔を上げ、彼の顔を見る。
それに気付き、マユへと顔を向け視線を合わせるレイ。
「だが、それは時と場所、場合によって共感を得ない叫びとなってしまう。
あの場で言うべき言葉ではなかった。それだけは覚えておけ。
…俺は、お前の言ったことは間違っていないと考えてる」
常日頃と変わらぬ淡々とした表情のまま、年頃の少年よりも落ち着いた低い声でそう語る。
レイの言葉は彼女の行動をいましめたものだったが、同時に肯定する言葉で。
それを聞いたマユの瞳は見開かれ、大粒の涙がぽろり、零れ落ちた。
自分が語りたい事を話し終えたレイは、黙ったままのマユから視線を反らし、前を見ていたが。
少しの間を置いて、とすんと音を立て胴に伝わってきた軽い衝撃。
見れば、自分の身体にしがみつき、赤い布地に顔をうずめてくるマユの姿があった。
ぎゅう、と。無心に掻き抱いてくる手の感触と、こらえようとはしても、時々漏れる嗚咽の息と。
うん、うん、と。 服を通して繰り返し伝わってくる少女の頷きと声。
それを聞きながらレイは僅かに柳眉を下げ、そっとその頭を撫でやった。
361 :
11/11:2005/11/20(日) 17:41:53 ID:???
―L−4 月の中間宙域―
ミネルバの進路、その遥か先に当たる宙域に、それらは存在していた。
所狭しと展開された、地球連合艦隊。 それらは少なく見積もっても五十隻は下らないほどの、大規模な艦隊だった。
陣を組み、ゆっくりと航行する群の中。その中心に護られるように、鎮座しているのは二隻の艦艇。
それは、異様な存在感。
随伴する戦艦と比較すれば、全長だけでもその三倍近く。横幅もそれに匹敵するほどで。
特に目立つのは、まるで重いものでも詰めたかのように下方へと垂れ下がる船底。
甲板はフラットなデザインで、砲門は小さなものばかりで主砲のない設計のため、余計とその存在感が際立つ。
そんな、ずんぐりとした印象の奇妙な戦艦。その船底の前部…魚で例えるなら、口に当たる部位が開口する。
空洞の中から姿を見せたのは、一般的なMSのサイズよりも巨大な金属塊。
流線型の本体から、前にせり出すよう伸びる二対の爪に似たユニット。
その間から、角のように生える二門の長砲身ビーム砲が目を引くそのMAが、戦艦から次々と射出されていく。
正面だけでなく、船体の脇にも複数備えられたハッチからも同じ機体が発進しつつある。
射出されたMAは集結し、大型艦艇の前に陣形を展開する。
二隻の戦艦の片割れ、その広い艦橋内はまるで何かの式典会場かのような様相。
多くの、軍服や背広を着た人物たちが、並べられた席に着き、皆一様に正面の大型モニターを見つめている。
軍の高官、政府官僚、大企業のトップ。 そこに座る者たちの肩書きは多種多様かつ、どれも高い地位のものだった。
「ユークリッド部隊、全機発進完了いたしました」
オペレーターの声を聞いた艦隊司令は、司令席から立ち上がり、
背後に座っている男たちへと向かい、高らかに宣言する。
「お待たせいたしました。 これより、本演習の最終段階へと移行します」
自分たちの追跡の対象である所属不明艦…
『ボギー1』と名付けられたそれを追い続けるミネルバ。
その進路の先にいるであろうその艦隊に、まだ誰も気付いてはいない。
運命の舞踏GJ。
なかなかにカガリがかっこよかったね。
その分凸がアホゥになってたが……
なんぼなんでも口開けっ放しはアホ丸出しでしょw
もっとしっかりしようよアスラン。
続き楽しみにしてます。
364 :
あとがき:2005/11/20(日) 17:49:50 ID:???
…やっとケイ抜きで書きあがりました。
どこかしこにでも顔を出す出しゃばりさんですホント。
とりあえず、ルナとレイをきちんと書けて安心しました
少しカガリを賢しげに書きすぎたかなー…という心配もございますが
描きたい彼女の姿を描写できたのは良かったです。
こんぐらいじゃないと白くて黒いタヌキさんとは渡り合えません!
設定などの補足おば
地球連合軍
本作の連合軍つーか、大西洋連邦はかなり軍備を本編より大幅に強化されてます
その一つが末期に量産されていたMA達です
好きなんです、あいつらwアニメでは良いとこなしだったので活躍させたく思います
搭載している艦はオリジナルです
50mクラスのMAがアガメムノン級にはつめないと思いまして
次回からアニメからストーリーが大きく外れます
次は連合視点で描いていくのでまたケイがメインに出てきます
今回は番号がかぶったり、ちょん切れたりしてミスの連発でした
纏め人様、HPの方では修正をお願いします orz
舞踏作者様乙&GJ!
カガリかこいいwww
隻腕書いてるものです。
まずは、運命の舞踏作者様お疲れ様です。
カガリの洞察力がイイですね。今後、「この」カガリがどういう決断をしどういう行動していくのか、楽しみです。
うちのカガリとは、微妙に違う方向に微修正されてるようなので……。
遅レスになりますが、ほのぼの作者様も、お疲れ様です。
ハイネ隊、やはりその個々のキャラの深さが魅力的ですね。こちらはお借りしておきながら全然活かせてない…… OTZ
話の都合上、スポット当てられる長さに違いがあるとはいえ、反省することしきりです。
さて、読者参加企画のことですが。
昨日も書きましたが、ここまで影響大きいとは、正直思ってませんでした。
他の作者様へのレスを書くついでに書いてくれれば、程度に思ってたものですから……。
ご迷惑をかけて、申し訳ありません。
ただ、迷惑を顧みず言ってしまえば、自分としてはかなり得るもののある企画でした。
自分で考えるとどうしてもある程度偏ってしまうものですから。
募集形態など、考え直す必要のある部分もありますが、まずは参加してくれたみなさんに感謝したいと思います。
募集ですが、最初に言ってしまった建前もあるので、今夜24時をもって〆切りとしたいと思います。
ひょっとしたら時間をかけて考えている方もいらっしゃるかと思いますので……。
引き続きご迷惑おかけしますが、お許し下さい。
もし連ザにマユがでたら?
マユ・アスカ(13歳)
C.E.71年、地球連合軍のオーブ侵攻作戦の際、戦火に巻き込まれ両親を目の前で失う。
その際に、兄とは生き別れとなってしまう。
その後プラントに渡り、ザフトのテストパイロットになる。
表向きは、シン・アスカとして登録されている。
選択時
マユ「また戦争をしたいの、あなた達は!」
出撃デモ
(メイリン:コンディションレッド発令。マユ・アスカ機、発進!)了解!マユ・アスカ、インパルス、発進します!(インパルス搭乗時)
(メイリン:マユ・アスカ機、発進!)了解!どうして、こんなことに…!マユ・アスカ、発進します!(他機体搭乗時)
戦闘開始
散開して、各個に応戦!
また戦争がしたいの、!あなた達は!!
うっ!どこなの!?
もうっ!数ばかりいたって!
ルナ、無茶しないでね?(僚機がルナマリア)
レイ!援護よろしくね!(僚機がレイ)
さすが綺麗事は、アスハのお家芸ね!(敵・味方がカガリ)
あなたみたいな人が、何でオーブになんか…(僚機がアスラン)
>>367 シン生存ルートもあれば面白いかもね。
オーブ軍に所属してムラサメに乗ったシンと戦って……とか。(限りなく可能性が薄いが=シンがオーブ軍)
なんか各作者ごとにソレ作れそうだな
し○はら版マユ戦記は違う作品やってる感じだなw
>募集企画について
告知はスレで行い投下場所は、避難所を利用するのも手です。
避難所は、
>>1にあります。
>運命の舞踊作者様
修正しておきました。
>連ザ(マユルート)
ボスキラ(ストライクフリーダム)EXシンで。
>>370 ガンダムVSZガンダムの宇宙世紀モードをやってる気分
ifルートか!次のDXに期待だな!セリフが継ぎ接ぎじゃなかったら買うよ
単発設定小話「マユとミーアの日記」
〜コンピュータの前にすわるマユ〜
日記「10月11日、今日やっと包帯がとれた。鏡をみるとそこには本当にラクスの顔が映ってた。
すっごーい!本当に、本当にあのラクス・クラインが目の前にいるのよ!信じられない!・・・」
マユ「・・・ミーア姉ちゃん・・・本当にラクス・クラインのことが好きだったのね・・・」
〜ドアが開き、ルナマリアが入ってくる〜
ルナ「マユー?あら、なにみてるの?」
マユ「あ、ルナ姉ちゃん・・・」
ルナ「・・・日記?」
マユ「・・・うん」
日記「今日はすっごい出会いがあったの。あのアスラン・ザラがプラントに来ていたのよ!写真でしか
みたことなかったけれど、もうかっこいい〜。失神しそ〜。アスランなんて呼び捨てしちゃった〜・・・」
ルナ「!?この声・・・ラクス、いやえ〜とミーアだっけ?ミーア・キャンベルの声?・・・マユ!?」
マユ「うん・・・遺品をもらったの・・・」
ルナ「・・・そう。でも日記なんてマユがもらって大丈夫なの?家族の人たちは?」
マユ「ミーア姉ちゃんね。私と同じだったのよ・・・オーブの避難民だったの。」
ルナ「ミーア・キャンベルってオーブに住んでいたの?」
マユ「私と同じように親を亡くして、友達とも離れ離れになって・・・」
ルナ「ラクスっとじゃない、ミーアも避難民・・・」
マユ「うん。でこれが本物のミーア姉ちゃんの姿よ」
〜黒髪の女性が写った写真を見せる〜
ルナ「これが本当のミーア・・・イイ顔で笑ってるじゃない。・・・なんでラクス・クラインなんかに・・・」
マユ「私もそれが知りたくて、いけないと思いつつ日記を見てるんだけど・・・」
ルナ「けど?」
マユ「そこが抜けてる・・・いえわざと触れていないような内容になっているの・・・」
ルナ「・・・まぁ自分に触れたくない部分もあるってことよ」
マユ「そういうものかなぁ?」
ルナ「そういうものよ」
〜日記は引き続き再生中〜
日記「・・・今日避難シャトルで一緒だった娘に久しぶりに出会った。まだ13なのに特例でザフトの
赤服になったんだって。でも向こうは私が隣にいたなんてわからないよね。だって私もうラクスだもの。
あの娘も私と同じように両親を戦争で亡くされてるんだって。ああやってがんばっている姿をみると、
自分もがんばらなくちゃって気がするよねぇ〜」
マユ「・・・ミーア姉ちゃん・・・私すぐわかってたのよ。あなたがあの時隣にいたお姉ちゃんだって・・・」
ルナ「マユ・・・向こうも、ミーアもあなたを覚えていたみたいね」
マユ「・・・うん」
ルナ「・・・・・・さっ、そろそろ準備しましょ!」
マユ「?ルナ姉ちゃん?」
ルナ「もうこの戦争も終わりが近いわ。生きている私たちはまだやることはいっぱいあるのよ!」
マユ「・・・うん。行こう!ルナ姉ちゃん!」
ルナ「よしっ!いい、マユ?私たちはザフトパイロットである前に、コーディネイターである前に、私はルナ・マリア。
あなたはマユ・アスカなのよ!」
マユ「了解!」
完
>>374…まああれだ、偶には間違えることもあるよな?漏れは気にしてないぞ
マリア姉妹になっても
376 :
374:2005/11/21(月) 07:16:37 ID:???
>>375 サンクス。マジで間違えてたよ・・・
ルナマリアの最後の台詞「ルナ・マリア」は「ルナマリア・ホーク」の誤りでした。
びっくりしたwこの話ではそういう設定なのかと思った
でもそういうのもありはありだ
メイ・リンとか
「ゼロ、本当にステラ達は大丈夫なのか?」
アキラがお茶請けのせんべいを食べながら聞く。
「大丈夫・・・・・・・・、たぶん。」
「たぶんなの?!そんな所にステラ達預けないでよ!お兄ちゃんは別にいいけど!」
マユはゼロに怒鳴る。
「いや・・、確かにテンは微妙にサディスティックだけど面倒見もいいし強いから大丈夫。」
「ゼロ、いまむっちゃ不安な言葉が聞こえたんだが気のせいか?」
ハイネがゼロに突っ込む。
「でも、ゼロの『兄弟』って皆おんなじ感じじゃないの?」
カルマが五枚目のおかきに手を出す。が、それは途中でジョーに取られた。
「確かになー。でもあのテンってやつはだいぶ違うみたいだけど・・、何でだよ?」
マユ達ハイネ隊部外者には何の事かさっぱりである。
「・・・・マユ達がいるから後で言う。」
「俺達には話せない・・・?」
レイがいぶかしげにゼロを見る。その手にはしっかり柿の種(ピーナッツは残してる)がある。
「まぁ・・、色々あるでソキ・・・。」
「「「「わーーーー!!」」」」」
ゼロが呟きかけた瞬間、ハイネ隊が全員でゼロを取り押さえる。
なんだなんだ。ソキってなんだ。オキナワのそばか?てゆーかまだゼロの過去だけ聞いてへん。
そんなてんやわんやしていると、マユの耳に聞きなれた声が聞こえた。
『皆さん、私はプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルです。』
議長の言葉を黙って聞くミネルバクルー達。
『何故、私達は・・・・。』
議長のそばにいる少女・・、『ラクス・クライン』は語る。
その言葉は地球の人々にとって、何よりも甘いものだった。
それを聞いたハイネ隊は失笑する。
「なんかさー、あの格好で言われても説得力ないよねぇ。」
キースがグラスにさらに酒を注ぐ。真面目に聞く気はいっさいないようだ。
「・・・・45点だな・・、あの衣装を着て許されるのは二次元だけだと思う。
ぶっちゃけあんなギャルゲー衣装、着せるなっつーの。露出させりゃいいってもんじゃねぇよ。
萌えを狙うなら清楚な感じで・・・、セーラー服か巫女服のほうがいい。メイドでもいいな。」
まったく論点のずれた解説を大真面目に語り始めるアキラ。
『・・・・・あれ?』
映像をみていたハロがぽつりと呟く。そこには平和だった町を蹂躙する巨大なMSと
インパルス、フリーダムについては一切触れられていなかった。
『結構編集してあるみたいだな・・・・んーと・・。』
ハロは腕を組んで天井を見上げる、彼の頭の中では自分の映像とこの映像の相違点を探しているのだろう。
そして泣き叫ぶ子供、炊き出しに集まる人々など破壊の爪痕の様子が映し出され、いよいよデュランダルの言葉に
熱が入ってくる。
『古の昔より、自分の利益の為に人々から平和を奪ってきた者達がいます!!』
デュランダルの言葉にいよいよ熱が入り、リストが浮かび上がる。
『その名はロゴ・・・・・。』
『うわぁぁぁぁあぁぁっぁぁぁぁつ!!』
議長の言葉をさえぎるようにシンハロが大声を上げる。
『ネット接続・・、株・・売却、売却・・・。』
ぶつぶつと呟くシンハロ、おそらくいそいで株を売っているのだろう。
「ねぇ、ギルパパなんていってたか解かんなかったんだけど・・。」
マユがレイに聞く。
「ギルはこういったんだ・・、こいつらが俺達の敵、『ロゴス』だとな。」
「でも・・、そんなこと突然言われても・・・・。」
マユの表情が困惑の色に染まる。
「大丈夫だ、ギルは正しい。」
レイの『ギルは正しい』電波発動、しかしマユは難しすぎて分けが解からないのでスルーした!!
「くっ!!」
レイの『ギルは正しい』電波発動、しかしルナマリアの腐女子オーラに阻まれてこちらがやばくなった!!
「・・・・・・・。」
レイの『ギルは正しい』電波発動、しかしハイネ隊はキャラが濃すぎるためまったく効かなかった!!
「・・・・今度こそ!」
レイの『ギルは正しい』電波発動、しかしアスランはフリーダムのことで頭がいっぱいで効かなかった!!
「あんたらはいったい何なんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?!」
レイがしまいにはキレた。
「どうしたの?レイ兄ちゃん。なんかギルパパの話難しくって眠いからちょっと寝てくる。」
『レイー、セリフのパクリはダメだって・・、あれ?誰のセリフだっけ?』
「ちっ・・、昔のブルーコスモスのリーダーはそれなりだって聞いたけど、全然ダメじゃない・・・。
もし美形でもいたらネタに出来たのに・・・・。」
「連ザ届いたから皆でやんない?」
「いいなー、俺セイバー乗って見たかったんだよ・・。所詮愛機は悲しき先行量産期・・はぁ。」
「キラ・・・・・・・。」
「さてさてっ☆大変な事になったみたいだね。」
少し真面目な言葉で話すテン。ステラはずっと自分がやった行動の結果を見てから俯いている。
「ステラ・・・・。」
ゲン・・・・・シンがステラをそっとなでようとすると・・・。
「ステラ・・、いいことする。」
突然ステラは言い出した。
「どうしてだい?キミはもう人間じゃない、戦場以外でたくさん人を殺した『殺人鬼』なのに?」
テンはおちゃらけた口調ではないものの、その言葉は痛烈である。
「あんたっ・・!俺達のことを何も・・・・・!」
「黙っててくれない?シン・アスカ君・・、あぁ、今はゲン・ヘーアンだっけ。」
一発殴りかかろうとしたゲンに彼の本当の名前と偽りの名前を両方言う。
それは、彼がキミ達については調べはついてるよ、っといったようなものだった。
「・・・ステラ・・お馬鹿。何も知らない・・・・。」
ステラは独白を続ける。
「ステラ・・考えなかった・・・ネオ・・・正しい思ってた・・ステラ・・・・・・頼ってた。」
ステラの目から雫が零れ落ちる。
「・・・・色んな人・・ちっちゃい子・・・・おっきい人・・・皆殺した・・・まだステラのこと
いじめようとしてなかったのに・・・・・ネオが言ったから・・・ステラ殺した・・・でも悪いのステラ。」
ステラは目に涙をたたえながらまっすぐ前を向いた。
「ステラ・・・・いっぱい良いことする。はじめに、マユ助ける。それで・・、もっと良いことする。」
「ステラはお馬鹿なんでしょ?良いことなんて解かるの?」
楽しそうにテンは笑う。心底意地の悪い笑みだ。
「・・・・だから、お勉強する・・・・、マユに迷惑かけないよう・・・体良くする。そのため・・・ステラここに来た。」
スティングとアウルは驚いた。幼子くらいの思考力しかないと思っていたステラがここまで考えるとは夢にも
思っていなかった。これが・・、マユ達の影響だのだろうか?
ステラの言葉を聞くと、テンの笑みの種類が暗いものから明るいものに変わる。
「じゃあ、できるだけ早いほうがいいね。薬の汚染を取り除くのは薬だから施設にいなくても平気だけど・・
・・問題はMSの操縦だ、薬の効果が無くなってしまうからね、その分基礎能力を鍛えさせてもらうよ。」
どうやら彼の頭の中には『ナチュラルOS』と言う存在はないらしい。
「うん、じゃあステラちゃんは『地獄めぐりスパルタ王がこんにちは』コースだね。どうする?他の人たちは?」
ふいに自分達に問いかけられてびびる三人だが、すぐに答えは出た。
「・・・・俺も早いほうがいい、ステラと同じ・・・なんだ。その長ったらしいやつにしてくれ。」
「俺も俺も!マユにせっかく再開できたのに!!!」
ぶっちゃけゲンはコーディネイターなので薬の排除くらいでいいのだが。
しかしテンはいじめる子は多いほうが好きなのであえて黙っておく。
さて、最後にあまったのがアウルである。アウルはめんどくさそうな顔をしながらもしぶしぶ言った。
「しかたがないなぁ・・、ボクも付き合うよ、鍛えてあいつを見返してやる!!」
途中から拳を握り熱血するアウル。
テンは楽しそうに笑う。流石に毎日子供達の世話じゃストレスが流石の自分にも溜まる。
せっかくだから吐き出しちゃおうっ☆
こうして、ステラ達の地獄をも越える特訓生活が始まるのであった。
今後の為にスポコンマンガを読もうかな?とか思ってます、ほのぼのです。
シンハロのカードも作ってくださったりしてはしゃいでいたものの・・、やっぱり
シリアスは向いてない・・・そんなことを痛感した回でした。
特にステラの決意、・・・・これに関してはもうちょっと練れたらなぁとか思いましたけど
今の自分ではこれが限界でした。
次回からはようやく日常モードです。
ステラ達がいなくなったミネルバクルーの様子と、ステラ達の地獄の特訓を
書いていきたいと思います。
それでは。
age
乙!面白かったよ。
ステラのキャラの発展のさせ方が上手いな。マユのために、マユの影響で、ってのがまたイイ。
乙!
