エルちゃんと僕の関係

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682吉良職人さん便乗スマソ
例えば僕が過去に戻って若き日の父さん(顔を見たことも無いけれど)を殺したとする。
そうすれば僕が生まれる事は無くなる。
しかし僕は今ここに存在している。でも僕が存在しない世界もある。
父さんと僕が存在する世界と存在しない世界が分かれることになる。
世界とは、時代とはそうやって幾つもの世界を生み出す可能性を含んでいるのだろう。
僕が見てきたのはそういう類のものだ。

始まりは単純な願い…エルちゃんが成長した姿、エルちゃんの未来をちょっとだけ覗いて見たくなった。
ただそれだけのことだった。
「なら見せてやるよ」
と、彼は僕を遠い未来の戦場の、ある船に連れていった。
それは船と呼ぶには少し大きすぎるが、彼が船と言ったのだから船なのだろう。
その船の一室…その船が見てきた全てを収めた部屋に案内された。
白い部屋だった。その壁全てがスクリーンとなるらしい。
彼(実体を持った彼を見るのは初めてだ)は無言でコンパネを操作し、僕に尋ねた。
「覚悟は出来ているか?」
僕は頷く。この先彼女も色々な経験を経て変わっていくだろう。
僕とて彼女が永遠に変わらない事を望むほど愚かではない。
彼はコンパネを操作する。部屋が暗くなり、僕はある種の浮遊感を得た。
凄い臨場感だ。映画館なんて比べ物にもならない。
始めは宇宙。地球が見える。月が見える。プラントは…ここからじゃ見えない。
地球の色が少し変だが、なんでだろう?

プカプカと宇宙を漂っていると、闇の彼方から光るものが近付いてきた。
…ザフト軍の艦隊らしい。見る限りではかなりの規模だ。
僕はエルちゃんが大人になった時代にもまだ戦争が残っていることを残念に思った。
僕は彼に尋ねた。
「ところでエルちゃんは?」
「まあ見ていろ」
彼は短く答えた。その艦隊は地球に向かっているようだ。
この艦隊がエルちゃんの未来と何らかの関係があるのだろう。
僕は黙って見る事にした。

艦隊を追って移動すると、前からまた別の艦隊が見えてきた。
エターナルやアークエンジェルなど、見慣れた艦が多い。
そして両艦隊は激突した。同時にザフト艦隊後方にとんでもない物が姿を現した。
プラント。それも一つや二つじゃない。三十ものプラントが地球に向かっている。
始めの頃は五分だった戦況が、時間とともにエターナル側の不利へと傾いていく。
フリーダム、プロヴィデンス、ハイペリオン等の知った顔も次々と落とされていった。
ジャスティス、ルージュは自爆。ストライクはアークエンジェルを庇って果てた。
そのアークエンジェルも間を置かずに撃沈。
ザフト艦隊が運んできたプラントの殆どが地球に落ちた。
僕は、地球の色に感じた違和感の理由を知った。
683吉良職人さん便乗スマソ:05/02/06 01:22:58 ID:???
「降りるぞ」
彼はそう言い、地球に向かって動き出す。
僕もそれを追い、大気圏を抜け地上に降りた。
想像以上の状態だった。もはや文明の欠片すら無い。
確か時計では昼のはずだけど、薄暗い。太陽が見えないのだ。
まるで昔読んだ漫画の世界だ。彼が口を開く。
「ここで少し時間を動かす」
すると、突然辺りが歪み出した。
そして少しすると、また廃墟が映し出された。
今度は夜だ。電灯など無いから本当に真っ暗だ。
「ついて来い」
彼が歩き出す。僕は見失わないように早歩きで追う。
ふと前方に火の光を見た。誰かいるようだ。
突然彼が立ち止まる。
「もう一度聞く…覚悟は出来ているか?」
僕は少し戸惑った。こんな世界でエルちゃんが無事に暮らせている筈が無い。
恐らくあの火の光の元には僕が一番望まない未来が待っているのだろう。
だが…ここまで来た以上、やはり見ておきたいと思い
僕は頷いた。

