職人さんには悪いが、オリガン解説は正直イラネ。
SSなんだから文章中の描写で魅せてくれ。
乙
てかこのペースで行くとかなり長くなりそうだから個人スレ建てたほうがいくない?
ウッソスレ ハマーンスレみたくにさ
長編はそれがいいかも。
>>147 俺はそういう設定も大好きだが、確かにこういうスレでやるとダメかも。
俺はあんたなら個人スレを立てても応援するぞ!
でも個スレ建てるとすぐ荒らしがやってくるんだよな。
良作だからそれも乗り切れるとは思うが、
まあ、とにかく応援してるぜ!
全キャラクターに上方修正をかけた種死二次創作を作ろうと思い資料を集めているのだけれど
ラクスという存在そのものが分からない。
調べれば調べるほど矛盾と無茶苦茶さ加減が浮かび上がってきてどうすればいいんだ状態。
キラ、アスラン、カガリ辺りは何とかなるんだけれどラクスはもう原作無視で行くべきだろうか?
そんなん、SSなんだから自分で考えるといい
文学を書くわけじゃ無いし、言ってみれば所詮暇潰しのネタ。
面白可笑しく書くのが一番かな
自分の中で確固たるイメージを立て、更にそれを作中で一貫して表現すれば
多少糞本編と違おうが誰も文句言わんと思う
「ラクスである必要がない」役割なら削除しようが他人に割り振ろうが構わんのだし
俺の考えでは
ラクスは絶大な力を持ちながら、明確な目的や、理念を持たずに行動する悪の秘密結社の首領
通常、大きな組織が存続するためには目的や理念が不可欠だが、組織自体がラクスのカリスマ(あるいは洗脳技術)によってのみ存続し、構成員は誰もそれを疑問には思わないので、ラクスは主義主張を一貫させる必要が無い
深い考えはなくその場のノリや勢いで、なんとなく良さそうな行動を、もっともらしい理屈をつけて選択するが、その行動が本当に正しいのかどうか、それがどういう結果をもたらすかということは深く考えてない
そしてラクス本人、及び組織の構成員自身はそのことに気付くことは無く、自分達が常に正しいことをしていると信じている
ならそれをいかに説得力のある描写にするかが課題だね
カリスマとか洗脳とか一言で言うとへーそうなんだ、と思うけど
何で全員がおかしくなるのか?素地があったのか?ラクスの訴えかけはそんなに効果あるのか?
具体的にどういうことしてんの?そんな奴何で野放しなの?を詳しく表現できないと
本編と同じく結果ありきの「脚本の都合で発狂」になる
箕条のアルターみたいな能力があるとかは?
「ラクスの『唄』には人類全ての遺伝子に潜在的に影響を及ぼす力がある」とか。
関係ないんだが、前作でずっと気になってたフレイの「……パパ?」発言。
アレを基に、実はフレイが空間認識能力者でなおかつ生存ルートというのを
考えてみたんだが、何に乗ればいいと思う?
ストライクルージュに乗ってほしいが、それだと空間認識能力の使いどころがないな
いや、オーブ搭載機なら何でもいいと思うぞ。
アカツキドラグーンはどうやら2年前の代物らしいし、技術的下地は十分だ。
まぁ空間認識能力ならバレーやサッカーで生かしてる、という活動的フレイ説もありっちゃありだがw
ストライクかフリーダムを二人乗りにしてドラグーンだけ使わせるとか
相談しといてナンだが、自分で考えてみた。
操縦能力とかは高く無さそうだから、代わりにフラガ一族を遥かに凌ぐNT能力者ということにする。
複雑な技能を必要とせんように脳波操縦のMAに搭乗。
武装も全部ドラグーンの応用形で、思い切って本体の武装はカット。
要するに種版エルメスやな……。
で、種終了後行方不明だったフレイが議長に拾われてザフトにいると。
ジュール隊に議長の命で配属された謎のナチュラル、戦闘力は絶大。
議長曰く「これぞ適材適所」
>>157 俺の中ではラクスはシーゲルが全人類の指導者となるように
人をひきつける遺伝子を組み込んで生み出した存在になってる。
保守
ステラ。
何のことはない、ありふれた名前だった。
壁に文字を書きつける。
嘘をついていた。
ずっと、ずっと、嘘をつきつづけてきた。
少女はつぶやいて、少年はうつむいた。
少年の腕にもたれかかり、少女は眠りについた。きっとめざめることはないだろう。
俺は、色も匂いもある、輪郭のくっきりした夢を見ていた。
それは幻でなく、おそらくは現実であろうと気づいていた。
オーブの軍服を着た若い女性が見舞いにきた。
この艦の艦長らしい。
