種vsUC

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357傲慢 1/3
「はぁ、はぁ・・・」
自分の激しい息遣いが聞こえる。
迫り来る死の恐怖。焦燥。後悔。悲哀。絶望・・・
あらゆる負の感情が、キラ・ヤマトの心を満たしていた。
「どうして、こんなことになったんだろう・・・」

いつもと同じ任務のはずだった。
戦場に出向き、両軍の戦闘力を奪った後に撤退する。
自分ならやれること。自分にしか出来ないこと。
自分とZGMF-X20Aストライクフリーダムがあれば容易いこと。そう思っていた。
そして今まではその通りになっていた。

だから、緑色の巨体・・・NZ-000クィン・マンサを前にしても、彼は躊躇うことなく引鉄を引いた。
しかしビームライフルより放たれた光は、巨体にかすりもしなかった。
続けて連射。フルバーストモード。だがクィン・マンサはその巨体からは信じ難いスピードで避けていく。
「なら・・・これで!」ドラグーンが展開し、クィン・マンサにオールレンジ攻撃を仕掛ける。
「当たる!」そう思った瞬間、ビームはあらぬ方向に曲げられてしまった。
358傲慢 2/3:2005/07/21(木) 10:22:33 ID:???
「ファンネル?何のプレッシャーも感じないのに・・・!不愉快な奴!!」
機体の周囲をうるさく飛び回るドラグーンを見て、クィン・マンサを操るプルツーは吐き捨てた。
胸と背中のメガ粒子砲にエネルギーを溜める。そしてドラグーンを意識。発射。
機体のほぼ全周囲に展開された無数の光条は全てのドラグーンを瞬時に破壊した。
彼女の大きな瞳には子供の残忍さが宿っていた。

ビームシールドでビームに耐えながら、キラは接近戦を挑むしかないことを悟った。
シールドを構えながら右手のビームサーベルを展開。真っ直ぐにクィン・マンサに向かっていった。
激しい光の嵐に耐えながら懐に飛び込み、サーベルを振り下ろそう・・・
とした瞬間、右腕は消失していた。
「何だ・・・ありえない、ドラグーンか!?」彼の背筋に冷たいものが走った。

しかし右腕の消失に気をとられていられたのは一瞬であった。
目の前に巨大なビームサーベルを振り下ろしてくるクィン・マンサの姿が映る。
とっさに左腕を出す。ビーム同士の激しい干渉が火花を散らす。
だが次の瞬間、ストライクフリーダム左腕は付け根から、レールガンごと斬り落とされていた。
どうにもならない・・・キラの心に深い絶望が生まれていた。そして次の瞬間、彼は全力で逃げ出していた。
359傲慢 3/3:2005/07/21(木) 10:24:06 ID:???
遠ざかっていくストライクフリーダム。
それを見るプルツーの瞳に怒りの色が浮かんだ。
「ノコノコと出てきておいて・・・!逃げるくらいなら手を出してくるんじゃないよ!!」
彼女は30機全てのファンネルに命令を下した。奴に死を与えよと。
猛加速をかけ飛んでいくファンネルたち。

左足。右足。レールガン。頭部。そしてスラスター。
プルツーの残虐な意思により達磨と化していくストライクフリーダム。
コックピット内で死を迎えようとしていたキラは、ただ一言呟いた。
「フレイ・・・」
そして止めのファンネルの一斉攻撃に彼はプラズマとなり、虚空に消えた。

爆発を見て満足げに笑うプルツー。
だがそこに強烈なプレッシャーが彼女に襲いかかった。
「キャラ・・・?いや、マシュマーだな」
クィン・マンサを反転させ、新たな戦場へと向かうプルツー。
以後、彼女がストライクフリーダムのことを思い返すことはなかった。