──閃光
トールは飛んでいた。愛機スカイグラスパーにミリアリアを伴って。
「きれい…。アークエンジェルの中からではこんな景色見れないものね」
「ああ。でも戦争が終わったとはいっても、
あの厳しいナタルさんがこいつを使うのをよく許してくれたよな〜。
大活躍だった俺に対するご褒美か、
フラガ少佐が 『一足早い新婚旅行だな』 なんて言ってくれたおかげかな?(笑)」
「もう、バカ!頑張ったのはそのとおりだけど…」
「アハハハハ。さて目的地設定。帰ろう、父さん母さんたちが待つところへ」
「うん♥」
人は死に逝くとき、走馬灯を見るという。
しかし、思い出を振り返るには少年は若過ぎた。
彼の目には希望に満ちた未来しか映っていなかったのだ…。
その可能性に満ちた肉体をひしゃげた機体の残骸が覆い隠し、
容赦なく押しつぶす。
四肢を熱線が焼く。
「…ミリアリア、ミリアリア、ミリ───」