歴代主人公が兄弟だったらpart7【ブラザー】

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ズガン本部長「ここに集結した営業部は、ザンス(略)イチ、強力なムッターマ=ズガン営業部である!」
社員一同「ムッターマ=ズガン営業部!!ムッターマ=ズガン営業部!!」

「よく言うよ…………フワァ〜〜ッ」
恒例の月曜日朝礼を気だるく聞いていたクロノクルは思わず欠伸が出た。
「ギロチンという名のリストラ案で社員を脅かして営業部に組み込めば、なんでもやるよなぁ………ん?なんだ?」
クロノクルは秘書課のルペシノからメモを受け取る。

「これは、姉さん……、や、マリア社長からの直々のアポイントじゃないか……」

一瞬、悪寒が過る。
唯でさえここの処、業務成績が良くないクロノクルである。
任されている新規プロジェクトも尽く暗礁に乗り上げている今、社長直々の呼び出しとは?………
ズガン本部長の社員を鼓舞する朝礼はスピーカーを通し、社内全フロアに流れていた
「我がザンス(略)のマリア主義という理想を理解出来ずに、我が社の成功を妬むモノ達が
談合を組んで、市場シュアを奪うのであれば、我々も立たなければ成らないのである!」


4F第三営業課フロアにて、
「我が社の成功?……、フッ、笑わせやがる。半期の売上目標すら満足に達した事もない会社がなぁ……」
飛び込み営業の虎!と恐れられているゴッドワルド課長は、朝礼が聞き飽きたとばかりに
ゴッドワルド「オイ、外回り、行くぞ!今日は五軒落とす!!」

部下「え?でも……朝礼は未だ終わって……」
ゴッドワルド「ばぁ〜か、朝礼を聞いていれば契約が纏まるのかよ?爺の戯言は聞くだけ無駄さ!」
部下「あ、課長待って下さいよぉ〜〜」鞄を持ち、慌ててゴッドワルドを追う部下達。


放送はビル全域に流されていた。
「そして……、マリア社長の母なるお心を、人々に投げ与える機会を、全国展開しなければ、ならないからである!」


社長室にて、
カガチ専務「ムッターマ=ズガン本部長の後で、マリア社長にも、親しくお言葉を戴ければ、社員の士気もあがりましょう」

マリア社長「その前に……、私に報告があるというのは、そのドゥカー=イク課長でありますな」
イク課長「ハッ!」

バタン! 社長室のドアを開け、クロノクルが中に入る。
クロノクル「クロノクル=アシャー、参りましたぁ!」

マリア社長「クロノクル、ご苦労です……イク課長、続きを」
イク課長「地球クリーン活動が失敗続きでありながら、このように私の企画を採用していただいたのは、光栄であります」
マリア社長「モトラッド部の駈るモトラッド級の発案者であれば、当然であります」

クロノクル(モトラッド部!?確か、あのカテジナ=ルースの…… ((((´Д` ;)) )

イク「このボードをご覧下さい」
ホワイトボードをズルズルと引きずり出すイク課長。
画用紙にはイメージイラストが書かれており、その図を見て……

クロノクル「Σ(゚Д゚;) こ、これは…」

イク、イメージイラストを指し「このアドラステア級新造バスは、カガチ専務がお考えになったモノに
私が幾つかの技術的アイディアを提供させて戴いたのです」

クロノクル、イラストを見て(これがバスだと?……タイヤが二個しかついてないじゃないかぁ……まるで巨大なバイクだ)

イク「この特異な形は、見た目も派手で、それだけで宣伝効果が抜群、広告を打たずとも、他社の路線バスを圧倒しております」

マリア「広告費を削れるとは、結構な事であります……。私はギロチン(リストラ)を断行してまでも、
広告費を捻出する、今日のまでのやり方は好きではありません……」

カガチ専務「クロノクルよ、貴様が何故?社長室に呼ばれたのか、分るか?」
クロノクル「!?」
ザンス(略)の多角経営路線の一つとして、路線バス経営を始める事になり
その企画会議の場にクロノクルは呼び出されていたのである。

会議も終わり、
マリア「(略)という訳で、クロノクル……。今・度・こ・そ!……期待していますよ」
クロノクル「( #・∀・)ハ、ハイ……」

クロノクルが任されているプロジェクトの数々……

芸能部門を設立し、社長の娘であるシャクティ=カリンを歌手デビューさせ
ザンスカール・コーポレーションの広告塔とする計画は
再三の説得に応じ無いシャクティの頑固さにより、計画が頓挫している。

更に、社長の気まぐれから話が始まった、カロッゾのパン屋との提携話も逐一進まない。

どれを取っても成功していないのである。
そんな中でのクロノクルに持ち込まれた、新規プロジェクトの立ち上げ辞令であった。

新規顧客の開拓とザンス(略)ブランドの拡大。
立ち上げ予定の路線バス会社は、独立採算制を取り、独自の業績を上げなければいけない。等
クロノクルに科せられた仮題は余りにも大きかった。
ここで失敗すればマリア社長の弟と言う、血縁入社と言えども社内に居場所が無くなる。
正しく崖っぷち!!失敗は許されない。