>>377 …アスランがスネークで
キラがザ・ボスかと思った俺って嫁の電波に当たったかな。
「任務は、最愛の人を殺すこと」
SEED GEAR SOLID ANGEL DOWN
ほのぼのマユデス作者さま、乙です!!シンハロが持ってた株は
ロゴス関係だったのか〜w何か先が読めないのが面白くて面白くて・・・
本編と違ってほぼミネルバサイドでデストロイ倒したのは良しとして、インパルス
まで編集でカットした議長の胸中やいかに?以後次回!!ですね。
しかし、まあ本編と違ってほのぼの版ミネルバは恐ろしく戦力が充実しているというか
マユパルス・凸セイバー・ハイネグフ・レイザク・ルナザクにハイネ隊のザク6機・・・
これに運命と伝説(カオス・ガイア・アビスも健在だし)が加わったら・・・
電波姫が相手だろうが何とかなりそう?^^;
>>386 スネーク!?スネーーーークゥ!!w
マユ戦記の凸が一番近いね、変装は隻腕?
>>387 マユ戦記凸は作者が大塚明夫CVだと設定してるからねw
ほのぼのマユデス作者様、GJでした!
ハイネ隊の濃さがやはりすごいですなw レイの電波が通らないとは…
そして、これからの連合三人組の行く末がどうなるかが楽しみです!
ミネルバクルーと肩を並べて戦う時が来るといいなぁ
ザフト・連合両サイドの主要メンバーが共闘して真なる世界の敵(ラクシズ?w)と戦う展開になるのかな
同人ウニメも分不相応に小難しいこと考えないで、素直にそういう展開にしときゃよかったものを
この板にあるSS関係のスレで同盟を組んだらものすごく楽しくなるんじゃないだろうかと思った
ゴメン思っただけ
キラ・・・、性欲を持てあmm(ry
人がいない、投下するなら今のうち
とても短く、3話とは言えないので話の隙間と言う事で……
「それじゃ……ルナマリア、レイ。 アスカに艦内を案内してあげてちょうだい」
「ではシン・アスカさん、行きましょう」
シンがルナマリアとレイに連れられて部屋を出る。
部屋の扉が完全に閉まったあとタリアは思わず額を押さえ、一つため息をついてしまった。
「司令部の考えも分かるけど……厄介なものを送ってくれたわね」
「あの傭兵のことですか?」
タリアのもらした言葉にアーサーが反応する。
「全く! 艦長に対してあんな無礼な態度を取るとは!
開戦まで秒読みのこの時期に艦内でなにか問題を起こさないか不安ですよ!!」
普段温厚なアーサーにしては珍しくシンに対してかなり怒りを覚えたようで、それをタリアに一息にまくし立てる。
タリアとしては自分の事で怒ってくれるのは嬉しいが、アーサーの弁は自分の言葉の意味とは的外れなものだ。
「アーサー、そう言う意味じゃないわ。 艦長としては自艦の戦力はキチンと把握しておきたいのよ。
でも、あの傭兵がどれくらい使えるか……それが分からないと作戦の立てようがないの。
もし土壇場で裏切られたら……」
「そんな! 裏切るだなんて!」
『裏切る』という言葉にアーサーは先ほどまでの威勢が嘘のように静まり顔を青くする。
タリアは軍人にしては人を疑うことをせず、人の良い彼を少し脅かしすぎたかと思いなおし訂正しておく。
「裏切りは言い過ぎたわ。 司令部もそれなり信用できるから彼を送って来たのだろうし
でも傭兵と言っても金次第で犯罪ごとだろうが何だろうがする連中よ。 油断はできないわ。
まあこちらとしては彼の生死は考えなくていい、捨て駒だと思っておけばいいわ」
「す、捨て駒ですか……」
「ええそうよ。 彼はザフトではないの、彼が死んだところで誰も文句は言わないわ。
さあ話は終わり、オーブが大西洋と同盟を締結する前には出港しなくてはいけないのよ
あなたも早く仕事に戻りなさい」
アーサーはタリアへ敬礼をし、部屋から出て行く。
その姿は傍目から見ても覇気が無く沈んでいる、タリアの言った非情な言葉がよほど堪えたようだ。
そんな姿を見ながらタリアは思う。彼は優しすぎると。
彼もこれからのザフトを背負っていく若手の有力株と見なされているが、タリアからすれば彼は軍人には向いていない。
指揮官は時に非情にならなければならない、時には友軍を見捨てなければいけない時もある。
彼にその決定を出来るだけの決断力が有るのか、それを不安に思うことと同時に傭兵とは言え味方を平気で捨て駒と言える自分に嫌気がする。
タリアは椅子に深く座りなおすとデスクの上に置きっぱなしだった傭兵――
シン・アスカの資料へと手を伸ばす。
その資料に名前と年齢、コーディネーターであること意外は簡単な戦歴ぐらいしか分からない。
彼がなぜあの若さで傭兵などやっているのかは元より、国籍すら書かれていない。
彼の境遇についてはタリアには想像も出来ない事があったのだろうが、そんな事タリアには知るすべは無い。
ふと、デスクの写真たてがタリアの目に映った。
そこには微笑む自分と一緒に笑っている息子。
タリアにはいつもと変わらない写真たての中の息子が
あの若者を捨て駒にしようとしている自分を責めているように見えた……
To be continued......
以上です……お目汚しすみませんでした。
3話はやっとMS戦闘がある予定です。
話が進まないな、俺orz
こんな時間にインジャ乙。この先に期待。どんな捨て駒扱いされるのかとても気になる
良くも悪くも、他の作者のマユはみんなに慕われ守られるケースが多かったから
まあシン(マユ?)の方も危なくなったらトンズラする気満々だから
こういう設定なら最初のうちは信頼関係なんか無くて当然だろうね
これから信頼関係を築いていくのか、はたまたより殺伐としていくのか…それは作者のみぞ知るってとこか
初カキコです。
インジャス読みました。w
裏切り、捨て駒云々はリアルですね〜
インジャスさんのシンはガンダムに乗るのでしょうか?
乗らないならそれで、燃える展開ではありますがwww
にしても、短髪のマ……ゲフンゲフン!! ですか…ちと想像できませんな…
タリアとアーサーの会話、いい感じだなー
単発設定小話「マユとカガリ」
カガリ「議長!そもそもなんでそんなものが必要なんだ!我々は誓ったはずだ!・・・」
議長「だから力などいらいないと?」
〜背中越しに聞き耳を立てるマユ〜
ルナ「・・・すっごい剣幕よねぇ、アスハ代表。ねぇマユ?」
マユ「・・・さっすがキレイゴトはアスハのお家芸よね!?」
ルナ「マユ!?」
カガリ「!・・・貴様!」
アレックス「・・・代表!おやめください」
マユ「いいご身分ですよねぇ?先の戦争で自分たちのやりたいようにやって、気に食わなければ子犬のようにキャンキャン吠えてさ」
レイ「っマユ!もうやめろ。失礼だろ!?」
カガリ「貴様!なにが言いたい!?」
〜マユにつかみかかるカガリ〜
マユ「フン!この3年間。あなたよりもっと表に立つべき人物がいたはずでしょう!?」
カガリ「なんだと?」
マユ「気づきもしないのなら教えてあげるよ!プラントの裏切者、ラクス・クライン。父親殺しのアスラン・ザラ。そして・・・私の家族をうばったキラ・ヤマトよ!」
アレックス「・・・っ!?」
レイ「マユ!いい加減にしろ!」
カガリ「・・・・・・ラクスにアスラン、キラまで・・・い、いまはそんなこと関係ないだろ!」
マユ「ほら、すぐに話題は変えようとした!やっぱりオーブなんでキレイゴトで飾った虚構の国なのよ!」
カガリ「・・・っく、わ、私がプラントへ来たのはそんなことを話し合いにきたのではない!」
マユ「まだ逃げるの!?・・・そんなのだから私はもちろん、プラントへ疎開したみんながオーブに戻りたがらないのよ!・・・っきゃ!?」
〜両脇をレイに抱えられるマユ〜
マユ「レイ!?」
レイ「もうやめろ!ルナマリアも、ほら行くぞ。・・・議長、大変失礼いたしました。・・・では」
議長「ああ、すまないね。レイ・・・。姫、とんでもない失礼をして申し訳ない。彼女にはしかるべき処分をさせていただきます」
カガリ「ああ。・・・いや、いいんだ。・・・彼女の言うことも事実なんだろう?」
アレックス「・・・代表、大丈夫ですか?」
カガリ「アス・・・アレックス。つかみかかったのは私のほうだしな。。彼女は私に手をあげていなかったよ・・・」
アレックス「・・・・・・」
カガリ「議長。あの、姫とゆうのはやめていただけないか?」
議長「これは失礼。アスハ代表」
アレックス「議長、よろしいでしょうか?」
議長「・・・なんだね?ええっと・・・アレックスくん?」
アレックス「今の、あの赤服の少女の言動。あれはザフト全体の意思なのですか?」
議長「・・・ふふん、まさか。一個人としての意見だよ。・・・アレックス・・・いや、アスラン・ザラ君」
アレックス「!?」
周囲「!?・・・ざわ・・・・・・ざわ・・・」
カガリ「議長!なんで!?」
議長「もっとも・・・私個人も彼女と似たような意見ですがね」
完
単発設定小話乙です!ストレートな言動の議長だが、
こっちのほうが施政者としては「強さ」が出てて良いと思う。
(いい感じでシャアっぽいが^^;)
というか、オーブには明らかに効果があると思う。
「あれ?ゼロ。アキラはどうした。」
ここはミネルバの食堂。今は朝食の時間であるため、人が多い。
ハイネは普段より遅れて食堂にきたゼロに問いかけた。
アキラとゼロは同室である。ゼロは低血圧なアキラを起こすため普段二人は一緒に
食堂にくるのだ。
「・・・風邪を引いたらしい。。艦長に伝えておいてくれ、って。」
ゼロは自分の食事を持って席につきながら答えた。
「えっ?大変じゃないか。看病しなくていいのか?」
アスランが当然の疑問を投げかける。
「じゃあ、一つ聞きます。お客様の中で風邪の治し方を知ってる人はいますかー?」
・・・・ここはザフト軍。風邪を引く奴なんていない世界である。
「おい!そこに地球出身のやつらはしらんのか!!」
マユとジョーにビシッっと指を指すハイネ。
「・・・スラムじゃ医者なんていないし、下手したら肺炎だし、まぁ、ほぼ死んだな。特にNジャマーが投下された後は。」
いつもと同じ調子で平然と残酷な真実を告げるジョー。
「・・・・風邪かぁ・・、たしか昔見たアニメでは・・・・。」
マユは不確かな記憶を手繰るように考え込んだ。
405 :
402:2005/11/23(水) 17:32:44 ID:???
一箇所失敗してました。
「ラクス」ですが、プラントでは「ミーア」がラクスやってんだっけ・・・
う〜ん、どうしようかなぁ。。
後でみんなにつっこまれ、マユの勘違いでした。でごまかした。・・・ではダメ?(汗
>>405 そこはそれ、なぜかマユはラクスがオーブにいることを知っていたと脳内保管しときますよw
で、後で議長に呼び出されて
「マユ、さっき君はラクス・クラインの名を挙げたね。詳しい話を聞かせてくれないか」
と話が続くんでしょう?
「げほっ!!・・・・・うー、絶対軍医はあてになんないしなぁ・・。」
なんでこんな所がナチュラル並何だろう、アキラは自分の身体を恨めしく思った。
「・・うぅ、ファイトだ。音楽でも聴いて元気を出そう。はっくしゅ!!」
アキラはごそごそと天使の石造のジャケットのCDとティッシュを取り出す。
そしてCDをプレーヤーに入れようとすると・・・・・。
「アキラお兄ちゃんー。起きてるー?」
マユとゼロが入ってきた。マユの手にはおぼんが。
「おー、妹キャラの看病フラグが立ったか・・・・。」
「やだなぁ、ウチのお兄ちゃんみたいなこと言わないでよ。これ、玉子酒作ったんだ。」
そう言ってマユはカップをアキラに渡す。
「お・・、ありがとーvじゃあさっそく・・・ってこれなんだ!!」
アキラが持ったカップの中には生卵がそのまま三つほど入っていた。
「「玉子酒。」」
マユとゼロは声を合わせて言う。
「どこがだ!!原料を言ってみろ!!」
「んーと、卵三個にキースお兄ちゃんからもらったテキーラ。」
「病人にそんなもの飲ますなぁぁぁあぁ!!」
アキラは玉子酒(仮)を投げ付ける。
「いいか?!玉子酒ってのはまず日本酒カップ一杯を沸騰させて
しばらく冷ましてから砂糖とといた卵を加えてよくかき混ぜる!!
この時熱いと卵が固まるから注意する!!
んでもってそのあとかき混ぜながらまた火をつける!!
ちょうど良い所で火を止めて飲む!!しょうが汁をいれてもいい!!」
ぐわーっと早口で説明するアキラ。
「「おぉ、流石日本人。」」
ぱちぱちと拍手をするマユとゼロ。
「出てけぇぇえぇぇぇぇっぇっ!!」
アキラは全力でマユとゼロを追い出した。
「うー、うー、お花畑の向こうで我が親友が手を振ってるー。
えー、何?風邪で死ぬわけないだろうってー?あはははーたわけー。
我を誰だと思っているー。」
先ほどのマユ達の妨害でさらに熱が上がったのか電波度が普段の三割ましである。
「アキラお兄ちゃん!!今度は大丈夫!!おじや作ってきたから!!」
今度はマユとアスランが入ってくる。
「あー、アスランが一緒ならいいかー・・・。」
アキラはそう呟いてマユから皿を受け取る。
そこには、真っ赤な海が広がっていた。
「マユちゃん、アスランさん、なんのおじやですか?これ。」
「「チゲ。」」
「食えるかぁぁぁぁぁっ!!」
アキラは☆一徹よろしくに皿を返す。
「えー?アスランお兄ちゃんがさー。辛いほうがいいって・・。」
「汗をかいたほうが早く治るんだぞ?」
さも当然のように話すアスラン。
「消化力の弱った人間にそんなもの食わせる奴がいるか!!!いいか?!
そもそもおじやとかおかゆは食べ安いけど消化力の弱った病人にはじつは向かない!
病人には白身魚とかの高たんぱく質の物が良いんだ!食べやすくするなら温泉卵とかにしろ!」
「「おぉー。」」
パチパチと拍手をするアスランとマユ。
「もう来るなぁぁぁぁ!!」
アキラは再び全力でマユとアスランを追い出した。
「あー、でも韓国だと本当にチゲ鍋とか食べるんだなー、韓国人すげぇー。
やっぱどの国でも蜂蜜とかレモンとかは飲むのかー。」
もうアキラは自力で治療法を探そうとベッドの中でノートパソコンを広げていた。
ピピピッ、ピピピッ、っとマイ体温計が鳴る。
「・・・・37.9・・・・、結構ある・・。」
アキラはパソコンのふたを閉じてぺいっと放置する。
『アキラー、入るぞ?』
機械を通したような声が聞こえる。
青い髪に青い目の青年がマユと同じようにお盆をもって入ってくる。
「うぅ・・、もうやだよー。またトンでも料理を出されるのかよー。」
布団にうずくまってシクシクと泣き始めるアキラ。
『まぁまぁ、今度はちゃんとしたの作ったらしいから。』
シンハロがアキラをぽんぽんと叩く。
疑いの目のままで体をおこすアキラ。
シンハロのお盆にはなんともいえない匂いの飲み物が乗っていた。
『はい、朝鮮人参とかの漢方薬。これ結構するんだぞー。』
はははははー、と笑いながらずいっとコップを差し出すシンハロ。
アキラの目には割烹着に大きなリボンをした少女がシンハロに重なって見える。
「・・・・・・・・・・・っ!!」
心を決め、一気に飲み干すアキラ。なんともいえない匂いに思わず胃の中の物が逆流しそうになる。
「うぇぇぇぇぇぇえぇぇ・・・・・。」
あまりのまずさに声をあげるアキラ。
『おー、ちゃんと飲んだ飲んだ。えらいぞー。』
わしわしとアキラをなでるシンハロ。
『普通の栄養ドリンクより朝鮮人参の方が良いってネットで見たから適当に作ってだけどさ、
飲めて良かった良かった。』
「適当なんかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!一発逝ってこぉい!!」
アキラはまたもや全力でシンハロを追い出した。
インジャ様乙です! 短い内容とのことでしたがなかなか読み応えのある内容でした。
タリア艦長の心情を上手く書けてたと思います。いかにも軍人らしい考え方でしたし…
他の作品と違い、孤独な状況のマ…(ゲフンゲフン)もとい、シンというのが見所ですね。
続きが楽しみです!
翌日、アキラの風邪は治った、一応シンハロの適当漢方薬は効いたらしい。
「何だー、つまんないのー。」
マユはちぇっっと呟いた。きっと彼女の頭の中にはねぎで首を巻いたりする計画
があったに違いない。
「アキラさぁ、一晩中うなされてたよねぇ。どんな夢見てたんだろ。」
キースが朝酒にビールを飲もうとする。
一応夜中も看病しようと全員で順番に面倒を見ていたのだが、その時の彼の寝言がこれである。
「あはははー・・、お花畑が見えるよーー・・はっ!!さては固有結界?!」
「うーん・・・、頼むから親父・・、授業参観にホストみたいな格好で来るのはやめて・・。」
「おのれまてダレンーー。塵は塵にー、灰は灰にー。」
など、気になるアキラの過去から電波系まで様々な寝言である。
食堂にアキラがやってきた。
「アキラ、もう大丈夫なの?」
ルナマリアがアキラに聞く。
「お・か・げ・さ・ま・で。」
刺々しく言うアキラ。
「それにしても、一体どうして風邪なんてひいたの?」
グレイシアが呟く。確かにあの巨大MS戦はベルリンと言う寒い地域だったが
風邪を引くような事はしなかったはずだ。
「・・・・・・・・・えーっと・・。」
アキラは視線をそらす。どうやら後ろめたいことがあるらしい。一気に立場が逆転する。
「・・・あのね、徹夜で届いたゲームこっそりやってた。」
ぼそぼそと明らかに普段と違う口調で呟くアキラ。
「キャラが変わってるぞ、キャラが。どれくらいやったんだ。」
ハイネがずいっと近寄る。
アキラはばつが悪そうに言う。
「・・・一週間。」
「アキラ、健康管理も軍人の仕事だ。反省文を5百枚ほどかいて提出しろ。」
ハイネは本気でアキラに告げた。
どうも、風邪を引いたら梅干を額に張れ、ほのぼのです。
今回は時期ネタで風邪です、コーディは風邪を引きませんがアキラ君が
ハーフコーディなのでちょうどいいかな、っと。
この話を書くに当たって風邪の治療法を調べたりしました。
ぶっちゃけ自分は風邪は食って寝れば治る人なんであんまりこだわったことはしませんが。
この話に出てきた治療法以外にもウォッカを布に浸して首に巻くとか絞りたてのレモン汁でレモンティーとか
鶏肉のスープを飲むとか色々ありました。暖かい地域だとココナッツミルクを2リットル飲むそうです。すげえや。
それでは皆さんも風邪には気をつけて。
ほのぼのさん乙
久しぶりのほのぼの展開にいつもの3倍ほのぼのした
しかもこれからの季節にいい勉強になったなw
ほのぼのさん乙! アキラくんの受難が涙を誘いながらも面白かったですw
溶かないままの生卵入りテキーラって、どう考えても罰ゲーム…w
やっぱりみんなが騒いだりほのぼのしてる所を見てると、癒されるなぁと実感しました。
保守
突然だが、このスレSSキャラクターの人気投票なんてしてみないか?
(例 隻腕シン)
ここでやると隻腕のキャラ投票と同じ荒れ方になるぞw
どっかで投票場所でも手に入れてくる香具師おらんかな
間違えた、隻腕のキャラ投票じゃなくて、隻腕氏によるキャラ募集な。
>>400 拙いながらも保管庫の絵板にシンちゃんを描いてみました。
SS作者様からは想像通りと仰っていただけましたので、よろしければ見てください!
入れた
>人気投票について提案
本編キャラは抜く(ルナマリアやキラ等の既存キャラ)
当スレのオリキャラをメインに。
ゲン、シンハロ、XX(作品名)マユ等。
期間は、2週間くらい。
オリキャラっつーか、変化著しいキャラかな主に。登場だけならマユもしてるし。
本編イメージのままで投票しなきゃ、それでいいと思う。要するにキラ厨とかルナマリア厨の暴走を避けたいんだろ?
後ろに作品名つけることで、そこは回避できるんじゃないだろうか。
人気投票、面白い企画ですね。
後々妙な揉め方しないよう、ルールとかはっきりさせた方がいいかもしれません。
今ちょっと見たところ、ウチのメンツが結構な人気のようで……くすぐったいやら、プレッシャーやら。
さて、投票に関する議論をぶった切って悪いですが、15話投下します。
ガルナハンを再び奪還することに成功した、ファントムペインとオーブ派遣軍。
しかしそこで見た連合兵のヒステリックな態度は、マユたちの心に暗い影を投げかけます。
そしてレジスタンスの少女・コニールに、呪いと復讐の言葉を吐かれ、彼女たちは……?
