では立てた奴自ら即死回避真紀子
ダブルベリーチョコレート萌えーーる。
_,,.. -‐''''''''''''`::\ト.
__.. -‐''" .: .: ::::::::::::::::: :::. :::L.
 ̄フ´: . .: . . : :::::::.. . :.. ::ヽ
, ':::::.:: .:: .:. :.:.:..:::::::::::..:::::..::::::::ヽ
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>>1乙〜
/´l:::::::::::::::::::l::::::l:::l;:::::l:::::l:::::l:::::i;:::;:}`
l::::::::::::::、:::l!:::/!:八:::l!::ハイ:::::|}::トl
|:/l::::::::::::i、l|/ァ!:| ';::ll/‐' }::::::l'::{
l' l:::i:::;:::ヽ  ̄l:l lV イ:::::ハトl、__
l:::ト;l!::;::ヽ. l' '...__ l::;:/イ `丶、
, ヘl lll八::l`ゝ,、 ´‐ /lハ { `ヽ、
/ {L `l ト.ヽ `'''''´ 「イ}/ >、
} _`゙丶、Lヽ 二二ニl_ノ / }
{ 「 ゝ、 __゙ヽ r一''´ / ,へ / /
`, { | 丶 { l lj r'L/ 丶、 / {
r''__ / 、 、 ` l l /lレ/ 丶/ ,l
jノノ } 、 l// /__ { /_|
{/ ハ 、 / { L........| \ /ゝ}
} / ', }/ レ7―┘ , -‐'"  ̄ ̄ ̄ニ丶、
/ / ヽ { _.. - ´ / -- 、`丶、`ヽ.`
/ / ヽ l / , ' -`、‐ 、_ヽヽ
ノ _{ く_/'´ _. ,.' 丶、ヽ、-ヽ ̄丶、
--、、__ く_..-‐''" \ _ rヘ ̄ 、_|`ヽ / ` ‐`ー―‐z `丶、
\ ヽ < \ `"_.....>一"  ̄ ̄`ー- 、_  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄二ニ=‐__
ヽヽ `丶、 ,.- '"´  ̄`ヽ、  ̄ ̄ ̄ _∠
} } > '´  ̄ ̄ `ー‐ 、_ _..-''´
乙華麗ザバレル
即死回避まではまだだったかな。
このスレでも良い作品に巡り合えるのを楽しみにしてます。
ここ、即死判定ってあるの?
30レス位?
ついでに前スレも埋めようぜー
12 :
理由の人:2005/10/21(金) 11:07:32 ID:???
>1
乙カレーです。
前スレ埋めに最後を投下しておきました。
昨日はあの後出掛けてしまったので、遅くなってしまって申し訳ない。
>>12 乙です
あちらで読ませて頂きます。新スレでも宜しくです
新スレに実り多き事を願う。
15 :
パクリ話の人:2005/10/22(土) 02:00:58 ID:???
前スレ埋めに一話投下しました。
今回は完全に顔見せに終始してしまって・・・・・・
スレ汚しですが、なんとか長編を最後まで書きたいものです。
>>14理由氏
GJ!キャラ全てに愛が注がれた、本当に良い小説でした…
負債があなたのような人であれば(ノД`)
優しくて暖かい世界をありがとうございました。
26歳と16歳という年の差に密かに(;´Д`)ハアハア
保守!
この板の即死判定を誰か…教え…
保守
作品投下しても良いのだろうか・・・?
鬼が島っしゅ。
投下する。ギャグテイストで少し下ネタかも知れない
「レイって本当色気無いわよねー。」
唐突に話しかけられる。
ルナマリアの突飛な発言はいつもの事だが
(そして我が物顔でレイの自室に入り浸っているものまた、だ。)
いつまでも慣れる事が出来ないのは何故だろうか。
「それは必要なのか?軍人に。」
「もう、レイったら固いわよねー!軍人、じゃ無くてー、女としてよ!!
シンだってもうちょっと色っぽいほうが喜ぶわよー。」
ルナマリアはにやにや、と微笑を浮かべながらレイに迫っていく。
怪訝そうな顔をするが、楽しそうに笑うルナマリアに押し切られて結局付き合う羽目になった。
「喜ぶ、とは・・・?」
ため息を付きながらも、返事をする。
「何言ってんの、セックスに決まってるじゃない!!」
待ってました、とばかりに食いつくルナマリア。
レイは今すぐこの部屋を抜け出してしまいたい衝動に駆られたが、ルナマリアの微笑がそれをさせてくれない。
がっちりと両手を摑まれ、その場を動くことも許されない。
余りその手の話をしたことの無い、免疫の無いレイは赤くなった顔を俯かせる。
「え、嘘、したこと無いわけ?」
どこまでも土足で入り込んでくるルナマリア、
それが益々レイの顔を赤くさせ、無口にさせることに彼女は気付かない。
「嘘、なによあんたら、いっつもこっちが呆れる位ベッタベタしてるのにまだしてない訳?!
プラトニックラブなんて今時中学生でもやってないわよー!!」
「そんな事を言われても、だな
「何?!シンってば全然したがんないの?嘘!!あ、誘い方わかんないとか?
そんなの胸に手当てさせて『レイの胸、小さいから揉んでおっきくして・・・?』とか言えば大丈夫よ!」
「何が大丈夫なんだ・・・」
「さぁさぁ、早く行ってしまいなさい!そして言いなさい!もう今夜は部屋に入れないからねー!!」
私の部屋の筈なのだが・・・と言う抗議もまるで相手にされない。
部屋を追い出されたレイはとぼとぼとシンの部屋に向かって歩き出した。
その後、談話室に居た整備士達はシンが全力でどこかに走って行く姿を発見する。
ありきたりネタでスマソ・・・orz
遅くなったが、乙
・・・。ルナを嫌いになった。
漏れはめちゃくちゃ萌えたよ。
GJ!
ルナは酒入ってんのか?w
GJ!!!
>>26 GJ!なんかメチャいいわ、コレ。
続き書いていい?
鬼が島っしゅ。
>26GJ!!
そして、シンが全力で走って行った理由が知りたいので、
31が続き書いてくれる事をワクテカしながら待つ事にする。
34 :
31:2005/10/24(月) 03:49:24 ID:???
レイが俺に部屋に入ったときからなんか嫌な予感がしていた。
その目が何かを決心したときの目だったからだ。
「シン、ちょっといいか?」
「ああ、別にいいけど、何?」
「いや、その・・・・・・軍人というのは大変なものだよな」
「何だ急に」やっぱり、なんかオカシイぞ。
「ストレスとかも溜まりやすいしさ・・・それに、あれだ・・・」
「何」
「うん、だから・・・・・・」そして、レイは俺の手を思いっきり掴んで自分の胸に当てさせて言った。ほぼ棒読みで。
「レイの胸、小さいから揉んでおっきくして・・・?」
・・・・・・
・・・・・・・・・
『私の娘をくれぐれもよろしく頼んだよ、シン・アスカ君』
いや分かってますよ、議長。大丈夫です、レイは俺が守ります。安心してください。
「シン?」レイは何かを待ち望むようにシンをじっと見つめる
「・・・・・・・・・ルナの入れ知恵だな」俺は掴まれていた腕でレイの腕を掴み返し、引っ張って部屋を出た。
こういう時は奴らが居そうなところは分かってる。
(特別ミーティングルーム)
ミネルバ内の特別ミーティングルーム。そこを使用するにはフェイスの許可が必要である。そしてその部屋に人影が三つ
「ほら、アスラン・・・・・・ん・・・・・いっぱいかけて」
「アスランさん、こっちの方が・・・・・・ほら・・・・・・いいですよ」
「いや、でも・・・・・・・・・俺にはどっちかなんて選べないよ」
「いいのよ、・・・ほら・・・・・・私の言うとおりにすれば・・・・・・ね」
ピーーーガシャ 扉が開く
「またレイをダシに賭け事をやっているのか!あんたたちは!!!」シンが入ると同時に叫ぶ。
「あら、シンどうしたの?レイに誘惑でもされた?」ルナはニヤニヤしながら言う
「やっぱりルナの仕業か!」
「もう、シンたら、私の胸はこんなに大きくしてくれたのに、レイにはやってあげないの?」
「何の話だ!ルナ!」
「シン!ちゃんと責任を取ってレイの胸も大きくしてあげるしかないじゃないか!」アスランが口を挟む
「アンタって人は〜〜〜〜!」
「シン、ルナマリアの胸を大きくしたというのは本当なのか?」
「大嘘だよ!レイはルナに踊らされてるんだ!」
「シンは既に少し錯乱している!惑わされるなレイ!」アスランが叫ぶ
「ふざけるな!」
「議長を裏切り、俺達を裏切り、レイの思いを踏みにじろうとする、それを許すのか!?」
「あんたって人は〜〜〜って、ちょっとストップ!ストッ〜〜〜プ!!!」
「ハァハァ・・・・・・とにかく俺はルナの胸を大きくしてないし、勢いでレイを抱く気もない。
戦争が終わって、平和になったら全部ちゃんとするから、議長のところに頭下げにいくから」
「シン・・・・・・」見つめ合うシンとレイ
「ほんとにあれでいいの?あの二人は?砂吐きそう」ルナは腕組みをして呟く。
「さあ。いいんじゃないか」
「(また私の台詞がほとんどなかった・・・・・・(泣))」
35 :
31:2005/10/24(月) 03:51:17 ID:???
あんまりギャグにならなくてゴメン。
これじゃ、ラブコメだな、と。
36 :
26:2005/10/24(月) 08:48:48 ID:???
続きキテター!(゜∀゜)
>>34乙!
あと、ルナマリア暴走させてスマソ・・・orz
>>28 またネタ浮かんだら投下するかも
ホッシュ
39 :
通常の名無しさんの3倍:2005/10/25(火) 12:14:10 ID:qo62NCGC
断固保守
禿しく保守
レイが女の子ならヨウラン、ヴィーノとはどんな感じなんだろう。
42 :
26:2005/10/25(火) 16:51:16 ID:???
もう少しで作品投下出来そうだ。
相変わらず外野に急かされてるシンレイだけど皆が良いなら投下する。
>41
自分としては、レイはいつも通りだが、例えば整備の話をした後に
「もうちょっとメイリンみたく笑ってくれたりしたらなぁ」
「俺は胸がもうちょっと欲しいかも」
とかアカデミーからいっしょではあるけれども少し距離がある感じかな。
>42
是非とも!
自分も後で投下します。
44 :
26:2005/10/25(火) 17:27:19 ID:???
また子ネタっぽいのを投下。
久しぶりに休暇を貰った、本当に久しぶりだった。
もう何週間も艦に篭もりっきりで、正直うんざりしてきた頃だったから本当嬉しくて、
ヨウラン達と出かけようと思ったけど(息抜きで漫喫とかゲーセンとか行きたいし。)
『俺らじゃないだろ、レイ誘えって!!レイ!!』
『そうそう、久しぶりの休暇だしさー、楽しんで来いって。』
とか言われて、問答無用で談話室から追い出された。
・・・なんで、ルナやヨウラン達は俺らが付き合ってるのを知ってるのかわかんないけど。言った覚え無いんだけど。
よく考えるとレイと遊ぶのって初めてなんだよな。あいつらの言う事をあっさり聞くのも癪だけど、まぁいいか。
そんな事考えて歩いてたら、もう数メートル先にはレイがいた。
「あっ、レッ・・・レイ!!」
いきなり気付いたから声が裏返った。格好悪・・・。
「シン、どうした?」
相変わらず事務的な返事・・・、まぁレイのそういう生真面目な所も好きなんだけどさ。
「あの、さ・・・今日と明日、休暇だろ?買い物に付き合って貰えないかな、って。」
「・・・私とか・・・?ケント達と行った方が楽しいんじゃないか?」
いやいやいや、俺はレイと行きたいんだって!本当にレイは鈍いなぁ、気付けよな!
・・・とかレイに言っても無駄なんだろうな、レイって任務以外では本当ぼーっとしてるから。
「俺はレイと行きたいんだよ、あ・・・もしかしてもう予定ある?」
「・・・明日は、空いてないけど今日なら。」
「じゃあさ、これから行こう!昼まだだろ、一緒に・・・」
・・・待てよ、コレって所謂デートってやつか・・・?そういえば、初めてだよなぁ・・・レイとどっか行くのって。
やばい、なんか顔が熱いんだけど・・・。
「シン?」
レイが不思議そうに見てくる。今、絶対俺、顔赤い。
照れくさくて、思わずレイの手を握ってしまった。
「いっ・・・行こう!!着替えてからすぐ・・・。」
顔を見られたくなくて、掴んだ手をぐいぐい引っ張る。
ちらっと顔を覗いたけど、レイの顔も赤い気がする。
無言のまま、お互いの部屋がある方に歩いていく。
物陰には、そんな二人を見守る三人の影。
(なんだかんだ言っても子供なのよねー、二人とも。)
(本人達隠してるらしいけど、バレバレだっての。)
(まー、二人ともすっごい鈍いしね。)
手を繋ぐだけで赤面する二人の進展は、まだ遠そうだ。
他の職人さんたちが来るまでの繋ぎにどぞ。
『親愛なる…
お元気でしょうか。私は相変わらずです。
今日は久し振りの休日でした。
外へは出ないつもりでしたが、買いたい物があったので艦を降りてみることにしました。
クルーの皆も遊びに出掛けたようです。休息も大事な仕事なのだと思います。』
艦を降りて空を見上げると、陽が今にも落ちてしまいそうだった。
行こうかどうか悩みながらオレンジ色が群青へと溶け出す水平線をぼんやり眺めている
と、見慣れないバイクが目の前に滑り込む。乗っていたのは同室のシンだった。
「珍しいな、どこか出掛けるとか?」
「ああ、少し買い物をしたくて」
彼はシートから紙袋を引っ張り出すと、「荷物置いてくるからちょっと待ってて」とレ
イの肩を軽く叩いてミネルバへと駆けて行った。
「これ返しに行くついでに送ってやるよ。帰りは歩きになるけど」
暫くしてシンは慌てた様子で出てくると、バイクに駆け寄りシートに入っていたらしい
ヘルメットをレイへと手渡した。手渡されたソレとシンの頭部を交互に見やり、レイは眉
を寄せる。
「そう言えばお前は着けていないな」
「着けるのは好きじゃないってのもあるけど、こういうのは後ろに乗ってる奴のが危ない
んだ」
二人乗りはしたことはなかったが、短い座席に何とか乗り上げて腰掛け、先に座ってい
たシンの背中に指を握り込んだ両手を添えた。
「腰」
一言それだけ呟いて振り返るのに、レイは意味がわからず瞬きする。
「それじゃ落ちるだろ、腰にしっかり手、回せよ」
そう言えばそうかとレイは彼の腰にそっと手を回した。自然彼の背中と自分の胸が密着
するかたちとなる。
街まではそう遠くはなく、シンは気を使ってか、ゆっくりとバイクを走らせた。
「お前さ、ちょっと太った?」
吹き付ける風と周囲の雑音に遮られながらも、彼の声を何とか聞き取ることが出来た。
「いや、適正体重を保っているつもりだが」
「じゃあまさか、いや、レイに限ってありえないと思うけど、訓練サボってるとか?なん
か背中に軟らかい感触が当たるんだけど」
「…」
彼が鈍感で心底良かったとレイは思った。今日は休暇だからと胸の窮屈なサラシを解い
ていたのだ。レイの胸自体ささやかであるというのもあるが、その可能性は考えないこと
にした。
「肘を最後まできっちり曲げる…いや、メニュー自体を増やす方向で考えておこう。食事
も…ローカロリーで…」
「パイロットスーツが入らなくなったら洒落にならないもんな〜」
程なく街へと辿り着き、シンは近くにあったレンタルショップへバイクを返却した。
「何買いたいんだ?」
「…便箋とインクを」
「え?そんなのメールで良いじゃん」
文房具を扱う店を探して歩くレイの隣へと並びながら、シンが顔を顰める。
「データは簡単に消してしまえる。俺も、送る相手もカタチに残る物が好きなんだ」
選んだのは薄い紫の花を配した、質素な白い便箋。インクも普通の黒だ。
レイの呟きに、シンは手の中で弄んでいたピンクの携帯をパチリと開く。
「…うん、カタチに残る物って、良いよな」
『親愛なるラウへ
お元気でしょうか。私は相変わらずです。
今日は久し振りの休日でした。
外へは出ないつもりでしたが、買いたい物があったので艦を降りてみることにしました。
クルーの皆も遊びに出掛けたようです。休息も大事な仕事なのだと思います。
同僚のシンは何かと揉め事が多いですが、今時珍しいぐらいのお人好しで純粋な人です。
彼ならきっと、ラウも気に入ってくれるんじゃないかと思います。彼に、ラウに会って欲
しかった。
この手紙が届く先はもうありませんが、まだ少しだけ、出し続けることを許して下さい。
貴方に伝えたい、貴方にも見せたかった、素敵な日々がまだある内は…』
----------------------------------------------------------
保守がてら投下。レイたんが性別を隠していたら編。
26氏と休暇ネタが偶然一致のデスティニー。
48 :
26:2005/10/25(火) 21:34:04 ID:???
レイの手紙セツナス・・・46氏GJ!!
>>46氏
GJGJGJ!こういう話大好きだ!
シンとレイの自然体な雰囲気が凄くいい。レイの手紙に泣ける。
「残す」ということに同調するシンも切なかった。
考えたら、二人とも遺された子供なんだよな…。
>>44 シンがかわいいな…
レイの言うケントって一瞬誰かと思ったけどヨウランだったか!
また何か投下して下され〜ノシ
>>46 ああ〜ほのぼのだなーと思って読み進めたらほんのりせつない…
好きです。こういう雰囲気
GJ!!
ほのぼのの中にある切なさがイイ!!
こうやってみると、二人とも何処にでもいる普通の子なんだよね。
境遇や生い立ちは特殊なんだけど、根底は普通の子供なんだよな。
そういう少年少女が戦火に身を置く、っていうシチュエーションに
燃えと萌えを感じる。
禿同!!
ちょっと上に…
55 :
通常の名無しさんの3倍:2005/10/27(木) 21:06:12 ID:OrHL+KeB
すばらしい萌えだ・・・・・・
次の小説表紙がヒーローヒロイン的構図でよかった。
まだ見てない人は角○のサイトへ行くべし。
ホッシュ
最近投下なくて寂しいね
「どういうことだ、これは!警備員は一体何をやっていたんだ、腰抜けどもがぁ!」
イザーク・ジュールは特有の通る声で叫ぶように言う。
「そこらへんは大体わかるんじゃないの?俺達も経験者な訳だし。」
ディアッカ・エルスマンは軽い口調で言う。
「ふざけるな!」
「俺にお前、二コルの親父が作ったMSにクルーゼ隊長の子供。それに加えて『こいつ』。自業自得って奴かな、やっぱり」
「そんなことは今はどうでもいい!とにかく俺達にはやるべき事がある!」
「そうだな。とりあえず俺はザクで待機しておく。多分コロニーの外壁にでも爆弾を仕掛けているだろうからな。外で叩くさ」
「ふん、本当は俺が出たいくらいなんだがな。」
「無茶いうなよ」
【Dark In The Dark 二話・過去】
三機の新型MSは縦横無尽に暴れまわっていた。
警備MSも自軍の基地では自由にライフルも撃てない。
ゲリラの優位性がうまく働いている。
「ははは、全然相手になんないよ!」
「油断はするなよ、アウル」
無駄口を叩きながらも次々とザフトのMSを撃墜していく
「・・・・・・!!・・・何か・・・来る・・・!」黒い新型・ガイアのパイロットがそういった瞬間
三機のレーダーが一斉に新手を察知した。
「なるほど好き勝手やってるな」シンは三機を目視し言う
「ゲイツじゃあれに接近戦では勝てない。そこらへんも相手の策のうちだろう」レイは冷静に分析する
「だが、お世辞にも連携は取れていない。あの程度二人でやれる」
「ああ。まずガイアを落として二対二にする」
インパルスは一番近くにいるガイアにマイダスメッサーを投げつける。
ガイアはそれをシールドで受ける
「・・・・・・ブーメラン・・・?」
「隙だらけだ」
ガイアの防御の隙をついてインパルスと重なって隠れていたレイのザクがビームを放つ。
死角の攻撃はガイアに直撃する。
「・・・くっ・・・・・・」
装甲はビームを弾くが、機体はよろける。
「落ちろ!」
インパルスは対艦刀・シュベルトゲベールでガイアに斬りかかる。だが・・・
『おにいちゃん・・・・・・』
(何だ?・・・この感じ、マユ・・・?)
シンはシュベルトゲベールを振り下ろすのを一瞬躊躇する。
「シン、危ないぞ!」レイの声で我に返る。
カオスの兵装ポッドがインパルスを狙っていた。
シンはこれを何とか避けるが、ガイアには逃げられてしまう。
「ステラ、油断するな!もうすぐドアが開く!」
「あんな奴に何苦戦してんの?」
「・・・・・・・・・うう・・・」
(あいつ・・・・・・あいつ・・・)
ガイアは変形してインパルスに向かっていく。
「待て!ステラ!ちぃ!」
カオスはガイアを援護するように兵装ポッドを展開するがレイのザクがそれを落とす。
「好きにはさせん。・・・ん?」
ザクに6本のビームが降り注ぐがレイはそれを難なく交わす
「へえ、結構やるじゃん。この真っ白は俺がやるから」
「アビスか・・・」
シュベルトゲベールとビームサーベルが空中でぶつかり合う。
「何なんだこの感じは!」シンは再びマユを感じ戦闘に集中できない。
それでもシンはガイアを追い詰める
「・・・・・・うう・・・・・・このぉ!」
「ステラ、大振りしすぎだ!」
ガイアの隙をビームでカバーするカオス。
「ち!」シンは距離を離さざるおえない。
「時間だ・・・」スティングがそう口にしたと同時にコロニー内に爆音が響く。
そして決して壊れてはいけないコロニーの外壁に穴が開いた。
「ステラ、行くぞ」
「・・・・・・でも・・・・・・うわぁあぁ!」
ガイアとカオスが背中を向けた隙をシンは逃さない。
インパルスはガイアの左腕を斬りおとす。
(このままではステラは逃げ切れない。やはり使わないと無理なのか・・・)
「ステラ。そいつを振り切れないと・・・・・・・・・死ぬぞ!」
死、それはステラにとっての呪いの言葉
「…死ぬ?ぁぁぁ…あたし…はぁはぁ…そんな…あ…あぁぁーーっ!」
ガイアはインパルスに向かっていく。
インパルスの投げるマイダスメッサーを紙一重で避け、一気に接近戦の間合いへ。
そしてサーベルを振り上げる
「なんだ、こいつ・・・急に!」
シンがシュベルトゲベールでそれを受けようとした瞬間、
ガイアの蹴りがインパルスの腕に当たる。
その反動でシュベルトゲベールを落としてしまう。
「ちっ!」
ガイアは躊躇もなく外壁の穴へ。
「・・・・・・これで・・・・・・私は死なない・・・私は・・・・・・」
「アウルも行くぞ!」
「ちぇ、せっかくいいところだったのに」
宇宙に出る三機
「レイ、俺達も行くぞ。」
「ああ」
三機を追ってインパルスとザクも宇宙に出る。
to be continued
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
戦闘メイン回です。やっぱり映像じゃないと難しいなと。
文章なんだからもっとあっさりでも良かったのかなぁ。
保守
>>59-61 順調に話が進んでいて、これからどう本編との差が出てくるのか楽しみです。
自分もまた週末あたりに落としにきます。
それまで保ってくれと保守。
落としに来てねage
保守。
保守代わりに三話投下します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ミネルバ艦内
「発進ゲート内減圧完了。いつでも行けます!」
「機関始動。ミネルバ発進する。コンディションレッド。」
「ミネルバ発進。コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。」
「ディアッカ先生・・・じゃなく隊長、外のナスカ級が二隻撃沈されたって相手は一体なんなんでしょう。」ルナマリアはザクの中から通信を入れる。
「多分、ミラージュコロイド付き戦艦ってとこだろ。条約で禁止だ何だって言ったってテロリストには関係ないからな」
「なるほど」
「初出撃か。ビビんなよ」
「はい、大丈夫です」
『発進準備整いました。ザク・バスターどうぞ』オペレーターが告げる
「ディアッカ・エルスマン、ザク・バスター出る」
『続いてザク・ウォーリアー、どうぞ。』
「ルナマリア・ホーク、ザク・ウォーリアー、出るわよ」
(大丈夫、あたしはやれる。そのためにここにいるんだから!)
【Dark In The Dark 三話・戦闘】
(所属不明戦艦内部)
「躊躇なく新型戦艦を出してくるとは、やはり侮れんな」司令席に座っている仮面を被った男は隣の男に呟く。
「コロニー外壁の爆発は確認しております。彼らもまもなく帰還するでしょう」
「そうか、なら俺が一仕事してくるかな。艦(ふね)を頼むぞ。」そういいながら仮面の男は席から立ち上がりブリッジをでる。
「はっ。格納庫!エグザス出るぞ!いいか!」
エグザスに乗り込むネオ。
(さてお手並み拝見といこうかな、知恵の女神さん)
(アーモリーワン外壁付近)
「おい、スティング。なんで外でもドンパチやってんだよ」
「ネオの奴が動いたんだろう。そんなことよりステラの収容だ」
「・・・うう・・・・・・・私・・・ネオのところ・・・・・・帰る」
「ああ、大丈夫だ」
ガイア・カオス・アビスの三機は所属不明戦艦・・・正確にはガーティ・ルーに接近していく。
「ネオのエグザスが敵ザク二機と交戦中か・・・」
「後ろからあいつらもきてるよ〜〜」
「わかっている。とりあえずステラは戻れ。俺とアウルで白いのとガンダムを叩く」
ガイアはガーティ・ルーに帰等する。
「これはガンバレル!?」
ガンバレル・・・ルナマリアにとっては初めての実物だった。
というよりもほとんどの者にとって初めての実物といっていいだろう。
連合全体でもガンバレルを操れるのはほんの一握りだからだ。
そういう意味ではルナマリアは非常に運が良かった。
「そうだ。一個一個の動きには惑わされるな」
ディアッカは前大戦において連合の中でもトップクラスのガンバレルを相手にしている
「え、そんなどうすれば」
「反射神経でどうにかしろ」
「ええっ!」
そういいながらもルナマリアはガンバレルを避ける。
が、反撃は出来ない。
(さすが相変わらずの反射神経だねぇ。)
ディアッカは素早く避けながら左腕レールガンでガンバレルを一基破壊する
「グゥレイト!いい加減にしな、オッサン!」
さらに右腕のエネルギーライフルをエグザス本体に放つ
「俺はまだオッサンじゃない!」エグザスはライフルを避けてザクから遠ざかっていく
新型三機を追撃するレイのザクとシンのインパルス。
「ミネルバ、聞こえるか」シンは通信を入れる
『はい!』
「フォースシルエットを出してくれ」
『えっ、艦長!』
『許可します』
『了解。フォースシルエット射出スタンバイ』
そこにアビスとカオスが現れる
「丸腰で何ができんだよ!あいつ」
「アウル、一気にやるぞ」
「俺に指図するな!」インパルスにアビスが突っ込んでいく
「レイ、30秒だけ持たせてくれ」
「私の30秒は高いぞ」レイは軽い口調で返す。
「分かってる」シンの口調は重い
アビスのビームを避け、レイが反撃する。
「こいつ!」
「アウル!そっちじゃない!」
カオスはインパルスを狙うが当たらない
『フォースシルエット射出シークエンスを開始します。
オールシステムズゴー。シルエットフライヤーをプラットホームにセットします。
中央カタパルトオンライン。非常要員は待機して下さい。』
小型戦闘機の様なもの・フォースシルエットがミネルバから射出される。
「なんだ、あれは!」スティングはそれに狙いを定めるがそれをレイのビームが阻む
「ちっ!」
「これで25秒・・・」レイは呟く。
インパルスはそれまでつけていたソードシルエットを切り離し
フォースシルエットに換装、その刹那にビームを連射する。
「なに!」カオスは咄嗟に反応できず右肩に被弾
「なるほど、武装換装型というわけか」エグザスのパイロットの通信が入る
「ネオ!」
「そろそろ撤退する。」
「ええ〜」不平をもらすアウル
「これは命令なんだが・・・・・・━━━━━━━━━━!!」
(━━━━!? なんだ・・・? この白いMS・・・ この感じは・・・?)
ネオはレイのザクに対してガンバレルを展開する。
ネオの感じていた違和感をレイも同様に感じていた。
(なんだ・・・・・・あのMA・・・このプレッシャーは・・・)
レイはガンバレルのビームを避けるが、釈然としない
「悪いがそれは囮なんでね、また遊ぼうか、諸君」
エグザス・アビス・カオスは急速離脱する
「三対二のこの状況で退くのか・・・」シンは呟く
「シン・・・・・・」
「レイ・・・?」
ばんっ ばんっ ばんっ 白と赤と緑の閃光 帰還の信号である
ミネルバがすぐそこまで来ていた。
to be continued
メカ設定とか
ザクの後に付く名称はパーソナルネーム。
ザク・バスター
ディアッカ専用ザク
装備は右腕にエネルギーライフル
左腕にリニアレールガン
肩にはミサイルポッド
携行ナイフ有り
なんか文章力とか色々アレだけど、職人さんが来るまでこのスレは俺が守るから。なんつって
>>71 GJでした!!続き楽しみにしてます
自分もやりたいけどいかんせんネタが古いからorz
頑張ってください。71格好いいよ71(*´д`)
本編終わって大分人が減ったねぇ。
点呼でもとってみる?
俺は本編があんな終り方したからこそ、
ここや脳内で補完して盛り上がるべきだ、と思っているんだがww
まだまだ居るぞーノシ
何となく小説投下が主になってきたからな…職人来るまで
初期のように妄想やら小ネタやら語ろうか。
取り敢えず、白ザクっ娘萌え、ドラグーンっ娘萌えと言っておこうか。
薄命の色白美少女か・・・・・・10年前の昼ドラマみたいだなw
78 :
即興で小ネタ:2005/11/03(木) 20:00:31 ID:???
ナレーション「時はCE73。恐れていた事態は突如として起こった。異星人・ファントム星人の来襲。
既存の兵器では太刀打ちできない強大な敵。」
アウル「ゴメンね強くってさぁ〜〜〜〜!」
ナレーション「しかしそんな邪悪な敵に立ち向かう勇気ある者たちがいた・・・」
デュランダル司令「ミネルバの諸君!ついにわれわれが動く時が来た!インパルス発進承認!」
シン「くっ!これがファントム星人の力なのか!」
レイ「分析によるとMSクラスのビームでは歯が立たない・・・」
ルナマリア「レイ!呑気に分析してる場合ないでしょ!」
シン「司令!」
デュランダム「ああ、運命合体を許可しよう」
シン・レイ・ルナ「「了解!!」」
キュピーーーーーン!!!!!!!!!
レイ「運命合体!」
ルナ「シード!」
シン「ディスティニー!」
ナレーター「ファントム星人の脅威の科学力の唯一対抗できる手段・・・それが超運命兵器・インパルスガンダムだ!!」
レイ「シュベルトゲベール出力良好」
ルナ「いけるわ!シン!
シン「うおっしゃ〜〜〜〜!!!いくぞ!!!!必殺!!!!
運 命 縦 横 無 尽 剣 !!!! 」
アウル「ギャ〜〜〜〜〜〜」
ドッカ〜〜〜〜〜ン!!!!!!!!
ナレーション「笑いあり」
シン「レイ、なんだよその髪型w」
レイ「タリア副指令が・・・」
ナレーション「恋愛あり」
ルナ「シンはあんたなんかに渡さないから、絶対渡さないから!!」
レイ「・・・私は・・・・・・私は・・・!」
ナレーション「熱血運命ロボットアニメの決定版!!衝撃のシードディスティニー!!土曜夜六時から!!!!」
勢いだけwガイキングの番宣みたら熱血ものもいいななんてねw
レイがどんな髪型だったのか気になる
いっそこっちの方が清々しくていいよ
主人公チームはこうでなくては
>>71 クールビューティーレイたんかわいいよレイたん
脳内で発進シークエンスが流れてしまう。戦闘シーンに燃えます。
保守頑張ってくれ!
遅まきながら点呼に挙手ノシ
小説4巻読んでいてシンとレイの扱いと解説の鈴村氏に、
あの最終回の憤りが甦ってきました。
造物主の呪いには勝てないんだなリウ…頑張れリウ!
自分も改めて頑張ろうと思ったよ。
勢いでやった。反省は明日する。アスランたっぷりレイ少なめ。
=仮像の罰=
官民総出で救出作業が行われ、生体反応のある機体が次々と運び込まれた。
緊急治療が必要な者はその場で衣類を取り去られて応急手当され、ランダムに病院に搬送
された。病院はどこもパンク状態で治療が最優先されたため、患者は身体的特徴と性別と
推定年齢で管理された。
本人の意識が戻って初めて、ある女性がミネルバ艦長タリア・グラディスと確認された。
シャトルに同乗していたという少年は発見されず、まもなく戦死として処理された。
別の病院に長く意識不明の少女がいた。
捜索人リストと突き合わせたが、合致する者は居なかった。少女は眼を開けても自失状態で、
何を聞いてもまともな返事は得られなかった。ようやくレイという名を呟いたが、果たして本人の
名前なのか、身元は確認できなかった。
同じ身体的特徴の女性はどの機関にも所属していなかったからである。
少女は原因不明の発作を起こした。
カウンセラーは遺伝子治療で有名な博士の名前を聞き出した。数日後、神妙な顔をした遺伝子
研究所の助手が少女を引き取っていった。
しばらく経ってから、どこから話を聞きつけたのか悪名高いゴシップ記者が現れた。記者は
前議長の研究者時代からネタを掘っていて、かつての上司の元にある患者を見つけた。
記者は特ダネを歴史的スクープにする為に、地球に降りた。
そして大金と引き換えに記事は闇に葬り去られた。
「身内の恥を表に出すわけには参りません。我が親族は人の道を誤ったりしませんもの」
クローンの依頼人の遠い親戚は、代理人を通してそう言ったと伝えられる。
「何なんですか! ひと一人居ないことにするって……存在消されて、恥だと?」
「誤解するな。クローン依頼そのものを指して言ったそうだ」
「ああそうですか。体面保つのが一番大事なお金持ちの感覚はわかりませんでしたよ!」
「実を取れ。シン。本人が生きていた、実は女性だったと明るみに出す? それがどういう事態を
引き起こすか分かっているだろう!」
戦後すぐから、主に写真週刊誌で前議長のスキャンダラスな逸話が面白おかしく書きたてられ
ていた。人物名はぼかしてあるが、多少知っている人間にはすぐに分かる構成だ。
シンにも取材依頼が殺到した。
主に取り上げられるのはタリアだ。レイも謎の少年として度々現れ、ほとんどが「彼の正体が
暴かれる日はそう遠くないかもしれない」と締められている。
「レイはもう別人としてあらゆる人に関係している。記者がネタをつかんだまま地球に降りたから、
裏で大量の金が動いて示談で済んだ。そのお陰でお前達は一緒に居られるんだぞ」
「感謝してますよ。俺や艦長が自由に外に出られない時に、まさかアンタの仲間が動いてくれる
なんて思ってもみませんでしたから」
ゴシップ騒ぎの途中で依頼人の息子に話が回り、記者とのごたごたをクローン本人の問題に
引き上げさせた。
ザフト所属のレイ・ザ・バレルの処遇は済んでいる。もうこの世にいない。クローンの事を
一切世に出さない。代理人は一歩も譲らなかったが、金払いだけは良かった。
依頼人の家とその血がつながる全ての家系に関わらないと誓約し、手切れ金が渡された。
レイの薬を作るには多額の費用がかかる。
結局経済的には依頼人の実家筋に頼り、アスハの威光でレイの人権を保ち、アスラン・ザラの
コネクションで住む場所を都合してもらった。
クローン問題を表に出すのは、プラントにとってもデメリットだった。コーディネイト技術の
躍進の為の人体実験に話が繋がっていく。
ずっと大きく堂々とした暗い取引の後ろに付けて、全てを無い事にしたのだ。
今日はレイの定期健診で街まで来ていた。待ち時間にこうしてアスランと会っている。わざわざ
日を合わせて様子を見に来てくれているわけだ。
「果報な罰」
「なんだ…?」
シンはひとしきりアスランに当たると落ち着いたのか、静かに言った。
「レイが直接お礼言うべきなんだろうけど、まだ会わせられないんで。…ありがとうございます、
迷惑掛けてすみませんって、言ってました」
「そうか」
相手も打って変わって気の無い返事だった。
「アスラン、あんた……」
「ん?」
「俺がレイより先に死んでも、レイの面倒見てくれますか」
かつての上司は微妙に眉を寄せた。アスランが親身になっているのはシンだ。アスランとレイは
ミネルバに乗っていた頃から上手く噛み合った事がない。
「見知った仲だ。昔隊長にもお世話になった。でも滅多なことを言わないでくれ。……何かあったら
すぐ連絡しろ。緊急で繋がらない時は直接アスハ代表の自宅に。直通は変わってない」
果報な罰。レイはそう言った。
見る人が見れば全てが都合よく運んでいた。罰など一つもない。治療に専念してただ静かに
暮らしていられる、最上級の待遇ではないかと。
おそらくその考えの男が、声を柔らかくして言った。
「少しは良くなったんだろう?」
「ええ随分良くなりましたよ。なんていったって」
シンは噛み付きたくなる気持ちを何とか抑えた。
「泣けるようになったんですよ」
医師の話を一緒に聞くから、と言ってシンは病院に戻った。
面会が予想外に早く終わったので、アスランは次の用事まで近くのオープンカフェで軽食を取った。
道路を挟んで反対側には大きな公園があり、そこからシンが現れた。道の様子を窺っているので
声をかけようかと思った時、シンの合図でタクシーが停まった。
シンは車を待たせたまま公園に戻り、たっぷり一分以上出てこなかった。
シンが金髪の女性を連れてゆっくり車に近付いた。
白いブラウスに包まれた肩は細く、淡い中間色のロングスカートを履いていた。隣にシンが
いなければ、絶対に誰だか気付かなかった。
高圧的とすら感じたことのある、かつての面影はどこにも残っていなかった。変わらないのは、
印象的な髪の色だけだった。
「シン」
意を決して話しかけようとした矢先、車は二人を乗せて走り去った。
終
>>82 何だろう…ひたすらセツナス。GJ
静かで淡々とした描写と、残る余韻がいい。
>>82 先が気になる内容だがこれで終わりなんだろうか…。
気が向いたら続きを是非!
ところで二人は同室なのか?
特殊設定がなければ基本的に同室
特殊設定か…
老化とは別に、成長するにつれ記憶が無くなっていく病気?設定があってもいいかも
病室に毎日付き添うシンとかセツナス
何、その泣ける設定…(ノД`)゚。
それはツラス・・・
あまりに不憫だ・・・
「頭の中の消しゴム」でも見たか
アルツハイマーの派生系として、実際にありそうだな
病気が進行してシンのこともわからなくなるんだけど、シンの顔を見た時だけニコッと笑うんだよ…
だんだん記憶が薄れていって、シンを見るたびに「貴方は?」とか聞くレイに
いつでも笑顔で「シンだよ。シン・アスカ」と答えるシンが思い浮かんだ……
もう俺を泣かせないでくれ(つД`)
俺の中の鬱展開だとシンの事は忘れてもキラへの恨みだけは覚えてて
「私はキラ・ヤマトを殺すの。絶対に殺すの・・・」
と言うレイにシンは「分かったから、キラは俺が倒すから・・・だからレイは安心して休め」
と言ってなだめると・・・
映画ネタといえば「この胸いっぱいの愛を」のCMの
「もっと生きたい」も脳内変換して遊んだな…
映画は見てないが
王道なシチュエーションが似合うんだよな、この二人。
先週末頃書きに来るとか言ってたやつです。
ニュートロンジャマーの効果範囲がよくわからなくて詰まってます。すまん。
地球上に埋まってるアレはどうやって宇宙に影響及ぼしてるんだろうか。
それとも宇宙はNO影響?
ハイパーデュートリオンのバッテリーと核の関係とかも悩みどころ。
大人しく白ザク娘絵でも投下したほうがいいかもしらん。
劇中でも説明不足なので完璧ではないが
・ハイパーデュートリオンは従来型デュートリオンと核動力のハイブリッド
・この「核動力」には諸説あり、NJCである、レーザー核融合(戦艦の動力と同じ)である、未知の物質の使用など。
・ニュートロンジャマーは地球に「大量すぎて回収できない」くらい埋まってる
・宇宙にも効果がある
・効果範囲は無限ではなく、火星付近だと効果がない(アストレイより)
って感じかな。まあ参考にでも。
シンレイ写真みたい
>>100 まさか答えて貰えるとは思ってなかったので激しく助かった!
文献色々引っ張り出したり検索かけても本編の描写が薄いせいか欲しい情報に当たりにくくて困ってた。
アストレイにはつくづく本編のフォロー乙と言いたい。
ハイパーデュートリオンについては核エンジン搭載ではあるがバッテリー充電式らしいので、
急激に使って空になった後ってどうなるのかが激しく謎だった。
そしてNJは話を書く上でかなり難しい存在だよなぁ。遠距離通話が出来ないってのがツライ。
それでは気合入れて話書いてきます!他の職人さんも頑張れ!
Nジャマーは宇宙空間では「散布」されてるんじゃなかったか?
│燃えるごみ│
/⌒⌒ヽ ウウ…
イ ノハぃ)_
/ wノ ´Д`ソ /\
/| ̄ (ノ  ̄(ノ ̄|\/
| .|/
後日談です。もしものお話です。
崩れゆくメサイヤを、ただ泣きながら見つめるしか出来なかったシンと
ルナマリアは、その後軍によって救助され、身柄を拘束された
軍施設で与えられた戦死者リストに『レイ・ザ・バレル』の名があった。
とても大切で愛した人だった。護ると心から誓った人の死。
それは、シンには耐え難い事だった。
『新たな指導者となったラクス・クラインに忠誠を誓え』
との、軍の命令に首を縦に振らなかったシンとルナマリアが開放されたのは
それから3ヶ月後の事であった。
軍施設の門から出てきた2人を出迎えてくれたのは、かつての仲間ヨウランと
ヴィーノだった。
「お帰りシン、ルナ」
2人はシンとルナマリアを抱きしめた。
「レイや議長達の命を奪った奴らを許せない。
だが、デスティニーは駄目にしてしまい、インパルスも取り上げられ
もう戦う力が無い。何も出来ない自分が情けないんだ」
シンは唇を噛み締める。悔しさで耐えられない気持ちになった。
「そんな事気にするな。やる気はまだあるみたいだな。
シン達が元気ならそれで良いよ」
ヨウランは明るく言って見せた。
2人はシン達をとある場所に案内した。廃棄された巨大な工場のようである
そこにはかつてミネルバで共に戦った顔が沢山あった。
その中から薄汚れた作業着を着たアーサーが現れた。
「シン、ルナマリア。君達に見せたいものがある」
そう言うと、工場奥にへと案内した。
扉が開かれるとそこには、白と赤の2機の『ザク』が並んで置かれていた
「俺達がこの3ヶ月間何もしてなかったと思ってた?
整備士の仕事はメンテナンスだろ?エネルギーの確保とか大変だったけど
議長に賛同していた人達も協力してくれた。ちゃんと動くよこいつ等
でも、パイロットが居ないんじゃどうしようもない。
なぁシン、ルナマリア。お前達使ってくれるよな」
「ミネルバから離艦する時、副官がとっさにこの2機を
『何者かに奪われた事にしよう』って言い出して、
俺達必死で持ち出したんだ。動かすのって凄い難しかったぜ」
ヨウランはアーサーの方を見ながら言った。
「ミネルバがアークエンジェルに負けて艦を後にする艦長に『後は頼む』
って言われてね。これ位しか思いつかなかった。
でも普段からドジな俺だからだれも『隠した』とは疑わなかったけど・・・
まあ首になったけど、あんなザフトならこっちから願い下ってね」
シンとルナマリアは信じられないといった表情でザクを見上げる
だがその白の機体は、シンが最も愛した女性レイの愛機だった。
その事実がシンに重く圧し掛かる。
「でもこれはレイの・・・レイの機体だ」
「だから、お前が乗ってやるんだ。レイの思いを受け継いでやれ。
アイツ恐い位必死で戦ってた。それを一番知っているのはシンお前だろ」
ヨウランはシンに熱い視線を向けた。
『自分はクローンで先は長くない。新しい世界はお前が護れ』
とても綺麗な笑顔で語ったレイの言葉が、シンの頭を駆け巡る。
「皆ありがとう」
シンは新たな力を手に入れた。
それからギルバートに賛同していた者達を含め、対ラクス派との戦いは
日増しに強くなっていった。
当然、一般市民への被害も出て来た。
戦争だから仕方が無い。そんな風潮の中一つの噂が流れてきた。
ー戦場にはナイチンゲールが現れるー
「シン知ってる?ナイチンゲールの噂。なんでも怪我をした人達の救護を
するグループがいるって。しかもリーダーは凄い美人らしいの」
ルナマリアはコーヒーを飲みながら、シンに語りかけた。
「ふーん、そうなんだ」
シンは大して興味をしめさなかった。戦争で被害が出るのは当たり前だ。
だが戦わなくてはならない。今の世の中を変えたい。
そんな思いの前では、救護活動はどこか偽善めいた物を感じていた。
戦いは激化し、シンはブレイズザクファントムで出陣したが、
アスランとの3度目の対戦の中で、機体の差もあり、撃墜されてしまった。
奇跡的に機体の損傷は少なく、シンはザクから脱出した。
薄れゆく意識の中で、誰かが自分に近づいてくるのが分かった。
(敵か?)シンは死を覚悟したが、その人物はシンに優しく手を差し伸べた
どこか懐かしい匂いのなかで、シンは意識を手放した・・・
つづきます。
GJ!!
アーサーカコイイ!!
>>106 GJ!!
言っちゃいけないのは分かってるけど言われてくれ
白衣のレイ萌え!!!
GJ!!!続き待ってる!!
110 :
投下?:2005/11/09(水) 10:03:58 ID:???
燃料にならんかったらスマソ
意識が戻ってからも暫くの間、レイは少し記憶が混乱しているようだった。収容された折頭から
血を流していたという。どこかにひどくぶつけたのかもしれない、と医師は事務的な口調で淡々と
告げた。静かな呼吸を繰り返すレイは、まるで精巧なつくりの人形のようだった。シンが右の手を、
ルナマリアが左の手を強く握り、声を掛ける。優しく頬を撫でたり髪に触れたりすると、レイは意識の
無いながらも、ほんの僅かだが嬉しそうに口許を緩めるので―――そんな顔はこれまで見たことが
なかった―――その度に幾許かの期待を持ってシンは涙で滲む視界を無理やりに開き続ける。
レイが少し身じろいで瞼を上げた。膜が張ったようにぼんやりとした明るい青が、ゆっくりとシンを捉える。
「―――ギルは?」
どこか舌足らずに聞こえる声音でレイは呟く。シンは泣きそうになりながら、「今はいないよ」と答えた。
議長、と。
レイはシンの前で崩すことはなかったのに。あっさりとその愛称を口にして、柔らかな微笑を浮かべることに
もう躊躇いは無い。
ルナマリアが椅子を転がす勢いで病室を飛び出した。口許を覆っていた手は多分、込み上げた感情を抑える
ためのものだったのだろう。
続かせたいが時間が無い。変な所で切れてスマソ
シンが瞳を開けると、見慣れない天井が目に飛び込んでくる。
ここは何処だ?シンははっきりしない頭で考えた。
周りに目をやれば40台前半と思える女がいるのが確認出来た
それに気づいたのか「お目覚めかい?」と、声をかけて来た。
シンはまじまじと顔をみつめた。
「なんだい?噂のナイチンゲールにしちゃあ老けてるって?」
「いや、そんな訳じゃ・・・」
「ふふっ、私はリーダーじゃないからね。でも噂って恐いよね。
だってあの子は助けた人達に顔を晒してないからね。
でも、美人なのは確かだよ。あの子は心も綺麗だからね」
女はシンに笑顔を見せた。
シンは頭がはっきりすると、ザクの事が気になり、立ち上がろうとしたが、
身体に痛みが走り、無様にベッドに倒れこんでしまった。
「おい、無理をするなって。あんたの機体なら大丈夫だから」
「えっ」
「あの子が、リーダーがちゃんと私達の基地に運んだから気にするな」
「あんた達のリーダーってMSに乗れるのか?」
シンは驚きの声をあげる。
「あの子があの機体に乗って、傷ついたあんたを運んできた時は驚いたけどね。
頭も良いし、何でも出来る。本当に凄いよあの子は」
それから女は自分達について語ってくれた。
初めはリーダーと称される少女が一人で救護活動をしていた。
その姿はまるで、昔地球にいたと言うナイチンゲールのようだった。
やがて賛同する者達が集まり、グループを形成していった。
参加条件はただ一つ『弱者を護る事』のみ。
シンは彼女達の事を偽善と思っていた事を反省していた。
「おい、ここに反乱軍のシン・アスカがいるだろう。情報は入っているんだ
大人しく差し出せ。アスラン様の命令だ」
玄関に何人か乗り込んで来たのが分かった。
シンは自分がいたのではここに迷惑がかかると思い、身体を起こした。
部屋から出ようとしたその時、
「静かにしろ、ここには怪我人が沢山いるんだ。
それに怪我人を「はいそうですか」と、さし出すと思っているのか?」
玄関でとても力強く綺麗な、そして懐かしい声がした。
シンは弾かれたようにドアを開けようとしたが、部屋にいた女に阻まれる
「あの子に任せとけ」
シンは少し開かれたドアから向こうを伺った
「ふざけるな」
男達は白い布を頭から纏った少女に殴りかかった。
少女はその男の腕を受け止め、逆に殴り返す。
違う男がナイフで襲い掛かり、少女の布を掠めた。
その為少女の髪が露になり、美しい金の髪が風に吹かれた。
少女は手刀でナイフを叩き落し、腕を掴み投げ飛ばした。
残された男は恐怖に顔を歪ませ、2人を連れ逃げ帰った。
シンはドアを開け少女の顔を見る。
そこには捜し求めたレイ・ザ・バレルの顔があった。
「レイ」
シンは強くレイを抱きしめる
「生きていたんだ。良かった、嬉しいよ」
「うん、久しぶりだなシン」
レイはシンの胸に顔を埋めた。
部屋を移動し、2人はテーブルに向かい合って座った。
「なんで連絡してくれなかったんだ。俺達レイの事・・・」
「私はギルを議長を護れなかった。あれほどシンに議長を護れって言ったのに」
レイは唇を噛み締めた。そして後ろを向き、着ていた白いブラースのボタンを
外し、肩を露にした。そこには痛々しい銃痕があった。
そしてゆっくりとメサイヤでなにがあったのか語った。
「メサイヤに着いた時、議長とキラは互いに銃を向け合い対峙していた。
キラが議長を撃った一発目は、何とかこの身体で防げた。でも、キラが
2発目を撃った時、議長は・・・私を庇ってキラに撃たれたの・・・
お前は生きなさいって、やるべき事がある筈だって・・・
メサイヤからは艦長が脱出させてくれたの、自らの命を懸けて」
レイはそう言って泣き崩れた。それでも議長を護りたかったとー
「力があって新たな時代を創りあげているシン達は間違えていない。
シン達が立ち上がったの知って、本当に嬉しかった。
でもそんな中で、力を持たない弱い者はただ傷つけられるだけだ。
議長は何時も仰っていた、誰もが幸福になれる世の中にしたいって。
何かをしたかった。今の私には傷ついた者を癒やす事しか出来ないから
でも、名と顔は隠していた、ばれるとシン達にも迷惑かかると思ったから」
そう語るレイはとても綺麗だとシンは感じた。
「一緒に戦おうレイ。皆が幸せになれる世界の為に」
「でも私は・・・」
「レイが必要なんだ、俺達にはいや新しい世界には」
シンはレイに手を差し出した。その手をレイは静かに取った。
つづきます。
目の前にはかつて共に戦った仲間であり、裏切りゆえにこの手で撃墜したはずの男が立
ちはだかっていた。展開した高エネルギー長射程ビーム砲で狙いを定めるが、ちょろちょ
ろと動き回る為掠りもしない。ジャスティスは一気に距離を詰めると、脇を擦り抜けるよ
うにして背後を捉えた。シンが機体を旋回させる間も与えず後から腕を掴み上げる。
「やめるんだ、シン!」
接触回線を使い、喚くような甲高い声が響いてきた。すかさず振り払うと、また性懲り
もなく向かってくる姿に舌打ちする。
こいつはレイの想いを知らないからこんなことが言えるのだ。いや、事態にある程度直
面していながら、ステラのことさえわかってはくれなかった。己の保身にばかり手一杯で
上からしかものを見れない人間は、底辺で這いつくばる人間の気持ちなどわかりはしない
のだ。
『レクイエムが再び動き始めました!目標は…オーブ?!オーブです!』
アビーの切羽詰った声が事態の急変を告げた。アスランにも同じくミリアリアの声で同
じ内容が伝えられただろう。
オーブが撃たれる?その言葉はシンの内側になかなか浸透して行かなかった。デスティ
ニープランに反対したのも、今まさに押し寄せている軍勢もオーブのものだ。ゆえに攻撃
目標となることは可能性の一つとして理解出来るが、それによって故国が滅びてしまうこ
とを素直に割り切れずにいる。
だからと言ってオーブがザフトを討ち滅ぼし、勝者となったところでどうなるというの
だろう。レイの言った通り、その力を各国に知らしめることで、新たな戦いの火種となる
のではないか。
『エネルギー充填までおよそ15分!』
両勢力に緊張が走る。深く考える暇さえない。
『…ン…シン、聞こえるか?』
上部モニタから、ノイズに掻き消されてしまいそうなレイからの通信が入った。
『今いる位置からは、私が一番レクイエムに近い。あれは私が止める。だからお前はミネ
ルバを…』
ザッと強い雑音を最後に、通信は途絶えた。あれほど議長を護れと言っていたレイが、
なぜレクイエムを止めに行くのだろうか?事態がいまいち呑み込めないシンへ、更にタリ
アからの通信が割り込む。
『シン、聞こえていて?レクイエムにはレイが向かったわ。でも、今あれには以前貴方達
が向かったときとは違い、陽電子リフレクターが設置されているはずよ』
「じゃあ、どうやって…」
うろたえるシンの隙を突くように、ジャスティスの脚部に配されたビームブレイド【グ
リフォン】がデスティニーの腕をもぎ取ろうと襲うが、寸前で何とかかわしきった。全身
刃物のようなこの相手は、接近戦を好むシンにはやり辛いことこの上ない。
「チクショウ!」
目の前の相手に集中しなければいけないのに、レクイエムへと向かったレイが心配で仕
方ない。苛立ちに息を荒げながら、シンはアロンダイトを抜いた。
-------------------------------------------------------
保守がてらゆっくり投下していこうと思っているのだけども、
鬱陶しかったら遅くなるがまとめて落とそうと思う。
>>116 MS戦いいよいいよー!シンの心理描写も細やかでいい。
続きを楽しみにしてます。
まとめて投下でなくとも、自分は一向に構いません。
GJ
保守しときます
レイはグループの仲間達に、かつて共に戦った者達の話をした。
「会いに行ってこいよ、リーダーの分まで私達が頑張るから」
暖かい言葉と笑顔でレイの背中を押してくれた。
シンはレイをザクに乗せ、アーサー達の待つ基地に向かった。
レイの事は連絡していたので、一堂勢ぞろいで出迎えてくれた。
「レイお帰り」
ルナマリアは優しくレイを抱きしめる。続いてアーサーも抱きつこうとしたが
シンによって阻まれた。
「勝手に触るなよ、アーサー」
アーサーの相変わらずな態度にレイは思わずふきだした。
レイのグループとシン達の団結により、反乱軍とされるグループは一気に強さ
を増した。それはラクス軍にとって脅威となった。
警報音が基地に鳴り響き、緊張が高まった。
「敵MSが一機こちらに向かっています。こ、これはインパルスです」
アビーは迫り来る敵機を告げる。
シンは急いでザクに向かおうとしたが、レイはそれを止める。
「レイなんで止めるんだ。アレを落とさないと」
「ちょっと待て様子がおかしい」
インパルスは攻めてくるとは言いがたい位蛇行している。
そして、次の瞬間基地近くに落下した。
シンとレイは慎重にインパルスに近づく。だが何の反応も無い。
銃を構えながら、コックピットに近づき中を確認する。
中には血まみれのパイロットが横たわっていた。
「大丈夫か?」
レイはパイロットを助け出し、基地の急務室に運んだ。そして手馴れた様子で
応急処置を施す。パイロットは程なく目を開けた。
「お、俺は以前議長の護衛をしていた。政権が変ってもザフトに留まったが、
今の状態は耐えれない。だから、この機体をお前達に渡したくて・・・
ちょっとミスってこの様だがな。たのむ議長の目指した世界を創ってくれ」
パイロットは懸命に言葉を吐き出した。
「分かったからもう喋るな」
レイはパイロットの状態を察し、戒めた。
パイロットはレイの顔を霞む目で眺めていた。そしてレイの手を強く握った
「あんたはどこか彼に似ている。俺が最も尊敬しているザフトの英雄・・
クルーゼ隊長に。俺にもあんな強さがあったら、もっと早くこう出来たのに」
パイロットはそう言うと、静かに目を閉じた。
インパルスと言う新たな力をシンに届け、その生涯を閉じた。
「シン、インパルスを早く整備しても貰おう。そして戦いに出るんだ」
レイは立ち上がり、力強くそう言った。
戦いは最終局面を向かえていた。
シンはインパルスに搭乗し、レイとルナマリアはそれぞれザクに搭乗した。
仲間も増え、他のMSもある。
しかし、ラクス軍はキラ達を含めかなりの数のMSが出陣していた。
自分達を正当化するかのごとく、この戦いを全宇宙に放送していた。
シンの前にまず立ちふさがったのは、アスランだった。
「シンもう止めろ、議長がいないのになぜお前は戦う人形を続けるんだ」
アスランの言葉はシンをイラつかせた。
「戦う人形?あんたは本当にその意味を知っているのか?