しかしなぜか友軍である俺を捕虜あつかいにしている。
俺が眠っていた間に情勢が変わり、オーブと地球連合は敵対することになったのだろうか。
ときどき艦長が見せる奇妙な表情も、情勢にほんろうされている俺をおもんばかってと思う。
親指を強く噛む。
痛みをおぼえつつ、赤い玉となって浮かんだ血を病室の白壁になすりつける。
気づかれないように、ただモニターをいじっているかのように見せかけて。
モニターから流れる報道の渦。
いくどとなくくりかえされるデストロイとインパルスの姿。
破壊の名を持つ兵器が破壊し、破壊される姿。
見るたびに、胸に針が突き刺さったような痛みがはしる。
俺はカーテンを引き、外界の情報を可能な限りさえぎろうとした。
この艦は、あまりにも楽天的だ。
戦場における底抜けの陽気さは、麻薬のように魅力的だ。
しかしそれに身をゆだねれば、はっきりとはいえないが、大切なものを失いかねないように思う。
戦争では、敵を殺すことも味方を見殺しにすることも時にはわりきるべきだ。
しかしそれが人のあるべき姿でないと自覚することも、きっと大切なはずだ。
俺は忘れるわけにはいかない。
戦端を開いた日から、ここにこうしているまでの事を。
モニターを眺める。
ベルリンで倒されるデストロイの姿を目に焼きつける。
ステラ。
ステラを返してきた青年。
ステラを大切に思う記憶を消去されたオークレー。
ステラ。
「ステラ」
口に出してつぶやいてみる。ステラ・ルーシェ。
大丈夫だ、おぼえている。忘れていない。
モニターに映るのは五体のデストロイ。
おそらく一機にはスティングが乗せられているのだろう。
そしてデストロイは全滅した。
奇跡でもないかぎり、生き残られたとはおもえない。
俺はいつものように噛んだ指を壁に押しつけた。
この痛みが記憶に輪郭を取り戻させてくれる。
そして俺はステラとアウルの名の横にスティングと書きくわえた。
カーテンごしに声がした。
「あなたが、なぜここにいるんですか?」
隣に眠っていた青い髪の少年が近より、問い質してきていた。
「ベルリンで捕虜になったからさ」
「ベルリンで何が起きたのか、あなたが何をしたのか聞きました」
「そうか。戦争では、よくある事だ」
「たしかによくある事かもしれない。しかし、だからといって免罪される事でもない」
「戦えば敵が死ぬ。戦わなければ味方が死ぬ。それだけだ」
俺は罪を背負っているつもりはない。
ザフトの赤服に嘘をついた事は心にひっかかっていたが、しょせんは敵だ。
少しでも部下を守りたいなら、いくらでも嘘をつくし、殺し続ければいいだけ。
カーテンの向こうで押し殺した声がした。
「あなたは俺の記憶だと、そんな人じゃなかったはずだ」
何の事だ。
問い返そうとして振り返ったが、少年は一声うめいて床に倒れ、気絶した。
重症なのに無理をするからだ。
俺は衛生兵を呼び出し、少年が倒れた事を告げた。
呪文のようにとなえ続ける。
ステラ。ステラ。
しかしステラとは何だったのだろう。
誰?
目を閉じる。
金の色。
広がる小麦畑の色でも富豪の持つ金貨でもない、ただ金髪だったというだけだ。
手がかりには心もとない。
幼さを感じさせる像も浮かんできた。
何となく、遠い昔、子供のころに聞いた名前だったような気がしてくる。
俺と同じように金色の髪を持ったクルーゼ。父のクローン。
そうか、きっとステラとはクルーゼのあだ名だ。そうに違いない。
俺はテレビに飽きて、ベッドに寝転んだ。腕が紐でつっぱられ、じくじくと傷む。
痛みに寝返りをうつと、壁に並んだ赤黒い文字に気がついた。
ラクガキだろうか。
過去に存在していたという記憶がない。もちろん俺が書いたおぼえもない。
そっと指で文字をなぞる。かさかさに乾き、ざらざらした手ざわり。
まるで血のような色が不快だ。
俺はガーゼを唾液で湿らせ、字をぬぐった。
スティなんとか、アウル、ステラ、イアン、インパルスのパイロット。
いったい何の意味があるのかわからない名前の羅列。
完全に文字が消え、白くなった壁に気分が良くなり、俺は今度こそ気持ち良く眠りについた。
嘘をついていた。
ずっと、ずっと、嘘をつきつづけてきた。
少女はつぶやいて、少年はうつむいた。
少年の腕にもたれかかり、少女は眠りについた。きっとめざめることはないだろう。
俺は、色も匂いもある、輪郭のくっきりした夢を見ていた。
しかし目覚めとともに記憶はぼやけ、うつろぎ、消えさった。