……と、いう現状を踏まえたところで。まずは今回のお話、前作の回想から始まります。↓
――それは、2年前の記憶。忘れられぬ悪夢。
「ここに隠れてるんだ、ステラちゃん! 決して声を出すんじゃないぞ!」
「で、でも、みんなは……!? みんなはどうするの!?」
「いいから!」
あらゆる電子機器がダウンし、自動ドアの開閉すらままならぬ基地。電力供給すら途絶えた、薄暗い建物の中。
予備システムすらマヒし換気の途絶えたシェルターから這い出した人々は、隠れ場所を探して彷徨っていた。
1人取り残されることを嫌がる少女を、男は小さな掃除用ロッカーの中に押し込める。
ロッカーの扉に切られた小さな隙間から、不安そうな目がキョトキョトと外を伺う。
アラスカ・ジョシュアの崩壊の動揺残る中、ザフト側が仕掛けた大規模作戦、パナマ基地攻略戦。
この重要な戦いに、双方は温存してきた「隠し札」を惜しげもなく切った。
連合側は、ようやく量産に漕ぎつけた連合製MS・ストライクダガーの部隊を。
そして、ザフト側は――対策なきあらゆる電子機器をマヒさせる、無力化兵器グングニールを。
ある意味、双方の技術力の対決となったこの戦い……勝ったのは、ザフト側だった。
グングニールの発する電磁パルスは、それを想定さえしていれば、簡単な処置で防御できるものだったが……
しかし、対策の施されていない電子機器に対しては、致命的な損傷を与える。
ストライクダガーもグングニールも、その開発以上に「存在の秘匿」が重要であり、それは双方完璧だったのだが。
不意打ちによる効果、という点においては、グングニールの方が遥かに勝っていたのだ。
グングニールの発した電磁パルスは、パナマ一帯を覆いつくし。
ストライクダガーの動きを止め、基地の管制機能をマヒさせ、軍の交信を断ち切り――
そして、その影響は、基地の近くに広がる住宅街にまで広がる。
基地で働く人々、その家族、そして彼らの日常を支える民間人たちの住む街。
彼らはザフトの攻勢が察知された時点で、避難計画に則って基地内のシェルターに逃げ込んでいて、そして……
戸を閉じてしまえば、とても人1人隠れているとは思えぬ小さなロッカー。
一番か弱い少女をそこに「隠した」大人達は、互いに頷き合うと次なる隠れ場所を探して走り出す。
が――彼らの足音がさほども行かないうちに、銃声が響き渡って。
バリバリと、自動小銃が放たれる音が、ごく間近に。
「死ねッ、ナチュラルども!」
「ハーッハッハッハァ! アラスカの借り、返させてもらうぜェ!」
ヒステリックな叫びと共に、目に付く者を片っ端から撃ち殺していくザフトの歩兵。正気とは思えぬ表情。
……そう、それは正気ではなかった。ヒステリーだった。激しい恐怖からの、過剰反応だった。
自爆してでもコーディネーターを倒す、そんな連合に対する恐怖が、彼らの心を追い詰めて。
ナチュラル全てが「自爆さえも辞さぬ敵」に見えてしまう彼らは、奇声で自分を鼓舞しながら殺戮する。
そう、目の前の相手が、見るからに民間人であろうとも、投降してきた兵士であろうとも、容赦なく――
――そして、少女は震えながら全てを目撃する。
狭いロッカーの中から。鉄板一枚の至近距離から。ガチガチと鳴り止まぬ歯の音が、聞こえぬように祈りながら。
無慈悲な銃弾に、自分をロッカーに押し込んでくれた中年男性が撃ち抜かれる。
たまたま避難した時に、一緒のシェルターに居合わせただけのおじさん。とうとう名前も聞けなかった。
シェルターの中で飴をくれたおばさんの頭が、はじけ飛ぶ。ごっそり消滅した顔は、もう微笑むこともない。
誰も彼も、付き合いの浅い人ばかりだったが、彼女にとっては命の恩人で。
その全ての恩人たちが、動くこともできぬ少女の目の前で、撃たれていく。
「……やめて! もうやめて! みんな死んじゃう! 『みんな死んじゃう』!」
少女は、叫びたかった。闇の中で絶叫したかった。
けれどもその行為は、彼らの願いを無にすることで。少女の命をも奪うもので。
仕方なく少女は、ギュッと目を閉じ、叫び出しそうになる自分をおさえこむ。
――暗闇の中。
いつしか銃声は遠くに遠ざかり、少女の周囲は淡い光に包まれていた。
いつの間にか、少女は一糸まとわぬ姿になっていて。
いつの間にか、少女は2年の月日を経た姿になっていて。
心地よい暖かさと、幻想的な虹色の光。重力も何もない虚空に浮かんでいる。
未だ少女の心を責め苛む2年前の悪夢、その残滓が涙となり、きらめく珠となって空中に散る。
『 思い出しては、いけない…… 』
どこかから、声がする。包み込むような、魂に直接響くような声。
『 あの時の哀しみ、思い出してはいけない。あの時の恐怖、思い出してはいけない。
思い出したら、戦えなくなるから。
けれど、忘れることなどできはしない。そうでしょう?
だから――鍵をかけよう。
鍵をかけて、心の奥底に、隠しておこう。
そうすれば貴女は、悪夢を見ることもない。
そうすれば貴女は、哀しみも恐怖も動揺もない、無敵の戦士になれる―― 』
知る者が聞けば、それは催眠術師が術を施す口調そのもの。
けれども、光の海に浮かぶ少女にとって、それは唯一与えられた救いの言葉で――彼女はゆっくりと、頷いた。
『 では、良く聞いて。
貴女のトラウマを閉じ込める鍵、『ブロックワード』は、―― 』
――スエズ基地。停泊中の特務戦艦、J・Pジョーンズの中の、薄暗い1室。
そこは、しかし艦の中とは思えぬ、研究所のような設備がしつらえてあった。
卵型のベッドと、それを丸く覆う卵型の透明の蓋。
それが3つ、放射状に並べられ、周囲には一見しただけでは用途の良く分からぬ機械類。
ベッドの中にはそれぞれ1人ずつの人間が眠っており、透明な蓋には虹色の光がオーロラのように動く。
カプセルの中で眠っているのは、スティング、ステラ、アウルの3人。
虹色の光は、ステラの夢の中に出てきた光のパターンと、全く同じもので……
「……『調整』、どうなってる?」
「あ、ロアノーク大佐。ええ、やってはおりますが……」
カプセルベッドのある部屋を、上から見下ろすように設置されたモニタリングルームに、仮面の男が現れる。
白衣を着た研究者風の男たちが、機器から顔を上げて彼に応える。
「『エクステンデッド02』については、ほぼ何の問題もないのですがね。
どうも01と03の脳内活動データが、芳しくありません。要するにトラウマが封じきれていない状態です。
これは推測ですが、どこかで『ブロックワード』が発動したのに、報告せずに放置したものかと……」
「それって、マズい状態なわけ?」
「ええ、かなり。今はまだ良いですが、このままではいずれ心的拘束が解けます。
そうなれば――恐怖に錯乱し憎悪に我を失う、いわゆる『普通の兵士』に戻ってしまいます。
いや下手をすれば、脳改造の副作用で『普通の兵士』よりも暴走しやすい存在に……」
「ふむ。確かに一世代前のブーステッドマンはあんまり良い評判聞かなかったしねぇ」
ネオは顎に手を当て、考え込む。
彼自身はこの種の技術については素人に毛の生えた程度の知識しか持たないが、それでもその意味は分かる。
「で、なんとかなるの?」
「これだけ心の傷が放置されてしまうと、ここの設備では少し手に余ります。
『ブロックワード』で機能停止した直後ならば、我々でも修復できたのですが……
早いうちにロドニアのラボに送り、徹底した検査とメンテナンスをすることをお勧めします。
あそこの設備と人員ならば、2日もあれば完全に元の状態に戻せるでしょう」
「ロドニアのラボね。地中海挟んで向かい側か。時間的な余裕は、今なら都合つくけど――
でも、ファントムペイン動かして注目浴びたくないねぇ。何か口実が欲しいな――」
研究者の言葉に、ネオは何やら思案して。
ふと、あることを思いつき、ポンと手を叩く。
「そうだ。ステラたちも仲のいい、あいつらを隠れ蓑に使わせてもらおう。
あいつらも今なら休暇取れるだろうしな。
盟主殿の力も借りて、基地司令をちょっと動かしてみるか――」
マユ ――隻腕の少女――
第十五話 『 エクステンデッド 』
「議長は何をやっているんだ。こんな、無為に戦線を拡大して」
「これでは2年前のシーゲル・クラインと同じではないか」
「いやしかし、今さらパトリック・ザラの強硬路線への復帰もあり得ぬし」
「議長はどこに行った? プラント市民への説明義務も果たさず、一体どこへ」
「これはまだ内密にして頂きたいのだが、実はお忍びで地球に降りたとか」
「地球に? この情勢下、どことどんな交渉を?」
「それが――『議長』としての交渉というより、彼の『本職』としての仕事だ、とか」
「『本職』? 遺伝子工学の専門家として、今地上で何をすると言うのだ?!」
――2年前の戦争、数に劣り地球上に拠点を持たぬプラントが善戦できた理由の1つに、連合の内部闘争がある。
大西洋とユーラシアの反目を始めとして、足並み揃わぬ地球連合の各国。
あちらこちらで国境争いがあり、不満抱える少数勢力があり、暗黙の了解で生まれた空白地帯があり。
そういった再構築戦争の残り火を最大限利用したのが、シーゲル・クラインだった。
シーゲルは巧みな外交手腕でそれら「反連合」勢力を取り込み、また国境紛争地域を切り崩していった。
コーディネーターとナチュラルの闘い、という構図を喧伝する連合に対し、両者の融和を訴えつつ。
反連合闘争をしていたものたちを積極的に支援し、自陣営につけ、数に勝る連合軍を圧迫していった。
当時、プラントだけが占有していた新兵器「モビルスーツ」により、その攻撃力は圧倒的なものがあったが。
それだけでは、戦争はできない。絶対的に数で劣るザフトには、できぬことが少なくない。
歩兵部隊。支援部隊。基地の生活と日常を支える、多数の民間人。
――それら、地球侵攻に必須の要員を、こうして得た「地上の協力者」から得ていたのだった。
しかし、この路線はやがて行き詰まりを迎える。
広げすぎた戦線は維持するだけで手一杯となり、増え続けた協力者もやがて頭打ちとなり。
結局、目に見える結果を出せなかったシーゲルは、プラント最高評議会議長の座を、追われることになる。
後を継いだのは……より好戦的で、よりコーディネーターの優位性を主張する、パトリック・ザラだった。
戦争を激化させ、より苛烈な攻撃を加えたパトリック。しかし地球上の支配圏は、むしろ縮小する。
その露骨な「コーディネーター至上主義」ゆえに、地上のナチュラルの協力者たちが離れてしまったのだ。
得られた多大な戦果とは裏腹に、ザフトは戦線を宇宙にまで後退させざるを得ず――
ついにプラント間近まで押し込まれ、最終防衛ラインであるヤキン・ドゥーエで決戦を図ることになる。
あれから2年。再び開戦し、戦争状態となった今――プラント最高評議会は、今後の方針について迷走していた。
連合からの攻勢に、ラクスとアスランという二枚看板を掲げ、ナチュラルの味方も増やして対抗していたが。
それはクライン政権時代のやり方と何も変わらず、いずれ行き詰るのは、誰の目にも明らかだった。
しかしだからといって、それに代わる方針を誰も思いつかず――
――ただ1人、議長ギルバート・デュランダルだけが、遥か先のことを見据え、動きだしていた。
「ご苦労だったね、ガルナハンでは」
「いえ……」
「ただ、直後に再び奪還されてしまったのは、こちらの采配ミスだったな。ハイネ隊に頼りすぎた。
こんなことがなければ、キミの名も『ガルナハン解放の英雄』として宣伝するつもりだったのだが」
「……別にどうでもいいですよ、そんなの。有名になりたくて戦争してる訳じゃないですから」
「ちょ、ちょっと、シン! ……すいません、議長。こいつ口の利き方知らないもんで」
「ハハハ、これは手厳しいね。いや構わんよルナマリア君」
黒海に面する古い街、ディオキア。その街を見下ろす、古いホテルのオープンテラス。
デュランダル議長は、若い兵士たちと会食の場を持っていた。
全員赤い軍服。シン、レイ、ルナマリア、アスラン。
つまりは、ガルナハンの戦いの後、この街に到着したミネルバのMSパイロット4人である。
5人の目の前には、豪華な料理の数々が並んではいたが……誰も食欲がないのか、皆の意識はそこにない。
「それより議長――ガルナハンは取り返さないんですか? 俺たちなら、何度だって」
「ん? ……ああ、そうだな。シン君、キミは『囲碁』というゲームを知っているかね?」
「碁ですか? まぁ、ルールだけなら一応。オーブでは一般的でしたし」
「言ってみれば、今のガルナハンは『コウ』の状態だからね。同じ所に同じ石を打つのは、禁じ手なのだよ」
デュランダルが例えに出した「囲碁」は、互いの石を取り合いながら、獲得した陣地を競うゲームである。
そしてその展開上、一点を巡って膠着状態に陥ることがある。一点で延々と続く石の取り合い。
これを「コウ」と呼び、ルール上「他の場所に一度打ってから」でないと、再び取り返すことができない。
「別に戦争には囲碁のようなルールはないのだが、あそこに執着しても膠着するのは目に見えている。
そして延々と消耗を強いられれば、残念ながら国力に劣るこちらが不利だ。
ガルナハンの住民には可哀想だが……まずは他の手を考えてみようと思っている」
「……そうですか」
「そこで――キミたちには、この後、別の任務をお願いしようと思っているのだが。
ガルナハン再奪還にも勝るとも劣らぬ、重要な任務だ。今後の世界の行方を左右しかねない程の、ね」
デュランダルは肘をつくと、ニヤリと笑った。
――スエズ基地、タケミカズチ。
せっかく港にいるオーブ派遣艦隊だったが、しかし兵士の多くは空母の上に留まっていた。
基地の兵士たちとの間に起きた、些細なトラブルの連続。そしてガルナハンで見せ付けられた、連合兵の態度――
オーブ兵と連合兵との間には大きな溝があって。
大体、補給さえしっかりしていれば、巨大空母タケミカズチの中は、生半可な基地にいるより快適だ。
そういうわけで、未だ沢山の兵士が行き交うタケミカズチの中で。
1人の連合軍人が、歩いていた。
連合軍そのものには良い印象のないオーブ兵たちも、この奇異な外見の大佐には、さほどの反発もない。
……普通に考えれば、イレギュラーな黒の制服を纏い、仮面に顔を隠すその格好は異様なのだが。
「あれ、ロアノーク大佐。どうしました?」
「いや、カガリ代表にちょっと。自室にも執務室にも居なかったけど、どこに居るか知らない?」
「代表なら、さっきシューティングレンジで銃撃ってましたよ」
「ありがと」
「ほんと、垣根を感じさせない代表だねぇ」、ネオは口の中で呟きながら、タケミカズチの中を歩く。
勝手知ったる他国の艦。迷うことなくたどり着いたのは、銃声響く広い空間。
ほとんど人影もない射撃練習場で、拳銃を片手に遠くの的に狙いを定めていたのは、確かにカガリだった。
続けざまに響く銃声。カガリは銃口を下げ、紙の的が向こうからスライドして近づいてくる。
人型の輪郭の中、胸と頭に集中した弾痕。ワンホールとまではいかないが、かなり良い命中精度。
「なんだかなぁ。代表自身がそんな訓練する必要ないんじゃないですかねぇ。しかもそんな旧式銃で」
「持っていて困るスキルでもないだろう? オープンボルトの銃を投げるような真似は、もうこりごりだしな」
「??」
呆れた声を挙げたネオに、何やら自嘲的に呟くカガリ。
事情を知らぬネオは、首を傾げるしかない。
「それに、こういうことをしてる間は、嫌なことを考えずに済む」
「嫌なことって……例えば?」
「基地司令のふざけた態度、とか。ガルナハンの一件、とか。
ああいうことがあると……我々が連合と結んだのは失敗だったかと思ってしまうよ」
「うーん、あーゆーのが連合軍の全てだとは思って欲しくないんだがねェ。
有名なとこだけでも、もっとマトモな奴は結構いるぜ?」
「具体的には?」
「ん〜、『切り裂きエド』とか、『白鯨』とか。『エンデュミオンの鷹』とか、『白い凶星J』とか。
部隊で言えば、『アークエンジェル』とかも有名だよなぁ」
「……お前、その顔で『鷹』とか『アークエンジェル』とか言うなよ。
それに、気付かないのか? どれもこれも、結局は連合を捨てた奴ばっかじゃないか。
ジャン・キャリーなんてウチの食客だったんだぞ」
「あれ? そーだっけ?」
どこまで本気か分からぬ口調ですっとぼけるネオ。カガリは溜息をつく。
いつになく覇気のない彼女の様子を見て取って、ネオは話題を変える。
「ん〜、どうも元気ないなぁ。この程度のギャグじゃ気分晴れんか。仕方ない」
「…………ギャグだったのかよ、おい」
突っ込みすらも元気なく、疲れきった雰囲気。そんな彼女に、ネオは悪戯っぽく微笑んで。
「じゃぁさ、ちょっと気分転換に――みんなで、温泉にバカンスに行かない?」
「バカンス? 丁度いいじゃないの。これ以上頑張られても、コッチが困る」
――オーブ本国、行政府。
派遣先のスエズからの申し出に、オーブ連合首長国 代表代理ユウナ・ロマ・セイランは即答した。
大勢の職員が頻繁に出入りする執務室。目の前には山と積まれた書類。
彼の眼の下にはうっすらとくまが浮き、疲れが溜まっている様子が伺える。
「いや、もっともっと頑張って貰いたいのだがな。とはいえ、今後の活躍のためにも、休暇は必要か」
「父上はなんでそんなに呑気なんですかッ! 何事も勝ち過ぎはよくないんですよ!」
部屋の隅、何をするともなく椅子に座る宰相ウナトの何気ない言葉。ユウナは即座に怒鳴り声を上げる。
カガリたちの出発前、ユウナがウナトを殴った日から――この父子の対立は、毎日のように繰り返されていた。
何かにつけて互いの意見に文句をつけあう2人。役人たちも、時に相反する命令さえ出す2人に振り回されて。
「彼らが活躍すればするほど、我らがオーブの強さが世界に知れ渡る。さすれば我らに仇なす者もいなくなる。
すなわち、間接的にオーブを守ることになるのだぞ。何を困ることがある」
「分かってないな、父上は! 勝てば勝つだけ、オーブはザフトや親プラント勢力の恨みを買ってしまうんだ!
現に、彼らとの交渉だって全然進まないじゃないか!」
「交渉など何故必要なのかね? 我らは連合と共に歩むと、既に決定したというのに。
大体、何の考えもなしに戦線を拡大しているようなプラントに、未来があると思っているのか?」
「デュランダルはキレ者だよ。どういう手で来るかまでは分からないけど、このままで終るハズがない!」
ユウナの言葉に篭る苛立ちは、目の前の父親に対するものだけではない。
カガリに託された仕事、連合とプラントの架け橋として和平の道を探る交渉が、まるで進まないのだ。
密使として送った『アレックス・ディノ』からは音沙汰もなく、その後、別に送った使者は門前払いされ。
プラント側からしてみれば、今やオーブは連合に組する国の1つ。聞く耳持たぬのも、ある意味当然。
ましてや……オーブ軍の奮戦によってガルナハンが奪還されてからは、プラント側の態度はますます硬化して。
「まったく、カガリは『手を抜く』ということができないんだから! 生真面目過ぎる!