戦いの為だけに記憶を奪われ、薬漬けにされ命を散らした少女がいた事を」
「シン何を言っている?俺達は自由のある未来の為に戦っているんだ」
「自由ってなんだよ。あんた達は綺麗事をいって何も変えようとしない。
世の中を見ようとしない。上から見ているだけじゃ何も分からないだろう
毎日の生活がままならない人達がいるのを知っているのか?知らないだろう
そして、そして残り少ない命を懸けて、懸命に世の中を変えようと、
自分達の様な悲しい存在を造らせない為に頑張っている少女がいる事を
お前は知っているのか?」
シンはビームサーベルでジャスティス向かっていった。
レイとルナマリアは、フリーダムと暁と戦っていた。
ルナマリアがライフルで暁を狙っても、はね返され歯がたたない。
レイはフリーダムに向かって行った。今度こそこいつを倒すと心に誓って。
キラはレイの気配を察し、顔を引きつらした。
「この感じは・・・まさか君あの時の」
キラは暁に乗るムウに無線で伝える。
「ムウさん、あの白い機体に乗っているのは、ラウ・ル・クルーゼと同じ
魂を持つ者です。気をつけてください」
ムウも又感じていた気配の正体を知り、納得した声をあげた
「へぇークルーゼの」
ムウとキラはレイを挟む様に機体を移動させた。
ルナマリアが応戦しようとしたが、簡単にあしらってしまう。
フリーダムと暁の2機はドラグーンを使ってレイを追い詰める。
レイはそれを機体の操作とライフルで打ち落としたが、流石に避け切れず、
ザクファントムは傷ついていく。
「クルーゼはあってはならない存在だ」
ムウが冷たく言い放つ。
「お前達に何が分かる?ラウは優しい人だった。そして人の欲望が生み出した
物に飲み込まれただけだ。ラウを悪く言う事だけは許さない。
最高のコーディネーターのお前なんかに、虐げられる人の気持ちなど分からない
もっと世の中を見てみろ」
レイはなおも戦いを挑む。しかし、レイにもザクにも力は残っていなかった
ドラグーンが2機から放たれて、レイは次に来るであろう衝撃を予想し
目を閉じた。もう駄目なのかー。レイは自分の無力を悔やんだ。
しかし、衝撃は襲ってこない。レイが目を開けると、ザクを護るように
インパルスの姿があった。それだけではなく何体ものMSが立ち塞がっていた。
自軍のMSはもちろん、ラクス軍もMSまであった。
「我々も新たな世界を望む。本当に争いの無い世界をー」
シンやレイと、アスラン達の会話は無線により全軍に聞かされていた。
その話を聞いて、皆はレイ達に賛同したのだ。
戦いはそこで終焉をむかえた。シン達の勝利によって。
シンかレイが新たな代表にと声があがったが、自分達は裏方をと身を引いた。
シンは戦死として平和を護る覚悟はあったが、命が残り僅かなレイとの時間
も大切にしたいと思っていた。
「シン私ね、今まで自分は造られた存在だと思っていた。
でも今は、生まれて来て良かったと思っている」
造られたのではなく、生まれてきた。クローンであるレイがそう思えたのは
今が始めてであった。シンを始めとし、皆に守られた。レイは心から感謝した。
レイは残された命を懸命に生きた。世の中の為に懸命に尽くして。
シンに愛され、護られ、その腕の中で息を引き取るまで、命を輝かして。
本当の哀しみを知った瞳は愛に溢れてーLife Goes Onー
長文失礼しました
一方その頃、レイはいまだフリーダムと交戦状態にあった。キラはレジェンドから感じ
る既視感を確かめるようにスーパードラグーンの砲口を向ける。先の戦いで自分と互角で
あった機体であることから、レジェンドを沈黙させることが何より先決だと判断したのだ
ろう。
体に微弱な電気が走るような感覚の命ずるままに放たれたビームの隙間を縫うように避
け、避け切れなかったものはビームシールドで辛うじて弾く。視界の端にレクイエムを捉
えながらも、それに近づく隙は与えられそうにない。
レイはドラグーン全基を射出するとビームライフルを数発撃ち込み、ビームスパイク二
基を巧みに操りフリーダムを翻弄する。ビームシールドでは防ぎ切れないそれをを纏わり
つかせながらも、フリーダムは鮮やかに射線を擦り抜けた。その周りに、一つ、また一つ
とドラグーンが配置されていく。
連結させたデファイアント改で懐に切り込むが難なく払われた。だが、それも計算の内
だ。フリーダムの胸部を蹴り込むようにしてレジェンドを離脱させながら、その青い翼を
見下ろす。フリーダムは既にあらゆる方向をドラグーンで囲まれていた。
「これで終わりだ、フリーダム!」
しかし、フリーダムはドラグーンから光が放たれるより先に腹部のカリドゥスを撃ち込
み、全方位攻撃からの僅かな退路を作った。抜け出す際に脚部を損傷したが、キラにとっ
てはどうということはない。片足を失ったことで崩れたバランスを立て直すべく、すかさ
ずOSを対応させようと書き換える。
フリーダムが態勢を整えようとしていることに気付いたレイは止めを刺すべく残ったド
ラグーンを呼び戻すが、その目にモニタが映す残された時間が飛び込んだ。もう時間がな
い。
ラウを討ったフリーダムは憎い。彼が死んだ後、先の戦争の理不尽を全て背負い込まさ
れたことに対し、キラ・ヤマトは安穏とした生活を送っていたと聞く。数々の失敗作を犠
牲に生まれながら、彼はその力を何に役立てるでもなく無為に過ごしていたのだ。挙句は
クライン派の手先として戦争に混乱を齎した。
レイは唇を噛み、宿敵と認めた相手を睨みつける。最後まで共に戦うと誓ってくれたシ
ンに、自分が言った言葉を思い出す。
「オーブはお前が護れ」
モニタの数字が彼女を追い詰めていた。失敗作を犠牲に生まれたスーパーコーディネイ
ター。オーブの民を犠牲に生まれる新たな世界。それは同じことではないかという疑問が
彼女の中に生まれていた。
シンはウズミの決断に巻き込まれたオーブの民として、あの国を愛しながらも憎んでい
た。今オーブはまたカガリ率いる首長たちの判断によるデスティニープランの否定により、
窮地に陥っている。またあの悲劇が繰り返されるのだ。今度は、敬愛するデュランダルの
手によって。
123 :
蛇足:2005/11/10(木) 16:27:01 ID:???
レジェンドの全方位攻撃ってのがレジェンド「から」全方位だったりしたら勘違いすまん。
レクイエムの充填時間も仮状態のまま投稿しちまってて長い。
頭悪いから装備覚えるだけでヒィヒィ言ってる状態。
でも武装だけ見てると無限正義も暁も面白そうだ。
暁の銃剣とかどうやって使うのかとwカコイイけどな。
>121
ナイチンゲールレイたんの一生しかと見届けました。
Life Goes OnはDestinyに一番しっくりくるEDですよね。
ミネルバの面々総出演にニヤリとさせられました。GJ!
とにかく乙です。
やばい…お気に入りからうっかり削除しちゃってて久々に来ました…
残ってて良かった…!
最初から読みなおします保守
念のためほす
このスレも終わりだな
レイはフリーダムに背を向けると、レクイエムへ針路を向けた。離れて行くレジェンド
を追おうとしたキラの目に、メサイアへと向かうエターナルの姿が映る。
「ラクス…!」
また争いへと身を投じるフリーダムを少しだけ振り返り、レイは唇を噛み締めた。以前
までのレイであれば、オーブになど目もくれずキラ・ヤマトを討っていただろう。ラウ・
ル・クルーゼという半身を失い、デュランダルの言葉が全てであった自分の中に、異質な
何かが生まれ始めていた。その遺伝子に眠るSEEDを目当てに近づいたシン・アスカ、彼と
の関わりがレイを変えていたのである。彼と出会うまでは、自分の全てを知った上で一人
の人間として認めてくれたのは、ラウとデュランダルだけだと思っていた。その小さな閉
ざされた世界が崩れ始めたのはいつだったろうか。
ほんの一瞬思索にふけていたレイの眼下に、レクイエムの巨大な砲口が映し出された。
高エネルギービームライフルで狙いを定め、ビームを撃ち出す。しかしそれは届くことさ
えなく、展開された光波防御帯に弾かれてしまった。このままでは中に踏み込むことさえ
出来ない。
フリーダムとの戦いでレジェンドのメイン武装であるドラグーンの幾つかは破壊されて
しまっている。ビームシールドの類にはビームスパイクが有効だが、たった二基でこの巨
大な怪物相手にどこまでやれるだろうか。
推進力を乗せて薙ぎ払った切っ先を、ジャスティスがシールドで受け流し、そのままク
ローでメインカメラを狙う。
「くっそォォォっ!」
行動を分析しようにも相手の武器は次から次へと飛び出し、手数の豊富さにシンは苦戦
していた。数ある武装を状況に応じて絶妙に使い分けているのは、流石ヤキン・ドゥーエ
の英雄と言ったところだろうか。
背面リフター【ファトゥム-01】を切り離したジャスティスが、挟み撃ちのように両側
からデスティニーに襲い掛かる。危機を感じたシンの中で何かが弾けた。
昂っていた気持ちが急激に静まる。ジャスティスの方が僅かに先に接触すると予測して
その機体を往なし、両翼のビームブレイドを煌かせるファトゥム-01へと向けた。慌てて
操作したのか、L字を描くようにファトゥム-01が急旋回する。
「あんたなんかに付き合ってられるか!レイが、レクイエムを止めに行ったんだ!なのに
あんたは…!」
その頭と腕部を押し戻すように掴み掛かり、苛立ちを込めて叫んだ。相手にとってレイ
の行動なんて知らないことも関係がないこともわかってはいたが、叫ばずにはいられなか
った。シンと同じように必死になっていたアスランは、数瞬遅れてからやっとシンの叫ん
だ言葉に気がつく。
「なぜレイが?!」
「俺たちは戦争を終わらせたいだけなんだ!」
-------------------------------------------------------------
>>128 とか言いつつ保守d
128はツンデレってことにしとく。
なんか最近ツンデレ多くね?
レイがツンデレだからな。
シンもツンデレだからな
……レイに対してはデレデレに見えるけど
>>129 MS戦の緊迫感が出ててわくわくします。
攻撃自由vs伝説も勿論だが、隠者vs運命ももっと見たかったなあ・・・
と読んでて思った。無論バンクなしで。
何気にシンレイはツンデレカップルだなw
レクイエムをレイが止めようとしている。その理由を考えたアスランの脳裏に、二年前
の出来事が甦っていた。
ジェネシスで地球を焼き払おうとした父、パトリック。彼を止めることが出来ず、ジェ
ネシスもろとも自爆しようとした自分。これはまるで、あの日の再現ではないのか…?
その奇妙な運命に怖気さえ感じていたアスランの目の前で、デスティニーが背を向けて
飛び立った。レイの元へ向かったのだと直感する。
まるで線の上をなぞるように運命は動き始めている。あの出来事を体験した身として、
誂えられたようなこの状況をどうすればいい?いや、行くしかないじゃないか!
アスランはデスティニーの背を追い始めた。
周囲の状況を確認すると、アークエンジェルからは離れてしまったがエターナルが近く
にいることがわかり、通信で呼び掛ける。
「メイリン、ザフトの通信を傍受出来ないか?」
「やってみます、ちょっと待ってて下さい!」
程なくそれらしい雑多な音声が転送され始め、アスランは慎重に耳を傾けた。
「レイ!レイ!聞こえるか?!今どこだ?」
レクイエムへと向かいながら、シンは必死に通信で呼び掛けていた。後ろからはぴった
りとジャスティスが追っている。ただ追って来るだけなのが不気味だが、こいつをミネル
バから引き離せるのはいいことかも知れない。
『聞こえている…馬鹿だな、ミネルバから離れたのか』
「ミネルバはルナが護ってくれてる!だからここをさっさと片付けて…」
『今私はレクイエムの内部に突入している。…そのままで聞いて欲しいことがあるのだが、
構わないか?』
ノイズが走ってまともに映らない通信画面の中でも、レイの口元が微笑んでいるように
見えた気がした。
『お前は【デスティニー】と【レジェンド】に込められた意味を知っているか?デスティ
ニーはプラントの人々の運命を、未来を切り拓くという希望を込めて、そしてレジェンド
は…コーディネイターとナチュラルの架け橋となり、伝説に残るような活躍をするアスラ
ン・ザラへの期待を込められていた』
そこまで言うと、レイは少しだけ声を詰まらせた。
『アスランを復隊させると議長が仰ったとき、私は反対した。彼はもう一人の私、ラウ・
ル・クルーゼを裏切り、ザフトを脱走したことがあったからだ。しかしラウの乗っていた
プロヴィデンスの後継機に彼を乗せ、ザフトの英雄となることで罪滅ぼしをして貰
おうと…議長が言ってくれたから私は…』
>>134 盛 り 上 が っ て ま い り ま し た
保守
ほしゅ
声はそこで一端途切れた。通信が切れたのかと慌てて確認するが、どうやらただ黙り込
んでしまっているだけのようだった。
「何で今そんなこと言うんだよ…?」
レイの言った話の内容に、何故かシンは闇雲な不安に駆られた。出力を上げようと手を
伸ばしながらミネルバの様子を窺えば、インパルスは黄金色のMSを相手に立ち回っている。
今ならまだ戻ってミネルバに加勢に行ける距離だ。
『シン、私は今の状況を、再び与えられたチャンスだと思っている。今レクイエムが撃た
れるのを許し、ザフトが勝利したとしても、いや、例え敗れたとしても、根本的な確執の
解決にはならないだろう。私がザフトの一兵士として命を賭けてオーブを護る、その演出
できっと議長は危機を切り抜けられる。その大事な使命を私とレジェンドは全うすること
が出来るんだ。…勿論それだけじゃない。お前の故郷を、思い出を護ることが出来る』
「レイっ?!」
シンは混乱に真っ白になった頭を、自分の右頬を思い切り叩くことで立て直す。ヒリヒ
リと痺れるような頬の痛みを感じながら、状況を整理した。
『シン!何ボサッとしてんのよ!早くレイを追い掛けなさい!』
「何言ってんだルナ!お前だって今手一杯じゃ…」
『バカ!あたしを何だと思ってんの?それにインパルスは強いわ。それをあんたが立派に
証明してくれたんじゃない!あのフリーダムを倒したモビルスーツなのよ!』
ルナマリアは画面に乗り出すようにしてシンに発破を掛け、すぐに前へと向き直り凄ま
じい剣幕で叫ぶ。
『ミネルバ、ソードシルエットを!ビームライフルじゃあのキンピカ、簡単に跳ね返しち
ゃう!それとオーブで戦った時の分析データも!』
アビーが上擦った声で応答するのを、シンは圧倒されながら聞いていた。
『戦っているのはあんたやあたしだけじゃないわ。ザフトのみんなが、それぞれ守りたい
ものの為に戦ってる。だから、あたしたちを信じて』
彼女は強い、そう言ったレイの言葉が甦る。じわりと胸が熱くなるのを感じた。
「…サンキュ。あれ、でも何でルナは俺たちの話聞こえて…」
『シン!今すぐレイを止めるんだ!彼女はレクイエム諸共死ぬ気だ!!』
全回線へと向けたアスランの通信でシンの声は遮られた。
「あんたまで何で…っ!一体どうなってんだ?!」
宇宙を見据えて微笑むラクスをおずおずと見上げ、メイリンはアスランたちのやりとり
を冷や汗が出る思いで聴いていた。ラクスの指示により、傍受したザフトの通信をエター
ナルを中継して周辺宙域へ、更にはプラント、地球へと放送しているのである。
「いいんですか?こんなこと…皆に聞かせちゃうなんて」
傍受した中には姉の声もあった。以前と変わらぬ気丈さを湛えたその声と、真摯な言葉
に胸を打たれた思いだった。彼女はずっと、姉という立場から無条件に自分を守ってくれ
ていた。エターナルへと乗り込んだ時から敵対してしまうという覚悟はしていたはずなの
に、その覚悟が鈍り、目に涙を滲ませる。
「わたくしにも、デュランダル議長にも口にすることの出来ない言葉を彼らは今叫んでい
ます。わたくしたちはそれを聞かなければ、いえ、聞くべきなのです」
彼女は椅子へと腰掛けると、再び彼らの声へと耳を傾けた。
「サクリファイスでチェックを取ったつもりが、クーツワンクですわよ、議長」
な
キタキタキタキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
神超GJ!!燃えた!!
GJGJ!何かすっごいことになってる…!
格好好いよ神、燃えたよ神、続き楽しみだよ神!
『悪いが話は聞かせて貰った。…俺はずっとレイに何故嫌われているのかと思っていたが、
なるほど、俺はクルーゼ隊長どころか議長と彼女の期待まで裏切っていたんだな。今更だ
とは思うが、しかし今からでもやらなくちゃいけないことがある。シン、議長のことは俺
に任せてくれるか?レイはお前が、頼む!』
農業プラントと共にアスランの母親が核攻撃に晒されたあの日から、パトリックは変わ
ってしまった。それまではシーゲルと共にプラントとコーディネイターの未来の為に活動
する、アスランにとって誇れる父であった。彼の息子という近い立場にいながら、彼の異
変に気付き、止めることが出来なかった自分をアスランは悔いていた。
仕方なかったと自分を慰めることはいくらでも出来る。しかし、やりようはあったはず
だと今なら過去の己に直面出来た。逃げているだけでは、また同じことの繰り返しなのだ。
ジャスティスを受領したとき、議長は言っていた。「道を間違えるようなら正してく
れ」と。
『キャアアアッ!』
対峙するシンとアスランの耳に、ルナマリアの悲鳴が届く。黄金のMSから射出されたド
ラグーンが、インパルスにビームの雨を射掛けようとしていた。引き返そうとしたシンの
目に、インパルスの前に躍り出たグレーのパーソナルカラーに染められたザクファントム
が、肩のシールドで弾く姿が映る。
『我ながらグゥレイトな登場タイミング!』
ジャスティスの後ろから白いグフイグナイテッドが現れると、その肩にがっちりと腕を
回し、そのまま飛行を始めた。
『今更ノコノコとよく俺の前に顔を出せたなこの腰抜けっ!』
『イザークか?!』
『ディアッカ!シホ!ミネルバは任せるぞ!』
『OK、でもよイザーク、アークエンジェルにはもしかしたら…』
『馬鹿者!そんな風に浮付いた考えだから女に逃げられるんだ。いっそ男らしく戦い抜く
様でも見せてやれ!!』
『りょーかい…』
眼前の目まぐるしい光景を、シンとアスランは呆然と見ていた。
『デスティニーのパイロット!こいつは俺が責任を持ってメサイアまで連れて行く。こい
つが馬鹿をしないかは俺が見ていてやる!議長のことは俺たちに任せろ!』
まるで叱られでもしたかのようにシンは慌てて背筋を伸ばし、返事と共に敬礼する。レ
クイエムへと発進するデスティニーを見送りながら、イザークはメサイアへと出力を上げ
た。
『イザーク、何故?』
『議長が俺とディアッカを救ってくれたご恩は忘れていない。あの時に聞いた言葉は、嘘
ではないと信じているんだ』
戦友の言葉に勇気付けられ、そして同じ思いであることを再確認する。もしかしたらと
心の奥底にあった不安が、綺麗に拭い去られていった。
----------------------------------------------
自分のは保守がてら投下なので、
職人さん方は遠慮なくぶった切って投下してくれ。
致命的ミス発見
×ジャスティスを受領
○セイバーを受領
週末は来れないので保守は頼んだ。
>>143 任せろ!そして続き待ってます
たまたま聴いてた音楽と相成って鳥肌が立ちました
どうして、どうしてあの脚本はこう出来なかったんだろうと泣きたくなった
もう一ヶ月以上経つのに
ジュール隊の活躍も、こんな感じに見たかった…見たかったよ…
。・゚・(ノД`)・゚・。有難う、いいもの読ませてくれて
キャラと設定への愛を感じた。ジュール隊カコイイよジュール隊
アスランも、ユニウスセブン落下のときは今度こそ「父」と
向き合い戦っていくのだと信じてたなあ…
「もし、ナチュラルが滅んだらどうなると思います?」
彼はそういった。
「もし、ナチュラルが滅びたら、人類はほろびるんです。なぜかって?コーディネーターを作った人達が
そうインプットしたからですよ。ロボットが人間を超えてはいけない・・・なんでしたっけ?ロボット三原則?
まあ、そんな感じですね。それを防ぐためにわれわれは組織されたんですよ。」
【Dark In The Dark 四話・分析】
あの感覚は一体なんだったんだろう。
最近やっとマユや家族の夢を見ることが少なくなってきたというのに。
MSに乗って戦ったからか?いや、何かが違う。
あのガイア、あれが多分プレッシャーの元凶だ。しかし・・・・・・
シンは久々に妹・マユの形見である携帯を取り出して、そっと撫でた。
「やめろ、ということなのか・・・マユ」
そこにレイが入ってくる
「シン、ミーティングルームに集合、だそうだ」
レイはまた件の不思議な表情をしている
「ああ」シンはそういって携帯をしまってレイとともに部屋を出た。
「妹のことを思い出したか」
「いや、そういうわけじゃないだ。多分」
「シンは見た目通りにナイーブなのだな、とギルがいっていたよ」
「なんだよ、それ」
二人はミーティングルームに入る
「よう、ご苦労だったね、二人とも」
ディアッカは相変わらずの軽さだ。
「貴方があの紅いMAを落としてくれていれば楽だったんですけどね」
シンは嫌味っぽく言う
「あたしが・・・足手まといだったのよ」ルナは顔色が良くない。
「いやいや、ルナマリアは良くやったよ。
ただガンバレルがちょっと厄介だったんでね。まあ次はしっかり落としてみせるさ」
「そうしてもらいたいな、ディアッカ」イザークが部屋に入りながら言う。
その後ろにはグラディス艦長、トライン副艦長、シホ・ハーネンフースらがいる
「では今回の作戦を、シホ、説明してくれ」
シホ・ハーネンフース
第2次ヤキン・ドゥーエ攻防戦においてイザーク隊に所属していた元ザフトのエースパイロット。
イザーク・ジュールがザフト退役後、最年少の評議会議委員になるにあたり、秘書兼ボディーガードとして
スカウトしたという。
「はい。今回の新型MS強奪事件をテロリストの犯行と断定、所属不明の戦艦・ボギーワンを追跡し、
その拠点の捕捉するのが作戦の概略です。では、前回の戦闘の分析に入ります」
スクリーンにMSが映し出される
「ボギーワンに搭載されていたと思われるMSは連合のダガーと酷似しています。
防衛部隊のゲイツとの戦闘を見る限りでは改良を加えてあるとみていいでしょう。」
「でも、そいつらは前回の戦闘でほとんどおとしちまったぞ?」ディアッカが茶々を入れる。
「ええ、ですから問題はコレです。」
スクリーンに紅いMAが映し出される。
「これは連合のMA・メビウスと同タイプのものだと推測されます。また全方位攻撃システム「ガンバレル」を搭載しており
パイロットも相当な技術の持ち主でしょう。」
(紅いMA、ガンバレル、そしてレイのあの反応)
シンはスクリーンに映し出される映像を見ながら考える。
ガンバレルはもともと誰にでも使えるものではなかった。
前大戦において連合全体でも15人しかガンバレルを使いこなせる者がいなかったのだ。
その後OSの改良によってある程度の能力があれば扱えるようになった。
(しかし・・・レイが何かを感じたなら、それは・・・コロニーメンデル、その関係者である可能性が高いな。
偶然か、それとも)
「・・・説明は以上です。」シホは席に着く。
「説明の通り現在本艦は追跡中だ。任務に抜かりがないようにな。以上、解散だ」イザークがしめる。
「大丈夫か、ルナ」廊下でレイがルナに話かける。
「うん、割とね」ルナは俯きながら応えた。
「レイやシンは凄いね。いきなり新型と戦っちゃってさ。」
「でも、ルナだってダガーもどきを二機落とした」
「そうね。ちょっとショックだったの。人を殺した事じゃなくて、人を殺しても結構平気だったことがね」
「他人の事はそんなものなんだろう、結局。わからないから生きていける」
「そうなのかな・・・。レイって案外優しいとこあるけど、ちょっと怖いと思う時もある」
「私もルナが怖いと思う時がある」
ルナはちょっと笑顔を取り戻し、レイは変わらぬ表情であった。
シホとなにやら話していたシンが二人の元に戻ってくる。
「シホさんと何を話してたの?」ルナが尋ねる。
「俺のザクが浮いてるから、それについてな」
「ふーん、シホさんが乗るの?」
「ジュール司令が乗りたがってるようだった」
「まあ、二人とも元エースパイロットだしね。」
「そっちは何の話をしてたんだ?」
「女の会話ってやつよ。ね、レイ」
「そんなところだな」
「女の会話・・・・・・・・・か」
『ボギーワン、捕捉しました!オレンジ55、マーク90アルファ!』
「思ったよりも早かったな」
「急がなくっちゃ!」
「ああ」
(あのガイアともう一度戦うのか。今度は・・・)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
最近は降臨ラッシュだったので控えていましたが、とりあえず保守代わりに。
149 :
通常の名無しさんの3倍:2005/11/20(日) 14:37:56 ID:sO55aKIy
保守
職人さんたちいつも乙です!
>>148 乙です。シホまで出たか!
レイとルナの会話がいいなあ
==================
んで、保守がてら勝手なお願い
少し日が開いたた続き物は、前の話だけで充分なので
レスアンカーをつけてもらえると読みやすいかもです
読ませてもらう側の勝手な感想なので気付いたらで構わないんですが…
>>148 GJ!独特の緊迫感があるなあ。
自分も、このレイとルナの会話が好きだ。
152 :
通常の名無しさんの3倍:2005/11/22(火) 11:42:35 ID:D1wzhz4q
ほす
すまん…今はほしゅが精一杯
保守
>116 >122 >129 >134 >138 >142
連ザに夢中でした。正直すまんかった。
続き投下。
----------------------------------------------------------------
『シン!』
「まだ何かあるんですか!」
早速向かおうとするイザークを制すると、アスランは再びシンへと呼び掛けた。それに
ぶっきらぼうに応える彼の態度に懐かしさを覚えながら、充填を続けるレクイエムをちら
りと見る。
「俺も今と同じような状況に身を置いたことがある。ヤキンドゥーエでの戦いを、今では
英雄だ何だと言われているが、そんなもんじゃ決してなかった。俺はジェネシスと共に朽
ち果てるはずだったんだ。だが、そんな俺を止めてくれた人がいた。『生きる方が戦い
だ』と、そう言ってくれた。だから踏み止まることが出来た」
『生きる』ということ、それは何度もレイが口にした言葉だ。
シンの脳裏に、戦いに出る前のレイの言葉が甦っていた。彼女は自分の全てを自分に託
そうとしていた。それはまるで、自分では成せない夢を託すかのように。まるで自分に未
来がないかのように諦め切った口振りだったが、実際はその逆なのではないだろうか。
『生きるているということは、それだけで価値がある』
『どんな命でも、生きられるなら生きたいだろう』
諦めなんてあるはずがない。彼女は誰より生きることの大切さを知っていた。生きたい
と叫びたい口を自ら塞がなくてはいけない状況に追い込まれているだけなのだ。
「お前でなければ彼女は止められない。いや、お前だから出来る!俺はお前を…」
「あんただって議長を止められるんだろ!何度も言わなくったって!」
シンが叫ぶと同時にデスティニーがビームウイングを広げた。
「俺だってあんたを信じる!今度は失望させないで下さいよ!」
つい先程まで本気で撃ち合っていたのが嘘のように、互いに頷き背を向ける。
微妙な均衡を保っていた戦況が、少しずつ崩れ始めていた。残された時間は少ない。
フォトコレレイたんに錯乱した所為かまたミスが
×自分の全てを自分に
○自分の全てをシンに
レクイエムはシールド発生装置を破壊され、無防備な姿を晒していた。深部を目指すレ
イの耳に、途絶えたと思っていたシンからの通信が届く。
『レイ!レイ!』
「聞こえている。配備されていたモビルスーツに少し手間取った。レクイエムへの攻撃は
これから開始する…発射までもう時間は殆どないな」
このままレクイエムが発射されてしまえば、居る場所によってはレイは直撃を受けてし
まうことになる。しかしレイは躊躇うことなく発射口へと飛び込んだ。
「シン、私たちが始めて出会った日を覚えているか。アカデミーでの日々、初めて共に戦
った日…お前と出会い、過ごした日々は全て、今日の為にあったのだろう」
それまでレイはラウとデュランダルだけが全てだった。禁じられたクローン人間という
生い立ちがゆえに、深く他人と関わることは出来なかったのだ。この事実を知ればきっと、
誰しも自分を見る目を変えてしまうだろうと思っていた。
ロドニアのラボで強化人間となるべく収容されていた子供たちの末路を見たあの日、思
わず自分と重ねてしまったレイは拒絶反応のように過呼吸を起こしてしまった。そんな自
分の異常事態を必死になって案じてくれたあの日から、彼の見方は大きく変わってしまっ
たのかも知れない。そして、彼が強化人間の少女と親しくなって、小さな期待を持ってし
まった。彼は強化人間であっても一人の人として見てくれる。もしかしたら、この秘密を
打ち明けたとしても、彼ならば対等な視線で接してくれるのではないかと。
彼らを見守っているうち、彼に護られ、優しく接される彼女にいつの間にか自分を重ね
ていた。彼らが結ばれることを、夢物語のように密やかに願っていた。しかしその願いは
叶えられることなく、無慈悲に打ち砕かれた。再び連合の手に渡った彼女の、死という結
末によって。
ただ一人の少女の死を、シンだけは悼んでくれた。アスランが彼女の行動や存在を非難
しても、彼は頑なまでに少女を「人間」として扱ってくれたのだ。
以前地球に降りたとき、折角戻って来たオーブに足を踏み入れようとしなかった彼の背
を押したことがある。オーブという国は、彼の生まれ育った場所であり、家族と過ごした
思い出の詰まった場所だ。口癖のように守りたいと言う彼を嘲笑うかのように、シンはた
くさんのものを失った。残された故郷まで失うなんてことは絶対にさせない。彼が自分や
デュランダルを護ると言ってくれたように、自分もシンの愛するものを護りたい。
最深部へと辿り着いたレイは、残されたドラグーン全てと高エネルギーライフルの砲口
を向けた。一斉射撃に視界が埋め尽くされる。全てのエネルギーを使い切る勢いで打ち続
け、やがてフリーダムとの戦いで急激に使ってしまったのが響いたのか、エネルギー切れ
の警告音がけたたましい音を立てた。シフトダウンするレジェンドの中からレクイエムの
様子を確認したレイは、思わず目を疑う。レクイエムは何事もなかったかのように充填を
続け、砲撃を集中させたあたりの外壁の下から鮮やかな水色が姿を見せた。
「トランスフェイズ装甲…?!そんな、そんな…っ!!」
あのヤキンドゥーエで使用された【ジェネシス】にはフェイズシフト装甲が使われてい
たという。陽電子砲でさえ破壊出来ず、自分たちが苦戦させられただろうそれを、連合が
参考にしないはずもない。
コントロールルームには味方であるザフト兵がいると考えたレイは、そこを破壊するこ
とを避けた。発射口さえ壊してしまえば済むと思っていたからだ。攻撃した場所はダメー
ジがないわけでもないが、僅かな亀裂を作ったに過ぎない。万全の状態であれば、もう少
し何とかなったかも知れない。しかし、エネルギー切れとなってしまっては、手も足も出
ない。
『レイ!どうしたんだ?!』
先程の声が聞こえてしまったのだろう、心配そうなシンの声が聞こえた。レイは緊急時
のマニュアルを呼び出すと、その指示に従い操作を開始する。
「気にするな。何でもない」
緊急時の、機密保持に関するマニュアル。そこには自爆システムを起動させる為のプロ
セスが記されている。装甲の弱った部分でレジェンドを爆発させれば、発射口ぐらいは破
壊出来るだろうと考えたのだ。焦らないよう慎重にキーを叩き、深く息を吸う。躊躇う時
間はない。
「ギル…私に生きる場所を与えて下さったことを感謝しています」
あとほんの少しキーを押せば起動するというところで手が震えた。落ち着いているつも
りだったが、どうやらそうでもないらしい。恐怖を感じているのか、次第に呼吸が早まっ
ていった。
大丈夫だ、自分がいなくてもデュランダルはシンが護ってくれる。そして彼と共に、戦
争のない、自分たちのような子供の生まれない世界を築いてくれる。
「シン…私は…」
今ならずっと秘めていた想いを言えそうな気がしたが、寸前で踏み止まった。それこそ
彼に気持ちを押し付け、置いていくことになる。この気持ちは墓の中へと持って行かなけ
ればならない。
「…今までありがとう」
キーに指を伸ばした瞬間、背後からデスティニーが飛び出し、レジェンドが亀裂を作っ
た場所にアロンダイトを深々と突き立てた。すぐさま離れるとレジェンドに腕を回し、長
射程ビーム砲でアロンダイトで広げた傷口へと撃ち込む。
「お前っ…!」
『感謝するなら終わってからな!』
一つ開けた小さな穴を広げるように、レクイエムの装甲が崩壊していく。もう少し、あ
と一息といったところなのに、残り時間は残り一桁に突入していた。
『クソォォッ!オーブも、レイも!俺はもう何も失いたくないんだ!!』
シンの叫ぶ声に合わせて撃ち出したビームに、背後から幾筋もの別の砲火が重なった。
それがとどめとなったのか、レクイエムの砲口が砕け散る。思わず振り返った二人の目に、
全砲門を向けたフリーダムの姿が映った。
うわぁああぁあぁ!!
ここが学校じゃなかったら絶叫してるよ俺ww
燃えてキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
もぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!
最後の一文に震えた!燃える燃えるー!!
続き待ってます!連ザもがんがれw
ここの職人さん達のSSは本当に完成度高くて読みごたえがある
いつも有難う
クライマックスへの盛り上げが凄い。
レイの心情が切なくて泣けるよ(;´д⊂
age
ほしゅ
>>146の続きです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ボギーワンの動きはどうなっている?」
そういいながらイザークがブリッジに入ってくる。
「デブリ帯にて待機している模様です。」副艦長のアーサーが答える。
「艦長、どう思う?」イザークがタリアに問う
「待ち伏せ・・・でしょうね。デブリ帯に引き込んで乱戦に持ち込もうとしているじゃないかしら」
「あれが敵の拠点である可能性は?」イザークの横にいたシホが尋ねる
「レーダーを見る限りではその可能性は低いかと」アーサーが説明する
「そうか・・・しかしこの状況の篭城戦は・・・」
イザークが言いかけたその時、
振動と爆音がミネルバを襲う。
「ブルー18マーク9チャーリーに熱紋!・・・距離800!」メイリンが叫ぶ
「後方!?でもレーダーでは確かに前方に・・・」アーサーが呻くような声で言う
「いつの間にか追い抜いていたのね」シホは落ち着いている
「デコイか!ふざけた真似を!」イザークは壁を叩く
「熱源接近!第二波来ます!」
「クッ・・・ブリッジ遮蔽!対艦、対MS戦闘用意!コンディションレッド!MS発進準備急いでっ!」
タリアはすぐに指示を出す。
ミネルバに二度目の爆音が響き渡る
「機関最大!一旦、敵艦から距離を取って!」
だがその指示が実行される前に再びミネルバが揺れる
「何!今度は!」
「グリーン62デルタに熱紋3!・・・カオス ガイア アビスです!」メイリンが告げる
「何ぃ!」
「減速30!MSの発進を急がせて!」
「しかし後方にはボギーワンが」
「だからって前へと突っ込むわけにもいかないでしょう! MSの発進進路だけは死守して!」
「はい!」
【Dark In The Dark 五話・奇襲】
「後ろにボギーワン、前にMSってどういうことなのよ」ルナマリアはザクのOSを立ち上げながら不平をいう
「敵に一杯食わされたようだな」ブラストシルエットの指示を出しながらシンが通信を入れる
「隊長、作戦は?」レイからディアッカへ
「前方の三機をさっさと落としてボギーワンを叩くしかないね、こりゃ」あいかわらずのディアッカ
『MS各機、発進準備整いました』
「了解、シン・アスカ、インパルス出る!」
(この感じ・・・やはりあのガイアか・・・)
「ネオの作戦もたまには役に立つじゃん!」アウルが軽く言う
「まだ作戦途中だぞ。戦艦を早く沈めろ!」スティングの声
「だからやってるって、なあステラ」
「あいつ・・・出てきた・・・・・・」
インパルスがアビスのビームを盾で受け止める。
「ちっ!艦載機 出てきたか!」
「のこのこ出てきちゃって!・・・!・・・何!」
アビスをレールガンが襲う
「アビスは俺がやる。シンはガイア、ルナとレイはカオスだ。」ディアッカが指示を出す
(ガーティ・ルー)
「うまくいけばこの時点で撃沈できたはずなんだが、さすがに相手もよくやる」
仮面の男・ネオはそう呟く。
「敵艦はデブリ帯に紛れてこちらの追撃を振り切ろうとするだろう。
こちらが落とされない程度に相手を追い詰めてくれ。私はフォローにまわる」
「了解しました」
(ミネルバ)
「MS部隊の状況は!」
「全機出撃後、敵MSと交戦中です!」
「ならいいわね。機関最大!一旦距離を取ります!右舷の小惑星を盾に回り込んで!」
「ミサイル発射管、スレッジハマー装填!ゴッドフリート照準っ!ってっー!!」
「また・・・こいつ・・・!」ガイアがインパルスにビームに放つ
「その程度の火力で!」シンはケルベロスで反撃する。
デブリが邪魔になってなかなか接近戦に持ち込めない。
(フェイズシフト同士の戦闘では格闘戦じゃないと結局が付かない。
早くしないとミネルバが落ちる・・・。)
インパルスはミサイルランチャーの弾幕を盾に近づこうとするが
ガイアは変形して距離を保つ。
シンはガイアにジャレ付かれている様な錯覚を受ける
「犬がジャレつくな!」
再びケルベロスを放つ。
そこに通信が入る
「ミネルバにMSが6機接近している。シンは戻れ!」ディアッカだ
「数落とすのはあんたの十八番じゃないのか?」
シンはインパルスを反転させる。
ガイアもそれを逃しはしない、ここぞとばかりビームを連射する。
しかしシンは意に介さずにミネルバに直進する。
「レイ、任せた」
その言葉が終わる前にザクファントムがインパルスを庇う
「ここは通さない」
ファントムは距離を詰める。
「こいつも・・・邪魔する・・・!」
ガイアはMS形態に戻り体勢を立て直す
「やはり来たか・・・!」シンは目の前に立ちふさがる赤いMAを見て呟く。
「ここで君を止めればチェックメイトだ。」
エグザスはガンバレルを展開しインパルスに集中砲火を浴びせる。
「くっ!」
インパルスは回避するしかない
「ほう!だがどこまで避けきれるかな?」
「逃げてるだけではどうにもならない・・・なんとか本体に取り付けば」
ミネルバにはMSが近づいている。
そしてエグザスは遠い。
to be continued
―――――――――――――――――――――――――――――――――
戦闘回リベンジ。今回はあっさり目に。連合VSZAFTDXが出たら戦闘を再現したいなと思う今日この頃。
次回はあの人が活躍する予定。
通りすがりほす
これからゆっくり読ませてもらいます
>164
回を追うごとに内容に磨きがかかってるのが見えて、続きが楽しみです。
実はずっとタイトルの意味が内容にどう出るのか気になってます。
先は流そうですが頑張って下さい!
動く機を見出せず、二人はフリーダムを見上げる。沈黙したレクイエムの中枢は、まる
でそこだけが時を止めたかのようだった。
『チクショウ、アイツ…!』
何事もなかったかのように武器を収めるフリーダムにやっと我を取り戻したシンは、今
目の前にいるのが敵であることを思い出し臨戦態勢を取る。家族を、ハイネを、ステラを
…次々と蘇る【失った瞬間】の記憶が、その血を熱く滾らせた。
「シン、待て!」
その存在を最も否定していたはずのレイが、彼を引き止める。フリーダムは攻撃を仕掛
ける様子もなく、ただ二人の様子を見守っているようだった。
「キラ・ヤマト…」
呟くレイへと、対峙したあの瞬間とはまた違う感触で彼の思惟が触れる。あの時はお互
いがお互いの存在を拒絶していたからなのか、今はやけにすんなりと、意識が流れ込んで
きた。
「泣いている、の?」
コックピットの中の彼の様子が見える筈もないが、何故かレイにはそう思えた。胸を締
め付けるような悲しみの感情が、次々と溢れて来る。
「…君は、【彼】とは違うんだね」
それはまるで、彼の記憶の追体験だった。
ヘリオポリスで何も知らない学生だった頃。同じカレッジの少女に密かな想いを寄せて
いた平穏な日々。確かにある差別意識と、そんなものは気にしないと友達でいてくれた
人々。あの頃はもう二度と戻ることはない。
彼の為に誂えられた武器。必要とされるのはこの武器を扱う腕と頭脳だけだ。戦況は全
て彼の腕に掛かっている。誰しも彼を頼る。必要とされるのは、完璧なコーディネイター
としてのキラ・ヤマト。
もう戻れない場所まで来てしまった。しかし、ここまで歩いて来たのは誰でもない、自
分の足だ。あの時、目の前に分かれて見えた中で、自分で選び取った道だ。ただがむしゃ
らに、ただ皆を守りたいが為に。誰が悪いわけでも仕組んだわけでもない。全てのありと
あらゆる状況が、自然と彼をこの道へと向かわせた。
これこそが、【運命】というものなのだろう。
「僕にも明日が信じられる日が来るかな。選んだ道が間違いじゃないと、胸を張れる日
が」
レイが宿命に囚われていたように、キラも己の業に囚われたまま今日まで来た。理由も
なく赦してくれる優しい人々に支えられ、行き場のない罪悪感を抱えたまま。彼が最後に
確かな【憎しみ】を持ってその手に掛けた人と似た彼女にこうして全てを打ち明けたのは、
自分をただ責めて欲しかったのかも知れない。しかし彼女は【彼】とは違っていた。
「失ったものは…どれだけ嘆いてももう戻らない」
穏やかだった日々も、失った人々も。ラウがもう戻ることはないように。
『何甘えたこと言ってんだ!道を選ぶことさえ出来ないヤツだってこの世にはたくさんい
る!うじうじしてたら選べる道も選べない。無理やり蹴破ったって、道を作ってやれる力
があるなら俺は作る!もう何も失わずに済む方法を、何したって見つけてやる!誰も認め
なくても、俺は胸を張って進む!』
レジェンドの機体がガクリと揺れた。デスティニーが機体をがっちりと抱え込んだのだ。
『だから、もう死のうなんて絶対思わないでくれよ、レイ』
彼こそ全てを失った人だ。その精一杯な姿に、いつの間にか自分を変えられてしまった。
「彼が私の答えだ、キラ・ヤマト」
END
------------------------------------------------------
上手くまとめられなかった気がしますが一応終了です。
長々と失礼致しました。
きっちり10で終えるつもりが長いって言われてしもうた…。
>>運命と伝説と作者様
完結おめでとう!
涙腺緩みまくりでやばかったですw
これからも投下期待しています!
アル・ダ・フラガが生きていてレイを付け狙うが、シンが食い止めるって話は…どうでしょ?
アルの性格はフェイスレスみたいなやつで。
>171
最後まで読んで頂いて感謝。
忙しくなるので今年いっぱいROM専になるかも知れないが、ネタが出来たらまた来ます。
>172
守ろうとするけど実は守られてるレイたんハァハァ
楽しみにしてます!
しまった、キャラクターのイメージ的にシロガネ=レイにしてた。
アルダが司令位置なら全然別物になるな。
鳴海なシンを妄想してしもうたよ。
とりあえずキラ=魔猿が出ないことを祈るw
シン「レイ大変だ!」
レイ「どうした、シン」
シン「いや、コレを見てくれ」
「年末スペシャル番組 放送決定!!
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY 』FINAL PLUS 〜選ばれた未来〜」
レイ「これがどうしたんだ?発表は一週間ほど前だぞ」
シン「違う違う、重要なのはそこじゃないもっと下だ!」
「あの戦いの後、シン、キラ、アスランの向かうべき明日とは?
注目のエピソードがオール新作カットで今ここにはじめて明かされます!」
レイ「ああ、消えたDVDの特典映像をここに持ってきたわけか」
シン「よく見てくれよレイ、ここ!」
『シン、キラ、アスランの』
シン「俺が一番最初だ!TV版最終回はクレジットは三番目だし、ラストはストフリだったけどついに俺の時代が来たんだ!」
レイ「なるほどそういう見方もあるか」
シン「きっとレイも回想とか幽体とかで出てくるよ!」
ギル「シン、君はまだ大局というものが見えてないようだね」
レイ「ギル!」
シン「議長・・・」
ギル「よもや夫妻が君の活躍するような作品を作っているとでも思っているのかね?レイ、あれを」
レイ「はい」
『「でもこのSPでファンは納得するかな〜」
「いや、しないでしょー(笑)」
「とにかく急がなきゃいけないのに、肝心のあの2人が一番悠長で〜」』
シン「これは・・・!」
ギル「そう、関係者の会話を極秘裏に入手したものだ。」
レイ「あの最終回で一番不満があったのがシンのファンだろう。それが納得しないと解釈できる」
シン「が〜ん煤v
ギル「人はそれでも何か良いものが、救いがあるという可能性に縋ってしまう弱い生き物なのだ。明るい未来が、明日があると。」
レイ「確かにそうかもしれない。いや間違いなくそうだと思うよ、ギル・・・・・・。でも、それでも私はシンが
、たとえそれがどんなに理不尽でつらい明日であろうと、生き続けてくれるならそれでいい。
本当はギルの作る争いのない世界でシンと行きたかったがな」
シン「レイ・・・・・・でも、俺はもう駄目な気がする・・・」
ギル「なんだ、シン、君はもう諦めているのか。」
シン「えっ・・・?」
ギル「少なくとも私は諦めていない。君だって、本当にあきらめたわけじゃないのだろう?ほら、聞こえないか?」
シン「何がです?」
ギル「君の魂が本当はあきらめていなければ、世界の果てを駆けめぐる、この音が聞こえるはずだ・・・。」
シン「何を言ってるんですか?・・・!聞こえる、確かに聞こえる。何なんだ!」
ギル「さあ、我らとともに!誘おう、君が望む世界へ!!」
レイ「乗ろう、シン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ではみなさん、12月25日に会いましょう・・・・・・ふふふ」
思いつき一発書きしたら長くなりすぎた。
25日の夜は久々にチャットでもやりますかねw
自分のとこは関西なので24:30-25:25の放送枠に当たるのだが、
その日の夜にチャットとなると一足早く阿鼻叫喚を実況生中継になりそうだ。
シンがこれ以上酷い目に遭わされるのかと思うとセツナス
いっそストフリ電飾ツリーをシンとレイが見上げてクリスマスってオチでおk
>>178 最後の一行、期待して待ってますw
職人さんも、いつも有難う
保守age
>>177 ワロスwたまにはこんなのもいいな!
>>178 いいな、そんな二人…
なんつーか年末スペには期待してないので
ここの職人さんの補完を期待してる自分がいる
>>運命と伝説氏
乙!!
すげー面白かった!
現状を打破しようとあがくシンが主人公らしくて良かったし、
可憐で不幸なヒロイン、レイたんが健気で一途でこれまたすごく良かった。
読後感が最高で、本当にもうあなたのような人にこそ
種のシナリオ書いてほしかった。
これからも期待してます。
>>177 >俺が一番最初だ!
全米が泣いた
>>運命と伝説と氏
遅れ馳せながら、完結乙です。
最後までキャラクター一人ひとりが丁寧に描写されて
いて本当に良かった!最後のレイの台詞が泣ける…
ほしゅ
ageるぞこら
寂しくなったね…
前から書きたいネタがあったのだがどうしても時間が取れない・・・
>>187 来れる限りは保守協力するし、スレがある限りは待つよ!
何か出来たら是非投下して下され
思ったのだがあちこちのSSスレで職人が手薄になっているのは
職人の学生率が高いからではないだろうか。
ほら、そろそろセンター試験の季節だし
単純に冬のオタク祭の準備に追われていると思ったが。
大学生は中間試験の時期ですよ〜。
受験生はがんばれ!
久々にプロキラスレ行ったら正統派シン(男)レイ(女)っぽいぞw
プロキラスレってなんだ?
プロキラスレ・・・正式名称「剣鉄也がキラを守るスレ」
名前の通りガチホモのAA連作スレ。基本はハチャメチャギャグだが
第二部以降シンが登場し、シンとレイの苦悩をシリアスで書いてる。シンはノーマル、レイは性別不明。
age
ピーガシャ
イザークがブリッジから出て行く。タリアは気が付いていたが今はそれどころではない
「どこに行くんですか!司令!」ブリッジから出たイザークをシホが追う
「MSデッキだ!あまってるザクがあるだろう!それで俺がでる!」
イザークは振り向きもせずに怒鳴りつける。
「いけません!この状況で出撃すれば司令といえど命を落としかねません!」
シホも負けない調子で言い返す
「ふんっ、どのみちこの艦が落ちれば命などない!ならば出て戦うほうが賢明だ!それとも俺に指をくわえて見ていろというのか!」
「それが指揮官の仕事です!」
イザークはシホの気迫に圧される。
「このような時こそ焦りを見せず、ただ平然と座っているのが指揮官の仕事です。
パイロットが必要なら憮然と私に命令すればいいでしょう!」
シホは悔しかった。
傍らにいるのが自分でなくディアッカであったならイザークは彼に任せたのではないか、と
自分ではイザークの補佐として未熟なのではないかと、そう考えていた
「うっ・・・。そうだな、どうかしていた。シホ、お前が行ってくれ。」
「はい。」
時間がない。敵は迫っている
【Dark In The Dark 六話・展開】
飛び交うガンバレル。それはまるで壁のようだった。
(こいつをなんとかしないと・・・!あの艦に沈んでもらっちゃ困る)
シンは意を決してインパルスの合体を解く。
インパルスはチェストフライヤー・レッグフライヤー・コアスプレンダーそして各種シルエットによって構成されている。
この各部はそれぞれが推進力を持ち、ある程度の操縦をコアスプレンダーかミネルバからすることができる。
シンは各部をセミオートにし、必要な情報をインプットする。
「ほう、バラバラになってこっちをかく乱させようというわけか。・・・だが!」
エグザスはブラストシルエットからの一撃を難なく避ける。
「オートで私は落とせん!」
ミネルバに向かうコアスプレンダーにビームを放つ。
しかしレッグフライヤーが盾となりビームは届かない。
「・・・・・・まだだ。」
「しぶといな、・・・が、それも終わりだ!」
エグザスがガンバレルをコアスプレンダーの前方に展開しようとする。
その時、エグザスが後方から直撃を受ける。
「何!」
後方にはライフルを持ったチェストフライヤーの姿
「当たった・・・!」
「この損傷では敵艦の弾幕を抜けられないか・・・ちっ!」
エグザスは撤退し、コアスプレンダーはミネルバへ向かう。
「間に合ったか・・・!?」
まだミネルバはまだ落ちていない。
敵機は4・・・・・・4?
「シンね!早くインパルスになれ!」
突然の通信、発信元は・・・ブレイブ?俺の機体?
「わかってる!・・・ミネルバ、チェストとレッグとフォースシルエットを!」
ミネルバから発射されるフライヤーとシルエットと合体し、
シホのザクはそれに気を取られたダガーモドキを落とす。
「あと3!」
ミネルバは弾幕をほぼ限界まで張っている。それを計算に入れてあのザクは立ち回っている。
(エースならそのくらい当然って事か・・・)
インパルスも弾幕によって制限されたダガーの動きを読みビームを当てる
「あと2・・・」
デブリ帯ではレイのザクがガイアを追い詰めていた。
レイには疑問があった
(なぜこの程度の奴でシンが追い詰められた・・・?)
たしかにガイアは新型であり、乗っているパイロットの腕も悪くない。
しかし、シンが苦戦するほどでは。私はあいつの強さを知っている。
それに・・・・・・それにこのガイアと戦ってからのシンはおかしい。
ガイアが原因かは分からない。だが、”勘”がそう告げている。
『レイ!敵は撤退を始めた。こちらもこれに乗じて引くぞ!』隊長機からの通信。
『ミネルバの方は何とかなったみたい!』ルナが通信に割り込む
『了解した』
ガイアが去っていく。あれはいずれ、なんとかしなければな。
「おいおい、ザクを一機も落とせなかったのか、君達は?」
「そういうネオだってあの合体野郎にやられたんだろ!」
「私は相打ちだ」
「敵機の格闘能力がこちらの予想を完全に上回っていた。戻ったら報告する」
「スティングは真面目だねぇ〜。ステラはぁ〜?」
「・・・・・・ハァハァ・・・・・・はぁ・・・」
「へぇ〜あれに乗ってたのシホさんだったんですね」
MSデッキからブリッジにむかっている途中でルナがシホに話しかける。
「緊急だったから」
「戦場の鳳仙花、ですね」レイが話に入る
「鳳仙花?」
「その華麗な戦闘技術を評してまるで鳳仙花のよう、と喩えたらしい。」
「喩えた人は、あれだけどね」シホは前方を指差して言った。
その先にはイザーク
「ああ〜なるほど」ルナ少し大げさに頷いて納得している。
「じゃああたしもレイに勝手に二つ名つけちゃおうかなぁ〜。」
それを後ろから見るシンとディアッカ
「今さっきまで地獄の一歩手前だったのに、元気だねぇ女の子達は」
「ルナがああなのは半分は貴方の責任でしょう。」
「シンが硬すぎるんじゃない?」
「そうですかね」
そして5人はミーティングルームへ入っていった。
to be continued
――――――――――――――――――――――――――――――
保守代わりに投下。このスレの続く限り書き続ける覚悟なので、よろしくお願いします。
ガンガレ
保守!
保守
みんな、もっとネタ出ししてくれ!
俺の出来る範囲でSS化するから!
