シンは仮面ライダーになるべきだ

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882仮面ライダー運命 第二話
全てが理解の範疇を超えていた。
絶叫して、化け物になった男。
「変身」と叫んで、赤い鎧を纏った女。
目の前で戦い始めた二人。
トマホークで腹を薙がれ、爆散した灰色の化け物。
頭がついていかない。
できたことといえば、ただ呆然と突っ立って、見ているだけ。
やがて、シンを見据えていた赤い戦士が、ゆっくりと近づいてきた。
彼の目の前で立ち止まって、鎧が一瞬だけ光る。
輝きが収まった後、そこにいたのは、先ほどの赤毛に赤いスーツの女―――――ルナマリア・ホーク。
「一応言っておくけど―――――」
腰に手をあて、ルナマリアが口を開いた。
「夢じゃないわよ、これ。非常識ではあるけどね」
「ふざけるな!」
眉をつりあげて叫び、シンがルナマリアに掴みかかる。
「なんだ!―――――あんたは一体、なんなんだ!?」
「ちょ、ちょっと落ち着きなさいって・・・・・」
「落ち着けるか!こんなわけのわかんない状況で!!」
「とりあえず、この手を放しなさい!」
襟を掴んでいた腕を振り払い、服の乱れを軽く直す。
険しい表情でシンの顔を睨みつけ、ルナマリアは続けた。
「さっきも言ったけど、アレはあたし達の敵―――――『Rウィルス感染体』よ。識別名は『ジン』」
「あ・・・・あーるうぃるす?かんせんたい?」
聞いたことのない言葉に、間の抜けた声で聞き返すシン。
「ま、詳しいことはこれから話すわ」
そう言って、ルナマリアはシンの部屋に勝手に入っていった。
(なんなんだ、一体)
突然のことにとまどいながらも、自分が喜んでいることをシンは感じていた。
―――――終わりが、見えてきたかもしれない。
883仮面ライダー運命 第二話:2006/03/14(火) 10:40:41 ID:???
「2年前のオノゴロ島事件・・・・どんな事件か、知ってるわよね?」
神妙な面持ちのルナマリアが、低い声でシンに問う。
「原発の事故が引き金とか発表されてる、あれだろ?でも、そんなのは・・・・」
「そう、ウソよ。真相はまだ、闇の中。生存者もいない・・・・・君を除いて」
「・・・・・」
「1年半の間、意識不明だった君は、ずっと入院していた。―――――そして、意識を取り戻した君が、病院から抜け出して半年間、君はオノゴロ島事件を自分なりに調べていたみたいね」
ルナマリアは、部屋の隅に置かれているダンボールに目を移した。中には新聞や雑誌の切り抜き、資料のコピーなどがごちゃごちゃに入っている。
「でも集めた資料の中に、自分の求めている答えはなかった。そうよね?・・・・君の求める答え―――――教えてくれないかしら?」
シンに目を戻し、半眼で様子を窺うルナマリア。
「・・・・・名前だ」
ぼそり、といった具合でシンが言った。
「名前?」
「ああ。『キラ』って男と『カガリ』って女・・・・・あの時、確かに聞いた」
「・・・・どうして、その二人を探してるの?」
「それは・・・・・」
―――――瓦礫の下に倒れている父。
―――――紅い炎に焼かれていく母。
―――――血まみれで伏せている妹。
脳裏に焼きついて離れない惨状。
思い返すだけで、腸が煮えくり返る。
「・・・・・・殺したから、俺の、家族を」
「・・・・そう」
絞り出すような低いシンの声を聞き、ルナマリアが俯く。
しばらくの間、沈黙がその場を支配する。
「・・・・他には?」
沈黙を破り、再び口を開いたのは、ルナマリアだった。
「他・・・・?」
「名前を聞いただけで、家族の仇だなんて思わないはずよ。君は・・・・他になにか見たんでしょ?」
どうやらこっちの質問が本命のようだった。
テーブルに肘をつき、身を乗り出してルナマリアはシンに問う。
「・・・・・・」
彼女の視線から逃げるように目をそらし、黙り込むシン。
「・・・・君が見たもの、あててあげるわ」
たたみかけるように、ルナマリアが語気を強めて言う。
884仮面ライダー運命 第二話:2006/03/14(火) 10:42:13 ID:???
「・・・・青い翼を持った、白い戦士」
炎の先に見えた人影。
記憶の中で再生される会話。
自分達を無視して飛び立つ翼。
夢だと思っていた鎧の男の姿が、鮮明に思い出された。
「当たりみたいね?」
「・・・・・だったらなんだっていうんだ?」
さきほどと同じような低い声を発するシン。
「え?」
「俺がそいつを見てたとして―――――それが一体なんだってんだ!?」
立ち上がったシンが激昂して叫び、獣のような顔つきで、ルナマリアを睨みつける。
彼の気迫に圧されたのか、一瞬だけ身を震わせるルナマリア。
「なんなんだよ、さっきから!!俺のこと調べて、一体なにが言いたいんだ、あんたは!?あの時のこと穿り返すだけが目的なら、さっさと帰ってくれ!!」
怒り。
悲しみ。
憎しみ。
殺気。
赤い瞳に様々な負の感情を宿し、シンが叫んだ。
凄まじい憎悪を孕んだ視線に射抜かれ、ルナマリアは無意識に胸を押さえる。
目の前の少年は、激しい業火のような殺気を放ち、呼吸を乱している。
「っ・・・・!そんな、つもりじゃ・・・・・」
どうにか声にできたのは、それだけだった。
彼の殺気を肌で感じ、焼かれたような感覚に襲われ、ルナマリアは竦みあがった。
さっきの戦いでも、ジンから殺気を感じてはいたが、こんなに震え上がったりしなかったはずだ。
(なんなの・・・・この子・・・・)
やがて、ルナマリアの脅えたような眼差しに気付いたのか、シンはため息をついて腰を下ろした。
「ごめん・・・・ちょっと熱くなりすぎた」
額を押さえ、呼吸を整えながら言うシン。
「い、いいのよ。あたしが悪いんだから・・・・ごめんなさい、今日はもう帰るわね」
脇に置いたバッグを抱え、そそくさといった感じで、ルナマリアはでていった。
(結局、肝心なこと何も言わないで行きやがって・・・・)
噴き出た汗を拭い、彼女が出て行ったドアを睨みつける。