クロノクル「しかし……、よりにもよって何故?儲けの少ない路線バス運営なんぞを……チィ」
社長室を出た廊下で壁を叩き、独り、歯軋りをするクロノクルだった。
数ヶ月後、アドラステア級新造バスが完成。
テストケースとして、まずは、町内を\100で回る市内ワンコインバスとしての運用を開始する事になっていた。

深夜、ザンス(略)路線バス会社停留所にて、
アドラステア級新造バスが数台、車庫に配備されている。

クロノクル、アドラステア級バスを眺め「いやぁ〜こいつの車検を取るのに、何度、陸運局に通い詰めた事か……」
イク「明日はいよいよ、運行ですな……。他社路線のバス運転手達に、バイク乗り魂を見せつけてやりますか!」
クロノクル「ま、まぁ……、その……鼻息を粗くする気持ちも分らんではないが、
これでも他社路線バス会社への根回しにも、色々と気を使ってな……、新規参入組みは辛いのだよ…。お手柔らかに頼む」
イク「まぁ!大舟に乗ったつもりで私に任せて下さい!はっはははははは!!」

イク課長は自分の発案したアドラステア級新造バスを、明日、いよいよ運行させる事が出来る喜びで有頂天になり
クロノクルの懸念など、気にも止めてなかった、そう……遠足の前日のお子様状態である。

クロノクル(私がここまで辿りつけただけでも、奇跡に近いのだ……この勢いに乗じ、
マリア主義を広めて、商店街周辺の町内の人々を包んでみせよう!)

今度こそ、微かではあるが……希望の光が見えている。とクロノクルは確信を掴んでいた。
ザンス(略)路線バス会社の開業初日。
バスの形状の物珍しさから、以前から話題になっており、客足も上々。
試しに乗ってみようか?等、一種のイロモノとして人気も上がり、用も無いのに
停留所に並び、アドラステア級バスの乗車待ちをする人も居る程である。

クロノクル「出足は上々だ!客受けもいい!さぁ……あとは頼んだぞぉ!!イク課長!!」
イク「ハッ!アドラステア級バスの処女運転における、運転手を務めさせて戴きます!」

バス車内、
アルとその友達はジュドーの引率の元、バスに乗り込んでいた。

アル「わぁ〜〜凄いねぇ〜隣のビルよりも高いよ!ジュドー兄ちゃん!!」
ジュドー「そうだな。車高が随分と高いもんな」
マリーメイア「このバスの車高だと走行時、電柱が邪魔になりません?
それにバスに付いている二輪タイヤの車幅からすると、通常の道路では車線をはみ出してしまうのでは?」
スージィ「マリーメイアの言う通りだよ!それにさぁ、少し、このバス自体も何処かで観た形だし…」
ジュドー「そりゃ、見た目からして、普通のバスとは言えないけどねぇ……」

イク「出発する!!」

ズガガガガガガガガッ!!! グチャ!! ボキッ!! ドドドドドドドッ!! グチャ!! ドドドドドドドッ!!

クロノクルはその光景を前にして、目を疑った「ば、馬鹿なぁ!?」

ザンス(略)路線バス会社の社命を賭けたアドラステア級新造バスは、バスそのものの、巨体を活かしつつ、
その巨大な二輪のタイヤを見事に活用して、道路をモノともせず……
というか、住宅地、道路、ビルの合間、関係無しにその巨大なタイヤで全ての建築物を踏み潰しながら
自ら道を作り、進んでいたのだった。

バス車内、
アル「 ヽ(゚∀゚)ノ  このバス、カッコ良い!!周りを踏み潰して進むんだぁ!!」
ジュドー「 (;゚ -゚) こ、こんなバス……が、あってもいいモノなのか?」
アドラステア級新造バスの特性として、
学園で先行試験運用をされていたモトラッド部の駈るモトラッド級と比較しても、車体スケールから言うと
モトラッド級の特性である『地ならし』の数十倍の破壊力の走破性能は、設計時から保証されていた。
それを見込んでのイクの操縦方法である。

(モトラッド級は最大2人乗り。普通のバイクより多少大きい位
アドラステア級バスは通常のビル10Fにも昇る車高とバスとは言えない程の車体を有しており、
最大400名の乗員が可能です『本編と設定が違ってますがネタ内だけの話と、スルーして下さい』)

ドドドドドドドッ!! グチャ!! ボキッ!! ドドドドドドドッ!! グチャ!! ドドドドドドドッ!!

市内に道無き道を作り、バスの停留所に向けて、
道路の順路関係無く目標地点へ、一直線に進むアドラステア級バス。

イク「はっははははははは!!バイク乗り魂とはこう言う事なのだよ!!」完全に陶酔しきっている。
ハンドルを握ると人格が変るらしい……、付近の被害にお構いなくアクセルを踏み続け、爆走を止めない。

クロノクル「(l|ll・∀・)…………ね、姉さん…どうしたら、いいのかなぁ……」


数日後。ザンス(略)、本社ビルにて、
アドラステア級バスの初日運行が引き起こした被害届けやら、住民苦情やら、行政指導やら……
その他、その他のクレーム書類と、多額の保証金額の見積書の山に埋もれる中

カガチ専務「ええぃ!!クロノクルめ!この帳尻をどう合せるつもりだ!! ヽ(`Д´)ノ 」

又もや、プロジェクトに失敗したクロノクルに対し、ザンス(略)の風当たりは更に冷たくなってく……