つ【旧世紀、日本委託統治領時代のオノゴロ島】
ごめん、嘘。とりあえず定番のダブルツンデレネタ、プリーズ!
期待age
ダブルツンデレというより
ツンデレ×ツンデレだろw
クリスマスに微妙な燃料来るかもなー
>>202 それは嬉しい…!
アカデミー時代とか出会いとかどうだ!
ありきたりな提案ですまん…
>>206 消火器ぶちまけられたりしてな〜〜wwww
クリスマスネタもいいなw
オーブの位置からすると、シンが小さかったときは真夏のクリスマスだったのかな。
真夏のクリスマスいいな!
その頃はまだ出会ってないわけだが
むしろレイはがどんな状態だったのか…
入学式から約2ヶ月、中間試験の結果が出揃った頃にはもうすでに二人の有名人がいた。
一人はレイ・ザ・バレルという女生徒で、入学式において新入生総代として式辞を読み、
擦れ違ったら思わず振り返ってしまう様な容姿と、凍てつくような笑顔で多くの生徒の話題となった。
さらに彼女は新しい最高議会議長、ギルバート・デュランダルの養子であり、
中間試験においても何事もなかったようにダントツの一位だった。
もう一人は狂犬と言われている男子生徒だった。名前はシン・アスカといい、オーブの戦災孤児だという。
彼は入学早々に彼の出身を貶したというような事で有力議員の息子達といざこざを起こし、
さらに授業においてオーブの前大戦での行動について教官と口論し、殴るというような事件もあった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
レイはその日、機嫌が悪かった。
勿論それは外見には表れないため、彼女のファン達もまったく気が付いていないが、
相当機嫌が悪かった。
それは楽しみにしていたギルバートとの食事が仕事のため中止になったからである。
放課後になってもまったくつまらない。
いや、彼女にとってはこの軍学校自体がつまらない代物だった。
彼女は特にあてもなく学校内をフラフラしていた。
『狂犬がまたやったらしいわよ!』
それは射撃演習場を通りかかった時だった。
なにやら人だかりが出来て、騒がしいことになっている。
「だからってなんでアンタはこいつらに肩入れするんだよ!」
狂犬ことシン・アスカは叫ぶように言った。
「肩入れなどしてない。しかし先に殴ったのは君だと彼らは言っているぞ。」
「そんなのはこいつらの大嘘だ!なんでそんなことも分かんないんだよ!」
シン・アスカと対峙する教官の後ろにはボコボコにされた男子生徒が三人いた。
シン・アスカも顔に殴られた跡があるが、その三人は彼の3倍くらい負傷していた。
その三人は大物政治家のボンボンで有名な馬鹿だった。
「俺がここに来たら訳わかんない因縁つけて脅してくるから、分からせただけだ!」
「因縁をつけたのは君の方じゃないのかね?」
「なんだと!?」
「まったく、君もオーブ出身ならそれらしくすぐ暴力に訴えようとせずに・・・」
教官が言い終わる前にシンは殴りかかっていた。
ガシッ!という音が響く。
そのすぐそばで見ていたボンボン達でさえ最初何が起きたのか分からないかった。
シンの拳は教官の顔面を捕らえてはいなかった。
「いかなる理由があろうと上官を殴ってはいけない。例え自分が正しく相手が間違っていてもな」
レイは受け止めたシンの拳を降ろしながら彼に告げた。
「しかし、教官も少し彼ばかりを責めすぎでしょう。どう贔屓目に見ても
彼一人に対して三人がかりで襲い掛かった彼らの方が悪い。違いますか?」
「うっ、まあそうだな。」
教官は目を泳がせながら適当に答える。
「ではこの件は後ほど私の方から委員会に報告いたします。よろしいですね。」
それは有無を言わさぬ冷たさだった。
レイは返答を待たずにシンの腕をつかんだまま、その場を離れた。
野次馬が彼女に道を譲る様はさしずめ十戒のモーゼの様であった。
私はなぜこんな事をしたのだろう。レイは歩きながら考えた。
確かに機嫌は悪かったし、ギルバートの仕事の邪魔ばかりする馬鹿議員の馬鹿息子に苛立っていたという事もあるだろう。
だが普段はその程度の事でこんな目立つような事はしない。
「おいアンタ!いつまで腕つかんでんだよ!放せよ!」
レイの思考はシンの声で中断された。
「ん?」
「余計な事しやがって・・・」
おそらく、いや確実に、レイにそんな口を聞ける者は彼以外にいなかった。
「そうか、それはすまなかったな」
「えっ」
その言葉に突っ掛かっていったシンの方が驚いてしまった。
その言葉には嫌味っぽさがまったくなく、心底謝っているようなだったからだ。
「それがお前の持ち味なのだとしたら確かに私のした事は余計だろうな」
シンにはその言葉の意味がよく分からなかった。
「だが、何かを獲たいなら抑えなければならない時もある。」
「でも・・・!」
「そう、抑えてばかりいると結局歪んでしまって、あの馬鹿共のようになる」
自分がなぜあんな事をしたのか、その答えをレイは本当は最初から分かっていた。
「だから必要があれば私が止めてやる」
シンは不思議そうな顔をしている。
「・・・あんたは一体・・・なんなんだ?」
「そうだな、私はレイ・ザ・バレルだ。レイとでも呼んでくれ、シン・アスカ君」
「レイ・・・・・・なんで俺の名前を知ってるんだ?」
レイはフゥと溜息をつく。
「普通は同じクラスの者の名前くらい覚えているものだろう・・・・・・」
それが二人の出会いであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
>>206さんのリクエストをSSにしてみました。
一応
>>203さんの【旧世紀、日本委託統治領時代のオノゴロ島】もちょっと思うところがあるので
書くかも知れません。
ダブルツンデレムズカシスwww
GJ!!
GJ!いいな、こういう出会い。
委託統治領っていうと大戦中か。難しいな。
>>211-213 うわー!まさか本当に書いてもらえると思わなかった206です
有難うマジで有難う!GJ!
オーブ出身の戦災孤児であるシンの思考や行動が
なにげに丁寧に描写されてて良かったです
ああこんな感じだったんだろうなと簡単にイメージ出来た
ダブルツンデレも頑張れw楽しみにしてます
下にあったからあげとくよ
ひとまず保守
シンはアカデミー時代から想い続けているレイに告白し、レイも「私も好きだ」と、その想いに答えた
そしてレイは「付き合う前に会ってもらいたい人がいる」とも言った
その会ってもらいたい人とは、レイの親代わり、だという事だ
その人物を「とても優しい、心から信頼している人」と語るレイの顔が余りに幸せそうで
シンもその人物に会える日を、とても楽しみにしていた
そしてその日はやって来た。その人物が会う場所を用意してくれたが、そこはプラント一の高級ホテル
しかもスイートルームだったので、シンは相手がかなり裕福な人物なのだと察する
それと同時に、その人物に自分が認められるのかという不安に、押し潰されそうになった
2人がその部屋に到着すると、レイは呼び出しのブザーを押す
すぐさまドアは開かれて、中から長身の男が現れた。その人物にシンは驚愕するのだった
なぜならその人物が最高評議会議長、ギルバート・デュランダルだったからだ
「ぎ、議長」
シンの驚きを他所に、ギルバートは2人を笑顔で迎え入れ、ソファーに座るように促した
そして「コーヒーでも淹れてくるよ」と、奥にあるキッチンスペースに姿を消した
「済まない黙っていて、でも言い出せなくて」
レイは申し訳無さそうな顔を、シンに向ける
「あ、いやちょっとビックリしただけだから」
シンは緊張に押し潰されそうになっていたが、レイを気づかって笑顔をみせた
「レイが彼氏を連れてくる年になったとは、しかも相手がシンだとは驚きだよ」
ギルバートはカップをテーブルに並べると、レイに声をかける
その言葉を聞いてシンは、やはり自分では認められないのかという不安に襲われた
あの日、レイが『親代わり』について語った内容を思い出せば、いかに大事にされていたかは推測できる
君などにはレイはやれない、そう言われるのではないかと、ビクビクしてしまうのだ
「ギル、シンは心の優しい人です。それでいて強くて、何時も私を護ってくれます。だから・・・」
「レイ、私は別にシンの事を否定している訳ではないのだよ。シンは今やザフトのエースだ
レイの相手として不足はない。ただ・・・」
ギルバートはそう言うと、レイを自分の傍に呼び寄せ、そっと抱きしめた
「ただ少し寂しく思うのだよ。レイが私のものではなく、シンのものになってしまうのがね」
レイはギルバートの胸の中で顔をあげると、笑顔を見せた
「ギル、私は何時までも貴方の娘です。でも今は・・・今はシンを愛
レイの言葉はそこで止められた、ギルバートの唇によって・・・
ギルバートはレイに触れるだけのキスをすると、シンをみつめる
「レイがシンの事を好きだと言うのなら、私にその感情を止める権利などない
だが、少々悔しいのでレイのファーストキスは私が貰っておくよ」
シンは驚きの余り動く事が出来なかった
レイの事を愛しているのだと自覚してから、レイに触れたい気持ちはづっとあった
レイの気持ちを確認してから、やっと手を握れるようになっただけで、抱きしめた事も一度も無かった
憧れ続けたレイの唇が、親代わりとはいえ、別の男に触れられてショックなのは当たり前だろう
レイはギルバートの胸を押しのけると、ゆっくりと言葉を綴った
「酷いよギル、なんでこんな事・・・せっかくギルの事・・・」
レイはギルバートに背を向けると、ドアに向かって歩きだした
シンがレイの顔を見ると、必死に涙を堪えている感じがするのと同時に、別の何かも堪えているようにも思えた
シンはレイの後を追うようにドアへと向かった
そっと振り返り肩越しに見たギルバートも又、何かを思いつめた顔をしている
「失礼します」
シンはそう言い残し、部屋を後にした
そして2人は無言のまま、ミネルバへと帰ったのだった
部屋に戻ってからも、2人の間には重苦しい空気が流れていた
シンはあの部屋を後にしてから、一つの想いが頭を離れない
それを確かめる為に、シンはレイに言葉をかけた
「なぁレイ。キスしていい?」
レイはシンの言葉に2、3度大きく瞬きすると、そっと瞼を閉じた
シンはレイの肩に手を置くと、唇を近づける。だが2人の唇が触れる事は無かった
触れる直前、シンは見てしまったのだ。レイの頬に流れる涙を・・・
「何で泣くんだよ・・・」
シンはやはりな、と思った。レイが自分の事を好きだと言ってくれた事は疑っていない
だが、レイの心の中にはギルバートもいるのだと
そしてギルバートの心の中にも又、レイがいるのだと
レイはきっと自分の中のギルバートの存在を吹っ切る為に、今日会いに行ったのだと思えた
レイが自分の事だけを見ようとしてくれたのは嬉しかった
だが、その為にレイが苦しむ姿は見たくは無い。シンは心からそう思った
「レイ無理するなよ。俺待っているから。レイが俺だけを見てくれるの待っているから
俺、議長よりいい男になるから。ちゃんと俺だけを見れるようにするから・・・
だから苦しまなくてもいい。無理に感情を殺さないでもいいから・・・
お願いだから、泣かないでくれよ」
シンはそっとレイを抱きしめた。レイは「ありがとう」と呟き、シンの背中に腕を回した
レイは小さな頃から自分を愛しんでくれたギルバートが好きだった
それは父親に対する愛情でもあり、又初恋でもあった
レイはギルバートの存在が全てで、本当に好きだった
レイはシンに出会って、新しい気持ちを知った
それは、共に戦い、護り護られるうちに芽生えた友情をいう物だった
そしてそれは、愛情に変った。レイはシンを愛している
レイがギルバートへの思いを断ち切り、シンだけを愛するのはそう遠い未来ではなかった
感想一番乗り〜
GJ! レイの心の揺れがいい!
せっかくの作品なのであげときます。
ギルレイかと思いきや、ちゃんとシンレイだぁ。
シン良い奴だなGJ
シンっていい奴だなあ
かわいいレイもいじわるな議長wも良かった
議長ってこんな感じかも(妄想)
(´・ω・`)
投票したよ
もうそろそろ終わるね
支援作ってレス読んでと満喫した。
レイ、愛されてるなお前。
レイ1位おめ記念あげ
インパルス受領を皮切りに、何かと議長に優遇されるシンに嫉妬するレイ
そして、その感情がついに爆発し、シンに激白
「どうして今頃現れたんだ!お前が出てこなければ、ギルはずっと私だけを見ていてくれたのに!!」
シンはレイに認めて欲しくて頑張ってただけなのに・・・
とかだったら萌え
>>230 ぐぉおモエス!
今日の再放送はシンの初種割れだけど
本放送の時、レイがシンに嫉妬するとかいうバレが来てた気がする
だからレイ(白ザク)がシンに視線送った時驚いた
工エエェェ(´д`)ェェエエ工マジバレ!?って
で、次の回でシンが顔色窺うようにレイを見るんだよな
で、レイが笑ってシンも笑うと
やっぱりシンとレイの間には友情がちゃんとあったと思うんだよな。
本編とか負債のインタビューだと、レイがシンを利用していただけ、みたいに書かれてるけどさ。
>>230 それなんてニナ?
関係ないが、舞乙見てると、親友兼ライバルってのはこうあるべきだなと思わせてくれる
シンとレイも嫉妬でも何でもいいから対立して、また仲が深まったりとかやるべきだったね
>>233 関俊インタビューで「利用する駒のひとつに過ぎなかったが、
最後は情が移ったと思いたい」てのがあって、
変に友情が絶対にあったって言われるよりいいシチュだと思ったけどね
ちょっとageますよ。
>>235 同意
自分はシンを駒として見ていたというレイも好きだ
中の人の言うように徐々に情が…ってのに萌える
思えばこのスレの始まりは、ダークヒロイン・レイの可能性を語ってたしな
ネタ振りその1
いっそシンにホーク姉妹を殺害させましょうかね。
アスランに篭絡され議長&ミネルバに叛逆したホーク姉妹を殺さなければ
平和な世界は実現しないとレイに忠告されたシンは、悩んだ末に光線兵器でホーク姉妹を焼却*。
恋愛感情を見事に振り切れたシンは「世界の調停者」として成長していく……なんだ面白いじゃないか。
それなら残酷な死&恋愛を使うのにも納得できるし。
ネタ振りその2
「シン! もう覚悟を決めろ!
そこのそれはナチュラルでもコーディネーターでも――
いやそれ以前に人間じゃない。ただのモノ、兵器。可笑しいくらいに人間そっくりの。
だから死体を研究部に引き渡せ。いや、どうか引き渡して。
もうこんなモノを二度と創らせない為にも」
「私が――いや私だけじゃない、ステラの死体を研究する奴らが憎いか?
だがそれ以上にこんなモノを生み出す人間の無知と欲望を憎め。
それに何の恥じらいも躊躇いも無く動かされる奴らを。
テクノロジーと知識という素晴らしいものでこんな事しかできない奴らを。
憎め。
怒れ。
呪え。
そして思い切り苦しめろ。奴らの冒した罪とその救いがたい精神の分まで。
そして滅ぼせ。ためらわずにな」
やっぱ駄目か俺には。
>>203 >つ【旧世紀、日本委託統治領時代のオノゴロ島】
「かつて某国*の工作員により沖ノ鳥島を破壊され資源&治安の危機に陥った日本国が
総力を挙げて併合した島」とか。
*隣の三馬鹿or世界の警察のどっちだろね
【旧世紀、日本委託統治領時代のオノゴロ島】は前世ネタで製作中・・・なんだが
話が重くて進まん。
ミーティングルームにはMS部隊の面々と艦長・副官・司令・オペレーターが集まっていた。
「これが現在の損害状況になります」オペレーターのメイリンがスクリーンに映す。
「特に第二エンジン、左翼の装甲と武装の損傷が大きいです。」
メイリンが艦長の方を見る。
「というわけでテロリストの戦艦・ボギーワンの追跡は中断することを提案しますが、
どうですか、ジュール司令」
イザークはムスッとした顔で腕を組んだまま黙っている。
「まあ、これはしょうがないんじゃないの?失敗はしたけど相手のデータは取れたんだしさ」
場の空気を読んでいるのかいないのか、ディアッカが発言する
「キサマァ!しょうがないで済む様な事か!」イザークが声を荒げる
「俺たちの仕事はあいつを追っかけるだけじゃないんだから、それで済ませるしかないだろ?」
ディアッカは慣れた調子でイザークをなだめる。
「まあ、他のテロリストを野放しにしていいってんなら、それもいいけどね」
「くっ!」
この二人は終始こんな感じである。
「議長もまたなんでこんな人達を・・・」
シンは小声で言う。
「だが結果を見れば上出来だろう」
レイが小声で返す
確かにそうだった。奇襲を受けた時点でアーモリーワンには追跡に割ける戦力はなく
戦術的に不利な状況において最小の被害で敵戦艦の戦闘データ収集という結果を出している。
「あの二人見てるとなんか軍隊じゃないみたいね」
ルナが小声で割り込んでくる。
自分もあれの同類として議長に選ばれたんじゃないかと不安になるシンだった。
【Dark In The Dark 七話・花弁】
ミーティングの結果、ボギーワンの追跡を中断し艦の修復作業を急ぐということになった。
シンはその最後に、MS格納庫に来るようにとシホに言われてた。
「一応、あなたに話を聞いておいた方が言いと思って」シホはシンに言う。
シンのパーソナルMSであるザク・ブレイブをシホ用に改装するという話だった。
「俺はレイやルナみたいに何か得意な分野があるわけじゃないから、基本的には普通のザクです。
大きな変更分、細かく調整はしてありますけど」
シンは機体の説明をする。
「そうみたいね。この間乗った時の違和感はその辺りか・・・・・・あっ!」
シホは通りかかった整備士・ヴィーノに声をかけて、携帯モニターを見せる。
「エンブレムはコレでお願いね」
それは紅い鳳仙花を中心にデザインされたものだった。
「T−M−N?」そう描かれた文字を見てヴィーノは首を傾げる。
『ハーネンフースさ〜ん!ジュール司令から通信入ってますよ!』
遠くから声がする。
「わかりました。じゃ、コレはお願いね。シンもありがとう」
シホはそう言って呼ばれた方に去っていく。
「最近お前仲良いよな、シホさんと」
シホの後ろ姿を見ながらヴィーノが呟いた。
「そうか?」
「そうだよ。ほら、物陰から熱い視線を送ってるお姫様があそこに」
その先ではレイがなにやらこっちを見ている。
「いや、あれはそういうんじゃなくて」
「モテる奴はみんなそういう事言うんだよな、嫌だ嫌だ。とりあえず謝りにいったら?」
「そうしとく」シンはレイの方に行く
「あいつらはどこまで知っているんだ?」
レイは目を合わさず尋ねる
「さあな。でもここで修復作業に入るのはギルの予定通りなんだろ」
シンはレイの方をジッと見ている
「次の動きはもう始まっている。全力で阻止しろ、だそうだ」
「それもなんだかな」
「あと」
「ん?」
「最近あの秘書と仲がいいな」
レイは件の変な表情になっていた。
「T・M・N・・・」
「は?」
「touch-me-not・・・鳳仙花の花言葉だとさ」
「ほう」
「あれからはなかなか情報が引き出せそうにない」
「そうか。別にあれはほっとけばいい」
「わかった」
シンは話している間もジッとレイを見ていた。
そこに二人を見つけたルナマリアがやってくる。
「あらあら、こんなところで密会?」
ルナマリアはレイの顔を覗き込むようにして言う
「いや、シホさんが俺のザクを自分用に改装するって話。なんでもエンブレムもつけるんだそうだ」
「あの人のエンブレムって赤い鳳仙花のやつでしょ。あたしもなんかつけようかしら?」
「パンジーの花なんてどうだ?」
後ろからディアッカの声がする。相変わらずマメな奴だ。
「パンジー?」ルナが振り返る
「どうしてパンジー?」レイが珍しく食いつく
「パンジーは英語ではkiss me quickって言って、つまり『すぐにキスして』だな」
「も〜〜!隊長!」ルナは軽くディアッカを叩く。
それを聞いてシンは、さっきの会話を聞かれたかな、と感じた。
レイも何か考えているようだった。
数日して、ミネルバの修復がほとんど終わった頃、イザークにデュランダル議長から通信が入った。
「議長、お久しぶりです。本日は・・・」イザークが言いかけたところで議長がそれを制す
「ちょっと緊急事態なので挨拶は無用だよ。単刀直入に言おう、ユニウスセブンが地球に落ちる」
「なっ!?どういうことだ!?」イザークは驚きのあまり言葉使いが普段のものになった
「詳しくは君の秘書のところに送ったがね、どうも何者かの手によって
ユニウスセブンの軌道が変えられたようなのだ。君の艦がちょうど良い位置にいるので、
すぐに向かってもらいたい。以上だ。」
「了解しました」
忙しいのだろう、議長はすぐに通信を切った。
to be continued
――――――――――――――――――――――――――――――
久々の投下。ルナマリアがなんか違うような・・・
245 :
239:2005/12/24(土) 11:48:32 ID:???
「ステラの死体をザフトに回収させたら
解剖されてサンプルにされるのが許せない(小説版)」
そこで
>>239の展開にすれば面白いかな、と。
どうでしょうか皆さん。
レスがないって事は
俺の案は負債以下だったのかorz
つか今日はあんまり人がいないだけでしょ。
レイがステラの受け渡しを手伝ったこととかと絡めれば
いいネタになると思うし。
248 :
246:2005/12/24(土) 20:10:49 ID:???
いや俺のネタだとレイはステラ引渡しとかしそうに無いからな……
アッ、
“シンがレイの目を盗みこっそり逃がす→しかしステラ戦場へ。その結果被害甚大→
シン悩んで戦えず→しかしレイの叱責でシン、ステラ殺害”って展開にすればいいか。
殺害させましょうかなんて文で始まるレスを気分よく読める筈がない
>>242-244 毎度乙です
いいタイミングの投下!
明日…はどうかねえ…
250 :
248:2005/12/24(土) 20:57:38 ID:???
>>249 >殺害させましょうか
ハハハハハハ だってホーク姉妹の存在意義と作品への貢献度なんて所詮(以下ホーク姉妹への愛憎入り混じるチラシの裏)
それ以前に種シリーズ自体 いやガンダムシリーズ自体が(以下スレッド違いなチラシの裏)
>>242 乙!ルナ可愛いよルナ
シンとレイの距離感がいいなあ
>>250 うぜえなと思ってたけど
もう一切お前に構う奴はいないと思うから言ってやるよ
出 て け
以下、スルーで。
>>242 今回も乙!読ませて頂きました
シホがずいぶん出てるなぁと思いつつwザフト連中の会話がイイ!
やっぱり本編でこうやって新旧絡んで欲しかったと思うよ…
レイとシンも自然な関係でまたイイ!
レイとシンの活躍と二人の関係を楽しみにしてます
254 :
250:2005/12/24(土) 21:58:33 ID:???
>>252 ○| ̄|_ホントニゴメンナサイ これからは感情的な投下は止めますから。
どうも最近荒れてたもので。
宇宙に上がると仕方ないこととはいえどうしても季節感が薄れるらしい。モニターの端に表示された日付を見て初めて、今晩が聖夜であることに気が付いた。
(オーブに居た頃はマユといっしょに一月前からカウントダウンしてたっけ…)
そんな些細な幸せに満ちた日常の中にいたのは2年前までのこと。あのころの自分はまさか戦場でクリスマスをむかえることになろうとは想像もつかなかっただろう。
何気無く鑑内に目を向けると、どうやら季節感が薄いのは自分くらいのようだったことに気付いた。
顔を合わせると「メリークリスマス」と挨拶をされ、女性クルー達はニュースに映るイルミネーションの中の恋人たちを羨ましそうな目で見つめている。副長など、ブリッジにツリーを出そうとして艦長にどやされるほど浮かれていた。
「メリークリスマス、シン!」
「…なんだよルナまで」
肩を叩かれ振り向くと、ルナマリアが上機嫌で笑っていた。浮足だった調子に辟易しながら返事をすると、ノリが悪いわねと口を尖らせる。
「ねぇ、今晩暇でしょ?ちょっとしたクリスマスパーティーしようと思ってるの。食堂に頼んでケーキもあるのよ」
「はぁ?なんだよそれ…」
いくらなんでも浮かれすぎだろ…という言葉を飲み込みシンは黙る。
「いいから来なさいって。ついでにもう一人乗り気じゃなかったカタブツお姫さまも連れてきなさいよ?せっかくのクリスマスなんだから!」
「レイも?断られたのか?」
「そーよ。あんたとなら来るかもしれないから誘ってみてくれない?」
「…気が向いたらなー」
「可愛くないわねぇ。あーサンタ様、プレゼントはノリが良くてカッコいい大人の恋人が欲しいですー。シンなんかとは全然違うようなっ!」
「断ったんだって?ルナたちのパーティー」
部屋に戻りレイに問うと、彼女はこちらを向かずにああ、と短く答えた。
「でも、なんとなくわかるかも。皆浮かれ過ぎっつーか…このご時世にさ」
「このご時世だからこそ、じゃないのか?」
「え?」
予想に反した答えに間の抜けた返事をすると、彼女は振り向きながら言う。
「戦時中だからこそ息抜きとして楽しみ、イベントを謳歌するのだろう。悪いことじゃないと思うが」
「レイがそう言うなんてちょっと意外だな。じゃあなんで断ったりしたんだ?」
「それは…」
レイはそう言い淀むと、眼を臥せた。
「わからないんだ。クリスマスを祝う様なことをしたこともないし、私がそれを楽しむ資格なんてあるのか…」
「レイ?」
そこまで言うと、彼女は顔をあげ微笑した。
「だからシンだけで行くといい。ルナマリアには後で私が謝るから」
「え?」
資格?なんでそんなものがいるんだ?それ以前に祝ったことがない?どういう…
ぐるぐるとそんなことを考えながらシンは黙ってレイを見つめる。ただ、一つだけ確かなことがあった。
(だってすごく寂しそうな顔してるじゃないかっ…)
「レイ、行こう」
「は?」
手を差しのべられレイは困惑気味に返す。
「よくわかんないけどさ…とりあえず、皆で祝ったりすることに資格はないよ。だって悪ガキだった俺のとこにも毎年サンタはプレゼント持ってきてくれたんだからさ」
「……」
「だから、行こう?仕方ないからルナ達の馬鹿騒ぎに付き合ってやろうよ」
にっこり笑って促すと、彼女はおずおずと手をとり立ち上がる。
「シン…ありが、とう…」
「うん?」
「なんでもない。…メリークリスマス」
「メリークリスマス!」
確かに、たまには浮かれてみるのも悪くない。
クリスマスだからって浮かれていた。今は反省している。駄文で申し訳ない
>>257 おまいは私をも浮かれさせた。隣で一緒に反省させろ。
クリスマスプレゼントありがたう。
>>257 乙、シンの優しさが伝わるいい話しでした
反省はしないで下さい
>>257 また投下が!ありがとうサンタクロース
こういう何気ない日常の一幕って好きだー
>>257 うおおおお寝る前にいいもん見た!GJ!
「お疲れ〜」
「お疲れさまっ!」
撮影は無事終了を迎え、挨拶を終えたシンは慌てて時計を見ると携帯の発信履歴を呼び
出した。
「用意出来た!今すぐ出て来いよ、今すぐな!」
相手の返事も待たずに通話を切ると、掛けてあったダッフルコートを羽織り、上に乗せ
てあったマフラーを引っ掴むとそのまま走り出す。走りながらマフラーを巻こうとするが、
走ることに集中しているせいか、それとも単に器用でない為か、上手く巻けないことに苛
つきながらも両端を背中に回した。走れば走るほど風が凍み通り、シンは手袋を着けてい
ないことを少しだけ後悔した。
撮影に遅くまでかかったせいか陽はもうすっかり落ち、街灯の中からも星が見え始める。
賑やかな音楽に気持ちを急き立てられながら、シンはこのあたりで一番見晴らしの良い高
台へと走った。
「レイ!」
まだその姿が遠目に輪郭と色合いだけがわかるだけの距離から、シンは大きな声を張り
上げた。それに気付いたレイがこちらへと振り返った。
「間に合った!あれ見て!」
シンが指差した先、闇だけがあったその場所にぽつと一点の光が灯った。やがてその間
接から光が次々と広がり、一体のモビルスーツが照らし出される。
「綺麗…」
レイの瞳に電飾が映り込み、いつも以上に輝きを増す。きらきらと輝くそれを見ながら、
シンその手をぎゅっと握り締めた。
「メリークリスマス」
---------------------------------------------------
馬鹿ネタの下から失礼します。
こちらでも一応告知。年末スペシャルで打ちひしがれる予定の皆様、
熱い思いを語り合いませんか。
今晩10時頃からまとめサイトのチャットにて開催予定です。
うわぁあメリークリスマス!!乙です!!
チャット…バイトぎりぎり終る時間なので行きたいです。
良スレあげ
12時半ごろからの参加になりそうなんだけど、それまでやってるかな?
とある業界人によるとあまりのひどさに激怒してる声優がいるらしい。
268 :
チェス・1:2005/12/26(月) 04:26:54 ID:???
レイとシンはチェスをしていた。
二人でチェスをするようになったのはいつごろからだろう。
多分アカデミーの頃だったと思う。
何かと私をライバル視していたシンが私に勝負を吹っかけて来たのが始まりだったか。
「どうした、シン」
盤上はレイの圧倒的有利だった。
「いや、ちょっと待って」
シンは盤の上をジッとみている。
こういう時のシンの集中力はすさまじいものがある。
そして絶対に投了したりはしない。
もう何百回とやっているが、それでもシンとのプレイはスリルに溢れている。
そのゲームは結局レイが勝利した。
「もう一回やる」
シンはせがむように言う。
ふぅと息を付くレイ。
「わかったが、一息いれないか。もう三戦目だからな」
そういうとレイは立ち上がって紅茶をいれに行く。
「あっ」
「いい、シンは座ってろ」
「う、うん」
レイは丁寧に紅茶の葉をスプーンですくっていれ、お湯を注ぐ。
「その紅茶どうしたの?」
「議長が送ってくれたんだ」
「へえ、そうなんだ」
レイはお盆をテーブルの方に持ってくる。
「レイにチェスを教えたくれたのも議長なの?」
シンはポットの横にある砂時計を眺めながらレイに尋ねた。
「いや、違う。昔は議長はチェスがそんなに好きではなかった。」
レイはそういうと、昔の話を始めた。
269 :
チェス・2:2005/12/26(月) 04:28:04 ID:???
そもそも議長には将棋の方が好みだった。
取った駒を使えるという方がゲームとしての完成度が高いというのが彼の言い分だった。
彼はゲームについてはうるさい男だ。
ある時議長は親友とそのことについて話していた。
「チェスは最終的に盤上にほとんど駒がなくなってしまうだろう。それが良くない」
議長はポーンを指先でいじりながらそういった。
しかし、その親友はそれに同意せず、首を振った。
「違うな、それが真実というものだ。」
「ほう。どういう意味だ」
「戦争とはそういうものだ。人より優るため、相手に勝つために争い続ければ
最後に待っているのは滅び。チェスはそれを表現したその結果だ」
話しながら盤上のポーンを脇に除ける。
「死なない兵などいない。撃たれれば死ぬ。それが道理というものだ」
言い終わると彼は立ち上がって身を翻す。
「その盤と駒は君にやろう。もう私が使う事もあるまい」
そして彼はその数日後ヤキンドゥーエで戦死した。
そこまで話したところで砂時計の砂が全部落ちたのでレイは紅茶をカップに注ぐ。
「私にチェスを教えてくれたのはその人だ。」
「へぇ・・・。じゃあ、もしかして議長の部屋にあるチェスって・・・」
「そう、あれがそのチェスだ。ラウが、その人が死んでから、議長は将棋を打たなくなった」
「ふーん」
少しの間
紅茶を飲む二人
「少し濃い。ずれて・・・いるのかな・・・」
レイは砂時計を見る。
「でも」シンは俯きながら呟く
「ん?」
レイはシンを見る。
シンは顔を上げて語気を強めた。
「俺は何回負けても生きて帰ってくるよ。生きてるなら何回でもチェスは出来るし。そうだろ」
シンの真剣な眼差しを見て、レイは少し笑った。
「そうだな、ふふ・・・確かにそうだ」
ふふふ、と小さく笑い続けるレイ。
「何がおかしいんだよ!」
拗ねた風に怒るシン
「いや違う・・・・・・ただ・・・ふふふ」
「もういいよ!早くチェスの続きをやるぞ!」
「わかった、わかった。しかし次も私の勝ちだろうな」
「やってみなきゃわからない!」
そう言ってシンはポーンを前に進めた。
(終わり)
――――――――――――――――――――――――――――
ラウ出演記念に即興で書いてみました。
荒くてすみません。
ベルのリボンはぜひレイの頭にハァハァ
しかしシンの持ってるハロは…アスランがまた作ったのか?
>>270 うpありがと!!!三人とも可愛いよ〜〜!!
このちまきはどこで手に入る?ダムA?
ゲーマーズでバイトやってる奴にもらったから、よくわかんないけど、
ダムAかなんかのオマケだと思う
誰も言わないから俺が言っとく。
>>268 _ ∩
( ゚∀゚)彡 GJ! GJ!
⊂彡
>>268 SPで荒んだココロに新たな潤いをありがとう…!
ラウも好きだからなんか嬉しいです!GJ!!
276 :
通常の名無しさんの3倍:2005/12/28(水) 00:35:45 ID:UuLcOw4m
ほしゅ
>>268 大変乙!
こういう日常がもっと欲しかった!
しかしレイよ、将棋は打つのではなく、指すものだぞ
>>268 来るのが遅れたけど乙!
自分もラウ好きだからこういうの嬉しい
ここの職人さん達のシンは、こうであったらいいと思う理想のシンだ
念のため保守。
280 :
チリンの鈴:2005/12/29(木) 18:58:05 ID:???
「そういえば昔」と、
オーブ侵攻へ向かっているミネルバの休憩所で、おもむろにシンが話し出した。
「小さかった頃に母さんが、表紙に可愛い羊の子供が描いてある絵本を読んでくれた。」
周りにはレイとルナマリアとアスランがいた。ハイネは艦長の所に行っている。
シンは外を眺めたままその絵本の内容を話し始めた。
子供の羊のチリンはお母さんとお父さんと他の羊達と、羊小屋の中で幸せに暮らしていた。
ところが、ある日羊小屋は狼の群れに襲われてしまう。
チリンは命からがら逃げ延びたが、チリン以外はみんな殺されてしまった。
まだ小さいチリンは山の中で野垂れ死にそうになるが、一匹狼に助けられる。
狼への復讐を誓ったチリンは一匹狼の下で修業を積んだ。
月日が流れ、チリンは強くなった。
狼に負けない強靭な体と、とても羊とは思えない不気味に大きい角を手に入れた。
山を降りたチリンが羊小屋に戻ってみると、そこはまた狼達に襲われていた。
強くなったチリンは狼達を見事追い払うが、チリンの姿を見た羊達はみんな怯えていた。
チリンの姿は既に羊のそれではなかったのだ。
チリンは悲しそうに山へ帰っていった。
シンはそこまで話してコーヒーを一口飲んだ。
「それで?」とルナマリアが聞く
「ん?それで、終わり。この話を始めて読んでもらった時、妹は大きくなったチリンを見て
その絵が物凄く不気味で怖かったから、泣いていた。」
「つまり復讐なんてしちゃ駄目って事?」
ルナマリアがまた聞く。レイは黙っている。
「過去にばかり囚われてると、自分自身さえ失うって事じゃないのかな」
アスランが何かを考えながら言う。
「確かにそうかもしれないけど・・・」
シンが再び口を開く
「それでも俺は、自分自身を失ったとしても、誰かを助けるためにはそうしなくちゃいけないと思ったんだ。
強くなるためにはそれ以外の全てを捨てなくちゃいけないって。」
「でも、シン・・・」
「な〜に辛気臭くなってんだ!」
アスランが言いかけたところで、ハイネが戻ってきた。
暗い空気を察したハイネはアスランを連れて甲板の方に歩いていった。
「シンがどんなになっても私はシンのそばにいる。たとえ強くなるために捨てられたとしてもな」
ずっと黙っていたレイが言った。
ルナはやれやれ、という顔している。
シンの険しい表情がちょっと和らげて、そうか、と一言言った。
ダルダノスの暁作戦開始まであと一時間
(終)
281 :
チリンの鈴:2005/12/29(木) 18:59:41 ID:???
チリンの鈴放映記念SSなんぞ書いてみました。
あれを見てるとチリンがシンにしか見えないw
「戦争後、ある女性と組んで一緒に仕事をするようになったシン。
当初はぶつかり合っていたが、やがて徐々に信頼関係が……しかしその女性は、
蘇生治療の結果なぜか女になっていた*レイだった。どうするシン!?
そしてルナマリアとの関係は!?」
>>280-281 そんな切な辛悲しい事いわんでくださいよ。
*ちなみに治療を執り行ったのはミハイル・コースト。
>>281 ハ、ハイネー!
さておき、物語自体は初めて知りましたが確かにシンみたいですね。GJです!
戦争が終わって数ヶ月が達ち、シンはかつてともに戦った仲間達と久しぶりに会う約束をした
集まった仲間は、シン、ルナマリア、メイリン、ヴイーノ、ヨウランの5人だ
それぞれが食べ物を持ち寄り、食事会の様なものを開こうと、ルナマリアが提案したからだ
それは様々な思いを抱えつつも、前に進まなければならない少年達には必要な事かも知れなかった
だがシンは、心から楽しむ気はおこらないでいた
過去を吹っ切るにはまだ、時間が少なすぎたからだ
それでもルナマリアの気持ちを察すると、今日位は明るく振舞おうと思っていた
シンは自分が用意したケーキにナイフをいれ、切り分けた
「ルナ、皿取ってくれ」
シンはお皿にケーキを取り分けると、皆にそれを差し出し、それぞれそれを受け取った
だが、テーブルの上に一皿のケーキが残ってしまった
アカデミーの頃何度かケーキを買い込み、仲間でそれを食べていた
その時の習慣で、つい6等分に切り分けてしまったのだ
あの時は6人いたのだ。だが今この場にいるのは5人のみ
欠けてしまった少女の優しい笑顔が、シンの頭を過ぎる
いや、シンだけではない。この場にいた全ての者もレイの事を考えていた
「な、何やってるんだろ俺。あはっ、バカだな」
護ると心に誓ったのに、レイは命を散らした。俺が無力なばかりに…
シンはそんな想いに押し潰されそうになっていた
アカデミーの頃は、レイもケーキを嬉しそうに受け取り、一緒に食べていたのに
だが、もうここにはいないのだ。レイ…
シンの頬を一筋の涙が伝う。そんな顔を見られたくなく、シンは洗面所へを姿を消した
シンが鏡を覗けば、情け無い顔をした一人の男が映し出される
力は得れたと思っていた。これで愛する者を護れると思っていたのだ
だが現実は厳しく、得たものなど無く、失ったもののみだったと、改めて思い知らされる
「レイ、ゴメンな。俺何も出来なくて、本当情け無いよな…」
シンが再び鏡を見ると、それは明るい光に包まれていた
「何だ、一体…」
シンがその明るさに慣れ、鏡に映し出された者を認識するのに、そう時間はかからなかった
「レ、レイ」
鏡の中にレイの姿はあった
後ろに立っているのを写し出したのではなく、鏡の中にいるといった方が確かだろうか
「何を泣いているんだシン」
シンの捜し求めていた姿がそこにはあった。意思の強そうな美しい顔はそのままに
「お、俺レイの事も、議長の事も護れなかった。俺が弱いばかりに。ゴメン、俺っ」
「私は、私自身の戦いに負けたんだ。シンのせいじゃない」
「だけど俺、何も出来なくて。それが情けなくて」
シンは流れる涙を気にせず、想いを吐き出した
「シン。お前がやる事はこれからも沢山ある。泣いている場合じゃないだろう?」
「やるべき事?」
「ああそうだ。今お前の周りにいる仲間、そしてこの世の人全てを守る事
それが出来るのは、他の誰でもない。議長が一番の戦士と認めたシンだけだ」
シンはその言葉にハッとなった。自分の護りたかったものそれは…
新しい世界は俺が護る。そう誓った筈だった。今からでもそれは出来るだろうか
いや、やらなければならないのだ
自身の為に、そしてあの日のレイとの約束を守る為に
「分かったよレイ。俺はもう泣かない。レイとの約束は必ず守る」
シンは力強くレイに誓った。もう二度と弱さは見せないと
「レイ、そっちは良い所か?今幸せか?」
「ああ、会いたかった人にも会えたしな」
「そうか、良かった」
「なぁレイ。俺がやるべき事をすべてやって、そっちの世界に行った時、又会ってくれるか?」
「当たり前だ。シンが天命をまっとうしてこちらに来る時は、必ず迎えに行く」
レイはシンに誓った
自分が死を迎えた時、ラウが迎えに来てくれた、そんな風に必ず迎えに行くと…
「レイ、愛している。愛しているよ」
「私もだ」
シンは鏡の中のレイに口付けをした
レイの唇は、そのにいるかの様に暖かかった
シンが唇を離すと、レイは光に包まれその姿を消した
だがシンの心から消える事は、生涯なかった
シンは顔を洗うと、皆の待つリビングへと向かう
テーブルに目をやれば、まだ誰も手を付けていないのが分かった
シンは笑顔を見せると、余ったケーキに手を伸ばす
「あれ、誰もこれ取らなかったんだ。じゃあ俺がもらう」
「ずるいよ。俺も欲しかったのに」
「何だよヨウラン。取ってなっただろう。これは俺のだ」
シンの明るい態度に皆励まされ、楽しい1日を過ごす事が出来たのだった
シンは次の日からザフトに戻り、MSに乗った
人々の命を、レイとの約束を守る為に…
GJ!
素敵な話をありがとう。GJ!
おー良い話だ。シンはつき進む男であって欲しい
291 :
パ:2006/01/01(日) 00:26:39 ID:???
あけおめ〜!
今年もシンレイを盛り上げるぜ!
あけおめ!昨年は本当ここで泣かせてもらいました
読むのと感想と保守しか出来ないけど、職人さん達には
本当に感謝と期待をしてます。ありがとう!
そんなわけで元旦恒例のスレとシンレイの運勢を。
>>291 その名前欄はなんだw
だ、だん吉ー!?
・・・まあ凶とか大凶じゃないだけ・・・
あけおめのことよろ。
今年もここでいい作品に出会えますように。
超失敗したorz
また何か投下もします。
話が浮かんだが、SS書く時間がない・・・
来月あたり何かできたらと思います。
どちらもまってます!
とりあえず保守
投下いつまでも楽しみに待っています。
自分も保守と正月ってことでまとめサイトのお絵描き掲示板に絵を落としておきました。
今年もよろしくお願い致します。
暗がりの部屋。モニターには過去の映像が映っている。
『戦いたがるものなどおらん、我らの誰が、好んで戦場へ出たがる…
平和に、穏やかに、幸せに暮らしたい。我らの願いはそれだけだったのです。
だが、その願いを無惨にも打ち砕いたのは誰です?
自分たちの都合と欲望の為だけに、我々コーディネーターを縛り、利用し続けてきたのは?
我らは忘れない。あの血のバレンタイン、ユニウスセヴンの悲劇を。
243721人。それだけの同胞を失ったあの忌わしき事件から1年。
それでも我々は、最低限の要求で戦争を早期に終結すべく心を砕いてきました。
だが、ナチュラルは、その努力をことごとく無にしてきたのです。
我々は我々を守るために戦う、戦わねば守れないならば! 戦うしかないのです!』
それは娘を血のバレンタインで失った男の心を代弁する言葉だった。
彼はパトリック・ザラについて最後まで戦った。しかし彼らは負けた。
戦争は勝たなければ意味がない。それもパトリック・ザラの言葉だった。
それでも戦争は終わっていなかった。条約が結ばれた事で全面的な戦闘はなくなったが、
テロやコーディネーター迫害は依然として存在した。ザラ議長を裏切ったアスラン・ザラも暗殺されたらしい。
結局のところ何も変わってはいないし、何も終わってはいない。
それならば、ナチュラルをのさばらせておくくらいならば、戦争をすればいい。
きっかけさえあればすぐに戦争になる。
その部屋に部下が入ってくる
「サトー隊長、ザフトがついに動き出した模様です」
「そうか」
サトーは椅子から立ち上がった。
【Dark In The Dark 八話・言葉】
「ユニウスセブンが落下コースに入っているというのは本当なのか?」
ディアッカが艦橋に入ってくる。
「はい、ミネルバのレーダーでもすでに確認しています。」
メイリンが答える。
「で、どうするんだ」
「今ザフトと連絡を取っているところです」
「ちぃ!どこのどいつがこんな事を!平和をなんだと思っているんだ!」
苛立ちを隠せないイザーク
ディアッカは溜息を付きながらもいつになく真剣な顔になった。
休憩室にはMS部隊の三人とアカデミー同期組のヴィーノとヨウランが
ユニウスの件について話していた。
「ふーん。けど何であれが?」ヴィーノが疑問を口にする。
「隕石でも当たったか、何かの影響で軌道がずれたか。」ヨウランが答える。
「地球への衝突コースねぇ。」ルナマリアは腕を組んで呟く。
「アーモリーワンの事件といい、俺らはなんか呪われてるのかな?」
ヴィーノは表情を曇らせる。
「で、そのユリウスセブンをどうすればいいの?」ルナマリアがレイに聞く
「砕くしかない」レイは淡々と答える。
「砕く!?」ヴィーノとルナマリアが同時に叫ぶ
「あれを?」ヨウランも驚いているようだ。
「軌道変更のためのバーニアを取り付ける時間はない。衝突を回避したいなら、砕くしかない」
「砕くって言ってもアレ、めちゃくちゃデカイぜ」
「最長部だと8キロくらいはあるかな」ヨウランが答える。
「8キロ?どうやってそんなもん砕くんだよ」
「メテオブレイカーあたりを大量に使うしかないな」今度はシンが答える。
「でも出来なかったら・・・」そこでヴィーノが言葉を濁らせる。
「地球は壊滅するだろう。そうなれば何も残らない。そこに生きるものも。」レイは無表情のまま言う
全員が黙り込む
「はぁー、でもま、それもしょうがないっちゃあしょうがないかぁ?」重たい空気に耐え切れずヨウランが言う
レイとシンは気づいていたので黙っていた。
他の三人は気づいていなかった。
「不可抗力だろう。けど変なゴタゴタも綺麗に無くなって、案外楽かも。俺達プラントには…」
ヨウランはそこまで言ったところで気がつき顔が蒼白になった。
「貴様ら〜!この腰抜けどもがぁ〜!!しょうがないとか不可抗力とかそういう言い訳をするような
腑抜けに何ができるんだ!今すぐこの艦から降りろ!」
いつのまにか入ってきたイザークが凄い形相で捲くし立てる。
「申し訳ありません!」
ヨウランは怯えた顔ですぐに謝る。
「謝るくらいなら最初からこの艦乗るな!!」
「まあ、そのくらいにしとけよ、イザーク」
ディアッカが間に入るがイザークは止まらない
「貴様もだディアッカ!やる気がないんだったらあのカメラマンの女の元にでも帰ったらどうだ!!
新型も奪還出来ずにノコノコと戻ってきやがって!」
「八つ当たりはみっともないぞイザーク」
「うるさい!」
「そういうところは直すんじゃなかったんですか、司令?」
後ろにいたシホがさらに仲裁に入る。
冷静で凍るような声。
「くっ。・・・・・・とにかく、これからはしょうがないとか仕方がないとかは禁止だ!いいな!」
イザークはそう言い残してシホに連れられていく。
「ふう・・・・・・。言葉には気をつけたほうぞ。俺はそれで一回死に掛けてるしね」
イザークがいなくなったのを確認してからディアッカがヨウランに言う
「はい、わかりました。」
「・・・カメラマンの女?」ルナマリアがわざと聞こえるように呟く。
「うっ。じゃあ、俺もイザークのとこ行かなきゃ。レイ・シン・ルナマリアはそろそろ
作戦の説明があるから準備しておけ」
ディアッカはそう言うと逃げるように出て行った。
その後ヴィーノとヨウランは整備に戻り、ルナマリアもどこかへ行った。
シンとレイは二人で休憩所に残っていた。
「243721人の怨念か、どんなものなんだろうな」レイがかすかに聞こえる声で言う。
「さあな。でも俺たちが死んだ人達に出来る事なんて墓を作ってやることくらいだ。
それを落とす・・・か」シンは外を見ながら答えた。
「ラウだったら、それが人の業と言って気にしないのかな」
レイはいつになく落ち込んでいる。表情は変わらないがそれがシンには分かった。
「結局人は自分のことしかわからない、というのもラウの口癖だったな。でも私は・・・」
レイはそこまで言って黙る。
シンはレイを抱き寄せた。
艦内放送で作戦会議のための召集がかかった。
to be continued
――――――――――――――――――――――――――――――
>>298 このスレのまとめサイト管理人は化け物か!?
というわけでご馳走様でした。
いきなりなあげくかなりの亀レスになるんだが、あんまり感動したんで書かせてくれ…
前スレの752の作品を今格納庫で読んで号泣してきた。深夜なのに声まであげて泣きそうで必死にこらえたほどだ。
もしまだ752がこのスレの住人だとしたら心からお礼を言いたい。GJ。いいもん読ませてもらったよ。こんなに感動したのひさびさだ。
流れぶたぎるようなレスを長々とスマソ
>>303 そう言って貰えると、投下して良かったと心から思うよ。
こちらこそありがとう。
保守
308 :
通常の名無しさんの3倍:2006/01/10(火) 16:00:12 ID:ATT6YQhi
保守
慌ててほしゅあげ
とりあえずこの世に腐女子はいらないと思った
マンコついてる癖に女の尊厳を捨てたクズ共め
レイ「ほう、ではお前の男としての尊厳をみせてもらおうか?」
というエロゲー
312 :
ピアノ:2006/01/12(木) 20:11:47 ID:???
それは軍学校時代でのこと。
教室には三人の男子生徒がいた。
ヨウラン「なあ、ちょっと聞いてくれよ。レイってピアノ似合いそうじゃない?」
ヴィーノ「なんだよ急にwでも確かにそうだな。シンはどう思う?」
シン「お嬢様だし、ピアノくらいは習ってるんじゃないか?」
ヨウラン「だろ?なんかショパンとかをこう・・・華麗に弾きこなしてるイメージだよ」
ヴィーノ「は?ショパンみたいなチャラい曲は弾かねーだろ。レイみたいなお嬢様にはラヴェルの
『亡き王女のためのパバーヌ』だね、絶対」
シン「レイをちゃんと見てないのはお前の方だ!レイのあの冷たい・でも不思議な魅力のある感じは
サティの『ジムノペティ』あたりを弾いてるに決まってる!」
ヨウラン「なんだと、このフランスかぶれ共が!ショパンの子犬のワルツがお嬢様のステータスなんだよ!」
シン「そんなん似非お嬢だよ!」
ヴィーノ「二人とも何にも分かってないな」
ヨウラン・シン「なんだと〜〜〜!!!」
そんな感じで口論をしている三人を陰から覗く陰が一つ
金髪碧眼の件の少女レイ。
(どうしよう・・・私はピアノなんて弾けないぞ・・・)
その後レイはピアノの猛特訓を始めた
――――――――――――――――――――――――――――――
次までのつなぎのネタです。
レイにはお嬢様属性が」あると思います。
GJです!
お嬢様属性というと
金髪縦ロール
高飛車・高笑い
足元まであるドレス
が思い浮かぶ……
……レイには似合わない
(^_^;)
おしとやか系のお嬢様じゃないのか?
礼儀正しい
奥ゆかしい
趣味は音楽または絵画または華道茶道。スポーツならテニス
>>313のはお姫さま系とも言えるぞwwドレスとかw
どっちかっていうとリリーナ系のお嬢様かなレイは
周りからの信頼もあるし
>>312 乙GJ!
男連中が作曲家に詳しく、熱く語ってるのにワロタw
それを聞いて慌てて練習するレイがカワイス
そして上達してゆくわけですなw
いつだったか本編でレイがカーペンタリアだかでピアノ弾いてた時、
小説版のシンはそれを聴いてるんだよなーというのを思い出した
ほす
ほしゅあげ
>>318 戴きました、d
時間が無いからまだ1つ目しか見てないんだが、
読み応えがあってよかた、GJ!
>>318 d!
いきなり一番切ないの選んだみたいだ
せつな萌で泣かされたよ(ノД`)
>>318 めちゃくちゃGJ!
つか一番最初にアレを持ってくるのは反則だよ(ノД`)
>>318 おお、ついに出来ましたか。お疲れ様!
何だかわくわくしてきます。
以前チャットで配った奴のバグ改良版があるんだが、
やってみたい人はいますか?
>>318 神乙。泣きそうになった
一つ読んで寝ようと思ったのに気分昂ぶって眠れない…
>>322 ノシ
何故かみれなす…orz
バージョンアップして帰ってきましたね。
DLしました。
よくよく考えたらまだ途中だったorz
作り直しします。それと、かってに小説かりてすみません。
うああ、神二人ともGJ!心の底から乙です!
泣いたり笑ったり感動したり、忙しかったよ…良い時間をありがとう。
>>327 >かってに小説かりてすみません
いや、少なくとも自分は凄い嬉しかった。
良いものにしてくれてありがとう。
マカーって辛い(ノД`)
>>329 自分もだ(ノД`)人(´Д`)
マカーを無効にしても駄目なのかな?
dクス!
保守
入れてきたーでも強敵だな・・
336 :
通常の名無しさんの3倍:2006/01/22(日) 00:48:11 ID:Vd2v4Jnx
保守
あげとく
さいもえ…遅ればせながらレイ乙
あとはシンに頑張ってもらおう
そうだ!
どうせ聞こえるなら、聞かせたってかまやしませんけどね!
レイ!
好きだァー! レイ! 愛しているんだ! レイィー!
アカデミーから
好きだったんだ!
好きなんてもんじゃない!
レイの事はもっと知りたいんだ!
レイの事はみんな、ぜーんぶ知っておきたい!
レイを抱き締めたいんだァ!
レジェンドが潰れるくらい抱き締めたーい!
心の声は
心の叫びでかき消してやる! レイッ! 好きだ!
レイーーーっ! 愛しているんだよ!
俺のこの心のうちの叫びを
きいてくれー! レイさーん!
クラスが同じになってから、レイを知ってから、俺はお前の虜になってしまったんだ!
愛してるってこと! 好きだってこと! 俺に振り向いて!
レイが俺に振り向いてくれれば、俺はこんなに苦しまなくってすむんだ。
優しいお前なら、俺の心のうちを知ってくれて、俺に応えてくれるだろう
俺はお前を俺のものにしたいんだ! その美しい心と美しいすべてを!
議長が邪魔をしようとも奪ってみせる!
フリーダムがいるなら、今すぐ出てこい! 相手になってやる!
でもレイさんが俺の愛に応えてくれれば戦いません
俺はレイを抱きしめるだけです! 君の心の奥底にまでキスをします!
力一杯のキスをどこにもここにもしてみせます!
キスだけじゃない! 心から君に尽くします! それが俺の喜びなんだから
喜びを分かち合えるのなら、もっとふかいキスを、どこまでも、どこまでも、させてもらいます!
レイ! 君が宇宙のど真ん中に素っ裸で出ろというのなら、やってもみせる!
さいもえでゲイナー愛の告白にテラワロスwww
ゲイナーの告白は神だったなw
白富野でシンレイとかよさげだな
ゲイナーwww
ちょ、元ネタわからんがかなりツボだwww
343 :
339:2006/01/25(水) 00:09:55 ID:???