冷蔵庫に冷やしてある水をがぶ飲みし、シンは「シャワーを浴びよう」と思った。
885仮面ライダー運命 第二話:2006/03/14(火) 10:43:57 ID:???
ルナマリアとかいう女が訪ねてきてから、4日が過ぎた。
半年待って、やっと見つかった手がかりらしきもの。
訊きたいことがいくつもあるのだ。なんとかして、もう一度話をしなければ。
そう思ってこの4日間、暇を見ては彼女を探してみたが、成果は無し。
シンは歯痒い気持ちになりながら、今日も炒飯がウリの小さな料理屋でアルバイトとして働いていた。
「おい、まだか!?この雨の中、わざわざ食べにきてやってんだぞ!」
白髪で身なりのいい常連客が、いつものように怒鳴り散らしている。
毎度のことなので特に腹も立たず、シンは空になったグラスに水を注ぎながら言った。
「イザークさん・・・・まだ注文してから2分じゃないですか」
「うるさい!早くしろとあのバカに言って来い!」
「はいはい・・・・リモコンここに置いときますから、好きな番組見ていいですよ」
働き始めた頃は、彼が来るたびに疲れていたが、ほとんど毎日来るので慣れてしまった。
店長と古くから知り合いらしい。気は短いが、悪い人間ではない。
今日のような他に客がいない日は、好きにやらせている。それで何か迷惑を被ったこともない。
なんだかんだいっても、分別のある男だ。
「店長、イザークさんが爆発しそうです」
シンが厨房でフライパンを振るっている、金髪の男に言う。
「ほっとけ。他に客もいないんだ」
淡白な口調で、この店の主―――――ディアッカ・エルスマンは言った。
普段から、やる気があるのかないのかよくわからない態度の男だ。
最近カメラマンの彼女にふられたらしいが、あまり気にしてないような感じがする。