そこまで頑張ってやる必要はないんだよ! のらくら時間を稼いで、ひたすら戦いから逃げてればいいのに。
ボクが艦隊司令になってやろうとしてたことを、彼女は何も理解していない!」
ユウナの愚痴は、もはや悲鳴に近かった。
そう、派遣艦隊の過剰な頑張りは、ただでさえ困難な交渉をさらに厳しいものにしていたのだ。
そしておそらく――現地で指揮を取る当のカガリに、そんな自覚はない。
「――無駄なコトに時間を潰さず、やるべき仕事をやるんだな、ユウナ」
ウナトは息子に吐き捨てると、執務室を後にする。
ウナトが向かったのは、無数のモニターのある部屋。アッシュによるオーブ攻撃の際、父子がいた部屋だ。
映像情報を分析・処理する部屋であると同時に、各地に直結した極秘回線を持つ通信室でもある。
ウナトは作業をしていた部下を身振りで追い払うと、自らコンソールを操作し、ある場所へと直通回線を開く。
『――ウナト殿かね? 相変わらず時間には正確だな』
「それはもちろん、ジブリール卿をお待たせするわけにも行きますまい」
直通回線の向こうにいたのは……そう、大西洋のメディア王、ロード・ジブリール。
ウナトは王に対する臣下のように、恭しく頭を下げる。
「で、会合の結果はどうなりました?」
『フフフ、結論を急がないでくれたまえウナト。我々とて、貴殿の献身は高く評価しているのだ。
中立を固持していたオーブを作り変え、連合との同盟を実現し、艦隊派遣まで現実のものとし。
ユニウスセブンの被害を軽減し、スエズ防衛にも尽力し、ガルナハンの奪還までも果たし。
その功績は誰の目にも明らかだ。文句のつけようがない。
まだ時期尚早、と反対する者もあったが、何、もはやオーブは連合の一員のようなものだしね。
結局、賛成多数でワタシの意見が通ったよ』
「おお、では……!」
親と子ほども年の離れた若き実業家の言葉に、歓喜の表情を浮かべるウナト。
ジブリールは、鷹揚に頷き、宣言する。
『そう。我々ロゴスは、決定した。
ウナト・エマ・セイラン。キミを、ロゴスの新たな正式メンバーとして、我らの仲間に迎えよう――!』
――ディオキアの街、日の暮れ行くオープンテラス。
他のメンバーが場を辞した後、テーブルを挟んで残っていたのは、デュランダルと――もう1人。
金髪の若き赤服、レイ・ザ・バレル。
「……こうして2人きりで話すのも久しぶりだね、レイ」
「ええ。ギルも元気なようで、良かった」
他のメンバーが居るときには欠片も見せなかった、砕けた雰囲気。
レイに至っては、「議長」から「ギル」へと呼称まで変えている。
「先ほどのお話――新たな任務というのは、やっぱりギルの悲願の?」
「そう、例の計画を支える2本柱の、片割れだ。検査の方は私の専門だし、実用化の目途もついたのだが……
あちらは、いささか専門外なものでね。そもそもプラントには必要とされてなかった技術だ」
「なるほど」
「それより、ミネルバの面々はどうかね? 使えそうかね?」
身を乗り出して聞くデュランダルに、レイはその冷たい視線を虚空に向けて。
「シンは、大丈夫でしょう。彼には休暇や褒章より、戦場を与えてやることです。
ルナマリアは、最初は不安でしたが、シンと一緒ならば大丈夫かと。
そして、アスランですが――連合軍相手ならば優秀ですが、果たしてオーブ軍と正面から戦えるかどうか――」
――青い空。白い雲。間近に迫る美しい山々。遠くには美しいエーゲ海。
滝まであつらえられた、やたらと広く、様々な装飾が施されたプールには一面湯気が立っていて。
老若男女、様々な風貌の人々が、水着姿で思い思いにくつろいでいる。
スエズ基地から、地中海を挟んで向かい側。古い国名で言えば、北ギリシャに当たる地域。
ここは連合勢力圏下にある、大型のスパリゾートだった。休息と湯治を兼ねて、少なからぬ連合兵が訪れる。
その暖かい湯の中、ゆったりと泳いでいたのは――白いビキニに身を包んだカガリだった。
腰ほどの高さの深さのプールで、腕を掻かずに足だけの背泳ぎでゆっくりと。
カガリだけでない。オーブ軍のほとんどがタケミカズチに乗り、この地に来ていた。
ネオとカガリの会話から数日後。あれからスエズ防衛に多少余裕が出たため、艦隊丸ごと得られた休暇だった。
「……何やってんの、カガリ?」
「見て分からないか? 泳いでるんだ。……マユこそ、何だその水着は」
「いつの間にか荷物の中に入ってた。多分、ユウナの趣味」
漂うカガリをプールサイドから見下ろし、声をかけたのは、紺色のワンピース水着に身を包んだマユだった。
下は結構なローレグ、胸には『 せ い ら ん 』と書かれたゼッケン……要するに、旧世紀のスクール水着である。
その右手には、いつも通りの白い長手袋――いや違う、微かに光沢放つその手袋は、完全防水処理済みだ。
「水着買う手間省けたのはいいんだけど……サイズがピッタリなのが、なんか気持ち悪いんだよね」
「……悪いことは言わん、買いなおせ。てか、私が買ってやる。どうせココには1週間ほど滞在するんだし」
うんざりした口調で、湯の中で立ち上がるカガリ。髪の水を軽く払うと、プールサイドの縁石に腰掛ける。
立ち込める湯煙が視界を程よく遮って、幻想的な雰囲気を漂わせる。
「ユウナの奴、どうしてるかな――昔みたいに泣いてなきゃいいけど」
「ユウナとカガリって、昔から一緒だったの?」
「ああ、小さい頃からな。友達というか、目の離せない頼りない弟、って感じの奴だった」
「婚約者だもんね。昔っから意識してた?」
「あー、婚約の話が出たのは、実はつい最近だ。未だに私には実感がないよ、ユウナと結婚なんてな」
少女の勘違いに、力なく笑うカガリ。マユもつられて笑うが、2人の笑みはすぐに尻すぼみになって。
「……なんかカガリ、元気ない?」
「……それはマユも、だろ」
「…………」
「…………」
「やっぱ、ああいうのは後味悪いよな」
「……うん」
「私たちは、どこで間違えたのかな―― 何を間違えたのかな――
他に、やりようは無かったのかな――」
白獅子の姫将軍として勇名轟かす彼女には似合わぬ、弱気な言葉。
マユは黙ってプールに滑り込むと、彼女を見上げる。
「私は――父・ウズミの遺志を、踏みにじった。オーブの理念を、かなぐり捨てた。
それは、他に国を、国民を守る方法がなかったから仕方なく、なのだけれども――
ああいうものを見てしまうと、理念を抱いて死んだお父さまの方が正しかったような気もしてくるよ」
「……それは、違うと思う」
自嘲的な呟きに、急にはっきりした否定の言葉を挟まれて。カガリはハッとマユを見る。
マユは湯の中に立ったまま、その防水手袋で包まれた右手を、左手で硬く握り締めて。
「だって、あたしの家族は、その『理念』の犠牲になったから」
「……マユ」
「2年前の、『理念』を守るための戦いで、殺されたから。あたしも、この右手を失ったから。
だから、あたしには――そんな空虚な理念は、支持できない。
そんなもののために死ぬことに、意味があるとも思わない」
「…………」
「あたしみたいな子を、二度と出さないためにも――あたしは、カガリやユウナは間違ってないと思う。
全ては、オーブのみんなを守るためでしょ? だったら、間違ってるわけがないよ。
間違ってるのは――きっと、他の誰かだよ」
迷いのない口調で、はっきりと言い切るマユ。
カガリには、何も言えない。「それは本当にそうなのか?」と心の中で思いつつ、言葉には出せない。
マユの頑なな信念に、どこか「危うさ」を感じつつ……それが何であるのか、上手く言語化できない。
と――色気のない会話を交わす2人の娘の所に、プールサイドを歩いてくる男が1人。
紫のビキニパンツを履き、身体に刻まれた無数の傷を隠さず近づく、その男は――
「よぉ、お嬢さん方。楽しんでるかい?」
「……おいネオ。その格好はちょっとどうかと思うぞ」
「そうそう。ちょっとそのパンツは頑張りすぎ」
「ああ、マユの言う通り……って、違う! 下じゃない! 上だ!
なんで仮面被ったままなんだよ! マユもツッコむところが違うだろ!」
そう、そこに立っていたのはネオ・ロアノーク。パンツ一丁のくせに、例の仮面だけはつけたままで。
彼はとぼけた風に肩をすくめる。
「やー、でもどこにも『仮面禁止』なんて書いてなかったからさー」
「当たり前だッ! 普通はそんなものつけてる奴はいない!」
「ところで、オーブ軍のおっさんたちはどこ行ったの? 確か一緒にコッチに来てたよね?」
「話を逸らすなッ!!」
明らかに誤魔化そうとするネオの口調に、カガリは声を荒げる。
と――タイミング良く。
ネオとは反対側、湯煙の向こうから、ちょっとむさくるしい集団がわいわいと近づいてくる。
トダカ一佐にアマギ一尉、馬場一尉。他にもその部下にあたるオーブ軍の士官が、何人か。
「お、カガリ様! こちらにいらっしゃいましたか!」
「いやーいい湯ですな! やはり天然温泉は違いますよ。タケミカズチにあるのは、結局は銭湯ですから」
「セイラン三尉に、ロアノーク大佐もご一緒ですか。楽しんでますか?」
「ああ……お前達も、って…………!!」
返事をしようとしたカガリの言葉が、途中で凍りつく。表情が、一気に引きつる。
吹き抜けた風が、水面近くに立ち込める湯気を吹き飛ばして――
「あれ、カガリ様、水着ですか? それはいけませんな。いや、似合ってはいらっしゃいますが」
「キャッ!!」
「お、お前ら……お前らこそ、水着を着ろッ!!」
カガリは顔を真っ赤にして怒鳴り、マユは思わず顔を覆う。いや覆いながらも、指の隙間からしっかり見ている。
そう――オーブ軍の男どもは……全員、見事に素っ裸。
何人かは、タオルを腰に巻いてはいたが……それにしたって、小さな布一枚で隠しきれるものではない。
「でもここ、温泉でしょう? 混浴の。だったら」
「オーブ式の、ジャパニーズスタイルの温泉じゃない! ここのスパは水着が基本だッ!」
「そういうものなのですか? いやぁ、我々少しばかり勉強不足でしたな、アッハッハ」
「わ、笑ってる場合かあッ! せめてその粗末なモノを隠せッ! 我が国の恥だッ!」
あくまでボケ倒すつもりらしい部下たち、怒るカガリ。彼女の剣幕に、軍人たちは騒ぎながら散り散りに逃げ出す。
湯を蹴立て、彼らを追いかけ始めたカガリの顔には――先ほどまでの憂いの色は、残ってなかった。
「いやぁ、オーブのみなさんの方が一枚上手だねぇ。まさかあんな捨て身の技で来るとは思わなんだ」
「……やっぱ、みんな考えること同じなんだね」
「そりゃ、お姫様が萎れてちゃぁ調子が出ないもの。あれくらい元気で居てもらわんとね」
目の前のドタバタ劇を眺めながら、揃って湯に漬かるマユとネオは言葉を交わす。
どうも先ほどのやり取りはワザとだったらしいが、しかしなお仮面を外す素振りはない。
「ねぇネオ……アウルたちは来ないの?」
「なんだ、ステラじゃなくてアウルに来て欲しいのか? ほーぉ、そういう仲だったのか、知らなかったなぁ」
「ち、違うって! ただ、アウルとは、前にそういう話をちょっとしたから……」
ブクブクと水面で泡を立てながら、マユは言葉を濁す。微妙に赤面してるのは、湯当たりしたわけでもあるまい。
「あいつら3人は――ちょっと別行動でね。まあ健康診断みたいなモンだ。
休暇が終るまでには、合流できるさ。なんなら、お兄さんがデートに付き合ってやろうか?」
「落ち込んでるわけじゃないけどさ。あとネオ、『お兄さん』って言うにはちょっとビミョーだよ? 年齢的に」
「あ、ひっでーな。こう見えてまだ結構若いんだぜ、オレって?」
どうやら心配して貰っているのは、カガリだけではないらしい。
そう気付いたマユは、その気遣いそのものがちょっとだけ嬉しくて――少しだけ、元気が出たような気がした。
「……スマンなアマギ一尉、こんな茶番に付き合わせて」
「いや、構いませんよトダカ一佐。我らの裸踊りでカガリ様が元気になれるなら、いくらでも」
湯煙の中、男2人。揃って頭にタンコブを作って、荒い息をついていたのはトダカとアマギ。
年齢を弁えぬバカ騒ぎ、あの体力自慢で暴力上等の国家代表と渡り合うのは、ちとキツかったようだ。
どちらも隠し持っていた水泳パンツをしっかり履いて、岩の上に腰掛ける。
「……しかし、今後のことを考えると、我々もバカばかりやってるわけにはいかんな」
「まったくです。アスハ家最後の1人、カガリ様の身の安全だけは何としても守らねば」
カガリの抱く憂鬱は、オーブ軍人たちにとっても同じことで。だからこそ、励まそうと思ったのだが。
これで良いのか。これで正しいのか。これが本当にオーブを守ることになるのか。考えるほどに不安は尽きない。
タケミカズチ艦長・トダカ一佐は改まった声になって。青い空を見上げながら、副官のアマギに語る。
「……アマギ一尉。これは、あまり大声では言えぬことだが……」
「なんでありましょう?」
「これはあくまで、万が一の話だ。そうならないよう、努力するのが前提ではあるのだが。
――我らは良い。国を出たその時から、覚悟はある。
しかしもし、タケミカズチが危機に瀕し、カガリ様のお命が危険に晒された、その時には――!」
――それは、突然に。
シリアスな会話もバカな騒ぎも全て内包した、スパリゾードの上空を――
いくつかの影が、走り抜ける。湯煙の上、バカンスを楽しむ彼らを一顧だにせず飛ぶ影。
翼を背負ったMSの影。2本の大砲を突き出した航空MA。そして、引き絞った弓の形の、巨大戦艦――
「なッ!? ……インパルス! セイバー! ミネルバ!?」
「そんな、連合の勢力圏内なのに?!」
「タケミカズチの方角……じゃないな、まずは安心か。しかし一体、どこに向かって……」
マユも、カガリも、オーブ軍人も、思いもかけぬ存在に思わず唖然となって。
ただ一人、ネオだけが、彼らの進む方角に思い至り、悲鳴を上げる。
「まさか、あいつら……『ロドニアのラボ』に向かってるのか!? 冗談じゃないぞ、オイ!」
「……へぇ、温泉だよ。呑気なもんだな」
「余所見をするな、シン。ここは敵地なんだぞ」
「分かってるよ。でもよ、ああも手ごたえがねーと」
ミネルバを先導する形で飛びながら言葉を交わすのはフォースインパルスのシンと、セイバーのアスラン。
実際――ここに至るまでの道は、拍子抜けするほど容易なものだった。
戦略的に意味の薄い地域とはいえ……ミネルバ単身で戦線の弱いところを突破し、敵を振り切って。
その後、ほとんど何の抵抗もない。
「油断するなよ。この先、何が出てくるか分からないんだからな」
「そりゃ、警戒はしてますけどさ」
2人とも、足元の温泉に漬かる人々の正体に気づきもせず、だから緊張感も未だなく――
――ミネルバ艦内でも、クルーたちの印象は同じようなものだった。
「インパルス、セイバー、ともに異常は見られないそうです」
「警戒は解かないように言って頂戴、メイリン。ここは一応敵地なんですからね。
あるいは、ここから近い軍港からMSが出て来るかもしれないわ。その方角も注意して」
メイリンの報告に、継続した注意を促すタリア。
流石の艦長も、まさかその「軍港」にタケミカズチがいると知ってたわけではなかったが……。
それよりクルーが気になっているのは、この任務の目的だった。
「……ベリーニさん、でしたっけ。どうなの、この状況は? 貴女たちの予想通り?」
「わたくしたちの作戦に合わせ、各地で陽動をかけてもらっているそうですから。そのお陰かもしれません。
ただ、『目標の研究施設』にはある程度のMSがいる可能性があります。注意して下さい」
「注意しろ、と言われてもね……具体的な情報はないの?」
「残念ながら。施設の性格上MSがあってもおかしくない、というだけの話ですから」
タリアの問いに淡々と答えたのは、白衣をまとった金髪の女性研究者。縦ロールが豪奢な雰囲気を醸し出す。
ヘンリエッタ・ベリーニ。自己紹介によれば、議長の下で『極秘の研究』を進める研究チームの一人で……
今回の任務のために、彼女の率いる研究者チーム、そして生化学兵器への対処を担う特殊部隊が乗り込んでいた。
「泥棒のような真似は、あまり好きじゃないのだけどね」
「アーモリーワンで奪われたモノの代金を頂きに向かう、とお考え下さい」
「勝手な言い草ね」
「……本当は、わたくしたちもナチュラルの開発した技術に頼らず、自分たちだけでやりたいのですがね」
微妙に緊迫した空気を載せたまま、ミネルバは進む。
やがて、地平線の上に、見えてくる建物。広い平原の上、忘れられたようにポツンと佇む四角い影。
それこそが、ミネルバのターゲット。単身敵地の中を突っ走り、「泥棒のような真似」をしに来た目的地――
――ステラ・ルーシェは、ヒマを持て余していた。つまらなそうに、ガラスの向こうの部屋を眺める。
J・Pジョーンズにあった『調整ベッド』、そしてその付属機器を数倍に大きくしたような設備。
その中に、スティングとアウルは眠っていた。『調整』の都合上、今日1日は目を覚まさないだろう、という。
彼らの周囲を、何人もの白衣の研究者たちが忙しそうに動き回る。
「……つまんない」
椅子の上で、だらけきった態度で座るステラ。
要『再調整』とされた男2人と異なり、ステラは少しの検査で『異常なし』と判断され、もうやることがない。
だからといって、今すぐラボの外に出て行くこともできず……
「マユと『オンセン』……入りたかったな……」
「おかしな人ですね。MSの生体CPUに過ぎぬあなたが、そんなことを望むなんて」
「……? ……あ、ロッティさん……」
腐りきったステラに後ろから声をかけたのは、全身防菌服で身を包んだ小柄な人影。顔は見えない。
このラボの研究員の一人、ロッティ・フォスだった。年齢だけで言えば、ステラたちにも近い。
ステラにとっても、顔見知り(という割には未だに素顔も知らないのだが)の女性である。
「……よく分からないけど……マユが、楽しそうに話してたから……」
「おかしな人ですね。他人が楽しそうなら全て気になるのですか?」
「そうじゃないけど……」
ロッティの追求に、言葉に困るステラ。自分の中の欲求を、うまく言葉にできずに口ごもる。
そんな様子を、防菌服の隙間から静かに観察する目は、確かに研究者の目で。
彼女は疑念を抱く。「……あちらの2人と同じく、外に出たことで人格に影響を受けたか?」
そんな2人のところに――ワイワイと、一群の男女がやってきた。10人ほどもいるだろうか。
まるで統一性のない、バラバラの外見。ただ年齢だけが近く、着せられている素っ気無い服だけが一緒。
「あー、ステラだステラだステラだ〜! 帰ってきたんだ〜!」
「怪我なかった? 元気だった? 戦争してきたの? 色々聞かせて!」
「あーこらこら2人とも。ステラは疲れてるんだから」
「そうだ。大体、今やルーシェ少尉は正式な軍人だぞ。もう少し礼儀というものをだな……!」
「……レイア、アニー、久しぶり……。ケリオン、ログ……別に、大丈夫だから……」
ステラの姿を見て駆け寄ってきたのは、小さくも騒がしい2人。お団子頭の少女と、小柄なアフリカ系の少女。
そして彼女たちの首根っこを捕まえたのは、茶髪の温和そうな青年と、筋肉質で厳しい顔つきの青年。
どちらも大柄な体格だが、見た目から受ける印象は対照的だ。
そしてまた、部屋に入ってきた面々の中には、スタラたちの帰還を素直には喜ばない者たちもいるようで。
「実戦で戦果を挙げたとはいえ、こうして出戻ってくるようではね。大丈夫か? あの2人?」
「そろそろ俺らに交代したらどうだァ? スティングたちよりァ役に立つぜ」
「……クロス、それ違う……ガル、言いすぎ……」
文句をつけてきたのは2人の青年。片方は紅い髪に両目の色の違う派手な外見。もう片方は、銀髪の混血児。
ステラは軽く2人を睨むが、紅髪の方はステラと目を合わせて肩をすくめ、銀髪の方は舌打ちして目を逸らした。
部屋に入ってきても、なお無言の者もいる。
東南アジア系の血を引く少女と、その背に隠れるようにひっつく前髪の長い少女。
ラインの入ったボーズ頭、という目立つ髪型の少年もいれば、片耳に大量のピアスをした少女もいる。
何人か来ていない者もいたが、『卒業』間近なエクステンデッドほとんどの揃い踏み。
流石に研究員であるロッティは呆れた声を上げる。
「おかしな人たちですね。なんでみんな揃ってこんなところまで」
「そりゃ、気になるからさ。うちらの知ってる限りじゃ、初めて実戦投入された3人だもの。
戦場の話とかも聞きたいし、ひょっとしたらあっちの2人と入れ替え、ってこともあるかもしれない」
「そんな可能性はありません。01も03も、明日までには調整が完了します。おかしなことを考えるものですね」
「ねーステラー! お話してー! 実戦ってどんな感じなの? いっぱい人殺した?」
「色んなとこに行ったんだよな? オーブってどうなの? あいつらコーディ飼ってるって本当?」
なにしろ狭い部屋の中に十数人ひしめいているのだ。狭くて騒がしくて仕方ない。
口々に話しかけてくる『後輩』たちに、ステラはどう答えるべきか思案する。
と、その時――
唐突に、警報が鳴り響いた。
「――前方に、MS反応! 数7、いや9!」
「なんですって!?」
「熱紋照合……ガイア、カオス、アビス各1、ダガーLが3、残る3機は……ライブラリーに該当なし!」
「ええぇぇぇっ!? な、なんであの3機がこんなとこに!? しかも新型も?!」
――施設に近づくミネルバは、続々と出てきたMSの姿を捉えていた。
四足獣形態で頭を低く下げたガイアを先頭に、ダガー系の風貌を残す見慣れぬ新型MSが3機。
そして巨大な2本の大砲を備えた、砲戦パックを背負ったダガーLが3機。
なぜか、ダガーLよりは戦力になるはずの、カオスとアビスの2機は最後方に控えたままだ。
「ミネルバ減速! 対MS戦闘用意! レイとルナも、出撃させて! それから……」
「……艦長、お願いがあるのですけれども」
慌しく指示を飛ばすタリアに話しかけたのは、未だブリッジに居座っていた研究者、ヘンリエッタ・ベリーニ。
お願い、と言うにはいささか傲慢な態度で、艦長に要求を突きつける。
「あのMSに乗るパイロットたちも、重要な『サンプル』である可能性が高いですわ。
できれば、生きたまま確保することを希望します」
「……簡単に言ってくれるわね。あの3機だけでも強敵だって言うのに」
「だから『できれば』と。1名だけでも確保できれば、今後の研究がまるで違ってきますので」
――ステラたちの側でも、近づくミネルバの姿は見えていた。
カオスを先頭に、ラボを守るように陣形を組む。
「……みんな、落ち着いてね。訓練通りやればいいから……」
『は、はいッ!』
「……ケリオン、サニィー、ミシェル……可変機の3人は、ガイアと一緒に前衛。
ログ、アニー、クロスは、後ろから砲撃……前衛が孤立しないように……」
『あたしらは? カオスとアビスはどうすりゃいい、ステラ?』
「……レイアとダーボは、無理しないで……機体を守って持ち帰るのが目的……撤退の支援に徹して……」
珍しく饒舌に指示を飛ばすステラ。今施設にいる唯一の実戦経験者、そして唯一の正規軍人に、みな素直に従う。
彼らの背後では、ホバー式の陸上輸送艇に、次々と色々なものが運び込まれ、施設放棄の準備が進められていた。
白衣の研究者やツナギ姿の作業員に混じって、目立つ全身防菌服に包んだ小柄な影が、ステラたちを見上げている。
ステラは迫るミネルバを厳しい目で見つめながら、決意を噛み締める。
「……マユだって、頑張ってるんだから……! あんな小さな子に、負けてられない……!