ステラ。
何のことはない、ありふれた名前だった。
壁の文字はすでにない。
リアルタイムで乙
超乙
泣けた
すげぇ。鳥肌たった。何か、涙出てくるんだけどこれ
乙
AGE
174 :
通常の名無しさんの3倍:2005/09/26(月) 21:01:30 ID:TWvg72Tg
上げ
これからこんな最終回だったらいいなというSSを投下します。
戦闘シーンがすごくてきとうですが、そのあたりは素人ということでお許しください。
真空では音は伝わらない。モビルスーツや戦艦が爆散し、数多くの命が散っていってもただ瞬間、空間が光るのみである。
プラントのザフト軍は連合の月基地をレクイエムで破壊していたので、数の上では圧倒的に有利である。相手はオーブのテロリスト上がりの
宇宙軍たちだ。ただ彼らは、大量破壊兵器を保持することの非を唱えながら、おのれらは条約違反のモビルスーツにミーティアというオプション
をつけ、立派な大量破壊兵器として使用していた。
カスタムメイドのモビルスーツとエースパイロットの存在は、時として戦場の戦況を左右する。しかしエースパイロット同士が戦いあっていれば、
それは戦略的に消えているも同然だ。
レジェンドとフリーダム、デスティニーとジャスティスが現在その状態にあった。
(シンとレイががんばっている間に、私とミネルバ、月軌道艦隊でオーブ軍、特にアークエンジェルとエターナルを討たなければ)
ルナマリアはソードシルエットのインパルスをエターナルに向ける。アスラン・ザラとともにザフトを脱走した妹のメイリンが乗っている戦艦だ。
先ほどのメイリンの言葉が頭に響く。
『お姉ちゃん、誰が本物のラクスさまだか、わからないの?』
アスランに好意を持っていたルナマリアにとって、妹が自分の意思でアークエンジェル陣営に組していると考えるのは辛い。しかし、脱走兵が妹なら、
赤服の誇りにかけて、処刑するのは姉の自分でなければならない。
エターナルの護衛についているモビルスーツはグフイグナイテッドとザクファントム、軍を、仲間を裏切ってアークエンジェルに走ったイザーク・ジュール隊長と
ディアッカ・エルスマンの二人だ。二人とも二年前のヤキン・ドゥーエで生き残ったエースパイロット、そしてアスランの同僚だった。自分の生まれた国を、
志願して入った軍をこれほど簡単に脱走できるなど、人間としての資質を疑う。プラントはレクイエムの照射でコロニーを落とされ、多くの民間人が犠牲
になったというのに、なぜプラントを攻める側に寝返るのだ。ルナマリアの後ろに従うジュール隊のMS部隊、オレンジ色に塗装されたのはハイネ隊の
生き残り達だ。彼らは彼女と心を同じくして、二年前、ザフトから強奪された戦艦エターナルを落とそうと、射程距離内に入ったところだ。後ろからは
ナスカ級をはじめとする多くの戦艦が、主砲をエターナルに向けている。
「君は君だ!」
パイロットスーツの下にまつわりつく冷や汗。二年前、プロヴィデンスに乗ったラウ・ル・クルーゼに対し、キラは自分の言葉で
反論することができなかった。そしてラウと同じ存在、レイ・ザ・バレルに返した精一杯の言葉がこれだった。
「君が君でいるために、デステニープランなんて、不要だと、どうしてわからないんだ」
「違う。俺のような存在を生み出さないために、デステニープランが必要なんだ」
低い、冷静な声が帰ってくる。お互いのドラグーンがビームを乱射するため、他者はまったく入り込めない戦いだ。
一瞬の隙を突いてフリーダムがビームの籠から抜け出す。フルバーストで向かう先は、ザフトの移動要塞メサイヤ。
「メサイヤにはギルがいる。させるか!」
追いすがるレジェンドに向かって
「僕はデュランダル議長に会いたい。彼に直接会って話をしたい」
「たかが一パイロットの存在で、なにを言う」
「僕はオーブの准将だ。今回宇宙に上がったオーブ軍のなかで、一番地位が高い。議長と面談して戦争を止めさせることが出来る権限があるのは、僕だけだ」
沈黙の後、
「メサイア、レジェンド、オーブ特使、キラ・ヤマト准将を伴って帰還する。議長との会談を准将はお望みだ」
明らかに皮肉交じりの声が聞こえた。
キラは無視して戦場を見渡す。デスティニーとジャスティスが激しくやりあっていて、互いに機体をかなり損傷していた。
「アスラン!」
親友の声が聞こえたのか、ジャスティスの動きが鋭くなり、ビームライフルがデスティニーの右腕を薙ぎ、アロンダイドを切り離した。
