イザーク「ディアッカ! 今晩はスキヤキだ!」

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187通常の名無しさんの3倍
ここは高級すき焼き店『ぷらんと』、その奥座敷で今日も凄まじい肉取り合戦が繰り広げられております。
「……」
「……」
「……」
中央にありしすき焼き鍋を囲むのは、若き三人の男性であります。
ザフトのジュール隊隊長、白い熱血野郎ことイザーク・ジュール。
同じくザフトのミネルバ所属、プッツン主人公ことシン・アスカ。
そしてAAのなんちゃって不殺男、最強NEETことキラ・ヤマト。
三人が狙っているのは、鍋の中央に鎮座ましましている最高級オーブ牛肉最後の一切れであります。
「……」
「……」
「……」
それぞれが箸を片手に大上段、隙をうかがって固まったまますでに一時間が経過しております。
各人の背後では、各陣営の有象無象が己の仲間を支援しようと待機しておるのでありますが、
この極度の緊張に満ち満ちた空気に押されてか、しわぶきひとつたちません。
「……イザーク……頑張れよ……」
イザークの後ろで小さく声をかけましたのは、赤い迂闊に緑の残念の異名を取る炒飯職人、ディアッカ・エルスマンであります。
「……シン、負けないで……」
シンの背中に細く声援を送りましたのは、男もMSもお下がりとの影口もなんのその、ミニスカ娘ルナマリア・ホークであります。
「……キラ、信じているぞ……」
キラに熱い眼差しを向けておりますのは、女難の相がありありと、包帯姿に腐女子もうっとり、アスラン・ザラであります。
「……」
「……」
「……」
ロゴス製のエアコンにより、室内温度は23℃に保たれているはずでありますが、体感温度はそれに10℃ほど
加算されていると思われます。各人の額から頬、頬から顎へと、汗たつーっと白糸の滝のように流れ落ちていきます。
「……このキョシヌケェェ……!」
「……あんたらはいったい何なんだ……!」
「……君達が立ち塞がるなら、僕は……!」
おっと、ついに我慢の限界か、箸を持つ手が動いていきます。
イザークが取りたる型はプラント流当方不敗拳の竜箸術、シンの型はオーブ宗家逆恨み箸、キラはラクス家電波着信箸技、
それぞれが山のひとつやふたつ、軽く消し去ることの出来る奥義ばかりであります。
「やー、遅れてすまんすまん、中央高速が工事中で混んでてさー」
おおっと、闖入者であります。爽やかな口調に横柄な態度、不都合な記憶は忘れても、
抱いた女の肌の感触は忘れない、自称不可能を可能にする男、ネオ・ロアノーク、前名ムウ・ラ・フラガであります。
「おお、ラッキー!まだ肉残ってるじゃん。それじゃ、ありがたくいただくとしますか…ひょい、パク…うん、美味い!」
ああ、流石は空気を全く読まない男、ネオ・ロアノーク!あっさりと肉を奪って食べてしまいました。
「さすがオーブ牛の霜降りだぜ、舌の上でとろけるな……んぁ、何、どうしたの、皆そんなに殺気だっちゃってさ」
…これ以上、この店から実況をお送りするのは困難なようです。私も自分の身は可愛いのであります。
以上、高級すき焼き店『ぷらんと』からアビー・ウィンザーがお送りしました。