今日は丸一日フリー。
とは言え、ライブが入っているため準備の必要がある。
数曲練習した後、鼻歌交じりに部屋を出ると背後からタリア艦長に呼び止められた。
「今日は全員オフの予定だったんだけど、緊急のミーティングをする必要が出来たのよ。
フェイスである貴方をパシらせるのもなんだけど、シン達を呼んできて貰えるかしら?
・・・貴方の格好を見た所、今日はライブの予定だったのかしら?・・・ゴメンなさいね」
「いえ、自分は軍人ですから」
「そう・・・。このミーティングは急な召集だし、かかる時間自体はせいぜい30分程度、加えて今日は本来オフ・・・
だから貴方だけでなく他の子も制服ではなく、既に服を着ちゃってたらそのままでいいわ。
見ての通り、私もジャージだしね」
お似合いですよ、という勇気は俺には無かったので敬礼をして下がる。
着ている服からして艦長は昼まで寝ているつもりだったが、連絡を受けて起こされたのだろう。
しかし・・・何故ヘアースタイルは普段通りなんだ?アレがデフォなのか?
まぁ、今は後輩集めか。それぞれに電話をかければ済むんだろうが、階級の溝を埋めるためには直接部屋へ出向く。
それがハイネクオリティ。
まずはアスラン、と・・・今9時ちょいか。
昨日こっそり見たシンの『ルナ観察日記』によると、確かこの時間帯のルナマリアはアスランと高確率でヤってるとか。
って事は今、2人セットで全裸か・・・。
艦長が私服で良いって言ってたけど、裸はマズイよなぁ。
服着るまで出てこないだろうし、扉は空けずに「ゆっくり着替えてから来いよ」とでも言ってやるか。
ナイス気遣い、俺。
扉をノックするときょどったアスランの返事が聞こえた。やっぱヤってる最中か・・・俺も混ざりたい。
「ハイネだ。休日のお楽しみ中悪いんだが、急にミーティングが入ったから来てくれ。
それと裸以外なら服は何でも良いらしい。急がなくていいから服を着て来いよ」
さて・・・2人を連れて一緒に他の連中を呼びに行こうと思ったが、服を着る時間を待つのは流石に無駄だな。
仕方が無い、残りも1人で周るか・・・そう思い部屋に背を向けた直後、扉が開いた。
バカな!声を掛けてからまだ5秒ほど・・・。
2人がギシギシアンアンしてたというのは俺の汚れた心が創り出した妄想だったのか!?
それともまさかコイツラ裸で!!?
「おはようございます。遅れて申し訳ありません、ハイネさん。ルナ、行くぞ」
「はい、ザラ隊長。おはようございますハイネさん」
「ん、あぁおはよう。服・・・既に着てたのか。いや、まぁ当然だよな」
どうやら俺は2人の事を誤解していたらしい。
2人一緒だったとは言え、部屋の中からはしっかりと制服に身を包んだアスランとルナマリアが――
ちょっと待てよ?
何でお前等は制服なんだ?今日は一日オフのハズだったんだから普通は私服だろ?
俺が今、着ている服なんてMS並に色々と付いてて、制服とはかけ離れている。
よく見りゃルナマリアの上着はシワだらけじゃねぇかよ・・・。
なるほど・・・そーゆーシチュエーションで楽しもうとしたら俺が来たってワケか・・・。
そのまま続けていいから混ぜろ!!俺も!!!
惜しかった・・・あと5分俺が遅く来ていたら・・・部屋を出る前にもう一曲だけ練習しておけば・・・!
さすればルナマリアは上着を身に付けずアンダーシャツを着た状態で現れ、
そしてシャツ越しにはくっきりと、アスランに直前まで弄ばれていた胸の先っぽが勃っている突起が・・・っ!
見てぇ・・・ちくしょー、後輩イジメしてやる。
「おいおい、アスラン。朝だからしょうがないかも知れないが・・・大切なトコ、たったまんまだぜ?」
「「えっ!!?」」
アスランだけでなく、ルナマリアもアスランの下半身を注目する。
「どこ見てるんだよ。俺が言ったのは髪の毛だ、俺とお前にとっちゃ命の次に大切だろ。凄いぞお前の寝癖」
「え?あ、いえ・・・俺も貴方みたいに周りの雰囲気を明るく出来るように、と思い練習を・・・」
「そ、そーなんですよ。隊長ったら最近目覚めちゃったらしくて!」
ルナマリアまでこんな動揺するなんて・・・やっぱ思い当たる節があるんだな。
「でもルナ・・・確かに俺は命の次に髪が大切だけど、命よりも君が大切だ」
「うれしい・・・私もザラ隊長が一番大切です」
否グゥレイト・・・いじめたつもりが妙なスイッチを入れてしまったようだ。
シン・レイ部屋まで行く間、ずっとルナマリアはアスランの腕にしがみついていた。
「シン、レイ起きているか?ハイネだ」
呼びかけると即座に制服を着用しているレイが出てきた。俺の勘だがこいつは私服を持っていない。
「おはようございますハイネさん。・・・ザラ隊長とルナも?何かありましたか?」
「な〜に、ちょっとしたミーティングが入っただけだ。休みの日に悪いが来てくれ。ところでシンは?」
「シンはまだ寝ています。昨晩は余程ハードなイメージトレーニングをしたようで・・・。
よく見えませんでしたが、何か尖った物を入れたビンを使い2時過ぎまで頑張っていたようです」
シンの枕元まで行き呼びかけるが、うなされているだけで起きる気配が無い。
「ごめんよぉマユ〜、浮気なんて2度としないから・・・違うよマユ、ルナもステラも一方的に迫ってくるんだよ」
オメデタイ奴め。しかしどうするか?おいてくしかないかな・・・。
他の3人にも意見を聞こうと振り返ると、ルナマリアがナイフを振りかぶっている。シンの脳天直撃コースだ。
「くっ!!早まるな、ルナ!!!」
「離して下さいっ、隊長!だってコイツ・・・コイツ!!私は隊長が、アスラン・ザラが好きなのに・・・!!!」
何だこのプチ修羅場は?レイが緑茶啜って傍観しているところを見ると、ミネルバではこれが普通なのか?
「やめるんだ、ルナ!!こんな事したら・・・シンとのフラグが立つぞ!!!俺は・・・これでフラグ立てた奴を一人知っている」
「っ!!?シンと・・・?やだ、ヤダ・・・私は、私はアスランじゃないと・・・駄目なんです・・・」
そんなにシンと一緒になるのが嫌なのか・・・泣き崩れるルナマリアをアスランが優しくなだめる。
「ルナ・・・落ち着いたか?」
「はい・・・すいませんでした。・・・もう大丈夫ですから。シンを起こします・・・・・・オニーチャン、モウオコッテナイカラハヤクオキテヨォ」
「マユ・・・?あれ、みんな・・・ハイネさんも?」
ようやく起きたか。朝から色々在ったが全員無事でよかった・・・なんでこんな心配してるんだ、俺は?ここは戦場か?
「俺が艦長から頼まれてみんな集めてるんだ。もう時間が無いから必要なものだけもって付いて来い」
そう告げて他の三人と共に部屋の外で待っていると、間もなくシンも部屋から出てきた。
「一応、携帯だけは持ちましたけど・・・」
「あぁ、見れば分かる。言い忘れた俺に否があるのかもしれないが・・・裸は駄目だ!!!」