焚き火の光に二人の人間が照らされている。
一人はフードを被った男で、もう一人は僕が見に来た存在…エルちゃんだ。
エルちゃんは寝息を立てていた。その顔を少しやつれているが今と大して変わっていない。
僕は少し安心した。
もう一人の男は火にナイフを翳していた。顔はよくわからない。
突然男は立ち上がった。そしてエルちゃんに近付いていく。
手にはナイフ。僕の鼓動が早くなる。エルちゃんは目覚めない。
両手でナイフを持つ。僕は男を殴ろうとした。
だがすり抜けてしまう。これは映像なのだ
男はエルちゃんの背中を刺した。エルちゃんは目覚め、泣き叫ぶ。
だがそれも一瞬で終わった。男が喉にナイフを突き立てたのだ。
空気の漏れる音がして、やがて静寂が辺りを包んだ。
男はエルちゃん、いや、エルちゃんだったものを切り分け火に翳した。
そしてそれに夢中で喰らいついた。僕は唖然とそれを見ている事しか出来なかった。
ふと男がフードを脱いだ。今まで見えなかったその顔は、
僕が今までで一番よく見た顔だった。僕は知った。
所詮『最悪の事態』など自分の願望でしかないことを。
僕は吼えた。そしてその男に殴りかかった。
世界が消えた。
684吉良職人さん便乗スマソ:05/02/06 01:25:08 ID:???
彼は言う。
始まりはある艦隊の反乱。そしてそれは燎原の火のごとく広まり
プラントは炎に焼かれた。
怒りと憎しみは連鎖を起こし、地球もまたその怒りの炎に焼かれた。
僕の知っている人は皆死んでいた。ある者は炎を消さんとして死に、
またある者は大切なものを守る為に死んだ。
僕が最後だったそうだ。僕だけが生への執着に支配された。
そして僕の一番大切なものが消えたと同時に
地球は大きなエネルギーの渦に包まれ、あっさりと砕けたらしい。
だがもはや僕にとってそんなことはどうでも良かった。
涙を拭い僕は聞いた。
「この未来は変えられるのかい?」

〜地球連合軍月基地上空〜

諸君 僕は皆が好きだ
諸君 僕は皆が大好きだ
平原で 街道で
塹壕で 草原で
凍土で 砂漠で
海上で 空中で
泥中で 湿原で
この地上で行われるありとあらゆる関係が大好きだ
僕が死にかけていた時に助けてくれた楽綿さんが好きだ
少しでも恩を返せた時など心がおどる
三毛俺さんが好きだ
「儲かりまっか?」と聞いたら「ボチボチでんな」と答えてくれた時は胸がすくような気持ちだった
引越しそばをご馳走してくれたクルーゼさんが好きだ
その美味さと来たら感動すら覚える
(赤い髪したアホ毛女が好きだ)
(引越し祝いにタラバガニなどを要求されるのは屈辱の極みだ)
同じくメイリンさんが好きだ
いきなり後ろから抱きつかれるなど屈辱の極みだ
(福田の豚野郎が好きだ)
(エルちゃんに限らず幼い子供が殺されていく様はとてもとても悲しいものだ)
雑僕君が好きだ
海で友達になってくれた時などもう最高だ
(鉢僕が好きだ)
(一緒にザフト軍を蹴散らした時は胸がすくような気持ちだった)
ディアッカ=エルスマンが好きだ
バラバラの状態から再生したときなど感動すら覚える
(茂さんが好きだ)
(俺を本気にさせた時など感動すら覚える)
何くれと無く面倒を見てくれる痔俺先輩が好きだ
同じ子育て仲間となったときなど絶頂すら覚える
685吉良職人さん便乗スマソ:05/02/06 01:26:22 ID:???
(何やっても俺を追い出さないテメェが好きだ)
いつも力となってくれる君が好きだ
そして何より…
(俺に一時の安らぎをくれた…)
僕に再び生きる意味をくれた…

エ ル ち ゃ ん が 大 好 き だ

諸君 僕は只、平穏な生活を望んでいる
だが諸君 それを壊さんと目論む存在がある
ならば諸君 僕はそれをどうすればいい?
(戦争! 戦争! 戦争!)
よろしい ならば戦争だ
我々は渾身の力をこめて今まさに振り降ろさんとする大斧だ
我らはわずかに二人、三人にも満たぬ部隊に過ぎない
だが君は一騎当千の古強者だと僕は信仰している
ならば我らは君と僕で総力100万となる
天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる
我ら只二人の操る紅の魔人が奴らを月ごと吹き飛ばしてやる!
我々を絶望の彼方へと追いやろうとしている連中を叩き潰そう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼を開けさせ思い出させよう
本当の…
686吉良職人さん便乗スマソ:05/02/06 01:27:53 ID:???
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       \       ヽ |  __ -‐   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
         ー-、    __〉-‐'"
ゲッターの恐ろしさをなァ!!!
687吉良職人さん便乗スマソ:05/02/06 01:29:08 ID:???
聞いたことがあるんだ
(あ?)
宇宙が何故存在するのか。地球が何故この空間にあるのか。
人間が何故生きて進化するのか。何故1+1は2なのか。
全てには意味があるんだ。全てに意味があるから
全てははじめからそうなっていなくてはならない
ってね。
だから道端の小石の一つでさえそこにいる理由があるんだ。
(は?)
僕がここに存在する理由…僕はこの瞬間にこれを為すために存在してたんだと思う
だから僕は君を受け入れたんだ。
(…よくはわかんねえけどよ)
(そりゃ違うぜ絶対。テメェの役割は他にある)
何?
(彼女を守ることだろ。さっさと帰るぞ)
…うん。

それだけなんだけどね