「このぉぉぉ、お前ってヤツはぁ!!!!!」
シンの激情した声とともにデスティニーはビームブーメランを左腕で投げ、見事ジャスティスの頭部、メインカメラを破壊する。
機体もパイロットの技量も互角、互いに武器が尽きるまで戦い続けるつもりのようであった。
「アスラン、シン、止めろ! 戦いは破壊を生むだけだ。僕はオーブの代表としてデュランダル議長と会談する。アスラン、ぜひ君も一緒に!」
キラの声に二機の動きが止まった。レジェンドがフリーダムを先導するように動いている異常な事態に、シンですら気付いていたのだ。
「議長に……」
「議長に面と向かって話をする度胸がお前にあるのか、脱走兵」
レイの声は怜悧に現実を告げる。
「俺は自分の信念に生きる。戦う人形じゃない」
「ふん、能書きは一度でも兵士としての本分を全うしてから言うがいい、アスラン」
彼が二度、ザフトから脱走した事実を皮肉る声だった。
「アスラン、ジャスティスは大破している。フリーダムを近づけるから、乗り移ってくれ」
「どうなってるんだ、まったく!」
シンも愚痴る。
「シン、デステニーはまだ動けるか? 動けるならゆっくりでいいからメサイアに帰還し、議長の執務室まで来い」
「……了解」
実は戦いのさなかシートベルトが破損し、シンは左腕に裂傷を負っていた。生死にかかわる傷ではないが、これ以上戦闘を続けるのは自殺行為と言えた。
「では俺は、このオーブの代表とやらをメサイヤに連行、いやお連れする。議長はヒビキ博士の夢のスーパーコーディネーターをぜひ一度生でご覧になりたいそうだ」
「艦長、艦隊射撃を続けていますが、あの金色のモビルスーツが」
副長のアーサーがぼやく。ザフトの最新鋭艦ミネルバとしては、なんとかしてアークエンジェルを落としたい。相手の旗艦をこの戦争で幾度も
死地を潜り抜けてきたミネルバが沈めるということは、ザフト軍の士気を大いに高める。
「あれをなんとかしなければ。でもあれだけのIフィールドを展開できる出力、動力は、やはり、核。メサイヤにレーザー通信、暗号005送信」
「了解」
すぐに暗号回線で返答があり、グラディス艦長はほっとしたあと、眉をひそめた。その電文には議長からの直接命令が記されていたのであった。
メサイヤから発進した戦艦の腹部に白いプロペラ状のものが取り付けられている。金色のモビルスーツはその間にもナチュラルとは思えない動き
でザフトのモビルスーツを撃墜していく。
Nスタンピーダーから白い光が放たれ、黄金のモビルスーツを包んだ。
「なんだ、ん、原子炉が暴走!?」
アークエンジェルのガーディアンとして八面六臂の活躍をしていたモビルスーツは爆散した。
「ムウ!!!」
艦長のマリューは再び心を通じ合えた男性の戦死に、思わず声を上げる。しかし彼女は艦長であり、このアークエンジェルを持ってしてザフトの
移動要塞メサイアを落とさなければならないのだ。感傷など、生き残ってからひたればいい。
「暁が失われたことによって、ザフト軍からの艦隊射撃の距離が近くなるわ。全砲門開け。周りは全て敵。全速前進、全力で攻撃しながら、敵要塞
に突っ込むわ。白兵戦準備用意!!」
数で劣るオーブ軍、今生きている船はアークエンジェルとエターナルの二隻となった。フリーダムが敵要塞に近づいているが相手のモビルスーツと一緒だ。
しかし、もし、キラのフリーダムと同時に敵要塞に取り付くことが出来れば、相手の頭を押さえることができるかもしれない。マリューにはもう選択肢がなかった。
「トリスタン起動、目標、アークエンジェル!」
この空域のザフトの全艦隊の主砲がアークエンジェルに向けられた。
「ローエングリン、バリアント、ゴットフリート、てーーーーーーーー」
ハリネズミのようにアークエンジェルから陽電子砲が、ミサイルが発射される。それにあたって爆発を起こした船も何隻かあるが、そのあとにはザフト艦隊の射撃が襲う。
数え切れぬほどのビーム、ミサイルが白い大天使と呼ばれた美しい船に命中する。直撃を受けた甲板がめくりあがり、砲門もかなりやられた。しかしエンジンは戦闘戦速
を保ち、敵要塞との距離は縮めている。それは敵艦隊との距離が短くなったのと同義であって、次の射砲を先に出来るかどうかが全ての鍵を握っている。
勝ったのはミネルバだった。