ほっす
最近SS職人さんがいなくて寂しい保守
そろそろ投下しますよ
347 :
通常の名無しさんの3倍:2006/01/28(土) 15:47:46 ID:s+DJ8SCl
おお!ぜひお待ちしてます。
>>299の続きです
――――――――――――――――――――――――――――――――――
地球のある一室。そこで一人の男が通信会議を開いていた。
『まったく、とんでもない事態じゃの』
『まさに未曾有の危機。地球滅亡のシナリオですな。』
『我々も忙しいのだぞ。なにしろ地球の危機だからな』
危機を語るメンバーの口調には緊張感の欠片もない。
「衣料品・医薬品の独占に、ですか?」
皮肉の篭った声。
『わしらの損害も計り知れないからな、そのくらいの埋め合わせは当然するさ』
『それよりも今回の件について何か分かったのか?』
「ファントムペインとは通信不通ですが・・・こちらを」
画面には物資の取引リストが表示される。
『ほうほう、ザフトの残党兵がねぇ』
『これはあのタヌキの仕業か?』
『それにしてはちと分かり易すぎるな』
「どうでしょうね。まあ、仮に奴だとしても、そんなことはどうでもいい」
『む・・・』
「コーディネーターがやった・・・・・・それだけ分かれば十分です」
『・・・・・・なるほど、そのための召集か』
「ええ、アレらはやはり我々で管理しなければならないのです。
事後に例のプランで打って出ます。」
『強気だな』
『コーディネーター憎しでかえって力が湧きますかな、民衆は。』
『残っていればね。』
『残りを纏めるんでしょ?地球愛ってやつでね。』
『・・・ん、皆プランに異存はないようじゃの、ジブリール。』
「ありがとうございます。」
『では次は事態の後じゃな。君はそれまでに詳細な具体案を。』
「はい。」
『次はもうちょっと良い儲け話を持ってきてくれたまえよ。青き清浄なる世界の為に、さ。』
そこで通信が切れる。
(まったく・・・こんな馬鹿共の相手をずっとしていたとはな。同情するよ、アズラエル・・・・・・)
【Dark In The Dark 九話・利害】
異変はユニウスまであと距離800というところで起こった。
「ユニウス付近に戦闘と思われる熱分布を確認!」
メイリンが叫ぶ。
「ちっ!遅かったか!?ヴォルテールに通信をつなげ!」
「はい!」
通信回線が開く
『ジュール司令!』
「一体どうなっている!説明してくれ!」
『こちらにも良く分からないのですが、識別不明のジン・タイプに工作隊が強襲を受けています』
「ジン・タイプ?」
『はい、工作隊はメテオブレイカーを運搬しているところを奇襲されまして、壊滅的です』
「くっ!グラディス艦長、すぐにMS部隊を発進されてくれ。救護へ向かわせろ」
「もうやっています」
『司令・・・それが、すでに工作隊はほとんどが壊滅 メテオブレイカーもその多数が失われ
このままでは破砕が出来ません』
「なんだと!」
『予備のメテオブレイカーはあるのでそちらのMSに受け取ってもらいたい』
「了解した」
MSコクピットに通信が入れる。
「ディアッカとシンは先行して敵MSを叩いて残存味方部隊を救護しろ!
シホとレイとルナマリアはヴォルテールからメテオブレイカーを受け取ってこい!」
『男女差別?』
『私もちゃんと女に見られているのだな』
『あら、レイはどっから見ても女の子じゃない』
「うるさいぞ!ルナマリア!レイ!」イザークが怒鳴りつける。
一方そのころユニウスセブン地球側付近
「ザフトのMSの同士打ち?」
「そのようです。」
「なるほど。そのどちらか、あるいは両方がユニウスセブンを動かした犯人というわけか」
「スティング達を出しますか?」
「そうだな、もう少し詳しい情報が必要だ。」
仮面の男・ネオは命令を告げた。
ガーティ・ルーはミネルバとの戦闘の後通信を断絶して隠密航行をしていた。
そのガーティ・ルーから3機のMSが発進する。
「偵察じゃなくてあいつらを直接叩けばいんじゃねーのか?」
「命令は命令だ。・・・・・・どうしたステラ?」
スティングにそう言われてもステラには説明することが出来ない。
その解答はモニターにあった。
「おい!スティング!あれ!」
モニターでは件の新型ガンダムと茶色のザクが黒いジンと戦闘をしている。
他に3機ほどゲイツもいる。
「うう・・・・・・あいつ・・・・・・」
「おい・・・!?ステラ!??」
ジンは数で圧倒していた。
先行部隊はもう数機しか残存していない。
『シン、散開して各個に敵を撃破するぞ』
「いつになく本気だな」
『女の子がいないからな』
シンはケルベロスを黒いジンに放つ。
(レイが来るまでに全部落とす)
しかし、インパルスで機動性で勝るといっても多勢に無勢、
黒いジンはインパルスを取り囲むように連携する。
「ちぃ!」
ミサイルで弾幕を張りジャベリンでジンを斬る。
だが、その後ろに5機のジンが迫っていた。
シールドでビームを防いだ隙を突いて回り込んでくる。
だが、その5機はそこで爆散した。
ディアッカの散弾砲・・・・・・その一発一発が各機を捉えたのだ。
『ぼさっとしてんなよ!』
「わかっている!」
(これが物量で圧倒する連邦と戦って生き残ってきた力か・・・)
敵は目に見えて減っている。
シンはディアッカの本当の実力を垣間見た。
敵が戦線を後退させ始めた時
インパルスのレーダーが妙なものを捕らえる。
OSは瞬時にそれを識別し表示した。
――――ZGMF-X88S・ガイア―――
ガイアは進路に立ちふさがるジンを蹴散らしてインパルスに向かってくる。
「おまえぇえええぇえええぇええ」
「なんでコイツが・・・」
咄嗟にジャベリンを構えるが、左腕を持っていかれた。
「このくらい」
駆け抜けていったガイアに後ろからケルベロスを放つ。
避けるのは分かっている。
シンはさらにインパルスの右手でビームサーベルを抜き、接近戦を仕掛ける
「なんだとぉお!おまえぇえ!」
ガイアはサーベルをシールドで受けるが、シンは至近距離からケルベロスを放つ。
「これも!」
ガイアは直撃こそ免れたものの半壊のダメージを受けた。
とどめを刺そうとするインパルスを遅れてきたアビスとカオスが強襲する。
『ほんと、弱いなぁステラは』
『ステラ!撤退するぞ!』
撤退していくガイア・アビス・カオスの三機。
(今は奴らを相手にしている場合ではないか。そろそろレイも来る・・・・・・)
to be continued
―――――――――――――――――――――――――――――――――
久々の保守連載。
リアルの方が一段落したら、オノゴロ島日本統治下時代の短編も書くつもりですのでよろしくお願いします。
乙!!待ってました
連合組もいいな
本当、全部のキャラが生きててスゴス
遺作の男女差別wにちょっと和んだ
久々乙です!
ストーリー自体は読みごたえもあるんですが(ジュール隊好きだし)
このスレ的にもうちょっとシンとレイの活躍が見たいかな〜と思ってます
(レイの場合)
私は月のアルザッヘル基地に向かうミネルバの休憩室にいた。
部屋のスピーカーには子供向けの歌が流れている。
子供達が合唱しているような歌。
私は子供時代にこういう歌をあまり聴かなかった。
『そうだ 嬉しいんだ 生きる 喜び
例え 胸の傷が痛んでも』
「ん・・・」
明るい曲調とは裏腹な歌詞が私の興味を引く
『何の為に 生まれて 何をして 生きるのか
答えられないなんて そんなのは 嫌だ 』
(我等は誰もが本当の自分を知らず、その力も役割も知らず、ただ時々に翻弄されて生きている。)
ギル・・・
デスティニープラン・・・己の遺伝子から己を知る計画
それを邪魔するものたち、ラクス、アスラン、そしてキラ・ヤマト
いまなら分かる。私が何のために生まれたのか。
『今を生きる ことで 熱い 心 燃える
だから 君は 行くんだ 微笑んで 』
「ふふふ・・・」
もう笑ったのはどのくらい振りだろう。
そう、私は行く。
それが私の最後の生きる喜び
(キラの場合)
僕がアークエンジェルを歩いていると、
一体のハロが流れているのを見つけた。
「ラクス・・・・・・いや、アスランかな・・・?」
手に取るとハロは懐かしい感じのする歌を歌いだした
『何が君の 幸せ 何をして 喜ぶ
分からないまま 終わる そんなのは 嫌だ』
それはラクスの歌声だった。
『忘れないで 夢を 溢さないで 涙
だから 君は 飛ぶんだ 何処までも
そうだ 怖れないで 皆の為に
愛と 勇気だけが 友達さ』
うん、分かってるよ。僕はもう怖れない。
人間は夢を忘れちゃいけないんだ
運命によって夢が否定されては駄目なんだ。
そのために僕はフリーダムでもう一度飛ぶ。
「うん、大丈夫だよ、ラクス」
僕は陰から覗いているラクスに言葉をかけた。
(シンの場合)
俺が自室に戻ろうと歩いていると、
休憩室にはレイの姿があった。
「アレ?こんなところで何や・・・・・・寝てるのか?」
レイはいつになくにこやかな顔で寝ていた
スピーカーからは明るい、しかし奇妙な歌が流れている
『時は 速く 過ぎる 光る 星は 消える
だから 君は 行くんだ 微笑んで』
「光る星は消える・・・・・・か」
俺は寝ているレイのじっと見つめた。
レイはこんなに輝いているのに・・・
『そうだ 嬉しいんだ 生きる 喜び
例え どんな敵が 相手でも』
そう、レイのためなら俺はあんたとだって戦う。
アスラン・・・・・・あんたとだって
曲はそこで終わり、スピーカーから音は消えた
――――――――――――――――――――――――――――――――
アンパンマン保守!
>>352 ありがとうございます。連合組は次回には出てきませんがw彼らの出番も増える予定なのです、この先もよろしくお願いします。
>>353 シンが暗い分ルナマリアが和みキャラになってくれて助かってます。この先もよろしくお願いします。
>>354 そろそろシンにも本気を出してもらいますw
なんだよ・・・アンパンマン反則だよ・・・うわああん
GJ!!
いつも乙です
つい先週この歌詞みかけて
うっかりレイに重ねて涙ぐんだんでびっくりした
こないだまで
愛と勇気しか友達いないのかよww
とか突っ込みいれたくなる歌って認識だったのに
今読むと色々キツイ…
何でたかがアンパンマンの曲にこんなに感動しなきゃならないんだ!!(ノД`)゜。
うわ、乙というかGJ!って感じだ
アンパンマンはたまに聞くと来るよ…あなどれんよやなせたかし…
しかしこういう形で泣かされるとは思わなかった。マジGJ
「レイが来るまでに全部おとす」、「レイのためなら」どちらのSSもシンが
かっこいいぞ!
俺達は負けた。
全てを終えたアスランに俺とルナアリアが回収されて、そう思わざるにはいられなかった。
「レイはどうなった・・・」
「議長とグラーディス艦長と一緒に・・・」
「・・・・・・ちくしょう!」
分かっていた事だった。負けたというのはつまりそういうことだった。
オーブに送られている道中、死のうと思わないでもなかったが、それはやめた。
俺はレイに生きることの価値を教えられたのだ。
なら、俺はこんなところで死ぬわけにはいかない。
「アスラン、あんた達は俺をどうするつもりだ?」
「それはまだ分からない。でもお前はもともとはオーブの人間だ。
カガリに俺の方から掛け合ってみるよ。」
「でも、俺は」
「気にするな・・・・・・俺にはそのくらいしなきゃいけない義務がある。」
「・・・・・・」
「オーブについたら墓参りでもしてやれ。もうずいぶんといってないんだろ」
「・・・・・・ああ」
オーブにはしばらくして着いた。
アスランが付き添う事を条件に俺はある程度の自由を与えられた。
あいつが直接手配したらしい。
墓に添える花は自分で選んだ。
アスランには意外な顔をされたが気にしなかった。
墓参りに行く道々、アスランはキラ・ヤマトの話をした。
キラにはキラの信念があること、
前大戦ではキラにも苦労があったこと、
キラが議長に言った事、
レイがキラを庇った事。
「キラの本当の仕事はこれからの混乱をどう治めるかなんだ。
俺はそれに協力しようと思っている。」
「そうかよ・・・」
「お前も力を貸してくれないか」
「・・・・・・」
こいつの話を聞いているとそれもいいかな、とも思った。
俺だって何かをしなくちゃいけないのは分かっている。
慰霊碑には先にメイリンとルナマリアが来ていた。
「ルナ・・・・・・来てたのか」
「まあね。お墓がなくてもお祈りするならここかなと思って」
「そうだな」
俺は持ってきた花を家族の墓に供えた。
ルナはその花を見て一瞬止まり、
俺にウインクした。
「あたしも似たような事考えたわ。」
「なんだよ、それ」
「船の中で暇だったちょっと作ってみたの」
「作った?」
「そう!」
ルナはまだ悲しみを残しながら、力強い笑顔だった。
レイの言うとおりルナは俺よりずっと強かった。
「シン!」
アスランが呼んでいる。
振り返るとラクス・クラインと一人の男が立っていた。
「彼がキラだ。キラ・ヤマト、フリーダムのパイロットだ。」
「え・・・・・・」
その男はかつて、やはりオーブの慰霊碑で会った、あの男だった。
『せっかく花が咲いたのに、波を被ったからまた枯れちゃうね。』
『誤魔化せないってことかも。いくら綺麗に花が咲いても人はまた吹き飛ばす!』
キラ・ヤマトは俺に手を差し出す。
「駄目かな?」
「・・・・・・」
俺は無言で手を取った。
そして彼は笑顔で言った
「いくら吹き飛ばされても、僕等はまた花を植えるよ。きっと。」
俺は最初、この男が何を言っているのかがわからなかった。
そしてそれが分かった時俺は左の拳で奴を殴っていた。
「あんたは!そうやって!・・・・・・くっ!」
俺はその場から逃げ出すように離れた。
残された5人は唖然として走り去るシンを見送ってしまった。
「シン!どういう事だ!おい!・・・・・・ルナマリア?」
「それ・・・・・・シンの供えた花・・・」
四人はルナマリアの指差した方を見る。
「枯れてる・・・?」
「違う・・・・・・ドライ・・・フラワーか?」
「そうよ!枯れても無駄じゃないって、枯れた花にも意味があるって、それを・・・うう」
ルナマリアは最後まで言葉を繋げられなかった。
「あたし、行かなきゃ」
涙を拭ったルナマリアはシンを追いかけていった。
レイ・・・俺達は・・・・・・結局俺達のやったことは意味のなかったことなのか?
俺はいい。どうせ俺のやることになんか意味はなかったのかもしれない。
でも、レイの、ステラの、マユの、父さんの、母さんの・・・・・・
みんなの死も無駄だったのか?別の命で代用すればいい、そんなものなのか?
そうやって、命を消費してきた奴らに負けたのか?
いや、それが出来るから強いのか・・・・・・
そんな強さを・・・・・・俺は・・・・・・
(優しすぎる、お前は。それは弱さだ。それでは何も守れない。)
分かっているけど、どんな命でも生きられるのなら生きたいだろうって言ったじゃないか。
枯れた花だって生きたかったんだ。それを犠牲にして・・・・・・
(彼等の前に我々が屈するようなことになれば、世界は再び混沌と闇の中へ逆戻りです)
『いくら吹き飛ばされても、僕等はまた花を植えるよ』
俺は・・・・・・どうすれば・・・・・・
「強さにも色々ある」
いろんな強さ・・・・・・?
「シンはさっきルナマリアの強さを見たのだろう?」
そうか・・・・・・・・・レイ!?
「月で待っている。自分でいうのもなんだが、なかなかロマンチックだな。
いや、むしろルナマリアの台詞か?」
微笑んでいるレイの顔を見た気がした
「・・・ちょっ・・・と・・・シン・・・寝てるの?起きなさい!」
俺が目を開けるとルナが前に立っていた。
「何だよ・・・・・・」
「なんか、少しは落ち着いたみたいね。はい、これ」
それは紅い巾着袋だった
「中にはポプリが入っているわ。枯れてもまだ終わりじゃない・・・」
「・・・・・・」
「栞とかも作れるしね。」
「・・・・・・ハハ」
「シン?」
「月に行こう、レイが待ってる」
「え・・・!?」
(終)
三人にどうか祝福を
〃"´ ⌒ヽ r E)
i ノ 八川 l| / ./
| リ*´Д`ノJ //
人!〃`´~^ヽ、 二 ,r' 曰
.〈 从(`')) 〉.| | |
ヤメナイカ… (〉,ゝ;‐ _‐<( | ノ__ヽ
(ヽ、二つ ,,)| ||日||
/ | /´ l /⌒l! ||本||
( (  ̄/〜/ ノ| |! ||酒||
/\丿 \ \/ ̄ .| | ~~~
(___へ_ノ \`ヽ i__⌒) (<二:彡)
(_/ `ー‐‐‐´
また名作が!じっくり読ましてもらいました!
来てみたら新しいSSが!ありがとう
職人さん、GJ! あのSPを元に書く勇気、そしてちゃんとまとめるとは。
相変わらずここのSSは見たかった話を読ませてくれる…
あのSP、シンもルナもレイ総スルーなんてアリエナスと思ってたよ
酷すぎる
保守します
レイって眉毛っ娘だよな。
俺の中でキュアホワイトと双璧なんだが
保守あげ
むしろあの眉毛に萌える
太眉毛モエスw
最近の流行のキャラデザは基本的に細眉毛だから困る
376 :
ホッシュ:2006/02/08(水) 12:44:36 ID:???
キャラクタースタジオで早くシンとレイが出ないか待ちわびる日々
レイを買ったらステラの服着せたり白服着せたりするよハァハァ
玩具日本の限定シン人形もレイ人形が後で出ないか夢みちゃうよ
>>376 まったく同じこと考えてステラだけ買ってしまった人がここに居ますよノシ
キャラクタースタジオってあのチビキャラでパーツ替えとあ出来るやつ?
ああいいなー…レイにスカートはかせたい
三機のガンダムは報告のためにガーティ・ルーに撤退する。
『ステラはよえーんだから俺らに守られてりゃいーんだよ』
『そんな・・・・・・こと・・・』
『毎回ボコボコにされてんじゃんか!』
『うるさい!』
『うるさくねーよ!事実だろ!』
『違う・・・!』
『何が違うだよ!もう心配なんかしてやんねーから、どこへでも行ってのたれ・・・』
『アウル! ステラ! ケンカはやめろ!』
スティングが熱くなっている二人を制止する。
ここでブロックワードを言われてはかなわない。
『でも、スティング!』
(やれやれ・・・・・・。しかし奴らがここにいるという事は、これが動いた裏にはやはりザフトが・・・)
三機は母艦に格納された。
【Dark In The Dark 十話・誠実】
ヴォルテールから白・黒・赤の三色のザクが出撃する。
三機のマニュピレーターにはメテオブレイカーが装備されていた。
『とりあえずはディアッカとシンがちゃんとやっているようね。
作戦通り各自の設置ポイントに向かいます』
分隊長のシホが二機に指示を出す。
『了解です』
「了解」
メテオブレイカーは隕石をボーリングし内部で爆発する隕石破砕用装備だ。
ユニウスセブンは巨大であるため、計算された設置地点から複数のブレイカーを使用する必要がある。
もっともその計算でも二機ほど足りないのだが。
『作業終了後はポイントυでミネルバに合流です。では散開してください』
シホのT-M-Nは設定ルートA、ルナマリアとレイはBを通って設置ポイントに向かう。
敵対MSは戦線を後退させているがまだ壊滅しているわけではない。
白と赤のザクが編隊をとりながらユニウスセブンに向かって宇宙を翔る。
『ねえ、レイ・・・・・・』
ルナマリアからの交信
「なんだ?」
『シホさんと司令って出来てるのかしら・・・・・・』
「・・・・・・」
ディアッカ隊長の空気の読まなさがうつったらしい。
『単機遂行のルートAをシホさんに任せた時の司令の顔ったら面白かったわ・・・フフ』
「まったく・・・・・・不謹慎だと怒られるぞ」
『不謹慎ね。でも、きっと謹慎な人たちがこういうことをするんじゃないかしらね』
「・・・・・・」
『まっ、あたしもザフトに入ってるんだから謹慎な人間の仲間なんだけどさ』
「ルナマリアとエルスマン隊長はそんなことに関係なく不謹慎だろう」
『あ、やっぱりぃ?』
そういいながらルナマリアは機体を散開させる。予測敵勢力圏内に入った。
やがてレーダーが敵MSを捕らえる。
『手筈通りあたしが囮になるからレイはポイントγへ!』
「了解した。死ぬな、ルナマリア」
『大丈夫よ、あたしは不謹慎だからね』
レイはもっとも離れた設置ポイント・γに向かう。
このユニウスセブンに近づいてからレイは異常な感覚に襲われていた。
レイは自分でもその特殊な感受能力について完全にわかってはいなかった。
昔ラウは彼女にその能力について「人の心を感じる能力」と説明した。
(でも、わからない・・・・・・いや、違う。24万人の亡霊などを信じたくないだけか・・・)
人の心には死んだ人も含まれるのだろうか。
『ここが・・・・・・ポイントγか』
真後ろにはもう青い地球が迫っている。
レイは急いでメテオブレイカーを設置した。
シンは先遣隊がファーストアタックを受けたところへ向かう。
そこにはまだ使えるメテオブレイカーが残っている可能性があった。
立ちはだかる黒いジンを蹴散らす。
やっと対多数戦のコツをつかんだようだった。
「メテオブレイカーは・・・・・・」
シンは使えそうなメテオブレイカーを見つける。
しかし、レーダーは敵の機影も捉えていた。
「こいつは・・・・・・!」
今までのジンとは違う、アンノウンのMA。
外見は黒い・・・・・・そして異様な形。既存のMSではイージスに近いか。
『我が娘のこの墓標、落として焼かねば世界は変わらぬ!』
「何・・・!?」
強制的に通信が割り込む。
『現実から目を背け、自らを誤魔化し、それで一体何になる!』
アンノウンはアグニを放ち、そして変形する。
『軟弱なクラインの後継者どもに騙されて、ザフトは変わってしまった!』
「・・・・・・」
インパルスはアグニを交わす。
『貴様もコーディネーターなのだろう!ならばなぜ軟弱者どもに迎合する!』
アンノウンはさらにライフルを放つ。
『悪しき世界は正さなければならんのだ!』
インパルスはシールドで受け止めた。
「・・・・・・言いたい事はそれだけかよ」
インパルスの肩のレールガンがアンノウンの腕を破壊する
『わからんのか!』
アンノウンはライフルを連発するが構わずシンは機体を突進させた。
「世界がどうなろうと知ったことか・・・・・・」
『何!?』
「どんな世界でも・・・・・・今俺には・・・」
インパルスのジャベリンがアンノウンを切り裂く。
『貴様・・・・・・!!』
アンノウンは爆散した。
『シン・・・!』
レイのザクがもうブレイカーを拾って設置作業に入っている。
「大丈夫だ」
ブレイカーはユニウスセブンに潜行する。
「ユニウスが割れる・・・!脱出する・・・・・・レイ?」
『くうっ・・・入って・・・・・・くる・・・・・・!?』
「どうした!レイ!」
ユニウスセブンは崩壊が始まっている。
「大丈夫か!?レイ!!・・・・・・クッ・・・・・・!!」
シンはインパルスの残った右腕でザクを掴む。
(俺の命に代えてでもレイは・・・!)
to be continued
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
保守連載っす。連ZAの家庭用を安く買ってレイを使いまくってます。
GJ!!!
GJ!ドキドキしてきますた
きてた!シンかっこいい
レイが女の子だったらルナ達と女の子会議とかしたのかな
>>380 GJ!
会議内容は恋愛相談が良い
たまに、生理痛の対処法について話し合ってたりしてな(vv
その日、ミネルバの食堂前は落ち着きのない野郎共に占拠されていた。それもそのはず
で、むさ苦しい人垣を越えればそこに広がっていたのは花園だったのである。
「俺のルナたんは今誰を想っているんだ!いや、モチロン俺だろうけどね!」
「メイリンたん!メイリンたーん!」
厨房でキャッキャと戯れる乙女たちは、軍服の上に可憐なエプロンを纏っていた。ルナ
マリアなどはもとからスカートの丈が短いことも手伝い、正面を向くとエプロンの裾から
すぐに足が見える格好となっている。
そんな騒がしい一角から少し離れた場所では、壁から半分覗かせるようにして、ズラリ
と縦に顔を並べる男たちがいた。人間ピラミッドのように微妙なバランスを保ちながら見
守るその視線の先には、丈の長い純白のエプロンに身を包んだ金髪の少女の姿がある。抜
け駆けが許されぬゆえに生み出されたそれは、彼らの動揺を示すかのようにグラグラと揺
らいでいた。
「嗚呼、レイたんまでもチョコレートを…!一体誰に?!いや俺たち【レイたん慕い隊】隊
員たちに?!一口、いや一舐めで良い、その高級チョコも目じゃない【手作り】という甘さ
を俺たちに!」
少女たちはたくさんの小さなチョコレートと、幾つかの大きなチョコレートを作ったよ
うであった。楽しそうにラッピングされていくそれを観察していた男の一人が声を上げる。
「状況と形状から察するに、大き目のあれはおそらく【本命チョコ】だ!」
ザワ…ザワ…
ざわめく男たちがそれまで保っていた均衡が崩れようとしていた。そう、誰もが「自分
の為に」彼女たちが【本命チョコ】を作ったと思いたいからである!
ビリビリと緊張感が走る中、ルナマリアがおもむろに大きなチョコレートの包みを一つ手
に取った。
「おおお!」
【ブルマリアは永遠】部隊から歓声が上がる。同じ頃メイリンも胸元に一つ包みを抱え込
んだ。
「め、めめめめメイリンたっ…ガチッ」
【ツインテ☆メイリン】からは舌を噛む者まで現れる。ヤキンドゥーエも砂場遊びと成り
果てそうな戦場が広がりつつあった。
互いに向き合った姉妹がにっこりと微笑み合う。ゴクリと息を呑み見守る男たちの前で、
彼女たちは包みを相手に差し出した。
「ハッピーバレンタイン!メイリン!」
「ハッピーバレンタイン!お姉ちゃん☆」
姉妹で交換かよ!と心で突っ込む男たちの中、緊張がピークに達したのか、倒れる者が
現れ始めた。
「畜生、なんてこった!衛生兵、衛生兵ーっ!起きろツイ☆メイ12号!いつか一緒にメイ
リンたんとソフトクリーム食うって約束したじゃないか!」
息も絶え絶えに膝を突いた12号を支え、ツイ☆メイ6号は天を仰いで号泣する。
「ろっ…6号…俺が死んだら俺のPCの中にある【メイメイ】フォルダの中の【小動物赤ち
ゃんアイコラ】フォルダを丸ごと消してくれ…!」
「ああわかった12号!っていうかお前そんな趣味があったのかよ!」
そんな向こう側の凄惨な世界など知らないかのようにはしゃぐ純白の天使たち。姉妹は
レイとも大き目チョコを交換すると、大きな紙袋に小さなチョコレートを詰めて男たちに
振る舞い始めた。
「うわぁぁぁぁ!」
「エイドリアーン!」
「殺して!殺してぇぇぇー!」
歓喜の悲鳴を上げ、男たちは天使のチョコレートを受け取る。歓声に沸く中、【レイた
んを慕い隊】隊員たちはレイの手にまだ【大き目本命チョコ】が残されていることに戦慄
した。
「隊長!あれを!」
「何だ?!」
「レイたんのささやかな膨らみ前方に用途不明の梱包物を確認!中身はチョコレートと思
われます!」
「何ィッ?!確認急げ!」
方々に散った隊員たちは本来の軍人として培ったスキルをフル稼働させ、レイのチョコ
レートの行方を追跡し始めた。時にその麗しさに涙し、時にハァハァしながら…。
「しかしレイたんなら相手は議長じゃないのか?議長はレイたんの父親みたいな存在らし
いじゃないか。だったら日ごろの感謝を込めてプレゼントしたっておかしくはない!」
包みを抱えたまま廊下を歩くレイの背を匍匐前進で追いながら、慕い隊が呟いた。
「残念ながら既に砂漠の猫宅急便に議長宛の包みがクール便で積まれたとの報告があっ
た」
「誰だ!レイたんのチョコを受け取る羨ましいヤツは!」
ギリリと唇を噛む隊員の目の前で、レイは自室へと入って行った。ステルス用ダンボー
ルの中からバレンタインデーが終わるその日まで隊員たちは寝ずの番をしたが、結局レイ
は包みを持ち出すことはなかったのである。
「あれはレイたんが自分へのプレゼントにしたのだな!」
「ああ、そうに違いない。レイたんはみんなのマドンナだからな!」
―隊員たちがダン箱ステルスを繰り広げていた頃
部屋へと戻ったレイはちらりとルームメイトがベッドに横になっているのを確認し、持
っていた包みを彼の机の上へと置いた。
「シン、後でデスクの上の物を確認してくれるか」
「ん?んー…」
気のない返事を返し、シンは手の中の携帯を眺めている。その様子を見ていたレイの頬
がかすかに染まったが、すぐに顔を伏せてしまった為、彼は気付かなかっただろう。
「出来れば、今日中に…」
「わかってるって。あー…また始末書かぁ…」
うんざりとぼやいた彼が飛び起きるまで、あと僅か。
おわり
レイたんかわゆいぞ(*´Д`)ハァハァ
GJ!!!
隊員達のノリがいいなwww
自分もバレンタインネタ投下したいけどむりぽorz
お…おかしい。各女の子親衛隊おもしろすぎ。
レイかわいいな〜。がんばったレイにデルレイのチョコをあげるよ。
男のフリしてるレイで。
シン「今年もいっぱいチョコもらったんだな」
レイ「あぁ。……もの欲しそうな顔で見るな」
シン「いいじゃんかよ、ルームメイトにちょっと分けてやるぐらい」
レイ「まぁ、大量にあっても処分に困るからな。ひとつやろう」
シン「まじで? て、これ手作りっぽいけど……ラッピングとか下手くそだし」
レイ「…………悪かったな下手くそで」
シン「ん?」
レイ「いや……こほん。シンがもらったほうが喜ぶだろう」
シン「何かよくわかんないけど……ありがとな、レイ」
レイ「(……よかった、受け取ってもらえた)」
どっちのバレンタインもかわEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!
ごちそうさまでした!
今日はバレンタイン。アカデミーは一種異様な雰囲気だった
誰が誰にチョコを貰ったとか、誰が一番多いとか。そんな会話が飛び交っている
シンも何個かチョコを貰ったが、本当に欲しいのはただ一人。目の前に居る金髪の美少女、レイだけだ
だがレイの手にはチョコなどは無く、シンはガックリと落としてしまった
「シン、喉が乾かないか?」
「え、ちょっと乾いたかな」
「そうか、だったら奢ってやる」
「あ、ありがとう」
シンはジュースではなく、チョコが欲しいんだと叫んでしまいたかった
レイは、シンに「何が飲みたいか?」と聞く訳でも無く、勝手に選んでいるようだ
「勝手に選んだが、これでも良いか?」
レイから受け取った飲み物の入ったカップからは、甘い香りがした
「ココアか。寒い日には良いよな。俺も子供の頃良く飲んだよ」
「ココアじゃない。それは…」
「え、でもこの香りは」
シンがその飲み物を口に含むと、ココアよりも甘い味がした
シンは自動販売機に目を移すと、ココアの隣には、ホットチョコレートドリンクの表示がある
「あ、これってチョコレートドリンク。ってレイ」
「べ、別に深い意味なんてない…」
そう言ったレイの頬が赤く染まっていたのは、シンの勘違いでは無い事を物語っていた
バレンタインネタ被ってスマン
>>369 こっちもカワイス!!
沢山のバレンタインネタに鼻血出そうだ・・・
AAが無いから
いまいち情景が創造し辛いんだよなこのスレ。
文句言うなら自分でAA貼ればいいんじゃないのか?
ひさびさ来たらいつもの職人さんやバレンタイン祭〜!
どれも楽しませてもらいました!
かわいいな〜レイ…
どのレイも可愛いな。GJ。
シンは幸せ者だよ。
hoshu
浮上しときまーす
間違えたorz
保守!
保守ついでに。やっと手が空いてきたのでまた投下します
職人さんたちの作品投下、いつも楽しみにしています
410 :
通常の名無しさんの3倍:2006/02/24(金) 04:29:30 ID:H+Yk++yi
揚
どう持っていこうとしても、悲恋になってしまう…
美人薄命・・(ノд`)
確かに美人薄命だ…
うおっと保守保守
ほす
(ちぃ!!)
インパルスは白いザクを抱えてユニウスセブンの破片をかわす。
向かう先は地球。
不完全ながらも崩壊したユニウスセブンを抜けて帰艦するよりも
地球に降下した方がいいと判断したのだ。
(スペック上は一機を保護しながらでもいけるはずだ・・・・・・)
機体にはダメージがあり、スペックは所詮データにすぎない。
(それでも・・・・・・このくらいで死ぬようなら、俺は・・・・・・こいつを救えない!)
インパルスは背を地球に向けて大気圏に突入していった
【Dark In The Dark 十一話・不変】
私は自分がもっとテクニカルな人間だと思っていた。
しかし実際は違った。私がそうなりたかっただけだった。
戦場で死んでいく者、ユニウスで死んでいった者に対して
それが人の業だ、とはとても言えない。
せめて何かのための犠牲であってほしい。
意味のある死であってほしい。
私のような出来損ないのいない世界のための。
でも・・・・・・・・・
「・・・レ・・・・・・!・・・レイ!!!大丈夫か!?レイ!!!」
シンの声がする・・・・・・。
目をあけると、そこには心配そうなシンの顔があった。
「大丈夫だ・・・・・・心配をかけたな」
「そうか。よかった。」
シンはほっとしたような顔をする。
私はシンの手を掴んで外に出た。
外はまさに朝日が昇っているところだった。
朝日がその一帯の惨状を照らしだしている。
「私達は無力だな・・・・・・」
「泣くなよ、レイ」
「そうか、私は泣いているのか」
「・・・・・・」
「まだ、生きているんだな、私達は」
「ああ」
「そうか・・・」
「それに太陽は変わらず昇っている」
「地球では本当に太陽が昇るんだな」
「知らなかったのか?」
「知ってはいたが、にわかには信じていなかっただけだ」
「・・・・・・プッ」
その後シンは腹を抱えて笑っていた。
馬鹿にされたような気もしたが、なんとなく私も笑った。
『インパルスとザク・ファントム及び同MSパイロットの収容完了しました』
看護室に運ばれるシンとレイ
「おまえら良く生きてたな!ハハハ!」
「今回はもう駄目かと思ったぜ!」
ヴィーノとヨウランが揃って見舞いに来る
「でもお前らのせいで今日からアレの修理に徹夜だけどな」
「もうちょっとド派手にぶっ壊してくれれば新しいのが来るから楽でいいのに」
「そういうことを言ってるとまた司令にどやされるわよ!」
ルナマリアも入ってくる。
「お帰りなさい。まあ、私は全然心配してなかったわ。シンとレイだしね。でも良かったぁ」
「ありがとう」
「うんうん、レイは素直でよろしい」
「ところで、この艦は今どこに向かっているんだ?」
シンが尋ねる。
「ああ、どうもオーブに向かってるらしいぜ」
「オーブか」
「なんでも司令はオーブの代表と親交があるらしくて、ザフト基地まで行くより
そっちの方が近いらしい」
「なるほど」
(失敗しても計画通り、ということか・・・・・・)
そのころ一方、オーブのラクス・クラインの隠れ家に一人の暗殺者がいた。
暗殺において「殺す」事はそれまで重要でない。
それが彼の持論だった。
「殺す」だけなら通り魔にでも出来る。
いかに自分と依頼者の存在を知られないかが重要なのである。
そのための事前準備は完璧であった。
反コーディネーター系組織に隠れ家の情報を流し、
オーブ側にはテロリストがラクス・クラインを狙っているという情報を流した。
そして彼女らは隠れ家を移した。
完璧だった。完璧なはずだった。
しかし彼の目の前には今、世界の規格外が立っていた。
彼にはそれが怪物に見えた。
「ねえ、あなたはどうしてこんなことをするの?そんなにコーディーネーターが憎いの?」
その怪物は彼に話しかける。
彼はその言葉を聞いて自分が成功はしなかったが、失敗もしていないことを知った。
彼にとってそれは自分の命よりも大切なことだった。
「鏡にでも・・・・・・聞いてろ」
そう言うと自爆用の爆弾を発動させた
to be continued
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
久々の保守連載っす。
休み中にはなんとか日本統治時代のオノゴロ島を書きたい・・・・・・
あと、レイのコクピットのシーンはアレを多少意識しています。「笑い」とかw
毎回GJ!
アレって・・・やっぱアレなのかwww
おおーシンレイキテタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!
もう二人の会話が見れるだけでも嬉しいす。アレってアレか!
続きも楽しみにしてます
シンレイだ。シンが男らしくってGJです
「ニャア」
突然室内に響いた声に、シンはその奇妙な音のした辺りを振り返った。彼のベッドの向
かいにはいつもと変わらず表情の乏しいルームメイトがいる。
「今何か変な声しなかった?」
シンの問い掛けにぴくりと太めの眉を上げ、レイは自分のベッドを背に手にしていた読
み掛けの本をパタリと閉じた。
わけあって女性であることを隠してザフトに入隊している彼女は、あえて男と寝起きを
共にするというこの特殊な状況に身を置いている。しかしシンはその事実を知ってからと
いうもの、歳相応に感情を揺らがせていたりする。例えば今目の前できちんと揃えられた
両足や、読んでいた本が自分とは縁遠い詩集であったりすることが彼の「意識しないでお
こう」という最大限の努力を端から崩していくのだ。
そんな彼の心境など露知らず、レイはじろりとシンを見る。
「気のせいだ。何も音などしな…」
「ニャア」
彼女の声を遮るように、また小さな声が響いた。二人はしばらく黙ったまま互いの出方
を窺っていたが、やがてレイがコホンと小さく咳払いをする。
「にゃあ」
シンの目をじっと見据えたまま、レイは唐突にそんなことを言ってのけた。それは先ほ
どまで聞こえていた奇妙な声とは違い、明らかにヒトが発したソレとわかる声だ。
「はぁっ?!」
思わず声を引っ繰り返すシンに、レイは困ったように眉を寄せると、頬を赤らめ同じよ
うに「にゃあ」と繰り返した。先ほどと違いどこか頼りない言い方が妙に可愛らしく聞こ
えて、シンは思わずどぎまぎする。
「今のは私の声だ。にゃあと言いたかったから言った。何か問題でも?」
「いやさ…まぁ別に構わないけど…」
微妙な空気を漂わせたままの二人の間に割って入るように、レイのベッドの下からピン
と尻尾を立てた生き物が這い出した。
「ニャア」
気まずそうな顔をするレイの気も知らず、それはシンの足元をふんふんと嗅ぎ回り、
ブーツに齧りついた。立てた尻尾をフルフルと嬉しそうに震わせるそれを抱き上げ、シン
は苦笑いした。
足取り軽くシンとレイの部屋を訪れたルナマリアは、インターフォンをリズミカルに二
度押した。間もなくしてシンの間延びした声が返る。
「整備に思ったより時間が掛かってるんだって。まだしばらくここに滞在するらしいわよ。
二人とも外出許可取ったら?」
スピーカーに耳を寄せ、ルナマリアは彼らの返事を待った。彼女の上機嫌の理由は延び
た休暇が理由であるらしい。
しかし、なかなか返事は返らず、それどころか何やら慌しい物音が聞こえる。あまり気
が長い方ではない彼女は、更にインターフォンで何かのメロディーを奏でながらも鳴らし
に鳴らした。
『ちょ…こらやめろって!うわ!』
『コラ!だめだ!よさないか!』
バタンバタンと争うような物音と、二人の声が少し遠く聞こえた。訝りながら更に聞き
耳を立てると、小さいけれども確かな声が彼女の耳に届く。
『ミャアッ』
「ちょっと二人とも、今の変な声何ー?」
ピタリと中からの喧騒が止み、ルナマリアは首を傾げながらも更に耳を近づける。
「にゃあっ!にゃあー!にゃあにゃあ!」
「にゃー!にゃ!にゃー!」
スピーカーへとぴったり耳をつけたタイミングを見計らうように、二人の意味不明な叫
び声が彼女の耳を劈いた。
「な、何なのよ一体!」
その頃、部屋の中ではシンの枕に粗相してしまいそうになっていた猫を二人が必死に食
い止めている真っ最中であった。しかし健闘空しく、シンの枕にはじんわりと染みが広が
ってしまったのである。一先ず先ほどのレイと同じ方法でルナマリアを誤魔化すことは出
来たが、今後もそう同じ手が通じるとは思えない。
「すまない、叱るなら私を叱ってくれ!連れて来た私が悪いんだ」
子猫を庇うように胸に抱いたレイは、潤んだ眼差しをシンへと向けた。しかし艦への生
物の持込は検疫を行うなどして厳重に管理していることである。相手がそういう部分には
人一倍口煩いレイであるだけに、シンはどうしたものかと頭を抱えた。
「…怪我をしているんだ。母親にも放っておかれていたらしく、身体は骨が浮いて痩せ細
っている。誰かが手を差し伸べなければ、暗い路地裏で誰にも知られずひっそりと死んで
しまうところだった…」
GJ。続き楽しみにしています
誤魔化しきれてないレイカワイスw
桃の節句記念投下。話的には関係ないがwww
アカデミー時代の寮も同室だったら捏造
物静かで口数の少ないルームメイトでも、いるのといないのでは大違いだ。
シャワーを浴び、明日までの課題を適当に片付け(この作業も彼女がいる普段は心楽しいものであるのに、
一人きりではただの苦痛でしかなかった)、
早々にベッドに潜りこむ。
気晴らしにヨウランたちの部屋に遊びに訪れようかとも思ったが、
もしもレイが早々に帰宅したとき、部屋に誰もいなかったら驚くだろうと思うとそんな気にもなれなかった。
どうせまんじりともできないのなら、空騒ぎしているよりも一人でいるほうがずっといい。
一月に一度あるかないか、レイは「父親と食事をしてくる」と外出し、夜遅くまで戻らないことがあった。
その日は朝から一日どこかそわそわと落ち着きが無いのですぐわかる。
できるだけ男としての所作を心がけている筈の彼女が、念入りに髪をとかしたりやたらとシャワーが長かったりするのだ。
レイに淡く想いを寄せているシンとしては、それがおもしろい筈もない。
例え父親だとしても、男に会うために身なりに気を使い、
いそいそと出かけていく好きな女の子の後姿をただ見送るだけなんて、なさけないし胸糞悪い。
なによりも、なにごともきっちりとしている彼女が寮の規律である門限破りまで冒して会いに行くその人は、本当に父親なのだろうか。
父親だとするなら、門限を破らせてまで娘と食事をしようとなどするだろうか。
悶々とした思考を遮るようにシンは寝返りを打った。
時刻はまだ11時を回ったあたりで、心底げんなりした。
今日も長い夜になりそうだ。
いっそ潔く眠ってしまえればいいのだが、脳内では見知らぬ男に微笑みかける少女の可憐な笑顔ばかりが渦巻き、
果てや思わずふしだらな妄想までに至りそうでシンは慌てた。
(やっぱヨウランたちんとこいこうかなあ…)
深く嘆息し布団を被りなおすと、
カードキーのIDを読み込む軽い電子音と共にドアの開く音が響き、シンは驚き跳ね起きた。
そこには確かにレイがいた。
レイは足早に室内へ入ると、シンには目もくれずそのまま一目散にベッドに向かう。
「…おかえり。早かった、じゃん」
「…ああ」
乱暴に制服を脱ぎ捨てていく後姿はどう見ても様子がおかしかった。
常ならば彼女の性格上、脱いだ制服はしっかりとハンガーにかけて明日に備えるはずであるのに、
おざなりにそれらを床に脱ぎ捨てアンダーシャツとホットパンツ姿になると、レイはそのままそそくさとベッドにのぼる。
「レイ?」
「少し疲れた。今日はもう寝る」
シンは思わずベッドから下りた。
そのままレイのベッドサイドまで歩みより、脱ぎ捨てられた制服を見つめる。
「…なんかあったろ、レイ」
「なにもない」
「嘘だ、変だよレイ。なんかあったんだろ」
「なんでもない、気にするな」
「なんでもないわけない」
少女が頭まで被っていた布団を勢いよく矧ぐと、細い背中がびくりと強張るのが見て取れた。
構わず向けられた背中をぐいとこちらへ力任せに向け、シンはぎくりと息を呑む。
握り締めた拳を嗚咽を堪えるように口元に当て、少女は盛大に涙ぐんでいた。
「…レイ」
「…………」
「レイごめんでも…俺気になって」
強引に吐かせようとした割に、シンはレイの涙というカウンターパンチをくらい、
どうしていいかすっかりわからなくなっていた。
暫くでくのぼうのようにレイの枕もとに立ちつくしていたシンだったが、
やがて少女の瞳から大粒の雫が零れ落ちたのを確認し、
気付けば膝立ってその細身を腕の中に抱き締めていた。
我ながら思慮のない行動だったと思うが、こうするほかにどうすればいいのかなんてわからない。
レイはといえば、なされるがままにただシンの胸に抱かれていた。
ただ、身体は緊張と驚きに堅く強張っている。
シンは恐る恐る手を伸ばした。
そのままそっと柔らかな髪に手を伸ばし、優しくなでてみる。
幼い子供をあやす様だとおもったが、実際初めて目にするレイの泣き顔はそうさせるほどに幼かった。
勢いに任せて初めて腕に抱き締めた身体は、
男を装っているとはいえやはり華奢な少女のもので、ちいさくしゃくりあげる肩は薄い。
「…喧嘩でもしたの?お父さんと」
囁くようにそっと訊ねてみる。
だがレイはなにも答えず、ただ細かく震えて時折しゃくりあげていた。
ぽたりとシンの肩に落ちた雫はおそらく涙で、少年はこころもち抱き締める腕に力を込めた。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
出かける時はあんなに嬉しそうだったのに。
「…言いたくない?」
ぎゅ、とアンダーシャツの背中を握る手に力が篭もる。
ほっそりとした指が震えているのは薄手の生地越しにも鮮明に解った。
その所作がどうしようもなく愛しくなる。
だが同時に淋しくもあった。
泣きついてくれればいいのに。
こんなことがあって、だから傷ついたんだって俺に言ってくれればいいのに。
もっと頼って欲しい。寄りかかって欲しいのに。
「……いいたくないなら、無理に言わなくてもいいよ」
本当は知りたくて堪らなかったが、シンは安心させるようにそう囁いた。
レイの肩の力が少し抜ける。
僅かに柔らかくなった体を抱き締めながら、背中をさすった。
「だけど、俺はレイが一人で泣くのは…
なんつーか、嫌で…ちょっとでも頼って欲しいっていうか…」
シャツを握るレイの指が益々縋るように力を増した。
シンの顔に血が上る。
言うのか、言っちゃうのか、今、この状況で?
レイが弱ってるのに付けこんで?そんなの卑怯じゃないのか?
「俺は、さ…その…」
レイは相変わらず小さくしゃくりあげている。
柔らかな頬の感触が鎖骨のあたりに押し当てられている。
ささやかながら胸のふくらみも。
思考回路が軽くショートした状態で、シンはぽろりと零した。
「俺は、レイが好きだから…っこういうの、なんかほっとくこと、できない」
つっ、続きをキタイしてもイイ?
ネ申がいっぱい来てた…(*´Д`)
GJです
>>猫の人
GJ!!!
風人物語みて、「レイは猫派だよな」とか思ってたところだったんで良かったっす!。
>>桃の節句記念
エロスwwwwwww
久々にシンに青春を感じたw
年齢的にはそのはずなんだよな
なんて所で続いてるんだー!出来れば続きを期待したいです〜…
ああかわいいなあ…
>>422 GJ!だが・・・
「某スレで見た」というのは禁句か?
元スレの人ならこっちでオチまで続きキボン
万が一出来心だったら元スレの人に一言ねっ!(このスレ内で)
>>429 GJ!!続き禿希望!!
このままじゃ生殺しだー
猫の人です。
元々ここに落とそうと思っていたネタをあちら用に変更したのがあれで、
しかしスレがSS落とすムードじゃないなと思ったのでやめてました
パクリじゃなくて同じ中の人です
続きはまた後で
>>437 スレ潰しておいて調子乗ってんじゃねーよ
そんな糞の続きなんかイラネ
死ね
二度とここには来るな
ああ、ホモスレからか
春だな
職人さんは皆ネ申様です保守
ただ一人を抜かして職人さんにはいつも感謝
>>437 言い訳無用。
やるんなら責任持って最後までやれ。
>>437 うぜえ
二度と来るな。ただマンセーされたいだけだろホモ厨
ディオキアの基地施設内は、一種異様な雰囲気に包まれていた
ラクス・クラインのライヴが催されていて、皆熱い声援を送っていた
そんな中、シンはライヴには目もくれず、一人の少女の姿を探していた
「レイは一体何処に行ったんだ…」
折角の自由時間を一緒に過ごせると喜んでいたのに、その相手が見つからず、イライラは募っていく
施設内を歩き廻っていたシンは、息が止まる思いをした
捜し求めていたレイが、男の胸に一直線に飛びつく姿が目に飛び込んできたからだ
「レ、レイ」
レイが飛びついた相手は、今から話し合いをする予定だった、ギルバートその人だった
な、何でレイが議長に…
普段のレイからは想像できないその行動に、シンは色々な妄想をしてしまう
ギルバートが権力を使って、レイを我が物にしたのではないかとか
ギルバートは実は、レイの年の離れた兄ではないのかとか
ギルバートは実は、レイの実家の近所の人ではないのかとか
だが、どの答えもピーンと来るものではなかった・・・
シンは逃げるようにその場を立ち去った
やがて時間は経ち話し合いの時間となった。シンは指定された場所へと向かう
そこには既に椅子に座っているレイの姿があった。シンはまともにレイの顔を見る事が出来なかった
ギルバートと話している間も、シンの心は別の所にあった
レイとギルバートの関係、そんな事ばかり考えている自分に苛立ちを覚え、拳を握りしめた
話し合いが終わり、皆は席を立つことになった
「艦には私が戻ります」
ホテルに宿泊するように、とのギルバートの言葉にアスランが戸惑っていると、レイはそう言い放った
だがシンはその言葉を信じる事が出来なかった。抱きあう程の仲の2人が、このまま別れるとは信じがたい
シンはそんな思いで、艦に帰ると言ったレイの後をそっとつけた
レイは施設の外には向かわず、ホテルの裏口からそっと入り、最上階へと向かった
シンは更にレイの後を追った。レイはある部屋の前に立つと、そっとドアをノックした
直ぐにドアは開かれ、中からギルバートが笑顔で出迎える
シンはその様子に、絶望を感じた。やはり2人はそんな仲なんだ。シンは泣きそうになった
シンはその後も廊下の隅で、レイが出てくるのを待った
だが30分経ってもレイは出てこない。40分経ち、やがて一時間が経った
シンはついに我慢の限界を感じ、ギルバートの部屋のドアをノックした
「誰だね?」
中から現れたギルバートは、なんとバスローブ姿だった…
「シン何か用かね?」
「レイ」
「うん?レイがどうかしたのかね?」
「レイはこの部屋にいますよね」
シンはなぜ自分がこの様な行動を取っているのか自分でも分からなかった
自分にこんな事をする権利などない、それは分かっていた
だがレイを好きだと言う気持ちが、シンをこの様な行動に駆り立てる
シンは強引にギルバートの部屋の中に入ると、客間にレイの姿を探した。だがレイの姿はない
シンの目にもう一つの部屋のドアが飛び込んでくる。シンは歩みを進め、ドアノブに手をかける
ドアを開けば、大きなベッドがあるのが確認出来た。そしてそのベッドには、レイの姿があった
肩までシーツを被りっているので、美しい金髪のみが見えている
「レイ」
シンは思わず声をあげてしまった。だが直ぐにシマッタと心の中で呟いた
シンはギュッと目を閉じた。レイの姿を確認するのが恐かったからだ
きっとレイは議長と…だからレイは何も身に纏っていない状態で…
シンはそこまで考えて、心が押し潰されそうになった
俺は、俺はずっとレイの事が好きだった。でもレイは議長と…
「シン?」
シンに呼びかけるレイの声は、何時と少し違った…張りが無いと言うか、何と言うか…
シンは恐々目を開けた。レイの姿が目に飛び込んくる
だがレイの姿は、シンの想像とは違って、何時もの軍服を纏った物だった
「シン、君は一体どういうつもりなんだね?」
「あ、いや。レイが…申し訳ございません」
シンはギルバートに頭を下げ、必死に許しを請う
なんて俺はバカな事をしてしまったんだ、シンは自分の行動を深く恥じた
「ギル止めて、シンは別に悪気があった訳じゃないと思う」
レイはギルバートを必死になだめて、シンを庇った
だがギルバートはクスクスと笑い始めた
「いや、分かっていたよ。だがシンの行動が余りに楽しくてね」
シンはそんなギルバートを、ポカーンと口を開いたまま見つめた
ギルバートは笑いながら、そっとシンの耳元で囁いた
「シン、君はそんなにレイの事が好きなのかね?」
「えっ、そ、それは!」
シンは自分の顔が真っ赤になったのが分かり、更に恥ずかしさが増すのだった
レイはギルバートに頭を一度下げると、シンの手を引き部屋を出て行く
そしてホテルの庭まで来ると、ゆっくりとシンに話しかけた
「びっくりした。まさかシンが部屋に来るとは思っていなかった」
「ゴメン。でも俺、レイが議長の部屋に入っていくの見て…ずっと出てこないから」
「出てこないから?」
「そ、その…レイが議長と…そういう関係なのかなって」
「ち、違う。私と議長はそんな関係じゃない」
シンはレイの言葉を信じたかった。だが議長に抱きついたレイを思い出してしまう
「でも俺見たんだ。レイが議長に抱きつくとこを」
レイはシンの言葉に目を見開いた
「えっ、議長は私の親代わりみたいなもので、久しぶりに会えて嬉しかった…だから…
でも、議長の部屋に行ったのも、私の顔色が悪いのを議長が心配して、少しだけ休んで行きなさいって」
「そ、そうだったんだ。ゴメン俺…勝手に誤解して、本当にゴメン」
シンは必死にレイに謝った。だがレイは下を向いたまま、顔を上げてはくれない
「私の事そんな風に思っていたんだ。少しショックだな」
そう言って顔を上げたレイの瞳からは、涙が溢れ出していた
「レイ、ゴメン。そうじゃないんだ、俺レイの事が好きなんだ
だから、あんな姿見たら、動揺してしまって…勝手に色々妄想して、本当にゴメン」
「えっ、シン…」
シンはレイの驚いた顔を見て、初めて自分が愛の告白をしてしまった事に気付いた
「あっ、そ、その俺なんかに想われても迷惑だよな。勝手に嫉妬して、議長の部屋に行く俺なんて」
「…じゃない」
「え?」
「全然迷惑なんかじゃない。私も、シンの事、その好きだから…
だから議長との事、誤解されたのが哀しくって」
シンはレイの余りの可愛さに、思わずその体を抱き寄せた。だが力を籠める事は出来ずにいる
そんなシンの背中に、レイが腕を廻す。2人の体は密着度が増し、シンの鼻先にレイの髪が霞める
髪からはいい香りがして、シンは天にも昇る思いだった
そんな2人の様子を、ギルバートは部屋のバルコニーから眺めている
「ふむ、シンならレイの相手に申しぶんは無いが、この沸き起こる怒りは一体何と呼ぶのだろうな」
ギルバートは、娘を嫁に出す父親の思いを存分に味わっていた
乙!なんや君らラブラブじゃないかw
そして最後の親馬鹿議長イイ!
>>449 GJ!
現場wに踏み込んで行くシンの熱さがイイ!
>>437 自分も楽しみに待ってる
シンレイかわいかったよ
あのレイは男だからなあ。
取り立てて面白くなかったし。
無理しなくてもいいですよ。
続き投下しても叩かれるのがオチ
>>437 続きが読みたいな。気長に待つとするよ。
続きイラネ
このスレ何人居るんだろ。
定期的に書く人が三人なのははっきりしてるんだが。
いや何となく思っただけなので点呼は取らんぞ。
準レギュラーの自分が通りますよ。
すまんが、投下は別のトコにしてくれ。
ここの住人も様変わりしたな
みんなツンデレ保守してると思っておこうよ
一連の騒ぎの原因の書き込みをした、433です。
余計な事言わないほうが良かったのかな?でもつい気になったんで・・・。
いつかここに何か落としたいと考えてるんで、
以前のマターリに戻る事を願いつつ保守
またーりまたーり
うぜえ
結局他スレの揉め事をこっちに持ってこられただけじゃん
迷惑だから黙って帰れ
このスレって、以前はもっと和やかな感じだったよな
人を叩くレスが続くと、他の職人さんが投下しにくいと思うのだか
倦怠期なだけだ、気にするな
私は気にしていない
ザフトキャラの所に避難所立ててこようか?
