NT では、最後の富野さんに締めくくりのことばを。
富野 僕は原則的にテレビは、1回見て終わりのものだと考えているから、多少ラフなつくりでも許されると思っているんです。
でも、ビデオ・ソフトは違う。基本的に3回、できれば5回は見られることを想定したクオリティをもっていなければならない。
たとえ、レンタルといえども、少なくとも1回で終わってしまうものではないはずです。
ただ、現実問題として、ソフト・メーカーのほとんどが、そのことを考えていないような気がします。
ビデオを軽く考えている。
そういう部分だけでいうなら、今回の「ガンダム」の1巻目も、残念ながら1回半で内容をほとんど理解できる。
2回以上見なければ、わからないような、それだけ深い読みをしなければならない芝居はありませんでした。
また、これは「逆襲のシャア」をビデオで見た時に思ったんですが、
現在のビデオ・システムでは、劇場用のレイアウトで作ったあの作品を再現しきれない。
ロングに引きすぎたため表情が読み取れないんです。
だからといってアップばかりですまされては困る。そのかねあいをどこで取るか。
今後、ソフトの提供者、特に演出家は、いやになるほど考えてみてください。
そして、脚本家の方も、数回の鑑賞に耐えうるドラマづくりを考えてみてください。
これはユーザーとしてのお願いです。