この戦争に踊らされている時代にあって、二年の時間は最新艦を中古に変える。陽電子生成、砲身の材質の硬度、すべてミネルバが上。
主砲がブリッジを粉砕した。他の船からの射撃に、アークエンジェルは沈黙した。しかしまだ、エンジンは生きていた。オートパイロットでネオジェネシス
の中央に方向を定められていたアークエンジェルは、砲撃を受けるたびに質量を失いながら、それでも前進を続けた。ザフトのモビルスーツ隊が瀕死の
大天使のエンジンに集中砲火を浴びせる。艦隊は横に展開して砲撃を続けるが、当たり所が悪いのか、爆散させることができない。
目視でスピードが掴みにくいのが宇宙空間の特徴である。タリアは二本の足も、翼も失ったアークエンジェルの残骸がネオジェネシスとゆっくり接触したのを見た。
次の瞬間、アークエンジェルとネオジェネシスのミラーは爆発し、宇宙空間に新たなデプリがまきちらされた。
「副長、議長からの指令で私はメサイアの司令部に行くことになりました。このまま空母ゴンドワナの指示に従って、対エターナル戦に臨んで下さい」
「えっ」
「復唱は?」
「はい、アーサー・トライン、ミネルバをゴンドワナの指令下に置きエターナルと戦います」
まぬけでどじでひとがいいところだけがとりえのように見える青年だが、ザフトで出世しているということは出来る男のはずだ。
「あちらにはルナマリアが回っているわ。彼女のインパルスの状態にもよく気をつけて」 ミネルバでモビルスーツ管制をしていて
インパルスのソード射出のタイミングなどに一番慣れていた彼女の妹、メイリンはアスラン・ザラとともに脱走した。アスランは生きていたが、
彼女はシンにグフイグナイテッドが落とされた時に死んだかもしれず、また生きていていまアークエンジェルで死んだかも、まだエターナルで
生きているかもしれない。 アークエンジェルとフリーダム、戦場の不確定要素、テロリストといっていい。オーブ軍の仮面をつけたとて変わる
ものではないのだ。
タリアは一度艦長室に戻り拳銃の銃弾を換装し、シャトルに乗ってメサイヤに向かった。
タリアが議長の執務室に入ると、思わぬ人物がいた。パイロットスーツ姿のレイはいいとして、あとの二人。脱走兵アスラン・ザラと、
同年代だろう東洋系の優しい風貌の少年。パイロットスーツを着ているということは、これがフリーダムのパイロットと考えるのが自然だ。
「やあ、タリア、戦闘中に呼び出してすまない」
どこまで本気ですまないと思っているのか、まったくわからないのがデュランダルの常だ。だいたい、執務室に敵のパイロットを招きいれるなど、
気が違っているといわれてもしかたのない行為だ。タリアは反射的に拳銃を二人に向けたが、制された。
「こちらは、オーブ軍准将のキラ・ヤマト閣下と同じくオーブ軍のアスラン・ザラ。私と停戦の話し合いをされたいそうだ。武器はしまってくれたまえ。
こちらも彼らの自衛権を認めて武装解除はしていない」
タリアは銃を降ろした。
「ただ、停戦と言われても、わがプラントはオーブから宣戦布告を受けていない。アンノウン部隊に攻撃を受け、撃退している最中だ。先ほどは
このグラディス艦長の奮戦もあって各地の戦場を荒らしていた、アークエンジェルという船を撃沈したが。さきほどキラ・ヤマト准将に本国に連絡
をとってもらったが、アスハ代表はオーブの理念を枉げての宣戦布告など死んでもなさらぬそうだ」
ぱっと彼らの前に立体映像が浮かぶ。
「ネオジェネシスは損害だが、もう撃つ予定のなかった兵器だ。彼らはなにを思って特攻したのだろうね」
キラとアスランの顔が青くなる。彼らの盟友たちが散華したのだ。
映像が切り替わる。ピンク色のエターナルがザフト艦隊に囲まれている。3体のドムトルーパーとイザーク、ディアッカが奮戦している。
「アスラン・ザラ、イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン。いずれもプラントの中でも優秀な遺伝子を持つエリートだが、君たちには
『脱走』という遺伝子が組み込まれているのかね。それとも『能力はあっても役割を果たしたくない』遺伝子かな。研究してみたいものだよ」
アスランが俯く。彼は議長の顔も、グラディス艦長の顔もまっすぐに見詰めることが出来ないでいた。議長の戦う人形であることを拒否し、
人間が自分の意思で生きられる世界を守るために戦っているという誇りはある。ただこれまで二回も、居場所を間違えてザフトに籍を置いた。