初代スレからいるけど正直うざいと思うよ
ホモスレから来た荒れた元の人達。
その揉めてる人らが黙るなり出てくなりすれば解決すると思うんだけど。
職人さんはいつでも歓迎なスレだったんだから
これ以上この件でレスつけないで保守してればいいじゃん
以下、何事もなかったかのように保守
ただし奴が来たら荒らす
保守しまーす
あげますよん
471 :
飴:2006/03/14(火) 21:40:00 ID:???
戦いは激しさを増していた。
ブルーコスモスの盟主ジブリールはついに打ち果される。
しかし、デュランダル議長のデスティニープランを地球の各国は拒絶した。
オーブ軍と、そしてあいつらがこっちに上がってくる。
嵐の前に静けさはなく、ミネルバの中は決戦に向けて慌しくなっていた。
とはいえパイロットについては、さしずめ休養を取ることが仕事であった。
レイはデュランダル議長に現状報告をし、部屋に戻ってきた。
部屋ではシンが椅子にもたれ掛かっていた。
「お帰り」シンが声をかける
「ああ」
「アークエンジェルはどうなってるって?」
「宇宙に上がってきているようだ。明日にはもう戦いが始まるだろう」
「そっか・・・・・・」
「シン、その左手に持っているのはなんだ?」
シンの左手には缶のようなものが握られている。
「これか?これは」
シンは缶を手で振る。缶からはジャラジャラという音がした。
「ドロップだ」
「ドロップ?」
「うん、よくマユと二人で食べててさ。あの日もポーチの中に入れてたんだ」
「・・・・・・」
「ほい」シンはレイに缶を投げる。
レイは受け取った缶をマジマジと眺めている。
「シン・・・・・・これはどうやって開けるんだ?」
「えっ・・・・・・ほら、そこがフタになってるから、そこから」
レイは缶のフタの部分を開けようとするが上手くいかない。
「しょうがないなぁ・・・・・・」
シンはレイから缶を受け取りフタを開ける。
「ありがとう」
シンは取り出したドロップと缶をレイに渡した。
「ん?」
「バレンタインデーのお返し。板チョコのお返しなんだから順当だろ?」
「だったらもっと女の子らしく、手作りチョコでも作っておくべきだったな」
「いいじゃん、それ」
戦争中にそんな余裕がないことなど分かりきっているが、二人はそんなことを口にする。
「・・・・・・もう、悩むのは辞めにした。」
「そうか」
「平和のために犠牲を出していいのか、とか、結局俺はこの戦争で何人もマユを殺してるんじゃないのか、とか。
今はもう悩んでも答えが出ないから、議長を信じてみる。戦争の無い世界を」
「ありがとう・・・・・・シン」
「なんだよ・・・・・・『だからそう言ってるだろ』とかいわねーのかよ」
シンは照れ隠しに少し目を逸らせ、レイは少し口元を緩ませた
FIN
――――――――――――――――――――――――――――――――
ホワイトデーSS。ホワイトデーに蛍の墓を見てはいけません。
どんな豪勢な飴もみすぼらしく見えてしまうので。
飴か。キャンディじゃなくてドロップスなところがなんとも。
欲しい味が出るまで缶を振りそうなシンもなんとも。
イイ!
〃⌒`⌒ヽ \ .| ̄i\
i ((`')从ノ ─ | | =| アスラン・・・・好きよ。すきにして・・・・・
i,,ゝ*´∀`) / |_| =|
| つョ、 | ̄ ̄|
と__) `ー─!ニニ!──| |
'""''"'"''""''"'"""'""'""'""""'""""""''"""'""
〃⌒`⌒ヽ \ .| ̄i\
i ((`')从ノ ─ | | =| わかった・・・・・・目を閉じて。
i,,ゝ*´∀`) / |_| =|
| m9 つョ、 | ̄ ̄|
と__) `ー─!ニニ!──| |
'""''"'"''""''"'"""'""'""'""""'""""""''"""'""
((
-=≡ 〃´ `ヽ
-=≡ i .( (( ))ノ
-=≡ W#`Д´ノ
-=≡ / ヽ.
. -=≡ /| | |. |
-=≡ /. \ヽ/\\_ 〃⌒`⌒ヽ
/ ヽ⌒)==ヽ_)= i (`')从ノ
-=≡ / /⌒\.\ || || i,,ゝ;´Д`)
/ / > ) || || (======)
-=≡ / / / /_||_ ||_( ̄__)__)__
し' (_つ ̄(O)) ̄ ̄ ̄ ̄(O))
思わずワロタww
ホワイトデーすっかり忘れててネタ投下間に合わなかったorz
〃⌒`⌒ヽ
i ((`')从ノi
i,,i ゚ ー ゚ i,,i
∧
ぼくはきれいなアスラン
小説1巻
甘いにおい やわらかそうな金髪 きょとんとした大きな目が印象的な、妖精めいた雰囲気の少女
すみれ色の瞳 可愛い子
2巻
涙に濡れたすみれ色の瞳はあどけなく、無垢だった。その目はまるで宝石のようにきらきらと輝いていて、シンはその壊れやすそうな美しさに言葉をうしなう。
まだまだ描写はあるけど・・・ステラちゃんすごく可愛い子なんですねW
ルナやメイなどレベル高い子と普段一緒に居るシンを一目で落としてしまうとはWW
ステラはどんだけ美人さんなんだww
そうか、そろそろ春なのか
甘い匂い 流れるような金髪 射抜くような切れ長の目が印象的な、神々しい雰囲気の少女
空色の瞳 美しい人
こんな感じ?
うぜえ
結局他スレの揉め事をこっちに持ってこられただけじゃん
迷惑だから黙って帰れ
481 :
479:2006/03/19(日) 21:31:49 ID:???
え?ぼ、僕ですかね、すみません反応してしまって
小説版、レイもステラに負けず劣らずいい表現してもらってたな
「あまりに整いすぎて、血が通っていると感じられない白皙の顔」とか
まあ俺はステラもレイも両方好きだ。シンテラウラヤマシス(*´Д`)
俺はシンになりたい。レイ健気で可愛いよ(*´Д`)ハァハァ
じゃぁ俺はギル!!
では俺はラウ!!
ならばあえて白ザクになり(乗ってる)レイたんを護りきる!
じゃあ俺は更に上を行って
ミネルバになって、レイたんの事一部始終見つめてやるぅー!!
感覚が鋭いレイはその視線に気づきそうw
hosyu
新作準備中で週明けくらいには投下したいな、とかおもってます保守
応援あげ
493 :
通常の名無しさんの3倍:2006/03/27(月) 21:03:59 ID:RBJzkAtI
保守
ダムAの泣いてるレイ可愛い、シン頭なでてやれ
495 :
通常の名無しさんの3倍:2006/03/29(水) 20:10:32 ID:B87QyfKg
保守
496 :
通常の名無しさんの3倍:2006/03/30(木) 23:06:28 ID:7Z0tJvGv
保守
498 :
通常の名無しさんの3倍:2006/03/32(土) 21:08:37 ID:D6TRDp2S
保守
500 :
通常の名無しさんの3倍:2006/04/02(日) 22:38:08 ID:/Sod1qRx
保守
>>497 シンたん健気過ぎだよ・゚・(ノД`)・゚・
っていうか歌詞からも君(レイ)が二度と戻ってこないことがうかがえて・゚・(ノД`)・゚・
保守
ほしゅ
504 :
通常の名無しさんの3倍:2006/04/06(木) 10:51:51 ID:oZy1yd3L
唐突で悪いのだがだれかこのスレのタイトルロゴを考えてくれんか?
簡単なのでいいが…いいのが思いつかん
なんかホラーっぽい
507 :
36:2006/04/08(土) 14:02:01 ID:???
レイが斧持って走ってきそうだ
508 :
36:2006/04/08(土) 14:04:57 ID:???
↑名前欄消し忘れた_| ̄|○
509 :
318:2006/04/08(土) 17:24:56 ID:jzLtiTgY
前にサウンドノベルを投稿した者ですがリメイク版を作っているんでタイトルロゴを頼みました
本当に作ってくれるとは…ありがとうございます
…斧より鉈を持ってきそう…たしかにホラーですな、元ネタ
使って良いんなら使いますが…?よろしいでしょうか?
元ネタツッコんでもらえなかったらどうしようかと思ったw
ごめん、本気で使うならちゃんとしたの作るよ
色とか背景とかフォントとかイメージがあるなら言ってください
例)明るい色で暗い背景で渋いフォント
ノベルの背景に使うなら画面サイズに?それともタイトル画面は用意済みでしょうか
おお、サウンドノベルとは!楽しみにしているぞ!!
す、すみません
来るのが遅くて落ちちゃいました
もう一度再うpしてくれませんか?
515 :
通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 21:12:30 ID:D0uA/1nh
保守
見れなかったけど保守
ほす
ほし
保守
はなすこともないね
ネタもかけないしなー
粘着アンチがいるが数は一名程度だし、スルーできるなら投下すればいいと思う
自分としては小説版の二人に救いが欲しいよ…
SS書けない…
そういう意味だったかww
今ならネタ振りとかでも大丈夫じゃないかな
かっちりしたSSじゃなくても台詞だけのあれとか
>>523 小説版のレイは立ち位置が本編レイより女レイっぽかったな
小説版の追加シーンは嬉しいと言えば嬉しいが、死亡に決定打食らったようで悲しかったな
リウなりに頑張った結果だと思ってるが
いやいや死んでなどいない
レイたんは永遠に不滅ですage
レイたんがヒロインっぽかった
小説はシンレイだったなー
いや、死んでるなんて思ってないさ勿論!
ただ今まで脳内補完していたシンとレイの別離が公式でやられてしまって
そこで初めて「つらかったろうなあ」と思ったわけで
シンとレイが悪かった的演出はあのオチへ持っていくには仕方ないだろうし
悲しいけれど嬉しいという複雑極まりない心境なわけで
タイトルロゴ、気に入らなかったらスルーして下さい
拾えなかったなら今度は長いこと置いておけるとこにうpします
またこのスレで何かできるといいですね
まだまだあの二人が好きだという気持ちが湯水のように湧いてくる
新作として構想していた学園モノがニッチもサッチもいかなくなったorz
別の物を近々公開したいなぁ。
ネタ町
ほす
ここのシンレイってプラトニックなのかな?
エチー後の話とかは投下可能?
>>534 あからさまに18禁じゃなければOK
昔、レイの貞操の話が出た時も特に何も無かったしね。
待ってます
シンレイたまらん好きな自分が通り過ぎますよ。
アスランは深くため息をつくと、頭を抱えながら答えた。
「分からないんだ」
「分からない?」
「だって、そうじゃないか。…真実を知っていて、生存している人は…もういないんだ…」
そう言われて初めてシンは気が付いた。
ギルバートが、どれほど重要な人物だったのかということを。
レイが作られたメンデルという名のコロニーは、数年前に不慮の事故という原因不明の爆発によって、関係者はその殆どが
死んでいる。
「それじゃ…」
「もし生き残っている人がいたとしても、もう二度と見つからないだろう」
「そんな…っ!」
別れる少し前。彼の口から聞いた、クローンだという真実。
彼から見せてもらった、クルーゼの素顔と幼いレイの写真。
オーブで彼を保護したという、キラの声音。
――でも、その子…記憶をなくしたらしいんだ…。
「とりあえず、一緒に行こう」
「え…?」
「オーブに。キラのところだ。…もしかしたら、レイだってシンに逢えば、何か思い出すかもしれない」
「俺…」
539 :
通常の名無しさんの3倍:2006/04/28(金) 01:34:26 ID:asdvKEQ8
もしかしたら、レイかもしれないとアスランは言った。…そして、レイではない人かもしれないとも。
その判断は正しかった。可能性がないとは言い切れない。
アル・ダ・フラガが、それは熱心に研究をしていたクローン技術。
研究者にとってそれが失敗でも成功でも、実験をした数だけ命があったのだ。
ラウやレイ以外にも、彼らがいたことは確実であって
今もいるのかどうかは、もう誰も知らない。知ることが、できないのである。
「俺、は…」
口の中が乾燥しているのか、シンは俯いたまま黙ってしまった。
アスランは何も言わずに、彼が話すのをじっくりと待つようにソファから立ち上がると、コーヒーマシンの電源を入れる。
窓の外に見えるのは、見事なまでの夕日だった。
とても綺麗な、人工的な光。
それでもプラントの方が美しいと感じてしまうのは、ここがオーブの所有するコロニーだからだろう。
「俺は…会えません…」
ピッと、小さな電子音と共に、白いカップにエスプレッソが注がれる。
アスランはそれを持つと、シンに差し出した。
「キラがいるからか?」
「違います」
「それじゃ、どうして」
「俺じゃ…ダメなんです…」
今でも忘れない。
君と初めて会った、あの日のことを。
あの日はとても晴れていて、桜の葉が赤に染まっていて、とても綺麗な空だった。
「俺とレイは…」
まるで、平和なあの時のような世界だったけれど
そこにいる全員、服の下に隠されていたのはナイフだったし
覚悟を決めていた人だっていたし
今は亡き人の写真を見ながら、泣いている人だっていた。
その場にいた人たちは、平和な光景を見に集まったわけではなく
「戦っている過去しか、共有していませんから…」
戦うことを選んだ者達が、力を得るために集まっていたこと。
レイは覚えている…いや、覚えていたのだろうか。
初めて言葉を交わしたナイフの模擬戦での出来事を。
「……そうか」
コーヒーの強い香りが、鼻をくすぐり目にしみた。
シンはそれ以上、何も言えなかった。
アスランもしばらく黙ったまま、カップからゆっくりとのぼる白い湯気を見つめていた。
メンデル詳しいことわからんので適当に書いちゃいました。スマソ。
このスレしか読んでないので似たようなネタもうでてたら正直スマソ。
寝て起きてからまとめサイト逝ってきまつ。
っていうかsage忘れました…。本当にスマソです…。 o rz
これ続きあるよな?
どうなるんか気になる
543 :
回帰:2006/04/28(金) 11:26:10 ID:???
>>538 >>539 結局それから、他に断る理由も見つからずにシンは半ば強制的にアスランと共にオーブへ来ていた。
自分の家族を失った場所から少し車を走らせた、あまり綺麗とはいいにくい海岸沿いの家。
緊張しながら呼び鈴を鳴らすと、出迎えてくれたのはキラだった。
「ようこそ。待ってたよ」
「…あ、あの…あの子の様子は?」
「中に入って。それから話すよ」
シンとは対照的に、落ち着いた雰囲気で答えるキラ。
ふと、潮風にのって浜辺で遊んでいる子供たちの笑い声が届いてきた。
「アスランにも言ったけど、彼女…どうやら記憶をなくしているみたいなんだ」
「………」
「自分の名前も分からないみたいだし、どこから来たのかとか、そういうもの答えてくれないんだ」
「黙ってるだけじゃないのか?」
「まぁ、そうかもしれないけど。でも考えてみなよアスラン。
もし彼女が記憶をうしなっていなければ、僕と同じ屋根の下で暮らすと思う?」
「そうか」
「えっと…」
「ん?」
シンが、まわりに気を配りながらおどおどとした表情で言った。
「それで、その子の体は? 発作はどうなんですか?」
「うん。不定期だけど、やっぱりある。でもどんな薬を飲んでいたか分からないから、今は発作が起きたときに安定剤くらいし
かあげてないけど」
「そうなんですか…」
「シン」
優しく名を呼ばれて、俯きかけた顔を上げてみる。
キラは、いつものあの穏やかな笑顔で彼を見た後、視線を浜辺の方へ向けた。
「彼女と会ってくれないかな。今、浜辺で一人で遊んでると思うから」
「でも、」
「家に入ってからずっと辺りを気にしてて、可笑しいんだもん」
「なっ!」
「探してたんでしょ? 彼女のことを」
「それは、そうですけど…でも」
去年のあの日から。今まで一度も彼女を過去の人だと思ったことはない。
メサイヤの跡地で合同慰霊祭が行われた時だって、無意識に彼女を探していた。
彼女を見つけて、抱き締めて、謝って、まだ伝えていない言葉を沢山伝えたいと、そう願っていたのに。
「もしもその子がレイで、俺と会って記憶をとりもどしたら…その方が辛くなったら…」
二人は内心驚いてた。キラもアスランも、こんなに躊躇するシンを見るのは初めてだったのだ。
「このままでいる方が、レイにとって幸せなのかなって…」
「ねぇ、シン」
「はい?」
キラは大きくため息をつくと、浜辺へとつづく窓を開けた。
途端に潮風がカーテンをおしのけて部屋に入ってくる。少し遅れて、ラクスと子供たちの遊んでいる声が耳に届く。
「レイの笑顔って、覚えてる?」
「…えぇ、まぁ」
子供たちが遊ぶ姿を目で追いながら、彼の問いに答えるシン。
だがそこには、彼女の姿は見つからない。
「あの子ね、ここへ来てから一度も笑ったことがないんだ」
俯き、自嘲するキラ。
そしてシンはやっと見つける。子供たちが集まっているところから少し離れた場所で、一人で座っている少女を。
「殆どしゃべらない。笑いもしない。そしてああやって、いつも一人で空を見つめてる」
金色に輝く長い髪。日差しを眩しく反射させる白いワンピースと白い麦藁帽子。
「シンが、彼女がずっとあのままでいていいと思うなら無理に会わなくてもいいよ。でも、笑っているレイを覚えているってこと
は、君たちは悲しい思い出だけじゃないってことなんじゃないかな」
「………」
確かに、彼の言う通りかもしれないとシンは思った。
すぐに思い出すのは、彼女と最後に交わした言葉の、胸が苦しくなるような声音だけれど。ゆっくりと遡ると、彼女の笑顔が
次々に思い出せる。笑って、泣いて、怒って、笑って笑って、笑って…。
「俺、行ってきます」
あれほど拒んでいた体が、無意識に動いていて、気がつけば彼女のもとへ走り出していた。
家に残った二人はシンを見守っていたが、ふとアスランが口を開いた。
「でも、もしこれで彼女がレイじゃなかったら…」
「大丈夫だよ、アスラン」
「お前の大丈夫は当てにならない」
「酷いなぁ」
キラは、目を細めながら言った。
「ちゃんと確認したよ、額に傷跡があるのを。前髪で隠れてるから目立たないけどね」
次こそはシンレイ…です…。
回帰続き待っております!
GJ!!シンレイ餓え…
547 :
回帰:2006/04/28(金) 20:04:05 ID:???
>>538 >>539 >>543 >>544 砂に足を取られながら、不器用に駆け寄るシン。
だが、あと数歩というところで。彼は急に立ち止まってしまった。
――もしも、レイじゃなかったら?
ここまできて、あと一歩踏み出せない自分が悔しい。それでも、いつまでもこのままではいけないと
どんな顔をして、なんて声をかけようか、考えようとしたときだった。
「…あ」
生温い潮風が、少女のかぶっていた白い麦藁帽子を攫いシンの足元に落す。
「っ!」
思わず反射的にその帽子を拾い上げるシン。そして少女の方を見ると、彼女は慌てる様子もなく
風になびく髪を抑えながらゆっくりとこちらに振り返り、そして
「……、 シ ン」
久しぶりの蒼の深さに、一瞬時が止まってしまったのかと思った。
「レ…レイ!」
立ち上がり、足についた砂をはらう彼女に抱きつくシン。
「ごめん、俺…本当に…あの時、迎えに行けなくて、それで、それでっ」
堪えきれない感情が、シンの目頭を熱くする。強く抱きしめているため、お互いに表情が見えない。
「俺、レイに…ずっと言いたかったことがあって」
「シン」
レイの細い腕が、シンの背中を包み込む。
「レイ…」
彼女が抱き締め返すと、シンの肩の力がすっと抜けた。
そう。いつもそうだった。出撃前に、いつも落ち着かせてくれたこの温もりと香り。
こうして抱き締めていると、一年の月日の長さがよく分かる。
少し細くなった身体。ごはんはきちんと食べているのだろうか。
背だって、少し縮んだ気がする。…いや、自分が大きくなっただけか。
「シン…貴方は…」
自分がずっと捜し求めていた君は、俺の腕の中で何を想ってる?
「私の、大切な人?」
「…え?」
自分がずっと捜し求めていた君は、
「私のこと、知ってる人?」
俺の腕の中で
「私、シンのこと…分からない…」
――何を思い出す?
549 :
回帰:2006/04/29(土) 23:49:38 ID:???
>>538 >>539 >>543 >>544 >>547 わからないの。何がわからないのかも、わからない。
でもそれは、知らないことではないの。
知っているのに、知っているはずなのにわからない。
「…くすぐったい」
両手で麦藁帽子のつばをぎゅっとつかんで、ぐいっと深くかぶるレイ。
そのすぐ隣に座っているシンは、ただ穏やかな表情で彼女の様子を見守る。
「…頭が、くすぐったい」
「大丈夫?」
シンの問いにレイはこくりと頷くと、彼女はまた視線を水平線の彼方へと戻した。
あれから大分時は過ぎているようで、太陽も海に沈む準備をしている。
ラクスも子供たちと共に家に戻ったようで、砂浜にはシンとレイの二人しかいない。
シンと会って記憶が戻った、ということはなかったらしい。
ただ、彼女はよくしゃべった。片言ずつだけど、キラが殆ど喋らないといったのが嘘と思える程。
自分の名前。自分が記憶を失っていること。今はみんなと暮らしていること。
笑ってはいなかったけれど、楽しそうに話す彼女を見ていたシン。
多分、レイ本人なのだろうと思う。
一緒に戦って、一緒に笑って、いつまでも一緒にいたいと願ったその人。
「ごめんね、レイ」
「?」
蒼い瞳が、シンをとらえた。
「ずっと、レイに会ったら謝りたいと思っていたんだ」
シンの表情を真似るように、レイは寂しさが残る微笑みをうかべる。
「あのとき、どうしても迎えに行けなかった。
俺がずっとレイのそばにいたら…もっと違う今があったはずなのに」
「シン、悲しい?」
「ううん。悲しかったけど、もう悲しくない。…ここに、レイがいるから」
「うん」
だんだんと、空の端が優しい色へと変わってゆく。
その中で一番早く輝きだした金星を見つけて、レイは立ち上がるとシンに手を差し出した。
「…帰ろ」
「うん」
シンは彼女の白い手に手を添えて立ち上がると、そのまま離さずに歩き始めた。
夕日に背を向ければ、二つの長い影。ちょっと視線を上げれば、夜の始まりが迫ってきている。
「ね、そういえばさ」
「…?」
「どうしてレイは、俺の名前を知ってたの?」
550 :
回帰:2006/04/29(土) 23:50:41 ID:???
「………」
空いている方の手でスカートをおさえながら、レイは暫く考える。
そして、ふいに海を指差してこう言った。
「…海」
「え?」
彼女の言いたいことがわからないシン。すると彼女は空を指差す。
「…空、お日様、お月様、雲」
そして、その指はやがてシンの方を向き、
「だから、シン。そうでしょう?」
思わずシンは、目を見開いて瞬きをくりかえす。
顔が熱いのは夕日があたっているから…だけだと信じたい。
「だってシンは…私が…」
言いかけて、言葉を失うレイ。
――今、自分はなんて言おうとしていた?
「私、の…」
「レイ?」
突然、レイの身体を激痛が襲う。
「――っ!!」
ただならぬ雰囲気を感じて、シンはレイの身体を支える。だがレイは
顔を俯かせたまま首を横に振るだけだった。
「レイ、大丈夫? レイ!」
痛い。頭が割れそうで、痛くて、怖くて
「…シ…ンッ」
――シンがいたから、私は
息ができない。怖い。このまま、このままもうずっと息が吸えなくなったら?
「…ぁっ」
「レイ! レイ!」
額に汗をびっしりとうかべながら、レイの意識は心に残した名前と共に闇の中へと落ちていった。
回帰、クライマックスで引っ張りますか。楽しみに待ってます。レイが自分を取り戻して
正直な気持ちになれるように。
レイ痛々しいよー
続き待ってます
ラブい!
554 :
回帰:2006/05/01(月) 00:07:58 ID:???
「シン」
名を呼ばれて、はっと顔を上げるシン。
目の前のベッドで眠っている少女。呼んだのは、彼女ではない。
後ろを振り返ると、ドアノブに手をかけながらアスランが立っていた。
「疲れているだろう? 少し休め」
「でも」
「今だって、寝てたんじゃないのか?」
「………」
反論が出来ずに、口を閉ざしてしまうシン。
これで、二日目だった。彼女が眠りから目を覚まさないのは。
最初はいつもの発作だと思った。少し休めばまた起きるのだろうと思っていた。
「でも、レイが起きたら」
「起きたときにお前が倒れたらどうする。俺は面倒見ないぞ」
「……酷い」
苦しそうな表情をするでもなく、レイは昏々と眠っている。
そんな彼女の額を愛しそうに撫でると、シンはだるい身体をあげて席を立った。
「アスランさん」
「何だ?」
「もしも、もしもこのままレイが…目を覚まさなかったら…」
「覚ますよ」
「…根拠は?」
相当酷い顔をしていたのだろう。アスランは同情したような悲しいような
よく分からない笑みを浮かべながら、シンの肩を叩いた。
「…とりあえず、休め。隣の部屋が空いてるから」
「………」
あぁ、こんな時。レイだったらなんと声をかけてくれたんだろう。
555 :
回帰:2006/05/01(月) 00:10:18 ID:???
結局、ベッドに横になって目を瞑っても眠れない。
何度か寝返りを打っても、身体が酷く疲れているはずなのに眠れない。
「………」
ふと、自分の荷物の中にレイのノートパソコンを持ってきたことを思い出す。
「…どこだったかな」
幸いにも、シンが今いる部屋に彼のカバンがある。ジッパーを開いてごそごそと中をあさると
白いケースに入ったそれが見つかった。
部屋の電気はつけないまま、それを膝の上に乗せると電源を入れる。
あの戦いの後、レイの私物は誰も引き取る人がいなくて、シンが全部引き取った。
このパソコンだって、起動するのが今回が初めてではない。
引き取った後に、何度も何度も彼女の手がかりがないか調べていた。
キーボードの上を左手が走る。
呆れるくらい調べたそのパソコンには、やはりシンが求めるものは見つからない。
ため息をついて、今度こそ眠ろうとパソコンを持ち上げたその時。
「……ん?」
右の指先に、何か違和感を感じる。
月明かりを頼りにそこを見ると、ディスクがしっかりとセットされずに挟まっているだけの状態であった。
「これじゃデータ見れないじゃ……って、あれ?」
薄暗いからよく分からないが、これはレイがセットし忘れたのではなく
意図的にセットしかけたらしかった。
シンは慌ててディスクをしっかりといれ、その中を確認する。
「まさか!」
指が走る。共に目が走る。
そこには二つのファイルしかなかった。
一つはある薬についての、膨大なデータ。
そしてもう一つは、レイと最後に別れた日付のメッセージだった。
556 :
回帰:2006/05/01(月) 00:11:36 ID:???
…これをシンが見ているということは、お前は無事ということか。
そして私はきっと、この世界にはいない。
………。
すまない。何を言おうかちゃんと考えてきたのに
なんか…上手く言葉にできなくて…。
モニターの向こうに、赤を纏ったレイがいた。
悲しみの色を残す蒼い瞳。ときどき見せた穏やかな表情で、彼女は言葉を続ける。
きっと、最期に伝えられないと思ったから。
だからここで言う。…ありがとう、シン。
クローンって言った私を、避けないでくれて。
寧ろその問題よりも、私の身体を心配してくれて。
初めてだったんだ。私を、私として見てくれる人は。
シンがいたから、私は…私になれた。
「……レイ?」
だから、シンと出会えて本当に嬉しかった。
シンと過ごしたのは少しの間だったけど、とっても大切な時間だ。
…本当に、ありがとう。
一緒にある薬のデータは、私が飲んでいたものだ。
もしもシンがこの先、私と似たような境遇の子を見つけたら使って欲しい。
関わるのが嫌ならそれも構わない。お前に任せる。
…それじゃ。
唐突に終わるメッセージ。レイは立ち上がり腕を伸ばすと、画面も真っ暗になる。
悲しくなってきた。胸の奥が締め付けられる感覚をシンは感じた。
それでも、不思議と涙は出てこない。
なんとなくだけど、分かった気がする。自分が今、何をすべきなのか。
ノートパソコンの電源を落とし、そっとケースにしまうと再度ベッドに潜り込む。
そして、瞳を閉じた。出会った頃の彼女が頭に浮かびあがる。
シンはそれをゆっくり回想しながら、今度は深い眠りについた。
そして。次の朝。
「シン! 起きろ!」
眩しい朝日と元上司の顔。シンは布団を頭から被ろうとした。が、
「レイがいなくなった!」
「……は?」
突然真顔で寝ぼけたことをいう彼に、シンは一瞬嘘をついているのかと思った。
そして、次の瞬間。
それが嘘ではないことを、シンは知る羽目になる。
もうちょっと続きます。
…書いてるときに、シンレイ下敷き見ながら書いてましたハァハァ。
すぺさるどうなるんでしょう。新規カットあるといいな。
>>557 うぉーーー、早く続きがヨミタス!
いつもありがとう、またwktkしながら待ってるよ。
GJ!
お互い一緒にいることが幸せなのにどーしてうまくいかないのだろう
切ないよ
560 :
回帰:2006/05/02(火) 00:21:31 ID:???
>>538 >>539 >>543 >>544 >>547 >>549 >>550 >>554 >>555 >>556 (いなくなったことに気がついて、でもベッドを確かめたらまだ微かに温もりが残ってたんだ。
まだ、そんなに遠くまで行っていないと思うよ…)
キラの言葉を頼りに、シンは砂浜を慣れない足取りで一生懸命に走っていた。
レイの身に何が起きたのか分からない。また、どこかで倒れていたらどうしよう。
第一、記憶を失った彼女に行くあてなどあるのだろうか。
色んなことが頭の中をぐるぐると回りながら、シンは走る。ひたすら走る。
やがてその足は、無意識にある場所へと向かっていた。
さほど高くない、シンボルとして建てられた塔。
白い大きな墓標。オーブの言葉で彫られているため、全部は読めないが
少女は最後の一文だけは読めた。指先でなぞりながら、それをそっと呟く。「安らかに眠れ」と。
息をきらしながら走ってきたシンは、少女の姿を見つけると思わずその名を叫んだ。
「レイ!」
叫ばれて、レイは声が聞こえた方を向いた。右手には一輪の赤い花を持っている。
どうやら、この墓に供えようとしていたらしい。
「レイ! 突然、何も言わずにいなくなるなよ!」
つい、強い口調で言ってしまうシン。
レイはびっくりして、肩をびくっと震わせた。蒼い瞳が不安でいっぱいだった。
「…シン」
「あ…ごめん。でも、もうレイと離れるのは…嫌なんだ」
シンはそう言って、彼女との距離を縮めようとゆっくりと前に進む。が、一歩踏み出したところで
レイはこちらを向いたまま、一歩後ろに下がってしまう。
「レイ?」
「………」
彼女は何も言わない。
持っている赤い花を強く握り締めているため、花は萎れかけていた。
「レイ、怖いの?」
「………」
「大丈夫だよ」
何も言わずにじっとこちらを見つめるレイに、シンは優しく微笑みかけた。
「記憶、なくても大丈夫だよ。いつか必ず戻ってくる。
だってレイの記憶は、レイだけのものだろ?」
「…そんな」
不意打ちだった。
彼女の瞳から、大粒の雫が一粒こぼれる。
「レイ?」
青い空に浮かぶ太陽。空を飛ぶカモメ。止むことのない波。
それらすべてがいらないと、シンは思った。
それほどまでに、彼女は小さな声で、震える声で
「記憶なんて、戻らなければよかった…っ!」
561 :
回帰:2006/05/02(火) 00:23:54 ID:???
「――っ!」
シンは目を大きく見開く。
レイが泣いている。しかし、彼女は涙を拭わない。
「わたし、は…っ」
それはきっと、どんなに拭っても涙が止まらないことを彼女は知っていたからだ。
シンは言葉を失ったまま、ただ黙って彼女の言葉を聴く。
「記憶なんて戻らなければ…シンと楽しく過ごして、それで、それで死ねたのに!
何も知らないまま……幸せだけ、感じれたのに…っ!」
あのとき、何故あのまま一緒に逝けなかったのだろう。
死ぬことは怖くなかった。ただ一つ、心残りはあったけども。
でも、これでいいと思った。
これ以上彼に関われば、もう戻れなくなるから。
――きっと、死ぬことが怖くなるから。
「シンになんか、会わなければ…良かったっ」
一人で、声を押し殺しながら泣くレイ。
少し間を置いて。シンは一つ深呼吸をすると、ゆっくりと彼女の元へ歩み寄った。
「俺もね、ずっと考えてたんだ」
「………」
「俺とレイって、出会った理由が戦うことだったから。
レイの身体が辛いときしか知らないから。だから、レイが俺と会ったときに
悲しいことを思い出すのと、それともこのまま何も知らずに
普通の暮らしをさせてあげるのと、どっちが幸せなのかなって」
彼女の正面に立つと、シンはそっと彼女の頭を撫でる。
「でね、分かったんだ。レイが残したメッセージを見て、なんとなく分かった」
「……メッセージ?」
「そう。…覚えてない?」
「………」
何のことか思い出そうとしているレイに構わず、彼は言葉を続ける。
「俺に会えたから、レイはレイになれたって。
だから俺、レイに会いたくなったんだ。
一緒に戦ったり、笑いあったりしたレイに、会いたくなったんだ」
「……っ」
いつの間にか、レイの涙はやんでいた。
そう。こんな晴れた日に、涙の雨は似合わない。
照れを隠すように少し俯くレイの頬に、そっと手を添えて目を合わせ、微笑むシン。
「ねぇ、レイ」
優しく肩を抱き寄せて。シンは彼女の耳元にそっと呟いた。
「…もう、絶対に離さないから」
その声が少し震えていた気がするのは、レイの気のせいだろうか。
やがて、シンの背中をレイの細い腕が包み込む。
「シン」
「…ん?」
「すまない。さっきのは、取り消しだ」
「え?」
「シンに会えて、本当に…良かった…」
回帰ENDです。
↑に入れようと思ったら改行大杉だったので…。
禿萌え燃え!!
感動したー
ナイスです! GJです!
うおお、やっぱ切ない!
幸せなんだけど、終わりは近くに見えているんだよね…
久しぶりにスレ見てみたら大作が投下してあった……
超GJです! 感動しました!
566 :
562:2006/05/03(水) 23:36:29 ID:???
みんなありがトン。
また保守がてらに何か置きにくるでつ。
職人ありがとう
ちょっぴりツンデレイさんドゾー。
「ねぇ、メイリン。そういえばさぁ」
「なぁに? お姉ちゃん」
「昨日レイが私のところに『どっちの服が似合うか?』って来たんだけど。
あの子、何かあったのかしら」
「あー。それなら、ヨウランとのデートよ」
「………は?」
「せっかくの休日だから街に行きたかったらしいの。
それでヨウランが誘ったみたいよ」
「え…シンは?」
「レイから断ったみたい」
「………ありえない。このスレに限ってありえないわよ!
何、それとも私たちが誤爆してるわけ?!」
「お、お姉ちゃん落ち着いて! それには理由が…!」
「理由?」
「うん。シンね、どうやら課題を提出しないでサボってたみたいなの。
だからシンはきちんと勉強なさいってレイが怒ったんだって」
「………へぇ〜」
レイはご機嫌な足取りで寮へと帰る。
シンはきちんと課題を終わらせているだろうか。
ドアを開き、ただいまの挨拶をして中へ入っていく。
「…おかえりなさい、デートから帰ってきたレイ・ザ・バレルさん」
デスクにうなだれながら、ジト目でこちらを睨んでくるシン。
彼の態度に苛立ちを隠しながら、レイは笑顔で答える。
「ああ、とても楽しかった。ただいま、シン」
「ふーん。あっそ。へー」
「課題は終わったのか?」
「まあね。そっちこそ、デートっていうからには手ぇぐらい繋いだの?」
「…聞きたいのか?」
「……別に」
少し苛めすぎてしまったようだ。
シンはそっぽを向くと、大きなため息を一つついた。いじけモード突入だ。
こうなってくると後が面倒なのだが、今日のレイはいつもと違った。
バックから赤いリボンでラッピングされた袋を出すと、彼の頭の隣にそっと置く。
「久しぶりにアイスクリーム屋さんに行ったんだ。
あそこのアイスはとても美味しい。だからこの幸せをシンにも分けてやろう」
「………」
「まぁ、中身はキャンディーだけどな」
「アイスはヨウランと食べたんだもんねぇ」
「とっても美味しかった」
「ヨウランとねぇ」
「今度の休み、お前に奢ってもらってもいいぞ」
「…え?」
「ま、まぁ…私にアイスを奢りたかったら、ちゃんと課題を終わらせることだな」
「…レイ!」
>>568 ナンカキテルーーー!!
あまずっぱいよイイヨイイヨ。
イイねー
レイはやっぱシンを扱うのが一番うまいな
保守。近いうちに何か落とします。少し大人な感じでもいい?
待ってまつ!
期待age
エクスカイザーの最終話を久々に見て、俺の好きだったふくだみつおを再確認した。
そのうち勇者なSS書きたいなぁ
575 :
鍵:2006/05/13(土) 02:36:49 ID:???
シンは隣のベッドで眠るレイに目をやった。
軍の指令で赴いた施設でレイは身体に異変をきたし、倒れこんでしまった。
艦の医務室で診察を受けたが、毒素に侵されたという事はないとの事だった。
ならばなぜレイは…シンはその事が心配でならなかったのだ。
だが壁側に体を向けシーツを肩まで被っているので、その表情を見ることは出来なかった。
シンは暫しレイを見詰めていた。その時レイの肩が僅かに動いたのが見て取れ、
シンは弾かれた様に立ち上がると、レイの眠るベッドへと歩み寄った。
「大丈夫か?」
シンの呼びかけに、レイの肩が再び揺れる。そしてゆっくりと起き上がると、シンに顔を向けた。
シンはその顔を見て、胸が締め付けられる想いがした。
何故ならレイの瞳には涙が溢れ、頬には幾重にも涙の後が付いていたがらだ。
「どうしたんだ、どこか痛むのか。だったら医務室に…」
レイは首を横に振ると、震える唇で想いをシンに伝える。
「違う…体はどうともない…ただ…」
体を震わせながら小さな声でそうささやくレイに、何時もの力強さは感じらなかった。
「ただ、何?なぁ言ってくれよ。俺、施設での事が気になってて…心配で堪らないんだ」
シンはレイの体に腕を伸ばすと、その体を優しく抱きしめた。
そうしなければ、レイが消えてしまいそうで恐かったからだ。
レイはシンの腕の中でただ震える事しか出来なかった。そうまるで子供のように
576 :
鍵:2006/05/13(土) 02:39:30 ID:???
「恐い…」
「恐いって何が?」
シンは腕の力を緩め、レイの顔を見つめた。レイの瞳が力なく揺れ、再び涙が零れた。
「もう…あの場所には…戻りたくない…」
レイはシンの胸に顔を寄せた。そして震える腕をシンの背中にそっと沿わせる。
あの場所。おそらくあの施設の事だろうと、シンは察する事が出来た。
だがあそこは、連合の強化人間を作るための施設だ。レイがあの場所にいたとは到底思えなかった。
ならばなぜレイはあの施設を、ここまで恐がるというのだろうか?
聞いてみたかった。その真実を。だがシンは聞くことは出来ずにいた。
聞いてしまったら、レイを傷つける事になると思えたからだ。
「大丈夫だ。俺がレイを護るから…だから安心しろよ」
レイを脅かせるものなど、俺が全て倒してやる。シンは心からそう思った。
だがレイを脅かせているものが一体何なのか、シンに知る術はなかった。レイが教えてくれない限り。
「本当に…」
「ああ、約束する」
自分を見上げるレイが、余りにも幼く見えて、シンは心を締め付けられた。
レイを安心させる為に、シンはレイをもう一度強く抱いた。その温もりがレイを優しく包む。
「シン…」
「何?」
「お願い…一人にしないで…もう…一人は嫌だ…」
その言葉は、シンが抑え込んでいた感情を溢れ出させるには充分な物だった。
「一人になんかしたりするもんか。俺がずっと傍にいる」
抱きしめていた腕の力を少し緩め、シンはレイを見詰めた。レイは精神的に弱っている。
それが分かっていながら、この言葉を言うのは卑怯だと分かっていた。だが…
「俺レイの事好きだ。だから…」
初めて出会った時からずっと秘めていた想い。シンがそれを始めて口にした時、
2人の微妙な関係が、急速に変わろうとしていた。
それは2人に幸せをもたらす物となるのかは…分からなかった。
577 :
鍵:2006/05/13(土) 02:41:54 ID:???
シンがレイの肩に手を置いたとき、レイは静かに瞼を閉じた。
自分の想いをレイは受け入れてくれた。シンは逸る気持ちを抑えながら、己の唇をレイの唇に重ねる。
レイの唇の暖かさと柔らかさが、シンの感情を高ぶらせる。
愛おしい、レイの全てを愛したかった。心も体も全てを…
レイの体をベッドに横たえさせると、そっと耳元で囁いた。
「絶対大切にするから」
レイが一度開いた瞼をもう一度閉じたのを確認すると、シンは唇を瞼へと落とす。
そしてシンはレイの衣服を優しく脱がしていった。
首筋から鎖骨へと何度もキスをしながら、その場所と胸へと下ろしていく。
そして小振りな乳房を優しく揉んだ。その柔らかさを掌で味わった時、シンは体が熱くなるのを感じた。
「レイ、愛している」
レイはシンに愛されながら、何度も同じ言葉を口にした。「お願い、名前を呼んで」と。
名前を呼んで欲しい。その言葉に籠められたレイの本当の想いを、この時のシンはまだ知らなかったのだ。
だがシンは何度もその名を呼んだ「レイ。レイ愛している」と。
「シン…あっ…」
体を強く抱かれながら、レイは過去を思い出していた…あの連合の施設によく似た、研究所。そこで私は…
ラウによって助け出されて、もうあの悪夢は終ったと思っていた…
だが…あの機器を見た瞬間、過去へと記憶が呼び戻されてしまったのだ…
ただ一人で泣いた日々。生きている意味さえ解らずに…名前も無く、番号で呼ばれていた過去の自分…
違う、もうあの頃の私じゃない。レイはそう思いたかった。
私の名前は…レイ。そうラウがつけてくれた…レイという名だ。
だが不安で堪らなくなってしまったのだ。自分が一体誰なのか、レイは確認したかったのかも知れない。
だから名を呼んで欲しかったのだ。
そして人の温もりが欲しかったのだ。もう一人ではないのだと、思える為に…
名を呼び、温もりを与えてくれる相手になぜシンを選んだのか、
この時のレイはまだ、自分の本当の気持ちに気付いてさえいなかったのだった。
続く。
GJ!
GJ!
ツヅキガキニナリマス!
いやん、楽しみ!GJ!!
GJ!続き楽しみに待ってまつ!
超GJ!!久々の期待作だよーワクテカで待ってます
583 :
鍵:2006/05/14(日) 16:45:24 ID:???
シンは朝目覚めてまだはっきりしない意識の中、隣で眠っている筈の愛しい者の体に触れようと手を動かした。
だが手を幾ら動かそうとも、暖かな物に触れることはなく、シンは視線を隣にやった。
隣には既にレイの姿はなく、乱れたシーツのみが昨日の営みを思い出させた。
甘い言葉を交わせると思っていたシンは、肩を落とした。2人にとっては特別な朝なのにと…
時計に目をやれば起床時間を過ぎていて、こんな日までレイは規則を守るのかと少し寂しい想いになった。
早くレイに会いたい。会ってちゃんと話がしたかった。
思えば昨日はただ互いに体を求め合っただけで、レイの涙の訳を聞けずにいたからだ。
あの言葉の意味も…何も知らない…体だけではなく、心も結ばれたのだという、確かな自信が欲しかった。
シンは身支度を済ませると、食堂へと向かいレイを探した。
そしてその姿を見つけ、心を弾ませながら隣の席に腰を下ろす。
「レイ、おはよう」
「おはよう」
そう言葉を発したレイは、何時もと変わらず表情一つ変えなかった。それがシンを不安にさせる。
「あ…なんか照れるよな…俺―
「いいから早く食事を済ませろ。今日はオフじゃないんだろ」
シンの言葉を途切れさせるように、レイは冷たく言い放った。
「えっ…そうだけど」
「任務に遅れないようにしろよ」
レイはシンにそう諭すと、飲み終えたコーヒーカップを持ち、その場を立ち去ってしまった。
その背中を見つめる事しかできなかったシンは、ますます不安になってしまった。
舞い上がっているのは自分だけなのだろうか?レイは昨日の事を何とも思っていないのだろうか?
レイの心が分からない…シンは悔しさから拳を握り締めていた。
ミネルバのクルーは前日に引き続き、連合の施設を探索していた。中はおびただしい数の子供達の遺体と、
無数の薬品が残されていた。それがここでいかに残酷な事を行っていたかを物語っていた。
人間のやる事じゃない、こんな酷い事をする連合軍は…最早人とは呼べないのではないか…
そんな想いがシンを支配していく。
―怖い―レイの言葉が何度も頭の中で繰り返された。レイは何をしているのだろう…
脅えているのではないか?シンはレイのことが気になり、その姿を必死で探す。
施設内にはその姿はなく、そこから少しはなれた場所にレイは辛そうな表情で立ち尽くしていた。
「レイ…大丈夫か?その…怖くないか?」
2、3度瞬きをした後レイは、何の感情も籠もっていない顔でシンに答えた。
「怖い?何がだ?」
「何がだって…でもレイ昨日は…」
「昨日の事は…忘れてくれ。私はどうかしていたんだ…だから忘れてくれ」
忘れろだと。シンはレイの言葉が信じられなかった。
あれは、あの行為は…愛を確かめ合う行為ではなかったのか?それを忘れろと言う事は、そこには…
「忘れられる訳ないだろう…だってあれは、あれは俺の気持ちを受け入れてくれたから…違うのか?」
「……」
何も答えないレイを見て、シンは心の中が掻き乱されてしまった。
否定もしなければ、肯定もしない。なぜだ、ならばなぜレイは俺に抱かれた…
もしかしたら…レイはただ怖さを紛らわしたかっただけなのだろうか。そして―
「何だよそれ。あれはレイにとっては、たいした問題じゃないって言いたいのかよ。
気持ちを紛らわしてくれるなら、相手は誰でもよかった、そう言いたいのかよ!答えろよレイ」
違う、こんな事を言いたいんじゃない。シンは自分の口から出た言葉に苛立ちを覚える。
レイがそんな人間じゃない事を、一番知っている筈なのに…俺は一体何を言っているんだ。と…
584 :
鍵:2006/05/14(日) 16:48:00 ID:???
だがレイの口から出た言葉は、シンの予期しない物だった。
「そう取ってもらってもかまわない…だから忘れてくれ…」
「ふ、ふざけるな。言った筈だ、忘れられる訳がないって!俺はレイの事が本当に好きなんだ。
レイがたいした問題じゃないって思っているなら、大した問題にしてやるよ。
絶対に忘れられないように…俺がしてやる」
ずっと欲していたレイという存在。それを手に入れられたと思っていたのに、一瞬にして無に戻された。
失いたくない、レイを誰にも渡したくない。レイを一番愛しているのは俺なのに。
抑えきれない感情が、シンを次の行動へと駆り立てた。レイを失いたくない一心で。
シンはレイの手首を掴むと、そのまま後ろにあった壁にレイの体を押し付けた。
そして自分の唇を強引にレイの唇に押し当てて、舌でレイの唇を割り開き、その口内に舌を挿入する。
突然の事に抵抗できなかったレイの舌を絡め取り、快感を与え続ける。
「やめっ…」
唇を離した時、レイが抗議の言葉を発したが、シンは構わず行為を続ける。
片手で手首を押さえつけながら、もう片方の手でレイの首元のホックを外し、そこにキスを落とす。
「い、嫌だ…止めてっー、シンっ…」
叫ぶようなレイの声に、シンはハッとなった。
そしてレイの顔を見れば、涙を流しながら脅えるような表情をしている。
レイを守りたかった、泣かせたくなどなかった…だがレイを泣かせているのは間違える事無く自分だった。
俺は何をしているんだ。これじゃあまるで強姦ではないか…
「ごめん…俺、俺っ」
詫びて済む問題ではない、シンはそれが分かりながらもただ謝る事しか出来なかった。
その時、施設にけたたましいサイレンが鳴り響く。
『敵モビルスーツ一機接近中。ガイア、ガイアです』
緊急事態を告げる声が、2人の緊迫した空気を破壊する。
こんな時に。シンが躊躇いを見せていると、レイは必死に涙を堪えながらシンに行動を促した。
「シン何をしている。仕事だ…」
「でも!」
「私の事なら気にするな…今は敵軍と戦うべき時だ。お前はザフトの軍人だろう」
「レイ」
この状態を放置して、敵と戦うのは心苦しかった。だがこのままここで立ち尽くしている訳にはいかない。
「分かった。俺行くけど、帰ったら必ず話の続きを」
「ああ…」
シンは想いを押し殺してインパルスへと向かった。ザフトの軍人としての任務を果たす為に。
585 :
鍵:2006/05/14(日) 16:49:36 ID:???
「ごめんね…シン」
残されたレイは力なく壁に体を預け、空を仰ぎ見た。
シンとの営みを、たいした事ではないなどと決して思っていなかった。
朝目覚めた時、レイとして愛してもらえた事を心から嬉しいと思ったのだ。
―クローン―ただの研究対象ではなく、レイという一人の女として見てもらえた事が、
そしてもう一人ではないのだと、思わせてくれたあの暖かな腕。
だが…自分に与えられた運命を思えば、一人の女として生きてはいけない事は分かりきっていた。
私はレイ・ザ・バレルと言う人間であると同時に、ラウ・ル・クルーゼと言う人間でもある。
その想いが重くレイに押しかかる。ラウとして生きるならば、女であってはならない。
シンの腕の中で、怖さから逃れていてはダメだと、自分に言い聞かせたのだ。
自分のやるべき事は、ギルバートの目指す世界の為に軍人として生きること。
その先には、誰もが幸せに生きられる世界があるのだから…
自分や、この施設で育てられた強化人間が再び造られる事のない世界が。
だがこの胸の苦しさは一体何と呼ぶのだろう。シンの言葉や表情が胸に鋭く突き刺さる。
『忘れられない』シンの言葉は本当に嬉しかった。だが忘れなければいけないのだ。
シンの優しい言葉も、暖かな腕も。あれは女としての自分に向けられたものなのだから。
「シン…嫌いにならないで…」
思わず溢れ出た自分の本心。レイはその事にギョッとして、唇を噛み締めた。
私はシンの事が好きなんだ。今更知りえたその気持ち。だがその想いは、消さなければならない物。
レイは立っていられなくなり、ズルズルと壁伝いに腰を下へと下ろしていった。
そして膝の中に顔を埋め、力なく泣き続けた。消したくないシンへの想い。
「シン…好きだよ」
今は泣いてもいいですか。涙が止まれば、今まで通りのレイを演じるからと―
女としての幸せはまだいらない。自分に与えられた役割を果たすまでは。
―レイ―
記憶の中のラウに呼びかけられた気がした。ラウは私にその名を与えてくれた。
ラウ…私は、貴方なのですよね?レイの呼びかけに、記憶の中のラウは、何も答えてはくれなかった。
「大変だったな。あの少女はどうしている?」
「ステラは、今医務室にいる。でも…あんな事って酷すぎる」
「そうか…だがそれが現実だ。連合のあの行為をやめさせる為には、叩くしかない。軍人としてな」
「ああ分かっている」
2人は会話をしながらも、昼間の出来事を意識してかギスギスした空気を互いに感じ取っていた。
「レイ、あの本当にごめん。俺、どうかしていただから」
「何の事だ、謝ってもらう事など何もない筈だが」
―何もない―レイの言葉が意味する事は、もう何もかも忘れてしまったという事か。
シンはそう察すると、静かに呟いた「そうだな」と…
哀しい選択。忘れた振りをして、今まで通りレイに接する。それがレイの望みなら。
中々触れることの出来なかったレイの本心に、昨日は触れられた気がした。
だがそれは幻だったかの如く、消え去ってしまった。
レイの心は再び閉ざされ、何も見えなくなってしまった。そうまるで心のドアを閉められたように…
そのドアを開く鍵は、どこかにあるのだろうか?
もしあるのならば、その鍵を得るのが自分であればどれ程幸せだろう。シンの願いはそれのみでだった。
586 :
鍵:2006/05/14(日) 16:52:22 ID:???
それから2人は、何事もなかったように振舞った。
シンはステラを連合軍に返す行為を手助けしてもらったり、
フリーダムを倒す為に協力してもらったりする度に、自分に言い聞かせた。
これは愛情ではなく、あくまでも同じ艦に身を置くクルーとしての行為なのだと。
レイに愛を求めてはいかない、求めてしまえばレイを苦しめるだけなのだと。
時折自分に優しい笑みをくれるレイが、愛おしくて堪らなかった。
レイの本心が知りたい。どれ程そう願っても鍵はまだ見つからず、心のドアは閉ざされたままだった。
レイはシンに自分の本当の気持ちを伝えたかった。
強化人間として生きるステラを、自ら罪を受けることを恐れず、連合に返した時、心から嬉しく思った事を。
ステラは己と同じ存在に思えた。人の欲望のままに造られた哀しい存在。
そのステラを一人の人間として接するシンを見て、もしかしたら自分の出生の秘密を話しても、
一人の人間として接してくれるのではないかと、夢の様なことを思った事を。
フリーダムを倒してくれた時、ラウの敵をとってくれたと心から感謝した事を。
だがそれをレイが口にする事は、一度もなかった。
してしまえば、弱い女の部分が頭を覗かし、シンにすがり付いてしまうのが目に見えていたからだ。
まだ出来ない、私はラウ…レイという軍人を演じている、ラウなのだから…
レイは心を閉ざし続けた…そう自ら『私はクローンだ』と告白するあの日までは―
ギルバートの望む世界が完成するのが間じかに迫ったある日、
自らに与えられた最後の仕事を果たそうと決意し、それをシンに伝えていた。
「レイ?」
ちゃんと伝えなければならないのに、体中に痛みが走った。なぜこんな時に…
レイは痛みを必死に堪えて、言葉を続ける。
「強くなれ、シン」
「えっ!」
―新しい世界―自分やステラの様な哀しい存在が造られる事のない、幸せな世界。
それを創り上げ、そしてその世界とギルバートを護るのはお前なのだと。
「レイ、どうしたんだ?」
レイの痛みは限界を超え、体が震え呼吸が定まらなくなってしまった。
「何でもない、かまうな」
シンの心配そうな眼差しが、痛かった。その優しさに縋ってしまいそうになる自分が嫌だった。
レイはその感情を押さえ込むために、ギルバートに渡されていた薬を口に含む。
痛さや怖さに負けてはいけない。この薬を飲めば痛みは和らぐ。
和らげば、また何時ものレイを演じられる筈だから…
「レイ、しっかりしろよ!なぁレイ。レイっ」
薄れいく意識の中でレイは、必死に自分に呼びかけるシンの姿を見た。
なぜシンはこんなに優しいのだろう。なぜこんな自分に優しさを向けてくれるのだろう。
お願い、優しくしないで…私は強くあらないといけないのだから―
レイはそこまで思ったところで、意識を手放してしまった。
587 :
鍵:2006/05/14(日) 16:58:24 ID:???
