☆ 香りに包まれて ☆
夜更けの冷やりとした澄んだ空気の中。
顔をなでる冷たい風が心地よい。
寝付けないクワトロは花の香りに誘われるように庭に出る。
ここ女子寮の奥庭では毎年このシーズンになると見事な冬ばらが花
開く。
赤・白・オレンジ・・・色とりどりのばら園だ。
PLE4の世話の賜物であろうか。
PLE4は花が好きでよく世話をする。
寮生仲間からは、そんな事は使用人に任せればいいのだと忠告を受けるが
PLE4は自分自身で世話をするのを止めない。
そんな由縁で希に変人扱いされる事もしばしある。
そう、強化人間らしくない子供である。
彼女だけでなく保護者・フラナガン博士も、そういう点では彼女と同じだ。
それが生活の習慣に出ているようで生活も地味ではないが決して過ぎた派
手さはない。それがムラ研・女子寮の特徴だ。
PLE4はふと、人の気配に気づき見据えると人影の蠢くのが解かる。
用心しながら近づくにつれ月明かりが人影の顔を映し出していくと、
それはクワトロだった。
クワトロは驚きの余り振り向きながら身構える。
「・・・PLE4・・・」
相手がPLE4と知って胸をなで下ろす。
「ふふ・・・、そんな構えなぞ最近、出没している『金塊泥棒』とやらみ
たいな強い盗人ならやられてしまうぞ」
PLE4は身構えたクワトロの手を払い庭の奥に進んで行った。
>>31,
>>45,
>>87,>>63-
>>65,
>>71 >>94-1 そうだな。では1on1でもやるか。バスケットボールの代わりにハロを使おう。
貴様が先攻だ。
カツ 「よ〜し、本気で行きますよ。ハロ、来い」
ハロ 「・・・・・」
カツ 「ハロ、僕がオフェンスなんだ。こっちに来い」
ハロ 「話、かけんな。カツの、くせに。ハロ、ハロ」
やがてばら園が現れ、その前に立ち無邪気に花の香りを楽しむPLE4。
それを見てクワトロは安らかな気持ちになる反面、胸が苦しい。
花の香りを楽しんでいるPLE4は何と愛らしいんだ・・!
いたずらな風が時々PLE4のオレンジの髪をばらの棘に引っかける。
それを必死で解こうとしている。
いじらしいPLE4、妖しいPLE4、愛している! 愛している!!
可愛いPLE4、可愛いPLE4、愛している! 愛している!!
お前は幼い頃から何でも自分の胸の中へしまい込み独りで耐えていた。
強化実験の最中だって「女」と言うだけでみんなから興味の目で見られなが
らも独り耐えて来た!
皆の目を跳ね返すくらい頑張って今の自分に保ってきた!
今だって、今だっておれは知っているぞ!
お前が、お前がかなわぬガルマへの淡き初恋を胸に秘め、独り耐えて
いる事を・・・!!
ガルマとイセリナ嬢との仲睦まじいお姿に見かけるたび
お前がどんなに傷ついているか・・・!!
おれでは、だめなのか〜〜〜!
おれではガルマの代わりにはなれないのか〜〜〜!!
いや、こんな事思ってはいけない!
道徳への反逆だ!!
そうPLE4はおれのごお子様なんだ!!
でも・・・でも、なんて苦しいんだ!!
こんなに辛い思いは初めてだ!
いつまで、いつまで我慢しなければいけないんだ!!
体の奥から、おれの体の奥から何か熱いものがこみ上げてくる!
苦しい! 切ない!!
ああ、だ・れか・・
だ・れ・・か・・P・PLE・・4・・
た・・すけ・・て・・くれ!!
「・・PL・・E・・4・・」
ばらの香りに魔物が混ざっていたのか闇夜に魔物が混ざっていたのか
PLE4の可愛らしさに捕らわれたクワトロは理性が飛んでしまった。
ざざ・・・っ!
クワトロはPLE4に飛び掛かり気づいたPLE4は逃げようとしたが
間に合わず押し倒されてしまう。
「や、やめろ・・・」
クワトロは狂ったように唇を押し当ててくる。
髪に、額に、頬に、項に・・・!
「や、やめ・・・ク、アト・・・ロ・・・!」
声にならない声で抗うが太刀打ちできない。
そうしてる間にクワトロはPLE4のブラウスの釦を外し始めた。
そして外されたブラウスの中にクワトロは手を滑り込ませる。
初めての出来事にPLE4は体中を痙攣させた。
ショックのあまり見開かれた蒼い瞳は宙をさ迷っている。
「おまえを・・・おまえを誰にも渡したくない!!」
「な、なに・・・」
PLE4の恐怖に引きつった顔にクワトロは追い討ちをかけるように
PLE4の手首を掴み自由を奪い口付けの嵐を降らせる。
『ガルマの事なんか忘れてくれ!!』
クワトロの正直な気持ちだった。
抵抗を止めたPLE4は力を抜いた。
そして、クワトロのされるがままに受けていた。
それに気付いたクワトロは見てしまった――――!
PLE4の蒼い瞳から零れ落ちる一筋の涙を・・・!
「・・・P・・・LE・・・4・・・!」
呆然と立ちすくみその涙を見入るクワトロ。
やがて立ちあがり、PLE4に手を差し出し立たせてやる。
「・・・クワトロ?」
「すまない・・・どうかしていた・・・」
涙するPLE4に勝てるはずが無い!
愛するPLE4の嫌がる事など出来るはずが無い!!
2人は庭を後にして各自の部屋に向かった。
空には泣きたいくらい鮮やかな月が2人を見守っていた。
周りはばら園の芳しい香りが漂っている。
香りが二人を優しく包み込むように・・・。
へい、お待ち。ご注文のカツ丼です。