その結果としての脱走である。迷いの多い男だと恥じることはあっても、今の自分に自信がないわけではない。執務室の扉が開き、
左肩を押さえたシンが姿を見せた。
「遅くなりまして申し訳ありません。シン・アスカ、帰到しました」
そういってタリアの姿に軽い驚きの表情を見せる。
「怪我をしているようね。大丈夫なの?」
「議長や艦長の盾になる程度には役に立ちます」
シンの赫い瞳が憎しみを込めてキラとアスランに向けられた。
エターナルを落とすためにソードインパルスでいるのだが、相手モビルスーツ部隊の動きがよくて、防衛ラインを突破できない。
ルナマリアが一度ミネルバと接触をとろうかと思った頃、戦況が変化した。アークエンジェルにかかっていたザフト艦隊がこちらへ
回頭したのだ。モビルスーツ隊が先行してくる。援軍だ。これだけの力があれば、エターナルのパイロットが凄腕だろうが、時間の問題だ。
そのとき、オープン回路の無線から声が響いた。
「このエターナルはザフトの船だ。攻撃を止めろ!」
ルナマリアは相手のあまりの厚顔無恥さに頭に血が上って叫んだ。
「二年前に盗まれたザフトの新鋭艦よ! 乗ってるのは泥棒じゃない」
「隊長! お願いします。どうかザフトに戻ってください」
ザクウォーリアがグフイグナイテッドに迫る。
「シホ、お前は議長のデスティニープランに賛成なのか!? 人間の誇りを奪う政策だぞ、あれは」
「なら、意見を議長に具申すればよいことです。ジュール隊長、ジュール隊は脱走兵を許すほど甘い部隊ではありません」
激しく切り結ぶ二機のモビルスーツに、ルナマリアは大体の事情を察した。もう一気のザクファントムに、オレンジ色のモビルスーツ部隊が襲い掛かる。
ルナマリアはシホという女性パイロットを援護するようにグフイグナイテッドにビームを集める。彼女の言い分は正しい。戦場でいきなり寝返って、
これまでの味方を、部下を殺そうとする軍人など最低だ。
しかしドムトルーパーは連携の取れた動きでザフトのザクを破壊していく。艦隊射撃も、エターナルに深手を負わせることは出来ない。
たった一隻の船、5台のモビルスーツにこちらは何機かかっているのだ、まったく。そしてこの戦場で唯一カスタム機に乗っている自分が、
まだ一機も撃墜できないでいる。ミネルバの姿が目に映る。
「ミネルバ、ルナマリア、フォースシルエット射出願います」
接近戦用に換装して、ドムトルーパーの足並みを崩さなければ。
混戦を抜け出して換装して戦場に戻り、ビームサーベルでドムトルーパーに対する。いくら連携がよい三機でも、10台以上のモビルスーツから
ビームやミサイルを浴びせられていては必ず動きに隙が出る。彼女はその瞬間を狙い、一機のドムトルーパーの両足をなぎ払った。そこに攻撃が集中し、やっと一機沈んだ。
オレンジの、おそらくはハイネ・ヴェルテンフルスを慕うパイロットたちに囲まれたザクファントムはかなり被弾していて、戦闘能力を失うのもそうさきではないだろう。
と、そのとき。
「エターナルにはラクス様が乗っていらっしゃる。なぜその船を攻撃する。なぜラクス様のために戦わないのだ!」
ドムトルーパーの女性パイロットの声が無線に乗って響く。
一瞬動きの止まったザフトのモビルスーツはかなりあった。そしてあろうことか、そのモビルスーツはエターナルの砲撃で落とされた。
ルナマリアも無線をオープンにする。
「ラクス様ラクス様って、バカじゃないの。ただの歌手じゃない。私はプラントの国民、ザフトのアカデミーを卒業した職業軍人よ。このインパルスはプラントの国民から
私に託された機体、エターナルはプラントの国民の税金で作られたのに、ラクス・クラインに盗まれて、私物にされて、あまつさえプラントの敵、地球連合と同盟関係に
あるオーブの戦艦なんでしょ、今は。そんな船に乗ってる女に指図されたくはないわよ!!!」
ルナマリアの猛烈な激にザフト軍の士気が上がる。ドムトルーパー二機、ザクファントムは沈黙した。シホと戦っているグフイグナイテッドは無事だが、
戦闘を終えたモビルスーツたちが加勢に駆けつけた。
「ディアッカ……」
アスランが呟く。皮肉屋だがプラントのためを思って、二年前も今日も戦ったが、今度は生き延びることが出来なかった。
アークエンジェルとともに沈んだミリアリアと天国で舌戦を繰り広げるだろう。せめて、そう祈ろう。
「ルナマリアは強くて正しい」