「レイ…」
レイが目を開けると、心配そうに自分を見つめるシンの姿があった。
ずっと傍についてくれていたのだろうか?そう思うだけで、心が高鳴る。
「何でもない、驚かせて悪かった…」
レイは重い体を起こし、平静を装おうと思った。これ以上シンに心配させてはならないからだ。
シンのすべき事は、自分を心配することではなく、その力を存分に発揮する事なのだから。
「持病の様なものだ。気にしなくてもいい…」
「辛いんだったら寝ていろよ。俺レイの分も頑張るからさ」
優しい言葉をかけてくれるシンの手には、あの薬が握られていた。
長くは生きられないこの惨めな体を支えてくれる、唯一の物。
ラウが飲み続け、そして自分もこの先死ぬまで飲み続けなければならない、その薬を。
シンは、レイの視線が自分の握っている薬にある事に気付くと、申し訳無さそうな顔をした。
「あ…ごめん、俺レイの事が心配で…でも苦しむレイに何も出来なくて、情けなくてそれで…」
何も出来なくて当たり前だ。この体の老化は誰にも止められない。ギルバートも、そして自分も。
この体が朽ち果てる前に、シンに伝えなければならない事がある。今はそれを伝えよう。
レイはシンをしっかりと見詰めると、先程伝えられなかった言葉を吐き出す。
「シン、これから何が起こっても議長を信じろ。何があっても」
「今はそんな話はどうでもいい。レイは自分の体だけを心配していろよ」
「私の体などどうでもいい。問題は―
「どうでも言い訳ないだろう!俺にとってはレイが一番大事なんだ」
シンの怒りを籠めた言葉が、レイの言葉を途切れさせた。
レイがいるから頑張ろうと思えた。だから今までレイへの想いを押さえ込んで、軍人として生きてきた。
だから、自分の事を全く顧みないレイに対して怒りが沸いてしまうのだ。もっと自分を大切にしろと。
シンはレイの体を強く抱きしめると、押さえつけていた感情を爆発させる。
「お願いだよレイ。もっと自分を大切にしろよ。なんでそんなに自分を追い詰めるんだよ」
「こんな体どうでも良いんだ。私は…私はどうせ長くは生きられないのだから…」
「えっ!」
一体レイは何を言っているんだ?シンはレイの言葉を直ぐには理解できなかった。
いや、理解したくなかったのかも知れない。
「レイ、何言っているんだ…長くは生きられないって…そんな事、俺は信じたくない」
震えるようなシンの声が、レイの心を揺るがした。シンの優しい想いが、レイの頑なな心を解きほぐしていく。
「テロメアが短いんだ…産まれつき…」
誰にも語る事はないと思っていた、自分の出生の秘密。
だがシンならば、それを受け入れてくれるかも知れない。何時だったか思った夢の様な事…
もし受け入れてくれて、共に戦ってくれるのならば、レイとして生きたいと心から願った。
「私はクローンなの…」
そう告白したレイの声は、消え入りそうな少女のものだった。
暫しの沈黙が2人の間にあった。やはりダメだったか…レイは諦めにも似た感情を懐いた。
クローンなどという禁忌の生き物は、誰もが気持ち悪いと感じる筈だと。
「だからいいの。こんな体どうなってもかまわない。クローンなんて生き物、存在してはいけないのだから」
「だから?クローンだからって、それが一体なんだって言うんだよ。
それだけの理由で、自分を大切にしないのかよ。そんなのおかしいじゃないか!
レイはレイだろう。それだけで充分じゃないか。俺はレイが好きなんだ。
たとえレイがクローンだったとしても、この気持ちは何ら変わらない」
588 :
鍵:2006/05/14(日) 17:03:39 ID:???
「シン?」
もしかしたらシンは私を受け入れてくれたのだろうか?レイはいまだその事が信じられずにいた。
だがレイの不安はシンの口づけによって、かき消されていく。
シンの想いに答えるように、レイは自らの舌をシンの舌に絡めて、口づけをより深い物に変えた。
「レイ、愛しているよ」
シンはレイの唇を一旦開放すると、素直な気持ちをレイに伝える。
その想いにレイは自らキスを返す事で、受け取った事を伝えた。
シンは口づけをしたまま、レイをベッドに押し倒すと、優しくレイの服を脱がしていった。
レイの肌理細やかな肌にキスを何度もして、胸の突起に舌を這わせた。
「あぁっ…」
甘い吐息を上げるレイがとても愛おしく感じ、シンはレイに微笑みかける。
レイの閉ざされていた心の扉が開かれた事が、嬉しくって堪らなかった。
レイが長くは生きられないというのならば、その残された時間を共に過ごしたい。
その為にはこの戦いを一刻も早く終え、レイに安らぎの時間を与えてやらなければならない。
シンはそんな強い想いを懐きながら、レイが女性である証にそっと指を這わせる。
「はぁっ…あっっ…シン、シン」
「レイ、未来を得る為に…一緒に戦おう」
「ありがとう、シン…」
レイの柔らかな笑みを見て、シンは腰を進める。
「あぁぁっ…ふぁっ…」
レイはシーツを握り締めていた指を、シンの背中に沿わし力を籠めた。
2人の体が密着度を増し、レイはよりシンに愛されているのだと感じる事が出来た。
女として生きてはいけないと、一度は捨て去った感情。
だがそれを持ったままでも、強く生きていけると思わせてくれたのは、自分を抱いているシンだった。
「シン…好き…好きだよ」
「俺も好きだ。レイが好きだ」
「あぁぁぁぁん…シン…シン…」
シンがもたらす快感の中で、レイはラウに侘びを請うていた。ラウとして生きられなくてごめんなさいと。
そしてレイは意識を手放す瞬間、ラウの声を聞いた気がした。
―レイ、私と君は違う人間だよ―と
レイにもう迷いはなかった。キラ・ヤマトは戦いの中レイに問いかける。
『君は誰だ?』と。
レイは答える
「私はレイ・ザ・バレル。お前が過去に倒したラウ・ル・クルーゼと同じ魂を持つ者だ」と。
だがそれは、レイがラウとして生きるという意味ではなかった。
レイはレイとして、キラと戦った。幸せに生きられる未来を得る為に…
終り
続きGJ!
途中切なくて目から汗が…
GJ!漏れも目から汗が出てきたよ。
しかし、レイとシンは幸せになるべきだと思った。
シンとレイがスキな厨のたわごとと言われてもいい、本当にそう思った。
・・・・が、自分の脳内ではシアワセだからそれで良しとしようかね。
切ない(つД`)GJ!
GJ!!いいもん読ませてもらったよ…。
ここは学パロとかは桶?
読んでみたいなぁ
保守
切なage
「鍵」良かった…。ありがとう
DITDの続きを待ちつつ保守
hosyu
保守
ほしゅ
学パロ…書いてみたいのだが…パロと言うよりはアカデミー時代かw
書いて良いのだろうか(悩)
保守
ぜひ書いてくれ
>>601 君が!
書き上げるまで!
保守し続ける!
保守
604 :
1:2006/05/28(日) 10:07:58 ID:???
(冷てっ)
シンは氷の固まりのようなものが臑に押し当たり、その冷たさに驚き飛び起きた。
温もっていた膚には特に、その冷たさは鋭かった。
膚が温もっているのは決して軍支給の薄い毛布にくるまっていたからではなく、その理由の大部分が人肌を寄せ合う隣の少女にあったのだが、
どうやらシンを穏やかで深い眠りから引きずりおろした冷たさの張本人も、やっぱりこの少女にあるらしいことをシンは確信し、やれやれとうなだれた。
これで何度目になるか。
(いい加減慣れろよ俺も…)
すっかり冴え渡ってしまった頭で情けなく自責してみる。
目線だけで隣を見やれば、レイはすうすうと静かな寝息でぐっすり眠っていた。
この無駄に美しいルームメイトの平熱が人より若干低めであることは、無論シンの心得るところであった。
裸になって抱き合ってもレイの躯はいつもどこか控えめな温もりだった。
すっかり熱くなった自分の体ですっぽり抱きしめてしまえば、氷みたいに溶けていってしまうんじゃないかと、そう思うほどに。
と同時に、触れ合っていくその過程で、徐々にその白い膚が火照っていく様子が鮮明に感じられるところは、
シンにとってすれば実に心楽しい要素の一つになり得るのだが。
もとより血圧があまり高くないレイは指先や爪先などが氷のように冷えきっていることが多く、
素肌を寄せ合いひとつのベッドで眠る夜に、触れ合うその膚のあまりの冷たさに、シンは今まで幾度となく飛び起きてきた。
今日のように臑などならまだいいが、下腹部や背中などを指先が掠めたりした日には全く心臓に悪いことこの上ない。
605 :
2:2006/05/28(日) 10:09:39 ID:???
だが、このことはレイには一度も話していなかった。
理由と言えば単純明快で、これはどう考えてもレイ本人の責任ではないし、もし
「レイの爪先が冷たくって驚いて起きちゃったよ」
などと彼に言おうものなら、シンを気遣い二度と同じベッドで眠ろうとはしないだろう。
それこそシンにとっては一大事で、そうなるならば寧ろ冷たさに心臓を跳ね上げて睡眠時間を削った方がよほどいい。
シンはそっと手を伸ばした。
顔の横に手を添えて眠ることが癖らしいレイは今夜もまた例に漏れずそうしていて、
シンはその暗闇にも尚とけ込むことのない白い手にそっと触れる。
起きてしまうかと思ったが、就寝前ふたりして没頭していた行為の疲れからか、レイは相変わらず穏やかに眠り続けている。
触れるだけでは飽きたらず、シンはそっとレイの手を取った。
そしてそのまま、両掌でレイの右手を出来うる限り優しく包み込む。
掌はやはり思った通りに冷えきっていて、まるで血の気を感じることなど出来なかった。
幾許か力を込めてその手を握ると、ん、とうつつに引き戻されそうになるレイの声が細く漏れた。
「…………シン…?」
「ごめん…起こしちゃった?」
「…手が暖かくて、起きた……」
まだ覚醒しきらない青い瞳が、暗闇の中猫のように澄んだ色でぼんやりと見つめてくる。
うっとりとしたようにも見えるその表情に、すぐにでも再び頭を擡げてきそうな欲望に慌ててふたをする。
握る手に力を込めると、気遣うようにすこしレイの目がほそまった。
606 :
3:2006/05/28(日) 10:11:43 ID:???
「…シ、ン…?」
「いやな夢見た、んだ」
とっさに口をついた嘘に、レイの眉が思案げに下がる。
意図せぬものとはいえいらぬ心配をかけてしまったとレイの頬にそっと触れる。
外気に晒されていた頬はやはりすこし冷たくて、大丈夫だよと微笑みながら優しく撫でると、レイの瞳は心地よさげに閉じられる。
「レイ………このままこうしてていい?」
レイは静かに頷いた。
レイに温かさをあげられることは喜びなのだ、自分にとって。
恐らくは。
シンは勝手に、そのひえきったつまさきと足を絡めるようにして、握った細い指先に唇をつけた。
END
>>592です
学パロ桶?とか聞きながら学パロじゃなくてスマン
投下可能なら学パロも書かせてください…長くなりそうだけどorz
GJGJGJ!シンの優しさになんかグッときた
アカデミー時代からこんな関係だったんか!?とか思ってあせったw
つかいくらでも投下してくれ
GJ!
遅ればせながらGJ!
こういうのもなんかいいなぁ。
半ば強制的にオーブからプラントに送られたオレは、
ただ憎しみだけを持っていた。
あの「フリーダム」のパイロット。アイツさえ居なければ、オレは平凡な生活をしていたんだと思う。
自分の家族を目の前で、一瞬で葬られ、発狂するしかなかった。
その後はただ、オーブの「誰か」に引っ張って行かれ、飛行機に乗せられた。
この飛行機はプラントに行くのだ、ということは場内で延々と言われていた。
プラントと言うところに行ったことはない。しかし、ザフト、は知っている。
憎しみのため、家族のため、自らが直ちに決めたことは「ザフト」に入隊すると言うこと。
真実だけに耳を傾けて、己の意のままに戦うと決めた。
区切りをつけるためにここで止め。
アカデミーものを書かせてくれ
アカデミーには直ぐに入ることができた。オーブからの難民という事で、それなりの対処とかなんとか、特例で許しを得た。
その後は直ぐにクラスメイトと仲良くなった。
初めは勿論心を開くつもりなんか無かったのだが、周りの奴らが楽しすぎて、あの悲劇を少しでも忘れてしまう。
否。忘れてしまった方が楽なのだから、その方がいいのかもしれないが。
「さーてっ・・・と。アンタたちモビルスーツ工学の宿題やってきたー?」
「あー・・・オレパス。だめだめ、全然わかんねぇもん。あのおっさんが言ってること。」
「オレもパスー・・・ってかピンチなんだよな、これ。」
ルナマリアが隣に居るヨウランに問うと、さらに横にいたヴィーノが答える。
3人でため息をつくと、自分に視線を一気に向けてきた。・・・何だよ。
「あんた・・・やってる・・・?」
「・・・分かるわけないだろあんなもん・・・。」
全員が宿題をしてきていないのだ。さて、あとはあの手段だけだ。とルナマリアが教室の中に居るレイを呼ぶ。
「レイーっあのさぁ、MS工学の宿題・・・やってるわよね。」
「・・・」
こくりと頷いた。
・・・この教室にこんな子いたっけ・・・。うわ。綺麗だし。。。可愛いかも。
いつもの行いのようで、レイは自らのノートを取って戻ってくる。
差し出せばルナマリアはひょいと取り上げ、急いでノートの写しにかかった。
「あ・・・オレ、シン。シン・アスカです。ノート貸してもらっていいですか」
ルナマリアとは雰囲気が全く異なった少女だと思った。
何か威圧感を感じるというか、恐怖ではないが、少々びびってしまう。
「私は・・・レイ。レイ・ザ・バレル・・・・・何か困ったことがあったら、相談に乗る。・・・まぁ、私でよければの話だが・・・。」
「も・・・勿論っ!!頼むよ。あいつらだとなんだか真剣な答え返してくれなさそうだしさぁ。」
「・・・確かに。」
そうしてレイは苦笑いを浮かべる。
苦笑いを浮かべた貌はとても綺麗だった。
>>611 >半ば強制的にオーブからプラントに送られたオレは、
一瞬、「当局に追われ地下に潜った」と続くかと思ったw
保守
保守
俺の名前はシン・アスカ。16で天涯孤独の身となった。ちょっと固茹でな人生が今始ま
ろうとしている。今の俺の目標は理不尽な世の中への復讐だ。ザフトで一人前の兵士にな
って、戦争に無関係な人間を巻き込む奴らをブッ潰してやる!
…そんなわけで俺はオーブからプラントへと移住し、ザフトのアカデミーへとやって来
た。途中入学ってことになるから、転校生ってヤツだ。同期の奴等に舐められないように、
俺はハードなムードのままで行く。近寄るなよ、ヤケドするぜ。
目の前にはこれから俺が寝起きする寮があった。案内の人間とは目を合わせることなく、
説明だけを聞いておく。無口でクールな俺、ちょっとカッコイイ。
案内された部屋には既にルームメイトとなる人間が生活しているらしい。今はまだ授業
中だからいないけれどと説明を受けながらも中を検分する。
「なんか…飾り物が多いですね。これってここに最初からついてんですか?」
目に飛び込んできた光景に、それまで無口を通していた俺も思わず口にせずにはいられ
なかった。窓際近くに並んだ机は片方はシンプルで機能性の高そうなデザインだったが、
もう片方は焦げ茶色の鈍い光を湛えたアンティーク風の机に同じデザインの椅子。その
卓上には熊のぬいぐるみらしきものが置かれている。
「ああ、君の分は備え付けだが同室の子は色々と持ち込んでいるようだね」
案内の人間はさして興味もないのか適当なことを言って笑っている。
部屋の左端に置かれた二段ベッドの下の段を目隠ししていたカーテンを開くと、中には
高価そうな寝具一式がきっちりと折り畳まれている。上のベッドを覗き込むと思った通り
普通の固そうな枕に湿気てそうな布団が無造作に積まれていた。
「それじゃ、荷物を整理出来たら構内を案内するよ」
案内の人間が立ち去ったのを確認し、俺は共同で使うらしいクローゼットの抽斗を引い
た。中に入っていたものに目を剥き、錯覚ではないかと窓の外に広がる青い空を見る。き
っとあの空と同じく、これは俺に目の錯覚を起こさせているんだ。
「よし!」
気合を入れて視線を戻しても、そこにある物は変わらなかった。抽斗の中でくるくると
丸まっている薄くてやわらかそうな生地。俺はまだ信じられずそれを手に取ると広げて見
る。
マユ、兄ちゃんだっていくら何でもこれぐらいわかるよ。お前が穿いてたとこ、何度か
見たことあるし、母さんが干してるのだって見たもんな…。
俺はそれを握り締めたまま、窓の外からこの寮を見下ろした。確かにここは男子寮の筈
で、俺の同居人は男である筈なんだ。
マユ、俺の目指すハードな軍人生活は遠退いてしまいそうだよ。
同居人が、同居人が 女 装 趣 味 だなんて…。
手の中には純白のパンティ。あしらわれたブルーのリボンが、これからの俺の生活が波
乱に満ちたものであることを告げていた。
続く
腐女子臭ぇ〜
レイタソを出さないと腐臭がするのはしょうがない。
でもレイタソが出てくるところまでは描いてください。
某ホスト部は一話でハルヒの性別が分かるから萌えるわけで……
ホスト部いらね
あげ
ageてるから明らかに煽りだよ
今そこら中荒らされてるから発言するならsageた方が良い
このスレは「レイは女」っていうのが
そもそもの前提だからいいんじゃない?
624 :
カナード:2006/06/03(土) 01:15:38 ID:UEssUhFT
腐女子死ね!ケツの穴の掘り合いが見たきゃテメエのけつの穴にコケシでも突っ込んでろ!下劣な蛆虫共め!
625 :
617:2006/06/03(土) 01:31:53 ID:???
「女装」って単語に反応されたみたいだけど
勿論シンの勘違いってネタだからレイは女の子だ
保守がわりに少しずつ落としていくつもりだったけど
紛らわしいみたいなので最後まで書いてから落とすことにします
お騒がせしました
ギャグネタが空気読めてなかったなら保管庫の方に落とすようにします
ギャグも良いと思うよ。気にせずにココに投下してくれ。続き待ってる。
待ってるぞ
628 :
カナード:2006/06/03(土) 06:07:22 ID:???
腐女子さん腐女子さん!そんなにけつの掘り合いが見たきゃガチでマッチョな兄貴達のホモAV死ぬほど、うpしますよ!
どうぞそれで好きなだけオナヌして下さい!
作品待ち
打撃投手
ほしゅ
保守
ねたまつ
635 :
通常の名無しさんの3倍:2006/06/10(土) 23:18:52 ID:BRaQJRfU
保守
ほしゅほしゅ
/ 、 ヽ `、
/ / /'´ヽ '、 ヽ
l / / '、 l l
! l / / ', ト、 l
. l ! l /!/__ ', l `, !
! l l l トl'---ゝ、 l! ヽ !
l ,イ l l!l'Tテニミ、 l -=! l l l
! l!| ll l弋ゞ=ソ` ′i!|l ll
. l 'l |l l ! ゞ=! l l ll
l l! l l l'、 ..:: 、 ノ// |ll
/ ll! lヾ'、ヾ ,. -=',;'/ / .jl
/ i!l| ト、゙ヾ、 ― 、 `"´/ 〃 /i!
/ ヽl、 ヽヾ'、 - _トゞ=‐' // / !
,.ィ'´/ ト、',\ヽ`、 ヽ、 ,.ィ´ `ー-イ´/'´
. / ,イ/l l l ヽヽ ヾ、 ヽヽlヽ `〒´イ | /
ヽ/ l! i!'l l lヾ=‐ 、/l/ ,'//,' j l! ヽ l
′ ヾ'、 \_ l r l//ソ l/ ,ィ ll ヾ ヽヽ、
レイたんかわいいよ
打撃投手、好きだ
保守
保守
保守
保守
ほす
あげ
hosyu
ほしゅ
上げてみる
お久しぶり
保守
「女装」って単語に過剩反応した奴がね
レイは俺が守る
保守
保守
保守
職人たちはどこへ行ったんだろうか。
このスレがある限り続きや投下を心待ちにしてるよ。
スターゲイザーを見てちょっとやる気が出たので、近々続きを書きたいなぁ、と思ってます。
保守
>>657 どの続きかは分からんけど、待ってます。
47:通常の名無しさんの3倍 :2006/07/20(木) 23:48:52 ID:??? [sage]
生き恥だっていいじゃない
生きているということはそれだけで価値があるんだから!
49:通常の名無しさんの3倍 :2006/07/22(土) 05:12:13 ID:??? [sage]
>>47 レイのセリフを汚すなカス
50:通常の名無しさんの3倍 :2006/07/22(土) 23:19:35 ID:??? [sage]
死んでしまったレイへの嫌味か?氏ね豚厨
生き恥晒すシンとルナ
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1153354231/
保守
保守
あげるよ
dat落ちは最終書き込み時間だと何度言えば
保守
さくまち
保守
保守
保全あげ
保守
其々が想いの限り戦った戦争は、終焉を迎えた。ラスク率いるオーブ軍が勝利するというかたちで…
ザフト軍のパイロットとして命をかけて戦ったシン達が、命を落とす事だけは避けられた。
議長の職にあったギルバートは長期間の勾留生活を強いられていた。
だが今は、新体制となった議会の監視下ではあるが、自由の身となっている。
そして…
「シン早くしろ、約束の時間に遅れるぞ」
「ああ、悪い悪い。直ぐに準備するからさ」
シンとレイはザフト軍を辞め、新たな生き方を見つける為、生活を共にしていた。
少しずつではあったが、着実に愛は深まっている。愛する者が傍にいるという事の幸せ。
それをシンは実感すればするほど、この幸せがずっと続けばと、願わずにはいられなかった。
「お待たせ」
「今日は遅れてはならないとあれ程言ったのに…まったく…」
今日はかつてミネルバで共に戦った仲間達と、久しぶりに会う約束をしていたのだ。
ルナマリアが巷で美味しいと評判のイタリアンレストランを予約し、幹事役を務めてくれていた。
「シン、レイ。久しぶり元気だった?」
「ああ、元気だ。ルナマリアも元気だったか?」
「見ての通り元気よ。早く座って」
既にその場にはヨウランとヴィーノの姿があり、どうやら2人が一番最後の到着となったようだ。
「ごめんな遅れて…レイは準備万端だったんだけど、俺がグズグズしていてさ…」
「そんなの分かってるわよ、レイが遅れる訳ないもんね」
「そうだよな、レイは何時だって時間には正確だったもんな。シンが全部悪い」
「ハハハ…」
そんなありふれた会話がシンには嬉しく思えた。生きているからこそ、出来る会話だからだ。
2人が椅子に腰掛けると、間もなく美味しそうな料理がテーブルに運ばれてきた。
我先にと皿に取る者達とは違い、レイは嬉しそうに微笑みながらその様子を眺めている。
多分レイも皆と居るだけで嬉しいのだろう、そう思いながらレイを見つめていると目が合った。
「ほらレイも食べろよ、グズグズしていると無くなってしまうぞ」
レイの好みを知り尽くしているシンは、何点かをレイの皿に取り分ける。
「ありがとうシン」
「え、いや…何時もしてもらってるし…」
自分に微笑みかけるレイの笑顔が余りに綺麗で、シンはドキッとした。
見慣れているはずなのに、なぜだか心の高鳴りが抑えきれなくなり、慌てて飲み物を口にする。
「本当にここの料理は美味しい。レイもそう思わない?」
「ああ美味しいな。これを参考に今度家でも作ってみるので、ルナマリアが都合よければ食べにきてくれ」
「もちろん行くわよ。シンが邪魔だって言っても、ね」
「へぇーレイって料理も出来るのか。シンが羨ましいぜ。こんな美人と一緒に住めて、
料理まで作ってもらえるなんて…何でレイは、シンなんかを選んだんだ?勿体ない」
ヨウランのその言葉が余りにも今思っていた事と一致して、
シンは改めてレイと一緒に居られる事に、喜びを感じずにはいられなかった。
「羨ましいだろ?俺も思うよ、俺なんかにレイはもったいないって…」
「そんな事はない。寧ろ私なんかに、シンは…もったいないと思っている」
「なんだよ、2人で惚気か?それ位仲が良いんだったら、そろそろ子供が欲しくなったとか!」
「な、何言ってるんだよヨウラン。子供なんてまだまだ…ってか、俺まだそんな経済力ないよ」
思わぬ言葉にシンは慌てふためいた。そして自分と同じ想いをしているだろうレイに視線を移す。
だがレイは何時もと変わらず、ポーカーフェイスを貫いていた。
流石だ、レイは何を言われても動揺しない。俺も見習わなくては…
思えばレイは何時も冷静だった。アカデミー時代から強い意志を持ち、誰よりも力強く戦い続けていた。
そんなレイから出生の秘密を聞かされた時、心から護りたいと思ったのだ。
だが結果は…レイが心から欲した、新しい世界、それを実現させる事は出来なかった。
己の力の無さが辛かった。情けなかった…
だがこれからは、レイが幸せを感じられるよう努力しようと心に誓った。
レイを幸せに出来るのは自分だと信じて疑わなかった。いや…そう信じたかったのかも知れない。
それから数日後、シンはギルバートの家に向かっていた。ギルバートに会いに行ったレイを迎えに行く為だ
仕事が思ったより早く終り、約束の時間よりも早く着いてしまった。
だが、レイを驚かそうと連絡は入れていない。
玄関のドアを数回ノックしたが反応が無かった為裏庭へと向かう。
そこにはギルバートと向かい合うレイの姿があった。
シンは声をかけようとしたが、慌てて言葉を飲み込んだ。
ギルバートがレイの体を引き寄せ、優しく抱きしめたからだ。
肩を震わせながら泣くレイの頭を、ギルバートが何度も優しく撫でる。
シンの目には2人がまるで恋人同士の様に映り、思わず目を背けてしまった。
自分の前ではレイは何時も強かった。涙を流す所など見た事が無かったのだ。
レイを護るのは自分だと思っていた。レイに頼りにされていると思っていたのに。
だがレイが必要としているのは己ではなく、ギルバートなのかも知れない。そんな不安がシンを襲った。
もう2人の姿を見たくない…シンは逃げるようにその場を立ち去り車へと戻った。
気持ちを落ち着かせる為に、飲みかけのコーヒーを口にするが、一向に効果を発揮しない。
目を瞑れば先程の2人の様子が想い出されて、シンは苛立ち気味にフロントガラスを叩いた。
レイはギルバートの事をどう思っているのだろう…
信頼、尊敬…その様な想いを懐いている事は知っていた。だがそれは愛情ではない筈。
本当に愛情ではないのか?2人が男と女の関係でないと、なぜ言い切れるのだろう…
本当はずっと見えていたのではないのか、二人を繋ぐ強い絆が…それを見ない振りをしていただけなのでは。
もしかしたら、今あの2人は…
ふっと2人がベッドで互いを求め合う姿を想像してしまい、シンはそれを振り払うように頭を振った。
俺は何を考えているんだ。レイは…俺を…好きな筈なのに、と。
約束の時間まで時間を潰し、シンは再びギルバートの家へと向かう。
だが玄関でシンを迎え出たのは、レイではなくギルバートだった。
「やぁシン。久しぶりだね」
「お久しぶりです。議長…」
「私はもう議長ではないのだよ。ギルバートで構わない」
「あ、申し訳ありません…あの、ギルバートさん、レイは?」
「レイは少し疲れたようなので、私の部屋で眠っているよ」
ギルバートの部屋で?シンの頭を再び哀しい考えが過ぎる。
シンはギルバートに案内されて、その部屋のドアを開けた。
ベッドに近づけば、スヤスヤと穏やかな寝息をたてるレイの姿がある。
「レイ、迎えに来たよ」
「うーん…あれ、シン…」
トロンとした瞳でシンを見つめ、レイは今の自分の格好を想い出し、胸元のボタンを留めた。
その動作をシンは快く思えなかった。寝苦しいので胸元のボタンを外したのはだろうか。
もしかしたら、このベッドでギルバートと何かあったのではないのか。
シンは苛立つ思いを抑えきれずに、レイに強い口調で話しかける。
「帰るぞ、レイ」
「えっ、ちょっと待ってシン」
戸惑うレイを無理やり引っ張り、シンは玄関へと向かっていく。
「もう帰るのかね、シン?一緒に食事でも、と思っていたのだが」
「いえ…ギルバートさんにご迷惑をかける事は出来ません」
「迷惑などとは思っていないのだがね…」
ギルバートの寂しそうな顔を見て心が痛んだが、シンはこの場に居たくない想いが大きすぎて
一度頭を下げてから、玄関のドアを開ける。
「ギル御免なさい。また今度…ね」
「ああ、シンも時間に余裕があれば、何時でも来てくれても構わないのだよ」
「分かりました。今日は失礼します」
もう一度ギルバートの顔を見る事無く、シンはレイの手を握ったまま車へと急いだ。
残されたギルバートは難しそうな顔をして、2人の背中を眺めるのだった。
「シン、何を急いでいるんだ。ギルが折角…」
「別に急いでなんかいない、ただ…」
「シン?」
不思議そうな顔で自分を見つめるレイの視線が痛かった。
もし、レイが心の中を読んだとすれば、きっと軽蔑されるだろう。
だが、レイを愛するあまり心に余裕という物が全く無かった。
人を愛するという事の難しさを、若いシンはまざまざと感じていた。
家に向かい車を走らせながら、隣のレイの顔に視線を移した。
怒っているという風には感じなかったが、どこか寂しそうにしていて、自分のとった行動が悔やまれた。
もっとギルバートと一緒の時間を、過ごさせてやれば良かったと。
自分には決して見せる事のない姿を、見せられる唯一の人間。ギルバートが羨ましくて仕方が無かった。
レイが作ってくれた料理を前にしても、シンは手を付けられずにいた。
昼間の事を考えれば、考えるほど、情けなさや悔しさが溢れて仕方が無いからだ。
「シン、料理は暖かいうちに食べろと何時も言っているだろう」
ほんの些細な言葉だった。レイは何時も、暖かな料理を用意し、食べさせてくれる。
美味しいうちに食べろと言うのは、ごく当たり前の言い分だと理解は出来る。
だがそれさえも、レイが幼い時共に暮らしたギルバートの、教えだと思えば苛立ちが募る。
「分かってるよ。レイは食事作法にうるさいな。ほんと…レイといたら疲れるよ」
疲れるのはレイの言葉のせいではない。レイを想う余り、些細な事が許せない自分が悪いのだ。
自分の口から出た思わぬ言葉に、シンはハッとした。
「ご、ごめん…そういう意味じゃ…レイ、本当にごめん」
「いや…私も、口うるさかった。シンも自由に食事をしたいよな。もう、言わない」
思い詰めたようなレイの顔を見て、心が痛んだ。レイにそんな顔をさせたかった訳ではない。
「違うんだレイ。俺、ちょっとイラついてて。だから、その、本気じゃないんだ」
「私は幼い頃、冷めた食べ物しか口にした事がなかった。
初めて温かい食べ物を口にした時、本当に美味しいと感じた。ただ、それだけ。
それをシンに強制するのは、私の我が侭だな。だから、気にしないでくれ」
レイの過去を詳しく聞いた訳ではなかったが、どの様な環境にレイがいたのかは察しがつく。
ごく当たり前の事が、幸せと感じる。それは、レイの良い所でもあり、哀しい所でもあった。
レイの全てを知りたい。心の奥までも知りたいと、シンは切実に想った。
ギルバートよりも、もっと深く。この世の誰よりも、レイを知り尽くしたいと。
「紅茶でも飲むか?ギルから頂いたリーフがある。とても良い香りの」
「うん、飲む」
シンはレイの淹れてくれた紅茶を飲みながら、隣に座るレイの顔を見つめる。
傍にいてくれるだけで幸せだった。だが、それを当たり前と感じると、もっとと求めたくなる。
飲みかけのカップをテーブルに下ろすと、シンはレイの体を引き寄せた。
レイはシンの気持ちを察し、静かに瞼を閉じた。
2人がキスを交わすのは初めての事ではなかった。だが、その先にはまだ進んではいなかった。
レイを傷つけたくない。自然とそんな関係になれるまで、シンは待つ覚悟でいた。
しかし、今日目の当たりにしたギルバートの熱い抱擁が、シンの想いに変化を生んでしまっていた。
暖かなレイの唇を感じながら、シンはレイの体を静かにソファーに横たえさせた。
「シ、シン。ちょっと…待ってくれ。わ、私は…」
「駄目?レイ、俺の事嫌い?」
「そんな事は無い。私は、私はシンの事が好きだ…だが…」
「好きだったらいいだろう?」
戸惑った様な表情のレイを見て、シンの焦りに拍車がかかる。レイの全てを自分の物にしたいと。
「証拠見せてくれよ。俺の事が一番好きだって、議長よりも俺の事が好きだって。なぁ、レイ」
その言葉にレイは僅かに目を見開いた後、ゆっくりと瞼を閉じた。
それをイエスの合図だと理解したシンは、震える手でレイの服のボタンを一つづつ外していく。
ギルバートの家で見た、胸元を緩めさせていたレイの姿が頭を過ぎる。
ギルバートとレイは、男と女の関係ではない。ただの親子の様な関係なんだ。
そう自分に言い聞かせながら、シンはボタンを緩める手を進めた。
淡い色のブラがシンの目に飛び込んでくる。
鎖骨辺りにキスを落としながら、次のボタンへと手をかけた。
だがその時、レイが力一杯シンの体を押し、その行動を止めさせた。
「や、嫌だ。やっぱり、私は…」
「何で嫌なんだよ。俺じゃ駄目なのかよ。議長ならよくて、俺じゃ嫌なのかよ!!!」
「ギルとはそんな関係じゃない。なぜ、今ギルの名が出てくる。私は、ただ」
普段のシンならば、レイの言葉に偽りなどない事が直ぐに分かっただろう。
だが、今のシンにはレイの言葉を聞く余裕さえなくなっていたのだ。
「いいからじっとしてろよ。レイは俺の物だ。誰にも渡さない。レイを始めて抱くのは、俺だ」
嫌がるレイを無視して、シンは強引に行為を進めた。
片手でレイの両手を拘束し、残りの片手で器用にボタンを外していく。
そしてレイの上着のボタンを全て外し終わると、レイの肌が全て露になった。
「…なっ…」
初めてレイの裸体を見て、シンは小さく驚きの声をあげた。
なぜなら、レイの体には無数の傷が刻まれていたからだ…
「きっと…そんな顔すると想っていた。だから…見られたくなかった…」
体を震わせながらそう呟くレイの瞳が、涙で段々と潤んでいった。
「汚いだろう…私の体は…」
「そ、そんな事…」
シンは予想もしていなかった事に、動揺していた。だから上手く言葉が見つからなかった。
「言っただろう。私はクローンだって。幼い頃はずっと、研究所にいた。
研究員達は、中々進まない研究に苛立ち、毎日私を殴り続けた…
そして、その行動は徐々にエスカレートしていった。ナイフで体を切りつけ、突き刺した…
でも、そんな事が続いても、私は、それが当たり前だと想っていた。クローンだから仕方がないと。
そんなある日、いつもの様に服を脱がされた。そして…下着も脱がされた…
自分が何をされているのか、その時は分からなかった。
ただ、ナイフで傷つけられる痛みとは、違う痛みを感じていた。
その行為の意味を知ったのは…ラウに助け出されて、大きくなった時の事だった…だから、私は…」
「もう止めろ、もう…止めてくれ…そんな事、言わなくていいよ…」
レイの突然の告白に、シンは言葉を失った。ただ沸き起こるのは、研究員達に対する怒りのみであった。
もしもその者達が今、自分の前に現われたら、一人残らずぶち殺してやりたいほどの怒りだった。
「私は、全然綺麗じゃない。汚れている…私には、シンはもったいない…」
「レイ、何を言って…そんな事…」
いまだ言葉を見つけられずにいるシンを置いて、レイは静かに立ち上がった。
そして上着のボタンを丁寧に留めながら、シンに背中を見せた。
「シン、別れよう…こんな私は、嫌だろう。シンなら、もっと良い女性が現われる筈だ」
「な、何言っているんだ。そんな事、勝手に決めるなよ。俺は…」
「私の肌を見た時、驚いただろう…それが普通だと想う…
それに、私と一緒にいると疲れるだろう。私とシンは…違う生き物なのだから…」
そう言いながら振り返ったレイの顔は、今までシンが見た中で、一番哀しそうな顔だった。
違う、そんな事はない。レイは綺麗だ。ずっと傍にいてくれ。
そう言いたかった。だが、レイの語った事が余りのも大き過ぎて、シンは上手く言葉が繋げなかった。
「レイ…」
「シン、今までありがとう。私は幸せだった。普通の女として生きられたのは、シンのお蔭だ。
でも、私と一緒にいるとシンは不幸になる。私は…シンの幸せを祈っている。だから…さようなら…」
部屋をゆっくり出て行くレイの背中を見つめながら、シンは子供の様に何も出来なかった。
ただパクパクと口を動かし、出ては来てくれない言葉を必死に吐き出そうとした。
体も動かそうとしたが、硬直してしまって、指一本動かすことが出来ずにいる。
そんな自分の態度が、レイにどんな感情を抱かせるのかは、分かっていたというのに。
「い、行くなレイ。俺は、お前が!」
シンがやっとの事で言葉を発したのは、レイの姿が完全に部屋から消えた後だった。
直ぐにレイの後を追えばまだ間に合う。と、想ったものの、それを行動に移せなかった。
レイを傷つけてしまった罪悪感、何も出来なかった無力感。
そんなものにシンは押し潰されそうになっていた。自分の焦りがこのような結果を招いた。
その怒りをぶつける様に、シンは飲みかけの紅茶が入ったカップをテーブル叩き落す。
下に落ちた衝撃で割れてしまったその欠片を、シンは強く握り締める。
チクリと痛みが指に走り、赤い血が溢れ出した。
「レイはもっと痛かったよな…心が張り裂けそうなほどに…傷つけたのは…俺だ…」
優しい微笑みを浮かべるレイが、ふっとシンの脳裏を過ぎった。
好きだ。そう言いながら、柔らかな唇を寄せてくれたレイ…それだけで十分だったというのに…
「ごめんなレイ…俺のせいで、嫌な事想い出させてしまって…」
シンの懺悔の言葉は、レイにはけっして届く事がなかったのだった。
続く
久しぶりの大作乙!
シンがんがれ!
久々の職人さん乙です
続き楽しみ
GJ!
続きが気になります
ギルバートは議長の職を退いた後、元居た研究所を頼り、その道に身を置いていた。
自らが夢見た世界は創り上げる事が出来なかった。
彼も又、シンと同じく力の無さを悔やまずにはいられない。
だが、決して立ち止まる事はしなかった。今はレイが一日でも長く生ある事を願い、研究を続けている。
「これも、駄目か…」
創りあげたばかりの薬を床に投げつけると、苛立ち気味に机を叩いた。
「うん?」
玄関で物音がした気がして、ギルバートはそちらに神経を集中させた。
自由な身になったとはいえ、ラクスが自分を目の敵にしている事は重々承知していた。
警戒心を緩める事無く、ギルバートは玄関へと向かう。
そしてドアに手をかけ、ゆっくりと開いた。だが、そこには予想していなかった者の顔があった。
「レイ…こんな時間にどうしたのだね?」
「ごめんなさい…ギル…どうしても、会いたくなってしまって…」
「とにかく中に入りなさい」
レイと長い時間共に過ごしていたギルバートは、レイを一目見て、普通の状態ではない事を察した。
背中に手を廻し、優しく家の中に招き入れる。
自室にレイを通すと、キッチンに向かい、ミルクを温めた。
少しの間もレイを一人にしたくは無かったが、レイを落ち着かせたい一心でそれをしたのだ。
そして準備が終ると、急ぎ足で部屋へと向かった。
「レイ、とりあえずこれを飲みなさい」
「ミルク…ギルは何時も、私が泣くとミルクを入れて下さいましたね…とても嬉しかった…」
カップを受け取ると、レイはそれを口に含んだ。
「温かい…」
「一体何があった?シンがレイに何かしたのかね?」
「いえ、シンは何も悪くありません…私が…悪いのです」
唇を噛み締めながら、必死に涙を堪えるレイを見て、ギルバートは心が痛んだ。
「昼間も言ったが、哀しい時は我慢せずに泣きなさい…
最も、君に常に強くと、無理をさせていた私が、言えた義理ではないのだがね」
レイの髪を優しく撫でながら、ギルバートは言葉をかける。
「ギルのせいじゃありません…強くありたいと願ったのは、私自身です。だから、私は」
「もう戦わなくていい。戦士である必要はないのだよ。昔の様に、泣き虫で、寂しがりやのレイに
戻ってくれて構わない。いやむしろ、戻っておくれ。優しい心を、鉄の鎧で固める必要はもう無い」
その言葉を受け入れるかのように、レイはギルバートの胸に顔を埋め、涙を流した。
その体を抱きしめながら、ギルバートは自分がレイに強いた苦行を深く悔いた。
レイの幸せを思い、世の中を変えようとした。だが、その事が一番レイを苦しめたのではないのかと。
「ねぇ、ギル。ギルは、私の事好き?」
「今更何を聞くんだね。私はレイの事が、この世で一番好きだよ」
「ずっと、私の事好きでいてくれる?」
「当たり前じゃないか。嫌いになる筈ないだろう」
「だって…私は…」
レイがその先、何を言わんとしているのか察しがつく。
なぜこの子は、自分を卑下するのだろう。クローンだとしても、他の者と何も変わらないというのに。
夢を見ることもせず、幸せになる事も諦めている。他の者の幸せは願える優しい子なのに。
夢の無い世界は嫌だ。キラはそう言いながら、あの戦争に終止符を打った。
だが、夢を見る権利さえ、他の者に奪われたレイはどうすれば良いというのだろう。
本当はレイやラウ。そして戦う為のみに生かされていた連合の兵士達こそ、幸せになるべきではないのか?
そんな世の中を実現できなかった己に、怒りを覚えながら、ギルバートはもう一度レイを抱きしめた。
シンならば、レイを任せられると思った。普通の少女として、愛してくれると。
だが、今レイは自分の腕の中で体を震わせながら泣いている。
昨日、自分がレイに告げた辛い現実が、レイとシンの関係を狂わせたのではないのか?
「レイ、私はレイをとても愛しているよ。だから、安心しなさい」
「ギル…」
ギルバートはレイの頬にキスを落とした。そのキスにどの様な思いが籠められていたのかは、
ギルバート以外、誰にも分からないのだった。
「…レイ…」
朝を迎える頃、シンはやっと昨夜の出来事を理解出来るようになっていた。
今、自分が何をすべきなのか、何をやらなければならないのかが分かったのだ。
一睡も出来ず、足取りは覚束なかったが、それでも懸命に足を動かし車に乗り込んだ。
レイは何処に行ったのか。考えずとも分かった。ギルバートの所以外ありえない。
人通りも疎らな道を、アクセルを一杯に踏み込み、ギルバートの家へと急いだ。
玄関の前に立ち、深呼吸を一つする。ドアをノックすると、やはりシンを出迎えたのは、
レイではなくギルバートだった。
「何の用だね?シン」
ギルバートの顔は、何時もの穏やかな物では無く、怒りが籠もったものだった。
「レイに会いに来ました。レイに会わせて下さい。俺、話がしたくて」
「会わせる訳にはいかない」
「なぜですか!」
「なぜ?それすら分からないのかね?レイを泣かせるような者に、会わせたくないと言っているんだ」
言われても当然の言葉だった。だが、ここではいそうですか、と諦める事など出来る筈がない。
「どうしても、レイに伝えたいことがあるんです。それに、謝らないといけない事も…
お願いです。レイに会わせて下さい。俺、まだレイの事…」
「君がレイに会いたくても、レイは君には会いたくない。それが全てだよ」
昨日自分がレイにした事を思えば、レイにそう言われても仕方が無い。
だが、たとえ許してもらえないとしても、伝えたい言葉があったのだ。
自分の体は汚れていると言ったレイ。それは違うのだと、どうしても言いたかった。
過去に縛られ、自分を卑下し続けるレイ。その暗い過去から、解き放ってやれなければ、
レイは一生、苦しみの中で生きていかなければならない。それだけは、させたくなかった。
「お願いです」
「無理だと言っている。レイを苦しめるものは、絶対に近づけさせない。それが私の役目なのだよ」
そう吐き捨てると、ギルバートはドアを閉めようとした。だがそれを、シンは必死に阻止する。
「シン、いい加減にしないか。君はレイを」
ギルバートがシンに向かい腕を上げた時、その腕を強い力で掴む者がいた。
「ギルやめて。シンは何も悪くないの。私が全部悪いの、だから、シンに酷い事しないで」
「レイ…」
レイの説得の後、ギルバートはシンを家へと招きいれた。
別にギルバートとて、シンを本気で拒絶するつもりなど無かった。
ただ、シンの本当の思いを確かめたい。そんな親心の現われだったのだ。
シンもその事は察しがついていたのか、ギルバートに対して憎しみを懐く事は無かった。
「応接室を使うといい。私は部屋にいる。答えが出るまで、ゆっくりと話しなさい」
「ありがとうございます」
シンはギルバートに一礼すると、椅子に腰を下ろしレイと向かい合った。
まず言わなければならない事は決まっている。
「レイ、本当にごめん。謝って済む事じゃないけど、どうしてもちゃんと謝りたくて…」
「謝らなくてもいい…悪いのは、私の方なのだから」
「なんでレイが悪いんだよ。悪いのは、全部俺だ。俺が…勝手に嫉妬して…」
顔すら上げてくれないレイを見て、シンは絶望を感じた。
もう、やり直せない。レイは、俺を拒絶しているのだ、と。
だが、たとえやり直せないとしても、レイにあの事だけは伝えなければと、シンは口を開こうとした。
「シン…私、本当はね…恐かったんだ…」
「恐かった?って、一体何が?俺がか?」
「違う…恐かったのは、シンじゃない…シンに嫌われる事が恐かったの」
レイはあの時確かに言った。そんな顔をすると思っていたから、見られたくなかった、と。
だがあの時シンは、体の傷に嫌悪して目を見開いた訳ではなかった。
ただ、予想すらしていなかった傷が、レイの体にあった事に驚きを覚えただけだった。
「俺に嫌われるって…俺、レイの事嫌ったりしない。あの傷だって、レイのせいじゃないだろう…
俺も人の事言えないけど、でも、あんなの、男の勝手な欲望だ。だから、レイは汚れてなんか無い。
だから、そんな事で自分の事卑下するなよ。レイは、とても綺麗だ。だから!」
自分の言葉の拙さに、シンは苛立ちを覚える。レイに自分の思いは伝わっただろうか?
レイに、もっと自信を持って生きて欲しいと心から願った。レイはとても綺麗なのだからと。
「ありがとう…シン…そう言ってもらえただけで、私は嬉しく思う。
けど、私は…そう長くは生きられない。それだけじゃない。きっと死ぬ前には、痛みに襲われる。
そうなれば、酷く取り乱し、何を言うかわからない。それに…老化も早い。
醜く朽ち果て、年相当応の容姿でなくなる。そうなれば、シンはきっと…」
レイは今まで隠し続けた本音をシンに告げた。だが、決して涙を見せる事無く、強気な態度を貫き通す。
「それにね…昨日、ギルに言われた。子供は無理だって。飲み続けている薬のせいで、ね。
私はシンに何も残してやれない。傍にもいられず、何も残せない私が、シンと一緒にいる権利はない…
でもね、本当に恐かったのは、シンに嫌な想い出しか残せなくなる事…
シンがこの先、素敵な女性と恋したとしても、心の隅でもいい。私の事を覚えていて欲しい…
覚えてくれている姿が、せめて、シンが好きでいてくれた時の私なら、良いなと思ったの…」
その告白を聞して、シンが思ったのはただ一つだった。その答えをシンは口にする。
「そんな事出来る訳無いだろう。そんな無理な事言うなよ」
「そうだよな…覚えていてくれなんて、むしが良過ぎるね。ごめん、忘れて。
今の言葉も、私の事も全部…全部忘れて、幸せになって。私はそれを…願って」
「違う、そういう意味じゃ無い。俺がレイ以外、好きになる訳無いだろう。
たとえ、レイが俺の前からいなくなったとしても、忘れる訳無いだろう。
心の隅に置いておけって、そんなの無理に決まっている。レイがいなくなっても、
俺の心の中は、ずっとレイで一杯だ…他のものなんか、入れられない…」
「…シン…」
シンは立ち上がると、ゆっくりとレイの傍に寄り、しっかりとその体を抱いた。
そして自分の想いがレイに伝わる事を祈って、本心を告げる。
「俺、レイの事初めて見た時、スゲー綺麗だと思った。
初めて惹かれたのは、確かに容姿だったかも知れない。
けど、レイの事本当に好きになったのは、その綺麗な心だ。レイの全てが好きだ…
体の傷も、心に負った傷も、全てを含めてレイが好きなんだ。
たとえ、レイがこの先、どんな事を言っても、どんな姿になっても、嫌いになんてなれない。
子供とか、そんなの考えなくていいから。レイは自分が幸せになることだけ考えろよ」
「シン、でも…」
「俺じゃ駄目なのか。俺じゃ、レイを幸せに出来ないのか…
もっと俺を信じてくれ。俺は、絶対にレイを幸せにする。不安にさせたりしないから、
だから、何も考えないで傍にいてくれ。お願いだから…」
「シン。本当に、私でいいのか?こんな私で…」
「レイがいい。俺は、レイじゃなければ駄目なんだ…」
「あ、ありがとう…シン…」
レイはシンの腕の中で初めて涙した。レイが涙を流し、その腕を心から安らげると感じたのは、
ラウと、ギルバート以外、シンが初めてだった。
自らが幸せになる事を諦めていた。だが、シンの想いがそれを変えさせた。
シンと幸せに暮らしたい。残された時間は短いかも知れない。
だからそこ、その時間を全てシンと共にと、心から願ったのだ。
シンも又、心からレイを幸せにしてやりたいと想っていた。
心に深い傷を負っていることに、気付いてやれなかった悔しさ。虚しさ。
レイを理解していると思っていた。だが、それは驕りだったのだと始めて知った。
2人の関係は、まだ何も始まっていなかったのかも知れない。だから、これから始めようと心に誓う。
「レイ、好きだよ」
「私も好きだ。シンが一番好き…」
2人はどちらかともなく唇を寄せた。本当の愛をはじめる為に…
「ギル、毛布お借りしてもいいですか?」
「毛布?一体何に使うんだい?」
「シンが…昨日寝てなかったみたいで、その…眠ってしまって…」
「ああ、そうか…」
ギルバートは、レイに何も聞かなかった。レイの晴れかな顔を見れば、聞かずとも分かったからだ。
「これを使いなさい」
「ありがとうございます…」
ギルバートは毛布を手渡すと、レイに優しく微笑みかける。
「レイ、レイ・ザ・バレル」
「あ、はい。あの…ギル?」
レイはギルバートの真意が掴めず、少し困ったような顔をする。
「君を、レイ・ザ・バレルと呼ぶのは、これが最後になると思ってね」
「えっ!」
「シンと結婚しなさい。形式に拘る必要は無いが、けじめの様なものだ。
2人で生きていくのだと、必ず幸せになるのだという事に対してのね」
「ギル…」
「もちろん、私も2人の式には参加させてもらうよ。花嫁の父としてね…」
「ギル…ありがとう」
――それから2ヶ月後――
「シン、緊張しまくりだな」
「からかいに来たのなら帰れよ、ヨウラン」
「俺は別にシンを見に来たんじゃないよ。レイを見に来たんだよ」
「見るな、減るだろう!」
「何だよ、それ。ずっと見続けてやる、穴が開くほど」
結婚式当日、シンはドキドキが治まらなかった。式の日取りはレイと直ぐに決めたものの、
盛大に開くつもりなど毛頭なかったのだ。だが、ルナマリアたちが勝手に式の予定を立て、今に至る。
「何ガキみたいに騒いでいるのよ。そんな事するなら、私が花嫁連れて、逃げちゃうわよ」
「何だよルナ。そんな言い方…」
シンは声がする方に視線を送り、思わず唾を飲み込んだ。
なぜなら、ルナマリアの隣に立つ、純白のドレスを身に纏ったレイが余りにも綺麗だったからだ。
「レイ、スッゲー綺麗だ。俺も、レイ連れて逃げたい」
「ふざけるなよヴィーノ。レイは…レイは俺の花嫁だ」
「ハイハイ。シンは一番の幸せ者だよ。本当に、な」
「う、うん…」
今だレイから視線を動かそうとしないシンに、レイは恥ずかしそうに言葉をかける。
「シン、余り見ないでくれ。こんな格好は、恥ずかしいんだ…」
「恥ずかしがるなよ。凄い、綺麗だから」
「そんな事いわないでくれ。本当に…恥ずかしい…」
頬を紅く染めるレイを見て、シンは心から幸せだと思わずにはいられなかった。
「何、ギルバート、神妙な顔して。花嫁の父親の気分を存分に味わってるのかしら」
「からかわないでおくれ、タリア。ただね…ラウにも、レイのこの姿を見せたいと想ってね」
「そうね。レイ本当に幸せそうですものね」
タリアはラウの事を詳しく知ってる訳ではなかったが、何となく、ラウがどの様な人物かは察していた。
「さぁギルバート。父親としての、最高の場面よ。しっかりレイをエスコートしてあげて」
「ああ、そうだね」
ギルバートはレイの傍に行くと、そっとその手を取った。
「レイ、おめでとう。私も嬉しいよ。今日はレイに、プレゼントがあるのだよ」
「私に?何ですか?」
ギルバートはケースを取り出すと、それをレイに手渡した。
「新しい薬だよ。これがあれば、レイとシンの2人の時は、かなり長くなる」
「ギル…」
喜びの余り泣きそうになるレイの耳元で、ギルバートはそっと囁いた。
「泣くのはまだ早いよ。花嫁が泣くのは、花婿の前と言うのが、私の好みだ。さぁ、行くよ」
レイはギルバートに手を引かれながら、ゆっくりとシンの元に歩いていった。
「シン。レイの事を頼んだよ」
「はい。必ず幸せにします」
ギルバートは、レイの手をシンに渡した。
今まで愛しみ育て上げたレイを、本当の意味でシンに渡した瞬間だった。
そして心の中で強く願った。レイが一生幸せでありますようにと…
終わり
GJです!
あれ、おかしいな、目から汗が…
うおおおう、世界中が涙した…
禿しく乙です。マジでレイは幸せになるべきだ!
レイの幸せを俺も強く祈ってるよ。
いいもの読ませてもらってありがとう。
>俺、レイの事初めて見た時、スゲー綺麗だと思った
率直な台詞がシンさんらしいやw
保守
保守
保守
あげ
体が震えるほどの感動…
すごい久々に来たけど相変わらずいいな
また通う事にする
保守!
695 :
時を刻んで:2006/08/31(木) 00:51:03 ID:???
