常夏三人組と俺の関係7〜ムルタの食卓〜

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最近、オルガだけではなくクロトやシャニも本を読み出した。いい傾向だ。
なんの本を読んでるんだろう。ちょっと見てやれ。

「初心者のための『株ってなに?』塾」
「株で儲けろ!」
「中国株に乗り遅れるな!」

・・・。

「あっ!何見てんだよヴァカー!」
「人の本を勝手に見るな!」
「盗み見うざ〜い」

お前ら。なんだこの本は。

「一・億!あるんだぜ!このままじゃ悔しいから、もう一度儲けてやるんだ!」
「ムルタのおっさんにもう一度挑戦してやるんだ!」
「億万長者〜」

あのなぁ!株は危険なんだぞ!
株板とか見てみろ!悲惨だぞ!

「大丈夫だよ!僕達は失敗しないもんねー!」
「勉強してるし、心配いらねぇよ!」
「心配無用〜」

もう勝手にしろ・・
2192/10:04/11/12 21:33:20 ID:???
2日後、3人がパソコンを3台買ってきた。
「よし!まずはこことここだ!」
「了・解!」
「任して〜」

━━2時間後

「よし!今だ!買え!」
「買い!買い!買い!」
「空売り〜」

━━8時間後

「よし、今日はこれぐらいにしとくか」
お前ら、結局どうだったんだ?
「好・調!かなり儲けたよ!」
「ぐふふ〜」
あ、そう・・
2203/10:04/11/12 21:33:35 ID:???
━━3ヶ月後

ところでお前ら、株のほうはどうなんだ?
「ああ、うまくいってるぞ。確か今10京円ぐらいかな」
ふーん、10京円・・・・・・はぁ!?
ちょっと待て!嘘だろ!?
「本・当だよ!見る?」
そう言って預金通帳の山を俺に見せるクロト。
ほ、本当だ・・お前らどうやって・・。
「教えな〜い」
「まあ、黙って俺達のことを見ているんだな」
「楽・勝!」

その頃ムルタ邸では。

「ふっふっふ、世界は全て僕のもの・・・どうしましょうかねぇ、この資産。
何に使おうかな〜」

100階のマンションから120万円のバスローブを羽織り、300万円のワインを飲んでいた。
2214/10:04/11/12 21:34:24 ID:???
「買いだオラァ!」
「ファイテン!ファイテン!」
「好!好!」
相変わらずやってるな。どこの株だ?
・・・中国株?韓国株?
「今が最安値!買っとかなきゃな!」
ほう、そうなのか。どのくらい買うんだ?
「全韓国株の50パーセント!全中国株の30パーセント!」
・・そんなに買えるわけないだろ!
「買えるも〜ん」

その時、テレビでは、丁度6時のニュースの時間だった。

2225/10:04/11/12 21:34:34 ID:???
「今日のトップニュースは、韓国と中国についてです。」
「最近、韓国株と中国株が物凄い勢いで高騰。
韓国株平均は30万ウォンの値をつけています」
な、なに?・・まさか。
「その中でも最大の株主が、オルガ・サブナック氏、クロト・ブエル氏、シャニ・アンドラス氏の3人です。
3氏は、韓国株の35パーセント、中国株の15パーセントを買い占めています」
なにィ!?
「これにより、韓国と中国は空前の好景気となり、市民は喜びに湧いています。
それでは、ソウル市民の皆さんの声を聞いてみましょう」

「この半年間で、1ヶ月の給料が30%も増えたんだ!」
「もう大忙しよ!テレビを買ってエアコンを買って・・
本当にあの3人には感謝してるわ!」

「はい、本当に皆さん嬉しそうですね。では、その3人のインタビューもご覧ください」
なっ!?
「え〜、まあ、日中、日韓友好のためにですね、これからも頑張っていきたいと・・」
「友・好!」
「よろしく〜」
こいつら、心にも無いことを・・いつも「中国氏ね」とか言ってる癖に。
2236/11(増えた):04/11/12 21:35:17 ID:???
さらに半年後。3人は、買いと売りを繰り返し、巨額の富を得ていた。
世界の株式のおよそ50%が3人の手の内にあると言われ、
韓国株平均は10億ウォン、ニューヨーク平均株価は1000万ドルまでに高騰。
世界中が好況に沸き、「新世紀超好景気」と言われていた。

「いやあ、3人に薦められて株を始めてみたんですけど、一気に資産が倍になりましたよ!」
とはニコル。

「やあ、株っていいもんだね。おかげで外車が7台も買えたよ」
とはキラだ。

あの3人、結構人の役に立ってる・・のか?

だが、それは俺の大きな勘違いだった・・・。
2247/11:04/11/12 21:35:40 ID:???
ある日。
ん?3人とも、何パソコンをジッと見てるんだ?
「よーし、もうちょっともうちょっと・・・」
「そうそう、上がれ上がれ・・」
「もっと・・・もっと・・・」
・・・なんなんだ、一体。

そして、次の瞬間。

「売りだオラァ!!」
「売・却!!」
「売り売り売り〜」

ダカダカとキーボードを叩き、一斉に株を売り始める3人。
な、何が起こったんだ!?