レイがきっぱりと言った。シンとタリアも頷く。
「キラ・ヤマト准将。先ほども言ったが、宣戦布告を受けていない状況で停戦交渉はありえない。停戦したいのなら、
オーブの国家元首の名前でプラントに宣戦布告してもらわないと」
「そんな。オーブは地球連合と同盟関係にあります。その同盟関係に立って戦いを継続しているのです」
「それは子供の理屈だよ。スーパーコーディネーターとはいえ、国際法や論理的な物事のつめ方の知識は欠けているのだな、残念だ」
デュランダルは滑らかな声で言った。
「その、スーパーコーディイネーターってなんですの?」
戦況が決まった安堵感がタリアの声を軽くする。
「世界で最も優れた遺伝子を持つコーディネーター。昔メンデルでヒビキ博士が研究し、作り上げた。
そうそう、君が送ってくれた連合のロドニアの研究所を覚えているかね。あれとにたことをヒビキ博士は行った。
たくさんの受精卵に遺伝子操作を行い、妊娠という不安要素を取り除くために人工子宮で胎児を育てる。
何十何百という受精卵が、胎児が犠牲になって死んでいった。彼は研究費のために、法で禁じられている
ヒトクローンを作って売った。」
シンはレイの顔がこわばり、更にきつい目をキラに向けたのを見た。
「コーディネーターの歴史もあの連合のエクステンディッドと似たようなものだ。遺伝子処理の失敗、
間違いによって注文主である親に捨てられた子供達は専門の孤児院で傭兵としての訓練を受け、
売られていった。人間は己のエゴのためならなんでもする生き物だ」
「それを解決するのが、ディステニープランだと」
デュランダルは薄く笑みを浮かべた。
「解決の一助になればということだ」
プラント国民なら知らぬもののない鈴を転がすような声が響いた。
「わたくしは、ラクス・クラインです。感情的にわたくしを否定したがるかたがいらっしゃるのは理解できます。
でも、みなさん。いま、考えるべきことは何なのでしょう。エターナルがザフトの船であるか、オーブの船であるかですか?
わたくしはそのような些細なことにはこだわりません。国が違おうとも、コーディネーターであろうとナチュラルであろうと、
間違っている政策にはノーを言うべきなのです。それがわたくしたち人間の誇りなのです。デュランダル議長のデスティニープランは、
人間を遺伝子の奴隷に変えます。人間のもつ無限の可能性を閉ざす死の世界、わたくしは戦いは嫌いです。
でも、戦わなければならない時があるのです。それが今です。皆さんは敵を取り違えていらっしゃいませんか?
撃つべきはこの船でなく、あの要塞だと、なぜ気付かないのですか?」
「テロリストの言い草だ。クライン議長はよい方だったが、娘は詭弁家に過ぎない、か」
デュランダルが呟く。
「アスラン、あなたの脱走の理由がこれだというの? あまりに幼稚だわ」
タリアはほとほと呆れたように言った。
ラクスが喋っている間、ザフト艦隊の砲撃は止まった。平和の歌姫、ラクスを慕う人間は多いのだ。だが、ザフト軍人全てが彼女と同意見ということはありえない。
ルナマリアの胸にふつふつと怒りが滾る。これまでと同じだ。戦いを玩具にして、責任を取らないアークエンジェル、
ラクス・クラインはあれと同じものなのだ。
彼女はビームサーベルを最大出力にしてエターナルのブリッジを狙う。砲座からの射撃の直撃をくらい、
インパルスが傷ついていくのが分かる。
「お父さん、お母さん、ごめんなさい。メイリン、ラクス・クラインと同じ船に乗ったのがあんたの選択なら、大馬鹿よ。
私はザフトの赤服として、脱走兵と兵器泥棒を処刑する!!!」
インパルスのビームサーベルがエターナルのブリッジに何度も突き刺される。ルナマリアは完全にブリッジを破壊
するまで攻撃の手を休めなかった。血を分けた妹を殺した。しかしミネルバに帰れば甘えっ子のメイリンが待っている。
そう思えてならない。彼女はブリッジを破壊した後、上空に飛び上がった。
「あっ」
グフイグナイテッドに足をやられた。とっさに分離してコアスプレンダーになって逃げる。自分の役目は終わったのだ。
そしてグフイグナイテッドのコクピットがシホのザクが投げつけた手榴弾で爆発するのを見た。
「隊長ーーーーー!」
シホの涙声が聞こえた。ルナマリアは彼女と話したかった。お互い、顔と家柄だけのバカな男にふりまわされてしまったね、と。
エターナルのブリッジがインパルスに破壊される映像は、議長の執務室にも大きく映し出されていた。
