866 :
プロローグ:
―――2年前―――
(俺は、生きてるのか)
身体が重い。皮膚がひりひりする。口の中は乾ききっている。
助けを呼ぼうとしても、喉から搾りでるのは、かすれた呻き声のみ。
自由に動かせるのは二つの眼球。
見える景色は、好きだった町並みではなく、燃え盛る炎、重なる瓦礫、そして・・・動かない家族。
いや、炎の先に、もう一つ見えた。鎧を着込んでいるかのような、白い人影。両肩と腰の脇から、長い筒のようなものが突き出している。
(助けて・・・・)
助けてくれ。
俺は助からなくてもいい。父を、母を、妹を―――頼む、助けて・・・・。
――――反応は、あと一つ。一番デカイヤツだ!急ごう、キラ!
知らない女の声が聞こえた。
――――よし。行こう、カガリ!
鎧の男が答えたようだ。突き出ていた筒状のものが鎧の背後にたたまれ、代わりに翼のようなものが広がる。続く動作で大地を蹴って飛び上がり・・・・そのまま、空を飛んでいった。
(なんだよ・・・・)
なんなんだ、あれは。
この惨状に目もくれないで、どこに行く気なんだ?
俺の家族を見殺しにするのか?
次から次へと、負の感情が頭の中に沸いてくる。
『キラ』と『カガリ』
確かにそう呼び合っていた。
――――許さない、絶対に。
(死んでたまるか!)
心の中でそう叫んだ瞬間、何かが弾けた感覚に襲われ、意識が途切れた。
867 :
プロローグ:2006/03/12(日) 21:28:45 ID:???
――――あなたたち、だれ?
――――そう、キラとカガリっていうのですね。かわったかっこうしてますわね?
――――わたくしのおともだちをころしたの、あなたたち?
――――そう、あなたたち、かわりにおともだちになってくれませんか?
――――まあ、うれしい。じゃあ、おかおをみせてください。
――――キラのおかお、とてもきれいですのね。
――――カガリのかみ、きれいなきんいろですわね。おかおもキラににてキレイ。
――――あらあら、わたくしのおなまえをいってませんでしたわね。
――――わたくしは、ラクス・クラインです。
――――わたくしのうた、きいてくださいます?