3人の顔には、邪悪な笑みが浮かべられている。

お、お前ら、何してんだ。そんなに売ったら・・

「望むところさ」
「わかってる!」
「まだまだ売り〜」

・・・・・・。
2258/11:04/11/12 21:35:55 ID:???
ムルタ邸。
「ふう、今日の仕事も終わりか。まったく、議員連中もうるさいなあ。
やれ、国防費を削れだの、やれ福祉費を上げろだの・・
ん?な、なんだこれ・・
う、うわああぁぁぁあぁ!?!?か、株が!?株が下落してる!!
か、買わなきゃ。急いで買わなきゃ!
も、もしもし。買えるだけ株を買え。今すぐだ!」
そう言った後、パソコンに座り、自らも株を買い始めるムルタ。
「下がらせてなるものか・・僕は勝つんだ・・・そうさぁ!いつだって・・・・」
2269/11:04/11/12 21:36:11 ID:???
数日後。
「い、今入ってきたニュースです。全世界の株が下がり続けています」
緊張した面持ちで原稿を読み上げるアナウンサー。
「これは、全世界の株式のおよそ50%を保有している3氏が一斉に株を売ったことが原因と思われており、
世界のどの株式市場でも売りが殺到しています。
韓国では、平均株価が2ウォンにまで下落しており、市民はパニックに陥っています。現地から中継です」

「はい、ソウルです。いまソウルは恐慌状態になっており、
市民が集まり、3氏の人形を燃やすなどといった行為があちこちで起きていま・・」

「クロト、パック・ユー!俺達の生活を台無しにしやがって!」
「あいつらのせいで私達家族は滅茶苦茶になったのよ!
借金が8000万ウォンもあるのよ!あいつらの首を引っ掻いてやりたいわ!」

「え、えー、現場からお送りしました」

「ケッ!」
「面・白!」
「いい気味〜」

い、いい気味って、何がしたかったんだ、お前ら!?
「おっさんへの復讐だよ!」
なにい!?
「おっさん、今ごろ頭抱えて泣いてんだろうな〜アヒャヒャ」
お前ら、そんなことのために世界を無茶苦茶に・・。
22710/11:04/11/12 21:36:28 ID:???
ムルタ邸。
「ああ・・そんな・・・・・・僕の・・・僕のお金が・・・・僕のお金がああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ムルタの資産は下がりに下がっていた。
「畜生・・畜生!あの3人めぇ・・・」

━━数日後

「ちょっと!居るんでしょ!?出てきてください!あなたたちのせいで僕は、僕はあぁぁ!!!」
「居るのはわかってるんだ!出てきてくれ!」

ドアの外には、ニコル、キラ、ディアッカ、アスランなど皆が押しかけている。
ど、どうするんだよ、お前ら・・

「関係ないね!僕達はまた儲けたし!」
「これでもう一回世界を俺達のものにするんだ!」
「はっぴ〜」
はっぴ〜ってお前ら・・
と、その時、拡声器で拡大された大声が響いた。おっさんの声だ。

「キミ達!ここは包囲されている!無駄な抵抗は止め、すぐに出てきなさい!」

「なんだぁ?俺達は何も悪いことはしてないぜ?」
「何言ってんだ?おっさん」
「うざ〜い」

「キミ達には国家反逆罪の疑いがかかっている!今すぐに出てきなさい!」
22810/11:04/11/12 21:37:08 ID:???
「「「はぁ!?」」」

国家反逆罪?なんのことだ?
「いいがかりつけんな!」
そう言って、ドアを開けるオルガ。
「おや、やっとドアを開けてくれましたか。それでは逮捕といきましょうか」
次々と警察官が上がりこんでくる。
「な、なに勝手に入ってきてんだよ!止めろよ!」

ガチャ

3人の手にはめられる、手錠。
「「「なっ・・」」」
「ふふふ、このほど法律を変えましてねぇ。国家反逆罪に問われる者には、
『国家を少しでも不安定にした者』という項目も追加されたんですよ!」
「なにぃ!?そんな、バカな!」
「卑・怯!冤・罪!」
「うざあぁぁぁいっ!」
「どんなにあがいても無駄ですよ。さあ、行きましょうか。あ、そうそう。
たぶん、キミ達の資産も全部没収ということになるでしょうねぇ」
「そ、そんな・・と、常俺、助けてくれ!」
「支・援!要・請!」
「なんとか言ってよ〜」
た、助けてくれって言われても・・
「何をあがいてるんです。行きますよ」
そう言って、連れて行かれる3人。
皆の罵倒を背にしながら、3人はパトカーに乗りこんでいった。

俺は・・・俺はどうすればいいんだ・・・・・・。

いや、それだけなんだけどさ。