シンは仮面ライダーになるべきだ

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791空我  1/4
ダグバを追って吹雪の強い雪山へやって来た
横でシン……仮面ライダークウガが、決意した表情で佇んでいる

「アスランさん……」

その瞳に強い意志を宿らせ、こちらに語りかけてくる

「もし、俺が究極の闇をもたらす者になったら、ココを、打ち貫いてください」

ベルトの中央……秘石『アマダム』の位置を指で指すシン

「君には、冒険だけしてほしかった……」

これは偽りなき本心。誰よりも、そう誰よりも、笑顔と冒険の似合う隣の青年へ
他人の為に泣いて、他人の為に傷ついて、他人の為に傷つけて
他人の為に怒って、他人の為に笑って、他人の為に笑わせて
いつでもそうだった。どんな強大な敵でも、シンが笑顔になり、その親指を青空に向ければ……

『あぁ、大丈夫だな』

そう思ってしまう
そして、絶対に大丈夫である

「俺、良かったと思ってます」

そんな、誰からでも好かれる青年

「だって、アスランさんに会えたから」

そんな、誰でも安心できる青年

「だから、見ててください」

そんな

「俺の……」

そんな………

「変身」

誰かの笑顔を守る青年
792空我  2/4:2006/02/26(日) 11:07:58 ID:???
いつものように、そう、いつものように、両手を腰の前にあてる
そして浮かび上がるベルト。秘石の色は黒
……不安ではない、と言ったら嘘である
だけど、アスランさんがいる
万が一の時は、アスランさんがみんなを、俺を守ってくれる
だけど、不思議と大丈夫だな、と思える
だって、いろいろな人に助けてもらったから
ギルさん、レイ、マユ、ステラ、ルナマリア
色々な人の想いが、俺を守るから

「……」

左手を腰の右側に、右手を顔の左前に
そのままゆっくりと右手を右に、左手を左に

「……」

『もうこれ以上、コイツらの所為で人が傷つくのを見たくない!!』

あの時の、燃え盛る教会での誓い
あの時、あのヴィジョンを見た時は、怒りで忘れていたけど

『だから見ててください!!』

今は、大丈夫。鮮明に思い出せる
だから、あの時と同じ言葉を、言った

『俺の……』

だから、大丈夫

「『変身』」

右手で左手ごとスイッチを押す

ベルトが鼓動にも似た振動を発する
同時に身体が黒い鎧で覆われる
そこにベルトから金色のラインが生える
それが全身に届くと、最後に顔が仮面で覆われる
その瞳の色は、覆われた自分にはわからない
だけど、振り向いた時のアスランさんの安心したような顔
きっと、大丈夫なんだろう
行って来ます

「―――ッ!」

大丈夫ですよ、アスランさん
793空我  3/4:2006/02/26(日) 11:09:46 ID:???
感じるままに走ると、人影が見えた
真っ白な衣装を身に纏う……究極の闇
ン・ダグバ・ゼバ………キラ・ヤマト
アスランさんの元親友。それが何故、こうなったのは分からない
ピンクがどうのこうの言ってた気もするけど、そんなのはどうでもいい
俺はコイツを許せない
それ以上に、拳を振るうことしかできない自分を許せない

「なれたんだね? 究極の力を持つ者に」

仮面ごしにアイツを睨む

「……どうして、アンタはアスランさんを裏切ったんだ」
「逆だよ。アスランが僕を裏切ったんだ」
「ふざけやがって…!」
「ふざけてなんかいないよ」

白いアイツは……白い悪魔へ変化した
黒い自分とは対象的、いいや、正反対
だけど、絶対値は同じハズ
以前対峙した時より圧迫感は強いものの、全く気にならない

『…………』

どちらともなく歩き出し……

「――クッ!」
「――チッ!」

どちらとも火達磨になり
しかしどちらも怯むことなく

「ウオォォォォォォ!!」
「ハアァァァァァァ!!」

殴り合いが、始まった
雪原の上で、黒と白が舞っている
一方が殴りかかると、一方は回避し
一方が回避すると、一方は掴みかかり
一方が捕まえると、一方は払いのけ

そんな、目まぐるしい攻防
どちらの攻撃も、一撃が致命傷
そんなギリギリの攻防を続ける黒と白の"究極"は……
ただ、美しかった

「グ――ァッ!!」

クウガのパンチがダグバを捉え

「ウ――ガッ!!」

ダグバのパンチがクウガを捉え
あとは、ただひたすら、互いを殴るだけ

雪原の上に鮮血が散る
やがてそれは一輪の赤い花となり、血の舞台と化す
鮮血の雨が降る舞台で、黒と白の役者はただ死闘を演じる
やがて……
795空我  5/5:2006/02/26(日) 11:14:41 ID:???
「グ――ゥガァァァッ!? グッ、うグッ、ゴアァァァ!!」

黒い"究極"が白い"究極"のベルトを捉え

「ウ――ガァァァァッ!? くッ、ウゥッ、ウアァァァ!!」

白い"究極"が黒い"究極"のベルトを捉え

『ウゥゥゥゥゥアァァァァアガアァァァァァァ!!』

互いに、何時死んでもおかしくないダメージを負ったにも関わらず

「ううぉぉぉっっ!! クゥッ、アァッ! うぁっ! あぁぁぁぁぁぁぁ!!」

変身状態を維持しきれなくなったにも関わらず

「あっははははは!! ハァッ、グゥッ! はぁっ! っははははははは!!」

泣きながら、笑いながら

「ぐっ……   ぅぅぅぅうううあああああぁぁぁぁぁ!!」
「はは……   あっはっはっはっはっははははははは!!」

ただ、黒と白は舞う

「ゴ――フゥッ!」
「ハ――グァッ!」

その拳が、互いの頬に刺さり

「グ……うぁっ……」
「ア……っは………」

鮮血の舞台が、閉幕した



「……!? シィィィィィィン!!」
796空我  LAST:2006/02/26(日) 11:16:00 ID:???
―――三ヶ月後

どこかの砂浜
黒く、健康的に焼けた子供達が走っている
その視線の先には、黒い髪、赤い瞳
2000の特技を持つ男

「Shinn!」

子供の一人が、ジャグリングしている青年に声をかける
その声に青年……シン・アスカは笑顔で応える

彼は、今でも笑顔である


重い荷物を枕にしたら 深呼吸、青空になる
目を開けててもつむっても 同じ景色は過ぎてゆくけど
今見てなくちゃ 気づけない

君を連れて行こう 悲しみのない未来まで
君がくれた笑顔だけ ポケットにしまって

僕は 僕は
青空になる
797空我  あとがけ:2006/02/26(日) 11:18:38 ID:???
駄文を失礼。だが私は謝らない!
書いててキラがハマってるなぁとか思いました まる

4/5のメ欄あたりに入れとくつもりだったけど、忘れたのでココに
ttp://www4.ocn.ne.jp/~bioman/2d/kuga.htm
格好良いので見とけ!