店内に戻ったが暇なので、さっき拭いたばかりのカウンターをまた拭く。
聞こえてくるのは雨音と、テレビのニュースキャスターの声だけ。
しばらくの間、その2つの音を聞きながら手を動かしていたが、店のドアが開く音が割り込んできた。
「いらっしゃいま・・・・・」
振り返って声を出したが、入ってきた客の姿を見て、シンの言葉は途切れた。
前髪の一部が逆立った、赤い髪
ややパッチリした青い瞳
見覚えのある、赤いスーツ。
「こんにちは。シン君」
片手をあげて、その女―――――ルナマリア・ホークはにこやかに微笑んだ。
「ちょっと時間、もらえるかしら?」
本音を言うと、今すぐにでも彼女を問いただしたいところだったが、店を放っておくわけにもいかない。今日は自分一人しかアルバイトがいないのだ。
「見てわかんないのか?仕事中―――――」
「構わないぜ。どうせ客はあいつしかいないんだ」
ぶっきらぼうに言い放つシンに割り込み、炒飯の盛られた皿を持ったディアッカが厨房から顔を出した。
「店長・・・・」
「行ってこい。美人の誘いは断るな。―――――お前も、構わないよな?」
ディアッカが、イザークの前に炒飯を置いて尋ねた。
「フン」
短く言って、イザークを料理を食べ始めた。どうでもいいらしい。
「じゃ、行きましょうか」
手に持った傘を開き、ルナマリアは店のドアを開けた。
エプロンを脱いで、ずっと傘立てに忘れてあるビニール傘を持って、シンも店を出た。
ドアを閉める前に、「うまくやれよ」というディアッカの声が聞こえてきた。
886通常の名無しさんの3倍:2006/03/14(火) 10:46:54 ID:???
とりあえず第二話Aパートってところで
個人的に、怒ってこそシンだと思っている。