スティング、アウル、ラボのみんな。ちゃんと、ステラが守るから……!」
「……おかしな人ですね、エクステンデッド02、ステラ・ルーシェ。
以前の貴女は、そんな積極的な人ではなかったのに……」
適当な機体のなかったエクステンデッドたちを輸送艇へと促し、撤退作業を進めながら、ロッティは1人呟く。
研究員の中でも被験者との直接接触が多かった(だから防菌服など着てるのだが)彼女にとって、驚く他ない。
数値上のデータがどれだけ正常値を示そうとも、ステラの変化は明らかだった。
警報が鳴り響き、誰もが慌てふためく中で、1人素早く動いたのがステラで。
状況を把握し、研究者たちに撤退を認めさせ、後輩たちから志願者を募り、ラボにあったMSを割り当てて。
そしてこうして、先頭に立って後輩たちを指揮し、ラボの防衛に当たろうとしている――
――不可解だった。
元々ステラはこんな性格ではない。一応は戦術や指揮の訓練も受けてはいたが、明らかに指揮官には向いていない。
そして適性以前の問題として――優秀ではあったが、何事にも無気力で、ひたすら受身だったのだ。
命ぜられれば何でも的確にこなしはしたが、しかし、自発的に行動を起こすような性格では……
「……おかしなことですね。いったい何があったのやら。
いったいどんな人々と接触すればあそこまで変わるのでしょう」
首を振りながら、ロッティは再び撤退作業に専念する。
陸上輸送艇に運び込まれる、スティングとアウルを収めたままの調整ベッド。
今は、彼らの心的拘束の初期化作業中で。いまここで彼らを起こし、応戦させることはできない。
ひとまず今は、連合軍がしっかり守ってくれる後方まで、撤退せねば――
高速で駆けるガイアが、大地を蹴って空に跳躍する。
目の前に迫るビームブレイドを、フォースインパルスは咄嗟に盾を構え、受け止めて――
衝突で姿勢が崩れたところに、ダガーLが背負った巨大な2門の大砲が、狙い撃ちする。
PS装甲ゆえに実体弾は致命傷にはならないが、激しい衝撃を受け、地面近くまで落下する。
「……ちッ! 連携がいい!」
「気を抜くなシン! 新型が来てる!」
悪態をつくシンのインパルスの眼前に、見慣れぬダガー系MSが迫る。
それは、走りながら倒れこむように前傾すると……変形して、四足獣の形になる。
ユニコーンの角のように頭部にガドリングガンを装備した他は、ほとんどガイアそのままのシルエット。
「アーモリーワンで得たガイアを、早くもコピーしたのか?! 何て手の早さだ、連合は!!」
その連合ガイア、正式名称ワイルドダガーは、そのままインパルスに突進する。凶暴な突進。
背中にビームブレイドはないが、腰にあったビームサーベルの基部が90°回転し、同じように両脇に刃を形成する。
間一髪、盾で受け止めるも機体の一部を掠められ、激しい火花が散る。
見慣れぬ新型の動きに、押されるシンのインパルス。しかし彼もただでは転ばなかった。
彼自身は体勢を崩し、すぐには追い撃ちできなかったが……彼は、1人ではない。
盾で身を守りつつ……他の仲間の配置も考え、敵の動きを誘導していた。
インパルスを襲ったワイルドダガーは、攻撃の後に一瞬だけ無防備な姿を晒し――ビームに貫かれ、爆発する。
撃ったのは後方に控え支援体勢を取っていた、ルナマリアのガナーザクウォーリア。
「まず1つ! この調子で行くぞ!」
「どいつもこいつも、反応がいい! 普通のナチュラルじゃないぞ、油断するな!」
「ケリオン! くッ!」
「……前に出過ぎ……。みんな落ち着いて……!」
防衛側でも、ケリオン・レリアードの撃墜は衝撃だった。動揺走る仲間たちに、ステラが檄を飛ばす。
ワイルドダガーを前衛、砲戦装備ダガーLを後衛、という配置は悪くなかったが、それでも出過ぎれば討たれる。
「……輸送艇は? まだ出られない?」
『積み込みは終ったが、施設破壊の準備に手間取っている。自爆システムに異常が発見され』
「……それ、こっちでやる。外から壊す。だから早く出て。そう長くは……持たないッ!」
研究所との通信、そして仲間への指示を出しながら、ガイアはミネルバ隊相手に奮戦する。
言葉の途中でセイバーからビームを浴びせかけられ、横っ飛びに避ける。避けつつ、こちらもビームで反撃。
「クロスとサニィーは、輸送艇の防衛に。残る3人は、もうちょっとここで……頑張って!」
ダガーLとワイルドダガーを1機ずつ、カオス・アビスと共に撤退支援に当てて。
残るワイルドダガー1機、ダガーL2機と共に、カオスはしんがりとしての務めを果たさんと――!
「パイロットは殺さずに、とお願いしたではないですか」
「今はそんな余裕ないわ! 見て分かりませんか!」
「あとあの陸上輸送艇、アレを逃がさないで下さい。貴重な資料の塊です。
また、逃げるということは、残った施設の破壊も図るかもしれません。決して許さないように」
「努力はしますけどね、こっちは落とされないだけでも精一杯なのよッ!
せめて優先順位をはっきりさせてッ!」
ミネルバのブリッジでは、女同士の激しいやり取りが響く。
敵の抵抗は激しく、時折ミネルバにさえ敵の砲撃が届くほど。
揺れる艦内でなお無茶を要求する研究者に、ブリッジの空気は険悪になる。
「……仕方ないわね。メイリン、ルナマリアに連絡。あの陸上艇の足を撃ち、逃亡を阻止せよ、と」
「は、はいッ!!」
「レイはミネルバ近くでそのまま艦の防衛。シンとアスランは、そのまま敵MSを引き付けて。
厳しい戦いだけども、頑張って!」
「――艦長も無茶言ってくれるわね」
『無茶言ってるのは艦長じゃなくて、あのベリーニとかいう女だけどね。だから無理しないで、お姉ちゃん』
「……無理なもんですか。見せてやるわ、赤服を着てるのは伊達じゃないのよ!」
ミネルバから指示を受けたルナマリアのザクは、さっそく動き出す。
白いザクをその場に残し、横から大きく回りこむように。
目の前では、なおも続く激戦。インパルスとセイバーが、倍の数の敵を相手に、それでも善戦し足を止める。
その2人のお陰もあって、ルナの動きには気付きつつも、敵は咄嗟に対応できない。
建物の向こう側、鎮座する陸上輸送艇。タンカーのような巨体が、ホバーで大地から浮き上がり、動き出す。
ルナマリアはしっかり大地に足を据え、ガナーウィザードの大砲オルトロスを構える。
「……貰ったッ!」
しっかり狙いをつけて、必殺の一撃を放つ。ホバーエンジンを貫き、相手の動きを止めるはずの閃光――
しかし、その光は途中で遮られる。
間に割り込んだのは、艦の護衛についていた、ダガーL。
壁になる形で割り込み、しかし彼の構えた盾だけでは防ぎきれず――輸送艇の代わりに、爆発する。
「……ちぃッ! でもまだまだッ!」
ルナマリアは叫び、第二射の狙いを定めて――ふと、コクピットに鳴り響いた警告に顔を上げる。
見れば、いつのまにインパルスとセイバーを振り切ったのか。頭上から黒いガイアが飛びかかって――!
『スティングたち3人は、守らなき……』
「クロスッ! ……うおぉぉぉッ!」
眠り続けるスティングとアウルを載せた輸送艇を守ろうとして散ったのは、紅髪の青年クロス・アークハート。
それだけ『先輩』である3人への思いが強かったのだろうか。会えば悪態ばかりつく毒舌家だったのに。
彼の犠牲を無にするまいと、ガイアは半ば強引にセイバーを振り切り、ザクウォーリアに襲い掛かる。
あの長射程の大砲を潰さぬことには、輸送艇の安全は確保できない。
「でやぁああぁぁあァッ!」
「!! きゃッ!!」
空中で人型形態に変形したガイアは、ビームサーベルを振りかぶってザクウォーリアに斬りつける。
慌ててスウェーバックで避けようとしたルナマリアだったが、サーベルは長大な砲身を斬り飛ばして。
咄嗟に接近戦で対応しようと、赤いザクはガナーウィザードを排除しつつ、ビームトマホークを手にする。
しかしガイアの動きはそれ以上に速かった。振り抜いた右手のサーベルを戻すより速く、左手でザクに殴りかかる。
ガイアのシールド、その衝角にも似た分厚い突端が、ザクの腹に叩き込まれる。
吹き飛ばされ、大地に叩きつけられ、コクピットハッチを歪ませて――赤いザクは、動きを止める。
――その光景を、シンは全て見ていた。
目の前のワイルドダガーの激しい動き翻弄され、防戦一方だったシンは――見てしまう。
ガイアに迫られる赤いザク。斬りつけられる赤いザク。盾で殴られる赤いザク。倒れて動かぬ赤いザク。
機体を透けて通して、コクピットの中で頭から血を流し、意識を失ったルナマリアのイメージが『視える』。
「ルナ……ルナ……!? 死ぬのか……死んだのか……?! うそだろ……!?」
シンの目は、ルナマリアの危機に大きく見開かれ。
倒れたザクの姿が、何故か2年前のオノゴロ、家族を失った日のイメージに重なる。
脳裏によぎるのは、何故か妹の笑顔。
いやだ。
あんな想いは。
死なせたくない。
もう大事な人が居なくなるのは。
ダメだ。認めない。
頭の中に、形にならない想いが渦を巻いて――ついに彼は、限界を突破する。
シンの脳裏に、何かが砕け散るような音が、響き渡った。
――傍目に見たら、インパルスが動きを止めていたのは、ほんの一瞬だった。
その一瞬の静止に勝機を見たワイルドダガーが、四足獣頭部のガドリングを乱射しつつ、インパルスに迫る。
ガドリングで動きを止め、通りすがりのビームサーベルの一撃で勝負を決せんと図る。
普段は大人しいワイルドダガーのパイロット、ミシェル・クルストの、別人のように激しい攻撃――
だがインパルスは――今まで苦労していたこの敵を相手に、信じられない動きを見せた。
滑らかな動きで、最小限の動きでガドリングの弾幕を回避しながら、何気ない素振りでビームサーベルを投擲する。
完全に相手の動きを読み切ったインパルスのサーベルは、吸い込まれるように敵のコクピットを貫いて。
その様子を見ていたダガーLが、攻撃によって姿勢の崩れたインパルスに砲撃する。
普段は陽気な黒い肌の少女アニー・アニータ・アーナンダ、しかし彼女も普段とは対照的な、機械のような無表情。
友人の死を目前にしても動揺なく、機械のように正確な射撃を放ったが。
崩れた姿勢から、インパルスはさらに空中で身を捻り、攻撃をかわす。砲弾が装甲を掠めるほどの、紙一重の動き。
かわしつつ、シンは焦点の微妙に合わない目で、抜きざまにビームライフルを放つ。たった一発。
たった一発で、これもまたコクピットを綺麗に射抜く。
散々苦戦したワイルドダガーと砲戦装備ダガーLのコンビネーション、これを破るのにほんの数秒。
そしてその2機の爆発を背にして、ザクウォーリアの上にのし掛かるガイアに、銃を向ける。
仲間の死を嘆くする余裕もなく、ガイアは慌てて防戦に回る――
「……なっ!? し、シン?!」
「何だ、あの動きは!?」
友軍さえも驚く、別人のような動き。
元々腕の良いシンではあったが、しかし今までは攻撃を意識しすぎ、どこか動きに無駄があったのだが。
今のシンは――まるで無駄がない。最適の動きを最速のスピードと最高の精度でこなす、非人間的な動作。
セイバーで上空から見下ろすアスランも、後ろから全てを見守っていたレイも、ただ驚いてしまって。
だから、敵の輸送艇が逃げ始めたことにも、すぐに反応できず……
「なに、これ……!」
そのインパルスを迎え撃つガイアのステラも、この変化には驚くしかない。
嵐のように激しい、それでいて寸毫も無駄のない連続攻撃に、たちまちガイアは無力化させられる。
腕を飛ばされ、頭部を飛ばされ、足を飛ばされ……苛烈な攻撃の中、コクピットは守り抜いたが、しかし。
片足で着地しそこね、バランスを崩した人型のガイアに――急速に迫ったインパルスの蹴りが、ヒットする。
激しい衝撃。地面に叩きつけられ、意識を失う瞬間、ステラが口にした名前は――
「スティングッ……!」
動きを止めたガイアの胴体に、インパルスはライフルの銃口を押し当てて、トドメを刺さんと引き金に指を――
「……う……ア……し、シンッ……」
「!?」
シンの動きを止めたのは、掠れるような微かな声。普通なら聞き逃しかねない小さな声。
勢いのままにガイアを撃とうとしていた彼は、一瞬で正気に戻る。
「る、ルナッ! 無事かッ!?」
「……無事じゃ、ないっぽい、けど……、いちおー、生きてる、わよ……。
なんか、ハッチも、開かないけど……」
そう、それは、倒されたザクウォーリアの、ルナマリアの声。
通信画面に映る顔は、言葉を発する度に苦しそうに歪む。肋骨にヒビでも入っているのだろうか。
シンはもう動かぬガイアをその場に打ち捨てて、慌てて赤いザクに近寄る。
インパルスの手が、ザクの歪んだコクピットハッチを、強引に引き剥がす。
一方――上空にホバリングするセイバーは、遠ざかる敵を見送っていた。
向こうには、積極的に戦う素振りを見せなかったとはいえ、難敵であるカオスとアビスが無傷のまま温存。
ワイルドダガーも1機いるし、セイバーの相手をしていたダガーLも合流している。
この状態で、セイバー1機で追うのは、いささか荷が重すぎた。
上空に留まり、空中で周囲を警戒しながら、アスランは1人呟く。
「ま、施設の破壊を阻止できただけでもよしとするか。
――しかし議長は、何を求めているんだ?
こんな小さな拠点を占拠したり、あのパイロットたちの身柄を欲したり……」
眼下では、ミネルバがラボの近くに着地して、乗り込んでいた歩兵たちが下りてくる。
ガイアから、ぐったりした金髪の少女が引きずり出される。結局、生きたまま捕らえられた唯一の敵パイロット。
白衣の研究者の入り混じる歩兵部隊の一群が、無人の建物に侵入していく。
ザクからルナマリアを救出したシンは、遅れて駆け付けた救護班の手際の悪さを罵っていて。
白いザクファントムは、整備兵たちと共に赤いザクとガイアの機体回収に入る。
それらの動きを見下ろしながら――アスランは、議長の意図が読めずに、困惑する。
「議長は――いったい、何を考えているんだ?」
あたりはいつしか日も傾いて、夕陽の中に世界は紅く染まり。
アスランが漠然と抱く不安そのままに、世界は不穏な色を見せ始める――。
第十六話 『 命の価値 』 につづく
……というわけで、実はこれアニメ第26話『罪の在処』の焼き直しでした。
あの一話、連合側・ザフト側双方共に、戦闘に至る経緯に大いに問題アリと見ていたので。
募集キャラも沢山出しましたし、いろんな意味で欲張りな1話になってしまいましたね。
・エクステンデッドたち
なんか勿体無くて沢山出してしまいました。名前が出たうちの半分くらいは、死んでしまいましたが……。
ダーボ(カオスに乗ってたが地味に撤退)、レイア(アビスに乗ってたが地味に撤退)、
ケリオン(ワイルドダガーで戦死)、ミシェル(ワイルドダガーで戦死)、クロス(砲戦ダガーLで戦死)、
アニー(砲戦ダガーLで戦死)、サニィー(ワイルドダガーで出て生存)、ログ(砲戦ダガーLで出て生存)
サヤ、ガル(会話シーンで登場するもMSなし)
他の人々も、今後顔出すかもしれません。
・ヘンリエッタ・ベリーニ/ロッティ・フォス
この2名、「エクステンデッド」として募集した中から、敗者復活的に「研究員」として抜擢させて頂きました。
没落貴族風のヘンリエッタは、コーディネーターという設定にしてザフト側の研究者に。
防菌服に身を包むロッティは、連合側の研究者に。視線恐怖症的な部分は少し和らげました。
どちらも、実戦で戦わせるよりは会話させた方が面白そうだ、動かしやすそうだ、と思っての処置です。
両名の提案者さん、勝手に役割変更してしまって申し訳ありません。
・温泉
ギリシャには結構温泉あるそうです。具体的にどこかは示しませんが、漠然と北ギリシャあたりです
・ブロックワード
冒頭のステラの夢で分かるように、より積極的な意味を持たせています。
アニメ本編のような、暴走停止用の呪文であるのみに留まりません(あれだけでは単なる無用な弱点です)。
その人物のトラウマを一言に集約して封じ込めることで、人間離れした精神力を獲得する手段にもなっています。
そして、光るベッドによる調整は、そのブロックワードを支える催眠術を維持・補強するためのものです。
そんなわけで……「調整無用のエクステンデッド」「ブロックワードなしのエクステンデッド」というのは、
他の方法で暴走を避けられたとしても、この設定下では逆に弱体化を避けられないことになります。
そのような試みを行った失敗作も募集した中から出そうかと思ったのですが、尺の都合上泣く泣くカットです。
・ワイルドダガー
デスティニーMSVの機体。個人的に好きで出してしまいました。
元の設定よりも早めに実戦投入されている他は、そのままです。
蛇足な設定を付け加えれば、ロドニアのラボで訓練機として使いつつ、性能評価を行っている最中でした。
ラボにあったダガーLの3機も、本来は訓練用です。
次回は本編で間延びした(と個人的に感じた)部分を、かなり詰めてしまうつもりです。ではまた。
隻腕GJです!
待ってました!
いやー、種割れシンツヨスwww
出てきた新キャラたちたくさん死んでしまいましたねーカワイソス
でもそれが戦争ですからね。
とりあえず自分の考案したキャラが出てたのでうれしかったッス。ありがとう!
これからも応援してます。頑張ってください!
隻腕kita-------
纏めサイトで見ててサブイボがたったぜ!シンカッコよす
隻腕乙!
やっぱユウナいいな出番短かかったけど。ウナトがロゴスそのものになるとは。
オーブのおっさん連中、ちと自重しろw
ぬおー!隻腕様超GJ!!キャラ採用トンクス!ステラさらわれちゃったけどまだアウル生きてるからウレシスw
アウル頑張れw!誰か殺せw!
纏め人さま、いつも手が早いな。今見たらもう隻腕がまとめられてる
ウナトォ〜〜!!(ワナワナ……)
スク水って、ユウナ……w
隻腕さんGJです! 自分はエクステンデットのキャラ企画には参加しませんで
したが、当初の人数しか採用しないのではなく、こうやってたくさん採用して
いくというのは、大賛成です。
これからも頑張ってください。w
隻腕作者様GJです!