メサイアの一室。シンは最後の戦いにそなえ、レイと2人、その時を静かに待っていた。
今まで何度となく戦場を駆け巡ってきた。だが、今回は他の時とは比べ物にならないほど緊張していたのだ。
「なぁレイ…」
「何だ?」
「あ、いや…別に…」
隣に座るレイも、何時になく緊張しているのが手に取るように分かり、シンは言葉を止めた。
「言いたい事があるのなら、はっきり言え。もしかしたら、もう…」
もしかしたら、もう…その先に続く言葉を、シンは瞬時に察した。
―もう、逢えなくなるかも知れない―と。
「この戦争が、もし終ったら…いや、絶対に俺達の勝利に終らせるから…
平和になって、自由な時間が持てたら、レイは何がしたい?」
シンは、この場には相応しくないと分かりつつも、自分の思いを告げた。
レイの口から、その言葉を聞きたくなかったからだ。
「そうだな…何も考えず、ゆっくりとした時間を過ごしたい…シンは?シンは何がしたい?」
「俺は…」
シンにはずっと想い、願ったいたことがあった。レイに淡い恋心を懐いてからずっと…
しかしそれは、この場には相応しくない言葉だと想えた。だが、今告げなければ、もう…
「俺、俺は、レイとデートしたい…その、レイが迷惑じゃなければだけど…」
言ってしまった。レイに不謹慎だと思われたのではないか、いやそれよりも、迷惑だと思われたたかも。
俯き考え込んでしまったレイを見て、シンは少しだけ後悔をした。
「ごめんレイ。こんな時に、不謹慎だよな。あ、冗談、冗談だ…」
取り繕うとしたのに、ますますどつぼにはまった気がして、シンは苦笑いを浮かべた。
「なんだ、冗談なのか…ちょっと残念だ」
「えっ!それって、レイ?」
「私もシンと同じ事を思ったが、冗談だったのなら仕方が無い」
「違う、冗談じゃない。本気、俺本気でレイとデートがしたい。でもレイ、何で俺なんかと?」
「それを、私に言わせるのか?」
照れくさそうにそう言ったレイを、シンは思わず抱きしめた。
先程までピーンとした空気だった筈なのに、2人の間には、束の間の穏やかな時間があった。
「本当に、そんな時間が訪れればいいな…」
腕の中でそう呟くレイを、シンは心から愛しいと思った。
そして必ず、この戦いをザフト軍の勝利に終らせようと心に誓う。
「俺は負けない、絶対に。もうあの頃の、力を持たなかった頃の俺とは違う」
「そうだな。シンならば必ず、オーブ軍に勝てる。済まない、少し弱気になっていた」
「レイは強いから、俺の力なんて必要ないかもしれないけれど、もし何かあったら、俺を直ぐに呼んでくれ。
どんな事をしても、直ぐにレイの所に駆けつけるから。レイの事は、俺が護るから」
「ありがとう、シン」
嬉しそうにシンの胸元に手を寄せたレイの手首にある時計が、フッとシンの目に留まった。
「その時計、今日も付けているんだ?」
アカデミーに入学した際、生徒達全員に最新式のデジタル時計が支給された。
時間に寸分の狂いも無い生活をさせる為と、所在地の把握や、通信を目的とされていたが、
レイは入学当時からそれを使用せず、アンティークなアナログ時計を使用していた。
規律に厳しいレイが、違反していたのはそれだけだった。
もちろん支給された時計は、ポケットに入れて携帯はしていたが、
シンはその事が以前から不思議でならなかったのだ。
696 :
時を刻んで:2006/08/31(木) 00:52:01 ID:???
「ああ、この時計か…これは子供の頃、ある方から頂いた物だ。
子供だったので、時計の価値などは分からなかったが、私はこの時計が好きだった。
当時一緒に暮らしていた方は、とても忙しい方で、家を空けられることもしばしばあった。
短い針が、後何回、一周したら帰ってこられるとか、長い針が、どの数字になったら帰って来れれるとか、
そんな事を思いながら、いつもこの時計を眺めていた。
それに、夜もこの時計が奏でるカチカチという音を聞いていると、不思議と良く眠れたんだ」
「そうだったんだ。あ、ずっとその時計の事気になっていて」
「これは自動巻き式で、通常一度リューズを巻き、日常生活をしているととまる事はないのだが、
ここ数日は頻繁に止まる様になってしまった。古い物だから仕方が無いのかもしれないが…」
そう言ったレイの表情が少し憂いの帯びたように見え、シンはドキッとした。
「あ、じゃあ今度は、俺が時計をプレゼントするよ。その時計には及ばないかもしれないけど…」
「シン。気持ちは嬉しいが、私はこれで十分だ。この時計が、完全にその役割を終える前に、きっと私は…」
「そんな事言うなよ。レイは、そんなに早く…そんなに早くいなくなったりしない」
数日前レイに告げられた言葉が、シンの頭を過ぎった。私の未来は、そう長くない、と。
だが、近くその役目を終えるであろう時計よりも、己の生命が短いなど、決して言って欲しくなかった。
レイに一日でも長く生きてもらいたい。それはシンの一番の願いでもあり、願望だった。
「あ、ありがとうシン…今日はシンに礼を言ってばかりだな」
何かを決心したようにレイはシンを見つめた後、その腕に巻いた時計を外した。
「シン、頼みがある。この時計、持っていてくれないか?」
「なんで、俺に。レイ、まさか…」
もう、必要ないから。そう言い出すのではないか、シンはそんな不安に表情を歪める。
そんなシンの思いを察したのか、レイは笑顔を浮かべて思いを告げる。
「いや、そんな意味ではない。私は必ずシンの元に帰って来る。だから、シンも。
シンも必ず、私も元に帰って来て、その時計を返してくれ。
互いに必ず生きて帰って来る。その誓いだと、思って欲しい。嫌か?」
「嫌じゃない。分かった。俺は絶対にレイの元に帰る。だから、レイも必ず」
シンはもう一度レイを優しく抱きしめた。必ず生きて、レイの元に戻ると。
そして平和な時が訪れたあかつきには、普通の恋人の様にデートをしようという想いを胸に。
プラントでは成人とみなされる年齢に達しているとはいえ、まだ若い2人が、死と向き合わなくてはならない、
命を懸けなければならないという現実は、実際に戦場に身を置いていない者には、分かりえないだろう。
そうでもしないと、本当の幸せは手に入らない。シンもレイも、その事は十分理解していた。
もしも、ごく普通の学校で出逢い、ごく普通の恋人同士だったら…
そんな甘い夢を見ることは許されない。辛い現実を前に、2人は暫し熱い抱擁を交わした。
この先に、幸せな時が待っているのだと、信じて…
「レイ…」
シンは愛しい者の名を口にして、アスラン・ザラを追った。
「フリーダムは私が討つ。シンはアスランを追え」
レイの決意の籠もった言葉を受け、己の役割を果たす為に…
フリーダムの強さは嫌というほど、分かっていた。レイの事が心配で仕方が無かった。
だがレイは約束してくれた。必ず生きて帰ると、今はその言葉を信じるしかない。
俺は、アスランを倒す、デスティニーのペダルを強く踏み込み、そのスピードを速めた
自軍や敵軍が戦いの中放つ光を見つめながら、先を急げば、そこにはジャスティスと対峙する
インパルスの姿があった。ルナマリア、彼女も又大切な仲間だ。絶対に護らなくてはならない。
697 :
時を刻んで:2006/08/31(木) 00:53:43 ID:???
シンは両機に割り込むようにして、ジャスティスと真正面から向かい合う。
「アスラン」
「シン、お前も、もう止めろ」
止めろ。一体何を止めろと言うのだろう。ここで自分が戦いを止めてしまっては、
その先に待っているのは、ラクス率いるオーブ軍の支配する世界だけだ。
そこに皆の幸せはあるのだろうか?
―自由― ―夢―
聞こえは良いが、それを持つ事が許されるのは、力のある者のみだ。
今日、明日生きる事もままならぬ者がいる事や、泥水を吸い続けている者がいる事さえ、知らない者達が、
想い描く理想だけの世界。そんな世界に幸せがあるとは、シンには到底思えなかった。
「止めない。俺は、アスラン、お前を倒す。そして―」
必ず勝利を収めて、レイの元に帰るんだ。改めてそう決意するシンは、レイの時計に目をやった。
「えっ!」
シンは思わず驚きの声を上げた。時計の針が、時を刻んでいなかったからだ。
まさか、レイの身に何かあったのだろか?シンの心に不安が過ぎる。
シンの動きが止まった瞬間を、アスランは見逃さなかった。
「シン、止めないと言うのなら、俺はお前を討つ」
「しまった!」
シンは目前に迫るジャスティスにビームを放とうとしたが、もう時は既に遅かった。
ジャスティスのサーベルが、デスティニーの腕を切り裂く…
負けられない、俺は勝たなければならないんだ。何としても。
決死の思いでキックを繰り出すが、それをいとも簡単にアスランは阻む。
嫌だ、負けたくない。俺は…約束したんだ、レイに。
そんな思いも虚しく、シンの身体を強い衝撃が襲う。
俺は約束した。レイの元に必ず帰るって…なのに、なぜ、俺は…
薄れゆく意識の中、何度も愛しい者の顔を思い浮かべた。
「ごめんレイ…俺…戻れないかも…」
シンは力なくそう呟くと、意識を完全に手放してしまったのだった。
「シン、シン」
「…ん…ぅん」
優しい声に呼びかけられ、シンは瞼を開けた。そこには、自分を心配そうに見つめるレイの姿があった。
「レイ…良かった…無事だったんだ…」
シンは自身の置かれた状況も気にしないで、レイの生に安堵の息を吐く。
「ああ…」
まだはっきりとしない視界だったので、レイがどの様な表情をしているのかは、シンには分からなかった。
「ザフトは、ザフトは…負けたのか?」
「いや、勝った。アスランが、最後の最後で、ザフト軍の魂を取り戻し、こちらに味方してくれた」
「そっか、アスランが…」
アスランに倒された事は悔しかった。だが、ザフト軍が勝利したのなら、もう構わなかった。
「レイ、ごめんな。俺、結局何も出来なくて…偉そうな事言ったのに…」
「そんな事は気にしなくて良い…シンは、シンは生きている。それだけで十分だ」
段々とクリアになってきた視界が捉えたのは、どこか辛そうなレイの顔だった。
だが、この時のシンには、その表情の意味を分からずにいた。いや、考えすらしなかったのだ。
シンもまた、レイが生きていただけで十分だと心から想えたからだ。
そして、自分の腕に巻かれたレイの時計が、今だ止まったままだという事にも、気付かないのだった。
続く。
つ、続きをお待ちしております!!
>>697 >「いや、勝った。アスランが、最後の最後で、ザフト軍の魂を取り戻し、こちらに味方してくれた」
ワロス
GJ!
続きを楽しみにしてます
701 :
時を刻んで:2006/09/01(金) 22:47:00 ID:???
「う…ん…」
シンは重い瞼を擦りながら、身体を起こした。
「あれ…ここどこだ?」
見慣れない部屋を見渡して、シンは一人呟いた。
「シン、良かった。目を覚まして、もう3日間も眠り続けていたんだぞ」
声のした方に顔をやれば、心配そうに自分を見つめるレイの姿があった。
「3日も、俺寝ていたのか?」
「ああ、おそらく身体を強く打ちつけた事が原因だろう」
確かに、あの時受けた衝撃を思えば、眠り続けていたとしても不思議ではない。
だが、あの場からどうやってここに来たのか、いやここが何処なのかさえ分からず、シンは頭を抱えた。
「ここは基地の中だ。戦争は終焉を迎え、今は落ち着きを取り戻した。
私達は指示があるまで待機という事になっている。だから、シンは何も気にせず、ゆっくり休むといい」
「え、でも俺…どこも痛くないし。大丈夫だよ」
シンは身体を数回動かし、何処にも痛みを感じない事に違和感を覚えた。
身体に受けた衝撃が原因で、眠り続けていたというのなら、どこかが痛んでも不思議では無いからだ。
「そうか、それは良かった。だが、念のため今日一日は大人しくしていろ」
「でもほんと、何処も痛くないんだ。だから、平気だ」
シンはレイの言葉も聞かず、ベッドから足を下ろし一歩踏み出した時、不思議な感覚に囚われた。
浮遊感というか、足が地に着かず、宙を舞っているようなそんな気がした。
「シン?どうかしたのか?」
レイに心配をかけたくない。これ位なんてことはない。
きっと、長く寝ていたせいだ。シンは自分にそう言い聞かせて、平静を装う。
「別に、なんでもない」
少しの身体の異変などどうでも良かった。再びレイと向き合い、会話が出来る。それが嬉しくて堪らない。
必ず生きて帰る。その約束を無事叶えられた事が、なりよりの喜びだったのだ。
あ、そうだ。時計。時計もレイに返さなければ、シンはそう思い、時計に目をやった。
「…あ…」
時計はデスティニーの中で見た時と変わらず、止まったままだった。
俺がずっと眠っていたから、時計のリューズを巻く事も出来なかったのだと、
レイに対して申し訳ない思いになり、シンは慌てて時計を外す。
「ごめんレイ。時計返すよ。俺のせいで止まったままだけど…」
「気にしなくていい。言っただろう、最近は良く狂っていたと…シンのせいではない」
レイは時計を受け取ると、暫しそれを見つめた後、シンに笑顔を見せた。
「約束。シンは、ちゃんと守ってくれた。それだけで、いい…」
「レイ…」
シンを見つめていた瞳をみるみる涙で潤ませ、やがて大粒の涙を流しながら、レイは言葉を綴った。
「シン、もう一つの約束も、果たしてくれるか?」
もう一つの約束、平和な日々が訪れ、自由な時間を持てたらデートをしよう。
そんなありふれた、だが、あの時は夢の様だった小さな約束。それをシンが拒む筈もない。
「当たり前だろう、俺が言い出したことだし…何も泣く事無いだろう。
デートなんか、これから嫌って言うほど出来る。あ、レイが嫌じゃねければだけど…」
「嫌じゃない…ただ…」
きっとレイも、突然訪れた安息の日々に、戸惑っているのだろう。
あの時、死をも覚悟していたレイならば、分からないでもないと、シンは安易に思った。
702 :
時を刻んで:2006/09/01(金) 22:48:35 ID:???
だったら、今から行こう。俺、直ぐ準備するから…って、服はどこ?」
「ミネルバに置いてあった物なら、この部屋に運んである。直ぐに出すから、待っていてくれ」
涙を指で拭い、隣の部屋に向かうレイの背中を見ながら、シンはベッドに腰を下ろした。
頭がふら付き、視界が少しぼやけた感じがしたからだ。
やはり、体調は万全でないのだろうか?だが、レイとの約束を守りたい。
そんな想いから、シンは再び立ち上がり、レイが来るのを待った。
命をかけて戦っていた数日前に比べれば、この位は我慢出来ると、自分に言い聞かせて…
準備を終えた2人は街に出た。そこにあった風景は、シンが予想していたよりも、遥かに穏やかだった。
数日前に戦争を終えたばかりだとは思えないほど、皆の顔は明るかった。
「何だか皆楽しそうだな。ほんと良かった、これも全部、戦争に勝ったからだろうな。
俺は何にも出来なかったけど…あ、そうだレイ。アスランが味方してくれたって言ってたけど、
随分急な心変わりだな。俺と戦った時は、そんな素振り全然見せなかったのに」
「あ、それは…もういいだろう、そんな事はどうでも。アスランにも色々想う所があったのだろう」
レイには珍しく物事をはぐらかす感じの物言いに、シンは少しの戸惑いを覚えた。
そう言えば、今後の軍のあり方など、レイは一度も口にしていない。
レイの性格を思えば、何を置いてもその事を話しても不思議ではないというのに。
「あのさ、レイ。これからプラントはどうなるんだろうな。連合やオーブとの関係とか?」
「シン。今は、今だけは、何も考えずに、この瞬間を楽しんでは駄目か?私は今を、楽しみたい…」
今にも泣き出しそうなレイを見て、シンは、レイも普通の女だったのだと感じた。
今までは、強くあらなければと、強い人間を演じていたのだろうと思え、心が痛んだ。
「ごめんレイ。そうだよな、俺も今を楽しみたい」
シンは手を伸ばし、そっとレイの右手を握った。
レイは一瞬戸惑ったような表情を見せたが、シンに答えるように、その手をそっと握り返す。
その様子は、どこにでもいる普通の恋人同士に見えた。
だがレイの手は、普通の生活を送っている少女とは違い、柔らかな手ではなかった。
MSを巧みに操る為に、又銃の腕を上げる為に毎日練習を繰り返していたので、所々豆などが出来ていた。
しかしシンは、その手が好きだった。レイの歩んできた人生を、語っていると想えるからだ。
これからは、戦いの無い世界でレイに穏やかな時間を過ごしてもらいたいと、シンは願った。
「何処行こうか?」
「何処でもいい」
シンはレイの手をしっかりと握り、ゆっくりと歩き出した。
この幸せな時が永遠に続くのだと、疑いもしないで…
2人は路地にある、小さなパスタ屋に入店した。食事時を外していたので、店内にいる客は疎らだった。
メニューを手に取り何を食べようかと、シンは暫し思い悩んだ。
アカデミーやミネルバでは、健康面から管理された食事を提供されていたので、
自分で食べたい物を選ぶのは、本当に久しぶりの事だったからだ。
そしてシンはカルボナーラを、レイはトマトソースのパスタを注文した。
3日間も眠っていたせいか、シンはかなりの空腹だった。店内に漂う美味しそうな匂いが、更に空腹を誘う。
「シン、良いのか?久しぶりの食事は、もっとあっさりとしたものの方が」
「でも、俺腹減ってるから。大丈夫だって、これ位」
「まったくシンは…」
703 :
時を刻んで:2006/09/01(金) 22:50:10 ID:???
程なく料理が運ばれてくると、シンはパスタをフォークに一杯巻きつけ、それを食べる。
対照的にレイは上品にパスタを口に運んだ。その美しさにシンは心を奪われた。
「シン?どうかしたか?」
「え、いや…レイのも美味しそうだな」
見とれていたなど言えもせず、シンはおどけてみせる。
「そうか。では、食べるか?」
手馴れた様子でフォークにパスタを巻きつけ、レイはそれをシンの口元に運んだ。
「サ…サンキュー…」
シンはそれを口にしながら、自分でも信じられない位に胸が高鳴っていた。
先程までレイが使っていたフォークで、それをしてもらったと思えば思うほど、ドキドキが治まらなくなる。
俺はガキかよ。と自身に突っ込みを入れながら、シンは自分の顔が赤くなるのを感じていた。
「どうかしたのか?」
「え!う、美味い。トマトソースも中々いけるよな…」
その言葉に、レイは「そうか」と柔らかく微笑む。
やっぱり今日、レイとデートしてよかった。外出してからは、身体の異変も感じない。
と、シンはそこまで思って、再び不思議な感覚に囚われた。
目の前が霞み、頭がぼやける。俺は一体如何したのだろう?先程までは調子が良かったのに。
レイが今を楽しみたいと言っているのに、しっかりとしなければ、とシンは気合を入れる。
だが、それも虚しく、意識は段々と薄らいでいってしまった。
「シン…シン…」
「…えっ…」
シンが再び目覚めたのは、なぜかあの店ではなく、公園のベンチだった。
俺はなぜここにいるのだろう?ベンチに横になったまま、シンは空を見ながら考えた。
なぜ、記憶と今の状況が一致しないのだろうと。そして、気味悪さを感じずにはいられなかった。
「レイ、俺なんでここに?」
身体を起こしてレイに視線を向ける。しかし、レイは何も答えず、ただ俯き身体を震わせるばかりだ。
「済まないシン。身体に無理をさせてしまって」
やっとの事で発せられた声は、消え入りそうなほど小さな物だった。
「別にレイのせいじゃない。俺も、今日レイとデートしたかったし。気にするなよな」
「違う、私のせいだ。シンも感じている筈だ。この世界の違和感を…」
「それは…」
確かに朝から違和感は何度となく覚えた。一致しない記憶、身体に感じる異変。
そして、なりよりも何時もとは明らかに違うレイの態度。
それが少しづつ、まるでジグソーパズルの様に、シンの頭の中で組み合わさっていく。
「違和感って…レイ…」
シンは咄嗟にレイの左手を掴んだ。その時レイの時計に目がいき、シンはハッとした。
「レイ、時計止まったままだぞ。ちゃんと動かさなかったのか?」
「この時計は、もう動かない…」
「えっ!」
その言葉が、今までレイが放った言葉を正確にシンの頭に蘇らせた。
―シンは生きている―約束。シンは、ちゃんと守ってくれた―
なぜレイは、シンは、と俺の事を強調したのだろう。レイだって、生きて約束を守ってくれたというのに。
「あ…ああ…」
それを考えた時、シンは冷水を浴びせられたように、身体が震えていくのを感じた。
「もう分かっただろう、私は…もう既に、この世の者ではないのだと…」
「何を言っているんだよレイ。悪い冗談は止めてくれよ…レイは、ちゃんと俺の前にいるじゃないか?」
704 :
時を刻んで:2006/09/01(金) 22:54:53 ID:???
「この世界は、私の夢の世界…こうあれば良かったと、願い続けた、私の夢の世界だ…
私はあの戦いの中、命を落とした。その時は、もう死んでも良いと本気で思った。
けど、どうしても、どうしても諦められない事があった…シンが、私に言ってくれた事。
平和な世界になったら、デートしようって…それだけは…」
レイの言葉を今だ信じられず、いや、信じたくなくてシンは何度も頭を横に振った。
違う、そんなのは嘘だ。レイは生きている、ちゃんと会話もしているし、手も繋いだ。
なのに、レイが死んでいるなどと、どうしても信じたくなかった。
「嘘だ、そんなの嘘だ。俺は信じない、そんな事信じられる筈ないだろう」
「シン、聞いてくれ。私は、どうしてもシンとの約束を諦めきれずに、少しだけ時間を貰った。
だが、実際に生き返られず筈もなく、シンに私の夢の中に来てもらうしか方法がなかった…
だけど、この世界は、シンにとっては苦痛だっただろう。身体が普通の状態ではなかった筈だ。
本当に済まない。私の我が侭に付き合わせて、私の勝手な想いが、シンを苦しませた…
だからもう、終わりにする。これ以上、シンを私の我が侭に、つき合わさせる訳にはいかない」
身体の異変などどうでも良かった。レイに謝ってもらう必要など、微塵も感じなかった。
寧ろ、そうしてくれた事に、歓びを感じる。だが、このままレイが消えてしまうことだけは許せなかった。
「謝らなくても良いよ。俺、全然怒ってない。身体だって、レイと一緒にいられるなら、どうなったっていい。
だから、俺の前からいなくならないでくれ。この世界でレイと暮らせるのなら、俺は一生このままでも」
「駄目だ、シンは生きている。シンは生きているのだから、私と共にいる事はもう出来ない」
「だったら、俺…死んでも構わない。レイといられるのなら」
「お願いだから、そんな事は言わないでくれ」
レイの泣き叫ぶような声に、シンは言葉を失った。
「シン…私は、生きる希望を失い、あのメサイアで命を絶った。それなのに、こんな勝手な事をした。
そんな私の言葉など聞きたくは無いかも知れないが、どうか聞いてくれ…
シンの力は、これからの世界に必要なものだ。シンがしなければ、未来は決して開かれない」
「俺なんかに、何が出来るって言うんだよ。俺は、アスラン一人にすら勝てなかった。
そんな俺が、レイのいない世界で、一体なのが出来るって言うんだよ。俺一人で、そんなの無理だ」
「シンは、一人じゃないだろう。ルナマリアやヨウラン。そして、ミネルバの仲間達…
オーブ軍の独裁を許さない者達も、まだ沢山いる。もう一度力を結集する時、必ず先頭に立つ者が必要となる。
それが出来るのは、シン、お前しかいない。頼む、私の欲しかった世界を…失くさないでくれ…」
レイの欲しかった世界、それは自分が、今日見た世界。皆が嬉しそうに暮らす世界に他ならない。
レイがメサイアで命を落としたというのならば、ザフト軍が負けた事は、嫌でも察せられる。
皆が幸せであって欲しいと言う、レイの願いも分かる。シンとて、皆の幸せを願っている。
だが、レイのいない世界に、自分は幸せを見出せるのだろうか?
今までの様に、本気で戦えるのだろうか?一番幸せになって欲しかったレイが、いない世界で…
シンは何度も繰り返し、それを自問する。
「シン、お願いだ…私の最後の頼みを聞いてくれ…」
頬に幾重にも涙を流しながらそう言うレイに、シンは初めて嘘を吐いた。
「分かったよ、レイ…」
本当は分かってなどいない。レイが生きていてくれないと、何も出来ないかもしれないと思うのだ。
だが、愛しい者の最後の願いを、嫌だとは到底言える筈も無く、シンは作り笑顔をみせる。
「ありがとう…シン聞き入れたくれて…そして、今日はとても楽しかった。本当にありがとう」
「これ位で喜ぶなよ…」
生きていたら何度でも、デート位出来たのに。その想いを、口に出来る筈もなく、シンは言葉を飲み込む。
「本当に嬉しかった。心から感謝している…シン…さようなら…」
レイのその言葉を引き金に、シンの意識は段々と薄らいでいくのだった。
続く。
良いものをありがとう!!
続きをwktkしながら待ってるよ。
706 :
時を刻んで:2006/09/03(日) 18:15:40 ID:???
「シン、シン」
誰かが自分を呼んでいる。シンは瞼を静かに開けた。だがそこにいたのは、レイではなく、ルナマリアだった。
「ルナ…俺…」
「良かった、気がついて。心配したんだから…」
俺は確か…レイといて…そして…
「ル、ルナ。メサイアは、メサイアはどうなった?」
ルナマリアは辛そうな顔をしながら、頭を後ろに向けた。それを見て、シンも又ルナマリアと同じ方向を見る。
「あ…メサイアが…」
そこにあったのは、悲しい現実。崩れいくメサイアの姿だった。
「あの中にはレイが、レイがいるんだ。俺、助けに行かないと」
「無理よシン。もう、間に合わないわ。それにデスティニーは…」
アスランとの戦いで、愛機はその能力を失くし、ただの鉄の塊と化していた。
ギルバートによって与えられた力を、無の物と変えてしまったのは、他ではない自分だった。
「くそうっ、もう駄目なのかよ。俺には何も出来ないのか…これじゃ、あの時と何も変わってないじゃないか」
世の中の皆を護る。そんな大口を叩きながら、何も出来ず、レイを護る事さえ出来なかった。
己の力の無さに、悔しさが込み上げる。
手に巻いたレイの時計を見詰めながら、シンは唇を噛み締めた。
時が戻ればいい。それは、家族を喪った時も、死ぬのが恐いと震えていたステラを喪った時も、そう願った。
だが、本気で願っただろうか。心の何処かで、そんな夢物語はないのだと、諦めていたのではないのか?
「諦められない」
「シン?」
「俺はもう嫌だ。大切な者を亡くすのは、もう沢山だ」
シンは焦る気持ちを抑えながら、手に巻いていた時計を外す。
そしてリューズを引き上げ、針を逆に廻す。時が戻る事を祈りながら。
時計の針を戻せば、実際の時も戻る。そんな子供じみた考えが、実際にある筈が無いと、皆は思うだろう。
だが、この時のシンには、それ位しか出来る事が無かったのだ。
この度も頃から直ぐ傍で、レイを見てきた時計。レイの苦しみも、哀しみも知り尽くしている時計。
「お前になら分かるだろう、レイの辛さが。レイにも幸せになる権利があるんだ。
お願いだ、時を戻してくれ。俺にレイを助けるチャンスを、与えてくれ。頼む―」
もの言わぬ物に、シンは必死に話しかけ、それを手でしっかりと握る。
「シン…」
傍でその様子を見守っていたルナマリアは、シンの手に自分の手を重ねた。
「私も祈るわ…だから、もし時が戻ったら。絶対にレイを護ってね」
「ルナ…」
シンはもう一度心から祈った。時を戻してくれと。
その時、シンはこの数日、いやもしかしたら数時間だったかも知れない。
レイと過ごした中で感じたあの感覚。頭がぼやけるような感覚に襲われた。
シンはそれに逆らう事無く、ゆっくりと瞼を閉じた。レイの事を想いながら…
「シン」
シンはその声に反応するように瞼を開ける。
そこにいるのはルナマリアだろうか?それとも、夢の中で共に過ごしたレイだろうか?
シンはそのどちらも望んでいなかった。望んだ人物はただ一人…
ぼやけていた視界が、やがてクリアになった。そしてそこでシンが目にしたのは。
あちらこちらで戦いの光が舞う宇宙で、自分の前に立ち塞がるジャスティスの姿だった。
707 :
時を刻んで:2006/09/03(日) 18:17:46 ID:???
「アスラン!」
「シン、もう止めろ。お前は未来まで殺す気か?お前が欲しかったのは、本当にそんな世界か?」
まるでビデオを再生したかのように、過去に体験した場面が繰り返された。
時は戻った。又やり直せる。今度こそ、アスランを倒し、レイを護るんだ。
「未来?そうだ、俺は未来が欲しい。自分を犠牲にしながらも、皆の幸せを祈るレイが欲した未来が」
「シン、言った筈だ。レイと議長の言葉は未来を殺すと。それが分からないのなら、俺はお前を討つ」
アスランはそう叫びながら、サーベルを振りかざしながら向かっていった。
その様子をシンは、自分でも驚くほど冷静に見詰めた。
俺はこの一振りでやられた。だが、今度は、今度そこやられる訳にはいかないのだと、心に誓いながら。
ジャスティスのサーベルを寸でのとこでかわし、シンは逆にジャスティスに切りかかる。
先ずは両腕を切り落とし、そして間髪要れずに再度機体に刀を振り落とす。
これでアスランを倒せる、シンはそう確信した時、レイの言葉を想い出していた。
やられる!アスランは目を閉じ、その瞬間をただ待つしかなかった。だが一向に衝撃は感じない。
ゆっくりと目を開ければ、徐々に距離を取っていくデスティニーの姿が見える。
「シン、なぜ俺を討たなかった。お前の刀は確実に、俺の機体を捉えていた筈だ、なのになぜ?」
「レイは…レイは、アスランがもう一度、ザフトの心を取り戻す事を望んでいたからだ…」
「レイが、そんな筈はない。あいつは、俺を何度も殺そうとした!」
「ザフトを裏切ったあんたを許せない。それがレイの心の殆んどを支配していたと思う。
けど、心のどこかで、あんたの事を信じていた。それが、俺には分かるんだ…」
レイがシンに見せた夢の世界。人々が笑顔で暮らす、穏やかな世界。
あれがレイの願いだったと、シンには分かった。そして、レイは確かに言った。
―アスランが味方してくれて、ザフトが勝った―と。
あれもレイの夢の一つだったのではないのかと、シンには想えたのだ。
「アスラン。俺が一番護りたいのはレイだ。世の中とか、そんな事言う前に、レイを一番護りたい。
あんただって、仲間を護りたい。それが、一番の願いじゃないのか?
俺はあんたの仲間の事は良く知らない。フリーダムのパイロットの考えとかも。
でも、あんたは知っている筈だ。レイが戦っている理由が、一体なんなのかを!
本当にレイが、世の中の終焉を望んでいると想うのかよ。
俺はレイを助けに行く。それでもあんたが邪魔するというんだったら、今度は本当に討つ」
そう言い残して、レイの元に向かうデスティニーの背中を、アスランはただ見詰めることしか出来なかった。
時は戻った。これでレイを救うチャンスは得られた。だが、本当に救うことが出来るのだろうか?
いや、救わなければならない。夢の中で涙するレイの顔を想い出しながら、シンはレイの元へと向かう。
レイが死を選んだ理由は一体何だったのだろう?生きる希望を失ったと、レイは言っていた。
なぜだ?生きている事に価値があると、教えてくれたのはレイだと言うのに。
だが、レイは心の何処かで、この戦いで命を落とす事を、覚悟していたのかも知れないも思えた。
命に代えても創りあげたかった世界。そして護りたかったギルバート。
レイは自分を犠牲にしてもいいのだと、想っていたのではないか。
そんな事は間違えている。何かの為に、犠牲になっていい命などあってはならない。
自分はクローンなのだと、己の出生の秘密を語ったレイ。
その事で、自分の命を軽んじているのだろうか?クローンや強化人間だとしても、同じ一つの命だというのに。
「レイ…絶対に死なせたりしない」
そんなシンの熱い想いを、そう遠くはない場所で、キラ・ヤマトと対峙するレイが知る由もなかったのだ。
レイは、目の前にいるフリーダムから一瞬とて視線を逸らすことはなかった。
自分を初めて抱きしめ、笑顔を向けてくれたラウ。そのラウの命を奪った者、キラがそこにいるからだ。
もしも、彼をこの世に生み出そうと考える者がいなければ、ラウや自分はこの世に誕生していなかっただろう。
この世に産まれいれなければ、苦しみや哀しみを知らずに済んだだろう。
だが同時に、喜びや楽しみも知ることが出来なかった。
708 :
時を刻んで:2006/09/03(日) 18:20:21 ID:???
ラウと自分の存在は、キラ・ヤマトと共にあると言っても過言ではない。
だが、全ての者の夢の結晶のキラと、大方の者に悪しき存在と思われるであろう自分達では、
余りにも違いがある。命の価値に差はないなど、綺麗ごとに過ぎない。
もしもキラをこの場で討てるのならば、この命くらいならば幾らでも差し出す。
レイはそんな決意を胸に、キラを睨み付けた。
「君は誰だ?」
そんなキラの問いかけに、レイは答えを探した。
アル・ダ・フラガという男の細胞から、創り出された自分とラウ。
同じ苦しみや虚しさを、分かち合えた唯一の人間だったラウ。
彼の無念を知るからこそ、ラウの歩んだ道を、自ら望んで歩んできた。
ならば、私は…だが、ラウと決定的に違う感情を持ってしまった。
シンと出逢い、共に戦う中で、彼を心から愛おしいと想ってしまったのだ。
生きて帰って来てくれと、何時かはデートをしようと言ってくれたシン。
死んでもいいと想いながらも、心の中で生きていたいと想ってしまう。
そんな矛盾した想いが、レイを苦しませた。だが…もう…諦めるしかない…
「俺は、ラウ・ル・クルーゼだ」
口にする事で、自分はラウなのだと、レイは自分に言い聞かせた。
「そんな、なぜ君が、また!」
突然の告白に一瞬戸惑いを見せるキラに、レイはドラグーンを放つのだった。
レイの姿を探すシンの目に、フリーダムと対峙するレジェンドの姿が飛び込んできた。
良かった、レイはまだ生きている。間に合ったんだ。
「レイ、レイっ」
シンは無線で必死にレイに呼びかけた。だがレイからは、何の返答もない。
激しい攻防を繰り広げる2機に近づこうと、シンはデスティニーの動きを速める。
フリーダムに一瞬押される形になったレジェンドを護る様に、シンはフリーダムの前に立ち塞がった。
そしてライフルを構えて、フリーダムを威嚇しながら、背中にいるレイに言葉をかける。
「レイ、大丈夫か?」
「シン…なぜここに?アスランは、アークエンジェルは倒せたのか?」
「アスランは倒した。でも、アークエンジェルはまだだ」
「ならば、私の事はいいから、早くアークエンジェルを倒しに行け。さっきもそう言っただろう!」
「嫌だ。俺はレイを護るって言っただろう。俺の約束の方が先だったよな。レイ?」
「フリーダムは私が倒す、大丈夫だ…だからお前は、アークエンジェルを」
「レイは、俺との約束守ってくれる気ある?レイまさか、死んでもいいなんて想ってないだろうな!」
自分の心を読んだかのようなシンの言葉に、レイはドキッとした。
シンとの約束は守りたい、だが、キラだけはどうしても倒さなければならない。
ギルバートが目指す世界を実現させる為には、なんとしても。
「そうだ、死んでも構わない。私は、私は―
ラウだから。そう言おうとした瞬間、シンの言葉がそれを止めさせた。
「レイ。レイは俺たちと何も変わらない。だから、簡単に死んでも言いなんて言うな。
俺にはレイが必要だ。レイを絶対に喪いたくなんてない。
レイにも夢とか、希望とかあるだろう…それを叶える為には、生き抜くしかないんだ」
シンは私を必要としてくれている。私を…?
死ぬ事を既に覚悟していたレイは、その事に戸惑いを覚える。
そしてラウを喪ってから、暗く閉ざされていた世界に、光を見た気がしたのだった。
「レイ、フリーダムは俺が倒す」
「シン!」
709 :
時を刻んで:2006/09/03(日) 18:22:00 ID:???
キラは、自分に向かって来るデスティニーに目掛けてビームを放とうとした。
敵がラウと名乗った者が操るレジェンドであっても、
過去に自分を倒した相手が操るデスティニーでも、倒さなければならないという事に変わりはない。
「僕は今度こそ、君を討つ」
「俺は討たれたりしない。俺は、レイを護る」
フリーダムのビームをかわし、今度はシンが攻撃をくわえようとしたその時、
3人の耳にアスランの声が飛び込んでくる。
「キラ、シン。そしてレイも、もう止めろ。こんな戦いは無意味だ」
「何を言っているのアスラン?今戦いを止めれば、ラクスやカガリはどうなるの?
あんなに頑張っているのに、それが無駄になっちゃうじゃない?」
「キラ。お前の気持ちは良く分かる。俺もカガリやラクスは護りたい。
だが、シンも、そこにいるレイを護りたい一心で戦っているんだ。
大切な者を護りたい。その想いは同じじゃないのか?誰かを護る為に、誰かを傷つける。
そんな事もうよさないか…俺たちがすべき事は、刃を交える事じゃない…
互いに分かり合うことだ。それを俺に教えてくれたのは、お前と戦っているシンだ」
「アスラン、今更そんな事。僕はそうは思えない。あのデュランダルって人は!」
「議長だって話せば解って下さるかも知れない。それにもう、アークエンジェルは討たれた。
俺達は負けたんだ。これ以上戦っても何も得られはしない」
「そ、そんな…」
ミネルバはアークエンジェルとの死闘のすえ、見事勝利を収めていた。
もしもアスランがシンとの戦いに勝利し、その場に駆けつけていたとしたら、状況は変わっていたかもしれない。
シンが時計の針を巻き戻し、その末に手に入れた勝利は、多くの未来を変える物だった。
「シン、俺達はこれ以上の戦闘を望まない。ザフトが勝利した今、もう出来る事もないしな…
ザフトを裏切り、敵に回った事で罰せられるとしても、俺はそれを甘んじて受ける。
自分の取った行動を悔やんだりもしない。だが、シン。俺はお前に礼が言いたい。
負けてもこんなに胸が晴れやかなのは、お前の言葉に、同じ想いを感じ取れたからだ」
アスランはシンと話をしながら、デスティニーに護られるようにその後ろにいるレジェンドを見る。
一時はレイの言葉や行動に怒りを感じ、その存在はいづれ悪にあるとまで想った。
だがレイとて、私利私欲の為に戦っていた訳ではない。
レイは余暇と言う物を全く取らず、何時も強さを得る為にその身体を鍛えていた。
先をしっかりと見詰め、今自分が何をすべきかを的確に判断し、生きていたのだと思える。
シンとレイ。立場や考えに相違はあれど、平和な世界を目指し、そして仲間を護りたいという想いは同じ。
その事がはっきりと分かり、アスランは一人笑みを漏らす。
「シン、そしてレイ。後は任せたぞ。俺達の未来、けっして暗い物にしないように、頑張ってくれ」
アスランはそう言うと、フリーダムを促すようにしてエターナルへと戻って行った。
「…アスラン…」
アスランの言葉や行動を見て、レイは少し嬉しい想いになっていた。
そしてこの時初めて、自分が心の奥で、アスランを信じていた事に気付く。
「レイ、俺達もミネルバに帰ろう」
「ああ、そうだな」
シンの後を追うように、レイはミネルバへ向かう為に愛機を動かした。
ザフト軍の勝利に終わったとは言え、レイの不安が拭い去られた訳ではなかった。
本当に平和な時は訪れるのだろうか?本当に再び戦争は起こらないのだろうか?
人の欲望を良く知るレイだからそこ、人が簡単に変わるとはどうしても思えないのだった。
710 :
時を刻んで:2006/09/03(日) 18:23:28 ID:???
ミネルバに着き、先にデスティニーから降りたシンは、レイが降りてくるのを待った。
「レイ、良かった本当に無事で」
「シンのお蔭だ、色々とありがとう」
もしもあの時、時が戻らなければレイの命は永遠に失われていた。だが、レイは目の前にいる。
その事がとても嬉しくて、シンは今すぐにでもレイを抱きしめたい想いで一杯だった。
だが、目の前にいるレイは、ザフトの勝利に終ったにも関わらず、晴れやかな顔をしていない。
寧ろ何かを思い悩むように、目を伏せ、唇を噛み締める姿を見て、抱きしめたい想いを必死に堪えた。
「レイ、如何したんだ。何を考えているんだよ?ちゃんと連絡入っただろう、ザフトは勝ったって」
「ああ、聞いた。今すぐにとは行かないが、評議会とオーブ軍、
そして連合の間で協議され、再び協定が結ばれ、平和な時が訪れるだろう…
だが、又戦争が起こるのではないか、又議長の意に背く者が現われるのでないか…そう思えてならない」
「レイは議長の事信じていないのかよ」
「そんな事はない。私はギルを…議長を信じている。議長なら必ず」
「だろう。俺たちが出来るのは、敵と戦う事だけだ。その後は、評議会、つまり議長の仕事だろ。
議長を信じているのなら、何も心配する事はない筈だ。
それに、又戦争が起こったとしても、俺は絶対に負けない。どんな事をしても、レイを護るから」
「シン、その気持ちは嬉しい。だが、私の事はどうでもいい。だから、世界を、世界を護ってくれ」
「まだそんな事を言うのかよ、レイは。何で俺の気持ちを分かってくれないんだ?
レイを喪いたくない、この世で一番大切だって想ったらいけないのかよ。
もしこの世で、ただ一人しか助けられないとしたら、俺は躊躇う事無く、レイを選ぶ。
それを誰かに勝手だと想われても構わない。俺は恐いんだよ…レイがいなくなることが…」
あの喪失感を二度と味わいたくない。再びレイを喪ってしまったとしたら、耐えられなくなるだろう。
シンは急に恐怖に駆られ、レイの手を引き寄せ強く抱きしめた。
「レイお願いだ。俺を安心させてくれよ…俺の前からいなくならないと、想わせてくれ」
「シン、だが私は…私の命はそう長くは…」
「だからって、死んでもいいだなんて思うな。一日でも長く生きようと、何で想わないんだ。
レイが生きているだけで、幸せだと想っている人間がいることを、お前は知らないのか」
「…シン…」
レイは戦場の中で見出した光を想い出した。誰かに、レイ、として必要とされる嬉しさ。
生きていてくれと、言われる事の幸福感。私は幸せだと心から想った。
戦いに出る前シンと交した約束、必ず生きて帰る、そしてデートをしよう。
あの時は、そうなればいいと想いながらも、諦めに似た物を持っていた。
だが、今はっきりと感じる。生きているという事の素晴らしさを。
もしもあの時、フリーダムと戦っていたあの時、シンが来なかったとしたら、
きっとキラを討つ為に、命を投げ出していただろう。たとえ力が及ばなかったとしても…
いや、本音を言えば、何処かでこの戦いで自分は命を喪うかもしれないと、予感すらしていた。
「シン。ありがとう…あの時、シンが来てくれなかったら、私は。多分、今生きてはいない…」
シンは自分の胸の中で、肩を震わせながら泣くレイを強く抱きしめた。
時が戻らなかった場合、レイは確かに死んでいた。それをレイはどこかで感じ取っていたのかも知れない。
だが、この世界では、神が与えてくれたこの世界ではレイは生きている。それが全てだ。
「レイ。あ、そうだ、時計。時計返さないとな」
腕に巻いた時計を外し、シンはそれをレイに手渡した。
「この時計、ちゃんと動いていたんだな」
「うん。一度も止まらず、ちゃんと動いていた」
シンはレイに嘘を吐いた。優しい嘘を…
711 :
時を刻んで:2006/09/03(日) 18:26:12 ID:???
「シン、シン起きろ。もう朝だぞ」
「うーん、レイもう少し…」
「もう少しじゃない。今日はオフじゃないんだろう。早く起きろ」
レイに何度も胸を叩かれ、シンは想い瞼を擦りながら、その身を起こす。
「あ…」
「あ、じゃない。早く準備をしないと、遅れるぞ。私はオフだからいいが、シンは違うんだろ!」
「そうだよな。早く準備をしないと…」
シンはベッドから飛び降りると、急いで顔を洗いに行った。
「まったく、シンは」
停戦後数日経ち、プラントもようやく落ち着きを取り戻していた。
プラント、連合、そしてオーブ間では既に協議が行われ、新しい協定を結ぶべく、
ギルバートは忙しい日々を送っていた。
反乱軍とみなされたオーブ軍ではあったが、アスランが全ての責任は自分にあると申し出たことを受け、
彼が取った行動と、その責任を問われる形となった。
だが、ラクス達がザフト軍から強奪したエターナルと、秘密裏に創られたMSをザフトに差し出す事を条件に、
その罪を問わなかった。ザフト軍と、オーブ軍の架け橋となることを期待された事が、大きな要因となった。
もちろん、その決断に意を唱える者もいたが、ギルバートの言葉が、それを押さえつけた。
ラクスとキラは再びオーブに戻り、今はひっそりと暮らしている。
レイは少しづつではあるが、着実に平和に向け進む世の中を、心から嬉しいと想っていた。
「シン、どうしたんだ、その格好は」
レイは軍服ではなく、私服を着て現われたシンを見て、驚きの声を上げた。
「だって、今日はレイオフだろう?だから、俺もルナに頼んで代わってもらった」
「何でそんな事を…」
「約束、忘れたのかよ。デートの、や、く、そ、く」
「わ、忘れてはいないが…その、急にそんな事…」
「もしかして、迷惑だったか?」
「そんな事は、ない…私も直ぐに準備をするから、少し待っていてくれ」
珍しく慌てた素振りを見せ、レイは準備を始める。その姿を見て、シンは微笑ましい気持ちになった。
「さ、行こうか?」
「うん…」
普段の軍服とは違い、私服姿のレイはとても女らしく見え、シンはレイの美しさを再認識する。
「やっぱ、レイって綺麗だな」
「なっ!そんな事はない…」
「本当に綺麗だ」
「あ、ありがとうシン…」
「何処行こうか?」
「何処でもいい」
「そう言うと思った」
「え、何か言ったか?」
「ううん。なんでもない」
シンはレイの手をしっかりと握り、ゆっくりと歩き出す。
シンの手を握り返すレイの腕に巻かれた時計は、今も静かに時を刻んでいる。
2人の行く末を、見護る様に…
終わり
gj!
なんかもう、こっちが本編でいいよ、ってな感じだよ。
シンとレイに、幸せな未来をあげたかったなぁ・・・と
本当に思ったよ。
いいものをありがとう。
次を期待しているw
いい!こういうの好きだな
折角だからあげとく
な…何コレ!!、感動した!!。自分もこっちが本編で良いよ!!。シンとレイが主役で他のキャラ使いが上手い!!
腐女子死ねキモイヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
シン「極太カテーテル尿道責めでギリギリまで我慢させて放尿と同時にローション無し無理やり挿入がいいかな
前立腺直撃でトコロテンしちゃうかなぁハアハア
レイたんの放尿と昇天する表情見ながらきゅうきゅう締まるアナルにブチ込みたいよハアハアハアハアハアハア
ほれ!これでオナヌーすれば?
ほれって!
こーゆうのが好きなんだろ糞腐女子共は
ラクス様バンザーイ
まで読んだ
>>717頭大丈夫?どこにそんな事が書いてあるのかな?
幻覚見ちゃった?
まぁとりあえず死ね
保守
保守
保守
保守
保守
ほしゅ
ほしゅ
保守
ほしゅ
保守
保守
下がりすぎ
保守
シンは軍司令部の呼び出しを受け、軍本部に来ていた。
ギルバートの後任にラクス・クラインが就いて、ザフトの体勢も様変わりし、居心地の悪さを感じていた。
それは、あの緊迫していた戦いの中でも味わった事の無いのもだ。
そんな中でも、シンはある者の姿を捜す、もしかしたら彼女も又、ここに来ているのではないのかと。
そして、何度目かの角を回った時、捜していた者の姿を見つけ、シンは駆け出し「レイ、久し振り」
と、声を弾ませて言葉をかけた。
あの痛ましい戦争が終わり、シンとレイは別々の艦に配属され、逢えるのは稀な事なのだ。
鬱陶しく感じる軍本部だったが、レイに逢えた事で、そんな思いは消え去った。
この時のシンは、まだ知らなかったのだ。今日という日が、レイの運命を変える日となる事を。
「ああ、久し振りだな。元気だったか?」
「俺は元気だけど…レイは、又痩せたんじゃないか?」
「そうか?そんな事は無いと思うのだが」
気丈に振舞うレイを見て、シンは心が痛んだ。
―ギルバートを撃ったのはレイ―
その事実をシンに告げたのは、レイをメサイアから助け出した、アスランだった。
レイは心からギルバートを敬愛していた。なぜ、その様な行為に至ったのかは、レイ以外、知る者はいない。
アスランの話によると、ギルバートは死の淵にありながらも、レイの命を救ってくれ、と懇願したらしい。
その話が真実だとすれば、ギルバートはレイに撃たれてもなお、レイに生きて欲しいと望んだ事になる。
ギルバートとレイ。2人がどの様な絆で結ばれていたのか、シンには分からなかったが、
ギルバートがレイを心から大切に想っていた事だけは、察する事が出来たのだ。
撃たれた者が撃った者を許したのだから、その罪は許されていのではないのか?
いや、本当はそんな簡単には済まされないとは分かってはいる。
だが、一ヶ月ほど前に逢った時よりも、一回りほど細くなったレイの身体を見ると、
その罪の意識から解き放たれて欲しいと、願わずにはいられなかった。
だが、どんな言葉をかけていいのか分からず、シンは唇を噛み締めた。
苦しみ続けているレイに、何もしてやれず、傍にいることさえ出来ない自分が歯がゆくてならない。
「ちゃんと食べているのか?」
「ああ、一応な」
その言葉を当然シンは受け入れられる筈も無く、眉を寄せた。
レイと同じ艦に配属されたヨウランから、レイの様子は聞いていた。
以前にも増して、レイは軍務に励んでいると。寝る間も惜しむ程に…
「そんな事を言って、食事の時間を割いて、働いているんじゃないのか?」
「そんな事はない。シンは心配性だな」
「そうだ、今から一緒に飯食おう。出頭の時間には、まだ余裕があるだろう?」
「済まないシン。私は余り食欲がなくて…ここの食事は量が多いんだ」
アカデミーにいた頃から、レイは食べ物を絶対に残す事はしなかった。
身体の成長を目的として作られたアカデミーの食事は、少食のレイにとっては、多いと感じる量だというのに。
レイが無理をしている事に気がついたシンは、自然とレイの分を少しだけ貰い、食べるようになっていた。
その事を思い出し、シンは溜め息を吐く。
「そんな事言うなよ。もしかして、又食べ残すのはダメだとか考えてるのかよ。
だったら安心しろ。俺がレイの分も食べるからさ」
シンは戸惑いを見せるレイの手を引き、食堂に向かった。
握ったレイの手首は、廻した指が余ってしまうほど痩せてしまっていた。
この細腕で、必死に戦っているのだと思うと、シンの胸は更に締め付けられるのだった。
食堂に到着し、2人は海老ピラフをオーダーし、それを持ってテーブルに着く。
「レイ、どれ位食べられる?」
「半分位なら…」
「分かった」
食べられる量を確認し、シンはレイの皿から半分位の量を、自分の皿に移し取った。
「サラダは食べろよ。野菜は身体にいいし」
強い口調でそう言ったシンだったが、レイが不思議そうな顔で自分を見詰めているのに気付き、
もしかしたら自分が変な事を言ってしまったのではないのかと、慌てて言葉を捜す。
「あ、俺なんか変な事言ったか?」
「いや、そんな事はない。ただ、親に注意される子供の様な気分がして」
「注意とかそんなんじゃない。俺はレイの身体が本当に心配で。気に障ったんだったら、謝るよ。ごめん」
「謝らないでくれ。嬉しかった。こんな私の事を、心配してくれた事が…」
「心配するに決まってるだろう。俺にとってレイは、とても大切な…大切な仲間なんだから…」
大切な人なんだから。とは、とても言えるはずも無く、仲間なのだからと、別の言葉で表現する。
レイの事を愛おしいと想う気持ちは、きっとレイにとっては迷惑なのだと、思えるからだ。
「大切な仲間か…そんな事を言ってくれるのは、シンだけだ」
「そんな事はない。ルナもヴィーノも、皆レイの事、大切な仲間だと思っている。
ザフトを辞めたヨウランもヴィーノからレイの近況を聞いて、そんな事じゃ折角の美貌が台無しだ、
って、怒ってたくらいだ。だから、そんな寂しいこと言うのは止めろよな」
レイの自虐的な言葉を聞いて、思わず声を荒げてしまい、シンはハッとした。
別にレイを責めたい訳じゃない。ただ、ギルバートを撃った事に対して
罪の意識に囚われているレイが、不憫に思えて仕方が無いのだ。
「ごめん…そうじゃなくて、皆レイの事、大切に思ってるから、それが言いたくて、つい」
「ありがとうシン。もう言わない…」
「本当に飯だけはちゃんと食べろよ。ほら、レイってメロンパン好きだっただろう?
食欲無い時は、好きなものを食べればいいんだよ」
「分かったそうする」
以前のレイならば、こんな時は必ず優しい笑顔を見せてくれていた。
だが今は、表情を一つも変えず、ただ静かにシンを見詰めているだけだった。
最近のレイを見た者は、皆同じ事を口にしていた『まるで何の感情も持たない人形のようだ』と。
出来る事なら、一日も早く笑顔を取り戻して欲しいと、シンは心から願っていた。
だが今日も、その願いは叶わないのだと、悲しい現実を突きつけらてしまったのだ。
「俺は、近況報告の為に呼び出されたんだけど、レイもそうなのか?」
「いや、私は配属変更の辞令が出たんだ」
「もしかして俺と同じ艦か?」
僅かな希望を懐いてシンはそう問うたが、レイが静かに首を横に振った。
「いや、残念ながらそうじゃない。ラクス・クライン、いや、クライン議長の護衛だ」
「なんでレイが!そんなのわざわざレイがしなくても、他の奴がやればいいじゃないか!
アスランだって…今は、クライン議長の護衛をやってるんだろう?」
「私は、ザフトの一介の兵士だ。軍本部の命令に従うのみだ」
「でもレイは…」
言い知れぬ不安がシンを襲った。レイがギルバートの右腕だった事は、皆の知る所となっていた。
しかも、ラクスはギルバートの唱える世界に異言を唱え、その体勢を破壊した者。
だとすれば、レイは最も警戒しうる存在だと、考えていたとしても不思議ではない。
なのにわざわざ、レイを傍に置こうとしている。そこに別の思惑があるかもしれないと、シンには思えた。
「本当に大丈夫だ。まだ連合軍の中には、プラントに対して、いい感情を持っていない者も少なくない。
その者達が、クライン議長を襲ってこないとも限らない。護衛は一人でも多いほうがいい。それだけだろう」
「だったら、俺が変わるよ。レイもラクス・クラインの顔見るの辛いんじゃないのか?」
「シン。私は自分でザフトに残ると決めたんだ。今の私に出来るのは、プラントの為に働く事だけだ。
ギルが護りたかったプラントを…ギルがいない今は…それが私の、償いなのだから…」
償いとは一体何だろう?懺悔の想いを懐き続け、己の身体や心を痛みを顧みず、
命を奪った者の護りたかった物を、只管護り続ける事なのだろうか?