ディアッカとイザークはチョイ役の予定。
なんか思いついたら出番回すかも。
887通常の名無しさんの3倍:2006/03/14(火) 11:40:16 ID:???
ラクスはRじゃなくLじゃなかったか?
それはともかくgj
888仮面ライダー運命 第二話:2006/03/14(火) 22:57:44 ID:???
「君が探している『キラ』と『カガリ』・・・・実は、あたし達も探してるの」
前を歩くルナマリアの背中を睨みつけるように眺め、シンは彼女の言葉を聞いていた。
店に入ってきたときには気付かなかったが、片手に4日前と同じバッグを持っている。
「あんた達も?」
「ええ。その2人、『感染源』に接触した可能性があるの」
「『感染源』?」
「『Rウィルス感染源』・・・・オノゴロ島事件を引き起こした原因と考えられているわ」
「なんだって!?」
「シン君」
驚いて声をあげたシンをキッと睨んで、ルナマリアは言った。
「あたしが君に会いにきた理由は――――君にあたし達の『仲間』になってほしいからよ」
「仲間・・・?」
「そうよ。君に、『感染体』と戦うために設けられた非公式チーム――――『ザフト』の一員になって欲しいの」
「・・・・ザフト・・・・」
「そしてこれが――――」
バッグを置き、ルナマリアは片手でスーツのボタンを外して前を開く。
「『感染体』と戦うための力よ」
彼女の腰に、細い金属が巻かれているのが見えた。
腹のあたりに薄い金属板が繋がっていて、微かに赤い光を放っている。
「・・・・ベルト?」
「4日前、ジンと戦ったとき見せたわよね?あたしの『変身』」
シンの頭に、赤く輝く鎧に覆われた戦士が、灰色の怪人をトマホークで斬る姿が思い浮かんだ。
何か言おうと、シンが口を開こうとした瞬間、聞き覚えのある甲高いアラーム音が聞こえてきた。
「これって・・・・!」
「『感染体』!――――こっちだわ!」
「おい!」
バッグを拾い上げて駆け出すルナマリアの後を追い、シンも走り出した。
889仮面ライダー運命 第二話:2006/03/14(火) 23:00:46 ID:???
晴れた日なら、その公園には遊びまわる子供達の姿があるのだろう。
だが雨の公園に存在するのは、2つの人影。
一方は、どこにでもいるような、ラフな格好の若者だ。腹から血を流している
もう一方の人影――――確かに人の形をしているが、人と言っていいのだろうか。
全身が緑色の金属に覆われいて、頭頂部には、銀色のとさかのようなものが生えていた。
一つしかない赤い目玉を顔の中央で鈍く光らせ、鋭い爪のような形をした左腕で、その若者の腹を貫いていた。
降りしきる雨の中、シンとルナマリアが見たのはそんな光景だった。
「ゲイツタイプ・・・・!」
「っ・・・・!」
緑色の怪人の姿を確認して呟くルナマリアと、刺されている若者を見て息を呑むシン。
彼女の存在に気付いたのか、怪人は左腕を引き抜き、肉塊となった若者を突き飛ばして、血の色をした瞳でルナマリアを捉えた。
「変身!」
傘を投げ捨て、バッグを置き、胸の前で右拳を握り、上半身をひねって叫ぶ。
輝きを放ちながら、ルナマリアの姿が赤い戦士へ変わっていく。
「この前も見せたけど、これが奴等と戦うあたし――――『ガナーザク』よ」
「『がなーざく』?」
「下がって!」
それだけ叫んで、ルナマリア――――ガナーザクが、緑の怪人、ゲイツに突進していった。
右手に握ったトマホークを振るう。わずかに飛び退いてゲイツがかわす。
攻める手を止めず、さらに踏み込んでトマホークを払う。
ゲイツが跳躍してそれをかわし、そのまま飛び蹴りをガナーザクに放つ。
身体をひねって左腕を前に出し、盾を突き出して一撃を防ぐ。弾かれたゲイツが、バランスを崩しながら着地する。
その隙をついて距離をつめ、ガナーザクが鋭い前蹴りを繰り出す。それをゲイツが素早く右腕で払いのけ、バランスを崩したガナーザクに、突き上げるように爪の左腕を打ちつける。ガキン、という音がして、ガナーザクが吹っ飛ばされた。
キルルルルル・・・・・という声をあげ、ゲイツが両手を腰にあてた。
次の瞬間、ゲイツの腰から2本のワイヤーのようなものが高速で飛び出し、ガナーザクの右腕と腹に巻きついた。
叩き切るべく、左腕にトマホークを持ち替えた瞬間。

――――バチバチバチッ!!

「きゃああああああっっっ!!」
青い電撃が、弾けるような音と共にワイヤー伝い、ガナーザクを襲った。
890仮面ライダー運命 第二話:2006/03/14(火) 23:02:38 ID:???
まともに受けたガナーザクが悲鳴をあげる。
ゲイツがワイヤーを戻すと、ガナーザクがよろめいて、後ろで見ていたシンのそばまで後退し、水しぶきをあげて倒れこんだ。
弱々しく光り、ガナーザクがルナマリアの姿へ戻っていく。
「おい、大丈夫か!?」
力なく倒れ、小さく痙攣するルナマリアの身体を抱え、シンが叫ぶ。
「・・・・ッグを・・・・」
「なに!?」
「その・・・バッグを・・・・持っ・・・て、逃げ、なさい・・・・」
かすれた声で、ルナマリアが言った。
「何言ってんだ!?」
「それ、があれ、ば・・・・あ、たし、の、仲間・・・・くる・・・・から」
「どういう・・・ことだ・・・?」
「いい、から・・・・それ、は・・・・渡しちゃ、だ・・・め・・・君は、逃げ、るの」
シンの腕の中で、ルナマリアは呼吸を乱し、懸命に喋った。
緑色の怪人が、キルルル・・・・と鳴きながら、ゆっくり近づいてくる。
――――どうするか。
この女のいう通り、逃げるべきか。
素性もしらず、突然わけのわからないことに自分を巻き込んだ女。助ける義理はない。
――――本当に?
そのときシンの頭に、家族を見捨てて飛び去る白い戦士の姿が浮かんだ。

