「シン!俺の話を聞け!」
「アスラァァーン!────」
スピードに勝るディスティニーに追いつかれるグフ。
アスランはシンの攻撃を何とか凌ぐので精一杯だった。
「きゃっ・・・」
激しく揺れるコクピットでメイリンは必死に体を支えていたが
・・・キュウゥ グルルル・・・
下腹部から鳴る音に我に返った。
(そんな・・・やだ・・・こんな時にトイレに行きたくなるなんて・・・)
「ア、アスラン・・・」
「メイリン、すまない!しっかり掴まっててくれ!」
(やっぱり言えない・・・恥ずかしいよ・・・でも、アッ!)
キューッ ブッ
しくる下半身に思わず力が入った矢先、やってはいけないことをしてしまったことに気がついた。
(そんな・・・やだよぉ・・・もれ・・た?)
「アスラン・・・その・・・あまり揺れると・・・」
「我慢してくれ。もう少しで何とかする。」
アスランは操縦に必死で気づいていないようだ。
でもメイリンの頭の中は下着がどうなっているのかを考えることで一杯な上、
その結果のあまりの恥ずかしさに動転してしまった。
(まだ・・・だいじょうぶ・・・その、ちょっとだけだから・・・もう少しの辛抱・・・)
下着の感触が気持ち悪い。これ以上の悪夢は絶対避けたい。
ところが我慢しようとすればするほど、意識してしまう。
気が遠のきそうな排泄感と必死に理性を保とうとする瀬戸際、そして圧倒的な絶望感。
もはやメイリンはあぶら汗を流しながら一秒一秒が過ぎるのを耐えることで必死だった。
けれども限界はゆっくり確実に近づいて来ていた・・・
アスランの声もはっきりと聞こえない・・・
もはや事切れそうな思考を漂っていたその時
ディスティニーの攻撃が直撃した。
あっ─────
突如として襲う激しい揺れにメイリンはバランスを崩す。
「キャッ」 どすん・・・
ブリュッ ブリブリ ブリ ブッブブッ ブリッ
激しい排泄音がコクピット内に響く。驚いたアスランがこっちを見ているようだが
もはやメイリンはそれを眺めるしか出来なかった。
「メイリン・・・君は・・・」
ブリッ
返事なのか、その言葉をさえぎる様に止め処なく音が止むことはなかった。
(下着が汚れた・・・何か臭う・・・)
それ以外は何がどうなってるのかわからなかった。いや、どうでもよかったのかもしれない。
「あぁ・・・」
ただ、開放されたことで安堵に満たされていることだけはわかった。
グフがやられ、落下しているみたい。
何となく、けど、なんかどうでもいいような気がする。
メイリンはただボーっと虚空を眺めていた・・・