種割れシンテラツヨスw
ヘンリエッタの提案者です。
役割変更大いに結構ですよw
食べ応えのある料理の材料に使って貰えたって事が、何より嬉しいですしね。
>感想
スパシーンのコミカルさに吹き出しました。
ユウナは良い趣味してますねw
原作では掛けた時間の割りに色々と消化不良気味だったエピソード。
どう料理されて出てくるのか、楽しみに待っています。
隻腕作者様乙&GJ!
ユウナとオーブのおっさん達に笑ったわwww
てかまさか自分が考えたキャラが出るとは…しかも生き残ってるしw
ここはハイネ隊がミネルバの一室を改造して作ったダンススタジオである。
本来公演が近くなった時に振り付けを練習するのに使用するのだが、今は全く違う意図で使用されていた。
「はぁっ!!」
「甘いっ!」
スタジオの真ん中では戦いが繰り広げられていた。
片方は幼い少女マユ・アスカ、かたや眼鏡の青年アキラ・アインズだ。そんな二人がトンファーと竹刀で打ち合っている。
トンファーによる連続攻撃で一気に止めをさそうとするマユ。壁に追い詰められるアキラ。
とうとう壁まで数十センチまで追い詰めたマユは、一気に上段の攻撃でとどめをさそうとする。
「でいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつ!!」
マユが今にもトンファーを振り下ろそうとした瞬間、アキラの姿が突然消え、腹部に鈍い痛みが走る。
「ふむ、今の攻撃はスピードもパワーもありましたがやはり隙が多い、実戦では命取りになりますよ。」
アキラが普段とはまったく違う厳しくも優しい口調で言う。
「いててててて・・・・。」
「どうだー、アキラはやっぱし強いだろ?」
痛がるマユに近づき、ニカッと笑うハイネ。周りにはミネルバのおなじみのメンバーが集まっている。
実は復活したアキラの調子見をかねて皆で生身で勝負してみようと言う話になったのだ。
「どう言う原理なの・・アキラお兄ちゃんの変身っぷり・・・、多重人格?」
「うんにゃ、アキラのあれは妄想の行きすぎ。一種の自己暗示、催眠術だな。」
あきらかに普段とは違う雰囲気のアキラを見てマユはため息をつく。
何でもハイネ曰く、アキラは幼い頃からのイジメでかなり自分の殻に閉じこもってたらしく、
その性で一種の催眠術を習得してしまったらしい。
なんでも『好きな自分』になる、と言う類もので、要するに想像した能力そのものを手に入れる物だ。
と、いってもそれはキチンとどう言う風に戦うか目で動きを見てそれを元に頭で組み立てるものらしい。
つまり、あくまでそアキラの『妄想』は『模倣』である。
実際目で見たことのないような戦闘法、要するに『超人』の類には慣れない。
まぁ、まとめるとすれば演劇で言うところの、役を降ろすといったところである。
「なるほど、初めてこっちに来た時のアキラお兄ちゃんの性格がまったく違ったのはそのせいなんだ。」
「そう言うこった。いやぁ、あの性格の時のアキラは説教くさくて大変なんだ。」
やれやれ、色物にも程があるよなぁと呟きながらため息をつくハイネ。
「そう言うハイネも某イケメンスレに負けないくらい色物だと思いますが。」
アキラはスポーツドリンクを飲みながら言い返した。
「あ、皆ここにいたのね。もう!探しちゃったわよ。」
なにやらバインダーらしきものを抱えながらグレイシアがやってきた。
「それ何?」
グレイシアが抱えている物を見てマユが言った。
「あぁ、これ?アルバムってていっても一年分くらいだけどね。よく考えたら私達って出会ってそれくらいなのよねぇ・・。」
しみじみと語るグレイシア。そこには様々な写真が載っていた。
それぞれ士官学校時代のものと思わしきものからハイネ隊結成時のものや演劇公演のものまで。
そして・・・、そこには眩しく笑う黒髪の少女がいた。
「あれ?この人・・・・・・。」
その少女に気づき疑問を口にしようとするルナマリア。しかし、戦死してしまった人物と考えたのか言葉を濁す。
「あー、違う違う。うちの姫はちょっと家出してるだけ。・・・・死んでるわけねぇよ。」
軽く答えたジョーは最後にぼそっと呟く。その目は今まで見た彼の目の中で一番悲しい目だった。
ミーアについて説明するハイネ。その時、アスランはかすかに驚き、マユは顔を少し暗くした。
「・・・・・それにしても・・、これは何をしてる図なんだ?」
その写真はジャージを着たハイネ隊の一部のメンバーがハイネに説教されている写真だった。
「これは合宿の時の。」
すっかり学生のノリである。
ゼロが言うとハイネ隊の面々は次々に語り始めた。
コズミック・イラ72・・・・。
とりあえず戦争は終わり、平和な時が流れた。
しかし、そこで困ったのが兵士の扱いである。
周りとの関係がうまくいかなかったり、規律を守るのが嫌になった兵士が
戦争が終わった後ザフトを去るものも多くなった。
しかし、そんな軍の規律を乱すような奴らが戦争が終わった後も堂々とザフトにいる奴らがいた。
その上戦力的には非常に大きいものがあり、強制的に辞めさせるわけにもいかない。
そんな兵士を、上層部は一人の若きエリートの託す、もとい押し付けた。
そして、その若きエリート・・ハイネ・ヴェステンフルスは彼らを拒まなかった。
これがハイネ隊結成理由である。
特殊な部隊として認定され、個人のMSに改造を許されるなど様々な特権がつく。
それも全て臭いものに蓋をするためであった。
さて、ハイネ隊の話をしよう。今でこそ皆仲が良いが結成当時はそれほどでもなかった。
ハイネと隊員との関係はバッチリである。だが、隊員間の間が問題であった。
それはアキラ。
アキラはいじめに遭って来た為か人と距離を置く傾向にあり、
態度も謙虚で一歩引いたものばかりであった。
その上、ジョー達がちょっとからかっただけでも酷く傷つく事がしばしばあったのだ。
別にジョー達を悪い奴とはアキラは思っていない。ただ、怯えているだけである。
ハイネはたまたまアキラの趣味の世界を良く知っていたのでよかったのだが他の隊員は
そうもいかない。
面倒見のいいグレイシアや同期のゼロ。そして妹のようなミーアにはアキラも警戒を解いていたが
ジョー達三人組にはどうしてもそのノリや風貌から怯えてしまうらしい。
そこで、ハイネはこう思った。
「そうだ、合宿へ行こう。」(BGM:私のお気に入り)
>>448 乙!!シンが種割れしたりステラが捕まっちゃったりとものそい手に汗握る展開ですね!
ネオやトダカやアマギのおっさん連中の頑張りにちょっと泣けました
男祭りのなかにまさかトダカいるなんて思わなかったから吹きましたがw
ブロックワードの意味も変わってるけど確かにこっちの方が使えるなーと
原作とは違っている人間関係も素直に楽しいです!
「ミーアだけ個室はずるいーー!!」
「文句いうなカルマ!!ミーアは女の子なんだぞ!!」
ここはプラントでもド田舎のど田舎、日本でいう群馬とか長野とかの
山の中といったところである。
ここは地球の日本の『温泉街』をイメージしていた観光用のコロニーだったのだが
ド田舎だったため寂れてしまったのである。
ハイネはここがちょうど良いと思い(宿泊料金も格安だ)ここで合宿をすることになったのだ。
ちなみに部屋割りは男性陣、大部屋一つ、ミーアに個室一つ。
そして、様々な訓練(例:MSによる演習、山の中でサバイバル バーベキュー)
などをこなし、夜になった時のことだった。
ミーアも大部屋に来て、全員でトランプやらウノやらドンジャラやらマージャン大会
やらをやっていた所、お菓子と飲み物が切れてしまいジャンケンで負けたハイネ、グレイシア、
ゼロが買出しに行ってしまった時である。
「それっ!!」
「おっ!!枕投げか?一度やって見たかったんだよな♪」
「じゃぁ、僕もっ!」
例の三人組(酔いどれ)が枕投げを始めてしまい、ミーアとアキラは大人しく隅っこでババ抜きをしていた。
すると、そこに突然枕が飛んできてアキラに当たってしまったのだ。
「うわっ!」
突然のことに反応できなくてもろに当たるアキラ。
それを見ていた三人組(酔いどれ状態)、ニヤッっと笑ってアキラを総攻撃である。
まぁ、これが仲のいいクラスメイト同士とかだったら微笑ましいが、
いわばリンチ状態である。ぶっちゃけまだこの時アキラは年上のキースとカルマには「さん」
付けをして呼んでいたくらいである。とてもじゃないが反撃できない。
そして、これを見ていたミーア嬢(酔いどれ)。
彼女も軍の中で『ブスのくせにラクス様の声に似てるなんて!!』と熱狂的ラクスファンに
理不尽なイジメを受けて、ハイネ隊に来た口である。その様子はミーア(酔いどれ)には
ふざけてるようには見えなかったらしく、ここに第一次スーパーマクラナゲ大戦が始まった。
みんなの過去編を書こうと思ってハイネ隊から手をつけたら予想以上に長いよ、ほのぼのです。
いやね、マユ全然出てきてないけどハイネ隊の過去が終わったらオーブ時代の
マユとシンの話とかレイとマユとシンハロと議長の家族話と書く予定ですので
お楽しみに。
人気投票が始まりましたねぇ、それについての我がマユのコメントがミネルバから
届いております。VTR、どうぞ。
『シンハロー、ちゃんと撮ってる?え?!もう始まってる?!
どうもーv全国のお兄ちゃんたち!マユ・アスカですv
(マユ、いかにもな挨拶は逆効果だ。今時はツンデレだ)
(えぇっ?!レイ兄ちゃんもっと早く言ってよ!)
あ・・・、えーこほん。我がほのぼのにもゲスト出演してくださった隻腕さんちの
マユちゃんが好評で私も嬉しいです。うん、あ、ひがみとかじゃないよ?
まぁ、大体あっちの人たちがホテルの料理だとすればこっちは牛丼屋だからね。
はやい、やすい(?) それなりにうまい の三拍子。
うん、まぁでも人気投票だったらまず勝てないよね。だってハイネ隊の皆とか
シンハロの性で私のキャラが目立たないもん。
でも、セーラー服とか着てるよ?・・・やっぱブル魔にしろってか。スク水は反則だ・。
なんかシンハロが袴はいて二人で『ハロまゆ道中記』とかで花札のミニゲーム。
あー、何言いたいのかってのはようするに・・・ほのぼのマユデスをこれからもよろしく。』
ブツッ・・・・・。
えー、以上ミネルバから届いたマユ・アスカさんからのビデオレターでした。
それでは。
確かにスク水は反則だよなーw でも拗ねるなほのぼのマユw
ほのぼのはああいうキャラ投票では不利なような気がス。満遍なくキャラを愛してる分。
でも作品は好きですよwww
正直、毎回ネタを理解できてるわけじゃないですがww
ミーア・キャンベル
本物のお姫様に憧れた町娘。身体的な設定は同人アニメにもとづく。
日本かぶれの厳格な父の元に生まれ、幼い頃から長刀にお琴にお花にお茶、
さらに着物の着付けなど大和撫子になるようにと教育を受けていた。
しかし、あまりに厳しかった家を出るためにザフトに入隊。
親の猛反対からザフトに入隊できたのは戦争が終わってからだった。
そこでラクス・クラインに匹敵する歌唱力と声が仇となりイジメにあい、ハイネ隊に送られる。
しかし、その後ギルバート・デュランダルと接触し、公演『シンデレラ』の千秋楽を迎えた
後に行方不明になる。
アキラ・アインズ
緑色の目をした東洋人。ナチュラルとコーディネイターのハーフ、身長170cm
。年は十八歳。眼鏡に病弱と女の子だったらと後悔させる設定が多い。
外見はそこそこいいがアキバ系で801までOKと言う末期オタクな
ので彼女はいない。性格はいい奴だがオタクである事を隠そうともしない。
オーブ出身でコーディとナチュのハーフであるため差別は大嫌いである。
度重なるイジメと親友を失ったことから他人に対する警戒心が強い。
一度ハマったら徹底的に極めるタイプで知識量は多く、ゲームに出てくる武器を
再現しようとしたりする。
また、一種の催眠術を知らず知らずのうち習得してるあたり、実は凄い奴。
やれば出来るけどやらない子。やったらうまくいくけど、ミスをする子。
最近髪を切るのがめんどいので適当に伸ばして結んでいる。その黒髪を結んでい
るのは白いリボンであるが、最近は青いリボン、または金の止め具なのがちらほ
ら見掛けられる。
>隻腕作者様GJ!!
クロスを出した者です。
クロスは死んでしまいましたが格好良く散らせてもらったんで嬉しかったっす。
トダカさん…アマギさん…そしてオーブの軍人達…何してんすかあんたら…。
シンは激強でしたね。
もう本編のこの頃を遥かに凌いでる感じがしました。
ここは活気があっていいなぁ…
>>468 まとめサイトのトップに載ってたよ
今のところ混乱もないし大丈夫かな
>>468 ゲンがぁ〜〜!!
さすが運命をねじ伏せる男……、あなどれん……
隻腕はキャラで票が割れてんのかな
>>470 隻腕は登場キャラ同士で票の食い合いしてるから
それだけ魅力的に各キャラが描かれているってことなんだろうけど
474 :
470:2005/11/25(金) 23:50:20 ID:???
>>472 オレの気持ちを汲み取ってくれてありがとう。
だが、ゲンも好きだから納得しちゃうんだよね。
マユ種のマユも好きだが、もう投票しちまったし……
この票の増え方、ひょっとして多重投票?
どういう仕組みの投票システムかわかんないな
連続投票とか一日一票とか出来ちゃうの?
>>476 連続投票は許可してないです。
まぁ、連続で投票できないだけで誰かの投票後はまたできるんですけどね。。。
モラルの問題だとは思いますが、管理者権限で期間だけ決めさせてもらってもいいかな?
・投票期間:12月9日(金)23時59分まで
その他投票ルール等は皆さんにおまかせします。
ただそんな議論にここを使うのはしのびないので避難所での討議を希望。
多重投票の疑惑は限りなく黒に近いがとりあえず
ゲン、隻腕マユ、隻腕ユウナがやっぱし3強になるんだろうか。
個人的には隻腕カガリがまだ0票なのが意外……。
>>480 ・・・消えて・・・るなぁ・・・
いろいろメンテしている最中に消えたかなぁ。。。いたらない管理人ですまん。。
復旧もこころみましたがマジで消失したっぽいorz...
項目は再度作りますので、投票されたかた。再度投票のほどお願いいたします。
ほんとーに申し訳ない。。。。。。。。。
隻腕マユの項目復活してましたよ、票数も
しかし、隻腕マユの項目が二つあるんだよね……。名称違いで……。
隻腕作者さん、ほのぼのさん、お疲れ様です!
いや〜まさかトダカさんにギャグをさせるとは・・・漢だぜ。
本編と違って、ステラがお姉さんぽいのも新鮮でした〜ワイルドダガー、
カッコいいよね。ミネルバの捕虜になってしまったステラの運命やいかに!?
極めつけは・・・・・・スク水マユ、GJ!!!萌えだ・・・
ほのぼのはアキラの過去が・・・何だか他人の気がしないよ・・・
「トレース・オン」はGJ!となると、アキラの声は谷山か?