懺悔の相手、ギルバートははたして、そんなレイの生き方を望んでいるのだろうか?そんな事はない。
ギルバートはレイの生を望んだ。それはレイを苦しめるためではなく、幸せな人生を歩む事を願った筈だ。
「レイ、なんでそんなに自分を責めるんだよ。議長だって、レイが辛い思いすることなんて望んでない。
もっと自分を大切にしろよ。クライン議長の護衛なんて任務、受ける必要なんてないだろう」
「シン、言った筈だ。命令に従うだけだと。どんな任務であろうと、断れる立場ではないのだから」
「…レイ…」
「シン済まない。もう時間だ。久し振りにシンと食事が出来て、美味しく食べる事が出来た。ありがとう」
「飯くらいなら、何時でも付き合う。もし、困った事があったら直ぐに連絡してこいよ
俺なんかじゃ頼りにならないかも知れないけど、なんでもするからさ」
「シンは本当に優しいな。それと、シンは頼りなくなんか無い。私は、頼もしく思っている」
その言葉をもらえただけで、シンは心から嬉しいと思えた。
「本当に無理するなよ」
レイはその言葉に黙って頷くと、シンを残してその場を立ち去り、司令部へと向かって行く。
痛いほどの強い意志を感じるその背中を見詰めながら、シンはレイの身を案じずにはいられなかった。
出来る事ならレイの手を握り、そんな所にいくな、とこの場から連れ去りたい想いで一杯になる。
だが、出来なかった。レイの想いを知っているから。
いや本当は、今のレイからその想いを奪ってしまったら、レイが壊れてしまいそうで恐かったのかもしれない。
「レイ・ザ・バレル出頭いたしました」
「お入りになって下さいな」
聞き覚えのある声を耳にして、レイはハッとした。
この部屋の中にいるのが、司令部の人間ではなく、ラクス自身だと知りえたからだ。
「失礼いたします」
部屋の中にはレイの予想したとおり、ラスクとその傍らにアスランがいた。
ギルバートを議長の座から引きずり降ろす為の戦争を起こした張本人、ラクスを目にしても、
レイは表情一つ変える事無く、敬礼をする。
「レイ済まなかったな、急に配属を変わってもらう事になって」
「いえ、アスラン。指令に従うまでです」
アスランがレイと会話を交わすのは、メサイアからレイを助け出してから初めてのことだった。
正直アスランは、今回のレイの配属変えには反対であった。
ギルバートの右腕として、レイがどの様な働きをしていたのかを、知り尽くしているからだ。
自分の目の前で起こった事なのに、未だにレイがメサイアでギルバートを撃った事さえ、信じられずにいた。
ラクスにも、護衛を頼むのなら別の人物を、と進言したのだが、
ラクスが、その能力を高く評価されているレイを、どうしてもと譲らなかったのだ。
「始めまして、ラクス・クラインです。レイ・ザ・バレルさんですね、お会い出来て嬉しいですわ」
見たもの全てが、女神のようだと評する笑みを湛えて、ラクスは言葉をかけた。
「レイ・ザ・バレルであります。ありがたいお言葉、光栄に思います」
その短いやり取りは、一見穏やかな物であった。そう、まるで女神が罪を悔いる者を癒しているかのように・・・
だが、言葉ではいい表せない何かを、アスランは感じていたのだった。
続く
>>733 久々にキタ━(゚∀゚)━(∀゚ )━(゚ )━( )━( )━( ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━ !!
GJです!
おぉー、何かキテたーー!!
どうか、どうかレイたんに幸せを・・・と祈ってしまう。
あ、でも733の思う話を書いてください。続きをお待ちしております。
凸何感じたんだろ?続き楽しみです!
「レイ、護衛はお前一人でやるわけじゃない。余り無理をせず、何時も通りやってくれればいいからな」
アスランはラクスの護衛の責任者として、レイに粗方の説明をした後、そんな言葉をかけた。
なぜ、俺はこんな事を言っているのだろうか?
身を案じないといけないのは、レイではなく、レイに恨まれているかもしれないラクスの方だというのに。
だが、メサイアでギルバートに言われた言葉を思い出して仕方が無いのだ。
―レイの命だけは、救って欲しい―と。
ザフトを裏切り、頼みの綱だったシンを倒した相手に、ギルバートは頭を下げたのだ。
自分を撃った者を、自分を失脚させた者に助けてやってくれと、なぜ言えたのだろう。
ギルバートにとって、レイはただの戦う人形でしかないと思っていた。だが…
真剣な眼差しで書類に目を通すレイを見て、アスランは心に痛みを感じていた。
今更俺は何を考えているんだ。ギルバートを倒す事が、世界を救う唯一の方法だと思っていた筈なのに…
「アスラン?」
「あ、済まないレイ。何だ?」
「私はクライン議長の直ぐ傍での護衛という事ですが、本当に私で宜しいので?」
「ああ、ラクスがそう望んだ。レイの力が欲しいらしい」
「そうですか。了解いたしました」
氷の様なレイの表情からは、その本心は見えてこない。本当にラクスの為に、力を尽くしてくれるのだろうか?
そんな不安を懐きながら、アスランはレイに説明の続きをするのだった。
レイは任務を終え、控え室の椅子に腰を下ろし、机にその身を伏した。身体がだるくて仕方がないからだ。
ラクスの護衛について5日が経っていた。気を張る仕事ではあったが、激務というわけではないというのに。
ここに来るまでは、定期的に発作に見舞われる事はあったが、この様に身体のだるさを感じた事はなかった。
これも老化現象の一種なのだろうか?そんな不安を懐きながら、レイは静かに瞼を閉じる。
任務は終えていたので、与えらた部屋のベッドで休む事も出来たが、
今日は護衛の人数が何時もよりも少なかったので、万が一の事を想定し、暫しの休憩のみを取ろうと考えたのだ。
だが、そんなレイの努力も虚しく、段々と意識が遠のいていくのだった。
「レイ、ラクスが食事を取る間は、何時も俺がついていたが、今日は急用が出来てしまってな。
済まないが、今から夕食時の護衛を頼みたい」
「了解いたしました」
「レイ、顔色が余り良くないが、大丈夫か?」
「大丈夫です。ご心配して頂くほどでもありません」
次の日、レイはアスランにそう答えた。
本当は、体調はかなり悪かったが、それをレイが口に出す筈も無く、懸命に平静を装う。
昨日経験した、ありえない出来事を隠して…
「そうか、では頼んだぞ」
レイはアスランに敬礼すると、ラスクの待つ部屋に向かった。
部屋に到着すると、大きなテーブルにラクスのみが着席し、廻りを評議会議員が取り囲んでいた。
その中の一人が、レイの姿を見つけ、険しい表情を見せる。
「今日はアスランがいないので、気を引き締めてくれよ」
「心得ております」
「そんな事を申し上げては、レイさんに失礼ですわ。どうぞ、お気を楽にして下さいな」
何時も通りの笑顔を浮かべ、ラクスはレイに席に着くように促し、レイも又それを受け、席に着く。
「お料理の方をお持ちしても宜しいですか?」
「はい、お願いしますわ」
自分の身を少しも案じていないかのように、ラクスは明るい声でそう言った。
暫らくすると、何種類もの料理がテーブルに運ばれてくる。
肉や魚、そして野菜。如何見ても、とても一人では食べ切れないほどの数だった。
「レイさんもご一緒に如何ですか?」
「いえ、私は…」
「ご遠慮下さらなくても宜しいのですよ」
「そういう訳にはいきません。私の使命は、クライン議長の護衛ですので」
「そうですか…では、わたくしは頂きますわ」
小さな皿に、その料理を少しずつ取ると、ラクスは食事を始めた。
だが、数種類の皿から、少しずつしか取らず、殆んど料理は残ったままだ。
その様子を、レイは何も言わず黙って眺めていたが、突然ラクスがレイに言葉をかけた。
「どうかいたしましたか?」
「いえ、お一人でお召し上がりになるのにしては、量が多いと思いまして」
「わたくしはあまり沢山食べられる方ではないのです。ですが、お料理は美味しく頂きたいと思いまして
ですから、沢山の種類を少しずつ頂く事にしているのですよ」
普通ならば、食べ物を残す行為を勿体ないと感じる筈だが、ラクスにはそんな観念が皆無の様だった。
恐らく幼い頃から、そんな生活を続けてきたのだろう。
レイは対照的に、ラウやギルバートから、食べ物を大切にするようにと、言い聞かされてきた。
「そうですか…」
あまりいい答えが見つからず、レイは言葉を濁した。
「レイさんは、デュランダルさんの事は、詳しくご存知なのですよね?どの様なお方でしたの?」
「デュランダル議長は、素晴らしいお方でした。人の幸せを望まれていた、本当に素晴らしい方です」
レイの言葉に、周りにいた者が、ざわめき出す。
当然の事だろう、ギルバートの後任に就いたラクスの前で、そんな事を言うなど、有り得ないからだ。
だが、周りの心配を他所に、ラクスは穏やかに笑って見せた。
「そうですか、素晴らしいお方でしたの。では、お伺いしても宜しいですか?
レイさんはなぜ、そんな素晴らしいデュランダルさんを、お撃ちになられたの?」
「…それは…」
その場に緊張が走り、傍にいた議員は慌ててレイの隣に駆け寄った。
「レイ・ザ・バレル。ここはもういい、部屋に下がっていろ」
「しかし、私は」
「外からの侵入者を恐れるより、ここにいる人物を恐れないといけないなど、あってはならないだろう。
いいから下がりなさい。ラクス様の前で、貴様はどんなに失礼な事を言ったか、分かっていないのか!」
「構いませんわ。わたくしも、レイさんに失礼な事を申し上げてしまいました。
ですから、レイさんを責めるのはやめて下さいませんか」
「ラクス様」
その場にいた者全てが、ラクスの言葉に感動を覚えているようだった。
そして、ラクスを善、レイを悪だと感じ、レイに冷たい視線を投げつける。
「申し訳ありません」
レイはそう言い残すと、顔を伏せその場を立ち去った。
その背中を見ながら、その場にいた者達は、何もおこらなければ良いが、と口にする。
そして、誰も気づかれる事無く、ラクスは口元に冷笑を浮かべた。
それは何時もの女神の様な笑みではなく、まるで悪魔の様な笑みだった。
レイは部屋に戻ると、ベッドにその身を投げ出し、溜め息を吐く。
「私は一体何をしているんだ…」
溢れ出す様々な感情を抑えきれずに、レイは唇を噛み締めるのだった。
幸いここ数日は何の問題も起こらなかったので、シンは久し振りに家に帰り、TVをつけた。
そこに映し出されたのは、戦争の傷跡も徐々に癒え、平和が日々訪れてきている、
これも全て、ラクス・クラインのお蔭だと、報道しているニュースだった。
だがシンは、今の世が本当に平和で幸せな世界だと言えるのか?と疑問を持っていた。
もしもギルバートが生きていれば…と、そこまで考えシンは頭を何度も横に振った。
この世でギルバートの生を一番望んでいるのは、レイだと知っているからだ。
レイはどうしているだろう。上手くやっているのだろうか?
その事が、シンの頭を離れた事は、あの日から一瞬たりともない。
連絡を取りたいと、何度も携帯を握り締めては、ダメだと自分に言い聞かせる日々を送っている。
「レイ…」
机に置いてあった携帯を手にした瞬間、着信音が鳴り響き、シンは慌ててディスプレイを見た。
「アスラン?」
一体何の用だろう。自分はここ数日、上から咎められるような事はしていない。
では、まさかレイの身に何か起こったと言うのだろうか?
そうでない事を祈りつつ、シンは着信許可のボタンを押す。
「はい、シン・アスカであります」
『シンか?アスランだ』
「あの、何でありますか?」
『シン、今そこにレイはいるか?』
「レイって…いませんが、何でそんな事を。まさかレイの身に何かあったのか?」
『本当にいないんだな?』
「いないって言っているだろう!アスラン、一体何があったんだよ」
シンはレイの身を案じるばかりに、上官であるアスランに対し、声を荒げて答えを求めた。
「そんな事、あるはずないだろう!レイがそんな事、するわけない!」
『俺も信じたくはない。だが、逃げ去るあの後姿は、レイに間違いない。俺がこの目で見たんだ。
それに、目の前で起こった一部始終を見ていたラクスも、犯人はレイだと証言している…』
「そんな事信じられる訳無いだろう!もういい、俺が、俺がレイを捜す」
『落ち着けシン。レイを見つけたら、必ず俺に連絡を寄こせ、良いなシン。聞いているのか?』
アスランの問いに答える間もなく、シンは携帯を握り締め、部屋を飛び出した。
シンは、アスランに言われた内容を、どうしても信じられなかった。
レイが突然ラクスに銃口を向け、ラクスを庇う様に二人の間に割って入った兵を撃ち殺したというのだ。
そして、用事を済ませラクスの元に戻ったアスランが、
銃を手にし、その場を立ち去るレイの後ろ姿を見たと言う。
その話は、瞬く間に評議会及び、ザフト上層部に伝わり、今は全力でレイを捜しているとの事だった。
「レイがそんな事をする訳ない。俺は、レイを信じる」
ギルバートの護りたかったプラントを、替わりに護るのだと、強い意思の籠もった顔で言っていたレイが、
そんな事をするとは到底思えない。ラクスを殺すという事が、一体どんな結果を招くのか、分からない筈がない。
今、自分に出来る事は、誰よりも早くレイを見つけ、護ってやる事だけだ。
シンはその想いを胸に、街にレイの姿を捜した。だが、どれ程捜そうとも、レイの姿は見つけられない。
「いったい何処にいるんだよ、レイ」
息を切らしながら、汗を拭うシンの頬を冷たい物が濡らした。
「こんな時に、雨なんか降らすなよ」
頬に雨粒を受けながら、シンは天を仰ぎ見て、声を張り上げる。
叶う事なら、レイの身体だけは濡らさないでくれと、シンは心から祈るのだった。
続く。
あわわわわ。
レイを幸せにしてあげたい。。
レイとシン、切ないですね。一時でも幸せにしてあげたいです。
植民地で食料の自休が許されないプラントで育ったラクスが沢山食べ残すのって、
つまりクライン議員はプラント理事国とずぶずぶの利権をやり取りする仲だったということでFA?
続きが来てない・・・
ションボリーヌ。
あれから何時間経っただろうか。雨が身体の熱を奪っていくのも気にせず、シンはレイの姿を捜し続けた。
何度かザフト兵の姿を目にして、未だ軍本部もレイを探し出せていないことを知ってはいたが、
焦る気持ちが、シンの判断力を狂わせていっていた。
「…こんな所にいる筈ないよな…俺何やってるんだろう…」
人が多く集まっているクラブに、レイがいない事を確認して、シンはひとりごちった。
周りが雨の為薄暗くはあったが、着実に夜が明けてきていることを確認し、焦る思いに拍車がかかる。
レイは今何処で、どの様な思いで、時を過ごしているというのだろう。
泣いているのではないか、恐い思いをしているのではないか。悪い予想ばかりが、シンの頭の中に浮かぶ。
何度考えてみても、レイがラクスに銃口を向け、挙句の果てにそれを庇った兵を撃つなど、信じられなかった。
ならばなぜ、レイは追われる身となってしまったのだろう。
こんな事になるのなら、始めからラクスの護衛の話など、レイに受けさせなければよかった。
あの時、レイがどんな事を言っても、無理やりにでも辞めさせるべきだったと、思えてならない。
もしも、レイが自分の事を、ギルバート程信頼してくれていたとしたら、何か言えたのかもしれない。
「議長、俺…どうすればいいんですか…」
この世にもういない者に、シンは救いを求めた。答えなど言ってもらえる筈ないと、分かっているのに。
―シン、レイの事は頼んだよ。私は、君の強さを信じているのだからね―
えっ?ふっと、ギルバートにそう言われた気がして、シンはハッとした。
そしてその声に導かれるように、暫らく道を歩いた後、左手にある路地に視線を移す。
「あっ!」
薄暗い路地の奥に、人影を見つけ、シンは歩みを進めた。それがレイだと、直ぐに分かったからだ。
「レイ。やっと見つけた」
雨の中、膝を抱えながら蹲っていたレイは、その声にビクリと身体を震わし、ゆっくりと顔をあげる。
「…シン…」
「こんな所で何やってんだよ。さぁ行くぞ」
「シン、私に関わらない方がいい。早く、ザフトに戻れ…」
消え入るよな声でレイはそう言うと、シンから視線を逸らし、再び顔を伏せる。
「何言ってんだ。こんな変な言いがかり、ちゃんと解かなきゃダメだろう」
シンの必死の呼びかけにも、レイはただ首を横に振るだけだった。
「何でだよ。レイは何もやってない。だから軍本部にそれを伝えたら、分かってくれるって」
「自信がない。私が、あれをやっていないという自信が…」
「どういう事だよ?なぁレイ、ちゃんと分かるように説明してくれ」
「夕食時、クライン議長と色々あって、私は部屋に戻った。だが、急に眠気に襲われて…
目覚めたのは、部屋ではなく、公園だった。手に、銃を握り締めてな…」
今にも泣き出しそうな顔でレイはシンを見詰めると、小さな声で言葉を続ける。
「自分が何をしているのか分からず、一度軍に戻ろうとした…
だが、支給されていた無線から聞こえてきたのは、兵を撃ち殺し逃走した私を、捜せという指令だった」
「なんでそれで、やってない事をやったと思うんだよ?レイは寝ていただけ、そうだろう?」
「ここ数日体調が悪かった。昨日も、仮眠室で休憩していた筈なのに、目覚めた時は部屋だった。
それだけじゃない。アスランに渡されていた、クライン議長の護衛の資料が、切り刻まれていた。
きっと、無意識の内に部屋に戻って、私が、それを…だから、今日もきっと、私が…」
「そんな事、レイがする訳無いだろう。もっと自分を信じろよ。俺はレイを信じている」
「ここまで言っても、シンは私を信じると言うのか?なぜ?
私は、自分でギルを殺しておいて、奴らがあんな事をしなければ、あの結末を迎えなかったかもと、
心の何処かで思っていのたかも知れない…私は…そんなつまらない人間なんだ…だから」
「レイだからだよ。レイだから、俺は信じる。レイはそんな事をする人間じゃない」
蹲ったままのレイの腕を掴むと、シンはむりやり立たせようと、力を籠めた。
「シン、本当に私には構わないでくれ。このままでは、お前まで罪を負わされてしまう」
シンの腕を払うと、レイは2歩3歩とシンから遠ざかり、震える身体を壁に預けた。
「嫌だ。俺はレイの傍にいる。レイが無実だと、証明されるまではな」
もう一度シンはレイの腕を強く握ると、そのままその身体を己の身体に引き寄せ、強く抱きしめた。
腕の中にあるレイの身体が、とても冷たく感じられ、思わず抱きしめる腕に力を籠めてしまう。
「離せシン。お前に迷惑をかける訳にはいかない。お願いだ…」
「迷惑とか言うなよ。俺はレイを護りたい。お願いだ、議長の代わりに俺に護らせてくれよ」
「ギルの?」
「うん。議長が、レイの居場所を教えてくれたんだ。レイの事を頼むって…
議長は、レイの事を大切に思っている。生きて欲しいと願っているんだよ。
だから、レイが何時までも、罪の意識に囚われる事なんて、望んじゃいない。だから…」
ずっとレイに伝えたかった事を口にして、シンはそれがレイに上手く伝わることを願った。
プラントを護ると言う事を、心の拠り所にしていたレイが、反逆という罪を着せられている。
今のレイは、きっと何もかも失い、生きる希望を失っていると思えた。
だからこそ、罪の意識に囚われる必要はないのだと。
自分を幸せにする為の人生を歩まなければならないのだと、どうしても分かって欲しかった。
「シン…だが、私は如何したらいいのか分からない…」
「大丈夫。俺が何とかするから。兎に角ここから離れよう。そんな格好でいたら、風邪ひくよ」
レイの身体の震えが少し治まった事を確認すると、シンはレイの髪を優しく撫で、笑顔を向ける。
「さ、行こう」
「行くって何処に?私は追われている…」
「大丈夫、レイは心配しなくていいから」
レイの手をしっかりと握りながら、シンは携帯を取り出し、メールを送る。
暫らくの後、返信されてきたメールを見て頷くと、再び返信をしながら目的の場所に向かった。
とあるマンションに到着すると、シンは迷う事無くその中の一室に歩みを進め、ドアをノックする。
間をおく事無くドアが開かれ、中からヨウランが顔を覗かせた。
「ごめんヨウラン、急にこんな事頼んで」
「いいってそんな事は、兎に角早く入れよ」
ヨウランは2人を招き入れると、直ぐに用意していたバスタオルをレイに渡す。
「レイが着くまでにちゃんとシャワー室も掃除しておいたから、使ってくれ。
シャツとズボンも用意してあるからさ。あ、もちろん新品だぜ。買い置きしておいて良かった。
バスタオルは新品じゃないけど、ちゃんと洗濯してる。って、俺何いってんだろ」
「ヨウラン。あの…」
「遠慮するなよ。シンのメールで、ある程度の事は知ってる。俺はレイの見方だぜ。
ザフトも辞めてるし、ここが奴らにばれる事もないし。だから、早く身体を温めろって」
「ありがとう。迷惑をかけて申し訳ない」
「いいって、俺ら仲間だろう。あ、それと、俺友達んとこ行くから、シンと2人でゆっくりしてくれ」
まるで自分が邪魔者だと言うかのように、ヨウランは矢継ぎ早にそう言うと、
シンの肩をポンと叩き、急ぎ足で玄関に向かっていく。
「レイはシャワーを浴びて来い。俺はちょっとヨウランと話が」
「だが、やはりヨウランに迷惑はかけられない。だから、出て行くなら私が」
「そんなんじゃないって。ヨウランも言ってただろ、仲間だろうって。だから気にするな」
シンはレイにそう言い残すと、ヨウランの後を追った。
「おいヨウラン。ちょっと待ってくれよ」
「何だよシン。レイの傍にいてやれよ」
「けど、お前が出て行く必要ないだろう。俺達に気を使わないでくれ」
「シンに気を使った訳じゃない。俺、レイのあんな顔始めて見た。何時もしっかりとしていたレイが、
泣きそうな顔しているんだぜ。シンはレイとずっと一緒の部屋だったからいいが、俺がいたら、
レイは余計な気を廻すだろう。ただそれだけだよ」
ああ、そうか。とシンは思った。アカデミーの入学式で、新入生代表として言葉を述べるレイを見て、
一番初めに綺麗な子だと言ったのは、ヨウランだった。もしかしたら、ヨウランは…
「本当は、俺がレイを護ってやりたいけど、そんな力ないしな…シンなら、レイの事護ってやれるだろ。
俺に出来るのは、レイに場所を提供する事と、出来るだけ無駄な事を考えさせない事だけだからな…」
「ヨウラン、お前…」
「だから、ちゃんとレイの事護ってやってくれよ。もし、レイに何かあったら、俺はお前の事許さないからな」
「分かった。ちゃんと護る。本当にありがとう」
「いいから、早く戻れよ。レイが心細がるだろう」
シンの背中を力強く押すと、ヨウランは手を振りながら、その場を去って行く。
その優しい心遣いに感謝しながら、シンはレイの待つ部屋へと戻っていった。
レイがまだシャワーを使っているのを音で確認すると、シンはヨウランが用意してくれていた服に着替え、
タオルで髪を拭きながら、レイの為にミルクを温め、ココアを作った。
あの冷え切った身体は、シャワーだでは温まらないと思えたからだ。
アカデミー時代から、レイは何度か風邪をひいていた。だが、周りの者は皆コーディネイター。
風邪をひいたりする者は皆無だった。レイはそれを気にし、無理を押して授業に出て、倒れた事があった。
あの頃、シンはまだレイの出生の秘密を知らなかった。もしもあの時、レイの身体の事を理解してやれていたら
と、悔やまれてならない。
だからこそ、今は。レイがクローンであると知っている今は、レイの身体を労わりたいのだ。
「シン」
「あ、レイ。温かいココアがあるから飲めよ。身体冷え切ってるんだからさ」
少し色付いたレイの頬を見て、シンは少しだけホッとする。
「ありがとう。シンも、早くシャワーを浴びろ。私のせいで、シンもずぶ濡れだろう」
「俺は良いよ。もう着替えたし。レイはそんな事気にしないで、少し休め。
ヨウラン、ちゃんとシーツも変えてくれているみたいだ。ほんと、あいついい奴だ」
「うん。感謝している…ヨウランにも、そしてシンにも」
ココアの入ったカップを手に握り、レイはそう呟くと、ココアを口に含んだ。
「美味しい。シンが傍にいてくれると、なぜだかとても美味しく感じる」
抑えていた物が一気に溢れ出したかのように、レイの頬を涙が伝った。
なぜレイが、また、こんなにも哀しい想いをしなくてはいけないのだろう。
ずっと、自分達では解り得ない程の苦しみを背負ってきたというのに。
見たいのはレイの笑顔であって、泣き顔でなない。レイに笑顔を取り戻させてやりたいと、シンは心から思えた。
「ずっと傍にいるから、今は早く寝ろ。疲れているだろう」
レイをベッドに寝かせると、そっとシーツをかけ、シンはそっとその姿を見詰めた。
「シン、お願いがある」
「何?俺に出来ることなら何でもする」
「手、握ってくれないか…」
差し出されたレイの手を、シンはしっかりと握り、優しく言葉をかける。
「安心しろ。俺が護るから」
その手の暖かさと、優しい言葉に安心したのか、レイは瞼を閉じ、ゆっくりと眠りに落ちていった。
「レイ、好きだよ」
シンの懐き続けているその想いは、まだレイには届かない・・・
長文すいません、もう少し続きます
やべぇ本気で泣けてきた…
おお、続きが来てた
GJ!
GJ!続き気になる・・・
ついでに保守もしときます。
眠りの中、時折魘されるレイの額の汗をタオルで拭いながら、これから如何すべきかと、シンは悩んでいた。
―やっていないという自身がない―
と、レイは言った。だが、シンはレイがやっていないという自信があった。
レイの生き様を、一番近くで見ていて、レイという人物を理解しているからだ。
だが今、レイは無実の罪で追われている。そもそも、なぜレイは追われる身となってしまったのだろうか…
レイは何もやっていない。だとすれば、誰かがレイに罪を擦り付けた事になる。
いや、擦り付けられたというより、嵌められたのではないだろうか?
しかし、レイの犯行だと証言したのは、プラントの主であるラクス・クラインだ。
彼女は嘘をついているというのだろうか?いったい何の目的で?
ここで、そんな事を考えていても、何も解決しない。自分が動かない限りは…
シンは真相を探る為、ラクスの元に行く事を決意し、ルナマリアにメールをいれた。
自分の変わりに、レイの事を見てもらう為に。
暫らくすると、ドアがノックされる音がして、シンは急いで玄関に向かった。
「ルナ、ごめんな。急に呼び出して」
「良いのよ、別に。今日はオフだし、それにレイの事、私も心配だわ」
眠っているレイを起こさない為、二人は外で会話を続けた。
「本当に驚いたわ。本部から連絡入った時…」
「でも、レイはやっていない。俺はそう思ってる」
「もちろん、私もレイを信じているわ。で、レイの様子は?」
「今は少し落ち着いてるけど、かなりまいってるみたいだ」
「そう…当たり前よね。分かった、レイの事は私に任せて。シンはこれから如何する心算なの?」
心配そうに自分を見詰めるルナマリアに、シンははっきりとした口調で決意を述べる。
「俺はラクス・クラインの所に行く。真実をはっきりとさせる為に」
「でも…って、止めても無駄よね。シンがそんな顔してる時は。レイの事、助けてあげて」
「うん、必ず」
その時、ポケットの中にしまっていた携帯が鳴る。シンは相手が誰なのか、確認せずとも分かった。
「はい、シンであります」
『シン。アスランだ…レイは見つかったか?』
「いえ、まだであります」
『そうか、俺達も捜してはいるが、まだ見つからない。もしも何かわかったら
「今から、そちらに行きます。詳しい話、聞きたいであります」
『そうか、分かった。待っている』
電話を切ると、シンはルナマリアにもう一度、頼む、と言ってから、真直ぐラクスの元に、向かっていった。
彼女が見たという事柄を確認する為に。
ラクスの滞在している場に到着すると、沢山の兵士達がいた。現議長が狙わたという事は、甚大なのだ。
険しい表情で兵士達に指令を出す者の横をすり抜け、シンは奥へと歩みを進めた。
おそらくラクスがいるであろう、一番奥の部屋に続く通路にも、多数の兵士がいる。
皆がレイを毀謗する声を聞いて、シンは拳を握り締めた。レイを悪く言う者達に、怒りが込み上げる。
その時、ある者が発した言葉に、シンは弾かれた様にその者の元に駆け寄った。
「おい、レイが女ってどういうことだよ?あいつ確かに綺麗な顔してっけど、男だろう?」
「それが違うんだよ。俺さ、あるお方に頼まれて、仮眠室で寝ているレイを、部屋に運んだんだ。
んで、気がついたわけよ。その身体の柔らかさをな。あれは女の身体だよ」
「まじかよ。まさか、服脱がしたりした訳?」
「流石にそれまではしてないけど」
「そこまでってはお前、もっと詳しく話せよ」
「これ以上は言えないぜ。極秘任務だったからな」
その会話を聞いて、レイが抱えていた不安が、その男の仕業だと知った。
仮眠室にいた筈なのに、朝起きたら自室にいたという、レイが経験した不可解な出来事の。
もしかしたら、昨日もコイツが、部屋で眠っていたレイを、公園に運んだのではないのか?
そう思うと自然と身体が動き、気がつけば、シンはその男の胸倉を強く掴んでいた。
「いったい如何言う事だよ。レイに何したんだ?いったい、誰に頼まれたんだ。言え」
「シ、シン・アスカ…や、やめろ、俺に手を出したら、どうなると思ってんだ?」
「どうなる?いったいどうなるって言いたんだ!俺は本気だ、早く言え」
携帯していた銃を取り出し、シンは男の喉元に突きつけ、答えを求めた。
その憤念の形相を目にして、男は恐怖を感じ、おずおずと言葉を発する。
「や、止めてくれ…は、話す、話すから…」
男がそう言っても、シンは鋭い視線で睨みつけ、威嚇し続ける。
「本当に頼まれただけなんだ、レイ部屋まで運んでくれと…
べ、別に、女だと分かっても、手出したりしてねぇって…」
「昨日も、レイを公園まで運んだんだろう?レイに罪を着せる為に!」
「ああ、そうだよ。俺がレイを公園に運んだ。でも、まさかレイがあんな事をしていたなんて、知らなかったんだ」
「それで?誰に頼まれたんだ?何で、レイを起こす事無く運ぶ事が出来たんだ?」
「誰に頼まれたかは言えねぇ…それだけは勘弁してくれ…
それに、レイは絶対に起きないと聞かされていた。起きない理由なんて、俺は知らない。本当だ」
ブルブルと身体を震わせ、脅えた表情で話す男が、嘘を言っているとは到底思えない。
おそらく、レイは簡単に目が覚めないように、何かの薬を飲まされていたのだろう。
男は、その行為をする事により、どんな事態になるかを知らず、ただ頼まれたのでやったというのが真相だろう。
頼んだ人物の名を出す事を、頑なに拒む理由。それは、一つしかない。
権力を手にし、男の命でさえも容易く左右する事の出来る人物に頼まれたのだ。
そして、その人物は一人しか思いつかない。
「おい、シン。どこに行くんだ?」
シンの威嚇から解き放たれた男は、歩みを進めるシンに向かって、掠れた声でそう問うた。
「お前に、そんなばかげた事を頼んだ相手の所だ」
「何でレイの為にそこまでするんだ。お前まで罪に問われる事になるぞ」
「レイは何もしていない。俺は、それを証明したいだけだ」
振り返ったシンの顔は、何の迷いもない物だった。
それを見て男は、自分がした行為がいったい何を意味していたのかを、この時初めて知ることとなる。
「俺は…とんでもないことをしてしまった…」
うな垂れる男を残して、シンは真直ぐラクスの待つ部屋へと進んでいくのだった。
「ルナマリア?」
目覚めたレイは、自分を見詰めているのがシンではなく、ルナマリアだった事に気付き、驚きの声をあげる。
「レイ気分はどう。少しは落ち着いた?」
「ああ、シンのお蔭で…そんなことより、シンは?シンは何処に行った?」
部屋を見渡したが、シンの姿を見つけることが出来ず、悪い予感がレイを襲った。
「シンは、ラクス様の所に行ったわ。でも心配しないで、シンなら必ず、上手くやってくれるから」
「ならば、私も行く。シンにこれ以上迷惑をかける訳にはいかない」
「ダメよレイ。今貴方が出て行ったら、大変な事になる。だから、シンは一人で行ったのよ」
「だからと言って、何もせず、ここにいる訳にはいかない。これは、私の問題なのだからな」
「シンはレイを助ける為に、ラクス様に会いに行ったのよ。その気持ち分かってあげて」
「ならば、シンに危ない真似をして欲しくないと願う、私の想いはどうなる?」
「レイ…貴方も、シンの事を大切に思っているのね」
「ああ、大切な人だ…とても…」
互いが、互いの事を思いやり、己の身を投げ出してでも、相手の事を護りたいのだという、強い意志。
その想いを、シンとレイの両人から感じ、ルナマリアは2人の想いの深さを知った。
「分かったわ。ラクス様の所に行くと言ったシンも、今のレイと同じ表情をしていた。
だから分かる、私が何を言っても、レイがその意思を変えない事がね。
でもレイ。私も、そしてミネルバも皆も、レイの事を信じている。どんな協力も惜しまない。
だから、シンを護る為に、無実の罪で裁かれようなんて、決して思わないでね」
その言葉に頷くレイに、気をつけてね、とルナマリアは言葉をかけた。
赤服を身に纏い、部屋から飛び出していくレイの背中を見詰めながら、ルナマリアは強く願った。
2人が無事に帰って来てくれる事を、心から。
「シン・アスカであります。お話したい事があり、参りました」
「シンか、入ってくれ」
「失礼いたします」
シンが扉を開き中に入ると、何人かの議員と兵士。そして、アスランとラクスの姿があった。
一様に険しい表情で、モニターを見詰めている。きっとレイの捜索結果をみているのだろう。
「シン、その後レイから連絡はあったか?」
「いいえ、まだであります」
「そうか。いったいレイは何処に隠れているんだ」
「アスラン、そんなに焦らなくても宜しいですわ。皆さん、懸命にお探し下さっているのですから」
アスランを労わるようなラクスの言葉だったが、シンには偽りにしか聞こえなかった。
溢れ出しそうな怒りを必死に抑えながら、シンはゆっくりと口を開く。
「あの、クライン議長にお伺いします。本当にレイが、貴方に銃を向けたのでありますか?」
「ええ、わたくしも、レイさんがあの様な事をなさると思っていませんでしたので、驚きましたが、
確かにレイさんは、わたくしに銃を向け、わたくしをお庇い下さった方を…」
「シン、電話でも言ったが、俺も逃げていくレイの後姿を確かに見た」
「アスラン。それは本当にレイだったのでありますか?」
「長い金の髪に、赤服を着ていた。背格好もレイその者だった。あれが、レイじゃないとは到底思えない」
「でも、顔は見ていないんだろ?」
「見てはいないが…シン、まさかお前は、俺たちの言う事を信じていないのか?」
その場にいた者が、一斉にシンを軽蔑したような眼差しを送った。
プラントで最も清い存在とされている、ラクス・クラインの言葉を、
偽りの物だと言わんかばかりのその発言は、皆には到底信じられない物だったからだ。
「さっき、ある兵が言ってたであります。ある人物に頼まれ、眠っているレイを公園に運んだと。
だとすれば、レイは誰かに陥れられているのかも、と自分は思うであります」
「その様な事を仰ったのは、いったいどなたですか?わたくしの言葉より、その方をお信じなさるのですか?
仮に、その方の仰る事が本当だったとしても、わたくしを襲った後に、部屋でお眠りになられていたのでは?」
「君はいったい何を言っているんだ。その話に、どんな意味があると」
議員の一人が、心底シンをバカにしたように、そう言い放つ。
シンとて、これだけでレイの無実が証明されるとは、思ってはいない。
だが、切っ掛けにはなるかもしれないと、少しの希望を懐いて発言したのだ。
「シン・アスカさん。貴方はレイさんを、お信じになられているのですか?
貴方は大変優秀な方だと、アスランからお伺いいたしています。
これ以上レイさんをお庇いなさるのは、貴方の将来の為にも、良くありません」
そう言い放ったラクスの声は、何時もの穏やかな物では無く、どこか棘を持ったものだった。
シンの放った言葉が、ラクスの隠し持っている感情を引き出す切っ掛けになるなど、
この場にいた者は、誰も思っていなかったのだった。
続く。
シンがんがれ
続きをwktkして待ってます
つ・・・・続きを!!
もうガマンできない。。。。
「どういう意味でありますか?」
「お解かりにはなりませんか?レイさんをお信じになられたいお気持ちは、お察しします。
ですが、レイさんは罪を犯されているのです。その方をお庇いになられたら、貴方も同罪とされてしまいます。
シンさんなら、レイさんでなくても、もっと素晴らしい女性が現われると思いますわ」
その言葉は、レイを女だと知りえている者にしか、いえない物だった。
なぜ、ラクスは、レイが女だと知っているのだろう?
女だと知っているのは、アカデミー時代から親交を深めている数名と、もうこの世にはいない者のみであった。
「なぜ、その様な事を、仰るのでありますか?」
「ですから、貴方の為ですわ」
「そうではなくて、なぜ、レイを女だと知っているんですか?」
「そ、それは…デ、デュランダルさんの遺品の中に、詳しく書かれていましたわ」
「…え…」
もしかしたら、レイを部屋まで運んだ男が、レイの性別をラクスに告げたのかも知れない。
それを証明出来れば、あの男の依頼主がラクスだと言う証拠になる…
そんなシンの僅かな希望は、ギルバートの遺品より知りえたというラクスの言葉によって、
儚くも散ったかに見えた。
だが、アスランが表情を強張らせた事に、シンは気付いていなかったのだ。
「それが、どうかいたしましたか?」
「いえ…レイが女だと知っているのは、本当に一部だけだったので…」
「今からでも、わたくしに力をお貸し下さると仰っていただければ、今までの事は、なかった事にいたします」
「それは出来ません。俺は、レイを信じています」
「そうですか…では、仕方がございません。アスラン、シンさんを連れて行って下さい」
ラクスの言葉を合図に、その場にいた兵士が一斉にライフルを構え、シンに照準を合わせる。
自分に銃口が向けられている事に対して、シンは別に何も思わなかった。
それよりも、レイの無実を、未だ証明出来ずにいる事の虚しさが、シンの心を支配しているからだ。
如何すればいい?俺に出来る事はもうないのか?絶望の二文字が、じわじわとシンを追い詰める。
「ラクス、少し待て。俺は、君に聞きたい事がある」
「どのようなことですか?」
思いもしない展開に、その場に緊張感が走る。なぜ、ラクスの側近であるアスランが、異を唱えるのだろう。
「レイの事だが…」
アスランが問いを口にしようとした瞬間、慌しくドアが開かれ、数人の兵士が部屋に入ってきた。
いや、兵士だけではなく、その中に手を拘束されたレイの姿を見つけ、シンは目を見開いた。
「やっとお見つけ下さったのですね」
ラクスが笑みを湛えて、兵士達に言葉をかけたが、兵士はそれを否定する。
「いえ、自ら出頭してきました」
「なんでだ、何でだよレイ。なんでここに着たんだ?俺に任せろって言っただろう」
「シン、済まない。だが、これは私の問題だ。これ以上、シンに迷惑をかけることは出来ない」
そうだった…レイは、こういう奴だった。責任感が強く、自分に厳しい。そんな事は分かりきっていたのに…
もっと早く、レイの無実を証明する事が出来ていれば、たとえレイが来たとしても、
その身を危険に晒さずとも済んだものを。と、シンは自分の無力さに、怒りを覚えた。
「レイさん。ご自分でこの場に出て来られたと言うことは、罪をお認めになられたという事ですね?」
「その前に、シンに向けている銃を下ろさせてください。彼は何もしていない」
「そんな事はございませんわ。シンさんは、罪人である貴方をお庇いになられたのですから。
ですが、貴方がその罪をお認めになられると仰るのなら、彼を罪には問いませんわ」
レイの傍に駆け寄ろうと、シンが足を一歩踏み出しただけで、兵士達は一斉にトリガーに指をかけた。
別に撃たれても構わなかった。だが、そんな事になれば、レイが思い悩む事が分かりきっていたので、
シンは歩みを止め、叫ぶように自分の想いを口にする。
「ダメだ、レイ。俺はこんな事何でもない。だから、レイは本当の事を言ってくれ。
自分はやっていないと。これはでっち上げなんだって、な、レイー」
振り返り、自分に顔を見せたレイの顔が余りに綺麗で、シンは心が潰れそうになってしまった。
初めて出逢った時から、何度となく見たことのある、決意の籠もった表情。
きっとレイは、この不甲斐無い自分を助ける為に、その身を犠牲にしてしまう…
誰か、レイを助けてくれ。この俺に力を貸してくれと、シンは心から願い瞼を閉じた。
その時、朝方聞いたギルバートの声が脳裏を過ぎる。
―レイの事は頼んだよ―と。
そうだ、誰かではなく、俺がレイを助けなければ…
シンが再び瞼を開けた時、部屋にあるもう一つのドアが僅かに開き、そこから一人の人物が顔を覗かせた。
顔ははっきりとは見えなかったが、光を受け美しく輝く金の長髪を見た瞬間、シンは走り出していた。
撃たれるかもしれない。レイが苦しむ。とは思ったが、この期を逃がす事は絶対に出来ない。
その人物を逃がしては、レイの無実を証明する事が、永遠に出来なくなってしまうからだ。
「止まれ、止まらないと撃つぞ」
それでも止まらないシンに、兵士達は引き金にかけて指に力を籠める。
「やめろ、撃つな、撃つんじゃない!」
そう叫びながら兵士達の前に立ち塞がったのは、アスランだった。
「なぜ、邪魔をする」
「いいから、俺の命令を聞け」
そんなやり取りを背中で聞きながら、シンはその場から逃げ出した者の後を必死に追った。
部屋から暫らくその者を追い、近づいた所で、手を懸命に伸ばし、背中を捕まえる。
そして逃げられないように、力一杯に押さえつけ、何とか捕まえる事が出来たのだった。
「逃げるなよ。あんたには聞きたい事があるんだ」
「お、俺は…命令されたんだ。あ、あんたも、ザフトの人間だったら、あのお方に逆らうなよ」
「逆らうな?何バカなこと言ってんだよ、あんたは。今から皆の前で、誰に何を言われたのか証言しろ」
シンの鋭い目で睨まれ、男は恐怖で身を震わせた。
脅える男を見ながら、シンは、コイツがレイがあの事件の犯人ではないという確固たる証拠になる事を願った。
そして、その男を引きずる様にして、先程までいた部屋に戻っていった。
シンに突き飛ばされるように部屋に姿を現した者を見て、一同は己の目を疑った。
なぜなら、一部の者にしか身に纏う事が許されていない赤服を着て、金の髪を長く伸ばしていたからだ。
背格好もほぼレイと同じ位で、意図的に姿を同じくしたと思えるほどに、2人の姿は似ていた。
「なぁアスラン、あんたが見た後ろ姿は、コイツじゃなかったか?」
シンはそう言うと、その者を反転させて、その後姿を皆に見せつける。
アスラン、いやザフトにいるものならば、その者の後ろ姿を見れば、皆レイだと思うだろう。
その証拠に、皆は言葉を失い、ただ静かにアスランの言葉を待つしか出来なくなっていた。
「そ、それは…分からない。俺は金の髪を伸ばした赤服は、レイしかいないと思っていたからな」
「だったら、アスランの証言は曖昧ってことだな?」
「そうなるだろうな」
ーやった―アスランの証言がないものとされ、シンは一筋の光を見た気がした。
だが、その希望を打ち砕かんと、ラクスが言葉を挟む。
「これは違います。わたくしは見ました、レイさんが銃を向け、お庇いくださった方を撃たれたのを。
それに、もしこの方があの日、レイさんの振りをされていたのなら、わざわざこの場に来られますか?
何処かに、お隠れになられているのではありませんか?」
「ラクス様。どういう意味でしょうか?」
固唾を呑んで見守っていた議員が、この場に漂う暗雲を払おうと、ラクスにそう問うた。
それを待っていたかのように、ラクスは口元に笑みを湛え、その答えを口にする。
「偶然にしては、御都合が良すぎませんか?この方は、シンさん達がご用意されたと、考えられませんか?」
「そんな事、する訳ないだろう。コイツに誰に頼まれたのかを聞けば、話は済むだろう」
「そのような事をする必要はありません。この方に、わたくしに頼まれたと言って欲しいと、
お頼みになっておられる事位、お察しできますわ」
「あんたって人は!どこまで卑怯なんだ!」
何を言っても、上手く返してしまうラクスに、シンは怒りのままに飛び掛ろうとした。
「止めろ、シン。手を出してはいけない」
だが、自分の行動を察したかのようなレイの言葉に、シンは動きを止めて、レイの顔を見る。
「何でだよレイ。この男が誰の頼みで、レイの振りをしたかなんて、レイだって分かってるんだろう」
「ああ、だがクライン議長に手を出しては、いけない。彼女は、今プラントの議長なのだからな」
冷静な声でシンを戒めると、レイは震え続けている男に視線を移す。
「貴方も大変だな。シンに頼まれたといえば、罪に問われる。だが、本当の依頼主の名を告げても、
その者の力により、この世から消されるかも知れないのだからな」
「そ、そんなのは嫌だ。俺は、頼まれただけなんだ。本当だ…ラ、ラクス様、お話が違います。
レイの振りをして、兵を一人殺せば、議員の席を下さると、仰って下さってではありませんか?
だから俺は…今日も、もう一度レイの振りをして、もう一人殺せと…頼みます、俺を助けて下さい」
男にとって、シンに捕まったのは予想外の出来事だった。おまけに、ラクスにまで見捨てられ、
冷静な判断を失い、思いのままを口にしてしまっていたのだ。
「何を仰るのです。わたくしが、そんな事をお頼みする筈がありません。嘘を仰るのはお止めください」
「ラ、ラクス様。そんな、酷い…俺は、議員になりたいんだ。頼みます、ラクス様」
必死にラクスの身体にしがみ付こうとする男を、アスランはそっと制した。
「もういい。止めろ。お前の言いたい事は良く分かった」
「アスラン。どういう意味ですか?貴方まで、わたくしを疑うのですか?」
先程も、聞きたい事がある、と言われ、今度はこの言葉だ。
ラクスは、最も信頼していたアスランに疑惑の目を向けられ、珍しく声を荒げた。
「ラクス。俺も君を信じたい。だが、この男の言葉といい、さっきの、そのレイの性別のことといい、
君が何かを、俺に隠しているのは明らかだ」
「レイさんの性別の事?あれは申し上げたとおり、デュランダルさんの遺品の中に…」
「デュランダル議長の執務室、及び自宅から、資料を持ち帰ったのは俺だ。
当たり前だが、その全部に目を通した。だが、レイの性別、いやレイに関しての事など、一切なかったぞ」
「それは、アスランが見落としていただけですわ。わたくしは見たのですから…」
「ラクスもう止めろ。今の君は、みなの求めている、ラクス・クラインの姿ではない」
ラクスとシン、どちらが本当の事を言っているのかを決めかねていた者達は、その言葉により一つの答えを出す。
そして、今までシンとレイに向けていた冷たい視線を、今度はラクスに投げつける。
「わたくしが、そのお方に頼みました。ですが、いったい何がいけないのです?
レイさんは、デュランダルさんの精神を受け継いでいる方です。その様な方がザフトにいれば、
何時か、この平和な世界を脅かす存在になるのは、分かりきっているではありませんか…
それにキラは…キラは、レイさんの存在に脅えています…ですから、わたくしは…」
自分に否は全くないと言わんばかりのその言葉は、皆の知りえるラクスの言葉とは到底思えないものだった。
ラクスを崇め、仰望の的としていた者達は、この事に対して、深い憤りを覚えずにはいられなかった。
そしてその想いを、一人が口にすれば、瞬く間にそれは皆に伝染していった。
「わたくしは、何も悪くはありません。今までも、皆さんはわたくしの考えに、ご賛同下さったではありませんか」
今まで通り皆は自分の意見に頷いてくれる筈と、ラクスは安易に思った。
だが、その場にいた者は誰一人口を開く事はなかった。そんな中、レイだけが静かに言葉を返す。
「何も悪くない?私の存在を疎うというだけで、一人の命を奪った事が、悪くないと?」
「貴方さえいなければ、わたくしとキラは、心穏やかに暮らせるのです…心穏やかに…」
「ならば、私に罪をきせようなどとせず、私を殺せばよかっただろう?なぜ人を巻き込む?」
「その方が、貴方は苦しまれるでしょう。それだけですわ。それに、貴方の偽者を創り上げたのも、
わたくしが、デュランダルさんにされた事を思えば、たいしたことではありません。
ミーアさん、彼女を見た時、わたくしがどの様な想いをしたのか、お分かりになりませんか?」
「もし、貴方が表舞台から姿を消さず、ミーアの様にプラントの民の心を癒してさえいれば、
デュランダル議長が、貴方の変わりを仕立てる必要などなかったのだとは思わないのか?」
「あの時は、キラが、キラは傷ついていましたわ。わたくしは、キラの傍にいたいと願っただけですわ」
ラクスは今まで、誰にもその考え、人生を否定された事はなかった。ラウを除いては…
だから分からないのだ。やっていい事と悪い事が。己の行動全てが善と思い、悪とは決して思わない。
その考えが、今回の騒動を生んだ。そう、ラクスはこの計画を、悪意を一つも持たず、考えたのだ。
自分の考えが如何なる物でも、決して否定される事はないのだと、心から思っていたのだった。
「ラクス、もう何も言うな。これ以上、皆に絶望を与えないでくれ。君は、清い存在でなければならない。
君の歌に心惹かれ、言葉に希望を感じる。そんな存在でなければ、皆は君に着いて行かなくなるんだぞ」
「アスラン?」
未だアスランの言葉の意味さえ理解していないラクスは、不思議そうな顔でアスランを見詰めた。
そんなラクスの肩をポンと叩くと、アスランは深い溜め息を吐く。
本当は何処かで感じていたのかもしれない。ラクスの無垢な悪意を…
だが、それを見てみぬ振りをしていたのは自分だ。今回の事は自分にも否があるのだと、思えてならない。
「レイは無実だ…あらぬ嫌疑をかけて、本当に済まなかった…」
アスランが頭を下げるのを見て、レイの身体を持っていた者が、その手を離す。
それを見たシンは、すぐさまレイの傍に駆け寄り、その手の拘束を解く。
そして、安堵の表情で、優しくレイを抱きしめた。心から良かったと想って…
「良かったな、レイ。疑惑が晴れて…」
「ああ、シンのお蔭だ…」
アスランは暫し2人の様子を見守り、シンがレイの身体をその手から放すのを確認すると、レイに問いかける
「レイ。ラクスの事は俺に任せてくれないか…議長の職にあるとはいえ、罪は罪だ…」
「分かった、だが、この件の詳細を発表する事だけはしないで欲しい」
「なぜだ?ラクスはお前に、こんな酷い事をしたんだ。事の経緯を、発表しなければならないだろう?」
「アスランも先程言っていただろう。クライン議長の言葉に皆が希望を感じていると。
せっかく、あの戦争の混乱から、立ち直ってきているんだ。新たな不安を、皆に与える必要は無い。
議長の職から退き、歌姫として生きればいい。政治には向かなかったと言えば、皆納得するだろう」
「本当にそれでいいのか、お前は?」
「ああ、皆がラクス・クラインという光を必要としているのなら、偽りであったとしても、
その光は綺麗なのだと、信じさせてあげることが、今は一番良いのだと、私は想う」
「ありがとう、レイ」
「後は任せていいか?私はこの場にいない方が良いだろう」
「そうだな。本当に済まなかった。レイ、そしてシンも…」
「俺は別に…レイの疑惑が晴れたから、もういいよ。アスランのせいじゃないし。
それに、俺の事庇ってくれただろう。あれ、結構嬉しかった」
「いや、俺は別に何もしていない…」
「レイ、色々あって疲れてると思うから、俺たちもう行くな」
「ああ、引き止めて悪かった」
「レイ行こうか?」
「ああ、そうだな」
シンはレイの手を握り、ドアに向かって歩き出した。その手の暖かさを感じ、傍に居られる喜びを感じた。
そして、この場から少しでも早くレイを連れ出したいと想った。
光の当たる場所に行った方が、本当にもう追われる事はないのだと、レイが感じられると想ったからだった。
そして建物を出て、二人はあても無く歩いた。ただ手を繋ぎ、道を歩いているだけで、シンは心が高鳴った。
だが、そんな喜びと共に、レイの身を危険に晒してしまった事に対して、罪悪感が溢れ出す。
「ごめんなレイ」
「なぜ詫びる?私は、シンに感謝しているというのに」
「でも俺、レイに護るとか偉そうな事言ったのに、結局一人じゃ何も出来なかった…」
「そんな事はない。もしもシンがいなければ、私は…きっと諦めていただろう。
もう良いのだと、これは、ギルを撃ってしまった、私の罪なのだからと…」
「レイ?」
「だが、シンは言ってくれただろう。ギルが、私に生きて欲しいと願っていたと…
その言葉を聞いて、初めて、メサイアでギルが私の事を許してくれた事を、思い出せた…
ギルは確かに言って下さった。生きろ。と。その言葉を私は、ギルを撃ってしまったショックで忘れていた。
その言葉を思い出せたからこそ、私は生きようと想った。
それに、私が自由の身となったのは、シンのお蔭だ。あの部屋の出来事を、私は一生忘れない。本当に嬉しかった」
「そう言ってもらえると、ほんと、嬉しい。お、俺に出来る事なら、これからも何でも言ってくれよ」
「だが、これ以上シンに迷惑かける訳には…」
愛しているから、どんな事でもしたいのだと、シンは思わず言ってしまいそうになった。
だが、あんな事があった直後に、そんな想いを伝えても、迷惑がられるだけだと、シンは言葉を飲み込む。
しかし、願ってしまうのだ。この想いが何時の日か、レイに伝われば良いのにと…
「迷惑だとか言うな。何回も言わせるなよ」
「そ、そうか…ならば…」
「な、何?」
「お腹が空いた…一緒に御飯を食べてくれないか?」
「そんなことで良いのか?」
「シンと、一緒に食べると、とても美味しく感じる…」
「俺も、レイと食べると、何でもスンゲー美味い」
大好きなレイと一緒にいられるだけで、嬉しかった。だから、シンにとってレイとの食事は格別だった。
レイもそうであれば良いのにと想いはしたが、レイは自分をただの仲間だとしか思っていない筈だと、シンは想った。
「で、何が食べたい?」
「メロンパン」
「レイって昔からメロンパン好きだったよな?何で?レイってメロンパンより、クロワッサンって感じなのに?」
「ギルが…好きだったんだ。メロンパン。何時も一緒に食べていて、それで好きになった」
そんな会話をしているうちに、一軒のパン屋を見つけ、レイはメロンパンを、シンはサンドイッチを買った。
そして、レイはメロンパンを手にすると、その半分をシンに差し出す。
「何だよレイ。腹減ってんだろう。全部食べろよ」
「いや、その…シンに半分食べてもらいたいんだ」
「なんで?」
「シンは…私にとって、仲間だけじゃなく、とても、特別な人だから…迷惑か?」
「そんな訳無いだろう。俺、レイにずっと伝えたいことがあったんだ…俺、レイの事好きだ。心から愛してる」
自分の想いが、レイにちゃんと伝えられた事を、シンは心から嬉しいと想ったのだった。
―終わり―
GJ!レイかわいいよレイ
メロンパンって声は釘宮か?
ラクス悪党というより心病んでるよなぁ。
保守上げ。
遅くなったけど、完結乙です。
そして保守。
保守
ホッシュホッシゅ
保守
hosyu
保守
デュランダル議長の誕生日らしいので、ついでに俺も祝っとく
ほしゅ
忙しい中少しずつ読むから落ちんなよー!
保守
オレ、この仕事が終わったらレイと入籍するんだ
保守
保守
保守
779 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 01:45:03 ID:xXUNga5H
久しぶりにこのスレを覘いた。
…まさか、ここまで続くとは…。
暇なんで、いつかは短い小説を投稿予定。
がんば。
wktkして待ってるお
保守
138 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2006/12/23(土) 20:08:32 ID:???
l|! 〃"´ ⌒ヽ
i ノ 八川 l
i| .| リ`Д´ノJ
人_! ヽ
/ | | ) )|
/ | | | 女体化してイカせるしかないじゃないか!
( (ヾ .| 〈 从(`')) 〉
/⌒ヽ ヽ \\〉,,,ゝ‐ _‐<(
/⌒ ̄ ̄__ノ_____ノ,,,,,,,)
(__ノ ̄ ̄
パンパン… ドピュピュ…
保守
保守
age
あけおめ
ことよろ
もうすぐスペエディ
保守
ほ
しゅ
保守
保守
シンレイモエス(*´∀`)
連ザUのキラキラレイが女にしかみえない
あの信頼度最高にしたときのレイだよな?
多分ここの住人はみんな同意してくれるな
つか、女だしw
レイと組んでキラをタコ殴りしまくりですよw
その後に褒めてくれるんだよなぁ…(*´д`*)
ほしゆ
シンレイ保守
800保守
801保守
あえて言おう、カソであると!!!
ネタはあるが時間がない
保守あげ
保守
レーイ