PS装甲が生まれた、そもそものきっかけは、「ガンダムを無敵にしたい」と言われたんです、
監督に(笑) 「無敵ですか?」って、もうオウム返しですよ(笑) 「それはまずいんじゃないですか?」
「いや、無敵にしたいんだ。弾なんか跳ね返す、『ビッグX』みたいなガンダムにしたいんだ。
何か方法を考えてくれ」ということで、「装甲の表面部材に特殊な加工がしてあって、物性が変化
することで、物理的な打撃に対してはほぼ無限大の抵抗力を発生する技術が開発された」という
設定を作りました。で、物性の相転移だから、フェイズシフト=PS装甲っていう略号で呼ばれている。
装甲が相転移するために電気を食うから、バッテリーが落ちたら元の部材の強度に逆戻りするという
制限のものにしています。
ここが物語を作る監督としてのさじ加減なんでしょうけど、「PS装甲駆動時はミサイルや砲弾を
跳ね返してほしい。でも、ビームが当たると壊れるようにしたい」と。「じゃ、ビームはどうやって
防ぐの?」って聞くと「それは盾で防ぐ」って。じゃ、その盾の部材で全部ボディを作ればいいって
突っ込みもあるんですけどね(笑)それに、盾がビームを跳ね返す……って言っても、その盾って
何で出来てるのか、僕もいまだにわかりません(笑)設定としては対ビームコーティングって書いて
あるんですが、不思議な装甲です。いろいろネットで書かれてますからね、専門の物理学者からも(笑)
「その設定を出して製作者側は後悔したんじゃないか?」って。過去を悔いるような人にはこの仕事は
向きませんねぇ(笑) 実際出来あがったドラマを見るとうまく機能してるなと思っています。子供の
視点の話に戻りますが、「灰色だったロボットに色がつく。ついたときには力が出て弾をはね返せる」
っていう、そのビジュアルは非常にわかりやすかったですね。「あ、色がついたら戦う準備ができ
てるんだ」と感覚的にわかるでしょう。