キラ☆ヤマトの種な日記３冊目【三つ葉】

明後日まで暇だ。
なんて吹聴していたら、礼儀作法のレッスンなどを受けさせられそうになったので、慌てて逃亡する。
色々なものを蹴倒しつつ走っていたら、見知らぬ色黒のおっさんに注意された。
「なんだと!?　私を誰だと思っている！」などと啖呵を切ってみたが、よく見たらキサカだった。
一瞬硬直。
そして、スーツのあまりのにあわなさに大爆笑した。
呼吸困難に陥り、腹がよじれ、涙が出るまで笑い続けて、ようやく落ち着いたら、キサカの目が潤んでいた。
私はごめんと三回謝って、その場を離れた。

どうも私は感情の振幅が激しすぎるな。
と、小一分ほど反省しつつも、やはりあのランボー姿からスーツ姿は変わりすぎだと思う。
視聴者のみんなも「誰だ、この新キャラ？」と、戸惑ったに違いない。

それはさておき、良くない話を聞いた。なんでも、連合のアラスカ基地が壊滅したとか。
アラスカ基地と言えば、AAが向かった場所だ。
ストライクもないAAが、ザフトの総攻撃をうけて無事でいられるかどうか……。
不安に駆られた私は、またも携帯で連絡を取る。
キラが死んでるので、相手は同年代のミリアリアだ。

何回かのコールの後、ミリアリアが電話に出た。良かった、無事だったのだな。
だがさすがに疲れ切っているようで、電話口の声にも覇気がない。
そこでちょっと元気付けようと、
「そういえばあいつはどうしてる？　ほら、シミュレーターの得点が私より低くて、悔しがっていたあいつ」
と、冷やかし半分で聞いてみた。

私はごめんなさいを三回言って、電話を切った。

ふぅ。今日はなぜか謝りどおしだ。
そうか、あいつも死んでしまったのか……まさか、私への対抗心からスカグラに乗って頑張ったわけじゃないよな？（汗）　
なんだか焦りつつもしんみりしてしまったので、散歩がてらにストライクとイージスが壮絶な撃ち合いをした、あの島に行く。
機体自体はすでにないが、島には戦闘の爪跡がまだ残っていた。
１人砂浜を歩いていると、ヘルメットが打ち上げられているのを見つけた。
半ば砕けた、すすで汚れたヘルメット……。
おそるおそる、「母さんです」状態になってないことを確かめる。大丈夫だった。
連合デザインだが、キラのものとは違うから、先ほど話題になったあいつのかもしれない。
かわいそうに。せめて、お墓ぐらい作ってやるか。
そうそう、墓には名前を刻んでやらないとな。名前、名前……。

私はごめんなさいを三回言って、ヘルメットを埋めた。