>>480 今、投票に行ったら、隻腕マユが2位になっていましたが・・・
ご無沙汰しております。
色々ありまして、しばらく離れていました。放置状態になってしまい申し訳ありません…
前回からもう二ヶ月近く経っていますが、続き投下します。
一人の青年がいる。
かつて平和を願い、"正義"の名を持つ剣とともに戦場を駆けた青年。
全てを終結させるために、彼は剣を自ら封じた。
全てが終結したその後に、彼は真実の名を封じた。
崩れる世界、揺らぐ平和。
彼の中の力は、再び目を覚ましつつある。
PHASE-05 アレックス・ディノ
「結局逃げられちゃったの?」
戦艦ミネルバの通路。マユが隣を歩くレイに尋ねると、彼は仏頂面のまま答える。
「無理もない。敵艦は条約違反のミラージュ・コロイドを装備しているのだからな」
「それはそうだけど…悔しいな」
ショーンの死が未だに重く引っ掛かる。レイは一度深い溜め息をつくと、マユの肩を叩いた。
「お前のせいじゃない、気にするな」
「うん…解かってるんだけど、なんか、ね…」
レイはマユの頭を軽く撫でる。マユはいつもそうされる時と同じように、くすぐったそうに身を縮こまらせた。
……なんでミネルバの男の人たちは、私の頭を撫でるのがそんなに好きなんだろう。
「あまりデイルの前では話してやるなよ、余計な気を使わせるな」
「……うん」
ミネルバのMS隊の実質的な隊長であるレイは、パイロットの心身のケアも怠らない。
ショーンの死から時間にしておよそ1日、何度かデイルの姿を見かけたが、顔にまるで生気がない。
彼らの境遇を知ってしまったので、自分もますます憂鬱な気分になる。
「でもなんか、信じられないよ。もうショーンに…会えないなんて」
ショーンはレイに似て、冷静沈着で物静かな男だった。確か、趣味は読書だと言っていた気がする。
そんな彼だったが、うるさすぎるぐらいのチームのムードメイカー、デイルと一緒にいることで、不思議とバランスが取れていたように思う。
自らの半身を失う感覚。
マユには痛いほどそれが解かっていた。自分も同じ体験を、二年前にしていたから。
ふとマユは、レイを見上げる。
彼の横顔はいつも通りに見えたが――微かに、遠くにいる"誰か"に想いを馳せているようにも見えた。
「それが、"死"というものだからな」
レイはこちらを見もせずに、真っ直ぐ歩きながら喋り続ける。
「つい先日までそこに当たり前にいた人が、突然いなくなってしまう。死というのは、そういうものだ」
なんだろう。彼の横顔に、影が差している気がした。
レイの過去は聞いたことがない。議長の養子だとかいう噂もあるが、あまり詮索する気にはなれなかった。
それどころかルナやメイリンも、何故軍なんかにいるのかは解からない。デイルとショーンについては、ついさっき聞いたばかりだったが。
「だが――死が絶対の終わりだとは、俺は思わない。死んだ人間の想いは、常に生者と共にあり続けるのだから」
「レイ…」
それはレイの口から聞くには、意外すぎる言葉に思えた。
そもそもマユは、レイのことをそこまで深く理解しているわけではない。これまでも彼の事は現実主義者だと思っていた。
感情より効率、理想より現実。彼の纏うどこか冷たい空気が、周囲にそんな印象を与えていたのかもしれない。
「無論、死ぬ事がなければそれが一番だ。そのことだけは忘れるなよ」
マユは仲間の意外な一面を見る事が出来た気がして、少しだけ嬉しくなる。
「うんっ!」
「いい返事だ」
並んでレクルームに入ると、既に何人かがが揃っていた。
ルナ、シュウ、ヨウラン、ヴィーノ、デイル。メイリンはまだ当直だろうか。
なんとなく、"足りない"感じがする。
「本当かよ、それ」
そう言いながら、ヨウランがこちらに気付いて軽く手を振った。
ルナマリアは何かを熱心に語っていたが、やがてこちらの存在に気付き向き直る。
「あ、マユ、レイ!ちょっと聞いてよ、大ニュース!」
相変わらず暗い顔のデイルが気になったが、マユはソファに腰掛ける。
「何々、どうしたの?」
「な、ん、と!このミネルバに、オーブのアスハ代表が乗ってるのよ!」
「……へぇ」
無関心を装って、シュウに軽く目を遣る…あからさまな不機嫌顔だ。
胸中に苦みが広がる。喉の奥がすっぱい。何故だか知らないが、嫌な汗が出てくる。
「なんだかアーモリーワンに来てたみたいで、あたしが助けたんだけど…って」
ルナマリアは素早くマユの顔を覗き込んで、額に手を当てる。
「大丈夫?具合悪いの?」
「え?う、うん。ごめんね、ちょっと疲れてて」
「そう?無理しちゃダメよ、あんたはそうでなくても無茶するんだから」
「ありがと、ルナ」
仲間の気遣いに、少しだけ気持ちが和らいだ。マユが軽く微笑むと、ルナはやれやれ、と言った調子で頭を叩く。
「で、アスハ代表殿はいつ降りるんだよ。この艦だってこれからは戦闘だぞ?いつまでも乗せとくわけにはいかないだろ」
シュウゴの問いに、ルナは肩を竦めて見せた。
「そんなのあたしに聞かないでよ。さすがにオーブの代表様が考えてる事までは見抜けないわ」
「……だな、悪い」
「別に謝らなくてもいいけど」
「でも、オーブのお姫様が何の用なんだろうね?わざわざアーモリーワンみたいな場所に…」
ヴィーノが疑問符を浮かべると、レイがそれに答える。
「アーモリーワンには議長がいらっしゃっていたからな」
「あ、そっか。それでかぁ…」
ヴィーノが頷く。そこでドアが開き、メイリンが慌てた様子でレクルームに飛び込んできた
「どしたの、メイ?」
何かを言おうとしていたが、息があがった様子で中々言葉が出てこないらしい。一度深呼吸してから、メイリンは言葉を繋いだ。
「たっ、大変!例の強奪犯、追ってる場合じゃないかも…」
「ユニウスセブンが、だと…!?」
カガリが絶句した横で、アレックスは打ちひしがれていた。
何故だ。
「ですが今、現に動いているのです。地球に向かって、それもかなりの速度で」
アーモリーワンでの戦闘に巻き込まれた後、アレックスとカガリはこのミネルバに乗艦した。
しかしミネルバはそのままボギーワンの追撃戦に移り、騒動がとりあえず落ち着き議長と面会できた頃には、すでにミネルバはアーモリーワンを遠く離れてしまっていた。
それに加えて今度は、ユニウスセブンが地球へ向かっているというのだ。
かつての"血のバレンタイン"で崩壊した農業プラント。安定軌道に乗っていた筈の墓標。
「本艦はこれから対応に出ます。代表には別の艦に…」
「いや…私も残る!」
デュランダルの提案を、カガリはあっさり却下した。アレックスは思わず目を丸くする。
「あ、いや…無論、そちらが良ければの話だが…この事態を静観しているわけにもいかない」
タリア・グラディス艦長が溜め息をつく。当たり前だ。そんなことは不可能に決まっているのだから。
成り行きで乗艦しているとは言え、一応これは軍の最新鋭艦である。敵対関係ではないではないとはいえ―――
だがそんなアレックスの思考とは裏腹に、デュランダルは悠然と微笑んだ。
「いいでしょう。我々は同志だ。姫のお考えを無碍にするわけにもいきませんしな」
これにはさすがに、カガリ本人も目を丸くした。
「ネオのヤツ……」
ガーティー・ルー艦内通路。
ゲン・アクサニスはブツブツと呟きながら、廊下の壁に背をもたれ掛けていた。
気に入らないことばかりだ。ストライクもどきの存在。自分への仕打ち。全てだ。
あれだけの性能を持ったMSの存在などこちらの耳に入っていなかったのだ。それでこの戦果…間違いなく、僥倖と言っていい。
「あぁ…ちくしょう」
右手で頭を掻き毟りながら、廊下に座り込む。ひどくイライラする。殴られた部分の口中が痛む。
周囲からは機械的な存在に見られているであろう自分。けれど恐らく、誰よりも感情の処理が下手なのは自分だ。
「(……アイツにも)」
アイツにもよく言われたな…下手糞だって。
「ゲン?」
最近になって、ようやく聞きなれた声。名前を呼ばれて、ゲンは顔を上げた。
またボーッとしていたらしい。たまにあるのだ、何も考えずに過ごしている時が。
「ステラ。どうした?」
「うん、スティングが……」
目の前に立っていた少女――ステラ・ルーシェが言うと、ゲンはすっと立ち上がる。
「呼んでるのか?」
「うん。部屋にいるから、連れて来いって」
ステラはゲンの制服の袖を掴んで、くいくいと引っ張る。ゲンはそれに従い、並んで通路を歩く。
不思議と胸中で濁っていた気持ちが、すっと軽くなった気がした。
「何やってんだ?あいつら」
「トランプ…」
「……トランプ?」
「うん。アウルが離してくれないから、って…」
「あぁ…なるほどな」
アウル・ニーダの顔を思い浮かべ、ゲンは納得した。
アウルはひたすらにわがままだ。良い捉え方をすれば、無邪気とでも言うのだろうか。だがMSの操縦の腕は、間違いなくウチの隊でトップだろう。
そんなアウルに振り回されるスティング・オークレーは、妙に人間が出来ている。常に冷静で、傍若無人なアウルと茫洋としたステラにも常に気を配っている。
そう。
まるで―――普通の、本当の家族であるかのように。
「まったく…あいつときたら」
小さな笑いがくちびるから漏れた。ステラはそんなゲンを見て、小さく首を傾げる。
「ゲン…楽しいの?」
彼女は感情の起伏が乏しい。戦闘時を別にすれば、の話だが。
多分、こんな感情は彼女には理解できないだろう。
「別に……いや」
言いかけて、ゲンは再び小さく笑った。
「楽しいよ、俺は」
「カガリ、どういうつもりなんだ」
ミネルバの通路を歩くカガリに、アレックスが問い詰める。
「事態を静観しているわけには行かない…先ほど言った通りだ。オーブの代表として」
「……俺たちは」
彼女の肩を掴むと、アレックスは正面に周り込んだ。
「あの頃のような力は…もうないんだ」
「……!」
カガリが小さく目を伏せる。アレックスは彼女を労る様に、けれども強い語調で続ける。
「ジャスティスはもうない。キラも、ラクスも、オーブで静かに暮らしている」
「解かっている……けど」
「カガリ」
通路の向こうから、赤い軍服を着た少年と少女が歩いてくるのが見えた。
アレックスは話を続けようとして―――言葉を、詰まらせてしまった。
幼い。
あまりに、幼なすぎる。
深紅の軍服に身を包んだ少女は、その衣を身に纏うにはあまりに幼すぎたのだ。
少女はこちらの様子に気付き、オレンジの髪の少年の陰に小さく身を隠した。
2人がこちらに歩いてくる。アレックスがカガリを見遣ると、彼女は言葉を紡ぐ。
「それなら私が…力になりたいんだ、平和に生きる人たちの!」
「よくも…!」
すれ違いざまに、少女は低い声で呟く。
「よくもそんなことが言えたわねっ!?」
次に、少女は力いっぱい、カガリに向かって怒鳴りつけた。
興奮した様子の少女を見て、カガリが呆ける。アレックスも何がなんだかわからず、彼女の目を見て――戦慄する。
憎悪。
そこにあるのは、ただ憎悪だった。
まるで親の仇だとでも言わんばかりに、少女はカガリを睨みつける。
「マユッ!!」
今度は隣に立っていた少年が少女を怒鳴りつけた。彼女はハッとして、いたたまれなくなった様子で駆け出す。
「あっ……」
走り去る少女にカガリが声を掛けようとしたが、上手く言葉が出なかったらしい。
少女を見送ると、呆然としたままのこちらに向かって、少年が敬礼した。
「申し訳ありませんでした。あいつには自分から言っておきます」
冷たい声。あまり感情がこもっていないように―――むしろこちらを蔑視しているようにすら思えたが、そのことについては触れなかった。
それよりも、訊きたいことがある。
「あの子は……?」
「…アイツは」
カガリが脅えた表情になる。アレックスは彼女の手を握ると、少年の目を見つめた。
先ほどの少女とは違った、静かで、冷たい怒り。
まるで少年はこちらに敬礼すること自体が屈辱であるかのような眼で、こちらを見ている。
アレックスは、思わずこの少年から目を逸らしたくなる。
「……オーブの人間に、話すことはありません。失礼します」
「そっ…」
「失礼します」
最後に少年はこちらを睨むと、踵を返して歩き去った。
カガリに目をやると、俯いて唇を噛んでいる。
――――オーブの人間
その言い方が、胸につかえた。
「だぁ〜からぁ、そのカードは出せないんだってば!このおバカ!」
室内のアウルの声が通路まで漏れてくる。ステラはトランプのルールも解らないのだろうか。
対面に立ったスティングが、フッと笑った。
「なんだよ、わざわざ呼び出して」
ゲンはスティングに尋ねる。スティングはこちらに向き直り、組んでいた腕を解くと、人差し指で頬を掻いた。
「礼を言おうと思ってな」
「……は?」
何を言い出すのかと思えば。ゲンは目を丸くして、スティングの顔をまじまじと覗き込む。
「この間の作戦では…助かった。お前がいなけりゃ、俺もアウルもステラもヤバかったかもしれない」
「…わざわざそんなこと言いに呼び出したのかよ、お前は」
ゲンが呆れたように言うと、スティングは顔をしかめた。
「せっかく俺が礼を言ってるってのに、なんだよそりゃ」
「あーあー、悪かったな。ま、どういたしまして」
ゲンはやれやれと言った様子で、振り返って歩き去ろうとして、足を止めた。
「……心配すんなよ」
「あん?」
ゲンの小さな呟きに、スティングが疑問符を浮かべる。
彼らは機械だ。戦って、戦って…相手を殺すための。
笑う事も知っている。怒ることも知っている―――ただ、"何か"が欠落している。
俺も同じなんだ。一緒なんだ、俺たちは。だから―――
「お前らは、俺が守るから」
ゲンは振り返らないまま、スティングに向けて強く言った。
それは誓いの言葉。絶対に、失くさないと。ただそれだけを願って。
「ゲン…」
スティングは再びフッと笑うと、ゲンの肩をポンと叩いた。
マユは一人で、レクルームのソファに座っていた。
――――よくもそんなことが言えたわねっ!?
まだイライラする。何か冷たい感覚が、自分の奥底で渦巻いているのがわかる。
「……ふぅ」
実際あった時、自分はどうなるんだろう―――ずっと、そう思っていた。
二年前のあの日から。家族を奪われて、彼女を憎むようになった、あの日から。
冷たい船の床に座りながら。一度も聞いたことのなかった彼の泣き叫ぶ声を聞きながら。
「お兄ちゃん…」
ルナの話を聞いたとき、少し気分が悪かった。でも実際会えば、きっとなんともないと思っていた。
どうしてこんな気持ちになるんだろう。どうしてこんな気持ちにならなきゃいけないんだろう。
こんなにもあの人を憎んでしまうことが、辛くて仕方がない。
「…お兄ちゃん…っ…!」
ごめんなさい。
私、やっぱりあの人を許せそうにありません。
そして、ありがとう。
私のこの怒りは―――まだ、風化していなかった。
「あの、君……」
よそよそしい声で、誰かが話し掛けてきた。マユは慌てて顔をあげる。
「あ…」
アスハと共にいた青年が、こちらに向けて柔らかな表情を見せていた。
「コーヒーでいいかな?ジュースの方が?」
アレックスが尋ねると、少女は無愛想なまま「いらないです」とだけ答えた。
仕方なくアレックスは自販機のオレンジジュースのボタンを押し、彼女の横に腰掛けた。
「名前」
「……」
「あ…俺はアレックス。アレックス・ディノだ」
もう慣れているはずなのに、この子にこの名を名乗るのは、心苦しかった。
オレンジジュースの缶を少女に渡すと、彼女は意外にも素直に受け取った。
「…マユです。マユ・アスカ」
やはり。アスカの姓はオーブ系の名前だ。
オーブの人間、という言葉を聞いたときに、アレックスはなんとなく解かった。この子はオーブ出身だと。
「年齢は?」
「12です」
「なのに君は…」
失礼かもしれない―――という考えが一瞬頭に浮かんだが、アレックスは続けた。
「君はどうして、こんな所にいるんだ」
強い語調で彼女に語りかける。
彼にはどうしても許せなかった。こんな幼い少女が戦場に出ていることが。
誰かの命を、その手で奪おうとしていることが。
「……行き場所が、無かったからです」
それは彼女のウソだった。だがアレックスはその言葉を聞いて、顔を俯かせる。
「ご家族は…亡くなられたのか」
「はい」
前の大戦が残した傷痕。自分もそれに加担していたことを自覚すると、アレックスはめまいにも似た感覚を覚えた。
マルキオ導師の下にいた少女を思い出す。今は親友と一緒にいるはずの少女も、マユと同じぐらいの歳だったはずだ。
あの子も選択が違っていたら、こうなっていたのかもしれない。今目の前にいる、この少女のように。
深い傷を負って、それを癒す術も知らずに―――
だが続いた言葉は、さらにアレックスを動揺させた。
「父も、母も……兄も。アスハに殺されました。あの、オノゴロ島で」
「な…?」
殺された?アスハ代表……あの強き意思を秘めた、オーブの獅子に?
「理念をどうこう言うのは勝手です。でもそれを信じて、裏切られた人の気持ち…わかりますか」
全て合点がいった。
彼女は間違いなく、カガリを憎んでいる。自分の家族を奪った「オーブ」の代表である、カガリを。
それは間違った怒り。身勝手で、理不尽で――――けれど。
誰にも彼女を、責めることなど出来ない。彼女は全てを奪われているのだから。
少女は陰鬱な表情のまま、言葉を続ける。
「だから私はここで、戦うんです。もう絶対に、誰にもあんな想いをさせない為に」
「(この子は…)」
なんて強いんだろう、この少女は。
アレックスは素直にそう思った。
本当はどうしようもなく悲しい。苦しい。憎い。こんな小さな少女の中で、様々な想いが渦巻いているはずだ。
だけど彼女は選んだ。自分が傷ついても、自分をすり減らしてでも…誰かを守る道を。
「(…俺は)」
かつての自分を思い出す。かつて渦中にいた自分は、何を思っていただろうか。
<ブリーフィングを開始します。パイロット各員は、速やかに―――>
「あ…いきます、私」
マユは缶の中身を一気に煽ると、缶をゴミ箱に放り入れる。
「あ、あぁ…すまなかった、辛い話をさせてしまって」
彼女は入り口まで行くとクルリと振り返って、ようやく小さな笑顔を見せた。
「昔の話をしたの…アレックスさんが初めてです。皆には言わないで下さいね」
「……君は!」
アレックスは最後にどうしても聞いておきたいことがあって、彼女を呼び止める。
「はい?」
「パイロットなら…どの機体に、乗っているんだ」
マユは少し考える仕草を見せた後―――人差し指を軽く唇に添えて、悪戯っぽく言った。
「…オーブの人には、ヒミツです」
レクルームのドアが閉まる。
アレックスはソファにドサリと座り込むと、自らの手を見つめた。
汚れた手。幾多の命を奪い、幾多の命に守られてきた手。
―――アスラン、逃げて―――
「ッ!…ニコル……!」
このままでいいのか、俺は。
かつて自分が戦場に立った時、自分は何を思っていた?そんなの、簡単だ。
「…同じなんだな…」
母が死んで、悲しくて。苦しくて。憎くて。
それでも誰かのためにと、いつかは明日のためにと、正しい道である事を信じて、進み続けた。
失って…奪って…気付けたはずなんだ、自分は。今の自分にはあるはずなんだ。
正しき道を進む力。指し示す力。
あの子を間違った道に、進ませない為の力が。
アレックスがブリッジに入ると、すでに戦闘配備が進んでいる様子だった。
いや―――おかしい。ユニウスセブンの破砕作業のみと聞いていたはずなのに、妙に慌しい。
「失礼します。議長、これは一体…」
その声に気付いたタリア艦長と、デュランダル議長、カガリが振り返る。
カガリの表情は暗いままだった。胸がチクリと痛んだが、マユのことを話すのは後だ。
「アレックスくん…まずいことになった」
「まずいこと…?」
デュランダルは険しい表情のまま、モニターに映る宇宙に目をやった。
「先行していたジュール隊が、所属不明のMS部隊と交戦に入った」
「…そんな!?」
MSの部隊…つまりユニウスセブンは、何者かが人為的に動かしていたというのか?
「ミネルバの部隊にも応戦に出てもらう。君も座りたまえ」
デュランダルはカガリの横の、空いたイスを指差した。アレックスはそこをじっと見つめる。
違う。
俺がいるべき場所は、ここじゃない。
「…無理を承知で、お願い致します」
カガリの言っていることは間違いじゃない。誰かの力になりたいと思う気持ち、絶対に間違ってはいない。
それを縛るのは彼女の立場と、未熟な心。そのことに気づけた時には、きっと彼女は誰かの力になれる。
―――なら、簡単じゃないか。
「私に」
なくなったって、世界にはなんの影響もない。けれど、誰かを救うことのできる力。
俺の手の中に、あったんじゃないか。俺が彼女の分まで、誰かの力になればいい。その時まで。
少女の強い言葉が頭をよぎる。それに背中を押されるかのように、アレックスは決意を込めて言った。
「―――モビルスーツを、お貸しください」
獅子の目に、焔が宿る。
はい、とりあえず投下終了しました。
デブリ戦をバッサリ削ってしまったが為に、マユとアレックス間のやりとりが
急で不自然になってしまいました…この辺力不足ですorz
あとゲンの扱いに関しては、今のところはいい子です。家族の死に関しても記憶が無いので殺伐度ダウン。
ただもちろんこのままではなく、少しずつ崩していきたいと思ってます。
しばらく離れていたせいで他の職人様方の作品がどっさり…嬉しい悲鳴!今から目を通してきます。
次回はユニウスセブン戦行きます。お付き合いいただける方はよろしくお願いします。
>Destiny Side-C作者様乙です!!
アスランの決意の仕方が格好良かったです!!
>管理人様
今、投票所に行ったところ、コメント有りの方の投票所で、ゲン・アクサニス(PP戦記)の項目が消えてました…
最近へぼいアスランばかり見てたからすっげえかっこよく見えました。
原作でもデス種のアスランはへっぽこでしたしねぇ。
マユを更正させようとする熱血教師(激違w)アスランのこれからの奮闘、楽しみにさせていただきます。
保守
「・・・・・・・・・・・・。」
アキラは加熱している枕投げ大会をぼけーっと見ていた。もちろん、彼も酔っている。
暇なので鞄の中から携帯ゲームでも出そうとするアキラ。
すると、何か別の物を見つけたらしく、それを引っ張り出してきた。次の瞬間。
「アキラ!!危ない!!」
アキラの方向に枕が飛んでいった。それはコーディネイターの力のとんでもない速さで
アキラへと飛んでいく。
しかし、悲鳴をあげたミーアが駆けつけるより早く、それは起こった。
「え・・・?」
空中で幾片にも切り裂かれる枕。
「俺で遊んで楽しいんだよな、あんたら。あぁ、胸糞悪い。」
普段の気弱なアキラとはまったく結びつかない声が聞こえる。
枕の中に入っていた綿がまるで雪のように舞う。
そこには、鋭い、刃物のような目をしたアキラがいた。彼の目を防護する眼鏡はない。
その手にはザフトのナイフとは違う短い日本刀のようなナイフが握られていた。
「いいだろう、いじめるなんて生ぬるいだろう?殺しあおうぜ、ジョー、キース、カルマ。」
そう宣言した瞬間、ジョーの目の前にアキラの顔が現われる。突然の自体にジョーは反応できない。
「ジョー!!」
カルマがジャージの袖から投擲用のナイフをアキラに向かって投げる、が。
それをナイフ一本でことごとく弾くアキラ。
しかし、弾いている隙にジョーは何とかアキラから距離を離す。
「なっ・・、何だよ?!こいつ本当にアキラなのか?動きが全然違う・・!」
ジョーも急いでナイフを取り出す、ジョーのナイフはザフト軍兵士が使っている物だ。
見てみるとキースも指と指の間に爪のように小型ナイフを数本持って、完璧に戦闘モードだ。
今度はキースが襲い掛かる、まるで獲物を狙う猫科の猛獣のように姿勢を低く構えてから
一気に全身のばねを利用して飛び掛る。本能がこの『敵』に手加減は通用しないと言っている。
それを見たカルマもキースが飛び掛ると同時にナイフを投擲する。
さらにジョーがキースの後ろについて駆け出す。
キースの攻撃、さらにカルマのナイフを突破して油断したところを突く戦法だ。
しかし、アキラの反応は予想を超えていた。
下の布団のシーツをめくりあげる。突然広がった目の前の白にひるむキース。
そしてアキラはそのシーツの向こうからキースを蹴る。壁にぶつかり気絶するキース。
さらにシーツを一閃させ、自分に命中するはずだったナイフを殺す。
キースがやられたことを確認したジョーが襲い掛かるが、ジョーの攻撃は
スラムでの実戦経験はあるものの、アキラが良く知るザフトのナイフ術である。
姿勢を低くしてそのまま足払いをする。ジョーはバランスを一気に崩しそのまま倒れた。
「教えてやる・・・、これが『モノ』を殺すと言う事だ。」
アキラは倒れているジョーにナイフを突き刺そうと構える。これではカルマも手を出せない。
「・・っ!!だめ!!」
次の瞬間、今まで動いていなかったミーアがどこから出したのか長刀を構えて
アキラとジョーの方へ走っていく。
だが、ミーアの恐れていた事態にはならなかった。
アキラは殺そうとする姿勢のままふらり、と揺れてそのまま倒れこんでしまった。
「・・・・・・・え?」
ミーアが構えを解いておそるおそる近づくと、アキラは普段の間抜け面で眠っていた。
「・・・・・・・はぁ〜・・・。」
緊張が解けてミーアが腰を下ろす。それにしても・・・・。
「この事態、どうやって隊長に説明しよう。」
気絶しているキースとジョー、茫然自失のカルマ。そしてぐーすか寝ているアキラ。
ぼろぼろの布団、切り裂かれた枕。散らばっているナイフ。ミーアは泣きたくなった。
……これどこのNANAYA?