――――もしここで逃げれば俺は――――

「そんなこと・・・・俺にできるか!」
ルナマリアの身体を地面に置き、そばにあったバッグを開ける。
中にあったのは、ルナマリアに巻かれていたのものにそっくりな、細い金属ベルト。
違うのは、バックルが白い輝きを放っていること。
(戦う力・・・・・)
素早く取り出し、腰に巻きつける。
それを見たルナマリアが、目を見開いて叫んだ。
「待って!あなたにはまだ――――」
「目の前で人が死にそうなときに、見捨てるなんて――――俺は嫌だ!」
ゆっくりと迫ってくるゲイツを睨みつける。
左の拳を握り、腰の脇につける。
右手を指先まで伸ばし、身体の前へ斜めに突き出す。
そして――――叫ぶ。

「変身!」

シンに巻かれたベルトが発光し、ゲイツが動きとめた。
891仮面ライダー運命 第二話:2006/03/14(火) 23:05:53 ID:???
まばゆい光に包まれ、シンの身体を白い装甲が覆ってゆく。
その顔には、エメラルドグリーンに輝く眼が2つ。
光が収まり、白い戦士が厳然と佇む。
「・・・・ルナ、俺の戦う力、名前は?」
白い戦士がルナマリアに問う。
「・・・・・『インパルス』、よ」
ルナマリアが静かに答える。
「『インパルス』・・・・よし」
水飛沫をあげ、インパルスが疾走した。
勢いのままに放った鋭いパンチが、ゲイツの顔面を捉える。
拳を振った反動を利用し、半転して繰り出した回し蹴りがゲイツを打つ。
反撃すべく振るったゲイツの爪を払いのけ、脇腹へ拳を突き上げる。
よろめいて後退するゲイツが腰に手をあて、ワイヤーを放つ。
「ハァッ!」
気合いを吐いてインパルスが跳躍。ワイヤーは濡れた空気を切るのみ。
空中に飛び上がったインパルス全身が、青白く輝き始めた。
「でやぁぁぁぁーーーっっ!!!」
輝くインパルスのキックが、流星のようにゲイツの胸へ突き刺さる。
衝撃の瞬間、閃光が走った。
必殺の一撃。
直撃をうけ、吹っ飛ぶゲイツの全身から光が漏れ出し、やがて爆散した。

「大丈夫か!?」
「だい、じょうぶ・・・・ちょっと動けそうにない、けど」
変身を解いたシンがルナマリアに駆け寄る。
答えるルナマリアの視線の先には、動かなくなった若者の身体。
「・・・・あたし達が、もう少し早くきて、れば」
「・・・・あいつら――――『感染体』は、人を襲うのか?」
「ええ・・・・目的は、ハッキリ、して、ないけど」
「・・・・ルナ」
「なに?」
「『ザフト』とかいったよな・・・・俺も入れてくれ」
「・・・・歓迎、するわよ。でも、その前に・・・一つ」
「なんだ?」
「あたし、の名前・・・・勝手に、省略、しないで」
「・・・・いいだろ、別に」
(ま、いいか・・・・)
最後の言葉は口にせず、ルナマリアは眠った。

――――ようやく終わるかもしれない。いや、始まるのか。

――――俺の復讐が、やっと始められるかもしれない。