「ラクス!」
「ラクス!!!、ああ、ラクス! なんてことを」
キラはその場にうずくまった。
「あのパイロット、許せないじゃない。ラクスのいるブリッジを攻撃するなんて……。だって、ラクスはいつも正しいのに、
間違ってるのはあなたなのに、なんでラクスが死ななきゃならないの!?」
泣き声と裏腹の迅速な動きでキラは銃を出すと、中央のデュランダル議長に向かって発砲した。
「ギル!!!」
ふわりとレイの金髪が舞った。キラの動きを予想していたかのように議長に体を投げ出し、盾になったのだ。
ほんの一瞬後に、シンの銃口が火を噴いた。正確にキラを捉え、弾が尽きるまで打ち込む。
「キラ!」
アスランは銃を取り出し、自分に銃を向けている元上司、タリア・グラディスに向けた。シンは玉切れ、
タリアをシンの二人を殺すことは彼の腕を持ってすれば簡単なはずだった。
「アスラン・ザラ、脱走兵として処刑します」
銃口が火を噴いたのは同時だった。まずタリア、そしてシン。しかしどうしたことだろう。被弾する覚悟は
出来ていたが、この苦痛は。右肩に一発食らっただけで銃を取り落とす。炸裂弾だ。顔面に二発目を浴び、
意識がなくなった。そして心臓への三発目で、アスラン・ザラは人生を閉じた。
「艦長、無事ですか?」
「脇腹に二発もらったわ。でも、弾は貫通しているから。それより、レイとギルバートを」
シンはタリアが議長をファーストネームで呼ぶのをはじめて聞いた。
あわててレイと議長の安否を確かめる。
「ギル……無事で」
蜂の巣になったレイが、喘ぐ。
「レイ、大丈夫だ。君の傷も治る」
「自分の体です。もう、持ちません……」
「レイ、生きよう、これからも俺と一緒にミネルバでモビルスーツに乗ろう!」
シンが叫ぶ。寿命の短いクローンのレイだが、だれよりも前向きだった。限界まで生きようとしていた。
「レイ、私より先に死なないでおくれ」
「ごめん……」
一瞬レイの誰よりも青い瞳が大きく見開かれ、光を失った。
「レイーーーーー!」
シンはその場に座り込んで泣き伏した。大事な戦友、親友、また、守れなかった。自分は力を得た。それなのに、どうしていつも大切に思うものは彼の指の間をすり抜けて逝ってしまうのだ。
「ギルバート、あなたも!」
レイの体を抱き上げて床に寝かした後、タリアは議長を見た。腹部に穴が三つ開いている。レイが体を呈してかばったというのに。
デュランダルはごほっと咳き込み、血を吐いた。
「内臓のなかで弾が走り回ったようだ。せっかくレイからもらった命だが、もたないな」「ギルバート!」
「議長、生きてください、レイのためにも!!」
タリアが執務室の扉を開け、重症の議長が運び出され、怪我をしているタリアとシンも医務室行きだった。
左肩の手当てを受けたあと、戦闘の疲労と薬による作用で少し眠ったらしい。目を開けると二時間ほど
たっていた。
担当の看護士に聞く。
「議長は……」
「亡くなられたわ。あなたの艦長さんは貫通銃創なので、二週間もあればなおるでしょう。あなたの腕も一週間
で治りますよ」
レイがあんなに守りたがっていた議長の命が失われた。やるせない気分でシンはテレビをつけた。
地球のニュースで、オーブ首長国連邦が首長制を廃し、議会制民主主義の国に生まれ変わることが決まり、
現代表のカガリ・ユラ・アスハは大西洋連邦に亡命したと伝えていた。
怪我が治って休暇が取れたら、ルナマリアを誘って新生オーブを訪ねよう、シンはそう心に決めた。
END
リアルタイムGJ、楽しませてもらったよ
まああいつ等だから仕方ないよな・・・
そもそもの発端は種だしな・・・・
188 :
通常の名無しさんの3倍:2005/09/27(火) 07:40:00 ID:MrOzyzVp
新シャア板AAアンチの主張を切り貼りしてつなぎ合わせたようなSSだな
もっとひねれよ
ルナマリアかっこよすぎ
これはGジェネであった気がする。
REマダー?
RE氏にも都合ってモノがあるんでしょうよ。マターリ待ちましょうぞ。
とはいえ先が気になりまくるが。
>>176-186 100点、とは間違っても言ってあげられないが
本編よりは間違いなく面白いから安心汁!
RE氏、言っちゃ悪いんだけどセリフばっかだから、どこがどうなっているのか……。
いや、種序盤は五話くらいから見たんで……。
保守上げ
197 :
通常の名無しさんの3倍:
保守