「と、言う事が昔あってなぁ・・。まぁぶつかり合って始めてお互いを理解したというか。」
「ハイネ兄ちゃん、それ度が過ぎてる。完璧にバトロワじゃん。」
マユがしみじみと語るハイネに突っ込む。
「あれ以来、ジョー達もアキラをみやみにからかわなくなったし、アキラも素の性格で
いられるようになったし、いやぁハイネ隊の真の歴史はあそこから始まったんだな。」
『すっげーいやな始まり方だな、おい。』
シンハロも突っ込む。
「そんな事いったら俺達だってすごかった気がするが。」
レイが呟く。
「あー!レイ兄ちゃんいっちゃだめ!」
マユが急いで止めるがレイは既に語りだした後だった。
「これはマユが我が家に来たときの話だ・・・・。」
スレ容量が、470kになりましたのでそろそろ新スレ移行します。
今日(11/26)立てる予定。
>隻腕作者様
当方の考案キャラ使ってくれてありがとうございます。
・・・なんで綺麗じゃなくて綺礼なのさ?>ほのぼの
そういえば、今日発売のガンダムエースにちらっと、シルエットだけだけど
明らかにゲルググ、と思えるものが写ってたな
>>511 ...日本刀持っているしその話の流れ的にパイロットはあいつのような気がするな
そーいやマユ戦記にはゲルググ出てたよな・・・
俺のギャンはどうなるんだろう
ギャン・クリーガーという素晴らしい機体があるのに
種死本編でゲルググでねーなーと思ってたらダムAで出てきて思わずワロタよ。
来月あたり詳細明らかになるかな?
こんご種死HGもMSV路線に行くだろうからこのゲルググはその筆頭なんだろうなー。っていっても早くて4番手だろうが。
>>516 おそらく○ウ・○ュー○が乗っているからw
最近アストレイも超設定が多いからちょっと萎える……
戸田版は昔から超設定だがな
150Mだけはガチw
>>510 実にくだらない事だが、シホの台詞がなにげにエロい
>>521 それが戸田の赤い一撃(レッドフレイム)だ!
>>427隻腕作者様GJです!
ステラがザフトに捕まっちゃいましたか・・・
隻腕でのシンはステラのことを助けてくれるのかな?・・・うわーTV版よりピンチだよステラ・・・
それとマユとカガリの関係もどうなっていくのか気になりますね
絵的にはオーブ士官タオル一丁はインパルスでしたw(私の脳内ではタオルにユウナの顔が何故かプリント)
あと他にもアストレイキャラの連合裏切りネタも確かにそうだなあw
最後に投稿ネタを使っていただきありがとうございました
今回の話の流れからするとアビスのシートに座ってしまってマユにごめんなさい
それでは次回の展開をわくわくしながらお待ちしています
ゲルググはちとディテイールが独特だし、火星製MSのような気がス。
それより、Gフレックスで立体化されたアカツキ、背中よく見ると……ストライカーシステムそのまんま?
>>PP戦記作者様
同人アニメではみられなかった、歴史人との関わりそしてガイアの活躍。
今後今回の事が、ゲンにどのような影響を及ぼすか楽しみです。
あとドム姐さんの使い方も良かったです、いずれミネルバに配属か?
次回も期待しております。
書き手の一人ですが、少しお力を貸して欲しいです。
それなりに資料やネット上のデータを当たっているつもりなのですが、何故か見つからぬデータがいくつか。
特に欲しいのが、デュランダルの出生年と、レイの出生年(←乱暴に言ってシンと同年ですが、それが確定してたか否か)
この2つ、知ってる方いたら教えて下さい。
種の方のキャラのデータなら手元にあるんですけど。
……まあ足りないとこは改変の一環として捏造しても良いのですけど、分かるなら取り入れた上で細部を捏造したいので
>>530 手元にあるオフィシャルファイルキャラ編とやらで調べてみました。
デュランダルはCE43生まれです。
レイはやはり載ってません。クローンだからですかね。
532 :
531:2005/11/27(日) 17:35:22 ID:???
すいませんデュランダルはCE41生まれです!打ち間違えましたOTZ
吊ってきます。
>>531-532 サンクスです。ムルタと同年、ムウより2歳上か……。
助かりました。レイはやはり綺麗なデータ出てないっぽいですねw
>>530 レイは18歳位で少年と言うより青年のイメージかな。
クルーゼより解凍が遅いらしいので、実はまだ3歳?くらいとか。
某サイトのSEED&SEED Destiny大辞典ではレイは公称16歳とありました
あくまで公称らしいのでその辺は弄りまくるのも手かと・・・
クローンで老化早いなら、見た目よりも若くてもイイよな
だって、見た印象じゃムウより年上っぽいクルーゼが、実はムウより3歳年下だぜ?w
デスティニーに分身機能?
>スラスター全開時の機動性能向上もめざましく、
>高速機動時には光学残像を形成することも可能である。
>この残像は、散布されたミラージュコロイドを使い、空間上に自機の立体像を形成することにより実現される。
こんな風に利用したら?
つかえるのは、宇宙のみ。マユの、肉体に負担がかかる。
スクリーミングニンバスの攻性ビームフィールド技術を応用して、
V2みたいな攻防一体武装にも出来そうなんだがなぁ>光の翼
光の翼、あれ結局意味わかんなかったもんな。派手なだけで意味なかった。
なんか目くらましかけてるっぽい感じではあったけど、いまいちハッキリしないし。
後ろに残像残すだけなら先頭の撃てばいいだけの話だったしw
名前つきエースは騙せなくても、圧倒的多数の雑魚を翻弄するくらいはして欲しかった
デスティニーが主役機のままであれば自由の一斉射撃を光の翼で防御する
くらいはしてくれたと信じてる。
人気投票、キャラのが終わったら「好きなエピソード」とかやって欲しいな
>>539 つうかですね、MIAの説明見たらしっかりと ビ ー ム ウ イ ン グ と書いてありましたよ、アレ
つまり、本当は光の翼はあったんですな、負債がもみ消しちゃったけど
あとデスティニーフィンガーも、本来は戦艦を一撃でブチ抜くほどの巨砲
これも負債がもみ消(r
転載(アストレイキャラらしい)
●マーレ・ストロード
>ZGMF-X31Sアビスガンダムのテストパイロットを務めた、赤服を纏うザフトのエリート。
>C.E.71の旧大戦時にも地球の水中部隊で活躍していた歴戦の勇士であるが、
>大戦後期にはフォビドゥンブルーを駆る「白鯨」ジェーン・ヒューストンにボロ負け、
>ナチュラルへの敵意を強める事となった。しかしゾノやグーンでTP装甲持ちのMSに勝つのは事実上不可能に近く
>彼の戦闘能力の評価を下げる要因にはならないであろう。
>だが敗北の責任を重く受け止める彼はテストパイロット時代にも臥薪嘗胆、雪辱を晴らす日のイメトレを怠らなかった
>後に、その努力と熱意が認められアビスの正パイロットに選ばれる。
>実は彼の本命はインパルスで、その正パイロットであるシン・アスカに対し少女漫画のイジワル役のような
>陰険な嫌がらせを行っていたが、これは失敗している。
>アーモリーワンのG強奪事件でステラ・ルーシェに撃たれ、一命は取り留めるも重体、
>復讐ナチュラルリストにまた新たな名を書き加えた、近況は不明。
この人マユと絡めますか?
>>542 >あとデスティニーフィンガーも、本来は戦艦を一撃でブチ抜くほどの巨砲
それも無限正義のビームサーベルも防げないほど弱体化かよ
このスレで運命や伝説出た作品って何ある?
マユ戦記(しのはらが書いたヤシ)
ただ、それでは運命にはシン扮するネオが乗って、伝説には凸スネークが乗ってた
マユが運命に乗った作品は、今のところ一つもないな
まあ、各作品とも連載が順調に進めば出てくるだろう
>>543 マーレとかリーカとか、チョイ役だったけど面白いキャラではあるよな
ただアストレイは読んでない人もいるから、好みが分かれるかもな
結構、マユには運命のって欲しくない、って観客の声も大きいんだよな
インパルス乗り続けて欲しいとか。
かなりそういう声が影響してるかも
運命インパルスとかいうのがMSVであるな、そういえば
>>546 運命にネオ?マユは?キラは? あと凸スネークって・・・?
わざとらしいからやめようね
フリーダムを撃破するには?(転載)
>1.アルミューレリュミエールのような全周防御可能な機体
>2.ドラグーン装備機
>3.散弾型ビーム兵器装備
>4.大口径砲装備機
>を用意して1が攻撃を引き付ける為に前進して攻勢をかけ、
>2が包囲攻撃をかけて動きを封じ、3が飽和攻撃で回避不能なほどの連射を行い、
>4が2、3の攻撃で機動力が幾らか減退したところを大口径砲で叩き落す、
>という方法なら勝てるか?>自由
>別に単体で相手する必要はないし、徹底的な攻勢をかければ嫁補正無しなら倒せんことも無い。
■コズミックリージョン ストライクフリーダム 箱裏解説
前大戦後にレストアされていたフリーダムガンダムのデータをベースに、
次期セカンドステージシリーズのデータを組み合わせたハイブリッド機である。
レーザー核融合エンジンをはじめ、スーパードラグーンシステム、ビームシールドなど
最新鋭の兵装、PS装甲、デュートリオンビーム砲、超大型ビームサーベルなど、
現時点でMSが盛り込むことが可能なすべてのテクノロジーを装備していると言っても
過言ではない。もともと、通常のMSをはるかに凌駕するスペックを持つフリーダムを
更にパワーアップさせた機体であるため、並のパイロットに扱える代物ではなく、
その専任パイロットとしては当初からキラ・ヤマトを想定していたとされる。
311 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2005/11/27(日) 07:38:39 ID:???
フリーダムしか確認できなかったが・・GFFのやつか。
ストフリのは知らないが、核融合ってのが本当なら、もはやNJCも意味が無いのでは?
基本的な確認になるけど、Nジャマーってのは核分裂を抑えるもの、だったよね?
しかし、本当なら実に呆れた・・つくづく設定ってものが意味を持たない作品だな。
他の陣営より半歩のアドバンテージ、どころじゃないじゃない。
100m走で、彼らだけスタートラインが90m地点、みたいな。
914 :通常の名無しさんの3倍 :2005/11/27(日) 13:21:51 ID:???
>>911 ttp://g.pic.to/4flgu じゃあ俺が。
ついでに現物も
320 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2005/11/27(日) 13:26:51 ID:???
コロニー斬るほどのビームソードが使えるわけだ
そりゃ運命と伝説は自由と正義に手も足も出ませんよw
356 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2005/11/27(日) 14:08:14 ID:???
あり得ない機体性能で勝った訳ね
最初の4機が大体同様って設定は消し飛んだと
寒い結末でした・・・
363 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2005/11/27(日) 14:12:49 ID:???
何かもうね、相手はザクだから大丈夫、とか言われてジェガンに乗ってきたら、実はV2とΧとゼロカスタムが雁首そろえて待ち構えてました、みたいな感じだな。
実に絶望的な状況だったのは、ザフト側だったわけだ。
自由は知らんが、攻撃自由に勝つのは絶望的かもね。
嫁補正がなければ自由のロックオンで一般パイロットが動けなくなることもない。
せいぜい武装数の多い遠距離型でしかない。
>>543 虐めってなっているけどあの虐めは洒落になっていないぞ
機体テストしている最中に砲台しかけてシンを殺そうとした
ガンダム史上最も酷い扱いを受けた主人公のシンを活躍させてるんだから最も不憫な(元)主役機の運命にも活躍の場を与えるべきだ
と言ってみる
運命と伝説と衝撃で組んでかかればなんとかなるんじゃない?
誰か一人は犠牲になりそうだが…
てか、「機能」はアレでも構わんが、「強さ」の数値全部MAXみたいなあのストフリなら出ない方がいい
種死の戦闘が燃えないのは、個々の能力の差とか機能の差が全然活かされてないからなんだよ。
せっかくみんないろんなギミック積んでるのに。
……まぁ、攻撃自由・無限正義・運命・伝説・暁。
この5大ラスキャラ、どれもちと詰め込みすぎで個性を殺してる&個性被ってる部分はあるんだがな。
運命ってパクリ武装の集合体という欠点を省けば遠近中、各距離に応じて特徴的な武装が搭載されていて
話を面白く展開できそうな機体なんだけどなあ。
光の翼、ディスティニーフィンガーみたいなdデモ兵器も積んでいるけど自由系ほど万能でもないし。
ていうか可憐な少女とゴテゴテ兵器とのアンバランス組み合わせには萌えませんか?←本音
斬艦刀とかデフォで搭載、いいね。
可憐な少女と凶悪な兵器とのアンバランスにも萌えているかもしれないと思い始めた今日この頃
それこそターンタイ(ry
>>561の書き込みを読んでいて思ったんだけど種のメカニックにはデッドウェイトっていう概念が無いよな。
下手にリアル路線を気取っていなけりゃこういうところも気にせずにすむのに。
まあ俺的にも斬艦刀デフォ装備は大いに萌えるけど。
理屈うんぬんよりも可憐な少(ry←駄目人間三匹目
お前ら俺かと思う4人目
5人目、戦隊でも組むかおまえら
まだ埋まってなかったのね
六人目の俺は中途参戦で美味しいとこもっていくぞ。
PP戦記だとゲンが運命に乗りそうな気がするな
ユーリ暗殺したときに開発中の核動力MSのデータ奪ってたし
盗んだのはインパとかのデータでそれをゲン向けにカスタマイズ
マユはインパ継続かな?流石にストフリ相手じゃインパキツいだろな…
>>569 そこを知恵と勇気と努力と根性と友情でひっくり返すのじゃ。
VSストライクフリーダム(初戦)インパルスの最後
攻撃自由の圧倒的な力とキラの技量の前に、インパルスは徐々に追いつめられていく。
換装も封じられ味方の援護も、もらえない絶望的な状況の中インパルスはダルマにされる。
キラに捕獲されそうになるが、マユは苦渋の決断の末インパルスを爆破脱出する。
その後仲間に運良く回収され、運命に乗り換えて反撃。
ふとレジェンドインパルスという単語が浮かんだ。しかしそれはただのドラグーンインパルスだという結論に達する。
と思ったが逆もいけるんじゃないだろうか。インパルスレジェンド。
HGレジェンドには各種シルエットがシームレスに取り付け可能だと聞いた。
つまりレジェンドとは新型エンジンによるシルエット装備の実験機体であり、デスティニーはシルエット換装なしで戦うための機体という事だ。
レジェンドが通常しょってるドラグーンシルエット(という事に今した)は当然インパルスにも装着可能。
更にレジェンドがデスティニーシルエットをつけてデスティニーレジェンド、デスティニーインパルスとデスティニーと並べて3体デスティニー!
激しくクドいな。
>>573 それ出したの俺だ(;・∀・)
でもPCの環境問題で見られないという罠
>>572 インパルスじゃエネルギーがもたないだろうけどな>レジェンドインパルス
レジェンド=インパルスマーク2みたいな感じか
シルエット<<<ウィザードの実用性の差にようやく気付いた議長が新たな万能機体としてレジェンドを開発。
もともとレイが乗る予定だったのでドラグーンシステムを標準装備。
みたいな感じで
もともとは模型誌の記事で出たHGインパルスにレジェンドのバックパックが
つけられるってとこから始まってるんだけどな<レジェンドインパルス
>>578 なにこのカッコいい戦闘
一撃ごとにストフリの手足が吹き飛ばんのがちとつまらんが
580 :
通常の名無しさんの3倍:2005/12/03(土) 12:16:29 ID:Ut3P9ALw
もう無い・・・が、察するにデスティニーのバーストアタックだな?あれはいいな、正に全力って感じで。地味に遠距離パルマも使ってるし。
ストフリのは敵の目の前まで飛んでってフルバーストするだけだからちとつまらん。
連合VSザフト ゲン・アサニクス
選択時
「GEN AXANIS―ゲン・アクサニス、ストライクMk-U、出るぞ!」
出撃デモ
・スティング、アウル、ステラ準備はいいな!(スティング:おおっ!)(アウル:オケー)
(ステラ:いいよ・・)出るぞ!
戦闘開始
・スティング、ついて来い!
・アウル、いくぞ!
・ステラ、来い
サーチ 補足した!
被弾時「チッ…」「……相変わらず……やるなっ!」
味方から被弾時「止めろ!仲間で殺しあってどうする!」
敵機撃墜時 「俺の…勝ちだ」 「Genocider Enemy of Natural!!」
被撃墜時「俺は知っている…あの少女を…一体誰なんだ?」(VSマユ)
復帰時「予想外の事態だが…俺は俺の任務を遂行するだけだ」
覚醒「俺は"Genocider Enemy of Natural"―ナチュラルの敵を殲滅する者…さ」
PP戦記のセリフから、適当に集めてみました。
ゲンカッチョー!
でもストライクMk-Uは使いにくそうな予感
>>583 クセがものすごく強そうだ
接近戦に特化して遠距離戦が弱いとか
ミラコロまであるしな
コストは3.5で
>>584 そこで対艦用ビームランチャーですよ
逆に使いにくそうw
CSはレールガンか
念のためほっしゅ
〜人気投票途中経過〜
順位 項目 得票数 得票率
1 ゲン・アクサニス(PP戦記) 40票 26.0%
2 ユウナ・ロマ・セイラン(隻腕) 24票 15.6%
3 マユ・アスカ(隻腕) 17票 11.0%
4 シン・アスカ(隻腕) 13票 8.4%
5 シンハロ(ほのぼの) 12票 7.8%
6 マユ・アスカ(マユ種) 9票 5.8%
7 カガリ・ユラ・アスハ(マユ戦記版) 8票 5.2%
8 ハイネ・ヴェステンフルス(ほのぼの) 5票 3.2%
9 マユ・アスカ(ほのぼの) 4票 2.6%
9 シン・アスカ(マユ)(Injustice版) 4票 2.6%
11 アレックス・ディノ(マユ戦記) 3票 1.9%
12 ステラ・ルーシェ(PP戦記) 2票 1.3%
12 スティング・オークレー(PP戦記) 2票 1.3%
12 カガリ・ユラ・アスハ(しのはら) 2票 1.3%
12 老師(汎ムスリム会議)(PP戦記) 2票 1.3%
16 アウル・ニーダ(PP戦記) 1票 0.6%
16 ロード・ジブリール(隻腕) 1票 0.6%
16 カガリ・ユラ・アスハ(隻腕) 1票 0.6%
16 キラ・ヤマト(マユ戦記) 1票 0.6%
16 ステラ・ルーシェ(ほのぼの) 1票 0.6%
16 レイ・ザ・バレル(隻腕) 1票 0.6%
16 アル・ダ・フラガ(隻腕) 1票 0.6%
23 ルナマリア・ホーク(マユ種) 0票 0.0%
23 レイ・ザ・バレル(マユ種) 0票 0.0%
23 メイリン・ホーク(マユ種) 0票 0.0%
23 ミーア・キャンベル(マユ種) 0票 0.0%
23 暗黒女帝カガリ・シーノハーラ(ほのぼの) 0票 0.0%
※0票は項目だけ作成されたもの
個人で言えばPP戦記のゲン、作品で言えば2〜4位連続の隻腕が目立つな
もし作品の人気投票をやったら、エントリー編。
マユ種
マユif
マユ戦記
ファントムペイン戦記
影の少女
DESTINY Side-C
マユ−隻腕の少女−
マユ-ANOTHER・DESTINY
運命の舞踊
影の戦記
killing ranker
Gundam Seed Injustice
ほのぼのマユデス
マユ種外伝
士官学校編
単発設定小話
そういや各作品によってマユの年齢は違ったりするんだっけ?
基本はシンと5歳くらい違うんだよな確か
忠実にすると11だっけ?
それだと軍としてやりにくいところがあるからしゃーないわな
上げ底でカバーだ
Injusticeは14歳のはず
設定ではマユは8歳なんだっけ?
11,2歳にしか見えないが
>>591 改めて見るといっぱいあんなあ
すげえよこのスレ
職人さんにめぐまれまくり
しかもそのうちの半分近くはコンスタントに連載続いてるからな
新シャアの現状を考えると、驚異的とさえ言える
これで他の滞ってる作品も続きが来てくれたら完璧だが
個人的には、影の少女の続きがすげえ気になってる
ここは平和でいいな
そう言うことを口にすると荒れ出す法則が・・・
既にこの板には自演抜きで荒れるほど人はいないから大丈夫。
…ところで何時落ちるのかな、このスレ。
意外に長生きだな。
ま、落ちるまではマターリ雑談でも。
まあ荒しが目的の奴は、弱ってるとこしか叩けないからね。
これだけ活気あって職人常駐して観客も多いスレには、そもそも入って来れない。
もし万が一来たら皆さんスルーでよろ。無視して相手しないのが一番の対処法。
まぁこんな話題を話し出したら荒らしの来る前触れですよっと
荒らしの〜中で輝やいーて♪
間違っても新スレの方にこの話題は持ち込まんでくれよ